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「伊藤塾」運営会社元代表が5億円を無申告で脱税容疑で告発!

朝日新聞によると、自社株の売却益などを申告せず約6,800万円を脱税したとして、東京国税局査察部が、司法試験や公務員試験の予備校「伊藤塾」の運営会社前代表(71)を所得税法違反の疑いで東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、伊藤塾を運営する「法学館」(東京都渋谷区)の西肇・前代表は、保有していた同社株を2021年に売却するなどして約5億7,300万円の所得があったのに確定申告をせず、脱税した疑いがあります。

東京商工リサーチによると、法学館は西前代表と伊藤塾塾長の伊藤真弁護士が中心となって1995年に設立されました。

約1万人の受講生がいて、前代表は同社の経営部門を担当していました。

2024年6月25日付で東京地検に告発された後、代表を辞任した西氏は、取材に対し「ご迷惑をおかけして申し訳ない。二度とこういうことにならないようにする」と話しています。

法学館は「前代表個人の問題と認識しており、大変困惑している」とコメントしています。

西氏は現在、同社株を保有せず、経営に関与していないそうです。

個人的には、無申告というのは、かなり悪質だと思います。

法人名前も出て、イメージが悪いものになってしまいますので、きちんと申告しましょう。

「伊藤塾」運営会社元代表が5億円を無申告で脱税容疑で告発されたことについて、あなたはどう思われましたか?


定額減税「二重取り」の背景に所得税と住民税のずれ! 

日本経済新聞によると、そろそろ確定申告シーズンが本格的に始まります。

今年の申告書類には「定額減税」の欄があります。

定額減税は2024年6月から、会社員は毎月源泉徴収される所得税と住民税を減らす形で行われました。

実施を急ぐことを最優先したため、「珍事」が発生しているのです。

代表が「二重取り」です。

例えば、2023年に最終年の住宅ローン控除を使い、所得税がゼロだったAさんは、定額減税で自治体から「調整給付」をもらえました。

調整給付は、納税額が定額減税額より少ない人が損をしないよう、差額の「給付金」が出るのです。

しかしながら、Aさんは2024年は住宅ローン控除がなく所得税があるので、定額減税を受けられます。

その結果、減税と給付の二重取りができました。

配偶者に扶養され、所得税はかからないが住民税はかかる年収約100万〜103万円の人も、二重取りが可能でした。

税理士の柴原一さんは「二重取りでも給付金は返さなくていい」と説明しています。

二重取りの原因は、所得税は当年分、住民税は昨年分と、対象の所得が1年ずれていることです。

税制に詳しい中央大学の酒井克彦教授は「対象の所得を合わせるべきだとの議論は以前からあるが、実現していない」と言っています。

源泉徴収は、第2次世界大戦中に徴税を企業が代行したのが起源です。

未確定である当年の所得から「仮徴収」し、年末調整で正しい税額に直すのです。

一方、前年の所得に基づく住民税は年末調整が不要です。

これを仮に所得税と合わせると、徴収実務を担う企業の負担が激増します。

給付金が返還不要なのも、二重取りの原因です。

国の推計では、本人と扶養配偶者・家族の計約3,200万人が給付金の対象とされます。

2人以上世帯は家計調査で平均2.9人のため、単純計算すると、扶養家族がいても納税額が3人分の定額減税の約12万円に達しない世帯が少なくないと考えられます。

酒井教授は「日本は所得税率が0か最低の5%の人が多い」。

最近は重税感が広がっていますが、実は納税額が少なく減税で恩恵がない人がそれなりにいます。

定額減税の二重取りは、日本の税制の「不思議」を浮き彫りにしたともいえるでしょう。

個人的には、定額減税は経済音痴の方が決めたことなので、手間だけかかり、不公平で、無駄だったと思い続けています。

しばらく経つと、使い切れなかった方への1万円単位への切り上げによる振込が行われると思いますが、市町村のどこかでミスが起こるのではないかと推測しています。

本当に、定額減税ではなく、定額給付で良かったのではないでしょうか?

定額減税「二重取り」の背景に所得税と住民税のずれについて、あなたはどう思われましたか?


作業が約50時間増える試算の定額減税の給与明細への明記義務化で経理現場で不満が爆発!

産経新聞によると、2024年6月から始まる定額減税を巡り、政府が給与明細に所得税の減税額の明記を義務付けたことで、企業の経理現場などでは不満が爆発しているようです。

国民に早く減税を実感して欲しいという政府の思惑が見え隠れしますが、事務負担が増える現場にとっては「ありがた迷惑」です。

減税条件も複雑で、企業によっては一連の対応で約50時間の事務負担が増えるとの試算もあります。

政府の補助金終了で電気料金が6月使用分から引き上げられることもあり、減税の恩恵よりもさまざまな負担感が顕在化しそうです。

定額減税は、1人当たり所得税3万円と住民税1万円を本来の税額から差し引く形で行います。

サラリーマンの場合、勤務先から受け取る給与や賞与から源泉徴収される所得税を6月分から順次差し引きます。

対象は年収2千万円以下の納税者で、納税者と配偶者、子ども1人の世帯なら計12万円の減税となります。

ただし、企業は減税分を差し引いて給与を支給すればいいというわけではないのです。

今回の減税対象は、所得税法上で控除扶養親族として定めている16歳以上の扶養親族だけでなく、16歳未満も含まれます。

そのため、企業は新たに従業員の扶養人数などの情報を集め直さなくてはなりません。

その上で、減税金額を算出し、給与に反映させていくなどの作業工数が増えるのです。

さらに、今回、毎月の給与明細に所得税減税額の記載が義務付けられたことで、年末調整の給与支払明細書にまとめて減税額分を記載しようとしていた企業にとっては、新たな仕組みを整えなければならなくなります。

クラウド会計ソフトなどを手掛けるのfreeeは、減税対象者の詳細抽出や減税額算出、計算、明細書類の出力など一連の定額減税に関わる作業が追加された場合、企業の経理担当者の事務負担が計約40~52時間増えると試算しています。

負担が増えるのは企業だけではないのです。

所得が少なく減税額が本来の税額を上回る場合は現金が給付されることとなり、その作業は市区町村が担います。

一部では、給与取得者の大半で給付が発生する見込みの自治体もあるようです。

東京都内の企業の経理担当者からは「最初からすべて現金給付で対応してもらった方が、企業と自治体の双方の作業が楽になる」と不満の声が漏れています。

大手税理士法人「辻・本郷税理士法人」の菊池典明税理士は、「今回の定額減税制度を理解するには数十ページに及ぶ手引書を読み込まねばならず、従業員などからの質問対応、システム反映状況など目に見えない負担も生じる」と指摘しています。

「freeeの試算(約40~52時間の事務負担の増加)以上の負担がかかるのではないか」とみています。

また、菊池氏は減税額の給与明細への明記義務化についても、「通知が直前すぎる」と苦言を呈しています。

給与明細に減税額明記をしなかった場合も罰則は科されないといい、「義務化は形骸化している」と強調しています。

僕自身も税理士なので、定額減税に関して色々と質問を受けたりするのですが、減税ではなく、給付にした方が、手間がかからず、安く付くのではないかと思っています。

減税といっても、毎月だとそれほど多額になる人は少ないと思いますし、そもそも給与明細をきちんと見ている人はどれくらいいるのだろうか?とも思いますし、おそらく、最終の給付の段階で国から業務を押しつけられた市町村のどこかでミスが発生して責め立てられたり、混乱を招いたりするのでは思うからです。

現場のことをまったく知らない人たちが考えているのでしょうね。

あとは、給付で、マイナンバーカードの普及を図った方が良いのではないかとも感じますね。

作業が約50時間増える試算の定額減税の給与明細への明記義務化で経理現場で不満が爆発していることについて、あなたはどう思われましたか?


国税庁が「申告書等閲覧サービスの実施について」を公表!

TabisLandによると、税務署では、納税者が過去の申告事績等を確認してじ後の適正な申告書等の作成を行う場合に、「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達」という行政目的にかなう範囲で、提出済みの申告書等(各種申請書、届出書、請求書を含む)を閲覧できるサービスを実施しているようです。

国税庁はこのほど、申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)を公表しました。

それによると、申告書等が業務センターや外部書庫等に保管されている場合があるので、事前に税務署宛に連絡すると手続きがスムーズとなります。

また、この申告書等閲覧サービスは、申告書等を作成するに当たり、過去に提出した申告書等の内容を確認する必要があると認められる場合に限って実施するものなので、これ以外の目的(第三者からの申告内容の問合せに対する回答など)のためには利用することはできないと注意しています。

閲覧申請は、納税地を所轄する税務署の管理運営部門又は管理運営・徴収部門(いずれも設置されていない税務署では総務課)の窓口で受け付けます。

閲覧時に記録が必要な際は、原則として書き写しになりますが、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット、携帯電話など、撮影した写真をその場で確認できる機器を使用すること(動画は不可)などの事項に同意する場合には、写真撮影も可能となります。

閲覧サービスの対象文書は、所得税及び復興特別所得税申告書、法人税及び地方法人税申告書、復興特別法人税申告書、消費税及び地方消費税申告書、相続税申告書、贈与税申告書、酒税納税申告書、間接諸税の申告書、各種申請書、届出書、請求書、報告書等及び納税者がこれらの申告書等に添付して提出した書類(例えば、青色申告決算書や収支内訳書などをいい、所得税及び復興特別所得税申告書に添付された医療費の領収書等を除く)です。

申告書等の閲覧は、納税者本人又はその代理人が行うことができます。

代理人の範囲は、1)未成年者又は成年被後見人の法定代理人(納税者が個人である場合に限る)、2)配偶者及び4親等以内の親族(納税者が個人である場合に限る)、3)納税管理人(納税者が個人である場合に限る)、4)税理士、弁護士、行政書士(行政書士については、その業務として作成できる書類に限る)、5)当該法人の役員又は従業員となります。

なお、申告書等のコピーの交付は、原則として、実施いません。

それは、このサービスは申告書の作成等に資するために実施しており、閲覧により当該目的を達成できることや、個人又は法人の固有の目的のために謄写費用や事務量を負担することは公平性の観点から制約があることなどの理由からです。

同様の趣旨から、書き写した又は写真撮影した内容等が原本と相違ないことを証明するといったことも行っていません。

時々、過去の申告書等を確認したいケースもありますので、ありがたい制度ではあるかと思います。

コピーをできないのはどうかと思いますが。

あとは、e‐Taxで閲覧とかできるようにならないのだろうかとも思います。

国税庁が「申告書等閲覧サービスの実施について」を公表したことについて、あなたはどう思われましたか?


複雑怪奇な「4万円定額減税」で企業の給与事務に募る不安!

経済対策として1人当たり4万円の税負担を減らす定額減税が2024年6月にスタートします。

日経クロステックによると、制度の実務が明らかになるにつれて、実務関係者からは「複雑すぎる」と事務負担やミスの多発を心配する指摘が上がり始めているようです。

減税は所得税(国税)と住民税(地方税)に分けて実施しますが、年収額や扶養親族の人数によっては減税のタイミングが異なってくるケースがあります。

減税と給付を組み合わせる、年末調整で残った減税分を一括で処理するなど、様々なパターンが出てくるからです。

最も人口が多い給与所得者の世帯では、その実務を担うのは税金を源泉徴収している企業です。

企業などに住民税額を通知している自治体も負担が大きいと見られています。

企業を支援する税理士や、企業に人事給与パッケージソフトなどの業務システムを供給しているIT(情報技術)ベンダーからは「実務が複雑すぎて顧客企業にどう説明するかを思案している」との声が出ているようです。

岸田文雄政権が物価高対策として打ち出した定額減税は、現在のところ2024年度に実施して終わります。

しかしながら、一度限りの措置のために業務システムに対して複雑な改修対応や事務負担を求める政策は賢明とはいえないでしょう。

減税と給付のどちらが政策効果として有効かについては様々な意見もあります。

手続きの簡便さや効果を迅速に国民に行き渡らせる点では給付が優れているとこの記事の筆者は考えているそうです。

給付の方法では、マイナンバーと個人の銀行口座をひも付けた公金受取口座の登録制度が2022年に始まりました。

新型コロナウイルス禍以降、全国民的な施策に初めて活用できる機会でもありました。

2024年2〜3月にかけて財務省や国税庁、総務省が段階的に定額減税の実務情報を発信しています。

ただし、不明な点も残されており、今後も実務の疑問に答える情報が更新されていく見通しです。

2024年3月末から5月には全国で、企業などの実務担当者に向けた説明会も予定しているようです。

定額減税は1人当たり4万円で、このうち3万円を国が徴収する所得税から、1万円を地方の財源である住民税から差し引きます。

後述しますが、所得税と住民税で減税を反映させる方法が異なることに注意が必要です。

扶養親族や配偶者がいる世帯は人数分の減税を受けられます。

例えば「生計を同一にする」配偶者が1人、扶養する親と子供が1人ずついる4人家族ならば減税額は16万円になります。

減税対象になる配偶者は収入などの条件があります。

なお、給与所得2,000万円超や、合計所得1,805万円超などの高所得者は対象外です。

年金受給者や非課税世帯などには減税の代わりに給付金を支払います。

4人家族を例に所得税に関する減税の例を示しています。

給与所得者である世帯主の年間所得税が12万円(月当たり1万円)、住民税が18万円(月当たり1万5,000円)とします。

減税額合計が16万円で、このうち12万円を所得税から、4万円を住民税から差し引きます。

定額減税は2024年6月からの給与・賞与支払いに反映させます。

この例では、世帯主が天引きされる所得税は2024年6月以降1万円からゼロ円へと減り、2024年11月まで続きます。

しかし2024年11月時点で、減税分12万円のうち6万円が残ってしまいます。

そこで2024年12月は年末調整によって、12月の給与支払い後に残った減税額を集計し、居住する自治体から給付金を支払うのです。

給付額の計算は、自治体の事務を簡略化するために1万円単位で切り上げることになっています。

例えば、2024年12月までの給与支払いで2万1,000円の減税分が残った場合は、3万円を給付するのです。

複雑なのは実際には給付が2回になるケースが多いことです。

年収と家族構成から給付が発生する可能性が高い人は、先行して想定される給付額を計算して2024年6月の時点で給付を行うようです。

計算は自治体が担うと見られます。

このように減税と給付とを組み合わせる必要がある納税者は、国の見積もりでは全国で2,000万人ほどが該当するそうです。

ただし、子供が生まれて扶養親族が増えるなど、減税額はずれが生じる可能性があります。

2024年12月の年末調整では実際の減税額を集計して、給付を含めて過不足を調整するのです。

つまり、2024年6月時点で給付を受けたにもかかわらず、状況が変わって減税額が足りなかった人には2回目の給付を行うわけです。

一方、過剰に給付・減税した人には所得税を増やすなど何らかの方法で還付してもらうと見られます。

このように、今回の減税ではかなり複雑な対応が要求されます。

企業は給与明細に減税額や累計額を新たに記載するなど、帳票を改修する必要もあります。

人事給与システムのパッケージソフトを提供するITベンダーは制度対応を進めており、各社ともリリースを間に合わせる構えです。

それでも企業の人事担当が短期間で混乱なく実務に活用するハードルは決して低くありません。

一方、主に自治体が担当する住民税の減税は、まず2024年6月に原則として全国民の住民税をゼロ円にします。

関係者によれば、1カ月限りとはいえ年収や家族構成によらず住民税をゼロにするのは極めて異例だそうです。

関係者の説明を総合すると、国民に減税の効果を実感してもらうほか、2024年6月は給付も含めて制度対応に忙しい自治体の負担をなくし、7月以降の実務準備に充ててもらう狙いがあるそうです。

その上で減税額を反映した地方税の計算や通知は、2024年7月〜2025年5月の11か月間で行います。

通常の年の住民税は、前の年の収入実績から税額を計算し、12等分した金額をその年の6月から翌年5月までの12か月間で天引きしています。

例えば、2024年の税額は2023年の収入を基に計算し、2024年6月〜2025年5月の給与・賞与支払いに反映しているのです。

今回の減税措置は期間を11か月間に短縮して行います。

先述した家族の例でいえば、年間地方税18万円から減税額4万円を引いた14万円を11等分し、月当たりの地方税を1万2,727円とするのです。

天引きされる毎月の住民税が1万5,000円から2,273円減る計算です。

従業員の税金を天引きしている企業にとって、定額減税は様々な追加業務を生じさせる存です。

最初に必要な業務は、2024年6月1日時点での減税対象者を特定し、対象者ごとの減税額、特に減税対象となる扶養親族を把握することです。

このために企業の人事担当は従業員から5月までに「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」を集める必要があるのです。

通年の源泉徴収票に近いですが、配偶者の扱いが異なる点などに注意が必要だそうです。

年末調整では年収1,000万円超の所得者に配偶者控除が認められません。

しかし、今回の定額減税では、その限りではありません。

また、配偶者の収入には給与所得のみの場合で103万円以下などの条件があり、源泉徴収の配偶者控除と扱いも異なります。

こうした今回の制度に合わせた世帯情報を把握する必要があるのです。

給与年収2,000万円超などの高額所得者の扱いも注意が必要です。

定額減税の対象外ですが、実務では2024年6〜11月は年収2,000万円以下の従業員と同じく所得減税の処理を行うことが必要と定められているからです。

年末調整により所得税を増やすことで減税分を相殺するそうです。

見かけ上の減税と増税がある該当者にすれば家計管理が面倒になる仕組みです。

今回は定額減税を巡る複雑怪奇な制度の一部を紹介しています。

複雑な実務は他にも多くあるようです。

自治体に対してはデジタル庁が税計算などのツールを提供して支援する予定など、備える動きはあります。

それでも企業や自治体で実務に混乱が起こらないか、心配は尽きません。

会社等にとっても、会計事務所にとっても、手間がかなり増えるのは明らかです。

それも1年間のみの制度です。

引ききれなかったら、所得税と住民税を合わせて、市町村から1万円単位に切り上げて支給するということですから、市町村の手間も格段に増加することでしょう。

僕には何の意味があるのかよく分かりません。

給付にすればいいのではないかと思います。

マイナンバーカードを普及させたいのであれば、マイナンバーカードの口座を紐づけした人から優先的に支給するということにすれば良いのではないかと以前から感じています。

企業等や会計事務所の手間は増えるわけですから、一人いくらとか税額控除とかをしてくれてもいいのではないかと思いますね。

人手不足が叫ばれている中、どうして手間がかかることをするんですかね?

複雑怪奇な「4万円定額減税」で企業の給与事務に募る不安について、あなたはどう思われましたか?


「薬屋のひとりごと」の漫画家ねこクラゲ氏が4,700万円の脱税疑い!

産経新聞によると、所得約2億6,000万円を申告せず、所得税約4,700万円を脱税したとして、福岡国税局は  、先日、所得税法違反の疑いで、福岡市南区の漫画家(36)を福岡地検に告発したと発表しました。

この漫画家は「ねこクラゲ」のペンネームで活動し、人気小説「薬屋のひとりごと」の漫画版の作画を担当しています。

この漫画家は、先日、X(旧ツイッター)で「誠に申し訳ありません。税金に関して無知であったため確定申告を怠っていました。深く反省しています」とのコメントを発表しました。

全額納付したとしています。

告発容疑は令和3年までの3年間、漫画家として得た所得を含む約2億6,000万円を申告せず、所得税約4,700万円の納付を免れたとしています。

国税局によると、脱税した金は不動産購入などに充てていたそうです。

「薬屋のひとりごと」はテレビアニメ化もされ、公式サイトによると、2023年10月~2024年3月に放送されました。

来年にも放送することが決まっています。

漫画家の方も結構稼いでいらっしゃるんですね。

ただし、40歳に近い方が無知で済まされるのでしょうか?

やはり、小さな頃から、投資教育より先に納税教育が必要だと思いますね。

「薬屋のひとりごと」の漫画家ねこクラゲ氏が4,700万円の脱税疑いで告発されたことについて、あなたはどう思われましたか?


ブリーダー業の男性等らを6千万円の脱税罪で起訴!

共同通信社によると、新潟地検は、先日、所得税約6,100万円を脱税したとして、所得税法違反の罪で新潟県五泉市のブリーダー業の男性(79)と、娘の会社役員(50)を起訴しました。

起訴状などによると、共謀して犬や猫の餌代を架空計上するなどして、2020~2021年分の所得約1億6千万円を隠し、所得税を免れたとしています。

娘が父親の仕事を経理面で手伝っていたようです。

新潟地検は、先日、所得税法違反容疑で2人を逮捕し、関東信越国税局(さいたま市)が、先日、同容疑で告発していました。

架空経費を計上する事件を見るたびに、世の中にはむちゃくちゃ儲かる仕事があるんだなぁと思いますが、ブリーダー業も儲かるんですね。

2年間で1億6,000万円の所得を隠しているわけですから。

一方、脱税ではなく、節税をすればいいのにと毎回思います。

ブリーダー業の男性等らが6千万円の脱税罪で起訴されたことについて、あなたはどう思われましたか?


「議員は納めてない」と確定申告の窓口にクレームで受付は困惑!

テレビ朝日によると、自民党の裏金事件を巡り納税者から怒りの声が上がるなか、確定申告の窓口で働く人たちは困惑しているようです。

●税務署で働く女性(20代)
「『クレーム言われた時は職員に言って』とは言われていたが、やっぱり言いに来る人はいました。自分らに言われても怖いなっていうのはある」

こう話すのは、2月16日から税務署で確定申告の受付のアルバイトをしている女性です。

書類を提出に来た男性から突然、こんな言葉を浴びせられたといいます。

●税務署で働く女性
「『納税で自分らがこうやって確定申告を出しに来ているのに、なんで国会議員の人らは出さんの』みたいな。『国会議員が納めてないのに、何で自分らが納めないけんのや』みたいなことは言っていた。一言ボソッと言うかんじです」

クレームに困惑した女性。次のように答えるのが精一杯だったといいます。

●税務署で働く女性
「『自分たちもそれは良くないとは思ってるけど』みたいなふんわりとした回答しかできないですけど、どこに言えばいいのか分からないから、税務職員にみたいな。そういう理由というのは何となくわかるが、こっちも困るという感じ」

確定申告を前に国民にこう呼び掛けた岸田文雄総理大臣。
岸田総理
「納税者のみなさま方に、法令にのっとり、適切に申告納税を行うようお願い申し上げたい」

「裏金は納税の対象ではないのか」と国民の怒りが爆発寸前です。

納税者からは現在の政権に対して多く不満の声が聞かれました。

●80代
「自民党はおかしいよ、やり方が。きちんと説明してほしい」

●70代
「正しくやってほしいけど、私の声は届かない」
「納得感はないが、仕方がない。義務なので。もう不信感しかない」

国会でも、裏金は納税の対象だとして野党が批判を強めています。
●立憲民主党 江田憲司議員
「何千万円もの裏金を受け取っておきながら、どうして犯罪にならないのか、どうして脱税が問えないのか。税金一揆が起こりますよ」

自民党は、2月15日にいわゆるキックバックの不記載などがあった国会議員は85人で、総額5億7,000万円を超えるとする調査結果を発表しました。

●立憲民主党 末松義規議員
「修正申告の85人について税務調査をやりましたか?」

●国税庁次長
「個別の事柄につきましては、答えを差し控えさせていただきます」

国税庁は守秘義務があるとして、税務調査を行ったかどうか明らかにしていません。

実際、政治家への税務調査は行われることはあるのでしょうか?

専門家はこのように話します。

●元国税調査官・税理士 松嶋洋さん
「政治家なので、非常に相手がデリケートなので、税務署の一存ですぐ調査しますということはなかなかしづらい。想定と食い違うことはよくあることで、あなた脱税的なことやってますといって、実際やってませんでしたとなると、政治家は反撃もしてくるでしょうし、名前が売れているだけに大事になる可能性が高い。そういう懸念は当然ある」

さらに、政治団体が集めた政治資金は原則非課税であることや、その使い道が政治活動だったのか、個人的なものだったのかを明らかにすることが難しいため、政治家への税務調査はハードルが高いといいます。

一方で、確定申告の際に納税者からの批判の矢面に立たされている税務署の職員。

実際にクレームを受けたアルバイトの女性は、今後もこうしたことが続くことを覚悟していると話します。

●税務署で働く女性
「税務署がどうのこうの言われたらちょっと傷ついたりする。そういうものと割り切ってやっていくしかない。もう仕方ないものだと思って」

「政治と金」の問題で、煮え切らない対応を続ける政治家については…。

●税務署で働く女性
「説明責任を果たして、ちゃんと納税者たちのお手本になるように。そういう行動を心がけてほしい。」

税務署の方も大変ですね。

すごく気の毒に思います。

自民党はきちんと説明しないと、税務調査とかでも、政治家は脱税しているのにとかおっしゃる方が続くのではないかと思いますね。

何に使ったか明らかにできないので、きちんと説明できないのかもしれませんが。

政治活動に使ったについても、もっと説明できる書類を残さないと認めないとかにするとか、収入についても、口座を1つにしてそこに入金されたもの以外は政治に関するものではなく課税するとかにしないと、いつまで経っても、政治と金の問題は解決しないように感じます。

課税当局にも頑張ってほしいですね。

「議員は納めてない」と確定申告の窓口にクレームで受付は困惑していることについて、あなたはどう思われましたか?


自民党は「脱税」批判踏まえ還流資金分の納税を検討!

読売新聞によると、自民党は、派閥の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)分などを政治資金収支報告書に記載していなかった議員に対し、使途不明などの場合には課税対象として税を納付させる案の検討に入ったようです。

所得税などを想定しています。

国会審議で「脱税の疑いがある」などの批判が出ていることを踏まえたもので、国民の政治不信の払拭につなげる狙いもあります。

複数の自民関係者が明らかにしたようです。

政治団体が寄付やパーティーで集めた政治資金は、政治活動の公益性を重視し、原則、非課税となっています。

今回は不記載分に関して、政治活動に使用したのかどうか、具体的な使い道を説明できていない議員が多いようです。

このため、野党などが、議員個人の「雑所得」とみなし、所得税の課税対象とすべきだと主張しています。

先日の衆院予算委員会の集中審議では、自民党の上野賢一郎衆院議員が、「仮に個人的に使われていた場合や、支出の事実が確認されない場合は、個人の所得として課税されるべきだ」と訴えました。

岸田首相(自民党総裁)に対し、「党として早急な修正申告を指示し、納税させる対応が必要だ」とも要求しました。

今後、党内で具体的な納税方法などの検討が進むとみられます。

自民派閥の政治資金規正法違反事件を巡っては、自民党のアンケート調査で、議員ら85人に、2018~2022年の収支報告書で総額約5.8億円の収入の記載漏れがあったことが明らかになっています。

個人的には、脱税だと思いますので、早く修正申告をして欲しいと思います。

こんなのを得意のうやむやにしていたら、国民は税金を支払うのが馬鹿らしいと思うと思いますし、自民党の考えは民意とかけ離れすぎていて、政権を担う政党にはなりえないと思います。

脱税者や金額や使途を明確に欲しいですね。

自民党内にもまともな感覚の方はいるわけですから。

自民党は「脱税」批判踏まえ還流資金分の納税を検討していることについて、あなたはどう思われましたか?


令和7年から申告書等控えへの収受日付印の押なつ不要に!

国税庁では、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続き等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続きや業務の在り方の抜本的な見直し(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX))を進めています。

こうしたなか、令和7年1月から、国税に関する手続き等の見直しの一環として、申告書等の控えに収受日付印の押なつを不要とします。

この背景には、e-Tax利用率が向上しており、今後もe-Taxの利用拡大が更に見込まれることや、DXの取組みの進捗などがあります。

対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類のほか、納税者が、他の法律の規定により、若しくは法律の規定によらずに国税庁、国税局(沖縄国税事務所を含む)、税務署に提出される全ての文書をいいます。

上記のように、令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないことになりました。

国税庁では、書面申告等における申告書等の提出(送付)の際は、申告書等の正本(提出用)のみを提出(送付)することや、申告書等の控えへ収受日付印の押なつは行いませんが、必要に応じて、自身で控えの作成及び保有、提出年月日の記録・管理をするよう要請しています。

その上で、申告書等の控えの収受日付印以外で、申告書等の提出事実・提出年月日を確認する方法を示しています。

例えば、申告・申請手続きは、e-Taxでできます。

e-Taxで申告等データの送信完了後、送信されたデータの受信通知がメッセージボックスに格納されます。

受信通知では、申告書等を提出した者の氏名又は名称、受付番号、受付日時等を確認できます。

また、受信通知から電子申請等証明書の交付を請求することもできます。

また、申告書等情報取得サービス(オンライン請求のみ)があります。

所得税の確定申告書、青色申告決算書及び収支内訳書について、書面により提出している場合であっても、パソコン・スマートフォンからe-Taxを利用してPDFファイルを無料で取得できます。

利用に当たっては、マイナンバーカードが必要となります。

そのほか、保有個人情報の開示請求や税務署での申告書等の閲覧サービス、納税証明書の交付請求があります。

保有個人情報の開示請求は、税務署が保有する個人情報に対する開示請求により、提出した申告書等の内容を確認するものです。

手数料は300円(オンライン申請の場合は200円)です。

法人の申告書等には利用できません。

また、納税証明書の交付請求により、確定申告書等を提出した場合の納税額、所得金額又は未納の税額がないことの証明書を取得できます。

手数料は、税目ごと1年度1枚につき400円(オンライン申請の場合は370円)です。

受付印で安心される方も多いでしょうから、受付印を押さないとなると色々と問題が起こるでしょうね。

結局、電子で申告しろということでしょうけど、世の中にはできない方も嫌がる方もいるわけですから。

相続税の申告時に、全員の番号を取るのも面倒ですし。

令和7年から申告書等控えへの収受日付印の押なつ不要になることについて、あなたはどう思われましたか?


Jリーグ複数クラブの申告漏れが税務調査で判明し全60クラブに適切な納税を通達!

スポーツ報知によると、サッカーのJリーグに加盟する複数クラブが、国税局から申告漏れを指摘されていたことが、先日、スポーツ報知の取材で分かったようです。

今年の春頃からの税務調査で、外国人選手の報酬に課される所得税や住民税が契約実態に見合わないケースが複数あったことが判明しました。

事態を重く見たJリーグはJ1~J3の全60クラブに対し、適切な納税を行うよう通達を出しました。

修正申告となった場合、クラブ経営に影響を及ぼす規模となる可能性があります。

Jリーグの関係者によると、今春頃から各地の国税局が外国人選手に税務調査を行いました。

調査の中で、外国人選手の契約と納税が実態に即した形になっておらず、当局から修正申告が必要との指摘を受けたケースがあったようです。

G大阪は過去に所属した選手について指摘を受け、対応を進めているほか、名古屋なども対象になっている模様です。

外国人選手の多くは国内で課される税について、クラブ側が負担する契約を結んでいます。

クラブ側は外国人選手と契約する際、国内の滞在期間や契約年数などに応じて「非居住者」とするか、「居住者」として納税します。

滞在期間など様々な制限が課される「非居住者」とする場合は、所得税だけの20.42%が適用され、課税所得が4,000万円を超える「居住者」の場合は、所得税と住民税で55%となります。

1億円の契約をクラブと直接契約を交わし、そのすべてが所得となるケースでは「非居住者」が2,042万円を納めるのに対し、累進課税、復興特別所得税を加味した「居住者」は約5,104万円となり、差額は約3,000万円以上になるのです。

関係者によると、複数のJクラブが税率の低い「非居住者」として申告していたとみられます。

国税当局は選手の契約内容や居住実態などを調べた上で、約30%税率が高い「居住者に当たる」と判断しました。

近年では引き抜きに対応するため、複数年契約を結ぶケースが増加しましたが、多くのクラブは「非居住者」として慣例的に行っていたとみられます。

Jリーグはこの日、スポーツ報知の取材に対し、「個別の事案について、基本的には各個人で対応することであり、Jリーグがコメントする立場にはないが、一部税務申告に対して見解の相違があったことは聞いております。本件にかかわらず、適切な税務対応を引き続き呼びかけていきます」とコメントしました。

居住者・非居住者の区別は難しいのは間違いないですが、心情的には、居住者としてプレーして欲しいですね。

少し前に、Jリーグのクラブチームの上場をJリーグが支援するという報道がありましたが、重加算税になるとやばいですしね。

Jリーグ複数クラブの申告漏れが税務調査で判明し全60クラブに適切な納税を通達したことについて、あなたはどう思われましたか?


3月に「誤記載」発表のさいたま市が消防団員報酬の源泉徴収で今度は計算ミス!

埼玉新聞によると、埼玉県さいたま市は、先日、消防団員に支給した報酬の源泉所得税額で計算誤りが判明し、本来徴収すべき額より過少に源泉徴収していたと発表しました。

徴収不足額は1人当たり4,608円~1,524円の計63万2,896円です。

さいたま市は対象の178人に経緯を説明し、追加徴収の了承を得たとしています。

さいたま市消防団活躍推進室によると、年額報酬が5万円を超えた場合、5万円を控除した金額を課税対象とする国の通達が1998年11月に廃止されていました。
さいたま市は取り扱いの廃止を認識せず、源泉徴収を続けていました。
記録の残る2004~2021年分に誤りが判明し、5年の時効を迎えていない2019~2021年分を再計算しました。

さいたま市消防団活躍推進室は、2023年3月、源泉徴収票に非課税分の5万円も含める誤記載をしていたと発表しました。
3月の発表内容を事前に浦和税務署に説明したとしています。
報道発表後、浦和税務署から指摘を受け、5月9日に今回の誤りが判明したそうです。

さいたま市の担当者は「調整をしたが、なぜ1回で指摘してくれなかったのかというのが正直な気持ち」と話しています。
関東信越国税局広報室は「相談内容については、守秘義務があり、お答えできない」と取材に回答しています。

松本穂高消防局長は「消防団員と元消防団員ら関係者に重ね重ねご迷惑をおかけしたことに、心よりおわび申し上げます。法令、関連する通達の変更などの確認を徹底するよう努めてまいります」とコメントを出しました。

お粗末な感じですね。
前回、税務署がどこまで指摘したのか分かりませんが、さいたま市も対応が甘かったのではないかと思います。
こういうところには、顧問税理士もいらっしゃらないのでしょうか?

3月に「誤記載」発表のさいたま市が消防団員報酬の源泉徴収で今度は計算ミスがあったことについて、あなたはどう思われましたか?


8億円の脱税で弁護士と元妻の公認会計士に再び実刑判決!

東京新聞によると、8億円余りを脱税したとして、所得税法違反罪に問われた弁護士(81)と元妻の公認会計士(72)の差し戻し後の控訴審判決で、東京高裁は、先日、弁護士を懲役2年6か月、罰金2億円、公認会計士を懲役1年6か月とした2020年の東京地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却しました。

2014年の一審東京地裁判決は弁護士の収益ではなく無罪としましたが、二審東京高裁判決は「事実誤認の疑いがある」と破棄して審理を差し戻し、東京地裁が有罪としていました。

判決によると、2人は共謀し、2004年、2005年分の不動産取引による所得計約21億8千万円を隠し、計約8億1千万円を脱税しました。

不動産で約22億円の所得というのはスゴいですね。
錬金術を学びたいですね。
もちろん脱税はやってはいけないことはお二人とも分かるでしょうから、複数の法人を通じて取引をしていたようですが何か良い方法はなかったのだろうかとか、適正に申告すれば税金を支払ってもそれなりに残るのではないかと思った事件でした。

8億円の脱税で弁護士と元妻の公認会計士に再び実刑判決が出たことについて、どう思われましたか?


東京国税局職員が確定申告で不正還付を行い懲戒免職!

産経新聞によると、虚偽の確定申告書を提出して5年間計約176万円の不正還付を受けたとして、東京国税局は、先日、東京国税局の男性職員(48)を懲戒免職処分にしたと発表しました。

この職員は都内の税務署で上席国税徴収官として勤務しており、他の徴収官を指導する立場でした。
「管理費やマンション購入時の借入金の返済が困難になり、実際より多く還付を受け取りたいと思った」と不正を認めているそうです。

東京国税局によると、男性は平成29年~令和3年分の確定申告で、所有するマンションの賃貸料で得た所得を過少に申告。さらに管理費など架空の経費を計上し、赤字を過大にすることで還付金を実際より多く受け取っていました。

還付金の審査で不正が発覚しました。
男性はすでに修正申告を済ませ、重加算税を含めた追徴金約236万円を納付したそうです。
東京国税局は刑事告発はしない方針だそうです。

東京国税局は「税務行政に携わる公務員としてあるまじき行為。信頼を損なうことになり、深くおわびいたします」とコメントしました。

毎年、何名かはこのような人が出てきますね。
こういう人が徴収したりしていることを考えると、腹立たしいですね。
毎回、謝罪のコメントは出していますが、具体的に、何か改善策などは施しているのでしょうか?
以前、うちの事務所にも『税務調査が入ることになったので助けて欲しい。』と電話があり、お会いすると、上場企業にお勤めの方で、不動産所得に架空の経費を入れているとのことでしたが、世間一般的に、その行為は脱税という認識はあり、安易に、収入を減らしたり、経費を増やしたりすることができると思っているんですかね?

東京国税局職員が確定申告で不正還付を行い懲戒免職となったことについて、どう思われましたか?


確定申告「サボった」金継ぎ漆芸家が3億3千万円の申告漏れ!

産経新聞によると、割れたり欠けたりした陶器を漆や金を用いて修復する技法「金継ぎ」を行う漆芸家の男性が名古屋国税局の税務調査を受け、令和3年までの5年間で計3億3千万円の申告漏れを指摘されていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

追徴税額は約1億7千万円で、男性は期限後申告し、納税も済ませたとしています。

調査を受けたのは、一般社団法人「漆芸伝承の会」(名古屋市守山区)を監修する金継ぎ漆芸家です。

関係者によると、金継ぎ漆芸家は金継ぎに関する教室や合宿の受講料などを得ていました。
平成29年~令和3年で計約4億2千万円の収入があったものの、申告していませんでした。

国税局は経費を差し引いた所得が約3億3千万円だったとし、重加算税などを含めて、所得税と消費税計約1億7千万円を追徴しました。

金継ぎ漆芸家は取材に対し、仕事が忙しく確定申告を「サボった」と認めたようです。

『サボった』ということで、世間的には通用するんですかね?
これくらいの所得があるのに、税理士もつけていないんですね。
過去から著名な方で、申告をしていなかった方がニュースになったりしていますが、自分は大丈夫という感じなのでしょうか?
申告・納税はきちんとしましょうというすごく当たり前のことのような気がします。

確定申告「サボった」金継ぎ漆芸家が3億3千万円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


仙台市消防局が消防団員の報酬について1996年から27年間源泉徴収票の記載ミス!

東日本放送によると、仙台市消防局は、消防団員の報酬について源泉徴収票の記載にミスがあったと発表しました。
ミスは少なくとも27年間続いていたということです。

仙台市消防局によると、2017年から2021年までの5年間、消防団員の源泉徴収票を記入する際、課税対象となる50,000円を超えた金額を記入するべきところを誤って非課税分を含む総額を記載していたことが確認されました。

対象となるのは団長、副団長、分団長の3つの階級の計160人です。

この記載ミスにより160人は、住民税が最大25,000円多く徴収されていました。

また、所得税も過大に徴収されていましたが、額は団員により所得額などが異なるため算出できないということです。

仙台市によると、この記載ミスは少なくとも1996年から続いていたということですが、税法の規定により多く徴収された税金が還付されるのは過去5年分ということです。

会社などを完全に信じるのではなく、自分でも、たまにはチェックしたほうがいいかもしれませんね。
個人的には、年末調整制度をやめて、皆さんが確定申告するようにすれば、皆さんの税金に関する知識も高まるでしょうし、税金が高いことを改めて実感する方もおられるでしょうし、税金の使われ方などにも興味を持つ方も増えるでしょうから、もっとシンプルな税制とかへの改正にもつながるのではないかと思っています。

仙台市消防局が消防団員の報酬について1996年から27年間源泉徴収票の記載ミスがあったことについて、どう思われましたか?


香川県内の税務署職員が“扶養手当を約14年間不正受給”で停職処分!

NHKによると、香川県内の税務署に勤務する50代の男性職員が、実際には扶養していない別居する両親を扶養しているかのように装い、2022年12月までおよそ14年間にわたって、扶養手当などあわせておよそ268万円を不正に受給していたとして、高松国税局は、先日、停職1か月の懲戒処分にしました。
この職員は、同日、辞職したということです。

高松国税局によると、停職1か月の懲戒処分を受けたのは、香川県内の税務署に勤務する50代の男性職員で、2022年12月までのおよそ14年間にわたって実際には扶養していない別居の両親を扶養しているかのように装い、扶養手当などあわせておよそ268万円を不正に受給していたということです。

さらに、この職員は、「両親を扶養している」と偽っていたことで扶養控除や医療費控除の適用を受け、所得税などおよそ185万円を過小に申告していたということです。

職員は不正に受給した手当などをすべて国に返還し、先日、辞職したということです。

高松国税局は「国民の信頼を損ない誠に遺憾であり深くお詫びします。今後とも職員の非行の未然防止について、より一層の徹底を図り信頼確保に努めたい」としています。

適正な申告・納税をさせる側の税務署の職員が、扶養していると偽って、扶養手当をもらい、扶養控除や医療費控除を使って所得税を減らしていたのですから、真面目に申告・納税をしている人はばからしくなりますよね。
どこの部署にいた方かは分かりませんが、こういう人が税務調査などをできるのでしょうか?
まずは、署内の調査から始める必要があるかもしれませんね。
税務署職員という立場上、停職1か月の懲戒処分でいいのか?(退職金はもらえる?)、税理士登録できるのか?ということが気になります。

香川県内の税務署職員が“扶養手当を約14年間不正受給”で停職処分になったことについて、どう思われましたか?


上場株式の課税方式の自由選択は令和4年分が最後!

税務通信によると、上場株式等の配当所得と譲渡所得の課税方式については、令和4年分の確定申告で個人住民税と異なる課税方式を選択できます。
個人住民税で「申告不要」を選択する場合、所得税の確定申告書に一定の記載をすれば、個人住民税の申告書提出が不要になります。
令和4年度改正により、令和6年度の住民税(令和5年分の所得税)から所得税と個人住民税の課税方式が一致されるため、所得税の確定申告で意思表示できるのは、令和4年分が最後となります。

上場株式等の配当所得と譲渡所得(源泉徴収ありの特定口座)については、課税方式を「総合課税」(譲渡所得は選択不可)、「申告分離課税」、「申告不要」から、所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択できます。

個人住民税において、所得税と異なる課税方式とするには、原則として納税通知書送達日(おおむね5月下旬~6月上旬)までに、選択する課税方式の適用を受けようとする旨の記載がある住民税の申告書等(自治体によっては申出書等)を提出します。

ただし、令和3年度改正により、個人住民税で「申告不要」を選択する場合は、納税者の負担軽減の観点から、一定の手続をすれば、住民税の申告書等の提出が不要となる措置が手当されたのです。

個人住民税で「申告不要」を選択して、住民税の申告書等の提出を不要とするには、所得税の確定申告書・第二表の「○住民税・事業税に関する事項」に設けられている欄に、○印を記載する必要があります。

この欄は、3年分の確定申告書から設けられているものの、○印の記載を失念するケースがあるようです。
記載を失念したとしても、原則どおり、住民税の申告書等を別途提出すればよいですが、手続が簡素化されることから、提出前に記載漏れがないか確認したいですね。

また、住民税の申告書等の提出が不要となるのは、あくまで個人住民税で上場株式等の配当所得等の 全部 に「申告不要」を選択する場合のみ(【参考】)です。
「総合課税」や「申告分離課税」を選択する場合は、原則どおり住民税の申告書等の提出が必要です。

なお、令和4年度改正により、令和5年分の所得税(令和6年度の住民税)からは、異なる課税方式の選択ができなくなります。
税務上の有利・不利を踏まえた選択ができるのは、令和4年分の所得税までとなります。

【参考】所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択する場合の対応

個人住民税

①総合課税

②申告分離課税

③申告不要

①総合課税

住民税の申告書等が必要

第二表のみでOK(※)

②申告分離課税

住民税の申告書等が必要

第二表のみでOK(※)

③申告不要

住民税の申告書等が必要

住民税の申告書等が必要

※配当所得等の一部についてのみ③申告不要を選択する場合は、住民税の申告書等の提出

今回が最後ですので、うまく使いたいですね。
それにしても、株式関連は税制がややこしすぎます(笑)。

上場株式の課税方式の自由選択は令和4年分が最後であることについて、どう思われましたか?


「バレると思ってなかった」と副業のネット取引で所得申告漏れ年間116億円!

読売新聞によると、働き方が多様化するなどして副業への関心が高まる中、会社員らがインターネット取引で得た所得の申告漏れが相次いでいます。
2022年6月までの1年間では、全国で前年比約22億円増の約116億円に上ります。
このうち、福岡県の男性は副業のネット販売で得た1億円超が無申告でした。
2月16日には確定申告が始まりました。
国税当局は適正な申告を呼びかけています。

福岡県の40歳代の会社員男性は、副業とするネット販売で2020年までの7年間で得た約1億400万円について申告せず、一部で所得の隠ぺいを図っていたとして、福岡国税局から2022年、重加算税を含め約2,100万円を追徴課税されました。

男性はアメリカなど海外から掃除機やドローン、アウトドア商品などをネットで仕入れていました。
大半は新品で、ショッピングサイトやオークションサイト、フリマサイトで売却しました。
年間約500万~約1,000万円の利益を得ていましたが、申告していなかったそうです。

サイトの出店者情報には、架空の法人名を使って法人経営を装うとともに、この法人の代表者名を親族名義で登録するなどしていました。
調査に対し、「反省している」などと話したそうです。

「税務署にばれるとは思っていなかった」と、福岡県の30歳代の会社員男性は福岡国税局の税務調査を受け、驚いた様子だったそうです。

男性は小遣い稼ぎで、質屋などで購入した中古のブランド品を複数のフリマサイトで転売するなどしていました。
年間100万~500万円の利益を得ていましたが申告せず、2021年までの5年間の申告漏れは計約1,800万円に上りました。
2022年、無申告加算税を含め約140万円を追徴課税されました。

国税庁によると、ネット通販やネット広告、民泊などのネット取引(暗号資産等取引除く)を行う個人を対象にした調査で、2022年6月までの1年間で全国で申告漏れを指摘されたのは756人で前年比1.3倍になっています。
うち、福岡国税局管内は福岡、佐賀、長崎各県に住む同3倍の45人で、申告漏れは、同2.5倍の約8億2,600万円に上りました。

会社員やパートをしている主婦などの給与所得者は、副業での年間所得が20万円を超えれば、確定申告する必要があります。
しかしながら、「これくらいの金額なら大丈夫」という安易な認識で申告しない人もいるとみられます。

一方、国税当局は、サイトを運営する業者に対し、申告漏れの疑いがある人の氏名や住所を照会できる手続きを活用するなどして、問題があるとみられる納税者の把握に力を入れています。
福岡国税局は「副収入に関する所得の計算や申告義務を確認し、適正な申告をお願いしたい」としています。

インターネットを通じて、個人間などでモノやスキルを売買・貸借するシェアリングエコノミー(シェアエコ)に取り組む人らが申告漏れを指摘されるケースが出ています。

シェアエコは、衣服などのモノや、記事執筆や家事のスキル、駐車場や空き部屋のスペースなどをネットで貸し借りしたり、売買したりする経済活動で、在宅勤務の普及などを背景に最近は副業としても広がっています。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会(東京)によると、市場規模は拡大しており、2022年度は約2兆6,000億円で、2018年度に比べて約7,000億円増加しています。
同協会は、申告に慣れていない人を対象に確定申告のやり方などを学ぶセミナーを開催し、適正申告の啓発に力を入れています。

同協会の税制委員で、公認会計士・税理士の矢冨健太朗氏は「まずは自分で確定申告が必要かを確認することが大切。申告が必要な人は売り上げや経費などの記録を基に適切に納税してほしい」と話しています。

バレないと思っているのがそもそもの間違いですね。
納税は国民の義務ですから、申告しないといけないのは当たり前です。
申告が必要だとは思わなかったというのは理由としては通用しないと思います。
こういった無申告の方からバンバン税金を取ってほしいですね。

「バレると思ってなかった」と副業のネット取引で所得申告漏れ年間116億円もあることについて、どう思われましたか?


ウソの副業赤字で源泉所得税の不正還付の背後にSNS上の指南役!

日本経済新聞によると、副業で赤字が出たとする虚偽の申告書類を作成し、給料から天引きされた源泉徴収税額の還付を受けようとする不正が増えているそうです。
中には会社員がSNS(交流サイト)上で不正代行業者に申告書の作成を依頼する事例もあるようです。
2023年2月16日から確定申告が始まるのを前に、国税当局の幹部は「申告書に不審な点があれば積極的に税務調査を行う」などと厳しく対応していく方針を示しています。

中部地方に住む30代の男性は、確定申告の書類上は実在する企業に所属し源泉徴収をされていると装っていました。
他方、小売事業を手掛けて多額の赤字があるとして、源泉徴収された税金の還付を申告していました。

名古屋国税局が調査すると、男性は企業に所属しておらず、赤字なども全て虚偽だったことが判明し、源泉徴収票などを自ら偽造していたことも発覚しました。
重加算税を含めた追徴税額は約2,290万円にのぼったそうです。

会社員は通常、給料をもらう際に、会社側が所得税分を天引き(源泉徴収)をしています。
後日、会社が会社員に代わって所得税を納付します。
仮に、この会社員が副業を行っていて赤字だった場合、一定の条件をみたせば給料と副業の赤字を相殺(損益通算)することが可能で、天引きされた税金の還付が受けられます。

最近、増えているのはこの還付制度を利用した不正行為です。
国税庁によると2022年6月までの1年間で、国税当局が追徴課税した不正還付は前事務年度比約5%増の191件、重加算税を含めた追徴税額は計約2億円でした。

不正還付の申告件数は、2018年に比べて約2.5倍になっているようです。
副業ブームや若者がSNS上で指南役などとつながり、安易に不正に手を染めやすくなったことなどが背景にあるとみられます。

熊本国税局が調査した事例では、20代の男性会社員は実際に大手企業で働き、給与を得ていました。
SNSを通じて不正還付の指南役とつながり、手数料25万円を支払って虚偽の申告書を作成してもらっていました。

会社員は指南役に申告に必要な情報を提供し、指南役がその情報に基づいて虚偽の申告書を作成し、実際に還付を受けていました。
男性と指南役に直接の面識はなく、無料通話アプリでやり取りを行っていたそうです。

熊本国税局の調査で不正が判明し、重加算税を含めて約174万円が追徴課税されたそうです。
男性は調査時に「知人もやっているので大丈夫だと思った。簡単にお金が手に入ることに魅力を感じた」などと話したそうです。

国税庁の山県哲也個人課税課長は「所得税の不正還付は国庫金の詐取とも言える許しがたい行為。申告書の厳格な審査を行い、積極的に税務調査する。詐欺などの犯罪行為があれば、刑事上の責任の追及も行う」と話しています。

悪質ですね。
ただし、納税者も簡単にお金が入ることをおかしいと思わないといけないと思いますし、税理士以外に頼むことは基本的にできないということを知っておかないといけないと思います。
指南役は税理士ではない、ニセ税理士だと思いますが、こちらを摘発してもらいたいと思います。
今後、副業の赤字の場合、なかなか還付されなくなるように推測されますので、まじめに申告されている方がとばっちりを受ける感じになるのが残念ですね。

ウソの副業赤字で源泉所得税の不正還付の背後にSNS上の指南役がいることについて、どう思われましたか?


無店舗型のコンパニオン収入を資料情報から無申告者を把握!

日税ジャーナルによると、インターネットのプラットフォームを介して単発の仕事を引き受ける「ギガワーカー」ですが、自分のペースで収入を得られるほか、自由度の高さから新しい働き方として注目を集めていますが、その一方で、収入を得ているのに税務申告をしないケースも相次いでおり、国税当局が監視の目を光らせているようです。

調査対象者Aは、スマートフォンのマッチングアプリを介してコンパに参加し収入を得る、いわゆる「ギャラ飲み」を行っていました。
当局が収集した資料情報などから、Aがギャラ飲みにより収入を得ている事実を把握しましたが、税務申告をしておらず、無予告により調査に着手しました。

スマートフォン内の情報について確認調査を実施したところ、マッチングアプリ内に多額のポイント(運営企業から支払われる飲み会参加報酬や顧客からのプレゼント報酬)を得ている事実を把握しました。

Aに対してギャラ飲みの収入について追及したところ、3年ほど前からギャラ飲みによる収入を得ていましたが、過去に働いていたホステスと同様に税金が天引きされていると思っていたと供述しました。
運営会社にAに対する報酬の支払い状況について反面調査を実施したところ、報酬から税金は差し引かれていないことが確認されました。

運営企業からの回答結果などから所得を算出し、所得税(3年分)の申告漏れ所得金額が約4,000万円となり、追徴税額(加算税込み)として約1,100万円の課税を行いました。

ギャラ飲みのような無店舗型のキャバクラのコンパニオン収入に関しても、国税当局では資料情報を積極的に収集して調査に活用しています。

3年で4,000万円とは、ギャラ飲みって結構稼げるんですね。
こちらも、運転資本を調べれば、一網打尽ですね。
きちんと申告しましょう。

無店舗型のコンパニオン収入を資料情報から無申告者を把握していることについて、どう思われましたか?


国税もスマホのPayアプリで手数料無料で納付可能に!

日本経済新聞によると、2022年12月からスマートフォンのアプリを使った国税の納付「Pay払い」が始まりました。
個人になじみ深い税目としては所得税、贈与税、相続税などがスマホ払いに対応しました。

手順は簡単です。
Pay払いに対応したスマホで「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスします。
e-Taxを使って申告書データを送信した人は、受信通知からアクセスすることもできます。

利用できる決済方法は「PayPay」「d払い」「au PAY」「LINE Pay」「メルペイ」「Amazon Pay」の6種類です。
従来からクレジットカードでも納付できましたが、クレジットカードの場合は手数料が発生します。
例えば、納付額が2万円超3万円以下なら250円の手数料がかかります。

一方、Pay払いは手数料がかかりません。
スマホのPayアプリのアカウント登録をしておけば、事前の手続きも不要で、夜間休日を問わず24時間、思い立ったときに納付手続きができます。
利用する決済サービスによってはポイントを獲得できる場合もあり、上手に使うとクレジットカード納付よりもお得度は高いでしょう。

ただし、Pay払いにも注意点があります。
一度に納付できる金額の上限は、30万円です。仮に、それぞれのPay払いに支払いの上限が設定されているなら、そちらが優先されます。

個人に関係ある税目は所得税、贈与税、相続税ですが、贈与税や相続税は納付税額が高くなる可能性があります。
上限を超える税額の場合には、複数に分けて納付する必要があります。

国税に限らず、地方自治体の税金などでもPay払い対応が増えてきています。
今後はクレジットカード納付と手数料や獲得ポイントを比較し、お得な方法を選択するといいでしょう。

ますます便利になってきていますね。
個人的には、金融機関に行く手間もなくなり、キャッシュレスサービスが大好きですので、使っていきたいと思いますし、クライアントの方にも進めていきたいと思います。

国税もスマホのPayアプリで手数料無料で納付可能になったことについて、どう思われましたか?


動画配信による収入を無申告の場合の重加算税となった決め手は?

日税ジャーナルによると、インターネットを利用した新しいビジネスとして、YouTuber(ユーチューバー)のように動画配信によって収入を得るケースが急増していますが、その中には多額の利益を得ていても、「どうせバレないから」などと所得税の申告をしないケースも少なくないそうです。

調査対象者Bは、所得税の申告がなく、また、収入はなかったとの内容で住民税の申告を行っていましたが、当局が収集した資料などから動画配信による収入を得ている事実が確認されたため、調査に着手しました。
Bが「申告すべき収入はない」との申し立てを行ったことから、当局が現物確認調査を実施した結果、多額の入金が認められる預金口座を確認しました。
さらに、動画配信サービス運営会社に対して反面調査を行い、投げ銭などの収入も含んだ動画配信収入の全貌を把握しました。
しかしながら、Bを追及したところ、動画配信による収入だと認めたものの、申告の必要はないとの認識であったという回答は変わりませんでした。

そこで当局は、動画配信サービス運営会社に対する反面調査や、Bのパソコンから把握した各種サイトの閲覧履歴などから、Bはほかの動画配信者の税務調査に係る動画を視聴したこと、また、動画配信サービス運営会社による申告の必要性に係るメッセージを開封していたことを把握しました。
それらを踏まえ、Bを厳しく追及したところ、動画配信による利益の申告の必要性を認識していたにもかかわらず、収入はないとの虚偽の内容で住民税の申告書を提出し、所得税の申告書を提出しなかった事実を認めました。

その結果、所得税(3年分)について申告漏れ所得金額は約3,600万円、重加算税を含む追徴税額(加算税込み)約700万円を課税しました。

世の中には申告しなくてもバレないと思っている方はそれなりにいらっしゃるのではないかと推測されますが、それほど甘くはありません。
特に、このケースの動画配信サービス運営会社のようなところを調べると、一網打尽ですよね。
稼いでいるわけですから、きちんと申告しましょう。

動画配信による収入を無申告の場合の重加算税となった決め手はについて、どう思われましたか?


仙台市が源泉所得税“納付遅れ”で延滞税“5,000万円”発生か?

TBSによると、宮城県仙台市職員の夏のボーナスの源泉所得税について、仙台市から税務署への納付が遅れ、およそ5,000万円に上る延滞税などを課される見通しとなったようです。

仙台市によると、税務署への納付が遅れたのは、2022年6月30日に支給された職員およそ1万3,000人分のボーナスにかかる源泉所得税およそ9億6,000万円です。

納付の期限は2022年7月11日でしたが、担当者が8月10日までと勘違いし、納付が遅れたということです。

この納付遅れによる延滞税や加算税はあわせておよそ5,000万円に上る見込みです。

仙台市は総務局長と次長を減給10分の1、3か月とするなど職員を処分しました。

仙台市は再発防止のためマニュアルを刷新するとともに、チェックシートでの確認を徹底するとしています。

お粗末なお話しですね。
民間は延滞税をきっちり取られますので、市であっても取られるのは当然のことかと思います。

仙台市が源泉所得税“納付遅れ”で延滞税“5,000万円”発生することについて、どう思われましたか?


鳥獣ハンターら32人が1.7億円の申告漏れ!

毎日新聞によると、農作物を荒らす野生のイノシシや鹿を捕獲する滋賀県内の男性ハンターら32人が大阪国税局の税務調査を受け、2020年12月までの5年間で計約1億7,000万円の申告漏れを指摘されたことが関係者への取材で判明したようです。
駆除した動物の種類や頭数に応じて自治体から支給される「捕獲報償金」などについて、所得として申告しない税逃れが頻発していました。

関係者によると、32人は滋賀県長浜市や米原市の地元猟友会などに所属し、それぞれ猟銃やわなで有害鳥獣の駆除活動をしています。
追徴税額は無申告加算税を含めて約640万円で、全員が修正申告に応じて既に全額を納付したとみられます。

ハンターは税務上、個人事業主として扱われます。
自治体から受け取った報酬は「事業所得」に当たるほか、雑所得とみなされる場合もあります。
いずれも税務申告が必要になりますが、32人はいずれも申告を怠っていたとみられます。
一部のハンターは過去に自治体から無申告を注意されていたのに、放置していました。

野生のイノシシや鹿の増加に伴う農作物の食害や生態系への悪影響が広がる中、各地の自治体は地元のハンターと連携し、被害を防ぐ駆除を進めています。
長浜市ではイノシシやニホンジカ、ニホンザル、カラスなどを有害鳥獣に指定し、地元の狩猟団体と1年更新で駆除に関する協定を結び、団体を通じてハンターたちに捕獲報償金を支給しています。
米原市は地元猟友会と委託契約を交わし、駆除した動物の種類や頭数に応じて委託料を支払っているようです。

報酬額は動物や鳥類の種類によって異なり、両市とも滋賀県の基準に基づき決めています。
ニホンジカの雌が最も高額で1頭当たり2万2,000円(雄は1万7,000円)です。
イノシシやニホンザルは一律で1頭当たり1万5,000円で、カラスは1羽当たり900円などと公表されています。

両市は報償金を支給する条件として、各ハンターに狩猟日時や場所を詳しく記録した書面を求め、駆除した動物のしっぽの提出も呼び掛けています。
大阪国税局は両市に調査への協力を要請し、報酬の支給実績や関連資料を基に無申告のハンターを特定し、申告漏れを認定した模様です。

直感的にどこかの組織から支払いを受けている場合、支払っているところを調べれば一網打尽のように思いますが、分からないとでも思っているのでしょうか?
効率的に取れると思いますので、こういうところは支払っているところの協力をあおぎ、どんどん取って欲しいですね。

鳥獣ハンターら32人が1.7億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


仮想通貨の取引情報を各国で共有し税逃れ防止へ新枠組み!

日本経済新聞によると、暗号資産(仮想通貨)の取引に伴う課税逃れを防ぐため、日本やアメリカ、ヨーロッパなどの主要国を中心に各国が取引情報を交換する枠組みをつくるようです。
ドルや円などの通貨は各国が税務調査の必要に応じて、口座残高といった情報をやりとりしています。
仮想通貨でも各国が情報を共有し、適正な課税に向けた環境整備を進めるようです。

仮想通貨の売却などで得た利益は、日本では原則として所得税の確定申告が必要です。
ただし、現在は、日本に住む人が外国の交換業者を使う取引を日本の税務当局が把握する仕組みはありません。

新たな枠組みでは交換業者に世界共通の報告義務を課し、各国の当局間で情報を共有します。
例えば、アメリカの交換業者が日本に住む個人の取引を扱った場合、アメリカ税務当局に報告します。
この情報が日本の税務当局に伝わり、申告していない利益が見つかれば課税します。
ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨ごとに年間取引額を把握します。

経済協力開発機構(OECD)租税委員会の作業部会が非加盟の新興国や途上国を巻き込み、110カ国ほどで議論しています。
近く合意すれば、2022年10月にアメリカのワシントンで開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に報告する見通しです。

各国の法整備を経て2025年ごろに情報交換が始まる可能性があります。
日本は租税条約実施特例法の改正が必要になります。

交換業者は外国人の取引を抜き出して、税務当局に報告します。
膨大な作業になれば、コストが利用者の手数料などに転嫁される可能性があります。

交換業者を把握する国内制度も必要です。
日本は資金決済法で登録制にしていますが、制度のない国は導入のための行政コストがかかります。
情報交換を始めるときの参加国数は不透明な部分もあります。

対象に例外を設けるかどうかも今後詰めます。
交換業者を介さない相対取引や、中央銀行デジタル通貨は対象外となりそうです。

ドルや円などの通貨は預金や証券口座の残高情報を交換する共通報告基準(CRS)があります。
租税回避を防ぐため2014年にOECDで策定し、100カ国以上が参加しています。
日本も2018年に運用を始めました。
各国の税務当局が金融機関に外国在住の客の口座残高を報告させ、参加国で情報を共有しています。

日本の国税庁は2021年6月までに87カ国・地域から191万件の情報を受け取りました。
残高は12.6兆円に上ります。
税務調査で効力を発揮し、10億円を超える申告漏れの指摘につながった例もあるようです。
日本・アメリカ・ヨーロッパなどはこれをモデルに仮想通貨の枠組みを構築します。

こういうことは非常に有効なことだと思いますので、どんどんやってほしいですね。
参加しない国に、取引が集中するということにならなければ良いですが。
少しでも、申告していない方から税金が取れれば、日本のために非常に良いことだと思いますね。

仮想通貨の取引情報を各国で共有し税逃れ防止へ新枠組みをつくることについて、どう思われましたか?


東証プライム上場のM&A仲介大手の元役員を所得税1.1億円脱税の疑いで告発!

読売新聞によると、所得税約1億1,100万円を脱税したとして、東京国税局が東証プライム上場のM&A仲介大手「日本M&Aセンターホールディングス」(東京都千代田区)の元役員(54)(東京都港区)を所得税法違反の疑いで東京地検に告発していたことがわかったようです。

関係者によると、元役員は2019年6月に同社役員を退任し、2020年、以前に同社から付与されていたストックオプション(自社株購入権)を行使するなどして得た所得の一部約7億4,600万円を申告せず、所得税約1億1,100万円を免れた疑いです。

元役員は不正に得た資金を、自身がコンサルタントとして関与する会社の運転資金などに充てていたようです。
取材に対し、「既に修正申告と納税は済ませた。深く反省しており、申し開きする点もない」と文書で回答しています。

この方は、日本M&Aセンターホールディングスの関連会社のバトンズというネットでM&Aを成約させるプラットホームを運営している会社の社長をやっていて、僕自身も会員になっているのですが、今年の3月末でいきなり退任し、社長が変わっていました。
少し前に、日本M&Aセンターホールディングスの粉飾事件が表沙汰になったので、日本M&Aセンターホールディングスの役員をしていた時に、粉飾事件に関わっていてその責任を取って退任したのかなぁと勝手に思っていたのですが、こういうことがあったんですね。
日本M&Aセンターホールディングスもバトンズも、仕事の何割かは会計事務所から来ていると思いますので、会計事務所と付き合いもあると思いますし、普段から、M&Aの際にはできるだけ税理士などの専門家をつけましょうとか、M&A後もできるだけ税理士を変更しないように心掛けているようなことをおっしゃっていたので、一般の方よりは税務の知識はあるはずなので、こういう事件を起こしたということは非常に残念です。
旅館の経営などもやっていたはずですから、税務に無知ということはないはずです。
モラルの問題だと思いますので、最近、バトンズの会員を継続するかどうか考えていたので、解約する良い機会かもしれないですね。

東証プライム上場のM&A仲介大手の元役員が所得税1.1億円脱税の疑いで告発されたことについて、どう思われましたか?


当たり馬券1億円超の申告をしなかった男性を告発!

熊本県民テレビによると、当たり馬券で1億円以上の利益を得た男性が脱税の疑いで熊本国税局から告発されたようです。

3年間で約3,200万円を脱税した疑いがもたれています。

所得税法違反の疑いで告発されたのは、熊本県熊本市東区に住む自営業の男性(49)です。
男性は2016年から3年間インターネットで馬券を購入し、当たった所得合わせて約1億200万円を申告せず、約3,200万円を脱税した疑いがもたれています。

熊本国税局は、2021年3月に熊本地検に告発していて、認否や公表が遅くなった理由については明らかにしていません。
現在、検察が捜査を進めています。

国税局は2017年4月以降告発した事案を公表していて、熊本県内では今回が4例目だそうです。

インターネットだと隠してもすぐにバレるような気がしますが、ご本人は意図的だったのでしょうか、それとも無知だったのでしょうか?
3年間で約1億円なので、年度ごとの内訳は分かりませんが、おそらく、コンスタントに稼がれている方なんでしょうね。
たまたまではなく、競馬でコンスタントに稼がれる方もいらっしゃるんですね。
当然、きちんと申告している方もおられるでしょうから(こちらが当たり前)、きちんと申告してほしいですし、国税局ももっともっと申告漏れを指摘してほしいですね。

当たり馬券1億円超の申告をしなかった男性が告発されたことについて、どう思われましたか?


iDeCoは受取時期次第で退職所得控除の調整不要も一部実務家の間で疑問の声も!

税務通信によると、私的年金制度の一つとされる「イデコ(iDeCo・個人型確定拠出年金)」は、その老齢給付金を“一時金(以下、イデコ一時金)”で受け取る場合、退職手当等として退職所得課税の対象となります。
実務上、イデコ一時金を受け取る時点では、その前年19年以内に会社から退職金の支払を受けているケースが一般的であるため、イデコ一時金に係る退職所得控除額の計算上、一定の調整を行うことが基本です。

この点、イデコ一時金の受取時期等を工夫し、同調整を不要とするケースも少なくないようで、一部実務家の間で疑問視する向きもあるようです。

イデコは、加入者自身が掛金を拠出・運用し、その掛金と運用益との合計額をもとに将来の給付額が決定する私的年金制度です。
掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象となるほか、運用益が非課税となること等が特徴です。
近年、加入者数が大幅に増加しており、2022年4月時点の加入者数は約240万人にのぼります。

イデコの老齢給付金は、“年金”又は“一時金”として受け取ることが可能であり、所得税法上、“年金”で受け取る場合は「雑所得」に該当する一方で、“一時金”で受け取る場合は退職手当等とみなす一時金として「退職所得」に該当します( 所法31 、 所令72 ③七等)。

退職所得控除額の計算では、複数の退職金の支払を受ける場合に、一定の調整が必要とされています。
会社から退職金の支払を受けた後にイデコ一時金を受け取るのであれば、その受取時期の“前年以前19年以内(通常の退職手当等の場合は前年以前4年以内)”に会社からの退職金の支払を受けている場合が調整の対象です( 所法30 ⑥一、 所令70 ①二)。

そのため、例えば、(1)60歳で会社から退職金を受けた後、(2)65歳でイデコ一時金を受け取る場合には、イデコ一時金を受け取る“前年以前19年以内”に退職金の支払を受けているため、イデコ一時金に係る退職所得控除額の計算上、会社からの退職金に係る退職所得控除額との調整を行うことが必要となります。
例えば、(1)会社からの退職金に係る退職所得控除額は、勤続年数38年をベースに計算した金額となる一方で、(2)イデコ一時金に係る退職所得控除額は、「加入期間(勤続年数)35年をベースに計算した金額」から「重複勤続年数30年をベースに計算した金額」を控除した金額となります。

そのイデコ一時金に係る退職所得控除額は、「①その年に支払を受ける退職手当等に係る勤続年数をベースにした金額」から「②重複する勤続期間を勤続年数とみなして計算した金額」を控除した金額となります。

一方で、一部実務家の間で疑問視されているのが、 先に イデコ一時金を受け取り、 後で 会社から退職金の支払を受ける場合です。
この場合、会社からの退職金の支払を受ける“前年以前4年以内”のイデコ一時金の受取りとならないようにすれば、退職所得控除額の調整が不要となるのです。

例えば、(1)60歳でイデコ一時金を受け取った後、(2)65歳で会社から退職金の支払を受けた場合には、会社からの退職金の支払を受けた“前年以前4年以内”にイデコ一時金を受け取っていないため、調整を行うことなく、イデコ一時金に係る退職所得控除と会社からの退職金に係る退職所得控除を適用できます。
例えば、(1)イデコ一時金に係る退職所得控除額は、加入期間(勤続年数)30年をベースに計算した金額となり、(2)会社からの退職金に係る退職所得控除額も、勤続年数43年をベースに計算した金額となります。

このように、現行法令上は、イデコ一時金の受取時期と会社からの退職金の支払時期を工夫することにより、退職所得控除額の調整の対象外とすることができるため、実務上、活用されるケースもあるようです。
しかしながら、受取時期等を工夫することで、税務メリットの大きい退職所得控除額が異なることに疑問を呈する実務家も少なくないようです。

現在、多くの会社が定年を60歳としているため、会社からの退職金の支払時期を65歳などとするケースは限定的ですが、2025年4月からの高年齢者雇用確保措置の義務化に向けて、定年を65歳に引き上げる会社もあるでしょう。
こうした背景を踏まえ、今後、対応が検討される可能性も考えられます。

このようなスキームが使われていることを知りませんでしたが、確かに、現行法上は可能ですね。
iDeCoを販売しているようなところが、提案しているのでしょうか?
個人的には、近いうちに税法が改正されて防がれるように思いますが。

iDeCoは受取時期次第で退職所得控除の調整不要も一部実務家の間で疑問の声があがっていることについて、どう思われましたか?


お笑い芸人への追徴課税で再注目の競馬の配当金の税務!

TabisLandによると、競馬で大当たりしたお笑い芸人への高額追徴課税のニュースが取沙汰される中、競馬の配当金税務が改めて注目されているようです。

お笑いトリオ・インスタントジョンソンのじゃいさんは2020年12月、競馬で6,400万円の高額払戻しを受け、自身のYouTubeで報告しました。
「競馬の配当による税金もしっかり納めさせていただいております。」(本人)としていましたが、後日税務調査が入り追徴課税されたそうです。
外れ馬券を必要経費に含めていたため、高額追徴課税となった模様です。

競馬の払戻金は、一般的には、一時所得扱いとなっています。
「総収入金額-収入を得るために支出した金額」が年間50万円を超えていれば一時所得として確定申告が必要になります。
ここでいう収入を得るために支出した金額」とは、その収入を生じた行為をするため直接要した金額です。
つまり、競馬の場合は、「当たり馬券」のみということになるのです。

競馬の払戻金税務をめぐっては、一時所得と雑所得のいずれに該当するか、外れ馬券の購入費用が必要経費にできるかが争われていた裁判で、最高裁判所が2017年、「本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」と判断し注目を集めました。

しかしながら、敗訴した国税庁は通達を整備したのです。
競馬の馬券の払戻金の所得区分について、「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合」は雑所得に該当するとし、それ以外の場合は一時所得とするとしました。

今回のニュースでは、競馬の配当金税務が改めて取り沙汰される一方で、インターネット上の情報発信へ向けられる税務署の目にも注目が集まっています。

最近は、課税当局も、ネットとかをかなり見ているということですね。
SNS上で、稼いでいることをアピールしている方々を目にしますが(もちろん、見栄をはって投稿等されている方々もいるのでしょうが。)、課税当局に把握されているということは認識したうえでやってくださいね。
競馬の配当金については、税務上の取り扱いは確定していると思いますので、間違いのないように申告してくださいね。
個人的には、馬券購入時に購入者が税金を支払うような仕組みにしたり、払い戻し率を下げて、JRAとかに課税する仕組みにしたりして、配当金自体は非課税となるようにした方がすっきりするのではないかと思いますが。

お笑い芸人への追徴課税で再注目の競馬の配当金の税務について、どう思われましたか?


三菱電機がコロナ帰国者の給与の源泉徴収漏れで国税が1.4億円を追徴!

朝日新聞によると、三菱電機(東京都千代田区)が、新型コロナの影響で一時帰国した海外赴任者に支払った給与をめぐり、東京国税局から所得税の源泉徴収漏れを指摘されていたことがわかったようです。

所得税法は、国内で働いた分の給与は所得税の課税対象と定めています。
三菱電機は、帰国した従業員が海外の業務を続けていたため、課税対象に当たらないと判断したとみられます。

東京国税局の税務調査で発覚し、約1億4千万円を追徴課税されました。

関係者によると、三菱電機では新型コロナの感染が広がりつつあった2020年春以降、アジアや欧州などの現地法人に出向していた従業員数百人が一時帰国しました。
帰国中も現地の会議にリモートワークで参加するなどして海外の業務に携わり、その間の給与は三菱電機が支払っていたようです。

所得税法は、海外への転勤などで国内の住まいがなくなった人でも、国内で働いた分の給与には所得税がかかり、源泉徴収が必要だと定めています。
このため国税局は、一時帰国中に国内で働いた対価として支払った給与について三菱電機が源泉徴収する必要があったと判断した模様です。
2021年3月までの約1年間に支払った約6億円を源泉徴収の対象とし、不納付加算税を含めた計約1億4千万円を追徴しました。

三菱電機広報部は朝日新聞の取材に対し、「税務調査の有無や内容については回答を差し控えさせていただきます」とコメントしました。

ほかにも同じような会社はあるのではないかと推測されますが、コメントをきちんとして欲しいように思います。
当然、利益が減るわけなので、株主や投資家にも影響を及ぼすわけですから。
あと、2021年4月以降はどうなのかも気になります。

三菱電機がコロナ帰国者の給与の源泉徴収漏れで国税が1.4億円を追徴されたことについて、どう思われましたか?


国税庁がコロナ税務のFAQを更新!

Tabis Landによると、国税庁はこのほど、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を更新し、国税局のホームページ上で公表しました。

これは、国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応や当面の申告や納税などに関して、国税庁に寄せられた質問等を取りまとめたものです。

2022年4月18日付で更新された質問は全部で8項目です。
申告・納付等の期限の個別延長関係は、以下のとおりです。
・期限までに申告等ができなかった場合の個別延長(問1)
・簡易な方法による個別延長(問2)
・個別指定による延長後の申告・納付期限(問3)
・申告所得税等以外の税目の個別延長(問4)
・期限の個別延長が認められるやむを得ない理由(問5)
・法人税又は消費税の中間申告期限の個別延長について(問6)
・個別延長のための申請手続きの期限について(問14)

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置関係は、
・特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税(問9)
です。

いずれも2022年4月18日現在の法令等に基づいて更新されており、FAQの各ページから、必要書類や申請書等のフォーマットが開けるようになっています。

国税庁ホームページではこのほか、申告・納付期限の期限延長手続きの具体的な方法について、税目別の解説も掲載されています。
「申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続の具体的な方法」、「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続きの具体的な方法」、「相続税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続きの具体的な方法」等の文字列をクリックすると該当書式の記載例を開くことができます。

例えば、所得税の確定申告に関しても、右上のところに書けば認められるみたいな簡易な方法は、終わりました。
色々と参考になることが載っていますので、まだ、令和3年分の確定申告が終わっていない方などは、一度確認しておいた方が良いでしょうね。
個人的には、これは使えるのではないかと思うようなことがありましたが、使える方がほんの一部の方だと思いますので、書くのはやめておこうと思います。

国税庁がコロナ税務のFAQを更新したことについて、どう思われましたか?


宇和島の自動車販売会社の代表が商品の車を業務用と偽り申告し約2,100万円を脱税!

宇和島の自動車販売会社の代表が商品の車を業務用と偽り申告し約2,100万円を脱税!

テレビ愛媛によると、法人税など約2,100万円を脱税した罪で自動車販売会社と代表の男に、松山地裁は先日、有罪判決を言い渡しました。

判決を受けたのは宇和島市の自動車販売会社と代表取締役(60)です。

判決によりますと、自動車販売会社の代表取締役は2014年から3年間にわたり、販売する目的の中古の高級外車7台を業務で使うと偽って確定申告するなどして、法人税など約2,100万円を脱税しました。

自動車販売会社の代表取締役は4台について販売目的はなかったとして無罪を訴えていたものの、松山地裁は「商品のリストに掲載されていた」と退け、懲役8か月・執行猶予3年などを言い渡しました。

よく分かりませんが、販売目的なのに、業務用と偽って償却していたということですかね。
中古車で法定耐用年数が短いでしょうから、先日、別のところで書きましたが、200%定率法は違和感を感じますが、実際には1年で償却できてしまいますから。
中古車販売会社の場合、実際に業務として使っていても、買いたいと言う人がいれば売るのではないかとは思いますが、有罪になるくらいなので、よっぽど悪質だったんでしょうね。

宇和島の自動車販売会社の代表が商品の車を業務用と偽り申告し約2,100万円を脱税していたことについて、どう思われましたか?


茨城県の農家が1億800万円を脱税!

茨城で農家を営む男性が売り上げの一部を申告しないなどの手口であわせておよそ1億800万円を脱税したとして、刑事告発されました。

所得税法違反などの疑いで、関東信越国税局から水戸地検に刑事告発されたのは茨城県八千代町の農家(50)です。

関東信越国税局によると、八千代町の農家は、白菜やキャベツなどの野菜の売り上げを実際より少なく申告する「つまみ申告」と呼ばれる手口で2018年までの3年間でおよそ1億7,600万円を隠し、所得税およそ7,000万円を脱税したほか、消費税などおよそ3,800万円を脱税した疑いがもたれています。

関係者によると、脱税で得た金は、現金で保管するなどして事業の資金や生活費、遊興費に使っていたということです。

3年間で2億円弱の所得隠しというのは、スゴいですね。
白菜yで年間1億円売ろうとすればかなりの量を売らないといけないと思いますが、それを隠すなんて、これ以外にも結構売上があるんでしょうね。
よっぽど儲かるんですね。
昨年もこの町の2億円弱脱税した方がニュースになっていたと思いますが、他にもいらっしゃるかもしれませんね。
どういった意図でやったのか、あと、これだけの規模になると税理士がついているのではないかと思いますが、どうやって偽ったのかを知りたいですね。
有罪にもなり、重加算税や延滞税などを考えると、ほとんどお金は残らないと思いますので、きちんと申告しましょうということですね。

茨城県の農家が1億800万円を脱税していたことについて、どう思われましたか?


令和3年度分の確定申告期限の延長は一律に行わず!

KaikeiZineによると、国税庁は、先日、令和3年分の所得税の確定申告期間(2022年2月16日~3月15日)について、今年は全国一律の延長はしないと発表しました。
新型コロナウイルスの影響で、一昨年(令和元年分)、昨年(令和2年分)と2年連続で一律延長されてきました。

国税庁は、急速なオミクロン株による感染拡大に伴い、令和3年分の所得税の確定申告期間を、全国一律の延長はしないとのことです。

所得税の確定申告期限は、新型コロナウイルスの影響で2年連続で一律延長されてきましたが、令和3年分は全国一律ではなく、それぞれの状況に応じて延長を認めます。

例えば、感染者や自宅待機者のほか、通常の業務体制が維持できないことなどにより、申告が困難となった場合、2022年4月15日までの間、簡易な方法により申告・納付期限の延長を申請することができるようにします。

具体的には、期限後に申告が可能となった時点で、申告書の余白等に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」などと記すだけで延長が認められるのです。

なお、所得税以外の贈与税や消費税及び地方消費税の申告においても、オミクロン株の影響により期限内申告が困難な場合は、申告書の余白等に所得税同様に記載することで延長が認められます。

当然、税理士として確定申告のお手伝いをしていますので、今回はどうなるのか気になっており、延長するにしろしないにしろ早く発表して欲しかったのですが、ようやく発表されましたね。
中途半端な感はしますが、個人的には延長がない方が、事務所としてはダラダラとした感じにならなくて良いとは思います。
スパッと3月決算や確定申告業務により先送りしているお仕事などに入っていけると思いますので。

令和3年度分の確定申告期限の延長は一律に行わないことについて、どう思われましたか?


東京国税局の27歳女性職員が副業でソープ嬢!

日刊ゲンダイによると、「当局としては適正に税務申告するよう、本人に指導しました」と、 東京国税局の職員が職場に内緒で風俗でバイトしてホスト代を稼ぎ、身内から異例の「指導」を受けていたようです。

ヘルスやソープランドで働くなど、国家公務員法の兼業規定に違反し、約125万円の収入を得ていたとして、東京国税局は、先日、都内の税務署に勤務する女性事務官(27)を停職9か月の懲戒処分にしました。
なお、女性は同日付で依願退職しました。

女性事務官は2020年10月から2022年1月、平日の夜や休日、病気治療のために取得した休暇日に、それぞれ“ホテヘル”で134日間、デリバリーヘルスで9日間、ソープランドで7日間、計150日間勤務し、約125万円の報酬を受け取っていました。

2021年10月、部内の同僚から情報提供があり、東京派遣国税庁監察官室が調査に乗り出し、許可なく兼業していたことを確認しました。

聞き取りに対し、女性事務官は「ホストクラブでの飲食代を捻出するために兼業した」と説明しているそうです。

「事務官は所得税に関する内部事務、調査事務を担当していました。病気休暇に関しては医師の診断書が添付され、承認を受けていたので、病気であること自体は疑いがなく、不正取得には当たりません。ただ、本来なら自宅で療養すべき病気休暇中に、兼業していたことは問題です。勤務日数や報酬額は本人への事実確認と、兼業先の風俗店の勤務実態などから算出しました」(東京国税局広報室担当者)

女性事務官は風俗店をやめるよう指導を受けた後も、シレッと勤務を続けていました。
職場では難しい顔をして数字とにらめっこしながら、夜の街でホストに囲まれ、日頃の鬱憤を晴らしていたのかもしれません。

「ホストクラブの飲食代に加え、借金も抱えていたのでお金が必要だったのかもしれません。勤務していた風俗店は都内とその近郊で、わざわざ足を延ばしていたようです。一昨年は20日間、昨年は127日間、今年は3日間、兼業していたことが明らかになっています。一昨年の副収入は20万円以下だったので申告の必要はありませんが、昨年分は確定申告をする必要があります」(東京国税局関係者)

仕事を失い、今後は税金を納めるために働かなければなりませんが、「納税」は国民の義務です。

最近、モラルの低い方が税務署に結構いらっしゃいますね。
こういった組織に税務調査などをする資質はあるのでしょうか?
今一度、組織内の教育をしっかりとやっていただいて、発言等をまともに聞き入れることができるような組織になってほしいと思います。
きちんと申告するよう指導している点は、当たり前かもしれませんが、役目を果たしているとは思いますが、おそらく、副業をしているのはこの人だけではないかと推測されますので、きっちりと対応してほしいですね。

東京国税局の27歳女性職員が副業でソープ嬢をしていたことについて、どう思われましたか?


