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スーパービリオネアで公人「マスク氏」のテスラ社の昨年の納税額は驚異のゼロ!

THE GOLD ONLINEによると、2017年、第1次トランプ政権時代に実施された税制改正には、富裕層に対する大幅な優遇措置が含まれていました。

バイデン政権下では富裕層課税の強化が図られましたが、再びトランプ政権に戻る中で、その特別措置の期限が迫っています。

こうした状況の中、イーロン・マスク氏が政治的に優遇されているのではないかという議論が浮上しています。

ここでは、カリフォルニア州にオフィスを構える国際税務の専門家が、アメリカの富裕層優遇の実態を解説しています。            

2017年に実施された税制改正の特別措置は、2025年に期限を迎えます。

トランプ氏が所属する共和党は、その延長やさらなる減税措置を進めようとしています。

一方、民主党は企業への課税強化を目指しており、特に税金をほとんど納めていない大企業を対象に対策を検討しています。

直近のトランプ氏の発言によると、年収15万ドル未満の国民は所得税を免除すべきとの考えがあるとされています。

2022年の国勢調査によると、アメリカ国民の93%がこの基準に該当し、日本では99.8%が該当します。

この施策が実現すれば、ほとんどのアメリカ人が所得税を免除されることになります。 

法人税についても、現行の21%から15%への引き下げが検討されています。

2017年の減税時には「経済活動が活発化し、財政的に黒字化する」との見込みがありましたが、実際には財政赤字が拡大しました。

しかし、アメリカ経済は堅調で、ニューヨーク・ダウ平均株価は上昇を続けています。

今後のトランプ氏の動向に注目が集まります。

マスク氏の政治的影響力が強まるなか、テスラ社の納税額がゼロであったことが批判の的となっています。

テスラ社は昨年度、71億ドルの当期利益を計上しましたが、その納税額はゼロでした。

過去3年間では108億ドルの利益を上げながらも、納税額はわずか4,800万ドルにとどまっています。

このため、マスク氏がトランプ政権から特別な優遇措置を受けているのではないかとの憶測が広がっています。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、民主党のエリザベス・ウォーレン議員は、テスラ社の税制優遇を問題視しています。

ウォーレン議員は、「アメリカ国民がテスラ社の税制優遇を負担している」として、マスク氏に対して説明を求める書簡を送ったと報じられています。

テスラ社の利益の内訳を見ると、主な収益源はEV車やソーラーパネルの販売ではなく、高金利による利息収入(約44億ドル)や、環境規制に基づくEVクレジットの販売によるものです。

また、テスラ社所有のビットコインの含み益も約6億ドルを占めています。

テスラ社の法人税がゼロである理由の一つは、2003年から2020年まで毎年赤字を計上していたことにあります。

アメリカの税制では、過去の累積損失と現在の利益を相殺できるため、税負担が軽減されます。

さらに、テスラ社はEV関連の税額控除を活用しており、2023年時点で7億5,600万ドルの控除を受けています。

興味深いことに、これらの税制優遇措置の多くはバイデン政権下で議会を通過したものです。

したがって、テスラ社が違法行為を行っているわけではなく、むしろ民主党が推進した政策の恩恵を受けているに過ぎません。

マスク氏は公人としての影響力を持つため、政治とビジネスの利害関係が絡むのは避けられません。

今後、トランプ氏がさらなる減税措置を打ち出せば、テスラ社の優遇措置を巡る議論が一層激しくなるでしょう。

一方、日本の税制では「公平・公正な税負担」が強調されるものの、実際には富裕層への課税が強化される傾向にあります。

対照的に、トランプ氏は富裕層課税に消極的な立場を取っています。

今後、富裕層がどちらの国に住むことを選ぶのかは、税制の動向次第かもしれません。

テスラもあまり税金を支払っていないんですね。

それも、バイデン政権下で決まった税制優遇措置が影響しているというのは皮肉ですね。

トランプ氏ご自身も富裕層でしょうから、どうなるかは目に見えている感じはしますが、日本はどうなるんでしょうね?

ばらまきを考えていたところを見ると、富裕層への課税が強化されるようには思いますが。

スーパービリオネアで公人「マスク氏」のテスラ社の昨年の納税額は驚異のゼロであることについて、あなたはどう思われましたか?


東京国税局が脱税の中国籍代表会社の晴海フラッグの6物件を差し押さえ!

共同通信によると、東京国税局が2024年、法人税の脱税事件に絡み、東京都中央区のマンション「晴海フラッグ」の6物件を差し押さえていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

これらの物件は、東京地検に逮捕、起訴され、一審で有罪判決を受けた中国籍の男性(47)が代表の貿易会社が所有していました。

なお、晴海フラッグは、東京五輪・パラリンピックの選手村を再整備した巨大マンション群として知られています。

東京国税局が実施したのは、財産の散逸を防ぐために税額が確定する前に差し押さえる「保全差し押さえ」という手法で、実施は異例だそうです。

貿易会社には一審判決で認定された約2億2千万円の脱税額を含めた8億円超の納税義務があったとみられ、差し押さえは徴収後に解除されました。

保全差し押さえの実施が徴収につながったもようです。

共同通信は貿易会社に取材を申し込みなしたが、2回答はなかったそうです。

関係者によると、貿易会社は新型コロナワクチン用の注射器を中国から輸入していた東京都港区の会社で、東京地検特捜部が、2024年6月、注射器の仕入れ高を水増しし法人税約2億2千万円を脱税したとして男性を逮捕しました。

そして、男性は東京地裁で懲役2年、執行猶予4年の判決を受けました。

架空仕入れの計上ですので、かなり悪質だと思いますが、東京国税局の対応は素晴らしかったと思います。

悪質な会社が多いため、真面目に消費税の還付申告をした会社は、なかなか還付してもらえませんので、今後も、こういう悪質なところは厳しく調査して、きっちりと取ってほしいですね。

東京国税局が脱税の中国籍代表会社の晴海フラッグの6物件を差し押さえたことについて、あなたはどう思われましたか?


元大阪国税局職員の脱税事件で東京の不動産会社代表を告発!

朝日新聞によると、法人税など約5千万円を脱税したとして、大阪国税局元職員の会社役員(50)が法人税法違反の疑いで逮捕された事件で、東京国税局査察部が、不動産会社(東京都世田谷区)の代表(48)を東京地検に同容疑で告発したことがわかったようです。

関係者によると、不動産会社代表と大阪国税局元職員は共謀し、不動産会社が2020年4月期に不動産の売却で多額の収入があったのに、複数の合同会社に投資して失敗したように装い、架空の有価証券売却損を計上しました。

約2億1,100万円の所得を隠し、約5,100万円を脱税した疑いがあります。

大阪国税局元職員は報酬として約1,700万円を得ていたそうです。

年間に脱税事件で逮捕される税理士や節税(脱税?)コンサルタントが何名かいますが、国税局OBが多いですよね。

脱税ほう助は絶対にダメという意識が乏しいんですかね。

国税局で不祥事が多いのも、国税局という組織に問題があるのかもしれませんね。

元大阪国税局職員の脱税事件で東京の不動産会社代表が告発されたことについて、あなたはどう思われましたか?


福島県国見町が「企業版ふるさと納税」めぐり初の認定取り消し!

NHKによると、「企業版ふるさと納税」をめぐり、福島県国見町に寄付をした会社の子会社が事業を受注したことは便宜供与にあたるとして、内閣府は、対象となった町の計画の認定を取り消しました。

「企業版ふるさと納税」をめぐる認定の取り消しは初めてです。

「企業版ふるさと納税」は地方創生につながる自治体の事業に企業が寄付した場合、法人税などが軽減される制度です。

内閣府によると、福島県国見町は令和3年度から「企業版ふるさと納税」を活用して「高規格救急車」を研究・開発し貸し出す計画を作成しました。

これについて内閣府が調査した結果、寄付をした会社の子会社が事業を受注したことが確認され、町はこの子会社が受注する可能性が高いことを認識しながら公募の条件を設定していたということです。

このため「町が寄付をした会社に対して便宜供与を行った」と結論づけ、先日、町の計画の認定を取り消しました。

「企業版ふるさと納税」をめぐる認定の取り消しは初めてです。

制度を所管する伊東地方創生担当大臣は記者会見で「今後、本事案なども踏まえ、制度の健全な発展の観点から、必要な改善策を検討していく」と述べました。

最近、税理士関係の研修などを受けていると、『企業版ふるさと納税』が徐々に使われるようになっているとよく耳にするので、今後、地方にとって有効な寄付がどんどん出てくれば良いなぁと思っていたのですが、このような事件が出てくると、悪いイメージが付くので、非常に残念に思います。

自社のためではなく、地方のために寄付をして欲しいですね。

福島県国見町が「企業版ふるさと納税」めぐり初の認定取り消しとなったことについて、あなたはどう思われましたか?


新型コロナ融資の手続き代行で約6,700万円を脱税か?

NHKによると、大阪市でエステ店を経営する会社の社長が、新型コロナウイルス対策の公的融資の手続きを代行するなどして得た所得を申告せず、法人税などおよそ6,700万円を脱税した疑いで大阪国税局から告発されたことが関係者への取材で分かりました。

告発されたのは、大阪市西区でエステ店を経営する会社と社長(42)です。

関係者によると、この会社はエステ店を経営しながら、新型コロナ対策の公的融資の手続きを代行して手数料を得ていましたが、こうした所得を申告していなかった疑いがあるということです。

この融資は新型コロナで影響を受けた医療機関や福祉施設に対し、「福祉医療機構」が1億円を上限に無利子で貸し付けていたもので、会社は手続きの代行でエステとは別に売り上げを増やしていたということです。

大阪国税局は、2021年7月までの1年間でおよそ2億6,500万円の所得を申告せず、法人税などおよそ6,700万円を脱税したとして、会社と社長を法人税法違反などの疑いで大阪地方検察庁に告発しました。

関係者によると、脱税で得た金は、社長の自宅マンションの購入費などに充てられたということです。

エステ店をやっている会社が、公的融資の手続きを代行をしているんですね。

どうやって、顧客を獲得しているのか興味があります。

何件くらいやっているのか分かりませんが、1年間で2億6,500万円というのはスゴいですね。

それを申告しないというのも、スゴいと思いますが。

新型コロナ融資の手続き代行で約6,700万円を脱税していたことについて、あなたはどう思われましたか?


1億9,300万円を申告せず法人税4,800万円脱税の疑いで東京国税局が広告会社と代表らを告発!

読売新聞によると、法人税約4,800万円を脱税したとして、東京国税局が広告会社(東京都中央区)と同社の代表取締役(31)、父親(61)を法人税法違反容疑で東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、同社はインターネットの動画広告の制作などを手がけ、2020年8月期に約1億9,300万円の所得を得ましたが、税務申告をせずに法人税約4,800万円を脱税した疑いです。

隠した所得の大半は、父親が自宅や貸金庫に現金で保管していたようです。

読売新聞は2人に文書で取材を申し込みましたが、回答はなかったそうです。

約2億円の所得ってスゴイですね。

なぜ申告をしないのか分かりませんが、周りにアドバイス等する人がいないんですかね。

こういう事件を見ると、無申告の法人などが分かるような仕組みが必要なのではないかと思いますね。

申告をしていなかったり、納税をしていなかったりする企業などとは取引をしたくない企業や個人も多いでしょうから。

1億9,300万円を申告せず法人税4,800万円脱税の疑いで東京国税局が広告会社と代表らを告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


JTの1,200億円の配当返還に「税負担なし」と国税当局が伝達!

日本経済新聞によると、日本たばこ産業(JT)が海外子会社から受け取った約1,200億円(8億ドル)の配当を返還したことを巡り、税負担は生じないとする見解を国税当局が同社側に伝達していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

課税対象になれば、JTから多額の資金が流出して財務が悪化する恐れがあり、当局の判断が注目されていました。

JTは2023年8月にオランダの子会社と孫会社を合併させ、存続会社となった旧孫会社から配当8億ドルを受け取りました。

しかしながら、2023年12月に同額を旧孫会社に返還したのです。

巨額の配当金返還は、極めて異例でした。

JTは当時、返還理由を「グループ内の現金保有量の最適化等」と開示していました。

2009年度の税制改正で、海外子会社からの配当収入は一定要件を満たせば95%が非課税(益金不算入)となります。

ただし、子会社株式の25%以上を6か月以上保有することが要件です。

ところが、JTは旧孫会社の株式を直接持っておらず、非課税要件を満たしていなかったのです。

2023年12月中旬に旧孫会社の取締役会で配当決議が取り消され、これを受けてJTが返還しました。

仮にこの配当が課税対象になれば、JTは300億円規模の税負担が生じる恐れがあったのです。

JTは、法人税などの取り扱いについて東京国税局に相談できる「J-CAP」制度を使って照会し、回答を得たようです。

国税当局への照会や回答について、日本経済新聞はJTに回答を求めましたが、「当局の見解については当社がお答えできる立場にない」としました。

一方、東京国税局は「個別の事案についてはコメントしない」と回答しました。

JTは、自社の株主に対し利益の75%を配当する方針を掲げており、高配当銘柄として個人投資家から人気が高くなっています。

JTは、2023年末に1,200億円を返還したことで単体の利益が減り、配当できる上限額が下がってしまいました。

この上限額を引き上げるため、2024年3月の株主総会で株主資本のうち配当可能額に含まれない「資本準備金」を、配当可能な「その他資本剰余金」に振り替える議案を諮り、可決されていました。

ミスに後から気付き、慌てて戻したのだと思いますが、税負担がないということになり良かったですね。

担当者は、しばらくの間、気が気でなかったでしょうね。

JTほどの会社となると、社内にも優秀な方がたくさんいると思いますし、大手税理士法人やOB税理士が付いていると思いますが、なぜ配当をする前に気付かなかったんでしょうか?

JTの1,200億円の配当返還に「税負担なし」と国税当局が伝達したことについて、あなたはどう思われましたか?


ネット広告業者が法人税など約1億9,000万円脱税か?

NHKによると、東京都渋谷区でインターネット広告の代理店や、ウェブサイトの運営会社を経営している44歳の会社役員が、架空の外注費などを計上する手口で、法人税などおよそ1億9,000万円を脱税したとして、東京国税局から告発されました。

告発されたのは、東京都渋谷区にあるインターネット広告の代理店と、ウェブサイト運営会社の実質的経営者の役員(44)です。

関係者によると、役員は広告デザインなどに関連した会社の業務を外注したように見せかけるなどして、架空の経費を計上していた疑いがあり、東京国税局は、役員が、2022年7月までの2年間に、2つの会社あわせておよそ5億7,300万円の利益を隠し、法人税と消費税およそ1億9,000万円を脱税したとして、東京地方検察庁に告発したということです。

役員は脱税で得たカネをカジノなどでの遊興費に充てていたということです。

役員は弁護士を通じ、「すでに修正申告をし、納税も行っています。再発防止に向け、コンプライアンスを強化していきます。」などとコメントしています。

インターネット広告の代理店とかウェブサイト運営会社は儲かるんですね。

もちろん、儲かるから脱税しても良いということはなく、これだけ脱税して捕まっている人がたくさんいるのに、なぜ安易に架空経費の計上に走るのでしょうか?

月次決算とかをやっていれば、ある程度の損益予測は分かるでしょうから、節税対策もそれほど難しくないのではないかと思いますが。

ネット広告業者が法人税など約1億9,000万円脱税していたことについて、あなたはどう思われましたか?


下請法違反の日産は「賃上げ税優遇」の適用除外で最低1年で収益面に悪影響の可能性!

読売新聞によると、下請け業者への納入代金を発注後に減額した下請法違反問題を受け、日産自動車が、賃上げを行った企業の法人税を減額する「賃上げ促進税制」を利用する資格を失ったことがわかったようです。

日産はこれまで同税制を利用しており、違反問題が収益面にも悪影響を及ぼす可能性があります。

同税制は2013年度に始まったもので、岸田政権は企業の賃上げを後押しするために制度を拡充しました。

大企業では2024年度以降、賃上げによる給与の支払総額の増加分について最大35%が減額される仕組みとなっています。

日産のような大企業が同税制を利用するには、まず自社のホームページに、従業員への利益還元や取引先への配慮に関する経営方針を掲示しなければなりません。

その上で、政府などが作る専用サイトで、取引先への不合理な価格交渉を行わないことを約束する「パートナーシップ構築宣言」を公表する必要があります。

2024年4月5日時点で、トヨタ自動車など約4万4,000社が掲載されています。

日産は2024年3月、下請法違反で公正取引委員会の勧告を受け、所管省庁の経済産業省を通じて専用サイトから掲載が削除されました。

一度削除されると1年間は再掲載されないため、日産は少なくとも1年間は同税制を利用できないことになります。

日産によると、2022年度以前の納税分については同税制を利用していたそうです。

日産は2023年春闘で3.4%の賃上げの実施を決めたほか、2024年春闘では5%という高水準の賃上げの実施を労働組合に回答しました。

違反問題がなければ、申請によって2023年度の納税分の法人税も減税措置を受けられた可能性があります。

財務省によると、同税制を導入した2013年度は減税額が計420億円、適用件数は約1万件でしたが、2022年度には計5,150億円、約21.5万件に拡大しました。

大企業の場合は、年間数十億円以上の減税効果を得られるケースもあるようです。

下請法違反の問題を巡り、日産は公正取引委員会から違法認定を受けた下請け業者36社に約30億円を返金しました。

取引先との信頼回復を急ぐため、公正取引委員会の認定では対象外となった企業についても独自に返金する方向で検討しています。

最近良いニュースを聞かない日産ですが、決算への影響もあるでしょうね。

賃上げ促進税制は、結局のところ、大企業の賃上げの一部を税金でまかなっているに過ぎないという気がしますね。

やはり、大企業は自社で努力してもらって、中小企業の賃金が上がるようなことをしないと、いつまで経っても、物価上昇に賃金上昇が追いつかないのではないかと思います。

話は変わりますが、先日、イオンが過去最高益であることを発表していましたが、理由の一つが仕入先の見直しによるコスト削減とのことですが、取引を切られた仕入先は業績が悪化するもしくは倒産等に追い込まれるでしょうし、結局のところ、消費者である仕入先の関係者の年収は減るでしょうし、イオンで買い物しなくなるかもしれませんので、マクロで考えると、大企業が儲かるということはあまり良いことではないのではないかと思いました。

下請法違反の日産は「賃上げ税優遇」の適用除外で最低1年で収益面に悪影響の可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


“Amazonせどり”コンサル会社の社長を法人税など約5,000万円脱税疑いで刑事告発!

TBSによると、ネット通販に商品を転売して利益を得る「せどり」のコンサルティングをしていた東京都内の会社社長が、法人税などおよそ5,000万円を脱税したとして東京国税局から刑事告発されました。

刑事告発されたのは、東京都台東区の転売コンサルティング業の会社と社長(38)です。

社長は売り上げの一部を税務申告しないなどの手法で、2021年11月までのおよそ4年間に法人税などおよそ5,000万円を脱税した疑いがもたれています。

転売コンサルティング業の会社は、仕入れた商品をAmazonに出品して利益を得る「Amazonせどり」と呼ばれる手法のコンサルティングなどを行い、利益を上げていました。

<コンサルを受けていた男性>
「(社長が)『私がコンサルするんだから儲かります』と。『すぐにもとが取れるんで(受講料)50万円は安いですよ』と私を説得にかかりました。味噌とか醤油とか単価の安いものですよね。継続的に仕入れて販売できるような商品を薦めていました」

社長は、脱税で得たお金を投資などに充てていたとみられていて、JNNの取材に対してこれまでに回答していません。

この社長はYouTubeとかをやっていると思いますが、露出すると課税当局も調べているのは自明でしょうから、脱税していると、当然バレますよね。

あと、こういった脱税をしている人からコンサルを受けた人はどんな気持ちになるんでしょうね。

コンサルを受ける人も、コンサルをする人をきちんと選ばないといけないですね。

“Amazonせどり”コンサル会社の社長が法人税など約5,000万円脱税疑いで刑事告発を受けたことについて、あなたはどう思われましたか?


2億4,000万円の脱税疑いで大阪の測量設計会社を告発!

日本経済新聞によると、架空の外注費を計上するなどして約2億4,000万円を脱税したとして、大阪国税局が法人税法違反などの疑いで、大阪府大阪市の測量設計会社と同社の元社長を大阪地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

重加算税を含む追徴課税は3億4,000万円に上る見通しです。

既に修正申告したそうです。

脱税したお金は遊興費などに充てていたとみられます。

関係者によると、元社長は、取引先の同業者の名前を利用して架空の経費を計上し、2021年12月期までの3事業年度に所得約6億6,800万円を過少申告し、法人税や消費税などの支払いを免れた疑いがあります。

測量設計会社は全地球測位システム(GPS)などを使った測量技術を利用し、官公庁などから道路建設などの仕事を請け負っています。

なぜ、これほど安易に架空経費を計上する事件が多発するんでしょうね。

決算の数値が出てから慌てて脱税ではなく、普段から月次決算をきちんとして数値を把握しておき、節税すれば何の問題もないように思いますが。

脱税するくらいですから、そもそも、官公庁が支払っている金額が高すぎるのではないかとも推測されますが。

数か月の指名停止ではなく、こういった業者を排除していかないといけないのではないかと思ってしまいますね。

2億4,000万円の脱税疑いで大阪の測量設計会社が告発されたことについて、あなたはどう思われましたか?


法人税4,800万円を脱税の疑いで無申告分を馬券購入費などに充てた内装工事会社代表を告発!

読売新聞によると、法人税約4,800万円を脱税したとして、東京国税局が内装工事会社(東京都港区)と内装工事会社代表の男性(51)を法人税法違反容疑で東京地検に告発していたことがわかったようです。

関係者によると、内装工事会社はオフィスや保養所の内装工事などで多額の利益を上げていましたが、2022年5月期までの2年間の所得計約1億9,500万円を申告せず、法人税約4,800万円を脱税した疑いがあります。

内装工事会社は近年、無申告の状態が続いており、帳簿類もほぼ記載がなかったそうです。

代表の男性は、申告しなかった所得を競馬の馬券購入費などに充てていたとみられます。

読売新聞は、内装工事会社に取材を申し込んだようですが、回答はなかったとのことです。

最近、架空経費の計上による脱税事件は新聞等でよく目にしますが、無申告というのは珍しいですね。

代表の男性に、そもそも申告が必要という意識があったのでしょうか?

見つけるのが難しいかもしれませんが、こういった案件を、課税当局はどんどん見つけて、税金をがっぽり取ってほしいですね。

法人税4,800万円を脱税の疑いで無申告分を馬券購入費などに充てた内装工事会社代表を告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


1億円脱税疑いで会社役員の男を逮捕!

日本経済新聞によると、貸付金を業務委託費に仮装するといった手口で法人税など計約1億円を脱税したとして、東京地検特捜部は、先日、会社役員(43)を法人税法違反(脱税)などの疑いで逮捕しました。

東京地検特捜部は、認否を明らかにしていません。

逮捕容疑は東京都内のベアリング販売会社から会社役員が実質的に経営するシステム販売会社(東京都渋谷区)への貸付金を業務委託費と仮装させ、ベアリング販売会社の2021年3月期の法人税など計約7,800万円を脱税した疑いです。

ベアリング販売会社に架空の課税仕入れを計上させ、消費税など計約2,300万円を免れさせたほか、計約680万円の不正還付を受けた疑いも持たれています。

貸借対照表に計上すべき貸付金を、損益計算書の業務委託費に計上するというのはスゴいですね。

いわゆる架空経費なので、法人税や消費税を減らし(脱税し)、消費税については不正還付まで受けているので、かなり悪質ですね。

こういう事案は、どんどん課税して欲しいと思いますが、こういう事案がたくさんあるので、真面目に申告して還付になる会社が、簡単に還付してもらえないのは勘弁して欲しいですね。

1億円脱税疑いで会社役員の男が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


法人税1億5千万円の脱税容疑のコンサル会社社長は「税理士に断られ申告できなかった」!

2023年06月20日(火)

読売新聞によると、法人税約1億5,800万円を脱税したとして、東京国税局が東京都中央区のコンサルタント会社と同社の社長(78)を法人税法違反容疑で東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、コンサルタント会社は2018年9月に設立され、新宿区の土地の売買などで多額の利益を上げましたが、2019年3月期の税務申告をせず、約6億5,500万円の所得を隠し、法人税約1億5,800万円の納税を免れた疑いです。

隠した所得は、社長が借金の返済などに充てていたようです。

社長は取材に対し、「税理士に断られたために申告できなかった。脱税の意図はなかった」と話しました。

税理士に断られたのであれば、他の税理士を探せば済むように思いますが、複雑な案件で、面倒くさいことを言う社長で、誰も引き受けたがらなかったのかもしれませんね。

法人税1億5千万円の脱税容疑のコンサル会社社長は「税理士に断られ申告できなかった」とコメントしていることについて、どう思われましたか?


架空の外注費などの計上で3,900万円の脱税の疑いで建築会社と社長ら2人を告発!

札幌テレビ放送によると、札幌国税局は、先日、法人税法違反などの疑いで、札幌市白石区の建築会社と、社長(49)と役員(39)の2人を札幌地方検察庁に告発したと発表しました。

2人は共謀し、2019年から2020年にかけて、架空の外注費や支払手数料を計上して、約1億6,000万円の所得を隠し、約3,900万円を脱税した疑いが持たれています。

札幌国税局によると、社長の男は業務全般を統括し、役員の男は決算書類などを作成していたということです。

2人は、先日、同じ容疑ですでに札幌地検に逮捕されています。

最近、安易な架空経費の計上による脱税事件が多いですね。
普段から数値を把握しておけば、色々と検討したうえで節税ができると思いますが、バレないと思っているのか、決算日を過ぎて数値を把握すると思いのほか利益が出ていて慌てて架空経費を計上するのか、理由はよく分かりませんが、年間にすると、ニュース等に取り上げられる事件だけでもかなりの件数あると思いますので、それほど甘くはないということに早く気付いてほしいですね。
こちらの架空経費の経費は、相手にとっては売上になるわけですから、相手を調べればおそらくすぐに分かりますよね。

架空の外注費などの計上で3,900万円の脱税の疑いで建築会社と社長ら2人を告発したことについて、どう思われましたか?


法人税など1億円余り脱税の前社長に有罪判決!

NHKによると、架空の外注費用を計上し、所得を少なく見せかけて法人税を免れるなどして合わせて1億円余りを脱税したとして長崎県長崎市の会社と前の社長が法人税法違反などの罪に問われていた裁判で、長崎地方裁判所は前の社長に対し懲役1年6か月、執行猶予3年、会社に対し罰金2,500万円の判決を言い渡しました。

長崎市の重量機器の搬入会社と前社長(69)は平成28年10月期から平成30年10月期にかけて、架空の外注費用を計上して所得を少なく見せかけて法人税を免れたり、控除の対象となる仕入れを過大に計上して消費税を免れたりして合わせて1億円余りを脱税したとして法人税法や消費税法違反の罪に問われています。

先日の裁判で長崎地方裁判所の芹澤俊明裁判官は「知人に依頼して実体のない会社を設立させ、継続的に架空の請求書を発行させるなどしており巧妙かつ悪質である。動機や経緯につき特に酌量すべき余地はない」などと指摘しました。

そのうえで「会社は本税、延滞税などを全て納付し、役員や税理士などを一新して経理体制の改善を図ったことなど考慮すべき事情もある」などとして、前社長に対し懲役1年6か月、執行猶予3年、会社に対し罰金2,500万円の判決を言い渡しました。

架空経費を計上して、脱税する事件が後を絶ちませんが、当然、多額になると有罪になりますね。
こういったことがあるということを認識して、安易な脱税はやめてほしいと思います。

法人税など1億円余り脱税の前社長に有罪判決があったことについて、どう思われましたか?


2,700万円脱税の疑いで大阪国税局が大阪府堺市の工事会社を告発!

外注費の架空計上などで約2,700万円を脱税したとして、大阪国税局が型枠工事を手がける会社(大阪府堺市)と元社長(48)を法人税法違反などの疑いで大阪地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

修正申告はすでに済ませたそうです。

関係者によると、同社は下請け業者に支払った外注費を還流させるなどして、2020年3月期までの2年間に約1億1,500万円の所得を隠し、法人税など約2,700万円を不正に免れた疑いが持たれています。

隠した所得は元社長名義の不動産購入などに充てたそうです。

最近、架空経費の計上による脱税が多いですね。
告発されるのは、もっと金額が多いケースかと思っていましたが、そうではないみたいですね。
悪質なところから、国税局はどんどん取って欲しいですね。
社会的信用の失墜、重加算税などを考えると、普通に税金を支払うか、合法的な節税をすれば良いと思うのですが、なぜ、脱税に走るのでしょうか?

2,700万円脱税の疑いで大阪国税局が大阪府堺市の工事会社を告発したことについて、どう思われましたか?


東京国税局が法人税4,500万円の脱税容疑でアニメイト関連会社を告発!

時事通信によると、アニメショップチェーン「アニメイト」のグループ会社で、アニメカード販売などを手掛ける「カードラボ」(東京都板橋区)が法人税など約4,500万円を脱税したとして、東京国税局査察部が同社と前代表(47)を法人税法違反容疑などで東京地検に告発していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

関係者によると、前代表は知人男性から人気漫画「遊☆戯☆王」やアニメ「ポケットモンスター」の希少カードを仕入れたように装って所得を圧縮していました。
虚偽の請求書に基づきカードラボから知人の銀行口座に資金を移した上、95%程度を返金させて自らの口座に入れていたそうです。

かなり悪質な脱税ですね。
知人も巻き込んでいますし。
最近、架空の経費を計上して脱税を図るところを新聞記事等でyちょくちょく目にしますが、誰が主導で行っているのでしょうか?
指南をするコンサルタントなどがいるのでしょうか?

東京国税局が法人税4,500万円の脱税容疑でアニメイト関連会社を告発したことについて、どう思われましたか?


民間資金で学校新設を法人税負担減で後押し!

日本経済新聞によると、政府・与党はエンジニアや起業家らを養成する学校の整備に民間資金を生かす仕組みづくりを進めるようです。
高等専門学校などの新設に資金支援した企業の法人税負担を軽くする案を検討します。
最新のデジタル技術など産業界のニーズに合った教育を提供する場を広げます。
2022年12月にまとめる2023年度の税制改正大綱への反映をめざしているようです。

今冬までの税制改正論議で、政府・与党は岸田文雄首相が訴える「人への投資」を主要テーマに位置づけています。
財務省・経済産業両省で制度の詳細を詰めます。

政府・与党は現行の制度を見直し、企業がより資金を出しやすい環境を整える方向で議論します。
企業が損金算入する際の限度額を引き上げる案などが浮上しています。
企業側の利便性も考慮し、制度設計します。

政府の「人への投資」をめぐっては、リスキリング(学び直し)を中心に就業経験がある社会人向けの支援策がこれまでは目立っていました。
しかしながら、今回の税制改正では、就業前の若年世代の能力向上も狙っています。

財務省・経産両省がモデルケースとして着目するのが、2023年4月に開校を予定する私立の「神山まるごと高等専門学校」(徳島県神山町)です。
山間部に全寮制の校舎を設け、IT(情報技術)分野を中心とした起業家の育成に重点を置いています。
デジタル技術やデザインといったスキルの習得へのカリキュラムを打ち出しています。

同校の新設にあたっては国内の起業家らが発起人となり、数十億円の寄付を民間から集めました。
衣料通販大手のZOZOで最高技術責任者(CTO)を務めた大蔵峰樹氏が初代校長に就いています。

日本の高専は国立が中心で、私立は少ないです。
政府は少子化のなかでもユニークな人材育成を手がける学校の新設を後押しします。

国立だとできることが限られてくると思いますので、私立で独自の人材育成を行いやすくなると、日本のために良いことだと思いますね。
同じ四国の神山町から素晴らしい起業家が誕生してくれたら嬉しいですし、公認会計士・税理士として、何かお役に立つことがあれば協力させていただきたいと思います。

民間資金で学校新設を法人税負担減で後押しすることについて、どう思われましたか?


「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行!

先日、同業者からの情報で、すごいプレスリリースを見ました。
現在、工業会等による証明書が取れるかどうか検討している案件があるので、非常にタイムリーな話でした。
以下は、ダイキン工業のプレスリリースです。

~ここから~

大切なお知らせ

「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行についてのお詫びとお願い

この度、「中小企業経営強化税制」、「先端設備等導入計画に関する固定資産税の特例」、「(旧)生産性向上設備投資促進税制」、「(旧)中小企業投資促進税制(上乗せ措置)」、「(旧)経営力向上計画に関する固定資産税の特例」において、弊社の空調等設備の一部が、これら税制特例の対象設備に該当しないにもかかわらず、誤って該当要件を満たしているものとして「工業会等による証明書」が発行されていたことが判明しました。
「工業会等による証明書」の発行を受けたお客様のうち、誤った内容の証明書を用いて税制特例の適用を受けられていたお客様におかれましては、お手数をおかけしますが、税額の修正申告、納付手続等の税務手続をしていただく必要がございます。
ご愛用いただいているお客様に深くお詫びを申し上げるとともに、発生の経緯と今後の対応についてご案内いたします。
今回、お客様から「工業会等による証明書」の記載内容についてお問合せがありました。
「工業会等による証明書」は、弊社が自社のソフトウェアを用いて申請対象の該非判定を行った上で記入しており、同ソフトウェアに登録している一部の製品の仕様データに誤りがあることが判明しました。
社内にて調査した結果、対象期間である平成26年1月〜現在の間に、誤った内容の証明書が発行されたことを確認しました。
該当する証明書の発行を受けた可能性があるお客様には、弊社より直接ご連絡し、証明書の誤り部分のご説明、ならびに修正申告等の税務手続のお願いと、税額のお支払いを含めた具体的な今後の手続きについてのご案内をさせていただきます。
なお、お心当たりがあり弊社からの連絡が無くご心配のお客様は、誠にお手数ですが、以下のフリーダイヤル、または弊社ウェブサイトにてご相談下さい。
弊社にて状況を確認の上で、個別にご回答申し上げます。
今後、このようなことがないように、証明書発行に関わる仕様データの作成から申請書発行までの業務手順の厳格化、各手順におけるデータや記載内容のクロスチェックの徹底、業務の実施状況の定期点検および改善など、万全の対策を期して参ります。
お客様におかれましては、大変ご迷惑とお手数をおかけいたしますが、なにとぞ、ご理解・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

フリーダイヤル 0120−557−704(平日9時〜17時30分)
お問合せフォーム https://www.daikinaircon.com/info/20220823/contact/

~ここまで~

ざっくりと言うと、固定資産を取得した際に、『工業会等による証明書』があると、特別償却や税額控除や固定資産税などの税制上の優遇があるという制度の『工業会等による証明書』が間違っていた(本来は発行してはいけないものだった。)ということです。
もちろん、この製品が欲しくて買ったところもあるでしょうが、固定資産を取得する際に、税制上の優遇措置が使えるからということでこの製品を取得したり、税制上の優遇措置が使えるものの中からこの製品を選んでいるケースも多いのではないかと思います。
証明書を発行してはいけない製品だったわけなので、当然、税制上の優遇措置が使えないということで修正申告等が必要になりますし、税制上の優遇措置が目的で購入したのであれば、税額分を負担する必要がありますので、ダイキン工業は、どれくらいになるのかは想像もつきませんが、かなりの手間や負担額が発生するでしょうね。

「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行についてのお詫びとお願いについて、どう思われましたか?


法人税率の引き上げ案が浮上!

時事通信によると、与党の税制調査会で、法人税の実効税率を引き上げる案が浮上していることが、先日、明らかになったようです。
併せて、設備投資などに対する減税措置も拡充し、増税と減税を組み合わせることで企業にも「貯蓄から投資」を強く促し、日本経済の構造転換を後押しします。
与党税調幹部は2023年度の税制改正を見据え、政府側と検討を進めたい考えのようです。
ただし、企業業績には不透明感が強まっており、経済界が難色を示す可能性もあります。

実効税率の引き上げが実現すれば、1984年以来となります。

法人税率をめぐっては、2021年、経済協力開発機構(OECD)主導で最低税率を設定することで国際合意が成立し、世界的な引き下げ競争に歯止めがかかってきました。
アメリカのバイデン大統領も税率引き上げを提案しており、新型コロナ対応で財政赤字が拡大した各国で政策を転換する動きが出ています。

現在、法人税(国税)と法人事業税(地方税)などを合わせた法人実効税率は29.74%です。
政府は2015年度以降、企業が減税分を賃上げや設備投資に回すと期待し、34.62%だった税率を段階的に引き下げてきました。

これに対し自民、公明両党は2021年12月にまとめた2022年度税制改正大綱で、税率引き下げにより企業の内部留保は増加したものの、投資拡大など「意図した成果を挙げてこなかった」と指摘しました。
そのうえで「企業の行動変容を促すためにどう対応するか幅広く検討する」と、民間資金を投資に誘導する仕組みづくりを示唆していました。

今回は増税額と減税額が同規模となる仕組みを想定しているようです。
税調幹部は「大幅には引き上げられないが、日本の実態に合った構造転換は必要だ」と訴えています。

ただし、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う原材料価格の高騰で、企業業績は今後厳しさを増す可能性があります。
また、設備投資の規模は業種によってばらつきが大きく、サービス業など減税措置の恩恵が限られる業界は差し引きで増税となる恐れがあります。
大企業を中心とする黒字企業などからは強い反発も予想され、実効税率の引き上げが実現するかは不透明な情勢です。

相続税、消費税、所得税などが増税傾向にあるなか、唯一と言ってよいほど、法人税は減税傾向にありましたが、法人税も増税になるかもしれませんね。
以前の総理が、グローバル企業が世界的な市場で勝負できるように、実効税率の30%切りにこだわり、表面上は実現させました(課税対象が拡大になっているため、実際には引き下げにはなっていない。)が、手のひらを返す感じですね。
企業だと、業績が悪くなると、ますはコスト削減を考え、そのあとに値上げを考えるのが一般的なように思いますので、増税するのであれば、まずは国の無駄遣いを削減してからにして欲しいですね。
法人税率が上がれば節税効果は上がるのですが、一方で、法人税率が低いということが法人化の理由の一つとなっていると思いますので、法人税率が上がると、税理士としての対応も変わってはきますね。

法人税率の引き上げ案が浮上していることについて、どう思われましたか?


政治家個人への寄付は禁止なのに使い道報告義務のない「抜け穴」から与野党が計22億円支出!

東京新聞によると、自民党、国民民主党、日本維新の会、社民党、れいわ新選組の5党が2019年、「政策活動費」や「組織活動費」の名目で党幹部ら30人に総額約22億円を支出していたことが、政治資金収支報告書の東京新聞の調査で分かったようです。
禁止されている政治家個人への寄付を政党だけに認める制度があるためで、その先の使途は報告義務がありません。
1994年の政治改革で小選挙区制と同時に埋め込まれた「抜け穴」は、秋に総選挙を控えた現在も解消されていません。

ちなみに、政治資金収支報告書は、政治団体の収入、支出、資産を記載するよう政治資金規正法で定める報告書で、年間5万円超の寄付をした人や、20万円を超える政治資金パーティー券の購入者も記載します。
総務大臣や都道府県の選挙管理委員会に提出します。
総務大臣所管の2019年分は2020年11月に公表されました。

政治資金規正法は政治家個人への寄付を禁じ、資金管理団体や政党支部で受けて収支報告書を提出するよう定めています。
ただし、「政党がする寄付」には適用しないという例外規定があり、支出が認められています。

2019年の収支報告書を集計したところ、こうした政策活動費などを最も多く支出していたのは自民党です。
二階俊博幹事長や甘利明選挙対策委員長(当時)ら計18人に13億410万円を出していました。
国民民主党は玉木雄一郎代表と平野博文幹事長(同)に8億1,000万円を支出していました。
日本維新の会は党支部の位置付けの国会議員団から、5,865万8,000円を馬場伸幸幹事長ら4人に出していました。
社民党は照屋寛徳国対委員長ら5人に1,500万円を、れいわ新選組は山本太郎代表に40万円を出していました。

支出された議員らが代表を務める資金管理団体や政党支部で、判明した約100団体の収支報告書を調べたようですが、受領の記載はなかったようです。
取材に対し、自民党、国民民主党、日本維新の会は、党勢拡大や政策立案の資金としたうえで「政治資金規正法に則のっとり、適正に処理している」などと回答しています。
社民党は「適正に支出」としたうえで「使途報告が求められない現行制度は法の趣旨に照らして十分とはいえない」と答えました。
れいわ新選組は「領収書管理の負担軽減のため。ただ、支援者が寄付した資金を分かりづらい形で支出することは改善する必要がある」としています。
立憲民主党、公明党、共産党は2019年分の支出がありませんでした。

東京大の谷口将紀教授(現代日本政治論)は「政治資金規正法の狙いは政治家の資金面の公私の峻別だが、大きな抜け穴になっている。議員が自らの資金管理団体で収支報告するか、政党が使途を説明させるなど、制度を変える必要がある」と指摘しています。

「子どもにお使いを頼んで、家計簿にそのまま『お使い』とだけ書いておくようなもの。何を買ったか分からない」
使途の報告義務がない「政策活動費」などの問題点を、神戸学院大の上脇博之ひろし教授はこう例えています。

「抜け穴」は、1994年成立の政治改革関連法で生まれました。
政治腐敗が相次いだ時期。金権政治の温床を断ち切るべく、政治献金の制限など政治資金の「入り口」の議論に熱視線が注がれました。
しかしながら、その裏で、使途などの「出口」を巡り、政治家自身の縛りを緩める法改正がひっそりと行われたのです。

それから30年近く、与野党問わず制度は使われ続けています。
国会での追及も散発的です。
「答える立場にない」「適正に支出」と述べ合い、自浄作用が働いたとは言えない状態でした。

コロナ禍で国民が困窮にあえぐ中、政治の現場で不透明な資金が横行する現状は許されるのでしょうか?
今秋には総選挙があります。
民主主義を担う公党である以上、与野党で法改正に向けた議論を始める必要があります。
少なくとも、使途報告を義務づけるルール作りは今すぐにでもできるはずでしょう。

法人とか個人事業主は、例えば、領収書は7年間の保管が義務付けられ、使途秘匿金は、消費税においては仕入税額控除の適用を受けることができませんし、法人税においては損金不算入に加えて、使途秘匿金の40%の税額が課されます。
法人とか個人事業主はこういうのがありますが、政治の世界でのこういったものが認められているということには、税理士としてすごく違和感を感じます。

政治家個人への寄付は禁止なのに使い道報告義務のない「抜け穴」から与野党が計22億円支出していることについて、どう思われましたか?


住友化学がコーポレートガバナンスを強化し税務方針を制定!

