所得税
所得税法
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため、上場株式等に係る譲渡損失の金額を翌年に繰り越すことができないとした事例
- 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
- 棄却
- 平成28年12月2日裁決
<ポイント>
本事例は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例は、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書(更正の請求に基づく更正を含む。)が時系列的に連続して提出されていることが適用要件の一つとなるとしたものである。
<要旨>
請求人は、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの。)第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第8項(本件第8項)適用の判断に当たっては、平成25年分の所得税及び復興特別所得税(所得税等)に係る更正請求書(本件更正請求書)は平成26年分の所得税等の申告書(本件申告書)よりも先に作成したものであるから、本件更正請求書及び本件申告書の提出日の先後ではなく、作成順序の先後をもって、実質的に判断されるべきである旨主張する。
さらに、本件更正請求書の提出は、平成26年分の所得税等の法定申告期限までに行ったものであるから、当該提出をもって本件申告書について訂正申告書が提出されたものとみなされるのが相当である旨主張する。
しかしながら、本件第8項は「その後において連続して確定申告書を提出している場合」と規定しているのであるから、連続性の有無は、前年分の確定申告書(更正の請求に基づく更正を含む。)と後年分の確定申告書の提出の先後をもって判定すべきことは法文上明らかである。
また、本件更正請求書の提出をもって本件申告書についての訂正申告書の提出があったものとみるべき理由もない。
したがって、平成25年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額は、同条第6項の適用要件を満たさず、やむを得ない事情も認められないから、これを平成26年分以降に繰り越すことはできず、平成25年分の所得税等に係る更正の請求は更正をすべき理由がない。
★リンクはこちら⇒ 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため、上場株式等に係る譲渡損失の金額を翌年に繰り越すことができないとした事例
2017年11月15日
非居住者である請求人が行っている国内不動産の貸付けが所得税法上の事業に該当するとはいえないから、当該不動産の賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得には該当せず、源泉徴収の免除の要件を満たさないとした事例
- 平成27年7月30日付の非居住者に対する源泉徴収の免除証明書を交付できないことの通知処分
- 棄却
- 平成28年12月20日裁決
<ポイント>
本事例は、非居住者に適用される源泉徴収の免除に関する規定(平成26年法律第10号による改正前の所得税法第214条第1項第3号)における「事業」の意義は、所得税法の他の規定における事業と同一の概念に解するのが相当としたものである。
<要旨>
請求人は、所得税法に「事業」についての一般的な定義規定が置かれていないことからすれば、所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)第214条《源泉徴収を要しない非居住者の国内源泉所得》第1項第3号にいう「事業」とは、家事活動に対する経済活動を意味するものにすぎず、請求人が国内で不動産を貸し付けている以上、当該貸付けにより支払を受ける不動産の賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得に該当する旨主張する。
しかしながら、所得税法は、居住者の所得金額を計算するに当たって、事業から生ずる所得と、事業に至らない所得とを明確に区分して規定しており、これらの規定は非居住者にも準用されているところ、非居住者に適用される源泉徴収の免除に関する規定における「事業」の意義についても、所得税法の他の規定における事業と同一の概念に解するのが相当であって、これと異なる解釈をすべき理由は見当たらないから、所得税法第214条第1項第3号に規定する「事業」の意義については、所得税法における事業の概念をそのまま当てはめることが妥当である。
そして、所得税法における事業の意義については、営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費やした精神的肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴、社会的地位・生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断されるべきものと解するのが相当であるところ、請求人による不動産の貸付けの規模や態様からすれば、社会通念上事業といい得る経済活動とみることは困難である。
したがって、請求人による不動産の貸付けは、所得税法上、事業とはいえないことから、請求人が当該貸付けにより支払を受ける賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得に該当しない。
2017年11月9日
請求人が不動産所得の必要経費として主張する各支出に係る証拠書類等の提出は十分ではなかったものの、審判所の調査により追加で認容すべき必要経費の額を認めた事例
- ①平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
- ②平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
- ①②一部取消し
- 平成28年11月1日裁決
<ポイント>
本事例は、請求人が、原処分に係る調査においてそれを裏付ける証拠書類等の提示及び説明を行わず、審査請求においても証拠書類等の提出がほとんどなく、具体的な説明も行わなかったため、審判所において調査・審理を行ったところ、原処分において認定された金額のほかに追加認容すべき必要経費の額を認めたものである。
<要旨>
請求人は、修繕費等及び旅費・交通費等の各支出は、それぞれ不動産所得の金額及び雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、不動産所得について、主張を裏付ける証拠書類等の提示及び説明を原処分調査時及び異議調査時にもしておらず、また、当審判所の再三の求めにも応じず、主張を裏付ける証拠書類等をほとんど提出しなかった。このような状況の下、当審判所としては、修繕費等及び旅費・交通費等について各支出の事実の有無、当該各支出が請求人の不動産所得を生ずべき業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものであるか否か、その他必要経費に算入すべき支出の有無について主に原処分関係資料に基づいてその適否を判断するほかないところ、これらの資料等を調査した結果、請求人の主張する各支出は、原処分額算定において誤りがあった一部を除き、必要経費に算入できない。また、雑所得の必要経費についても原処分庁認定額を不相当とする理由はない。
★リンクはこちら⇒ 請求人が不動産所得の必要経費として主張する各支出に係る証拠書類等の提出は十分ではなかったものの、審判所の調査により追加で認容すべき必要経費の額を認めた事例
2017年10月31日
飲食店事業に係る営業許可等の名義人である請求人に当該事業から生ずる収益は帰属しないとした事例
- 平成24年分の所得税の更正の請求並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
- 平成23年1月1日から平成25年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
- 全部取消し
- 平成28年11月15日裁決
<ポイント>
本事例は、飲食店事業(本件事業)に係る営業許可及び各契約等が請求人自身の名義により行われているものの、本件事業を支配管理し、その収益を享受している者は請求人ではないから、本件事業に係る所得は請求人には帰属しないとしたものである。
<要旨>
原処分庁は、飲食店事業(本件事業)に係る営業許可及び各契約等の名義人が請求人であること、並びに請求人が本件事業に係る開業届出書及び所得税の期限後申告書を原処分庁に提出していることなどを総合すれば、請求人が、本件事業から生ずる収益を享受している旨主張する。
しかしながら、請求人は、ともに本件事業に従事しているGの依頼に応じて当該各契約等を自らの名義に変更したにすぎず、Gは、請求人名義に変更後も本件事業の資金管理を行い、本件事業から生ずる利益を処分し、従業員の雇用及び労務管理を含む本件事業の運営を行っており、加えて、請求人とGとの間で、Gが従業員の立場で当該運営を行う旨の特段の合意があったとは認められないことからすると、本件事業から生ずる収益を享受しているのは、請求人ではなくGであると認められる。
★リンクはこちら⇒ 請求人が所有する物件の賃貸借に係る契約において、賃借人が当該物件を住宅として転貸することが契約書その他において明らかであるとした事例
2017年10月20日
原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例
- 平成21年分から平成24年分までの所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成23年1月1日から平成23年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分
- 一部取消し・棄却
- 平成28年9月8日裁決
<要旨>
請求人は、請求人の自宅に存したノート(本件ノート)は請求人の事業に係る売上金額が記載されたものではないから、原処分庁が本件ノートを基に請求人の事業所得の金額等を推計の方法により算定したことには合理性がない旨主張する。
しかしながら、本件ノートに記載された売掛金の額は、請求書の金額及び預金口座に振り込まれた金額と9割以上が一致していることからすると、本件ノートには、請求人の事業に係る売上金額を記載したものとして一定の信ぴょう性があると認められる。
加えて、原処分庁は、請求人が営む事業と業種、業態、事業内容、規模等が類似すると認められる青色申告者の平均特前所得率(総収入金額に対する青色申告特典控除前の事業所得の金額の割合の平均値)に基づいて、請求人の事業所得の金額を推計の方法により算定しているところ、原処分庁が類似同業者を機械的に抽出すべく設定した選定基準についてみると、選定対象とした事業者は、①請求人が営む店舗の所在地を管轄する税務署及び同税務署と隣接する税務署の管轄内に納税地及び事業所を有する者に限定し、地域差による収益等のかい離を回避していること、②請求人が営む事業の営業形態との同一性に配慮が認められ、売上金額が請求人の売上金額の0.5倍以上2倍以下であり、複数店舗経営及び兼業ではなく、青色事業専従者がいないなど事業規模等の類似性を十分に考慮していること、③年中途の開廃業がない青色申告者で調査中又は不服申立て中でない者に限定することによって、収入金額等を把握する上で障害となる不安定要素を有する者が除外されるとともに、同業者に係る資料及び金額の正確性が担保されていることから、原処分庁による推計の方法自体は相当であると認められる。
ただし、原処分庁が選定した類似同業者の中には、原処分庁が設けた選定基準に該当しない事業者が一部含まれていることから、これらを類似同業者から除外した上で平均特前所得率を算定することが相当である。
★リンクはこちら⇒ 原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例
2017年8月29日
請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約の当事者が、当該子会社ではなく請求人であるとはいえないとした事例
- ①平成25年4月1日から平成26年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
- ②平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分 →棄却
- ③平成25年6月から同年12月までの各月分及び平成26年2月から同年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに不納付加算税の各賦課決定処分 →全部取消し
- 平成28年7月6日裁決
<ポイント>
本事例は、請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約に係る契約書はいわゆる処分証書に該当し、作成の真正に争いがなく他に特段の事情も認められないことからすれば、契約当事者を請求人であるとすることはできないとしたものである。
<要旨>
原処分庁は、請求人の子会社(本件子会社)が複数の外国法人と締結した商材の販売(本件事業)に係る契約(本件契約)について、①請求人と本件子会社との間で締結した本件子会社の名義を借用する契約(本件許諾契約)に基づき、請求人が本件子会社の名義を使用して本件事業を行い、その収益を請求人に帰属させていること及び②請求人と本件子会社との間で締結された業務委託契約(本件業務委託契約)に基づき、本件契約に定められた本件子会社の業務を請求人の従業員が実際に行っていること等を理由として、本件子会社は名目上の契約者にすぎず、請求人が実質的な契約当事者である旨主張する。
しかしながら、本件契約に係る契約書は、いわゆる処分証書に該当し、他に特段の事情がない限り、作成者によって記載どおりの行為がなされたものと認めるべきであるところ、本件子会社は事業を営む実体のある法人であり、その法人格を否認する特段の事情は認められず、本件契約の当事者が本件子会社であることを他の契約当事者が合意した上で本件契約を締結したことが認められ、あえて契約当事者を請求人であるとする特段の事情も認められない。
また、本件許諾契約及び本件業務委託契約は、本件契約とは当事者が異なる別個の契約であり、それぞれの契約の締結には合理的な理由があると認められるから、これらの契約の存在を度外視して、本件契約と本件許諾契約及び本件業務委託契約をいわば不可分一体のものとみて、本件契約の当事者が請求人であるとすることはできない。
★リンクはこちら⇒ 請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約の当事者が、当該子会社ではなく請求人であるとはいえないとした事例
2017年8月24日
外貨建借入金の借換えの際に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には課税の対象となる収入として認識しないとした事例
- 平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- 棄却
- 平成28年8月8日裁決
<ポイント>
本事例は、借換えの前後における外貨建借入金の内容に実質的な変化が生じていない場合、当該借換えの際に計算される為替差損益は単に評価上のものにすぎず、課税の対象となる収入として認識しないとしたものである。
<要旨>
請求人は、金融機関から外貨建借入金を借り入れ、当初の借入れから最終的な返済までの間に借換えを繰り返しているところ、最終的な返済時だけでなく、各借換え時において計算される為替差損益も課税の対象として認識すべきである旨主張する。
しかしながら、所得税法第36条《収入金額》第1項は、収入の原因たる権利が確定的に発生した場合に、その時点で所得の実現があったものとして課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用したものと解されており、収入という形態において実現した利得のみを課税の対象としているから、外貨建借入金の借換え時に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には、課税の対象となる収入として認識しないこととなる。
本件においては、金融機関と請求人との間で貸付与信枠に係るファシリティー契約が結ばれ、同契約に定められた貸付与信限度額、金利の計算方法及び担保等の条件に基づき、同一支店から、同一の通貨で借換えが行われており、借換えに係る既存の借入金と新たな借入金の内容に実質的な変化が生じたとは認められない。
そうすると、借換え時において、既存の借入金の返済により計算される為替差損益は、単に評価上のものにすぎないから、課税の対象となる収入として認識しないこととなる。
★リンクはこちら⇒ 外貨建借入金の借換えの際に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には課税の対象となる収入として認識しないとした事例
2017年8月21日
請求人が立替払したと認められる金額は、全て総収入金額から除外したとの原処分庁の主張を一部排斥した事例
- ①平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ②平成24年分の所得税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分
- ③平成25年分の所得税及び復興特別所得税の再更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
- ④平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
- ⑤平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の変更決定処分
- ⑥平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
- ①②④一部取消し、③⑥棄却、⑤却下
- 平成28年9月8日裁決
<要旨>
原処分庁は、所得税の事業所得の総収入金額の算定に当たっては、請求人が取引先の支払を立替払したと主張する金額のうち、立替払したと認められる部分については既に総収入金額から除外しており、その他の部分については立替払したとは認められない旨主張する。
しかしながら、取引先への文書照会に対する回答内容等によれば、請求人が取引先の支払を立替払したとして原処分庁が認めたもののほかに、取引先一社分について立替払した金額があったにもかかわらず、当該金額を当該総収入金額から除外していなかったことが認められる。
★リンクはこちら⇒ 請求人が立替払したと認められる金額は、全て総収入金額から除外したとの原処分庁の主張を一部排斥した事例
2017年8月17日
本件における飲食店の経営主体が請求人である旨の原処分庁の主張を排斥した事例
- ①平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
- ②平成24年分の所得税の更正処分
- ③平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
- ④平成23年1月1日から平成23年12月31日まで及び平成24年1月1日から平成24年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
- ⑤平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
- ⑥平成23年1月から平成25年12月までの各期間分の源泉徴収に係る所得税等の各納税告知処分等
- ②④却下、①③⑤⑥全部取消し
- 平成28年8月10日裁決
<ポイント>
本事例は、事業所得が誰に帰属するかは、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義、事業への出資状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況などを総合し、経営主体としての実体を有する者を社会通念に従って判断すべきとしたものである。
<要旨>
原処分庁は、請求人の父(父)が営むものとして申告された飲食店(本件飲食店)の事業について、①平成23年以降の法律行為の名義は全体として請求人であり、②同人が収支の管理を行い、③同人が従業員の採用や給与の決定・昇給を行っていたと認められることから、平成23年分ないし平成25年分(本件各年分)における本件飲食店の経営主体は父ではなく請求人であり、その事業に係る所得は請求人に帰属する旨主張する。
しかしながら、事業所得の帰属者の判断に当たっては、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義に着目するのはもとより、当該事業への出資の状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況などを総合し、経営主体としての実体を有するかを社会通念に従って判断すべきである。
本件においては、①本件各年分における本件飲食店の店舗の賃貸借契約は、父名義で行われているほか、その事業の用に供されている物的設備等のほとんどが父の所有するものであり、②請求人は平成23年当時、本件飲食店を経営するだけの資金力を有するに至っておらず、その経営は父の資金力に大きく依存していたところ、③平成23年以降のいくつかの法律行為等に請求人の名義が用いられていることや、請求人が収支の管理を行い、従業員の採用や給与の決定・昇給を行っていたとしても、それは、請求人がいずれ本件飲食店の事業を承継することを前提に本件飲食店に勤務し始めたことから、父から店長としてかなりの裁量を持たされていたにすぎないといえ、④請求人がその生活費等を本件飲食店の事業に係る収益から享受し、父は本件飲食店の事業から収益を享受していなかったとしても、本件各年分における本件飲食店の経営状況は悪く連年損失が生じていたことからすると、父が経営者であって請求人が従業員であるとの状況を前提とすれば整合的であり、これらを総合して考慮すれば、本件飲食店の経営主体は父であったとみるべきであり、その事業に係る所得は父に帰属する。
★リンクはこちら⇒ 本件における飲食店の経営主体が請求人である旨の原処分庁の主張を排斥した事例
2017年8月14日
青色事業専従者給与
生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがある。
これらの給与は原則として必要経費にはならないが、青色申告者の場合、一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例が認められている。
(注)青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。
青色事業専従者給与として認められる要件は、以下のとおり。
(1)青色事業専従者に支払われた給与であること。
青色事業専従者とは、以下の要件のいずれにも該当する人をいう。
イ | 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。 |
ロ | その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。 |
ハ | その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。 |
(2)「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。
提出期限は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までである。
この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっている。
また、専従者が増える場合や、給与を増額する場合など、届出の内容を変更するためには、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署長に提出していること。
(3)届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
(4)青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。
なお、過大とされる部分は必要経費とはならない。
★リンクはこちら⇒ No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
2017年6月16日
事業専従者控除
生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがある。
これらの給与は原則として必要経費にはならないが、白色申告者の場合、事業に専ら従事する家族従業員の数、配偶者かその他の親族かの別、所得金額に応じて計算される金額を必要経費とみなす事業専従者控除の特例が認められている。
(注)白色申告者の事業専従者である人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。
事業専従者控除額は、以下のイまたはロの金額のどちらか低い金額である。
イ | 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円 |
ロ | この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額 |
白色事業専従者控除を受けるための要件は、以下のとおり。
(1)白色申告者の営む事業に事業専従者がいること。
事業専従者とは、以下の要件の全てに該当する人をいう。
イ | 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。 |
ロ | その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。 |
ハ | その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。 |
(2)確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること。
★リンクはこちら⇒ No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
2017年6月14日
青色申告者の帳簿書類とその保存
青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則であるが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっている。
これらの帳簿及び書類などは、原則として7年間保存することとされているが、書類によっては5年間でよいものもある。
★リンクはこちら⇒ No.2070 青色申告制度
2017年3月16日
青色申告の特典
青色申告の特典のうち主なものについては以下のとおりである。
(1)青色申告特別控除
不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することとされている。
また、それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円を控除することとされている。
(2)青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができる。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。
(3)貸倒引当金
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものである。
ただし、金融業の場合は 3.3%になる(一括評価)。
なお、貸金のうち、貸倒れその他これに類する一定の事由による損失の見込額については、それぞれの事由に応じた限度額までを、貸倒引当金勘定に繰り入れることができるが(個別評価)、その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれる。
(4)純損失の繰越しと繰戻し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除する。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできる。
★リンクはこちら⇒ No.2070 青色申告制度
2017年3月15日
青色申告の申請手続
(1)原則
新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。
(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。
(3)相続により業務を承継した場合
その年の1月16日以後に業務を承継した場合は、業務を承継した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。
しかしながら、青色申告をしていた被相続人の業務を承継した場合は、被相続人の死亡による準確定申告書の提出期限である相続の開始を知った日の翌日から4か月以内(ただし、その期限が青色申告の承認があったとみなされる日後に到来するときは、その日)までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。
なお、上記を表にすると、以下のようになる。
