法人税

仕入金額の一部は寄附金の額に該当しないとした事例

  • ①平成25年11月1日から平成26年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②平成26年11月1日から平成27年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(重加算税の賦課決定処分を併せ審理)
  • ③平成25年11月1日から平成26年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ④平成26年11月1日から平成27年10月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し、一部取消し
  • 令和5年3月8日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が算出した仕入金額が時価相当額であるとはいえず、仕入金額に時価相当額よりも不相当に高額な部分があるとは認められないから、仕入金額の一部が寄附金の額に該当するとはいえないと判断した事例である。

<要旨>
原処分庁は、請求人が取締役(本件取締役)と親族関係にある業者(本件業者)から仕入れた資材の仕入金額は時価相当額と比較して不相当に高額であるから、時価相当額を超える部分の金額は法人税法第37条《寄附金の損金不算入》に規定する寄附金の額に該当する旨主張する。

しかしながら、原処分庁が時価相当額を算出するために用いた計算式には合理性が認められるものの、原処分庁が計算に用いた具体的な数値については、これを用いることが相当であるとはいえないから、原処分庁が算出した仕入金額は時価相当額とは認められない。

また、原処分庁は、本件業者に対する仕入単価は、一定の金額が上乗せされた「いわゆる親戚価格」である旨主張するが、仕入単価の決定は、本件業者と本件業者とは親族関係にない営業部長との間で交渉により決められており、本件取締役が仕入単価の決定に介入したとは認められないから、本件業者に係る仕入金額は、時価に比して不相当に高額であったとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 仕入金額の一部は寄附金の額に該当しないとした事例

2024年1月11日


請求人が支払った客引きに対する報酬について原処分庁の認定額を超えると判断した事例

  • ①平成29年1月〇日から平成29年12月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
  • ②平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月日から平成30年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分
  • ③平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分
  • ④平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各事業年度の法人税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ⑤令和2年1月1日から令和2年12月31日までの事業年度の欠損金の繰戻しによる平成31年1月1日から令和元年12月31日までの事業年度の法人税の還付請求に理由がない旨の通知処分
  • ⑥平成29年1月〇日から令和元年5月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑦平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ①④⑤⑦棄却、②③却下、⑥一部取消し、棄却
  • 令和4年10月25日裁決

<ポイント>
本事例は、本邦からの輸出取引について、輸出許可の申請や、輸出許可通知書の保存状況から、請求人において輸出免税の適用を受けることができると判断した事例である。

<要旨>
原処分庁は、本件における輸出取引(本件取引)は、請求人から商品を仕入れた取引先が国外に販売したものであるから、請求人が、消費税法第7条《輸出免税等》第1項第1号に規定する本邦からの輸出として行われる資産の譲渡を行ったものではない旨主張する。

しかしながら、請求人は、取引先から受注した商品を国内でコンテナに積載し、自らの名義で輸出許可を申請して国外へ搬出しているのであり、本件取引は、請求人による本邦からの輸出として行われる資産の譲渡であると認められる。

そして、請求人は、請求人名義の輸出許可通知書を保存していることから、請求人において、輸出免税の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 請求人が支払った客引きに対する報酬について原処分庁の認定額を超えると判断した事例

2023年12月11日


交際費等と寄附金との区分

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。

ただし、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。

<不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用>

  1. 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用または一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
  2. 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
  3. 製造業者や販売業者が、一定の商品などを購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品などを購入した一般消費者を招待するための費用
  4. 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
  5. 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
  6. 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
  7. 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用

(注)次のような場合、「一般消費者」を対象としていることには当たらないので注意してください。

  1. 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
  2. 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
  3. 建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
  4. 飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
  5. 機械または工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合

★リンクはこちら⇒ 交際費等と寄附金との区分

2023年7月27日


交際費等と福利厚生費との区分

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。

ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。

また、社内の行事に際して支出される金額などで、次のようなものは福利厚生費となります。

  1. 創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
  2. 従業員等(従業員等であった者を含みます。)またはその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどがこれに当たります。)

★リンクはこちら⇒ 交際費等と福利厚生費との区分

2023年7月21日


交際費等と広告宣伝費との区分

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。

ただし、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。

<不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用>

1 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用または一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
2 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
3 製造業者や販売業者が、一定の商品などを購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品などを購入した一般消費者を招待するための費用
4 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
5 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
6 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
7 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用

(注)次のような場合、「一般消費者」を対象としていることには当たらないので注意してください。

(1) 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
(2) 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
(3) 建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
(4) 飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
(5) 機械または工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合

★リンクはこちら⇒ 交際費等と広告宣伝費との区分

2023年7月13日


納付書の事前送付に関するお知らせ

国税庁では、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現に向けて、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでいるところ、社会全体の効率化と行政コスト抑制の観点を踏まえ、令和6年5月以降に送付する分から、e-Taxにより申告書を提出している法人の方などについて、納付書の事前の送付を取りやめることとしている。

納付書の事前の送付を行わないこととなる方は次のとおり。
<事前送付を行わないこととなる方>

  • e-Taxにより申告書を提出されている法人の方
  • e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人の方
  • e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人の方
  • 「納付書」を使用しない次の手段により納付されている法人・個人の方
  1. ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
  2. 振替納税
  3. インターネットバンキング等による納付
  4. クレジットカード納付
  5. スマホアプリ納付
  6. コンビニ納付(QRコード)

(注)
1.現在、e-Taxを利用されず、税務署から送付された納付書で納付されている方など納付書を必要とされる方に対しては、引き続き、納付書を送付する予定としている。
2.源泉所得税の徴収高計算書については、引き続き送付する予定であるが、電子申告及びキャッシュレス納付を是非ご利用ください。
3.「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標である。

国税庁では、納税者の方が納付書を手書きで作成する手間を省くと共に、税務署や金融機関の窓口に行かなくても国税の納付ができるよう、キャッシュレス納付を用意している。

キャッシュレス納付については、納付の手続をより簡単・便利に行うことが可能であり、納付書が不要となる。

納付書の事前の送付を行わないこととなる方は、キャッシュレス納付を是非ご利用ください。

★リンクはこちら⇒ 納付書の事前送付に関するお知らせ

2023年7月11日


交際費等の範囲と損金不算入額の計算

【概要】

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。

<交際費等の範囲から除かれるもの>
次に掲げる費用は交際費等から除かれます。

1.専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
2.飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用

なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。

(1) 飲食等のあった年月日
(2) 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
(3) 飲食等に参加した者の数
(4) その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
(5) その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

3.その他の費用

(1) カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
(2) 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
(3) 新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、または放送のための取材に通常要する費用

(注)上記2.の費用の金額基準である5,000円の判定や交際費等の額の計算は、法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行います。

【計算方法・計算式】
交際費等の額は、原則として、その全額が損金不算入とされていますが、損金不算入額の計算に当たっては、下記の法人の区分に応じ、一定の措置が設けられています。

<期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人(注)>
1.平成25年3月31日以前に開始する事業年度
損金不算入額は、交際費等の額のうち、600万円(平成21年3月31日以前に終了した事業年度においては400万円となります。)にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額(以下「旧定額控除限度額」といいます。)に達するまでの金額の10パーセントに相当する金額と、交際費等の額が旧定額控除限度額に達するまでの金額を超える場合におけるその超える部分の金額の合計額となります。

2.平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度
損金不算入額は、上記の「概要」の交際費等の額のうち、800万円にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額(以下「定額控除限度額」といいます。)に達するまでの金額を超える部分の金額となります。

3.平成26年4月1日以後に開始する事業年度
損金不算入額は、次のいずれかの金額となります。

(1) 交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)の50パーセントに相当する金額を超える部分の金額
(2) 上記2.の金額(定額控除限度額)を超える部分の金額

(注)法人税法第66条第5項第2号もしくは第3号に規定する法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人の100パーセント子法人等)または租税特別措置法第61条の4第2項第2号に規定する法人(通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人である場合におけるその通算法人など)の損金不算入額は、上記の「期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人」ではなく、下記の「上記以外の法人」により計算します。

<上記以外の法人>
1.平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度
損金不算入額は、支出する交際費等の額の全額となります。

2.平成26年4月1日以後に開始する事業年度
損金不算入額は、上記の「期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人」の3の(1)の金額となります。

3.令和2年4月1日以後に開始する事業年度

(1) 期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人(注)
損金不算入額は、支出する交際費等の額の全額となります。
(2) 上記(1)以外の法人
損金不算入額は、上記の「期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人」の3の(1)の金額となります。

(注)令和4年4月1日以後に開始する事業年度においては、期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人以外の法人で、通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の適用年度終了の日における資本金の額または出資金の額が100億円を超える場合におけるその通算法人を含みます。

★リンクはこちら⇒ 交際費等の範囲と損金不算入額の計算

2023年6月20日


出向先法人が支出する退職金の負担金の取扱い

出向者の退職金は出向元の法人が出向者へ支払うこととなりますが、このうち出向期間中に対応する退職金については出向先の法人が負担すべきものとして、通常、出向先の法人から出向元の法人へ負担金が支出されます。

<負担金の支出時期>
この負担金の支出の時期として次の3つの場合があります。

1 出向先の法人から出向元の法人へ復帰した時
2 出向元の法人を退職した時
3 出向期間中

<負担金の取扱い>
1.上記の「負担金の支出時期」の1または2の場合、つまり、出向先の法人から出向元の法人へ復帰した時または出向元の法人を退職した時に負担金を支出する場合には、原則として、出向先の法人の支出した事業年度の損金の額に算入されます。

2.上記の「負担金の支出時期」の3の出向期間中に負担金を支出する場合には、次の2つの要件のいずれにも該当するときは、出向先の法人の支出した事業年度の損金の額に算入されます。

(1) あらかじめ定めた負担区分に基づいて定期的に支出していること。
(2) その支出する金額が、出向期間に対応する退職金の負担額として合理的に計算された金額であること。

この負担金を損金の額に算入することは、出向者が出向先の法人において役員になっているときでも認められます。

また、出向者が出向元の法人を退職しても、出向先の法人で引き続き勤務していることがあります。

この場合に、出向先の法人が出向元の法人に支出する出向期間に対応する退職金相当額は、たとえその出向者が、出向先の法人において引き続き役員または使用人として勤務しているときでも、その支出した事業年度の損金の額に算入されます。

★リンクはこちら⇒ 出向先法人が支出する退職金の負担金の取扱い

2023年6月15日


出向者に対する給与の較差補てん金の取扱い

出向元の法人が出向先の法人との給与条件の較差を補てんするため出向者に対して支給した給与は、出向期間中であっても、出向者と出向元の法人との雇用契約が依然として維持されていることから、出向元の法人の損金の額に算入されます。

また、次のような場合も、給与較差補てん金として取り扱われます。

1 出向先の法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため、出向元の法人がその出向者に賞与を支給する場合
2 出向先の法人が海外にあるため、出向元の法人が留守宅手当を支給する場合

この給与較差補てん金は、出向元の法人が出向者に直接支給しても、出向先の法人を通じて支給しても同様に取り扱われます。

★リンクはこちら⇒ 出向者に対する給与の較差補てん金の取扱い

2023年6月13日


請求人の取締役に対する給与の額に不相当に高額な部分はないとした事例

  • ①平成27年12月1日から平成28年11月30日まで、平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで、平成30年12月1日から令和元年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(平成30年12月1日から令和元年11月30日までの事業年度の法人税の更正をすべき理由がない旨の通知処分を併せ審理)
  • ②平成27年12月1日から平成28年11月30日まで、平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成30年12月1日から令和元年11月30日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分(更正をすべき理由がない旨の通知処分を併せ審理)
  • ①全部取消し、一部取消し
  • ②全部取消し
  • ③一部取消し・令和4年7月1日裁決

<ポイント>
本事例は、法人税法上の使用人兼務役員に該当しない取締役に対する役員給与について、請求人の代表者が作成した書面に当該取締役の役員報酬として記載された金額は、その算出過程及び書面の作成過程から、当該取締役に対する給与の積算根拠にすぎず、いわゆる形式基準限度額には当たらないと判断した事例である。

<要旨>
原処分庁は、各取締役が受けるべき報酬の割当額の決定を一任された代表取締役が作成した「取締役の報酬金額に対する決定書」(本件決定書)に記載された報酬金額は、法人税法施行令(令和3年政令第39号による改正前のもの。)第70条《過大な役員給与の額》第1号ロの「金銭の額の限度額」(形式基準限度額)に当たり、法人税法上の使用人兼務役員に該当しない取締役(本件取締役)に対しこれを超えて支給された金額は、不相当に高額な役員給与である旨主張する。

しかしながら、当該代表取締役は、本件取締役に対する役員給与について、取締役分と使用人分を勘案した上で、その合計額を支給額として決定したと認められ、本件決定書に記載された金額は本件取締役に対する給与の額の積算根拠にすぎず、本件取締役の給与に係る形式基準限度額とは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人の取締役に対する給与の額に不相当に高額な部分はないとした事例

2023年6月8日


出向先法人が支出する給与負担金に係る役員給与の取扱い

法人の使用人が他の法人に出向した場合において、その出向した使用人(以下「出向者」といいます。)に対する給与を出向元の法人が支給することとしているため、出向先の法人がその出向者の給与(退職給与を除きます。)に相当する金額(以下「給与負担金」といいます。)を出向元の法人に支出したときは、当該給与負担金の額は、出向先の法人におけるその出向者に対する給与(退職給与を除きます。)として取り扱われます。

この給与負担金の取扱いは、出向者が出向先の法人において使用人となっているか、役員になっているかにより異なります。

具体的には次のとおりとなります。

<出向者が出向先の法人において使用人である場合>
その給与負担金の額は、原則として、出向先の法人における使用人に対する給与として、損金の額に算入されます。

<出向者が出向先の法人において役員となっている場合>
出向者が出向先の法人において役員となっている場合において次のいずれにも該当するときは、出向先の法人が支出する当該役員に係る給与負担金の支出を出向先の法人における当該役員に対する給与の支給として、法人税法第34条《役員給与の損金不算入》の規定が適用されます。

1 当該役員に係る給与負担金の額について、当該役員に対する給与として出向先の法人の株主総会、社員総会またはこれらに準ずるものの決議がされていること。
2 出向契約等において当該出向者に係る出向期間および給与負担金の額があらかじめ定められていること。

この取扱いの適用を受ける給与負担金について、事前確定届出給与の規定の適用を受ける場合には、出向先の法人がその納税地の所轄税務署長にその出向契約等に基づき支出する給与負担金に係る定めの内容に関する届出を行うこととなります。

なお、出向先の法人が給与負担金として支出した金額が、出向元の法人が当該出向者に支給する給与の額を超える場合には、その超える部分の金額については給与負担金としての性格はないこととなります。

したがって、そのことについて合理的な理由がない場合には、出向元の法人に対する寄附金として取り扱われることになりますので注意してください。

★リンクはこちら⇒ 出向先法人が支出する給与負担金に係る役員給与の取扱い

2023年6月6日


請求人が購入した電子マネーの購入対価について、その一部は売上原価として損金の額に算入されるとした事例

  • ①平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年12月31日まで、平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から平成31年2月28日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成31年1月1日から平成31年2月28日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分
  • ④平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年12月31日まで、平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から平成31年2月28日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①②全部取消し、一部取消し
  • ③全部取消し
  • ④棄却
  • 令和4年8月4日裁決

<ポイント>
本事例は、電子マネーの購入対価が請求人の損金の額に算入されるか否かについて、関連会社における当該電子マネーの管理状況や請求人への入金の状況等から、当該電子マネーの一部は当該関連会社に譲渡したと認められ、その購入対価は請求人の売上原価に該当すると判断した事例である。

<要旨>
原処分庁は、請求人が購入した電子マネーについて、請求人の業務との関連性を有する用途に使用された事実が確認できないことから、当該電子マネーの購入対価は損金の額に算入されない旨主張する。

しかしながら、請求人が提出した証拠資料から、当該電子マネーの一部は関係法人に譲渡した事実が認められることから、その取得価額は売上原価として損金の額に算入される。

他方、その他の電子マネーについては、その費途が確認できず、請求人の業務との関連性の有無が明らかでないことから、その取得価額を損金の額に算入することはできない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が購入した電子マネーの購入対価について、その一部は売上原価として損金の額に算入されるとした事例

2023年5月30日


使用人賞与の損金算入時期

法人が使用人に対して支給する賞与の額は、次に掲げる賞与の区分に応じ、それぞれ次の事業年度の損金の額に算入します。

なお、使用人に対して支給する賞与の額には、使用人兼務役員に対して支給する賞与のうち使用人としての職務に対応する部分の金額が含まれます。

1.労働協約または就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額が通知されているもので、かつ、その支給予定日またはその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理したものに限ります。)
その支給予定日またはその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度

2.次に掲げる要件のすべてを満たす賞与
使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度

(1) その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。
(注1) 法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、ここでいう「通知」には該当しません。
(注2) 法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマーまたは臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除きます。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに支給額の通知を行ったかどうかを判定することができます。
(2) (1)の通知をした金額を通知したすべての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
(3) その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

3.上記1および2に掲げる賞与以外の賞与
その支払をした日の属する事業年度

★リンクはこちら⇒ 使用人賞与の損金算入時期

2023年5月16日


確定給付企業年金等に係る課税関係

退職した使用人を受給者として年金給付を行うため、事業主が支出する掛金および使用人が受け取る給付額の課税関係は次のとおりです。

1.事業主が支出した次に掲げる掛金の額は、事業主の法人税または所得税の課税所得の計算上、損金の額または必要経費に算入されます。

また、使用人については、事業主が掛金を支出した時点では給与として課税されません。

なお、掛金の一部を使用人が負担した場合には、使用人において、(2)の掛金は生命保険料控除の対象、(3)の企業型年金規約に基づく加入者掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となります。

(1) 独立行政法人勤労者退職金共済機構または所得税法施行令第74条第5項に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済制度に係る掛金
(2) 確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支出した掛金
(3) 確定拠出年金法に規定する企業型年金規約に基づいて企業型年金加入者のために支出した事業主掛金

2.使用人が退職に伴って受け取る退職年金等については、退職年金として給付されたものは公的年金等に該当し、雑所得として、また、退職一時金として給付されたものはみなし退職手当等に該当し、退職所得として課税されます。

また、信託銀行等に積み立てられている退職年金等積立金に対しては、原則として、毎年1パーセントの税率で法人税が課税されます。

ただし、平成11年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する事業年度の退職年金等積立金に対しては、法人税を課さないこととされています。

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2023年5月11日


適格退職年金契約とはどのような退職年金契約をいうのですか

適格退職年金契約とは、原則として平成14年3月31日までに締結した使用人に対する退職年金の支給を目的とした信託、生命保険または生命共済の契約で、一定の要件を備えているものとして国税庁長官の承認を受けた契約をいいます。

この場合の「一定の要件」とは、主に次のような要件です。

  1. 事業主がその使用人を受益者等として掛金を払い込み、信託銀行や生命保険会社等が退職した使用人に退職年金を支給するものであること。
  2. 掛金および給付の額が適正な年金数理に基づいて算定されていること。
  3. 年金財産として積み立てられた金額は原則として事業主に返還されず、契約を解除したときは受益者等に帰属するものであること。
  4. 受益者等のうち特定の者について不当に差別的な取扱いをしないこと。

(注)
適格退職年金制度は、平成14年3月31日において廃止され、平成14年4月1日以後は、原則として新たな契約の締結は適格退職年金契約として認められないこととなりました。

ただし、平成14年3月31日までに締結した適格退職年金契約については、平成24年3月31日まで経過的に存続することとされ、平成24年4月1日以後もその契約が継続しているときは、同日において一定の事実が生じている場合に限り、存続することとなりました。

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2023年5月9日


個人事業当時からの使用人に対する退職金

個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職に伴い個人時代からの勤務年数など個人時代を含めた勤務実績を基に退職金を算定し支給した場合は、個人時代の勤務に対応する部分の金額は法人の損金の額には算入されず、個人事業の最終年分の事業所得の計算上、必要経費になります。

しかし、その退職が法人設立後相当の期間が経過した後であるときは、その支給した退職金の金額が法人の損金の額に算入されます。

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2023年4月27日


役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)

平成29年度税制改正により、平成29年4月1日以後に役員給与の支給に係る決議(その決議が行われない場合にはその支給)が行われる役員給与の取扱いは、以下のとおりとなります。

(注)新株予約権による給与および退職給与については、平成29年10月1日以後の役員給与の支給に係る決議(その決議が行われない場合にはその支給)が行われる役員給与から適用されます。

法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または業績連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。
ただし、次に掲げる給与のいずれかに該当するものであっても、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません。

(注)上記の給与からは、(1)退職給与で業績連動給与に該当しないもの、(2)左記(1)以外のもので使用人兼務役員に対して支給する使用人としての職務に対するものおよび(3)法人が事実を隠蔽し、または仮装して経理することによりその役員に対して支給するものは除かれます。

<定期同額給与>
定期同額給与とは、次に掲げる給与です。

1 その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額(注)を控除した金額が同額であるもの
(注)源泉税等の額とは、源泉徴収をされる所得税の額、特別徴収をされる地方税の額、定期給与の額から控除される社会保険料の額その他これらに類するものの額の合計額をいいます。
2 定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であるもの
(1) その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の特例に係る税務署長の指定を受けた場合にはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改訂が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改訂の時期まで)にされる定期給与の額の改定
(2) その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(上記イに掲げる改定を除きます。)
(3) その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、上記イおよびロに掲げる改定を除きます。)
3 継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの

<事前確定届出給与>
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭または確定した数の株式(出資を含みます。以下同じです。)もしくは新株予約権もしくは確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式もしくは特定新株予約権を交付する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給される給与で、上記の「定期同額給与」および下記の「業績連動給与」のいずれにも該当しないもの(承継譲渡制限付株式または承継新株予約権による給与を含み、次に掲げる場合に該当する場合には、それぞれ次に定める要件を満たすものに限ります。)をいいます。

1 その給与が次のいずれにも該当しない場合 事前確定届出給与に関する届出をしていること。
(1) 定期給与を支給しない役員に対して同族会社に該当しない法人が支給する金銭による給与
(2) 株式または新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係る一定のもの
(注1) (1)または(2)に該当する給与については、事前確定届出給与に関する届出は必要ありません。
(注2) 将来の役務の提供に係る一定の給与とは、役員の職務につき株主総会、社員総会その他これらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議(その職務の執行の開始の日から1か月を経過する日までにされるものに限ります。)により事前確定届出給与に関する定め(その決議の日から1か月を経過する日までに、特定譲渡制限付株式または特定新株予約権を交付する旨の定めに限ります。)をした場合のその定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式または特定新株予約権による給与をいいます。
2 株式を交付する場合
その株式が市場価格のある株式または市場価格のある株式と交換される株式(その法人または関係法人が発行したものに限ります。以下「適格株式」といいます。)であること。
3 新株予約権を交付する場合
その新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(その法人または関係法人が発行したものに限ります。以下「適格新株予約権」といいます。)であること。
(注1) 関係法人とは、その法人の役員の職務につき支給する給与(株式または新株予約権によるものに限ります。)に係る株主総会等の決議日からその株式または新株予約権を交付する日までの間、その法人と他の法人との間に当該他法人による支配関係が継続することが見込まれている場合の当該他の法人をいいます。
(注2) 特定譲渡制限付株式とは、譲渡制限付株式(※)であって役務の提供の対価として個人に生ずる債権の給付と引換えにその個人に交付されるものその他その個人に給付されることに伴ってその債権が消滅する場合のその譲渡制限付株式をいいます。
(※) 譲渡制限付株式とは、次の要件に該当する株式をいいます。
1 譲渡(担保権の設定その他の処分を含みます。)についての制限がされており、かつ、譲渡制限期間が設けられていること。
2 個人から役務提供を受ける法人またはその株式を発行し、もしくはその個人に交付した法人がその株式を無償で取得することとなる事由(その株式の交付を受けた個人が譲渡制限期間内の所定の期間勤務を継続しないこともしくはその個人の勤務実績が良好でないことその他のその個人の勤務の状況に基づく事由、またはこれらの法人の業績があらかじめ定めた基準に達しないことその他のこれらの法人の業績その他の指標の状況に基づく事由に限ります。)が定められていること。
(注3) 特定新株予約権とは、譲渡制限付新株予約権(※)であって次に掲げる要件に該当するものをいいます。
1 その譲渡制限付新株予約権と引換えにする払込みに代えてその役務の提供の対価としてその個人に生ずる債権をもって相殺されること。
2 1に掲げるもののほか、その譲渡制限付新株予約権が実質的にその役務の提供の対価と認められるものであること。
(※) 譲渡制限付新株予約権とは、発行法人から一定の権利の譲渡についての制限その他特別の条件が付されているものをいいます。

また、役員の職務につき、確定した額に相当する適格株式または適格新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与(確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式または特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与を除きます。)は、確定した額の金銭を交付する旨の定めに基づいて支給する給与に該当するものとして取り扱われます。

<事前確定届出給与に関する届出期限>

1 原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日)までに所定の届出書を提出する必要があります。
(1) 株主総会等の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日
(2) その会計期間開始の日から4か月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けている法人はその指定に係る月数に3を加えた月数)を経過する日
2 臨時改定事由が生じたことにより事前確定届出給与に関する定めをした場合
臨時改定事由が生じたことによりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合には、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。
(1) 上記1の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過する日)
(2) 臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日
3 事前確定届出給与に関する定めを変更する場合
既に上記1または2の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定めの内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に定める日です。
(1) 臨時改定事由
その事由が生じた日から1か月を経過する日
(2) 業績悪化改定事由(給与の支給額を減額し、または交付する株式もしくは新株予約権の数を減少させる場合に限ります。)
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日がその1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日)
4 やむを得ない事情がある場合
上記1から3までの届出期限までに届出がなかった場合においても、その届出がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、それらの届出期限までに届出があったものとして事前確定届出給与の損金算入をすることができます。

<業績連動給与>
業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の法人またはその法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額または数の金銭または株式もしくは新株予約権による給与および特定譲渡制限付株式もしくは承継譲渡制限付株式または特定新株予約権もしくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、または消滅する株式または新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいいます。

損金算入となる業績連動給与は、法人(同族会社にあっては同族会社以外の法人との間にその法人による完全支配関係があるものに限ります。)が、業務執行役員()に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあっては、適格株式または適格新株予約権が交付されるものに限ります。)で、次の1から3までのすべての要件を満たすもの(他の業務執行役員のすべてに対して次の要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限ります。)となります。

()業務執行役員とは、業務連動給与の算定方法の決定または手続の終了の日において、法人の業務を執行することとされている役員をいいます。

1 交付される金銭の額もしくは株式もしくは新株予約権の数または交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、もしくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標または売上高の状況を示す指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。
(1) 確定額または確定数を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
(2) その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る税務署長の指定を受けた法人はその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日までに一定の報酬委員会等がその算定方法を決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続を経ていること。
(3) その内容が上記(2)の適正手続終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。
2 次に掲げる給与の区分に応じそれぞれ次の要件を満たすものであること。
(1) (2)に掲げる給与以外の給与 次に掲げる給与の区分に応じてそれぞれ次に定める日までに交付され、または交付される見込みであること。
金銭による給与
その金銭の額の算定の基礎とした利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標または売上高の状況を示す指標の数値が確定した日の翌日から1か月を経過する日
株式または新株予約権による給与
その株式または新株予約権の数の算定の基礎とした業績連動指標の数値が確定した日の翌日から2か月を経過する日
(2) 特定新株予約権または承継新株予約権による給与で、無償で取得され、または消滅する新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するもの その特定新株予約権または承継新株予約権に係る特定新株予約権が業績連動給与の算定方法につき適正な手続の終了の日の翌日から1か月を経過する日までに交付されること。
3 損金経理をしていること(給与の見込額として損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含みます。)。

(※)この制度については、経済産業省ホームページに「「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-」等(https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210607001/20210607001.html)が掲載されていますので、詳細はそちらをご参照ください。

★リンクはこちら⇒ 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)

2023年4月25日


役員に対する給与(平成29年4月1日前支給決議分)

法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または利益連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。

ただし、次に掲げる給与のいずれかに該当するものであっても、不相当に高額な部分の金額は、損金の額に算入されません。

(注)平成29年4月1日前に支給決議がなされたものに限ります。

なお、上記の給与からは、

(1) 退職給与
(2) 法人税法第54条第1項に規定する新株予約権によるもの
(3) 上記(1)および(2)以外のもので使用人兼務役員に対して支給する使用人としての職務に対するもの
(4) 法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することによりその役員に対して支給するもの

は除かれます。

<定期同額給与>
定期同額給与とは、次に掲げる給与です。

1 その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
2 定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
(1) その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定。ただし、その3か月を経過する日後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの
(2) その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたその役員に係る定期給与の額の改定(上記イに掲げる改定を除きます。)
(3) その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、上記イおよびロに掲げる改定を除きます。)
3 継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの

<事前確定届出給与>
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(以下「事前確定届出給与に関する定め」といいます。)に基づいて支給する給与(上記の「定期同額給与」および下記の「利益連動給与」を除きます。)で、次に掲げる場合に応じてそれぞれ次に定める届出期限までに納税地の所轄税務署長にその事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしているものです。

なお、同族会社以外の法人(注)が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与については、その届出をする必要はありません。

(注)同族会社に該当するかどうかの判定は、その法人が定期給与を支給しない役員の職務につき、その定めをした日(新設法人にあっては設立の日)の現況によります。

また、役員から受ける将来の役務の提供の対価として交付する特定譲渡制限付株式(※)およびその特定譲渡制限付株式に係る承継譲渡制限付株式による給与も、事前確定の届出は不要となります。

(※)特定譲渡制限付株式とは、役員の職務につき株主総会等の決議(その職務の執行の開始の日から1か月を経過する日までにされるものに限ります。)によりその職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定め(その決議の日から1か月を経過する日までに、その職務につきその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式を交付する旨の定めに限ります。)をした場合のその定めに基づいて交付される特定譲渡制限付株式とされています。

1 原則
事前確定届出給与に関する定めをした場合は、原則として、次の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人がその役員のその設立の時に開始する職務についてその定めをした場合にはその設立の日以後2か月を経過する日)が届出期限です。
(1) 株主総会、社員総会またはこれらに準ずるもの(以下「株主総会等」といいます。)の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日(その決議をした日が職務の執行を開始する日後である場合にはその開始する日)から1か月を経過する日
(2) その会計期間開始の日から4か月を経過する日
2 臨時改定事由により定めをした場合
臨時改定事由によりその臨時改定事由に係る役員の職務について事前確定届出給与に関する定めをした場合(その役員のその臨時改定事由が生ずる直前の職務について事前確定届出給与に関する定めがある場合を除きます。)は、次に掲げる日のうちいずれか遅い日が届出期限です。
(1) 上記1の(1)または(2)のうちいずれか早い日(新設法人にあっては、その設立の日以後2か月を経過する日)
(2) 臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日
3 既に上記1または2の届出をしている法人が、その届出をした事前確定届出給与に関する定めの内容を変更する場合において、その変更が次に掲げる事由に基因するものであるときのその変更後の定めの内容に関する届出の届出期限は、次に掲げる事由の区分に応じてそれぞれ次に定める日です。
(1) 臨時改定事由
その事由が生じた日から1か月を経過する日
(2) 業績悪化改定事由(給与の額を減額する場合に限ります。)
その事由によりその定めの内容の変更に関する株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日が1か月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日)

