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国税通則法

e-Taxにより確定申告データを法定申告期限内に送信しておらず期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由はないとした事例

  • 令和4年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年10月15日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人がe-Taxにより確定申告データを法定申告期限内に送信しておらず期限内申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があると認められる場合に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)により確定申告書及び財産債務調書等(本件調書)のデータを送信するつもりであったが、結果として本件調書のデータしか送信できておらず、このような誤操作が生じてしまうe-Taxにはシステム上の問題があるといわざるを得ないこと、上記送信後に完了画面が表示されたことにより、請求人が確定申告書のデータも正常に送信できたと認識したことはやむを得ないことから、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する正当な理由があると認められる場合に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人の期限内申告書の提出がなかったのは、請求人がe-Taxの操作を誤って本件調書のデータの送信しか行っていなかったにもかかわらず、本件調書のデータの即時通知を見て、確定申告書のデータも送信されたと誤って認識したという請求人自身の主観的な事情によるものにほかならない。

したがって、期限内申告書の提出がなかったことについて、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があったとはいえず、無申告加算税の趣旨に照らしても、なお、納税者に無申告加算税を課することが不当又は酷になる場合に当たるとはいえないから正当な理由があると認められる場合には該当しない。

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2025年8月28日


国外居住親族に係る書類の添付等がなく扶養控除の適用がないとして更正の請求ができる場合に該当しないとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 令和6年10月22日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が国外居住親族に係る送金関係書類を更正の請求書に添付等しておらず、当該親族に係る扶養控除の適用がないため、更正の請求ができる場合に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、国外に居住する請求人の母、叔母及び姉(本件各親族)が高齢や病気により銀行に行くことができないこと、また、一人一人に送金することによる銀行送金手数料を節約することができることから、請求人の兄らにまとめて送金をしていたにすぎず、当該送金が、本件各親族を含む国外に居住する親族全員の生活費及び医療費に充てることを目的とするものであることは明らかであり、本件各親族に係る扶養控除の適用が認められるべきであるから、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第3号に規定する更正の請求ができる場合に該当する旨主張する。

しかしながら、国外に居住する親族に係る扶養控除の適用を受けるためには、所得税法施行令(令和2年政令第111号による改正前のもの)第262条《確定申告書に関する書類等の提出又は提示》第3項第2号に規定する書類(送金関係書類)を添付等しなければならないところ、請求人が提出した送金明細は、当該兄らを送金の受取人とするものであり本件各親族に係る送金関係書類とは認められず、請求人は本件各親族に係る送金関係書類を更正の請求書に添付等していないから、本件各親族に係る扶養控除の適用はない。

したがって、国税通則法第23条第1項第3号に規定する更正の請求ができる場合に該当しない。

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2025年8月27日


共同審査請求に関する通知及び口頭意見陳述に関する連絡は、処分についての審査請求の適用除外に該当するとした事例

  • 「口頭意見陳述の開催について」別紙「連絡事項」に記載の総代を解任する旨の行政処分及び「審査請求の総代として認められない旨のお知らせ」記載の行政処分
  • 却下
  • 令和6年8月29日裁決

<ポイント>
本事例は、共同審査請求に関する通知は、総代の権限を制限することを確定する行為であり、また、口頭意見陳述に関する連絡は、口頭で意見を述べる地位を与えないことを確定する行為であるから、いずれも処分に該当するものの、審査請求の適用除外によって不服申立てができない処分であるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、請求人らに対して行われた各配当処分の取消しを求める各審査請求で、請求人の一人が他の一人を総代として選任していたところ、所轄庁が行った、①所轄庁が請求人の一人に送付した書面に記載された「総代を解任する旨の行政処分」及び②所轄庁から送付された口頭意見陳述の開催に関する書面に記載された総代としての出席は認められない旨の「行政処分」の取消しを求めて本件審査請求を行っている。

しかしながら、上記①については、請求人の一人の総代の権限を制限することを確定する行為であり、また、上記②については、請求人の一人に口頭で意見を述べる地位を与えないことを確定する行為であることから、いずれも国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》に規定する「処分」に該当することとなるが、同法第8章第1節《不服審査》の規定による処分であって、同法第76条《適用除外》第1項の規定によって同法第75条第1項の適用が除外される処分に該当することから、不服申立てができないものである。

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2025年8月14日


請求人が原処分庁からの指摘に従い修正申告をしたところ、原処分庁が過少申告加算税の賦課決定処分をしたことについて、確定申告書を提出した際に、原処分庁が行政指導を行わずに過少申告加算税を賦課したことは不当ではないとした事例

  • 令和4年10月1日から令和5年9月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年9月26日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が行政指導を行わずに調査を行い、過少申告加算税の賦課決定処分をしたことにつき、過少申告加算税の賦課決定やその額の計算について、原処分庁に裁量権が付与されたものとは解されず、本件賦課決定処分について処分の不当性を検討する前提が欠けるから、本件賦課決定処分は不当ではないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が行政指導を行わずに調査を行い、過少申告加算税の賦課決定処分(本件賦課決定処分)をしたことは不当である旨主張する。

しかしながら、処分の不当とは、処分を行うにつき法の規定から処分行政庁に裁量権が付与されていることを要するものと解されるところ、国税通則法第65条《過少申告加算税》第1項及び第2項は、過少申告加算税の賦課決定やその額の計算について、原処分庁に裁量権が付与されたものとは解されず、本件賦課決定処分について処分の不当性を検討する前提が欠けるから、本件賦課決定処分は不当ではない。

また、請求人は、仮に原処分庁が行政指導を行わずに本件賦課決定処分をしたことが不当ではなかったとしても、課税売上高に変動がなく、仕入税額控除の計算方式を本則課税制度から簡易課税制度へと変更するのみの修正申告で、納付すべき税額が調査を開始する前から確定しているような場合には、過少申告による納税義務違反に該当しないから、過少申告加算税に同項により計算した金額(加重分)が加算されることは不当である旨主張する。

しかしながら、過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば、原則としてその違反者に対して課されるものであり、加重分は、同条第1項の規定に該当する場合において、修正申告による納付すべき税額が期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときに一律に課され、加重分のみが不適用となる場合の規定は存在しないところ、修正申告書を提出したことにより、新たに納付すべき税額が生じたのであるから、請求人には過少申告による納税義務違反の事実があったと認められ、そして、当該新たに納付すべき税額は期限内申告税額に相当する金額を超えるから、加重分を加算した過少申告加算税が賦課されることは不当ではない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が原処分庁からの指摘に従い修正申告をしたところ、原処分庁が過少申告加算税の賦課決定処分をしたことについて、確定申告書を提出した際に、原処分庁が行政指導を行わずに過少申告加算税を賦課したことは不当ではないとした事例

2025年8月5日


消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、収支内訳書等に過少な記載を行って免税事業者であると装い続けたことは仮装隠蔽行為に該当すると判断した事例

  • ①平成27年1月1日から同年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分
  • ②平成28年1月1日から令和元年12月31日までの消費税及び地方消費税の各決定処分
  • ③平成27年1月1日から令和3年12月31日までの消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • ①一部取消し、②③棄却
  • 令和6年4月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人による継続した収支内訳書等の過少記載行為は、消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図して免税事業者であることを装い続けたものであり、仮装隠蔽行為に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、①請求人による消費税等の認識ある無申告は無申告行為そのものであることや、②何ら根拠のない収入金額及び必要経費の額を収支内訳書に記載することは、過少申告行為そのものであって、隠蔽行為又は仮装行為に該当せず、特段の行動に当たるとも評価できない旨主張する。

しかしながら、請求人は、何ら根拠のない収入金額等を収支内訳書に記載したのではなく、課税期間に係る基準期間の売上げが1,000万円以下となれば、消費税等の申告義務を負わないと認識した上で、平成25年以降比較的長期間にわたって、消費税等の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、故意に事業所得の総収入金額が1,000万円を超えないように所得税等の確定申告書及び収支内訳書に過少な収入金額を記載して原処分庁に提出することで、課税標準等の計算の基礎となるべき事実である、基準期間中における課税資産の譲渡等の対価の額を故意に脱漏し、課税期間において消費税法上の免税事業者であることを装い続け、本件の各課税期間の消費税等の確定申告をしなかったのであるから、かかる行為は隠蔽又は仮装と評価すべき行為であり、単なる無申告行為や過少申告行為そのものと評価することはできない。

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2025年3月10日


他人による確定申告書の作成・提出について、国税通則法第24条の「納税申告書の提出があった場合」に該当するとした事例

  • 平成28年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年4月15日裁決

<ポイント>
本件は、納税義務者以外の者による納税申告について、納税義務者が明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないものの、納税義務者が、当該納税申告について追認していると認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人名義の納税申告書は、他人が成りすまして提出されたものであり、当該納税申告は無効であるため、国税通則法第24条《更正》に規定する納税申告書を提出した場合に該当しない旨主張する。

しかしながら、納税義務者以外の者が申告書を作成及び提出した場合であっても、その者が納税義務者から明示又は黙示に当該申告行為をする権限を与えられている場合や、納税義務者が当該申告行為を追認した場合は、その納税申告は有効となると解されるところ、請求人は、明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないが、権限なくされた他人による当該納税申告を当該納税申告書が提出された後に追認したと認められるから、当該納税申告は有効となり、当該納税申告書の提出は、同条の納税申告書を提出した場合に該当する。

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2025年3月6日


請求人は、会計伝票等を捨てることで、故意に真実の本件各年分の本件事業に係る売上金額及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の本件各課税期間に係る課税売上高を隠匿したといえるとして、国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとした事例

  • 平成27年分から令和3年分までの所得税及び復興特別所得税並びに平成27年課税期間から令和3年課税期間までの消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、無申告加算税に代えて課される重加算税の課税等要件に係る主観的要件について、法令解釈の上、具体的にその該当性に係る事実認定をしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人には税務に関する相応の知識がなく、事業に係る売上金額は概算で把握していたにとどまり、本件事業に利益があったとは認識しておらず、帳簿書類等を作成せず、各会計伝票、感染拡大防止対策協力金に係る支払決定通知書及び事業に関する支払に係る領収書等(各会計伝票等)を保存せずに廃棄していたのは、ひとえに請求人の無知が招いた結果であり、意図的に申告をしなかったのではないから、請求人には国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第68条《重加算税》第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、青色申告に係る帳簿の備付け、記録及び保存をしていなかった上、各会計伝票等を保管することなく全て捨てることで、各年分の事業に係る売上金額(雑収入を含む。)及び必要経費の金額を不明にしていたところ、請求人自身、当該各会計伝票等を捨てることで、各年分の事業に係る売上金額及び必要経費の金額を不明になることを認識していたといえるから、故意に真実の各年分の事業に係る売上金額(雑収入を含む。)及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の各課税期間に係る課税売上高を隠匿したというべきであり、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと認められる。

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2025年2月19日


請求人の従業員が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為は、事実の仮装に該当するところ、当該従業員の行為は、請求人の行為と同視でき、重加算税の賦課要件を満たすとした事例

  • 令和2年4月1日から令和3年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年1月10日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の従業員がした仮装行為について、同従業員の地位・権限は一使用人として限定されたものであったが、同行為は、請求人から付与された権限の範囲内において行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であったと認められ、また、請求人における管理・監督体制が十分であったとは認められないことからすれば、請求人の行為と同視できるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人の従業員(本件従業員)が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為(本件行為)は、事実の仮装に該当するが、①本件従業員は、請求人の一使用人として限定的な地位・権限を有していたにすぎないこと、②本件行為は、本件従業員の独断的な不正行為であったこと、③請求人は、本件従業員に対して一定の管理・監督を行っていたことなどから、本件行為を請求人の行為と同視することはできない旨主張する。

しかしながら、本件従業員の地位・権限は一使用人として限定されたもので、また、本件従業員による本件行為は、本件従業員が自身の業務負荷の増大を避けるための独断的な行為ではあるものの、本件行為は、請求人から付与された権限の範囲内において行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であったと認められ、また、請求人における管理・監督体制が十分であったとは認められない。

以上の点を総合考慮すれば、本件行為を納税者たる請求人の行為と同視することができると判断するのが相当である。

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2025年2月18日


財産債務調書に、有価証券の種類別にまとめて用途、所在等が記載され、その銘柄及び数量等の記載がない場合は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となるとした事例

  • ①令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②過少申告加算税の変更決定処分
  • ①却下及び棄却、②却下
  • 令和6年2月7日裁決

<ポイント>
本事例は、財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加算税の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当するか否かの判断は財産債務調書の記載自体から行うべきであり、財産債務調書以外の書類の記載や調査の際に確認できる事項を加味してこれを判断すべきではないとしたものである。

<要旨>
請求人は、修正申告(本件修正申告)の基因となった有価証券(本件有価証券)について、①請求人が提出した財産債務調書(本件財産債務調書)に本件有価証券の銘柄の記載はないものの、種類別、用途別、所在別に記載され、財産の価額も一括で記載されていること、②本件財産債務調書に一括で記載されている価額と証券会社が発行した残高報告書に記載されている残高が一致するため本件有価証券を容易に特定できること、③令和4年法律第4号による改正前の内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項第2号に規定する重要なものの記載が不十分であると認められる場合に該当するか否かは、調査の際に、銘柄ごとの区分ができ、残高が一致することが確認できればいいことなどから、本件修正申告による過少申告加算税の計算において、同項の規定による加重措置は適用されず、むしろ同条第1項の規定による軽減措置が適用される旨主張する。

しかしながら、加算税の加重措置及び軽減措置の適用の可否の判断は、財産債務調書の記載内容自体から行うべきであるところ、本件財産債務調書には、本件有価証券の銘柄及び数量の記載がないため、本件財産債務調書の記載内容からは本件有価証券を特定することは困難であると認められる。

したがって、本件財産債務調書の記載は同号に規定する重要なものの記載が不十分であると認められる場合に該当し、過少申告加算税の計算において加重措置が適用され、軽減措置は適用されない。

★リンクはこちら⇒ 財産債務調書に、有価証券の種類別にまとめて用途、所在等が記載され、その銘柄及び数量等の記載がない場合は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となるとした事例

2025年2月17日


各更正通知書に添付された各別表から算出される金額と当該各更正通知書に記載された金額とが不一致である場合において理由の提示に不備があると判断した事例

  • 平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで、平成30年12月1日から令和元年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和5年12月15日裁決

<ポイント>
本事例は、各更正通知書に添付された各別表から算出される控除対象仕入税額の減少額と当該各更正通知書に記載された控除対象仕入税額の減少額とが不一致である場合において、当該各別表に記載のどの部分が課税仕入れと認められなかったのかが判別できないことから、理由の提示に不備があると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、各更正通知書に記載された処分の理由には不利益処分の根幹部分をなす事実関係が明示されており、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文の法の趣旨に反するものではないから、各更正処分の理由の提示に不備はない旨主張する。

しかしながら、当該各更正通知書に添付された各別表に記載された金額から算出される控除対象仕入税額の減少額と当該各更正通知書に記載された控除対象仕入税額の減少額とは一致しておらず(本件不一致)、本件不一致は当該各別表中の一部の取引について原処分庁が請求人の仕入税額控除の対象と認めた金額(本件差額)があるために生じたものであるところ、当該各更正通知書に、本件差額に係る記載がないことにより、当該各別表を含む当該各更正通知書の記載だけでは、請求人において本件差額の存在さえ知ることができず、また、当該各別表に記載のどの部分が課税仕入れとして認められなかったのか判別することもできないため、不服の有無を判断することができない。

そうすると、当該各更正通知書は、各更正処分の全体について、原処分庁の判断過程を逐一検証し得る程度の更正の理由の記載があるとは認められず、原処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という趣旨目的を充足する程度に具体的に更正の根拠を明示したものと評価することはできないから、当該各更正処分は、その理由の提示に不備があり、違法である。

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2024年8月30日


請求人がした修正申告書の提出は、通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)の「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査通知がある前に行われたもの」に該当しないとした事例

  • 平成29年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、いわゆる更正の予知の判断枠組みにつき「税務職員がその申告に係る国税についての調査に着手してその申告が不適正であることを発見するに足るかあるいはその端緒となる資料を発見し、これによりその後の調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達した後に、納税者がやがて更正に至るべきことを認識した上で修正申告を決意し修正申告書を提出したものでない」か否かにより判断するとした上で、その該当性については、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断すべきとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁所属の調査担当職員(本件調査担当者)が、請求人に対して、調査又は行政指導の行為のいずれの事務として行うかを明示していないから、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「調査」があったとはいえないため、修正申告書(本件修正申告書)の提出が、同項に規定する「その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件調査担当者は、請求人が勤務する法人の親会社から受けたインセンティブ報酬(本件報酬)が記載された資料の内容と請求人の確定申告書の記載内容とを比較検討することにより、本件報酬に係る給与所得の申告金額が計上されていないことをあらかじめ確認した上で、請求人に本件報酬を確認する旨の電話連絡(本件電話)をしたと推認され、これらの行為は本件調査担当者の課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程であると認められるから、同項に規定する「調査」があった場合に該当すると認められる。

そして、調査の内容・進捗状況、調査の内容・進捗状況に関する請求人の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性に係る各事情からすれば、修正申告の時点において、本件調査担当者による調査は、その後の調査が進行し確定申告が本件報酬を計上しない不適正なものであることが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達していたというべきであり、また、請求人は、本件電話を受けてから税理士に依頼し、修正申告していることから、やがて更正に至るべきことを認識した上で修正申告を決意し修正申告書を提出したものと認められる。

したがって、本件修正申告書の提出は、「調査があつたことにより更正があるべきことを予知してされたものではない場合」に該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人がした修正申告書の提出は、通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)の「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査通知がある前に行われたもの」に該当しないとした事例

2024年8月28日


国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容により判断すべきとした事例

  • 令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • 令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、確定申告書の内容等から国外財産調書又は財産債務調書に記載すべき財産が特定できる場合であっても、納税者が提出した国外財産調書又は財産債務調書の記載内容から当該財産の特定が困難なときは、国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例による加重措置が適用されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人がした修正申告(本件修正申告)の基因となった財産(本件財産)から生ずる所得について確定申告をしていたことや、原処分庁所属の調査担当職員から本件財産について確認があったことなどからすると、本件財産は既に特定済みであるため、本件修正申告による過少申告加算税は、令和4年法律第4号による改正前の内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第3項又は第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定(加算税加重措置)により加算税の額が加算されることとなる国外財産調書又は財産債務調書に記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分である場合には該当しない旨主張する。

しかしながら、加算税加重措置の適用の可否の判断は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容から行うべきであるところ、請求人が提出したこれらの調書には本件財産に係る記載事項に誤りや記載漏れがあり、その記載内容からは本件財産の特定が困難であると認められる。

したがって、当該記載内容は、国送法第6条第3項第2号又は第6条の3第2項第2号に規定する「記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分である」ものと認められるから、修正申告に係る過少申告加算税について加算税加重措置が適用される。

★リンクはこちら ⇒ 国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容により判断すべきとした事例

2024年8月26日


請求人が、工事代金の一部が申告漏れとなったことについて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 令和2年1月1日から令和3年12月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 令和2年1月1日から令和3年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和5年12月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の取締役が、申告漏れとなっていた現金での受領に係る工事代金について、領収証を故意又は過失により発行しなかったか、その控えを故意又は過失により破棄したものと認められるものの、故意に領収証を発行しなかったこと、あるいはその控えを故意に破棄したことなどにより、故意に帳簿に記載しなかったことを裏付ける証拠はないとして、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽」に該当するとは認められない旨判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が現金で受領した工事代金(本件工事代金)について、請求人の取締役が請求人に帰属する金員と認識して受領した上で帳簿に記載せず、個人的に費消したと認められ、請求人も修正申告において取締役に対する役員賞与を支出したとして追認していることから、これらの行為は故意であり、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が領収証の控えが存在しながら帳簿に記載しなかったことをうかがわせる証拠はないことから、本件工事代金が帳簿に記載されていなかったのは、請求人が本件工事代金に係る領収証を故意又は過失により発行しなかったか、その控えを故意又は過失により破棄したものと認められるところ、取締役の申立てからは過失により本件工事代金に係る領収証を発行しなかった事実は認められるものの、故意に領収証を発行しなかったこと、あるいは、領収証の控えを故意に破棄したことなどにより、故意に帳簿に記載しなかったことを裏付ける証拠は見当たらない。

また、取締役が本件工事代金を個人的に費消したと取り扱われても仕方ない旨申し立てたことや、請求人が本件工事代金相当額を修正申告で役員賞与の取扱いをしたことは認められるものの、取締役が自らの所持金と混同するなどにより本件工事代金を個人的に費消した可能性を否定できず、請求人に帰属する金員と認識した上で個人的に費消したと認める証拠もない。そうすると、請求人が課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が、工事代金の一部が申告漏れとなったことについて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2024年8月22日


請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分について、請求人が青色申請を期限までにすることができなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにもかかわらずされたものだから、同取消処分が適法とした事例

  • 災害による申告、納付等の期限延長申請の承認取消処分
  • 棄却
  • 令和5年11月15日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が先にした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請についての承認処分について、当該延長承認の要件を満たさないことから、職権で取り消したことが適法と判断したものである。

<要旨>
請求人は、「新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で提出が遅れました」と記載した青色申告承認申請書(本件青色申請書)の提出が提出期限後となったのは、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言や自治体の外出自粛要請を受けて外出自粛等をしていたためであり、これらの事情は、国税通則法第11条《災害等による期限の延長》に規定する「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」に該当するから、原処分庁が、上記記載による同申請書の提出期限の延長申請に係る承認(本件延長承認)を後日取り消した処分(本件取消処分)は違法である旨主張する。

しかしながら、本件取消処分の適否を判断するに当たっては、本件延長承認がされた時点における事情に照らし、本件延長承認に違法等が認められるか否かを審理判断すべきであり、具体的には、本件延長承認が国税通則法第11条に適合するものであったか否かを検討すべきであるところ、本件青色申請書の提出が提出期限後になったのは、提出期限後になって特別償却の適用を受けるために青色申告の承認を受けようとしたという理由によるものであり、新型コロナウイルスの感染拡大を理由とするものではないから、「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分について、請求人が青色申請を期限までにすることができなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにもかかわらずされたものだから、同取消処分が適法とした事例

2024年8月20日


給与を返還した場合には源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するとした事例

  • ①平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する理由なし通知処分
  • ②平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する理由なし通知処分
  • ①一部取消し
  • ②棄却
  • 令和5年4月12日裁決

<ポイント>
本事例は、給与の返還に伴って源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額が減少した場合には、その減少後の正当に徴収された又はされるべき所得税等の額を超える金額を算出所得税額から控除し、又は還付を受けることはできないとしたものである。

<要旨>
請求人は、役員給与につき源泉徴収された所得税等(本件各源泉所得税)について、当該役員給与を一部返還したことにより過大となったにもかかわらず、源泉徴収義務者が源泉徴収税額の精算をしない場合には、源泉徴収義務者が請求人に役員給与を支払う際に徴収した源泉所得税を国は収納し利益を得ているのであるから、所得税法(平成31年法律第6号による改正前のもの)第120条《確定所得申告》第1項第5号の「源泉徴収された又はされるべき所得税の額」は、実際に源泉徴収された所得税等の額と解するのが相当であり、請求人は、本件の各更正の請求により本件各源泉所得税の額の還付を受けることができる旨主張する。

しかしながら、同号にいう「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」とは、所得税法の源泉徴収の規定に基づき正当に徴収をされた又はされるべき所得税等の額を意味するものであり、役員給与が減額された以上、源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するのであるから、請求人が主張する事情があったとしても、請求人は、本件の各更正の請求において、本件各源泉所得税の額のうち、「正当に徴収された又はされるべき所得税等の額」を超える金額を算出所得税額から控除し、又は還付を受けることはできない。

なお、原処分庁は、請求人の源泉徴収による所得税等の額は原処分庁ではなく源泉徴収義務者が再計算すべきものであり、また、請求人は源泉徴収義務者が発行した訂正後の源泉徴収票又はこれに代わる書類を提出していないから、源泉徴収義務者によって再計算された請求人の給与所得に係る源泉徴収された所得税等の額や所得控除の額を確認することができない旨主張する。

しかしながら、所得税法第120条第1項第5号の「正当に徴収された又はされるべき所得税等の額」の意味を踏まえると、請求人が本件の各更正の請求に関して提出した資料から正当に徴収されるべき所得税等の額が計算できる場合には、その計算をした所得税等の額を基に確定申告書に記載された納付すべき税額が過大となっているか否かを判断することが相当である。

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2024年3月25日


実地の調査に係る手続に原処分を取り消すべき違法又は不当は認められないとした事例

  • ①平成26年分から令和2年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成26年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成31年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ①②③棄却
  • 令和5年5月18日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が、その保有する情報及び請求人の確定申告書の記載内容から売上除外を想定し、原始記録及び帳簿書類等の保全のために国税通則法第74条の10《事前通知を要しない場合》に規定する事前通知を要しない場合に該当すると判断したことに、裁量権の逸脱又はその濫用は認められないことから、違法又は不当はないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が国税通則法第74条の10《事前通知を要しない場合》に規定する要件に該当しないにもかかわらず、請求人に対して無予告無通知で調査を行ったことから、原処分を取り消すべき違法又は不当がある旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、把握していた情報及び請求人の確定申告書の記載内容から売上除外等が想定され、事前通知をすることで請求人が売上げに係る原始記録及び帳簿書類等を破棄するなど不正取引の把握を困難にするおそれがあると認められたため事前通知を要しない場合に該当すると判断したものであり、その判断に全く事実に基づかず明白に合理性に欠けるなど裁量権の範囲を超え、又はその濫用があったとは認められないことから、事前通知をしなかったことに違法又は不当はない。

また、請求人は、請求人から国税通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定する調査結果の内容の説明(調査結果説明)を受けることについての同意を受けた代理人税理士(本件税理士)に調査結果説明を行えなかったのであれば、原処分庁は、他の代理人税理士に調査結果説明をすべきであり、調査結果説明がないまま行われた原処分には取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、本件税理士に対して相当の回数、調査結果説明をするために連絡を試みており、本件税理士がこれに応じなかったことは、その機会を自ら放棄したものと認められることから、調査結果説明がなかったことについて、原処分の取消事由となる違法があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 実地の調査に係る手続に原処分を取り消すべき違法又は不当は認められないとした事例

2024年3月21日


請求人が、インターネット販売に係る売上げを隠蔽し又は売上げが請求人に帰属しないかのごとく取引名義を仮装したとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成28年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ④平成28年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ①③全部取消し、②④一部取消し
  • 令和5年1月27日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、インターネット販売の出品者プロフィール画面に実在しない会社名や親族の名前を記載していたものの、請求人自身がネット販売を行っていることを示す行動をし、商品の仕入れにおいて請求人の実名で取引を行っていたことなどから、国税通則法第68条第2項に規定する隠蔽又は仮装の事実があったとは認められない旨判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、インターネット販売(本件ネット販売)において、出品者プロフィール画面に実在しない会社名や親族の名前を記載するなどして、取引名義を仮装することにより、本件ネット販売を行っていた事実を隠蔽した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、出品者プロフィール画面に請求人の携帯電話番号を表示するなど顧客に対して、請求人自身が本件ネット販売を行っていることを示す行動をしていること、商品の仕入れや売上代金の回収において、一貫して、請求人の実名で取引を行い、請求人名義の口座を用いていたことからすると、商品の出品の段階において、請求人の親族の氏名などを記載していたことをもって、直ちに請求人が本件ネット販売を行っていることを隠したなどと評価することはできない。

そうすると、請求人は、商品の仕入れから売上代金の回収までの本件ネット販売における取引の各段階において、本件ネット販売の取引上の名義に関し、あたかも請求人以外の者が取引を行っていたかのごとく装い、故意に事実をわい曲するなどの仮装行為を行っていた又は請求人に帰属する本件ネット販売の売上げを秘匿する等の隠蔽行為を行っていたとは認めることはできないから、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が、インターネット販売に係る売上げを隠蔽し又は売上げが請求人に帰属しないかのごとく取引名義を仮装したとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年12月22日


請求人が不動産の売買取引及び不動産の売買の仲介取引に関し、各取引の存在を把握し当該所得金額等も含め申告すべきことを認識しながら、これを申告しないことを意図し、これらを除外した収支内訳書の下書を作成して、それを提示して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどから、隠蔽又は仮装が認められるとした事例

  • 平成29年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成29年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年2月8日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、一部の取引に係る所得金額等を申告すべきことを認識しながら、意図的にこれを除外した収支内訳書の下書を作成して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどの諸事情から、国税通則法第68条第1項及び第2項に規定の事実の隠蔽又は仮装が認められるとして、同条該当性を認めたものである。

<要旨>
請求人は、主たる業務である不動産賃貸の仲介の収支を管理する業績管理表実績と題する表(本件業績管理表)は、請求人の事業全部に係る帳簿書類ではないことから、同表に不動産の売買取引(本件売買取引)及び不動産の売買仲介取引(本件売買仲介取引)に関する記載がないとしても内容虚偽の帳簿書類の作成に当たらず、これらの取引の申告をしないことを意図したものではないから、国税通則法(通則法)第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する事実の隠蔽又は仮装に当たらない旨、また、これらの取引の申告をしない意図をうかがい得る特段の行動もしていない旨主張する。

しかしながら、本件売買取引に関しては、請求人は、同取引の帳簿書類たる売買計算表を作成して利益を把握しており、同表により算出した本件各売買取引に係る所得金額等も含めて申告すべきであると知りながら、これを申告しないことを意図して、本件業績管理表のみに基づいて、本件売買取引に係る収入金額等を除外した内容虚偽の収支内訳書の下書を作成し、税務署での申告相談に、本件売買取引に係る書類を一切持参せず、対応した職員に同下書を提示して相談した上で、その結果に基づいて、所得金額等を意図的に過少に記載して確定申告をしたと認められるから、通則法第68条各項に規定する隠蔽又は仮装が認められる。

また、本件売買仲介取引に関しては、請求人は、仲介手数料収入についての申告の必要性を認識していたと推認できること、本件売買仲介取引に関する収支の記録が存在しないのは、本件売買仲介取引に係る所得金額等を申告する意図がなかったことに起因すると認められること、前記申告相談の際に、対応した職員に対し、本件売買仲介取引に係る所得について何も明らかにしていないこと、調査の当初の言動は、本件売買仲介取引を隠蔽する意図に基づくものと推認できることからすると、当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったと認められ、同各項に規定する隠蔽又は仮装が認められる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が不動産の売買取引及び不動産の売買の仲介取引に関し、各取引の存在を把握し当該所得金額等も含め申告すべきことを認識しながら、これを申告しないことを意図し、これらを除外した収支内訳書の下書を作成して、それを提示して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどから、隠蔽又は仮装が認められるとした事例

2023年12月21日


特定記録郵便により発送された処分に係る通知書は、配達完了の記録がされた日に納税者がその通知書を了知し得る客観的状態になり、送達されたものとなるとした事例

  • 令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 却下
  • 令和5年2月22日裁決

<ポイント>
本事例は、処分に係る通知書が特定記録郵便により発送された場合には、その通知書は、その配達が完了した旨が記録された日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価でき、同日に送達されたと認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分に係る通知書(本件通知書)を受け取った日からすれば、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間内にされたものである旨主張する。

しかしながら、本件通知書は、特定記録郵便により請求人の住所に発送されているところ、本件通知書が返戻された事実はなく、当審判所の調査の結果によっても本件通知書が誤配達されたこと等をうかがわせる証拠は見当たらないことからすると、その配達が完了した旨が記録された日に送達を受けるべき請求人の住所に設置された郵便受箱に配達されたと認められ、同日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価できるから、本件通知書は、同日に請求人に送達されたと認められる。

そうすると、本審査請求は、本件通知書が送達された日の翌日から起算して3月を経過した後にされたものであり、また、請求人が法定の不服申立期間内に本審査請求をしなかったことについて、国税通則法第77条《不服申立期間》第1項ただし書に規定する正当な理由があるといえる事情は認められないから、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間を経過した後にされた不適法なものである。

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2023年12月20日


法律の規定に不備がある旨の主張は採用できないとした事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和4年11月2日裁決

<ポイント>
本事例は、先物取引等の全取引期間における損益の通算を認めないなどの現行の法律の規定には不備がある旨の請求人の主張は採用できないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分について、国税に関する法律に基づいて実施された処分であることを認める一方、先物取引や株式の譲渡取引の各損益が、各取引を実施した全ての期間の損益を通算してそれぞれ赤字となる場合には、先物取引の差金等決済に係る損失や上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除が認められる3年を超える期間であっても通算をそれぞれ認めるべきであり、また、先物取引の損益と株式譲渡の損益の間でも通算を認めるべきであるから、このような取扱いのない現行の法律には不備がある旨主張する。

しかしながら、審判所は、原処分庁が行った処分が違法又は不当なものであるか否かを判断する機関であって、その処分の基となった法令自体の適否又は合理性を判断することはその権限に属さないことであるので、請求人が主張する点については、当審判所の審理の限りではない。

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2023年12月6日


請求人が法定申告期限までに申告書を提出しなかったことについて、仮装又は隠蔽に該当する事実はなかったとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年9月9日裁決

<ポイント>
本事例は、土地と建物が一括して売買され、当該売買契約において定められた土地及び建物それぞれの価額がその客観的な価値と比較して著しく不合理なものである場合には、所得税法施行令第126条第1項第1号イにいう「当該資産の購入の代価」は、合理的な基準により算定するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、土地及び建物を一括で3物件(本件3物件)買い受けて貸付けの用に供したところ、各売買契約書に記載された土地及び建物の各価額(本件各内訳価額)は第三者間での相対の商取引において合意された価額であって合理的な価額といえるから、当該各建物に係る所得税法施行令第126条《減価償却資産の取得価額》第1項に規定する「当該資産の購入の代価」は、本件各内訳価額に基づいて算定すべきである旨主張する。

しかしながら、固定資産税評価額は一般的に適切な時価を反映しているといえるところ、本件3物件の各売買代金総額は各固定資産税評価額総額を上回るのに対し、各建物価額はその固定資産税評価額を大きく上回る一方、各土地価額はその固定資産税評価額と同様か又は下回っている。

本件においてそのような評価とすべき事情は見当たらず、本件各内訳価額に係る各建物価額は、各売買代金総額から過剰に価額が配分されたものというべきであり、客観的な価値と比較して著しく不合理なものである。

そして、売主が土地及び建物を一括して譲渡する場合、建物の購入の代価について、売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額の価額比によりそれぞれあん分して算定することは、一般的には合理的な基準による算定であるといえるところ、本件各内訳価額に係る各建物価額についてはいずれも上記の不合理な場合に該当し、また、本件3物件の各固定資産税評価額が適正な時価を反映しているとはいえないような事情もないから、本件3物件に係る各建物の購入の代価は、本件3物件の各売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額比によりそれぞれあん分して算定すべきである。

なお、本件3物件のうち2物件の各建物に係る取得価額に加算すべき仲介手数料の金額等及び本件3物件の各仲介手数料に係る繰延消費税額等について、いずれも計算誤りがあると認められるため、原処分はその一部を取り消すべきである。

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2023年5月22日


請求人の母が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽、仮装に該当する事実があると認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続税の申告書を作成するための資料収集等を委任していた請求人の母が申告漏れとなっていた株式を当初申告の相続財産に含めなかったことについて、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められず、請求人についても、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があるとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人の相続に係る相続税の申告書(本件申告書)に被相続人の名義の株式の一部等が計上されていないことについて、請求人の母(本件母)に国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があり、請求人が本件申告書を作成するための資料収集等を本件母に委任し、請求人にはその選任及び監督につき過失がないとする特段の事情はなく、請求人は本件母と同視可能である者と認められることから、請求人にも、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、本件母が、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないことから、本件母に「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はなく、請求人についても、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はないといわざるを得ない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の母が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽、仮装に該当する事実があると認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年1月17日


請求人が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、申告漏れとなっていた株式について、申告書提出前後の請求人の行為や言動に鑑みると、その銘柄、株式数等を記載したノート等を関与税理士に提出しなかったことをもって、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとみることは困難であり、また、当該事実につき過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものとも認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人自らが銘柄、株式数及び配当金額等を2冊のノート(本件各ノート)に記載しながら、被相続人の相続に係る相続税の申告書(本件申告書)に計上されなかった被相続人名義等の株式(本件株式)について、被相続人の相続財産である旨を十分認識していたにもかかわらず、関与税理士(本件税理士)に本件各ノートを含む本件株式に係る資料等を渡さずに本件税理士をして本件株式を計上しない本件申告書を作成、提出させたのであるから、請求人には、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件税理士から株式については証券会社から残高証明書等を取得して提出するよう指示を受け、当該指示のとおりに証券会社から残高証明書等を取得して提出していたため、本件株式についても本件申告書に計上されていると思い込んでいた可能性等が否定できない。

また、本件各ノートは、その記載状況からみて、請求人の単なる備忘メモ的なものとして使用されていたと考えられ、請求人が、本件税理士を含む第三者に提出する目的で本件各ノートを作成したものではないと推認できること、請求人は、相続税の調査の際に、原処分庁所属の調査担当職員に自ら本件各ノートを提出したことなどに鑑みると、本件各ノート等の資料を本件税理士に提出しなかった行為について、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少申告をすることを意図した上で、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものと認めるに足る事情はないから、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はないといわざるを得ない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年1月13日


請求人が相続財産の一部の貯金のみを申告していなかったことについて、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成30年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年5月10日裁決

<ポイント>
本事例は、申告漏れとなっていた貯金について、相続税の申告からあえて当該貯金のみを除外する意図が請求人にあったものとは認められない上、他の預貯金とは異なり残高証明書の発行依頼をしなかったことが故意によるものとは認め難く、また、請求人が、申告書の作成を依頼した会計事務所に対し当該貯金の存在を故意に伝えなかったと認めることもできないとして、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価すべき事情は認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、申告漏れとなっていた貯金(本件貯金)について、請求人が被相続人名義の預貯金のうち本件貯金についてのみ残高証明書を取得することなく相続手続を行うという特異な行動をしていること、及び請求人が本件貯金の存在を認識していたにもかかわらず、これを相続税の申告書の作成を依頼した会計事務所(本件会計事務所)に対して伝えていないことが、請求人の当初から相続財産を過少に申告する意図を外部からもうかがい得る特段の行動であり、請求人には国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、相続税の申告からあえて本件貯金のみを除外しようとする意図が請求人にあったものとは認められない上、請求人が訪れた金融機関における貯金の一般的な相続手続などからすると請求人が誤解や失念により本件貯金の残高証明書を取得しなかった可能性も否定できないから、請求人が本件貯金についてのみ特異な行動をしたと断ずることはできず、本件貯金の残高証明書の発行依頼をしなかったことは故意によるものとは認めがたく、また、請求人が本件会計事務所に対して本件貯金の存在を故意に伝えなかったと認めることもできないから、請求人の一連の行為において当初から相続財産を過少に申告する意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと評価すべき事情は認められない。

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2023年1月11日


請求人が生命保険金を含めずに所得税等の確定申告をしたことについて、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 令和元年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年4月15日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、生命保険金等の存在や申告の必要性を一旦は認識していたものの、確定申告時にその存在や申告の必要性を直ちに認識していたとまではいえず、当初から当該生命保険金等を申告しないことを意図していたとはいえない上、請求人が、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとも認められないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が生命保険会社から振り込まれた保険契約に基づく一時金及び定期支払金(本件一時金等)を含めずに所得税及び復興特別所得税(所得税等)の確定申告(本件確定申告)をしたことについて、請求人が、本件一時金等が課税の対象となることを十分に認識しながら申告書の作成を補助した請求人の親族に本件一時金等が振り込まれた預金口座の通帳を提示しなかったことや、本件一時金等の支払明細等を廃棄したことは、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をした場合に当たるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、上記保険の取扱代理店である銀行の担当者から、上記一時金についての課税関係の説明を受け、上記支払明細等の送付を受けていたことから、本件一時金等の存在や申告の必要性を一旦認識することができたものと認められるが、過去5年間のうち一度しか所得税等の確定申告をしておらず、本件確定申告についても、金地金の売却利益について申告が必要である旨記載された税務署からのお知らせが届いたことを動機として行ったものであり、遺族年金を含めて申告するなど、請求人に確定申告の経験や税務の知識が豊富にあったとはいえないこと、上記説明が口頭により行われていた上、同説明があったのは本件確定申告の時点から約1年以上も前で、上記支払明細等の送付も本件確定申告の時点から9か月以上前であったことなどからすれば、請求人が、本件確定申告の時点において、本件一時金等の存在や申告の必要性を直ちに認識していたとまではいえず、請求人が本件一時金等を申告しないことを意図していたとはいえない。

また、請求人が親族に本件通帳を提示しなかったことについては、請求人が親族に申告書の作成の補助を依頼した際のやり取りが不明であること、上記支払明細等を破棄したことについても、意図的に廃棄したとは認められないことから、これらをもって、請求人が過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められない。

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2022年12月22日


隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は信用できず、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に隠蔽仮装の行為があったとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分等を取り消した事例

  • ①平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ④平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ⑤平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各修正申告の取消しを求める請求
  • ⑥平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各修正申告の取消しを求める請求
  • ①② 全部取消し、一部取消し
  • ③④ 棄却
  • ⑤⑥ 却下
  • 令和3年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の行った隠蔽仮装行為(伝票を意図的に廃棄し、売上金額を過少に記載した日計表の作成)の始期について、請求人が争う年分及び課税期間の初年である旨の請求人の申述は信用性がなく、そのほかに、始期が同年と認める証拠はなく、また、同年分及び同課税期間において、他に請求人が隠蔽仮装行為を行ったことを示す証拠がないとして、隠蔽又は仮装に該当する事実は認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、事業に係る正しい売上金額を把握していたにもかかわらず、真実の売上金額を記載した売上メモ及び伝票を意図的に廃棄し、売上金額を過少に記載した日計表を商工会に提示することにより、売上げの一部を故意に申告していなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、調査担当職員による質問の当初、隠蔽仮装行為の始期について、曖昧な申述にとどまっていたことなどからすれば、同始期に関して、明確な記憶を持っておらず、その記憶は曖昧なものであったと認められる。

そして、隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は、自発的な申述をしたのではなく調査担当職員の教示に沿う形で申述した程度にすぎず、客観的事実とも整合せず、不自然であるともいえ、直ちに信用できない。

また、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。

また、隠蔽又は仮装の具体的事実や開始時期を特定できない本件において、他に何らかの偽計その他の工作を伴う不正の行為があったと認めるに足る証拠もないから、請求人には国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったとは認められない。

さらに、更正の請求では、納税者側において売上金額が過大であることの立証をすべきであるところ、請求人から提出された資料等では、修正申告書に記載された売上金額が過大であるとは認められない。

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2022年2月10日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年6月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月25日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告書の作成を依頼した税理士からの質問に対して請求人がした回答が、同税理士の質問を誤解して回答した可能性を否定できず、故意に虚偽の事実を説明したものとは認められないとして、かかる回答をしたことをもって、請求人が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、被相続人が締結していた各建物更生共済契約(本件各共済契約)に関する権利(本件各権利)を相続税の課税財産として申告する必要があると認識していながら、税理士(本件税理士)に対して本件各共済契約は掛け捨て型のものであると故意に虚偽の説明をし、本件税理士に相続税の課税財産として申告すべき損害保険契約に関する権利はないとの誤解を生じさせた上、本件税理士に本件各権利の存在を一切告げなかったことは、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為が認められる旨主張する。

しかしながら、本件税理士の請求人に対する質問の文言からすれば、請求人の「共済は掛け捨てに移行している」旨の回答は、本件税理士の質問の趣旨を誤解してなされた可能性があり、実際に建物更生共済契約から掛け捨ての損害保険へと移行されたものもあることからすれば、必ずしも虚偽であるとまではいえない。

また、請求人が本件税理士に預けた各普通貯金通帳の中には本件各共済契約に係る共済掛金の支払が確認できるものもあることからすれば請求人が本件税理士に対して本件各権利を秘匿しようという意図があったとまで認めることはできない。

したがって、請求人が本件税理士に対して故意に虚偽の説明をしたものと認めることはできず、請求人が本件税理士に当該回答をした事実をもって、請求人が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないから、国税通則法第68条第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為があったということはできない。

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2022年2月8日


請求人が、被相続人の借入金が存在しないのに存在するかのように仮装していたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年8月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月3日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の課税価格の計算上債務控除していた被相続人の請求人からの借入金について、実際に被相続人が請求人から借り入れることとなった経緯が認められ、金銭借用証書の表題の記載からしても借入れが不自然とはいえないことや、当時、被相続人が意思能力に欠ける状態であったとは認定できず同借入れを否定する事情もないなどとして、同借入金がなかったと認めることはできないとして国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定の仮装に該当する事実があったとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が相続税の申告において相続税の課税価格の計算上債務控除をしていた被相続人の請求人からの借入金は、請求人から被相続人ヘ直接送金されておらず、十分な金額の預貯金を有する被相続人が請求人から借り入れする必要も認められないこと等から、借入金が存在しないにもかかわらず、あたかも当該借入金が存在したかのように装って金銭借用証書を作成したことが事実の仮装行為に該当し、国税通則法第68条《重加算税》第1項所定の重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、①被相続人の土地の購入資金に係る信用金庫からの融資がとん挫し、請求人が代わりに被相続人に対し金員を貸し付けることとなった経緯が認められ、金銭借用証書の表題に一時的な貸付けであることを意味する「一時」と付されていること等からすれば、請求人が被相続人に同金員の貸付けをしたとしても不自然とはいえないこと、②暫定的に請求人から被相続人に対する貸付けが行われた可能性があるから、請求人から被相続人に直接送金されていないことをもって直ちに被相続人の請求人からの借入れがなかったとはいえないこと、③同金員の貸付けについて被相続人の了解を得ていたことを否定する事情もないことからすれば、被相続人の請求人に対する借入金が存在しなかったとはいえず、請求人が金銭借用証書を作成して、存在しない債務を実際に存在するかのように仮装していたとは認められないから、請求人に国税通則法第68条第1項の「仮装」があったとは認められない。

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2022年2月4日


所有者を被相続人の孫とする登記がなされているなど家屋に係る相続税の申告以前の状況からすると、相続税の申告において請求人が当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由が認められるとした事例

  • 平成29年7月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産と認められる家屋について、①相続開始前に当該家屋の登記上の所有者が被相続人から同人の孫に名義変更されていたこと、②請求人自身が関与税理士として当該家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていること、③上記①の名義変更以前から当該家屋に被相続人は居住しておらず同人の孫が居住していたことなどの理由から、相続税の申告において当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項所定の「正当な理由」があると認められるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、相続開始時点において被相続人(本件被相続人)の孫(本件孫)名義となっていた家屋(本件家屋)について、本件被相続人や共同相続人らの各預金口座等を調査すれば、本件家屋の売買代金が実質的に支払われておらず、本件被相続人と本件孫との間の当該家屋に係る売買契約が成立していないことを確認できたのであるから、本件家屋が被相続人に帰属する財産であることを把握することは可能であったにもかかわらず、その確認を怠った請求人には国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する「正当な理由」は認められない旨主張する。

しかしながら、前述するとおり、相続開始時点において本件家屋の登記上の名義は本件孫名義であり、請求人自身が関与税理士として本件家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていたことに加え、当該売買以前から本件家屋には、本件被相続人ではなく譲受人である本件孫が居住していたことからすると、請求人は、本件家屋に係る本件被相続人と本件孫との間の売買契約が有効に成立し、本件家屋の所有権が本件孫に移転したと誤信せざるを得ない事情があったといわざるを得ない。

加えて、本件家屋の売買代金が実質的に支払われていないことを把握し得た時点が、相続税の申告期限後であったことを併せ考えれば、請求人が本件家屋について申告しなかったことにより相続税の申告が過少申告となったことにつき、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお請求人に過少申告加算税を賦課することは不当又は酷であって、請求人には「正当な理由」があったと認められる。

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2022年2月2日


第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

  • 平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月24日裁決

<ポイント>
本事例は、第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表は、当該第三者が請求人の確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の申告書を作成した第三者が、何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表(本件各試算表)を作成した上で、それを基に作成した確定申告書を提出したことは、請求人の事業所得に係る必要経費の計上について、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為であり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。

しかしながら、当該第三者は、本件各試算表を使用して確定申告書を作成した後には、本件各試算表を保存しておくことなく、不要なものとして処分しており、また、請求人を含む他者に見せることもなかったものである。

そうすると、本件各試算表は、当該第三者が確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさない。

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2021年11月11日


第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月24日裁決

<ポイント>
本事例は、第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表は、当該第三者が請求人の確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の申告書を作成した第三者が、何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表(本件試算表)を作成した上で、それを基に作成した確定申告書を提出したことは、請求人の事業所得に係る必要経費の計上について、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為であり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。

しかしながら、当該第三者は、本件試算表を使用して確定申告書を作成した後には、本件試算表を保存しておくことなく、不要なものとして処分しており、また、請求人を含む他者に見せることもなかったものである。

そうすると、本件試算表は、当該第三者が確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさない。

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2021年11月10日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年8月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、みなし相続財産である死亡保険金の申告漏れに関し、当該死亡保険金の存在を税理士に伝えなかったことをもって、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、自身が支払を受けた2口の死亡保険金のいずれもが相続税の課税対象であることを理解しながら、そのうちの1口の死亡保険金(本件保険金)に関する資料を税理士に交付せず、本件保険金を含めない申告書を当該税理士に作成・提出させたことは、当初から財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたといえるから、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人及び被相続人が受けた本件保険金を扱う銀行の担当者の説明によると、請求人は、本件保険金が相続税の課税の対象とならないものと誤解した可能性が否定できず、この誤解に基づいて、本件保険金の存在を税理士に伝えなかった可能性も否定できない。

また、請求人は、調査の初日に本件保険金の入金事績が記録された請求人名義の銀行口座に係る通帳を原処分庁の調査担当職員に提示するなど、本件保険金の入金の事実を調査担当職員に対して隠そうとはしていなかったことが認められ、この事実は、上記誤解があった可能性を高める事実といえる。

したがって、請求人が本件保険金の存在を税理士に伝えなかったことをもって、請求人が当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえず、重加算税の賦課要件は充足しない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2021年11月9日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年12月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、みなし相続財産である死亡保険金の申告漏れに関し、その存在を一旦は認識していたものの、申告までの間に失念等した可能性を直ちには否定できず、また、請求人が、当初から当該死亡保険金をあえて申告から除外することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたともいえないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、申告漏れとなっていた死亡保険金(本件死亡保険金)について、請求人が、自身でその支払請求手続を行ったこと、原処分庁の調査担当職員に本件死亡保険金の存在を伝えなかったことなどから、本件死亡保険金の存在を認識しつつ、それをあえて申告していないから、過少に申告する意図を有していたといえ、また、本件死亡保険金の存在を関与税理士等に説明せず、関係資料の提示もしなかった行為は、本件死亡保険金を相続税の申告財産から除外するという過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものとして、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人が当初は生命保険契約に係る申告すべき保険金は同じ保険会社の別件の申告済の保険金(本件申告済保険金)のみであると誤認していたことに加えて、本件申告済保険金及び本件死亡保険金の請求手続は、請求人が仕事で多忙な中でその合間に行われたものであることなどからすると、請求人が、本件死亡保険金について、その存在及び申告が必要な相続財産であることを一旦認識したものの、相続税の申告までの間に、本件死亡保険金の存在とこれについても申告が必要であることを失念ないし誤認した可能性を直ちに否定することはできない。

さらに、関与税理士等とのやりとりの経過等を見ても、請求人が当初から本件死亡保険金をあえて申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたともいえないため、重加算税の賦課要件は充足しない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2021年11月8日


みなし相続財産に該当する生命保険金が申告漏れとなったことにつき、請求人が殊更過少な相続税申告書を提出したとは認められないとした事例

  • ①平成29年3月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • ②平成29年3月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 → 全部取消し
  • 令和3年2月5日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の重加算税を賦課する場合の殊更過少な相続税申告書を提出したか否かの認定に当たっては、請求人や税理士の証言の一部分をもって判定するのではなく、その証言内容を裏付けるに足る事情の存在を含めて判定すべきとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が一部の生命保険金について相続税の申告すべき財産であることを十分認識していたにもかかわらず、関与税理士に対してその存在を殊更に秘匿したことなどに照らせば、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、同税理士は関係資料等の提出時や申告書の作成時に請求人に対して具体的な確認等をしていなかった上、その他に、請求人が同税理士に対して殊更にその存在を秘匿したと裏付けるに足りる事情も存在しないことなどに照らせば、請求人が当初から過少申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合に該当するとまでは認められないから、同項に規定する重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

★リンクはこちら ⇒ みなし相続財産に該当する生命保険金が申告漏れとなったことにつき、請求人が殊更過少な相続税申告書を提出したとは認められないとした事例

2021年11月5日


源泉所得税の納付が法定納期限後になったことについて、その納付が、告知があるべきことを予知してされたものではないと認められた事例

  • 平成31年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年1月20日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人が法定納期限を徒過して源泉所得税等を納付したことについて、当該納付は調査担当職員が実地調査の日程調整を依頼した際に行った源泉徴収義務の存否に関する発言(本件発言)を起因としたものであり、その後の調査が進行すれば告知に至るであろうことを予知して行ったものであるから、国税通則法第67条《不納付加算税》第2項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、当該規定の適用に係る判断に当たっては、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、納付に至る経緯、納付と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断するのが相当であるところ、調査担当職員が署内調査を行い、実地調査の日程調整を依頼した時点では、その後の調査の進行により、やがて納税の告知に至る可能性が高い状況にあったといえるものの、本件発言からは、具体的な取引内容や調査対象期間も示されず、そのため、請求人は署内調査の内容・進捗状況を具体的に認識していないと認められ、さらに、請求人が当該納付を自主的に行ったと認められるから、当該納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ない。

したがって、当該納付は、同項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 源泉所得税の納付が法定納期限後になったことについて、その納付が、告知があるべきことを予知してされたものではないと認められた事例

2021年11月4日


外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分において、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項を適用したことを適法とした事例 

  • 平成25年分から平成29年分の所得税等の決定処分等及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和3年3月26日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、外国子会社合算税制に係る所得の基因となる外国子会社の株式を記載した国外財産調書を提出していなかった場合において、原処分庁が、当該所得に係る無申告加算税の賦課決定処分を行う際に内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の加重措置を適用したことは適法と判断したものである。

<要旨>
請求人は、平成27年12月31日、平成28年12月31日及び平成29年12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有していたと認められるから、平成27年分から平成29年分までにつき、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第5条《国外財産調書の提出》第1項本文に規定する国外財産調書の提出義務があったにもかかわらず、これらをいずれも法定提出期限内に提出しなかったと認められる。

したがって、上記各年分の無申告加算税の金額につき、国税通則法第66条《無申告加算税》並びに国送法第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定に基づいて計算すると、いずれも原処分の各金額と同額となるから、本件の無申告加算税の各賦課決定処分は、いずれも適法である。

★リンクはこちら ⇒ 外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分において、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項を適用したことを適法とした事例 

2021年11月2日


予納制度を利用した納税のご案内

1.予納制度とは
予納とは、調査等により近日中(おおむね6か月以内)に納付すべき税額の確定が見込まれる場合に、修正申告書等を提出する前であっても、その納付すべき税額の見込金額を、税務署長に申し出て、あらかじめ納付(予納)することができる制度である。

期限内申告書においては、おおむね12か月以内に納付すべき税額が確定することが確実な国税について、あらかじめ税務署長に申し出ることで予納することができる。

予納した場合には、予納の目的となる申告書等の提出を行う前(納期限前)に、その還付を求めることはできないので注意すること。

2.予納のメリット
予納をすると、延滞税の計算は納付された日までとなるので、延滞税の額が少なくなる場合がある()。

(注1)法定申告期限から1年以内に修正申告等を行う場合は、延滞税の計算は予納した日までとなり、延滞税の額が少なくなる。

(注2)法定申告期限から1年を経過して修正申告等を行う場合は、除算期間がない場合に限り、延滞税の額が少なくなる。

(参考)
●予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも少ない場合
予納した額は修正申告等により確定した本税に充てられ、残りの本税、加算税、延滞税については、別途納付する必要がある。

●予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも多い場合
予納した額を修正申告等により確定した本税に充てた残額については、順次、他の未納の国税に充てられ、納め過ぎた額については還付される。

不明な点があれば、税務署の管理運営(担当)部門に問い合せること。

★リンクはこちら ⇒ 予納制度を利用した納税のご案内

2021年9月14日


公売処分の取消請求において、国税徴収法上、土地の差押手続は土地の地番ごとに行うより他なく、差押処分の効力も当該地番の土地にしか及ばないから、公売不動産の隣接地所有者である請求人は、当該隣接地の所有権を主張する者にとどまり、差押えに係る財産について所有権を主張していないこととなり、したがって、請求人適格は認められないとした事例

  • 公売公告処分・最高価申込者の決定処分
  • 却下
  • 令和2年12月22日裁決

<ポイント>
本事例は、公売不動産の隣接地所有者が公売不動産の一部について所有権を有していると主張する審査請求において、請求人は、「差押えに係る財産について所有権を主張する者」には該当せず、したがって、請求人適格はないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、公売不動産の隣接地の実質所有者は請求人であり、当該隣接地の一部が公売不動産に含まれているため、請求人の権利が侵害されていると主張する。

しかしながら、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項は、国税に関する法律に基づく処分に不服がある者は、不服申立てをすることができる旨規定しており、この者とは、その処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者であることを要すると解される。

また、国税徴収法第89条《換価する財産の範囲等》第1項の規定では、公売処分は、差し押さえた財産について行うものであるところ、差押処分の効力は、嘱託登記により差押登記が付された地番以外の土地に及ぶと解することはできず、当該地番の土地にしか発生しないことから、公売処分もまた、公法上の一筆の土地を対象として行われることとなる。

そうすると、差押処分で特定された地番の土地に、請求人が所有する公売不動産の隣接地の地番の土地が含まれることは法律上あり得ないことから、請求人は、公売処分によって直接自己の権利又は法律上の利益が侵害された者とは認められず、国税に関する法律に基づく処分に不服がある者に該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 公売処分の取消請求において、国税徴収法上、土地の差押手続は土地の地番ごとに行うより他なく、差押処分の効力も当該地番の土地にしか及ばないから、公売不動産の隣接地所有者である請求人は、当該隣接地の所有権を主張する者にとどまり、差押えに係る財産について所有権を主張していないこととなり、したがって、請求人適格は認められないとした事例

2021年7月30日


原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を歯科医院を営む請求人の自宅兼事業所に持参した際に、請求人が診療中であり対応することができないとして各通知書を受け取らなかった事情は、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないとした事例 

  • ①平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • ②平成25年分、平成26年分、平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ④平成25年分、平成26年分、平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑤平成28年1月1日から平成28年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の過少申告加算税の賦課決定処分
  • ⑥平成28年1月1日から平成28年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和2年12月21日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法の送達に関する規定の趣旨を紐解き、その趣旨に照らせば、受送達者が診療中であったとしても、送達場所におり、原処分庁職員が交付送達のため来訪したことを現に認識していた場合には、(法が、その診療終了を待って出会送達をすることや、再度の送達を行うことまでを求めていると解することは困難であるとして)差置送達を行うことができると判断したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を自宅兼事業所に持参した際、歯科医師として診療中であり対応することができなかったから、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」に該当するため、原処分庁が差置送達を行ったことは同条に規定する差置送達の要件に該当しないから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、差置送達は、書類の送達を受けるべき者等が送達すべき場所にいない場合、又はこれらの者が正当な理由がなく書類の受領を拒んだ場合に行うことができる送達方法であり、差置送達の制度が認められた趣旨に照らせば、請求人の診療中であるという事情は、国税通則法第12条第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないと解すべきであるから、原処分庁による差置送達は法令上の要件を満たしたものであるから、原処分庁が差置送達を行ったことにつき、原処分を取り消すべき違法はない。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を歯科医院を営む請求人の自宅兼事業所に持参した際に、請求人が診療中であり対応することができないとして各通知書を受け取らなかった事情は、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないとした事例 

2021年7月29日


役務提供のない支払手数料を計上したことに事実の仮装は認められないとした事例

  • 平成27年6月1日から平成28年5月31日までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分、平成27年6月1日から平成28年5月31日までの課税事業年度の地方法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年9月4日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の実質経営者である元代表者が、役務の提供がないことを認識していたにもかかわらず、関与税理士に指示して、不動産仲介業者に対する役務提供の対価(本件金員)を支払手数料勘定に計上させたことが、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人と不動産仲介業者との間で複数の不動産取引を共同事業として行う目論見書が作成されていたことなどからすれば、元代表者が本件金員を支払う必要があると認識していた可能性が否定できない。

そして、当審判所の調査によっても、元代表者が本件金員を支払う必要がないことを認識した上で本件金員を支払手数料勘定に計上させたと認定する証拠は見当たらず、その他仮装と評価すべき行為を認めるに足りる証拠もない。

したがって、本件において認定される事実のみからは、請求人に、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実があったものとして同項を適用することはできない。

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2021年4月14日


滞納法人の代表者である請求人の実印が押なつされた納税保証書は、請求人の同意もなく従業員によって作成、提出されたものであって、無効であるとの請求人の主張に対し、請求人に納税保証をする意思が認められるとした事例

  • 納付告知処分
  • 棄却
  • 令和2年7月1日裁決

<ポイント>
本事例は、納税保証書の真正な成立について、請求人から、いわゆる二段の推定における請求人の意思に基づくことの反証がされたところ、納税保証書の作成時の請求人の実印の保管状況等や、滞納法人の従業員に請求人の実印を冒用すべき理由があるか、納税保証書提出後に請求人が徴収職員に自らが保証人であることを自認する言動をしていたかを認定した上で、関係人の答述の信用性を評価し、判断したものである。

<要旨>
滞納法人の代表者である請求人は、請求人が滞納国税(本件滞納国税)を納税保証する旨が記載された納税保証書(本件保証書)について、滞納法人の従業員が請求人の印章を無断で使用してこれを作成したものであり、請求人が当該従業員やその他の第三者にこの作成を指示したことがなく、請求人の同意なく提出されたものであることから、当該納税保証は無効であり、これを前提とする納付告知処分は違法である旨主張する。

しかしながら、私文書中の印影が本人又は代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、当該印影は本人又は代理人の意思に基づいて成立したものと推定されるところ、請求人にこれを覆すべき反証はなく、また、本件保証書の提出後、請求人自身が保証人であることを自認する言動を繰り返していたことからすれば、請求人は本件滞納国税について納税保証をしたと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 滞納法人の代表者である請求人の実印が押なつされた納税保証書は、請求人の同意もなく従業員によって作成、提出されたものであって、無効であるとの請求人の主張に対し、請求人に納税保証をする意思が認められるとした事例

2021年4月12日


相続放棄の申述をした請求人に対して、原処分庁が相続放棄の無効を前提として行った不動産の差押処分について、相続人である請求人の口座に振り込まれた被相続人の顧問料相当額を引き出した事実は法定単純承認事由となる相続財産の処分に該当しないとした事例

  • 不動産の差押処分
  • 全部取消し
  • 令和2年4月17日裁決

<ポイント>
本事例は、法定単純承認事由となる相続財産の処分がされたか否かについて、請求人及び関係者の答述並びに帳簿等の広範囲な証拠に基づき、請求人が相続財産を費消(処分)したと認められるか否か、総合的かつ慎重に認定し、相続放棄の申述が有効であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①請求人名義の金融機関の口座(本件口座)に振り込まれた金員(本件金員)は、請求人の配偶者(本件被相続人)と本件金員の支払者との間の委任契約(本件委任契約)に基づき、本件被相続人に対する未払報酬が請求人名義の本件口座に振り込まれたもので、相続財産に該当するところ、請求人が本件金員を受領、出金及び返納した行為は、いずれも民法第921条《法定単純承認》第1号に規定する相続財産の「処分」に該当する旨、②請求人名義の土地及び建物(本件各不動産)の取得資金は、本件被相続人が出捐し、又は本件被相続人の意思により関係会社等が支出していることから、本件各不動産は本件被相続人に帰属する財産であり相続財産に該当するところ、請求人が本件各不動産について、同条第3号に規定する「隠匿」及び同条第1号に規定する「処分」に該当する行為をしている旨、上記①及び②の事実は法定単純承認事由に該当するから、請求人の相続放棄は認められず、請求人は本件被相続人の納付義務を承継する旨主張する。

しかしながら、①については、本件金員が相続財産に該当することが認められるものの、本件金員が本件委任契約に基づいて本件口座に振り込まれたものにすぎず、請求人が出金した本件金員を一部でも費消した事実は認められないこと、請求人が振込名義人あてに送金したのは相続放棄の申述が受理された後であることから、これらはいずれも相続財産の処分には該当しないこと、②については、本件各不動産が本件被相続人に帰属する財産であることを認めるに足りる証拠はなく、相続財産に該当すると認められないことから、本件金員及び本件各不動産について、請求人に法定単純承認事由に該当する事実はなく、請求人の相続放棄の申述は有効であり、請求人は本件被相続人の納付義務を承継しない。

★リンクはこちら ⇒ 相続放棄の申述をした請求人に対して、原処分庁が相続放棄の無効を前提として行った不動産の差押処分について、相続人である請求人の口座に振り込まれた被相続人の顧問料相当額を引き出した事実は法定単純承認事由となる相続財産の処分に該当しないとした事例

2020年12月22日


翌事業年度に計上すべき本件修繕費の完了日を仮装したとまではいえないとした事例 

  • 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月10日裁決

<ポイント>
本事例は、翌事業年度に計上すべき本件修繕費について、施行業者が発行した請求書の納品日欄に本件事業年度内の日付が記載されていたことをもって仮装行為に該当するとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人代表者が翌事業年度に計上すべき本件修繕費について、本件事業年度に修繕工事が開始しておらず、本件修繕費を損金の額に算入できないことを認識した上で、施工業者に依頼して納品日欄に本件事業年度内の日付を記載した請求書を発行させ、本件修繕費を損金の額に算入したことが仮装行為に該当する旨主張する。

しかしながら、施工業者は事業年度内に施工に向けた準備を行っていることから、請求人代表者から依頼されて施工業者が本件事業年度内の日付の請求書を発行しても不自然とまでは言い切れず、請求書の納品日欄についてもシステムの便宜上入力された可能性を否定できない。

また、請求書の納品日欄に記載された日付が修繕工事の完了日を示すと認めるに足る証拠もなく、請求人代表者が施工業者に対し請求書の納品日欄の日付を修繕工事の完了日として記載するよう依頼したことを示す証拠もない。

加えて、請求人代表者は入出金に係る会計伝票を作成するにとどまり、本件修繕費のような未払金に関する会計伝票は作成しておらず税務代理人が会計処理を行ったものであり、請求人代表者に本件修繕費を本件事業年度の損金の額に算入できないとの認識があったとまでは認められない。

したがって、本件修繕費を本件事業年度の損金の額に算入したことにつき、仮装の行為があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 翌事業年度に計上すべき本件修繕費の完了日を仮装したとまではいえないとした事例 

2020年11月5日


請求人が法定申告期限までに法人税及び消費税等の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

  • 平成24年12月1日から平成25年11月30日まで、平成25年12月1日から平成26年11月30日まで、平成26年12月1日から平成27年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各事業年度の法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成24年12月1日から平成25年11月30日まで及び平成25年12月1日から平成26年11月30日までの各課税事業年度の復興特別法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成26年12月1日から平成27年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各課税事業年度の地方法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年12月1日から平成26年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年2月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人には、申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったと認めるに足る事実はなく、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件は満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、所得金額を容易に把握できたにもかかわらず、申告をせず、調査において書類提示を拒否したなどの行為は、申告すべき所得金額及び納付すべき税額が生ずることを明確に認識していながら確定的な意思に基づいて無申告を貫いたものであって、当該行為は、当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められることから、その意図に基づき法定申告期限までに法人税及び地方法人税(法人税等)の確定申告書を提出しなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第2項に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、法定申告期限までに法人税等の確定申告書の提出が必要であったことを認識しながら、確定申告書を提出しなかったことは認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、調査の開始当初から事業に関連する支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性を否定できないことから、無申告行為そのものとは別に、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をとったとは言い難い。

したがって、請求人に国税通則法第68条第2項に該当するとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が法定申告期限までに法人税及び消費税等の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

2020年11月4日


当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • 平成23年分から平成29年分の所得税等に係る重加算税の各賦課決定処分及び平成23年課税期間から平成29年課税期間の消費税等の各重加算税賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和2年2月19日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、事業所得の金額を正確に把握していたにもかかわらず、収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した所得税等の確定申告書を長年にわたり継続的に提出し続け、調査の際にも、調査担当者に対し、帳簿書類の存在を秘し、事後的に作成した虚偽の帳簿書類を複数回提示したことなどが認められ、これらの一連の行為によれば、請求人は、重加算税の賦課要件を満たすとしたものである。

<要旨>
請求人は、確定申告書に誤りがあったのは勘違いや集計誤りを原因とするものにすぎず、故意に多額の所得を脱漏したのではなく、また、請求人に対する調査(本件調査)の際に請求人の行う事業(本件事業)に係る帳簿書類を隠したこともないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項又は第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件事業において収入に係る帳簿書類の作成・保存、経費に係る支払、収入が入金される口座の管理等を自ら行うなどしていることからすれば、事業所得の金額を正確に把握していたといえ、それにもにもかかわらず、請求人は、7年もの長期間にわたって収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した確定申告を継続的に提出し続けていたものと認められる。

そして、請求人は、調査に際しても真実の総収入金額が容易に判明する帳簿書類の存在を秘しただけではなく、事後的に虚偽の帳簿書類を複数回作成し、本件調査の担当者に提示するなどしており、このことは真実の所得の調査解明に困難を伴う状況を作出し真実の所得金額を隠蔽しようという確定的な意図の下に、隠蔽のための具体的な工作を行い、真実の所得金額を隠蔽する態度、行動をできる限り貫こうとしたと評価せざるを得ない。

以上のような請求人の一連の行為によれば、請求人が、当初から所得を過少に申告する確定的な意図を有し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき過少申告をしたような場合などに該当する。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

2020年10月30日


請求人が法定申告期限までに相続税の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

  • 平成28年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年12月18日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続財産を過少に記載したお尋ね文書を提出しているものの、そのことのみをもって、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件は満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が意図的に「相続についてのお尋ね」と題する文書(本件お尋ね文書)に虚偽の記載をしてこれを提出したなどとして、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、請求人が本件お尋ね文書に意図的に虚偽の記載をしてこれを提出したことなどを裏付けるに足りる証拠は存在せず、また、請求人が当初から相続税を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたなどとも認められないことからすれば、同項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が法定申告期限までに相続税の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

2020年6月26日


当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月20日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が法定申告期限までに申告書の提出が必要であったことを認識しながら、これをしなかったことが認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、請求人が支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性があることを否定できないことから、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、所得金額を容易に把握できたにもかかわらず、申告をせず、調査において書類提示を拒否したなどの行為は、申告すべき所得金額及び納付すべき税額が生ずることを明確に認識していながら確定的な意思に基づいて無申告を貫いたものであって、当該行為は、当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められることから、その意図に基づき法定申告期限までに法人税及び地方法人税(法人税等)の確定申告書を提出しなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する事実の隠蔽又は仮装に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、法定申告期限までに法人税等の確定申告書の提出が必要であったことを認識しながら、これをしなかったことは認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、調査の開始当初から事業に関連する支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性を否定できないことから、無申告行為そのものとは別に、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をとったとはいい難い。

したがって、請求人に国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」と評価すべき行為があるとは認められない。

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2020年6月24日


請求人の従業員が、架空の請求書を作成して請求人に交付した一連の行為は、請求人による行為と同視できないとした事例

  • ①平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ④平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②全部取消し、①③④一部取消し
  • 令和元年10月4日裁決

<ポイント>
本事例は、従業員による行為は仮装行為に該当し、請求人による当該従業員への管理・監督が十分ではなかったものと認定したものの、当該従業員の地位・権限や行為態様等からは請求人の行為と同視できないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の従業員(本件従業員)が行った金員の詐取を目的とした仮装行為(本件仮装行為)について、法人の従業員の業務に関連する行為は、当該法人の活動領域内の行為として自己の行為の一部分とみることができるから、従業員の行為が納税者である法人の行為と同視できないといえるような特段の事情がない限り、請求人に国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実がある旨主張する。

しかしながら、①本件従業員は、請求人の経営に参画することや、経理業務に関与することのない一使用人であったと認められ、②本件仮装行為は、請求人の業務の一環として行われたものではなく、本件従業員が私的費用に充てるための金員を請求人から詐取するために独断で行ったものであると認められる。

一方、③請求人においては、一定の管理体制が整えられていたものの、本件仮装行為のような詐取行為を防止するという点では、管理・監督が十分であったとは認められない。

もっとも、職制上の重要な地位に従事せず、限られた権限のみを有する一使用人が、独断で請求人の金員を詐取したという事件の事情に鑑みれば、本件従業員に対する請求人の管理・監督が十分ではなく、本件仮装行為を発覚できなかったことをもって、本件仮装行為を請求人の行為と同視することは相当ではない。

したがって、以上の点を総合考慮すれば、本件従業員による本件仮装行為を納税者たる請求人の行為と同視することはできないと判断するのが相当であり、同項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があるとは認められない。

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2020年6月22日


相続財産の一部につて、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例

  • 平成27年4月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月19日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡母(本件相続人)が、当初申告において計上していなかった相続財産の一部である被相続人名義の預金(本件預金)について、その存在を知りながら関与税理士に伝えなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。

しかしながら、本件相続人が本件預金の存在を関与税理士に伝えなかったことは認められるものの、本件相続人が本件預金を相続財産であることを認識した上で、あえて関与税理士に本件預金の存在を伝えなかったとまで認めることはできず、また、本件相続人は、本件預金を原処分庁が容易に把握し得ないような他の金融機関や本件相続人名義以外の口座などに入金したのではなく、本件預金の口座と同じ金融機関の本件相続人名義の口座に入金し、調査日現在においても当該口座を解約していなかったことからすると、原処分庁をしてその発見を困難ならしめるような意図や行動をしているとは認められないから、本件預金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。

したがって、本件相続人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たるとは認められない。

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2020年6月19日


取引先と通謀して検収書に虚偽の検収日を記載した事実は認められないと判断した事例

  • ①平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ②平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税期間に係る消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ①②③一部取消し
  • 令和元年7月2日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の従業員(本件従業員)が平成29年3月20日時点において、手書き図面のデータ化に係る役務の提供が完了していないにもかかわらず、本件検収書に同日を検収日として記載して事実を仮装した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の仮装に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、検収日に、手書き図面の電子データ化がされた図面をまとめたファイルの納品を受けており、本件従業員は、当該ファイルが納品された時点で役務の提供が実質的に完了しているとの認識の下、本件検収書に検収日を記載したものと認められることから、本件従業員が意図的に本件検収書に虚偽の検収日を記載したとはいえないため、請求人に同項に規定する事実の仮装があったとは認められない。

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2020年4月24日


債権差押処分における被差押債権の不存在又は消滅の主張は債権差押処分の違法又は無効事由と認められないとした事例

  • 不動産の差押処分
  • 棄却
  • 令和元年5月14日裁決

<ポイント>
本件は、滞納者や第三債務者による、被差押債権の不存在又は消滅を理由とする差押処分の違法又は無効の主張は、不存在又は消滅が明らかであるような事情、あるいは徴収権の濫用と認められる等の事情が無い限り、認められないと解されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が有する保証金の返還請求権(本件被差押債権)の差押処分(本件差押処分)時において、本件被差押債権は既に消滅しており存在しなかったから、本件差押処分は違法又は無効であり、滞納国税の徴収権の消滅時効は、本件差押処分によって中断していない、したがって、不動産差押処分時において滞納国税の徴収権は時効により消滅している旨主張する。

しかしながら、被差押債権の存在を滞納処分による債権差押処分の要件とする旨の規定は存在せず、また、仮に滞納処分による債権差押処分を行った場合に被差押債権が存在せず又は既に消滅していたとしても、それは結果的に債権差押処分の執行が功を奏しなかったというだけにすぎず、権利者による権利行使がなされたことに変わりはない。

したがって、仮に本件被差押債権が消滅しており存在しなかったとしても、そのことによって本件差押処分が違法又は無効になるものではないことから、滞納国税の徴収権の消滅時効は、本件差押処分によって中断している。

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2020年2月27日


収支内訳書に虚偽記載があったものの、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

  • ①平成24年課税期間の消費税等に係る重加算税の賦課決定処分
  • ②平成25年から平成28年の各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • ④平成25年分から平成28年分の各年分の所得税等の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ⑤平成24年課税期間の消費税等の更正処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑥平成25年から平成28年の各課税期間の消費税等の各更正処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑦平成25年4月から平成29年9月の各月分の源泉徴収に係る所得税等の各納税告知処分並びに不納付加算税の各賦課決定処分(平成25年7月及び平成29年9月の各月分は各納税告知処分のみ、平成25年12月、平成26年12月、平成27年12月及び平成28年12月の各月分は不納付加算税の各賦課決定処分のみ)
  • ①③⑤全部取消し
  • ②④⑥一部取消し
  • ⑦棄却
  • 令和元年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、売上金額の一部とそれに対応する必要経費の金額を含めなかったほか、適当な金額を記載した収支内訳書を作成したことについて、請求人に当初から過少申告の意図があったと認められるものの、隠ぺい仮装と評価すべき行為とは認められず重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、過少申告の意図に基づき①売上金額が1,000万円を超えないように調整した過少な売上金額を算出するためのメモ(本件売上メモ)を請求人の妻に作成させたこと、②本件売上メモに基づいて算定した過少な売上金額を収支内訳書に記載したこと、③所得税等の確定申告をした後に、本件売上メモを廃棄したこと、④申告した売上金額は、請求人の事業に係る総収入金額の半分以下の金額であったこと、⑤除外した売上金額に対応する経費が毎年合計600万円以上ありながら、収支内訳書に必要経費の金額として計上しなかったことという一連の行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する行為又は過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当し、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人には、過少申告の意図があったことは認められるものの、上記①ないし③の本件売上メモについては、作成及び廃棄の事実が認められないこと、上記④及び⑤については、請求人が本件従業員分の売上げや費用の存在を認識しつつこれらを本件各収支内訳書に計上せず、過少の申告をしたというだけでは、隠蔽又は仮装の行為があったということはできないことから、原処分庁が主張する請求人の行為は、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する行為又は過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動とは認められず、重加算税の賦課要件を満たさない。

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2020年2月25日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年分の所得税等に係る重加算税の賦課決定処分、平成25年分から平成28年分に係る所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで及び平成28年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成31年4月9日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の意思によって提出されたと認められる内容虚偽の住民税申告書は1年分に限られ、また、請求人の電話答弁を虚偽であると評価することもできないことから、請求人が当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、個人で事業を営む請求人が、調査年分に係る所得税等及び消費税等の各確定申告書を各法定期限までに提出していなかったことについて、請求人が、確定申告の必要性を認識した上で、①自らの収入金額及び所得金額を零円とした虚偽の住民税申告書を提出したこと(本件各住民税申告)、及び②原処分庁の調査担当職員からの電話に対し、会社員である旨の虚偽の答弁をしたこと(本件電話答弁)は、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価できるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件各住民税申告のうち請求人の意思によって提出されたと認められるのは1年分にとどまるものであり、かつ、それが直接原処分庁に対してなされたものではないことから、仮に請求人が所得税等の確定申告の必要性を認識していたとしても、当該1年分の住民税の申告のみをもって、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできない。

また、本件電話答弁については、本件電話答弁時の状況からすれば、社会通念に照らして不合理ではなく、当時の請求人が給与を得ていた事実を併せ考えれば、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできない。

さらに、原処分庁が作成した質問応答記録書の内容は、請求人の本件各住民税申告書の提出の動機に係る申述が不自然かつ不合理であり、重要な部分に関する解明が不足しているため信用できない。

したがって、請求人に国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」と評価すべき行為があるとは認められない。

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2020年2月21日


個人名義のクレジットカードにより支払われた飲食店等に対する支出について、請求人代表者の個人的な飲食等にかかる金額であるとは言い切れないから、請求人に仮装をした事実は認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、平成26年7月1日から平成27年6月30日まで及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成25年7月1日から平成26年6月30日までの課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成27年7月1日から平成28年6月30日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ④平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、平成26年7月1日から平成27年6月30日まで及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ①②④ ⇒ 一部取消し
  • ③   ⇒ 全部取消し
  • 平成30年9月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人会社の代表取締役がその個人名義のクレジットカード等を用いて、飲食店で飲食したことについて、原処分庁の職員の調査を受けて、交際費勘定等に計上した費用は損金の額に算入されないなどとして法人税等の修正申告を提出したところ、原処分庁は、当該費用は代表取締役の個人的な飲食等の費用であることを認識しながら損金の額に算入したという隠ぺい又は仮装の事実があったとして法人税等の重加算税の賦課決定処分をしたことについて、代表者がそのような認識をしていたとは認められないことを理由として、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が交際費勘定等(本件費用勘定)に計上し、損金の額に算入していた飲食等代金(本件飲食等代金)について、請求人の代表者(本件代表者)が、本件飲食等代金は請求人の業務に関連するものではなく、本件代表者が一人で飲食したものや知人との飲食に係るものである上、個人で飲食等をした代金であると申述(本件申述)していることから、請求人は、本件飲食等代金が費用として計上できないものと認識しながら、その全部又は一部を損金の額に算入し、そのことが隠蔽又は仮装の事実に該当する旨主張する。

しかしながら、本件申述は、本件飲食等代金について概括的に述べたものであり、個々の支出について言及したものではなく、具体性が乏しい上、その内容を裏付ける客観的証拠は認められず、また、本件代表者が、本件飲食等代金が個人的な飲食等に係る金額であることを認識しながら、当該金額を本件費用勘定に計上したとする仮装の事実が認めるに足りる証拠もないことからすれば、本件飲食等代金を本件費用勘定に計上したことに隠蔽又は仮装の事実は認められない。

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2020年2月19日


当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • ①平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分及び平成25年1月1日から平成25年12月31日までの消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分 ⇒ 一部取消し
  • ②平成26年分ないし平成28年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 ⇒ 棄却
  • ③平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 ⇒ 棄却
  • 平成31年4月23日裁決

<ポイント>
本件は、平成26年分ないし平成28年分については請求人が、正当に申告すべき収入金額等を認識した上で、真実の所得金額よりも大幅に少なく偽った所得金額を申告する目的で、メモを作成し、そのメモに基づいて所得金額を大幅に偽った収支内訳書を作成して過少申告行為を継続的に行っていたものであり、これら一連の行為は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動と認めることができるとした一方、平成25年分については、上記特段の行動が認められないとしたものである。

<要旨>
請求人は、外注費に相当する金額は請求人の収入金額を構成しないとの誤解により収入金額を過少に申告したものであるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」た事実はない旨主張する。

しかしながら、請求人は3年間にわたり、多額の所得を継続的に過少に申告しており、作成したメモの状況とあいまって、当初から所得を過少に申告する意図があったと認められる。

そして、請求人の事業における関係書類の作成及び外注先への支払の状況を踏まえれば、請求人は収入及び外注費のおおよその金額を認識していたと認められるところ、平成26年分においては、当該認識に沿う主要な売上先に係る売上金額及び外注費等の実額が記載されたメモを作成し、また、その後の平成27年分及び平成28年分においては、申告準備段階において事実とは異なる申告すべき金額を記載したメモを作成し、これらを相談会場に持参し、真実の所得を大幅に下回る金額を記載するなど所得金額を少なく偽った収支内訳書を作成し、所得税等の申告をしていたものである。

これら一連の行為は、請求人が外部からうかがい得る特段の行動をしたものと評価することができ、重加算税の賦課要件を満たすものである。

もっとも、平成25年分はメモの作成は認められず、収支内訳書の記載状況からするとその過少申告の形態がこれ以外の各年分と異なることが認められるから、重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

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2020年2月13日


請求人の取締役が、外注先に対して架空の請求書を発行するよう依頼した行為は、請求人による行為と同視できるとした事例

  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで及び平成26年1月1日から平成26年12月31日までの各課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年6月20日裁決

<ポイント>
本事例は、代表取締役以外の取締役による行為を、当該取締役の業務内容、地位・権限等から請求人の仮装行為と認定した事例である。

<要旨>
請求人は、国税通則法第68条《重加算税》第1項は、隠蔽又は仮装の主体を納税者と規定していることから、専務取締役(本件専務)が外注先業者に対して架空の請求書を発行するよう依頼した行為(本件仮装)を請求人の行為と同視できないのであるから、同項の規定は適用できない旨主張する。

しかしながら、法人が納税義務者である場合、代表者自身が隠蔽又は仮装した場合に限らず、法人内部において相応の地位と権限を有する者が、その権限に基づき、法人の業務として行った隠蔽又は仮装であって、全体として納税者たる法人の行為と評価できるものについては、納税者自身による行為と同視されると解するのが相当である。

本件専務は、常務取締役又は専務取締役として対外的な営業業務を行っていたこと、請求人の他の営業担当者に対して営業方法を指導する立場にあったこと、請求人の営業利益の大部分を占める業績があり、代表者に次ぐ報酬を得ていたことから、大きな影響力を有する地位にあったと認められ、また、代表者は取引先との取引の詳細な内容まで把握しておらず、本件専務は、代表者から取引先との交渉を一任されていたことからすると、本件専務は、取引先の選定及び取引内容を確定する権限があったと認められる。

そうすると、本件仮装は、上記のような地位及び権限に基づき、請求人の業務として行われた行為であると認められ、請求人において本件仮装を防止するための措置を講じたとも認められず、全体として請求人の行為と評価できる。

したがって、本件仮装は納税者である請求人による行為と同視でき、請求人が事実を仮装したものと認められる。

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2020年2月13日


売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更したなどの事実があったとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成27年6月1日から平成28年5月31日までの法人税の重加算税の賦課決定処分
  • ②平成26年6月1日から平成27年5月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成31年2月7日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が主張する売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更した事実は認められず、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺいの事実は認められないとの判断をしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の代表者(本件代表者)は銀行振込みでなければ売上げに計上されないことを認識した上で、取引先に決済方法を銀行振込みから小切手に変更するよう依頼して、請求人の売上げを脱漏したのだから、その行為は国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)(通則法)第68条《重加算税》第1項に規定する事実の隠ぺいに該当する旨主張する。

しかしながら、決済方法が銀行振込みから小切手に変更されたのは、当該取引先の事情によるものであり、本件代表者が当該取引先に対して決済方法の変更を依頼した事実が確認できず、また、その他の証拠においても、本件代表者が売上代金を銀行振込みされなければ売上げに計上されないと認識していたことを裏付ける証拠も認められないことから、請求人に通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺいがあったとは認められない。

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2020年1月10日


過去の事業年度における仮装経理について、修正の経理を行わず、当事業年度の実際の材料仕入高を水増しした材料仕入高により帳簿書類を作成したことは、仮装に該当するとした事例

  • 平成21年8月1日から平成22年7月31日まで、平成22年8月1日から平成23年7月31日まで、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成24年8月1日から平成25年7月31日まで、平成25年8月1日から平成26年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、平成21年8月1日から平成22年7月31日まで、平成22年8月1日から平成23年7月31日まで、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の重加算税の各賦課決定処分、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年8月1日から平成28年7月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに平成21年8月1日から平成22年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成31年3月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、材料仕入高の水増し計上について、過去の事業年度における仮装経理の「修正の経理」として行った旨主張するが、当該仮装経理の金額を任意の金額で各事業年度に分けて材料仕入高を水増し計上することによって損金に算入したものであって、「修正の経理」の手続によらずに行ったものであるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が各事業年度の損金の額に算入した材料仕入高は、過去の事業年度における仮装経理の「修正の経理」であるから、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第68条《重加算税》第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実はない旨主張する。

しかしながら、請求人の代表取締役は、各事業年度において、実際とは異なる水増しした材料仕入高により帳簿書類が作成されていたことを認識していたと認められ、当該認識の下で請求人が水増しした材料仕入高を帳簿書類に計上したことは、行為の意味を理解しながら故意に事実をわい曲したものということができ、仮装したものというべきであるから、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する。

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2020年1月8日


国税の担保の処分においても民法第389条第1項の適用があるとした事例

  • 担保物処分のための差押処分
  • 棄却
  • 平成31年2月5日裁決

<ポイント>
本事例は、国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に建物が築造された場合には、当該担保不動産及び当該建物を一括して公売するために、国税通則法第52条第1項及び民法第389条第1項の規定に基づく担保権の実行として当該建物を差し押さえることができるとしたものである。

<要旨>
請求人は、滞納国税(本件滞納国税)を徴収するためには、本件滞納国税を担保するための抵当権が設定された各不動産(本件各不動産)の差押えで十分であるなどとして、当該抵当権の設定後に当該各不動産上に築造された請求人の物置(本件物置)に対する差押処分(本件差押処分)は違法である旨主張する。

しかしながら、民法第389条《抵当地の上の建物の競売》第1項は、民事執行における競売手続において、土地利用権のない建物の存続を図る形で売却することにより社会経済的損失を回避するとともに、競売手続の円滑な運営を目的として、土地の抵当権に内在する換価権を建物に拡大したものと解される。

そして、かかる要請は、滞納処分における公売手続においても当てはまると解され、また、国税を担保するために設定された抵当権であっても、当該抵当権に内在する換価権の及ぶ範囲については実体法である民法に委ねていると解するのが相当であることからすると、国税の担保の処分においても民法第389条第1項が適用されると解される。

そうすると、本件差押処分は、国税通則法第52条《担保の処分》第4項の規定に基づき行われたものではなく、本件各不動産及び本件物置を一括して公売に付すために同条第1項及び民法第389条第1項に基づく担保権の実行として行われたものであって、担保として提供された財産の処分の代金を滞納国税等に充ててなお不足があると認めることを要件とするものではないから、本件差押処分は適法である。

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2019年12月27日


換価代金等の配当処分の取消しを求める審査請求は、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了した後においても不服申立ての利益が認められるとした事例

  • 配当処分
  • 棄却
  • 平成30年10月29日裁決

<ポイント>
本事例は、税務署長は、配当処分の取消しにより、再度適法な配当処分をすべき地位に置かれることになることから、換価代金等の配当処分の取消しを求める審査請求は、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了した後においても不服申立ての利益が認められるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、配当処分(本件配当処分)は、換価代金等の交付期日に配当が実施され、その効力が消滅していること、処分の効力が消滅した後において、処分の取消しによって得られる実益がないことから、本審査請求は不服申立ての利益を欠く不適法なものである旨主張する。

しかしながら、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了すると、配当処分はその目的を完了して処分の効力が消滅したと解されるが、その場合であっても、配当処分の取消しにより、税務署長は、再度適法な配当処分をすべき地位に置かれることになると解されるから、処分の名宛人は、配当金額の交付を受け得るべき地位を回復することとなり、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するということができる。

したがって、請求人は、換価代金等が交付された後においても、本件配当処分の取消しを求めるにつき不服申立ての利益を有するから、本審査請求は適法なものである。

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2019年11月20日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年2月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年10月2日裁決

<ポイント>
本事例は、各共済契約に係る権利及び出資金を相続財産として申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が各共済契約について、①関与税理士(本件税理士)からの指示に基づき解約返戻金相当額等証明書を取得したこと、②被共済者等の名義を請求人に変更したこと、また、出資金については、③払戻請求を行ったことなどの各手続等(本件手続等)を行ったにもかかわらず、本件税理士に各共済契約及び出資金の存在を一切伝えなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が行った本件手続等は相続により財産を取得した相続人が通常行う手続と外形上何ら異なるものではないこと、さらに、上記各共済契約のうち満期共済契約の返戻金及び上記出資金の払戻金が相続財産として申告されている貯金の解約金の入金口座と同一の口座に入金されていることからすれば、請求人が本件税理士に各共済契約及び出資金の存在を一切伝えなかったとしても、請求人が当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたとは認められない。

したがって、請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められない。

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2019年11月18日


消費税の課税を免れるため売上金額を調整した行為が事実の隠ぺい又は仮装に当たるとした事例

  • ①平成21年分の所得税に係る重加算税の賦課決定処分(再調査決定により過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された後のもの。以下②及び④において同じ。) →全部取消し
  • ②平成22年分及び平成24年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ③平成23年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ④平成25年分から平成27年分までの所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ⑤平成21年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ⑥平成23年分の所得税及び平成23年1月1日から平成23年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分 →棄却
  • 平成30年12月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、消費税の課税事業者にならないようにする目的で、各取引先に対する売上金額を集計した表を調整して、事業所得の売上金額を1,000万円以下に減額して所得税等の申告をしたとして、国税通則法第68条《重加算税》に規定する「事実の隠蔽又は仮装」に当たるとしたものである。

<要旨>
請求人は、各取引先に対する各月の売上金額等を集計した年次の集計表(本件年次集計表)は決算時のメモでありこれに基づく申告等を行っていないのであるから、各年次の本件年次集計表の作成は税額計算の基礎となる事実についての隠ぺい又は仮装に当たらない旨主張する。

しかしながら、請求人は、消費税等の課税事業者にならないようにする目的で、売上金額を1,000万円以下に減額して所得税等の申告をすることとし、本件年次集計表において、丸印や下線を付すなどして売上金額の合計が1,000万円以下になるように調整したものと認められ、このような調整は、調整後の金額のみ申告すれば足りるかのように装うとともに、消費税等の納税義務が無いかのように装うという隠ぺい又は仮装と評価すべき行為であり、請求人は、当該調整後の金額を収支内訳書に転記して所得税等の申告をしたものと認められ、このような事実は、国税通則法第68条《重加算税》第1項又は第2項に規定する「事実の隠蔽又は仮装」に当たる。

なお、平成21年分の所得税については、偽りその他不正の行為により売上に加算されなかった金額を上回る必要経費の認容により、同年分の偽りその他不正の行為に係る所得金額は零円となり、請求人は、国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項第1号に規定する偽りその他不正の行為により所得税を免れたものとはいえないことから、同年分の重加算税の賦課決定処分(再調査決定により過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された後のもの)については5年を超えて行うことはできず、本件はこれを超えていることからその全部が取り消されるものである。

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2019年11月14日


当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月27日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らは、譲渡した土地の全てに居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用できるものと誤解し、確定申告をした可能性があるといわざるを得ず、当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①請求人らが譲渡した土地(本件土地)のうちの一部のみが租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定(本件特例)の適用対象となることを認識していたにもかかわらず、本件土地の全てに本件特例を適用して所得税等の確定申告書を提出していたこと、②税理士に対する申告前の相談の際、本件土地及びその土地上の3棟の建物(本件各建物)に係る具体的な資料を提示しなかったこと、③請求人らに対する調査(本件調査)の際、調査担当職員に対し、虚偽の答弁をしたことなどから、請求人らが、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認められ、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人らは、本件調査の際、本件各建物のうち請求人らが日常生活を営んでいた建物(本件母屋)以外の2棟の建物(本件各別棟)は譲渡直前において物置として利用していた旨を一貫して述べていること、本件各建物の各居宅は物置として利用していたと認められることなどからすると、請求人らは、本件各別棟を物置として利用していれば、本件土地の全てに本件特例を適用できるものと誤解し、確定申告をした可能性があるといわざるを得ない。
したがって、当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできない。

また、請求人らは、確定申告時点では税理士に関与を依頼しておらず、調査の際の請求人らの答弁が虚偽であると認めるに足る証拠などもないことから、重加算税の賦課要件を充足するとは認められない。

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2019年7月29日


第三者が作成した内容虚偽の確定申告書の作成行為について、請求人の行為と同視することはできないとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月3日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が不動産を購入する際、その不動産販売を代理した法人の従業員が不動産の取得時期等について、事業年度の異なった確定申告書等を作成し、請求人が当該申告書等に押印をして原処分庁に提出をしたところ、当該法人の従業員の行為は請求人の行為と同視することはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の不動産購入の販売代理をした法人の従業員ら(本件従業員ら)が作成して請求人が提出した内容虚偽の確定申告書等(本件申告書等)について、請求人が本件従業員らにこれらの作成を持ちかけた、そうでなかったとしても、これらに請求人が押印し提出したものであり本件従業員らの行為は請求人の行為と同視できることなどを理由に、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件従業員らに対し本件申告書等の作成を持ちかけた事実は認められず、また、請求人が本件従業員らにより虚偽の内容の本件申告書等を作成した行為を追認したことはもとより、本件申告書等に事実と異なる内容が記載されていることを認識していたとか、それを予想することができたとは認められず、本件従業員らの行為は請求人の行為と同視することはできないから、重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

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2019年7月25日


差押財産が自己に帰属するものではないことを理由として差押処分の取消しを求めることはできないとした事例

  • 差押処分
  • 棄却
  • 平成30年6月19日裁決

<ポイント>
本事例は、差押財産が自己に帰属するものではないとの請求人の主張は、「自己の法律上の利益に関係のない違法」(行政事件訴訟法第10条第1項)を主張するものであるから、差押処分の取消しを求めることはできないとしたものである。