ゴムタイムスによると、住友化学は、先日、「住友化学グループ税務方針」を制定したと発表しました。
同方針は、同社グループにおけるコーポレートガバナンス強化の一環として、これまでの税務に関する取り組み方針を明文化したものとなっています。

2012年6月に経済協力開発機構(OECD)において発足した「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting・税源浸食と利益移転)プロジェクト」を契機として、租税回避行為の防止に向けた国際課税ルールの見直しが各国・地域で進められています。

このような世界的な税務コンプライアンス強化の動きのほか、企業によるグローバル展開の拡大などに伴い、企業グループが抱える潜在的な税務リスクの規模や複雑性が増大しています。

同社グループは現在、世界の約30カ国で事業展開をしており、納税を企業が果たすべき最も基本的かつ重要な社会的責任の一つと捉えています。

これまでも各国・地域において適用される税法を順守し、適切な納税を行ってきましたが、税務コンプライアンスと税の透明性確保に向けた取り組みを全グループ会社がより高いレベルで実行するため、同方針を制定しました。

同社グループは、コンプライアンスを企業経営の根幹と位置付けており、引き続き、事業活動を行っている各国・地域において、諸法令はもとより、企業倫理の順守を徹底していくとしています。

GAFAなどが税法を研究して節税を図っているなか、このような真面目な企業が彼らと世界的に戦っていけるのだろうかと思ってしまいますが、過度に保守的になり過ぎないようにしていただき、こういう企業がグローバルスタンダードになればいいなぁと思います。

住友化学がコーポレートガバナンスを強化し税務方針を制定したことについて、どう思われましたか?

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 これは経営者からの質問に即対応できるよう 新人コンサル向けに教育ツールとして開発。

 会計事務所、コンサル向けに「監査時経営者面談」「コンサルティング現場で明確」明確な再質問、付加価値のある会話の為に活用します。

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入居事業者からの賃料減免なら損金として計上可能に!

国土交通省は2020年4月10日までに、テナントビル所有者に対し、入居する事業者からの賃料を減免した場合、損失額を税務上の損金として計上することが可能だと通知しました。

通常は寄付金扱いとなりますが、損金とすることで法人税の負担軽減を図ります。

通知は2020年4月9日付けです。
新型コロナウイルス感染拡大による売り上げ減少で、賃料の支払いが困難な事業者が増えていることを踏まえたものです。
国税庁が近く適用要件を公表します。

国土交通省は、3月末、テナントビル所有者に対し、支払いの猶予など柔軟な対応を要請していました。

テナントビル所有者も事業としてやっているわけですから、当然のことだと思いますね。
もちろん、要請するのであれば、固定資産税の免除も当たり前かと思いますが、テナントビル所有者側に立った報道等が少ないのはなぜなんでしょうね?

入居事業者からの賃料減免なら損金として計上可能になったことについて、どう思われましたか?


「巧妙な隠ぺい」“スパコン詐欺”の元社長に懲役5年!

以前このBLOGでも取り上げましたが、スーパーコンピューターの開発を巡って国の助成金をだまし取った罪などに問われた開発会社の元社長に対し、東京地裁は懲役5年の判決を言い渡しました。

ベンチャー企業「PEZY Computing」の元社長(52)は、経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成金6億5,000万円余りをだまし取ったほか、法人税約2億3,000万円を脱税した罪などで起訴されました。

判決で東京地裁は「虚偽の書類を示すなど巧妙な隠蔽策で詐欺を完遂した」「助成金を無関係な運転資金や個人的な支払いなどに流用した」などと指摘し、元社長に懲役5年を言い渡しました。

弁護側が一部を除いて無罪を主張していた脱税の罪については「故意の脱税だった」と認め、弁護側の主張を退けました。

こういう事件がありますので、助成金という制度自体を見直さないといけない時代になっていると思います。
助成金も補助金も一部の知っている企業だけが使っている傾向にあると思いますので、金額を小さくして、多くの企業に与えるのも一案かと思います。
また、返さなくても良いということが詐欺や効果のなさにつながっていると考えられますので、何か要件を充たせば返さなくても良いといった感じに変えても良いかもしれませんね。

「巧妙な隠ぺい」“スパコン詐欺”の元社長に懲役5年の判決が言い渡されたことについて、どう思われましたか?


税・社会保険の電子申告の導入が迫るなか企業の準備は整っていない!

日本経済新聞によると、2019年12月、行政の電子化を目的とするデジタル手続法が施行され、パスポートの申請など約500の手続きが順次電子化されます。2020年4月からは、企業の税申告や社会保険の申請の電子化も義務付けられます。約2万4,000社が対象となりますが、準備が整っていない企業が多いのが実情だそうです。

政府が2019年12月下旬に公表した「デジタル・ガバメント実行計画」には、仕事や暮らしに関わる様々な手続きの電子化計画が並んでいます。
2020年4月以降、資本金1億円超の大企業に義務付けられるのが、法人税と消費税の電子申告です。
3月期決算の企業の場合、法人税については、9月期までの中間申告から電子化が求められます。
消費税は、年間申告回数によって異なりますが、早い企業では6月末までの対応が必要になります。

導入まであと2か月弱と迫るなか、現場では不安の声が広がっているようです。

NTTデータで法人税の電子申告システムの販売を担当する小谷智昭氏は、「間に合わない企業が続出しかねない」と話しています。
同社が2019年7月から11月にかけて実施したアンケートによると、6割の企業が準備に着手していなかったようです。
「書面ベースで進める稟議など、社内の承認手続きの流れを見直すには相当の時間がかかる」(小谷氏)。
システムを導入するだけでは不十分で、経営陣を含めた業務プロセスの見直しが欠かせないようです。

対象企業は、国税庁の納税システム「e-Tax」などを用い、法人税と消費税の確定申告書を提出します。
複数のITベンダーがe-Taxと連携した申告システムを販売しており、国税庁の2018年の調査でも資本金1億円を超える7割の企業が電子申告を利用しているようです。

しかしながら、会計システム大手のTKCの富永倫教執行役員は、「制度変更に完全に対応できていない企業は多い」と指摘しています。
法人税では「別表」と呼ばれる申告書本体だけでなく、財務諸表や勘定科目内訳明細書などを添付して提出します。
2020年4月からの義務化では、これら全ての書類を電子化して提出する必要がありますが、申告書本体のみにとどまっている企業も多いようです。

化学メーカーのリケンテクノスは、2016年から法人税の電子申告に対応しました。
しかしながら、財務諸表などの添付書類を50枚以上、今でも郵送で送っているそうです。
電子化する際のファイル形式が申告書本体と異なり、システム対応に手間がかかるためです。
「対応できるように検討している。義務化には間に合わせたい」と同社の担当者は話しています。

より広い範囲で対応が求められるのが、社会保険の電子申請です。
2020年4月から健康保険、厚生年金保険、労働保険、雇用保険に関する12の手続きの電子化が義務付けられます。
総務省の「e-Gov」と呼ぶシステムを使いますが、ここでも対応の遅れが指摘されています。

2020年4月には早速、新入社員の雇用保険手続きで電子申請が必要です。
しかしながら、労務管理システムを販売するエムケイシステムの三宅登社長は、「当初から完全対応できる企業は2割程度にとどまる」と見ています。
給与や人事、マイナンバーなど関連する社内の業務システムを一元管理できていない企業が多いのが理由です。
「被保険者の報酬月額変更届など、頻度の少ない手続きも義務化の対象」(社会保険労務士の片山力氏)ですが、すべてシステムで対応しようとすると投資負担が大きくなるのです。

政府は2024年度中に、年10億件近い行政手続きのうち、件数ベースで9割の電子化を目指すそうです。
企業が戸惑うのは「システムが使いづらく、変更も多い。対応に手間と費用がかかる」状態が長引きそうなことです。
電子化を進める関係省庁部局が複数にまたがり、情報が一本化されていません。
企業側も税務、人事など担当レベルで部分的に把握できたとしても、企業全体でどう対応すべきか経営トップがつかみにくい状況にあるといえます。

労働人口が減るなかで生産性の向上は避けて通れない課題です。
中長期でみれば「税や行政手続きの電子化によって、企業の間接業務の効率化は進む」(野村総合研究所制度戦略研究室の梅屋真一郎室長)でしょう。
梅屋氏は、「人材配置の最適化を進める機会とするのが望ましい」と指摘しています。

この行政手続きのオンライン化を進める上で欠かせないのが「ハンコ文化」の見直しです。
印鑑証明書が必要な行政手続きは100種類以上あります。
電子証明書で代用できる手続きも多いですが、利用が進んでいません。
契約書など民間業務でも必要とされることがあり、法人の印鑑証明書の発行は、年間約1,300万件(2018年)にもなります。

政府は2019年12月に策定した「デジタル・ガバメント実行計画」で、印鑑証明書の省略や印鑑の代わりとなる電子証明書の普及を進める方針を打ち出しています。
商業登記法では法人を登記する際、代表者の印鑑を届け出ることが義務付けられています。
この条文が2019年12月に成立した改正法で削除され、印鑑登録が任意になりました。
改正法は2021年2月までに施行される見通しです。

電子証明書や電子署名などデジタル認証の仕組みは整いつつありますが、日本では「ハンコ文化」が根強いのです。
企業でも、正式文書は押印した紙で保存する習慣が残っています。

税や社会保険の手続きを電子化することにより、手間が省けるのであれば、個人的には大賛成です。
僕自身、税理士として、法人税や消費税の申告は100%電子申告していますが、中小企業でも紙で出さないといけないものがあったりして不便だなぁと感じることがあります。
中小企業ですらこのような状況ですから、加減算項目の多い大企業になるとものすごい手間が生じるのではないかと思います。
また、e-Taxを導入した当初、導入企業がまったく増えず、税理士会経由で税理士に呼びかけ、利用率は増加したものの、実質は一部の別表だけ電子申告し、残りは紙で提出している企業が多いというような記事も見かけましたので、実質的な利用率はそもそも低い状況下で電子申告を義務化するというのもどうかと思います。
国には、きちんとシステムを整備し、電子申告する企業にメリットがある状況にしたうえで、やってほしかったなと思います。

税・社会保険の電子申告の導入が迫るなか企業の準備は整っていないことについて、どう思われましたか?


企業版ふるさと納税につき寄付額の9割軽減を政府が検討!

 政府は、地方自治体に寄付した企業の税負担を軽くする「企業版ふるさと納税」を拡充するようです。
税負担を軽減する割合を現在の約6割から、約9割に広げたうえで、2019年度までの時限措置を2024年度まで5年間延長する方向で調整します。
「個人版」に比べ伸び悩む企業の寄付をテコ入れし、地方創生への資金の流れを促します。

内閣府が提出する2020年度の税制改正要望に盛り込み、2019年末に向けた与党の税制改正議論などで詳細を詰めます。

企業版ふるさと納税である「地方創生応援税制」は、2016年度に始まりました。
現行制度は内閣府が認定した自治体の事業に企業が寄付すると、損金算入措置による約3割の税の軽減効果に加え、寄付額の3割が税額控除され、合計で寄付額の約6割分の税負担が軽くなり、実質の企業負担は約4割で済みます。

2020年度からは税額控除の割合をさらに3割拡大し、税負担の軽減幅を合計で約9割に広げる方向で検討します。
企業版は、「個人版」で一定の範囲で許容されている返礼品のような経済的な見返りがなく、企業側のメリットの分かりにくさが寄付低迷の一因との指摘があります。

これまでの例では、企業が創業の地や工場がある地域、被災地などの自治体に寄付する例が多くなっています。
自治体は地域の再生に企業資金を呼び込むことができ、企業にとっては社会的責任(CSR)活動の一環として地域貢献をアピールできる利点があります。
今後は企業の寄付を促すため、表彰制度の創設も検討するようです。

寄付の対象も広げます。
企業版は内閣府の認定を受けた事業に寄付する仕組みですが、いまは予算など詳細が固まった後でないと企業が申請できません。
2020年度から詳細が固まる前でも申請を受け付けられるようにし、企業側の都合に合わせて申請できるようにする方針です。

拡充案では、国の交付金や補助金を受けている事業も寄付対象の事業として認定を可能にします。
これまでは「地方創生関係交付金」など一部を除き、他の財政支援を受けている事業は寄付の対象として認定を受けられませんでした。

企業版ふるさと納税を募っているのは都道府県と市町村を合わせて406で、全自治体の23%にとどまっています。
寄付額も個人版に比べ見劣りします。
企業版は2018年度に34億円(速報値)と2016年度の開始当初より4倍以上増えましたが、個人版の5,127億円と大きく離れています。

本当に創業の地や工場がある地域に貢献したいのであれば、損金になるかどうかを考えずやればよいと思いますし、寄付は売名行為ではありませんので、表彰というのは寄付金の性質上、違うのではないかと個人的には思います。
まさか、個人版のふるさと納税による税収が減ると見込まれるため法人版に期待しているということはないと思いますが、個人版のふるさと納税制度は失敗だと思っていますので、個人版をまねるのではなく、本来のふるさと納税の趣旨に立ち返って、変えるところは変えて欲しいと思います。

企業版ふるさと納税につき寄付額の9割軽減を政府が検討していることについて、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(4/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
4日目の今日は、『その他の社会的波及効果の高い事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
近年、市場が拡大する分野における脱税など、社会的波及効果が高いと見込まれる事案に対して積極的に取り組みました。

<トピック8>好況なネット通販事業者の告発
近年、インターネット等のネットワークを通じた多様な経済取引が可能となっているところ、このような取引で得た多額の利益を隠し法人税を免れていた事案に対し、デジタルフォレンジック技術を活用するなどして不正を解明し告発しました。
【事例】
H社は、インターネットや各種メディアを利用して自社商品を販売し、多額の利益を得ていたものですが、不正加担者と通謀し、同人の主宰会社に対して架空の広告宣伝費等を計上する方法により法人税を免れ、同会社に送金した資金を現金でバックさせるなどして還流させていました。
本事案では、デジタルフォレンジックツールを使用して、スマートフォン内のデータを解析し、不正資金の還流の事実を解明しました。

<トピック9>好況な不動産事業者の告発
近年、不動産業の売上及び経常利益が上向いている状況ですが、不動産取引による売上を正しく申告しないほか、架空経費を計上し、所得(利益)を過少に申告していた事案を告発しました。
【事例】
I社は、入場者数が増加している国内有数のテーマパーク近隣の開発予定地に係る不動産売買取引に関与し、多額の利益を得ていたものですが、仲介手数料収入を除外するほか、取引に係る虚偽の覚書を作成し架空外注費を計上するなどの方法により法人税を免れていました。

<トピック10>クラブ経営者らによる消費税・源泉所得税事案を告発
日本有数の歓楽街でクラブ及びキャバクラ等を経営する法人による消費税及び源泉所得税事案を告発しました。
【事例】
Jは、クラブ及びキャバクラ等を経営する法人を主宰するものですが、経理責任者Kと共謀し、主宰法人の消費税の確定申告を一切せずに納税を免れたほか、店舗従業員の給与に係る源泉所得税を一切納付していませんでした。

その他の社会的波及効果の高い事案について、どう思われましたか?


連結納税のミス修正の事務負担を軽くすることを検討!

 財務省は、企業グループを一体とみなして法人税を計算する連結納税制度について、企業の事務負担の軽減をめざしているようです。
制度を使えばグループ内の利益から損失を差し引いて課税所得を圧縮できる半面、1つの子会社の税務申告に間違いがあるだけでグループ全社の集計作業がやり直しになります。
企業にとって大きな負担のため、ミスした企業の修正だけで済むような制度の見直しを検討するようです。

政府税制調査会(首相の諮問機関)で、近く連結納税制度の見直しを検討事項の一つに取り上げるそうです。
制度が複雑なうえ、企業実務に絡む専門的な議論が必要なため、2019年度の税制改正をめざすのではなく、中期的な課題と位置づけて議論するようです。
財務省は、政府税制調査会などで企業側の意見を聴き、問題点を洗い出します。

2002年度に導入された同制度を使うと、国内グループ企業の利益と損失を通算できるため、一般的には個別に納税するよりも、法人税がかかる所得を小さく抑えられます。
制度を使うかどうかは企業が選ぶことができます。
2010年度税制改正で、子会社が持つ過去の欠損金を反映できるようにするなど使い勝手がよくなり、利用が増えました。
現在、資本金1億円以上の大企業のうち、3割超が制度を利用しています。

一方で、税務申告にかかわる企業の事務負担は重くなりがちです。
特に、対象となる子会社や孫会社のどこか1か所で経費計算などにミスが起きるだけで、グループ全体の集計作業がやり直しになる問題を抱えています。
対象企業の税務上の損失や控除額などをいったん足し上げて、全体の税額などを計算するためです。

こうした負担を軽くする方策の一つとして、財務省内では連結納税の対象となる各社がそれぞれ個別に税務申告書をつくる案が浮上しています。
現行制度では、親会社がまとめる連結申告書に一本化されています。
情報を一括して把握できる半面、いったん内容に疑問が生じると、グループ全社で集計作業をやり直さなければ問題を修正できない原因にもなっています。

個別に申告書を備えておくことで、ミスが生じても部分的な修正だけで済まそうという考え方です。
個々の会社による申告書の作成作業が増えるようにみえますが、実際には各社はすでに同じような作業を手掛けており、修正が必要になった場合の対応を大幅に簡素化できるメリットの方が大きいと財務省はみています。

税務当局にも利点があります。
例えば、申告内容に問題があれば、税務署は親会社だけでなく、全国各地の子会社も調べなければなりません。
制度の見直しは、「人員が限られ、十分な調査ができない」(国税庁関係者)という現状の改善につながります。

財務省は、連結納税の対象企業の範囲といった制度の骨格は変えない方針ですが、企業のM&A(合併・買収)の増加に対応する見直しなどは課題となりそうです。
現行制度では、新たに買収した会社を連結納税の対象に加えようとすると、その会社の資産の含み益に応じた税金を事前に払う必要が生じます。
せっかく買収した企業の価値が目減りしかねず、課税の繰り延べなどが検討課題となります。

僕自身は、連結納税の申告業務をやったことがないので、実務上の煩雑さなどが分からないのですが、『連結納税』というくらいですから、子会社の申告書にミスがあれば、グループ全体の集計が異なってくるのは当然だと思いますが、どうなのでしょうか?
手間をかけてでも税金を安くしたいという企業が使えばいいと思いますし、実務上の負担が大きいのであれば、もっとシンプルな制度にすればよいのではないかと思います。

連結納税のミス修正の事務負担を軽くすることを検討していることについて、どう思われましたか?


陸上自衛隊演習場の地権団体が100億円の申告漏れ!

静岡県にある陸上自衛隊東富士演習場の土地を国に貸し、賃料を得ている静岡県内の一般社団法人と一般財団法人の計10法人が、名古屋国税局から総額約100億円の申告漏れを指摘されたことが、関係者への取材でわかったようです。
2008年の公益法人制度改革に伴い、課税対象になった賃料収入を数年間にわたって申告していませんでした。
追徴税額は、過少申告加算税を含め計約20億円に上るようです。

関係者によると、御殿場、裾野、小山の21町には演習場に土地を貸している法人が11あるそうです。
以前、所得隠しを指摘された1法人を除き、残る10法人が指摘をうけました。
法人の大半は国から年間数億円の賃料を受け取っていますが、申告していなかったそうです。

公益法人制度改革前、10法人は公益法人の社団法人もしくは財団法人で、税の優遇を受けていました。
公益法人の場合、国に直接貸した土地の賃料は所得から除外され、非課税になります。
それゆえ、演習場の賃料も税金がかかりませんでした。

公益法人制度改革後、10法人は一般社団法人もしくは一般財団法人となり、公益法人ではなくなりました。
引き続き演習場の賃料が非課税とされるには、「特定の個人・団体に特別の利益を与えていない」ことなどが要件になりました。

国税局は、10法人は事務所がある一部の地域に限って寄付や助成をしており、これが特定の個人や団体への利益供与にあたると認定されたようです。
非課税の要件を満たしていないとして、演習場の賃料は申告が必要な所得と判断した模様です。

年間約5億円の賃料収入があるという御殿場市の法人代表は、取材に対し、5年分で計約25億円の申告漏れを指摘されたことを認めたようです。
この代表は「演習場による賃料は非課税だと思っていた。税理士にも相談したが、わからなかった」としています。

「税理士にも相談したが、わからなかった」というところからは、これらの法人に顧問税理士がいるのか単に相談しただけなのかどうかは分かりませんが、多額の収入があるわけですから、公益法人制度改革時にきちんと税務面での検討を行うべきだったように思います。
直感的に、寄付や助成の仕方を変えれば、行けるかもしれないのではないかと感じますね。

陸上自衛隊演習場の地権団体が100億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


NPO法人による障害者就労支援に課税!

 NPO法人による障害者向けの就労支援について、国税庁が「原則、収益事業で納税義務がある」との見解を示したようです。

 全国の小規模作業所に不安が広がり、課税を不服として争う法人もあるそうです。
作業所などの全国団体「きょうされん」(事務局・東京)は近く、国税庁長官に撤回を求めるようです。

 国税庁は、2017年7月、ホームページで見解を発表しました。
こうしたNPO法人は障害者と契約して役務を提供し、利用料を受け取る「請負業」との判断を示しました。

税法上、収益事業は「継続して事業場を設けて行われるもの」で、請負のほか、物品販売、製造など34業種が限定列挙されています。
国税庁の法人課税課の担当者は「NPO法人の障害福祉サービスは以前から収益事業だが、複数の税務署から相談があり、見解を示した」と話しているようです。

広島市の「つくしんぼ作業所」は国などの給付を受け、就労困難な知的障害者が家にこもらないように働く場を提供し、1946歳の男女18人がクッキーを作るなどしています。
2007年にNPO法人となった際、税務署から「収益事業でない」と説明を受けたそうです。
しかしながら、2015年に一転して収益事業と指摘され、法人税や無申告加算税など過去3年分で計約200万円を課されました。

2017年4月、「運営はボランティアの支えもあり、福祉が目的で収益事業ではない」と、広島国税不服審判所に税の取り消しを求めて審査請求しました。
今月にも結論が出る見通しです。
厚生労働省によると、つくしんぼ作業所のようなNPO法人は、全国で約3,300201610月現在)に上るようです。

きょうされんは、201712月、障害福祉サービスを実施する加盟の507NPO法人にアンケートを実施しました。
回答した231法人のうち、法人税を申告したとするのは77法人でした。
多田薫事務局長は、「資金力のない法人は課税で圧迫され、福祉サービスが低下しかねない」と話しています。

NPO法人は、そもそも非営利団体のことです。
特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人は株式会社と違い、毎年の利益や解散する時の残余財産を構成員に分配できませんが、利益を上げる事業は行えます。
法人税は所得に課税するので、赤字のNPO法人は課税されません。
なお、所得が年800万円以下のNPO法人の税率は、中小企業と同じ15%です。

これに関しては。このような法人に限らず、収益事業かどうかという判断に迷うことが多々あります。
納税者の方も、なぜボランティア的なことをしているのに課税されるのかと思ったりすることが多いのではないでしょうか?
ただ、安易に収益事業ではないとすると、おそらく悪用する方がたくさん出てくるのでしょう。
個人的には、まず、『特定非営利活動法人』という名称を変えたほうが良いのではないかと常々思っています。
普通の方は、『非営利』と言われると『営利を追求しない』と考えるでしょうから。
あとは、税法上『収益事業』となる34業種も、見直す時期に来ているのではないかと感じています。
これは、時代の変化に合わせて新たな業種も生まれてくるでしょうから、タイムリーに改正していかないといけないと思います。

NPO法人による障害者就労支援が課税されることについて、どう思われましたか?


2019年からスマホでコンビニ納税!

2018年01月19日(金)

2019年1月から、スマートフォン(スマホ)などを使い、コンビニエンスストアで納税できるようになるようです。
スマホやタブレット端末などで手続きを簡素にし、電子申告・納税の利用を促します。
納税者らの利便性を高めるほか、税務署の納付書の宛先確認や郵送といった業務の削減を目指します。

財務省と国税庁が主導します。
納税者が電子申告するとその税額や、所得税や法人税といった税目などのデータを記録したQRコードがPDFとして表示されます。
利用者がスマホ画面などに表示されたQRコードをコンビニの読み取り端末にかざすと、税目や税額が印字された書類が発行され、レジで税金を納めることができます。

納税は現金で、全ての税目が対象となります。
読み取り端末はセブンイレブンの「マルチコピー機」やファミリーマートの「Famiポート」、ローソンの「Loppi」などを想定しています。

こうした端末では、既に、イベントのチケットやスポーツ振興くじ(toto)の購入、住民票の写しや印鑑登録証明書などの発行、自動車保険の加入といった手続きができます。
2019年からスマホを使った納税も加わります。

ただ、QRコードの読み取り端末があるコンビニでしか使えず、現状では対象となる店舗が限られるようです。
財務省と国税庁は今後利用できるコンビニを広げていく考えです。

スマホ納税の利用者として想定されるのは、主に個人事業主や法人です。
現在は電子申告したあとに、税務署が作成した納付書を受け取りに行ったり、税務署から郵送してもらったりして、納付書を手に入れなくてはなりません。
納付書があれば今もコンビニで支払えますが、税務署や銀行で支払う人がほとんどだそうです。

また、電子申告をするにはこれまでは本人認証でマイナンバーカードなどの電子証明書や読み取り機器が必要でしたが、2019年からは税務署で一度でも本人確認すれば、IDとパスワードで認証できるようになるため、電子申告を利用する人が増えるとみられます。

政府は規制改革推進会議でICT(情報通信技術)による業務コストの削減を掲げており、電子申告・納税の普及を進めています。
コンビニは生活者にとって様々なサービスの拠点となっており、身近なスマホを使って納税できるようになれば、利便性が高まり電子申告・納税に弾みがつくでしょう。

実は、税理士も僕が使っている申告用のソフトであるNTTデータの達人シリーズなんかは、数年前から納付書を出力できるようになっています。
しかしながら、納付書は3枚綴りなので、B4に3枚分が印刷され、それを3枚に切って、銀行の窓口などに持って行く必要があり、少し手間です。
QRコードでいけるとなると、便利になりますね。
一方で、最近、窓口に来る人がかなり減っていると言われている銀行ですが、税金の納付の方がまぁまぁ多いのではないかと思います。
これらの方がコンビニで支払うようになると、銀行は不要になってきますね。
AIに取って代わるとも言われていますし、最近、手数料の値上げとか言っていますが、銀行の存在自体が危うくなってくるかもしれませんね。

2019年からスマホでコンビニ納税ができるようになることについて、どう思われましたか?

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三井住友海上とあいおい損保が合併し東京海上日動を抜き売上首位に!

朝日新聞によると、損害保険業界3位の三井住友海上火災保険と4位のあいおいニッセイ同和損害保険が合併する方針を決めました。

持ち株会社のMS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)が、先日、正式に発表しました。

実現すれば東京海上日動火災保険を抜き、国内損保の事業規模で首位となります。

人口減などで国内市場は縮小が見込まれており、合併による効率化で収益性を高め、より強固な事業体制を構築します。

発表によると、合併時期は2027年4月をめどとします。

「今後、具体的な検討・対応準備を進める」とし、新社名や合併方式、トップの選任などは未定だそうです。

両社をめぐっては2010年4月、持ち株会社にぶら下がる形で、三井住友海上と、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険が経営統合しました。

そして、2010年10月、あいおい損保とニッセイ同和損保が合併し、あいおいニッセイ同和損保となりました。

その結果、損保大手3グループのなかで唯一、中核損保を2社持つ体制となっていました。

売上高に相当する正味収入保険料(2023年度)でみると、三井住友海上は1兆6,233億円、あいおいニッセイ同和が1兆3,689億円でした。

首位の東京海上日動が2兆4,179億円、2位の損害保険ジャパンが2兆1,779億円なので、今回の2社が合併すれば収入規模で3兆円近くに増え、首位に躍り出ます。

以前から、グループの中でなぜ2社あるのだろうか?と疑問に思っていましたが、ようやく一つになりますね。

ビッグモーターの事件やら、出向者の情報漏洩問題やらで、色々と大変なんでしょうね。

時代的に人手不足でしょうから、合併することによって重複している業務は統合して、その分、新たな業務等に回すことで、人手不足の解消かつ収益の改善を図ってほしいですね。

三井住友海上とあいおい損保が合併し東京海上日動を抜き売上首位になることについて、あなたはどう思われましたか?


旧年金施設の組織改編巡り運営会社が20億円の申告漏れ!

読売新聞によると、旧「年金福祉施設」を運営する企業グループの組織再編を巡り、運営会社「ホテルマネージメントインターナショナル」(HMI、東京都中央区)が東京国税局から約20億円の申告漏れを指摘されたことが関係者の話でわかったようです。
吸収合併した子会社の欠損金を取り込むことで所得が圧縮されていましたが、税負担の軽減が目的の「租税回避行為」に当たると判断されたとみられます。

過少申告加算税を含む法人税の追徴税額は約5億円です。
HMIは修正申告に応じており、取材に「解釈の相違があったが、意見交換をしていく中で国税局の解釈が正しいと判断した。租税回避や仮装・ 隠蔽いんぺいの認定を受けた事実はない」と文書などで回答しました。

関係者によると、HMIは2017年10月、ホテル運営会社「 知立観光」(愛知県、解散)を子会社化しました。
翌11月21日、知立観光が出資して新たに合同会社を設立し、知立観光が全国約10か所で運営していた旧年金福祉施設などのホテル事業を合同会社に承継しました。

会社間で事業や不動産を承継する場合、帳簿上の価格(簿価)と時価に差があれば、譲渡益や欠損金が発生します。
知立観光が運営していた施設は建設から年数がたち、時価が簿価を下回っていたことから、知立観光に約35億円の欠損金が生じました。

8日後の11月29日、HMIは知立観光を吸収合併し、欠損金をHMIに取り込みました。
HMIはその後の2019年6月期の税務申告で、この欠損金のうち約20億円を自社の黒字と相殺し、法人税額をゼロと申告しました。

これに対し、2020年に開始された東京国税局の調査では、吸収合併の前日、知立観光が合同会社の経営権(持ち分)を別の関連会社に譲渡していたことが判明しました。

企業の合併や分割に関わる「組織再編税制」では、別会社に譲った事業や不動産に対する「支配」が続いていると、欠損金が発生しない仕組みになっています。
HMIの組織再編では、知立観光が合同会社の経営権を手放したことで、欠損金が生まれていました。

しかしながら、東京国税局の調査では、再編後、接客や仕入れなどの施設の運営は、合同会社やその経営権を持つ関連会社ではなく、HMIが実質的に行っていたことが確認されたそうです。

東京国税局はこうした経緯を踏まえ、一連の再編には欠損金を利用して税負担を減らす狙いがあったと判断し、欠損金の計上や黒字との相殺は認められないと指摘したとみられます。

ちなみに、HMIは2005年設立で、旧年金福祉施設などを買収して事業を拡大しています。
2008年には郵政民営化に伴う「かんぽの宿」の入札にも参加しました。
2022年6月時点で全国46施設を運営しています。
民間の信用調査会社によると、2021年6月期の売上高は約196億円です。

なお、年金福祉施設 とは、「厚生年金会館」や「健康福祉センター(サンピア)」など、国が厚生年金や国民年金の保険料を使って建設したものです。
保険料の無駄遣いと批判され、2005~2010年に約300施設が民間に売却されました。

その後、HMIのホームページに、この件に関して、ニュースリリースが公表されています。
それによると、『意図的な租税回避行為や仮装隠蔽などの不正行為を行ったというような事実は一切ございません。また、今回の修正申告において、重加算税も課されておりません。』と書かれています。
重加算税が課されていないのであれば、仮装・隠ぺいはなかったということですね。
組織再編に詳しい税理士も付かれているでしょうから。

旧年金施設の組織改編巡り運営会社が20億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


「合併は租税回避目的」でPMG子会社が57億円の申告漏れ指摘も不服で提訴!

産経新聞によると、全国で100か所以上のゴルフ場を経営するパシフィックゴルフマネージメント(PGM、東京都台東区)の子会社が、東京国税局の税務調査を受け、約57億円の申告漏れを指摘されていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
合併で引き継いだ欠損金(赤字)を用い、租税回避を図ったと判断されたもようです。

PGM側は過少申告加算税を含む約15億円を追徴課税(更正処分)され、処分の取り消しを求める訴訟を東京地裁に起こしました。

関係者によると、ゴルフ場などの資産を保有する子会社「PGMプロパティーズ」は2017年2月、グループ会社と合併し、企業再編を優遇する税制に基づきグループ会社の約57億円の赤字を引き継ぎ、利益と通算(相殺)して税務申告しました。
ただし、グループ会社の赤字はもともと別のグループ会社で発生したもので、直前に別のグループ会社との合併を通じて引き継いでいました。

これに対し国税局は、別のグループ会社は事実上の休眠会社で、2度にわたる合併は赤字を子会社に移すことが目的だったと指摘しました。
税制の乱用と判断して赤字の引き継ぎを認めず、申告漏れの対象にしたようです。

PGM側は、合併は経営の効率化などが目的で、別のグループ会社も「休眠会社ではない」と主張し、課税処分を不服として2021年4月に提訴しました。
PGMは、「買収によって増加した法人を合併で減少させるビジネスモデルを基本としている。今回の合併も従前どおりで何ら『不当』なものでなく、税制度の乱用を行った事実もない」とコメントしています。

『買収によって増加した法人を合併で減少させる』というのがビジネスモデルと言えるのかどうか疑問ですが、合併を2段階で行う必要性があるのかどうかが問題とされたんでしょうね。
直前ということなので、節税目的と判断されても仕方ないような気はしますが。
一昔前のように、条文で細かい規定がなされているからこれを満たせば良いというのは間違いで、組織再編は、きちんとストーリーを描いて、租税回避と判断されないようにきちんと理屈付けしておかないと否認される可能性が結構高いということを改めて感じた1件でした。

「合併は租税回避目的」でPMG子会社が57億円の申告漏れ指摘も不服で提訴したことについて、どう思われましたか?


使い捨てカイロ大手の「桐灰化学」が日本初の「地球温暖化」で姿を消す!

 使い捨てカイロ国内大手の桐灰化学(大阪市淀川区)が、親会社の小林製薬に吸収合併され、104年にわたる歴史の幕を閉じることになったようです。
百年企業だった桐灰化学の息の根を止めたのは、「地球温暖化」でした。

2019年1月に米カリフォルニア州の電力大手PG&Eが、異常乾燥で発生した大規模な山火事により経営が悪化し、連邦破産法11条の適用を裁判所に申請したのが「世界初の地球温暖化による経営破綻」とされます。
日本でもスキー場などの廃業は相次いでいますが、地球温暖化よりもスキー人口の減少による影響が大きいようです。
国内で公式に地球温暖化を理由とした会社の消滅は、桐灰化学が初めてとみられます。
今後も温暖化による企業の倒産や救済合併が増加する可能性が高いようです。

桐灰化学は1915(大正4)年に広島市で、創業者の植木康之氏が半練製カイロ灰を製造する「植木カイロ灰製造所」として創業しました。
1928年に大阪市東淀川区に三国工場を設置して以降、同区内に工場を建設し、大阪を拠点に事業を拡大しました。

同社の転機は1989年の「はるカイロ」の発売です。
使い捨てカイロの片側を粘着面に加工し、衣服の上から貼るというアイデアが大ヒットし、使い捨てカイロ市場をリードする存在となりました。
1997年には群馬県藤岡市に藤岡工場を開設し、東日本での生産にも乗り出しました。

ところが、消耗品である使い捨てカイロはスーパーやドラッグストアなどで「安売り」の目玉となり、市場競争が激化しました。
2001年に小林製薬の100%子会社になり、その後は2006年に米Heat Max, nc.を、2012年には米Grabber,Inc.を、それぞれ子会社化するカイロ事業の海外展開などで、温熱製品は小林製薬グループの主力製品の一つに育ちました。

しかしながら、「地球温暖化に伴う暖冬傾向が想定され、市場も競争激化の流れにある中で、カイロを中心とした温熱製品のさらなる成長のためには開発・販売体制を抜本的に見直す必要がある」(小林製薬)として、2020年7月1日に吸収合併の上、桐灰化学を解散することになりました。

今後は小林製薬の営業力を活かして使い捨てカイロの国内販売力を強化するとともに、桐灰化学の温熱技術をより効果的に活用した新製品開発を加速するようです。
地球温暖化で気温は上昇していますが、冬向けのシーズンビジネスを展開する企業にとっては背筋も凍る「超氷河期」を迎えたようです。

僕の中では、カイロと言えば、『桐灰』でしたので、非常に残念ですね。
地球温暖化は、様々なところに影響を及ぼすんだなぁと改めて感じました。
使い捨てカイロは、旭化成が発明し、ロッテ電子工業が『ホカロン』を発売したことで一気に売れたということですが、本当に素晴らしい発明でしょうね。
別の技術に応用して、新たなヒット商品を出してほしいと思います。

使い捨てカイロ大手の「桐灰化学」が日本初の「地球温暖化」で姿を消すことについて、どう思われましたか?


ユニマットグループ3社が組織再編で100億円の申告漏れ!

2018年06月26日(火)

オフィス向けのコーヒーサービス事業などを展開する「ユニマットライフ」(東京都港区)などグループ企業3社が、平成283月期までの数年間で総額約100億円の申告漏れを東京国税局から指摘されていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

関係者によると、税務調査を受け申告漏れを指摘されたのは、ユニマットライフのほかに、グループ持ち株会社の「ユニマットホールディング」と、リゾートホテルやゴルフ場などを経営する「ユニマットプレシャス」(いずれも東京都港区)だそうです。

グループ企業内の組織再編を進める中で、赤字企業を取り込んで黒字企業の所得を減らす行為があったようです。
国税局は、こうした組織再編について、租税を回避する目的があったと判断したとみられます。

個人的には、税法で組織再編時の要件をかっちりと決めているのに、伝家の宝刀である『行為計算の否認』を安易に用いるのはやめてほしいですね。
怖くて何もできなくなると、組織再編税制を作った意味がなくなってしまいかねないような気がします。
過去にも合併などを何度もやっている会社なので、事前に慎重に検討していると思いますので、不服であれば、争ってほしいですね。

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ベネッセがデジタルハリウッドを買収し社会人などデジタル人材育成事業を強化!

瀬戸内海放送によると、ベネッセホールディングスは、先日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が保有するデジタルハリウッド(東京都千代田区)の全株式を取得する譲渡契約を結んだと発表しました。

2025年1月31日に取得し、連結子会社にします。

デジタルハリウッドは、日本で初めて株式会社が設立した大学である「デジタルハリウッド大学」を運営しています。

ベネッセは、新たな成長領域として大学・社会人のデジタル人材育成事業を位置付けており、デジタルハリウッドの世界レベルの高品質な教育サービスを大学や企業に紹介すると共に、新たな教育コンテンツを開発してDX人材を育成したいとしています。

ベネッセグループは2022年に「大学・社会人カンパニー」を発足させ、オンライン動画学習プラットフォーム「Udemy」を提供しています。

ベネッセホールディングスは、業績が芳しくなく、2024年3月期の連結決算は、売上高は微減の4,108億円、営業利益は2%減の202億円、純利益が前の期比43%減の64億円で、MBO(経営陣が参加する買収)により上場廃止になりました。

僕も株主でしたが、スクイーズアウトとなりました。

営業利益は過去最高だった2011年3月期の半分の水準に落ち込んでいます。

主力の「進研ゼミ」が個人情報流出や少子化で苦戦するなか、教育のデジタル化や介護分野も含めたM&A(合併・買収)などで再成長を目指していくようです。

うちのこどもたちも教材を使っていますし、我が香川県の瀬戸内海を挟んでお向かいの岡山県を代表する企業だと思いますので、ぜひとも再成長を果たして欲しいですね。

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DTFAがM&Aなどの企業価値評価で重要な指標「割引率」を数分で算出するオンラインサービスを開始!

デロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(東京都千代田区、代表執行役社長:福島 和宏 以下、DTFA)は、企業がM&Aなどの取引や会計目的で企業価値評価を行う際に重要な指標となる割引率(加重平均資本コスト、WACC 以下、割引率)を専門知識のない人でも数分で算出できるオンラインサービス「Valuation Assist」(バリュエーションアシスト https://lp.valuation-assist.fa-biz.deloitte.jp/)を2023年12月7日から本格的に提供しました。

企業価値は、企業の価値を定量的に(金額で)表すことで、会社の収益力や保有資産、評価対象と類似する企業との比較など様々な観点から評価されます。

Valuation Assistには、企業価値評価の重要な指標である割引率の計算に必要な金利や財務データ、市場データが集められリアルタイムにアップデートされる仕組みになっており、割引率の計算が初めての方でも、類似企業の選択や評価基準日などを設定するだけで、短時間で客観性の⾼い割引率を算出することができます。

さらに、割引率の計算結果だけでなく計算式やサポートデータをエクセルで出力することができ、計算結果を客観的に説明する資料としても活用できます。

日本のM&A件数は年々増加しており、この傾向は今後も続くと予想されています。

割引率の計算を含む企業価値評価は、従来のM&Aの意思決定に加えて国際財務報告基準(IFRS)導⼊に伴う公正価値評価、コーポレートガバナンスにおける業績管理などでも求められており、ニーズは高まっています。

しかしながら、これらの業務は専門知識を要し、金利や財務データなど様々な所に散在するデータを取得し計算するため⼀定の⼯数がかかります。

また、外部機関に依頼すれば、必要な工数に応じて一件ごとに数百万円のコストがかかるなど、ハードルがあります。

そういった背景を受け、一定の客観性があり定額で割引率の算出ができるValuation Assistを開発しました。

Valuation Assistの特長は以下のとおりです。

・定額制で何件計算を行っても従量課金なし

・企業価値評価に豊富な経験を有する者が設計しており、ツールに組み込まれているナビゲーション機能を利⽤し、初⼼者でも簡単に割引率の計算を実施可能

・割引率の計算結果をExcelでダウンロードでき、社内説明資料作成等に利用可能

・ダウンロードしたExcelには計算過程や計算式、データの出典などが一定程度網羅的に含まれる

・割引率の計算に使⽤する財務‧市場データはリアルタイムにアップデートされるため、ある程度最新の計算が可能

<Valuation Assistのサービス概要>

利用料金:

3か月利用プラン30万円、年間利用プラン90万円(いずれも税別)

申込方法:

WEBサイトからお申し込みください

*利用に際して一定の審査を行います

利用方法:

類似企業検索・選択、評価基準日や各種パラメータの計算タイプなど計算前提を選択すると、割引率が表示され、WEBページ上で計算の明細と数値を確認できます

用語の説明やデータソースの確認もでき、計算式やサポートデータをエクセルで出力可能です

他社のサービスと比べるとかなり安価のようですから、一定のニーズはあるでしょうね。

一方で、株価算定業務で難しいこと、特に中小企業向けの場合の一つに、数値の説明が難しいというのがあると思いますが、この点は自動で計算されても、説明するのは知識のある人間という点は変わらないように思いますね。

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「そごう・西武」全株式の売却額は8,500万円で企業価値2,200億円から大幅減額!