区 分 | 青色申告承認申請書の提出期限 | |
---|---|---|
(1) | 原則 | 青色申告の承認を受けようとする年の3月15日 |
(2) | 新規開業した場合 (その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合) | 業務を開始した日から2か月以内 |
(3) | 被相続人が白色申告者の場合 (その年の1月16日以後に業務を承継した場合) | 業務を承継した日から2か月以内 |
(4) | 被相続人が青色申告者の場合 (死亡の日がその年の1月1日から8月31日) | 死亡の日から4か月以内 |
(5) | 被相続人が青色申告者の場合 (死亡の日がその年の9月1日から10月31日) | その年12月31日 |
(6) | 被相続人が青色申告者の場合 (死亡の日がその年の11月1日から12月31日) | 翌年2月15日 |
★リンクはこちら⇒ No.2070 青色申告制度
2017年3月14日
青色申告制度の概要
我が国の所得税は、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度を採っている。
1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額 や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要がある。
ところで、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度がある。
青色申告をすることができる人は、 不動産所得、事業所得、山林所得のある人である。
★リンクはこちら⇒ No.2070 青色申告制度
2017年3月13日
開発許可を受けたのは受託者であって、不動産信託の受益者としての権利(受益権)の譲受人でないため、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例
- 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
- 棄却
- 平成28年6月3日裁決
<ポイント>
本事例は、信託財産に属する資産が土地等である所得税法第13条第1項に規定する受益者等課税信託の信託受益権が譲渡された場合には、当該信託財産に属する資産である土地等が譲渡されたことになるところ、当該土地等の開発許可を受けたのは受託者であって、当該信託受益権の譲受人でないため、優良住宅他の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないと判断したものである。
<要旨>
請求人らは、信託法第16条《信託財産の範囲》第1項及び所得税法第13条《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》第1項の規定からすると、信託財産に関する受託者の行為は受益者の行為と同一人格の行為であるとみなされることから、当該信託の受託者が都市計画法第29条《開発行為の許可》第1項に基づく開発許可を取得すれば、当該許可を受けた地位は、信託受益権が譲渡された場合の受益者である譲受人も有するというべきであり、当該譲受人は、租税特別措置法第31条の2《優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項第13号(本件特例)の「開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う」法人に該当するなどと主張する。
しかしながら、本件特例は本来課されるべき租税を政策的な見地から特に軽減するものであるから、租税公平主義に照らし、その解釈は条文の文言に即して厳格にされるべきであり、条文の文言を離れてみだりに拡張解釈や類推解釈をすることは許されないことに鑑みれば、本件が対象土地に係る信託受益権(本件受益権)の譲渡であり、本件受益権の譲受人自身が開発許可を取得していない以上は、開発許可を受けた者に対する譲渡との要件を満たさないものとして、本件特例の適用を受けることはできない。
★リンクはこちら⇒ 開発許可を受けたのは受託者であって、不動産信託の受益者としての権利(受益権)の譲受人でないため、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例
2017年2月17日
個人で事業を営む請求人が同族会社に支払った不動産賃借料について、地理的条件等の類似する不動産賃借料よりも高額であることから、所得税法第157条を適用した事例
- 平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 一部取消し
- 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 棄却
- 平成28年5月30日裁決
<ポイント>
本事例は、不動産の賃料が、地理的条件、用途、規模、構造などの状況が類似すれば、特別な事情がない限り、その金額は同程度になることから、所得税法第157条の適用の検討に当たり、地理的条件等の類似性が確保された不動産の平均賃料と請求人が同族会社に支払った賃料を比較することには合理性があるとしたものである。
<要旨>
請求人は、原処分庁が所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認等》第1項の規定の適用に当たって算定した診療所(土地を含む。)の適正賃料について、その算定方法に合理性がないことから、請求人が同族会社に支払った賃料(本件賃料)を必要経費に算入したことは請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となるとは認められない旨主張する。
しかしながら、同項に規定する「所得税の負担を不当に減少させる結果となる」と認められるか否かは、同族会社の具体的行為又は計算が通常の経済人の行為等として経済的合理性を有しているか否かを基準として判断すべきであり、不動産の賃料は、地理的条件、用途、規模、構造などの状況が類似すれば、特別な事情がない限り、その金額は同程度になることから、請求人が本件賃料を支払ったことについて通常の経済人の行為として経済的合理性を有しているか否かを判断する際に、地理的条件等の類似性が確保された不動産の平均賃料と本件賃料を比較することには合理性があると認められる。
そして、原処分における診療所の類似物件の抽出基準は地理的条件等の類似性が確保されており、本件賃料は当該基準に従って抽出した不動産の平均賃料(診療所の適正賃料)よりも高額であることから、請求人が本件賃料を支払ったことは通常の経済人の行為として経済的合理性を有していない。
したがって、請求人が本件賃料を必要経費に算入したことを容認した場合には請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる。
なお、原処分庁による診療所の類似物件の平均賃料の算定に一部誤りがある。
★リンクはこちら⇒ 個人で事業を営む請求人が同族会社に支払った不動産賃借料について、地理的条件等の類似する不動産賃借料よりも高額であることから、所得税法第157条を適用した事例
2017年2月16日
定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成28年分の適正な利率
『定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成28年分の適正な利率』については、国土交通省(土地・建設産業局不動産市場整備課)から関係団体に対し下記のとおり周知が図られている。
定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成28年分の適正な利率については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げるとおりとなる。
- 当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合又は当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合
両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.05%としても差し支えない。 - 上記1の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき
利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、平成28年中の定期預金の平均年利率(預入期間10年・1千万円以上)によることとし、平成28年分については、0.05%となる。
★リンクはこちら⇒ 定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成28年分の適正な利率について(個人課税課情報第1号 平成29年2月13日 国税庁個人課税課)
2017年2月15日
請求人が平成25年中に行った外国通貨建預金の払出しにより生じた為替差損益の金額は、同年分の収入すべき金額に該当するとした事例
- 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
- 棄却
- 平成28年6月2日裁決
<ポイント>
本事例は、本件における為替差損益については、外国通貨を円貨に交換して口座から払い出した時に所得税法第36条《収入金額》第1項にいう収入すべき金額が実現したものとして所得を認識するとしたものである。
<要旨>
請求人は、平成25年分における請求人の外国通貨建預金(本件外貨預金)の払出しにより生じた為替差損益(本件為替差損益)の金額は、請求人名義の本件外貨預金の口座を開設した平成21年から最終払出日の平成25年までの間にわたり継続して行われた取引であるから、この期間を基礎として計算されるべきである旨主張する。
しかしながら、本件為替差損益については、外国通貨を円貨に交換して本件外貨預金の口座から払い出した時に所得税法第36条《収入金額》第1項にいう収入すべき金額が実現したものとして、所得を認識する必要がある。
したがって、請求人の平成25年分の雑所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、請求人が平成25年中に外国通貨を円貨に交換して本件外貨預金の口座から払い出した時に生じた各為替差損益の額の合計額とされるべきである。
★リンクはこちら⇒ 請求人が平成25年中に行った外国通貨建預金の払出しにより生じた為替差損益の金額は、同年分の収入すべき金額に該当するとした事例
2017年2月14日
平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等
国税庁は、ホームページに『平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等』を掲載した。
★リンクはこちら⇒ 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等
2017年1月10日
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため適用することはできないとした事例
- 平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をあわせ審理) - 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
- 棄却
- 平成28年3月7日裁決
<ポイント>
本事例は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例の適用について、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書が時系列的に連続して提出されていることが要件であるとしたものである。
<要旨>
請求人は、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第6項に規定する特例(本件特例)の適用に当たり、その手続要件である同条8項に規定する「連続して確定申告書を提出している場合」とは、更正の請求等により、結果として上場株式等に係る譲渡損失の金額に関して譲渡所得等の金額の計算の連続性が確認できればいいから、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書が、本件特例の適用を受ける年分の確定申告書の後に提出されても、本件特例を適用することができる旨主張する。
しかしながら、同条8項は、「上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき・・・確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であって」と規定しているところ、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出と本件特例の適用を受ける年分の確定申告書の提出との先後関係については、同項が「その後において」と規定していることからすれば、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出が先であることは、文理上明らかである。
したがって、請求人は、本件特例を適用することはできない。
★リンクはこちら⇒ 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため適用することはできないとした事例
2017年1月5日
請求人が譲渡した土地上にある家屋は、請求人が真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められないから、租税特別措置法第35条の適用はないとした事例
平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
棄却
平成28年3月16日裁決
<要旨>
請求人は、譲渡した土地上に存していた家屋(本件家屋)が、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する「居住の用に供している家屋」に該当する旨主張する。
しかしながら、本件家屋におけるガス及び水道の使用実績がなく、電気の使用量は極めて少ないこと、本件家屋の窓ガラスが割れたまま放置され、複数の近隣住民が人の住める建物ではなかったと評していること、また、請求人が住民票上の住所を本件家屋とは別の借家の所在地に置いていたこと、当該借家に係る賃貸借契約及びその更新の際に、請求人が同居人として名を連ねていたことなどからすれば、請求人が本件家屋を真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められない。以上によれば、本件家屋は、請求人の「居住の用に供している家屋」に該当しない。
★リンクはこちら⇒ 請求人が譲渡した土地上にある家屋は、請求人が真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められないから、租税特別措置法第35条の適用はないとした事例
2016年12月19日
平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書様式
国税庁は、ホームページに『平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書様式』を掲載した。
★リンクはこちら⇒ 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書様式
2016年12月15日
不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位の譲渡による所得について、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当するとした事例
平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成28年3月7日裁決
<ポイント>
本事例は、任意組合の財産は、任意組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する任意組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきであるとして、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当すると判断したものである。
<要旨>
請求人は、不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合(本件組合)の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)の譲渡による所得については、その所得の種類及び課税方法(総合課税又は分離課税)が法律上明記されていないこと、本件持分の価額は、単に不動産等の価値ではなく、「組合員としての地位」たる資産の価値であること及び本件組合は匿名組合としての性質を有していることから、総合課税の長期譲渡所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件組合は民法上の任意組合であるところ、民法第668条《組合財産の共有》の規定により、本件組合の財産は、総組合員の共有に属し、本件組合の組合契約の定めなどから、本件組合の各組合員は、本件組合の財産に対し、その出資価額の割合に応じて持分を有する。
そうすると、本件組合の財産は、本件組合の出資持分及び組合員たる地位である本件持分と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する本件組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきである。
そして、本件持分の譲渡の日における本件組合の財産は、土地建物等並びに補修等積立金に係る現金及び預金であったところ、当該土地建物等に対する請求人の持分は、租税特別措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項の規定から、その譲渡による所得は分離長期譲渡所得に当たり、他方、当該現金及び預金に対する請求人の持分については、精算等されていないから、本件持分の譲渡に係る契約に含まれるものの資産価値の増加益を生ずべき資産ではないので、その譲渡の対価は各種所得の金額の計算上、収入金額等に算入することはできない。
したがって、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち当該現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する当該土地建物等の譲渡に係る所得として、同条第1項に規定する分離課税の長期譲渡所得に該当する。
2016年12月12日
原処分庁が推計の基礎とした売上原価の額に、接待交際費及び家事費などの額が含まれていることから、これらの金額を補正すべきとした事例
①平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び無申告加算税の各賦課決定処分
②平24.1.1から平24.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
①一部取消し・②棄却
平成28年3月10日裁決
<ポイント>
本事例は、推計の基礎数値の正確性を期すためには、同業者比率法による推計の基礎とした売上原価の額が合理的な根拠に基づいて算定される必要があるとしたものである。
<要旨>
売上原価の額を推計の基礎として同業者比率法により事業所得の金額を算定する場合、売上原価の額が合理的な根拠に基づいて算定される必要があるところ、原処分庁は、各年分の売上原価の額を、請求人から提示された領収書等により仕入金額を計算し、売上原価の額を算定している。
当審判所においても、その算定方法自体は相当であると認められるが、原処分庁が算定した各年分の売上原価の額には、接待交際費及び家事費などとともに、業種の異なる店舗の売上原価が含まれていることなどから、これらについて必要な補正等を加えた後の金額を推計の基礎となる売上原価の額とするのが相当である。
★リンクはこちら⇒ 原処分庁が推計の基礎とした売上原価の額に、接待交際費及び家事費などの額が含まれていることから、これらの金額を補正すべきとした事例
2016年12月7日
平成28年分確定申告特集ページ(準備編)
国税庁は、「平成28年分確定申告特集ページ(準備編)」を開設した。
このサイトは、1月上旬にリニューアル予定である。
★リンクはこちら⇒ 平成28年分確定申告特集ページ(準備編)
2016年12月6日
土地の賃貸に当たって行われた造成工事等の費用を不動産所得の必要経費に算入することはできないとの原処分庁の主張を排斥した事例
平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成28年3月3日裁決
<ポイント>
本事例は、賃貸用土地の造成等の工事に係る費用が、当該土地の改良費として取得費に算入されるか、当該土地の賃貸業務に係る費用として必要経費に算入されるかについては、当該造成等の工事の具体的な内容に従って判断する必要があるとしたものである。
<要旨>
原処分庁は、請求人の所有する賃貸用土地(本件土地)に関して行われた造成等の工事(本件造成等工事)に係る費用は、その全てが改良費に該当し本件土地の取得費に算入すべきものであるから、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないと主張する。
しかしながら、本件造成等工事の具体的な内容は、外構造成工事(掘削、埋戻し、整地等)、土留め工事(隣接地との境界ブロックの撤去及び積み直し)、乗入側溝改修工事(本件土地に接する県道の歩道部分の切下げ、復旧等)、境界等整備(隣地との境界の明確化等)、土壌汚染調査(土壌内の有毒物質の有無の調査)に区分されるところ、それぞれについて検討すると次のとおりである。
外構造成工事は、本件土地の形質を変更し改良する工事であるから改良費に該当する。
土留め工事、境界等整備及び土壌汚染調査は、いずれも本件土地を改良したり、その価値を増加させるものではないから改良費には該当せず、不動産所得の必要経費に算入される。
乗入側溝改修工事は、請求人の所有する土地に係る工事ではないが、請求人は当該工事により便益を受け、その効果が費用の支出後1年以上に及ぶので、繰延資産に該当し、所定の償却費の額が必要経費に算入される。
★リンクはこちら⇒ 土地の賃貸に当たって行われた造成工事等の費用を不動産所得の必要経費に算入することはできないとの原処分庁の主張を排斥した事例
2016年12月5日
振替納税の領収証書送付取りやめ
現在、国税を口座振替により納付した方には、口座振替の都度、金融機関から領収証書が送付されているが、会計検査院の指摘を踏まえ、国の経費節減の観点から、平成29年1月以降、領収証書の送付に代えて、以下のとおりの対応となる。
なお、平成28年12月までは、これまでどおり金融機関から領収証書が送付される。
- 所得税・消費税をe-Taxにより申告している方は、e-Taxホームページ等の「振替納税結果」メニューから振替納税結果が確認できるようになる。
- 書面による証明が必要な方には、税務署にて口座振替がなされた旨の証明を行う。
また、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」についても、新様式を平成28年12月以降、税務署に順次備え付けるとともに、国税庁ホームページへ掲載する予定である。
★リンクはこちら⇒ 振替納税の領収証書送付取りやめ
2016年11月14日
前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできないとした事例
平成25年分の純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求の一部に理由がない旨の通知処分
棄却
平成27年12月18日裁決
<要旨>
請求人は、所得税法第140条《純損失の繰戻しによる還付の請求》は、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象となる所得税の額について、純損失が生じた前年分の確定申告書に記載した所得に係るものであることを要件とはしていないことから、前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額も対象となる旨主張する。
しかしながら、純損失が生じた前年分の確定申告について青色申告書の提出が要件とされていることからすると、当該青色申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできない。
★リンクはこちら⇒ 前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできないとした事例
2016年10月11日
請求人が敷金を返還した事実は認められないから、当該敷金相当額は請求人の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきである旨の原処分庁の主張を排斥した事例
①平成22年分~平成24年分の所得税の過少申告加算税の各賦課決定処分
②平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
③平成23年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
①②棄却
③一部取消し
平成27年11月4日裁決
<要旨>
原処分庁は、請求人が賃貸物件の賃借人から受け取った敷金(本件敷金)を返還した事実は認められないこと等から、本件敷金相当額は請求人の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきものである旨主張する。
しかしながら、本件敷金について、賃借人は、賃貸物件の賃料を滞納して請求人からその明渡し等を求められ、①賃貸借契約を合意解除すること、②所定の期限までに物件を明け渡すこと、③明渡し後の残置動産の処分には異議を申し立てないこと等を主な内容とし、他に何らの債権債務がないことを相互に確認する旨のいわゆる清算条項が付された和解に応じ、これにより請求人の賃借人に対する敷金返還債務は存在しないことが確認されているところ、当該和解の内容を考慮すると、本件敷金は、実質的には全て賃借人が負担すべき賃料、賃料相当損害金その他賃借人が負担すべき費用に充てられたものと認めることができ、本件敷金について、請求人に経済的利益はないから、総収入金額に算入すべきとはいえない。
★リンクはこちら⇒ 請求人が敷金を返還した事実は認められないから、当該敷金相当額は請求人の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきである旨の原処分庁の主張を排斥した事例
2016年10月7日
法定調書の種類及び提出期限
国税庁は、ホームページに『法定調書の種類及び提出期限』を掲載した。
法定調書の種類及び一般的な提出期限について記載している。
★リンクはこちら⇒ 法定調書の種類及び提出期限
2016年6月17日
請求人が賃貸の用に供していた共同住宅(本件建物)及びその敷地の売却に伴い、本件建物の事務室を賃借していた本件建物の管理会社に対し立退料名目で支払った金員は、本件建物の譲渡に要した費用に該当しないとした事例
平成24年分所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
棄却
平成27年9月30日裁決
<要旨>
請求人は、賃貸の用に供していた共同住宅(本件建物)及びその敷地の売却(本件譲渡)に伴い、本件建物の事務室(本件事務室)を賃借していた本件建物の管理会社(本件賃借人)に対し立退料名目で支払った金員(本件金員)は、本件譲渡に要した費用に該当する旨主張する。
しかしながら、資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法第33条《譲渡所得》第3項に規定する譲渡費用に当たるどうかは、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきものである。これを本件についてみると、請求人と本件賃借人との間の賃貸借契約は、遅くとも本件譲渡の日までに合意解約されたものと認められるところ、当該合意解約がされるまでの間に、本件建物及びその敷地の買主が本件事務室からの本件賃借人の退去を求めた事実を認めることはできない。そして、請求人と本件賃借人との間で本件賃借人の本件事務室からの退去に伴う本件金員の支払についての合意が成立したとする請求人の主張は主観に基づくものであり、また、当該合意が成立したことを明らかにする書面が作成された事実もうかがわれないから、当該合意の成立を認めることも困難である。
そうすると、本件賃借人の本件事務室からの退去は、客観的に見て本件譲渡の実現に必要であったとは認められないから、本件金員の支払が客観的に見て本件譲渡を実現するために必要な費用の支払いであったと認めることはできない。
したがって、本件金員は、譲渡費用に該当しない。
2016年5月25日
請求人が行った株式の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における資産の譲渡による所得には当たらないとした事例