<利益連動給与>
同族会社以外の法人が業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与(利益の状況を示す指標を基礎として算定される給与)で次の(1)から(3)までのすべての要件を満たすもの(他の業務を執行する役員のすべてに対しても次の要件を満たす連動給与を支給する場合に限られます。)となります。

1 その支給額の算定方法が、利益の額、利益の額に有価証券報告書に記載されるべき事項の調整を加えた指標等その事業年度の利益の状況を示す指標を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。
(1) 確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務を執行する役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
(2) その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに一定の報酬委員会が決定していることその他これに準ずる一定の適正な手続を経ていること。
(3) その内容が上記ロの決定または手続終了の日以後遅滞なく有価証券報告書に記載されていることその他一定の方法により開示されていること。
2 有価証券報告書に記載されるその事業年度の利益の状況を示す指標の数値が確定した後1か月以内に支払われ、または支払われる見込みであること。
3 損金経理をしていること。

★リンクはこちら⇒ 役員に対する給与(平成29年4月1日前支給決議分)

2023年4月20日


役員のうち使用人兼務役員になれない人

使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者をいうが、次のような役員は、使用人兼務役員とならない。

なお、同族会社の使用人のうち税務上みなし役員とされる者も使用人兼務役員とならない。

使用人兼務役員になれない役員の範囲

1 代表取締役、代表執行役、代表理事および清算人
2 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
3 合名会社、合資会社および合同会社の業務執行社員
4 取締役(委員会設置会社の取締役に限る。)、会計参与および監査役ならびに監事
5 上記1から4までのほか、同族会社の役員のうち所有割合(注1)によって判定した結果、次のすべての要件を満たす役員
(1) その会社の株主グループ(注2)をその所有割合の大きいものから順に並べた場合に、その役員が所有割合50パーセントを超える第一順位の株主グループに属しているか、第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属しているか、または第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属していること。
(2) その役員の属する株主グループの所有割合が10パーセントを超えていること。
(3) その役員(その配偶者およびこれらの者の所有割合が50パーセントを超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5パーセントを超えていること。

(注1)
「所有割合」とは、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に定める割合をいう。

1 その会社がその株主等の有する株式または出資の数または金額による判定により同族会社に該当する場合
その株主グループの有する株式の数または出資の金額の合計額がその会社の発行済株式または出資(その会社が有する自己の株式または出資を除きます。)の総数または総額のうちに占める割合
2 その会社が一定の議決権による判定により同族会社に該当することとなる場合
その株主グループの有する議決権の数がその会社の議決権の総数(議決権を行使することができない株主等が有するその議決権を除きます。)のうちに占める割合
3 その会社が社員または業務執行社員の数による判定により同族会社に該当する場合
その株主グループに属する社員または業務執行社員の数がその会社の社員または業務執行社員の総数のうちに占める割合

(注2)
「株主グループ」とは、その会社の一の株主等およびその株主等と親族関係など特殊な関係のある個人や法人をいう。

★リンクはこちら⇒ 役員のうち使用人兼務役員になれない人

2023年4月18日


役員の退職金の損金算入時期

法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入される。

その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となる。

ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められる。

(注1)
退職金の額が具体的に確定する事業年度より前の事業年度において、取締役会で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合であっても、未払金に計上した時点での損金の額に算入することはできない。

(注2)
法人が退職年金制度を実施している場合に支給する退職年金は、その年金を支給すべき事業年度が損金算入時期となる。
したがって、退職した時に年金の総額を計算して未払金に計上しても損金の額に算入することができない。

★リンクはこちら⇒ 役員の退職金の損金算入時期

2023年4月13日


使用人が役員へ昇格したとき又は役員が分掌変更したときの退職金

法人が退職した役員に対して支給する退職金で、その役員の業務に従事した期間、退職の事情、その法人と同業種同規模の法人の役員に対する退職金の支給状況などからみて相当であると認められる金額は、原則として、その退職金の額が確定した事業年度において損金の額に算入する。

なお、現実に退職はしていなくても、使用人が役員に昇格した場合または役員が分掌変更した場合の退職金については、それぞれ以下による。

<法人の使用人が役員に昇格した場合の退職金>
1.法人の使用人が役員に昇格した場合において、退職給与規程に基づき、使用人であった期間の退職金として計算される金額を支給したときは、その支給した事業年度の損金の額に算入される。

ただし、未払金に計上した場合には損金の額に算入されないので注意すること。

2.使用人兼務役員が、副社長や専務取締役など使用人兼務役員とされない役員となった場合において、使用人兼務役員であった期間の退職金として支給した金額は、たとえ使用人の職務に対する退職金として計算されているときであっても、その役員に対する退職金以外の給与となる。

ただし、その支給が以下のいずれにも該当するものについては、その支給した金額は使用人としての退職金として取り扱われる。

(1) 過去において使用人から使用人兼務役員に昇格した者(使用人であった期間が相当の期間であるものに限る。)であり、その昇格をした時に使用人であった期間に係る退職金の支給をしていないこと。
(2) 支給した金額が使用人としての退職給与規程に基づき、使用人であった期間および使用人兼務役員であった期間を通算して、その使用人としての職務に対する退職金として計算され、かつ、退職金として相当な金額であると認められること。

3.法人が退職給与規程を制定または改正して、使用人から役員に昇格した人に退職金を支給することとした場合に、その制定等の時に既に使用人から役員に昇格している人の全員に使用人であった期間の退職金をその制定の時に支給して損金の額に算入したときは、その支給が次のいずれにも該当するものについては、その損金の額に算入することが認められる。

(1) 過去において、これらの人に使用人であった期間の退職金の支給をしていないこと。
この場合、中小企業退職金共済制度または確定拠出年金制度への移行等により、退職給与規程を制定または改正し、使用人に退職金を打切支給した場合でも、その支給に相当の理由があり、かつ、その後は過去の在職年数を加味しないこととしているときは、過去において、退職金を支給していないものとして取り扱われる。
(2) 支給した退職金の額が、その役員が役員となった直前の給与の額を基礎として、その後のベースアップの状況等をしんしゃくして計算される退職金の額として相当な金額であること。

<役員が分掌変更した場合の退職金>
例えば、以下のように、分掌変更によって役員としての地位や職務の内容が激変して、実質的に退職したと同様の事情にある場合に退職金として支給したものは退職金として取り扱うことができる。

ただし、未払金に計上したものは、原則として退職金に含まれない。

1.常勤役員が非常勤役員になったこと。
ただし、常勤していなくても代表権があったり、実質的にその法人の経営上主要な地位にある場合は除かれる。

2.取締役が監査役になったこと。
ただし、監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合や、使用人兼務役員として認められない大株主である場合は除かれる。

3.分掌変更の後の役員の給与がおおむね50パーセント以上減少したこと。
ただし、分掌変更の後においても、その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる場合は除かれる。

★リンクはこちら⇒ 使用人が役員へ昇格したとき又は役員が分掌変更したときの退職金

2023年4月11日


役員に対する経済的利益

<経済的利益とは?>
法人が役員に支給する給与には、金銭によるもののほか、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含まれる。

この経済的な利益とは、例えば次に掲げるもののように、法人の行為によって実質的にその役員に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらすものをいう。

1 資産を贈与した場合におけるその資産の時価
2 資産を時価より低額で譲渡した場合における時価と譲渡価額との差額
3 債権を放棄しまたは免除した場合における債権の放棄額等
4 無償または低額で居住用土地または家屋の提供をした場合における通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額
5 無利息または低率で金銭の貸付けをした場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額
6 役員を被保険者および保険金受取人とする生命保険契約の保険料の額の全部または一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額の負担額

ただし、法人が役員に対し経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、その法人がその役員に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として扱われない。

<経済的利益の法人税法上の取扱い>
役員に対して継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは定期同額給与に該当し、損金の額に算入されるが、その他のものは定額同額給与に該当せず、損金の額に算入されない。

(注)法人が使用人兼務役員に対して供与した経済的な利益の額(住宅等の貸与をした場合の経済的な利益を除く。)が他の使用人に対して供与される程度のものである場合には、その経済的な利益の額は使用人としての職務に係るものとされ、損金の額に算入される。

また、役員に対する経済的利益の額(使用人兼務役員に対する使用人部分を除く。)が不相当に高額である場合や法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することにより、その役員に対して供与した経済的な利益の額は損金の額に算入されない。

★リンクはこちら⇒ 役員に対する経済的利益

2023年4月7日


役員の範囲

役員とは以下の者をいう。

1.法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人

2.1以外の者で次のいずれかに当たるもの
(1)法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)以外の者で、その法人の経営に従事しているもの
なお、「使用人以外の者で、その法人の経営に従事しているもの」には、例えば、①取締役または理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等、②合名会社、合資会社および合同会社の業務執行社員、③人格のない社団等の代表者または管理人、または④法定役員ではないが、法人が定款等において役員として定めている者のほか、⑤相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものも含まれる。

(2)同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。)のうち、以下に掲げるすべての要件を満たす者で、その会社の経営に従事しているもの
イ.その会社の株主グループ(注1)をその所有割合(注2)の大きいものから順に並べた場合に、その使用人が所有割合50パーセントを超える第一順位の株主グループに属しているか、または第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属しているか、あるいは第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50パーセントを超える場合のこれらの株主グループに属していること。

口.その使用人の属する株主グループの所有割合が10パーセントを超えていること。

ハ.その使用人(その配偶者およびこれらの者の所有割合が50パーセントを超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5パーセントを超えていること。

(注1)「株主グループ」とは、その会社の一の株主等およびその株主等と親族関係など特殊な関係のある個人や法人をいう。

(注2)「所有割合」とは、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に定める割合をいう。
(1)その会社がその株主等の有する株式または出資の数または金額による判定により同族会社に該当する場合
その株主グループの有する株式の数または出資の金額の合計額がその会社の発行済株式または出資(その会社が有する自己の株式または出資を除きます。)の総数または総額のうちに占める割合
(2)その会社が一定の議決権による判定により同族会社に該当することとなる場合
その株主グループの有する議決権の数がその会社の議決権の総数(議決権を行使することができない株主等が有するその議決権を除く。)のうちに占める割合
(3)その会社が社員または業務執行社員の数による判定により同族会社に該当する場合
その株主グループに属する社員または業務執行社員の数がその会社の社員または業務執行社員の総数のうちに占める割合

★リンクはこちら⇒ 役員の範囲

2023年4月5日


新設法人の届出書類

新設法人の届出書類は、次のとおり。

なお、これらの届出書類の様式は、「税務手続の案内」ページからダウンロードできるほか、税務署にも用意している。

<提出しなければならない書類>
法人を設立した場合、以下の届出書の提出をしなければならない。

1.法人設立届出書
内国法人(国内に本店または主たる事務所を有する法人)である普通法人または協同組合等を設立した場合は、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に「法人設立届出書」を納税地の所轄税務署長に1部(調査課所管法人は2部)提出しなければならない。
この法人設立届出書には、「定款、寄附行為、規則または規約等の写し」を1部(調査課所管法人は2部)添付する。

2.源泉所得税関係の届出書
コード2502「源泉徴収義務者とは」およびコード2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」を参照のこと。

3.消費税関係の届出書
コード6629「消費税の各種届出書」を参照のこと。

<必要に応じて提出する書類>
法人を設立した場合には、必要に応じて、以下のような申請書や届出書を納税地の所轄税務署長に提出する。

1.青色申告の承認申請書
設立第1期目から青色申告の承認を受けようとする場合の提出期限は、設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までである。なお、この期限が休日等に当たる場合は、休日等明けの日が提出期限となる。

2.棚卸資産の評価方法の届出書
提出期限は、設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までである。

3.減価償却資産の償却方法の届出書
提出期限は、設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までである。

4.有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書
提出期限は、有価証券を取得した日の属する事業年度(必ずしも、設立第1期とは限らない。)の確定申告書の提出期限までである。

5.申告期限の延長の特例の申請書
提出期限は、適用を受けようとする事業年度終了日までである。

6.事前確定届出給与に関する届出書(付表1、付表2)
提出期限は、設立の日以後2か月を経過する日までである。

★リンクはこちら⇒ 新設法人の届出書類

2023年3月30日


法人事業概況説明書・会社事業概況書の記載要領の変更について

令和4年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税の課税期間の初日から、一定の国税関係帳簿について優良な電子帳簿の要件を満たして電磁的記録による備付け及び保存を行い、優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受ける旨等を記載した届出書をあらかじめ所轄税務署長に提出している保存義務者については、その国税関係帳簿(優良な電子帳簿)に記録された事項に関し申告漏れがあった場合に、その申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減される措置の適用を受けることができる。

この措置を踏まえ、以下のとおり令和5年3月1日以後に提出する法人事業概況説明書・会社事業概況書の記載要領を変更した。

★リンクはこちら⇒ 法人事業概況説明書・会社事業概況書の記載要領の変更について

2023年3月9日


法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いについて(情報)

標題のことについては、暗号資産に関する法人税法上の取扱いのうち、期末の時価評価に係る質疑応答事例についてリンクのとおり取りまとめたから、執務の参考とされたい。

なお、暗号資産に関する一般的な法人税法上の取扱いについては、令和4年12月22日付課税総括課情報第10号ほか5課共同「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」を参照されたい。

★リンクはこちら⇒ 法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いについて(情報)

2023年1月31日


令和4年版法人税のあらましと申告の手引

国税庁は、法人税・地方法人税に関する基本的事項を「令和4年版法人税のあらましと申告の手引」に、法人税・地方法人税申告書の別表を作成する際の留意事項を「令和4年版申告書作成上の留意点」に、中小企業者の判定方法を「中小企業者の判定等フロー」にそれぞれまとめた。

なお、法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引は令和4年度版をもって更新を停止する。

各別表の記載の仕方については、各別表様式の記載要領のほか、この手引の「申告書作成上の留意点」を参照のこと。

★令和4年版法人税のあらましと申告の手引はこちら⇒ 令和4年版法人税のあらましと申告の手引

★令和4年版申告書作成上の留意点はこちら⇒令和4年版申告書作成上の留意点

★中小企業者の判定等フローはこちら⇒中小企業者の判定等フロー

2023年1月20日


令和4年6月24日付課法2-14ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

国税庁は、『令和4年6月24日付課法2-14ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 令和4年6月24日付課法2-14ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

2022年12月6日


令和3事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要

1.令和3年度における法人税の申告事績の概要
令和3年度における法人税の申告件数は307万件で、その申告所得金額の総額は79兆4,790億円、申告税額の総額は13兆9,232億円となり、前年度に比べ、それぞれ9兆3,489億円(13.3%)、1兆8,012億円(14.9%)増加し、共に2年連続の増加となった。

なお、申告所得金額の総額は、過去最高となった。

2.令和3事務年度における源泉所得税等の課税事績の概要
令和3事務年度における源泉所得税等の税額は20兆6,919億円で、前事務年度に比べ1兆6,295億円(8.5%)増加し、2年ぶりの増加となった。

主な所得についてみると、給与所得の税額は5,517億円(4.9%)増加し、配当所得の税額は7,009億円(14.6%)増加している。

なお、源泉所得税等の税額は、過去最高となった。

3.e-Tax の利用状況等(トピックス)
令和3年度における法人税の申告の e-Tax 利用件数は256万8千件で、前年度に比べ14万4千件(5.9%)増加となり、e-Tax 利用率は87.9%と、前年度に比べ1.2ポイント上昇となった。

なお、国税庁では、令和2年4月から始まった大法人の e-Tax 義務化の導入に併せて、大法人はもとより、全ての法人が申告データを円滑に電子提出できるよう環境整備を図っているほか、引き続き更なる利便性の向上に努める。

★リンクはこちら⇒ 令和3事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要

2022年11月15日


請求人とは別の法人名義で行われた取引に係る収入は請求人に帰属するとは認められないとした事例

  • 平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
  • 平成24年4月1日から平成25年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成29年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成25年4月1日から平成26年3月31日まで及び平成29年4月1日から平成30年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • 平成24年4月1日から平成26年3月31日までの各課税事業年度の復興特別法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • 平成24年4月1日から平成30年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年7月から平成29年6月までの各期間分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和4年1月12日裁決

<ポイント>
本事例は、別法人の代表者及び請求人の関係者の申述の信用性を検討した上で、事業の経緯、業務の遂行状況、費用の支払状況などから、別法人名義で行われた取引に係る収入が請求人に帰属するとは認められないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人とは別法人(本件法人)名義で行われた土地売買取引等(本件取引)について、本件法人の代表者や請求人の関係者などの各申述から、請求人が主体となって本件取引に係る業務を遂行し、請求人の代表者が本件法人名義の預金通帳を管理し、本件法人の代表者は請求人の代表者の指示により本件法人名義の預金口座から現金を引き出し同人に渡していたのであり、請求人が本件取引に係る収益を享受していたというべきであるから、本件法人の総勘定元帳に記載された売上高(本件収入)は請求人に帰属する収益である旨主張する。

しかしながら、本件法人の代表者や請求人の関係者などの各申述を的確に裏付ける証拠資料がなく、本件法人の代表者は後に当初の申述を全面的に否定しており、当該申述をそのまま信用することはできない。

そのほかに審判所に提出された証拠資料等を精査しても、請求人が本件取引に係る業務を主体的に行った事実や請求人が本件取引に係る収益を享受した事実は認められず、本件法人の事業の経緯、本件取引に係る業務の遂行状況、当該業務に係る費用の支払状況などを総合的に判断すると、本件収入が請求人に帰属する収益であるとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人とは別の法人名義で行われた取引に係る収入は請求人に帰属するとは認められないとした事例

2022年10月18日


租税調査会研究報告第38号「グループ通算制度と実務上の留意点」

日本公認会計士協会は、2022年4月14日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第38号「グループ通算制度と実務上の留意点」」を公表した。

令和2年度税制改正において、これまでの連結納税制度に代わり、グループ通算制度を創設し、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されることとなった。

グループ通算制度の税務実務において資するべく、連結納税制度からグループ通算制度への移行の背景も踏まえ、実務上の留意点等などを取りまとめて報告するものである。

本研究報告が会員の行う業務の参考となれば幸いである。

★リンクはこちら⇒ 租税調査会研究報告第38号「グループ通算制度と実務上の留意点」

2022年8月10日


令和4年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

国税庁は、「令和4年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和4年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

2022年8月9日


「法人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)

平成12年7月3日付課法2-10ほか3課共同「法人の青色申告の承認の取消しについて」(事務運営指針)の一部を別紙のとおり改正したから、令和4年1月1日以後は、これによられたい。

(注)アンダーラインを付した箇所が、改正した箇所である。

<趣旨>
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の一部改正に伴い、所要の整備を図るものである。

★リンクはこちら⇒ 「法人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)

2022年1月21日


令和3年6月25日付課法2-21ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

この趣旨説明は、令和3年7月9日現在の法令に基づいて作成している。

第1 法人税基本通達関係
1 固定資産の取得価額等
【改正】7-3-15の2(自己の製作に係るソフトウエアの取得価額等)
【改正】7-3-15の3(ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる費用)
2 資本的支出と修繕費
【改正】7-8-6の2(ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)
3 役員給与等
【新設】9-2-27の2(退職給与に該当しない役員給与)
4 寄附金
【新設】9-4-7の2(出資に関する業務に充てられることが明らかな寄附金)
5 租税公課
【改正】9-5-2(事業税及び特別法人事業税の損金算入の時期の特例)
第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係
1 第42条の4《試験研究を行った場合の法人税額の特別控除》関係
【新設】42の4(1)-1(試験研究の意義)
【新設】42の4(1)-2(試験研究に含まれないもの)
【新設】42の4(1)-3(研究開発費として損金経理をした金額の範囲)
2 第42条の12の5《給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除》関係
【改正】42の12の5-2(他の者から支払を受ける金額の範囲)
【新設】42の12の5-2の2(雇用安定助成金額の範囲)
【改正】42の12の5-3(出向先法人が支出する給与負担金)
3 第42条の13《法人税の額から控除される特別控除額の特例》関係
【新設】42の13-3(他の者から支払を受ける金額の範囲)
【新設】42の13-4(雇用安定助成金額の範囲)
【新設】42の13-5(国内資産の内外判定)
【新設】42の13-6(国内事業供用が見込まれる場合の国内資産の判定)
【新設】42の13-7(資本的支出)
【新設】42の13-8(圧縮記帳をした国内資産の取得価額)
【新設】42の13-9(贈与による取得があったものとされる場合の適用除外)
【新設】42の13-10(償却費として損金経理をした金額)
4 第66条の2の2《株式等を対価とする株式の譲渡に係る所得の計算の特例》関係
【新設】66の2の2-1(株式の占める割合が8割以上となる場合の本制度の適用)
【新設】66の2の2-2(株式の占める割合の判定等における株式交付親会社の株式の価額)
【新設】66の2の2-3(1株未満の株式の譲渡代金を交付した場合の株式の占める割合の判定等)
5 第66条の5の2《対象純支払利子等に係る課税の特例》関係
【新設】66の5の2-19(公社債の利子から成る部分の金額)

★リンクはこちら⇒ 令和3年6月25日付課法2-21ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

2021年8月20日


請求人が請求人の元代表者に退職金として支払った金員は、当該元代表者に退職の事実があるから、損金の額に算入されるとした事例

  • ①平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分
  • ②平成25年4月1日から平成26年3月31日まで、平成26年4月1日から平成27年3月31日まで、平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ④平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和2年12月15日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の取締役が、職務分掌の変更により使用人としての職制上の地位を有しないこととなったと認められることから、当該職務分掌以後は使用人兼務役員に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、同族会社である請求人の取締役(本件取締役)について、取締役に就任した後も、請求人の営業部の部長職である職制上の地位を有していること、営業部長として代表取締役の指揮命令系統に属する職務を行っていること、請求人の代表取締役の親族でもなくまた株主でもないこと、及び請求人の実質的な意思決定の場である月例会議にも参加していないことから、使用人兼務役員に該当し、当該取締役に対して支払った賞与は使用人としての職務に対する賞与であるから、損金の額に算入できる旨主張する。

しかしながら、請求人では、機構上、使用人としての職制上の地位が明確に定められているところ、本件取締役は、請求人及び請求人のグループ法人内での職務分掌の変更(分掌変更)により請求人の営業部の部長職の地位を失っていることから、請求人における使用人としての職制上の地位を有していないと認められるので、分掌変更以後、本件取締役は使用人兼務役員には該当せず、分掌変更以後に支給された賞与の額は損金の額に算入されない。

なお、分掌変更前の使用人兼務役員に該当する期間において支給された賞与の額については、他の使用人と同様に給与規程に基づく方法で決定されているものではないものの、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給され、使用人としての職務の対価であったことを否定するに足りる証拠はないことから、損金の額に算入される。

★リンクはこちら⇒ 請求人が請求人の元代表者に退職金として支払った金員は、当該元代表者に退職の事実があるから、損金の額に算入されるとした事例

2021年8月5日


請求人の取締役が使用人兼務役員に該当しないとした事例

  • ①平成26年8月1日から平成27年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②平成27年8月1日から平成28年7月31日まで、平成28年8月1日から平成29年7月31日まで及び平成29年8月1日から平成30年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成26年8月1日から平成27年7月31日まで、平成27年8月1日から平成28年7月31日まで、平成28年8月1日から平成29年7月31日まで及び平成29年8月1日から平成30年7月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①一部取消し、②③棄却
  • 令和2年12月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の取締役が、職務分掌の変更により使用人としての職制上の地位を有しないこととなったと認められることから、当該職務分掌以後は使用人兼務役員に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、同族会社である請求人の取締役(本件取締役)について、取締役に就任した後も、請求人の営業部の部長職である職制上の地位を有していること、営業部長として代表取締役の指揮命令系統に属する職務を行っていること、請求人の代表取締役の親族でもなくまた株主でもないこと、及び請求人の実質的な意思決定の場である月例会議にも参加していないことから、使用人兼務役員に該当し、当該取締役に対して支払った賞与は使用人としての職務に対する賞与であるから、損金の額に算入できる旨主張する。

しかしながら、請求人では、機構上、使用人としての職制上の地位が明確に定められているところ、本件取締役は、請求人及び請求人のグループ法人内での職務分掌の変更(分掌変更)により請求人の営業部の部長職の地位を失っていることから、請求人における使用人としての職制上の地位を有していないと認められるので、分掌変更以後、本件取締役は使用人兼務役員には該当せず、分掌変更以後に支給された賞与の額は損金の額に算入されない。

なお、分掌変更前の使用人兼務役員に該当する期間において支給された賞与の額については、他の使用人と同様に給与規程に基づく方法で決定されているものではないものの、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給され、使用人としての職務の対価であったことを否定するに足りる証拠はないことから、損金の額に算入される。

★リンクはこちら⇒ 請求人の取締役が使用人兼務役員に該当しないとした事例

2021年8月4日


不動産売買契約に基づく土地等の譲渡に係る収益が請求人に帰属しないとした事例

  • ①平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
  • ②平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度の法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分
  • ③平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • ④平成29年4月1日から平成30年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • ⑤平成24年4月1日から平成25年3月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分
  • ⑥平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑦平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • ①②③⑤⑥全部取消し
  • ④⑦一部取消し
  • 令和2年12月15日裁決

<ポイント>
本事例は、土地等の譲渡に係る事業において、その主体は、請求人以外の法人であるから、その収益も当該法人に帰属するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、売主を請求人又は請求人以外の法人(本件法人)とする土地及び地上権(本件土地等)並びに施設等(本件施設等)の売買契約(本件不動産等売買契約)に係る収益について、①所得の帰属主体は、諸要素を総合的に判断し、実質的に決定すべきであるから、そうすると、本件法人が本件不動産等売買契約に係る経費を支払っていなかったり、本件不動産等売買契約に係る代金が請求人名義の預金口座等に入金されていたなどのことから、本件不動産等売買契約に係る収益全てが請求人に帰属し、また、②本件不動産等売買契約は、本件土地等及び本件施設等の譲渡が一体となった一つの契約であるから、その収益は、その全てが引き渡された当該事業年度に計上すべきである旨主張する。

しかしながら、①請求人及び本件法人は、本件不動産等売買契約において、それぞれの意思に従い、それぞれ別の債務を負う内容の契約を締結し、他にも本件法人の従業員が本件土地等の買収に係る業務を行っていたなどの諸事情があることからすれば、本件不動産等売買契約に係る収益の全てが請求人に帰属するわけではなく、また、②本件不動産等売買契約がそれぞれ別個の契約であると認められるところ、請求人が譲渡した土地等は、当該事業年度以前に買主へ移転登記がされ、さらに、当該事業年度中にその代金の相当部分も支払われていたなどからすると、当該移転登記の日をもって「引渡しがあった日」であると判断するのが相当である。

したがって、本件不動産等売買契約に係る収益は、当該事業年度には計上されない。

★リンクはこちら⇒ 不動産売買契約に基づく土地等の譲渡に係る収益が請求人に帰属しないとした事例

2021年8月3日


適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等

国税庁は、『適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等』をホームページに掲載した。

平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定された。

このため、法人税関係特別措置のうち税額又は所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要がある。

★リンクはこちら⇒ 適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等

2021年7月26日


適用額明細書記載の手引(連結法人用)≪令和3年4月1日以後終了連結事業年度≫

国税庁は、『適用額明細書記載の手引(連結法人用)≪令和3年4月1日以後終了連結事業年度≫』をホームページに掲載した。

法人税関係の租税特別措置の適用を受けようとする場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付して税務署に提出する必要がある。

この手引は、本制度の概要をはじめ、「適用額明細書」の具体的な記載の仕方や留意点について取りまとめたものである。

「適用額明細書」を作成する際にご参照のこと。

★リンクはこちら⇒ 適用額明細書記載の手引(連結法人用)≪令和3年4月1日以後終了連結事業年度≫

2021年7月15日


税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組について(調査課所管法人の皆様へ)

国税庁は、実地調査以外の多様な手法を用いて、納税者の皆様方に自発的な適正申告をしていただく取組を充実させていくこととしており、国税局調査課所管法人のうち、特別国税調査官が所掌する法人に対して、税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組を促進している。

リンク先のページは、当該取組の概要を案内するとともに、効果的な取組事例を紹介するものである。

★リンクはこちら⇒ 税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組について(調査課所管法人の皆様へ)

2021年7月13日


適用額明細書記載の手引(単体法人用)≪令和3年4月1日以後終了事業年度≫

国税庁は、『適用額明細書記載の手引(単体法人用)≪令和3年4月1日以後終了事業年度≫』をホームページに掲載した。

法人税関係の租税特別措置の適用を受けようとする場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付して税務署に提出する必要がある。

この手引は、本制度の概要をはじめ、「適用額明細書」の具体的な記載の仕方や留意点について取りまとめたものである。

「適用額明細書」を作成する際にご参照のこと。

★リンクはこちら⇒ 適用額明細書記載の手引(単体法人用)≪令和3年4月1日以後終了事業年度≫

2021年7月8日


法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達 課法2-21 課審6-3 令和3年6月25日 )

昭和44年5月1日付直審(法)25「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか7件の法令解釈通達の一部を別紙のとおり改正したから、これによられたい。

なお、別紙には、この通達により新たに取扱いを定めたものについてはその全文を掲げ、それ以外のものについてはその改正箇所のみを掲げることとした。

(注)アンダーラインを付した箇所が、新設し、又は改正した箇所である。

この法令解釈通達は、令和3年度の法人税関係法令等の改正に対応し、法人税基本通達等につき所要の整備を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達 課法2-21 課審6-3 令和3年6月25日 )

2021年7月5日


令和3年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

国税庁は、『令和3年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和3年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

2021年6月30日


契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)

国税庁は、『令和3年度法人税関係法令の改正の概要』を掲載した。

①このパンフレットでは、令和3年度税制改正のうち法人税関係法令の概要(グループ通算制度に係る改正項目を除く。)について、令和3年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」の内容を中心に説明している。

②このうち「第1編 法人税法等に関する改正」では、法人税法や租税特別措置法など震災特例法以外の改正事項について、法人税を計算する際の項目ごとに分類し、主要な改正項目とそれ以外の改正項目とに区分して説明している。 「第2編 震災特例法に関する改正」では、震災特例法に関する改正事項について説明している。

③それぞれの主要な改正項目の説明に当たっては、措置された制度の概要について極力イメージ図や算式等を交えている。また、〔適用時期〕において、措置の適用関係について説明している。

④主要な改正項目以外の改正項目については、表形式により改正のポイントを説明している。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)

2021年5月26日


イメージデータで提出可能な添付書類(法人税確定申告等)

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、この一覧は、令和2年4月1日以後終了事業年度分(令和2年6月1日現在の法令に基づくもの)に対応している。