<要旨>
審査請求は、違法又は不当な処分によって侵害された不服申立人の権利利益の救済を図るものであることから、自己の法律上の利益に関係のない違法を審査請求の理由とすることはできないと解するのが相当である。

請求人は、差し押さえられた財産は自己に帰属する財産ではないから差押処分(本件差押処分)は違法である旨主張するが、仮にそのような事実があったとしても、本件差押処分によって不利益を受けるのはその財産の真正な帰属者であって、請求人は本件差押処分によって何らの影響も受けないのであるから、結局、請求人がかかる事実を違法であると指摘することは自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものにほかならない。

したがって、差押財産が自己に帰属するものではないことを理由として本件差押処分の取消しを求めることはできない。

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2019年4月19日


課税負担を軽減する目的で兄弟会社に対する債務引受による債権放棄を行ったとしても、直ちにその経済的利益の額は寄附金の額とはならないことから、確定申告が事実を隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年3月1日から平成25年2月28日まで及び平成25年3月1日から平成26年2月28日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成25年3月1日から平成26年2月28日までの課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年5月31日裁決

<ポイント>
本事例は、いわゆる兄弟会社において、その債務を引き受けたことによる債権放棄をして貸倒損失として損金の額に算入したことについて、請求人が課税軽減目的を有していたからといって、法人税基本通達9-4-1によれば、兄弟会社の債務引受等であっても相当の理由がある場合には寄附金の額に該当しないことから、直ちに請求人が計上した貸倒損失について寄附金の額に該当すると認識していたとは認められないことを理由として、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人がいわゆる兄弟会社(本件分割法人)の債務を引受け、当該債務引受けによる債権を放棄して貸倒損失として損金の額に算入したことについて、請求人における課税負担を軽減する目的で、本件分割法人の解散、請求人による債務引受けや債権放棄、本件分割法人の特別清算などの一連の行為(本件分割法人整理)を検討したことなどからすると、請求人は当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づいて法人税の確定申告(本件確定申告)をしたから、本件確定申告は事実を隠ぺい又は仮装したところに基づくものである旨主張する。

しかしながら、法人税基本通達9-4-1《子会社等を整理する場合の損失負担等》によれば、兄弟会社の債務引受け等であっても、そのことについて相当の理由があると認められる場合には、その債務引受け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないことから、支援者が課税負担を軽減する目的で当該債務引受け等を行ったことのみをもって、直ちに当該債務引受け等により供与する経済的利益の額が、寄附金となるものではないというべきであり、原処分庁が主張する本件分割法人整理に係る上記各事実をもって、直ちに請求人が計上した貸倒損失について寄附金の額に該当することを認識していたとは認められず、その他、請求人にそのような認識があったことを認めるに足りる証拠はないから、本件確定申告は、事実を隠ぺい又は仮装したところに基づくものであるとは認められない。

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2019年4月16日


更正の請求を提出することができる者は、納税申告書を提出した者に限られ、第三者が債権者代位権又は取消権の行使として、更正の請求を提出することはできないとした事例

  • 平成24年分贈与税に係る更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 平成30年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第23条第1項は、更正の請求をすることができる者として、納税申告書を提出した者と規定しており、その趣旨は、申告納税方式では、納付すべき税額は課税要件に関する事実関係に最も通じている納税者自らの申告により確定することが原則とされており、その税額が過大であった場合の是正手続も、納税申告書を提出した納税者自らが行うことが申告納税方式に適合するからであると解されるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、贈与税の申告書を提出した者に対し有する金銭債権を保全するため、債権者代位権又は取立権の行使として、更正の請求をすることができる旨主張する。

 しかしながら、国税通則法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第23条《更正の請求》第1項は、更正の請求をすることができる者として納税申告書を提出した者と規定しており、その趣旨は、申告納税方式では、納付すべき税額は課税要件に関する事実関係に最も通じている納税者自らの申告により確定することが原則とされており、その税額が過大であった場合の是正手続も、納税申告書を提出した納税者自らが行うことが申告納税方式に適合するからであると解される。

 また、納税者の債権者等の第三者が更正の請求をすることができるとすると、更正をした場合には納税者の課税標準等又は税額等に係る情報を当該第三者に知らせることになり、国税通則法第126条及び国家公務員法第100条《秘密を守る義務》第1項に規定する守秘義務に抵触することとなるが、その解除を規定した法令は存在しない。

 したがって、国税通則法は更正の請求をすることができる者を、納税申告書を提出した者に限定していると解するのが相当である。

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2019年4月4日


当初から相続税を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分の所得税等の修正申告に係る重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • ②平成26年分の所得税等の更正処分 → 棄却
  • ③平成26年分の所得税等の重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • 平成30年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、本件借主に本件金員に係る領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、隠ぺいまたは仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用にならないことを認識しながら、領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項にいう隠ぺい、仮装に当たると主張する。

しかしながら、請求人が本件借主に農地法上の耕作権がないことを知っていたとしても、そのことをもって直ちに、本件借主との間の貸借状態解消のために支払った本件金員が譲渡費用にならないことまで認識していたとはいい難い。

また、その他、請求人が本件金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、請求人が同項にいう隠ぺいまたは仮装をしたものとはいえない。

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2019年1月15日


支払った金員に係る領収証の名目を書き直させた行為は、当該金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたと認めるに足りる証拠はないから隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分の所得税等の修正申告に係る重加算税の賦課決定処分 → 一部取り消し
  • ②平成26年分の所得税等の更正処分 → 棄却
  • ③平成26年分の所得税等の重加算税の賦課決定処分 → 一部取り消し
  • 平成30年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、本件借主に本件金員に係る領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用にならないことを認識しながら、領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項にいう隠ぺい、仮装に当たると主張する。

しかしながら、請求人が本件借主に農地法上の耕作権がないことを知っていたとしても、そのことをもって直ちに、本件借主との間の貸借状態解消のために支払った本件金員が譲渡費用にならないことまで認識していたとはいい難い。

また、その他、請求人が本件金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、請求人が同項にいう隠ぺい又は仮装をしたものとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 支払った金員に係る領収証の名目を書き直させた行為は、当該金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたと認めるに足りる証拠はないから隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月29日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年5月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年2月6日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らが、相続手続等を依頼した弁護士に対し、法定申告期限前に相続財産の内容等が記録されているUSBメモリを交付していたと認められるなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人らは、有価証券及び現金預貯金等を相続財産として申告しなければならないことを十分認識していたにもかかわらず、相続手続等を依頼した弁護士(本件弁護士)に対し、相続税を安くする目的で相続財産の内容等が記録されているUSBメモリ(本件USBメモリ)を交付せず、また、請求人らが相続開始直前に被相続人の預金口座から出金した現金(本件現金)の存在も伝えなかったのであり、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき過少申告をしたものと認められるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人らは、本件弁護士に対して法定申告期限前に本件USBメモリを交付していたものと認められ、また、本件現金の存在を本件弁護士に秘匿するためにその事実を伝えなかったと評価することはできず、その他、当審判所の調査及び審理の結果によっても、請求人らに、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないから、同項に規定する重加算税の賦課要件は満たさない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月22日


税理士交付用として相続財産の一覧表を作成した行為は隠ぺい又は仮装の行為に当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成26年5月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月30日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告に当たり請求人が税理士へ交付した相続財産の一覧表は、あえて相続財産の一部を記載せずに作成されたものと推認することはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、相続財産を正確に把握していたにもかかわらず、あえて一部の保険金(本件各無申告保険金)及び遺族一時金(本件遺族一時金)を記載せずに相続財産の一覧表(本件税理士提出用一覧表)を作成し、相続税の申告に当たってこれを税理士に交付したものであり、請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい行為に当たる旨主張する。

しかしながら、本件各無申告保険金及び本件遺族一時金が振り込まれた請求人名義の各口座は、いずれも原処分庁においてその存在を容易に把握し得るものであることに加え、本件税理士提出用一覧表は上書入力を繰り返し行ったために本件遺族一時金の記載が消えてしまった旨の請求人の説明は、一応合理的であることなどからすれば、請求人が、あえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載せずに本件税理士提出用一覧表を作成したとの事実を推認することはできず、ほかにこの事実を認めるに足りる証拠はない。

したがって、請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は、同項に規定する隠ぺいまたは仮装の行為に当たらない。

 ★リンクはこちら ⇒ 税理士交付用として相続財産の一覧表を作成した行為は隠ぺい又は仮装の行為に当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月16日


当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月11日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、換地不交付に対する清算金を受領した事実を秘匿するため、あえて当該清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかったとの事実を認めることはできないなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、土地区画整理組合から受領した換地不交付に対する清算金(本件清算金)について、確定申告をしなければならないことを十分認識していたにもかかわらず、原処分に係る調査において、本件清算金を受領した事実を秘匿するためにあえて本件清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかった旨申述していることなどからすれば、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人の当該申述の内容は、合理性、具体性に乏しく、審判所の調査及び審理の結果によってもこれを裏付ける客観的な証拠は認められず、請求人が本件清算金を受領した事実を秘匿するためにあえて本件清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかったとの事実を認めることはできないなど、請求人が、当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年10月25日


このまま申告しなければやがて決定されるであろうとの認識の下で期限後申告書を提出したとは認められないとして、無申告加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月29日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、相続税の申告及び納付を決意した後、原処分庁所属の職員との申告相談を経て期限後申告書を提出したものと認められるとして、無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、原処分庁所属の職員(本件職員)は、請求人に対し、相続税に係る調査の事前通知をした上で当該調査を行う旨説明したほか、調査結果の内容の説明とともに期限後申告を勧奨しており、請求人は、調査があったことを認識し、期限後申告をしなければやがて決定されるであろうことを認識することができたものと認められるから、請求人が提出した期限後申告書(本件期限後申告書)は、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、請求人は、請求人の母と本件職員との間で行われた請求人の相続税に関する相談結果を契機として、相続税の申告及び納付を決意し、その後、本件職員との申告相談を経て本件期限後申告書を提出したものと認められるから、請求人が、このまま申告しなければやがて決定されるであろうとの認識の下で本件期限後申告書を提出したとは認められず、そもそも本件期限後申告書の提出に至るまで、相続税に関する調査を受けていたとの認識を有していたとも認められない。

したがって、本件期限後申告書の提出は、同項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ このまま申告しなければやがて決定されるであろうとの認識の下で期限後申告書を提出したとは認められないとして、無申告加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年10月19日


徴収担当職員から、再三再四、預金通帳の提示を求められたにもかかわらず、請求人が預金通帳を一切提示しなかったことは、帳簿書類その他の物件の検査を拒んだものと認められるとして、納税の猶予の不許可事由に該当するとした事例

  • 納税の猶予不許可処分、督促処分
  • 棄却
  • 平成30年1月9日裁決

<要旨>
請求人は、請求人がした納税の猶予の申請(本件猶予申請)につき、原処分庁が、国税通則法第46条の2《納税の猶予の申請手続等》第10項第2号に該当する事実があるとして不許可処分をしたのに対し、徴収担当職員から提示を求められた預金通帳については元関与税理士法人から返却されなかったため提示できなかったものであって、徴収担当職員の検査を拒んだり、妨げたり、忌避したりしてはいない旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、本件猶予申請に係る事項を明らかにするため、預金口座の状況を調査する必要があったと認められるところ、請求人は、徴収担当職員から、再三再四、預金通帳の提示を求められたにもかかわらず、預金通帳を一切提示しなかったのであり、請求人は、徴収担当職員による帳簿書類その他の物件の検査を拒んだものと認められる。

また、仮に、請求人が主張するように、元関与税理士法人が請求人の所有する預金通帳を返却していないとしても、請求人は、預金通帳を発行した金融機関に対して、預金通帳の再発行の手続や預金口座の異動履歴状況の分かるものの発行の手続をすれば、預金通帳その他預金口座の状況を証する書類を容易に取得できるのであるから、所有する預金通帳の提示を求められた請求人が、上記各手続をせずに、預金通帳その他預金口座の状況を証する書類の提示をしないことは、徴収担当職員の検査を拒んだものといわざるを得ない。

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2018年10月17日


国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物について原処分庁が行った差押処分は、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」にされたものではないとして取り消した事例

  • 不動産の差押処分
  • 全部取消し
  • 平成29年10月16日裁決

<ポイント>
本事例は、国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物についての差押えは、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」の要件を充足する必要があるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の国税を担保するため抵当権が設定された各担保不動産(本件各担保不動産)上に、抵当権の設定後に築造された請求人の建物(本件建物)に対して行った国税徴収法第47条《差押の要件》第1項第1号に基づく差押処分(本件差押処分)は、国税通則法第52条《担保の処分》第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」になされたものではないが、抵当権の設定後に抵当地に築造された建物を抵当地とともに競売できる旨を定めた民法第389条《抵当地の上の建物の競売》第1項の規定に照らせば、許容されるべきである旨主張する。

しかしながら、国税の担保の処分においても民法第389条第1項が適用されると解する余地はあるが、その場合であっても、抵当権の設定後に抵当地に築造された建物を抵当地とともに公売するための差押えは、担保権の実行である以上、国税通則法第52条第1項に基づく担保物処分のための差押えとして行うものであり、国税徴収法第47条第1項第1号に基づいてなされた本件差押処分は、国税通則法第52条第4項の「なお不足があると認めるとき」になされたものではないから、違法である。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物について原処分庁が行った差押処分は、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」にされたものではないとして取り消した事例

2018年7月9日


国税徴収法第153条第1項各号に該当する事実がいずれも認められないことから、滞納処分の停止の取消処分は適法であると認めた事例

  • ①滞納処分の停止取消処分 →棄却
  • ②債権の差押処分 →棄却
  • 平成29年7月25日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁がした滞納処分の停止取消処分(本件停止取消処分)は、請求人には滞納処分の執行等をすることができる財産がなく、また、請求人の収入額は最低賃金にも満たないから、国税徴収法第153条《滞納処分の停止の要件等》第1項第1号及び同項第2号に該当する事実があるにもかかわらず行われた違法な処分である旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件停止取消処分時において供託金払渡請求権(本件払渡請求権)を有していたと認められ、本件払渡請求権は差押えの対象となる将来生ずべき債権であると認められる以上、請求人に国税徴収法第153条第1項第1号に該当する事実はない。
また、請求人は、妻の扶養親族であるが、自らも就労して収入を得ており、請求人の属する世帯は、それなりの収入がある一方、定期的に多額の支出があるとは認められず、生活が窮迫しているとは認められないことを考慮すると、本件払渡請求権に対して滞納処分を執行したとしても、生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態に直ちに陥ることはないと認められ、請求人に国税徴収法第153条第1項第2号に該当する事実もない。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税徴収法第153条第1項各号に該当する事実がいずれも認められないことから、滞納処分の停止の取消処分は適法であると認めた事例

2018年6月29日


当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成22年分の所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分 →全部取消し
  • ②平成23年分から平成26年分の所得税等に係る重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税等に係る重加算税の賦課決定処分 →全部取消し
  • ④平成23年1月1日から平成26年12月31日までの各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年8月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠はないとして、重加算税の賦課要件を満たさないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、①特定の取引先(本件取引先)からの報酬等(本件収入)が請求人の事務所名義の預金口座(本件預金口座)に入金されていたと認識していたにもかかわらず、関与税理士に対し、本件預金口座に係る通帳(本件通帳)を提示しておらず、また、②調査担当職員から本件収入の申告漏れを指摘されるまで、調査担当職員に対して本件通帳を提示しなかったことからすると、請求人は、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められるから、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、①本件取引先が源泉徴収を行った後、本件収入は本件預金口座以外の預金口座に振り込まれているとの誤解の下、関与税理士に対し、手持ちの源泉徴収票及び支払調書に加えて本件通帳以外の通帳を提示することにより、本件収入についても適正に申告していると誤解していたものと考える余地があり、また、②調査担当職員に対して本件預金口座の存在を殊更隠ぺいしようとしたとは考え難く、本件通帳以外の通帳を提示すれば問題ないと考えて本件通帳を提示しなかったものとみる余地があるから、原処分庁が主張する事情は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠もないから、重加算税の賦課要件を満たさない。

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2018年5月16日


期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでないとした事例

  • ①平成23年分及び平成24年分の所得税に係る無申告加算税の各賦課決定処分 →全部取消し
  • ②平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年9月26日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が行った期限後申告書の提出は、調査の内容・進捗状況、それに関する請求人の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断した結果、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことに該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、調査担当職員(本件調査担当職員)が、請求人の配偶者の所得税に係る調査(本件調査)において、請求人名義の不動産から生じる不動産所得が当該配偶者の所得として申告され、請求人が申告していない事実を把握し、請求人の所得税の課税標準等又は税額等を認定するために税理士(本件税理士)に質問を行ったのであるから、本件調査後の期限後申告書(本件期限後申告書)の提出は国税通則法第66条《無申告加算税》第5項(平成28年法律第15号による改正前のもの。)に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことは、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断すべきところ、請求人は、本件調査に応じた本件税理士を通じて請求人の所得税に係る調査を認識したものの、本件調査とは別の契機により不動産の名義どおりに申告をやり直したいとの申出を行い、期限後申告を行ったのであるから、本件期限後申告書の提出は「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことに該当する。

その結果、納付すべき税額に5%を乗じて計算した無申告加算税の額が5,000円未満となった年分は処分の全部を、その他の年分は上記5%相当額を超える部分につき処分の一部をそれぞれ取り消すことが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでないとした事例

2018年5月9日


内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定は国税通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されるとした事例

  • 平成26年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成29年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、更正を予知せずにされた修正申告書であっても、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定に基づく過少申告加算税は課されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定は、国税通則法(通則法)第65条《過少申告加算税》第5項の規定が適用される請求人の修正申告書(本件修正申告書)には適用されない旨主張する。

 しかしながら、国送法第6条第2項は、通則法第65条の規定の適用がある場合に過少申告加算税を加重する旨規定しており、同条第5項の規定の適用がある場合を除く旨規定しているものではない上、同項の規定の適用がある修正申告書にも国送法第6条第2項の適用があると解することは、同条第1項及び第2項の規定の趣旨とも整合する。

 したがって、国送法第6条第2項の規定は、通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されると解するのが相当であるから、本件修正申告書についても国送法第6条第2項の規定は適用される。

 ★リンクはこちら ⇒ 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定は国税通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されるとした事例

2018年4月18日


請求人は、特定株式の移転の日において、K国の居住者であり、当該特定株式の移転に係るみなし譲渡益は、日本国政府とK国政府との租税協定の規定により、K国に課税権があるとし所得税の更正の請求をしたのに対し、原処分庁がした更正をすべき理由はないとの通知処分は適法であるとした事例

  • 所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 平成29年8月22日裁決

<ポイント>
本事例は、特定株式の移転に係るみなし譲渡益のうち、請求人が日本国の居住者であったときに、新株予約権を行使したことにより生じた権利行使益については、日本国政府とK国政府との租税協定による制限を受けず、国内法の規定により、国内源泉所得として課税を受けることとなると判断したものである。

<要旨>
請求人は、新株予約権の行使により取得した株式に係る租税特別措置法第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》第4項の規定により譲渡とみなされるもの(本件みなし譲渡)のうち、同条第1項に規定する経済的利益(本件権利行使益)については、本件みなし譲渡の全てが株式の保有によって生じた値上がり益、すなわち株式譲渡益と考えるのが相当であり、また、請求人は同条第4項に規定する特定株式の移転の日においてK国の居住者であるから、本件権利行使益は、日本国政府とK国政府との租税協定(本件協定)の規定が適用され、K国に課税権がある旨主張する。

しかしながら、本件みなし譲渡に係る譲渡所得は、所得税法第161条《国内源泉所得》第1号に規定する資産の譲渡により生ずる国内源泉所得であるから、租税特別措置法第37条の12《恒久的施設を有しない非居住者の株式等の譲渡に係る国内源泉所得に対する課税の特例》第1項の規定により、その全体について15%の税率を適用して分離課税の対象になるところ、この国内法上の課税関係が本件協定上受ける制限についてみると、本件みなし譲渡に係る譲渡所得のうち本件権利行使益は、請求人が内国法人であるF社から付与を受けた新株予約権を日本国の居住者である時に行使することにより生じたものであるから、本件権利行使益に係る日本国の課税権については、本件協定による制限を受けないことになり、同項に基づいて15%の税率で分離課税の対象となる。

したがって、本件権利行使益については、国内法の規定により、国内源泉所得として日本国で課税を受けることになる。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人は、特定株式の移転の日において、K国の居住者であり、当該特定株式の移転に係るみなし譲渡益は、日本国政府とK国政府との租税協定の規定により、K国に課税権があるとし所得税の更正の請求をしたのに対し、原処分庁がした更正をすべき理由はないとの通知処分は適法であるとした事例

2018年4月13日


催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じるとした事例

  • ①第二次納税義務の納付告知処分 →棄却
  • ②不動産の差押処分 →棄却
  • 平成29年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、滞納者(本件滞納者)の滞納国税(本件滞納国税)に係る債務の承認によって催告による時効中断の効力が生じるとする原処分庁の民法第153条《催告》の解釈は誤っており、本件滞納国税の徴収権の時効は中断していない旨主張する。

しかしながら、民法第153条は、債権者の催告について、債権者が正規の中断事由によって補強することにより時効中断の効力を認めるものであって、正規の中断手続をとるのが遅れることにより時効が完成するのを防ぐ便法として機能することを期待して定められたものと解され、債権者の催告について、債務者の行為による正規の中断事由である承認を、債権者の行為による正規の中断事由と区別する理由はないというべきであるから、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解すべきである。

これを本件についてみると、本件滞納者の行った承認は、原処分庁が差押予告書(本件差押予告書)の送達によって行った本件滞納国税についての催告後6か月以内にされたものであるから、当該承認によって、本件差押予告書による催告の時効中断の効力が生じたものと認めるのが相当である。

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2018年3月6日


収入金額の一部が計上されていない試算表を作成した行為は、隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成25年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分 ⇒  一部取消し
  • ②平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の賦課決定処分 ⇒ 一部取消し
  • 平成29年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、一部の業務に係る収入金額を除く一方当該業務に係る必要経費の一部を加えて作成された試算表は、確定申告義務が生じないことの説明資料として作成されたものとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、建築設計業務のほか風俗業を営むことによって多額の利益が生じていることを認識しつつ、風俗業を行っていた複数の店舗のうちの一部の店舗に係る業務(本件独自業務)について、その収入金額を除く一方必要経費の一部を加えた試算表(本件試算表)を作成しているところ、本件試算表は、本件独自業務に係る収入金額を除外するともに、本件独自業務以外の業務において損失が生じているという虚偽の内容を記載することにより、所得金額が生じていないという状況を意図的に作出し、確定申告義務がないことの説明資料として作成されたものといえるから、請求人は、本件独自業務に基因する事業所得の金額を隠ぺいして確定申告書を提出しなかったものと認められる旨主張する。

しかしながら、本件試算表は、請求人が顧問契約の締結を検討していた税理士法人(本件税理士法人)によって作成されたものであるところ、請求人は、本件独自業務に係る売上げを記載した手帳の提示などをせず、本件税理士法人に試算表を作成させたと認められるものの、その後原処分調査までの間に、本件税理士法人に対して本件独自業務を行っていることを述べていることや、原処分調査の際、自ら進んで本件試算表を示して確定申告義務がないとの説明をしたこともなかったことなどを考慮すると、本件独自業務に係る収入金額を申告しないという意図を有していたとか、所得金額が生じない状況を意図的に作出したものとは認められず、本件試算表の作成は、請求人による隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められない。

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2018年2月23日


相続税の法定申告期限までに判明した相続財産のみでも、遺産に係る基礎控除を超える場合には、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」はないとした事例

  • 平成27年9月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成29年6月15日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の法定申告期限までに判明した相続財産だけで遺産に係る基礎控除を超える場合、相続税の期限内申告書を提出しなければならないと解するのが相当であり、全ての相続財産を反映した相続税の申告書を作成できなかったとしても、「正当な理由」には該当しないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、期限内申告書を提出しなかったのは、法定申告期限において、被相続人が受け取るべき損害賠償金の額が確定しておらず、全ての相続財産を反映した相続税の申告書を作成することができなかったためであるから、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」がある旨主張する。

しかしながら、納税者が相続財産の全容を把握するため、種々の調査をし、情報入手の努力をした結果、法定申告期限までに相続財産の一部しか判明しなかったとしても、その判明した部分だけで遺産に係る基礎控除額を超える場合には、納税者は、判明した相続財産につき期限内申告書を提出しなければならず、納税者が、法定申告期限までに把握した相続財産の価額が遺産に係る基礎控除額を超えることによって相続税の申告書の提出を要すると認識し、又は認識し得た場合において、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合には、同項ただし書に規定する「正当な理由」があるとは認められないと解するのが相当であるところ、請求人らは、法定申告期限までに、相続税の申告について相談した税理士から相続税の申告が必要である旨の説明を受けるとともに、相続した土地の価額のみで基礎控除額を超えることを認識していたのであるから、相続税の申告が必要であることを認識していたものと認められる。

したがって、請求人らが期限内申告書を提出しなかったことについて、同項ただし書に規定する「正当な理由」があるとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の法定申告期限までに判明した相続財産のみでも、遺産に係る基礎控除を超える場合には、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」はないとした事例

2018年2月16日


当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認められるものの、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動を認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成19年分から平成24年分までの所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の各賦課決定処分、平成19年1月1日から平成25年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年7月4日裁決

<ポイント>
本事例は、事業所得を秘匿した内容虚偽の所得税の確定申告書の提出など、当初から所得を過少に申告することを意図して行われたものと認められるものの、請求人が事業所得を秘匿するためにあえて帳簿を作成しなかったとまでは断定し難い上、請求人の営む事業に関するその余の行為においても、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動を見いだすことはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、請求人の営む事業(本件事業)で多額の利益が生じており、当該利益は帳簿書類を作成し確定申告をすべき金額であることを十分に認識していながら、債務弁済や利殖のために税を免れることを意図し、その意図に基づいて本件事業に係る帳簿書類をあえて作成せずに、7年間にわたって本件事業に係る多額の収入金額を一切記載しない内容虚偽の所得税等の確定申告を行うとともに、消費税等についてあえて申告していなかったものと認められるのであって、これら請求人の一連の行為は、請求人が当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき過少申告等をしたものと認められるから、請求人は、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠ぺいを行った旨主張する。

しかしながら、請求人が、所得税等の確定申告に際し、本件事業に係る所得を全て秘匿して、給与所得及び株式等に係る譲渡所得等のみを記載した内容虚偽の確定申告書を提出し、本件事業に係る所得を申告しなかったこと、また、本件事業に係る収入等につき消費税等の申告をしなかったことは、当初から所得を過少に申告する意図、又は法定申告期限までに申告しないことを意図して行われたものと認めるのが相当であるものの、請求人が本件事業に関する正当な収入金額、必要経費及び所得金額を秘匿するためにあえて帳簿を作成しなかったとまでは断定し難い上、審判所の調査によっても、本件事業に関する請求人のその余の行為において、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動などを見いだすことはできない。

したがって、原処分庁が主張する請求人の行為は、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動とは評価することができないものであり、請求人の所得税等及び消費税等について、重加算税を賦課することはできないものといわざるを得ない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認められるものの、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動を認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2017年8月9日

当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • 平成21、22、24年分の所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 棄却
  • 平成21年1月1日から平成24年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 棄却
  • 平成28年9月30日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、消費税等の負担を免れるため、長年にわたり、農産物等の販売金額を過少に記載した下書用の収支内訳書を作成し、これを市の申告相談で市職員に提示することにより、同職員をして販売金額を過少に記載した収支内訳書及び確定申告書を作成させ続けていたとして、重加算税の賦課要件を満たすとしたものである。

<要旨>
請求人は、自身が下書用の収支内訳書を作成した行為は単なる過少申告行為であり、隠ぺいしようという確定的な意図の下に行った申告ではなく、隠ぺい又は仮装に該当する行為はないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する重加算税の賦課要件は満たされない旨主張する。

しかしながら、請求人は、消費税等の負担を免れるため、7年間という長期間にわたり、農産物及び肉用牛(農産物等)の販売年間取引実績表等によってその販売金額の合計額が1千万円を超えていることを認識していたにもかかわらず、その合計額が1千万円を超えないよう、農産物等の販売金額を過少に記載した下書用の収支内訳書を作成し、これを市の申告相談で市職員に提示することによって、同職員をして農産物等の販売金額を過少に記載させ、その合計額がいずれも1千万円以下となる収支内訳書及び確定申告書を作成させ続けていたものと認められる。

したがって、請求人は、当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認められるのであるから、国税通則法第68条第1項又は第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

2017年8月7日

e-Taxソフト等のメンテナンス終了について

国税庁が提供しているe-Taxソフト等について、e-Taxソフト等と組み合わせているインストール用ファイルに不具合が発見されたためメンテナンスを実施していたが、平成29年6月23日(金)に全てのインストール用ファイルのメンテナンスが終了した。
詳細は「ダウンロード再開対象一覧」をご覧のこと。

e-Taxソフト等をご利用になる場合は、最新版のインストーラをダウンロードすること。

【平成29年6月6日以前からe-Taxをご利用いただいている方へ】
6月6日(火)以前に、e-Taxソフト等をインストールされた方で、新たにe-Tax ソフトをインストールまたはバージョンアップしてe-Taxを利用する場合には、既にパソコンに保存されているインストール用ファイル(削除対象ファイル一覧)は実行せずに、確実に削除いただいた上で、6月12日(月)以降、e-Taxホームページから提供される最新版の「e-Taxソフト(共通プログラム)インストーラ」等をダウンロードまたはバージョンアップすること。

★リンクはこちら ⇒ e-Taxソフト等のメンテナンス終了について

2017年6月26日

相続財産である各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月25日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、相続に関する原処分庁の照会に対して被相続人名義の各預金口座の存在を回答せず、相続税調査の初期においても上記回答に沿った申述するなど、当該各預金口座の存在を隠した事実は認められるものの、これらの行為をもって、隠ぺい又は仮装の行為と評価することは困難であるなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人が、生前、同人名義の各預金口座の存在を原処分庁に容易に知り得ない状況を作出するとともに、請求人に対して当該各預金口座は申告する必要はないと指示しており、請求人が、その意図を十分に理解して、当該各預金口座を記載しない「相続についてのお尋ね」(本件お尋ね回答書)を原処分庁に提出するとともに、原処分庁所属の職員に対しても、その記載に沿った申述を行った後、その存在を把握されるに至って、当該職員から指摘された口座についてのみ段階的にこれを認める行為を繰り返したのであるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい又は仮装の事実がある旨主張する。

しかしながら、無申告加算税に代えて重加算税を課す場合、法定申告期限の前後を含む、外形的、客観的な事情を合わせ考えれば、真実の相続財産を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に納税申告書を提出しなかったときには、重加算税の賦課要件を満たしていると解するのが相当である。
これを本件についてみると、請求人は、相続税の法定申告期限後において、当初、当該各預金口座の存在を隠す申述をしているものの、当該職員から指摘されるとその存在を認めており、当該各預金口座を隠す態度を一貫していたとはいえない上、当該各預金口座が発見されるのを防止するなど積極的な措置を行っていないことからすれば、本件お尋ね回答書の提出及び当該各預金口座を隠していたことを、隠ぺい又は仮装と評価するのは困難である。
そして、このほか、請求人が、法定申告期限の前後において、積極的な隠ぺい又は仮装の行為を行っていないことからすれば、法定申告期限経過時点において、相続税の調査が行われた場合には、積極的な隠ぺい又は仮装の行為を行うことを予定していたと推認することはできない。

したがって、請求人は、当該各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないから、重加算税の賦課要件を満たさない。

★リンクはこちら ⇒ 相続財産である各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2017年2月13日

太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできないとした事例

  • 平25.4.1~平26.3.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、太陽光発電設備に係る請求書を請求人が作成したことについて争いはなく、その請求書の欄外に工事完了は課税期間の末日までとする旨記載されていたとの事実関係の下、請求人がこのような請求書を作成したことをもって太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が太陽光発電設備の取得費を課税仕入れの対価の額に含めたことについて、請求人は、課税期間内に太陽光発電設備の設置工事(本件工事)が完了しないことを十分認識していたにもかかわらず、本件工事が課税期間の末日である平成26年3月31日までに完了する旨記載した内容虚偽の請求書(本件請求書)を作成したのであるから、太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したものというべきである旨主張する。

しかしながら、本件請求書は、飽くまで本件工事の代金を請求する書面であって、太陽光発電設備の引渡しに係る書面ではない上、本件請求書が平成26年1月31日付で作成されていることからすれば、「工事完了は3月31日までとする」との記載は、工事完了の予定日が記載されたものとみるほかなく、請求人が本件請求書を作成したことをもって太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできないとした事例

2017年2月10日

死亡保険金の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとまでは認め難いとした事例

平成24年9月相続開始に係る

  • 相続税の重加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 更正処分及び重加算税の賦課決定処分 全部取消し
  • 平成28年5月20日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が死亡保険金の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、11口の死亡保険金を自ら受領しそのうち4口は当初申告しており、これらの死亡保険金全てを相続税額の計算の基礎とすべきことを認識していたと認められるから、その余の7口の死亡保険金(本件各無申告保険金)を受領した事実を隠ぺいする意図があったと推認されることや、調査担当職員に対し、本件各無申告保険金についても申告したと認識していた旨の虚偽の申述をしたことなどを総合考慮すると、本件各無申告保険金を当初申告から除外したことは、課税要件事実を隠ぺいしたところに基づくものである旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件各無申告保険金をいずれも請求人名義の預金口座への振込送金により受領した上、調査の際には、調査担当職員からの求めに応じて、当該預金口座に係る預金通帳等を逡巡なく提示しているのであって、本件各無申告保険金の発見を困難ならしめるような意図や行動はうかがわれない。
また、請求人が、調査担当職員から本件各無申告保険金の申告漏れを指摘されると、特段の抗弁をすることなく当該事実を認めており、修正申告の勧奨に応じて遅滞なく修正申告をしていることにも照らせば、本件各無申告保険金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。

これらによれば、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、本件各無申告保険金を当初申告の対象に含めなかったことが、課税要件事実の隠ぺい、仮装に基づく過少申告であるとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 死亡保険金の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとまでは認め難いとした事例

2017年2月9日

生命保険金及び生命保険契約に関する権利の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとは認め難いとした事例

平成24年12月相続開始に係る相続税の

  • 重加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 全部取消し
  • 平成28年5月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が生命保険金等の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、生命保険金及び生命保険契約上の権利が相続税の計算の基礎となる財産であることを十分に認識しながら、生命保険契約の一部のみを申告した一方、関与税理士に対して5口の保険契約(本件各保険)に関する書類を提出せず、これらを申告しなかったことは、当初から課税標準等を過少に申告することを意図して、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をし、その意図に基づく過少申告をしたものと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件各保険の契約締結に関与していないこと、相続開始の約4か月後に保険会社から教示を受けるまでは、本件各保険の2口について、相続に起因する保険金の支払請求手続ないし契約者等の変更手続の必要性を認識しておらず、保険会社から促されて受動的にこれらの手続を行ったものとみられること、当初申告後に保険会社から連絡を受けるまでは、本件各保険の3口の存在を認識していなかったことがうかがわれることに加え、当初申告書の作成過程で関与税理士に対し相続財産の計上漏れを指摘して訂正を求めるなど、正確な申告を行う姿勢を示していたこと、原処分庁の調査担当職員から本件各保険の申告漏れを指摘された後、遅滞なく修正申告に応じていることに照らせば、請求人が、本件各保険を故意に当初申告の対象から除外したものとは認め難い。

したがって、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができない。

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2017年2月8日

相続財産である現金の申告漏れについては、過少申告の意図を外部からもうかがい得る請求人の行為の結果としてなされたものと認定した事例

  • 平成24年10月相続開始に係る相続税の過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産である現金の申告漏れについて、請求人は、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたものと認められるとして、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」によると判断したものである。

<要旨>
請求人は、関与税理士に対し、現金の存在及びその大まかな額の分かる資料を提出しており、申告すべき現金の額について関与税理士の税務的な判断に任せていたことから、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」といわれるような行為はなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、被相続人の財産を管理しており、相続開始日における多額の現金が相続財産に当たることを知っていたことなどから、当初から現金を過少に申告することを意図し、その意図に基づき多額の現金の存在につき関与税理士に敢えて秘匿し、手元に残っていた現金は存在しない旨を示す書面を関与税理士に提出するなどして、その結果、関与税理士に現金を過少に記載した申告書を作成させて原処分庁に提出したものである。

したがって、請求人は、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたものと認められるから、現金に関する申告漏れについては、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」によるものと認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続財産である現金の申告漏れについては、過少申告の意図を外部からもうかがい得る請求人の行為の結果としてなされたものと認定した事例

2017年2月6日

請求人に対する決定処分は、違法な調査に基づいて行われたものではないとされた事例

  • 平成21年分所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成25年分所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成28年5月20日裁決

<ポイント>
本事例は、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越しのみを求めるための申告書を提出できる期限は、その申告書を提出することができる日から5年を経過する日までとした申告指導等に誤りはないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁の行った平成21年分の所得税の決定処分(本件決定処分)は、①国税通則法(通則法)第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定する調査結果の説明を口頭で行っていないなど、調査終了の際の手続が不十分であること、②平成20年分の所得税につき、少なくとも法定申告期限から7年間は期限後申告が可能であったにもかかわらず、原処分庁が請求人に対して、法定申告期限から5年間が期限後申告書を提出できる期限であるとの指導(本件申告指導)をし、請求人は、不当な本件申告指導により、平成20年分の所得税の期限後申告書の提出を制限され、結果、平成21年分の所得税において、前年分の先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除が不可能な状態を強いられ、その後に本件決定処分がなされたという事情があることから、通則法第25条《決定》に基づく適法な調査によるものとはいえず、取り消されるべきである旨主張する。

しかしながら、上記①の主張について、本件における調査手続には、課税処分を取り消すべき違法な点はなく、また、上記②の主張について、請求人の平成20年分の所得税の期限後申告書は、その申告書を提出できる日から5年を経過する日が提出できる期限であると解されるところ、本件申告指導を行った時点において、既に当該期限を経過していたのであるから、本件申告指導により平成20年分の期限後申告を行う権利を制限されたとする請求人の主張はその前提を欠く。

したがって、本件決定処分は、通則法第25条に規定する「調査」に基づいて適法に行われたものであり、取り消すべき違法はない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人に対する決定処分は、違法な調査に基づいて行われたものではないとされた事例

2017年2月2日

重加算税の額の基礎となる税額は、過少申告加算税の基礎となるべき税額から、その税額の基礎となるべき税額で隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額を控除した税額となるところ、控除後の税額は零となることから、過少申告加算税の額を超える部分の金額は違法であるとした事例

平22.7.1から平23.6.30までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成28年2月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当初申告において組合損益に架空経費を計上し、これを基に組合損益の分配額を計上していたが、更正処分においては、組合損益の分配割合は零と認定され、この分配割合の変更については隠ぺい又は仮装の事実はないことから、重加算税の基礎となる税額は零と計算されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、組合事業に係る組合損益の分配割合につき、更正処分においては当該組合事業に係る不動産の登記名義の割合を用いて算定しているところ、重加算税賦課決定処分においては、架空雑費(本件雑費)の金額を各組合員の出資金額の割合を用いて算定しており、計算方法の一貫性を欠くと主張する。

しかしながら、請求人は本件雑費を含む組合損益を本件雑費の割合(本件雑費割合)に応じて各組合員に分配した損益分配表に基づいて申告したのであるから、原処分庁が本件雑費を各組合員に割り付けるに当たり、本件雑費割合をよりどころとしたこと自体は何ら不合理ではない。
もっとも、国税通則法第68条《重加算税》第1項括弧書及び同法施行令第28条《重加算税を課さない部分の税額の計算》第1項の規定により、重加算税の計算の基礎となる税額は、増差税額全体から隠ぺい又は仮装されていない事実のみに基づいて更正があったものとした場合の納付すべき税額を控除して算出するとされているところ、損益の分配割合に誤りがあったことについては、隠ぺい又は仮装は認められないため、①「更正処分に基づく増差税額全体」から②「損益の分配割合に誤りがあったことのみに基づいて更正があったものとして算出した税額」を控除して計算することとなるが、①と②は同額であることから、重加算税の計算の基礎となる税額は零円となる。したがって、増差税額の全部が過少申告加算税の賦課対象となり、これを前提に請求人の加算税額を計算すると原処分額が過大となるから、当該過大部分は違法である。

 ★リンクはこちら ⇒ 重加算税の額の基礎となる税額は、過少申告加算税の基礎となるべき税額から、その税額の基礎となるべき税額で隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額を控除した税額となるところ、控除後の税額は零となることから、過少申告加算税の額を超える部分の金額は違法であるとした事例

2016年11月30日

無申告加算税に代えてなされた重加算税の賦課決定処分につき、事実を隠ぺいし、その隠ぺいされたところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められないとして、同処分を全部あるいは一部取り消した事例

平成24年3月相続開始に係る相続税の
①更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分
②重加算税の賦課決定処分
①全部取消し・②一部取消し
平成28年3月30日裁決

<要旨>
原処分庁は、原処分に係る調査時の被相続人の子ら(本件子ら)の申述等を根拠に、本件子らの間では、遅くとも法定申告期限までに、相続税の申告をしない旨の合意が成立しており、かかる合意に基づき、法定申告期限までに申告書を提出しなかったものであるから、請求人らが、事実を隠ぺい又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったことは明らかである旨主張する。

しかしながら、本件子らの申述等を含む本件の全証拠を総合しても、本件子らの間で、法定申告期限までに相続税の申告をしない旨の意思の合致があったとはにわかに認め難い。
また、本件子らには、事前通知後、原処分庁の調査に積極的には協力しない旨の漠然とした合意が形成されていたことが認められ、調査の際、被相続人が証券会社との取引があった事実を秘匿するため、虚偽の答弁や香典メモの破棄行為という明らかな証拠隠滅行為に及んだことなど、相続財産を隠ぺいし、相続税を無申告で済ませようとする意図をうかがわせる一定の事情が認められるが、これらの事情は、いずれも、法定申告期限から約1年8月が経過した後の調査時点における言動等であって、事前準備を要するような計画的なものではなく、とっさにとった行動とも評価し得るものであり、その後直ちに証券会社との取引の事実を認め、遅滞なく期限後申告に応じていることから、相続財産を隠ぺいする態度、行動をできる限り貫こうとしたとまではいえない。

したがって、請求人らが、相続税を申告しない意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったとまでは認められないから、事実を隠ぺい又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき、法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 無申告加算税に代えてなされた重加算税の賦課決定処分につき、事実を隠ぺいし、その隠ぺいされたところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められないとして、同処分を全部あるいは一部取り消した事例

2016年11月28日

納税の猶予不許可処分をした原処分庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできないとした事例

納税の猶予不許可処分
棄却
平成28年1月13日裁決

<要旨>
請求人は、納税の猶予の申請を許可するか否かは納税者の事業実態として納税を困難にしている事実の存否により判断されるべきところ、請求人には当該事実が存在し、国税通則法第46条《納税の猶予の要件等》第2項第5号の要件を充足していたとして、原処分庁が納税の猶予を不許可とした処分(本件不許可処分)には裁量権の範囲の逸脱又は濫用があり、違法である旨主張する。

しかしながら、納税の猶予の許否は税務署長の裁量的判断に委ねられていると解するのが相当であるところ、当該裁量基準を示した「納税の猶予等の取扱要領」(猶予取扱要領)の定めが合理性を有するものである場合には、税務署長の判断が当該取扱要領の定めに従っている限り、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとの評価を受けることはない。

これを本件についてみると、本件に関する猶予取扱要領の定めは合理的であり、当該定めに従えば、請求人には国税通則法第46条第2項第5号(第4号類似)に該当する事実があったということはできないから、本件不許可処分をした原処分庁の判断に、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 納税の猶予不許可処分をした原処分庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできないとした事例

2016年11月25日

異議申立て時には存在していなかった処分が、異議決定までになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当であるとした事例

売却決定処分、公売公告
棄却、却下
平成27年12月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、不動産等の売却決定処分(本件売却決定処分)に対する異議申立ては、異議申立ての時点で存在しない「処分」を対象とするものであって、明らかに不適法である旨主張するが、異議申立ての対象とされた本件売却決定処分が、異議申立てについての決定がされるまでになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 異議申立て時には存在していなかった処分が、異議決定までになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当であるとした事例

2016年10月6日

相続財産である家族名義預金を申告せず、税務調査においても根拠のない答弁を行った納税者について、国税通則法第68条に規定する重加算税の賦課要件を満たすとした事例

平成23年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
一部取消し・棄却
平成27年10月2日裁決

<要旨>
請求人らは、被相続人の子名義の定期預金11口(本件各定期預金)は被相続人が生前に被相続人の子供ら(本件子供ら)に贈与したものであり、これを申告しなかったことにつき、隠ぺい又は仮装行為は存しない旨主張する。

しかしながら、被相続人の妻(本件妻)は、本件各定期預金を相続財産と認識しながら、これを関与税理士に告げず、本件各定期預金の記載がない遺産分割協議書を添付して相続税の過少申告を行い、その後の税務調査においても、本件各定期預金が、被相続人の生前既に贈与されたものであるなどとする根拠のない申述をして、真実の相続財産を隠ぺいする態度を貫こうとしたものである。
このような行為は、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上で、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告を行ったものと認められる。
また、本件子供らは、相続財産の調査、申告を本件妻に委任していたが、本件各定期預金のうちそれぞれの名義の定期預金が相続財産であることを認識しながら、これを関与税理士に告げず、本件妻とともに相続税の過少申告を行っており、かつ、本件子供らに受任者である本件妻の選任及び監督に過失がないと認められる特段の事情はないから、本件子供らは、本件各定期預金の全部の隠ぺいがあったと認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続財産である家族名義預金を申告せず、税務調査においても根拠のない答弁を行った納税者について、国税通則法第68条に規定する重加算税の賦課要件を満たすとした事例

2016年10月5日

請求人の法定申告期限経過前の行為及び調査に対する虚偽答弁、虚偽証拠の提出を総合判断すると、本件では、隠ぺい仮装があったと認めることができ、無申告加算税に代わる重加算税の賦課要件を充足すると認定した事例

①平成18年分~平成24年分の所得税の各更正処分
②平成18年分、平成20年分及び平成22年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
③平成19年分、平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
④平20.1.1~平22.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
⑤平23.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分
①③④⑤棄却 ②一部取消し
平成27年10月30日裁決

<要旨>
請求人は、法定申告期限までに所得税の確定申告書を提出しなかったのは請求人の税知識の不足により失念していたからであり、請求人は外国人研修・技能実習制度の送出し機関であるK社の従業員であるから、原処分庁の前回の調査結果に従って、K社から証明書の交付を受けた上で給与所得等に係る所得税の期限後申告書を提出しているなどとして、当該期限後申告書の提出並びに原処分庁の今回の調査に基づく更正について、重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。

しかしながら、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在しない場合であっても、納税者が当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかった場合には、重加算税の賦課要件が満たされると解するのが相当であるところ、請求人は、自身が事業主体であったにもかかわらず、①当該事業から生ずる収入を、K社の肩書が付された口座に振込入金させた上で毎月ほぼ全額を現金で出金し、金員の流れを容易に把握できないようにすることによって、K社に帰属するものであると装い、②多額の事業収入を得ていながら5年間にわたり無申告を続け、③原処分庁の前回調査を受けても、K社に内容虚偽の証明書を作成・提出させるなどの工作を行って、事業主体は飽くまでK社にあり自身は給与を得ていたと装うなどしていることからすると、請求人は、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたといえるから、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったことについては、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

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2016年8月2日

原処分庁は、被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の(実質的)経営者である請求人が債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産からこれら債権を除外して相続税の申告をしたとして重加算税を賦課したが、上記債権の一部は被相続人が実際に債権放棄をした可能性が認められるとして、原処分庁の事実認定を否定した事例

平成23年12月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成27年10月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人は各同族会社(本件各会社)の経理処理を自由にできる自身の立場を利用して、被相続人からの債務免除等の事実がないにもかかわらず、本件各会社の帳簿において事実に基づかない各仕訳を行い、被相続人からの借入金の帳簿上の残高を減少させたものと認められるから、請求人のこのような行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」たことに該当する旨主張する。

しかしながら、請求人と被相続人との間で請求人が答述するような協議があった可能性を十分に認めることができることを前提にすると、当該各仕訳の一部は、当該借入金の額を減少させるという被相続人の意思に基づき行われた可能性が十分に認められることから、当該各仕訳に係る請求人の行為は、相続税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、故意に脱漏し、あるいは故意にわい曲したものであるとまでは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁は、被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の(実質的)経営者である請求人が債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産からこれら債権を除外して相続税の申告をしたとして重加算税を賦課したが、上記債権の一部は被相続人が実際に債権放棄をした可能性が認められるとして、原処分庁の事実認定を否定した事例

2016年7月27日

収支内訳書に虚偽記載をしただけでは、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

①平成20年分~平成23年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
②平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
③平成22年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分
④平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の無申告加算税の各賦課決定処分

①②一部取消し ③④棄却 平成27年7月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人が、過少申告の意図に基づき、①得意先に対する売上金額を記載したメモの一部を破棄したこと、②平成18年分の所得税額を試算した際のメモと同様の原処分に係る各年分のメモを破棄したこと、③正確な収入金額等を容易に確認できたにもかかわらず、収支内訳書に根拠のない額を記載したことという一連の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人に過少申告の意図があったことは認められるものの、上記①のメモについては、売上金は全て振り込まれ、しかもその入金のあった預金口座の通帳は保存されていたこと等からすると、請求人は当該メモ書を保存する必要がなくなったから廃棄した可能性が十分に考えられること、上記②のメモについては、そのようなメモを作成していた事実が認められないこと、上記③については、収支内訳書に根拠のない額を記載する行為は過少申告行為そのものであることから、原処分庁が主張する請求人の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動には当たらず、重加算税の賦課要件を充足しない。

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2016年5月23日

事前通知なし調査について争われた事例

①平成22年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
②平成24年分の所得税の更正処分
③平成24年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分
④平20.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
①②一部取消し、③④棄却 平成27年7月21日裁決

<ポイント>
本事例は、質問検査権の行使を行っていなければ、事前通知なく納税者方に赴いても違法にはならないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分に係る調査の担当職員(本件調査担当者)が請求人の自宅兼事業所に臨場(本件臨場)する前に請求人に対し、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定する通知(事前通知)をしなかったことが、原処分を取り消すべき事由に該当する旨主張する。

しかしながら、本件調査担当者は、本件臨場において、事前連絡をしないで請求人の自宅兼事業所を訪れ、請求人であることを確認した上で、身分証明書と質問検査章を提示し、所属と氏名を述べ、税務調査のために来訪した旨を伝えているが、請求人の課税標準等を認定する目的で、請求人に質問し、又はその事業に関する帳簿、書類その他その調査事項に関連性を有する物件の検査をした事実は認められず、質問検査権の行使を行ってはいないから、本件臨場の前に請求人に対し事前通知をしなかったことは、原処分を取り消すべき事由には該当しない。

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2016年5月20日

処分理由の提示が争われた事例

平成22年11月相続開始に係る相続税の更正処分
棄却 平成27年9月28日裁決

<ポイント>
本事例は、処分通知書に記載すべき理由は、行政庁の不服申立ての抑制及び不服申立ての便宜という理由提示の制度趣旨を充足する程度に記載すれば不備はないとしたものである。

<要旨>
請求人は、相続税の更正処分に係る通知書(本件通知書)に記載された処分理由には、課税価格に加算される本件他の相続人らの相続時精算課税適用財産及び歴年課税分の贈与財産(本件贈与財産)の価額のそれぞれの合計額が記載されているものの、その明細が記載されておらず、かかる記載内容では、処分の基礎となる具体的な事実を知りえず、不服申立ての便宜を図った行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》の理由提示の趣旨に反することから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、本件贈与財産の課税価格の合計額への加算に係る提示理由には、本件贈与財産について、それぞれ合計額が記載されているところ、本件贈与財産の合計額が分かれば、課税価格の合計額を算出することができるのであるから、当該記載により、原処分庁が相続税額を算出した過程を示したものといえる上に、そもそも、課税庁は、相続時精算課税適用財産の価額及び暦年課税分の贈与財産の価額を課税価格の合計額に加算するに当たっては、他の共同相続人等から提出された申告書の記載又は同人等に対する更正処分の内容等を基に相続税額の計算をするのであるから、この点に課税庁の恣意が入り込む余地は乏しく、合計額のみの記載であっても、行政庁の恣意抑制という見地から欠けるところはない。
さらに、相続時精算課税適用財産の価額及び暦年課税分の贈与財産の価額については、それぞれの合計額が記載されていれば、納税者は課税価格の合計額を算出することが可能であり、記載された合計額と納税者が認識しているこれらの合計額とを比較して、不服申立ての要否を判断することが可能といえるから、処分の名宛人の不服申立ての便宜という見地からも欠けるところはない。

したがって、本件通知書に記載された処分理由は、理由提示の趣旨目的を充足する程度に処分の理由を具体的に明示したものと認めることができ、行政手続法第14条第1項本文の要求する理由提示として不備はないから、原処分を取り消すべき違法はない。

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2016年5月18日

帳簿を作成していない青色申告事業者に対する更正処分の理由付記の程度について、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当することから、理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に記載すればよいとした事例

①平成17年分、平成19年分、平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
②平成18年分、平成20年分及び平成21年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
③平20.1.1~平20.12.31、平22.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
棄却 平成27年3月30日裁決

<要旨>
請求人は、青色申告者である請求人に対する所得税の更正処分(本件所得税更正処分)に係る通知書(本件更正通知書)には、調査による計数上の記載や処分の結果のみが記載されているだけで、原処分庁の判断根拠が全く記載されておらず、本件更正通知書の理由付記には、本件所得税更正処分を取り消すべき不備がある旨主張する。

しかしながら、請求人は、請求人の事業所得を生ずべき業務について、集計表等を作成するだけで日々の取引を記録する帳簿を作成していないことから、本件所得税更正処分は、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当するところ、原処分庁は、本件更正通知書において、事業所得に係る総収入金額については取引先ごとに取引期間及び年間の売上金額を一覧表で明らかにしており、必要経費については計上漏れとして認定した仕入金額等の支払先及び年間の支払合計金額などを記載していることからすれば、本件更正通知書に記載された理由は、原処分庁の恣意抑制及び納税者の不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的な記載がされていると認められることから、本件所得税更正処分を取り消すべき不備はない。

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2015年10月19日

調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさないと判断した事例

①平成20年分、平成21年分及び平成24年分の所得税に係る重加算税並びに平成19年分の所得税に係る過少申告加算税並びに平21.1.1~平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
②平成18年分~平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の各修正申告並びに平18.1.1~平18.12.31及び平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各期限後申告
①棄却 ②却下 平成27年3月26日裁決

請求人は、原処分に係る調査担当職員(本件調査担当職員)が行った調査につき、①国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定する調査対象期間の説明並びに同法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項及び第3項に規定する調査結果の内容の説明や法的効果の教示がなかったことから調査手続に違法があったこと及び②調査対象期間の説明及び調査結果の内容の説明がなかったため、どのような内容か分からない修正申告書及び期限後申告書(本件各修正申告書等)に署名押印して修正申告及び期限後申告(本件各修正申告等)をしたものであり錯誤があったことから、本件各修正申告等は調査手続の違法または錯誤により無効である旨主張する。

しかしながら、そもそも調査手続の違法は、それのみを理由として修正申告及び期限後申告の有効性に影響を及ぼすものではないと解されるから、たとえ調査手続に違法があったとしてもそのことのみで修正申告及び期限後申告が無効となることはない。
また、本件各修正申告書等には、請求人の署名押印がされていることから、本件各修正申告等が請求人の意思に基づいて行われたとの推定ができるところ、①修正申告書及び期限後申告書は具体的な納税義務を発生させるものであるから、内容を確認しないで署名押印をすることは通常あり得ないこと、②本件調査担当職員は調査期間中に調査対象となる税目と年分を請求人に伝えていると認められるから、請求人は調査対象期間を認識していたこと並びに③本件調査担当職員は請求人に調査結果の内容の説明を行ったと認められるから、請求人は調査結果の内容を知っていたと認められ、これらを総合すると、請求人は、税目、年分を認識した上で本件各修正申告書等に署名押印し提出したと認められるのであって、錯誤があったとは認められず、本件各修正申告等は無効とならない。

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2015年10月15日

事前通知に関し調査の単位を明らかにした事例

平成22年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年11月13日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》の調査は税目と課税期間によって特定される納税義務に係る調査を一の調査とみるべきであることを明らかにしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人に対し、平成24年中に平成21~23年分の所得税の調査(当初調査)を開始しているところ、平成24年分の調査は、当初調査の対象年分に追加したものであるから、平成25年1月1日前から引き続き行われている調査に該当し、経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律の附則第39条《当該職員の質問検査等に関する経過措置》第3項の規定により、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項の適用はない旨主張し、一方、請求人は、平成24年分の調査は、改正国税通則法施行後に開始されたものであり、同法第74条の9第1項の事前通知が必要であったにもかかわらず、調査担当職員は、電話で「平成24年分の調査を行います。」とのみ通知しただけで、その後においても、改正後の国税通則法に則って通知が行われていないことから、平成24年分の調査は必要な手続要件を満たしておらず、違法である旨主張する。

しかしながら、調査は、納税義務者について税目と課税期間によって特定される納税義務に関してなされるものであるから、当該納税義務に係る調査を一の調査とみるべきであり、請求人に対する平成24年分の調査は、独立した一の調査となり、平成25年1月1日前から引き続き行われている調査には該当せず、国税通則法第74条の9第1項の適用があると認められる。
一方、調査担当職員は、調査の対象税目及び調査の対象期間に加えて、調査の開始時期、調査の場所、調査の目的及び調査の対象となる帳簿書類を請求人に対し通知していると認められ、請求人に対して平成24年分の所得税の調査を行う旨の通知しか行われていないとはいえない。

そうすると、平成24年分の調査の事前通知については、国税通則法第74条の9第1項の適用があるところ、調査担当職員は、同条同項の規定に沿った事前通知を行っており、調査手続に違法とすべき点はない。

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2015年7月28日

滞納法人の破産管財人から債権譲渡の否認を求める訴訟が提起されたことは、国税通則法第77条第3項の「やむを得ない理由」には当たらないとした事例

譲渡担保権者の物的納税責任に関する各告知処分及び債権の各差押処分
却下 平成26年10月22日裁決

<要旨>
国税通則法第77条《不服申立期間》第1項は、不服申立ては、処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して2月以内にしなければならない旨規定するところ、請求人の審査請求は、同項所定の不服申立期間が経過した後に行われたものであり、また、請求人の主張する、訴訟中であることは同条第3項の「やむを得ない理由があるとき」に、徴収担当職員の「全て終了した時点で連絡してもらえば結構です。」との発言は同条第6項の「誤って法定の期間より長い期間を不服申立期間として教示した場合」にそれぞれ当たらないことから、請求人の審査請求は、法定の不服申立期間を経過した後に行われた不適法なものである。

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2015年7月23日

輸入貨物に係る消費税及び地方消費税の申告につき、意図的に過少申告することを認識した上で、正規の価格を示す書類を隠匿したものとは認められないと認定した事例

輸入申告に係る消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
全部取消し 平成26年10月9日裁決

<ポイント>
本事例は、貨物の輸出者から送付されたインボイスに記載された貨物の価格が本来の価格に比し著しく低い金額であったため、輸入貨物に係る消費税等の申告が過少申告になったのであるが、かかる過少申告に事実の隠ぺいは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、機械部品(本件貨物)の輸入に際し、本件貨物の課税価格が輸出者から受領した各書類(本件各書類)に記載された金額であることを認識し、また、本件貨物に係るインボイス(本件インボイス)に記載された金額が現実に支払う金額より著しく過少であり、本件インボイスが課税価格の決定のための資料として不十分であることを認識していたにもかかわらず、本件貨物の輸入申告手続を依頼した通関業者(本件通関業者)に対して本件インボイスのみを送付し、あえて本件各書類を送付しなかったことは書類の隠匿に該当し、さらに、請求人にはこのことが事実を隠ぺいする行為であるとの認識があったのであるから、事実の隠ぺいがあったと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人が本件インボイスを本件貨物の輸入申告手続に必要な書類と判断し、本件インボイスのみを本件通関業者に送付したとしても不自然な行動であったとは認められず、また、請求人が本件通関業者が作成する本件貨物の輸入に係る申告書の記載内容を意識した上で本件インボイスのみを送付したとまでは認められない。
さらに、請求人が、本件の調査担当者に対し、本件インボイスのみならず、本件貨物の課税価格が記載された本件各書類も提示していたことを併せ考慮すると、請求人が本件通関業者に対し本件各書類を送付せず、本件インボイスのみを送付したことをもって、事実の隠ぺいがあったとは認められない。

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2015年7月21日

役務の提供等の完了前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行った行為は、事実を仮装したものと認めた事例

①平23.2.1~平24.1.31の事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
②4平23.2.1~平24.1.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
①棄却 ②一部取消し 平成26年10月28日裁決

<要旨>
請求人は、翌期の経費として計上すべき修繕工事等の費用及び備品等の購入費用を当期の経費として計上したことについて、単なる経理処理の誤りで、修繕工事等の一部は事業年度末までに役務の提供が完了しており、また、修繕工事等の費用及び備品等の購入費用が翌事業年度に支払われていることなどからすると、帳簿書類の虚偽記載等には該当しないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実を仮装したものではない旨主張する。

しかしながら、事業年度末までに役務の提供が完了していないにもかかわらず、修繕工事等の役務の提供や備品等の引渡しの完了より前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行うことにより故意に事実をわい曲した請求人の行為は、事実を仮装したものと認められる。
なお、修繕工事等の一部は事業年度末までに役務が完了していることから、当該完了部分については、事実を仮装したものとは認められない。

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2015年7月15日

被相続人の妻が被相続人の財産内容を開示しなかった等の事情は、相続人間の主観的事情にすぎないから、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」があるとは認められないと認定した事例

平成20年3月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
一部取消し 平成26年11月7日裁決

<要旨>
請求人は、亡弟(本件被相続人)の相続(本件相続)に係る亡父の相続税の納付義務を承継しているところ、1亡父は、本件被相続人の相続財産の全てを管理していた本件被相続人の妻に対して、相続税法第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》第1項各号に規定する財産(みなし相続財産)を含む相続財産の全容を把握するための明細の提示を依頼したが応じてもらえず、また、2本件被相続人の妻が申し立てた遺産分割調停に係る遺産目録等にはみなし相続財産が記載されていなかったが、記載された財産等に基づいて本件相続に係る相続税の課税価格を計算すると課税価格は基礎控除額を下回ることとなったことから、亡父が相続税の期限内申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が主張する上記1の事情は、相続人相互の人間関係に基因する事情であり、また、上記2の事情は、相続人相互の人間関係によりみなし相続財産の確認ができなかったが、亡父がみなし相続財産を課税価格に加えないことを自己判断して課税価格を計算した結果、課税価格が基礎控除額以下になったというものであるから、相続人相互の人間関係を前提とした亡父の自己判断に係る事情といえる。

そうすると、請求人が主張する事情は、亡父を含む相続人間の主観的事情にすぎず、亡父が相続税の期限内申告書を提出しなかったことについて、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があったということはできないから、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人の妻が被相続人の財産内容を開示しなかった等の事情は、相続人間の主観的事情にすぎないから、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」があるとは認められないと認定した事例

2015年7月13日

請求人が主張していない行政手続法第14条に基づく理由の提示につき、審判所の調査の結果、理由の提示に不備があったと認定した事例

①平18.9.1~平19.8.31までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
②平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31、平23.9.1~平24.8.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
③平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分
④平18.9.1~平19.8.31、平20.9.1~平21.8.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平22.9.1~平23.8.31の事業年度の法人税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
⑤平18.9.1~平19.8.31、平20.9.1~平21.8.31、平23.9.1~平24.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分、平22.9.1~平23.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
①④⑤棄却 ②③一部取消し 平成26年12月10日裁決

<要旨>
原処分庁は、所得の金額の計算上、法人税の確定申告書において損金の額に算入していた青色欠損金額(当期控除額)を加算されることが更正通知書(本件通知書)に示されていないことについて、当期控除額を加算する理由(本件理由)は、青色申告の承認の取消処分に伴うものであり、法文の規定上明らかであることから、請求人においても容易に認識でき、理由の提示不備の違法はない旨主張する。

しかしながら、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解されることから、更正処分をする際は、当該更正通知書自体に法の要求する程度にその理由を示す必要がある。

よって、本件通知書は、本件理由の提示がなく、本件通知書自体から当期控除額を所得金額に加算する旨を特定し得る程度の理由を示していないことは明らかであるから、本件理由の提示不備の違法があると判断するのが相当である。
なお、本件通知書は、本件理由の提示のないことが更正処分全体の理由の提示を不備なものとする程度に至るとは認められず、また、他に更正処分に係る理由の提示に不備があるとも認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が主張していない行政手続法第14条に基づく理由の提示につき、審判所の調査の結果、理由の提示に不備があったと認定した事例

2015年7月10日

国税通則法改正に伴うe-Taxを利用した税務代理権限証書の提出

平成27年3月31日に公布された国税通則法の改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」により、税務代理権限証書の様式が改訂される。e-Taxソフトでは、6月15日から順次、新様式の税務代理権限証書(平成27年7月1日以後適用分)の提供が開始されるので、下記のとおり対応のこと。
なお、e-Taxソフト以外の電子申告ソフト等を使用している場合は、各ソフトウェア会社に確認のこと。

1.平成27年6月15日~30日
6月30日までは現行様式の税務代理権限証書を提出する必要がある。
e-Taxソフトでは、税務代理権限証書の提出は、申告書の添付書類として提出する方法と、申請・届出の手続として個別に提出する方法がある。
6月15日以降、下記手続では、申告書に添付書類として選択できる税務代理権限証書が新様式のみとなる。
したがって、6月15日~30日の間は、申告書の添付書類として新様式の税務代理権限証書は選択せずに、「申請・届出」手続の中にある現行様式の税務代理権限証書を選択し、個別に提出すること。

区分 手続
個人申請 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請
法人申告 法人税(単体申告)、復興特別法人税(単体申告)、消費税(一般・法人)(簡易・法人)(中間・法人)

なお、「申請・届出」手続の中の個別提出による税務代理権限証書は、6月15日以降、現行様式と新様式が選択可能になる。

2.平成27年7月1日以降
7月1日以降は、新様式の税務代理権限証書を提出する必要があるが、各手続において添付書類として新様式の税務代理権限証書を選択できるようになる時期が異なる。
下記サービス開始予定日までは、「申請・届出」手続の中にある新様式の税務代理権限証書を選択して個別に提出すること。

サービス

開始予定日
区分 手続
平成27年9月 申請 税理士法関係申請
個人申告 消費税(一般・個人)(簡易・個人)
法人申告 法人税(連結申告)、法人税(個別帰属額届出書)、復興特別法人税(連結申告)
平成28年1月 申請 納税証明書の交付請求、納税の猶予の申請(H26はH27.3サービス開始)、審査請求事務手続き(H26はH26.9サービス開始)
個人申告 所得税及び復興特別所得税申告、贈与税申告(暦年課税)(相続時精算課税)、消費税(中間・個人)
個人申請 申告所得税事務手続、法定資料事務手続、資産税事務手続、異議申立事務手続
法人申告 酒税納税申告(H26はH26.9サービス開始)、印紙税納税申告(H26はH26.9サービス開始)
法人申請 法人税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、源泉所得税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、酒税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、諸税事務手続(H26はH27.3サービス開始)


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 国税通則法改正に伴うe-Taxを利用した税務代理権限証書の提出

2015年6月25日

原処分庁が請求人の所得区分及び必要経費を否認して更正処分をした事案について、必要経費性を否認する支出を特定していない理由の提示に不備があると判断した事例

平成21年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、支出の必要経費性を否認して更正処分をする場合、更正通知書に記載する理由には、否認する支出を特定して記載しなければならないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、更正通知書に記載された処分の理由は行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文の法の趣旨が求める程度に記載されていると認められるからその記載に不備はない旨主張する。

しかしながら、更正通知書に記載された必要経費該当性の判断に係る理由のうち旅費交通費及び新聞図書費の一部の費用が必要経費に該当しない旨の理由の記載については、当該必要経費として認められない費用がどの費用(あるいは費用の一部)であるかが特定されておらず、当該費用の内容すら理解できないものであって、要件該当性をおよそ判断できないものであり、摘示された事実からは更正の理由を検証し、その適否について検討することはできない。

そうすると、上記記載が行政手続法第14条第1項の法の趣旨目的を充足する程度に具体的に根拠を明示したとは評価できないから、これらの理由の記載には不備がある。

★リンクはこちら⇒ 原処分庁が請求人の所得区分及び必要経費を否認して更正処分をした事案について、必要経費性を否認する支出を特定していない理由の提示に不備があると判断した事例

2015年5月25日

異議審理手続において異議審理庁が原処分の理由を追加した事案で、原処分庁の手続に違法、不当がないとした事例

平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年8月1日裁決

<要旨>
請求人は、異議申立てに係る審理は、争点主義を採用し、納税者が違法であると主張している争点についてだけ審理・判断を行うべきであるのに、異議審理庁が異議決定において、新たに、原処分では争いがなかった請求人の不動産所得の金額を算定し、総所得金額が原処分を上回るから原処分は適法であるとして棄却したことは、原処分を取り消すべき不当な事由に当たると主張する。

しかしながら、審査請求の対象は原処分であり、裁決は、原処分が違法又は不当であるときにこれを取り消すものであるところ、異議申立ての審理・判断に仮に瑕疵があったとしても、それは原処分に対する不服申立手続において生じた原処分後の事情であって、そのことによって原処分それ自体が違法又は不当となることはないから、原処分を取り消す理由とはなり得ない。
なお、原処分は、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》に規定する理由の提示に欠けるところはなく、また、原処分庁が原処分の理由と異なる理由を審査請求で主張することにつき、これを制限する法令はなく、審判所がこれを審理することは、当事者の主張(争点)を審理の対象とするものであるから、争点主義的運営にも反するものではない。

★リンクはこちら⇒ 異議審理手続において異議審理庁が原処分の理由を追加した事案で、原処分庁の手続に違法、不当がないとした事例

2015年5月21日

原処分庁が、請求人自身の面接を経ずに無申告加算税の賦課決定処分をした事案について、国税通則法第66条第5項の「調査」は、机上調査も含む広い概念であることを明らかにした事例

平成24年分の贈与税に係る無申告加算税の賦課決定処分
棄却 平成26年7月28日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について…決定があるべきことを予知してされたものでないとき」の「調査」の意義について明らかにしたものである。

<要旨>
請求人は、国税通則法(通則法)第66条《無申告加算税》第5項に規定する「調査」とは、外部から認識することができる面接調査、すなわち質問検査権の行使をすることであり、部内資料の収集のような手続は「調査」には当たらない旨、また、この点をおくとしても、原処分庁の担当職員(本件担当者)は、請求人の代わりに税務署を訪れた税理士(本件税理士)に税務代理権限証書を提出させていないので、面接時には、本件税理士が請求人に代理して本件担当者の質問調査権の行使を受けたことにならないから、請求人に対する「調査」があったとは認められない旨主張する。

しかしながら、通則法第66条第5項に規定する「調査」とは、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味し、課税庁の証拠書類の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を経て決定に至るまでの思考、判断を含む包括的な概念であり、税務調査全般を指すものと解されるところ、①原処分庁の職員は、署内資料の検討等により、請求人の贈与税の申告が必要であると見込まれると判断していること、②本件担当者は、請求人の贈与税の申告について、本件税理士に面談し、資料の交付や説明をしていることなどが認められるから、これら一連の行為は、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程であると認められる。
また、面接時には、本件税理士が請求人に代理して本件担当者の質問調査権の行使を受けたことにならないという点については、請求人の本件税理士への連絡、本件税理士と本件担当者の面接の状況等からすると、少なくとも、本件税理士が、請求人に係る贈与税の申告の要否についての税務署での面接において、請求人に代理又は代行して応答し、面接の内容を請求人に報告するという内容の委任契約が成立していたものと認められる。

以上のことから、本件においては、通則法第66条第5項に規定する「調査」があったと認められる。

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2015年5月19日

新賃借人が旧賃借人の敷金を承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情がある場合、敷金返還請求権は新賃借人に承継され、新賃借人が目的物を明け渡した時に、新賃借人に対する被担保債権を控除した残額について発生するところ、原処分庁は敷金返還請求権の取立てを完了していることから、差押処分は消滅しているとした事例

各敷金返還請求権の各差押処分
却下 平成26年4月23日採決

<要旨>
原処分庁が行った各敷金返還請求権(本件各敷金返還請求権)の各差押処分(本件各差押処分)について、本件各敷金返還請求権は、旧賃借人である滞納法人から新賃借人である請求人に承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情があることから、滞納法人から請求人に承継され、請求人が目的物を明け渡した時に、請求人の被担保債権を控除した残額につき発生するものである。
そして、本件各敷金返還請求権は、既に原処分庁が取立てを完了していることが認められ、本件各差押処分はその目的を完了して消滅している。
ところで、行政処分の取消しを求めるについて、その取消しを求める処分の効力が現に存在していることが必要であるところ、本件各差押処分は上述のとおりその目的を完了して消滅している。

したがって、請求人には、本件各差押処分の取消しを求める法律上の利益はなく、本件各差押処分に対する審査請求は、請求の利益を欠く不適法なものである。

★リンクはこちら⇒ 新賃借人が旧賃借人の敷金を承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情がある場合、敷金返還請求権は新賃借人に承継され、新賃借人が目的物を明け渡した時に、新賃借人に対する被担保債権を控除した残額について発生するところ、原処分庁は敷金返還請求権の取立てを完了していることから、差押処分は消滅しているとした事例

2015年3月27日

請求人が、法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

平成23年4月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
一部取消し 平成26年4月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人は相続財産を過少に記載したお尋ね書の回答を提出しているものの、そのことのみをもって、「相続財産について申告をしない意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と評価することはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、基礎控除額を超える相続財産の存在を認識しながら、「相続についてのお尋ね」(お尋ね書)に一部の財産のみを記載し、遺産総額が基礎控除額以下であるから、申告は不要と思っているとして、お尋ね書を原処分庁に対して提出したことは、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」又は「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と認められる旨主張する。

しかしながら、お尋ね書の提出は、相続税の申告をすべきことを知りながらこれをしなかったこと(認識ある無申告)と同等の行為と評価することができ、無申告行為そのものとは別に、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」をしたものと認めることはできない。
また、お尋ね書は、課税庁が、申告の要否を確認する趣旨で、納税者に対して提出を求める書面であるところ、お尋ね書には金額の記載のないものを含めれば、基礎控除額を超える相続財産の記載があり、原処分庁として、請求人が申告義務を有することを十分に予想することができたものといえるから、お尋ね書を提出したことをもって、「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が、法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

2015年3月26日

被相続人の遺産を構成しないことを確認する和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決等に当たるとした事例

平成21年11月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
全部取消し 平成26年5月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当事者となっている訴訟に関して成立した裁判上の和解が、いわゆる「馴れ合い訴訟」の結果であるとはいえないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、受遺者である請求人が被相続人から遺贈により取得したとして相続税の修正申告に計上した各土地(本件各土地)について、請求人、R社及び相続人の間で成立した、平成13年頃に被相続人からR社に譲渡されたもので被相続人の遺産を構成しない旨を確認した裁判上の和解(本件和解)は、当事者が租税回避目的等から馴れ合いと評価されるような和解をしたにすぎず、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当しない旨主張する。
しかしながら、①本件各土地の一部には請求人の兄名義の居宅が存在すること、②平成13年にR社を権利者とする所有権移転請求権仮登記がされていること、③売買代金に相当する金員が貸付金名目でR社等から被相続人に交付されていることからすれば、本件各土地が、被相続人の遺産を構成しないことを確認した本件和解の内容について、証拠等からうかがわれる客観的事実関係に明らかに反していると認めるに足らない。
そうすると、本件和解は、相続開始時に所有権の帰属に関して当事者間に争いのあった本件各土地について、平成13年頃に被相続人からR社に対して譲渡されていたことが相応の根拠をもって認められ、実質的にみても客観的、合理的根拠を欠くということはできない。

したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当するというべきである。

★リンクはこちら⇒ 被相続人の遺産を構成しないことを確認する和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決等に当たるとした事例

2015年3月25日

振替納税の留意点

振替納税については、以下の点に留意すること。

  • 贈与税については、振替納税の制度がないので、インターネット等を利用して電子納税するか、現金で納付すること。
  • 転居等により所轄税務署が変わった場合や既に振替納税で指定している金融機関や口座を変更する場合には、新たに振替納税(変更)の手続が必要となる。
  • インターネット専用銀行等の一部金融機関及びインターネット支店等の一部店舗では振替納税が利用できないので、利用の可否については取引先の金融機関に確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 税金の納付

2015年3月5日

振替納税の手続き

<概要>
申告所得税及び復興特別所得税消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税を利用する場合の手続である。
申告所得税及び復興特別所得税の場合は、期限内に申告された確定申告(3期)分及び延納分並びに予定納税(1期、2期)分が振替納税の対象となる。
消費税及び地方消費税の場合は、期限内に申告された確定申告分及び中間申告分が振替納税の対象となる。

<手続対象者>
個人の方で申告所得税及び復興特別所得税または(並びに)消費税及び地方消費税を預貯金口座から自動振替により納付したい方
振替納税を利用している方のうち転居等により申告書の提出先税務署が変わった方

<提出時期>
振替納税したい申告所得税及び復興特別所得税消費税及び地方消費税の納付の期限まで

<提出方法>
預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を作成のうえ、提出先に持参または送付のこと。
(注)
インターネット専用銀行等の一部金融機関、及びインターネット支店等の一部店舗では振替納税が利用 できないので、利用の可否については取引先の金融機関に確認すること。

<部数>
預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を1部提出

★リンクはこちら⇒ 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続

2015年3月4日

偽りその他不正の行為が認められないとして処分を取り消した事例

平成17年分~平成23年分の所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平18.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・全部取消し
平成26年1月17日裁決

<要旨>
原処分庁は、平成17年分の売上金額の一部を隠ぺい又は仮装行為に基づく申告漏れと認定しているが、当該隠ぺい又は仮装行為に基づく申告漏れに対応する所得金額は異議決定により算出されないとしたから、それに対応する所得税額は存在しない。

そうすると、平成17年分の所得税の修正申告により納付すべき税額は、平成17年分の売上金額の残部(上記売上金額の一部以外の部分)の申告漏れに係るものであると認められる。

ところで、国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項は、納税者が「偽りその他不正の行為」により国税を免れた場合の加算税の賦課決定の除斥期間を7年と規定しているところ、当審判所が上記申告漏れの態様を調査した結果によれば、平成17年分の売上金額の残部が申告漏れとなったことについて、請求人が自らに帰属しないような外形を作出したとか、本件調査において、請求人が真実の所得を秘匿するため、虚偽の資料を作成し又は領収証の控えつづりを秘匿するなどして、これらの申告漏れが発覚し難い状況を作出したとかの事実を認めることはできず、請求人が平成17年分の所得税の賦課徴収を不能又は困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正な行為を行ったとはいえないから、平成17年分の売上金額の残部の申告漏れに係る行為は、国税通則法第70条第4項に規定する「偽りその他不正の行為」には該当しないというべきである。

★リンクはこちら⇒ 偽りその他不正の行為が認められないとして処分を取り消した事例

2014年12月16日

従業員からの預り金及び当該預り金を返還しないこととした事実が帳簿書類に記載されていないことにつき仮装隠ぺいの事実は認められないとした事例

平16.11.1~平23.10.31の各事業年度の法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・全部取消し
平成26年2月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が従業員からの預り金を返還しないこととしたことについて、そもそも請求人は収益に計上すべきとの認識を有していなかったと認められるとし、これを故意に帳簿書類に計上しなかったとか、預り金を返還しないこととなった事実を隠ぺいしたなどの証拠は認められず、当該収益(雑収入)の計上漏れは単なる過少申告に該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、従業員からの預り金(その1)及び預り金(その2)を当該従業員に対し返金しないこととしたという雑収入発生の事実を帳簿書類に記載せず、また、雑収入発生の事実を裏付ける資料(本件資料)を関与税理士に提示せずに請求人代表者の机の引出し内に管理していた行為は、国税通則法第68条《重加算税》が規定する「隠ぺい又は仮装」の行為に該当する旨主張する。
しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、預り金(その1)に関しては、請求人に雑収入発生の事実を認めることができない以上、請求人に「隠ぺい又は仮装」の行為を認めることはできず、また、預り金(その2)に関しては、請求人に雑収入発生の事実を認めることができるところ、当該事実を帳簿書類に記載していないものの、本件資料が請求人代表者の机の引出し内に管理されていた事実のみをもって、請求人が雑収入発生の事実を「隠ぺい」したとは認めることはできないし、その他請求人が雑収入計上漏れの事実を故意に帳簿書類に記録せずに「隠ぺい」したと見受けられる証拠はなく、そもそも、請求人は収益が実現したとの認識を有していなかったと認められるから、請求人に「隠ぺい又は仮装」の行為を認めることはできない。

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2014年12月10日

税務代理をお願いしている税理士はいないが、日頃、記帳事務を手伝ってもらっている方(記帳補助者)がいる。

その方に調査の現場に立ち会ってもらうことはできるか?

調査に立ち会って、税務当局に対して納税者の方の代わりに調査につき主張・陳述を行うことは税務代理行為に当たるため、原則として、税務代理人しか行うことはできない。
また、単に調査に立ち会うだけであっても、第三者が同席している状態で調査を行うことで調査担当者に課せられている守秘義務に抵触する可能性がある場合には、税務代理人以外の第三者の立会いはお断りしている。
ただし、その方が、日頃、納税者の方の記帳事務等を担当しているような場合には、調査を円滑に進めるために、調査担当者が必要と認めた範囲で調査に同席いただくことはある。

2014年12月2日

調査の過程で、事前通知を受けた税目・課税期間以外にも調査が及ぶこととなった場合には、調査の対象を拡大する旨や理由は説明してもらえるのか?

また、調査の対象が拡大することに対して納得できない場合には、不服を申し立てられるか?

実地の調査を行う過程で、把握された非違と同様の誤りが事前通知をした調査対象期間より以前にも発生していることが疑われる場合のように、事前通知した事項以外の事項について非違が疑われた場合には、事前通知した事項以外の事項について調査を行うことがある。
この場合には、納税者に対し、調査対象に追加する税目、課税期間等について説明し理解と協力を得た上で行うが、当初の調査の場合と同様、追加する理由については説明することはない。
また、調査を行うこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たらないので、仮に事前通知事項以外の事項を調査することの必要性について納得できない場合でも、不服申立てを行うことはできない。

2014年11月26日

「記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、その記帳・帳簿等の保存状況に応じて理由を記載する」(平成23年度税制改正大綱)とあるが、どのように記載されるのか?

理由の記載に当たっては、記帳や帳簿等の保存が十分な事業所得者等の場合には、帳簿等と対比して、具体的な取引内容を明らかにして、根拠を示すことになる一方で、記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、例えば、勘定科目ごとに申告漏れ総額を根拠とともに示すなど、平成23年度税制改正大綱の趣旨等を踏まえ、記帳や帳簿等の保存の程度に応じて、納税者がその記載内容から了知し得る程度に理由附記することとしている。

2014年11月26日

国税通則法の改正により処分の理由附記の対象が拡大されたとのことだが、具体的にはこれまでとどのような違いがあるのか?

これまで処分の理由附記は、所得税及び法人税の青色申告者に対する更正処分など一定の処分が対象とされていたが、今般の国税通則法の改正により、理由附記の対象が、国税に関する法律に基づく申請に対する拒否処分または不利益処分全体に拡大された。
したがって、今後は、例えば、白色申告者等に対する更正処分を行う場合(推計による更正の場合を含む。)にも、理由が附記されることになる。
また、加算税の賦課決定については、従来は青色申告者に対する場合でも理由附記の対象とはなっていなかったが、今後は白色申告者等に対する場合を含め理由が附記されることとなる。

なお、この理由附記の対象が拡大される時期は、原則として、平成25年1月1日以後に行われる更正処分や加算税の賦課決定処分から対象となるが、個人の白色申告者等に対しては経過措置があり、個人の白色申告者等のうち、①平成20年から25年までのいずれかの年において記帳義務・記録保存義務があった方等は平成25年1月から、②それ以外の方は平成26年1月から、理由附記を実施することとされている。

(参考)
平成23年度税制改正大綱においては、個人の白色申告者等に対する更正等に係る理由附記について、「平成25年1月以後、現行の白色申告者に係る記帳義務・記録保存義務の水準と同程度の記帳・記録保存を行っている者については、運用上、平成25年1月以後、理由附記を実施するよう努めることとします。」とされているところである。
この「運用上の対応」として、平成20年から25年までのいずれかの年において記帳義務・記録保存義務があった方に加えて、平成25年1月1日以後の現況により、現行の記帳義務・記録保存義務の内容を充足していると認められる方に対する更正等に係る理由附記については、平成25年1月から実施することとしている。

2014年11月21日

過去に調査対象となった税目・課税期間について再調査が行われる場合、なぜ再調査が行われるのかについて説明してもらえるのか?

過去に調査を行った税目・課税期間であっても、例えば、取引先の税務調査により非違につながる情報を把握した場合には、再度、同じ税目・課税期間について調査を行うことがある。

このような場合には、再調査することにつき原則として事前通知を行うが、当初の調査の場合と同様、再調査を行う理由については説明することはない。

2014年11月19日

実地の調査が終了し、「更正決定等をすべきと認められない」旨を通知する書面を受け取ったが、今後は調査を受けることはないのか?

ある税目・課税期間について調査を行った場合には、調査の結果、更正決定等をすべきと認められなかったか否かにかかわらず、原則として、その税目・課税期間について再度の調査を実施することはない。

ただし、例えば、調査終了後に行われた取引先の税務調査で、当初の調査の際には把握されていなかった非違があることが明らかになった場合のように、法令上定められている「新たに得られた情報に照らして非違があると認めるとき」との要件に該当する場合は、既に調査の対象となった税目・課税期間であっても再調査を実施することがある。

2014年11月17日

税務代理をお願いしている税理士がいるので、調査結果の内容の説明等はその税理士に対して行ってほしいのだが、何か手続は必要か?

調査結果の内容の説明等は、納税者に税務代理人がいる場合でも、原則として、納税者の方に対して行うが、納税者の同意があれば、税務代理人に対してのみ説明等を行うこともある。
したがって、税務代理人のみへの説明等を希望する場合には、調査担当者に対し、電話または対面によりその旨を伝えるか、税務代理人を通じて税務代理人への説明を同意する書面を提出することが必要になる。

なお、納税者に調査結果の内容の説明を行う場合でも、税務代理人の同席のもとに調査結果の内容の説明を行うことや、別途、税務代理人にも調査結果の内容の説明を行うことも可能である。

2014年11月13日

調査が終了し、修正申告の勧奨を受けた際に、修正申告をすると不服の申立てはできないが、更正の請求をすることはできる旨の説明を受けた。これはどういう意味か?

不服申立ては、税務当局が行った更正等の処分の課税標準等または税額等が過大であると納税者が考える場合に、税務当局に対し処分の取消しなどを求めるための手段である。
一方、更正の請求は、納税者が行った申告の課税標準等または税額等が過大であったと納税者が考える場合に、当局に対し、申告した課税標準等または税額等を減額する更正を行うことを求めるための手段である。
例えば、いったんは調査結果の内容説明に納得して修正申告を行ったものの、その後にその修正申告に誤りがあると考えられる場合、その修正申告は税務当局の処分によるものではないので、不服申立てという手段はとれないが、一定期間内であれば、更正の請求という手段をとることはできる。

なお、更正の請求に際しては、例えば、正しいと考える税額や更正の請求をする理由など法令で定められた事項を「更正の請求書」に記載するとともに、請求の理由の基礎となる「事実を証明する書類」を併せて提出する必要があるので、留意すること。

2014年11月11日

調査結果の内容説明を受けた後、調査担当者から修正申告を行うよう勧奨されたが、勧奨には応じなければいけないか? 

また、勧奨に応じないために不利な取扱いを受けることはないか?

調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、その内容を説明する際に、原則として、修正申告(または期限後申告)を勧奨することとしている。
これは、申告に問題がある場合には、納税者の方が自ら是正することが今後の適正申告に資することとなり、申告納税制度の趣旨に適うものと考えられるためである。

この修正申告の勧奨に応じるかどうかは、あくまでも納税者の方の任意の判断であり、修正申告の勧奨に応じない場合には、調査結果に基づき更正等の処分を行うこととなるが、修正申告の勧奨に応じなかったからといって、修正申告に応じた場合と比較して不利な取扱いを受けることは基本的にはない。

なお、修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできるが、不服申立てをすることはできないので、こうした点を理解した上で修正申告を行うこと。

2014年11月6日

更正決定等をすべきと認める場合は調査結果の内容が説明されることとなっているが、その内容を記載した書面をもらうことはできるのか?

調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、納税者に対し、更正決定等をすべきと認める額やその理由など非違の内容を説明しする。
法令上は説明の方法は明示されておらず、説明は原則として口頭で行うが、必要に応じて、非違の項目や金額を整理した資料など参考となるものを示すなどして、納税者に正しく理解してもらえるよう十分な説明を行うとともに、納税者から質問等があった場合には分かりやすい説明に努める。

なお、調査が電話等によるもので、非違の内容が書面での説明でも十分に理解できるような簡易なものである場合には、納税者にその内容を記載した書面を送付することにより調査結果の内容説明を行うこともあるが、納税者からの要望に応じて調査結果の内容を記載した書面を交付することはない。

2014年11月4日

取引先等に対する調査を実地の調査として行う場合には、事前通知は行われないのか?

税務当局では、取引先など納税者以外に対する調査を実施しなければ納税者の申告内容に関する正確な事実の把握が困難と認められる場合には、その取引先等に対しいわゆる反面調査を実施することがある。
いわゆる反面調査の場合には、事前通知に関する法令上の規定はないが、運用上、原則として、あらかじめその対象者へ連絡を行うこととしている。

(注)
一部の間接諸税については、納税者以外に対する調査の場合でも、原則として事前通知を行うことが法令上規定されている。

2014年10月31日

実地の調査以外の調査が行われる場合には、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的等についての説明は受けられないのか?

税務当局では、実地の調査以外にも、税務署に来てもらい申告内容を確認するなどの方法で調査を行う場合がある。
このような実地の調査以外の調査を行う場合は、法令上は事前通知は求められていないが、運用上の対応として、来署等を依頼するための連絡の際などに、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的等を説明することとしている。

2014年10月29日

事前通知なしに実地の調査が行われた場合、事前通知が行われなかった理由の説明はあるか?

また、事前通知をしないことに納得できない場合には不服を申し立てられるか?

法令上、事前通知を行わないこととした理由を説明することとはされていない。
ただし、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしている。
また、事前通知をしないこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たらないので、事前通知が行われなかったことについて納得できない場合でも、不服申立てを行うことはできない。

2014年10月27日

実地の調査が行われる場合には必ず事前通知がなされるのか?

実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる納税者に対して、調査開始前に相当の時間的余裕を置いて電話等により実地の調査を行う旨、調査を開始する日時・場所や調査の対象となる税目・課税期間、調査の目的などを通知する。
ただし、法令の規定に従い、申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、①違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にするおそれ、または、②その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともある。

なお、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしている。

2014年10月24日

事前通知の際には調査に要する時間や日数、臨場する調査担当者の人数は教えてもらえるのか?

調査に要する時間や日数は調査開始後の状況により異なるので、事前通知の時点であらかじめ知らせることは困難であることを理解願いたい。

なお、調査の臨場が複数回に及ぶこととなる場合には、調査開始後に納税者の都合を尋ねたところで、次回以降の臨場日などを調整する。

また、調査開始日時に複数の調査担当者が臨場する場合は、事前通知に際し、調査担当者を代表する者の氏名・所属官署に加え、臨場予定人数も併せて連絡することとしている。

2014年10月14日

事前通知の際にはなぜ実地の調査が必要なのかについても説明してもらえるのか?

法令上、調査の目的(例えば、提出された申告書の記載内容を確認するため)については事前通知すべきこととされているが、実地の調査を行う理由については、法令上事前通知すべき事項とはされていないので、これを説明することはない。

2014年10月10日

事前通知を受けた調査開始日時についてはどのような場合に変更してもらえるのか?

税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者や税務代理人の都合を尋ねることとしているので、その時点で都合が悪い日時が分かっている場合には、申し出れば良い。
申し出のあった都合や申告業務、決算業務等の納税者や税務代理人の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしている。
また、事前通知後においても、通知した日時について、例えば、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出れば変更を協議する。

なお、例示した場合以外でも、理由が合理的と考えられれば変更を協議するので、調査担当者まで申し出ること。

2014年10月8日

税務代理をお願いしている税理士がいるので、事前通知についてはその税理士に行うようお願いしたいのだが、何か手続が必要なのか?

平成26年7月1日以後に行う事前通知については、納税者の事前の同意がある場合には、税務代理権限証書を提出している税理士等(以下「税務代理人」という。)に行えば足りることとされた。
この場合には、税務代理人が税務署に提出する税務代理権限証書に、納税者の同意を記載しておく必要がある。
詳細については、ご自身の税務代理人に尋ねること。

なお、この同意が記載されていない場合には、納税者と税務代理人の双方に事前通知を行うこととなる。

2014年10月6日

事前通知は、調査の何日くらい前に行われるのか?

実地の調査を行う場合の事前通知の時期については、法令に特段の規定はなく、また、個々のケースによって事情も異なるので、何日程度前に通知するかを一律に示すことは困難だが、調査開始日までに納税者が調査を受ける準備等をできるよう、調査までに相当の時間的余裕を置いて行うこととしている。

2014年10月3日

希望すれば、事前通知を書面で行ってもらうことはできるか?

実地の調査の事前通知の方法は法令上は規定されておらず、原則として電話により口頭で行うこととしている。
また、通知の際には、通知事項が正確に納税者に伝わるように丁寧に行うこととしている。

なお、電話による事前通知が困難と認められる場合は、税務当局の判断で書面によって事前通知を行う場合もあるが、納税者からの要望に応じて事前通知内容を記載した書面を交付することはない。

税理士としては、なぜ書面を交付しないのか違和感を感じるところである。

2014年10月1日

留置き(預かり)に応じた場合でも、申し出れば直ちに返還してもらえるか? 

また、返還を求めたにもかかわらず返還されない場合、不服を申し立てられるか?

法令上、留め置いた帳簿書類等については、留め置く必要がなくなったときは遅滞なく返還すべきこととされている。
また、帳簿書類等の提出をされた方から、お預かりしている帳簿書類等を業務で使用する必要がある等の理由で返還を求められた場合には、特段の支障がない限り速やかに返還するが、例えば、留め置いた書類が大量にあり、そのコピーに時間がかかる場合のように、直ちに返還すると調査の適正な遂行に支障がある場合には、しばらく返還をお待ちいただくこともある。

なお、返還をお待ちいただく場合には、引き続き留置きをさせていただく旨とその理由を説明するが、これに納得できないときは、留置き(預かり)を行っている職員が税務署に所属する職員である場合には、税務署長に異議を申し立てることができる。

2014年9月29日

税務調査の担当者から、提出した帳簿書類等の留置き(預かり)を求められたが、その必要性について納得ができなくても、強制的に留め置かれることはあるのか?

税務調査において、例えば、納税者の事務所等に十分なスペースがない場合や検査の必要がある帳簿書類等が多量なため検査に時間を要する場合のように、調査担当者が帳簿書類等を預かって税務署内で調査を継続した方が、調査を円滑に実施する観点や納税者の方の負担軽減の観点から望ましいと考えられる場合には、帳簿書類等の留置き(預かり)をお願いすることがある。

帳簿書類等の留置き(預かり)は、帳簿書類等を留め置く必要性を説明した上、留め置く必要性がなくなるまでの間、帳簿書類等を預かることについて納税者の理解と協力の下、その承諾を得て行うものなので、承諾なく強制的に留め置くことはない。

2014年9月26日

X年度の税務調査を行うという事前通知を受け、調査の過程でX年度よりずっと以前の帳簿書類等を提示するよう求めらたが、これはX年度以外の税務調査を行っていることにならないか?

例えば、X年度の減価償却費の計上額が正しいかどうかを確認するため、その資産の取得価額を確認するために取得年度の帳簿書類等を検査する必要があるといった場合のように、調査担当者がX年度の申告内容を確認するために必要があると判断したときには、X年度以外の帳簿書類等の提示等をお願いすることがある。

これはあくまでもX年度の調査であって、X年度以外の調査を行っているわけではない。

2014年9月24日

調査対象となる納税者について、医師、弁護士のように職業上の守秘義務が課されている場合や宗教法人のように個人の信教に関する情報を保有している場合、業務上の秘密に関する帳簿書類等の提示・提出を拒むことはできるか?