平成22年分の所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
棄却
平成27年7月28日裁決
<要旨>
請求人は、資産を譲渡した時(本件譲渡時)において、資産を譲渡することとなった原因と密接に関連した請求人を被告とする損害賠償請求訴訟(本件訴訟)が係属中であり、敗訴の可能性が高かったことからすれば、本件譲渡時の現況において、当該資産の譲渡による所得は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第10号に規定する資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の資産の譲渡による所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件訴訟は、本件譲渡時において係属中であり、請求人の本件訴訟に係る債務については、その存否も額も明らかではなく、債務として確定していないから、かかる未確定の債務をもって債務超過の状態が著しいと認めることはできないし、また、課税しても結果的に徴収不能となることが明らかな場合に譲渡所得等を非課税とする上記規定の趣旨に照らしても、これを考慮することはできないというべきであるから、請求人の主張には理由がない。
★リンクはこちら⇒ 請求人が行った株式の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における資産の譲渡による所得には当たらないとした事例
2016年5月25日
義援金に関する税務上の取扱いFAQ
熊本国税局は、平成28年4月の熊本地震により被害を受けられた方を支援するために、熊本県下や大分県下の災害対策本部等に義援金や寄附金(以下「義援金」といいう。)を支払った場合の税務上の取扱いや、募金団体に対して支払う義援金が国等に対する寄附金(特定寄附金)として取り扱われるための確認手続等について、照会の多い事例を取りまとめた。
★リンクはこちら⇒ 義援金に関する税務上の取扱いFAQ
2016年4月20日
定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成27年分の適正な利率
国土交通省(土地・建設産業局不動産市場整備課)から関係団体に対し、下記のとおり周知が図られている。
定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成27年分の適正な利率については、以下に掲げる区分に応じ、それぞれ以下に掲げるとおりとなる。
1.当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合または当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合
両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.3%としても差し支えない。
2.上記1の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき
利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成27年分については、0.3%となる。
(注)平成27年中の10年長期国債の平均利率は、0.38%である。
★リンクはこちら⇒ 定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成27年分の適正な利率について(情報)(個人課税課情報第1号 平成28年2月5日 国税庁 個人課税課)
2016年2月19日
平成27年分確定申告特集
国税庁は、ホームページ「平成27年分確定申告特集」を開設した。
★リンクはこちら⇒ 平成27年分確定申告特集
2016年1月22日
平成28年2月21日及び2月28日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署
平成27年分確定申告期間中は、平日(月曜日から金曜日)以外でも、一部の税務署では、2月21日と2月28日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行う。
閉庁日対応を行う税務署等については、リンクをご覧のこと。
- 道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方々からの電話相談に答える。
- 税務署に行く際は、なるべく公共交通機関を利用すること。
- なお、税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁している。
香川県だと、高松税務署がこの日は開いている。
★リンクはこちら⇒ 平成28年2月21日及び2月28日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署
2016年1月13日
平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書関係書類の様式
国税庁は、「平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書関係書類の様式」をホームページに掲載した。
★確定申告書等はこちら⇒ 確定申告書等
★明細書・計算明細書等はこちら⇒ 明細書・計算明細書等(平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)
★届出書・申請書等はこちら⇒ 届出書・申請書等
2016年1月5日
平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き等
国税庁は、「平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告に関する手引き等」をホームページに掲載した。
★リンクはこちら⇒ 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き等
2015年12月24日
平成27年分確定申告特集(準備編)
国税庁は、ホームページ「平成27年分 確定申告特集(準備編)」を開設した。
★リンクはこちら⇒ 平成27年分確定申告特集(準備編)
2015年12月17日
韓国の法人から支払を受ける役員報酬
<照会要旨>
居住者Aは、内国法人B社の役員であるとともに、B社の子会社である韓国法人C社の役員も兼務している。
本年、Aは、C社の役員として、韓国において3か月間ほど勤務を行い、残りの期間は全て日本において勤務を行ったが、C社からの役員報酬については、韓国においてその全額が課税対象とされている。
この場合、韓国で課税されたC社からの役員報酬については、外国税額控除の計算上、その全額が国外所得総額に含まれるか。
<回答要旨>
韓国においてその全額が課税対象とされた役員報酬については、その全額が国外所得総額に含まれる。
Aは居住者であることから、その受け取る役員報酬については、外国法人から受けるものも含め、給与所得として我が国の課税の対象となる。一方、日韓租税条約第16条において、法人の役員の資格で取得する役員報酬については、その法人の所在地国において課税することができることとされている。
このように、我が国の居住者が、我が国及び韓国の双方において課税を受ける場合については、日韓租税条約上、我が国の法令に基づく外国税額控除の方法により、その国際的な二重課税を排除することとされている(日韓租税条約第23条第2項(a))。
そして、所得税法上、外国税額控除については、その年分の所得税の額に、その年分の所得総額のうちに国外所得総額の占める割合を乗じて計算した金額を限度として、その年分の所得税の額から控除するものとされている(所得税法第95条第1項)。
この国外所得総額とは、所得税法第161条に規定する国内源泉所得以外の所得とされているが(所得税法施行令第222条第3項)、租税条約の規定により条約相手国等において租税を課することができることとされる所得でその条約相手国等において外国所得税が課されるものについては、国内源泉所得以外の所得に該当するものとされている(所得税法施行令第222条第4項第3号)。
Aは、3か月間ほど韓国において勤務を行っているが、残りの期間は日本において勤務を行っているので、AがC社から受ける役員報酬のうち日本における勤務に基因するものは、国内源泉所得に該当する(所得税法第161条第8号イ)。
しかしながら、当該役員報酬は、韓国法人C社の役員の資格で取得するもので、日韓租税条約上、韓国において租税を課することが認められ、韓国において課税対象とされているので、外国税額控除の適用上、当該役員報酬は国内源泉所得以外の所得に該当し、その全額が国外所得総額に含まれることになる。
★リンクはこちら⇒ 韓国の法人から支払を受ける役員報酬
2015年12月9日
父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合
<照会要旨>
父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合は、その子供が当該医療費について医療費控除の適用を受けることができるか。
<回答要旨>
母親と子供が生計を一にしている場合は、医療費を実際に支払った子供の医療費控除の対象となる。
医療費控除は、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用することとされており(所得税法第73条第1項)、その親族が自己の控除対象配偶者や控除対象扶養親族であるかどうかは問わないこととされている。
したがって、母親と子供が生計を一にしているのであれば、子供が支払った母親の医療費は、その子供の医療費控除の対象となる。
★リンクはこちら⇒ 父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合
2015年12月8日
姉の子供の医療費を支払った場合
<照会要旨>
姉の子供の医療費を支払った場合は、医療費控除の対象になるか。
<回答要旨>
姉の子供と生計を一にしていれば、医療費控除の対象となる。
医療費控除は、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用されることとされている(所得税法第73条第1項)。
この場合の「親族」とは、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいう(民法第725条)。
したがって、姉の子供は自己の親族(3親等の血族)に当たることから、生計を一にするなど他の医療費控除の要件を満たすときは、医療費控除の対象となる。
★リンクはこちら⇒ 姉の子供の医療費を支払った場合
2015年12月7日
借入金で支払った医療費
<照会要旨>
借入金により医療費を支払った場合は、いつの年分の医療費控除の対象になるのか。
<回答要旨>
借入金で医療費を支払った年分の医療費控除の対象となる。
医療費控除の対象となる医療費の金額は、その年中に実際に支払った金額に限られており、未払となっている医療費は現実に支払われるまでは、医療費控除の対象とはならない(所得税法第73条第1項)。
借入金により医療費を支払った場合であっても、医療費が未払となっているのではなく、医療費の支払は現実に行われているので、その支払の日を含む年分の医療費控除の対象となる。
★リンクはこちら⇒ 借入金で支払った医療費
2015年12月4日
個人の確定申告書を作成される方へ(チラシ)(平成28年1月以降用)
国税庁は、『個人の確定申告書を作成される方へ(チラシ)(平成28年1月以降用)』を作成した。
★リンクはこちら⇒ 個人の確定申告書を作成される方へ(チラシ)(平成28年1月以降用)
2015年12月3日
投資顧問会社に支払う年会費及び成功報酬
<照会要旨>
Aは、先物取引に関する意思決定を行うために、投資顧問会社Bと金融商品取引法に規定する投資顧問契約を締結し、投資顧問会社Bに対して年会費を支払い先物取引に限定した助言を受け、その助言を踏まえて先物取引を行っている。
また、当該助言に基づいて行った取引について利益が生じた場合には、その利益に一定の率を乗じた成功報酬を支払っている。
この年会費及び成功報酬は、先物取引に係る雑所得等の計算上必要経費に算入することができるか。
なお、Aが投資顧問会社Bから受ける助言には先物取引以外のものはない。
<回答要旨>
年会費及び成功報酬は、先物取引に係る雑所得等の計算上必要経費に算入することができる。
租税特別措置法第41条の14第1項各号の先物取引に係る雑所得等は申告分離課税の対象とされているところ、雑所得等の金額は、総収入金額から必要経費を控除して算出することとされている。
また、必要経費の額に算入すべき金額については、
①事業所得等の総収入金額に係る売上原価
②総収入金額を得るため直接に要した費用の額
③その年における販売費、一般管理費
④その他事業所得等を生ずべき業務について生じた費用の額
と規定されている(所得税法第37条第1項)。
照会の年会費及び成功報酬について、年会費は投資顧問会社Bから助言を受けるために支払が不可欠であり、成功報酬は投資顧問会社Bからの助言を受けてAが行った先物取引の利益に一定の率を乗じて算定されるものなので、いずれもAの行う先物取引に係る業務について生じた費用と認められるので、先物取引に係る雑所得の計算上必要経費に算入することができる。
★リンクはこちら⇒ 投資顧問会社に支払う年会費及び成功報酬
2015年12月2日
居住用土地建物及び非居住用土地建物と一体で利用されていた私道を譲渡した場合において、当該私道の面積のうち租税特別措置法第35条に規定する特例の適用がある部分は、居住用土地及び非居住用土地の各面積を基にあん分により求めた面積とすることが相当であるとした事例
平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成27年1月23日裁決
<要旨>
請求人は、居住の用に供していた家屋(本件居住用家屋)の敷地(甲土地)のほか、甲土地に隣接する土地上にあった通路(本件通路)のうち4分の1に相当する部分にも、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する特例の適用がある旨主張する。
しかしながら、同項に規定する「居住の用に供している家屋の敷地」であるかどうかは、当該土地等が当該家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判定することが相当である。これを本件についてみると、本件通路は、本件居住用家屋のほか、本件通路に面している6棟の建物(本件各空家)の出入りにも必要な土地であり、現に、その出入りに利用されてきた土地であることから、本件居住用家屋及び本件各空家と一体で利用されていた土地であると認められる。そうすると、本件通路のうち租税特別措置法第35条第1項に規定する居住の用に供している家屋の敷地に該当していた部分は、本件通路を本件居住用家屋と本件各空家に対応する部分であん分した本件居住用家屋に対応する部分とすることが合理的であると認められる。そして、そのあん分に当たっては、本件通路は甲土地及び本件各空家の敷地への出入りに利用されていた土地であるから、甲土地及び本件各空家の敷地面積を基にあん分することが合理的である。したがって、請求人の主張は採用できない。
2015年11月11日
従業員名義で経営していた店舗に係る経営上の行為の状況、利益の享受状況及び出資の状況等から当該店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人であると認定した事例
①平成18年分~平成21年分の所得税の各決定処分及び重加算税の各賦課決定処分
②平成22年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
③平20.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分
④平成22年12月~平成24年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分
⑤平成25年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分
⑥平成25年2月~平成25年6月の期間分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分並びに不納付加算税の賦課決定処分
①、③~⑥棄却 ②一部取消し
平成27年3月31日裁決
<要旨>
請求人は、風俗店4店舗(本件各店舗)の経営者はP11であり、本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人ではない旨主張する。
しかしながら、請求人が本件各店舗の法律行為等について自らの名義又は自ら決定した借名を用いて行い、従業員を雇用、監督し、収支を管理し、本件各店舗から生じた利益を享受していたこと、また、本件各店舗に係る開店及び移転の各費用並びに出資に係る資金の負担者が請求人であったことから、本件各店舗の経営者は請求人であったと認められ、本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人である。
★リンクはこちら⇒ 従業員名義で経営していた店舗に係る経営上の行為の状況、利益の享受状況及び出資の状況等から当該店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人であると認定した事例
2015年11月4日
財産債務調書の提出制度
平成27年度税制改正において、所得税・相続税の申告の適正性を確保する観点から、財産及び債務の明細書を見直し、一定の基準を満たす方に対し、その保有する財産及び債務に係る調書の提出を求める制度が創設された。
<財産債務調書を提出しなければならない方>
所得税等の確定申告書を提出しなければならない方で、その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2千万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産またはその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産(注)を有する方は、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を提出しなければならない。
(注)
「国外転出特例対象財産」とは、所得税法第60条の2第1項に規定する有価証券等並びに同条第2項に規定する未決済信用取引等及び同条第3項に規定する未決済デリバティブ取引に係る権利をいう。
<財産の価額>
財産の「価額」は、その年の12月31日における「時価」または時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされている。
(注)
「時価」とは、その年の12 月31 日における財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、専門家による鑑定評価額、金融商品取引所等の公表する同日の最終価格(同日の最終価格がない場合には、同日前の最終価格のうち同日に最も近い日の価額)などをいう。
「見積価額」とは、その年の12 月31 日における財産の現況に応じ、その財産の取得価額や売買実例価額などを基に、合理的な方法により算定した価額をいう。なお、「見積価額」の具体的な算定方法については、国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)に掲載している法令解釈通達等で確認のこと。
<財産債務調書への記載事項>
財産債務調書には、提出者の氏名・住所(又は居所)に加え、財産の種類、数量、価額、所在並びに債務の金額等を記載することとされている(財産及び債務に関する事項については、「種類別」「用途別」(一般用及び事業用)、「所在別」に記載する必要がある。)。
(注)
「事業用」とは、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業又は業務の用に供することをいい、「一般用」とは、当該事業又は業務以外の用に供することをいいます。
<財産債務調書提出の期限等>
財産債務調書は、その年の翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。
(注)
法施行後の最初の財産債務調書の提出期限は、平成28年3月15日(火)になる。
★リンクはこちら⇒ 財産債務調書の提出制度
2015年8月25日
役職に変動がなくても労働条件等に重大な変動があり、単なる従前の勤務関係の延長とみることはできないとして、退職手当等としての性質を有する給与に該当すると認定した事例
平成24年5月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分
全部取消し 平成26年12月1日裁決
<ポイント>
本事例は、形式的な役職の変動ではなく実質的な勤務実態や支給に至った経緯等を総合勘案し、実質的に退職したのと同視し得る状況にあったと認定し、所得税法第30条の「(退職手当・・・その他の退職により一時に受ける給与及び)これらの性質を有する給与」に該当するとしたものである。
<要旨>
原処分庁は、学校法人である請求人が設置、運営する幼稚園(本件幼稚園)の園長兼請求人の理事長である者(本件園長)に対し退職金として支払われた金員(本件金員)について、本件園長は、引き続き他の職員と同様に出勤し請求人から給与を受領していることから、勤務関係が終了したとは認められないこと、また、本件園長が請求人の理事長としての業務を引き続き行っており、本件園長の勤務時間及び給与等の減少割合からしても、本件園長の勤務関係の性質、内容及び労働条件に重大な変動があったものと認めることはできないことから、本件金員に係る所得は給与所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件園長並びに本件幼稚園の副園長及び事務長の答述その他関係資料等によれば、本件園長の行う職務全体に占める理事長としての職務の割合は、本件幼稚園の園長としての職務に比べてごく僅かであったと認められること、また、実質的な園長としての職務のほとんどを副園長に引き継ぐことにより、その職務内容は量的にも質的にも大幅に軽減され、その実態に即するように基本給の額を減額するなど労働条件も大きく変動したものと認められ、本件園長の勤務関係は、その性質、内容及び労働条件等において重大な変動があって、形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とみることができない特別の事実関係があるというべきであるから、本件金員は、所得税法第30条《退職所得》第1項に規定する退職所得に該当する。
★リンクはこちら⇒ 役職に変動がなくても労働条件等に重大な変動があり、単なる従前の勤務関係の延長とみることはできないとして、退職手当等としての性質を有する給与に該当すると認定した事例
2015年8月18日
財産債務調書の提出制度(FAQ)
国税庁は『財産債務調書の提出制度(FAQ)』を公表した。
★リンクはこちら⇒ 財産債務調書の提出制度(FAQ)
2015年8月7日
請求人がb町区長等に対して支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例
平成22年分の所得税の更正の請求に対する更正処分
一部取消し 平成26年12月4日裁決
<ポイント>
本事例は、請求人の事業所得の必要経費の計上漏れがあったとして提出した更正の請求について、原処分庁が請求人からの必要経費の内容を示す資料の提出を待たずに原処分を行ったことは違法であるとの請求人の主張は排斥しているものの、請求人が審査請求において提出した資料等から、請求人が支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとして、原処分の一部を取り消したものである。
<要旨>
請求人は、事業所得の必要経費となる租税公課の計上漏れなどがあったとして提出した更正の請求について、原処分庁からの当初申告に係る租税公課の内容を確認するための資料等(本件資料等)の提出の求めに対して、請求人が本件資料等を提出する意思を示しているにもかかわらず、原処分庁が、本件資料等の提出を待たずして、その未提出を理由に更正の請求の一部を認めないとする原処分を行ったことは、違法又は不当な処分である旨主張する。
しかしながら、調査担当職員は、約1年間、電話ないし文書により再三にわたり本件資料等の提出を求めたにもかかわらず、請求人からは本件資料等が提出されなかったため、調査を打ち切ったのであり、原処分庁が本件資料等の提出を待たずに原処分を行ったことは、原処分庁の合理的な裁量の範囲を超えておらず、違法又は不当であるとは認められない。
なお、請求人は審査請求においてb町町費等の金員(本件金員)を請求する旨が記載された文書を提出したところ、当審判所が調査審理した結果、当該文書は請求人が所有する農地の所在するb町区長などが発行したものであり、当該文書に示された本件金員は、b町区などにおいて農地等の面積を賦課基準として徴収され、その用途は主に農地等の保全に係るものであると認められるから、本件金員は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるべきである。
★リンクはこちら⇒ 請求人がb町区長等に対して支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例
2015年7月30日
請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均水道光熱費率を用いて推計する方法に合理性があるとした事例
①平成21年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分
②平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分並びに平19.1.1~平20.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分
①棄却 ②全部取消し 平成26年7月4日裁決
<ポイント>
本事例は、請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均水道光熱費率を用いて推計する方法について、合理性があると認められるものの、推計の基礎とする水道光熱費の額の計算に当たり、原処分庁の認定誤りがあったため、これを是正し、類似同業者を選定し直した上で、改めて平均水道光熱費及び平均所得率を算出し、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。
<要旨>
請求人は、原処分庁が採用した類似同業者の水道光熱費率に基づく推計の方法について、類似同業者間の水道光熱費率に較差があること、また、請求人が経営する民宿(本件民宿)が所在する地区の水道料金は他の地区に比べ割高であるなどの特殊事情があるにもかかわらず、これが考慮されていないことから、原処分庁の推計の方法には合理性がない旨主張する。
しかしながら、類似同業者の水道光熱費率の平均値により推計する場合、その平均値を算出することによって類似同業者間の水道光熱費率に開差があったとしても、各類似同業者の個別性が平均化され、推計の合理性が高められるのであるから、多少の較差があるからといって、原処分庁の推計方法に合理性がないというのは相当ではなく、本件において、これを不合理ならしめる程度の較差は見当たらない。
また、仮に水道料金が他の地区に比べ割高であったとしても、基礎数値である水道光熱費の額に占める水道料金の額の割合は、せいぜい10%程度にすぎないことからすれば、水道光熱費の額を基礎とする推計方法を不合理ならしめる程度に顕著な事情とはいえない。
したがって、原処分庁が採用した推計の方法には、合理性があると認められる。
そして、推計の基礎とする水道光熱費の額の計算に当たり、本件民宿に係る水道光熱費の額から家事費相当額を控除する計算方法は、当審判所においても相当と認められる。
しかしながら、家事費相当額の計算上、請求人世帯の人員について、原処分庁の認定誤りが存するため、これを是正した上で、原処分庁が設定した抽出基準に従って、改めて類似同業者を抽出すると、誤って類似同業者に選定された者及び選定漏れの類似同業者が認められたことから、誤って類似同業者に選定された者を除外し、選定漏れの類似同業者を採用し、改めて平均水道光熱費及び平均所得率を算出して、事業所得の金額を推計することが相当である。
★リンクはこちら⇒ 請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均水道光熱費率を用いて推計する方法に合理性があるとした事例
2015年6月3日
請求人が、同人の母に対して、複数年の間に行った金銭の貸付けに係る利息について、その履行期の到来する平成23年において収入すべき金額は、平成23年分の期間に対応する部分の金額のみであるとした事例
①平成23年分の所得税の更正処分、②平成23年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分
①一部取消し ②全部取消し 平成26年9月1日裁決
<要旨>
原処分庁は、利息債権については、その履行期が到来すれば、権利が確定し、所得税法第36条《収入金額》第1項に規定する「収入すべき金額」に当たるものと解され、所得税基本通達36-8《事業所得の総収入金額の収入すべき時期》(7)(本件通達)における「その年に対応するもの」とは、同項の規定によりその年に権利が確定したものをいうとの解釈を前提として、請求人が母親に対して貸し付けた金銭の利息(本件利息)については、その履行期にその全額が確定したものであるから、本件通達により、同日が本件利息の全額の収入すべき時期となる旨主張する。
