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事務所通信2016年6月

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2016年6月号『クラウドファンディングとは?』

 最近、『クラウドファンディング』ということばを聞いたことはないでしょうか。
 色々なインターネットサイトで、色々な方が、『クラウドファンディング』によって資金を集めているのです。
 そこで、今回は、『クラウドファンディングとは?』について書きたいと思います。

1.クラウドファンディングとは?
 クラウドファンディングとは、群衆を意味するクラウド(Crowd)と資金調達を意味するファンディング(Funding)を組み合わせた造語であり、インターネットサイトを通じて不特定多数から資金を調達することをいいます。

2.クラウドファンディングの種類
 クラウドファンディングには、一般的に、①購入型、②寄附型、③投資型の3種類があると言われています。
 3つとも文字どおりですが、①購入型は、支援者がプロジェクトへ資金を出す見返りとして、支援金額に応じた金銭以外の商品やサービスを受け取るというものです。
 現在、日本で最も多いのが、この購入型であり、READYFOR?やCAMPFIREなどが有名です。
 ②寄附型は、支援者がプロジェクトへ資金を出しますが、見返りはありません。
 JapanGivingなどが有名です。
 ③投資型は、支援者が特定の企業などに資金を出す見返りとして、金銭や株式を受け取るというものです。
 現在、日本においては、金融商品取引法(いわゆる金商法)などの法規制があり、他の2つに比べると、事業者の参入のハードルが高くなっています。
 Makuakeなどが有名です。

3.クラウドファンディングの留意点
 当然、プロジェクトを考えれば、資金調達できるというわけではありません。
 クラウドファンディングは、インターネットサイトを通じて行われるため、一般的に、資金調達額の2割程度が事業者への手数料として差し引かれます。
 よって、手取額などを想定するためには、この手数料を考慮するする必要があります。
 ただし、今年の2月にCAMPFIREは、手数料を20%から5%に引き下げることを発表しており、今後、手数料は下がっていくのではないかと推測されます。
 また、購入型や投資型の支援者は、見返りに魅力を感じてプロジェクトに資金を出すことが多いと思われますので、見返りを含むプロジェクト自体が魅力的なものでなければなりません。
 実際には、信金調達というよりは、インターネットとリアルのシナジー効果を目指す広告宣伝と考えた方が良いかもしれませんね。
 あとは、クラウドファンディングによって目標金額を達成すると、実績を作ったことになり、今後事業を拡大していく上で、金融機関からも資金調達がしやすくなると思いますので、その点も考慮してプロジェクトを綿密に考えましょう。

4.最後に
 従来のような出資や借入などによるだけでなく、クラウドファンディングによっても資金調達をできるようになりました。
 金利が低下し借入がしやすくなっていますが、必要に応じ、上手く使い分けて資金調達して、事業を拡大してくださいね。

2016年6月28日 國村 年

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事務所通信2016年5月

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2016年5月号『信託とは?』

 最近、信託に関する書籍などを結構目にするようになりました。
 あまりタックスメリットがないため、興味を持たない税理士もたくさんいますが、平成18年12月に約80年ぶりに信託法が改正(施行は平成19年9月から)されてから約10年経ち、信託に積極的に取り組んでいる税理士も増えてきました。
 そこで、今回は、『信託とは?』について書きたいと思います。

1.信託とは?
 信託とは、委託者が、信託契約や遺言や自己信託による信託行為によって受託者に対して、金銭や土地などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のために信託財産の管理・処分などをする制度のことです。