年収400万円の人のふるさと納税限度額はどれくらいか?

ファイナンシャルワールドによると、税制メリットを得られるふるさと納税の限度額は、所得や家族構成によって異なります。

今回は年収400万円の場合のふるさと納税の限度額と、税金を安くするための手続き方法をまとめています。
ふるさと納税を賢く利用して、節税対策をしましょう。

年収400万円の場合、全額控除できるふるさと納税の限度額(以下「ふるさと納税の限度額」もしくは単に「限度額」といいます)は最高42,000円です。
ただし、年収は同じであっても、家族構成や扶養状況によって、ふるさと納税の限度額が異なります。

家族構成によっては限度額が12,000円の場合もあり、注意が必要です。
家族構成別のふるさと納税限度額の目安を解説します。

総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」をもとに、年収400万円のふるさと納税の限度額の目安を家族構成別に整理します。
●独身または共働き:42,000円
●夫婦のみ(配偶者は働いていない):33,000円
●共働き+子1人(高校生):33,000円
●共働き+子1人(大学生):29,000円
●共働き+子2人(大学生と高校生):21,000円
●夫婦+子1人(高校生)(配偶者は働いていない):25,000円
●夫婦+子2人(大学生と高校生)(配偶者は働いていない):12,000円

年収400万円で独身または夫婦ともに給与収入がある場合、ふるさと納税の限度額は42,000円ともっとも高くなります。

一方、扶養家族が多くなれば多くなるほど、ふるさと納税の限度額は小さくなります。
配偶者に加え、大学生と高校生の子どもを扶養している場合、ふるさと納税の限度額は12,000円です。
ふるさと納税の限度額は、家族の扶養状況が大きく影響します。

なお、今回ご紹介した限度額はあくまでも目安です。
家族構成のみでなく、収入状況等によっても限度額は異なるため、詳細は税理士やお住まいの市町村にご確認ください。

ふるさと納税の限度額とは、自己負担額を除く寄付金額すべてが所得税や住民税から控除される金額のことです。
ただし、ふるさと納税には自己負担額2,000円が定められています。

つまり、税金から控除される金額は、ふるさと納税額から2,000円を引いた額となります。
ただし、全額控除されるふるさと納税には限度額が設けられており、限度額を超えた分の金額については税金から控除することはできません。

ふるさと納税をして、税金が安くなることを「所得控除」や「税額控除」といいます。
所得税と住民税それぞれから一定の金額が差し引かれ、納税額を少なくすることができます。

例えば、年収400万円で独身もしくは共働きの場合の税額控除の目安は、(納税額:42,000-自己負担額:2,000)=40,000円です。

また、各控除は以下の計算式で計算されます。
●所得税控除:(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
※所得税の税率は所得によって異なります。
●住民税基本分控除:(ふるさと納税額-2,000円)×10%
●住民税特例分控除:(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)

返礼品が注目されるふるさと納税ですが、節税効果が大きな点もメリットの1つです。

税額控除を受ける方法を解説します。
税額控除を受ける方法は2パターンです。
●確定申告
●ワンストップ特例制度

確定申告を行う人は、確定申告で税額控除を申告しましょう。

確定申告を行う予定がなく、寄付先が1年間で5自治体までの人はワンストップ特例制度を利用できます。

ワンストップ特例制度は、確定申告なしで簡単に税額控除が受けられる制度です。
ワンストップ特例制度の申請方法についてまとめます。
●申請期間:ふるさと納税をした翌年1月10日まで(自治体によっては早めに締め切ることもあるため、確認が必要です。)
●申請方法:自治体から送付される書類に記入、押印し、マイナンバーカードをお持ちの場合はマイナンバーカードの表面と裏面のコピーを添付し、提出する。なお、マイナンバーカードをお持ちでない場合は、個人番号通知カード(記載された氏名、住所等が住民票に記載されている事項と一致する場合に限る)と本人確認書類のコピー、またはマイナンバーが記載された住民票と本人確認書類のコピーを添付します。
●ワンストップ特例制度を利用した場合、寄付翌年の住民税から一定の金額が差し引かれます。所得税からの控除はありません。

家族の扶養状況によって、ふるさと納税の限度額に差があります。
限度額を超えて、ふるさと納税をしてしまい自己負担分が多くなることがないよう、ご注意ください。

また、税額控除を受けるためには確定申告やワンストップ特例制度の申請が必要です。
ふるさと納税後の手続きも忘れないようにしましょう。

僕自身は、かなり前からふるさと納税をしていますが、ここ数年、確定申告のお手伝いをしている方でふるさと納税をしている方が増えてきた印象があります。
ECモールでお買い物をする感じで、意外と簡単にできますので、ご興味のある方はやってみてはいかがですか?

年収400万円の人のふるさと納税限度額はどれくらいか?について、どう思われましたか?


倒産防止共済をめぐり3億円に上る申告漏れ!

JIJI.COMによると、取引先の倒産時に備えて掛け金を納付する中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)をめぐり、解約時に受け取る返戻金を所得税の申告時に収入計上していない個人事業主が相当数いる可能性があることが、先日、会計検査院の調査で分かったようです。

申告漏れは約3億円に上るとみられ、検査院は国税庁に改善を要求しました。

経営セーフティ共済は中小企業基盤整備機構(東京)が運営しており、取引先の倒産時に無担保・無保証で借り入れができます。
月々の掛け金を経費計上した場合、解約時の返戻金を収入として計上する必要があります。

会計検査院が全国34税務署を調査したところ、2016~2018年に共済を任意解約した個人事業主464人のうち約4割に当たる189人が、返戻金計約3億2,600万円を受け取ったにもかかわらず、適切に収入計上していない可能性があることが判明したようです。

支払ったときに経費にしているわけですから、返ってきたら収入になるのは当たり前のような気がしますが、知らずにやっているのか、知っていてやっているのかどちらなんでしょうね?
解約時に中小機構がどのような書類を出しているのか分かりませんが、それには確定申告が必要であることをきちんと分かるように書いておいてほしいですね。
税務署へ支払調書的なものも出さないんですかね?
さすが、会計検査院は鋭いなぁと思いました。

倒産防止共済をめぐり3億円に上る申告漏れがあったことについて、どう思われました?


平井卓也デジタル改革担当大臣が大臣規範に違反しIT株を購入・売却し納税もせず!

毎日新聞によると、平井卓也デジタル改革担当大臣は、先日の閣議後記者会見で、内閣府政務官だった2006年に大臣規範に反してIT企業の株式を購入していたとして「不注意だった。おわびを申し上げたい」と陳謝しました。

平井大臣によると、2006年6月の株購入後、国会議員資産公開法で提出が義務づけられている資産報告書に保有の事実を記載していませんでした。
2018年の科学技術担当相就任時に公表した閣僚資産報告で初めて記載したものの、2020年3月に同株を売却して得た収入を所得報告書に記載せず、納税もしていなかったそうです。
既に所得税の修正申告を済ませ、報告書の修正作業を進めているとしています。

平井氏は2006年当時、内閣政務官としてIT政策などを担当していました。
「(株購入は)会社を応援したいという気持ちだった。隠す意図は全くなかった」と釈明しました。
大臣規範は、在任中は株取引を自粛するよう定めています。

大臣になってから色々と過去の問題等が発覚する方が多いですが、大臣就任する前に、きちんと身辺調査をしたうえで、問題がない人だけしか大臣にしないようにすべきなのではないでしょうか?
あとは、問題が生じたら、即刻大臣のみならず、国会議員自体も辞任する(辞任した場合は、大臣であったという経歴も取り消す)くらいにしないと今後も同じようなことは出てくるのではないかと思います。
不祥事を起こす方も多く、人間としてどうなのかなぁと思う方もたくさんおられますから、国会議員を大幅に減らした方がいいのではないかと思いました。
バレたら直せばすむという考えがまかり通っているのではないかと感じるのと、納税をしていないということは脱税だと思いますので、そこを報じない新聞のレベルもどうなのかなぁと感じた1件でした。
納税は国民の義務ですから、それができない方が国会議員なのはどう考えてもおかしいのではないかと思いますね。

平井卓也デジタル改革担当大臣が大臣規範に違反しIT株を購入・売却し納税もしていなかったことについて、どう思われましたか?


役所を信じてはいけない!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。
<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
⑤すぐに贈与税の申告ができない!

初回の昨日は、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』でしたので、2日目の本日は、『役所を信じてはいけない!』です。

確定申告業務をやっていると、2年におひとりぐらい、土地が収用になった方がおられます。

土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売った場合には、収用などの課税の特例が受けられます。
この課税の特例は、以下の2つがあります。
<1.対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例>
これを収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例といいます。
この特例を受けると、売った金額より買い換えた金額の方が多いときは所得税の課税が将来に繰り延べられ、売った年については譲渡所得がなかったものとされます。
売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行います。
この特例を受けるには、以下の要件すべてに当てはまることが必要です。
(1)売った土地建物は固定資産であること(不動産業者などが販売目的で所有している土地建物は、固定資産ではありません。)。
(2)原則として、売った資産と同じ種類の資産を買い換えること。
同じ種類とは、例えば土地と土地、建物と建物のことです。
このほか、 一組の資産として買い換える方法や事業用の資産を買い換える方法などがあります。
(3)原則として、土地建物の収用等のあった日から2年以内に代わりの資産を取得すること。

<2.譲渡所得から最高 5,000万円までの特別控除を差し引く特例>
この特例を受けるには、以下の要件すべてに当てはまることが必要です。
(1)売った土地建物は固定資産であること。
(2)その年に公共事業のために売った資産の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例を受けていないこと。
(3)最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売っていること。
(4)公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(その者の死亡に伴い相続又は遺贈により当該資産を取得した者を含みます。)が譲渡していること。

この特別控除の特例は、同じ公共事業で2以上の年にまたがって資産を売るときは最初の年だけしか受けられません。
公共事業のために土地建物を売った場合は、これらの2つの特例のうち、どちらか一方の特例を受けることができます。
確定申告書には公共事業の施行者から受けた公共事業用資産の買取り等の申出証明書や買取り等の証明書など一定の書類を付けることが必要です。

また、個人が土地等を収用等されることにより取得する補償金には、いろいろな名目の補償金がありますが、これらの補償金のうち収用等の課税の特例の適用がある補償金は、原則として、対価補償金だけですが、課税上の取扱いは、以下のとおりです。

<対価補償金(収用等された資産の対価となる補償金)>
譲渡所得の金額又は山林所得の金額の計算上、収用等の場合の課税の特例の適用があります。
<収益補償金(資産を収用等されることによって生ずる事業の減収や損失の補てんに充てられるものとして交付される補償金)>
その補償金の交付の基因となった事業の態様に応じ、不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
ただし、建物の収用等を受けた場合で建物の対価補償金がその建物の再取得価額に満たないときは、収益補償金のうちその満たない部分を対価補償金として取り扱うことができます。

<経費補償金(事業上の費用の補てんに充てるものとして交付される補償金)>
(イ)休廃業等により生ずる事業上の費用の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金は、その補償金の交付の基因となった事業の態様に応じ、不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
(ロ)収用等による譲渡の目的となった資産以外の資産(棚卸資産を除きます。)について実現した損失の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金は、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
ただし、事業を廃止する場合等でその事業の機械装置等を他に転用できないときに交付を受ける経費補償金は、対価補償金として取り扱うことができます。

<移転補償金(資産の移転に要する費用の補てんに充てるものとして交付される補償金)>
その交付の目的に従って支出した場合は、その支出した額については各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されません。
その交付の目的に従って支出されなかった場合又は支出後に補償金が残った場合は、一時所得の金額の計算上、総所得金額に算入されます。
ただし、建物等を引き家又は移築するための補償金を受けた場合で実際にはその建物等を取り壊したとき及び移設困難な機械装置の補償金を受けたときは、対価補償金として取り扱うことができます。
また、借家人補償金は、対価補償金とみなして取り扱われます。

<その他の補償金(原状回復費、協力料などの補償金)>
その実態に応じ、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
ただし、改葬料や精神的補償など所得税法上の非課税に当たるものは課税されません。
ここで、譲渡所得から最高 5,000万円までの特別控除を差し引く特例の場合、具体的には、確定申告書に以下の添付が必要になります。
①収用等証明書
②公共事業用資産の買取り等の申出証明書
③公共事業用資産の買取り等の証明書

②は、事業名、買取り等の申出年月日、買取り等の区分、所在地、種類、数量などが記載されています。

③は、資産の所在地、資産の種類、数量、買取り等の区分、買取りなどの年月日、買取り等の価額などが記載されています。

①は、買取り等に係る資産の所在地・種類等・区分・買取り等年月日・買取り等の金額、取り壊し又は除去をしなければならなくなった資産の所在地・種類・面積等・区分・買取り等の日・補償項目・補償金額などが記載されています。

当然、3枚の金額などは整合していると思っていたのですが、職員が作った確定申告書を僕がチェックしているとどうも数値が合わないのでおかしいなぁと思っていたら、②と③は整合していたのですが、①と②及び③が整合していませんでした。役所に①と②及び③が整合していないことはあるのか電話してみると、整合していないことはありえないと言うので調べてもらうと、①が間違えていたとのことでした。
すぐに、①を再発行してもらいました。
役所といえども、信用してはいけませんよ(笑)。

役所を信じてはいけないということについて、どう思われましたか?


事業的規模でなくても65万円控除ができる!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。

<所得税>
事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!

<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!

<贈与税>
⑤すぐに贈与税の申告ができない!

初回の本日は、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』です。

不動産などの貸付けによる所得は、不動産所得になります。
不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、以下のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます(いわゆる5棟10室基準)。

(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

不動産の貸付けが事業として行われている場合とそれ以外の場合の所得金額の計算上の相違点のうち主なものは以下のとおりです。

(1) 賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失については、不動産の貸付けが事業として行われている場合は、その全額を必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されます。
(2) 賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、不動産貸付けが事業として行われている場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、収入に計上した年分までさかのぼって、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します。
(3) 青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合は適用がありますが、それ以外の場合には適用がありません。
(4) 青色申告特別控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合、正規の簿記の原則による記帳をおこなうなどの一定の要件を満たすことにより最高55万円の控除を受けることができます。

この55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除が受けられます。
なお、それ以外の場合の控除額は最高10万円となります。

よって、事業的規模ではない場合、通常、最高10万円控除となります。

ただし、そうでない場合があります。
青色申告特別控除65万円の控除を受けるための要件は、以下のようになっています。

(1) 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2) これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3) (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
(4) 以下のいずれかに該当していること。
①その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
②その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。

ここで、事業所得と不動産所得がある場合、不動産所得の金額、事業所得の金額から順次控除します。
よって、例えば、事業所得がマイナスの場合、事業的規模でないにもかかわらず、不動産所得から最高65万円控除が可能になります。

僕もそうだったのですが、違和感を感じる方が多いのではないかと思いますが、これは、条文が、65万円控除の要件の一つが、『不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むもの』となっている一方で、順番は、『不動産所得の金額又は事業所得の金額から順次控除する。』となっており、事業的規模かどうかは規定されていないからです。

事業的規模でなくても65万円控除ができることについて、どう思われましたか?


年末調整やめてみては?

朝日新聞によると、コロナ禍で、多くの働く人々や中小企業が疲弊していますが、これを受けて、国税庁は納税手続きなどで負担軽減措置をとっています。

しかしながら、所得税の年末調整は今のところ特に変わりはありません。
これに対し、税理士から「今年の年末調整をやめて欲しい」という声が上がっているようです。

年末調整の書類が難しすぎるようで、「確定申告書を書くほうがよほど簡単だろう」とまで言われているそうです。
控除制度の変更で、例年以上に複雑になっているようです。

また、所得の内容が多様になり、親族の所得を年内に正確に見積もるのは難しくなっています。
扶養者情報の修正による事務負担も増大しつつあります。

もともと年末調整は、申告納税制度に抵抗していた当時の大蔵省が事務負担を減らすために導入したものです。
ところが、税制の民主化という申告納税の趣旨に合わないと指摘されてきました。

税額の精算手続きを勤め先が行うので、多くの給与所得者を税制から遠ざけ、無自覚者にしてしまいました。
おまけに企業は、その作業の費用を負担させられているのです。

そもそも日本の源泉徴収の仕組みは厳格な自己完結型で、国際的にもまれです。

わかりやすく言うと、多くの国々はおおまかな税率で一律に税金を前取りし、後から確定申告で調整させる制度ですが、日本では税率などが細かく規定され、確定申告しなくてもすむようにされています。
過大徴収などのミスは源泉徴収自体を是正しなければならず、申告での調整が許されない制度とも言えます。

今の仕組みは問題が多いでしょう。
思い切って今年は年末調整をやめ、確定申告で最終調整できるようにしてみてはどうなのでしょうか?

僕も、税理士として、年末調整業務も確定申告業務も報酬をいただいてやっていますが、今年はいつになく年末調整業務の質問が多くなっています。
個人的にも、以前から、もう少し所得税を簡単にしたうえで、年末調整制度をやめて、ご本人が申告するような制度にすれば、企業等の負担も減り、ご本人の税金に関する意識も大きく変わるのではないかと思っています。
どうしてもできない方のみが、税理士に頼めばいいのではないかと思います。

年末調整やめてみては?について、どう思われましたか?


香川県高松市の男性の外れ馬券代を東京高裁は経費と認めず逆転敗訴!

大量に馬券を購入していた香川県高松市の男性が、外れ馬券の購入代金を税制上、経費に算入するよう求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は、先日、算入できるとした1審東京地裁判決を取り消し、課税処分は適法と判断しました。
男性側の請求を棄却し、逆転敗訴となりました。

なお、最高裁は、2015年に「営利目的で継続的に購入していた場合、算入できる」との判断を示しています。

高裁の秋吉仁美裁判長は、営利目的と認めるには、ある程度の期間継続し、客観的に利益を期待できることが必要だと指摘しました。
男性は2010~2014年のうち、4年間で計約3,077万円の利益を上げる一方、2012年は約790万円という損失を計上しており「恒常的に利益を上げていたとまでは認められない」として、営利目的を否定しました。

同様の裁判で、最高裁は過去2件の判決で経費算入を認めています。
一方、別の2件では、経費算入できないとする判断が確定しています。

2015年の納税者勝訴の最高裁の判決があっても、結局のところ、個別案件ごとの判断になりますので、結論がどうなるのかの見極めがなかなか難しいですね。
納税者も困ると思いますので、もう少し明確な基準を示すべきだと思います。
また、赤字企業が7割と言われています(新型コロナウイルスの影響でもっと増えると思われます。)ので、5年のうちたった1年が損失になっただけで営利目的だと認められないというのはどうなのだろうか?と疑問に思いますね。
税務署の職員も裁判官も、もっと商売のことを知らないといけないのではないかと思います。

香川県高松市の男性の外れ馬券代を東京高裁は経費と認めず逆転敗訴したことについて、どう思われましたか?


元国税実査官が教える脱税がバレやすい「怪しい申告」の特徴!

週刊SPAによると、フリーランスだけじゃなく副業など給与以外の収入がある会社員も、領収書やレシートの経費を計算したりと提出の準備で大変な確定申告です。
しかしながら、週刊SPA!によると、節税もやり方を一歩間違えると大変なことになるそうです。

「国税局の調査能力は半端じゃないんです。ひとたび『怪しいな』と睨んだら徹底的に調査しますから」
こう話すのは国税局の元職員である佐藤弘幸氏です。
国税庁の発表によれば、平成30年には約2,222万人が確定申告をしたうち、税務署による調査を受けたのは約7万3,000件です。
すなわち0.3%未満なのですが、その大多数は追徴などのペナルティを受けています。
つまり、ひとたび目をつけられたら、ほぼ逃れられないということです。
それは、副業だろうが何だろうが同じことです。

税務署がチェックする際に注目する点は何なのでしょうか?

「税務署が何より嫌がるのは不正申告による還付金を出すこと。会社員が損益通算して還付を受けるケースは過去に不正が多発したのでウォッチしてます。さらに事業所得の申告で赤字が続くと、当然怪しまれます。
商売を続けているのにずっと赤字なのはおかしいので。経費も家賃や車、水道光熱費、通信費のうち半分なら『そんなものかな』となるかもしれませんが、100%はありえない。洋服も、スーツならわかるけどカジュアルだと否認されやすいです」

そもそも個人の場合は計上する経費の幅が狭いと、佐藤氏は続けています。
「法人は見込み客をつくるための接待なども交際費になりますが、個人だと、原則では飲み代が認められません。だから芸能人は個人会社をつくりたがるんですよ。さすがに先のチュートリアル徳井さんみたいに、プライベートな旅行や洋服を経費にするのはダメですけどね」

では、もし税務署に目をつけられた場合、どのような流れで税務調査は進むのでしょうか?

「申告内容によってまちまちですが、簡易なケースでは確定申告が終わった後、3~5月に電話やはがきなどの文書で呼び出しをします。そして、本格的にターゲットを狙っていくのは7月に税務署の人事異動が終わったあと。7月後半から11月くらいまでに納税地(居住地など)に行き、税務調査を行います。税金の時効は7年だから、そこまでは掘り返せるので」

また、いったん怪しいと思った人はSNSなどもチェックされます。
「ピンポイントで調査選定した人ならSNSはもちろん、ブログやYouTubeまですべて目を通します。もしそこで豪遊していたら『そんなの必要経費にならないでしょ?』となるので」

最後に佐藤氏は、確定申告シーズンになると“裏で動く存在”について注意喚起をしています。
「ヤミ税理士です。会計事務所に勤めていた人とかで、税理士資格がなくても知識はあるから申告書作成や提出を請け負ってしまう人がいるんです。それは税理士法違反なので、くれぐれも軽はずみに頼まないようにしてください」
▼こんな申告内容を税務署はチェックしている
●事業所得での申告内容が赤字になっている(数年続くとなお怪しい)
●スーツ以外の洋服代や装飾代も経費にしている
●SNSに派手な生活の様子を載せている
●家賃や車代を丸ごと経費にしている
●「見込み客」を募るための飲み代は基本的にNG
●アフィリエイト収入などは“カネの流れ”が追いやすい

おおむね正しいような気はしますが、個人的には、スーツはなかなか経費にするのは厳しいのかなと思っています。
あとは、『ヤミ税理士』ではなく、『にせ税理士』だと思います。
なお、『にせ税理士』は国税庁のホームページでも使われています。
それほど甘くはないので、きちんと申告しましょう。

元国税実査官が教える脱税がバレやすい「怪しい申告」の特徴について、どう思われましたか?


⼟地開発めぐる⽮作建設工業への賠償請求は棄却!

愛知県名古屋市中川区の⼟地開発をめぐり、東証一部上場の⽮作建設⼯業(愛知県名古屋市東区)の説明不⾜で国税局から追徴課税を受けたとして、地権者24⼈が矢作建設工業や仲介業者などに約6億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、先日、名古屋地裁でありました。
末吉幹和裁判⻑は請求を棄却しました。

判決理由で末吉裁判⻑は、地権者との⼟地取引の契約書に「課税される可能性がある」旨の⽂⾔が⼊っていることなどから、「税務当局の判断を地権者に知らせる義務はない」と判断しました。

地権者らは2011年、⽮作建設工業に⼟地を提供し、別の⼟地を得るなどの契約を結びました。
名古屋国税局は等価交換ではなく売却とみなし、地権者らに計約2億1千万円を追徴課税しました。

詳細は分かりませんが、等価交換になるため土地取引をされた方もおられる(おそらく課税されないからというセールストークに応じて取引をされた方も多いと思われます。)と思いますので、ひどい案件ですよね。
地権者側が勝つと思っていましたが、今後も争うのであれば、ウォッチしていきたいと思います。
地権者側が最終的に勝ったとしても、たぶん今後の経営に支障を及ぼすでしょうね。
地権者側も、業者の話を鵜呑みにするのではなく、自分で調べるなどして納得したうえで取引をしないといけない時代にはなっていますね。
矢作建設工業側も顧問税理士などに確認しないのだろうか?とも思いますが。

⼟地開発めぐる⽮作建設工業への賠償請求が棄却されたことについて、どう思われましたか?


高松市の男性の外れ馬券代を経費と認める!

 大量に馬券を購入していた高松市の男性が、外れ馬券の購入代金を経費に算入するよう所得税の見直しを求めた訴訟で、東京地裁は、先日、「馬券の代金は必要経費と認めるのが相当だ」として、見直しを認めなかった税務署の決定を取り消しました。

最高裁は、2015年に、「営利目的で継続的に購入していた場合、算入できる」との判断を示しています。
今回の訴訟で税務署側は、「購入額は年間数千万円にすぎず、外れ馬券代が30億円近くに上った最高裁判決の事案より小規模で、継続的ではない」と主張していました。

しかし古田孝夫裁判長は、営利目的で継続的に購入していたと判断しました。

営利目的かどうかはともかく、継続的かどうかに金額の大小は関係ないように思います。
年間数千万円だから小規模という税務署の感覚がどうなのでしょうか?
個人的には、東京地裁はまっとうな判断をしたなと思います。
まぁ、安易に認めると、損をしても経費となるからと思う方々が出てくるようでしょうから、危険なような気はしますが。

高松市の男性の外れ馬券代を経費と認めたことについて、どう思われましたか?


国外財産調書の未提出の疑いで全国初告発!

 所得税約8,300万円を脱税し、海外の口座などに7,300万円の預金があったのに国外財産調書を提出しなかったとして、大阪国税局が京都市山科区の家具輸入販売仲介会社の代表取締役(49)を所得税法違反と国外送金等調書法違反の疑いで京都地検に告発したことが、先日、分かったようです。
国外財産調書の提出制度が始まった2014年1月以降、制度に絡む告発は全国で初めてです。

同制度は年末時点で5,000万円を超える国外財産を保有する国内居住者に対し、財産の種類や金額などを記した国外財産調書の提出を義務付けているものです。
税務当局が把握しにくい海外資産の課税逃れを防ぐのが狙いです。

関係者によると、2015年1月~2017年12月、タイ在住で知人の日本人男性名義の口座に売り上げを入金したり、男性名義で日本国内の家具業者と業務契約を結んだりして、約2億1,500万円の所得を申告せず所得税を免れた疑いが持たれています。
脱税した金は男性名義の口座から家具輸入販売仲介会社の代表取締役が現金で運び出し、日本国内の口座に預けていました。

さらに、売り上げの一部を入金していた香港の自身名義の口座などに2017年12月末時点で7,300万円の預金がありましたが、国外財産調書を提出しなかった疑いがあります。

国税局は故意に提出しなかったと判断したとみられます。

提出の実績を見ると、桁がいくつか違うのではと思うくらい少なかったので、提出していない方がかなりいらっしゃるのではないかと思っていたのですが、ようやく告発されましたね。
今後も、おそらく次々と出てくるのではないかと思いますね。
所得税の税務調査がきっかけでたまたま見つかったのかもしれませんが、こういう報道で未提出の抑制につながると思いますし、仮想通貨(暗号資産)もそうですが、きちんと、提出したり、申告したりするようになればいいなぁと思います。

国外財産調書の未提出の疑いで全国初告発されたことについて、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(2/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
 無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
2日目の今日は、『無申告ほ脱事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(2)無申告ほ脱事案
申告納税制度の根幹を揺るがす無申告によるほ脱犯について積極的に取り組み、平成30年度は18件を告発しました。
平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯を適用した事案は、平成26年度に初めて告発し、本年度は10件を告発しました。

<トピック4>他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案を告発
無店舗形態やヒト・モノの移動を伴わないなど匿名性の高いインターネットによる取引が普及しているところ、インターネットを介して数十もの他人名義で取引を行うことにより所得を隠していた無申告ほ脱事案を告発しました。
【事例】
Dは、外国為替証拠金取引(FX)により多額の利益を得ていたものですが、インターネットを利用した自動売買ソフトを用いて、数十もの他人名義で同取引を行うことにより所得を隠し、所得税の確定申告を一切せずに納税を免れていました。
なお、Dは過去においても所得税法違反の罪で有罪判決を受けていました。

<トピック5>私設ファンクラブ運営利益の単純無申告ほ脱事案を告発
個人事業により得た所得に係る申告義務を認識していながら、所得税の確定申告を行わず故意に納税を免れていた単純無申告ほ脱事案を告発しました。
【事例】
Eは、元歌劇団トップスターの私設ファンクラブを運営し、多額の利益を得ていたものですが、所得税の確定申告を一切せずに納税を免れていました。

無申告ほ脱事案について、どう思われましたか?


仮想通貨取引で50人と30社で100億円の申告漏れを指摘!

 仮想通貨(暗号資産)の取引にからみ、2019年3月までの数年間に全国で少なくとも50人と30社が総額約100億円の申告漏れを国税当局から指摘されたことがわかったようです。
2017年末に主要通貨「ビットコイン」の相場が年初の約20倍に高騰しており、このころに多額の売却益を得たのに税務申告しなかったり、実際よりも少なく申告したりしたケースが相次いだとみられます。

 関係者によると、東京国税局の電子商取引を担当する調査部門が2018年、都内の複数の仮想通貨交換業者(取引所)から顧客らの取引データの任意提出を受けました。
同部門はデータを分析し、多額の売却益を上げたと見込まれる個人や法人をリストアップし、札幌から熊本まで全11国税局と沖縄国税事務所が、この取引データや独自に集めた情報に基づき税務調査し、個人・法人を合わせて少なくとも80件、総額約100億円の申告漏れを指摘した模様です。

このうち70億円以上は、親族や知人名義の口座で取引したり、実際の取引記録を残しているのに故意に売却益を少なく見せかけたりしたとして、重加算税対象の「所得隠し」と判断されました。
高額・悪質なものについては脱税容疑での告発も検討しているとみられます。

一般社団法人「日本仮想通貨交換業協会」(東京)によると、主要5通貨が売買された総額は2017年度は69兆1,465億円で、2016年度の20倍、2015年度の788倍に急増しています。
取引による利益は所得税法上の「雑所得」になり、一般的なサラリーマンの場合、年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
ただし、取引の実態が見えにくいことから税務申告しないケースが多数あるとみられていました。

こうした「税逃れ」を防ぐため、取引額など一定の条件にあてはまる顧客らの氏名を民間事業者に国税側が照会できる制度が2020年1月から始まります。
顧客らの申告漏れ割合が高いことが見込まれるにもかかわらず、事業者が照会に応じない場合などは罰則もあります。
無登録の仮想通貨交換業者など、税務調査に非協力的な業者などが念頭にあります。

ただし、この制度は国内の事業者のみが対象となるため、海外の交換業者を使った取引や、所有者の特定がほぼ不可能な匿名性の高い仮想通貨に換えることを勧める業者もいるそうです。
国税幹部は「いたちごっこは当分続くだろう」と話しています。

国税庁によると、2017年分の確定申告で公的年金を除く雑所得が1億円以上あり、仮想通貨取引の利益が含まれていた人は331人いました。
2018年分でも271人にのぼりました。
金融庁によると、資金決済法に基づき国に登録している仮想通貨交換業者(取引所)は19社で、取引量が最も多い「ビットコイン」は全社が取り扱っています。
世界で流通する仮想通貨は1千種を超えるとされています。

個人的には、今回申告漏れを指摘されたのは氷山の一角で、今後もたくさん出てくるのではないかと思っています。
国税庁はそんなに甘くないですよ。
あとは、金融庁にきちんと法整備をしてほしいですね。

仮想通貨取引で50人と30社で100億円の申告漏れが指摘されたことについて、どう思われましたか?


マイナンバー活用して2021年分から医療費控除手続きを簡素化!

 政府は、家族の医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くする医療費控除の手続きをすべての人を対象に自動化するようです。
マイナンバーカードの活用による新しいシステムを作り、1年間の医療費を自動計算して税務署に通知する仕組みです。
2021年分の確定申告をメドに始めます。
確定申告の煩わしさを軽減する効果を実感できるようにして、公的サービスの電子化を一段と加速します。

政府は、行政手続きを簡便に済ますことができるデジタル社会作りをめざしています。
社会の生産性を向上させ、経済成長につなげる狙いです。
マイナンバーカードの普及をその中核と位置づけています。

日本の医療費控除の利用者は年間約750万人で、現在もネットを活用して申告できますが、医療機関名や支払った医療費、保険で補填される額などを自ら入力して書類を作成する必要があります。

医療費控除が適用されるのは、基本的に、1年間の家族の医療費から保険で補填された額を引いた額が10万円を超える場合です。
1年間、領収書を残して計算しても基準に達しないこともあります。
領収書の保存や申告書作りが面倒で初めから利用しようとしない人もいます。

政府は、2021年3月にマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにする方針です。
新システムは保険診療のデータを持つ社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会のシステムを政府が運営する「マイナポータル」のシステムとつなぎます。
国税庁のシステムとも連携し、控除の申告を完全に自動化します。

確定申告する際には、まず国税庁の申告書作成のサイトに入り、マイナンバーカードで個人認証します。
「医療費通知」のボタンを押すと、1年分の医療費の合計額が一目で分かるようになります。
控除の適用基準を超えていれば、そのままサイト上で申告できます。
領収書を保存しておく必要もありません。

政府は2017年の税制改正で、個人が健康保険組合から1年分の医療費を記した「医療費通知」をネット上で取得し税務署に提出できるようにしました。
ただし、加入する健保組合のシステム対応が必要で、広がっていません。

海外では、行政手続きの電子化が進んでいます。
韓国では、税務の電子申告の利用率が9割を超えます。
国税当局のサイトを通じて医療費や保険料、教育費などが確認でき、間違いがなければそれを基にオンラインで控除の申告ができます。
エストニアでは、個人番号カードでほぼ全ての行政サービスが受けられます。
日本のマイナンバーカードの交付実績は2019年4月時点で1,666万枚と、人口の13%程度にとどまっています。

現在、マイナンバーカードがあれば、「マイナポータル」を通じてネット上で行政サービスの利用などを申請できます。
カードの普及が進めば、書類や対面での行政手続きを原則、全廃できる可能性があります。
民間サービスにも広げれば、例えば引っ越しの際に役所に転出入届を提出するだけで電気・ガスや郵便物の転送、運転免許証の住所変更などが一括してできるようになります。

確定申告を税理士として業務として受けている立場としては、すごく楽になるように思います。
集計や中身の確認は結構手間がかかるからです。
補足しておきますが、実務をやっていて結構感じますが、医療費控除は医療費が10万円を超えないと使えないと思っている方がかなりたくさんおられますが、必ずしもそうではありません。
所得が200万円以上の方は確かにそうなのですが、それ以下の方は、10万円が基準ではなく、所得の5%が基準となります。
あと、この記事でも『カードの普及が進めば』とありますが、個人的には、インセンティブを与えて、国が本腰を入れて普及させないといけないと思っています。
税理士は、年末調整、所得税の確定申告及び準確定申告、相続税の申告、個人事業主の青色申告の届などで、普通の方よりはマイナンバーに触れることが多いと思いますが、マイナンバーカードを持っている方はほとんどいません。
普及させれば、個人も国などもかなり便利になるのではないかと思います。

マイナンバー活用して2021年分から医療費控除手続きを簡素化することについて、どう思われましたか?


1千万円以上の大穴的中のうち8割が未申告?

 競馬や競輪などでの高額払戻金について会計検査院が調べたところ、1千万円以上の「大穴」で当たった金額の8割ほどは税務申告されていない可能性があることがわかったようです。
主催者側から聞き取った2015年の払戻金約127億円に対し、税務申告されたとみられるのは20数億円だったことが、関係者への取材でわかったようです。

関係者によると、会計検査院は競馬などの公営ギャンブルの主催者から、2015年の1年間に1回の払戻金が1,050万円以上あったケースを聞き取りました。
中央競馬では100円のかけ金、中央競馬以外では50円~200円のかけ金にそれぞれ絞って調べたところ、計約530口で約127億円の払戻金があったようです。

一方で、会計検査院は、2015年に1千万円以上の一時所得や雑所得を税務申告した全国の約18,200件を調査しました。
公営ギャンブルで1回の払戻金が1,050万円以上あった人から申告されたとみられるのは、50数件の20数億円だったようです。

払い戻しされた約127億円のうち、20数億円を差し引いた約100億円の大半が申告されていないと推測できるそうです。

公営ギャンブルで得た一定以上の収入は、一時所得や雑所得として税務署に申告する必要があります。
総収入からその収入を得るためにかかった経費、特別控除として50万円を差し引いた額が一時所得となります。
経費は、原則として当選した投票券を指すため、例えば、他の競馬レースの外れ馬券などは、基本的に経費として計上することができません。
マイナンバーをうまく使えば良いかもしれませんね。
あとは、源泉徴収をしたほうが良いようにも思いますね。
このような状態を放置していると、怠慢と言わざるを得ないでしょうね。

1千万円以上の大穴的中のうち8割が未申告と推測されることについて、どう思われましたか?


カジノ勝ち金は「一時所得として課税」と国税庁幹部が注目見解!

 現在、国会ではカジノを含む統合型リゾート実施法案について議論がされていますが、日本にカジノが整備されたとして、そこで得た勝ち金は課税されるのかどうかは、ギャンブルとは無縁という人を除き、多少なりとも気になるところではないでしょうか?
税理士ドットコムによると、この論点について、国税庁幹部が「一般論としては、一時所得にあたる」との認識を国会で示したようです。530日の衆院内閣委員会で、勝ち金の課税関係について問われた国税庁の山名規雄課税部長は、以下のように答えたようです。
「現時点でその内容や性質が明らかでないため、その課税関係についても確たることは申し上げられませんが、その上で一般論で申し上げますと、居住者である個人がいわゆるギャンブルにより得た利益については、営利を目的とする継続的行為から生じたものに該当せず、一時的、偶発的な所得と考えられることから、一時所得として課税の対象となります」一方、外国からの観光客など日本に居住しない人が勝ち金を得た場合の課税は、租税条約との関係もあり、簡単な問題ではなさそうです。
山名部長は「その非居住者の居住地国と日本が租税条約を締結している場合には、その租税条約の規定いかんにより、日本で課税されるか否かが判断されることとなります」としました。また、把握することが難しい場合も懸念されます。
山名部長は「あらゆる機会を通じて課税上有効な資料情報の収集に努め、必要があると認められる場合には調査を行うなどして、カジノで得た利益につきましても適正公平な課税の実現に努めてまいりたい」と答弁しました。僕自身は、カジノに反対というわけではないのですが、法案に賛成しかねるところはあります。
それはさておき、一時所得というのは妥当なところかなと思います。
きちんと、入場者を把握して、勝ち負けのデータもきちんと把握して、公正な課税を行ってほしいですね。カジノ勝ち金は「一時所得として課税」との国税庁幹部による注目見解について、どう思われましたか?

2017年度の確定申告における仮想通貨の収入が1億円以上の人は331人!

 国税庁は、先日、2017年に仮想通貨取引を含めた収入が1億円以上あったと申告したのは331人だったと発表しました。
 2017年分の確定申告を集計しました。
 仮想通貨の高騰で1億円以上の資産を築いた人が、ヒット映画の題名をもじった「億り人」と呼ばれて話題となるなどしており、業界関係者は「実際はもっと多いはず」と指摘しています。
 国税庁によると、2017年分の所得税の確定申告を提出したのは2,198万人で、2016年分からほぼ横ばいです。
 所得額は414,298億円で、2016年分から約3%増えました。
 緩やかな景気回復などが背景にあるとみられます。
 全体の申告から公的年金以外の雑所得の収入が1億円以上あった549人を抽出し、このうち、仮想通貨取引による収入があったのが331人でした。
 国税庁が、仮想通貨関連の申告の集計結果を公表するのは初めてです。
 情報サイトのコインデスクによれば、代表的な仮想通貨ビットコインのドル建て価格は201712月半ばに2万ドルに迫り、2016年末に比べて20倍に跳ね上がる場面もありました。
 2017年1年間の上昇率は1,331%と、26年ぶりの高値を付けた日本株(19%)や米国株(25%)をはるかに上回っています。
 日本仮想通貨交換業協会(東京都千代田区)によると、主な仮想通貨の国内取引金額は2017年度に約69兆円と、前年度の20倍に増加し、2018年3月時点の取引口座数は延べ350万にまで拡大しています。
 今回の集計の対象になったのは仮想通貨の売却などで損益を確定したうえで申告手続きをした人だけです。
 331人という数字について、国税庁は「おおむね適正な申告がなされたのではないか」としています。
 しかしながら、仮想通貨の業界関係者は、「昨年の高騰や広がりを踏まえると少なすぎるという印象。申告しなかった人もかなりいるのではないか」と指摘しています。
 国税庁としても、仮想通貨に関連する納税環境の整備に本格的に乗り出したのは2017年からです。
 20178月に仮想通貨で得た所得は原則「雑所得」に該当するという見解を公表し、201712月には仮想通貨を別の仮想通貨と交換した場合の所得の計算方法などを具体的に例示し、適正申告を呼びかけました。
 課題の一つとして挙がっているのが、申告の前提となる取引データの内容や形式が仮想通貨交換会社ごとにバラバラなことです。
 業界関係者によると、交換会社によっては取引データを見ても個別の取引記録が売却なのか購入なのか区別できなかったり、取引履歴を取得できる件数に上限が設けられたりしていることもあったそうです。
 取引履歴を集約して税務申告の資料を作成するサービスを手がけているエアリアル・パートナーズ(東京)の取締役は、「交換会社はビジネスの拡大の方に目が向きがちで、顧客の税務申告の利便性に配慮する意識が低い会社もある」と話しているようです。
 僕自身は仮想通貨取引を行っていませんが、昨今の仮想通貨に関する報道などを見ていると、直感的には331人は少なすぎるのではないかという気はします。
 今後、国税庁がどう調査をして、どれだけ申告漏れを指摘してくるのか、ウォッチしていきたいと思います。
 2017年度の確定申告における仮想通貨の収入が1億円以上の人は331人だったことについて、どう思われましたか?

コインチェックの返金は課税対象!

2018年03月26日(月)

不正アクセスなどによって流出した分の仮想通貨を日本円で補償された時に、取得時の価格より返金価格が高い時には、非課税である損害賠償金には当たらず、課税所得に含まれるとの見解を政府が示しました。
2018年1月に約580億円の仮想通貨「NEM(ネム)」を流出させたコインチェック社は、今週中に顧客に対して日本円で返金する方針を打ち出しています。

政府が、2018年2月27日、立憲民主党の逢坂誠二衆院議員の質問に答えました。
「コインチェック社が日本円で返金したとして、取得時の価格より上回っていた時には、差額が利益とみなされて課税されるのか」との問いに対して、「どのような法律関係に基づき行われるものか、現時点では明らかでないので、お答えすることは困難である」と前置きした上で、「一般論として損害賠償金として支払われるものであっても、本来所得となるべきものや失った利益への賠償は非課税所得にはならない」との認識を明らかにしました。

コインチェック社は、被害当時にNEMを所有していた約26万人全員に対して、1NEM=88.549円として、日本円で総額約460億円の全額を返金する方針を発表しています。
政府の見解に照らし合わせると、NEMを88.549円以下で取得した人は、補償の際に生じた差額が利益とみなされ、所得税を課されることになりそうです。
仮想通貨で得た利益については、2017年9月に国税庁が発表したタックスアンサーにより、原則として「雑所得」として課税されることが明らかとなっています。
雑所得は他の所得と合算されて総合課税され、年をまたいでの損失繰越や、他の所得との損益通算はできません。

コインチェック社の返金対応の方針に対しては、NEM保有者からも反発の声があるようです。
2018年2月15日には、被害者7人が日本円ではなく仮想通貨での返還を求めて、東京地裁に提訴しました。
流出問題を受けてNEMの価格は2018年3月1日現在で41.01円と大きく値下がりしているため、コインチェック社の示した88.549円で返金されたほうが利益は大きくなりますが、「仮想通貨で取り戻したい人もいて、ニーズの問題だ」(原告側の弁護士)というように、保有者にとっては多額の納税が発生する可能性があるにもかかわらず選択の余地がないことが問題の本質と言えそうです。
しかしながら、当のコインチェック社はというと、補償について、原資の説明もされていないため、「本当に返ってくるのか」という利用者の不安は募るばかりのようです。

上場株式の場合でも、MBOなどがあると、自らの意思に関係なくスクイーズアウトされてしまいますが、やはり、投資は自己責任ということですね。
特に、仮想通貨に関しては、市場がまだ成熟していないため、今後予想もしえないようなことが起こりかねません。
値上がりを狙うのはもちろん良いですが、その辺のリスクを認識したうえで投資しないといけないですね。

コインチェックの返金は課税対象となりそうなことについて、どう思われましたか?


海外不動産を使う節税を見直し!

2018年01月23日(火)

給与所得控除の見直しやたばこ増税、森林環境税の創設など、2018年度の税制改正では比較的高所得のサラリーマンへの増税が目立った一方、使えなくなるとみられていたある節税策が制限を免れました。
海外不動産への投資を通じ発生させた赤字を、日本国内の所得に合算して税負担を圧縮する手法です。
今回は優先度が高くなかったため見送られましたが、今後は見直し対象になる可能性があります。

この手法は、アメリカやイギリスなど海外の中古住宅を購入して賃料収入を得つつ「減価償却費(=経費)」も発生させて所得を圧縮する(赤字にする)というものです。
海外不動産から生じた赤字を個人所得の総額から差し引く対象にできるという、日本の所得税法の仕組みを活用しているスキームです。

所得税率は課税対象となる年間所得が1,800万円以下なら33%ですが、この額を超えると40%になります。
例えば所得2,000万円の人が、海外不動産投資で300万円ほど「赤字」を出せば最終的な税率を抑えられるのです。

特に効くのが高所得のサラリーマンです。
各国の資産課税に詳しいネイチャー国際資産税の芦田敏之代表税理士は、「企業のオーナー社長より、外資系証券など高額給与所得者の利用が多い」と話しているようです。

ヨーロッパやアメリカの建物の平均寿命は日本より長くなっています。
一方で、日本の税法の計算方法では、法律上の耐用年数を過ぎた中古建物の使用可能年数は4~9年程度です。
これをヨーロッパやアメリカの物件にも当てはめ、あと10年以上は使える物件の価値を4年程度でゼロにして書類上の損失を出すという節税策が、富裕層を中心に活用されているようです。

ヨーロッパやアメリカでは建物の価値が日本より高く、賃料も稼げます。
不動産会社以外にもコンサルタントなどが参入し、節税目的の海外不動産投資が静かな盛り上がりを見せていました。

こうした手法を苦々しく見ていたのが、会計検査院です。
日本の税法での建物の使用可能年数の考え方が「国外にある物件には適合していない恐れがある」とし、富裕層が多い東京・麹町税務署管内などの延べ2万8千人超の確定申告書を分析して実態を調査しました。
その結果、賃料収入を上回る減価償却費を計上し損失を出している例が多いと分かったようです。
「損益通算して所得税額が減ることになり、公平性を高める検討が必要」と指摘し、2016年には見直しを求める検査報告も出しています。

不動産業界は、この節税策が「間もなく使えなくなる可能性がある」とみて駆け込み営業を展開しました。
分譲大手が2017年秋に実施したセミナーに出席した男性投資家も「2018年以降に制度が変わる可能性への言及があった」と話しているようです。

だがフタを開けると、今回は“温存”されました。
制度変更では他に優先度の高い項目が多かったためのようです。
減価償却制度を海外不動産の耐用年数を踏まえたものに変えるには大幅な作業も伴い、「それなりの時間がかかる」(減価償却制度を担当する財務省の税制第3課)ようです。
過去には、検査院が2010年に問題を指摘した中小企業への租税特別措置の見直しが、2017年までずれたこともあります。

それでも財務省の担当者は「検査院報告は重く受け止めており、海外不動産の実態把握がまず必要」と強調しており、節税策を放置するつもりはないようです。
数年単位の時間がかかりそうだが、見直しが実現すれば、日本の高所得者層による海外不動産の取得動向も変化してきそうですね。

会計検査院は頑張っていますね。
たまに、疑問符の付く調査もしていますが(笑)。
あとは、こういったこともあり、国税局も節税について研究しており、節税策はどんどんふさがれているという印象ですね。
税理士として、なかなか節税策を提案しにくい時代になってきていますね。
きちんと税制改正のリスクを説明していないコンサルタントなどが、世の中には結構いるような気がしますが、ここはきちんと説明しておかないと危ないですね。

海外不動産を使う節税が見直されそうなことについて、どう思われましたか?

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事前確定届出給与の節税リスク!

みんなの経営応援通信(ソリマチ)で、松嶋洋整理士によると、通常、役員に対する賞与は経費になりませんが、それが事前確定届出給与に該当すれば、適正額の範囲内において、特例として経費として認められます。

事前確定届出給与は役員に対する賞与のうち、支給時期・支給金額を事前に確定させた上で、これらの事項を所定の期日までに税務署に届け出て、その定めの通りに支給するものをいいます。

事前確定届出給与については、届け出た支給時期に、届け出た支給金額をそのまま支給する必要があります。

このため、ケアレスミスに非常に厳しい制度です。

2,800万円支給すると届け出たにもかかわらず、2,500万円支給してしまった事例について、この全額が経費として認められなかった事例もあります。

その一方で、届け出た通りに支給されたかどうか、その判断は役員ごとに見ることになっています。

例えば、役員がAとBの2人いる場合、Aについては届け出たとおりに支給したものの、Bについては賞与を支給しなかった場合、Bは支給していないので経費になる金額は0になりますが、Aに支給した役員賞与は事前確定届出給与として認められます。

この点を踏まえ、使い方によっては大きな法人税の節税が可能になると言われています。

具体的には、複数の役員について事前確定届出給与の届出を出します。

その上で、利益状況や資金繰りを見ながら、全員に支給できる場合には支給をし、それが難しい場合には支給する役員を絞って、できる範囲内で支給をするのです。

具体例を示すと、4人の役員に300万円の賞与を支給する事前確定届出給与の届出をしておき、当期の利益見込みが賞与抜きで600万円と算定されれば、このうち2人だけ支給すれば利益はゼロにできます。

こうすることで、資金繰り上無理のない範囲で効果的に法人税を節税できます。

このスキームについて、実際、税務署から問題視されたという話は聞いたことがありません。

しかし、問題視されうる点として考えられることとしては、本スキームは会社の状況によって支給有無を決めるというものですから、予め支給時期・支給金額が確定した賞与とは言えないという点です。

確かに、事前確定しているかどうか、その判断は役員ごととされていますが、少なくとも届け出るタイミングにおいては、届出どおりに支給することが確定しておかなければならないはずです。

このスキームは、利益状況などによって柔軟に賞与の支給を決めるというものですから、届け出るタイミングでは支給が確定しているとは言えません。

実際、事前確定届出給与の趣旨としても、柔軟に賞与を支給できるなら、いくらでも法人税を節税できることを問題にしたために、事前に届け出ることを要件としています。

そうなると、事前確定届出給与の趣旨からして問題があり、予め確定していない賞与であることから要件を満たさないとして、問題視されることはあり得ると考えられます。

その反面、税務署にとっても、上記のような理屈で事前確定届出給与に当たらないと指摘することは非常に難しいことも事実です。

なぜなら、事前確定届出給与の届出を行うタイミングでは実際に支給する意図はあった、と抗弁された場合、それは会社の内心の問題だからです。

内心の問題である以上、その立証が困難ですから、税務調査においては税務署と交渉の余地は大きいと考えます。

なお、納税者の内心が問題になる場合、税務調査ではメールやLINEなどの記録が根拠となることが通例です。

電子取引が普及し、電子取引の電子保存の義務化がスタートした昨今、会社のパソコンは当然に確認される資料になっていますので、この点も注意が必要になります。

事前確定届出給与の届出をしている企業は多いのではないかと思いますが、気をつけたいですね。

また、役員退職金を支給する際に一般的に認められると言われている計算式の最終報酬月額には含まれないことや、支給日以前に亡くなってしまった場合はもらえないという点には、留意して使わないといけないですね。

事前確定届出給与の節税リスクについて、あなたはどう思われましたか?


年収798万円以上の厚生年金保険料の2027年9月から「3段階で引き上げ」案を厚生労働省が調整!

読売新聞によると、厚生労働省は、通常国会に提出する年金改革関連法案に関し、年収798万円以上(賞与を除く)の会社員らが支払う厚生年金の保険料を2027年9月から3段階で増額する方向で調整に入ったようです。

2029年9月までに現在の月59,475円から約9,000円増やします。

厚生年金の保険料は、月収の水準によって32に区分した基準額である「標準報酬月額」に基づき、算出されます。

現在は最も高い区分の基準額は65万円に設定されており、上限の基準額を2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円に引き上げます。

厚生年金の保険料は、現在は年収がどんなに高くても、本人負担は月59,475円ですが、上限の引き上げに伴い、該当する年収の会社員らの保険料負担が増えます。

厚生労働省は2027年9月に上限額を75万円に引き上げる方針でしたが、段階的にすることで負担を緩和するようです。

少し前の有識者会議で話題にのぼっていたので、改正されると思っていましたが、引上げられてしまいますね。

これを利用して、社会保険料を抑えるということが行われていますが、考え直さないといけなくなるでしょうね。

年収798万円以上の厚生年金保険料の2027年9月から「3段階で引き上げ」案を厚生労働省が調整していることについて、あなたはどう思われましたか?


災害時は避難所などに活用のコンテナホテルが香川県丸亀市にオープン!

瀬戸内海放送によると、不動産事業などを営むデベロップ(千葉県市川市)が、香川県丸亀市にコンテナホテル「HOTEL R9 The Yard 丸亀」を9月18日にオープンさせます。

高松自動車道の坂出ICから車で3分のところにある3,386平方メートルの敷地に50台のコンテナを並べ、広さ13㎡のダブルルームとツインルームを合わせて45室設置します。
料金は1人利用が6,200円から、1室2人利用で8,700円からとなっています。

このコンテナホテルは、平時はホテルとして運営し、災害など有事の際は被災地へ移設し、避難所などとして機能する「レスキューホテル」の役割を果たします。

デベロップでは2018年以降、全国で89棟のコンテナホテルを営業していて、これまでに新型コロナ関連の医療施設として7棟がレスキューホテルとして利用されたということです。

現在、丸亀市と災害協定を結ぶ準備を進めているということです。

デベロップのコンテナホテルは四国では愛媛県四国中央市に続く出店で、香川県では初出店となります。

丸亀市周辺の臨海部に集積している工場関係者の利用をメインに、インバウンドの利用も見込んでいるということです。

このニュースを見ると、コンテナホテルができるのかぁという感じですが、実は、節税商品なのです。

会計事務所には少し前から郵便等が送られてきたりしていると思いますが、今年のゴールデンウィークに岩国基地に行ったときに、行く途中の道に、「HOTEL R9 The Yard」があって、結構きれいで、部屋と部屋の間にほどよい距離があるので、少し見たり、写真を撮ったりしましたが、最近は震災が増え、南海トラフなどの震災のリスクも高まっていることから、しばらくはコンテナホテルは増えるだろうなぁと思いました。

災害時は避難所などに活用のコンテナホテルが香川県丸亀市にオープンすることについて、あなたはどう思われましたか?


節税をすると景気がよくなる?

ダイヤモンドオンラインによると、「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか?、あるいは「副業」をしたほうがいいのか?、それとも「起業」か?、「転職」をすべきなのか?と感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しいそうです。

なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。
それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすることです。
稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。

なぜ、節税すると景気がよくなるのでしょうか?
節約をしてお金を貯め込むよりも、お金を経費として使って豊かな生活を送るほうが、圧倒的に早く裕福になれます。
なぜなら、お金を経費として使うと、社会貢献活動とみなされて、税金がかからなくなるからです。

私たち日本人は、実質的に約6割もの莫大な税金を支払っています(財務省発表の潜在的国民負担率)。
ところが、お金を経費として使えば、その分だけ税金が免除されるのですから、かなり大きいです。

なぜ、そんなことができるのでしょうか?
それは日本の税金が、「景気に貢献した人に対してご褒美を与える仕組み」になっているからです。

景気に貢献するのは簡単です。
経費というお金を使えば、誰でも景気に貢献できます。

なぜ、経費というお金を使うと、景気がよくなるのでしょうか?
それは、お金を使えば使うほど、日本のGDPが増えるからです。

GDPの計算式は単純で「GDP=消費+投資+政府支出+(輸出-輸入)」です。
経費としてお金を使うことを投資といいます。
だから、会社や個人事業主が経費を使うほどに、GDPが増える仕組みになっているのです。

経費としてお金を使うことを、専門用語で「節税」と言います。
つまり、国民が一斉に「節税」に取り組めば、日本のGDPはすぐに拡大するのです。

GDPが増えることを、俗に「景気がよくなる」といいます。
「金は天下の回りもの」といいますが、貯め込むよりも使ったほうが、GDPが拡大して、日本の景気はよくなるのです。

では逆に、経費を使わずに、お金を貯め込むとどうなるでしょうか?

皆が「節約」をして、お金を使わずに貯め込むと、消費も投資も少なくなります。
その結果、GDPが減り始めます。
GDPが減るということは、景気が悪くなります。

私たちは、平成の失われた30年間で、身をもってその悪夢を体験してきました。
この間ずっと、日本の企業は投資を控えて経費を節約し、お金(内部留保)を貯め込んできました。
投資(経費)が減るのですから、当然GDPが減ります。
だから平成の30年はずっと、景気が悪かったのです。

景気が落ち込むと、給料も減りますし、国の税収も減ります。
その結果、国の財政赤字が膨らみます。
国の借金は平成の30年間で5倍にも膨らみましたが、景気悪化で税収が減ったのですから当然です。

税法は、お金を貯め込むと税金をかけて、お金を使って投資をすると税金を免除する仕組みになっています。
貯めるか投資するかによって、日本の景気が左右されるのですから、理にかなった仕組みです。

そうであるなら、私たち日本人は、もっともっと「節税」という社会貢献を行うべきです。
「節税」は社会貢献になるだけでなく、私たちの生活を豊かにしてくれます。

しかしながら、残念なことに、サラリーマンという身分には、「節税」がほとんど認められていません。
節税できないので、どんなに一所懸命頑張って収入を増やしても、税金という名の罰金をかけられてしまいます。

そこで、サラリーマンを続けつつも、サラリーマンとは別の身分を獲得して、「節税」という名の社会貢献をしてみてはいかがでしょうか。

方法はいたってシンプルです。
「稼ぎ口二刀流」を使えば、サラリーマンとは別の身分を獲得できます。
「稼ぎ口二刀流」とは、給料以外に、2つ目の稼ぎ口を作る生き方です。

なぜ2つ目の稼ぎ口を作る必要があるのでしょうか?
それは、雇われる稼ぎ方では、どんなに逆立ちしても、永遠に「節税」できないからです。

でも、雇われない稼ぎ方であれば、好きなだけ「節税」ができます。
だからこそ、給料とは別に、雇われない「2つ目の稼ぎ口」を作るのです。

平成は「節約の時代」でした。
だから、失われた30年を引き起こしてしまいました。

でも、令和は違います。
令和は「節税の時代」です。
失われた30年を取り戻すためにも、がんがん節税して、日本の景気を盛り上げていきましょう。

この記事の、『経費としてお金を使うことを、専門用語で「節税」と言います。』というところは、個人的にはすごく違和感を感じますが、消費を増やせば、日本の景気がよくなるというのは、以前から言われていることですが、そのとおりだと思います。
もちろん、副業で経費を使いすぎて赤字となって給与と損益通算すると税収が減るので、税金を支払うことも重要なことだと思いますし、無駄な経費を使う必要はないと思いますが。

節税をすると景気がよくなる?について、どう思われましたか?


金融庁が節税を主目的として販売される保険商品への対応で国税庁との更なる連携強化!

「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」について、2019年の国税庁による法人税基本通達改正の周知、いわゆるバレンタインショック以降、金融庁からも累次にわたり注意喚起を行い、監督指針の改正等を実施してきたところですが、依然として、保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動が確認されており、保険契約者保護の観点で問題が生じています。

金融庁は、今後発生しうる保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動への対応として、国税庁との連携を更に強化し、商品審査段階及びモニタリング段階での取組を通じて、より一層の保険契約者保護を図ることとするようです。

(参考)保険会社向けの総合的な監督指針(抜粋)
II-4-2 保険募集管理態勢
II-4-2-2 保険契約の募集上の留意点 (17)その他 ③その他
(略)
(ウ)法人等の財テクなどを主たる目的とした契約又は当初から短期の中途解約を前提とした契約等の保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を行わせないなど、保険商品のそれぞれの商品特性に応じ、その本来の目的に沿った利用が行われるための適切な募集活動に対する措置
IV.保険商品審査上の留意点等
IV-1-11 法人等向け保険商品の設計上の留意点
法人等の財テクなどを主たる目的とした契約又は当初から短期の中途解約を前提とした契約等の保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる商品内容となっていないか。

商品審査段階
①金融庁から保険会社に対して、国税庁への税務に関する事前照会を慫慂
②保険会社から同意を得た上で、必要に応じて、金融庁からも国税庁に事前照会を実施
③金融庁において、事前照会の結果を商品審査で参考情報として活用(事業方法書への募集管理態勢に関する記載の指導等)

モニタリング段階
①両庁の定期的な意見交換の場等を通じて、国税庁から金融庁に対して、保険商品に関する節税(租税回避)スキームの情報提供
②金融庁において、国税庁からの情報や独自に把握した情報を活用し、保険会社・保険代理店における募集管理態勢の整備状況や販売実態等のモニタリング等を実施
③金融庁から国税庁に対して、商品開発や募集現場で利用されるスキームの情報提供

保険商品については、過去からいたちごっこの状態ですが、ここ最近、ようやく保険の本来の趣旨に基づいて販売するようになってきていますが、さらに、縦割りの弊害があった金融庁と国税庁がますます連携を強化するということですね。
先日もとある生命保険会社が業務改善命令を受けていますが、早く、節税ありきでない普通の状況になるといいですね。

金融庁が節税を主目的として販売される保険商品への対応で国税庁との更なる連携強化を行うことについて、どう思われましたか?


金融庁が節税保険で3社に報告命令を出しマニュライフ生命は立ち入り検査!

日本経済新聞によると、行き過ぎた節税が問題となってきた「節税保険」を巡り、金融庁がエヌエヌ生命保険など生命保険3社に保険業法に基づく報告徴求命令を出したことがわかったようです。

金融庁はいずれも節税効果を過度に強調するなど不適切な営業があったとみており、詳しく事情を聴くようです。

報告命令の対象はエヌエヌ生命保険のほか、SOMPOひまわり生命保険とFWD生命保険です。

問題視しているのは「名義変更プラン」と呼ばれる定期保険の一種で、国税庁が2021年6月にこの手法を実質認めない通達改正をしていました。

また、この日までにマニュライフ生命保険に立ち入り検査を始めたこともわかったようです。

4社とも一部の営業現場で節税効果を強調するなど保険本来の趣旨から逸脱した募集をしていた可能性があり、金融庁は詳しく実態を調べる方針です。

金融庁と生命保険会社のいたちごっこはいつまで続くのだろうかと思いますが、生命保険の本来の趣旨は『節税』ではないので、きちんと現状を把握して、処分等が必要であれば厳正に処分等して、業界が信用されるようにしてほしいですね。
僕自身も保険代理店をやっていますので。
この『名義変更プラン』の封じ込めもすべての保険ではなく、封じ込めの対象になっていないものもあるようなので、その辺りもきちんとルールを決めてやらないと、今回の件は良いとして、また、そこを利用した『名義変更プラン』を出してくる生命保険会社もあるのではないかと思いますので、数年後には再び封じ込められていないものの封じ込めがまた必要になるのではないかと思っています。

金融庁が節税保険で3社に報告命令を出しマニュライフ生命は立ち入り検査に入っていることについて、どう思われましたか?


「節税保険」排除へ金融庁と国税庁が審査でタッグ!

日本経済新聞によると、金融庁と国税庁は行きすぎた節税が問題となってきた「節税保険」の排除に向けてタッグを組むようです。
両庁が協力して生命保険会社が設計した商品の内容を審査するほか、現場での募集の実態も調べるようです。
長年にわたって続く生保とのいたちごっこに、今度こそ終止符を打つ狙いです。

節税保険は支払った保険料を会社の経費として損金算入し、課税額を抑えられると称する商品です。
2010年代後半に日本生命保険や第一生命ホールディングス(HD)傘下のネオファースト生命保険などが相次ぎ商品を投入し、中小企業経営者らの需要をとらえて販売が拡大しました。
2018年ごろの市場規模は推定8,000億円以上とされ、生命保険の新規契約全体の3割程度を占めるに至っています。

金融庁は保険商品の認可審査にあたって、近く国税庁と連携します。
脱税や、行きすぎた節税に関する現場の知見を積んできた国税庁が保険商品に悪質な節税目的がないかを金融庁の商品審査部門に助言する。

金融庁は従来、商品認可にあたって「節税につながるかは認可の要素ではなく、補償上問題がなければ認可する」との立場をとってきました。
節税効果を詳細に分析できず、節税保険が蔓延する結果を招きました。
国税庁が入り口段階から審査に絡むことで商品認可のハードルが上がる可能性が高いでしょう。

募集の現場にも介入します。
金融庁と国税庁は顧客にどのような勧誘をしているかについて、保険の販売代理店の調査でも協力します。
ヒアリングを通じて、募集人が本来の趣旨に沿った保険として説明しているか厳しくチェックします。
覆面調査をするかなど連携方法を今後詰めるようです。

省庁をまたぐ異例のタッグの背景には、節税の悪質性が年々高まっていることがあります。
国税庁は2019年6月に保険料の損金算入方法を大幅に見直す通達を出し、「ドル箱」状態だった中小企業の経営者向け保険にメスを入れました。
しかしながら、今度は別の抜け穴をついた「名義変更プラン」と呼ばれる商品が外資系など一部の生保から登場しました。

名義変更プランは定期保険の一種で、解約時の返金率が低いうちに契約者の名義を法人から個人へ変え、返金率が高くなった時期に解約して返戻金を受け取る仕組みです。
解約返戻金は「一時所得」として扱われ、通常の所得より税負担が軽くなります。
国税庁は、2021年6月に実質認めない通達を出しました。

介護保険にも問題が広がりました。
一部の外資系生保が、介護保険を通じて高所得者が子供など親族に非課税でお金を移せる手法として打ち出しました。
国税庁は2021年3月、介護保険で保険金の非課税制度を悪用した節税手法を取らないよう生保業界に注意喚起しました。

金融庁も2021年11月の生命保険協会との意見交換会で、節税保険も含め「適正な保険募集の徹底を改めてお願いしたい」とくぎを刺しました。
金融庁幹部は「節税効果の有無にかかわらず、顧客のための商品でなければ保険として意味をなさない」と話しています。

これまで金融庁と国税庁は事務的なやりとり以外は別に動いていました。
金融庁は顧客の保護、国税庁は税金の適正な徴収と行政目的が違うためです。
今回の連携について金融庁幹部は「保険商品の税務面での知識不足を補える」、国税庁幹部は「個別では対応しきれない部分に手がまわり、抑止力につながる」と意義を語っています。

一方、生保業界からは不満もこぼれます。
ある大手生保幹部は顧客への商品説明の充実は重要としながらも、「問題が長年収束しなかったのは、商品にお墨付きを与える当局にも責任の一端があるのではないか」と本音を漏らしています。

生命保険協会によれば、2020年度の個人保険(経営者保険含む)の保有契約高は815兆円と5年前比で5%減少しました。
人口減や若者の保険離れが進むなか、業界全体として売りやすい保険に飛びついた面は否めません。
今回の商品審査見直しをきっかけに、経営者向け保険のあり方について生保業界全体として真剣に考える必要があるでしょう。

個人的には、今まで連携していなかったからこそ、節税保険がはびこることになったのではないかと思っていますので、あまりにも遅すぎる気はしますが、今回の連携は良いことではないかと感じています。。
規制のきっかけとなった日本生命のプラチナフェニックスなんかは、保険金が支払われることがあまり想定できず、何のための保険か?、言い換えれば、節税目的しかないという感じの商品ですから。
名義変更プランもかなり前から、あまり税務の知識のないと思われる保険会社の担当者や保険代理店の担当者が積極的に勧めていましたから。
税務の現場にいる人間からすると、常識的に考えて、節税目的ではないということを示すのは限られたケースだと思いますので、リスクが高いというのは明らかですけどね。
あとは、『節税』と一括りにされていることが多いですが、本当に『節税』になる『狭義の節税』と単に課税を繰り延べているに過ぎない『課税の繰り延べ』の違いを、保険を販売する側も保険に入る側もきちんと理解しておかないといけないのではないかと思います。

「節税保険」排除へ金融庁と国税庁が審査でタッグを組むことについて、どう思われましたか?


トランクルームが8年間で12,000店に倍増!

日本経済新聞によると、国内でトランクルーム市場が拡大しているようです。

新型コロナウイルス禍で在宅勤務が広がり、自宅で働くスペースを確保するために荷物を預ける人が増えています。
店舗数は2021年に12,000店を超え、ファミリーレストランの店舗数を上回る規模になりました。
新規参入が相次ぎ市場拡大は続く見通しですが、用地取得を巡る競争は激しさを増しています。

大手のキュラーズ(東京都品川区)は、東京23区では1畳当たり月13,000円台からトランクルームを提供しています。

キュラーズによると、国内のトランクルームの店舗数は2021年8月時点で約12,000店で、ファミリーレストランの店舗数(2021年8月時点で10,305店)を上回りました。

コロナ前の2019年末比で11%増え、直近8年間でほぼ倍増しています。
国内の市場規模(屋内型と屋外型の合計)は2020年で約670億円と、10年前から約2倍に拡大しました。

都内で13店舗を運営しているトランクルーム東京(東京都港区)では、利用者の9割が個人でファミリー層が中心です。
趣味のスキーやサーフィン用具などを使わない季節に預ける人もいます。

足元で増えている顧客が、コロナ禍で在宅勤務を始めた会社員です。
自宅にパソコンやモニターを置き、快適に仕事をするスペースを確保するため、すぐに使用しないモノをトランクルームに収容するのです。

「ハローストレージ」ブランドで展開するエリアリンクも事業は堅調に推移しています。
全国で運営する10万室弱の2021年12月時点の稼働率は約86%と上場以降で最高水準に達しています。
2021年は1,000室を新規出店する計画でしたが、1,600室を超えました。
2021年12月には新ブランドとして小型店の出店を開始し、新たなニーズを掘り起こします。

市場の成長が続く背景には、日本の住まいの狭さもあります。
国土交通省によると、日本の新設住宅の1戸当たり床面積は2020年度に約82平方メートルと、20年前から約15平方メートル減りました。
1人当たりの住宅床面積を国際比較すると、日本はアメリカやフランス、ドイツより狭くなっています。
自宅近くのトランクルームに、普段は使わない品を収容したいというニーズは強まっています。

キュラーズのスティーブ・スポーン社長は、国内市場について「年率で前年を1割程度上回るペースで成長が続く」とみており、市場規模は2026年に1,000億円を超えると予測しています。
キュラーズによると、アメリカのトランクルームの世帯普及率は10%ほどで、1%にも満たない日本は成長余地が大きいです。

トランクルームは駅前や大通り沿いなど利便性の高い立地の出店で成長してきた側面もあります。
成長を取り込もうと新規参入組も増えるなか、最適な土地を巡る取得競争も激化しています。

「新型コロナの影響でこの2年は売り案件が減っている」(業界関係者)。
好立地の土地や不動産価格は上がっており、採算が取りにくい物件も目立ってきたそうです。

個人が融資を受けて物件を建て、運営を企業に委託するケースも多いようです。
投資物件としての魅力が下がれば、店舗の増加にブレーキがかかる可能性もあります。

比較的少額で始められる投資物件として収益性が高く、節税にもなるため、人気が高いようですね。
最近、節税や運用のニーズが増えてきているように感じていますので、今度、セミナーを受講して、詳しい内容を聴いてみたいと思っています。

トランクルームが8年間で12,000店に倍増していることについて、どう思われましたか?


今から年末にかけては節税の機会!

今年も節税を考える時期になりました。
所得税は1~12月の暦年単位で課税されます。
この先1か月強の対応次第で、今年分の納税額が変わることもあります。
自分に該当しそうなケースを確認し、無理のない範囲で対策をしよう。

日本経済新聞によると、「投資をしている人は、年内に売却して損益を確定させるかを考えておきたい。」と、辻・本郷税理士法人の浅野恵理税理士は今年の注意点として、株や投資信託などの投資損益の確認を挙げています。

今年は日経平均株価が31年ぶりの高値を付けるなど、株価は高値圏での推移が目立ちました。
既に大きな売却益を出した人もいるでしょう。
投資で利益を実現した年は含み損を抱えた銘柄を売り、損失を確定させる機会でもあるのです。

株式や投資信託などを売却して利益を出したり、配当や分配金を受け取ったりすると、通常は所得税(復興特別税を除く、以下同じ)15%がかかります(このほかに住民税が5%かかります。)。
ただし、課税対象となる利益は1年間の損益を通算した結果で、損失が出れば、その分税額は減ります。
損失を実現させるのは痛いですが、節税になれば多少はカバーできるともいえるでしょう。

多くの個人投資家が利用する「源泉徴収ありの特定口座」では、税は源泉徴収(天引き)されます。
今年、既に売却益を出した口座で年内に別の銘柄を売って損失を確定させれば、売却益から源泉徴収された税が戻るのです。

複数の証券口座で損益通算をする場合には確定申告をする必要があります。
例えばA証券で100万円の利益、B証券で40万円の損失が出た場合、いずれも源泉徴収ありの特定口座で、そのままなら所得税はA証券が15万円、B証券はゼロですが、確定申告をすると、差し引き60万円の利益となり所得税は9万円となり、払いすぎた6万円が戻ってきます。

2018年までの年間の投資損益も確認しましょう。
通算の運用成績がマイナスの年があれば、節税できる可能性があります。
投資で発生した損失は翌年から3年間繰り越せるからです。

例えば、2018年に差し引き100万円の損失があれば、今年までの3年間、累計100万円までの利益は非課税となるのです。
特に2018年分の損失は2021年が利益を通算できる最終年となります。
繰り越しの損失があれば、年内に含み益のある資産を売却して利益を確定させてもよいでしょう。
繰越損失の分、課税額を抑えられるからです。

ただし、損失の繰り越しをするには確定申告が必要です。
源泉徴収ありの特定口座で取引し、過去に損失があった年以降、確定申告していなかった場合は「期限後申告」ができます。
昨年に損失があれば、まず期限後申告をして、今年の取引分を来年確定申告するのも手です。

投資以外の所得税の節税で、身近なものが医療費関連でしょう。
まず、1年間に病気やケガで医療機関に払った治療費や医薬品代などを確認しましょう。
一緒に暮らす配偶者や子どもなどの分も含め10万円(所得金額が200万円未満の場合はその5%)を超えると医療費控除の対象となります。
10万円もしくは所得金額が200万円未満の場合はその5%を超えた金額が課税所得から引かれ、税負担が軽くなるのです。

既に10万円以上か、あと少しで超える、というときには「自分で時期を選べる、虫歯の治療や入れ歯作りなどを年内に済ませれば節税効果がある」(税理士の藤曲武美氏)。
手元にお金がないときはクレジットカードを使うのも一案です。
銀行口座からの引き落としは年明けでも「年内に窓口で支払い手続きをすれば今年の所得から控除できる」(岡田俊明税理士)。

医療費が10万円を大きく下回る場合でも「セルフメディケーション税制が使えるかもしれない」(ランドマーク税理士法人の清田幸弘代表税理士)。
市販の「スイッチOTC医薬品」の年間購入額が1万2,000円を超えれば、超えた金額(上限8万8,000円)を課税所得から控除できます。

対象の医薬品はパッケージに表示があるほか、「★」を付けるなどレシートでも区別されています。
購入額が1万2,000円以上やそれに近い場合、確実に使う分を年内に買うのも一案です。
風邪薬や胃薬など対象は広くなっています。
ただし、制度の利用には予防接種の領収書や健康診断の結果通知表などが必要です。
また、医療費控除との併用はできません。

そのほか、ふるさと納税の利用額や16歳以上の子どものアルバイト収入も確認しておきましょう。
ふるさと納税は所得に応じた一定額までは、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れます。
子のアルバイト収入は103万円を超えると扶養控除の対象外になります。
節税目的で収入を抑えるなど無理をする必要はありませんが、後でがっかりする事態は避けられるでしょう。

税理士として確定申告のお手伝いをしていると、もったいないなぁと思うケースが時々あります。
税務は知らないと損をして、知っていると得をするという面がありますので、今から年末に向けて、色々とチェックをすると、予想外の節税につながるかもしれませんよ。

今から年末にかけては節税の機会であることについて、どう思われましたか?


令和2年度は大企業1,000社が減資で中小企業に衣替え!

産経新聞によると、大企業が資本金を減らす「減資」の手続きを取り、税制上の「中小企業」に衣替えした事例が、令和2年度は約1,000社に及んだことが分かったようです。
財務悪化のイメージダウンは避けられませんが、資本金が1億円以下になると税負担が軽くなるのです。
ただし、本来は経営体力に乏しい企業のための優遇措置を大企業が受けることには、批判も根強いものがあります。
資本金の多寡で負担が変わる税制の見直しにつながる可能性もあるでしょう。

東京商工リサーチによると、令和2年度に資本金を1億円超から1億円以下に減らした企業は997社と、前年度の1.4倍に急増しました。
飲食業では「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトや居酒屋「はなの舞」を運営するチムニー、旅行関連ではスカイマークやJTBが名を連ねます。
令和3年度に入っても減資企業は後を絶たないようです。

減資企業の最終損益の内訳をみると、黒字企業は令和元年度の54.9%から令和2年度は43.9%に減ったのに対し、赤字企業は27.9%から38.6%へと増えました。
新型コロナウイルス禍で痛手を負った企業が減資に動いたことをうかがわせます。

資本金が1億円以下になると、税負担軽減のメリットがあるのです。
法人税率の引き下げが期待できるほか、法人事業税については赤字でも収める必要がある外形標準課税が免除されます。

資本金は、企業の〝格〟を示す指標とされてきました。
しかしながら、日本総合研究所の小谷和成主席研究員は「資本金の額が大きいほど『安心な企業』と見なす資本金信仰は薄れてきた」と指摘しています。
減資しても、銀行などが融資の際に重視する純資産自体が減るわけではないというのがその理由です。

とはいえ、中小企業の経営を支援するための措置を大企業が利用することには厳しい目が向けられてきました。
平成27年には、シャープが減資を試みたものの、批判を受けて1億円への減資を行いませんでした。

与党の平成28年度税制改正大綱には、中小企業への課税を実態に即して見直すことが盛り込まれましたが、実現には至っていません。

大和総研の斎藤航研究員は「中小企業の支援や税の公平性という観点から、従業員数などの基準も活用し、企業規模を把握することが望ましい」と語っています。

コロナ禍のもとでの減資増加をきっかけに、中小企業の課税をめぐる議論が再び活発化する可能性があります。

資本金1円で会社が設立できる時代に、資本金で会社の規模を判定し、優遇税制も変わってくるというのは、時代錯誤だと思いますし、早く見直したほうがいいと思っています。
また、法人税関連の優遇税制は、資本準備金などを考慮しない資本金のみで判断しますので、そこも見直す必要があるのではないかと思います。
ちなみに、黒字でも赤字でもかかる地方税の均等割は、資本準備金などを考慮した『資本金等の額』で判断されます。
資本金よりは、従業員数とか売上高とか利益とかで判断するほうが実態に合っているでしょうね。
それはそれで、そこを外すような手法が出てくるんでしょうけど。

令和2年度は大企業1,000社が減資で中小企業に衣替えしたことについて、どう思われましたか?


「節税保険」を巡る国税庁と生保との攻防が再燃!

日本経済新聞によると、生命保険会社が販売する経営者向け保険を巡る国税庁と生保業界の攻防が再燃しそうです。
課税を免れていると問題視する国税庁が2019年に続き、2021年6月にも再びメスを入れる検討に入りました。
解約返戻金を低く抑えた種類の商品でできた「抜け道」をふさぐためですが、10年以上続くいたちごっこが終わる気配はありません。

国税庁は生保各社に課税手法を見直す検討に入ったことを伝えました。
先日、詳細を説明しました。
経営者保険だけでなく、介護保険を通じた節税手法も問題視しています。

国税庁は2019年に損金算入できる保険料の範囲を制限しています。
これにより、生保各社は一斉に同保険の販売を停止しました。
いたちごっこは終止符が打たれたかに見えましたが、実体は抜け道ができていたのです。

経営者向け保険の中には、保険に加入した初期の解約時の返戻金を抑えた商品があります。
低い返戻金で会社から経営者に保険の名義を移し替える際の課税額を抑え、経営者は返戻金が増加した後に解約して節税効果を得る手法が広がっていたとされます。

今回、国税庁が見直す新たな課税手法では解約返戻金が保険料の支払額などから算出される保険の資産計上額の一定割合を下回る場合に資産計上額で課税額を算出する方針です。
2019年7月8日以降の契約が対象になります。
経営者は名義変更時の課税額が増え、節税が困難になるでしょう。

ただし、国税庁と生保業界のいたちごっこは10年以上続く古くて新しい課題なのです。
2006年、国税庁の要請を受けて、「節税商品」とうたい販売していた長期傷害保険を金融庁が問題視しました。
当時は節税にならないという苦情が寄せられたためで、販売トラブルの温床にもなっていました。

会計事務所は保険代理店をやっているところが多く、一時期、色々な代理店がこのタイプの保険を提案しに来たのですが、直感的に、こんなものが認められるはずはなく、否認されるリスクもあり、将来的には防がれるだろうなぁと考えていました。
提案があったときに、代理店の人に、『合理的な説明ができないと税務上のリスクが高いと思いますが、合理的な理由ってありますかね?』と必ず聞いていたのですが、まともに答えられる代理店はほとんどありませんでした。
根本的に、節税をうたわないと保険商品が販売できない人が多いというのは非常に残念に思いますね。
それゆえ、僕自身は、お薦めはしていません。
あと、以前、とある方に、顧問税理士のセミナーでこの節税方法の話があって、実行したら、責任が持てないからと言って顧問契約を切られたということを伺いました(笑)。
個人的には、過去の契約すべてを対象にすべきではないかと思います。
生保業界は、前回(2019年)はバレンタインデーショック、今回(2021年)はホワイトデーショックと言われ、大変でしょうね。

「節税保険」を巡る国税庁と生保との攻防が再燃していることについて、どう思われましたか?


JTBが1億円に減資して「中小企業扱い」で税負担を軽減!