しかしながら、貸付金利息については、元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当であり、また、本件通達は、期間対応計算を採用したものであるから、「その年に対応するもの」との文言については、その年における利息の計算期間の経過に対応するものと解するのが相当であり、本件利息に係る収入金額のうち、各年中の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、それぞれの年の末日であり、貸付期間の終了した平成23年の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、貸付期間の終了した平成23年である。
★リンクはこちら⇒ 請求人が、同人の母に対して、複数年の間に行った金銭の貸付けに係る利息について、その履行期の到来する平成23年において収入すべき金額は、平成23年分の期間に対応する部分の金額のみであるとした事例
2015年6月1日
請求人が代表取締役を務める内国法人が外国法人と締結した業務委託基本契約に基づく業務委託手数料は、請求人の給与には当たらず、当該内国法人に帰属するとした事例
①平成23年分の所得税の更正処分 ②平成23年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分
①一部取消し、②全部取消し 平成26年9月1日裁決
<要旨>
原処分庁は、利息債権については、その履行期が到来すれば、権利が確定し、所得税法第36条《収入金額》第1項に規定する「収入すべき金額」に当たるものと解され、所得税基本通達36-8《事業所得の総収入金額の収入すべき時期》(7)(本件通達)における「その年に対応するもの」とは、同項の規定によりその年に権利が確定したものをいうとの解釈を前提として、請求人が母親に対して貸し付けた金銭の利息(本件利息)については、その履行期にその全額が確定したものであるから、本件通達により、同日が本件利息の全額の収入すべき時期となる旨主張する。
しかしながら、貸付金利息については、元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当であり、また、本件通達は、期間対応計算を採用したものであるから、「その年に対応するもの」との文言については、その年における利息の計算期間の経過に対応するものと解するのが相当であり、本件利息に係る収入金額のうち、各年中の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、それぞれの年の末日であり、貸付期間の終了した平成23年の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、貸付期間の終了した平成23年である。
★リンクはこちら⇒ 請求人が代表取締役を務める内国法人が外国法人と締結した業務委託基本契約に基づく業務委託手数料は、請求人の給与には当たらず、当該内国法人に帰属するとした事例
2015年5月27日
請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率を用いて推計する方法には合理性があるとした事例
①平成21年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分
②平成21年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
③平21.1.1~平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
④平22.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
①②④棄却 ③一部取消し 平成26年6月18日裁決
<ポイント>
本事例は、原処分庁が請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率等を用いて推計するに当たり、類似同業者を請求人の売上原価の0.5倍以上2倍以下であるなど、機械的に抽出しており、その抽出方法には合理性があると認められるものの、原処分庁が選定した類似同業者のうちに、立地条件等からみて必ずしも請求人と業態が類似するとは認められない者が含まれていることから、この者を類似同業者から除外して、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。
<要旨>
原処分庁は、請求人と事業内容・規模等が類似すると認められる青色申告者(平成21年分7件、平成22年分4件、平成23年分5件)の平均的な売上原価率(総収入金額に対する売上原価の割合)に基づいて、請求人の事業所得の金額及び消費税の課税標準額を推計の方法により算定しており、原処分庁の推計の方法には合理性がある旨主張する。
原処分庁は、請求人が営む店舗の所在地を管轄する税務署管内に事業所を有し、同税務署長に対し青色申告書を提出する者で、請求人と業種、業態及び事業内容が類似し、かつ、売上原価が請求人の売上原価の0.5倍以上2倍以下であるなど事業規模が類似する者を、類似同業者として機械的に抽出しており、このような抽出の方法については合理性があると認められるものの、原処分庁が選定した類似同業者のうち平成21年分の1件については、立地条件等からみて必ずしも請求人と業態が類似するとは認められないから、この者を類似同業者から除外することが相当である。
★リンクはこちら⇒ 請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率を用いて推計する方法には合理性があるとした事例
2015年4月10日
使用人等に対する食事の支給による経済的利益の供与について、「使用人が購入して支給する食事」として評価するのが相当であるとした事例
平成20年1月~平成22年10月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年5月13日裁決
<ポイント>
本事例は、請求人が使用人等に提供した食事については、請求人が給食委託業者に支払った委託料等を加算したところにより評価すべきであるとして請求人の主張を排斥しているものの、原処分庁における経済的利益及び源泉所得税額の算定に一部誤りがあったため、原処分の一部を取り消したものである。
<要旨>
請求人は、請求人が給食業者(本件受託業者)に委託して調理させ従業員等に対して支給した食事は、所得税基本通達36-38《食事の評価》(1)に定める「使用者が調理して支給する食事」として食事の材料費相当額により評価すべきである旨主張する。
しかしながら、当該食事の材料は本件受託業者が調達しており、請求人はこれらの材料の明細及び内容を関知しておらず、その在庫を請求人の帳簿書類にも記載していなかったことに鑑みれば、自己の計算に基づき材料の調達及び管理を行っていたのは本件受託業者であるということができるから、請求人が材料を提供し当該食事の調理のみを委託していたとみることはできない。
また、請求人は従業員等から徴収した食券代金を集計し本件受託業者に支払っていたところ、当該金額は、あらかじめ本件受託業者との間で定めたメニューごとの材料費相当額に基づき計算されてはいたものの、食事の材料費そのものとはいえないから、請求人が材料費を負担していたとみることもできない。
そして、請求人は、従業員等が購入した食券代金を従業員等の給与から差し引いて預り金として経理し、本件受託業者に支払う際には預り金勘定から減額処理をしていたことからすると、請求人は本件受託業者が従業員等から直接受領すべき食事代金を本件受託業者に代わって徴収していたと認められ、請求人が本件受託業者に対して毎月一定額の給食業務委託料及び副食費を支払っていた事実を併せ考慮すると、請求人は、従業員等が本件受託業者から食事を安価で購入できるよう、給食業務委託料等を負担し、食事の購入代金の補助をしていたとみるのが相当である。
したがって、当該食事は所得税基本通達36-38(2)に定める「使用者が購入して支給する食事」と同様に、食券代金、副食費及び給食業務委託料の合計額をもって評価するのが相当である。
★リンクはこちら⇒ 使用人等に対する食事の支給による経済的利益の供与について、「使用人が購入して支給する食事」として評価するのが相当であるとした事例
2015年4月8日
請求人が行った賃貸用マンションのシステムキッチン等の取替工事に係る費用は、当該マンションの価値を高め、その耐久性を増すことになると認められるから、修繕費ではなく資本的支出に該当するとした事例
平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年4月21日裁決
<ポイント>
本事例は、新たなシステムキッチン及びユニットバスの取替えに要した費用が、賃貸用マンションの通常の維持管理のための費用、すなわち修繕費であるとは認められず、新たにシステムキッチン及びユニットバスを設置し、台所及び浴室を新設したことによって、当該マンションの価値を高め、又はその耐久性を増すことになると認められることから、その全額が資本的支出に該当するとしたものである。
<要旨>
請求人は、築17年を経過した賃貸用マンション(本件建物)の一部の住宅内の台所及び浴室の各設備等を取り壊し、新たなシステムキッチン及びユニットバスに取り替えた工事(本件各工事)について、居住用機能を回復させるために必要な工事であり、本件建物の規模からすれば、同建物の基礎及び柱等の躯体に影響を与えるものでなく、その価値を高めるものでもなく、その目的は現状維持することであるから、本件各工事に係る費用のうち新たなシステムキッチン及びユニットバスの取替えに要した費用(本件各取替費用)については、所得税法施行令第181条《資本的支出》に規定する金額及び所得税基本通達37-10《資本的支出の例示》の定めに例示された金額のいずれにも該当せず、修繕費に該当する旨主張する。
しかしながら、ある支出が修繕費又は資本的支出のいずれに当たるかは、その支出した金額の内容及び支出効果の実質によって判断するのが相当であるから、本件各工事によって本件建物の住宅の居住用機能を回復させる目的があったとしても、本件建物の規模との比較のみによって判断するものではない。
そして、本件各工事は、単に既存の台所設備及び浴室設備の一部を補修・交換したものではなく、本件建物の各住宅内で物理的・機能的に一体不可分の関係にある台所及び浴室について既存の各設備等を全面的に取り壊し、新たにシステムキッチン及びユニットバスを設置し、台所及び浴室を新設したものであり、このことは、本件建物の各住宅を形成していた一部分の取壊し・廃棄と新設が同時に行われたとみるべきものである。
そうすると、本件各取替費用は、修繕費とは認められず、台所及び浴室を新設したことによって本件建物の価値を高め、又はその耐久性を増すことになるものと認められるから、本件建物に対する資本的支出に該当する。
★リンクはこちら⇒ 請求人が行った賃貸用マンションのシステムキッチン等の取替工事に係る費用は、当該マンションの価値を高め、その耐久性を増すことになると認められるから、修繕費ではなく資本的支出に該当するとした事例
2015年4月3日
ライブチャットサービス業務を行う請求人が主張する各費用のうち、少なくともパソコン等の購入費及びインターネット接続料金については必要経費に算入するのが相当であるとした事例
平成19年分~平成23年分の所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平26年5月22日裁決
<要旨>
請求人は、インターネットのウェブサイト上で、当該サイトの男性会員にウェブカメラで撮影した映像を見せながら会話を行う等のいわゆるライブチャットサービス(本件業務)を行って報酬を得ていたところ、本件業務に使用するパソコン、ウェブカメラ、衣服、水着、ソファー、カーテン等を購入した費用及び美容費は、全て本件業務の遂行上必要なものであるから、必要経費に算入されるべきものである旨主張する。
ところで、請求人がいかなる態様で本件業務を行っていたとしても、少なくともパソコン及びウェブカメラを使用し、インターネットへ接続することは本件業務の遂行上必要不可欠なことと認められるから、請求人が本件業務の用に供したパソコン及びウェブカメラの購入費並びにインターネット接続料金については、減価償却費、消耗品費、備品費又は通信費として必要経費にそれぞれ算入するのが相当である。
しかしながら、上記各費用のうちパソコンの購入費等以外の各費用については、請求人から本件業務をどのように行っていたのかを明らかにする動画や静止画等の客観的な証拠の提出はなく、当審判所の調査の結果によっても、これを確認することはできない。
そうすると、請求人の当該各費用の必要経費該当性については、業務関連性に関する各答述等から合理的に判断していくほかないところ、各答述は、総じて終始場当たり的で一貫せず、不自然かつ不合理な内容や本件業務に無理に関連づけて述べるものと認められるから信用できない上、請求人が提出した当該各費用に関する書類の内容及び本件業務との関連性を記載したメモ書き等からみても、いずれの費用も客観的にみて本件業務と直接の関係を有し、かつ、本件業務の遂行上必要なものとは認められない。
★リンクはこちら⇒ ライブチャットサービス業務を行う請求人が主張する各費用のうち、少なくともパソコン等の購入費及びインターネット接続料金については必要経費に算入するのが相当であるとした事例
2015年4月1日
請求人が不動産を実体的に所有するとともに、その利得を支配管理し、自己のために享受していると認められるから、当該不動産の賃貸に基因する所得は請求人に帰属するとした事例
平成21年分の所得税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成22年分及び平成23年分の所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年5月14日裁決
<要旨>
請求人は、各不動産の賃貸に基因する所得は実父に帰属する旨主張する。
しかしながら、請求人は、①各不動産のうち一部を夫と持分2分の1ずつで共有しているほかはその余の不動産を単独で所有し、登記に係る所有名義もその所有の実態に即していること、②各不動産の賃借人は、請求人が所有する口座等に賃借料を振り込む方法で支払っていること、③建物の管理費のほか、不動産に係る固定資産税や管理費などの経費と認められる金額を請求人名義の口座から振替により支払っていること、④請求人の実父は、同人名義で賃貸借契約が締結されている事情を知らず、請求人らから各不動産の賃貸に係る収支又は損益に係る説明を受けていないこと、加えて、⑤結局、請求人の実父は、請求人から各不動産の賃貸に基因する所得の分配を受けたことがなく各不動産の賃貸業に何ら関係していないことが認められる。
以上のことから、請求人が各不動産(ただし、夫と共有のものについては、その2分の1)を実体的に所有するとともに、本件各年分において、現に、実父名義等で賃貸借契約がされたものを含めてその利得を支配管理し、自己のためにそれを享受していると優に認めることができるから、本件各年分の各不動産の賃貸に基因する所得は、請求人に帰属すると認めるのが相当である。
★リンクはこちら⇒ 請求人が不動産を実体的に所有するとともに、その利得を支配管理し、自己のために享受していると認められるから、当該不動産の賃貸に基因する所得は請求人に帰属するとした事例
2015年3月30日
NISA
NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)は、20歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等を対象として、平成26年から平成35年までの間に、年間100万円を上限として非課税口座(注1)で取得した上場株式等の配当等(注2)やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間(非課税期間)非課税となる制度(注3)である。
非課税対象 | 非課税口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益 |
開設者(対象者) | 口座開設の年の1月1日において20歳以上の居住者等 |
口座開設可能期間 | 平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間 |
非課税管理勘定設定数 | 各年分ごとに1非課税管理勘定のみ設定可(平成27年1月1日以後、一定の手続の下で、 各年分ごとに金融商品取引業者等の変更可) |
非課税投資額 | 1非課税管理勘定における投資額(①新規投資額及び②継続適用する上場株式等の移管 された日における終値に相当する金額の合計額)は100万円を上限 ※未使用枠は翌年以後繰越不可 |
非課税期間 | 最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可) |
非課税投資総額 | 最大500万円(100万円×5年間) |
(注1)
この非課税措置の適用を受けるためには、事前に金融商品取引業者等に「非課税適用確認書の交付申請書」、「非課税口座開設届出書」、基準日(平成25年1月1日)における住所を証する「住民票の写し」などの書類を提出して、非課税口座を開設し、非課税管理勘定を設定する必要がある。
(注2)
非課税の対象となる上場株式等の配当等は、非課税口座を開設する金融商品取引業者等を経由して交付されるものに限られ、上場株式等の発行者から直接交付されるものは課税扱いとなる。
(注3)
非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされるため、他の上場株式等の配当等や譲渡益との損益通算や繰越控除をすることはできない。
★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について
2015年3月19日
上場株式等の配当等を受けた場合の課税関係
平成26年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等(大口株主等(注)が支払を受けるものを除く。以下同じ。)については、その支払の際に20%(所得税15%、住民税5%)の税率による源泉徴収がされる。
平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る配当所得について申告する場合は、総合課税または申告分離課税を選択することができる。
なお、この場合、申告する上場株式等の配当等の全てについて総合課税または申告分離課税のいずれかを選択する必要がある。
また、1回に支払を受ける配当等の額ごとに申告しないこと(申告不要)を選択することもできる(源泉徴収口座内の配当等については、口座ごとに選択)。
(注)
「大口株主等」とは、その株式等の保有割合が発行済株式等の総数等の3%以上である株主等をいう。
★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について
2015年3月17日
所得税の確定申告期限内に確定申告書の誤りに気づいた場合
確定申告の期限内(平成26年分の場合、平成27年3月16日月曜日まで)の訂正であれば、訂正した確定申告書を提出し直せば問題ない。
日付の新しい方が『正』として受理される。
★リンクはこちら⇒ 提出した確定申告書の間違いを法定申告期限の前に発見した場合
2015年3月9日
国外財産調書の提出制度(FAQ)の更新
国税庁は、国外財産調書の提出制度(FAQ)を更新した。
★リンクはこちら⇒ 国外財産調書の提出制度(FAQ)の更新
2015年2月24日
インターネット番組「寄附金控除を受ける方(ふるさと納税をされた方)」
国税庁は、インターネット番組「寄附金控除を受ける方(ふるさと納税をされた方)」をホームページに掲載した。
★リンクはこちら⇒ インターネット番組「寄附金控除を受ける方(ふるさと納税をされた方)」
2015年2月18日
定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率
定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げるとおりとなる。
- 当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合又は当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合
両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.5%としても差し支えない。 - 上記1.の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき
利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成26年分については、0.5%となる。
(注)平成26年中の10年長期国債の平均利率は、0.57%である。
★リンクはこちら⇒ 定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率
2015年2月17日
インターネット番組「災害等にあったときの税の軽減」
国税庁は、インターネット番組「災害等にあったときの税の軽減」をホームページに掲載した。
★リンクはこちら⇒ インターネット番組「災害等にあったときの税の軽減」
2015年2月16日
インターネット番組「上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続」
国税庁は、インターネット番組「上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続」をホームページに掲載した。
★リンクはこちら⇒ インターネット番組「上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続」
2015年2月9日
平成26年分の所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税並びに贈与税の確定申告
平成26年分確定申告の相談・申告書の受付期間は、下表のとおり。
所得税及び復興特別所得税 | 平成27年2月16日(月)から平成27年3月16日(月) |
個人事業者の消費税及び地方消費税 | 平成27年1月5日(月)から平成27年3月31日(火) |
贈与税 | 平成27年2月2日(月)から平成27年3月16日(月) |
(注1)所得税及び復興特別所得税の還付申告は、上記の期間前でも提出することができる。
(注2)平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告期間は、平成27年2月16日(月)から3月16日(月)までである。また、平成26年分の贈与税の申告期間は、平成27年2月1日(日)から3月16日(月)までである。
(注3)平日(月から金)以外でも、一部の税務署では、2月22日と3月1日に限り日曜日も確定申告の相談・申告書の受付を行う。
平成26年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日は、下表のとおり。
納期限 | 振替日 | |
---|---|---|
所得税及び復興特別所得税 | 平成27年3月16日(月) | 平成27年4月20日(月) |
個人事業者の消費税及び地方消費税 | 平成27年3月31日(火) | 平成27年4月23日(木) |
贈与税 | 平成27年3月16日(月) | - |
(注1)納期限までに納付がない場合は、延滞税がかかる。
(注2)振替納税をご利用の方は、事前に預貯金残高をご確認のこと。残高不足等で振替ができない場合は、納期限の翌日から納付日まで延滞税がかかるので、注意すること。
2015年2月2日
住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合の書類の添付がないとして住宅借入金等特別控除を適用することができないとした事例
平成23年分及び24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成23年分の所得税に係る還付金の充当処分
棄却 平成26年1月28日裁決
<ポイント>
本事例は、租税特別措置法第41条第17項に規定するとおり、住宅借入金等特別控除は、居住用家屋の取得等を明らかにする書類を確定申告書に添付している場合に限り適用することができるところ、登記事項証明書は添付書類の例示として規定しているものであり、登記事項証明書の添付がないことのみをもって住宅借入金等特別控除の書類添付の要件を満たさないというものではなく、それに代わる書類の提出があれば住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのであるが、請求人の提出した各書類のいずれによっても、当該居住用家屋の取得した日は明らかではないから、住宅借入金等特別控除を適用することはできないと判断したものである。
<要旨>
請求人は、登記された事実を証明することを租税特別措置法施行規則第18条の21《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受ける場合の添付書類等》第9項は求めていないことから、確定申告書に、住民票、売買契約書、司法書士に対する登記申請手続の依頼書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書等を添付していれば、登記事項証明書を添付していなくても、住宅借入金等特別控除を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する居住用家屋の取得の日とは、現実に自己の居住の用に供することが可能となったと認められる日、すなわち、その家屋について、支配が移転したときを指し、例えば、その家屋の所有権を有することを前提として、その家屋の引渡しないし所有権移転登記がされた日はこれに該当すると解するのが相当であるところ、請求人の提出した各書類のいずれによっても、少なくとも、請求人が本件物件を取得した日は明らかではないから、住宅借入金等特別控除を適用することはできない。
また、請求人は、審判所に提出した物件の引渡証及び登記事項証明書のとおり、物件の引渡しを受け、共有持分割合を2分の1とする登記が完了しており、請求人に、住宅借入金等特別控除の適用を受ける権利が実体法上あることは明らかである旨主張する。
しかしながら、住宅借入金等特別控除に係る制度が、その適用を受けるに当たり、確定申告書に適用金額記載と書類添付をすることを手続上の要件として法定したものであるから、確定申告書に書類添付のない場合には、実体法上の適用要件を満たすかどうかにかかわらず、住宅借入金等特別控除の適用は認められない。
★リンクはこちら⇒ 住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合の書類の添付がないとして住宅借入金等特別控除を適用することができないとした事例
2015年1月29日
居住用家屋の一部を取り壊し、その取壊し部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡に係る譲渡所得について、租税特別措置法第35条を適用することができないとした事例
平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
一部取消し 平成26年2月17日裁決
<要旨>
請求人は、居住の用に供している家屋の一部を取り壊し、その取り壊した部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡について、当該家屋の取壊し後の残存家屋は、改修工事をしなければ機能的にみて居住可能な独立した家屋とはいえず、その物理的形状に照らし、居住の用に供しえなくなったものといえるのであるから、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》の規定を適用できる旨主張する。
しかしながら、当該残存家屋には、人が居住して日常生活を送るのに必要な台所、便所、浴室及び居室の全てを備えており、当該家屋の一部取壊し及び残存家屋の改修工事の各工事期間中も請求人は居住していたのであるから、家屋の一部取壊しによって、当該残存家屋がその物理的形状等に照らし居住の用に供しえなくなったということはできない。したがって、当該譲渡に租税特別措置法第35条の規定を適用することはできない。
★リンクはこちら⇒ 居住用家屋の一部を取り壊し、その取壊し部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡に係る譲渡所得について、租税特別措置法第35条を適用することができないとした事例
2015年1月26日
診療情報提供書に係る診療情報提供料の自己負担額の医療費控除の取扱い
<事前照会の趣旨>
私は、右手人差し指の切創の診療に際し、当初診療を行ったA市民病院からいわゆる紹介状(以下「本件紹介状」という。)を受け取り、紹介先のB整形外科医院に本件紹介状を交付して引き続き治療を行った。
本件紹介状の作成料として、A市民病院に健康保険が適用される文書料(以下「本件文書料」という。)を支払っている。
本件文書料は、いわゆる診断書などの作成に係る文書料とは異なり、紹介先のB整形外科医院での治療に必要な費用と考えられるので、医療費控除(所法731)の対象となる医療費に該当するものと解して差し支えないか?