2.信託の税制

  • 信託に対する収益については、①受益者に発生時課税される信託(受益者等課税信託)を原則とし、②受益者に分配時に課税される信託、③受託者に発生時に法人税が課税される信託があります。
  • 受益者等課税信託では、法的には信託財産が受託者に移転しますが、税制上、受益者が信託財産に属する資産・負債・収益・費用を直接有するものとみなして、収益の発生時に受益者に課税されます。
  • 信託財産の資産・負債・収益・費用が帰属するものとみなされる受益者には、受益者のほか、信託の変更権限を有し、かつ、信託財産収益の給付を受けることができる者が含まれます(みなし受益者といいます)。
  • 遺言で設定した目的信託でみなし受益者がいない信託のように、現に権利を有する受益者がなく、受益者とみなされる者もいない場合には、受益者が存しない信託となり、受託者に法人税が課税される法人課税信託となります。
  • 信託の効力が生じた時に、委託者以外の者が受益者である場合には、その受益者が委託者から信託の利益を享受する権利を贈与(死亡に基因して権利を得た場合には遺贈)により取得したものとみなされます。
  • 受益者が存する信託において、受益者が追加・交代した場合には、新たに受益者となった者は、すでに受益者であった者から贈与(遺贈)を受けたものとみなされます。
    この受益者には、信託法上の受益者のほか、特定委託者(受益者以外の者で、所得税法等におけるみなし受益者と同様の者であり、信託の変更権限を有し、かつ信託財産の給付を受けることができる者)が含まれます。
  • 後継ぎ遺贈型および受益者連続型信託の場合には、先行する受益者が一旦、信託財産全体について贈与(遺贈)を受けたものとして取扱われ、先行する受益者の死亡や受益者変更権の行使によって、後続する受益者が受益者となった場合には、後続する受益者は先行する受益者から贈与を受けたものとみなされます。
  • 信託終了時に、受益者以外の者が信託財産の給付を受けた場合には、その者(帰属権利者)は、受益者から贈与または遺贈によって信託財産の給付を受けたものとみなされます。

3.最後に
 信託は、節税目的ではなく、財産管理の手段だと考えれば使える局面は色々とあると思いますので、知識を身に着けて、うまく使いたいものですね。

2016年5月26日 國村 年

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事務所通信2016年4月

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2016年4月号『寄附をした個人・法人の税務上の取扱い』

 平成28年4月14日以降に発生した平成28年熊本地震において亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さま、そのご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。
 僕自身もそうですが、現地には行けないものの寄附したいと思っている方はたくさんおられると思います。
 そこで、今回は、『寄附をした個人・法人の税務上の取扱い』について書きたいと思います。

1.熊本県下や大分県下の災害対策本部等へ義援金を支払ったら?
 個人の場合、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
 法人の場合、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。

2.日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座へ義援金を支払ったら?
 個人の場合、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
 法人の場合、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。
 なお、日本赤十字社へ支払った義援金であっても、例えば、日本赤十字社の事業資金として使用されるなど、最終的に地方公共団体に拠出されるものでないもの(財務大臣が指定する寄附金に該当しないものに限る。)は、特定公益増進法人に対する寄附金に該当し、特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入されます。

3.被災地域の救援活動等を行っているNPO法人などへ義援金を支払ったら?
 個人の場合、「認定NPO法人等への寄附金」、「一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人への寄附金(その法人の主たる目的である業務に関連するものに限る。)」は、寄附金控除(所得控除)または寄附金特別控除(税額控除)の対象となります(選択適用)。
 なお、上記以外の寄附金は、寄附金控除等の対象とはなりません。
 法人の場合、「認定NPO法人等への寄附金」、「公益社団法人・公益財団法人への寄附金(その法人の主たる目的である業務に関連するものに限る。)」は、「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し(特別損金算入限度額)、その範囲内で損金の額に算入されます。
 なお、上記以外の寄附金は、一般の寄附金として、損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入できます。

4.募金団体を通じた義援金は?
 募金を取りまとめる団体(以下「募金団体」という。)が個人・法人から義援金を預かる場合であっても、その義援金が、最終的に地方公共団体に拠出されるものであれば、個人は「特定寄附金」、法人は「国等に対する寄附金」として取り扱われます。

5.被災された取引先に対する寄附は?
 法人が、被災した取引先に対し、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は、交際費等に該当せず損金の額に算入されます。

6.最後に
 寄附金以外にも、被災地に『ふるさと納税』を行うことも考えられますが、現地できちんと使われ、一日も早い復興が実現できることを期待しています。

2016年4月25日 國村 年

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事務所通信2016年3月

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 2016年3月号『確定申告を間違えたときはどうすればよいのか?』

 平成27年の所得税及び復興特別所得税の確定申告期限は、既に終わっていますが平成28年3月15日であり、個人事業主の消費税及び地方消費税の確定申告期限は、平成28年3月31日でありあと2日となっています。
 ところが、確定申告期限後に、計算間違いなど何らかの申告の誤りに気づき、焦ることもあるでしょう。
 そこで、今回は、『確定申告を間違えたときはどうすればよいのか?』について書きたいと思います。