調査担当者は、調査について必要があると判断した場合には、業務上の秘密に関する帳簿書類等であっても、納税者の理解と協力の下、その承諾を得て、そのような帳簿書類等を提示・提出してもらう場合がある。
いずれの場合においても、調査のために必要な範囲でお願いしているものであり、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものである。

なお、調査担当者には、調査を通じて知った秘密を漏らしてはならない義務が課されている。

2014年9月22日

法人税の調査の過程で帳簿書類等の提示・提出を求められることがあるが、対象となる帳簿書類等が私物である場合には求めを断ることができるか?

法令上、調査担当者は、調査について必要があるときは、帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができるものとされている。
この場合に、例えば、法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられる。

なお、調査担当者は、その帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、理解を得られるよう努めている。

2014年9月18日

税務調査時の帳簿書類等の提示・提出の求めに対して、正当な理由なく応じない場合には罰則が科されるとのことだが、どのような場合に正当な理由があるとされるのか?

どのような場合が正当な理由に該当するかについては、個々の事案に即して具体的に判断する必要があり、最終的には裁判所が判断することとなるから、確定的なことは答えられないが、例えば、提示・提出を求めた帳簿書類等が、災害等により滅失・毀損するなどして、直ちに提示・提出することが物理的に困難であるような場合などがこれに該当するものと考えられる。

2014年9月16日

税務調査で提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのか?

帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にして示すことになる。

一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものを渡すことになる。
また、電磁的記録そのものを提出する必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もある。

(注)提出した電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしている。

2014年9月12日

税務調査時に提出される物件が、調査の過程で調査担当者に提出するために新たに作成された写しである場合には、留置きには当たらないとのことだが、自己の事業の用に供するために調査前から所有している物件が写しである場合(取引書類の写しなど)であっても、留置きには当たらないのか?

調査の過程で調査担当者に提出するために新たに作成した帳簿書類等の写し(コピー)の提出を受けても留置きには当たらないこととしているのは、通常、そのような写し(コピー)は返還を予定しないものであるためである。

他方、納税者の方が事業の用に供するために保有している帳簿書類等の写し(コピー)を預かる場合は、返還を予定しないものとは言えないから、留置きの手続により預かることとなる。

2014年9月11日

税務調査時に、正当な理由がないのに帳簿書類等の提示・提出の求めに応じなければ罰則が科されるということだが、そうなると事実上は強制的に提示・提出が求められることにならないか?

税務調査時に、帳簿書類等の提示・提出をお願いしたことに対し、正当な理由がないのに提示・提出を拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が科されることがあるが、税務当局は、罰則があることをもって強権的に権限を行使することは考えておらず、帳簿書類等の提示・提出をお願いする際には、提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、納税者の理解と協力のもと、その承諾を得て行うこととしている。

2014年9月10日

税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受けたが、これは調査なのか?

調査は、特定の納税者の方の課税標準等または税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものだが、税務当局は、税務調査の他に、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合がある。

このような行政指導に基づき、納税者が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税の納付が必要な場合はあるが、過少申告加算税は賦課されない(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課される。)。

なお、税務署の担当者は、納税者に調査または行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者に明示することとしている。

2014年9月9日

平成25年1月から税務調査の手続を定めた国税通則法の規定が施行されたことにより、税務調査は変わったのか?

今般の改正は、税務調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高め、調査に当たって納税者の方の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の一層の充実・発展に資する等の観点から、調査手続に関する従来の運用上の取扱いを法令上明確化するものであり、基本的には、税務調査が従来と比べて大きく変化することはない。
国税庁は、法改正の趣旨を踏まえた上で、調査の実施に当たっては法令に定められた税務調査手続を遵守するとともに、調査はその公益的必要性と納税者の方の私的利益とのバランスを踏まえ、社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の方の理解と協力を得て行うものであることを十分認識し、その適正な遂行に努めることとしている。

【参考】国税通則法改正の概要
(1)税務調査手続の明確化
税務調査手続について、以下のとおり、現行の運用上の取扱いが法令上明確化された。

  • 税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行うこととされた。
    ただし、課税の公平確保の観点から、一定の場合には事前通知を行わないこととされた。
  • 課税庁の説明責任を強化する観点から、調査終了時の手続が整備された。
  • 納税者から提出された物件の預かりの手続のほか、課税庁が帳簿書類その他の物件の「提示」「提出」を求めることができることが法令上明確化された。

〔平成25年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する調査について適用(ただし、納税者から提出された物件の預かりの手続については、平成25年1月1日以後に提出された帳簿書類その他の物件から適用)。〕

(2)更正の請求期間の延長等
納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」の期間(改正前:原則1年)が5年に延長された。
併せて、課税庁による増額更正の期間(改正前:原則3年)が5年に延長された。
〔平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する年(度)分について適用。〕

(3)処分の理由附記等
全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)について理由附記を実施することとされた。
〔平成25年1月1日以後に行う処分から実施。〕
ただし、現在記帳・帳簿等保存義務が課されていない個人の白色申告者に対する理由附記については、記帳・帳簿等保存義務の拡大と併せて実施することとされた。
〔平成26年1月1日以後に行う処分から実施。〕

2014年9月8日

課税仕入れに係る支払対価の額に翌課税期間に納品されたパンフレット等の制作費を含めたことについて、隠ぺい仮装の行為はないとした事例

<要旨>
原処分庁は、請求人の会計処理が、請求書をもって納品があったものとみなして行われていたところ、請求人が、パンフレットの納品前に、取引先に対して請求書の発行を依頼したことは、通謀による虚偽の証ひょう書類の作成に当たり、また、当該課税期間内に納品されないこととなったにもかかわらず、あえて課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったことは、帳簿書類の意図的な集計違算に当たるから、請求人がパンフレットの製作費を当該課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺいまたは仮装の行為がある旨主張する。

しかしながら、請求人は、パンフレットの納品時に納品書を受領しており、当該請求書は前払いを求める書類として作成を依頼したもので納品の事実を示す書類として受領したものとはいえず、また、当該請求書に虚偽の記載もないのであって、通謀による虚偽の証ひょう書類の作成があったとはいえない。また、納品されないこととなったにもかかわらず課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったのは、単に請求人の会計処理を行う部署において納品の事実の確認を怠っていたことによるものであって、これをもって隠ぺいまたは仮装と評価すべき行為をしたともいえない。したがって、請求人が当該パンフレットの製作費を当該課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺいまたは仮装の行為があったとは認められない。

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2014年5月20日

事前通知関係の国税通則法等の改正

国税通則法の改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第10号)が、平成26年3月20日に成立し、同年3月31日に公布された。

平成23年12月の国税通則法の改正では、調査の事前通知については、納税者の方と税務代理人の双方に対して通知することとされていたが、この改正により、平成26年7月1日以後に行う事前通知については、税務代理権限証書に、納税者の方の同意が記載されている場合には、税務代理人に対してすれば足りることとされた。

国税庁では、この改正を踏まえ、平成24年9月に策定した法令解釈通達、事務運営指針及び質疑応答集(FAQ)を改正した。

国税通則法等の改正に併せて、税務代理権限証書の様式も改訂された。
平成26年7月1日以後に税務代理権限証書を提出する場合は、改訂後の様式を使用すること。

★リンクはこちら⇒ 事前通知関係の国税通則法等の改正

2014年5月15日

出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例

<ポイント>
本事例は、請求人が、出張日の記載がなく、旅行業者が通常使用する書式と相違する請求書(本件各旅費請求書)に基づき、翌事業年度に行われる旅行費用を繰上計上していたところ、当該費用は支払われ、当該出張は実施されており、また、旅行業者の側に別の書式を使用せざるを得ない合理的な理由があり、本件各旅費請求書に単に出張日の記載がないのみであって、事実と異なる出張日を記載した、あるいは、出張日を隠ぺいした事実はないから、本件各旅費請求書は、虚偽の証ひょう書類とはいえないとして、重加算税の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が旅行費用(本件各旅行費用)を前倒し計上したことについて、旅行業者が通常使用する書式と相違する請求書(本件各旅費請求書)を使用したこと及び本件各旅費請求書に出張日を表記させなかったことなどから、本件各旅費請求書が、請求人代表者と相手先との通謀によって作成された虚偽の証ひょう書類に該当する旨主張する。

しかしながら、本件各旅費請求書の発行経緯に不自然な点は認められず、本件旅行費用は旅行業者に支払われ、旅行も実施されており、本件各旅行費用の計上に際し請求人が旅行業者と通謀の上本件各旅行請求書を発行させた等の事実を推認する証拠は見受けられず、請求人がそれらの計上に際し、事実を隠ぺいした、または事実を仮装したと評価すべき行為を行ったことは認められない。

★リンクはこちら⇒ 出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例

2014年5月12日

源泉所得税の期限後納付について、期限内納付の意思があったと認められる場合に該当しないとした事例

<要旨>
請求人は、形式的審査義務のみを負う源泉徴収義務者において、年末調整における従業員の住宅借入金等特別税額控除額(本件控除額)が過大となったことに気づくことは極めて困難であり、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由がないから、平成23年12月分の源泉所得税の不足額を法定納期限後に自主納付(本件自主納付)したことは国税通則法第67条《不納付加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当し、平成24年7月分の源泉所得税の期限後納付について国税通則法第67条第3項が適用される旨主張する。

しかしながら、源泉徴収義務者として従業員から提出された事項に関して通常程度の注意ないし確認等を行いさえすれば適切に本件控除額の計算を行うことができたと認められるから、本件控除額が過大になったことについて、請求人の責めに帰すべき事由があるというべきであり、「正当な理由があると認められる場合」には該当しない。そうすると、本件自主納付は、国税通則法施行令第27条の2《期限内申告書を提出する意思等があったと認められる場合》第2項に規定する場合に該当せず、平成24年7月分の源泉所得税の期限後納付について、国税通則法第67条第3項の規定は適用されない。

★リンクはこちら⇒ 源泉所得税の期限後納付について、期限内納付の意思があったと認められる場合に該当しないとした事例

2014年4月21日

ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例

<要旨>
請求人は、ゆうメールにより提出した所得税の確定申告書(本件確定申告書)について、国税通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定が適用される旨主張する。
しかしながら、租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には、私法上の概念と同じ意義に解することが、租税法律主義や法的安定性の確保に資するところ、国税通則法第22条は、「郵便」及び「郵便物」と規定し、同法上にその定義規定を置いておらず、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と別意に解すべきことが国税通則法の明文またはその趣旨から明らかであるなどの事情も認められない。
かえって、国税通則法第22条は、郵便及び信書便が郵便法または信書便法の規定に従って配達されるため紛失する可能性が低いことなどの事情を考慮し、また、納税者と関係税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正する必要性も勘案して、特に郵便または信書便により提出された納税申告書等については、民法上の到達主義の原則を緩和するものであることなどに照らせば、国税通則法第22条の「郵便」及び「郵便物」は、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と同じ意義に解するのが相当である。
そして、郵便法第68条《郵便約款》に基づき定められた内国郵便約款及びゆうメールについて定めるポスパケット約款によれば、ゆうメールによる役務の提供は、荷物の運送であって、郵便法上の「郵便」には該当しない。

したがって、ゆうメールによる本件確定申告書の提出について、国税通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定は適用されない。

★リンクはこちら⇒ ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例

2014年4月11日

平成26年の延滞税の割合

<平成26年1月1日以降>

  1. 納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「特例基準割合(※)+1%」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表1の割合が適用される。
  2. 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「特例基準割合(※)+7.3%」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表2の割合が適用される。

※特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいう。

 期間  割合1  割合2
 平成26年1月1日~平成26年12月31日  2.9%  9.2%

(参考)
利子税(所得税法第131条、136条、法人税法第75条、75条の2及び相続税法第51条の2、52条4項、53条に係る利子税)及び還付加算金の割合

 期間  割合
 平成26年1月1日~平成26年12月31日  1.9%

<平成25年12月31日以前>

  1. 納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間の延滞税の割合は、原則として年7.3%の割合が適用される。
    ただし、平成12年1月1日以後の延滞税の割合(年7.3%部分)については、年「7.3%」と「特例基準割合(前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率+4%)」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表のとおりとなる。
  2. 納期限の翌日から2月を経過した日以後の延滞税の割合は、年14.6%が適用される。
     期間  割合
     平成11年12月31日以前  7.3%
     平成12年1月1日~平成12年12月31日  4.5%
     平成13年1月1日~平成13年12月31日  4.5%
     平成14年1月1日~平成14年12月31日  4.1%
     平成15年1月1日~平成15年12月31日  4.1%
     平成16年1月1日~平成16年12月31日  4.1%
     平成17年1月1日~平成17年12月31日  4.1%
     平成18年1月1日~平成18年12月31日  4.1%
     平成19年1月1日~平成19年12月31日  4.4%
     平成20年1月1日~平成20年12月31日  4.7%
     平成21年1月1日~平成21年12月31日  4.5%
     平成22年1月1日~平成22年12月31日  4.3%
     平成23年1月1日~平成23年12月31日  4.3%
     平成24年1月1日~平成24年12月31日  4.3%
     平成25年1月1日~平成25年12月31日  4.3%

    (参考)
    利子税(所得税法第131条、136条、法人税法第75条、75条の2及び相続税法第51条の2、52条4項、53条に係る利子税)及び還付加算金の割合は、延滞税の割合(年7.3%部分)と同様の割合が適用される。

2014年1月22日

ダイレクト納付

<ダイレクト納付とは>
ダイレクト納付とは、事前に税務署に届出をしておけば、e-Taxを利用して電子申告等をした後に、届出をした預貯金口座からの振替により、即時または指定した期日に納付することができる電子納税の納付手段である。

<ダイレクト納付のメリット>
ダイレクト納付は、税務署や金融機関に出向くことなく、自宅やオフィスなどから納付が可能なほか、その他の電子納税にはない以下のようなメリットがある。

  • インターネットバンキングの契約が不要。
  • 期日を指定して納付することが可能。
  • 税理士が納税者に代わって納付手続を行うことが可能。

<対象となる税目>
電子申告等が可能な税目(源泉所得税法人税消費税及び地方消費税、申告所得税、贈与税、酒税、印紙税など)が対象となる。

  • 特に利用回数の多い手続に便利である(源泉所得税の毎月納付手続等。)。
  • e-Taxに納付情報登録をすれば、上記にかかわらず全ての税目にダイレクト納付が利用できる。

<ダイレクト納付の利用のために>

  • e-Taxの利用開始手続が必要となるほか、ダイレクト納付利用届出書を所轄の税務署に書面で提出する必要がある。
  • ダイレクト納付が利用可能な金融機関については、国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)の「利用可能金融機関一覧」で確認のこと。
  • ダイレクト納付利用届出書を提出してから利用可能となるまで、1か月程度かかる。
  • ダイレクト納付を行う際には、預貯金口座の残高に注意すること。

★リンクはこちら⇒ 簡単・便利なダイレクト納付

2013年9月19日

国税審判官(特定任期付職員)の採用(平成25 年7月)

国税不服審判所では、国税審判官への外部登用の工程表(平成22年12月17日公表)に基づき、平成25年7月10日付で13名(弁護士5名・税理士6名・公認会計士2名)の民間専門家を国税審判官(特定任期付職員)として採用した。

平成25年度の採用者数は、本年4月1日付で採用した4名との合計で17名となった。

なお、民間専門家から登用した国税審判官の在籍者数(平成25年7月10日現在)は、50名となった。

リンクはこちら⇒ 国税審判官(特定任期付職員)の採用(平成25 年7月)

2013年8月15日

審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成25年7月)

国税不服審判所は、パンフレット『審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成25年7月)』を発行した。

 ★リンクはこちら⇒ 審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(既に削除済み)

<追加 平成29年8月に改訂>

 ★リンクはこちら⇒ 審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成29年8月)

2013年8月13日

相続税の申告時の外国人の押印は…

申告書には、その氏名及び住所または居所を記載し、押印しなければならない。
ただし、外国人の場合、署名だけで足りる。

2012年11月19日

利子税の納付が遅くなったら…

利子税は本税の延納の期間の日数に応じてかかるため、利子税の納付が遅くなっても延滞税はかからない。

2012年11月14日

修正申告を行った場合の延滞税のかかる期間は…

原則として、延滞税がかかるのは1年間だけである。

本来、修正申告を行った場合、法定納期限の翌日以降の期間について延滞税がかかるが、偽りや不正行為等によらない場合、法定申告期限の1年後の翌日から修正申告書を提出したまでの期間は、延滞税の計算の期間に含めない。
ただし、修正申告書を提出した日以後の期間については、延滞税がかかる。

2012年11月9日

税の役割と税務署の仕事

国税庁が、取組紹介ページ「税の役割と税務署の仕事」を開設した。
動画やPDFのものとがある。

リンク先は以下のとおり。
税の役割と税務署の仕事

2012年11月8日

いつまで還付は受けることができるのか…

更正の請求により還付を受けることができる。
ただし、いつまでも更正の請求をできるわけではなく、過年度の納付税額が計算ミスなどにより過大であった場合には、法定納期限から5年以内であれば可能である。言い換えれば、5年で時効により消滅する。
なお、納付税額がない場合、翌年の1月1日から還付申告書が提出できるため、翌年の1月1日が時効の起算日となる。

2012年10月10日

還付加算金はどうやって計算するのか…

還付加算金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる還付金等の額に10,000円未満の端数があるとき、またはその還付金等の額の全額が10,000円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨てる。
その計算の結果、還付加算金の確定金額に100円未満の端数があるとき、またはその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨てる。

2012年10月9日

コンビニ納付

平成20年1月21日から、国税をコンビニエンスストアで納付することができるようになっている(以下「コンビニ納付」という。)。

  1. コンビニ納付利用の条件
    国税のコンビニ納付には、バーコード付納付書が必要である。
    バーコード付納付書は、納付金額が30万円以下で、次のような場合に所轄の税務署で発行する。
  • 確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)
  • 督促・催告を行う場合(全税目)
  • 賦課課税方式による場合(各種加算税)
  • 確定した税額について納税者から納付書の発行依頼があった場合(全税目)
  1. 利用可能なコンビニエンスストア
    エブリワン、くらしハウス、ココストア、コミュニティ・ストア、サークルK、サンクス、スリーエイト、スリーエフ、セーブオン、生活彩家、セイコーマート、セブン-イレブン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ヤマザキデイリーストア、ローソン

2012年10月2日

納税環境整備に関する国税通則法等の改正

納税環境整備に関する国税通則法の改正を含む「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第114号)が、平成23年11月30日に成立し、同年12月2日に公布された。
この改正により、調査手続の透明性と納税者の方の予見可能性を高めるなどの観点から、税務調査手続について現行の運用上の取扱いが法令上明確化されるとともに、全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)に対する理由附記の実施及び記帳義務の拡大等が定められ、税務調査手続の法定化及び理由附記の実施に係る規定については、平成25年1月1日から施行することとされている。

  • 法令解釈通達の制定等について
    今般の改正により、国税通則法において法定化された税務調査手続に係る規定については、国税通則法第7章の2(第74条の2から第74条の13)に「国税の調査」として設けられており、国税庁では、これらの規定の取扱い等を定めるため、法令解釈通達を制定した。
    併せて、今般の法改正の趣旨を踏まえ、法令を遵守した適正な調査が行われるよう「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について」を定め、職員に対して指示している。
    また、税務調査手続について、一般の納税者や税理士を対象とした質疑応答集(FAQ)を作成した。
  • 税務調査手続等の先行的取組の実施について
    法定化された税務調査手続等は、原則として、平成25年1月1日以後に開始する調査から適用されることとなるが、国税庁では、法施行後における税務調査手続等を円滑かつ適切に実施する観点から、平成24年10月1日以後に開始する調査から、法施行後に実施することとなる一部の手続について、先行的に取り組むことを予定している。
  • 更正の請求期間の延長等について
    今般の改正により、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求ができる期間が原則として法定申告期限から5年に延長された。
  • 処分の理由附記について
    今般の改正により、処分の適正化と納税者の予見可能性を高める観点から、原則として、平成25年1月1日以後、国税に関する法律に基づく申請に対する拒否処分や不利益処分を行う場合には、理由附記を実施することとなる。
    【申請に対する拒否処分】
    更正の請求に対して更正をすべき理由がない旨の通知、青色申告承認申請の却下などの処分が該当する。
    【不利益処分】
    更正、決定、加算税賦課決定、督促、差押えなどの処分が該当する。
  • 個人で事業を行っている方の帳簿の記載・記録の保存について
    今般の改正により、事業所得、不動産所得又は山林所得を有する白色申告の方に対する現行の記帳・帳簿等の保存制度について、平成26年1月から対象となる方が拡大される。
    ※現行の記帳・帳簿等の保存制度の対象者は、白色申告の方のうち前々年分あるいは前年分の事業所得等の金額の合計額が300万円を超える方である。

2012年9月14日

所得税の確定申告の還付加算金はいつからいつまで発生するのか…

当該還付金に係る国税の納付があった日(その日が当該国税の法定納期限前である場合には、当該法定納期限)の翌日からその還付のための支払決定の日またはその充当の日(同日前に充当をするのに適することとなった日がある場合には、その適することとなったた日)までの期間(他の国税に関する法律に別段の定めがある場合には、その定める期間)の日数に応じ、その還付し、または充当すべき金額に加算する。

2012年9月11日

期限後申告の場合、無申告加算税は…

無申告の場合、納付すべき税額に15/100の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税が課せられる。ただし、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
なお、期限後申告書または修正申告書の提出があった場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正または決定があるべきことを予知してされたものでないときは、当該納付すべき税額に5/100の割合を乗じて計算した金額とする。

期限後申告書の提出があった場合において、その提出が期限内申告書を提出する意思があったと認められる場合として政令で定める場合(期限後申告書の提出があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、当該期限後申告書に係る国税の属する税目について、無申告加算税または重加算税を課されたことがない場合
)に該当してされたものであり、かつ、当該期限後申告書の提出が法定申告期限から2週間を経過する日までに行われたものであるときは、適用しない。

2012年8月30日

延滞税の割合

以下の場合には、延滞税を納付しなければならない。

  • 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。
  • 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、または更正もしくは決定を受けた場合において、期限後申告等による納付の規定により納付すべき国税があるとき。
  • 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税をその法定納期限後に納付するとき。
  • 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。
  • 源泉徴収による国税をその法定納期限までに完納しないとき。

延滞税の額は、国税の法定納期限の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年14.6%の割合を乗じて計算した額とする。
ただし、納期限までの期間または納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間については、その未納の税額に年7.3%の割合を乗じて計算した額とするが、現在は、特例基準割合(ちなみに、平成22年1月1日から平成24年12月31日までの期間の特例基準割合は4.3%)による。

2012年8月17日

譲渡所得を申告したあとに契約が解除されたら…

更正の請求が可能である。

納税申告書を提出した者または決定を受けた者は、以下のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、それぞれ定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、それぞれに定める期間において、その該当することを理由として更正の請求をすることができる。

  1. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき。
    …その確定した日の翌日から起算して2か月以内
  2. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算に当たってその申告をし、または決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正または決定があつたとき。
    …当該更正または決定があった日の翌日から起算して2か月以内
  3. その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき。
    …当該理由が生じた日の翌日から起算して2か月以内

政令は、以下のとおり。

  1. その申告、更正または決定に係る課税標準等(修正申告に規定する課税標準等をいう。以下同じ。)または税額等の計算の基礎となった事実のうちに含まれていた行為の効力に係る官公署の許可その他の処分が取り消されたこと。
  2. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に係る契約が、解除権の行使によって解除され、もしくは当該契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され、または取り消されたこと。
  3. 帳簿書類の押収その他やむを得ない事情により、課税標準等または税額等の計算の基礎となるべき帳簿書類その他の記録に基づいて国税の課税標準等または税額等を計算することができなかった場合において、その後、当該事情が消滅したこと。
  4. わが国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避または脱税の防止のための条約に規定する権限のある当局間の協議により、その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等に関し、その内容と異なる内容の合意が行われたこと。
  5. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に係る国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、更正または決定に係る審査請求もしくは訴えについての裁決もしくは判決に伴って変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表されたことにより、当該課税標準等または税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなったことを知ったこと。

2012年8月7日

減価償却不足を理由とする更正の請求はできるか…

減価償却不足を理由とする更正の請求はできない
減価償却は任意であり、未計上や償却不足なのは、法人の判断によるものだからである。

更正の請求ができるのは、以下の場合である。
①申告書に記載した課税標準等もしくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったたことまたは計算に誤りがあったことにより、申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとき。
②前号に規定する理由により、申告書に記載した純損失等の金額が過少であるとき、または申告書に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
③①に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があった場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、または当該申告書(当該申告書に関し更正があった場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。

2012年8月1日

修正申告の納付期限は…

修正申告の納付期限は、修正申告書提出日までである。

また、修正申告に伴う過少申告加算税、無申告加算税、重加算税については、賦課決定通知書が発せられた日の翌日から1か月以内に納付しなければならない。

2012年7月31日

申告期限までに申告書を提出しないと…

申告書は法定申告期限までに税務署長に提出しなければならないが、提出期限後においても、決定(税務署長が、申告書を提出する義務があると認められる者が申告書を提出しなかった場合に、その調査により、申告書に係る課税標準等及び税額等を決定すること)があるまでは、納税申告書を税務署長に提出することができる。

ただし、無申告加算税(原則として、納付すべき税額に対し、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額。なお、税務調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、5%の割合を乗じて計算した金額に軽減される。)が課され、各種特典の認められている青色申告の承認が取り消される可能性がある。

2012年7月17日

申告書を納税地以外の税務署に提出してしまったら…

例えば、事務所を移転した場合など、納税地が変更になったにもかかわらず、以前の納税地の税務署に申告書を提出してしまった場合、現在の納税地の税務署に申告書を提出する必要はない。

ちなみに、申告書を受けとった税務署は、本来の税務署に申告書を送付するとともに、その旨を納税者に通知する必要がある。

2012年7月13日

やむを得ない理由

国税通則法第11条によると、
『国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。』
とある。

この条の「災害その他やむを得ない理由」とは、国税に関する法令に基づく申告、申請、請求、届出、その他書類の提出、納付または徴収に関する行為(以下、この条関係において「申告等」という。)の不能に直接因果関係を有するおおむね以下に掲げる事実をいい、これらの事実に基因して資金不足を生じたため、納付ができない場合は含まない。

  1. 地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地すべりその他の自然現象の異変による災害
  2. 火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通と絶その他の人為による異常な災害
  3. 申告等をする者の重傷病その他の自己の責めに帰さないやむを得ない事実

2012年6月21日

期間の計算

税務の世界では、2ヶ月以内など期間が重要になってくるが、国税通則法第10条によると、以下のようになっている。

国税に関する法律において日、月又は年をもつて定める期間の計算は、次に定めるところによる。
一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。
三 前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
2  国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。

ちなみに、この条第2項の「一般の休日」とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいうものとする。
なお、官庁における年末の休暇(明治6年太政官布告第2号「休暇日ノ件」に定める12月29日から同月31日までをいう。)は、この条の「一般の休日」には該当しないが、年始の休暇(同布告に定める1月2日および3日をいう。)は、この条の「一般の休日」に該当する(昭和43.1.30最高判、昭和33.6.2最高判)。

2012年6月19日

申告書等への自署押印

国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長またはその職員に申告書、申請書、届出書その他の書類を提出する者は、当該書類にその氏名(法人については、名称。)及び住所または居所記載しなければならない。
この場合において、その者が法人であるとき、納税管理人もしくは代理人(代理の権限を有することを書面で証明した者に限る。)によって当該書類を提出するとき、または不服申立人が総代を通じて当該書類を提出するときは、その代表者(人格のない社団等の管理人を含む。次項において同じ。)、納税管理人若しくは代理人または総代の氏名及び住所または居所をあわせて記載しなければならない。

  • 当該書類を提出する者が法人である場合 当該法人の代表者
  • 納税管理人または代理人によつて当該書類を提出する場合 当該納税管理人または代理人
  • 不服申立人が総代を通じて当該書類を提出する場合 当該総代
  • 上記に掲げる場合以外の場合 当該書類を提出する者

ただし、記載ではなく自署となっているのは法人税法第151条(以下、参照)だけであり、法人の場合は自署押印が必要となる。

法人の提出する法人税申告書等(第二条第三十号から第三十四号まで(定義)に掲げる申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書(第三項及び第五項において「法人税申告書」という。)並びに第八十一条の二十五第一項(連結子法人の個別帰属額等の届出)に規定する個別帰属額等を記載した同項に規定する書類(当該個別帰属額等に異動があつた場合に提出する同条第二項に規定する書類を含む。)をいう。以下この条において同じ。)には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者(当該者が法人である場合には、当該者の職務を行うべき者)が自署し、自己の印を押さなければならない。
一 法人の代表者(人格のない社団等で代表者の定めがなく、管理人の定めがあるものにあつては、管理人。以下この項において同じ。)が一人である場合 当該代表者
二 法人の代表者が二人以上ある場合(次号に掲げる場合を除く。) これらの者のうち社長、理事長、専務取締役、常務取締役その他の者でその法人税申告書等の作成の時においてその法人の業務を主宰しているもの
三 二人以上の者が共同して法人を代表する場合 その全員
2 法人税申告書等には、前項の代表者のほか、法人の役員及び職員のうちその法人税申告書等の作成の時においてその法人の経理に関する事務の上席の責任者である者が自署し、自己の印を押さなければならない。
3 外国法人の提出する法人税申告書については、第一項の規定によりその法人税申告書に自署し、自己の印を押すべき者は、国内において行う事業又は国内にある資産の経営又は管理の責任者とし、前項の規定によりその法人税申告書に自署し、自己の印を押すべき者は、当該事業又は資産に係る経理に関する事務の上席の責任者とする。
4 第四条の七(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人が法人税申告書等を提出する場合において、当該受託法人が同条第三号の規定により会社とみなされる個人であるときは、第一項の規定によりその法人税申告書等に自署し、自己の印を押すべき者は、当該個人とする。
5 前各項の規定による自署及び押印の有無は、法人税申告書の提出による申告の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。

2012年6月15日

申告書などの郵送による提出

納税申告書(当該申告書に添付すべき書類その他当該申告書の提出に関連して提出するものとされている書類を含む。)その他国税庁長官が定める書類が郵便または信書便により提出された場合には、その郵便物または信書便物の通信日付印により表示された日(その表示がないとき、またはその表示が明瞭でないときは、その郵便物または信書便物について通常要する送付日数を基準とした場合にその日に相当するものと認められる日)にその提出がされたものとみなされる(いわゆる発信主義)。

ただし、郵便の業務は、郵便法の定めるところにより、郵便事業株式会社(以下、「会社」という。)が行うことになっており、以下のように定められているため、宅配便やメール便は使えないことには留意すべきである。

  • 会社以外の者は、何人も、郵便の業務を業とし、また、会社の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。ただし、会社が、契約により会社のため郵便の業務の一部を委託することを妨げない。
  • 会社(契約により会社から郵便の業務の一部の委託を受けた者を含む。)以外の者は、何人も、他人の信書(特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。以下同じ。)の送達を業としてはならない。二以上の人又は法人に雇用され、これらの人又は法人の信書の送達を継続して行う者は、他人の信書の送達を業とする者とみなす。
  • 運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。ただし、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでない。
  • 何人も、第二項の規定に違反して信書の送達を業とする者に信書の送達を委託し、又は前項に掲げる者に信書(同項ただし書に掲げるものを除く。)の送達を委託してはならない。

2012年6月7日

不納付加算税とは?

不納付加算税とは、源泉徴収等による国税が法定納付期限内に完納されなかった場合に課される附帯税のことである。

納付税額の10%の割合で課税される。ただし、調査などが予想される前に納付を行った場合には、5%の割合でよい。5,000円未満の場合は、徴収されない。

2011年9月30日

無申告加算税とは?

無申告加算税とは、期限内に確定申告書の提出をしていないが、納付すべき税額があった場合に課される附帯税のことである。

納付税額の15%の割合で課税される。ただし、更正または決定があると予想される前に申告を行った場合には、5%の割合でよい。5,000円未満の場合は、徴収されない。

2011年9月28日

利子税とは?

利子税とは、会計監査人(公認会計士または監査法人)の監査を受けなければならない等の理由により申告期限を延長した場合に課される附帯税である。

附帯税はいくつかあるが、このうち利子税は利息の性格を持っているため、利子税のみは損金に算入できる。

納税を延長した本税に対し、その延長された日数に応じ、原則、7.3%の割合で課税される。ただし、1,000円未満の場合は課税されない。

なお、会計監査人の監査のためなどの理由により申告期限を延長している場合であっても、利子税を支払うのを避けるため、仮の金額で通常の申告期限内に納付しておくのが一般的である。

2011年9月26日

重加算税とは?

重加算税とは、過少申告加算税などが課される場合において、仮装・隠ぺいにより申告している場合にその過少申告加算税などに代えて課される附帯税のことである。

過少申告加算税に代えて課される場合は、追加本税の35%、
無申告加算税に代えて課される場合は、納付税額の40%、
不納付加算税に代えて課される場合は、納付税額の35%
の割合で課される。ただし、5,000円未満の場合は課税されない。

国税庁が公表している、『法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)』によると、仮装・隠ぺいとは、例えば、以下のような場合をいうとされている。

(1)いわゆる二重帳簿を作成している。

(2)次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)がある。

帳簿、原始記録、証ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表その他決算に関係
のある書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿している

帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽
の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っている

帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は
棚卸資産の除外をしている

(3)特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該
書類の交付を受けている。

(4)簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、
賃貸料収入等の果実を計上していない。

(5)簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空
に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出している。

(6)同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に
分割する等により非同族会社としている。

なお、『連結法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)』も公表されている。

2011年9月22日

過少申告加算税とは?

過少申告加算税とは、期限内に確定申告書を提出した後、修正申告書の提出または更正によって追加税額が生じた場合に課税される附帯税のことである。

なお、修正申告書の提出による場合には、調査があったことにより更正のあることを予想して修正申告書を提出した場合以外だと過少申告加算税は課されない。

原則として、追加分の本税の10%の割合で課税される。5,000円未満の場合は、徴収されない。

ただし、追加納付税額のうち、期限内納付税額または50万円のいずれか多い金額を超える部分については、15%の割合で課税される。

2011年9月20日

延滞税とは?

延滞税とは、法定納期限までに税金を納付しなかった場合に課される附帯税のことである。

納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間の延滞税の割合は、原則として年7.3%の割合が適用される。ただし、平成12年1月1日以後の延滞税の割合(7.3%部分)については、年「7.3%」と「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」のいずれか低い割合を適用することとなる。
ちなみに、平成23年(2011年)の場合、4.3%である。

なお、期限申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除される。
また、期限申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には、その申告書提出後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除される。

2011年9月15日

附帯税

附帯税には、以下のものがある。

  • 延滞税(国税通則法60条)
  • 利子税(国税通則法64条)
  • 過少申告加算税(国税通則法65条)
  • 無申告加算税(国税通則法66条)
  • 不納付加算税(国税通則法67条)
  • 重加算税(国税通則法68条)

    2011年9月13日

国税通則法の名称変更

国税通則法(こくぜいつうそくほう)は、昭和37年に創設され、国税の納付義務の確定、納付、徴収、還付、附帯税、更正、決定、不服審査、訴訟など共通事項をまとめた法律である。

今回、東日本大震災の影響でまだ改正はされていないが、平成23年税制改正で、「国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利及び義務に関する法律」(略称は、「国税手続法」が現在のところ使われている。)となる予定であった。

略称を使わなくてもよいような、もっとシンプルな名称ではダメなのだろうか。

2011年9月1日

本税と延滞税のどちらが優先されるか?

申告・納税が遅れ、本税と延滞税を支払わないといけないような場合などに、本税に満たない額しか支払わなかったとしたら、どうなるのか?

本税の一部が支払われたとされる。本税には延滞税がかかるので、本税が優先されるということは納税者有利となっている。

還付の場合も同様に、本税が優先される。

2011年8月9日

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香川県中小企業者融資制度『香川県環境保全施設整備資金融資制度』

香川県環境保全施設整備資金融資制度(以下「融資制度」という。)は、中小企業者の皆さんが公害の防止、環境への負荷の軽減など環境保全対策のために行う施設の設置・改善等に必要な資金を融資する制度です。

<融資対象事業>
融資制度の対象となる事業は次のとおりです。
(1)施設の設置・改善
次に例示する施設の設置・改善が融資の対象となります。(記載しているのは主な施設の例ですので、下表に記載がない施設であっても融資制度の対象施設に該当する場合があります。詳細は香川県環境管理課にお問い合わせください。)

融資制度の対象施設(例)

区分 施設の例
大気汚染対策 ばい煙(ばいじん、硫黄酸化物、有害物質等)又は粉じんを処理する施設
【排煙脱硫施設、有害ガス除去施設、集じん施設等】
水質汚濁・土壌汚染・地下水汚染対策 水質汚濁・土壌汚染・地下水汚染対策 汚水、汚染土壌、汚染地下水を処理する施設
【凝集沈殿処理施設、活性汚泥処理施設等】
騒音・振動対策 騒音、振動を防止する施設
【防音施設、遮音施設、防振施設等】
悪臭対策 悪臭を防止する施設
【脱臭施設、洗浄施設、吸着施設等】
廃棄物対策 廃棄物の処理、資源化又は再利用のために必要な施設
【脱水施設、焼却施設等】
オゾン層保護対策  特定フロン等を回収・保管・破壊するための施設、特定フロン等利用施設の代替施設等
【特定フロン等を洗浄剤又は冷媒として使用している施設から代替物質を使用する施設への転換、特定フロン等利用施設の開放式から閉鎖式への改造等】
エネルギーの有効利用対策 自然・未利用エネルギー利用施設、省エネルギー施設、省資源施設
【自然エネルギー(太陽光、太陽熱、風力等)又は未利用エネルギー(ごみ焼却廃熱、ビル廃熱等)による熱供給施設、電力供給施設等】

(2)設備の転換等
次の経費が融資の対象となります。

  • 公害の防止・環境への負荷の軽減が、外部施設で処理するより著しく効果が大きい生産設備への転換に要する経費
  • 公害防止施設の設置では公害を防止することが難しい工場であって、知事が特に移転を勧告した場合の当該工場の移転に要する経費のうち、知事が必要と認める経費

土地・建物に係る経費は、融資制度の対象経費になりません。

<融資対象者>
融資制度の対象者は、次の全てに該当する必要があります。

  • 香川県内において、融資対象事業を行おうとする者
  • 中小企業信用保険法第2条第1項に規定する「中小企業者」である者
  • 県税を完納している者
  • (融資申請者が個人の場合)個人住民税を完納している者
  • 暴力団、暴力団員に該当しない者
  • 暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有しない者

<融資の条件>

  • 融資限度額
    5,000万円以内
    ただし、次に該当する場合は1億円以内
    ・ダイオキシン類の削減のための施設の設置・改善に要する経費
    ・廃棄物の資源化又は再生利用のために必要な施設の設置・改善に要する経費
  • 融資期間
    15年以内(1年以内の据置期間を含む)
  • 利率
    融資期間10年以内の場合 年1.6%
    融資期間10年超え15年以内の場合 年1.9%
    (2019年4月1日変更)
  • 返済方法
    毎月元金均等払
  • 融資取扱金融機関
    百十四銀行、香川銀行、高松信用金庫、観音寺信用金庫、香川県信用組合
  • 注意点
    (1)県から融資対象事業として認定を受けた上で、融資取扱金融機関の審査にて融資を認められる必要があります。
    (県の事業認定が金融機関からの融資を確約するものではありません。)
    (2)融資取扱金融機関の判断により、香川県信用保証協会による信用保証が必要となる場合があります。その場合の信用保証料は融資申込者の負担となります。(信用保証料率など、詳細は香川県信用保証協会にお問い合わせください。)
    (3)県から事業認定を受ける前に施設の設置・改善等に着手したものは、融資制度の対象となりません。

<融資の申請方法>

  • 申請書の様式(文字をクリックすると様式をダウンロードできます。)
    事業認定申請書(PDF)
    事業認定申請書(Word)
  • 必要な添付書類
    ・工場(事業場)の位置図
    ・工場(事業場)の敷地内配置図(建物、整備施設、排水経路等を記載したもの。)
    ・整備予定施設の設計図・設計計算書・仕様書・図面・処理のフローシート等
    ・整備予定施設の購入・設置に係る見積書
    ・香川県県税事務所長が発行する県税の納税証明書(県税に滞納がないこと等の証明)
    県税の納税証明書交付申請の際には、窓口で身分証明書(運転免許証など)の提示が必要となります。
    詳細は、県税Q&Aのページの「納税証明」の項目をご参考にしてください。
    ・申請者が個人の場合、市町長が発行する個人住民税の納税証明書(個人住民税に滞納がないこと等の証明)
    個人住民税の納税証明書交付申請に関する詳細は、各市町の税務担当部署にお問い合わせください。
    ・その他必要な書類
    「(申請者が法人の場合)法人登記の履歴事項全部証明書」
    「施設を整備する土地・建物の登記事項全部証明書」
    「施設を整備する土地・建物の所有権が申請者と異なる場合、土地賃貸借契約書の写し、所有権者の承諾書等」
    など、施設の整備状況に応じて必要となる書類があります。

<融資のフロー図>

<お問い合わせ先>
香川県環境森林部環境管理課 総務・調整グループ
〒760-8570 香川県高松市番町四丁目1-10
TEL:087-832-3217(直通)
FAX:087-806-0228

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『香川県環境保全施設整備資金融資制度』

2025年8月4日


香川県中小企業者融資制度『中小企業高度化資金貸付制度』

中小企業者が相互扶助の精神に基づいて事業協同組合などを設立し、事業の共同化、店舗などの集団化など中小企業構造の高度化を図るために行う事業に対して融資します。

<中小企業高度化資金貸付制度について>

対 象 中小企業者により組織された事業協同組合、商工組合、商店街振興組合など
限度額 貸付対象事業費の原則80%以内
期 間 20年(据置3年以内)以内
利 率 年1.0%※(固定金利)、特別な法律の認定を受けた事業などについては無利子
※令和7年度現在

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3344

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『中小企業高度化資金貸付制度』

2025年7月29日


香川県中小企業者融資制度『危機関連融資』

全国規模の経済危機、災害等が発生した際に、経営の安定のために必要な資金を融資します。

【現在、取扱いを行っていません。】

<危機関連融資について>

融 資
対象者
県内で1年以上引き続いて同一事業を営む中小企業者又は組合であって、中小企業信用保険法第2条第6項の規定に基づき、会社の本店所在地(個人は主たる事業所)を管轄する市町長の認定を受けている方
※本融資は、危機関連保証制度(全国統一保証制度)に準拠しています
使 途 経営の安定に必要な事業資金
限度額
  • 2億8,000万円以内(無担保8,000万円以内+有担保2億円以内)
  • 組合の場合は4億8,000万円以内(無担保8,000万円以内+有担保4億円以内)
期 間 10年以内(うち据置期間2年以内)
原則として毎月元金均等償還
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.30%以内
  • 融資期間7年超の場合固定  年1.40%以内
信 用
保証率
年0.60%
申 込
方 法
各取扱金融機関が定める融資申込書に香川県信用保証協会が定める信用保証委託申込書及び危機関連保証に係る中小企業信用保険法第2条第6項の規定に基づく市町長の認定書を添えて、取扱金融機関にお申し込みください。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『危機関連融資』

2025年7月25日


香川県中小企業者融資制度『商店街活性化融資』

商店街で事業を行うのに必要な資金を融資します。

<商店街活性化融資について>

対 象 県内の商店街(商店街振興組合法に基づく組合が存在する商店街に限る。)で既に事業を行っている、若しくは事業を行おうとしている中小企業者(会社・個人・NPO法人※ただし、創業を除く。)
使 途 商店街で事業を行うのに必要な設備・運転資金
限度額 5,000万円以内
ただし、運転資金は2,000万円以内
期 間
  • 設備資金 10年以内(うち据置期間2年以内)
  • 運転資金 7年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.60%
  • 融資期間7年超の場合固定  年1.70%
信 用
保証率
年0.40%~1.55%
経営安定関連(セーフティネット)保証を利用する場合は、年0.60%
申 込
方 法
商店街振興組合の推薦状を添付して、取扱金融機関の窓口にお申込みください。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『商店街活性化融資』

2025年7月24日


香川県中小企業者融資制度『子育て応援企業支援融資』

子育て支援に関する認証・認定を取得された企業は、事業に必要な資金の借入に幅広くご利用いただけます。

<子育て応援企業支援融資について>

対 象 県内に事業所を有し、6か月以上引き続いて同一事業を営む中小企業者又は組合であって、次の要件のいずれかに該当するもの
(1)香川県から、子育て行動計画策定企業認証マークを取得したもの
(2)国から、プラチナくるみん認定・くるみん認定・トライくるみん認定のいずれかの認定を受けたもの
使 途 従業員の子育て支援に取り組む企業の事業に必要な設備・運転資金
※子育て支援以外の使途にもご利用いただけます
限度額 8,000万円以内(運転資金は5,000万円以内)
期 間
  • 設備資金10年以内(うち据置期間1年以内)
  • 運転資金 7年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.60%以内
  • 融資期間7年超の場合固定 年1.70%以内
信 用
保証率
年0.35%~1.50%
申 込
方 法
各取扱金融機関が定める融資申込書に、香川県信用保証協会が定める信用保証委託申込書及び県から交付された子育て行動計画策定企業認証の写し、または国から交付されたくるみん認定等にかかる基準適合認定一般事業主認定通知書の写しを添えて、取扱金融機関の窓口に直接お申込みください。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『子育て応援企業支援融資』

2025年7月22日


香川県中小企業者融資制度『物流施設整備促進資金』

中小企業が県内に物流施設の新設、増設等を行うために必要な資金の一部を融資します。

物流施設整備促進資金の様式

<物流施設整備促進資金について>

対 象 1年以上引き続いて同一事業を営む中小企業者又はこれと同等以上の業歴を有すると認められる中小企業者で、県内において、物流施設を新設又は増設するもの及び県内の既存の物流施設を取得するもので、次の要件を全て満たしているもの

  • 土地を含む投下固定資産額が1億5千万円以上(ただし、特定地区内の地方公共団体又は土地開発公社が分譲を行っている区域への設置の場合は、土地を含む投下固定資産が5千万円以上)
  • 新規常用雇用者5人以上(県内在住者)
  • 3年以内に当該物流施設において業務を開始すること
使 途
  • 物流施設の新設又は増設の用に供する土地、建物及びその他の施設の取得又は建設に要する費用
  • 既存の物流施設の取得及びその他の施設の取得又は建設に要する費用
限度額 融資対象施設の取得又は建設に要した費用の3分の2の額と1億円のいずれか低い額以内
ただし、知事が必要と認めた場合は3億円以内
期 間 10年以内(うち据置期間3年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年2.10%以内
  • 融資期間7年超の場合固定 年2.20%以内
信 用
保証率
任意 年0.40%~1.55%
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『物流施設整備促進資金』

2025年7月18日


香川県中小企業者融資制度『工場等立地促進資金』

中小企業が県内に工場等の新設、増設等を行うために必要な資金の一部を融資します。

工場等立地促進資金の様式

<工場等立地促進資金について>

対 象 1年以上引き続いて同一事業を営む中小企業者であって、香川県企業誘致条例に規定する工場、試験研究施設、情報処理関連施設、物流拠点施設(以下「工場等」という)を県内で新設又は増設するもの及び県内の既存の工場等を取得するもので、次の要件を全て満たしている者

  • 土地を除く投下固定資産額が5千万円以上
  • 新規常用雇用者5人以上(県内在住者)
  • 3年以内に当該工場等において業務を開始すること
  • 県内移転の場合は、業務を廃止する工場等の生産施設面積より、新たに設置する工場等の生産施設面積が増加すること(試験研究施設にあっては、生産施設面積を試験研究施設面積とする)
使 途
  • 工場等の新設又は増設の用に供する土地、建物及びその他の施設の取得又は建設に要する費用
  • 既存の工場等の取得及びその他の施設の取得又は建設に要する費用
限度額 融資対象施設の取得又は建設に要した費用の3分の2の額と5億円のいずれか低い額以内
期 間 10年以内(うち据置期間3年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年2.10%以内
  • 融資期間7年超の場合固定 年2.20%以内
信 用
保証率
任意 年0.40%~1.55%
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『工場等立地促進資金』

2025年7月17日


香川県中小企業者融資制度『特産振興小口融資』

小規模企業者に必要な資金を市町との協調で融資します(700万円以内)。

詳細については、県内各市町にお問い合わせください。

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度

2025年7月16日


香川県中小企業者融資制度『BCP策定企業融資』

事業継続のために必要な資金を融資します。

<BCP策定企業融資について>

対 象 県内に事業所を有し、6か月以上引き続いて同一事業を営む中小企業者又は組合であって、BCP(事業継続計画)を策定し、申込日において次の要件のいずれかに該当する方(1)香川県BCP優良取組事業所認定制度に基づき、香川県から認定を受け、かつ認定証の有効期間内のもの
(2)香川県建設業BCP認定制度に基づき、香川県から認定を受け、かつ認定証の有効期間内のもの
使 途 事業の継続のために必要な設備・運転資金
限度額 8,000万円以内
ただし、運転資金は5,000万円以内
期 間
  • 設備資金10年以内(うち据置期間1年以内)
  • 運転資金7年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 香川県BCP優良取組事業所認定を受けた方
    融資期間7年以内の場合固定 年1.60%以内
    融資期間7年超の場合固定 年1.70%以内
  • 香川県建設業BCP認定会社
    融資期間7年以内の場合固定 年1.80%以内
    融資期間7年超の場合固定 年1.90%以内
信 用
保証率
  • 香川県BCP優良取組事業所認定を受けた方
    年0.21%~0.85%
  • 香川県建設業BCP認定会社
    年0.25%~1.40%
申 込
方 法
香川県BCP優良取組事業所認定制度に基づく認定書の写し又は香川県建設業BCP認定制度に基づく認定証の写しを添付して、取扱金融機関の窓口へお申込下さい。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『BCP策定企業融資』

2025年7月15日


香川県中小企業者融資制度『中小企業再生支援融資』

一時的に経営に支障が生じた地域経済を担う中小企業が、中小企業活性化協議会の支援を受けて又は経営サポート会議による検討に基づき再生するために必要な事業資金を融資します。

<中小企業再生支援融資(一般タイプ)について>

対 象 県内で1年以上引き続いて同一事業を営む中小企業者(会社・個人)又は組合であって、香川県中小企業活性化協議会の支援を受けて又は経営サポート会議による検討に基づき策定した「経営改善計画」(当該計画に係る債権者全員の合意が成立したものに限る。)に基づき事業の再生を図る方(経営改善計画に従って設立された法人も対象です。)
本融資は、事業再生計画実施関連保証制度(全国統一保証制度)に準拠しています。
本融資を受けた後、金融機関に対して計画の実行及び進捗の状況の報告を行う必要があります。
使 途 経営改善計画の実施に必要な設備・運転資金(「経営改善計画」に明記されたもの)
限度額 8,000万円以内
期 間 10年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年2.00%
  • 融資期間7年超の場合固定 年2.10%
信 用
保証率
年0.80%
責任共有制度の対象除外の場合 年1.00%
申 込
方 法
  • 香川県中小企業活性化協議会の支援を受けたもの
    「経営改善計画」を添えて、取扱金融機関にお申込みください。
  • 経営サポート会議による検討に基づくもの
    「経営改善計画」を添えて、取扱金融機関にお申込みください。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343
所 属 香川県中小企業活性化協議会
TEL 087-811-5885

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『中小企業再生支援融資』

2025年7月14日


香川県中小企業者融資制度『事業承継支援融資(特別保証タイプ)』

業承継時に一定の要件の下で経営者保証が不要となるほか、専門家の支援・確認を受けた場合、保証料負担が軽減されることがあります。

<事業承継支援融資(特別保証タイプ)について>

対 象
  1. 県内に事業所を有し、次の1又は2に該当し、かつ、3及び4に該当する中小企業者
    ただし、本要件により本制度を既に利用している中小企業者は、上記に該当することに加え、本制度1回目の保証日(ただし、貸付実行されたものに限る。)から3年以内に保証申込みを行うものに限る

    1 信用保証協会の保証申込受付日から3年以内に事業承継を予定する事業承継計画を有する法人
    2 令和2年1月1日から令和7年3月31日までに事業承継を実施した法人であって、事業承継日から3年を経過していない方
    3 信用保証協会への申込日の直前の決算において次の全ての要件を満たすこと
    (ア)資産超過であること
    (イ)EBITDA有利子負債倍率(注1)が10倍以内であること
    (ウ)法人・個人の分離がなされていること
    4 信用保証協会への申込日(注2)において、返済緩和している借入金がないこと
  2. 県内に事業所を有し、次の1から3のいずれにも該当する会社である中小企業者
    1 次のいずれにも該当することにつき、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項第1号二に規定する認定を受けていること
    (ア)中小企業者の代表者が当該中小企業者の金融機関からの借入れによる債務を保証していることにより、当該中小企業者の事業活動の継続に支障が生じていると認められること
    (イ)認定申請日の直前の決算において、資産超過であること
    (ウ)認定申請日の直前の決算において、EBITDA有利子負債倍率(注1)が10倍以内であること
    (エ)当該中小企業者が認定申請日より3年以内に事業承継を予定していること
    2 信用保証協会への申込日の直前の決算において次の全ての要件を満たすこと
    (ア)資産超過であること
    (イ)EBITDA有利子負債倍率(注1)が10倍以内であること
    (ウ)法人・個人の分離がなされていること
    3 3 信用保証協会への申込日(注2)において、返済緩和している借入金がないこと

(注1)EBITDA有利子負債倍率 =(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
なお、国の制度の改正に伴い、令和6年9月2日より倍率を10倍に変更

(注2)申込日が、中小企業信用保険法第2条第6項の規定に基づき、内外の金融秩序の混乱その他の事象が突発的に生じたため我が国の中小企業に著しい信用の収縮が全国的に生じていると経済産業
大臣が認める場合に係る期間中である場合においては、当該期間の始期の前日でも差し支えない

使 途 対象の1については、事業資金であって、次に掲げるものとする1に該当する中小企業者にあっては、保証人(個人に限る。以下において同じ。)を提供していない既往借入金の返済資金以外のもの
2に該当する中小企業者にあっては、事業承継前における保証人を提供している既往借入金の返済資金対象の2については、認定を受けた中小企業者の経営の承継に必要な資金のうち、当該認定の日から経営の承継の日までの間における借換資金(当該中小企業者の代表者が保証債務を負う借入れに係るもの)とする
限度額 8,000万円以内
期 間 10年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.60%以内
  • 融資期間7年超の場合固定 年1.70%以内
信 用
保証率
年0.40%~1.55%
ただし、「申込方法」欄の(6)の書面に掲げる項目のうち、確認が必要な項目の全てについて専門家(香川県中小企業活性化協議会及び香川県事業承継・引継ぎ支援センター)が満たすものと判断した場合は、年0.15%~0.80%
申 込
方 法
対象の1については、各取扱金融機関が定める融資申込書に香川県信用保証協会が定める信用保証委託申込書及び次の(1)及び(3)の所定の書面を添えて、与信取引のある取扱金融機関にお申し込みください。(既往借入金を借り換える場合は、(4)の書面も添付するものとします。)対象の2については、各取扱金融機関が定める融資申込書に香川県信用保証協会が定める信用保証委託申込書及び次の(2)、(3)及び(4)の所定の書面を添えて、与信取引のある取扱金融機関にお申し込みください。ただし、対象の1及び対象の2のいずれにおいても、既往借入金を借り換える場合で申込金融機関以外からの借入金を含むときは(5)、専門家の確認を受けた場合の信用保証料率を適用する場合にあっては(6)の書面を(1)又は(2)及び(3)、(4)に加えてそれぞれ添付するものとします。(1)事業承継計画書
(2)中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則様式第6の3の知事の認定書(申請書の写しを含む)の写し及び認定申請の提出書類の写し
(3)財務要件等確認書
(4)借換債務等確認書
(5)他行借換依頼書兼確認書
(6)ガバナンス体制の整備に関するチェックシート

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『事業承継支援融資(特別保証タイプ)』

2025年7月11日


香川県中小企業者融資制度『事業承継支援融資(一般タイプ)』

認定支援機関や香川県信用保証協会等の支援を受けて策定した事業承継計画に基づいて実施する事業承継のために必要な資金を融資します。

<事業承継支援融資(一般タイプ)について>

対 象 県内で1年以上引き続き事業を営む中小企業者であって、認定支援機関や香川県信用保証協会等の支援を受けて策定した事業承継計画に基づき、5年以内に事業承継の予定がある方又は事業承継を行ってから5年以内の方
限度額 8,000万円以内
期 間 20年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.60%以内
  • 融資期間7年超の場合固定 年1.70%以内
信 用
保証率
年0.40%~1.55%
申 込
方 法
認定支援機関や香川県信用保証協会等の支援を受けて策定した事業承継計画を添付して取扱金融機関の窓口にお申込みください。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『事業承継支援融資(一般タイプ)』

2025年7月10日


香川県中小企業者融資制度『小口零細企業融資』

小規模企業者に必要な設備・運転資金を融資します。

<小口零細企業融資について>

対 象 県内で1年以上引き続いて同一事業を営む小規模企業者(会社・個人)
※本融資は、小口零細企業保証制度(全国統一保証制度)に準拠しています
使 途 設備・運転資金
限度額 2,000万円以内
※ただし、信用保証協会の保証付き融資残高との合計額が、2,000万円を超えないこと
期 間 10年以内(うち据置期間2年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合:固定 年2.00%
  • 融資期間7年超の場合:固定 年2.30%
信 用
保証率
年0.45%~1.75%
セーフティネット保証を利用する場合は 年0.60%
申 込
方 法
取扱金融機関の窓口に直接お申込みください。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。
※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『小口零細企業融資』

2025年7月2日


香川県中小企業者融資制度『経済変動対策融資』

中小企業の経営の改善・安定化のために必要な資金を融資します。

経済的環境の著しい変化による販売不振などにより、資金繰りにお困りの中小企業の方へ。

<経済変動対策融資について>

対 象 県内で1年以上引き続いて同一事業を営む中小企業者(会社・個人・NPO法人等)又は組合であって、次の要件のいずれかを満たす方

  1. 中小企業信用保険法第2条第5項の1~8号のいずれかの規定に基づき、会社の本店所在地(個人は主たる事業所)を管轄する市町長の認定を受けていること
    (セーフティネット保証利用者) セーフティネット保証について
  2. 経済的環境の変化により、最近3か月又は6か月の売上高が直近3か年のいずれかの同期の売上高に比べて5%以上減少していることにより、経営の安定に支障が生じていること
    売上高状況報告書様式
  3. 取引先の倒産により、債権回収が困難になっていること
    債権保有状況報告書様式
  4. 原材料の高騰その他の経済的環境の変化により、最近3か月若しくは6か月又は直近決算期における売上総利益率又は営業利益率が、その前年における同期の売上総利益率又は営業利益率に比べて5ポイント以上減少し、経営の安定に支障が生じていること
    利益率状況報告書様式
  5. 感染症法における「指定感染症」又は知事が特に対応が必要と認めた疾病等による影響により、最近1か月の売上高が直近3か年のいずれかの同期の売上高に比べて5%以上減少していること
    売上高状況報告書様式(指定感染症等関連)
限度額 8,000万円以内
期 間 運転資金:10年以内(据置期間:2年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定年 1.70%
  • 融資期間7年超の場合固定年 2.00%
信 用
保証率
年 0.40%~1.55%
※セーフティネット保証を利用する場合は 年 0.60%
申 込
方 法
県が定める必要書類を添付して取扱金融機関の窓口に直接お申込みください。
必 要
書 類
1.に該当する場合

  • 市町長の認定書(認定申請に当たって必要となる書類は、申請を行おうとする市町の商工担当課に確認してください)
  • その他の必要書類

2.に該当する場合

  • 売上高状況報告書(リンク先からダウンロードできます)
  • その他の必要書類

3.に該当する場合

  • 債権保有状況報告書(リンク先からダウンロードできます)
  • その他の必要書類

4.に該当する場合

  • 利益率状況影響報告書(リンク先からダウンロードできます)
  • その他の必要書類

5.に該当する場合

  • 売上高状況報告書[指定感染症等関連](リンク先からダウンロードできます)
  • その他の必要書類
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

<セーフティネット保証認定のお問い合わせは>

所 属 各市町の商工担当課


★リンクはこちら⇒
 香川県中小企業者融資制度『経済変動対策融資』

2025年6月30日


香川県中小企業者融資制度『経営安定融資(経営者保証非提供促進タイプ)』

保証料の上乗せ等を条件に、経営者保証が不要となる融資制度です。中小企業の経営の合理化のために必要な資金を融資します。

<経営安定融資(経営者保証非提供促進タイプ)について>

対 象 県内に事業所を有し、6か月以上引き続いて同一事業を営む法人である中小企業者又は組合(以下「中小企業者等」という)であって、次の要件のいずれにも該当するもの
ただし、法人の設立後最初の事業年度(以下「設立事業年度」という)の決算がない法人である中小企業者等は(1)、(2)及び(3)、設立事業年度の次の事業年度の決算がない法人である中小企業者等は(3)の要件は問わない(1)信用保証協会への保証申込日(以下「申込日」という)以前2年間(法人の設立日から起算して申込日までの期間が2年間に満たない場合は、その期間)において、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること
(2)申込日の直前の決算において、当該中小企業者等の代表者(代表者に準ずる者を含む)への貸付金その他の金銭債権(当該中小企業者等の事業の実施に必要なもの及び少額のものを除く)がなく、かつ、当該中小企業者等の代表者(代表者に準ずる者を含む)への役員報酬、賞与、配当その他の金銭の支払が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと
(3)次の両方又はいずれかを満たすこと
1申込日の直前の決算における貸借対照表上、債務超過※1でないこと
2申込日の直前2期の決算における損益計算書上、減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと※2
(4)次の1及び2について継続的に充足することを誓約する書面を提出していること
1申込日以降においても、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出すること
2申込日を含む事業年度以降の決算において、当該中小企業者等の代表者(代表者に準ずる者を含む)への貸付金その他の金銭債権(当該中小企業者等の事業の実施に必要なもの及び少額のものを除く)がなく、かつ、申込日を含む事業年度以降の決算において、当該中小企業者等の代表者(代表者に準ずる者を含む)への役員報酬、賞与、配当金その他の金銭の支払が社会通念上相当と認められる額を超えないこと
(5)信用保証料率の引上げ※3により経営者保証を提供しないことを希望していること※1 「純資産の額≧0」であること
※2 「経常利益+減価償却≧0」であること
※3 中小企業信用保険法施行規則(昭和37年通商産業省令第14号)第4条の2第5号に掲げる規定に基づき、保険料率が加算されることに伴うものに限る
使 途
  • 長期資金 経営の合理化のために必要な設備・運転資金
  • 短期資金 短期運転資金
限度額
  • 長期資金 8,000万円以内
  • 短期資金 1,000万円以内
期 間
  • 長期資金 設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
  • 長期資金 運転資金:7年以内(うち据置期間6か月以内)
  • 短期資金 運転資金:1年以内
利 率
  • 長期資金 融資期間7年以内の場合固定 年2.10%以内
  • 長期資金 融資期間7年超の場合固定 年2.20%以内
  • 短期資金 固定 年2.00%以内
信 用
保証率
保証付 信用保証料率
1.(3)1及び2のいずれにも該当する融資対象者
年 0.65%~1.80%
経営安定関連(セーフティネット)保証(4号又は5号)が適用された場合は
年 0.85%とする
1.(3)1又は2のいずれか一方のみに該当する融資対象者又は法人の設立後2事業年度の決算がない融資対象者
年 0.85%~2.00%
経営安定関連(セーフティネット)保証(4号又は5号)が適用された場合は
年 1.05%とする保証料補助について
上記いずれの融資対象者に対しても、申込日に応じて、0.05%から0.15%に相当する額を国が補助する。
具体的には、申込日が令和6年4月1日から令和7年3月31日までは0.15%、令和7年4月1日から令和8年3月31日までは0.10%、令和8年4月1日から令和9年3月31日までは0.05%とする。
なお、条件変更に伴い追加して生じる信用保証料については、国の補助の対象外とする
申 込
方 法
各取扱金融機関が定める融資申込書に香川県信用保証協会が定める信用保証委託申込書のほか、事業者選択型経営者保証非提供制度要件確認書兼誓約書を添えて、取扱金融機関に申し込むものとする
なお、経営安定関連(セーフティネット)保証(4号又は5号)を利用する場合は、中小企業信用保険法第2条第5項に基づく市町長の認定書の添付を要する
備 考 本融資は、事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度(全国統一保証制度)に準拠しています

<問い合わせ先>

所属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

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2025年6月27日


香川県中小企業者融資制度『経営安定融資(一般タイプ)』

中小企業の経営の合理化のために必要な資金を融資します。

<経営安定融資について>

対 象 県内に事業所を有し、6か月以上引き続いて同一事業を営む中小企業者(会社・個人・NPO法人等)又は組合
使 途
  • 長期資金 経営の合理化のために必要な設備・運転資金
  • 短期資金 短期運転資金
限度額
  • 長期資金 8,000万円以内
  • 短期資金 1,000万円以内
期 間
  • 長期資金 設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
  • 長期資金 運転資金:7年以内(うち据置期間6か月以内)
  • 短期資金 運転資金:1年以内
利 率
  • 長期資金 融資期間7年以内の場合固定 年2.10%以内
  • 長期資金 融資期間7年超の場合固定 年2.20%以内
  • 短期資金 固定 年2.00%以内
信 用
保証率
年0.40%~1.55%
セーフティネット保証を利用する場合は 年0.60%
申 込
方 法
取扱金融機関の窓口に直接お申込みください。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。
※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

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2025年6月26日


香川県中小企業者融資制度『経営活性化支援融資』

中小企業の経営の効率化・安定化のために必要な資金を融資します。

<経営活性化支援融資について>

対 象 県内に事業所を有し、6カ月以上引き続いて同一事業を営む中小企業者(会社・個人・NPO法人等)又は組合であって、次の要件のいずれかに該当し、本制度の活用により、経営の効率化・安定化が図られること

  1. 構築物、機械、装置等を新設、増設、更新又は改造しようとするもの
  2. 工場、店舗、倉庫等を新築、増築、改築又は改装しようとするもの
  3. 事業の用に供するための既存建物を取得しようとするもの
  4. 温室効果ガスの排出削減に資する機械、装置等を新設、増設、更新又は改造しようとするもの
限度額 8,000万円以内
期 間 設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.80%以内
  • 融資期間7年超の場合固定 年1.90%以内
信 用
保証率
年0.40%~1.55%
申 込
方 法
取扱金融機関の窓口に直接お申込みください。
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。
※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343


★リンクはこちら⇒
 香川県中小企業者融資制度『経営活性化支援融資』

2025年6月16日


香川県中小企業者融資制度『フロンティア融資(新事業進出支援)』

中小企業が新しい事業分野に進出・転換するために必要な資金を融資します。

<フロンティア融資(新事業進出支援)について>

対 象 県内で1年以上引き続いて事業を営む中小企業者(会社・個人・NPO法人等)で、次のいずれかに該当し、かつ、新分野への進出にあたって(公財)かがわ産業支援財団の支援を受けて「新事業進出計画書」を作成した方

  1. 中小企業者が、現在の事業を継続しながら、新たにこれまで行ってきた事業と日本標準産業分類(中分類)が異なる業種分類に属する事業に進出すること
  2. 中小企業者が、現在の事業を廃止し、新たにこれまで行ってきた事業と日本標準産業分類(中分類)が異なる業種分類に属する分野に事業転換すること
使 途 新事業に進出するために必要な設備・運転資金
限度額 8,000万円以内(ただし、運転資金は5,000万円以内)
期 間
  • 設備資金:10年以内(うち据置期間2年以内)
  • 運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.75%
  • 融資期間7年超の場合固定 年1.85%
信 用
保証率
年0.40%~1.55%(ただし、香川県中小企業振興融資制度保証料補給金交付要綱により、県から年0.40%の補給があります。)
【保証料補給について】
香川県信用保証協会の保証日が令和6年4月1日以降の案件については、保証料補給金の申請手続きは不要です。
ただし、同協会の保証日が令和6年3月31日以前の案件について、条件変更による追加の保証料補給を申請する際は、以下の様式に所定の事項を記載のうえ、県にご提出ください。
香川県中小企業振興融資制度保証料補給金の申請について(要綱及び様式)
申 込
方 法
(公財)かがわ産業支援財団の支援を受けて「新事業進出計画書」を作成し、取扱金融機関の窓口にお申し込みください。
必 要
書 類
  1. 新事業進出計画書(様式は下記リンク先からダウンロードできます)
  2. 最近2か年の決算書(貸借対照表、損益計算書、内訳書等)、税務申告書の写し及び最近時の残高試算表
  3. 法人の場合、商業登記簿謄本及び定款 個人の場合、住民票
  4. 設備・原材料等の見積書、図面又は、カタログ等
  5. 許認可業種の場合、許認可書(写)
  6. その他の必要書類
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。
※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343
所 属 (公財)かがわ産業支援財団 企業振興部企業支援課
所在地 高松市林町2217-15 香川産業頭脳化センタービル2階
TEL 087-840-0391

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『フロンティア融資(新事業進出支援)』

2025年6月11日


香川県中小企業者融資制度『フロンティア融資(ベンチャー企業育成支援)』

優れた新技術・新製品などの開発を行うための資金を融資するもので、承認を受けた日から5年を経過していないことが必要です。

<フロンティア融資(ベンチャー企業育成支援)について>

対 象 県内で6か月以上引き続いて同一事業を営み中小企業等経営強化法に基づき、経営革新計画(優れた新技術・新商品等の開発を行うもの)に係る香川県知事の承認を受け、5年を経過していない特定事業者であって、次の要件のいずれかに該当するもののうち、本制度による融資の必要性・妥当性のあるもの

  1. 特定事業者であって、中小企業信用保険法第2条第1項に規定する中小企業者(以下「保険対象中小企業者」という。)に該当するもの
  2. 特定事業者であって、中小企業等経営強化法第22条第1項の規定により保険対象中小企業者とみなされるもの
  3. 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律附則第8条第2項の規定により特定事業者とみなされるものであって、保険対象中小企業者に該当するもの
使 途 知事の承認を受けた事業の実施に必要な設備・運転資金
限度額 5,000万円以内
期 間
  • 設備資金:10年以内(うち据置期間2年以内)
  • 運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.75%
  • 融資期間7年超の場合固定 年1.85%
信 用
保証率
年0.75%(ただし、香川県中小企業振興融資制度保証料補給金交付要綱により、県から年0.40%の補給があります。)【保証料補給について】
香川県信用保証協会の保証日が令和6年4月1日以降の案件については、保証料補給金の申請手続きは不要です。
ただし、同協会の保証日が令和6年3月31日以前の案件について、条件変更による追加の保証料補給を申請する際は、以下の様式に所定の事項を記載のうえ、県にご提出ください。
香川県中小企業振興融資制度保証料補給金の申請について(要綱及び様式)
申 込
方 法
知事の承認を得て、取扱金融機関の窓口にお申込みください。
必 要
書 類
経営革新計画に係る承認通知書(写)及び計画書(写)
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。
※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『フロンティア融資(ベンチャー企業育成支援)』

2025年6月9日


香川県中小企業者融資制度『新規創業融資(経営者保証免除タイプ)』

県内で新たに事業を始めるための設備・運転資金を融資します。

<新規創業融資(経営者保証免除タイプ)について>

対 象 県内で新たに事業を開始しようとする方で、次の要件のいずれかに該当する方

  1. 事業を営んでいない個人であって、2か月以内に新たに会社を設立し、その新たに設立された会社が、事業を開始する具体的な計画を有すること
  2. 事業を営んでいない個人によって設立された会社であって、その設立の日以後1年を経過しないこと
  3. 事業を営んでいない個人が事業を開始し、開始後1年を経過していない創業者であって新たに会社を設立したものが、事業の譲渡により事業の全部又は一部を当該会社に承継させる場合であって、個人の事業開始後1年を経過しないこと

保証申込受付時点において税務申告1期未終了の方にあっては、創業資金総額の1月10日以上の自己資金を有していることを要する

使 途 県内で新たに事業を始めるための設備・運転資金
限度額 2,000万円以内
期 間
  • 設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
    申込金融機関において本融資と原則同時にプロパー融資を実行する、又は本融資の申込時においてプロパー融資の残高がある場合は、設備資金に係る据置期間を2年以内とする
  • 運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.75%
  • 融資期間7年超の場合固定 年1.85%
信 用
保証率
年0.78%(ただし、香川県中小企業振興融資制度保証料補給金交付要綱により、県から年0.58%の補給があります。)【保証料補給について】
香川県信用保証協会の保証日が令和6年4月1日以降の案件については、保証料補給金の申請手続きは不要です。
ただし、同協会の保証日が令和6年3月31日以前の案件について、条件変更による追加の保証料補給を申請する際は、以下の様式に所定の事項を記載のうえ、県にご提出ください。
香川県中小企業振興融資制度保証料補給金の申請について(要綱及び様式)担保割引等なし
申 込
方 法
取扱金融機関の窓口に直接お申込みください。
必 要
書 類
  1. 創業計画書(様式は以下のリンクからダウンロードできます)
  2. 客観的に事業を開始した時期が明らかになる書類
  3. 宣誓書(香川県信用保証協会で定めた様式)(様式は以下のリンクからダウンロードできます)
  4. 許認可業種の場合、許認可書等(写)
  5. その他の必要書類

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『新規創業融資(経営者保証免除タイプ)』

2025年6月3日


香川県中小企業者融資制度『新規創業融資(一般タイプ)』

県内で新たに事業を始めるための設備・運転資金を融資します。

<新規創業融資(一般タイプ)について>

対 象 県内で新たに事業を開始しようとする方で、次の要件のいずれかに該当する方

  1. 事業を営んでない個人で、1か月以内に新たに事業を開始する具体的な計画を有すること
  2. 事業を営んでいない個人で、2か月以内に新たな会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的な計画を有すること
  3. 事業を営んでいない個人が事業を開始し、開始後1年を経過しないこと
  4. 事業を営んでいない個人により設立された会社であって、その設立の日以後1年を経過しないこと
  5. 3.に規定する事業者であって新たに会社を設立したものが、事業の譲渡により事業の全部又は一部を当該会社に承継させる場合であって、個人の事業開始後1年を経過しないこと
使 途 県内で新たに事業を始めるための設備・運転資金
限度額 2,000万円以内
期 間
  • 設備資金:10年以内(うち据置期間2年以内)
  • 運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
利 率
  • 融資期間7年以内の場合固定 年1.75%
  • 融資期間7年超の場合固定 年1.85%
信 用
保証率
年0.58%(ただし、香川県中小企業振興融資制度保証料補給金交付要綱により、県から年0.58%の補給があります。)【保証料補給について】
香川県信用保証協会の保証日が令和6年4月1日以降の案件については、保証料補給金の申請手続きは不要です。
ただし、同協会の保証日が令和6年3月31日以前の案件について、条件変更による追加の保証料補給を申請する際は、以下の様式に所定の事項を記載のうえ、県にご提出ください。
香川県中小企業振興融資制度保証料補給金の申請について(要綱及び様式)担保割引等なし
申 込
方 法
取扱金融機関の窓口に直接お申込みください。
必 要
書 類
  1. 創業計画書(様式はリンク先からダウンロードできます)
  2. 客観的に事業を開始した時期が明らかになる書類
  3. 法人の場合、商業法人登記簿謄本と定款(写) 個人の場合、住民票
  4. 宣誓書(香川県信用保証協会で定めた様式)(様式はリンク先からダウンロードできます)
  5. 許認可業種の場合、許認可書等(写)
  6. その他の必要書類
備 考 本融資制度は、保証料を上乗せすること等により、経営者保証の提供を不要とする制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)をご利用いただけます。詳細については、取扱金融機関または香川県信用保証協会にお問い合わせください。※経営者保証の提供を不要とする保証制度の概要

<問い合わせ先>

所 属 香川県商工労働部経営支援課(商業・金融グループ)
所在地 高松市番町四丁目1番10号 県庁東館6階
TEL 087-832-3343

★リンクはこちら⇒ 香川県中小企業者融資制度『新規創業融資(一般タイプ)』

2025年6月3日


「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(案)に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁は、『「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(案)に対するパブリックコメントの結果等について』を公表した。

金融庁は、「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(案)について、令和元年9月10日(火)から令和元年10月11日(金)にかけて公表し、意見募集を行った。

その結果、20の個人及び団体より99件のご意見をいただいた。

お寄せいただいたコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は、リンクの『別紙1』をご覧のこと。

パブリックコメントでお寄せいただいたご意見を踏まえ、必要な追記・修正を行い、リンクの『別紙2「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」』を策定した。

本文書は、引当・償却について現状の実務を否定するものではなく、現在の債務者区分を出発点に、現行の会計基準に沿って、金融機関が自らの融資方針や債務者の実態等を踏まえ、認識している信用リスクをより的確に引当に反映するための見積りの道筋を示している。

この点、金融機関の経営理念、経営戦略・方針、内部管理態勢、融資方針やリスク管理等と切り離して、特定の引当の見積方針の是非を問うご意見があった。

しかしながら、どのような見積方法が信用リスクをより的確に引当に反映することができるかは、金融機関ごとに異なると考えられ、当該ご意見についても、金融機関の経営理念、経営戦略・方針、内部管理態勢、融資方針やリスク管理等を踏まえた上で検討いただくことが考えられる。

なお、金融機関が、自らの融資方針や債務者の実態等を踏まえ、信用リスクをより的確に引当に反映する方法を検討するにあたっては、様々な悩みや課題が生じるものと思われる。

このような悩みや課題について関係者で議論できるよう、金融庁に相談受付窓口を設置した。ご相談を希望される場合は、リンクの『相談受付窓口の設置について』をご確認のこと。

引き続き、金融庁・財務(支)局が一体となって、金融機関との建設的で双方向の対話を続けながら、金融行政の質を継続的に高めていく。

<お問い合わせ先>
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局銀行第二課地域金融企画室(内線2209、2564)

★コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方はこちら⇒ コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方

★検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方 はこちら⇒ 検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方

★融資に関する検査・監督についての相談受付窓口の設置についてはこちら⇒ 融資に関する検査・監督についての相談受付窓口の設置について

2020年3月17日


全国上場会社のエクイティファイナンスの状況(2019年)

日本証券業協会は、全国上場会社の国内、国外における公募、売り出し等エクイティファイナンスの状況を発行形態別、発行規模別等にまとめている。

<統計の目的>
広く一般の皆様に全国の証券取引所の上場会社(証券取引所から新規上場承認され、新規上場した会社を含む。以下「上場会社」という。)が行う資金調達の状況をご理解いただく指標の一つとして、全国上場会社のエクイティファイナンスの状況を公表している。

<お問い合わせ>
日本証券業協会 公社債・金融商品部 市場統計業務室
TEL:03-6665-6774

★リンクはこちら⇒ 全国上場会社のエクイティファイナンスの状況(2019年)

2019年5月28日


政府系金融機関における「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績

中小企業庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、中小企業者等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促しているところである。

今般、ガイドラインの更なる活用促進を図る観点から、政府系金融機関におけるガイドラインの活用実績(ガイドラインの適用が開始された平成26年2月から平成28年9月末までの実績)に加えて融資全体に占める割合を公表した。

なお、今般、公表するのは現時点(平成28年12月28日)の集計値であり、今後の精査によって変動し得るものである。

★リンクはこちら⇒ 政府系金融機関における「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績

2017年1月19日

自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン

一般社団法人全国銀行協会は、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を公表している。

このガイドラインは、自然災害の影響によって、住宅ローン等を借りている個人や事業性ローンを借りている個人事業主が、既往債務を弁済できず再スタートが困難となることを想定し、そのような債務者が一定の要件を満たした場合に、法的倒産手続によらずに、債権者と債務者の合意に基づき、債務整理を行う際の準則として取りまとめられたものである。

今般、内閣府が「平成28年熊本県熊本地方の地震」について災害救助法の適用を決定したことに伴い、当該災害の影響によって住宅ローンの既往債務を弁済できなくなるなど一定の条件に該当する方は、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の対象となる。

★リンクはこちら⇒ 自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン

2016年6月17日

『経営者保証に関するガイドライン』サイト

独立行政法人中小企業基盤整備機構(いわゆる中小機構)は、『経営者保証に関するガイドライン』サイトを開設した 。

★リンクはこちら⇒ 『経営者保証に関するガイドライン』サイト(既に削除済み)

2016年2月4日

「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(平成27年7月改訂版)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促しているところである。

その一環として、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表しているところであるが、この度、金融機関等における取組事例を追加的に収集したので、改訂版を公表した。
これにより、金融機関等においてガイドラインの積極的な活用が促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくこと、中小企業等にとっても思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々にとっても経営支援等の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

★「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集についてはこちら⇒ 「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集について
★「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集はこちら⇒ 「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集

2015年8月11日

事業再生ADR を活用して保証債務を整理した事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.整理の申し出を行うに至った経緯・状況等

  • 当社は、宿泊業者であり、過去、多額の資金を投じ設備投資や事業の多角化を行ったものの、企図した投資効果を得られずに過剰債務・債務超過に陥った。
  • その後、一定のキャッシュフローの創出はできていたが、事業価値を維持するための設備投資資金の調達が困難であることや競争環境が厳しくなったこと等から、自主再建は困難と判断されたため、メインの地元銀行から抜本的改善スキームの必要性を説明し、事業再生ADR を活用した事業再生計画の策定に着手した。

2.当該整理の具体的内容

  • スポンサーから出資・貸付により拠出を受けた資金を金融債務の一部弁済に充て、残りは債務免除を受けることで再建を図ることとなった。事業再生計画の概要は以下のとおり。
    金融機関の債権(うち大半を経営者が連帯保証)について、スポンサーからの出資・貸付、不動産の売却等、経営者の保証履行で一部を弁済し、残りの債務については免除した。
  • 経営者の保証債務については、「経営者保証に関するガイドライン」に即して、以下のような形で保証債務の免除を行うこととした。
    保証人が保有資産の内容を開示するとともに、その正確性について表明保証を行い、支援専門家である弁護士がその適正性について確認を行った旨の報告書の提出を行った。
    保証人が、表明保証を行った資力の状況が事実と異なる場合には追加弁済を行う旨を表明した。
    早期再生に伴う回収見込額の増加額は、スポンサーからの出資・貸付により主たる債務の一部弁済に充てた金額であった。
    保証人の退職金により、保証債務の一部を履行した。
    保証人の残存資産については、以下のとおりとした。
    ★破産手続の自由財産に相当する現預金
    ★生命保険を解約した場合の返戻金(破産手続においても自由財産として認められる可能性が高いことを考慮)
    ★自宅(華美とは認められず、今後の生活の維持を考慮)
  • 生命保険の解約返戻金のほか、自宅を残存資産として保証人に残したことにより、その後の保証人の生活再建に大きく寄与することとなった。

2014年8月6日

中小企業再生支援協議会を活用して保証債務を整理した事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.整理の申し出を行うに至った経緯・状況等

  • 当社は、小売業者であり、競合店の進出、市況の悪化等による売上の減少、収益力の低下のため、再生計画を策定して各種改善策に取り組んだが、実績は計画から大幅に乖離したため、計画の見直しが求められていた。
  • 数年前から店舗閉鎖を進め、閉鎖した店舗を転貸することにより平成25 年度決算期には黒字に転換し、一定の事業継続の可能性が認められたことから、再度、債権放棄を含む抜本的な再生計画に取り組むため、中小企業再生支援協議会に相談することとなった。

2.当該整理の具体的内容

  • 中小企業再生支援協議会に相談し、経営者の息子が設立する新会社が受皿会社として当社の全事業を承継し、当社は特別清算手続により清算される第二会社方式による事業再建計画が策定された。
  • 中小企業再生支援協議会の斡旋による当事者間の協議に基づき債務整理を行い、保証債務の一部履行後、主債権と保証債権を中小企業再生ファンドに譲渡した。当該譲渡後、当社から新会社に債務の一部を承継するとともに、当社に残存する債務については、特別清算手続による債権放棄及び残存保証債務の債務免除が行われる予定である。
  • 保証債務の整理の概要は以下のとおり。
    金融機関の債権は数億円(経営者を含む取締役数名が連帯保証)、早期再生に伴う回収見込額の増加額は44百万円であった。
    調査の結果、保証人は計1億円超の私財を保有していることが判明したため、各保証人の財産に関する表明保証に加え、いずれの保証人とも利害関係のない弁護士が調査・確認して保有資産を明らかにした上で、一定の資産を保証人の手元に残した上で、保証債務の一部履行を実施した。
    具体的には、計14百万円を生計費として保証人の手元に残した(原則として各4百万円。うち1名に医療費2百万円を追加)。
    また、新会社の運転資金11百万円及び不動産転貸に係る預かり保証金の返戻金請求に備えた19百万円の計30百万円を保証人から新会社に対する貸付金とした。このようにして、最終的には、保証人の私財から手元に残る資産計44百万円を控除した金額で保証債務の履行を受け、保証人の手元に残る資産の額に相当する残存債務計44百万円については免除した。
  • 債務整理に当たり、取締役は責任をとって退任し、また、株主は会社分割後の特別清算(予定)により株主責任を果たした。
  • 債務整理に関する合意は「経営者保証に関するガイドライン」の適用開始前に行われたが、ガイドラインの趣旨を踏まえて、メイン行として保証債務の整理に係る金融機関間の調整を行った。その際に、各行の債務免除額の決定に当たっては、新会社への貸付分30百万円及び医療費分2百万円に相当する債務免除額をメイン行である当行が負担した上で、残余の債務免除額については各行が融資シェア比で按分することとし、下位行からの計画合意を取り付けた。
  • 最終的に、保証人の残存資産を、上限である早期再生に伴う回収見込額の増加額と同額として、保証債務の免除を行ったことから、保証人の生計の維持及び新会社の事業継続に大きく寄与することとなった。

2014年8月4日

当社との関係がなくなった前経営者の保証を解除した事例(信用金庫)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、建設業者として高い施工技術を持ち、一定の経営基盤や収益環境を構築している。
  • 平成25年10月期決算は、公共工事の減少により売上は事業計画を下回ったものの、コスト削減により事業計画を上回る経常利益を確保するなど、財務内容の改善に向けた取組みが見られた。
  • こうした中、健康上の理由により前経営者が平成25年10月に退任したが、既存の借入金について前経営者が提供していた保証の解除は行わず、新経営者とともに保証の提供を引き続き受けていた。
  • 今般、当金庫から、「経営者保証に関するガイドライン」の説明を行ったところ、前経営者が当社の株式を譲渡するなど、当社と全く関係のない立場となったことから、前経営者による保証の解除について当金庫に相談があった。

2.保証契約の見直しの具体的内容

  • 当社からの相談を受け、前経営者と当社の現在の関係を確認したところ、前経営者が保有していた当社の株式は全て譲渡され、前経営者は経営にも全く参画しておらず、実質的にも当社と関係のない立場にあることが確認できたため、「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする」監督指針の趣旨を踏まえ、前経営者との保証契約の見直しを検討することとした。
  • 当金庫において検討を行ったところ、新経営者から保証の提供を受けていることや業況回復への当社の取組状況を勘案し、前経営者の保証を解除することとした。
  • 当金庫は、メインバンクとして当社との信頼関係を維持するため、本件保証契約の見直しに取り組んだところ、当社からは当金庫の対応を高く評価され、リレーションシップの強化を図ることができた。

2014年8月1日

他の金融機関と協調して経営者保証を解除した事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、仏壇仏具店として広く店舗を展開している。
  • 当社は、経営者保証を提供して借入しているが、経営者が高齢なため、保証の必要性については以前から関心があったところ、今般、メイン行から「経営者保証に関するガイドライン」についての説明を受け、当行を含む全取引金融機関に対して、経営者保証の解除についての検討の申し出があった。

2.保証契約の見直しの具体的内容

  • 当社からの申し出を受け、当行において経営者保証の必要性について改めて検討したところ、以下のような点を勘案し、経営者保証を解除することとした。
    法人と経営者との資金のやり取りもなく、法人と経営者との関係が明確に区分・分離できていること
    増収増益のため業績は良く、法人のみの資産・収益で借入金返済が可能であること(自己資本比率は31.7%、債務償還年数は5年)
    決算関係資料や試算表の提出等、必要に応じて信頼性のある情報の開示・説明があり、経営の透明性が確保できていること
  • なお、メイン行を始めとする他の金融機関も経営者保証の解除について了解した。

2014年7月30日

事業承継に際し、元社長の保証を解除した事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、不動産賃貸業者であり、当行のメインの取引先である。
  • 元社長は高齢で経営の一線からは退いているが、筆頭株主で取締役ということもあり、配偶者である現社長と共に保証を提供していた。
  • このような状況の下、社長から取締役である長男への事業承継について相談があり、既に実質的な経営者である長男に対し、社長から保有する自社株を譲渡したいとの意向が示された。

2.保証契約の見直しの具体的内容

  • 社長からの相談を受け、当行の営業店において「経営者保証に関するガイドライン」の事業承継時の対応に則して、今回の事業承継を機に元社長の保証を解除する可能性を検討したが、当行所定のチェックシートでは、法人と経営者との関係の区分・分離が不十分なため、引き続き保証を求める可能性を検討することとなった。
  • しかしながら、これまでの返済状況や担保による債権の保全状況に全く問題がなかったことから、前経営者の実質的な経営権・支配権、既存債権の保全状況、法人の資産・収益力を勘案し、ガイドラインの趣旨に則して、元社長の保証を解除することを営業店の方針とし、保証解除の稟議を本部に申請した。
  • また、元社長との面談時にガイドラインについての説明を行い、元社長の保証解除を検討する用意がある旨を伝えた。
  • 後日、正式に当社から元社長の保証解除の依頼があったところ、本部において稟議も承認され、元社長の保証を解除することとした。

2014年7月28日

経営者の交替に際し、前経営者の保証を解除し、新経営者から保証を求めなかった事例(2)(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、親会社グループの運送部門を担っている貨物運送業者であり、グループ会社の商品搬送が主な業務である。
  • 当社は小規模ながら営業基盤が確立されており、業績は安定している(25年9月期は、売上高200百万円、経常利益20百万円と増収増益)。
  • 従来は、経営者から根保証の提供を受けて融資を行ってきたが、経営者の交替に当たり、当行から「経営者保証に関するガイドライン」について説明したところ、新経営者から経営者保証なしの融資を検討してほしい旨の要請を受けた。

2.保証契約の見直しの具体的内容

  • 当社からの要請を踏まえ、当行において検討を行ったところ、以下のような点を勘案し、経営者の交替に当たり、前経営者の根保証を解除するとともに、新経営者からの新たな保証も求めることなく融資を行った。
    当社の経営者は、任期が2 年乃至4 年程度のいわゆるサラリーマン社長であり、当社への出資や貸付金など金銭のやり取りはなく、会社決定事項も組織的に決議されているなど社内における牽制機能・管理体制が構築されていること等に鑑み、法人と経営者との関係の区分・分離が図られていること
    親会社・当社ともに財務内容に懸念がなく、また、収益による償還能力も問題のない水準であること

2014年7月25日

経営者の交替に際し、前経営者の保証を解除し、新経営者から保証を求めなかった事例(1)(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、自動車用品卸売業者であり、ガソリンスタンドを主な販売先とし、業況は堅調に推移している。
  • 今般、当社から経営者の交替の連絡を受けた際に、当行において「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証契約の適切な見直しが必要な状況に該当するものと判断し、当社にその旨を説明したところ、前経営者の保証の解除とともに、新経営者からの保証も可能であれば提供せずに取引を継続したい旨の意向が示された。

2.保証契約の見直しの具体的内容

  • 当社の意向を受けて、当行において検討したところ、以下のような点から、法人と経営者との関係の区分・分離が図られていること等を勘案し、前経営者の保証を解除するとともに、新経営者に対しても新たな保証を求めないこととした。
    事業用資産は全て法人所有であること
    法人から役員への貸付がないこと
    当社の代表者は内部昇進での登用が中心であり、その親族は取締役に就任しておらず、取締役会には顧問税理士が監査役として参加しているなど、一定の牽制機能の発揮による社内管理態勢の整備が認められること
    法人単体の収益力により、将来に亘って、借入金の返済が可能であると判断できること
    財務諸表のほか当行が求める詳細な資料(試算表等)の提出にも協力的であること

2014年7月22日

保証契約の期限到来に伴い、経営者保証を解除した事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、パン・菓子製造業者であり、国内大手のパン製造業者との業務提携により、同社の一部商品の県内での製造・販売を受託するなど、業況は安定的に推移している。
  • 既存の根保証契約の期限到来に伴い、当行から「経営者保証に関するガイドライン」の説明を行ったところ、当社から現社長の根保証契約の解除について相談があった。

2.保証契約の見直しの具体的内容

  • 当行において検討を行ったところ、以下のような点を勘案し、既存の根保証契約の解除を行うこととした。
    本社、工場、営業車等の事業活動に必要な資産は全て法人所有となっており、役員への貸付金や不透明な経費計上等もなく資金のやりとりは適切な範囲内に収まっており、また、役員報酬は、業況、事業規模等から妥当な水準と判断されるなど、法人と経営者との関係の明確な区分・分離がなされていること
    好業績が続いており、充分な利益が確保されていること
    決算関連資料が継続的に提供されているほか、渉外担当行員が週1 回訪問し、業況変化の報告や資金需要等の相談を受けるなど、情報開示についても協力的であること
    創業以来のメイン行として、業況変化や資金需要等ある際には事前に相談を受けるなど、従前から良好なリレーションシップが構築されていること

2014年7月18日

不動産担保による保全状況等を考慮して保証金額を減額した事例(信用金庫)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、親会社が当地の営業所の位置付けで設立した酒類や醸造米の卸売業者であり、経営基盤には不安定な部分があるが、着実に業績を上げてきている。
  • 従来は、親会社から運転資金を調達してきたが、親会社からの独立を経営方針としたため、金融機関から初めて資金調達を行うこととなり、当金庫に融資の申込みがあった。
  • 初めての融資取引ということもあり、経営者からは、本人による保証と所有不動産の担保提供の申し出があったが、当金庫から「経営者保証に関するガイドライン」を説明するとともに、経営者の保証金額を不動産担保による保全が図られない部分に限定することを検討することとなった。

2.保証契約の見直しの具体的内容

  • 当金庫において、経営者による保証の金額を限定することについて検討したところ、融資金額25百万円に対して、不動産担保物件の評価額は17百万円であるが、物件の所在地は、市内の住宅開発地として人気の高い地区にあり、将来的に保全価値が減少する可能性は低いと判断したことから、不動産担保物件による保全部分、今後の与信増加の可能性を総合的に勘案の上、経営者の保証金額を25百万円から10百万円に減額して融資を実行した。
  • 経営者からは「保証金額は融資額と同額となっても仕方がないと思っていたが、減額してもらえたのはありがたい。貴金庫の期待に応えられるよう経営に注力したい。今後もいろいろと相談に乗ってもらいたい。」との発言があった。当金庫としても、引き続き当社の事業の発展を支援し、取引の深耕を図っていく方針である。

2014年7月16日

会長の保証契約の解除と社長の保証金額の減額を同時に行った事例(信用金庫)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、主業である材木・建材の卸売業と副業である住宅リフォーム等の建築工事請負業者を兼業しており、いずれの事業も地元工務店を中心とした取引先から安定した受注を確保しているため、業況は堅調に推移している。
  • 当金庫とは法人設立当初から、材木・建材仕入資金等の運転資金を中心に貸出取引(36 百万円)があるが、代表権を持つ会長及び社長から連帯して根保証(極度額36 百万円)の提供を受けるとともに、事務所に根抵当(第1 順位。極度額25 百万円)を設定していた。
  • 今般、当社から長期運転資金15 百万円の追加借入の申込みがあったため、当金庫から「経営者保証に関するガイドライン」に基づく経営者保証の見直しを提案した。

2.適切な保証金額の設定に関する具体的内容

  • 今回の見直しに先立ち、会長が代表取締役を退任して実質的に経営から退いたことから、新規融資については会長の保証を求めず、単独で代表となった現社長とのみ根保証契約を締結することとした。
  • また、既存分と新規分を合計した債権額(計51百万円)に対する根保証の極度額については、根抵当による保全が図られていない部分に限定し、36 百万円から26 百万円に減額することとした。