<事前照会に係る事実関係>
(1)私は、休日にカッターナイフにより右手人差し指に切創を負ったため、A市民病院の救急外来を受診し、消毒及び縫合等の応急処置を受けた。
(2)A市民病院の救急外来においては応急処置が行われたが、切創の箇所が指の基部であり、今後運動障害が出現する可能性もあったことから、担当の医師と相談の上、その後の治療を自宅近隣のB整形外科医院で受けることとした。
(3)B整形外科医院で受診するに当たって、A市民病院からそれまでの診療状況を示した本件紹介状の交付を受け、その発行に係る手数料としてA市民病院に本件文書料を支払った。
なお、本件文書料は、診療情報提供料(Ⅰ)として健康保険の適用の対象(健康保険法76)とされており、その自己負担額として支払ったものである。
(4)後日、私は、B整形外科医院に本件紹介状を交付して本件に係る切創の治療を引き続き行った。
(注)
診療情報提供料(Ⅰ)とは、「医療機関間の有機的連携の強化及び医療機関から保険薬局又は保健・福祉関係機関への診療情報提供機能の評価を目的として設定されたものであり、両者の患者の診療に関する情報を相互に提供することにより、継続的な医療の確保、適切な医療を受けられる機会の増大、医療・社会資源の有効利用を図ろうとするもの」であり、「保険医療機関が、診療に基づき別の保険医療機関での診療の必要を認め、これに対して、患者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に算定する」ものとされている(平成26年3月5日保発0305第3号「診療報酬の算定方式の一部改正に伴う実施上の留意事項について」)。
なお、診療情報提供料(Ⅰ)は、紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定するものとされている(平成26年厚生労働省告示第57号別表第一)。
<事前照会者の求める見解となることの理由>
医療費控除の対象となる医療費は、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとされている(所法73②)。
そして、その対価については、その病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされている(所令207)。
また、医師等による診療等を受けるために直接必要な通院費や医師等の送迎費などの費用で、通常必要なものは、医療費に含まれるものとして取り扱われている(所得税基本通達73-3)。
そうすると、いわゆる診断書などの作成に係る文書料については、医師が診療又は治療した内容等を記載した文書の発行に係る手数料であり、その発行された文書は、通常、生命保険会社等へ給付金等を請求する際の提出書類等として使用されることから、医師等の診療又は治療の対価に該当せず、医療費控除の対象にならないと考えられる。
しかしながら、本件文書料は、次の理由から、医療費控除の対象となる医療費に該当すると解される。
(1)本件紹介状は、A市民病院が、今後運動障害が出現する可能性もあると判断したため、その後の診療をB整形外科医院で継続して適切に受けることができるよう作成されたものであり、B整形外科医院での診療に当たりB整形外科医院に交付されたものであることからすれば、本件紹介状に係る本件文書料は、B整形外科医院による診療を受けるために直接必要な費用と考えられること。
(2)本件紹介状のような診療情報提供書による医療機関同士の連携は、医療機関間で通常行われる行為であり、本件紹介状はA市民病院が、その診療に基づき、B整形外科医院での診療の必要性を認めて作成されたものであることからすれば、その作成費用(=本件文書料)は、B整形外科医院での診療に当たって通常必要なものと考えられること。
(3)本件文書料は、診療情報提供料(Ⅰ)に該当するものであり、「保険医療機関が、診療に基づき、別の保険医療機関での診療の必要を認めた上で、紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定」されるものであることからすれば、医師等による診療等の対価として、通常必要なものであり、その症状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額と考えられること。
<東京国税局回答>
上記のとおりで差し支えない。
★リンクはこちら⇒ 診療情報提供書に係る診療情報提供料の自己負担額の医療費控除の取扱い
2015年1月26日
資産負債増減法により事業所得の金額を算定したことには合理性があるとした事例
①平成17年分及び平成18年分の所得税の各決定処分及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成19年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
②平20.1.1~平22.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
①一部取消し ②棄却 平成26年2月27日裁決
<要旨>
請求人は、原処分庁が請求人の事業所得の金額を算定するに当たって採用した資産負債増減法は、推計の基礎事実が正確に把握されていないことなどから、その推計方法には合理性がない旨主張する。
しかしながら、原処分庁が認定した資産負債増減法における純資産の増加額、加算調整項目及び減算調整項目については、一部の加算調整項目及び減算調整項目の内容に誤りが認められるものの、これらはいずれも是正可能なものであって、その他の内容及び金額はいずれも相当と認められ、一部の誤りを是正した後の純資産の増加額、加算調整項目及び減算調整項目により算出された所得金額は、正確性が担保された計算要素に基づき算出された所得金額ということができるから、原処分庁が採用した推計方法には合理性がある。
★リンクはこちら⇒ 資産負債増減法により事業所得の金額を算定したことには合理性があるとした事例
2015年1月19日
他人の滞納税額のために不動産が差押えをされ、当該不動産の売却代金がその滞納税額の支払に充てられたとしても、保証契約を締結し、または抵当権を設定したものではないから、所得税法第64条第2項の適用はないとすることが相当であるとした事例
①平成23年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
②平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
①棄却 ②一部取消し 平成26年2月4日裁決
<ポイント>
本事例は、真の所有者が不動産の名義をあえて他人に移転したことから、その他人の滞納税額のために当該不動産が差押えをされ、当該不動産の売却代金が滞納税額の支払に充てられたとしても、虚偽の権利の外観を自ら作出したことが原因であり、民法第94条《虚偽表示》第2項の類推適用により善意の第三者に対して対抗できなくなった結果にすぎないこと等から、所得税法第64条第2項の適用はないと判断したものである。
<要旨>
請求人は、相続税の延納申請に係る担保として提供した土地(本件各担保土地)について、K国税局長がした差押登記は、請求人の知人が主宰するJ社の租税債権を回収するために、本件各担保土地の所有者である請求人の同意を得ることなく一方的にされたものであり、実質的には、請求人がJ社に支払能力がないと判断して債務保証をしたくないと考えても許されない状態での債務保証と同じであるから、所得税法第64条《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》第2項の規定の趣旨から救済されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件各担保土地を取得してから譲渡するまでの間、同土地の真の所有者であったが、請求人の亡父等の多額の債務に係る各債権者の請求を逃れるため、請求人が、同土地の登記名義をJ社に変更して、虚偽の外観を作出していた際に、K国税局長が同土地を差し押さえたことが認められるところ、請求人は、当該差押えにより、本件各担保土地の譲渡代金の中から一定の支払がされるといった不利益を免れないが、この不利益の原因は、請求人が同土地につき虚偽の権利の外観を自ら作出したことにあり、当該権利の外観を信頼した善意の第三者に対して、民法第94条《虚偽表示》第2項の類推適用により、当該権利の外観が虚偽であることについて、対抗することができなくなった結果にすぎない。
そして、虚偽の権利の外観を自ら作出した者は、当該権利の外観が虚偽であることを善意の第三者に対抗できないことを十分に予期し得るのであり、かつ、善意の第三者に対抗できないことについて明確な帰責性が認められるのであるから、このような者を、予期に反して求償権を行使することができなくなった場合の保証人と同一の利益状況にあるということはできず、課税上の救済を図る必要性は認められない。
また、債権者との契約により債務の履行を強制されるわけではない点において、保証人や担保権設定者と立場を大きく異にしており、所得税法第64条第2項の規定を適用する前提を欠くというべきである。
2015年1月15日
平成26年分確定申告特集ページ
平成26年分の所得税および復興特別所得税・贈与税の申告期限及び納期限平成27年3月16日(月)、個人事業者の消費税及び地方消費税の申告期限及び納期限は平成27年3月31日(火)である。
国税庁は、平成26年分確定申告特集ページを開設した。
★リンクはこちら⇒ 平成26年分確定申告特集ページ
2015年1月9日
ロータリークラブの会費等は必要経費に算入できないとした事例
平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年3月6日裁決
<ポイント>
本事例は、司法書士業を営む請求人が支出したロータリークラブの入会金及び会費は、請求人が当該クラブの会員として行った活動を社会通念に照らして客観的にみれば、その活動は、司法書士の業務と直接関係するものということはできず、また、その活動が司法書士としての業務の遂行上必要なものということはできないため、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないとしたものである。
<要旨>
請求人は、所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する「販売費、一般管理費及びその他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、文理解釈する限り、業務と直接の関係を持つものである必要はなく、客観的にみて所得を生ずるのに必要なものであれば足りるとして、加入するロータリークラブ(本件クラブ)の入会金及び年会費(本件各諸会費)は必要経費に算入できる旨主張する。
しかしながら、事業所得の金額の計算上、必要経費が総収入金額から控除されることの趣旨は、投下資本の回収部分に課税が及ぶことを回避することにあると解されるところ、日常生活において事業による所得の獲得活動のみならず、所得の処分としての私的な消費活動も行っている個人の事業主における事業所得の金額の計算に当たっては、事業上の必要経費と所得の処分である家事費とを明確に区分する必要があり、それらを踏まえて所得税法第37条1項、同法45条《家事関連費等の必要経費不算入等》第1項及び所得税法施行令第96条《家事関連費》第1号の各文言に照らせば、所得税法第37条第1項のいう費用とは、単に業務と関連があるというだけではなく、その支出が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であり、その判断は、単に業務を行う者の主観的な動機・判断によるのではなく、当該業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に行われなければならないと解される。
以上のことから、請求人が本件クラブの会員として行った活動を社会通念に照らして客観的にみれば、その活動は、登記又は供託に関する手続について代理することなど司法書士法第3条《業務》第1項各号に規定する業務と直接関係するものということはできず、また、その活動が司法書士としての業務の遂行上必要なものということはできないため、請求人が支出した本件各諸会費は、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。
★リンクはこちら⇒ ロータリークラブの会費等は必要経費に算入できないとした事例
2015年1月7日
平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等
国税庁は、「平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等」をホームページに掲載した。
★リンクはこちら⇒ 平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等
2014年12月19日
平成26年分確定申告特集ページ(準備編)
国税庁は、「平成26年分確定申告特集ページ(準備編)」を開設した。
なお、このサイトは、1月上旬にリニューアル予定である。
★リンクはこちら⇒ 平成26年分確定申告特集ページ(準備編)
2014年12月8日
母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用
<照会要旨>
妊婦に対して行う母体血を用いた出生前遺伝学的検査(以下「本件検査」という。)の費用は医療費控除の対象になるのか?
<本件検査の概要>
本件検査は、妊婦から採血することにより行われ、母体の血液中に存在する胎児由来のDNA及び母体由来のDNAに含まれる遺伝情報を解析することにより、各染色体に由来するDNA断片の量の差異を求め、それらの比較から胎児の特定の染色体数的異常の診断に結びつけるものである。
また、本件検査を行った結果、染色体の数的異常が発見されたとしても、それが治療につながるものではないとされている。
なお、本件検査を受けるかどうかは妊婦の任意とされている。
<回答要旨>
医療費控除の対象とはならない。
医師または歯科医師による診療等の対価として支払われるものは医療費控除に該当するが、いわゆる人間ドックその他の健康診断のように疾病の治療を伴うものではないものは、医療費控除の対象とはならない。
しかし、健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、治療に先だって行われる診察と同様に考えることができるので、その健康診断のための費用も医療費控除に含まれる(所得税基本通達73-4)。
本件検査は、胎児の染色体の数的異常を調べるものであって、診断の一種であり、また、本件検査を行った結果、染色体の数的異常が発見されたとしても、それが治療につながらないとされていることからすると、本件検査は、妊婦や胎児の治療に先だって行われる診療等と解することはできない。
したがって、本件検査に係る費用は、医療費控除の対象とならない。
2014年11月20日
被買収会社の従業員に付与されたストックオプションを買収会社が買い取る場合の課税関係
【照会要旨】
A社は、インセンティブ報酬として従業員に対して新株予約権(以下「本件ストックオプション」という。)を無償で付与している。
この本件ストックオプションには譲渡制限が付されており、従業員が本件ストックオプションを譲渡する場合、取締役会による承認が必要とされている。
この度、B社がA社を買収し、A社の発行済株式の全てを取得することに伴い、B社は、A社が従業員に対して付与していた本件ストックオプションを買い取ることとした。
具体的には、本件ストックオプションを付与された従業員が、A社の取締役会の承認を受け、その譲渡制限の解除(譲渡承認)後直ちに、B社が時価で本件ストックオプションを買い取ることとなるが、この場合、所得税の課税関係はどのようになるのか?
【回答要旨】
本件ストックオプションについては、譲渡制限が解除された日において、給与所得が生じる。
譲渡についての制限その他特別の条件が付されているストックオプションが付与された場合、付与時点においては何ら経済的利益が実現していないことから、その付与時点において課税関係は生じないが、ストックオプションの権利行使をする場合、取得した株式の価額と権利行使価額との差額が経済的利益として実現することから、その権利行使時に当該経済的利益について課税関係が生じることになる(所得税法施行令第84条)。
一方、照会の場合、従業員は本件ストックオプションの権利行使をしていないが、その譲渡を行うに当たり、A社の取締役会の承認を得て譲渡制限を解除する必要があり、その結果、従業員(本人)の意思による第三者への譲渡が可能となる。この譲渡制限の解除により、それまで未実現と捉えられていた経済的利益が顕在化し、収入すべき金額が実現したものと考えられる(注)。
そして、本件ストックオプションは、インセンティブ報酬として従業員に対して付与されていたことから、A社と従業員の間の雇用契約又はこれに類する関係に基因して付与されたものと考えられるので、顕在化した経済的利益は、A社の取締役会の承認を受け譲渡制限が解除された日(譲渡承認日)における給与所得に該当する(所得税法第28条)。
なお、給与所得として課税される経済的利益の額(譲渡承認日における本件ストックオプションの価額(時価))に相当する額が本件ストックオプションの譲渡に係る譲渡所得等に係る取得費等となるので、本件ストックオプションの譲渡により、譲渡所得等は生じない。
(注)
新株予約権等(株式を無償または有利な価額により取得することができる一定の権利で、当該権利を行使したならば経済的な利益として課税されるものをいう。)をその発行法人に譲渡した場合についても、当該譲渡の対価の額から当該権利の取得価額を控除した金額を、給与所得等の収入金額とみなすこととされている(所得税法第41条の2)。
2014年11月18日
配偶者名義で支払われた義援金について、確定申告書の提出後に発行された当該義援金に係る受領証等からみて寄付金控除の適用が認められるとした事例
<要旨>
原処分庁は、配偶者名義で支払われた義援金は請求人の寄附金控除の対象とならない旨主張する。
しかしながら、当該義援金の振込票には請求人の妻の氏名が記載されているところ、請求人の妻が当該義援金に係る金員は請求人から受け取った旨申し立てていること、請求人の妻は確定申告をしておらず、当該振込票以外に請求人の妻が義援金を支出したことを推認させる事情はないことに加えて、確定申告書の提出後ではあるものの、当該義援金の受付先である日本赤十字社が、当該義援金に係る受領証を請求人に宛てて発行していることなどからすると、当該義援金は請求人が支出したものと認めるのが相当であるから、寄附金控除の適用が認められる。
★リンクはこちら⇒ 配偶者名義で支払われた義援金について、確定申告書の提出後に発行された当該義援金に係る受領証等からみて寄付金控除の適用が認められるとした事例
2014年5月22日
被相続人の税理士業務は、同人の死亡により所得税法第63条に規定する事業の「廃止」があったとした事例
<要旨>
原処分庁は、被相続人の死亡により、同人の税理士業に係る事業所得の金額の計算上必要経費に算入した未払退職金は、その支払債務が発生、確定しておらず、また、事業税等は、所得税法第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》に規定する事業の「廃止」があったとはいえないから、いずれも必要経費に算入することはできない旨主張し、請求人らは、被相続人の死亡により、未払退職金については、被相続人の税理士事務所の従業者は退職しており、また、事業税等については、被相続人の税理士業は廃業となり同法第63条の規定が適用されることから、いずれも必要経費に算入される旨主張する。
しかしながら、未払退職金については、被相続人の死亡当時、未払退職金発生を根拠付けるような労使慣行が成立していたとはいえず、被相続人の死亡により未払退職金の支払債務が発生、確定していたとはいえないから、必要経費に算入することはできない。また、事業税等については、被相続人の死亡により関与先との間の委任契約が税理士である子に承継されることなく終了していること、被相続人の税理士登録が抹消され、子の税理士名簿に登録された事務所の所在地が被相続人の事務所内であることを表記しないものに変更されたことからすると、子は、被相続人の税理士業務を承継し、被相続人と同一内容の事業を行っていたとは認められず、このような被相続人の死亡後の法律関係及び事実関係を社会通念に照らして判断すれば、被相続人の税理士業は廃業したものと認められ、所得税法第63条の規定が適用されることから、必要経費に算入されることとなる。
★リンクはこちら⇒ 被相続人の税理士業務は、同人の死亡により所得税法第63条に規定する事業の「廃止」があったとした事例
2014年5月21日
譲渡した土地には建物が存するが、建物の使用が主な目的でないこと及び建物が建築されている部分は極めて僅かであること等から、所得税基本通達38-8の2の(1)のハの定めにより使用開始の日を判定することが相当であるとした事例
<要旨>
請求人は、土地を譲渡したことによる分離長期譲渡所得の金額の計算上、当該土地(本件各土地)の上に存する建物(本件各建物)を事業の用等に供したことはないから、所得税基本通達38-8の2《使用開始の日の判定》の(1)のロの定めにより、本件各土地の取得のための借入金(本件借入金)の利子(本件借入金利子)の全額が本件各土地の取得費に該当する旨主張し、他方、原処分庁は、本件各土地には本件各建物が存するものの、本件各土地に占める本件各建物の床面積の割合は僅かであり、所得税基本通達38-8の2の(1)のロ及びハの定めにより判定することに合理性は認められないので、本件各土地の使用開始の日がいつであるかは、資産の種類、性質、形状その他外形的に判断できる利用の結果等客観的な事実に基づき総合的に判断すべきであるところ、本件借入金の借入れの日には既に本件各土地は使用されていたのであるから、本件借入金利子は本件各土地の取得費に該当しない旨主張する。
しかしながら、本件各土地は、放牧、牧草栽培を用途にしている土地であり、本件各建物の使用が主な用途であるとは認められないこと及び本件各土地の地積のうち本件各建物が建築されている部分は極めて僅かであることからすると、本件各土地は、所得税法基本通達38-8の2の(1)のハに定める建物等の施設を要しないものに該当すると認められることから、同ハの定めにより使用開始の日を判定するのが相当である。
2014年5月14日
請求人が必要経費に算入した開業費の償却費、接待交際費及び旅費交通費の各費用は、業務の遂行上必要なものとは認められず、必要経費に算入することはできないとした事例
<要旨>
請求人は、必要経費に算入した開業費の償却費、接待交際費及び旅費交通費の各費用は、業務の遂行上必要なものであるから、必要経費に算入されるべきである旨主張する。
しかしながら、所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する「販売費、一般管理費及びその他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」は、単に業務と関連があるというだけでなく、客観的にみてその費用が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であるところ、請求人が必要経費であると主張する上記各費用は、業務の遂行上必要なものと認められないから、必要経費に算入することはできない。
★リンクはこちら⇒ 請求人が必要経費に算入した開業費の償却費、接待交際費及び旅費交通費の各費用は、業務の遂行上必要なものとは認められず、必要経費に算入することはできないとした事例
2014年4月22日
海外に所在する外国銀行に信用供与目的で預け入れた金銭から生じた利子は、利子所得に該当するとした事例
<要旨>
請求人は、シンガポール共和国に所在する外国銀行に預け入れた金銭(本件Deposits)は、当該銀行から融資を受けるために締結した契約に基づく信用供与目的による担保預金として資金融通したものであり、本件Depositsから生じた利子は、借入れと担保提供とが一体である預金担保付金銭消費貸借契約に基づく取引から生じたもので、実質的には、貸付金の利子に準ずるものであることから、本件Depositsから生じた利子及び借入金の支払利子の差損益は雑所得に当たり、当該差損益の通算の結果、所得金額は生じていないなどと主張する。
しかしながら、預金とは、銀行その他の金融機関が不特定多数の相手方、すなわち預金者に対して返還を約して預託を受けた金銭であり、銀行その他の金融機関を受寄者として消費寄託された金銭としての性質を有するものをいうと解され、また、預金の経済的な意義としては、銀行その他の金融機関が、預託を受けた金銭を一定期間運用して利益を上げる一方、通常、預金者に対しては、一定の割合の利子を支払うものであると解されるところ、本件Depositsは、当該銀行が不特定多数の相手方(預金者)に対して返還を約して預託を受けた金銭であり、当該銀行を受寄者として消費寄託された金銭としての性質を有するものと認められ、所得税法第2条《定義》第1項第10号にいう「預貯金」に当たり、同法第23条《利子所得》第1項にいう「預貯金」に該当するものということができる。
そして、本件Depositsから生じる利子は、本件Depositsの預託を受けた当該銀行が、一定期間これを運用して利益を上げる一方、これを預金者である請求人に支払う金銭と認められることから、同項にいう「預貯金の利子」に当たり、利子所得に該当する。
★リンクはこちら⇒ 海外に所在する外国銀行に信用供与目的で預け入れた金銭から生じた利子は、利子所得に該当するとした事例
2014年4月14日
確定申告を間違えたとき
法定申告期限後に計算違いなど、申告内容の間違いに気が付いた場合は、以下の方法で訂正する必要がある。
(1)納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合
更正の請求という手続ができる場合がある。
この手続は、更正の請求書を税務署長に提出することにより行う。
更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、減額更正(更正の請求をした人にその内容が通知される。)をして税金を還付することになる。
更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内(注)である。
(注)
平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税については、更正の請求の請求期限は法定申告期限から1年である。
なお、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間について、増額更正ができる期間(3年)内に「更正の申出書」の提出があれば、調査によりその内容を検討して、納めすぎの税金があると認められた場合には、減額の更正を行うこととなる。
(2)納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合
この場合には、修正申告により誤った内容を訂正する。
修正申告をする場合には、以下の点に注意すること。
●誤りに気がついたらできるだけ早く修正申告すること
税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかる。
この過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額である。
ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になる。
(注)
1.税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかからない。
2.確定申告が期限後申告の場合は無申告加算税がかかる場合がある。
a.新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となるので、その日に納めること
b.この場合、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要がある
なお、更正の請求書や修正申告書、税金の納付書は税務署に用意されている。
また、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」の「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」では、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、更正の請求書や修正申告書が作成できる。
作成したデータは、電子申告(e‐Tax)や印刷して税務署に郵送等で提出することができる。
2014年3月26日
賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い
<照会要旨>
Aは、賃貸の用に供するためにマンションの1室を購入した。
当該マンションの区分所有者となったAは、その管理規約に従い、管理組合に対し修繕積立金を毎月支払っているが、Aが支払った修繕積立金は不動産所得の計算上、いつの年分の必要経費に算入することができるか。
<回答要旨>
原則として、実際に修繕等が行われその修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になるが、一定の要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えない。
修繕積立金は、マンションの共用部分について行う将来の大規模修繕等の費用の額に充てられるために長期間にわたって計画的に積み立てられるものであり、実際に修繕等が行われていない限りにおいては、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していないことから、原則的には、管理組合への支払期日の属する年分の必要経費には算入されず(所得税基本通達37-2)、実際に修繕等が行われ、その費用の額に充てられた部分の金額について、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費に算入されることになる。