1.2つの区分
 確定申告の誤りに気付いたと言っても、以下の2つのケースに大きく分けることができます。

1 納める税金が多過ぎたケースや還付される税金が少な過ぎたケース
2 納める税金が少な過ぎたケースや還付される税金が多過ぎたケース

2.納める税金が多過ぎたケースや還付される税金が少な過ぎたケース
 更正の請求書というものを税務署長に提出することにより『更正の請求』行います。
 更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金があるなどと認めた場合には、減額更正(更正の請求をした人にその内容が通知されます。)をして税金を還付することになります。
 なお、『更正の請求』ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。

3.納める税金が少な過ぎたケースや還付される税金が多過ぎたケース
 『修正申告』により内容を訂正します。
 誤りに気づいたら、できるだけ早めに『修正申告』をしましょう。
 なぜなら、『修正申告』をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税や延滞税などがかかるからです。
 過少申告加算税は、新たに納めることになった税金の10%です。
 ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。
 ちなみに、税務署の調査を受ける前に自主的に『修正申告』をすれば、過少申告加算税はかかりません。
 ただし、確定申告が期限後申告の場合は無申告加算税がかかる場合があります。
 なお、新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となりますので、その日に納める必要があり、この場合、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があります。
 『修正申告』は、税務署から更正を受けるまではいつでもできます

4.最後に
 更正の請求書や修正申告書、税金の納付書は税務署に用意されています。
 誤りに気付いても焦らず、できるだけ早く『更正の請求』や『修正申告』しましょうね。
 ちなみに、現在は税務調査前に修正申告をすれば加算税はかかりませんが、平成29年1月1日以後の修正申告については、過少申告であれば原則5%の過少申告加算税、無申告であれば10%の無申告加算税が課せられる予定ですので、計算誤り・意図的を問わず、ご留意くださいね。

2016年3月29日 國村 年

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事務所通信2016年2月

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2016年2月号 『甲子園出場の寄附金』

 我が母校の高松商業高等学校の野球部は、昨年秋の香川県大会では準優勝だったものの、四国大会で優勝し、そのうえなんと明治神宮大会で優勝し、先日、20年ぶりに甲子園に出場することが決定しました。
 そろそろ寄附金の案内が来るかなぁと思っていましたが、先日、募金の案内及び振込用紙がようやく届きました。
 そこで、今回は、『甲子園出場の寄附金』について書きたいと思います。

1.寄附金控除とは?
 寄附金控除とは、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができるというものです。
 なお、一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択できます。

2.特定寄附金の具体例
 特定寄附金のうち主なものは、以下のとおりです。

(1) 国、地方公共団体に対する寄附金 
(2) 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人または団体に対する寄附金のうち、

以下に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの

イ.広く一般に募集されること

ロ.教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること 
(3) 所得税法別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金 
(4) 政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの 
(5) 認定特定非営利法人(いわゆる認定NPO法人)に対する寄附金のうち、一定のもの 

3.寄附金控除額の計算方法
 寄附金控除額は、以下のいずれか低い金額から2,000円を控除した額です。

その年に支出した特定寄附金の額の合計額 
その年の総所得金額等の40%相当額 

 なお、「総所得金額等」とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。

4.最後に
 甲子園出場の寄附金の支払先が、公立であれば国や地方公共団体、私立であれば学校法人であれば、「寄附金控除」の対象になります。
 ただし、一般的に、後援会などに支払うことが多く、寄附金控除の対象とはならないことが多いでしょう。
 今回の我が母校の寄付金も、寄附金控除の対象とはなりません。
 対象になるかどうか確認しましょうね。
 また、対象となる場合、確定申告で必要なので、領収書は取っておいてくださいね。

2016年2月26日 國村 年

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事務所通信2016年1月

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2016年1月号 『医療費控除は10万円を超えないと使えない?』

 2月16日(火)から、平成27年度の所得税及び復興特別所得税の確定申告の受付期間がスタートします(3月15日(火)まで)。
 ちなみに、還付申告の場合は、2月15日(月)以前でも提出することができます。
 平成27年度中に一定金額以上の医療費を支払っていれば、個人事業主の方など普段から確定申告を行っている方は税金が減ったり、還付になったり、年末調整が終わっているサラリーマンの方でも、確定申告すれば税金が戻ってきます。
 そこで、今回は、『医療費控除は10万円を超えないと使えない?』について書きたいと思います。