2014年7月14日

不動産担保による保全状況等を考慮して保証金額を減額した事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、大手電気器具製造業者である。
  • 過去に当社が窮境に陥った際には、中小企業再生支援協議会及び整理回収機構を活用した債務整理を実施するなど、当行は長年に亘って当社を支援してきた。
  • 近年の機器の電子化の進行により海外を含め受注が拡大傾向にあるため、堅調な業績を維持しており、未だ繰越損失を抱えているものの、今後1 年程度で解消できるまでに財務基盤が回復している。
  • 従来、当社への与信については、債権額(52 億円)をほぼ全額カバーする額の経営者による根保証や不動産への根抵当権の設定等(計40 億円)の提供を受けていたが、今般、根保証契約の期限到来に際し、当行から「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証金額の見直しの提案を行い、経営者と協議を行った。

2.適切な保証金額の設定に関する具体的内容

  • 当社との協議においては、過去の経緯もあり、現時点で経営者保証を全て解除することは困難であると認識しつつも、根抵当権を設定している不動産担保等の保全や、足元の業績、経営者の業務意欲等を考慮した。
  • 当該協議の過程で経営者の繰越損失解消に向けた強い意欲を確認することができたことや経営者からの希望もあり、保証金額は繰越損失金額相当を目処として5 億円(保証期間は1 年)に設定することで保証契約の更改に合意した。
  • 今回、経営者保証の全額解除までには至らなかったものの、経営者からは「保証金額の減額は事業への取組意欲の増進に繋がるものであり、好決算に向けて一層の努力を行う励みとなる。1 年後の保証期限到来時には改めて保証金額について相談に乗ってほしい。」と前向きな発言があった。

2014年7月11日

預金担保による保全状況等を考慮して保証金額を設定した事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、飲食店及びモバイル端末の販売代理店を運営しているが、不況の煽りを受け、平成21 年に売上が悪化。平成22 年3 月から貸出条件の変更を実施し、現在も各金融機関に対して貸出シェアに応じ、当初の約定返済額から減額した金額での返済を継続している。
  • 今般、根保証の期限到来に伴う更改手続の際に、当行から、「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証金額の見直しの提案を行った。

2.適切な保証金額の設定に関する具体的内容

  • 当社に対する融資額25 百万円に対して同額の保証金額を設定していたが、今回の更改に際して、預金担保が10 百万円あることから、ガイドラインに基づき当該担保分を保証金額から控除するとともに与信残高の減少見込分等も勘案し、保証金額を12 百万円に減額することを提案し、当社と合意に至った。
  • 当社は条件変更先ではあるが、ガイドラインに基づき、担保のうち保全の確実性が認められる部分を控除して保証金額を設定したところ、経営者は保証負担が軽減されたことに謝意を示し、「金融機関も変わってきたのですね」と高く評価している。

2014年7月9日

経営者保証の機能の代替として停止条件付保証契約を活用した事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、各種帳票の特殊印刷(主に損害保険会社向け保険約款)を中心に、ロールペーパーの製造、一般印刷も手掛けている。
  • 近年の保険契約におけるネット通販化やWEB 手続によるペーパーレス化を背景とした主力取引先からの値下げ圧力等から、大幅な減収・赤字となり、既存のシンジケート・ローンの財務制限条項に抵触するまで業績が悪化した。
  • このため、外部コンサルを導入し、安定受注の確保と経費削減を骨子とした「経営改善5ヵ年計画」を策定したところ、経営改善計画1期目は、売上の減少に歯止めが掛からなかったものの、利益面では計画を達成した。
  • このように業績が改善傾向にある中、期限一括返済としていた既存のシンジケート・ローンの期限到来によってリファイナンスを行うに当たり、当行から「経営者保証に関するガイドライン」の内容を説明したところ、当社から経営者保証を求めないでほしい旨の申し出があった。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当行での検討においては、当社は経営改善計画を遂行中であり、法人のみの資産・収益力での借入金の返済は難しい状況にあるものの、以下のような点を勘案し、特約条項(注)に抵触しない限り保証契約が発生しない停止条件付連帯保証契約を活用することとした。なお、本対応については、シンジケート・ローンの協調融資行とも協調の上行っている。
    外部コンサルによる計画策定やモニタリングの徹底により、透明性の高い経営がなされていること
    経営改善計画2期目の計画達成も視野に入ってきているなど、一定の経営改善が図られてきていること

(注)特約条項の主な内容
いずれかの表明事項が真実でないことが判明したこと
借入人又は保証人の本契約上の義務違反が発生したこと(純資産維持、2期連続赤字回避等の財務特約条項を含む。)
保証人による財産、経営又は業況に関する虚偽の開示がなされたこと

  • また、弁護士の指導により、保証債務の整理に関して、「保証人がガイドラインに則った整理を申し立てた場合、各貸付人及びエージェントはガイドラインに基づき、当該整理に誠実に対応するよう努める」旨の規定を保証契約に盛り込んだ。
  • 今回の対応により、今後の当社の経営に関する規律付けと情報開示等による更なるリレーションシップの強化が期待できる。

【参考】停止条件付保証契約の特約条項の例
商工組合中央金庫の停止条件付保証契約においては、以下の①~⑤のような特約条項が付されている。仮に表明保証が真実でなかった場合、報告、届出、承諾、確約事項の義務違反が生じた場合等において、代表者が債務者と連帯して保証する旨の契約を、あらかじめ債務者及び代表者、金融機関との間で締結している。
①真実性の表明、保証
債務者及び代表者が、以下の事項について、真実に相違ないことを表明、保証
例 計算書類等が正確かつ適法に作成されていること
事業が関係諸法令に違反していないこと
②財務状況等の報告
債務者が、以下の資料を一定の期限までに提出することを約束。また、代表者は、資料の真実性を表明し、保証
例 ○ヶ月毎の試算表
○ヶ月毎の各取引金融機関からの借入残高の一覧表
各事業年度の計算書類等
③報告、届出事項の取決め
債務者及び代表者が、以下の事項について、報告、届出することを約束
例 商号、代表者、主たる事務所、役員等の変更
訴訟、行政手続、その他の紛争等の開始
財産、経営、業況の重大な変化の発生
④承諾事項の取決め
債務者及び代表者が、以下の事項について、事前承諾がない限り行わないことを約束
例 減資、合併、会社分割
重要な資産、事業の譲渡
経営状況、財務内容に重大な影響を及ぼすおそれのある行為
⑤確約事項の取決め
債務者及び代表者が、以下の事項について、確約
例 主たる事業に必要な許認可等を継続すること
全ての法令を遵守して事業を継続すること

2014年7月7日

経営者保証の機能の代替として解除条件付保証契約を活用した事例(主要行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、システム開発会社であり、大手他社に先駆けてクラウド環境でのインターネットサイト構築に参入し、大手企業を中心に取引先が増加している。
  • 今般、取引先の増加に伴う運転資金に係る新規融資の申し出があったため、当行から「経営者保証に関するガイドライン」の内容を説明するとともに、当社を巡る状況を勘案し、解除条件付保証契約での融資を提案した。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 法人と経営者との関係の区分・分離は不十分であったが、以下のような点を勘案し、上場申請を解除条件とする解除条件付保証契約(注)の活用を提案したところ、当社の了解が得られたため、当行の提案どおり、解除条件付保証契約での新規融資を行うこととなった。
    業歴が浅く、直近決算は赤字であるものの、一定の販路を構築済みであり、足元の試算表では黒字に転換しており、今期決算は黒字が見込まれること
    試算表等の定期的な提出があり、情報開示の姿勢が良好であること
    上場を志向しており、主幹事先である当行関連証券会社と具体的な協議を進めていること

    (注)解除条件付保証契約とは、特約条項(本事例では、上場申請)を充足する場合は保証債務が効力を失う契約。

2014年7月3日

海外進出企業に対して経営者保証を求めなかった事例(信用金庫)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、冷間鍛造部品製造及び精密部品加工を行っている取引先である。
  • 平成25年9月期は中国向けの生産縮小により売上が減少して営業赤字となったが、為替差益により最終利益は黒字となっている。
  • 平成26年5月のタイ子会社の工場操業開始に向けて準備を行っているところ、今般、取引先からの要請によりタイ子会社の増資及び工場の増設を行うこととなり、必要資金の融資の申込みがあった。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当社からの申込みを受けて検討した結果、以下のような点を勘案し、新規融資に関し経営者保証を求めないこととした。
    事業用の資産は法人の所有としており、法人と経営者の間の貸借や不明瞭な資金のやりとりもないなど、法人と経営者の関係が区分・分離されていること
    平成25 年9 月期は減収減益となったため返済キャッシュフローは不足しており、債務償還年数は20 年を超えているが、タイ子会社は既に207百万円の受注を確保しており、当社の子会社への貸付金は早期に回収可能と見込まれることや、現預金を毎期10億円超保有していることから、返済に懸念はないものと判断されること
    決算時等に定期的な経営状況の報告があるほか、当金庫の求めに応じて、営業状況が把握できる資料の提出を行うなど情報開示にも協力的であり、従来から良好なリレーションシップが構築されていること

2014年6月30日

今後の事業承継を考慮して経営者保証を求めなかった事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、建設業を営む当行メインの取引先であり、一般建設工事の受注を中心とした堅実な経営により、近年の業況は安定的に推移している。
  • 今般、長期運転資金の申込みがあり、「経営者保証に関するガイドライン」に基づく経営者保証に依存しない融資の検討について打診したところ、代表者は高齢で、後継者に、相続により保証債務の負担を残したくないとの希望を有しており、経営者保証を提供しないで資金調達ができるのであれば是非利用したいとの申し出があった。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 「経営者保証に関するガイドライン」に基づく検討を行う中で、当社から経営者への立替金勘定が存在し、法人と経営者の資産・経理の明確な区分・分離について課題が残っていたため、この点を含めて経営者保証を求めないことについての検討を行った。
  • 検討の結果、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで融資を行うことを決定した。
    経営者への立替金勘定については近年減少しており、今後さらに解消に向けて減少を図る旨の意向が示されていること
    法人のみの資産や収益力で借入の返済が可能であること
    適時適切な情報開示がなされ、従来から良好なリレーションシップが構築されていること
  • 当社の希望に沿った対応を図ったことにより、当社から、今後の事業承継が円滑に進められると高い評価を受けることとなった。

2014年6月27日

ABL等の代替手法も検討したが、結果として経営者保証を求めなかった事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、院外処方薬局を展開しており、財務基盤は強固で、業況は堅調に推移している。
  • 当行との取引は預金のみの取引であり、貸出取引はない。
  • 当社の手許資金は潤沢であるが、一時的な資金不足に対応するため、当行に対し、新規の当座貸越枠の設定の申込みがあった。
  • 当該申込みを受け、当行から「経営者保証に関するガイドライン」を説明し、経営者保証に依存しない融資の検討について打診したところ、可能であれば利用したいので、是非検討してほしい旨の申し出があった。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当行の検討においては、ABL等の経営者保証を代替する手法についても併せて検討したが、①上記のように財務内容が良好であり堅調な業況を受けて利益による償還が十分可能であること、②以下のような法人と経営者の関係の明確な区分・分離がなされていること、③今回の融資において適時適切な情報開示がなされ、今後も良好なリレーションシップの下での情報開示が期待されること、等を勘案し、経営者保証を求めないで融資を行うこととした。
    <法人と経営者の関係の明確な区分・分離の状況>
    ・事業用資産は法人所有となっている。
    ・適切な牽制機能を発揮するため、以下のような仕組みが構築されている。

    (イ) 経営者及び親族による自社株の保有を定款で制限し、株主総会で役員報酬の総額を決定
    (ロ) 取締役の過半数は、経営者及び親族以外の第三者が就任

2014年6月28日

債務超過ではあるが、経営者保証を求めなかった事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、ガス設備工事、メンテナンス、ガス機器販売等を営む当行メインの取引先。
  • 今般、一般家庭向け省エネ設備の仕入のため、当社から新規融資の申込みがあり、当行が「経営者保証に関するガイドライン」に基づく経営者保証に依存しない融資の検討について打診したところ、可能であれば利用したいので検討してほしいとの申し出があった。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当行での検討においては、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで融資することとなった。
    当社の事業用資産は関連会社(事業用資産の管理会社)の所有であり、社外取締役及び監査役といった外部からの適切な牽制機能の発揮による社内管理体制が整備されているなど、法人と経営者との関係の区分・分離がなされていること
    現在、当社単体では債務超過(関連会社との連結では資産超過)であるが、業績が堅調であることから、今後も利益計上が見込まれ、利益による債務の返済が十分可能であり、2 年後の債務超過の解消も見込まれること
    当社からは定期的に試算表及び銀行取引状況表の提出があり、当行からの資料提出の求めにも速やかに対応するなど、適時適切な財務情報の開示が行われていること
    従来から良好なリレーションシップが構築されており、取引状況も良好であること
  • 本件融資については他行との競合があったが、堅調な業況や今後の事業見通し、財務情報の適切な開示、良好なリレーションシップや取引状況といった点について当行が高く評価したことを当社が好感し、当行からの融資を利用することとなった。

2014年6月23日

保全不足ではあるが、経営者保証を求めなかった事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、放送・インターネット関連事業を営んでいる地元の優良企業であり、山間部への放送・通信等設備の整備を進め、加入世帯数も増加基調を維持しているなど、業況は安定的に推移している。
  • 今般、当社からの通信設備等に関する新規融資の申込みに当たり、当行から「経営者保証に関するガイドライン」について説明し、当社の意向を確認したところ、将来的に株式公開等も見据えているため、無保証の融資を検討してほしいとの申し出があった。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当社の意向を受け、当行において検討したところ、経営者等から十分な物的担保の提供がないなど、大幅な保全不足ではあるが、以下のような点を考慮し、本件融資については経営者保証を求めずに対応することとした。また、既存の融資に関する保証契約についても、今後、解除することとした。
    本社等の資産の一部は経営者名義であるが、当社より適正な賃料が支払われているなど、法人と経営者の資産は明確に区分されていること
    キャッシュフローが潤沢で利益償還が十分可能なこと
    年度決算時や中間決算時等に定期的な経営状況の報告があるほか、当行の求めに応じて、営業の状況が把握できる各種資料の提出を行うなど情報開示には協力的であり、従来から良好なリレーションシップが構築されていること
  • 当社の意向に基づき、経営者保証を求めない新規融資及び既存の保証契約の解除について、迅速に対応したことから、今後一層の取引の深耕が期待される。

2014年6月20日

牽制機能の発揮に課題が残っているが、経営者保証を求めなかった事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、HID ランプ(高輝度放電ランプ)を主力とする自動車用照明器具製造・販売業者であり、近年はLED ランプも好調なため、売上、キャッシュフローともに安定的に推移している。
  • 取引金融機関は当行をはじめ4行で、当行と県外地銀が各々貸出シェア30%前後であり、並行してメイン行となっている。
  • 当社の今年度の資金調達に当たり、「経営者保証に関するガイドライン」を説明したところ、可能であれば、今後は経営者保証なしで借入したいとの要望があった。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当行の検討においては、当社が同族会社であることから適切な牽制機能の発揮には未だ課題が残っているものの、以下のような点を勘案し、当社への融資に当たり経営者保証を求めないこととした。
    当社は、以前から「中小企業の会計に関する基本要領」に拠った計算書類を作成しており、法人と経営者の間に資金の貸借はなく、役員報酬も適正な金額となっているなど、法人と経営者の資産・経理が明確に区分・分離されていること
    当社の収益力で借入金の返済が十分可能であり、また、借換資金の調達余力にも問題がないこと
    情報開示の必要性にも十分な理解を示し、適時適切に試算表や資金繰り表により財務情報等を提供しており、長年の取引の中で良好なリレーションシップが構築されていること
  • なお、並行してメイン行となっている県外地銀も、今後は経営者保証を求めない予定とのこと。

2014年6月17日

他の金融機関と協調して経営者保証を求めなかった事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、段ボール紙の製造業者である。営業地域内に競合先がないことから、安定的に受注を確保し業況は堅調に推移している。
  • 震災直後は売上低下により減収となったが、新たな事業展開として、段ボールによるインテリア製品の製造や簡易防音施設の開発を開始している。
  • 上記の新事業展開もあり、当社は企業立地補助金を活用した新工場の設備投資を計画しており、補助金以外の設備資金については、当行及び地元信金の2 行が4 億円の協調融資を行うこととなった。
  • 本件協調融資については、当初、経営者保証の提供を条件として検討を進めていたが、ガイドライン適用開始後の融資実行となることから、協調先の地元信金とも連携の上、保証人の条件について見直しを図ることとした。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当社は上場企業も含めた優良取引先を有しており、業況は安定している。また、新工場の稼動により生産能力の拡充が見込まれるため、当行としても設備資金の需要に積極的に対応する方針としている。
  • 当社については、以下のような点に鑑み、保証人は不要と判断した。
    当社は実質的にはオーナー企業であるが、その親族は取締役に就任しておらず、適切な牽制機能が発揮されていること
    当社から経営者への貸付等もなく、事業用資産は全て法人所有であるなど法人と経営者の関係の区分・分離が図られていること
    法人単体での返済力も十分であること
  • また、協調先の地元信金との目線合わせも行い、当該金庫においても保証人を求めないで融資を行うこととなった。

2014年6月16日

経営管理の強化に取り組んでいる取引先に対して経営者保証を求めなかった事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、建設工事及び建材卸売業を営んでおり、建材卸売部門では大手メーカーや商社等と代理店・特約店契約を結んでおり、多種多様な商品(内外装タイル、ユニットバス、耐火壁、エレベーター等)を取り扱っている。
  • 震災復興関連工事の受注の増加により増収基調が続いており、内部留保も厚く堅固な財務内容を維持している。
  • 当行は、メイン行ではないものの、増加する震災復興関連工事に伴う資金需要に対応してきたところ、当社から短期資金の借入の相談があった。
  • また、借入の相談の際に、当行本部から送付されたガイドラインのパンフレットを見た経営者から、経営者保証を求めない融資の相談を受けたことから、ガイドラインの内容を改めて説明するとともに、当社から提出のあった直近の試算表や工事概況調等を勘案しつつ、ガイドラインの適用要件等の確認を行った上で回答することとした。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当行の営業店では、案件受付票の作成に合わせ、今回新設した「経営者保証に関するガイドラインチェックシート」を活用し、適用要件の確認を実施している。当該手続による確認の結果、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで新規融資に応じることとした。
    決算書類について「中小企業の会計に関する基本要領」に則った計算書類を作成し、地元の大手会計事務所が検証等を行っているなど、法人と経営者の関係の明確な区分・分離がなされていること
    内部留保も厚く堅固な財務内容を維持しており、償還面に問題がないこと
    四半期毎に試算表等の提出を行うなど、当社の業況等が継続的に確認可能なこと
  • 当社とは、長年の取引を通じてリレーションシップは十分に構築されている。震災復興関連工事の増加による業況の拡大が、ガイドラインで求められている返済能力の向上に寄与している面は否めないが、当社が、外部専門家による検証等を含め、経営管理の強化に従来以上に取り組むことを表明していることから、当行としても、業況の把握に留まらず、当社の経営管理体制の構築について引き続き積極的にアドバイスを行っていく方針である。

2014年6月13日

事業計画の実現可能性等を考慮して経営者保証を求めなかった事例(地域銀行)

金融庁は、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促している。
その一環として、今般、ガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表した。
これにより、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みが促進され、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくとともに、中小企業等の経営者の方々にとっても、思い切った事業展開や早期の事業再生等の取組みの参考としていただくこと、さらには、その他の経営支援の担い手の方々が行う経営支援の一助にしていただくことを期待している。
なお、本事例集は、各金融機関から提出を受けた資料により作成しており、文中等における取組みに対する評価等については、当該資料を作成した各金融機関における見解であり、金融庁の見解を表したものではない。

1.主債務者及び保証人の状況、事案の背景等

  • 当社は、宿泊業者であり、当行の主力取引先である。
  • 今般、新事業計画に基づき10 億円の運転資金の申込みがあり、当行より「経営者保証に関するガイドライン」に基づく経営者保証に依存しない融資の検討について打診したところ、可能であれば利用したいので是非検討してほしいとの申し出があった。

2.経営者保証に依存しない融資の具体的内容

  • 当行において、保証を求めない可能性について検討したところ、以下のような点を勘案し、経営者保証を求めないで融資を行うことになった。
    当社から提出を受けた事業計画の実現可能性が高く、また、事業計画の達成には当行の支援が必要不可欠であること
    計算書類の作成に当たっては公認会計士による監査を受け、取締役会の適切な牽制機能発揮のため、親族以外の第三者から選任された取締役が取締役会に出席するなど、法人と経営者の関係の明確な区分・分離がなされていること
    毎月月初に自発的に前月の営業実績、資金繰り表、銀行取引状況表等を持参して経営状況の報告を行うとともに、公認会計士による適切な決算資料の作成を行うなど、情報開示に積極的であり、従来から良好なリレーションシップが構築されていること
  • 申込みがあった10億円のうち、8億円を無担保のプロパー融資で実行し、2億円を有担保の信用保証(「経営者保証ガイドライン対応保証」)付融資で実行した。なお、信用保証付融資の担保は、当行の既存融資に対して設定していた担保を当該融資に優先適用するものとしたものであり、当社からの追加提供ではない。
  • 本件融資が、当社の事業計画の達成に向けた当行の支援の強化に繋がることが期待される。

★リンクはこちら⇒ 「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集

2014年6月11日

「貸金業法施行令等の一部を改正する政令(案)」等の公表

金融庁は、「貸金業法施行令等の一部を改正する政令(案)」等及び「貸金業者向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)並びに「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」を以下のとおり取りまとめ、公表した。

本件の概要は以下のとおり。

1.改正の概要
(1)「貸金業法施行令等の一部を改正する政令(案)」等について

  • 貸金業法施行令及び貸金業法施行規則の一部改正
    親会社と実質支配力基準に基づく子会社で構成されるグループ会社(親子・兄弟会社等)間で行われる貸付け、及び合弁事業における共同出資者(株主)から合弁会社への貸付けについて、一定の議決権保有等の要件の下に、貸金業規制の適用除外とする改正を行うものである。
  • 貸金業者向けの総合的な監督指針及び貸金業法施行規則別紙様式の一部改正
    上記政令等の改正に伴い、グループ会社間及び合弁会社への貸付けのみを行う貸金業者が貸金業登録を抹消した場合における監督上の対応を規定するものである。このほか、所要の改正を行うものである。

(2)「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」について
元本補填契約の付された合同運用金銭信託(自益信託)に係る契約の締結の代理・媒介について、金融商品取引法の適用を除外し、信託業法が適用されるよう改正を行うものである。

2.施行期日
平成26年4月1日から施行する予定としている。

★リンクはこちら⇒ 「貸金業法施行令等の一部を改正する政令(案)」等の公表について

2014年2月5日

「経営者保証に関するガイドライン」の適用開始

日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」から、2013年12月5日に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の適用が2月1日から開始された。
本ガイドラインの利用促進を図るため、経済産業省では、中小機構・地域本部等に経営者保証に関する相談を受け付ける体制を整えるとともに、平成25年度補正予算の成立後、ガイドラインの利用をご希望の方への専門家派遣制度を創設する。

1.背景
経営者保証には経営者への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や、早期の事業再生等を阻害する要因となっているなど、保証契約時・履行時等において様々な課題が存在する。
これらの課題を解消し中小企業の活力を引き出すため、中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして本ガイドラインが策定された。

2.「経営者保証に関するガイドライン」の概要
経営者保証に関するガイドラインは、経営者の個人保証について、
(1)法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
(2)多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
(3)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
などを定めることにより、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や、早期事業再生等を応援する。

第三者保証人についても、上記(2)、(3)については経営者本人と同様の取扱となる。

ガイドラインの詳細は、日本商工会議所及び全国銀行協会のHPをご覧のこと。

3.相談受付体制の構築・専門家派遣制度の創設
中小機構・地域本部等では、中小企業・小規模事業者の経営者保証に関するご相談を受け付けている。
また、最寄りの商工会・商工会議所、認定支援機関等でも、経営者保証に関するお問い合わせ・窓口相談に、随時応じる。
加えて、平成25年度補正予算の成立後には、以下の方々に対して、ガイドラインに基づいて適切なアドバイスが可能な専門家を紹介する(平成25年度補正予算の成立を前提としている)。

  • 経営者保証を提供せずに資金調達を希望する方
  • 中小企業の経営者の方で、会社の事業再生や事業清算に伴って、個人保証債務の整理についてお悩みの方

4.日本政策金融公庫による保証人特例制度の拡充・創設
日本政策金融公庫は、中小企業向けの経営者の個人保証を免除・猶予する特例制度について、積極的に対応する。
また、小規模事業者向けに、個人保証を免除する特例制度を創設した。 ガイドラインの適用開始日である2014年2月1日以降、相談受付を開始している。

★リンクはこちら⇒ 「経営者保証に関するガイドライン」が2月1日より適用開始します

2014年2月3日

金融庁の1年(平成24事務年度版)

先日、金融庁は、『金融庁の1年(平成24年事務年度版)』を公表した。

  1. 趣旨
    金融庁は、日本の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに、公正・透明な市場の構築を任務として、透明かつ公正な行政の実施に努めている。
    平成24事務年度(24年7月~25年6月)においては、東日本大震災の復興支援に引き続き取り組むとともに、(1)中小企業等に対する円滑な資金供給の確保や経営支援の促進、(2)日本経済のデフレ不況からの脱却と力強い成長の実現に向けた金融面からの取組み、(3)国際的な金融規制の改革の議論などへの積極的な参加・貢献、に取り組んできた。
    具体的には、中小企業金融円滑化法の期限到来にあたり、金融機関が、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきことや、そうした監督・検査の方針が、期限到来後も何ら変わらないことを明確化するとともに、関係省庁と連携して、中小企業・小規模事業者に対する経営支援の強化、個々の借り手への説明・周知等を含む総合的な対策を推進してきた。
    また、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」に次ぐ第三の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」として策定された「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(平成25年1月11日閣議決定)や「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)を踏まえ、新規・成長企業へのリスクマネーの供給強化などを図るため、資金調達の多様化、個人保証制度の見直しやコーポレートガバナンスの強化など金融・資本市場の活性化に向けた取組みについて検討を行ってきた。
    国際的には、G20財務大臣・中央銀行総裁会議やFSB(金融安定理事会)等において、システム上重要な金融機関(SIFIs)の監督・破綻処理の枠組み、店頭デリバティブ取引の規制やシャドー・バンキングに対する規制・監督のあり方などについて、更なる検討が進められてきた。
    本冊子「金融庁の1年」は、こうした金融庁の24事務年度における様々な取組みを、制度の企画立案・検査・監督の各般にわたって取りまとめたものである。
  2. 全体の構成
    『金融庁の1年(平成24事務年度版)』は、本編及び資料編から成り立っている。
    本編は、
  • 第1部 金融庁の組織及び行政運営
  • 第2部 金融に関する制度の企画及び立案
  • 第3部 金融監督等
  • 第4部 金融検査
  • 第5部 国際関係の動き
    から構成されており、本編に関連する資料(報道発表資料等)を資料編としてまとめている。

★リンクはこちら⇒ 金融庁の1年(平成24事務年度版)

2013年12月17日

「経営者保証に関するガイドライン」の公表

日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」では、中小企業・小規模事業者等の経営者による個人保証の契約時と履行時等における課題への解決策を具体化するため、2013年8月から、中小企業団体及び金融機関団体の関係者、学識経験者、専門家等の委員により精力的に検討が行われてきた。

2013年12月5日、検討の成果として、経営者保証に関する中小企業、経営者及び金融機関による対応についての自主的かつ自律的な準則である「経営者保証に関するガイドライン」と本ガイドラインに関するQ&Aが公表された。
本ガイドラインは、保証契約時等の対応として、(1)中小企業が経営者保証を提供することなく資金調達を希望する場合に必要な経営状況とそれを踏まえた債権者の対応、(2)やむを得ず保証契約を締結する際の保証の必要性等の説明や適切な保証金額の設定に関する債権者の努力義務、(3)事業承継時等における既存の保証契約の適切な見直し等について規定している。
また、保証債務の整理の際の対応として、(1)経営者の経営責任の在り方、(2)保証人の手元に残す資産の範囲についての考え方、(3)保証債務の一部履行後に残った保証債務の取扱いに関する考え方等について規定している。

金融庁は、本ガイドラインの周知・広報に努めるとともに、金融機関に対して積極的な活用を促すことにより、本ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくよう努めていく。

★ガイドラインのリンクはこちら⇒ 経営者保証に関するガイドライン
★Q&Aのリンクはこちら⇒ 経営者保証に関するガイドラインQ&A

2013年12月12日

少人数私募債

少人数私募債とは、会社が少人数私募により発行する社債のことである。

要件は以下のとおり。

  • 適格機関投資家(金融機関など)を除いた勧誘対象先が50人未満
  • 社債の発行総額が社債の一口額面の50倍未満
  • 一括譲渡を除く譲渡制限を設け、譲渡には取締役会の決議が必要

2013年3月19日

コベナンツ

コベナンツとは、社債や金銭消費貸借契約などの資金を調達する際に、資金供給側に不利益が起きた場合に契約解除や条件の変更ができるように契約条項中に盛り込まれる制限条項あるいは誓約条項である。

例えば、今般、オリンパスが過去の有価証券報告書や四半期報告書を訂正しているが、その中で、損失計上先送りがコベナンツに抵触している旨を追加している。
有価証券報告書の訂正報告書

2012年8月10日

中小企業等貸出金残高調査

東京商工リサーチが、銀行117行の2011年3月期単独決算ベースの中小企業等貸出金残高を発表した。

これによると、前年比で0.7%減少(4年連続)している。
減少している銀行数と増加している銀行数はほぼ半々で三菱東京UFJ銀行などのメガが大きく減らし、静岡銀行などの地銀が大きく増やしているようである。

我が四国は、増加行2、減少行6である。

3月11日に東日本大震災があり、3月末という一時点の数値が必ずしも実態を表していないようにも思われるが、企業サイドの資金需要の低迷と、銀行サイドの慎重な貸出姿勢が影響しているのであろう。

2011年10月7日

創業時の借入

創業時には何かと資金が必要となるが、創業時の借入先の一つに、『日本政策金融公庫』がある。

100%政府出資の政策金融機関で、以前あった『国民生活金融公庫』や『中小企業金融公庫』などが統合して出来た株式会社である。

新規開業資金の貸付など様々な融資を行なっており、また、金利も低いので、創業時に借入が必要な場合には、検討する価値はある。

ちなみに、高松支店は『さぬきうどん店創業ガイド』というものを独自に作っており、うどん屋を始める人には役立つであろう。

2011年8月29日

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譲渡所得

個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和7年度税制改正のあらまし(令和7年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和7年度税制改正のあらまし(令和7年5月)』を掲載しました。

このあらましは、令和7年3月31日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13号)」等の主な改正の概要を掲載しています。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和7年度税制改正のあらまし(令和7年5月)

2025年6月25日


公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらまし(令和7年5月)

国税庁は、ホームページに『公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらまし(令和7年5月)』を掲載しました。

個人が、土地、建物、株式などの財産(事業所得の基因となるものを除きます。)を法人に寄附した場合には、これらの財産は寄附時の時価により譲渡があったものとみなされ、これらの財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税されます


これは、個人から法人に土地、建物などの財産が無償で移転するときに、個人に帰属する値上がり益に対する所得税を精算するための制度的要請によるものです。

ただし、これらの財産(国外の土地など一定のものを除きます。)を公益法人等に寄附した場合に、一定の承認要件を満たすものとして国税庁長官の承認(以下「非課税承認」
といいます。)を受けたときは、この所得税を非課税とする制度が設けられています。

この非課税制度には、「一般特例」と「承認特例」の2つの制度があり、それぞれ対象となる法人の種類や承認要件などが異なります。

★リンクはこちら⇒ 公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらまし(令和7年5月)

2025年6月23日


特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)

国税庁は、『特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

「特定の事業用資産の買換えの特例」の内容についての詳細は、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例」をご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)

2024年7月19日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和6年3月30日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和6年法律第8号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)

2024年6月14日


個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和5年3月31日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)

2023年6月5日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和4年3月31日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和4年法律第4号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)

2022年7月21日


「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達 課資3-5 課個2-8 課法11-25 課審7-11 令和3年6月25日)

平成14年6月24日付課資3-1ほか3課共同「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)、昭和46年8月26日付直資4-5ほか2課共同「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)、昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)、平成24年1月26日付課資3-1ほか2課共同「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)及び令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」(法令解釈通達)の一部を下記のとおり改正したから、これによられたい。

(趣旨)
所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、譲渡所得等に関する取扱いの整備を行ったものである。

リンク先の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

(注)リンク先には、この改正により新たに取扱いを定めたものについてはその全文を掲げ、単に法令改正に伴い引用条文等を改めたものについては原則としてその改正箇所のみ掲げることとした。

★「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」関係

★「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」本文関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」本文関係

「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」別表関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」別表関係

★「所得税基本通達の制定について」関係はこちら⇒ 「所得税基本通達の制定について」関係

★「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」関係はこちら⇒ 「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」関係

★令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」関係はこちら⇒ 令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」関係

2021年7月21日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、「個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)

2021年5月14日


公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし

国税庁は、『公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし』をホームページに掲載した。

個人が、土地、建物、株式などの財産 (事業所得の基因となるもを除く。)を法人に寄附した場合には、これらの財産は寄附時の時価により譲渡があったものとみなされ、 これらの財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税される

これは、個人から法人に土地、建物などの財産が無償で移転するときに、個人に帰属する値上がり益に対する所得税を精算するための制度的要請によるものである。

ただし、これらの財産(国外の土地など一定のものを除きます。)を公益法人等に寄附した場合に、一定の承認要件を満たすものとして国税庁長官の承認(以下「非課税承認」という。)を受けたときは、この所得税を非課税とする制度が設けられている。

この非課税制度には、「一般特例」と「承認特例」の2つの制度があり、それぞれ対象となる法人の種類や承認要件などが異なる。

★リンクはこちら⇒ 公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし

2020年8月25日


未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合

<照会要旨>
私は、今年の6月に、所有する土地及び家屋を3,000万円で譲渡する売買契約を締結した。譲渡した土地及び家屋には本年度分の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)が課されているところ、その売買契約では、譲渡から今年の年末までの期間に係る固定資産税等に相当する額(以下「未経過固定資産税等に相当する額」という。)を、買主が私に支払うことになっている。
この受け取った未経過固定資産税等に相当する額は、譲渡所得の計算上、収入金額に算入することになるか。

<回答要旨>
支払を受けた未経過固定資産税等に相当する額は、譲渡所得の収入金額に算入される。

固定資産税等は、各年ごとに、その賦課期日(その年度の初日の属する年の1月1日)における土地または家屋の所有者を納税義務者として課されるものであり、その年度の賦課期日後に所有者の異動が生じたとしても、新たに所有者となった者がその賦課期日を基準として課される固定資産税等の納税義務を負担することはない。
固定資産税等の賦課期日とは異なる日をもって土地建物の売買契約を締結するに際し、買主が売主に対し、売主が納税義務を負担する固定資産税等の税額のうち未経過固定資産税等に相当する額を支払うことを合意した場合、この合意は、土地及び家屋の売買契約を締結するに際し、売主が1年を単位として納税義務を負う固定資産税等につき、買主がこれを負担することなくその土地及び家屋を所有する期間があるという状況を調整するために個々的に行われるものであると考えられる。

このことからすれば、支払を受けた未経過固定資産税等に相当する額は、実質的にはその土地及び家屋の譲渡の対価の一部を成すものと解するのが相当と考えられる。

★リンクはこちら⇒ 未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合

2015年12月14日

NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の拡充等(平成27年10月)

  • 20歳以上の居住者等を対象として、非課税口座で取得した上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が非課税となるNISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)について、平成28年1月1日以後、非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額が120万円(平成27年分以前は100万円)になる。
  • 平成28年1月1日以後、非課税口座を開設するため、金融商品取引業者等に対して「非課税適用確認書の交付申請書」及び「基準日(注)における住所を証する書類(住民票の写し(提出日前6か月以内に作成されたもの)等)」の提出をする際、または「非課税適用確認書」及び「非課税口座開設届出書」の提出をする際には、氏名、生年月日、住所に加え、個人番号の告知が必要になる。
    また、平成28年1月1日前に非課税口座開設届出書を提出して非課税口座を開設した居住者等は、同日から3年を経過した日以後最初に非課税口座内の上場株式等の譲渡または配当等の受入れをする日までに、金融商品取引業者等に対して個人番号を告知する必要がある。
 非課税対象  非課税口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
 開設者(対象者)  口座開設の年の1月1日において20歳以上の居住者等
 口座開設可能期間  平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間
 金融商品取引業者等の変更 一定の手続の下で、1非課税管理勘定(各年分)ごとに変更可
 非課税投資額  1非課税管理勘定における投資額(①新規投資額及び②継続適用する 

上場株式等の移管された日における終値に相当する金額の合計額) 

は120万円を上限(未使用枠は翌年以後繰越不可)
 非課税期間  最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
 非課税投資総額  最大600万円(120万円(平成27年分以前は100万円)×5年間)

(注)勘定設定期間及び各勘定設定期間に対応する基準日は、以下のとおり。

 勘定設定期間  基準日
 平成26年1月1日から平成29年12月31日まで  平成25年1月1日
 平成30年1月1日から平成33年12月31日まで  平成29年1月1日
 平成34年1月1日から平成35年12月31日まで  平成33年1月1日

★リンクはこちら⇒ NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の拡充等(平成27年10月)

2015年11月20日

ジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が始まります(平成27年10月)

 非課税対象  未成年者口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
 開設者(対象者)  口座開設の年の1月1日において20歳未満又はその年に出生した居住者等
 口座開設可能期間  平成28年4月1日から平成35年12月31日までの8年間 

(口座開設の申込みは平成28年1月から可)
 金融商品取引 

業者等の変更
 変更不可(1人につき1口座のみ)
 非課税投資額  1非課税管理勘定における投資額(①新規投資額及び②継続適用する上場株式等の移管された 

日における終値に相当する金額の合計額)は80万円を上限(未使用枠は翌年以後繰越不可)
 非課税期間  最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
 非課税投資総額  最大400万円(80万円×5年間)
 払出制限  その年の3月31日において18歳である年(基準年)の前年12月31日までは、原則として 

未成年者口座及び課税未成年者口座からの払出しは不可

★リンクはこちら⇒ ジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が始まります(平成27年10月)

2015年11月10日

特定口座制度

特定口座には、以下のとおり、簡易申告口座と源泉徴収口座の2種類があり、金融商品取引業者等に特定口座を開設した場合、その特定口座内における上場株式等の売却による所得の金額については、他の株式等の売却による所得と区分して計算する。
なお、この計算は金融商品取引業者等が行う。

(1)簡易申告口座
簡易申告口座とは、金融商品取引業者等から送られてくる特定口座年間取引報告書により、簡便に申告を行うことができる口座のことをいう。

(2)源泉徴収口座
源泉徴収口座とは、特定口座内で生じる所得に対して源泉徴収(20%(所得税15%、住民税5%))することを選択することにより、その特定口座における上場株式等の売却による所得を申告不要とすることができる口座のことをいう。
なお、金融商品取引業者等を通じて支払を受ける上場株式等の配当等については、その金融商品取引業者等に開設している源泉徴収口座に受け入れることができる。
また、上場株式等の配当等を受け入れた源泉徴収口座内に上場株式等を売却したことにより生じた譲渡損失の金額があるときは、上場株式等の配当等の額の総額からその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡損失の金額を控除(損益通算)した金額を基に源泉徴収税額が計算される。

◆源泉徴収口座における留意点◆

  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得またはその源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得を申告するかどうかは口座ごとに選択できる(1回の売却ごと、1回に支払を受ける配当等ごとの選択はできない。)。
  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得とその源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得のいずれかのみを申告することができる。
    ただし、源泉徴収口座の譲渡損失の金額を申告する場合には、その源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得も併せて申告しなければならない。
  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告した後に、その源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告しないこととする変更はできない。
    また、源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得の金額または配当所得の金額を含めないで申告した後に、その源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告することとする変更もできない。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月18日

上場株式等の譲渡損失に係る損益通算及び繰越控除

平成21年分以後の各年分において上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却したことにより生じた譲渡損失の金額は、確定申告により、その年分の上場株式等に係る配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る。以下同じ。)と損益通算ができる。

また、損益通算してもなお控除しきれない譲渡損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除できる。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月16日

株式を売却した場合の所得金額及び所得税額(住民税額)の計算

株式等の売却による所得金額及び所得税額(住民税額)は、以下のように計算する。

(1)所得金額の計算
売却価額-(取得費()十委託手数料等)=所得金額


株式等の取得費は、その購入価額(購入手数料等を含む。)となるが、同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合には、総平均法に準ずる方法によって算出した1株当たりの金額に売却株数を乗じて計算した金額が、その取得費の金額となる。

(2)所得税額(住民税額)の計算
所得金額(譲渡益)×所得税15%(ほかに住民税5%)=所得税額(住民税額)

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月13日

同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費は…

同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入し、その株式等の一部を譲渡した場合の取得費は、総平均法に準ずる方法によって求めた1単位当たりの価額を基に計算する。

総平均法に準ずる方法とは、株式等をその種類及び銘柄の異なるごとに区分して、その種類等の同じものについて以下の算式により計算する方法を言う。

((A+B)÷(C+D)=1単位当たりの価額)

 A  株式等を最初に購入した時(その後既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の時)の購入価額の総額
 B  株式等を最初に購入した後(その後既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の後)から今回の譲渡の時までの購入価額の総額
 C  Aに係る株式等の総数
 D  Bに係る株式等の総数

2013年5月21日

取得費を計算する際の1単位当たりの価額の調整が必要な場合は…

取得費は、株式等の取得に要した1単位当たりの価額に株数等を乗じて計算するが、その1単位当たりの価額が調整される場合がある。
その主なものは以下のことが生じた場合またはそれによる株式等の取得があった場合である。

  1. 株式等の分割または併合が行われた場合
  2. 同一種類の株式を株主割当てにより取得した場合
  3. 課税の繰延べの対象となる合併により合併法人の株式等を取得した場合
  4. 課税の繰延べの対象となる分割型分割により分割承継法人の株式等を取得した場合
  5. 課税の繰延べの対象となる株式交換または株式移転により株式交換完全親法人または株式移転完全親法人の株式等を取得した場合

2013年5月17日

払込みや購入以外で株式等を取得した場合の取得費は…

払込みや購入以外での株式等の主な取得原因とそれに係る取得費は、以下のとおり。
(1)相続(限定承認を除く。)、遺贈(限定承認を除く。)または贈与により取得した場合
●被相続人、遺贈者又は贈与者の取得費を引き継ぐ。

(2)発行法人から与えられた以下に掲げる権利の行使により取得した株式等(いわゆる税制適格ストックオプションの行使により取得する特定権利行使株式を除く。)
イ 平成13年法律第79号による改正前の商法に規定する株式譲渡請求権
●その権利の行使の日における価額
ロ 平成13年法律第128号による改正前の商法に規定する新株の引受権
●その権利の行使の日における価額
ハ 改正前の商法に規定する新株予約権
●その権利の行使の日における価額
会社法第238条第2項の決議等に基づき交付された新株予約権(新株予約権を引き受ける者に特に有利な条件、金額であるとされるものまたは役務の提供による対価であるとされるものに限る。)
●その権利の行使の日における価額
ホ 株式と引換えに払い込むべき金額が有利な場合におけるその株式を取得する権利(イからニに該当するものを除く。)
●その権利に基づく払込みまたは給付の期日における価額

(3)発行法人の株主等として与えられた新たな払込みや給付を要しないで取得した株式(下記の3(2)で取得費を調整する場合を除く。)または新株予約権
●零

(4)(1)から(3)以外の方法により取得した株式
●その取得の時におけるその株式等の取得のために通常要する価額

2013年5月15日

譲渡した株式等の取得費は…

株式等を譲渡(売却)した場合の譲渡所得の金額は、以下のように計算する。

(譲渡所得=譲渡価額(売却金額)-取得費(取得価額)-売却手数料等)

取得費(取得価額)は、株式等を取得したときに支払った払込代金や購入代金だが、購入手数料(購入手数料に係る消費税も含まれる。)のほか購入時の名義書換料などその株式等を取得するために要した費用も含まれる。

2013年5月13日

株式としての価値を失ったことによる損失と上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の関係

特定管理株式について、その発行会社が解散し清算が結了したことから、その株式としての価値を失ったことによる損失が株式等の譲渡による損失の金額とみなされることになったが、特定管理株式は「上場株式等に該当しないこととなった内国法人の株式」であることから、上場株式等を対象とする「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」の適用対象とはならない。
したがって、株式としての価値を失ったことによる損失の金額が当年分の他の株式等の譲渡益から控除しきれない場合に、これを翌年以降に繰り越して控除することはできない。

2012年11月13日

ゴルフ会員権を譲渡したときは…

1.課税方法
ゴルフ会員権は、特定の会社の株主にならなければ、会員となれない会員権とその他の会員権とに区分されるが、これらの会員権を譲渡したときの所得は、いずれも譲渡所得として事業所得や給与所得などの所得と合わせて総合課税の対象となる。

2.計算方法
この場合の所得金額の計算は、その会員権の所有期間に応じて以下のとおりとなる。
(1)所有期間が5年以内のもの(短期譲渡所得)
譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円(特別控除額(注))
(2)所有期間が5年を超えるもの(長期譲渡所得)
課税される金額={譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円(特別控除額(注))}✕1/2
(注)
譲渡所得の特別控除の額は、その年のゴルフ会員権の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円である。これらの譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できない。
また、(1)と(2)の両方の譲渡益がある場合には、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、(1)の譲渡益から先に控除する。

3.注意事項

  • ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができる。
    ただし、ゴルフ場経営法人が破産した場合など損益通算できない場合がある。
  • ゴルフ会員権の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得となる。

2012年10月30日

譲渡した土地・建物の取得費が分からない時はどうするのか…

譲渡所得の金額は、土地や建物を譲渡した金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する。
取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額である。
建物の場合は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額である。

しかし、譲渡した土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、取得費の額を譲渡した金額の5%相当額とすることができる。
なお、取得費が分かっている場合でも、実際の取得費が譲渡した金額の5%相当額を下回る場合も同様である。

2012年10月25日

相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期はいつになるのか…

1.相続や贈与によって取得した資産の取得費
譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する。
取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額である。
建物の場合は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額である。
譲渡した土地建物の中には相続や贈与により取得したものもある。
この場合の取得費は、死亡した人や贈与した人がその土地建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算する。
なお、業務に使われていない土地建物を相続や贈与により取得した際に相続人や受贈者が支払った登記費用や不動産取得税の金額も取得費に含まれる。

2.相続や贈与によって取得した資産の取得の時期
取得の時期は、通常、売った土地建物を買い入れた日だが、相続や贈与で取得したときは、死亡した人や贈与した人の取得の時期がそのまま取得した人に引き継がれる。
したがって、死亡した人や贈与した人が取得した時から、相続や贈与で取得した人が譲渡した年の1月1日までの所有期間で長期か短期かを判定することになる。

2012年10月23日

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱い

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いが変更になった。

<従来の取扱い>
預託金会員制ゴルフ会員権とは、契約上の地位であり、優先的施設利用権と預託金返還請求権をその内容とする譲渡所得の基因となる資産(事実上の権利)となる。このため、ゴルフ会員権を巡る種々の方策の判定に当たってのメルクマールは、そのゴルフ会員権はゴルフ会員権としての性質を有しているか(維持しているか)、という点を基本として取り扱ってきた。
このことから、自主再建型の再建が行われたゴルフクラブのゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡所得の金額の計算において、当該譲渡による収入金額から控除する取得費は、会社更生法に基づく更生計画による更生手続等により、預託金債権の一部のみを切り捨てられた場合には、切り捨てられた損失の金額は認識せず、取得価額から減額(付け替え)しないものと取り扱い、また、預託金債権の全額を切り捨てられた場合には、更生手続等により取得した優先的施設利用権のみのゴルフ会員権の時価相当額として取り扱ってきた。

<今後の取扱い>
上記の従来の取扱いの一部を以下のとおり変更する。
預託金会員制ゴルフ会員権が会社更生法に基づく更生計画による更生手続等(注)によって、預託金債権の全額を切り捨てられたことにより優先的施設利用権(年会費等納入義務等を含む。以下同じ。)のみのゴルフ会員権となったときであっても、当該更生手続等により優先的施設利用権が、以下に掲げる状況その他の事情を総合勘案し、更生手続等の前後で変更なく存続し同一性を有していると認められる場合には、その後に当該優先的施設利用権のみのゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡所得の金額の計算において、当該譲渡による収入金額から控除する取得費については、更生手続等前の預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときの優先的施設利用権部分に相当する取得価額とする。

  • 当該更生計画等の内容から、優先的施設利用権が会員の選択等にかかわらず、当該更生手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められていること。
  • 当該更生手続等により優先的施設利用権のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払いがなく、かつ、年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていないこと。

(注)
会社更生法に基づく更生計画による更生手続と同等の法的効果を有する民事再生法に基づく再生計画による再生手続等を含む。

<所得税の還付手続>
上記の取扱いの変更は、過去に遡って適用することとし、これにより、過去の所得税の申告の内容に異動が生じ所得税が納めすぎになる場合には、国税通則法の規定に基づき、この取扱いの変更を知った日の翌日から2か月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、当該納めすぎとなっている所得税が還付となる。
更正の請求をする場合は、更生計画など上記に掲げた内容が分かる書類を併せて提出する必要がある。
なお、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できないこととされているので留意が必要である。

2012年8月28日

個人から個人への固定資産の低額譲渡

時価の2分の1以上であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は課税されない
  • 譲受者
    相続税評価額または通常の取引価額(土地・家屋などはこちらのみ)と譲受価額の差額はみなし贈与
    取得価額は譲受価額

時価の2分の1未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は課税されない
    (時価で譲渡したとされる、いわゆる『みなし譲渡』課税はない)
    ただし、譲渡損はなかったものとされる
  • 譲受者
    相続税評価額または通常の取引価額(土地・家屋などはこちらのみ)と譲受価額の差額はみなし贈与
    取得価額は譲受価額
    ただし、譲渡者に譲渡損が発生する場合は、譲渡者の取得価額・取得時期を引き継ぐ

2011年11月4日

個人から法人への固定資産の低額譲渡

時価の2分の1以上であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は原則として課税されない
    (同族会社等の行為計算の否認の可能性あり)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

時価の2分の1未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は譲渡所得
    (時価で譲渡したとされる、いわゆる『みなし譲渡』となる)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

2011年11月2日

法人から個人への固定資産の低額譲渡

時価未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は寄附金(譲受者が役員の場合は役員給与)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は一般的には一時所得(譲受者が役員の場合は役員給与)
    取得価額は時価

2011年11月1日

法人から法人への固定資産の低額譲渡

時価未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は寄附金
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

2011年10月31日

相続税評価額による土地の譲渡

時価とは、客観的交換価値のことをいう。

よって、相続税評価額が時価と言えるかどうかが問題となる。

相続税評価額と同水準かそれ以上の価額で譲渡すれば、原則として、『著しく低い価額』による譲渡とはいえず、例外として、何らかの事情により相続税評価額が時価の80%よりも低くなっており、それが明らかであると認められる場合のみ、『著しく低い価額』による譲渡となりうる。

(東京地方裁判所 平成19年8月23日判決)

2011年9月29日

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贈与税

非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)

国税庁は、ホームページに『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)』を掲載しました。

法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。

この法人版事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2つの制度があり、特例措置については、事前の計画策定等や適用期限が設けられていますが、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引上げ(80%から100%)がされているなどの違いがあります。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)

2025年6月24日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)』を掲載した。

個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限ります。)に係る事業(不動産貸付業等を除きます。)を行っていた事業者の後継者(※1)として円滑化法の認定を受けた者が、平成31年1月1日から令和10年12月31日まで(※2)の贈与又は相続等により、特定事業用資産を取得した場合は、

その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、
後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものです。

※1
平成31年4月1日から令和8年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限ります。

※2
先代事業者と生計を一にする親族からの特定事業用資産の贈与・相続等については、上記の期間内で、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までにされたものに限ります。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)

2025年6月20日


「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

標題のことについては、平成17年3月22日付課資5-11ほか6課共同「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」(法令解釈通達)の一部を別紙「新旧対照表」のとおり改正したから、今後これによられたい。

(趣旨)
税制改正等に伴い、所要の整備を図るものである。

★リンクはこちら ⇒ 「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

2025年1月28日


令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧

2025年1月7日


令和6年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、『令和6年分贈与税の申告のしかた』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和6年分贈与税の申告のしかた

2024年12月18日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

災害により被害を受けた会社又は中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて、以下「災害等」といいます。)に該当した会社に係る非上場株式等については、贈与税・相続税の納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)の適用に当たり一定の要件のもと、次の措置が講じられています。

⑴納税猶予の免除事由の追加
贈与税・相続税の納税猶予の適用を受けている次の①又は②の者については、経営承継期間等内に破産等した場合でも納税猶予税額が免除されます。
①災害等の発生前に贈与によりその非上場株式等を取得した者
②災害等の発生した日から1年を経過する日の前日までにその非上場株式等を相続又は遺贈(以下「相続等」といいます。)により取得した者

⑵納税猶予期間中の事業継続要件等の緩和
上記⑴①又は②の者については、納税猶予期間中の要件が免除又は緩和されます。

⑶相続税の納税猶予の適用要件の緩和
災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得等したその会社の非上場株式等について後継者が相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、その適用要件のうちの一部が不要とされています。

「災害」とは、震災、風水害、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び火災、鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいいます。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)

2024年7月24日


年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)

国税庁は、『年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)

2024年7月22日


法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)

国税庁は、『法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)』をホームページに掲載しました。

●法人版事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除)の適用を受けられている方は、納税猶予期間中は、
① (特例)経営(贈与)承継期間については毎年
② その期間経過後は3年ごと
一定の書類を添付した継続届出書を所轄の税務署へ提出する必要があります。

(注1)この制度の適用に係る円滑化法の認定(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定をいいます。以下同じです。)を受けた会社も、(特例)経営(贈与)承継期間内は、毎年、都道府県知事に対し年次報告書を提出し、その確認を受ける必要があります。

(注2)「(特例)経営(贈与)承継期間」とは、原則として、その会社の株式等に係る最初のこの制度の適用に係る贈与税又は相続税の申告期限の翌日から同日以後5年を経過する日までの期間をいいます。

災害等により、国税通則法第11条又は租税特別措置法第69条の8の規定に基づく申告期限の延長(以下「申告期限の延長」といいます。)がされた場合には、その延長後の申告期限となります。

●この「継続届出書」の提出がない場合には、猶予されている贈与税・相続税の全額と利子税を納付する必要があります。

●このパンフレットは、継続届出書の提出に当たり必要となる手続や添付書類等について、その概要を説明したものです。

★リンクはこちら ⇒ 法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)

2024年7月17日


相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)

国税庁は、『相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)』をホームページに掲載した。

令和5年度税制改正において創設された相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例を取りまとめたので、執務の参考として送付する。

なお、質疑応答事例は、令和6年4月1日現在の法令等に基づくものである。

<制度の概要>
(問1-1)相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の概要

<適用要件>
(問2-1)適用要件の概要
(問2-2)土地又は建物の範囲
(問2-3)特例の対象となる被害の範囲
(問2-4)継続所有要件の判定(災害発生日前に相続時精算課税適用者が死亡している場合)
(問2-5)災害減免法との重複適用

<想定価額の計算>
(問3-1)想定価額の計算
(問3-2)想定使用可能期間の年数の判定方法

<被災価額及び被災割合の計算>
(問4-1)被災価額の計算(その1):概要
(問4-2)被災価額の計算(その2):被害を受けた部分の価額が明らかでない場合
(問4-3)被災価額の計算(その3):造成工事や増改築があった場合
(問4-4)被災価額の計算(その4):保険金等により補塡される金額が確定していない場合
(問4-5)被災割合の判定(その1):同一の災害により2以上の土地又は建物が被害を受けた場合
(問4-6)被災割合の判定(その2):同一の建物の持分を2以上の贈与により取得した場合
(問4-7)被災割合の判定(その3):承認を受けた後に被災価額に異動があった場合

<相続税の課税価格に加算される金額の計算>
(問5-1)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その1):概要
(問5-2)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その2):特定贈与者が2人以上いる場合
(問5-3)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その3):同一の土地又は建物が2以上の災害により被害を受けた場合
(問5-4)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その4):災害発生前に土地の一部を贈与している場合

<特例の適用に関する手続等>
(問6-1)精算課税の災害特例の適用を受けるための手続
(問6-2)承認を受けた後の手続(被災価額の異動届出書の提出)

<その他>
(問7-1)相続税の申告書の提出期限までに承認を受けていない場合の相続税の課税価格に加算される金額等
(問7-2)特定土地等に係る相続税の特例と精算課税の災害特例の重複適用
(問7-3)個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予との関係

<記載例>
1 建物が災害により被害を受けた場合の承認申請書等の記載例
2 土地が災害により被害を受けた場合の承認申請書の記載例

★リンクはこちら ⇒ 相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)

2024年7月16日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)

国税庁は、ホームページに、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、次の制度の概要を解説したものである。

  1.  「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」
  2. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
  3. 「災害等に関する税制上の措置」

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)

2024年6月25日


一般贈与と特例贈与の両方がある場合の贈与税の計算方法

例えば、財産の贈与を受けた年の1月1日現在において18歳以上の方が、配偶者と自分の両親の両方から贈与を受けた場合などに、この計算となる。

この場合には、以下のとおり計算する。

すべての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算する。
すべての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算する。
納付すべき贈与税額は、①と②の合計額である。

(例)
一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の場合の計算
①この場合、まず、合計価額500万円を基に以下のように計算する。
(すべての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算)
500万円-110万円=390万円
390万円×20%-25万円=53万円
(上記の税額のうち、一般贈与財産に対応する税額(一般税率)の計算)
53万円×100万円/(100万円+400万円)=10.6万円…①

次に「特例贈与財産」の部分の税額計算を行う。
②この場合も、まず、合計価額500万円を基に以下のように計算する。
(すべての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算)
500万円-110万円=390万円
390万円×15%-10万円=48.5万円
(上記の税額のうち、特例贈与財産に対応する税額(特例税率)の計算)
48.5万円×400万円/(100万円+400万円)=38.8万円…②

(贈与税額の計算)
③贈与税額=①一般贈与財産の税額+②特例贈与財産の税額
上記の場合 ①10.6万円+②38.8万円=49.4万円…贈与税額

★リンクはこちら ⇒ 一般贈与と特例贈与の両方がある場合の贈与税の計算方法

2024年2月20日


令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、「令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧

2024年1月30日


令和5年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「令和5年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。

  • 令和5年分の贈与税の申告書の受付は、令和6年2月1日(木)から同年3月15日(金)まで
  • 令和5年分の贈与税の納期限は、令和6年3月15日(金)

★リンクはこちら ⇒ 令和5年分贈与税の申告のしかた

2024年1月26日


父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

<制度の概要>
平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「結婚・子育て資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に結婚・子育て資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となる

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、その死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされる

また、結婚・子育て資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる

★リンクはこちら ⇒ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

2023年7月5日


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

<制度の概要>
平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間
に、30歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に教育資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となる

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として、その死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされる

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる

★リンクはこちら ⇒ 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

2023年6月29日


令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、ホームページに「令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧」を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧

2022年12月26日


令和4年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、ホームページに「令和4年分贈与税の申告のしかた」を掲載した。

  • この冊子は、一般的な事項を説明している。申告や納税について分からない点があれば、国税庁ホームページをご覧のこと。
  • 令和4年分の贈与税の申告書の受付は、令和5年2月1日(水)から同年3月15日(水)までである。
  • 令和4年分の贈与税の納期限は、令和5年3月15日(水)である。

★リンクはこちら ⇒ 令和4年分贈与税の申告のしかた

2022年12月20日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)を掲載しました

国税庁は、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)』をホームページに掲載した。

このパンフレットは、以下の制度の概要を解説したものである。

  1. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」
  2. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
  3. 「災害等に関する税制上の措置」

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)を掲載しました

2022年12月15日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、次の制度の概要を解説したものである。

  1.  住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
  2.  住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例
  3.  災害等に関する税制上の措置

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)

2022年8月3日


令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁はホームページに『令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧』を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧

2022年1月17日


令和3年分贈与税の申告のしかた

国税庁はホームページに『令和3年分贈与税の申告のしかた』を掲載した。

この冊子は、一般的な事項を説明している。

申告や納税についてお分かりにならない点がありましたら、税理士もしくは最寄りの税務署にお尋ねのこと。

  • 令和3年分の贈与税の申告書の受付は、令和4年2月1日(火)から同年3月15日(火)までである。
  • 令和3年分の贈与税の納期限は、令和4年3月15日(火)である。

★リンクはこちら ⇒ 令和3年分贈与税の申告のしかた

2021年12月24日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

2021年6月24日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

災害()により被害を受けた会社または中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて、以下「災害等」という。)に該当した会社に係る非上場株式等については、贈与税・相続税の納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)の適用に当たり一定の要件のもと、以下の措置が講じられている。

⑴納税猶予の免除事由の追加
贈与税・相続税の納税猶予の適用を受けている以下の①または②の者については、経営承継期間等内に破産等した場合でも納税猶予税額が免除される。
①災害等の発生前に贈与によりその非上場株式等を取得した者
②災害等の発生した日から1年を経過する日の前日までにその非上場株式等を相続または遺贈(以下「相続等」という。)により取得した者

⑵納税猶予期間中の事業継続要件等の緩和
上記⑴①又は②の者については、納税猶予期間中の要件が免除または緩和される。

⑶相続税の納税猶予の適用要件の緩和
災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得等したその会社の非上場株式等について後継者が相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、その適用要件のうちの一部が不要とされている。

「災害」とは、震災、風水害、火災、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいう。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)

2021年6月22日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」という。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)

2021年6月18日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

令和元年度税制改正により創設された個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る。)に係る事業(不動産貸付業等を除く。)を行っていた事業者の後継者(※1)として円滑化法の認定を受けた者が、平成31年1月1日から令和10年12月31日まで(※2)の贈与または相続等により、特定事業用資産を取得した場合は、

  1. その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、
  2. 後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものである。

※1
平成31年4月1日から令和6年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限る。
※2
先代事業者の生計一親族からの特定事業用資産の贈与・相続等については、上記の期間内で、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までにされたものに限る。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

2021年6月15日


父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「結婚・子育て資金口座の開設等」という。)には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となる。

契約期間中に贈与者が死亡した場合には、死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とする。)を控除した残額(以下「管理残額」という。)を、贈与者から相続等により取得したこととされる。

また、受贈者が50歳に達することなどにより、結婚・子育て口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる。

★リンクはこちら ⇒ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

2021年6月8日


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)」をホームページに掲載した。

平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、30歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税が非課税となる。

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として、その死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、贈与者から相続等により取得したこととされる。

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる。

★リンクはこちら ⇒ 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

2021年5月25日


貸付自粛制度

貸付自粛制度は、2019年3月29日にスタートした。

<1.貸付自粛制度とは>
ご本人が、自らに浪費の習癖があることやギャンブル等依存症によりご本人やその家族の生活に支障を生じさせるおそれがあること、その他の理由により、ご本人自らを自粛対象者とする旨または法定代理人等または親族のうち一定の範囲の者が、金銭貸付による債務者を自粛対象者とする旨を当全国銀行個人信用情報センターに対して申告することにより、全国銀行個人信用情報センターに貸付自粛情報を登録し、一定期間、当センターの会員に対してその情報を提供する制度である。

<2.情報連携および提供について>
全国銀行個人信用情報センターは受付した申告にもとづく貸付自粛情報を日本貸金業協会に提供し、また、日本貸金業協会が受付した貸付自粛情報の提供を受けることにより、それぞれで受付した申告が当センターに登録されるとともに、日本貸金業協会が指定する個人信用情報機関(㈱日本信用情報機構、㈱シー・アイ・シー)においても登録され、それぞれの会員が利用できるよう情報連携している。
ただし、貸付自粛情報がセンターおよび日本貸金業協会が指定する各情報機関に登録された場合であっても、当該情報は、センターおよび各情報機関の会員による与信判断を拘束するものではない。

<3.貸付自粛情報の登録内容>
貸付自粛情報として登録される内容は以下のとおりである。

  • 氏名
  • 性別
  • 生年月日
  • 住所
  • 自宅電話番号(または携帯電話番号)
  • 勤務先名
  • 勤務先電話番号

<4.貸付自粛情報の登録期間>
貸付自粛申告日(以下、「申告日」という。)から5年を超えない期間

<5.撤回の制限>
貸付自粛の申告をした場合には、原則として申告日から3か月が経過するまで貸付自粛情報を撤回できない。
また、貸付自粛の申告が法定代理人等によるものである場合には、原則として自粛対象者はその貸付自粛情報を取消すことができない。
ただし、貸付自粛の申告が自粛対象者または法定代理人等によるものでない場合には、申告日から3か月が経過しなくても自粛対象者はその貸付自粛情報を取消すことができる。

<6.申告者の範囲>
申告できるのはご本人のみである。
ご家族が手続きすることは原則できない(ただし、以下の法定代理人等の場合を除く。)。

(1) ご本人
(2) ご本人以外の方
i) 法定代理人(親権者、後見人、保佐人、補助人(ただし、補助人にあたっては借財について同意する権限を有する者に限る))
ii) 自粛対象者の配偶者または二親等内の親族
ただし、以下のすべての要件が満たされる必要がある。
1) 自粛対象者の配偶者または二親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること
2) 自粛対象者が所在不明であることが客観的な事実により証明できること(家庭裁判所が発行する失踪宣言の審判書等)
3) 自粛対象者の所在不明の原因が、金銭の貸付による金銭債務の負担を原因としている可能性があること
4) 貸付自粛の対応をとることが自粛対象者の生命、身体又は財産の保護のために必要があると認められる場合であること
5) 自粛対象者本人の同意を得ることが困難であること
iii) 自粛対象者と同居する三親等内の親族。ただし、以下の全ての要件が満たされる必要がある。
前項2)~5)までの要件が満たされていること
配偶者または二親等内の親族が申告することが著しく困難と認められること
申告者が自粛対象者と同居する三親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること

★リンクはこちら ⇒ 貸付自粛制度

2021年5月18日


イメージデータで提出可能な添付書類(贈与税申告)

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、この一覧は、令和2年4月1日現在の法令に基づくものである。

<添付書類をイメージデータで提出する場合の注意事項>
「相続時精算課税選択届出書」など、電子データ(XML形式)により提出が可能な添付書類については、イメージデータで提出することができない。
なお、電子データにより提出が可能な添付書類は、「利用可能手続(贈与税申告)」でご確認のこと。

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★リンクはこちら ⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(贈与税申告)

2021年3月18日


令和2年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「令和2年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分贈与税の申告のしかた

2020年12月25日


令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、「令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧

2020年12月18日

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会計

誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)

國村 年が執筆した『誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)』が2025年5月21日に中央経済社から発売されました。

★リンクはこちら⇒ 誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)

2025年5月22日


中小事務所等施策調査会研究報告第4号「有価証券報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(中小事務所等施策調査会)は、2024年4月18日に開催された常務理事会の承認を受けて、「中小事務所等施策調査会研究報告第4号「有価証券報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について」を公表した。

本研究報告は、監査事務所が、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく財務計算に関する書類の監査において、有価証券報告書に含まれる連結財務諸表及び財務諸表に関する表示の確認を実施する際の参考に資するため、チェックリストの形式で取りまとめたものである。

法令等の改正による改正箇所及び早期適用に関する記載については網掛けをして明示している。

本研究報告は、従来会員向けウェブサイトでの公表としてきたが、今回の改正から財務諸表等の作成者も利用できるよう一般向けウェブサイトでの公表とした。

利用上の注意については、チェックリスト本文「1.はじめに」及び「3.本研究報告利用上の留意点」を参照のこと。

なお、本研究報告は、その一例を示したものであるため、被監査会社の有価証券報告書の表示を確認する際には、それぞれの実情に即して、加除修正等の検討を行う必要がある。

また、2024年3月31日時点で施行されている法令や会計基準等に基づいて作成しているため、法令や会計基準等の改正が実施された場合には、その改正事項を考慮した上で使用する必要があることを申し添える。

★リンクはこちら⇒ 中小事務所等施策調査会研究報告第4号「有価証券報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について

2024年5月28日


「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」の改正

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan:ASBJ)から公表されている「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」について、ASBJと協議し、内容の見直しを行った。

このたび、2022年12月16日に開催された理事会の承認を受けて、改正後の「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」を公表した。

【参考】
ASBJのウェブサイトにおいても改正後の「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」が公表されている。

★リンクはこちら⇒ 「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」の改正

2023年2月14日


会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&Aの改正

本公認会計士協会(会計制度委員会)では、2022年10月13日に開催された常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&A(以下、これらを合わせて「外貨建取引等実務指針等」という。)を2022年10月28日付けで公表した。

1.改正の背景
企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan:ASBJ)において、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)及びグループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いに関して検討がなされ、改正企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」、改正企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」及び改正企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下、これらを合わせて「法人税等会計基準等」という。)が公表された。

これに伴い、外貨建取引等実務指針等についても改正する必要が生じたため、ASBJから当協会に対し、外貨建取引等実務指針等の改正の検討の依頼があった。

本改正は、当協会による検討の結果、外貨建取引等実務指針等の改正を行うものである。

2.改正内容
外貨建取引等実務指針等の主な改正内容は、以下のとおり。

(1)税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関する取扱い
法人税等会計基準等では、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)について、当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、その発生源泉となる取引等に応じて、損益(税引前当期純利益から控除)、株主資本及びその他の包括利益の各区分に計上する案が示された。そのため、株主資本及びその他の包括利益の各項目(評価差額及び繰延ヘッジ損益等)について、従来、繰延税金資産又は繰延税金負債に対応する額を控除した金額を計上することとしていたが、これに加えて、各項目に対して課税された法人税等の額についても控除した金額を計上することとした。

(2)グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱い
法人税等会計基準等では、グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いについて、連結財務諸表上のみ、売却時に税金費用を計上しないようにする案が示された。

そのため、持分法適用会社における留保利益、のれんの償却額、負ののれんの処理額及び欠損金について、税務上の要件を満たし、課税所得計算において売却損益を繰り延べる場合(法人税法第61条の11)に該当する当該持分法適用会社の株式売却の意思決定を行った場合には、税効果を認識しないようにした。

3.適用
法人税等会計基準等を適用する連結会計年度及び事業年度から適用することを予定している。
なお、外貨建取引等実務指針等の見直し及び検討に当たっては、2022年3月30日から2022年6月8日までの間、草案を公開し、広く意見を求めたが、意見は寄せられなかった。
【参考】
ASBJより法人税等会計基準等が公表されているので、リンク先のASBJのウェブサイトを参照のこと。

★リンクはこちら⇒ 会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&Aの改正について

2022年12月12日


中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」の改正(会員限定)

日本公認会計士協会(中小事務所等施策調査会)は、2022年10月13日に開催された常務理事会の承認を受けて、「中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について」を公表した。

本研究報告は、中小規模の監査事務所が、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく財務計算に関する書類の中間監査において、半期報告書に関する表示の確認を実施する際の参考に資するため、チェックリストの形式で取りまとめたものである。

なお、法令等の改正による改正箇所については網掛けをして明示している。

本研究報告は、チェックリストの一例を示したものであるため、被監査会社の半期報告書の表示を確認する際には、それぞれの実情に即して、加除修正等の検討を行う必要がある。

また、2022年9月30 日時点で施行されている法令や会計基準等に基づいて作成しているため、法令や会計基準等の改正が実施された場合には、その改正事項を考慮した上で使用する必要があることを申し添える。

2022年12月2日


「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」等の一部改訂

2022年5月25日から6月24日まで、総務省において「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」報告書」(以下「地方独立行政法人会計基準」という。)及び「地方独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂に係る意見募集が実施され、2022年8月31日付けで改訂された。

これに伴い、地方独立行政法人会計基準の実務上の取扱いについて定める以下のQ&Aについても、総務省及び日本公認会計士協会の二者で検討を行い、改訂した。

<改訂対象のQ&A>

  • 「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A
  • 「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A【公営企業型版】
  • 「固定資産の減損に係る地方独立行政法人会計基準」及び「固定資産の減損に係る地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A
  • 「固定資産の減損に係る地方独立行政法人会計基準」及び「固定資産の減損に係る地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A【公営企業型版】

改訂後のQ&Aの適用時期は以下のとおり。

  • 資産見返負債の廃止:2023(令和5事業)年度から
  • 収益認識基準の導入:2024(令和6事業)年度から
  • その他の改訂   :2022(令和4事業)年度から

本Q&Aの改訂に当たっては、2022年7月26日から8月25日までの間、草案を公開し、広く意見を求めたが、特段意見は寄せられなかった。

★リンクはこちら⇒ 「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」等の一部改訂

2022年11月17日


国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」、第2号「キャッシュ・フロー計算書」、第3号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」、第4号「外国為替レート変動の影響」、第5号「借入コスト」、第9号「交換取引から生ずる収益」、第10 号「超インフレ経済下における財務報告」(国際公会計基準書ハンドブック2021年版)の翻訳完了

公会計委員会では、国際会計士連盟(IFAC)の国際公会計基準審議会(International Public Sector Accounting Standards Board – IPSASB)から公表されている国際公会計基準(International Public Sector Accounting Standards – IPSAS)第1号から第10号までの翻訳作業を完了した。

  • 国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」(IPSAS 1, Presentation of Financial Statement)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第2号「キャッシュ・フロー計算書」(IPSAS 2, Cash Flow Statements)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第3号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」(IPSAS 3, Accounting Policies, Changes in Accounting Estimates and Errors)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第4号「外国為替レート変動の影響」(IPSAS 4, The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第5号「借入コスト」(IPSAS 5, Borrowing Costs)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第9号「交換取引から生ずる収益」(IPSAS 9, Revenue from Exchange Transactions)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第10号「超インフレ経済下における財務報告」(IPSAS 10, Financial Reporting in Hyperinflationary Economies)

※第6号、第7号、第8号は欠番である。

本翻訳は、2021年3月に発行された「国際公会計基準書ハンドブック2021年版(2021 Handbookof International Public Sector Accounting Pronouncements)」に収録されている時点のものを翻訳対象としている。

★リンクはこちら⇒ 国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」、第2号「キャッシュ・フロー計算書」、第3号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」、第4号「外国為替レート変動の影響」、第5号「借入コスト」、第9号「交換取引から生ずる収益」、第10 号「超インフレ経済下における財務報告」(国際公会計基準書ハンドブック2021年版)の翻訳完了

2022年11月2日


非営利組織会計検討会による報告「非営利組織モデル会計基準の普及のための課題の整理~非営利組織会計基準の共通化に向けた提案~」の公表

日本公認会計士協会(非営利組織会計検討会)は、2022年7月21日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利組織会計検討会による報告「非営利組織モデル会計基準の普及のための課題の整理~非営利組織会計基準の共通化に向けた提案~」を公表した。

当協会は、非営利組織会計検討会を設置し、2019年7月18日付けで「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」を公表し、モデル会計基準を提案した。

その後、モデル会計基準の普及を行う過程において、公益法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人の各会計基準とモデル会計基準との比較を行い、現時点における調査・研究の成果として、非営利組織会計検討会による報告「非営利組織モデル会計基準の普及のための課題の整理~非営利組織会計基準の共通化に向けた提案~」を取りまとめた。

今後、本報告が、各非営利組織において、会計基準を見直す場合や制度発展のための検討を行う際に参照されること等によって、非営利組織の財務報告における比較可能性の改善につながることを期待する。

当協会は、今後も多くの関係者との協力及び連携を深めながら、引き続き調査・研究を進めて、非営利組織の財務報告の発展に貢献していく所存である。

※本報告の概略は、非営利組織会計検討プロジェクト(リンクはこちら)にて、掲載を予定している。

★リンクはこちら⇒ 非営利組織会計検討会による報告「非営利組織モデル会計基準の普及のための課題の整理~非営利組織会計基準の共通化に向けた提案~」の公表

2022年10月25日


会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

日本公認会計士協会は、2022年6月16日に開催された常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」を公表した。

本研究資料は、ソフトウェアに関するビジネスの環境変化に伴い、多様な実務が生じていることを踏まえ、ソフトウェア及びその周辺の取引に関する会計上の取扱いについて調査し、現時点における考えを取りまとめたものである。

本研究資料の取りまとめに当たっては、2022年2月24日から2022年4月24日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も併せて公表したので、ご参照のこと。

★会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」はこちら⇒ 会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」

★会計制度委員会研究資料「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応についてはこちら⇒ 会計制度委員会研究資料「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について

2022年9月26日


経営研究調査会研究資料第9号「上場会社等における会計不正の動向(2022年版)」の公表

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2022年6月27日付けで経営研究調査会研究資料第9号「上場会社等における会計不正の動向(2022年版)」を公表した。

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時にお知らせするため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものである。

2018年6月26日付けの同5号「上場会社等における会計不正の動向」から公表をはじめ、今回は、2021年7月29日付けで公表した同8号「上場会社等における会計不正の動向(2021年版)」に続く更新版となる。

★リンクはこちら⇒ 経営研究調査会研究資料第9号「上場会社等における会計不正の動向(2022年版)」の公表

2022年9月20日


「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の一部改訂について

2022年2月10日付けで「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」報告書」が改訂されたことを受けて、文部科学省及び日本公認会計士協会の二者で検討を行い、「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(以下「Q&A」という。)を改訂した。

改訂後のQ&Aの適用時期は以下のとおりである。

  • 「会計上の見積りの開示」に関する内容、「引当特定資産の会計処理のうち国立大学法人等債引当特定資産」に関する内容及び「附属明細書の引当特定資産の明細」に関する内容については2021(令和3事業)年度から適用される。
  • 「収益認識基準の導入」に関する内容については2023(令和5事業)年度から適用される。
  • その他の改訂に関する内容については、2022(令和4事業)年度から適用される。

本Q&Aの改訂に当たっては、2022年3月30日から5月2日までの間、草案を公開し、意見募集を行った。

草案に寄せられたコメントの概要とその対応も併せて公表した。

★「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」はこちら⇒ 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の一部改訂について

★「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の一部改訂について(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について はこちら⇒ 「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の一部改訂について(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について

2022年8月22日


非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2022年3月17日に開催された常務理事会の承認を受け、同日付けで「非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について」を公表した。

本改正は、会員各位の業務の参考とするため、医療法人監査の導入後の実務を踏まえて、新たなQ&Aを追加する等の見直しを行ったものである。

★リンクはこちら⇒ 非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について

2022年7月25日


公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」

日本公認会計士協会(公会計委員会)は、2022年2月17日に開催された常務理事会の承認を受けて、公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」を公表した。

国際公会計基準(International Public Sector Accounting Standards:IPSAS)は、基準書の内容が充実するとともに採用国(地方政府・国際機関等も含む)が増加しており、国際的な政府会計基準としての地位を確立しつつある。

公会計委員会では、今般「国の財務書類」の概要や国際的な政府会計の動向をご紹介するとともに、「国の財務書類」とIPSASの主な相違点を整理し、「国の財務書類」の改善に向けた提言を行うべく、研究報告「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」を取りまとめた。

本研究報告が、公会計分野に携わる会員の理解の一助となるとともに、今後の国の財務報告の更なる発展の一助となれば幸いである。

★公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」はこちら⇒ 公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」

★公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」(要約)はこちら⇒会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」(要約)

2022年7月12日


Q&A収益認識の開示に関する基本論点

日本公認会計士協会は、「Q&A収益認識の開示に関する基本論点」を作成した。

日本公認会計士協会は、「収益認識に関する会計基準」の開示(表示及び注記事項)に関する理解を深めていただくことを目的として、基礎的な論点を図表等を用いて解説する資料を取りまとめた。

詳細はリンクを参照のこと。

★リンクはこちら⇒ Q&A収益認識の開示に関する基本論点

2022年6月13日


改正「中小企業の会計に関する指針」の公表

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、2021年8月3日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。

関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。

この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。

これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献してまいりたいと考えているので、ご協力いただきたい。

<今回の改正における改正点>
今回の改正では、改元に伴い、本文中の和暦に西暦を併記するとともに、各計算書類の例示について元号を平成から令和に変更した。

また、法令等の改正については、会社計算規則の改正に伴い、「個別注記表」等の見直しを行った。

各項目の改正の趣旨については、プレスリリースを参照のこと。

<お問い合わせ先>
日本公認会計士協会
https://www.jicpa.or.jp/
(伊藤:03-3515-1160)

日本税理士会連合会
https://www.nichizeiren.or.jp/
(河野:03-5435-0931)

日本商工会議所
https://www.jcci.or.jp/
(鶴岡:03-3283-7844)

企業会計基準委員会
https://www.asb.or.jp/jp/
(伊藤:03-5510-2711)

★リンクはこちら⇒ 中小企業の会計に関する指針(最終改訂2021年8月3日)

2021年12月13日


会計制度委員会研究資料第6号「非財務情報の充実と情報の結合性に関する 実務を踏まえた考察」の公表について

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、2021年4月15日に開催された常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会研究資料第6号「非財務情報の充実と情報の結合性に関する実務を踏まえた考察」を公表した。

近年、非財務情報を含む企業報告の質を高める動きが急速に加速しており、各国政府及び様々な民間機関・団体による非財務情報の開示の充実に向けた取組が進められている。

我が国においても、制度開示・自主開示について、特に非財務情報の開示の充実に向けた取組が進展している。

それに伴い、企業による価値創造の全体像について報告する流れが顕著になっており、非財務情報と財務情報又は非財務情報相互間における開示内容が有機的に結合し、経営者の認識に基づいた一貫した企業報告に対する投資家の期待も高まってきている。

こうした背景を踏まえ、本研究資料では、今後の企業報告の更なる質の向上に向けた課題の中から、開示される情報間の「結合性」に焦点を当て、結合性が求められる要因と求められる結合性の側面を整理することとした。

あわせて、実際の開示例の分析を通じて、結合性を高める手法や工夫が見られる点についての考察も行っている。

本研究資料が、当協会の会員のみならず、広く企業経営者や情報開示に携わる実務家、さらに、投資家にとって建設的な対話を深化させる一助となり、ひいては、持続的な経済社会の発展に役立つものになれば幸いである。

★リンクはこちら⇒ 会計制度委員会研究資料第6号「非財務情報の充実と情報の結合性に関する 実務を踏まえた考察」の公表について

2021年6月23日


「Q&A収益認識の基本論点(追補版)」の公表について

「Q&A収益認識の基本論点(追補版)」が作成された。

日本公認会計士協会は、「収益認識に関する会計基準」の円滑な導入を支援することを目的に、2020年7月から10月にかけて「Q&A収益認識の基本論点」を公表したが、その続編として、主に「Q&A収益認識の基本論点」で取り上げた基本的な論点をもとに、業種別の切り口でポイントを絞って解説した資料を作成した。

★収益基準の適用(製造業)はこちら⇒ 収益基準の適用(製造業)

★収益基準の適用(建設業、不動産業)はこちら⇒ 収益基準の適用(建設業、不動産業)

★収益基準の適用(情報サービス・ソフトウェア業)はこちら⇒ 収益基準の適用(情報サービス・ソフトウェア業)

★収益基準の適用(小売業、コンシューマ―向けサービス業、消費財製造業)はこちら⇒ 収益基準の適用(小売業、コンシューマ―向けサービス業、消費財製造業)

★収益基準の適用(卸売業)はこちら⇒ 収益基準の適用(卸売業)

2021年6月7日


非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2021年3月25日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正を公表した。

本研究報告で示すチェックリストは、社会福祉法人会計基準の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第157号)及び関連する通知等の改正を踏まえたチェック項目の追加のほか、実務として使いやすいよう所要の見直しを行っているが、本省令は令和3年4月1日施行となるので留意すること。

★リンクはこちら⇒ 非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

2021年6月2日


「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」 に関する実務指針」の一部改訂について

文部科学省及び日本公認会計士協会は、国立大学法人会計基準の実務上の留意点を定める「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(以下「実務指針」という。)を改訂した。

2019年5月に国立大学法人法が改正され、一国立大学法人の下に複数大学を設置することが可能になった。

これに伴い、国立大学法人等の財務状況をより適切に開示する観点から、実務指針の見直しを行ったものである。

今般改訂された実務指針は、令和2事業年度から適用される。

本実務指針の改訂を行うに当たっては、2020年9月18日から10月19日までの間、草案を公開し、広く意見を求めたが、特にご意見は寄せられなかった。

最後に、今後も国立大学法人の会計の理論及び実務の進展とともに、実務指針を充実・改善していく予定である。

★「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針(令和2年12月24日最終改訂)の目次はこちら⇒ 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針(令和2年12月24日最終改訂)の目次

★「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針(令和2年12月24日最終改訂)の本文はこちら⇒ 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針(令和2年12月24日最終改訂)の本文

2021年3月30日


中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(中小事務所等施策調査会)は、2020年10月8日に開催された常務理事会の承認を受けて、「中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について」を公表した。

本研究報告は、日本公認会計士協会東京会「監査表示チェックリストプロジェクトチーム」に審議を委託し、その協力を得て、中小規模の監査事務所が、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく財務計算に関する書類の中間監査において、半期報告書に関する表示の確認を実施する際の参考に資するため、チェックリストの形式で取りまとめたものである。

また、法令等の改正箇所については網掛けして明示している。

なお、本研究報告は、その一例を示したものであるため、被監査会社の半期報告書の表示を確認する際には、それぞれの実情に即して、加除修正等の検討を行う必要があること、また、2020年9月30日時点で施行されている法令や会計基準等に基づいて作成しているため、法令や会計基準等の改正が実施された場合には、その改正事項を考慮した上で使用する必要がある。

2021年1月6日


「Q&A 収益認識の基本論点(第6回)」の公表について

「Q&A 収益認識の基本論点」第6回を作成した。

これまでに公表した論点1~13に続き、今回公表する論点は下表の論点14~16となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更
論点7
変動対価
論点8
顧客に支払われる対価
論点9 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
論点10 顧客により行使されない権利(非行使部分)
論点11 返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払
論点12 本人と代理人の区分
論点13 製品保証
論点14 知的財産のライセンス
論点15 返品権付きの販売
論点16 有償支給取引

★論点14はこちら ⇒ 知的財産のライセンス

★論点15はこちら ⇒ 返品権付きの販売

論点16はこちら ⇒有償支給取引

2020年12月3日


「Q&A 収益認識の基本論点(第5回)」の公表について

「Q&A 収益認識の基本論点」第5回を作成した。

これまでに公表した論点1~11に続き、今回公表する論点は下表の論点12、13となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更
論点7
変動対価
論点8
顧客に支払われる対価
論点9 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
論点10 顧客により行使されない権利(非行使部分)
論点11 返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払
論点12 本人と代理人の区分
論点13 製品保証

<公表を予定している論点>

  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点12はこちら ⇒ 本人と代理人の区分

★論点13はこちら ⇒ 製品保証

2020年12月3日


「Q&A 収益認識の基本論点(第4回)」の公表について

「Q&A 収益認識の基本論点」第4回を作成した。

これまでに公表した論点1~8に続き、今回公表する論点は下表の論点9~11となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更
論点7
変動対価
論点8
顧客に支払われる対価
論点9 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
論点10 顧客により行使されない権利(非行使部分)
論点11 返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払

<公表を予定している論点>

  • 本人と代理人の区分
  • 製品保証
  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点9はこちら ⇒ 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与

★論点10はこちら ⇒ 顧客により行使されない権利(非行使部分)

★論点11はこちら ⇒ 顧客により行使されない権利(非行使部分)

2020年11月30日


「Q&A 収益認識の基本論点(第3回)」の公表について

日本公認会計士協会は、「Q&A 収益認識の基本論点」第3回を作成した。

これまでに公表した論点1~6に続き、今回公表する論点は下表の論点7及び8となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更
論点7
変動対価
論点8
顧客に支払われる対価

<公表を予定している論点>

  • 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
  • 顧客により行使されない権利
  • 返金が不要な顧客からの支払
  • 本人と代理人の区分
  • 製品保証
  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点7はこちら ⇒ 変動対価

★論点8はこちら ⇒ 顧客に支払われる対価

2020年11月27日


「Q&A 収益認識の基本論点(第2回)」の公表について

日本公認会計士協会は、「Q&A 収益認識の基本論点」第2回を作成した。

2020年7月31日に公表した第1回の論点1~3に続き、今回公表する論点は下表の論点4~6となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分
論点3 契約の結合
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更

<公表を予定している論点>

  • 変動対価
  • 顧客に支払われる対価
  • 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
  • 顧客により行使されない権利
  • 返金が不要な顧客からの支払
  • 本人と代理人の区分
  • 製品保証
  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点4はこちら ⇒ 一定の期間にわたり充足される履行義務

★論点5はこちら ⇒ 一時点で充足される履行義務

★論点6はこちら ⇒ 契約の変更

2020年11月26日


「Q&A 収益認識の基本論点(第1回)」の公表について

日本公認会計士協会は、「Q&A 収益認識の基本論点」第1回を作成した。

2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から、「収益認識に関する会計基準」が適用となる。

日本公認会計士協会は、「収益認識に関する会計基準」の円滑な導入を支援することを目的に、基礎的な論点を図表や設例を用いて解説する資料を取りまとめた。

今回公表する論点は下表の論点1~3であり、順次論点を公表する予定である。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 

<公表を予定している論点>

  • 一定の期間にわたり充足される履行義務
  • 一時点で充足される履行義務
  • 契約の変更
  • 変動対価
  • 顧客に支払われる対価
  • 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
  • 顧客により行使されない権利
  • 返金が不要な顧客からの支払
  • 本人と代理人の区分
  • 製品保証
  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点1はこちら ⇒ 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断

★論点2はこちら ⇒ 独立販売価格に基づく取引価格の配分

★論点3はこちら ⇒ 契約の結合

2020年11月25日


非営利法人委員会研究報告第21号「公益法人の継続事業の前提について」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2020年7月15日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第21号「公益法人の継続事業の前提について」を改正した。

本改正は、2020年5月15日の「公益法人会計基準」改正において、「継続事業の前提」の呼称が「継続組織の前提」に変更されたことを受け、「非営利法人委員会研究報告第21号「公益法人の継続事業の前提について」」を適合修正するものである。

★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第21号「公益法人の継続事業の前提について」の改正について

2020年11月16日


「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の一部改訂について

2020年3月25日に「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」が見直されたことを受けて、総務省行政管理局、財務省主計局及び日本公認会計士協会の三者で検討を行い、「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」を改訂した。

このQ&Aの改訂は、独立行政法人会計基準において、連結財務諸表の作成の目的及び連結の範囲等などの改訂がなされたことに伴い、所要の見直しを行ったものである。

改訂後のQ&Aは、令和2事業年度から適用される。

本Q&Aの改訂に当たっては、2020年6月5日から6月25日までの間、総務省が草案を公開し、意見募集を行ったが、草案の修正を要するコメントは寄せられなかった。

★リンクはこちら ⇒ 「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の一部改訂について

2020年8月26日


経営研究調査会研究資料第7号「上場会社等における会計不正の動向(2020年版)」の公表について

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2020年7月15日付けで経営研究調査会研究資料第7号「上場会社等における会計不正の動向(2020年版)」を公表した。

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時にお知らせするため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものである。

2018年6月26日付けの同5号「上場会社等における会計不正の動向」から公表をはじめ、今回は、2019年6月13日付けで公表した同6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」に続く更新版となる。

★リンクはこちら ⇒ 経営研究調査会研究資料第7号「上場会社等における会計不正の動向(2020年版)」の公表について

2020年8月12日


IFRS年次財務諸表ガイド – 開示チェックリスト(2019年9月版)

あずさ監査法人は、『IFRS年次財務諸表ガイド – 開示チェックリスト(2019年9月版)』を公表した。

本冊子は、国際財務報告基準(IFRS)に準拠した財務諸表を作成する際に最低限必要となる開示項目を特定することにより、初度適用企業を含む財務諸表作成者に役立つよう作成されている。

本冊子は、2019年1月1日に開始する会計年度に適用される2019年8月31日時点で公表されている規定に基づいて作成されている。

2019年1月1日以降開始する事業年度からIFRS第16号「リース」の適用が開始されることによる、財務諸表における開示への影響についても記載されている。

<PDFの内容>
1.本冊子について
2.参照及び略語
3.チェックリスト
4.Appendix
5.KPMGによるその他の刊行物

★リンクはこちら ⇒ IFRS年次財務諸表ガイド – 開示チェックリスト(2019年9月版)

2020年3月3日


内閣府子ども・子育て本部からの「幼児教育・保育の無償化に関する 自治体向けFAQ」の公表について

2019年10月1日から開始された幼児教育・保育の無償化に関し、会計処理を含む事務手続の方向性を定めたFAQが内閣府の子ども・子育て本部から公表された。

○内閣府「幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html

FAQに関する資料データは上記ページの「FAQ・実務フロー」の項目に掲載されている。
会計処理に関する事項は、【17.会計処理】(61頁)に記載されている。

★リンクはこちら ⇒ 幼児教育・保育の無償化に関する 自治体向けFAQ(2019年10月18日版)

2020年1月28日


非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~ 財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表について

日本公認会計士協会(非営利組織会計検討会)は、2019年7月18日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」を公表した。

当協会は、2013年7月2日付けで非営利法人委員会研究報告第25号「非営利組織の会計枠組み構築に向けて」を公表し、民間の非営利組織に共通の会計枠組みを構築する必要性と、そのための重要なステップとして、モデル会計基準の開発を提唱した。

その後、非営利組織会計の重要な論点について掘り下げた議論が必要であるとの認識の下、非営利組織会計検討会を設置し、非営利組織における財務報告の基礎概念及び重要な個別論点に関する検討を行い、2015年5月26日付けで「非営利組織の財務報告の在り方に関する論点整理」(以下「論点整理」という。)を公表した。

上述の経緯を受けて、当協会では、モデル会計基準開発に向けて、論点整理で取り上げた個別論点のうち、「反対給付のない収益の認識」、「固定資産の減損」について研究報告をとりまとめるなど検討を進めてきた。

このたび、連結等のいくつかの個別論点は残されているものの、これまでの検討結果を基礎に、非営利組織会計検討会において、モデル会計基準について検討を行い「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」として取りまとめて公表した。

本報告の検討に当たっては、2019年4月26日から6月3日までの間、公開草案を公開し、広く意見を求めた。公開草案とした際に寄せられた主なコメントの概要及び対応については、「公開草案に対するコメントの概要及び対応」に記載している。

今後、各法人形態の会計基準設定主体が、制度に基づく会計基準を改訂する際に、モデル会計基準を参照することにより、法人形態間の財務報告の相互整合性が高まり、非営利組織に対する資源提供者、債権者、より広範なステークホルダーによる財務情報の利用が広がっていくことを期待している。

当協会は、今後も多くの関係者との協力及び連携を深めながら、引き続きモデル会計基準及び個別論点の検討を進めて、非営利組織の財務報告の発展に貢献していく所存である。

 ★非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~ はこちら ⇒ 非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~

★附属資料1 非営利組織における財務報告の基礎概念はこちら ⇒ 附属資料1 非営利組織における財務報告の基礎概念

★附属資料2 非営利組織モデル会計基準はこちら ⇒ 附属資料2 非営利組織モデル会計基準

★非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応についてはこちら ⇒ 非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応

2019年11月11日


会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」、金融商品会計に関するQ&A及び同4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正について

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、2019年6月13日に開催された常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品会計実務指針」という。)、金融商品会計に関するQ&A(以下「金融商品会計Q&A」という。)及び同4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(以下「外貨建取引等実務指針」という。)を2019年7月4日付けで公表した。

1.改正の背景
企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)において、主に金融商品の時価の算定に関するガイダンス及び開示に関して、国際的な会計基準との整合性を図るための検討が行われ、その結果、ASBJから当協会に対し、関連する会計制度委員会報告等として、外貨建取引等実務指針、金融商品会計実務指針及び金融商品会計Q&Aの改正の検討の依頼があった。

本改正は、当協会による検討の結果、金融商品会計実務指針等の改正を行うものである。

2.改正内容
金融商品会計実務指針等の主な改正内容は、以下のとおり。
(1)時価の算定に関する取扱い
金融商品の時価の算定に関する取扱いについては、ASBJが公表した時価算定会計基準で定めることとされたため、金融商品会計実務指針等における定めは削除することとした。
(2)その他有価証券の決算時の時価としての期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額の取扱い
時価の定義の変更に伴い、金融商品会計基準におけるその他有価証券の期末の貸借対照表価額に期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができる定めについては、その平均価額が改正された時価の定義を満たさないことから削除されている。
これに併せ、金融商品会計実務指針においても、同様の規定を削除することとした。
ただし、その他有価証券の減損を行うか否かの判断については、期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができる実務上の取扱いを継続している。
なお、この場合であっても、減損損失の算定には期末日の時価を用いることとしている。
また、上記の取扱いに併せ、外貨建取引等実務指針において時価として期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いる場合の換算についての取扱いも削除することとした。
(3)時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券等の取扱い
時価算定会計基準において、時価を把握することが極めて困難な場合は想定されないため、当該取扱いを削除することとした。
ただし、改正金融商品会計基準にて、市場価格のない株式等に関しては、たとえ何らかの方式により価額の算定が可能としても、それを時価とはしないとする従来の考え方を踏襲することとされている。

3.適用について
改正金融商品会計基準を適用する連結会計年度及び事業年度から適用することとしている。
本改正の取りまとめに当たっては、2019年1月18日に公開草案を公表し、同年4月5日まで広くコメントを募集した。公開草案に寄せられたコメントの書面及びコメントに対する当協会の対応を併せて公表した。
なお、コメントの書面の公表については、予めコメント提出者の承諾を得ている。

【参考】
ASBJより企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」等別ウィンドウで開くが公表されているので、リンク先のASBJのウェブサイトを参照のこと。

 ★金融商品会計に関する実務指針はこちら ⇒ 金融商品会計に関する実務指針

★金融商品会計に関するQ&Aはこちら  ⇒  金融商品会計に関するQ&A

★外貨建取引等の会計処理に関する実務指針はこちら  ⇒  外貨建取引等の会計処理に関する実務指針

★「会計制度委員会報告第 14 号「金融商品会計に関する実務指針」、金融商品会計に関するQ&A及び同4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正について(公開草案)」に対するコメントの概要とその対応はこちら   ⇒ 「会計制度委員会報告第 14 号「金融商品会計に関する実務指針」、金融商品会計に関するQ&A及び同4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正について(公開草案)」に対するコメントの概要とその対応

2019年9月11日


経営研究調査会研究資料第6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」の公表について

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2019年6月13日付けで経営研究調査会研究資料第6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」を公表した。

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時にお知らせするため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものであり、2018年6月26日付けで公表した経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」の更新版となる。

経営研究調査会では、このほか、企業等で発生した不正の内容や手口、実施された不正調査手法も研究しており、これまでにも研究報告を作成し、公表している。

 ★リンクはこちら ⇒ 経営研究調査会研究資料第6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」の公表について

2019年8月20日


非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年4月18日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」(改正2019年4月18日)を公表した。

本研究報告で示すチェックリストは、今般の社会福祉法人会計基準の改正、関係する厚生労働省通知の改廃が行われたことに伴い、所要の見直しを行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

2019年6月5日


建設業における「収益認識に関する会計基準」の研究報告

一般社団法人日本建設業連合会は、『建設業における「収益認識に関する会計基準」の研究報告』を公表した。

建設業の収益認識、つまり売上高に関する会計処理は、現在「工事契約に関する会計基準」に則って、工事進行基準等の会計処理を実施しているが、先般2018年3月に「収益認識に関する会計基準」が公表され、2021年度からは建設業各社はこの新基準に移行する必要がある。

本研究報告は、建設業界として一定程度は同じ方向の会計処理ができるように、新基準の具体的な建設業への当てはめ、各社での留意点等といった観点から、研究資料として取りまとめたものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 建設業における「収益認識に関する会計基準」の研究報告

2019年5月27日


非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」 の改正

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年3月19日に開催された常務理事会の承認を受けて、「公益法人会計基準に関する実務指針」の改正について」を公表した。

本改正は、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(企業会計基準第28号)」において、繰延税金資産の取扱いが改正されたこと及び内閣府公益認定等委員会「29年度報告」により、外貨建有価証券の会計処理に係る実務上の指針の明確化が必要となったことを受け、非営利法人委員会における検討を重ねてきた。

本改正は、2018年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用される。

また、本実務指針の見直し及び検討に当たっては、2019年1月18日から2月18日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」 の改正

2019年5月16日


非営利法人委員会研究報告第38号「医療法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年4月18日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第38号「医療法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」(改正2019年4月18日)を公表した。

本研究報告で示すチェックリストは、医療法人会計基準の改正、関係する厚生労働省通知の改廃が行われたことに伴い、所要の見直しを行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第38号「医療法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

2019年5月14日


非営利法人委員会研究報告第40号「農業協同組合等の会計に関する研究報告」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年3月19日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第40号「農業協同組合等の会計に関する研究報告」を公表した。

本研究報告は、第189回国会における「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律」の成立により、農業協同組合等が作成する計算書類及びその附属明細書(以下、「計算書類等」という。)について、全国農業協同組合中央会による監査から、会計監査人による監査へ移行することとなったことを受け、組合の会計と企業会計等との異同・特徴を中心に円滑な移行に向けた検討を行い、会員が組合に対する適切な監査業務を実施できるよう、会計に関する論点をより明確に周知することを目的として、Q&A方式で整理したものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第40号「農業協同組合等の会計に関する研究報告」の公表

2019年4月25日


非営利法人委員会研究資料第1号「農協の決算開示書類実態分析Q&A」及び同第2号「農業協同組合の会計に関するQ&A」の廃止

第189回国会における「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律」の成立により推進されている農協改革に伴い、関係法令の改廃が活発に行われている。

そのため、次の研究資料については役割が終了したと判断されることから、2019年3月19日付けで廃止した。

  • 非営利法人委員会研究資料第1号「農業の決算開示書類実態分析Q&A」(2003年1月16日付け公表)
  • 非営利法人委員会研究資料第2号「農業協同組合の会計に関するQ&A」(2007年2月28日付け公表)

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究資料第1号「農協の決算開示書類実態分析Q&A」及び同第2号「農業協同組合の会計に関するQ&A」の廃止

2019年4月17日


「非営利法人委員会研究資料第5号「社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2018年12月11日に開催された常務理事会の承認を受けて、「非営利法人委員会研究資料第5号「社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について」を公表した。

本研究資料は、平成23年7月27日に「社会福祉法人会計基準」(「社会福祉法人会計基準の制定について」(平成23年7月27日雇児発0727第1号、社援発0727第1号、老発0727第1号 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知))が厚生労働省より公表されたことを受け、本会計基準を適用する場合の実務上の留意事項についてQ&Aとして公表したが、その後、一定規模の社会福祉法人に対して公認会計士又は監査法人による会計監査が義務付けられるなどの法改正を受けて、社会福祉法人が準拠すべき会計基準等も改正されたことから、改正後の社会福祉法人会計基準にも対応しつつ、引き続き会員各位の業務の参考とするため、再度検討を行い、新たなQ&Aを追加する等所要の見直しを行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」(2019年3月27日改正)

2019年4月12日


「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の 一部改訂及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

独立行政法人評価制度委員会会計基準等部会及び財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会(以下「会計基準等部会等」という。)から「独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針(平成29年9月1日)」が公表されたことを踏まえ、2018年(平成30年)9月3日付けで、会計基準等部会等から「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン」の設定及び「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」」(以下「独立行政法人会計基準」という。)の改訂が公表された。

これを受けて、総務省行政管理局、財務省主計局及び日本公認会計士協会の三者で検討を行い、独立行政法人会計基準の実務上の留意点を定める「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」を改訂した。

今般の本Q&Aの改訂は、独立行政法人会計基準において、行政コスト計算書及び純資産変動計算書の創設、行政サービス実施コスト計算書の廃止、特定の承継資産に係る費用相当額の会計処理の新設、運営費交付金等による財源措置が明らかにされている賞与又は退職一時金等に係る引当金及び引当金見返の計上などの改訂がなされたことに伴い、実務上の取扱いなどについて所要の見直しを行ったものである。

改訂後のQ&Aは、平成31事業年度から適用される。

本Q&Aの改訂に当たっては、2019年1月25日から2月26日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も併せて公表した。

最後に、今後も独立行政法人の会計の理論及び実務の進展とともに、Q&Aを充実・改善していく予定である。

 ★「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A(2019年3月最終改訂)はこちら ⇒ 「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A(2019年3月最終改訂)

★「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の一部改訂(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について はこちら ⇒ 「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の一部改訂(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について 

2019年4月10日


非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年3月19日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」を公表した。

本研究資料は、「医療法人会計基準」(平成28年4月20日 厚生労働省令第95号)が厚生労働省より公表されたことを受け、本会計基準の適用に当たり新たに導入された会計手法等についての実務上の留意事項についてQ&Aとしてまとめたものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の公表

2019年4月2日


改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2019年3月)

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、2月27日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。

関係4団体は、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。
この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。
これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献したいと考えている。

<今回の改正における改正点>
今回の改正では、「税効果会計」について、平成30年2月16日に企業会計基準委員会から企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」及び企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」が公表されたことに伴い、繰延税金資産と繰延税金負債の貸借対照表上の表示について見直しを行った。

また、その他、軽微な修正を行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2019年3月)

2019年3月20日


「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」 に関する実務指針」の一部改訂について

国立大学法人等の会計に関する認識、測定、表示及び開示について定める「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」(以下「国立大学法人会計基準」という。)が、2018年6月11日に改訂されたことを受け、文部科学省及び日本公認会計士協会は、国立大学法人会計基準の実務上の留意点を定める「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(以下「実務指針」という。)を改訂した。

2017年4月の国立大学法人法の一部改正の施行により、国立大学法人等の財務基盤の強化を図ることを目的に、国立大学法人等の資産の有効活用を図るための規制緩和がなされている。
また、国立大学法人等が財源の多元化を図っていく中で、従来想定されていなかった国や地方公共団体以外の団体からの補助金等が増加している。
こうした背景を踏まえ、国立大学法人等の財務状況をより適切に開示する観点から、実務指針の見直しを行ったものである。

なお、改訂後の実務指針については、平成30事業年度から適用される。

検討に当たっては、2018年11月16日から12月17日までの期間にわたり公開草案を公開し、広く意見を求めた。
公開草案に寄せられた主なコメントの概要とそれらに対する対応は、『「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について』に記載しているので参照のこと。

最後に、今後も国立大学法人の会計の理論及び実務の進展とともに、実務指針を充実・改善していく予定とのこと。

 ★「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」 に関する実務指針」はこちら ⇒ 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」 に関する実務指針」

★「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(公開草
案)に対するコメントの概要及び対応についてはこちら
 ⇒
 「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について

2019年3月5日


事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組の支援について

「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」(平成29年12月28日内閣官房、金融庁、法務省、経済産業省策定)にて、制度上は、会社法と金融商品取引法の両方の要請を満たす一つの書類を作成して、株主総会前に開示することは可能となっていることが示され、関係省庁は、会社法に基づく事業報告及び計算書類(以下「事業報告等」)と金融商品取引法に基づく有価証券報告書の一体的開示を行おうとする企業の試行的取組を支援するための方策を、当該企業及び投資家とともに、検討してきたところである。

検討の中で、当該企業の試行的取組に基づき、別添の記載例が作成された()。

当該記載例は、今後、一体的開示を行おうとする企業が参考にできるものとして有益であると考えられるため、当該記載例を紹介している。

()当該企業が、既に開示した自社の事業報告等と有価証券報告書に基づいて、事業報告等と有価証券報告書の記載内容の共通事項、有価証券報告書においてのみ記載している事項、事業報告等においてのみ記載している事項の整理を行った上で試行的に作成した一体的開示書類をもとに、関係省庁において、汎用的になるよう当該企業の個別情報を除いたもの。

 ★リンクはこちら ⇒ 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組の支援について

2019年2月12日


国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」(国際公会計基準書ハンドブック2017年版)の翻訳完了について

日本公認会計士協会公会計委員会は、国際会計士連盟(IFAC)の国際公会計基準審議会(International Public Sector Accounting Standards Board – IPSASB)から公表されている「国際公会計基準(International Public Sector Accounting Standards – IPSAS)第1号「財務諸表の表示」」の翻訳作業を完了した。

  • 「国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」」 (「IPSAS 1, Presentation of Financial Statement」)

本翻訳は、2018年2月に発行された「国際公会計基準書ハンドブック2017年版(2017 Handbook of International Public Sector Accounting Pronouncements)」に収録されている時点のものを翻訳対象としている。

 ★リンクはこちら ⇒ 国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」(国際公会計基準書ハンドブック2017年版)の翻訳完了について

2019年1月31日


Applying IFRS 仮想資産の保有者の会計処理

EY新日本有限責任監査法人は、『Applying IFRS 仮想資産の保有者の会計処理』を発行した。

仮想通貨、仮想コインおよび仮想トークンが、様々な仮想通貨取引所で取引または上場されている。

本稿では、仮想資産の一般保有者向けのIFRS上の会計処理に関するガイダンスを提供している。

 ★リンクはこちら ⇒ Applying IFRS 仮想資産の保有者の会計処理

2018年12月4日


監査提言集2018(一般用)の公表

日本公認会計士協会は、監査提言集の一部を一般に公表しているが、このたび2018年版を公表した。

会員向けには全文を公表しているが、一般向けは、一部だけにする必要はあるのだろうか?