<添付書類をイメージデータで提出する場合の注意事項>
「勘定科目内訳明細書」、「財務諸表」など、電子データ(XML形式、XBRL形式またはCSV形式)により提出が可能な添付書類については、イメージデータで提出することができない。

なお、電子データにより提出が可能な添付書類は、「利用可能手続(法人税確定申告等)」でご確認のこと。

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★リンクはこちら⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(法人税確定申告等)

2021年3月19日


法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました

これまで法人を設立する際には、設立届出書の提出のような複数の各種手続を行政機関毎にそれぞれ個別に行う必要があった。

「法人設立ワンストップサービス」では、マイナポータルという一つのオンラインサービスを利用して、これらの一連の手続を一度で行うことができるようになった。

<本サービスで行える手続>
○国税・地方税に関する設立届
※利用可能な国税関連手続一覧は下記参照
○雇用に関する届出(年金事務所・ハローワーク)などの法人設立後に必要な全ての行政手続
※法人設立ワンストップサービスでは、「かんたん問診」の質問事項に答えていくことで、利用者のみなさまに必要な手続が表示される。
○定款認証・設立登記(令和3年2月26日から)
○GビズIDの発行(令和3年2月26日から)

<本サービス利用に必要なもの>
○法人代表者のマイナンバーカード
※必ず法人代表者のマイナンバーカードを利用すること。なお、代表者以外の方から提出された届出書等については、税務署から後日お問い合わせがある。
○マイナンバーカード対応のスマートフォンまたはパソコン
○(パソコンをご利用の方のみ)ICカードリーダライタ

<サービス開始日>
○令和3年2月26日(金)
※定款認証・設立登記及びGビズIDの発行以外の手続については、令和2年1月20日から利用可能となっている。

<運用時間>
24時間
※メンテナンス期間を除く。
メンテナンス期間は「法人設立ワンストップサービスホームページ」(外部リンク)を確認のこと。
※国税関係手続について、e-Tax受付時間外に提出された場合は、翌稼働日に提出されたことになるので、提出期限に注意すること。
e-Tax受付時間は「e-Taxホームページ」を確認のこと。

<利用可能な国税関連手続一覧>

項番 税   目 手 続 名
1 法人税 法人設立届出
2 法人税 申告期限の延長の特例の申請
3 法人税 青色申告の承認申請
4 法人税 事前確定届出給与に関する届出
5 法人税 棚卸資産の評価方法の届出
6 法人税 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出
7 法人税 減価償却資産の償却方法の届出
8 消費税 消費税課税事業者選択届出
9 消費税 消費税の新設法人に該当する旨の届出
10 消費税 消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出
11 消費税 消費税課税期間特例選択・変更届出
12 消費税 消費税簡易課税制度選択届出
13 源泉所得税 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出
14 源泉所得税 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
15 電子申告・納税等開始届出

<問合せ先>
・法人設立ワンストップサービスの操作方法でお困りの場合
法人設立ワンストップサービスヘルプデスクへおかけください。
0120-95-0178
(マイナンバー総合フリーダイヤル)
音声ガイダンスに従って「4→1→3」の順にお進みください。

★リンクはこちら⇒ 法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました

2021年3月5日


損金の額に算入した仕入額が過大であったとは認められず、請求人に隠蔽又は仮装の行為があったとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成27年2月1日から平成28年1月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
  • ②平成26年2月1日から平成27年1月31日まで、平成27年2月1日から平成28年1月31日まで及び平成28年2月1日から平成29年1月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成26年2月1日から平成27年1月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分
  • ④平成26年2月1日から平成27年1月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の重加算税の賦課決定処分
  • ⑤平成27年2月1日から平成28年1月31日まで及び平成28年2月1日から平成29年1月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • ①②④⑤全部取消し、③一部取消し
  • 令和2年2月5日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が海外の関係会社から輸入取引により仕入れた商品に係る仕入額(本件仕入額)について、請求人の代表者の申述からは、請求人がした輸入申告の価格が正しい価格であり、それが正しい仕入額であるという具体的理由が明らかではなく、また、本件代表者の申述のほかに原処分庁の主張を裏付ける証拠もないことから、請求人の本件輸入取引に係る仕入額が本件輸入申告額であるとはいえず、損金の額に算入された仕入額が過大であったとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が海外の関係会社から輸入取引(本件輸入取引)により仕入れた商品に係る仕入額(本件仕入額)について、請求人は、本件仕入額を当該関係会社が発行した請求書(本件請求書)に記載された金額としているが、本件仕入額は、輸入申告における申告価格に基づき原処分庁が算出した額(本件輸入申告額)であるから、そうすると、請求人は本件仕入額を過大に計上しており、また、本件輸入取引において虚偽の請求書を作成し、本件請求書に基づき請求人が総勘定元帳に過大に仕入額を計上したことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠蔽又は仮装に該当する旨主張する。

しかしながら、原処分庁がその主張を裏付ける証拠として指摘した、税関調査時における請求人の代表者(本件代表者)の申述からは、請求人がした輸入申告の価格が正しい価格であり、それが正しい仕入額であるという具体的理由が明らかではなく、また、本件代表者の申述のほかに原処分庁の主張を裏付ける証拠もないことから、請求人の本件輸入取引に係る仕入額が本件輸入申告額であるとはいえず、損金の額に算入された仕入額が過大であったとも認められない。

また、本件輸入取引に係る仕入額につき、損金の額に算入された仕入額が過大であったとは認められないことから、請求人に隠蔽又は仮装の行為があったとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 損金の額に算入した仕入額が過大であったとは認められず、請求人に隠蔽又は仮装の行為があったとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2020年11月10日


公益法人等である請求人が行う事業が、その事業に従事する65歳以上の者(特定従事者)の生活の保護に寄与しているものに該当しないとした事例

  • 平成29年3月期及び平成30年3月期の法人税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 平成29年3月課税事業年度及び平成30年3月課税事業年度の地方法人税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 令和2年3月5日裁決

<ポイント>
本事例は、法人税法施行令第5条第2項第2号に規定する「生活の保護に寄与しているもの」とは、事業に係る剰余金等の処分可能な金額の相当部分を特定従事者に給与等として支給していると認められる場合の当該事業をいい、剰余金等の処分可能な金額は、当該事業に係る利益の額に特定従事者への給与等支給額を含む人件費支給総額を加算した金額とすることが相当としたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が行う公の施設の管理受託の事業等(本件事業)の一部の業務については、法人税法施行令第5条《収益事業の範囲》第1項に規定する収益事業に該当しない旨主張する。

また、本件事業のうち請負業として収益事業に該当するものについては、当該事業に従事する者の総数の半数以上が65歳以上の高齢者(特定従事者)であり、同条第2項第2号に規定する「生活の保護に寄与しているもの」か否かは、税引前当期正味財産増減額に特定従事者への給与等支給額のみを加算した金額に占める特定従事者への給与等支給額の割合により、緩やかに判断するのが相当であるから、当該事業は収益事業から除かれる旨主張する。

しかしながら、請求人が収益事業に該当しないと主張する一部の業務は本件事業の付随行為であり、本件事業はその付随行為も含め全体として一つの請負業と認められる。

また、「生活の保護に寄与しているもの」か否かについては、事業に係る剰余金等の処分可能な金額の相当部分を特定従事者に給与等として支給しているかどうかにより判定することになるが、剰余金等の処分可能な金額は、本件事業に係る利益の額(税引前当期正味財産増減額)に特定従事者への給与等支給額を含む人件費支給総額を加算した金額とすることが相当である。そして、これにより剰余金等の処分可能な金額に占める特定従事者への給与等支給額の割合を計算すると過半にも満たないから、本件事業は「生活の保護に寄与しているもの」に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 公益法人等である請求人が行う事業が、その事業に従事する65歳以上の者(特定従事者)の生活の保護に寄与しているものに該当しないとした事例

2020年11月9日


連結法人における適用額明細書の記載の手引(令和2年4月1日以後終了事業年度分)

法人税関係の租税特別措置の適用を受けようとする場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付して税務署に提出する必要がある。

この手引は、本制度の概要をはじめ、「適用額明細書」の具体的な記載の仕方や留意点について取りまとめたものである。

「適用額明細書」を作成する際に参照のこと。

★リンクはこちら ⇒ 連結法人における適用額明細書の記載の手引(令和2年4月1日以後終了事業年度分)

2020年7月27日


電子帳簿保存法Q&A(一問一答)

電子取引を行った場合の電磁的記録の保存要件を緩和(選択肢の追加)する見直し(以下の(1)及び(2))については令和2年10月1日以後に行う電磁的記録の保存について適用されることとなる。

(1) 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、その取引情報の授受を行うこと(電子帳簿保存法規則81一)。
(2) 次の要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して、その取引情報の授受及びその電磁的記録の保存を行うこと(電子帳簿保存法規則81三)。
①その電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
②その電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。

★電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】はこちら ⇒ 電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】

★電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】はこちら ⇒電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】

★電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】はこちら ⇒電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

2020年7月16日


単体法人における適用額明細書の記載の手引(令和2年4月1日以後終了事業年度分)

法人税関係の租税特別措置の適用を受けようとする場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付して税務署に提出する必要がある。

この手引は、本制度の概要をはじめ、「適用額明細書」の具体的な記載の仕方や留意点について取りまとめたものである。

「適用額明細書」を作成する際に参照のこと。

★リンクはこちら ⇒ 単体法人における適用額明細書の記載の手引(令和2年4月1日以後終了事業年度分)

2020年7月15日


令和2年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

国税庁は『令和2年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』をホームページに掲載した。

この手引は、令和2年4月1日以後に終了する事業年度等分の法人税及び地方法人税の申告書別表に対応している。

中小企業者等の法人税率の特例(措置法42の3の2)をはじめとする法人税関係の租税特別措置の適用を受けようとする場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付する必要がある。

適用額明細書の記載方法については、国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp)に「租特透明化法に基づく『適用額明細書の記載の手引(単体法人用)』」を掲載しているので参照のこと。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

2020年7月9日


令和2年度法人税関係法令の改正の概要

国税庁は『令和2年度法人税関係法令の改正の概要)』をホームページに掲載した。

1 このパンフレットでは、令和2年度税制改正のうち法人税関係法令の概要について、令和2年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」の内容を中心に説明している。
2 このうち改正項目を、「Ⅰ 減価償却又は税額の計算に関する改正」から「Ⅵ 連結納税制度の見直しに伴う改正」までに区分した上で、法人税法及び租税特別措置法などの改正事項について、法人税を計算する際の項目ごとに分類し、主要な改正項目とそれ以外の改正項目とに区分して説明している。
なお、グループ通算制度の概要及び同制度への移行に合わせた改正項目のうち、主要なものについては、このパンフレットではなく「グループ通算制度の概要(令和2年4月)」で説明している。
3 それぞれの主要な改正項目の説明に当たっては、措置された制度の概要について極力イメージ図や算式等を使用して説明している。
また、〔適用時期〕において、措置の適用関係について説明している。
4 主要な改正項目以外の改正項目については、表形式により改正のポイントを説明している。
5 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置については以下をご参照のこと。
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/keizaitaisaku/index.htm)

★リンクはこちら ⇒ 令和2年度法人税関係法令の改正の概要

2020年7月6日


元従業員が請求人の仕入れた商品を窃取したことによる当該元従業員に対する損害賠償請求権を益金の額に算入すべきとした事例

  • ①平成22年2月1日から平成23年1月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
  • ②平成22年2月1日から平成27年1月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成27年2月1日から平成29年1月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ④平成25年2月1日から平成27年1月31日までの各課税事業年度の復興特別法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑤平成27年2月1日から平成28年1月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑥平成28年2月1日から平成29年1月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • ⑦平成22年2月1日から平成29年1月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ①⑦全部取消し、②全部取消し、一部取消し、棄却、③⑤⑥一部取消し、④一部取消し、棄却
  • 令和元年5月16日裁決

<ポイント>
本件は、従業員等による横領があった場合の損害賠償請求権について先例が示した判断と基本的に同様の判断をしたものであるが、請求人の隠蔽行為があったと認められないこと等から、更正処分の全部又は一部、重加算税の賦課決定処分の全部又は一部及び青色申告の承認取消処分が取り消されたものである。

<要旨>
請求人は、請求人の従業員であった者(本件元従業員)が請求人の仕入れた商品を窃取してインターネットオークションで販売した取引(本件取引)による本件元従業員に対する損害賠償請求権(本件損害賠償請求権)の額は、本件取引の日を含む事業年度(本件事業年度)の終了時に確定できる状況になかった旨主張する。

しかしながら、本件損害賠償請求権の額は、請求人が本件事業年度の当時において仕入れに係る資料と売上げ及び棚卸しに係る資料とを照合し、窃取された商品を特定した上、その商品に係る価額等に係る資料を保全することで計算することのできた金額を上回らないものと認められるから、通常人を基準とすれば、本件事業年度においてその金額を把握し得ないとはいえず、また、本件損害賠償請求権につき権利行使を期待できない客観的状況があったとはいえない。したがって、本件損害賠償請求権の確定による収益の額を本件事業年度の益金の額に算入すべきである。

なお、本件元従業員の地位から、その行為が請求人の行為と同視されるとは認められず、請求人が法人税等及び消費税等の課税標準等及び税額等の計算の基礎となるべき事実を隠蔽したとは認められないこと等から、法人税の青色申告の承認取消処分を取り消すほか、法定申告期限から5年経過後の事業年度等の法人税等及び消費税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の全部、法定申告期限から5年以内の事業年度等の法人税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の一部並びに消費税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の全部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 元従業員が請求人の仕入れた商品を窃取したことによる当該元従業員に対する損害賠償請求権を益金の額に算入すべきとした事例

2020年3月23日


2019研究開発税制Q&Aの公表について

経済産業省ホームページにて「2019研究開発税制Q&A」パンフレットが公表された。

当該パンフレットは、日本税理士会連合会調査研究部が作成したもので、令和元年度税制改正における研究開発税制の拡充を反映した内容となっている。

★リンクはこちら ⇒ 2019研究開発税制Q&Aの公表について

2020年3月12日


空撮専用ドローンの耐用年数

<照会要旨>
建設業を営む当社は、次の空撮専用ドローン(以下「本件ドローン」という。)を取得した。本件ドローンの耐用年数は何年となるか?

(ドローンの概要)
1.構造等:樹脂製で、航空の用に供されるものの人が乗れる構造となっておらず(送信機で遠隔操作します。)、航空法上の「無人航空機」(注)に該当します。また、本件ドローンは空撮専用の仕様(カメラの着脱は可能)とされている。

2.寸法及び重量:100cm/10kg

3.用途:空撮した画像を解析ソフトに落とし込み、施工時の無人重機の動作制御やその施工結果の確認等のために使用する。

4.価格: 600,000円

5.その他:モーター(寿命期間は100時間程度)を動力とし、1回の飛行可能時間は30分程度である。

(注)無人航空機とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空着、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもので重量200グラム以上のものをいう(航空法2㉒)。

<回答要旨>
本件ドローンは、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一の「器具及び備品」の「4 光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」に該当し、その耐用年数は5年となる。

(理由)
1.減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」という。)の別表第一の「航空機」とは、航空法の規定(注)等を参照し、人が乗って航空の用に供することができる飛行機等と解される。

(注)航空法第2条第1項において「航空機とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう。」とされている。

2.ご照会によれば、本件ドローンは、航空の用に供されるものの人が乗れる構造となっていないので、耐用年数省令別表第一の「航空機」には該当しないこととなる。

そこで、本件ドローンの規模、構造、用途等を総合的に勘案すると、本件ドローンは、空中から写真撮影することを主たる目的とするものであり、写真撮影機能に移動手段を取り付けたものであるから、その主たる機能は写真撮影であると考えられる。

また、本件ドローンはカメラの着脱が可能とのことだが、本件ドローンはカメラと移動手段とが一体となって設備を形成し、その固有の機能(空撮)を発揮するものであるため、それぞれを独立した減価償却資産として適用される耐用年数を判定するのは適当でないと考えられる。

したがって、本件ドローンは、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「4 光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」に該当し、その耐用年数は5年となる。

なお、ご照会の本件ドローンとは異なり、カメラが内蔵されたドローンであっても、その規模、構造、用途等が同様であれば、その耐用年数は同様に5年となる。

★リンクはこちら ⇒ 空撮専用ドローンの耐用年数

2020年2月20日


租税調査会研究報告第35号「法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる実務上の論点整理」の公表について

日本公認会計士協会は、2019年7月18日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第35号「法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる実務上の論点整理」」を公表した。

経済のAI・IT化及びグローバル化が進展する中で、企業の競争は一段と厳しさを増している。
このような状況の中で、役員報酬の改革を通じて、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促すことが期待されている。
税法においても、特に平成28年度及び平成29年度において役員報酬の改革に対応した改正として、株式報酬等の導入等に関する税制改正が行われた。

一方で、法人税法上、役員給与は恣意性の排除の観点から損金算入が制限されてきたこともあり、これらの立法の在り方やその解釈をめぐって従来から多くの議論がある。
また、所得税法上も退職所得が優遇されていることもあって、所得区分の問題など古くから議論がなされている。

本研究報告は、上場企業における役員報酬制度改革の更なる推進の一助となるため、また、会員の実務に資することを目的として、役員給与に関する税務上の論点について検討を行い、その結果を報告するものである。

本研究報告が会員の行う業務の参考となれば幸いである。

 ★租税調査会研究報告第35号「法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる実務上の論点整理」はこちら ⇒ 租税調査会研究報告第35号「法人税法上の役員報酬の損金不算入規定の適用をめぐる実務上の論点整理」

★参考事例資料 はこちら ⇒ 参考事例資料

2020年1月30日


各経費が収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用と認められ、当該各経費の収益事業への配賦については、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準により配賦するのが相当であるとした事例

  • ①平成23年10月1日から平成27年9月30日までの各事業年度の法人税の更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び無申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成24年10月1日から平成26年9月30日までの各課税事業年度の復興特別法人税の更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ③平成26年10月1日から平成27年9月30日までの課税事業年度の地方法人税の更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成31年2月15日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人は、建物の区分所有等に関する法律第47条《成立等》第13項に基づき、法人税法の規定の適用については公益法人等とみなされ、公益法人等は収益事業を行う場合に限り、当該収益事業から生じた所得についてのみ法人税が課されるところ、収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用(共通費用)の配賦については、常に一律の基準で配賦するのではなく、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準によりそれぞれ収益事業と収益事業以外の事業に配賦するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が支払う委託費、点検費及び火災保険料(本件各経費)は、請求人が行う収益事業(本件収益事業)に直接要した費用とは認められず、また、本件各経費は、請求人が本件収益事業を行っていなくても発生するものであり、本件収益事業及び本件収益事業に付随する行為から生じた費用であるとはいえないから共通費用にも該当しない旨主張し、請求人は、本件各経費は共通費用に該当し、請求人の全ての収入の額のうち本件収益事業の収入の額の占める割合(本件収入割合)を乗じた金額で損金の額に算入すべきである旨主張する。

しかしながら、本件各経費は、本件収益事業と本件収益事業以外の事業の両方について生じたもので本件収益事業に必要な費用であるから共通費用と認められ、また、本件収益事業への本件各経費の配賦については、常に一律の基準で配賦するのではなく、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準によりそれぞれ収益事業と収益事業以外の事業に配賦するのが相当であるから、管理員の従事時間あん分割合や共用面積あん分割合などにより収益事業に配賦するのが合理的であり、原処分の一部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 各経費が収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用と認められ、当該各経費の収益事業への配賦については、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準により配賦するのが相当であるとした事例

2020年1月27日


不動産開発に係る開発権の譲渡について、収益計上時期を繰り延べた事実はないとした事例

  • ①平成26年11月1日から平成27年10月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
  • ②平成26年11月1日から平成27年10月31日まで及び平成27年11月1日から平成28年10月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分
  • ③平成26年11月1日から平成27年10月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成31年3月14日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁は、請求人が譲渡した不動産開発に係る開発権(本件開発権)の譲渡契約書(本件契約書)等には、本件開発権が決済日前に適法かつ有効に取引先に移転し取得され承継手続が全て完了している旨記載されていると主張するが、当該記載は、譲渡対価の支払条件等を定めたものであって、当該条件が成就されているとの趣旨ではないことから、原処分庁の主張はその前提を欠いているとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、本件開発権の譲渡の収益計上時期について、本件契約書等には、本件開発権が決済日前に適法かつ有効に取引先に移転し取得され承継手続が全て完了している旨記載されており、また、当該取引先が市から開発許可に基づく地位の承継承認通知書(本件通知書)の交付を受けた日が、当該取引先において本件開発権を使用収益できることとなった日であると認められることから、本件開発権は当該取引先が本件通知書の交付を受けた日に譲渡された旨主張する。

しかしながら、本件開発権の譲渡に係る収入すべき権利が確定する時期は、請求人が本件契約書に定められた物又は権利の全てを引き渡し、当該取引先に移転又は取得させた時と認められるところ、請求人と当該取引先との清算合意書の締結時まで、その全てが引き渡されておらず、当該清算合意書が締結された日に収入すべき権利が確定したと認められることから、原処分の全部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 不動産開発に係る開発権の譲渡について、収益計上時期を繰り延べた事実はないとした事例

2020年1月20日


共同開発契約に基づいて支払った負担金は、役務の提供を受けるために支出する費用で、支出の効果が1年以上に及ぶことから繰延資産に該当するとした事例

  • ①平成25年4月1日から平成26年3月31日まで及び平成26年4月1日から平成27年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分並びに平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • ②平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ⇒一部取消し
  • 平成30年10月10日裁決

<ポイント>
本事例は、企業会計においては、費用収益対応の原則がとられており、法人税法においても同原則が妥当するものと解されるところ、法人税法上の繰延資産は、費用を支出しても、それにより当該費用と収益の対応関係が即時的に完結せず、その後においても収益を生み出す性質を有する場合のその継続的な収益に着目し、複数年にわたり償却(損金算入)を行うという制度であるから、「支出の効果」についても同原則に照らして考慮すべく、「支出の効果」とは、費用収益対応の原則における「収益」の発生を意味するものであって、「支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの」というのは、費用収益対応の原則の下、当該費用の支出が1年以上に及ぶ継続的な収益を発生させる性質を有するものをいうと解するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、製品の共同開発契約(本件契約)に基づき一方の契約当事者(本件当事者)に支払った負担金(本件負担金)について、本件契約の製品に係る大臣の承認(本承認)を得るために本件当事者から開示された資料等は、共同開発の成果であって請求人が自己開発したものと同様であること、また、本件負担金の支出には、本承認が得られないリスクがありその支出の効果がその後に及ぶものといえないことなどから、本件負担金は繰延資産に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件負担金の対象となる各業務は、本件当事者が担当する業務であり、ほとんどが本件契約の締結日までに完了していたことに加え、請求人は本承認の申請に必要なデータを本件当事者から取得し、本件契約の締結日から短期間で本承認の申請をしていたことなどから、請求人が当該共同開発の主体であったとみることはできず、本件負担金は、本件当事者が開発の過程で得た成果の提供という役務の提供を受けるために支出する費用であると認められる。

そして、当該製品は現に製造販売されていることに加え、本承認の取得後5年ごとに大臣の調査を受けなければならないことなどからすると、本承認を取得した効果は少なくとも5年は継続するということができる。

したがって、本件負担金は、役務の提供を受けるために支出する費用で、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものと認められるから、繰延資産に該当する。

なお、平成27年3月期に繰延資産の償却超過額の損金不算入額が増加したことに伴い、平成28年3月期に繰延資産の償却超過額の前期からの繰越額のうち当期損金算入額が増加したことから、平成28年3月期に一部取消しが発生したものである。

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2019年12月12日


外国法人が株式会社である場合、外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社に該当するかどうかは、「株式の数」により判断すべきとした事例

  • 平成25年6月1日から平成26年5月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 平成25年6月1日から平成26年5月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年12月14日裁決

<ポイント>
本事例は、法人税法施行令第22条の4第1項第1号の「株式又は出資の数又は金額」の読み方は、「株式の数」、「出資の金額」、「株式の金額」及び「出資の数」の四通りの組合せがあるが、外国法人が株式会社である場合、外国法人の経営判断への内国法人の支配力(影響力)を示すのは「株式の数」であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人に剰余金の配当を行った海外法人(本件法人)が法人税法施行令第22条の4《外国子会社の要件等》第1項第2号に規定する要件を満たす外国子会社に該当するか否かは、「議決権のある株式の金額」等を判断基準とするものと解され、これによれば同号に規定する割合は100分の25以上となるから、当該配当を行った日において本件法人は外国子会社に該当する旨主張する。

しかしながら、外国法人が株式会社である場合、外国子会社の判断基準は「株式の数」であると解するのが相当であるところ、これによれば本件法人の同項各号に規定する割合は、当該配当を行った日においていずれも100分の25未満であると認められるのであるから、本件法人は外国子会社には該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 外国法人が株式会社である場合、外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社に該当するかどうかは、「株式の数」により判断すべきとした事例

2019年12月10日


収益は、その収入すべき権利が確定したときの属する事業年度の益金に計上すべきものとした事例

  • ①平成23年1月1日から平成23年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処 →棄却
  • ②平成24年1月1日から平成25年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成23年1月1日から平成23年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ④平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処 →一部取消し
  • ⑤平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処 →却下
  • 平成30年11月14日裁決

<ポイント>
本事例は、ある収益をどの事業年度に計上すべきかは、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり、これによれば、収益は、その実現があった時、すなわち、その収入すべき権利が確定したときの属する年度の益金に計上すべきものと解されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が売上計上漏れがあったとした事件業務に係る請求金額の一部について、①請求した金額ではなく調停により減額決定した金額であること、②着手金の支払がなく委任契約が途中解約されたことから零円であること及び③日当旅費は、委任契約上免除する旨の合意がありその支払もなかったことから零円であることなどから益金の額が過大である旨主張し、原処分庁は、当該事件業務の売上高は、請求人が保管していた顧客との委任契約書及び請求書を基に算出したもので、当該事件業務に係る契約が解除された等の事実は認められない旨主張する。

しかしながら、収益はその収入すべき権利が確定したときの属する事業年度の益金に計上すべきところ、①及び②については、請求人は報酬金を依頼人に請求していることから、この時点で当該報酬金の支払請求権が確定したものと認められ、当該請求金額は請求した事業年度の益金の額に算入されることとなり、③については、依頼人との委任契約書において、日当を免除する旨定められていることから、請求人は、当該依頼人に対して日当を請求する権利を有していたとは認められず、請求書に記載されている日当の額は益金の額には算入されない。

そして、①の減額金額については、請求した事業年度の益金の額に算入されるものの、翌事業年度に減額が確定しており、当該減額金額は翌事業年度の損金の額に算入されること及び③の金額は益金の額に算入されないことになるから、それらの部分を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 収益は、その収入すべき権利が確定したときの属する事業年度の益金に計上すべきものとした事例

2019年12月6日


「欠損金の繰戻しによる還付請求書」等の誤りについて

国税庁が、平成30年6月29日付課法7-21ほか4課共同「『法人課税関係の申請、届出等の様式の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)で定めた以下の4様式に誤りがあった。

欠損金の繰戻しによる還付請求書(平成30年4月1日以後終了事業年度分)
災害損失の繰戻しによる還付請求書(平成30年4月1日以後終了事業年度分)
連結欠損金の繰戻しによる還付請求書(平成30年4月1日以後終了連結事業年度分)
連結法人の災害損失の繰戻しによる還付請求書(平成30年4月1日以後終了連結事業年度分)

(参考・誤りのあった箇所)
《例》上記様式①の場合
(7)のうち、「外国関係会社等に係る控除対象所得税額等相当額の控除額」が不要。
②~④についても同様。

国税庁ホームページにおいては、誤った様式は既に削除されているが、e-Taxにおいては、それぞれ以下の手続(名称に「平成30年4月1日以後終了(連結)事業年度分」という記載のない手続)を利用するよう注意すること。

・欠損金の繰戻しによる還付請求
・災害損失の繰戻しによる還付請求
・連結欠損金の繰戻しによる還付請求
・連結法人の災害損失の繰戻しによる還付請求

詳細については、国税庁ホームページ及びe-Taxホームページをご確認のこと。

 ★単体法人用はこちら ⇒ [手続名]欠損金の繰戻しによる還付の請求

 ★連結法人用はこちら ⇒ [手続名]連結欠損金の繰戻しによる還付の請求

2019年10月23日


令和元年版 法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

国税庁は、『令和元年版 法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年版 法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

2019年9月8日


設備の賃借及び転貸はいずれも法人税法上のリース取引に該当し、売買があったものとして処理することが相当とした事例

  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで及び平成27年1月1日から平成27年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成25年1月1日から平成25年12月31日まで及び平成26年1月1日から平成26年12月31日までの各課税事業年度の復興特別法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成25年1月1日から平成25年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで及び平成27年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成30年8月23日裁決

<ポイント>
 本事例は、請求人が、設備の賃借及び転貸のいずれも賃貸借取引として処理していたことに対し、原処分庁は、設備の賃借を売買取引、転貸を賃貸借取引として原処分を行ったところ、審判所は、いずれも売買取引として処理すべきとした上で、延払基準の方法により収益の額及び費用の額を計算するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人による設備(本件リース資産)を賃借する取引(本件リース取引)は、法人税法第64条の2《リース取引に係る所得の金額の計算》第3項に規定するリース取引(法人税法上のリース取引)に該当する旨主張する。

確かに、本件リース取引は、資産の賃貸借であり、中途解約禁止要件及びフルペイアウト要件のいずれも充足し法人税法上のリース取引に該当するものと認められるが、請求人は、さらに本件リース資産を本件リース取引とほぼ同条件で転リースしていることから、当該転リース取引についても同様に法人税法上のリース取引に該当するものと認められる。

よって、本件リース取引のみならず、当該転リース取引についても売買があったものとして処理することが相当であり、当該転リース取引に係る収益の額及び費用の額は、法人税基本通達2-4-2の2《売買があったものとされたリース取引》の定めにより、法人税法63条《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》第1項の延払基準の方法により計算した収益の額及び費用の額とし、各事業年度の課税所得を計算することとなる。

 ★リンクはこちら ⇒ 設備の賃借及び転貸はいずれも法人税法上のリース取引に該当し、売買があったものとして処理することが相当とした事例

2019年8月27日


請求人が裁判上の和解に基づいて受領した解決金は、株式の公開買付けの対象となった法人の不適切な会計処理に起因し、当該公開買付け等により請求人に生じた損害を当該法人の役員らが連帯して支払った損害賠償金と認められ、益金の額に算入されるとした事例

  • ①平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ②平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • 平成30年9月12日裁決

<ポイント>
本事例は、裁判上の和解に基づく解決金の性質の検討に当たっては、和解調書に記載された条項の文言解釈が中心となることはもちろんであるが、一般法律の解釈と同様、文言とともにその解釈に資するべき他の事情、特に裁判上の和解であることからこそ、訴訟の経過等をも十分に参酌して、当事者の真意を探求してなされるべきであるとしたものである。