1.医療費控除とは?
 医療費控除とは、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができるというものです。
 医療費控除の対象となる医療費の要件は、以下のとおりです。

1 納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
2 その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。

2.医療費の具体例
 医療費控除の対象となる医療費のうち主なものは以下のとおりであり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。

1 医師または歯科医師による診療または治療の対価
2 治療または療養に必要な医薬品の購入の対価
3 病院、介護老人保健施設などへ収容されるための人的役務の提供の対価
4 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
5 医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの

3.医療費控除に関する勘違い
 医療費控除の対象となる金額は、以下の式で計算した金額(最高で200万円)です。

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円()

 ここで注意したいのが、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく、総所得金額等(合計所得金額から純損失または雑損失の繰越控除などを控除した後の金額(所得控除前)をいいます。)の5%の金額となるということです。
 それゆえ、所得の少ない方は、10万円を超えていなくても使えます。
 また、診療や治療が対象ゆえ、健康診断の費用、ビタミン剤の購入代金やインフルエンザの予防接種代など予防や健康増進に関するもの、美容に関するもの、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場代などは、医療費控除の対象にはなりません。
 あと、保険の対象かどうかは、関係ありません。

4.最後に
 10万円を超えないと医療費控除は使えないと思っている方が多いと思われます。
 税務署は損をしていても教えてくれませんので、使えるものは使いましょうね。

2016年1月28日 國村 年

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事務所通信2015年12月

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2015年12月号 『会計ソフトや税務申告ソフトに頼り過ぎてはいけない?』

 世の中には、会計ソフトとか税務申告ソフトと呼ばれるものがたくさんあります。
 もちろん、無料のものもあれば、有料のものもあります。
 また、CD-ROMなどで提供されるもの、ダウンロードするもの、クラウドのものなどがあります。
 2015年の当事務所の営業は今日までだったのですが、10月決算企業の決算・申告業務を何とか終えました。
 ところが、昨日の夜、会計ソフトで計算した消費税等の額と、会計ソフトのデータを税務申告ソフトに取り込んで計算した消費税等の額が異なるという事態に陥り、時間をロスしてしまいました。
 そこで、今回は、『会計ソフトや税務申告ソフトに頼り過ぎてはいけない?』について書きたいと思います。

1.会計ソフト
 皆さんの中には、会計ソフトと税務申告ソフトの区別がつかない方もたくさんおられると思いますし、両者が一体となったようなソフトもあります。
 しかしながら、基本的には別物です。
 会計ソフトは、文字どおり、会計処理を行うものであり、仕訳を入力して、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成するものです。
 具体的には、当事務所が使っている弥生会計、ソリマチ会計王、OBC勘定奉行、PCA会計、JDL IBEX会計などがあります。
 また、最近では、MFクラウド会計(旧マネーフォワード)やfreeeなどのクラウド会計ソフトが台頭してきています。

2.税務申告ソフト
 一方、税務申告ソフトは、法人税消費税所得税や相続税や贈与税などの税務申告書を作成するソフトです。
 当然、会計ソフトからデータを取り込んで作成するものもあります。
 具体的には、当事務所が使っているNTTデータの達人シリーズ、魔法陣、EPSONの顧問シリーズなどがあります。
 また、会計ソフトと税務申告ソフトが一体となっているものとしては、具体的には、TKC、MJSなどがあります。

3.バージョンアップ・連動・自動計算
 税法などの改正などがあると、会計ソフトや財務申告ソフトなども、バージョンアップが必要となります。
 これも、保守契約を結んでいれば無料になるケースや有料のケースなどがあります。
 当然、改正などの影響を受けるためよって、一度買えばそのままずっと使えるということは少なく、バージョンアップ版が出たときには、タイムリーにバージョンアップをする必要があります。
 また、それなりのソフトになると、ある箇所から数値が飛び、自動計算されますので、すべてを入力しなくても構いません。