 ★リンクはこちら ⇒ 監査提言集2018(一般用)の公表

2018年7月13日


経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」の公表について

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2018年6月26日付けで経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」を公表した。

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時にお知らせするため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものである。

経営研究調査会では、このほか、企業等で発生した不正の内容や手口、実施された不正調査手法も研究しており、これまでにも研究報告を作成し、公表している。

 ★リンクはこちら ⇒ 経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」の公表について

2018年7月4日


企業会計基準第28号 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等の公表

我が国における税効果会計に関する会計基準として、平成10年10月に企業会計審議会から「税効果会計に係る会計基準」が公表され、当該会計基準を受けて、日本公認会計士協会から実務指針が公表されている。

これらの会計基準及び実務指針に基づきこれまで財務諸表の作成実務が行われてきたが、企業会計基準委員会は、基準諮問会議の提言を受けて、日本公認会計士協会における税効果会計に関する実務指針(会計に関する部分)について、当委員会に移管すべく審議を行ってきた。

このうち、繰延税金資産の回収可能性に関する定め以外の税効果会計に関する定めについて、基本的にその内容を踏襲した上で、必要と考えられる見直しを行うこととし、主として開示に関する審議を重ねてきた。

今般、平成30年2月9日開催の第378回企業会計基準委員会において、以下の企業会計基準及び企業会計基準適用指針(以下合わせて「本会計基準等」という。)の公表を承認し、公表された。

  • 企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」
  • 企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」
  • 改正企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」
  • 企業会計基準適用指針第29号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針」

なお、本会計基準等については、平成29年6月6日に公開草案を公表し、広くコメント募集を行った後、当委員会に寄せられたコメントを検討し、公開草案の修正を行った上で公表するに至ったものである。

企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」はこちら ⇒ 企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」

★企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」はこちら ⇒ 企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」

★改正企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」はこちら ⇒改正企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」

企業会計基準適用指針第29号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針」はこちら ⇒企業会計基準適用指針第29号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針」

2018年4月12日


改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2018年3月)

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、3月12日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。
関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。
この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。
これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献したいと考えているようである。

<今回の改正における改正点>
今回の改正では、「税金費用・税金債務」について、平成29年3月16日に企業会計基準委員会から企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」が公表されたことに伴い、【関連項目】として記載している会計基準等の改正を行った。
なお、本文の内容については、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」が従前の監査・保証実務委員会実務指針第63号の内容を基本的に踏襲した上で表現の見直しや考え方の整理等を行ったものであることから、変更を行っていない。

各項目の改正の趣旨については、プレスリリースを参照のこと。

Press Releaseはこちら ⇒ Press Release

★中小企業の会計に関する指針(平成30年3月12日改正)はこちら ⇒ 中小企業の会計に関する指針(平成30年3月12日改正)

★改正「中小企業の会計に関する指針」と旧指針との対照表はこちら  改正「中小企業の会計に関する指針」と旧指針との対照表

2018年3月28日


【弥生会計(やよいの青色申告)】Windows Update後にExcelへの書き出しを行うと「ADOエラー」が発生するお客さまへ Edit

2017年10月11日以降、「弥生会計(やよいの青色申告)」をお使いのお客さまより、Windows Update後にExcelへの書き出しを行うと「ADOエラー データオープンに失敗しました」のエラーが表示されるとの問い合わせが多いようである。
こちらは、Windows Updateで配布されたプログラムの不具合であることを確認している。
現象を解消するには、今後日本マイクロソフト株式会社から配布される修正プログラムを待つこと。

なお、お急ぎの場合は、該当のプログラムをアンインストールすることで回避できることを確認している。
ただし、日本マイクロソフト株式会社のプログラムのため、その他アプリケーションへの影響について、弥生株式会社では確認できない。
必ずお客さまご自身でご判断の上、アンインストールを行うこと。
アンインストールはコントロールパネルの[プログラムと機能]から[インストールされた更新プログラムを表示]をクリックし、「KB*******」を削除すること。
なお、該当するプログラムは、利用しているOSによって異なるので以下を確認のこと。

<該当するプログラム>

OS 該当するプログラム 
Windows 7 KB4041681
Windows 8.1 KB4041693
Windows 10 KB4041691 または KB4041676
(インストールされている方をアンインストールする)

 ★リンクはこちら ⇒ 【弥生会計(やよいの青色申告)】Windows Update後にExcelへの書き出しを行うと「ADOエラー」が発生するお客さまへ

2017年10月17日

動画コンテンツ「もっと教えて!XBRL」の公表

日本公認会計士協会は、このたび動画コンテンツ「もっと教えて!XBRL」を公表した。

この動画は、XBRLに関する基本的な内容をまとめた「ちょっと教えて!XBRL」(2010年制作)の続編として、インラインXBRLをはじめとしたXBRLの進化、開示制度におけるXBRLの適用範囲の拡大について解説している。
XBRLは、財務諸表を記述するコンピュータ言語として、金融庁のEDINETや東京証券取引所のTDnet等で採用されている。
今後、ますます利用価値が高まるXBRLについて、理解の一助となれば幸いである。

 ★リンクはこちら ⇒ もっと教えて!XBRL

2017年6月12日

労働組合会計基準

労働組合会計に関するものとして、昭和60年に『労働組合会計基準』が制定されている。

公表されてから30年以上経過しているが、既に多くの労働組合において採用されており、『一般に公正妥当と認められる労働組合会計の基準』として定着している。

2017年5月23日

債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い

企業会計基準委員会は、国債等の利回りでマイナスが見受けられる状況に関連して、平成28年3月に開催された第331回企業会計基準委員会において、退職給付債務の計算における割引率に関して議論を行い、当該議論の内容を周知するため、同月に議事概要を公表した。
また、平成28年7月に開催された第340回企業会計基準委員会において、基準諮問会議より、マイナス金利に係る種々の会計上の論点への対応について、必要に応じて適時に対応を図ることの依頼を受けた。
これらを踏まえ、当委員会では、必要と考えられる当面の取扱いを明らかにすることを目的として審議を行ってきた。

今般、平成29年3月28日開催の第357回企業会計基準委員会において、標記の「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)の公表が承認されたので、公表した。
本実務対応報告は、平成29年1月27日に公開草案を公表し、広くコメント募集を行った後、当委員会に寄せられたコメントを検討し、公開草案の修正を行った上で公表するに至ったものである。

<本実務対応報告の概要>
以下の概要は、本実務対応報告の内容を要約したものである。
●会計処理(本実務対応報告第2項)
退職給付債務等の計算において、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りが期末においてマイナスとなる場合、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法による。

●適用時期(本実務対応報告第3項)
本実務対応報告は、平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月30日に終了する事業年度まで適用する。
なお、平成30年3月31日以後に終了する事業年度の取扱いに関しては、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法によることを定めたガイダンスの公表に向けて、今後、速やかに検討を開始する予定である。

 ★リンクはこちら ⇒ 債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い

2017年4月20日

非営利法人委員会研究報告第23号「公益法人の財務諸表等の様式等に関するチェックリスト(平成20年基準)」の改正

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成29年3月15日に開催された常務理事会の承認を受けて、『非営利法人委員会研究報告第23号「公益法人の財務諸表等の様式等に関するチェックリスト(平成20年基準)」の改正について』を平成29年3月28日付けで公表した。

本研究報告は、公益法人が作成した財務諸表(貸借対照表、正味財産増減計算書及びキャッシュ・フロー計算書)及び附属明細書並びに財産目録の様式等が「公益法人会計基準」(平成20年4月11日 平成21年10月16日改正、内閣府公益認定等委員会)等に準拠しているか否かを確かめるために使用するものである。

今般、内閣府公益認定等委員会により公表された「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(平成27年3月26日)及び「公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(平成28年3月23日)を踏まえた改正を行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第23号「公益法人の財務諸表等の様式等に関するチェックリスト(平成20年基準)」の改正

2017年3月23日

改正「中小企業の会計に関する指針」の公表(平成29年3月)

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、平成29年3月9日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。

関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。
この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。
これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献していきたいと考えているようである。

<今回の改正における改正点>
今回の改正では、従来の中小会計指針第89項にあった「今後の検討事項」(資産除去債務)への対応として、固定資産の項目に新たに敷金に関する会計処理を明記した(第39項)。
また、税効果会計については、平成27年12月28日に企業会計基準委員会から企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」が公表されたことに伴い、関連項目の見直しを行った。

 ★リンクはこちら ⇒ 「中小企業の会計に関する指針」(平成29年3月9日)

2017年3月23日

IFRSクイックガイド(2016年6月)

昨今、M&Aを積極的に行っている企業を中心に、日本におけるIFRS(国際会計基準)の任意適用が活発化している。

新日本有限責任監査法人が作成した本冊子は、IFRSの任意適用を行うにあたり、日本基準を適用している多くの一般事業会社で重要な影響が生じる可能性が高い項目について、その概要、財務およびビジネスに与える影響、並びに想定される課題をコンパクトに解説している。

 ★リンクはこちら ⇒ IFRSクイックガイド(2016年6月)

2016年7月28日

『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~

経済産業省は、「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」という。)を活用して中小企業の抱える経営課題を可視化するとともに、課題解決に向けた取り組みを後押しするため、「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」を作成した。

<背景・経緯>
中小企業を取り巻く経営環境は、一層厳しさを増している。こうした環境下において、会社の売上や利益、雇用の場を守っていくためには、しっかりとした経営目標を掲げ、社員が一丸となって経営課題に取り組むことが必要である。
今般、経済産業省は、「中小会計要領」の活用によって中小企業の抱える経営課題を可視化するとともに、課題解決に向けた取り組みを後押しするため、「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」を作成した。
本冊子は、「中小企業の会計を活用した経営の促進事業 会計活用事例集作成委員会」(委員長:河﨑照行甲南大学共通教育センター教授)において、取りまとめられたものである。
この冊子を通じて、多くの中小企業が、「中小会計要領」を自社の経営力の強化や資金調達力の強化等のために活用いただくことによって、事業の発展につなげることを期待している。

<「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」の概要>
第1章 「会計」の活用とは?
1 経営の「困った」を解決
2 会計のメリット
3 「会計」は簡単
第2章 「会計」を活用する
自社に必要な会計のレベル
第3章 「会計」の活かし方
Level1 資金繰りを安定させる
Level2 業績を共有する
Level3 部門長に業績責任をもってもらう
Level4・5 先を読み、先手を打つ・中長期戦略を全社で共有する

 ★ リンクはこちら⇒ 『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~

2016年6月29日

オンライン基礎講座 税効果会計

KPMGのホームページに、『オンライン基礎講座 税効果会計』が掲載された。

「税効果会計」の会計処理について、音声解説付きスライドにより分かりやすく解説している(26分21秒)。

 ★リンクはこちら ⇒ オンライン基礎講座 税効果会計

2016年6月6日

会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第11号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」、同第14号「金融商品会計に関する実務指針」、税効果会計に関するQ&A及び土地再評価差額金の会計処理に関するQ&Aの改正

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、平成28年3月16日に開催された常務理事会の承認を受けて、下記の会計制度委員会報告等の改正を平成28年3月25日付けで公表した。

<改正する会計制度委員会報告等>

(1) 会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」
(2) 会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」
(3) 会計制度委員会報告第11号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」
(4) 会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」
(5) 税効果会計に関するQ&A
(6) 土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A

本改正は、企業会計基準委員会から平成27年12月に公表された企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」及び平成28年3月に公表された企業会計基準適用指針第27号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」に対応するため、関連する規定の整理、字句の見直し等を行ったものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第11号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」、同第14号「金融商品会計に関する実務指針」、税効果会計に関するQ&A及び土地再評価差額金の会計処理に関するQ&Aの改正について

2016年4月19日

「業種別委員会実務指針第53 号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」」 及び「業種別委員会研究報告第10 号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正について」並びに「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

日本公認会計士協会(業種別委員会)は、平成28年3月16日に開催された常務理事会の承認を受けて、「業種別委員会実務指針第53号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」」及び「業種別委員会研究報告第10号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正について」を公表した。

本改正は、平成26年2月における監査基準の改訂及び同年4月における監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」及び監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目等に対する監査」が公表されたこと等に対応するため、現在行われている年金基金に対する監査について、特別目的の監査の枠組みに照らし、見直したものである。
平成25年3月29日に公表した業種別委員会研究報告第10号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の記載内容のうち、監査上の留意事項に当たるものを基礎として実務指針を策定し、当該実務指針には含まれない年金基金の制度及び業務に関する事項については、監査実施上、年金基金及び基金環境の理解に資するものであるため、その記載内容を見直し研究報告を改正している。

本改正の取りまとめに当たっては、平成27年12月25日から平成28年1月25日までの間、草案を公開し、広く意見を求め、公開草案に寄せられた主なコメントの概要とそれらに対する対応は「公開草案に対するコメントの概要及びその対応について」に記載している。

なお、本実務指針は、平成28年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用されている。

 ★業種別委員会実務指針第53 号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」はこちら ⇒ 業種別委員会実務指針第53 号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」

 ★業種別委員会研究報告第10 号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正についてはこちら ⇒ 業種別委員会研究報告第10 号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正について

 ★「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表についてはこちら ⇒ 公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表について

2016年4月15日

非営利法人委員会研究報告第29号「正味財産増減計算書内訳表等に関する研究報告」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成28年2月23日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第29号「正味財産増減計算書内訳表等に関する研究報告」を平成28年3月22日付けで公表した。

本研究報告は、内閣府公益認定等委員会のもとに設置された公益法人の会計に関する研究会により公表された「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(平成27年3月26日)にて決定された事項で、会計基準に関連する事項として、公益認定等委員会委員長から当協会会長あてに検討の依頼があった項目の一部について、検討の結果、公表することとした事項についてまとめたものである。

同様に検討の依頼があったその他の事項については、「公益法人会計基準に関する実務指針」(非営利法人委員会実務指針第38号)として、同日に公表している。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第29号「正味財産増減計算書内訳表等に関する研究報告」

2016年4月8日

繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針

ASBJ(企業会計基準委員会)・FASF(公益財団法人財務会計基準機構)のサイトに、「季刊 会計基準」 第52号の記事「税効果会計に関する適用指針の公表」が掲載された。

 ★リンクはこちら ⇒ 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針

2016年4月7日

非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成28年3月16日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」を平成28年3月22日付けで公表した。
本実務指針の公表に当たっては、「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(平成27年3月26日公益認定等委員会公益法人の会計に関する研究会)に基づき、平成27年4月24日に内閣府公益認定等委員会委員長から当協会会長あてに「公益法人の会計に関する諸課題の更なる検討について(協力依頼)」が発出されたことを受け、協力依頼があった事項について、非営利法人委員会における検討を行ってきた。

あわせて、「公益法人会計基準について」(平成20年4月11日 内閣府公益認定等委員会、平成21年10月16日改正)が設定されたことに伴い、「公益法人会計基準等の改正について」(平成16年10月14日公益法人等の指導監督等に関する関係省庁連絡会議申合せ)に基づいて公表された非営利法人委員会報告第28号、第29号、第31号及び第32号に必要な改訂を行った上で、各委員会報告を統合した。

本実務指針は、上記を併せて、規範性のある実務指針として公表するものである。

また、本実務指針の取りまとめに当たっては、平成28年2月24日から平成28年3月8日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。
公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も併せて公表した。

 ★公益法人会計基準に関する実務指針はこちら ⇒ 非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」

★公開草案に対するコメントの概要及び対応はこちら ⇒ 非営利法人委員会実務指針「公益法人会計基準に関する実務指針」(公開草案)に対するコ メントの概要及び対応について

2016年3月29日

企業会計基準適用指針公開草案第55号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針(案)」の概要

ASBJ(企業会計基準委員会)・FASF(公益財団法人財務会計基準機構)のサイトに、「季刊 会計基準」 第52号の記事「税効果会計に関する適用指針の公表」が掲載された。

 ★リンクはこちら ⇒ 「季刊 会計基準」 第52号の記事「税効果会計に関する適用指針の公表」(削除)

2016年3月28日

IT委員会研究報告第47号「業務処理統制に関する評価手続」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

日本公認会計士協会(IT委員会)では、平成28年2月23日に開催された常務理事会の承認を受けて、IT委員会研究報告第47号「業務処理統制に関する評価手続」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」を公表した。

本研究報告は、ITの利用の促進に伴い重要性が増している業務処理統制を含んだ業務プロセスについて、財務諸表監査におけるリスク評価手続及びリスク対応手続のうち運用評価手続についての具体的な例示を提供することを目的として作成した。

本研究報告の取りまとめに当たっては、平成27年11月11日から12月11日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。
公開草案に寄せられた主なコメントの概要及び対応もあわせて公表した。

なお、ITに係る内部統制については、先般公表したIT委員会研究報告第46号「重要な虚偽表示リスクと全般統制の評価」(平成26年9月30日付け公表)と一体として理解いただければと思う。

 ★業務処理統制に関する評価手続はこちら ⇒ IT委員会研究報告第47号「業務処理統制に関する評価手続」

 ★公開草案に対するコメントの概要及び対応はこちら ⇒ コメント対応表

2016年3月17日

企業会計基準委員会「第331回企業会計基準委員会議事概要別紙(審議事項(4)マイナス金利に関する会計上の論点への対応について)」の公表

第331回企業会計基準委員会(平成28年3月9日開催)において、マイナス金利に関連する会計上の論点のうち、退職給付債務の計算における割引率に関する論点について、企業会計基準委員会における議論の内容を周知するために、別紙を議事に残すこととされた。

当該議事概要別紙が企業会計基準委員会のウェブサイトにて公表されている。

 ★リンクはこちら ⇒ 企業会計基準委員会「第331回企業会計基準委員会議事概要別紙(審議事項(4)マイナス金利に関する会計上の論点への対応について)」の公表

2016年3月15日

改正「中小企業の会計に関する指針」

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、1月26日の委員会においてその公表が承認され、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。
関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識しており、この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。
これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献したいと考えているようである。

1.今回の改正における改正点
今回の改正では、誤謬の訂正の注記において、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に基づく会計処理を行わない場合には、当該注記が要求されないことを明確化した(第82項)。
また、重要性の原則(第9項(2))、固定資産の減損会計(第36項)、税効果会計(第61項)に関する記載についても明確化を図る観点から見直しを行った。
これらの見直しは、従来の取扱いについて変更することを意図したものではない。

2.「今後の検討事項」(資産除去債務)の取扱いに関する検討
企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」(以下「資産除去債務会計基準」という。)では、有形固定資産の除去に関して法令等で要求される義務(例えば、不動産の賃貸借契約における原状回復義務や建物等のアスベストの除去義務など。以下「資産除去債務」という。)についての会計処理を定めている。
資産除去債務会計基準については、改正後本文60ページの「今後の検討事項」において「本指針における資産除去債務の取扱いについては、今後の我が国における企業会計慣行の成熟を踏まえつつ、引き続き検討することとする。」としている。
委員会は、資産除去債務会計基準が金融商品取引法適用会社等に対して適用されてから5年が経過したことを勘案し、今後、「今後の検討事項」として記載している資産除去債務を「各論」の一項目として取扱うかどうかについて、中小企業関係者の意見を踏まえ、コスト・ベネフィットも考慮して検討を行っていくことを考えている。

 ★リンクはこちら ⇒ 改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2016年)

2016年2月18日

中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト

日本税理士会連合会は、中小企業の計算書類について、「中小企業の会計に関する指針」の適用状況を確認するための書類として、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を作成した。

現在、多くの金融機関において、このチェックリストを活用した融資商品が取り扱われている。
ちなみに、四国は、以下のとおり。

  • 百十四銀行
  • 宇和島信用金庫
  • 東予信用金庫
  • 伊予銀行
  • 愛媛信用金庫
  • 愛媛銀行
  • 川之江信用金庫

1行だけ香川県で、残りはすべて愛媛県なのはなぜなのだろうか?

★リンクはこちら⇒ 中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト

2015年7月8日

一般社団・財団法人法施行規則による一般社団法人の各種書類のひな型(改訂版)

経済団体連絡会は、わが国を代表する業界ごとに組織されている約60の経済団体などから構成されており、経済団体が抱える諸課題の解決や会員相互の情報共有などの活動を行っている。
本ひな型は、公益法人改革に伴い、多くの経済団体が一般社団法人へ移行し、新法の趣旨を踏まえた書類の作成、提供、公告に取り組む中で、法人運営の実務を踏まえた書類の基準となるべきものを作成し、法人運営をする皆様方の参考に供することをめざして、2013年に作成された。

今般、内部統制システムの整備等に関する一般社団・財団法人法施行規則の改正を受けて、改訂した。
なお、本ひな型は、一般社団法人全体としての統一的フォームを定めたものではない。
各団体の皆様においては、それぞれの事情に応じて、本ひな型を参考資料のひとつとして活用いただき、創意工夫を凝らした適切な開示により、社員等への説明責任を果たしていただければ幸甚に存ずる。

★リンクはこちら⇒ 一般社団・財団法人法施行規則による一般社団法人の各種書類のひな型(改訂版)

2015年6月29日

改正「中小企業の会計に関する指針」の公表

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、2015年4月21日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。

今般の中小会計指針の改正では、企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準のうち、企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」に対応した用語の見直し等を行っている。
関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。
この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、今後も継続的に見直しを行い、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献したいと考えている。

なお、本指針の「関連項目」に記載している法人税法等の条文は、公表日現在のものであることに留意すること。

★リンクはこちら⇒ 改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2015年)

2015年6月15日

決算・開示ヘルスチェック

あらた監査法人は、決算・開示ヘルスチェックをホームページに掲載した。

おカネは会社にとっての血液である。
おカネを滞りなく循環させること、そしておカネの流れを表す決算を円滑に実施することは、会社の健康状態を良好に保つ上で非常に重要と考えられる。
この決算・開示ヘルスチェックサイトでは、自社の決算・開示業務に関する課題・問題点を、担当者やマネジメントの皆様にご自身で確認いただくための簡単な問診表を用意した。
各問診に対して回答頂いた内容を集計分析し、簡単な診断書が表示されるので、これにより貴社の現状をおおまかに把握することができる。

★リンクはこちら⇒ 決算・開示ヘルスチェック(既に削除済)

2015年6月4日

平成27年3月期決算上の留意事項

新日本有限責任監査法人が、『平成27年3月期 決算上の留意事項』をホームページに掲載した。

この平成27年3月期決算においては、改正後の退職給付会計基準の定めのうち、退職給付債務等の計算に係る部分が原則適用となる。
また、改正企業結合会計基準の早期適用が可能となっているほか、今後公布されることが見込まれる平成27年度税制改正が税効果会計に与える影響も考慮する必要がある。

これらの論点について、基本的な取扱いを中心に、平成27年3月期決算での留意事項をQ&A方式で解説している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年3月期決算上の留意事項

2015年3月23日

統一的な基準による地方公会計マニュアル

総務省は、『統一的な基準による地方公会計マニュアル』を公表した。
以下の構成となっている。

  1. 財務書類作成要領
  2. 資産評価及び固定資産台帳整備の手引き
  3. 連結財務書類作成の手引き
  4. 財務書類等活用の手引き

★リンクはこちら⇒ 統一的な基準による地方公会計マニュアル(既に削除済み)

<2016年5月に改訂>

★リンクはこちら⇒ 統一的な基準による地方公会計マニュアル(平成28年5月改訂)

2015年1月28日

有価証券報告書レビューの実施(平成26年3月期以降)

金融庁では、有価証券報告書の記載内容の適切性を確保するため、各財務局及び福岡財務支局並びに沖縄総合事務局(「財務局等」)と連携し、平成24年より、「法令改正関係審査」、「重点テーマ審査」及び「情報等活用審査」を柱とした有価証券報告書レビューを実施している。平成26年3月期以降の有価証券報告書については、以下の内容でレビューを実施することとしたため、公表された。

1.法令改正関係審査
本審査は、法令改正により有価証券報告書の記載内容が変更または追加された事項のうち、特に重要な事項について記載内容をアンケート形式で審査するものである。
今回は、平成24年5月に公表された「退職給付に関する会計基準」等を踏まえて改正された連結財務諸表規則等が平成26年3月期より適用されることから、同規則等に基づき適切な記載がなされているかどうかを審査する。
このため、以下のすべての要件に該当する企業におかれては、Excel「調査票」に回答を記入し、所管の財務局等へ、平成26年7月15日(火)までに提出いただくようお願いすることとなる。具体的な手続き等については、所管の財務局等から別途連絡がある。

  • 平成26年3月31日を決算日とする連結財務諸表を作成している。
  • 退職給付制度を採用している。
  • 連結財務諸表を日本基準で作成している。

2.重点テーマ審査
本審査は、特定の重点テーマに着目して審査対象となる企業を抽出し、当該企業に対して所管の財務局等が個別の質問事項を送付し、回答を受けることで(ヒアリングを行うこともある。)、より深度ある審査を実施するものである。
今回(平成26年3月期以降)の重点テーマは、以下のとおり。審査対象となる企業には、所管の財務局等より別途連絡する。

  • 退職給付
  • 企業結合及び事業分離等
  • 固定資産の減損

3.情報等活用審査
上記の重点テーマに該当しない場合であっても、適時開示や報道、一般投資家等から提供された情報等を勘案して、所管の財務局等より、個別の質問事項を送付させていただくことがある。

★リンクはこちら⇒ 有価証券報告書レビューの実施について(平成26年3月期以降)

2014年4月7日

有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項(平成26年3月期版)

金融庁は、平成26年3月期以降の有価証券報告書の作成に当たって留意が必要な事項等を以下のとおり取りまとめた。
各提出者におかれては、これらの点に留意して有価証券報告書を作成し、各財務局もしくは福岡財務支局または沖縄総合事務局へ提出のこと。
1.新たに適用となる開示制度・会計基準に係る留意事項
平成26年3月期に新たに適用となる開示制度・会計基準は以下のとおり(一部、早期適用されているものもある。)。

  • 「退職給付に関する会計基準」等の公表を踏まえた連結財務諸表規則等の改正
  • 「連結財務諸表に関する会計基準」等の公表を踏まえた連結財務諸表規則等の改正
  • 単体開示の簡素化を図るための財務諸表等規則等の改正

2.最近の課徴金事案及び自主訂正事案を踏まえた留意事項
最近の課徴金事案及び自主訂正事案において、以下の点などについて不適切な会計処理が認められている。

  • 売上の過大計上・前倒し計上
  • 固定資産(不動産)の減損損失の過少計上
  • 固定資産(のれん)の減損損失の不計上など

3.有価証券報告書レビュー(平成25年3月期以降)を踏まえた留意事項
平成25年3月期以降の有価証券報告書を対象とした有価証券報告書レビュー(現在、重点テーマ審査及び情報等活用審査を実施中)において、現在までに把握された事象を踏まえた留意すべき点を取りまとめた。
なお、平成25年3月期を対象とした法令改正関係審査については、審査を終了し、実施結果を公表(平成25年12月10日)しておりますので、併せて参照のこと。

★リンクはこちら⇒ 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項について(平成26年3月期版)

2014年4月4日

中小会計要領に取り組む事例65選

経済産業省は、中小企業の抱える諸課題に対し、「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」という。) を活用して、諸課題を解決し、経営を良くした具体的な事例を「中小会計要領に取り組む事例65選」として取りまとめた。

1.背景と経緯
中小企業の実態に即し、中小企業の経営者が容易に理解できる新しい会計ルールとして、平成24年2月1日に、「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」という。)が策定された。
「中小会計要領」は、中小企業の多様な実態に配慮し、その成長に資するため、中小企業が会社法上の計算書類(貸借対照表、損益計算書等)を作成する際に求められている会計処理や注記等を示しているものである。
「中小会計要領」の活用によって、中小企業の経営者が自社の財務情報や経営状況をタイムリーかつ正確に把握すれば、経営課題の早期発見、早期改善が可能になり、会社の経営戦略を立てる際や、投資判断を行う際に非常に役に立つ。また、経営者自らが自社の強みを語ることができれば、会社の見える化につながるとともに、金融機関や取引先等への信頼性を高めることになり、新たな取引や、融資にもつながる。
「中小会計要領に取り組む事例65選」は、中小企業の抱える諸課題に対し、「中小会計要領」を活用して経営を良くした企業65社の具体的な成功事例をベストプラクティスとして取りまとめたものである。
事例の取りまとめは、「中小企業の会計を活用した経営の促進に関する事例研究審委員会」 (委員長:河﨑照行 甲南大学会計大学院院長)において、審査が行われ、65社を選定した。
今回の取組事例の情報発信を通じて、さらに多くの中小企業が、「中小会計要領」 を自社の経営力の強化や資金調達力の強化等のために活用いただくことによって、事業の発展につなげることを期待する。

2.「中小会計要領に取り組む事例65選」の構成
第1章 中小会計要領作成の背景と概要について
第2章 事例から学ぶ会計の取り組み
第3章 ベストプラクティス集
• ベストプラクティス事例の企業一覧
• 65 社の概要

3.今後の予定
「中小会計要領に取り組む事例65選」は、以下の18機関等を通じて中小企業に配布するとともに中小企業庁HPや中小企業支援ポータルサイト「ミラサポ」に掲載する。
• 中小企業関係団体 (中小四団体、中小企業家同友会全国協議会、中小企業基盤整備機構)
• 金融機関関係団体(全国銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、商工組合中央金 庫、日本政策金融公庫、全国信用保証協会連合会)
• 会計専門団体(日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、中小企業診断協会、企業会計基準委員会)
また「中小会計要領に取り組む事例65選」を紹介するフォーラムを、3月7日に大阪、3月12日に名古屋、3月26日に東京で開催する予定である。

★リンクはこちら⇒ 「中小会計要領に取り組む事例65選」を取りまとめました

2014年3月10日

「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」の改定

公益社団法人日本年金数理人会及び公益社団法人日本アクチュアリー会の正式な手続きを経て、「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」を改定することとなり、公表された。

改定の内容は、平成25年11月にIASBからIAS19の改定(Defined Benefit Plans: Employee Contributions)が公表されたことに伴い、「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」において参照している関係部分について改定するものである。

ちなみに、今回の改定にあたって、平成25年12月19日に改定草案を公表して平成26年1月10日までコメントを受け付けたが、提出されたコメントはなかった。
そのため、改定草案どおりの内容で確定した。

なお、「退職給付会計に関する数理実務基準」に関しては、今回の改定は該当しなかったが、利用者の便宜のために、「退職給付会計に関する数理実務基準」と「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」とを合わせた形にしている。

★リンクはこちら⇒ 「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」の改定

2014年2月27日

中小企業の会計に関する指針(平成25年版)の公表

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係四団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、2104年1月29日の委員会においてその公表が承認されたので、「中小企業の会計に関する指針(平成25年版)」として公表した。

今般の中小会計指針の改正では、企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準のうち、主に企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」に対応した用語の見直し等を行っている。

関係四団体においては、中小会計指針を取引実態に合わせたより合理性のあるものとするために、年次ごとの見直し及び改正を行うことを決定しており、関係者が協力して中小会計指針の定着に取り組んでいくことによって、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献できるものと期待している。

なお、「中小企業の会計に関する指針(平成25年版)」の全文及び新旧対照表は、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会のそれぞれのウェブサイトに掲載している。

★リンクはこちら⇒ 「中小企業の会計に関する指針(平成25年版)」の公表について

2014年2月7日

社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成25年12月3日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト」を同日付けで公表した。

本研究報告は、会員の業務の参考に資することを目的として、社会福祉法人が作成した財務諸表等の様式等が、「社会福祉法人会計基準」(「社会福祉法人会計基準の制定について」(平成23年7月27日(改正平成25年3月29日)雇児発0727第1号、社援発0727第1号、老発0727第1号 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)別紙)に準拠しているか否かを確かめるためのチェックリストとしてとりまとめたものである。

★リンクはこちら⇒ 社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト

2014年1月16日

改正退職給付会計基準チェック・シート

仰星監査法人が、改正退職給付会計基準チェック・シートを無料で配布している。

★リンクはこちら⇒ 改正退職給付会計基準チェック・シートのご提供

2013年10月16日

監督指針案、金融検査マニュアル案等及び自己資本比率規制に関するQ&A等の公表(平成25年9月20日)

金融庁は、今般、国内基準に係る自己資本比率告示の改正(平成25年3月8日公布)を受け、監督指針案、金融検査マニュアル案等及び自己資本比率規制に関するQ&A等を取りまとめ、公表した。

★リンクはこちら⇒ 監督指針案、金融検査マニュアル案等及び自己資本比率規制に関するQ&A等の公表について

2013年10月8日

XBRL

先日、金融庁のEDINETがリニューアルし、XBRLを採用した。

このXBRLについて、公認会計士協会のHPで、動画で詳しく説明がなされている。

★リンクはこちら⇒ ちょっと教えて!XBRL

2013年10月2日

不正調査ガイドライン

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、平成25年9月4日付けで経営研究調査会研究報告第51号「不正調査ガイドライン」を公表した。

本研究報告は、主に公認会計士が、企業や企業以外の組織体(以下「企業等」という。)から不正調査業務の依頼を受けた場合、当該業務を受嘱するかの判断、当該業務の体制と計画・管理、情報の収集と分析、仮説の構築と検証、不正の発生要因と是正措置案の提言、調査報告、企業等が行うステークホルダー対応への支援、及び不正調査業務の終了といった一連の業務に関する概念や留意事項等について体系的に取りまとめたものである。

なお、本研究報告は、監査の基準である「監査における不正リスク対応基準」とは全く別のものである。

ちなみに、本研究報告の取りまとめに当たっては、7月2日から7月15日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。

★リンクはこちら⇒ 経営研究調査会研究報告第51号「不正調査ガイドライン」の公表について

2013年9月27日

IFRS任意適用に関する実務対応参考事例(2013年9月13日版)

我が国では、2010年3月31日以降に終了する事業年度から、国際的な財務活動または事業活動を行う一定の上場企業の連結財務諸表に、国際会計基準(IFRS)を任意適用することが可能となっている。
既に任意適用を開始している企業に加え、今後、適用を検討する企業は増加していくことが予想される。

そこで、経団連企業会計委員会企画部会では、既に任意適用を開始している企業ならびに任意適用に向けた具体的な検討を開始している企業の有志からなる「IFRS 実務対応検討会」を2012年8月に設置し、IFRS 適用にあたっての各社の対応事例を整理し、とりまとめることで、各企業における今後の任意適用の検討に向けた参考としていただくこととした。

なお、各社の対応事例は、各社の主たる検討・判断の過程を記載しているものであり、その背景や判断の全てを記述できているものではない。
具体的なIFRS 適用のあり方は、各企業の個別の状況を踏まえて検討し、判断すべきものですので、留意すること。

★リンクはこちら⇒ IFRS任意適用に関する実務対応参考事例(2013年9月13日版)

2013年9月24日

次世代EDINETの稼働開始

2013年9月17日から、次世代EDINETが稼働した。

1.次世代EDINETの概要
(1)経緯
金融庁では、「有価証券報告書等に関する業務の業務・システム最適化計画」(平成23年3月31日改定)等に基づき、開示書類の二次利用性の向上、検索機能等の向上等を目的として、「有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の次世代システム」(以下「次世代EDINET」という。)に係る設計・開発を行ってきた。

(2)次世代EDINETの目的
次世代EDINETの目的は、以下のとおり。

  • 国際水準を踏まえたXBRLの対象範囲の拡大
  • 投資家向けの検索・分析機能の向上
  • システム運用経費の削減
  • 事業継続に係る機能の向上

(3)次世代EDINETの稼働開始
次世代EDINETは、2013年9月17日午前8時30分に稼働開始した。
なお、従前のEDINETに記録されていたデータについては、先の案内(※1)のとおり、「提出書類作成一覧画面」の「書類状況」が「提出済(開示中)」、「提出済(非開示)」等(※2)となっているものは、次世代EDINETに移行されているが、提出に至っていないもの(「確定待」、「作成中」等)は移行されていない。

※1 「次世代EDINETの稼働開始日時とシステム移行に伴うサービス停止等について」(平成25年9月9日公表)。
※2 先頭3文字が「提出済」となっている全てのもの。

2.次世代EDINETのURLについて
次世代EDINETのURLは、以下のとおり。
提出用:http://submit.edinet-fsa.go.jp/
閲覧用:http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/

★リンクはこちら⇒ 次世代EDINETの稼働開始(9月17日)について

2013年9月18日

次世代EDINETタクソノミの公表(平成25年8月21日 金融庁)

金融庁では、「有価証券報告書等に関する業務の業務・システム最適化計画」(平成23年3月31日改定)に基づき、「開示書類の二次利用性の向上」、「検索機能等の向上」等を目的として「有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の次世代システム」(以下「次世代EDINET」という。)に係る設計・開発を行ってきた。EDINETにおけるXBRL(注)での提出は、平成20年4月以後開始する事業年度から行われているが、次世代EDINETにおいては、XBRLの対象範囲が拡する。
次世代EDINETタクソノミについては、平成24年6月25日に次世代EDINETタクソノミ(案)の初版を公表し、いただいた意見等を踏まえて策定した次世代EDINETタクソノミ(案)第二版を同年10月4日に公表した。同第二版を用いて、同年11月5日から平成25年3月29日まで「提出者向け事前チェックテスト」を実施した。また、「企業内容等の開示に関する内閣府令」、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」等の法令及び会計基準の改正等に対応するため、次世代EDINETタクソノミ(案)第三版を平成25年1月18日に公表し、いただいた意見等を踏まえて策定した次世代EDINETタクソノミ(案)第四版を同年3月21日に公表した。同第四版を用いて、同年5月21日から同年7月12日まで「次世代EDINET総合運転試験」を実施した。
ついては、次世代EDINET総合運転試験の結果等を踏まえて策定した次世代EDINETタクソノミ及び関連資料を公表した。

(注)XBRLとは、財務情報等を効率的に作成・流通・利用できるよう、国際的に標準化されたコンピュータ言語である。XBRLでは財務報告の電子的雛型である「タクソノミ」を基に、財務報告内容そのものを表す「インスタンス」を作成する。

1.次世代EDINETタクソノミの概要
次世代EDINETタクソノミでは、XBRLの対象範囲が拡大し、有価証券報告書等については、報告書全体がその対象になる。また、公開買付届出書、大量保有報告書等が新たにXBRL対象様式となる。技術面においては、従来の表示変換方式に替えてインラインXBRL方式を採用している。また、ディメンション等の新たな技術を採用している。
次世代EDINETタクソノミの特徴、内容等については、『次世代EDINETタクソノミ更新概要』、『EDINETタクソノミの概要説明』等を参照のこと。

2.適用時期
次世代EDINETタクソノミの適用時期の概要は、以下のとおり(詳細は、「「金融商品取引法施行令第十四条の十第一項の規定に基づき入出力装置の技術的基準を定める件(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について」を参照のこと。)。

有価証券報告書 平成25年12月31日以後に終了する事業年度に係る書類に適用
四半期報告書
半期報告書
平成26年1月1日以後に開始する事業年度に含まれる四半期
または半期に係る書類に適用
有価証券届出書 平成25年12月31日以後に終了する事業年度を直近の事業年度と
する財務諸表等を掲げる書類に適用
大量保有報告書
臨時報告書
公開買付届出書
自己株券買付状況報告書
平成26年1月1日以後に提出する書類に適用。
ただし、早期適用可。
意見表明報告書
公開買付撤回届出書
公開買付報告書
対質問回答報告書
平成26年1月1日以後に提出する公開買付届出書(早期適用可)に
関連する書類に適用
発行登録書
発行登録追補書類
平成26年1月1日以後に提出する発行登録書及び当該発行登録書に
関連する発行登録追補書類に適用
内部統制報告書 平成25年12月31日以後に終了する事業年度に係る書類に適用。
ただし、早期適用可。

リンクはこちら⇒ 次世代EDINETタクソノミの公表について

2013年8月30日

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(平成25年8月21日 金融庁)

金融庁では、次世代EDINETに移行するための「金融商品取引法施行令第十四条の十第一項の規定に基づき入出力装置の技術的基準を定める件」等()の施行及び適用に伴い、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等を(別紙1)及び(別紙2)のとおり改正した。

「金融商品取引法施行令第十四条の十第一項の規定に基づき入出力装置の技術的基準を定める件」(金融庁告示)、「開示用電子情報処理組織による手続の特例等に関する留意事項について」(電子開示手続等ガイドライン)等について、平成25年6月20日付けで改正(案)を公表し、意見募集の上、平成25年8月20日付けで結果公表及び官報掲載した(同日付けで施行)。

なお、今回の改正は、上記の次世代EDINETのXBRL(財務情報を効率的に作成・流通・利用できるよう、国際的に標準化されたコンピュータ言語)の表現形式に、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等に定める財務諸表(様式)の体裁等を揃えるものであり、行政手続法第39条第4項第8号に該当するため、同法に定める意見公募手続は実施していない。

<改正の概要>
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の改正
株主資本等変動計算書等につき純資産の各項目を縦に並べる様式から横に並べる様式に変更

<公布・施行日等>
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令の適用時期は以下のとおり。

有価証券届出書 直近の事業年度または特定期間が平成25年12月31日以後に終了するもの
有価証券報告書 平成25年12月31日以後に終了する事業年度に係るもの
半期報告書 平成26年1月1日以後に開始する事業年度または特定期間に属する中間会計期間または中間計算期間に係るもの

リンクはこちら⇒ 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」について

2013年8月28日

「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」の改訂

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会が主体となって設置している「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」は、「中小企業の会計に関する指針(以下「中小会計指針」という。)」を公表しているが、日本税理士会連合会では、中小企業の計算書類について、「中小企業の会計に関する指針」の適用状況を確認するための書類として、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を作成している。

ちなみに、現在、多くの金融機関において、このチェックリストを活用した融資商品が取り扱われている。

この改訂が平成25年6月に行われている。

リンクはこちら⇒ 「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」の改訂について(既に削除済み)

<2015年6月改訂>

リンクはこちら⇒ 「中小企業の会計に関する指針の適用」に関するチェックリスト

2013年7月9日

中小企業の会計に関する指針(平成24年版)

日本公認会計士協会、 日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下、「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針(以下、「中小会計指針」という。)」について、「非上場会社の会計基準に関する懇談会 報告書(平成22年8月30日)」及び「中小企業の会計に関する研究会 中間報告書(平成22年9月30日)」の内容を踏まえて、見直しを図り、2月13日の委員会においてその公表が承認されたので、「中小企業の会計に関する指針(平成24年版)」として公表した。

今般の中小会計指針の改正では、会計処理のあり方自体の変更はなく、「非上場会社の会計基準に関する懇談会 報告書」及び「中小企業の会計に関する研究会 中間報告書」の提言内容を踏まえて、平易な表現に改める等経営者にとって利用しやすいものとすることを目的として見直しを行っている。

また、本指針(平成24年版)の全文及び新旧対照表は、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会のそれぞれのウェブサイトに掲載している。

中小企業の会計に関する指針(平成24年版)

2013年2月26日

中小企業の会計処理による割引制度の見直し

中小企業の会計処理による割引制度は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小指針」という。)に準拠して作成される中小企業の計算書類について、税理士税理士法人および公認会計士(以下「税理士等」という。)により中小指針の準拠を確認するチェックリストが提出された場合において、信用保証協会の保証料率0.1%の割引が認められる制度である。

会計割引制度の適用は、平成18年4月の制度創設時では、チェックリストの添付によって認められ、平成19年4月の制度見直し後では、チェックリスト中の15項目のうち1項目以上の準拠によって認められることとされていたが、以下の見直しが行われる。

  • 信用保証協会は、チェックリストの全15項目全て(当該中小企業が保有しない資産の項目については除外)が中小指針に準拠していることをもって会計割引制度を適用する。
  • チェックリストの全15項目について中小指針に準拠している旨の記載があるにもかかわらず、故意・過失を問わず事実と異なる記載が認められると信用保証協会が判断する場合は、会計割引制度の利用を認めない。
  • 故意・過失を問わず事実と異なる記載と保証協会が認めるチェックリストが、複数回にわたり同一の税理士等から提出された場合において、当該税理士等から提出されるチェックリストの添付をもって、計算書類の信頼性向上に寄与することが認められないと保証協会が判断するときは、当該税理士等が確認したチェックリストについては、会計割引制度の利用を1年間認めない。

この変更は、平成24年4月1日から行う(平成24年4月1日以降に終了する事業年度の計算書類より適用する。)。

一時利用停止措置を受けると、税理士会や中小企業庁や全国信用保証協会連合会にも通知等が行くようであり、このようなものを公認会計士税理士がリスクを負ってまで受けるのであろうか?

2012年3月26日

税効果会計

今回、法人税率の引き下げは見送られたが、法人税の引き下げは必ずしも喜ばしいことではない。
税率が引き上げられると、繰延税金資産が減少してしまうからである。これは、繰延税金資産が多額な会社の場合はインパクトが大きい。
簡単に言うと、実効税率が40%から35%になったとすると、単純に考えると12.5%(5%÷40%)も減少してしまう。
よって、必ずしも喜んではいられないのである。

2011年7月1日

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消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(インボイスQ&A)を改訂しました(2025年(令和7年)4月14日)

2023年(令和5年10月1日)から消費税の仕入税額控除制度において適格請求書等保存方式が開始されました。

この「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」は、事業者の皆様が、2018年(令和元年)10月1日に実施された消費税の軽減税率制度への対応とともに適格請求書等保存方式にも対応いただけるよう、適格請求書等保存方式について、分かりやすく解説したものです。

また、今後、寄せられた質問や頂いた疑問点を踏まえて、随時、追加や掲載内容の改訂を行っていく予定です。

★リンクはこちら→ 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(インボイスQ&A)を改訂しました(2025年(令和7年)4月14日)

2025年5月15日


「金融庁からの周知依頼」インボイス制度について

インボイス制度開始後に寄せられたご質問等を踏まえ、国税庁において以下の資料等を作成・更新しています。

特に、新規作成の①・②に関しては、これまでインボイス制度に馴染みが薄かった方にもできるだけ分かりやすいものとなっておりますので、ぜひご活用ください。

また、インボイス制度開始後初めての消費税の確定申告を迎えるにあたって、消費税の確定申告に関するコンテンツや中小企業・小規模事業者向け支援策に関する資料も併せてご参考ください。

<インボイス制度について>
インボイス記載事項チェックシート(記載不備のインボイスを受け取った場合の対応についても記載しています)

マンガでわかる インボイス記載事項

動画「3分でわかる インボイス○○○○」シリーズ

お問合せの多いご質問(令和6年2月19日更新)

<消費税の確定申告に関する情報>
インボイス発行事業者の登録を受けた方の確定申告について

2割特例 特設ページ(2割特例の概要や動画による申告書作成の解説など)

<中小企業・小規模事業者向け支援策>
インボイス制度への対応に取り組むみなさまへ 各種支援策のご案内

中小企業・小規模事業者インボイス相談受付窓口 オンライン税理士相談

★リンクはこちら→ 「金融庁からの周知依頼」インボイス制度について

2024年5月20日


<多く寄せられるご質問 問㉖>
多く寄せられるご質問問㉖当社は、機械装置の貸付けを行っている免税事業者です。契約上、毎月末に使用料を受領し、領収書を発行しているところ、この度、月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けたのですが、どのように領収書(適格請求書)を交付すべきでしょうか。また、棚卸資産としての機械装置の販売やその保守点検といった役務提供も行っていますが、この場合の適格請求書の交付はどうなりますか。
【インボイスQ&A問77-2として追加】

1.資産の貸付けに係る適格請求書
適格請求書発行事業者は、登録日以後の取引について、相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じて、適格請求書を交付する義務が生じます(免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間において登録を受ける場合、登録日から適格請求書発行事業者となる経過措置が設けられています。

詳細は「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問7」をご参照ください。)。

資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額(前受けに係る額を除きます。)を対価とする資産の譲渡等の時期は、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日とすることとされています。

そのため、ある月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けた場合においても、月末にその月分の支払を受けることとしているなど、使用料等の支払を受けるべき日が登録日以後となるのであれば、その月分の使用料等の全額につき適格請求書を交付することとなります。

(注)
この場合、課税資産の譲渡等がその支払を受けるべき日に行われたこととなるため、その登録を受けた月分の使用料等については、適格請求書発行事業者の登録前の期間に係るものについて日割計算などは行わず、全額を課税売上げとして消費税の申告を行うこととなります。

他方、前受けに係るもの(翌月分を前払で受けるようなもの)である場合には、その資産の譲渡等の時期は、原則として現実に資産の譲渡等を行った時となるため、登録日前の取引と登録日以後の取引に区分するなどの対応が必要となります。この場合、適格請求書ではない領収書を交付し、登録通知を受け登録日が判明した後に、適格請求書となる部分を区分して交付するなどの方法によることとして差し支えありません。

【3月15日に登録を受けた場合のイメージ】

買手においては、領収金額の総額から適格請求書として交付を受けた金額(3月15日から31日までの分)を差し引いた金額を、3月1日から14日までの分の課税資産の譲渡等に係る対価の額として追記することにより、当該金額につき区分記載請求書等と同様の記載事項が記載された請求書等の保存があるものとして、仕入税額の一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることができます。

2.棚卸資産の譲渡に係る適格請求書
棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とされており、引渡しの日がいつであるかについては、例えば、出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等、当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じてその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、事業者が継続して棚卸資産の譲渡等を行ったこととしている日によるものとされています。

したがって、貴社が継続して棚卸資産の譲渡等を行ったこととしている日が、登録日以後となる取引について、適格請求書を交付することとなります。

【3月15日に登録を受けた場合のイメージ】

3.役務の提供に係る適格請求書
役務の提供を行った日は、原則として、その約した役務の全部の提供を完了した日になります。したがって、貴社の行う保守点検が完了した日が適格請求書発行事業者の登録を受けた日以後であるならば、その保守点検料等の全額につき適格請求書を交付することとなります。

(注)
保守点検が完了した日が適格請求書発行事業者の登録を受けた日以後である場合、その保守点検料については、適格請求書発行事業者の登録前の期間に係るものについて日割計算などは行わず、全額を課税売上げとして消費税の申告を行うこととなります。

【3月15日に登録を受けた場合のイメージ】

★リンクはこちら→ 多く寄せられるご質問問㉖当社は、機械装置の貸付けを行っている免税事業者です。契約上、毎月末に使用料を受領し、領収書を発行しているところ、この度、月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けたのですが、どのように領収書(適格請求書)を交付すべきでしょうか。また、棚卸資産としての機械装置の販売やその保守点検といった役務提供も行っていますが、この場合の適格請求書の交付はどうなりますか。

2024年5月14日


<多く寄せられるご質問 問㉕>
当社は、クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットを利用しています。そうしたタクシーチケットは、タクシー事業者等が発行しているものとは異なり、クレジットカード利用明細書しか送られてこず、また、タクシーチケット自体取引先等に手交していることから、タクシーを利用した際に交付を受ける適格簡易請求書の保存をすることもできません。この場合、当社は仕入税額控除の適用を受けるためにどうすべきでしょうか。【インボイスQ&A問108-2として追加】

クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットにつき、その使用された金額について仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、その使用に当たってタクシー事業者(当該タクシー事業者に係る事業者団体など、個々の契約等により当該タクシー利用に係る課税売上げを計上すべきこととされている者を含みます。以下同じです。)から受領した適格簡易請求書の保存が必要となります。

しかしながら、ご質問のようにタクシーチケットは取引先等に手交されることも多いことを踏まえれば、適格簡易請求書の保存が困難といった事情があると考えられます。

そのため、受領したクレジットカード利用明細書及び以下の資料に記載された内容等に基づき、利用されたタクシー事業者が適格請求書発行事業者であることが確認できる場合には、適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている証票が使用の際に回収される取引として、帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません(回収特例)。

  • 利用されたタクシー事業者のホームページ
  • クレジットカード会社のホームページ等に掲載されている利用可能タクシー一覧

なお、適格請求書発行事業者以外のタクシー事業者の利用であったことが確認された場合には、当該タクシー利用時に受領した領収書(未収書等)や、別途当該タクシー事業者から発行を受けた書類など、区分記載請求書の記載事項を満たした書類及び一定の事項を記載した帳簿の保存があれば、仕入税額相当額の一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることができます。

★リンクはこちら→ 当社は、クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットを利用しています。そうしたタクシーチケットは、タクシー事業者等が発行しているものとは異なり、クレジットカード利用明細書しか送られてこず、また、タクシーチケット自体取引先等に手交していることから、タクシーを利用した際に交付を受ける適格簡易請求書の保存をすることもできません。この場合、当社は仕入税額控除の適用を受けるためにどうすべきでしょうか。

2024年5月10日


<多く寄せられるご質問 問㉔>
当社は適格請求書発行事業者です。当社の提供しているサービスは、利用規約においてその対象を消費者に限定しているため、課税事業者から適格請求書の求めがあったとしても適格請求書の交付は行わないこととしてよいでしょうか。【インボイスQ&A問24-3として追加】

適格請求書発行事業者は、課税事業者の求めに応じて、適格請求書の交付義務が生じます。

そのため、消費者に対しては適格請求書を交付する義務は生じませんので、貴社の利用規約等において提供するサービスの対象を消費者に限定し、実際に事業者による利用がないのであれば、適格請求書を交付する必要はありません。

しかしながら、そうした制限にもかかわらず、実際に当該サービスを利用した課税事業者から適格請求書の交付を求められた場合には、利用規約等にかかわらず、消費税法上、貴社にその交付義務が生じることとなります。

その際、貴社の提供するサービスが不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業である場合には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することが可能です。

(参考)
適格簡易請求書の記載事項等に関する詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問58」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は適格請求書発行事業者です。当社の提供しているサービスは、利用規約においてその対象を消費者に限定しているため、課税事業者から適格請求書の求めがあったとしても適格請求書の交付は行わないこととしてよいでしょうか。

2024年5月8日


<多く寄せられるご質問 問㉓>
金融機関の窓口又はオンラインで決済を行った際の金融機関の入出金手数料や振込手数料について、仕入税額控除の適用を受けるために、何を保存すればよいでしょうか。【インボイスQ&A問103-2として追加】

入出金手数料や振込手数料について仕入税額控除の適用を受けるには、原則として適格簡易請求書及び一定の事項が記載された帳簿の保存が必要となります(注1)。

他方、金融機関における入出金や振込みが多頻度にわたるなどの事情により、全ての入出金手数料及び振込手数料に係る適格簡易請求書の保存が困難なときは、金融機関ごとに発行を受けた通帳や入出金明細等(個々の課税資産の譲渡等(入出金サービス・振込サービス)に係る取引年月日や対価の額が判明するものに限ります。)と、その金融機関における任意の一取引(一の入出金又は振込み)に係る適格簡易請求書を併せて保存する(注2・3)ことで、仕入税額控除を行って差し支えありません。

また、基準期間における課税売上高が1億円以下であるなど一定規模以下の事業者については、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置(少額特例)も設けられていますので、上記のような対応は必要ありません(少額特例の詳細については、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問111」をご参照ください。)。

(注1)
一般的に、金融機関の入出金サービスや振込サービスについては、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う事業に該当し、適格簡易請求書の交付対象になるものと解されます。

また、金融機関のATMによるものである場合、3万円未満の物であれば、自動サービス機により行われる取引として、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が可能です(詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問47」をご参照ください。)。

(注2)
インターネットバンキングなど、オンラインで振込みを行った際の手数料等について、電磁的記録により適格簡易請求書が提供される場合には、当該電磁的記録をダウンロードする必要があります。

ただし、同種の手数料等を繰り返し支払っているような場合において、当該手数料等の適格簡易請求書に係る電磁的記録が、インターネットバンキング上で随時確認可能な状態であるなど一定の要件を満たすのであれば、必ずしも当該適格簡易請求書に係る電磁的記録をダウンロードせずとも、仕入税額控除の適用を受けることが可能です(適格簡易請求書に係る電磁的記録の取扱いについては「多く寄せられるご質問の問⑱」を、電子帳簿保存法の取扱いについては「電子帳簿保存方法一問一答」の「お問合せの多いご質問 電取追2-2」をご参照ください。)。

(注3)
金融機関が適格請求書発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、一回のみ取得・保存することで差し支えありません。

また、金融機関から各種手数料に係るお知らせ(適格請求書発行者の氏名又は名称及び登録番号、適用税率、取引の内容が記載されたものに限ります。)を受領した場合には、当該一のお知らせを保存することで適格簡易請求書の保存に代えることが可能です。

★リンクはこちら→ 金融機関の窓口又はオンラインで決済を行った際の金融機関の入出金手数料や振込手数料について、仕入税額控除の適用を受けるために、何を保存すればよいでしょうか。

2024年4月30日


<多く寄せられるご質問 問㉒>
私は、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者となった個人事業者ですが、それまでの間は免税事業者でした。令和7年分の申告における基準期間(令和5年分)における課税売上高は、免税事業者であった令和5年1月から9月までの金額を含むのでしょうか。【インボイスQ&A問8-2として追加】

適格請求書発行事業者になったことにより、令和5年10月1日から課税事業者となった個人事業者が、令和7年分の消費税の確定申告を行うに当たり、その基準期間は令和5年となりますが、この場合の基準期間における課税売上高(税抜)は、当該個人事業者が免税事業者であった期間(令和5年1月から9月)の課税売上高を含む金額で計算することとなります。

また、その免税事業者であった期間に係る課税売上高について税抜処理は行わず、その売上げ(非課税売上げ等を除きます。)がそのまま課税売上高となりますので、以下の例のとおり計算することとなります。

★リンクはこちら→ 私は、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者となった個人事業者ですが、それまでの間は免税事業者でした。令和7年分の申告における基準期間(令和5年分)における課税売上高は、免税事業者であった令和5年1月から9月までの金額を含むのでしょうか。

2024年4月26日


<多く寄せられるご質問 問㉑>
当協会は、協会に所属する会員向けに講師を招いてセミナーを開催しています。その際の講演料はまとめて当協会が支払いますが、一定割合を協会で負担することとした上で、残りをセミナーの参加予定者数で按分して参加費として受領しています(1,000円未満の端数は切上げ)。この場合、参加者に対してどのように適格請求書を交付すればよいでしょうか。【インボイスQ&A問94-3として追加】

国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:「インターネット広告の配信」等)については、特定課税仕入れとして、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務が課されます(リバースチャージ方式)。

そして、当該リバースチャージ方式により申告・納税を行う消費税額については、仕入税額控除の対象となりますが、その適用要件として適格請求書の保存は必要なく、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能となります。

これに対し、国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供以外の電気通信利用役務の提供(いわゆる消費者向け電気通信利用役務の提供)(例:「電子書籍・音楽の配信」等)について仕入税額控除の適用を受けるためには、売手である国外事業者から交付を受けた適格請求書(当該適格請求書の記載事項に係る電磁的記録を含みます。)の保存が必要です。

また、国外事業者が行う消費者向け電気通信利用役務の提供について、適格請求書の保存がない場合に、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについて一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることはできませんが、少額特例(一定規模以下の事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う税込み1万円未満である課税仕入れについて、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置)の適用を受けることはできます。

(注)
令和5年9月1日時点で登録国外事業者(適格請求書等保存方式の開始前において、消費者向け電気通信利用役務の提供を行うため、国税庁長官の登録を受けた国外事業者をいいます。)であり、かつ、同日おいて「登録国外事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出していない事業者は、令和5年10 月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされ、登録番号(T+13 桁の数字)が付番されています。

また、そうした国外事業者においては、令和6年3月31日までは登録国外事業者として付番されている番号(00001等の5桁の番号)を登録番号として適格請求書に記載することができることとされています。

(参考)
電気通信利用役務の提供やリバースチャージ方式の詳細については、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当協会は、協会に所属する会員向けに講師を招いてセミナーを開催しています。その際の講演料はまとめて当協会が支払いますが、一定割合を協会で負担することとした上で、残りをセミナーの参加予定者数で按分して参加費として受領しています(1,000円未満の端数は切上げ)。この場合、参加者に対してどのように適格請求書を交付すればよいでしょうか。

2024年4月24日


<多く寄せられるご質問 問⑳>
当社は、国外事業者との間でリバースチャージ方式の対象となる取引(インターネット広告の配信)や、消費者向け電気通信利用役務の提供に該当する取引(電子書籍の購入)を行っていますが、仕入税額控除を行うために適格請求書の保存は必要でしょうか。【インボイスQ&A問103-3として追加】

国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:「インターネット広告の配信」等)については、特定課税仕入れとして、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務が課されます(リバースチャージ方式)。

そして、当該リバースチャージ方式により申告・納税を行う消費税額については、仕入税額控除の対象となりますが、その適用要件として適格請求書の保存は必要なく、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能となります。

これに対し、国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供以外の電気通信利用役務の提供(いわゆる消費者向け電気通信利用役務の提供)(例:「電子書籍・音楽の配信」等)について仕入税額控除の適用を受けるためには、売手である国外事業者から交付を受けた適格請求書(当該適格請求書の記載事項に係る電磁的記録を含みます。)の保存が必要です。

また、国外事業者が行う消費者向け電気通信利用役務の提供について、適格請求書の保存がない場合に、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについて一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることはできませんが、少額特例(一定規模以下の事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う税込み1万円未満である課税仕入れについて、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置)の適用を受けることはできます。

(注)
令和5年9月1日時点で登録国外事業者(適格請求書等保存方式の開始前において、消費者向け電気通信利用役務の提供を行うため、国税庁長官の登録を受けた国外事業者をいいます。)であり、かつ、同日おいて「登録国外事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出していない事業者は、令和5年10 月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされ、登録番号(T+13 桁の数字)が付番されています。

また、そうした国外事業者においては、令和6年3月31日までは登録国外事業者として付番されている番号(00001等の5桁の番号)を登録番号として適格請求書に記載することができることとされています。

(参考)
電気通信利用役務の提供やリバースチャージ方式の詳細については、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、国外事業者との間でリバースチャージ方式の対象となる取引(インターネット広告の配信)や、消費者向け電気通信利用役務の提供に該当する取引(電子書籍の購入)を行っていますが、仕入税額控除を行うために適格請求書の保存は必要でしょうか。

2024年4月22日


<多く寄せられるご質問 問⑲>
私は、今まで免税事業者であったものの、令和5年に入ってから適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者(課税事業者)となった個人事業者です。当該登録申請書の提出に当たり、「消費税課税事業者選択届出書」も同時に提出したのですが、その提出日によっては令和5年分の確定申告において2割特例が適用できないことがあると聞きました。私のような場合には、令和5年分の申告において2割特例を適用できますか。【インボイスQ&A問116-2として追加】

2割特例は「消費税課税事業者選択届出書」の提出により課税事業者となった事業者も適用を受けることができますが、令和5年10月1日より前から同届出書の提出により引き続き課税事業者となる同日を含む課税期間、つまり、令和5年9月30日以前の期間を含む課税期間の申告については、2割特例の適用を受けることはできません(注1)

「消費税課税事業者選択届出書」の効果は、原則として、その提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じるところ、ご質問の場合、その効果は令和6年1月1日から生じるため、令和5年分については、令和5年10月1日(適格請求書発行事業者の登録日)から令和5年12月31日までの期間に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて申告を行うことになり、令和5年9月30日以前の期間を含まないことから、2割特例の適用を受けることができます(注2)

(注1)「消費税課税事業者選択届出書」の提出により令和5年10月1日の属する課税期間から課税事業者となった事業者が、同日より前に登録申請書を提出している場合は、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を当該課税期間の末日までに提出することで、令和5年10月1日を含む課税期間に係る申告につき2割特例の適用を受けることができます(その場合、上記と同様、登録日から課税期間の末日までの期間に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて申告を行うことになります。)。

その他、2割特例の適用ができない課税期間についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問115」及び「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問116」をご参照ください。

(注2)令和6年1月1日から課税事業者となる効果が生じますが、令和6年分の申告においても、基準期間である令和4年分の課税売上高が1,000万円以下である場合には、原則として、2割特例の適用を受けることができます。

★リンクはこちら→ 私は、今まで免税事業者であったものの、令和5年に入ってから適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者(課税事業者)となった個人事業者です。当該登録申請書の提出に当たり、「消費税課税事業者選択届出書」も同時に提出したのですが、その提出日によっては令和5年分の確定申告において2割特例が適用できないことがあると聞きました。私のような場合には、令和5年分の申告において2割特例を適用できますか。

2024年4月19日


<多く寄せられるご質問 問⑱>
継続的な役務提供に係る課税仕入れについて、仕入先からは書面での適格請求書は交付されず、取引先が指定したホームページ上の「マイページ」等にログインし、契約ごとに電磁的記録をダウンロードすることとなっています。当社が仕入税額控除を行うには、これらの電磁的記録を毎月ダウンロードして保存する必要があるのでしょうか。なお、この電磁的記録は、7年間いつでもダウンロードして確認することが可能な状態になっています。【インボイス
Q&A問102-2として追加】

売手である適格請求書発行事業者から適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録による提供を受けた場合、仕入税額控除の適用を受けるためには、その電磁的記録を保存する必要があります。

その際、提供を受けた電磁的記録をそのまま保存しようとするときには、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号。以下「電帳法」といいます。)に準じた方法により保存することとされています。

この点、電帳法においては、ECサイト(インターネット上に開設された商品などを販売するウェブサイトをいいます。)で物品を購入したとき、ECサイト上の購入者の購入情報を管理するページ内において、領収書等データをダウンロードすることができる場合に、当該 ECサイト上でその領収書等データの確認が随時可能な状態である場合には、必ずしもその領収書等データをダウンロードして保存していなくても差し支えないこととされています。

こうした取扱いは、当該 EC サイト提供事業者が、物品の購入者において満たすべき真実性の確保及び検索機能の確保の要件を満たしている場合に認められるものであり、また、当該領収書等データは各税法に定められた保存期間が満了するまで確認が随時可能である必要があります(その他、本取扱いに関する詳細は、国税庁ホームページに掲載されている「電子帳簿保存法一問一答」の「お問合せの多いご質問 電取追2」を参考としてください。)。

これは、適格請求書に係る電磁的記録の保存においても同様であり、ご質問のように取引先が指定したホームページ上の「マイページ」等にログインすることで、上記要件を満たした形で適格請求書に係る電磁的記録の確認が随時可能な状態である場合には、必ずしも当該電磁的記録をダウンロードせずとも、その保存があるものとして、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

(参考)
電帳法において、例えば次のような事業者については、検索機能の確保の要件が不要とされています。

(1)税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録の提示等の求めに応じることができるようにしている場合における
①判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円(令和6年1月1日以後にやり取りする電磁的記録の場合は、5,000万円)以下の事業者
②電磁的記録を出力した書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものを提示・提出できるようにしている事業者

⑵税務署長が相当の理由があると認め、かつ、保存義務者が税務調査等の際に、税務職員からの求めに応じ、その電磁的記録及び出力書面の提示等をすることができる場合には、その保存時に満たすべき要件にかかわらず電磁的記録の保存が可能となる措置(猶予措置)の対象となる事業者

そのため、こうした事業者にあっては、取引先のホームページにおいて、検索機能の確保がなされていなかったとしても、適格請求書に係る電磁的記録の確認が随時可能な状態であれば、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

なお、上記⑴②、⑵における電磁的記録を出力した書面としては、必ずしも適格請求書そのものに係る電磁的記録でなくてもよく、当該取引に係る金額や取引年月日等の情報が判別できる資料でも差し支えありません。

★リンクはこちら→ 継続的な役務提供に係る課税仕入れについて、仕入先からは書面での適格請求書は交付されず、取引先が指定したホームページ上の「マイページ」等にログインし、契約ごとに電磁的記録をダウンロードすることとなっています。当社が仕入税額控除を行うには、これらの電磁的記録を毎月ダウンロードして保存する必要があるのでしょうか。なお、この電磁的記録は、7年間いつでもダウンロードして確認することが可能な状態になっています。

2024年4月17日


<多く寄せられるご質問 問⑰>
当社は、役務の提供に当たり、予約サイトを通じて予約や代金の精算を行っています。この際、媒介者交付特例を適用し、予約サイトから購入者に適格請求書を交付してもらっていますが、実際の役務の提供に際し、顧客から当社に対して適格請求書の交付を求められました。この場合、当社は改めて適格請求書を交付しなければならないのでしょうか。【インボイスQ&A問49-2として追加】

適格請求書発行事業者には、課税資産の譲渡等を行った場合、課税事業者からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています。

また、ご質問のように予約サイトを通じて代金の精算等を行う場合、一定の要件を満たしていれば、当該予約サイトの運営者が、媒介者等として、自己の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書を、委託者である貴社に代わって顧客に対し交付することができます(以下「媒介者交付特例」といいます。)。

媒介者交付特例を適用し、媒介者等が適格請求書を交付したのであれば、その時点で適格請求書の交付義務を果たしていますが、ご質問のように、改めて委託者が適格請求書を交付することについて、消費税法上妨げられるものではありませんので、顧客の求めに応じて、適格請求書を交付することもできます。

この場合において、委託者が交付しようとする適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額は、委託者である売手の認識している金額によることとなる点にご留意ください。

なお、仕入税額控除は、行った課税仕入れに対して適用されるものですので、購入者において、一の課税仕入れについて複数枚の適格請求書の保存があったとしても、仕入税額控除の適用は一回となります。

(注)
予約サイトの運営者が適格請求書発行事業者ではないなどの理由により、媒介者交付特例を適用できない場合に、課税事業者である顧客から適格請求書の交付を求められた際は、委託者においては、適格請求書の交付義務が生じることとなります。

(参考)
適格請求書を再交付するに当たり、既に交付した複数枚の適格請求書をまとめて一の適格請求書として再発行する必要がある場合にはそのような対応も可能です。その場合、当該一の適格請求書に記載された全ての課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額の合計額を基礎として再計算した消費税額等が、適格請求書の記載事項としての消費税額等となります。

他方、売手において既に交付した適格請求書の写しを保存しているなど、再発行であることが客観的に明らかである場合には、その記載すべき消費税額等は、既に交付した適格請求書に記載された消費税額等を基に記載することとして差し支えありません。

【イメージ】(記載事項は一部省略しています。)

★リンクはこちら→ 当社は、役務の提供に当たり、予約サイトを通じて予約や代金の精算を行っています。この際、媒介者交付特例を適用し、予約サイトから購入者に適格請求書を交付してもらっていますが、実際の役務の提供に際し、顧客から当社に対して適格請求書の交付を求められました。この場合、当社は改めて適格請求書を交付しなければならないのでしょうか。

2024年4月15日


<多く寄せられるご質問 問⑯>
当社は、他の事業者が経営する食堂を社員食堂として従業員に利用させています。例えば、従業員が1,000円分の喫食を行った場合、当社はその7割(700円)を従業員から徴収し、差額300円を負担する形で食堂を経営する当該他の事業者に対して支払を行っています。適格請求書には、課税資産の譲渡等に係る税込価額として支払を行った全額が記載されているのですが、当社はどのように仕入税額控除を行うことになるのでしょうか。なお、従業員から徴収した代金は預り金として処理しています。【インボイスQ&A問 94-4として追加】

事業者が他の事業者が経営する食堂を社員食堂として従業員に利用させるという契約を当該他の事業者と締結し、その従業員の食事代の全部又は一部を支払っているときは、給与として課税されるかどうかにかかわらず、その金額は課税仕入れに該当し、当該他の事業者から受領した適格請求書及び一定の記載をした帳簿の保存により仕入税額控除を行うことが可能です。

ただし、従業員から一部の代金を徴収し、預り金として処理している場合には、事業者が実際に負担した部分の金額のみが課税仕入れの対象となることから、ご質問の例であれば、喫食に係る代金の全額が記載されている適格請求書を保存していたとしても、貴社は300円を基礎として、仕入税額控除の適用を受けることとなります。

なお、仕入控除税額の計算に当たって、積上げ計算を行う場合、受領した一の適格請求書に記載された課税資産の譲渡等に係る消費税額等のうち、課税仕入れに係る部分の金額として算出した金額に1円未満の端数が生じる場合は、受領した一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要がありますが、その方法については切上げ、切捨て、四捨五入など、任意の方法とすることができます。

【一部を従業員負担にしている場合の適格請求書に係る仕入控除税額の計算例】

★リンクはこちら→ 当社は、他の事業者が経営する食堂を社員食堂として従業員に利用させています。例えば、従業員が1,000円分の喫食を行った場合、当社はその7割(700円)を従業員から徴収し、差額300円を負担する形で食堂を経営する当該他の事業者に対して支払を行っています。適格請求書には、課税資産の譲渡等に係る税込価額として支払を行った全額が記載されているのですが、当社はどのように仕入税額控除を行うことになるのでしょうか。なお、従業員から徴収した代金は預り金として処理しています。

2024年4月12日


<多く寄せられるご質問 問⑮>
当社は、自社で雇用している従業員と同様に、派遣社員や出向社員が出張した際にも、旅費規程に基づき出張旅費を支払っています。当該出張旅費については、派遣元企業や出向元企業を通じて当該社員に支払われることになるのですが、仕入税額控除の要件として派遣元企業や出向元企業から請求書等の交付を受け、これを保存する必要はありますか。また、内定者や採用面接者に対し、内定者説明会会場や面接会場までの交通費等を支給する場合の取扱いはどうなりますか。
【インボイスQ&A問107-3として追加】

従業員等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等(以下「出張旅費等」といいます。)のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するものとして取り扱われ、この金額については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(以下「出張旅費等特例」といいます。)。

1.派遣社員や出向社員に対して支払われる出張旅費等について
派遣社員や出向社員(以下「派遣社員等」といいます。)に対して支払われる出張旅費等については、それぞれ次のとおり取り扱うこととなります。
(1)派遣元企業等に支払うもの
当該出張旅費等が直接的に派遣社員等へ支払われるものではなく、派遣元企業や出向元企業(以下「派遣元企業等」といいます。)に支払われる場合、派遣先企業や出向先企業(以下「派遣先企業等」といいます。)においては、人材派遣等の役務の提供に係る対価として、仕入税額控除に当たり派遣元企業等から受領した適格請求書の保存が必要となります。

(2)派遣元企業等を通じて派遣社員等に支払うもの
派遣元企業等が当該出張旅費等を預かり、そのまま派遣社員等に支払われることが派遣契約や出向契約等において明らかにされている場合には、派遣先企業等において、出張旅費等特例の対象として差し支えありません。この場合、当該出張旅費等に相当する金額について、派遣元企業等においては立替払を行ったものとして課税仕入れには該当せず、仕入税額控除を行うことはできません。

2.内定者や採用面接者に対して支払われる交通費等について
内定者のうち、企業との間で労働契約が成立していると認められる者※に対して支給する交通費等については、通常必要であると認められる部分の金額について出張旅費等特例の対象として差し支えありません。

※労働契約が成立していると認められるか否かは、例えば、企業から採用内定通知を受け、入社誓約書等を提出している等の状況を踏まえて判断されることとなります。

一方、採用面接者は通常、従業員等に該当しませんので、支給する交通費等について、出張旅費等特例の対象にはなりません。

(注1)
出張旅費等特例の対象となる出張旅費等や交通費等(以下「旅費交通費等」といいます。)には、概算払によるもののほか、実費精算されるものも含まれます。
なお、出張旅費等特例の対象とならない場合の派遣社員等、内定者又は採用面接者(以下「派遣社員・内定者等」といいます。)に対して支払われる旅費交通費等については、貴社が当該旅費交通費等を派遣社員・内定者等を通じて公共交通機関(船舶、バス、鉄道又は軌道)に直接支払っているものと同視し得る場合には、3万円未満の支払について、一定の事項を記載した帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められます(以下「公共交通機関特例」といいます。)。

(注2)
海外出張のために支給する出張旅費等については、原則として課税仕入れには該当しません。

(注3)
上記の出張旅費等特例や公共交通機関特例の対象にはならない旅費交通費等について仕入税額控除の適用を受けるには、派遣社員・内定者等が交付を受けた旅費交通費等に係る適格請求書又は適格簡易請求書の提出を受け、それを保存する必要があります(宛名として派遣社員・内定者等の氏名が記載されている場合には、原則として、立替金精算書の保存も必要となります。
詳細は「多く寄せられるお問合せの問⑩」をご参照ください。)。

★リンクはこちら→ 当社は、自社で雇用している従業員と同様に、派遣社員や出向社員が出張した際にも、旅費規程に基づき出張旅費を支払っています。当該出張旅費については、派遣元企業や出向元企業を通じて当該社員に支払われることになるのですが、仕入税額控除の要件として派遣元企業や出向元企業から請求書等の交付を受け、これを保存する必要はありますか。また、内定者や採用面接者に対し、内定者説明会会場や面接会場までの交通費等を支給する場合の取扱いはどうなりますか。

2024年4月10日


<多く寄せられるご質問 問⑭>
当団体は、多数の会員を有する事業者団体です。当団体は、定期的に会員の中から広く参加者を募ってセミナーを開いており、セミナー当日に参加者からその対価を徴収しています。このセミナーについては、適格簡易請求書の交付対象になりますか。なお、参加者は毎回多数に上るため、参加費を徴収する際に「●●会会員様」という宛名を事前に印刷した領収書、あるいは宛名のない領収書を配布しています。

適格請求書発行事業者が、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業を行う場合には、適格請求書に代えて、記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができます。

この適格簡易請求書の交付ができる事業は、小売業や飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業及び駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)の他、「これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」についても対象になりますが、当該事業に該当するかは、個々の事業の性質により判断されます。

「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行うもの」には、その取引に当たり、相手方の氏名等を確認するものであったとしても、相手方を問わず広く一般を対象に資産の譲渡等を行う、ホテル・旅館等の宿泊サービスや航空サービス、レンタカー事業なども含まれます。

他方、通常の事業者間取引や、消費者を含めた多数の者に対して行う取引であったとしても、その相手方を一意に特定したうえで契約を行い、その契約に係る取引の内容に応じて個々に課税資産の譲渡等を行うようなもの(電気・ガス・水道水の供給、電話料金など)は、一般的には、適格簡易請求書の交付ができる事業には当たりません。

ご質問のセミナーについては、その参加者が貴団体の会員に限られ、一定の対象者に対して取引を行うものではありますが、相手方を一意に特定したうえで開催されるものではなく、また、対象者も多数に上るものであることから、適格簡易請求書の交付を行う事業に該当することとなります。

これにより、領収書に「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載は不要となりますので、あらかじめ「●●会会員様」との宛名を印刷した領収書を適格簡易請求書として交付することも認められます。

また、仮に宛名として会員名を記載した場合であっても、適格簡易請求書であることには変わりはないため、消費税額等又は適用税率のいずれかの記載があれば問題ないことになります。

★リンクはこちら→ 当団体は、多数の会員を有する事業者団体です。当団体は、定期的に会員の中から広く参加者を募ってセミナーを開いており、セミナー当日に参加者からその対価を徴収しています。このセミナーについては、適格簡易請求書の交付対象になりますか。なお、参加者は毎回多数に上るため、参加費を徴収する際に「●●会会員様」という宛名を事前に印刷した領収書、あるいは宛名のない領収書を配布しています。

2024年4月8日


<多く寄せられるご質問 問⑬
当社は、ハンドメイド作家が作成した雑貨を仕入れ、小売店に販売する事業を営んでいる個人事業者です。これまで免税事業者でしたが、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者となり、令和5年分について初めて消費税の確定申告を行います。このような場合、消費税の納付税額を軽減できる2割特例や、簡易課税制度も適用できると思いますが、どのような方法により消費税の申告を行えばよいのでしょうか。

消費税の申告方法は、仕入控除税額について実額で計算する「一般課税」、業種ごとに決められたみなし仕入率を適用し仕入控除税額を計算する「簡易課税制度」、そして、適格請求書等保存方式を機に免税事業者から適格請求書発行事業者となった方を対象に、売上税額の2割を納税額として計算する「2割特例」による方法があります。

貴社の行っている事業は、「卸売業」に該当し、簡易課税制度を適用して申告する場合、90%のみなし仕入率が適用されることになりますので、2割特例を適用するよりも、消費税の納付金額が少なくなると考えられます。

2割特例については、適用を受ける旨を確定申告書に付記することで適用できますが、簡易課税制度は、原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります(その課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下である場合に限ります。)。

しかし、免税事業者が登録日から課税事業者となる経過措置の適用を受ける場合には、その登録日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した届出書をその課税期間中に提出すれば、その課税期間から、簡易課税制度の適用を受けることができることとされています。

したがって、ご質問のような前提のもと、令和5年分の申告について簡易課税制度の適用を選択する場合には、課税期間の末日(令和5年12月31日)まで(注)に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

なお、多額の設備投資などがあり、課税仕入れ等に係る消費税額が課税売上げに係る消費税額を上回る場合、一般課税であれば還付税額が生じますが、簡易課税制度や2割特例を適用している場合には、通常、還付税額が生じることはありませんので、その点も踏まえ申告方法をご検討ください。

(注)
課税期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日、土曜日又は12月29日、同月30日若しくは同月31日であったとしても、これらの日の翌日とはなりませんのでご留意ください。

(参考)
2割特例についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問114」をご参照ください。

また、免税事業者が登録日から課税事業者となる経過措置についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問7」を、簡易課税制度を選択する場合の手続等についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問9」をご参照ください。

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2024年2月21日


<多く寄せられるご質問 問⑫
当社は、取引先に書類を送付し、その控えを返信用封筒で当社に送り返してもらうこととしています。この際、封筒に同封する返信用封筒に郵便切手をあらかじめ貼付していますが、この郵便切手により返送を受けるという引換給付についても仕入税額控除を行ってよいでしょうか。

郵便切手類は、購入時においては原則として、課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時にその引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなります。

適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として適格請求書等の保存が必要となりますが、郵便切手類のみを対価とする郵便ポスト等への投函による郵便サービスは、適格請求書の交付義務が免除されており、買手においては、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができます。

この点、ご質問のように、返信用封筒に貼付された郵便切手類(自らが購入した郵便切手類)により返送を受けるのであれば、郵便切手類のみを対価とする郵便ポスト等への投函による郵便サービスを受けたものとして、帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。

(注)
この場合、当該郵便切手類の購入時に仕入税額控除を行うことも可能ですが、その後、返送を受けないことが明らかとなった際には、その明らかとなった課税期間において、仕入控除税額を調整することとして差し支えありません。

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2024年2月19日


<多く寄せられるご質問 問⑪>
当社は、事業に必要な消耗品等を従業員が自ら購入し、その際受領した適格簡易請求書と引き換えに、当該消耗品費を支払っています。この場合、当該適格簡易請求書の宛名には「従業員名」が記載されているのですが、これをそのまま保存することで、当社は仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するものとして取り扱われ、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

この社員に対する支給には、概算払いによるもののほか、実費精算されるものも含まれますので、実費精算に係るものであっても、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができます。

(注)
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる「その旅行に通常必要であると認められる部分」については、所得税基本通達9-3に基づき判定しますので、所得税が非課税となる範囲内で、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることになります。詳しくは、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問107」をご参照ください。

(参考)
実費精算が貴社により用務先へ直接対価を支払っているものと同視し得る場合には、通常必要と認められる範囲か否かにかかわらず、他の課税仕入れと同様、一定の事項を記載した帳簿及び社員の方から徴求した適格請求書等の保存により仕入税額控除を行うこととなります。

その際、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送など、一定の課税仕入れに当たるのであれば、当該帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

詳しくは、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問104」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、事業に必要な消耗品等を従業員が自ら購入し、その際受領した適格簡易請求書と引き換えに、当該消耗品費を支払っています。この場合、当該適格簡易請求書の宛名には「従業員名」が記載されているのですが、これをそのまま保存することで、当社は仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

2024年2月15日


<多く寄せられるご質問 問⑩>
当社は、事業に必要な消耗品等を従業員が自ら購入し、その際受領した適格簡易請求書と引き換えに、当該消耗品費を支払っています。この場合、当該適格簡易請求書の宛名には「従業員名」が記載されているのですが、これをそのまま保存することで、当社は仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

従業員が事業に必要なものとして購入した消耗品等の代金を貴社が負担する場合には、それは貴社が負担すべき費用を従業員から立替払いを受けたことになります。

原則として、本来宛名の記載を求められない適格簡易請求書であったとしても、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称として仕入税額控除を行う事業者以外の者の氏名又は名称が記載されている場合には、当該適格簡易請求書をそのまま受領し保存したとしても、これをもって、仕入税額控除を行うことはできません。