<要旨>
請求人は、法人(本件法人)の株式を公開買付け等(本件公開買付け等)により取得した際に算定した株式価額について、本件法人において不適切な会計処理があったことから過大に算定していたとして、本件法人の代表取締役ら(本件役員ら)を相手に訴訟(本件訴訟)を提起した後、裁判上の和解(本件和解)により本件役員らから受け取った解決金(本件解決金)は、本件法人の代表取締役から本件公開買付け等により取得した株式(本件株式)の売買代金の減額調整金として支払われたものであり、株式の取得価額を減額すべきものである旨主張する。

しかしながら、本件和解の和解調書の条項の文言は、本件解決金を支払うことになった理由を示したものであり、本件解決金が本件株式の売買代金の返還であるとの記載ではない。
本件和解の協議においても、本件解決金が本件株式の売買代金の返還である旨の合意はなされていない。

また、本件和解に至る経過等によると、①本件訴訟の請求は損害賠償請求であり、②本件法人の代表取締役以外の株主からも取得した全ての株式の取得対価の過大支払額を損害額として請求するとともに、③株式の取得対価とは異なる損害額(調査委員会費用、追加監査費用及び課徴金の損害額)についても請求し、④本件解決金の支払義務を負う者として本件法人の代表取締役のほか本件法人の役員が含まれ、⑤実際に本件法人の役員も本件解決金の一部を支払っていることから、本件解決金は、本件法人の不適切な会計処理に起因し、本件公開買付け等により請求人に生じた損害を本件役員らが連帯して支払った損害賠償金と認められることから、本件解決金の額は、益金の額に算入される。

 ★リンクはこちら ⇒ 法人の不適切な会計処理に起因し、当該公開買付け等により請求人に生じた損害を当該法人の役員らが連帯して支払った損害賠償金と認められ、益金の額に算入されるとした事例

2019年8月26日


適用額明細書に関するお知らせ

平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定された。

このため、法人税関係特別措置のうち税額または所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要がある。

 ★リンクはこちら ⇒ 適用額明細書に関するお知らせ

2019年8月8日


不動産に係る賃借物件の賃料として損金の額に算入される金額及び転貸物件の賃料として益金の額に算入される金額は、賃借契約及び転貸契約による減額後の月額賃料に基づいて算出された金額であって、当該各契約の全期間の月額賃料の合計額を当該全期間で均等あん分した月額賃料相当額に基づいて算出した金額ではないとした事例

  • 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年6月15日裁決

<要旨>
請求人は、不動産に係る中途解約不能で、中途解約した場合に残りの賃借期間の賃料を支払うことになっている長期の賃料減額期間のある賃借契約(本件賃借契約)の場合、その契約時に契約期間全体にわたる賃料総額の支払をすべき義務が確定していると解すべきであり、契約期間における賃料総額を当該契約期間で均等あん分した月額賃料相当額(本件あん分計算方式)に基づいて算出した金額は、合理的に算定された金額であり、その金額が損金の額に算入できる旨主張し、また中途解約禁止条項のある長期の賃料減額期間のある転貸契約(本件転貸契約)の場合も、本件あん分計算方式に基づいて算出した金額が益金の額に算入される旨主張する。

しかしながら、本件賃借契約及び本件転貸契約における契約当事者間では、賃借物件及び転貸物件に係る賃料減額期間の賃料の減額という法律効果が本件賃借契約及び本件転貸契約(法律行為)に基づき成立し、当該法律効果を変更又は消滅させる他の法律行為があるとする証拠も認められないことからすれば、当該賃借物件に係る賃料として事業年度終了の日までに債務が確定した金額は、本件賃借契約の特約条項により減額された月額賃料に基づいて算出された金額であり、当該金額が損金の額に算入される。

また、当該転貸物件に係る賃料として事業年度終了の日までに収入すべき権利として確定しているのは、本件転貸契約の特約条項により減額された月額賃料に基づいて算出された金額であり、当該金額が益金の額に算入される。

 ★リンクはこちら ⇒ 不動産に係る賃借物件の賃料として損金の額に算入される金額及び転貸物件の賃料として益金の額に算入される金額は、賃借契約及び転貸契約による減額後の月額賃料に基づいて算出された金額であって、当該各契約の全期間の月額賃料の合計額を当該全期間で均等あん分した月額賃料相当額に基づいて算出した金額ではないとした事例

2019年7月8日


太陽光発電設備を囲むフェンス、門扉等は、当該発電設備とは別個の減価償却資産と認められ、その取得の日に事業の用に供されたと認められるとした事例

  • 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年6月19日裁決

<ポイント>
本事例は、太陽光発電設備は、その取得の日を含む事業年度の末日において系統連系のための工事が完了していないから、当該事業年度に事業の用に供されたとは認められないが、当該発電設備とともに取得した同設備を囲むフェンス、門扉等は、その取得の日から機能を発揮しているから、当該事業年度に事業の用に供されたと認められ、特別償却の適用があるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、太陽光発電設備(本件設備)を囲むフェンス、門扉等(本件フェンス等)は、本件設備とともに生産性向上設備等の確認を受けたのであり、単独では生産活動等の用に直接供される減価償却資産とは認められないから、請求人は本件フェンス等を本件設備と一体で取得し、一体で事業の用に供したとみるべきであり、本件設備について系統連系が行われて事業の用に供したのは、取得の日を含む事業年度の末日よりも後であるから、本件フェンス等は当該事業年度に事業の用に供していない旨主張する。

しかしながら、本件フェンス等は本件設備とは物理的にも機能的にも一体とはいえず、別個の減価償却資産であると認められるところ、本件フェンス等は、太陽光発電所内への外部からの侵入を防止し、同発電所内での事故や本件設備の毀損、盗難等を避けることを目的として設置されたものと認められ、請求人が本件設備を取得してから系統連系が行われ売電を開始するまでの間も、本件フェンス等は本件設備を第三者による毀損や盗難から保護し、接触による感電事故等を防止する機能を発揮していたと認められるから、本件フェンス等はその取得の日から使用を開始され、事業の用に供されたと認めるのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 太陽光発電設備を囲むフェンス、門扉等は、当該発電設備とは別個の減価償却資産と認められ、その取得の日に事業の用に供されたと認められるとした事例

2019年7月5日


請求人が支出した風俗事業以外の事業に係る業務委託費は、業務遂行上必要と認められるから、法人税の所得金額の計算上損金の額に算入されるとした事例

  • ①平成23年5月1日から平成24年4月30日まで及び平成24年5月1日から平成25年4月30日までの各事業年度の法人税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分 ⇒棄却
  • ②平成25年5月1日から平成26年4月30日まで及び平成26年5月1日から平成27年4月30日までの各事業年度の法人税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分 ⇒一部取消し
  • ③平成24年5月1日から平成25年4月30日までの課税事業年度の復興特別法人税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • ④平成25年5月1日から平成26年4月30日までの課税事業年度の復興特別法人税の決定処分 ⇒一部取消し
  • ⑤平成23年5月1日から平成24年4月30日まで、平成24年5月1日から平成25年4月30日まで、平成25年5月1日から平成26年4月30日まで及び平成26年5月1日から平成27年4月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分 ⇒棄却
  • 平成30年6月29日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が、風俗事業におけるコンパニオン送迎に係る業務委託費を運転手が作成した原始記録により算定して損金算入する一方で、風俗事業以外の事業に係る業務委託費は損金算入できないとしたところ、前者については、請求人が審判所に提出した業務委託領収証により算定して損金算入することはできないが、後者については、業務遂行上必要と認められるから損金算入されるとしたものである。

<要旨>
調査対象事業年度(本件事業年度)のうち、コンパニオン送迎の業務委託先である運転手(本件運転手)が作成した原始記録(本件原始記録)の存在する期間において、請求人は、コンパニオン送迎の業務委託費(本件業務委託費)につき、本件原始記録ではなく、請求人が審判所に提出した本件運転手に係る領収書(本件業務委託領収証)により算定した金額を、法人税の所得金額の計算上損金に算入すべきである旨主張する。

しかしながら、本件運転手の答述等によれば、本件業務委託領収証の記載内容に信用性はないと認められるから、本件業務委託領収書により本件業務委託費の額を算定してこれを損金に算入することはできない。

ただし、請求人の業務委託先の中には、コンパニオン送迎ではなく、風俗事業以外の事業の業務を請け負っている者が存在する事実が認められ、当該事業に係る業務委託費は、当該業務の遂行上必要と認められるから、法人税の所得金額の計算上損金に算入することが相当と認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が支出した風俗事業以外の事業に係る業務委託費は、業務遂行上必要と認められるから、法人税の所得金額の計算上損金の額に算入されるとした事例

2019年7月4日


請負による収益の額は、約した役務の全部を完了した日の属する事業年度の益金の額に算入するとした事例

  • 平成23年4月1日から平成24年3月31日まで、平成26年4月1日から平成27年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成28年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに平成23年4月1日から平成24年3月31日まで、平成24年4月1日から平成25年3月31日まで、平成26年4月1日から平成27年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成28年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成30年4月13日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が、注文書等に記載された請負代金の支払条件である「検収に基づく出来高払い」の文言を誤って解し、請負による収益の額を部分完成基準により益金の額に算入すべきとした原処分の全部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が元請先から請け負った各工事(本件各工事)に係る注文書及び注文請書には、請負代金の支払条件として、元請先の検収に基づく出来高払いによることとされていることから、法人税基本通達2-1-9《部分完成基準による収益の帰属時期の特例》が定める特約又は慣習があり、出来高に応じた請求金額(本件各出来高請求金額)を出来高が検収された日の属する事業年度の益金の額に算入すべきである旨主張する。

しかしながら、本件各出来高請求金額は、本件各工事の工事監督者が本件各工事の出来高を査定したもので、本件各工事の出来高の請求書ではこの査定を「検収」と記載しているが、これは出来高の金額を確認する、あるいは出来高の金額の支払を認めるという意味で使用しているものであり、元請先が本件各出来高請求金額に相当する部分の完成を確認したものではない。

そして、元請先は、工事の竣工検査における合格日(検査合格日)を検収日(引渡日)としているから、本件各工事はそれぞれの検査合格日に請求人の役務の提供が完了したと認められる。

したがって、本件各工事に係る収益は、法人税基本通達2-1-5《請負による収益の帰属の時期》に定めるいわゆる工事完成基準により、本件各工事の請負代金の全額を本件各工事の検査合格日の属する事業年度の益金の額に算入すべきものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 請負による収益の額は、約した役務の全部を完了した日の属する事業年度の益金の額に算入するとした事例

2019年7月3日


請求人が請求人の従業員に帰属するとした販売業務の収益は、請求人に帰属するところ、一部売上原価等は損金の額に算入されるとした事例

  • ①平成25年6月1日から平成26年5月31日までの事業年度の法人税及び同期間の課税事業年度の復興特別法人税の各更正処分 ⇒棄却
  • ②平成26年6月1日から平成27年5月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分 ⇒一部取消し
  • ③平成27年6月1日から平成28年5月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • ④平成27年6月1日から平成28年5月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • ⑤平成26年6月1日から平成28年5月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分 ⇒棄却
  • 平成30年6月28日裁決

<ポイント>
本件は、事業収益

の帰属者が誰であるかについて、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義だけでなく、①事業の経緯、②業務の遂行状況、③業務に係る費用の支払状況及び④請求人の認識などの事実関係を総合勘案して判断したものである。

<要旨>
請求人は、インターネットオークションによる販売業務(本件業務)の事業主体は請求人の従業員であるから、本件業務に係る収益は請求人に帰属しない旨主張する。

しかしながら、①本件業務は個人名義で出品するものの請求人の従業員名義であったこと、②請求人の事務所において従業員が本件業務の事務及び商品の発送を行っていたこと、③請求人が仕入れた商品を出品することによって収益が獲得されていたこと、④本件業務に従事する者の給与を請求人が支払っていたこと及び⑤請求人の代表者は、本件業務で収益を得ていたとの認識があったことなどの事実関係から、本件業務は請求人の業務の一環として行われたものとみるのが相当であり、本件業務に係る収益は請求人に帰属する。

そこで、①本件業務において売り上げた商品のうち一部請求人の仕入れに計上されていない商品の仕入額及び②本件業務に係る人件費のうち一部請求人の給与手当勘定に計上されていない給与支給額については、請求人の損金の額に算入するのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が請求人の従業員に帰属するとした販売業務の収益は、請求人に帰属するところ、一部売上原価等は損金の額に算入されるとした事例

2019年7月2日


関連法人名義の口座への入金額は請求人に帰属しないとした事例

  • 平成22年12月1日から平成23年11月30日までの事業年度の法人税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分並びに平成22年12月1日から平成23年11月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 全部取消し
  • 平成30年5月10日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、請求人の関連法人が休業中の時期に関連法人名義の口座に振り込まれた運送事業等の入金額は請求人に帰属するとして、法人税の修正申告をした後、当該入金額は請求人に帰属しないとして更正の請求をしたところ、原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったという事案について、当該口座に当該入金額が振り込まれた当時、請求人は運送事業を営んでいなかったとして、当該通知処分の全部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の関連法人(本件関連法人)は平成20年9月以後運送事業を休業しているから、本件関連法人名義の口座(本件口座)への同年10月以降の入金額は請求人に帰属する旨主張する。

しかしながら、本件関連法人は、少なくとも平成21年3月頃までは運送事業を行っていたとみることができる一方、請求人が運送事業を行うのに必要な許可を受けたのは平成25年9月であり、本件口座に入金があった頃に請求人が運送事業を行っていたと認めることはできないなどのことから、本件口座への運送事業の入金、保険会社からの振込み、自動車販売業者からの振込みは、本件関連法人が休業となる以前の運送事業に係る収入金額とみるのが相当であり、したがって、本件口座への入金額は、請求人に帰属しないと認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 関連法人名義の口座への入金額は請求人に帰属しないとした事例

2019年6月28日


e-Taxで「法人番号」を未入力のまま申告データを送信した場合のエラーについて

2019年5月7日以降、法人番号の記載が必要な申告・申請等を送信される際、法人番号の入力がなかった場合は、以下のエラーメッセージが表示される。

このメッセージが表示された場合には、法人番号を入力のうえ、再度送信が必要である。

なお、法人番号が未通知の場合など法人番号の入力ができない場合は、「次へ(再送信する)」ボタンをクリックすれば、そのまま再送信することが可能である。

<エラーメッセージ>
HUU0315E :

送信された申告等データは、受け付けられていません。

送信された申告等データの法人番号が入力されていません。申告等データの法人番号欄に入力し、再度、申告等データを送信してください。

なお、法人番号を指定する必要のない場合は、そのまま申告等データを送信してください。

 ★リンクはこちら ⇒ 法人番号の記載が必要な申告・申請等を送信する場合の留意点について(平成31年4月26日)

2019年5月8日


労働保険料や社会保険料の延滞金の損金性

労災保険及び雇用保険の労働保険料、厚生年金保険料、健康保険料の延滞金は、税務上損金不算入と考えがちである。

しかしながら、 損金不算入とされるのは税法で限定列挙している延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、過怠税、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、延滞金(社会保険を除く。)、罰金、科料、過料、課徴金のみである(下記リンクのとおり。)。

よって、労働保険、社会保険の保険料に係る延滞金はこれらに含まれていないため、損金算入できる。

 ★リンクはこちら ⇒ 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期

2019年2月7日


設備を事業の用に供していなかったことから損金不算入額となった償却費は償却超過額には該当せず、翌事業年度において損金経理額に含まれないとした事例

  • 平成26年4月1日から平成27年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成28年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分、平成26年4月1日から平成27年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成28年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • 平成30年3月27日裁決

<ポイント>
本事例は、事業年度終了時において事業の用に供されていない資産について、当該事業年度において償却費として損金経理した金額が損金不算入額となった場合、それは法人税法上の減価償却資産に該当しない資産に係るものであるから、当該事業年度の償却超過額には該当せず、翌事業年度の損金経理額に含まれないとしたものである。

<要旨>
請求人は、太陽光発電設備を取得した事業年度において、同設備に係る償却費の額を損金の額に算入して法人税の確定申告をした後、同設備を当該事業年度内に事業の用に供していなかったとして当該償却費の額を償却超過額として修正申告したところ、当該事業年度の翌事業年度に電力の供給を開始して同設備を事業の用に供したことから、当該翌事業年度の法人税について、同設備に係る償却費の額を損金の額に算入すべきである旨主張する。

しかしながら、同設備は当該事業年度終了時においては事業の用に供されていないから、法人税法上の減価償却資産に該当しない。
そして、当該事業年度において償却費として損金経理をしていたとしても、それは法人税法上の減価償却資産に該当しない資産に係るものであって、法人税法第31条《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》第1項に規定する償却費として損金経理をした金額(損金経理額)に該当せず、また、法人税法上の減価償却資産に係る償却超過額にも当たらない。

そうすると、請求人が当該事業年度に償却超過額とした金額は、当該翌事業年度において、同条第4項に規定する当該償却事業年度前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額(償却超過額)には該当せず、当該翌事業年度の損金経理額に含まれないから、当該翌事業年度の損金の額に算入することはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 設備を事業の用に供していなかったことから損金不算入額となった償却費は償却超過額には該当せず、翌事業年度において損金経理額に含まれないとした事例

2019年1月22日


平成30年4月から平成31年3月の間に提供した法人税等各種別表関係(平成30年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分)

国税庁は、『平成30年4月から平成31年3月の間に提供した法人税等各種別表関係(平成30年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分)』を、ホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年4月から平成31年3月の間に提供した法人税等各種別表関係(平成30年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分)

2018年10月4日


本件機械装置は、本件販売者において使用されていたというべきであり、「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」に該当しないとした事例

  • 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • 平成29年10月31日裁決

<ポイント>
本事例は、租税特別措置法第42条の6第1項に規定する「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」とは、その製作者及び取得した販売者において使用されたことのない、いわゆる新品であるものをいい、それに該当するかどうかは販売者等における業種、業態、その資産の構成及び使用の状況に係る事実関係を総合的に勘案して判断するとしたものである。

<要旨>
請求人は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第42条の6《中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》第1項に規定する「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」とは、その製作の後、製作者又は製作者から取得した者の下で固定資産として使用されたことのないものをいうとして、請求人が取得した機械装置(本件機械装置)は、製作された後請求人が取得するまでの間、①その販売者(本件販売者)の固定資産として使用されたことはなく、また、棚卸資産として管理されていて資産価値の減少はないこと、②本件販売者による1年間の保証の下、新品として取得したものであることから、本件機械装置は同項に規定する「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」に該当する旨主張する。

しかしながら、同項に規定する「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」とは、その製作者及び取得した販売者(販売者等)において使用されたことのない、いわゆる新品であるものをいい、それに該当するかどうかは販売者等における業種、業態、その資産の構成及び使用の状況に係る事実関係を総合的に勘案して判断することとなる。本件機械装置は、製作された後、本件販売者において1年以上にわたり展示場での展示及び実演に供され、部品交換もされていたのであり、これらの事情を総合的に勘案すると、本件販売者において使用されていたというべきであり、「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」に該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 本件機械装置は、本件販売者において使用されていたというべきであり、「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」に該当しないとした事例

2018年7月25日


請求人は、本件発注者に対して、工事完了年月日までに本件工事の全部を完了して引き渡したものと認められるから、本件工事の請負代金の額は、本件事業年度の益金の額に算入するのが相当であるとした事例

  • ①平成26年7月1日から平成27年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分 ⇒一部取消し
  • ②平成26年7月1日から平成27年6月30日までの事業年度の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • ③平成26年7月1日から平成27年6月30日までの消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • ④延滞税 ⇒却下
  • 平成29年10月4日裁決

<ポイント>
本事例は、本件工事には設置したバリケードの管理及び本件工事の施工区域の管理等は含まれておらず、請求人は、本件発注者に対して本件竣工届を提出して、工事完了年月日付で本件工事の請負代金の残額を請求したこと、本件発注者は、請求人に対して本件検査通知書を発行し、同日以降、設置したバリケードの管理及び本件工事の施工区域の管理等をしていたことからすると、請求人は、本件発注者に対して、同日までに本件工事の全部を完了して引き渡したものと認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、改修工事(本件工事)を請け負い、主要な工事を終えて発注者(本件発注者)に対し、竣工日を平成27年3月27日とする竣工届(本件竣工届)を提出し、本件発注者から工事完了年月日を同月31日とする工事検査通知書(本件検査通知書)を受領しているが、本件工事には、次期工事が開始されるまでの間、本件工事の完了箇所及び次期工事予定区域を囲うためにバリケードを設置して現場管理することが含まれ、それらを同年9月まで継続して行っていたのであり、本件工事は同年3月31日までに完了していなかったから、本件工事の請負代金の額は、同日を含む事業年度(本件事業年度)の益金の額に算入されない旨主張する。

しかしながら、本件工事には設置したバリケードの管理及び本件工事の施工区域の管理等は含まれておらず、請求人は、本件発注者に対して本件竣工届を提出して、同月31日付で本件工事の請負代金の残額を請求したこと、本件発注者は、請求人に対して本件検査通知書を発行し、同日以降、設置したバリケードの管理及び本件工事の施工区域の管理等をしていたことからすると、請求人は、本件発注者に対して、同日までに本件工事の全部を完了して引き渡したものと認められるから、本件工事の請負代金の額は、本件事業年度の益金の額に算入するのが相当である。

ただし、本件事業年度の益金の額に算入される本件工事の請負代金の額には、請求人が設置したバリケードの使用料が含まれており、それに個別対応する原価であるバリケードの賃借料の一部を本件事業年度の損金の額に算入すべきところ算入されていなかったことから、原処分の一部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人は、本件発注者に対して、工事完了年月日までに本件工事の全部を完了して引き渡したものと認められるから、本件工事の請負代金の額は、本件事業年度の益金の額に算入するのが相当であるとした事例

2018年7月23日


2018年7月の税務と期限

期 限 項  目
7月10日 6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
7月17日 所得税の予定納税額の減額申請
7月31日 所得税の予定納税額の納付(第1期分)
5月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
11月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の
1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付


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税務カレンダー

2018年7月2日


「収益認識に関する会計基準」への対応について

国税庁は、「収益認識に関する会計基準」(平成30年3月30日 企業会計基準委員会)及び平成30年度税制改正を踏まえ、法人税基本通達の見直しを行うとともに、これらの解説資料を取りまとめ、ホームページに公表した。

中小企業(監査対象法人以外)の会計処理(消費税を含む。)については、従来どおり企業会計原則、中小企業の会計に関する指針及び中小企業の会計に関する基本要領等によることが認められるため、①返品調整引当金制度の廃止、②長期割賦販売等に該当する資産の販売等について延払基準により収益の額及び費用の額を計算する選択制度の廃止(いずれも経過措置が設けられている。)以外は、今般の通達改正等により従来の取扱いが変更されるものではない。

 ★リンクはこちら ⇒ 「収益認識に関する会計基準」への対応について

2018年6月26日


請求人の国外関連者に当たる子会社に対してされた米ドルの各貸付けにつき、その利息額の独立企業間価格の算定においては、各米国債の利率による方法が相当とした事例

  • ①平成25年7月1日から平成26年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ②平成26年7月1日から平成27年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →全部取消し
  • ③平成25年7月1日から平成26年6月30日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年9月26日裁決

<ポイント>
本事例は、米ドルの各貸付けに係る利息額の独立企業間価格の算定について、借り手の銀行調達利率による方法及び貸手の銀行調達利率による方法を採用することができないときは、各米国債の利率による方法を採用することが相当であるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の国外関連者に該当する子会社(本件子会社)に対して請求人が行った米ドルの各貸付け(本件各貸付け)につき、その利息額の独立企業間価格の算定については、独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法である貸手の銀行調達利率による方法(米ドルのスワップレートにスプレッドを加えた利率)によることが最も適切である旨主張する。

確かに、借手である本件子会社には非関連者である銀行等からの借入れの実績がなく、本件子会社が非関連者である銀行等から本件各貸付けと同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率を見いだすことができないことから、借り手の銀行調達利率による方法を採用することはできない。

しかしながら、原処分庁が用いたスプレッドは、請求人が本件各貸付けと同様の状況で銀行等から借り入れた場合のスプレッドとして正確性を有するものとは認められず、当審判所の調査によっても他に請求人が非関連者である銀行等から本件各貸付けと同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率を算定する適切な方法を見いだすことはできないことから、貸手の銀行調達利率による方法を採用することはできない。

もっとも、本件各貸付けにおいては、発行日が本件各貸付けの貸付開始日と近接し、発行日から満期償還日までの期間が本件各貸付けの貸付期間に近似する各米国債(本件各米国債)が存在することが認められ、本件各米国債の利率は、本件各貸付けに係る資金を本件各貸付けと通貨、取引時期、期間等が同様の状況の下で国債等により運用した場合に得られるであろう利率に当たると認められることから、本件各米国債の運用利率による方法を採用することが相当というべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人の国外関連者に当たる子会社に対してされた米ドルの各貸付けにつき、その利息額の独立企業間価格の算定においては、各米国債の利率による方法が相当とした事例

2018年6月22日


大法人の電子申告の義務化の概要について

経済社会のICT化等が進展する中、税務手続においても、ICTの活用を推進し、データの円滑な利用を進めることにより、社会全体のコスト削減及び企業の生産性向上を図ることが重要であることから、平成30年度税制改正により、「電子情報処理組織による申告の特例」が創設され、一定の法人が行う法人税等の申告は、電子情報処理組織(以下「e-Tax」という。)により提出しなければならないこととされた (以下この提出に関する制度を「電子申告の義務化」という。)。
今回、その概要等について以下のとおり掲載した。

<電子申告の義務化の概要>
「電子申告の義務化」の対象となる税目、法人の範囲、手続等は以下のとおりとなる。
1.対象税目(注1)
法人税及び地方法人税並びに消費税及び地方消費税

2.対象法人の範囲(注2)
(1)法人税及び地方法人税
①内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額(以下「資本金の額等」という。)が1億円を超える法人
②相互会社、投資法人及び特定目的会社
(2)消費税及び地方消費税
(1)に掲げる法人に加え、国及び地方公共団体

3.対象手続
確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書(以下これらを総称して「申告書」という。)

4.対象書類
申告書及び申告書に添付すべきものとされている書類の全て

5.例外的書面申告
電気通信回線の故障、災害その他の理由によりe-Taxを使用することが困難であると認められる場合(注3)において、書面により申告書を提出することができると認められるときは、納税地の所轄税務署長の事前の承認を要件として、法人税等の申告書及び添付書類を書面によって提出することができる。

6.適用開始届出
電子申告の義務化の対象となる法人(以下「義務化対象法人」という。)は、以下のとおり納税地の所轄税務署長に対し、適用開始事業年度等を記載した届出書(「電子申告義務化適用届出書(仮)」)を提出することが必要である。
(1)平成32年3月31日以前に設立された法人で平成32年4月1日以後最初に開始する事業年度(課税期間)において義務化対象法人となる場合
当該事業年度(課税期間)開始の日から1か月以内
(2)平成32年4月1日以後に増資、設立等により義務化対象法人となる場合
イ増資により義務化対象法人となる場合
資本金の額等が1億円超となった日から1か月以内
ロ新たに設立された法人で設立後の最初の事業年度から義務化対象法人となる場合
設立の日から2か月以内
(3)平成32年4月1日以後に義務化対象法人であって消費税の免税事業者から課税事業者となる場合
課税事業者となる課税期間開始の日から1か月以内

7. 適用日
平成32(2020)年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用
(注)1
地方税の法人住民税及び法人事業税についても電子申告が義務化される(地方税の電子申告の義務化については、各地方公共団体のホームページをご覧のこと)。
(注)2
義務化対象法人には、人格のない社団等及び外国法人は含まれない。
(注)3
電子的に提出することが困難であると認められる具体的な事例は、今後公表していくことを予定している。

<電子申告の義務化に伴い導入する利便性向上施策等>
電子申告の義務化に当たっては、法人税等に係る申告データを円滑に電子提出できるよう環境整備を進めることとされており、国税庁においては、以下のとおり利便性の向上に向けた施策を電子申告の義務化までの間に順次実施していくこととしている。
なお、これらの施策については、電子申告が義務化されない中小法人等にも適用されるものとなっている。

 ★リンクはこちら ⇒ 大法人の電子申告の義務化の概要について

2018年6月18日


代表取締役が代表権のない取締役に分掌変更したことに伴って請求人が支給した金員について、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえず、法人税法上の損金算入することができる退職給与に該当しないとした事例

  • 平成22年6月1日から平成23年5月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成23年5月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分 →棄却
  • 平成29年7月14日裁決

<ポイント>
本事例は、分掌変更後も、請求人の経営ないし業務において主要な地位を占め、請求人の取締役として重要な決定事項に関与していたことが認められるから、当該取締役は、分掌変更により、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえないとしたものである。

<要旨>
請求人は、その代表者(本件役員)が代表取締役社長を辞任し、代表権のない取締役会長となったこと(本件分掌変更)に伴い、請求人が本件役員に対し支給した金員(本件金員)について、本件役員は本件分掌変更により本件役員の各業務に関する権限を他の役員等に移譲し、仕事量、質及び内容が大幅に縮小または変更したため、請求人の役員としての地位または職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあったといえるから、本件金員は法人税法上の退職給与に該当する旨主張する。

しかしながら、本件分掌変更に伴い、本件役員の地位や職務につき相当程度の変動が生じたことは認められるものの、本件役員は、本件分掌変更後も、請求人の経営ないし業務において主要な地位を占め、請求人の取締役として重要な決定事項に関与していたことが認められるから、本件役員は、本件分掌変更により、役員としての地位または職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえず、本件金員は法人税法上の損金算入することができる退職給与に該当しないものと認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 代表取締役が代表権のない取締役に分掌変更したことに伴って請求人が支給した金員について、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえず、法人税法上の損金算入することができる退職給与に該当しないとした事例

2018年6月14日


適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等の掲載

平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定された。

このため、法人税関係特別措置のうち税額または所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要がある。

平成30年4月1日以後終了事業年度に使用する区分番号一覧表が国税庁のホームページに掲載された。

 ★リンクはこちら ⇒ 適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等の掲載

2018年6月13日


請求人の行った土地の売買取引について、請求人と最終取得者との間で売買契約が成立しているとは認められないとした事例

  • ①平成24年11月1日から平成25年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分 →棄却
  • ②平成24年11月1日から平成25年10月31日までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成24年11月1日から平成25年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分 →棄却
  • ④平成24年11月1日から平成25年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ⑤平成25年11月1日から平成26年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分 →全部取消し
  • ⑥平成25年11月1日から平成26年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分 →全部取消し
  • ⑦平成25年11月1日から平成26年10月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分 →全部取消し
  • 平成29年8月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人と中間取得者は、当該土地について売買する旨合意し、売買契約を締結したと認められ、また、中間取得者と最終取得者の売買契約も有効に成立しているものと認められるから、本件土地取引は請求人と中間取得者との間で有効に成立しているとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の行った土地の売買取引(本件土地取引)について、最終取得者の妻が中間取得者の担当者とは会っていない旨の申述をしていること等を理由として、請求人が中間取得者に売却した事実は認められず、最終取得者に対し売却されたものである旨主張する。