ITmedia ビジネスオンラインによると、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は2023年9月1日に、子会社そごう・西武の全株式の売却が完了したと発表しました。
アメリカ投資ファンドFortress Investment Group(フォートレス)への売却額は8,500万円です。
2023年8月31日の発表時は、企業価値を2,200億円としており、売却額も同規模とみられていましたが、負債などがかさみ、実際の売却額は大幅に減額となったようです。

売却額は、企業価値2,200億円からそごう・西武とその子会社が抱える純有利子負債や運転資本に関する調整などを経て算出しました。

事業売却に合わせて、セブン&アイHDは業績も下方修正すると発表しました。
直近の2023年3月~8月期決算で1,457億円の特別損失を計上します。
そごう・西武の株式譲渡に伴い、1,659億円の貸付金のうち916億円の債権放棄のほか、損失補填を行ったためです。
修正前の純利益は1,380億円の黒字を見込んでいましたが、修正後は650億円減の730億円の黒字になる見通しです。
同様に通期(2023年3月~2024年2月)では、550億円減の2,300億円の黒字を見込んでいます。修正前は2,850億円の黒字としていました。

最近は久しぶりのストライキで話題になっていましたが、売却額は予想をはるかに下回る金額でしたね。
個人的には、百貨店は現在の世の中を考えると非常に厳しい商売だと思いますので、ヨドバシカメラが入った方が集客力は高まるように思うのですが、どうなんでしょうか?

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2022年2月にADRを申請した調剤大手のさくら薬局のクラフトを投資ファンドのNSSKが買収!

ミクスOnlineによると、調剤大手クラフトは、先日、さくら薬局グループの全株式を投資ファンドの日本産業推進機構グループ(NSSK)に譲渡し、経営支援を受けると発表しました。
クラフトは2022年2月、私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請しており、金融機関と協議を進めていました。
買収は、株式譲渡を含む事業再生計画案が取引金融機関の同意を得て成立することなどが条件となっています。

クラフトはさくら薬局などを全国に展開しており、2008年の非上場化以降、中小薬局を中心に積極的なM&Aを進め、270店舗から900店舗に拡張しました。
売上高も1,700億円を超え、調剤大手第3位となるまで成長していました。
ただし、借入金の返済負担が重くのしかかり、「営業キャッシュ・フローと有利子負債のミスマッチが生じていた」としています。

クラフトは、「NSSKグループの経営支援を受けることによって、より一層強固な収益体質の確立と管理体制の抜本的な改革・拡充を図り、社会インフラとしての調剤薬局の社会的使命を再認識し、強固な企業ブランドの構築と更なる成長を通じた企業価値の更なる向上を目指す」とコメントしています。
「NSSKグループの支援のもとで、今後も地域包括ケアシステムの一翼を担う薬局として、医師や看護師、介護従事者等と連携して、最良の医療・介護サービスを提供し地域住民の健康をサポートする。“健康や薬のことなどを、いつでも気軽に相談できる場所”として、今後も皆様に信頼される薬局であり続ける」としています。

NSSKは、独自の経営支援パッケージやメンバーの培った知見、国内外のネットワークを活用します。
「さらなる売上高の成長を企図した新規出店の実施、地域医療貢献等の各種体制強化とそれによる既存店舗の売上高の増加、経営管理指標(KPI)の見える化を含む経営管理手法の導入、ガバナンス・コンプライアンス体制の強化、コーポレート・フィロソフィーの浸透及びESG活動の推進等、クラフトが次のステージに向けてさらに力強く成長するための施策の立案・実行を支援する」としています。

店舗を増やし、売上高を増やそうとするあまり、M&Aの際に、結局高く買ったということなんでしょうね。
商売は売上高ではなく、利益が重要ということや、M&Aの際には、採算の計算をきちんとすべきだということを改めて感じた1件でした。

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株式譲渡で約1億6,500万円脱税した会社役員を高松国税局が告発!

NHKによると、高松国税局は、株式を譲り渡した際に得た所得を隠し、所得税およそ1億6,500万円を脱税したとして、不動産管理などを行う会社の代表取締役を、所得税法違反の疑いで松山地方検察庁に告発しました。

告発されたのは、東京都江東区に住む、不動産管理などを行う会社の代表取締役(71)です。

高松国税局によりますと、代表取締役は、自身の株式を譲り渡した際に得た平成28年分の所得、およそ11億600万円を隠し、所得税およそ1億6,500万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いが持たれています。

高松国税局は、2022年6月に松山地方検察庁に所得税法違反で告発したということで、その後、修正申告があったかどうかや、認否については明らかにしていません。

東京にお住まいの方を高松国税局が告発しているということは、途中で住所を変えているんですかね。
会社の経営者であれば申告が必要なのは当然分かっているでしょうし、株主の異動は法人税別表2などで分かると思いますが、バレないとでも思っていたのでしょうか?
株式の譲渡所得は分離課税で税率が低いと思いますが、どういう考えで申告しなかったのか知りたいですね。

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アシックスがランナーのためのポータルサイトを運営するアールビーズの株式を取得し子会社化!

日本M&Aセンターによると、株式会社アシックスは、日本テレビホールディングス株式会社(東京都港区)と共同で、株式会社アールビーズ(東京都渋谷区)の自己株式を除く発行済株式の全てを取得する株式譲渡契約を締結しました。

アシックスがアールビーズの株式の65%を取得し、グループ会社化するとともに、日本テレビHDが35%を取得するようです。

アシックスは、各種スポーツ用品等の製造および販売を行っています。
ランニング事業を重点戦略の一つとして、マーケットシェアの拡大やプレゼンスの向上などを図っています。

アールビーズは、ランナーのためのポータルサイト「RUNNET」や大会エントリー連動型トレーニングアプリ「TATTA」の運営、国内ランニングイベントの運営受託および企画開発などを行っています。

本件M&Aにより、アシックスは、アシックスの顧客にはアールビーズが手掛けるランニングイベントへの参加を促し、RUNNET会員にはアシックスの製品およびサービスを利用してもらうなど、より多くのランナーに対してシームレスにサービスを提供することを目指します。

また、日本テレビHDとは、日本テレビHDが運営するフィットネスクラブ「ティップネス」やアスリートによるコーチ事業「ドリームコーチング」などと連携し、3社協業による「ランニングに関わるすべてが揃う」プラットフォームの構築を目指します。

アシックスは海外売上が多く、過去最高益を計上するなど最近、業績が好調のようですが、そういう時に次なる手を打つということは、経営者が優秀なんでしょうね。
個人的にも、アシックスのシューズは好きなので、頑張って欲しいですね。
ちなみに、アシックスはオニツカタイガーというブランドを持っていますが、元々は、鬼塚株式会社だったそうです。

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ソフトバンク及びZホールディングスがPayPayを連結子会社化へ!

日本M&Aセンターによると、ソフトバンク株式会社は、Zホールディングス株式会社との間で、PayPay株式会社(東京都千代田区)を両社の連結子会社とする取引契約を締結しました。

ソフトバンクとZホールディングスは折半で出資し、持ち株会社「Bホールディングス」を新たに設立し、BホールディングスはPayPayの優先株を普通株に転換するなどの方法で、PayPayの親会社となります。

ソフトバンクは、移動通信サービス・固定通信サービス・インターネット接続サービスの提供、携帯端末の販売を行っています。

一方、Zホールディングスは、グループ会社の経営管理を行っています。
グループ会社は、ヤフー株式会社、LINE株式会社、アスクル株式会社、株式会社GYAOなどがあります。

また、PayPayは、モバイルペイメントなど電子決済サービスの開発・提供を行っています。

ソフトバンクとZホールディングスは、PayPayの収益機会と経済圏の拡大と、グループ内のシナジー強化を図ります。

今後の予定としては、2022年10月1日に株式交付の効力が発生するようです。

色々とグループ内で再編を行う会社ですね。
過去には、節税が目的と思われるものもあったかもしれませんが、再編で、シナジー効果が強化されるのであれば、どんどんやればいいなぁと思います。
個人的には、電子決済サービスはたくさんあり過ぎるので、淘汰されて数社になればいいのになぁと思っていますので。

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天満屋ストアが駅弁等の製造販売を行う三好野本店の株式を取得し子会社化へ!

日本M&Aセンターによると、株式会社天満屋ストア(9846)は、株式会社三好野本店(岡山県岡山市)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

取得価格は、アドバイザリー費用等も含め、約705百万円だそうです。

天満屋ストアは、食料品・生活用品・衣料品の販売を行っており、岡山県を中心に広島県東部、鳥取県にて店舗を展開しています。

三好野本店は、駅弁などの製造販売、高速道路のサービスエリア運営を行っています。

天満屋ストアは、三好野本店の製造販売事業におけるブランド力や運営ノウハウの活用による、天満屋店舗とのセールスシナジーやコストシナジーを期待し、本件M&Aに至ったようです。
更なる販路拡大や、三好野本店がもつ冷凍技術を活用した新たな商品展開を進めるなど事業拡大を図ります。

香川県と岡山県は近いですし、新幹線に乗るときは岡山駅から乗りますし、ドクターイエローのお弁当などを売っていたので、三好野本店の名前は知っていたのですが、天満屋ストアに買収されるんですね。
天満屋ストアは、親会社の天満屋の高松天満屋もそうですが、以前は高松市などに出店していましたが、10年近く前に香川県からは撤退してしまいましたが、頑張って、こどもたちが喜ぶような駅弁を今後も作っていって欲しいですね。

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「企業価値417億円」Origamiをメルカリが買収した理由!

2020年1月23日、メルカリの100%子会社でスマホ決済サービスを提供するメルペイが、同じくスマホ決済サービス企業であるOrigami(オリガミ)を買収すると発表しました。

このときは、買収金額は非公表でした。

メルカリ広報担当者はBusiness Insider Japanの取材に対し、Origami Payとメルペイのサービスは今後統合される方針と説明しました。

ただし、加盟店やアプリを使っているユーザーには今後、移行を促していくものの、Origami Payアプリそのものがメルペイに切り替わったり、加盟店がそのままメルペイ加盟店として吸収されるわけではない、としました。

買収後も当面、法人格としてのオリガミは存続します。

これは、トヨタが提供する決済アプリ「TOYOTA Wallet」の決済機能や、全国の数百の信用金庫へのキャッシュレス決済基盤など、企業向けの決済技術をオリガミが提供しているためだそうです。

とはいえ、この時点では基本合意という段階でもあり、買収後の人材配置については「現時点では何も決まっていない」(メルペイ広報)とのことでした。

これまでもメルペイは加盟店開拓に関する協業などのために、他の事業者との連携は密にとってきました。

オリガミの買収交渉のスタート時期について、メルペイ広報は「(2019年)11月以降、業界全体の動きが加速していった」と説明しました。

「11月」とは、言うまでもなくヤフーとLINEの経営統合発表のことです。

キャッシュレス決済の巨大プレイヤーどうしが1つのグループになることによる「業界再編」が急速に進む中で、メルペイ、オリガミはさらに一歩踏み込んだ「協業」を模索し、それが今回の買収に至ったのです。

オリガミは地方の個人店舗など、中小事業者のネットワークを持っており、中規模の事業者に強みのあるメルペイにとっては、相互に補完関係のあるビジネスでした。

オリガミは2012年に創業し、2016年から他社に先駆けてQRコードをつかったキャッシュレス決済サービスを国内で展開してきました。

Origami Payを導入する加盟店は、累計で19万か所で、日本経済新聞は2019年11月に発表した「NEXTユニコーン調査」で、オリガミの企業価値を417億円としていました。

一方、DIAMOND onlineによると、2020年1月23日には両社は売却価格を非公表としていましたが、複数の関係者は1株1円だったことを明らかにしたようです。

オリガミの株数は259万株であるため、譲渡価格は総額約259万円だったことになります。

日本経済新聞社が2019年11月に発表した発表した「NEXTユニコーン調査」では、オリガミの企業価値は417億円と算定されており、今回の売却価格は市場評価を大きく下回ったことになります。

金融関係者は「フィンテック(金融とITの融合)・バブルの崩壊」と語っています。

複数の関係者によると、オリガミは売却発表と同時に社内向けに大規模な人員削減策を公表したようです。

社員185人のうち約9割にあたる160~170人規模のリストラ策に踏み切るようです。

大半の社員は1月末が最終出社となり、2月末で退職になるようです。

これは事実上の解雇に当たりますが、今回のメルカリへの売却は実質的な経営破綻となるため、「人員削減の必要性という項目に該当し、いわゆる整理解雇の位置付けだ」と関係者は明かしたようです。

ダイヤモンド編集部の取材に対し、譲渡価格についてメルカリの広報担当者は「非公表のためノーコメント」とし、リストラの人数についてはオリガミとメルカリの両広報担当者共に「両社が最大に強みを発揮できる適切な人員配置を検討している」と語るにとどめました。

オリガミはコスト面の負担が大きい一方で収益が追い付かず、2020年1月中旬の段階で「残り数週間で資金がショートするレベル」(関係者)だったようです。

康井義貴社長をはじめ、オリガミ幹部は資本調達に走り回りましたが、出資先が見つからずに八方ふさがりとなり、最後にたどり着いたのがメルカリでした。

康井社長は1株1円という破格での売却の代わりに従業員の雇用維持を申し入れたが、従業員の削減が「メルカリからの買収条件だった」(オリガミ元社員)ようです。

日本企業では、買収元が買収先企業の従業員の大リストラに着手する事例は少ないが、「スタートアップの救済であれば妥当だ」とベンチャーキャピタル関係者は指摘しています。

オリガミがしのぎを削っていたキャッシュレス決済の分野は、官民一体による推進と消費増税の緩和策として取られたポイント還元制度などを追い風に、多数の新規プレイヤーの参入が続いていました。

中でもオリガミは、2012年創業でいち早くキャッシュレス決済に進出した業界のフロントランナーで、信用金庫の中央銀行としての役割を担う信用中央金庫と資本業務提携を結び、地方の加盟店開拓にも取り組んでいます。

しかしながら、ソフトバンクグループ傘下の PayPay(ペイペイ)は、消費者還元キャンペーンを繰り返して顧客を拡大しました。

加えて、ヤフーとLINEの経営統合によりLINEPayの顧客基盤が加わることになりました。

PayPayの加盟店数185万か所に対して、オリガミは約19万か所にとどまり、すでに大きく劣後しています。

レガシー(負の遺産)を抱える銀行や証券会社など従来の金融プレイヤーがサービス改革に出遅れる中、イノベーターとして勃興してきたフィンテック・ベンチャーですが、「これまでは、赤字でも粗利益さえ増やせば資金は後から付いてくるというビジネスモデルだったが、大きな転機に差し掛かっている」と話す金融業界関係者もいるようです。

現在、多額のリスクマネーがフィンテック・ベンチャーに流れていますが、今後はより一層スタートアップの真贋が問われるでしょう。

何ちゃらPayがたくさんありますが、複数社に集約されるのが目に見えている中で、オリガミが買収されるのは当然の結果だと思います。
利用者としては、何ちゃらPayの数をできれば絞りたいはずで、使える店が少ないオリガミなどは淘汰されてしまうでしょう。
2019年11月の企業価値が417億円だったというのが驚きですね。
弊事務所も加盟店になっているPayPayも、手数料がいらないということで加盟店を増やしているはずですから、手数料を取り始めると、加盟店はおそらくかなり減ると思います。
PayPayですら、将来稼いでいけるのか疑問なわけですから、加盟店の少ないそれ以外のところは将来性があるのでしょうか?

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親族外への事業承継の税優遇として株式の売却が5,000万円までを上限に検討!

 日本経済新聞によると、後継者難の中小企業経営者に第三者への事業譲渡を促す新たな税優遇について、経済産業省と財務省は、売却額5,000万円を上限とする案の検討に入ったようです。
後継者難による廃業を防ぎつつ、過剰な税優遇による不公平や制度の不正利用が生じないよう制限をかける方向だそうです。

中小企業のオーナー経営者が、自分の会社を他社などに売ると、売却額と売った株の簿価との差分だけ利益が生じ、通常は20%の所得税がかかります。
2020年度の税制改正で、経済産業省は、この利益にかかる税負担を一定条件のもとで軽減したり、先送りしたりできる税優遇を創設するよう求めています。
今後、与党の税制調査会で議論し、制度創設を判断するようです。

財務省側からは制度の乱用や税逃れを懸念する声が上がっています。
このため経産省は、税優遇を利用できる対象に制限を設け、売却額5,000万円を上限とする案を提示しました。
また、伝統産業やサプライチェーン維持に重要な役割を果たす「地域経済に不可欠な存在」と、国に認定された中小企業だけが、税優遇を使えるようにすることも盛り込みました。

会社の買い手に対して一定期間、事業を続けることを求めることも盛り込まれるようです。
前オーナーから会社を買い、すぐに重要な資産を売却したり事業をたたんだりすると、税優遇をしてまで事業承継を支援した意味がなくなるためです。

もしそのような事態になったら、売り手側の前オーナー経営者に、軽減された税負担分を国庫に返納させる仕組みにする案も有力です。

「一定期間」をどのくらいの長さとするかについては、経済産業省と財務省の間で意見の違いが出ているようです。
できるだけ短くしたい経産省側は1年程度を考えているようですが、財務省側は制度の悪用を防ぐためにも5年程度は必要だとみているようです。
親子など親族内の承継を後押しする「事業承継税制」では、5年間は事業を継続するという条件を課しているからです。

経済産業省によると、2025年には全国の中小企業の経営者の約6割が70歳以上になり、その半分の約127万人はまだ後継者が未定だそうです。
経済産業省は、後継者難による廃業を回避するため、親族内の事業承継に限らず第三者への譲渡にも支援が必要と主張しています。

一方、第三者への承継は要するに「身売り」そのもので、親族内での承継とは全く異なるという指摘も与党や財務省から出ています。
中小企業の後継者が見つからなかったり、身売りがうまくいかなかったりする理由は税以外にもあるという意見も根強く、与党税調でも主な議論のテーマの一つになりそうです。

個人的には、税負担が重いため、事業承継をしないケースがそれほどあるのだろうかと思いますが、優遇制度を作れば、第三者承継(いわゆるM&A)という形の事業承継も少しは進むのかなぁとも思います。
所得税の世界では、20パーセントの税率というのはそれほど高くないからです。
また、5,000万円という上限を決めると、テクニカルに株式の譲渡価額を5,000万円以下に抑えるようなことが行われるでしょうから、その辺りも含めて、慎重に決めて欲しいなぁと思います。

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ソフトバンクグループの節税策を受け財務省が抜け穴封じへ!

 財務省は、ソフトバンクグループ(SBG)が用いたM&A(合併・買収)に絡んだ節税策を防止する方針を固めたようです。
同一グループ内の資本取引で実態に変化がないにもかかわらず巨額の赤字を意図的につくり出して、ほかの部門の黒字と相殺して法人税を減らす手法を認めないようにします。
予期せぬ大規模な節税につながった制度の抜け穴をふさぎます。

財務省が問題視しているのは、子会社などが中核事業を放出して企業価値が落ちた状態にしてから売却し、簿価と売却額の差だけ赤字を発生させる仕組みです。
このため、子会社の中核事業を手放す際には簿価も目減りさせるルールを軸に検討するようです。
子会社を売却しても簿価と売却額の間に差がなくなり、意図的に赤字をつくれなくなります。

与党の税制調査会での議論も踏まえて、2020年度の税制改正大綱に関連法令の見直し方針を盛り込みたい考えのようです。

SBGは買収したアーム・ホールディングス(HD)と、その中核事業を担う子会社の「アーム・リミテッド」に関する資本取引で大規模な節税を実施しました。
開示資料などによると、SBGは2018年3月にリミテッド株の4分の3をアームHDから配当という形で吸い上げました。
これにより、アームHDの実質的な価値は大きく目減りしました。

SBGは買収時より価値が大幅に落ちたアームHD株の8割弱を同じく傘下にあるソフトバンク・ビジョン・ファンドなどに売却して赤字を発生させました。
この赤字をほかの事業で生じた黒字と相殺し、SBGの法人税負担はゼロになりました。
中核事業のアーム・リミテッドは親会社が変わりましたが、SBGの傘下にあることに変わりはありません。

一つ一つの取引には違法性はなく、制度の抜け穴となっていました。
国税庁からの相談を受け、財務省は今夏ごろから対策の検討を始めていたようです。

一部有識者の間では、包括的に税逃れを制限する規定をつくるべきだという意見もあったようです。
こうした規定は一般的租税回避防止規定(GAAR)と呼ばれ、英国やインドなども導入しています。
ただし、発動の判断が難しいこともあり、各国当局もまだGAARを使いこなせていない状況です。

企業側からは、税務当局の出方が読みづらくなり、予期しない追徴課税を受ける可能性も高まるとして慎重な声も多いようです。
財務省は現段階でGAARの検討に踏み込まず、個別の節税策を封じることにしました。

僕自身、税理士なので、こういったスキームを提案できる税理士を尊敬しますし、ある種、それが税理士の存在価値の一つだと思っていますが、世論はそうではありませんね。
最近、良い節税スキームがあると、国税庁も研究して、結構早く改正してきますね。
結局のところ、税法の不備でしょうから、国税庁も悔しいんでしょうね。
一方で、現行ではO.K.という表れでもあります。
僕も、税理士として、いつの日か何か国税庁に塞がれるようなスキームを編み出したいですね(笑)。

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ソフトバンクグループの納税ゼロで税法・資本取引の対応の遅れが露呈!

 このBlogで何度も取り上げていますが、ソフトバンクグループ(SBG)が4,200億円の申告漏れを国税当局に指摘され修正申告しました。
問題は計上時期が異なった「期ずれ」にとどまりません。
2018年3月期に国内の法人税がゼロとなった裏側には、グループ内の株式移転のみで2兆円もの損失が生じる仕組みがあったのです。
企業グループの複雑化と資本取引の増加に対応できない税制の不備が露呈したのです。

国税当局は一連の税務処理を調査しましたが、不当な税逃れとまではいえないとの結論に至ったようです。
専門家は「一つ一つの行為は適法だが、全体としてみれば、税制の穴をつく租税回避行為との印象を受ける」(財務省主税局で税法の企画立案を長く担当した朝長英樹税理士)と指摘しています。

SBGは「税法に従って適正な処理を行った」とコメントしており、資本取引については「海外事業における最適な資本関係を実現するため」としています。

資本取引の流れはこうです。
SBGは2016年9月、イギリスのアーム・ホールディングス(HD)の全株を3.3兆円(当時の為替レート)で買収しました。
アームHD自体は持ち株会社で、価値の大半は半導体の設計子会社、アーム・リミテッドにあります。

イギリスの開示資料や関係者によると、アームHD社は2018年3月23日、SBGにリミテッド株の75%(2.6兆円)を現物配当しました。
同日、今度はSBGがアームHD株の78%を傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などに譲渡しました。
配当を出し、価値が落ちたアームHD株を譲渡したため2兆円の損が生じました。

業績悪化などの事態があったわけではなく、親会社が自ら配当として吸い上げたために損は発生したのです。
再編後もSBGはリミテッドの支配権の100%を間接分も含めて保有します。
実態に変化がないのに税のメリットを受けられたのです。

背景には2つの税の論点があります。
1つは日本の2009年度の税制改正で導入された「外国子会社配当益金不算入制度」です。
海外子会社からの配当は95%が益金不算入(非課税)となります。
二重課税を避けるとともに、海外の利益を日本に還流させ、経済を活性化する狙いがあります。

この制度では株式による現物配当も認められている点をSBGは活用したのです。
今回、SBGが受け取ったリミテッド株の2.4兆円分は非課税となったのです。
課税額が少なく、移転が容易になりました。

税務上の価値評価も影響しました。
日本の税法は原則、取得時の帳簿価格を重視します。
アームHDの簿価は、リミテッド株の75%を配当に出した時点で残り25%分の0.7兆円に修正されるのが実態に合います。
しかしながら、簿価は買収時のまま維持され、譲渡時に時価との差が損となってしまうのです。

専門家は「アームHD株の簿価が、適切に調整される規定が現行法では存在せず、不適切な譲渡損が発生してしまった」(アンパサンド税理士事務所の山田典正・代表税理士)と指摘しています。

日本の法人税法には、組織再編などで税負担を不当に減少させたと国税当局が判断した場合は申告内容を否認できる規定があるのです。
法人税法第132条の「行為計算否認規定」です。
ただし、何をもって「不当」とするかは法律上の明文規定はなく、見解の違いが生じやすくなっています。

この規定が適用され、約58億円を追徴課税された大手レコード会社が処分の取り消しを求めた訴訟では、2019年6月に東京地裁は国税当局の処分を取り消す判決を言い渡しました。
組織再編に伴う資金の借り入れなどが問題となりましたが、「経済的合理性がある」と判断されたのです。

今回のSBGでも同規定の適用が検討されたもようですが、国税当局は調査の結果、不当に法人税を減少させたとまではいえないと結論づけました。

企業活動は複雑化し、税の「抜け穴」全てはふさげません。
欧米では行きすぎた租税回避に対応できる「一般的否認規定(GAAR)」があります。
「日本でもGAARの導入議論が必要で、その際には適用条件も明確にすべきだ」(森信茂樹・東京財団政策研究所研究主幹)との声が強まっているようです。

組織再編をやるうえで、税額ができるだけ少なくなるような手法を使うのは、経済的合理性を考えれば当然かと思います。
結局のところ、税制の不備なのですから、おかしなところがあれば直せばよいと思いますし、条文を作るときから、もっと色々なことを想定して作らないといけないのではないかと思います。
そこには、高度な専門知識が不可欠だと思いますので、条文を作る側の方も常に情報を収集し、スキルアップをはからないと厳しいでしょうね。
批判もあるかと思いますが、僕も税理士ですので、これだけ巨額な取引に関し、こういったスキームを描いた税理士もすごいと思いますし、そういうことが税理士の存在価値を高めるのだと思っており、提案のできる公認会計士・税理士でありたいと思っています。

ソフトバンクグループの納税ゼで税法・資本取引の対応の遅れが露呈したことについて、どう思われましたか?


ソフトバンクグループがヤフーの再編で税務メリット!

 ソフトバンクグループ(SBG)は、先日、ヤフーを巡るグループ内の資本再編を完了させました。
ヤフーの親会社はSBGから国内通信子会社ソフトバンク(SB)に移り、5,000億円強の資金がSBGに入いります。
ヤフーの第三者割当増資と自社株TOB(株式公開買い付け)を組み合わせたことで、SBGとSBの間で株を直接譲渡するより、SBG側に税メリットが生じる見通しです。
SBGは「節税が目的ではない」としていますが、子会社がヤフーから受け取る資金の大部分が課税対象とならない可能性が高くなっています。
2018年3月期もグループ内の資本移動に関連し、巨額の税務上の欠損金を出して法人税を払っていません。
資金流出を抑え、株主価値の最大化を図る手法とみるべきなのでしょうか?
税務の視点から追っています。

今回の再編で、ヤフーの親会社はSBGからSBに移ります。
SBにとってはこれまで兄弟会社だったヤフーと、親子の関係になるわけです。
SBの宮内謙社長は独立した上場会社として通信以外の新規事業に成長を求めるには、兄弟会社のヤフーとの関係を深めるのがベストと考えました。
事業上の「シナジー(相乗効果)」が再編の狙いと説明しています。

再編のスキームは入り組んでいます。
SBGは同社からSBに直接ヤフー株を譲渡するのではなく、ヤフーの自社株買いや増資を組み合わせる手法をとりました。

まず、ヤフーがSBを割当先とする第三者割当増資を実施しました。
新株約15億株を発行し、4,565億円を調達します。
次にヤフーはTOBによって自社株を買い取ります。
この自社株買いにヤフー株を約18億株持つSBGの中間持ち株会社ソフトバンクグループジャパン(SBGJ)が保有株の売却で応じます。

この一連の取引で、最も税務上のメリットを享受するのは、SBGJです。
SBGJはTOBに応募し、5,145億円を受け取りますが、この大半について税金がかからないのです。

読み解くヒントは「みなし配当」です。
今回のスキームでいえば、SBGJがTOBに応募して受け取る資金のうち、ヤフーの資本金などの額を超える部分を指します。

公表された情報をもとに試算しています。
計算式は、TOBの対価から、ヤフー株の資本持分と負債利子を引いた額です。

SBGJはヤフー株の約36%を保有します。
資本持分の計算には、税務上の資本金を使いますが、開示されていないため、会計上の数値で推計しています。
ヤフーの資本金と資本剰余金(単体)は合計で約130億円です。
この36%にあたる約47億円と、負債利子(非開示、比較的少額と仮定)を5,145億円から差し引きます。

概算では、5,000億円を超える規模の金額が「みなし配当」となります。

SBGJはヤフー株の約36%、つまり3分の1以上を保有していました。
法人税法の規定により、TOBに応じてSBGJが得た売却代金は配当を受け取ったとみなされ(みなし配当)、3分の1以上を保有する株主の場合、大半が課税対象にならない「益金不算入」(税金の計算にいれなくてよい)となります。

次にSBGJとヤフーの間の譲渡損益を考えます。
TOB対価からヤフー株の取得原価を差し引いて計算しますが、SBGとヤフーは取得原価について「開示しない」としており、ここでは推計が難しくなっています。
ヤフー株の売却によって益がでれば課税され、損が出れば他の所得と通算して税金を減らすことができるのです。

今回のような再編スキームをとらずに、単純にSBGがSBに直接ヤフー株を譲渡したとしたらどうなるでしょうか?
売却価格から取得価格を引いた差額は利益として、課税対象になります。
つまり、税務上は正反対の結果となるのです。

組織再編や同族会社の間の取引では、企業と国税当局の間で係争が起きることがあります。
IBM`が子会社株の売買に伴う税務上の赤字を連結納税を使ってグループ内で相殺したことなどが問題となりました。
東京国税局は「節税が主目的だ」として、法人税法132条(行為計算否認)の規定を使い、約3,995億円の申告漏れを指摘しました。
ただし、IBM`側が不服として争った結果、2016年には課税が取り消される判決が確定しました。

今回の案件について、専門家の評価は分かれているようです。
財務省主税局で税法の企画立案を長く担当した朝長英樹日本税制研究所代表理事は、「IBM訴訟と同様の問題があるとの指摘を受けるリスクは残る。取引が経済合理性のあるものか、そして不自然・不合理な点がないかどうかが当局の判断の焦点となる」と指摘しています。

一方、税務関連の訴訟を多く手掛ける鳥飼総合法律事務所の高田貴史税務部部長は、「節税のみを目的にした再編だと明確に示す情報がない限り、(法人税の負担を不当に減少させたと指摘するのは)かなり難しいだろう」とみています。
「税務のプロなら当然とりうる手段だ。グループ外に資金流出せず、節税メリットもとれる」と話しています。

僕は、後者の立場です。
節税が目的ではなく、組織再編などを行う際に、税金が多額にかかる手法とほとんどかからなない手法があるのであれば、かからない手法を検討するのが当然ではないかと思います。
税務は知らない人は損をする世界ですし、同じことをするにしても、やり方によって税額に大きな差が生じるのは税法の不備なのではないかと思います。
こういったことで、納税者の主張が認められ、国税局の考えが変わっていくのを期待したいと思います。

ソフトバンクグループがヤフーの再編で税務メリットを取っていることについて、どう思われましたか?

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生前贈与が税制改正でお得になり「相続時精算課税制度」を使うべき4つの理由!

週間ダイヤモンドによると、2024年5月、国税庁は2023年分の贈与税の確定申告状況について公表しました。

報道向けの発表資料によると、贈与税申告書の提出者は51万人に上り、前年よりも2.6%増加しています。

51万人のうち、申告納税額があった方は37万6,000人と、こちらは前年比より0.9%減少しています。

同資料では、贈与税の課税方法についても公表しており、暦年課税を適用した人は46万1,000人(前年比1.5%増)、相続時精算課税を適用した人は4万9,000人(同13.3%増)となっています。

いずれの贈与方法も前年より伸びていますが、特に注目すべきは「相続時精算課税制度」です。

これまで「使いにくい」とも言われていた相続時精算課税制度ですが、高い伸び率であり、今年は法改正もあったことから、さらに注目が高まっています。

では、本制度を使うべき理由とはどのようなものなのでしょうか?

今回の記事では、2024年最新版の情報に触れながら、相続時精算課税制度を使うべき4つの理由を紹介しています。

2024年は「相続時精算課税制度」に法改正があったことはご存じでしょうか?

今回の改正により、新たに非課税枠が新設されたのです。

元々本制度は2,500万円までの生前贈与なら贈与税がかからない(特別控除)しくみであり、贈与者が死亡した際に相続財産に持ち戻しをして、相続税計算を行うものです。

なお、暦年贈与と併用することはできません。

例えば、母親が子に対して生前に本制度を使って2,500万円の贈与を行い、母親の死去後に遺産が1億円あったと仮定します。

この場合、2,500万円を持ち戻して計算するため、相続税計算は1億2,500万円が対象となります。

本制度は贈与税を支払わなくてもよい代わりに、相続税が発生する可能性があるため注意が必要です。

また、「相続時精算課税制度」は誰でも利用できる制度ではありません。

対象者は以下のように制限されています。
・贈与できる人(贈与者)は60歳以上の父母や祖父母
・贈与される人(受贈者)は18歳以上の子や孫

また、本制度は使用を開始する場合、相続時精算課税制度に関する所定の書類を税務署に対して届け出る必要があります。

法改正により、今後は年に110万円までの基礎控除が認められたため、「年間110万円」までの贈与なら贈与税もかからず、累計2,500万円までの特別控除にも含む必要がなくなりました。

以前よりも若干ではあるが、制度としてお得になったと言えるでしょう。

2024年の法改正も踏まえると、今後相続時精算課税制度はさらに利用者が増す可能性は高いでしょう。

高齢者から若年層へ財産を承継できる本制度に、関心を持っている方も多いのではないでしょうか?

しかしながら、本制度は暦年贈与と比較すると利用が避けられてきた過去もあります。

その理由は主に以下の4つです。

まず1つ目は、「暦年贈与に戻れない」という点です。

年間110万円までの贈与なら非課税である暦年贈与は、広く活用されている贈与方法です。

暦年贈与は相続時精算課税制度とは異なり、贈与者・受贈者の双方に制限がありません。

自分の財産を誰に贈与しても適用される柔軟な贈与のしくみです。

ところが、一度相続時精算課税制度に切り替えてしまうと、便利な暦年贈与には戻れないのです。

長く暦年贈与を使っている方にとっては、相続時精算課税制度の魅力は低く感じるでしょう。

2つ目は、「必要書類が多い」点です。

相続時精算課税制度の利用にあたっては、選択届出書や受贈者の戸籍謄本などを提出する必要があり、こちらも暦年贈与と比較すると手続きがややこしいのです。

電子申告も可能だが、最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、書類を整えて税務署に提出する必要があります。

次に3つ目は、「そもそもあまり知られていない」という問題です。

贈与は110万円までは贈与税がかからないという暦年贈与しか知らないという方は多く、相続時精算課税制度はもちろん、教育資金の一括贈与やおしどり贈与などはあまり知られていません。

贈与の方法には暦年贈与以外の選択肢もありますが、手続きの複雑さや対象者が限られているなどの理由から、見落とされる傾向があります。

最後に4つ目は、「贈与税の先送り、というイメージが強い」点です。

相続時精算課税制度は贈与時には税金を納めなくてもよいのですが、相続時にはその他の遺産と合わせて相続税計算をするため、結局相続税として税金を納めなければならない可能性もあります。

手続きがややこしく、税金も将来支払う必要があるなら…と本制度利用のメリットはない、と判断する人は多いでしょう。

これまで利用が避けられてきた相続時精算課税制度ですが、法改正後の今だからこそ知っておきたい「使うべき」4つの理由を紹介しています。

まず1つ目は、「値上がりしそうな財産の贈与はお得」になるという点です。

本制度の活用で高額の贈与をしても、2,500万円までは非課税となるほか、この金額を超えても贈与税の税率は一律20%しかかかりません。

暦年贈与は最大で55%の贈与税が発生するため、実は一気に行う高額贈与なら本制度の方がお得なのです。

相続時精算課税制度で贈与した財産は「贈与時の価額」で評価するため、将来的に値上がりする財産を贈与しておけば相続税対策にもつながるのです。

2つ目は、「高齢者の贈与に向いている」点です。

暦年贈与も法改正があり、これまで相続開始3年前までの贈与を相続財産に持ち戻しする必要がありましたが、今後7年へと段階的に延長されます。

高齢者にとっては病気などをきっかけに贈与を始めても、思うような相続税の節税効果が得られない可能性があります。

高額の財産を贈与するなら、少しずつ暦年贈与するよりも、思いきって相続時精算課税制度を選択することも検討の余地があります。

次に3つ目は、「110万円の基礎控除の誕生」です。

これまでこのしくみがなかったため、たとえ少額であっても相続時精算課税制度を利用するなら贈与税申告が必要でした。

しかしながら、110万円の基礎控除枠ができたことにより、この金額以下なら申告は不要です。

以前よりも制度が使いやすくなったのです。

また、毎年110万円までの贈与は、相続時の持ち戻しの対象外となる点も注目したいですね。

最後に4つ目は、「相続トラブルを防ぐ効果がある」点です。

相続人間で争う可能性がある財産を贈与であげたい人に渡してしまえば、遺産分割協議時に争いは起きにくくなります。

遺言書を使う方法も考えられますが、1つ目に触れたように値上がりしそうな財産は早期に渡すことで相続税の節税効果も得られます。

特に資産が多い方は、本制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

魅力が多い相続時精算課税制度ですが、暦年贈与に戻れない以外にも意外な落とし穴もあるのです。

まず、不動産の贈与時には税金への注意が必要です。

登録免許税と不動産取得税の負担がそれぞれ重くなる可能性があります。

相続時よりも贈与時の方が税率は高いため、事前に税理士に相談し計算結果を見てから判断することもおすすめです。

小規模宅地等の特例も使えなくなるため、不動産の贈与は慎重に進めてほしいですね。

また、本制度は孫へ贈与できる点が魅力ですが、相続人ではない孫(代襲相続除く)は相続税が2割加算となるのです。

今回は相続時精算課税制度について、2024年最新の情報を交えながら解説しています。

本制度は今後も利用率が伸びていくと思われますが、先述のとおり、意外な落とし穴があることも忘れずに利用してほしいですね。

相続時精算課税制度以外にも、相続税対策には遺言書や家族信託の活用なども考えられます。

いずれの方法でも、相続開始後のトラブルを未然に防ぐために、家族で資産形成のゆくえについて話し合いをしたうえで制度利用を決めましょう。

特に高額の贈与は、もらえなかった方に「なぜ自分はもらえなかったのか」という禍根を残してしまうおそれがあります。

明るい相続を目指すためにも、贈与の段階から丁寧な話し合いを重ねておきましょう。

先日、とある金融機関の方から、持ち戻し期間が3年から7年になった一方、相続時精算課税に非課税枠ができたわけですから、使わないと損じゃないですか?と聞かれましたが、メリットばかりではなく、デメリットもあることをお伝えしました。

安易に相続時精算課税を選択するのではなく、慎重に選択して欲しいですね。

生前贈与が税制改正でお得になり「相続時精算課税制度」を使うべき4つの理由について、あなたはどう思われましたか?


ハイデイ日高の創業者が創業50周年で従業員へ株4億円分贈与!

埼玉新聞社によると、埼玉県内を中心に中華料理店「日高屋」などを展開しているハイデイ日高(さいたま市大宮区、青野敬成社長)の創業者で、代表取締役会長の神田正氏は、自身の保有株式の一部約4億円分を従業員に贈与することを、先日発表しました。
2018年以来、2度目の実施となります。

贈与する株式数は約20万株(2023年4月5日現在、約4億2千万円相当)で、対象者は役員、正社員のほか、条件を満たしたパート・アルバイト従業員で、2023年6月の実施を予定しています。

今回の贈与は、株式公開から20年以上が経過し、2023年2月に創業50周年の節目を迎えた同社の発展に尽力し、共に働いてきた従業員への感謝の気持ちを込めています。

神田会長は「会社が成長して、利益を社員に還元する『分かち合う資本主義』を大切にしていきたいと思っている」とし、従業員への還元によって、安心して働ける環境を整備していくそうです。

たまに見かけますが、なかなかできないことだと思いますので、すごいですね。
こういう会社で働く方は幸せでしょうね。

ハイデイ日高の創業者が創業50周年で従業員へ株4億円分贈与したことについて、どう思われましたか?


生前贈与の相続税加算は「7年に拡大」軸に調整!

読売新聞によると、政府・与党は生前贈与を行う際の相続税の加算期間について、7年を軸に広げる方向で調整に入ったようです。
相続税がかかる加算期間をのばすことで、早めに若年世代への資産移転を促す狙いがあります。

生前贈与には、年間110万円までは贈与税がかからない「暦年課税」と、相続時に贈与税と相続税の差額を精算する「相続時精算課税」の2種類があります。

このうち暦年課税は、死亡前の3年間に相続人が受け取った資産は相続税の対象になります。

3年の加算期間を7年に拡大することにより、税負担を軽減しようと前倒しで生前贈与を行う動きが進むことが期待されます。

一方、相続時精算課税については、少額の贈与を申告不要とする方向で調整を進めており、額は今後詰めるようです。
現在は少額贈与でも税務署への申告が義務づけられています。

2022年12月15日に令和5年度税制改正大綱が公表されると言われていますが、個人的には、これが何年になるのかに最も注目しています。
長くなると、相続税対策も変わってくるでしょうから。
今年、お手伝いさせていただいた相続税の申告案件も、ちょうど半分、3年以内の贈与を足し戻す案件でした。

生前贈与の相続税加算は「7年に拡大」軸に調整していることについて、どう思われましたか?


政府の税制調査会が相続税・贈与税の専門家会合を設置!