しかしながら、修繕積立金は区分所有者となった時点で、管理組合へ義務的に納付しなければならないものであるとともに、管理規約において、納入した修繕積立金は、管理組合が解散しない限り区分所有者へ返還しないこととしているのが一般的である(マンション標準管理規約)単棟型)(国土交通省)第60条第5項)。
そこで、修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、以下の事実関係の下で行われている場合には、その修繕積立金について、その支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものと考えられる。
- 区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
- 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
- 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
- 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること
したがって、Aの支払った修繕積立金については、原則として実際に修繕等が行われ、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になるが、上記1ないし4のいずれの要件も満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えない。
★リンクはこちら⇒ 賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い
2014年3月24日
平成25年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日
平成25年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日は、以下のとおり。
税目 | 納期限 | 振替日 |
---|---|---|
所得税及び復興特別所得税 | 平成26年3月17日(月) | 平成26年4月22日(火) |
個人事業者の消費税及び地方消費税 | 平成26年3月31日(月) | 平成26年4月24日(木) |
贈与税 | 平成26年3月17日(月) | ー |
2014年3月12日
「平成26年度税制改正(案)のポイント」(平成26年2月発行)
財務省は、「平成26年度税制改正(案)のポイント」を発行した。
このパンフレットは、「平成26年度税制改正の大綱」(平成25年12月24日閣議決定)及び現在、国会において審議が行われている「所得税法等の一部を改正する法律案」、「地方法人税法案」(平成26年2月4日閣議決定)の内容を分かりやすくまとめたものである。
★リンクはこちら⇒ 「平成26年度税制改正(案)のポイント」(平成26年2月発行)
2014年3月11日
数年間にわたり支払を受ける保険金
【照会要旨】
次のような内容の「こども保険」に加入している。このこども保険においては、契約上、被保険者が一定の年齢に達した場合、教育資金または満期保険金が支払われることとされている。
このこども保険における教育資金及び満期保険金に係る所得区分はどのように取り扱われるか。
[こども保険の概要]
- 保険契約者及び保険金受取人:本人
- 被保険者:長男
- 払込期間:被保険者が2歳から15歳までの期間
- 教育資金:被保険者が満16歳、17歳、18歳及び19歳到達時にそれぞれ10万円
- 満期保険金:被保険者が満20歳のときに10万円
【回答要旨】
この教育資金及び満期保険金に係る所得は、いずれも雑所得に該当する。
このこども保険においては、契約に基づき5年間にわたって毎年10万円の教育資金または満期保険金のいずれかが支払われることとされている。
このように、あらかじめ定められた期間に、連年、教育資金または満期保険金という形で定額の給付金の支払が行われていることからすれば、これらの教育資金及び満期保険金については、臨時・偶発的に生ずる所得というよりも継続的に生ずる所得として、いずれも雑所得に該当する。
(注)
教育資金または満期保険金の額から、それぞれに対応する保険料の額を控除した金額が雑所得の金額となる。
2014年3月7日
還付等を受けるための申告書に係る更正の請求についての留意点
「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第114号)」において、国税通則法の改正が行われ、所得税については、平成23年分以後の各年分につき納税者が更正の請求をする場合には、その請求をすることができる期間が5年(改正前:1年)に延長されているところ、還付等を受けるための申告書に係る更正の請求については、下記のとおりとなることに留意すること。
(注)
「還付等を受けるための申告書」とは、所得税法第122条(還付等を受けるための申告)の規定による申告書をいう。
<理由>
国税通則法第70条第1項第1号(国税の更正、決定等の期間制限)において、還付等を受けるための申告書に係る更正については、税務署長は、当該申告書の提出日から5年を経過した日以後においてはすることができないと規定されていることによるもの。
<還付等を受けるための申告書に係る更正の請求についての留意点>
還付等を受けるための申告書に係る更正については、税務署長は、当該申告書の提出日から5年を経過した日以後においてはすることができないこととされていることから(通法701)、納税者の更正の請求については、その更正をすることができなくなる日までにする必要がある。
(注)
国税通則法第70条第1項の規定により税務署長が更正をすることができないこととなる日前6月以内にされた納税者の更正の請求に係る税務署長の更正は、当該更正の請求があった日から6月を経過する日まですることができることとされている(通法703)。
<設例>
納税者が平成23年分の所得税に係る還付等を受けるための申告書を平成24年2月21日に提出した場合には、当該申告書に係る更正については、税務署長は、平成29年2月22日以後においてはすることができない。
したがって、納税者の更正の請求については、平成29年2月21日までにする必要ある。
★リンクはこちら⇒ 還付等を受けるための申告書に係る更正の請求についての留意点(情報)
2014年2月25日
復興特別所得税の記載漏れにご注意を!
平成25年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告について、復興特別所得税の記載漏れによる申告誤りが数多く見受けられるようである。
よって、確定申告書の作成に当たっては、復興特別所得税の記載漏れのないようご注意を!
また、「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動的に計算され、計算誤りのない申告書を作成することができるので、是非ご利用を!
★リンクはこちら⇒ 復興特別所得税の記載漏れにご注意ください(個人の納税者の方へ)
2014年2月21日
寄附金控除を受ける方
国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『寄附金控除を受ける方』を作成し、「ふるさと納税」をした方が、「確定申告書等作成コーナー」で寄附金控除の申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。
★リンクはこちら⇒ 寄附金控除を受ける方
2014年2月18日
平成26年2月23日及び3月2日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署
税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁しているが、平成25年分確定申告期間中は、平日(月~金曜日)以外でも、一部の税務署では、2月23日と3月2日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行う。
閉庁日対応を行う税務署等については、香川県の場合、高松税務署である。
★リンクはこちら⇒ 平成26年2月23日及び3月2日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署について
2014年2月17日
不動産収入がある方の確定申告
国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『不動産収入がある方の確定申告』を作成し、不動産収入のある方が、「確定申告書等作成コーナー」で収支内訳書や申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。
★リンクはこちら⇒ 不動産収入がある方の確定申告
2014年2月14日
年金収入がある方の確定申告
国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『年金収入がある方の確定申告』を作成し、年金収入のある方が、「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。
また、年金所得者の「確定申告不要制度」についても説明している。
★リンクはこちら⇒ 年金収入がある方の確定申告
2014年2月13日
定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成25年分の適正な利率
国土交通省(土地・建設産業局参事官(土地市場担当))から関係団体に対し下記のとおり周知が図られているので、連絡する。
定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成25年分の適正な利率については、以下に掲げる区分に応じ、それぞれ以下に掲げるとおりとなる。
- 当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合または当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合
両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.7%としても差し支えない。 - 上記1の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき
利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成25年分については、0.7%となる。
(注)平成25年中の10年長期国債の平均利率は、0.72%である。
2014年2月12日
医療費控除を受ける方
国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『医療費控除を受ける方』を作成し、医療費控除を受ける方が、「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。
★リンクはこちら⇒ 医療費控除を受ける方
2014年2月10日
確定申告書等作成コーナーの利用方法
国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『確定申告書等作成コーナーの利用方法』を作成し、個人で事業を行なっている方を例に確定申告書等作成コーナーの利用方法について紹介している。
★リンクはこちら⇒ 確定申告書等作成コーナーの利用方法
2014年2月6日
e-Tax(電子申告)で申告するための事前準備
国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『e-Tax(電子申告)で申告するための事前準備』を作成し、e-Taxの概要及び確定申告書等作成コーナーからe-Taxで申告を行う際の事前準備について紹介している。
★リンクはこちら⇒ e-Tax(電子申告)で申告するための事前準備
2014年2月4日
平成25年法定調書の作成と提出
国税庁はインターネット番組(Web-TAX-TV)を配信しているが、今回、平成25年法定調書の作成と提出について紹介している。
★リンクはこちら⇒ 平成25年法定調書の作成と提出
2013年12月10日
平成25年分年末調整のしかた
国税庁はインターネット番組(Web-TAX-TV)を配信しているが、今回、平成25年分の年末調整の手続について紹介している。
★リンクはこちら⇒ 平成25年分年末調整のしかた
2013年12月5日
あなたのインターネット取引、確定申告していますか
国税庁はインターネット番組(Web-TAX-TV)を配信しているが、今回、インターネット取引をした場合の確定申告について、ドラマ仕立てで紹介している。
★リンクはこちら⇒ あなたのインターネット取引、確定申告していますか
2013年11月12日
上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続
国税庁はインターネット番組(Web-TAX-TV)を配信しているが、今回、上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続について紹介している。
また、NISAの概要についても説明している。
★リンクはこちら⇒ 上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続
2013年11月6日
平成25年版給与所得者と年末調整(リーフレット)(平成25年10月)
国税庁は、HPに『平成25年版給与所得者と年末調整(リーフレット)(平成25年10月)』を掲載した。
★リンクはこちら⇒ 平成25年版給与所得者と年末調整(リーフレット)(平成25年10月)
2013年10月17日
国外財産調書
居住者(所得税法第2条第1項第4号に規定する「非永住者」の方を除く。)の方で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記入したこの国外財産調書に国外財産調書合計表を添付し、翌年の3月15日までに所轄税務署長に提出しなければならないこととされている。
この調書は、国税庁のHPに掲載されている。
★リンクはこちら⇒ 国外財産調書(同合計表)
2013年9月17日
「平成25年分所得税の改正のあらまし」の修正
平成25年5月30日に、財務省より、平成25年度税制改正(「バリアフリー改修に係る投資減税」(租税特別措置法第41条の19の3))に関する発表があった。
これを受け、平成25年4月26日から5月30日までの間、国税庁ホームページに掲載していた「平成25年分所得税の改正のあらまし」の4(1)ロの表(8ページ)については、以下のとおり修正することとなった。
<修正前>
居住年 | 改修工事限度額 | 控除率 | 最大控除限度額 |
---|---|---|---|
平成25年1月~平成26年3月 | 150万円 | 10% | 15万円 |
<修正後>
居住年 | 改修工事限度額 | 控除率 | 最大控除限度額 |
---|---|---|---|
平成25年1月~平成26年3月 | 200万円 | 10% | 20万円 |
なお、国税庁ホームページでは、上記の修正を行った「平成25年分所得税の改正のあらまし」をPDFファイルで提供している。
2013年6月12日
期限内に納付しなかった場合は
期限内に納付できなかった場合や、振替口座の残高不足等で振替できなかった場合には、法定納期限の翌日から納付の日まで延滞税がかかる。
この場合、金融機関(日本銀行歳入代理店)または所轄の税務署の納税窓口で本税と延滞税を併せて納付することになる。
なお、納付書は、税務署または所轄の税務署管内の金融機関に用意している。
また、金融機関に納付書がない場合には、所轄の税務署にご連絡を。
ちなみに、平成25年中における延滞税の割合は、次のとおり。
- 納期限の翌日から2か月を経過する日までは、年4.3%の割合
- 納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以後については、年14.6%の割合
具体的な延滞税の計算は、上記のの期間ごとに以下の表により計算する。
なお、国税庁ホームページにおいて、簡単に計算することができる。
2013年2月25日
雑所得
雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。
例えば、以下に掲げるようなものに係る所得が該当する。
- 公的年金等
- 非営業用貸金の利子
- 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税
一時所得
一時所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得のいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいう。
例えば、以下に掲げるようなものに係る所得が該当する。
- 懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金
- 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
- 法人から贈与された金品
2013年2月21日
定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成24年分の適正な利率
定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の所得税の課税に係る平成24年分の適正な利率については、以下に掲げる区分に応じ、それぞれ以下に掲げるとおりとなる。
- 当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合または当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合
両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.8%としても差し支えない。 - 上記1.の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき
利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成24年分については、0.8%となる。
(注)平成24年中の10年長期国債の平均利率は、0.86%である。
譲渡所得
譲渡所得とは、土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のものをいう。
ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得とならない。
2013年2月19日
山林所得
山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいう。
ただし、山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得または雑所得になる。
2013年2月18日
退職所得
退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当や加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得をいう。
2013年2月15日
給与所得
給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいう。
2013年2月13日
事業所得
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得をいう。
ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になる。
2013年2月12日
不動産所得
不動産所得とは、土地や建物などの不動産、不動産の上に存する権利、船舶または航空機の貸付け(地上権または永小作権の設定その他、他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2013年2月8日
配当所得
配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいう。
2013年2月7日
利子所得
利子所得とは、預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいう。
2013年2月6日
所得の種類
所得税法では、その性格によって所得を以下の10種類に区分している。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
2013年2月5日
所得税のしくみ
所得税のしくみは以下のようになっている。
- 「収入金額」から「収入から差し引かれる金額」を差し引いて「所得金額」を求める。
- 「所得金額」から「所得から差し引かれる金額」を差し引いて「課税される所得金額」を求める。
- 「課税される所得金額」に税率を乗じて「所得税額」を求める。
- 「所得税額」から「税金から差し引かれる金額」を差し引いた金額が「申告納税額」となる。
2013年2月4日
どのような場合に所得税の確定申告が必要か…
所得税の確定申告が必要な人は、たとえば、以下のような人である。
- 給与収入が 2,000 万円を超える人
- 給与を1か所から受けていて、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人
- 給与を2か所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える人
- 各種の所得金額が所得控除の合計額を超え、その超えた額に対する税額が配当控除額を超える人
- 公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと残額がある人
※ 公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、所得税の確定申告は必要ない。ただし、住民税の申告は必要である。
など
2013年1月28日
平成24年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日
平成24年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日は、以下のとおり。
種類 | 納期限 | 振替日 |
---|---|---|
所得税 | 平成25年3月15日(金) | 平成25年4月22日(月) |
個人事業者の消費税及び地方消費税 | 平成25年4月1日(月) | 平成25年4月24日(水) |
贈与税 | 平成25年3月15日(金) | ― |
2013年1月18日
平成24年分確定申告の相談・申告書の受付期間
平成24年分確定申告の相談・申告書の受付期間は、以下のとおり。
所得税 | 平成25年2月18日(月)~平成25年3月15日(金) |
個人事業者の消費税及び地方消費税 | 平成25年1月4日(金)~平成25年4月1日(月) |
贈与税 | 平成25年2月1日(金)~平成25年3月15日(金) |
2013年1月17日
平成24年分の所得税から適用される主な改正事項
- 生命保険料控除が次のとおり改正された。
①生命保険料控除の対象となる保険料に、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく介護医療保険料(最高4万円の控除額)が追加された。
②平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料に係る控除額(各最高4万円の控除額)及び平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく旧生命保険料、旧個人年金保険料に係る控除(各最高5万円の控除額)の合計額が最高12万円(改正前:最高10万円)とされた。 - 住宅借入金等特別控除について、認定低炭素住宅(住宅の用に供する都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する低炭素建築物に該当する家屋で一定のものをいう。以下同じ。)の新築または建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得をして居住の用に供した場合における特例が追加された。
※この改正は、都市の低炭素化の促進に関する法律の施行の日以後に認定低炭素住宅を居住の用に供した場合に適用される。 - 認定長期優良住宅新築等特別税額控除について、税額控除限度額が最高50万円(改正前:最高100万円)に引き下げられた上、その適用期限が平成25年12月31日まで2年延長された。
- 医療費控除の対象範囲に、平成24年4月1日以後に支払った介護福祉士による喀痰(かくたん)吸引等及び認定特定行為業務事業者(一定の研修を受けた介護職員等)による特定行為に係る費用の自己負担分が追加された。
- 寄附金控除及び認定NPO法人等寄附金特別控除について、都道府県知事または指定都市の長が行う新たな認定制度による認定を受けたNPO法人または仮認定を受けたNPO法人にその認定または仮認定の有効期間内に支出した寄附金がこれらの特例の対象となることとされた。
- 小規模企業共済等掛金控除の対象となる掛金に、確定拠出年金法の企業型年金加入者掛金が追加された。
- 「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」及び「特定住居用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」について、その適用期限が平成25年12月31日まで延長された。
2013年1月8日
確定申告時期の税務署の開庁日
税務署は通常、土曜日、日曜日及び祝日等は業務を行っていない。
ただし、一部の税務署では平成24年分の確定申告期間中、2013年2月24日と3月3日に限り、日曜日も確定申告の相談・申告書の受付を行う。
四国だと、徳島税務署、高松税務署、松山税務署、高知税務署である。
税務署の閉庁日における確定申告の相談等の実施について
税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、税務署では相談や申告書の受付は行っていないが、申告書は、税務署の時間外収受箱へ投函することにより提出できる。
さらに、以下の方法によることもできる。
- 郵便または信書便による送付(通信日付印により表示された日が提出日になる。)
- e-Tax(電子申告)による申告(事前に利用開始のための手続等が必要である。)
時間外収受箱への投函または郵便・信書便により申告書を提出する場合で、収受日付印のある確定申告書の控えが必要なときは、複写により作成した(複写式でないものについては、ボールペン等で記載した)申告書の控えのほか返信用封筒(あて名を記入の上、所要額の切手を貼っておく必要がある。)を同封すれば、税務署から収受日付印を押印した申告書の控えが返送される。
(注)申告書の控えへの収受日付印の押印は、収受の事実を確認するものであり、内容を証明するものではない(窓口も同様)。
2013年1月7日
認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例の概要等
1.改正の概要
都市の低炭素化の促進に関する法律の制定に伴い、居住者が、認定低炭素住宅の新築等をして、同法の施行の日(平成24年12月4日)から平成25年12月31日までの間に、その家屋をその者の居住の用に供した場合(その認定低炭素住宅の新築等の日から6か月以内にその者の居住の用に供した場合に限る。)において、その者がその認定低炭素住宅の新築等に係る一定の借入金または債務(以下「住宅借入金等」という。)の金額を有するときは、租税特別措置法第41条第1項の規定による住宅借入金等特別控除との選択により、同条第5項の規定による住宅借入金等特別控除の特例(以下「本特例」という。)を適用することができることとされた。
2.認定低炭素住宅の要件
都市の低炭素化の促進に関する法律第2条第3項に規定する低炭素建築物に該当するものであることにつき財務省令で定めるところ(下記3.参照。)により証明がされたものであることが必要とされている。
3.添付書類
認定低炭素住宅について本特例の適用を初めて受ける年分においては、租税特別措置法第41条第1項の規定による住宅借入金等特別控除の適用を受けるために必要な書類に加え、以下の書類を添付する必要がある。
- 認定低炭素住宅の新築等に係る低炭素建築物新築等計画認定通知書(低炭素建築物新築等計画の変更の認定を受けた場合は、低炭素建築物新築等計画変更認定通知書)の写し
※低炭素建築物新築等計画認定通知書については、都市の低炭素化の促進に関する法律施行規則(平成24年国土交通省令第86号)第43条第2項において、低炭素建築物新築等計画変更認定通知書については、同省令第46条において、それぞれ定められている。 - 住宅用家屋証明書もしくはその写しまたは認定低炭素住宅建築証明書
※住宅用家屋証明書については、国土交通省通知で示されている様式例に基づき、各市町村(特別区の区を含む。)において定めることとされている。
※認定低炭素住宅建築証明書については、平成24年国土交通省告示第1383号において定められている。
なお、認定低炭素住宅について本特例の適用を受ける2年目以後の年分における必要書類は、租税特別措置法第41条第1項の規定による住宅借入金等特別控除の適用を受けるために必要な書類と同じである。
4.適用関係
本特例は、都市の低炭素化の促進に関する法律の施行の日(平成24年12月4日)から施行され、同日以後に認定住宅の新築等をして居住の用に供した場合に適用される。
※低炭素建築物新築等計画の認定は計画段階で受けることとされているため、実質的には、平成24年分の所得税について、認定低炭素住宅に係る本特例の適用例はほぼ想定されないものと考えられる。
2012年12月25日
確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A
確定申告の時期には、全国で2,000万人を超える納税者のが確定申告をされるため、税務署は大変混雑する。また、税務署への電話がなかなかつながらない。
そこで、この時期に問い合わせの多いご質問とそれについての一般的な回答及び誤りの多い事例を掲載しているので、確定申告の際の参考とすること。
確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A