しかしながら、中間取得者には、本件土地取引について包括的に委任していた者がおり、同人主導の下、請求人と中間取得者は、当該土地について売買する旨合意し、売買契約を締結したと認められる。また、最終取得者は中間取得者を売買契約の相手方と認識し、かつ、当該土地の売買代金が中間取得者に支払われていることからすれば、中間取得者と最終取得者の売買契約は有効に成立しているものと認められる。

したがって、本件土地取引は有効に成立しているから、原処分の一部を取り消すべきである。

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2018年6月1日


2018年6月の税務と期限

期  限 項  目
6月11日 5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(前年12月~当年5月分)の納付
6月15日 所得税の予定納税額の通知
7月2日 4月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
10月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)
<消費税・地方消費税>
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)


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2018年6月1日


2018年5月の税務と期限

期  限 項  目
5月10日 4月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
5月15日 特別農業所得者の承認申請
5月31日 個人の道府県民税及び市町村民税の特別徴収税額の通知
3月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
9月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の2月、3月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(1月決算法人は2ヶ月分、個人事業者は3ヶ月分)
<消費税・地方消費税>
確定申告税額の延納届出に係る延納税額の納付
自動車税の納付
鉱区税の納付


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2018年5月7日


2018年4月の税務と期限

期  限 項  目
4月10日 3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
4月16日 給与支払報告に係る給与所得者異動届出(市町村長へ)
5月1日 公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告
2月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
8月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の5月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の1月、2月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(12月決算法人は2ヶ月分)
<消費税・地方消費税>
軽自動車税の納付
固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付
固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日または最初の固定資産税の納期限のいずれか遅い日以後の日までの期間)
固定資産課税台帳への登録価格の審査の申出の期間(市町村が固定資産の価格を登録したことを公示した日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの期間等)


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2018年4月2日


請求人の代表取締役に対する役員給与の額のうち、同業類似法人の代表者に対する役員給与の額の最高額を超える部分の金額は不相当に高額な部分の金額であるとした事例

  • ①平成25年8月1日から平成27年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分並びに平成25年8月1日から平成26年7月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ②平成22年8月1日から平成25年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分ほか →棄却
  • 平成29年4月25日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の同業類似法人における代表者に対する役員給与の最高額と比較すると、請求人の代表取締役(本件代表者)に対する役員給与(本件役員給与)の額は、極めて高額であり、明らかに不相当に高額な部分があるから、当該最高額を本件代表者に対する役員給与相当額とし、本件役員給与の額のうち役員給与相当額を超える部分の金額は、不相当に高額な部分の金額として損金の額に算入されない旨主張し、請求人は、本件代表者の職務は格別であり、原処分庁が採用した同業類似法人の抽出基準は合理性を有するものではないから、本件役員給与の額について不相当に高額な部分の金額はない旨主張する。

しかしながら、審判所の調査の結果、本件代表者の職務の内容が特別に高額な役員給与を支給すべきほどのものとは評価し難く、原処分庁が採用した同業類似法人の抽出基準は合理性があるものと認められる。
そして、本件代表者の職務内容に大きな変化はなく、請求人の収益の状況及び使用人給与の支給状況もおおむね一定であるところ、本件役員給与の額は同業類似法人の代表者に対する役員給与の額の最高額を上回るものであり、しかも当該最高額を支給する法人は、請求人よりも相当に経営状況が良好と評価される点を鑑みれば、本件役員給与の額のうち当該最高額を超える部分の金額は不相当に高額な部分の金額であるといえる。
ただし、原処分庁が抽出した同業類似法人の中に、請求人とは業種の異なる法人が認められることから、同社を同業類似法人から除外した上で役員給与相当額を算定し、不相当に高額な部分の金額として損金の額に算入されない金額を計算すると、原処分の額を下回ることから、原処分の一部を取り消すのが相当である。

 ★リンクはこちら⇒ 請求人の代表取締役に対する役員給与の額のうち、同業類似法人の代表者に対する役員給与の額の最高額を超える部分の金額は不相当に高額な部分の金額であるとした事例

2018年3月21日


2018年3月の税務と期限

期 限 項 目
3月12日 2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
3月15日 前年分所得税の確定申告
所得税確定損失申告書の提出
前年分所得税の総収入金額報告書の提出
確定申告税額の延納の届出書の提出
個人の青色申告の承認申請
前年分贈与税の申告
国外財産調書の提出
個人の道府県民税・市町村民税・事業税(事業所税)の申告
4月2日 個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告
1月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの
期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る
確定申告<消費税・地方消費税>
7月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの
中間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>


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2018年3月1日


2018年2月の税務と期限

期 限 項 目
2月13日 1月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
2月28日 前年12月決算法人及び決算期の定めのない人格なき社団等の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
3月、6月、9月、12月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
6月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の3月、6月、9月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の11月、12月決算法人を除く法人の1月ごとの
中間申告(10月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
前年分所得税の確定申告(2月16日から3月15日まで)
前年分贈与税の申告(2月1日から3月15日まで)
固定資産税(都市計画税)の第4期分の納付


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2018年2月1日


法人税額から控除される所得税の額の計算において、配当の計算期間のうちにその元本を所有していた期間の占める割合を判断した事例

  • ①平成24年12月1日から平成25年11月30日までの事業年度の法人税の更正処分 →棄却
  • ②平成25年12月1日から平成26年11月30日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年1月26日裁決

<ポイント>
本事例は、法人税法施行令第140条の2第2項に規定する判定対象配当等がその支払に係る基準日の1年前の日以前に設立された法人からその設立の日以後最初に支払われる剰余金配当等である場合において、法人税の額から控除される所得税の額について判断した事例である。

<要旨>
請求人が所有する関連会社の株式(本件株式)に対する配当(本件配当)について、本件配当の計算の基礎となった期間(配当計算期間)の月数のうちに請求人がその元本を所有していた期間(元本所有期間)の月数の占める割合(所有期間割合)の算定に当たり、原処分庁は、配当計算期間の月数は、平成25年6月1日から平成26年5月31日までの12か月であり、請求人の元本所有期間の月数は、本件株式を取得した日である同年3月18日から同年5月31日までの3か月であるから、法人税法施行令(平成25年政令第166号による改正前のもの)第140条の2《法人税額から控除する所得税額の計算》第2項の規定により所有期間割合(3か月/12か月)は0.250となる旨主張する一方、請求人は、配当計算期間の月数は、平成26年6月1日から当該関連会社の臨時株主総会における配当決議の日である同年9月18日までの4か月であり、請求人の元本所有期間の月数は、同年6月1日から同年9月18日までの4か月であるから、同項の規定により所有期間割合(4か月/4か月)は1.000となる旨主張する。

しかしながら、本件配当は、同項に規定する判定対象配当等がその1年前の日以前に設立された法人からその設立の日以後最初に支払われる剰余金配当等である場合に該当すると認められるから、配当計算期間の初日は、本件配当の支払に係る基準日である平成26年9月18日の1年前の日の翌日である平成25年9月19日となり、配当計算期間の月数は、同日から本件配当の基準日である平成26年9月18日までの12か月となる。
そして、請求人の元本所有期間の月数は、本件株式を取得した日である同年3月18日から同年9月18日までの7か月と認められるから、同項の規定により所有期間割合(7か月/12か月)は0.584となる。

したがって、これを前提に法人税額から控除される所得税等の額を計算すると、原処分の一部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら⇒ 法人税額から控除される所得税の額の計算において、配当の計算期間のうちにその元本を所有していた期間の占める割合を判断した事例

2018年1月10日


取引先から元代表者に支払われた金員は、請求人に帰属する収益とは認められないと認定した事例

  • ①平成23年7月1日から平成24年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • ②平成23年7月1日から平成24年6月30日まで及び平成25年7月1日から平成26年6月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • 平成29年3月10日裁決

<ポイント>
本事例は、取引先から請求人の元代表者に支払われた金員について、当該金員の支払に係る事実関係を総合すれば、元代表者個人に支払われたものとみるのが相当であり、請求人に帰属する収益と認めることはできないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の元代表者からの求めに応じて支払われた金員(本件金員)について、①元代表者が取引先に対して請求人の会長として振る舞っていたこと、②本件金員が請求人宛の支払明細書(本件支払明細書)に基づき支払われたこと、③本件金員の支払者が請求人との取引の継続を条件として支払っていたことから、本件金員は請求人に支払われたものである旨主張する。

しかしながら、当時、元代表者は請求人の役員や従業員ではなく、請求人が受注した工事に飽くまで仲介人として関与したにとどまることからすれば、元代表者の行為を請求人の行為と同視することはできない。
また、本件支払明細書が請求人に送付されたと認めるに足る証拠はないから、本件支払明細書の記載をもって、本件金員が請求人に支払われたものとは認められず、さらに、請求人との取引の継続を目的として本件金員が支払われたことは、本件金員が請求人に支払われたことの決め手とはいえない。
以上のことからすると、本件金員は、元代表者個人に支払われたものと認めるのが相当であり、請求人に帰属する収益とは認められない。

 ★リンクはこちら⇒ 取引先から元代表者に支払われた金員は、請求人に帰属する収益とは認められないと認定した事例

2018年1月5日


2018年1月の税務と期限

期 限 項 目
1月10日 前年12月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
1月31日 支払調書の提出
源泉徴収票の交付
固定資産税の償却資産に関する申告
前年11月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
5月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の2月、5月、8月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の10月、11月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(9月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
給与支払報告書の提出
給与所得者の扶養控除等申告書の提出
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第4期分)

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2018年1月4日


2017年12月の税務と期限

期 限 項 目
12月11日 11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(当年6月~11月分)の納付
1月4日 10月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
<消費税・地方消費税>
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
4月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告
<消費税・地方消費税>
消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
給与所得の年末調整
給与所得者の保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書の提出
固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付

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2017年12月1日


2017研究開発税制Q&A

経済産業省ホームページに、「2017研究開発税制Q&A」パンフレットが公表された。

当該パンフレットは、沖縄税理士会調査研究部が執筆し、日本税理士会連合会(いわゆる日税連)調査研究部が監修したもので、平成29年度税制改正における研究開発税制の拡充を反映した内容となっている。

★リンクはこちら⇒2017研究開発税制Q&A(既に削除済み)

2017年11月21日

決定処分において損金の額に含まれていないと主張する経費のうち一部は当該事業年度の損金の額に算入することが認められるとした事例

  • ①平成21年10月1日から平成22年9月30日までの事業年度の法人税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • ②平成22年10月1日から平成26年9月30日までの各事業年度の法人税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分ほか 棄却
  • ③平成21年10月1日から平成26年9月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分 棄却
  • 平成28年11月7日裁決

<ポイント>
本事例は、審査請求に至って初めてされたさらに認められるべき経費支出がある旨の主張について、請求人において業務関連性の立証がある支出は損金の額に算入されるが、請求人においてその立証がない支出は損金の額に算入されないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、決定処分(本件決定処分)に係る不動産賃貸事業の所得の計算において、損金の額に算入された経費以外に追加して損金の額に算入すべき経費(本件追加経費)はない旨主張する。

しかしながら、請求人は総勘定元帳等その他の帳簿書類等を一切作成しておらず、本件決定処分を受けた後、本審査請求に至って初めて本件追加経費があると主張して当該追加経費に係る証拠として領収証等を当審判所に対して提出したものであるが、その一部については請求人の当該不動産賃貸事業に関連して支出したものと認められることから損金の額に算入することができる。

他方、それ以外の領収証等に係る支出については、当該業務との関連性の立証等がないこと等から損金該当性を認めることはできず、損金の額に算入することはできない。

★リンクはこちら⇒決定処分において損金の額に含まれていないと主張する経費のうち一部は当該事業年度の損金の額に算入することが認められるとした事例

2017年11月17日

2017年11月の税務と期限

期 限 項 目
11月10日 10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月15日 所得税の予定納税額の減額申請
11月30日 所得税の予定納税額の納付(第2期分)
特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
9月決算法人の確定申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
3月、6月、9月、12月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
消費税・地方消費税
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税
3月決算法人の中間申告
<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人の3月ごとの中間申告
消費税・地方消費税
消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の
1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
個人の事業税の納付(第2期分)

★リンクはこちら⇒税務カレンダー

2017年11月1日

法人事業概況説明書の様式改訂(平成30年4月1日以後終了事業年度分より)

国税庁は、『「法人事業概況説明書」の様式が改訂されます。』を、ホームページに掲載した。

平成30年4月1日以後終了事業年度分から、法人事業概況説明書の様式が改訂される。

★リンクはこちら⇒法人事業概況説明書の様式改訂(平成30年4月1日以後終了事業年度分より)

2017年10月13日

平成29年4月1日以後終了事業年度分の適用額明細書記載の手引(単体法人用)及び適用額明細書記載の手引(連結法人用)

国税庁は、平成29年4月1日以後終了事業年度分の『適用額明細書記載の手引(単体法人用)及び適用額明細書記載の手引(連結法人用)』を、ホームページに掲載した。

法人税関係の租税特別措置の適用を受けようとする場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付して税務署に提出する必要がある。
この手引は、本制度の概要をはじめ、「適用額明細書」の具体的な記載の仕方や留意点について取りまとめたものである。
「適用額明細書」を作成する際にご参照のこと。

★適用額明細書の記載の手引(単体法人用)はこちら⇒適用額明細書の記載の手引(単体法人用)
★適用額明細書の記載の手引(連結法人用)はこちら⇒適用額明細書の記載の手引(連結法人用)

2017年10月11日

2017年10月の税務と期限

期 限 項 目
10月10日 9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月16日 特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
10月31日 8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告 

消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告 

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告 

(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)

★リンクはこちら⇒税務カレンダー

2017年10月2日

NPO法人が障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを行う場合の法人税の納税義務

<照会要旨>
NPO法人A会(以下「A会」という。)は、特定非営利活動促進法により設立された特定非営利活動法人であり、法人税法上の公益法人等に該当する(法法2六、特定非営利活動促進法70①)。
今般、A会は、障害者総合支援法()に規定する障害福祉サービスを、利用者に対して提供することとしているが、当該サービスはA会の本来の目的として行う事業であり、公益性を有するものであることから、法人税の納税義務はないと解してよいか?

()障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律をいう。

<回答要旨>
原則、法人税法上の収益事業に該当し、法人税の納税義務がある。
(理由)
法人税法上、公益法人等は、収益事業から生ずる所得以外の所得については、法人税を課さないこととされている(法法4①)。ここにいう収益事業とは、法人税法施行令第5条第1項各号(収益事業の範囲)に掲げる34の事業をいう。
このため、その行う事業が公益法人等の本来の目的たる事業であるかどうかや会員等に対して利益の分配を行わない(非営利)といったことにより、収益事業に該当するかどうかの判断を行うものではない。

障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは、障害者に対して介護等の提供を行う対人サービスであり、こうした障害者は医療保健面でのケアを必要とするのが通例であることから、医療と密接な連携がなされており、実際面において、これらは、個別支援計画の策定過程等を通じて確保されるので、このような特徴を有する障害福祉サービスは、原則として収益事業である「医療保健業」に該当する(法令5①二十九)。他方、就労移行支援に代表されるように、看護師の関与も求められていないものについては、必ずしも「医療保健業」とは言えないのではないかと考える向きもあるようである。
この点、基本的には上述のとおり、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは「医療保健業」に該当すると考えられるが、仮に、個別の事業者のサービス内容から見て、実態として医療や保健といった要素がないサービスを提供しているようなケースがあったとしても、障害者総合支援法の下で、事業者と利用者との間で利用契約を締結し、利用者からそのサービスの対価を受領することになるので、そうした契約関係等を踏まえれば、法人税法施行令第5条第1項第10号に規定する収益事業である「請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)」に該当する。

したがって、NPO法人が行う障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスは通常、医療保健業か請負業のいずれかに該当し、法人税の納税義務がある。
ただし、NPO法人が提供する障害福祉サービスが、実費弁償方式(①個々の契約ごとにその都度実費精算が行われるもの、②ごく短期間に実費精算が行われるもの、③手数料等の額が法令により実費弁償の範囲内で定められ、仮に剰余金が生じた場合には手数料を減額する等の適正な是正措置を講ずることになっているもの)により行われるもので、あらかじめそのことについて税務署長の確認を受けた場合については、収益事業としないものとされ(法人税基本通達15-1-28)、また、その障害福祉サービスに従事する者の半数以上が身体障害者等であり、かつそのサービスが身体障害者等の生活の保護に寄与している場合については、収益事業に含まれないものとされるので(法令5②二)、いずれかの場合に該当するときには法人税の納税義務はない。
なお、法人税の額は、各事業年度の所得の金額を課税標準として、その所得の金額に税率を乗じて計算する仕組みとなっているので、公益法人等が納税義務者として、法人税の申告をする場合であっても、収益事業から生じた所得がない(例えば赤字)場合には、納付する法人税額は生じない。

★リンクはこちら⇒NPO法人が障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを行う場合の法人税の納税義務

2017年9月14日

平成29年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

国税庁は、『平成29年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』を作成した。

★リンクはこちら⇒平成29年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

2017年9月6日

各店舗の収益の帰属は、当該各店舗の営業許可の名義人ではなく請求人であるとした事例

  • ①平成22年2月1日から平成23年1月31日まで及び平成24年2月1日から平成25年1月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、平成22年2月1日から平成23年1月31日まで及び平成24年2月1日から平成25年1月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、平成23年1月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分並びに不納付加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成25年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分並びに不納付加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ②法人税の青色申告の承認の取消処分ほか →棄却
  • 平成28年8月22日裁決

<ポイント>
本件は、請求人とは異なる者が営業許可の名義人となっている飲食店について、当該各飲食店に係る収益は当該各名義人ではなく請求人と認められるものの、当該各店舗に係る収益の計算において原処分庁が算定した売上原価の額等に誤りがあることから、原処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
請求人は、請求人とは異なる者が営業許可の名義人となっている複数の飲食店(本件各店舗)について、本件各店舗の経営者は営業許可の各名義人(本件各名義人)であるから、本件各店舗に係る収益は請求人に帰属しない旨主張する。

ところで、実質的な費用収益の帰属主体及び資産の譲渡等の帰属主体については、名義と実質が一致しない場合、実質的にこれらを享受する者に対して課税されることとなるところ、その判断は事業に至る経緯、経営の実態、経理関係、関係者の認識等を総合して行うべきである。
これを本件についてみると、①請求人の代表者(本件代表者)の指示により、本件各名義人が本件各店舗の賃借人及び営業許可の名義人になっていること、②本件代表者が開業前の工事等に関与していたこと、③本件代表者によって、本件各名義人及び本件各店舗の従業員の勤務状況が管理されていたことからすると、本件代表者が本件各店舗の開業を決意し、経営の実権を握っていたといえる。また、本件代表者の指示の下、本件各店舗の売上日報等が作成され、本件代表者が売上金の回収、売上げ及び経費の管理を行い、給与を支給していたことからすると、本件代表者が主体となって本件各店舗に係る経理処理をしていたと認められる。
そうすると、かかる経営状況は、本件代表者が自ら主体となって経理処理をしている請求人が経営する飲食店(申告店舗)と同様であって、申告店舗と本件各店舗はその経営実態において何ら変わることはないことから、本件代表者には本件各店舗の収益が全て請求人に帰属するとの認識があったものと認められる。

したがって、本件各店舗に係る収益の帰属者は請求人であると認められる。ただし、原処分庁が算定した売上原価の額等に誤りがあることから、原処分の一部を取り消すべきである。

★リンクはこちら⇒各店舗の収益の帰属は、当該各店舗の営業許可の名義人ではなく請求人であるとした事例

2017年9月5日

2017年9月の税務と期限

期 限 項 目
9月11日 8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月2日 7月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

1月、4月、7月、10月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告 

消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

1月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告 

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告 

(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税

★リンクはこちら⇒税務カレンダー

2017年9月1日

2017年8月の税務と期限

期 限 項 目
8月10日 7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
8月31日 6月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告 

消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

12月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告 

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告 

(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税

個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告
個人事業税の納付(第1期分)

個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2017年8月1日

適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等

国税庁は、『適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等』を、ホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 適用額明細書の記載に係る区分番号一覧表等

2017年7月28日

パンフレット「所得拡大促進税制ご利用ガイドブック」(平成29年4月以降に始まる事業年度から)

経済産業省は、パンフレット「所得拡大促進税制ご利用ガイドブック」(平成29年4月以降に始まる事業年度から)をホームページに掲載した。

所得拡大促進税制は、平成29年度税制改正において、制度の拡充が行われた。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「所得拡大促進税制ご利用ガイドブック」(平成29年4月以降に始まる事業年度から)(既に削除済み)

2017年7月26日

2017年7月の税務と期限

期 限 項 目
7月10日 6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
7月18日 所得税の予定納税額の減額申請
7月31日 所得税の予定納税額の納付(第1期分)

5月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

11月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告 

(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2017年7月3日

2017年6月の税務と期限

期 限  項 目
6月12日 5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額 

(前年12月~当年5月分)の納付
6月15日 所得税の予定納税額の通知
6月30日 4月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

10月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告 

(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2017年6月1日

平成29年度税制改正に関する中小企業向けパンフレット

平成29年度の税制改正においては、設備投資を始めとして、研究開発、給料引上げ、事業承継など、中小企業の企業活動を支援する税制措置が広く拡充されることになった。

中小企業庁は、改正の概要や措置の内容、適用要件等について、中小企業・小規模事業者の方々向けに分かりやすく解説したパンフレットを作成した。

★リンクはこちら⇒ 平成29年度税制改正に関する中小企業向けパンフレット

2017年5月15日

2017年5月の税務と期限

期 限 項 目
5月10日 4月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
5月15日 特別農業所得者の承認申請
5月31日 個人の道府県民税及び市町村民税の特別徴収税額の通知

3月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告 

消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

9月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告 

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の2月、3月決算法人を除く法人の 1月ごとの中間申告  

(1月決算法人は2ヶ月分、個人事業者は3ヶ月分)<消費税・地方消費税

確定申告税額の延納届出に係る延納税額の納付
自動車税の納付

鉱区税の納付

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2017年5月8日

租税調査会研究報告第32号「法人税法上の包括的な租税回避否認規定の適用をめぐる実務上の問題点」の公表

日本公認会計士協会は、平成29年3月15日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第32号「法人税法上の包括的な租税回避否認規定の適用をめぐる実務上の問題点」」を公表した。

実務上、企業や個人が行った取引等につき租税回避行為として、行為計算の否認が問題となることは少なくなく、租税専門家としては、関連する重要な裁判例や議論を踏まえながら適正に税務実務(助言等を含む。)を遂行する必要がある。
そのため、本研究報告では、近時の「租税回避」の否認に関する議論の概要並びに「法人税法上の包括的な租税回避否認規定」に係る裁判例の動向及び当該裁判例に基づく実務上の留意点の検討を行い、その結果を報告するものである。

また、「包括的な租税回避否認規定」に関する今後の議論の参考とするべく、国際的租税回避行為に対する国際協調的取組の動向及びこれに対する我が国の対応並びに一般否認規定の導入に関する議論の紹介を行っている。

★リンクはこちら⇒ 租税調査会研究報告第32号「法人税法上の包括的な租税回避否認規定の適用をめぐる実務上の問題点」

2017年4月11日

2017年4月の税務と期限

期 限 項 目
4月10日 3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
4月15日 給与支払報告に係る給与所得者異動届出(市町村長へ)
5月1日 公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告

2月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

8月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の5月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の1月、2月決算法人を除く法人の 1月ごとの中間申告  

(12月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
軽自動車税の納付

固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付

固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日または最初の固定資産税の納期限のいずれか遅い日 

以後の日までの期間)

固定資産課税台帳への登録価格の審査の申出の期間(市町村が固定資産の価格を登録したことを公示 

した日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの期間等)

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2017年4月3日

申告書確認表

国税庁は、実地調査以外の多様な手法を用いて、納税者の方に自発的な適正申告をしていただく取組を充実させていくこととしており、調査課所管法人の皆様が申告書を提出される前に、申告書の自主点検や税務上の観点からの自主監査を行う際にご活用いただくための確認表を作成している。

国税庁のホームページでは、当該取組の内容を案内するとともに、確認表の様式を掲載し、提供しているので、様式はダウンロードして活用できる。

★リンクはこちら⇒ 申告書確認表

2017年3月6日

2017年3月の税務と期限

期 限 項 目
3月10日 2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
3月15日 前年分所得税の確定申告

所得税確定損失申告書の提出

前年分所得税の総収入金額報告書の提出

確定申告税額の延納の届出書の提出

個人の青色申告の承認申請

前年分贈与税の申告

国外財産調書の提出

個人の道府県民税・市町村民税・事業税(事業所税)の申告
3月31日 個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告

1月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短縮に係る確定申告 

消費税・地方消費税

法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定申告 

消費税・地方消費税

7月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の 1月ごとの中間申告  

(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税

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2017年3月1日

子会社に対する売掛債権の放棄に係る損失は法人税法上の寄附金に該当するとして、原処分の一部を取り消した事例

  • 法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに復興特別法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月14日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人は子会社に対する売掛債権を有効に放棄したものと認められるところ、当該売掛債権の放棄に係る損失は法人税法上の寄附金に該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、債権放棄に関する請求人と子会社との間の意思について、回収不能額が不確定な状態の下、子会社に対する売掛債権(本件売掛債権)の全額を放棄する旨の内容虚偽の債権放棄声明文(本件声明文)を作成し交付することで子会社の清算を進めることを企図し、その交付後において、子会社の請求人に対する返済不足額として確定した回収不能額を債権放棄する趣旨であることが明らかであるなどとして、本件声明文の交付をもって請求人が本件売掛債権を放棄したとは認められない旨主張する。

しかしながら、本件売掛債権の放棄に至る経緯等からすれば、請求人は、子会社を破産させることなく清算する必要から本件売掛債権の全額を放棄したと認めるのが自然であり、本件売掛債権の放棄は、請求人の真意に基づくものといえることから、本件声明文の交付をもって、請求人は、本件売掛債権を有効に放棄したものと認められる。
そして、請求人が子会社の清算に伴う損失負担を行う理由は認められないので、本件売掛債権の放棄に経済的合理性があるとはいえず、当該子会社の債務超過が相当期間継続した事実もないことから、本件売掛債権の放棄に係る損失の額は法人税法上の寄附金の額に該当する。

★リンクはこちら⇒ 子会社に対する売掛債権の放棄に係る損失は法人税法上の寄附金に該当するとして、原処分の一部を取り消した事例

2017年2月21日

2017年2月の税務と期限

期 限 項 目
2月10日 1月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
2月28日 前年12月決算法人及び決算期の定めのない人格なき社団等の確定申告 

法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業主の3月ごとの期間短縮に係る確定申告

消費税・地方消費税

法人の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

6月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の3月、6月、9月決算法人の3月ごとの中間申告

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の10月、11月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの

中間申告(10月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
固定資産税(都市計画税)の第4期分の納付
2月16日
~3月15日
前年分所得税等の確定申告
1月4日
~3月31日
前年分個人事業者の消費税の申告
2月1日
~3月15日
前年分贈与税の確定申告

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2017年2月1日

国外関連者に対する貸付金利息について原処分庁が行った独立企業間価格の算定は相当であるとした事例

①平19.6.1から平25.5.31の各事業年度の法人税の各更正処分
②平19.6.1から平20.5.31、平22.6.1から平23.5.31及び平24.6.1から平25.5.31の各事業年度の法人税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分
③平24.6.1から平25.5.31の課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
棄却
平成28年2月19日裁決

<ポイント>
本事例は、国外関連者に対する貸付金利息の独立企業間価格について、原処分庁が独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法により算定したことは相当であるとした事例である。

<要旨>
請求人は、国外関連者に対する金銭の貸付け(本件貸付け)に係る利息の独立企業間価格について、原価基準法と同等の方法により算定できる旨主張する。

しかしながら、①当該国外関連者は請求人以外の者から借入れを行ったことはないこと、②原処分庁は本件各貸付けに係る比較対象取引を把握することができず、当審判所の調査の結果によっても当該比較対象取引を見いだすことができないこと、③請求人からも比較対象取引の具体的な提示がないことから、原価基準法と同等の方法を用いることはできず、他の基本三法と同等の方法を用いることもできない。
そして、金融市場が存在する通貨の貸借取引について、比較可能な取引が実在しない場合には、融資取引の代表例である金融機関による貸付けを基準とすることにも十分な合理性があるというべきであるところ、本件貸付けの貸手である請求人は、本件貸付けの資金を金融機関からの借入れにより調達しており、当該借入れに係るスプレッド情報を得られるから、原処分庁が本件貸付けに係る利息の独立企業間価格を独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法である貸手が金融機関から本件貸付けと同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率を用いる方法により算定したことは相当である。

★リンクはこちら⇒ 国外関連者に対する貸付金利息について原処分庁が行った独立企業間価格の算定は相当であるとした事例

2017年1月18日

残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算における資本金の額は、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であるとした事例

①平23.8.1から平24.7.31の事業年度の法人税の更正処分
②平24.8.1から平25.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
③平24.8.1から平25.7.31の課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
棄却
平成28年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、外国子会社の残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算における資本金の額は、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、外国の子会社(本件子会社)の残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算において、法人税法施行令第23条《所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等》第1項第3号でいう直前資本金額等は、請求人が本件子会社に払い込んだ米ドルで表示された金額に基づき算定すべきである旨主張する。

しかしながら、直前資本金額等とは、残余財産の分配を行った法人の当該分配の直前の資本金等の額をいうものであるところ、資本金の額については、法人税法に資本金等として払い込まれた額又は法人の財務諸表に表示された額のいずれをいうのかを判断するための明確な定義が置かれていないことから、会社法における資本金の額、すなわち、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であり、本件における直前資本金額等は、本件子会社の貸借対照表に資本金として計上された人民元で表示された金額に基づき算定するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算における資本金の額は、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であるとした事例

2017年1月16日

請求人が債権放棄をしたとして計上した雑損失の金額は寄附金の額に該当するとした事例

平24.1.1から平24.12.31の事業年度の法人税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成28年2月8日裁決

<要旨>
請求人は、請求人が個人事業を営む代表者に有していた売掛金(本件債権)の放棄は、代表者が旧賃貸人から賃借していた建物(本件建物)に係る旧賃貸人による本件建物の明渡し等を求めた訴訟についての和解により旧賃貸人が代表者に対して債権放棄を行っている事実からも明らかなように、その時点において本件債権の回収可能性がなく、本件債権の放棄の金額は法人税基本通達9-6-1《金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ》の(4)の取扱いにより損金の額に算入することができる旨主張する。

しかしながら、本件債権の放棄が行われた事業年度(本件事業年度)末の前後における代表者の収入の状況及び本件事業年度中の代表者からの売掛金の回収の状況を考慮すると、本件債権の全額が回収不能とは認められない。
また、本件債権を放棄した事実は認められるが、本件債権の放棄が書面により行われたことを示す証拠がないことからすれば、債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額はないのであるから、本件債権の放棄は同通達の(4)に掲げる事実に該当しない。
さらに、法人税基本通達9-6-1の(1)ないし(3)に掲げる事実に関する証拠はなく、これらの事実も認められない。