日本経済新聞によると、政府の税制調査会(首相の諮問機関)は、先日の総会で、相続税と贈与税のあり方を議論する専門家会合を設置すると決めました。
贈与税は相続税の負担回避を防ぐために相続税よりも高い税率がかかる一方、多額の資産を持つ人が分割して贈与する場合は税率が低くなるため、格差の固定化につながらないような税制のあり方を議論します。

政府の税制調査会の中里実会長(東大名誉教授)は総会で「資産移転の時期の選択に中立的な税制に向け、どのように対応できるかが当面の課題となる」と述べました。

贈与税の課税方式には毎年の贈与額に累進税率を適用し、年間110万円まで非課税になる暦年課税制度と、60歳以上の贈与側1人につき2,500万円まで非課税となる相続時精算課税制度の2つがあります。

政府が富裕層向けに相続税の節税対策を強化するため「暦年課税を廃止するのではないか」との見方が一部にあります。
中里氏は総会後の記者会見で「そういった議論はせずに、理論的・実務的な観点から議論してもらう」と強調しました。

資産税に関わる僕らにとって、数年前からの贈与税の見直しの方向性の話しは、非常に気になるところです。
改正になると、過去の相続税対策が無意味なものになる可能性もありますし、今後の相続税対策が今までとまったく違ったものになる可能性があるからです。
個人的には、暦年贈与の廃止や縮小などが噂されていますが、どうせ改正するなら、失われた30年間と言われるように、給料がほとんど上がっていない状況を少しでも解消するために、ためこんで相続が発生するよりは、贈与をしてもらって、消費にあて、日本経済の活性化につながるような改正方向になればいいなぁと思っています。

政府の税制調査会が相続税・贈与税の専門家会合を設置したことについて、どう思われましたか?


被相続人からの毎年一定額の入金は相続財産に該当しないと認定!

TabisLandによると、被相続人が毎年一定額を入金していた未成年であった者の名義の普通預金口座に係る預金が相続財産に含まれるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、被相続人が作成した贈与証に基づく贈与を未成年であった者の母親が受諾し、入金していたものであるから、その普通預金口座に係る預金は当時未成年であった者に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定して、原処分の一部を取り消しました。

この事件は、審査請求人が、相続税の修正申告において課税価格に加算した請求人及び兄名義の普通預金はいずれも相続開始日の3年より前に被相続人から贈与されたものであるから、相続税の課税対象ではないとして更正の請求をしたのが発端となったものです。

これに対して原処分庁が、兄名義の預金についてのみの請求を認める減額更正処分等を行ってきたことから、請求人が請求人名義の預金も請求人の母が親権者として受贈済みであるから原処分庁の認定には誤りがあるなどと主張、原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案です。

現金預金が相続財産に含まれるか否か、贈与された時期はいつか、請求人名義の預金が相続財産に含まれるか否か(具体的には、請求人名義の預金は被相続人と請求人のいずれに帰属するものか)が争点になった事件ですが、原処分庁側は、請求人の亡父(被相続人)が毎年一定金額を当時未成年だった請求人に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、請求人の母を介して請求人名義の普通預金口座に11年間にわたって毎年入金していたことについて、請求人の母親が贈与証の具体的な内容を理解しておらず、被相続人の指示に従って普通預金口座に入金していたにすぎず、その入金が請求人へ贈与されたものとは認識していないのであるから、被相続人から請求人への贈与は成立しておらず、その預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張して、審査請求の棄却を求めました。

裁決は、贈与証の内容はその理解が特別困難なものとはいえない上、請求人の母親は贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により預金口座へ毎年入金し、預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、入金が開始した当時、請求人の唯一の親権者であった母親は請求人の法定代理人として贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として普通預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であると指摘しました。

また、普通預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないのでから、預金口座に係る預金は口座開設当初から請求人に帰属するものであって、相続財産には含まれないと判断し、原処分の一部を取り消しました。

いわゆる名義預金の話ですが、事実認定の話になりますから、なかなか難しいですね。
僕自身も、過去に税務調査で名義預金だと指摘され、反論をしたものの、詳細は述べませんが、確固たる証拠を提出することが物理的にできず、反論が認められなかったことがありますが、この事案は認められて良かったですね。
生前から相続税対策などで関わることができれば防げることは色々とあると思うのですが、相続が発生した後に相続税の申告を頼まれることが圧倒的に多いため、少しでも生前からお手伝いできればいいなぁと改めて感じた1件でした。

被相続人からの毎年一定額の入金は相続財産に該当しないと認定されたことについて、どう思われましたか?


妻名義の証券口座への入金はみなし贈与に該当しないと判断!

TabisLandによると、夫名義の預金口座から妻名義の証券口座に金員が入金されたことが、相続税法9条が定める対価を支払わないで利益を受けた場合つまりみなし贈与に該当するか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、妻名義の証券口座において夫の財産がそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるとして、対価を支払わないで利益を受けた場合には該当しないと判断、原処分を取り消しました。

この事件は、夫名義の預金口座から出金され、妻(審査請求人)名義の預金口座等に入金された金員に相当する金額について、原処分庁が相続税法9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当すると判断、妻(請求人)側に対して贈与税の決定処分等をしてきたのが発端です。
そこで妻側が、そうした金員の財産的な移転はなく、何らの利益も受けていないと主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案です。

原処分庁側は、請求人の夫名義の預金口座からの金員が入金された請求人名義の証券口座について、①請求人自身の判断で取引を行っていたこと、②証券口座の投資信託の分配金が請求人名義の普通預金口座に入金されていたこと、さらに③その分配金等を請求人の所得として確定申告がされていたことなどを理由に挙げて、妻の証券口座への金員の入金は、相続税法9条が規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当する旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけです。

裁決はまず、夫婦間における財産の帰属については、①財産又は購入原資の出捐者、②財産の管理及び運用の状況、③財産の費消状況等、④財産の名義を有することとなった経緯等を総合考慮して判断するのが相当であると指摘しました。

その上で、①請求人は入金の前後を通じて夫の財産の管理を主体的に行っており、その管理に係る全部の財産について請求人に帰属していたものと認めることはできないから、証券口座において請求人自身の判断で取引を行った事実をもって利益を受けたと認めることはできないうえ、②分配金等の入金があっても、請求人が私的に費消した事実が認められないこの事案においては、これを管理・運用していたとの評価の範疇を超えるものとはいえず、③確定申告をしたことは、申告をすれば税金が還付されるとの銀行員の教示に従い深く考えずに行ったものとした請求人の主張が不自然とまではいえず、ことさら重要視すべきものとは認められないことなどの諸々の事情を考慮すれば、妻の証券口座への入金によっても、夫の財産は、証券口座においてそのまま管理されていたものと評価するのが相当であると認定しました。

その結果、妻名義の証券口座への入金は、請求人に贈与と同様の経済的利益の移転があったものと認めることはできず、相続税法9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合には該当しないと判断、原処分を全部取り消しました。

事実認定の話になるので、なかなか難しい案件だと思いますが、納税者側の主張が認められたことはいいことですね。
一般的に、税務調査において、名義預金とか名義有価証券とか名義保険というもので相続税を取ろうとしますが、それとは逆のパターンですから、もっと明確なものを示して欲しいなぁと思いますね。

妻名義の証券口座への入金はみなし贈与に該当しないと判断したことについて、どう思われましたか?


小室圭さんが振り込んだ解決金409万円に関し「夫婦間贈与」を専門家が解説!

NEWSポストセブンによると、4年にもわたりくすぶり続けた金銭問題に、とうとう終止符が打たれました。
秋篠宮家の長女・眞子さん(30)と結婚した小室圭さん(30)の母・佳代さんと元婚約者の金銭トラブルに関して、小室さん側から元婚約者に対し解決金409万3,000円が振り込まれました。

2021年4月に「28枚文書」で「解決金を払わない理由」を長文で綴っていた小室さんでしたが、アメリカへ渡る直前、電撃的に解決に動きました。
新婚生活のために渡米する2日前の11月12日、元婚約者が圭さんの母・佳代さんに貸したと主張する約400万円を額面通りに支払うことで双方が解決とする書面が取り交わされると、渡米後の11月15日、ついにそれが振り込まれました。

小室さんがこの400万円をどのように工面したのかは明らかになっていませんが、結婚した夫婦の一方がもう一方と金銭のやりとりをすることは普通に考えられ、何もおかしいことではありません。
しかし、日本の税制には贈与税というものがあり、金銭の贈与には一定の税金がかかるのです。
それがたとえ夫婦間であっても、1年当たり110万円を超える財産の贈与には贈与税がかかるのです。

円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏は、「夫婦間でお金を渡した、振り込んだといった金銭の授受があった場合、それが“あげた”なのか“貸した”なのかが問題になります」と話しています。

「“立て替える”という言葉がありますが、金銭の授受があっても、返済の意思があって、分割でもいいので返せば贈与にはなりません。また、生活費等を管理しやすいようにまとめるために夫から妻に振り込んだ、といった場合も問題は生じません」(橘氏)

贈与であれば、贈与があった年の翌年の2月1日から3月15日に申告をして納税しなくてはなりません。
しかしながら、通常夫婦間で貸借の契約書を交わすことはまれであり、将来的に返済すれば贈与にはならないため、金銭のやりとりだけで問題になるケースはほとんどありません。
夫婦間の贈与が問題になるのは、不動産を購入した際に支払った割合と名義が異なるケースや、どちらかが亡くなり相続税の申告が必要になるケースがほとんどです。

橘氏は今回の小室さんの件にも触れ、「制度上、仮に眞子さんの財産から払われていたとしても、分割払いでもいいので小室さんが妻に返済すれば問題ありませんし、個人間の金銭貸借のため利息をつけてもつけなくても構いません。肝心なのはそれが贈与なのか貸借なのか、お互いの認識です」と話しています。

お金に色はついていません。
今回の解決金の出所は夫婦にしか分からないのが現実です。

職業柄、相続関連のお仕事をしておりますが、『贈与はお金を口座に振り込んでおけばいいんでしょ?』とおっしゃられる方が結構います。
それに対して僕は、『例えば、お母さまからお子さまの口座にお金が振り込まれたとして、それが贈与なのか借入金なのか客観的に分かりますか?』と答えています。
客観的に分からないのは明らかでしょう。
そして、『それが問題となるのは、お母さまがお亡くなりになったあとの相続税の税務調査などでしょうから、既に当事者がいないわけですから。』と。
夫婦間であろうと、親子間であろうと、おじいちゃんおばあちゃんから孫であろうと、贈与するのであれば、贈与契約書・金銭消費貸借契約書をきちんと作りましょうということです。

小室圭さんが振り込んだ解決金409万円に関する「夫婦間贈与」の専門家の解説について、どう思われましたか?


「2億5千万を贈与」との詐欺メールで70代男性が8千円被害!

秋田魁新報によると、秋田県警鹿角署は、先日、秋田県鹿角市の70代男性が特殊詐欺に遭い、電子マネー利用権8千円分をだまし取られたと発表しました。

秋田県警鹿角署によると、先日、男性の携帯電話に「2億5千万円を贈与します」と記載されたメールが届き、贈与のため必要な名義変更などの費用として、電子マネーを購入するよう指示されました。

男性は2日間にわたり、鹿角市内のコンビニを複数回訪れ、要求どおり電子マネー計8千円分を3回に分けて購入しました。
そして、相手から指示されたサイトに電子マネーの利用に必要な番号を入力しました。

秋田県警鹿角署は、「多額の現金を贈与するとの名目で電子マネーをだまし取る特殊詐欺の手口。同様のメールが来たら警察に相談してほしい」と呼び掛けています。

いまだに、このような詐欺にひっかかる方がいらっしゃるんですね。
関係のない方が多額の贈与をしてくれるというおいしい話はないと思いますし、何かをもらうのに先にお金などを支払うというのはそもそも怪しいですよね。
電子マネーの購入という時点で、詐欺という気はしますが。
被害が8千円ですんで良かったと思いますが、こういった事件はなくなってほしいと思いますし、だます方も、その能力をまっとうな商売に使ってほしいですね。

「2億5千万を贈与」との詐欺メールで70代男性が8千円被害にあったことについて、どう思われましたか?


生前贈与は「愚の骨頂」?

現代ビジネスによると、良かれと思って子どもに財産を生前贈与する人は多いようです。

しかしながら、長男に渡せば次男も「自分にも贈与してくれ」と言い出してくるなど、かえって揉めごとを招く原因になることがあります。

自分で稼いだおカネは自分で遣えばいいでしょう。
それでも余ったおカネがある場合、「遺贈寄付」という手があるのです。

遺贈寄付とは、あらかじめ遺産の寄付先を決めておき、自分が死んだら引き渡してもらうことです。

胃がんで2年前から闘病生活を送っている米沢康太さん(76歳・仮名)も、遺贈寄付を計画しているそうです。

「金遣いの荒い息子におカネをくれてやるくらいならと思い、治療でお世話になっている国立がん研究センターへの遺贈寄付を思い立ちました。
がん研究センターには、立派な銘板に寄付者の名前がズラリと並べられている。私のカネが世のため人のためになり、名前まで残せるなら、こんなにうれしいことはない」

米沢さんのように、自分の関心や趣味に従い遺贈寄付を選択する人は、年々増えているそうです。

たとえば、母校の大学を指定して寄付を行うと、自分の名前を冠した奨学金を設立できるケースもあり、後輩の学業を助けることができます。

実際の遺贈寄付の手順は極めてシンプルです。
「遺言書に寄付先の団体と金額を明記し、司法書士などの遺言執行者を指定する。寄付先の団体に事前に伝えておくと、先方もありがたい。
寄付をできるのは現金のみというところも多いので、不動産を寄付したい場合は要確認です」(司法書士の村山澄江氏)。

感謝されて生きた証も残せるため、一石二鳥です。

相続で揉めることは結構ありますが、仲が良かった兄弟姉妹などが相続をきっかけに仲が悪くなるのは残念でありません。
そうなることを防ぐためにも、相続人ではなく、財産を持っている方ができるだけ早く、相続のことを考えましょう。
その中の選択肢の一つが、生前贈与とか遺贈寄付だと思います。
ちなみに、税理士のところには、毎年、日赤から『遺贈・財産寄付ご案内パンフレット』というものが送られてきます(笑)。

生前贈与は「愚の骨頂」?について、どう思われましたか?


サラリーマン家庭でも増えてきた「生前贈与」封じのため改正に動く財務省の言い分!

文春オンラインによると、サラリーマン家庭の間でも増えている相続税の節税策が、近々封じられる可能性があるそうです。

相続税は、一定額以上の財産を持つ富裕層に課せられてきたものですが、2015年の課税ライン引き下げにより課税対象者が増えたことで世の関心が高まり、サラリーマン家庭または定年退職者でも生前の節税策に着手する人が増えています。

その代表は、親の課税対象財産を減らして将来の相続税を軽減するために、親が子や孫に財産の一部を生前贈与することです。

国は、財産の移転に関しては人が亡くなった時の相続税で課税することを基本としています。
課税されることが分かれば、人は生前に財産を贈与して課税を回避しようとするため、相続税を補完するものとして贈与税を作り、1年毎に、贈与額に応じて累進で10%~55%の贈与税を課しています(いわゆる暦年贈与)。
この贈与税の税率は相続税の税率より高く設定され、相続を待たずに生前贈与すれば損する仕組みとなり、生前贈与が抑制されてきました。

ただし、贈与税には特例が設けられ、1人につき誰からもらったかは問わず年間110万円までの贈与は非課税になっています。
これを利用して、親が子や孫にそれぞれ年間110万円ずつ生前贈与するという節税策に着手する人が増えているのです。

1人当たり年間110万円の贈与でも効果は小さくないのです。
例えば、父親が8,000万円の財産を持ち、相続人が子供2人の場合、計470万円の相続税がかかります。
これに対し、父親が子供2人と孫2人の計4人にそれぞれ年間110万円(合計440万円)の非課税贈与を2年間続ければ、相続税は概算で計338万円まで下がり132万円の節税になるのです。
もちろん、期間が長くなれば、節税効果は大きくなっていきます。

生前贈与については、「贈与すれば子供が浪費するだけ」「財産を貰ってしまえば子供は親の面倒を見なくなる」といった指摘もあるのも事実です。
親の財産や家族の状況を見極める必要はありますが、非課税贈与を続ければ節税額は増え、課税ラインを下回って相続税をゼロにすることもできます。

国の制度は、上手に利用する人が得をして、そうでない人が損をしますが、生前贈与はその1つと言えるでしょう。

この生前贈与を最も利用しているのは富裕層でしょう。
年間110万円以上の贈与には贈与税がかかりますが、贈与税を払ってでも生前贈与したほうが相続税の軽減が図れるケースもあります。

ちなみに、2019年の1年間に贈与された額は全体で2兆430億円あまりとなり、1,000万円を超える贈与を受けた人は約1万5,000人に上ります(申告分。相続時精算課税分を含む。)。
当然、年間110万円以下であれば申告は必要ないため、実際にはかなりの額になるでしょう。

問題は、この生前贈与が税制改正によって封じられる可能性があることです。
税制改正の“建前”上の理由は、「若い世代への資産移転の促進」です。

日本では高齢者への資産偏重が進んでいます。
財務省が税制改正に向けて2018年10月に示した資料によれば、個人の金融資産約1,700兆円のうち、60歳以上の人がその約6割(1,000兆円)を保有するに至り、この20年間で倍増しています。

また、高齢化の進行により、2016年には、死亡時の年齢が80歳を超えている親が7割に達しました。
80歳を超えた親の資産を50歳以上の子供が相続するといった、高齢者が高齢者に財産を相続するケースが増えています。

財務省は、この現象を「老老相続」という言葉で表現し、「相続による若年世代への資産移転が進みにくい状況となっている」と問題視しています。
子育てや住宅の購入など支出が多い30代~50代を過ぎた後に財産を相続しても、有効に活用されないからです。

2020年12月の与党の税制改正大綱でも、経済を活性化するために「資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築することが重要」として検討課題に挙げられました。
ここで出て来たのが「相続税と贈与税の一体化」です。
生前贈与には贈与税を課さず、相続時に、生前贈与された分も加えて相続税を課し、財産の贈与時期を選択できるようにする方向が示されています。

その具体化は進んでいませんが、先行されると見られるのが「3年ルール」の延長だそうです。

親が亡くなり相続が発生すると、亡くなってから過去3年間の贈与は相続財産に加算して相続税の課税対象になると定められています(相続税法第19条)。
つまり、贈与税を払って贈与していても、年110万円の非課税贈与を続けていても、課税対象なってしまう(贈与がなかったものとされる。)のです。

3年間の生前贈与を認めないのは、親の死を前にした駆け込み贈与により、相続税の節税を防ぐためとされています。
生前贈与は「早めに着手するべき」と言われるが、その理由の1つはここにあります。

財務省の資料では諸外国の例を挙げ、英国は過去7年分、ドイツは過去10年分、フランスは過去15年分、アメリカは過去全ての生前贈与を相続税の課税対象にしていると説明されており、日本の3年ルールの延長が示唆されている(ただし、世界には相続税のない国もあり、アメリカは基礎控除額の10億円を超えて課税されるのはごく一部であるなど、相続税制度そのものが各国で異なり、このルールだけを当てはめようとすることに批判があります。)。

前述の税制改正大綱では、「現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある」としており、3年ルールの延長は富裕層の節税封じも目的にあると見られます。

しかしながら、同時に、現行の3年ルールで110万円の非課税贈与も対象となっていることから、期間が延長されれば同様にすでに贈与した分についてもそのまま対象になる可能性があります。
10年、15年、またはそれ以上に延びれば、サラリーマン家庭でもできるささやかな節税策が封じられてしまうのです。

相続税制では抜け道があれば広まり、広まれば国税庁が封じるイタチごっこが続いてきました。
予想以上に110万円の非課税贈与の利用者が増えており、それを封じるための改正にも見えます。

「相続税と贈与税の一体化」は、僕を含め資産税系の税理士にとっては、非常に気になるところです。
税金単独ではなく、社会保障などとの絡みもありますので、個人的には、都合がいい時だけ諸外国と比べることはあまり意味がないと考えています。
税理士として普段から暦年贈与のお話しや提案などをしていますが、改正のリスクをきちんと伝えておかないといけないのはもちろんですが、改正がどうなるか分からないので、提案もしにくい状況です。
2021年12月に出る税制改正大綱で改正が行われるとは思いますが、我々税理士としては、スタート時期もとても重要です。
例えば、4月から改正になるのであれば、12月中旬から3月までに実行しないといけませんので。
どのような改正になるかウォッチし、早めに適切な対応ができればいいなぁと考えています。

サラリーマン家庭でも増えてきた「生前贈与」封じのため改正に動く財務省の言い分について、どう思われましたか?


すぐに贈与税の申告ができない!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。

<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
すぐに贈与税の申告ができない!

すでに、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』、『役所を信じてはいけない!』、『雑所得でも所得税の還付申告ができる!』、『新型コロナウイルス影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!』については書きましたので、最終回の本日は、『すぐに贈与税の申告ができない!』です。

贈与税には、①暦年課税と②相続時精算課税とがあります。
<1.暦年課税>
贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。

<2.相続時精算課税>
「相続時精算課税」を選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税がかかります。
なお、この特別控除額は贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ控除することができます。
また、前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。

贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、財産をもらった人が申告と納税をする必要があります。
申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行ってください。
なお、相続時精算課税を適用する場合には、納税額がないときであっても財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。

贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。
続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
ここでは計算に便利な速算表を掲載します。
速算表の利用に当たっては基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額を当てはめて計算してください。
それにより贈与税額が分かります。

<贈与税の速算表>
平成27年以降の贈与税の税率は、次のとおり、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されました。
【一般贈与財産用】(一般税率)
この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。

基礎控除後の課税価格

200万円

以下

300万円

以下

400万円

以下

600万円

以下

1,000万円

以下

1,500万円

以下

3,000万円

以下

3,000万円

税 率

10%

15%

20%

30%

40%

45%

50%

55%

控除額

10万円

25万円

65万円

125万円

175万円

250万円

400万円

【特例贈与財産用】(特例税率)
この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。
※「その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)」とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。
例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します(夫の父からの贈与等には使用できません。)。

基礎控除後の課税価格

200万円

以下

400万円

以下

600万円

以下

1,000万円

以下

1,500万円

以下

3,000万円

以下

4,500万円

以下

4,500万円

税 率

10%

15%

20%

30%

40%

45%

50%

55%

控除額

10万円

30万円

90万円

190万円

265万円

415万円

640万円

基本的には、贈与税の申告書は1ページのみです。
しかしながら、「特例税率」の適用を受ける場合で、以下の①または②のいずれかに該当するときは、贈与税の申告書とともに、受贈者の戸籍の謄本または抄本その他の書類でその人の氏名、生年月日及びその人が贈与者の直系卑属(子や孫など)に該当することを証する書類を提出する必要があります。
ただし、過去の年分において同じ贈与者からの贈与について「特例税率」の適用を受けるために当該書類を提出している場合には、申告書第一表の「過去の贈与税の申告状況」欄に、その提出した年分及び税務署名を記入することにより、当該書類を重ねて提出する必要はありません。
①「特例贈与財産」のみの贈与を受けた場合で、その財産の価額から基礎控除額(110万円)を差し引いた後の課税価格が300万円を超えるとき
②「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の両方の贈与を受けた場合で、その両方の財産の価額の合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた後の課税価格((注)参照)が300万円を超えるとき
(注)「一般贈与財産」について配偶者控除の特例の適用を受ける場合には、基礎控除額(110万円)と配偶者控除額を差し引いた後の課税価格となります。

つまり、祖父母や両親などから贈与された金額が410万円を超えると、もらった方の戸籍の謄本の入手が必要になります。
市役所の出先機関であるコミュニティセンター内の出張所でも可能ですが、すぐにというわけにはいかないかもしれません。
よって、贈与税の申告直前になって慌てて入手するのではなく、余裕を持って入手しておくことをお勧めします。
ちなみに、電子申告の場合、戸籍の謄本はイメージ添付できますので、原本を提出する必要はありません。

あと、贈与税の申告以前に、当然、『贈与』という行為が必要ですが、そもそも『贈与』はあげる方のあげるという意思ともらう方のもらうという意思がないと成立しません。
もちろん、口頭でも成立はしますが、後日、税務調査が入った時などに、『贈与』であるという証明が困難で、対応に苦慮する可能性があります。
特に、相続税の税務調査の時に『贈与』が論点となることが多いため、『贈与』してから数年後、数十年後に『贈与』があったことを証明する必要が生じる可能性があるため、個人的には、贈与契約書を作成し、それなりの金額の場合は、公正役場で『確定日付』を取ることをお勧めしています。
なお、『確定日付』は内容の正確性などを証明するものではありませんが、その日に存在していたことを証明する日付の入ったスタンプを押してもらうものです。

ところが、公証役場は、平日の昼間しか開いておらず、それほどたくさんあるわけではありません(我が香川県は高松市と丸亀市の2か所のみ)ので、急ぎで作成が必要な場合、土日祝や早朝や夜間は、『確定日付』を押してもらうことができません。

そこで、『確定日付』ほどの効力はないと思いますが、その日に、その贈与契約書が存在していたことを示すためには、郵便局で、贈与契約書に切手を貼って、『記念押印』をしてくださいと言うと、切手のところに郵便局の日付の入ったスタンプを押してくれますので、それも良いかと思います。
ちなみに、郵便を出した際に通常切手に押されているのは『引受消印』と言うそうです。
また、『記念押印』の場合、最低63円の切手を貼る必要があります(郵便局の担当者が『記念押印』のことをよく知らない場合、それ未満でも押印してくれるケースはありますが。)。
よって、公証役場が開いていない場合、『確定日付』の手数料700円がもったいない場合などは、『記念押印』という手もあります。

すぐに贈与税の申告ができないことがあることについて、どう思われましたか?


小室佳代さんは報道を受け時効ギリギリで「贈与税」支払っていた!

女性自身によると、秋篠宮家の長女・眞子さまとの婚約が延期となっている小室圭さんが先日、母・佳代さんと元婚約者X氏との「金銭トラブル」について説明する文書を発表した。

その中で、小室さんはこう記しています。
《平成24年(2012年)9月13日午後11時15分、母は元婚約者の方から、婚約を解消したいという一方的な申し入れを突然受けました。(中略)このとき母が、婚約期間中に受けた支援について清算させていただきたいとお伝えしたところ、元婚約者から『返してもらうつもりはなかった』というお返事が返ってきました》

実は小室さんが金銭トラブルについての説明文書を発表するのは2度目のことです。
2019年1月22日に公表された文書でも、X氏の「返してもらうつもりはなかった」という発言から、金銭的な問題はすべて解決済みと認識してきたと説明していました。

しかしながら、前回の文書発表直後の2019年2月、WEB女性自身では「小室圭さんの母・佳代さんに脱税疑惑…税務調査の可能性も」との記事を配信しています。
X氏から佳代さんに渡されたという409万円が、小室さんの説明通り返済の必要がない金銭なのであれば、贈与税を納めなければいけないのではないかという疑惑です。

贈与税の時効は贈与があった翌年3月から数えて7年です。
佳代さんがX氏から金銭を受け取ったのは2012年1月の200万円が最後だったので、その時点で、時効は2020年3月に迫っていたのです。

女性自身は、当時、小室圭さんの代理人・上芝弁護士にこの疑惑について電話で質問したそうです。
しかしながら、上芝氏は質問の核心には触れず、409万円の金銭が贈与だったのか貸与だったのかについても明言を避けました。
佳代さんが贈与税を納付したかどうかについて、この時点で真相を掴むことはできなかったのです。

しかしながら、今回の小室さんの文書には、注釈の部分にこんな一節がありました。
《なお、贈与税を負担しているのかという報道がありますが、母は贈与税を納付しています。それまでは贈与税を納付する必要があると思っていなかったのですが、報道の後に知人から贈与税は納付しているのかと聞かれたことがきっかけで、念のためにということで納付しました》

小室さんは、女性自身の指摘に応えるように、佳代さんの“脱税疑惑”もしっかり晴らしていたようです。

贈与は、あげる方のあげるという意思と、もらう方のもらうという意思で成り立ちます。
そして、誰にもらったかは関係なく、1月1日から12月31日の間にもらった額が110万円を超えると、原則として、贈与税が課税されます(110万円までは贈与税がかからないという、いわゆる暦年課税)。
申告漏れのないようにしたいですね。

小室佳代さんは報道を受け時効ギリギリで「贈与税」支払っていたことについて、どう思われましたか?


身元保証の愛知県のNPO法人が死後全額贈与契約で敗訴!

日本経済新聞によると、身寄りのない高齢者の身元保証を請け負う愛知県安城市のNPO法人が、死亡した高齢者との贈与契約に基づき、預金全額の支払いを金融機関に求めた訴訟の判決で、名古屋地裁岡崎支部は、先日、「契約は公序良俗に反し無効」として請求を棄却しました。

判決によると、このNPO法人は2017年1月、安城市社会福祉協議会が運営していた養護老人ホームに入所中の80代女性と身元保証契約を締結し、翌月には、死亡後に不動産を除く全財産を贈与するとの契約も結びました。
女性は2018年7月に死亡し、このNPO法人が安城市の碧海信用金庫に預金約620万円の支払いを求めていました。

近田正晴裁判官は判決理由で「契約は不必要で内容も不明確。死後事務処理の費用は50万円ほどなのに、預金全額を受け取るというのは対価性を欠き、暴利と言わざるを得ない」と指摘しました。

さらに、ホームの入所者の半数以上が同会と身元保証契約を結んでいることや、同会代表者の夫が、安城市社会福祉協議会を指導する立場の安城市職員だったことから「契約の背景には市や社協、会との間の癒着構造が認められる」とも批判しました。

このNPO法人の代表は「多くの人を支援してきたのに、癒着は事実無根で、名誉を傷つけられた」とし、控訴する方針だそうです。
安城市高齢福祉課の担当者は「癒着はなく、裁判所の判断に戸惑っている」と話しているようです。

最近、身元保証業務を事業として取り組んでいる会計事務所があるようで、少し気にはなっていたのですが、こういうことを言われる可能性があるんですね。
認知症の問題もあり、贈与契約が有効かどうかということも難しいと思いますが、法を整備し、きちんとした団体等を作ってやっていかないと、悪質な業者等が出てくるような気はします。
家族信託もそうですが、専門家が契約書をきちんと作ることが重要ですね。

身元保証の愛知県のNPO法人が死後全額贈与契約で敗訴したことについて、どう思われましたか?


千葉銀行と千葉大学医学部付属病院が円滑な「遺贈」を後押し!

千葉銀行と千葉大学医学部付属病院は、相続人以外に財産を残す「遺贈」に関する協定を結んだそうです
病院に遺贈を申し出た希望者に対し、相談先として千葉銀行を紹介します。
千葉銀行は個別相談に応じたり、関連サービスを紹介したりして円滑な遺贈を後押しします。

遺贈は、遺言に基づき、相続の発生後に財産を法人やNPOなどに寄付するしくみです。
生前に意思を遺言書に残すなどの事前手続きが必要となります。

高齢化の進展に伴い、関連サービスのニーズが高まっています。
千葉銀行は病院から紹介された遺贈希望者に対し、1人につき1回無料で個別相談に応じるほか、遺言信託などのサービスを紹介します。
また、病院が高齢者向けセミナーなどを開く際、千葉銀行の行員を講師として派遣します。

千葉大付属病院が民間企業と遺贈に関する協定を結ぶのは初めてだそうです。
千葉銀行はこれまでに千葉市や松戸市といった千葉県内自治体のほか、日本赤十字社千葉県支部とも遺贈に関する協定を交わしています。

協定を結んだからといってどこまで案件があるのかは分かりませんが、個人的には、病院側がどうやって遺贈の話を持ち掛けるのかに興味があります。
あとは、金融機関は顧客を紹介すると紹介料を求めたりしますが、紹介してもらう場合はどうしているのかも気にはなりますね。

千葉銀行と千葉大学医学部付属病院が円滑な「遺贈」を後押しすることについて、どう思われましたか?


みのもんたさんが“後妻業の女性”に手切れ金1億5,000万円!

日刊ゲンダイDIGITALによると、みのもんたさん(76)が40歳年下の恋人に東京都港区にある1億5,000万円のマンションを贈与したと発売中の「週刊文春」が報じて話題だそうです。
相手は元銀座の高級クラブのホステス(35)で、7年前からの交際だそうです。

きっかけは彼女が勤めるクラブにみのさんが来店し、数日後に彼女が「お昼ご飯にお弁当を作ったので、よければ食べていただけませんか」と連絡し、「胃袋を掴まれた」のだそうです。
彼女は介護の学校の学費稼ぎのためにホステスに。糖尿病を患うみのさんの体調を気遣った弁当に、介護のプロならではの行き届いた気遣い、しかも27、28歳の美人とあらば、妻に先立たれた独り身の70男がコロリといくのは至極当然でしょう。
そんな“弁当交際”から4年後、彼女はホステスを辞め、介護士のパート仕事と、みのさんの面倒を見る生活にシフトし、みのさんはマンションに彼女を住まわせ、通っていたそうです。

みのさんは2019年末に持病の糖尿病に加え、パーキンソン病を発症し、これを機に、2020年3月に「秘密のケンミンSHOW」(読売テレビ系)を降板しました。
2020年12月には自身が経営するニッコクも社長を退く予定で、資産50億円を持つといわれるみのさんは終活状態です。
そんな中、先日、彼女に住まわせていた1億5,000万円のマンションの登記が、みのさんの会社であるニッコクから、みのさん個人、さらに、彼女に贈与移転しています。
同誌によると、彼女が再婚を望むも、子供たちに反対され“手切れ金”としてマンションを贈与したそうです。

家族問題評論家の池内ひろ美氏がこう言っています。
「一般的に女性が多額の資産を受け取ったとき、男性から離れていく可能性は高い。35歳の女性なら、後妻に入って“将来受け取ることができる資産”に関心は薄いでしょう。それより、結婚、出産、今まで積み上げたキャリアを生かした事業など、もうひと頑張りしたい時。むしろ2人の関係が公になったことで、次のステップに進むべく、結論を出したいと思っているのでは」

みのさんの会社に問い合わせると「彼女は友達。マンションの件は『ご想像におまかせします』とのことです」(担当者)とのことで、現在は鎌倉の家から出ず、隠遁生活しているそうです。

手切れに1億5,000万円という、夜の帝王に武勇伝がまたひとつ刻まれました。

個人的には、事実であるならば、手切れ金で1億5,000万円はすごいなぁと感じる一方、職業柄、贈与税はどうするのだろうか?(贈与税の申告・納税の期限は2021年3月15日までですので、まだです。)、贈与税も考慮のうえ、現預金も贈与したのだろうか?と下世話なことを考えてします(笑)。
また、マンションは元々、法人名義だったようですが、税務上、どう扱っていたのだろうか?と気になります。

みのもんたさんが“後妻業の女性”に手切れ金1億5,000万円と報じられていることについて、どう思われましたか?


甘利氏が「資産移転公平に」と相続税と贈与税の一体化に意欲!

自民党税制調査会は、先日、幹部会合を党本部で開きました。
甘利明税調会長は終了後、記者団に「相続税と贈与税に関し、海外ではいつ資産を移転しても公平で公正な制度がある」と述べ、二つの税の一体化に向けた見直しに意欲を示ましした。

日本では相続税と贈与税を原則として別々に適用しており、贈与税は「暦年課税」が中心で、生前贈与と死後の相続では税負担額が大きく変わります。
一方、欧米主要国では二つの税を統合して累積額に一体的に課税しており、資産移転の時期によって税負担が左右されにくい利点があります。
甘利氏は「国際標準に極力沿う形にしていきたい」と表明しました。

先日の与党税調総会から作業が本格化した令和3年度税制改正で議論する方針です。
ただし、相続税と贈与税については、政府税制調査会(首相の諮問機関)でも集中的に議論する専門家会合を年明けに設置するようです。
政府税制調査会の議論を待つべきだとの声もあり、結論を出せるかどうかは不透明のようです。

そもそも、日本でも、贈与税法というものは存在せず、相続税法の中に規定されており、昔から『贈与税は相続税の補完税』と言われています。
違いがあるからこそ、僕ら税理士にとっては相続税対策の提案などができたわけなので、どう改正されるかをきちんとウォッチしたいです。
令和3年度の税制改正大綱は、2020年12月10日に出るようですね。
場合によっては、相続税対策というものがガラッと変わるかもしれませんし、過去に相続税対策としてやったものが効果がなくなったり、減少したりするかもしれません。

甘利氏が「資産移転公平に」と相続税と贈与税の一体化に意欲を示したことについて、どう思われましたか?


樹木希林さんも実践した「孫への贈与」が相続対策として注目を集める!

女性セブンによると、新型コロナウイルスの影響で、相続対策について考え始める高齢者が増えているそうです。

「志村けんさんや岡江久美子さんが感染し急逝されたことで、自分にも“もしものことがあったら”と考える人が増え、相談に来るケースも増えています」と話すのは相続対策を行う夢相続代表の曽根恵子さんです。
一般的に相続対策とは相続税の節税を指すことが多いようです。
「うちは相続税がかかるほどの財産はない」と思っている人も少なくないでしょうが、2015年の民法改正で相続税の基礎控除額が大幅に変更され、相続税を支払う人は、2019年には全国で約12人に1人、東京都では約6人に1人まで、拡大しているのです。

「東京だけでなく、横浜や名古屋、大阪、京都、神戸、さらには福岡などの大都市圏に住んでいる人は油断禁物です。不動産や一定の金融資産を抱えていれば、相続税が発生する可能性があります。早めに対策をしておくことをおすすめします」(曽根さん・以下同)

相続といえば、被相続人が亡くなってから発生するものですが、それでは遅いのです。
亡くなる前に相続対策を取るか取らないかで、支払う税額に大きな差がつくからです。

なかでも注目したいのが、「孫への贈与」です。
実は2年前に亡くなった樹木希林さん(享年75)も孫への“贈与”を実践していた1人なのです。
樹木さんは合計10億円以上ともいわれる不動産を所有していたようですが、生前、「私が死んでも、夫に遺産は残さない」と宣言していました。
残された不動産はこの宣言どおり、娘の也哉子さん(44才)や娘婿の本木雅弘(54才)の名義に書き換えられましたが、所有していた不動産の1つは、樹木さんが存命のうちに孫の伽羅(21才)の所有になっていたようです。

「日本人全体の平均寿命が伸びたことで、遺産を相続する人が65才以上の高齢者というケースが増えています。これだと相続税を払って相続したものの、10年後にその人も亡くなり、再びその子が相続する際に相続税を払うという問題も現実的に起こっています。そこで一世代抜かして、孫に生前贈与する“相続対策”が注目されているのです。また、消費活動の盛んな孫世代に遺産が引き継がれるよう、孫への贈与が“お得”になる制度を国が用意しているんです」

配偶者と子供は民法で定められた相続人(法定相続人)となりますが、孫は含まれません。
そのため、さまざまな“抜け道”があります。
「孫相続」の賢いやり方を具体的に見ていきましょう。

生きている間に子供や孫に財産を渡すと、通常は贈与税が発生します。
しかしながら、年間110万円以内(基礎控除)なら非課税となります。
この仕組みを活用するのが「暦年贈与」で、親子より祖父母と孫で行うと、メリットが大きくなります。

暦年贈与は親子間でも可能ですが、子は法定相続人にあたるため、相続時に過去3年以内に行われた贈与はなかったものとされ、相続税がかかります。
ところが、(代襲相続人を除く)孫は法定相続人にあたらないため、過去にさかのぼって課税対象とならないのです。
「孫が10人いてもそれぞれ110万円まで非課税で渡せます。贈与したお金の使用用途に制限はありません。何年でも繰り返し暦年贈与を行うことができます」

ただし、毎年、定期的に同額を贈与するのはNGです。
「『連年贈与(定期贈与)』とみなされ、基礎控除が初年分しか適用されなくなる可能性があります。贈与する月を不定期にし、金額も1年目は100万円、2年目は90万円にするなど計画的な贈与にしない工夫が必要です。
ほかにも注意点があります。贈与を受ける孫が自分名義の口座を持ち、自分で管理することです。孫が未成年で自分で管理できない場合は、贈与する側の祖父母ではなく親が管理しましょう」

個人的には、早くから長期に渡って行う暦年贈与は非常的に簡単で効果的だと思っています。
しかしながら、この記事に疑問もあります。
『ただし、毎年、定期的に同額を贈与するのはNGです。』というのは、違うのではないかと思います。
『連年贈与』というのは、例えば、1,000万円を10年間で贈与する(1年当たりは100万円)という贈与契約がある場合に生じるものなので、そのような契約書を作る方はほとんどいないと思われるからです。
毎年、贈与契約書を作成し、実際にあげる方ともらう方の贈与の意思があれば、同じ日に同じ金額を贈与しても連年贈与と認定されることはないと考えています。

樹木希林さんも実践した「孫への贈与」が相続対策として注目を集めていることについて、どう思われましたか?


日本郵便のかんぽ不適正販売の「社員大量処分」の杜撰すぎる実態!

東洋経済によると、9月10日、全国の郵便局にある“指示”が出たようです。
タイトルは、「金融商品の販売時における税制の説明等の対応」です。
指示を出したのは、日本郵便本社の保険販売に関連する3人の部長です。
添付資料の「不適正なケースの具体例」を見て、かんぽ生命保険の契約を媒介してきた日本郵便の社員は思わずのけぞったそうです。
そこに書いてある具体例の多くが、かんぽや日本郵便の本社・支社が最近まで正しいとしてきた話法そのものだったからです。

●「相続税が下げられる節税プランをすすめます」は相続税対策ニーズを喚起している
●「相続税を減らせる」は税制の専門的な内容を断定している
●「相続税対策に保険を利用している人が多い」はニーズがない人に提案している
●「無対策で相続税が多くかかった人がいる」は第三者話法を使ってニーズ喚起している
として、不適正だとされました。

2018年4月付の研修用資料で、「生前贈与を含む生命保険を活用した相続対策提案」というものがあるようです。
冒頭の指示にある「不適正なケースの具体例」に照らせば、2年半前の多くの話法が不適正だったということになります。

「高齢のお客様にアプローチするときに、相続対策としてABA契約をテキストに掲載していた。契約者(子ども・A)、孫(被保険者・B)、契約者(受取人である子ども・A)の関係になる。相続税を大幅に下げる効果はなく、相続対策として有効ではない」。
これは2020年1月23日、北海道支社での社員との対話集会「第3回フロントライン・セッション」での日本郵便の長谷川篤執行役員の発言です。
本社の改革推進部は、「当日、孫と説明しましたが、テキスト上の記載は配偶者(相続人)でした」と当日の議事録「やり取り模様」に注意書きをしています。

しかしながら、東洋経済が入手した「テキスト」、すなわち社外秘の研修資料「かんぽで早めの相続準備」には、「孫」と明記されているようです。
同資料はかんぽが作成し、毎年最新版に更新してきたものです。
資料をめくると「暦年贈与を使って財産承継することも可能です!」と書いたページがあります。
「暦年贈与」とは毎年一定額を生前に贈与することです。
きちんと手続きを踏めば、年間110万円までは基礎控除となります。
そのページには、相続人である子どもが契約者(A)、孫が被契約者(B)、満期保険金の受取人は子ども(A)とする例が書いてあります。
保険料を実際に払うのは子どもの親であり、孫の祖父母に当たる高齢者です。

この事例は2018年版にも2019年版にも書いてあるようです。
保険料が年110万円を超えると生前贈与と見なされない。
単なる贈与と見なされ、節税メリットはない。
年110万円を超えなくても、贈与契約書を親子で取り交わしておかないと、生前贈与にはならない。

日本郵便は東洋経済の質問状に対して、「過去の研修資料にお客さま本位とは言えない表現が含まれていたことは事実。今後は真のお客さま本位の営業スタイルを募集人全体に浸透させていきたい」「管理者を含む関係者にも厳正に処分を実施しているが今後、不適正募集に直接的に影響した事実が判明した場合は、引き続き厳正に対処する」と回答したようです。

この記事では、赤字のことが書いてありますが、生前贈与というのは法律用語ではなく、俗語であり、遺贈とか死因贈与と区別するために使われることばだと思いますので、110万円を境に生前贈与か贈与かが変わるものではありませんので、記事を書いた方も分からずに書いていますね。
別に110万円を超えても、110万円を超える部分に対して贈与税がかかるだけであり、110万円部分には課税されませんので、この部分に関しては節税効果は当然ありますよね。
まぁ、相続とか贈与のことがよく分からず販売していた方もおられると思いますので、かんぽだから安心と思うのではなく、信頼できる方を通じて保険に入ってほしいと思います。

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祖父母から孫への贈与が非課税になる4つの制度!