しかしながら、当該従業員が貴社に所属していることが明らかとなる名簿や当該名簿の記載事項に係る電磁的記録(以下「従業員名簿等」といいます。)の保存が併せて行われているのであれば、宛名に従業員名が記載された適格簡易請求書と、当該従業員名簿等の保存をもって、貴社は当該消耗品費に係る請求書等の保存要件を満たすこととして、仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。

なお、従業員名簿等がなく、立替払を行う者である従業員を特定できない場合には、宛名に従業員名が記載された適格簡易請求書と、従業員が作成した立替金精算書の交付を受け、その保存が必要となります(詳しくは、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問94」をご参照ください。)。

★リンクはこちら→ 当社は、事業に必要な消耗品等を従業員が自ら購入し、その際受領した適格簡易請求書と引き換えに、当該消耗品費を支払っています。この場合、当該適格簡易請求書の宛名には「従業員名」が記載されているのですが、これをそのまま保存することで、当社は仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

2024年2月13日


<多く寄せられるご質問 問⑨>
当社は、複数の事業所がある顧客との間では、その事業所ごとに契約を締結し、その代金を毎月まとめて顧客に請求しています。この代金請求に関しては、従来、毎月の請求額と消費税相当額の合計を記載した請求書に、その内訳として契約ごとの本体価格と消費税相当額(端数処理済)を記載したものを送付する方法で行ってきました。適格請求書等保存方式の開始により、消費税の端数処理については「一の適格請求書につき、税率ごとに1回」とされたことを踏まえ、一カ月分をまとめて請求するのではなく、個々の契約ごとに適格請求書を作成・交付する方法に変更しましたが、交付した適格請求書の写しとして保存すべき量が多量となることや顧客の利便性も勘案し、複数の契約に係る料金を1カ月分まとめて一の適格請求書で請求する方法に改めることを検討していますが、問題ないでしょうか。また、その際に気を付けるべき点としてはどういったことがあるでしょうか。

適格請求書に記載する消費税額等は、適格請求書に記載した税率ごとに合計した課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額に、一定の割合(税抜価額の場合100分の10(又は100分の8)、税込価額の場合110分の10(又は108分の8))を乗じて算出し、その算出した消費税額等に1円未満の端数が生じた場合にその端数を処理するため、適格請求書に記載する消費税額等の端数処理は一の適格請求書につき、税率ごとに1回行うこととなります。

ご質問のように、事業所ごとに締結した契約に基づき課税資産の譲渡等を行っているとしても、その課税資産の譲渡等に係る対価の額を請求書内で合計し、適格請求書の記載事項(課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額)とすることは何ら問題ありません。

また、ご質問の場合の適格請求書の記載例としては、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問66」にあるとおり、例えば、以下のように課税資産の譲渡等の税込価額を合計し、その合計金額から算出した消費税額等を記載することにより、適格請求書の記載事項である消費税額等とすることができます。

なお、契約ごとに算出した消費税額等を参考として記載することは問題ありませんが、法令で求められる適格請求書の記載事項としての消費税額等にはなりませんのでご留意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、複数の事業所がある顧客との間では、その事業所ごとに契約を締結し、その代金を毎月まとめて顧客に請求しています。この代金請求に関しては、従来、毎月の請求額と消費税相当額の合計を記載した請求書に、その内訳として契約ごとの本体価格と消費税相当額(端数処理済)を記載したものを送付する方法で行ってきました。適格請求書等保存方式の開始により、消費税の端数処理については「一の適格請求書につき、税率ごとに1回」とされたことを踏まえ、一カ月分をまとめて請求するのではなく、個々の契約ごとに適格請求書を作成・交付する方法に変更しましたが、交付した適格請求書の写しとして保存すべき量が多量となることや顧客の利便性も勘案し、複数の契約に係る料金を1カ月分まとめて一の適格請求書で請求する方法に改めることを検討していますが、問題ないでしょうか。また、その際に気を付けるべき点としてはどういったことがあるでしょうか。

2024年2月6日


<多く寄せられるご質問 問⑧>
当社は飲食料品を販売しており、取引は全て軽減税率(8%)対象となります。銀行振込みで代金請求するに当たり、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額を請求金額から差し引いて支払うこととしています(代金請求の際に既に適格請求書を交付しています)。売手である当社としては、売上げに係る対価の返還等として経理処理することとしていますが、この場合、当社は適格返還請求書を交付する必要があるのでしょうか。

売手が負担する振込手数料相当額に係る経理処理について、当該振込手数料相当額を売上げに係る対価の返還等として処理する場合、原則として、買手に対して適格返還請求書を交付する必要がありますが、一般的には、こうした振込手数料相当額は1万円未満となると考えられますので、その場合は適格返還請求書の交付義務が免除されることとなります。

そのため、取引の相手方から適格返還請求書の交付を求められたとしても、交付する義務はありません。

なお、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従うこととなります。そのため、軽減税率(8%)対象の課税資産の譲渡等を対象とした振込手数料相当額の売上値引きには、軽減税率(8%)が適用されます。

<参考>
売手が負担する振込手数料相当額の取扱いについての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問29」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は飲食料品を販売しており、取引は全て軽減税率(8%)対象となります。銀行振込みで代金請求するに当たり、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額を請求金額から差し引いて支払うこととしています(代金請求の際に既に適格請求書を交付しています)。売手である当社としては、売上げに係る対価の返還等として経理処理することとしていますが、この場合、当社は適格返還請求書を交付する必要があるのでしょうか。

2024年1月22日


<多く寄せられるご質問 問⑦>
当社は、仕入先が多数あり、登録番号の記載のない請求書の交付を受けることも多くあります。この場合、適格請求書発行事業者から交付を受けた登録番号の記載のない請求書等を含め、登録番号の記載のない請求書等については、一律に、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けてもよいでしょうか。

適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れであっても、適格請求書等保存方式開始から一定期期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

ただし、当該経過措置の適用は、取引の相手方が適格請求書発行事業者以外の者である場合に限りませんので、例えば適格請求書発行事業者から交付を受けた登録番号のない請求書等を含め、区分記載請求書等の記載事項を満たしたものの保存がある場合には、一律に、当該経過措置の適用を受けることとなります。

★リンクはこちら→ 当社は、仕入先が多数あり、登録番号の記載のない請求書の交付を受けることも多くあります。この場合、適格請求書発行事業者から交付を受けた登録番号の記載のない請求書等を含め、登録番号の記載のない請求書等については、一律に、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けてもよいでしょうか。

2024年1月19日


<多く寄せられるご質問 問⑥>
取引先から受領した適格請求書の記載事項に誤りがありました。この場合、取引先から修正した適格請求書の交付を受けなければならないと思いますが、例えば、取引先に電話等で修正事項を伝え、取引先が保存している適格請求書の写しに同様の修正を行ってもらえば、自ら修正を行った適格請求書の保存で仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

売手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書(電磁的記録により提供を行ったものも含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、買手である課税事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければならないこととされており、買手においては、追記や修正を行うことは認められていません。

ただし、買手が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者に確認を求めることも認められます。

この際、例えば、相互に関連する複数の書類により、仕入明細書等を作成することも可能であることから、受領した適格請求書と関連性を明確にした別の書類として修正した事項を明示したものを作成し、当該修正事項について売手の確認を受けたものを保存することも認められます。

したがって、ご質問のように、受領した適格請求書に買手が自ら修正を加えたものであったとしても、その修正した事項について売手に確認を受けることで、その書類は適格請求書であるのと同時に修正した事項を明示した仕入明細書等にも該当することから、当該書類を保存することで、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

なお、これらの対応を行った場合でも、売手において当初交付した適格請求書の写しを保存しなければなりません。

また、売手において、売上税額の積上げ計算を行う場合には、これらの対応により確認を行った仕入明細書等を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存する必要があります。

(参考)
仕入明細書等による適格請求書等の誤りの修正についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問32」を、修正した適格請求書の交付方法の詳細については「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問33」を、適格請求書と仕入明細書等を一の書類で交付することの詳細については、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問91」を、仕入明細書を受領した場合における売上税額の積上げ計算の詳細については「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問121」をそれぞれご参照ください。

★リンクはこちら→ 取引先から受領した適格請求書の記載事項に誤りがありました。この場合、取引先から修正した適格請求書の交付を受けなければならないと思いますが、例えば、取引先に電話等で修正事項を伝え、取引先が保存している適格請求書の写しに同様の修正を行ってもらえば、自ら修正を行った適格請求書の保存で仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

2024年1月17日


<多く寄せられるご質問 問⑤>
当社の取引先に適格請求書発行事業者以外の方がいるのですが、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置を受けるためには、どのような請求書や電磁的記録を保存すればよいのでしょうか。また、受け取った請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」等の記載がなかった場合、当社で追記することはできるのでしょうか。

適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れであっても、適格請求書等保存方式開始から一定期期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

ご質問のように、この経過措置の適用を受けるためには、例えば、「80%控除対象」、「免税」など、当該経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載をした帳簿及び、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等(区分記載請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)の保存が必要となります。

この請求書等の記載事項について、具体的には次の事項となります。

書類の作成者の氏名又は名称
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

ご質問の③かっこ書きの「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び④の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」については、受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められます。

なお、提供された請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面に追記して保存している場合も同様に認められます。

★リンクはこちら→ 当社の取引先に適格請求書発行事業者以外の方がいるのですが、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置を受けるためには、どのような請求書や電磁的記録を保存すればよいのでしょうか。また、受け取った請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」等の記載がなかった場合、当社で追記することはできるのでしょうか。

2024年1月15日


<多く寄せられるご質問 問④>
私は、免税事業者である個人事業者です。適格請求書等保存方式においては適格請求書発行事業者しか適格請求書を交付できないとのことですが、免税事業者はこれまで出していたような請求書や領収書等を交付することはできないのでしょうか。

適格請求書等保存方式において、適格請求書を交付することができるのは適格請求書発行事業者に限られます。

他方、適格請求書発行事業者以外の者であっても、適格請求書に該当しない(適格請求書の記載事項を満たさない)請求書や領収書等の交付や、それらに記載すべき事項に係る電磁的記録の提供を行うことは、これまでと同様に可能です(注1)

ただし、適格請求書発行事業者以外の者が、適格請求書発行事業者が作成した適格請求書又は適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類(注2)を交付することや、当該書類の記載事項に係る電磁的記録を提供することは禁止されており、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の適用対象となります。

なお、免税事業者が請求書等に消費税相当額を記載したとしても、それが適格請求書等と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の適用対象となるものではありません。

また、免税事業者であっても、仕入れの際に負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは適正な転嫁として、何ら問題はありません。

(注1)
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、仕入税額相当額の一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられていますが、当該経過措置の適用を受けるためには、区分記載請求書の記載事項を満たした書類等の保存が求められていますので、取引の相手方からそうした書類等の作成・交付を求められることも考えられます。

なお、保存されている書類が消費税法上の適格請求書か区分記載請求書であるかは、所得税・法人税の必要経費性・損金性に影響を与えるものではありません。

(注2)
適格請求書又は適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類とは、例えば、登録番号(T+13桁の数字)と類似した英数字や、自身のものではない登録番号を、自らの「登録番号」として記載した書類などをいいます。

(参考)
免税事業者等からの仕入れに係る経過措置についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問113」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 私は、免税事業者である個人事業者です。適格請求書等保存方式においては適格請求書発行事業者しか適格請求書を交付できないとのことですが、免税事業者はこれまで出していたような請求書や領収書等を交付することはできないのでしょうか。

2024年1月12日


<多く寄せられるご質問 問③>
当社は旅館を経営しており、企業に懇親会でご利用いただくこともあります。領収書の発行を求められたときには手書きで領収書を作成し、交付してきました。これを適格請求書等とするためには、宛名や税率ごとの対象金額・消費税額を明記して交付しなければならないのでしょうか。また、温泉に入浴した顧客から受け取る対価には入湯税など課税対象外のものも含まれていますが、どのように記載したらよいでしょうか。

適格請求書等保存方式においては、適格請求書発行事業者が、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業を行う場合には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することが可能です。

適格簡易請求書の具体的な記載事項は以下のとおりとされており、下記記載例のとおり、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要であり、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りることとなります。

また、適格請求書や適格簡易請求書のいずれについても、手書きの領収書等により交付することが可能であり、課税資産の譲渡等に係る「税込価額」が記載されていれば、「税抜価額」を記載する必要はありません。

【適格簡易請求書の記載事項】
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率

(参考)
適格簡易請求書の詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問 58」を、手書きの領収書の詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問 26」ご参照ください。

また、課税対象外の取引について適格請求書等の交付義務はありませんが、適格請求書等に併せて記載することも可能です。

その場合には、受け取った対価のうち課税対象外のものを除いた税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額を内訳欄に記載してください。

例えば、旅館に宿泊した顧客から宿泊料 16,500 円の他 150 円を入湯税として受け取った場合には、領収金額は実際に受け取った 16,650 円を記載しつつ、但書きに「入湯税」を追加するとともに、左下の金額(税抜・税込)欄に課税資産の譲渡等(宿泊費)に係る税込価額 16,500 円を記載してください。

★リンクはこちら→ 当社は旅館を経営しており、企業に懇親会でご利用いただくこともあります。領収書の発行を求められたときには手書きで領収書を作成し、交付してきました。これを適格請求書等とするためには、宛名や税率ごとの対象金額・消費税額を明記して交付しなければならないのでしょうか。また、温泉に入浴した顧客から受け取る対価には入湯税など課税対象外のものも含まれていますが、どのように記載したらよいでしょうか。

2024年1月10日


<多く寄せられるご質問 問②>
屋号が記載されたレシート(適格簡易請求書)の交付を受けました。当該レシートに記載された登録番号に基づき、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」にて検索した結果、事業者の氏名又は名称のみが表示され、屋号は表示されませんでした。このような場合、当社は仕入税額控除の適用を受けてよいのでしょうか。

【答】
適格請求書等に記載する氏名・名称については、電話番号等により適格請求書を交付する事業者を特定することができれば、屋号や省略した名称などの記載で差し支えないこととされています(詳細は「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問 55」をご参照ください。)。
したがって、その氏名・名称の代わりに屋号が記載された適格請求書等を受領した事業者においては、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で当該適格請求書等に記載された登録番号を基にして検索したとしても、その結果として表示された事業者が当該適格請求書等に記載された屋号の事業者と同一であるか明らかとならないことも考えられます。
この点、本サイトは、取引先から受領した請求書等に記載されている登録番号が取引時点において有効なものかを確認するために利用されるものであるため、その登録番号の有効性が確認できれば、一義的には有効な適格請求書等として取り扱うこととして差し支えありません(注)。
(注) 売手が適格請求書発行事業者以外の者であるにもかかわらず、自らの登録番号と誤認されるような英数字が記載されているような場合には、当該請求書等は適格請求書等に該当しないこととなりますが、適格請求書発行事業者以外の者がそうした適格請求書又は適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類を交付することや、適格請求書発行事業者が偽りの記載をした適格請求書又は適格簡易請求書を交付すること、それらの書類の記載事項に係る電磁的記録を提供することは禁止されており、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の適用対象となります。
また、そうした書類や電磁的記録を受領した事業者において、災害その他やむを得ない事情により、請求書等の保存をすることができなかったことを証明した場合には、帳簿や請求書等の保存がなくとも仕入税額控除の適用を受けることが可能です。

(参考)適格請求書を発行する事業者における対応例
国税庁適格請求書発行事業者公表サイトの検索結果として表示される事業者名とレシートに表記した屋号等が異なる場合、売手である適格請求書発行事業者において、顧客から問合せを受けることも考えられます。

こうした問合せに対する対応としては、例えば、個人事業者については、申出により「主たる屋号」を公表することが考えられます。

また、法人については「主たる屋号」の公表ができる仕組みとはなっていませんが、例えば、レシートに、屋号に加えて「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」に掲載されている運営会社等の名称を併記することや、店頭に「公表サイトには運営会社等の名称(○○(株))が表示される」旨を掲示する等の方法によることもご検討ください。

【適格簡易請求書に運営会社名を表示した場合の例】

★リンクはこちら→ 屋号が記載されたレシート(適格簡易請求書)の交付を受けました。当該レシートに記載された登録番号に基づき、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」にて検索した結果、事業者の氏名又は名称のみが表示され、屋号は表示されませんでした。このような場合、当社は仕入税額控除の適用を受けてよいのでしょうか。

2024年1月9日


<多く寄せられるご質問 問①>
私は先日、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しましたが、まだ登録通知を受けていません。登録申請の処理状況を確認したい場合は、どうしたらよいでしょうか。また、自分の登録番号が記載されている通知書を紛失してしまった場合、どうすればよいでしょうか。

【答】
1.登録申請の処理状況の確認方法
登録申請書については、一時期に大量の登録申請書が提出された場合や、登録申請書に記載誤り等がある場合、内容の確認が必要になるなど、インボイス登録センターでの処理に一定の期間を要することとなります。

現時点における登録申請書を提出してから登録通知までに要する期間は、「インボイス制度特設サイト」の「適格請求書発行事業者の登録件数及び登録通知時期の目安について」に掲載しています。

まずはこの登録通知時期の目安をご確認いただき、当該目安を超えていた場合は、各国税局(所)インボイス登録センターへお問合せください。

2.ご自身の登録番号がわからなくなった場合の確認方法
既に登録を受けている事業者の方が自身の登録番号を確認したい場合には、各国税局(所)インボイス登録センターの案内ページに記載の問合せ先にお問合せください。

(注)
1.法人番号を有する法人の登録番号は「T+13 桁の法人番号」となります。
法人番号については、「国税庁法人番号公表サイト」で検索できます。

2.登録通知を e-Tax(電子データ)で受領することを希望された場合、e-Tax(電子データ)で確認ができます。
具体的な確認手順は、「インボイス制度特設サイト」の「申請手続」にある「登録通知データ確認マニュアル」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 私は先日、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しましたが、まだ登録通知を受けていません。登録申請の処理状況を確認したい場合は、どうしたらよいでしょうか。また、自分の登録番号が記載されている通知書を紛失してしまった場合、どうすればよいでしょうか。

2024年1月5日


<インボイス制度に関するQ&A 問130
適格請求書等保存方式開始後6年間は、免税事業者等からの課税仕入れについても一定割合の仕入税額控除の適用を受けられるとのことですが、その場合の仕入税額控除の具体的な計算方法を教えてください。【令和4年4月追加】【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式の下では、原則、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、仕入税額控除を行うことはできませんが、制度開始後6年間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

本経過措置の適用を受けるために必要な要件については、問 113《免税事業者等からの仕入れに係る経過措置》をご参照ください。

本経過措置を適用する場合に仕入税額とみなす金額の具体的な計算方法は、次のとおりとなります。
1.仕入税額について「積上げ計算」を適用している場合
本経過措置の適用を受ける場合においても「積上げ計算」により計算する必要があります。

本経過措置の適用を受ける課税仕入れの都度、その課税仕入れに係る支払対価の額に 110分の7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の6.24)を乗じて算出した金額に100分の80(注)を乗じて算出します(その金額に1円未満の端数が生じたときは、その端数を切捨て又は四捨五入します。)(改正令附則 22①一、23①一)。

なお、本経過措置の適用を受ける課税仕入れを区分して管理し、課税期間の中途や期末において、当該区分した課税仕入れごとに上記の計算を行うこととしても差し支えありません。

また、税抜経理を採用している場合、課税仕入れの都度、経過措置対象分(消費税額等相当額の100分の80(注))の仮払消費税額等を算出し端数処理(その金額に1円未満の端数が生じたときは、その端数を切捨て又は四捨五入します。)を行っていれば、その金額の合計額に100分の78を乗じて算出した金額(切捨て)を本経過措置の適用を受けた課税仕入れに係る消費税額としても差し支えありません


税抜経理を採用し、積上げ計算を行っている場合における適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る経過措置を適用する場合の税額計算(標準税率適用時の場合)

2.仕入税額について「割戻し計算」を適用している場合
本経過措置の適用を受ける場合においても「割戻し計算」により計算する必要があります。

課税期間中に行った本経過措置の適用を受ける課税仕入れに係る支払対価の額の合計金額に 110 分の 7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の 6.24)を乗じて算出した金額に100分の80(注)を乗じて算出します(改正令附則22①二、23①二)。

(注)
経過措置を適用できる期間に応じた割合は、以下のとおりとなります。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式開始後6年間は、免税事業者等からの課税仕入れについても一定割合の仕入税額控除の適用を受けられるとのことですが、その場合の仕入税額控除の具体的な計算方法を教えてください。【令和4年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問129
当社は、3月決算の法人です。取引先から、3月21日から4月20日までの期間をまとめた消費税額が記載されている適格請求書の交付を受けたのですが、これを基に仕入税額について積上げ計算することができますか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

仕入税額の積上げ計算については、交付された適格請求書などの請求書等に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて算出します(請求書等積上げ計算)(消法30①、消令46①)。

ご質問のような適格請求書の交付を受けた場合、当課税期間(3月21日から3月31日まで)の消費税額等と翌課税期間(4月1日から4月20日まで)の消費税額等が合計して記載されていることになるため、これを基に仕入税額の請求書等積上げ計算をする場合は、当課税期間に係る消費税額と翌課税期間に係る消費税額について、それぞれの期間の取引に係る消費税額を算出し、それぞれの期間が含まれる課税期間においてそれぞれ積上げ計算をする必要があります。

また、仕入税額の積上げ計算は、課税仕入れの都度、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出した金額(1円未満の端数が生じたときは、端数を切捨て又は四捨五入します。)を仮払消費税額等などとし、帳簿に記載(計上)している場合は、その金額の合計額に100分の78を掛けて算出する方法も認められます(帳簿積上げ計算)(消令46②)。

このため、ご質問の適格請求書について、当課税期間に行った課税仕入れにつき、帳簿積上げ計算することもできます。

(参考)
仕入税額の計算に当たり、請求書等積上げ計算と帳簿積上げ計算を併用することも認められますが、これらの方法と割戻し計算を併用することは認められません(基通11-1-9)。

(注)
法人税基本通達2-6-1により決算締切日を継続して3月20日としているような場合、消費税の課税仕入れの時期についても、同様とすることが認められています(基通11-3-1)。

このように決算締切日により、法人税及び消費税の申告をしている場合には、仕入税額の積上げ計算のための課税期間ごとの区分の対応は不要です。

【参考】
○法人税基本通達2-6-1(決算締切日)
法人が、商慣習その他相当の理由により、各事業年度に係る収入及び支出の計算の基礎となる決算締切日を継続してその事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合には、これを認める。
(注) (省略)

★リンクはこちら→ 仕入税額の計算について、適格請求書に記載のある消費税額等に基づいて積上げ計算する場合、消費税額等の記載がない適格簡易請求書の交付を受けたときは、どのように計算すればよいですか。【令和5年10月改訂】

2023年11月24日


<インボイス制度に関するQ&A 問128
仕入税額の計算について、適格請求書に記載のある消費税額等に基づいて積上げ計算する場合、消費税額等の記載がない適格簡易請求書の交付を受けたときは、どのように計算すればよいですか。【令和5年10月改訂】

適格請求書又は適格簡易請求書に記載された消費税額等を基礎として、仕入税額を積み上げて計算する場合には、次の区分に応じた金額を基として仕入税額を計算することとなります(消令46①)。

交付を受けた適格請求書(電磁的記録により提供されたものも含みます。)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額
交付を受けた適格簡易請求書(電磁的記録により提供されたものも含みます。)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額
(適格簡易請求書に適用税率のみの記載があり、消費税額等が記載されていない場合は、適格請求書に消費税額等を記載する際の計算方法と同様の方法により計算した金額のうち課税仕入れに係る部分の金額)
作成した仕入明細書(電磁的記録により作成したものも含みます。)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額
卸売市場において、委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の譲渡及び農業協同組合等が委託を受けて行う農林水産物の譲渡について、受託者から交付を受けた書類(電磁的記録により提供されたものも含みます。)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額
公共交通機関特例など、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるものについては、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を掛けて算出した金額(1円未満の端数が生じたときは、端数を切捨て又は四捨五入します。)

したがって、ご質問の場合は、上記②の場合ですので、適格簡易請求書に記載された対価の額が、税込金額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を掛けて消費税額等を算出し、その金額を基礎として、仕入税額の積上げ計算を行います。

(注)
一定規模以下の事業者の事務負担の軽減措置(少額特例)により、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができる課税仕入れについては、⑤の場合と同様の計算となります(改正令附則24の2②)。

少額特例については、問 111《一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 仕入税額の計算について、適格請求書に記載のある消費税額等に基づいて積上げ計算する場合、消費税額等の記載がない適格簡易請求書の交付を受けたときは、どのように計算すればよいですか。【令和5年10月改訂】

2023年11月22日


<インボイス制度に関するQ&A 問127
当社は、一部の取引について米ドル建てにより仕入れを行っており、当該取引に係る法人税の処理については、取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っており、消費税の処理についても同様としております。このような場合に、適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、どのようになりますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

外貨建取引の場合における仕入税額の計算方法の留意点は以下のとおりです。

なお、適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、問126≪仕入税額の計算方法≫をご参照ください。
1 積上げ計算
(1)請求書等積上げ計算の場合(消法30①、消令46①)
取引先から交付を受けた適格請求書などの請求書等を基礎として計算することとなりますので、外貨建取引に係る適格請求書等を取引先から交付を受けた場合、当該適格請求書等に記載された「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を基礎として計算することとなります。

外貨建取引に係る適格請求書の記載事項については、問68≪外貨建取引における適格請求書の記載事項≫をご参照ください。

この場合において、当該適格請求書等に記載された消費税額等が貴社の円換算の方法と異なるところにより算出されていたものであったとしても、問題ありません(当該適格請求書等に記載された「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を基礎として計算することとなります。)。

(2)帳簿積上げ計算の場合(消令46②)
課税仕入れに係る支払対価の額から帳簿に記載(計上)する仮払消費税額等を算出することとなるため、外貨建取引の場合、以下のいずれかの計算方法により、仮払消費税額等を算出することとなります。

なお、税抜経理により記帳している事業者については、現在行っている外貨建取引に係る記帳方法と異なるものではありませんが、仮払消費税額等を算出する際の端数処理は、切捨て又は四捨五入となりますのでご留意ください。
①課税仕入れに係る支払対価の額(外貨税込)を円換算後、仮払消費税額等を算出する方法

②課税仕入れに係る支払対価の額(外貨税込)から計算過程の仮払消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法

2 割戻し計算(消法30①、消令46③)
割戻し計算により行う場合、課税期間中の課税仕入れに係る支払対価の額を税率ごとに合計した金額を基礎として仕入税額を算出することから、外貨建取引の場合、帳簿に記載された円換算後の課税仕入れに係る支払対価の額を基礎として行うこととなります。

なお、仕入税額を割戻し計算することができるのは、売上税額を割戻し計算する場合に限ります。

★リンクはこちら→ 当社は、一部の取引について米ドル建てにより仕入れを行っており、当該取引に係る法人税の処理については、取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っており、消費税の処理についても同様としております。このような場合に、適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、どのようになりますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問126
適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、次のとおりです。

1.積上げ計算
原則として、交付された適格請求書などの請求書等に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて算出します(請求書等積上げ計算)(消法30①、消令46①)。

また、これ以外の方法として、課税仕入れの都度(注1)、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出した金額(1円未満の端数が生じたときは、端数を切捨て又は四捨五入します。)を仮払消費税額等(注2)などとし、帳簿に記載(計上)している場合は、その金額の合計額に100分の78を掛けて算出する方法も認められます(帳簿積上げ計算)(消令46②)。

なお、仕入税額の計算に当たり、請求書等積上げ計算と帳簿積上げ計算を併用することも認められますが、これらの方法と割戻し計算(下記「2」参照)を併用することは認められません(基通11-1-9)。

(注)1
例えば、課税仕入れに係る適格請求書の交付を受けた際に、当該適格請求書を単位として帳簿に仮払消費税額等として計上している場合のほか、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて交付を受けた適格請求書を単位として帳簿に仮払消費税額等として計上している場合が含まれます(基通11-1-10)。

なお、帳簿積上げ計算において計上する仮払消費税額等については、受領した適格請求書ではない納品書又は請求書を単位として計上することや継続的に買手の支払基準といった合理的な基準による単位により計上することでも差し支えありません。

(注)2
課税仕入れに係る支払対価の額には消費税額等を含みますので、帳簿に記載する仮払消費税額等は、一般的に、適格請求書等の請求書等に記載された課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出するものと考えられますが、例えば、課税仕入れに係る税抜対価の額が記載された納品書を基礎として帳簿に仮払消費税額等を記載する場合において、当該税抜対価の額に100分の10(軽減税率の対象となる場合は100分の8)を乗じて算出する方法も認められます。

2.割戻し計算
課税期間中の課税仕入れに係る支払対価の額を税率ごとに合計した金額に110分の7.8(軽減税率の対象となる部分については108分の6.24)を掛けて算出することができます(消法30①、消令46③)。

ただし、仕入税額を割戻し計算することができるのは、売上税額を割戻し計算する場合に限ります。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年11月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問125
当社は、3月決算の法人で、売上げの請求書については、毎月20日締めとしています。3月21日から4月20日までの期間に係る適格請求書には、同期間に係る消費税額を記載しているのですが、これを基に売上税額について、積上げ計算することができますか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

売上税額の計算については、交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写し(電磁的記録により提供したものを含みます。)を保存している場合に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を乗じて計算した金額とすることができます(積上げ計算)(消法45⑤、消令62)。

ご質問のような適格請求書を交付した場合、翌課税期間(4月1日から4月20日まで)の消費税額も合計して記載されていることになるため、これを基に売上税額の積上げ計算をすることはできません。

なお、売上税額の計算は、割戻し計算と積上げ計算を併用することが認められています。

したがって、ご質問のような期間(3月21日から3月31日まで(期末を含む請求書の期間)及び4月1日から4月20日まで(期首を含む請求書の期間))の取引については割戻し計算とし、それ以外の期間(4月21日から翌年3月20日)の取引については積上げ計算とすることも可能です。

また、課税期間をまたぐ期間(3月21日から3月31日及び4月1日から4月20日)に係る取引をまとめて一の適格請求書とする場合、当該適格請求書において、課税期間の範囲に応じて適格請求書の記載事項をそれぞれ区分して記載していれば、その課税期間で区分した税率ごとに合計した課税資産の譲渡等に係る税込対価(税抜対価)の額から算出した消費税額等を当該適格請求書に係る消費税額等としても差し支えありません。

一方で、課税期間をまたがない期間について一の適格請求書を交付する場合においては、その期間内で任意に区分した期間に応じた税率ごとに合計した課税資産の譲渡等に係る税込対価(税抜対価)の額から算出した消費税額等を記載したとしても、当該消費税額等は、適格請求書の記載事項としての消費税額等とはなりません。

(注)
法人税基本通達2-6-1により決算締切日を継続して3月20日としているような場合、消費税の資産の譲渡等の時期についても、同様とすることが認められています(基通9-6-2)。

このように決算締切日により、法人税及び消費税の申告をしている場合には、売上税額の積上げ計算のための課税期間ごとの区分の対応は不要です。

★リンクはこちら→ 当社は、3月決算の法人で、売上げの請求書については、毎月20日締めとしています。3月21日から4月20日までの期間に係る適格請求書には、同期間に係る消費税額を記載しているのですが、これを基に売上税額について、積上げ計算することができますか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問124
当社は、委託販売等に係る資産の譲渡等について受託し、その手数料を受け取っており、売上税額の計算について、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額としていますが、適格請求書等保存方式の下での取扱いについて教えてください。なお、当社が委託された商品の販売は軽減税率の適用対象ではありません。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

委託販売等について、委託販売等に係る受託者においては、委託者から受ける委託販売手数料が役務の提供の対価となりますが、委託者から軽減税率の適用対象とならない課税資産の譲渡等のみを行うことを委託されている場合、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額とすることも認められています(基通10-1-12(2))。

適格請求書保存方式においても、委託された商品の販売が軽減税率の適用対象でない場合には、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額とすることができます。

この場合、委託者に支払う金額に係る課税仕入れに関し、適格請求書等の保存は不要です。

★リンクはこちら→ 当社は、委託販売等に係る資産の譲渡等について受託し、その手数料を受け取っており、売上税額の計算について、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額としていますが、適格請求書等保存方式の下での取扱いについて教えてください。なお、当社が委託された商品の販売は軽減税率の適用対象ではありません。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月16日


<インボイス制度に関するQ&A 問123
当社は、委託販売等に係る資産の譲渡等を行った場合の売上税額の計算について、資産の譲渡等の金額から、受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額としていますが、適格請求書等保存方式の下での取扱いについて教えてください。なお、当社が行う委託販売等は軽減税率の適用対象ではありません。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

委託販売等について、委託販売等に係る委託者においては、受託者が委託商品の譲渡等をしたことに伴い収受した又は収受すべき金額が委託者における資産の譲渡等の金額となりますが、軽減税率の適用対象とならない課税資産の譲渡等のみを行うことを委託している場合、その課税期間中に行った委託販売等の全てについて、その資産の譲渡等の金額から受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額とすることも認められています(基通10-1-12(1))。

適格請求書等保存方式においては、行った課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、受託者から交付を受けた適格請求書等の保存が必要となります。

したがって、その資産の譲渡等の金額から受託者に支払う委託販売手数料(課税仕入れ)を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額とするためには、当該委託販売手数料に係る適格請求書等の保存が必要となります。

★リンクはこちら→ 当社は、委託先に商品の販売を委託しており、毎月、販売に係る精算書を受領しています。その精算書には、適格請求書の記載事項が全て記載されているのですが、これを基に売上税額の積上げ計算をしてもいいのですか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問122
当社は、委託先に商品の販売を委託しており、毎月、販売に係る精算書を受領しています。その精算書には、適格請求書の記載事項が全て記載されているのですが、これを基に売上税額の積上げ計算をしてもいいのですか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

売上税額の計算は、交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写し(電磁的記録により提供したものも含みます。)を保存している場合に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を乗じて計算した金額とすることができます(積上げ計算)(消法45⑤、消令62)。

また、委託販売における受託者が媒介者交付特例を適用して適格請求書を交付する場合においては、

買手に交付した適格請求書の写し又は提供した電磁的記録を保存する
買手に交付した適格請求書の写し又は提供した電磁的記録を速やかに委託者に交付又は提供する

こととされており、②について、例えば、複数の委託者の商品を販売した場合や、多数の購入者に対して日々適格請求書を交付する場合などで、コピーが大量になるなど、適格請求書の写しそのものを交付することが困難な場合には、適格請求書の写しと相互の関連が明確な、精算書等の書類等を交付することで差し支えないものとされています(基通1-8-11)。

したがって、ご質問のように、委託先から適格請求書の記載事項が全て記載されている精算書の交付を受けている場合は、その精算書を基に売上税額の積上げ計算をして差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、委託先に商品の販売を委託しており、毎月、販売に係る精算書を受領しています。その精算書には、適格請求書の記載事項が全て記載されているのですが、これを基に売上税額の積上げ計算をしてもいいのですか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問121
当社は売上税額の積上げ計算を行うため、適格請求書を交付して、その写しを保存することとしています。しかし、取引先の中には、仕入明細書により支払が行われ、当社が作成した適格請求書を受けとってもらえない取引先もあります。そういった取引先に対する売上げについては、売上税額の積上げ計算を行うために必要な「交付した適格請求書の写し」の保存を行うことができません。このような場合、当該取引先に対する売上げに係る売上税額の積上げ計算を行うことはできないのでしょうか。なお、確認をするために取引先から受領した仕入明細書については、当社でも保存しています。【令和4年4月追加】【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法については、割戻し計算のほか、相手方に「交付」した適格請求書等の写しを保存している場合(適格請求書等に係る電磁的記録を保存している場合を含みます。)に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とする積上げ計算も認められています(消法45⑤、消令62)。

また、買手である取引先が、仕入明細書を仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等とするには、当該仕入明細書に記載されている事項について売手である貴社の確認を受けることが必要です。

この確認の結果、貴社と相手方との間で仕入明細書に記載された消費税額等について共有されることになりますので、ご質問のように、取引当事者間での取決め等により、仕入明細書により代金の支払が行われ、売手が適格請求書を交付することができない場合であっても、仕入明細書に記載されている事項の確認に当たって仕入明細書を受領しており、かつ、当該受領した仕入明細書を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存している場合には、「交付した適格請求書等の写しの保存」があるものとして、売上税額の積上げ計算を行って差し支えありません。

※適格請求書の写しの保存期間や方法については、問79《適格請求書の写しの保存期間等》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は売上税額の積上げ計算を行うため、適格請求書を交付して、その写しを保存することとしています。しかし、取引先の中には、仕入明細書により支払が行われ、当社が作成した適格請求書を受けとってもらえない取引先もあります。そういった取引先に対する売上げについては、売上税額の積上げ計算を行うために必要な「交付した適格請求書の写し」の保存を行うことができません。このような場合、当該取引先に対する売上げに係る売上税額の積上げ計算を行うことはできないのでしょうか。なお、確認をするために取引先から受領した仕入明細書については、当社でも保存しています。【令和4年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問120
当社はスーパマーケットを経営しています。交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写しを保存している場合には、売上税額の積上げ計算をすることができるとのことですが、例えば、商品販売時に顧客に対して適格簡易請求書であるレシートを交付しようとしたところ、顧客がこれを受け取らなかった場合などは、交付がないとして売上税額の積上げ計算はできないのですか。【令和元年7月追加】【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法については、原則の割戻し計算のほか、相手方に「交付」した適格請求書等の写しを保存している場合(適格請求書等に係る電磁的記録を保存している場合を含みます。)に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とする積上げ計算も認められています(消法45⑤、消令62)。

この点、ご質問のように、適格請求書等を交付しようとしたものの顧客が受け取らなかったため、物理的な「交付」ができなかったような場合や交付を求められたとき以外レシートを出力していない場合であっても、適格請求書発行事業者においては、当該適格請求書等の写しを保存しておけば、「交付した適格請求書等の写しの保存」があるものとして、売上税額の積上げ計算を行って差し支えありません。

※適格請求書等の写しの範囲については、問78《適格請求書等の写しの範囲》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社はスーパマーケットを経営しています。交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写しを保存している場合には、売上税額の積上げ計算をすることができるとのことですが、例えば、商品販売時に顧客に対して適格簡易請求書であるレシートを交付しようとしたところ、顧客がこれを受け取らなかった場合などは、交付がないとして売上税額の積上げ計算はできないのですか。【令和元年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問119
適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式における売上税額については、原則として、課税期間中の課税資産の譲渡等の税込金額の合計額に110分の100(軽減税率の対象となる場合は108分の100)を掛けて計算した課税標準額に7.8%(軽減税率の対象となる場合は6.24%)を掛けて算出します(割戻し計算)。

また、これ以外の方法として、交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写し(電磁的記録により提供したものも含みます。)を保存している場合に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を乗じて計算した金額とすることもできます(積上げ計算)(消法45⑤、消令62)。

ただし、適格簡易請求書の記載事項は、「適用税率又は税率ごとに区分した消費税額等」であるため、「適用税率」のみを記載して交付する場合、税率ごとの消費税額等の記載がないため、積上げ計算を行うことはできません。

なお、売上税額の計算は、取引先ごとに割戻し計算と積上げ計算を分けて適用するなど、併用することも認められますが、併用した場合であっても売上税額の計算につき積上げ計算を適用した場合に当たるため、仕入税額の計算方法に割戻し計算を適用することはできません(基通15-2-1の2)。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年11月9日


<インボイス制度に関するQ&A 問118
適格請求書等保存方式における税額計算の方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

軽減税率制度の実施後は、消費税率が軽減税率と標準税率の複数となることから、売上げと仕入れを税率ごとに区分して税額計算を行う必要がありますが、売上税額から仕入税額を控除するといった消費税額の計算方法は、適格請求書等保存方式においてもこれまでと変わりません。

具体的な売上税額と仕入税額の計算方法は、次のとおりとなります。
1.売上税額(詳細については、問119《売上税額の計算方法》をご参照ください。)
(1)原則(割戻し計算)
税率ごとに区分した課税期間中の課税資産の譲渡等の税込価額の合計額に、108分の100又は110分の100を掛けて税率ごとの課税標準額を算出し、それぞれの税率(6.24%又は7.8%)を掛けて売上税額を算出します(消法45)。

(2)特例(積上げ計算)
相手方に交付した適格請求書又は適格簡易請求書(以下これらを併せて「適格請求書等」といいます。)の写しを保存している場合(適格請求書等に係る電磁的記録を保存している場合を含みます。)には、これらの書類に記載した消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とすることができます(消法45⑤、消令62①)。
なお、売上税額を積上げ計算した場合、仕入税額も積上げ計算しなければなりません。

2.仕入税額(詳細については、問 126 及び問 128 をご参照ください。)
(1)原則(積上げ計算)
相手方から交付を受けた適格請求書などの請求書等(提供を受けた電磁的記録を含みます。)に記載されている消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて仕入税額を算出します(消法30①、消令46①②)。

(2)特例(割戻し計算)
税率ごとに区分した課税期間中の課税仕入れに係る支払対価の額の合計額に、108分の6.24又は110分の7.8を掛けて算出した金額を仕入税額とすることができます(消令46③)。
なお、割戻し計算により仕入税額を計算できるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます。

★リンクはこちら→ 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けていましたが、翌課税期間から2割特例が適用できなくなるため、簡易課税制度の適用を受けたいのですが、いつまでに消費税簡易課税制度選択届出書を提出すればよいですか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月8日


<インボイス制度に関するQ&A 問117
小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けていましたが、翌課税期間から2割特例が適用できなくなるため、簡易課税制度の適用を受けたいのですが、いつまでに消費税簡易課税制度選択届出書を提出すればよいですか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

簡易課税制度を適用して申告する場合には、原則として、その適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

この点、2割特例の適用を受けた事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間中に納税地を所轄する税務署長にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、その課税期間の初日の前日に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出したものとみなされます(28年改正法附則51の2⑥)。

したがって、例えば、令和8年分まで2割特例により申告を行った個人事業者が翌年分から簡易課税制度の適用を受けようとする場合には、令和9年中に「消費税簡易課税制度選択届出書(令和9年分から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載したもの)」を提出すれば、令和9年分から、簡易課税制度の適用を受けることができます。

(注)簡易課税制度を適用して申告する場合には、2割特例と異なり、申告時の選択ではないため、事前の届出が必要となりますので、ご留意ください。

★リンクはこちら→ 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けていましたが、翌課税期間から2割特例が適用できなくなるため、簡易課税制度の適用を受けたいのですが、いつまでに消費税簡易課税制度選択届出書を提出すればよいですか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月7日


<インボイス制度に関するQ&A 問116
課税選択届出書の提出により納税義務の免除が制限されている場合であっても小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けられない場合があるとのことですが教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2割特例は、適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者(「課税選択届出書」の提出により課税事業者となった免税事業者を含みます。)が適格請求書発行事業者となる場合に適用することができます(28年改正法附則51の2①)。

一方で、令和5年10月1日より前から「課税選択届出書」の提出により引き続き課税事業者となる同日を含む課税期間、つまり、適格請求書等保存方式の開始前である令和5年9月30日以前の期間を含む課税期間の申告については、2割特例の適用を受けることはできません(28年改正法附則51の2①一)。

適格請求書発行事業者の登録申請書を提出した事業者であって、「課税選択届出書」の提出により令和5年10月1日を含む課税期間の初日から課税事業者となる事業者(注)については、当該課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することにより、「課税選択届出書」を失効させることができます(28年改正法附則51の2⑤)。

この場合、当該登録申請書の提出により、適格請求書発行事業者となった場合においては、登録日から課税事業者となり、当該課税事業者となった課税期間から2割特例を適用できることとなります。

なお、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない場合であっても、令和5年10月1日を含む課税期間の翌課税期間以後については、基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合には、問115≪2割特例の適用ができない課税期間①≫の課税期間に該当しない限り、2割特例を適用することができます。

(注)上記の「「課税選択届出書」の提出により令和5年10月1日を含む課税期間の初日から課税事業者となる事業者」とは、当該課税期間から初めて課税事業者となる事業者をいうのであり、「課税選択届出書」の提出により令和5年10月1日を含む課税期間より前の課税期間から課税事業者となっていた事業者は、該当しません。

そのため、対象外となる事業者においては、令和5年10月1日を含む課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出したとしても、当該課税期間につき「消費税課税事業者選択届出書」を失効させることはできません。また、結果として当該課税期間においては2割特例を適用できないこととなります。

《消費税課税事業者選択不適用届出書の提出に係る特例》
(例)令和5年10月1日を含む課税期間を対象として課税選択届出書を提出した個人事業者が当該届出書を失効させる場合

★リンクはこちら→ 課税選択届出書の提出により納税義務の免除が制限されている場合であっても小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けられない場合があるとのことですが教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問115
小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)は、基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間などについては適用できないとのことですが、具体的に教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2割特例は、適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者(「課税選択届出書」の提出により課税事業者となった免税事業者を含みます。)が適格請求書発行事業者となる場合に適用することができます(28年改正法附則51の2①)。

ただし、以下の課税期間については、2割特例の適用を受けることはできません。

適格請求書等保存方式の開始前である令和5年9月30日以前の期間を含む申告については、2割特例の適用はありません。詳しくは、問116《2割特例の適用ができない課税期間②》をご参照ください。

【過去の売上が一定金額以上ある場合】
① 基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間(消法9①)

② 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法9の2①)

③ 相続(注1)・合併・分割があった場合の納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法10、11、12)

(注1)相続のあった課税期間について、当該相続により事業者免税点制度の適用が制限される場合であっても、適格請求書発行事業者の登録が相続日以前であり、他の2割特例の適用が制限される課税期間でなければ、2割特例の適用を受けることができます(28年改正法附則51の2①三)。

【新たに設立された法人が一定規模以上の法人である場合】
④ 新設法人・特定新規設立法人の納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法12の2①、12の3①)

【高額な資産を仕入れた場合】
⑤ 「課税選択届出書」を提出して課税事業者となった後2年以内に本則課税で調整対象固定資産(注2)の仕入れ等を行った場合において、「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出ができないことにより事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(注3)(消法9⑦)

(注2)調整対象固定資産とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が百万円以上の棚卸資産以外の資産をいいます(消法2①十六、消
令5)。

(注3)免税事業者に係る登録の経過措置(28年改正法附則44④)の適用を受けて適格請求書発行事業者となった者は、「課税選択届出書」の提出をして課税事業者となっていませんので、これに該当することはありません。

⑥ 新設法人及び特定新規設立法人の特例の適用を受けた課税期間中に、本則課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行ったことにより事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法12の2②、12の3③)

⑦ 本則課税で高額特定資産(注4)の仕入れ等を行った場合(棚卸資産の調整の適用を受けた場合)において事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法12の4①②③)

(注4)高額特定資産とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が1千万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます(消法12の4①、消令25の5①)。

【課税期間を短縮している場合】
⑧ 課税期間の特例の適用を受ける課税期間(注5)

(注5)課税期間の特例の適用を受ける課税期間とは、「消費税課税期間特例選択届出書」の提出により、課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間であり、当該届出書の提出により一の課税期間とみなされる課税期間も含みます(消法19)。

★リンクはこちら→ 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)は、基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間などについては適用できないとのことですが、具体的に教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問114
適格請求書等保存方式の開始後一定期間は、適格請求書発行事業者の登録により課税事業者となった免税事業者については、消費税の申告について簡易に計算できる経過措置(2割特例)があるそうですが、その内容について教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者(免税事業者が「課税選択届出書」の提出により課税事業者となった場合を含みます。)が適格請求書発行事業者となる場合(注)には、納付税額の計算において控除する金額を、その課税期間における課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額に8割を乗じた額(以下「特別控除税額」といいます。)とすることができる経過措置(以下「2割特例」といいます。)が設けられています(28年改正法附則51の2①②)。

(注)
課税事業者が適格請求書発行事業者となった場合であっても、当該適格請求書発行事業者となった課税期間の翌課税期間以後の課税期間について、基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、2割特例の適用を受けることができます。

また、2割特例は、簡易課税制度のように事前の届出や継続して適用しなければならないという制限はなく、申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することにより、適用を受けることができます(28年改正法附則51の2③)。

なお、2割特例の適用を受けることができない課税期間については、問115《2割特例の適用ができない課税期間①》及び問11《6 2割特例の適用ができない課税期間②》をご参照ください。

《2割特例を適用した場合の納付税額の計算イメージ》
納付税額 = 売上税額 - 特別控除税額(売上税額の8割)
⇒ 売上税額の2割

《適用可能期間》
 (例)個人事業者(12月決算の法人)の場合
(本来免税事業者である事業者が適格請求書発行事業者となる場合)

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の開始後一定期間は、適格請求書発行事業者の登録により課税事業者となった免税事業者については、消費税の申告について簡易に計算できる経過措置(2割特例)があるそうですが、その内容について教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問113
適格請求書等保存方式の開始後一定期間は、免税事業者等からの仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があるそうですが、この場合の仕入税額控除の要件について教えてください。【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式の下では、適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについては、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等の交付を受けることができないことから、仕入税額控除を行うことができません(消法30⑦)。

ただし、適格請求書等保存方式開始から一定期間は、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています(28年改正法附則52、53)。

経過措置を適用できる期間等は、次のとおりです。

期 間 割 合
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで 仕入税額相当額の80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日まで 仕入税額相当額の50%

なお、この経過措置の適用を受けるためには、次の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となります。
1.帳簿
区分記載請求書等保存方式の記載事項に加え、例えば、「80%控除対象」など、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要となります。

具体的には、次の事項となります。

課税仕入れの相手方の氏名又は名称
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨)及び経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨
課税仕入れに係る支払対価の額

(参考1)
③の「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」の記載については、個々の取引ごとに「80%控除対象」、「免税事業者からの仕入れ」などと記載する方法のほか、例えば、本経過措置の適用対象となる取引に、「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、かつ、これらの記号・番号等が「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を別途「※(☆)は80%控除対象」などと表示する方法も認められます。

2.請求書等
区分記載請求書等と同様の記載事項が必要となります(区分記載請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)。

具体的には、次の事項となります。

書類の作成者の氏名又は名称
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

(参考2)
適格請求書発行事業者以外の者から受領した請求書等の内容について、③かっこ書きの「資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨」及び④の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」の記載がない場合に限り、受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められます。

なお、提供された請求書等に係る電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面に追記して保存している場合も同様に認められます。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の開始後一定期間は、免税事業者等からの仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があるそうですが、この場合の仕入税額控除の要件について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年10月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問112
一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)については、1万円未満の課税仕入れが対象とのことですが、どのような単位となりますか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

一定規模以下の事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により、当該課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置が設けられています(28年改正法附則53の2、改正令附則24の2①)。

また、ここでいう「課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満」に該当するか否かについては、一回の取引の課税仕入れに係る金額(税込み)が1万円未満かどうかで判定するため、課税仕入れに係る一商品ごとの金額により判定するものではありません。
この考え方は、公共交通機関特例における「3万円未満の公共交通機関による旅客の運送」の判定と同様です。
この考え方の詳細については問43《公共交通機関特例の3万円未満の判定単位》をご参照ください。

なお、基本的には、取引ごとに納品書や請求書といった書類等の交付又は提供を受けることとが一般的であるため、そのような書類等の単位で判定することが考えられます。

(注)
月まとめ請求書のように複数の取引をまとめた単位により判定することとはならないことにご留意ください。
例:

5,000円の商品をXX月3日に購入、7,000円の商品をXX月10日に購入し、それぞれで請求・精算
 ⇒ それぞれ1万円未満の取引となり、本経過措置の対象
5,000円の商品と7,000円の商品(合計額12,000円)を同時に購入
 ⇒ 1万円以上の取引となり、本経過措置の対象外
1回8,000円のクリーニングをXX月2日に1回、XX月15日に1回行い、それぞれで請求・精算
 ⇒ それぞれ1万円未満の取引となり、本経過措置の対象
月額100,000円の清掃業務(稼働日数:12日)
 ⇒ 1万円以上の取引となり、本経過措置の対象外

★リンクはこちら→ 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)については、1万円未満の課税仕入れが対象とのことですが、どのような単位となりますか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月25日


<インボイス制度に関するQ&A 問111
一定規模以下の事業者は、1万円未満の課税仕入れについて、一定期間、適格請求書の保存を要しないとのことですが、その内容について教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

基準期間(※1)における課税売上高が1億円以下又は特定期間(※2)における課税売上高(※3)5千万円以下である事業者が、令和年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿(※4)みの保存により、当該課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置(少額特例)が設けられています(28年改正法附則53の2、改正令附則24の2①)。

※1
基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年、法人についてその事業年度の前々事業年度をいいます(消法2①十四)。

※2
特定期間とは、個人事業者についてはその年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人についてはその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます(消法9の2④)。

※3
特定期間における課税売上高については、納税義務の判定における場合と異なり、課税売上高に代えて給与支払額の合計額によることはできません。

※4
当該経過措置の適用に当たっては、帳簿に「経過措置(少額特例)の適用がある旨」を記載する必要はありません。

(注1)
新たに設立した法人における基準期間のない課税期間については、特定期間の課税売上高が5千万円超となった場合であっても、当該課税期間について、本経過措置の適用を受けることができます。

(注2)
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には本経過措置の対象となります。

★リンクはこちら→ 一定規模以下の事業者は、1万円未満の課税仕入れについて、一定期間、適格請求書の保存を要しないとのことですが、その内容について教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月24日


<インボイス制度に関するQ&A 問110
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送などは、請求書等の保存が不要で、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができるそうですが、この場合の帳簿への記載事項について教えてください。【令和5年10月改訂】

請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①、消規15の4)。

適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引
古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入
質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物の取得
宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物の購入
適格請求書発行事業者でない者からの再生資源又は再生部品の購入
適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストにより差し出されたものに限ります。)
従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

この場合、帳簿の記載事項に関し、通常必要な記載事項に加え、次の事項の記載が必要となります。
・帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
例:①に該当する場合、「3万円未満の鉄道料金」
②に該当する場合、「入場券等」
・ 仕入れの相手方の住所又は所在地(一定の者を除きます。)
例:⑦に該当する場合、「〇〇市 自機」、「✕✕銀行▢▢支店ATM」

(注)
帳簿に仕入れの相手方の住所又は所在地の記載が不要な一定の者は、次のとおりです(令和5年国税庁告示第26号)。

適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送について、その運送を行った者
適格請求書の交付義務が免除される郵便役務の提供について、その郵便役務の提供を行った者
課税仕入れに該当する出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)を支払った場合の当該出張旅費等を受領した使用人等
上記③から⑥の課税仕入れ(③から⑤に係る課税仕入れについては、古物営業法、質屋営業法又は宅地建物取引業法により、業務に関する帳簿等へ相手方の氏名及び住所を記載することとされているもの以外のものに限り、⑥に係る課税仕入れについては、事業者以外の者から受けるものに限ります。)を行った場合の当該課税仕入れの相手方

(参考)
古物営業を営む場合、古物営業法において、商品を仕入れた際の対価の総額が1万円以上(税込み)の場合には、帳簿(いわゆる「古物台帳」)に①取引年月日、②古物の品目及び数量、③古物の特徴、④相手方の住所、氏名、職業及び年齢、⑤相手方の確認方法を記載し、保存しなければならないこととされています(古物営業法16、18)。

帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項は、「①課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地(古物台帳に、取引の相手方の氏名や住所を記載することとされていない場合には不要)」、「②課税仕入れを行った年月日」、「③課税仕入れに係る資産又は役務の内容」、「④課税仕入れに係る支払対価の額」、「⑤帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨」ですが、古物台帳には①から④の事項が記載されていることになります。

なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項としては、⑤の事項も必要となるため、古物台帳と⑤の事項について記載した帳簿(総勘定元帳等)を合わせて保存することで、帳簿の保存要件を満たすことができます。

この場合、古物台帳については帳簿の保存期間(課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間)保存しておく必要がある点にご留意ください(消令71②)。

★リンクはこちら→ 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送などは、請求書等の保存が不要で、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができるそうですが、この場合の帳簿への記載事項について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年10月23日


<インボイス制度に関するQ&A 問109
令和5年10月1日から、仕入税額控除の方式は、「適格請求書等保存方式」となりましたが、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿の記載事項について教えてください。【令和5年10月改訂】

令和元年9月30日まで、仕入税額控除については、一定の帳簿及び請求書等の保存が要件とされていました(請求書等保存方式)。

また、令和元年10月1日から令和5年9月30日(適格請求書等保存方式の開始前)までの間は、この仕入税額控除の要件について、請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、軽減税率の適用対象となる商品の仕入れかそれ以外の仕入れかの区分を明確にするための記載事項を追加した帳簿及び請求書等の保存が要件とされていました(区分記載請求書等保存方式)。

具体的には、請求書等保存方式において必要とされている記載事項に、次の事項が追加されています(28年改正法附則34②)。
1 帳簿
課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合にはその旨

2 区分記載請求書等

  • 課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合にはその旨
  • 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額

令和5年10月1日から開始された適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が要件とされているところ、保存すべき帳簿の記載事項については次のとおりであり、区分記載請求書等保存方式の下での帳簿の記載事項と同様です(相手方の登録番号の記載は不要です。)。

課税仕入れの相手方の氏名又は名称
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨)
課税仕入れに係る支払対価の額

(参考)取引先コード等による表示
帳簿に記載する課税仕入れの相手方の氏名又は名称は、取引先コード等の記号・番号等による表示で差し支えありません。

また、課税仕入れに係る資産又は役務の内容についても、商品コード等の記号・番号等による表示で差し支えありませんが、この場合、課税資産の譲渡等であるか、また、軽減対象課税資産の譲渡等に係るものであるときは、軽減対象課税資産の譲渡等に係るものであるかの判別が明らかとなるものである必要があります(基通11-6-1 )。

★リンクはこちら→ 令和5年10月1日から、仕入税額控除の方式は、「適格請求書等保存方式」となりましたが、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿の記載事項について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年10月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問108
社員に支給する通勤手当については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができませんが、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

従業員等で通勤する者に支給する通勤手当のうち、通勤に通常必要と認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額として取り扱われます。この金額については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①一ニ、消規15の4三、基通11-6-5)。

なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる「通勤者につき通常必要と認められる部分」については、通勤に通常必要と認められるものであればよく、所得税法施行令第20条の2において規定される非課税とされる通勤手当の金額を超えているかどうかは問いません。

また、この場合の帳簿の記載事項については、問110《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 社員に支給する通勤手当については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができませんが、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問107
社員に支給する国内の出張旅費、宿泊費、日当等については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができませんが、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するものとして取り扱われます。

この金額については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①一ニ、消規15の4二、基通11-6-4)。
なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる「その旅行に通常必要であると認められる部分」については、所得税基本通達9-3に基づき判定しますので、所得税が非課税となる範囲内で、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることになります。

また、この場合の帳簿の記載事項については、問110《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。

【参考】
○ 所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)
法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。
⑴その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
⑵その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

★リンクはこちら→ 社員に支給する国内の出張旅費、宿泊費、日当等については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができませんが、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月18日


<インボイス制度に関するQ&A 問106
当社は、中古車販売業(古物商)を営んでおり、事業者及び消費者から中古車の仕入れを行っています。適格請求書等保存方式の下では、消費者からの仕入れは、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

古物営業法上の許可を受けて古物営業を営む古物商が、適格請求書発行事業者以外の者から同法に規定する古物(古物商が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を買い受けた場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①一ハ(1))。したがって、貴社が消費者から中古車の仕入れを行った場合には、一定の事項を記載した帳簿を保存することで、仕入税額控除が認められます。

なお、相手方が適格請求書発行事業者である場合は、適格請求書の交付を受け、それを保存する必要があります。

この場合の帳簿の記載事項については、問110《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。

また、古物商が適格請求書発行事業者以外の者から古物を買い取る場合のほか、適格請求書発行事業者以外の者から仕入れを行う、次の場合も同様に、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等の交付を受けることが困難な場合として、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消令49①一ハ(2)~(4))。

質屋営業法に規定する質屋営業を営む質屋が、適格請求書発行事業者以外の者から質物(質屋が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を取得する場合
宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引業者が、適格請求書発行事業者以外の者から同法に規定する建物(宅地建物取引業者が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を購入する場合
再生資源卸売業その他不特定かつ多数の者から資源の有効な利用の促進に関する法律に規定する再生資源及び再生部品を購入する事業を営む事業者が、適格請求書発行事業者以外の者から再生資源及び再生部品(購入する事業者が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を購入する場合

★リンクはこちら→ 当社は、中古車販売業(古物商)を営んでおり、事業者及び消費者から中古車の仕入れを行っています。適格請求書等保存方式の下では、消費者からの仕入れは、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問105
取引先への移動に際し、券売機で乗車券を購入し、公共交通機関である鉄道を利用した場合に、仕入税額控除の要件として請求書等の保存は必要ですか。【令和5年10月改訂】

適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①一イ、70の9②一)。

一方、3万円以上の公共交通機関を利用した場合には、その利用に係る適格請求書の保存が仕入税額控除の要件となりますので、ご留意ください。

ただし、この場合であっても、公共交通機関である鉄道事業者から適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)を記載した乗車券の交付を受け、その乗車券が回収される場合は、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消令49①ロ)。

なお、この場合の帳簿の記載事項については、110《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。

(参考)
・ 適格請求書の交付義務が免除される取引:問41参照
・ 公共交通機関特例の3万円未満の判定単位:問43参照

★リンクはこちら→ 取引先への移動に際し、券売機で乗車券を購入し、公共交通機関である鉄道を利用した場合に、仕入税額控除の要件として請求書等の保存は必要ですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月16日


<インボイス制度に関するQ&A 問104
適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件ですが、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の要件を満たすのは、どのような場合ですか。【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされます(消法30⑦)。

ただし、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消令49①、消規15の4)。

  1. 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
  2. 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(1.に該当するものを除きます。)
  3. 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  4. 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得
  5. 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  6. 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  7. 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
  8. 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
  9. 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件ですが、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の要件を満たすのは、どのような場合ですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問103
当社では高速道路を頻繁に利用するのですが、高速道路利用について、いわゆるETCシステムを利用し、後日、クレジットカードにより料金を精算しています。この場合、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書の保存により仕入税額控除を行うことはできますか。【令和5年10月追加】

クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付するクレジットカード利用明細書は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成及び交付する書類ではなく、また、課税資産の譲渡等の内容や適用税率など、適格請求書の記載事項も満たしませんので、一般的に、適格請求書には該当しません。

そのため、高速道路の利用について、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)により料金を支払い、ETCクレジットカード(クレジットカード会社がETCシステムの利用のために交付するカードをいい、高速道路会社が発行するETCコーポレートカード及びETCパーソナルカードを除きます。)で精算を行った場合に、支払った料金に係る仕入税額控除の適用を受けるには、原則、高速道路会社が運営するホームページ(ETC利用照会サービス)から通行料金確定後、適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録(以下「利用証明書」といいます。)をダウンロードし、それを保存する必要があります。

他方、高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により、全ての高速道路の利用に係る利用証明書の保存が困難なときは、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書(個々の高速道路の利用に係る内容が判明するものに限ります。また、取引年月日や取引の内容、課税資産の譲渡等に係る対価の額が分かる利用明細データ等を含みます。)と、利用した高速道路会社及び地方道路公社など(以下「高速道路会社等」といいます。)の任意の一取引(複数の高速道路会社等の利用がある場合、高速道路会社等ごとに任意の一取引)に係る利用証明書をダウンロードし、併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えありません。

(注1)
利用証明書については、クレジットカード利用明細書の受領ごとに(毎月)取得・保存する必要はなく、高速道路会社等が適格請求書発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引に係る適格簡易請求書の記載事項を満たした利用証明書を一回のみ取得・保存することで差し支えありません。また、例えば、A高速道路会社からB高速道路会社を経由してC高速道路会社の料金所で降りた際、C高速道路会社がまとめて利用証明書を発行している場合には、C高速道路会社の利用証明書を保存することになります。

(注2)
空港と内陸部を結ぶ連絡橋の通行料金(空港連絡橋利用税)など、消費税の課税対象とならない金額がある場合、その金額は仕入税額控除の対象外となりますのでご留意ください。

★リンクはこちら→ 当社では高速道路を頻繁に利用するのですが、高速道路利用について、いわゆるETCシステムを利用し、後日、クレジットカードにより料金を精算しています。この場合、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書の保存により仕入税額控除を行うことはできますか。【令和5年10月追加】

2023年10月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問102
当社は、取引先から、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録の提供を受けています。仕入税額控除の要件を満たすためには、電磁的記録をどのような方法で保存すればよいですか。【令和5年10月改訂】

相手方から適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録による提供を受けた場合、仕入税額控除の適用を受けるためには、その電磁的記録を保存する必要があります(消法30⑦⑨二)。

提供を受けた電磁的記録をそのまま保存しようとするときには、以下の措置を講じる必要があります(消令50①、消規15の5)。
①次のイからニのいずれかの措置を行うこと
イ タイムスタンプが付された適格請求書に係る電磁的記録を受領すること(受領した者がタイムスタンプを付す必要はありません。)(電帳規4①一)

ロ 次に掲げる方法のいずれかにより、タイムスタンプを付すとともに、その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと(電帳規4①二)
・ 適格請求書に係る電磁的記録の提供を受けた後、速やかにタイムスタンプを付すこと
・ 適格請求書に係る電磁的記録の提供からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合において、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかにタイムスタンプを付すこと

ハ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について、次のいずれかの要件を満たす電子計算機処理システムを使用して適格請求書に係る電磁的記録の受領及びその電磁的記録を保存すること(電帳規4①三)
・ 訂正又は削除を行った場合には、その事実及び内容を確認することができること
・ 訂正又は削除することができないこと

ニ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと(電帳規4①四)

② 適格請求書に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム概要書の備付けを行うこと(電帳規2②一、4①)

③ 適格請求書に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと(電帳規2②二、4①)

④ 適格請求書に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと(電帳規2⑥六、4①)
※ 国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは、ⅱ及びⅲの要件が不要となります。

また、当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合で、かつ、その判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者であるときは検索機能の全てが不要となります。
ⅰ 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索条件として設定できること
ⅱ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
ⅲ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できること

他方、提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録を紙に印刷して保存しようとするときは、整然とした形式及び明瞭な状態で出力する必要があります(消規15の5②)。

(参考)電帳法上の保存方法等については、国税庁ホームページに掲載されている、「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」や「電子帳簿保存法一問一答」を参考としてください。

(注)令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について、次のとおり見直しが行われました。
・ 上記①ロの「その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと」は不要とされました。
・ 上記④の※書きについて、下線部分が変更されました。

※国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは、ⅱ及びⅲの要件が不要となります。
また、当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合で、かつ、その判定期間に係る基準期間における売上高が 5,000万円以下の事業者であるとき又は国税に関する法律の規定による電磁的記録の出力書面(整然とした形及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは検索機能の全てが不要となります。

・上記④の根拠法令のうち、電帳規第2条第6項第6号は同項第5号に改正されました。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先から、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録の提供を受けています。仕入税額控除の要件を満たすためには、電磁的記録をどのような方法で保存すればよいですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月11日


<インボイス制度に関するQ&A 問101
当社は、購入した物品切手等により引換給付を受けた場合、当該物品切手等の購入金額を課税仕入れに係る支払対価の額としていました。適格請求書等保存方式においては、物品切手等により引換給付を受ける場合であっても、原則として、適格請求書等の保存が必要とのことですが、物品切手等の購入金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることになりますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式以前の取扱いにおいて、物品切手等による引換給付として課税仕入れを行った場合の課税仕入れに係る支払対価の額は、事業者がその物品切手等の取得に要した金額とされていました。

他方、適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書等の保存が必要となりますので、物品切手等の取得(購入)に要した金額の如何にかかわらず、当該適格請求書等に記載された金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとなります。

なお、物品切手等に適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されているものが、引換給付を受ける際に適格請求書発行事業者により回収される場合、当該物品切手等により役務又は物品の引換給付を受ける買手は、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができますが(新消令49①一ロ)、このような物品切手等には、適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されていることから、当該物品切手により引換給付を受ける課税仕入れについては、当該物品切手等に記載された金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとなります。

(参考)仕入税額の計算方法については、問126《仕入税額の計算方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、購入した物品切手等により引換給付を受けた場合、当該物品切手等の購入金額を課税仕入れに係る支払対価の額としていました。適格請求書等保存方式においては、物品切手等により引換給付を受ける場合であっても、原則として、適格請求書等の保存が必要とのことですが、物品切手等の購入金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることになりますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問100
当社は、購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自社で引換給付を受けるものについては、継続的に郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上していました。適格請求書等保存方式において、引き続き、郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上しているものについて仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては原則として、課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時にその引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなりますが、適格請求書等保存方式以前における取扱いとして、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、その購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続してその郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認めることとされていました。

適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書等の保存が必要となりますが、郵便切手類のみを対価とする郵便ポスト等への投函による郵便サービスは、適格請求書の交付義務が免除されており、買手においては、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができます(消令49①一ニ、消規15の4一)。

また、物品切手等で適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されているものが、引換給付を受ける際に適格請求書発行事業者により回収される場合、当該物品切手等により役務又は物品の引換給付を受ける買手は、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができます(消令49①一ロ)。

したがって、このような郵便切手類及び物品切手等(適格請求書発行事業者により回収されることが明らかなものに限ります。)のうち、自ら引換給付を受けるものについては、適格請求書等保存方式においても、購入(対価の支払)時に課税仕入れとして計上し、一定の事項を記載した帳簿を保存することにより、仕入税額控除の適用を受けることができます(基通11-3-7)。

なお、上記(一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができるもの)以外の物品切手等に係る課税仕入れは、購入(対価の支払)時ではなく、適格請求書等の交付を受けることとなるその引換給付を受けた時に課税仕入れを計上し、仕入税額控除の適用を受けることとなります。

★リンクはこちら→ 当社は、購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自社で引換給付を受けるものについては、継続的に郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上していました。適格請求書等保存方式において、引き続き、郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上しているものについて仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問99
所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース資産の譲渡時に適格請求書の交付義務が生じるとのことですが、当該リース取引につき賃借人が賃貸借処理し、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース譲渡時に交付を受ける適格請求書の保存により仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

所有権移転外ファイナンス・リース取引(所得税法施行令第120条の2第2項第5号又は法人税法施行令第48条の2第5項第5号に規定する「リース取引」をいい、以下「移転外リース取引」といいます。)については、リース資産の譲渡として取り扱われるため、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、当該リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとして処理(一括控除)することが原則です。

しかしながら、経理実務の簡便性という観点から、移転外リース取引について賃借人が賃貸借処理(通常の賃貸借取引に係る取引に準じた会計処理をいいます。)している場合、リース資産の譲渡時の課税仕入れとするのではなく、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)して差し支えないこととしています。

この点、移転外リース取引における適格請求書については、リース資産の引渡し時に当該リース取引の全額に対する適格請求書が交付されるものと考えられます。

したがって、移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース資産の引渡し時に交付を受けた適格請求書を保存することにより、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間ごとに計上した課税仕入れに係る仕入税額控除の適用要件を満たすこととなります。

なお、当該適格請求書については、リース料の最終支払期日(移転外リース取引について賃貸借処理により計上する最後の課税仕入れ)の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要があります。

(注)令和5年10月1日前に行われた移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合の当該移転外リース取引に係る同日以後に賃貸借処理により計上する課税仕入れについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることとなります。

★リンクはこちら→ 所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース資産の譲渡時に適格請求書の交付義務が生じるとのことですが、当該リース取引につき賃借人が賃貸借処理し、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース譲渡時に交付を受ける適格請求書の保存により仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月5日


<インボイス制度に関するQ&A 問98
当社は、法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

法人税の計算において、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち支出した事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。以下同じです。)の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、当該前払費用を損金の額に算入することが認められています(法人税基本通達2-2-14)(所得税についても同様です。)。

消費税の計算についても、当該取扱いの適用を受ける前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととしています(基通11-3-8)。

したがって、このような前払費用については、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととなりますが、当該前払費用に係る課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要となり、ご質問のように当該前払費用に係る適格請求書等を保存している場合は、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができます。

また、当該前払費用に係る課税仕入れが適格請求書発行事業者から行われるものである場合には、当該前払費用を支出した日の属する課税期間において適格請求書の交付を受けられなかったとしても、事後に交付される適格請求書を保存することを条件として、当該前払費用として支出した額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

なお、当該前払費用として仕入税額控除の適用を受けた金額が契約変更等により変動した場合の対応については、問96《見積額が記載された適格請求書の保存等》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問97
所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース資産の譲渡時に適格請求書の交付義務が生じるとのことですが、当該リース取引につき賃借人が賃貸借処理し、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース譲渡時に交付を受ける適格請求書の保存により仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和5年4月追加】

所有権移転外ファイナンス・リース取引(所得税法施行令第120条の2第2項第5号又は法人税法施行令第48条の2第5項第5号に規定する「リース取引」をいい、以下「移転外リース取引」といいます。)については、リース資産の譲渡として取り扱われるため、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、当該リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとして処理(一括控除)することが原則です。

しかしながら、経理実務の簡便性という観点から、移転外リース取引について賃借人が賃貸借処理(通常の賃貸借取引に係る取引に準じた会計処理をいいます。)している場合、リース資産の譲渡時の課税仕入れとするのではなく、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)して差し支えないこととしています。

この点、移転外リース取引における適格請求書については、リース資産の引渡し時に当該リース取引の全額に対する適格請求書が交付されるものと考えられます。

したがって、移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース資産の引渡し時に交付を受けた適格請求書を保存することにより、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間ごとに計上した課税仕入れに係る仕入税額控除の適用要件を満たすこととなります。

なお、当該適格請求書については、リース料の最終支払期日(移転外リース取引について賃貸借処理により計上する最後の課税仕入れ)の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要があります。

(注)令和5年10月1日前に行われた移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合の当該移転外リース取引に係る同日以後に賃貸借処理により計上する課税仕入れについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることとなります。

★リンクはこちら→ 所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース資産の譲渡時に適格請求書の交付義務が生じるとのことですが、当該リース取引につき賃借人が賃貸借処理し、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース譲渡時に交付を受ける適格請求書の保存により仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和5年4月追加】

2023年10月3日


<インボイス制度に関するQ&A 問96
当社は、法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、引き続き、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】

法人税の計算において、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち支出した事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。以下同じです。)の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、当該前払費用を損金の額に算入することが認められています(法人税基本通達2-2-14)(所得税についても同様です。)。

消費税の計算についても、当該取扱いの適用を受ける前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととしており(基通11-3-8)、これは、適格請求書等保存方式においても同様です。

このような前払費用については、適格請求書等保存方式においても、現行制度と同様にその支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととなりますが、当該前払費用に係る課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要となります。

したがって、ご質問のように当該前払費用に係る適格請求書等を保存している場合は、引き続き、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができます。

また、当該前払費用に係る課税仕入れが適格請求書発行事業者から行われるものである場合には、当該前払費用を支出した日の属する課税期間において適格請求書の交付を受けられなかったとしても、事後に交付される適格請求書を保存することを条件として、当該前払費用として支出した額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

なお、当該前払費用として仕入税額控除の適用を受けた金額が契約変更等により変動した場合の対応については、問94《見積額が記載された適格請求書の保存等》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、引き続き、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】

2023年9月29日


<インボイス制度に関するQ&A 問95
当社は、請け負った建設工事について、当該建設工事の一部を他の事業者(以下「下請業者」といいます。)に請け負わせています。下請業者に対しては、下請業者が行った工事の出来高について検収を行い、当該検収の内容及び出来高に応じた金額を記載した書類(以下「出来高検収書」といいます。)を作成し、それに基づき請負金額を支払っています。現在、当該出来高検収書については、下請業者に記載事項の確認を受けており、これを保存することにより仕入税額控除を行っていますが、適格請求書等保存方式において、このような出来高検収書により仕入税額控除の適用を受けることは可能でしょうか。【令和4年11月追加】

適格請求書等保存方式の下においても、建設工事を請け負った事業者(以下「元請業者」といいます。)が作成した出来高検収書を、下請業者に記載事項の確認を受けた上で保存することにより、仕入税額控除の適用を受けること(基通11-6-6)については、現行の取扱いと変わりません。

なお、出来高検収書は、適格請求書等保存方式における仕入明細書等の記載事項を満たす必要があります※。仕入明細書等の記載事項については、問85≪仕入明細書等の記載事項≫をご参照ください。

元請業者が出来高検収書を下請業者に交付し、それに基づき下請業者が請求書を作成・交付する場合において、当該請求書を仕入税額控除の適用を受けるために保存する場合には、当該請求書が適格請求書の記載事項を満たす必要があります。適格請求書の記載事項については、問26≪適格請求書の様式≫をご参照ください。

したがって、ご質問の場合、貴社の取引の相手方である下請業者が適格請求書発行事業者であって、現在作成している出来高検収書を適格請求書等保存方式の下における仕入明細書等の記載事項を満たすものとして下請業者の確認を受けることにより、適格請求書等保存方式においてもその出来高検収書により仕入税額控除を行うことができます。

ただし、下請業者の行う建設工事について、当該下請業者が適格請求書発行事業者でなくなったことにより、適格請求書の交付ができないものであることが判明した場合には、出来高検収書により仕入税額控除の対象とした消費税額を、その交付ができないことが明らかとなる建設工事完了日の属する課税期間における課税仕入れに係る消費税額から控除することとなります(仕入税額の計算方法として、割戻し計算による場合、仕入税額控除の対象とした課税仕入れに係る支払対価の額をその建設工事完了日の属する課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額から控除することとなります。)。

★リンクはこちら→ 当社は、請け負った建設工事について、当該建設工事の一部を他の事業者(以下「下請業者」といいます。)に請け負わせています。下請業者に対しては、下請業者が行った工事の出来高について検収を行い、当該検収の内容及び出来高に応じた金額を記載した書類(以下「出来高検収書」といいます。)を作成し、それに基づき請負金額を支払っています。現在、当該出来高検収書については、下請業者に記載事項の確認を受けており、これを保存することにより仕入税額控除を行っていますが、適格請求書等保存方式において、このような出来高検収書により仕入税額控除の適用を受けることは可能でしょうか。【令和4年11月追加】

2023年9月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問94
当社では、水道光熱費など検針等に一定期間を要し、課税仕入れを行った課税期間の末日までに支払対価の額が確定しない課税仕入れについては、対価の額を見積もることにより仕入税額控除を行っています。適格請求書等保存方式において、このような見積額による仕入税額控除の取扱いはどのようになりますか。【令和元年7月追加】【令和4年11月改訂】

ご質問のように、課税期間の末日までにその支払対価の額が確定せず、見積額で仕入税額控除を行う場合の取扱いについては、以下のとおりとなります。

なお、以下の①、②のいずれの場合も、その後確定した対価の額が見積額と異なるときは、確定した対価の額に基づく課税仕入れに係る消費税額と見積額に基づく課税仕入れに係る消費税額との差額を、その確定した日の属する課税期間における課税仕入れに係る消費税額に加算又は減算することとなります(仕入税額の計算方法として、割戻し計算による場合、確定した対価の額と見積額との差額をその確定した日の属する課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に加算し、又は当該課税仕入れに係る支払対価の額から控除することとなります。)。

①見積額が記載された適格請求書の交付を受ける場合
取引の相手方から見積額が記載された適格請求書の交付を受ける場合、これを保存することで見積額による仕入税額控除が認められます(注1)。

その後、確定額が見積額と異なる場合には、確定額が記載された適格請求書(対価の額を修正した適格請求書)の交付を受けた上で、これを保存する必要があります。

②見積額が記載された適格請求書の交付を受けられない場合
見積額が記載された適格請求書の交付を受けられない場合であっても、電気・ガス・水道水の供給のような適格請求書発行事業者から継続して行われる取引(注2)については、見積額が記載された適格請求書や仕入明細書の保存がなくとも、その後、金額が確定したときに交付される適格請求書を保存することを条件として、課税仕入れを行う事業者が課税期間の末日の現況により適正に見積もった金額で、仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。

(注)1
見積額を記載した仕入明細書を自ら作成し、相手方の確認を受けた場合は、これを保存することで見積額による仕入税額控除が認められます。
確定額が見積額と異なる場合の取扱いは、上記と同様です。

(注)2
このほか、例えば、機械等の保守点検、弁護士の顧問契約のように契約等に基づき継続的に課税資産の譲渡等が行われ、金額が確定した際に適格請求書の交付を受ける蓋然性の高い取引がこれに該当します。

★リンクはこちら→ 当社では、水道光熱費など検針等に一定期間を要し、課税仕入れを行った課税期間の末日までに支払対価の額が確定しない課税仕入れについては、対価の額を見積もることにより仕入税額控除を行っています。適格請求書等保存方式において、このような見積額による仕入税額控除の取扱いはどのようになりますか。【令和元年7月追加】【令和4年11月改訂】

2023年9月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問93
当社は、事務所を賃借しており、口座振替により家賃を支払っています。不動産賃貸契約書は作成していますが、請求書や領収書の交付は受けておらず、家賃の支払の記録としては、銀行の通帳に口座振替の記録が残るだけです。このような契約書の締結後に口座振替等により代金を支払い、請求書や領収書の交付を受けない取引の場合、請求書等の保存要件を満たすためにはどうすればよいですか。【令和4年4月改訂】

通常、契約書に基づき代金決済が行われ、取引の都度、請求書や領収書が交付されない取引であっても、仕入税額控除を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要です。

この点、適格請求書は、一定期間の取引をまとめて交付することもできますので、相手方(貸主)から一定期間の賃借料についての適格請求書の交付を受け、それを保存することによる対応も可能です。

なお、適格請求書として必要な記載事項は、一の書類だけで全てが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類全体で適格請求書の記載事項を満たすことになりますので、契約書に適格請求書として必要な記載事項の一部が記載されており、実際に取引を行った事実を客観的に示す書類とともに保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

ご質問の場合には、適格請求書の記載事項の一部(例えば、課税資産の譲渡等の年月日以外の事項)が記載された契約書とともに通帳(課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すもの)を併せて保存することにより、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

また、口座振込により家賃を支払う場合も、適格請求書の記載事項の一部が記載された契約書とともに、銀行が発行した振込金受取書を保存することにより、請求書等の保存があるものとして、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

なお、このように取引の都度、請求書等が交付されない取引について、取引の中途で取引の相手方(貸主)が適格請求書発行事業者でなくなる場合も想定され、その旨の連絡がない場合には貴社(借主)はその事実を把握することは困難となります(適格請求書発行事業者以外の者に支払う取引対価の額については、原則として、仕入税額控除を行うことはできません。)。

そのため、必要に応じ、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で相手方が適格請求書発行事業者か否かを確認してください。

(参考)令和5年9月30日以前からの契約について
令和5年9月30日以前からの契約について、契約書に登録番号等の適格請求書として必要な事項の記載が不足している場合には、別途、登録番号等の記載が不足していた事項の通知を受け、契約書とともに保存していれば差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先のB社に経費を立て替えてもらう場合があります。この場合、経費の支払先であるC社から交付される適格請求書には立替払をしたB社の名称が記載されますが、B社からこの適格請求書を受領し、保存しておけば、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすこととなりますか。【令和4年11月改訂】

2023年9月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問92
当社は、取引先のB社に経費を立て替えてもらう場合があります。この場合、経費の支払先であるC社から交付される適格請求書には立替払をしたB社の名称が記載されますが、B社からこの適格請求書を受領し、保存しておけば、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすこととなりますか。【令和4年11月改訂】

貴社が、C社から立替払をしたB社宛に交付された適格請求書をB社からそのまま受領したとしても、これをもって、C社から貴社に交付された適格請求書とすることはできません。

ご質問の場合において、立替払を行ったB社から、立替金精算書等の交付を受けるなどにより、経費の支払先であるC社から行った課税仕入れが貴社のものであることが明らかにされている場合には、その適格請求書及び立替金精算書等の書類の保存をもって、貴社は、C社からの課税仕入れに係る請求書等の保存要件を満たすこととなります(インボイス通達4-2)。

また、この場合、立替払を行うB社が適格請求書発行事業者以外の事業者であっても、C社が適格請求書発行事業者であれば、仕入税額控除を行うことができます。

なお、立替払の内容が、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れに該当することが確認できた場合、貴社は、一定の事項を記載した帳簿を保存することにより仕入税額控除を行うことができます。

この場合、適格請求書及び立替金精算書等の保存は不要となります。

帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れについては、問101《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合》を、帳簿の記載事項については、問107《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。


(参考)
A社を含む複数者分の経費を一括してB社が立替払している場合、原則として、B社はC社から受領した適格請求書をコピーし、経費の支払先であるC社から行った課税仕入れがA社及び各社のものであることを明らかにするために、B社が作成した精算書を添えるなどし、A社を含む立替えを受けた者に交付する必要があります。

しかしながら、立替えを受けた者に交付する適格請求書のコピーが大量となるなどの事情により、立替払を行ったB社が、コピーを交付することが困難なときは、B社がC社から交付を受けた適格請求書を保存し、立替金精算書を交付することにより、A社はB社が作成した(立替えを受けた者の負担額が記載されている)立替金精算書の保存をもって、仕入税額控除を行うことができます。

この場合、立替払いを受けたA社等は、立替金精算書の保存をもって適格請求書の保存があるものとして取り扱われるため、立替払を行った取引先のB社は、その立替金が仕入税額控除可能なものか(すなわち、適格請求書発行事業者からの仕入れか、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど、A社が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を立替金精算書に記載しなければなりません。

したがって、立替金精算書に記載する「消費税額等」については、課税仕入れの相手方であるC社から交付を受けた適格請求書に記載された消費税額等を基礎として、立替払いを受ける者の負担割合を乗じてあん分した金額によるなど合理的な方法で計算した「消費税額等」を記載する必要があります。

また、立替金精算書に記載する複数の事業者ごとの消費税額等の合計額が適格請求書に記載された「消費税額等」と一致しないことも生じますが、この消費税額等が合理的な方法により計算されたものである限り、当該立替金精算書により仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。

なお、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名又は名称の記載が必要であるほか、その仕入れ(経費)が適格請求書発行事業者から受けたものか否かを確認できるよう、立替払を行ったB社とA社の間で、課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号を確認できるようにしておく必要があります。

ただし、これらの事項について、別途、書面等で通知する場合のほか、継続的な取引に係る契約書等で、別途明らかにされているなどの場合には、精算書において明らかにしていなくても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先のB社に経費を立て替えてもらう場合があります。この場合、経費の支払先であるC社から交付される適格請求書には立替払をしたB社の名称が記載されますが、B社からこの適格請求書を受領し、保存しておけば、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすこととなりますか。【令和4年11月改訂】

2023年9月25日


<インボイス制度に関するQ&A 問91
当社は、取引先数社と任意組合を組成し、イベントを行っています。現行、仕入先から交付される請求書等は、幹事会社が保管し、当社を含めた構成員は、幹事会社から精算書の交付を受けています。適格請求書等保存方式においては、構成員である当社も仕入先から適格請求書の交付を受け、保存する必要がありますか。

適格請求書等保存方式の下では、適格請求書など請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります(新消法30⑦⑨)。

任意組合の共同事業として課税仕入れを行った場合に、幹事会社が課税仕入れの名義人となっている等の事由により各構成員の持分に応じた適格請求書の交付を受けることができないときにおいて、幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書のコピーに各構成員の出資金等の割合に応じた課税仕入れに係る対価の額の配分内容を記載したものは、貴社及びその他の構成員における仕入税額控除のために保存が必要な請求書等に該当するものとして取り扱われますので、その保存をもって、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすことになります。

また、任意組合の構成員に交付する適格請求書のコピーが大量となる等の事情により、立替払を行った幹事会社が、コピーを交付することが困難なときは、幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書を保存し、精算書を交付することにより、貴社は幹事会社が作成した(立替えを受けた構成員の負担額が記載されている)精算書の保存をもって、仕入税額控除を行うことができます(インボイス通達4-2)。

この場合、幹事会社は、精算書に記載されている仕入れ(経費)について、仕入税額控除が可能なものか(すなわち、適格請求書発行事業者からの仕入れか、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど、各構成員が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を記載しておく必要があります。

なお、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名又は名称の記載が必要となりますし、適格請求書のコピーにより、その仕入れ(経費)が適格請求書発行事業者から受けたものか否かを確認できなくなるため、幹事会社と構成員の間で、課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号を確認できるようにしておく必要があります。

ただし、これらの事項について、別途、書面等で通知する場合のほか、継続的な取引に係る契約書等で、別途明らかにされている等の場合には、精算書において明らかにしていなくても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先数社と任意組合を組成し、イベントを行っています。現行、仕入先から交付される請求書等は、幹事会社が保管し、当社を含めた構成員は、幹事会社から精算書の交付を受けています。適格請求書等保存方式においては、構成員である当社も仕入先から適格請求書の交付を受け、保存する必要がありますか。

2023年9月22日


<インボイス制度に関するQ&A 問90
記載事項に誤りがある適格請求書の交付を受けた事業者が、その課税仕入れについて仕入税額控除の適用に係る請求書等の保存要件を満たすために必要となる対応について教えてください。【令和3年7月追加】

買手である課税事業者は、交付を受けた適格請求書又は適格簡易請求書(電磁的記録により提供を受けた場合も含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、売手である適格請求書発行事業者に対して修正した適格請求書又は適格簡易請求書の交付を求め、その交付を受けることにより、修正した適格請求書又は適格簡易請求書を保存する必要があります(自ら追記や修正を行うことはできません。)。

なお、買手である課税事業者が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので(新消法30⑨三)、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けた上で、その仕入明細書等を保存することもできます。

売手である適格請求書発行事業者の対応は、問33《交付した適格請求書に誤りがあった場合の対応》を、仕入明細書等の記載事項については、問85《仕入明細書等の記載事項》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。仕入明細書には、当社が行った商品の配送について、配送料として記載し、仕入金額から控除しており、これは、当社の売上げとして計上しています。この場合、仕入明細書とは別にその配送料に係る適格請求書を相手方に交付しなければならないのでしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

2023年9月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問89
当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。仕入明細書には、当社が行った商品の配送について、配送料として記載し、仕入金額から控除しており、これは、当社の売上げとして計上しています。この場合、仕入明細書とは別にその配送料に係る適格請求書を相手方に交付しなければならないのでしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4①)。

ご質問の場合、貴社が行う配送(課税資産の譲渡等)の対価として収受する配送料については、別途、相手方の求めに応じて適格請求書を交付する義務があります。このため、配送料に係る適格請求書を仕入明細書とは別に交付する、又は仕入明細書に合わせて配送料に係る適格請求書の記載事項を1枚の書類で交付するといった方法により対応する必要があります。

なお、仕入明細書と適格請求書の記載事項は、それぞれ次のとおりです。
1 仕入明細書の記載事項(新消令49④)

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等

2 適格請求書の記載事項

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
 税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

★リンクはこちら→ 当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。仕入明細書には、当社が行った商品の配送について、配送料として記載し、仕入金額から控除しており、これは、当社の売上げとして計上しています。この場合、仕入明細書とは別にその配送料に係る適格請求書を相手方に交付しなければならないのでしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

2023年9月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問88
当社は、食品及び日用雑貨の販売を行う事業者です。当社の商品販売売上げに関しては、請求書の交付をすることなく、相手方から交付される次の支払通知書に基づき支払を受けています。また、返品があった場合には、支払通知書にその内容等が記載されていますが、こうした場合であっても、適格請求書等保存方式においては、改めて、適格返還請求書を交付する必要がありますか。なお、相手方は、仕入税額控除の適用を受けるために、支払通知書を保存しています。【平成30年11月追加】【令和5年4月改訂】

適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書の交付義務が課されています(新消法57の4③)。

適格返還請求書の記載事項は、次のとおりです。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えありません。)
売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
売上げに係る対価の返還等の金額に係る税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率

また、課税仕入れの相手方において課税資産の譲渡等に該当する場合において、仕入側が作成した次の記載事項のある仕入明細書等の書類で、相手方の確認を受けたものについては、仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等に該当します(新消法 30⑨三、新消49④)。

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
 税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
 税率ごとに区分した消費税額等

ご質問の場合、相手方が仕入税額控除のために作成・保存している支払通知書に、返品に関する適格返還請求書として必要な事項が記載されていれば、貴社と相手方の間で、貴社の売上げに係る対価の返還等の内容について確認されていますので、貴社は、改めて適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。

なお、支払通知書に適格返還請求書として必要な事項を合わせて記載する場合に、事業者ごとに継続して、課税仕入れに係る支払対価の額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を税率ごとに支払通知書に記載することで、仕入明細書に記載すべき「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」と適格返還請求書に記載すべき「売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「売上げに係る対価の返還等の金額に係る税率ごとに区分した消費税額等」の記載を満たすこともできます。

(注)
売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除されます(新消法57の4③、新消令70の9③二)。

ここでいう1万円未満の判定単位については、問29《少額な対価返還等に係る適格返還請求書の交付義務免除に係る1万円未満の判定単位》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、食品及び日用雑貨の販売を行う事業者です。当社の商品販売売上げに関しては、請求書の交付をすることなく、相手方から交付される次の支払通知書に基づき支払を受けています。また、返品があった場合には、支払通知書にその内容等が記載されていますが、こうした場合であっても、適格請求書等保存方式においては、改めて、適格返還請求書を交付する必要がありますか。なお、相手方は、仕入税額控除の適用を受けるために、支払通知書を保存しています。【平成30年11月追加】【令和5年4月改訂】

2023年9月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問87
適格請求書等保存方式の下では、記載事項を満たす仕入明細書には、「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」と「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が必要とのことですが、税抜きの仕入金額と消費税額等を記載することで、必要な記載事項を満たすことになりますか。【平成30年11月追加】

適格請求書等保存方式の下で、仕入税額控除の要件として保存すべき仕入明細書には、次の事項が記載されていることが必要です(新消法30⑨三、新消令49④)。

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等

ご質問の「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」については、税込金額となりますが、税率ごとに区分した仕入金額の税抜きの合計額及び税率ごとに区分した消費税額等を記載することで、その記載があるものとして取り扱われます。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の下では、記載事項を満たす仕入明細書には、「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」と「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が必要とのことですが、税抜きの仕入金額と消費税額等を記載することで、必要な記載事項を満たすことになりますか。【平成30年11月追加】

2023年9月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問86
当社は、EDI取引を行っており、取引先と電磁的記録を交換することにより、日々の受発注などを行っています。また、決済に当たっては、取引先から請求書が交付されず、当社から取引先に、月まとめで支払通知書を書面で交付しています(いわゆる請求レス取引)。支払通知書には相手方の登録番号等の記載を行いますが、日々の取引の明細については、取引先から提供される電磁的記録である取引明細(税率ごとに分けて作成されています。)を参照しようと考えています。このような場合、相手方の確認を受けた上で、書面の支払通知書と取引明細の電磁的記録を合わせて保存することで、仕入税額控除の要件である仕入明細書の保存があることとなりますか。【令和2年9月改訂】
(注)EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。

相手方から確認を受けた仕入明細書を仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等とするには、次の事項が記載されていることが必要です(区分記載請求書等保存方式における仕入明細書の記載事項に加え、次の②、⑤及び⑥の下線部分が追加されました。)(新消法30⑨三、新消令49④)。

また、保存すべき請求書等には仕入明細書に係る電磁的記録も含まれます(新消令49⑤)。

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等

なお、保存が必要な請求書等の記載事項は、一の書類だけで記載事項を満たす必要はなく、複数の書類や、書類と電磁的記録について、これらの書類(書類と電磁的記録)相互の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法で交付されていれば、その複数の書類や電磁的記録の全体により適格請求書の記載事項を満たすことができます。

したがって、ご質問の場合、課税資産の譲渡等の内容(軽減税率の対象である旨を含みます。)を記録した取引明細に係る電磁的記録と書面で作成する支払通知書の全体により、請求書等の記載事項を満たすため、貴社は、書面で作成した支払通知書と取引明細に係る電磁的記録を合わせて保存することで、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすこととなります。

また、取引明細に係る電磁的記録の保存方法は、提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法と同様となります(新消令50①、新消規15の5)。

この電磁的記録の保存方法については、問100《提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、EDI取引を行っており、取引先と電磁的記録を交換することにより、日々の受発注などを行っています。また、決済に当たっては、取引先から請求書が交付されず、当社から取引先に、月まとめで支払通知書を書面で交付しています(いわゆる請求レス取引)。支払通知書には相手方の登録番号等の記載を行いますが、日々の取引の明細については、取引先から提供される電磁的記録である取引明細(税率ごとに分けて作成されています。)を参照しようと考えています。このような場合、相手方の確認を受けた上で、書面の支払通知書と取引明細の電磁的記録を合わせて保存することで、仕入税額控除の要件である仕入明細書の保存があることとなりますか。【令和2年9月改訂】

2023年9月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問85
当店は、食料品及び日用雑貨の小売を行っています。軽減税率制度の実施後、仕入先への代金の支払に当たり、以下のような仕入明細書を作成し、仕入先の確認を受け、保存しています。令和5年10月1日からは、適格請求書等保存方式における請求書等としての記載事項を満たすためには、仕入明細書について、どのような対応が必要ですか。【令和4年4月改訂】