したがって、本件債権の放棄は法人税基本通達9-6-1に定める法律上の貸倒れに該当せず、請求人が本件債権の放棄をしたとして計上した雑損失の金額は、貸倒損失として損金の額に算入されない。
そして、本件債権の放棄は、回収不能とはいえない債権を放棄したものであるから、対価なくして経済的価値を有する債権を債権者が任意に処分したものであり、かつ、その行為について通常の経済取引として是認できる合理的な理由が存在するとは認められないから、請求人が本件債権の放棄をしたとして計上した雑損失の金額は、寄附金の額に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人が債権放棄をしたとして計上した雑損失の金額は寄附金の額に該当するとした事例

2017年1月13日

請求人の使用人について経営に従事していたとは認められず、みなし役員に該当しないとして処分の全部を取り消した事例

①平22.4.1から平24.3.31の各事業年度の法人税の各更正処分
②平22.4.1から平23.3.31の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
③平23.4.1から平24.3.31の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
④平23.4.1から平24.3.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分(過少申告加算税の賦課決定処分をあわせ審理)
⑤平成22年7月から平成23年12月の各期間分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分
⑥平24.4.1から平25.3.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分ほか
②⑤全部取消し、①③④一部取消し、⑥棄却
平成28年3月31日裁決

<要旨>
原処分庁は、現代表者(E)が代表取締役に就任する前において、請求人の発行済株式の50%を超える株式を保有していたところ、Eが代表取締役として署名押印している契約書面があり、本件調査時に請求人から提出された文書の記載内容やEの申述からすれば、Eは法人税法施行令第7条《役員の範囲》第2号に規定する経営に従事しているものに該当し、法人税法第2条《定義》第15号の役員に該当する旨主張する。

しかしながら、代表取締役でなかったEが代表取締役として署名押印している契約書面があるからといって、代表者でない者が契約当事者になっているにすぎず、その内容も重要な業務に係るものとはいえないことから、経営に従事していたことを裏付けるものとまでは認められず、また、本件調査時に請求人から提出された文書及びEの申述の内容からでは、Eが人事や資金計画に関わっていたことについて、いつの時点においていかなる役割を担っていたのか明らかでなく、これを具体的に裏付ける証拠収集がなされていない。さらに、Eが請求人の経営に従事していたかどうかについて、役員や従業員に確認を行っておらず、経営に従事していたとする具体的な事実関係が証拠資料上明らかではない。

そうすると、原処分庁が主張する事実をもって、Eが請求人の経営に従事していたと認めるに足りないといわざるを得ないから、代表取締役に就任する前においてEが法人税法上の役員に該当するとはいえない。

★リンクはこちら⇒ 請求人の使用人について経営に従事していたとは認められず、みなし役員に該当しないとして処分の全部を取り消した事例

2017年1月11日

2017年1月の税務と期限

期 限 項 目
1月10日 前年12月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
1月31日 支払調書の提出

源泉徴収票の交付

固定資産税の償却資産に関する申告

前年11月決算法人の確定申告 

法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

2月、5月、8月、11月決算法人・個人事業主の3月ごとの期間短縮に係る確定申告

消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

5月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の2月、5月、8月決算法人の3月ごとの中間申告

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の10月、11月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(9月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
給与所得者の扶養控除等申告書の提出

個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第4期分) 

給与支払報告書の提出

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2017年1月4日

12月の税務

期 限 項 目
12月12日 11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
1月4日 10月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

1月、4月、7月、10月決算法人・個人事業主の3月ごとの期間短縮に係る確定申告

消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

4月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
給与所得の年末調整

給与所得者の保険料控除申告書・住宅取得控除申告書の提出 

固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付

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2016年12月2日

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税
4月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税
消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
給与所得の年末調整
給与所得者の保険料控除申告書・住宅取得控除申告書の提出納付
固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付

平成28年版連結確定申告書・地方法人税確定申告書・個別帰属額等の届出書等の記載の手引

国税庁は、『平成28年版連結確定申告書・地方法人税確定申告書・個別帰属額等の届出書等の記載の手引』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成28年版連結確定申告書・地方法人税確定申告書・個別帰属額等の届出書等の記載の手引

2016年11月15日

2016年11月の税務

期 限 項 目
11月10日 10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月15日 所得税の予定納税額の減額申請
11月30日 9月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業主の3月ごとの期間短縮に係る確定申告

消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

3月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人の3月ごとの中間申告

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税

特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)

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2016年11月1日

平成28年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引(追補版)

国税庁は、『平成28年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引(追補版)』をホームページに公表した。

この手引は、平成28年9月1日付で法人税法施行規則が改正されたことに伴い、平成28年9月1日以後に終了する事業年度で使用する別表について、「平成28年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引」に説明を追加または補正したものである。

★リンクはこちら⇒ 平成28年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

2016年10月31日

建物附属設備の除却損について、当該建物附属設備に係る建物が売却された日の属する事業年度の損金の額に算入されるとした事例

平24.3.1~平25.2.28事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
全部取消し
平成27年11月30日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人が建物についてした造作(本件建物附属設備)を固定資産除却損(本件除却損)として損金の額に算入したことについて、本件建物附属設備は、本件除却損を計上した事業年度(本件事業年度)前の事業年度において、当該建物の売却とともに売却されていることから、本件除却損を本件事業年度に計上することはできない旨主張する。

しかしながら、本件建物附属設備は、当該建物とは別の建物(本件建物)の造作であり、本件事業年度において本件建物が売却された日に、請求人がその所有権を放棄し処分を委ねたものと認められることから、本件除却損は、本件事業年度の損金の額に算入することができる。

★リンクはこちら⇒ 建物附属設備の除却損について、当該建物附属設備に係る建物が売却された日の属する事業年度の損金の額に算入されるとした事例

2016年10月12日

2016年10月の税務

期 限 項 目
10月11日 9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月17日 特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
10月31日 8月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

2月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)

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2016年10月4日

2016年9月の税務

期 限 項 目
9月12日 8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
9月30日 7月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

1月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2016年9月1日

―中小企業等経営強化法―経営力向上計画策定・活用の手引き

経済産業省は、平成28年度税制改正で創設された中小企業等経営強化法の利活用のための「-中小企業等経営強化法-経営力向上計画策定・活用の手引き」を作成し、ホームページ上に掲載した。

★リンクはこちら⇒ ―中小企業等経営強化法―経営力向上計画策定・活用の手引き(既に削除済み)

2016年8月17日

2016年8月の税務

期 限 項 目
8月10日 7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
8月31日 6月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

3月、6月、9月、12月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

12月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税

個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告
個人事業税の納付(第1期分)
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)

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2016年8月1日

単体法人における適用額明細書の記載の手引(平成28年4月1日以後終了事業年度分)

国税庁は、『単体法人における適用額明細書の記載の手引(平成28年4月1日以後終了事業年度分)』を公表した。
法人税関係の租税特別措置の適用を受けようとする場合には、「適用額明細書」を作成し、法人税申告書に添付して税務署に提出する必要がある。

この手引は、本制度の概要をはじめ、「適用額明細書」の具体的な記載の仕方や留意点について取りまとめたものである。
「適用額明細書」を作成する際に参照すること。

★リンクはこちら⇒ 単体法人における適用額明細書の記載の手引(平成28年4月1日以後終了事業年度分)

2016年7月26日

平成28年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

国税庁は、『平成28年版 法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 平成28年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

2016年7月15日

売上除外をして請求人の役員らの各預金口座に振り込まれた金員は、請求人からの役員給与に該当し、じ後に請求人に対し役員らの返還債務が発生した場合であっても、当該金員につき役員らが現実に取得している限り、当該各預金口座に振り込まれた時点で役員らの給与に該当するとした事例

  • 平18.6.1~平25.5.31の各事業年度の法人税の各更正処分ほか
  • 棄却
  • 平成27年7月1日裁決

<要旨>
請求人は、請求人の役員ら名義の各預金口座に振り込まれた金員(本件各金員)は、請求人の意思決定の下に役員らへ支給されたとはいえず、また、本件各金員については、役員らが請求人へ返金する旨株主総会において決議したのであるから、本件各金員を請求人から役員らに支給された給与であるとした納税告知処分は違法である旨主張する。

しかしながら、法人の代表者等が法人経営の実権を掌握し、法人を実質的に支配している事情がある場合には、法人の代表者等が当該法人の事業活動を通じて得た利得は、給与支出の外形を有しない利得であっても、それが法人の資産から支出されたと認められる場合には、当該利得は法人の代表者等がその地位及び権限に対して受けた給与であると解されるところ、本件においては、役員らが請求人の株式の3分の1ずつを保有し、役員らの決議の下に請求人の経営方針が決定されていることから、請求人の業務においては、役員らが法人経営の実権を掌握し、法人を実質的に支配しているものと認められ、また、本件各金員は、役員らが請求人の事業活動を通じて得た利得であり、役員らが管理する各預金口座に振り込まれ任意に処分できる状態になったことからすれば、役員らの各預金口座に振り込まれた時点で役員らに帰属したといえる。

そうすると、本件各金員は、役員らがその地位及び権限に対して請求人から受けた給与であると認められ、当該給与につき、じ後に返還債務が発生した場合であっても、本件役員らが現実に本件各金員を取得した限り、その時点で給与に該当するというべきである。

★リンクはこちら⇒ 売上除外をして請求人の役員らの各預金口座に振り込まれた金員は、請求人からの役員給与に該当し、じ後に請求人に対し役員らの返還債務が発生した場合であっても、当該金員につき役員らが現実に取得している限り、当該各預金口座に振り込まれた時点で役員らの給与に該当するとした事例

2016年7月4日

2016年7月の税務

期 限 項 目
7月11日 6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
7月15日 所得税の予定納税額の減額申請
8月1日 5月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

所得税の予定納税額の納付(第1期分)

2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

11月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付

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2016年7月1日

平成28年度法人税関係法令の改正の概要

国税庁は、『平成28年度法人税関係法令の改正の概要』を公表した。

  1. このパンフレットでは、平成28年度税制改正のうち法人税関係法令の概要について、平成28年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」の内容を中心に説明している。
  2. このうち「第1編 法人税法等に関する改正」では、法人税法や租税特別措置法など震災特例法以外の改正事項について、法人税を計算する際の項目ごとに分類し、主要な改正項目とそれ以外の改正項目とに区分して説明している。
    「第2編 震災特例法に関する改正」では、震災特例法に関する改正事項について説明している。
  3. それぞれの主要な改正項目の説明に当たっては、措置された制度の概要について極力イメージ図や算式等を交えている。
    また、〔適用時期〕において、措置の適用関係について説明している。
  4. 主要な改正項目以外の改正項目については、表形式により改正のポイントを説明している。

★リンクはこちら⇒ 平成28年度法人税関係法令の改正の概要

2016年6月27日

2016年6月の税務

期 限 項 目
6月10日 5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額

(前年12月~当年5月分)の納付
6月15日 所得税の予定納税額の通知
6月30日 4月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

10月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)

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2016年6月2日

請求人の負担した代表者が青年会議所の会議等に出席するための交通費、宿泊費及び日当は、代表者に対する給与に該当するとした事例

①平成21年11月、平成22年10月、平成22年11月及び平成23年1月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分、平成24年5月、平成24年7月及び平成25年7月の各月分の源泉徴収に係る不納付加算税の各賦課決定処分
②平20.8.1~平22.7.31の各事業年度の法人税の各更正処分、平23.8.1~平24.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成21年10月、平成22年6月、平成23年5月、平成23年7月、平成23年10月、平成23年11月、平成24年1月~7月及び平成24年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分、平成25年7月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分
③平22.8.1~平23.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分ほか
①全部取消し、②一部取消し、③棄却 平成27年7月28日裁決

<要旨>
請求人は、代表者が青年会議所の会議等(本件各会議等)に出席するための交通費、宿泊費及び日当(本件旅費交通費)は、本件各会議等を含む青年会議所の活動が経営者に対する教育費用、請求人の受注活動費用及び新規事業開拓費用としての性質を有していることなどからすると、請求人の事業の遂行上必要な費用であり、代表者が負担すべきものではないことから、代表者に対する給与に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件会議等は、特定の個人又は法人の利益を目的として行われるものではなく、青年会議所の定款に掲げられた公益的な目的及び事業の内容に則した活動が行われ、代表者は、そのプログラムに沿った活動を行っており、代表者が本件会議等に出席したことが、取引先の確保や代表者の経営者としての能力の向上、新規事業の開拓に寄与することになったとしても、それは青年会議所の活動に付随する副次的な効果にすぎないことなどからすると、本件旅費交通費は、社会通念に照らし客観的にみて、請求人の事業遂行上必要な費用ではなく、代表者が個人的に負担すべきものであるから、代表者に対する給与に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人の負担した代表者が青年会議所の会議等に出席するための交通費、宿泊費及び日当は、代表者に対する給与に該当するとした事例

2016年5月27日

2016年5月の税務

期 限 項 目
5月10日 4月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
5月16日 特別農業所得者の承認申請
5月31日 3月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

個人の道府県民税及び市町村民税の特別徴収税額の通知

3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告

消費税・地方消費税

9月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が400万円超の6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告

消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の2月、3月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告

(1月決算法人は2ヶ月分、個人事業者は3ヶ月分)<消費税・地方消費税

確定申告税額の延納届出に係る延納税額の納付
自動車税の納付
鉱区税の納付

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2016年5月10日

2016年4月の税務

期 限 項 目
4月11日 3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
4月15日 給与支払報告に係る給与所得者異動届出(市町村長へ)
5月2日 2月決算法人の確定申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>

2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

8月決算法人の中間申告<法人税消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)

法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が400万円超の5月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税

消費税の年税額が4,800万円超の1月、2月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告

(12月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税

公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告
固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日又は最初の固定資産税の納期限のいずれか遅い日以後

の日までの期間)
固定資産課税台帳への登録価格の審査の申出の期間(市町村が固定資産の価格を登録したことを公示

した日から納税通知書の交付を受けた日後60日までの期間等)
軽自動車税の納付
固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付

★リンクはこちら⇒ 税務カレンダー

2016年4月5日

いわゆる屋根貸し事業における環境関連投資促進税制(租税特別措置法第42条の5)の適用

<照会要旨>
甲社は、複数の住宅の屋根のスペースをそれぞれ第三者から賃借し、当該賃借した屋根に次のとおり太陽光発電設備を設置して発電事業を行うことを予定している。

 設置場所  甲社が設置した各太陽光発電設備  出力の合計
 屋根A  設備a 出力3kw  12kw
 屋根B  設備b 出力4kw
 屋根C  設備c 出力5kw

(注)屋根A、B、Cはそれぞれ離れた場所にある。

甲社は、自らが行う発電事業の用に供する上記各太陽光発電設備について、その出力を合計すると10kw以上となることから、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下「再生エネルギー法」という。)第6条第1項《再生可能エネルギー発電設備を用いた発電の認定等》に規定する経済産業大臣による認定(以下「設備認定」という。)を受ける予定である。
この場合、租税特別措置法第42条の5《エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》(以下「環境関連投資促進税制」といいます。)の適用対象資産の要件である「(認定発電設備の)出力が10 kw以上」(措令27の51)であるかの判定においても、甲社が設置する各太陽光発電設備の出力を合計すると10 kw以上となるので、当該要件を満たすと解して差しないか。

(注)
再生エネルギー法に定める固定価格買取制度で売電するためには、発電設備が経済産業省令で定める基準に適合すること等について、設備認定を受ける必要があるところ、次の①から④までの要件を全て満たす、複数太陽光発電設備設置事業(いわゆる「屋根貸し事業」)を営む発電事業者は、当該事業に用いる太陽光発電設備について設備認定を受けた場合には、固定価格買取制度の対象とすることとされています(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則(以下「再生エネルギー法規則」という。)81六、七)。
①太陽光発電設備を自らが所有していない複数の場所に設置すること
②太陽光発電設備は、出力が1箇所当たり10kw未満で、合計すると10kw以上になること
(10kw未満を複数戸組み合わせる。)
③全量配線であること
④設置場所(屋根)の所有者の承諾を得ていること

<回答要旨>
「(認定発電設備の)出力が10kw以上」であるかどうかは、法人が行う発電事業の用に供する設備ごとに判定する。
各設備の出力の合計により判定を行うものでないので、甲社が設置する各設備はいずれも当該出力の要件を満たさない。

【理由】
環境関連投資促進税制の対象となる資産は、設備認定を受けた設備であるため、租税特別措置法施行令第27条の5第1項《エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》に規定する「出力が10kw以上」かどうかの判定については、設備認定を受けた設備ごとに行うことが適当である。
また、設備認定において、再生エネルギー法規則第8条第6号《認定基準》に規定する複数太陽光発電設備設置事業に用いる太陽光発電設備についても、あくまで一の需要場所(電気事業法施行規則第2条の2第2項に規定する一の需要場所をいう。)ごとに認定を行うこととされている。
その結果、複数太陽光発電設備設置事業に係る認定通知書(「再生可能エネルギー発電設備を用いた発電の認定について(通知)」)は、全ての設備を合計して1通の認定通知書が発行されるわけではなく、設備ごとに発行がされている。

以上のとおり、「出力が10kw以上」であるかの判定については、法人が行う発電事業の用に供する設備ごとに行うこととなるので、甲社が本件屋根貸し事業(複数太陽光発電設備設置事業)に供しているa、b、cの各設備については、いずれも出力が10kw未満であり、各認定通知書の発電出力欄にもそれぞれ10kw未満の数値が記載されることからすれば、「出力が10kw以上」の要件を満たさないため、環境関連投資促進税制の対象とはならない。

【参考】
1.青色申告法人が、平成23年6月30日から平成28年3月31日までの期間内に一定の太陽光発電設備を取得等し、取得等した日から1年以内に事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合及び電気事業法第2条第1項第9号に規定する電気事業の用に供した場合を除く。)には、その取得価額の30%の特別償却(中小企業者等は7%の税額控除との選択適用)ができることとされている(措法42の512)。
なお、平成27年4月1日前に取得した太陽光発電設備については、即時償却の対象だったが、平成27年度税制改正により、同日以後に取得した太陽光発電設備については、即時償却の対象から除外されているので留意すること(平成27年改正前の措法42の56、平成27年改正法附則74、平23財務省告示第219号、平27財務省告示第111号)。
2.太陽光発電設備について、環境関連投資促進税制の適用を受ける場合には、その適用を受ける事業年度の確定申告書等に、その減価償却資産が太陽光を電気に変換する認定発電設備でその出力が10kw以上であるものであることを証するものとして、1再生エネルギー法規則第7条第1項《認定手続》の申請書の写し及び2経済産業大臣の再生エネルギー法第6条第1項の認定をした旨を証する書類(認定通知書)の写しを添付しなければならないとされている(措令27の5 1、9、措規20の23)。
3.複数太陽光発電設備設置事業に係る認定通知書には、配線方法欄に「全量配線」、設備仕様欄の発電出力欄には各太陽光発電設備の出力(10kw未満の数値)が記載される。また、備考欄に「屋根貸し」と記載されることとなる。

★リンクはこちら⇒ いわゆる屋根貸し事業における環境関連投資促進税制(租税特別措置法第42条の5)の適用(既に削除済み)

2016年4月1日

新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱い

<照会要旨>
1.会社法の解釈の明確化
(1)従前の取扱い
会社役員賠償責任保険は、会社法(商法)上の問題に配慮し、従前、普通保険約款等において、株主代表訴訟で役員が敗訴して損害賠償責任を負担する場合の危険を担保する部分(以下「株主代表訴訟敗訴時担保部分」という。)を免責する旨の条項を設けた上で、別途、当該部分を保険対象に含める旨の特約(以下「株主代表訴訟担保特約」という。)を付帯する形態で販売されてきた。
また、株主代表訴訟担保特約の保険料についても、会社法(商法)上の問題に配慮し、これを会社が負担した場合には、会社から役員に対して経済的利益の供与があったものとして給与課税の対象とされていた。

(2)会社法の解釈の明確化
このような状況の中、コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会(経済産業省の研究会)が取りまとめた報告書「コーポレート・ガバナンスの実践~企業価値向上に向けたインセンティブと改革~」(平成27年7月24日公表)においては、会社が利益相反の問題を解消するための次の手続を行えば、会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担することができるとの解釈が示された。
①取締役会の承認
②社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得

2.新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱い
今般の会社法の解釈の明確化を踏まえると、会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担することができる場合には、株主代表訴訟敗訴時担保部分を特約として区分する必要がなくなることから、普通保険約款等において株主代表訴訟敗訴時担保部分を免責する旨の条項を設けない新たな会社役員賠償責任保険の販売が想定される。
以上を踏まえると、今後の会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いはどのようになるか。

(注)
損害保険会社各社において、普通保険約款等の変更に時間を要する等の事情があることも考慮し、普通保険約款等を変更するまでの暫定的な取扱いとして、普通保険約款等において設けられている株主代表訴訟敗訴時担保部分を免責する旨の条項を適用除外とし、普通保険約款等の保険料と株主代表訴訟敗訴時担保部分の保険料が一体と見なされる旨の特約を追加で付帯したものについても新たな会社役員賠償責任保険に含まれるものと考える。

<回答>
照会内容を前提にすれば、今後の会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについては、以下のとおりに取り扱われるものと考える。
①新たな会社役員賠償責任保険の保険料を会社が上記1(2)1及び2の手続きを行うことにより会社法上適法に負担した場合には、役員に対する経済的利益の供与はないと考えられることから、役員個人に対する給与課税を行う必要はない。
②上記①以外の会社役員賠償責任保険の保険料を会社が負担した場合には、従前の取扱いのとおり、役員に対する経済的利益の供与があったと考えられることから、役員個人に対する給与課税を行う必要がある。

★リンクはこちら⇒ 新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱い

2016年3月23日

「申告書の自主点検と税務上の自主監査」に関する情報(調査課所管法人の皆様へ)

国税庁は、実地調査以外の多様な手法を用いて、納税者の皆様方に自発的な適正申告をしていただく取組を充実させていくこととしており、調査課所管法人の皆様が申告書を提出される前に、申告書の自主点検や税務上の観点からの自主監査を行う際に活用いただくための確認表を作成している。

このページは、当該取組の内容をご案内するとともに、確認表の様式を掲載し、提供するものである。
様式はダウンロードして活用のこと。

★リンクはこちら⇒ 「申告書の自主点検と税務上の自主監査」に関する情報(調査課所管法人の皆様へ)

2016年3月23日

一部を自社使用し、一部を賃貸の用に供している建物に設置したエレベーターの生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用

<照会要旨>
甲社は、以前から4階建て建物(以下「本件建物」という。)を所有しており、1階及び2階は第三者である乙社に賃貸し、3階及び4階は甲社が販売活動の拠点として自ら使用している。
甲社は、このたび、本件建物に設置していたエレベーターの更新のため、既存のエレベーターを撤去した上で、新たに租税特別措置法第42条の12の5第1項《生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》に規定する特定生産性向上設備等のうち、いわゆる先端設備に該当するエレベーター(以下「本件エレベーター」という。)を設置し、直ちに事業の用に供した。
甲社と乙社(賃借人)との間で締結された賃貸借契約書上、賃貸借の目的物は、賃借人が専用して使用する貸室部分(以下「貸室部分」という。)のみであり、本件エレベーターは含まれていない。
ところで、租税特別措置法第42条の12の5の生産性向上設備投資促進税制(以下「本制度」という。)においては、対象設備を貸付けの用に供した場合は、本制度の対象外とされているが、本件建物のように一部を自社で使用し、一部を貸付けの用に供している建物に設置したエレベーターについても、貸付けの用に供した場合に該当するものとして、本制度の対象外となるのか。

【参考】

  • 甲社と賃借人との間で締結された賃貸借契約書の内容はリンクのとおり。
  • 甲社は、本件エレベーターについて、保守点検業者との間で保守点検等に係る契約を締結し、当該保守点検等に係る費用を支出している。
  • また、本件エレベーターについては、利用規約において、利用者(甲社及び賃借人の他、訪問者を含む。)が使用する上で遵守すべき事項(荷物の搬出入時や地震・停電時の注意事項等)が定められている。

<回答要旨>
照会の事実関係を前提とすれば、貸付けの用に供した場合に該当しないものと認められる。
【理由】
1.本制度の対象資産である生産性向上設備等(先端設備)については、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則第5条第1号《生産性向上設備等の定義》に、建物附属設備に区分される電気設備、冷暖房設備、エレベーターなどが各設備ごとに掲げられている。
本制度の規定上、対象資産を「貸付けの用に供した場合」には本制度の適用はないこととされているが、自社ビルの一部を賃貸する場合、この「貸付けの用に供した」かどうかの判定は、各設備(電気設備、冷暖房設備、エレベーターなど)ごとに行うこととなる。

2.各設備を「貸付けの用に供した」かどうかは、当事者間の契約の定めに従うほか実際の使用状況もみて判断することになる。
建物の一部を自社使用し、一部を第三者に貸し付けている場合、建物の共用部分に設置されたエレベーターは、一般的には、その賃貸借の目的物の範囲に含まれておらず(注)、また、実際の使用状況をみても、貸室部分とは異なり、賃借人に一定のルールの下に使用を認めているに過ぎないのであれば、本制度の適用において「貸付けの用に供した場合」に該当しないと取り扱われるものと解される。
なお、賃貸人による自社使用部分がない建物に係る建物附属設備については、一般的にはその全てを「貸付けの用に供した」ことになる。
()
賃貸借契約書に賃貸借の目的物として記載されていない場合のほか、賃貸借契約書に添付される「平面図」等により賃貸借の目的となっていないことが明らかである場合を含む。

3.本件についてみると、賃貸借契約書に記載されている賃貸借の目的物は、貸室部分のみとされており、本件エレベーターは、賃貸借の目的物に含まれていない。
また、本件エレベーターは、甲社、賃借人及び訪問者が使用するものであり、賃借人のみが専属的に使用する実態もない。

4.したがって、本件エレベーターについては、貸付けの用に供した場合には該当しないものと認められることから、他の要件を満たす場合には、その取得価額の全額について本制度の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 一部を自社使用し、一部を賃貸の用に供している建物に設置したエレベーターの生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用

2016年3月22日

生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の対象設備であることについての証明書を取得するため工業会等に対して支払った発行手数料の取扱い

<照会要旨>
当社は、産業競争力強化法の生産性向上設備等のうちいわゆる先端設備である機械及び装置を取得したことから、租税特別措置法第42条の12の5《生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》の生産性向上設備投資促進税制の適用を受けたいと考えている。
当社は、取得した機械及び装置が、生産性向上設備等のうちいわゆる先端設備であることについて、A工業会の証明書の発行を受け、その発行手数料として3,000円を支払った。
この証明書の発行手数料については、当該先端設備の取得価額に含めるとともに、生産性向上設備投資促進税制における法人税額の特別控除の適用対象となると解してよろしいか。

<回答要旨>
お尋ねの発行手数料は、先端設備の取得価額には含まれないため、法人税額の特別控除の適用対象とならない。
なお、その支出した事業年度の費用として損金の額に算入される。

(理由)

  1. 租税特別措置法第42条の12の5第1項に規定する特定生産性向上設備等とは、生産等設備を構成する機械及び装置等で産業競争力強化法第2条第13項に規定する生産性向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものをいう。
    また、同項に規定する生産性向上設備等とは、商品の生産若しくは販売又は役務の提供の用に供する施設、設備、機器、装置又はプログラムであって、事業の生産性の向上に特に資するものとして経済産業省令で定めるもの(いわゆる「先端設備」又は「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」に該当するもの)をいう(産業競争力強化法213、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則(以下「経産省強化法規則」という。)5)。
    この「先端設備」とは、次のイ及びロの要件をいずれも満たす経産省強化法規則第5条第1号に規定する指定設備(以下「指定設備」という。)とされている(経産省強化法規則5一)。

    最新モデル要件(指定設備ごとに販売開始年度内で最新モデル又は販売開始年度が取得等年度若しくはその前年度であるモデルであること)
    生産性向上要件(旧モデル比で生産性指標(生産効率、エネルギー効率、精度等をいう。)が年平均1%以上向上していること)

    この「先端設備」の要件を満たす指定設備であることについて、各工業会等から証明書の発行を受けることができる。

  2. 購入した減価償却資産の取得価額は次のイ及びロの合計額とされている(法令541一)。
    当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
    当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
  3. ご質問の趣旨は、A工業会から証明書の発行を受けた際に支出した手数料の額が、①資産の購入のために要した費用(上記2イ括弧書)又は②その資産を事業の用に供するために直接要した費用(上記2ロ)に該当し、資産の取得価額に算入すべきものかという点にあるものと思われる。
    この点、各工業会等が発行する証明書は、ある指定設備が「先端設備」の要件を満たすことを各工業会等が証明する書類であり、本税制の適用を受けられる指定設備であることの参考資料であることからすれば、本証明書の発行手数料は、上記1及び2のいずれの費用にも該当しないため、資産の取得価額には含まれず、支出した事業年度の損金の額に算入されることとなる。
    したがって、本税制における法人税額の特別控除の適用対象とはならない。

★リンクはこちら⇒ 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の対象設備であることについての証明書を取得するため工業会等に対して支払った発行手数料の取扱い

2016年1月26日

避難指示解除準備区域内にある土地等を譲渡した場合における震災特例法第19条≪特定の資産の買換えの場合の課税の特例≫の適用

<照会要旨>
当社は、A県内の避難指示解除準備区域()に工場として使用していた建物及びその敷地(以下これらを併せて「本件土地等」という。)を所有している。
避難指示解除準備区域とは、当面の間、住民は避難を続けるものの、除染やインフラ復旧を優先的に進め、一日でも早い自宅帰還を目指す地域をいう。
当社は、本件土地等を譲渡することを検討しているが、本件土地等は、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下「震災特例法」という。)第19条第1項≪特定の資産の買換えの場合の課税の特例≫に規定する譲渡資産に該当するか。
また、本件土地等が除染作業により使用可能な状況になった後、本件土地等を譲渡した場合であっても、同項に規定する譲渡資産に該当するか。

<回答要旨>
本件土地等は、震災特例法第19条第1項に規定する譲渡資産に該当する。

(理由)
1.震災特例法第19条の買換特例制度(以下「本制度」という。)は、法人が、平成23年3月11日から平成28年3月31日までの期間内に、被災区域内にある土地等の譲渡をして、その譲渡の日を含む事業年度において国内にある土地等又は減価償却資産の取得をした場合等で、かつ、その取得の日から1年以内にその取得をした資産を事業の用に供したとき又は供する見込みであるときは、その取得をした資産につき、圧縮記帳を行うことができるという制度である(震災特例法19)。
本制度の対象となる譲渡資産として、被災区域である土地若しくはその土地の上に存する権利又はこれらとともに譲渡をするその土地の区域内にある建物若しくは構築物で、平成23年3月11日前に取得がされたものが掲げられている(震災特例法191表一)。
この「被災区域」とは、東日本大震災()により滅失(通常の修繕によっては原状回復が困難な損壊を含む。)をした建物又は構築物の敷地及びその建物又は構築物と一体的に事業の用に供される附属施設の用に供されていた土地の区域とされている(震災特例法181)。
東日本大震災とは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう(震災特例法21)。