日本経済新聞によると、JTBが資本金を現在の23億400万円から1億円に減資することが、先日、わかったようです。
税制上、中小企業とみなされることで税負担を軽くするほか、今期発生する巨額損失の補塡原資を確保する狙いがあります。
増資で財務を健全にする手もありますが、引受先を見つけなくてはなりません。
減資は緊急事態宣言の影響を受けた航空や飲食業界でも相次いでいます。
外出自粛による苦境は一段と深まっているようです。

JTBは、2021年2月12日の株主総会で決議済みで、3月31日付で実施します。
JTBの2020年4月~9月期は781億円の連結最終赤字に転落しました。
株主資本のうち利益剰余金は2020年9月末で799億円と、半年でほぼ半減しました。
10月以降も利用は回復せず、2021年3月期は過去最大の1,000億円程度の経常赤字を想定しています。

資本金が1億円以下の企業は税制上中小企業とみなされ、税負担が軽くなります。
大企業と特に異なるのは欠損金と、地方税である法人事業税の扱いです。

企業が赤字になり欠損金が生じた場合は、来期以降に欠損金を繰り越して税負担を圧縮することができます。
資本金1億円以下の中小企業は、大企業よりも圧縮割合を多くすることが認められているため、新型コロナウイルスの感染拡大によって大きな赤字が発生する一方で、一定の回復が見込めればメリットが大きいのです。

欠損金とならび、中小企業にメリットがあるのが地方税です。
地方税である法人事業税は「外形標準課税」と呼ばれる仕組みを採用しています。
赤字であっても一定程度の税負担を求める仕組みですが、対象になるのは資本金1億円超の法人のみです。

資本金1億円以下に減資して外形標準課税の対象から外れれば、法人事業税の支払いを抑えることができ、手元資金を確保できます。
飲食業界ではカッパ・クリエイトやチムニーなどが1億円への減資を表明しており、航空業界でもスカイマークが資本金を90億円から1億円に減資して配当原資などに充てる方針です。

JTBも中小企業になることでキャッシュアウトをまずは抑え、来期以降の再浮上に備えて手元資金をできるだけ確保する環境を整える狙いがあるようです。
ただし、旅行業界を取り巻く環境は依然として厳しいものとなっています。

観光庁によると、JTBの旅行取扱高は2020年5月に前年同月比96%減の51億円まで落ち込みました。
需要喚起策「Go Toトラベル」事業の効果で国内旅行は11月に同28%減まで回復したものの、感染再拡大により12月には同41%のマイナスとなりました。
業界全体で影響は甚大で、12月は海外旅行が主力のエイチ・アイ・エス(HIS)は同87%減、近畿日本ツーリスト各社を傘下に置くKNT-CTホールディングスは同56%減となりました。
緊急事態宣言が追い打ちをかけ2021年1月以降はさらに落ち込んでいるもようです。

緊急事態宣言が3月に解除されても観光がすぐに回復するかは不透明で、海外旅行に至っては「来年以降になる」(旅行大手首脳)という見方が多いようです。
JTBの売上高に占める海外旅行の割合は3割強にも及んでいます。

JTBは国内店舗を統廃合で25%削減するほか、早期退職や採用抑制でグループ全体で6,500人の社員を減らす計画を打ち出していますが、観光の低迷が長引けばさらなる構造改革に踏み込まざるを得ません。
コロナ禍は1年以上になり、旅行や外食などはいよいよ厳しい状況に追い込まれています。

JTBも減資をするんですね。
資本金は1円でも会社設立できる時代ですから、資本金で会社規模を判断し、税制の優遇などを図る時代ではなくなってきていると言えるでしょう。
そろそろ資本金で判断するというルールを見直さないといけないでしょうね。
売上高とか従業員数とか株主の属性とかで判断し、中小企業の範囲を狭くする方が良いのではないかと考えています。
一方で、「Go Toトラベル」は政治家とつながりの深い旅行業者の救済のために行われているのかもしれませんが、一定規模以上の組織であることが必要な国の恩恵を受けられる施策は大企業じゃないと応募できないようなアメとムチを用意しないといけないのではないかと思います。
ちなみに、減資は、事業承継税制の打ち切り要件になりますので、気をつけましょうね。

JTBが1億円に減資して「中小企業扱い」で税負担を軽減することについて、どう思われましたか?


トランプ大統領が「会計はスポーツ」と過去の損失巡る報道を一蹴!

 ロイターによると、アメリカのトランプ大統領は、先日、過去の事業で総額10億ドル超の損失を計上したとの報道を受け、会計処理は「スポーツ」のようなものと主張し、自身の業績を擁護する姿勢を示しました。

アメリカのニューヨーク・タイムズ(NYT)はその前日、トランプ大統領が1985年から1994年にかけて、カジノやホテル、マンションなど中核事業で11億7,000万ドルの損失を負い、この10年間のうち8年は納税の必要がなかったと報じました。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で、資産の減価償却に絡む多額の損金処理や非金銭損失によるものと説明し、報道は「非常に古い情報」と一蹴しました。

さらに「税金対策として損失を計上したいわけで、多くの不動産開発業者がやっていることだ。スポーツのようなものだ」と述べました。

アメリカ大統領候補は通常、選挙中に確定申告書を公表するようですが、トランプ大統領はこれまで開示を拒否してきています。

僕は会計業界に身を置く人間なので、会計処理は選択適用の余地があること、不動産関連の事業は設備投資が多額になるため減価償却費も多額になることなどから、トランプ大統領の言っていることは理解できます。
ただし、大統領は税金を取る側の立場にあると思いますので、『税金対策』というのはどうなんでしょうね?
日本では、最近、『税金対策』というものが認められなくなってきているように感じますが、もし、日本の総理大臣がこのような発言をすると、『税金対策』がやりやすくなるのかもしれませんけどね(笑)。

トランプ大統領が「会計はスポーツ」と過去の損失巡る報道を一蹴したことについて、どう思われましたか?


節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情!

 「正直なところ、拍子抜けしましたね」。
ダイヤモンドオンラインによると、2019年4月10日夜、生命保険会社42社が集まった拡大税制研究会が終わると、参加した幹部たちは口々にそう話しながら会場を後にしていったようです。
この日の会合には、国税庁の幹部が出席。注目を集めていた節税保険(法人定期、経営者保険)を巡る新たな税務処理案を生保各社に示したものの、その内容は腰が砕けたかのような手緩いものだったようです。

今から2か月前、同じ会合の席で国税庁は、新種の節税保険が登場しては通達で厳しく規制してきた経緯を踏まえて、「業界とのいたちごっこを解消したい」「個別通達を廃止し、単一的な(資産計上)ルールを創設する」と言明しました。
また、新たなルールは、既契約にも影響が及ぶことをちらつかせ脅しをかけるなど、今にも鉄槌を下ろそうかという勢いでした。

その様子を見て、生保や販売代理店は震え上がり大騒ぎになったわけですが、2019年4月10日の会合では意見募集(パブコメ)にかける前の段階で早々と、「既契約への遡及はしない」という方針を国税庁は示しています。

さらに、新たな損金算入ルールにおいても、提示した案ではピーク時の返戻率が50%超から70%以下なら6割、返戻率70%超から85%以下なら4割を認めるとしており、「意外にも損金算入の割合が大きくてホッとした」との声があちこちで漏れたほどだったようです。

「OBたちを見殺しにできないということじゃないですかね」と、国税庁の腰砕けの規制案について、大手生保の幹部はそう解説しています。

そもそも節税保険は中小企業の経営者をターゲットにしており、保険会社の代理店として経営者に販売している主役は税理士たちです。
国税庁OBの多くが税理士として活躍する現状で、食い扶持を奪い、果ては受け取った販売手数料を戻入(れいにゅう)させるような税務処理の見直しには、なかなか踏み込みにくいというわけです。

加えて、足元では統一地方選があり、2019年夏には参院選、10月には消費増税を控える中で、中小企業や税理士団体を敵に回すような施策には、政治家が黙っていないはずという見方もあったようです。

そうした要因が国税庁の判断にどこまで影響したかはまだ不明ですが、規制当局としていかにも弱腰の姿勢をとり、生保業界と裏で握り合っているかのような印象を与えたことだけは確かです。

2019年4月11日以降、新たな税務処理ルールは意見募集にかけられ、早ければ6月に適用となる見通しです。
生保各社も順次、節税保険の販売を再開する傍ら、新ルールの抜け穴を探すいたちごっこが始まることになるでしょう。

個人的には遡及を密かに期待していましたが、予想どおり(がっかり)の感じはしますね。
本当に一度遡及するくらいのことをしないと、今後もやったもん勝ちになるような気はしますが、どうなんでしょうか?

節税保険に国税庁が示した規制案が「腰砕け」になった事情について、どう思われましたか?


国税庁はなぜ「節税保険」にとどめを刺したのか?

 「代理店全体の収入保険料に占める経営者向け保険の割合は約4割を占める。これをどうやって穴埋めするか」
「ここ2~3年は節税保険のバブルだった。年間の手数料で1億円を超えた募集人もおり、(今回の販売休止による)ダメージは大きい」
東洋経済によると、2019年2月14日に生命保険各社が経営者向け定期保険などの販売休止を決定した、いわゆる「バレンタイン・ショック」から1か月後の2019年3月14日に、保険販売代理店の経営者らで構成する「保険乗合代理店協会」が開いた会議で、こんなやり取りが交わされたようです。

販売休止となった経営者向け保険とは、主に中小企業の経営者・役員を被保険者とする保険商品で、会社が契約者となるものです。
経営者の死亡時の保障を円滑な相続・事業承継に活用したり、解約した際に戻ってくるお金(解約返戻金)を退職慰労金などに充てることなどが想定されています。
支払った保険料の全額または一部が税務上、損金扱いできることが多いため、節税目的に活用されることが少なくありません。

この保険は、国内の生命保険会社の約半数に当たる約20社が扱っています。
推定市場規模は新契約年換算保険料ベースで8,000億~9,000億円で、2017年度の個人保険・個人年金保険料の新契約年換算保険料は約2兆6,000億円ですので、その3割にも達しています。
マイナス金利の影響で年金保険など個人向けの貯蓄性保険が縮小する一方で、急拡大している保険商品です。

しかしながら、国税庁が同保険の販売による行き過ぎた節税を問題視したことから、各社が販売を自粛しています。
生保業界全体では経営者向け保険の6~7割の商品が販売休止に追い込まれており、経営者向け保険の全商品の販売をストップした中堅生保もあります。
新たな課税ルールが決まるまで販売自粛が続く見通しで、生保各社の業績に与える影響は小さくありません。

国税庁が問題視しているのは、定期保険に関する税務上の取り扱いです。
定期保険とは、保険期間中に死亡保障を備え、保険料が毎年変わらない保険のことです。
法人税基本通達の中で、契約者が支払う保険料は全額を損金に算入できることが認められているのです。

ところが、定期保険の中には、死亡保険金額が保険期間中に徐々に上がっていく「逓増定期保険」などがあり、これは一部のケースを除いて保険料は全額損金となりません。
こうした保険商品は、支払った保険料の80%以上が解約時に「解約返戻金」として契約者のもとに戻ってくる仕組みをとっており、これだけ多くのお金が戻ってくる以上、保険料は損金ではなく、資産として計上すべき、というのが国税庁の考えです(当たり前の考え方だと個人的にも思いますが。)。

国税庁としては、全額損金扱いにすることを制限することで、過度な節税の動きに歯止めをかけてきました。
しかしながら、近年、「節税保険」の販売競争がヒートアップし、これが国税庁を大いに刺激したのです。

「とにかく違和感があった」
都内で複数の生保商品を扱う乗合代理店経営者は、2017年4月に発売された日本生命の「プラチナフェニックス」に初めて接した際の印象をこう語っています。
同商品は、死亡保険の保障がついた定期保険だが、保障開始から最初の10年間の「第1保険期間」は、病気による死亡は保障せず、ケガや事故などの保障(傷害死亡保険金)だけになっている。
この商品では加入から10年目に解約返戻率(既払い保険料に対する解約返戻金の割合)がピークに達し、そこで解約すれば、保険料の80%以上が戻ってくる設計になっています。
しかも、国税庁の基本通達にのっとって開発されており、保険料は全額損金扱いが可能とうたっていました。

「いつかは国税庁の指摘を受けるに違いない。でも、あの日本生命が金融庁から認可を取った商品だから大丈夫かも……」と、この代理店経営者はこのように考え、「『赤信号みんなで渡れば怖くない』という気持ちから販売してしまった」と心情を吐露しています。

こうした保険は年間の保険料が数百万円にのぼる場合もあります。
その分が全額、税務上の損金扱いとなり、10年後に解約すれば、80%以上の保険料が戻ってくるのです。
受け取った保険料は雑収入となり課税対象となるが、退職慰労金や設備投資など、課税所得を打ち消せるだけの費用があれば節税効果は高くなります。
病気に関する簡単な告知をクリアすれば持病を持つ経営者でも加入できたこともあり、プラチナフェニックスは発売から1年半で7.3万件を販売する大ヒット商品となったのです。

その後、東京海上日動あんしん生命やアクサ生命、朝日生命などが同様の災害保障重視型の定期保険を発売し、2018年3月に販売した第一生命グループのネオファースト生命の「ネオdeきぎょう」は、傷害死亡しか保障しない第1保険期間を最短5年に設定し、その分、前払い保険料を多くして5年後の解約返戻率をピークに持ってくる設計にしました。
さらに、この商品は保険料に占める「付加保険料」の比率を高めて、保険料を高く設定しました。
保険料は、死亡保険金を支払う財源などになる「純保険料」と、保険会社の経費などからなる「付加保険料」の合計で決まります。
通常、同じ保障内容であれば、保険料が安いほうがよいはずだが、経営者向け保険では保険料が高ければ損金扱いの金額がそれだけ増えるため、利益を出している中小企業ほど節税効果が大きくメリットを感じやすくなるのです。

ほかの生保会社の商品でも付加保険料を高くする動きが見られます。
通常の法人向け保険では、保険料に占める付加保険料の割合は2~3割が適正ですが、これを6~7割に設定している会社もあったようです。
この結果、ほぼ同じ保障内容なのに保険料が3倍も違うこともあったようです。

金融庁も付加保険料の設定について問題視しています。
2018年6月以降に生保各社にアンケート(法人向け定期保険の付加保険料実態調査)を実施し、問題点を指摘された会社は、おおむね2019年4月から保険料を下げるなど商品内容の改定を予定していました。

「ネオdeきぎょう」の2018年3月の新契約年換算保険料は100億円を超えたようです。
第一生命の営業職員経由の販売も加わった2018年4月~12月のネオファースト生命の新契約年換算保険料は前年同期比で40倍の888億円に膨らみました。
「国税庁にとっては、予定していた税収が取れない想定外の事態だったのではないか」との臆測も業界内では流れているようです。

現在、国税庁は生保各社に対して実施した経営者向け保険に関するアンケートや商品データをもとに、新しい税務取り扱いのルールを策定中です。
具体的には、保険種類を問わず、ピーク時の解約返戻率が50%超の商品について、損金算入割合が見直される可能性が高いようです。

この状況下で、現在生保各社は前述のプラチナフェニックスのような災害保障重視型の定期保険だけでなく、これまでの通達にのっとれば大手を振って販売できるはずの長期平準定期保険や逓増定期保険のうち、解約返戻率が50%を超える商品までも、新しい税務取り扱いルールが決まるまでは、販売休止にせざるをえない状況に陥っています。
販売再開は2019年5月末頃とも6月末頃とも臆測が流れているようですが、現時点では未定です。

深刻なのは、国税庁の新ルールが適用されるのが、新ルール以降の新契約だけなのか、新ルール以前の契約にまでさかのぼって適用されるのかということなのです。
国税庁の担当者は「現在検討中だが、過去にさかのぼって遡及適用の可能性もある」と話しているようです。

もし、遡及適用となれば現場の大混乱は必至でしょう。
保険料が全額損金扱いになると思って契約した保険の税務上の取り扱いが変わるため、保険契約そのものを解約する企業が増えるとみられます。
そうなれば保険会社は想定より早い段階で、解約返戻金の支払いに追われることになります。
代理店や募集人も、早期解約では代理店手数料の返還などを求められる可能性もあり、販売面の打撃は避けられないでしょう。

こうした国税庁などの動きに対し、「金融庁が保険商品を認可するときに、国税庁に法人税の取り扱いに関しての見解を聞いていれば、問題はこれほど大きくこじれなかったのではないか」という恨み節も中小企業経営者から漏れ聞こえてくるようです。

もともと節税を目的とした保険の存在そのものに懐疑的な声はありました。
相続・事業承継が専門の保険代理店「A・B・U・K・U」(アブク)の鉄尾猛司代表は「中小企業の経営者に万が一のことがあった場合に、相続・事業承継を円滑に進めるために加入するのが経営者向け保険の本来の役割。そのために最も必要なのは十分な死亡保障であり、節税だけを目的とした保険には、相続・事業承継の“そ”の字もない」と語っています。
保険料や解約返戻金が適正な水準で、万が一の死亡保障も備えた経営者向け保険はもちろん存在します。

今回、取材を進める中で、経営者向け保険を積極的に販売したある生保会社から、「法人向け保険はもう死んだ」という声も聞かれたようです。
しかしながら、それは時期尚早ではないでしょうか?
保険という商品は物品などとは異なり、販売してそれで終わりという類いのものではありません。
購入した時点(入口)では、顧客は保険の価値や効用を実感することはできません。
いったん販売したら、その出口(保険金や給付金、解約返戻金受取りなど)までしっかりとサポートする必要があります。
これはたとえ節税対策の保険であっても、その基本は変わらないでしょう。

例えば今回問題視された災害保障重視型の定期保険にしても、第1保険期間の10年間は、万が一病気で死亡しても、支払った保険料総額を下回るお金しか受け取れません。
経営者がそのことを理解していたとしても、遺族からすれば高い保険料と釣り合わない保障の低さに納得いかない思いの人も出てくるとみられます。
実際、すでに募集人との間でトラブルになっている例もあるそうです。

国税庁からは早晩今後の方向性が示されるでしょうが、たとえどのような内容の通達が出ようとも、経営者向け保険の在り方について生保業界として原点に戻って考え直す必要性があるでしょう。

遡及がないかビクビクしている保険会社や保険代理店の担当者は多いでしょうね。
何度かこのブログでも書いていますが、個人的には、そもそも保険が違った目的で使われていると思いますので、遡及をして、保険に関わる方々に改めて保険の目的を認識してほしいと思っています。
遡及となると訴訟が起こるのでしょうが、国税庁には毅然とした態度で取り扱いをきめてもらいたいですね。

国税庁はなぜ「節税保険」にとどめを刺したのか?について、どう思われましたか?


アマゾンが2年連続税金ゼロのからくり!

 Newsweekによると、世界最大のeコマースサイトでクラウドコンピューティング企業のアマゾン・ドットコム(以下、『アマゾン』という。)は、2年連続でアメリカ連邦税を1セントも払わないことがわかったようです。

アマゾンは、2018年の売上額は2,392億ドル、課税対象の純利益は112億ドルだったと発表しました。
2017年の56億ドルと比べてざっと2倍の儲けです。

これほど巨額の利益を上げておきながら、アメリカ連邦税をまったく払わずに済むのは、税法上の抜け穴を巧みに利用しているからです。
加えて、トランプ大統領が2017年に成立させた税制改革法(TCJA)による巨額減税の恩恵も受けています。
税制・経済政策研究所(ITEP)の報告書によると、トランプ減税のおかげで、アマゾンが2018年に支払うべき連邦法人税率は35%から21%に下がりました。

アマゾンは2017年度も、56億ドルの利益を上げながら払った税金はゼロでした。

ITEPの連邦税政策部門ディレクター、スティーブ・ワムホフ氏は、「アマゾンがどんな手を使っているのか、正確に知ることは難しい」と述べています。

「アマゾンは税務戦略を公表していないので、どのような抜け穴を利用しているのかはわからない。同社は漠然と税控除を利用したと言っているだけだ。トランプ減税で拡充された事業用固定資産の即時償却など、企業が取り得る方策はいくらでも考えられる」

ITEPの説明によると、トランプ減税によって、法定法人税の税率は35%から21%へと大幅に引き下げられました。
法人税率が下がったことに加え、トランプ減税には「おびただしい数の抜け道がある。それによって、利益のほぼ半分に課税される連邦と州の法人税を、当たり前のように回避している」と、ITEPのシニアフェロー、マシュー・ガードナー氏は指摘しています。

アマゾンは2011年から2016年まで、11%を超える税率でアメリカ連邦法人税を払ってきましたが、トランプ減税に乗じることで、その税率が今年はマイナス1%になります。
それに税控除などを加えた結果、アマゾンは1億2,900万ドルもの還付金を連邦政府から受け取るそうです。
昨年の還付金はさらに多く1億3,700万ドルでした。

ITEPのガードナー氏によると、アマゾンの税逃れをさらに助けているのは、従業員の持ち株と幹部に与えたストックオプションです。
その総額を控除することができるのです。

アマゾン創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾスは、推定1,362億ドルの資産を持つ、世界一裕福な人間であることは言うまでもありません。

節税も利益の最大化、ひいては株主の利益の最大化につながりますので、節税策をとるのは、個人的には当然のことだと思います。
アマゾンなどを批判するのではなく、トランプ大統領など抜け穴の多い税制を作った方を批判すべきのような気はします。
トランプ大統領は元々経営者なので、法人を優遇する税制改正はどうなのかなぁと思います。
かと言って、一国だけではどうにもならないところもありますので、世界的に国家が強調して対応すべきなのでないのかと思いますね。

アマゾンの2年連続税金ゼロのからくりについて、どう思われましたか?


怒れる国税庁が鳴らした「生保業界再編」の号砲!

 このブログで何度も書いている話ですが、週刊ダイヤモンドによると、販売競争が過熱していた「節税保険」にようやくメスを入れた国税庁ですが、生命保険業界に動揺が広がる中、税務ルールの見直し策が再編の号砲を鳴らしてしまったようです。

生命保険業界で、中小企業経営者を主な対象にして販売競争が異常なほど過熱していた「節税保険(法人定期、経営者保険)」が、ついに販売停止になりました。

2019年2月13日、国税庁が生保41社の担当者を緊急招集し、法人における支払保険料の経費算入ルールについて、抜本的に見直すことを伝えたためです。

国税庁が見直しの方向性として生保各社に示したポイントは、大きく分けると3つあります。
①長期平準定期や逓増定期をはじめ、これまで商品個別に決めていた損金(経費)算入割合の通達を廃止すること
②新たな算入ルールについては解約返戻金の返戻率が50%を超える商品を対象とすること
③解約返戻金のピーク時の返戻率に応じて、損金算入の割合を区分けすること

国税庁の怒りが分かりやすいほどにじみ出ていますが、ここまでの大幅なルール変更を、生保各社は全く想定していなかったようです。

それだけに動揺は大きかったようですが、さらに担当者の顔を青ざめさせたのは、国税庁幹部の「いたちごっこを解消したい」という趣旨の発言だったそうです。

生保業界はこれまで、2008年の法人向け逓増定期や2012年の同がん保険をはじめとして、個別通達の抜け穴を通すようなかたちで、支払った保険料を全額損金(いわゆる全損)算入でき節税効果を高めた保険を新たに開発し、集中的に販売してはその後国税庁からダメ出しを食らうということを繰り返してきました。

そうした過去の経緯や、今回の節税保険ブームの火付け役が業界最大手の日本生命だったこともあり、「『必要悪』として国税庁も一定期間は目をつぶってくれている」という認識が一部で広がり、「いつものように個別通達の見直しまでが勝負だ」といった声すら漏れていたようです。

ところが、もはやそこに生保の期待していた予定調和はなく、あるのは「プラチナ型商品のような」と日本生命の商品を名指ししながら、いたちごっこと言い切って気色ばむ国税庁の姿だったわけです。

その姿を見て、多くの生保担当者たちの脳裏をよぎった事柄があるそうです。
「既契約遡及」です。

これまでの事例を見ると、2008年以降、逓増定期をはじめ3種の節税保険については、通達を見直した日以降の契約に対して新ルールを適用しており、既契約については不問としてきました。

しかしながら、国税庁がいたちごっこを解消しようと税務の抜本的な見直しを宣告しているため、今回ばかりは既契約についても新ルールを適用するというシナリオが現実味を帯びているのです。

もし、既契約についても新ルールを適用するとどうなるのでしょうか?
中小企業は期待していた節税効果を得られず、一定数の解約発生は避けられないことになり、業界の混乱は必至です。

そもそも節税保険は、多くの生保が税理士代理店などに高い手数料を払って中小企業に販売してもらっています。
そのため、早期解約の場合は、保険会社の費差益がマイナスになってしまうケースが大半とみられます。

代理店にとっても死活問題です。
早期解約の場合、受け取った販売手数料は保険会社に返す決まりがあり、ともすると大量の手数料戻入によって代理店の資金繰りが行き詰まる可能性があるのです。

国税庁との会合以降、多くの生保が節税保険の販売停止を決めたのは、これ以上国税庁の不興を買って、既契約に影響が及ぶような事態になることを、何としても避けたかったからです。

ただ、この一時的な販売停止すらも一部の生保にとっては大ダメージです。

なぜなら、新契約の大半が返戻率50%超の節税保険という生保もあり、国税庁が新ルールを適用するまでの間、販売する商品がほとんどなくなってしまうのです。

そうした事情を抱える一部の生保は、国税庁との会合後数日間は、同業他社の対応を無視するかのように販売を続ける姿勢を取っていたものの、既契約遡及の可能性を指摘されると、お茶を濁すように全損型商品に限って販売停止を決めたようです。

これまでも業界で縁起が悪いとされている地域への移転を検討する傍らで、経営基盤を固めるために出資を募っているという観測が絶えなかったところもあり、ここにきて国税庁にとどめを刺された格好です。

生保やその代理店の経営を監督する役目を担うのは金融庁だが、節税保険のブームによってその生殺与奪と再編の手綱は、今や国税庁が握り始めています。

そもそも節税保険でないと販売できないような生保はいらないと思いますし、何か改正があると、改正までは大丈夫ということで特需を生み出してきた生保業界には以前から疑問を持っていましたので、今回の国税庁の毅然とした対応で、生保業界が正常な姿になってほしいと思います。
個人的には、『既契約遡及』してもいいような案件ではないかと思っています。
そうなると、保険会社、保険代理店、保険の手数料が主要な収入源の税理士事務所などは大変でしょうね。
最初に発売した最大手の日本生命もどう対応していくのでしょうか?
どうなるか、興味津々でウォッチしていきたいですね。

怒れる国税庁が鳴らした「生保業界再編」の号砲について、どう思われましたか?


生命保険各社が「節税保険」を販売停止!

 このブログでも何度か取り上げましたが、日本生命保険など生命保険各社は、2019年2月13日、節税目的の加入が増えている経営者保険の販売を一時取りやめることを決めました。
国税庁が同保険の税務上の取り扱いを見直し、支払った保険料を損金算入できる範囲に制限をかける検討を始めるためです。
中小企業の節税ニーズをとらえて市場が急拡大してきましたが、転機を迎えています。

日本生命のほか第一生命保険や明治安田生命保険、住友生命保険が解約時の返戻率が50%を超える法人向け保険の販売を、2019年2月14日から停止しました。
外資系のメットライフ生命保険なども販売を止めます。
国税庁が、2019年2月13日、同保険の課税方法を定めた通達を見直す考えを生保各社に伝えました。
各社は、見直し案が固まるまで販売を自粛する方向のようです。

販売を停止する経営者保険は、中小企業が契約主体となり、経営者が死亡すると数億円単位の保険金が支払われます。
保険料を全額会社の損金に算入でき、途中解約すると保険料の大部分が戻ってくる設計で、実態は節税目的の利用が多くなっています。

国税庁は解約時に保険料の大部分が戻る前提の商品については、保険料を損金ではなく資産として計上すべきだとの考えのため、現在の商品が保険料の全額を損金処理できる点を問題視しています。
法人の保険料の税務上の取り扱いを定めた通達を見直して制限をかけるようです。

節税保険は中小企業経営者のニーズをつかみ、市場規模が数千億円にまで拡大しましたが、金融庁が節税効果を強調した販売手法などを問題視し、各社は商品設計や販売手法を見直す準備に入っていました。
国税庁が商品の根幹である税の取り扱いを見直すことで、より根本的な見直しを迫られました。

なお、節税効果の高い経営者保険は過去にも登場し、その度に国税庁が規制を重ねてきました。
今回は日本生命が2017年に出した新商品「プラチナフェニックス」をきっかけに各社がこぞって商品を投入しました。

国税庁がどう出てくるか興味深く見ていましたが、意外と対応が早かったですね。
この『節税保険』を販売して稼いでいる方もたくさんおられるでしょうから、どうなるか心配している方も多いでしょうね。
今後どうなるか楽しみにウォッチしたいですね。

生命保険各社が「節税保険」を販売停止したことについて、どう思われましたか?


外貨建て・節税保険めぐる攻防で金融庁の生保への「嫌悪感」が高まる!

 週刊ダイヤモンドによると、金融庁が、外貨建てと節税保険という生命保険会社の食い扶持にメスを入れ始めました。
2018年から続く規制強化に向けた取り組みの裏側で、金融庁内では生命保険会社への嫌悪感が否応なく高まっているようです。

生命保険会社とその経営を監督する金融庁の攻防が年明け以降、本格化しているようです。
舞台となっているのは、一時払い(一括払い)の外貨建て貯蓄性保険と、中小企業経営者を主なターゲットにした「節税保険」の2つです。
特に、外貨建て保険については主要な販路となっているメガバンクや地域銀行も巻き込んで、攻防が激しくなっているのです。

発端となったのは、2018年2月の生命保険会社役員との意見交換会で、金融庁は、「投信と類似の貯蓄性保険商品は(中略)各種のリスクや費用を除いた後の実質的なリターンについて、投信と同じレベルの情報提供・説明が求められる」との見解を伝えています。
低金利による運用難で、米ドルや豪ドルといった外貨建ての貯蓄性保険の販売に生命保険会社各社が傾注する中で、運用利回りや元本割れ、為替リスクなどの情報提供が、分かりやすく行われていないという実態が散見されたためです。

その後、生命保険会社が対応を渋るような様子をみせる中で、金融庁は2018年9月、金融行政方針の中で改めてこの問題を取り上げ、募集(販売)ガイドラインを改定し、各種費用を除いた「実質的な利回り」など、顧客本位に向けた情報を表示するよう求めました。

そこには金融庁首脳の強い意向もあったようですが、業界サイドの動きはなおも鈍かったようです。

2018年末に予定していた募集資料に関する指針の改定では、実質利回りなどに言及することを見送ろうとしたことで、金融庁が激怒し、急きょ年の瀬に生命保険会社の役員を集め、幹部が問題意識を改めて伝える事態になったわけです。

その9日後には、一時払いの外貨建て保険に関して、顧客に資する分かりやすい情報が載った募集資料とはこういうものだというひな形まで、金融庁はわざわざ示してみせています。

圧力をかわしきれなくなった業界サイドは2019年1月中旬、指針とは別に「積立利率、予定利率及び実質的な利回りの分かりやすい表示について」という資料を作成し各社に配布しました。
実質利回りなどを表示する際の定義について統一を図りましたが、文面に「拘束力を有するものではない」と明記することも忘れませんでした。

当局対応が稚拙で反抗することが多い外資系生命保険会社や、銀行における窓口販売への影響に一定の配慮をしたとみられますが、いつまで経っても後ろ向きの姿勢が抜け切れない状況に、金融庁内でため息が広がったのは言うまでもありません。

節税保険の販売を巡っても、金融庁のため息は深いようです。
2017年春以降、各社が保険料を全額損金算入できる新商品を投入し、販売競争が一気に過熱する中で、金融庁は節税効果を過度にアピールする販売手法を問題視し、調査票を配り、実態調査に着手したのが2018年6月のことです。

調べを進める中で、保険会社の経費の上乗せ分となる「付加保険料」で合理性が欠けていることが分かると、各社を呼びつけて速やかな見直しを迫ってきました。

年が明けると、複数の生命保険会社が4月に付加保険料を見直すことを金融庁に伝えているようですが、それまでの間商品を販売停止にするところまでは至っていません。

3月期決算の企業が多く、この3か月間が節税保険の一番の売り時のため、生命保険会社としては当局の意向を汲んで、バカ正直に販売停止するわけにはいかないわけです。

金融庁内では当初、「2月までに販売停止に追い込むべき」という強硬論も出ていたようですが、そうなると付加保険料の調整をしていない一部生命保険会社だけが、大手を振って販売できることになってしまいます。

結果として一部の生命保険会社に利益誘導したことにもなり兼ねないことから、今のところそこまでは踏み込んでいないようです。

現在は、節税手法について「将来に向けて保証されているものではない」などとした注意喚起文書を、顧客企業に配布するよう促している最中です。

ここで問題なのは、金融庁内で強硬論が収まったことをこれ幸いとして、一部の生命保険会社が「加入するなら(4月の保険料改定前の)今がおすすめ」とあおるような募集を足元で始めていることです。

当然ながら、金融庁もそうした実情を把握しており、「金融機関としてのプライドはないのか」(幹部)と半ばあきれ顔です。
それゆえ、金融庁内で生保への嫌悪感が高まり、沸点の低下が止まらないという状況に、業界サイドはどう向き合っていくのでしょうか?

下手を打てばさらなる規制強化というリスクがある中で、生命保険会社各社の足並みが全くそろわない現状を危惧し、業界内からは金融庁との「折衝役」を途中交代させるべきという声が漏れ始めました。

このブログでも何度か書いていますが、この攻防はどうなっていくのでしょうか?
個人的には、本来、保険は『節税』目的ではなく、『保障』目的だと思いますので、まずは生命保険会社がそこを再認識して、商品を販売してほしいですね。
『節税』目的をアピールしないと販売できないのであれば、どうなのかなぁ?と思いますね。
あとは、ほとんどの税金が増税の中で、法人税は減税の方向ですから、節税の効果は弱まっていくんですよね。
もちろん、金融庁にも商品設計をきちんと確認してほしいと思いますが。

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金融庁が高い返戻金を問題視し「節税保険」の見直しを要求!

 中小企業経営者向けの死亡定期保険を巡り、販売現場で節税効果の㏚が過熱している問題で、金融庁が生命保険業界に一部商品の設計の見直しを求めたことがわかったようです。 こうした保険は保険料を経費算入する節税目的での加入が目立ち、一部で「節税メリット」をことさらに強調するような商品が出ています。

関係者によると、2018年11月中旬の金融庁と生保業界の意見交換の場で、金融庁幹部が一部商品について「(商品設計が)合理性や妥当性を欠く」などと指摘し、「適切な対応」を求めたようです。

「節税保険」は経営者らが高額の保険料を払って加入し、保険料は全額経費に算入し会社の利益を圧縮して節税します。 10年ほどで途中解約すれば「解約返戻金」で保険料の多くが戻ります。 同時に役員退職金の支払いや設備投資をすれば、返戻金も課税されずに済みます。

こうした保険は期間の前期は保障範囲が狭く、年齢を重ねた後期は保障範囲が広くなっています。 保険料は全期間で平準化され、前期は割高な保険料になります。 ただし、前期での中途解約を前提にすれば、多額の保険料支払いで節税し、解約返戻金で保険料も取り戻せると営業現場で強調されているようです。

今回金融庁が問題視したのは、保険料や返戻金が不自然に高く、節税メリットが強調されがちな商品です。

保険の商品設計は金融庁の認可が必要で、保険料や返戻金を極端に引き上げるのは難しくなっています。 そこで一部商品では、営業経費などが含まれる「付加保険料」を後期に多く見積もっていました。 付加保険料は金融庁の認可が不要なのです。 この手法で保険料と返戻金の水準を引き上げ、節税メリットをさらに強調していました。

金融庁は2018年6月以降、各社へのアンケートや聞き取りで実態を調査し、一部の商品を問題視しており、今回見直しを求めました。

すでに金融庁の調査を受け新商品の発売が延期されたケースもあり、さらに今回の見直し要求で、発売中の商品にも影響が出る可能性があります。

ただし、今回金融庁が問題視したのは付加保険料の部分だけで、業界はこの保険自体は問題ないと主張しています。 2017年春に、保険料が全額経費に算入できるタイプの商品を発売してブームを起こした日本生命保険の三笠裕司常務は先日の2018年9月中間決算会見で、「短期解約を推奨する商品ではない。保障ニーズに応える商品だ」と述べました。 明治安田生命の荒谷雅夫専務も、「節税の部分についても説明するだろうが、保険本来の目的を丁寧に説明する」と話しました。

今年もこの手の保険をたくさん販売して稼いでいる保険の営業マンや会計事務所があるようですが、保険代理店もやっている僕としては、個人的には節税ありきではなく、『何のための保険か?』ということを考えて、保険を販売しないといけないなぁと改めて思います。

金融庁が高い返戻金を問題視し「節税保険」の見直しを要求したことについて、どう思われましたか?


金融庁が「節税保険」の監督を強化し発売延期する新商品も!

 主に中小企業経営者向けの死亡定期保険を巡り、生命保険の販売現場で「節税」アピールが過熱し、金融庁が監督を強化しているようです。 一部の商品設計は保険の趣旨を逸脱しかねないとみて、各社に繰り返し調査して説明を要求しており、一部で新商品の発売延期の動きも出ているそうです。

問題の保険は、経営者らの死亡時に高額の保険金が支払われる定期保険で、保険料は条件次第で全額経費扱いにでき、加入者が経営する企業の利益を減らして節税できます。 保険期間は数十年だが10年ほどで中途解約すれば高い返戻金が得られ、支払った保険料の多くを取り戻せます。 中途解約と役員退職金などの支払時期を合わせれば、返戻金への課税も回避できます。

既存の同種の商品では、国税庁が保険料の一部を経費算入できなくするなどしました。 しかしながら、20174月、日本生命保険が全額経費算入できる商品を発売しました。 その後、各社が追随して、返戻金がより多く得られる商品も登場し、販売現場で「節税」㏚が過熱しました。

これに対し、金融庁は、一部商品では「付加保険料」と呼ばれる営業経費が保険期間の後期に大幅に高くされ、前期も含む保険料全体が引き上げられ、返戻金が多くなっていることを問題視しています。 6月以降、各社へのアンケートなどで保険料の算出根拠を繰り返し問い、追加説明を求めているようです。

金融庁の「厳格化」に波紋が広がり、オリックス生命は来月予定だった経営者向け保険の発売の延期を代理店に通知しました。 代理店への書面で「(金融庁の)調査への対応を継続している」と記載しています。 オリックス生命は、「金融庁による対応次第で、いったん販売してしまうと顧客に迷惑をかける可能性がある」(広報)と説明しているようです。

販売後にどうこういうのもどうかと思いますが、実質、節税が目的となっている保険商品はどうなのかなぁと疑問に思います。 この商品ではないですが、節税が目的の商品を販売するがために、税務上リスクが高いということで反対する顧問税理士がいる場合、代わりの税理士を紹介して税理士を変えさせたうえで保険商品を販売している保険代理店がいるような話を先日耳にしましたが、今まで否認されていないからO.K.というわけではなく、保険の入口から出口まで合理性があるかストーリーを描けるかどうかを、会社も保険会社も保険代理店も税理士も考えないと、将来痛い目にあうような気はしますね。

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節税目的の経営者向け大人気保険に「待った」をかけた金融庁vs生保の戦い!

 週刊ダイヤモンドによると、個別の保険商品の販売実態について金融庁が異例の調査に踏み切ったことに、生保各社は警戒を強めているようです。
 大人気の経営者保険に対し、金融庁が実態調査「とうとう来たなという感じですね」と、6月中旬、金融庁から送られてきた1通の書類について、国内生命保険会社の幹部はこうつぶやいたようです。
 書類とは、中小企業経営者などを対象にしたいわゆる「経営者向け保険」について、「付加保険料の設定状況」などを尋ねた調査用紙で、626日を回答期限としていました。
 経営者向け保険を巡っては、2017年春に最大手の日本生命保険が、「プラチナフェニックス」の愛称で商品を投入したことで市場に一気に火がつき、大手を始め他の生保も相次いで追随したことで、販売が過熱しています。
 各社とも「傷害保障」「生活保障」などとパンフレットでうたい、経営者が倒れたときの事業リスクをカバーする保険としていますが、その実態は紛れもなく企業向けの「節税商品」です。
 なぜならば、支払った保険料の全額を「損金」として算入できる仕組みがあるため、税引前利益を保険料で“相殺”し、法人税などの負担を軽減できるからです。
 単純な返戻率だけを見ると80%前後と、支払った保険料を下回るお金しか戻ってこない計算になりますが、法人税などを支払った場合と比べた「実質返戻率」は、2年目からプラスになる設計のものが多く、5年も経てば120%を大きく上回る水準になります。
 第一生命グループのネオファースト生命保険が20183月に発売した「ネオdeきぎょう」は、その返戻率の高さから、3月単月でANP(新契約年換算保険料)が120億円に達するなど、多くの企業が決算期末を迎える3月は「お祭りのような状態」(保険代理店関係者)だったそうです。
 しかしながら、そのようなタイミングで金融庁が「待った」をかけたのです。
 そもそも、金融庁が個別商品の販売状況について実態調査に踏み切るのは異例のことです。
 ところが、販売現場の過熱ぶりや、足元で新たな商品認可の審査も相次ぐという実情を踏まえて、調査によって生保各社を牽制する狙いがあるとみられます。
 調査の中で詳細な報告を求めている付加保険料については、2018年春以降に外資系生保などが発売している商品の中に「保険期間によって大きな差をつけることで、返戻率を高めている」(金融庁幹部)として、当局は目を光らせているようです。
 調査によって、今後生保各社には付加保険料の見直しの圧力がかかることになりますが、外資系生保の幹部によると、返戻率を高める“裏ワザ”は「付加保険料以外にも、まだたくさんある」ようです。
 そうであれば、金融庁による実態調査に過敏に反応する必要はないように思えますが、冒頭の生保幹部の発言のように警戒を強めているのは、一体なぜなのでしょうか?
 それは、保険料の全額損金算入という経営者保険の根幹部分が、今後、否認される可能性が出てきたからです。
 全損の認否自体は国税庁が担っているものの、情報連携をする中で金融庁がその「前段階」として実態調査に着手したと、生保各社は捉えているわけです。
 生保は過去にも、逓増定期やがん保険を始め、全損タイプの経営者向け保険をこぞって販売しては、その後、国税当局から“ダメ出し”を受けるということを繰り返してきた経緯があります。
 国税庁からいつ全損否認の通達が示されるか、その時期を見極めながら、生保各社の「駆け込み販売」が今後本格化することになるでしょう。
 T&A masterによると、①当局、節税効果の高い「一定期間災害保障重視型定期保険」を問題視。現在の「全額損金算入」が見直される恐れ。過去の例からすると、損金算入割合が1/2に圧縮される可能性、②早ければ年内に通達改正も。ただし、過去の例からすると、改正通達は施行日前の契約には遡及しない公算とありますので、特需が発生する可能性がありますね。
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東京国税局が脱税の中国籍代表会社の晴海フラッグの6物件を差し押さえ!

共同通信によると、東京国税局が2024年、法人税の脱税事件に絡み、東京都中央区のマンション「晴海フラッグ」の6物件を差し押さえていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

これらの物件は、東京地検に逮捕、起訴され、一審で有罪判決を受けた中国籍の男性(47)が代表の貿易会社が所有していました。

なお、晴海フラッグは、東京五輪・パラリンピックの選手村を再整備した巨大マンション群として知られています。

東京国税局が実施したのは、財産の散逸を防ぐために税額が確定する前に差し押さえる「保全差し押さえ」という手法で、実施は異例だそうです。

貿易会社には一審判決で認定された約2億2千万円の脱税額を含めた8億円超の納税義務があったとみられ、差し押さえは徴収後に解除されました。

保全差し押さえの実施が徴収につながったもようです。

共同通信は貿易会社に取材を申し込みなしたが、2回答はなかったそうです。

関係者によると、貿易会社は新型コロナワクチン用の注射器を中国から輸入していた東京都港区の会社で、東京地検特捜部が、2024年6月、注射器の仕入れ高を水増しし法人税約2億2千万円を脱税したとして男性を逮捕しました。

そして、男性は東京地裁で懲役2年、執行猶予4年の判決を受けました。

架空仕入れの計上ですので、かなり悪質だと思いますが、東京国税局の対応は素晴らしかったと思います。

悪質な会社が多いため、真面目に消費税の還付申告をした会社は、なかなか還付してもらえませんので、今後も、こういう悪質なところは厳しく調査して、きっちりと取ってほしいですね。

東京国税局が脱税の中国籍代表会社の晴海フラッグの6物件を差し押さえたことについて、あなたはどう思われましたか?


元大阪国税局職員の脱税事件で東京の不動産会社代表を告発!

朝日新聞によると、法人税など約5千万円を脱税したとして、大阪国税局元職員の会社役員(50)が法人税法違反の疑いで逮捕された事件で、東京国税局査察部が、不動産会社(東京都世田谷区)の代表(48)を東京地検に同容疑で告発したことがわかったようです。

関係者によると、不動産会社代表と大阪国税局元職員は共謀し、不動産会社が2020年4月期に不動産の売却で多額の収入があったのに、複数の合同会社に投資して失敗したように装い、架空の有価証券売却損を計上しました。

約2億1,100万円の所得を隠し、約5,100万円を脱税した疑いがあります。

大阪国税局元職員は報酬として約1,700万円を得ていたそうです。

年間に脱税事件で逮捕される税理士や節税(脱税?)コンサルタントが何名かいますが、国税局OBが多いですよね。

脱税ほう助は絶対にダメという意識が乏しいんですかね。

国税局で不祥事が多いのも、国税局という組織に問題があるのかもしれませんね。

元大阪国税局職員の脱税事件で東京の不動産会社代表が告発されたことについて、あなたはどう思われましたか?


福島県国見町が「企業版ふるさと納税」めぐり初の認定取り消し!

NHKによると、「企業版ふるさと納税」をめぐり、福島県国見町に寄付をした会社の子会社が事業を受注したことは便宜供与にあたるとして、内閣府は、対象となった町の計画の認定を取り消しました。

「企業版ふるさと納税」をめぐる認定の取り消しは初めてです。

「企業版ふるさと納税」は地方創生につながる自治体の事業に企業が寄付した場合、法人税などが軽減される制度です。

内閣府によると、福島県国見町は令和3年度から「企業版ふるさと納税」を活用して「高規格救急車」を研究・開発し貸し出す計画を作成しました。

これについて内閣府が調査した結果、寄付をした会社の子会社が事業を受注したことが確認され、町はこの子会社が受注する可能性が高いことを認識しながら公募の条件を設定していたということです。

このため「町が寄付をした会社に対して便宜供与を行った」と結論づけ、先日、町の計画の認定を取り消しました。

「企業版ふるさと納税」をめぐる認定の取り消しは初めてです。

制度を所管する伊東地方創生担当大臣は記者会見で「今後、本事案なども踏まえ、制度の健全な発展の観点から、必要な改善策を検討していく」と述べました。

最近、税理士関係の研修などを受けていると、『企業版ふるさと納税』が徐々に使われるようになっているとよく耳にするので、今後、地方にとって有効な寄付がどんどん出てくれば良いなぁと思っていたのですが、このような事件が出てくると、悪いイメージが付くので、非常に残念に思います。

自社のためではなく、地方のために寄付をして欲しいですね。

福島県国見町が「企業版ふるさと納税」めぐり初の認定取り消しとなったことについて、あなたはどう思われましたか?


新型コロナ融資の手続き代行で約6,700万円を脱税か?

NHKによると、大阪市でエステ店を経営する会社の社長が、新型コロナウイルス対策の公的融資の手続きを代行するなどして得た所得を申告せず、法人税などおよそ6,700万円を脱税した疑いで大阪国税局から告発されたことが関係者への取材で分かりました。

告発されたのは、大阪市西区でエステ店を経営する会社と社長(42)です。

関係者によると、この会社はエステ店を経営しながら、新型コロナ対策の公的融資の手続きを代行して手数料を得ていましたが、こうした所得を申告していなかった疑いがあるということです。

この融資は新型コロナで影響を受けた医療機関や福祉施設に対し、「福祉医療機構」が1億円を上限に無利子で貸し付けていたもので、会社は手続きの代行でエステとは別に売り上げを増やしていたということです。

大阪国税局は、2021年7月までの1年間でおよそ2億6,500万円の所得を申告せず、法人税などおよそ6,700万円を脱税したとして、会社と社長を法人税法違反などの疑いで大阪地方検察庁に告発しました。

関係者によると、脱税で得た金は、社長の自宅マンションの購入費などに充てられたということです。

エステ店をやっている会社が、公的融資の手続きを代行をしているんですね。

どうやって、顧客を獲得しているのか興味があります。

何件くらいやっているのか分かりませんが、1年間で2億6,500万円というのはスゴいですね。

それを申告しないというのも、スゴいと思いますが。

新型コロナ融資の手続き代行で約6,700万円を脱税していたことについて、あなたはどう思われましたか?


1億9,300万円を申告せず法人税4,800万円脱税の疑いで東京国税局が広告会社と代表らを告発!

読売新聞によると、法人税約4,800万円を脱税したとして、東京国税局が広告会社(東京都中央区)と同社の代表取締役(31)、父親(61)を法人税法違反容疑で東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、同社はインターネットの動画広告の制作などを手がけ、2020年8月期に約1億9,300万円の所得を得ましたが、税務申告をせずに法人税約4,800万円を脱税した疑いです。

隠した所得の大半は、父親が自宅や貸金庫に現金で保管していたようです。

読売新聞は2人に文書で取材を申し込みましたが、回答はなかったそうです。

約2億円の所得ってスゴイですね。

なぜ申告をしないのか分かりませんが、周りにアドバイス等する人がいないんですかね。

こういう事件を見ると、無申告の法人などが分かるような仕組みが必要なのではないかと思いますね。

申告をしていなかったり、納税をしていなかったりする企業などとは取引をしたくない企業や個人も多いでしょうから。

1億9,300万円を申告せず法人税4,800万円脱税の疑いで東京国税局が広告会社と代表らを告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


JTの1,200億円の配当返還に「税負担なし」と国税当局が伝達!

日本経済新聞によると、日本たばこ産業(JT)が海外子会社から受け取った約1,200億円(8億ドル)の配当を返還したことを巡り、税負担は生じないとする見解を国税当局が同社側に伝達していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

課税対象になれば、JTから多額の資金が流出して財務が悪化する恐れがあり、当局の判断が注目されていました。

JTは2023年8月にオランダの子会社と孫会社を合併させ、存続会社となった旧孫会社から配当8億ドルを受け取りました。

しかしながら、2023年12月に同額を旧孫会社に返還したのです。

巨額の配当金返還は、極めて異例でした。

JTは当時、返還理由を「グループ内の現金保有量の最適化等」と開示していました。

2009年度の税制改正で、海外子会社からの配当収入は一定要件を満たせば95%が非課税(益金不算入)となります。

ただし、子会社株式の25%以上を6か月以上保有することが要件です。

ところが、JTは旧孫会社の株式を直接持っておらず、非課税要件を満たしていなかったのです。

2023年12月中旬に旧孫会社の取締役会で配当決議が取り消され、これを受けてJTが返還しました。

仮にこの配当が課税対象になれば、JTは300億円規模の税負担が生じる恐れがあったのです。

JTは、法人税などの取り扱いについて東京国税局に相談できる「J-CAP」制度を使って照会し、回答を得たようです。

国税当局への照会や回答について、日本経済新聞はJTに回答を求めましたが、「当局の見解については当社がお答えできる立場にない」としました。

一方、東京国税局は「個別の事案についてはコメントしない」と回答しました。

JTは、自社の株主に対し利益の75%を配当する方針を掲げており、高配当銘柄として個人投資家から人気が高くなっています。

JTは、2023年末に1,200億円を返還したことで単体の利益が減り、配当できる上限額が下がってしまいました。

この上限額を引き上げるため、2024年3月の株主総会で株主資本のうち配当可能額に含まれない「資本準備金」を、配当可能な「その他資本剰余金」に振り替える議案を諮り、可決されていました。

ミスに後から気付き、慌てて戻したのだと思いますが、税負担がないということになり良かったですね。

担当者は、しばらくの間、気が気でなかったでしょうね。

JTほどの会社となると、社内にも優秀な方がたくさんいると思いますし、大手税理士法人やOB税理士が付いていると思いますが、なぜ配当をする前に気付かなかったんでしょうか?

JTの1,200億円の配当返還に「税負担なし」と国税当局が伝達したことについて、あなたはどう思われましたか?


ネット広告業者が法人税など約1億9,000万円脱税か?

NHKによると、東京都渋谷区でインターネット広告の代理店や、ウェブサイトの運営会社を経営している44歳の会社役員が、架空の外注費などを計上する手口で、法人税などおよそ1億9,000万円を脱税したとして、東京国税局から告発されました。

告発されたのは、東京都渋谷区にあるインターネット広告の代理店と、ウェブサイト運営会社の実質的経営者の役員(44)です。

関係者によると、役員は広告デザインなどに関連した会社の業務を外注したように見せかけるなどして、架空の経費を計上していた疑いがあり、東京国税局は、役員が、2022年7月までの2年間に、2つの会社あわせておよそ5億7,300万円の利益を隠し、法人税と消費税およそ1億9,000万円を脱税したとして、東京地方検察庁に告発したということです。

役員は脱税で得たカネをカジノなどでの遊興費に充てていたということです。

役員は弁護士を通じ、「すでに修正申告をし、納税も行っています。再発防止に向け、コンプライアンスを強化していきます。」などとコメントしています。

インターネット広告の代理店とかウェブサイト運営会社は儲かるんですね。

もちろん、儲かるから脱税しても良いということはなく、これだけ脱税して捕まっている人がたくさんいるのに、なぜ安易に架空経費の計上に走るのでしょうか?

月次決算とかをやっていれば、ある程度の損益予測は分かるでしょうから、節税対策もそれほど難しくないのではないかと思いますが。

ネット広告業者が法人税など約1億9,000万円脱税していたことについて、あなたはどう思われましたか?


下請法違反の日産は「賃上げ税優遇」の適用除外で最低1年で収益面に悪影響の可能性!

読売新聞によると、下請け業者への納入代金を発注後に減額した下請法違反問題を受け、日産自動車が、賃上げを行った企業の法人税を減額する「賃上げ促進税制」を利用する資格を失ったことがわかったようです。

日産はこれまで同税制を利用しており、違反問題が収益面にも悪影響を及ぼす可能性があります。

同税制は2013年度に始まったもので、岸田政権は企業の賃上げを後押しするために制度を拡充しました。

大企業では2024年度以降、賃上げによる給与の支払総額の増加分について最大35%が減額される仕組みとなっています。

日産のような大企業が同税制を利用するには、まず自社のホームページに、従業員への利益還元や取引先への配慮に関する経営方針を掲示しなければなりません。

その上で、政府などが作る専用サイトで、取引先への不合理な価格交渉を行わないことを約束する「パートナーシップ構築宣言」を公表する必要があります。

2024年4月5日時点で、トヨタ自動車など約4万4,000社が掲載されています。

日産は2024年3月、下請法違反で公正取引委員会の勧告を受け、所管省庁の経済産業省を通じて専用サイトから掲載が削除されました。

一度削除されると1年間は再掲載されないため、日産は少なくとも1年間は同税制を利用できないことになります。

日産によると、2022年度以前の納税分については同税制を利用していたそうです。

日産は2023年春闘で3.4%の賃上げの実施を決めたほか、2024年春闘では5%という高水準の賃上げの実施を労働組合に回答しました。

違反問題がなければ、申請によって2023年度の納税分の法人税も減税措置を受けられた可能性があります。

財務省によると、同税制を導入した2013年度は減税額が計420億円、適用件数は約1万件でしたが、2022年度には計5,150億円、約21.5万件に拡大しました。

大企業の場合は、年間数十億円以上の減税効果を得られるケースもあるようです。

下請法違反の問題を巡り、日産は公正取引委員会から違法認定を受けた下請け業者36社に約30億円を返金しました。

取引先との信頼回復を急ぐため、公正取引委員会の認定では対象外となった企業についても独自に返金する方向で検討しています。

最近良いニュースを聞かない日産ですが、決算への影響もあるでしょうね。

賃上げ促進税制は、結局のところ、大企業の賃上げの一部を税金でまかなっているに過ぎないという気がしますね。

やはり、大企業は自社で努力してもらって、中小企業の賃金が上がるようなことをしないと、いつまで経っても、物価上昇に賃金上昇が追いつかないのではないかと思います。

話は変わりますが、先日、イオンが過去最高益であることを発表していましたが、理由の一つが仕入先の見直しによるコスト削減とのことですが、取引を切られた仕入先は業績が悪化するもしくは倒産等に追い込まれるでしょうし、結局のところ、消費者である仕入先の関係者の年収は減るでしょうし、イオンで買い物しなくなるかもしれませんので、マクロで考えると、大企業が儲かるということはあまり良いことではないのではないかと思いました。

下請法違反の日産は「賃上げ税優遇」の適用除外で最低1年で収益面に悪影響の可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


“Amazonせどり”コンサル会社の社長を法人税など約5,000万円脱税疑いで刑事告発!

TBSによると、ネット通販に商品を転売して利益を得る「せどり」のコンサルティングをしていた東京都内の会社社長が、法人税などおよそ5,000万円を脱税したとして東京国税局から刑事告発されました。

刑事告発されたのは、東京都台東区の転売コンサルティング業の会社と社長(38)です。

社長は売り上げの一部を税務申告しないなどの手法で、2021年11月までのおよそ4年間に法人税などおよそ5,000万円を脱税した疑いがもたれています。

転売コンサルティング業の会社は、仕入れた商品をAmazonに出品して利益を得る「Amazonせどり」と呼ばれる手法のコンサルティングなどを行い、利益を上げていました。

<コンサルを受けていた男性>
「(社長が)『私がコンサルするんだから儲かります』と。『すぐにもとが取れるんで(受講料)50万円は安いですよ』と私を説得にかかりました。味噌とか醤油とか単価の安いものですよね。継続的に仕入れて販売できるような商品を薦めていました」

社長は、脱税で得たお金を投資などに充てていたとみられていて、JNNの取材に対してこれまでに回答していません。

この社長はYouTubeとかをやっていると思いますが、露出すると課税当局も調べているのは自明でしょうから、脱税していると、当然バレますよね。

あと、こういった脱税をしている人からコンサルを受けた人はどんな気持ちになるんでしょうね。

コンサルを受ける人も、コンサルをする人をきちんと選ばないといけないですね。

“Amazonせどり”コンサル会社の社長が法人税など約5,000万円脱税疑いで刑事告発を受けたことについて、あなたはどう思われましたか?


2億4,000万円の脱税疑いで大阪の測量設計会社を告発!

日本経済新聞によると、架空の外注費を計上するなどして約2億4,000万円を脱税したとして、大阪国税局が法人税法違反などの疑いで、大阪府大阪市の測量設計会社と同社の元社長を大阪地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

重加算税を含む追徴課税は3億4,000万円に上る見通しです。

既に修正申告したそうです。

脱税したお金は遊興費などに充てていたとみられます。

関係者によると、元社長は、取引先の同業者の名前を利用して架空の経費を計上し、2021年12月期までの3事業年度に所得約6億6,800万円を過少申告し、法人税や消費税などの支払いを免れた疑いがあります。

測量設計会社は全地球測位システム(GPS)などを使った測量技術を利用し、官公庁などから道路建設などの仕事を請け負っています。

なぜ、これほど安易に架空経費を計上する事件が多発するんでしょうね。

決算の数値が出てから慌てて脱税ではなく、普段から月次決算をきちんとして数値を把握しておき、節税すれば何の問題もないように思いますが。

脱税するくらいですから、そもそも、官公庁が支払っている金額が高すぎるのではないかとも推測されますが。

数か月の指名停止ではなく、こういった業者を排除していかないといけないのではないかと思ってしまいますね。

2億4,000万円の脱税疑いで大阪の測量設計会社が告発されたことについて、あなたはどう思われましたか?


法人税4,800万円を脱税の疑いで無申告分を馬券購入費などに充てた内装工事会社代表を告発!

読売新聞によると、法人税約4,800万円を脱税したとして、東京国税局が内装工事会社(東京都港区)と内装工事会社代表の男性(51)を法人税法違反容疑で東京地検に告発していたことがわかったようです。

関係者によると、内装工事会社はオフィスや保養所の内装工事などで多額の利益を上げていましたが、2022年5月期までの2年間の所得計約1億9,500万円を申告せず、法人税約4,800万円を脱税した疑いがあります。

内装工事会社は近年、無申告の状態が続いており、帳簿類もほぼ記載がなかったそうです。

代表の男性は、申告しなかった所得を競馬の馬券購入費などに充てていたとみられます。

読売新聞は、内装工事会社に取材を申し込んだようですが、回答はなかったとのことです。

最近、架空経費の計上による脱税事件は新聞等でよく目にしますが、無申告というのは珍しいですね。

代表の男性に、そもそも申告が必要という意識があったのでしょうか?

見つけるのが難しいかもしれませんが、こういった案件を、課税当局はどんどん見つけて、税金をがっぽり取ってほしいですね。

法人税4,800万円を脱税の疑いで無申告分を馬券購入費などに充てた内装工事会社代表を告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


1億円脱税疑いで会社役員の男を逮捕!

日本経済新聞によると、貸付金を業務委託費に仮装するといった手口で法人税など計約1億円を脱税したとして、東京地検特捜部は、先日、会社役員(43)を法人税法違反(脱税)などの疑いで逮捕しました。

東京地検特捜部は、認否を明らかにしていません。

逮捕容疑は東京都内のベアリング販売会社から会社役員が実質的に経営するシステム販売会社(東京都渋谷区)への貸付金を業務委託費と仮装させ、ベアリング販売会社の2021年3月期の法人税など計約7,800万円を脱税した疑いです。

ベアリング販売会社に架空の課税仕入れを計上させ、消費税など計約2,300万円を免れさせたほか、計約680万円の不正還付を受けた疑いも持たれています。

貸借対照表に計上すべき貸付金を、損益計算書の業務委託費に計上するというのはスゴいですね。

いわゆる架空経費なので、法人税や消費税を減らし(脱税し)、消費税については不正還付まで受けているので、かなり悪質ですね。

こういう事案は、どんどん課税して欲しいと思いますが、こういう事案がたくさんあるので、真面目に申告して還付になる会社が、簡単に還付してもらえないのは勘弁して欲しいですね。

1億円脱税疑いで会社役員の男が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


法人税1億5千万円の脱税容疑のコンサル会社社長は「税理士に断られ申告できなかった」!

2023年06月20日(火)

読売新聞によると、法人税約1億5,800万円を脱税したとして、東京国税局が東京都中央区のコンサルタント会社と同社の社長(78)を法人税法違反容疑で東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、コンサルタント会社は2018年9月に設立され、新宿区の土地の売買などで多額の利益を上げましたが、2019年3月期の税務申告をせず、約6億5,500万円の所得を隠し、法人税約1億5,800万円の納税を免れた疑いです。

隠した所得は、社長が借金の返済などに充てていたようです。

社長は取材に対し、「税理士に断られたために申告できなかった。脱税の意図はなかった」と話しました。

税理士に断られたのであれば、他の税理士を探せば済むように思いますが、複雑な案件で、面倒くさいことを言う社長で、誰も引き受けたがらなかったのかもしれませんね。

法人税1億5千万円の脱税容疑のコンサル会社社長は「税理士に断られ申告できなかった」とコメントしていることについて、どう思われましたか?


架空の外注費などの計上で3,900万円の脱税の疑いで建築会社と社長ら2人を告発!

札幌テレビ放送によると、札幌国税局は、先日、法人税法違反などの疑いで、札幌市白石区の建築会社と、社長(49)と役員(39)の2人を札幌地方検察庁に告発したと発表しました。

2人は共謀し、2019年から2020年にかけて、架空の外注費や支払手数料を計上して、約1億6,000万円の所得を隠し、約3,900万円を脱税した疑いが持たれています。

札幌国税局によると、社長の男は業務全般を統括し、役員の男は決算書類などを作成していたということです。

2人は、先日、同じ容疑ですでに札幌地検に逮捕されています。

最近、安易な架空経費の計上による脱税事件が多いですね。
普段から数値を把握しておけば、色々と検討したうえで節税ができると思いますが、バレないと思っているのか、決算日を過ぎて数値を把握すると思いのほか利益が出ていて慌てて架空経費を計上するのか、理由はよく分かりませんが、年間にすると、ニュース等に取り上げられる事件だけでもかなりの件数あると思いますので、それほど甘くはないということに早く気付いてほしいですね。
こちらの架空経費の経費は、相手にとっては売上になるわけですから、相手を調べればおそらくすぐに分かりますよね。

架空の外注費などの計上で3,900万円の脱税の疑いで建築会社と社長ら2人を告発したことについて、どう思われましたか?


法人税など1億円余り脱税の前社長に有罪判決!

NHKによると、架空の外注費用を計上し、所得を少なく見せかけて法人税を免れるなどして合わせて1億円余りを脱税したとして長崎県長崎市の会社と前の社長が法人税法違反などの罪に問われていた裁判で、長崎地方裁判所は前の社長に対し懲役1年6か月、執行猶予3年、会社に対し罰金2,500万円の判決を言い渡しました。

長崎市の重量機器の搬入会社と前社長(69)は平成28年10月期から平成30年10月期にかけて、架空の外注費用を計上して所得を少なく見せかけて法人税を免れたり、控除の対象となる仕入れを過大に計上して消費税を免れたりして合わせて1億円余りを脱税したとして法人税法や消費税法違反の罪に問われています。

先日の裁判で長崎地方裁判所の芹澤俊明裁判官は「知人に依頼して実体のない会社を設立させ、継続的に架空の請求書を発行させるなどしており巧妙かつ悪質である。動機や経緯につき特に酌量すべき余地はない」などと指摘しました。

そのうえで「会社は本税、延滞税などを全て納付し、役員や税理士などを一新して経理体制の改善を図ったことなど考慮すべき事情もある」などとして、前社長に対し懲役1年6か月、執行猶予3年、会社に対し罰金2,500万円の判決を言い渡しました。

架空経費を計上して、脱税する事件が後を絶ちませんが、当然、多額になると有罪になりますね。
こういったことがあるということを認識して、安易な脱税はやめてほしいと思います。

法人税など1億円余り脱税の前社長に有罪判決があったことについて、どう思われましたか?


2,700万円脱税の疑いで大阪国税局が大阪府堺市の工事会社を告発!

外注費の架空計上などで約2,700万円を脱税したとして、大阪国税局が型枠工事を手がける会社(大阪府堺市)と元社長(48)を法人税法違反などの疑いで大阪地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

修正申告はすでに済ませたそうです。

関係者によると、同社は下請け業者に支払った外注費を還流させるなどして、2020年3月期までの2年間に約1億1,500万円の所得を隠し、法人税など約2,700万円を不正に免れた疑いが持たれています。

隠した所得は元社長名義の不動産購入などに充てたそうです。

最近、架空経費の計上による脱税が多いですね。
告発されるのは、もっと金額が多いケースかと思っていましたが、そうではないみたいですね。
悪質なところから、国税局はどんどん取って欲しいですね。
社会的信用の失墜、重加算税などを考えると、普通に税金を支払うか、合法的な節税をすれば良いと思うのですが、なぜ、脱税に走るのでしょうか?

2,700万円脱税の疑いで大阪国税局が大阪府堺市の工事会社を告発したことについて、どう思われましたか?


東京国税局が法人税4,500万円の脱税容疑でアニメイト関連会社を告発!

時事通信によると、アニメショップチェーン「アニメイト」のグループ会社で、アニメカード販売などを手掛ける「カードラボ」(東京都板橋区)が法人税など約4,500万円を脱税したとして、東京国税局査察部が同社と前代表(47)を法人税法違反容疑などで東京地検に告発していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

関係者によると、前代表は知人男性から人気漫画「遊☆戯☆王」やアニメ「ポケットモンスター」の希少カードを仕入れたように装って所得を圧縮していました。
虚偽の請求書に基づきカードラボから知人の銀行口座に資金を移した上、95%程度を返金させて自らの口座に入れていたそうです。

かなり悪質な脱税ですね。
知人も巻き込んでいますし。
最近、架空の経費を計上して脱税を図るところを新聞記事等でyちょくちょく目にしますが、誰が主導で行っているのでしょうか?
指南をするコンサルタントなどがいるのでしょうか?

東京国税局が法人税4,500万円の脱税容疑でアニメイト関連会社を告発したことについて、どう思われましたか?


民間資金で学校新設を法人税負担減で後押し!

日本経済新聞によると、政府・与党はエンジニアや起業家らを養成する学校の整備に民間資金を生かす仕組みづくりを進めるようです。
高等専門学校などの新設に資金支援した企業の法人税負担を軽くする案を検討します。
最新のデジタル技術など産業界のニーズに合った教育を提供する場を広げます。
2022年12月にまとめる2023年度の税制改正大綱への反映をめざしているようです。

今冬までの税制改正論議で、政府・与党は岸田文雄首相が訴える「人への投資」を主要テーマに位置づけています。
財務省・経済産業両省で制度の詳細を詰めます。

政府・与党は現行の制度を見直し、企業がより資金を出しやすい環境を整える方向で議論します。
企業が損金算入する際の限度額を引き上げる案などが浮上しています。
企業側の利便性も考慮し、制度設計します。

政府の「人への投資」をめぐっては、リスキリング(学び直し)を中心に就業経験がある社会人向けの支援策がこれまでは目立っていました。
しかしながら、今回の税制改正では、就業前の若年世代の能力向上も狙っています。

財務省・経産両省がモデルケースとして着目するのが、2023年4月に開校を予定する私立の「神山まるごと高等専門学校」(徳島県神山町)です。
山間部に全寮制の校舎を設け、IT(情報技術)分野を中心とした起業家の育成に重点を置いています。
デジタル技術やデザインといったスキルの習得へのカリキュラムを打ち出しています。

同校の新設にあたっては国内の起業家らが発起人となり、数十億円の寄付を民間から集めました。
衣料通販大手のZOZOで最高技術責任者(CTO)を務めた大蔵峰樹氏が初代校長に就いています。

日本の高専は国立が中心で、私立は少ないです。
政府は少子化のなかでもユニークな人材育成を手がける学校の新設を後押しします。

国立だとできることが限られてくると思いますので、私立で独自の人材育成を行いやすくなると、日本のために良いことだと思いますね。
同じ四国の神山町から素晴らしい起業家が誕生してくれたら嬉しいですし、公認会計士・税理士として、何かお役に立つことがあれば協力させていただきたいと思います。

民間資金で学校新設を法人税負担減で後押しすることについて、どう思われましたか?


「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行!

先日、同業者からの情報で、すごいプレスリリースを見ました。
現在、工業会等による証明書が取れるかどうか検討している案件があるので、非常にタイムリーな話でした。
以下は、ダイキン工業のプレスリリースです。

~ここから~

大切なお知らせ

「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行についてのお詫びとお願い

この度、「中小企業経営強化税制」、「先端設備等導入計画に関する固定資産税の特例」、「(旧)生産性向上設備投資促進税制」、「(旧)中小企業投資促進税制(上乗せ措置)」、「(旧)経営力向上計画に関する固定資産税の特例」において、弊社の空調等設備の一部が、これら税制特例の対象設備に該当しないにもかかわらず、誤って該当要件を満たしているものとして「工業会等による証明書」が発行されていたことが判明しました。
「工業会等による証明書」の発行を受けたお客様のうち、誤った内容の証明書を用いて税制特例の適用を受けられていたお客様におかれましては、お手数をおかけしますが、税額の修正申告、納付手続等の税務手続をしていただく必要がございます。
ご愛用いただいているお客様に深くお詫びを申し上げるとともに、発生の経緯と今後の対応についてご案内いたします。
今回、お客様から「工業会等による証明書」の記載内容についてお問合せがありました。
「工業会等による証明書」は、弊社が自社のソフトウェアを用いて申請対象の該非判定を行った上で記入しており、同ソフトウェアに登録している一部の製品の仕様データに誤りがあることが判明しました。
社内にて調査した結果、対象期間である平成26年1月〜現在の間に、誤った内容の証明書が発行されたことを確認しました。
該当する証明書の発行を受けた可能性があるお客様には、弊社より直接ご連絡し、証明書の誤り部分のご説明、ならびに修正申告等の税務手続のお願いと、税額のお支払いを含めた具体的な今後の手続きについてのご案内をさせていただきます。
なお、お心当たりがあり弊社からの連絡が無くご心配のお客様は、誠にお手数ですが、以下のフリーダイヤル、または弊社ウェブサイトにてご相談下さい。
弊社にて状況を確認の上で、個別にご回答申し上げます。
今後、このようなことがないように、証明書発行に関わる仕様データの作成から申請書発行までの業務手順の厳格化、各手順におけるデータや記載内容のクロスチェックの徹底、業務の実施状況の定期点検および改善など、万全の対策を期して参ります。
お客様におかれましては、大変ご迷惑とお手数をおかけいたしますが、なにとぞ、ご理解・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

フリーダイヤル 0120−557−704(平日9時〜17時30分)
お問合せフォーム https://www.daikinaircon.com/info/20220823/contact/

~ここまで~

ざっくりと言うと、固定資産を取得した際に、『工業会等による証明書』があると、特別償却や税額控除や固定資産税などの税制上の優遇があるという制度の『工業会等による証明書』が間違っていた(本来は発行してはいけないものだった。)ということです。
もちろん、この製品が欲しくて買ったところもあるでしょうが、固定資産を取得する際に、税制上の優遇措置が使えるからということでこの製品を取得したり、税制上の優遇措置が使えるものの中からこの製品を選んでいるケースも多いのではないかと思います。
証明書を発行してはいけない製品だったわけなので、当然、税制上の優遇措置が使えないということで修正申告等が必要になりますし、税制上の優遇措置が目的で購入したのであれば、税額分を負担する必要がありますので、ダイキン工業は、どれくらいになるのかは想像もつきませんが、かなりの手間や負担額が発生するでしょうね。

「経営強化税制」、「固定資産税特例」等の税制特例に関する誤った内容の「工業会等による証明書」発行についてのお詫びとお願いについて、どう思われましたか?


法人税率の引き上げ案が浮上!

時事通信によると、与党の税制調査会で、法人税の実効税率を引き上げる案が浮上していることが、先日、明らかになったようです。
併せて、設備投資などに対する減税措置も拡充し、増税と減税を組み合わせることで企業にも「貯蓄から投資」を強く促し、日本経済の構造転換を後押しします。
与党税調幹部は2023年度の税制改正を見据え、政府側と検討を進めたい考えのようです。
ただし、企業業績には不透明感が強まっており、経済界が難色を示す可能性もあります。

実効税率の引き上げが実現すれば、1984年以来となります。

法人税率をめぐっては、2021年、経済協力開発機構(OECD)主導で最低税率を設定することで国際合意が成立し、世界的な引き下げ競争に歯止めがかかってきました。
アメリカのバイデン大統領も税率引き上げを提案しており、新型コロナ対応で財政赤字が拡大した各国で政策を転換する動きが出ています。

現在、法人税(国税)と法人事業税(地方税)などを合わせた法人実効税率は29.74%です。
政府は2015年度以降、企業が減税分を賃上げや設備投資に回すと期待し、34.62%だった税率を段階的に引き下げてきました。

これに対し自民、公明両党は2021年12月にまとめた2022年度税制改正大綱で、税率引き下げにより企業の内部留保は増加したものの、投資拡大など「意図した成果を挙げてこなかった」と指摘しました。
そのうえで「企業の行動変容を促すためにどう対応するか幅広く検討する」と、民間資金を投資に誘導する仕組みづくりを示唆していました。

今回は増税額と減税額が同規模となる仕組みを想定しているようです。
税調幹部は「大幅には引き上げられないが、日本の実態に合った構造転換は必要だ」と訴えています。

ただし、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う原材料価格の高騰で、企業業績は今後厳しさを増す可能性があります。
また、設備投資の規模は業種によってばらつきが大きく、サービス業など減税措置の恩恵が限られる業界は差し引きで増税となる恐れがあります。
大企業を中心とする黒字企業などからは強い反発も予想され、実効税率の引き上げが実現するかは不透明な情勢です。

相続税、消費税、所得税などが増税傾向にあるなか、唯一と言ってよいほど、法人税は減税傾向にありましたが、法人税も増税になるかもしれませんね。
以前の総理が、グローバル企業が世界的な市場で勝負できるように、実効税率の30%切りにこだわり、表面上は実現させました(課税対象が拡大になっているため、実際には引き下げにはなっていない。)が、手のひらを返す感じですね。
企業だと、業績が悪くなると、ますはコスト削減を考え、そのあとに値上げを考えるのが一般的なように思いますので、増税するのであれば、まずは国の無駄遣いを削減してからにして欲しいですね。
法人税率が上がれば節税効果は上がるのですが、一方で、法人税率が低いということが法人化の理由の一つとなっていると思いますので、法人税率が上がると、税理士としての対応も変わってはきますね。

法人税率の引き上げ案が浮上していることについて、どう思われましたか?


政治家個人への寄付は禁止なのに使い道報告義務のない「抜け穴」から与野党が計22億円支出!

東京新聞によると、自民党、国民民主党、日本維新の会、社民党、れいわ新選組の5党が2019年、「政策活動費」や「組織活動費」の名目で党幹部ら30人に総額約22億円を支出していたことが、政治資金収支報告書の東京新聞の調査で分かったようです。
禁止されている政治家個人への寄付を政党だけに認める制度があるためで、その先の使途は報告義務がありません。
1994年の政治改革で小選挙区制と同時に埋め込まれた「抜け穴」は、秋に総選挙を控えた現在も解消されていません。

ちなみに、政治資金収支報告書は、政治団体の収入、支出、資産を記載するよう政治資金規正法で定める報告書で、年間5万円超の寄付をした人や、20万円を超える政治資金パーティー券の購入者も記載します。
総務大臣や都道府県の選挙管理委員会に提出します。
総務大臣所管の2019年分は2020年11月に公表されました。

政治資金規正法は政治家個人への寄付を禁じ、資金管理団体や政党支部で受けて収支報告書を提出するよう定めています。
ただし、「政党がする寄付」には適用しないという例外規定があり、支出が認められています。

2019年の収支報告書を集計したところ、こうした政策活動費などを最も多く支出していたのは自民党です。
二階俊博幹事長や甘利明選挙対策委員長(当時)ら計18人に13億410万円を出していました。
国民民主党は玉木雄一郎代表と平野博文幹事長(同)に8億1,000万円を支出していました。
日本維新の会は党支部の位置付けの国会議員団から、5,865万8,000円を馬場伸幸幹事長ら4人に出していました。
社民党は照屋寛徳国対委員長ら5人に1,500万円を、れいわ新選組は山本太郎代表に40万円を出していました。

支出された議員らが代表を務める資金管理団体や政党支部で、判明した約100団体の収支報告書を調べたようですが、受領の記載はなかったようです。
取材に対し、自民党、国民民主党、日本維新の会は、党勢拡大や政策立案の資金としたうえで「政治資金規正法に則のっとり、適正に処理している」などと回答しています。
社民党は「適正に支出」としたうえで「使途報告が求められない現行制度は法の趣旨に照らして十分とはいえない」と答えました。
れいわ新選組は「領収書管理の負担軽減のため。ただ、支援者が寄付した資金を分かりづらい形で支出することは改善する必要がある」としています。
立憲民主党、公明党、共産党は2019年分の支出がありませんでした。

東京大の谷口将紀教授(現代日本政治論)は「政治資金規正法の狙いは政治家の資金面の公私の峻別だが、大きな抜け穴になっている。議員が自らの資金管理団体で収支報告するか、政党が使途を説明させるなど、制度を変える必要がある」と指摘しています。

「子どもにお使いを頼んで、家計簿にそのまま『お使い』とだけ書いておくようなもの。何を買ったか分からない」
使途の報告義務がない「政策活動費」などの問題点を、神戸学院大の上脇博之ひろし教授はこう例えています。

「抜け穴」は、1994年成立の政治改革関連法で生まれました。
政治腐敗が相次いだ時期。金権政治の温床を断ち切るべく、政治献金の制限など政治資金の「入り口」の議論に熱視線が注がれました。
しかしながら、その裏で、使途などの「出口」を巡り、政治家自身の縛りを緩める法改正がひっそりと行われたのです。

それから30年近く、与野党問わず制度は使われ続けています。
国会での追及も散発的です。
「答える立場にない」「適正に支出」と述べ合い、自浄作用が働いたとは言えない状態でした。

コロナ禍で国民が困窮にあえぐ中、政治の現場で不透明な資金が横行する現状は許されるのでしょうか?
今秋には総選挙があります。
民主主義を担う公党である以上、与野党で法改正に向けた議論を始める必要があります。
少なくとも、使途報告を義務づけるルール作りは今すぐにでもできるはずでしょう。

法人とか個人事業主は、例えば、領収書は7年間の保管が義務付けられ、使途秘匿金は、消費税においては仕入税額控除の適用を受けることができませんし、法人税においては損金不算入に加えて、使途秘匿金の40%の税額が課されます。
法人とか個人事業主はこういうのがありますが、政治の世界でのこういったものが認められているということには、税理士としてすごく違和感を感じます。

政治家個人への寄付は禁止なのに使い道報告義務のない「抜け穴」から与野党が計22億円支出していることについて、どう思われましたか?


住友化学がコーポレートガバナンスを強化し税務方針を制定!

ゴムタイムスによると、住友化学は、先日、「住友化学グループ税務方針」を制定したと発表しました。
同方針は、同社グループにおけるコーポレートガバナンス強化の一環として、これまでの税務に関する取り組み方針を明文化したものとなっています。

2012年6月に経済協力開発機構(OECD)において発足した「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting・税源浸食と利益移転)プロジェクト」を契機として、租税回避行為の防止に向けた国際課税ルールの見直しが各国・地域で進められています。

このような世界的な税務コンプライアンス強化の動きのほか、企業によるグローバル展開の拡大などに伴い、企業グループが抱える潜在的な税務リスクの規模や複雑性が増大しています。

同社グループは現在、世界の約30カ国で事業展開をしており、納税を企業が果たすべき最も基本的かつ重要な社会的責任の一つと捉えています。

これまでも各国・地域において適用される税法を順守し、適切な納税を行ってきましたが、税務コンプライアンスと税の透明性確保に向けた取り組みを全グループ会社がより高いレベルで実行するため、同方針を制定しました。

同社グループは、コンプライアンスを企業経営の根幹と位置付けており、引き続き、事業活動を行っている各国・地域において、諸法令はもとより、企業倫理の順守を徹底していくとしています。

GAFAなどが税法を研究して節税を図っているなか、このような真面目な企業が彼らと世界的に戦っていけるのだろうかと思ってしまいますが、過度に保守的になり過ぎないようにしていただき、こういう企業がグローバルスタンダードになればいいなぁと思います。

住友化学がコーポレートガバナンスを強化し税務方針を制定したことについて、どう思われましたか?

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入居事業者からの賃料減免なら損金として計上可能に!

国土交通省は2020年4月10日までに、テナントビル所有者に対し、入居する事業者からの賃料を減免した場合、損失額を税務上の損金として計上することが可能だと通知しました。

通常は寄付金扱いとなりますが、損金とすることで法人税の負担軽減を図ります。

通知は2020年4月9日付けです。
新型コロナウイルス感染拡大による売り上げ減少で、賃料の支払いが困難な事業者が増えていることを踏まえたものです。
国税庁が近く適用要件を公表します。

国土交通省は、3月末、テナントビル所有者に対し、支払いの猶予など柔軟な対応を要請していました。

テナントビル所有者も事業としてやっているわけですから、当然のことだと思いますね。
もちろん、要請するのであれば、固定資産税の免除も当たり前かと思いますが、テナントビル所有者側に立った報道等が少ないのはなぜなんでしょうね?

入居事業者からの賃料減免なら損金として計上可能になったことについて、どう思われましたか?


「巧妙な隠ぺい」“スパコン詐欺”の元社長に懲役5年!

以前このBLOGでも取り上げましたが、スーパーコンピューターの開発を巡って国の助成金をだまし取った罪などに問われた開発会社の元社長に対し、東京地裁は懲役5年の判決を言い渡しました。

ベンチャー企業「PEZY Computing」の元社長(52)は、経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成金6億5,000万円余りをだまし取ったほか、法人税約2億3,000万円を脱税した罪などで起訴されました。

判決で東京地裁は「虚偽の書類を示すなど巧妙な隠蔽策で詐欺を完遂した」「助成金を無関係な運転資金や個人的な支払いなどに流用した」などと指摘し、元社長に懲役5年を言い渡しました。

弁護側が一部を除いて無罪を主張していた脱税の罪については「故意の脱税だった」と認め、弁護側の主張を退けました。

こういう事件がありますので、助成金という制度自体を見直さないといけない時代になっていると思います。
助成金も補助金も一部の知っている企業だけが使っている傾向にあると思いますので、金額を小さくして、多くの企業に与えるのも一案かと思います。
また、返さなくても良いということが詐欺や効果のなさにつながっていると考えられますので、何か要件を充たせば返さなくても良いといった感じに変えても良いかもしれませんね。

「巧妙な隠ぺい」“スパコン詐欺”の元社長に懲役5年の判決が言い渡されたことについて、どう思われましたか?


税・社会保険の電子申告の導入が迫るなか企業の準備は整っていない!