区分記載請求書等保存方式においても、仕入側が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、相手方の確認を受けたものについては、仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等に該当します(消法30⑨二)。

適格請求書等保存方式の下でも同様に仕入明細書等による仕入税額控除は可能ですが、課税仕入れの相手方において課税資産の譲渡等に該当するものであり、次の事項が記載されていることが必要となります(区分記載請求書等保存方式における仕入明細書の記載事項に加え、②、⑤及び⑥の下線部分が追加されています。)(新消法30⑨三、新消令49④)。

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等

(注)
上記の記載事項のうち、②の登録番号を記載しないで作成した仕入明細書は、令和元年10月1日から令和5年9月30日(適格請求書等保存方式の開始前)までの間における区分記載請求書等として取り扱われます。

(参考)仕入明細書等の電磁的記録による保存
仕入税額控除の要件として保存が必要な請求書等には、上記①から⑥までの記載事項に係る電磁的記録も含まれます(新消令49⑦)。

したがって、上記①から⑥までの記載事項を記録した電磁的記録を保存することで、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たします。

なお、仕入明細書等の電磁的記録の保存方法は、提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法と同様となります(新消令50①、新消規15の5)。

この電磁的記録の保存方法については、問100《提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当店は、食料品及び日用雑貨の小売を行っています。軽減税率制度の実施後、仕入先への代金の支払に当たり、以下のような仕入明細書を作成し、仕入先の確認を受け、保存しています。令和5年10月1日からは、適格請求書等保存方式における請求書等としての記載事項を満たすためには、仕入明細書について、どのような対応が必要ですか。【令和4年4月改訂】

2023年9月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問84
当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。適格請求書等保存方式の下でも仕入明細書を保存することによって、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすそうですが、相手方への確認は、どのように行えばよいですか。【令和2年9月改訂】

仕入税額控除の適用を受けるための請求書等に該当する仕入明細書等は、相手方の確認を受けたものに限られます(新消法30⑨三、インボイス通達4-6)。この相手方の確認を受ける方法としては、例えば、

仕入明細書等の記載内容を、通信回線等を通じて相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けた上で、自己の端末機から出力したもの
仕入明細書等に記載すべき事項に係る電磁的記録につきインターネットや電子メールなどを通じて課税仕入れの相手方へ提供し、相手方から確認の通知等を受けたもの
仕入明細書等の写しを相手方に交付し、又は仕入明細書等の記載内容に係る電磁的記録を相手方に提供した後、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする基本契約等を締結した場合におけるその一定期間を経たもの

があります。

なお、③については、

仕入明細書等に「送付後一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする」旨の通知文書等を添付して相手方に送付し、又は提供し、了承を得る。
仕入明細書等又は仕入明細書等の記載内容に係る電磁的記録に「送付後一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする」といった文言を記載し、又は記録し、相手方の了承を得る。

といったように、仕入明細書等の記載事項が相手方に示され、その内容が確認されている実態にあることが明らかであれば、相手方の確認を受けたものとなります。

(参考)
区分記載請求書等保存方式においても、仕入れを行った者が作成する仕入明細書等の書類で、一定事項が記載されており、相手方の確認を受けたものについては、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等に該当します。

ただし、適格請求書等保存方式における仕入明細書等と区分記載請求書等保存方式における仕入明細書等の記載事項は異なりますので、ご注意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。適格請求書等保存方式の下でも仕入明細書を保存することによって、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすそうですが、相手方への確認は、どのように行えばよいですか。【令和2年9月改訂】

2023年9月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問83
当社は、取引先から請求書を電子データにより提供を受けました。これを出力して保存することで、仕入税額控除の要件を満たしますか。なお、提供を受けた請求書データは、適格請求書の記載事項を満たしています。【令和5年4月改訂】

ご質問の請求書の電子データのように、適格請求書に係る電磁的記録による提供を受けた場合であっても、電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面を保存することで、仕入税額控除の適用に係る請求書等の保存要件を満たします(新消規15の5②)。

(参考)
令和3年度の税制改正により、電帳法において、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税の保存義務者については、令和4年1月1日以後行う電子取引に係る電磁的記録を書面やマイクロフィルムに出力してその電磁的記録の保存に代えられる措置が廃止されましたので、全ての電子取引の取引情報に係る電磁的記録を一定の要件の下、保存しなければならないこととされました。

なお、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に電子取引を行う場合には、授受した電磁的記録について要件に従って保存をすることができないことについて、納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め、かつ、保存義務者が税務調査等の際に、税務職員からの求めに応じ、その電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提出をすることができる場合には、その保存要件にかかわらず電磁的記録の保存が可能となり、また、その電磁的記録の保存に代えてその電磁的記録を出力することにより作成した書面による保存をすることも認められます(この取扱いを受けるに当たり税務署への事前申請等の手続は必要ありません。)。

また、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については要件に従った電子データの保存が必要(注)ですので、そのために必要な準備をお願いします。

電帳法上の保存方法等については、国税庁ホームページに掲載されている、「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」や「電子帳簿保存法一問一答」を参考としてください。

(注)
令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について見直しが行われました。令和5年度の税制改正を反映した「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」などについては、国税庁ホームページに随時掲載していきます。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先から請求書を電子データにより提供を受けました。これを出力して保存することで、仕入税額控除の要件を満たしますか。なお、提供を受けた請求書データは、適格請求書の記載事項を満たしています。【令和5年4月改訂】

2023年9月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問82
適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件を教えてください。【令和5年4月改訂】

適格請求書等保存方式の下では、一定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされます(新消法30⑦)。

保存すべき請求書等には、適格請求書のほか、次の書類等も含まれます(新消法30⑨)。

適格簡易請求書
適格請求書又は適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録
適格請求書の記載事項が記載された仕入明細書、仕入計算書その他これに類する書類(課税仕入れの相手方において課税資産の譲渡等に該当するもので、相手方の確認を受けたものに限ります。)(書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)
次の取引について、媒介又は取次ぎに係る業務を行う者が作成する一定の書類(書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)

  • 卸売市場において出荷者から委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の販売
  • 農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等が生産者(組合員等)から委託を受けて行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式によるものに限ります。)

なお、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(新消法30⑦、新消令49①、新消規15の4)。

公共交通機関特例の対象として適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除きます。)
古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得
宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

(注)一定規模以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により、当該課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置が設けられています(28年改正法附則53の2、改正令附則24の2①)。

詳しくは、問108《一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件を教えてください。【令和5年4月改訂】

2023年9月5日


<インボイス制度に関するQ&A 問81
当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録(PDF形式)を提供しています。提供した電磁的記録については、電帳法に準じた方法により保存することとされていますが、保存する電磁的記録は、相手方に提供したPDF形式のものではなく、このPDF形式を作成するための基となったXML形式の電磁的記録でも認められますか。【令和4年11月追加】

適格請求書発行事業者が適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合であって、電帳法に準じた方法により、当該電磁的記録を保存したときは、消費税法における適格請求書の写しの保存要件を満たすこととなります。適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法の詳細については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

この場合、保存する電磁的記録は、必ずしも、相手方に提供した電磁的記録そのものに限られたものではなく、取引内容が変更されるおそれのない合理的な方法により編集された電磁的記録により保存することも可能です(電帳法一問一答【電子取引関係】問35参照)。

ご質問の場合、相手方に提供する電磁的記録は、PDF形式とのことですが、例えば、データベースからフォーマットに出力してPDF形式の請求書を作成するといった、そのPDF形式がXML形式の電磁的記録から取引内容が変更されるおそれがなく合理的な方法により編集されたものであれば、PDF形式の基となったXML形式の電磁的記録を保存することでも差し支えありません。

なお 、当該電磁的記録の保存に当たっては、相手方に提供したPDF形式として出力できるなど、整然とした形式及び明瞭な状態でディスプレイ等に出力できるようにしておく必要がありますのでご注意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、保存しなければならないとのことですが、どのような方法で保存すればよいですか。【令和5年4月改訂】

2023年9月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問80
当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、電帳法に準じた方法により保存することとされていますが、当該電磁的記録がXML形式等の取引情報に関する文字の羅列である場合、電帳法における保存要件の一つである「整然とした形式及び明瞭な状態」での画面及び書面への出力は、どの程度の表示が求められるのでしょうか。例えば、適格請求書の記載事項を示す文言(例えば、「取引年月日」という文言)も必要となるのでしょうか。【令和4年11月追加】

適格請求書発行事業者が適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合において、電帳法に準じた方法により、当該電磁的記録を保存することで、消費税法における適格請求書の写しの保存要件を満たすこととなります。

適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法の詳細については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

ご質問において保存する電磁的記録は、XML形式等の取引情報に関する文字の羅列とのことですが、請求書等のフォーマットなどにより視覚的に確認・出力されるものについては、保存要件を満たすこととなります(電帳法一問一答【電子取引関係】問33参照)。

具体的には、以下の出力(印刷)イメージのように適格請求書であることが視覚的に確認でき、内容が記載事項のどの項目を示しているか認識できるものであれば、消費税法上は、必ずしも、適格請求書の記載事項を示す文言(「取引年月日」や「課税資産の譲渡等の税抜金額又は税込金額を税率ごとに区分して合計した金額」という文言など)が必要となるものではありません。

なお、電帳法においては、「取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項)に係る電磁的記録」を保存する必要があり(電帳法2五、7)、当該電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておく必要があります(電帳規4①柱書、2②二)。

したがって、原則としては、電磁的に授受をした内容に含まれる「通常記載される事項」は全て出力(表示)することができる必要がありますが、その記載事項(金額等)が一見して何を表しているかが明らかである場合には、当該記載事項に係る項目が出力されていなくても差し支えありません。

ただし、授受した「通常記載される事項」に係る電磁的記録について、要件を満たして保存を行う必要があるのでご注意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、電帳法に準じた方法により保存することとされていますが、当該電磁的記録がXML形式等の取引情報に関する文字の羅列である場合、電帳法における保存要件の一つである「整然とした形式及び明瞭な状態」での画面及び書面への出力は、どの程度の表示が求められるのでしょうか。例えば、適格請求書の記載事項を示す文言(例えば、「取引年月日」という文言)も必要となるのでしょうか。【令和4年11月追加】

2023年8月31日


<インボイス制度に関するQ&A 問79
当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、保存しなければならないとのことですが、どのような方法で保存すればよいですか。【令和5年4月改訂】

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは適格請求書を交付しなければなりませんが、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を相手方に提供することができます(新消法57の4①⑤)。

その場合、適格請求書発行事業者は、提供した電磁的記録を

  • 電磁的記録のまま、又は
  • 紙に印刷して、

その提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません(新消法57の4⑥、新消令70の13①、新消規26の8)。

また、その電磁的記録をそのまま保存しようとするときには、以下の措置を講じる必要があります(新消規26の8①)。

①次のイからニのいずれかの措置を行うこと
イ 適格請求書に係る電磁的記録を提供する前にタイムスタンプを付し、その電磁的記録を提供すること(電帳規4①一)

ロ 次に掲げる方法のいずれかにより、タイムスタンプを付すとともに、その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと(電帳規4①二)

  • 適格請求書に係る電磁的記録の提供後、速やかにタイムスタンプを付すこと
  • 適格請求書に係る電磁的記録の提供からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合において、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかにタイムスタンプを付すこと

ハ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について、次のいずれかの要件を満たす電子計算機処理システムを使用して適格請求書に係る電磁的記録の提供及びその電磁的記録を保存すること(電帳規4①三)

  • 訂正又は削除を行った場合には、その事実及び内容を確認することができること
  • 訂正又は削除することができないこと

ニ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと(電帳規4①四)

②適格請求書に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム概要書の備付けを行うこと(電帳規2②一、4①)

③適格請求書に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと(電帳規2②二、4①)

④適格請求書に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと(電帳規2⑥六、4①)

国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときはⅱ及びⅲの要件が不要となり、その判定期間に係る基準期間における売上高が 1,000 万円以下の事業者が国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは検索機能の全てが不要となります(注)。

  1. 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索条件として設定できること
  2. 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
  3. 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できること

他方、適格請求書に係る電磁的記録を紙に印刷して保存しようとするときには、整然とした形式及び明瞭な状態で出力する必要があります(新消規26の8②)。

(参考)電帳法上の保存方法等については、国税庁ホームページに掲載されている、「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」や「電子帳簿保存法一問一答」を参考としてください。

(注)令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について見直しが行われました。
令和5年度の税制改正を反映した「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」などについては、国税庁ホームページに随時掲載していきます。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、保存しなければならないとのことですが、どのような方法で保存すればよいですか。【令和5年4月改訂】

2023年8月30日


<インボイス制度に関するQ&A 問78
当社は、自己の業務システムで作成した適格請求書を出力し、書面で交付しています。適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しを保存しなければなりませんが、書面で交付した適格請求書の写しとして、当該システムで作成したデータを保存することも認められますか。【令和4年11月改訂】

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写しの保存義務があります(新消法57の4⑥)。

こうした国税に関する法律の規定により保存が義務付けられている書類で、自己が一貫して電子計算機を使用して作成したものについては、電帳法に基づき、電磁的記録による保存をもって書類の保存に代えることができることとされています(電帳法4②)。

なお、作成したデータでの保存に当たっては、次の要件を満たす必要があります。

適格請求書に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)の備付けを行うこと(電帳規2②一、③)
適格請求書に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと(電帳規2②二、③)
国税に関する法律の規定による適格請求書に係る電磁的記録の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしておくこと又は適格請求書に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと(電帳規2②三、③)

  •  取引年月日、その他の日付を検索条件として設定できること
  •  日付に係る記録項目は、その範囲を指定して条件を設定することができること

(参考1)
複数の適格請求書の記載事項に係る一覧表等を適格請求書の写しとして電磁的記録により保存する場合には、消費税法上は、必ずしも交付した適格請求書として出力する必要はなく、上記①~③の要件を満たした当該一覧表等の電磁的記録を保存することで問題ありません。

(参考2)
電帳法上の保存方法等については、国税庁ホームページに掲載されている、「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」や「電子帳簿保存法一問一答」を参考としてください。

★リンクはこちら→ 当社は、自己の業務システムで作成した適格請求書を出力し、書面で交付しています。適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しを保存しなければなりませんが、書面で交付した適格請求書の写しとして、当該システムで作成したデータを保存することも認められますか。【令和4年11月改訂】

2023年8月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問77
交付した適格請求書の写しや提供した適格請求書に係る電磁的記録については、何年間保存が必要ですか。

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写し及び提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存義務があります(新消法57の4⑥)。

この適格請求書の写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません(新消令70の13①)。

(参考)
仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等についても、同様です(新消令50①)。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書の写しや提供した適格請求書に係る電磁的記録については、何年間保存が必要ですか。

2023年8月25日


<インボイス制度に関するQ&A 問76
適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しの保存が義務付けられるとのことですが、「交付した適格請求書の写し」とは、交付した書類を複写したものでなければならないのですか。【令和元年7月追加】

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写し及び提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存義務があります(新消法57の4⑥)。

「交付した適格請求書の写し」とは、交付した書類そのものを複写したものに限らず、その適格請求書の記載事項が確認できる程度の記載がされているものもこれに含まれますので、例えば、適格簡易請求書に係るレジのジャーナル、複数の適格請求書の記載事項に係る一覧表や明細表などの保存があれば足りることとなります。

自己が一貫して電子計算機を使用して作成した適格請求書については、その写しを電磁的記録により保存することも認められます。
詳しくは、問78《適格請求書の写しの電磁的記録による保存》をご参照ください。
また、適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しの保存が義務付けられるとのことですが、「交付した適格請求書の写し」とは、交付した書類を複写したものでなければならないのですか。【令和元年7月追加】

2023年8月23日


<インボイス制度に関するQ&A 問75
当社は、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受ける予定です。当社は、売上げの請求書について、毎月15日締めとしています。適格請求書等保存方式が開始する令和5年10月1日をまたぐ令和5年9月16日から10月15日までの期間に係る請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和4年4月追加】

適格請求書発行事業者には、登録日以後の取引について、相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務があります。

登録日をまたぐ一定の期間の取引に係る請求書については、登録日以後の課税資産の譲渡等について適格請求書を交付することとなるため、課税資産の譲渡等の対価の額や税率ごとに区分した消費税額等の記載に当たっては、登録日前の課税資産の譲渡等に係るものと登録日以後の課税資産の譲渡等に係るものとに区分するなどの対応が必要となります。

ただし、ご質問のように、登録日が令和5年10月1日(適格請求書等保存方式の開始日)である場合については、買手において登録日前後の課税仕入れがいずれも仕入税額控除の対象となることから、登録日をまたぐ請求書を適格請求書とするときは、登録日前後の課税資産の譲渡等(令和5年9月16日から30日までの期間と令和5年10月1日から15日までの期間)を区分することなく請求書に記載して交付することも認められます。

★リンクはこちら→ 当社は、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受ける予定です。当社は、売上げの請求書について、毎月15日締めとしています。適格請求書等保存方式が開始する令和5年10月1日をまたぐ令和5年9月16日から10月15日までの期間に係る請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和4年4月追加】

2023年8月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問74>
当社は、令和3年10月に登録申請書を提出し、適格請求書等保存方式が開始される前(令和5年9月30日以前)に登録番号が通知されました。令和5年9月30日以前に交付する区分記載請求書等に登録番号を記載しても問題ないですか。【令和4年4月改訂】

書等の記載事項が記載されていれば、取引の相手方は、区分記載請求書等保存方式の間(令和元年10月1日から令和5年9月30日まで)における仕入税額控除の要件である区分記載請求書等を保存することができますので、区分記載請求書等に登録番号を記載しても差し支えありません。

また、適格請求書の発行に対応したレジシステム等の改修を行い、適格請求書の記載事項を満たした請求書等を発行する場合にも、その請求書等は、区分記載請求書等として必要な記載事項を満たしていますので、区分記載請求書等保存方式の間に交付しても問題ありません。

(注)区分記載請求書等の記載事項のうち、税率ごとに区分して合計した税込価額については、適格請求書の記載事項である課税資産の譲渡等の税抜価額を税率ごとに区分して合計した金額及び税率ごとに区分した消費税額等を記載することとして差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、令和3年10月に登録申請書を提出し、適格請求書等保存方式が開始される前(令和5年9月30日以前)に登録番号が通知されました。令和5年9月30日以前に交付する区分記載請求書等に登録番号を記載しても問題ないですか。【令和4年4月改訂】

2023年8月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問73>
民法上の任意組合(組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、その旨の届出書を所轄税務署長に提出しています。)の事業として行った取引について、適格請求書を交付する場合、適格請求書には、組合員全ての「氏名又は名称及び登録番号」を記載する必要がありますか。

任意組合等の事業として行われる取引については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、業務執行組合員が、その旨を記載した届出書に、当該任意組合等の契約書の写しを添付し、納税地を所轄する税務署長に提出した場合に限り、適格請求書を交付することができます(新消法57の6①、新消令70の14①)。

この場合、交付する適格請求書に記載する「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」は、原則として組合員全員のものを記載することとなりますが、次の事項(①及び②)を記載することも認められます(新消令70の14⑤)。

その任意組合等の、いずれかの組合員の「氏名又は名称及び登録番号」(一又は複数の組合員の「氏名又は名称及び登録番号」で差し支えありません。)
その任意組合等の名称

★リンクはこちら→ 民法上の任意組合(組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、その旨の届出書を所轄税務署長に提出しています。)の事業として行った取引について、適格請求書を交付する場合、適格請求書には、組合員全ての「氏名又は名称及び登録番号」を記載する必要がありますか。

2023年8月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問72>
当社は、日用雑貨の卸売を行う事業者です。当社では、軽減税率の適用対象となる商品の販売がありません。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次の請求書を取引先に交付しています。当社が交付する請求書を適格請求書とするためには、記載内容にどのような変更が必要でしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

適格請求書の記載事項は、次のとおりです(区分記載請求書等保存方式における請求書等の記載事項に加え、①、④及び⑤の下線部分が追加されます。)(新消法57の4①)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

このため、貴社の対応としては、次の記載例のように、適格請求書として必要な事項(上記①、④及び⑤の下線部分)を記載することが必要です。

ご質問のように、販売する商品が軽減税率の適用対象とならないもののみであれば、「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載は不要であり、これまでと同様に課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)の記載があれば、結果として「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」の記載があるものとなります。

なお、適用税率(10%)や消費税額等の記載が必要となる点には、ご留意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、日用雑貨の卸売を行う事業者です。当社では、軽減税率の適用対象となる商品の販売がありません。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次の請求書を取引先に交付しています。当社が交付する請求書を適格請求書とするためには、記載内容にどのような変更が必要でしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

2023年8月9日


<インボイス制度に関するQ&A 問71>
適格請求書の記載事項である「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載方法について教えてください。【令和5年4月追加】

適格請求書の記載事項である「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載については、軽減税率が適用された課税資産の譲渡等であることが客観的に明らかであるといえる程度の表示がされていればよく、個々の取引ごとに適用税率が記載されている場合のほか、例えば、以下のような場合も認められます(軽減通達18)。

同一の適格請求書において、軽減対象資産の譲渡等に該当する取引内容ごとに軽減対象資産の譲渡等であることを示す記号、番号等を表示し、かつ、当該適格請求書において当該記号、番号等が軽減対象資産の譲渡等に係るものであることとして表示されている場合
同一の適格請求書において、軽減対象資産の譲渡等に該当する取引内容を区分し、当該区分して記載された軽減対象資産の譲渡等に該当する取引内容につき軽減対象資産の譲渡等であることが表示されている場合
軽減対象資産の譲渡等に係る適格請求書と軽減対象資産の譲渡等以外のものに係る適格請求書とが区分して作成され、当該区分された軽減対象資産の譲渡等に係る適格請求書に、記載された取引内容が軽減対象資産の譲渡等であることが表示されている場合

★リンクはこちら→ 適格請求書の記載事項である「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載方法について教えてください。【令和5年4月追加】

2023年8月7日


<インボイス制度に関するQ&A 問70>
当社は、EDI取引を行っており、受発注や納品などの日々の取引については、取引先と電磁的記録を交換することにより行っています。ただし、請求書については、月まとめで、書面により取引先に交付しています。請求書を適格請求書とするために、請求書には、以下のように登録番号等の記載を行い、日々の取引の明細については、電磁的記録である請求明細(税率ごとに分けて作成します。)を参照しようと考えています。このような場合であっても、適格請求書を交付したことになりますか。
(注)EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。

適格請求書とは、次の事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいますが、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、書類相互(書類と電磁的記録)の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法で交付されていれば、複数の書類や、書類と電磁的記録の全体により、適格請求書の記載事項を満たすことになります。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 課税資産の譲渡等を行った年月日
  3. 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減税率の対象となるものであれば、その内容及び軽減税率の対象である旨)
  4. 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 適格請求書の交付を受ける事業者の氏名又は名称

したがって、ご質問の場合、課税資産の譲渡等の内容(軽減税率の対象である旨を含みます。)を含む請求明細に係る電磁的記録を提供した上で、それ以外の記載事項のある月まとめの請求書を交付することで、これら全体により、適格請求書の記載事項を満たすことになります。

なお、請求明細に係る電磁的記録については、提供した適格請求書に係る電磁的記録と同様の措置等を行い、保存する必要があります。

提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存方法については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、EDI取引を行っており、受発注や納品などの日々の取引については、取引先と電磁的記録を交換することにより行っています。ただし、請求書については、月まとめで、書面により取引先に交付しています。請求書を適格請求書とするために、請求書には、以下のように登録番号等の記載を行い、日々の取引の明細については、電磁的記録である請求明細(税率ごとに分けて作成します。)を参照しようと考えています。このような場合であっても、適格請求書を交付したことになりますか。

2023年8月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問69>
当社で主催する演劇の入場券について、一定の販売方法においては、券面金額から一定金額を値引きして販売しています。例えば、12,000円の入場券について、1,000円引きの11,000円で販売しています。このような場合において、当該入場券と引換えに行う演劇に係る適格請求書(又は適格簡易請求書)の記載事項はどのようになりますか。【令和4年11月追加】

適格請求書(又は適格簡易請求書)に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額(又は税込価額)を税率ごとに区分して合計した金額」は、売手において課税売上げとして計上する金額を基礎として記載することとなります。

この点、貴社は、当該入場券を11,000円で販売しているとのことですので、当該入場券と引換えに行う演劇(役務の提供)の対価(課税売上げとして計上する金額)は、11,000円となります。

したがって、当該入場券と引換えに行う演劇について適格請求書(又は適格簡易請求書)を交付する場合、当該適格請求書等に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額(又は税込価額)を税率ごとに区分して合計した金額」は、券面金額としている12,000円ではなく、実際に受領した金額11,000円を基礎とした金額となります。

★リンクはこちら→ 当社で主催する演劇の入場券について、一定の販売方法においては、券面金額から一定金額を値引きして販売しています。例えば、12,000円の入場券について、1,000円引きの11,000円で販売しています。このような場合において、当該入場券と引換えに行う演劇に係る適格請求書(又は適格簡易請求書)の記載事項はどのようになりますか。【令和4年11月追加】

2023年8月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問68>
当社は、事業者に対して食料品などの卸売を行っています。取引先に対する請求に際して、当該請求金額の合計額の端数を値引きすることがあるのですが(いわゆる「出精値引き」)、適格請求書等保存方式においては、請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和4年4月追加】【令和5年4月改訂】

ご質問のように課税資産の譲渡等の対価の額の端数を値引きする場合、値引きの時期が課税資産の譲渡等を行う前か後かで以下のように対応が分けられます。

既に行った課税資産の譲渡等の対価の額に係る値引きである場合、売上げに係る対価の返還等として処理する
これから行う課税資産の譲渡等の対価の額に係る値引きである場合(課税資産の譲渡等を行う際に当該課税資産の譲渡等の対価の額を減額している場合)、課税資産の譲渡等の対価の額から直接減額して処理する

なお、値引きの時期が課税資産の譲渡等を行う前か後かについて厳密な区分が困難である場合は、①と②のいずれの処理を行っても差し支えありません。

1.売上げに係る対価の返還等として処理する方法(上記①)
既に行った課税資産の譲渡等の対価の額の端数の値引きである場合、当該課税資産の譲渡等に対する値引きについては適格返還請求書を交付することとなりますが、適格請求書と適格返還請求書のそれぞれの記載事項を満たして一の書類で記載することもできます。

この場合、貴社が行う出精値引きは既に行った個々の取引のいずれかに対して値引きを行う性質のものではなく、その請求全体に対して値引きを行うものであるため、適格返還請求書の記載事項である「売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」は、適格請求書の記載事項である「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」と同一となることから、記載する必要はありません。

また、例えば、標準税率の取引のみを行っているなど、取引に係る適用税率が単一である場合、適格返還請求書の記載事項である売上げに係る対価の返還等の金額に係る「適用税率」に関しても同様に、適格請求書の記載事項である「適用税率」とは別に記載する必要はありません。

なお、適格返還請求書は、売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率のいずれか一方のみの記載が求められている(両方記載することも可能です。)ことから、適用税率を記載した場合は、「売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等」の記載を省略することができます。

貴社が帳簿に記載する「売上げに係る対価の返還等に係る課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」については、端数値引きによる対価の返還等であることが明らかな記載であれば問題ありません。

2.課税資産の譲渡等の対価の額から直接減額して処理する方法(上記②)
これから行う課税資産の譲渡等の値引きである場合、課税資産の譲渡等の対価の額から直接減額して処理することとなりますので、適格請求書には、値引き後の対価の額に係る消費税額等の記載が必要となります。

また、標準税率及び軽減税率対象の取引を同時に行う場合の出精値引きについては、当該出精値引額をその資産の譲渡等の価額の比率によりあん分し、適用税率ごとに区分する必要があります。

なお、この場合において、例えば、標準税率対象のものからのみ値引きを行うとしても値引額又は値引き後の対価の額が明らかとなっていれば、合理的に区分されているものに該当します(軽減通達15)。

軽減対象資産の譲渡等とそれ以外の資産の譲渡等を一括して値引きする場合の適格簡易請求書の記載方法については、問 67《一括値引きがある場合の適格簡易請求書の記載》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、事業者に対して食料品などの卸売を行っています。取引先に対する請求に際して、当該請求金額の合計額の端数を値引きすることがあるのですが(いわゆる「出精値引き」)、適格請求書等保存方式においては、請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和4年4月追加】【令和5年4月改訂】

2023年7月31日


<インボイス制度に関するQ&A 問67>
当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。当社では、飲食料品と飲食料品以外のものを同時に販売した際に、合計金額(税込み)から1,000 円の値引きができる割引券を発行しています。令和5年10月から、顧客が割引券を使用し、値引きを行った場合、当社が発行するレシートには、どのような記載が必要となりますか。【平成30年11月追加】

飲食料品と飲食料品以外の資産を同時に譲渡し、割引券等の利用により、その合計額から一括して値引きを行う場合、税率ごとに区分した値引き後の課税資産の譲渡等の対価の額に対してそれぞれ消費税が課されることとなります。

そのため、適格簡易請求書であるレシート等における「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」は、値引き後のものを明らかにする必要があります。

なお、税率ごとに区分された値引き前の課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額と税率ごとに区分された値引額がレシート等において明らかとなっている場合は、これらにより値引き後の課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額が確認できるため、このような場合であっても、値引き後の「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」が明らかにされているものとして取り扱われます。

また、レシート等に記載する「消費税額等」については、値引き後の「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」から計算することとなります。

ご質問の場合、レシートの記載方法としては次のようなものがあります。

★リンクはこちら→ 当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。当社では、飲食料品と飲食料品以外のものを同時に販売した際に、合計金額(税込み)から1,000 円の値引きができる割引券を発行しています。令和5年10月から、顧客が割引券を使用し、値引きを行った場合、当社が発行するレシートには、どのような記載が必要となりますか。【平成30年11月追加】

2023年7月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問66>
当社は、米ドル建てにより取引を行っており、当該取引に係る資産の譲渡等の対価の額については、法人税における処理と同様に取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っています。このような外貨建取引に係る適格請求書は、どのように記載すればよいですか。【令和4年4月追加】【令和4年11月改訂】

米ドルなどの外貨建てによる取引であっても、適格請求書に記載が必要な事項は問52《適格請求書に記載が必要な事項》と同様ですが、「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を除き、記載事項を外国語や外貨により記載しても問題ありません。

しかし、外貨建てによる取引であっても、「税率の異なるごとに区分した消費税額等」については、円換算した金額を記載する必要があります。

具体的には、以下のいずれかの計算方法により、円換算して「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を算出することとなります。

  1. 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税抜)を円換算後、消費税額等を算出する方法
  2. 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税込)を円換算後、消費税額等を算出する方法
  3. 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税抜)から計算過程の消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税込)から計算過程の消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法

★リンクはこちら→ 当社は、米ドル建てにより取引を行っており、当該取引に係る資産の譲渡等の対価の額については、法人税における処理と同様に取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っています。このような外貨建取引に係る適格請求書は、どのように記載すればよいですか。【令和4年4月追加】【令和4年11月改訂】

2023年7月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問65>
当社は、商品の納品の都度、取引先に納品書を交付しており、そこには、当社の名称、商品名、納品書ごとの合計金額を記載しています。令和5年10月から、納品書に税率ごとに区分して合計した税込価額、適用税率と納品書ごとに計算した消費税額等の記載を追加するとともに、請求書に登録番号の記載を追加すれば、納品書と請求書を合わせて適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。また、その場合、端数処理はどのように行えばよいでしょうか。【平成30年11月追加】【令和4年4月改訂】

適格請求書とは、必要な事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいますが、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法(例えば、請求書に納品書番号を記載する方法など)で交付されていれば、これら複数の書類に記載された事項により適格請求書の記載事項を満たすことができます(インボイス通達3-1)。

このため、ご質問のように納品書に「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率」及び「税率ごとに区分した消費税額等」の記載を追加するとともに、「登録番号」を請求書に記載した場合は、納品書と請求書を合わせて適格請求書の記載事項を満たすこととなります。

この場合、納品書に「税率ごとに区分した消費税額等」を記載するため、納品書につき税率ごとに1回の端数処理を行うこととなります。

★リンクはこちら→ 当社は、商品の納品の都度、取引先に納品書を交付しており、そこには、当社の名称、商品名、納品書ごとの合計金額を記載しています。令和5年10月から、納品書に税率ごとに区分して合計した税込価額、適用税率と納品書ごとに計算した消費税額等の記載を追加するとともに、請求書に登録番号の記載を追加すれば、納品書と請求書を合わせて適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。また、その場合、端数処理はどのように行えばよいでしょうか。【平成30年11月追加】【令和4年4月改訂】

2023年7月24日


<インボイス制度に関するQ&A 問64>
当社は、複数の事業所がある顧客に対しては、その事業所ごとに契約を締結し取引を行っています。一方、請求書は、以下のように複数の契約をまとめて交付しています。現在、契約ごとに消費税額等の端数処理を行い、ご請求金額欄における消費税額等はその端数処理をした消費税額等の合計額を記載していますが、令和5年10月から、この請求書に登録番号を追加すれば適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。【令和4年11月追加】

適格請求書に記載する消費税額等は、適格請求書に記載した税率ごとに合計した課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額に、一定の割合(税抜価額の場合100分の10(又は100分の8)、税込価額の場合110分の10(又は108分の8)を乗じて算出し、その算出した消費税額等に1円未満の端数が生じた場合にその端数を処理するため、適格請求書に記載する消費税額等の端数処理は一の適格請求書につき、税率ごとに1回行うこととなります(新消令70の10、インボイス通達3-12)。

ご質問の請求書については、契約ごとに課税資産の譲渡等の税抜金額及び消費税額等を記載しているものですが、一の書類として交付しているものであるため、この書類を適格請求書とする場合、当該一の書類に係る課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額の合計額から消費税額等を算出する必要があります。

この点、ご質問の請求書に記載されている消費税額等は、契約ごとの課税資産の譲渡等の税抜価額から算出して端数処理した消費税額等を合計しているため、適格請求書の記載事項を満たしません。

なお、例えば、以下の場合のように、課税資産の譲渡等の税込価額を合計し、その合計金額から算出した消費税額等を記載することにより、適格請求書の記載事項である消費税額等とすることができます。

この場合、契約ごとに算出した消費税額等を参考として記載することは問題ありませんが、法令で求められる適格請求書の記載事項としての消費税額等にはなりませんのでご留意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、複数の事業所がある顧客に対しては、その事業所ごとに契約を締結し取引を行っています。一方、請求書は、以下のように複数の契約をまとめて交付しています。現在、契約ごとに消費税額等の端数処理を行い、ご請求金額欄における消費税額等はその端数処理をした消費税額等の合計額を記載していますが、令和5年10月から、この請求書に登録番号を追加すれば適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。【令和4年11月追加】

2023年7月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問63>
当社は、書類に代えて、インターネットを利用して電子メールで請求書に係る電磁的記録を提供しています。適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供できるそうですが、この電磁的記録には、どのような内容を記録する必要がありますか。

適格請求書とは、次の事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいますが、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法(例えば、請求書に納品書番号を記載するなど)で交付されていれば、その複数の書類の全体により適格請求書の記載事項を満たすことになります(インボイス通達3-1)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
適格請求書の交付を受ける事業者の氏名又は名称

したがって、ご質問の場合、次の対応が考えられます。

1.請求書に適格請求書として必要な事項を全て記載する場合
適格請求書として必要な事項を全て記載することにより、請求書の交付のみをもって、適格請求書の交付義務を果たすことができます。この場合、納品書の様式を変更していただく必要はありません。
【適格請求書として必要な記載事項を全て請求書に記載する場合の記載例】

2.請求書のみでは適格請求書の記載事項が不足するため、納品書で不足する記載事項を補完する場合
請求書に、登録番号、税率ごとに区分した消費税額等及び適用税率を記載するとともに、日々の取引の内容(軽減税率の対象である旨を含みます。)については、納品書に記載することにより、2種類の書類で適格請求書の記載事項を満たすことができます。
したがって、この場合、請求書と納品書を交付することにより、適格請求書の交付義務を果たすことができます。
【請求書に不足する適格請求書の記載事項を納品書で補完する場合の記載例】

★リンクはこちら→ 当社は、書類に代えて、インターネットを利用して電子メールで請求書に係る電磁的記録を提供しています。適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供できるそうですが、この電磁的記録には、どのような内容を記録する必要がありますか。

2023年7月18日


<インボイス制度に関するQ&A 問62
当社は、書類に代えて、インターネットを利用して電子メールで請求書に係る電磁的記録を提供しています。適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供できるそうですが、この電磁的記録には、どのような内容を記録する必要がありますか。

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは適格請求書を交付しなければなりませんが、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4①⑤)。

なお、提供する電磁的記録は、次のとおり適格請求書の記載事項と同じ内容の記録である必要があります。

電磁的記録を提供する適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
電磁的記録の提供を受ける事業者の氏名又は名称

また、電磁的記録による提供方法については、問32《適格請求書に係る電磁的記録による提供》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、書類に代えて、インターネットを利用して電子メールで請求書に係る電磁的記録を提供しています。適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供できるそうですが、この電磁的記録には、どのような内容を記録する必要がありますか。

2023年7月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問61
当社は、販売促進の目的で、一定の商品を対象として、取引高に応じて、取引先(当社の売上先)に販売奨励金を支払うこととしています。 販売奨励金の精算に当たっては、取引先から交付される奨励金請求書に基づき支払い、消費税については、売上げに係る対価の返還等として処理しています。この場合、適格請求書等保存方式においては、当社から取引先に対して、改めて、適格返還請求書を交付する必要がありますか。【平成30年11月追加】【令和5年4月改訂】

ご質問の販売奨励金は、貴社の売上げに係る対価の返還等に該当します(基通14-1-2)ので、貴社は、取引先に対し、適格返還請求書を交付する義務があります(新消法57の4③)。

適格返還請求書の記載事項は、次のとおりです。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えありません。)
売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
売上げに係る対価の返還等の金額に係る税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率

ご質問の場合、取引先が作成する書類である奨励金請求書に販売奨励金に関する適格返還請求書として必要な事項が記載されていれば、貴社と取引先との間で、貴社の売上げに係る対価の返還等の内容について記載された書類が共有されていますので、貴社は、改めて、適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、販売促進の目的で、一定の商品を対象として、取引高に応じて、取引先(当社の売上先)に販売奨励金を支払うこととしています。 販売奨励金の精算に当たっては、取引先から交付される奨励金請求書に基づき支払い、消費税については、売上げに係る対価の返還等として処理しています。この場合、適格請求書等保存方式においては、当社から取引先に対して、改めて、適格返還請求書を交付する必要がありますか。【平成30年11月追加】【令和5年4月改訂】

2023年7月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問60
当社は、事業者に対して食料品及び日用雑貨の卸売を行っています。取引先と販売奨励金に係る契約を締結しており、一定の商品を対象として、取引高に応じて、取引先に販売奨励金を支払うこととしています。また、販売奨励金の精算に当たっては、当月分の請求書において、当月分の請求金額から前月分の販売奨励金の金額を控除する形式で行っています。適格請求書等保存方式においては、請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和5年4月改訂】

ご質問の販売奨励金は、貴社の売上げに係る対価の返還等に該当します。

したがって、貴社は、取引先に対し、課税資産の譲渡等と売上げに係る対価の返還等を行っていることから、取引先に対し、適格請求書と適格返還請求書を交付する義務があります。

この場合において、貴社が交付する請求書に、適格請求書と適格返還請求書それぞれに必要な記載事項を記載して1枚の書類で交付することも可能です。

具体的には、当月販売した商品について、適格請求書として必要な事項を記載するとともに、前月分の販売奨励金について、適格返還請求書として必要な事項を記載すれば、1枚の請求書を交付することで差し支えありません。

また、継続して、課税資産の譲渡等の対価の額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を税率ごとに請求書等に記載することで、適格請求書に記載すべき「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」と適格返還請求書に記載すべき「売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等」の記載を満たすこともできます(インボイス通達3-16)。

(注)
この場合、課税資産の譲渡等の金額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額に基づく消費税額等の計算については、税率ごとに1回の端数処理となります。

★リンクはこちら→ 当社は、事業者に対して食料品及び日用雑貨の卸売を行っています。取引先と販売奨励金に係る契約を締結しており、一定の商品を対象として、取引高に応じて、取引先に販売奨励金を支払うこととしています。また、販売奨励金の精算に当たっては、当月分の請求書において、当月分の請求金額から前月分の販売奨励金の金額を控除する形式で行っています。適格請求書等保存方式においては、請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和5年4月改訂】

2023年7月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問59
適格返還請求書には、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」を記載する必要があるとのことですが、日々、商品の返品が行われているため、個々の商品について正確な販売年月日を把握することが困難です。そのため、例えば、10月中に返品を受けた商品は、前月である9月中に販売したものの返品として処理している場合には「9月末日」を、同商品について最後に販売したものの返品として処理している場合には「最終販売年月日」を、それぞれ「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」として記載することも認められるでしょうか。【令和元年7月追加】

適格請求書発行事業者には、課税事業者に対して売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書を交付する義務が課されており、適格返還請求書には、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」を記載することとされています(新消法 57の4③)。

この点、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」は、課税期間の範囲内で一定の期間の記載で差し支えありませんので、例えば、月単位や「○月~△月分」といった記載も認められることとなります。

他方、返品等の処理を合理的な方法により継続して行っているのであれば、当該返品等の処理に基づき合理的と認められる年月日を記載することとしても差し支えありませんので、ご質問のように「前月末日」や「最終販売年月日」を「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」として記載することも、そのような処理が合理的な方法として継続して行われているのであれば、認められることとなります。

なお、その年月日が、適格請求書発行事業者の登録前の期間に属するものであるときは、適格返還請求書の交付義務はありません(インボイス通達3-14)。

★リンクはこちら→ 適格返還請求書には、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」を記載する必要があるとのことですが、日々、商品の返品が行われているため、個々の商品について正確な販売年月日を把握することが困難です。そのため、例えば、10月中に返品を受けた商品は、前月である9月中に販売したものの返品として処理している場合には「9月末日」を、同商品について最後に販売したものの返品として処理している場合には「最終販売年月日」を、それぞれ「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」として記載することも認められるでしょうか。【令和元年7月追加】

2023年7月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問58
適格返還請求書の記載事項について教えてください。【令和5年4月改訂】

適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4③)。

適格返還請求書の記載事項は、次のとおりです。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えありません。)
売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率

(注)
売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除されます(新消法 57の4③、新消令 70の9③二)。ここでいう1万円未満の判定単位については、問 29《少額な対価返還等に係る適格返還請求書の交付義務免除に係る1万円未満の判定単位》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格返還請求書の記載事項について教えてください。【令和5年4月改訂】

2023年7月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問57
当社は、小売業(スーパーマーケット)を経営する事業者です。当社のレジシステムで買い物客に発行するレシートは、一般の商品は、税抜価額を記載していますが、たばこなどの一部の商品は税込価額を記載しています。この場合、適格簡易請求書に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、どのように算出すればよいのですか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(新消令70の10、インボイス通達3-12)。

この取扱いについては、適格簡易請求書に消費税額の記載を行う場合についても同様です。

ご質問のように、一の適格簡易請求書において、税抜価額を記載した商品と税込価額を記載した商品が混在するような場合、いずれかに統一して「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した額」を記載するとともに、これに基づいて「税率ごとに区分した消費税額等」を算出して記載する必要があります。

なお、税抜価額又は税込価額のいずれかに統一して「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した額」を記載する際における1円未満の端数処理については、「税率ごとに区分した消費税額等」を算出する際の端数処理ではありませんので、この場合にどのように端数処理を行うかについては、事業者の任意となります。

ただし、たばこなど、法令・条例の規定により「税込みの小売定価」が定められている商品や再販売価格維持制度の対象となる商品と、税抜価額で記載するその他の商品を合わせて一の適格簡易請求書に記載する場合については、「税込みの小売定価」を税抜化せず、「税込みの小売定価」を合計した金額及び「税率の異なるごとの税抜価額」を合計した金額を表示し、それぞれを基礎として消費税額等を算出し、算出したそれぞれの金額について端数処理して記載することとしても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、小売業(スーパーマーケット)を経営する事業者です。当社のレジシステムで買い物客に発行するレシートは、一般の商品は、税抜価額を記載していますが、たばこなどの一部の商品は税込価額を記載しています。この場合、適格簡易請求書に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、どのように算出すればよいのですか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

2023年6月30日


<インボイス制度に関するQ&A 問56
当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次のレシートを取引先に交付しています。小売業などは、適格請求書の交付に代えて、記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができるそうですが、その記載事項について教えてください。【令和4年4月改訂】

適格請求書等保存方式においては、適格請求書発行事業者が、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業(適格簡易請求書を交付することができる事業については問25《適格簡易請求書の交付ができる事業》をご参照ください。)を行う場合には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます(新消法57の4②、新消令70の11)。

適格簡易請求書の記載事項は、適格請求書の記載事項よりも簡易なものとされており、適格請求書の記載事項と比べると、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要である点、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りる点が異なります。

なお、具体的な記載事項は、次のとおりです。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率()

「税率ごとに区分した消費税額等」と「適用税率」を両方記載することも可能です。

(注)
上記の記載事項のうち、①の登録番号を記載しないで作成したレシートは、令和元年10月1日から令和5年9月30日(適格請求書等保存方式の開始前)までの間における区分記載請求書等に該当します。

(参考)
これまでも仕入税額控除の要件として保存が必要な請求書等の記載事項について、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業に係るものである場合には、請求書等の交付を受ける相手方の氏名又は名称の記載は不要とされています(消法30⑨一)。

★リンクはこちら→ 当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次のレシートを取引先に交付しています。小売業などは、適格請求書の交付に代えて、記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができるそうですが、その記載事項について教えてください。【令和4年4月改訂】

2023年6月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問55
適格請求書には、税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要となるそうですが、消費税額等を計算する際の1円未満の端数処理はどのように行えばよいですか。【令和3年7月改訂】

適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(新消令70の10、インボイス通達3-12)。
なお、切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすることができます。
(注) 一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません。

★リンクはこちら→ 適格請求書には、税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要となるそうですが、消費税額等を計算する際の1円未満の端数処理はどのように行えばよいですか。【令和3年7月改訂】

2023年6月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問54
現在、当社は、名称に代えて、取引先と共有する取引先コード(取引先コード表により当社の名称等の情報を共有しています。)を請求書に記載しています。取引先コードの内容に登録番号を追加することにより、適格請求書の記載事項
を満たすことになりますか。

適格請求書には、「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」の記載が必要となります(新消法57の4①一)。

登録番号と紐付けて管理されている取引先コード表などを適格請求書発行事業者と相手先の間で共有しており、買手においても取引先コードから登録番号が確認できる場合には、取引先コードの表示により「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」の記載があると認められます。

したがって、貴社の請求書は、適格請求書の記載事項を満たすことになります(インボイス通達3-3)。

なお、売手が適格請求書発行事業者でなくなった場合は、速やかに取引先コード表を修正する必要があるほか、事後的な確認を行うために、売手が適格請求書発行事業者である期間が確認できる措置を講じておく必要があります。

★リンクはこちら→ 現在、当社は、名称に代えて、取引先と共有する取引先コード(取引先コード表により当社の名称等の情報を共有しています。)を請求書に記載しています。取引先コードの内容に登録番号を追加することにより、適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。

2023年6月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問53
現在、当社は、請求書を交付する際に記載する名称について、屋号を使用しています。適格請求書に記載する名称も屋号で認められますか。

現行、請求書等に記載する名称については、例えば、請求書に電話番号を記載するなどし、請求書を交付する事業者を特定することができる場合、屋号や省略した名称などの記載でも差し支えありません。

適格請求書に記載する名称についても同様に、例えば、電話番号を記載するなどし、適格請求書を交付する事業者を特定することができれば、屋号や省略した名称などの記載でも差し支えありません。

★リンクはこちら→ 現在、当社は、請求書を交付する際に記載する名称について、屋号を使用しています。適格請求書に記載する名称も屋号で認められますか。

2023年6月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問52
当社は、事業者に対して飲食料品及び日用雑貨の卸売を行っています。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次の請求書を取引先に交付しています。今後、令和5年10月からの適格請求書等保存方式の開始を踏まえ、適格請求書の記載事項を満たす請求書を取引先に交付したいと考えていますが、どのような対応が必要ですか。【令和4年4月改訂】

適格請求書には、次の事項が記載されていることが必要です(区分記載請求書等保存方式における請求書等の記載事項に加え、①、④及び⑤の下線部分が追加されます。)(新消法57の4①)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲
渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

このため、貴社の対応としては、次の記載例のように、適格請求書として必要な事項(上記①、④及び⑤の下線部分)を記載することが必要です。

(注)上記の記載事項のうち、①の登録番号を記載しないで作成した請求書等は、令和元年10月1日から実施された軽減税率制度における区分記載請求書等として取り扱われます。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書発行事業者です。適格請求書発行事業者でない事業者と共有している建物を売却することになりましたが、適格請求書はどのように交付すればよいですか。

2023年6月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問51>
当社は、適格請求書発行事業者です。適格請求書発行事業者でない事業者と共有している建物を売却することになりましたが、適格請求書はどのように交付すればよいですか。

適格請求書発行事業者が適格請求書発行事業者以外の者と資産を共有している場合、その資産の譲渡や貸付けについては、所有者ごとに取引を合理的に区分し、相手方の求めがある場合には、適格請求書発行事業者の所有割合に応じた部分について、適格請求書を交付しなければなりません(インボイス通達3-5)。

したがって、貴社は、建物の売却代金のうち、貴社の所有割合(例えば持分など)に対応する部分を基礎として、適格請求書を交付することとなります。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書発行事業者です。適格請求書発行事業者でない事業者と共有している建物を売却することになりましたが、適格請求書はどのように交付すればよいですか。

2023年6月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問50>
当社は、取引先数社と任意組合であるJVを組成し、建設工事を行っています。このような任意組合により事業を行う場合、取引の相手方に対し、どのように適格請求書を交付すればよいですか。【令和3年7月改訂】

民法第667条第1項に規定する組合契約によって成立する組合、投資事業有限責任組合契約に関する法律第2条第2項に規定する投資事業有限責任組合若しくは有限責任事業組合契約に関する法律第2条に規定する有限責任事業組合又は外国の法令に基づいて設立された団体であってこれらの組合に類似するもの(以下「任意組合等」といいます。)が事業として行う課税資産の譲渡等については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、民法第670条第3項に規定する業務執行者などの業務執行組合員が、納税地を所轄する税務署長に「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出した場合に限り、適格請求書を交付することができます(新消法57の6①、新消令70の14①②)。

この場合、任意組合等のいずれかの組合員が適格請求書を交付することができ、その写しの保存は、適格請求書を交付した組合員が行うこととなります。

なお、次の場合に該当することとなったときは、該当することとなった日以後の取引について、適格請求書を交付することができなくなります。

適格請求書発行事業者でない新たな組合員を加入させた場合
当該任意組合等の組合員のいずれかが適格請求書発行事業者でなくなった場合

これらの場合に該当することとなったときは、業務執行組合員が速やかに納税地を所轄する税務署長に「任意組合等の組合員が適格請求書発行事業者でなくなった旨等の届出書」を提出しなければなりません(新消法57の6②)。

(参考)
任意組合等の事業に係る適格請求書の記載事項については問73《任意組合が交付する適格請求書の記載事項》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先数社と任意組合であるJVを組成し、建設工事を行っています。このような任意組合により事業を行う場合、取引の相手方に対し、どのように適格請求書を交付すればよいですか。【令和3年7月改訂】

2023年6月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問49>
当社(受託者)は、複数の取引先(委託者)から委託を受けて、受託販売を行っています。一の売上先に対して、複数の取引先の商品の販売を行うことがあり、その場合、媒介者交付特例により、当社が一括して適格請求書を交付することは可能でしょうか。【平成30年11月追加】【令和4年11月改訂】

次の①及び②の要件を満たすことにより、媒介又は取次ぎを行う者である受託者が、委託者の課税資産の譲渡等について、自己(受託者)の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書又は適格請求書に係る電磁的記録を、委託者に代わって、購入者に交付し、又は提供することができます(新消令70の12①)。

委託者及び受託者が適格請求書発行事業者であること
委託者が受託者に、自己が適格請求書発行事業者の登録を受けている旨を取引前までに通知していること(通知の方法としては、個々の取引の都度、事前に登録番号を書面等により通知する方法のほか、例えば、基本契約等により委託者の登録番号を記載する方法などがあります(インボイス通達3-7)。)

この媒介者交付特例の適用により、ご質問のように複数の委託者に係る商品を一の売上先に販売した場合であっても、1枚の適格請求書により交付を行うことが可能です。

この場合、適格請求書の記載事項である課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額は、委託者ごとに記載し、消費税額等の端数処理についても委託者ごとに行うことが原則となります。

ただし、受託者が交付する適格請求書単位で、複数の委託者の取引を一括して記載し、消費税額等の端数処理を行うことも差し支えありません。

この場合において、受託者が各委託者に適格請求書の写しに替えて交付する精算書等(適格請求書の写しに替えて精算書等の書類等を交付することで差し支えない場合については、48《媒介者交付特例》の【受託者の対応(新消令70の12①③)】をご参照ください。)に記載する消費税額等の合計額と、売上先に交付した適格請求書に記載した消費税額等とが必ずしも一致しないことも生じますが、各委託者の税込対価の合計額から消費税額等を計算するなど、合理的な方法によることとしている場合には差し支えありません。

また、委託者に適格請求書発行事業者とそれ以外の者が混在していたとしても、適格請求書発行事業者とそれ以外の者とに区分することにより、適格請求書発行事業者に係るもののみを適格請求書とすることができます。

★リンクはこちら→ 当社(受託者)は、複数の取引先(委託者)から委託を受けて、受託販売を行っています。一の売上先に対して、複数の取引先の商品の販売を行うことがあり、その場合、媒介者交付特例により、当社が一括して適格請求書を交付することは可能でしょうか。【平成30年11月追加】【令和4年11月改訂】

2023年6月9日


<インボイス制度に関するQ&A 問48>
当社(委託者)は、取引先(受託者)に商品の販売を委託し、委託販売を行っています。これまで、販売した商品の納品書は取引先から購入者に交付していましたが、この納品書を適格請求書として交付することはできますか。なお、当社と取引先はいずれも適格請求書発行事業者です。【令和4年11月改訂】

適格請求書発行事業者には、課税資産の譲渡等を行った場合、課税事業者からの求めに応じて適格請求書の交付義務が課されています(新消法57の4①)。

委託販売の場合、購入者に対して課税資産の譲渡等を行っているのは、委託者ですから、本来、委託者が購入者に対して適格請求書を交付しなければなりません。

このような場合、受託者が委託者を代理して、委託者の氏名又は名称及び登録番号を記載した、委託者の適格請求書を、相手方に交付することも認められます(代理交付)。

また、次の①及び②の要件を満たすことにより、媒介又は取次ぎを行う者である受託者が、委託者の課税資産の譲渡等について、自己の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書又は適格請求書に係る電磁的記録を、委託者に代わって、購入者に交付し、又は提供することができます(以下「媒介者交付特例」といいます。)(新消令70の12①)。

委託者及び受託者が適格請求書発行事業者であること
委託者が受託者に、自己が適格請求書発行事業者の登録を受けている旨を取引前までに通知していること(通知の方法としては、個々の取引の都度、事前に登録番号を書面等により通知する方法のほか、例えば、基本契約等により委託者の登録番号を記載する方法などがあります(インボイス通達3-7)。)

この媒介者交付特例は、物の販売などを委託し、受託者が買手に商品を販売しているような取引だけではなく、請求書の発行事務や集金事務といった商品の販売等に付随する行為のみを委託しているような場合も対象となります。

なお、媒介者交付特例を適用する場合における受託者の対応及び委託者の対応は、次のとおりです。
【受託者の対応(新消令70の12①③)】

交付した適格請求書の写し又は提供した電磁的記録を保存する。
交付した適格請求書の写し又は提供した電磁的記録を速やかに委託者に交付又は提供する。

(注)
委託者に交付する適格請求書の写しについては、例えば、複数の委託者の商品を販売した場合や、多数の購入者に対して日々適格請求書を交付する場合などで、コピーが大量になるなど、適格請求書の写しそのものを交付することが困難な場合には、適格請求書の写しと相互の関連が明確な、精算書等の書類等を交付することで差し支えありませんが、この場合には、交付した当該精算書等の写しを保存する必要があります(インボイス通達3-8)。

なお、精算書等の書類等には、適格請求書の記載事項のうち、「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率」や「税率ごとに区分した消費税額等」など、委託者の売上税額の計算に必要な一定事項を記載する必要があります。

【委託者の対応(新消令70の12④)】

自己が適格請求書発行事業者でなくなった場合、その旨を速やかに受託者に通知する。
委託者の課税資産の譲渡等について、受託者が委託者に代わって適格請求書を交付していることから、委託者においても、受託者から交付された適格請求書の写しを保存する。

したがって、ご質問の場合は、取引先も適格請求書発行事業者ですから、貴社が取引先に自らが適格請求書発行事業者であることを通知することにより、取引先が自らの名称及び登録番号を記載した納品書を作成し、貴社の適格請求書として購入者に交付することができます。

なお、貴社は取引先から交付を受けた適格請求書の写しを保存する必要があります。

(注)
媒介者交付特例により適格請求書の交付を行う受託者が、自らの課税資産の譲渡等に係る適格請求書の交付も併せて行う場合、自らの課税資産の譲渡等と委託を受けたものを一の適格請求書に記載しても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社(委託者)は、取引先(受託者)に商品の販売を委託し、委託販売を行っています。これまで、販売した商品の納品書は取引先から購入者に交付していましたが、この納品書を適格請求書として交付することはできますか。なお、当社と取引先はいずれも適格請求書発行事業者です。【令和4年11月改訂】

2023年6月7日


<インボイス制度に関するQ&A 問47>
3万円未満の自動販売機や自動サービス機による商品の販売等は、適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的にはどのようなものが該当しますか。【令和4年11月改訂】

適格請求書の交付義務が免除される自動販売機特例の対象となる自動販売機や自動サービス機とは、代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置であって、その機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結するものをいいます(インボイス通達3-11)。

したがって、例えば、自動販売機による飲食料品の販売のほか、コインロッカーやコインランドリー等によるサービス、金融機関のATMによる手数料を対価とする入出金サービスや振込サービスのように機械装置のみにより代金の受領と資産の譲渡等が完結するものが該当することとなります。

なお、小売店内に設置されたセルフレジを通じた販売のように機械装置により単に精算が行われているだけのもの、コインパーキングや自動券売機のように代金の受領と券類の発行はその機械装置で行われるものの資産の譲渡等は別途行われるようなもの及びネットバンキングのように機械装置で資産の譲渡等が行われないものは、自動販売機や自動サービス機による商品の販売等に含まれません。

(参考)
コインパーキングは、適格請求書の交付義務が免除される自動販売機特例の対象とはなりませんが、駐車場業(不特定かつ多数の者に対するもの)に該当することから、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます。

★リンクはこちら→ 3万円未満の自動販売機や自動サービス機による商品の販売等は、適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的にはどのようなものが該当しますか。【令和4年11月改訂】

2023年6月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問46>
農業協同組合等を通じた農林水産物の委託販売は、組合員等の適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的には、どのような取引が対象となりますか。

農業協同組合法に規定する農業協同組合や農事組合法人、水産業協同組合法に規定する水産業協同組合、森林組合法に規定する森林組合及び中小企業等協同組合法に規定する事業協同組合や協同組合連合会(以下これらを併せて「農協等」といいます。)の組合員その他の構成員が、農協等に対して、無条件委託方式かつ共同計算方式により販売を委託した、農林水産物の販売(その農林水産物の譲渡を行う者を特定せずに行うものに限ります。)は、適格請求書を交付することが困難な取引として、組合員等から購入者に対する適格請求書の交付義務が免除されます(新消法57の4①、新消令70の9②二ロ)。

なお、無条件委託方式及び共同計算方式とは、それぞれ、次のものをいいます(新消令70の9②二ロ、新消規26の5②)。

無条件委託方式 出荷した農林水産物について、売値、出荷時期、出荷先等の条件を付けずに、その販売を委託すること
共同計算方式 一定の期間における農林水産物の譲渡に係る対価の額をその農林水産物の種類、品質、等級その他の区分ごとに平均した価格をもって算出した金額を基礎として精算すること

また、この場合において、農林水産物を購入した事業者は、農協等が作成する一定の書類を保存することが仕入税額控除の要件となります。

仕入税額控除の要件については、問82《仕入税額控除の要件》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 農業協同組合等を通じた農林水産物の委託販売は、組合員等の適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的には、どのような取引が対象となりますか。

2023年5月31日


<インボイス制度に関するQ&A 問45>
卸売市場を通じた生鮮食料品等の委託販売は、出荷者等の適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的には、どのような取引が対象となりますか。【令和2年9月改訂】

卸売市場法に規定する卸売市場において、同法に規定する卸売業者が卸売の業務として出荷者から委託を受けて行う同法に規定する生鮮食料品等の販売は、適格請求書を交付することが困難な取引として、出荷者等から生鮮食料品等を購入した事業者に対する適格請求書の交付義務が免除されます(新消法57の4①、新消令70の9②二イ)。

本特例の対象となる卸売市場とは、

農林水産大臣の認定を受けた中央卸売市場
都道府県知事の認定を受けた地方卸売市場
①及び②に準ずる卸売市場として農林水産大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たす卸売市場のうち農林水産大臣の確認を受けた卸売市場とされています。

農林水産大臣が財務大臣と協議して定める基準は、以下の5つが定められています(令和2年農林水産省告示第683号)。

生鮮食料品等(卸売市場法第2条第1項に規定する生鮮食料品等をいいます。②についても同じです。)の卸売のために開設されていること
卸売場、自動車駐車場その他の生鮮食料品等の取引及び荷捌きに必要な施設が設けられていること
継続して開場されていること
売買取引の方法その他の市場の業務に関する事項及び当該事項を遵守させるための措置に関する事項を内容とする規程が定められていること
卸売市場法第2条第4項に規定する卸売をする業務のうち販売の委託を受けて行われるものと買い受けて行われるものが区別して管理されていること

なお、この場合において、生鮮食料品等を購入した事業者は、卸売の業務を行う事業者など媒介又は取次ぎに係る業務を行う者が作成する一定の書類を保存することが仕入税額控除の要件となります。

仕入税額控除の要件については、問82《仕入税額控除の要件》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 卸売市場を通じた生鮮食料品等の委託販売は、出荷者等の適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的には、どのような取引が対象となりますか。【令和2年9月改訂】

2023年5月29日


<インボイス制度に関するQ&A 問44>
特急列車に乗車するために支払う特急料金や駅構内に入場するために支払う入場料は、公共交通機関特例の対象になりますか。

適格請求書の交付義務が免除される公共交通機関特例の対象となるのは、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送です(新消令70の9②一)。

ご質問の特急料金、急行料金及び寝台料金は、旅客の運送に直接的に附帯する対価として、公共交通機関特例の対象となります。

他方、入場料金や手回品料金は、旅客の運送に直接的に附帯する対価ではありませんので、公共交通機関特例の対象となりません(インボイス通達3-10)。

★リンクはこちら→ 特急列車に乗車するために支払う特急料金や駅構内に入場するために支払う入場料は、公共交通機関特例の対象になりますか。

2023年5月25日


<インボイス制度に関するQ&A 問43>
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、どのような単位で判定するのですか。

適格請求書の交付義務が免除される公共交通機関特例の対象となるのは、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送です(新消令70の9②一)。

この3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、1回の取引の税込価額が3万円未満かどうかで判定します(インボイス通達3-9)。

したがって、1商品(切符1枚)ごとの金額や、月まとめ等の金額で判定することにはなりません。

【具体例】
東京-新大阪間の新幹線の大人運賃が13,000円であり、4人分の運送役務の提供を行う場合には、4人分の52,000 円で判定することとなります。

★リンクはこちら→ 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、どのような単位で判定するのですか。

2023年5月23日


<インボイス制度に関するQ&A 問42>
公共交通機関特例の対象となる公共交通機関の行う旅客の運送とは、具体的にはどのようなものですか。

適格請求書の交付義務が免除される公共交通機関特例の対象となるのは、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送で、次のものをいいます(新消令70の9②一)。

①船舶による旅客の運送
一般旅客定期航路事業(海上運送法2⑤)、人の運送をする貨物定期航路事業(同法19の6の2)、人の運送をする不定期航路事業(同法20②)(乗合旅客の運送をするものに限ります。)として行う旅客の運送(対外航路のものを除きます。)

②バスによる旅客の運送
一般乗合旅客自動車運送事業(道路運送法3-イ)として行う旅客の運送
(注)路線不定期運行(空港アクセスバス等)及び区域運行(旅客の予約等による乗合運行)も対象となります。

③鉄道・軌道による旅客の運送
・鉄道:第一種鉄道事業(鉄道事業法2②)、第二種鉄道事業(同法2③)として行う旅客の運送
・軌道(モノレール等):軌道法第3条に規定する運輸事業として行う旅客の運送

★リンクはこちら→ 公共交通機関特例の対象となる公共交通機関の行う旅客の運送とは、具体的にはどのようなものですか。

2023年5月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問41>
適格請求書の交付が困難な取引として、交付義務が免除される取引にはどのようなものがありますか。【令和2年9月改訂】

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書の交付義務が課されています(新消法57の4①)。

ただし、次の取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難なため、適格請求書の交付義務が免除されます(新消令70の9②)。

  1. 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送(以下「公共交通機関特例」といいます。)
  2. 出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
  3. 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
  4. 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等(以下「自動販売機特例」といいます。)
  5. 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

★リンクはこちら→ 適格請求書の交付が困難な取引として、交付義務が免除される取引にはどのようなものがありますか。【令和2年9月改訂】

2023年5月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問40>
工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)など、資産の譲渡等の時期の特例を適用した場合、適格請求書の交付義務はどのようになるでしょうか。【令和5年4月追加】

工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)(消法17)など、資産の譲渡等の時期の特例により、資産の譲渡等を行ったものとみなされるものについては、適格請求書の交付を要しないこととされています(新消法57の4①、新消令70の9①)。

これは、当該資産の譲渡等の時期の特例により、原則的な資産の譲渡等の時期よりも前に課税売上げを計上した際、当該特例により資産の譲渡等を行ったものとみなされる部分について、適格請求書の交付を要しないこととしているものです。

したがって、原則的な資産の譲渡等の時期において、当該資産の譲渡等に係る適格請求書の交付を要しないこととしているものではありません。

このため、例えば、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)の適用を受ける工事の請負工事については、適格請求書発行事業者は、工事完成(引渡し)時に相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書の交付義務が生じることとなります。

また、リース譲渡(所得税法第65条第1項又は法人税法第63条第1項に規定するリース譲渡に係る資産の譲渡等をいいます。)については、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)により、リース資産の譲渡(引渡し)時ではなく、支払期日ごとに当該支払期日に係るリース料部分について、課税売上げを計上することができます(消法16)。

この点、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)により、資産の譲渡等を行ったものとみなされるものについては、適格請求書の交付を要しないこととされていませんが、これは、リース資産の譲渡(引渡し)を行った時に当該リース資産の譲渡に対して、適格請求書の交付義務が生じるためであり、支払期日ごとに当該支払期日に係るリース料部分について、課税売上げを計上したものに対して適格請求書の交付義務が課されているものではありません。

★リンクはこちら→ 工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)など、資産の譲渡等の時期の特例を適用した場合、適格請求書の交付義務はどのようになるでしょうか。【令和5年4月追加】

2023年5月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問39>
当社はシステム保守を業としています。この点、定期保守については、月額22,000円(税込み)であるところ、1年間分を保守開始前に相手方から支払ってもらうこととしており、当該代金請求時において請求書を交付しています。適格請求書等保存方式の下では、この請求書を適格請求書とする予定ですが、問題ありませんか。【令和5年4月追加】

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4①)が、課税資産の譲渡等を行う前であっても、適格請求書を交付することは可能です。

したがって、貴社は、現状交付している定期保守に係る代金請求時における請求書について適格請求書として必要な事項を記載することにより、当該請求書を適格請求書とすることができます。

なお、課税資産の譲渡等を行った時において、交付した適格請求書の記載事項に変更が生じることとなった場合には、修正した適格請求書を交付する必要があります。交付した適格請求書の修正方法等の詳細については、問34《修正した適格請求書の交付方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社はシステム保守を業としています。この点、定期保守については、月額 22,000 円(税込み)であるところ、1年間分を保守開始前に相手方から支払ってもらうこととしており、当該代金請求時において請求書を交付しています。適格請求書等保存方式の下では、この請求書を適格請求書とする予定ですが、問題ありませんか。【令和5年4月追加】

2023年5月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問38>
適格請求書等保存方式の下では、仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れ等に係る帳簿及び適格請求書等の保存が原則として必要になるとのことですが、令和5年10月1日前後の取引において、売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が異なる場合、適格請求書等の保存の要否についてどのように考えればよいでしょうか。【令和5年4月追加】

適格請求書等保存方式の下では、適格請求書発行事業者である売手は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合、取引の相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4①)。

また、課税事業者である買手は、仕入税額控除の要件として、原則として、課税仕入れ等に係る帳簿及び適格請求書等の保存を要することとなります(新消法30⑦⑧⑨)。

これらについては、令和5年10月1日以後に売手が行う課税資産の譲渡等及び買手が行う課税仕入れについて適用されることとなります(28年改正法附則46①)。

この点、同じ取引であっても、売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が必ずしも一致しない場合があります。

例えば、機械装置の販売において、売手が出荷基準により令和5年9月に課税売上げを計上し、買手が検収基準により令和5年10月に課税仕入れを計上するといったことも生じます。

この場合、売手においては、適格請求書等保存方式の開始前に行った取引(課税資産の譲渡等)であることから、買手から当該取引について適格請求書の交付を求められたとしても、当該取引に係る適格請求書の交付義務はありません。

このため、買手においては、原則として、売手における課税売上げの計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が令和5年10月1日以後のものとなる取引から、仕入税額控除の適用を受けるために適格請求書等を保存する必要があります。

なお、上記の例のように、売手における課税売上げの計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が令和5年9月となる取引については、買手は区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます。

(注)1
令和5年10月1日前であっても、適格請求書の記載事項を満たした請求書等を交付することとしても問題ありません。
詳細は、問74《令和5年9月30日以前の請求書への登録番号の記載》をご参照ください。

(注)2
電気料金等のように検針日基準で売上げ及び仕入れを計上している場合であって、当該検針した期間に令和5年10月1日を含んでいたとしても、検針日により売上げ及び仕入れを計上している限り、令和5年10月1日前後の取引を厳密に区分する必要はありません。

(注)3
未成工事支出金及び建設仮勘定に係る課税仕入れの計上時期について、建設工事等の目的物の引渡し又は完成の日の属する課税期間の課税仕入れとすることができます(基通11-3-5、11-3-6)。
この場合、当該引渡し等の日(課税仕入れを計上する日)が令和5年10月1日以後であったとしても、当該未成工事支出金等の基礎となる課税仕入れに含まれる令和5年10月1日前の取引については、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます。

(注)4
短期前払費用に係る課税仕入れの計上時期について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとすることができます(基通11-3-8)。
この場合、当該短期前払費用に係る取引に係る売手における課税売上げの計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が令和5年10月1日以後になるものであっても、買手において同日前までに課税仕入れを計上しているものについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます(短期前払費用について、買手における課税仕入れの計上時期が令和5年10月1日以後になる場合の取扱いに関しては、問96《短期前払費用》をご参照ください。)。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の下では、仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れ等に係る帳簿及び適格請求書等の保存が原則として必要になるとのことですが、令和5年10月1日前後の取引において、売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が異なる場合、適格請求書等の保存の要否についてどのように考えればよいでしょうか。【令和5年4月追加】

2023年5月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問37>
適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に対しては、その旨が書面等で通知されるそうですが、登録日から通知を受けるまでの間の取引については、既に請求書(区分記載請求書等の記載事項である「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」を記載しており、「税率ごとに区分した消費税額等」の記載はありません。)を交付しています。改めて、適格請求書の記載事項を満たした書類を交付しなければいけませんか。【令和5年4月改訂】

ご質問の場合、登録日から登録の通知を受けるまでの間の取引について、相手方に交付した請求書は、登録番号、税率ごとに区分した消費税額等の記載がなく適格請求書の記載事項を満たしていません。

この場合、通知を受けた後、登録番号や税率ごとに区分した消費税額等を記載し、適格請求書の記載事項を満たした請求書を改めて相手方に交付する必要がありますが、通知を受けた後に登録番号などの適格請求書の記載事項として不足する事項を相手方に書面等()で通知することで、既に交付した請求書と合わせて適格請求書の記載事項を満たすことができます(インボイス通達2-4)。

()既に交付した書類との相互の関連が明確であり、書面等の交付を受ける事業者が適格請求書の記載事項を適正に認識できるものに限ります。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に対しては、その旨が書面等で通知されるそうですが、登録日から通知を受けるまでの間の取引については、既に請求書(区分記載請求書等の記載事項である「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」を記載しており、「税率ごとに区分した消費税額等」の記載はありません。)を交付しています。改めて、適格請求書の記載事項を満たした書類を交付しなければいけませんか。【令和5年4月改訂】

2023年5月8日


<インボイス制度に関するQ&A 問36>
当社の行う建設工事等について、その建設工事等の引渡しの日において当該建設工事等の請負代金に係る請求書を交付しています。一方、建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金については、相手方との協議によりその収入すべきことが確定することから、当初交付した請求書とは別に値増金に係る請求書を交付しています。この場合、それぞれ交付している請求書を適格請求書とすることで問題ないですか。【令和4年11月追加】

建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金は、当該建設工事等の対価の一部を構成するものですが、その金額の確定時期は区々であり、必ずしも建設工事等の引渡しの時までに確定するものではありません。

そのため、相手方との協議によりその収入すべきことが確定する値増金については、その収入すべき金額が確定した日の属する課税期間の課税標準額に算入することとしています(基通9-1-7)。

このように、ご質問の値増金は、相手方との協議によりその収入すべきことが確定した日の属する課税期間の課税標準額に算入することとしているため、当該値増金が建設工事等の対価の一部を構成するものであったとしても、当初交付している適格請求書とは別に当該値増金に係る適格請求書を交付することとなります。

この場合における適格請求書の次の記載事項は、当該値増金に係る金額を基礎として記載することとなります。

  1. 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
  2. 税率ごとに区分した消費税額等

(参考)
協同組合等において農産物の買取販売に係る販売代金の価格修正として組合員が受け取る事業分量配当金についても同様です。

★リンクはこちら→ 当社の行う建設工事等について、その建設工事等の引渡しの日において当該建設工事等の請負代金に係る請求書を交付しています。一方、建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金については、相手方との協議によりその収入すべきことが確定することから、当初交付した請求書とは別に値増金に係る請求書を交付しています。この場合、それぞれ交付している請求書を適格請求書とすることで問題ないですか。【令和4年11月追加】

2023年5月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問35
当社は機械用部品の卸売業者です。販売先の小売業者に対しては、1月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書において前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合において、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。【令和4年11月追加】

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合(電磁的記録により提供を行った場合を含みます。)において、これらの書類の記載事項に誤りがあったときには、これらの書類を交付した相手方に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

これらの交付方法として、

  • 誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  • 当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます(具体的な記載方法については、問34《修正した適格請求書の交付方法》をご参照ください。)。

一方で、ご質問における過少請求等の調整に関しては、単に誤りを修正するもののほか、売上げに係る対価の返還等に該当するものも含まれるものと考えられます。

当該対価の返還等については、適格返還請求書を交付することとなりますが、適格返還請求書と適格請求書は一の書類で交付することができます(具体的な方法については、問60《適格請求書と適格返還請求書を一の書類で交付する場合》をご参照ください。)。

したがって、ご質問のような過少請求等について、翌月の請求書において継続的に調整している場合には、当該調整(翌月の請求書において、過少請求等に関する金額を当該請求書における課税資産の譲渡等の対価の額から直接加減算した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を記載する方法)により修正した適格請求書の交付があったものとして取り扱って差し支えありません。

この場合における当月分の適格請求書等に記載すべき「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、前月分の過少請求等について加減算を行った調整後の金額となります。

★リンクはこちら→ 当社は機械用部品の卸売業者です。販売先の小売業者に対しては、1月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書において前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合において、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。【令和4年11月追加】

2023年4月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問34
交付した適格請求書等に誤りがあった場合に交付する修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。【令和3年7月追加】

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合(電磁的記録により提供を行った場合を含みます。)において、これらの書類の記載事項に誤りがあったときには、これらの書類を交付した相手方に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

これらの交付方法は、例えば、

  • 誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  • 当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書等に誤りがあった場合に交付する修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。【令和3年7月追加】

2023年4月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問33
交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。【令和3年7月改訂】

売手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書(電磁的記録により提供を行った場合も含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、買手である課税事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

なお、買手である課税事業者が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので(新消法30⑨三)、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者に確認を求めることも考えられます。

この場合は、売手である適格請求書発行事業者は、改めて修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。

買手である課税事業者の対応は、問90《交付を受けた適格請求書に誤りがあった場合の対応》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。【令和3年7月改訂】

2023年4月24日


<インボイス制度に関するQ&A 問32
当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。【令和3年7月改訂】

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは、適格請求書を交付する必要がありますが、交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4①⑤)。

したがって、貴社は、請求書データに適格請求書の記載事項を記録して提供することにより、適格請求書の交付に代えることができます。

ただし、適格請求書発行事業者が提供した電子データを電磁的に保存しようとする場合には一定の要件を満たした状態で保存する必要がありますが、その具体的な内容については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

(参考)
電磁的記録による提供方法としては、光ディスク、磁気テープ等の記録用の媒体による提供のほか、例えば、次の方法があります(インボイス通達3-2)。

EDI取引(注)における電子データの提供
電子メールによる電子データの提供
インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じた電子データの提供

(注)
EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。

★リンクはこちら→ 当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。【令和3年7月改訂】

2023年4月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問31
当社は機械用部品の卸売業者です。販売先の小売業者に対しては、1月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書において前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合において、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。【令和4年11月追加】

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合(電磁的記録により提供を行った場合を含みます。)において、これらの書類の記載事項に誤りがあったときには、これらの書類を交付した相手方に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

これらの交付方法として、

  •  誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  •  当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます(具体的な記載方法については、問30《修正した適格請求書の交付方法》をご参照ください。)。

一方で、ご質問における過少請求等の調整に関しては、単に誤りを修正するもののほか、売上げに係る対価の返還等に該当するものも含まれるものと考えられます。当該対価の返還等については、適格返還請求書を交付することとなりますが、適格返還請求書と適格請求書は一の書類で交付することができます(具体的な方法については、問53《適格請求書と適格返還請求書を一の書類で交付する場合》をご参照ください。)。

したがって、ご質問のような過少請求等について、翌月の請求書において継続的に調整している場合には、当該調整(翌月の請求書において、過少請求等に関する金額を当該請求書における課税資産の譲渡等の対価の額から直接加減算した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を記載する方法)により修正した適格請求書の交付があったものとして取り扱って差し支えありません。

この場合における当月分の適格請求書等に記載すべき「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、前月分の過少請求等について加減算を行った調整後の金額となります。

★リンクはこちら→ 当社は機械用部品の卸売業者です。販売先の小売業者に対しては、1月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書において前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合において、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。【令和4年11月追加】

2023年4月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問30
交付した適格請求書等に誤りがあった場合に交付する修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。【令和3年7月追加】

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合(電磁的記録により提供を行った場合を含みます。)において、これらの書類の記載事項に誤りがあったときには、これらの書類を交付した相手方に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

これらの交付方法は、例えば、

  •  誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  •  当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書等に誤りがあった場合に交付する修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。【令和3年7月追加】

2023年4月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問29
交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。【令和3年7月改訂】

売手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書(電磁的記録により提供を行った場合も含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、買手である課税事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

なお、買手である課税事業者が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので(新消法30⑨三)、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者に確認を求めることも考えられます。

この場合は、売手である適格請求書発行事業者は、改めて修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。

買手である課税事業者の対応は、問82《交付を受けた適格請求書に誤りがあった場合の対応》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。【令和3年7月改訂】

2023年4月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問28
当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。【令和3年7月改訂】

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは、適格請求書を交付する必要がありますが、交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4①⑤)。

したがって、貴社は、請求書データに適格請求書の記載事項を記録して提供することにより、適格請求書の交付に代えることができます。

ただし、適格請求書発行事業者が提供した電子データを電磁的に保存しようとする場合には一定の要件を満たした状態で保存する必要がありますが、その具体的な内容については、問71《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

(参考) 電磁的記録による提供方法としては、光ディスク、磁気テープ等の記録用の媒体による提供のほか、例えば、次の方法があります(インボイス通達3-2)。

EDI取引(注)における電子データの提供
電子メールによる電子データの提供
インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じた電子データの提供

(注)EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。

★リンクはこちら→ 当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。【令和3年7月改訂】

2023年4月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問27
返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格請求書発行事業者は、何か対応が必要ですか。【令和2年9月改訂】

適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書の交付義務が課されています(新消法57の4③)。
ただし、適格請求書の交付義務が免除される場合と同様、次の場合には、適格返還請求書の交付義務が免除されます(新消令70の9③)。
①3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
②出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が
卸売の業務として行うものに限ります。)
③生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
④3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
⑤郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
なお、適格返還請求書の記載事項については、問51から問53までをご参照ください。

★リンクはこちら→ 返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格請求書発行事業者は、何か対応が必要ですか。【令和2年9月改訂】

2023年4月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問26
当店は、現在、顧客に手書きの領収書を交付しています。適格請求書等保存方式の開始後においても、その手書きの領収書を適格請求書として交付することはできますか。【令和4年4月改訂】

手書きの領収書であっても、適格請求書として必要な次の事項が記載されていれば、適格請求書に該当します(新消法57の4①、インボイス通達3-1)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

なお、適格簡易請求書を交付する場合の記載事項については、問49《適格簡易請求書の記載事項》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当店は、現在、顧客に手書きの領収書を交付しています。適格請求書等保存方式の開始後においても、その手書きの領収書を適格請求書として交付することはできますか。【令和4年4月改訂】

2023年4月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問25
適格請求書の様式は、法令又は通達等で定められていますか。【令和4年4月改訂】

適格請求書の様式は、法令等で定められていません。

適格請求書として必要な次の事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシート等)であれば、その名称を問わず、適格請求書に該当します(新消法57の4①、インボイス通達3-1)。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 課税資産の譲渡等を行った年月日()
  3. 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
  4. 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につき適格請求書をまとめて作成する場合には、当該一定の期間を記載することができます。

★リンクはこちら→ 適格請求書の様式は、法令又は通達等で定められていますか。【令和4年4月改訂】

2023年4月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問24
適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付できるのは、どのような場合ですか。【令和4年11月改訂】

適格請求書発行事業者が、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う次の事業を行う場合には、適格請求書に代えて、適格請求書の記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができます(新消法57の4②、新消令70の11)。

また、適格簡易請求書についても、その交付に代えて、その記載事項に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4⑤)。

小売業
飲食店業
写真業
旅行業
タクシー業
駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)
その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業

①から⑤までの事業については、「不特定かつ多数の者に対するもの」との限定はありませんので、例えば、小売業として行う課税資産の譲渡等は、その形態を問わず、適格簡易請求書を交付することができます。

また、「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」であるかどうかは、個々の事業の性質により判断します。

例えば、以下のような事業が該当することとなります。

  • 資産の譲渡等を行う者が資産の譲渡等を行う際に相手方の氏名又は名称等を確認せず、取引条件等をあらかじめ提示して相手方を問わず広く資産の譲渡等を行うことが常態である事業
  • 事業の性質上、事業者がその取引において、氏名等を確認するものであったとしても、相手方を問わず広く一般を対象に資産の譲渡等を行っている事業(取引の相手方について資産の譲渡等を行うごとに特定することを必要とし、取引の相手方ごとに個別に行われる取引であることが常態である事業を除きます。)

★リンクはこちら→ 適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付できるのは、どのような場合ですか。【令和4年11月改訂】

2023年3月31日


<インボイス制度に関するQ&A 問23
適格請求書発行事業者は、どのような場合に適格請求書の交付義務が課されるのですか。また、交付義務が課されない場合はあるのですか。【令和2年9月改訂】

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等(注1、2)を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4①)。

なお、適格請求書発行事業者は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4⑤)。

ただし、次の取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難なため、適格請求書の交付義務が免除されます(新消令70の9②)(適格請求書の交付義務が免除される取引の詳細については問34から問40までをご参照ください。)。

3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

(注1)
課税資産の譲渡等に係る適用税率は問いませんので、標準税率の取引のみを行っている場合でも、取引の相手方(課税事業者に限ります。)から交付を求められたときは、適格請求書の交付義務があることにご留意ください。
(注2)
免税取引、非課税取引及び不課税取引のみを行った場合については、適格請求書の交付義務は課されません。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者は、どのような場合に適格請求書の交付義務が課されるのですか。また、交付義務が課されない場合はあるのですか。【令和2年9月改訂】

2023年3月29日


<インボイス制度に関するQ&A 問22
適格請求書発行事業者の公表情報に変更等があった場合の手続について教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

適格請求書発行事業者の氏名又は名称、法人の本店所在地などの法定の公表事項に変更があった場合は、適格請求書発行事業者は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」(個人事業者の氏名について「住民票に併記されている外国人の通称」若しくは「住民票に併記されている旧氏(旧姓)」を公表している場合又はこれらを氏名と併記して公表している場合に、その公表事項等を変更するときは、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」)を提出する必要があり、これにより、適格請求書発行事業者登録簿の情報及び公表情報が変更されます(新消法57の2⑧)。

また、個人事業者等が主たる屋号や主たる事務所の所在地を公表している場合に、その情報に変更等があったとき又は公表をしないこととするときは、当該個人事業者等は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出する必要があり、これにより、公表情報が変更されます。

なお、通知を受けた適格請求書発行事業者の登録番号は変更することはできません。

「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」及び「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」は、e-Tax を利用して提出することができますのでぜひご利用ください。

また、郵送により提出する場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターとなります。

届出の概要については、問2《登録の手続》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の公表情報に変更等があった場合の手続について教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

2023年3月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問21
適格請求書発行事業者公表サイトでの適格請求書発行事業者の公表情報の確認方法について教えてください。【令和4年4月改訂】

「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」では、交付を受けた請求書等に記載された登録番号を基にして検索する方法により、適格請求書発行事業者の氏名・名称や登録年月日などの公表情報を確認することができます。

なお、相手方から交付を受けた請求書等に記載がある登録番号に基づき、検索を行った結果、該当する公表情報がない場合(交付を受けた請求書等の記載内容と異なる情報が表示される場合を含みます。)、請求書等に記載された登録番号が誤っている可能性などがありますので、まずは、相手方にご確認いただきますようお願いします。

<参考>
「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」には、登録番号を基にした検索のほか、システム間連携のための Web-API 機能や公表情報に係るデータのダウンロード機能があります。

これらの機能の詳細については、同サイトで仕様公開しておりますので、ご確認ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者公表サイトでの適格請求書発行事業者の公表情報の確認方法について教えてください。【令和4年4月改訂】

2023年3月23日


<インボイス制度に関するQ&A 問20
適格請求書発行事業者の情報は、どのような方法で公表されますか。【令和4年4月改訂】

適格請求書発行事業者の情報(登録日など適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項)は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されます(新消法57の2④⑪、新消令70の5②)。

また、適格請求書発行事業者の登録が取り消された場合又は効力を失った場合、その年月日が「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されます。

具体的な公表情報については、次のとおりです。

(1)法定の公表事項(新消法57の2④⑪、新消令70の5①)

適格請求書発行事業者の氏名(※)又は名称
法人(人格のない社団等を除きます。)については、本店又は主たる事務所の所在地
特定国外事業者以外の国外事業者については、国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地
登録番号
登録年月日
登録取消年月日、登録失効年月日

(※)個人事業者の氏名について、「住民票に併記されている外国人の通称」若しくは「住民票に併記されている旧氏(旧姓)」を氏名として公表することを希望する場合又はこれらを氏名と併記して公表することを希望する場合は、登録申請書と併せて、必要事項を記載した「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」をご提出ください。

(2)本人の申出に基づき追加で公表できる事項
次の①、②の事項について公表することを希望する場合には、必要事項を記載した「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」をご提出ください。

個人事業者の「主たる屋号」、「主たる事務所の所在地等」
人格のない社団等の「本店又は主たる事務所の所在地」

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の情報は、どのような方法で公表されますか。【令和4年4月改訂】

2023年3月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問19
登録番号は、どのような構成ですか。【令和4年4月改訂】

登録番号(注1)の構成は、次のとおりです(インボイス通達2-3)。

① 法人番号を有する課税事業者
「T」(ローマ字)+法人番号(数字13桁)

② ①以外の課税事業者(個人事業者、人格のない社団等)
「T」(ローマ字)+数字13桁(注2)

(注1)
一度付番された登録番号は、変更することはできません。
(注2)
13桁の数字には、マイナンバー(個人番号)は用いず、法人番号とも重複しない事業者ごとの番号となります。

<参考>登録番号の記載例
・ T1234567890123
・ T-1234567890123

※請求書等への表記に当たり、半角・全角は問いません。

★リンクはこちら→ 登録番号は、どのような構成ですか。【令和4年4月改訂】

2023年3月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問18
当社は、適格請求書発行事業者の登録を受けています。翌課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下ですが、当社は、免税事業者となりますか。【令和4年4月改訂】

その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として、消費税の納税義務が免除され、免税事業者となります。

しかしながら、適格請求書発行事業者は、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下となった場合でも免税事業者となりません(新消法9①、インボイス通達2-5)。

したがって、適格請求書発行事業者である貴社は、翌課税期間(適格請求書等保存方式の開始後)に免税事業者となることはありません。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書発行事業者の登録を受けています。翌課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下ですが、当社は、免税事業者となりますか。【令和4年4月改訂】

2023年3月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問17
適格請求書発行事業者の登録が取り消される場合はありますか。【令和4年4月改訂】

税務署長は、次の場合に適格請求書発行事業者の登録を取り消すことができます(新消法 57の2⑥)。

  1. 1年以上所在不明であること
  2. 事業を廃止したと認められること
  3. 合併により消滅したと認められること
  4. 納税管理人を定めなければならない事業者が、納税管理人の届出をしていないこと
  5. 消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと
  6. 登録拒否要件に関する事項について、虚偽の記載をした申請書を提出し、登録を受けたこと

このうち、1.「1年以上所在不明であること」における「所在不明」については、例えば、消費税の申告書の提出がないなどの場合において、文書の返戻や電話の不通をはじめとして、事業者と必要な連絡が取れないときなどが該当します。

なお、消費税法上、事業者に、2.事業の廃止の事実があった場合は「事業廃止届出書」を、3.合併による消滅の事実があった場合は「合併による法人の消滅届出書」をそれぞれ提出する義務があります(これらの届出書の提出により登録は失効します。)(消法57①三、五、新消法57の2⑩)。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録が取り消される場合はありますか。【令和4年4月改訂】

2023年3月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問16
適格請求書発行事業者の登録を受けていた親から相続を受け、事業を承継したのですが、適格請求書等保存方式において必要となる手続及び適格請求書発行事業者の登録の効力について教えてください。【令和3年7月追加】

1.令和5年10 月1日より前に死亡した場合
令和5年10月1日から登録を受けることとされていた事業者が、令和5年10月1日より前に死亡した場合は、登録の効力は生じません。したがって、相続により事業を承継した相続人が、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、登録申請書を提出する必要があります(相続人が既に登録申請書を提出していた場合を除きます。)。

令和5年10月1日から登録を受けようとする場合は、原則として、令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要がありますが、令和5年3月31日までに登録申請書を提出できなかったことにつき困難な事情がある場合に、令和5年9月30日までの間に登録申請書にその困難な事情を記載して提出し、税務署長により適格請求書発行事業者の登録を受けたときは、令和5年10月1日に登録を受けたこととみなされる措置が設けられています(改正令附則15)。相続による事業承継は、この困難な事情に該当しますので、令和5年9月30日までに登録申請書を提出していただければ、令和5年10月1日から登録を受けることができます。

なお、登録申請を行った事業者が死亡した場合は、相続人は、「個人事業者の死亡届出書」を提出いただきますようお願いします。

2.令和5年10月1日以後に死亡した場合
令和5年10月1日以後に適格請求書発行事業者が死亡した場合、その相続人は「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出する必要があり、届出書の提出日の翌日又は死亡した日の翌日から4月を経過した日のいずれか早い日(※)に登録の効力が失われます。

また、相続により事業を承継した相続人が、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、相続人は登録申請書の提出が必要となります(相続人が既に登録を受けていた場合を除きます。)。

なお、相続により適格請求書発行事業者の事業を継承した相続人の相続のあった日の翌日から、その相続人が適格請求書発行事業者の登録を受けた日の前日又はその相続に係る適格請求書発行事業者が死亡した日の翌日から4月を経過する日のいずれか早い日までの期間については、相続人を適格請求書発行事業者とみなす措置(※)が設けられており、この場合、被相続人の登録番号を相続人の登録番号とみなすこととされています。

登録申請書の提出から登録通知を受けるまでには、その審査等に一定の期間を要しますので、相続により事業を承継した相続人が適格請求書発行事業者の登録を受ける場合は、お早めに登録申請書をご提出ください。
(※)相続人を適格請求書発行事業者とみなす措置の適用がある場合、その措置の適用がある期間は被相続人の登録は有効です。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録を受けていた親から相続を受け、事業を承継したのですが、適格請求書等保存方式において必要となる手続及び適格請求書発行事業者の登録の効力について教えてください。【令和3年7月追加】

2023年3月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問15
事業の廃止や法人の合併による消滅があった場合の手続について教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年11月改訂】 

消費税法上、事業者が事業を廃止した場合は「事業廃止届出書」を、合併による消滅の事実があった場合は「合併による法人の消滅届出書」を、納税地を所轄する税務署長に提出する義務があります(消法57①三、五)。

なお、「事業廃止届出書」を提出した場合は、事業を廃止した日の翌日に、「合併による法人の消滅届出書」を提出した場合は、法人が合併により消滅した日に適格請求書発行事業者の登録の効力が失われます(新消法57の2⑩、インボイス通達2-7、2-8)。

(注) これらの届出書を提出していない場合であっても、税務署長は、事業を廃止したと認められる場合、合併により消滅したと認められる場合に適格請求書発行事業者の登録を取り消すことができます(新消法57の2⑥)。

★リンクはこちら→ 事業の廃止や法人の合併による消滅があった場合の手続について教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年11月改訂】

2023年3月8日


<インボイス制度に関するQ&A 問14
当社は3月決算法人であり、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けていましたが、令和8年4月1日から適格請求書発行事業者の登録を取りやめたいと考えています。この場合、どのような手続が必要ですか。【令和3年7月改訂】

適格請求書発行事業者は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(以下「登録取消届出書」といいます。)を提出することにより、適格請求書発行事業者の登録の効力を失わせることができます(新消法57の2⑩一)。

なお、この場合、原則として、登録取消届出書の提出があった日の属する課税期間の翌課税期間の初日に登録の効力が失われることとなります(新消法57の2⑩一)。

ただし、登録取消届出書を、その提出のあった日の属する課税期間の末日から起算して30日前の日から、その課税期間の末日までの間に提出した場合は、その提出があった日の属する課税期間の翌々課税期間の初日に登録の効力が失われることとなります。

したがって、ご質問の場合については、令和8年3月1日までに登録取消届出書を提出する必要があります。

★リンクはこちら→ 当社は3月決算法人であり、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けていましたが、令和8年4月1日から適格請求書発行事業者の登録を取りやめたいと考えています。この場合、どのような手続が必要ですか。【令和3年7月改訂】

2023年3月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問13
適格請求書発行事業者の登録を申請した場合に、登録を拒否される場合はありますか。【令和4年4月改訂】

登録を受けようとする事業者が、特定国外事業者以外の事業者であって、次のいずれかの事実に該当しなければ、原則として、登録を拒否されることはありません(新消法57の2⑤)。

  • 納税管理人を定めなければならない事業者が、納税管理人の届出をしていないこと
  • 消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者であること

(注1)
例えば、法人が消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた場合において、当該法人の代表者が法人とともに罰金以上の刑に処せられたときは、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しなければ、代表者は個人事業者としての登録も受けることができません。
(注2)
「罰金以上の刑」には、各種加算税や延滞税の賦課決定処分は含まれません。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録を申請した場合に、登録を拒否される場合はありますか。【令和4年4月改訂】

2023年3月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問12
適格請求書等保存方式の開始後、新たに設立した法人が事業開始(設立)と同時に適格請求書発行事業者の登録を受けることはできますか。【令和4年11月改訂】