4.最後に
 今回の会計ソフトで計算した消費税等の額と、会計ソフトのデータを税務申告ソフトに取り込んで計算した消費税等の額が異なるという事態は、税務申告ソフトのサポートセンターに電話したところ、僕が税務申告ソフトでチェックマークを外していなかったために発生したようです。
 自動的に計算できるのも、良し悪しなので、会計ソフトや税務申告ソフトに頼り過ぎないようにしないといけないですね。

2015年12月25日 國村 年

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2015年11月号 『タワマンを使った節税ができなくなる?』

 杭打ち偽装問題が水を差すことになるかもしれませんが、東京や大阪などでは、タワーマンション(タワマン)が売れています。
 ステータス、値崩れしにくい、賃貸すれば安定した賃料収入が見込めるなどの理由もあるのでしょうが、今年から相続税法が改正され増税されることになったこともあり、相続税の節税対策として購入されている方も多くなっています。
 一方で、国税庁は、チェックを厳しくするようです。
 そこで、今回は、『タワマンを使った節税ができなくなる?』について書きたいと思います。

1.相続税の計算における不動産の評価
 相続税の計算においては、一般的に、土地は路線価もしくは固定資産税評価額、建物は固定資産税評価額がベースとなります。
 これを賃貸すると、建物は30%、土地は約20%の評価減が可能であり、さらに、一定の面積までは50%の評価減を行うことができます。

2.タワマンを使った節税が行われる理由
 タワマンについては、土地の持ち分が狭いため、一定の面積の上限に達することが少なく、評価減の金額が大きくなります。
 また、同じ面積だとすれば、一般的に販売価格の高い上層階の部屋も安い下層階の部屋も相続税の評価額は同じになるため、時価と相続税の評価額の差が大きくなる上層階の部屋が節税目的で購入されたりするのです。

3.タワマンを使った節税が認められなかったケース
 最近では、平成23年7月1日の国税不服審判所で納税者が負けるという採決が下されています。
 内容的には、父が入院1か月後に2億9,300万円のマンションを購入し、1か月後に父は亡くなり、相続税の申告においては5,802万円で評価し、マンション購入後1年弱で2億8,500万円で売却したというものです。
 結局、購入後一度も住んだり貸したりしておらず、節税目的ということで、2億9,300万円の評価と判断されています。

4.国税庁の姿勢
 タワマンを使った相続税の節税をめぐり、国税庁が行きすぎた節税策がないかチェックを厳しくするよう全国の国税局に指示したそうです。
 相続財産の評価に用いられる『財産評価基本通達』に、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」という規定があり、すべてのタワマンの評価について適用するかどうか検討する考えのようです。

5.最後に
 国税庁が2013年までの3年間を調べたところ、評価額が約3,600万円の物件が約1億円で売られるなど、343件の平均で時価が評価額の3倍を超えていたようです。
 また、過去には相続後すぐに売り抜けて多額の差益を得るケースもあったようです。
 個人的には、節税の提案をするのが僕ら税理士の存在価値の一つだと思いますし、上記の採決は露骨すぎる例だと思います。
 やはり、節税を行う際には、税務署に否認されないよう、ストーリーをきちんと描いて実行しないといけませんね。

2015年11月20日 國村 年

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事務所通信2015年10月

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2015年10月号 『相続税の申告がすぐにできない?』

 今年は、おかげさまで相続税の申告業務のご依頼をたくさんいただきました。
 実際に相続税や贈与税の申告や試算などの業務を行っていると、すぐには正確な税額を算出できないケースに出くわすことが多々あります。
 そこで、今回は、『相続税の申告がすぐにできない?』について書きたいと思います。

1.相続税の申告がすぐにできないケース
 相続税の申告がすぐにできないケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

 ①   不動産をお持ちの方で、その年の前半にお亡くなりになったケース 
 ②   非上場株式をお持ちの方で、その年の前半にお亡くなりになったケース 
 ③   相続税の申告書の様式が変わった年の前半にお亡くなりになったケース 

2. 不動産をお持ちの方で、その年の前半にお亡くなりになったケース
 基本的に、土地はお亡くなりになった年の『路線価』もしくは『固定資産税評価額』、家屋はお亡くなりになった年の『固定資産税評価額』をベースに評価を行います。
今年もそうでしたが、ここ数年、『路線価』は7月1日に国税庁から公表されています。
 また、『固定資産税評価額』は、お住まいの場所によって異なりますが、市町村(東京都23区内については特例で東京都)から5月頃に納税通知書が送られてきます(4月1日以降であれば市役所で縦覧できます)。