日本経済新聞によると、2019年12月、行政の電子化を目的とするデジタル手続法が施行され、パスポートの申請など約500の手続きが順次電子化されます。2020年4月からは、企業の税申告や社会保険の申請の電子化も義務付けられます。約2万4,000社が対象となりますが、準備が整っていない企業が多いのが実情だそうです。

政府が2019年12月下旬に公表した「デジタル・ガバメント実行計画」には、仕事や暮らしに関わる様々な手続きの電子化計画が並んでいます。
2020年4月以降、資本金1億円超の大企業に義務付けられるのが、法人税と消費税の電子申告です。
3月期決算の企業の場合、法人税については、9月期までの中間申告から電子化が求められます。
消費税は、年間申告回数によって異なりますが、早い企業では6月末までの対応が必要になります。

導入まであと2か月弱と迫るなか、現場では不安の声が広がっているようです。

NTTデータで法人税の電子申告システムの販売を担当する小谷智昭氏は、「間に合わない企業が続出しかねない」と話しています。
同社が2019年7月から11月にかけて実施したアンケートによると、6割の企業が準備に着手していなかったようです。
「書面ベースで進める稟議など、社内の承認手続きの流れを見直すには相当の時間がかかる」(小谷氏)。
システムを導入するだけでは不十分で、経営陣を含めた業務プロセスの見直しが欠かせないようです。

対象企業は、国税庁の納税システム「e-Tax」などを用い、法人税と消費税の確定申告書を提出します。
複数のITベンダーがe-Taxと連携した申告システムを販売しており、国税庁の2018年の調査でも資本金1億円を超える7割の企業が電子申告を利用しているようです。

しかしながら、会計システム大手のTKCの富永倫教執行役員は、「制度変更に完全に対応できていない企業は多い」と指摘しています。
法人税では「別表」と呼ばれる申告書本体だけでなく、財務諸表や勘定科目内訳明細書などを添付して提出します。
2020年4月からの義務化では、これら全ての書類を電子化して提出する必要がありますが、申告書本体のみにとどまっている企業も多いようです。

化学メーカーのリケンテクノスは、2016年から法人税の電子申告に対応しました。
しかしながら、財務諸表などの添付書類を50枚以上、今でも郵送で送っているそうです。
電子化する際のファイル形式が申告書本体と異なり、システム対応に手間がかかるためです。
「対応できるように検討している。義務化には間に合わせたい」と同社の担当者は話しています。

より広い範囲で対応が求められるのが、社会保険の電子申請です。
2020年4月から健康保険、厚生年金保険、労働保険、雇用保険に関する12の手続きの電子化が義務付けられます。
総務省の「e-Gov」と呼ぶシステムを使いますが、ここでも対応の遅れが指摘されています。

2020年4月には早速、新入社員の雇用保険手続きで電子申請が必要です。
しかしながら、労務管理システムを販売するエムケイシステムの三宅登社長は、「当初から完全対応できる企業は2割程度にとどまる」と見ています。
給与や人事、マイナンバーなど関連する社内の業務システムを一元管理できていない企業が多いのが理由です。
「被保険者の報酬月額変更届など、頻度の少ない手続きも義務化の対象」(社会保険労務士の片山力氏)ですが、すべてシステムで対応しようとすると投資負担が大きくなるのです。

政府は2024年度中に、年10億件近い行政手続きのうち、件数ベースで9割の電子化を目指すそうです。
企業が戸惑うのは「システムが使いづらく、変更も多い。対応に手間と費用がかかる」状態が長引きそうなことです。
電子化を進める関係省庁部局が複数にまたがり、情報が一本化されていません。
企業側も税務、人事など担当レベルで部分的に把握できたとしても、企業全体でどう対応すべきか経営トップがつかみにくい状況にあるといえます。

労働人口が減るなかで生産性の向上は避けて通れない課題です。
中長期でみれば「税や行政手続きの電子化によって、企業の間接業務の効率化は進む」(野村総合研究所制度戦略研究室の梅屋真一郎室長)でしょう。
梅屋氏は、「人材配置の最適化を進める機会とするのが望ましい」と指摘しています。

この行政手続きのオンライン化を進める上で欠かせないのが「ハンコ文化」の見直しです。
印鑑証明書が必要な行政手続きは100種類以上あります。
電子証明書で代用できる手続きも多いですが、利用が進んでいません。
契約書など民間業務でも必要とされることがあり、法人の印鑑証明書の発行は、年間約1,300万件(2018年)にもなります。

政府は2019年12月に策定した「デジタル・ガバメント実行計画」で、印鑑証明書の省略や印鑑の代わりとなる電子証明書の普及を進める方針を打ち出しています。
商業登記法では法人を登記する際、代表者の印鑑を届け出ることが義務付けられています。
この条文が2019年12月に成立した改正法で削除され、印鑑登録が任意になりました。
改正法は2021年2月までに施行される見通しです。

電子証明書や電子署名などデジタル認証の仕組みは整いつつありますが、日本では「ハンコ文化」が根強いのです。
企業でも、正式文書は押印した紙で保存する習慣が残っています。

税や社会保険の手続きを電子化することにより、手間が省けるのであれば、個人的には大賛成です。
僕自身、税理士として、法人税や消費税の申告は100%電子申告していますが、中小企業でも紙で出さないといけないものがあったりして不便だなぁと感じることがあります。
中小企業ですらこのような状況ですから、加減算項目の多い大企業になるとものすごい手間が生じるのではないかと思います。
また、e-Taxを導入した当初、導入企業がまったく増えず、税理士会経由で税理士に呼びかけ、利用率は増加したものの、実質は一部の別表だけ電子申告し、残りは紙で提出している企業が多いというような記事も見かけましたので、実質的な利用率はそもそも低い状況下で電子申告を義務化するというのもどうかと思います。
国には、きちんとシステムを整備し、電子申告する企業にメリットがある状況にしたうえで、やってほしかったなと思います。

税・社会保険の電子申告の導入が迫るなか企業の準備は整っていないことについて、どう思われましたか?


企業版ふるさと納税につき寄付額の9割軽減を政府が検討!

 政府は、地方自治体に寄付した企業の税負担を軽くする「企業版ふるさと納税」を拡充するようです。
税負担を軽減する割合を現在の約6割から、約9割に広げたうえで、2019年度までの時限措置を2024年度まで5年間延長する方向で調整します。
「個人版」に比べ伸び悩む企業の寄付をテコ入れし、地方創生への資金の流れを促します。

内閣府が提出する2020年度の税制改正要望に盛り込み、2019年末に向けた与党の税制改正議論などで詳細を詰めます。

企業版ふるさと納税である「地方創生応援税制」は、2016年度に始まりました。
現行制度は内閣府が認定した自治体の事業に企業が寄付すると、損金算入措置による約3割の税の軽減効果に加え、寄付額の3割が税額控除され、合計で寄付額の約6割分の税負担が軽くなり、実質の企業負担は約4割で済みます。

2020年度からは税額控除の割合をさらに3割拡大し、税負担の軽減幅を合計で約9割に広げる方向で検討します。
企業版は、「個人版」で一定の範囲で許容されている返礼品のような経済的な見返りがなく、企業側のメリットの分かりにくさが寄付低迷の一因との指摘があります。

これまでの例では、企業が創業の地や工場がある地域、被災地などの自治体に寄付する例が多くなっています。
自治体は地域の再生に企業資金を呼び込むことができ、企業にとっては社会的責任(CSR)活動の一環として地域貢献をアピールできる利点があります。
今後は企業の寄付を促すため、表彰制度の創設も検討するようです。

寄付の対象も広げます。
企業版は内閣府の認定を受けた事業に寄付する仕組みですが、いまは予算など詳細が固まった後でないと企業が申請できません。
2020年度から詳細が固まる前でも申請を受け付けられるようにし、企業側の都合に合わせて申請できるようにする方針です。

拡充案では、国の交付金や補助金を受けている事業も寄付対象の事業として認定を可能にします。
これまでは「地方創生関係交付金」など一部を除き、他の財政支援を受けている事業は寄付の対象として認定を受けられませんでした。

企業版ふるさと納税を募っているのは都道府県と市町村を合わせて406で、全自治体の23%にとどまっています。
寄付額も個人版に比べ見劣りします。
企業版は2018年度に34億円(速報値)と2016年度の開始当初より4倍以上増えましたが、個人版の5,127億円と大きく離れています。

本当に創業の地や工場がある地域に貢献したいのであれば、損金になるかどうかを考えずやればよいと思いますし、寄付は売名行為ではありませんので、表彰というのは寄付金の性質上、違うのではないかと個人的には思います。
まさか、個人版のふるさと納税による税収が減ると見込まれるため法人版に期待しているということはないと思いますが、個人版のふるさと納税制度は失敗だと思っていますので、個人版をまねるのではなく、本来のふるさと納税の趣旨に立ち返って、変えるところは変えて欲しいと思います。

企業版ふるさと納税につき寄付額の9割軽減を政府が検討していることについて、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(4/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
4日目の今日は、『その他の社会的波及効果の高い事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
近年、市場が拡大する分野における脱税など、社会的波及効果が高いと見込まれる事案に対して積極的に取り組みました。

<トピック8>好況なネット通販事業者の告発
近年、インターネット等のネットワークを通じた多様な経済取引が可能となっているところ、このような取引で得た多額の利益を隠し法人税を免れていた事案に対し、デジタルフォレンジック技術を活用するなどして不正を解明し告発しました。
【事例】
H社は、インターネットや各種メディアを利用して自社商品を販売し、多額の利益を得ていたものですが、不正加担者と通謀し、同人の主宰会社に対して架空の広告宣伝費等を計上する方法により法人税を免れ、同会社に送金した資金を現金でバックさせるなどして還流させていました。
本事案では、デジタルフォレンジックツールを使用して、スマートフォン内のデータを解析し、不正資金の還流の事実を解明しました。

<トピック9>好況な不動産事業者の告発
近年、不動産業の売上及び経常利益が上向いている状況ですが、不動産取引による売上を正しく申告しないほか、架空経費を計上し、所得(利益)を過少に申告していた事案を告発しました。
【事例】
I社は、入場者数が増加している国内有数のテーマパーク近隣の開発予定地に係る不動産売買取引に関与し、多額の利益を得ていたものですが、仲介手数料収入を除外するほか、取引に係る虚偽の覚書を作成し架空外注費を計上するなどの方法により法人税を免れていました。

<トピック10>クラブ経営者らによる消費税・源泉所得税事案を告発
日本有数の歓楽街でクラブ及びキャバクラ等を経営する法人による消費税及び源泉所得税事案を告発しました。
【事例】
Jは、クラブ及びキャバクラ等を経営する法人を主宰するものですが、経理責任者Kと共謀し、主宰法人の消費税の確定申告を一切せずに納税を免れたほか、店舗従業員の給与に係る源泉所得税を一切納付していませんでした。

その他の社会的波及効果の高い事案について、どう思われましたか?


連結納税のミス修正の事務負担を軽くすることを検討!

 財務省は、企業グループを一体とみなして法人税を計算する連結納税制度について、企業の事務負担の軽減をめざしているようです。
制度を使えばグループ内の利益から損失を差し引いて課税所得を圧縮できる半面、1つの子会社の税務申告に間違いがあるだけでグループ全社の集計作業がやり直しになります。
企業にとって大きな負担のため、ミスした企業の修正だけで済むような制度の見直しを検討するようです。

政府税制調査会(首相の諮問機関)で、近く連結納税制度の見直しを検討事項の一つに取り上げるそうです。
制度が複雑なうえ、企業実務に絡む専門的な議論が必要なため、2019年度の税制改正をめざすのではなく、中期的な課題と位置づけて議論するようです。
財務省は、政府税制調査会などで企業側の意見を聴き、問題点を洗い出します。

2002年度に導入された同制度を使うと、国内グループ企業の利益と損失を通算できるため、一般的には個別に納税するよりも、法人税がかかる所得を小さく抑えられます。
制度を使うかどうかは企業が選ぶことができます。
2010年度税制改正で、子会社が持つ過去の欠損金を反映できるようにするなど使い勝手がよくなり、利用が増えました。
現在、資本金1億円以上の大企業のうち、3割超が制度を利用しています。

一方で、税務申告にかかわる企業の事務負担は重くなりがちです。
特に、対象となる子会社や孫会社のどこか1か所で経費計算などにミスが起きるだけで、グループ全体の集計作業がやり直しになる問題を抱えています。
対象企業の税務上の損失や控除額などをいったん足し上げて、全体の税額などを計算するためです。

こうした負担を軽くする方策の一つとして、財務省内では連結納税の対象となる各社がそれぞれ個別に税務申告書をつくる案が浮上しています。
現行制度では、親会社がまとめる連結申告書に一本化されています。
情報を一括して把握できる半面、いったん内容に疑問が生じると、グループ全社で集計作業をやり直さなければ問題を修正できない原因にもなっています。

個別に申告書を備えておくことで、ミスが生じても部分的な修正だけで済まそうという考え方です。
個々の会社による申告書の作成作業が増えるようにみえますが、実際には各社はすでに同じような作業を手掛けており、修正が必要になった場合の対応を大幅に簡素化できるメリットの方が大きいと財務省はみています。

税務当局にも利点があります。
例えば、申告内容に問題があれば、税務署は親会社だけでなく、全国各地の子会社も調べなければなりません。
制度の見直しは、「人員が限られ、十分な調査ができない」(国税庁関係者)という現状の改善につながります。

財務省は、連結納税の対象企業の範囲といった制度の骨格は変えない方針ですが、企業のM&A(合併・買収)の増加に対応する見直しなどは課題となりそうです。
現行制度では、新たに買収した会社を連結納税の対象に加えようとすると、その会社の資産の含み益に応じた税金を事前に払う必要が生じます。
せっかく買収した企業の価値が目減りしかねず、課税の繰り延べなどが検討課題となります。

僕自身は、連結納税の申告業務をやったことがないので、実務上の煩雑さなどが分からないのですが、『連結納税』というくらいですから、子会社の申告書にミスがあれば、グループ全体の集計が異なってくるのは当然だと思いますが、どうなのでしょうか?
手間をかけてでも税金を安くしたいという企業が使えばいいと思いますし、実務上の負担が大きいのであれば、もっとシンプルな制度にすればよいのではないかと思います。

連結納税のミス修正の事務負担を軽くすることを検討していることについて、どう思われましたか?


陸上自衛隊演習場の地権団体が100億円の申告漏れ!

静岡県にある陸上自衛隊東富士演習場の土地を国に貸し、賃料を得ている静岡県内の一般社団法人と一般財団法人の計10法人が、名古屋国税局から総額約100億円の申告漏れを指摘されたことが、関係者への取材でわかったようです。
2008年の公益法人制度改革に伴い、課税対象になった賃料収入を数年間にわたって申告していませんでした。
追徴税額は、過少申告加算税を含め計約20億円に上るようです。

関係者によると、御殿場、裾野、小山の21町には演習場に土地を貸している法人が11あるそうです。
以前、所得隠しを指摘された1法人を除き、残る10法人が指摘をうけました。
法人の大半は国から年間数億円の賃料を受け取っていますが、申告していなかったそうです。

公益法人制度改革前、10法人は公益法人の社団法人もしくは財団法人で、税の優遇を受けていました。
公益法人の場合、国に直接貸した土地の賃料は所得から除外され、非課税になります。
それゆえ、演習場の賃料も税金がかかりませんでした。

公益法人制度改革後、10法人は一般社団法人もしくは一般財団法人となり、公益法人ではなくなりました。
引き続き演習場の賃料が非課税とされるには、「特定の個人・団体に特別の利益を与えていない」ことなどが要件になりました。

国税局は、10法人は事務所がある一部の地域に限って寄付や助成をしており、これが特定の個人や団体への利益供与にあたると認定されたようです。
非課税の要件を満たしていないとして、演習場の賃料は申告が必要な所得と判断した模様です。

年間約5億円の賃料収入があるという御殿場市の法人代表は、取材に対し、5年分で計約25億円の申告漏れを指摘されたことを認めたようです。
この代表は「演習場による賃料は非課税だと思っていた。税理士にも相談したが、わからなかった」としています。

「税理士にも相談したが、わからなかった」というところからは、これらの法人に顧問税理士がいるのか単に相談しただけなのかどうかは分かりませんが、多額の収入があるわけですから、公益法人制度改革時にきちんと税務面での検討を行うべきだったように思います。
直感的に、寄付や助成の仕方を変えれば、行けるかもしれないのではないかと感じますね。

陸上自衛隊演習場の地権団体が100億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


NPO法人による障害者就労支援に課税!

 NPO法人による障害者向けの就労支援について、国税庁が「原則、収益事業で納税義務がある」との見解を示したようです。

 全国の小規模作業所に不安が広がり、課税を不服として争う法人もあるそうです。
作業所などの全国団体「きょうされん」(事務局・東京)は近く、国税庁長官に撤回を求めるようです。

 国税庁は、2017年7月、ホームページで見解を発表しました。
こうしたNPO法人は障害者と契約して役務を提供し、利用料を受け取る「請負業」との判断を示しました。

税法上、収益事業は「継続して事業場を設けて行われるもの」で、請負のほか、物品販売、製造など34業種が限定列挙されています。
国税庁の法人課税課の担当者は「NPO法人の障害福祉サービスは以前から収益事業だが、複数の税務署から相談があり、見解を示した」と話しているようです。

広島市の「つくしんぼ作業所」は国などの給付を受け、就労困難な知的障害者が家にこもらないように働く場を提供し、1946歳の男女18人がクッキーを作るなどしています。
2007年にNPO法人となった際、税務署から「収益事業でない」と説明を受けたそうです。
しかしながら、2015年に一転して収益事業と指摘され、法人税や無申告加算税など過去3年分で計約200万円を課されました。

2017年4月、「運営はボランティアの支えもあり、福祉が目的で収益事業ではない」と、広島国税不服審判所に税の取り消しを求めて審査請求しました。
今月にも結論が出る見通しです。
厚生労働省によると、つくしんぼ作業所のようなNPO法人は、全国で約3,300201610月現在)に上るようです。

きょうされんは、201712月、障害福祉サービスを実施する加盟の507NPO法人にアンケートを実施しました。
回答した231法人のうち、法人税を申告したとするのは77法人でした。
多田薫事務局長は、「資金力のない法人は課税で圧迫され、福祉サービスが低下しかねない」と話しています。

NPO法人は、そもそも非営利団体のことです。
特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人は株式会社と違い、毎年の利益や解散する時の残余財産を構成員に分配できませんが、利益を上げる事業は行えます。
法人税は所得に課税するので、赤字のNPO法人は課税されません。
なお、所得が年800万円以下のNPO法人の税率は、中小企業と同じ15%です。

これに関しては。このような法人に限らず、収益事業かどうかという判断に迷うことが多々あります。
納税者の方も、なぜボランティア的なことをしているのに課税されるのかと思ったりすることが多いのではないでしょうか?
ただ、安易に収益事業ではないとすると、おそらく悪用する方がたくさん出てくるのでしょう。
個人的には、まず、『特定非営利活動法人』という名称を変えたほうが良いのではないかと常々思っています。
普通の方は、『非営利』と言われると『営利を追求しない』と考えるでしょうから。
あとは、税法上『収益事業』となる34業種も、見直す時期に来ているのではないかと感じています。
これは、時代の変化に合わせて新たな業種も生まれてくるでしょうから、タイムリーに改正していかないといけないと思います。

NPO法人による障害者就労支援が課税されることについて、どう思われましたか?


2019年からスマホでコンビニ納税!

2018年01月19日(金)

2019年1月から、スマートフォン(スマホ)などを使い、コンビニエンスストアで納税できるようになるようです。
スマホやタブレット端末などで手続きを簡素にし、電子申告・納税の利用を促します。
納税者らの利便性を高めるほか、税務署の納付書の宛先確認や郵送といった業務の削減を目指します。

財務省と国税庁が主導します。
納税者が電子申告するとその税額や、所得税や法人税といった税目などのデータを記録したQRコードがPDFとして表示されます。
利用者がスマホ画面などに表示されたQRコードをコンビニの読み取り端末にかざすと、税目や税額が印字された書類が発行され、レジで税金を納めることができます。

納税は現金で、全ての税目が対象となります。
読み取り端末はセブンイレブンの「マルチコピー機」やファミリーマートの「Famiポート」、ローソンの「Loppi」などを想定しています。

こうした端末では、既に、イベントのチケットやスポーツ振興くじ(toto)の購入、住民票の写しや印鑑登録証明書などの発行、自動車保険の加入といった手続きができます。
2019年からスマホを使った納税も加わります。

ただ、QRコードの読み取り端末があるコンビニでしか使えず、現状では対象となる店舗が限られるようです。
財務省と国税庁は今後利用できるコンビニを広げていく考えです。

スマホ納税の利用者として想定されるのは、主に個人事業主や法人です。
現在は電子申告したあとに、税務署が作成した納付書を受け取りに行ったり、税務署から郵送してもらったりして、納付書を手に入れなくてはなりません。
納付書があれば今もコンビニで支払えますが、税務署や銀行で支払う人がほとんどだそうです。

また、電子申告をするにはこれまでは本人認証でマイナンバーカードなどの電子証明書や読み取り機器が必要でしたが、2019年からは税務署で一度でも本人確認すれば、IDとパスワードで認証できるようになるため、電子申告を利用する人が増えるとみられます。

政府は規制改革推進会議でICT(情報通信技術)による業務コストの削減を掲げており、電子申告・納税の普及を進めています。
コンビニは生活者にとって様々なサービスの拠点となっており、身近なスマホを使って納税できるようになれば、利便性が高まり電子申告・納税に弾みがつくでしょう。

実は、税理士も僕が使っている申告用のソフトであるNTTデータの達人シリーズなんかは、数年前から納付書を出力できるようになっています。
しかしながら、納付書は3枚綴りなので、B4に3枚分が印刷され、それを3枚に切って、銀行の窓口などに持って行く必要があり、少し手間です。
QRコードでいけるとなると、便利になりますね。
一方で、最近、窓口に来る人がかなり減っていると言われている銀行ですが、税金の納付の方がまぁまぁ多いのではないかと思います。
これらの方がコンビニで支払うようになると、銀行は不要になってきますね。
AIに取って代わるとも言われていますし、最近、手数料の値上げとか言っていますが、銀行の存在自体が危うくなってくるかもしれませんね。

2019年からスマホでコンビニ納税ができるようになることについて、どう思われましたか?

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真の勝者はMLBの会計士?

RONSPOによると、メジャーリーグ機構はドジャースとカブスの東京ドームでの開幕シリーズがメジャー史上最大の単独国際イベントとなったことを発表しました。

ドジャースの大谷翔平(30)選手ら日本人メジャーリーガー5人が出場した今回のシリーズの視聴者数、グッズ販売数、観客動員数でメジャーの新記録を樹立しました。

アメリカのメディアは「真の勝者はメジャーリーグの会計士だ」と皮肉っています。

“MVP男”大谷選手が凱旋帰国した東京シリーズは記録づくしの大成功に終わりました。
史上初の日本人同士の開幕対決となった山本由伸選手と今永昇太選手が投げ合い、大谷選手が2安打2得点をマークして、ドジャースがカブスに4-1で勝利した開幕戦の日本での平均視聴者数は、2,500万人以上で、国際イベントでは過去最高だった昨年のドジャースとパドレスの韓国シリーズの1,870万人を600万人以上も上回ったのです。
マリナーズのイチローの引退試合となった2019年のマリナーズとアスレチックスの東京シリーズの開幕戦の560万人に比べると1,900万人以上も多かったそうです。
全米での過去最高記録である2017年のワールドシリーズ第7戦、ドジャース対アストロズの2,820万人には届かなかったですが、2位の記録だった2019年のワールドシリーズ第7戦、アストロズ対ナショナルズの2,300万人を上回りました。
大谷選手が今季1号を放ちドジャースが連勝した第2戦も2,300万人以上の視聴者数を記録しました。

また、ドジャース対巨人のエキシビションゲームも1,800万人の平均視聴者数を記録し、これは全米で最も視聴されたMLBのエキシビションゲームとなりました。

ドジャース対阪神の平均視聴者数も1,230万人でした。
時間帯が悪かったアメリカでの視聴者数も大成功でした。

シカゴで午前5時、ロサンゼルスで午前3時に試合が始まりましたが、開幕戦がFOXで平均83万8,000人の視聴者を記録し、アジアで行われた開幕戦としてはMLB史上最高記録を更新しました。

昨年の韓国シリーズでの平均視聴者数35万人を139%上回っています。
グッズ販売も史上最大の売り上げを記録しました。

Fanatics社によると、総売り上げは4,029万ドル(約60億円)にのぼり、同社の最高記録となりました。

東京ドームの場外に設置された巨大なオフィシャルストアには、140台のレジが設置され、1時間あたり平均1,000件以上の取引があり、50万以上の商品が販売されました。

最も売れたのは東京シリーズのワッペンが貼られた大谷選手のユニホームでした。

また、ネットで販売されたアーティストの村上隆氏とコラボした東京シリーズのユニホームは、発売開始1時間で在庫がなくなったそうです。

約60億円の売り上げは、国際イベントでは過去最大だった2024年のロンドンシリーズを320%も上回り、全米で最もグッズ売り上げのあった2022年のロサンゼルスでのオールスター戦ウイークの数字も105%上回っています。
トレーディングカードのTOPP社も、特別に「TokyoSeries MegaBox」を販売しました。

これも大ヒットで1週間で1万2,000箱を販売し、約20万人が楽しんだそうです。
また、観客動員も、阪神、巨人のエキシビションゲーム4試合と開幕2試合を合わせた6試合で計25万2,795人を数えました。

Mastercardのチケットの先行販売では、38万人以上が同時に殺到しました。
さらに、東京スカイツリーなど東京ドーム以外の各所でファンフェスティバルも行われ、12日間で45万人以上のファンが集まりました。
SNSやネットの世界も席巻しました。

MLBの公式アカウントに投稿された動画コンテンツは、計8,807万回も再生され、昨年の韓国シリーズに比べて75%増でした。

SNSの関連コンテンツのインタラクションは、917万回で、これも韓国シリーズの50%増でした。

今回は、MLBアプリ内で初めて日本語のコンテンツが公開されたことで、期間中のアクセスが急増したのです。

アプリへのアクセス数は、平均的な春季キャンプ時に比べて約2倍になっています。
スポンサー収入も記録を更新しました。

今回は23社のスポンサーが全国各地で活動を展開しました。

MLB公式サイトは、各社の広告企画を紹介しています。

セブンイレブンは全国2万2,000以上の店舗でプロモーションを行い、日本航空は大谷とMLBのロゴが描いたドリームショウジェットを運航し、チケットプレゼント企画を実施して27万人以上の応募者があったそうです。

アサヒビールは、東京シリーズの記念のビール缶を200万本以上製造し、チケットプレゼント企画には、44万8,000人が応募したそうです。

スポンサー収入は、これまで最多だった2024年の韓国シリーズを240%上回りました。
アメリカのスポーツサイトの「エッセンシャリスポーツ」は「ポケモンや鬼滅の刃などの人気アニメメシリーズとコラボしたファンイベントもたくさんあった。試合だけでなくMLBと日本の野球の絆が強まった。東京シリーズは、単なる野球の試合ではなく、スポーツマーケティング、文化融合、経済的成功の特別な舞台だった」と、東京シリーズの成功を評価した上で、こう皮肉ることを忘れていませんでした。
「MLBは野球だけのために活動しているのではなく収益のために活動している。この傾向が続けば真の勝者はMLBの会計士になるのかもしれない」

会計士が儲かるのかどうか分かりませんが、マーケティング会社やコンサルティング会社とかと契約していて、結構な報酬を支払っているんでしょうね。

皮肉られるほど日本が熱狂したのだと思いますが、やはり、大谷選手をはじめ、たくさんの選手がメジャーリーグで主力として活躍していることやWBCなんかが影響しているんでしょうね。

それを考えると、野茂選手やイチロー選手たちが築いてきた道が素晴らしかったんだなぁと改めて感じました。

真の勝者はMLBの会計士?について、あなたはどう思われましたか?


インボイス制度開始で8割超の公認会計士や税理士の業務量が増加!

2024年04月26日(金)

TECH+によると、freeeは2024年4月11日、公認会計士や税理士を対象に実施した、インボイス制度と電子帳簿保存法対応に関するアンケート調査の結果を公表しました。

インボイス制度開始によって80.6%の公認会計士や税理士は業務量が増えたことが明らかになりました。

このレポートは、freeeが2024年2月22日〜3月1日、公認会計士または税理士196人を対象にWEBアンケート方式で実施したインボイス制度と電子帳簿保存法対応に関する調査の結果に基づいています。

インボイス制度対応は業務量に影響をおよぼしたか尋ねると、「20〜39%増えた」が36.2%、「1〜19%増えた」が31.1%、「変わらない」が18.9%「40%以上増えた」が13.3%、「減った」が0.1%の回答となっています。

全体の80.6%がインボイス制度対応で業務量が増えたと回答しました。

インボイス制度対応のために顧問料を値上げしたか質問すると、「行っておらず、検討もしていない」が41.8%、次いで「行ってはいないが、検討している」が32.7%、「行った」が20.9%、「その他」が4.6%となり、インボイス制度対応を目的とした値上げは現状74.5%が行っていませんでした。

インボイス制度対応のために従業員を増員したかという問いには、「行っておらず、検討もしていない」が85.2%、次いで「行ってはいないが、検討している」が12.2%、「行った」が1.5%、「その他」が1%と、従業員増員は行わず現状維持で対応する事務所がほとんどでした。

また、電子帳簿保存法対応は業務量が増えたか聞くと、「変わらない」が46.9%、「1〜19%増えた」が32.1%、「20〜39%増えた」が15.3%、「40%以上増えた」が4.1%、「その他」が1.5%と、電帳法対応で業務量が増えた先は半数を超えることがわかりました。

今後新たに生じる制度対応に不安はあるか尋ねると、「少しある」が41.3%、「大いにある」が24.5%、「ある」が19.4%、「全くない 」12.2%、「その他」が2.6%で、85.2%が将来の制度変更対応に関して不安を感じていることが明らかになりました。

記帳代行を基本的にやっていない弊事務所でも、グダグダの電子帳簿保存法はともかく、インボイスは質問対応を含めて業務量は増加しています。

そして今年は、定額減税で業務量が増えることが明らかです。

個人的には、賃上げと言っている割に、一方で収益を生まないような業務を増やしているので、時間やコストが増加しているのは明らかなので、業務量が増加した事業者や会計事務所に、1人当たりいくらとか税額控除してくれるような仕組みを作ってほしいなぁと思います。

インボイス制度開始で8割超の公認会計士や税理士の業務量が増加していることについて、あなたはどう思われましたか?


公認会計士のマネロン対策が厳格に!

日本経済新聞によると、政府は2024年4月から司法書士や公認会計士に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)対策を厳しくするように求める見通しです。

顧客となる企業や個人に、取引目的や職業を確認することを義務付け、疑わしい取引は行政に報告することを課します。

改正犯罪収益移転防止法の施行に伴うもので、対象は司法書士や行政書士、公認会計士、税理士といった士業になります。

これまでは氏名や住居、生年月日など顧客の基本情報を確認する義務が課されていました。

今後は本人確認以外に、取引を行う目的、職業・事業内容も確認します。

法人の場合は、実質的支配者の確認も求めます。

すでに義務化している金融機関と同様の内容を求めることになるのです。

行政書士、公認会計士、税理士には新たに「疑わしい取引」の届け出義務を課します。

顧客から得た収益が犯罪による収益である疑いがあると判断した場合に、所管行政庁に速やかに届け出ることを義務付けます。

200万円を超える取引は、資産や収入の状況も確認します。

公認会計士は顧客の会社設立の手続きを行うことがあります。

例えば、事業実態のないペーパーカンパニーは、資金洗浄に使われる可能性があります。

こうした場合は「疑わしい取引」として届け出対象になることが想定されます。

マネロン対策を強化する背景には、特殊詐欺などが増え、犯罪者の資金源となっている可能性があるからです。

警察庁によると、2022年には特殊詐欺の被害額が8年ぶりに増加し、2023年も11月末時点で2022年を上回る被害額となりました。

クレジットカードの不正利用被害額も2022年には約437億円にのぼり、過去最悪を更新しました。

テロ資金などを警戒する国際社会からの圧力も強まっています。

各国・地域のマネロン対策を調べる国際組織「金融活動作業部会(FATF)」が2021年に公表した第4次審査の結果で、日本は実質的に不合格を意味する「重点フォローアップ国」という評価を受けたのです。

なかでも士業や非金融機関は「マネロン対策への理解が不十分」「その監督当局もリスクベースによる監督を実施していない」など厳しい評価を受けました。

数年後に控える第5次審査では士業・非金融機関への審査が強化される見込みです。

士業の一つである公認会計士を所管する金融庁は、公認会計士と監査法人を対象に改正犯収法施行に伴う実務上の新たな指針を2024年3月末までに示すようです。

指針案によると取引目的や職業などの確認義務の対象業務は、財務に関する相談業務に付随した会社設立の手続き時などになる見通しです。

金融庁は新たな指針をもとにモニタリングも行います。

問題が見つかれば犯収法に基づき報告徴収や是正命令を出すことも視野に入れています。

マネロン対策は預金を扱う大手銀行や地域金融機関にとっても喫緊の課題です。

金融庁が2021年から金融機関にマネロンに関する体制整備を要請していました。

80超の項目を並べて対応を求めており、2024年3月末は対応完了の期限となります。

金融庁や財務局は、各地域でマネロン担当役員を対象としたフォーラムや勉強会を開いて対応を促します。

金融庁は2024年4月以降、指針に関する不備がある金融機関には業務改善命令などの行政処分を出すことも辞さない構えです。

公認会計士も、マネロンに関する対応が必要な時代なんですね。

それだけ、特殊詐欺などが増えているということなんでしょうけど。

公認会計士のマネロン対策が厳格になることについて、あなたはどう思われましたか?


PwCあらたとPwC京都が合併して「PwC Japan有限責任監査法人」へ!

LIMOによると、PwCあらた監査法人(以下「あらた」という)とPwC京都監査法人(以下「京都」という)は、2023年12月1日付で合併すると発表しました。

あらた・京都ともに4大国際会計ファーム・コンサルティングファーム(Big 4)の一つである「PwC(PricewaterhouseCoopers、プライスウォーターハウスクーパース)」のメンバーファームです。

監査法人とは、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明を組織的に行うことを目的として、公認会計士法第34条の2の2第1項によって、公認会計士が共同して設立した法人のことです(公認会計士法第1条の3第3項、第2条第1項)。

一般的には、上場している企業の決算を監査する、公認会計士資格を持つ者が所属する組織と言われます。

実際は、上述の法定監査以外にも、「任意監査」「決算早期化支援」「経理・財務に関する相談業務」「コンサルティング業務」など多くの業務を行っています。

そのため、社員も公認会計士資格者のみで組織されているわけではなく、様々なバックグラウンドを持った者が在籍しています(法律上、公認会計士でない社員の割合は決められています)。

国際会計ファーム・コンサルティングファームとしては大規模グループが存在し、
・Deloitte Touche Tohmatsu(デロイト トウシュ トーマツ)
・EY(Ernst & Young、アーンスト&ヤング)
・KPMG
・PwC(PricewaterhouseCoopers、プライスウォーターハウスクーパース)
の4グループ(順不同)が「Big 4」と呼ばれます。

「Big 4」それぞれのメンバーファームが日本国内にも存在し、4大監査法人と呼ばれており、以下のとおりです。
・有限責任監査法人トーマツ(デロイト)
・EY新日本有限責任監査法人(EY)
・有限責任あずさ監査法人(KPMG)
・PwCあらた有限責任監査法人(PwC)

2023年6月1日、あらたは京都との統合に向けた協議を開始したと公表しています。
ともに同じPwCのメンバーファームであるため、Purposeも共通しています。

また、監査業界では、人的資本や気候変動対策を記載する、サステナビリティ関連開示情報の保証業務(著者注:「経理の状況」に対してと同様に何らかの保証をすること)を担うことが想定されることや、テクノロジーを用いた監査の更なる高度化が求められることなど、監査法人を取り巻く環境が大きく変化することが見込まれています。

両法人の強みを活かすことで、統合して規模を拡大することが高品質の保証サービスを提供できるとしています。

<各社概要>
●PwCあらた有限責任監査法人
・設立:2006年6月1日
・人員:3,006名(2023年6月30日時点)
・売上高:609億8,100万円(2022年7月1日~2023年6月30日)
・主要顧客:トヨタ自動車株式会社(東証プライム、7203)、ソニーグループ株式会社(東証プライム、6758)ほか、トヨタ傘下企業、ソニーグループ傘下企業など

●PwC京都監査法人
・設立:2007年3月19日
・人員:443名(2023年6月30日時点) ・売上高:69億9,000万円(2022年7月1日~2023年6月30日)
・主要顧客:KDDI株式会社(東証プライム、9433)、ニデック(旧:日本電産)(東証プライム、6594)、京セラ株式会社(東証プライム、6971)、任天堂(東証プライム、7974)

京都の主要顧客を見て、驚かれた方もいるのではないでしょうか?
準大手監査法人ながら、多くのグローバル企業の会計検査人を担当しているのです。

2023年12月より、4大監査法人の名称が変更となります。
17年の歴史がある「あらた」の名が消えて、「PwC Japan有限責任監査法人」となります。

僕は、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)の出身ですが、就職活動をしていた頃は、6大監査法人と言われていました。
・太田昭和監査法人(E&Y)
・中央監査法人(C&L)
・監査法人トーマツ(DTT)
・朝日監査法人(AA)
・センチュリー監査法人(KPMG)
・青山監査法人(Pw)
色々とくっついたり、離れたりで提携ファームが変わったり、この中にはカネボウ事件でなくなった監査法人もありますし、今でも名前が残っているのはトーマツだけですね。
『トーマツ』はあまり知られていないのかもしれませんが、実は、監査法人等松・青木・津田・塚田・青木・宇野・月下部事務所の『等松』なのです。
大手監査法人がくっついたり、離れたりするたびに、粉飾の歴史などを思い出しますね。

PwCあらたとPwC京都が合併して「PwC Japan有限責任監査法人」になることについて、あなたはどう思われましたか?


会計監査の現場離れ!

日本経済新聞に東京都立大学大学院の松田千恵子教授が以下のように、書かれています。記録的な猛暑とそれに続く豪雨などで体調を崩した人も多いでしょう。
新型コロナウイルスも相変わらず猛威を振るっています。
しかしながら、感染症法上の分類が「5類」に移行して以来、会食や旅行需要は相当回復してきました。

コーポレートガバナンス(企業統治)の世界でも、社外役員を含む現場視察やオフサイト、監査役員による現場実査などもコロナ前と同様に活発に行われるようになっています。
ただひとつ気になるのは、時たまささやかれる「会計監査のリモート化が戻らない」という点だそうです。

もちろん、多くの会計監査人は真摯に現場で業務を遂行しています。
移動にさしたる障害がなくなった今、リアルでの監査は通常のことでしょう。
しかしながら、コロナ禍で行われていたような、実地棚卸をスマートフォン越しに済ませるといったことも引き続きあるという声を時々耳にするようです。

リモートワークに異を唱えるつもりはありません。
むしろ、適宜活用して生産性を上げることは大事です。
会計など情報を扱う分野は、リモートワークとの親和性も高いでしょう。
ただし、率直に言えば、実地棚卸などを含む会計監査については、当然ながら現場をしっかり見てほしいというのが本音です。

ある監査法人の調査によれば「今後は不正リスクが高まる」と感じている企業の割合は2020年に59%でしたが、22年には64%へと上昇しました。
これまで現場のチェックや対面での状況把握が難しかったため、不正の芽が見えなくなっているのではという不安の表れとも言えるでしょう。

一般に、景気の先行きが不透明になれば、将来への不安や金銭面の困窮、ノルマ達成圧力の増大などにより、不正に走る動機は多くなります。
基本中の基本とも言える、「しっかりと現場を把握すること」の重要性を改めてかみしめるべき時機でしょう。

僕自身は、実地棚卸の本を出していますので、少し前に監査法人の後輩から棚卸の立会はZoomとかで現場でつないでやっていますと聞いて、コロナ禍とはいえ大丈夫なのだろうか?と思いましたが、やはり現場に行って現物を確認することが重要だと思いますね。
過去においても、棚卸を通じた粉飾がたくさんあり、会計監査人が基本的に必ずやらなければならないこととして、実査・立会・確認があるわけですから、実地棚卸の立会は必ず現場に行ってやってほしいですね。

会計監査の現場離れについて、どう思われましたか?


形式的な作業に失望し公認会計士の監査法人離れが進む!

日本経済新聞によると、財務諸表をチェックする会計監査の担い手不足が深刻になっているようです。
監査法人で働く公認会計士の比率は10年で10ポイント下がりました。
上場企業数や監査業務量が増え続けるなか、やりがいに乏しい形式的な作業に失望し、スタートアップやコンサルティング企業に転身する動きが目立っています。
資本市場の門番役を担う監査制度に、空洞化の危機が迫っています。

「お世話になりました」と、監査法人の年度末から初めにあたる6月から7月、大手法人幹部のメールボックスには所属公認会計士から届く離職のあいさつが引きも切らないようです。
「採用するのと同じ規模の人数がやめてしまう」と頭を抱えています。

公認会計士登録者は2023年3月末時点で3万4,436人と10年前から38%増えていますが、監査法人所属の公認会計士は1万3,980人と7%しか増えていません。
10年前に51%だった監査法人所属者比率は41%まで低下しました。

公認会計士は歴史的に流動性の高い職種です。
監査法人内でパートナーと呼ばれる役職者になれるのは同期の1割ほどで、経験を重ねつつ徐々に責任が重くなるピラミッド構造にあります。
入所10年程度で昇格するマネジャー職まで経験を積み、別の道を歩むのがかつての典型でした。

しかしながら、近年は離職する公認会計士が若手スタッフからパートナーまで全職階に広がりました。
「マネジャーまで頑張ろうと思っていたが、1年働くごとに気持ちが変わっていった」と、2021年8月に監査法人を去った20代公認会計士は吐露しています。

なぜなのでしょうか?
まず、「本当に意味があるのかと思う部分まで、全てをしゃくし定規に記録に残す」(30代公認会計士)監査業務への失望が挙げられます。
監査法人を退職した公認会計士約10人への取材で多く聞かれたのが、日本公認会計士協会が監査でやるべき手続きを定めた「監査基準委員会報告書」、通称「カンキホウ」への不満です。
元あずさ監査法人所属の40代独立公認会計士は「(報告書では)形式的で膨大な作業が積み上がっている」と明かしています。

東芝や英カリリオン、独ワイヤーカードなど、世界的に大きな会計不正は絶えず、発覚の度に監査法人に批判の矛先が向きました。
国際的な監査基準の要求事項は上乗せされ、監査法人も所属公認会計士に、規制当局から責められないように実施手続きを監査調書に細かく記録するよう求めたことも形式化に一段と拍車をかけています。

前出の20代公認会計士は「労働時間の概念を取っ払って大量のチェック項目をつぶすことが生きがいなのか、自問した」と話しています。
監査法人トーマツパートナーを経て早稲田大学会計大学院で教える林敬子教授は「(若い公認会計士に)回り道したくないという意識が強まっている」と指摘しています。
成長に寄与しない業務を避ける構図が、監査法人離れの背景にあるようです。

全体の業務が増える一方、近年は若手スタッフの残業時間上限が管理されるため、上司であるマネジャーやシニアスタッフらが「残務を巻き取っていた」(2022年に大手法人を退職した30代公認会計士)。
若手の離脱や働き方改革のしわ寄せが上の階層に波及し、監査現場全体の疲弊が進んでいるようです。

監査法人以外の「活躍のフィールドが広がっている」(日本公認会計士協会の鶴田光夫副会長)ことも要因です。
企業では経理のほか、経営企画や内部監査など引く手あまたです。
スタートアップでは若くして最高財務責任者(CFO)も珍しくありません。

かつては高収入の代表格だった監査法人ですが、一般企業の待遇面は遜色なくなってきています。
監査法人入所後、数年で昇格するシニアスタッフの年収が最低でも600万円程度、10年前後でなれるマネジャーは800万〜1,000万円程度とされます。
他方、会計系の転職エージェントでは内部監査や経理で700万円程度、戦略コンサルだと900万円強が提示されます。

監査法人に公認会計士をつなぎ留めるには、賃上げやデジタルを活用した業務効率化が必要です。
原資となる顧客から受け取る監査報酬の引き上げが欠かせませんが、時間単価はここ10年ほど1万2,000円弱と一向に伸びていません。
日本の上場企業は過去最高水準まで増えているにもかかわらず、顧客企業に危機感が伝わっていないようです。
EY新日本監査法人の片倉正美理事長は「値上げを納得してもらうには、単に監査意見を出すだけでなく付加価値のある知見を提供する必要がある」と語っています。

監査が空洞化して情報の信頼性が欠如すれば市場は効率的に機能しなくなります。
ある会計監査業界の関係者は「中小企業と大企業で同じ情報開示が必要かなど、資本市場システムの全体像を議論すべきだ」と強調しています。
公認会計士の監査法人離れは監査制度の土台を揺るがしかねず、すでに崩壊の瀬戸際にあるのかもしれません。

公認会計士に時間的な余裕を生み出すための監査DX(デジタルトランスフォーメーション)で各法人がしのぎを削っています。
カギを握るのが人工知能(AI)の活用です。

理化学研究所が日本公認会計士協会の協力で実施した2022年発表の調査によると、監査現場の進捗管理や取りまとめなどを担う現場責任者「主査」の各業務はAI活用で10年後に平均35%の時間短縮をもたらす可能性があります。
特に定型的な監査手続きは70%減、監査契約時のリスク評価は42%減と想定効果が大きいようです。

AI監査は実証段階から本格導入へ移行し始めています。
EY新日本監査法人は「リアルタイム監査」などと呼ばれる仕組みの本格展開を開始しました。
企業の統合基幹業務システム(ERP)からの取引データなどの定期的抽出や加工、AI分析による異常検知まで人手を介さず進めます。
足元では10社程度で、3年後までに100社に広げます。

今後は生成AIも広がりそうです。
あずさ監査法人では取引を勘定科目で記録した仕訳データの分析で活用を目指します。
「基礎分析して」と指示すると平均や分散などの統計量を出すとともに「金額が大きい項目の詳細分析をする」など次の行動も推奨するのです。

生成AIは、一見もっともらしいが事実と異なる内容を返す「ハルシネーション(幻覚)」を起こすこともあります。
業務効率化を理由に監査の質を落とさないため、回答をうのみにしないで高度な判断につなげる知見は欠かせません。

<公認会計士>
財務諸表に不正などがないか確認する監査業務を独占的に担います。
イギリスで誕生し、日本では医師、司法試験に並ぶ難関資格とされています。
資格取得には短答式と論文式試験の合格、監査法人勤務など3年以上の実務経験のうえ、修了考査合格が必要になります。
2006年以降の新試験制度から大学卒業などの受験資格要件をなくしました。
直後に試験合格率は2割弱まで上昇しましたが、近年の合格率は1割程度、人数はおよそ1,300〜1,400人で推移しています。
2022年試験合格者の平均年齢は24.4歳と、10年前から2歳下がるなど低年齢化が進んでおり、資格自体の若者の人気は高いようです。
試験合格後に監査法人を経ず、コンサルティング企業に就職を希望する例も増えています。

僕は、約11年監査法人に勤め、そのあと東京の会計事務所に転職し、約4年勤めてから独立開業しましたが、監査法人をやめた理由のうちの大きな一つが、当時、カネボウの粉飾事件があり、金融庁の検査のために行っているのではないかと思われる手続きが増えたことです。
もう16年以上前の話しになりますが、その当時と比べても、格段にそのようなことが増えているんでしょうね。
個人的には、会計監査は、マニュアルも重要かもしれませんが、直観も非常に大事だと思っていますので、マニュアル化やAIは、直観とか経験があまり生かせなくなりますので、自分で考えて仕事がしたい方には、会計監査という仕事は面白くないでしょうね。
かと言って、公認会計士になったからといって、企業の経理やコンサルティングがすぐにできるわけはない(会計監査という仕事は、会社が作った財務諸表などに大きな間違いがないかどうかを確かめる仕事)ということは、雇う側も公認会計士も知っておいた方がよいかと思います。
僕自身、転職活動をするときに、監査法人で会計監査のみしていた人間にセールスポイントはあるのだろうか?と本当に思いましたから。

形式的な作業に失望し公認会計士の監査法人離れが進んでいることについて、あなたはどう思われましたか?


金融庁が専門部署を設置し監査法人を直接監督へ!

日本経済新聞によると、金融庁が監査法人を直接監督する体制を整えます。
2023年度に金融庁内に「監査モニタリング室」を置き、傘下の公認会計士・監査審査会の中に「公認会計士監査検査室」を設置する方向です。

15年ぶりに公認会計士法を改正し、自主規制機関(日本公認会計士協会)だけでなく、金融庁も直接監督・検査できるようにしました。

金融庁が近くまとめる23年度の機構・定員要求に盛り込むそうです。

2022年5月に改正公認会計士法が成立していました。
上場企業の監査を担うにあたって、自主規制団体の日本公認会計士協会による登録を法律で義務付けます。
また、公認会計士・監査審査会の立ち入り検査などにおいて、通常の業務運営体制に加えて新たに有価証券報告書に対する虚偽の監査証明の検証も行えるようになります。

金融庁による監査法人への検査・監督では行政処分を発動するといった監督権限は企画市場局が持ち、検査については公認会計士・監査審査会が担っています。
監査モニタリング室は企画市場局に、公認会計士監査検査室は公認会計士・監査審査会にそれぞれ設置することを想定しているようです。

大手監査法人からそれ以外の監査法人への監査契約のシフトがここ数年、急激に進んでいます。
『監査難民』ということばが使われるほど、監査法人との監査契約が締結できないところも増えています。
当然、大手監査法人と監査レベルが大きく異なる監査法人が、上場企業の監査をしていることがあるのも事実です。
自主規制機関では年間に検査できる件数が限られているようですので、今後、一定のレベルに達していない監査法人の排除が進めばいいですね。

金融庁が専門部署を設置し監査法人を直接監督することについて、どう思われましたか?


あずさ監査法人の公認会計士が法定研修で不正で45人処分!

大手のあずさ監査法人は、先日、所属する公認会計士45人が法律で義務づけられた研修をオンラインで不正に受講していた疑いがあると発表しました。
2つの講座に同時にログインして受講したと偽り、単位認定を受けた可能性があるようです。
あずさ監査法人は公認会計士たちを減給などの懲戒処分にすることを検討中だそうです。
また、高波博之理事長ら役員10人の報酬をカットする方針を決めました。

公認会計士たちが不正に受講していたのは、公認会計士法で義務づけられている「継続的専門研修」(CPE)です。
「職業倫理」「不正リスク対応」などの科目を直近3年間で120単位以上、年20単位以上取得する必要があります。

2020年3月に内部告発があり、過去数年にわたってパソコンのログなどを調べたところ、20代~40代の45人が1台の端末を使って2つのオンライン講義を同時に受講した可能性があることがわかったようです。
あずさ監査法人は最終的な調査を現在進めていますが、対象となる公認会計士の中に「パートナー」と呼ばれる幹部社員も含まれています。

システムに二重ログインができるようになった2014年から、不正受講を繰り返していた公認会計士もいるようです。
あずさ監査法人は2020年5月にシステムを改修し、現在は同時にアクセスできない仕組みに変えています。

CPEは、アメリカのエンロン事件など続発した会計不祥事に対応するため、監査の質向上をめざし、2004年から法律で義務づけられました。
ただし、オンラインで受講したり、学会に出席したりすれば単位取得が認められることもあるため、研修制度そのものが形骸化していた可能性もあります。

先日会見した日本公認会計士協会の手塚正彦会長は「会計士制度の根幹をなす研修を怠ったのは極めて遺憾だ」と語り、協会として他の監査法人にも同様の不正がなかったのか調べる考えのようです。
不正を繰り返し悪質な場合は、金融庁の行政処分を受けて公認会計士の登録を抹消される可能性もあるそうです。

公認会計士の教育や研修をめぐっては2017年、公認会計士試験に合格した補習生12人が実務補習中に提出した論文に、他の文献を引き写す盗用行為が見つかり、大手監査法人から処分を受けたことがあります。
公認会計士としての資質が問われかねない事態が再び起こり、2006年に簡素化され、試験合格者を大量に出すようになった会計士試験のあり方を変えるべきだとの声もあがっているようです。

青山学院大の八田進二名誉教授は「不正を見抜く立場にある会計士としての資質に欠けていると言わざるをえない。試験制度そのものを見直し、マナーや倫理観を兼ね備えるような会計士を育てていく必要がある」と指摘しています。

ちなみに、あずさ監査法人は、旧新日本監査法人(現EY新日本監査法人)から国際会計事務所KPMGと提携する部門が独立し、2004年に旧朝日監査法人と合併して発足した監査法人です。
国内の4大監査法人のひとつで、約3千人の会計士が所属し、約3,600にのぼる企業や学校法人などの監査を手がけています。

同業者として恥ずかしい限りです。
普段、内部統制がどうとか、決算の数値がどうとか言っている監査法人の人間が、このような不正をしているとは、モラルが低すぎますね。
こういう人たちは、会計監査をすべきではないと思いますし、公認会計士をやめるべきだと思います。
社風なども影響しているでしょうから、あずさ監査法人にも責任があるのではないでしょうか。
あずさ監査法人にも会計監査を受けている企業はどう思われるのでしょうか?
コンプライアンスが重要とは監査法人の人間は言っているでしょうから、これをきっかけに契約解除されても仕方ないようなことだと思います。
日本公認会計士協会も、厳しい処分を課して欲しいと思います。

あずさ監査法人の公認会計士が法定研修で不正で45人処分されたことについて、どう思われましたか?


BACK TO THE BASIC!

 今日は、いつもと違った感じです。

 現在、連載もので執筆しているものがあるのですが、来年度も継続の依頼をいただきました。

 2か月ごとに発行されますので、年間6回書くことになるのですが、初回はこれについて書いて欲しいというオーダーをいただきました。

 税務のテクニカルな話しではなく、会計のベーシックな話しでしたので、事務所の本棚から古い本を取り出しました。

 飯野利夫氏の書かれた『財務会計論(三訂版)』です。

 10数年以上前にお亡くなりになっていますが、僕が大学2年生のときに、公認会計士試験のために専門学校にも通い始めて一番最初に買った会計の本なのではないかと思いますので、僕の公認会計士としてのベースになっている本ですね。

 それから25年以上経っていますが、さらっと見たところ、会計の理論は色褪せていないかもしれないですね。

 この本を参考に、来年度は6回の連載を執筆していこうと思います。

 さらっと見ましたが、日頃は目の前の仕訳や税務に対応していることが多いですが、会計のベーシックなことを久しぶりに目にして、スゴく新鮮な気持ちになりました。

 普段もシンプルにものごとを考えるということを念頭に置いて仕事に取り組んでいますが、たまには、こういうベーシックなところに立ち返って、シンプルにものごとを考えるということを改めて考えるというのも良いなぁと感じました。

 ちなみに、櫻井通晴氏の書かれた『原価計算<理論と計算>』や『経営原価計算論(増補版)』も、僕の公認会計士としてのベースになっている本です。


金融庁が清流監査法人を処分!

 金融庁は、清流監査法人に対して処分を行いました。

内容は、以下のとおりです。

 金融庁は、令和元年7月5日、公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)から、清流監査法人(法人番号8011205001626)に対して行った検査の結果、当監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、当監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるよう勧告を受けました。
 同勧告を踏まえ、金融庁は本日、下記のとおり、当監査法人に対して公認会計士法第34条の21第2項に基づき、以下の処分を行いました。

                      記

1.処分の概要
(1)処分の対象
名称:清流監査法人(法人番号8011205001626)
事務所所在地:東京都千代田区

(2)処分の内容
業務改善命令(業務管理体制の改善)

(3)処分理由
別紙のとおり、運営が著しく不当と認められるため。

2.業務改善命令の内容
(1)総括代表社員は、組織的に監査の品質を確保する必要性を十分に認識し、社員の職責の明確化、社員会の機能発揮、社員及び職員の経験に依存した業務運営の改善など、実効性のある品質管理のシステムの構築に向け、当監査法人の業務管理態勢を整備すること。
(2)総括代表社員は、審査会の検査及び日本公認会計士協会の品質管理レビューにおいて指摘された不備の原因を十分に分析したうえで改善策を策定及び実施し、改善状況の適切な検証ができる態勢を整備するとともに、監査契約の新規の締結における十分かつ適切なリスク評価、監査実施者に対する実効性のある教育・訓練、審査担当責任者による批判的かつ適切な審査、実効性のある日常的監視及び定期的な検証を実施できる態勢を整備するなど、当監査法人の品質管理態勢の整備に責任を持って取り組むこと。
(3)現行の監査の基準に準拠した監査手続を実施するための態勢を強化すること(固定資産の減損会計における兆候判定、株式移転の会計処理、関連当事者取引に関する検討など、審査会の検査において指摘された事項の改善を含む。)。
(4)上記(1)から(3)に関する業務の改善計画について、令和元年11月末日までに提出し、直ちに実行すること。
(5)上記(4)の報告後、当該計画の実施完了までの間、令和2年4月末日を第1回目とし、以後、6か月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。

上記の『別紙』の内容は以下のとおりです。

清流監査法人の運営は、下記のとおり著しく不当なものと認められる。

               記

1 業務管理態勢
 当監査法人は、社員5名、非常勤職員を中心とした監査補助者等により構成されているが、総括代表社員を除く社員は、それぞれの個人事務所等の業務を主としており、当監査法人の業務への関与は低く、総括代表社員が品質管理担当責任者を兼務している。
 また、当監査法人は、設立以来、特定の個人により実質的に支配されている企業グループを主な被監査会社とし、その監査報酬は当監査法人の業務収入の大部分を占めている。
 当監査法人の監査業務は、社員2名がそれぞれ審査又は定期的な検証の専任であることから、総括代表社員を含む3名の社員を中心に実施されている。また、監査補助者は主に非常勤職員で構成され、業務執行社員が主査を担当する監査業務もあるなど監査実施態勢は十分ではない。この点について、総括代表社員は、当監査法人の強みを、経験を積んだ公認会計士を基本に監査チームを編成していることであるとし、社員及び職員のこれまでの経験に依存した運営を継続しており、品質管理態勢を十分に整備する必要性を認識していない。
 このような状況において、当監査法人は、日本公認会計士協会(以下「協会」という。)の平成29年度品質管理レビューにおいて限定事項を付されており、総括代表社員は、限定事項とされた関連当事者取引の不備の根本原因を会計基準や監査の基準の理解不足にあると認識している。
 しかしながら、下記2に記載するとおり、その改善は、チェックリストの整備等の対症療法的な対応であり、知識や能力の向上を各自に委ねており、適切な教育・訓練態勢を構築していない。また、限定事項とされた審査態勢や定期的な検証等の実施態勢の改善を検討していない。
 そのため、下記3に記載するとおり、今回公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)検査で検証対象とした全ての個別監査業務の業務執行社員及び監査補助者において、会計基準及び現行の監査の基準が求める水準の理解が不足している状況、職業的懐疑心が発揮できていない状況がみられ、それらに起因する重要な不備を含む不備が広範かつ多数認められている。
 また、総括代表社員以外の社員は、当監査法人の業務運営を総括代表社員に委ね、重要事項の意思決定に十分に関与していない。そのため、財務諸表等の訂正要否や監査契約の新規の締結の審査などの重要事項が社員会に付議されているにもかかわらず、十分に検討されることなく承認されるなど社員会の機能が発揮されていない。
 このように、総括代表社員においては、法人トップとして組織的に監査の品質を確保するという意識に欠けており、当監査法人の監査業務の現状を踏まえた実効的な品質管理のシステムを構築するためにリーダーシップを発揮していない。また、総括代表社員以外の社員においては、当監査法人の業務運営、品質管理のシステムの整備及び運用を総括代表社員に委ね、これに関与するという意識に乏しく、社員としての職責を十分に果たしていない。

2 品質管理態勢
(前回審査会検査及び品質管理レビューでの指摘事項に対する改善状況)
 総括代表社員は、前回審査会検査及び平成29年度品質管理レビューでの指摘事項を踏まえた対応として、全社員及び職員を対象として品質管理レビュー等の結果報告会を開催し、指摘事項を周知するとともに、指摘事項を反映したチェックリストを作成し、業務執行社員が当該チェックリストを用いて改善状況を確認する等の改善措置を指示している。
 しかしながら、総括代表社員は、社員及び職員が会計基準や監査の基準を十分に理解していないことを個別監査業務における不備の根本原因として認識していたにもかかわらず、法人内での指示やチェックリストは、指摘事項に直接対応する対症療法的な内容にとどまっており、認識していた根本原因に対応したものとしていない。
 また、平成29年度品質管理レビューにおいて、「指示と監督及び監査調書の査閲並びに監査業務の審査、定期的な検証」について限定事項とされているが、これに対する改善は、限定事項の理由とされた関連当事者取引を重点的に確認する等の措置のみにとどまっており、総括代表社員は、審査、定期的な検証等の実施態勢の改善を検討していない。
 このように、いずれの取組も不十分であることから、今回審査会検査で検証した個別監査業務の全てにおいて、これまでの品質管理レビュー等での指摘事項と同様の不備が繰り返されている。

(監査契約の新規の締結及び更新)
 当監査法人は、監査契約の新規の締結及び更新に関する方針及び手続を「監査の品質管理規程」に定めているが、業務執行社員予定者の選任、独立性の確認、リスク評価などについて具体的な実施手続を整備していない。
 また、前回審査会検査において監査契約の新規の締結に伴うリスク評価の不備について指摘を受けているが、今回審査会検査においても監査契約の新規の締結に当たり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況に係る検討が不足しており、また、主要な経営者、監査役等の異動をリスクとして識別していないなど、リスク評価が不十分である。
 さらに、限定事項付き結論となった平成29年度品質管理レビューの結果を会計監査人の選任議案の決定権限を有する監査役等に書面で伝達していない。

(監査実施者の教育・訓練)
 監査実施者の教育・訓練を担当する総括代表社員は、前回審査会検査及び平成29年度品質管理レビューにおいて指摘された不備には、社員及び職員の会計基準及び監査の基準の理解不足に起因するものがあると認識している。このような認識の下、総括代表社員は、自ら出席した協会研修のうち業務上重要と判断した研修資料を社員及び職員へのメール等で共有し、また、専門要員の年間40単位以上の継続的専門研修の履修を確認したとしている。
 しかしながら、今回審査会検査においても、会計基準及び監査の基準の理解不足に起因した不備が多数生じており、当監査法人の教育・訓練は実効性のあるものとなっていない。

(監査業務に係る審査)
 当監査法人は、特定の社員を審査担当責任者として選任し、全ての監査業務の審査を担当させている。
 当該審査担当責任者は、審査で気付いた点を監査チームに伝達するにとどまり、最終的な判断を業務執行社員に委ねていること、監査チームの説明に過度に依存し、監査調書に基づいた客観的な検証が不足していることなどから、今回審査会検査において指摘した重要な不備を指摘できていない。
 このように、平成29年度品質管理レビューにおいて限定事項とされた後も、審査担当責任者は、審査の職責を果たしておらず、当監査法人の審査態勢は十分に機能していない。また、総括代表社員は、限定事項とされた後も、このような審査態勢の改善を検討していない。

(品質管理のシステムの監視)
 当監査法人は、特定の社員を定期的な検証担当責任者として選任し、日常的監視及び監査業務の定期的な検証の全てを担当させている。
 当該定期的な検証担当責任者は、日常的監視において、内部規程の内容を十分に確認しておらず、定期的な検証業務においては、会計上の論点を中心に検証し、監査証拠の適切性及び十分性の観点からの検証が不足している。このようなことから、今回審査会検査において認められた内部規程等の整備及び運用状況に係る不備や個別監査業務の重要な不備を看過しており、定期的な検証担当責任者が実施する、日常的監視及び定期的な検証による品質管理システムの監視は不十分である。また、総括代表社員は、定期的な検証について平成29年度品質管理レビューにおいて限定事項とされた後も、このような実施態勢の改善を検討していない。
 このように、当監査法人の品質管理態勢は、前回審査会検査及び品質管理レビューでの指摘事項に対する改善状況、監査契約の新規の締結及び更新並びに監査業務に係る審査に重要な不備が認められるほか、広範に不備が認められており、著しく不十分である。

3 個別監査業務
 総括代表社員を含む業務執行社員及び監査補助者は、会計基準及び現行の監査の基準が求める水準の理解が不足している。そのため、固定資産の減損会計における兆候判定の誤りや株式移転の会計処理の誤りを見落としている事例、関連当事者取引の開示や連結財務諸表に関する会計基準に従った連結範囲の検討が不足している事例などの重要な不備が認められる。
 また、当監査法人の主な被監査会社は、特定の個人により実質的に支配されており、関連当事者間で多様な取引が行われている状況にあるが、総括代表社員を含む業務執行社員及び監査補助者は、関連当事者取引の検討や会計上の見積りの監査などにおいて、職業的懐疑心が不足している。そのため、当該特定の個人との通例ではない重要な取引を批判的に検討していない事例、工事進行基準の適用における会計上の見積りの検討が不足している事例などの重要な不備が認められる。
 上記のような重要な不備は今回審査会検査で検証対象とした個別監査業務の全てにみられる。そのほか重要な不備ではないものの、被監査会社が作成した情報の信頼性を評価していない事例、経営者が利用する専門家の適性・能力及び客観性の評価が不足している事例、不正リスクを識別している売上高の実証手続が不足している事例、監査報告書日後に実施した手続を監査報告書日前に実施したように監査調書に記載している事例など、不備が広範かつ多数認められる。
 このように、検証した個別監査業務において、重要な不備を含めて広範かつ多数の不備が認められており、当監査法人の個別監査業務の実施は著しく不十分なものとなっている。

以上

このような状況の監査法人が、上場企業の会計監査をやっていて良いのでしょうか?
毎年、いくつかの監査法人が処分されていると思いますが、オピニオンショッピング(会計監査を受ける企業が、自社にとって都合の良い監査意見を表明してくれる監査法人や公認会計士を新たに選任すること。)の温床とならないこと祈るばかりです。
市場から退場していただかないといけないところは早めに退場していただかないと思いますし、このようなことがあると、公認会計士業界全体の信頼が失われてしまいますので。

金融庁が清流監査法人を処分したことについて、どう思われましたか?


女子中学生にわいせつな行為をしようとした公認会計士を逮捕!

 先日、公認会計士の男が女子中学生にわいせつな行為をしようとしたとして、警視庁に逮捕されました。

強制わいせつ未遂の疑いで逮捕されたのは、東京都調布市の公認会計士(32)です。
公認会計士は5月12日午後5時ごろ、調布市のマンションで帰宅途中の女子中学生がエレベーターからおりたところ、後ろから抱きついて口を塞ぎ、わいせつな行為をしようとした疑いがもたれています。

警視庁によると、2人に面識はなく、女子中学生が悲鳴をあげたため、公認会計士は非常階段から逃げましたが、防犯カメラの捜査で関与が浮上したようです。
取り調べに対し、公認会計士は「間違いありません」と容疑を認めているということです。

後日、PwCあらた有限責任監査法人が、『当法人の職員の逮捕に関するお詫び』という以下のプレスリリースを行っています。
 昨日PwCあらた有限責任監査法人の職員が逮捕されました。詳細は現在調査中であり、事実関係を確認次第、厳正に対処いたします。皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
                                    2019年5月22日
                              PwCあらた有限責任監査法人

本当にこういったことはやめて欲しいですね。
1人の行為が、所属監査法人、公認会計士業界に多大なる影響を与えてしまいます。
先生と呼ばれることの多い士業には、人格や品位などが必要だと思いますね。
PwCあらた有限責任監査法人のプレスリリースも『皆様』になっていますが、まずは被害者の方やご家族に謝罪すべきであると思いますので、このプレスリリースはどうなんだろうと思いますね。
クライアントに向けてリリースしているのでしょうか?

女子中学生にわいせつな行為をしようとした公認会計士が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


イギリスの競争当局が4大監査法人の「業務分離」を報告!

 イギリスの競争当局である競争・市場庁は、先日、イギリス監査業界の改革に関する最終報告書を公表しました。
「ビッグ4」と呼ばれる4大監査法人グループについて、監査とそれ以外の業務を組織内で分離するよう求めるのが柱です。
大手4社の寡占が監査の質を下げていると問題視し、上場する大企業には複数の監査法人による共同監査を義務付けることも提言しました。

イギリス政府は、報告書への見解や対応方針を90日以内に明らかにし、法制化の必要性などを判断するようです。

イギリスでは建設大手カリリオンが2018年1月に経営破綻したのを機に、経営悪化を見抜けなかった外部監査人のKPMGなど大手監査法人への批判が強まりました。
競争・市場庁は、2018年12月、利益相反リスクを減らすため監査とそれ以外の非監査業務を組織内で分けたり、共同監査を導入したりする案を示して意見を募っていました。

最終報告書は、これまでの議論を踏襲しました。
まず大手4グループについて、決算書類が正しいか調べる監査業務と、経営や税務戦略を指南するコンサルティングなどの非監査業務を運営上分離するよう求めました。
グループ内で経営や収益管理などを分け、監査部門は監査に集中すべきだと訴えました。

この背景には利益相反の懸念に加え、高収益な非監査部門の存在が監査部門を資金的にも支え、準大手以下の参入を妨げる一因になっているとの問題意識もあるようです。
政界からは別法人として完全に切り分ける「解体」論も上がっていたようですが、急進的な変更はリスクがあるとして踏み込みませんでした。

ロンドン証券取引所に上場する主要350社を対象に、原則として2つ以上の監査法人による共同監査を義務付けることも提案しました。
イギリスでは主要350社の97%の監査を4大法人が行っています。
寡占を打破するため少なくとも1つは4大監査法人以外とし、準大手以下の参入による競争の活性化を促すようです。

競争・市場庁は声明で「市民の生計や貯蓄、年金は監査が高い基準で行われているかにかかっている」と述べ、改革の必要性を強調しました。
一方で、市場関係者からは実効性に疑問の声も出ているようです。
英金融業界団体ザ・シティーUKは「真の監査の質向上につながる証拠はない」とし、急進的な改革で副作用が出ないよう慎重な実施を求めました。

僕は公認会計士で、もともと監査法人に勤めていた人間ですが、個人的には、独立性の観点からは、一般の方々にとっては、同一クライアントに対して監査以外のサービスを提供しているという状況は監査上大丈夫なのだろうかという疑問は生じると思いますので、同一クライアントに対して監査業務以外のサービス提供はやめた方がよいのではないかと思います。
共同監査については、個人的には、反対です。
日本でもあまり行われていないということは効果がないことの表れだと思いますが、監査法人ごとに監査手続きの進め方などに独自のやり方があると思いますが、共同監査になると、それを見せることになり、独自性がなくなっていく(存在意義がなくなる)と思います。
結局、お互いが手の内を見せないことになると、担当を完全に切り分けるだけになると思いますが、コミュニケーションのなさが粉飾等を見落とす原因となると推測されます。
あとは、監査意見や会計処理についてもそれぞれ独自のものがあるでしょうから、監査法人間の意見の対立・調整という監査の本質ではない無駄な時間が増加する可能性があるように思います。

イギリスの競争当局が4大監査法人の「業務分離」を報告したことについて、どう思われましたか?


東芝の監査法人である新日本監査法人に1兆円請求!

 東芝の不適切会計問題を巡り、株主が会計監査を担った新日本監査法人(東京)に損害賠償を求めた株主代表訴訟で、原告の株主側が請求額を約105億円から1兆円に増額したことがわかったようです。
監査法人を訴えた同種訴訟は珍しく、請求額が1兆円に上るのは異例です。

東芝は、20157月、パソコン部門で利益を水増しするなどの不適切会計があったとする外部の第三者委員会の報告書を公表し、3人の歴代社長が辞任しました。
金融庁は201512月~20161月、不適切会計を見抜けなかったとして、新日本監査法人に一部業務停止や約21億円の課徴金納付を命じ、20169月、大阪府内の株主が約105億円の賠償を求めて東京地裁に提訴しました。

ただし、その約3か月後、アメリカにある東芝の原発子会社ウェスチングハウス(WH)が201512月に買収したアメリカの原発建設企業の資産価値が想定より大幅に低かったことも発覚し、東芝は、アメリカの原子力事業で1兆円超の損失を計上する事態となりました。

原告側が問題視するのは、アメリカでの原発建設の遅れに伴ってWH20122013年度に計上した約1,100億円の損失を東芝がすぐには公表しなかった点です。
東芝は201511月に公表したものの、この時にはWHと原発建設企業が買収に合意していました。

原告側は「WHの損失が早く公表されていれば、株主は原発建設企業の買収を認めなかった。公表しないという東芝の判断を追認した監査法人は損失の責任を負う」として、20191月に請求額を増額しました。
これに対し、新日本監査法人は「企業が何を公表するかは監査法人の監査対象ではない」として請求棄却を求めています。

株主代表訴訟は、提訴時の手数料が一律13,000円で、請求額に応じて上昇する通常の民事訴訟よりも巨額訴訟を起こしやすいとされます。
会社法に詳しい上村達男早稲田大教授は、今回の訴訟について、「会社で生じた損失には多くの要因があり、全てを監査法人に負担させようというのは無理がある」とした上で、「1兆円の請求額は根拠に乏しい」と指摘しています。

一方、原告側代理人の弁護士は「監査法人の責任でどれだけ損害が生じたのかを裁判で明らかにすることは、再発防止のためにも意味がある」と話しているようです。

僕自身、公認会計士というのもあるとは思いますが、上村教授のおっしゃるとおりだと思います、
粉飾も第一義的には、東芝に責任があるということをきちんと認識してほしいですね。
当然、会計監査人に責任がないとは思いませんが、こういうことがどんどん出てくると、最近増えている大手監査法人が監査契約を断るというケースがますます増え、いわゆる『監査難民』となる上場企業が増えるのではないかと思います。
世間一般的に、会計監査人側と投資家側の会計監査に対する『ギャップ』があるのは事実だと思いますが、金融庁とか証券取引所とか日本公認会計士協会などが、地道に取り組んでいかないといけないでしょうね。

東芝の監査法人である新日本監査法人に1兆円請求がなされたことについて、どう思われましたか?


日本公認会計士協会が通年でビジネスカジュアルを実施!

 日本公認会計士協会は、これまで、官庁が提唱する温暖化対策への対応として、夏季期間に会館内で執務する役職員の軽装を実施していました。
しかしながら、今後は、通年で「ビジネスカジュアル」を実施するようです。

役職員のビジネスカジュアルに当たっては、『来館者の方々に対し、失礼とならない服装に努めますので、何卒、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。』とコメントしています。

僕自身も、普段お会いしている方はご存知かと思いますが、監査法人トーマツ時代に、夏場はビジネスカジュアルだったこともありますが、年がら年中、ビジネスカジュアルで、スーツを着るのは年間数日です。

昔は、スーツや靴やネクタイやシャツに結構お金をかけていましたし、スーツが嫌いなわけではないのですが、特に必要もないのではないかと思っています。
クールビズでも、上着を着ず、ネクタイをしない(クールビズにふさわしくないようなシャツ)だけなのは、中途半端さが個人的には大嫌いで、やめた方が良いと思っています。
服装で仕事をするわけではないので、こういった流れがどんどん広がり、ビジネスカジュアルが普通という時代に早くなってほしいですね。

日本公認会計士協会が通年でビジネスカジュアルを実施することについて、どう思われましたか?


監査法人トーマツが罰金2億円を支払い!

 アメリカ証券取引委員会(SEC)は、先日、僕の出身の監査法人トーマツが会計監査の独立性ルールに違反し、200万ドル(約2億2,000万円)の罰金を支払うと発表しました。
トーマツ元幹部は同法人が監査を担当する金融機関の口座に一定基準を上回る金額を預けていました。
「独立性が損なわれた状態」で監査報告書が提出されていた上に、法人内の監督体制も不十分で、今回の処分につながったようです。

SECの発表によると、トーマツの元最高経営責任者(CEO)である天野太道氏が独立性ルールに違反しました。
金融機関名は公表されていませんが、アメリカニューヨーク証券取引所に上場する三菱UFJフィナンシャル・グループとみられます。
三菱UFJフィナンシャル・グループが2015年にSECに提出した資料で、トーマツ幹部の預金残高が限度額を超え、独立性ルールに抵触していたと開示していました。
天野氏、は2015年7月末にトーマツのCEO職を辞任しています。

SECのルールでは会計監査の独立性を保つために、監査法人の幹部や監査チームのスタッフが、監査担当企業の銀行口座に一定水準を超す金額を預けないように求めています。
日本企業の場合、預金保険機構の保険限度額(1千万円)がこの水準に当てはまります。
天野氏は三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の銀行に口座を持ち、預金額が一定期間、1千万円を超えていたとみられます。
この間、三菱UFJフィナンシャル・グループは、トーマツの監査報告書を添付してSECに財務書類を提出していた。

SECによると、天野氏の違反は2014年3月にトーマツ内で発見されましたが、監査先の金融機関に伝達されたのは2015年に入ってからでした。
さらに別の調査によって、トーマツに所属する計88人が「独立性ルール」に違反していたことが判明したそうです。
SECはトーマツの違反発見後の対応のまずさや、ずさんな監督体制を問題視し、今回の重い処分につながったようです。

トーマツは「品質管理態勢への影響はない。今後とも監査品質の向上に最善を尽くす」とコメントしています。

独立性が重要な監査法人のトップがこれでは、処分されて当然のように思います。
僕が勤務していた時から、こういったことはチェックするシステムがありましたが、甘かったんでしょうね。
幹部の方々はたくさん報酬をもらっていらっしゃるでしょうから、忙しくて数か月放置しておくとすぐに超えてしまうのかもしれませんね。
それについては、元々、報酬の振込口座としてクライアントを除くことにしておけば良いかと思いますが。

監査法人トーマツが罰金2億円を支払ったことについて、どう思われましたか?


タクシー運転手を蹴った公認会計士を暴行容疑で逮捕!

 タクシー運転手の男性に暴行を加えたとして、神奈川県警緑署は、先日、暴行容疑で、横浜市緑区長津田町の公認会計士(49)を逮捕したようです。
公認会計者は、「覚えていない」と供述しているそうです。

逮捕容疑は、2019日午前2時5分ごろ、自宅近くの路上に止まったタクシー車内で男性運転手(54)を蹴ったとしています。

神奈川県警緑署によると、公認会計士は東京都千代田区内からタクシーに乗車し、自宅付近にさしかかったため寝ていた公認会計士を男性運転手が起こそうとした際、足蹴りしたそうです。
男性運転手が取り押さえて通報し、駆け付けた同署員に引き渡しました。

こういったことで『公認会計士』の名前が出ることは、残念なことです。
人格なども大事ですね。
おそらく、この方はコンサル会社の執行役員だと思いますが、そもそもこういう方がコンサルをできるのでしょうか?
あとは、公認会計士協会のホームページから検索すると、平成29年度は、継続的専門研修(いわゆるCPE)の履修義務が不履行になっていますね。

タクシー運転手を蹴った公認会計士が暴行容疑で逮捕されたことについて、どう思われましたか?


1億8千万円横領容疑で弁護士を逮捕!

 土地建物管理会社から依頼を受けて弁護士の業務として預かっていた計約18,200万円を着服したとして、大阪地検特捜部は、先日、業務上横領容疑で、大阪弁護士会所属の弁護士(66)を逮捕したようです。
大阪地検特捜部は認否を明らかにしていません。

逮捕容疑は、土地建物管理会社が所有するビルの賃料相当損害金を管理する業務を行っていた20135月~201412月、19回にわたり、同社から預かっていた賃料相当損害金を、預かり金口座から出金して流用したり、自分個人名義の口座に振り込んだりして計約18,200万円を着服したとしています。

弁護士をめぐっては、大阪弁護士会が20183月、預かり金をめぐるトラブルの調査に誠実な回答をしなかったとして、業務停止3か月の懲戒処分にしたと発表していました。

大阪弁護士会によると、弁護士が建物の明け渡しや賃料の支払いをめぐる訴訟の代理人をしていた2012年~2014年、相手方が賃料として預かり金口座に振り込んだうち、約9,200万円の行方が分からなくなったようです。

大阪弁護士会が調査に乗り出したようですが、弁護士は口座の取引明細証明書の一部を黒塗りにして大阪弁護士会に提出し、開示を求めても応じなかったりしたため、懲戒処分を決定したそうです。

毎年何人かこのような弁護士のことが新聞などに出ていますが、専門家としては、悲しくなりますね。
信用で成り立っている専門家ですので、一人の行為が、業界全体の信用失墜につながりますからね。
専門家として、プライドを持って仕事をしてほしいですね。
仕事を頼まれる方も、誰を信じていいのか分からなくなると思いますので。

18千万円横領容疑で弁護士が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


公認会計士の継続的専門研修における「会員の研修履修結果の開示」!

 公認会計士は、導入されてかなり経ちますが、継続的専門研修制度(いわゆるCPE制度)は、公認会計士としての使命及び職責を全うし、監査業務等の質的向上を図るため、公認会計士の資質の向上及び公認会計士が環境の変化に適応するための支援を目的とし行われ、会員は所定の単位数の取得を義務付けられています。

日本公認会計士協会の会員の義務達成率は平成29年度では98.8%となっており、大多数の会員が義務を達成し、その資質の向上に役立てています。

この度、公認会計士に業務を依頼する際の参考に資するための情報充実の観点から、会員の研修履修結果が開示されることになりました。

会員の研修履修結果については、公認会計士等検索システムで会員個人を検索していただいた画面で確認することができます。

僕も自分のものを確認してみましたが、開示されるようになっています。
僕自身も、年間に、公認会計士や税理士向けの研修だけでなく、かなりの数の研修を受講していますので、良い試みではないかと思います。
これを見て、この人に仕事を頼もうなどといった考えが働くかどうかは疑問ではありますが。

公認会計士の継続的専門研修における「会員の研修履修結果の開示」について、どう思われましたか?


ユニクロの柳井氏が記念式典で講演し「公認会計士がハンコを押す人になっている」!

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、先日、日本公認会計士協会が開催した記念講演で、公認会計士に対して「経営者と経営課題を議論できるパートナーになってもらいたい」と語った。人工知能(AI)の発達などで会計業務が標準化される可能性について言及したうえで、会計知識の経営への活用を参加者らに呼びかけました。

 日本公認会計士協会が東京国際フォーラム(東京・千代田)で開いた「公認会計士制度70周年記念式典及び記念講演」に登壇しました。

柳井氏は、公認会計士が「(監査業務で)ハンコを押す人になっている」と指摘しました。
AIの発達などで「単純な計算や分析は必要がなくなる」との見通しを示したうえで、経営者との協調を呼びかけました。

柳井氏は、また、国内企業の経営力が劣化しているとの持論を展開し、その例として「一番もうかっている半導体の部門を売って時代遅れの重厚長大な部門を残す経営判断はおかしい」と半導体メモリー子会社を売却した東芝を挙げました。

近くで開催されれば行ったのですが、流石に、柳井さんは的をついたことをおっしゃいますね。
日本公認会計士協会は、AIが発達しても、業務に影響がないことをアピールしたいのでしょうが(笑)。
僕が、監査法人にいた頃から、指導はしてはいけないということがあったので、疑問は感じでいました。
本当に、『ハンコを押す人』になっていると思います。
やはり、監査に関すること以外も経営者と協議をして、色々なことに対して発言・指導することによって、存在感が増し、クライアントとの良好な関係が構築されるのではないかと思います。
当然、監査を行う公認会計士に、幅広い知識が要求されます。

ユニクロの柳井氏が記念式典で講演し「公認会計士はハンコを押す人になっている。」と述べられたことについて、どう思われましたか?

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東京国税局が旅館改修で水増しして消費税を不正還付未遂の社長らを告発!

時事通信によると、神奈川県箱根町にある旅館の改装工事で、消費税約2,900万円の還付を不正に受けようとしたとして、東京国税局査察部が消費税法違反などの容疑で、不動産会社(神奈川県箱根町)と不動産会社社長(54)を横浜地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

告発は2024年11月27日付です。

関係者によると、不動産会社社長は2022年12月~2023年11月、不動産会社が箱根町に所有する3旅館の改修工事代金を水増しして過大に計上しました。

水増しした分の消費税と地方消費税計約2,900万円の還付を不正に受けようとした疑いが持たれています。

実際の工事代金は3旅館で計約3億3,000万円でしたが、建設業者に虚偽の請求書などを作成させて計約6億6,330万円に代金を水増ししていました。

不動産会社社長が代表を務め、3旅館を運営する会社は取材に対し、「捜査中のため回答を差し控える」とコメントしたようです。

本当に、最近、安易な架空経費の計上による脱税事件が多いですね。

それだけ、儲かっている会社が多くなってきているということだとは思いますが、脱税は犯罪です。

特に、消費税の不正還付は、支払ってもいない消費税を国から返してもらうわけですから、詐欺です。

いつも思いますが、消費税の還付は厳しいので、金額が大きくなると反面(架空経費の相手先)の調査もしているのではないかと思いますが、こっちの架空経費の計上は、あっちでは架空売上の計上になりますので、税額が増えるはずです。

代金をとりあえず支払ってもらうとしても、後から戻すときに処理に困ると思いますが、どうやっているんでしょうね。

ここでもまた架空経費の計上が行われているとなると、架空経費のループに陥ってしまい、芋づる式に発覚してしまうのではないかと思います。

東京国税局が旅館改修で水増しして消費税を不正還付未遂の社長らを告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


東京地検特捜部が消費税不正還付容疑で東京都世田谷区の会社役員を逮捕!