適格請求書発行事業者の登録を受けることができるのは、課税事業者に限られます(新消法57の2①)。
新たに設立された法人が免税事業者の場合、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに、課税選択届出書を提出すれば、その事業を開始した日の属する課税期間の初日から課税事業者となることができます(消法9④、消令20一)。
また、新たに設立された法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長により適格請求書発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日に登録を受けたものとみなされます(以下「新たに設立された法人等の登録時期の特例」といいます。)(新消令70の4、新消規26の4、インボイス通達2-2)。
したがって、新たに設立された法人が免税事業者である場合、事業開始(設立)時から、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、設立後、その課税期間の末日までに、課税選択届出書と登録申請書を併せて提出することが必要です。
なお、新たに設立された法人が課税事業者の場合については、事業を開始した課税期間の末日までに、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を提出することで、新たに設立された法人等の登録時期の特例の適用を受けることができます。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の開始後、新たに設立した法人が事業開始(設立)と同時に適格請求書発行事業者の登録を受けることはできますか。【令和4年11月改訂】

2023年2月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問11
当社は、軽減税率対象品目の販売を行っていませんが、適格請求書発行事業者の登録を必ず受けなければなりませんか。

適格請求書を交付できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者に限られますが、適格請求書発行事業者の登録を受けるかどうかは事業者の任意です(新消法57の2①、57の4①)。

ただし、登録を受けなければ、適格請求書を交付することができないため、取引先が仕入税額控除を行うことができませんので、このような点を踏まえ、登録の必要性をご検討ください。

また、適格請求書発行事業者は、販売する商品に軽減税率対象品目があるかどうかを問わず、取引の相手方(課税事業者に限ります。)から交付を求められたときには、適格請求書を交付しなければなりません。

一方で、消費者や免税事業者など、課税事業者以外の者に対する交付義務はありませんので、例えば、顧客が消費者のみの場合には、必ずしも適格請求書を交付する必要はありません。

このような点も踏まえ、登録の必要性をご検討ください。

★リンクはこちら→ 当社は、軽減税率対象品目の販売を行っていませんが、適格請求書発行事業者の登録を必ず受けなければなりませんか。

2023年2月22日


<インボイス制度に関するQ&A 問10
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者になるとのことですが、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合には、登録日(令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日から生じます。)から課税事業者となる経過措置が設けられています(28年改正法附則44④、インボイス通達5-1)。

この経過措置の適用を受ける事業者が、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を、納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、その課税期間の初日の前日に消費税簡易課税制度選択届出書を提出したものとみなされます(改正令附則18)。

したがって、ご質問の場合、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、その課税期間から、簡易課税制度の適用を受けることができます。

★リンクはこちら→ 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者になるとのことですが、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

2023年2月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問9
個人事業者が、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受ける場合における、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの課税期間(令和5年分)の消費税の申告について具体的に教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

1.令和5年分について免税事業者である個人事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けた場合(登録に際して令和5年分を適用開始課税期間とする課税選択届出書を提出した場合を除きます。)
令和5年分について免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けた場合(令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日である令和5年10月1日から生じることとなります。)には、登録日である令和5年10月1日以後は課税事業者となりますので、令和5年10月1日から令和5年12月31日までの期間に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて、令和5年分の消費税の申告が必要となります。

2.令和5年分について課税事業者である個人事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けた場合(登録に際して令和5年分を適用開始課税期間とする課税選択届出書を提出した場合を含みます。)
令和5年分について課税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、同日から適格請求書発行事業者となりますが、その課税期間(令和5年1月1日から令和5年12月31日まで)中に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて、令和5年分の消費税の申告が必要となります。

★リンクはこちら→ 個人事業者が、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受ける場合における、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの課税期間(令和5年分)の消費税の申告について具体的に教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

2023年2月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問8
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の取扱いについて教えてください。また、この場合、いつから課税事業者となりますか。【令和4年4月改訂】

免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合には、登録日(令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日から生じることとなります。)から課税事業者となる経過措置が設けられています(28 年改正法附則 44④、インボイス通達5-1)。

したがって、この経過措置の適用を受けることとなる場合は、登録日から課税事業者となり、登録を受けるに当たり、課税選択届出書を提出する必要はありません。

なお、経過措置の適用を受けて適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間の末日までの期間について、消費税の申告が必要となります。

★リンクはこちら→ 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の取扱いについて教えてください。また、この場合、いつから課税事業者となりますか。【令和4年4月改訂】

2023年2月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問7
適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けるためには、いつまでに登録申請書を提出すればよいですか。【令和4年4月改訂】

適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、令和5年3月31日まで(注)に納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります(28年改正法附則44①)。

登録申請書は、e-Tax を利用して提出できますので、ぜひご利用ください(個人事業者はスマートフォンでも手続が可能となります。)。

なお、郵送により登録申請書を提出する場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターとなります。

インボイス登録センターの所在地は問2《登録の手続》をご参照ください。

なお、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、消費税課税事業者選択届出書(以下「課税選択届出書」といいます。)を提出し、課税事業者となる必要がありますが、登録日が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中である場合は、課税選択届出書を提出しなくても、登録を受けることができます(28 年改正法附則44④、インボイス通達5-1)。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けるためには、いつまでに登録申請書を提出すればよいですか。【令和4年4月改訂】

2023年2月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問6
課税事業者は、課税期間の途中であっても、適格請求書発行事業者の登録を受けることができますか。【令和3年7月追加】

課税事業者は、課税期間の途中であっても、登録申請書を提出し、登録を受けることができます。
登録申請書を提出し登録を受けた場合、登録の効力は、登録日から生じます。

なお、新たに設立された法人等の登録時期の特例については、問12《新たに設立された法人等の登録時期の特例》をご参照ください。

(参考)令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日である令和5年10月1日から生じることとなります。

★リンクはこちら→ 課税事業者は、課税期間の途中であっても、適格請求書発行事業者の登録を受けることができますか。【令和3年7月追加】

2023年2月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問5
適格請求書発行事業者の登録の効力は、いつから発生するのですか。【令和3年7月改訂】

登録申請書の提出を受けた税務署長は、登録拒否要件に該当しない場合には、適格請求書発行事業者登録簿に法定事項を登載して登録を行い、登録を受けた事業者に対して、その旨を通知することとされています(新消法 57 の2③④⑤⑦)。

登録の効力は、通知の日にかかわらず、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日(以下「登録日」といいます。)から生じます。
このため、登録日以降の取引については、相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務があります(インボイス通達2-4)。

なお、登録日から登録の通知を受けるまでの間の取扱いについては、問33《登録日から登録の通知を受けるまでの間の取扱い》をご参照ください。

(参考)令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日である令和5年10月1日に生じることとなります。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録の効力は、いつから発生するのですか。【令和3年7月改訂】

2023年2月8日


<インボイス制度に関するQ&A 問4
登録申請書を提出してから登録の通知を受けるまでにどの程度の期間がかかりますか。

登録申請書を提出してから登録通知を受けるまでの期間については、一時期に多量の登録申請書が提出された場合は処理に時間を要するなど、登録申請書の提出状況により異なります。

現時点における登録申請書を提出してから登録通知までに要する期間については、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」に掲載していますのでご確認ください。

なお、登録申請書を e-Tax で提出し、登録通知を電子データで受け取ることを希望される場合は、事前にメールアドレスを登録すると、登録したメールアドレス宛に、登録通知が「通知書等一覧」に格納されたことをお知らせするメールが送信され、すぐに登録通知を確認できますので、ぜひご利用ください。

★リンクはこちら→ 登録申請書を提出してから登録の通知を受けるまでにどの程度の期間がかかりますか。

2023年2月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問3
適格請求書発行事業者の登録は、どのような方法で通知されますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】 

適格請求書発行事業者の登録の通知については、登録申請書を e-Tax により提出して、登録通知について電子での通知を希望した場合は、通知書等一覧に登録番号等が記載された登録通知書がデータで格納され、その他の場合は、書面にて登録番号等が記載された登録通知書が送付されます。 電子データで登録通知を希望していただくことで、

  • 税務署での処理後、速やかに電子通知が行われるため、書面より早期に登録通知書を受領
    することができる
  • 通知書等一覧内にデータ保管されるため、登録通知書の紛失のおそれがない(保管されたデータは、書面により出力することやPDFデータでの保存をすることが可能)

などのメリットがありますので、ぜひご利用ください。

なお、登録通知書は、原則として再発行を行いませんので大切に保管してください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録は、どのような方法で通知されますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】 

2023年2月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問2
適格請求書発行事業者の登録は、どのような手続で行うのですか。【令和4年4月改訂】

適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者(登録を受けることができるのは、課税事業者に限られます。)は、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります(新消法57の2②、インボイス通達2-1)。

登録申請書は、e-Tax を利用して提出できますので、ぜひご利用ください(個人事業者はスマートフォンでも手続が可能となります。)。

なお、郵送により登録申請書を提出する場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターとなります。

登録申請書の提出を受けた税務署長は、登録拒否要件に該当しない場合には、適格請求書発行事業者登録簿に法定事項を登載して登録を行い、登録を受けた事業者に対して、その旨を通知することとされています(新消法57の2③④⑤⑦)。

また、適格請求書発行事業者の情報は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されます。

なお、免税事業者が登録を受ける場合の手続については、問8《免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録は、どのような手続で行うのですか。【令和4年4月改訂】

2023年1月30日


<インボイス制度に関するQ&A 問1
令和5年10月1日から開始される「適格請求書等保存方式」の概要を教えてください。

複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、令和5年10月1日から「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)が開始されます(新消法 30、57の2、57の2)。

★リンクはこちら→ 令和5年10月1日から開始される「適格請求書等保存方式」の概要を教えてください。

2023年1月27日

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登録免許税

<事前照会の趣旨・事実関係>

1.事実関係の概要

甲は、自身が認知症及び要介護状態となった場合における財産管理等を目的として、甲の推定相続人のうちの一人である実子乙との間で、甲を委託者兼受益者、乙を受託者及び受益者の死亡により信託が終了したときの残余財産帰属権利者として、所有する建物、宅地(以下、建物と併せて「本件不動産」という。)及び金銭を信託財産(以下「本件信託財産」という。)とする信託契約(以下「本件信託契約」という。)を締結する(以下、本件信託契約に係る信託を「本件信託」という。)。

2.本件信託契約の概要

本件信託は、本件信託財産の管理、処分及び運用によって、甲の生活、介護、療養及び納税等に必要な資金を給付し、甲の幸福な生活及び福祉を確保すること並びに本件信託財産の円滑な承継を目的としている。
本件信託契約の定めにおいて、委託者兼受益者である甲の死亡は、本件信託の終了事由の一つとされており、その場合、甲が有していた本件信託に関する委託者及び受益者としての地位及び権利については、以下(1)及び(2)のとおりとなる。

(1) 本件信託に係る委託者の地位は、残余財産帰属権利者として指定されている乙が取得し、委託者の権利については、相続により承継されることなく消滅する。
(2) 本件信託に係る受益者の地位及び権利は、相続により承継されることなく消滅する。

なお、本件信託の終了に伴い、信託の清算を行う清算受託者については、信託終了時点における受託者が指定されている。
また、甲の死亡により本件信託が終了した場合、本件信託財産については、残余財産帰属権利者として指定されている乙が取得し、甲死亡時点で既に乙が死亡していたときには、乙の子が取得する。
すなわち、甲死亡時点において乙が生存している場合、乙は、本件信託契約に基づき、甲より本件信託に係る委託者の地位を取得するとともに、本件信託に係る清算受託者及び残余財産帰属権利者となる。

3.照会事項

このような契約関係を前提として、甲の死亡により、甲の相続人である乙が本件信託財産を取得する場合、本件信託契約が終了したことに伴う本件不動産に係る所有権移転登記(以下「本件登記」という。)について、登録免許税法第7条《信託財産の登記等の課税の特例》第2項の規定が適用され、相続による所有権の移転の登記とみなして登録免許税が課されると解してよいか、照会する。

<上記の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由>

1.法令の規定

登録免許税法第7条第2項(以下「本件特例」という。)は、「信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合」(以下「要件1」という。)であって、「当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合」(以下「要件2」という。)において、「当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(・・・)であるとき」(以下「要件3」という。)と規定していることから、その適用に当たっては、各要件を満たす必要があると考えられる。

2.あてはめ

本件信託契約においては、甲の死亡により本件信託は終了し、受益者の地位及び権利は消滅する。
そして、乙は、委託者の地位を取得するとともに、残余財産帰属権利者として本件信託財産を取得する。
このように、甲の死亡により本件信託は終了し、乙が残余財産帰属権利者として本件信託財産を取得するので、本件登記は上記要件1を満たさないようにも思える。
しかしながら、登録免許税法には「受益者」の定義がないので、乙が「受益者」に当たるか否かについては、信託法の定義にて判断することとなる。
信託法では、「受益者」とは、受益権を有する者をいい、また、「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権及びこれを確保するために信託法の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう旨規定されている。
そしてまた、信託法では、信託が終了した場合においても、その清算が結了するまで信託はなお存続するものと擬制され、残余財産帰属権利者は当該清算中受益者とみなされる旨が規定されている。
すなわち、残余財産帰属権利者である乙は、本件信託の清算中、受益者とみなされるので、乙は登録免許税法の「受益者」に該当することとなる。
よって、本件登記は、本件信託の清算受託者である乙から、本件信託の受益者乙に対する所有権の移転登記であることから、上記要件1を満たすと解するのが相当である。
また、上記要件2は、本件特例の対象となる信託として、委託者のみが信託財産の元本の受益者となる信託であることをその要件としているところ、本件信託においては、甲が死亡するまでは、委託者甲が受益者であり、また、甲の死亡後は、甲から委託者の地位を取得した乙のみが残余財産帰属権利者(受益者)であることから、同要件についても満たしていると解するのが相当である。
そして、乙は、本件信託契約の効力が生じた時における委託者である甲の相続人であることから、上記要件3についても満たすこととなる。
以上のとおり、本件登記については、本件特例の趣旨にも反しておらず、本件特例に係る各要件を全て満たしているものと解されることから、その適用があるものと考えられる。

<回答内容>

回答年月日
平成30年12月18日

回答者
名古屋国税局審理課長

回答内容
 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は名古屋国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら ⇒ 信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について

2019年3月13日


原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の固定資産課税台帳の登録価格を基礎としたものということはできないとした事例

  • 登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成30年3月14日裁決

<ポイント>
本事例は、平成27年中にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(台帳登録価格)がない土地(本件各土地9の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、本件各土地の周辺で、本件各土地と不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容や固定資産評価に適用される路線価等が類似すると認められる土地の台帳登録価格の1㎡当たりの価格を基礎として、本件各土地の価額を算定するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、平成27年中にした固定資産課税台帳に登録された価格(台帳登録価格)がない土地(本件各土地)の所有権移転登記(本件登記)に当たり、原処分庁が、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき近傍宅地(本件近傍宅地:面積が150㎡程度の画地)の価格から認定した価額(登記官認定価額)は過大であり、平成28年度台帳登録価格が、本件登記時の正当な価額であるから、納付した登録免許税は過大になっている旨主張する。

しかしながら、本件各土地に係る登記申請は、平成27年中になされており、用いるべき台帳登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成28年1月1日を基準日とする平成28年度台帳登録価格を用いる請求人の主張額は、同項第1号の規定に反しており、また、登記官認定価額は、単に本件近傍宅地の固定資産評価の路線価に雑種地等補正をして算定されただけであることがうかがわれ、不動産の形状、地積等の異なる本件各土地に類似する不動産の台帳登録価格を基礎としたものということはできない。

したがって、当審判所が認定した、本件登記の嘱託の日において、本件各土地の周辺で、本件各土地と不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容や固定資産評価に適用される路線価等が類似すると認められる土地の台帳登録価格の1㎡当たりの価格を基礎として、本件各土地の価額を算定するのが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の固定資産課税台帳の登録価格を基礎としたものということはできないとした事例

2019年1月23日


登録価格のない土地の課税標準について、当該土地の近傍に存する土地の登録価格を基礎として算定した事例 Edit

  • 平成27年3月登記により納付された登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年9月28日裁決

<ポイント>
本事例は、登録価格のない土地の課税標準について、当該土地に類似する土地は当該土地に隣接する土地よりも当該土地の近傍に存する土地(近傍地)であるから、当該近傍地の登録価格を基礎として算定した価額と判断したものである。

<要旨>
請求人は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》に規定する価額につき、同附則の委任を受けた登録免許税法施行令附則第3項(施行令附則第3項)に規定する固定資産課税台帳に登録された評価額(登録価格)のない土地(本件土地)の登記申請に際し納付した登録免許税額は過大であり、本件土地が合筆・分筆される前の土地(本件土地とおおむね所在地が同じ。)に係る平成27年1月1日現在の登録価格に基づく1㎡当たりの評価額に本件土地の地積を乗じて算定した価額(請求人主張額)を本件土地の登録免許税の課税標準(本件土地課税標準)とするべきである旨主張し、原処分庁は、登記申請に際し、登記機関が認定した価額(本件登記機関認定価額)の基礎とした本件土地に隣接する土地(本件隣接地)は、その立地条件等から本件土地との類似性が極めて高い土地であり、本件登記機関認定価額に誤りはない旨主張する。

しかしながら、本件土地の登記申請が平成27年3月になされていることから、本件登記機関認定価額算定の基準日は、施行令附則第3項第1号の規定により、平成26年12月31日となるため、請求人の主張する平成27年1月1日現在の登録価格を算定の基礎とする請求人主張額をもって、本件土地課税標準とすることはできない。
また、本件隣接地は、本件土地の属する地域の土地利用に係る行政上の規制等の内容や登録価格の算定の基礎となる価格が異なっており、本件土地と類似する土地であるとは認め難く、他方、本件土地の近傍に存する土地(本件近傍地)は、土地利用に係る行政上の規制等の内容や登録価格の算定の基礎となる価格が本件土地と同じである。

したがって、本件隣接地よりも本件土地に類似する土地は、本件近傍地であると認められ、本件近傍地の登録価格を基礎として算定した価額を本件土地課税標準とするのが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 登録価格のない土地の課税標準について、当該土地の近傍に存する土地の登録価格を基礎として算定した事例

2017年9月28日

原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできないとして処分の一部を取り消した事例

  • 平成27年2月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月7日裁決

<ポイント>
本事例は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、他に当該土地の登記の時における適正な価額とは認められるものがないときは、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が当該土地の登記の時の価額として相当なものであると認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地(本件土地)の所有権移転登記に当たり、納付した登録免許税は過誤納となっている旨主張し、原処分庁は、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき付近の土地の登録価格から認定した価額は適正であり、過誤納はない旨主張する。

しかしながら、本件土地の周辺で、本件土地と形状、間口、奥行き、利用状況及び接道状況等が類似する不動産は存在しなかったと認められる上、登記官が認定した価額は、単に近傍の固定資産評価の路線価に雑種地等補正をして算定されただけであるとうかがわれ、これを本件土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできない。

本件の登記申請は、平成27年2月になされており、用いるべき登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成27年1月1日を基準日とする平成27年度の登録価格を用いる請求人の主張額は、登録免許税法施行令附則第3項第1号の規定に反しており、また、平成27年2月と平成27年1月1日とでは、本件土地の造成工事が完了していたか否かという差異があるから、平成27年度の登録価格をもって直ちに同項所定の登記官が認定する価額とは認められない。

いずれの価額も本件土地の登記の時における適正な価額とは認められないから、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が本件土地の登記の時の価額として相当なものであると認められる。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできないとして処分の一部を取り消した事例

2017年2月28日

火災による損害が反映されていない建物の台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、合理的に算定した価額をもって課税標準とするのが相当であるとした事例

  • 登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年6月8日裁決

<ポイント>
本事例は、火災による損害が反映されていない台帳価格の建物の時価は、経年減点補正率により算定された建物の台帳価格に、市の建物の固定資産評価に係る調査結果に基づき算定した建築時再建築費評点数に占める補正後再建築費評点数の割合を乗ずることで、本来考慮されるべき損害を反映した建物の台帳価格に相当する価額の算出が可能であり、当該価額は、固定資産評価基準に従って適正に算定されたものといえ、登記の時における建物の適正な時価を表したものと認められると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、所有権移転登記(本件登記)時に課税標準とした建物(本件建物)の固定資産課税の台帳価格(台帳価格)に、過去に生じた火災による損害(本件損害)が反映されていないとしても、台帳価格のある不動産の課税標準の額は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》、登録免許税法施行令附則第3項の規定により、本件建物の本件登記の時における台帳価格によるべきである旨主張する。

しかしながら、登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項の登録免許税の課税標準たる不動産の価額とは不動産の「時価」をいうところ、時価の設定は基本的に当該不動産の台帳価格によるべきであるものの、台帳価格が何らかの理由により時価を表していない場合には、他の方法により求めた時価を登録免許税の課税標準として採用することができると解するのが相当である。

そこで、本件建物の時価を検討すると、経年減点補正率により算定された本件建物の台帳価格に、市の本件建物の固定資産評価に係る調査結果に基づき算定した建築時再建築費評点数に占める補正後再建築費評点数の割合を乗ずることで、本来考慮されるべき本件損害を反映した本件建物の台帳価格に相当する価額の算出が可能であり、当該価額は、固定資産評価基準に従って適正に算定されたものといえ、本件登記の時における本件建物の適正な時価を表したものと認められる。
そして、本件建物の台帳価格はその時価を上回るから、本件建物の登記に係る課税標準の額は、本件建物の台帳価格とはならず、当該時価によるべきである。

★リンクはこちら ⇒ 火災による損害が反映されていない建物の台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、合理的に算定した価額をもって課税標準とするのが相当であるとした事例

2017年2月27日

原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものではないとして処分の全部を取り消した事例

  • 平成26年11月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 全部取消し
  • 平成28年3月7日裁決

<要旨>
原処分庁は、敷地権付き区分建物に係る請求人及びその配偶者が有する敷地権(本件敷地権)の登記申請(この申請に係る登記を本件登記)において、本件敷地権の目的である各土地(本件各土地)は年の途中で雑種地から宅地に地目が変更されているところ、同申請の添付書類である「固定資産(土地・家屋)評価証明書」には本件各土地の1平方メートル当たりの近傍宅地の類似価額(本件近傍類似価額)が記載されていることから、本件近傍類似価額に基づき本件敷地権に係る登録免許税の課税標準額たる価額を算出すべきである旨主張する。

しかしながら、登録免許税の課税標準額につき、台帳価格のある土地についてはその価格に相当する額とするが、登記簿の記載により現況地目が変更していることが判然としている場合は、近傍類似の土地の固定資産評価額(台帳価格)を参考として定めるとされていることからすると、登記官が認定した課税標準たる土地の価額は、それが近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものであるとすれば、適法であると解するのが相当である。
これを本件についてみると、原処分庁が算出した課税標準たる本件敷地権の価額は、本件近傍類似価額に本件各土地の地積と本件敷地権の割合を乗じて算出したものであり、本件各土地の形状等に応じた固定資産評価基準に定める画地計算法等に基づく補正は行っていないことが認められるところ、このような補正を行っていない原処分庁の本件各土地の価額の算定は、合理的なものと認めることはできない。

したがって、原処分庁が算出した課税標準たる本件敷地権の価額は、本件登記の時における不動産の価額として適正であるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものではないとして処分の全部を取り消した事例

2017年1月27日

登録免許税の税率の軽減措置

平成28年度の税制改正により、以下の1から3までの登録免許税の税率の軽減措置について、その適用期限が平成30年3月31日まで2年延長された。

1.特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第74条)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の保存の登記  0.4%  0.15%  0.1%
 所有権の移転の登記  マンション  2.0%  0.3%  0.1%
 戸建て住宅  2.0%  0.3%  0.2%

2.認定低炭素住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第74条の2)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の保存の登記  0.4%  0.15%  0.1%
 所有権の移転の登記  2.0%  0.3%

3.特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減(租税特別措置法第74条の3)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の移転の登記  2.0%  0.3%  0.1%


「一般住宅」欄は、住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減(租税特別措置法第72条の2)または住宅用家屋の移転登記の税率の軽減(租税特別措置法第73条)を適用した場合の登録免許税の税率を参考掲載している。

(注)
上記1から3までの軽減措置の適用を受けるには、登記の申請書に住宅用家屋の所在地の市区町村長の証明書(住宅用家屋の床面積が50㎡以上であること等の一定の要件(裏面参照)を満たす旨の証明)を添付の上、当該住宅用家屋の新築または取得後1年以内に登記を受けなければならない。

★リンクはこちら ⇒ 登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

2016年5月9日

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再生

中小企業活性化協議会が「中小企業活性化協議会実施基本要領」に基づき実施した再生支援において作成された再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

1.照会の趣旨及び照会事項
中小企業活性化協議会(以下「協議会」といいます。)は、令和4年3月4日に策定された「中小企業活性化パッケージ」(経済産業省・金融庁・財務省)を受けて、同年4月1日に47都道府県に設置され、産業競争力強化法第134条の認定を受けた認定支援機関として、中小企業者(産業競争力強化法第2条第22項に規定する中小企業者をいい、常時使用する従業員数が300人以下の医療法人を含みます。以下同じです。)からの相談に対応し、再生計画の作成支援を行ってきました。

協議会が行う各種支援事業については、その設置・運営体制や各種支援の内容等を定めた「中小企業活性化協議会実施基本要領」(以下「本基本要領」といいます。)が作成されています。

そして、協議会は、再生支援を実施する場合、本基本要領「別冊2 再生支援実施要領」(以下「本要領」といいます。)に定める具体的な内容及び手続等に基づき行われることとされています。

また、本要領に関し実務上留意すべき具体的な事項がQ&A(以下「本要領QA」といいます。)に定められています。

つきましては、協議会が行う再生支援において、中小企業者に該当する個人事業者が次の2の手順に従って作成した事業再生計画(以下「再生計画」といいます。)に基づいて債務の免除を受ける場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えて差し支えないかについて照会申し上げます。

2.照会に係る取引等の事実関係
(1)対象債務者
協議会の実施する再生支援の対象となる債務者(以下「対象債務者」といいます。)は、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難であること等の要件を満たす中小企業者であることとされています【本要領2(1)】。

なお、対象債務者は、法人に限られず個人事業者も含まれています。当該個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にあることを照会の前提とします。

(2)対象債権者
本要領に基づく手続の対象となる対象債権者は、対象債務者の取引金融機関等の債権者であって再生計画が成立した場合に金融支援の要請を受けることが予定されている債権者とされています【本要領2(1)②】。

(3)統括責任者及びその役割
統括責任者とは、中小企業や事業の再生等に相当の知見と経験を有する者の中から地域の実情を考慮し、認定支援機関の長が選任する者をいい、協議会の再生支援等を行う支援業務部門に配置され、金融機関等及びその子会社からの出向者は選任できないこととなっています【本基本要領3(2)①②】。

また、統括責任者が再生支援に係る職務を執行するに当たり、対象債務者又は対象債権者等との間に利害関係を有する場合、認定支援機関の長は、統括責任者補佐(中小企業や収益力改善、経営改善、事業再生、再チャレンジ、経営企画、マーケティング、事業計画の立案等に知見を有する者の中から地域の実情を考慮し、認定支援機関の長が選任します。)の中から統括責任者の職務を代理する者を定めることとされています【本基本要領3(2)③④】。

統括責任者は、対象債務者からの申出を受けて、主要債権者(対象債権者のうち対象債務者に対する債権額が上位のシェアを占める債権者をいいます。)の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当でないと判断した場合には、再生支援案件ごとに編成される個別支援チームに参画した弁護士等を活用し、対象債務者の財務面(資産負債及び損益の状況)及び事業面(これらを併せて以下「財務面等」といいます。)の調査分析・検証を踏まえた再生計画作成の支援等を行い、作成された再生計画案の内容の相当性及び実行可能性等について、調査し、対象債権者に報告して再生計画案について合意形成を図ることとなります【本要領2(2)、(4)①、(6)①、(7)⑤】。

(4)「再生計画」の作成手順等の概要
本要領に基づく金融支援は、債権放棄等のほかリスケジュール等の様々な手法が考えられますが、債権放棄等を伴う再生計画を作成する場合には、以下の手順を経て当該再生計画が成立することが想定されます。

イ.統括責任者又は統括責任者補佐は、窓口相談段階で把握した対象債務者の状況を基に、再生支援を行うことが適当であると判断した場合には、当該対象債務者の承諾を得て、主要債権者に対して再生可能性を説明し、意向を確認することになります【本要領2(2)①】。

ロ.統括責任者は、主要債権者の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当ではないと判断した場合には、再生支援を行うことを決定し、支援を開始します【本要領2(2)②】。

ハ.統括責任者は、対象債務者に対する再生支援を実施するため、統括責任者や統括責任者補佐の他、原則として外部専門家(事業再生に関する高度の専門的な知識と経験を有する弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等であって、認定支援機関が委嘱した者をいい、債権放棄等を伴う場合、弁護士及び公認会計士が含まれることになります。)から構成される個別支援チームを編成します【本基本要領3(3)③、本要領2(3)①】。

なお、統括責任者は、統括責任者補佐が対象債務者又は対象債権者等との間に利害関係を有する等の場合には当該統括責任者補佐を個別支援チームの一員として参画させてはならず、外部専門家の活用に当たっては、対象債務者及び主要債権者との間に利害関係を有しない外部専門家を選定することとされています【本要領2(3)②③】。

ニ.対象債務者は、個別支援チームの対象債務者に対する財務面等の調査分析を通じて把握した状況に基づく支援を受けて再生計画案を作成することになります。この場合、個別支援チームによる、対象債務者が実施した財務面等の調査分析に対する検証を通じて把握した状況に基づく支援を受けて再生計画案を作成することもできることとされています【本要領2(4)①②④、本要領QA25】。

再生計画案の内容は、対象債務者の自助努力が十分に反映されたものであるとともに、企業の概況、財務状況の推移、実態貸借対照表、経営が困難になった原因、事業再生のための具体的内容、今後の事業見通し、資金繰り計画、債務弁済計画、債権放棄等の金融支援の内容及び保証人がいる場合はその資産と負債の状況を含むものとされています【本要領2(5)①】。

また、経営責任及び株主責任の明確化を図る内容であること【本要領2(5)⑤⑥】、加えて、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとって経済的合理性のある内容であることが求められます【本要領2(5)⑧】。

更に、再生計画案における権利関係の調整は、債権者間で平等であることを旨とし、債権者間の負担割合については、衡平性の観点から、個別に検討することとされています【本要領(5)⑦】。

ホ.統括責任者は、個別支援チームに参画した外部専門家である弁護士を活用して、再生計画案の内容の相当性、実行可能性及び金融支援の必要性等について調査し、調査報告書を作成の上、対象債権者に提出し報告することになります【本要領2(3)③、(6)①②、本要領QA33】。

ヘ.対象債務者により再生計画案が作成された後、全ての対象債権者による債権者会議を開催し、統括責任者は、当該債権者会議で対象債権者全員に対し再生計画案の調査結果を報告するとともに、再生計画案の説明、質疑応答及び意見交換を行うこととなります【本要領2(7)①】。

そして、全ての対象債権者が、再生計画案に同意し、その旨を文書等により確認した時点で再生計画は成立し、対象債務者は再生計画を実行する義務を負担し、対象債権者の権利は、成立した再生計画の定めにより変更され、対象債権者は、再生計画に従った債権放棄等をすることとなります【本要領2(7)②】。

ト.支援業務部門は主要債権者と連携の上、必要に応じて、外部専門家の協力を得て、再生計画成立後の対象債務者の再生計画達成状況等についてモニタリングを行うこととされ、モニタリング期間は原則として再生計画が成立してから概ね3事業年度を目途とし、必要な期間が定められます。また、支援業務部門は、対象債務者の再生計画達成状況等を踏まえ、その後のモニタリングの要否を判断することとなります【本要領4(1)①③⑤】。

3.照会者の求める見解となることの理由
個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第36条第1項に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に該当するため(所基通36-15(5))、原則として、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます。

ただし、当該個人事業者が「破産法に規定する免責許可の決定又は再生計画認可の決定があった場合その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」にその有する債務の免除を受けたときは、当該免除により受ける経済的利益の価額については、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととされています(所法44の2①)。

この「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」とは、「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」をいうこととされています(所基通44の2-1)。

この点、以下の(1)ないし(3)を踏まえれば、再生計画に基づき対象債務者である個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税基本通達44の2-1の「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」に該当することから、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えます。

(1)上記2(1)のとおり、対象債務者となる個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にありますので、民事再生法による再生手続の対象者と同様に資力を喪失している者であると認められます。

(2)上記2(4)ニのとおり、再生計画案は、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得らえる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められるため、再生計画に基づく債権放棄額は、民事再生法による再生手続と同様に破産手続による債権の免責額と同等以下となるように設定することとなります。

(3)上記2(4)ニ及びホのとおり、再生計画案は外部専門家を含む個別支援チームの支援の下に作成され、外部専門家弁護士により検証されることからすれば、再生計画に基づく債務免除額は、再生手続の対象となり得る者に対して、再生手続による債権の切捨額と同等の債務免除をするものと認められます。

(注)【 】は参照すべき本基本要領、本要領及び本要領QAの該当部分を示しています。

〔回答〕

  • 回答年月日 令和7年1月8日
  • 回答者 国税庁課税部審理室長
  • 回答内容 標題のことについては、標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。
(1)この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら⇒ 中小企業活性化協議会が「中小企業活性化協議会実施基本要領」に基づき実施した再生支援において作成された再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

2025年4月25日


「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(再生型私的整理手続)」に基づき策定された事業再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

1.照会の趣旨及び照会事項
当研究会は、令和3年6月に公表された「成長戦略実行計画」を受け、中小企業者(中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者をいい、常時使用する従業員数が300人以下の医療法人を含みます。以下同じです。)の事業再生・事業廃業(これらを併せて、以下「事業再生等」といいます。)に関し、関係者間の共通認識を醸成し、事業再生等に係る総合的な考え方及び具体的な手続等として、別添の「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」(以下「本ガイドライン」といいます。)及び同ガイドラインと一体的に定められている「『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』Q&A」(以下「QA」といいます。)を取りまとめ、令和4年3月に公表しています(本ガイドラインは、それまでの活用実績を踏まえ、令和6年1月17日に一部改定を行っております。)。

本ガイドラインは、その目的を定めた第一部、基本的な考え方を示した第二部、私的整理手続を定めた第三部から構成され、第三部の「中小企業の事業再生等のための私的整理手続(中小企業版私的整理手続)」では、破産手続、再生手続、更生手続又は特別清算手続等の法的整理手続によらずに、債務者である中小企業者と債権者である金融機関等の間の合意に基づき、主として金融債務について返済猶予・減免等を受けることにより、当該中小企業者の円滑な事業再生や廃業を行うことを目的とする私的整理の手続(以下、事業再生に係る私的整理手続を「再生型私的整理手続」といいます。)を定めたものであり、また、QAは、具体的な実務を行う上で留意すべき事項等を当研究会においてとりまとめたものです。

当研究会としましては、本ガイドラインの中小企業版私的整理手続(再生型私的整理手続及び廃業型私的整理手続)が円滑に運用されるため、当該手続に関する税務上の取扱いを検討する必要があると考えます。

つきましては、再生型私的整理手続において、中小企業者に該当する個人事業者が次の2の手順に従って策定された事業再生計画(以下「本件事業再生計画」といいます。)に基づいて債務の免除を受ける場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えて差し支えないか、ご照会申し上げます。

2.照会に係る取引等の事実関係
(1)対象債務者
再生型私的整理手続の対象となる債務者(以下「対象債務者」といいます。)は、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生ずることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難であること等の要件を満たす中小企業者であることとされています【第三部3(1)】。

なお、再生型私的整理手続における対象債務者は、法人に限られず個人事業者も含まれています【第三部3(2)①】。

当該個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にあることを照会の前提とします。

(2)対象債権者
再生型私的整理手続の対象となる債権者は、対象債務者に対して金融債権を有する取引金融機関等で事業再生計画が成立した場合に権利を変更されることが予定されている債権者とされています【第一部3、第三部1(1)】。

(3)第三者支援専門家
第三者支援専門家とは、対象債務者及び対象債権者との間に利害関係を有しない弁護士、公認会計士等の専門家であって、再生型私的整理手続を遂行する適格性を有し、その適格認定を得たものをいいます。

第三者支援専門家は、対象債務者からの申出を受けて、主要債権者()の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当でないと判断した場合には、対象債務者の資産負債や損益の状況の調査検証や事業再生計画策定の支援等を行い、策定された事業再生計画案の内容の相当性及び実行可能性等について調査し、対象債権者に報告して事業再生計画案について合意形成を図ることとなります【第三部4(1)、(5)①、(6)③】。

主要債権者とは、対象債務者に対する金融債権額が上位のシェアを占める対象債権者で金融債権額のシェアが最上位の者から順番に、そのシェアの合計額が50%以上に達するまで積み上げた際の単独又は複数の対象債権者をいいます【第三部2(5)】。

(4)「事業再生計画」の策定手順等の概要
再生型私的整理手続に基づく金融支援は、債権放棄等のほかリスケジュール等の様々な手法が考えられますが、債権放棄等を伴う事業再生計画を策定する場合には、以下の手順等を経て計画が成立することが想定されています。

イ.対象債務者が、弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等の専門家(以下「外部専門家」といいます。)と相談しつつ、第三者支援専門家を公表されたリストから選定し(複数の対象債権者が関わる場合で、対象債権者全員の同意を得たときは、リストにない専門家を第三者支援専門家として選定することも認められています。)、主要債権者に再生型私的整理手続を検討している旨を申し出るとともに、第三者支援専門家の選任について主要債権者全員から同意を得ることになります【第三部4(1)①②、QA41】。

ロ.第三者支援専門家は主要債権者の意向も踏まえて、再生支援を行うことが不相当ではないと判断した場合には、対象債務者の資産負債及び損益の状況の調査検証や事業再生計画の策定方針について支援を開始します【第三部4(1)③】。

ハ.対象債務者は、上記(2)以降、対象債権者に対して必要に応じて一時停止の要請を行います【第三部4(2)】。

ニ.対象債務者は、外部専門家からの支援を受ける等して相当の期間内に事業再生計画案を作成することになります【第三部4(3)】。

事業再生計画案の内容は、対象債務者の自助努力が十分に反映されたものであるとともに、企業の概況、財務状況の推移、保証人がいる場合はその資産と負債の状況、実態貸借対照表、経営が困難になった原因、事業再生のための具体的施策、今後の事業及び財務状況の見通し、資金繰り計画及び債権放棄等の金融支援を含むものとされています【第三部4(4)①イ】。

また、事業再生計画案は、経営責任及び株主責任の明確化を図る内容であること【第三部4(4)①ホ】、加えて、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得られる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められます【第三部4(4)①ト】。

更に、事業再生計画案における権利関係の調整は、債権者間で平等であることを旨とし、債権者間の負担割合については、衡平性の観点から、個別に検討することとされています【第三部4(4)①へ】。

ホ.第三者支援専門家は、対象債務者及び対象債権者から独立して中立かつ公正・公平な立場で、事業再生計画案の内容の相当性及び実行可能性並びに金融支援の必要性及び内容の相当性等について調査し、調査報告書を作成の上、対象債権者に提出し報告することになります【第三部4(5)①②】。

ヘ.対象債務者により事業再生計画案が作成された後、原則として全ての対象債権者による債権者会議を開催し、第三者支援専門家は、当該債権者会議で対象債権者全員に対し事業再生計画案の調査結果を報告するとともに、事業再生計画案の説明、質疑応答及び意見交換を行うこととなります【第三部4(6)①】。

そして、全ての対象債権者が、事業再生計画案に同意し、その旨を第三者支援専門家が文書等により確認した時点で事業再生計画は成立し、対象債務者は事業再生計画を実行する義務を負担し、対象債権者の権利は、成立した事業再生計画の定めにより変更され、対象債権者は、事業再生計画の定めに従った債権放棄等をすることとなります【第三部4(6)④】。

ト.外部専門家や主要債権者は、事業再生計画成立後の対象債務者の事業再生計画達成状況等について定期的にモニタリングを行うこととされ、モニタリング期間は原則として事業再生計画が成立してから概ね3事業年度を目途とし、対象債務者の状況や事業再生計画の内容等を勘案して、必要な期間が定められます。

また、主要債権者は、対象債務者の事業再生計画達成状況等を踏まえ、その後のモニタリングの要否を判断することとなります【第三部4(8)①】。

3.照会者の求める見解となることの理由
個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第36条第1項に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に該当するため(所基通36-15(5))、原則として、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます。

ただし、当該個人事業者が「破産法に規定する免責許可の決定又は再生計画認可の決定があった場合その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」にその有する債務の免除を受けたときは、当該免除により受ける経済的利益の価額については、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととされています(所法44の2①)。

この「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」とは、「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」をいうこととされています(所基通44の2-1)。

この点、以下の(1)ないし(3)を踏まえれば、本件事業再生計画に基づき対象債務者である個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税基本通達44の2-1の「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」に該当することから、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えます。

(1)上記2(1)のとおり、対象債務者となる個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にありますので、民事再生法による再生手続の対象者と同様に資力を喪失している者であると認められます。

(2)上記2(4)ニのとおり、事業再生計画案は、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得らえる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められるため、本件事業再生計画に基づく債権放棄額は、民事再生法による再生手続と同様に破産手続による債権の免責額と同等以下となるように設定することとなります。

(3)上記2(4)ホのとおり、事業再生計画案は外部専門家の支援の下に作成され、独立して公平な立場から第三者支援専門家により確認されることからすれば、本件事業再生計画に基づく債務免除額は、再生手続の対象となり得る者に対して、再生手続による債権の切捨額と同等の債務免除をするものと認められます。

(注)【 】は参照すべき本ガイドライン本文ならびにQAの該当部分を示しています。

〔回答〕

  • 回答年月日 令和7年1月8日
  • 回答者 国税庁課税部審理室長
  • 回答内容 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。
(1)この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら⇒ 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(再生型私的整理手続)」に基づき策定された事業再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

2025年4月16日


『中小企業再生支援スキーム』の改訂

中小企業庁は、『中小企業再生支援スキーム』について、以下のとおり改訂した。

<改訂の趣旨>
中小企業再生支援スキームは、中小企業再生支援協議会等が債務免除を含む再生計画の策定支援を実施する際の手順や要件を定めたものである。
窮境に陥った事業者の方が、この手順に従って再生計画の策定支援を受け、金融機関等から債務免除等を受けた場合に、対応した税制上の措置を受けることができる。
中小企業庁では、税制の特例措置の創設等の都度、新たな規定を追加や改訂をしてる。
この度、以下の特例について、適用期限が平成31年3月末までに延長されたので、「中小企業再生支援スキーム」を改訂し公表した。

<主な改訂の内容>
●「事業再生ファンドに係る企業再生税制の特例」の延長
(具体的な内容)
事業再生ファンドによる債権放棄が行われた場合、平成31年3月末までの間、評価損の損金算入が可能となる等の特例が適用できる。

適用対象 平成21年12月4日から平成28年3月31までの間に、債務について金融機関
から貸付け条件の変更を受けた法人

●「経営者の私財提供に係る譲渡所得の非課税措置の特例」の延長
(具体的な内容)
再生企業の保証人となっている経営者が、「合理的な再生計画」に基づき、当該再生企業に対して事業用資産の私財提供を行った場合には、平成31年3月末までの間、譲渡益を非課税とする特例が適用できる。

適用対象

平成21年12月4日から平成28年3月31日までの間に、金融機関から受けた
事業資金の貸付けに係る債務の弁済について、条件変更を受けた法人

★リンクはこちら⇒ 『中小企業再生支援スキーム』の改訂

2016年8月31日

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印紙税

印紙税額一覧表(令和6年11月現在)

国税庁は『印紙税額一覧表(令和6年11月現在)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 印紙税額一覧表(令和6年11月現在)

2024年11月29日


契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)

国税庁は『契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)』をホームページに掲載しました。

印紙税は、「契約書」、「手形」、「領収書」など、リンク先の「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金です。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なりますから、お間違いのないようご注意ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)

2024年7月29日


消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の印紙税の取扱いについて(令和6年6月)

1.従来の取扱い
印紙税法上、金銭又は有価証券の受取書は課税文書となりますが、消費生活協同組合が、その「出資者」に対して行う事業に係る金銭又は有価証券の受取書は「営業に関しないもの」として非課税文書とされています。

この非課税文書の対象となる「出資者」の範囲については、消費生活協同組合法第16条の規定に基づき、実際に出資を行った組合員に限ることとし、組合員と同一の世帯に属する者(以下、「家族組合員」といいます。)については、出資行為を行っていないことから「出資者」には含まないものとして取り扱っていました。

2.変更後の取扱い
今般、「出資者」の範囲について、家族組合員が含まれるかが争われた裁判において、東京高等裁判所は、「消費生活協同組合における『家族組合員』は印紙税法上の『出資者』に該当する」旨判示しました(令和5年10月18日判決)。

この判決の趣旨を踏まえ、消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の非課税対象となる「出資者」の範囲について、上記1の従来の取扱いを変更します。

具体的には、非課税対象となる「出資者」の範囲については、実際に出資行為を行った組合員のほか、定款に特に定めがある場合を除き、家族組合員を含むこととし、これらの者に対して交付する金銭又は有価証券の受取書は、「営業に関しないもの」として非課税文書となります。

3.還付請求手続について
上記2の取扱いは過去に遡って適用されますので、以下の納付区分に応じて、還付請求を行うことができます。

(1)書式表示に係る印紙税の納税申告の場合
家族組合員に交付した金銭又は有価証券の受取書を申告対象としていた場合は、所轄税務署に「更正請求書」を提出していただくことで還付請求を行うことができます。

請求に当たっては、更正の請求の理由となった事実を証明する書類として、申告対象に家族組合員に対する金銭又は有価証券の受取書が含まれていることが分かる書類及び定款の写しの提出が必要となります。

なお、「更正請求書」を提出する日において、法定申告期限から5年を経過している印紙税については、法令上、還付を行うことはできませんので、ご注意ください。

(2)収入印紙の貼付の場合
家族組合員に交付した金銭又は有価証券の受取書に収入印紙を貼付していた場合は、所轄税務署に「印紙税過誤納確認申請書」を提出していただくことで還付請求を行うことができます。

申請に当たっては、金銭又は有価証券の受取書の現物(原本)の提示又は提出、並びに家族組合員へ交付されたものであることが確認できる書類及び定款の写しの提出が必要となります。

なお、「印紙税過誤納確認申請書」を提出する日において、過誤納となっている文書を作成した日(家族組合員に交付を行った日)から5年を経過している印紙税については、法令上、還付を行うことはできませんので、ご注意ください。

★リンクはこちら⇒ 消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の印紙税の取扱いについて(令和6年6月)

2024年7月26日


印紙税の手引(令和6年6月)

国税庁は『印紙税の手引(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の『印紙税額一覧表』に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、『印紙税額一覧表』に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただくための参考として、そのあらましを説明した『印紙税の手引』を作成した。

また、国税庁ホームページにおいても印紙税に関する情報やタックスアンサー(よくある税の質問)を提供しているので、是非ご活用のこと。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、最寄りの税務署に電話で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和6年6月)

2024年7月8日


特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税について(新型コロナ税特法)

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の方については、消費貸借契約書に係る印紙税の非課税措置が設けられている。

★リンクはこちら⇒ 特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税について(新型コロナ税特法)

2024年4月5日


契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」、「手形」、「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるので、お間違いのないよう注意すること。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)

2023年7月7日


印紙税の手引(令和5年5月)

国税庁は、「印紙税の手引(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただくための参考として、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

また、国税庁ホームページにおいても印紙税に関する情報やタックスアンサー(よくある税の質問)を提供しているので、是非ご活用ください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、最寄りの税務署に電話で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和5年5月)

2023年6月27日


契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)』を掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるから、間違いのないよう注意すること。

印紙税についてお分かりにならないことがありましたら、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)

2022年8月25日


印紙税の手引(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『印紙税の手引(令和4年5月)』を掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、お分かりにならないことや、更に詳しくお知りになりたいことがありましたら、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和4年5月)

2022年6月10日


契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「契約書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるので、間違いのないようご注意ください。

印紙税について分からないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約したうえで、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)

2021年5月27日


印紙税の手引(令和3年5月)

国税庁は、『印紙税の手引(令和3年5月)をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。
印紙税について、分かりにならないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約したうえで、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和3年5月)

2021年5月24日


消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該文書の一部は課税文書に該当しないなどとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消した事例

  • 平成26年9月から平成29年3月まで及び平成29年4月から平成29年8月までに作成された各課税文書に係る印紙税の過怠税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月2日裁決

<ポイント>
消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該領収書の交付を受けた者は、その作成日の時点では出資者であったと認められるから、「営業に関しない受取書」に当たり、課税文書に該当しないとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書について、請求人が出資者以外の者に交付したものであり、印紙税法別表第一の第17号の非課税物件欄2に規定する「営業に関しない受取書」に該当しない旨主張する。

しかしながら、同欄2の規定によれば、請求人がその出資者に対して行う事業は、「営業」に該当しないが、出資者以外の者に対して行う事業は、たとえ営利を目的としないものであったとしても全て「営業」に該当することになるところ、当審判所の調査によれば、当該領収書の交付を受けた者は、その作成日の時点では出資者であったと認められることなどからすれば、同欄2に規定する「営業に関しない受取書」に当たり、課税文書に該当しないと認めるのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該文書の一部は課税文書に該当しないなどとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消した事例

2020年11月12日


契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)

国税庁は『契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。
印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるため、間違いのないよう注意すること。

印紙税について分からないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねのこと。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書を持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)

2020年7月10日


印紙税の手引(令和2年6月)

国税庁は『印紙税の手引(令和2年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、分からないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねのこと。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和2年6月)

2020年7月7日


契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるから、お間違いのないようご注意のこと。

印紙税についてお分かりにならないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

 ★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)

2019年6月26日


印紙税の手引(令和元年6月)

国税庁は、『印紙税の手引(令和元年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、分からないことや、更に詳しくお知りになりたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。
なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

 ★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和元年6月)

2019年6月21日


収入印紙の形式改正について

収入印紙については、形式を改正し、平成30年7月1日から適用を開始することとなった。

形式を改正する券種は、現行の31券種(1円、2円、5円、10円、20円、30円、40円、50円、60円、80円、100円、120円、200円、300円、400円、500円、600円、1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、6,000円、8,000円、10,000円、20,000円、30,000円、40,000円、50,000円、60,000円、100,000円)のうち、19券種(下線の券種)となる。

形式改正後は、券種ごとに以下の偽造防止技術を施する。

○すべての券種
特殊発光インキ(可視領域では無色だが、紫外線ランプの照射で発光するインキ)及びマイクロ文字
着色繊維及び透かし入用紙を使用

○200円券
パールインキ(見る角度でパール色の光沢模様が現れる技術)
イメージリプル(特殊レンズを重ねると、「200」の文字が現れる技術)

○300円から600円の券種(4券種)
メタメリックインキ(専用シートを重ねると、模様が消える技術)

○1,000円以上の券種(14券種)
メタリックビュー(見る角度を変えると、複数の模様が現れる技術)

なお、改正前の収入印紙については、改正後の収入印紙の適用開始後も引き続き使用することができる。

 ★リンクはこちら⇒ 収入印紙の形式改正について

2018年6月7日


契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。
印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。
例えば、「不動産売買契約書(第1号文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、収める税金が異なるので、間違いのないように注意すること。

 ★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)

2018年6月4日


印紙税の手引(平成30年5月)

国税庁は、『印紙税の手引(平成30年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

 ★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(平成30年5月)

2018年5月30日


契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)

2017年6月22日

平成29年5月印紙税の手引

国税庁は、『平成29年5月印紙税の手引』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年5月印紙税の手引

2017年6月2日

総価契約単価合意方式における「単価合意書」の印紙税の取扱い

<照会要旨>
総価契約単価合意方式は、公共工事等における受発注者間の双務性の向上の観点から、請負代金額の変更があった場合の金額の算定や部分払い代金額の算定を行うための単価等を前もって協議し、合意しておくことにより、変更契約や部分払いに伴う協議の円滑化を図ることを目的として実施されている。
また、その実施方法としては、単価等を個別に合意する方式(以下「単価個別合意方式」という。)を基本としているが、一定の規模以下の契約工事においては、受注者の希望により、単価を包括的に合意する方式(以下「単価包括合意方式」という。)も可能なものとなっている。
いずれの場合であっても、発注者と受注者との間では、「工事請負契約書」と「単価合意書」(単価個別合意方式用)または「単価合意書」(単価包括合意方式用)が締結されることになる。
このうち、「工事請負契約書」は、印紙税法上、請負に関する契約書に該当することから、請負金額に応じて収入印紙を貼付しているが、契約当事者間で作成されるもう一方の「単価合意書」の印紙税の取扱いはどうなるか。
なお、「単価合意書」(単価個別合意方式用)には「単価表」、「単価合意書」(単価包括合意方式用)には「工事数量総括表」を添付する方法で作成する。

<回答要旨>
1.「単価合意書」(単価個別合意方式用)について
「単価合意書」(単価個別合意方式用)は、工事における契約の変更に用いる単価または金額を定めるために、原契約書(工事請負契約書)で定められた契約金額(請負金額の総額)に係る工事種別ごとの単価または金額(内訳金額)を記載して契約当事者間で合意した契約書であり、原契約書で定められていない契約内容(請負の内容、単価、取扱数量及び契約金額に密接に関連する事項(内訳金額))を補充するものと認められることから、印紙税法上、請負に関する契約書(第2文書)に該当する。

また、当該「単価合意書」(単価個別合意方式用)には、契約の変更に用いる単価または金額(内訳金額)のほかに当該内訳金額の合計金額(請負金額の総額)も記載されているが、当該合計金額は、原契約である「工事請負契約書」の内容から判断して当該文書(「単価合意書」(単価個別合意方式用))によって新たに契約金額を取り決めたものではなく、既に締結されている工事請負契約書の契約金額の内訳である単価または金額の合計額を示しているに過ぎないから記載金額には該当しない。

したがって、「単価合意書(単価個別合意方式用)」は、印紙税法上、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

2.「単価合意書」(単価包括合意方式用)について
「単価合意書」(単価包括合意方式用)は、契約の変更に用いる単価の考え方について合意したものであり、具体的な単価(数値として具体性を有するもの)を合意したものではないので、印紙税法上の請負に関する契約書に係る「単価」を定めたものとは認められない。
しかし、当該「単価合意書」には、工事数量総括表を別紙として添付することとされており当該工事数量総括表に記載される内容は、原契約で定められていない契約内容(請負の内容及び取扱い数量)を補充するものと認められるから、当該「単価合意書」(単価包括合意方式用)は、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

また、追加工事等により、原契約書の変更契約の締結に伴い改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容(請負内容又は取扱数量)が変更されるので、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

なお、賃金または物価変動に基づく請負代金の変更(労務単価など単価のみの変更)に伴い、改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容に変更はないので、課税文書には該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 総価契約単価合意方式における「単価合意書」の印紙税の取扱い

2016年3月16日

建築士法第22条の3の3の規定に基づき作成される「設計・工事監理受託契約事項の変更書面」に係る印紙税の取扱い

<照会要旨>
工事請負契約の請負者は注文者との間で工事請負契約書(以下「原契約書」という。)を締結する際に、その契約内容に当該工事請負契約書の内容に設計・工事監理が含まれ、かつ、当該工事請負契約において建設する建築物が延べ面積300㎡を超える場合、建築士法第22条の3の3の規定に基づき、「設計・工事監理受託契約事項」を作成し、原契約書に添付する。
この「設計・工事監理受託契約事項」には、設計または工事監理に従事する建築士の氏名、業務の期間、報酬の額、建築士事務所の名称及び所在地、建築士事務所の開設者の氏名及び所在地等が記載されるが、これらの事項が変更される場合、契約当事者間で「設計・工事監理受託事項の変更書面」を作成するが、以下の事項の変更が記載された当該書面の課否はどのようになるか。

業務の期間
報酬の額
建築士事務所の名称及び所在地
建築士事務所の開設者の氏名
建築士の登録番号
再委託先

なお、いずれの場合も、原契約書に記載された事項は変更されない。

<回答要旨>
「設計・工事監理受託事項の変更書面」において変更する箇所が、①のうち設計業務及び構造設計業務の期間の変更の場合は、第2号文書の重要な事項である請負の期限を変更するものに該当することから記載金額のない第2号文書、②の報酬の額を変更するものは、第2号文書の重要な事項のうち、契約金額を変更するものに該当することから、報酬の額が増額される場合は、変更金額(差額)を記載金額とする第2号文書に、報酬額が減額される場合は、記載金額のない第2号文書に該当する。

なお、③ないし⑥の事項の変更は第2号文書の重要な事項の変更に該当しないことから課税文書に該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 建築士法第22条の3の3の規定に基づき作成される「設計・工事監理受託契約事項の変更書面」に係る印紙税の取扱い

2016年3月9日

契約書の写し、副本、謄本等

契約書は、契約の当事者がそれぞれ相手方当事者などに対して成立した契約の内容を証明するために作られるので、各契約当事者が1通ずつ所持するのが一般的である。
この場合、契約当事者の一方が所持するものに正本又は原本と表示し、他方が所持するものに写し、副本、謄本などと表示することがある。

しかしながら、写し、副本、謄本などと表示された文書であっても、おおむね以下のような形態のものは、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかなため、印紙税の課税対象になる。

  • 契約当事者の双方または文書の所持者以外の一方の署名または押印があるもの
  • 正本などと相違ないこと、または写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるもの

なお、所持する文書に自分だけの印鑑を押したものは、契約の相手方当事者に対して証明の用をなさないものであるため、課税対象とはならない。

また、契約書の正本を複写機でコピーしただけのもので、上記のような署名もしくは押印または証明のないものは、単なる写しにすぎないため、課税対象とはならない。
同じく、ファックスや電子メール等により送信する場合も正本等は送付元に保存され、送付先に交付されておらず、送付先で出力された文書は写しと同様であり、課税対象とはならない。

このように、印紙税は、契約の成立を証明する目的で作成された文書を課税対象とするものであるため、一つの契約について2通以上の文書が作成された場合であっても、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであれば、すべて印紙税の課税対象となる。

★リンクはこちら⇒ 契約書の写し、副本、謄本等

2015年12月1日

印紙の消印の方法

<照会要旨>
契約書などに印紙を貼った場合には消印をすることとされているが、この消印は契約書などに押した印で消さなければならないか。
また、契約者が数人いる場合には、その全員で消印をしなければいけないのか。

<回答要旨>
印紙税の課税対象となる文書に印紙を貼り付けた場合には、その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっている。
そして、印紙を消す方法は、文書の作成者または代理人、使用人その他の従業者の印章または署名によることになっている。
このように、消印する人は文書の作成者に限られておらず、また、消印は印章でなくても署名でもよいとされているところから、文書の消印は、その文書に押した印でなくても、作成者、代理人、使用人、従業者の印章または署名であれば、どのようなものでも差し支えない。
ところで、消印は印紙の再使用を防止するためのものゆえ、それに使用する印章は通常印判といわれているもののほか、氏名、名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印のようなものでも差し支えない。
署名は自筆によるが、その表示は氏名を表すものでも通称、商号のようなものでも構わない。
しかし、単に「印」と表示したり斜線を引いたりしてもそれは印章や署名には当たらないので、消印したことにはならない。
また、印紙は判明に消さなければならないこととされているので、一見して誰が消印したかが明らかとなる程度に印章を押し又は署名することが必要であり、かつ、通常の方法では消印を取り去ることができないことが必要である。
したがって、鉛筆で署名したもののように簡単に消し去ることができるものは、消印をしたことにはならない。

次に、消印は印紙の再使用を防止することを目的とするという趣旨のものゆえ、複数の人が共同して作成した文書に貼り付けた印紙は、その作成者のうち誰か1人の者が消せばよいことになっている。
例えば、甲と乙とが共同して作成した契約書については、甲と乙の双方が消印しても甲と乙のどちらか1人が消印しても差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 印紙の消印の方法

2015年10月6日

平成27年9月印紙税の手引

国税庁は、『平成27年9月印紙税の手引』を公表した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年9月印紙税の手引

2015年9月30日

顧客から商品の返品若しくは交換又は売価が異なるなどの申し出を受けた際に使用する「お客様返金伝票」と題する伝票のつづりは、印紙税法上の「判取帳」に該当するとした事例

平成21年12月~平成24年3月及び平成24年4月~平成24年11月に作成された各課税文書に係る印紙税の過怠税の各賦課決定処分
棄却 平成26年10月28日裁決

<要旨>
請求人は、「売場控、事務所控及び商品貼付用」の3枚一組複写式の伝票が100組つづられている伝票つづりのうち、伝票作成後も切り離されずに残されている「売場控」つづり(本件各文書)が、1伝票1枚1枚が一の文書であること、2二以上の相手方から金銭受領の付込事実の証明を受ける目的で作成されていないものであること、3印紙税法上の帳簿に当たらないことからすると、判取帳には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件各文書は、①切り離されずに残されている「売場控」伝票(本件各伝票)が、本件各文書から切り離されることが予定されていたものとはいえず、また、請求人も1冊につづった状態で保管していたから、全体として一の文書に当たると認められるものであること、②請求人には、返金を行う場合において、複数の顧客から本件各伝票に署名を受けることによって金銭受領証明目的があったと認められることからすると、二以上の相手方から金銭の受領事実の証明を受ける目的で作成されたものと認められること、③継続的又は連続的に、金銭受領の事実、すなわち、課税事項を記載するための文書といえるものと認められるから、帳簿に当たると認められるものであることからすると、判取帳に該当する。

★リンクはこちら⇒ 顧客から商品の返品若しくは交換又は売価が異なるなどの申し出を受けた際に使用する「お客様返金伝票」と題する伝票のつづりは、印紙税法上の「判取帳」に該当するとした事例

2015年9月16日

契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)

2015年6月16日

印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)

国税庁は、「印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)」をホームページに掲載した。

不動産の譲渡に関する契約書」のうち、平成9年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成されるもの、「請負に関する契約書」のうち、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるもので、平成9年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成されるものについては、契約書の作成年月日及び記載された契約金額に応じ、印紙税額が軽減されている。

★リンクはこちら⇒ 印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)

2015年6月11日

輸出免税物品購入記録票に貼付・割印するレシート

【照会要旨】
輸出物品販売場を経営する事業者が、輸出免税物品購入記録票を作成する際に、購入される物品の品名や数量、価額等の明細を記載する代わりにレシートの写しを貼り付けて割印をし、これをパスポート等に貼り付けることがあるが、当該レシートの写しは、印紙税法上の「売上代金に係る金銭の受取書」(第17号の1文書)に該当するのか?

【回答要旨】
照会のレシートの写しは、購入記録票に品名や数量、価額等の明細を記載する代わりに貼り付けられるものであり、かつ、当該購入記録票との間に割印がされることから当該購入記録票の一部と認められ、輸出物品販売場を経営する事業者が購入者から金銭を受領した事実を証するために作成されたものではないから、第17号の1文書に該当しない。

2014年12月4日

未使用の収入印紙についての印紙税過誤納還付

【照会要旨】
当社では、不動産売買契約の締結を予定していたところ、契約の相手方の都合でキャンセルになってしまい、購入した2万円の収入印紙の使用見込みが立たなくなった。未使用の収入印紙について、印紙税の過誤納還付を受けることができるか?

【回答要旨】
収入印紙は、印紙税の納付のほか、登録免許税やパスポート引換えの際の手数料または訴訟費用等の納付にも使用される。
印紙税法の規定により還付することができるのは、印紙税を納付する目的で、印紙税の課税文書に過大に収入印紙を貼り付けた場合など、いったん印紙税を納付し、その納付した印紙税について過誤納金が生じている事実が確認できる場合に限られる。

したがって、未使用の収入印紙については、税務署において印紙税の過誤納還付を受けることはできない。

なお、汚染または損傷していない収入印紙については、郵便局において、手数料を支払って他の額面の収入印紙と交換することができる。詳細は「収入印紙の交換制度」を参照のこと。

2014年12月1日

印紙税の手引(平成26年9月)

国税庁は、『印紙税の手引(平成26年9月)』を公表した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。
そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

印紙税について、分からないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、税理士や最寄りの税務署(電話相談センター)に尋ねること。
なお、課税文書に当たるかどうかの尋ねるときは、その文書を持参すること。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(平成26年9月)

2014年10月21日

電子記録債権の受領に関する受取書

【照会要旨】
当社は、電子債権記録機関が提供している手形的利用を前提とした電子記録債権サービスの提供を受けており、売買取引等において売上代金を電子記録債権で受領した場合には、従来の手形取引と同様に、受取書を作成し、相手方に交付することとしている。
この場合、当該受取書にはただし書として、「上記金額を電子記録債権で受領しました。」と記載して、電子記録債権を受領したことを明らかにしているが、当社が取引の相手方に交付する「電子記録債権の受領に関する受取書」は、第17号の1文書(売上代金に係る有価証券の受取書)に該当することになるのか。

【回答要旨】
印紙税法に規定する「有価証券」とは、財産的価値のある権利を表彰する「証券」であって、その権利の移転、行使が「証券」をもってなされることを要するものとされており、例えば、手形、小切手、郵便為替等がこれに該当する(印紙税法基本通達60)。
電子記録債権は、有価証券(財産的価値のある権利を表彰する証券)には該当しないことから、この受取書は、第17号の1文書には該当しない。
ただし、売上代金を電子記録債権で受領する場合であっても、「上記金額を電子記録債権で受領しました。」など、受取書に電子記録債権を受領した旨の記載がないときは、第17号の1文書に該当することとなる。

2014年3月6日

印紙税第20号文書

<第20号文書とは>

  • 判取帳

<注>

  • 判取帳とは、第1号、第2号、第14号または第17号に掲げる文書により証されるべき事項につき2以上の相手方から付込証明を受ける目的をもって作成する帳簿をいう。

2013年12月24日

印紙税第19号文書

<第19号文書とは>

  • 第1号、第2号、第14号または第17号に掲げる文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的をもって作成する通帳(前号に掲げる通帳を除く。)

2013年12月20日

印紙税第18号文書

<第18号文書とは>

  • 預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行もしくは無尽会社の作成する掛金通帳、生命保険会社の作成する保険料通帳または生命共済の掛金通帳

<注>

  • 生命共済の掛金通帳とは、農業協同組合その他の法人が生命共済に係る契約に関し作成する掛金通帳で、政令で定めるものをいう。

<主な非課税文書>

  1. 信用金庫その他政令で定める金融機関の作成する預貯金通帳
  2. 所得税法第9条第1項第2号(非課税所得)に規定する預貯金に係る預貯金通帳その他政令で定める普通預金通帳

2013年12月18日

印紙税第17号文書

<第17号文書とは>

  1. 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書
  2. 金銭または有価証券の受取書で1に掲げる受取書以外のもの

<注>

  • 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書とは、資産を譲渡しもしくは使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)または役務を提供することによる対価(手付けを含み、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものの譲渡の対価、保険料その他政令で定めるものを除く。)として受け取る金銭または有価証券の受取書をいう。

<主な非課税文書>

  1. 記載された受取金額が3万円未満の受取書
  2. 営業(会社以外の法人で、法令の規定または定款の定めにより利益金または剰余金の配当または分配をすることができることとなっているものが、その出資者以外の者に対して行う事業を含み、当該出資者がその出資をした法人に対して行う営業を除く。)に関しない受取書
  3. 有価証券または第8号、第12号、第14号もしくは第16号に掲げる文書に追記した受取書

2013年12月16日

印紙税第16号文書

<第16号文書とは>

  • 配当金領収証または配当金振込通知書

<注>

  1. 配当金領収証とは、配当金領収書その他名称のいかんを問わず、配当金の支払を受ける権利を表彰する証書または配当金の受領の事実を証するための証書をいう。
  2. 配当金振込通知書とは、配当金振込票その他名称のいかんを問わず、配当金が銀行その他の金融機関にある株主の預貯金口座その他の勘定に振込済みである旨を株主に通知する文書をいう。

<主な非課税文書>

  • 記載された配当金額が3,000円未満の証書または文書

2013年12月13日

印紙税第15号文書

<第15号文書とは>

  • 債権譲渡または債務引受けに関する契約書

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年12月11日

印紙税第14号文書

<第14号文書とは>

  • 金銭または有価証券の寄託に関する契約書

2013年12月9日

印紙税第13号文書

<第13号文書とは>

  • 債務の保証に関する契約書(主たる債務の契約書に併記するものを除く。)

<主な非課税文書>

  • 身元保証ニ関スル法律(昭和8年法律第42号)に定める身元保証に関する契約書

2013年12月6日

印紙税第12号文書

<第12号文書とは>

  • 信託行為に関する契約書

<注>

  • 信託行為に関する契約書には、信託証書を含むものとする。

2013年12月4日

印紙税第11号文書

<第11号文書とは>

  • 信用状

2013年12月2日

印紙税第10号文書

<第10号文書とは>

  • 保険証券

<注>

  • 保険証券とは、保険証券その他名称のいかんを問わず、保険法(平成20年法律第56号)第6条第1項(損害保険契約の締結時の書面交付)、第40条第1項(生命保険契約の締結時の書面交付)または第69条第1項(傷害疾病定額保険契約の締結時の書面交付)その他の法令の規定により、保険契約に係る保険者が当該保険契約を締結したときに当該保険契約に係る保険契約者に対して交付する書面(当該保険契約者からの再交付の請求により交付するものを含み、保険業法第3条第5項第3号(免許)に掲げる保険に係る保険契約その他政令で定める保険契約に係るものを除く。)をいう。

2013年11月29日

印紙税第9号文書

<第9号文書とは>

  • 貨物引換証、倉庫証券または船荷証券

<注>

  1. 貨物引換証または船荷証券には、商法(昭和32年法律第48号)第571条第2項(貨物引換証)の記載事項または同法第769条(船荷証券)もしくは国際海上物品運送法(昭和32年法律第172号)第7条(船荷証券)の記載事項の一部を欠く証書で、これらの証券と類似の効用を有するものを含むものとする。
  2. 倉庫証券には、預証券、質入証券及び倉荷証券のほか、商法第599条(預証券等)の記載事項の一部を欠く証書で、これらの証券と類似の効用を有するものを含むものとし、農業倉庫証券及び連合農業倉庫証券を含まないものとする。

<主な非課税文書>

  • 船荷証券の謄本

2013年11月27日

印紙税第8号文書

<第8号文書とは>

  • 預貯金証書

<主な非課税文書>

  • 信用金庫その他政令で定める金融機関の作成する預貯金証書で、記載された預入額が1万円未満のもの

2013年11月25日

印紙税第7号文書

<第7号文書とは>

  • 継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が3か月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く。)

<注>

  • 継続的取引の基本となる契約書とは、特約店契約書、代理店契約書、銀行取引約定書その他の契約書で、特定の相手方との間に継続的に生ずる取引の基本となるもののうち、政令で定めるものをいう。

2013年11月22日

印紙税の手引(2013年10月)

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、その内容にかかわらず、定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。
そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

  • 現在、「金銭又は有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされているが、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税となる。
  • 不動産の譲渡に関する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」のうち、一定の要件に該当する契約書の印紙税を軽減する措置が平成30年3月31日まで延長されている(第1号の1文書及び第2号文書関係)。
    また、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、印紙税の軽減措置が拡充される。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(2013年10月)(既に削除済み)

2013年11月20日

印紙税第6号文書

<第6号文書とは>

  • 定款

<注>

  • 定款は、会社(相互会社を含む。)の設立のときに作成される定款の原本に限るものとする。

<主な非課税文書>

  • 株式会社または相互会社の定款のうち、公証人法第62条ノ3第3項(定款の認証手続)の規定により公証人の保存するもの以外のもの

2013年11月18日

印紙税第5号文書

<第5号文書とは>

  • 合併契約書または吸収分割契約書もしくは新設分割計画書

<注>

  1. 合併契約書とは、会社法(平成17年法律第86号)第748条(合併契約の締結)に規定する合併契約(保険業法第159条第1項(相互会社と株式会社の合併)に規定する合併契約を含む。)を証する文書(当該合併契約の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。
  2. 吸収分割契約書とは、会社法第757条(吸収分割契約の締結)に規定する吸収分割契約を証する文書(当該吸収分割契約の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。
  3. 新設分割計画書とは、会社法第762条第1項(新設分割計画の作成)に規定する新設分割計画を証する文書(当該新設分割計画の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。

2013年11月11日

印紙税第4号文書

<第4号文書とは>

  • 株券、出資証券もしくは社債券または投資信託、貸付信託、特定目的信託もしくは受益証券発行信託の受益証券

<注>

  1. 出資証券とは、相互会社(保険業法(平成7年法律第105号)第2条第5項(定義)に規定する相互会社をいう。以下同じ。)の作成する基金証券及び法人の社員または出資者たる地位を証する文書(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)に規定する投資証券を含む。)をいう。
  2. 社債券には、特別の法律により法人の発行する債券及び相互会社の社債券を含むものとする。

<主な非課税文書>

  1. 日本銀行その他特別の法律により設立された法人で政令で定めるものの作成する出資証券(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成5年法律第4号)に規定する優先出資証券を除く。)
  2. 受益権を他の投資信託の受託者に取得させることを目的とする投資信託の受益証券で政令で定めるもの

2013年11月5日

印紙税第3号文書

<第3号文書とは>

  • 約束手形または為替手形

<主な非課税文書>

  1. 手形金額が10万円未満の手形
  2. 手形金額の記載のない手形
  3. 手形の複本または謄本

2013年10月31日

印紙税第2号文書

<第2号文書とは>

  • 請負に関する契約書

<注>

  • 請負には、職業野球の選手、映画の俳優その他これらに類する者で政令で定めるものの役務の提供を約することを内容とする契約を含むものとする。

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年10月29日

印紙税第1号文書

<第1号文書とは>

  1. 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書
  2. 地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書
  3. 消費貸借に関する契約書
  4. 運送に関する契約書(用船契約書を含む。)

<注>

  1. 不動産には、法律の規定により不動産とみなされるもののほか、鉄道財団、軌道財団及び自動車交通事業財団を含むものとする。
  2. 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいう。
  3. 運送に関する契約書には、乗車券、乗船券、航空券及び運送状を含まないものとする。
  4. 用船契約書には、航空機の用船契約書を含むものとし、裸用船契約書を含まないものとする。

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年10月25日

『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)及び『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)

国税庁が、『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)及び『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)を公表した。

★『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)はこちら → 『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)(既に削除済み)

★『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)はこちら → 『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)

2013年4月16日

クレジットカード払いの場合の領収書

印紙税法基本通達別表第1第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)は、金銭または有価証券の受領事実を証明する目的で作成されるものであるため、クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭または有価証券の受領事実がないから、表題が「領収書」となっていても、第17号の1文書には該当しない。
ただし、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を「領収書」に記載しなければと、第17号の1文書に該当することになるので留意すること。

2013年1月29日

電子メールやFAXによる領収書等の印紙税

請求書や領収書を電子メールやFAXにより相手方に提出する場合には、実際に文書が交付されていないため、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しない。

また、電子メールやFAXを受信した人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められることから、課税文書としては取り扱われない。

ただし、電子メールやFAXで文書を送信した後に、改めて、文書を持参するなどの方法により正本となる文書を相手方に交付する場合には、その正本となる文書は、それぞれ印紙税の課税文書となる。

相手方が保管するFAX送信用等の文書の原本は、それ自体が相手先に交付されるものではないので、課税文書には該当しない。
また、その保管している原本を、後日、訴訟等のための証拠書類として提出するために、当事者以外の第三者に交付することがあったとしても、その時点でその保管している原本が、改めて課税文書となることはない。

なお、経団連の平成24年度税制改正に関する提言に、『近年、インターネット電子商取引が一般化し、経済取引のペーパーレス化が著しく進展する中、紙を媒体とした文書のみに課税する印紙税は合理性が失われていることから、公平性の観点から、印紙税を廃止すべきである。』とあるが、個人的には同感である。

2011年10月3日

会計事務所の領収書の印紙

会計事務所から領収書をもらった時に、領収書が貼っていなくておかしいと思ったことはないだろうか?

税理士などの場合、違和感を感じるが、領収書(受取書)は営業に関しない受取書として取り扱われるため、非課税となるため、印紙を貼る必要はない。

なお、税理士法人の場合、税理士法人が出資者以外の人に交付する領収書(受取書)は、営業に関する受取書として印紙税が課税されるため、印紙を貼る必要がある。

2011年8月26日

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ファミマTOB価格は高裁も安すぎと判断し非公開化価格設定に影響も!

M&A Onlineによると、伊藤忠商事がファミリーマート(東京都港区)を完全子会社化する際に実施した株式公開買い付け(TOB)の価格を巡る裁判で、東京高裁は先日までに、公正な価格は実際の買い付け価格よりも300円高いとする東京地裁の判断を支持し、ファミリーマート側の抗告を棄却する決定をしました。

TOBに関して公正な価格を裁判所が決定するのは近年ではまれで、親子上場の解消のための非公開化や経営陣が参加する買収(MBO)による株式非公開化に影響を与える可能性があります。

伊藤忠商事は2020年、50.1%を保有していたファミリーマートに対し1株2,300円でTOBを実施しましたが、TOBに応募せずに強制的に株式を買い取られた海外投資家などが、買い取り価格が安すぎるとして東京地裁に公正な価格の決定を求めて申し立てを行いました。

東京地裁は2023年、ファミリーマートが設置した特別委員会が十分に機能していなかったとした上で、2,600円を公正な価格として示しました。

ファミリーマートはこの決定を不服として、東京高裁に抗告していました。

ロイターが閲覧した決定文によると、東京高裁は東京地裁の決定内容を概ね支持しました。

価格水準が不十分といった特別委員会からの意見が尊重されず、TOBが一般に公正と認められる手続きにより行われたと認めることはできないとしました。

TOB価格は、ファミリーマートの特別委員会が選任した財務アドバイザーが算定した企業価値の下限を下回っていたのです。

ファミリーマートは「当社が主張してきた手続きの公正性が認められなかったことは誠に遺憾であり、不服申し立てを行う方針。今後の対応に向けて準備を進めていく」と回答しました。

伊藤忠商事は「ファミリーマートで係争中の案件であり、コメントは差し控える」とした。

経営陣が株式を取得して非上場化したり、親会社が上場子会社を完全子会社化したりする際に実施するTOBでは、なるべく安く株式を取得したい経営陣や親会社と、高値で株式を売却したい少数株主との間で構造的な利益相反が存在します。

大正製薬ホールディングスが実施したMBOについて複数の投資家が価格決定を申し立てるなど、公正な買い取り価格について裁判所に判断を仰ぐ事例が増えています。

しかしながら、2016年以降、裁判所はTOBを巡る公正な価格の判断は行ってきませんでした。

このきっかけとなったのが、ジュピターテレコムTOBに関する2016年の最高裁の決定です。

特別委員会を設置するなど、意思決定が恣意的になることを排除する措置が講じられ、手続きが公正であればTOB価格は尊重されるとしたため、価格に不満を持つ株主側はまず手続きが公正でなかったことを立証しなければならず、価格の審査の前に門前払いとなっていました。

一方、手続きの公正性の審査が特別委員会の設置などといった形式的なものとどまれば、価格の公正さが審理される場が事実上なくなることを懸念する声も出ています。

ファミリーマートのTOBで価格にまで踏み込んだ地裁の判断は、今後の司法判断に影響を与えるとして注目を集めていました。

僕自身も個人的に何度か持っていた株式がMBOによりスクイーズアウトされたことがありますが、少数株主は何もできませんからね。

一方、仕事で上場企業のMBOに携わったことがありますが、株主から質問があった場合にはどう答えるか考えながら、言い換えれば、説明できるようなロジックかどうかを念頭に置いて業務を進めていましたが、その辺りの意識が欠けていたのでしょうか?

この事件の結果は今後のTOBに影響を与えると思いますので、どんな結論になるか楽しみにウォッチしていきたいですね。

ファミマTOB価格は高裁も安すぎと判断し非公開化価格設定に影響を与える可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


ファミマのTOB価格2,300円は不当に安かったのか?

東京地裁が不当に安いと判断した伊藤忠によるファミマTOB価格は本当に安かったのでしょうか?
M&A Onlineによると、ブルームバーグの報道では、東京地裁はファミリーマートの買収対価をめぐり反対株主から提起されていた株式買取価格決定訴訟において、伊藤忠商事による買取価格の2,300円は不当に安く、2,600円とする判決を下したとのことです。

その理由は、企業法務ナビの記事(https://www.corporate-legal.jp/news/5220)によると、ファミリーマートが設置した特別委員会が意見表明書の中で2,300円を「安い」と評しており、これを「妥当でない」と表現していればTOB自体に賛同できなかった可能性があるため、多数株主と少数株主の利害を適切に調整された結果とは言い難いからとのことです。

なお、事件の経緯の概略は、以下のとおりです。
<判決に至った経緯>
伊藤忠商事は、上場子会社であったファミリーマートの完全子会社化を行うことを決定し、2020年7月9日に1株当たり2,300円でTOBを開始しました。
TOBの実施について、伊藤忠商事の2020年7月8日付のプレスリリースでは目的・理由が詳しく記載されていますが、要約すると、「子会社上場を維持していると少数株主との利害対立を避けられず、その調整のため実施できない施策が発生するなどの弊害が大きいので、TOBによる完全子会社化を実施して親子上場を解消し、より抜本的な成長戦略を実施したい」ということになります。

ファミリーマートは同プレスリリースで、伊藤忠グループとの一体性を高めることが競争に勝つために必要であることを理由に、「TOB自体には賛同しつつ、提示された価格が一般株主への投資回収機会の提供という観点では一定の合理性があるため、妥当性を欠くとまでは言えないが、一般株主に対し積極的に応募を推奨できる水準の価格に達しているとまでは言えないため、応募するかどうかは株主の判断に委ねる」とする意見を表明しました。

ファミリーマートはメリルリンチ日本証券に、また、ファミリーマートが設置した特別委員会は、PwCにそれぞれ株式価値算定を依頼し、提示価格の妥当性を検討しています。
結論として、提示価格は両評価書の提示するレンジの範囲内であるため、妥当といえる水準には達しているが、PwCによる評価で採用したDCF法の下限値である2,472円には届いていないこと、また、2010年以降に発表され、非公開化を目的とし、買付規模が500億円以上である他の公開買付けの事例のプレミアム水準と比較して、見劣りするプレミアム水準にとどまることから、十分に高い水準であるとまでは言えない旨記載しています。

その後、TOBに十分な応募があったため、伊藤忠商事は同年11月10日に買収を完了させてファミリーマートを上場廃止とし、その後応募しなかった株主に対して同額の2,300円で株式併合によるスクイーズアウトを実施しました。このスクイーズアウトに反対する株主が、東京地裁に買取価格決定を申し立てました。

そして、東京地裁は冒頭に記載したとおり、特別委員会がプレミアムが不十分としたことを問題視し、「株価が安い」と判断した模様です。

では、TOB価格の2,300円は本当に安かったのでしょうか?
ここから先は、巽 震二氏が、アナリスト目線で検証しています。

ファミリーマートのTOBに関する意見表明のプレスリリースで開示されている提示価格のプレミアムと類似事例の平均値の比較及び類似事例の平均値に基づく株価評価を見ると、類似事例プレミアムは36%~39%で測定期間を通じて大きくはぶれていないのに対し、提示プレミアムは11%~30%と大きくぶれています。
測定期間が長いほどプレミアムが低くなっていますので、これはファミリーマートの株価が6か月間下落トレンドで推移してきたこと、一方で類似事例では6か月間に大きなトレンドがなく概ね持ち合い圏での推移をたどっていたことが読み取れます。

提示価格の2,300円が安かったのかどうかは、この下落トレンドが市場のどのような判断に起因するのかによるといえます。

スタンドアロンの今後の成長が市場の要求水準に届かず、価格訂正が続いている状況であれば、公表前日の株価に30%のプレミアムを付けて損切のチャンスが与えられる一般株主には、有利な価格と考えられます。

そうではなく、コロナ禍という一過性の業績悪化等による下落トレンドに過ぎず、今後スタンドアロンの経営努力で市場の要求水準を満たす利益成長が期待できるのであれば、足元の底値を基準にした公表前日株価に対するプレミアムではなく、6か月平均に対するプレミアムが十分なものでなければ、TOB価格が不当に抑えられたという結論になるでしょう。

そこで、2019年1月からTOB公表までのファミリーマートの株価推移をまずは見てみると、2019年1月~8月は、時折戻りを入れながらも一貫した下落トレンドを描いています。
同期間中、TOPIXは弱いながらも上昇トレンドでしたので、銘柄固有の要因でファンダメンタルな売られ方をしたのであろうと推測されます(上場廃止に伴い、当時の決算説明資料等が公開されなくなってしまいましたので、具体的な要因の分析は現時点では残念ながら困難です)。

その後、一旦株価は底打ちして反転上昇トレンドを10月まで維持しますが、結局そこで頭打ちとなり、再び下落トレンドに入ります。

さらに、2020年2月下旬から発生した新型コロナ第1波の拡大懸念による世界同時株価急落が発生して下落速度が急加速し、下落幅のおよそ半値戻し水準まで来て持ち合いの動きとなりました。
そして、一旦は上放れしたものの反落して持ち合い起点の安値を割れるかどうかというところでTOB公表となりました。

この株価推移からすると、ファミリーマートの株にはファンダメンタルな弱さがあり、市場が要求する利益成長に届かないという判断はおそらく下されていたのであろうと推察されます。
他方で、平均株価の算出期間はコロナショックの影響が非常に強く反映された時期であり、業績が落ち込んでいたとはいえ、果たしてそこまでコロナショックの影響を織り込むことが妥当であったのかという疑問が生じます。

特に3か月平均までは、コロナショック後の株価だけの平均ですが、6か月平均であれば、コロナショック前の株価を含んだ平均となりますので、コロナショックの影響を一定程度調整するのであれば、6か月平均を重視するという考え方になるかと思います。

2020年7月は、世界各地でのロックダウンが解除されはじめ、日本でも緊急事態宣言解除後、Go Toトラベル政策の開始が予定され、また5月にはモデルナワクチンの治験が成功したことが報じられるなど、ワクチン開発の進捗によるコロナ収束の期待も高まり始めた時期ですので、一定程度コロナからの立ち直りを見込んでも良い時期にあったと考えられます。

実際に、意見表明のプレスリリースで開示されている伊藤忠商事にも提出していた株価算定用の事業計画では、営業収益・事業利益は2022/2期にコロナ前の2020/2期を超過し、EBITDAも2025/2期にはほぼ2020/3期と同水準まで回復することを見込んでいます。

フリーキャッシュフローは2020/3期水準を大きく下回る水準が想定されていますが、日々現金売上が生じ、食品等販売期間の短い商品の比率が高いコンビニエンスストアという業態から見て、キャッシュ・コンバージョン・サイクルはそれほど長くないはずですので、利益が回復しているのにフリーCFが大きく減少するというのは設備投資を増加させているからと考えられます。

であるとすれば、長期的には減価償却費の増加を通じでフリーCFが反転増加トレンドになるはずですので、いずれはコロナ前の水準に回復できるとみてよいと思います。

以上から考えると、TOBを公表した7月の時点では、コロナ前水準への回復をある程度見込んだ事業計画が策定されていることから、価格面でもそれを織り込むべきと考えられ、ファミリーマート特別委員会の2,300円は「安い」という意見は合理的であると思います。

他方で、2019年からの大きな下落トレンドを見る限り、ファンダメンタルな株価下落の理由も否定はできなそうですので、あまり高くは買えないという伊藤忠商事サイドの主張も一定の合理性はあろうかと思います。

そうすると、2,600円という判決の水準は、意見表明のプレスリリースにおいてコロナショック前の交渉の初期段階で伊藤忠商事が最初に提示した価格として言及された価格でもあり、また、過去3か月分の平均株価に類似事例プレミアムを乗じた水準とほぼ同じです。

当該3か月間は、コロナショック後の底打ちから業績回復期待による小反発局面を含めた期間でもありますので、コロナからの回復期待の織り込み度合いという点でも落としどころとしてちょうどよい水準のように感じられます。

過去にも「牛角」などの飲食チェーンを運営するレックス・ホールディングスなどで問題になっているとは思いますが、なかなか難しい問題ですね。
こういった訴えられるリスクもありますので、MBOなどをやる際には、かなり慎重にやらないといけないですね。

ファミマのTOB価格2,300円は不当に安かったのか?について、どう思われましたか?


「サザビーリーグ」創業者らの80億円課税処分を「株価の根拠明確でない」との裁決で全額取り消し!

読売新聞によると、生活雑貨ブランド「アフタヌーンティー」などを展開する「サザビーリーグ」(東京都)の創業者らが東京国税局から受けた計約80億円の課税処分について、「国税不服審判所」が全額を取り消す裁決をしたことがわかったようです。
裁決は2022年1月20日付です。
巨額の課税処分の取り消しは異例です。

課税処分の取り消しを受けたのは、創業者の鈴木陸三氏(78)と、森正督会長(73)の資産管理会社「三木家」(東京都)です。
関係者によると、サザビーリーグはかつてジャスダックに上場していましたが、鈴木氏の親族が代表を務める投資会社が株式公開買い付け(TOB)を行い、2011年3月までに非上場化しました。

株を大量保有していた鈴木氏と森氏から、親族に事業を承継した形です
この際、投資会社はTOBの資金調達の一環として新株を発行し、鈴木氏と三木家が1株5万円で計6万株(30億円)を取得しました。
投資会社はTOBに成功してサザビーリーグを吸収合併した後、鈴木氏と三木家から1株8万円で株の一部を買い戻しました。

鈴木氏と三木家は計9億円の売却益について税務申告していました。
これに対し、東京国税局は一連の取引に事業承継時の税負担を軽減する目的がなかったかどうかなどについて調査を行いました。
東京国税局は、サザビーリーグの吸収合併で投資会社の資産は増えており、株の買い戻し価格は1株8万円ではなく「84万円」が相当だと判断しました。
2019年9月、当初申告との差額に当たる計約210億円の申告漏れがあったとして、過少申告加算税を含む計約80億円を追徴しました。
鈴木氏と三木家は追徴を不服とし、2019年12月に国税不服審判所に審査請求しました。
鈴木氏らは審判で「株価は投資会社の定款で定められており、適正だ。株の売却で巨額の利益を得たわけでもない」などと主張しました。
裁決はこれを認め、「国税当局側の主張する株価の根拠は明確でなく、課税処分は違法だ」と結論付けました。

納付済みだった追徴税は、利子に当たる「還付加算金」を上乗せして鈴木氏らに返還されたようです。
鈴木氏らは取材に「審判所の適正な判断に心から安堵している」と文書で回答しています。
一方、東京国税局は「個別事案については回答を差し控える」としています。
なお、サザビーリーグは1972年創業で、人気アパレルブランド「カナダグース」なども販売しており、2021年3月期の連結売上高は851億円です。
また、国税不服審判所は、国税庁に設置され、納税者からの審査請求を受けて国税職員や裁判官が審査を行うところです。
2020年度に審査された2,328件のうち、全面的な課税取り消しは65件(2.8%)で、裁決は行政の最終処分で、国税当局は再調査や提訴ができません。

個人的には、『株価が定款に定められている』というのは、根拠にならないと思います。
あくまで、『時価』ですから。
これが認められると、定款に定めることで、安易に租税回避を図ろうとする人がでてくるのではないかなぁと不安になります。
国税庁が、持って行き方を誤った案件なのではないでしょうか?

「サザビーリーグ」創業者らの80億円課税処分を「株価の根拠明確でない」との裁決で全額取り消されたことについて、どう思われましたか?


サイブリッジ合同会社がカーディナル株式会社(証券コード:7855)に対して山田マーケティング株式会社による公開買付けに関して質問書を送付!

サイブリッジ合同会社(代表:水口翼)は、カーディナル株式会社(代表取締役社長:山田弘直、証券コード:7855)の株主です。
サイブリッジ合同会社は、2021年8月5日に開示された山田マーケティング株式会社(以下「山田マーケティング社」)によるカーディナル株式会社へのいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われる株式公開買付(以下「本公開買付け」)について、本公開買付けに係る買付価格が一般株主に対して十分に配慮された価格ではない可能性があるため、カーディナル株式会社に対して本文記載の内容の質問書を送付しました。

質問書

2021年8月5日付「山田マーケティング株式会社によるカーディナル株式会社株式(証券コード:7855)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」により、山田マーケティング株式会社(以下「公開買付者」といいます。)によるカーディナル株式会社(以下「貴社」といいます。)の普通株式(以下「貴社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)が公表されました。
そして、貴社は、2021年8月5日付け「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を公表し、本件公開買付けに賛同する意見を表明しております。
一方で、本公開買付けに係る貴社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)は、普通株式1株につき851円となっており、1株当たりの貴社の純資産額(第54期における1株当たりの純資産額は1,133.53円)を大幅に下回る金額となっております。
そのため、貴社の株主であるサイブリッジ合同会社(以下「サイブリッジ」といいます。)は、本公開買付価格は貴社の一般株主に対して十分に配慮された価格ではない可能性があると考えております。
貴社に対して本事前質問状を提出し、下記の質問に対して、2021年9月1日午後5時までに、貴社のHP上にて回答を公開することを求めます。
万が一、本質問書記載のご質問に対して、了解可能なご回答をいただけなかった場合、サイブリッジは本公開買付価格の見直しの要請をすることを具体的に検討しております。

1.フェアネス・オピニオンの取得について
2021年8月6日付「意見表明報告書」(以下「本意見表明報告書」といいます。)によれば、貴社は、貴社、公開買付者及び不応募合意株主から独立した株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
経済産業省の「公正なM&Aのあり方に関する指針」(以下「MA指針」といいます。)においては、「第三者評価機関からフェアネス・オピニオンの取得が行われた場合には、公正性担保措置として積極的に評価されるべきものと考えられる。」とされております。
MA指針において、MBOを実施する際の公正性担保措置の一つとして指摘をされている「フェアネス・オピニオン」をプルータス・コンサルティングから取得しないという判断をされた理由について、具体的にご説明を願います。

2.株価算定方法について
(1)加重平均資本コストの算出について
本意見表明報告書によれば、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、プルータス・コンサルティングに対し、貴社株式価値の算定を依頼し、株式価値算定書を取得しております。
プルータス・コンサルティングは、貴社株式価値の算定にあたっては市場株価法及びDCF法を算定手法として用いて、算定を行なっております。そして、本意見表明報告書によれば、DCF法での貴社株式価値の算定において、割引率は加重平均資本コスト(以下「WACC」といいます。)とし、WACCは5.288%〜9.214%を採用しております。
WACCの評価プロセスにおいて、必要な算定要素であるベータ値の抽出が必要となりますが、このベータ値は評価対象会社の事業と類似性のある他の上場企業のLeveredベータを収集したうえで業界平均のUnleveredベータを弾き、評価対象会社としてのベータ値を算出するのが一般的であると理解をしております。
この点、本意見表明報告書によれば、プルータス・コンサルティングは、貴社株式価値の算定手法として「適切な類似上場会社を選定することが困難である」ことを理由に、類似会社比較法を不採用としています。
そこで、適切な類似上場会社を選定することが困難な状況の中で、どのようにしてWACCの評価に必要なReleveredベータを抽出したのかをご教示ください。

(2)永久成長率について
第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングは、DCF法での貴社株式価値の算定において、永久成長率法を採用した上で、0%の永久成長率を採用しております。
永久成⾧率は、インフレ率、GDP成⾧率、あるいは、過去の企業成⾧率のいずれかを引用することが一般的であると理解をしております。
この点、国内の経済状況をふまえつつ合理的かつ客観的な値を見つけるのは難しいとも思われますが、国際通貨基金は、日本国の2021年から2025年にかけてのインフレ率について0.137%から0.963%と公表しています(「IMF World Economic Outlook Databases(2021年4月)」)。
このような公表情報がある中、貴社株式価値の算定において、永久成⾧率を0%に設定をした理由をご教示ください。

以上

MBOは、対象会社の役員等が出資した会社を通じて対象会社の株式を購入し、非上場化をはかるということですので、役員等に比べ情報力で圧倒的に劣る対象会社の一般株主は、勝手に株主から排除されてしまう結果となります。
それゆえ、一般株主が納得できるような内容でないといけないと思います。
以前、上場会社のMBOの際に、対象会社(上場企業)側の株価算定の仕事に携わったことがありますが、訴訟のリスクもあるため、使用する率などについて、質問があったときにどう回答するかということも考え、文章にしつつ、株価算定の作業を進めたことがあります。
おそらく日本でNo.1のプルータス・コンサルティングなので、明確な理由等を持っていると思いますので、時々バリュエーション業務をやっている僕としてはどのような回答があるのか非常に興味深いです。
また、こういう質問が一般的に行われるようになり、企業側もきちんと株主が理解できるような報告書などの文書を開示するようになるといいなぁと思います。

サイブリッジ合同会社がカーディナル株式会社(証券コード:7855)に対して山田マーケティング株式会社による公開買付けに関して質問書を送付したことについて、どう思われましたか?