週刊ポストによると、3世代にまたがる家族で、資産を“有効活用”するために重要となるのが「贈与」です。
高齢の祖父母が預貯金などの資産を抱えて亡くなると、その総額が基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えた分が、相続税の課税対象となるからです。

2015年に相続税の課税強化が実施されて以降、都内に持ち家がある場合などは対象になることが珍しくないため、あらかじめ子や孫へ贈与しておくことが資産の有効活用(節税)になるでしょう。

とりわけ「祖父母から孫」への贈与では“得する制度”が複数あり、主なものをまとめています。

まずは、ご存知の方が多い、年間110万円までの非課税枠がある暦年贈与です。
山本宏税理士事務所の山本宏税理士によると、「祖父母と孫の関係に限らず使える制度ですが、親子間の場合、贈与から3年以内に親が亡くなると相続財産に戻されて課税対象となってしまいます。これが孫の場合、もともと法定相続人ではないため、基礎控除以内の贈与は非課税のままで済むのです。」

さらに、結婚・子育て、教育資金、住宅取得資金などの用途に限定した一括贈与があります。
いずれも“期間限定”の制度です。
直系尊属からの贈与が要件なので、親子間でも使えますが、年齢差を踏まえると祖父母から孫への贈与が、相続財産の圧縮に使いやすくなっています。

「こちらは非課税枠の金額は大きいが、使い方に注意が必要です。とくに結婚・子育て資金の一括贈与は、祖父母が亡くなった時点で専用口座の資金が使い切れていないと、残りは相続財産に戻さないといけないので、節税メリットは小さい。
一方、教育資金は祖父母が亡くなっても、贈与を受けた孫が30歳になるまでに専用口座の資金を教育目的の使途で使い切れば課税対象にならないので、使い勝手が比較的いいでしょう。また、住宅取得資金は自宅購入時に贈与するので、“使い切れない”という心配はない。タイミングさえ合えば有効に活用しやすい」(山本宏税理士)。

ただし、メリットが大きいぶん、かえって“争続”のタネにもなり得るので注意しなくてはなりません。

「たとえば長男に子供(孫)が3人、次男には1人だった場合、すべての孫に均等に贈与すると、長男の世帯と次男の世帯の間では受け取った額に大きな差が生じ、亡くなった後の遺産分割で揉めごとが生じるリスクがある。あらかじめ贈与、相続でどのような配分をするか、家族で話し合って合意しておくのがよいでしょう」(山本宏税理士)

教育資金の一括贈与は、一時爆発的にヒットしましたが、数年前に改正され、少し使い勝手が悪くなりました。
領収書を提出したり、色々と手間もかかりますので。
ただし、すぐに財産を減らしたいときは有効な方法だとは思います。
税金は知らないと損することが多い(知らなくて損をしていても税務署は教えてくれない)ので、情報収集も必要だと思いますね。

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コロナ対策の生前贈与はかえって危険?

ガシェット通信によると、コロナウイルスの影響で、いつ誰が被害を受けてもおかしくない状況になってきています。
そのせいで今もし自分が死亡したとしても大丈夫なように、予め自分の財産の振り分けを始めている人たちがいるのです。
実はこの情報、やって意味がある人とかえって税負担が増えてしまう人がいるため注意しなければなりません。

相続発生時に相続財産が減っていれば、その分課税される税金は減りますので相続税の節税効果があるように思います。
しかしながら、相続はそんなに甘くありません。
というのも、仮に今から急いで贈与したとしても、3年以内に本人が死亡して相続が発生したら、生前贈与分もすべて相続税の課税対象になるのです。
それゆえ、早く生前贈与したからといって相続税負担を免れるわけではありません。

この話をすると、「それなら贈与税の基礎控除額である年間110万円以下の範囲でだけ贈与すればよいのでは?」と言われる方がいるのですが、残念ながら相続開始前3年以内の贈与財産については、贈与税の基礎控除額である110万円以下のものも含めて相続税の課税対象となります。
よって、節税という観点からすると慌てて今から生前贈与する行為にはあまり意味がありません。

自分の死後の相続に不安を感じているのであれば、慌てて贈与するよりも遺言書を書く方がおすすめです。
特にコロナウイルスは容体が急変してお亡くなりになるケースもあるようなので、もしものことを考えると元気なうちに書いておくことがとても重要になります。
遺言書に希望する遺産配分を記載しておけば、相続発生後のもめごとを防ぐことができます。
特に重要なのが、法定相続人以外への「遺贈」です。
遺言書がなくても法定相続人であれば財産を相続できますが、それ以外の人に遺産を残したいと思ったら必ず遺言書を書かないと取得させることができません。

このケースに特に当てはまるのが、「内縁関係」の方たちです。
内縁関係では婚姻関係は成立していないので、万が一どちらかが死亡しても一切遺産を相続することができません。
相続人として本人の父母や兄弟姉妹が出てくると、最悪の場合住む家を失う可能性もありえます。
このようなケースを回避するためには、遺言書によって一定の財産を遺贈するよう記載するか、亡くなる前に婚姻届を提出する必要があります。

遺言書は法的な効力のある書類ですが、実は家の中にあるものだけを使って作成することが可能で、専用の用紙などは必要ありません。
用意するものは以下3つだけです。
・紙(なんでもいい、便箋なども可能)
・ボールペン
・実印

印鑑は実印である必要はありませんが、信憑性を高めるためにも実印で捺印することをおすすめします。
これらを準備した上で、以下の事項を満たしていれば遺言書は有効に成立します。
・作成した日
・署名捺印
・一部を除いて直筆
このようにして作成した遺言書のことを「自筆証書遺言」といいます。

相続税の節税という意味ではそこまで効果がない駆け込み贈与ですが、遺産分割という角度から見た場合に生前贈与が有効といえるケースもあります。
それは経営者の方です。
オーナー社長の場合、自社の株式の100%を自分で保有しています。
万が一死亡した場合は、株式が配偶者や子供たちに相続されるわけですが、一箇所に集約していた株式が分散してしまうと、会社の意思決定機能に支障が出ることがあるのです。
このようなケースでは、後継者と決めている子供にあらかじめ株式を贈与しておいたほうが、会社の経営体制を守れる可能性があります。

コロナウイルスの早期収束を願うばかりですが、もしもの時の対策をとることもとても大切です。
ただ、闇雲に動いてもかえってマイナスになってしまうので、各ご家庭にあった対策を考えることを心がけましょう。

この記事では110万円以下の贈与も3年以内のものであれば、相続財産に足されるようなことが書いていますが、必ずしも正しくありません。
足されるのは、基本的に、法定相続人だけなのです。
それゆえ、法定相続人ではないお孫さんやお子さんの配偶者への贈与は3年以内であっても足し戻されることはありませんので、相続税対策としては比較的容易で有効な方法です。
あとは、個人的には、紛失や改ざんのおそれがあり、要件を充たしておらず無効となる可能性のある『自筆証書遺言』よりは、多少費用はかかりますが『公正証書遺言』をお勧めします。

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皇位の証しである「三種の神器」の贈与税は非課税に!

 皇位の証しとして歴代天皇に受け継がれてきた「三種の神器」などは、皇室経済法で定められた「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」とされており、相続税の課税対象外になっているのです。
退位による生前贈与はこれまで想定されていなかったため、新たに設けられた皇室典範特例法の規定で、今回の皇位継承に限って贈与税を非課税とする措置がとられました。

宮内庁は、約600件を「由緒ある物」に指定しています。
三種の神器以外に、宮中祭祀(さいし)が行われる皇居・宮中三殿や歴代天皇の直筆の書などが含まれています。

2019年5月1日午前0時から新天皇陛下の持ち物となったのです。

今回、平成から令和になりましたが、テレビなどを見ていると、日本人として、やはり天皇は日本の象徴であり、必要であることを改めて感じました。
1年半ほど前に、大学院での授業の中で、「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」は相続税の課税対象外なんですねということをおっしゃっていた生徒さんがいたので、相続税が非課税ということは知っていたのですが、当時調べると、贈与税は規定はないんだなぁと思った記憶があります。
ノーベル経済学賞の賞金だけが所得税が非課税になっていないのと同じような感じですね。
反対する方もおられるでしょうが、やはり天皇の存在は日本にとって欠かせないと思いますので、贈与税の非課税措置は当然かなと思いました。

元号が変わると諸々のコストが発生する企業や省庁などはあるかもしれませんが、それを避けたいのであれば西暦を使えば良いと思いますし、日常生活の中で、元号を使うのか西暦を使うのかという問題は、別個で考えれば良いと思います。

皇位の証しである「三種の神器」の贈与税は非課税であることについて、どう思われましたか?


東京国税局がオーストラリア当局と協力して滞納贈与税8億円を徴収!

 日本国内で贈与税を滞納していたオーストラリア人男性について、東京国税局がオーストラリアの税務当局に税金の徴収共助を要請し、男性の預金から延滞税を含む約8億円を徴収したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
オーストラリアの税務当局が男性の預金を差し押さえました。
日本の国税当局が租税条約に基づく徴収共助を要請した例は11件あるようですが、億単位の徴収は初めてで過去最高額となりました。

関係者によると、オーストラリア人男性は数年前、日本在住の親から数十億円の贈与を受けました。
しかしながら、男性は贈与税を納付せず、国税局の再三の催促に対しても拒否し、国税局は日本国内の男性の預金を差し押さえて一部を徴収しましたが、約8億円が未納となっていたため、国税庁を通じオーストラリアの税務当局に徴収共助を要請していました。

国をまたぐ個人や法人の資金の動きを探る場合、国税庁は租税条約に基づき海外の税務当局と情報交換できます。
滞納者の税徴収については、現在53の国・地域の税務当局に要請できます。

タックスヘイブン(租税回避地)での節税実態を暴いたパナマ文書問題では、各国の税務当局がグローバル経済に対応できていない実態が浮き彫りになっただけに、国税庁は海外に多額の資産を持つ富裕層の税逃れ対策を強化しています。
今回のケースのように、海外の税務当局との連携を深めているようです。

良いニュースですね。
悪質なものに対しては、厳格に対応してほしいです。
おそらく、表に出てきていないこのような滞納案件が結構あり、回収できていないものがそれなりにあるのではないかと思います。
こういうニュースが出れば、抑制になると思いますので、少なからず、滞留発生が減り、回収率も上がるでしょうね。

東京国税局がオーストラリア当局と協力して滞納贈与税8億円を徴収したことについて、どう思われましたか?

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急拡大でひずみが生じた太陽監査法人が業務改善計画を提出!

日本経済新聞によると、太陽監査法人は2024年1月末までに金融庁に業務改善計画を提出します。

ディー・ディー・エス(DDS、2023年8月に上場廃止)に対する監査に重大な不備があり昨年12月に行政処分を受けていました。

企業の監査人交代の受け皿役を積極的に引き受け、大手法人の一角をしのぐ規模まで成長してきた太陽監査法人の拡大路線は方針転換を余儀なくされます。

2023年12月下旬、監査業界に激震が走りました。

「重大な虚偽記載がある財務諸表を虚偽がないと証明した」として、金融庁が太陽に対する処分を公表したためです。

処分内容は2024年1〜3月における新規契約締結の停止や業務改善命令などで、9,595万円の課徴金納付命令も出ました。

監査法人への課徴金納付命令は会計不正があった東芝を担当していた新日本監査法人(現EY新日本監査法人)が2015年12月に受けて以来です。

公認会計士法上の課徴金制度が導入された2008年以降で2例目と、ほぼ例がないのです。

事の発端はDDSの会計不正です。

2022年5月に売上高の過大記載の疑いが発覚しました。

貸倒引当金繰入額の過少計上なども明らかになり、訂正報告書の提出を求められていました。

DDSは2022年8月12日に太陽監査法人の監査意見付きの訂正報告書を提出しました。

しかしながら、当期と前期の繰越利益剰余金の差額が損益計算書の最終損益と整合しないなど多くの虚偽記載があったのです。

実は太陽監査法人は、DDSの訂正報告書のドラフト段階で修正が必要な箇所があることを認識しており、修正が必要な箇所もDDSに伝えていました。

ところが、DDSは修正しないまま提出を強行してしまったのです。

太陽監査法人の石井雅也経営管理本部長は「クライアントへの指導力不足が露呈した」と語っています。

今回の失敗はいくつもの要因が重なっています。

DDSは度重なる不正で経理人材の退職が相次ぎ、正しい財務諸表を作る能力が著しく下がっていました。

また、訂正報告書の提出がこれ以上遅れれば、上場廃止になると焦っていました。

太陽監査法人の担当会計士は「指摘部分は当然修正されるはず」と考え、業務効率化のため事前にレビュー報告書を渡していたのです。

青山学院大学大学院の町田祥弘教授は、太陽監査法人について「中身を確認せずレビュー報告書を事前に渡すなど言語道断だ」と話しています。

金融庁の担当者も「簿記3級程度の基本的部分の見逃しで到底考えられない」と憤っているようです。

太陽監査法人が規模を急拡大させてきたことへのひずみを指摘する声もあるようです。

上場企業監査顧客数は350社と2019年比で6割増えました。

監査業界で太陽は「ビッグ4」と呼ばれる大手に次ぐ「準大手」の位置づけですが、上場企業顧客数だけでみれば大手の一角のPwC Japan(約200社)より多いのです。

ある大手法人の公認会計士は、「公認会計士の負担が増すなか太陽監査法人側の顧客受け入れや従業員の教育体制が十分だったか疑問だ」と話しています。

太陽監査法人がリスクの高い会社の監査の受け皿になっていたという事実もあります。

5〜6年前から企業が会計監査人を大手法人から準大手や中小に交代する動きが加速しています。

金融庁傘下の公認会計士・監査審査会によると2022年度の監査シェアは準大手と中小法人が合計で40%を超えました。

人手不足に悩む大手法人は、不正リスクが高く採算も厳しい中堅中小企業の監査を絞る、実質的な顧客選別を進めてきたのです。

大手法人から切られた企業にとって太陽監査法人は頼れる先で、金融庁などが課題視する「監査難民」問題の緩和に一役買っていました。

DDS事案を教訓に、太陽監査法人は監査や審査体制の見直しを始めました。

顧客のガバナンスリスクに応じた適切な人員配置ができるようにします。

さらに、今後はリスクの高い企業の監査契約にはより慎重になる公算が大きいでしょう。

よって、拡大路線にはブレーキがかかりそうです。

駆け込み寺的な役割を担っていた太陽監査法人が選別を始めれば、国が進める新興企業などの育成に支障がでる可能性が高いです。

しかしながら、DDSのように「上場の意義を理解していない企業が存在しているのも事実」(町田教授)です。

監査インフラが有限である現実を踏まえ、野放図な上場企業増加も見直す必要があるでしょう。

事前にレビュー報告書を渡すというのは完全にアウトですね。

太陽監査法人が駆け込み寺みたいになっていたのは知りませんでしたが、駆け込み寺となる監査法人が今後出てこないことを願いたいですね。

監査法人が会計監査を引き受けないような会社は、何かしらの問題があるということでしょうから、上場にふさわしくない会社ということでしょう。

急拡大でひずみが生じた太陽監査法人が業務改善計画を提出することについて、あなたはどう思われましたか?


金融庁が太陽監査法人に業務停止命令及び担当公認会計士2人も処分!

日本経済新聞によると、金融庁は、先日、準大手の太陽監査法人(東京都港区)に対して契約の新規締結を3か月間停止する業務停止命令を出しました。

財務諸表で多くの虚偽記載をしていたディー・ディー・エスの監査で、注意を怠り虚偽記載がないと証明したのが理由です。

業務停止の期間は2024年1月1日から3月31日までです。

担当した公認会計士2人にも業務停止6か月間の懲戒処分を出しました。

2人の公認会計士は財務書類の間違いが初歩的なものにもかかわらず注意を怠り、適正であると監査証明していました。

さらに、チェックする立場にあった審査担当の社員1人に対しても監査業務の審査に関与することを3か月間禁止する処分を出しました。

この社員は会計士の評価内容を十分に検証しないまま対応を終えていました。

太陽監査法人には、業務管理体制の改善を求める業務改善命令も出した。

2024年1月31日までに業務の改善計画を提出し、直ちに実行することを求めました。

太陽監査法人への行政処分は、処分基準を制定した2005年以降で初めてです。

太陽監査法人は4大監査法人(トーマツ・新日本・あずさ・あらた)に次ぐ準大手の監査法人です。

上場企業の監査数で第4位で、2023年9月末時点でプライム上場企業118社を含む計約350社の上場企業を監査しています。

大手がクライアントを減らし、準大手が増やしている中、準大手の中でも大きな太陽監査法人がこのような実態であれば、会計監査に対する社会的信用を失うことは明らかですので、本当に勘弁してほしいですね。

そういうことを考えると、投資家の視点で考えると、大手が会計監査をやっている企業がやはり信用できますね。

個人的には、処分は甘すぎると思いますし、このような監査法人は解散して、きちんと会計監査をできる監査法人が上場企業の会計監査をすべきだと思います。

金融庁が太陽監査法人に業務停止命令及び担当公認会計士2人も処分したことについて、あなたはどう思われましたか?


メガネスーパー運営のビジョナリーHDの監査人が結論の不表明!

日本経済新聞によると、眼鏡店「メガネスーパー」運営のビジョナリーホールディングスは、先日、2022年5月〜2023年1月期の四半期報告書について、PwCあらた有限責任監査法人から結論を表明しないとの報告書を受け取ったと発表しました。

第三者委員会を設立し前社長の利益相反行為を調査しましたが、影響額などを示す詳細情報を得られていないようです。

第三者委は前社長の利益相反行為について業務委託先など25社を調査しました。
前社長が一部の取引先で「意思決定機関を支配している」とし、ビジョナリーHDが一部取引先から不合理な賃料増額や業務実態が確認できない費用を請求されている可能性を指摘しました。

ところが、ビジョナリーHDは取引先から必要な情報を入手できず、先日発表した決算短信で「重要な虚偽記載が存在する可能性がある」と記載しました。
PwCあらたは「未発見の虚偽表示があるとすれば影響は広範囲である。結論を表明する十分な証拠がなく、重要な修正が必要か判断できなかった」としています。

ビジョナリーHDは前社長らによる利益相反行為の影響を精査するため、3月に予定していた決算発表を延期していました。
四半期報告書の提出遅れから東京証券取引所の上場廃止基準に抵触する恐れがある「監理銘柄」に指定されていましたが、6月14日付で解除されました。

2022年5月〜2023年1月期の連結純利益は9,100万円でした。
なお、前期の同期間は4億200万円の赤字でした。

前社長側が制限などしているようですが、元々は、監査法人の通報窓口に通報があったようです。
正義感の強い方が社内におられるというのは、ある意味、素晴らしい会社なのかなぁと思います。
嘘の通報がたくさん行われるようになると問題はあるかと思いますが、もっともっと上場企業で通報が普通に行われ、有効なものになればいいなぁと思った1件でした。

メガネスーパー運営のビジョナリーHDの監査人が結論の不表明だったことについて、あなたはどう思われましたか?


中小監査法人を登録制で選別!

日本経済新聞によると、上場企業の会計監査において役割が増す中小監査法人の選別が進みそうです。
監査担当を大手から替える動きが目立つ一方、ずさんな監査体制で行政処分を受ける中小は少なくありません。
金融庁は上場企業の監査を担うための登録制度を法律で定め、情報開示などを強化する方針です。
自主規制団体の日本公認会計士協会が登録制をどの程度厳格に運用できるかが焦点となっています。

監査法人のあり方を巡り、金融庁は公認会計士法などを改正し、自主規制の枠組みにとどまる登録制を法律で定める方針です。
政府は2022年3月に改正法案を国会に提出し、2022年度内の施行を目指しています。

金融庁は2017年に策定した「監査法人のガバナンス・コード」などに基づき、監査の品質向上や透明性の確保の徹底を求めます。
登録制を運用する日本公認会計士協会の手塚正彦会長は「情報開示を強化し、各事務所の強みや特徴を理解してもらうことが重要」とした上で、「重大な不備があれば、上場監査マーケットから退場してもらう」と断言しています。

上場企業を監査する中小監査法人は約120あります。
100人超の規模の法人がある一方、個人で事務所を開き、共同で監査する場合もあります。
IT(情報技術)資源も法人間でばらついており、新しいビジネスへの対応でも情報量に差があります。

中小監査法人では近年、行政処分に至る事例が相次いでいます。
2021年8月、原会計事務所は金融庁から1か月の業務停止命令を受けました。
2020年11月には大手門会計事務所に対して同様に5か月の業務停止命令が下りました。

金融庁幹部は経営陣の意識次第としながらも「企業との癒着が起きやすく、組織的監査も機能しにくい」と話しています。
「一部の監査法人は、明らかに身の丈に合わない量の監査業務を引き受けている」とも指摘しています。

応和監査法人(東京都千代田区)はIT専門担当3人を含む約40人で上場企業9社を担当しています。
大手監査法人出身で総括代表の沢田昌輝氏は「監査業務の本質は規模で変わるものではない」とする一方、「中小は特に問題が起こった際に、ひとくくりで見られる」と語っています。
優秀な人材の確保も「大手に比べると難しい」と指摘しています。

中小監査法人の役割自体は増しています。
公認会計士・監査審査会の報告書では、企業が監査担当を大手監査法人から中小監査法人に替えた件数は2021年6月までの1年間で87件と前年の2倍以上でした。
大手監査法人は手数料などコストが高くなっています。
シェアでは大手がなお7割弱(社数ベース)を占めていますが、中小のシェアは拡大傾向が続いています。

情報開示の強化など登録制の厳格運用で中小監査法人の選別は進む可能性が高いでしょう。
企業が自らに適した監査法人を選びやすくなり、財務情報の信頼性もより高まります。

ただし、日本公認会計士協会が実効性のある運用ができるか懐疑的な見方もあります。
2016年度以降に会計士協会が登録を取り消したケースは2件しかありません。
日本公認会計士協会が甘い評価を下せば、登録制の法定化は意味をなしません。

監査業界は問題が起こるたびに規制強化の議論が出ますが、規制対応で負担がかさみ、業務に支障をきたせば本末転倒です。
登録制で自浄作用を発揮できるか、監査人の自覚が改めて問われています。

少し前の伝説の監査法人のような駆け込み寺的存在になっている監査法人が存在するのも事実だと思いますし、監査法人が処分を受けたとしても、同じようなメンバーで新しい監査法人を作っているケースもあるのではないかと思います。
あと、たまに、監査法人のホームページを見たりしますが、代表者の経歴を見て、このような業界の経歴の浅い人がトップの監査法人が上場企業の会計監査をやっていいのかと疑問に思うことがあります。
結局、誰かが問題を起こすと、公認会計士の信頼が失われることになりますので、実効性のある運用がなされることを期待したいと思います。

中小監査法人を登録制で選別することになることについて、どう思われましたか?


トーマツが不正会計リスクをAIで“監査”し過去の不正企業との近似率を計算!

ITmediaによると、デロイトトーマツグループの監査法人トーマツは、先日、AI技術を活用して不正会計のリスクを予測する「不正検知モデル」を開発したと発表しました。

AIによる監査の高度化を目指すそうです。

2005年以降に公開された有価証券報告者の財務データや、為替レート、物価指数といった市況データをAIに学習させました。

対象企業・勘定科目の財務データから不正企業との近似率を「不正スコア」として算出します。

計算に影響を与えた項目など、スコアの理由を表示できるほか、類似度の高い不正企業の事例も参照できます。

トーマツは2022年1月から不正検知モデルを本格導入しました。

今後2年間で100社以上の監査先で活用し、入手した財務データは同意を得てAIの学習データとして使うとしています。

AIが馴染む仕事かもしれませんが、元トーマツの人間で、会計監査をしていた僕としては、個人的には、監査人としての経験からくる直感というものがとても重要だと思っています。
もちろん、AIも使うということは否定しませんが、AIに頼りすぎるのもどうかと思います。
会計監査の報酬は、現場での時間がベースとなるでしょうから、クライアントの見えないところで使っている時間はチャージしにくいでしょうから、監査報酬の値下げに繋がる可能性もあるのではないかと思っています。
また、監査人があまり考えず、機械的な判断になってしまうのではないかと危惧しています。
もちろん、監査法人は人手不足や働き方改革にも対応しないといけないことは重々承知ですが、直感とAIをうまく組み合わせて効率的な監査ができるようになり、不正が少なくなればいいなぁと思います。

トーマツが不正会計リスクをAIで“監査”し過去の不正企業との近似率を計算するようになったことについて、どう思われましたか?


金融庁が質向上を狙い監査法人登録の法制化を検討!

時事通信によると、金融庁は、先日、企業の会計監査を行う監査法人に関する論点整理案を有識者会議に提示しました。

監査法人の登録制度について「法律に基づく制度の枠組みを検討する必要がある」と指摘しています。

現在は日本公認会計士協会による自主規制としての登録制度がありますが、中小監査法人を含め、上場会社の監査の質を向上させるため、法律に基づく新制度を検討するようです。

上場会社の監査を担う中小監査法人は増加傾向にあります。

しかしながら、企業側の事業規模拡大に十分対応できていないとの見方があります。

論点整理案では、中小監査法人も上場会社の監査に十分な能力・体制の確保が必要だと強調しています。

問題を起こした監査法人のパートナーが新しく監査法人を作ってパートナーとなり、監査法人は変わったものの実態は同じみたいな案件もありますし、金融庁の検査を受けた監査法人が処分されたケースで、指摘内容を見てみると、こんなところが上場企業の会計監査をやっているのかと思うことがあります。
公認会計士や監査法人の信頼性を担保し、会計監査の重要性を認識してもらうには、質の向上は避けることができないと思います。
金融庁がどうするのかは分かりませんが、非常に良いことだと、個人的には思います。

金融庁が質向上を狙い監査法人登録の法制化を検討していることについて、どう思われましたか?


公認会計士が帳簿や領収書を在宅チェックする「リモート監査」!

日本企業の2020年3月期決算の監査業務が大詰めを迎えています。
今年は、監査法人の会計士が在宅で企業の帳簿や領収書をチェックする「リモート監査」が広がりました。
公認会計士が新型コロナウイルスに感染し、担当企業の決算や株主総会に影響するのを防ぐためです。
ただし、効率低下は避けられないでしょう。
書類の電子化や期末直後に集中する業務の分散など課題も浮き彫りになりました。

企業は株主総会の招集通知や有価証券報告書に損益計算書などの計算書類を掲載します。
正確さを担保するために公認会計士または監査法人による会計監査が欠かせません。
法律上は必要のない決算も会計監査を終えて臨むことがほとんどです。

契約書や請求書などの電子化が進んでいない企業の監査では、公認会計士が会社を訪れて資料を直接確認し、会社が報告する決算資料と照らし合わす作業が必要でした。

今年は新型コロナの影響で企業への訪問が難しくなり、監査法人は「リモート監査」で対応しています。
公認会計士は1人が複数企業の業務を掛け持ちします。
従来のような企業訪問を続ければ感染リスクが高いうえ、オフィスで監査法人内に濃厚接触者が増えれば監査業務が滞りかねません。

大手のトーマツは2月末から、原則的にオフィス作業を在宅勤務に切り替えました。
在宅で監査ができるよう上場企業など顧客企業900社に携帯端末の配布も始めました。

企業の経理担当者などが領収書や契約書など、公認会計士の確認が必要な書類を撮影し画像を送ります。
送り先が設定されており、誤送信がありません。
データは端末に残らず、情報流出リスクを抑えています。

アメリカのアップルの多機能携帯端末「iPodタッチ」に独自開発のアプリやセキュリティー対策ソフトを加えました。
1社につき1台は無料で、2台目以降は1台あたり2万9,000円で貸し出しています。

公認会計士は1社当たり数千枚の書類照合作業が在宅でできます。
国井泰成包括代表は「顧客企業と監査法人双方の負担軽減にもなる」と期待しています。
トーマツが属する世界のデロイトグループでも初めてで、今後は海外にも広がる可能性があります。

EY新日本監査法人は監査先企業とオンラインでデータをやり取りするためのポータルサイトを活用しています。
2018年ごろから利用を始めました。
上場、非上場あわせて約3,800社の顧客企業のうち630社程度が利用しています。
3月末にもある上場食品メーカーが採用を決めました。

顧客が使うポータルサイトは、EY新日本の会計士が業務で使うシステムと連携しています。
各公認会計士が自分に割り当てられた業務のために該当ページを開くと、企業側がアップした資料から必要なデータだけが自動的に表示される仕組みです。
EY新日本は2月末よりオフィス業務は原則在宅にしました。

もっとも監査業務全てをリモートに置き換えられるわけではありません。
紙の契約書や請求書などはPDFデータをいったん参照しますが「改ざんがないか最終的に現物を確認する作業は残る」(EY新日本の片倉正美理事長)。
各監査法人は最小限の人数で会社を訪問しています。

遠隔作業は手間がかかる面もあります。
大手監査法人に所属する30代の公認会計士は「対面で同じ資料を突き合わせてやり取りするのに比べると意思が伝わりにくい」と語っています。
在宅勤務は経験が少ない若手公認会計士にとってベテランの指導を仰ぎにくい面もあります。

「現場では作業効率が20%程度落ちている」(日本公認会計士協会の手塚正彦会長)といい、作業の遅れから決算発表を当初予定から延期する企業が続出しています。

監査業務が決算期末後に集中するという問題がコロナでより顕在化しました。
一つの解決策は「常時監査」です。
企業の基幹システムと監査システムを常に接続し、人工知能(AI)も活用しながら不正の有無をリアルタイムで確認するものです。
業務の平準化と訪問機会の減少につながるでしょう。

EY新日本が導入を検討しており、AIを使った監査ツールの開発人材を3年後に2.5倍の75人に増やす予定です。

会計監査は、担当者の態度や話しからおかしいなぁと思うこともあるでしょうし、質問することもたくさんあります。
それゆえ、在宅になると時間もかかりますし、不正などを見落とす可能性も高くなるでしょう。
一方で、現金や受取手形や有価証券や預金証書などの現物を確かめたり(いわゆる実査)、実地棚卸の現場に出向いて状況を把握したり、現物を確かめたり(いわゆる立会)することは、監査手続上、非常に重要なものとなるため、在宅では不可能な手続も存在します。
また、上場企業の場合、一つの部屋で数人が数週間監査を行っていることが多いため、感染しやすい環境にあるかと思います。
窓がない部屋のことも多いですから。
今回の新型コロナウイルス感染症は会計監査を根本的に見直す機会になるかもしれませんね。
ただし、会計監査は、担当者の単価×見積時間の積み上げによって監査報酬が決まるでしょうから、在宅やAIによる会計監査などが増えると、見積時間がクライアント側には感覚的に分かりにくくなるかもしれませんので、監査報酬の交渉が重要性を増すかもしれませんね。

公認会計士が帳簿や領収書を在宅チェックする「リモート監査」について、どう思われましたか?


プリントネットが『公認会計士等の異動に関するお知らせ』を一部変更!

 プリントネットというJASDAQに上場している企業が、先日、「公認会計士等の異動に関するお知らせ」というプレスリリースを一部変更しています。
文章は、以下のとおりです。

(訂正)「公認会計士等の異動に関するお知らせ」の一部訂正について

 2019年10月24日に開示いたしました「公認会計士等の異動に関するおしらせ」の記載内容について、下記のとおり訂正させていただきます。

                 記

1.訂正の理由
当社が2019年10月24日に開示いたしました「公認会計士等の異動に関するお知らせ」の記載内容につき、退任する有限責任監査法人トーマツより、訂正の依頼が本日付けであったため、その訂正を行うものであります。

2.訂正の内容
 訂正箇所には下線を付して表示しております。
 2ページ「6.異動の決定または異動に至った経緯」

<訂正前>

当社は、監査体制に疑念を抱く点並びに近年の監査報酬が増加傾向であることなどから、公認会計士等の評価・見直しを行うべきと考え、監査役会において複数の監査法人と検討してまいりました。

<訂正後>
 当社は、監査証明が出されている期より以前の期における監査体制に不備があったこと、また、近年の監査報酬が増加傾向であることなどから、公認会計士等の評価・見直しを行うべきと考え、監査役会において複数の監査法人と検討してまいりました。

2ページ「7.6.の理由及び経緯に対する意見」
(1)退任する公認会計士等の意見1行目
<訂正前>
 特段の意見はない旨の回答を得ております。

<訂正後>
 退任する公認会計士等からは、「監査報酬に関し合意するに至らなかったため、任期満了により退任する旨申し出たものであります。なお、当監査法人は所定の品質管理体制のもと適切に監査を実施しております。」との回答を得ております。

                                     以上

監査法人に対する不信感はあったのでしょうが、監査法人の意見も聞かず、プレスリリースするというのもどうなんでしょうね。
『監査証明が出されている期より以前の期における監査体制に不備があったこと』というのもよく分かりませんが。
まぁ、あまり会社と監査法人の関係性が良くはなかったということなのでしょうけど。
個人的には、最近では、監査法人変更の理由にすごく興味がわきます。
会社もきちんと理由を書き、監査法人もそれに対する意見をきちんと書くということが、投資家のためになるでしょうね。

プリントネットが『公認会計士等の異動に関するお知らせ』を一部変更したことについて、どう思われましたか?


現場を衰退させる形式主義!

 日本経済新聞によると、行き過ぎた形式主義が現場の思考停止を招いているようです。
不祥事が起きるたび新たな制度やルールが作られ、それらすべての規則を守ることを目的化してしまい、現場力の著しい低下を招いているようです。

企業統治(コーポレートガバナンス)の強化は大切ですが、実態はどうなのでしょうか?
本来、社外役員に求める能力やキャリアは企業ごとに異なるはずですが、知名度や性別、資格など形式要件だけで選定する企業も少なくありません。
機関投資家が画一的な形式基準で評価することも一因です。
担当する企業数が少なければいいというものではありません。
むしろ少なすぎれば1社当たりの報酬に対する依存度が高まり、言いたいことが言えない環境を作ることになってしまいます。

規制当局による検査の在り方も同様です。
実態を見よう、事業性を正しく評価しようと号令がかかるのです。
ただし、マイナスの評価基準は明確でも、プラスの基準は示されていません。
検査結果次第で人事評価を受ける現場にとって、いい仕事やリスクを取って成功した時、それを評価する基準が無ければ、顧客や社会と向き合い議論などできません。
その結果、検査のみに視点が行ってしまいます。

現場にも問題があります。
コンプライアンス(法令順守)強化により、マニュアルなどの整備が進み、ルールやルーティンを守りさえすればいいという組織は責任をとらない楽な仕組みです。
しかしながら、目先の手順や仕組みに依存していては、本質を理解する力や物事を考える力は大きく衰退するのです。

専門家も同じです。
公認会計士は『会計監査六法』に基づき監査を行いますが、20年前までは1,182ページだったものが、今では3,168ページに達します。
監査を取り巻く環境は厳しくなり、厳格な対応が求められています。
その結果、例えば棚卸しの監査時に現品の記録確認に気を取られるあまり、在庫管理状況の確認を失念するという具合に本質的な問題を見逃すことになりかねません。

ガイドラインやマニュアルなどへの依存は責任の所在を分散させ、組織的に動かすには便利な手段です。
しかしながら、職場での対話や各人が考えたり、五感で感じ取ったりという人間本来の能力を低下させているのです。
洞察力、思考力、対話力といった能力は一旦失われてしまうと容易には取り戻せません。
経済環境が好調な時こそ、コストと時間をかけてでも人を育てるという視点が不可欠でしょう。

このBlogでも何度か書いていると思いますが、僕が監査法人を辞めた理由の一つは、不祥事があり、金融庁の検査のための書類作りが増えたことにあります。
監査手続きとは直接関係のないような作業が増え、誰のために監査をしているのだろうと疑問がわいたからです。
当時以上にその作業は増えていると推測しますし、今も本質的に変わらないですね。
近年、『会計監査六法』を見るたびに、以前は『会計監査小六法』だったのになぁとか、実際にはページ数も増えているし、金融用・学校法人用・非営利法人用など種類も増えているなぁと思います。
形式にとらわれすぎて、本質を見落とさないようにして欲しいですね。

現場を衰退させる形式主義について、どう思われましたか?


「本3月期決算に係る監査の実施に当たって」の公表!

 日本公認会計士協会は、2019年03月27日付けで、「本3月期決算に係る監査の実施に当たって」を公表しました。

 内容は以下のとおりです。
 本3月期決算に係る監査の実施に当たって企業活動の複雑化・グローバル化が加速する中で、企業が作成する財務諸表は、様々な立場の人がその信頼性に注目しています。このため、財務報告の信頼性を担保するための監査の役割は、一層重要性を増しています。加えて、監査基準の改訂によるKAMの導入、通常とは異なる監査意見等に係る対応についての議論など、昨今の監査の信頼性向上への取組からも明らかなように、従来にも増して、ステークホルダーからの監査に対する期待も高まっています。
 一方で、近時においても盛んに報道されているとおり、企業の不正が後を絶ちません。また、海外でも会計不正やその監査を巡る問題を受けて、監査の信頼性を更に向上させるための議論が行われています。
 当協会では、監査業務改善のために、毎年監査業務審査会の審査内容を参考にした『監査提言集』を公表しています。この『監査提言集』では、監査人が心掛けるべき「11の提言」を記載しています。
 3月期決算に係る監査の繁忙期を迎えるに当たり、会員各位には引き続き、「11の提言」も有効に活用し、職業的懐疑心をもって、監査の基準に従いリスク・アプローチに基づく監査の実施に努めるようお願いします。

以 上

 こういう文書を出さないといけない状況であるということ自体、残念な気がしますね。
ここでは書きませんが、『11の提言』も、こんなこと書く必要があるのか?と思うようなものがいくつか入っています。
個人的には、不祥事の発生→監査の厳格化→マニュアルなどの強化→職業的懐疑心の低下という悪循環に陥っているのではないかと思います。
あと、最近、『KAM』(Key Audit Matters)ということばを、日本公認会計士協会が良く使っているような気はしますが、もう少し、一般の方々でもわかりやすいことばにした方が良いのではないかと思うのは、僕だけなのでしょうか?

「本3月期決算に係る監査の実施に当たって」の公表について、どう思われましたか?


指針変更でわかった「監査法人交代」の理由は結局お金!

 12月期決算の上場会社の定時株主総会が終わりました。
上場会社は決算書を監査法人にチェックしてもらう義務を負っています。
どの監査法人に監査を依頼するかの決定プロセスは会社によって異なり、会社が候補を決めて総会に諮る場合と、会社自体に決定権があって総会では報告するだけで良い場合があります。
しかし、いずれにしても総会マターです。
このため、監査法人の交代は、定時総会開催月の前々月の下旬から当月上旬くらいまでに公表されるのが一般的です。
2019年も12月期決算企業の監査法人交代の発表が1月下旬から始まりましたが、2019年は例年とは少々趣きが異なっています。
交代を知らせる各社のリリースに、これまでにはなかったほどしっかりと交代理由が書き込まれているのです。
逆に言えば、これまではなぜ監査法人が交代するのか、その理由がちゃんと書かれてきませんでした。
なぜ2019年になって、こうした変化が生じているのでしょうか?
これに関する記事が、Money Forwardが運営するMONEY PLUSというサイトに書かれています。

上場会社が監査法人を変える理由はいくつかあります。
1つは、会計処理の方針で会社側と監査法人の意見が対立したり、その会社の事業特性や業界慣習に対する理解をしてもらえない場合、2つ目が、監査法人の担当者が重大なミスを犯したり、何らかの粗相があって会社側を怒らせた場合、3つ目が、監査報酬で折り合えなかった場合です。
このほかに、海外子会社が増えて海外の会計事務所とのネットワークがある監査法人に乗り換える場合などがあります。
かつて、監査法人の変更は、上場会社にとって非常に重大なことでした。
会社が何か重大なリスクを抱えていて、監査法人に逃げられてしまったのではないか、と市場から疑いの目で見られる可能性があったからです。

しかしながら、平成不況が長引く中で、新規に上場する会社の数が激減し、監査法人間でクライアントの奪い合いが発生しました。
これによって、少しでも監査報酬を安くしたい会社側の思惑とが合致し、4大監査法人(EY新日本、あずさ、トーマツ、PwCあらた)間での変更や、4大監査法人から準大手への変更であれば、投資家も色眼鏡で見ることがなくなったため、監査法人変更のハードルがぐっと下がったのです。
そして景気が回復すると、今度は監査法人の人手不足が深刻化してきました。
それまで買いたたかれる一方だった監査法人も、会社に対して原価に見合う報酬を要求するようになり、一転して売り手市場になったのです。
東芝問題をはじめ、次々と不正会計が発覚したため、より厳格な監査手続が求められるようになったことも、監査法人の人手不足の原因になっています。
このため、かつては監査先数と売上高で競い合っていた監査法人も、ちゃんと採算が合うだけの報酬を払ってくれて、なおかつ粉飾発覚リスクも低い監査先しか監査を引き受けないという方針に転換し、近年では監査報酬で折り合わなかったために、監査法人が代わるケースが激増しているらしいということは、噂レベルでは出ていたのです。

ところが、会社側はその本音、つまり「監査報酬で折り合わなかったから監査法人を変えた」という理由を、なぜか交代のリリースに書かないことが一般化していたのです。
監査を受ける会社の現場の人にとって、監査法人を変えるというのは大変負担が重いものです。
会社によって業界の慣習は異なり、監査法人に会社のことや会社が手掛けている事業のことをわかってもらうまでには大変な労力がかかります。
それゆえ、監査法人を変えるというのは、そう簡単なものではないのです。
ところが、リリースに書かれる前任監査法人の退任理由は「今度の総会で任期が満了するから」となっていたのです。
後任は「監査を任せられるだけの資質があるから」、あるいは「総合的に判断して」といった、真の理由がわからない書き方であるのが普通で、まるでコピペしたかのように、大半の会社が同じ文言を書き連ねていました。

その状況が一変したのが2019年1月下旬です。
理由は、金融庁が有識者を集めて発足させた「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」が、1月22日に公表した報告書に「監査法人の実質的な交代理由をちゃんと書くべき」と書かれたからなのです。

効果はてきめんです。
それ以降、3月8日までに開示された監査法人の交代リリースをまとめてみたところ、19社中18社が明確に交代理由を書き、そのうち9社が監査報酬で折り合えなかったことを理由に挙げています。

このほか、監査時間を理由にした会社が1社あり、監査報酬は「単価×のべ作業時間」で計算されますので、監査報酬が理由と考えられます。
この1社も含めれば10社です。

4月に入ると、3月期決算会社の監査法人交代の発表が出始めます。
昔に比べれば、監査法人の交代で会社側が風評リスクにさらされる確率は低下したとはいえ、それでも大手から中堅以下の規模の監査法人に交代した場合は、あらぬ噂を立てられるリスクを伴います。
理由を明示することが常識になれば、会社側は不本意な風評リスクから解放され、それは投資家にとっても歓迎すべきことだと思います。

僕自身は、監査法人に勤めていた人間なので、監査法人を変えると事業のことをわかるようになるまでかなりの時間を要するので結局高く付くと思っているのですが、そうではないようですね。
あとは、IPOしそうな企業を探し出して、IPOまではかなり安い報酬で引き受け、上場してから回収していくというのが一般的なのかなぁと思っていたのですが、簡単に監査法人を変更するのが一般的になってくると、IPOまでの期間の報酬もきちんと取るようになる、つまり、監査法人側も選別を強めるような気はします。
あとは、投資家という立場からすると、考えが古いのかもしれませんが、今後は大手が監査先を絞っていくことになると思いますので、大手が監査しているところに投資しようとは思いますね。

指針変更でわかった「監査法人交代」の理由は結局お金であることについて、どう思われましたか?