共同通信によると、東京地検特捜部は、先日、消費税計約7,200万円の不正還付を受けたなどとして、消費税法違反容疑で、東京都世田谷区の会社役員(53)を逮捕しました。

逮捕容疑は2020年~20023年、会社役員が代表を務める宮城、石川両県などにある不動産賃貸会社4社の業務に関し、金地金売買を仮装し、架空の課税仕入れを計上するなどして消費税約7,200万円の不正還付を受けたほか、他の3社についても同様の手口で約8,800万円の還付を受けようとした疑いです。

消費税の還付は、このような不正還付事件が多いこともあり、課税当局も書類の提出を求めたり、税務調査に入ったうえで行われることが多いのは、周知の事実だと思いますが、安易にやられる方もまだまだいらっしゃるんですね。

架空取引の計上による消費税の還付は、法人税などが少なくなるだけではなく、支払ってもいない消費税を還付してもらうというかなり悪質なスキームですので、本当になくなって欲しいと思います。

東京地検特捜部が消費税不正還付容疑で東京都世田谷区の会社役員を逮捕したことについて、あなたはどう思われましたか?


東京国税局が消費税無申告のオンラインゲームの海外法人に「電光石火」で18億円追徴課税!

読売新聞によると、オンラインゲームを日本国内に配信するなどしていた香港法人が、東京国税局から2022年までの3年間で消費税計約18億円を追徴課税されていたことが関係者の話でわかったようです。

同社は税務調査に非協力的で、納税の見込みもなかったことから、東京国税局は本来の納付期限を前倒しする「繰り上げ請求」を行い、国内にある同社の財産を早期に差し押さえたようです。

海外法人に対しては税務調査が難しいだけではなく、国税当局が追徴課税をしても自主的に納めない場合、税の徴収は容易ではありません。

今回は東京国税局が徴収制度を駆使し、財産が海外に散逸する前に迅速な差し押さえに成功した形です。

今後、差し押さえた財産から消費税が徴収される見通しです。

関係者によると、追徴課税されたのは、2017年頃に設立された香港法人で、ゲームなどの開発を行うグループの主要会社です。

日本を含めた世界各国にゲームを配信し、利益を得ていたようです。

消費税は海外事業者によるサービスも含め、日本国内での取引が課税対象となります。

しかしながら、東京国税局が調べたところ、同社は、日本の利用者がアイテムを購入するなどしてゲーム内で課金された場合にかかる消費税を申告していなかったことが判明しました。

その額は計約15億円で、東京国税局は無申告加算税を含む計約18億円を追徴課税しました。

同社は税務調査に非協力的で、日本国内の「納税管理人」も定めていなかったことから、同国税局は自主的に納税する見込みがないと判断し、繰り上げ請求を実施しました。

前倒しされた期限が過ぎても同社は納税せず、東京国税局は、同社が日本子会社(東京都港区)に対して保有していた約15億円の売掛債権(将来、代金を受け取る権利)を財産として差し押さえたそうです。

追徴課税から財産の差し押さえまでは通常、1か月以上を要しますが、今回は繰り上げ請求によって10日程度で完了しました。

日本子会社から香港法人へ代金が支払われてしまうと、税にあてるべき財産が海外に散逸する恐れがあることから、東京国税局は差し押さえを急いだとみられます。

読売新聞は香港法人に追徴課税の事実などをメールで尋ねましたが、返答はなかったそうです。

日本子会社の担当者は「取材はお断りしている」と回答しました。

<繰り上げ請求>

国税通則法で定められた手続き。

納付期限までに税の完納が見込めないという「主観的要件」に加え、海外企業が国税当局との窓口となる「納税管理人」を定めていないなどの「客観的要件」を満たす場合、税務署長は期限を繰り上げて納税を求めることができます。

国税庁によると、2024年6月までの1年間に全国で259回、実施されました。

『繰り上げ請求』というものを恥ずかしながら知りませんでしたが、東京国税局も頑張っていますね。

悪質なところからは、きっちりと取って欲しいと思います。

東京国税局が消費税無申告のオンラインゲームの海外法人に「電光石火」で18億円追徴課税したことについて、あなたはどう思われましたか?


過大に消費税の還付受けた疑いで「ファーマライズ」に追徴課税!

NHKによると、全国で調剤薬局を展開する「ファーマライズ」が卸売り業者から医薬品を仕入れて別のグループ会社に販売する形を取り、消費税の計算上、仕入れの際の税額を多くすることで過大に消費税の還付を受けていたとして東京国税局から3億円余りを追徴課税されていたことが関係者への取材で分かりました。

追徴課税を受けたのは、全国でおよそ200店舗の調剤薬局を展開する東京都中野区に本社がある「ファーマライズ」です。

関係者によると、「ファーマライズ」は卸売り業者から医薬品を仕入れて別のグループ会社に販売する形を取り、消費税の計算上、仕入れにかかった税額を多くすることで還付される消費税があるとして税務申告をしていました。

しかし、一部の医薬品について、グループ会社が直接発注したり、「ファーマライズ」を経由せずに配送されたりしていて、東京国税局は「ファーマライズ」が仕入れていたとは言えず実際より多く消費税が還付されていたと判断したということです。

東京国税局は2023年5月までの3年間で過大に還付された消費税と過少申告加算税を含めて、3億3,000万円余りを追徴課税しました。

親会社の「ファーマライズホールディングス」は、「東京国税局との間で一部見解の相違はあるものの税務上はその見解に基づいて計算し連結損益計算書に反映を見込んでいる」としています。

きちんと証明できれば否認されることはないと思いますので、このケースで見解の相違があるのかどうかは個人的に疑問ですが、意図的にやっているのであれば悪質なように思います。

仕入れてもいないものを仕入れたことにして、決算時には在庫として計上して、期をまたいでからグループ会社に販売したことにすれば、消費税の支払いを実質的に先送り(もしくは還付)できますので。

過大に消費税の還付受けた疑いで「ファーマライズ」に追徴課税が行われたことについて、あなたはどう思われましたか?


消費税申告ミスで8億円追徴のエンビプロ子会社は「承服できず」不服申し立て!

朝日新聞によると、東証プライム上場企業「エンビプロ・ホールディングス」の子会社で、リサイクル資源会社「NEWSCON(ニュースコン)」(東京都中央区)が東京国税局の税務調査を受け、輸出免税取引をめぐる消費税の還付申告に誤りがあったとして、2023年までの3年間で約8億円の追徴課税(更正処分)を受けたことが関係者への取材でわかったようです。

エンビプロ社は「承服できず、国税不服審判所に不服申し立てをした」としています。

関係者によると、NEWSCONは主な輸出品である製鋼原料などのリサイクル資源に加え、中国で需要が高まった雑貨などを含めて、輸出免税の適用を受けるために申告していました。

しかしながら、東京国税局は、雑貨など約70億円分の商品については、実際の輸出元は同社ではなく仕入れ先の業者だったとして、輸出免税を認めず、2024年7月に追徴課税をしたようです。

事業者は、売上時に受け取った税額から、仕入れ時に支払った消費税額を差し引き、納税します。

輸出による売り上げは免税のため、仕入れ時の税額を還付申告できます。

輸出免税はなかなか難しいですね。

争って、白黒はっきりさせて欲しいですね。

今後どうなるかウォッチしていきたいと思います。

消費税申告ミスで8億円追徴のエンビプロ子会社は「承服できず」不服申し立てを行ったことについて、あなたはどう思われましたか?


渡航者の免税品不所持の消費税の課税漏れが3億円超!

時事通信によると、海外からの渡航者が購入した免税品を出国時に所持していない場合に、消費税が適切に課税されているかを会計検査院が調べたところ、成田、羽田両空港の税関で2022年度、計約3億3,900万円が課税漏れとなっていたことが、先日、分かったようです。

税関は、渡航者が日本国内で購入した免税品を出国時に所持せず、輸出も確認されない場合、国内で消費したと見なして消費税を課税します。

購入総額が1億円を超えるケースでは、渡航者の搭乗時に書面か口頭で課税を通知します。

会計検査院は2022~2023年度、税関が渡航者の購入額計約647億600万円について適切に課税されたかを調査しました。

両空港の税関で2022年度、9人が購入した高級腕時計など計約33億9,800万円分の消費税約3億3,900万円が課税漏れでした。

書面作成の時間が足りなかったことなどにより、渡航者の搭乗時刻までに通知が間に合わなかったようです。

税関を所管する財務省は、検査院の指摘を受けて課税通知に関する実施要領を改正するなどしました。

日本国民が外国人の消費税を負担しているのと同じだと思いますので、きっちりと取って欲しいですね。

そもそも免税品の消費税は、色々なところが確認を怠って追徴課税されたりしていますが、いったんは消費税を支払ってもらって、空港などで確認のうえ返すなど、見直した方が良いのではないかと思っています。

渡航者の免税品不所持の消費税の課税漏れが3億円超であることについて、あなたはどう思われましたか?


調剤薬局グループが架空取引で消費税16億円を不正還付か?

朝日新聞によると、全国で調剤薬局チェーンを展開する会社(兵庫県芦屋市)やグループ企業など約60社が国税当局の税務調査を受け、2022年から2023年の約1年間に消費税計約16億円の不正還付を受けたと指摘されたことがわかったようです。

薬局間での医薬品の架空取引を通じて、還付対象の消費税があるように装ったと判断されたとみられます。

追徴税額は、重加算税を含め計約23億円とみられます。

この会社は朝日新聞の取材に対し、「架空取引の認識ではなかった。見解の相違があったが、指摘を真摯(しんし)に受け止め、修正申告と追徴税額を含む納税を行った」と回答しました。

消費税は、モノやサービスを売った時に受け取る税額より仕入れ時に支払った税額が多い場合、その差額が還付されます。

関係者によると、この会社は近年、企業合併・買収の資金調達のためにグループ企業などとの間で医薬品の在庫を売買していたそうです。

大阪国税局など全国の国税当局が約60社について調べたところ、書類だけで実態のない取引が見つかり、それにより仕入れなどで支払ったとして差し引ける消費税が実際より多いように装って還付請求したと判断されたとみられます。

帝国データバンクなどによると、この会社は各地の調剤薬局チェーンを買収するなどして規模を拡大し、調剤薬局などを全国で計562店舗展開しています。

2023年5月期の連結売上高は2,233億円で、調剤薬局グループでは国内で大手とされています。

大手ドラッグストア「スギ薬局」を運営するスギホールディングスが2024年9月にこの会社を子会社化しています。

見解の相違があるのであれば、争えば良かったのではないかと思いますが、争わなかったんですね。

実態のない取引があるとされたということだと思いますので、よほど杜撰な処理をしていたんでしょうね。

過去に悪質な方法で還付申告をした会社等がたくさんあり、消費税の還付申告をすると税務調査が入る可能性が高いということを認識して、おかしなところがないことを確かめて還付申告をしないといけないということを知っておいた方がいいですね。

調剤薬局グループが架空取引で消費税16億円を不正還付していたことについて、あなたはどう思われましたか?


消費税2,400万円不正還付疑いで東京国税局が電子決済会社を告発!

共同通信によると、キャッシュレス端末の架空仕入れを計上し、消費税約2,400万円の不正還付を受けたとして、東京国税局が消費税法違反の疑いで電子決済システム関連会社(東京)と、前代表取締役(51)を東京地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

関係者によると、電子決済システム関連会社は他社から仕入れたキャッシュレス端末を店舗などに卸しています。

告発容疑は、キャッシュレス端末の架空仕入れを計上して仕入れ時に多額の消費税を支払ったと虚偽申告し、2020年分の消費税について不正還付を受けた疑いです。

不正に得た資金は事業費に充てていたとみられます。

こういう人がいるから、真面目に申告している会社が消費税の還付申告をすると、税務調査に来たり、資料の提出を求められたりで、なかなか還付してもらえませんので、絶対にやめて欲しいですね。

払ってもいないのに還付してもらうなんて、国からだまし取っているということですからね。

消費税2,400万円不正還付疑いで東京国税局が電子決済会社を告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


「買い子」が免税品大量購入で転売のダイコクドラッグに3億円を追徴!

朝日新聞によると、化粧品などの免税販売をめぐり、ドラッグストア「ダイコクドラッグ」をチェーン展開する運営会社2社が大阪国税局の税務調査を受け、2021年8月期までの2年間に過少申告加算税を含め消費税計約3億円を追徴課税されたことがわかったようです。

転売目的など、免税要件を満たさない外国人客への販売が約30億円分あったとみられます。

追徴課税されたのは「中央ダイコク」と「道頓堀ダイコク」(いずれも大阪市中央区)です。

2社とも修正申告をし、全額を納付したそうです。

関係者によると、日本に住む中国人らが転売業者に雇われ、「買い子」として2社の一部店舗で化粧品や日用品を大量購入するなどしたケースが多数見つかり、免税要件を満たさないと指摘されたそうです。

指摘を受けた期間は、コロナ禍の影響で訪日客が激減していた時期と重なります。

親会社の「ダイコク」は取材に「パスポートでの本人確認や在留期間の確認などが不十分だったと国税局から指摘を受けた。真摯に受け止め、適正な免税販売をする」としています。

以前は高松の商店街の中にあるダイコクドラッグで時々買い物していましたが、最近は、高松にもドラッグストアがたくさんできて、違うところで買っているので、『ダイコクドラッグ』という名前を聞いたり、見たりすることがほとんどなかったのですが、久しぶりに名前を目にするとこういうことだったんですね。

インバウンド向けの販売が多いことは分かっていましたが、会社を分けていることは初めて知りました。

株式会社四国ダイコクもありますが、本社は大阪市中央区です。

本来免税とならないものを免税とすると、国の消費税の税収が減るわけですから、課税当局には厳しく調査してもらい、適正に販売するようになってほしいと思います。

許可の取り消しとか、何年間かは許可しないとかも考えないといけないのかもしれませんね。

「買い子」が免税品大量購入で転売のダイコクドラッグに3億円を追徴したことについて、あなたはどう思われましたか?


「領収書や請求書を捨てればばれないと」などと個人事業者7,615人が消費税無申告!

読売新聞によると、消費税の申告義務がある個人事業者が申告しない事案が全国で横行しているようです。

2023年6月までの1年間の税務調査で、7,615人の無申告者が過去最高となる計198億円を追徴課税されました。

申告義務がないように装うために年間売上高をごまかしたり、故意に申告しなかったりするケースが目立つようです。

国税当局は積極的に調査に乗り出すなどして、警戒を強化しています。

福岡県内の女性ブリーダー(70歳代)は福岡国税局の税務調査を受け、2021年までの7年間で得た所得のうち約9,600万円を申告せず、消費税約1,000万円の納税を意図的に逃れていたとして、2022年に重加算税を含む計約5,300万円を追徴課税されました。

関係者によると、ブリーダーとしての年間売上金額が消費税の納税義務が生じる1,000万円を超えることが想定されましたが、申告がなかったため、同局は調査に着手しました。

女性は当初、「年間売上高は1,000万円以下で消費税の納税義務はない」と説明していました。

出品したペットオークションの運営会社が発行し、犬や猫の売買代金が記された書類などについては「捨てた」と話していました。

このため、同局は女性が出品していたペットオークションやペットショップを運営する会社に対し、女性との取引履歴を確認しました。

その結果、ブリーダー業の年間売上高が1,000万円を超えることを把握しました。

調査結果を基に女性をただしたところ、「納税義務があることを知っていた。売上金額を意図的に少なく申告した」と認め、期限後申告を行いました。

「領収書や請求書などの書類を捨てて、確定申告を行わなければ、税務署にばれないと思った」と、2023年、消費税の無申告などを指摘された長崎県在住の設備工事業の男性(60歳代)は、福岡国税局の税務調査に対し、こう語ったそうです。

関係者によると、2021年までの7年間で得た所得約5,200万円とともに、消費税約1,400万円を申告せず、納税を免れていました。

男性は売り上げや仕入れに関する領収書などの資料を破棄し、納税義務がないように装っていました。

同局の指摘を受け、重加算税を含む計約3,100万円を追徴課税されました。

国税庁によると、2023 年6月までの1年間の税務調査で確認された消費税の無申告者は、全国で7,615人に上りました。

指摘された個人事業者の業種は、ブリーダーのほか、建築業、運送業、飲食業など様々です。

追徴税額は前年度比約1.5倍で過去最高の198億円に膨らみ、1人当たりの平均額も過去最高だった前年度を上回る260万円でした。

追徴税額が増えた背景には、消費税は身近な税で、無申告が相次げば適切に納税する国民の不公平感を招きかねないため、国税当局が監視の目を光らせていることがあります。

2023年10月に始まった消費税のインボイス(適格請求書)制度導入を見据えて調査を強化したとみられ、それが影響した可能性もあります。

福岡国税局管内(福岡、佐賀、長崎各県)では、470人が消費税の無申告を指摘されました。

追徴税額の総額12億8,600万円と、1人当たりの平均額274万円はともに過去最高を更新しました。

同局の担当者は「引き続き適正に課税するため、厳格に対応していきたい」としています。

書類を破棄すればバレないと思っているのがスゴいですね。

どこかのサイトを使っていればサイト運営会社を調べればすぐに分かるでしょうし、反面調査もありますから。

名前が出るとそれまで築き上げてきた信用も一瞬にして失うでしょうし、重加算税を課されるとその後の税務調査の頻度も高くなるでしょうし、青色申告取り消しの可能性もありますから、何もいいことはないですよね。

「領収書や請求書を捨てればばれないと」などと個人事業者7,615人が消費税無申告だったことについて、あなたはどう思われましたか?


中国人爆買いの近鉄百貨店に8億円追徴!

産経新聞によると、消費税の免税要件を満たさない中国人客らに化粧品などを大量販売したとして、近鉄百貨店(本店・大阪市阿倍野区)は、先日、大阪国税局の税務調査を受け、令和4年2月期までの4年間で約7億円の申告漏れを指摘されたと明らかにしました。

過少申告加算税などを含む追徴税額は約8億円で、修正申告するとしています。
消費税法は、訪日外国人が土産物として国外に持ち出すことを前提に、1回50万円までの免税販売を認めています。

ただし、転売目的で不正購入された場合などは適用されず、阪急阪神百貨店(大阪)や大丸松坂屋百貨店(東京)などで、同様の指摘が相次いでいます。

近鉄百貨店によると、あべのハルカス本店などで、同一の外国人客が化粧品などを大量に購入するケースがあり、国税局は4年間に免税販売された一部の約75億円分が、転売目的などとみて追徴対象にしたそうです。

この期間に免税販売した約9割が中国からの訪日客で、うち7割がメークやスキンケア商品でした。

近鉄百貨店は「見解の相違はあったが指摘を受け入れた。今後は適正な処理に努める」としています。

最近、消費税の免税の指摘が増えていますが、購入した本人ではなく、販売した企業が消費税を負担することになるわけですから、適切に運用して欲しいですね。

それよりは、そもそも論として運用方法を変える必要があるのかもしれませんが。

株主とかはどう思われるんでしょうね。

利益が減るわけですから。

中国人爆買いの近鉄百貨店に8億円追徴課税が行われたことについて、あなたはどう思われましたか?


携帯買い取り店運営会社が約28億円の消費税申告漏れの指摘!

NHKによると、携帯電話の買い取り店を運営する東京の会社が、虚偽の客の名義を使って、大量のiPhoneの取り引きをしていたとして、およそ28億円の消費税の申告漏れを、東京国税局から指摘されていたことが関係者への取材で分かったようです。会社側はこれを不服として、審査を請求しました。申告漏れを指摘されたのは、東京都豊島区の携帯電話買い取り店の運営会社です。関係者によると、この会社は、令和3年までの2年間に、中国人などおよそ80人の客からおよそ60万台のiPhoneを買い取り、輸出業者に販売したと申告し、仕入れの際に支払った消費税額の控除を受けていました。しかしながら、客1人当たりの台数が不自然に多く、組織的な転売などが疑われるとして、東京国税局が取り引きの実態を調べたところ、一部の客は、「店にiPhoneを持ち込んではいない」などと話したということです。東京国税局は、この会社が虚偽の客の名義を使って大量のi Phoneを買い取っていたとみていて、適切な形で帳簿に取り引きを記載せず、税の控除は認められないとして、およそ28億円の消費税の申告漏れを指摘し、およそ32億円を追徴課税したということです。一方、会社側はこれを不服として国税不服審判所に審査請求したということです。どれくらいの規模の会社か分かりませんが、80人から60万台、約28億円というのは、すごい数・金額ですね。消費税に関しては、悪質な還付申告などが以前から結構あるようですので、課税当局も厳しいですから。不服を申し立てているということですから、今後どうなるのか楽しみにウォッチしていきたいですね。携帯買い取り店運営会社が約28億円の消費税申告漏れを指摘されたことについて、あなたはどう思われましたか?

委託事業の消費税の取り扱いを誤り課税対象約4,000万円を非課税に!

OHKによると、香川県は、社会福祉法人などに委託している障害者相談支援事業などの委託料について、誤って消費税を非課税にしていたと発表しました。

総額は6年分で約4,000万円に上っています。

香川県によると、誤って消費税を非課税としていたのは、香川県内11の社会福祉法人などに委託していた17の事業の委託料です。

障害者やその家族の悩みや相談を受け付ける事業などで、非課税としていた総額は、6年分で約4,210万円に上ります。

2023年10月4日付で委託事業が法律上の社会福祉事業には該当せず、国から課税対象であるとの通知が届き、判明しました。

非課税とされていたのは2002年度からで、香川県は修正が可能な過去5年分について事業を委託した法人に修正申告と納付を依頼し、課税対象分の消費税と延滞税相当額などを法人に支払うとしています。

また、高松市も同じように8つの事業で約1億2,00万円を非課税としていたほか、坂出市でも4つの事業で1,050万円が非課税となっていました。

県や市が事前に確認しないものなのでしょうか?

このようなものに税金が使われるのであれば、それでいいのだろうかとの疑問が湧きますね。

修正申告にかかる税理士報酬などはどうするのだろうか?とも思いますし。

委託事業の消費税の取り扱いを誤り課税対象約4,000万円を非課税にしていたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイス制度導入後は経理作業が「月12時間増」!

日本経済新聞によると、2023年10月に始まった消費税のインボイス(適格請求書)制度への対応を巡り、企業の現場で混乱が続いているようです。

民間調査によると月次決算で経理担当者1人当たりの作業が平均約12時間増えていることが分かったようです。

取引先から受け取った請求書がインボイスの要件を満たしているかどうか、目視で確認する作業の負担が増しています。

特に資金力に乏しい中小・零細事業者はデジタル化が遅れており、混乱は長期化する可能性が高いでしょう。

請求書管理ソフトを手がけるSansanが、2023年11月6〜8日、請求書業務を担当する経理担当者500人を対象に調べました。

インボイス制度対応に「課題を感じている」と答えた経理担当者の割合は70%を占めました。

課題の内容(複数回答)は「請求書業務の負荷が増えた」が最多の39.2%、「社内理解が不十分で混乱が生じた」が28.6%で続いています。

制度の理解不足などを背景に記載内容に不備がある請求書が多く出回っていることが背景にあるようです。

Sansanの調べによると、同社のソフト「Bill One」を使い、顧客企業が処理した請求書のうち、適格請求書の要件を満たさずに「要確認」と判定された項目で最も多かったのは「適用税率の記載漏れ」で4割を占めました。

不動産売買・開発を手がける日本ユニスト(大阪市)では、2023年10月に取引先から受け取った請求書のうち、1割程度で税率や税額の記載が漏れるなどの不備があったようです。

制度開始の1〜2か月前から新たな請求書の様式を取引先に周知しましたが、「不動産売買の業界はこれまで消費税を入れずに請求書を発行することが多く、対応が遅れている」(同社)とのことです。

Sansanによると受け取った請求書は経理や現場部門が「人力で対応している」との回答が計8割を占め、ソフト導入など「外部サービスで対応」は1割未満にとどまっています。

経理の作業時間が増加することは、企業側は当然分かっていたと思いますが、インボイス制度を作った側は考慮していたのでしょうか?

経理担当者でこれだけ増加しているということは、会計事務所はどれだけ増えているのでしょうか?

うちの事務所は基本的に記帳代行をやっていないので、それほど作業時間が増えるわけではありませんが、質問対応に結構時間は費やしています。

インボイス制度の導入により、もちろん、潤う事業者もいらっしゃるでしょうが、対応にかかるコストが増えますので、消費税の税収は増えるのかもしれませんが、法人税や地方税の税収は減るでしょうね。

一方、ますます、働き方改革や賃上げは厳しくなるのではないかとも思います。

インボイス制度導入後は経理作業が「月12時間増」となっていることについて、あなたはどう思われましたか?


インボイスで「消費税二重取り」の巧妙手口は財務省の試算以上の税収増の可能性!

週刊ポストによると、消費税のインボイス(適格請求書)制度導入について、「増税を目的としたものではない」と説明したのは鈴木俊一財務大臣です。

義兄の麻生太郎氏も財務大臣時代、インボイス登録が開始された日の会見でこう語っていました。

「複数税率で適正な課税をやっていくにはインボイス制度は必ず必要だ」

兄弟揃って白々しい嘘でした。

2023年10月に導入されたインボイス制度には、免税業者との取引によって、国(地方分を含む)に消費税率10%以上の税収が入ってくる「消費税二重取り」の仕組みがあります。

財務省はそれを国民にひた隠しにしたまま導入したのです。

「インボイス増税」(消費税二重取り)のカラクリは、図にすると簡単にわかります。

A社は税率10%の商品を1万円(消費税納税額は1,000円)でB社に売り、B社は1万1,000円(同100円)でC社に販売、C社は1万2,000円(同100円)で消費者に小売りする。

このケースでは本来、国(地方分を含む)に入る消費税収の合計は小売価格の10%の合計1,200円です。

B社が年間売り上げ1,000万円以下の免税業者の場合、従来は消費税分の100円はいわゆる「益税」となって納めなくていいから、税収合計は1,100円でした。

インボイス制度は、免税業者と取引する業者(C社)に、「益税」分を肩代わり納税させる制度と説明されています。

ところが、実態はもっとひどいのです。

B社が免税業者の場合、仕入れ控除を受けられないC社は、小売価格の10%の1,200円の消費税を丸ごと納めなければならないのです。

1つの商品でA社とC社が重複して消費税を納めることになります。

税理士の木村昇氏が、以下のように指摘しています。

「インボイス導入によって、C社は免税業者B社の益税分100円を肩代わり払いさせられるだけではなく、A社が納める消費税1,000円も控除できないからその分を二重払いしなければならないわけです。その結果、このケースでは小売価格1万2,000円の商品なのに消費税の納税額は合わせて2200円となり、税率約18%になってしまう。

インボイス導入から3年間は免税業者との取引は8割の仕入れ控除が認められるなどの経過措置(注:令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%控除、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%控除という6年間の経過措置が設けられている)がありますが、それでもC社の消費税納税額はB社の益税分を肩代わりするより多くなります」

これのどこが「適正な課税」で「増税ではない」などと言えるのでしょうか?

財務省のインボイス導入の狙いは、「免税業者」を取引から排除させ、売り上げ1,000万円以下でも消費税納税の義務がある課税業者(インボイス登録)を選択させることだと指摘されてきましたが、そうではないようです。

財務省にとっては、たとえ免税業者が課税登録しなくても、この「消費税二重取り」の仕組みがあれば消費税をどんどん二重取りできるから好都合なのです。

財務省はインボイス導入後は「益税」の減少で2,480億円の税収増になるとの試算を発表していますが、実際は、二重取りによってそれをはるかに上回る増収になる可能性が高いようです。

しかも、インボイス導入で税負担が増える事業者は、当然、損しないためにその分を小売価格に転嫁して値上げする。国が二重取りする消費税は最終的には全て消費者が負担させられるのです。

岸田文雄首相は「物価高騰対策」で所得税減税すると言いながら、財務省が仕組んだこの消費者を苦しめるカラクリに頬被りを決め込んでいます。

僕自身を含め、会計事務所は毎日のようにインボイスの質問等を受けていると思いますが、この計算については、少し前にクライアントの方から『税額が増えますが、インボイス制度はおかしくないですか?』と言われ、図に書いてみると、確かに税収が増えるんだなと思いました。

個人的には、免税事業者を排除するのがインボイス制度の目的だと思いますので、経過措置の最初の3年間は2%を負担するということで仕方なく泣く事業者もそれなりにいるのかもしれませんが、あとの3年間の5%や経過措置がなくなってからの10%の負担は厳しいでしょうから、当然に、免税事業者は取引から排除されていくと思っていますので、結果的には、益税が減るということになり、週刊ポストが書いているような二重取りはあほとんど起こらないのではないかと思っています。

それにしても、特例などで複雑になり、事業者に事務的・コスト的負担の多いインボイス制度は、シンプルなものにしてほしいなぁと思います。

軽減税率をなくしたり、免税事業者をなくしたり、簡易課税の基準を緩和するなどを考えてほしいなあと思いますね。

インボイスで「消費税二重取り」の巧妙手口は財務省の試算以上の税収増の可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


「フォートナイト」提供会社の子会社が消費税約30億円の申告漏れ!

NHKによると、世界的に人気のオンラインゲーム「フォートナイト」を提供するアメリカのゲーム会社「エピックゲームズ」の海外の子会社が、日本のユーザーからの課金収入をめぐって、東京国税局からおよそ30億円の消費税の申告漏れを指摘され、およそ35億円を追徴課税されていたことが、関係者への取材でわかったそうです。

申告漏れを指摘されたのは、世界で数億人のユーザーがいる人気オンラインゲーム「フォートナイト」を提供するアメリカのゲーム会社「エピックゲームズ」の、ルクセンブルクにある子会社です。

関係者によると、この子会社は、日本のユーザー向けに「フォートナイト」を配信していますが、ユーザーがゲーム内でのアイテムの購入などで課金したおよそ300億円について、本来は、日本の消費税の課税対象であり、申告納税の義務があるのに、これをしていなかったことが、東京国税局の税務調査で分かったようです。

東京国税局は、この子会社に対し、2020年までの3年間でおよそ30億円の消費税の申告漏れを指摘し、過少申告加算税を含め、およそ35億円を追徴課税しました。

関係者によると「エピックゲームズ」側は、すでに修正申告を済ませ、追徴課税分を全額納付しているそうです。

海外企業に対する追徴課税としては、過去最大規模とみられます。

海外からの配信などは課税されず、日本国内企業が不利ということで数年前に税制が改正されましたが、いまだに取れていないものも、ここ以外にもおそらくあるということでしょうね。

国税局には頑張ってもらって、取るべきものはきちんと取ってほしいですね。

「フォートナイト」提供会社の子会社が消費税約30億円の申告漏れを指摘されたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイスの税務調査は「大口・悪質」に限定と国税庁長官がコメント!

日本経済新聞によると、国税庁の住沢整長官は10月に始まるインボイス(適格請求書)制度の税務調査について、従来と変わらず大口で悪質な事例に限定して実施する意向を示しました。
「軽微な記載のミスを確認するための調査はこれまでしてきていない。記載事項(の不備)をあげつらうような調査はしない」と、日本経済新聞のインタビューに答えました。

住沢氏は税務調査に関して「制度の定着を図ることが当面重要な課題だ。柔軟かつ丁寧な対応をしていきたい」と述べました。

インボイスには税率ごとの消費税額や税務署から事業者ごとに割り振られる登録番号などの記載が必要になります。
住沢氏は仕入れ先から受け取ったインボイスに記載事項の不備があった場合でも、納品書や契約書など他の書類で必要事項を確認できれば、仕入れにかかった消費税額の差し引きを認める考えを明らかにしました。

仕入れ先から再度、必要事項を記載して修正したインボイスを受け取ることも選択肢になります。
「記載の漏れがあったときに、(別の方法で)きちんと確認できれば申告漏れだと指摘することはない」と強調しました。

政府は免税事業者が課税事業者に転換すると、納める税額が売り上げにかかる税額の2割で済む時限措置を設けています。
売上高5,000万円以下の「簡易課税事業者」にはインボイスがなくても支払った消費税額を控除できる仕組みもあります。
住沢氏は「インボイスが必要なケースは限られる」と説明しました。

国税庁によるとインボイス制度の申請件数は2023年8月末時点で388万件となりました。
そのうち300万いる課税事業者の申請件数は285万件で9割を超えます。
460万いる免税事業者の申請件数は103万件に達しました。
財務省は460万のうち新たに課税事業者になり得るのは160万と推計しています。

インボイスを必要としない一般消費者や、インボイスを受け取らなくても支払った消費税額を簡易に計算して差し引ける簡易課税事業者を取引先とする事業者が一定数いることを念頭に、住沢氏は「相当程度、登録申請は進んできていると見ることもできる」と訴えました。

登録を迷っている事業者に関しては制度開始後も説明会を継続するなど丁寧に対応する意向です。

免税事業者の中には、インボイスを発行できないことを理由に取引を止められたり、一方的に購入価格を下げられたりしかねないとの不安があります。
「中小事業者の不安に寄り添ってきめ細やかな対応をしていく」と言明しました。
税務署で相談を受けた場合は、公正取引委員会や中小企業庁など必要な窓口を紹介するなど関係省庁と連携します。

岸田文雄首相は、先日、事業者の不安軽減を目的に閣僚級会議の立ち上げを指示しました。
経済対策での支援を含めた必要な対応を取るそうです。
住沢氏は「新しい支援策が出てくればきちんと周知・広報していく」と話しました。

インボイス制度開始後も、免税事業者からの仕入れについても一定割合の税の差し引きを認めるなどの経過措置が用意されています。
日本税理士会連合会は「経過措置の延長や恒久化」などの検討を求めています。
住沢氏は「必要があれば与党の税制調査会などで検討することになる」と述べるにとどめました。

▼インボイス制度
「適格請求書等保存方式」の通称。2019年10月に消費税率を10%に引き上げた際に食料品などには8%の軽減税率を適用しました。
どの税率を適用したかを正確に把握して納税するために導入が決まりました。

モノやサービスの売り手は請求書に事業者の登録番号や税率ごとに区分した税額を記載することが求められます。
10月以降は売り手が課税事業者として登録しておらずインボイスを発行しないと買い手は仕入れにかかった消費税額の全額を控除できなくなる場合があります。

インボイスを発行する事業者として登録するかは任意ですが、登録すると納税義務が生じます。

ある意味想像はできていたことですが、国税庁長官が導入前にコメントする必要があるのでしょうか?
真面目にインボイスに対応するためにコスト等をかけている企業や個人事業主もたくさんおられるわけですから。
インボイス制度自体がグタグタになってしまうのではないかと思ってしまいます。
個人的には、消費税の計算は簡単にしないといけないと思いますので、インボイス導入に伴う特例は話しや処理を複雑にしますので、極力やめて欲しいと思います。

インボイスの税務調査は「大口・悪質」に限定と国税庁長官がコメントしたことについて、どう思われましたか?


農家が「減収避けられぬ」インボイス巡るJTの「通告」に公正取引委員会が注意!

朝日新聞によると、2023年10月に始まるインボイス(適格請求書)制度をめぐり、日本たばこ産業(JT)が葉タバコの生産農家に一方的に取引価格の引き下げを通告したとして、公正取引委員会から注意を受けていたことがわかったようです。
制度後に予想される消費税の負担増を農家側に転嫁しようとしたとみられます。
JTは引き下げ幅を小さくするなど修正しましたが、減収が避けられない農家側からは待遇の改善を求める声が上がっています。

JTはたばこ事業法に基づき、国内農家が生産した葉タバコを全量、買い取っています。
現在は買い取り価格に含まれる消費税分を自らの納税額から控除できますが、インボイス制度が始まると、農家側からインボイスを受け取らなければ控除できなくなり、負担が増します。
インボイスは商品の販売先に対し、適用した税率や税額を伝えるための請求書などを指します。

ただし、インボイスを発行できるのは消費税の納税義務のある「課税事業者」だけです。
現状、タバコ農家の多くは年間売り上げが1千万円以下で納税が免除された「免税事業者」です。
課税事業者にならなければ、インボイスを発行できません。

岩手県二戸市の葉タバコ農家が加入する二戸農民組合によると、JTは2022年末以降、岩手県たばこ耕作組合を通じて農家に「インボイス登録をしない免税農家には消費税額分を除いた税抜き価格で支払う」と価格引き下げを伝えました。

関係者によると、公正取引委員会はJTによる価格引き下げの通告が一方的だったことを問題視しました。
仕入れ先が免税事業者でも一定割合で税控除を認める経過措置が計6年は認められているのに、控除可能な部分も含めて大幅に価格の引き下げを求めた点も含めて独占禁止法上、問題につながるおそれがあると判断して注意に踏み切った模様です。

JTともあろう大きな会社にしてはお粗末な対応ですね。
世の中にはインボイス制度導入をきっかけに廃業などをするところも出てくるでしょうから、消費税分を値切ると廃業して仕入先などがなくなる可能性もありますので、慎重に協議のうえ取引価額を決定しないといけませんね。
個人的には、苦労なく課税売上高が1千万円を超えるような日本経済にしないといけないのではないかと思っていますが。

農家が「減収避けられぬ」インボイス巡るJTの「通告」に公正取引委員会が注意を受けたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイス導入で複雑ルールも背景に取引先への圧力懸念!

日本経済新聞によると、消費税の税率と税額を記した請求書などをやりとりするインボイス制度が2023年10月に始まるのを前に、取引先に不適切な圧力をかける企業などが出始めているようです。
個人や零細の事業者に一方的に取引価格の引き下げを迫るといった行為で、公正取引委員会が問題視しています。
一部の専門家は、制度やルールが複雑で企業が混乱しているとも指摘しています。
ルールを明快に周知できるかという課題も浮かんできます。

「独占禁止法違反につながる恐れがある」と、公正取引委員会は、2023年5月、インボイス導入を巡り、フリーランスなどに仕事を発注する事業者が、取引先に一方的な取引価格の引き下げを通告した5つの問題事例を公表しました。
公正取引委員会が各事業者に注意をしたそうです。

イラスト制作業者が関わった例では、業務委託先のイラストレーターに「インボイス導入後も免税事業者のままでいるなら、消費税相当額を取引価格から一律に引き下げる」などと一方的に通知したとされます。

インボイス制度は、国に納税されずに一部事業者の利益となっている「益税」解消などの狙いがあるとされています。
事業者は消費者や他の事業者から受け取った消費税から、仕入れ時などに他の事業者に支払った消費税分を差し引く「控除」をしたうえで納税しています。
しかしながら、売上高が1,000万円以下だと免税事業者とされ、受け取った消費税を納税せずに自らのものにできます。
これが益税と呼ばれています。

制度導入後は、登録事業者からの仕入れなどで支払った消費税分しか控除できなくなります。
免税事業者は消費税分を含んだ代金を受け取らなくなって、益税解消につながると見込まれています。

ただし、消費税の適正な納税が期待される一方、「個人や零細の事業者が不利益を押しつけられかねない」との指摘も出ていました。
今回の公正取引委員会による注意事例は、その懸念が現実になりつつある証左ともいえるでしょう。

インボイス制度を理由にして一方的に不利益な取引条件変更を迫るのは、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」や下請法違反にあたる恐れがあります。
公正取引委員会は事業者向けのQ&Aの公表などを通じて適切な対応を呼びかけてきましたが、問題事例を止められませんでした。

なぜ、取引先への不適切な圧力が起きるのでしょうか?
専門家には「インボイス対応に独禁法が適用されること自体があまり知られていない」との見方があります。
平山賢太郎弁護士は「そもそも『優越的地位』やその『乱用』の認定はいずれも難しい。適切な対応と不適切な乱用の線引きは、非常にわかりにくい」と指摘しています。

例えば、取引先に課税事業者への転換を要請するのは正当ですが、一方的に取引条件の変更を通知すると違法行為に問われるリスクが高まります。
転換を受け入れた相手との価格の見直し交渉では「十分な協議」が求められますが、どうすれば「十分」なのかの判断も難しいです。

大半の企業は、もっぱら税理士と相談しながら対応準備を進めています。
独占禁止法に詳しい弁護士の助言も受けるような、充実した準備ができる企業は少ないです。

新興や中小からの相談が多い緒方文彦弁護士は「新興や中小などの取引の発注元の事業者と、仕事を受けるフリーランス側の双方で制度やルールの理解が浸透していない」とみています。

仕事を発注する企業にとっては、免税事業者との取引条件を見直さなければ消費税分を余分に負担することになります。
一方で、適切な説明や協議を経なければ独禁法違反のリスクとなり、板挟みです。
長沢哲也弁護士は「(適切な手続きを進めるには)かなり複雑で作り込んだマニュアルが必要になる」と話しています。

結局「独禁法リスクを重くみて、負担増を自社で吸収すると判断する企業も出ている」(長沢弁護士)ようです。
インボイスの対応準備を進める、ある企業の担当者は「(制度の複雑さの)ツケが企業側にまわされているように感じる」と不満を漏らしています。

インボイス制度の導入まで約2かですが、対応準備が遅れている事業者も多いです。
制度開始後に戸惑いが広がる可能性もあります。

国税庁や公正取引委員会はこれまでも、特設のウェブサイトや専用の電話相談窓口などで制度の適切な運用についての周知を図ってきました。
しかしながら、事業者間のトラブルや混乱を避け、円滑に制度を導入するには、さらにわかりやすく対応の参考になる情報発信ができるかが問われます。

多数のフリーランスと取引する企業は、インボイス制度の導入にあたり、対応に苦慮しています。

ポーラ・オルビスホールディングス傘下のポーラ(東京都品川区)は、エステやカウンセリングを通じて化粧品などを販売する個人事業主2万5,000人と委託販売契約を結んでいます。
「課税事業者登録への協力を呼びかけている」(ポーラ)ようです。
同時に、オンライン説明会や動画配信、コールセンター設置など独自で手厚い対応も進めています。

仕事の発注者と働き手をマッチングする仲介サービスは、板挟みに悩む様子が垣間見えます。

約90万社の企業と働き手約560万人が登録する最大手のクラウドワークスは、2023年10月以降、働き手が課税登録をしているかどうか発注者側が確認できる仕組みにします。
クラウドワークスは、インボイス対応の方針について自社ブログで説明しています。
一方で、働き手を保護するため、発注者側に対しては従来どおり、働き手に消費税分を含んだ料金を支払うよう求める方針です。

ただし、働き手の個人事業主らからは「免税事業者のままだと選別されて、受注が減るのではないか」といった不安も出ているようです。
クラウドワークスは「制度開始後の状況によって、必要な対応をさらに検討していく」としています。

<インボイス制度とは>
消費税額を正確に計算するための制度。10%と8%税率のうち、どの税率の取引か把握するため売り手が請求書(インボイス)に税率ごとに税額を記します。
インボイスを発行できるのは税務署に登録した課税事業者のみです。
インボイスがないと買い手が消費税を納める際、仕入れにかかった消費税額を差し引けません。
フリーランスなどに多い免税事業者との取引が敬遠される懸念もあります。
ただし、制度導入後6年間は、免税事業者からの仕入れについて一定割合を差し引ける経過措置もあります。

10月にインボイス制度がスタートすると、色々と混乱するでしょうね。
個人的には、まだまだ国の周知が足りないのではないかと思いますし、特例などを設けることにより余計複雑になっているのではないかと思います。
インボイス制度導入に反対されている方もおられるようですが、登録するかどうか悩むくらいであれば、課税事業者となるよう頑張れば良いとおっしゃる方も多いですし、僕自身もそう思います。

インボイス導入で複雑ルールも背景に取引先への圧力懸念が強まっていることについて、あなたはどう思われましたか?


中身は水なのに「高級化粧品370億円分輸出」と申告し消費税を不正還付!

読売新聞によると、高級化粧品の架空取引を巡り、東京都内の卸売会社と輸出会社が東京国税局の税務調査を受け、計約44億円を追徴課税されていたことが関係者の話でわかったようです。
仕入れにかかる消費税を過大に計上したほか、輸出免税制度を悪用し、消費税の不正還付を受けようとしていました。

関係者によると、東京都新宿区の卸売会社は2021年11月までの2年間に、都内の会社から高級化粧品などを約370億円で仕入れ、輸出会社約10社に販売したと税務申告しました。
輸出会社は化粧品を香港に輸出したと申告していたようです。

東京国税局は税務調査の結果、実際に取引されていたのは化粧品ではなく、飲料水だったと判断しました。
卸売会社が約370億円とした仕入れは、実際には約30億円で、東京国税局は、仕入れにかかる消費税を過大計上していたなどとして、卸売会社に過少申告加算税を含む消費税約35億円を追徴課税しました。

輸出会社に対しては、商品を海外に輸出すると、仕入れ時に支払った消費税が還付される免税制度を悪用し、不正な還付申告をしたとして計約9億円を追徴課税しました。
東京国税局は、卸売会社が輸出会社に還付申告を促し、受け取った還付金を分配しようとしていたとみています。

卸売会社の代表は税務調査後、中国に出国して連絡がつかず、会社所在地のマンションも不在となっているようです。

事実だとすると、かなり悪質ですね。
取れないと日本として大損害ですので、どうにかして、税金を取って欲しいですね。

中身は水なのに「高級化粧品370億円分輸出」と申告し消費税を不正還付していたことについて、あなたはどう思われましたか?


ポイント交換は無償取引であるとの逆転判決!

TabisLandによると、企業間のポイント交換に応じて支払われた金員が消費税法上の役務の提供の対価に該当するか否かの判断が争われた事件で、大阪高裁(善本貞彦裁判長)は、共同で行う顧客に対する企業ポイントの交換サービスを実施して、他の法人から受領した金員は資産の譲渡等の対価に当たらず不課税取引に該当すると判断して一審の判決内容を否定し、カード運営事業者側の請求を認容する逆転判決を言い渡しました。

この事件は、会員に対して鉄道等の旅客運賃等及び商品購入代金等を決済するサービスや、商品購入代金等の決済手段としてカードを利用した際に企業ポイントを付与するサービスを提供する他、その企業ポイントと提携法人が付与する企業ポイントとを交換するなどのサービスを提供する交通系ICカードを発行する運営事業者が控訴していたものです。

控訴人は当初、提携ポイントを企業ポイントに交換した後に提携ポイントを付与した提携法人から支払われた金員を消費税の課税標準で課税資産の譲渡等の対価の額に算入した上で申告をした後、その金員は消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないなどとして更正の請求をしたところ、原処分庁から更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたため、その一部取消しを求めて提訴したという事案です。

しかしながら、一審の大阪地裁が、控訴人に支払われた金員は、提携法人に対してポイント交換がされた提携ポイントを保有していた双方の会員に、提携ポイント数を基に所定の割合によって算出した数の企業ポイントを付与し、その数の企業ポイントについて控訴人が実施するポイントサービスの対象に組み込むという役務の提供に対する反対給付であるというべきであるから、対価に該当すると判示して訴えを斥けたことから、判決内容を不服とした運営事業者側が更にその取消しを求めて控訴していたわけです。

控訴審は、提携ポイントを付与した提携法人から支払われた金員は、ポイント交換に係る提携ポイントを発行した者としてその利用に係る経済的負担を負うべき立場にある提携法人がポイント還元を行う控訴人のためにその原資を提供する行為に他ならないことから、ポイント交換は無償取引であると判断し、運営事業者側の請求を認容する逆転判決を言い渡しました。
国側が上告を断念したため、納税者勝訴で確定しました。

納税者の勝訴は嬉しいですね。
納得できなければ、争って、課税当局の考えを正してほしいですね。

ポイント交換は無償取引であるとの逆転判決があったことについて、あなたはどう思われましたか?


不適正な免税販売で大丸松坂屋に4億円超の追徴課税!

日本経済新聞によると、大丸松坂屋百貨店が消費税の免税販売を巡って東京国税局の税務調査を受け、2022年2月までの2年間で約3億9,000万円の申告漏れを指摘されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
免税販売の要件を満たさない取引が複数あり、過少申告加算税を含めて約4億3,000万円を追徴課税されました。

消費税法は外国人観光客らが購入した土産品などに免税を認めています。
転売目的での購入はできません。

関係者によると、大丸心斎橋店(大阪府大阪市)などの一部店舗で、本人確認が不十分なまま化粧品を販売したり、購入者の誓約書など必要書類を保管していなかったりした事例が相次いで確認されました。
パスポートの人物とは異なる購入者が同じ商品を免税で数十万円分購入するなど、転売目的が疑われる事例もあったそうです。

日本経済新聞の取材に対し、大丸松坂屋百貨店は「今回の税務調査での指摘を踏まえ、今後より一層、適切な免税処理に努める」とコメントしました。

百貨店の免税販売を巡ってはそごう・西武、小田急百貨店、松屋の3社も要件を満たさない取引があったとして追徴課税を受けています。

百貨店は免税だと訪日客の売上が増えていいのかもしれませんが、不正に使われると、日本の税収が減るということを認識してほしいですね。
そもそも、それが分かっているところだけに、免税店の許可を与えるべきだと思いますが。
なぜ、海外では一般的だと思われるいったん消費税は支払って、あとから返すみたいなやり方にしなかったのでしょうか?

不適正な免税販売で大丸松坂屋に4億円超の追徴課税が行われたことについて、どう思われましたか?


給料を外注費と偽り消費税など5,500万円を脱税!

テレビ朝日によると、消費税などおよそ5,500万円を脱税したなどとして、神奈川県大和市の土木工事業の実質的経営者の男ら2人が在宅起訴されました。

土木工事業の実質的経営者(53)と役員(58)は、2019年8月までの3年間で消費税などおよそ5,500万円を脱税した罪などで在宅起訴されました。

横浜地検によると、実質的経営者らは消費税が控除されない従業員の給料について、消費税が控除される「外注費」と偽って計上し、確定申告をしていました。

横浜地検は2人の認否を明らかにしていません。

また、同じ手法で脱税したとして逮捕されていた別の代表(64)も起訴されました。

これも悪質なケースですね。
こういうのは、指南役がいるのでしょうか?
そもそも、給与か外注費かというのは判断がなかなか難しいところので、こういったところで脱税を図ると、税務調査があると、バレやすいのではなかと思います。
常々言っていますが、安易に脱税するのではなく、きちんと検討したうえで節税をしましょうということですね。

給料を外注費と偽り消費税など5,500万円を脱税していたことについて、どう思われましたか?


銀行送金をインボイスと連動し入出金の確認を大幅に短縮!

日本経済新聞によると、政府が2023年10月にインボイス(適格請求書)を導入するのに合わせ、全国銀行協会が企業間の決済を簡単にできるようにするようです。
多くの情報を載せられる送金システムの規格をデジタルインボイスに対応させ、企業が請求から決済までをデジタルで一括でできる仕組みを整えます。
三菱商事がアナログ取引削減のため顧客への普及を目指すなど、企業側の動きも広がっているようです。

政府は2023年10月にインボイス制度を導入します。
商品・サービスの売り手は税率などを記したインボイスの発行が求められます。
国が普及を推進するのが、請求書情報をデータ化したデジタルインボイスです。

全銀協は2023年春をめどに、デジタルインボイスの標準仕様に対応した送金規格をまとます。
通常よりも情報処理量が多い送金システム「全銀EDI(ZEDI)」での送金でこの規格を使います。
規格に対応した会計ソフトなどを使えば、企業が取引先からデジタルインボイスとして受け取った請求書データを送金情報に自動連携でき、送金は請求書とひも付けられます。

具体的には「どの請求書に対する支払いか」や請求書発行日、請求金額、連絡先などの情報が載せられます。
お金を受け取った企業は会計ソフトを使うと、この情報を自動で記録できるようになります。
企業の決済・会計業務を大幅に効率化できると期待されています。

恩恵が大きいのはお金の受け取り手です。
通常の送金で送る情報は「宛先」「金額」などわずかです。
商品・サービスを売ってお金を受け取った企業は「これは何のお金か」を手作業で確認して記帳しなければなりません。
送金側とメールなどでやりとりして照合する必要があることも多くなっています。
全銀協の調べでは、中小企業の半数以上が入金確認作業に月5時間以上を費やしています。
中小の素材メーカーや専門商社では電話や紙、ファクスなどアナログ取引の慣行も多く残っています。
三菱商事は請求や決済を効率化する製品を開発し、ZEDIに連携させる計画です。
決済のデジタル化を顧客や関係企業に普及させたい考えのようです。
三菱商事の担当者は2022年12月の全銀協の会合で「まずは鉄鋼業界への普及を図りたい」と話しました。

今回デジタルインボイスと連動するZEDIは、銀行間送金を担う全国銀行データ通信システム(全銀システム)を補完する送金網として2018年に稼働を始めました。

銀行界は企業の決済を効率化させる目的でZEDIを設けましたが、専用の会計ソフトが企業の間で普及しておらず、利用率が低迷していました。
普及に弾みをつけるため、全銀協はインボイスとZEDIの双方に対応する会計ソフトなどを開発する企業に助成金を交付する事業を募集し、NTTコミュニケーションズなど19事業者が応じました。

ZEDIは2024年12月に更改期限を迎えます。
更改後は、全銀協で初めて送金網にクラウドサービスを使う方針です。
NTTデータのクラウドを利用します。
クラウド化で運用コストを引き下げ、金融機関の負担を減らします。

送金に請求書などの情報を載せて決済事務を効率化する動きは世界の潮流です。
世界の銀行が出資し、1973年に設立された国際的な資金決済網であるスイフトは情報量の多い新たな送金規格への移行を進めています。
スイフトは200以上の国・地域で1万1,000社以上の金融機関が利用しており、国際送金の共通基盤となっています。
国境を越えた資金のやり取りが増えるなか、日本の国内でも決済のデジタル化は急務です。

早く、中小企業でも低コストで使えるようなデジタルインボイスが普及して、スタンダードなものになってほしいですね。
そうなると、事務処理がかなり減少すると思います。

銀行送金をインボイスと連動し入出金の確認を大幅に短縮することについて、どう思われましたか?


インボイス発行なしでもフリーランスと取引!

日本経済新聞によると、消費税の税率と税額を記した請求書をやりとりするインボイス制度の10月からの導入を控え、人材サービスのWaris(東京都千代田区)やマイナビなど7社・団体は、先日、インボイスを発行しないフリーランスと取引を続けると表明しました。
インボイスがないと税負担が増しますが、事業に欠かせないフリーランスとの協業を優先するようです。

フリーランスら1万人超が会員となっているプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(フリーランス協会、東京都中央区)が取引の維持や待遇の改善を呼びかけていました。
フリーランスが消費税の課税事業者に転換し、インボイスを発行できるようになる場合は2%以上の報酬の引き上げを促します。

現在、企業は消費税の納税で、取引先からの仕入れにかかった税額は控除できます。
しかしながら、10月以降は原則としてインボイスがなければ控除できなくなります。
よって、インボイスを発行しない事業者は取引を打ち切られる懸念がありました。

インボイスを発行するには自らが消費税の課税事業者となる必要があります。
フリーランスは売上高1,000万円以下の免税事業者が大半で、フリーランス協会が2021年に実施した調査では課税事業者への移行を選ぶ事業者は4割弱です。

中小企業庁が2022年に実施した免税事業者への調査では「課税事業者として登録する予定はない」との回答が3割でした。
取引先からインボイスの発行を求められている事業者の1割が「発注側から値下げや打ち切りを言われている」そうです。

こうした発注側の対応について、政府は「独占禁止法上の優越的地位の乱用にあたる可能性がある」と法令順守を呼びかけています。
下請け事業者の保護をめざす下請法に違反する可能性もあります。

フリーランスとの取引継続を表明したのはWarisなどのほか、IT(情報技術)系フリーランス仲介のPE-BANK(東京都港区)、キャリア開発のクオリティ・オブ・ライフ(東京都中央区)、コンサル会社のヒューマン・コネクト(東京都千代田区)、システム開発のビーブレイクシステムズ、民間団体TETAU(和歌山県上富田町)です。

協会はインボイスがないことを理由に報酬を引き下げないよう促します。

最近は、インボイスのことを聞かれることも多くなりました。
免税事業者の場合、なかなか難しい判断をしないといけないケースもあります。
10月からスタートしないのではないかと思っている方もそれなりにいるのではないかと感じていますが、個人的にはスタートすると思います。
軽減税率8%の財源の大きな部分を占めるのが、インボイス制度の導入によるものですから。

インボイス発行なしでもフリーランスと取引すると明言するところが現れたことについてどう思われましたか?


パワーストーンの仕入れを装い消費税7.5 億円の不正還付受けようとした疑いで刑事告発! 

TBS によると、パワーストーンの仕入れを装い、消費税の還付を不正に受けようとしたとして、コンサルティング会社の代表らが東京国税局に刑事告発されました。

消費税法違反の疑いで刑事告発されたのは、東京都内のコンサルティング会社の代表(36)と、雑貨販売会社などの代表ら6人です。

関係者によると、代表は6人にパワーストーンを仕入れたことにして、消費税およそ7億5,000 万円の還付を不正に受けさせようとした疑いがもたれています。

代表は「関係各所へは真摯に対応させて頂く」とコメントしています。

これも悪質な事案ですね。
脱税の指南をやってはいけないのは明白だと思いますが、やる会社の経営者も払ってもいない消費税が還付されるということをおかしいとは思わないのでしょうか?

パワーストーンの仕入れを装い消費税7.5 億円の不正還付受けようとした疑いで刑事告発されたことについて、どう思われましたか?


イオンリテールが免税不適正対応で追徴課税2億円超!

日本経済新聞によると 総合スーパーを展開するイオンリテール(千葉県千葉市)は東京国税局の税務調査で、消費税の免税販売を巡り保管が義務付けられている書類を破棄するなど不適正な対応があったとして、計2億3,600万円の追徴課税を受けたと発表しました。

既に納付を済ませたそうです。

税務調査は2021年8月~2022年2月に行われ、イオンリテールによると、同社の店舗で2020年度までの5年間にわたり必要書類を破棄していたほか、2019、2020年度にはパスポートなどによる本人確認をしないまま免税販売をしていたことが判明しました。

イオンリテールは「国税当局からの指摘を真摯に受け止め、適正な免税販売に努める」とコメントしています。

不正により日本の税収が減るわけですから、課税当局には厳正に対応していただき、今回のようにきちんとルールを守っていないとことからはきっちり取ってほしいですね。
こういうことがあると、取り消しとかはできないんですかね?

イオンリテールが免税不適正対応で追徴課税2億円超となったことについて、どう思われましたか?


不動産会社と国税局が賃料収入の解釈の対立によるマンション転売時の消費税控除は?

日本経済新聞によると、中古賃貸マンションを転売する際の消費税控除を認めず、課税処分をした国税当局の対応は不当だとして、不動産会社が処分取り消しを求めた訴訟の上告審弁論が、先日、最高裁第1小法廷(安浪亮介裁判長)で開かれました。

不動産会社は「エー・ディー・ワークス」(東京都)です。
マンションを購入して大規模修繕などして、投資家らに転売する事業を手掛けています。
2017年3月期までの3年間の売買に関する消費税の税務処理を巡って国税当局から計約5億3千万円の課税処分を受け、2018年に提訴しました。

訴訟では、消費税の「仕入れ税額控除」の適用の可否が争われました。
販売時に受け取った税額から購入時に支払った税額を控除して納税する仕組みです。

エー・ディー・ワークスは制度に基づいて税務申告しましたが、国税側は転売先が決まるまでの間、一部の住居から賃料収入を得ていた点を問題視し。控除を一部しか認めず申告漏れを指摘しました。

先日の上告審弁論で、エー・ディー・ワークス側は「マンションの購入は転売収入が目的で、賃料収入が目的ではなかった」と主張しました。
国側は「購入時点で賃料収入の発生は見込まれていた。課税処分は適法だ」と反論しました。

下級審では判断が割れました。

一審・東京地裁は2020年9月、エー・ディー・ワークスの取引の主眼は転売で賃料収入は「副産物」として、処分の取り消しを認めました。
二審・東京高裁は2021年7月、控除の対象にならないとしてエー・ディー・ワークスの逆転敗訴としました。

2020年4月に中古マンションの売買は仕入れ税額控除制度の対象から一律で除外され、今回の訴訟と同様の問題は生じないようになっています。

国税庁が解釈を途中で変えた案件だと思いますので、エー・ディー・ワークスには勝っていただいて、国税庁の勝手な解釈の変更を認めないでほしいですね。

不動産会社と国税局が賃料収入の解釈の対立によるマンション転売時の消費税控除について、どう思われましたか?


10月開始のインボイスショックで声優の「4人に1人が廃業」を検討!

ダイヤモンド・オンラインによると、声優は日本に1万人以上いますが、その約76%が年収300万円以下だそうです。
ほとんどの声優が免税事業者であり、受け取った消費税の納税は免除され益税となっています。

およそ4人に1人が廃業を検討という驚愕の事実が明らかになりました。
2022 年秋に声優やアニメ、漫画、演劇といったエンターテインメント業界4団体が、関係者たちにインボイスの影響について尋ねたアンケートの結果です。

エンタメ業界では、フリーランスや個人事業主として働く人が大半ですが、インボイス制度に対して悲観的であることがうかがえます。

例えば、声優は日本に1万人以上いますが、その約76%が年収300万円以下です。
ほとんどの声優が売上高1,000万円以下の免税事業者であり、受け取った消費税の納税は免除され益税となっています。
とはいえ、レッスンなどに多額の経費がかかり、生活は苦しいというのが実態です。

そうした中、インボイスの発行事業者(適格事業者)になれば消費税の納税義務が発生するだけでなく、事務作業の負担も増します。

何より、適格事業者にならなければ、発注元が仕入税額控除できないため仕事の依頼が来なくなったり、単価の引き下げを求められたりすることになります。

「経済的事情から事業の継続を諦めざるを得ない人が出てくる。多くの才能が集まらなくなり、クオリティーが落ちるだろう」(40代、俳優・声優)

「所属俳優でインボイス登録しない者は、消費税分のギャラを引くと言われた。実質年収1割減が確定した。登録してもしなくても収入が減り、負担が増える制度はおかしいと思う」(50代、声優・ナレーター・講師)

20代の大学生からは、「将来、私はアーティストとして活動するために勉強中です。でも、インボイス制度が導入されれば、今学んでいることが無駄になりかねません」という声も上がっています。

しかも、新型コロナウイルスの感染拡大により、特に声優や俳優、演劇の仕事はなくなり、そもそも低めだった収入がさらに大幅に減っています。
そのタイミングでの事実上の増税である“インボイスショック”に対し、悲鳴が上がるのも無理はないでしょう。

こうした憂き目に遭うのは、何もエンタメ業界だけではありません。
個人タクシーもインボイス制度の影響が大きい業界なのです。

というのも、個人タクシーの運転手は免税事業者がほとんどです。
そのため、適格事業者にならなければ、個人タクシーを利用した企業は仕入税額控除ができず、企業側の納税負担が増えてしまうのです。

それゆえ、企業から敬遠されまいとして多くの個人タクシー運転手は適格事業者となる見込みですが、消費税の納税負担があるだけでなく、インボイスを発行する機械の交換などの費用もかかるため、廃業を検討している人も少なくありません。

しかも、簡易課税制度を利用すれば売上消費税の50%を控除できますが、高額な自動車を購入した場合には簡易課税制度の方が多額になるケースも出てくるため、判断が難しいのです。

また、当面は経過措置もあり、適格事業者と免税事業者が混在することになりそうですが、社名表示灯(あんどん)や車体の色で区別する方向とはいうものの、利用者からすれば混乱を招くことになるでしょう。

インボイス導入により、業界によっては色々な問題が出てくるかと思います。
インボイス導入の目的のひとつが益税の排除なのですから、悲観ばかりせず、業界の構造を変えるチャンスとか、ご自身の商売について再度考える必要があるように思いますね。
個人的には、売上が1,000万円にいっていないから登録すると損をするからどうしようかと考えるより、1,000万円を超えるようになるにはどうすれば良いかを考える方がわくわくしますし、将来性があるのではないかと思います。

10月開始のインボイスショックで声優の「4人に1人が廃業」を検討していることについて、どう思われましたか?


インボイス制度でネットバンキングと連携し自治体が中小企業を支援!

日本経済新聞によると、消費税の軽減税率に対応し正確な税額を示すインボイス(適格請求書)制度が2023年10月1日に始まるのに合わせ、インボイスの作成や送受信を自動化するシステムを開発する動きが自治体から出てきました。
地域の中小企業などが対応を迫られる受発注業務のデジタル化を支え負担を軽減します。
岐阜県のシステムは最大約100社が実証に参加する見通しで、本格稼働すれば全国のモデルケースとなる可能性があります。

インボイス制度が始まると中小の事業者は受発注業務のデジタル化が不可欠となります。
現在、年間の課税売上高が1,000万円以下の企業は消費税の納付が免除されています。
制度開始後は、多くの企業は課税売上高などにかかわらず、消費税の適用税率や税額の明細を記したインボイス(請求書や納品書)を基に納税するのが原則となります。
中小企業にとってそのためのシステム投資は重荷です。

そこで岐阜県は県内の金融機関やシステム会社と協力し、企業間の受発注に使われる既存のEDI(電子受発注)システムを生かした「EDIデータ連携共通基盤システム」を開発します。
2023年度当初予算案に事業費を計上し実証実験を行う。岐阜県産業デジタル推進課の担当者によると、実証に参加する事業者は最大約100社に上る見通しで、本格稼働すれば「岐阜モデル」として注目されそうです。

特徴は金融機関のインターネットバンキングシステムを介してデジタルインボイスのやり取りができる点です。
利用企業は法人口座を持つ金融機関のネットバンキングシステムにログインすれば、岐阜県のEDIデータ連携共通基盤システムを利用できます。
全銀EDIシステム(ZEDI)を介しEDIの取引データと連携することで、自動振り込みやデジタルインボイスの自動作成・保存が可能になります。
ZEDIは全国銀行資金決済ネットワーク(東京都千代田区)が運用する企業間決済基盤です。

岐阜県のシステムはデジタルインボイスをやり取りできる国際規格「Peppol(ペポル)」に準拠し、2024年1月に義務化される電子帳簿保存法にも対応します。
岐阜県は中小企業への普及を促すとともに、自ら発注者として電子調達にこの仕組みを活用します。
金融機関にとっては取引データを生かした融資などの新サービスにつながる可能性があります。

インボイスのデジタル化を巡っては、会計システムを手掛ける約20社がペポル対応製品を近い時期に発表する見通しです。
ただし、製品は出そろっておらず、自治体は地元企業の支援が急務となっています。
岐阜県の情報化を推進する公益財団法人ソフトピアジャパン(岐阜県大垣市)の松島桂樹理事長は「方言が『標準語』になれる可能性がある」と全国で参考になるモデルにしたいと意気込みを語っています。

会計ソフトの会社などがデジタルインボイスのサービスを提供すると思っていたのですが、自治体でも提供するところが出てきたんですね。
税金の無駄づかいにならないよう、切磋琢磨して、事業者にとって使い勝手が良いものができることを期待しています。

インボイス制度でネットバンキングと連携し自治体が中小企業を支援することについて、どう思われましたか?


消費税免税の制度悪用を見抜けずAppleに130億円の追徴課税!

日本経済新聞によると、アメリカのアップルの日本法人、アップルジャパン(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、約130億円の消費税を追徴課税されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
過去数年間にiPhoneなどの販売で、消費税の免税制度の要件を満たさない取引を見抜けなかったケースが多数あったなどと指摘されたもようです。
客の申告に基づく日本独特の制度が悪用された形で「抜け穴」の解消が急務でしょう。

消費税で100億円を超える追徴税額は極めて異例です。
アップルジャパンは修正申告したとみられます。

消費税法は、来日6か月未満の非居住者が購入した土産物や日用品などの免税を認めています。
転売目的などは課税対象となり、不適切な購入を見抜けなかった免税店側が消費税分を負担しなければいけない場合があります。
インバウンド(訪日外国人)客の購買需要が増すなか、日本製品や高級品を巡る適切な免税販売の徹底が改め
アップルジャパンは、2022年6月に免税販売を自主的に中止しました。
日本経済新聞の取材に対し、「弊店では免税でのお買い物はご利用いただけません。ご不便をおかけすることをおわび致します」とコメントしました。

消費税の導入から33年経ちました。
国税当局が2022年6月までの1年間に実施した法人調査で、消費税は約2万4千件の申告漏れがあり、追徴税額は計869億円に上りました。
5年前から11%増え、過去最高となりました。

近年増えているとされるのが、インバウンド客への不適切な免税販売です。
2021年以降、大手百貨店3社が東京国税局から計1億円超を追徴課税されました。

政府は2012年以降、インバウンドを成長戦略の柱と位置付け、空港の発着枠や免税店を拡充してきました。
訪日客の購買意欲を示す免税売上高(日本百貨店協会)は2019年に3,400億円を超え、3年連続で過去最高を更新しました。
一部で不適切な免税販売が行われれば、本来は国の社会保障財源となるはずの消費税が納付されず「国の損失」となります。

海外では出国時に免税額を払い戻す制度が主流で、手続きが煩雑な半面、不適切な免税販売は起きにくくなっています。欧州連合(EU)は主に税関の確認を経て事業者が払い戻します。
出国時に税相当額を政府機関が還付する国もあります。

日本政府は2020年4月に、免税店が購入情報の電子データを国税庁や税関と共有する仕組みを導入しました。
国税当局は、一部業界で不正が疑われれば免税販売しないよう行政指導しました。
免税販売を適正化できるか実効性が問われています。

そもそも消費税率を上げたり、インボイス制度を導入して免税事業者を課税事業者にさせる前に、こういった取りっぱぐれをなくすことを考える方が先決なのではないかと思います。
いったんは消費税を支払ってもらって、税関で現物を確認のうえ、払い戻すのが現実的なのではないかと思います。
手続きが面倒な人からは消費税が取れ、また、転売目的のものを一定数は防げるでしょうから。

消費税免税の制度悪用を見抜けずAppleに130億円の追徴課税が行われたことについて、どう思われましたか?


絵画や骨董品で高額取引を装う消費税の不正還付申告を東京国税局が指摘!

朝日新聞によると、輸出の際に消費税が還付される制度を悪用したとして、東京都内の輸出会社が東京国税局の税務調査を受け、消費税約5,400万円の還付を不正に申告したと指摘されたようです。

重加算税を含めた追徴課税は約7,300万円です。

東京国税局は、複数の業者が組織ぐるみで絵画や骨董品などを高額で取引したように見せかけていたとみています。

関係者によると、追徴課税されたのは東京都台東区の輸出会社です。
輸出会社は、今回の追徴課税の取り消しを求めて国税不服審判所に審査請求しているようです。
東京国税局は取引自体が架空だったとみていますが、輸出会社は「適正な輸出手続きの過程で消費税の還付申告をしているので、還付を受けるのが相当だ」と主張しています。

消費税は国内で売買された商品にかかる税金のため、輸出品は免税となります。
そのため、国内で商品を仕入れて輸出した場合、仕入れの際に支払った消費税は国から還付される仕組みになっています。

関係者によると、輸出会社は2020年2月~2021年3月に、中国人画家の絵画の贋作や中国製のつぼ、陶器といった骨董品など計約30点を都内の古物販売業者から総額約6億円で仕入れ、ほぼ同額で香港の業者に輸出したとする申告書を税務署に提出しました。
「仕入れ時に支払った」として消費税約5,400万円の還付を受けようとしましたが、東京国税局は不審な申告だとして還付を保留し、実際に還付されることはなかったそうです。

どちらの主張が正しいのかはよく分かりませんが、不正還付なのであれば、きちんと対処して欲しいですね。
こういったことがあるので、普通に消費税の還付申告をしてもなかなか返してくれませんので、どうにかしてほしいですね。

絵画や骨董品で高額取引を装う消費税の不正還付申告を東京国税局が指摘したことについて、どう思われましたか?


訪日客の免税品の転売防止のために買い手から税を徴収!

日本経済新聞によると、政府は一部の訪日外国人による悪質な転売事例への対策も強めるようです。
政府・与党は訪日外国人に免税品を購入させて買い取り、消費税を免れる不正行為を防ぐための対策の検討に入いりました。

自国に持ち帰らず日本国内で転売した場合、買い取った業者側から消費税を徴収しやすくします。
2022年12月中にまとめる2023年度税制改正大綱に盛り込むことを目指すようです。

消費税法では、訪日客など日本に住まない人が一定の条件を満たす商品を買って自国に持ち帰る場合、消費税を免除する制度があります。

この制度を悪用し、国内を拠点とする業者から指示を受けた訪日外国人が免税で大量に購入した化粧品やブランド品を国内で転売し、消費税分などの利ざやを稼ぐケースが相次いでいました。

これまでは買い取った業者から徴収できるのは訪日客が特定できない場合に限っていました。
政府・与党は水際対策の緩和で訪日客が再び増えることも想定し、訪日客を特定できるかを問わず、業者側から徴収できるように制度を改めます。

日本が消費税を損しているわけですから、こういった改正は良いことだと思います。
こういうことをやる目的で日本に来て爆買いしているとしたら、訪日客が増えても喜ばしいことではないですね。

訪日客の免税品の転売防止のために買い手から税を徴収することについて、どう思われましたか?


東京地検が5,100万円の脱税疑いで不動産会社の役員を逮捕!

日本経済新聞によると、東京地検特捜部は、先日、約5,100万円を脱税したとして東京都中央区にある不動産会社の実質的経営者の会社役員(59)を法人税法違反などの疑いで逮捕しました。
東京国税局と合同で関係先を家宅捜索しました。
東京地検特捜部は、認否を明らかにしていません。

逮捕容疑は架空の業務委託費を計上するなどして約2億900万円の所得を隠し、2015年8月から2016年7月までの事業年度の法人税と地方法人税を免れた疑いです。

不動産会社のホームページなどによると、ビルやマンションの管理代行、売買などを手がけています。
不動産会社の実質的経営者の会社役員は大手の保険代理店の創業者に、消費税計約2,500万円の不正還付を指南したとして、2013年に消費税法違反などの罪で起訴され一、二審で執行猶予付きの有罪判決を受けていました。

脱税である架空の経費を計上するくらいなら、合法的な節税の方法はたくさんあると思いますが、なぜ脱税に走るんでしょうね。
決算の段階で利益が出過ぎていることに気づいて、慌てて架空の経費を入れるのでしょうか?
それならば、月次決算を行って、毎月の状況を確認しつつ、合法的な節税をすればよいと思いますが。

東京地検が5,100万円の脱税疑いで不動産会社の役員を逮捕したことについて、どう思われましたか?


小規模業者はインボイスなしでも税額控除を可能にすることを政府・与党が検討!

日本経済新聞によると、政府・与党は消費税の税率や税額を請求書に正確に記載・保存する「インボイス制度」を巡り、2023年10月の導入時に小規模な事業者向けの猶予措置を設ける調整に入ったようです。
仕入れ時にかかる消費税額の控除を、少額の取引ならインボイスがなくても受けられるようにします。
中小零細企業の事務負担を軽くし、制度を円滑に導入できる環境を整えます。

インボイス制度は「適格請求書等保存方式」の別称。取引した商品やサービスごとに消費税額と税率を記載した請求書をやりとりします。
軽減税率の導入で8%と10%に税率が分かれた消費税の正確な納税に欠かせない仕組みです。

2023年10月の導入が迫り、規模の小さい事業主の事務負担の軽減が課題となっています。
会計ソフトなどを活用していない場合、インボイスを1枚ずつ手作業で確認する必要があります。

政府・与党は会計システムの導入には一定の期間がかかるとみています。
このため数年間の時限措置として、一回の仕入れ額が少額な取引ではインボイスがなくても控除を受けられるようにします。

対象となる事業者の線引きと期間、取引額の上限は今後詰めます。
事業者は課税売上高で年1億円以下に絞る案があります。
少額取引の額は1万円未満とする方向で調整するようです。

財務省によると、課税売上高が5,000万円以下の事業者は2021年3月末時点で全国に114万あります。
1億円以下が基準となれば、100万を上回る事業者が対象となります。

現在はインボイスよりも簡素な請求書を使っています。
一回3万円未満の取引は請求書を保存しなくても仕入れ時の消費税の控除を受けられる特例があります。
この特例に似た措置を小規模事業者の少額取引に限って設けます。

消費税を納めない小規模な免税事業者はインボイスを発行できません。
控除を受けられなくなる買い手から敬遠されて取引を打ち切られる可能性がありました。
こうした心配が当面は和らぎます。

2022年10月末時点でインボイス発行の登録・申請を済ませたのは約168万社です。
日本商工会議所が2022年9月に公表した調査によると、4割の事業者は特段の準備をしていないようです。
日本税理士会連合会は2023年度税制改正に向けて「少なくとも中小企業者の実務を踏まえた柔軟な運用を行うべきだ」と要望していました。

政府は会計ソフトの導入などに使える補助金も用意しています。
手作業がいらないデジタルインボイスが広がれば、小規模事業者の事務負担を緩和できるとみています。

税額と税率を正確に記載したインボイスは、納税実務をデジタル化する基盤となります。
制度の導入は2016年に決まりました。
政府は移行時の負担軽減策を設けつつ、制度の普及を急ぎます。

結局、小規模事業者の少額取引のみが対象であれば、あまり意味をなさないのではないかと思います。
大企業と取引のあるところは、この制度を使えない大企業側は登録していないところとの取引は極力避けるでしょうし、1万円以上のものを売っているところは関係ないでしょうから。
中途半端に特例を作ると、余計面倒になるような気がしてなりません。

小規模業者はインボイスなしでも税額控除を可能にすることを政府・与党が検討していることについて、どう思われましたか?


中国人男女ら7人で77億円分の“爆買い”は消費税の免税対象外!

NHKによると、中国人の男女ら7人が大阪市内の百貨店などでいわゆる“爆買い”した高級ブランド品など77億円相当の商品について、必要な書類などがなく免税の対象にならないとして、大阪国税局が消費税およそ7億6,000万円を徴収する処分を出したことが、関係者への取材で分かったようです。
業者から頼まれた転売目的の疑いがあり、7人は大半を納付せず、すでに出国したということです。

関係者によると、中国人の男女ら7人はおととし以降、観光などの目的で日本を訪れ、大阪市内の百貨店などで高級ブランドの腕時計やバッグなど合わせて77億円相当を“爆買い”し、消費税の免除の手続きをとったということです。

しかしながら、7人は半年以上日本に滞在したうえ、免税に必要な、商品を海外に送ったことを証明する書類を持っていなかったことなどから、大阪国税局は免税の対象にならないとして、7人が納めなかった消費税、合わせておよそ7億6,000万円を徴収する処分を出したということです。

関係者によると、7人は転売目的の業者から資金を得て高級品を購入して渡し、報酬を得ていた疑いがあるということです。
また、大半を納付せず、すでに出国したということです。

大阪国税局は「免税品は、お土産などとして国外に持ち帰る目的で購入する人だけのものなので、転売目的やSNSなどで依頼を受けて購入することはできないことを周知徹底していきたい」としています。

今回、悪用されたとみられるのは、外国人観光客が商品を国外に持ち出して消費する場合などに、消費税が免税される制度です。

免税品は、外国人観光客などが税務署の許可を受けた免税店で購入することができ、家電製品やカバン、化粧品や食品など、日常の生活で使われるものが対象になっています。

免税手続きをした人が、出国時に免税品を所持していなかったり、出国までに輸出していなかったりすると、免税の対象にならないとして、消費税を徴収されます。

一方、免税品は、事業用や販売目的の場合は免税の対象になりません。

免税品をめぐっては、コロナ禍前には、インバウンドの増加を背景に、免税制度を悪用した不正な消費税の還付や、転売目的の購入が相次いでいて、水際対策が大幅に緩和される中、国税当局は警戒を強めています。

国税庁は、不正の防止などを目的に、おととし4月から、免税店が購入記録や客のパスポート情報を国税庁に送る仕組みを導入し、税関ともこの情報を共有して、対策強化を進めています。

日本百貨店協会によると、ことし1月から9月までの全国の88の百貨店の免税品の売り上げはおよそ615億3,900万円で、コロナ禍で落ち込んだ去年1年間をすでにおよそ156億円上回っています。

入国者数の段階的な引き上げとともに、ことし7月以降は1か月当たりの売り上げが去年の同じ時期と比べて倍以上に伸びていて、ことし9月の売り上げは去年の同じ時期のおよそ3倍になっています。

ことし9月は、免税品を購入した客はおよそ2万8,000人に上り、客1人当たりの平均では、およそ33万円相当の商品を購入しているということです。

人気の商品をみると、1位が化粧品、次いで高級ブランド品、食料品です。

免税手続きをした人を国や地域別でみると、最も多かったのは中国で、次いで、台湾、韓国でした。

日本百貨店協会は、「コロナ禍前と比べるとまだ低い水準ではあるものの、水際対策が大幅に緩和された先月以降、免税品の売上はさらに伸びていると感じる」としています。

爆買いは、百貨店などは売り上げが増加して喜ばしいのでしょうが、こういうことがあると、日本としては損をしていますので、どうにかして、取り返してほしいですし、今後、こういったことがないように仕組みを考えてほしいですね。

中国人男女ら7人で77億円分の“爆買い”は消費税の免税対象外であることについて、どう思われましたか?


東京国税局が全国初の「消費税不正還付対策本部」を設置!

テレビ朝日によると、東京国税局が輸出商品への免税制度などを悪用した消費税の不正還付を防ぐため、全国で初めて対策本部を設置しました。

東京国税局の重藤哲郎局長は「通常の調査事案に比べても非常に困難性が高い場合が多々あります。国税当局の様々な部署が一体となって総力を上げて取り組んでいく必要があると認識しています。」とコメントしています。

先日設置された消費税不正還付対策本部には、東京国税局や税務署の職員ら100人以上が参加しています。

不正に還付された消費税額は、2021年6月までの1年間で全国で34億円でした。

そのうち8億円は東京国税局管内で、全国で最も多くなっています。

対策本部に関係部署の職員らを一同に集めることで、効率的に調査を進める狙いがあります。

消費税の不正還付は以前からたくさんあると言われており、真面目に申告している会社でも、消費税の還付申告をすると、最近では、簡単には還付をしてくれません。
税務調査がはいったり、資料を色々と提出しないと、それほどの金額でなくても還付してくれないことが多いように感じます。
一方で、後日、e-Taxで資料を提出しておきますと言っているのに、定期異動で担当者が変わり、引継ぎがきちんと行われていなかったのか、『まだ提出していただいておりませんが、どうなっていますか?』と言われ、『1か月以上前にe-Taxで提出しましたけど。』と答えると、多額であってもすぐに還付されたケースもありましたが(笑)。
こういうのができて、消費税の不正還付が減り、真面目に申告している企業は極力早めに還付されるようになることを期待したいですね。

東京国税局が全国初の「消費税不正還付対策本部」を設置したことについて、どう思われましたか?


インボイス制度でサイトに本名ずらりという身バレ懸念を受け国税庁が見直し!

朝日新聞によると、消費税の「インボイス制度」に登録した個人事業主の名前などの公表方法について、国税庁が見直す方針を決めたことが同庁への取材でわかったようです。

国税庁のウェブサイトから名前の一覧を誰でもダウンロードできる状況になっていましたが、先日、一時的に停止しました。
個人事業主の中には本名を明かさずに仕事をしている人も多く、「身バレにつながる」と懸念する声があがっていました。

サイトでは、2022年8月末までに登録した約20万件の個人事業主の名前が登録番号などとともにファイルにまとめられ、一括でダウンロードできていました。

国税庁によると、ダウンロードを一時的に停止し、このファイルの中で公表する情報の中身を見直すそうです。

インボイスとは、請求書や領収書のことです。
通常、事業者は商品などの販売時に受け取った消費税額から、仕入れなどにかかった消費税額を差し引いて納税しています。
仕入先からインボイスをもらえなければ、消費税から差し引けずに納税額が増えるのです。
2023年10月から、仕入先の事業主から受け取ったインボイスの保存が必要となる「インボイス制度」がスタートします。

制度に登録していない事業主からの仕入れでは控除を受けられないため、取引を敬遠される可能性があり、国税庁は個人事業主にも積極的な登録を呼びかけてきました。
サイトでの氏名の公表は、登録状況を誰でも確認できるために行っています。

しかしながら、掲載が2021年11月に始まると、事業主の間で波紋が広がりました。

「名字は公表したくないが、仕事をもらっている弱い立場で断れない」と話すのは声優の岡本麻弥さんです。
「機動戦士ガンダム」シリーズなど数々の有名アニメに、旧姓であり芸名でもあるこの名前で出演してきました。

サイトで公表される情報は原則は本名だけで、住所や芸名などの「屋号」については任意となります。
ただし、取引先から求められて公表すると、サイト上に本名と芸名が並ぶことになってしまいます。
「自分の本名を誰かがネットで拡散したら」という同じ不安を多くの声優仲間が抱えていることを知り、「VOICTION(ボイクション)」という団体を立ち上げ、公表を含む制度の見直しを求めてきたのです。

少し前にできたM&Aの登録支援機関なども、登録後、M&A関連の業者からDMなどが結構来るのですが、今回のインボイス制度の件も、ある程度は想定できていたのではないかと思います。
法人の場合、いわゆる登記簿に役員の氏名や代表取締役などの住所が記載され、誰もが見ようと思えば見れるため、法人と個人事業主とで差をつける必要がないという考えもあるのかもしれませんが、個人事業主の開業届や、支払調書などの個人番号(個人事業主としての個人番号は存在せず、個人としての個人番号が使われる。)や、事業所得なのか雑所得なのかを含め、国税庁が色々と見直さないといけない時期にきているのではないかと感じた1件でした。

インボイス制度でサイトに本名ずらりという身バレ懸念を受け国税庁が見直しを行うことについて、どう思われましたか?