ここで掲載されていない内容は、税に関する身近な質問を集めた「タックスアンサー(よくある税の質問)」を閲覧のこと。
タックスアンサー(所得税)
2012年12月18日
平成24年分確定申告特集ページ(準備編)
国税庁が、平成24年分確定申告特集ページ(準備編)を開設した。
平成24年分確定申告特集ページ(準備編)
動画(You Tube)などが、掲載されている。
使ってください!確定申告書等作成コーナー
2012年12月7日
東京電力㈱から支払を受ける事業所得等の収入金額になる賠償金の所得税法上の取扱い等
支払を受ける賠償金のうち、必要経費を補てんするためのものや営業損害のうち減収分(逸失利益)に対するもの、就労不能損害のうち給与等の減収分に対するものなどは、事業所得等の収入金額になる。
1.以下の損害に対して支払を受ける賠償金(必要経費を補てんするためのものに該当)
- 営業損害のうち、追加的費用に係るもの
- 検査費用(物)のうち、業務用資産及び棚卸資産に係るもの
これらの賠償金は、必要経費を補てんするためのものに該当し、事業所得等の収入金額になる。
ただし、これらの賠償金は、事業所得等の収入金額になった上で、追加的費用等を必要経費として収入金額から差し引くことから、実質的に課税は生じないこととなる。
2.以下の損害に対して支払を受ける賠償金
- 営業損害のうち、減収分(逸失利益)に対して支払を受ける賠償金
- 財物価値の喪失または減少等のうち、棚卸資産に対するもの
避難指示等により業務に従事することができなかったことやいわゆる風評被害などによる減収分、または出荷制限指示による棚卸資産等の損失などに対して支払を受ける賠償金は、事業所得等の収入金額になる。
これらの賠償金は、事業所得等の収入金額になった上で、減価償却費などの必要経費を控除した残額(所得)が課税の対象になる。
※1
これらの賠償金は、一般的には、賠償金の支払に関する東京電力㈱との合意等が成立した日の年分の事業所得等に係る収入金額として申告し、納税することになるが、従来の請求方式により一定の期間の経過ごとに請求・支払が行われる場合には、継続して、その賠償対象期間に応じそれぞれの年分の事業所得等に係る収入金額とし、これに基づいて申告することとしても、差し支えない。
※2
包括請求方式により一括で支払を受ける複数年分の営業損害(逸失利益)に対する賠償金については、一定の事実が生じた場合には精算することが予定されているため、その対象期間中の時の経過に応じ、対象期間中の各年分の収入として事業所得等の収入金額に算入する(中小法人が支払を受ける場合の収益計上時期についても同じ。)。
3.就労不能損害のうち、給与等の減収分に対して支払を受ける賠償金
就労不能損害のうち、給与等の減収分(逸失利益)に対して支払を受ける賠償金は、雇用主以外の者から支払を受けるものであることから、一時所得の収入金額になる。
なお、転居費用及び通勤費増加額に対して支払を受ける賠償金は、勤務場所の変更や転職などにより支出した費用の実費弁済として支払を受けるものなので、課税の対象にはならない。
<一時所得の計算方法>
{(収入金額 - 収入を得るために支出した金額)- 特別控除額(50万円(注))} × 1/2
(注)
特別控除額については、収入金額から収入を得るために支出した金額を控除した残額が50万円に満たない場合は、その残額になる。
※1
この賠償金は、賠償金の支払に関する東京電力㈱との合意等が成立した日の年分の一時所得の収入金額になる。また、年末調整により所得税が精算されるため確定申告が必要でなかった給与所得者の方であっても、確定申告と納税が必要になる場合がある。
※2
包括請求方式により一括で支払を受ける複数年分の就労不能損害に対する賠償金については、一定の事実が生じた場合には精算することが予定されているため、その対象期間中の時の経過に応じ、対象期間中の各年分の収入として一時所得の収入金額に算入する。
2012年12月6日
東京電力㈱から支払を受ける心身の損害または資産の損害に対する賠償金賠償金の所得税法上の取扱い等
東京電力㈱から、原子力発電所の事故により被害を受けた個人が支払を受ける心身の損害または資産の損害に対する賠償金賠償金の所得税法上の取扱い等について、国税庁に対し事前照会があり、これに対して文書で回答しており、その概要は以下のとおり。
1.非課税になるもの
以下の損害に対して支払を受ける賠償金である。
- 避難生活等による精神的損害
- 生命・身体的損害
- 検査費用(人)
- 放射線被曝
- 避難・帰宅費用
- 一時立入費用
- 検査費用(物)のうち、家事用資産に係るもの
- 財物価値の喪失または減少等(※1)
支払を受ける賠償金のうち、心身に加えられた損害に対して支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金や、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害に対して支払を受ける損害賠償金は非課税になる。
なお、心身の損害に基因して勤務または業務に従事することができなかったことによる給与または収益の補償として受けるものを含む。
※1
事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入される業務用資産の損失額は、賠償金の額を控除したものとなる。また、棚卸資産に対する賠償金は、事業所得の収入金額となる。
※2
非課税となるものについては、確定申告等の手続をする必要はない。また、確定申告をする際にも、申告する所得に含める必要はない。
2012年12月5日
平成23年分民間給与実態統計調査
国税庁が、平成23年分民間給与実態統計調査を公表した。
平成23年分の調査結果からみた主要な点は、以下のとおりである。
- 平成23年12月31日現在の給与所得者数は、5,427万人(対前年比0.2%増、12万人の増加)となっている。
また、平成23年中に民間の事業所が支払った給与の総額は195兆7,997億円(同0.7%増、1兆4,274億円の増加)で、源泉徴収された所得税額は8兆780億円(同7.7%減、5,771億円の増加)となっている。
なお、給与総額に占める税額の割合は4.13%となっている。 - 1年を通じて勤務した給与所得者については、以下のとおりとなっている。
- 給与所得者数は、4, 566万人(対前年比0.3%増、14万人の増加)で、その平均給与は409万円(同0.7%減、30千円の減少)となっている。
これを男女別にみると、給与所得者数は男性2,731万人(同0.1%増、2万人の増加)、女性1,835万人(同0.6%増、12万人の増加)で、その平均給与は男性504万円(同0.7%減、36千円の減少)、女性268万円(同0.5%減、14千円の減少)となっている。 - 給与所得者の給与階級別分布をみると、男性では年間給与額300万円超400万円以下の者が544万人(構成比19.9%)、女性では100万円超200万円以下の者が479万人(同26.1%)と最も多くなっている。
- 給与所得者のうち、3,853万人が源泉徴収により所得税を納税しており、その割合は84.4%となっている。また、その税額は7兆5,529億円(対前年比4.2%増、3,056億円の増加)となっている。
- 給与所得者のうち、年末調整を行った者は 4,203万人(対前年比0.9%減、37万人の減少)となっている。このうち、配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた者は1,406万人(同15.0%減、247万人の減少)で、扶養人員のある者1人当たりの平均扶養人員は1.49人となっている。
2012年11月20日
旧減価償却資産の平成24年4月1日以後の資本的支出
平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得した減価償却資産で定率法を採用しているもの(以下「旧減価償却資産」という。)について、平成24年4月1日以後に資本的支出を行った場合、旧減価償却資産については250%定率法により、資本的支出部分については200%定率法によりそれぞれ別に減価償却費の計算を行う。
旧減価償却資産に資本的支出を行った場合には、原則として、その支出金額を取得価額として、その旧減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産(以下「追加償却資産」という。)を新たに取得したものとすることとされている。
平成23年12月の税制改正により、平成24年4月1日以後に取得した減価償却資産の定率法の償却率は、従来の定額法の償却率を2.5倍した償却率(以下、この償却率による償却方法を「250%定率法」という。)から、定額法の償却率を2倍した償却率(以下、この償却率による償却方法を「200%定率法」という。)に引き下げられた。
そのため、平成24年3月31日以前に取得し、250%定率法を採用している旧減価償却資産について平成24年4月1日以後に資本的支出を行った場合には、その資本的支出により新たに取得したものとされる追加償却資産については、200%定率法により償却費の計算を行うこととなる。
なお、この場合、旧減価償却資産と追加償却資産について、それぞれ適用する償却率が異なるので、資本的支出を行った年の翌年1月1日において、旧減価償却資産と追加償却資産の取得価額等を合算する特例(所得税法施行令第127条第4項)の適用はない。
(注1)
平成19年3月31日以前に取得した旧減価償却資産に対して資本的支出を行った場合には、その資本的支出の金額をその旧減価償却資産の取得価額に加算することができる。
したがって、平成24年4月1日以後に行った資本的支出について旧定率法により償却費の計算を行うことができる。
(注2)
平成24年4月1日から同年12月31日までの間に取得した減価償却資産については、その減価償却資産を平成24年3月31日以前に取得したものとみなして、250%定率法により償却費の計算を行うことができる経過措置が設けられている。
平成24年4月1日から同年12月31日までの間に行われた資本的支出について、この経過措置の適用を受ける場合、その資本的支出により新たに取得したものとされる追加償却資産の償却費の計算は、250%定率法により行うこととなる。
また、この場合、旧減価償却資産と追加償却資産に適用する償却率は同一となるので、資本的支出を行った年の翌年1月1日において、それぞれの資産の取得価額等を合算する特例が認められる。
2012年11月16日
平成24年確定申告分(申告所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日
平成24年確定申告分(申告所得税、消費税及び地方消費税)の納期限(法定納期限)及び振替日は以下のとおり。
2012年11月7日
パート収入はいくらまでなら所得税がかからないか…
よく103万円以内になるように働いているという話しを耳にする。
配偶者の収入がパート収入だけの場合、所得税に関して以下の3つのことが問題になる。
1.配偶者本人の所得税の問題
パートにより得る収入は、通常給与所得となる。給与所得の金額は、年収から給与所得控除額を差し引いた残額である。
給与所得控除額は最低65万円だから、パートの収入金額が103万円以下(65万円+所得税の基礎控除額38万円)で、他に所得がなければ所得税はかからない。
2.配偶者控除の問題
配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば、納税者本人は、所得税の配偶者控除を受けることができる。
つまり、配偶者の収入がパート収入だけの場合、その収入が103万円以下であれば給与所得控除額の65万円を差し引くと所得金額は38万円以下となり、配偶者控除が受けられる。
3.配偶者特別控除の問題
所得税の配偶者特別控除が受けられる要件は、以下の2つである。
(1)納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下(給与収入だけの場合には、おおむね年収1,230万円以下)であること
(2)配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満であること
このことから、(1)の要件に該当する場合には、配偶者のパート収入が103万円超(38万円+給与所得控除額65万円)141万円未満(76万円+給与所得控除額65万円)で、他に所得がなければ、配偶者特別控除を受けることができる。
配偶者特別控除の額は、配偶者の所得金額により異なり、配偶者の所得が増えるにしたがい38万円から段階的に少なくなっていく。
2012年11月1日
配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるのか…
配偶者に所得があっても、配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であれば配偶者控除が受けられる。
1.配偶者の所得が給与所得だけの場合
その年の給与収入が103万円以下であれば、給与所得控除額65万円を差し引くと、合計所得金額が38万円以下となり、配偶者控除が受けられる。
2.配偶者に給与所得以外の所得がある場合
給与所得以外に、不動産所得、一時所得、譲渡所得などがある場合でも年間の合計所得金額が38万円以下であれば、配偶者控除が受けられる。
(注)
以下のものは配偶者控除が受けられるかどうかを判定するときの合計所得金額から除かれる。
- 上場株式等の配当や少額配当などで確定申告をしないことを選択したもの
- 特定口座の源泉徴収選択口座内の株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
- 源泉分離課税とされる預貯金や公社債の利子など
- 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
- 源泉分離課税とされる一定の割引債の償還差益
- 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)
3.その他
配偶者控除とは別に配偶者特別控除がある。配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合で、かつ、配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満の場合に、配偶者の所得金額に応じて認められるものである。
2012年10月29日
歯の治療費は医療費控除の対象となるか…
1.医療費控除の概要
自己や自己と生計を一にする配偶者やその他親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。これを医療費控除という。
2.歯の治療に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断
- 歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などがあり治療代がかなり高額になることがある。このような場合、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象にならない。現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえるから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になる。
- 発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になる。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象にならない。
- 治療のための通院費も医療費控除の対象になる。小さいお子さんの通院に付添が必要なときなどは、付添人の交通費も通院費に含まれる。通院費は、診察券などで通院した日を確認できるようにしておくとともに金額も記録しておく。通院費として認められるのは、交通機関などを利用したときの人的役務の提供の対価だから、自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代等といったものは、医療費控除の対象にならない。
3.歯の治療費を歯科ローンやクレジットにより支払う場合
歯科ローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立替払をして、その立替分を患者が分割で信販会社に返済していくものである。したがって、信販会社が立替払をした金額は、その患者のその立替払をした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になる。なお、歯科ローンを利用した場合には、患者の手もとに歯科医の領収書がないことが考えられるが、この場合には、医療費控除を受けるときの添付書類として、歯科ローンの契約書の写しや信販会社の領収書を用意する。
(注)金利及び手数料相当分は医療費控除の対象にならない。
4.医療費控除を受ける場合の注意事項
- 治療中に年が変わるときは、それぞれの年に支払った医療費の額が、各年分の医療費控除の対象となる。
- 健康保険組合などから補てんされる金額がある場合には、その補てんの対象とされる医療費から差し引く必要がある。
2012年10月22日
出産費用は医療費控除の対象となるか…
1.医療費控除の概要
自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。これを医療費控除という。
2.出産に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断
- 妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院費用は医療費控除の対象になる。
(注)通院費用については領収書のないものが多いが、家計簿などに記録するなどして実際にかかった費用について明確に説明できるようにしておくこと。 - 出産で入院するときにタクシーを利用した場合、そのタクシー代は医療費控除の対象となる。それは、入院が出産という緊急時のため、通常の交通手段によることが困難だからである。
(注)実家で出産するために実家に帰省する交通費は医療費控除の対象にはならない。 - 入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用は医療費控除の対象にならない。
- 入院中は病院で支給される食事を摂ることになる。これは、入院代に含まれるので医療費控除の対象になる。しかし、他から出前を取ったり外食したりしたものは、控除の対象にはならない。
3.医療費を補てんする金額
健康保険組合や共済組合などから出産育児一時金や家族出産育児一時金または、出産費や配偶者出産費などが支給されるので、その金額は医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければならない。
2012年10月19日
平成23年分民間給与実態統計調査結果
国税庁が、平成23年分民間給与実態統計調査結果を公表した。
平成23年分の調査結果からみた主な点は、以下のとおり。
- 平成23年12月31日現在の給与所得者数は、5,427万人(対前年比0.2%増、12 万人の増加)となっている。また、平成23年中に民間の事業所が支払った給与の総額は195兆7,997 億円(同0.7%増、1兆4,274 億円の増加)で、源泉徴収された所得税額は8兆780 億円(同7.7%増、5,771 億円の増加)となっている。
なお、給与総額に占める税額の割合は4.13%となっている。 - 1年を通じて勤務した給与所得者については、以下のとおり。
- 給与所得者数は、4, 566 万人(対前年比0.3%増、14 万人の増加)で、その平均給与は409 万円(同0.7%減、30 千円の減少)となっている。
これを男女別にみると、給与所得者数は男性2,731 万人(同0.1%増、2万人の増加)、女性1,835 万人(同0.6%増、12 万人の増加)で、その平均給与は男性504 万円(同0.7%減、36 千円の減少)、女性268 万円(同0.5%減、14 千円の減少)となっている。 - 給与所得者の給与階級別分布をみると、男性では年間給与額300 万円超400 万円以下の者が544 万人(構成比19.9%)、女性では100 万円超200 万円以下の者が479 万人(同26.1%)と最も多くなっている。
- 給与所得者のうち、3,853 万人が源泉徴収により所得税を納税しており、その割合は84.4%となっている。また、その税額は7兆5,529 億円(対前年比4.2%増、3,056億円の増加)となっている。
- 給与所得者のうち、年末調整を行った者は 4,203 万人(対前年比0.9%減、37 万人の減少)となっている。このうち、配偶者控除または扶養控除の適用を受けた者は1,406万人(同15.0%減、247 万人の減少)で、扶養人員のある者1人当たりの平均扶養人員は1.49 人となっている。
2012年9月28日
特定役員退職手当等
特定役員とは、役員等勤続年数が5年以下である人をいう。
ここで、役員等とは、以下に掲げる人をいう。
- 法人税法第2条第15号に規定する役員
- 国会議員及び地方公共団体の議会の議員
- 国家公務員及び地方公務員
この特定役員の退職手当等について、平成25年度から以下の改正が行われる。
- 改正前の制度(平成24年以前)
退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされていた。 - 改正後の制度(平成25年以後)
平成24年度の税制改正により、特定役員退職手当等については、この残額の2分の1とする措置が廃止され、特定役員退職手当等の退職所得の金額は、特定役員退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とされた。
2012年9月12日
「所得税基本通達の制定について」の一部改正
昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)のうち、以下のリンクの「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。
(趣旨)
任意組合等の組合員の組合事業に係る所得の計算方法について簡便化を図ることを趣旨とする所得税基本通達36・37共-20(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の額の計算等)について、東京高等裁判所の判決(平成23年8月4日付)があったことを受け、本件通達の趣旨が明確になるよう改正をするものである。
「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
2012年8月31日
オリンピックの賞金
現在、ロンドンオリンピックが開催されているが、日本人がオリンピックでメダルをとった場合、メダルの色に応じて財団法人日本オリンピック委員会(以下、JOCという。)からオリンピック特別賞としていわゆる報奨金が支払われる(金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円)が、所得税はかからない。
一般的に、賞金などは所得税法上「一時所得」に分類され、課税対象となるが、JOCから贈られる報奨金に関して、以前は、租税特別措置法第41条の8第1項において「オリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会から交付される金品で財務大臣が指定するものについては、所得税を課さない。」ことが明記されていたが、現在では、所得税法第9条第14号に規定されている。
租税特別法の規定は平成6年に設けられが、これは平成4年に開催されたバルセロナオリンピックにおいて金メダルを獲得した当時中学2年生だった岩崎恭子選手に対し支払われたJOCの報奨金が、一時所得に当たるとして課税され、世間の批判を受けたことがきっかけともいわれている。
2012年8月8日
「『個人課税事務提要(様式編)』の制定について」の一部改正
平成12年11月15日付課所6-51ほか9課共同「『個人課税事務提要(様式編)』の制定について」(法令解釈通達)の別冊について、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる様式を「改正後」欄に掲げる様式に改正されたので、これによることになる。
リンクは、以下のとおり。
「『個人課税事務提要(様式編)』の制定について」の一部改正
2012年7月19日
寡婦
寡婦とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、以下のいずれかに当てはまる人である。
- 夫と死別し、もしくは離婚した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人または生計を一にする子がいる人である。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られる。
- 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人である。この場合は、扶養親族などのは要件はない。
(注)
「合計所得金額」とは、純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいう。
<特定の寡婦>
寡婦に該当する方が以下の要件のすべてを満たすときは、特定の寡婦に該当し、寡婦控除の額を27万円に8万円を加算した35万円とする特例がある。
- 夫と死別しまたは離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
- 扶養親族である子がいる人
- 合計所得金額が500万円以下であること
2012年7月4日
食事代の支給
役員や従業員に支給する食事は、以下の2つの要件とも満たしていれば、給与として課税されない。
- 役員や従業員が食事の価額の半分以上を負担していること。
- 以下の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。
((食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額))
この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税される。
具体例
1か月当たりの食事の価額が5,000円で、役員や従業員の負担している金額が2,000円の場合
この場合には、(1)の条件を満たしていない。
したがって、食事の価額の5,000円と役員や従業員の負担している金額の2,000円との差額の3,000円が、給与として課税される。
なお、ここでいう食事の価額は、以下の金額になる。
- 仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額
- 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額
また、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税される。
なお、残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっている。
2012年6月27日
平成23年分の所得税の振替納税日
平成23年分の申告所得税の振替納税日は、平成24年4月20日(金曜日)である。
よって、振替口座に残高があることの確認が必要である。
2012年4月13日
確定申告で、納める税金が少な過ぎたり還付される税金が多過ぎたりしたケース
確定申告で、納める税金が少な過ぎたり還付される税金が多過ぎたりしたケースにおいて、誤った内容を訂正するために修正申告をする必要がある。留意点は以下のとおり。
- 誤りに気がついたらできるだけ早く修正申告する。
税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかる。この過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額である。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になる。
(注1)税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかからない。
(注2)確定申告が期限後申告の場合は無申告加算税がかかる場合がある。
- 新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となるので、その日に納める必要がある。
- この場合、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要がある。
この延滞税は、納める税金の額に対して、法定納期限の翌日から修正申告書を提出した日の翌日以後2か月を経過する日までの期間は年「7.3%」で、それ以後は年「14.6%」の割合で計算する。
ただし、年「7.3%」の割合は、平成12年1月1日以後、年単位で適用し、年「7.3%」と「前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率+4%」のいずれか低い割合となる(平成14年1月1日から平成18年12月31日までは4.1%、平成19年1月1日から平成19年12月31日までは4.4%、平成20年1月1日から平成20年12月31日までは4.7%、平成21年1月1日から平成21年12月31日までは4.5%、平成22年1月1日以後は4.3%となっている。)。
2012年4月11日
確定申告で、納める税金が多過ぎたり還付される税金が少な過ぎたりしたケース
確定申告で、納める税金が多過ぎたり還付される税金が少な過ぎたりしたケースにおいて、更正の請求という手続ができる場合がある。
この手続は、誤りの内容を記載した更正の請求書を税務署長に提出することにより行う。
なお、更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内である。ただし、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税については、更正の請求の請求期限は法定申告期限から1年である。