3. 非上場株式をお持ちの方で、その年の前半にお亡くなりになったケース
 非上場株式は、相続などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分によるのですが、純資産価額方式または類似業種比準方式というものによって評価するケースがあります。
 類似業種比準方式の場合、類似業種の株価・配当金額・利益金額・簿価純資産金額を用いて計算するのですが、これらは国税庁から公表されます。
 ただし、これらはすぐに公表されるわけではなく、例えば今年だと、1・2月分が6月1日、3・4月分が6月11日、5・6月分が8月14日、7・8月分が10月13日付けで発表されています(ホームページに公表されるのはこれから10日前後のち)。

4. 相続税の申告書の様式が変わった年の前半にお亡くなりになったケース
 今年がそうだったのですが、今年から相続税法が改正になり、相続税の申告書の様式が変わりました。
 この様式は、『路線価』と同じ7月1日に国税庁のホームページに掲載されました。
 税理士は申告用のソフトを使っていることが多いと思いますが、ベンダーの新様式への対応はここから数か月後になります。
 ちなみに、僕がNTTデータの『相続税の達人』を使っていますが、平成27年度版がリリースされたのは8月22日でした。

5.最後に
 心理的に早めに相続税の申告・納税をしたいと思っても、その年の前半にお亡くなりになると、路線価や固定資産税評価額や類似業種の株価などが分かるのが数か月後になるケースもあり、相続税の申告書の様式がまだ出ておらず、できないケースがあります。
 国税庁などには、もっと素早い対応をしてもらいたいですね。

2015年10月29日 國村 年

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事務所通信2015年9月

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2015年9月号 『電子書籍・音楽・広告の配信などに消費税が課税される!』

 皆さんは、amazonやkoboなどで電子書籍を購入されていますか?
 通常の書籍と比べて、電子書籍は安いと思いますが、実は消費税が課税されていなかったので安かったのです。
 ところが、来月から消費税が課税されるようになります。
 そこで、今回は、『電子書籍・音楽・広告の配信などに消費税が課税される!』について書きたいと思います。

1.消費税の課税の対象となる取引は?
 そもそも消費税の課税の対象となる取引は、原則として、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と外国貨物の輸入です。
 ここで、「資産の譲渡等」とは、事業として有償で行われる資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供をいいます。
①資産の譲渡
 「資産の譲渡」とは、売買等の契約により、資産の同一性を保持しつつ、他人に移転することをいいます。
②資産の貸付け
 「資産の貸付け」とは、資産に係る権利の設定など他の者に資産を使用させる一切の行為をいいます。
③役務の提供
 「役務の提供」とは、例えば、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、情報の提供、出演などのサービスを提供することをいいます。
 次に、「対価を得て」とは、資産の譲渡もしくは貸付けまたは役務の提供に対して反対給付を受けることをいいます。
 したがって、営利を目的としない親睦会の会費や寄附金などは、消費税の課税の対象とはなりません。
 また、有償で行われるのが条件ゆえ、無償で行われた資産の譲渡には、原則として消費税がかかりません。
 しかし、①個人事業者が自分の販売する商品などを家庭で使用したり消費した場合や②法人が自社の商品などをその役員に対して贈与した場合には、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなされます。

2.平成27年年10月1日からの改正
 電気通信回線(インターネット等)を介して、国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍・広告の配信等のサービスの提供(「電気通信利用役務の提供」といいます。)については、これまで、国内の事務所等から行われるもののみ消費税が課税されていましたが、平成27年10月1日以後、国外から行われるものについても、消費税が課税されることとされました。
 この改正に伴い、国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:「広告の配信」等)について、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務を課す「リバースチャージ方式」が導入されます。
 なお、説明は省略しますが、上記の見直しのほか、所要の改正も行われています。

3.最後に
 海外企業には消費税が課税されていないため安いということを知っていた方は少なかったのではないでしょうか?
 改正により価格が上がるかもしれませんが、国内企業も海外企業と同じ土俵に立って勝負ができますので、価格だけでなく、サービスでも競ってほしいものですね。

2015年9月29日 國村 年