「インボイス制度」への対応で免税事業者と「取引しない」が約1割で半数は検討中!

2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まります。
東京商工リサーチによると、消費税の仕入額税が控除されるインボイス制度について、「知らない」は7.5%で、制度の認知は広がっています。
しかしながら、準備や対応は鈍く、まだ半数近く(46.7%)の企業が取引方針を決めていない実態もわかりました。
一方、税控除ができない免税事業者との取引については、「これまで通り」との回答は4割(41.2%)にとどまり、「取引しない」(9.8%)が約1割、「取引価格を引き下げる」も2%(2.1%)ありました。
今後、取引関係に変化をもたらす可能性も危惧されます。

なお、東京商工リサーチは2022年8月1日~9日に、インターネットによる「インボイス制度」についての企業向けアンケート調査を実施し、有効回答6,441社を集計・分析しました。
資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義しています。

課税売上高1,000万円以下のフリーランスなど小・零細規模の事業者は、消費税の申告・納税義務が免除されています。
制度開始後、消費税の申告・納税が必要となる課税事業者が、インボイス発行事業者になると、売上先は仕入税額を控除できます。
ところが、免税事業者のままだとインボイスを発行できず、売上先は仕入税額を控除できないため納税額が大きくなるのです。

これを避けたい事業者が、免税事業者との取引解消や値下を要求する懸念が問題となっています。
一方で、免税事業者が、課税事業者を選択すると消費税の納税義務が生じ、小規模事業者ほど板挟みに苦悩しています。

Q1.2023年10月に導入される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」についてご存じですか?(択一回答)
インボイス制度を「知らない」と回答した企業は7.5%(6,441社中、483社)にとどまり、「よく知っている」19.5%(1,257社)、「大体知っている」49.0%(3,158社)、「少し知っている」23.9%(1,543社)を合わせた「知っている」は92.5%に達しました。
規模別では、「知らない」は、大企業が6.2%(988社中、62社)、中小企業が7.7%(5,453社中、421社)で、規模を問わずインボイス制度の認識は広がっています。

Q2.インボイス制度導入後、免税事業者との取引はどうする方針ですか?(択一回答)
インボイス制度の導入後、免税事業者との取引について、「これまで通り」が41.2%(5,292社中2,181社)と4割超を占めました。
一方で、「免税事業者とは取引しない」は9.8%(523社)、「取引価格を引き下げる」は2.1%(115社)と、1割強(11.9%)が取引中止や取引価格の引き下げ意向を示しています。
また、「検討中」は46.7%(2,473社)と、まだ半数近くは取引方針を迷い、免税事業者への悪影響が広がる可能性もあります。
規模別では、「免税事業者とは取引しない」は、大企業が6.4%(765社中、49社)、中小企業が10.4%(4,527社中、474社)で、中小企業が大企業を4ポイント上回りました。
また、「取引価格を引き下げる」は、大企業が1.4%(11社)、中小企業が2.3%(104社)で、取引継続は資金負担が生じることもあるだけに中小企業のシビアな回答が目立ちました。
一方、「これまで通り」は大企業が38.3%(293社)、中小企業が41.7%(1,888社)で中小企業が高くなっています。
「検討中」は大企業が53.8%(412社)、中小企業が45.5%(2,061社)と大企業では過半以上が検討中で、今後の方針決定で取引関係が大きく変わる可能性があります。

例えば、メーカーのA社が小売業のB社に11,000円(消費税1,000円)で納品し、B社が消費者に16,500円(消費税1,500円)で販売した場合、A社がインボイスを交付しB社が仕入税額控除を行うと1,500円から1,000円を引いた500円が納付税額となります。
しかしながら、A社が免税事業者だと、一定期間(6年間)の経過措置が設けられていますが、B社は控除できず、1,500円を納付しなければならないケースが出てきます。
そのためB社は、免税事業者との取引見直しを検討し、今回のアンケート調査では約1割の企業が取引を止めると回答しました。

免税事業者から課税事業者への移行を前に、個人事業から法人へシフトする動きも目立っています。
東京商工リサーチの調べでは、2021年の新たな「合同会社」の法人設立は36,934社で、5年前から1.6倍に急増しました。
設立手続きが簡単で、運用コストが安いメリットの合同会社を個人事業主が選択しているとみられます。

消費税の納税義務を免除されていた一部のフリーランスなどの免税事業者は、課税事業者に移行すると納税負担が増します。
一方、免税事業者のままでは取引解消のリスクが現実味を帯びてきます。
国は免税事業者との取引に配慮し、制度開始から6年間は仕入税額の一部控除が可能としました。
また、免税事業者との取引を、インボイス制度実施を契機に取引条件を見直すと、優越的地位の濫用として問題にもなりかねないと警鐘を鳴らしている。
ただし、企業は、基本的に取引先の選択を自由にでき、税負担が増す免税事業者との取引縮小の動きが加速する可能性は高いでしょう。
長引くコロナ禍で、小・零細事業者は経営不振が続くだけに、インボイス制度の導入で混乱が起きないように、事前の支援やフォローが重要になっています。

個人的に、知らないが7.5%というのは低すぎるのではないかと思いますが、かなり認知度は増してきているのは事実だと思います。
2021年10月1日から、インボイス制度の登録がスタートしていますが、1年ほど前に弊事務所のお客様にインボイス制度の説明をしたときには、ほとんどご存じの方はおられませんでしたが、最近では、取引先から説明を受けたりいているのか、お会いした方にインボイス制度の話しをすると、制度のことは知っている方が多いように思います。
継続的に多額の取引をしているところでなくても、飲食店、消耗品を買っているところなども、結局、インボイスの登録をしていないところだと、経理処理が煩雑になりますので、敬遠されていくのではないかと思っています。
免税事業者の方は、どうするかを早くから慎重に検討しましょう。

「インボイス制度」への対応で免税事業者と「取引しない」が約1割で半数は検討中であることについて、どう思われましたか?


消費税4,900万円を脱税した税理士だった社長は国税告発直前に税理士を廃業!

読売新聞によると、消費税約4,900万円を脱税したとして、東京国税局が衣料品卸売会社(東京都渋谷区)と、衣料品卸売会社社長で元税理士の男性(54)を消費税法違反の疑いで東京地検に告発していたことがわかったようです。

関係者によると、衣料品卸売会社は海外からカシミヤ製の衣料品を輸入し、百貨店の顧客向けに販売していました。
社長は、衣料品卸売会社に消費税の申告義務があることを知りながら、2020年8月までの3年間、消費税の確定申告を行わず、同期間の売り上げにかかる消費税計約4,900万円を免れた疑いです。

不正に得た資金は、社長の生活費や、衣料品の仕入れ費などに充てられていたようです。

取材に対し、社長は「国税局の指導に従って期限後申告を行い、納税も一部済ませた。今後は期限内に申告、納税をしていく」と文書で回答しました。

社長は衣料品卸売会社経営のほか、ビジネスコンサルタントとして企業向けの講演などをしていました。
税理士としても相続の相談や税務調査の立ち会いなどの業務を行っていましたが、告発直前の2022年3月13日に税理士を廃業しました。

これも、税理士としての処分を受ける前に廃業して処分を回避するという案件ですね。
税理士としては、当然、消費税の申告義務があることは分かっていたはずですから、あってはいけないことだと思います。
この社長は何冊か本も出されている方だと思いますが、同業者として恥ずかしいですね。
税理士であることを除いて考えても、こういう人に社長やビジネスコンサルタントがつとまるのだろうかと思ってしまいますが。

消費税4,900万円を脱税した税理士だった社長は国税告発直前に税理士を廃業したことについて、どう思われましたか?


消費税の過少申告で多額の追徴課税を受けた貴金属の買取・販売業者が破産!

東京商工リサーチによると、東京都台東区の貴金属の買取・販売会社が、先日、東京地裁から破産開始決定を受けたようです。

負債は債権者6名に対し、公租公課を中心に約24億9,700万円だそうです。

貴金属の買取店を出店し、一般顧客などを対象に金・銀・プラチナなどの貴金属の買取を手掛けていました。

買い取った貴金属の転売により収益を得ていましたが、2020年に消費税の過少申告が発覚し、過去3年間について東京国税局より過少申告加算税を含めて約24億円を追徴課税される事態が発生しました。

以降、追徴課税の負担がのしかかるなか、経営も限界に達し今回の措置となったようです。

記事からは意図的なのかどうか分かりませんが、きちんと申告しないと、追徴課税のみならず、会社の存続にもかかわるという一例ですね。
金額から推測すると、結構な金額の貴金属を扱っていたんでしょうね。
破産となると、税金を取りっぱぐれてしまうのではないか思いますが、どうなるんでしょうか?

消費税の過少申告で多額の追徴課税を受けた貴金属の買取・販売業者が破産したことについて、どう思われましたか?


外注費偽装で4,300万を円脱税した和歌山県の会社を告発!

産経WESTによると、従業員の人件費の一部を外注費と偽るなどし、約4,300万円を脱税したとして、大阪国税局が消費税法違反などの罪で、和歌山県岩出市の運送会社の元社長(65)と法人としての運送会社を和歌山地検に告発していたことが関係者への取材で分かったようです。

追徴税額は重加算税を含む約5,800万円で、すでに修正申告を済ませて大半を納付したようです。

関係者によると、運送会社は令和2年6月末までの3年間で、人件費の一部を、消費税の控除を受けることができる外注費に偽装して計上し、不正に消費税の還付を受けるなどし、約4,300万円を脱税したとされます。

消費税がかからない給与か消費税がかかる外注費かは、実務上判断が難しく、税務上、問題になることも多い論点だとは思いますが、偽装して、重加算税が課されているということは、悪質だったんでしょうね。
改めて、雇用か業務委託かは注意しないといけないなぁと思った1件でした。

2023年10月1日からインボイス制度が導入されますが、免税事業者である外注先がある場合、取引をどうするかなどの問題も出てきますので、早めに外注先のリストアップ、インボイス制度への対応策なども考えたほうが良いと思います。

外注費偽装で4,300万を円脱税した和歌山県の会社を告発したことについて、どう思われましたか?


「1,000万円の猫」と偽装し消費税の不正還付を受けようとした社長を逮捕!

日本経済新聞によると、東京地検特捜部は、先日、イベント用として数百万~1千万円の猫を仕入れたと装い、不正に消費税の還付を受けたとして、東京都中央区のペット関連会社の社長を(70)を消費税法違反などの疑いで逮捕しました。
東京地検特捜部と東京国税局は、同日、合同でペット関連会社の店舗を家宅捜索しました。

関係者によると、ペット関連会社の社長は実際には数十万円の猫を100匹ほどしか所有していなかったのに、数百匹分を総額20億円超で仕入れたと装っていたようです。
任意の事情聴取には、「多くは死んでしまった」と話したそうです。

消費税の還付制度では、物品の仕入れ先に払った消費税が売上時に受け取った消費税より多い際、差額分の還付が受けられます。
ペット関連会社は所有する猫と触れ合える「ふれあいねこ展」を全国で開催しており、仕入れに伴う消費税額がイベント収入などで受け取った分を上回ったとして、税務署に還付を申告していました。

逮捕容疑は、2018年1~9月に消費税と地方消費税計約9,100万円の還付を不正に受け、2018年10月~2019年9月に計約1億100万円の還付を不正に受けようとした疑いです。

事実だとすれば、かなり悪質ですね。
記事からすると、2018年1~9月分については消費税を還付を受けているようなので、国税局も還付する際の調査等が甘かったのではないかと思います。
これに味をしめて、2018年10月~2019年9月も不正還付申告をしたのではないかと思います。
こういう不正還付申告をする人が結構いるので、本当に消費税が還付になる会社などが還付申告をすると、税務調査が入ったりしてなかなか還付してもらえませんので、本当にやめて欲しいですよね。
架空経費で法人税等を脱税する行為はもちろん悪質だと思いますが、架空仕入れで消費税を不正還付を受けるという行為は、国などから不正にお金を搾取しているということですので、かなり悪質ということは理解してほしいですね。

「1,000万円の猫」と偽装し消費税の不正還付を受けようとした社長が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


公明党議員秘書が国税に再三要望!

朝日新聞によると、公明党選対委員長の高木陽介衆院議員(61)=比例東京=の公設秘書が2020年12月から2021年2月にかけて、知人が顧問を務める会社の税務調査をめぐり、会社側の要望を電話で10回以上、国税庁に伝えていたことが関係者への取材でわかったようです。
秘書は、国税側と会社側との面会の場を設けたほか、同庁職員を議員会館に呼んで会社側の不満を伝えていました。

秘書は朝日新聞の取材に対し、会社側の要望を繰り返し国税庁に伝えた事実を認めたうえで、「納税者の意見を伝えただけで、圧力をかけたわけではない」と説明しました。
一方、個別の税務調査への介入ではないかとの指摘については「真摯(しんし)に受け止めたい」と答えたようです。

東京国税局の税務調査を受けたのは、サプリメント販売会社(東京都新宿区)です。

関係者によると、サプリメント販売会社は、仕入れ時に支払った消費税が売上時に受け取った消費税を上回った場合に差額が還付される制度を使い、還付を申請していました。
しかしながら、2020年8月に税務調査が始まり、申し立てていた消費税約1億円の還付手続きがストップし、サプリメント販売会社の顧問は還付されないことなどへの不満を知人の秘書に相談しました。

秘書は2020年12月下旬以降、調査中を理由に止まっていた消費税の還付を求めるサプリメント販売会社の要望を、国税庁に電話で繰り返し伝え、社長らと面会するよう求めました。
国税側は2020年12月24日に東京上野税務署(台東区)で社長らと面会しました。
しかしながら、社長らが対応に不満を持ったため、秘書は国税庁に「うちの顔を立てて下さい」と伝えました。
その後、2020年12月28日には東京国税局(中央区)で再度の面会が行われました。

その後も続いた税務調査の中で、国税側は2021年1月27日、社長らに調査結果の見通しを説明し、課税処分する可能性を示しました。

秘書は会社側からこの説明内容への不満を聞き、2021年1月28日、国税庁の課長補佐2人を議員会館に呼び、還付が行われていないといったサプリメント販売会社の不満を直接伝えました。
サプリメント販売会社側に不正の根拠を明確に示すことを求めたうえで、「気をつけてもらいたい」と述べたそうです。

税務調査の結果、東京国税局は2021年4月、サプリメント販売会社がサプリ原料の仕入れ額を過大に計上し、2019年10月までの1年間で約11億円の所得隠しをし、消費税の還付額も過大に申し立てたと認定しました。
重加算税を含む法人税と消費税計約7億円を追徴課税(更正処分)しました。
サプリメント販売会社はこれを不服とし、2021年7月に国税不服審判所に審査を請求した。

サプリメント販売会社は朝日新聞の取材に応じていないようです。
サプリメント販売会社の税理士は、「消費税還付がされず、資金繰りが厳しくなった窮状を訴えるため、代議士事務所に国税庁への働きかけを求め、動いてもらった、と社長から聞いている」と話しているようです。

国税庁は「個別の税務調査にはコメントしない。一般論として議員や議員秘書からの問い合わせに関わらず、国税庁としては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らし適切に対応している」としています。

税務署の処分が正しいとすれば、悪質な企業なわけですから、税務調査が終わってから消費税を還付するという税務署の態度は正しいのではないかと思います。
たとえ不正をしていなくても、消費税の不正還付が過去から横行しているわけですから、消費税の還付申告をすれば、少額であっても、追加資料の提出を求められたり、税務調査に入って確認した後でないと最近は還付されないというのは周知の事実ですから。
あと、疑問に思うのは、この秘書のやっていることは税務代理のような気がしますので、税理士法違反なのではないかと思ってしまいますね。
当然、秘書のやっていることは議員にも責任があると思いますが。
国税庁の方は議員会館に行く必要はなかったように思いますが、圧力に屈することなく、最後まで毅然とした態度で臨まれたと思います。

公明党議員秘書が国税に再三要望していたことについて、どう思われましたか?


コロナ禍で国税が調査チームを作り消費税不正還付で9社で5億円を追徴!

朝日新聞によると、消費税の輸出免税制度を悪用して還付申告をしたとして、化粧品やマスクなどを扱う東海地方の貿易会社など9社が、名古屋国税局から消費税計約5億円の追徴課税を受けたことが分かったようです。

コロナ禍が企業活動にも影響を与えるなか、名古屋国税局は消費税の還付申告額が急増した業者に着目し、約100人態勢のチームで調査していました。

国税幹部は「消費税の不正還付は国から金をだまし取るようなもので、税金を納めない脱税よりも悪質と言える。コロナ禍でも厳正に調査する」と話しています。

調査を受けたのは、岐阜県瑞穂市の中国系の貿易会社7社と、不動産管理会社など2社です。

関係者によると、貿易会社などは主に、日本製のハンドクリームやマスクといった海外で人気がある化粧品・日用品を販売し、利益を上げていましたが、架空の仕入れを計上して、取引先に消費税を支払ったように仮装していました。
さらに売り上げについて、輸出や外国人旅行者向けの免税販売だったように見せかけ、税務署に消費税の還付申告をし、不正に還付を受けたとされます。

仕入れ先をごまかすため、大手ドラッグストアの白紙領収書を悪用したケースもあったそうです。

取材に対し、岐阜県瑞穂市の貿易会社の社長は「国税の指摘は納得できず、争っているところだ」、別の貿易会社(名古屋市中区)の社長は「消費税の還付について国税の指摘を受けた」と話しています。

事業者が国内で仕入れた商品を輸出すると、仕入れ時に消費税を支払う一方で、輸出先からは消費税を受け取れません。
そのため税務署に申告すると、仕入れでかかった消費税分が還付されます。
この仕組みを悪用して還付額を膨らませる事案が後を絶ちません。

国税庁によると、2020年6月までの3年間に、還付申告をめぐり意図的な不正があったとして130億円を追徴課税しました。
名古屋国税局の管内(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)では計33億円にのぼっています。
外国人旅行者に雑貨などを免税品として販売したように装う手口が目立つようです。

国税庁は2021年7月、不正還付に特化した「消費税専門官」を新設しました。
新宿や渋谷、浦和、静岡、名古屋中、神戸、福岡など全国の主要11税務署に配置しています。

消費税の不正還付は、納めないということでなく、それに加えて国からだまし取るということなので、事実だとすると、かなり悪質ですね。
消費税の不正還付はかなり前から横行しているようで、普通に消費税の還付申告をするとしたとしても、税務調査に来たり、追加で色々と書類を提出しないと、なかなか還付してもらえません。
こういった悪質な例が多いからであり、真面目に申告して還付となっている事業者は結構迷惑を被っているのではないでしょうか?
専門のチームを作ったのが遅いような気はしますが、作った以上、どんどん悪質なところを指摘して、追徴してほしいですね。

コロナ禍で国税が調査チームを作り消費税不正還付で9社で5億円を追徴したことについて、どう思われましたか?


東京都直営市場が消費税1億円の申告漏れ!

産経新聞によると、東京都直営の中央卸売市場の一つ「食肉市場」(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、2018年度までの3年間で約1億600万円の消費税の申告漏れを指摘されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
本来は消費税のかからない都債の償還(返済)について、課税対象と誤解して税務処理したのが原因でした。
追徴税額は過少申告加算税などを含め約1億2千万円で、東京都側はすでに修正申告したとしています。

消費税は、商品を販売した際などに受け取った「課税売り上げ」にかかる消費税額から、仕入れや外注などで支払った「課税仕入れ」にかかる消費税額を差し引いたものが納税額となります。
東京都の特別会計で収支を管理している食肉市場でも、食肉処理場の使用料などとして業者から消費税を徴収しており、他の経費などで支払った消費税分を差し引いて納税しています。

東京都や関係者によると、食肉市場では資金調達のために発行した都債の返済費として2016~2018年度、元本と利子を含め総額約22億円を充当しました。
このうち元本の返済分を課税仕入れとして計上していました。
これに対し国税局は、都債の返済はそもそも消費税のかからない「不課税取引」で、課税仕入れには計上できないと指摘しました。
課税仕入れ額が圧縮されたことで、1億円超の消費税が申告漏れとなりました。

東京都中央卸売市場財務課は「国税当局の手引きなどに基づき、課税仕入れになると認識して税務処理したが誤っていた。指摘に従って昨年5月に修正申告し、納税を済ませた。現在は認識を改め、適正に納付している」と話しています。

食肉市場は、豊洲市場など都内に11か所ある都中央卸売市場の一つです。
食肉の取扱量は1日当たり約315トン(2019年)で国内では最大規模です。

経営者の中にも、なぜ借入金の返済が経費にならないのかと思っている方がそれなりにいらっしゃるような気はしますが、借入金等の返済が課税仕入になるのであれば、当然、借り入れなどが課税売上になりますよね。
借り入れなどが課税売上にはならないと考えていると思いますので、借入金の返済が課税仕入にならないのは当たり前のような気はしますが、それなりの規模のところでも、そういった知識のところがあることに驚きでした。
東京都って顧問税理士がいないんですかね。

東京都直営市場が消費税1億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


3年分の税控除を過大申告し2,558万円脱税疑いで給食業者の代表取締役を逮捕!

沖縄タイムスによると、消費税と地方消費税約2,558万円を脱税したとして、那覇地検は、先日、消費税法違反と地方税法違反の疑いで、給食受託業(那覇市)の代表取締役(69)を逮捕したと発表しました。

「捜査に支障が生じる」として、認否を明らかにしていません。

那覇地検によると、代表取締役は業務全般を統括しており、2016年5月~2019年4月分の確定申告時、税控除額を過大に計上するなどして、納付税額を実際より少ない約210万円と申告し、約2,558万円の支払いを免れた疑いがあります。

那覇地検は、先日、沖縄国税事務所と合同で代表取締役の関係先を家宅捜索しました。

おそらく架空経費の計上ですが、そうであるならば、結構悪質ですよね。
消費税は、架空経費の計上で、還付申告するという悪質なものが世の中には結構あると耳にしますが、還付申告ではなく、消費税を納付していれば大丈夫と思っていたのでしょうか?
それほど、甘いものではないと思います。

3年分の税控除を過大申告し2,558万円脱税疑いで給食業者の代表取締役が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。

<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
⑤すぐに贈与税の申告ができない!

すでに、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』、『役所を信じてはいけない!』、『雑所得でも所得税の還付申告ができる!』については書きましたので、4日目の本日は、『新型コロナウイルス影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!』です。

新型コロナウイルス感染症の影響で、急遽、多額の設備投資を行うことがあるでしょう。
簡易課税を選択している場合、課税期間を短縮したうえで原則課税に変更するという手もありますが、新型コロナウイルス感染症等の影響による被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受ける(またはやめる)必要が生じた場合、税務署長の承認により、その被害を受けた課税期間から、その適用を受ける(またはやめる)ことができます。

書類としては、『災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書』を提出します。
発生した災害その他やむを得ない理由、被害の状況、被害を受けたことにより特例規定の適用を受けることが必要となった事情、災害等の生じた日及び災害等のやんだ日などの記入が必要です。
提出時期は、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2か月以内です。
ただし、災害等のやんだ日がその申請に係る課税期間等の末日の翌日(個人事業者の場合は、当該末日の翌日から1月を経過した日)以後に到来する場合には、その課税期間等に係る申告書の提出期限までとなります。

ちなみに、2通提出が必要で、税務署長が承認すると、1通は税務署長が押印して郵送されます。
(税務署の人に確認したところ、電子申告できますと言われたのですが…)僕の使っている申告ソフト(NTTデータ達人シリーズ)は、この申請書は電子申告に対応していないので、紙で提出しました。

新型コロナウイルス感染症の影響はまだまだ続くと思いますので、有効に使いたいですね。

新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できることについて、どう思われましたか?


雑所得でも消費税の還付申告ができる!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。
<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
⑤すぐに贈与税の申告ができない!

すでに、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』、『役所を信じてはいけない!』については書きましたので、3日目の本日は、『雑所得でも所得税の還付申告ができる!』です。

これまで、公的年金等かそれ以外の2つの区分しかなかったのですが、副業をしている方が多いのか『業務』加わり、令和2年分からは以下の3つに区分されました。
●公的年金等
●業務
●その他

ここで、所得税法上、『事業』と『業務』の明確な定義はないのです(不動産所得を除きます。)が、最高裁の判決により、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるものを『事業』とし、それ以外のものを「業務」として区分しているようです。
『事業』と『業務』の主なものに、(1)事業所得と雑所得、(2)不動産所得を生ずべき「事業」と「業務」の区分があります。

一方、消費税法上、『事業』とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいいます。

それゆえ、消費税の方が、『事業』の範囲が広いということになります。

よって、所得税法上、『事業(所得)』にあたらず『雑所得』であると考えているとしても、消費税法上、『事業』に該当すれば、所得税の確定申告書では『雑所得』で申告していたとしても、消費税の還付申告はできます。

ただし、税務署から電話がかかってきて理由を求められましたし、雑所得の場合、青色決算書などを提出しないため、税務署は収支などが分からないため、会計ソフトから出力することができる消費税の集計表を求められました。
理由の説明としては、上記の、所得税法上と消費税法上の『事業』の範囲が異なり、所得税法上は、●●という理由(ここはそれぞれ異なると思います。)で『事業』ではないと考えているものの、消費税法上は『事業』に当たるということを説明すれば大丈夫です。

雑所得でも消費税の還付申告ができることについて、どう思われましたか?


金1.7トンを密輸し10億円を脱税した韓国籍の男性らを逮捕!

金地金を密輸入して消費税など約1,800万円を脱税しようとしたとして、千葉県警は、先日、消費税法違反などの疑いで、韓国籍の無職の男性(34)ら2人を逮捕しました。

東京税関によると、2人は報酬目的だったと供述しているようです。
他に複数の韓国人が関与し、密輸入した金地金は計1.7トン、脱税額は10億円に上るということです。

逮捕容疑は、2020年6月4日、金地金30キロを香港から航空貨物で成田空港に無許可で持ち込み、消費税などを脱税しようとした疑いです。

金と比重が似たタングステン製の筒に入れて持ち込んでいたそうです。
筒は医療機器の部品と申告していました。

最近、金地金を利用した脱税が横行しているようですが、かなりの金額をやっている人がいるんですね。
消費税はインパクトが大きいので、昔から脱税とかが行われることが多いですね。
金地金の取引は課税取引ゆえ、消費税を支払っていない金地金を海外から持ってきて国内で仕入れたことにして仕入税額控除を取り、脱税するというスキームです。
おそらく、氷山の一角だと思いますので、どんどん摘発してほしいですね。

金1.7トンを密輸し10億円を脱税した韓国籍の男性らが逮捕されたことについて、どう思われましたか?


金地金買い取り業者など80法人・個人を消費税不正で40億円を追徴課税!

読売新聞によると、国税当局が、全国の免税店などを対象に消費税の不正申告の有無を調べる一斉税務調査を行い、約80の法人と個人に計約40億円を追徴課税したことが関係者の話で分かったようです。

うち約30億円は金地金買い取り業者2社への課税で、中国人などから金地金を買い取ったとする帳簿の記載に裏付けがないと判断されたようです。

2019年10月の消費増税で不正による利得額も増すため、調査を強化する必要があるとして、東京、大阪、福岡など7国税局が実施しました。

消費税の不正申告に特化した全国一斉調査は、初めてのようです。

関係者によると、最も多額の追徴を受けたのは、東京都台東区の金地金買い取り業者で、2019年8月期までの3年間について、過少申告加算税を含め約24億円を追徴課税(更正処分)されたようです。

3年間で24億円も取られるなんて、かなりの取引量がある中で、かなりの不正をしていたということでしょうね。
こういった悪質な業者からは、今回のような全国一斉調査をどんどんして、どんどん税金を取って、不正が減るように国税庁には頑張って欲しいですね。
ただし、以前、消費税の不正還付が横行して、数年前から、きちんと処理・申告をしていても、すぐには還付してくれない状況になっていますので、こういう悪質な業者がいっぱい出てくると、ますます還付が簡単にはしてもらえなくなるんでしょうね。

金地金買い取り業者など80法人・個人を消費税不正で40億円を追徴課税したことについて、どう思われましたか?


中古マンション転売の消費税の課税処分取り消し!

中古賃貸マンションの売買時の消費税の税務処理が争われた訴訟で、東京地裁(清水知恵子裁判長)は、先日、東京国税局の課税処分を取り消す国税局側敗訴の判決を言い渡しました。
法改正で現在は同じ問題は起こりませんが、過去の同種事案に波及し、不服申し立てなどにつながる可能性があります。

争っていたのは不動産会社「エー・ディー・ワークス」で、中古の賃貸マンションを購入した後、大規模修繕などで価値を高め、収益が見込める投資用不動産として販売する事業を行っています。
中古マンションの売買時にかかる消費税の税務処理をめぐって、約5億3千万円の課税処分を受け、取り消しを求めていました。

消費税には販売時に受け取った税から、仕入時に支払った税を差し引いて申告、納税する「仕入税額控除」の制度があります。
控除できる金額の計算には詳細なルールがありますが、今回は中古マンションの仕入れの目的が投資家への販売なのか、家賃収入を得る目的もあったのかが最大の争点となったのです。

エー・ディー・ワークスは販売目的の仕入れであり、仕入時の消費税を全額差し引くことができると主張しました。
一方、東京国税局は販売までの期間にマンション居住者から家賃を受け取っていると指摘し、「家賃収入も事業の目的の一つで、全額を差し引く処理はできない」としてエー・ディー・ワークスに申告漏れを指摘しました。

判決で清水裁判長は「仕入れの目的が不動産の売却にあることは明らか。賃料収入は不可避的に生じる副産物として位置づけられる」と指摘しました。
賃料収入が見込まれるからといって全額を差し引けないとする国税の判断は「相当性を欠く」と結論づけました。

同様の課税処分は全国で行われており、「判決が確定すれば、不服の申し立てなどが相次ぐ可能性もある」(国税OB)ようです。

親会社のADワークスグループは「主張の正当性が全面的に認められたものであり、妥当な判断であると考えている」とコメントしています。
一方、東京国税局は「国側の主張が認められなかったことは大変、残念。控訴するかどうか関係機関と判決文を検討中」としています。

この事件については、このBLOGでも何度か取り上げましたが、国税側がO.K.と言っていたものを急に変えて否認したというケースです。
当たり前の判決だと思いますが、こういう判決を機に、国税側のスタンスを改めて欲しいと思います。
場当たり的な対応ではなく、筋の通った、誰もが理解できるような税制にして欲しいと思います。
結局、こういう裁判関係の費用は税金で支払われていると思いますので。
個人的には、ここ数年流行っている商品でエー・ディー・ワークスさんとは付き合いがあるので、本当に良かったなぁと思います。

中古マンション転売の消費税の課税処分取り消しの判決が出たことについて、どう思われましたか?


キャッシュレス決済に係る決済手数料の消費税課否判断は?

 消費税率引上げと同時に、キャッシュレス・消費者還元事業が本格的にスタートしています。
事業者にあっては、これを機にキャッシュレス決済端末を実質無料で入手し、対応している場合もあることでしょう。

 キャッシュレス決済により商品の販売を行った場合、その販売代金は、お客様が利用した決済方法に係る決済会社に応じ、ある程度の時期にまとめて入金がされます。
その入金の際、ほとんどのケースにおいて決済手数料が差引かれることとなっていますが、この決済手数料に係る消費税について、改めて確認しておきましょう。

まずは、クレジットカード決済に係る決済手数料についてです。
これは、国税庁サイトで公表されている質疑応答事例集になります。
この事例は、加盟店が信販会社に対して商品代金という『金銭債権』を譲渡し、譲渡代金を受取っているケースです。
このような場合の決済手数料は、金銭債権の譲渡ということで、消費税は非課税として取扱われます。
決済手数料に係る消費税が非課税となるものとしては、他に、QUICPayやiDなどが該当します。
ただし、1点気をつけていただきたいのは、加盟店が信販会社と直接契約ではなく、決済代行会社を通しているケースです。
このような場合には、決済代行会社に対して『金銭債権』を譲渡しているわけではないので、決済代行会社に支払う決済手数料に係る消費税は課税として捉えられます。

また、この他に『金銭債権』を譲渡しないケースが存在します。
いわゆる“チャージ”方式のキャッシュレス決済手段を用いた場合の決済手数料です。
こちらも、消費税が“課税”になります。
代表的な決済手段ですと、Suicaなどの交通系電子マネー、LINE Pay、Alipay、WeChat Pay、d払いなどです。

以上をまとめると、以下のとおりです。

決済手数料に係る消費税が
『非課税』となる決済手段

決済手数料に係る消費税が
『課税』となる決済手段

・クレジットカード
・QUICPay
・iD
など(ただし、契約先が決済代行会社の場合には、課税)

・交通系電子マネー(Suicaなど)
・LINE Pay
・Alipay
・WeChat Pay
・d払い
・楽天Edy
・nanaco
・WAON
左の非課税となっている決済手段のうち、契約先が決済代行会社のケース
など

会計処理を行う上では、必ず契約書や入金に関する明細書をご覧いただき、消費税の課否判断を行いましょう。

なんちゃらPayとか、色々な決済手段が増えていますので、取り扱いには注意したいですね。
個人的には、なんちゃらPayも早く淘汰されて、数社に集約されて欲しいですね。
そうしないと、お店も大変だと思います。

キャッシュレス決済に係る決済手数料の消費税課否判断について、どう思われましたか?


マンション取引に関し東京地裁で消費税の注目判決!

 最近の話題の1つに消費税増税がありますが、我々、税の専門家の間で消費税の話題といえば、2018年6月にマスコミ報道のあった株式会社ムゲンエステートや株式会社エー・ディー・ワークスと課税当局との争いが挙げられるでしょう。

マンション販売事業者らが取得した居住用建物に係る消費税仕入税額控除の取扱いを巡っては、課税当局とムゲンエステート、エー・ディー・ワークスが現在東京地裁で係争中です。
争点は、入居者がいる中古賃貸マンションの建物や部屋を購入し、その後転売する取引の税務処理です。
消費税では、仕入れに際して支払った消費税を、売上時に受け取った消費税から控除して納める、いわゆる「仕入れ税額控除」をすることになります。
2019年10月1日からは、消費税率が引き上げられたことから、不動産会社によっては影響も大きく、関係者は裁判の行方を注視しています。
この地裁での争いが2019年6月25日に結審し、判決の言い渡しが10月11日に行われました。
同社並びに同様の問題を抱える同業者には厳しい内容となりました。

同裁判の争点は、中古賃貸マンションを転売目的で購入した場合の消費税還付申告について「すでに建物を仕入れた日には貸付と家賃の収受が前提で、賃借権負担付売買契約締結していた」場合、非課税所得である個人家賃収入と共同して要する課税仕入れとなるとし、全額還付とはならないことの是非を問うものでした。
従来は転売目的が明確であり、賃貸が一時的なものは全額が還付対象とされてきました。
しかしながら、近年同様のケースで、仕入れ税額控除の大部分を否認する更正処分が相次ぎましだ。

根拠となったのが平成24年1月19日付大阪国税不服審判所裁決で、「課税仕入れ等の用途区分(消費税法30条2項)の判定について、課税仕入れ等を行った日の状況により、当該課税仕入れ等の目的及び当該課税仕入れ等に対応する資産の譲渡等の内容を勘案して行う」とされました。
この裁決により、課税売上割合が95%未満の個別対応方式の場合、仕入れ税額控除が全額認められなくなり還付金額が激減するリスクが顕在化したのです。

一方、さいたま地裁平成25年6月26日付判決では、前記大阪国税不服審判所裁決を前提にしながらも、消費税法30条2項一号イに規定される「課税資産の譲渡等のみに要する課税仕入れ」の解釈について、マンション等の課税仕入れを大方容認するかのごとき「コスト」なる用語を使用されていました。
マンション等販売業社の間ではこの一点を頼みとする流れが発生しました(ただし、課税仕入れと同日に賃貸管理契約を締結しているため原告納税者側がこの裁判では敗訴しています)。
また一部の識者から指摘された、行政側の同様のケースで仕入れ税額控除全面容認を示す「国税庁内部文書」提出命令申し立ては裁判長により却下され、「国側から原告に対する反証も必要なし」との心証を示すなど原告には厳しい局面となっています。
この件はほぼ同内容で追徴税額5.4億円を争うエー・ディー・ワークス社が継続している裁判にも影響を与えると考えられますが、前記識者が関わっている事案だけに注目されています。

消費税の税収は、導入当初平成元年3.3兆円だったものが、令和元年予算では所得税収に匹敵する19.4兆円が予定されている。

2019年10月1日付で消費税率も8%から10%に引き上げられたのと同時に、2023年10月1日以降予定されている適格請求書保存方式(インボイス方式―登録ナンバーを得た事業者の請求書でなければ仕入れ税額控除できない)導入を睨み、経済合理性や効果を無視してでも消費税の課税方式の精緻化が進展しそうな状況です。

このBLOGでも以前書いていますが、国税局が従来の考え方を変えてきている案件ですが、現状では、理論的に考えれば、また、間違ったものがあれば直していくのが当然と考えれば、ムゲンエステートやエー・ディー・ワークスにこれ以上争っても勝ち目はないように思いますね。
ただし、国税局も、考え方を変えるときは、周知すべきなのではないかと思います。

マンション取引に関し東京地裁で消費税の注目判決があったことについて、どう思われましたか?


“イートイン脱税”に対し麻生財務大臣が「必要な対応とる」!

 10月1日に導入された消費税の軽減税率制度について、コンビニエンスストアなどの店内で飲食するにも関わらず、申告せずに85%の税率で購入する行為が行われていることについて、麻生太郎財務大臣は、先日の記者会見で、「業界団体などを通じ実態把握に努めないといけない」としたうえで、「周知、広報を含め、軽減税率制度の円滑な実施・定着にむけて必要な対応を講じたい」と述べました。

軽減税率制度は、酒類を除く飲食料品などの税率を8%に据え置く制度です。
低所得者対策として、税率10%への引き上げに合わせて導入されました。
レストランなど外食は軽減税率の対象外で、コンビニやスーパーなどで購入した食品も、イートインコーナーで飲食する場合は、外食扱いとなり10%の税率が適用されます。

ただし、店員が全ての客に店内飲食か持ち帰りかを聞く必要はなく、張り紙などで申告を促せばよいことになっています。
そのため、申告せずに8%の税率で購入したにも関わらず、店内飲食する行為が横行しており、インターネット上では“イートイン脱税”などと指摘されています。

これは、導入前から指摘されてきたことだと思います。
コンビニによっては、イートインコーナーに張り紙をしているようです。
代金を支払ったあとに、イートインコーナーで気付くこともあるのではないでしょうか?
このBLOGでも何度か書いていますが、もともと消費税が導入された趣旨が、簡単に計算できるということだったと思いますし、低所得者の保護が軽減税率の趣旨であれば、マイナンバーの普及を絡めたところで他にやり方はあったと思います。
本当に、軽減税率はすぐにでもやめて欲しいと思います。

“イートイン脱税”に対し麻生財務大臣が「必要な対応とる」!と発言したことについて、どう思われましたか?


輸出企業への還付が「大手優遇」との不公平感を指摘!

 輸出時に消費税が企業に払い戻される「輸出免税制度」が、大手輸出企業を優遇しているとして、税法の専門家が国を批判しているようです。
輸出先の海外では消費税を徴収できず、国内の仕入れ時に支払った税額分が「利息」付きで戻されるからです。
10月1日に税率が10%に上がれば、大手輸出企業への利息を含めた還付金額はさらに膨らみ、不公平感は大きくなるでしょう。

企業は仕入れ時に支払った消費税を商品価格に上乗せして消費者に負担してもらいますが、輸出すると消費税を受け取れないため、仕入れ時の消費税は戻ってくるのです。
2017年度の消費税の還付金額は約4兆1千億円で、消費税収の約2割の規模となっています。
財務省は「税額分を返しているだけ」と強調しています。
しかしながら、税務署から払い戻される還付金には、年率1.6%の「利息」に相当する還付加算金が上乗せされるのです。

税理士で元静岡大教授の湖東京至(ことうきょうじ)氏が2017年度の決算を基に大手企業への利息を除いた還付金額を推計したところ、トヨタ自動車は3,506億円、日産自動車は1,509億円、パナソニックは220億円だそうです。
輸出企業だけが対象になるうえ、加算金の高い利率も理由に、湖東氏は「輸出企業を優遇する補助金と言わざるを得ない」と語っています。

日本大学教授で税理士の阿部徳幸氏も、仕入れ先など下請け企業は大手企業の圧力で税額分を上乗せしにくい現状を挙げ「今回の増税で中小零細企業は負担を強いられる一方、大手輸出企業の還付金が増えるのはおかしい。制度自体を見直してほしい」と訴えています。

これに対し、財務省は、輸出免税制度は経済協力開発機構(OECD)のガイドラインに規定されているとした上で、「国際ルールに従っており、制度に問題はない」としています。

<消費税の還付>
企業が税務署に払いすぎた消費税が返金されること。消費税は消費者が負担する仕組みになっており、企業が仕入れ時に取引先に払った消費税は税務署に立て替えた形にすぎず、商品を売って消費者から回収しています。
セールなどで商品価格を下げ、立て替えた消費税のほうが高くなれば差額が還付されます。
特に、海外に商品を売った場合は消費税を受け取れず、立て替えた税額分は払い戻されるため、「輸出免税制度」とも呼ばれます。

制度上問題はないのでしょうが、心理上は疑問符が付きますね。
還付加算金は、現在の金利水準から考えてかなり高めの『金利』になっていますから、金額的な上限を設けるか、還付加算金(延滞税もそうですが)の計算方法の見直しが必要な時期になっているように思いますね。

輸出企業への還付が「大手優遇」との不公平感が指摘されていることについて、どう思われましたか?


大東建託の子会社がオーナーに増税分30億を円未払いか?

 不動産会社が賃貸用の物件をオーナーから借り上げる「サブリース契約」をめぐり、全国の不動産オーナー約3万人への支払いに消費増税分を上乗せしなかったとして、公正取引委員会は、先日、不動産管理会社の大東建託パートナーズ(東京)に消費税転嫁対策特別措置法違反(買いたたき)で勧告を出し、公表しました。
未払い分は推定で約30億円に上り、同法の施行以来、過去最高額だそうです。

発表によると、大東建託パートナーズは、駐車場や事務所用ビルを一括で借り上げて転貸するサブリース契約を個人や法人のオーナーと結び、その物件を利用者に貸し出して得た収入から管理費を差し引いた金額をオーナーに支払っていました。

しかしながら、消費税が5%から8%に上がった2014年4月以降、大東建託パートナーズは自ら受け取る管理費を増税に合わせて値上げする一方、オーナーへの支払額には本来必要な増税分を上乗せしていませんでした。
大東建託パートナーズが利用者から受け取る賃貸料は据え置きだったため、オーナーへの支払いは実質的に減額されたかたちになっていました。
公正取引委員会の調べに対し、大東建託パートナーズは「違反だと気づかなかった」と説明したようです。

サブリース契約をめぐっては、個人のオーナーを中心に「賃料を一方的に減額された」「契約解除をしたくてもできない」といった不動産会社とのトラブルが相次いで表面化しています。
ただし、借地借家法では借り主の不動産会社の権利が保護されるため、貸主側が守られにくくなっています。
このため公正取引委員会の担当者は、「オーナーのほとんどは個人事業者で、サブリース契約では往々にして弱い立場に立たされる。本件事案を契機に業界全体に良い影響を与えられることを期待する」と話しているようです。

また、公正取引委員会は、大東建託パートナーズの親会社である大東建託(東京)についても、自社が使用するために借りた事務所や駐車場の賃料に消費増税分を上乗せしていなかったとして、貸主約140人への上乗せ分約1,200万円を払うよう勧告しました。

大東建託は「公取委の処分を厳粛に受け止め、グループ全体で再発防止に取り組む」とコメントしています。

本当に、「違反だと気づかなかった」のでしょうか?
大東建託は節税をセールストークにしてアパート建設の営業をしていると思いますので、相続税だけではなく、消費税や所得税の知識を持って販売して欲しいですね。
それは、子会社である管理会社も同様だと思います。
あとは、消費税率が10%になる直前での公表は、良いタイミングで公正取引委員会は出してきたなぁと思いますね。
今回の増税は、こういったことがないようにして欲しいですね。

大東建託の子会社がオーナーに増税分30億を円未払いであることについて、どう思われましたか?


アニメ制作会社が3千万円の脱税容疑で告発!

 消費税約3千万円を脱税したとして、東京国税局がアニメ制作会社(東京都杉並区)と実質経営者(68)を消費税法違反の疑いで東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、アニメ制作会社は国内の会社からアニメの原画や動画づくりを受注し、中国や韓国の業者に下請けに出していましたが、国外からの仕入れに消費税がかからない仕組みを悪用していました。
下請け先が国内の会社であるように装って、仕入れにかかった消費税額を過大に計上し、その分を支払うべき消費税額から控除することで、2018年6月までの2年間に約3千万円を脱税した疑いがあります。

アニメ制作会社の担当者は、取材に対し、「本人は中国に行っている。会社として特にコメントはない」と話しているようです。

最近、国税局が公表した査察の概要を見ても、消費税の不正還付などに力を入れているようです。
還付でなくても、納付税額が少ないケースは、悪質さでいうと同等かと思います。
ここ数年、消費税については、還付の申告書を出すと、結構すぐに税務署から電話があって、税務調査となったり、消費税の集計表や請求書を追加で求められ、それらが終わらないと、還付になりません。
よほど、消費税の不正還付が多いということだと思います。
税務署は、最近は消費税については特に厳しいということは認識しておいてほしいですね。

アニメ制作会社が3千万円の脱税容疑で告発されたことについて、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(5/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
最終日の今日は、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についてです。

<不正資金の留保状況及び隠匿場所>
脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていましたが、その他に、有価証券、居宅、暗号資産(仮想通貨)、金地金、ブランド品の取得費用、親族や特殊関係人への援助資金、ギャンブル等の遊興費などに充てられていた事例もみられました。
また、不正資金の一部が、海外の預金口座で留保されていたほか、海外における投資、コンドミニアムの取得費用、遊興費(カジノ)などに充てられていた事例もありました。
脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、
○居宅階段下の収納庫に存在した金庫及びバッグ並びに脱衣所内の金庫の中(法人税法違反)
○居宅応接間の金庫及び居室内の衣装ケースの中(所得税法及び法人税法違反)
○居宅寝室のベッドの下(法人税法違反)
に現金を隠していた事例などがありました。

<査察事件の一審判決の状況>
平成30年度中に一審判決が言い渡された件数は122件であり、全てに有罪判決が出され、そのうち実刑判決が7人に出されました。
なお、実刑判決のうち最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役4年6月、他の犯罪と併合されたものが懲役7年でした。

<トピック11>悪質な脱税者に実刑判決
平成30年度においても、特に悪質な脱税者に対しては実刑判決が出されています。
【事例1】
L社は、美容関連製品の輸出販売を行うものですが、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上する方法により、不正に多額の消費税の還付を受けていました。
同社の代表者Mは、消費税法及び地方税法違反の罪で、懲役4年6月の実刑判決を受けました。
【事例2】
N社は、繁華街に所在する多数のビルを管理し飲食店等のテナント賃貸を行うものですが、賃料収入の一部を除外するなどの方法により所得を隠し、多額の法人税を免れていました。
同社の代表者Oは、法人税法違反の罪で、懲役4年の実刑判決を受けました。
【事例3】
Pは、Qと共謀の上、暴力団に対して上納された資金からの収入を申告から除外し、多額の所得税を免れていました。
PとQは、所得税法違反の罪で、それぞれ懲役3年と懲役2年6月の実刑判決を受けました。

不正資金の留保状況及び隠匿場所と査察事件の一審判決の状況について、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(3/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
3日目の今日は、『国際事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(3)国際事案
海外取引を利用した悪質・巧妙な事案や海外に不正資金を隠すなどの国際事案に積極的に取り組み、平成30年度は20件を告発しました。
国際事案では、租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換制度を活用しました。

<トピック6>外国法人を利用した法人税・源泉所得税事案を告発
海外取引を利用した不正は、執行管轄権等の制約のため調査は困難を伴いますが、外国との間で締結した租税条約等に基づく情報交換制度を活用するなどして、海外取引を利用した不正を解明し、法人税及び源泉所得税事案を告発しました。
【事例】
F社は、香港法人の代表者に虚偽のインボイスを発行させ架空仕入を計上する方法により法人税を免れたほか、同不正により得た資金からF社の役員に対する簿外の役員報酬を国外で支給し、同報酬に係る源泉所得税を一切徴収せずに納付していませんでした。

<トピック7>中古自動車の輸出販売を装った消費税受還付の長期事案を告発
中古自動車の販売事業者による輸出販売を装った不正取引の解明に3年余りを要しましたが、検察当局の協力の下、当該不正取引を解明し、消費税の不正受還付事案を告発しました。
【事例】
G社は、中古自動車の仕入れに係る領収証及び虚偽の輸出許可通知書を作成し、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上する方法により、内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けていたほか、受けようとしました(一部未遂)。

国際事案について、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(1/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
初日の今日は、『消費税受還付事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(1)消費税受還付事案
消費税の輸出免税制度などを利用した消費税受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案です。
平成30年度は16件と過去5年間で最も多くの告発を行いました。

<トピック1>免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した不正受還付事案を告発
近年の訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加や免税店(輸出物品販売場)の増加を背景に、免税店における輸出免税制度を悪用して不正に消費税の還付を受けようとした者を告発しました。
【事例】
A社は、高額な腕時計の仕入れを装い架空仕入(課税取引)を計上するとともに、その商品を輸出物品販売場の許可を受けた免税店で外国人旅行者に販売したように装い架空売上(免税取引)を計上する方法により、多額の消費税還付金額を記載した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けようとしました。

<トピック2>太陽光発電施設の取得を装った不正受還付事案を告発
太陽光発電施設を運営し、発電した電気を再生可能エネルギー固定価格買取制度に基づき販売していた事業者による消費税の不正受還付事案を告発しました。
【事例】
B社は、太陽光発電施設を実際には取得していないにもかかわらず、これを取得したように装い架空仕入(課税取引)を計上する方法により、消費税の控除対象仕入税額を過大に計上した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けていました。

<トピック3>過去最多・最高額の消費税不正受還付の「未遂犯」を告発
平成23年に創設された消費税不正受還付の未遂犯は、平成26年度に初めて告発し、平成30年度においては、過去から最も多い8件、不正還付(未遂)総額15億円余りを告発しました。
【事例】
C社は、取引事実がないにもかかわらず、高級腕時計を代表者から仕入れたとする虚偽の納品書を作成し架空仕入(課税取引)を計上するとともに、香港でのオークション販売を装い架空輸出売上(免税取引)を計上する方法により、多額の消費税還付金額を記載した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けようとしました。
(参考)消費税の不正受還付に係る未遂処罰規定は、悪質性の高い消費税の不正受還付事案に厳正に対処するため、平成23年に創設されました。

消費税受還付事案について、どう思われましたか?


軽減税率で高所得層で2,880億円の恩恵と財務省が試算!

 財務省は、先日、201910月の消費税率引き上げ時に導入する軽減税率制度について、所得階層別の軽減度合いに関する試算をまとめました。
衆議院の財務金融委員会に提出しました。

2018年の家計調査をもとに階層別の消費支出額とシェアを計算しています。
そのうえで、軽減税率制度による減収額1.1兆円を各所得階層のシェアで割り、それぞれの階層ごとの減収額を算出しています。

最も所得が低い層(年収238万円未満)では計1,430億円が軽減されるのに対して、最も所得が高い層(年収738万円以上)では計2,880億円でした。
中位層(同355万円以上500万円未満)は計2,190億円が軽減される計算となりました。

試算を要求していた立憲民主党の川内博史衆院議員は「低所得層への恩恵が少ない」と批判しています。
これに対し、麻生太郎財務相は高所得層の方が消費額が多く、世帯当たりの人数も低所得層の3倍弱いるとしています。

国の出すデータも正しいのかどうか分かりませんが、元々、消費税の軽減税率は低所得層の方向けのものだったと思います。
日刊紙が消費税の軽減税率の対象になっているのがよく分かりませんが(マスコミ関係を味方につけるため?)、本当に、軽減税率って必要なのかと思いますね。
早く軽減税率をやめて、期限付きの商品券を与えるなどしてほしいですね。

軽減税率で高所得層で2,880億円の恩恵と財務省が試算していることについて、どう思われましたか?


中古マンションの消費税を巡る不動産業者vs国税局の争い!

 入居者がいるマンションを売買したときの税務申告をめぐり、不動産業者と国税当局が裁判で争っているようです。
売買の際にかかる消費税と、入居者からの家賃収入の関係について見解の相違が生じている形です。
消費税率引き上げも予定されるなか、不動産会社によっては影響も大きく、関係者は裁判の行方を注視しているようです。

争点となっているのは、入居者がいる中古賃貸マンションの建物や部屋を購入し、その後に転売する取引の税務申告です。
消費税は、仕入れ時に支払った税額を売上時に受け取った税額から控除して納めます(仕入税額控除)。
たとえば、不動産会社が建物を2億1,600万円(消費税額1,600万円)で購入し、3億2,400万円(同2,400万円)で転売したとすると、納税額は800万円となります。

「ムゲンエステート」(東京)と「エー・ディー・ワークス」(同)はこの考え方で税務申告しましたが、東京国税局は、両社が購入から転売までの間に入居者から家賃を得ていたことを問題視し、家賃には消費税がかからないため、「課税対象の仕入れ(建物の購入費)から、非課税の売り上げ(家賃収入)が生じている」として、控除を一部しか認めず、両社は申告漏れを指摘されました。
エー・ディー・ワークスによると、控除は3割程度しか認められなかったようです。

過少申告加算税などを含めた追徴課税(更正処分)は、ムゲンエステートが2015年12月期までの3年間で約6億3,900万円、エー・ディー・ワークスが2017年3月期までの3年間で約5億3,700万円で、両社とも不服申し立てをしました。

両社は課税取り消しを求めて東京地裁で国税局と係争中で、エー・ディー・ワークスは「仕入れの目的は建物の転売であって、家賃収入は副次的なものにすぎない」などと主張しています。
さらに国税庁が約20年前に作成した内部文書があり、同様の取引で仕入れ税額控除を全額認める解釈が記されているとして、この文書を証拠として提出する見込み。ムゲンエステートもこの文書の提出命令を国に出すよう裁判所に申し立てており、2018年12月の口頭弁論で裁判長は「もし文書が存在するなら、業者側の主張が独自の見解だとは言えなくなる」と述べ、任意提出するか、申し立てに反論するかを国に求めたそうです。

家賃収入が見込めるワンルームマンションなどの中古不動産は、投資先として富裕層を中心に人気があり、リノベーション(改修)などで資産価値を上げてから転売されるのが一般的で、入居者が多い物件のほうが高値がつくようです。

エー・ディー・ワークスの幹部は取材に対し、「20年以上、同じ考え方で申告していて、税務調査で問題にされたことはなかった。追徴課税に戸惑っている」と話しているようです。
国税局の指摘に従うと、消費税の負担は年2億円程度増え、税率が10%に引き上げられるとさらに大きくなる見込みだそうです。
エー・ディー・ワークスの経常利益は年約9億~16億円程度で、この幹部は「不動産を再生し、投資先として提供する社会的意義の高いビジネス。このモデルを見直すことになりかねない」と心配しています。
裁判を担当する弁護士によると、他に10社ほどから同様の課税をめぐって相談があるようです。

なお、仕入税額控除の仕組みは、消費税の申告納税義務がある事業者が対象で、一般の人には適用されません。

平成12年に国税庁消費税課が出している消費税審理事例検索システムに載っていた文章(『譲渡用住宅を一時期賃貸用に供する場合の仕入税額控除』)を見ると、ムゲンエステートやエー・ディー・ワークスの処理で問題ないと思いますが、なぜ解釈を変えたのでしょうか?
その辺を明確にしてほしいですね。

中古マンションの消費税を巡る不動産業者vs国税局の争いについて、どう思われましたか?


消費増税で政府がカード手数料の引き下げを要請?

 政府が平成3110月の消費税率引き上げにあわせ消費者にポイントを還元する景気対策で、クレジットカード会社に対し、小売りなどの加盟店から受け取る手数料を引き下げるよう要請する方向で調整に入ったことが、先日、分かったようです。
ポイント還元は、クレジットカードなど現金を使わないキャッシュレス決済をした買い物客が対象です。
政府は店側の負担を軽減してクレジットカードの導入を後押しし、消費者が幅広くポイント還元を受けられるようにします。

クレジットカードを導入した店は、カードの読み取り端末を設置し、売上高に応じた手数料をカード会社に支払っており、手数料は数%で店により異なります。

しかしながら、手数料は「倒産などのリスクに備えるため、小規模な店ほど高くなる」(大手カード会社幹部)傾向にあるそうです。
このため中小の店では手数料の重い負担を嫌って、クレジットカードの導入に二の足を踏むケースも多かったようです。

カード払いができる店が少なければポイント還元による景気対策の効果も薄れるため、政府は手数料引き下げを促し、クレジットカードの導入拡大を図ります。
カード会社に要請する引き下げ幅などは今後詰めるようです。

政府が検討する景気対策では、中小の小売店で消費者がクレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済で商品を購入したときに、増税分の2%をポイントで還元します。

レストランでの食事などサービス業でのポイント還元も検討するそうです。
期間は数か月から1年程度を想定しており、ポイントを発行するカード会社などを通じて還元し、費用は国が補助します。

経済産業省によると、平成27年のキャッシュレス決済の比率は18%です。
政府は景気対策を生かして、この比率を引き上げたい考えのようです。

クレジットカード会社は、当然貸倒リスクを考慮して手数料率を決めていると思いますが、この設定に政府が口を出すのはどうかなぁと思います。
こういうことをするのであれば、軽減税率をやめて、マイナンバーを利用して所得を把握し、一定以下の所得の方に、期限付きで商品券、キャッシュレス決済の比率を高めたいのであればプリペイドカードなどで還元すれば良いのではないかと思います。
もちろん、転売などを防ぐ方法は考えないといけないとは思いますが、そうすれば、景気拡大にもつながると思いますし、キャッシュレス決済の比率が高まると思いますし、キャッシュレス決済に対応しようとするお店も増えるのではないかと思います。

消費増税で政府がカード手数料の引き下げを要請したことについて、どう思われましたか?


「軽減税率」導入の波紋を受け外食・小売りが苦悩!

 「週刊東洋経済」によると、6月中旬、ある大手外食チェーン本社の会議室に十数人の幹部が集まったようです。
 「レジの改修にいくらかかるのか」「現場のオペレーションをどのように変えたらいいのか」など、議題となっていたのは、201910月に導入される軽減税率制度の影響についてです。
 2019年秋に控える消費増税により、税率が8%から10%に引き上げられますが、それと同時に導入されるのが軽減税率です。
 20186月に閣議決定された「骨太の方針」にも明記された同制度は、生活必需品の消費税率を低く抑える低所得者対策という位置づけです。
 今回は生活必需品とされた飲食料品の税率を8%に据え置く反面、外食や酒類は10%に引き上げられます。
 軽減税率の実施まで1年余りとなり、いよいよ準備に動きだした外食・小売り各社ですが、聞こえてくるのは不安の声ばかりです。
 「食事のシーンによって分ける税制というのは無理があります。
 お客様対応の負担も増え、生産性は明らかに落ちる」と、外食の業界団体である日本フードサービス協会の髙岡慎一郎会長はそう不満を漏らしています。
 外食企業にとって問題なのは、店内飲食であれば税率10%、持ち帰りであれば8%というように、同じ商品に2つの税率が存在する点です。
 今回の税制改正では、外食に該当しない持ち帰りや宅配、出前などは軽減税率が適用されることになっています。
 ある牛丼チェーン関係者は、「軽減税率で(割安となる)持ち帰り販売の比率が高まれば、包材などの関連コスト増が想定される」と語っています。
 具体的な試算はこれからだそうですが、年間数千万〜数億円のコスト増になるおそれがあるようです。
 接客時の混乱を懸念する声も多いようです。
 別の外食チェーン幹部は「フードコートで(税率の低い)持ち帰り注文をした客が、テーブルに座って飲食することがありうる」と話しています。
 接客時に店内飲食か持ち帰りかを確認する必要が生じ、接客の手間が増えます。
 「クレームの原因にもなりそうだ。面倒な接客を嫌って、これまで以上に人手を集めることが難しくなる」(同)とも話しています。
 人手不足対策や現場の負担軽減の観点から導入が進む券売機についても、問題が指摘されています。
 現在、外食チェーンなどで使われる券売機は10円単位のものが主流で、1円玉や5円玉に対応できていないものが多くなっています。
 ただし、同じ本体価格で税率8%と10%に対応する場合、ほぼ確実に1円単位の金額が発生します。
 そのため、業界内からは「本体価格を持ち帰りと店内飲食で別々に設定して、税込み価格を統一する選択肢もある」(前出の牛丼チェーン関係者)という声も聞こえてくるようです。
 仮に持ち帰りの本体価格を306円、店内飲食を300円とした場合、税込み価格はいずれも330円となり、10円単位の券売機でも対応が可能というわけです。
 こうした価格設定は国税庁も容認しているようです。
 税制に詳しい東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は「価格設定は本来店の自由であるべき」と前置きしたうえで、「税込み価格を同じにしても、不正は生じうる」と指摘しています。
 軽減税率を導入しているドイツでは、税率の低い持ち帰りの割合を店側が実際より過大に申告することで、納税額を抑える問題が発生しているようです。
 懸念を示すのは外食企業だけではありません。
 スーパーなどの小売り事業者は8%と10%の商品を分別できるよう受発注システムやレジの改修を進める必要があります。
 中でも不安視されるのが、イートインコーナーの扱いです。
 近年、スーパー各社は購入した弁当などを店内の客席で食べられる、イートインコーナー併設店の充実に力を入れています。
 イートインコーナーでの飲食については、今回の税制改正では外食と見なされ、10%の標準税率が適用されることになっています。
 ただし、国税庁によると、「イートインコーナーをご利用する場合、お申し出ください」などの掲示で済ませればよいということだそうです。
 「適用税率の判定時期は商品を売ったとき。客が申し出ない時点で軽減税率と判定されるので、気が変わって店内で食べても、税率は変わらない」(国税庁の担当者)とのことです。
 つまり、商品購入時に「イートインコーナーを利用する」と利用者自らが申し出ないかぎり、税率は8%のままとなるのです。
 小売り事業者で構成される日本チェーンストア協会の小濵裕正会長は、「申告によって不公平感が出るおそれがある。そもそもイートインコーナーは交流の場を提供する社会貢献の意味合いもある」と憤りを隠しません。
 現場の作業負担軽減を目的としたセルフレジの導入も増える中、「店内飲食するかを確認するため、対応するシステムを入れる必要が出てくると、大きなコスト増になりかねない」(スーパー関係者)ようです。
 ある外食企業首脳は「1,000円以上の高級弁当が税率8%で、300円台の牛丼は店内飲食だと10%。どこが低所得者対策なのか」と首をかしげているようです。
 いずれにせよ、外食・小売り各社に残された準備時間はそう多くはありません。
 個人的には、軽減税率には大反対です。
 そもそも、消費税は、計算を簡単に行うために一律の税率を用いるもののはずです。
 低所得者対策を行いたのであれば、色々な方のコストや手間の増すものではなく、マイナンバーの普及も兼ねて、所得を把握し、一定の所得以下の方に、期間限定でスーパーなどで使える金券を渡す方がいいのではないかと思っています。
 あとは、税理士という仕事をしていますが、消費税の申告のために、会社も個人事業主も手間やコストが増え、税理士も手間がかかりますが、おそらく申告の報酬は上がらないでしょう。
 また、税込み金額を同じにするのが主流になると、本来は10%のものなのに税率の低い8%の方で申告して脱税するような人がたくさん出てくるでしょうね。
 本当に、軽減税率は廃止にして欲しいですね。
 「軽減税率」導入の波紋を受け外食・小売りが苦悩していることについて、どう思われましたか?

「輸出免税」悪用して消費税1億4千万円を脱税!

 輸出する商品に消費税がかからない「輸出免税制度」を悪用して約14千万円を脱税したとして、大阪国税局が消費税法違反などの罪で、兵庫県尼崎市の輸出業者の社長(51)と法人を神戸地検に告発していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
 すでに修正申告済みで、重加算税を含む追徴税額は約17千万円に上るとみられます。
 関係者によると、平成25年3月~平成282月に、自動車の中古バッテリーなどの国内売上分を帳簿上、輸出取引で売り上げたかのように装うなどして虚偽の確定申告書を提出しました。
 還付を受けた消費税を含め、計約14千万円を脱税したとされます。
 この会社は平成21年ごろから非鉄金属相場の下落により経営が悪化し、不正に得た金を事業資金に充てていたとみられ、現在は休業しているようです。
 消費税を悪用するケースは多いですね。
 以前、消費税の不正還付が多発したこともあり、最近は、消費税の還付申告をすると、すぐに税務署から電話がかかってきて、調査に行きますとか書類を提出してくださいと言われ、それが終わらないと還付してくれないようになってきていると思います。
 きちんと申告されている企業などからすると、いい迷惑ですね。
 軽減税率がどうこうと考えるより、インボイスのことを含め、そもそもの消費税の仕組みを根本的に考え直さないといけない時期になってきているのではないかと思います。
 輸出業者が「輸出免税」悪用して消費税14千万円を脱税していたことについて、どう思われましたか?

株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による消費税転嫁対策特別措置法違反!

 中小企業庁が、株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版が支払う委託料等(原稿料、著作権使用料(印税)、広告販売手数料、講師料)に関して調査を行った結果、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段(買いたたき)の規定に違反する行為が認められたようです。
 当該調査結果を受け、先日、中小企業庁長官は、株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による違反行為に関して、同法第5条の規定に基づき、公正取引委員会に対して、適当な措置をとるよう請求しました。
<違反事実の概要>
(1) 株式会社マイナビ(以下「マイナビ」という。)は、就職・転職等の情報を提供する「マイナビ」と称するポータルサイト(以下「情報ポータルサイト」という。)を運営している。
 また、株式会社マイナビ出版(以下「マイナビ出版」という。)は、マイナビの出版部門を平成27101日に分社化して設立したものであり、マイナビから出版事業を承継し、雑誌・書籍等を発行している。
(2) マイナビ及びマイナビ出版は、自らが発行する雑誌・書籍の編集にあたり必要な原稿・イラスト作成等の業務(以下「原稿等作成業務」という。)や、当該雑誌等に掲載する広告の営業業務である広告販売促進業務について、個人事業者を中心に継続して委託している。そのほか、マイナビは、各部門が運営する情報ポータルサイトに関する原稿等作成業務や、自らが運営する就職イベント等の講師業務について、個人事業者を中心に継続して委託している。(両社の委託先を以下「本件委託先」という。)
(3) 上記(2)で記載した業務の委託料は、原稿等作成業務については業務内容ごとの「原稿単価」を消費税を含まない額(外税単価)又は消費税を含む額(内税単価)で定め、業務実績を乗じて算出した額を委託料(原稿料)として本件委託先に支払っている。
 また、著作権使用料が発生する場合は、著作権を有する事業者(以下「本件著作権者」という。)との間で出版契約書を締結し、「著作物ごとの利用単価」を消費税を含む額(内税単価)で定め、一定期間の実売部数を乗じて算出した額を著作権使用料として本件著作権者に支払っている。
 さらに、広告販売促進業務については「月額報酬単価等」を、講師業務については一回当たりの「講師単価」を、それぞれ消費税を含む額(内税単価)で定め、業務実績を乗じて算出した額を委託料(広告販売手数料、講師料)として本件委託先に支払っている。
 なお、講師業務はマイナビのみであり、講師料もマイナビのみ支払っている。
(4) マイナビ及びマイナビ出版は上記(3)で記載した消費税を含む額(内税単価)で定めた原稿単価等について平成2641日以後も消費税率引上げ分を上乗せせず、同年3月分までの原稿単価等と同額に定め、本件委託先及び本件著作権者に対し、上記(3)の方法で算出した額を当該業務の委託料及び著作権使用料として、マイナビは平成283月分まで、マイナビ出版は平成2912月分まで、支払っていた。
(5) 両社における当該行為は、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段(買いたたき)の規定に違反する行為であり、多数の本件委託先及び本件著作権者(マイナビ約960名、マイナビ出版約190)に対して当該行為が行われていた。
(6) なお、マイナビは平成264月1日以後に消費税率引上げ分を上乗せせず支払った上記(4)の委託料(原稿料、広告販売手数料、講師料)及び著作権使用料について、平成30228日までに、消費税率引上げ分に相当する額を上乗せした額に定め、平成264月1日に遡って当該引上げ分相当額を本件委託先及び本件著作権者に対して支払った。
 また、マイナビ出版は、平成279月以前の前身会社であるマイナビから継続して消費税率引上げ分を上乗せせず支払った上記(4)の委託料(原稿料、広告販売手数料)及び著作権使用料について、平成30329日までに、消費税率引上げ分に相当する額を上乗せした額に定め、平成27101日に遡って当該引上げ分相当額を本件委託先及び本件著作権者に対して支払った。
 最近、消費税転嫁対策特別措置法違反の話を目にしていなかったのですが、毎年、数件はあるみたいですね。
 ・平成26年 1113
 ・平成27年 1518
 ・平成28年 45
 ・平成29年 55
 ・平成30年 44社(6月末まで)
 我がうどん県高松市でも、平成2710月に㈱穴吹ハウジングサービスが勧告を受けていますね。
 株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による消費税転嫁対策特別措置法違反について、どう思われましたか?
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相続税の滞納で差し押さえられ公売で不動産会社が落札した私立幼稚園が閉園へ!

日本テレビによると、千葉県松戸市の私立幼稚園が、相続税の滞納を理由に東京国税局に差し押さえられ公売にかけられていたことがわかったようです。

土地などは不動産会社に落札され、園は2025年3月末で閉園するということです。

関係者によると、千葉県松戸市にある私立幼稚園は、関係者が相続税を滞納し延滞税などが生じているとして、東京国税局に園の土地や建物を差し押さえられ、2025年2月、公売にかけられたということです。

幼稚園として使用されている土地が国税局の公売にかけられるのは異例で、園側も入札したもののおよそ1億5,000万円で不動産会社が落札したということです。

園は2025年3月末で閉園することが決まり、現在、在籍しているおよそ20人の園児は、別の園に移ることになるということです。

園長は、日本テレビの取材に対し、「多大なご迷惑をおかけし、園児や保護者には申し訳ない気持ちでいっぱいです」としています。

初めて目にする事件ですね。

相続対策をきちんとしておかないと、このようなことが起こり、親族だけではなく、外部の方にも迷惑をかけてしまいますね。

改めて、できるだけ早くからの相続対策が必要ということを感じました。

相続税の滞納で差し押さえられ公売で不動産会社が落札した私立幼稚園が閉園になることについて、あなたはどう思われましたか?


2023年度は国庫に帰属「相続人なき遺産」が1,000億円で10年で3倍!

2025年02月28日(金)

日本経済新聞によると、相続人が不在で国庫に入る財産が2023年度に1,015億円となったことが最高裁への取材で分かったようです。

10年で3倍に増え、初めて1,000億円を超えました。

配偶者や子どものいない単身高齢者は増加しており、今後も増え続ける可能性が高いでしょう。

相続時に登記されないことなどによる「所有者不明の土地」が全国で問題化し、土地については2023年4月から国が不要な土地を引き取り国有地とする「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。

資産は国庫に帰属すると使途が選べず、専門家は「望む使い道があれば早めに遺言をつくるべきだ」と指摘しています。

最高裁によると、相続人不存在によって国庫に帰属した財産収入は2023年度に1,015億5,027万円でした。

2022年度の768億9,444万円から32%増えました。

記録が残る2013年度は約336億円でした。

財務省によると、国庫帰属分の遺産の使途は明確に決まっておらず、何らかの歳出に充てられるそうです。

相続人が存在せず遺言もない場合、国や自治体のほか利害関係者が「相続財産管理人」の選任を家庭裁判所に申し立て、整理を任せます。

未払いの公共料金や税金などの債務を清算した残りが国庫に入ります。

最高裁の調査では相続財産管理人の選任申し立ても2019年以降、毎年増えています。

2023年は前年比4%増の計6,948件でした。

「相続人なき遺産」が近年増えている大きな要因が単身高齢者の増加です。

厚生労働省の2023年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の3,952万7,000人のうち「単独世帯」は21.6%(855万3,000人)でした。

10年前の17.7%から増加傾向となっています。

国立社会保障・人口問題研究所の2024年推計で、65歳以上の一人暮らしは2050年に1,084万人となります。

高齢者の単独世帯で未婚者の割合も男性が6割、女性が3割になる見通しです。

国庫以外の遺産の行き先として、遺言を残してNPOなどに寄付する「遺贈寄付」があります。

相続の実務に詳しい松岡章夫税理士は「家族を持つ人が少なくなり、相続人がいない人は増えている。特定の使途に遺産を使ってほしいという希望がある場合などには、早めに遺言を準備すべきだ」と話しています。

遺産を特定の使途に使って欲しいとか、特定の人に渡したいという考えがあるのであれば、早めに相続の専門家などに相談して、国庫に入るのではなく、ご自身の希望がかなうようにして欲しいですね。

もちろん、僕も相談に応じます。

2023年度は国庫に帰属「相続人なき遺産」が1,000億円で10年で3倍となったことについて、あなたはどう思われましたか?


相続税脱税の母娘が起訴内容認め結審!

上毛新聞によると、相続税約8,500万円を脱税したとして、相続税法違反の罪に問われた群馬県明和町の会社役員の女性(77)と群馬県太田市の無職の長女(54)の初公判が、先日、前橋地裁(橋本健裁判長)であり、2人は起訴内容を認めました。

検察側は「動機は身勝手で手口は巧妙」として、会社役員の女性に懲役1年6月と罰金1,000万円、長女に懲役1年と罰金1,000万円を求刑し、即日結審しました。

検察側は冒頭陳述で、2019年に死亡した会社役員の女性の夫(会社役員)が生前に主導し、病気の長男らのために遺産を多く残そうとしたと説明しました。

両被告は無断で開設した親族名義の口座に資産を移したり、自宅のサウナ室に隠したりとさまざまな手段を講じたと指摘しました。

長男は知らなかったようです。

弁護側は修正申告と支払いを済ませ反省しているとして、寛大な判決を求めました。

論告によると、会社役員の女性と長女は共謀して夫の遺産を過小記載した相続税申告書を提出し、約8,500万円の支払いを免れたとされます。

関東信越国税局が2023年3月に告発し、前橋地検が2024年10月に起訴しました。

無断で開設した親族名義の口座に資産を移したり、自宅のサウナ室に隠したりというのはかなり悪質ですね。

簡単に脱税できるほど、課税当局は甘くないですよ。

妻と長女が共謀して、長男は知らなかったとありますが、修正申告をすると、知らなかった長男の税額も増えると推測されますが、どういう心理になり、どのように負担をしたんでしょうか?

相続税脱税の母娘が起訴内容認め結審したことについて、あなたはどう思われましたか?


「税務署員にはノルマがあって…」国税庁が“相続税裁判で完敗”のワケ!

週刊新潮によると、日経速報ニュースが、国税庁の「完敗」を報じたのは2024年9月27日のことです。

それによると、2024年8月末、相続税の税額を争った裁判で東京高裁が国税庁の控訴を棄却しました。

国税庁が上告せず、そのまま敗訴が確定となりました。

裁判所の担当記者が解説しています。
「この訴訟は “東北薬局事件”と呼ばれ、税務関係者の間で注目されてきました。舞台は仙台を中心に50店舗以上を展開している調剤薬局で、創業者は武見太郎・元日本医師会会長から薫陶を受けて事業を始めた人。2014年6月に亡くなり、2人のお子さんが株を相続します。しかし、未上場だったことから同業の上場会社の株価と比較して、相続額は総額約1億7,500万円と申告したのです。払った相続税はそれぞれ約8,000万円。これは国税庁のルールに基づいて算出したものです。」

ところが、しばらくして国税庁が手のひらを返したのです。

創業者の死後、医薬品商社が調剤薬局を買収し、その値段が申告時より10倍以上に跳ね上がっていたのです。

「それを知った税務署は、株の評価額が少な過ぎたとして、税額をそれぞれ2億6,800万円に引き上げ、さらには約2,400万円の過少申告加算税まで取り立てたのです」(同)

国税庁が根拠としたのは、「財産評価基本通達総則6項」です。

たとえ法律に沿った申告でも課税逃れと見なされると、国税庁の判断で税額を引き上げることができるという内容です。

税務関係者の間では「総則6項」と略して呼ばれており、誰もが畏れる“伝家の宝刀”です。

以前にも固定資産評価額が実勢価格より低いことを利用するマンション節税に対して総則6項が適用され、2年前に最高裁で国税庁が勝利しました。

ところが今回、納得がいかない子供たちが国税庁を提訴すると、一審で国税が敗訴しました。

そして、控訴審も冒頭のとおりに棄却となったのです。

課税逃れとまではいえないと判断されたのです。

税理士の浦野広明氏が言っています。
「公然の秘密ですが税務署員にはノルマがあって、達成するためにずさんな課税をしてくるケースがままあります。総則6項といってもしょせんは通達であって法律には勝てません。課税がおかしいと思ったら迷わず税理士に相談することです。」

そこで国税庁に聞くと、「国側の主張が認められなかったことは残念ではありますが、判決結果を受け止め今後も適切な課税に努めてまいります。」と回答があったようです。

「伝家の宝刀」は、めったに抜かないから威力があるのです。

この判決は、今後の課税当局の対応に影響を及ぼすでしょうね。

早く後出しじゃんけんみたいな伝家の宝刀をなくして欲しいと思います。

「税務署員にはノルマがあって…」国税庁が“相続税裁判で完敗”のワケについて、あなたはどう思われましたか?


国税当局の「伝家の宝刀」が折れて相続税の算定ルール見直しも!

日本経済新聞によると、非上場株の相続を巡り、国税当局が「伝家の宝刀」と呼ばれる特別な規定を使って課税した事案の税務訴訟で2024年8月、国税側が敗訴しました。

通常ルールでは財産評価が実態とかけ離れる場合などに適用してきた特別規定ですが、今後は慎重な運用になるとの見方があるようです。

また、非上場株の通常の評価ルール自体を見直す議論につながる可能性もあります。

「本件控訴を棄却する」。

2024年8月28日午後、東京高裁の法廷で梅本圭一郎裁判長がごく短い主文の判決を言い渡しました。

東京地裁で2024年1月に下った一審判決に続き、国税当局側の2連敗です。

最高裁への上告は断念し、判決が確定しました。

「伝家の宝刀」とも呼ばれる財産評価基本通達総則6項という特別規定を使った相続税の課税を巡り、国税側の敗訴確定は初めてとなりました。

裁判で争われたのは、東北地方で薬局経営などを手掛ける非上場企業の株式の評価額についてでした。

代表取締役の死去後、その子らの相続人は法定の期限内に相続税を申告しましたが、相続した株式について、国税当局が通達で定めている通常の算定ルールにのっとって1株8,186円と評価しました。

これに対して国税当局は「評価額が低すぎる」と判断し、総則6項を適用し、専門会社に価格算定を依頼して1株8万373円が妥当だと結論付けたのです。

相続人側が求められた追加の相続税額は約4億円です。

相続人側はこの処分を違法だとして2021年に提訴していました。

財産評価基本通達は、相続税を算定する際の財産評価の手法を細かく定めています。

非上場企業の株式の場合、その企業の利益や配当、類似企業の株価をもとに評価するなどとしており、今回の相続人もこの手法で申告しました。

一方、基本通達には例外規定として「総則6項」があるのです。

通常の算定ルールでの評価が「著しく不適当」と認められる場合に、国税当局が評価をし直すことができると定めている特別規定です。

総則6項の適用は年に数件で、節税策などで相続財産のみかけの価値が極端に下がっている場合などに使われることが多くなっています。

ただし、今回は事情がやや異なりました。

代表者の男性は生前、同社株を他社に売却しようと検討していました。

みずほ銀行をアドバイザーとして価格も算定し、売却予定価格は総額約63億円(1株10万5,068円)でした。

しかしながら、正式な契約が成立する前の2014年6月に男性は急逝したのです。

妻が交渉を引き継ぎ、約1か月後に予定価格で売却しました。

その後2015年2月に相続税の申告を行いましたが、申告では通常の通達ルールに基づいて株式を評価し、評価額は実際の売却額の12分の1以下だったのです。

国税当局はこの価格差などに注目しました。

総則6項を適用し、企業が将来生み出すキャッシュフローをもとにして現在価値を算定する「DCF法」で再評価し、1株8万373円という数字をはじき出したのです。

裁判では、この評価額の引き上げが正当かが焦点になりました。

この裁判の審理中に出た別の裁判の判決が、今回の結果に影響しました。

いわゆる「マンション節税」に対して国税当局が総則6項を適用したことが争われた、2022年4月の最高裁判決です。

この最高裁判決では国税側が勝訴しましたが、判決の中で最高裁は「通達評価とかいりがあるだけでは、6項適用の合理的な理由にはならない」と指摘したのです。

そのうえで、「租税負担の公平に反する事情がある場合には適用できる」などとしました。

つまり、節税策が可能な人とできない人との間に見過ごせないほどの違いがみられる場合に総則6項が使えると示したのです。

非上場株式の評価を巡る今回のケースについて、一審の東京地裁は「税負担の回避を目的で売却を行ったとは認められない」などとして国税当局の処分を違法としました。

東京高裁も「評価額を下げるような行為はなく、相続人らが税負担を免れさせる行為がない以上、不公平であると判断する余地はない」などと指摘しました。

いずれも2022年の最高裁判決の考え方をベースにした形です。

税法に詳しい平川雄士弁護士は「国税当局は今後、総則6項の発動に、より慎重になるだろう」とみています。

さらに「国税当局は今後、納税者側に税負担回避の目的があったことを示す電子メールなどの証拠を集めようとする傾向が強まるのではないか。一方で納税者側も、節税目的以外の経済合理性を示せるようにしておくなど、より慎重な対応が求められる」と話しています。

相続財産を評価する通常の算定ルールの見直し議論につながる可能性があります。

今回のように、非上場株の実際の売買価格と通達で定められたルールでの評価額に差があるケースもみられます。

ある弁護士は「非上場株の評価をめぐる通達のルールが経済的な実態を表さなくなってしまっているのは事実だ」と話しています。

実際にマンション節税を巡って争われた裁判の後、マンションの評価ルールが見直されました。

相続税の実務に詳しい松岡章夫税理士は「マンションの評価ルールと同様に、今回の判決を契機として国税当局が非上場株式に関する通達を見直す可能性がある」と指摘しています。

国税OBの税理士によると、役員退職金を支給するなど、様々な施策で非上場株式の評価を大きく引き下げるような節税策も実施されています。

ただし、非上場株は不動産と違い実勢価格があるわけではなく、各企業の事情による個別要素も強くなっています。

非上場株は流動性が低いため、納税者が高額の相続税を支払うために一部を売却して資金を確保することが難しいなどの問題もあります。

事業承継などに詳しい鈴木淳税理士は「通達ルールの改正を検討するならば、事業承継の観点や相続後の納税資金の手当てなど精緻な検討が必要だ。拙速に結論を出すべき問題ではない」としています。

<総則6項とは>

国税庁の財産評価基本通達の規定の一つです。

財産評価基本通達は、様々な財産の評価方法を細かく定めた国税当局の内部規則で、相続税などの財産評価は原則としてこの通達に沿った方法で計算します。

非上場企業の株式などのほか、土地や建物、特許権などの評価方法を示しています。

総則6項は例外規定のような位置づけで「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」としています。

非上場企業の株式の場合、通達ではその企業の純資産や類似業種の企業を参考にして算定するとしていますが、6項を適用して将来のキャッシュフロー予想を基にDCF法などで評価し直すこともあるのです。

適用されると評価額が跳ね上がり税額が大幅に増えるケースもあり、影響は大きいでしょう。

ただし、何をもって「著しく不適当」と判断するかなどの明確な基準はないのです。

良い判決が出ましたね。

ここ数年、総則6項を適用した案件が増えていると思いますが、財産評価基本通達で計算方法を定めているのに、後から総則6項を適用されると、どのような場合に総則6項が適用されるか具体的な定めがないので、申告に常にリスクが伴ってしまいます。

現実と財産評価基本通達がかけ離れているというのであれば、財産評価基本通達を見直すのが先だと思います。

また、総則6項を適用する場合の具体的な要件も定めて欲しいと思います。

この判決で、安易に伝家の宝刀を使う案件が減ることを切に願っています。

国税当局の「伝家の宝刀」が折れて相続税の算定ルール見直しの可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


相続手続きの効率化が進んで預金・不動産の一括照会が可能に!