2.本件土地等は、除染により放射性物質を除去するといった作業を経てからでないと使用できないことからすると、本制度の対象となる被災区域の譲渡資産としての性質をもっていると考えることができる。
さらに、本制度が、被災企業が有していた土地等の譲渡益に対する課税を繰り延べることによって、被災企業の活動を税制上支援しようとするものであり、東日本大震災による被害の実態に鑑み、被災企業の再建と被災地域の経済的復興を最優先するとの考え方に基づくものであることからすると、東日本大震災に起因して事業の用に供することのできなくなった本件土地等についても本制度の適用を認めることが、その趣旨にも合致するところである。

したがって、本件土地等は、本制度の対象となる譲渡資産に該当するものと考えられる。
なお、本制度の適用対象となる被災区域の譲渡資産について、その後、当該被災区域の状況が改善されたとしても、その譲渡資産該当性には影響がないため、仮に除染作業が終了し本件土地等が使用可能な状態になった場合であっても、本制度の適用対象とされる譲渡資産に該当することとなる。

★リンクはこちら⇒ 避難指示解除準備区域内にある土地等を譲渡した場合における震災特例法第19条≪特定の資産の買換えの場合の課税の特例≫の適用について

2016年1月12日

太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱い

<照会要旨>
甲社は、太陽光発電設備を取得し、発電した電力を電力会社へ売電する事業を行う予定である。
太陽光発電設備により発電した電力を電力会社に供給するためには、電力会社の電気供給設備に太陽光発電設備を接続(系統連系)する必要があり、この系統連系に伴い、電力会社の電気供給設備を新たに設置または変更する場合には、その工事費用については、電力会社との間の契約に基づき甲社が負担することとしている。
この場合、甲社が負担する工事費用(以下「連系工事負担金」という。)は、繰延資産に該当するか。
また、繰延資産に該当するのであれば、「電気ガス供給施設利用権」(耐用年数省令別表三)の耐用年数に準じて15年間で償却して差しないか。

<回答要旨>
当該連系工事負担金は、繰延資産に該当する。
また、その償却期間は15年として差し支えない。

【理由】
1.連系工事負担金について
甲社は、連系工事負担金を支出することで電力会社の送配電網を利用して、発電した電力を売電できるようになるため、連系工事負担金は、甲社にとって自己が便益を受けるために支出する費用でその支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶものとして繰延資産に該当する(法2二十四、法令141六ホ)。
なお、連系工事負担金は、電力会社の所有物となる電気供給設備の工事費用を甲社が負担するものであり、甲社の所有する太陽光発電設備に対する支出ではないため、これを固定資産の取得価額に含めることはできない。

2.償却期間について
連系工事負担金(繰延資産)の償却期間については、系統連系工事によって設置される電気供給設備の耐用年数や電力会社との契約期間等を基に合理的に見積もることとなる(法基通8-2-1)。
ところで、事業者が、電力会社から電気の供給を受けるため、電力会社における電気供給施設を設けるための費用を当該事業者が負担することがあり、この場合の負担金は、無形減価償却資産である「電気ガス供給施設利用権」に該当し、その法定耐用年数は当該施設の耐用年数等も踏まえ「15年」とされている(法令13八ヨ、耐用年数省令別表第三)。
連系工事負担金は、電力会社の電気供給設備についてその工事費を負担するという点や系統連系工事により設置される電気供給設備と上記負担金により設置される施設の内容とが類似しており、連系工事負担金の償却期間について、「電気ガス供給施設利用権」の耐用年数に準じて「15年」とすることは合理的と考えられる。
なお、連系工事負担金の償却期間について、例えば、電力会社との契約における受給期間とするなど、発電事業者が償却期間を合理的に見積もっている場合は、当該期間によっても差し支えない。

(注)
受給期間は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第3条第1項《調達価格及び調達期間》に規定する調達期間(固定価格で買い取る期間)を限度として電力会社と発電事業者との契約で設定される期間であり、その期間内は売電を行うことが合意されている。
なお、例えば、受給期間を1年とし、自動更新というような場合は受給期間の終期が定められていないことから、調達期間(10KW以上20年、その他10年)を受給期間とみることとなる。

また、繰延資産として支出する金額が20万円未満である場合には、その支出の日の属する事業年度において損金経理をした金額は損金の額に算入することとされている(法令134)。したがって、連系工事負担金として支出する金額が20万円未満である場合には、その全額を支出の日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

★リンクはこちら⇒ 太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱い

2016年1月8日

生産性向上設備等を段階的に事業の用に供した場合の生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用

<照会要旨>
当社は、工場を建て替え、最新のめっき処理設備及び廃水設備を導入する投資計画(以下「本件投資計画」という。)を策定し、本件投資計画における投資利益率が15%以上となることが見込まれることにつき経済産業大臣の確認を受けた。
本件投資計画は、第1期工事(工期:平成26年10月~平成27年1月)から第5期工事(工期:平成29年1月~平成29年3月)までの複数事業年度にまたがる計画であるが、本件投資計画に記載された各建物、機械及び装置等は、その完成または設置の都度、事業の用に供する予定である。
この場合において、事業の用に供した各建物、機械及び装置等は、本件投資計画の全てが終了する前においても、それぞれ事業の用に供した日の属する事業年度において租税特別措置法第42条の12の5《生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》の適用を受けることができるか。
なお、これらの各建物、機械及び装置等はいずれも特定生産性向上設備等に該当する。

<回答要旨>
照会意見のとおり、適用を受けることができる。

【理由】
青色申告書を提出する法人が、指定期間内()に、特定生産性向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」という。)において、その特定生産性向上設備等につき特別償却または税額控除の適用ができることとされている(措法42の12の5)。
また、特定生産性向上設備等とは、生産等設備を構成する機械及び装置、工具、器具及び備品、建物、建物附属設備、構築物並びに一定のソフトウエアで、産業競争力強化法第2条第13項に規定する生産性向上設備等(注)に該当するもののうち、一定の規模以上のものとされている(措法42の12の51)。

産業競争力強化法の施行の日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの期間をいう。

(注)
産業競争力強化法第2条第13項に規定する生産性向上設備等とは、商品の生産もしくは販売または役務の提供の用に供する施設、設備、機器、装置またはプログラムであって、事業の生産性の向上に特に資するものとして経済産業省令で定めるもの(いわゆる「先端設備」または「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」に該当するもの)とされている。
このうち、「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」とは、本制度の対象となる設備のうち、法人(事業者)が策定した投資計画(投資利益率が15%以上(中小企業者等は5%以上)となることが見込まれるものであることにつき経済産業大臣(経済産業局)の確認を受けたものに限る。)に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠なものとされている(経済産業省関係産業競争力強化法施行規則5二)。

したがって、投資計画の全ての投資が完了したか否かにかかわらず、指定期間内に特定生産性向上設備等に該当する各建物、機械及び装置等の取得等をして、これを事業の用に供した場合には、供用年度において、特別償却または税額控除の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 生産性向上設備等を段階的に事業の用に供した場合の生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用について

2016年1月6日

太陽光発電設備の系統連系に当たり支出するアクセス検討料

<照会要旨>
甲社は、太陽光発電設備を取得し、発電した電力を電力会社へ売電する事業を行う予定である。
太陽光発電設備により発電した電力を電力会社に供給するためには、電力会社の電気供給設備に太陽光発電設備を接続(系統連系)する必要があるが、その接続に当たり、電力会社の側において他の顧客等に影響がないか、技術的な検討(以下「アクセス検討」という。)を行うことになった。
アクセス検討の結果、電力会社の電力供給設備を新たに設置または変更する必要がある場合には、必要となる工事の概要や工期、工事費負担金(概算額)の回答を電力会社から受けることとなる。
このアクセス検討のために電力会社へ支払った費用(以下「アクセス検討料」という。)については、太陽光発電設備の取得価額に含まれず、電力会社からアクセス検討の結果の回答を受けた時の一時の損金になるか。

<回答要旨>
照会意見のとおり、アクセス検討の結果の回答を受けた時の損金の額に算入することとなる。

(理由)
アクセス検討料は、発電設備の接続(系統連系)に先立ち、電力会社が行うアクセス検討に要する費用を契約に基づき発電事業者側が負担するというものであり、アクセス検討の結果、系統連系工事を行うか否かにかかわらず、支出することとなる費用である。

したがって、アクセス検討料は、電力会社によるアクセス検討という役務提供の対価であると考えられるので、その役務の提供を受けた時、すなわち、電力会社からアクセス検討の結果の回答を受けた時に損金の額に算入することになる。

(参考)
上記の系統連系工事に係る工事費負担金の税務上の取扱いについては、以下の質疑応答事例を参すること。
太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱いについて

★リンクはこちら⇒ 太陽光発電設備の系統連系に当たり支出するアクセス検討料について

2015年12月22日

2015研究開発税制Q&A

経済産業省は、ホームページに「2015研究開発税制Q&A」のパンフレットを公表した。

当該パンフレットは、沖縄税理士会調査研究部が執筆し、日本税理士会連合会調査研究部が監修したもので、平成27年度税制改正における研究開発税制の拡充を反映したほか、これまで沖縄県内の中小企業を主な対象としていたのを、大企業も含めた全国の企業を対象とするよう改めている。

★リンクはこちら⇒ 2015研究開発税制Q&A(既に削除済み)

2015年10月23日

業務チェックリスト(法人税用)

日本税理士会連合会(日税連)業務対策部では、税理士税理士事務所(以下「事務所」という。)内に書面添付制度を定着させ、良好な内容の添付書面を作成するため、また、使用人等の経験や能力を踏まえた事務所全体の業務水準の向上を図るため、「業務チェックリスト(法人税用)」を策定・公表した。

事務所内における業務内容のチェック及び添付書面の作成に活用できる。

なお、日本税理士会連合会(日税連)のホームページに掲載されているが、ユーザー名とパスワードが必要である。

2015年9月7日

請求人から提出されたノート等に記載された取引の一部については、取引の事実及び金額が特定できるとした事例

①平16.9.1~平18.8.31、平20.9.1~平21.8.31の事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
②平18.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平23.8.31の事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
①棄却 ②一部取消し 平成26年12月8日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の主張する原処分庁が更正処分により益金の額に算入した特定の取引先への売上げ(本件売上げ)に係る売上原価(本件売上原価)の額について、請求人の帳簿には、本件売上げに係る仕入れ(本件仕入れ)について継続的な記録がされていないことから、本件売上原価の支払いの事実も不明であり、確定申告書に添付された貸借対照表、損益計算書に記載された仕入金額及び棚卸金額について不相当と認められる事実はないなどとして、損金の額に算入済みであると推認される旨主張する。

しかしながら、帳簿書類による以上に客観的信頼性のある資料及び計算方法に基づき、本件仕入れの事実及び金額を特定し、本件仕入れの金額が当初申告の仕入れ金額に含まれていないこと及び請求人の各事業年度の売上金額と対応することを具体的に主張立証できれば、当該主張が排斥されるものではなく、請求人から提出されたノート等に記載された取引の一部については、取引先、取引年月日、取引金額及び取引内容等により取引の事実及び金額が特定でき、当該取引金額が該当する事業年度の当初申告の仕入金額に含まれていないことが認められる。
また、請求人の期首期末の棚卸金額については、不相当とする理由は認められないことから、当該取引金額は、当該事業年度の本件売上金額と対応関係を有するということができ、当該事業年度の損金の額に算入することが相当と認められる。

★リンクはこちら⇒ 請求人から提出されたノート等に記載された取引の一部については、取引の事実及び金額が特定できるとした事例

2015年9月1日

請求人及び請求人の取引業者で組織された親睦団体によって開催された行事に係る損益は、請求人に帰属しないと認定した事例

平18.3.1~平24.2.29の各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
全部取消し 平成26年11月10日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人及び請求人の取引業者で組織された親睦団体(本件親睦団体)によって開催された懇親会及び新年会(本件懇親会等)は、請求人の意思決定により開催され、会費収入及び開催費用を含むその使途も請求人が決定していることから、請求人の業務に関連して開催されたものであり、本件懇親会等に伴う利益金は、本件親睦団体ではなく請求人に帰属する旨主張する。

しかしながら、本件懇親会等は本件親睦団体の会則に沿った行事であること、本件懇親会等に伴う利益金は、本件親睦団体名義の預金口座に預け入れられ、本件親睦団体の年会費とともに本件親睦団体により管理されていること、及び原処分庁の主張を裏付ける証拠もないことからすると、本件懇親会等に伴う損益は、請求人に帰属するとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人及び請求人の取引業者で組織された親睦団体によって開催された行事に係る損益は、請求人に帰属しないと認定した事例

2015年8月26日

墓地管理者が墓地使用権者から収受した管理料収入は、収益事業たる請負業に係る収入に該当すると認定した事例

平24.4.1~平25.3.31の事業年度の法人税及び平24.4.1~平25.3.31の課税事業年度の復興特別法人税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
棄却 平成26年12月8日裁決

<要旨>
請求人は、墓地管理者として、墓地使用権者から永代使用料とは別個に管理料を収受しているところ、当該管理料は、墓地埋葬法等によって義務付けられた墓地全体の保全管理を行うための費用として収受しているのであるから、請負業に係る収入には該当しない旨主張する。

しかしながら、請求人が定めた霊園使用規程等をみると、墳墓地の貸付けと共用部分の管理運営等を行う管理行為とは、業務形態として別個独立のものであるし、それぞれの事業についての対価も別個に定められている。
さらに、請求人と墓地使用権者との間で、請求人が共用部分の管理行為に係る役務を提供すべきことを約し、墓地使用権者がその対価として当該管理料を支払う旨を約したのであって、請求人が提供する当該管理行為という役務の対価として当該管理料が支払われている関係にあるとみるのが相当である。

したがって、当該管理行為は、収益事業たる請負業として行われたものであり、当該行為によって収受した当該管理料は、請負業に係る収入と認められる。

★リンクはこちら⇒ 墓地管理者が墓地使用権者から収受した管理料収入は、収益事業たる請負業に係る収入に該当すると認定した事例

2015年8月21日

適用額明細書の記載の手引(平成27年4月1日以後終了事業年度分)

国税庁は『適用額明細書の記載の手引(平成27年4月1日以後終了事業年度分)』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 適用額明細書の記載の手引(平成27年4月1日以後終了事業年度分)

2015年8月6日

美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ

国税庁は、『美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ』を公表した。

美術品等(絵画や彫刻等の美術品のほか工芸品などが該当する。以下「美術品等」という。)が減価償却資産に該当するかどうかの判定については、平成26年12月19日付課法2-12ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)等が発遣され、取扱通達(法基通7-1-1等)の改正が行われており、平成27年1月1日以後取得する美術品等について新しい取扱いが適用されている。

このFAQは、歴史的価値を有し、代替性のないもの(古美術品、古文書、出土品、遺物等)に該当しない美術品等が、減価償却資産に該当するかどうかの判定について、その改正内容等を周知するため、これまで寄せられた主な質問に対する回答を取りまとめたものである。

★リンクはこちら⇒ 美術品等についての減価償却資産の判定に関するFAQ

2015年7月3日

平成27年度法人税関係法令の改正の概要

国税庁は、『平成27年度法人税関係法令の改正の概要』を作成した。

目次は、以下のとおり。
  第1編 法人税法等に関する改正
法人税の税率の引下げに関する改正
Ⅱ 受取配当等の益金不算入制度の見直し
Ⅲ 欠損金の繰越控除制度等の見直し
Ⅳ 減価償却に関する改正
Ⅴ 税額の計算に関する改正
Ⅵ 引当金・準備金制度に関する改正
Ⅶ 資産譲渡等の場合の課税の特例制度に関する改正
Ⅷ 国際課税に関する改正
Ⅸ その他の改正
  第2編 震災特例法に関する改正

★リンクはこちら⇒ 平成27年度法人税関係法令の改正の概要

2015年6月24日

「平成27年分法人税申告書別表等」の一部掲載

国税庁は、「平成27年分法人税申告書別表等」の一部をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ [手続名]法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)

2015年6月23日

取引先に支払ったとする販売手数料は費途不明であるとはいえないとした事例

①平18.10.1~平23.9.30の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
②平18.10.1~平23.9.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
①全部取消し ②棄却 平成26年7月28日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が取引先に支払ったとする販売手数料は、請求人から取引先に対し売上割戻し又はそれに類似する費用として支払われていたものと認められることから、費途不明であるということはできず、請求人業務との関連性を有するものと認められるから、損金の額に算入することができるとして、原処分の全部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人がj社に対して支払ったと主張する販売手数料(本件販売手数料)は、その費途が不明であり、また、業務関連性も明らかではないので本件各事業年度の損金の額に算入することはできない旨主張する。

しかしながら、請求人が保存するi社名義の請求書や領収証に記載された数量が請求人が主張するj社に対する商品の販売数量と一致し、本件販売手数料の支払金額が請求人のj社に対する商品の販売数量に応じて割戻単価を乗じて算定されているものと認められることや、請求人が振り出した小切手がj社の常務取締役に支払われており、同人が管理する銀行口座で取り立てられていることなどからすれば、本件販売手数料は、j社に対し売上割戻し又はそれに類似する費用として支払われていたものと認められ、請求人業務との関連性を有するものと認められることから、費途不明であるということはできず損金の額に算入することができる。

★リンクはこちら⇒ 取引先に支払ったとする販売手数料は費途不明であるとはいえないとした事例

2015年6月5日

申告書の自主点検と税務上の自主監査

国税庁は、実地調査以外の多様な手法を用いて、納税者の方に自発的な適正申告をしてもらう取組を充実させていくこととしており、今般、調査課所管法人が申告書を提出される前に、申告書の自主点検や税務上の観点からの自主監査を行う際に活用いただくための確認表を作成した。
このページは、当該取組の内容を案内するとともに、確認表の様式を掲載し、提供するものである。

様式はダウンロードして活用のこと。
なお、本取組は平成27年3月以降に決算期が到来する法人を対象としている。

(注)
確認表の様式については、Excel版とPDF版の二種類を用意している。
Excel版については、印刷時に利用しているPC環境により改ページ位置の変更等レイアウトが変更される場合があるので、利用の際には留意すること。

★リンクはこちら⇒ 申告書の自主点検と税務上の自主監査

2015年4月20日

請求人が建物補償金などの名義で取得した金員の一部について、収用等の場合の課税の特例を適用することはできないとした事例

平22.4.1~平23.3.31までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
棄却 平成26年6月3日裁決

<要旨>
請求人は、請求人の建物の敷地として賃借していた土地の一部(本件土地)の公共用地の買取りに伴い起業者(本件起業者)から取得した補償金(本件建物補償金)について、①租税特別措置法関係通達(措置法通達)64(2)-3《対価補償金等の判定》の定めにより本件起業者の判断が尊重されるところ、本件起業者が請求人に交付した「公共事業用資産の買取り等の証明書」に「買取」と記載されていること、また、②本件建物補償金の算定根拠となった建物の庇部分を取り壊していることからすると64(2)-8《ひき(曳)家補償等の名義で交付を受ける補償金》の各定めに該当又は類似し、本件建物補償金の全額が、租税特別措置法第65条の2《収用換地等の場合の所得の特別控除》第1項の規定による所得の特別控除の特例(本件特例)の対象となる補償金に該当する旨主張する。

しかしながら、①措置法通達64(2)-3は、交付の目的が明らかでない補償金について、対価補償金、収益補償金、経費補償金、移転補償金又はその他対価補償金たる実質を有しない補償金のいずれに該当するかの判定が困難な場合に、課税上弊害がない限り、起業者が証明するところによる旨定めているのであって、請求人は、本件起業者から本件建物補償金の算定資料の交付を受けており、本件建物補償金については、その算定の内訳等が明らかであり、いずれの補償金に該当するかが判断できる。
また、②請求人が本件起業者から交付を受けた本件建物補償金の算定資料によれば、本件建物補償金のうち、本件土地の買取りによって減少する展示場及び駐車場の代替として本件土地の外に立体駐車場を設置する費用の補償及び当該立体駐車場を設置する際に支障となる建物の移転に要する費用の補償の各金額は、いずれも本件土地の上に存する資産に係るものではないから、措置法通達64(2)-8の定めに該当しない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が建物補償金などの名義で取得した金員の一部について、収用等の場合の課税の特例を適用することはできないとした事例

2015年4月13日

生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産を2以上取得した場合の特別償却と税額控除の選択適用

<照会要旨>
甲社は、生産等設備を構成する器具及び備品に該当する測定機器(取得価額60万円)及び電気冷蔵庫(取得価額70万円)を同一事業年度内に取得し、国内にある甲社の事業の用に供する予定です。これらの設備は、いずれも租税特別措置法第42条の12の5《生産性向上設備等を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除》に規定する生産性向上設備等に該当し、その取得価額の合計額が120万円以上となるので、同条の適用対象資産(特定生産性向上設備等)に該当する。
この場合、同条の適用に当たり、測定機器については、同条第2項の即時償却を適用し、電気冷蔵庫については、同条第8項の法人税額の特別控除を適用できるか。

<回答要旨>
照会意見のとおり、適用することができる。
(理由)
租税特別措置法第42条の12の5《生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》の適用対象となる特定生産性向上設備等とは、器具及び備品については、1台または1基の取得価額が120万円以上のものとされているが、1台または1基の取得価額が30万円以上の器具及び備品で、同一事業年度内における取得価額の合計額が120万円以上である場合のものも含むこととされている(措令27の12の52ニ)。

ご質問の趣旨は、上記の「取得価額の合計額が120万円以上である」との要件により特定生産性向上設備等に該当した減価償却資産について、個々の減価償却資産ごとに即時償却または税額控除のいずれかを選択してよいのかという点にあるかと思われる。
この点、同条の適用に当たっては、同一事業年度内に取得した全ての特定生産性向上設備等を対象として一律に即時償却または税額控除のいずれかを選択するわけではなく、個々の特定生産性向上設備等ごとにいずれかを選択して適用することができる。
甲社が取得する測定機器と電気冷蔵庫の取得価額はそれぞれ120万円未満ですが、甲社は、同一事業年度内に測定機器と電気冷蔵庫を取得し、国内にある自らの事業の用に供するとのことなので、同一事業年度内において取得等をした生産等設備を構成する器具及び備品の取得価額の合計額が120万円以上となるため、測定機器と電気冷蔵庫のそれぞれが特定生産性向上設備等に該当することとなる。

したがって、甲社は、他の要件を満たすかぎり、測定機器については、同条第2項の即時償却を適用し、電気冷蔵庫については、同条第8項の税額控除を適用することができる。

★リンクはこちら⇒ 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産を2以上取得した場合の特別償却と税額控除の選択適用

2015年2月23日

生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産(リース資産)

<照会要旨>
法人がリース取引(法人税法第64条の2第3項に規定するリース取引をいう。以下同じ。)により取得した生産性向上設備等は、租税特別措置法第42条の12の5《生産性向上設備等を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除》(以下「本制度」という。)の適用対象資産となるのか。

<回答要旨>
リース取引により取得した生産性向上設備等についても、所定の要件を満たす場合には本制度の適用対象資産となる。
ただし、所有権移転外リース取引により取得したものについては、特別償却の適用はなく、法人税額の特別控除のみ適用することができる。
(理由)
法人がリース取引を行った場合には、リース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時にそのリース資産の売買があったものとして、その賃貸人及び賃借人である法人の各事業年度の所得の金額の計算を行うこととされている(法法64の21)。
すなわち、リース取引を行った場合には、そのリース資産は賃借人において取得したものとして取り扱われる。
本制度は、青色申告法人が、所定の期間内に特定生産性向上設備等の取得等をして、これを国内にある当該法人の事業の用に供した場合に、特別償却または法人税額の特別控除を適用できるというものである。
ここでいう「取得等」とは、「取得(その製作または建設の後事業の用に供されたことのないものの取得に限る。)または製作若しくは建設をいい、建物にあっては改修(増築、改築、修繕または模様替をいう。)のための工事による取得または建設を含む」ものを指し、リース取引による取得は除かれていないので、リース取引により取得した生産性向上設備等についても、本制度の対象とすることができる。
ただし、所有権移転外リース取引(法人税法施行令第48条の2第5項第5号に規定する所有権移転外リース取引をいう。以下同じ。)により取得した特定生産性向上設備等については、本制度のうち、特別償却の適用はないので、法人税額の特別控除のみ適用できることになる(措法42の12の510)。

(注)
租税特別措置法の規定による特別償却制度においては、所有権移転外リース取引により取得したリース資産はその適用対象から除かれている。

★リンクはこちら⇒ 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産(リース資産)

2015年2月19日

中小企業投資促進税制(租税特別措置法第42条の6)の特定生産性向上設備等の判定

<照会要旨>
中小企業者等に該当する甲社は、次表に掲げる器具及び備品(いずれも租税特別措置法第42条の12の5第1項に規定する生産性向上設備等に該当。)を同一事業年度内に取得し、自らの製造業の用に供する予定である。
租税特別措置法第42条の6(中小企業投資促進税制)においては、同条第1項に規定する特定機械装置等が同法第42条の12の5(生産性向上設備投資促進税制)の対象設備等である場合には、即時償却又は法人税額の特別控除を選択適用できることとされているが、次表のうち、電子計算機Bについては、即時償却または法人税額の特別控除(租税特別措置法第42条の6第2項または第8項のいわゆる上乗せ措置)を適用できるか。
なお、次表の器具及び備品のうち、電子計算機A及び電子計算機Bは中小企業投資促進税制の対象資産に該当するが、その他事務機器Cは中小企業投資促進税制の対象資産として掲げられている器具及び備品の細目のいずれにも該当しない。

 器具及び備品の内容  取得価額  中小企業投資促進 

税制の対象資産
 生産性向上設備等
 電子計算機A  25万円  ○  ○
 電子計算機B  100万円  ○  ○
 その他事務機器C  100万円  ×  ○

<回答要旨>
照会意見のとおり、適用することができる。
(理由)
1.租税特別措置法第42条の6《中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》第2項の即時償却又は同条第8項の法人税額の特別控除の対象資産(以下「中小企業投資促進税制の特定生産性向上設備等」という。)とは、同条第1項に規定する特定機械装置等のうち、生産性向上設備投資促進税制の対象設備等に該当するものをいい、例えば、器具及び備品にあっては、次のとおり(1)中小企業投資促進税制の特定機械装置等の判定と(2)生産性向上設備投資促進税制の対象設備等の判定をそれぞれ行い、いずれにも該当するものをいう。
(1)中小企業投資促進税制の特定機械装置等(電子計算機の場合)
一定の要件を満たす電子計算機のうち、1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの(法人税法施行令第133条又は第133条の2の適用を受けていない一定の要件を満たす電子計算機で、同一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上である場合のものを含む。)(措令27の63、措規20の35)。
(2)生産性向上設備投資促進税制の対象設備等
1台又は1基の取得価額が120万円以上の器具及び備品(1台又は1基の取得価額が30万円以上の器具及び備品で、同一事業年度内におけるその取得価額の合計額が120万円以上である場合のものを含む。)(措令27の12の52ニ)。

2.ご質問の趣旨は、上記1(2)括弧書の「取得価額の合計額が120万円以上である」との要件(以下「合計規模要件」という。)について、特定機械装置等に該当しない資産の取得価額も含めて合計規模要件を満たすかどうかを判定してよいのかという点にあるかと思われる。
この点、「生産性向上設備投資促進税制の対象設備等」とは生産性向上設備等のうち上記1(2)に掲げた取得価額要件を満たすものをいい、特定機械装置等に該当するかどうかは要件とされていないので、特定機械装置等に該当する減価償却資産の取得価額のみの合計額による判定では合計規模要件を満たさない場合であっても、特定機械装置等に該当しない減価償却資産を含めた判定において合計規模要件を満たすときには、その合計規模要件を満たす減価償却資産のうち特定機械装置等に該当するものは、中小企業投資促進税制の特定生産性向上設備等に該当することになる。

3.甲社が取得する各器具及び備品に係る中小企業投資促進税制の特定機械装置等の判定については、電子計算機A及びBの取得価額の合計額は120万円以上であるため、それぞれが特定機械装置等に該当する。
また、生産性向上設備投資促進税制の対象設備等の判定に当たっては、電子計算機Aは、その取得価額が30万円未満であるため対象資産から除かれるが、電子計算機Bとその他事務機器Cの取得価額の合計額が120万円以上となるので、電子計算機Bとその他事務機器Cは生産性向上設備投資促進税制の対象設備等に該当する。
よって、電子計算機Bは、特定機械装置等及び生産性向上設備投資促進税制の対象設備等のいずれにも該当するので、中小企業投資促進税制の特定生産性向上設備等に該当することになる。
したがって、甲社は、同一事業年度内に上記表の各器具及び備品を取得し、自らの製造業の用に供するとのことなので、他の要件を満たすかぎり、電子計算機Bについては、租税特別措置法第42条の6第2項の即時償却又は同条第8項の法人税額の特別控除を適用することができる。

〔中小企業投資促進税制の特定生産性向上設備等の判定〕

 器具及び備品の内容  取得価額  中小企業投資促進税制 

の特定機械装置等の判定
 生産性向上設備投資促進税制 

の対象設備等の判定
 判定
 電子計算機A  25万円  合計120万円以上○  30万円未満のため×  ×
 電子計算機B  100万円  合計120万円以上○  30万円以上かつ合計120万円以上○  ○
 その他事務機器C  100万円   (対象外)×  30万円以上かつ合計120万円以上○  ×

2015年1月20日

適用額明細書の記載の手引き(平成26年10月1日以後開始事業年度分)

国税庁は、「適用額明細書の記載の手引き(平成26年10月1日以後開始事業年度分)」をホームページに掲載した。

平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定された。
このため、法人税関係特別措置のうち税額または所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要がある。

★リンクはこちら⇒ 適用額明細書の記載の手引き(平成26年10月1日以後開始事業年度分)

2015年1月16日

賃貸不動産物件のフリーレント期間の税務上の取扱い

賃貸不動産物件のフリーレント期間に係る収益計上の考え方には、以下の2つが考えられる。

  1. フリーレント期間は収益計上せずに、実際に賃料を受領した期間から収益認識する方法
  2. 賃料総額をフリーレント期間を含む賃貸期間で按分し、賃貸期間にわたって収益計上する方法

従来、中途契約できないことを条件にフリーレントを行っている契約の場合は、2.の処理が妥当であるとされていたが、最近では、前提条件が変化し、稼働率向上を目的としてフリーレント期間を儲けるケースが一般化している。