更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、減額更正(更正の請求をした人にその内容が通知される。)をして税金を還付することになる。
平成23年分以降用の更正の請求書は以下のとおり。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h23kosei.pdf
2012年4月10日
地震保険料控除に関する留意点
『所得税の確定申告書の手引き』を見ても、地震保険料控除の計算は分かりにくいので注意が必要である。
地震保険料と(旧)長期損害保険料とに分けられるが、両方支払っている場合、BとCに記入するのではなく、AとDに記入する必要がある。
BとCに記入するのは、1つの契約で両方支払っているケースである。
地震保険料控除は50,000円まで認められる。50,000円に満たない場合には、(旧)長期損害保険料が残りの枠内で最高15,000円まで認められる(10,000円以下なら全額、10,000円超なら×1/2+5,000円)。
2012年2月24日
多額の寄附金
昨年の東日本大震災などの際に個人で多額の寄附をされた方も多く、本当に尊敬すべき行為である。
税務的な視点からすれば、所得の40%までという限度額はあるものの、寄附金控除の対象となる。
2012年2月21日
特定の政治献金
特定の政治献金のうち政党や政治資金団体に対するものは、以下のいずれか有利な方の選択が可能である(政党等寄附金特別控除額の計算明細書により確認する。)。
- 政党等寄附金特別控除
- 寄附金控除
2012年2月20日
外貨建預貯金を払い出し外貨建MMFに投資した場合の為替差損益
預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合、為替差益を認識する必要がある。
ここで、外貨建取引とは、外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいい、居住者が外貨建取引を行った場合には、当該外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額によりその者の各年分の各種所得の金額を計算するものとされている。
外貨建預金をもって外貨建MMFに投資した場合は、新たな経済的価値(その投資時点における評価額)を持った資産(公社債投資信託の受益権)が外部から流入したことにより、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが所得税法第36条の収入すべき金額として実現したものと考えられるので、当該外貨建MMFの投資金額の円換算額とその投資に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)を所得として認識する必要がある。
2012年2月16日
寄附金控除
寄付金控除とは、納税者が国や地方公共団体・特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合に、所得控除を受けることをいう。
なお、政治活動に関する寄附金・認定NPO法人等に対する寄附金・公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除(政党等寄附金特別控除・認定NPO法人に対する寄附金特別控除・公益社団法人等寄附金特別控除)を選択することができる。
特定寄附金とは、次のいずれかに当てはまるものをいう。
ただし、学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの及び政治資金規正法に違反するものなどは、特定寄附金に該当しない。
- 国、地方公共団体に対する寄附金
- 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人または団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの
イ 広く一般に募集されること
ロ 教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進
に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること - 所得税法別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(上記2つに該当するものを除く。)
なお、所得税法施行令第217条で定めるものとは、次の法人をいう(以下、「特定公益増進法人」という。)。
イ 独立行政法人
ロ 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの
ハ 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興
・共済事業団及び日本赤十字社
ニ 公益社団法人及び公益財団法人
ホ 民法34条の規定により設立された法人のうち一定のもの及び科学技術
の研究などを行う特定法人
(注)旧民法法人の移行登記日の前日までに寄附した場合に限られる。
ヘ 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置もしくは学校及び
専修学校もしくは各種学校の設置を主たる目的とするものまたは私立
学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校もしくは
各種学校の設置を主たる目的とするもの
ト 社会福祉法人
チ 更生保護法人 - 特定公益信託のうち、その目的が教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金銭
- 政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの
- 認定特定非営利法人(いわゆる認定NPO法人)に対する寄附金のうち、一定のもの
- 特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額(1千万円を限度とする。)
- 特定地域雇用等促進法人に対する寄附金のうち、一定のもの(平成25年11月30日までに支出するものに限る。)
寄附金控除額は、次のいずれか低い金額から2千円を控除した金額である。
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額
なお、総所得金額等とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいう。
寄附金控除を受けるためには、寄附金控除に関する事項を記載した確定申告書に領収書などを添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要がある。
2012年2月7日
地震保険料控除
地震保険料控除とは、納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができるというものである。
- 対象となる損害保険契約等
控除の対象となる保険等の契約は、自己もしくは自己と生計を一にする配偶者その他の親族が所有している家屋で常時その居住の用に供するものまたはこれらの者の有する生活用動産を保険や共済の目的とする契約で、かつ、地震、噴火または津波を原因とする火災、損壊等による損害をてん補する保険金等が支払われるものに限られる。
- 長期損害保険契約等に係る損害保険料
平成18年の税制改正で、平成19年分から損害保険料控除が廃止された。
しかし、経過措置として、以下の要件を満たす一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料については、地震保険料控除の対象とすることができる。
1 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間または共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
2 満期返戻金等のあるもので保険期間等が10年以上の契約
3 平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの
- 地震保険料控除の控除額
その年に支払った保険料の金額に応じて、次により計算した金額が控除額となる。(注)区分 年間の支払保険料の合計 控除額 ①地震保険料 5万円以下 支払金額 〃 5万円超 5万円 ②旧長期損害保険料 1万円以下 支払金額 〃 1万円超2万円以下 支払金額÷2+5千円 〃 2万円超 1万5千円 ①②両方がある場合 ①②それぞれで計算した金額の合計額(Max5万円)
一つの損害保険契約等または一つの長期損害保険契約等に基づき、①②両方を支払っている場合には、納税者の選択により①または②のいずれか一方の控除を受けることとなる。
- 適用を受けるための手続
年末調整で控除された場合はその必要はないが、地震保険料控除を受ける場合には、確定申告書に地震保険料控除に関する事項を記載するほか、 支払金額や控除を受けられることを証明する書類を確定申告書に添付するか、または申告の際に提示する必要がある。
2012年2月6日
医療費控除
医療費控除とは、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることをいう。
- 医療費控除の対象となる医療費の要件
- 納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
- その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。
- 医療費控除の対象となる金額
医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)である。
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円
(注1)
保険金などで補てんされる金額の例
生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
(注2)
保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引くので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引かない。
(注3)
10万円については、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額
- 医療費控除の対象となる医療費
その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされている。
- 医師または歯科医師による診療または治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれない。)
- 治療または療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となるが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費とならない。)
- 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設または助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれない。)
- 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれるが、所定の料金以外の心付けなどは除かれる。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費にならない。)
- 助産師による分べんの介助の対価
- 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
- 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの
①医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれない。)
②医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費用
③傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要である。)
(注1)
医療費控除を受けるためには、その支払を証明する領収書等を確定申告書に添付するか提示することが必要である(e-Taxで確定申告書を提出する方は、医療費の領収書等について提出または提示に代えて、その記載内容を入力して送信することができる。この場合、税務署長は原則として確定申告期限から3年間、その入力内容の確認のためにこれらの書類の提出または提示を求めることができ、これに応じない場合には、確定申告書の提出に当たってこれらの書類の提出又は提示したことにはならないものとされる。)。
(注2)
医療費の中には、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや前記①・②の費用に相当するものも含まれる。
(注3)
おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を「おむつ使用証明書」に代えることができる。 - 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
- 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
- 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限る。)のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金
- 控除を受けるための手続
医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に対して提出する。
医療費の支出を証明する書類、例えば、領収書などについては、確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示する。
また、給与所得のある方は、この他に給与所得の源泉徴収票(原本)も添付する。
2012年2月3日
社会保険料控除
社会保険料控除は、納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合または給与から控除される場合などに受けられる所得控除である。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額である。
社会保険料控除の対象となる社会保険料には、主に以下のようなものがある。
- 健康保険、国民年金、厚生年金保険及び船員保険の保険料で被保険者として負担するもの
- 国民健康保険の保険料または国民健康保険税
- 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
- 介護保険法の規定による介護保険料
- 雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
- 国民年金基金の加入員として負担する掛金
- 厚生年金基金の加入員として負担する掛金
- 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、恩給法等の規定による掛金、納付金または納金
- 労働者災害補償保険の特別加入者の規定により負担する保険料
(注1)
平成17年分以降、国民年金の保険料及び国民年金基金の掛金に係る社会保険料控除の適用については、その保険料または掛金の金額を証する書類を確定申告書若しくは年末調整の際に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に添付するか、これらの申告書を提出する際に提示する必要がある。
(注2)
国民健康保険の保険料または国民健康保険税について社会保険料控除を受けようとする場合には、その適用を受けようとする年分の確定申告書に一定の事項を記載した届出書及び相手国の社会保障制度に係る権限のある機関が発行した証明書(以下、「適用証明書」という。)を添付するとともに、保険料の金額を証する書類を添付または確定申告書の提出の際に提示する必要がある。
なお、確定申告書を提出しない者であってもこの適用を受けようとする場合には、適用を受けようとする年の翌年3月15日までに一定の事項を記載した届出書、適用証明書及び保険料の金額を証する書類を所轄税務署長に提出する必要がある。
2012年2月2日
生命保険料控除
納税者が生命保険料や個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。これを生命保険料控除という。
- 対象となる生命保険料
保険金などの受取人のすべてを自己か又は自己の配偶者、その他の親族とする生命保険契約等の保険料や掛金。この場合の生命保険契約等からは、生命保険会社等と契約した保険契約のうち保険期間が5年未満で一定のもの及び外国生命保険会社等と国外で締結したものなどは除く。
- 対象となる個人年金保険料
個人年金保険契約等の保険料や掛金。この個人年金保険契約等とは、生命保険会社等と契約した個人年金保険契約などのうち一定のものをいう。
- 生命保険料控除額の計算
生命保険料と個人年金保険料についてそれぞれ次の表の計算式に当てはめて計算する。この方法で計算した金額の合計額が生命保険料控除額となる。年間の支払保険料の合計 控除額 2万5千円以下 支払金額 2万5千円を超え5万円以下 支払金額÷2+1万2,500円 5万円を超え10万円以下 支払金額÷4+2万5,000円 10万円超 5万円
- 適用を受けるための手続
生命保険料控除を受ける場合には、確定申告書の生命保険料控除の欄に記入するほか、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を確定申告書に添付するかまたは確定申告書を提出する際に提示する。
ただし、生命保険契約等で年間保険料が9千円以下のものと年末調整の際に控除を受けたものは、その必要がない。
2012年2月1日
青色事業専従者給与
青色申告の特典の1つとして、生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがあるが、これらの給与は原則として必要経費にはならないが、一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例が認められている。
なお、青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。
青色事業専従者給与として認められる要件は、次のとおり。
なお、青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいう。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
- その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
- 青色事業専従者に支払われた給与であること。
- 「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。
提出期限は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までである。
この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっている。
- 届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
- 青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。
なお、過大とされる部分は必要経費とはならない。
2012年1月31日
青色申告特別控除
青色申告者に対しては種々の特典があり、その一つに所得金額から最高65万円または10万円を控除するという青色申告特別控除がある。
- 65万円の青色申告特別控除
この65万円控除の要件は、次のようになっている。
(1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
(注1)
現金主義によることを選択している人は、65万円の青色申告特別控除を受けることはできない。
(注2)
不動産所得の金額または事業所得の金額の合計額が65万円より少ない場合には、その合計額が限度になる。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいい、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算する。
(注3)
不動産所得の金額、事業所得の金額から順次控除する。
- 10万円の青色申告特別控除
この控除は、上記1の要件に該当しない青色申告者が受けられる。
(注1)
不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額の合計額が10万円より少ない場合には、その金額が限度になる。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいい、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算する。
(注2)
不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額から順次控除する。
2012年1月30日
所得税の青色申告の承認の申請
その年分以後の各年分の所得税について、青色申告の承認を受けようとする居住者は、その年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新たに業務を開始した場合は、その業務を開始した日から2ヶ月以内)に、申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
よって、1月16日以後に新たに業務を開始した場合を除き、平成24年3月15日まで、つまり、所得税の確定申告の期限までに申請書を提出すれば、平成24年度から青色申告となる。
2012年1月27日
振替納税の振替日
平成23年分については以下のとおりである。
- 申告所得税
平成24年4月20日(金曜日) (法定納期限 平成24年3月15日(木曜日)) - 個人事業者の消費税及び地方消費税
平成24年4月25日(水曜日) (法定納期限 平成24年4月2日(月曜日))
2011年1月13日
e-Taxのメリット
所得税、消費税などは電子申告できるが、以下のようなメリットがある。
- 税務署に持って行ったり、郵送する必要がない。
ただし、電子申告できないものもある。 - 平成23年分の申告で、最高4,000円の税額控除を受けることができる。
本人の電子署名と電子証明書を付して、期限内申告する場合 - 添付書類の提出または提示を省略できる。
源泉徴収票や医療費の領収書など。ただし、法定申告期限から5年間は
税務署から書類の提出または提示を求められることがある。 - 還付金を早く受け取れる。
早期処理される(3週間程度)。
2012年1月12日
税務署の閉庁日における確定申告の相談等の実施
平成23年分確定申告期間中は、平日(月~金曜日)以外でも、一部の税務署では、以下の日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行っている。
- 2月19日
- 2月26日
ちなみに、香川県だと、高松税務署が該当する。
2012年1月11日
e-Tax申告により添付を省略した書面
e-Tax申告により添付を省略した書面については、税務署等から入力内容の確認のために提示又は提出を求められることがある。
国税通則法の一部改正により、国税について増額更正できる期間が、従来の3年間から5年間に延長されたことに伴い、平成23年12月2日以後にe-Taxで申告した際に、添付を省略した書面について税務署等から提示又は提出を求められることがある期間が、従来の3年間から5年間に延長された。
法定申告期限 税務署長等が提示又は提出を求めることができる期間は以下のとおり。
- 平成23年12月2日より前…原則として3年間
- 平成23年12月2日以後 …原則として5年間
なお、対象となる第三者作成書類は以下のとおりであるが、赤字の3つについては平成23年分以後の所得税の確定申告から追加された。
- 給与所得者の特定支出の控除の特例に係る支出の証明書
- 個人の外国税額控除に係る証明書
- 雑損控除の証明書
- 医療費の領収書
- 社会保険料控除の証明書
- 小規模企業共済等掛金控除の証明書
- 生命保険料控除の証明書
- 地震保険料控除の証明書
- 寄附金控除の証明書
- 勤労学生控除の証明書
- 給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
- オープン型の証券投資信託の収益の分配の支払通知書、配当等とみなされる金額の支払通知書、上場株式配当等の支払通知書
- 住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
- バリアフリー改修特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
- 省エネ回収特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
- 特定口座年間取引報告書
- 政党等寄附金特別控除の証明書
- 認定NPO法人寄附金特別控除の証明書
- 公益社団法人等寄附金特別控除の証明書
- 特定震災指定寄附金特別控除の証明書
2011年12月28日
個人の政治献金
所得税の確定申告で所得控除もしくは税額控除しているケースが多いが、そもそも政治献金には上限が定められている。
政党(支部を含む)は2千万円、政治団体(資金管理団体を含む)は1団体につき150万円、総額1千万円である。
なお、5万円超で収支報告書に氏名等が記載される。
2011年12月14日
事業ではない貸付金の貸倒れ
事業ではない貸付金の貸倒れについては、雑所得の範囲内で通算できる。
前年以前に未収利息を所得認識している場合は、なかったものとして更正の請求を行う必要がある(貸倒れが生じた日から2か月以内。)。
2011年12月13日
平成24年度税制改正大綱
2011年12月10日に、平成24年度税制改正大綱が閣議決定された。
小粒な改正であり、当初の平成23年度税制改正大綱に入っていた相続税・贈与税の改正は今回も見送られている。
- 主なものは、ブログを参照。
2011年12月12日
医療費控除の対象
医療費控除の対象となるものは、治療に関するもののみであり、予防に関するものは認められない。
例えば、レーシックやインプラントは認められるが、インフルエンザ予防接種や健康診断の費用は認められない。
ドラッグストア等で買った風邪薬等も認められる。
2011年12月8日
日本ユニセフへの寄附金
所得税法上は寄附金控除の対象となるが、住民税は都道府県や市町村により対象となるところと対象とならないところがあるので、HP等で確認する必要がある。
2011年12月7日
引越しした場合の振替納税
振替納税とは、申告所得税や、個人事業者の消費税の納付が、金融機関の預貯金口座から自動的に引き落としとなるものである。
振替納税を選択していても、引っ越しして所轄税務署が変更になった場合には、再度新所轄税務署に申し込みが必要であることに留意すべきである。
2011年12月1日
雑所得の経費
還付加算金の本税を借入金によって納付している場合には、その借入金のうち還付金に相当する額の支払利子は雑所得の必要経費として控除できる。
ただし、還付のための弁護士費用や税理士費用は経費として認められない。事業に関連しないものに関する弁護士費用なども同様である。
2011年11月30日
四国4県の2010事務年度の所得税の税務調査の調査結果
高松国税局が2011年11月10日に発表した四国4県の2010事務年度(2010年7月~2011年6月)の所得税の税務調査の調査結果の特徴は以下のとおり。
- 申告漏れ件数は、12,366件(前期比4.6%増)。2年連続の増加。
- 申告漏れ金額は、339億円強(前期比10.9%減)。2年ぶりの減少。
- 追徴税額の総額は34億円強(前期比18%減)。
- 金とプラチナの売却益の申告漏れ件数は34件、申告漏れ金額は3億円弱。
- ネット取引の申告漏れ件数は80件、申告漏れ金額は8億円強。
2011年11月11日
所得税法上の行為計算否認規定
法人税法上、
①同族会社等の行為計算否認(法人税法132条)
②組織再編成に係る行為計算否認(法人税法132条の2)
③連結法人に係る行為計算否認(法人税法132条の3)
の3つの行為計算否認規定があるが、所得税法にも、
同族会社等の行為計算否認(所得税法157条)
がある。
同族会社の場合、タイムリーな意思決定でき、カリスマ経営者がいると忠誠心が強く、素早い実行などが可能であるが、所有と経営が分離していないので、経営者一族による会社の私物化など、一般の会社では考えられない異常な取引などが行われやすい現状にあり、租税負担の公平性を著しく害する脱税行為や租税回避行為が行われる可能性が高い。
よって、平成18年に規定が創設された。
2011年9月12日
予定納税
その年の5/15現在において確定している前年分の所得金額や税額を基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税の一部をあらかじめ納付する制度をいう。
6/15までに所轄税務署長から書面で通知される。
予定納税基準額の3分の1の金額を、7月(第1期分)と11月(第2期分)に納めることになる。
2011年8月4日
還付加算金
還付加算金とは、国税などについて還付金や過誤納金が生じる時に、その還付金額に一定率を乗じて算出される還付の加算金のことであり、還付金の利息としての性格がある。
所得税法上、還付加算金は雑所得となる。
いわゆる武富士事件で、還付加算金400億円を含め、2,000億円支払われたとの報道があるが、最高税率だと、住民税を含めて50%の税率で課税される。
武富士事件の場合、4%台の金利で運用して、半分税金をもっていかれるということである。
2011年8月1日