日本経済新聞によると、相続で遺族などが直面する煩雑な手続きの効率化が進みそうです。

2024年3月から被相続人(亡くなった人)などの戸籍情報について本籍地が遠かったり、生前の転居などで請求先が複数あったりする場合に最寄りの役場でまとめて取得できるようになったのに続き、故人の財産を一括で照会できる制度が預貯金では2025年3月末をメドに、不動産では2026年2月に始まる予定です。

それぞれの制度を活用し、相続に役立てたいですね。

「相続人の負担が相当軽くなっている」と、司法書士の船橋幹男氏は、法務省が始めた「戸籍の広域交付制度」についてこう話しています。

相続で財産の分け方を決める際は相続人を確定するため、故人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本をすべて集める必要があります。

戸籍を遡れば、例えば、故人に離婚経験があり前の配偶者との間に子どもがいるといったことが分かります。

故人に転居などで複数の本籍地がある場合、子どもなど相続人はこれまで各地の役場に出向いたり、郵送で請求したりするなどしていました。

「すべての戸籍を集めるだけで数カ月かかることも少なくなかった」(船橋氏)そうです。

しかしながら、全国の市区町村と法務省をつなぐ「戸籍情報連携システム」が2024年3月に稼働しました。

利用者が自分の居住地など最寄りの役場で申請すると、同システムを通じて例えば故人の出生時、転居時、死亡時の本籍地の役場から戸籍謄本をまとめて入手できるようになったのです。

申請者は市区町村役場の窓口に出向いて手続きをする必要があり、戸籍謄本の取得に1通当たり450円かかります。

交付までにかかる日数はケース・バイ・ケースです。

本籍地があった市区町村が少なければ当日交付も可能とする自治体があれば、数が多いと1週間程度かかるとする自治体もあります。

それゆえ、申請する際に確認するとよいでしょう。

相続手続きを円滑に進めるには、故人がどんな財産をどれだけ保有していたかを確認することも大切です。

遺言書を残していれば原則として遺言に沿って財産を分けますが、遺言があるケースは少ないです。

多くの場合は相続人が自力で財産を調べたうえで、遺産分割協議で誰が、どの財産を、どれだけ引き継ぐかを決めます。

まず、預貯金は通帳やキャッシュカード、郵便物などを手掛かりに金融機関に口座の有無を問い合わせます。

取引のあったことを確認できたら、死亡した日の残高証明書を請求します。

ただし、相続人は心あたりに一つ一つ尋ねるといった手間がかかりやすく、故人の口座のあった金融機関すべてをカバーできているかどうかの懸念もあります。

預貯金口座探しの負担軽減につながる可能性があるのが、マイナンバーを活用した「預貯金口座管理制度」です。

個人が取引のある一つの金融機関で自分の口座をマイナンバーで管理することを申請し氏名、住所、生年月日といった本人を特定できる情報も提供します。

本人が希望すれば、預金保険機構を通じて、口座のあるすべての金融機関でマイナンバーとひも付けることができます。

口座をひも付けた人が亡くなって相続が発生した際に相続人が一つの金融機関に照会すると、故人の口座情報が一括して通知されます。

ひも付けを申請できるのは原則名義人だけのため、被相続人が生前に手続きをする必要があります。

デジタル庁では「2024年度末ごろに稼働させたい」としています。

相続財産で預貯金と並んで金額が大きい不動産でも、物件を一括して照会できる「所有不動産記録証明制度」が2026年2月2日にスタートします。

法務省が登記簿の名義人ごとに全国の所有不動産をリストにします。

名義人が保有している土地や建物の種類、所在地、面積といった情報を一覧できるようになるのです。

名義人のほか相続人などが情報を請求できます。

故人の保有不動産を調べる方法としては現在、固定資産税の納税通知書を確認したり、市区町村が固定資産課税台帳を基に不動産の所有者別にまとめた「名寄帳」を閲覧したりするなどがあります。

ただし、いずれも管轄内の物件に限られます。

新制度は全国の不動産が対象のため、故人の不動産の全容を把握しやすくなりそうです。

生命保険では生命保険協会が提供する「生命保険契約照会制度」があります。

協会が契約の有無について生保各社に調査を依頼し、結果をまとめて回答します。

上場株式や上場投資信託(ETF)などの口座は、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報」に開示請求をすれば、どの証券会社にあるかが分かります。

非上場の投信などは対象外です。

戸籍集めや財産調べは「相続開始から2~3カ月以内に終わらせたい」と船橋氏は助言しています。

故人に多額の借り入れがあることが分かったとき、相続人は預貯金などの資産も負債も引き継がない「相続放棄」をしたり、資産の範囲で負債を相続する「限定承認」をしたりすることができますが、相続開始から3カ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

また相続税の申告・納付は故人が亡くなった日の翌日から10カ月以内が期限です。

故人の財産が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)を上回ると課税対象になります。

ただし、自宅の土地の評価額を一定の条件で8割減とする特例や、配偶者は相続額が法定相続分か1億6,000万円のどちらか大きな額までは課税されない特例があります。

遺言書がない場合、特例が適用されるには期限までに遺産分割協議を終え、分割協議書を作成することが条件です。

便利にはなりそうですね。

ただ、預金とかはマイナンバーとのひも付けを嫌がる方が多いのではないかなぁと推測されます。

すべてを紐付けしないと意味がないと思いますが、強制にすると、タンス預金が増えるでしょうから、本当に実効性のあるものにするには、もっとやり方を考えないといけないでしょうね。

相続手続きの効率化が進んで預金・不動産の一括照会が可能になることについて、あなたはどう思われましたか?


相続手続きの負担減のため戸籍謄本の電子交付を政府が検討!

日本経済新聞によると、政府は相続手続きに必要な戸籍謄本などの戸籍証明書に関し、全国の自治体で電子交付できるようにします

家族が死亡したときの相続手続きを巡る負担を軽減します。

提出先となる金融機関や法務局、税務署にデータで提出できる仕組みを念頭に置いています。

行政手続きのデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めて煩雑な手間を減らします。

法務省とデジタル庁が連携し、2024年度中に結論を出します。

すでに電子データ化されたおよそ1億1,000万件の戸籍を対象とします。

パソコンやスマートフォンを使ってインターネット上で申請から交付までを完結できるシステムの整備を目指します。

パスポート(旅券)の新規発行は2024年度中に行政手続きの個人向けサイト「マイナポータル」から申請し、紙の戸籍謄本を提出しなくてもよくなります。

相続手続きの電子化の具体案はこれからですが、同じような仕組みになる可能性はあります。

法務省のシステムを介してPDFなどの形式で電子化された戸籍謄本が申請者のスマホやパソコンに届くイメージです。

税務署などにはPDFのまま提出できます。

相続手続きでは戸籍謄本や遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書といった複数の書類を金融機関や法務局、税務署などに提出する必要があります。

なかでも法定相続人を特定する際は、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての本籍地の戸籍謄本と除籍謄本といった戸籍証明書を各自治体から書面で集めなければならないのです。

電子交付ができるようになれば、市区町村の窓口に行ったり郵送したりする手間を省けます。

2022年に死亡した人は全国で156万人と前年比で9%増えました。

相続手続き用を含め、2022年度に発行された戸籍証明書は前年度比5%増の4,059万件にのぼります。

法務省によると、戸籍証明書を電子交付している自治体はまだありません。

申請手続きだけなら、270ほどの自治体がマイナポータルなどを使ったオンライン申請を導入していますが、全国の市区町村の15%程度にすぎません。

政府は2024年6月に閣議決定した規制改革実施計画に、戸籍証明書の電子交付やオンライン申請について全国で実現を目指す案を盛り込みました。

しかしながら、実現に課題もあります。

電子交付に対応する市区町村はシステム改修が必要で、その費用を国と自治体のどちらが負担するのかを検討しなければならなりません。

電子データでの提出を受けることになる金融機関なども同様です。

国のシステムで電子交付する場合は、自治体の事務を国が担っていいのかという問題も残ります。

これまでも、政府は戸籍に関する手続きのDXを進めてきました。

2019年に改正戸籍法が成立し、2024年3月から戸籍情報とマイナンバーの連携が可能になりました。

これらの新たな仕組みを活用し、年金や児童扶養手当の申請、結婚の届け出、パスポート申請などで必要だった戸籍証明書の提出を順次不要とします。

全国の市区町村は1994年以降、戸籍を紙から電子データに置き換えてきました。

氏名に使う文字が適合しないものや存在しない日付などデータにできない戸籍は今回の電子交付の対象外となります。

現在、紙に印刷された戸籍証明書の取得は、自治体の窓口で受け取るほか郵送やコンビニエンスストアの複合機で入手できます。

マイナンバーカードを使ったコンビニ交付は本人や同一の戸籍に入っている人が対象です。

別の戸籍に入る親の証明書を子どもや代理人が取得するには、地方自治体の窓口に行ったり、郵送を依頼したりする必要があります。

法務省が2024年3月に始めた本籍地以外の市区町村で戸籍証明書を取得できる「広域交付」の仕組みを使えば、相続手続きでも1カ所の自治体の窓口に行けば被相続人の戸籍証明書をたどれます。

窓口に直接出向く必要は残ります。

便利になることはいいことですね。

僕自身、相続税の申告のお手伝いを年間それなりにさせていただいておりますが、戸籍謄本の取得は、お金も時間もかかりますからね。

お金については、国が負担すれば良いのではないかと思います。

ついでに、e-TaxとeLTAXも統一してくれればいいなぁと思いました。

相続手続きの負担減のため戸籍謄本の電子交付を政府が検討していることについて、あなたはどう思われましたか?


路線価でミスがあり農地の一部の評価額が過大となり国税は「個別に対応する」!

朝日新聞によると、相続税や贈与税の算定基準となる路線価をめぐり、国税庁は、先日、農地の一部の評価額が誤っていたと発表しました。

税額が過大になったとみられる納税者には税務署から個別に連絡し、還付などの対応を取るそうです。

誤りがあったのは、2024年7月公表の大阪国税局と関東信越国税局、2019年7月公表の高松国税局の路線価です。

「市街地周辺農地」と「市街地農地」について、評価額から差し引く金額を示す「宅地造成費の金額表」にミスがありました。

このため1平方メートル当たり6,200~100円、評価額が過大になっていたそうです。

高松国税局が管轄する四国4県では、誤りがなかった「純農地」「中間農地」も含め、2019年に約2千件の農地の相続・贈与の申告がありました。

大阪国税局と関東信越国税局での影響は、最大で百数十件とみられるそうです。

国税庁は「税額が過大になった納税者には個別に連絡し丁寧に対応する。心当たりのある人は最寄りの税務署にお問い合わせいただきたい」と呼びかけています。

国税庁が間違えていると、納税者や税理士ではどうしようもないですから、何かを出す前にはきちんとチェックをしてほしいですね。

あとは、税理士に負担をかけないように、個別に対応してほしいですね。

路線価でミスがあり農地の一部の評価額が過大となり国税は「個別に対応する」ことについて、あなたはどう思われましたか?


資産家の遺族の9億円の申告漏れを大阪国税局が指摘!

日本経済新聞によると、不動産業を営んでいた資産家の男性の遺族が大阪国税局の税務調査を受け、相続財産を巡って総額約9億円の申告漏れを指摘されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

重加算税と過少申告加算税を含む相続税の追徴税額は計約3億1千万円で、すでに全額が納付されました。

関係者によると、この男性は生前、大阪府内で不動産業を営み、自分の預金を引き出して複数の金融機関に開設した妻や子ども名義の口座に振り分けて入金していました。

口座から不審な現金の引き出しがあったことなどから、国税局が調査したそうです。

遺族は当初、「自らの資産だ」などと説明していましたが、その後、遺産と知りながら相続税を逃れるため、申告していなかったことを認めたそうです。

課税当局も皆さんが考えているほど甘くないということがよくわかる案件ですね。

やはり、『名義預金』については厳しいですね。

重加算税は35%取られますから、かなりの税額になります。

これに過少申告加算税とかもかかってくると、もちろん、税理士の報酬も再度必要になってくるでしょうし、最初からきちんと申告しておいた方がよかったという気持ちになったのではないかと思います。

結局、きちんと申告しましょうということです。

資産家の遺族の9億円の申告漏れを大阪国税局が指摘したことについて、あなたはどう思われましたか?


戸籍謄抄本がどの自治体でも取得可能になる改正法が成立!

日本経済新聞によると、戸籍データを法務省のシステムでつなぐ改正戸籍法が、先日、参院本会議で可決、成立しました。

パスポートの取得などに必要な戸籍謄本や抄本が、本籍地以外の市区町村でも取得できるようになります。

法務省は2024年をめどに新システムの運用を始める予定です。

戸籍の原本は市区町村がそれぞれ管理し、法務省のシステムで副本を管理しています。

個人情報を含むため、現在は自治体間や年金事務所などとの間で戸籍情報の共有ができないのです。

法改正を受けて、法務省の管理システムをネットワークでつなぎます。

本籍地以外の自治体も戸籍データを見られるようにします。

本籍地以外の自治体で戸籍の謄本や抄本を請求する場合は、運転免許証やマイナンバーカードで本人確認します。

本籍地から離れて住んでいる場合に、自ら出向いたり郵送したりして請求する必要がなくなるのです。

本籍地以外の自治体で婚姻などを届け出るときにも、戸籍データを添える必要がなくなります。

届け出を受けた自治体が、法務省のシステムから審査に必要な情報を取得できるようになるためです。

戸籍データは、マイナンバーとも連携させます。

色々エラーが起きたようですが、年金受給など社会保障関係の手続きでも、戸籍データの添付を省略できるようになります。

税理士として、毎年数件、相続税の申告のお手伝いをさせていただいておりますが、相続が発生した際の手続きの中で、面倒なことの一つが戸籍謄本などを取ることだと思います。

同じ市町村内にずっと戸籍がある方はそうでもないのかもしれませんが、そうでない方は

色々な自治体で入手する必要があります。

郵送とかだと色々と時間がかかったりするので、わざわざ、県外まで取りに行く方もおられます。

これらが解消するのであれば、素晴らしいことですね。

自治体も楽になるでしょうから、なぜ、もっと早くできなかったのだろうかと思いますが。

戸籍謄抄本がどの自治体でも取得可能になる改正法が成立したことについて、あなたはどう思われましたか?


富裕層の相続税節税に厳しい目で国税当局が「伝家の宝刀」の活用増!

日本経済新聞によると、国税当局による富裕層への相続税調査が厳しくなっています。

節税策などに対し、税負担の大幅増につながる特別規定の「総則6項」を適用する例が急増しています。

かつて適用が極めて少なく「伝家の宝刀」ともいわれた規定ですが、専門家は「国税当局が一般的に使う手法になりつつある」と指摘しています。

「6項による課税処分を検討することになります」。

2023年、ある相続税を巡る調査で、国税当局の担当者が納税者側に迫ったようです。

この納税者は多額の資産を持ち、資産管理会社を活用するなどのスキームで相続税の軽減を試みていました。

節税策は合法で、通常の相続税の算定ルールを適用すれば税負担が大幅に軽減される計算でした。

しかしながら、国税当局は簡単に認めず、総則6項という「宝刀」をちらつかせたのです。

総則6項は「著しく不適当と認められる財産の価額」の場合、通常の財産評価手法とは別の手法でやり直すことができるものです。

この件では納税者側が折れて修正申告をし、最終的には6項は適用されませんでした。

ところが、関与した税理士は「6項の活用に関し、明らかに国税当局がシフトチェンジした」と振り返っています。

相続税は、相続した財産の総額に税率をかけて計算します。

財産は「時価で評価する」とされ、通常は国税当局の内部ルール「財産評価基本通達」に従って計算します。

ただし、財産の種類や納税者が節税スキームを組んだ場合などによっては、通常の評価手法では極端に納税額が低く算出される例もあります。

こうした場合に対応するための規定が「総則6項」なのです。

かつて、国税当局内部には「あくまで例外的な規定で、なるべく使わずに済ませたい」との声もあったようです。

しかし、近年、潮目が変わりました。

国税庁によると、2012事務年度(2012年7月から2013年6月まで)から2021事務年度までの10年間で総則6項の適用は計9件のみです。

それが2022事務年度だけで一気に6件に急増し、2023事務年度も2023年10月末までで3件ありました。

金融機関からの借入金を使って極端に税負担を減らす不動産節税などに適用されたもようです。

近年は、タワーマンションなど相続税の評価額と実勢価格がかけ離れた物件を利用した節税もブームになっていました。

中には相続税の評価額は4,000万円弱にもかかわらず実勢価格は1億円を超えるような物件もあり、国税当局が注視していました。

6項の適用急増の背景には、2022年の最高裁判決の影響があるとみられます。

相続した不動産の評価に6項を適用した国税当局による課税処分の妥当性が争われた訴訟で、最高裁は国税当局の処分を適法としたのです。

最高裁は「相続人らは税負担の軽減を期待して不動産を購入、借り入れを行った。他の納税者との間に看過しがたい不均衡を生じさせ、租税負担の公平に反する」としました。

6項適用の是非を巡る初めての最高裁判決でした。

最高裁判決を受け、国税庁は6項の適用に関する事務運営指針を策定、現場に示しました。

指針は、①通達評価以外に他の評価方法が存在するか、②著しい乖離があるか、③通達以外の価格とすることに合理的な理由があるかなどの内容です。

ある国税幹部は「6項を使うのにためらいがなくなった」と明かしているようです。

もともと国税当局は富裕層調査に積極的です。

2022事務年度の所得税の税務調査で富裕層の申告漏れは、過去最高の総額980億円となりました。

相続税でも積極的に調査しており、国税当局は6項という大きな武器が使いやすくなった形です。

ただし、「宝刀」も絶対ではありません。

東京地裁は2024年1月、国税当局が過去に6項を適用した案件について、国税側敗訴の判決を出したのです。

非上場株を巡る案件での適用の是非が争われ、判決は「6項の適用には、相続税負担を回避する目的を持って積極的な行為を行うなど特段の事情が必要」と指摘しました。

そのうえで「特段の事情はなく、適用は違法」としました。

国側は控訴しました。

税務に詳しい平川雄士弁護士は、最高裁判決以降に国税当局が6項の活用に積極的な現状を「理解できる」としつつ、「本来は6項を適用すべきでない事案にも、過剰に適用されている懸念がある」とみています。

平川氏は「最高裁判決は6項適用について、適用の可否が十分判断可能な要件は示した。国税当局と納税者側の双方とも、判決の趣旨に沿った慎重な検討が重要だ」と話しています。

相続節税に対する国税当局の厳しい姿勢は、今後も続きそうです。

元熊本国税局長の渡辺定義税理士は、「納税者は外部のコンサルタントなどからもたらされる安易な節税策に飛びつかない慎重さが必要だ。新しい取引、金融商品など税金の処理方法が不明瞭なものも多い。場合によっては専門家の活用なども検討すべきだ」と話しています。

▼総則6項とは
国税庁の財産評価基本通達の規定の一つです。

財産評価基本通達は様々な財産の評価方法を細かく定めた国税当局の内部規則で、相続税などの財産評価は原則としてこの通達に沿った方法で計算します。

例えば市街地の宅地などは、路線価をもとに財産価値をはじき出します。

総則6項は例外規定のような位置づけで「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」としています。

路線価と実勢価格がかけ離れている場合に不動産鑑定などで評価し直す例があります。

適用されると評価額が跳ね上がる場合もあり影響は大きいが、何をもって「著しく不適当」と判断するかなどの明確な基準はありません。

個人的には、財産評価の結果と時価に乖離が生じるのは、結局のところ、税制の不備なのではないかと考えています。

おかしなところがあれば、税法などを改正すれば良いわけで、それをやらずに総則6項を適用するというのは、おかしいことに気づいていながら放置しておき、後出しじゃんけんで否認するということですから。

納税者や税理士は、基本的に、財産評価基本通達に基づいて評価を行うわけですから、これで評価して、あとからアウトといわれるのであれば、何に基づいて評価すれば良いのか分からないですから。

本当に、総則6項の適用については、納税者や税理士が納得できるような明確なものを明らかににしてほしいですね。

富裕層の相続税節税に厳しい目で国税当局が「伝家の宝刀」の活用を増やしていることについて、あなたはどう思われましたか?


東京地裁で総則6項を巡る事件で国が敗訴!

税務通信によると、東京地方裁判所(民事第51部:岡田幸人裁判長)は、先日、非上場株式の相続税評価に係る「総則6項」を巡る事件で、総則6項の適用を認めず、国の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消しました。

裁判で総則6項の適用が認められなかった事件は初めてとみられます。

不動産に係る総則6項の適用を巡る令和4年の最高裁判決以降、初めての総則6項に係る判決で、その適用解釈を示しています。

2024年1月24日現在、国は控訴していません。

<事件の概要>
本件被相続人の子である法定相続人の原告AとBが、その相続で取得した非上場株式(本件被相続人が代表取締役の会社(X社)の株式)について、X社は「大会社」(評基通178)に該当するため、評価通達に基づき、「類似業種比準価額」(評基通180)によって1株当たり約8千円(本件通達評価額)と評価して相続税の申告をしました。

しかしながら、国側は、評価通達の定めにより評価することが著しく不適当として、国税庁長官指示により評価する総則6項に基づき、類似業種比準価額とは異なる株式価値の算定金額に基づき1株当たり約8万円(本件算定報告額)と評価したうえで、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(本件各更正処分等)を行ったのです。

本件では、「本件相続株式を総則6項により評価することの適否」が争点となっています。

<裁判所の判断>
●通達評価額と算定報告額の大きなかい離のみで公平に反するとはいえない
東京地裁はまず、令和4年の最高裁判決に基づき、本件通達評価額と本件算定報告額との間に大きなかい離があることのみをもって直ちに、評価通達の定めによる画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があるとはいえないとしています。
そのうえで、「本件では類似業種比準価額による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情(特段の事情)」があるか否かを検討するとしました。

●X社株式の売却は租税回避目的と認めず
最高裁判決は、実質的には、「特段の事情」がある場合に総則6項を適用することを肯定しているものと解されると指摘しました。

ところが、特段の事情としてどのようなものが挙げられるか一般論として明示はしておらず、被相続人側の租税回避目的による租税回避行為がない場合について直接判示したものとは解されないとしました。

もっとも、租税回避行為をしなかった他の納税者との不均衡、租税負担の公平に言及している点に鑑みると、租税回避行為をしたことによって納税者が不当ないし不公平な利得を得ている点を問題にしていることがうかがえるとしています。
本件では、最高裁判決の事案とは異なり、本件被相続人及び本件相続人らが相続税の租税回避の目的でX社株式の売却を行ったとは認められないと判断しました。

そのため、本件更正処分等の適否は、本件相続開始日以前に本件通達評価額を大きく超える金額での売却予定があったX社株式について、実際に本件相続開始日直後に当該金額で予定どおり売却ができ、その代金を本件相続人らが得たことをもって、この事実を評価しなければ、「他の納税者と原告らとの間に看過しがたい不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反する」(最高裁判決)といえるかどうかによって判断すべきとしました。

●多額の借金で不動産購入などの租税回避行為なければ不均衡とはいえず
相続財産の一部を売却して現金化することは稀有な事情ではなく、評価通達の定めに基づく評価額よりも相当高額で現金化することができたとしても、その売却やそれに向けて交渉すること自体は何ら不当ないし不公平なことではないとしています。
相続税を軽減するために、被相続人の生前に多額の借金をした上であらかじめ不動産などを購入して、評価通達の定める方法における現金と不動産など他の財産に係る評価額の差異を利用する相続税の回避行為をしているような場合でない限り、他の納税者と比較してその租税負担に看過しがたい不均衡があるとまでいうことは困難と判断しました。

<本件の主な事実関係>
①平成26年5月29日、本件被相続人は、Y社との間で、X社株式をY社に対して売却・資本提携等を前提に、X社株式の譲渡に向けた協議を行うことの基本合意(本件基本合意)を締結した。本件被相続人は、X社株式の全部を取りまとめY社に譲渡するものとして、譲渡価格は1株当たり約10万5千円(譲渡予定価格)とされた。
②6月11日、本件被相続人は死亡。同18日、X社の取締役会により、本件被相続人の妻である法定相続人のCが代表取締役となり、X社株式の売却プロセスを進めることになった。
③7月8日、遺産分割協議が行われ、X社株式をA、B、C(本件相続人ら)がそれぞれ一定数を取得(本件相続株式)することを合意。原告らが保有するX社株式をそれぞれ譲渡予定価格と同じ1株当たり約10万5千円でCに譲渡する契約を締結した。
④7月14日、CがY社にX社の全株式を1株当たり約10万5千円(本件売却価格)の譲渡価格とする契約に基づき、譲渡した。
⑤平成27年2月27日、本件相続人らは類似業種比準価額により本件相続株式を1株当たり約8千円と評価するなどして、相続税を申告した。

<X社株式の1株当たりの各価額>
・Y社への譲渡予定価格(①)
・原告からCへの譲渡価格(③)
・CからY社への本件売却価格(④)

①③④ 1株当たり約10万5千円

・原告側の類似業種比準価額による本件通達評価額(⑤)

⑤1株当たり約8千円

・国側の本件算定報告額

1株当たり約8万円
※①③④⑤は上記「本件の主な事実関係」の番号を指す
●相続開始前のX社株式の譲渡価格の合意は特段の事情とはいえない
本件相続開始日直後に評価通達の定める方法による評価額を大幅に上回る高値で本件相続株式を売却できたという事情に加え、本件相続開始日以前から本件被相続人がX社株式の売却の交渉をしており、譲渡予定価格まで基本合意していた事情があるとしました。

しかしながら、この場合でも、最終的に本件相続株式の売却が成立し、本件相続人らが本件通達評価額を大幅に上回る代金を現に取得したという事情がなければ、およそ本件算定報告額をもって課税しなければ他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じるとはいえないとしています。
こうした点から、本件相続の開始前からX社株式の譲渡予定価格が事実上合意されていたという事情をもって、特段の事情(の一部)ということはできないとしました。

●相続開始前に税額を軽減させる積極的行為をしていた程度の事情が必要
本件のように、相続財産となるべき株式売却に向けた交渉が相続開始前から進行しており、相続開始後において実際に相続開始前に合意されていた価格で売却することができ、かつ、当該価格が評価通達の定める方法による評価額を著しく超えていたという事実をもってしても、直ちに納税者側に不当ないし不公平な利得があると評価することは相当でないと指摘しています。
総則6項を納税者の不利に適用するには、一定の納税者側の事情が必要と解すべきとして、例えば、【参考】のような事情が特段の事情として必要なものと解されるとしました。

●本件の総則6項の適用は最高裁判決の判断枠組みに照らして違法
本件被相続人が本件相続開始日以前に行った行為は、本件基本合意等にとどまり、これらの行為は、本件相続開始日以降に行われた本件相続株式の売却の結果を含めて評価したとしても、それがなかった場合と比べて相続税の金額を軽減する効果を持つものではないと指摘しています。
本件において特段の事情はないものというほかなく、本件相続株式の価額は本件通達評価額によって評価すべきであり、総則6項を適用し本件算定報告額を用いて本件相続株式を評価した本件各更正処分等は、最高裁判決の判断枠組みに照らして、平等原則の観点から違法としました。
そのため、本件相続株式の価額は、本件通達評価額によって定められるべきと判断しています。

【参考】本件で特段の事情として必要と解されると例示した内容
被相続人の生前に実質的に売却の合意が整っており、売却手続を完了することができたにもかかわらず、相続税の負担を回避する目的で、他に合理的理由もなく、殊更に売却手続を相続開始後まで遅らせたり、売却時期を被相続人の死後に設定しておいたりした場合など、最高裁判決の事例のように、納税者側が、それがなかった場合と比較して相続税額が相当程度軽減される効果を持つ多額の借入れやそれによる不動産等の購入といった積極的な行為を相続開始前にしていたという程度の事情

<ポイント>
令和4年の最高裁判決後に、総則6項の適否がどのように判断されるか注目されていました。
本件では、X社株式の原告側の通達評価額と国側の算定価額が約10倍と大きくかい離していますが、総則6項の対象と解される「特段の事情」として相続開始前に税軽減効果を持つ積極的な行為をしていたという程度の事情が必要であるとし(【参考】)、X社株式の譲渡の合意に至っているという事情は特段の事情に当たらないと判断しました。

【参考】では、本件において特段の事情に当たるような状況も例示しています。

近年、課税当局が安易に総則6項を発動している事案が増えてきていますので、素晴らしい判決のように思います。

総則6項は、『伝家の宝刀』と巷では呼ばれており、何がO.K.で、何がN.G.か分からない中で、課税当局がN.G.と言ってくる可能性があるというものであり、安易にこれが発動されると、納税者も税理士も安心して申告ができないのではないかと思います。

もっと、総則6項を発動する基準を明確にしてほしいですね。

東京地裁で総則6項を巡る事件で国が敗訴したことについて、あなたはどう思われましたか?


印鑑登録証明書の有効期限!

年間に数件相続税の申告のお手伝いをしていますし、先日、僕自身の相続税の申告を行いましたが、必要な書類のひとつに、『印鑑登録証明書』があります。
いわゆる『印鑑証明書』です。

その『印鑑登録証明書』ですが、結構、聞かれるのが有効期限です。
金融機関で、3か月以内のものが必要と言われたりすることがあり、そのイメージがあるためかと思っています。

そもそも『印鑑登録証明書』は契約書類に押印された印鑑が、本人が自治体に登録済みの『実印』であるということを証明する書類です。
それゆえ、重要な契約を結ぶときなどに、『実印』による押印と『印鑑登録証明書』の提出を求められたりします。

また、個人にも法人にも『印鑑登録証明書』があるのですが、今回は個人の『印鑑登録証明書』について話しを進めていきます。

自治体によって内容が異なりますが、例えば、我が香川県高松市の『印鑑登録証明書』の記載内容は、以下のとおりです。
・登録印影
・氏名
・旧氏
・生年月日
・住所
・備考

少し前に色々と問題があり、コンビニでの取得ができない自治体があるかもしれませんが、高松市の場合、マイナンバーカードがあれば、コンビニで『印鑑登録証明書』を取得できます。
また、窓口で取得すると1通350円かかりますが、コンビニだと250円です。

『印鑑登録証明書『そのものは、登録している印鑑が変更にならない限り有効期限はありません

色々な手続きの際、発行から3か月以内とか6か月以内の『印鑑登録証明書』を要求される場合があります。
これは、あくまで提出先が有効期限を設定しているに過ぎないのです。

ただし、不動産登記の申請で印鑑登録証明書を法務局に提出する場合、不動産登記令16条3項により「作成後3ヶ月以内のもの」とありますので、3か月以内のものを提出する必要があります。

ちなみに、相続税の申告書において、遺産分割協議書のコピーを提出する場合、『印鑑登録証明書』の提出も求められますが、遺産分割協議書に押印した『実印』と同じであれば、3か月以内とかいう期限は問われません。
結局、『印鑑登録証明書』は『印鑑』が変わらない限り基本的に有効期限はないということですが、不動産登記の場合や、提出先によっては、3か月以内のものとか6か月以内のものが必要となるということです。
非常に分かりにくいですね。

印鑑登録証明書の有効期限について、あなたはどう思われましたか?


マンション節税防止で算定法を見直し評価額4割から6割に!

日本経済新聞によると、国税庁が「マンション節税」や「タワマン節税」の防止に向け、相続税の算定ルールを見直す方針を固めました。
実勢価格を反映する新たな計算式を導入します。
マンションの評価額と実勢価格とのかい離が約1.67倍以上の場合に評価額が上がり、高層階ほど税額が増える見通しです。
年間10万人以上の相続財産が課税対象となる中、税負担の公平化を図る狙いがあります。

現行ルールは1964年の国税庁通達に基づきます。
国税庁は財産の評価方法を定めた通達を2023年中に改正し、2024年1月1日以降の適用を目指します。
現在は実勢価格の平均4割程度にとどまっている評価額が、6割以上に引き上がる結果となります。

相続税法は財産の評価は「時価による」と規定しています。
現金や上場株に比べて土地や建物は評価が難しく、国税庁は通達で、マンションの場合は建物と土地の評価額の合計とします。
建物は建築費などから地方自治体が算定する固定資産税の評価額を使用し、土地は一般的に毎年公表される路線価を使って計算します。
金額に応じて10〜55%の税率を掛け、相続税額を申告します。

今回のルール改正の最大のポイントは、実勢価格を反映する指標の導入です。
新たなルールは①築年数や階数などに基づいて評価額と実勢価格のかい離の割合(かい離率)を計算、②約1.67倍以上の場合、従来の評価額にかい離率と0.6を掛けることで評価額を引き上げます。
戸建ての平均かい離率(1.66倍)にそろえる狙いです。

国税庁がルール改正を検討するために設置した有識者会議の資料によると、東京都内の築9年の43階建て高層マンションの23階で、約1億1,900万円の実勢価格に対して評価額が3,720万円となっていました。
相続税に詳しい複数の税理士によると、この場合、従来は3,720万円が基準で、相続するのが子ども1人の場合は単純計算で相続税は約12万円になります。

新たなルールでは、実勢価格とのかい離率を3.2倍とした場合、3,720万円に3.2と0.6を掛けた約7,140万円が評価額となります。
単純計算の相続税額は約508万円となり、従来に比べて負担は500万円近く増すことになります。

国税庁が全国の20階以上のマンションについて2018年のデータを抽出調査したところ、かい離率は平均3.16倍でした。
国税庁の調査範囲に限れば、1.67倍の基準を大きく上回り、大半の住戸で税負担が増える可能性があります。

国税庁がルールを見直す背景にあるのが、評価額と実勢価格のかい離です。
路線価はそもそも公示地価の8割が基準で、足元の地価上昇が反映されにくくなっています。
さらにマンションの場合、全体の敷地面積を戸数で分けるため、戸数が多い高層マンションであるほど1戸当たりの土地の持ち分は小さくなります。

現行の算定ルールが導入された当時は皆無だったタワーマンションは現在、全国に1,400棟以上あります。
人気で高価格の高層階ほど実勢価格と評価額の差が大きくなる傾向があります。
この差を使った節税策は「マンション節税」や「タワマン節税」とも呼ばれ、相続税負担の不公平性がかねて指摘されていました。

見直し議論が本格化したきっかけは、2022年4月の最高裁判決です。
購入価格が計13億円超のマンション2棟の評価額を3億3千万円とした相続人に対し、実際の評価額は12億7千万円だとした国税当局の追徴課税を認容しました。
判決理由で「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ租税負担の公平に反する」と言及しました。
国税庁が2023年1月に有識者会議を立ち上げ、算定ルールの見直しを検討してきました。

2021年に亡くなった約143万人のうち、不動産や現預金などの相続財産の税務申告が必要だったのは約13万人でした。
相続税に関わる裾野は広がっており、多くの納税者にとって無縁ではなくなってきています。
高層階の税負担が大幅に増えればマンション市場に影響する可能性もあります。

<相続税>
亡くなった親などから受け継いだお金や土地といった遺産にかかる税金で、資産が多い人の富を再分配する役割があります。
相続した財産の額から葬式費用や借金を差し引き、基礎控除である「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」を上回った額に応じて10〜55%の税率がかかります。
基礎控除を下回る場合、税額はゼロになります。
2015年に基礎控除が縮小され、相続税が課税された被相続人の割合は以前の4%台から8%台に上昇しました。
2021年分の申告では亡くなった約143万人のうち9%にあたる13万人の相続財産が課税対象となり、税額は計2兆4,421億円と5年前と比べて1.3倍に増えました。

そもそも、同じ面積であれば、タワーマンションの1階だろうと最上階だろうと、同じ評価額になるのはおかしいですよね。
節税目的の方が、本当にマンションを買いたい方の相場を上げていると思いますし、改正は良いことだと思います。
このニュースが出てから、マンション販売業者の株価が下がっているようですから、今後のマンションの売れ行きや価格に影響を及ぼすということなんでしょうね。

マンション節税防止で算定法を見直し評価額4割から6割になることについて、あなたはどう思われましたか?


市街地の空き家建て替えが狭い道路沿いでも可能に!

時事通信によると、国土交通省は、市街地での空き家の建て替えを促すため、狭い道路に面した敷地での建築の規制を市区町村が緩和できるようにするようです。
今国会で審議中の空き家対策特別措置法改正案に特例の創設を盛り込みました。
使い道が見つからない敷地の有効活用を後押しします。

建築基準法のルールでは、住宅やビルを建てる場合、原則として敷地が幅4メートル以上の道路に2メートル以上接している必要があります。
消防活動の場や災害時の避難スペースを確保するためです。
ただし、道路幅が狭い市街地や古い住宅街などでは、この規制の影響で同じ場所での建て替えができないケースがあり、空き家が放置される要因の一つとなっていました。

そこで改正案では、市区町村が中心市街地などを空き家の「活用促進区域」に指定できる制度を創設しています。
区域内では、安全確保策を実施すれば、敷地に接する道路幅が4メートル未満の場合でも建て替えを可能にします。

国交省は今後、規制緩和の条件となる安全確保の基準をまとめ、市区町村に提示します。
例えば、新しい建物について燃えにくい構造とすることや、避難対策を講じることを想定しています。
ガイドラインも作成し、具体的な事例を示す考えです。

改正案は、促進区域内で建物の用途に関する規制を緩和できる特例も盛り込みました。
例えば、原則店舗を建てられないなどの制限があるエリアでも、地域活性化や観光振興を目的に、空き家をカフェなどに活用することを可能とします。

年間に何件か相続税の申告のお手伝いをさせていただいておりますが、何もできない土地に結構出くわします。
こういう改正により、土地を使えるようになるのはいいことですね。
一方で、土地の価値が高まるわけですから、路線価とか固定資産税評価額も上がるのでしょうか?
エリアがどこになるか分かりませんが、業者が今のうちに買い漁るかもしれませんね。

市街地の空き家建て替えが狭い道路沿いでも可能になることについて、どう思われましたか?


認知症の母の遺産「14億円」を次男がコンビニで少しずつ出金したものバレた理由!

2023年05月22日(月)

幻冬舎ゴールドオンラインで、認知症の母の口座から14億円を出金していた息子ですが、その後、母が亡くなり、母名義の財産のみで相続税申告をしたところ数年後に国税局から連絡が来て税務調査が入る事態に発展したという実際にあった裁判事例をもとに税理士が解説しています。

アルツハイマー型認知症を患っていた母・ママ子さん(仮名)は、秋も深まるある日に財産を残して亡くなりました。
相続人は長男・タロー(仮名)と次男・ジロー(仮名)です。
ママ子さんは、亡くなる3年半前から老人保健施設で暮らしていました。

悲しみに暮れるなかタローとジローはママ子さんが残した財産を相続し、それぞれの相続額分の相続税申告をしました。
ところが数年後、国税局からジローのもとへ連絡が入り、税務調査に発展しました。

ジローがママ子さんが亡くなるまでの2年の間に、ママ子さんの預金口座からATMで合計約1,900回以上、総額約14億円以上を引き出した記録があります。
しかしながら、ジロー本人はこの出金の事実について否認しています。

ママ子さんが亡くなった時点では、財産がすでに約14億円目減りした状態だということが判明したのです。

<時系列まとめ>
本件は、実際にあった裁判事例です。
まずは、時系列を整理していきましょう。
H22.11
母・ママ子さん アルツハイマー型認知症と診断される
H24
ママ子さんは所有している証券口座について、次男・ジローを取引代理人とする「代理人・印鑑届」を提出
H24.12
ママ子さん 老人保健施設に入所
H25.9~12
ジローが上記、ママ子名義の証券口座に預けられていた株式を全て売却
H26.2
ママ子さん 介護付き有料老人ホームに転居
H25.12~H28.1
ジローが750日(約2年)の間に、ATMを通じて合計1,902回、総額14億3,002万3,000円を出金
H28.4
タローとジローがママ子さんの遺産を相続開始
タローとジローは法定期限内に相続税申告書を国税局に提出(上記出金は相続財産に計上していない)
数年後
ジローへの税務調査に発展。
ジローはATMでの出金の事実を否認
R2.3
国税局が「13億8,735万円に相当する金員に係る不当利得返還請求権が相続財産に含まれるもの」として、ジローへ更正処分を下す
R3.4
国税不服審判所にて、国税局のジローへの処分は適法と判断
R5.2
東京地方裁判所にて、国税局の処分は適法と判断

争点としては、下記2つです。
1. ATMから出金をしたのは次男か
2. もし次男だとしたら不当利得返還請求権が成立するか

1. ATMから出金をしたのは次男・ジローか
現金が出金されたATMはとあるコンビニに設置されているものです。
そのコンビニの店長及び従業員に、国税局の調査担当職員が、ジローの顔写真を提示して、「この人物について知っていることを教えて欲しい」と質問しました。
コンビニの店長や従業員は、「毎回のようにATMで用事を済ませた後、食料品を大量に買い、税金の支払いに係る納付書を何枚も持ってきて、多額の納付をすることもあった」と回答しました。
この店長や従業員はジローとは利害関係のない第三者であって、虚偽の発言をする動機は見当たらず、両者の具体的な申述内容が合致していることから、「ジローについての申述は正確なものと認められる」と審判所、裁判所は判断しました。
すなわち、次男・ジローの申述内容は信頼できず、ATMから出金したのはジローだと認定されたのです。

2. ATMから出金をしたのは次男・ジローだとしたら不当利得返還請求権は成立するか
ATMからの出金者はジローと認定されました。
次に、相続財産を構成するために、出金した財産を特定するか、次男に対する債権であるかのいずれかを認定しなければなりません。
本件では、出金したあとの財産を特定することができなかったと推察されます。
となると、次男に対する債権であることを認定する必要があります。
この認定のために重要となるのが出金時の母・ママ子さんの状況です。
ママ子さんは平成22年11月にアルツハイマー型認知症と診断されています。
出金時の平成25年12月~平成28年1月の意思能力の程度を考慮すると、ジローに対して、本件金員が贈与されたとは考え難く、ジロー本人も本件金員の贈与等を受けた事実がないことは認めています。

したがって、ジローは相続の開始までに出金した約14億円の一部を自己のために費消し、いずれかで保管していることから、法律上の原因なく利益を受け、そのためにママ子さんに損失を及ぼしたものといえます。
すなわち、母・ママ子さんは次男・ジローに対する不当利得返還請求権を有することとなります。

相続税の負担を軽減するため、被相続人(財産を遺して亡くなった方)が亡くなる数年間で現金を引き出したとしてもバレます。
銀行の記録を調べれば、どこのATMで引き出したかもすぐに分かります。
そしてそのATMの防犯カメラや従業員等の申述により、引き出した人は特定されてしまいます。

本事例では、次男のジローは出金した財産を隠すことには成功しました。
仮に自宅の庭などに埋められていて、国税局の職員が発見すればその現金を相続財産として認定します。
しかしながら、本件では、現金や他の預金等を見つけることができなかったのでしょう。
それゆえ、不当利得返還請求権として相続財産に計上すべきであると認定されたのです。

すなわち、出金した現金を無事隠すことに成功したとしても不当利得返還請求権等の債権として相続税がかかってきてしまうのです。

本件で相続税申告を担当した税理士はジローに対し、「『多額の出金を隠してもいいことはなく、このまま申告書を提出すると税務調査が入る可能性がある』と伝えましたが、ジローは『調査が入っても構わない』旨を返答した」と言います。

本件は出金を隠したことにより、当初から適切に申告をしていればかからなかった重加算税等のペナルティもかかってしまいました。
経済的に得をするために虚偽の申告をした結果、むしろ経済的に損をしてしまった事例です。
亡くなったお母様は一番悲しむのではないでしょうか?

バレないと思っているのが、ある意味スゴいなぁと思います。
それほど甘くはないです。
長男はこの14億円について知らなかったでしょうから、この後、どうしたんでしょうね?
この14億円が次男のものだとしても、相続財産がこれだけ増えると長男の税額もかなり上がるでしょうから。

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デジタル遺言制度を創設!

日本経済新聞によると、政府は法的効力がある遺言書をインターネット上で作成・保管できる制度の創設を調整するようです。
署名・押印に代わる本人確認手段や改ざん防止の仕組みをつくります。
デジタル社会で使いやすい遺言制度の導入により円滑な相続につなげます。

法務省が年内に有識者らで構成する研究会を立ち上げ、2024年3月を目標に新制度の方向性を提言します。
法務大臣の諮問機関である法制審議会の議論を経て民法などの法改正をめざします。

現行制度で法的効力がある遺言書は3種類あります。
本人が紙に直筆する自筆証書遺言、公証人に作成を委嘱する公正証書遺言、封書した遺言書を公証役場に持参する秘密証書遺言です。

自筆遺言には国による保管制度があります。
法務省が2018年に発表した推計では作成済みと作成予定の合計で1,204万人の需要がありました。
公正証書遺言は2022年に11万1,977件の利用がありました。
秘密証書はほとんど使われていません。

新制度では自筆遺言をパソコンやスマートフォンで作成し、クラウド上などに保管する案があります。
現在の自筆遺言は本人がペンを使って本文や作成日を書いて署名・押印しなければ法的効力を持ちません。
法務局に預けて亡くなった後で受け取りを請求する制度は用紙の大きさや余白やページ番号のふり方まで細かい規定があります。

不動産や現預金など相続する財産を一覧化した財産目録も作成しなければならず、高齢者が自筆遺言を作るのは簡単ではありません。
弁護士らの助けが必要になるケースが多いようです。

ネット上での作成が可能になればフォーマットに沿って入力する形になるため遺言制度に詳しくない人でも自分でつくりやすくなります。
紙の遺言書と違って紛失リスクがなく、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使えば改ざんもされにくくなります。

デジタルでの相続対策サービスを手がけるサムライセキュリティ(東京都渋谷区)の浜川智最高経営責任者(CEO)は「デジタル化で遺言作成の利便性が高まれば利用者の裾野が広がる」とみています。

海外では紙以外の遺言制度の整備が進んでいます。
法務省などの資料によると、アメリカは2019年に電子遺言書法を定めました。

2人以上の証人の前で電子署名すればデジタルでの遺言書を認めました。
導入は各州の判断に委ねられており、これまでにネバダ州やフロリダ州などが取り入れました。

韓国も遺言を残す本人による趣旨説明や証人の立ち会いで、録音の遺言が効力を持ちます。

一方で、ドイツやフランスなどまだデジタル形式や録音での遺言を認めていない国もあります。
遺言書は通常の契約と異なり本人が死去した後に使うものであり、事後の意思確認ができないため、電子化への慎重論もあります。

政府はこうした意見を踏まえ、安全性や実効性を担保できる制度設計を探ります。

『争族』を避けるためにも、もっと『遺言書』が普及すれば良いと考えていますので、今までより簡単に作成できるデジタル遺言が認められればいいなぁとは思いますね。

デジタル遺言制度を創設することについて、どう思われましたか?


夫の遺産相続で相続税1億円あまりを脱税した妻を告発!

NHKによると、5年前に亡くなった夫の遺産を相続したのに申告せず、相続税1億900万円余りを脱税したとして、岡山県瀬戸内市の71歳の妻が広島国税局から検察庁に告発されました。

告発されたのは岡山県瀬戸内市の会社員(71)です。
広島国税局によると、2018年6月に夫が亡くなり、ほかの相続人とともにおよそ4億4,800万円を相続しましたが、複数の場所に分散して隠すなどしたうえ、相続税の申告書を提出しなかったということです。

広島国税局は、相続した遺産を隠し、1億900万円余りを脱税したとして、相続税法違反の疑いで、先日、岡山地方検察庁に告発しました。

約4億5千万円を相続したのに、複数の場所に分散して隠し、申告しないというのは、かなり悪質ですね。
遺産が何なのか、どうやって分かったのかなどについては分かりませんが、これだけの遺産があると、隠し通せるほど甘くはないと思いますが、簡単に隠せると思ったのでしょうか?
重加算税や延滞税などを考えると、かなり持っていかれるでしょうね。

夫の遺産相続で相続税1億円あまりを脱税した妻を告発したことについて、どう思われましたか?


2021年度は相続人なき遺産が過去最高の647億円で国庫へ入いった!

朝日新聞によると、遺産の相続人がいないなどの理由で国庫に入る財産額が、2021年度は647億円と過去最高だったことがわかったようです。

身寄りのない「おひとり様」の増加や不動産価格の上昇も背景に、行き場のない財産は10年前の倍近くに増えています。

専門家は早めに遺言書をつくるよう勧めています。

最高裁判所によると、相続人不存在による相続財産の収入は、2021年度は前年度比7.8%増の647億459万円でした。

2001年度は約107億円、2011年度は約332億円で、この20年で6倍に増えたことになります。

相続人も遺言もない遺産は、利害関係者の申し立てにより、家庭裁判所に選任された「相続財産管理人」が整理します。

未払いの税金や公共料金などを清算し、相続人が本当にいないかを確認し、一緒に暮らしたり身の回りの世話をしたりした「特別縁故者」がいれば家裁の判断などにもとづいて財産を分与し、残りは国庫に入るのです。

もし、お世話になった方などがいて財産を渡したいと思っていたにも関わらず、遺言書などを作成していなかったばかりに国庫に入るのは非常にもったいないように感じますね。
エンディングノートなどが大事になってくるのかもしれませんが、おひとり様だとしても、早めに、遺言書を作っておくのがいいでしょうね。

2021年度は相続人なき遺産が過去最高の647億円で国庫へ入いったことについて、どう思われましたか?


放置された空き家について活用を促すため税負担増を政府が検討!

日本経済新聞によると、政府は全国で増える空き家について、壁に亀裂が入るなど管理が不十分な建物の税優遇を見直す検討に入ったようです。
住宅用地を対象に固定資産税を軽減する特例から外す方向で、事実上の増税となります。
実施されれば平均的な宅地の税額は4倍程度に増えます。
建て替えや売却を促して倒壊などの危険のある住宅の増加を抑え、中古住宅市場の活性化につなげます。

先日に開かれた有識者会議で空き家対策の方向性が示されました。
2023年1月ごろに報告書をまとめ、空き家対策特別措置法など関連法の改正を視野に内容を詰めます。
早ければ2023年度中の実施をめざします。

国土交通省によると、全国の空き家は2018年時点で849万戸です。
うち賃貸・売却用などを除き居住目的のない空き家は349万戸と、20年前からほぼ倍増しています。
地方の住宅を親や祖父母から相続して放置するケースなどが目立っています。
適切な対策をとらなければ2030年に470万戸に増える見込みです。

住宅用地の固定資産税の軽減は、高度成長期に農地などの宅地化を進めるために導入されました。
倒壊の危険がある「特定空き家」は既に特例からの除外が可能です。
今回さらに対象を広げ、そこまで状態が悪化していない建物でも管理が不十分なら適用しないようにします。

屋根の一部や窓が損壊する建物などを念頭に置いています。
こうした建物は少なくとも約24万件あります。

所有者が分からない約5万戸の空き家の扱いも課題となっています。
自治体は固定資産税の情報を利用するなどして所有者を探せるが限界があります。
市町村が裁判所に財産管理人の選任申し立てをして、弁護士らが物件を管理する制度の見直しも議論されています。

個人的には、活用を促すことになるのか疑問に思います。
定年後などに実家に帰ってくることもあるため、実家を相続してそのままにしている方も結構いらっしゃるのではないかと推測されますが、こういう制度ができると、実家を早めに売り払おうとして、将来実家に戻ってくる可能性を閉ざすのではないかと思います。
もちろん、購入された方が、その地域の活性化などに貢献していただければ、素晴らしいことだとは思いますが、おそらく、都会に出て行って戻ってこない方が、地方に移住する方を上回ると思いますので、地域の過疎化が進んでいくのではないかと思います。
固定資産税を上げるよりは、地方自治体が中心となって、移住を考えている方や移住者に期間限定でこういった家を安く貸すような制度を作ったり、ふるさと納税を使うなどしてこういった家を管理してくれるような制度を作ったり、サブスクリプション方式のわーケーションの場として提供するといった仕組みを作ったり、四国だと世界遺産を目指しているお遍路さん向けに貸したりする仕組みを作るなど、家を守っていくということも考えた方が良いのではないかと思います。

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東京都心の中古マンションが1億円超え!

日本経済新聞によると、東京カンテイ(東京都品川区)が先日まとめた11月の東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)の中古マンション平均希望売り出し価格(70平方メートル換算)は、前月に比べ63万円(0.6%)高い1億13万円だったようです。
14か月連続で上昇し、2002年の集計開始後で初めて1億円の大台に乗りました。

高橋雅之主任研究員は「投資マネーの流入でバブル期以来の水準になった」と指摘しています。
都心部では新築の高額物件に引っ張られるといった形で中古マンションも値上がりが目立ち、実際に住む需要だけでなく投資目的の資金も集めました。

首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)全体では2万円安い4,807万円と、18か月続いた値上がりが一服しました。
都内の都心6区外での値下がりが響いた格好で、高橋氏は「実需向けには高額すぎる一方で、投資目的には人気が薄いエリアだ」と言っています。
周辺3県は実需に支えられて価格上昇が続いています。

日銀は、先日、長期金利の許容上限を従来の0.25%程度から0.5%程度へ引き上げることを決めました。
固定型住宅ローン金利の上昇を通じて需要は全般に落ち込む可能性があります。
東京カンテイの高橋氏は「資産形成目的の投資家はキャッシュで買うことが多く、都心部の人気物件は値下がりしないのでは」とみています。

近畿圏は21万円(0.7%)高い2,888万円、中部圏は30万円(1.3%)高い2,281万円でした。

中古で1億円を超えるなんて、凄いですね。
高層マンションは軽くするために、作り自体はあまり良くないと聞きますが、修繕が必要になってくる将来的な資産価値はどうなっていくんでしょうね?
また、個人的には、今回の税制改正では改正になりませんでしたが、相続税や贈与税の計算の際の評価方法が近いうちに改正になり、節税目的の購入が減り、相場が下がると思っているのですが、どうなんでしょうね?
あとは、震災等のリスクのことも考えないといけないように思います。

東京都心の中古マンションが1億円超えになったことについて、どう思われましたか?


コロナ禍の影響薄れ相続税の申告漏れは2,230億円!

日本経済新聞によると、国税庁は、先日、2022年6月までの1年間(2021事務年度)の調査で、相続税の申告漏れが前年度に比べ24.9%増の2,230億円だったと発表しました。
新型コロナウイルス禍の影響が弱まり、調査件数は前年度比23.7%増の6,317件でした。

国税庁によると、調査では悪質なものや大口の事案が優先され、1件当たりの申告漏れ課税額は3,530万円と過去10年間で最高となりました。

項目別の相続財産の金額は、現金・預貯金6兆6,846億円、土地6兆5,428億円、有価証券3兆2,204億円、家屋1兆133億円で、いずれも過去10年間で最高となりました。

申告漏れの事例では、関東信越国税局が、洗濯機の下や床下に隠した夫の現金約3億円や家族名義の預金通帳約1億円を申告しなかったとして、妻や子に重加算税を含めて約1億7千万円を追徴課税した事例があるようです。

税務調査も増えてきていますね。
悪質なケースを中心に頑張ってほしいですね。
どうやって見つけたのかとかについても知りたいですね。

コロナ禍の影響薄れ相続税の申告漏れは2,230億円だったことについて、どう思われましたか?


相続税の節税のイタチごっこで不動産「小口化」市場が急伸!

日本経済新聞によると、相続税の財産評価をめぐり、新しく編み出される節税スキームと国税当局のイタチごっこが繰り返されているようです。
ここにきて都心オフィスビルなどを共同で所有する「不動産小口化商品」が急伸しています。
2015年の基礎控除縮小で中流層も課税対象になり、高齢者らの関心は高まる一方ですが、節税効果に目を奪われ、リスクが過小評価される可能性もあります。

東京・豊洲の商業ビル「セレサージュ豊洲」はコスモスイニシアが展開する不動産小口化商品のひとつです。
東京オリンピック会場に近い豊洲エリアは再開発で子育て世代が増え、このビルも学習塾「早稲田アカデミー」などのテナントで埋まっています。

セレサージュ豊洲を所有する任意組合への出資は1口500万円で2口から。投資家は相続税の節税を目的とする高齢者が目立ちます。
神奈川県在住の二宮太郎さん(仮名、78)はマンション1戸よりも少額から始められるうえ、「子ども2人に相続するときに分けやすい」とみて4,000万円を投じました。

「これからは都心のビルを小口化して所有する」と、新幹線の車内広告にも不動産小口化商品のセールストークが躍っています。
2013年度末に473億円だった任意組合型の累計募集額は2020年度末に3倍の1,447億円にのぼりました。
足元で2,000億円規模に積み上がったとの見方があります。
信託法に基づく商品を含めると、さらにふくらみます。

大手の青山財産ネットワークスは「相続課税が強化された2015年以降に商品供給が増えた」(東川亨FTK推進部部長)といっています。
2015年に相続税の基礎控除が縮小され、都市部に持ち家のある中流層が広く課税対象になりました。
家賃収入による分配金に加えて相続税の財産評価を下げたい高齢者が小口化不動産を買っているのです。

配偶者と子ども2人が法定相続人の場合の基礎控除は、8,000万円から4,800万円になりました。
東京都では2015年、亡くなった人のうち相続税がかかる割合が16%と前年の10%から跳ね上がりました。
夫婦の一方が先に亡くなる「1次相続」で残された配偶者の相続分は1億6,000万円まで非課税のため、世帯単位では課税対象の割合はもっと高いとみられます。

資産を現金などから不動産に移しておくのは、相続税の節税の常とう手段です。
土地は実勢価格の約8割の路線価、建物は固定資産税評価額で計算するため、現金での相続に比べて節税になるのです。
賃貸アパートなどに使っている「貸家建付地」、200平方メートルまでの「小規模宅地」とみなされれば、2,000万円で買った小口化不動産の評価が最終的に400万~600万円ほどに下がる場合があります。

富裕層によるタワーマンションの高級住戸などの取得や地主の賃貸マンション経営といった節税スキームは、中流層には困難でした。
これに対して、資産価値が落ちにくい都心一等地の不動産を1口数百万円から買える小口化不動産は投資家の裾野がはるかに広く、資金が集まりやすくなっています。

ただし、投資リスクが消えるわけではありません。
サンフロンティア不動産の荒井徹也コンサルティング事業部長は「運用期間が終わるタイミングが、リーマン・ショックのように市況が悪い場合は元本割れするリスクがあります。
『出口戦略』をよく考えて購入の判断をするべきだ」と指摘しています。

小口化不動産は「資産圧縮」「納税額軽減」など、あからさまに相続税の節税メリットをうたった広告も多くなっています。
ある国税幹部は「税務上問題になるかどうかは、個別のケースを検討しないと分からない」との原則を前置きしたうえで「興味深く、注視している」と問題意識をにじませています。

FP総合研究所の松原健司代表理事は「相続前後に短期売買したりすると、当局から目をつけられる可能性が高い」と分析しています。
相続の発生時期は予想できず、そのときまでに相続税制が変わっているかもしれません。

「新しい資本主義」で分配を重んじる岸田文雄政権の下、2023年度の税制改正大綱では生前贈与の見直しが議論される可能性が浮上しています。
もらう人1人当たり年110万円までの非課税枠が縮小されるとの見方があり、これが現実になれば中流層の節税対策は過熱しそうです。

相続財産評価の実務ルールは国税庁の「財産評価基本通達」であり、節税スキームの規制も国税当局の裁量という面があります。
当局は通達に基づく相続税申告が「著しく不適当」である場合、国税庁長官の指示を受けて再評価できます。
節税目的で肥大化しつつある小口化不動産がどう扱われるか、業界関係者は当局のさじ加減に神経をとがらせています。

最高裁は2022年4月、借入金とマンション取得を組み合わせた極端な相続節税について、国税当局の課税を容認する判決を出しました。
多額の財産を背景として高齢者には異例の高額ローンを組んだ事例で、最高裁は「租税負担の公平に反する」と判断しました。

税理士業界でも「あの節税はやり過ぎだ」(フジ相続税理士法人の高原誠税理士)との声が多いようです。
ただし、節税スキームの骨格は一般的なものだけに、極端かどうかの線引きがはっきりしないと「後出しジャンケン」との不満を招きかねません。

2021年度の相続税収は2兆7,702億円と国税の3.9%ほどですが、一人ひとりの納税者にとっては金額が大きいです。
節税ニーズは強く、過去にも不動産会社などが地主層に薦める賃貸アパート経営の失敗などが問題になってきました。

2015年の基礎控除縮小により、相続財産が1億円未満の中流層の負担も重くなりました。
これに合わせて教育資金や結婚資金を贈与する場合の非課税枠を設けました。
現役世代への資産移転によって景気浮揚につなげる狙いでしたが、富の再分配という税の本来的な役割になじまないご都合主義が否めません。

相続税制は国による違いが大きくなっています。
シンガポール、オーストラリアなどは相続税がありません。
アメリカは基礎控除が大きく、ごく限られた富裕層しか課税されません。
中流層に課税を広げた日本の相続税制は、税の3原則「公平、中立、簡素」に照らして検証すべき時期にきていると言えるでしょう。

■日本の相続税
日露戦争の戦費調達のため1905年に導入されました。
第2次世界大戦後はGHQ(連合国軍総司令部)が財閥などに富を集中させないよう税率の引き上げを求めました。
累進の最高税率はかつて90%に達しており、「3代で財産がなくなる」といわれていました。
税務申告ベースでは2020年に亡くなった約137万人の8.8%に相当する約12万人が残した財産が課税対象になりました。
相続財産は約17兆4,000億円で、土地と家屋が合わせて40%、現金などが34%を占めています。
相続発生時に亡くなった人と相続人がともに10年を超えて海外に住んでいれば海外財産に相続税はかかりません。
超富裕層は節税目的で海外移住することがあり、法改正で5年超から10年超になりました。

個人的には、今年の4月の最高裁の判決は極端な事例だと思っていますし、相続税法上認められた評価なので、批判されるべきものではないと考えています。
ダメなのであれば、後出しジャンケンの総則第6項ではなく、明確にダメなものを規定すべきだと思います。
記事を書いた方があまり詳しくないのではないかと思いますが、贈与税が改正されるかもということで昨年あたりは人気があり、すぐに売り切れていましたが、今年は取り扱っている業者が増えたのもあると思いますが、大手業社の物件も売れ残る状況になっており、会計事務所向けなどに色々なイベント等を開催して販売しようとしているのがありありと見てとれますので、かなり下火になってきているのではないかと感じています。

相続税の節税のイタチごっこで不動産「小口化」市場が急伸していることについて、どう思われましたか?


路線価の全国平均は2年ぶりに上昇も明暗が分かれる!

読売新聞によると、国税庁は、2022年7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2022年分(1月1日時点)の路線価を発表しました。
全国の平均変動率は前年比プラス0.5%で、2年ぶりに上昇しました。
コロナ禍の影響が縮小し、一部の観光地などでは回復しましたが、需要が低調なオフィス街などは下落が続いています。

都道府県別では、地方を中心に27県で下落した一方、前年より13都府県多い20都道府県で上昇しました。
宅地やオフィス需要のある北海道がプラス4.0%で最も高く、福岡3.6%、宮城2.9%と続きました。
東京(プラス1.1%)や愛知(同1.2%)など、前年はマイナスだった都市部も多くが上昇に転じました。

都道府県庁がある47都市の最高路線価も、前年より7都市多い15都市で上昇しました。
最も上昇幅が大きかったのはJR駅周辺の再開発が進む千葉市(プラス5.1%)で、札幌市(同4.8%)や広島市(同3.5%)が続きました。

路線価トップは、東京都中央区銀座5の銀座中央通りで、1平方メートル当たり4,224万円です。
前年から1.1%下落しましたが、37年連続で全国1位となりました。

一方、大阪のミナミの戎橋ビル前の心斎橋筋は、前年が26.4%下落、2022年が10.6%下落で、2年連続下落率日本一ですから、明暗が分かれています。

相続税を考えると路線価は低い方がいいんでしょうけど、財産として考えると高い方がいいですし、色々な方々のマインドへの影響を考えると上昇する方がいいんでしょうね。
毎年のことですが、基本的に、路線価は1月1日時点のものが7月1日に公表されますが、もっと早く公表できないのだろうかと思います。
1月の初めの頃にお亡くなりになった場合、土地を持っていると7月1日以降でないと、相続税の計算ができないからです。
非上場株式もそうなのですが、1月や2月にお亡くなりになった場合、6月にならないと、評価に用いるデータが公表されないため、相続税の計算ができないのです。
贈与税の申告のためのデータは、12月までのものが翌年1月に公表されるので、非上場株式の方は間違いなく早く公表できるはずです。
相続税の申告・納税を早く終わらせて、すっきりしたいと考える方が多いので、本当にどうにかしてほしいですね。

路線価の全国平均は2年ぶりに上昇も明暗が分かれたことについて、どう思われましたか?


新田真剣佑に“相続トラブル”!

2021年、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった千葉真一さんの「遺産整理」の過程で、息子で俳優の新田真剣佑が〝千葉さんに1,300万円〟を貸したとする「借用書」の存在が明らかになったと『FRIDAY』が報じています。

同誌の取材に応じた千葉さんの所属事務所社長が明かしたところによると、この「借用書」のサインは千葉さんの筆跡ではないそうです。

「千葉さんの死後、一部の関係者たちが対立関係に陥っているんです。あれほどの世界的スターですから、さぞかし莫大な遺産が残っていると思われがちですが、映画制作などに巨費も投じていた千葉さんには、相当な額の借金もあると言われていました。」(スポーツ紙記者)

問題の「借用書」は、千葉さんの遺産を整理するにあたって代理人が「債権者は届け出てほしい」とアナウンスした際に提出されたもののようです。

「千葉さんの所属事務所社長は、対立する関係者が勝手に出したのではないかと疑っているようです。しかし、提出したのは真剣佑の代理人だとされていますから、彼もまったく知らないわけではなさそうですね。」(同・記者)

真剣佑は、異母姉で女優の真瀬樹里とも協調路線をとることなく、千葉さんの「お別れ会」を同じ日に別々に行う予定だったとされています。

「実の弟の眞栄田郷敦は真剣佑サイドについているというが、結局『お別れ会』は真瀬サイドだけが予定通りに執り行い、真剣佑・郷敦サイドは延期している。千葉さんの遺品に関しても、真瀬と関係者などの間でもめているというからね。もうグチャグチャだよ。」(芸能プロ関係者)

最終的に、問題の「借用書」は取り下げられたそうですが、真剣佑は別の〝金銭トラブル〟も抱えているようです。

暴露系ユーチューバーのガーシーこと東谷義和氏に巨額のカネを貸し付けているのです。
「ガーシーは、真剣佑に6,000万円借りていることを認め、それをギャンブルに使ったことまで明かしている。本人は返済の意思を示しており、参院選にガーシーを擁立するNHK党の立花孝志党首も、弁護士を通じて返済の仲介役を買って出ているが、今のところ真剣佑サイドからの連絡はないようだ。」(同・関係者)

真剣佑は、東谷氏に女性スキャンダルやステマによる〝脱税疑惑〟まで暴露されています。
6,000万円を返済してもらいたくても、下手にコンタクトをとれば再び火だるまになりかねません。

災難続きの真剣佑は、SNSなどの更新もストップし、沈黙を続けているようです。

芸能人は相続トラブルが多いですね。
たくさん稼がれてたくさん財産があるということもあるのでしょうけど、親族関係が複雑だったり、資産家の割には相続税対策とかをあまりしていないんでしょうね。
芸能人に限りませんが、相続をきっかけに親族の中が悪くなるのは非常に残念なことですので、できるだけ早めに相続税対策などを始めましょう。

新田真剣佑に“相続トラブル”が起こっていることについて、どう思われましたか?


2022年世界長者番付トップはテスラCEOで日本人トップは柳井正氏!

読売新聞によると、アメリカの経済誌のフォーブスは、先日、2022年版の世界長者番付を発表しました。
アメリカの電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の資産額が2,190億ドル(約27兆円)に上り、初めて首位に立ちました。
テスラの業績が好調で保有株が大幅に値上がりし、資産額が膨らんだのです。

ウクライナ侵攻に伴う対露経済制裁により、ロシア市場で株価や通貨ルーブルの価値が下落し、フォーブスの試算ではロシアの億万長者の資産は昨年から2,600億ドル(約32兆円)以上減りました。
100億ドル以上減る富豪が続出し、リスト(保有資産10億ドル以上)に入ったロシアの億万長者は2021年から34人減って83人となりました。

2021年まで4年連続で首位だったアメリカのアマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏は1,710億ドル(約21兆円)で2位となりました。
3位は高級ブランド「ルイ・ヴィトン」などを傘下に持つ仏LVMHのベルナール・アルノーCEOで、1,580億ドル(約19兆円)でした。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が日本人トップの54位で、資産額は261億ドル(約3.2兆円)でした。
2位は、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の74位で、213億ドル(約2.6兆円)でした。

毎年、大学院の授業で、フォーブスの世界長者番付を取り上げていますが、すごい金額ですよね。
日本人も、トップが柳井さんと孫さんが年によって入れ替わっていますが、業績によって大きく変りますね。
日本で売上高が1兆円を超える企業が100数十社しかないわけですから、財産として3.2兆円とか2.6兆円というのは想像を絶しますね。
ちなみに、日本で一番売上高が多いトヨタ自動車が27兆円ですから、マスクさんとかペゾスさんの財産は、それに匹敵するくらいあるということです。
資産が大幅に減少したロシアの富豪の方々は、今どのような気持ちなのでしょうか?

2022年世界長者番付トップはテスラCEOで日本人トップは柳井正氏だったことについて、どう思われましたか?


注目のマンション相続課税は「伝家の宝刀」抜いた国の勝訴が確定!

朝日新聞によると、父が購入したマンションを相続した遺族が相続税を「ゼロ」と申告したところ、税務署が「伝家の宝刀」とも呼ばれる手法で、3億円余りの追徴課税をしました。
この課税が妥当かどうかが争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(長嶺安政裁判長)は2022年4月19日、取り消しを求めた遺族の請求を棄却する判決を言い渡した。
これにより、遺族側の敗訴が確定しました。

問題とされたのは東京都杉並区と川崎市のマンション計2棟です。
不動産会社の代表だった男性(故人)が銀行から借金をして2009年に計13億8,700万円で購入し、子どもたちが2012年に遺産相続しました。

国税庁の通達では、不動産の相続税を計算する際、土地の評価に「路線価」、建物に「固定資産税評価額」を使うとしています。
遺族はこれをもとに土地と建物の価値を計約3億3,300万円と評価したうえで、銀行からの借金を差し引き、相続税はゼロと申告しました。

しかしながら、評価額が購入額より大幅に低いことなどから、税務署は、マンションの購入自体が相続税を回避しながら資産を引き継ぐ目的だったとみなし、「行きすぎた節税策で、ほかの納税者と著しく不公平になる」と考えたのです。

通達には、税務署が「著しく不適当」と考えた場合、独自に評価をやり直せるという例外規定があります。
税務の世界で「伝家の宝刀」とも呼ばれるこの手法を使い、税務署は土地と建物の鑑定をやり直しました。
その結果、マンションが将来生み出す収益も見込めば評価額は約12億7,300万円だと算定し、約3億3千万円を追徴課税したのです。

遺族は「マンション購入は父親の不動産業の経営効率を良くするためだった」「例外規定の適用基準があいまいだ」と反論し、追徴課税の取り消しを求めて裁判を起こしました。
一審・東京地裁と二審・東京高裁はいずれも、遺族の申告は「租税負担の実質的な公平を著しく害する」などと指摘し、追徴課税は妥当と判断していました。

相続税の申告をしている税理士にとっては、注目されていた案件の判決が出ました。
国側が敗訴することを期待していたのですが、残念な結果となりました。
残念な結果となったのは仕方ないですが、『租税負担の公平』と言われても非常に難しいので、どういうケースだと『伝家の宝刀』(いわゆる総則6項)を使うのかということを明確にしてほしかったと思います。
そうしないと、税理士も通達に基づいて申告をしてもアウトと言われる可能性があり、何に基づいて計算すればいいのだろうかということになってしまいますので。
きちんと説明しておかないと(きちんと説明していても?)納税者から訴えられるリスクがありますし、保守的な方を取っているとあの税理士は保守的すぎると批判されるかもしれませんし、他の税理士に更正の請求をされて万が一通ったら信頼を失うでしょうし、税理士のリスクがあまりにも高いように思います。

注目のマンション相続課税は「伝家の宝刀」抜いた国の勝訴が確定したことについて、どう思われましたか?


税務署が「亡くなった人の印鑑」を厳しくチェックする理由!

ダイヤモンド・オンラインによると、大切な人を亡くした後、残された家族には膨大な量の手続が待っています。
しかし手続を放置すると、過料(金銭を徴収する制裁)が生じるケースもあり、要注意です。
また、国税庁によれば、2019年7月~2020年6月の事務年度において、税務調査を受けた家庭の85.3%が修正となり、1件当たりの平均追徴課税(申告ミス等により追加で課税される税金)は、なんと641万円でした。
税務署は「不慣れだったため、計算を間違えてしまった」という人でも容赦しません。

●税務署が「印鑑」を徹底的に調べる理由
税務調査が行われると、「今、この家にあるすべての印鑑を出してもらえますか?」と言われます。
指示に従い、印鑑を渡すと、調査官は「印影をいただきますね」と言いながら、印影を取っていきます。
このとき、最初の1回目は朱肉を使わずに印影を取ります。
おっちょこちょいな調査官なのかと思いきや、これはあえてそのようにしているのです。
朱肉を使わずに印影が取れた場合、その印鑑は最近使用したと推定されます。
税務調査は、実際に相続が発生してから2年後くらいに行われます。
故人の実印は、基本的に亡くなった後に使う機会はなくなるはずです。
それにもかかわらず、故人の実印が最近使われたというのは、契約書のバックデイト等の疑いが浮上します。
バックデイトとは、過去から契約書が存在するように見せかけて、本当は日付を遡って契約書を作成するという文書偽造行為です。
昔から贈与契約書があったと見せかけるために、税務調査直前に贈与契約書を偽造する人がいるので、このような調査が行われます。

●調査官は、既に知っていることも質問する
事前に調べていて調査官が知っていることでも、知らないふりをして質問してきます。
これは、調査を受けている相続人が嘘をつく人なのかどうかを調べるために行います。
調査官に嘘をつくような人には、重加算税という非常に重いペナルティが課されるので、そういったことは絶対にしないようにしましょう。
国は、みなさんが大体どのくらいの財産を所有しているか把握しています。
国税庁には、国税総合管理(KSK)システムという巨大なデータベースがあり、全国民の毎年の確定申告(サラリーマンの場合は給与の源泉徴収票)の情報や、過去にどのくらいの遺産を相続したか等の情報が集約されています。
その情報をもとに、「この人はこれくらいの財産を持っているだろう」という理論値を計算します。
税務調査に選ばれるのは、KSKシステムが弾き出した理論値と、実際に申告した遺産額に大きな乖離がある方です。

(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」ーー相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』を編集・抜粋したものですが)そこで、みなさんに強く推奨したいことが2つあります。
1つ目は「税務署の影に怯えながら、故意に違法なことをするのではなく、合法的な相続税対策をしたほうがいい」ということ。
2つ目は「税務調査では嘘をつかずに誠実に対応したほうが、良い結果になりますよ」ということです。

僕も税理士として年間数件、相続税申告のお手伝いをさせていただいているため、それなりに相続税の税務調査の立ち会いもしています。
そこで感じるのは、まずは、隠さずに申告したほうが安く付きますよということです。
税務調査で、何か出てくると、財務調査が長引いて精神的にも良くないですし、重加算税や過少申告加算税や延滞税、税務調査立ち会いや修正申告の我々税理士の報酬を考えると、明らかです。
次に、事前にきちんと対策をしておけば、こんなことにならなかったのにということです。
ちょっとした事前対策をしておけば相続税は抑えられたのになぁとか、なぜこの対策をしたのだろう?と思うことが多々あります。
これらを避けるためには、早めにきちんとした対策を時間をかけて行うということだと思います。

税務署が「亡くなった人の印鑑」を厳しくチェックする理由について、どう思われましたか?


「おひとりさま」の相続で重要な2つのポイント!

幻冬舎ゴールドオンラインによると、近年増えている、生涯所帯をもたない「おひとりさま」ですが、自身の相続の生前対策として、どのような手続きをとっておくべきなのでしょうか?
誰が相続人となるのか、また自分が認知症などで財産管理が出来なくなった場合の対処法について、相続に詳しいAuthense法律事務所の柳川智輝弁護士が解説しています。

おひとりさまと言われる独身者の相続では、生前に何も対策をしていないと、財産の把握などができず、相続手続きが非常に難航することが多いです。

また、独身者の場合、直系尊属(父母や祖父母)がいない場合は、兄弟姉妹が相続人となるため、相続人と被相続人(ご本人様)間、相続人同士の関係が疎遠で、うまく話し合いが進まず、遺産分割調停などの裁判所を使った手続きとなることも多いです。

また、最近は、高齢化が進んでいるため、独身の方が認知症などで自身での財産管理や施設との契約行為が困難となった場合に、誰が財産管理や身の回りの世話をするのかという問題も生じます。

そのため、独身者の相続対策では、
1.財産の承継先を決めておくこと、
2.自分の判断能力が無くなった場合に備え、財産管理や身の回りの世話を依頼する人を決めておくこと
が重要となります。

ここでは、1.2.について、詳しく解説していきます。
1.財産の承継先を決めておく
<自分の相続人を把握する>
独身者の相続では、遺言書などを作成し、財産の承継先を決めておくことが重要になります。
そのために、まず、自分の相続人が誰か把握するようにしましょう。
直系尊属(父母や祖父母)がいる場合は、直系尊属が法定相続人となります。
直系尊属が亡くなっている場合は、兄弟姉妹が法定相続人となります。
法定相続人となる兄弟姉妹には、父母が同じ兄弟姉妹だけでなく、父母の一方が同じ兄弟姉妹も含まれますので、注意が必要です。
例えば、自分の父が再婚で、前妻との間にも子どもがいる場合は、その前妻との間の子どもも異母兄弟となりますので、法定相続人に該当します(ただし、法定相続分は、父母が同じ兄弟姉妹の2分の1)。

<財産目録・遺言書を作成>
次に、自分が所有する財産の財産目録を作成しましょう。
自分に万が一のことがあった場合、財産がどこにあるか分からず、残された方が非常に苦労する場合もあります。
また、財産を誰に承継させるかを決めましょう。
法定相続人が兄弟姉妹となる場合、遺留分(遺言内容にかかわらず、相続人が最低限相続できる相続分)は生じませんので、生前に遺言書を作成しておくと、遺された方で紛争が生じる可能性は非常に低くなります。
そのため、財産を誰に承継させるかを決めて、遺言書を作成しましょう。
遺言書は、主に自筆証書遺言(手書きの遺言)と公正証書遺言(公証人が作成する遺言)がありますが、公正証書遺言がお勧めです。
というのも、公証人が作成するため、遺言の内容の誤りが少なく、遺言能力(遺言を作成できる判断能力があること)も問題になりにくいため、遺言書を巡って争いが生じにくいからです。
また、遺言書作成時には、遺言執行者(遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人)も指定しておきましょう。遺言執行者は、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などを指定することも可能ですので、財産を承継する人が、相続関係の手続きに不慣れな場合は、専門家を指定すると良いでしょう。

2.財産管理・身の回りの世話をお願いする人を決める
<後見制度を活用する>
高齢になってくると、財産管理や施設入所や病院の手続きなどを一人で行うことが難しくなってきます。
最近では、高齢者を狙った詐欺事件も多く、より一層財産管理に注意しなければならなくなりました。
高齢になり、判断能力が不十分となると、後見制度を活用することになります。
後見制度には、任意後見制度と法定後見制度があります。
任意後見制度は、将来自分の判断能力が不十分になったときに備えて、予め、依頼する後見事務の内容を定め、自身にかわりその事務を行う人(任意後見人)を決めておく制度になります。
法定後見制度は、既に判断能力が不十分の方の保護のために後見人を選任する制度になります。
両制度の大きな違いは、任意後見制度では、任意後見人や後見事務を本人が決めることができますが、法定後見制度は、家庭裁判所が後見人を選任し、後見事務の内容は法律で定めるとおりになるという点になります。
そのため、自分の財産の管理方法や生活状況について、自分の意向を反映させたい場合は任意後見契約がお勧めです。
独身者財産管理については、判断能力が不十分となった時点で後見人(任意後見人)が介入するという後見制度では不十分な場合も多くあります。
そのため、例えば、判断能力はあるけれども、高齢のため、多額の財産の管理は心配だという場合は、財産管理委任契約を締結して、信頼できる親族又は専門家に財産の管理を依頼する契約を締結することもできます。
また、定期的に面談したり連絡をとったり、生活状況や健康状況の把握をしてもらうことで見守りをしてもらう、見守り契約を専門家との間で締結することも可能です。この見守り契約では、契約内容によっては緊急時の連絡先になってもらったり、トラブルへの対応などをしてもらうこともできます。
基本的に、本人の死亡により後見契約は終了するため、相続発生後の葬儀や後片付けなどの死後の事務を依頼する死後事務委任契約を、親戚や専門家との間で締結しておくことも可能です。
死後事務委任契約にて、どの葬儀社に依頼するか、葬儀の規模や読経をお願いするお寺などを決めておくことも可能です。

独身者の相続では、法定相続人を正確に把握し、財産の承継先をしっかりと決めておくことが大事になります。

もし、身の回りの世話をしてくれている甥や姪に財産を承継させたいという場合は、自分の両親や兄弟が生きている場合、甥や姪は法定相続人になりませんので、その甥や姪に確実に財産が承継されるよう遺言書に記載をしたり、その甥や姪を受取人とした生命保険に加入しておくと良いでしょう。

また、自身で自分の財産を全て把握することもなかなか大変です。
最近は、ネット口座などもあり、財産の把握に苦労することもありますので、専門家に確認しながら、財産目録を作成すると良いでしょう。

さらに、任意後見契約や死後事務委任契約をどのような内容にするかについて、自分の希望を専門家に伝え、それをうまく契約の内容に入れてもらうことが必要です。

手続きを依頼する専門家を決め、納得のいく契約書を作成するようにしましょう。

これらの手続きは、生前かつ判断能力があるときでないと行うことはできませんので、なるべく早めに相続や後見制度に詳しい、弁護士、司法書士や行政書士などに相談をして、手続を進めると良いでしょう。

おひとりさまの相続は、生前の対策が不可欠となります。
また、遺言書や様々な契約書の作成が必要となりますので、相続に強い弁護士に早めに相談をして、納得のいく対策を一緒に検討してもらうことをお勧めします。

以前は、こどもがいないご夫婦の場合、相続対策が必要と言われていましたが、一歩進んで、おひとりさまも同じですね。
おひとりさまは増えていますし、家族がいる方よりさらに財産の把握が難しいので、早めの対策が必要ですね。
この記事では(意図的なのか知識がないのか分かりませんが)触れられていませんが、家族信託も使えると思います。

「おひとりさま」の相続で重要な2つのポイントについて、どう思われましたか?


路線価に基づかない相続課税の是非につき最高裁が司法判断へ!