週刊税務通信が国税庁に確認したところ、1.の処理でも税務上認容されるようである(この場合、税務上の調整は不要である。)。

2014年12月18日

平成26年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

国税庁は、『平成26年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』をHPに掲載した。

この手引では、平成26年10月1日以後に開始する事業年度等の法人税及び地方法人税の申告書の記載の仕方について説明している。

なお、平成26年10月1日前に開始する事業年度については、地方法人税の申告は不要なので、申告書の記載に当たっては、「平成26年版法人税申告書の記載の手引」を参照のこと。

★リンクはこちら⇒ 平成26年版法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引

2014年12月5日

マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定

<照会要旨>
Aマンション管理組合は、移動体通信業者Xとの間で、携帯電話基地局(アンテナ)設置のためにマンション屋上(共用部分)の使用を目的として、建物賃貸借契約を締結することとなった。今後、Aマンション管理組合は、当該建物賃貸借契約に基づきマンション屋上の使用の対価として設置料収入を得ることとなるが、当該設置料収入は、法人税法上の収益事業(不動産貸付業)に該当することとなるか。
なお、Aマンション管理組合は、法人税法上、人格のない社団等又は公益法人等に該当することを照会の前提とする。

<回答要旨>
収益事業たる不動産貸付業に該当する。
(理由)
1.人格のない社団等及び公益法人等の課税関係
法人税法上、内国法人(人格のない社団等を含む。)に対しては、各事業年度の所得について法人税を課することとされており(法法3、5)、このうち人格のない社団等及び公益法人等に対しては、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得には法人税を課さないこととされている(法法7)。
したがって、マンション管理組合(人格のない社団等又は公益法人等)に対する法人税は、収益事業から生じた所得にのみ課されることとなる。

2.収益事業の範囲
法人税法上の収益事業とは、販売業、製造業その他の一定の事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい(法法2十三)、この一定の事業には不動産貸付業が含まれている(法令5①五)。
したがって、マンション管理組合が賃貸借契約に基づいてマンション(建物)の一部を他の者に使用させ、その対価を得た場合には、収益事業(不動産貸付業)に該当し、その収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになる。

3.本照会について
Aマンション管理組合は、移動体通信業者Xとの間で建物賃貸借契約を締結し、当該契約に基づいてマンション屋上の一部を移動体通信業者Xに使用させ、その設置料収入を得ているので、当該行為は不動産貸付業に該当することとなる。

★リンクはこちら⇒ マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定

2014年8月5日

「中小企業再生支援協議会の支援による再生計画の策定手順(再生計画検討委員会が再生計画案の調査・報告を行う場合)」に従って策定された再生計画により債務免除等が行われた場合の税務上の取扱い

<今回の照会事項>
青色申告書を提出する中小企業者(租税特別措置法第67条の5の2に規定する中小企業者をいう。以下同じ。)について平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に、再生計画認可の決定があったことに準ずる一定の事実が生じ、かつ、2以上の金融機関等が有するその中小企業者に対する債権が債務処理に関する計画によって特定の投資事業有限責任組合の財産となる場合において、その中小企業者が、その有する資産の価額につき一定の評定を行い、又は債務処理に関する計画に従って債務の免除を受けたときは、その債務者である中小企業者は、いわゆる企業再生税制を適用することができるとされている(措法67の5の2。以下「本特例」という。)。
この組合の財産となる債権の債務者についての債務処理に関する計画を策定する場合に従うべき準則として、協議会の定める準則が規定されている(平成25年内閣府・経済産業省告示第2号)。
このことを踏まえ、策定手順について、本特例に係る確認手続を追加する等の改定を、平成26年6月16日付で行っているが、改定後の策定手順(以下「新策定手順」という。)に基づき策定された再生計画により債務免除等が行われる場合においては、本特例の適用があるものと解して差し支えないか。

(注)
企業再生税制とは、再生計画認可の決定があったことその他これに準ずる一定の事実が生じた場合において、法人がその有する資産の価額につき所定の評定を行っているときは、その資産の評価益又は評価損を益金の額又は損金の額に算入することができ(法人税法第25条第3項又は第33条第4項)、これらの適用を受ける場合には期限切れ欠損金を損金算入できる措置(同法第59条第2項第3号)をいう。

<理由(照会者の求める見解となる理由)>
新策定手順に従って、2以上の金融機関等の有するその中小企業者に対する債権が、租税特別措置法第67条の5の2第2項第3号に規定する特定投資事業有限責任組合契約(以下「特定投資事業有限責任組合契約」という。)に係る組合財産となることを定めた再生計画が策定され、これが対象債権者全員の同意により成立した場合において、以下の(1)のとおり、再生計画認可の決定があったことに準ずる事実に該当し、以下の(2)のとおり一定の資産評定が行われることになるので、本特例の適用があるものと考える。
したがって、当該中小企業者において、当該資産評定による価額を基礎とした貸借対照表に計上されている資産の価額と帳簿価額との差額(評価益又は評価損)は、法人税法第25条第3項及び第33条第4項の規定を適用することができる。
また、この場合、同法第59条第2項の規定により損金の額に算入する金額は、同項第3号に掲げる場合に該当するものとして計算することができる。
(1)再生計画認可の決定があったことに準ずる事実に該当すること
本特例において、再生計画認可の決定があったことに準ずる事実とは、法人税法施行令第24条の2第1項各号に掲げる要件に加え、以下の要件に該当する必要があるが、以下のとおり追加された各要件を満たすものと考えられる。

イ 2以上の金融機関等の有するその中小企業者に対する債権が組合財産となることが定められていること
この要件では、再生債権を有する2以上の金融機関等のその再生債権が特定投資事業有限責任組合契約に係る組合財産となることが求められている(措令39の28の21による読替後の法令24の21三)。
この点、新策定手順において、租税特別措置法第67条の5の2の適用を受ける場合には、再生債権を有する2以上の金融機関等の当該再生債権が特定投資事業有限責任組合契約に係る組合財産となることが定められており、この定めに従って再生計画が策定されることから、この要件を満たす(新策定手順10.(1))。

ロ いわゆる実態貸借対照表、損益の見込み等に基づいて組合財産となる債権の譲渡額等が定められていること
この要件では、準則に定められた公正な価額による資産評定が行われ、それを基礎とした債務者の貸借対照表における資産及び負債の価額、再生計画における損益の見込み等に基づいて債務免除等をする金額並びに再生債権がその組合財産となるときにおいて、その再生債権の対価として取得する金銭の額及び金銭以外の資産の価額が定められていることが求められている(措令39の28の2①による読替後の法令24の2①三)。
この点、新策定手順10.(1)において、租税特別措置法第67条の5の2の適用を受ける場合には、別紙「実態貸借対照表の作成に当たっての評定基準」に基づき債務者の有する資産及び負債の価額の評定を行い、その資産評定に基づいて実態貸借対照表が作成される。また、当該実態貸借対照表及び再生計画における損益の見込み等に基づき、債務者に対して債務免除等をする金額並びに当該再生債権が、特定投資事業有限責任組合契約に係る組合財産となる時において当該再生債権の対価として取得する金銭の額及び金銭以外の資産の価額が定められることとされており、この定めに従って再生計画が策定されることから、この要件を満たす(新策定手順7.(3)、10.)。

ハ 上記イ及びロの要件について確認をする手続並びにその確認を確認者が行うことが準則に定められていること
新策定手順では、再生計画が新策定手順に従って策定されたものであることに加え(新策定手順7.(4))、上記イ及びロの要件についても確認手続を定めている(新策定手順10.(1))。
また、新策定手順において、これらの確認を再生計画検討委員会の委員が行うこととしているが(新策定手順7.(3)、(4))、当該委員は法人税法施行令第24条の2第1項第1号ロに規定する確認をする者として法人税法施行規則第8条の6第1項第1号に定める者(確認者)に該当することから、この要件を満たす。

(2)一定の資産評定を行っていること
租税特別措置法第67条の5の2第1項に規定する政令で定める評定は、債務処理に関する計画の策定に当たり従うこととされている法人税法施行令第24条の2第1項第1号に規定する準則に定められている同号イに規定する事項に従って行う同項第2号の資産評定とされている(措令39の28の21)。
この点、債務者の有する資産及び負債の価額の評定(資産評定)は、新策定手順の7.(4)2において公正な価額により行うことが定められており、かつ、その資産評定に関する具体的な評定方法が新策定手順の別紙「実態貸借対照表の作成に当たっての評価基準」に定められているとともに、これに基づき債務者の有する資産及び負債の価額の評定が行われていることから、この要件を満たす。

★リンクはこちら⇒ 「中小企業再生支援協議会の支援による再生計画の策定手順(再生計画検討委員会が再生計画案の調査・報告を行う場合)」に従って策定された再生計画により債務免除等が行われた場合の税務上の取扱いについて(照会)

2014年7月31日

適用額明細書に関するお知らせ

平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定された。

このため、法人税関係特別措置のうち税額または所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要がある。

この適用額明細書の平成26年度用のものが国税庁のホームページでいくつか公表された(作成中)。

★リンクはこちら⇒ 適用額明細書に関するお知らせ

2014年7月23日

平成26年版法人税申告書の記載の手引

国税庁から、『平成26年版法人税申告書の記載の手引』が公表された。

★リンクはこちら⇒ 平成26年版法人税申告書の記載の手引

2014年7月4日

接待飲食費に該当する費用の一部について、確定申告書に添付した別表15の接待飲食費の額に含めず、接待飲食費以外の交際費等として申告してしまったが、当該接待飲食費の50%の損金算入を内容とする更正の請求をすることはできるか

法人が、接待飲食費とすべき金額の一部又は全部につき50%相当額の損金算入をしていなかった場合には、更正の請求の要件である「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」に該当するので、これを損金算入することを内容とする更正の請求書を提出することができる。

2014年6月10日

中小法人については接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と交際費等の額の年800万円(定額控除限度額)までの損金算入を選択適用できると聞いたが、具体的にはどのように手続きをすればよいか

中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、定額控除限度額までの損金算入のいずれかを、事業年度ごとに選択できることとされている。

具体的には、申告書等に添付する別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)において、いずれかの方法により損金算入額を計算し、申告等の手続きを行うことになる。

2014年6月9日

接待飲食費に関する帳簿書類への記載事項について注意すべき点はあるか

帳簿書類への記載事項として「飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係」がある。

これは、社内飲食費でないことを明らかにするためのものであり、原則として、飲食等を行った相手方である社外の得意先等に関する事項を「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)、卸売先」というようにして相手方の氏名や名称の全てを記載する必要がある。

ただし、相手方の氏名について、その一部が不明の場合や多数参加したような場合には、その参加者が真正である限りにおいて、「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)部長他10名、卸売先」という記載であっても差し支えない(氏名の一部または全部が相当の理由があることにより明らかでないときには、記載を省略して差し支えない。)。

2014年6月6日

接待飲食費については所定の事項を帳簿書類に記載することとされているが、具体的にはどのような事項を記載すればよいか

接待飲食費については、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)で、かつ、法人税法上で整理・保存が義務付けられている帳簿書類(総勘定元帳や飲食店等から受け取った領収書、請求書等が該当する。)に、飲食費であることを明らかにするために以下の事項を記載する必要がある。

  • 飲食費に係る飲食等(飲食その他これに類する行為をいう。以下同じ。)のあった年月日
  • 飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称及びその関係
  • 飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
  • その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

(注)
1人当たり5,000円以下の飲食費に係る保存書類への記載事項については、「交際費等(飲食費)に関するQ&A(平成18年5月)」を参照のこと。
申告の際は、交際費等の額から接待飲食費の額の50%相当額を差し引いた金額を損金不算入額として申告することとなるので、申告書等に別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)を添付し、別表15の所定の欄に接待飲食費の金額を記載すること。

2014年6月4日

自社から親会社へ出向している役員等に対する接待等のために支出する飲食費は社内飲食費に該当するか

出向者については、一般に、出向先法人及び出向元法人の双方において雇用関係が存在するので、その者が出向先法人の役員等の立場で飲食等の場に出席したか、出向元法人の役員等の立場で飲食等の場に出席したかにより判断することになる。

具体的には、例えば、出向者が出向先である親会社の役員等を接待する会合に親会社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、社内飲食費には該当しないこととなる。
他方、出向者が自社の懇親会の席に、あくまで自社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、社内飲食費に該当することとなる。

2014年6月2日

社内飲食費に該当しない費用にはどのようなものがあるか

社内飲食費の支出の対象者について法令では、「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する」と規定されているので、自社(当該法人)の役員、従業員(これらの者の親族を含む。)に該当しない者に対する接待等のために支出する飲食費等であれば、社内飲食費には該当しない。

したがって、例えば以下のような費用は社内飲食費に該当しないこととなる。

  • 親会社の役員等やグループ内の他社の役員等に対する接待等のために支出する飲食費
  • 同業者同士の懇親会に出席した場合や得意先等と共同で開催する懇親会に出席した場合に支出する自己負担分の飲食費相当額

2014年5月30日

飲食費に該当しない費用にはどのようなものがあるか

以下に掲げる費用は飲食費に該当しない。

  • ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
    通常、ゴルフや観劇、旅行等の催事を実施することを主たる目的とした行為の一環として飲食等が実施されるものであり、その飲食等は主たる目的である催事と一体不可分なものとしてそれらの催事に吸収される行為と考えられるので、飲食等が催事とは別に単独で行われていると認められる場合(例えば、企画した旅行の行程の全てが終了して解散した後に、一部の取引先の者を誘って飲食等を行った場合など)を除き、ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用は飲食費に該当しないこととなる。
  • 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
    本来、接待・供応に当たる飲食等を目的とした送迎という行為のために要する費用として支出したものであり、その送迎費は飲食費に該当しないこととなる。
  • 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
    単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、いわゆる中元・歳暮と変わらないことから、その贈答のために要する費用は飲食費に該当しないこととなる。

2014年5月29日

どのような費用が飲食費に該当するか

飲食費について法令上は、「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」と規定されている。
このため、以下のような費用については、社内飲食費に該当するものを除き、飲食費に該当する。

  • 自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
  • 飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
  • 飲食等のために支払う会場費
  • 得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
  • 飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

(注)
接待飲食費は、「交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)であって、帳簿書類により飲食費であることが明らかにされているもの」とされており、ここでいう「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」は、改正前の飲食費の定義である「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」と同一の用語であることから、その範囲は変わらない。

2014年5月28日

接待飲食費に関する平成26年度税制改正の概要

改正前における交際費等の損金不算入制度は、以下のとおりとされていた。

  • 中小法人以外の法人…支出する交際費等の全額が損金不算入
  • 中小法人…支出する交際費等の額のうち年800万円(以下「定額控除限度額」という。)を超える部分の金額が損金不算入

(注)
「中小法人」とは、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人をいい、普通法人のうち事業年度終了の日における資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人などの一定の法人による完全支配関係がある子法人等を除く。以下同じ。

平成26年度税制改正では、この交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を平成28年3月31日まで2年延長するとともに、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。以下「飲食費」という。)であって、帳簿書類に飲食費であることについて所定の事項が記載されているもの(以下「接待飲食費」という。)の額の50%に相当する金額は損金の額に算入することとされた。

(注)
「社内飲食費」とは、飲食その他これに類する行為のために要する費用であって、専ら当該法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものをいう。以下同じ。

1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、従前どおり、交際費等に該当しないこととされている。

なお、中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、従前どおりの定額控除限度額までの損金算入のいずれかを選択適用することができ、定額控除限度額までの損金算入を適用する場合には、確定申告書、中間申告書、修正申告書または更正請求書(以下「申告書等」という。)に定額控除限度額の計算を記載した別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)を添付することとされている。

これらの改正は、法人の平成26年4月1日以後に開始する事業年度から適用されている。

2014年5月27日

子会社に対する仕入れの値増し金は当該子会社の資金不足を補うための資金供与としての寄附金であると認定した事例

<要旨>
原処分庁は、請求人の中国の子会社への送金(本件送金)は、請求人と当該子会社との間の金銭消費貸借契約に基づく貸付けである旨主張し、請求人は、本件送金に係る金員は、当該子会社からの仕入れに係る値増し金であって損金の額に算入されるものであり、仮に、本件送金が経済的利益の無償の供与等とされる場合であっても、合理的な経済目的に基づいて行ったものであるから寄附金には該当しない旨主張する。

しかしながら、請求人及び当該子会社が金銭消費貸借契約書を作成したことは、請求人が中国の外貨管理局の許可を得て当該子会社に必要な資金を送付するために、金銭消費貸借契約の形式を採用したにすぎないと認められ、請求人と当該子会社との間に当該金銭消費貸借契約に基づく貸付けがあったと認めることはできず、一方、本件において作成された値増しに係る合意書及び覚書に記載された値増し金の算定根拠によれば、本件送金は、当該子会社の為替差損、諸経費の増加、裁判費用、建物の補修費及び赤字補填のために行われたとみるのが相当であり、親会社である請求人が、資金不足に陥った当該子会社に対し、金銭の贈与(本件金銭贈与)を行ったものと認めるのが相当である。
そして、本件金銭贈与がなければ当該子会社が倒産する状況にあったとは認められないから、本件金銭贈与が当該子会社の倒産を防止するなどのためにやむを得ず行われたものとはいえず、また、合理的な再建計画に基づくものであるなど、本件金銭贈与をしたことについて、相当な理由があるとは認められないから、本件金銭贈与の額は、租税特別措置法第66条の4《国外関連者との取引に係る課税の特例》第3項に規定する寄附金の額に該当し、その全額が損金の額に算入されない。

★リンクはこちら⇒ 子会社に対する仕入れの値増し金は当該子会社の資金不足を補うための資金供与としての寄附金であると認定した事例

2014年5月16日

未経過固定資産税等相当額は譲受資産に係る購入対価を構成するものとして固定資産の取得価額に算入すべきであるとした事例

<要旨>
請求人は、不動産を譲り受けた際に譲渡人に支払った未経過固定資産税等相当額(当該不動産に係るその譲受けの年度の固定資産税及び都市計画税のうち当該不動産の引渡日以後の所有期間分に相当する額をいう。)は、固定資産税等そのものであり租税公課であるから不動産の取得価額に含まれない旨主張する。

しかしながら、固定資産税等は地方税法に基づき1月1日の不動産の所有者が納税義務を負うことになっており、賦課期日後に所有者となった譲受人が固定資産税等の納税義務を負うものではないから、譲受人が譲渡人に支払った未経過固定資産税等相当額を租税公課そのものであるということはできない。
そして、売買当事者間で合意に基づき授受された未経過固定資産税等相当額は、あくまでも合意された売買の取引条件の一つであり、当該条件を満たさないことには売買取引そのものが完了しないと考えられるから、当該未経過固定資産税等相当額は取得関連費用ではなく、狭義の購入の代価として取得価額に含まれるとするのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 未経過固定資産税等相当額は譲受資産に係る購入対価を構成するものとして固定資産の取得価額に算入すべきであるとした事例

2014年4月24日

請求人が代表者個人から引き継いだとする借入金等に係る支払利息について、その一部は損金の額に算入されるとした事例

<ポイント>
本事例は、請求人が、いわゆる法人成りによる設立の際、代表者個人の債務を引き継いだとして各金融機関等に利息等(本件支払利息)を支払ったことについて、請求人が各金融機関から借入れをしたとは認められず、代表者個人が支払うべき利息であると認定したが、本件支払利息のうち一部(当座貸越利息及び手形割引料等)は、いずれも請求人の責任により生じたものと認め、損金の額に算入したものである。

<要旨>
請求人は、代表者から引き継いだ借入金に係る利息(本件支払利息)の支払は、事業を引き継いだ請求人に対して金融機関から請求され、請求人が負担すべきものとして支払をしたものであり、本件支払利息は損金の額に算入することができる旨主張し、原処分庁は、請求人が代表者の債務を引き受けたとは認められず、本件支払利息は代表者が支払うべきものであり、損金の額に算入できない旨主張する。
しかしながら、請求人と代表者との間には、金融機関等に対する債務の引受けの合意はあると認められるものの、金融機関は正式にそれを受け入れる旨の表明等をしておらず、債務者を代表者としたままであったことが推認される。そうすると、請求人に生じた債務は飽くまで代表者に対するものであり、請求人が借入れの相手先を金融機関としていたとしても、請求人が金融機関から借入れをしたと認められるものではない。

したがって、金融機関に対し利息を支払うべき者は代表者というべきであり、請求人には支払の義務は認められず、代表者に対して求償権が発生したものと認められるから、請求人の損金の額に算入されない。
他方、本件支払利息のうち当座貸越利息及び手形割引料等は、いずれも請求人の責任により生じたものと認められることから、損金の額に算入すべきである。

★リンクはこちら⇒ 請求人が代表者個人から引き継いだとする借入金等に係る支払利息について、その一部は損金の額に算入されるとした事例

2014年4月15日

平成24年度分会社標本調査

国税庁は、平成24年度の会社標本調査の調査結果を報告した。

この調査は、我が国の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的としている。

★リンクはこちら⇒ 平成24年度分会社標本調査

2014年4月1日

生産性向上設備投資促進税制の生産ラインやオペレーションの改善に資する設備投資計画申請書に関して公認会計士等が実施する「事前確認書(手続実施結果報告書)」の記載例の公表

平成26年1月20日に施行された「産業競争力強化法(平成25年法律第98号)」において、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)に盛り込まれた施策を確実に実行するため、事業の発展段階に合わせた様々な支援措置(注)が講じられた。

上記支援措置の一つである「生産性向上設備投資促進税制」では、一定の要件を満たした「先端設備(A類型)」や「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型)」を事業者が取得し、事業の用に供した場合には、即時償却または税額控除を受けることができることとされている。


B類型において当該税制措置を受けるに当たっては、投資の目的を達成するために必要不可欠な設備か否か等について、経済産業省経済産業局の確認を受けることが求められており、経済産業局の確認を受ける際の申請書の添付書類として、公認会計士または税理士の事前確認書(手続実施結果報告書)の添付が求められている。
上記の申請及び公認会計士または税理士の事前確認に関して、経済産業省のウェブサイトにおいて、
様式1:事業者の申請書
様式2:公認会計士又は税理士による事前確認書(手続実施結果報告書)
等が公表された。

★リンクはこちら⇒ 生産性向上設備投資促進税制

2014年2月24日

平成26年度税制改正における中小企業・小規模事業者関係税制の概要

中小企業庁は、平成26年度税制改正における中小企業・小規模事業者関係税制の概要を公表した。

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2014年1月27日

平成25年版法人税申告書の記載の手引

国税庁から、平成25年版法人税申告書の記載の手引が公表された。

記載の順序や各表の記載の仕方が載っている。

リンクはこちら⇒ 平成25年版法人税申告書の記載の手引

2013年7月22日

平成25年度法人税関係法令の改正の概要の説明の追加または補正(平成25年6月6日)

平成25年度法人税関係法令の改正の概要であるが、国税庁が、平成25年6月6日に、以下のとおり、説明の追加または補正を行った。

  • 平成25年5月31日付で法人税法施行令、租税特別措置法施行令及び租税特別措置法施行規則が改正されたことに伴う説明の追加または補正
  • 「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度の創設」について、説明の追加

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2013年7月8日

平成25年4月1日以後に終了する事業年度(連結事業年度)分法人税申告書一覧表

平成25年4月1日以後に終了する事業年度(連結事業年度)分法人税申告書の一覧表が国税庁のHPに掲載されている。

リンクはこちら⇒ 平成25年4月1日以後に終了する事業年度(連結事業年度)分法人税申告書一覧表

2013年7月3日

平成25年度法人税関係法令の改正の概要

国税庁は、『平成25年度法人税関係法令の改正の概要』を公表した。
目次は、以下のとおり。

第1編 租税特別措置法等に関する改正
Ⅰ 減価償却に関する改正
1 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却制度の創設
2 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却制度の創設
3 特定信頼性向上設備の特別償却制度の創設
4 その他
Ⅱ 税額の計算に関する改正
1 国内の設備投資額が増加した場合の法人税額の特別控除制度の創設
2 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の法人税額の特別控除制度の創設
3 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度の創設
4 その他
Ⅲ 引当金・準備金制度に関する改正
Ⅳ 資産譲渡等の場合の課税の特例制度に関する改正
Ⅴ 国際課税に関する改正
Ⅵ その他の改正
1 中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例制度の創設
2 交際費等の損金不算入制度に関する改正
3 その他

第2編 震災特例法に関する改正
Ⅰ 原子力災害からの復興支援措置-企業立地促進区域に係る措置-
1 企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の創設
2 企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度の創設
Ⅱ 原子力災害からの復興支援措置-避難解除区域等に係る措置-
1 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の整備
2 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度の整備
Ⅲ その他の改正
1 被災法人について債務免除等がある場合の評価損益等の特例制度の整備

平成25年度法人税関係法令の改正の概要

2013年5月29日

経済対策に関連する平成25年度税制改正の分かりやすい資料

政府は、日本経済再生に向けた取組として、平成25年1月11日に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」をとりまとめた。
このとりまとめに関連し、平成25年1月29日に税制改正大綱を閣議決定し、平成25年度税制改正法案が国会で了承された。

経済産業省が、今回、この税制改正について、業種を問わず活用できる施策を分かりやすく冊子にまとめた。
★リンクはこちら → 経済対策に関連する平成25年度税制改正の分かりやすい資料(既に削除済み)

2013年5月10日

平成25年3月期決算における法人税の改正点(繰越欠損金)

中小法人等以外の法人の青色欠損金の控除限度額は、欠損金控除前所得金額の80%相当になる。

また、すべての法人において平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額は、青色欠損金の繰越期間が7年から9年に延長されている。

中小法人等
各事業年度終了時における資本金の額または出資金の額が1億円以下である普通法人(資本金の額が5億円以上である法人等による完全支配関係がある法人を除く。)、資本もしくは出資を有しない普通法人、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等をいう。

2013年3月29日

平成25年3月期決算における法人税の改正点(貸倒引当金)

貸倒引当金繰入額の損金算入できる法人が限定された。

 適用となる法人  対象となる債権
 中小法人等  金銭債権(従来のまま)
 銀行、保険会社その他これらに準ずる一定の法人  〃
 売買があったものとされるリース資産の対価の額 

に係る金銭債権を有する法人、その他の金融取引 

に係る金銭債権を有する一定の法人
 売買があったものとされる 

リース債権の対価の額に係る 

金銭債権その他一定の金銭債権

ただし、経過措置があり、改正前の繰入限度額をベースに一部損金算入できる。

 事業年度  繰入限度額
 H24.4.1~H25.3.31開始事業年度  改正前の繰入限度額×3/4
 H25.4.1~H26.3.31開始事業年度  改正前の繰入限度額×2/4
 H26.4.1~H27.3.31開始事業年度  改正前の繰入限度額×1/4

2013年3月28日

平成25年3月期決算における法人税の改正点(減価償却)

定率法の償却率が、250%定率法(定額法の償却率×250%)から200%定率法(定額法の償却率×200%)となっている。

なお、平成19年4月1日~平成24年3月31日に取得した250%定率法が適用される減価償却資産につき、平成24年4月1日以降に支出した資本的支出については、所得価額に合算することはできない。
一方、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、合算することができる。

2013年3月27日

平成25年3月期決算における法人税の改正点(法人税率)

法人税率が引き下げになっている。
一方で、復興特別法人税が創設された。

 区分  旧  新
 法人税  30%  25.5%
 復興特別法人税  ―  2.55%

2013年3月26日

国税庁の機構

国税庁の機構は、以下のようになっている。

 国税庁
 国税局・沖縄国税事務所  12局(所)  札幌・仙台・関東信越・東京・金沢・名古屋 

・大阪・広島・高松・福岡・熊本・沖縄
 税務署  524署  札幌(30)・仙台(52)・関東信越(63)・東京(84) 

・金沢(15)・名古屋(48)・大阪(83)・広島(50) 

・高松(26)・福岡(31)・熊本(36)・沖縄(6)

2013年3月22日

第三者に対して債務免除を行った場合の貸倒れ

法人が第三者に対して債務免除を行った場合に、その債務免除額は損金の額に算入できるかということであるが、この点、法人の有する金銭債権について、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額は、その明らかにされた日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することとされている(法人税基本通達9-6-1(4))。
この場合の貸倒損失の計上は、金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合の債務免除の取扱いなので、その債務者が第三者であることをもって無条件に貸倒損失の計上ができるというものではないが、第三者に対して債務免除を行う場合には、金銭債権の回収可能性を充分に検討した上で、やむなく債務免除を行うというのが一般的かと思われるので、一般的には同通達の取扱いにより貸倒れとして損金の額に算入される。

(注)

  • 第三者に対して債務免除を行う場合であっても、同通達に掲げる場合と異なり、金銭債権の弁済を受けることができるにもかかわらず、債務免除を行い、債務者に対して実質的な利益供与を図ったと認められるような場合には、その免除額は税務上貸倒損失には当たらない。
  • 「債務者の債務超過の状態が相当期間継続」しているという場合における「相当期間」とは、債権者が債務者の経営状態をみて回収不能かどうかを判断するために必要な合理的な期間をいうから、形式的に何年ということではなく、個別の事情に応じその期間は異なる。
  • 債務者に対する債務免除の事実は書面により明らかにされていれば足りる。この場合、必ずしも公正証書等の公証力のある書面によることを要しないが、書面の交付の事実を明らかにするためには、債務者から受領書を受け取るか、内容証明郵便等により交付することが望ましいと考えられる。

2012年12月4日RIGHT:

保証人がいる場合の貸倒れ

法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができることとされている(法人税基本通達9-6-2)。
この場合において、保証人があるときには、保証人からも回収できないときに貸倒処理ができる。
たとえば、保証人が生活保護と同程度の収入しかないうえ、その資産からも回収することができないと見込まれるような場合には、実質的に保証人からは回収できないものと考えられる。
したがって、このような場合には、保証人に対して保証債務の履行を求めていない場合であっても、保証人からの回収がないものとして取り扱って、貸倒れとして損金の額に算入することができる。

2012年12月3日

担保物がある場合の貸倒れ

  1. 法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができることとされている(法人税基本通達9-6-2)。
    この場合において、その金銭債権について担保物があるときは、その担保物の処分後の状況によって回収不能かどうかを判断すべきなので、その担保物を処分し、その処分によって受け入れた金額を控除した残額について、その全額が回収できないかどうかを判定することになる。
  2. したがって、原則としては、担保物が劣後抵当権であっても、その担保物を処分した後でなければ貸倒処理を行うことはできない。
    ただし、担保物の適正な評価額からみて、その劣後抵当権が名目的なものであり、実質的に全く担保されていないことが明らかである場合には、担保物はないものと取り扱って差し支えない。
    債権者にとって実質的に全く担保されていないことが判明し、債務者の資産状況、支払能力等からみて貸付金の全額が回収不能と判断される場合、担保物を処分する前であっても貸倒れとして処理することができる。
    なお、担保物の処分によって回収可能な金額がないとは言えない場合には、その担保物を処分した後でなければ貸倒処理することはできない(法人税基本通達9-6-2)。
    また、担保物の処分による回収可能額がないとは言えないケースであっても、回収可能性のある金額が少額に過ぎず、その担保物の処分に多額の費用が掛�%

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