登録政治資金監査人に対する個別の指導・助言の取組について!

 政治資金適正化委員会は、政治資金監査の質の確保を図るための取組の一つとして、平成26年分の収支報告書(定期分)に係る政治資金監査から、政治資金監査報告書や収支報告書の記載状況等に不備のあった登録政治資金監査人に対して指導・助言を行う取組を実施しています。
個別の指導・助言の取組は、都道府県選挙管理委員会及び総務省に対して、政治資金監査報告書の記載状況等について報告を求め、当該報告に基づいて、関係する登録政治資金監査人に対して直接当委員会から個別に指導・助言を行うものです。
指導・助言の対象となる事例は、以下のとおりです。

(1) 政治資金監査報告書の基本的な構成に係るもの
(2) 収支報告書(支出に係る分に限る。)上に金額の不整合(計算誤り、表間不突合等)があるもの
(3) 政治資金監査を適確に実施していないことが明らかであると考えられ、政治資金監査制度への国民の信頼に影響を及ぼしかねないと認められるもの等

これに基づき、指導・助言の対象とした事例等が公表されています。
平成29年分の収支報告書(定期分)に係る政治資金監査を対象とした個別の指導・助言の取組において、個別の指導・助言の対象とした主な事例等は、下記のとおりです。
政治資金監査は、法令及び政治資金監査に関する具体的な指針(政治資金監査マニュアル)に基づき適確に行う必要がありますので、このような事例が生じないよう、この機会に改めて、政治資金監査マニュアル、政治資金監査チェックリスト及び政治資金監査報告書チェックリストをご覧いただき、引き続き適確な政治資金監査の実施に努めていく必要があります。

<指導・助言の対象とした主な事例>
○都道府県選管の最初の受付時に、収支報告書(支出に係る分に限る。以下同じ。)上に金額の不整合(計算誤り、表間不突合等)があった。
○都道府県選管の最初の受付時に、収支報告書と領収書等の写しとで、金額の不整合があった。
※上記事例には以下の事例を含む。
・支出に重複計上があったため、後に重複分を削除した。
・対象年以外の年月日の領収書等の写しを添付していたが、後に当該支出を削除した。
・領収書等の写しのない支出を記載していたが、後に当該支出を削除した。
・収支報告書に計上されていない支出に係る領収書等の写しが添付されており、後に当該支出を追加した。
○都道府県選管の最初の受付時に、収支報告書と領収書等の写しとで、年の不整合があった(領収書等の「年」の記載が誤っていた)。
○その他、収支報告書に計上されている支出について、領収書等との確認を行っていなかった。
○政治資金監査報告書の基本的な構成に不備があった。
○同一の登録政治資金監査人について、2か年連続で同一又は異なる事例の報告があった。
○同一の登録政治資金監査人について、複数事例の報告があった。

<上記以外に都道府県選挙管理委員会等から報告のあった誤りの事例>
1)政治資金監査報告書に関するもの
○「1 監査の概要」(1)で監査対象期間が「平成28年」「平成30年」等となっていた。
○「1 監査の概要」(1)で監査対象期間が「平成○年○月○日から平成○年○月○日まで」と旧記載例で記載されており、かつ、監査の対象となった収支報告書等に係る会計の開始日が誤っていた。
○政治資金監査報告書の本文中で政治団体名の記載不備があった(異なる政治団体の名称が記載されていた)。
○政治資金監査報告書上で矛盾した記載があった(徴難明細書に係る支出があるのに徴難明細書が存在しなかった旨の記載等)。
2)収支報告書に関するもの
○収支報告書上で氏名及び住所の記載不備(記載誤り)があった。
○収支報告書と領収書等の写しとで、月日の不整合があった(収支報告書の月日の記載が誤っていた)。
○収支報告書と領収書等を徴し難かった支出の明細書とで、支出の目的に不整合があった(領収書等を徴し難かった支出の明細書の支出目的の記載が誤っていた)。

これらを見ると、しょうもないミスが多いですね。
このようなミスをすると非常に恥ずかしいと思いますが、登録政治資金監査人はこのようなレベルの仕事で大丈夫なのでしょうか?
こういうレベルのものに、『監査』ということばを使ってほしくない感じですね。

登録政治資金監査人に対する個別の指導・助言の取組について、どう思われましたか?


内部統制報告書の訂正件数が不適切会計増加で過去最多に!

 正しい財務諸表を作成するための社内管理体制が整っていると上場企業が投資家に向けて宣言する文書、「内部統制報告書」を訂正する事例が急増しているようです。
2018年の訂正件数は106件と、2017年の61件を上回り過去最多になりました。
不適切な会計処理が発覚したことを受け、報告書の有効性を過去にさかのぼって取り消すケースが目立つそうです。

内部統制報告書は、2009年3月期から有価証券報告書と併せて金融庁への提出が求められるようになりました。
不正会計が起きない社内体制作りを促すのが目的で、財務諸表の妥当性を証明するための重要な書類なのです。

企業は報告書で、財務諸表を作成するための適切な管理体制が整っているかどうかを説明します。
そのうえで内部統制が「有効」「有効でない」「表明できない」のいずれかを明記します。

報告書の訂正の理由として目立つのが、内部告発や内部監査などをきっかけに発覚した不適切な会計処理です。
ジャストシステムは一部従業員が会社に無断で返品条項を付けて販売店に売っていた問題が判明し、2015~2018年の報告書を「有効でない」に訂正しました。
東建コーポレーションも、不適切会計が発覚し、2013~2017年分を訂正した。

まだ実現には至っていませんが、日産自動車も、元会長のカルロス・ゴーン容疑者の報酬過少記載事件を受け、報告書の訂正を検討しているようです。

訂正の増加に対し、市場関係者からは懸念の声が出ているようです。
野村総合研究所の大崎貞和フェローは「現状では不正会計の発生リスクを示す役割を果たせていない」と指摘しています。
「形式的な対応にとどまっている企業が多いのかもしれない」(大和総研の横山淳金融調査部副部長)との見方もあります。

内部統制報告書が導入されてからもう10年になるんですね。
今なお不祥事などが多くて内部統制報告書を訂正するケースが増えているということは、内部統制の重要性を認識できていない経営者が多いということなんでしょうね。
以前から、規模の小さい企業は内部統制報告書の提出を緩和すべきというような意見が出ていますが、僕は反対です。
基本的に、内部統制がきちんと構築されているからこそ、日々の取引の積み重ねの結果である決算書の数値が信用できるということだと思いますし、規模が小さいほど、人員の問題で属人的になったり、チェック機能が働かない可能性が高まると思いますので、規模が小さいから簡便にするというのは間違っているのでないかと思います。
もう少し、内部統制の重要性を認識してほしいですね。

内部統制報告書の訂正件数が不適切会計増加で過去最多になったことについて、どう思われましたか?


報酬値上げで監査法人の交代が相次ぐ!

 決算をチェックする監査法人を変更する企業が増えているようです。
2018年は監査法人の合併など特殊要因を除いた変更件数が125社と2017年を上回り、リーマン・ショック直後の2009年以来、9年ぶりの高水準となりました。
東芝などの会計不祥事を受けた監査の厳格化で大手を中心に報酬を引き上げる動きが背景にあるようです。
一方で、監査法人との「なれ合い」を防ごうとして監査法人を変更する企業もあります。

税務研究会(東京都千代田区)によると2017年の変更件数は123社で、監査人・監査報酬問題研究会によると、上場企業の監査報酬は2017年度で1社平均6,604万円でした。
2016年度は6,300万円、2015年度は6,152万円で、年々高額化しています。
企業ごとの差が大きく、協和発酵キリンの直近の監査報酬は1億300万円、日本ペイントホールディングスは1億2,600万円。ニトリホールディングスは4,600万円でした。
企業規模や子会社数などが関係します。

2018年に目立ったのは4大監査法人の1つ、僕が以前勤めていたトーマツからの変更のようです。
40社強が他の監査法人に変更しました。
中堅以下の企業が多く、「報酬引き上げについていけなかった」(製造業)との声が漏れています。

東芝の会計不祥事以降、大手監査法人を中心に監査の厳格化を進めています。
デロイトトーマツグループの永田高士最高経営責任者(CEO)は、「監査の品質を確保するために適正な人員配置をしている」と話しています。
監査業務に詳しい青山学院大の町田祥弘教授は、「長時間の監査に見合う報酬を払えない企業は、監査法人も業務を引き受けづらいはずだ」と指摘しています。

監査法人とのなれ合いを防ごうとする動きもあるようです。
日本ペイントホールディングスは約40年間担当したEY新日本から大手のあずさに変更しました。
どこまで本当か分かりませんが、日本ペイントホールディングスのIR担当者は、「欧州で義務化されている監査法人のローテーション(強制交代制)を意識した」と言っているそうです。

課題は情報開示です。
監査法人を変更する場合、企業の内部管理体制などに問題があり監査法人が業務を引き受けないケースもあります。
2018年に開かれた会計監査の情報開示に関する金融庁の懇談会でも、監査人交代の理由や経緯は投資家にとって重要なのに、実質的な交代理由が説明されていないなどの指摘があったようです。

現状は「任期満了」といった簡単な説明にとどまる企業が大半です。
大和総研の吉井一洋氏は、「情報開示に納得していない投資家は多い」と指摘しています。
決算の信頼性を高める上でも、監査法人との関係性を投資家に開示する姿勢が求められています。
個人的には、監査契約の期間は契約書上1年だと思いますが、実質的には自動更新だと思いますので、交代したときに任期満了というのはどうなのかなぁと感じます。
あとは、働き方改革も影響しているんでしょうね。
よって、交代の場合は、企業と監査法人双方がコメントするようにすればいいのではないかと思います。

報酬値上げで監査法人の交代が相次いでいることについて、どう思われましたか?


監査法人選任はJAの実態に合わせて慎重に(会計監査人評価のポイント)!

 農業協同組合新聞に、会計監査人評価のポイントが載っていました。
戸津禎介有限責任監査法人トーマツJA支援室の講演を、新世紀JA研究会の責任でまとめたものです。

 農協法の改正を受けて平成31年10月1日以降、農協等の会計監査は従来の中央会監査から公認会計士監査に移行されることになりました。公認会計士監査の受監に向けて、いよいよ多くの公認会計士や監査法人(以下監査法人等)から会計監査人を選任することが必要な時期となっています。
 具体的な選任は、日本監査役協会の『会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針』やJA全国監事協議会の『監事が農協等の会計監査人予定者の選定において留意すべき事項』等が公表されており、これらに従って進めていくことが通例と考えられます。
 選任プロセス自体の説明は、平成29年10月の講演で説明しましたので、本論では、実際に会計監査人選任の場でいただいた質問をもとに、会計監査人の選任を進めるための具体的な留意点を伝えることで、選任に向けての理解の深化や、系統全体に蔓延しているよくある誤解の解消を目指します。
 具体的な話をする前に、改めて農協等の会計監査人の選任にあたっては、透明で的確な選任過程を経ることの必要性を再確認させていただきます。選任にあたっては、透明で的確な選任過程を経ることで、監事、役員の説明責任を果たすことが重要になると考えます。
 具体的には、組合員に対して、監査品質はもとより、組合経営に資する監査法人等を会計監査人として選任したのだと説得的な説明を行い、特に外部(政府、マスコミ等)の目を意識し、現状維持ではなく、自己改革を進めるため適任の監査法人等を選任したことを主張できるような選任をすることが重要と考えます。
 このような透明で的確な選任過程を経ることの重要性は、ここ数か月で急激に高まっており、以下のような背景があるものと考えられます。
◇既定路線に従い会計監査人を選任するとしても、十分な検討をせずに選任してしまうと、農協改革が骨抜きになっているとの批判を受ける恐れがあるとの周知が進んでいる。
◇今後、農協の経営環境が厳しくなることが見込まれる中で、単に財務諸表を批判的に検討するだけでなく、経営課題の解決に向けて示唆を与えてくれるような指導的な機能を発揮する会計監査人に対する期待が高まっている。
◇農林水産省による報酬調査の公表や監査法人等による具体的な提案活動が進んだ結果、監査報酬の水準が想定より高くなる恐れが高まった。
◇会計監査人の選任過程を常例検査の対象にする可能性がでてきている。
◇透明で的確な選任過程を経ることの必要性を十分に認識いただいたところで、実際に会計監査人選任の場で、各農協からよく質問のある8つのポイントに絞って具体的な話をさせていただきます。
ポイント(1)「品質管理」
 品質は監査の根幹をなすものであるため、監査品質の水準は関心が高い領域です。監査の品質は、見た目で良し悪しの判断が難しく、通常、監査法人の提案書には品質管理体制に関する膨大な情報が盛り込まれることから、見極めるべきポイントを絞り込む必要があります。
 審査担当のパートナーの設置や難易度の高い事案の解決をサポートする機能があるか、などの仕組みの有無に加えて、過去の金融庁(公認会計士監査審査会)や公認会計士協会の検査結果を確認することが最低限確認すべきポイントと考えられます。
ポイント(2)「情報セキュリティ」
 監査は多くの秘匿情報を扱いますが、近年、監査法人による情報漏えい事案が少なくありません。そのため監査クライアントは、監査法人に重要情報の管理体制を整備・運用することを求める傾向が強まっています。見極めのためには、情報セキュリティマネジメント規格の取得状況など、情報セキュリティ強化に向けた取り組みを確認することが有用です。
ポイント(3)「業界理解」
 公認会計士監査はリスクアプローチにより行われます。リスクを正しく把握して、リスクに対応する監査手続を立案して対応するわけですが、リスクを把握するためには、総合事業の理解も必要ですし、そもそも株式会社と協同組合の違いを理解しておくことが必要になります。
 今まで一般事業会社ばかり監査していた公認会計士が協同組合や総合事業に対する基本的な理解を持ち合わせていなのではないかとの不安は大きいようです。系統への業務提供等の実績を把握することで、不安が顕在化しないことを確認することが考えられます。
ポイント(4)「非監査業務」
 農協を取り巻く今後の厳しい経営環境に鑑みれば、公認会計士が持つ知見を経営に活用していくことは有用であり、会計監査だけに限られてしまうことは実にもったいないと感じます。多くの農協では、公認会計士からの様々なアドバイスを期待していると思われますが、会計監査人が非監査業務を提供してはいけないとの誤解が蔓延しています。
 まずはこのような誤解を正すことが重要ですが、一方で非監査業務の提供を志向しない公認会計士がいることも事実です。公認会計士の知見を今後の農協経営に活用していくために、非監査業務に対する考え方や知見の有無を確認することをお勧め致します。
ポイント(5)「業務監査」
 これまで業務監査が農協経営の高度化に貢献してきたことから、今後公認会計士監査に移行した場合に業務監査の取り扱いがどのように変化するのかが大きな関心事になっています。公認会計士監査は会計監査を目的としているため、農協から特段の要請を受けない限り業務監査は実施されません。公認会計士の指導的機能の発揮や非監査業務の提供を通じて代替されていくものと考えられます。
ポイント(6)「是正指導」
 監査はJA全国監査機構、指導は中央会という歴史からか、公認会計士監査になったら公認会計士は指導機能を発揮してくれなくなるとの誤解をよく耳にします。公認会計士によって、指導的機能を発揮するための意思・能力に差があることも事実ですが、少なくとも指導機能の発揮は制限されるものではありません。
 どの程度指導機能の発揮が期待されるのかを、意思や能力の点から見極めることを勧めます。せっかく公認会計士監査が導入されるのですから、公認会計士を経営課題の解決に役立つ存在として取り込んだ方がよいことに異論はないと思われます。
ポイント(7)「監査チーム」
 悲しい事実ですが、監査は誰がやっても同じということはなく、監査法人もっと言ってしまうと、だれが担当するかによって監査のスタイルは大きく変わってきます。提案書では通常、監査担当者の氏名や担当者の経歴が記載されますし、プレゼンテーションの場を通じて個性を見極め、自らの組織にあうスタンスの公認会計士であるかを見極めることが重要です。
ポイント(8)「監査報酬」
 監査報酬は、最も関心が高い項目であり、多くの質問が寄せられています。内訳ごとの監査時間の合理性を確認することはもとより、次のような大前提を確認し、実質的な負担を理解することが重要と考えます。
 (1)監査時間及び監査報酬は、概算なのか確定なのか?
 (2)監査時間及び監査報酬は、工数のかさむ初年度を前提にしたものなのか、数年後の安定的な状況を前提にしたものなのか?
 (3)初年度特別価格で、2年目以降報酬が上がる可能性はないのか?
 (4)非監査業務が提供されている場合、監査報酬に取り込まれる部分はどれくらいあるのか?
 以上のように、監査人選任にあたっての具体的な留意点を説明しました。冒頭に申し上げた通り、会計監査人の選任の目的は組合員のために現状維持ではなく、自己改革を進めるため適任の監査法人等を選任することにあります。その目的を忘れることなく、上記の留意点を踏まえ、各農協がベストな会計監査人を選任いただくことを強く祈念致します。

個人的には、非監査業務が監査報酬の中に含まれていて良いのか?という疑問はありますね。
この記事を読んで、あまりクライアントの方から評価を受けることの少ない監査業務において、過去何度か高く評価していただいたのは、指導業務だったということが思い出されましたが、ここが重要なんでしょうね。
指導業務が行えるからこそ、クライアントの方も、事前に相談できるようになるのではないかと思います。
非監査業務との線引は必要だと思いますが、農協に限らず、監査人も指導機能が発揮できるよう日々スキルアップしないといけないですね。

会計監査人評価のポイントについて、どう思われましたか?


監査法人選任はJAの実態に合わせて慎重に(公認会計士移行の留意点)!

 農業協同組合新聞に、公認会計士移行の留意点が載っていました。
日向彰農水省経営局協同組織課課長の講演を、新世紀JA研究会の責任でまとめたものです。

農協改革集中推進期間が来年5月に終わります。これが農協改革の第1ステージです。そして334月以降から改正農協法施行に伴う5年後の見直しが始まり、これが第2ステージとなります。そのなかで、農協の理事構成、中央会制度の見直しなどがあります。そのうえで公認会計士監査を導入し、31年度決算から監査が始まります。系統では昨年4月にみのり監査法人をつくりましたが、各農協では監査法人の選定作業に入っているところだと思います。
 3月決算の農協では、来年6月の総会で監査法人を決めて、内部統制の整備、公認会計士監査ということになります。最後に准組合員の利用規制ですが、農水省ではいま、正組合員、准組合員、員外3者の事業利用量を調査しています。平成333月までの予定で、その結果をもとに、いろいろ検討することになっています。
 農協によっては323月には、31年度の財務諸表づくり、来年の春ころから期中監査の結果を踏まえ期末監査となり、会計士が財務諸表の適正さをチェック。326月に監査意見の表明が行われ、通常総会で決算の承認ということになります。
 では、農水省はなにをするかというと、監査コストの引き下げのお手伝いをさせていただきます。公認会計士監査は、農協にとって意義あることだということを理解し、農協経営に活かしてほしい。

 公認会計士監査を導入したのは、農協の信用、共済事業の規模が大きいという重い事実があります。信用不安を起こさないため、第三者の意見をしっかりもらって、適正に財務諸表がつくられ、健全に経営されているのだというお墨付きを得ることです。それが組合員、国民の信頼をえることです。信金や労金などにも信用事業を営んでいるところは公認会計士監査が義務つけられています。
 というのは、秋田県のおばこ農協の問題があります。農業白書でも紹介され、輸出や直接販売を行うなど立派な農協でした。しかし会計監査の財務諸表の作り方があまりにもいいかげんだったといわざるを得ない。公認会計士に聞くと、経済受託債務と債権に80100億円もの差があり、おかしいと思わなかったのがおかしいと言っています。
 60数億の赤字で、4%割れはなかったものの、11.11%あった自己資本比率が、あっという間に8%割れを起こしました。この重みを、しっかり受け止め、農水省もそうですが、緊張感を持っていただきたい。世の中の目はきびしくなっています。住専問題をくりかえしてはなりません。法律で公認会計士監査が決まっている以上、しっかり公認会計士とキャッチボールして、役職員にとっても監査を受けたというのは、リスク回避など、農協にとっていいことだという認識をもっていただきたい。

 では農水省は何を支援できるか。監査コストは上がることも下がることもあります。高くなると、国は補填して欲しいという声も多く聞かれました。しかし、医療法人、社会福祉法人などもみんな自腹でやっています。モラルハザードを起こしてはならないと思います。農協だけ支援すると必ず批判が出ます。いろいろな思いがあるのは承知していますが、ご理解いただきたい。JAグループが批判されるようにはなって欲しくはありません。
 その代わり、監査コストを下げるお手伝いをします。本年度、全中やあずさ監査法人と、公認会計士監査のマニュアルづくりに取りかかっています。監査法人選任の一助になれば幸いです。その上で、夏の概算要求で2億円の「監査法人のコストの合理化支援」を要求しています。農協の取り組みに任すといっても、離島の農協や大きな経済事業を展開する農協があります。コストを引き下げるための相談を受けます。その場合、中央会は、これまでの経営指導のノウハウを活かし、内部統制強化にリーダーシップを発揮していただきたい。
 また、農水省、金融庁、全中、公認会計士協会の4者で、農協が監査法人を選ぶにあたっての留意点について「JA常勤監事協議会研究レポート」をまとめました。参考にしていただきたい。農協が監査法人を選ぶ場合は、なぜこの法人を選ぶのかを説明できることが重要です。また監査法人を公募するという農協もありますが、その場合も、公募していることが、ちゃんと分かるようにしていただきたい。それが組合員の農協への信頼を高めることになります。
 お願いになりますが、全中監査機構のこれまでのノウハウの蓄積を新しい監査法人に引き継ぐためのしっかりした仕組みをつくってほしい。また、来年5月、自己改革集中推進期間が終わった時点で、生産資材価格の引き下げ、農産物の有利販売などの自己改革で、農家の所得向上のためどれだけ頑張ったか、いったん総括しなければなりません。そのため、ひとつでも多く取り組み、組合員の評価を高めて、頑張っているよということを組合員に示してほしい。改革を評価するのは組合員です。
 農業者が農協を利用するかどうかが物差しです。その意味でも公認会計士監査は経営改善の一助になるのです。農協はリーダーシップを発揮し、農業者所得増大への高い評価を得て、それを農水省にバックしていただきたい。

『高くなると、国は補填して欲しいという声も多く聞かれました。しかし、医療法人、社会福祉法人などもみんな自腹でやっています。モラルハザードを起こしてはならないと思います。農協だけ支援すると必ず批判が出ます。いろいろな思いがあるのは承知していますが、ご理解いただきたい。JAグループが批判されるようにはなって欲しくはありません。』などというコメントを見ると、まともなことをおっしゃっているなぁと思いました。
あとは、『その代わり、監査コストを下げるお手伝いをします。本年度、全中やあずさ監査法人と、公認会計士監査のマニュアルづくりに取りかかっています。監査法人選任の一助になれば幸いです。その上で、夏の概算要求で2億円の「監査法人のコストの合理化支援」を要求しています。農協の取り組みに任すといっても、離島の農協や大きな経済事業を展開する農協があります。コストを引き下げるための相談を受けます。』という点については、どうすれば安い金額で契約してくれる監査法人を見つけられるかという誤った解釈の方をなくす努力をしてほしいとは思います。
監査法人は、当然、見積もりの工数ベースで報酬を提示すると思いますので、監査を受ける側に起因して工数が多くなり、結果として監査報酬が高くなるところもあるでしょうから、監査を受ける側に起因しているものを取り除くためのマニュアルとなってほしいと思います。
結局は、会計監査をきちんと受け、内部統制などをきちんと整えることが自らの信用を高めることであること、監査報酬は出資者が負担しているものであることなどを認識のうえ、監査法人を選定し、契約してほしいですね。

公認会計士移行の留意点について、どう思われましたか?


監査不信「10年周期説」に現実味!

 企業決算にお墨付きを与える会計監査の世界大手「ビッグ4」に再び批判が高まっているようです。
欧米で相次ぎ粉飾見落とし騒動が浮上し、リーマン・ショック後10年、エンロン事件からやがて20年というタイミングに、会計不祥事「10年周期説」も現実味を帯びているようです。
監査という「資本主義のインフラ」を巡るコスト分担が未解決な限り、好況期に緩むマネーの規律が不祥事の種を育て続けるでしょう。

 イギリスの企業会計の監視主体、財務報告評議(FRC)は今、異例のハイペースで、「●●の監査に関する■■への罰金」という監査法人への罰則を発表しています。
背中を押したのが、イギリス議会による5月の報告書で、「必要レベルの独立した監査をできない、なれ合い集団」と、世界企業の監査を一手に担うビッグ4、KPMG、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、デロイトトウシュトーマツ(DTT)、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)を厳しく指弾した。

直接のきっかけが建設2位のカリリオン社の破綻です。
公共サービスに民間資金を生かす「PFI」発祥の地で、病院や道路などを多く手掛ける大手でした。
それが突如、15億ポンド(約2,300億円)の負債を抱え清算されたとあって、批判の矛先がKPMGの監査に向かったのです。

KPMGは南アフリカで銀行の破綻に関連し現地経営陣が総辞職しています。
アメリカでも米ゼネラル・エレクトリック(GE)の保険部門が巨額損失を計上した件で米証券取引委員会(SEC)が調査中です。
他の監査法人でも、PwCが「インド版エンロン事件」と呼ばれた件に絡む罰則で、上場企業監査を禁じられるなど、今年に入りニュースが相次いでいます。

企業が投資家からお金を集め、利益を生み、成長の歯車を回す資本主義で欠かせないのが企業の姿を正しく表す決算書です。
監査はそれを担保するプロセスです。
産業革命後の英国を源に、大恐慌を経て上場企業に作成と定期的な開示が義務付けられるようになったのです。

その欠かせない「インフラ」に「約10年周期でスキャンダルが起きる流れがある」と、大原大学院大学の八田進二教授は指摘しています。
10年前に、アメリカのリーマン・ブラザーズが破綻し、さらに、その10年前はアメリカのエンロンが簿外に債務を隠し「驚異の利益」を粉飾計上していた頃です。

10年」に明確な根拠はありません。
しかしながら、あるサイクルの存在を歴史が示しています。
成長率の高い好況時には企業がその前提の下、設備投資やM&A(合併・買収)を実行しますが、監査する側も足元の延長線上で妥当であれば問題視しにくいと言えます。
ところが、実際には常にバブルがはじけ、資産価格が下がり「時価」へと修正を迫られるという繰り返しです。

対応し、規制強化は進んでいます。
エンロン後の2002年、アメリカで企業改革法(SOX法)が成立し、決算の虚偽報告に最長20年の禁錮刑が導入されました。
日本でもカネボウの粉飾後に「日本版SOX法」が開始し、ヨーロッパでは同じ監査法人が同一企業を担当するのは最長20年となりました。

それでも絶えぬ不祥事にイギリスでは今、懲罰的ビッグ4解体論も浮上しているようです。
実際、エンロンの監査担当だったアーサー・アンダーセンは、粉飾を見抜けなかっただけでなく、積極的な加担も疑われ解散に追い込まれました。
監査部隊はデロイトトウシュなどに吸収され、現在のビッグ4になりました。

しかしながら、その結果、欧米の大企業の9798%がビッグ4の顧客となっています。
寡占ゆえの競争欠如が緩みの元凶との批判は根強いようですが、実際はこれ以上潰せない「ラスト4」と呼ばれる存在です。

「監査は(未来を映す)水晶玉ではない」と、イギリスKPMGのビル・マイケル会長は英誌で批判に反論しています。
投資家は会社の不正を見抜けといいますが、監査とは決算書類が適正に作られている確認を行う作業であり、万能ではないとの主張です。

根本には企業と監査人を巡る、本質的な緊張関係の欠如が横たわっています。
KPMGがカリリオンから得た監査報酬は約2,900万ポンド(約41億円)で、報酬を受けながら、企業性悪説に立つ厳しいチェックは果たして可能なのでしょうか?
一方、企業にしてみれば監査は必要ですが、利益を生まない経費です。
この資本主義のインフラのコスト分担が未解決なことが、10年周期の遠因です。

代案の議論はあるようです。
保険会社が監査リスクを見積もり最低価格をはじき、監査人が入札する、企業と投資家がコストを折半し取引所に監査費用をプールする。
要は企業と監査を相対にせず、第三者を挟むアイデアです。
しかしながら、「公的監査が試みられた国で成功例はない」(青山学院大学の町田祥弘教授)ようです。
自由競争に基づくのが、資本主義であり、コスト分担の解は見えないようです。

そんな中、トランプ米大統領は先日、突然「費用の節約だ」と企業業績の四半期開示見直しを指示しました。
戦後最長に並ぶ好景気の下で踏まれるアクセルですが、規律が緩み、そして次の会計不祥事の芽が育っているのでしょう。

 元々、監査法人に勤めていた人間としては、監査費用は、企業が負担しているのではなく株主が負担しているという考え方をすれば、現状で問題ないのではないかと思います。
監査は決算の数値だけをチェックしていると思われがちですが、普段の取引の流れ(内部統制)もチェックしており、内部統制がきちんと整備・運用されていることを確かめられたからこそ、決算の数値はある程度信用でき、決算時のチェックも少なくなっています。
この普段の取引の流れを把握するのが大変なのです。
当然、業界の特性もあるでしょうし、それぞれの企業によって異なるからです。
これは、決算の数値の監査においても同じことが言えます。
あとは、ここが理解を得ることが難しいところだとは思いますが、すべての粉飾を見破るのは不可能だと思いますし、粉飾の歴史に伴って、監査技術も向上しています。
よって、頻繁に監査法人が変わるとなると、これを新たに把握するのに膨大な時間がかかり、結局、監査報酬が上がることになってしまいますし、その企業のことをよく知らないということになりますので、粉飾のリスクは高まります。
ここは、大手監査法人の担当者の定期的な変更で、新たな視点や緊張感は担保できるのではないかと思います。
結果的に、現状が良いと考えています。

 監査不信「10年周期説」に現実味が帯びていることについて、どう思われましたか?


シンガポール取引所が世界の動きに対応して決算・四半期開示を見直し!

2018年01月30日(火)

シンガポール取引所は、先日、上場企業に課している四半期決算の開示ルールの見直しを検討すると発表しました。
年4回の開示義務を年2回に軽減したり、開示が必要な項目を減らしたりする案を検討するようです。
開示ルールを簡素化する世界の取引所の流れに対応する狙いだそうです。

シンガポール取引所は、まず、四半期決算制度を維持するかどうかを検討します。
仮に、四半期決算の維持を決めた場合も、開示を義務づける対象企業を現在の時価総額7,500万シンガポールドル(約63億円)以上から1億5,000万シンガポールドル以上に引きあげるなど、負担軽減策を検討します。
市場関係者から意見を集め、2018年後半から新制度を導入します。

シンガポール取引所が開示制度を見直すのは、中小企業などから情報開示にかかるコストが重いとの不満が高まっているためです。
四半期開示を実施する企業の割合も、2003年の制度導入当初は全体の37%でしたが、今は70%まで高まっているそうです。

東京証券取引所も、2017年3月期決算から決算短信の記載内容の一部を自由に変更できる簡素化に踏みきっています。
シンガポール取引所は、他の取引所に比べ開示負担が重い状態が続けば、有望なベンチャー企業が他に上場する事態を加速しかねないと判断したようです。

一方で、開示の頻度や項目が減れば、投資家が情報を入手しにくくなります。
情報開示の不備が原因で株価が乱高下するなどすれば、市場開設者としての取引所の信頼性も低下する可能性があります。
シンガポール取引所は、別の施策によって少数株主の権利保護を確保すると説明しています。

日本も検討した方が良いかもしれませんね。
四半期開示は、会社にも監査法人にも過度な負担を与えているように思います。
当然、監査報酬のアップにもつながっているでしょう。
開示したい企業がすればいいのではないでしょうか?
そういう積極的な姿勢が評価されて、株価に反映するようになるのではないでしょうか?
ただし、一方で、投資家の保護も考えないといけませんが、これは、市場を分けるといったようなことで対応できるのではないでしょうか?
四半期開示がないという条件のうえ、そのリスクを考慮しても株式を買いたい人が買えばいいわけですから。
ちなみに、シンガポール取引所は、お昼休みも取引ができます。

シンガポール取引所が世界の動きに対応して決算・四半期開示を見直すことについて、どう思われましたか?


海外の監査チームの人事権までも持つ!

2017年12月27日(水)

先日、日本経済新聞に『揺れる監査法人』という記事が連載されていました。
タイトルと内容が合っていないような気はしますが、今週3日間は、これについて書きました。
2017年9月下旬、港区の東京ミッドタウンにある富士フイルムホールディングスの本社に約20人の外国人の集団がやってきました。
国際会計事務所KPMGの公認会計士です。
富士フイルムと今後の会計監査について意見交換する会議に集まったようです。

「複合機のリース債権について貸し倒れ引き当てを正確に積むべきだった」などと、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど各地域を担当する公認会計士が監査で気付いた注意点を次々と報告し、経営陣は聞き入ったようです。

富士フイルムは2016年6月末の株主総会後に、会計監査の担当を新日本監査法人からあずさ監査法人に切り替えました。
国内はあずさ監査法人が監査し、海外グループ会社はあずさ監査法人と提携するKPMGが各地域を受け持つ体制になっています。

「日本のあずさがまとめ役となり海外から情報を吸い上げる仕組みが効果的」と、富士フイルムのグローバル監査部の花田信夫部長はKPMGのネットワークを評価しています。

実際に子会社の富士ゼロックスの海外子会社が起こしたリース取引の不適切会計では、このネットワークが機能しました。
あずさ監査法人とKPMGが監査で疑問点を見つけ、不適切会計問題にメスを入れるきっかけにつながりました。

海外販売子会社の不適切会計では、累計で375億円の損失が発生しました。
2017年7月には過年度にさかのぼって決算訂正を余儀なくされました。
優良会社とされてきた富士フイルムが経験した不祥事だけに、衝撃は大きかったようです。

あずさ監査法人で監査の品質を担当する金井沢治専務理事は「一般的に親会社の財務担当者が海外子会社について外部の視点で客観的な情報を入手する機会は多くない」と会合を開催した狙いを明かしています。

海外ネットワークの整備が急ピッチで進んでいます。
あずさ監査法人は海外の会計事務所とのやり取りを密にするため、海外赴任経験のある人材を大幅に増やしました。
さらにグローバル企業を担当する国内の監査チームが、海外子会社を担当するKPMGの現地事務所の監査チームに直接指示を出す体制に切り替えました。
「現地の情報を収集しやすくなり、不正につながる情報も素早く把握できる」そうです(金井氏)。

かつてあずさ監査法人は、現地拠点を通じて国内と海外の監査チームが間接的に情報をやり取りする体制でした。
今は国内で監査全体のリーダーを務める公認会計士は、海外の監査チームの人事権までも持っています。

もちろん企業側の対応が大前提です。
富士フイルムも監査の仕組みを根底から変えました。
9月に監査部をグローバル監査部へと衣替えし、持ち株会社が直接300社にのぼるグループ会社を監査する体制に切り替えました。
「子会社任せをやめ、問題が起こる前に芽を摘む」ようです(花田氏)。
今回のKPMGとの会合も監査のグローバル体制構築に向けた一環です。

日本企業のグローバル展開が広がる中、目が届きにくい海外子会社の不正会計をどう見つけるのか。上場企業と監査法人の双方で再発防止に向けた地道な取り組みが進み始めました。
個人的にも、ここ数年、海外子会社での不正が増えていると感じています。
今までは、提携先の海外の会計事務所に丸投げという感じだったのでしょうが、あすさ監査法人のようなこちらが主導権を持つということは、見習わないといけないでしょうね。

あずさ監査法人は海外の監査チームの人事権までも持っていることについて、どう思われましたか?


世界で最も複雑な財務諸表?

 先日、日本経済新聞に『揺れる監査法人』という記事が連載されていました。

 タイトルと内容が合っていないような気はしますが、今週3日間は、これについて書いています。
「日本、いや世界で最も複雑な財務諸表かもしれない」と、トーマツ幹部がこう形容する担当企業があります。
それは大型M&A(合併・買収)を繰り返し、姿が大きく変わり続けるソフトバンクグループです。
担当公認会計士は、当然、エース級を送り込んでいるようです。

担当公認会計士を悩ませる原因の一つは、ソフトバンクの資産評価だそうです。
英半導体設計、アーム・ホールディングスの買収では2.9兆円(20179月末)という巨額の「のれん」が注目を集めました。
「のれん」とは、買収価格と純資産の差を示すものです。
それが膨らむのは、ソフトバンクはアームが将来、大きな価値を生み出すと考えているからです。
ソフトバンクの「のれん」は、2017年9月末で計4兆3,900億円と総資産全体の16%を占めています。

しかしながら、すべてのビジネスが企業の計画通りに進むわけではありません。
見通しの甘さが巨額の減損につながる可能性もあります。
「のれんはできるだけ保守的に評価したい」(あるベテラン公認会計士)というのが本音であり、リスクに敏感な公認会計士が、のれんの金額を巡って担当企業とせめぎ合うのは必然でしょう。

「(あらゆるモノがネットにつながる)I o Tが普及すれば、このくらいの売上高と利益は出る」と、孫正義会長兼社長は本社の会議室でアームの成長性について熱弁を振るいました。
面談相手は投資家ではなく、トーマツの担当公認会計士です。

実はソフトバンクは昨年のアーム買収では、孫会長兼社長とトーマツの担当公認会計士の面談を年4回程度に増やしたようです。
これまでも孫会長兼社長が年2回ほど、公認会計士に経営の現状を説明してきました。
回数を増やした理由は、公認会計士の理解を得るにはトップの懇切丁寧な説明が不可欠との判断のようです。

ソフトバンクで孫会長兼社長を支える一人は、経理統括の君和田和子常務執行役員です。
公認会計士の資格を持ち、かつてデロイト系の会計事務所にも在籍していました。
アームの買収手続きが一段落し、君和田氏の視線は新たに買収する米投資会社フォートレス・インベストメント・グループに向いています。
 「新しい事業なので監査業務にはトーマツでも(ファンドに詳しい)専門家が入らないといけない」と注文を付けています。

買収した事業の将来性をどう評価するのか?は、ソフトバンクを担当するトーマツだけの問題ではありません。
成功も失敗もありますが、日本企業による巨額買収の事例は増える一方です。
2017年3月期に東芝は買収した米原子力事業で7,316億円の減損損失を計上しました。
公認会計士に、買収先の経営を目利きする力も必要になってきます。

君和田氏は「会計士は過去のことを見るのは得意だが、将来の見積もりは不得意」と指摘しています。
担当企業側から投げられたボールをどう受け止めるのでしょうか?
監査法人が抱える課題は大きくなっていますね。
僕が監査業界に入った約21年前と比べると、将来の見積もりが必要な会計ルールも増えていますし、その頃には想像もできなかったような事業をやられている会社もたくさん存在します。
公認会計士は、事業をやっているわけではないので、専門分野を設けていく必要があると思いますが、色々な会社を担当していることが強みだと思いますので、過去の数値のチェックだけでなく、財務諸表などから将来のことも読み取れるように、日頃からアンテナを張り巡らせておかないといけないですね。
個人的には、監査の仕事は将来AIに置き換わると言われていますが、将来のことが考えられる公認会計士が生き残っていくんでしょうね。

ソフトバンクグループの世界で最も複雑な財務諸表について、どう思われましたか?


毎日が決算!

 先日、日本経済新聞に『揺れる監査法人』という記事が連載されていました。

 タイトルと内容が合っていないような気はしますが、今週3日間は、これについて書きたいと思います。
監査法人を取り巻く環境が目まぐるしく変化しています。
顧客企業のグローバル化が進み、買収ファンドを通じた複雑な経営形態も広がっています。
相次ぐ不正会計問題で打撃を受けた監査業界ですが、今の課題を監査法人と企業の取り組みを通じて探っています。

決算発表で毎回先陣を切るのが愛知県拠点のレストランチェーン『あみやき亭』です。
同社と監査法人の取り組みは、将来の会計監査の在り方を示すモデルの一つになるでしょう。

10月1日の日曜日に、愛知県春日井市にある、あみやき亭本部の一室では、あずさ監査法人の公認会計士が決算短信の最終確認に追われていました。
「月末の資産残高を確認するのに追加資料が必要」ということで、資料を片手に電卓をはじきながら経理担当者に矢継ぎ早に注文を繰り返し、作業は夜遅くまで続いたようです。

翌2日、あみやき亭は2017年4月から9月期の決算を発表しました。
3月期の決算企業では一番乗りです。
2002年の上場当初から原則、締め日の翌営業日に決算を開示してきました。
開示1番を巡ってIT(情報技術)企業などと競う時期もありました。

しかしながら、監査の厳格化が進む中、翌営業日に開示する3月期企業は、あみやき亭だけになりました。
同社の佐藤啓介会長は、「やるからには1番にこだわりたい」と意気込んでいます。

高速決算の裏にあるのが「日次決算」です。
月ごとが一般的な締め日を日ごとにして毎日の収支を把握する管理会計のひとつで、あみやき亭はこれを徹底しています。

その実現にはあずさ監査法人の協力が欠かせません。
売り上げや仕入れ代、人件費といった各店舗のデータは毎晩、本部が集約していますが、日次決算のデータは公認会計士のもとに毎日送られます。
公認会計士は不自然な点が見つかればその都度、会社側に確認します。
あみやき亭の経理部門と担当公認会計士は情報を共有し、売り上げが落ち込むなど店舗に減損処理の兆候が見られれば即座に対応します。

情報が毎日オープンに伝わることで、あみやき亭側は「監査法人と会計処理を巡った意見対立はほとんどない」(幹部)と話しています。
公認会計士側も決算集中日を避けて業務を分散できる利点があります。

「カギは単純化と平準化だ」と佐藤会長は強調しています。
あみやき亭では交通費などの即日精算は当たり前で、経費は原則、当日に現金で払い戻しを受けます。
経費を勘定システムに入力するのはパート社員で、経理部門の正社員は2人のみです。

あみやき亭の2017年3月期の売上高に占める販管費の割合は53%と同業の安楽亭などに比べ10ポイントほど低くなっています。
監査法人と協業した高速決算が業務の効率化を促しているようです。

実は、あみやき亭のように経理処理などの作業をできるだけ標準化し、「早く決算発表する企業は欧米では一般的」(あずさ幹部)だそうです。
複雑なシステムや組織が災いし、作業に手間取る企業や監査法人が学ぶ点は多いでしょう。

不正会計問題などを受け、我が公認会計士の人気は下落傾向が続いています。
監査法人が顧客企業と切磋琢磨し、業務の効率化を進めることが深刻な人手不足を乗り越える手段の一つになると言えるでしょう。
個人的には、正確性なども必要なため、決算は早ければいいわけではないと思っていますが、できる限り早く公表することが投資家のためにはなるんでしょうね。
決算短信は監査報告書は不要ですが、監査法人内の手続きはどうなっているんでしょうね?
1番乗りということが良い宣伝にはなるのでしょうが、従業員の方や監査法人の担当者に過度な負担をかけ過ぎていないのかも気にはなります。
ただ、業務の標準化というのは見習うべき点は多いんでしょうね。

毎日が決算のあみやき亭について、どう思われましたか?

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最新型ロボット導入で医薬品の出庫や在庫管理を効率化する「レデイ薬局木太店」が高松市にオープン!

瀬戸内海放送によると、医薬品の取り出しや在庫管理ができる最新型のロボットを導入した調剤薬局が香川県高松市にオープンしました。

我が高松市木太町にオープンした「レデイ薬局木太店」です。
ドラッグストア「くすりのレデイ」に併設しています。

全国の病院の処方箋を受け付けていて、服薬指導や健康相談も行っています。

そして、目玉は最新型のロボットです。
香川県の薬局では初めて導入されました。
処方箋のデータを選ぶと自動で薬の箱が出てきます。

これまで人の手で行っていた医薬品の出庫や在庫管理をロボットが自動でやってくれます。
こうした効率化で生まれた時間を患者さんの対応にあてることができます。

レデイ薬局木太店は月曜から土曜日の朝9時から夕方6時まで営業しています。

同じ町内なので、一度見に行きたいと思います。
おそらくドラッグストアが増えていて薬剤師の方も人手不足ゆえ、人手不足の解消にもつんがるんでしょうね。
また、小さな薬がたくさんあるでしょうから、棚卸もおそらく楽になるでしょう。

最新型ロボット導入で医薬品の出庫や在庫管理を効率化する「レデイ薬局木太店」が高松市にオープンしたことについて、あなたはどう思われましたか?


東芝テックが福井県立恐竜博物館内のミュージアムショップにRFIDを活用したセルフレジを導入!

東芝テック株式会社は、2023年7月14日にリニューアルオープンした福井県立恐竜博物館内のミュージアムショップ(運営:東急リゾーツ&ステイ株式会社)に、RFIDを活用したセルフレジを導入しました。
ちなみに、RFID(Radio Frequency Identification)とは、情報が書き込まれたICタグ・RFタグ(RFIDタグともいいます。)と電波などでワイヤレス通信し、情報の読み取りや書き換えをするシステムです。

ミュージアムショップでは、特に夏季休暇など来場者が増える繁忙期においてレジが混雑し、会計に大きく時間を要するといった課題がありました。
東芝テックは、今回の施設リニューアルオープンに合わせて、RFIDを活用したセルフレジを導入しました。

このセルフレジは、消費者が商品を専用台に置いた時点から、RFタグが付いた商品を袋詰めする過程で自動読み取りを行うため、従来のように1品ごとにバーコードを読み取る手間がなくなり、会計スピードが格段に向上します。
また、将来的には、RFタグを活用した棚卸業務ソリューションを導入することにより、店舗側のさらなる業務効率改善を目指します。

<「RFIDを活用したセルフレジ」の主な特⻑>
1.スピーディーな会計
店舗で取り扱う全ての商品にRFタグを取付け、RFID技術を利用したスピーディーな会計を実現します。
2.什器の工夫
消費者自身で袋詰めをしながらスムーズに商品登録を行える運用にし、レジ周りの什器を工夫しました。

<会計の流れ>
①専用台に商品を置く(RFID読取)
②ショップ袋のセット
③袋詰め(RFIDで商品点数の確認)
④会計

RFIDの導入で、棚卸が早くなるといいですね。
RFIDの導入がなかなか進まないのは、コストの面だと思いますが、県立博物館で導入するということは、かなり、安くなったんですかね?
どんどんコストが安くなることを期待したいですね。

東芝テックが福井県立恐竜博物館内のミュージアムショップにRFIDを活用したセルフレジを導入したことについて、あなたはどう思われましたか?


ドローンで全自動棚卸!

LogisticsTodayによると、ロジスティクス自律制御システム研究所(ACSL、東京都江戸川区)とブルーイノベーション(東京都文京区)は、先日、国産ドローンを活用した屋内DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスを共同開発したと発表しました。

共同開発したサービスは、ACSLの国産産業用ドローン「Mini」(ミニ)と、ブルーイノベーションのソフトウエアプラットフォーム「Blue Earth Platform」(BEP)を連携させたもので、5G通信とエッジAIを組み合わせた「プラント自動点検」と、RFIDリーダーを搭載した「倉庫内自動在庫管理」の2種類です。

このうちRFIDドローンによる倉庫内在庫管理ソリューションは、RFIDリーダーを搭載したドローンでデータを取得し、倉庫内棚卸作業のデジタル化・効率化につなげる仕組みで、トッパン・フォームズが協力しています。

BEPを活用することで複数のドローンによる同時棚卸や、AGVやロボットなどの既存システムと連携させ、ほかの作業工程も含めた統合管理が可能となります。
今後は業務終了後にドローンなどの既存システムが全自動で在庫棚卸を行い、翌朝に結果を確認できるサービスにも対応するそうです。

入出庫管理やその情報をもとにした理論在庫管理など倉庫内業務を対象としたデジタル化が進んでいるなか、棚卸業務は依然として作業員による計数作業が主流となっており、ほかの業務を止めて人手で棚卸作業を行う効率の悪さや高所作業に伴う危険性が指摘されていました。

僕自身、棚卸の重要性を以前から認識しており、棚卸の書籍を出版し、14回増刷になっているのですが、こういう時代になることは数年前から色々なところで言っていました。
網羅性が担保できるのか、カウント時に把握すべき破損や汚れなどをどうしていくかなど難しい問題もあると思いますが、スピードと精度を高めるには必要なことだと思います。
そのためには、RFIDがかなり安くなることが前提でしょうが。

ドローンで全自動棚卸することについて、どう思われましたか?


大日本印刷がRFID導入前の運用効果検証キットの提供開始!

大日本印刷(DNP)はこのほど、RFID導入前の効果検証が行えるトライアルキットを開発しました。
入出荷・棚卸し管理や読み取りの効果を把握できる「DNP RFID導入検証支援サービス」の提供を開始しました。

製造、流通、小売など各現場の業務効率化を支援するRFIDは、サプライチェーン上の商品の流れを可視化して食品ロス削減や在庫の偏重解消にも寄与。また工程内で取得したデータを分析して次の商品企画に反映したり、より効果的に販売するために店頭の配置を検証したりと、製造・配送・販売の各チャネルで有用性が期待されています。

RFIDの運用においては、事前の導入効果検証や課題抽出が重要。従来は機器を購入したり簡易システムを開発したりと負荷が大きく、RFID導入を妨げる一因となっていました。
こうした背景から、1999年からRFID事業を展開しているDNPは今回、効果検証を安価かつ短期間で実施できる導入支援サービスを開始します。

このサービスは、システムと機器の貸与、現場でのRFID読み取り環境構築のノウハウを提供して、2つの専用アプリで検証・評価レポートの作成を支援するというものです。
RFIDの読み取りを検証評価する「RFID読取評価アプリ」は、ハンディーリーダーライター・据置型リーダーライターの2機種を使用します。
RFIDとバーコードの読み取り速度を比較し、導入効果試算に役立つデータを作成するほか、RFIDの貼付位置やリーダーライターのアンテナの位置の違いによる読み取り速度の差を比較して、RFIDタグの最適な貼付位置や最適なアンテナ設置位置などを導き出すものです。

また、入荷・出荷・棚卸のステータス管理が行える「サプライチェーン業務系アプリ」は、製品の入荷・出荷・棚卸の結果を可視化するクラウドサービスです。

これら支援作業と機器貸出の一式で30万円(税別)からです。
DNPは「新型コロナウイルスの感染防止対策の一環で、非接触での業務も増えている。その効率化に向けて、数メートル離れていても複数のIDを読み取ることのできるRFIDの導入を検討している企業が、計画から評価まで一連の概念実証をスムーズに実施できるよう支援するもの」とサービスを説明しています。

僕自身、7年半ほど前に棚卸の書籍を出版し、何度も増刷になっていますが、改訂版を出すときには、当然、RFIDのことを付け加えないと思っています。
RFIDを使っているユニクロのレジは、感動すらおぼえますよね。
こういうのをきっかけに、RFIDが少しでも普及し、コストも安くなってくれればなぁと思います。

大日本印刷がRFID導入前の運用効果検証キットの提供を開始したことについて、どう思われましたか?


東レがICタグの価格を5分の1に!

 日本経済新聞によると、東レは衣料など商品の在庫管理などに使うICタグを、1枚2円以下と従来の5分の1程度のコストで生産できる技術を開発したようです。
情報などを記録する集積回路を特殊な素材で直接印刷し、生産工程を大幅に減らせます。
ICタグは、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」にとって重要な部品です。
価格が大幅に下がり、関連サービスの普及を後押しすることになるでしょう。

 東レは、2022年度にもICタグ事業に参入するようです。
ICタグはICチップとアンテナを内蔵し、商品の製造日や賞味期限といった情報を記録できます。
無線自動識別(RFID)機能を持ち、記録された情報は専用の機械を使って無線で読み取ることができます。
アメリカのエイブリィ・デニソンなど欧米企業が約6割の世界シェアを占め、日本勢では村田製作所や大日本印刷などが手掛けています。

東レは炭素原子が筒状につながった高強度のカーボンナノチューブを原料として、一定の条件下で導電性を示す新素材を開発しました。
これを活用し、ICタグの記憶装置となるICチップを基板フィルムに直接印刷・形成できるようになったのです。

従来品は、ICチップを組み込むための生産工程などがコスト増の原因でした。
東レの新技術で生産コストは5分の1程度になります。
東レは、1枚当たりの販売価格を2円以下に設定する方針で、従来品の10~20円前後と比べ大幅に安くなります。
東レは、衣料、食品大手などに売り込むようです。
2020年代後半に年500億円規模の売上高をめざすそうです。

調査会社の富士キメラ総研(東京都中央区)によると、ICタグなどのRFIDの世界市場規模は2022年度に4,090億円程度と2019年度(予測)比で1.6倍となる見通しです。

近年は、企業がICタグなどのセンサーを使って商品などの情報を常時収集・分析し、業務の効率化などにつなげる動きが広がっています。
例えば「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングはICタグを活用し、商品の搬送や検品作業を大幅に効率化しています。

価格低下でICタグを使った商品が増えれば、企業に加え、消費者が自分で会計を済ませることが可能なセルフレジなど利便性の高いサービスの普及にもつながりそうです。
需給や繁閑をみて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」などの新しい小売りシステムの普及のカギも握るでしょう。

東レは、2020年代後半にはICタグの市場規模が1兆円以上になると見込んでいます。
国内でも経済産業省がコンビニ大手各社と、2025年までに全商品にICタグをつける構想を掲げるなど、急速な需要の拡大が見込まれます。

ユニクロに行くと、レジでカゴを渡すとICタグを読み込んで、即座にお会計ができるのですごいなぁと思いますね。
個人的には、ロングセラーになっている『実地棚卸』の本を出版していますが、ずっと、ICタグが安くなって世間一般に普及しだすと、在庫管理はもちろんですが、『実地棚卸』のやり方も大きく変わると言ってきました。
それゆえ、数年前から改訂版を出したいと思っていましたが、そろそろ書き始めないといけなくなってきましたね。
早く価格が下がり、ICタグが普及し、『実地棚卸』も楽になる時代が来て欲しいですね。

東レがICタグの価格を5分の1にすることについて、どう思われましたか?


中間決算棚卸のポイント(5/5)

 日本においては3月決算の企業が多いと思いますが、3月決算企業の場合、9月末にも、在庫の棚卸(中間決算棚卸)を実施するかもしれません。
そこで、今週1週間は、中間決算棚卸について書きたいと思います。
既に『事前準備』『当日の作業(1/3)』『当日の作業(2/3)』『当日の作業(3/3)』について書きましたので、最終日の本日は、『後日のフォロー』についてです。

 なお、今週は、以下の内容で書いています。

事前準備

当日の作業(1/3)

当日の作業(2/3)

当日の作業(3/3)

後日のフォロー

 あまり実行していない会社が多いように感じていますが、中間決算棚卸の後日のフォローは非常に重要なものなのです。

 中間決算棚卸当日に、中間決算棚卸講評会を行うことは昨日述べましたが、後日、経営改善の観点から、中間決算棚卸に関与しなかった人も含めた在庫関係者が一堂に介し、中間決算棚卸検討会議を行うことが望ましいと言えます。

中間決算棚卸検討会議の議題としては、以下のようなものが考えられます。

A

棚卸差異の発生原因とこれに対する予防対策

B

中間決算棚卸方法の改善

C

不良在庫の発生原因の把握と予防対策、最終的な処分

D

保管設備の環境、整備及び保管管理の状況

E

在庫量の適正化などについての指摘

F

物流費用等に関する配慮

A『棚卸差異の発生原因とこれに対する予防対策』ですが、棚卸差異の発生原因とこれに対する予防対策を検討します。
これにより、今後の中間決算棚卸や記帳や業務フローなどの精度を高めることができ、中間決算棚卸の時間短縮や業務の効率化などにつながります。

B『中間決算棚卸方法の改善』ですが、中間決算棚卸担当者や立会者が中間決算棚卸方法の要改善点に気付くことがありますので、これらの要改善点を全社的に集約し、今後の中間決算棚卸方法の改善について検討します。
改善は、とある部門での改善のみならず、全社的な改善につながることもあります。

C『不良在庫の発生原因の把握と予防対策、最終的な処分』ですが、中間決算棚卸の過程で不良在庫が発見されることもあります。
不良在庫の発生原因を把握するとともに、今後の予防対策を検討します。
また、不良在庫を廃棄する・廉価で売却するなど、今後どう処分していくかの処分方法を検討します。

D『保管設備の環境、整備及び保管管理の状況』ですが、中間決算棚卸時に、倉庫の雨漏りが発見されたり、防虫対策等の不備が発見されたりすることがあります。
また、在庫が直射日光に当たっていたり、倉庫の湿気が多かったり、在庫が雨ざらしになっていることなどに気付いたりします。
これらの保管設備の環境、整備及び保管管理の状況を全員で共有し、今後どうするかの検討を行います。

E『在庫量の適正化などについての指摘』ですが、中間決算棚卸の過程で現場を見ることにより、想像していたより在庫が多かったことに気付くことがあります。
また、適正在庫に問題があることに気付くこともあります。
中間決算棚卸をきっかけに、在庫量の適正化も検討しても良いでしょう。

F『物流費用等に関する配慮』ですが、中間決算棚卸時には、入出庫の状況も確認することになりますが、1回当たりの発注量や出荷量によっては、物流費用等が多大にかかってしまっていることもあります。
中間決算棚卸の過程において、これらに気付くこともありますので、物流費用等の検討を行うことも有益でしょう。

詳細については、20132月に中央経済社から出版した拙著『誰も教えてくれなかった中間決算棚卸の実務Q&A(http://www.amazon.co.jp/dp/4502470309/)に載っていますので、ご覧くださいね。

中間決算棚卸の後日のフォローについて、お分かりいただけましたか?


中間決算棚卸のポイント(4/5)

 日本においては3月決算の企業が多いと思いますが、3月決算企業の場合、9月末にも、在庫の棚卸(中間決算棚卸)を実施するかもしれません。

 そこで、今週1週間は、中間決算棚卸について書きたいと思います。
既に『事前準備』『当日の作業(1/3)』『当日の作業(2/3)』について書きましたので、4日目の本日は、『当日の作業(3/3)』についてです。

 なお、今週は、以下の内容で書きたいと考えています。

事前準備

当日の作業(1/3)

当日の作業(2/3)

当日の作業(3/3)

後日のフォロー

 既に1か月を切っている9月末の中間決算棚卸の事前準備として、今から何をしますか?
当日の流れは、一般的に、以下のようになっています。

A

中間決算棚卸の説明

B

棚卸原票を配布し、コントロールシートに配布枚数などを記入

C

在庫をカウントし、棚卸原票に記入

D

立会者のテストカウント及び棚卸原票()の回収

E

棚卸集計表による集計及び在庫管理システムへの入力

F

差異分析の実施

G

棚卸原票の回収枚数などをコントロールシートで確認

H

現物または棚に添付された棚卸原票()の回収

I

中間決算棚卸講評会

既にAFについては書きましたので、今日はGIを取り上げます。

G『棚卸原票の回収枚数などをコントロールシートで確認』ですが、棚卸原票を、①使用したもの、②書き損じたもの、③未使用のものに分けて回収し、配布した枚数と回収した枚数が一致し、棚卸原票のすべて回収されていることを確かめます。
これによって、モレがないこと、ダブリがないこと、後日追加で記入といった不正に利用されないことが担保されます。

H『現物または棚に添付された棚卸原票()の回収』ですが、現物または棚に、2枚複写の棚卸原票のうち()の方が残っていますので、回収します。

I『中間決算棚卸講評会』ですが、中間決算棚卸終了後、中間決算棚卸責任者は中間決算棚卸の関係者を集めて、中間決算棚卸講評会を開催し、総括を行います。
今回の中間決算棚卸の問題点などについても取り上げ、次回以降の棚卸及び今後の業務改善に役立てるようにします。

詳細については、20132月に中央経済社から出版した拙著『誰も教えてくれなかった実地棚卸の実務Q&A(http://www.amazon.co.jp/dp/4502470309/)に載っていますので、ご覧下さいね。

中間決算棚卸の当日の作業について、お分かりいただけましたか?


中間決算棚卸のポイント(3/5)

 そこで、今週1週間は、中間決算棚卸について書きたいと思います。
既に『事前準備』『当日の作業(1/3)』について書きましたので、3日目の本日は、『当日の作業(2/3)についてです。

 なお、今週は、以下の内容で書きたいと考えています。

事前準備

当日の作業(1/3)

当日の作業(2/3)

当日の作業(3/3)

後日のフォロー

 既に1か月を切っている9月末の中間決算棚卸の事前準備として、今から何をしますか?
当日の流れは、一般的に、以下のようになっています。

A

中間決算棚卸の説明

B

棚卸原票を配布し、コントロールシートに配布枚数などを記入

C

在庫をカウントし、棚卸原票に記入

D

立会者のテストカウント及び棚卸原票()の回収

E

棚卸集計表による集計及び在庫管理システムへの入力

F

差異分析の実施

G

棚卸原票の回収枚数などをコントロールシートで確認

H

現物または棚に添付された棚卸原票()の回収

I

中間決算棚卸講評会

昨日はACについて書きましたので、今日はDFを取り上げます。
GIは明日書く予定です。

D『立会者のテストカウント及び棚卸原票()の回収』ですが、立会者が、網羅性(カウントが漏れているものはないか?)と実在性(棚卸原票に記入されているものが実際に存在するか?)の観点から、サンプルベースでテストカウントを行います。
カウントミスがないようであれば、2枚複写の棚卸原票のうちの1枚である()を剥がして回収します。
企業が独自のルールを決めることになりますが、一定数もしくは一定率以上のカウントミスがあれば、そのエリアを再カウントすることになります。

E『棚卸集計表による集計及び在庫管理システムへの入力』ですが、回収した棚卸原票()をもとに、同じものが1箇所ではなく複数箇所に保管していることもあるため、棚卸集計表で集計のうえ、在庫数量などを在庫管理システムに入力していきます。

F『差異分析の実施』ですが、帳簿上の在庫数量と、カウントに基づく実際の在庫数量とを比較します。
差異が生じているものについては、再カウントを行ったり、入出庫の記録にモレや誤りがないかを確認するなどして差異分析を行い、最終的な在庫数量を確定します。
なお、カウントが漏れていたり、カウントミスをしてしまうこともあるため、必ずしも、カウントした在庫数量が正しいとは限りませんので、ご留意下さい。

詳細については、20132月に中央経済社から出版した拙著『誰も教えてくれなかった実地棚卸の実務Q&A(http://www.amazon.co.jp/dp/4502470309/)に載っていますので、ご覧下さいね。

中間決算棚卸の当日の作業について、お分かりいただけましたか?


中間決算棚卸のポイント(2/5)

 そこで、今週1週間は、中間決算棚卸について書きたいと思います。
昨日は『事前準備』について書きましたので、2日目の本日は、『当日の作業(1/3)』についてです。

 なお、今週は、以下の内容で書きたいと考えています。

事前準備

当日の作業(1/3)

当日の作業(2/3)

当日の作業(3/3)

後日のフォロー

 既に1か月を切っている9月末の中間決算棚卸の事前準備として、今から何をしますか?
当日の流れは、一般的に、以下のようになっています。

A

中間決算棚卸の説明

B

棚卸原票を配布し、コントロールシートに配布枚数などを記入

C

在庫をカウントし、棚卸原票に記入

D

立会者のテストカウント及び棚卸原票()の回収

E

棚卸集計表による集計及び在庫管理システムへの入力

F

差異分析の実施

G

棚卸原票の回収枚数などをコントロールシートで確認

H

現物または棚に添付された棚卸原票()の回収

I

中間決算棚卸講評会

今日はACを取り上げます。
DFは明日、GIは明後日書きたいと思います。

A『中間決算棚卸の説明』ですが、昨日書いたとおり、中間決算棚卸当日ではなく、事前に説明等をしておくべきものですが、確認のために、中間決算棚卸の当日に、中間決算棚卸管理者が、当日のスケジュール・中間決算棚卸の留意点・カウントを行うペア(カウントは通常21組で行ないます。)・カウントを行うエリアなどの説明を行います。

B『棚卸原票を配布し、コントロールシートに配布枚数などを記入』ですが、中間決算棚卸管理者が、棚卸原票をカウント担当者に配布し、コントロールシートに、エリア・担当者名・棚卸原票No.ex.151200)・配布枚数などを記入します。

C『在庫をカウントし、棚卸原票に記入』ですが、21組のうちカウント担当者が在庫をカウントし、もう1人の記入担当者が棚卸原票に数量などを記入し、押印します。
カウントが終われば、現物または棚に、棚卸原票を貼り付けるのです。
これは、その現物または棚のカウントが終わったことが分かるようにするためです。

詳細については、20132月に中央経済社から出版した拙著『誰も教えてくれなかった実地棚卸の実務Q&A(http://www.amazon.co.jp/dp/4502470309/)に載っていますので、ご覧下さいね。

中間決算棚卸の当日の作業について、お分かりいただけましたか?


中間決算棚卸のポイント(1/5)

 そこで、今週1週間は、中間決算棚卸について書きたいと思います。
初日の本日は、『事前準備』についてです。

 なお、今週は、以下の内容で書きたいと考えています。

事前準備

当日の作業(1/3)

当日の作業(2/3)

当日の作業(3/3)

後日のフォロー

 既に1か月を切っている9月末の中間決算棚卸の事前準備として、今から何をしますか?
以下の点に留意することが必要だと考えられます。

責任者・管理者の選任

中間決算棚卸計画書の作成

中間決算棚卸マニュアルの作成

中間決算棚卸計画書及び中間決算棚卸マニュアルの配布

中間決算棚卸現品の事前準備

その他

①『責任者・管理者の選任』ですが、誰の責任で中間決算棚卸を行うかを明確にします。
『中間決算棚卸全体を統括する責任者』と、『現場レベルでの責任者』とを選任します。
また、現場では『責任者を補助する管理者』も選任することが必要となってきます。

②『中間決算棚卸計画書の作成』ですが、責任者・管理者の選任、中間決算棚卸当日のタイムスケジュール、中間決算棚卸の対象範囲、チーム編成及び作業分担などを決めることになります。

③『中間決算棚卸マニュアルの作成』ですが、中間決算棚卸をルールをきちんと決めたうえで実施するため、作成する必要があります。
この『中間決算棚卸マニュアル』をきちんと作成しておかないと、それぞれが独自のルールで勝手に中間決算棚卸を行うことになり、全社的に統一された中間決算棚卸、つまり、効率的な中間決算棚卸を行うことができません。

④『中間決算棚卸計画書及び中間決算棚卸マニュアルの配布』ですが、中間決算棚卸の関係者に中間決算棚卸のことを理解しておいてもらうために、事前に配布します。
企業によっては、事前に中間決算棚卸の関係者を一同に集めて説明会を開催することもありますが、中間決算棚卸を効率的かつ効果的に行うために有効な手段と言えるでしょう。

⑤『中間決算棚卸現品の事前準備』ですが、中間決算棚卸をスムーズに行うため、事前に整理整頓を行っておきます。
普段からも必要ですが、効率的かつ効果的に中間決算棚卸を行うためには、整理整頓は重要です。

⑥『その他』ですが、中間決算棚卸当日の効率性を高めるため、中間決算棚卸当日までに動きがないと思われるものは事前にカウントしておいたりします。
ただし、事前にカウントしたものについては、まだカウントしていないものと明確に区別できるようにしておく必要があります。
あと、コントロールシート、棚卸原票などの準備も必要となります。

詳細については、20132月に中央経済社から出版した拙著『誰も教えてくれなかった実地棚卸の実務Q&A(http://www.amazon.co.jp/dp/4502470309/)に載っていますので、そちらをご覧下さいね。

中間決算棚卸の事前準備について、お分かりいただけましたか?

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BLOG(国税通則法)

納付税額300万円超の無申告加算税を30%に引上げ!

TabisLandによると、加算税は、申告納税制度の定着と発展を図るため、申告義務が適正に履行されない場合に課されるもので、一種の行政制裁的な性格があります。
令和5年度税制改正においては、納税環境の整備の一環として、加算税制度が見直されます。
まず、無申告加算税の割合(現行15%(納付すべき税額が50万円を超える部分は20%))について、納付すべき税額が300万円を超える部分に対する割合が30%に引き上げられます。

調査通知以後に、かつ、その調査があることで更正・決定があるべきことを予知(「更正予知」)する前にされた期限後申告・修正申告に基づく無申告加算税の割合(現行:10%(納付すべき税額が50万円を超える部分は15%))は、上記の納付すべき税額が300万円を超える部分に対する割合を25%とします。
また、納付すべき税額が300万円を超えることにつき納税者の責めに帰すべき事由がない場合の適用に関する所要の措置が講じられます。

次に、過去に無申告加算税又は重加算税が課されたことがある場合に無申告加算税・重加算税の割合を10%加重する措置の対象に、前年度及び前々年度の国税について、期限後申告・修正申告(調査通知前に、かつ、更正予知する前にされたものを除く)または更正・決定(「期限後申告等」)があった場合において、無申告加算税・無申告重加算税が課される者が行う更なる無申告行為が加えられます。

つまり、前年度及び前々年度に無申告加算税(期限後申告・修正申告が、調査通知前に、かつ、更正予知する前にされたものであるときに課されたものを除く)や無申告加算税に代えて課される重加算税(「無申告加算税等」)を課されたことがあるとき、またはその無申告加算税等に係る賦課決定をすべきと認めるときに、その期限後申告等に基づき課する無申告加算税等を10%加重する措置の対象に加えられることになるのです。

ただし、過少申告加算税、源泉徴収等による国税に係る不納付加算税及び重加算税(無申告加算税に代えて課されるものを除く)については、上記の見直しの対象としません。
上記の改正は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

今までは、真面目に期限内に申告している人より、無申告の人が税務調査やお尋ねによりあとから出すほうが有利なこともあり、どう考えてもおかしいなぁと思うことがあったのですが、少しずつ改正されていることはいいことだと思います。
税務調査も無申告の人を増やし、罰則を与えることにより、きちんと申告するようにしないと、真面目に申告している人が馬鹿らしくなると思いますので、無申告の人には厳正に対処してほしいと思います。

納付税額300万円超の無申告加算税を30%に引上げることについて、どう思われましたか?


確定申告などの押印が廃止へ!

政府・与党は確定申告などの税務手続きで押印の原則廃止を検討するようです。
2021年度の税制改正で検討し、年末にまとめる与党税制改正大綱に反映させます。
新型コロナウイルス禍を受けて菅義偉政権が掲げる社会のデジタル化の一環です。
税に関わる他の書類でも「脱ハンコ」を進めます。

加藤勝信官房長官は、先日の記者会見で、「政府全体として不要な押印は廃止する方向で検討を進めている。国税関係手続きでの押印についても、納税者の利便性向上の観点から財務省で見直しを検討している」と述べました。

現在は国税通則法で納税手続きの際に必要な書類には原則、押印を求める規定があります。
オンラインで国税電子申告・納税システム「e-Tax」を使えば電子署名で済みますが、書類で申告するときは押印が求められます。
2021年度税制改正で結論を得て、法改正を検討するようです。

確定申告以外では財産形成貯蓄制度(財形)の届け出書などでも押印が求められています。
こうした書類でも不要にする方向です。
財務省は税に関する手続きのオンライン化を加速する契機にしたい考えのようです。

与党税制調査会幹部も押印廃止には前向きです。
菅首相は、先日の規制改革推進会議で、押印廃止に向けて行政全体の手続きを改めて見直すよう指示していました。
河野太郎規制改革相は行政手続きで求める押印のうち、99%を廃止できる見込みだと発表済みです。

菅さんになって一気に進みましたね。
うちの事務所は基本的に電子申告をしていますので、あまり影響ないかもしれませんが、望ましいことですね。
あとは、押印のみならず、e-Tax(国税)とeLTAX(地方税)の統合、届出の際の添付書類の削減なども進めてほしいですね。

確定申告などの押印が廃止されることについて、どう思われましたか?

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BLOG(税制改正)

令和5年度税制改正大綱(速報)

2022年12月16日(金)

本日2022年12月16日に『令和5年度税制改正大綱』が公表されました。
ここ数年、小粒な改正が続きましたが、今回は結構改正があります。
ただし、事前に報道等も多く、報道のとおりで、驚くようなものはありませんが。
(個人的に興味があるのは資産課税ですので)主な改正は、以下のとおりです。

二 資産課税
1 資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築
(1)相続時精算課税制度について、次の見直しを行う。
①相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる当該特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記の控除をした後の残額とする。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

②相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した一定の土地又は建物が当該贈与の日から当該特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合には、当該相続税の課税価格への加算等の基礎となる当該土地又は建物の価額は、当該贈与の時における価額から当該価額のうち当該災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とする。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用する。

③その他所要の措置を講ずる。

(2)相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間等について、次の見直しを行う。
①相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとする。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用する。

②その他所要の整備を行う。

2 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。
①信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満である場合等であっても、その死亡の日における非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額を、当該受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなす。
(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税について適用する。

②受贈者が30歳に達した場合等において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとす る。
(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。

③本措置の対象となる教育資金の範囲に、都道府県知事等から国家戦略特別 区域内に所在する場合の外国の保育士資格を有する者の人員配置基準等のー定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けた認可外保育施設に支払われる保育料等を加える。
(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に支払われる教育資金について適用する。

④その他所要の措置を講ずる。

(2)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、受贈者が50歳に達した場合等において、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとした上、その適用期限を2年延長する。
(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。

今後は相続税対策が変わると思いますが、とりあえず、2023年は贈与が増えるでしょうね。

ちなみに、全文は以下からご覧ください。
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/204848_1.pdf

令和5年度税制改正大綱について、どう思われましたか?


金融所得課税と1億円の壁!

ITmedia ビジネスオンラインによると、日経平均株価は2021年9月24日以降、10月7日まで8営業日連続で下落し、下げ幅は2,700円を超えました。
特に、岸田文雄氏が自民党新総裁に選出されて以降、下げ足が早まったように見受けられます。
岸田氏は、成長と分配の好循環に向けた政策の1つとして、「金融所得課税」の見直しを掲げており、足元の株安はこれを嫌気した反応との声も市場で聞かれます。

金融所得課税とは、株式譲渡益や配当金などの金融所得に課される税金で、現在、税率は一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。

岸田氏は2021年10月4日の記者会見で、改めて金融所得課税の見直しを検討する意向を示しており、今後は年末の2022年度税制改正で、一律20.315%の税率を引き上げる案や、高所得者の負担が重くなるよう累進的に課税する案などについて、議論される見通しです。

なお、金融所得の税率は、前述のとおり一律20.315%に定められています。
そのため、金融所得の割合が相対的に高い高所得者層は、株式譲渡益がいくら大きくなっても、累進的に課税されることはなく、税率は20.315%で変わらないということになります。
このような状況から、現行の金融所得課税は、金持ちを優遇する制度になっているという批判が根強くみられます。

一方、給与所得の税率は、所得が増えるほど累進的に課税され、最高税率は課税所得4,000万円超について設定されている45%です。
このほかに住民税が10%かかります。
そのため、年間所得の増加につれ、給与所得が多く金融所得が少ない場合は所得税の負担率が上昇し、給与所得が少なく金融所得が多い場合は負担率が低下することが起こり得ます。
実際、所得税の負担率は、年間所得が1億円を超えると低下しており、これを「1億円の壁」といいます。

岸田氏は、金融所得課税を見直すことで、1億円の壁を打破し、中低所得者層への配分を増やすことを検討しています。
ただし、金融所得の税率を一律に引き上げた場合、一定程度の税収増は見込まれるものの、増税前の株式売却や株式投資の敬遠につながる恐れもあります。
また、累進課税とした場合、対象を高所得者層に絞ることはできますが、配分の原資となる税収は小さくなるため、具体的な方向性は今後の議論を待つことになります。

なお、岸田氏が改めて金融所得課税を見直す意向を示した10月4日夜の記者会見以降、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)および業種別株価指数の動きですが、10月6日は両指数で上昇銘柄数と下落銘柄数が拮抗し、業種別では原油高や長期金利上昇の影響もうかがえます。
金融所得課税の見直しは、足元の株安要因の1つと思われますが、市場では比較的冷静な物色の動きもみられます。

この後、岸田氏は今度の税制改正には織り込まないと発言したようですが、将来的には改正するんでしょうね。
数年前から盛んに言われており、税制改正大綱も『貯蓄から投資へ』というスタンスですが、これに逆行するのではないかと思いますね。
あとは、実現していない単なる含み益であっても、株価が上昇しているということは消費者のマインドに好影響を与えると思いますので、この辺りもマイナスに働くかもしれませんね。
金持ち優遇と批判されたりしますが、やはり、お金持ちが消費を支えているという面は否定できないのではないかと思っています。
しばらくは、改正しないようなことを発言したりしていますが、個人的には、外国人投資家が減ったり、外国に移住するお金持ちが増えたりするような政策は避けてほしいなぁと思います。

金融所得課税と1億円の壁について、どう思われましたか?


令和3年度税制改正大綱(速報)

本日2020年12月10日に『令和3年度税制改正大綱』が公表されました。
相続税と贈与税の一体化はなされず、個人的には、予想どおり、非常に小粒な改正だと感じます。
(個人的に)主な改正は、以下のとおりです。

一 個人所得課税
4 その他
(3)退職所得課税の適正化
勤続期間5年以下の退職者に対する退職金
(短期退職手当等の収入金額―退職所得控除)が300万円を超える部分については、1/2とする措置を適用しない
(注)令和4年分以後の所得税について適用

二 資産課税
3 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一定の措置を講じた上、その適用期限を2年延長

(2)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一定の措置を講じた上、その適用期限を2年延長

三 法人課税
2 株式対価M&Aを促進するための措置の創設
法人が会社法の株式交付により、その有する株式を譲渡し、株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べる(所得税についても同様)

四 消費課税
3 その他
(6)金又は白金の地金の課税仕入に係る仕入税額控除の要件として保存することとされている消費税法上の本人確認書類のうち、在留カードの写し並びに国内に住所を有しない者の旅券の写し及びその他これらに類する書類をその対象から除外
(注)令和3年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて適用

七 納税環境整備
1 納税関係書類における押印義務の見直し
提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、以下に掲げる税務関係書類を除き、押印しないこととするほか、所要の措置を講ずる。
(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
(注)令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用。なお、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めない。

ちなみに、全文は以下からご覧ください。
令和3年度税制改正大綱

令和3年度税制改正大綱について、どう思われましたか?


富裕層への課税を強化し海外住宅投資の節税を認めない方向!

 日本経済新聞によると、政府・与党は海外の不動産への投資を通じた節税をできないようにする方針のようです。
現在は高額な海外物件への投資で出る赤字と国内の所得を合算して税負担を減らせますが、この合算を認めないこととするようです。
海外の不動産への投資は富裕層に多い節税策で、ほかの納税者との間で公平でない仕組みと判断しました。

与党の税制調査会で詳細を詰めたうえで、2020年度の税制改正大綱に所得税法の見直しを盛り込むようです。
2021年分以降の所得税に適用される見通しです。

この節税はアメリカやイギリスなどで高額な中古物件を購入し、家賃収入を上回る減価償却費などの赤字を発生させて日本での所得を圧縮するというものです。
2020年度の税制改正では、海外の中古物件で生じた赤字はなかったものと扱い、日本国内での損益通算には使えないようにするようです。

節税の背景には、日本と欧米で中古住宅の平均寿命や利用可能年数の考え方が違うことがあります。
長い間使える中古物件でも、日本のルールに沿って計算すると使用可能年数が4~9年になります。
本来なら10年以上使える物件の価値を4年程度でゼロにするため、決算上は大きな赤字が発生するのです。

高額な物件を買うほど節税の恩恵が得られるため、富裕層を中心に利用されています。
会計検査院が富裕層の多い東京都の麹町税務署管内などで調べたところ、海外の中古物件で延べ337人が39億8千万円超の赤字を計上していたそうです。

会計検査院が「公平性を高める検討が必要」と指摘し、政府・与党で対応を議論してきました。
この節税策は、不動産会社などがセミナーを開いて勧誘することも多くなっています。
適用できなくなれば、高収入の個人や不動産を取り扱う企業に影響が広がりそうです。

最近、会計検査院が指摘した事項については税制改正が早いと言われたりしていますが、今回もそうですね。
個人的には、当たり前の改正だとは思いますが、海外不動産投資のことが記載されたチラシなどをまぁまぁ目にしますので、そういう企業などは影響が大きいでしょうし、税制改正のリスクの説明をした、していないでもめそうな気はしますね。

富裕層への課税を強化し海外住宅投資の節税を認めない方向であることについて、どう思われましたか?


多国籍企業の税逃れ対策でOECDが複数国平均での課税を検討!

 時事ドットコムニュースによると、経済協力開発機構(OECD)がまとめる多国籍企業による税逃れ防止策が、先日、分かったようです。
租税回避地にグループ会社を置いて利益を移転するケースでは、各国・地域共通の法人税率の最低水準を設定し、租税回避地で実際に払っている法人税を差し引いて課税するようです。
税逃れが複数の国・地域に及ぶ場合には、それらの地域の法人税の平均を元に課税する案などが議論されています。

OECDが先日公表し、新たな国際課税に関して2020年中に策定する最終報告書に盛り込まれる見通しです。
現状では、多国籍企業が租税回避地にあるグループ会社に特許料や使用料の支払いといった名目で利益を移し、法人税の負担を免れるといった例が相次いでいます。
これに対し、租税回避地の低い税率で納められているグループ会社の法人税を、共通の最低水準から差し引いた上で、本社のある国が多国籍企業に課税できるようにします。
例えば、法人税率の最低水準を15%、租税回避地を2%とすると、差し引いた13%の法人税を課税できます。

問題はグループ会社が複数の国・地域にあるケースです。
共通税率の最低水準を15%、グループ会社の所在地をA国(10%)、B国(2%)と仮定し、税率の平均を採用すると、法人税率は6%となり、本社のある国は多国籍企業に対してそれぞれの国で差額分の9%を新たに課税できます。
平均を取ると、税率の高い国の影響で数字が高めに出やすい。国ごとに税率を差し引くケースに比べ、課税対象部分が小さくなるため、低税率国には有利となりますが、高税率国に不利となります。

日本は国ごとに差し引く案を支持していますが、平均案の方が極端に税率の低い国にも受け入れられやすく、有力視されているそうです。
法人税率の最低水準を決めること自体、各国の主権に関わるため容易ではなく、こうした面も含め協議は難航が予想されます。

国ごとに税率などには政策的なものがあるでしょうから、難しいでしょうね。
個人的には、色々と研究して、可能な限り税金の支払いを減らすということは営利企業として当然に経済的合理性があると思っていますが、そういう流れではなく、防ぐということになってきていますね。
いわゆるGAFAの節税が度を越しているということなのでしょうが。

多国籍企業の税逃れ対策でOECDが複数国平均での課税を検討していることについて、どう思われましたか?


平成31年度税制改正大綱(速報)

 当初の予定より2日遅れとなりましたが、本日2018年12月14日に『平成31年度税制改正大綱』が公表されました。
個人的には、新聞等で取り上げられていた『個人事業者の納税猶予制度』が目玉だと思いますが、それ以外は、それほど目立ったものはないなぁという小粒な改正だと感じます。
(個人的に)主な改正は、以下のとおりです。

一 個人所得課税
5その他
(3)個人が保有する資金決済に関する法律に規定する仮想通貨につき、その者の所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となる期末において有する仮想通貨の価額は、移動平均法又は総平均法により算出した取得価額をもって評価した金額とするほか、所要の措置を講ずる。

(10)個人住民税における都道府県又は市区町村(以下「都道府県等」という。)に対する寄附金に係る寄附金税額控除について、次の見直しを行う。
①総務大臣は、次の基準に適合する都道府県等をふるさと納税(特例控除)の対象として指定することとする。
イ 寄附金の募集を適正に実施する都道府県等
ロ イの都道府県等で返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす都道府県等
(イ)返礼品の返礼割合を3割以下とすること
(ロ)返礼品を地場産品とすること
②①の基準は総務大臣が定めることとする。
③指定は、都道府県等の申出により行うこととする。
④総務大臣は、指定をした都道府県等が基準に適合しなくなったと認める場合等には、指定を取り消すことができることとする。
⑤総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは、直ちにその旨を告示しなければならないこととする。
⑥基準の制定や改廃、指定や指定の取消しについては、地方財政審議会の意見を聴かなければならないこととする。
⑦その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年6月1日以後に支出された寄附金について適用する。

(11)子どもの貧困に対応するため、次の措置を講ずる。
①児童扶養手当の支給を受けている児童の父又は母のうち、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者(これらの者の前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除く。)を個人住民税の非課税措置の対象に加える。
②個人住民税の申告書、給与所得者の扶養親族申告書及び給与支払報告書等について、上記①の者に該当する旨の記載をし、申告することとする等の所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成 33 年度分以後の個人住民税について適用する。

二 資産課税
1 個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設等
(1)個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設
①概要
認定相続人が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、相続等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を猶予する。

(2)個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度の創設
①認定受贈者(18歳(平成34年3月31日までの贈与については、20歳)以上である者に限る。以下同じ。)が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、贈与により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち、贈与により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の納税を猶予する。
(注)上記(1)及び(2)の改正は、平成31年1月1日以後に相続等又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

(3)特定事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の見直し
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合を除く。)を除外する。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税について適用する。ただし、同日前から事業の用に供されている宅地等については、適用しない。

(2)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、次の措置を講ずる(特例制度についても同様とする。)。
1 贈与税の納税猶予における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
2 一定のやむを得ない事情により認定承継会社等が資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合においても、その該当した日から6月以内にこれらの会社に該当しなくなったときは、納税猶予の取消事由に該当しないものとする。
3 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の適用を受ける場合には贈与税の納税猶予の免除届出の添付書類を不要とする等、手続の簡素化を行う。
(注)上記1の改正は、平成 34 年4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。

(1)相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢を18歳未満(現行:20歳未満)に引き下げる。
(2)次に掲げる制度における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
①相続時精算課税制度
②直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
③相続時精算課税適用者の特例
④非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度(特例制度についても同様とする。)(再掲)
(注)上記(1)及び(2)の改正は、平成34年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(3)民法(相続関係)の改正に伴い、次の措置を講ずる。
①相続税における配偶者居住権等の評価額を次のとおりとする。
イ 配偶者居住権
建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)÷残存耐用年数
×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
ロ 配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」という。)の所有権
建物の時価-配偶者居住権の価額
ハ 配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利
土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
ニ 居住建物の敷地の所有権等
土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額
②物納劣後財産の範囲に居住建物及びその敷地を加える。
③配偶者居住権の設定の登記について、居住建物の価額(固定資産税評価額)に対し1,000分の2の税率により登録免許税を課税する。
④特別寄与料に係る課税について、次のとおりとする。
イ 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合には、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、相続税を課税する。
ロ 上記イの事由が生じたため新たに相続税の申告義務が生じた者は、当該事由が生じたことを知った日から10月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。
ハ 相続人が支払うべき特別寄与料の額は、当該相続人に係る相続税の課税価格から控除する。
ニ 相続税における更正の請求の特則等の対象に上記イの事由を加える。
⑤遺留分制度の見直しに伴う所要の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
⑥その他所要の措置を講ずる。

三 法人課税
6 円滑・適正な納税のための環境整備
(2)法人税における仮想通貨の評価方法等について、次のとおり時価法を導入する等の措置を講ずる。
①法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上する。
②法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上する。
③仮想通貨の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算出方法を移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法を移動平均法による原価法とする。
④法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。
⑤その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する。なお、同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、会計上仮想通貨につき時価評価していない場合には、上記①及び④を適用しないことができる経過措置を講ずる。

四 消費課税
4 その他
(2)金地金等の密輸に対応するための消費税における仕入税額控除制度の見直し
①密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。
②金又は白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の写しの保存を仕入税額控除の要件に加える。
(注)上記①の改正は平成31年4月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、上記②の改正は同年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、それぞれ適用する。

六 納税環境整備
3 eLTAX 障害発生時の申告等に係る期限延長
eLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)に障害が発生した場合の申告等に係る期限について、迅速かつ全国統一的な対応を行うため、次の見直しを行う等の所要の措置を講ずる。
(1)総務大臣は、eLTAX の障害によって多くの納税者が期限までに申告等をすることができないと認めるときは、告示を行うことにより、当該期限を延長することができることとする。
(2)地方税共同機構(eLTAX の運営主体)は、eLTAX の障害が生じたときは、遅滞なく総務大臣に報告しなければならないこととする。

平成31年度税制改正大綱について、どう思われましたか?


日本税理士会連合会による平成31年度税制改正に関する重要建議・要望項目!

 日本税理士会連合会は、2018628日に開催された第1回理事会において「平成31年度税制改正に関する建議書」を決定し、810日に財務省、国税庁、総務省、中小企業庁などに提出しました。

内容は、以下のとおりです。

<最重要建議・要望項目>
●消費税における単一税率及び請求書等保存方式の維持
①単一税率の維持
軽減税率(複数税率)制度は、区分経理等により事業者の事務負担が増加すること、逆進性対策として非効率であること、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となること等の理由により、従来、単一税率制度の維持を強く主張している。低所得者への逆進性対策としては、例えば、あらかじめ国が一定額を入金したプリペイドカードを配付する方法や、一定額の簡素な給付措置などによる消費支出の負担軽減策等を検討すべきである。
②請求書等保存方式の維持
平成3510月に導入予定の区分経理等のための適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)への移行は、事業者及び税務官公署の事務に多大な影響を与えることから、行政手続コスト削減の方向性に逆行することのないように配慮又は見直しをする必要がある。この点については、例えば、請求書等に一定の記載事項を追加することにより、区分経理等は十分可能である。
③消費税のあり方についての抜本的な見直し
事業者の負担と徴税コスト等を考慮し、仕入税額控除方式(インボイス方式を含む。)及び免税点制度等の見直しを含めた消費税のあり方について抜本的に再検討すべきである。特に、免税事業者が適格請求書等を発行できないことに伴い、不当な値下げ要求等により経営状態が圧迫されることのないよう対策を講じなければならない。

●所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフトと基礎的な人的控除のあり方
①所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフト
基礎的な人的控除(基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除及び扶養控除)は、憲法第25条が定める生存権の保障を目的としたものと解されており、健康で文化的な最低限度の生活を維持するために侵害してはならない課税最低限を構成するものである。したがって、このような性質を有する課税最低限は、財政事情を考慮しつつ、生活保護の水準に合わせていくことが望ましい。その際、給与所得控除及び公的年金等控除の水準が過大であることや、こうした所得計算上の控除が適用されない事業所得等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、基礎的な人的控除を中心として課税最低限を確保することが適切である。
②基礎的な人的控除のあり方
最低限度の生活を維持するのに必要な部分は担税力を持たないとする最低生活費不課税の観点から、基礎的な人的控除については、その額を引き上げた上で、所得控除方式を維持すべきである。その際、課税最低限を構成する基礎控除を逓減・消失させることについては、憲法の要請もまえ慎重な検討が必要である。
なお、その他の人的控除項目については、整理合理化を図りつつ、可能な範囲で税額控除化すれば、所得再分配機能が低下していることや高所得者の負担軽減額が大きくなるという問題は相当程度解消することとなる。

●償却資産に係る固定資産税制度の抜本的見直し
償却資産課税について、(一財)資産評価システム研究センターの「償却資産課税のあり方に関する調査研究-申告制度の簡素化・効率化に向けた制度設計について-」(2018年3月)において、現行の賦課期日(11日)はそのままとし、申告期限については、現行制度(131日)と電子申告(eLTAX)に限り法人税の申告期限と一致させる新方式との選択制にするとの方向性が示された。事業者の事務負担軽減、市町村の課税事務効率化及び電子申告率の向上に伴う実務の簡素化・効率化の観点から評価できるものであり、まずは、これを早期に実現すべきである。
また、当面の課題として、下記の項目についても検討する必要がある。
・中小企業の設備投資促進と事務負担軽減のため、免税点を現行150万円から倍額程度まで引き上げる。
・租税特別措置法により費用化が認められる30万円未満の少額資産は、償却資産課税の対象から除外する。

僕も、基本的に同意見です。
消費税の軽減税率制度は導入すべきではないと思っていますし、低所得者の保護が目的であるならば、期限付きの商品券を渡すのが良いと以前からこのブログでも書いています。
日刊紙の軽減税率についても、低所得者の保護が目的であるならば、まずは、所得別の日刊紙購読者数を把握し、開示する必要があると思います。
償却資産税についても、決算期にかかわらず一律に131日までに申告するのではなく、決算期に合わせて、申告時に固定資産台帳を提出する方が、漏れもなく、効率的かつ効果的なのではないかと思います。
月次決算などを行っておらず、年に1回決算時にのみ入力などを行っているところが、漏れなく申告するのは現実的に厳しいと思います。
あとは、印紙税の廃止も織り込んでほしいですね。

日本税理士会連合会による平成31年度税制改正に関する重要建議・要望項目について、どう思われましたか?

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法務省が違反認定なら過料も視野に海外IT48社に日本での登記を要請!

 

日本経済新聞によると、古川禎久法務大臣は、先日の記者会見で、アメリカのグーグルなど海外に本社を置く大手IT(情報技術)企業48社に、日本での登記を要請したと明らかにしました。
法務省と総務省が2022年3月29日、電気通信事業者として届け出済みの48社に要請文を出したようです。

会社法では、日本で継続的にビジネスをしている外国企業に、日本法人だけでなく、本国の本社も登記することを義務づけていています。
IT企業の多くはこのルールを把握しつつも、日本法人だけを登記していた可能性があるようです。

法務省と総務省は48社に登記をしない場合、4月15日までにその理由を説明することも求めていました。
複数社から回答が来ているとみられ、古川氏は「回答状況は現在精査中」と述べました。
要請を受けた全48社の社名は明らかになっていません。

法務省は日本国内で電気通信事業の届け出をしている外国企業の中から、登記をしていない企業を選び、一斉に要請文を出しました。
届け出を継続的なビジネスをしている証拠と考えたためです。

総務省によると、電気通信事業の届け出をしている企業数は国内外合わせて約1万3,000社あるそうです。
海外勢ではツイッターやメタ(旧フェイスブック)などアメリカのIT大手のほか、華為技術(ファーウェイ)や動画共有アプリ「TikTok」など中国系大手の関連会社も届け出をしています。

複数の関係者によると、法務省はこれまでにも海外IT大手に登記を要請したことがあったが、各社は対応してこなかったようです。
今回は法務省と総務省の連名の要請で、回答期限も区切り、今後の対応方針を検討しているもようです。

登記の徹底を求める声は、国会議員や弁護士の間からも上がっていたようです。
2021年に施行したデジタルプラットフォーム取引透明化法の付帯決議や、2021年6月に出されたネット上の中傷対策を巡る自民党の緊急提言でも、政府に対策を取るよう求めていました。

法務省は今後、各社からの回答内容を精査し、会社法違反と判断した場合には過料(100万円以下)の手続きに移ることを視野に入れています。
過料の可否は裁判所が判断するため、法務省は会社法違反と判断した企業を裁判所に通知することを検討しているようです。

今まで知りませんでしたが、会社法では本国の本社も登記しないといけないことになっているんですね。
それなのに、今まで要請しても無視されてきたのはなぜなのでしょうか?
登記するとマズいことがあるのでしょうか?
登記関係で過料が科されるのはあまりないのではないかと思われますが、企業のコンプライアンスに対するスタンスの問題だと思いますので、今後どうなるか注目したいですね。

法務省が違反認定なら過料も視野に海外IT48社に日本での登記を要請していることについて、どう思われましたか?


官報の決算公告を実施している株式会社は「わずか1.5%」!

 

東京商工リサーチによると、会社法で定める「決算公告」ですが、決算公告が義務付けられている「株式会社」では、約8割の企業が決算公告を官報と記載しています。
しかしながら、2021年に官報に決算公告した株式会社は40,154社で、全株式会社のわずか1.5%にとどまることがわかったようです。
経営の透明性が重要視されていますが、情報開示に消極的な中小企業が多いようです。

「合併」や「資本金の額の減少」など、一部の法的公告は法令で官報公告と定められています。
ただし、「決算公告」は「官報」だけでなく、「電子公告」や「日刊新聞紙」も可能です。

東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データベースによると、株式会社の公告方法は「官報」が83.1%と大半を占め、日刊新聞紙ほかが14.5%、電子公告が2.4%でした。

会社法では決算公告の義務を怠った場合、100万円以下の過料という罰則規定が定められています。
ところが、同法が適用されたケースはほとんど確認されていません。
決算公告が進まない理由は、貸借対照表の公告料が最低でも74,331円(税込)、損益計算書を付記すると15万円近くかかります。
こうした高額の公告料も、決算公告が進まない一因とみられます。

政府の「中小企業活性化パッケージ」では、経営者の個人破産回避や再チャレンジなどの中小企業支援策が強化されています。
その一方で、決算公告など情報開示が不十分な状況だけに、債権者(取引先)が取引対象先の信用力を判断する客観的な材料が少ないのも事実です。
中小企業が経営の透明性を高めるためにも、法律に沿った決算公告の運用意識と配慮が求められます。

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースを活用し、株式会社の公告方法を調査しました。
公告方法は、官報、日刊新聞紙、電子公告の大きく3つに分類されます。
最も多いのは「官報」で、全体の83.1%と8割を超えました。
合併公告や資本金の額の減少公告などは、法令で官報掲載と定められています。
日本経済新聞などの全国紙、地方紙などの「日刊新聞紙」ほかの公告は14.5%で、本社所在地の地元紙に掲載するケースも少なくありません。
「電子公告」は商法等の改正で2017年から始まり、自社ホームページなどでの公告で利便性は高いが、まだ2.4%にとどまっています。

2021年に「官報」に決算公告した未上場の株式会社40,154社の産業を調査しています。
最多は、サービス業他の27.4%で、3割に届きませんでしたが、積極的に官報公告を利用しています。
次いで、大手企業の子会社なども多い製造業の19.1%、卸売業11.5%、情報通信業10.4%と続いています。
社数の多い建設業は5.4%にとどまり、決算公告に消極的な姿勢がみられました。

資本金別では、1千万円以上5千万円未満が構成比39.5%と約4割を占めました。
次いで、1億円以上の大企業が29.7%と3割近くを占め、5千万円以上1億円未満が19.3%と続いています。
一方、100万円未満はわずか1.9%にとどまり、小規模事業者の情報開示への認識が低いことを示しています。

売上高別(判明分)では、売上規模が大きいほど公告比率が高かったようです。
最高は10億円以上50億円未満の31.6%。次いで、100億円以上の18.3%と続いています。
売上規模の小さい1億円未満も9.3%と一定の水準があり、大手企業の系列やベンチャー企業などが決算公告を実施しているようです。

決算公告を実施している株式会社は、全体のわずか1.5%にとどまります。
罰則の適用例がほとんどないことに加え、官報公告の掲載費用が高いことが背景にあるとみられます。
しかしながら、同時にコンプライアンス(法令遵守)やコーポレートガバナンス(企業統治)の意識の乏しさも問われています。

決算公告は、金融機関や取引先など第三者でも決算数値の整合性を確認できます。
万が一、複数の異なる決算書を作成している場合、官報公告で差異発覚の端緒となる可能性もあります。
決算公告は、経営の透明性を向上させ、企業への信頼性を高めることにつながります。

2016年に官報の公告料金が値上げされました。
官報公告が高額になると中小・零細企業では活用しにくくなります。
官報公告の意義を認識し、掲載費用の見直しも必要でしょう。

長引くコロナ禍で、中小企業への支援策は拡充されました。
ただし、インターネットで取得できる商業登記の代表者住所は2022年9月から非表示となる見通しで、代表者の資産把握が難しくなります。
また、経営者保証ガイドラインでは、経営者保証に依存しない動きも加速しますが、債権者側の保全対応が難しくなるだけに債務者(経営者)の責任感や意識も問われます。

事業再構築、復活支援金など、コロナ禍でも中小企業向けの支援策が多く打ち出されました。
「事業再生ガイドライン」では地域の経済合理性も打ち出されました。
地域社会を構成する取引先への情報開示も必要でしょう。
様々な支援を求める企業や上場企業だけでなく、情報公開が少ない外資系企業にも、会社法で定める決算公告など最低限の遵守が求められます。

なお、本調査は、TSRが独自集計した2021年(1-12月)の株式会社で官報に決算公告した40,154社と、TSRの企業情報や国税庁の「令和元年分会社標本調査」による株式会社の単体法人数2,545,100社を比較・分析したものです。
有価証券報告書提出会社は会社法で決算公告の義務などの適用がないため、上場企業は除いています。
複数回掲載は重複を避けるため1社でカウントしています。
また、合併公告や資本金の額の減少公告、通常の決算公告などすべての決算公告を対象にしました。
調査は今回が初めてです。

この記事は、会社法で定められているので中小企業も決算公告をしましょうという論調ですが、個人的には、実態を考慮し、資本金や売上高や従業員数などで決算公告が必要な会社を定めるなど、会社法を変える必要があるのではないかと思っています。
おそらく、決算公告が本当にすべての株式会社に必要なものと国や金融機関が考えているのであれば、支援金などの添付資料などに、決算公告を加えても良いと思いますし、金融機関の融資の際の提出書類に加えても良いと思いますので。

官報の決算公告を実施している株式会社は「わずか1.5%」であることについて、どう思われましたか?


関西スーパーの株主総会は取引先持ち株会が賛否の「隠れみの」に!

 

日本経済新聞によると、司法判断を受けて、先日、エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下となった関西スーパーマーケットですが、最高裁までもつれた原因は株主総会での1人の株主の行動でしたが、僅差の可決を後押ししたとみられるのは9%超を保有する第2位株主の取引先持ち株会だったそうです。

関西スーパーの取引先持ち株会には、食品スーパーや卸などが参加しています。
総会前には伊藤忠食品が、理事長一任での議決権行使という慣例に異を唱えて、自主投票となりました。

上場企業の多くの取引先持ち株会は同じような慣例があります。
そしてほとんどが議案への賛成になっているとみられます。

「相互間の親睦関係の増進に寄与することを目的とする」と、日本証券業協会の「持ち株制度に関するガイドライン」には、取引先持ち株会の目的について記されています。

取引先持ち株会は、社歴の長い伝統的な企業に多く存在します。
昔は上場時の安定株主対策や定期的な売買手数料を得る狙いもあって、主幹事証券会社が「取引先に株を持ってもらいましょう」と持ち株会の設立を提案することも多かったようです。

関西スーパーの総会では、取引先持ち株会の議決権行使の透明性も課題として浮かび上がりました。

株主総会の議決権行使書面は総会日から3か月間保管しなければならず、株主は閲覧や複写を求めることができます。
今回の場合、総会を開いた関西スーパーだけでなく、オーケーも株主ごとに賛否を知ることが可能なのです。

しかしながら、持ち株会の中の議決権行使結果は開示されません。
持ち株会全体として賛成、反対、棄権の比率が開示されるだけです。
自主投票となった持ち株会の会員企業の賛否は、関西スーパーにしかわからないのです。

今回、この仕組みをうまく活用できないか検討した取引先株主がいたようです。
持ち株会は定期的に資金を拠出して株式を買い付けるため、少しずつ会員企業の保有株数は増えていきます。
一部を持株会から引き出して自社名義での保有にする企業も多いです。

この株主は「自社名義分は不行使や棄権、反対に、持ち株会での保有分は賛成にと使い分けできると考えていた」(関係者)ようです。
オーケーが知ることができる部分はオーケー寄りに、関西スーパーにしかわからない部分は関西スーパー寄りにすれば両方に義理立てできるわけです。

取引先持ち株会を通して保有する株は、政策保有株扱いになることが多いようです。
上場企業に課されているコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)は、政策保有株式の削減を促すと同時に、政策保有株式に係る議決権の行使について具体的な基準を策定・開示し、その基準に沿った対応を行うべきだと定めています。

取引先持ち株会を「隠れみの」にした議決権行使の使い分けはコーポレートガバナンス・コードに沿っているとは言いがたいでしょう。
伊藤忠食品が関西スーパーに統合相手の価値評価額や算定根拠の開示などを求める質問状を送り、持ち株会の理事長一任に異を唱えたのは、自らの株主への説明責任を果たすためでした。

2019年にはある国内投資家が日証協に対し、コーポレートガバナンス・コードの趣旨に沿えば取引先持ち株会は解散されるべきだとの要望をしています。
日本企業の古き伝統は企業統治強化の中で存在意義を問われています。

知りませんでしたが、取引先持ち株会はそうなっているんですね。
取引先は、どちらとも取引があるところが多いでしょうから、困ったと思いますが、うまく使い分けていたところもあるんですね。
これをきっかけに、取引先持ち株会のあり方が議論されるといいですね。

関西スーパーの株主総会は取引先持ち株会が賛否の「隠れみの」になったことについて、どう思われましたか?


国税が過去に「高額すぎる」と指摘した京都新聞HDの大株主への報酬を第三者委員会が調査!

 

産経新聞によると、京都新聞社を傘下に置く京都新聞ホールディングス(HD、非上場、京都市中京区)で、大株主の元相談役(80)に不適切な報酬を支払っていた疑いがあるとの問題が浮上しているようです。
報酬をめぐっては国税当局が約10年前、「不相当に高額」と指摘していたことも、先日、関係者への取材で判明したようです。
報酬の支出は2021年2月まで継続していました。
京都新聞の報道によると、報酬の年間総額は4千万円を超えるとみられます。

特定の株主に配当とは別に報酬を支払い続けたことが「株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない」と定めた会社法に抵触する疑いがあるとして、京都新聞HDは弁護士でつくる第三者委員会を設置し、調査しています。

京都新聞の報道や関係者によると、元相談役が代表を務める資産管理会社は京都新聞HD株式の25.9%を保有しています。
元相談役に京都新聞HDなどのグループ3社が長年、株主配当とは別に相談役報酬を支払っていました。
年間総額は4千万円超とみられます。
2020年2月以降の内部調査の結果、不適切な支出だった可能性があるとして報酬の支払いを停止し、2021年3月に相談役を解嘱しました。

一方、関係者によると、2011年ごろの国税当局の税務調査で元相談役の報酬について、ほかの相談役の報酬や業務内容との比較などから「不相当に高額」と指摘され、高額と判断された部分は損金として認められなかったようです。

京都新聞によると、元相談役への高額報酬は長年にわたって続いたとされます。
関係者によると、元相談役の年間報酬額を知る人物は社内のごく一部に限られていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に2020年2月から経費の見直しを進めていた過程で判明しました。
元相談役は、近年は、3か月に1度のペースで京都新聞HDの社長から社の近況報告を受けていましたが、自ら出社することはほぼなかったそうです。

京都新聞HDは、先日、記者会見し、特定株主に報酬を支払い続けたことが会社法に抵触する疑いがあるとして第三者委員会を設置したことを明らかにしましたが、調査への影響などを理由に、支出先や額は伏せました。
一方、京都新聞は、翌日の朝刊1面でそれらを報じました。
京都新聞社は京都新聞HDの100%子会社ですが、記事では「独立した立場で今回の問題を取材、報道する」と伝えています。

産経新聞の取材に対し、京都新聞HDは、「会見で発表した以上のことは申し上げられない。第三者委員会の調査結果は公表する」とコメントしました。
京都新聞HDを通じて元相談役にも取材を申し込んだようですが、応じなかったようです。

京都新聞HDをめぐる問題で、小原正敏元大阪弁護士会会長ら3人の弁護士で構成される第三者委員会が調査する報酬を受け取っていた元相談役は、京都新聞の経営に長年携わってきた一族の方です。

昭和17年の合併で誕生した京都新聞社(現京都新聞HD)の社長は、この一族の方が30年以上務めました。
この社長は、昭和40年代に日本新聞協会の会長にも就いています。
この社長の後を継いだのが息子で、息子は京都新聞社と兄弟会社だった近畿放送(現京都放送、呼称・KBS京都)でも社長を務めましたが、昭和58年に死去しました。

巨額の簿外債務をめぐってグループ内部で騒動となり、京都新聞社会長だった元相談役はその関連で昭和62年に相談役に退きました。
KBS京都は、「戦後最大の経済事件」と呼ばれた平成3年のイトマン事件にからみ平成6年に経営破綻し、会社更生法の適用を申請しました。
平成19年10月に裁判所が更生手続きの終結を決定し、再建を果たしました。

京都新聞HDは、2021年6月29日の株主総会で役員を新たに選任しました。
現在この一族では、元相談役の息子(47)が取締役に名を連ねるのみです。
ただし、元相談役が代表を務める資産管理会社は京都新聞HDの25.9%の株式を保有しているため、出席株主の3分の2の賛成が必要な重要事項にこの一族側が難色を示せば、京都新聞HD側の提案が否決される可能性があります。

関係者の一人は、「この一族の機嫌を損ねる行動を取るには覚悟がいる」としつつ、問題となった元相談役報酬をめぐり「個人のためではなく、新聞が社会的な使命を果たすために使われてほしい」と話しました。

なお、京都新聞ホールディングスは、昭和17年の合併で京都新聞社として設立され、平成26年4月の持ち株会社化で「京都新聞ホールディングス」に商号変更され、新聞制作と編集を行う事業会社として、京都新聞HDが100%出資する京都新聞社が新たに誕生しました。

実態は配当のような気はしますが、社会的な影響力のある新聞社のホールディングカンパニーが会社法に抵触する疑いがあるようなことをしているんですね。
100%子会社の新聞社が、きちんと報道しているのはスゴイですね。
昔から相談役というもの自体の存在に疑問を持っていましたが、この事件が、相談役を見直すきっかけのひとつになればいいですね。

国税が過去に「高額すぎる」と指摘した京都新聞HDの大株主への報酬を第三者委員会が調査していることについて、どう思われましたか?


「バーチャル開催」は株主総会の新潮流になるか?

 

東洋経済ONLINEによると、政府からの自粛要請を受け、大規模な集会やイベントが中止を余儀なくされています。

そんな中、法律上中止にできないのが定時株主総会です。
会社法の規定により、株主全員の同意があった場合以外は、必ず総会を開催しなければならないことになっています。

3月は12月決算企業の定時株主総会が開催される月で、12月決算の上場会社は453社(2020年3月10日時点)あり、このうち4月開催の窪田製薬ホールディングスを除く452社が3月中の開催を予定しています。

その窪田製薬も、2016年の上場当時から毎年4月に総会を開催しています。
つまり、新型コロナウイルス対策を理由に株主総会の開催を4月以降に延期する上場会社はゼロなのです。

法務省は定時株主総会の開催時期について、「会社法上、事業年度の終了後3カ月以内に必ず定時株主総会を招集しなければならないものとされているわけではありません」というコメントを発表しています。

しかしながら、株主総会の開催日はそう簡単に動かせません。
株主総会の開催が決算期末から3カ月を越えてしまうと、翌期の第1四半期が終わっても役員人事が確定しないという事態を招いてしまいます。
配当の決議機関を株主総会としている会社では配当の支払いが遅れ、税務処理の面でも影響が出ます。

12月決算の上場会社を単元株主数の多い順に並べ、上位50社を見てみると、2019年と同様、総会開催日も総会開催会場もほぼ同じという企業がほとんどです。

大半の企業が招集通知に新型コロナ対策についての注意書きを付し、議決権行使は総会会場に来場せずに、郵送もしくはインターネットで行使することを推奨しています。
会社側のスタッフはマスクを着用し、具合が悪そうな人には声かけをし、退場を促すなど、臨戦態勢モード全開です。

カゴメとライオンは例年手渡しているお土産を中止し、ライオンは総会後に開催していた懇談会も取りやめます。

ヤマハ発動機は会場に保健師を待機させ、お土産、飲料提供は中止します。
自社製品の展示や、総会後に実施していたコミュニケーションプラザの視察会も2020年は実施しません。

クックパッドやキヤノン、花王、電通グループ、DICは会場入口での検温を実施し、体温が37.5度以上の株主は入場を制限するとしています。
資生堂は、株主が座る座席の間隔を大きくとるなど、各種の対策をこらしています。

屋外作業向け工具卸のトラスコ中山は、2019年は3月8日に開催した総会を2020年は3月13日に開催しました。
見かけ上は1週間後ろ倒したように見えますが、3月の第2金曜日開催という従来のルールどおりで、新型コロナ問題を理由に後ろ倒したのではありません。

同社は開催会場を東京と大阪の2カ所としている唯一の上場会社だそうです。
取締役は2カ所に分かれて出席しますが、議長は1年おきに出席会場を変えます。
2019年は大阪だったので、2020年は東京会場に出席しました。

総会の進行は通信回線で両会場を結び、議長のいない方の会場の株主は、議事進行状況を会場に設けられたスクリーンで見ることができます。
議決権行使や質問、動議はもう1つの会場の議長に伝わるので、どちらの会場にいても議決権行使は可能です。

同社の2019年12月末時点の株主総数は4万106人で、2会場での総会開催ゆえか、リアル総会への出席率は例年7%を超えます。
基本的には総会への来場・出席を促しているが、今回はさすがに郵送かインターネットによる議決権行使を促しました。

12月決算会社中51番目に多い2万9,335人の株主を擁するGMOインターネットは、株主が参加しやすくするため、2019年は上場しているグループ会社8社中5社が、日曜もしくは祝日に開催しました。

ところが、2020年は逆に来場を控えるよう呼びかけ、開催日も3月30日とするなど、開催日を後ろ倒しにしました。

総会の当日はホームページ上でライブ中継も実施し、株主以外でも視聴可能です。
ソフトバンクも決算説明会や株主総会をライブ中継してきましたが、GMOは2020年が初めてで、「2021年以降も株主の反応をみて、株主の不利益やハードルがない限り継続したい」(同社広報)とのことです。

経済産業省は、2020年2月26日、「ハイブリッド型バーチャル株主総会」(以下、バーチャル総会)に関する実施ガイドを公表しました。
バーチャル総会とは、取締役などがリアルの株主総会を開催しつつ、インターネットなどを使って遠隔地の株主が総会に参加・出席できる総会のことです。
ソフトバンクなどのような一般公開型の株主総会中継と異なり、参加・出席できるのは議決権を持った株主に限定しています。

バーチャル総会には、参加者が議決権行使や質問などをすることができない「参加型」と、それができる「出席型」があります。
参加型は、希望する株主にIDとパスワードを発行し、WEBサイト等で配信される中継動画を視聴してもらいます。
質問や動議を出せないが、参加者のコメントを議長の裁量で取り上げることはできます。
議決権行使は事前に郵送かインターネットで済ませておく必要があり、すでにグリーやアステリアで実施された実績があります。

これに対し、出席型の場合、会社側は通信障害の対策を施さねばならず、株主側も参加可能な通信環境を備えていることが前提になります。
12月決算企業で唯一、この出席型総会の実施に踏み切ったのは、独立系ソフト開発大手の富士ソフトです。
2019年12月末時点の株主総数は1万1,118人で、例年の出席株主数は200人前後にとどまっています。

同社が3月13日に開いた総会でバーチャル出席を希望したのは11人でした。
事前に通信環境を会社側に申請させ、議決権行使に必要なiPadを保有していることを必須条件としました。

一方、リアル会場での出席者は159人でした。
当日は密集を避けるために複数の会議室に映像と音声を同時中継し、座席の間隔を大きくとりました。
同社は以前からバーチャル総会用のソフト開発を進めており、今回もリアルの総会会場に、出席者の人数分のiPadを用意し、iPad上で議決権行使できるようにしました。

同社は「少人数だからこそ実施できたが、マンモス総会に対応できるかどうかは未知数」(広報)としています。

バーチャル総会の議論はそもそも、企業と株主・投資家の建設的な対話を促すための環境整備という視点で始まったものです。

取締役会が不適切な意思決定をすれば、株主は会社側と対話をしたり、取締役の選任議案に反対するなど、株主総会で権利を行使したりすることもなく、その会社を見限って株を売ってしまいます。
一部のエンゲージメントファンドが根気強く会社と対話をし、権利を行使する場合もありますが、それはあくまでも例外でしかありません。

株主総会の実務に詳しい大塚和成弁護士によると、「上場会社と株主の対話をどのように促し、株主総会を活性化させるかというのは、昔からある、古くて新しいテーマ」だそうです。

日本は3月期決算企業が上場会社の6割強を占め、総会開催日が特定の日に集中しやすくなっています。
さらに、株主総会の招集通知を発送してから総会開催日までの日数が短く、議案を検討する時間が十分にとれません。
欧米の投資家は長年、こうした点の弊害を指摘し続けていますが、バーチャル総会には日本の株主総会慣行を多少なりとも変える機能を期待できるでしょう。

ある上場会社の幹部からは「今後、バーチャル総会が一般化すると、経営側は緊張感が高まる」という声もあがっているようです。

日本企業は株主に総会前の議決権行使を促し、会社提案の議案可決ラインの票を確保した上で総会に臨むことが多くなっています。
しかしながら、バーチャル総会が一般化すると、事前に議決権行使をせず、当日の総会の場で議決権行使をする株主が増え、総会終了まで結果がわからないという事態が一般化する可能性があります。
そうすると、その分だけ経営陣の緊張感は高まり、ガバナンス上は好ましいでしょう。

想定外の新型コロナウイルス禍でバーチャル総会が広まれば、日本企業のガバナンス向上に一役買うことになるのかもしれませんね。

限られた時間の中で、新しいことをするのは大変だと思いますが、新型コロナウイルスがきっかけとは言え、株主にとっては株主総会に参加する方法が増えることは望ましいことだと思います。
このような状況下で、感染のリスクを背負ってまで株主総会に参加しなくても良いと思います。
お土産目的で株主総会に参加される方もそれなりに多いようなことを聞きますが、個人的には、そもそもお土産は必要なのかと疑問に思っています。
株主総会に参加できる人とそうでない人がいると思いますので、お土産を出すのであれば、配当を1円でも増やしたり、株主優待を増やしたりして欲しいですね。
僕みたいに地方に住んでいる人間にとっては、株主総会にリアルで参加するには、時間もコストもかなりかかりますので。
今後、株主総会が新たな方向に向かうことを期待したいと思います。

「バーチャル開催」は株主総会の新潮流になるか?について、どう思われましたか?


会社法改正案では非上場の大企業にも社外取締役を義務化!

 

 法制審議会(法相の諮問機関)の会社法部会がまとめた会社法改正の要綱案の全容が判明しました。
 上場会社や非上場の大会社を対象に、社外取締役の設置を義務付けることなどが柱です。
 株主総会での一部の株主による提案権の乱発も抑え、企業と株主の対話を促します。
 2月に山下貴司法相に答申し、2019年の通常国会に改正案を提出し、2020年の施行を目指すようです。

 海外の機関投資家などから企業の外部監査機能が不十分との指摘があるため、経営の監視機能を高めます。
 社内の利害関係に縛られず、第三者の視点から経営をチェックするのが狙いです。

 社外取締役の設置は、(1)監査役会を置き、株式の譲渡制限がない会社、(2)資本金が5億円以上または負債総額200億円以上の大会社、(3)有価証券報告書の提出義務があるのいずれも満たす企業が対象です。

 上場企業のほか、少数株主がいる非上場の大会社も含みます。
 法務省幹部は「今回の法改正で非上場では数百社が義務化の対象になる」とみています。
 要綱案には「社外取締役を置かなければならない」と明記し、人数は1人以上を想定しています。

 2015年5月施行の改正会社法は、監査役会を置き、株式の譲渡制限がない会社で大会社が社外取締役を置かない場合には、株主総会で理由を説明するよう求めています。
 すでに東京証券取引所の上場企業は9割超が社外取締役を置いています。
 一方、コストを敬遠したり、適任者がいなかったりして、未設置の企業も2.3%あります。

 社外取締役の義務化で会社の意思決定に外部の見方を反映できます。
 企業統治の多様性や透明性を確保することが、上場会社の収益性の向上や国際競争力の確保にもつながります。
 取締役会の位置付けは異なるものの、欧米などでは上場会社の取締役の半数以上を独立した社外取締役にすることが多いようです。

 要綱案では株主提案権の制限も盛り込みました。
 株を持つ期間など一定の条件を満たせば、上限なく提案できる現行のルールを改めます。
 1人の株主が株主総会で提案できる議案数を最大10に制限し、株主提案の内容にも制約を設けます。
 誹謗中傷や侮辱行為、総会運営を妨げるような提案は認めません。

 日産自動車の元会長のカルロス・ゴーン容疑者の報酬過少記載事件で役員報酬の透明化への関心が高まるなか、報酬の概要や基本的な考え方を取締役会が決定し、開示することも明記しました。
 固定報酬や業績連動型報酬など、報酬の種類ごとの基準なども示します。
 個々の役員の報酬開示については見送りました。

 取締役会で決定した概要を開示し、株主に役員報酬の中身をわかりやすくし、妥当性の判断や株主総会で疑問点を追及できるようにします。
 社外取締役が義務化される会社のほか、監査等委員会設置会社も対象とします。
 事業報告には決定方針や報酬に関する決議、報酬の種類ごとの総額などを盛り込みます。

 事業報告などの株主総会資料はインターネット上で提供できるようにします。
 これまでは原則書面で、電子データでの提供は株主から個別に承諾を得る必要がありました。
 定款で電子提供をすると定めれば、株主の承諾なしに電子化できるようにし、企業の負担軽減につなげます。
 システム対応が必要なため、電子提供については2021年以降に施行する見通しです。

 電子提供を定款に盛り込んだ企業は、株主総会の日時や資料を「総会の3週間前」からインターネット上で提供します。
 書面での株主総会の招集通知の発送時期は現行通り「総会の2週間前」に据え置きます。
 上場企業には施行日から電子化を義務付けます。

 不適切会計の東芝にも社外取締役はいたわけですから、義務化すれば良いとは思いません。
 同じ方が何社も社外取締役を兼務しているようですので、兼務を禁止するとか、お友達を禁止するとかしないと、何ら有効なものにならないような気はします。
 どうせ改正するのであれば、有効なものにしてほしいですね。

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ファミマが1億3,000万円の印紙税の納付漏れ!

 

日本経済新聞によると、ファミリーマートが東京国税局の税務調査を受け、2021年6月までの数年間で印紙税計約1億3,000万円の納付漏れを指摘されていたことが、先日、関係者の話で分かったようです。
フランチャイズチェーン(FC)加盟店との取引に関する文書に必要な収入印紙を貼っていなかったそうです。
過怠税約1億5,000万円が追徴されたとみられます。

印紙税は不動産売買の契約書や金銭の受取書など経済取引で作成する文書に課されます。
文書の作成者が収入印紙を貼り、割り印をして納付します。
文書の種類や契約金額などによって200円~60万円の税額がかかります。

関係者によると、ファミリーマートは加盟店と交わした文書について、課税対象と認識せず収入印紙を貼っていませんでした。
売上額などに応じて各加盟店から受け取る金額が記されていたことなどから、国税局は課税文書に当たると判断したとみられます。

対象の文書は1万を超える店舗と複数年にわたって交わした計約60万通で、1通につき200円の納付漏れがあったようです。

ファミリーマートは国税局から指摘があったことを認め、「見解の相違はあったが、指摘に従って既に必要な納付を行っている」と回答しました。

印紙税を巡っては、メールや電子契約などのデジタル文書には課税されず、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代にそぐわないとして見直しを求める声もあります。

200円のものが約60万通で1億3,000万円になるんですね。
チェックも大変だったでしょうね。
あまり知られていませんが、印紙税は税理士の独占業務の対象外ですし、法人税や消費税の税務調査の時に指摘事項が見つからなかったときに指摘事項を見つけるために印紙をチェックしていると思います。
また、印紙を貼っているか貼っていないかにより契約の効力が変わるわけではありませんし、紙の契約書には印紙税がかかる一方、電子契約にするとかからないという不公平感があります。
以前から、経団連も廃止を主張していますし、僕自身も早く廃止してほしいと思います。
ただし、金融機関も通帳1冊につき年間200円を納付していますし、印紙税は結構な税収がありますから、なかなか廃止されませんが、そろそろ廃止の検討の時期かと思います。

ファミマが1億3,000万円の印紙税の納付漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


三菱UFJ銀行が紙の通帳を原則廃止へ!

 

 三菱UFJ銀行が、6月10日から新規に口座を開設する際に、原則として紙の通帳を発行せず、パソコンやスマートフォンで閲覧できる「デジタル通帳」を利用してもらうようにすることが分かったようです。
 インターネットバンキングの普及に伴って、ニーズが減っていることに対応します。
 希望者には従来どおり、紙の通帳を無料で渡すようです。

 三井住友銀行が2016年から同様の取り組みを始めており、大手行の間で通帳のデジタル化への動きが広がってきました。

 実は、銀行は通帳を発行すれば、1口座当たり年間200円の印紙税を負担しています。
 長引く低金利で厳しい収益環境が続く中で、経費削減を進める狙いもあります。

 三菱UFJ銀は、インターネット上で過去10年分の取引記録を見られるようにするなど、デジタル化に向けた対応を進めており、紙の通帳がなくても利便性は低下しないと判断したようです。

 時代の流れとしては、当然かなぁとは思います。
 個人的には、年配の方を除き、抵抗はないでしょうから、あと何十年かすれば当たり前のことで、おそらく、紙の通帳の場合、手数料とかを取られるようになるんでしょうね。
 職業柄、通帳を見ることは多いですし、僕自身も個人事業主として通帳はよく使っていますが、どちらも一長一短があるように思います。
 最近はクラウド会計が普及してきていますので、銀行取引のデータを会計ソフトに簡単に取り込めるようになっていますし、相続税の申告業務を引き受けた場合、過去5年~10年の通帳をチェックするのですが、繰越済みの通帳がなく、データを金融機関で再発行してもらうことが多いので、デジタル通帳になると便利になるとは思います。
 一方で、通帳に入金や出金の内容をメモして、それをもとに記帳していることも多いので、紙の通帳の方が、記帳してもそのまま追加で書いていくだけで済むので、楽かなとは思います。
 デジタル通帳にメモ機能ができれば、慣れの問題かもしれませんが。

 三菱UFJ銀行が紙の通帳を原則廃止にすることについて、どう思われましたか?