日本経済新聞によると、実勢価格より大幅に低い路線価に基づいて相続財産を評価することが適切かどうかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は、先日、当事者の意見を聞く上告審弁論を2022年3月15日に開くと決めました。
二審・東京高裁は、路線価が大幅に低い場合は路線価による財産評価は不適当だとする国の主張を認めましたが、最高裁が改めて考え方を示す可能性があります。

国税庁が相続財産の算定基準のひとつとする路線価は、土地取引の目安となる公示地価の約8割とされており、実勢価格より低いのが一般的です。
このため節税目的で不動産を購入する富裕層も多くなっています。
今回の事案は実勢価格から大きくかい離した路線価を基にした相続財産の評価が問題となった訴訟で、関係者の間で大きな注目を集めていました。

原告は、故人が銀行から融資を受けて購入した不動産の相続人です。
一、二審の判決での事実認定などによると、原告は東京都内と神奈川県内のマンション計2棟を相続した際、路線価に基づいて財産を約3億3,000万円と評価しました。
一方、銀行からの借り入れもあったため、相続税額を「ゼロ」として申告しました。

もともと故人が購入した価格は2棟で計13億8,700万円でした。
国税当局の不動産鑑定でも評価は計約12億7,300万円で、路線価とかけ離れていたため、国税当局は「路線価による評価は適当ではない」と判断し、相続人による財産評価を否認し、約3億円を追徴課税しました。
原告側はこれを不当だとして訴えました。

2019年8月の一審・東京地裁判決は、路線価に基づいて申告した評価額について「不動産の客観的な交換価値を示しているかは相応の疑義がある」と指摘しました。
「特別な事情がある場合には路線価以外の合理的な方法で評価されることが許される」として、課税処分は妥当だと判断しました。
2020年6月の二審・東京高裁判決も判断を維持しました。

国税庁は相続時の財産評価のあり方を「財産評価基本通達」で示しています。
不動産なら公表されている路線価などを算定基準としているのです。

ただし、路線価は実態と大きく乖離する場合があることから、同通達6項では「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」との例外規定を設けています。
今回の訴訟で争われた財産を巡っても、国税当局はこの規定を適用し、評価を見直したのです。

最高裁はこの規定の適用について司法判断を示す可能性があり、その内容に関心が集まりそうです。

どういう場合に財産評価基本通達6項が発動されるか明確ではないにもかかわらず、最近は、6項を発動した否認が多くなっています。
あまりにもかけ離れ過ぎているようにも思いますが、どういう場合に6項が認められるのかが明らかになればいいなぁと思います。
今後どうなるか注目したいですね。

路線価に基づかない相続課税の是非につき最高裁が司法判断することについて、どう思われましたか?


相続税調査件数は5割減だが22億円超の申告漏れ例も!

日本経済新聞によると、国税庁は先日、2021年6月までの1年間(20事務年度)に全国の国税局などが実施した相続税の実地調査件数が前年度より52%減の5,106件だったと発表しました。

新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言が発令されるなど、対面による調査が困難だったことが主な原因だそうです。

申告漏れ額は前年度比41%減の1,785億円でした。
ただし、大口事案を重点調査したことで、調査1件当たりでは22%増の3,496万円となっています。
追徴税額は47%増の943万円で、過去10年で最高でした。

関東信越国税局は約22億2,000万円の申告漏れを指摘しました。
公益法人を主宰する女性が公益法人名義の投資信託を購入し、相続人の男性は投資信託の管理を女性から生前に任されて申告の必要性を認識していましたが、故意に税理士に伝えませんでした。
相続財産から除外して申告したとして、重加算税を含めて約12億9,000万円を追徴課税しました。

無申告事案の1件当たりの追徴税額も48%増の1,328万円と、集計を始めた2009年度以降で最高となりました。

国税庁は相続税の申告実績も併せて公表しました。
2020年に亡くなった約137万人のうち、財産が相続税の対象となったのは約12万人でした。
課税割合は、相続税の基礎控除額が引き下げられた2015年分以降で最も高い8.8%となっています。

税務調査の手続きの厳格化による調査件数の減少に加え、新型コロナウイルスの影響による調査件数の減少がありますので、相続財産が大きい案件は、税務調査が入ると思っていた方がいいでしょうね。
22億2,000万円も除外するとは、かなり悪質ですね。
この金額で、重加算税を含めて追徴税額が12億9,000万円というのは少なすぎるような気はしますが。
最高税率55%だと、重加算税がこの35%、これに加えて重加算税の場合は申告期限の翌日から延滞税がかかりますので、ほとんど残らないイメージがあります。
やはり、きちんと申告しましょうということです。
相続税の申告の場合、税理士もスポットのことが多いですので信頼関係が築きにくいこと、ご本人が亡くなっていること、いわゆる名義預金などの名義財産が存在することが多いこと、いわゆる都市伝説も多いことなどから、申告漏れが発生する可能性がどうしても高くなってしまいますが。

相続税調査件数は5割減だが22億円超の申告漏れ例もあったことについて、どう思われましたか?


相続金融資産が首都圏へ流入!

日本経済新聞によると、筑波大学などが実施した相続に伴う資産の流れを「見える化」する分析で、東京や周辺部への金融資産の移転が進んでいることが浮き彫りになったようです。
筑波大学の持つ社会工学のノウハウと、民間のデータを組み合わせて分析しました。
人口の都市部への集中で、相続資産も地方から都市部にシフトする傾向が指摘されていますが、今回初めて具体的な数字を示して定量分析しました。

地域科学に関する学際的な研究を進める「応用地域学会」で2021年11月下旬に公表しました。
相続関連サービスのルリアン(京都府京都市)が持つ被相続人が住む市町村、相続財産の額、相続人数、年齢、子供や配偶者の有無などのビッグデータを活用しました。
移動可能な金融資産を「可動産」と定義し、総額を年間34兆円と推計しました。

調査では国の一般会計歳出の3割強に相当する規模の可動産が地域間でどのように移動するのかを分析しました。
国内を「東京都」「大阪府」のほか、埼玉県、神奈川県、愛知県、福岡県の「準都会」、それ以外の「地方」の4地域に分類し、マーケティングで使うOD調査の手法を用いて調べました。

ルリアンが扱う相続データを基に、被相続人が所有していた金融資産の額を人口比や相続件数などを考慮して地域別に計算しました。
東京都の占める割合は約8%、大阪府20%、準都会32%、地方は約40%になりました。

一方、相続を受けた後の金融資産額の地域別の割合は、東京都が約11%、準都会が約34%で、被相続人の金融資産の割合を上回り、資産が他の地域から移転してきたことがわかります。
逆に大阪府は約16%、地方は約39%で相続に伴って他の地域に流出したと判断できます。

大阪府の占める割合が比較的高いのは、「ルリアンの営業地域が関西地盤という点が影響している」(小西弘樹取締役)。
さらに「東京都は不動産が資産に占める割合が高めで、金融資産だけをみると比率が小さくなる傾向がある」(同)が、「全体のトレンドをみるには問題ない」(同)そうです。

東京都は、地域外から流れ込む金融資産の割合が53.5%で唯一、過半を占めました。
地方の可動産の8.4%が東京に、9.2%が準都会に移転するなど、金融資産が地方から東京都や周辺部などにシフトしているのです。

都道府県別に相続前後で金額がどう変化したかを分析すると、流入額(1案件当たり)のトップは神奈川県の81万1,000円です。
次いで東京都65万4,000円、千葉県35万7,000円など首都圏の自治体が上位3位を占めています。
逆に流出額が多いのは、長野県の96万1,000円、群馬県の31万3,000円などとなっています。

相続人となる子供が地方から首都圏に移動し、配偶者を亡くした人が地方から都会に住む子供を頼って引っ越す例が増えています。
これに伴い、相続資産も都市部に移動する傾向があることはこれまでにも指摘されてきました。
今回の分析は具体的なデータで資産の流れを裏付けた形です。

分析を指導した筑波大学の大沢義明教授は、「都会に流入している相続税の地方への再配分を検討するなど、地方創生につながる政策提言に生かしていきたい」と話しています。

僕も職業柄、相続税の申告を何件かお手伝いさせていただいておりますが、最近は、相続人の方が首都圏に住まれているケースが多いように感じていますので、当然の結果だとは思います。
当然、相続だけでなく、贈与も世の中ではたくさん行われているわけですから、相続財産に限らず、金融資産が首都圏に流入しているのでしょう。
地方に住む僕としては、地域活性化のためにも、地方で有効な資産運用の方法がないかなぁと日々考えています。

相続金融資産が首都圏へ流入していることについて、どう思われましたか?


岩手県内3行が金融資産の相続手続き書類を共通化!

岩手日報によると、岩手銀行、北日本銀行、東北銀行の岩手県内地銀3行は10月1日から、預金や投資信託など金融資産の相続手続きの書類を共通化するそうです。

これまでは各行で記入する書式や提出する書類が異なっており、利用者が煩雑な手続きに戸惑うケースもあったようです。
高齢化社会で相続手続きは増加傾向にあり、競争関係にある地銀が協力して利用者の負担軽減を図ります。

亡くなった人の預金などを家族らが受け取る場合は、金融機関での相続手続きが必要になります。
その際に必要となる用紙は記入する書式が異なり、提出を求められる書類も一部で違っていました。

これらを共通化し、遺族ら相続する利用者の必要な作業をできる限り統一します。
ただし、手続き自体は各行で行う必要があります。

徐々に同様のことが増えていっていますが、地銀側の都合で決めていたものが、利用者の利便性を考えて共通化されるということは良いことだと思います。
口座は地銀だけではないと思いますので、特定の県の中だけではなく、メガバンクや信金なども含め、全国的に統一したらよいのではないかと思います。

岩手県内3行が金融資産の相続手続き書類を共通化したことについて、どう思われましたか?


「二世帯住宅」「アパート経営」に関して相続でよくある失敗とリスク回避法!

マネーポストWEBによると、相続には様々な“特例”があり、それを活用した相続税対策も多いですが、注意が必要です。
たとえば、親と同居する子が自宅を相続する場合、「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)」が適用され、土地(330平方メートル以内)の相続税評価額が8割減(言い換えれば2割の評価)となります。

その特例を使おうと、父親の土地に二世帯住宅を建て、1階を父親、2階を長男の名義としたものの、父親の死後、「同居」とは認められず、特例の適用を受けられなかったというケースがあります。

相続専門の税理士法人レディング代表の木下勇人税理士が解説しています。
「これはよくある失敗で、二世帯住宅が階ごとの区分所有となっていると、“同じマンションの別室に住んでいる”のと同様に解釈されてしまい、原則として同居とみなされない。
建物を区分所有登記にするのではなく、親と長男の2分の1ずつの共有名義にすると、特例が適用できる可能性が高まります。ただ、登記変更は土地家屋調査士などに依頼する必要があり、手間もコストもかかるので、それに見合うかは要検討です。」

小規模宅地等の特例は、節税効果が高いので活用したくなりますが、かえって損をするリスクもあるのです。

年老いた母親は、相続税対策でアパートを経営していました。
賃貸アパートが建つ「貸付事業用宅地等」は相続の際に小規模宅地等の特例が適用され、200平方メートルまでの敷地の相続税評価額が最大50%削減されるからです(ただし、特定居住用宅地等には制限があります。)。

ところが、建てて10年後には空き部屋だらけにというケースがあります。

「とくに地方ではこうした相続税対策の事例が目立ちます。代々受け継いできた土地があって、毎年の固定資産税ばかりがかさむといった場合、業者から勧められるままにアパート経営に手を出してしまうことがある。
ただ、地方では需要が少ないため、築10年を超えたあたりから経営が厳しくなりがちです。自己所有の土地に借金をしてアパートを建てていれば、たしかに相続財産は圧縮されて相続税は安くなります。小規模宅地等の特例を使うなどして、相続税がゼロになることもあるでしょう。
ただ、空室だらけのアパートは相続人にとってマイナスの資産でしかない。売却しようにも金額を相当下げなければ買い手はなかなか見つかりません」(木下氏)

“負の遺産”を残すようでは、対策は失敗でしょう。

この2つに限りませんが、安易な節税策を結構目にします。
特に、後者のアパート経営は、あまり勧めていません。
地方だと、土地を持っていて、どうしてもその土地の有効活用がしたいというときで、アパート経営として成り立つと思うのであれば、やってくださいというスタンスで相談に乗ったり、提案しています。
木下氏の言うように、マイナスの資産になりかねませんので。
個人的には、お金があるのであれば、都会の区分所有不動産に投資する方が良いと思っています。
あとは、相続対策で、非上場会社の株式を毎年110万円の範囲内でたくさんの方に贈与して移していっているケースも結構目にしますが、現在は、経営権が重要なため、できるだけ株主は少なくというのが主流だと思いますので、疑問を感じますね。
対策にも、時代に合った流行り廃りがあると思いますので、慎重な検討が必要だと思います。

「二世帯住宅」「アパート経営」に関して相続でよくある失敗とリスク回避法について、どう思われましたか?


親の介護で苦労しても相続で報われるケースがほとんどない理由!

マネーポストWEBによると、遺産相続において、介護を担った相続人には「寄与分」が認められるとされていますが、実際には認められないケースは少なくないようです。

そのリアルケースを見てみましょう。
ひとり暮らしをする高齢の父の近所に住む50代の長女は、食事や洗濯、デイサービスセンターへの送り迎えなど、父の身の回りの世話を続けてきました。
父の死後、遺産分割協議では介護を負担した分、多く相続することを長女は求めましたが、2人の弟は「遺産は均等に分けるべきだ」と反発し、弁護士を交えて話し合うことになりました。

「このような事例では、長女が単に親の面倒を見たということだけでは寄与分(相続人等が、被相続人に対して特別の貢献をしていた場合、遺産分割に反映させる制度)の主張は、認められない可能性が高いでしょう」
そう解説するのは、1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、『トラブルの芽を摘む相続対策』などの著書がある吉澤相続事務所代表の吉澤諭氏です。

「基本的に、子供が親の面倒を見るのは当たり前のことと理解されます。長女は“弟たちは一切、親の世話をしなかった”と主張するかもしれませんが、たとえ弟たちが何もしなかったとしても、長女がやったことは当然のこととされ、相当な寄与がない限り寄与分はないということになるのです。
親の面倒を見て寄与分が認められるケースは、例えば徘徊を防ぐために24時間見守っていたとか、仕事を辞めてまで親の世話をせざるをえなかった、などになります。
デイサービスの送り迎えをしたといっても、デイに預けている間は面倒を見ていなかったわけですし、そもそも送迎だけでは寄与を主張するのは難しいでしょう」

ただし、高齢の親の目線で考えても、介護してくれた子供が報われないという状況は望まないのではないでしょうか?
それではどうすればいいのでしょうか?
吉澤氏が続けています。

「たとえば、親が元気なうちに遺言書を残して長女の取り分が多くなるようにしておくとか、生命保険の受取人を長女にしておくといった選択肢があります。先に長女に生前贈与しておくことも考えられるでしょう。つまりは、子供の側が“親を介護したんだから多く相続できるだろう”と考えるだけでは不十分で、親の側が“感謝しているから多く残したい”と思っていなくてはならないのです。
仮に親がそうした意思を残しておらず、介護した子供が寄与分を主張するためには、“通常の限度を超えて多大に貢献した”と言えるような事実を示す資料を残しておくことです。1時間ごとのタン吸引を1年以上続けたとか、寝たきりの世話を2年続けたとか、細かく日記をつけておくなどして、他の兄弟が納得して寄与分を認めるようにするしかないでしょう。それでも認められない場合は裁判に持ち込むしかありませんが、認められるハードルは高いと思ってください」(吉澤氏)

超高齢社会を迎えるにあたって、多くの家族にとって他人事ではないでしょう。

遺産分割の際に、もめる理由として多いものがいくつかあると思いますが、そのうちの一つが、この介護の問題だと考えています。
これが原因で、仲の良かった兄弟姉妹の仲が悪くなるというのはとても不幸なことだと思いますので、やはり、生前に、親御さんがお元気なうちに、きちんとお子さんに説明をしたうえで、遺言書で介護をされているお子さんの分を増やすのが一番良いのではないかと思っています。
そこでの注意点は、相続人ではないお子さんの配偶者は話し合いの場には入れないことだと思います。
相続で重要なことは、何事も、お元気なうちから早めにということだと思います。

親の介護で苦労しても相続で報われるケースがほとんどない理由について、どう思われましたか?


最強の相続税対策は「家族仲良く円満に」!

DIAMONDonlineに、橘慶太税理士が書いています。
コロナ禍では、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。
相続税は、おひとりにつき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。
家族間のトラブルも年々増えており、相続争いの8割近くが遺産5,000万円以下の「普通の家庭」で起きています。

「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」、橘税理士の大好きな相田みつをさんの言葉だそうです。
橘税理士はこれまで数多くの相続の現場に立ち会ってきましたが、「この言葉の通りになるなぁ」と感じることが多々あるそうです。

小規模宅地等の特例を始め、相続税にはたくさんの特例がありますが、その特例を使うには「遺産分割が決まっていること」が条件になります。
他にも、家族全員の足並みが揃っていれば、生前贈与や生命保険の活用など、相続税対策はいくらでもできます。

一方で、相続トラブルが起きた場合は、相続税の特例が使えないのはもちろん、弁護士費用などの余計なコストが発生する可能性もあります。

さらに、金銭的な負担だけでなく、時間的・精神的エネルギーも相当奪われます。
何とか勝利を収めたとしても、後味のよいものではないでしょう。

最高で最大の効果を発揮する相続税対策は、家族仲良く円満に過ごすことなのです。

以前、とある方の相続税申告の依頼を受け、お父さまの遺産の分け方を、お母さま、長女、二女の3人で検討していたそうです。

しかしながら、その途中でお母さまに重い病気があることが発覚し、緊急入院することになりました。
先は長くないと医師から伝えられたお母さまは、病院に私を呼び、「私がもうすぐ死んでしまうとしたら、娘たちに一番多く遺産を残す方法は何ですか?」と質問されたそうです。

橘税理士が「それはご主人の遺産をお母さまが一切相続しないことです」とお伝えすると、「それでは、そのように主人の遺産分割協議書を作ってきてください」とおっしゃりました。

その後、病院で遺産分割協議書に相続人全員で署名をし、それからしばらくしてお母さまも息を引き取りました。

最後の最後まで娘さんたちのことを思いやる姿に、橘税理士はとても多くのことを感じましたようです。

相続トラブルを抱えている多くの方が「昔は仲良かったんですけどね……」と言います。とある3姉妹の三女から相談を受けました。

「父が元気だったころは、お正月やお盆に家族皆で集まり仲も良かったのに、父が急に他界し、それにショックを受けた母が一気に重度のうつと認知症を併発しました。母の介護をしていた長女は、私たちに『あなたたちも少しは手伝いなさいよ!』と当たり散らすようになり、今では絶縁状態になりました。私たちにはまだ小さい子どもがいて、遠方に住んでいる母の介護まで見れる状態になかったんです……」

今現在、家族の仲が良かったとしても油断しないでください。

「自分の家は大丈夫」と過信してしまうことが一番危険なのかもしれません。
先人たちが落ちた穴に、皆さんは落ちないよう気をつけてくださいね。

僕も税理士として、毎年数件、相続税申告や相続税対策のお仕事をさせていただいておりますが、相続税の申告は、ご家族の仲が良いかどうかで、スムーズにいくかどうかがかなり変わってきます。
また、相続税対策をする場合、ご家族の仲もヒアリングし、仲が悪くなるとできなくなる場合があることをお伝えしていますが、今仲が良いご家族は、たいてい『うちは仲がいいので大丈夫です。』とおっしゃられます。
僕自身も、相続がきっかけでご家族の仲が悪くなるのは、お亡くなりになった方の本望ではないと思いますし、相続税対策は、残す方が、仲が悪くならないような対策を考える場であると常に思って、提案をしています。

最強の相続税対策は「家族仲良く円満に」であることについて、どう思われましたか?


相続や終末期医療を話し合う「家族会議」は参加者が多いと失敗の元に!

新型コロナウイルスのワクチン接種が進むとともに、お盆や年末年始の帰省も増えていくのではないでしょうか?
「抗体獲得後」に、久しぶりに親子が顔を合わせた際、話し合っておきたいことは数多くあります。
マネーポストWEBに、どうやって話を切り出し、何を決めればいいのかが書かれています。

相続や葬儀、終末期医療などは、家族同士でも話題にするのがはばかられることもあるデリケートな問題です。
気軽に“リモートで話そう”というわけにはいきません。
だからこそ、新型コロナの影響は大きいのです。

妻に先立たれ、ひとり暮らしの73歳男性がこう話しています。
「父が亡くなった時は、実家のどこに通帳や現金、重要書類があるかを整理している最中だったので、全財産をきちんと継げたのか判然としなかった。その反省から、息子と娘には面倒をかけないようにと、細かい財産目録を作って3か月に1回更新しています。誰に何を相続させるかも整理して、子供たちが帰省した時に最新のリストを見せていた。ただ、この1年ほどはコロナで子供たちも帰省しないので、その機会がなくなってしまった。」

この男性のようにコロナ前から準備を進めていたのであれば影響は少ないですが、“これから話し合おう”と思っていた家族には、コロナ禍が大きな問題となりました。

ワクチン接種が進めば、ようやく「家族会議」で顔を合わせて話せるようになるでしょう。

相続問題に詳しい公認会計士・税理士の五十嵐明彦氏はこう言っています。
「いたずらに焦っても仕方ありませんが、家族会議をやろうと思っているうちに親御さんの認知症が進行してしまったケースもあるので、早い段階で話し合う場が設けられるとよいでしょう。ポイントのひとつとしては、参加者をしぼることです。息子や娘など、法定相続人に限定し、それぞれの配偶者を入れないほうがスムーズに進みやすい。」

関西在住の78歳男性は一昨年、ケガで入院して手術を受けた後、退院する際に集まった2人の息子とそれぞれの妻の4人を前に、自分が死んだ後の財産分与について話したというが、「失敗だった」と振り返っています。

「長男は東京で就職し、次男夫婦は私と同居している。だから自宅は次男に相続させ、預貯金は2人で分けてほしいと伝えました。自宅を継ぐと、墓を守ったりと色々費用がかかるから、多少、次男に手厚くしたいという話もしました。
すると後日、長男が“配分に納得できない”と言い出したのです。どうも、一緒に話を聞いていた長男の妻から文句が出たようです。コロナが収束したら、息子たちだけを呼んでもう一度、話をしなくてはならないと思っています」

家族会議では、「誰に、どこまで情報を伝えるか」が重要です。
ひとつひとつ確認していきましょう。
まず、家族会議に先立って、財産の内容を整理した一覧を作成します。
預貯金や有価証券、不動産などをリスト化していきますが、その内容を子供たちにどこまで伝えるかは、慎重な検討が必要です。
相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美氏はこう言っています。
「口座番号などの情報を整理して一覧にするのは必須ですが、細かい残高まで記入したほうがいいかはケースバイケースでしょう。金額がはっきり分かったことで、子供たちが遺産をアテにするようになっても困ります。
ただし、子供たちのうちの誰か一人、たとえば同居する長男が親の財産を管理するといった場合は、内容をオープンにしたほうがいい場合もある。子供たちの間で、“不正な持ち出しがあったのでは”といった疑心暗鬼が生じることを防ぐ必要があります」

また、“マイナスの財産”である負債については、亡くなった後に発覚すると家族の手間も負担も増えるので、その存在を家族の誰かに明確に伝えておくことが重要です。

僕も、税理士として、相続税の申告のお手伝い、相続税対策のお手伝いなどをさせていただいておりますが、もめるケースで多いものの1つは、遺産分割協議などに相続人以外を入れるケースだと以前から感じています。
窓口となる方が相続人でないような場合、結構気を使っています。
血のつながった方じゃないと分からない過去の細かいことなどがあり、他人(姻族を含む。)が口をはさむ問題ではないからです。
この辺りは、気をつけて進めていただきたいですね。

相続や終末期医療を話し合う「家族会議」は参加者が多いと失敗の元になることについて、どう思われましたか?


自宅の相続の考え方は「誰に譲りたいか」より「税負担を軽くする」が重要!

自分が亡くなった後、遺産相続を巡って家族がバラバラになる──そんな悲しいことはないでしょう。
そういったトラブルを避けるためには、相続や生前整理について正しい備えが必要なのです。

週刊ポストによると、預貯金などの財産が少ない場合はとくに、「自宅」を巡ってトラブル(争族)になるケースが多いようです。
妻と子の関係が険悪な場合は、分け方でもめないように遺言書で遺産配分を明記しておくことが望ましいです。

相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美氏はこう話しています。
「課税強化によって都市圏でマイホームがあれば相続税がかかる家族もいますから、“誰に譲りたいか”だけでなく“どうすれば妻子の税負担が軽くなるか”を考えたい。
妻がある程度の財産を持っている場合、妻が亡くなった後の『二次相続』で子供たちが大きな税負担を強いられるリスクがある。子供に相続させたほうが得になることもあるので、税理士など専門家に相談して、家族の負担が軽くなる方法を考えるといいでしょう」

遺品整理は手間がかかるため、“生前からの形見分け”も多くなりました。
ただし、特定の人だけを対象にすると、それもトラブル(争族)を招きかねません。

「貴金属などの高価なものは、どの子供たちも欲しがるケースが多い。たとえば娘が2人いて、姉だけを呼んで渡すと、妹はいい気持ちがしません。相続では、そういうちょっとしたことが積もり積もって感情的な争いになりがち。だからこそ、できれば子供全員を呼んで分けてもらうのが望ましい」(明石氏)

“一体なんて死に方してくれたんだ!”と恨まれないために、考えるべきことは多いです。

遺産分割は、金額で考える方も多いのかもしれませんが、分けやすい・分けにくい、換金化しやすい・換金化しにくいといったことも考えないといけません。
相続をきっかけに仲の良いご家族や兄弟姉妹の仲が悪くなってしまうことは、ぜひとも避けたいですね。
そのためには、できるだけ早くから、慎重に検討しましょうね。

自宅の相続の考え方は「誰に譲りたいか」より「税負担を軽くする」が重要であることについて、どう思われましたか?


生命保険の契約で同性パートナーを保険金の受取人にできるのか?

ファイナンシャルフィールドによると、同姓パートナーを受取人に指定できる保険商品が増えているようです。
同姓パートナーを受取人とする保険を契約するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか?

昨今、多様性を尊重する考えが広まるとともに、LGBTなど性的少数者のカップルを認めるパートナーシップ制度を導入する自治体が増えてきました。
我がうどん県(香川県)でも増えてきています。
東京新聞 TOKYO Webによれば、2021年4月1日現在、導入自治体数は100に達したということです。

パートナーシップ制度を導入した自治体では、結婚している夫婦と同じ関係の同性カップルが「パートナーシップ証明書」の発行を受けられます。
そして、2015年に渋谷区と世田谷区でこの制度がスタートして以降、それまで親族しか認められなかった生命保険の受取人に、同性のパートナーの指定を認める生命保険会社が増えてきました。
現在は、約半分の保険会社で同性パートナーを受取人にして加入できると言われています。

「パートナーシップ証明書」によって2人の関係が公に認められるようになりましたが、残念ながら法的拘束力がないため、戸籍上の夫婦に認められている権利が認められません。

例えば、万が一どちらかが亡くなったとき、遺された同性パートナーには相続の権利がありません。
そのため、遺産は亡くなった人の親族が相続することになります。
遺言書を遺したとしても、もし亡くなった人の親や子どもがいる場合は、相続の権利を主張(遺留分侵害額請求←昔の遺留分減殺請求)されれば、すべてを同性パートナーに遺せない可能性があります。

その点、生命保険の保険金は、法定相続分とは関係なく、受取人に指定された人が受け取れます。
したがって、自分に万一のことがあった場合にパートナーにお金を遺す方法の1つとして、生命保険の利用が有効となります。

同性パートナーを受取人として認める場合も、生命保険会社によって必要な書類はまちまちです。
大きく分けると、パートナーシップ証明書の提出を必要とするか、会社独自の書類を提出するかの2つに分かれます。

まず、パートナーシップ証明書を必要とする保険会社の場合、住民登録している自治体がパートナーシップ制度を導入していなければ申し込めません。
また、中にはパートナーシップ証明書とともに、任意後見契約や合意契約の公正証書を求める保険会社もあります。

ここで、任意後見とは、将来本人の判断能力が低下した場合などに、本人に代わって法律行為や財産管理などを行う後見人を自ら指名しておく制度です。
公正証書によってパートナーを任意後見人に指名する契約を結び、将来、例えば認知症で判断能力が低下したときなどに、家庭裁判所に申し出て任意後見監督人を選定してもらったうえで、パートナーが後見人になります。

後見人であれば、本人に代わって介護サービスの契約や、本人のために必要なお金を銀行口座から引き出すこともできます。
なお、渋谷区では任意後見契約と合意契約の公正証書がパートナーシップ証明書の条件となっています。

パートナーシップ証明書を必要とせず、所定の書類や住民票などで契約できる生命保険会社もあります。
居住地にパートナーシップ制度がなくても、生命保険に加入できます。
なお、契約の際、訪問して同居実態を確認するケースもあるということです。

ちなみに、自動車保険でも、同性パートナーを配偶者として認める保険会社が出てきました。
これにより、同性パートナーを「夫婦限定」の契約や個人賠償責任保険の補償の対象とすることができるようになります。
また、住宅ローンでも、同性パートナーを連帯保証人として認める銀行や、同性カップルがペアローンを組める銀行が登場しました。

配偶者として税制上の優遇措置が受けられない、相続の権利が認められないなどの不平等はまだありますが、同性カップルを夫婦として認める動きは少しずつ広がっているようです。

日本では、相続においてもそうですが、戸籍にこだわり過ぎているように思います。
時代の流れ・多様性などに対応して、生命保険のように、実態に即したものになっていって欲しいと思いますね。

生命保険の契約で同性パートナーを保険金の受取人にできるのか?について、どう思われましたか?


紀州のドン・ファン元妻逮捕で遺産の行方は?

夕刊フジによると、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家(当時77)を殺害したとして元妻(25)が殺人などの疑いで逮捕されたことで、注目されるのが13億円超の遺産の行方です。
すでに訴訟沙汰になっていますが、今後の捜査も取り分を左右しそうです。

約13億5,000万円とされる遺産について2019年9月、紀州のドン・ファンが全財産を田辺市に寄付するとした遺言書が見つかったとして、田辺市が受け取る方針を明らかにしています。

弁護士の高橋裕樹氏は、「相続人ではない第三者に全額を相続するという遺言でも、妻、子供、親には『遺留分侵害額請求権』が認められている。このケースでは請求権を認められるのは元妻のみで、田辺市と半分ずつ相続することになる」と解説しています。
元妻には6億7,500万円が入る計算です。

これに対し、紀州のドン・ファンの兄ら親族4人は2020年5月、遺言書の無効確認を求めて提訴しました。
訴状によると、遺言はコピー用紙1枚に赤ペンで手書きされたもので、熟慮の末に作成したとは考えにくいとしています。
無効が認められた場合、「元の法定相続に従って遺産が分配され、親族側は4分の1、残りの4分の3は元妻に相続される」と高橋氏は言っています。
元妻の相続分は10億円を上回ります。

しかしながら、元妻の逮捕で状況は一変しました。
民法にのっとり相続人の相続権を剥奪する「相続欠格」という制度があるためです。
前出の高橋氏は「相続欠格の要件の一つに『故意に被相続人を死亡させて刑に処された場合』という項目がある。元妻が殺人罪で起訴され有罪が確定した場合、相続権をはく奪され、焦点は再び遺言の有効性に移る。遺言が有効なら遺産は全額田辺市に、無効と認められれば親族側が全額を分け合うことになる」と話しています。

元妻が今後起訴された場合、公判の長期化が予想されます。
「有罪か無罪か決まるまでは遺産の分割に踏み切ることはできないだろう」と高橋氏は言っています。

これとは別に、元妻は紀州のドン・ファンから引き継いだ会社の資金約3,830万円を詐取したとして、紀州のドン・ファンの知人男性で会社の元監査役から詐欺容疑で告発されています。
事件の影に、金銭問題が見え隠れしています。

真実が何かは僕には分かりませんが、相続って大変ですよね。
お金持ちは、相続人らがもめないよう時間をかけて慎重に相続税対策をしないといけないと思いますし、普通の人でも、相続税はかからなくても遺産分割は必要ですので、相続対策は必要かと思います。

紀州のドン・ファン元妻逮捕で遺産の行方は?について、どう思われましたか?


国税庁がHOYA元社長遺族の遺産90億円の申告漏れを指摘!

2015年に死去した光学機器大手「HOYA」(東京)の鈴木哲夫元社長の遺族が東京国税局の税務調査を受け、約90億円の相続財産の申告漏れを指摘されたことがわかったようです。
国税局は、鈴木氏が保有していたHOYA株を移転させたことによる相続財産の圧縮が、「著しく不適当」と判断した模様です。

過少申告加算税を含む相続税の追徴課税は約50億円で、遺族は既に納税したとみられます。

鈴木氏は2015年6月に90歳で死去しました。
関係者によると、死去する前年の2014年、保有する百数十億円分のHOYA株を資産管理会社「エス・アイ・エヌ」(以下、「エヌ社」といいます。)に現物出資し、エス社の株を取得したのち、エス社はHOYA株を完全子会社の「ティ・ワイ・エッチ」(以下、「ティ社」といいます。)に寄付しました。
ちなみに、いずれも非上場会社でした。

鈴木氏の遺族はエス社株を相続しましたが、相続税は相続財産の価格をもとに算出する必要がありますが、株価が公開される上場企業の株と違い、エス社株は時価が分からないため、独自にその価値を計算しなければなりません。
遺族側はこれを約20億円と算出し、相続税を申告しました。

これに対し国税局は金額が少なすぎると指摘したのです。
遺族側がエス社株の価値の算定に当たり、完全子会社であるティ社が持つHOYA株の存在を十分に反映していなかったということです。

これだけの金額の(結果としてなっていませんが)節税を図っているので、当然、税理士が関わっていると思われますが、少し安易すぎるのではないかと思います。
この手の節税スキームは世の中でたくさん行われていると推測されますが、色々と検討して、きちんとストーリーを描いたうえで実行しないと、損害賠償請求にもつながるのではないかと思います。
ざっくりと言うと、非上場株式の評価は、『類似業種比準価額方式』と『純資産価額方式』というものを用いて行うのですが、一般的に、前者のほうが後者より低い金額になります。
好きにどちらを選んでも良いというわけではなく、原則的に、会社の規模が大きくなると、前者のウェイトが高まり、株価が安くなっていきます。
また、計算上、その会社が『大会社』となると、前者のみを使うことになるのですが、そうなると、その非上場会社の配当・利益・純資産を用いて計算しますので、持っている上場株式の評価は関係なくなります。
それゆえ、相続税が極端に少なくなるのです。
財産評価基本通達6項は、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と定められており、行為計算の否認の条項ではないのですが、課税当局の伝家の宝刀であることには違いありません。資産管理会社へ移すタイミング・理由などを明確にしておかないと節税が目的ということになるでしょうし、時価との乖離が大きい場合は慎重にやらないと、厳しいでしょうね。
もちろん、財産評価基本通達6項も、何がO.K.で何がN.G.というのがまったく分かりませんから、明確なものに変えないといけない時期に来ているのかもしれませんが。

国税庁がHOYA元社長遺族の遺産90億円の申告漏れを指摘したことについて、どう思われましたか?


2020年分の路線価の引き下げが大阪・ミナミの13地域に拡大!

国税庁は、先日、大阪・ミナミ(大阪市中央区)の13地域の地価について、新型コロナウイルスの影響で最大30%近い下落が確認されたとして、相続税などの算出に使う2020年分の路線価を引き下げると発表しました。
引き下げは、2021年1月に続き2回目です。
前回の対象は道頓堀周辺に限られていましたが、今回、難波や船場にまで拡大しました。

路線価は全国の主要道路に面した1平方メートル当たりの土地評価額で、毎年1月1日時点の調査で決められています。
地価の約8割を目安としているため、下落幅が20%を超えると路線価の方が高くなり、算出される税額も高くなってしまいます。
その不利益をなくすため、国税庁は3か月ごとに地価を調べ直しています。

前回の再調査(2020年7~9月)では、心斎橋筋2丁目、道頓堀1丁目、宗右衛門町の3地域の地価が2020年1月と比べて23%下落したことが分かり、路線価を引き下げました。
今回の再調査(2020年10~12月)では、この3地域に加え、難波千日前や日本橋1丁目、南船場3丁目など、計13地域で21~28%の下落が確認されました。

金融庁は、「訪日客の不在が長期化している影響」とし、13地域について、路線価に補正率(0.90~0.98)を掛けて減額します。

今回の再調査では、そのほかに、東京都新宿区の「歌舞伎町1丁目」で15%、名古屋市中区の「錦3丁目」で16%、京都市東山区の祇園で14%程度、神戸市中央区の三宮駅付近で8~13%の下落がそれぞれ確認されましたが、いずれも路線価の引き下げは見送られました。

大阪のミナミは、コロナ前は外国人だらけでしたから、地価が大きく下落していますね。
相続税の計算上は引き下げは嬉しいでしょうが、資産としての価値を考えると厳しいですね。
それ以外の、新宿の歌舞伎町、名古屋の錦3丁目、京都の祇園、神戸の三宮駅付近も地価と路線価が近づいているわけですね。
まだまだ新型コロナウイルスは収まらないでしょうから、2021年分の路線価はかなり下がるでしょうね。

2020年分の路線価の引き下げが大阪・ミナミの13地域に拡大したことについて、どう思われましたか?


亡くなった人の銀行預金をおろす方法!

DIAMONDonlineに橘慶太税理士の記事が載っていますが、相続が発生すると、その方の預金口座は凍結されます。
預金の払い戻しを受けるためには、相続人全員の同意と印鑑が必要でした。

そのため、「相続人同士の仲が悪い」「遠方にお住まいのため共同で手続きができない」ときなどは、故人の預金を引き出すことができず、当面の生活費や葬儀に充てるための費用を工面できませんでした。

そこで2019年7月より、預金の払い戻し制度が始まりました。
これにより、相続発生後に凍結されてしまう銀行口座について、相続人の同意がなくても一定の金額を払い戻すことができるようになりました。

一定の金額とは、各銀行の相続開始時の預金額に3分の1と、その相続人の法定相続分を乗じて計算した金額とされており、その金額が150万円を超える場合は150万円が上限となります。

例えば、相続人が子ども2人であれば、各相続人の法定相続分は2分の1ですので、仮に預金額が600万円であれば、600万円×3分の1×2分の1=100万円となるので、100万円を払い戻すことが可能です。

もし、預金額が1,200万円であれば、1,200万円×3分の1×2分の1=200万円となり、150万円を超えているので、払い戻せる金額は150万円になります。

また、遺産分割協議が難航し、調停や審判を行う場合で、家庭裁判所が必要性を認めた場合には、この金額を超える部分の引き出しも認めてもらえるようになりました(仮分割の仮処分の要件緩和)。

当初、使いやすそうな制度に思えたのですが、実際の手続きには、法定相続分を明らかにするために、亡くなった方の出生から死亡時までの戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本が必要です。
申請してから振込までに2週間以上かかる銀行もありますので、葬儀費用に充てるには間に合いません。

ただし、葬儀費用のためではなく、当面の生活費の確保のためということであれば、とても有効な制度と言えるでしょう。

なお、この払い戻したお金を葬儀費用に充てる場合はいいのですが、もしも、相続人の自分の生活費に使った場合には、相続放棄ができなくなってしまいます。
そういった面でも、この制度の利用は慎重に考えなければいけません。

ちなみに、ちょっと悲しい話ですが、葬儀費用を誰が負担すべきかを争った裁判は過去にいくつかあります。
裁判の結果、①相続前から葬儀社との間で負担者が決まっていた場合にはその人、②相続人の話し合いで負担者が決まればその人、③話し合いで決着がつかない場合には、喪主負担とすることが通例となっています。

このあたりの知識も持っておいて損することはないでしょう。

以前から、亡くなってから葬儀費用を預金から引き出そうとすると、口座が凍結されて引き出せないということはよく耳にするせいか、相続税申告のお手伝いをしていると、最近は、亡くなる直前や、亡くなった直後に預金を引き出しているケースをたまに目にしていましたが、こういう制度もありますので、知っておくことは重要ですね。
あとは、亡くなる直前に引き出しても、亡くなったときに残っていたものについては相続財産になりますので、申告漏れがないようにしたいですね。

亡くなった人の銀行預金をおろす方法について、どう思われましたか?


「借金すれば相続税対策になる」に騙されるな!

ダイヤモンドオンラインに、橘慶太税理士の記事が載っています。
コロナ禍では、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。
相続税は、1人につき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。
家族間のトラブルも年々増えており、相続争い(争族)の8割近くが遺産5,000万円以下の「普通の家庭」で起きているのです。

ちまたでよく聞く「借金をすれば相続税対策になる」という話を考察していきましょう。
結論から言うと、この話は嘘です。
不動産を購入するから相続税が減るのであって、借金やローン自体に相続税を減らす効果があるわけではありません。
手元に余裕資金のある人は、手元の預金で不動産を買っても、借金して不動産を買ったとしても、減る相続税の金額は同じです。
つまり、相続税対策のために無理にローンを組む必要はないのです。

ただし、生活費や将来の相続税の納税資金を残しつつ、規模の大きめな不動産を買いたい方は、あえてローンを組んで不動産を買うのもよいでしょう。

不動産を買うために手元の資金をほとんど使い、相続税の支払いに充てる資金を無くしてしまった場合は、①延納(税金の分割払い)、②銀行から借金をして相続税を払う、このいずれかを選ばなければいけません。
銀行は、相続税を払う目的でもお金を貸してくれますが、一般的にこの場合の金利はかなり高く、年利3~10%前後になることが多いです。
ちなみに、延納の利子税は1%前後で銀行の金利よりも安いです。
しかしながら、延納は、当面の生活費(3か月分)だけの金銭を残し、それ以外の金銭はすべて納税に充て、それでも賄い切れない部分にだけしか認められません。
非常に厳しい制度なのです。

一方、不動産を買うためのローンは、不動産に抵当権を設定される代わりに、金利は比較的安く、自宅として使うなら住宅ローン控除が使え、投資用として使うなら利息は経費として扱えます。
相続税を払うための借り入れに比べてかなり得です(相続税を払うための利息は経費にできません)。
そういった意味でも、あえてローンを組んで余裕資金を確保しておくのも一つの手です。

「相続争いは金持ちだけの話」ではありません。
実は「普通の家庭」が一番危ないのです。
2018年に起こった相続争いの調停・審判は1万5,706件。
そのうち、遺産額1,000万円以下が33%、5,000万円以下が43.3%です。
つまり、相続争いの8割近くが、遺産5,000万円以下の「普通の家庭」 で起きています。
さらに、2000年から2020年にかけての20年間で、調停に発展した件数は1.5倍以上に増えており、今後もさらに増えていくことが予想されます。

なぜ、普通の家庭で相続争いが起こるのでしょうか?

「財産がたくさんある家庭」が揉めると思われがちですが、それは間違いです。
揉めるのは 「バランスが取れるだけの金銭がない家庭」 です。
例えば、同じ5,000万円の財産でも、「不動産が2,500万円、預金が2,500万円」という家庭であれば、一方が不動産を、もう一方は預金を相続すれば問題ありません。
ところが、「不動産が4,500万円、預金が500万円」ならどうでしょうか?
不動産をどちらか一方が相続すれば、大きな不平等が生じます。
こういった家庭に相続争いが起こりやすいのです。

多くの方が「私たちの家庭事情は特殊だから」と考えがちです。
しかしながら、相続にまつわるトラブルには明確なパターンが存在します。
パターンが存在するということは、それを未然に防ぐ処方箋も存在するのです。

記事には書いていませんが、相続財産が少ないほどもめる件数が多いというのは、分母がそもそも違うという面はあるのかもしれませんが、相続財産がそれなりにある方は、相続対策をしているということだと思います。
あとは、相続税がかかるかかからないかを問わず、遺産分割、つまり、財産を分けることはしないといけないからです。
僕も良く言っていますが、『借り入れをすれば相続税が安くなるというのはウソ!』など、間違った知識をお持ちの方も多いのも事実かと思います。
『うちは関係ない。』と思わずに、早めに相続対策はしましょうね。

「借金すれば相続税対策になる」に騙されるなということについて、どう思われましたか?


10年分の管理費相当額の納付で相続した土地を国有化できる制度案!

2021年03月26日(金)

読売新聞によると、政府は、先日の閣議で、所有者不明土地問題の解消策を盛り込んだ民法などの改正案を決定しました。

相続登記や住所変更登記の申請を義務化することなどが柱です。

今国会での成立を目指し、2023年度にも施行するようです。

改正案では、相続人が相続した土地を手放したい場合、権利関係に争いがないなどの要件を満たしていれば、10年分の管理費相当額を納付することで、土地を国有化できる制度も新設するようです。

土地の所有者が特定できない場合、裁判所が管理人を選定する制度も設けました。

僕も、年間数件、相続税の申告のお手伝いをさせていただいておりますし、相続税対策のお手伝いもさせていただいておりますが、亡くなられた方が農家、相続人がサラリーマンというケースが結構多く、空き地を含めて、相続した土地をどうするか?ということが問題となることが多いです。
都会の違い、地方は土地が簡単には売れないからです。
また、最近は、相続人が県外にお住いのことも多く、なおさら、土地をどうするか?ということが悩ましい問題になります。
こういう制度ができると、選択肢の一つとして、すごく良いと思います。
管理費相当額がどれくらいになるのかが、この制度が使われるか使われないか、重要な気はしますが。

10年分の管理費相当額の納付で相続した土地を国有化できる制度案について、どう思われましたか?


少子高齢化時代反映し相続人のいない方の国への遺産漂流が603億円!

産経新聞によると、財産を残して死亡したものの相続人がおらず、換金の末に国が引き取った遺産の額が令和元年度は603億円に達し、わずか4年の短期間で約1.4倍に急増したことが、先日、最高裁への取材で分かったようです。
少子高齢化の影響とみられます。
遺産を残した人の思いとは裏腹に、国による「相続」を阻もうとした身内が、遺言書を偽造するなど不正に手を染めるケースもあるようです。
自らの死後、誰に何をどれだけ渡したいのか、早めの相続準備が求められていると言えるでしょう。

故人が遺言書を残さず死亡した場合、民法の規定に基づき、遺産は「法定相続人」が遺産分割協議で相続します。
配偶者は常に相続人となり、ほかの血族については子、孫、親などの順で相続します。
兄弟姉妹が死亡していれば、その子に当たる甥(おい)や姪(めい)にも相続権があるものの、遺言書がある場合を除き、いとこを含む遠縁の親族には権利がありません。

相続人が存在しない遺産については、行政機関などの申し立てを受け、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が整理します。
法定相続人のほか、内縁の妻や、介護を続けた「特別縁故者」がいないことを改めて確認し、不動産などは現金化した上で国庫に入れます。
ある法曹関係者は「少子高齢化を背景に、身近な親族や晩年の世話をしてくれる人がいないまま亡くなる人は増えている」と説明しています。

最高裁によると、相続人不在で国が「相続」した遺産の金額は、右肩上がりで増加しています。
平成27年度は約420億円でしたが、平成30年度は過去最高額の約627億円に。令和元年度は約603億円と前年よりもわずかに減少したものの、対平成27年度比で約1.4倍に増えました。

故人が遺言書を残していれば、法定相続人以外の人でも遺産相続は可能です。
このため、遺言書の偽造トラブルが後を絶たないようです。

関係者によると、兵庫県内で法律事務所を営んでいた40代の元男性弁護士は2020年初め、亡くなった大阪府内の女性が残した約2億円の遺産を相続できないか、との相談を女性のいとこから受けました。

元弁護士は「(故人の)全財産をいとこに包括遺贈する」とした文案をいとこに示し、いとこが女性の筆跡をまねた手書きの遺言書を実際に偽造しました。
2020年5月に大阪家裁に提出し、相続できるようにしました。

ところが、その後偽造が疑われ、兵庫県弁護士会の調査に元弁護士は不正を認めました。
「遺産をいとこに遺贈させた方が故人の遺志を反映できると思った」などと説明しましたが、元弁護士は、有印私文書偽造・同行使などの罪で在宅起訴され、2020年11月に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受けました。

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「50歳時での未婚の割合」によると、平成27年で男性は23.37%、女性は14.06%と、それぞれ過去最高を更新しました。
このデータは生涯未婚率とも呼ばれます。
厚生労働省の推定では、生涯未婚率は今後さらに上昇し、法定相続人がいないまま亡くなる人の数も増えるとみられます。

電話相談を受け付ける大阪弁護士会「遺言・相続センター」の蝶野弘治弁護士によると、2020年は、新型コロナウイルスに感染し命を落とすといった不慮の事態に備え、遺産分割や遺言書作成の方法を尋ねる高齢者の相談が特に目立ったそうです。
蝶野弁護士は「残された財産をめぐって遺族同士が相争い、関係が悪化する例は少なくない。遺言書を残すなどして、元気なうちに『終活』に向き合うことが大切だ」と話しています。

国庫に入るのはもったいないと考えるのは分からなくもありませんが、遺言書の偽造は決して認められるものではありません。
弁護士が偽造のお手伝いをしているというのも驚きですが、『相続対策はできるだけ早めに!』というのを改めて感じた記事でした。
皆さまも、できるだけ早めに相続対策に取り組みましょうね。

少子高齢化時代反映し相続人のいない方の国への遺産漂流が603億円もあったことについて、どう思われましたか?


ポーラ・オルビスHDの鈴木社長が保有する株式の売買契約書が「偽造の可能性が高い」との判決!

ダイヤモンド・オンラインによると、化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長が保有する同社株式(以下、HD株)のうち4,191万株(2021年1月29日終値で時価総額877億円)は、元をたどればグループ2代目社長が亡くなった後、鈴木社長が指示して有価証券売買契約書を偽造し入手していた可能性が高いようです。

ポーラ・オルビスHD創業家の巨額遺産裁判で、東京地方裁判所(東京地裁、伊藤繁裁判長)は、2021年1月29日、被告の鈴木社長の指示によって上記の不正が行われた可能性が高いと判断しました。
原告の鈴木千壽氏の訴えを全面的に認める判決を出したのです。
鈴木千壽氏は、鈴木社長の叔父でグループ2代目社長を務めた鈴木常司氏(2000年死去)の妻です。

訴えは、鈴木社長保有のHD株4,191万株が「本来、常司氏死亡後に親族間で分割されるべき遺産であった」ことの確認を求めるものです。
仮に地裁判決が確定すれば、4,191万株は法定相続のやり直しにより、その4分の3(3,143万株、時価総額658億円)が鈴木千壽氏の手に渡る見込みです。

4,191万株は同社の発行済株数(自己株式除く)の18.93%を占め、株式相続のやり直しと鈴木社長の不正濃厚認定は、「株の支配」に大きな変化をもたらします。
遺産裁判によって、鈴木社長を中心とした現経営体制は崩壊しかねません。

以前から興味を持っていたポーラ・オルビスHD創業家の巨額遺産裁判に関し、東京地方裁判所の判決が出ました。
個人的には、非常に安い価格での有価証券売買契約書だったので、本当にありうるのだろうかと思う一方、上場企業のトップともあろう方がそんなことをするのだろうかという、一体どうなるのだろうかと気にはなっていましたが、東京地方裁判所は偽造という判断を下しましたね。
上場企業では前代未聞のできごとだと思いますので、今後どうなるのか楽しみです。
偽造だとすれば、社長では本来なかったということになるでしょうから、過去の役員報酬や株式の配当なんかはどうなるんでしょうね?

ポーラ・オルビスHDの鈴木社長が保有する株式の売買契約書が「偽造の可能性が高い」との判決が出たことについて、どう思われましたか?


土地登記を相続から3年以内にしなければ過料!

日本経済新聞によると、法制審議会(法相の諮問機関)は、先日、相続や住所・氏名を変更した時に土地の登記を義務付ける法改正案を答申しました。
相続から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料を科します。
所有者に連絡がつかない所有者不明土地は全体の2割程度に達し、土地の有効活用の弊害になっています。

法制審の総会で民法や不動産登記法などの改正案の要綱を示しました。
政府は3月に改正案を閣議決定します。
今国会で成立させ、2023年度にも施行します。

現状では、相続が発生しても登記は義務ではありません。
申請しなくても罰則はありません。
土地の価値が低かったり、手続きが面倒と感じたりした場合は、放置する例があります。
死亡者の名義のまま年月を経れば、所有権の把握は難しくなります。

所有者が不明の空き家や荒れ地は処分ができず、周辺地の地価が下がったり景観が悪化したりする問題があります。
公共事業や民間の都市開発が一部の所有者不明土地のために進まないケースも多いようです。

法務省によると、所有者不明土地が発生する理由の66%は相続登記がないことで、34%が住所変更の不備だそうです。

改正案では取得を知ってから3年以内に登記を申請しなければ10万円以下の過料を科します。
住所変更や結婚などで氏名が変わった場合も、2年以内に申請しなければ5万円以下の過料になります。
法人が本社の登記変更を届け出ない場合も過料の対象になります。

一連の罰則は、法施行後に新たに相続する人らが対象になります。
施行前の相続などに伴う問題は一定の猶予期間を定めて適用する見通しです。

登記手続きの負担は減らします。
相続人のうち1人の申し出で登記ができます。
10年間、届け出がなければ行政が法律で定める割合で遺産を配分する「法定相続」にします。

行政が住民基本台帳ネットワークで死亡者を把握し、登記に自動的に反映する仕組みもつくります。
死亡者が名義人だった不動産の一覧情報を発行して親族が簡単に把握できるようにします。

土地やビルなどの建物の共有者が不明でも改修や売却をしやすくします。
裁判所の確認を経て公告し、他の共有者の同意で利用目的を変更できます。
短期間の賃貸借は共有者の過半数で決められます。

裁判所が管理人を選べば、不明の所有者に代わって土地や建物の売却もできます。
代金は所有者が判明した場合に備えて供託します。
商業地などでは共有者が分からず、有効利用ができない不動産も多くなっています。
制度が広がれば都市開発が進む可能性があります。

今回の法改正が実現すれば、新たな所有者不明土地が生まれることを抑える効果はありそうです。
一方で既に所有者が不明になっているへき地の山林などでは、公共事業や民間の開発の対象外なら、引き続き放置される可能性があります。

改正されることは良いことです。
しかしながら、過料が10万円以下というのはどうなのでしょうか?
地価の高いエリアにある土地、面積の広い土地とかだと、登録免許税や司法書士の報酬などで10万円を超えるでしょう。
そのようなケースだと、過料の方がマシという方も出てくるのではないでしょうか?
登記した方が安くつくようにしないと、実効性に欠けるでしょうね。

土地登記を相続から3年以内にしなければ過料となることについて、どう思われましたか?


保険証券に載っていない人が保険金を受け取れる!

ファイナンシャルフィールドによると、保険証券に載っている死亡保険金の保険金受取人ですが、受取人を変更する場合、基本的には、契約者が被保険者の同意を得て手続きを行います。

ところが、死亡保険金の受取人を変更の手続きをせずに変える方法があるのです。
どういうことでしょうか?
死亡保険金の受取人を遺言で指定することができるのです。
受取人の変更にあたり保険会社の手続きを行う時に、受取人の同意を得る必要はありません。

例えば、以下のような生命保険の契約があったとしましょう。
生命保険会社:X
契約者:Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:Bさん(保険金受取割合100%)

Aさんは遺言を作成することにし、その内容に「死亡保険金の受取人をCに変更する」としました。
遺言の作成では、推定相続人(=相続が現実になった時には相続人になる)の同意は不要です。
特に秘密証書遺言の場合、公正証書遺言は2人以上の証人が必要ですが、推定相続人は証人になることはできません。
つまり、遺言によって受取人を変更する場合も同じです。
先述の例でいうと、Cさんが死亡保険金の受取人になったという事実は、Aさんの遺言を見て初めて知ることとなります。

なお、Aさんが遺言によってBさんからCさんに受取人を変更した場合、生命保険会社もその事実を知る由もありません。
つまり、Aさんが契約者・被保険者である生命保険の契約における保険金受取割合100%の受取人として、BさんとCさんの2人が存在することになってしまうのです。

Aさんに相続が発生した場合、どのような展開になるのでしょうか?
BさんとCさんの両方が、それぞれ受取割合100%の死亡保険金を受け取ることができるのでしょうか?
それは、できません。
では、BさんとCさんそれぞれが受取割合50%の死亡保険金(=2人合わせて受取割合100%の死亡保険金)を受け取ることになるのでしょうか?
そうではありません。
答えを言葉飾らずに言えば、BさんとCさんのいずれか、早い者勝ちということになります。

では、保険金の請求手続きに違いはあるのでしょうか。
Bさんの保険金請求は、保険金請求書や死亡診断書、本人確認書類、保険会社によっては戸籍抄本の他、状況によっては他に必要な書類などを生命保険会社Xに送ります。
基本的に、この手続きについてはCさんも同様です。

ただし、Cさんは上記に加え以下の手続きを踏む必要があります。
保険法73条では、『保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない』と書かれています。
保険者とは、先述の例でいうと生命保険会社Xです。
Cさんが保険契約者、つまりAさんの相続人となった場合、Cさんが生命保険会社Xに遺言書を送付して通知する必要があります。
ちなみに、保険金の支払い手続き後、遺言書の原本は返却されます。

保険金請求の手続きにおいて、スムーズに受け取ることはできるのはBさんのほうでしょう。
Bさんは、保険金の請求書を準備するにあたり、他の相続人に諮ることなく、必要な書類を準備できるからです。
また、Bさんは(死亡保険金に限っては)遺言の中身を知らなくても良いのです。

しかし、Cさんのほうは、遺言を見た時に初めて、自らが死亡保険金の受取人であることを知ります。
そして、遺言の原本は(原則として)一通しか存在せず、その一通しか存在しない遺言を生命保険会社Xに送らなくてはなりません。
当然、他の相続人に諮る必要があるでしょう。

生命保険会社Xは、BさんでもCさんでも、保険金を支払ってしまえばその役割を終えることになるので、相続においてこれ以上の関わりを持つことはできません。

遺言によって保険金受取人を変更することは、受取時のトラブル・相続トラブルを生じさせてしまう可能性を秘めています。
こういった事態をしっかり考慮して、検討・手続きを行うことをおすすめします。

遺言による保険金受取人の変更は、2010年6月に施行された保険法によります。
施行前に契約が成立している生命保険では、遺言によって受取人を変更できないこともありますので、生命保険会社に確認する必要があります。

前述のとおり、相続が発生した時に「死亡保険金の受取人を遺言で変更した」がゆえに、相続トラブルに発展してしまう可能性があります。
保険金受取時・相続時のさまざまな状況を想定し、しっかりと検討しましょう。

当初、受取人として考えていたものの、何らかの理由で気が変わり、遺言で受取人を変更することもあるでしょう。
遺言で受取人を変更できることは専門家であれば当然知っていると思いますが、実行する際には、もめる原因とならないように気をつけましょうね。

保険証券に載っていない人が保険金を受け取れることについて、どう思われましたか?


大手銀行の「通帳有料化」が与える相続税申告への意外な影響!

みずほ銀行は「2021年1月18日以降に新規で口座開設する70歳未満の人」から「新規発行時と繰越時」の通帳発行手数料を有料化し、通帳1冊につき1,100円の手数料が発生するようになりました。
また、三井住友銀行でも「2021年4月1日以降に新規で口座開設する18歳から74歳までの人」を対象に、年550円の手数料が発生することが決まっています。
幻冬舎ゴールドオンラインは、そこで相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士に、通帳の有料化に伴う相続税申告の影響と対策について解説してもらっています。

税理士が相続税申告に関与する場合、一般的には亡くなる前の5~6年分の通帳を確認します。
残高証明があれば亡くなった時点の口座種類、口座番号、金額が明らかになるにもかかわらず、通帳の中身を確認するのは、通帳には相続税申告書を作成するための多くのヒントが隠れているためです。
具体的には通帳から下記のような取引を探し、申告書作成のヒントにします。
●親族への資金移動(親族への振込や、親族名のメモ)
●預金口座からの多額の出金(一度に30万~50万円以上)
●相続開始直前の出金(手許現金の金額の推測のため)
●証券会社との取引や配当金の入金
●生命保険料の支払いや個人年金の入金
●定期的な入金(収入)と出金額(生活費)

相続税の申告において、親の財産を子どもが申告するケースが多いですが、子どもが親の財産内容や取引をまったく把握していないということは少なくありません。
生前贈与を行っていたことは覚えていても、その時期や金額をはっきりと覚えていないというケースもあります。
通帳で事実を確認し、それを相続人に質問していくという作業をするために、通帳は欠かすことができない資料なのです。

申告のお手伝いをしていると、亡くなった人の通帳がないというケースは現在でも多くあります。
では、古い通帳が残っていない場合、実務上はどうするのでしょうか?
相続人の間で資金移動が絶対にないというケースであれば確認を省略することもありますが、それ以外のケースでは取引履歴を銀行から取得することをおすすめしています。
相続人から依頼を受けて、専門家が取得代行まで行うこともあります。

この場合、銀行の手数料がかかります。
みずほ銀行の場合は1か月当たり330円ですので、仮に5年分を取得すれば、330円×12月×5年=19,800円の手数料となります。
取得を専門家に依頼すればその手数料もかかりますし、取引銀行の数が多ければそれなりの費用と時間がかかります。

三菱UFJ銀行はまだですが、メガバンク2行で新規口座の通帳発行が有料化されることに伴い、徐々にデジタル通帳(紙でない通帳)を利用する人が増加するのは間違いなさそうです。
この動きはすでに広がりを見せ始めており、他の金融機関でも有料化を行うことが発表されています。
ちなみに、三菱UFJ銀行も、「2021年7月1日以降の新規口座」を対象に、2年以上利用がない口座は年1,200円(税別)の口座管理手数料を徴収することが発表されました。

今現在でも50代、60代の人が亡くなった場合に、インターネット銀行の取引があることはわかっているものの、相続人がそのパスワードを知らないことから、取引履歴をプリントアウトすることができないというケースがあります。
このような場合も、手数料や手間の兼ね合いから必ずしも取引履歴を取得するとは限らず、紙の通帳があるときと比較して、税理士が亡くなった人の通帳を確認できずに申告書を作成せざるを得ないケースが多いように思われます。

一方、税務当局は必要に応じて自由に取引履歴を確認することが可能ですので、税理士が確認できていない取引について指摘され、対応が後手になることが増加しそうです。

また、金融機関は過去10年間の取引履歴の保管義務があるものの、それ以降は行内のルールに従って破棄しているはずのため、税務調査での通帳確認も一部の例外を除いて最大10年間といわれてきました。

ところが、三井住友銀行ではデジタル通帳(三井住友銀行は「Web通帳」と呼んでいます)の利用者は2019年10月以降の取引について、最大30年間の取引を見ることができる予定になっています。
利便性が高まる一方、データが残っていることから将来的には税務調査で10年以上前のことが論点とされるケースが出てくるかもしれません。

有料化の対象は「新規」で口座開設するものが対象です。
今現在、紙の通帳を利用している人は、これまでと同様に手数料がかからないので、高齢者は今までどおり、紙の通帳をしっかりと保管したほうが相続税申告の観点からは好ましいといえるでしょう。

なお、みずほ銀行では毎年1月時点で過去1年間通帳記帳がない方は自動的に「e-口座」という紙の通帳が発行されない口座に移行してしまうため、定期的に記帳するよう注意が必要です。

また、利便性の面を含め、インターネット口座に切り替えたいという人は定期的に取引履歴を家族が利用できるPCにPDF等で保管しておくことや、家族にIDやパスワード等を残すなど対策が必要です。

デジタル遺産という言葉を耳にして久しくなりましたが、その管理と承継の重要性は今後ますます高くなりそうです。

本当は、マイナンバーにすべて口座を紐づけすれば良いのでしょうが、反対もあり、できないでしょうね。
個人的には、マイナンバーを導入するのであれば、そこまでやらないといけないとは思いますが。
まずは、口座を手数料がかかる前に開設しておくということも重要だと思いますね。
あとは、過去の経験上、税務調査において、数十年前の取引が確認できれば反論できるかもしれないにもかかわらず、金融機関が10年しか保管していないということで、悔しい思いをしたこともあります。
良い方に働くか、悪い方に働くか分かりませんが、取引を確認できる期間が延びるということは個人的にはありがたいことだと思っています。

大手銀行の「通帳有料化」が与える相続税申告への意外な影響について、どう思われましたか?


浅香光代さんの内縁の夫が「財産は息子たちと分けてと遺言あった」と独白!

2020年12月13日、すい臓がんのために波乱の生涯を終えた女優の浅香光代さん(享年92)ですが、週刊朝日は浅香さんと事実婚の関係にあったコメディアンの世志凡太さん(87)に独占インタビューしています。

2人が一緒に暮らした約30年の年月、がんがあちこちに転移し「余命3か月」と宣告された最後の日々、浅香さんの「遺言」など、初めて語る数々の秘話を明かしていただいています。

世志さんが浅香さんと暮らしていたのは東京・浅草にある事務所兼自宅の5階建てのビルで、通いのお手伝いさんと猫の「たっくん」(浅草福猫太郎)と、3人と1匹の暮らしでした。

「このビルを建てたのが1991年。ビルができた時から一緒に暮らしていましたから、もうかれこれ約30年になります」
浅香さんは世志さんより5つ歳上で、ビル内にはエレベーターがあり、3階に上がると世志さんの部屋でした。

「この部屋で、浅香と食事をして語り合い、4階の寝室に上がって寝ていました。ベッドは隣合せでしたが別々に分かれていました。とてもかわいがっていた猫の『たっくん』が浅香のふとんに潜り込んできて、寝ていました。寝室の私のベッドの枕元には浅香の分骨がまつってあります。いつでもお参りできるようにね。大勢お参りに来てくれてますよ」

浅香さんは3年前から、心臓にペースメーカーを入れていたそうです。
「若い頃から、心臓がドキドキする方だったそうです。浅香は18年に90歳の卒寿のお祝いパーティを盛大に催しましたが、その時には既にペースメーカーを入れていました。本人は『肋骨のソバにデッパリがあってやだね』って言ってましたがね」

異変があったのは2020年10月中旬のことです。
浅香さんの最後の出演番組となったNHKの「アナザーストーリーズ 運命の分岐点 『阿部定事件〜昭和を生きた妖婦の素顔〜』」を撮り終えた後のことでした。
「自宅の、私が今座っているこのソファーで収録しました。その時はいつもと変わらず歩いてしゃべっていたんですが、3〜4日経って寝込むようになったんです。ソファに私が『そんなとこで寝ちゃだめだよ。ちゃんとベッドで寝なよ』と言うと、ベッドに這いずり上がるようにして寝ていました。足がしびれてトイレに行けないって言うから、これはいけないと思った」

さっそく主治医に相談し、10月末まで2週間ほど介護施設に預かってもらうことになったそうです。
「施設に入って3日目くらいに総合病院に入院することになって、そこでがんが発見されました。医師から『あちこちに転移していて、あと3か月の命です』と宣告され、愕然としました。しかも、新型コロナウイルスの感染予防のために面会謝絶状態となり、思うように面会することもできなくなってしまいました」

ようやく面会がかなったのは、浅香さんが亡くなる1週間前のことで、世志さんは地元の後援者と一緒に見舞いに行ったそうです。

「『わかるかい、6番目の亭主の世志凡太だよ』と言ったら、本人はうなずくだけ。言葉は出なかったけど、私とわかったんじゃないかと思います。それが、私たちの最後の会話でした……それから亡くなるまで私に知らせはなく、最期を看取ることはできませんでした」

2020年12月17日に、家族葬がしめやかにとり行われました。
喪主は長男が務めました。
「家族葬の時、私は内縁の夫だという理由で友人・知人の席に座らされ、妙な感じでした。だから、今度は別のかたちで『忍ぶ会』を盛大にやりたいと思っています。30年前の二人の披露宴は、私がもともとジャズ屋なので、クレイジーキャッツのメンバーとジャズの演奏をしたり、浅香が劇団の連中に引っ張られた人力車に乗っかって登場し、踊りを披露してました。仲人は、はかま満緒、高橋圭三、政治家の福田康夫、当時の世田谷区長と4人いましたね。それはにぎやかな式でした。本人も、そういう送られ方を望んでいるのではないかと思うんです」

ところで、30年も二人で暮らしながら、何故、入籍しなかったのでしょうか?
「私は若い頃から不動産の売買をしていて借金があったから、浅香に迷惑がかかることになってはいけないと思い、入籍はしませんでした」

事実婚なので通常は世志さんに相続の権利はないが、浅香さんは生前、自身の「終活」の一貫として「遺言書」を作っていたそうです。
「ちゃんと法的な立ち会いも入った遺言書です。そこには、『遺産は息子たちと私とで3人仲良く分けて』という主旨のことが書いてありました。遺産と言っても、この5階建てのビルの土地は別の人の持ち物だし、建物だけ。そんなにはありません。貯金などすべて合せて数千万円くらいです。私は、子供たちと平等に3分の1ずつ分ければいいと思っています。ビルの建物も売却する予定で話が進んでいます。ただ、浅香は一生、浅草にいたいと言っていて浅草が大好きでしたから、売却してもここを借りる予定でいます」

浅香さんは9歳で舞台劇団の一座に加わるようになり、「浅香光代一座」を旗揚げで、浅草や新宿など各地で興行しました。
そのうちに、ジャズマンだった世志さんと知り合い、今日に至っています。
世志さんは、こう回想しています。
「戦後の一時期、浅香は舞台で、胸のさらしが落っこちそうになると暗転する、そういう“チラリズム”の演出をやっていて、これがまた人気になりましたね」
60年代に入ると、長谷川伸の名戯曲「一本刀土俵入」や「勧進帳」などの演目で大劇場で舞台公演をし、女剣劇のスターになりました。

日本舞踊では全国に3千人以上の門弟がいる「浅香流演劇舞踊団」を主宰していました。
弟子の中には著名人もいたようです。
「昨年亡くなった芸能リポーターで目黒区議の須藤甚一郎さんや梨元勝さん、オスマン・サンコンさんも、舞踊の弟子でしたね。浅香流の『名取』にもなれたんじゃないかな」
浅香さんはきっぷのよい性格で、稽古場では人前で胸のさらしを取り替えても気にしなかったそうです。

「稼いだお金はほとんど、衣装、かつら、大小の刀などにつぎ込んでいました。私はそんな彼女の仕事へのひたむきさに惚れましたね」
プロ野球監督だった野村克也氏の妻、野村沙知代さんとは、1999年から3年くらい「ミッチー・サッチー騒動」でお茶の間の話題をかっさらった。
「もともと、ノムさん(野村克也氏)とサッチーさんと私たち4人は古くからの知り合いでした。サッチーさんの情報が浅香に集まるものだから、テレビリポーターやスポーツ紙、週刊誌の記者たちが連日、うちに詰めかけていましたよ。今思えばたわいもないネタで盛り上がったものですが、うちはサッチーから名誉毀損で訴えられ、110万円の支払い命令を受けました。でも、サッチーはその後、騒動について『あれは浅香光代さんを有名にするためにやってあげたのよ』なんて言ってましたけどね」

様々な修羅場をくぐり抜けてきた浅香さんですが、この1年くらいの暮らしぶりはどうだったのでしょうか?

「1日5食べていましたよ。眠っているか食べるか、でしたね。2人で外食へもよく行きました。浅草の老舗の喫茶店『デンキヤホール』の『ゆであずき』とオムレツの皮で巻いた『オムマキ』が大好物でしたね。ラーメン店へもよく出かけました」

世志さんは今後、茨城県に引っ越す計画を立てている。
「茨城県に全部で2万5,000坪くらいの広い土地がありまして、開発する会社の役員になっています。そこに浅香光代の芸能記念館、介護施設、ショッピングモールを造りたいと思っています。私は昔から、売れてナンボの芸能界だから、売れないで下の方でうろちょろする人生はつまんねぇと思っていましてね。新型コロナで、歌い手も役者もスタッフもどれもこれもみんな食えなくなっているでしょう。地方の方が、面白い時代ですよ。やりがいのある時代でもあります。才能はあるけど、埋もれている芸人にどんどんと仕事を与えたいと思っています」
FMスタジオなども設け、30席前後の客席もつくり、日本舞踊や三味線の演奏者などに芸を披露してもらう構想も持っているそうです。
「茨城県は都道府県別の魅力度ランキング(ブランド総合研究所調査)で42位。そんな茨城県を活性化したいと思っています。ちょっとこれからは違う世志凡太の生き方も模索したい」

前述の、浅香さんの最後の出演番組となった「アナザーストーリーズ 運命の分岐点 『阿部定事件〜昭和を生きた妖婦の素顔〜』」は、浅香さんが亡くなった後の2020年12月22日に放送されました。
浅香さんは定と実際に交流があったそうです。
「浅香の最後にふさわしいドキュメンタリーになりました。浅香がいないのは寂しいけど、浅草のみなさんに愛された浅香光代なんだから、天寿をまっとうし、今でも慕われ、浅香も満足だと思います」

形式ではなく、実態で判断すべきものだと思いますが、事実婚の場合、民法で相続権は認められておらず、税法(相続税法)でも基本的に民法の規定に従います。
そのような中、きちんと『終活』をして、公正証書遺言を作っていたというのは、素晴らしいことだと思います。
野村さんのところはもめているみたいですので。
遺言書を作ることが逆にもめる原因になることもあるかもしれませんが、生前にきちんと遺言書を作っておくというのが普通になればいいなぁと思います。

浅香光代さんの内縁の夫が「財産は息子たちと分けてと遺言あった」と独白!したことについて、どう思われましたか?


任意後見人の立場悪用した行政書士が90代女性の口座から4,800万円を着服!

読売新聞によると、任意後見人の立場を悪用して女性の預金約4,800万円を着服したとして、業務上横領罪に問われた大分市の元会社経営で、大分県行政書士会員(55)に対し、大分地裁は、先日、懲役3年6月(求刑・懲役5年)の判決を言い渡しました。

判決によると、行政書士は2017年2月~2019年6月、任意後見人として財産を管理していた大分県宇佐市の女性(90歳代)の口座から30回以上にわたり、計約4,800万円を着服しました。
事業資金や借金の返済に充てていたようです。

金友宏平裁判官は「行政書士の立場を利用して信頼を得ており、被害結果も重大」と指摘しました。

判決後、弁護側は控訴しない方針を示しました。

大分県行政書士会は「最も重い廃業勧告を視野に処分を検討する」としているようです。

士業による着服も年間何件かは起こりますね。
どの士業も、人数が増えて、報酬が安くなっているのかもしれませんが、付加価値の高い仕事を考えたり、業務の効率化を考えたり、時代の流れを見越した商売をしないといけないですね。
そもそも倫理とかの話だと思いますので、こういった方々には、士業をやらないで欲しいですね。
こういった事件が、士業の信頼を失うことになりますので。

任意後見人の立場悪用した行政書士が90代女性の口座から4,800万円を着服したことについて、どう思われましたか?


家族信託のメリットとは?

ガシェット通信によると、家族信託とは、財産を信じて託すことで、一般的には銀行の信託が有名ですが、銀行ではなく家族を信じて託すのが家族信託です。
例えば、アパートの大家さんが家族信託をする場合、自分でアパートを所有したまま、賃貸経営者である受託者と、家賃を受け取る受益者を家族に指定する内容の信託契約書を締結します。
・委託者:本人
・受託者(賃貸経営する人):子
・受益者(家賃を受け取る人):孫
通常、本人が所有していれば賃貸経営するのも家賃を受け取るのも本人ですが、家族信託を利用することでこれらをすべて別々の人に指定することができるのです。

では、受託者、受益者を指定することでどのようなメリットがあるのでしょうか?

アパート経営をしている本人が認知症にかかってしまうと、その後の賃貸経営が非常に難航します。
具体的には、家賃の集金管理や建物に必要な維持修繕費用の支出、さらには管理会社との管理委託契約など、さまざまな法律行為について本人が行うことができません。
通常、このような状況に陥ると成年後見という制度を利用することになります。

成年後見制度とは、認知症や痴ほうなどで判断能力がなくなってしまった方の財産を保護するために、裁判所に申し立てをして本人の代わりに財産を管理する成年後見人を選任してもらう必要があります。
この場合、手続き的には非常に大変で医師の診断書など様々な書類が必要になるほか、時間もかかるため実際に利用するのはとても大変です。

また、成年後見人を家族で選任できたとしても、財産の処分など一定の行為については後見監督人や裁判所の許可などが求められるため、とにかく時間がかかります。

一方、家族信託を利用した場合、本人が認知症にかかったとしても賃貸経営の実務については、事前に受託者に委託しているので、本人の同意をその都度得ることなく、受託者の名前で管理委託契約書を締結したり、場合によっては物件自体を売却したりすることも可能です。
つまり、本人が認知症になっても成年後見制度を利用することなく、これまで通り受託者が主体となって賃貸経営を継続することができます。

アパートの所有者が何らかの事情で破産した場合、通常であればアパートは差し押さえの対象になります。
一方、家族信託を使っている場合、本人が自己破産した場合でも、アパートは信託財産なので受託者に属するという扱いになり、差し押さえの対象ではなくなるのです。
ということは、受託者が破産したらアパートを差し押さえられるのでは、と思うかもしれませんが、ここが家族信託の面白いところで、信託財産は独立した財産として扱われるので、受託者が破産したとしても差し押さえられません。
このように破産から財産を守ることができることから、「倒産隔離機能」ともいわれています。

遺言書で財産を相続させる場合、自分が死亡した時の相続についてはもちろん指定できますが、そこから先の二次相続のことについては遺言書に書いたとしても実現することができません。
よく相談されるのは、自分の財産を妻に相続させたのち、将来妻が死亡したら長男に相続させることはできますか、と聞かれることがあるのですが、これを遺言書で実現することはできません。
通常であれば、妻の相続については妻自身の遺言書でしか指定ができないからです。

一方、家族信託を利用した場合、信託契約書の条文で信託財産から生じる家賃について、受益者が死亡した場合、次の受益者を指定しておくことができます。
つまり、妻の死亡後の二次相続にまで踏み込んで信託契約ができるということです。
こういった内容の信託契約のことを「後継ぎ遺贈型の受益者連続型信託」といいます。
これを使えば、遺言書では実現できない二次相続後の扱いについても、本人の意思で実現することが可能なのです。

家族信託はまだ広く一般には浸透していませんが、メリットが非常に大きく成年後見制度よりも使い勝手がいいので、アパートなどの収益物件をお持ちの方については特におすすめです。
ぜひ遺言書とあわせて検討してみてはいかがでしょうか?

個人的にも、数年前から『家族信託』に興味を持ち、講座を受けたりして、資格なども取得しています。
比較的新しい制度であり、今後、訴訟の判決によって実務がこなれていく面は大いにあるとは思いますが、使い方を間違えなければ、素晴らしい選択肢の一つになります。
基本的には、節税にはなりませんが、財産管理、相続対策という意味ではすごく使えると思います。

家族信託のメリットについて、どう思われましたか?


亡くなった本人しか分からないネット口座内の上場株式を相続する際の対処策!

相続した株式を売却すると、譲渡所得税がかかります。
一般に、株式を相続するなら証券会社で名義変更の手続きが必要です。
また、上場株式だと評価はそれほど難しくありませんが、評価額を巡って相続人同士がもめることがあります。
さらに、インターネット口座の普及で保有株式の存在が本人しか分からないと、相続する身内はどうしたらいいか分かりません。
相続会議で、上場株式の相続手続きや評価方法、相続する際の注意点について、税理士が解説しています。

上場株式の相続手続きは、以下の流れで行います。

<1.証券会社へ連絡し、取引内容を確認する>
相続が始まったら故人が口座を保有していた証券会社に連絡しましょう。
取引していたかどうかは、証券会社からの郵便物や通帳の履歴から把握します。
この連絡の際、相続に必要な書類と手続きを確認します。
また、遺産分割や相続税の申告に備えて残高証明書を請求しましょう。
残高証明書で株式の種類や銘柄、数量が確認できます。
遺産分割協議前でも相続人なら取得可能です。
ただし残高は相続開始日(口座名義人の死亡日)のものでなくてはなりません。

<2.相続人名義の口座を開設>
故人の株式を相続するには、引き継ぐ人自身の口座を準備しなくてはなりません。
故人の株式を売却する予定であっても相続人名義の口座が必要になります。
故人と同じ証券会社に以前から口座を持っていたのでなければ、口座開設の手続きを行いましょう。

<3.名義変更をする>
相続人名義の口座を準備できたら、株式の名義変更を行います。
株式の売却は名義変更後になります。
なお、名義変更には次のような書類が必要です。
・相続による株券名義書換依頼書(証券会社所定の書類)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・遺産分割協議書または遺言書
・相続人全員の印鑑証明書
なお、戸籍謄本の代わりに「法定相続一覧図」を使うこともできます。

故人が上場株を保有していたかどうかは、配当計算書や支払通知書、株主総会招集通知書が郵便物にあるかどうかで分かります。
また、取引残高報告書も郵送かメールで証券会社から交付されます。
しかしそれでも取引があったかどうか、分からないことがあります。
このようなときは証券保管振替機構(通称「ほふり」)に連絡しましょう。
「登録済加入者情報の開示請求」という手続きを行えば、どの証券会社に口座を開設していたかが分かります。
この開示請求で必要な書類は、以下のとおりです。
・開示請求書
・請求する人(通常は相続人)の氏名・生年月日・住所が確認できる書類(運転免許証など)
・法定相続一覧図(なければ被相続人の除籍謄本や相続人の戸籍謄本など)
・被相続人の住所を確認できるもの(戸籍の附票など)
・相続人の印鑑証明書

【参考】証券保管振替機構HP
【相続人(又は相続人の代理人)】登録済加入者情報の開示請求に係るお手続について(https://www.jasdec.com/download/ds/certificate/kaiji/otetsuzuki2.pdf

また、現在、上場株は法律によりすべて電子化されています。
なので、通常、上場株には株券という書面が存在しません。
しかしごく稀に電子化されていない株券(失念株)が発見されることがあります。
このようなときも「ほふり」に連絡し、電子化の処理を依頼しなくてはなりません。

預金もそうなのですが、ネット取引があると、相続財産の把握が困難なときがあります。
上場株式については、上記のように『ほふり』に連絡すれば分かりますので、便利ですね。
まぁ、それよりは、エンディングノートを書くなどして、相続人が相続財産の把握に苦労することがないようにしておくことが大事かと思います。
早めに、相続のことを考えておきましょう。

亡くなった本人しか分からないネット口座内の上場株式を相続する際の対処策について、どう思われましたか?


空き家の賃貸・売却時の課題は「需要不足」!

不動産流通研究所によると、国土交通省は、先日、「令和元年空き家所有者実態調査」の結果を公表しました。

1980年よりほぼ5年ごとに「空家実態調査」として継続的に実施してきましたが、「平成30年住宅・土地統計調査(総務省)において世帯が回答する調査票に新たに「居住世帯のない住宅(空き家)」についての調査項目が追加されたため、調査対象・方法を見直し、名称が変更されました。
調査対象は、「平成30年住宅・土地統計調査」(2018年10月1日現在)の調査区から無作為に抽出した調査区内において、「居住世帯のない住宅(空き家)を所有している」と回答した1万2,151世帯。有効回答数は5,791世帯です。
調査期間は2019年11月~2020年1月となっています。

調査では、半数を超える空き家で、腐朽・破損が見られました。
利用現況別では、「二次的住宅・別荘用」は3割超、「貸家用」は4割超、「売却用」・「その他」については6割超の物件で、腐朽・破損が報告されました。
管理頻度・利用頻度は「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割となっています。
所有世帯の居住地からの所要時間は1時間以内が約7割を占めています。

今後5年程度の利用意向は、「空き家にしておく」が約3割で最多となっています。
その理由は「物置として必要」(60.3%)、「解体費用をかけたくない」(46.9%)など。「賃貸・売却」、「セカンドハウスなどとして利用」もそれぞれ約2割に上っています。
「賃貸・売却」する上での課題点としては「買い手・借り手の少なさ」(42.3%)、「住宅の痛み」(30.5%)、「設備や建具の古さ」(26.9%)があげられました。
「寄付・贈与」の意向はわずか1.3%でしたが、その中でも、「費用がかかるなら寄付・贈与しない」が40%を超え、「一定の費用負担を伴っても寄付・贈与したい」と同程度に並んでいます。

個人的には、この調査は実態を表しているのだろうかという気はしますが、税理士として、相続税対策や相続税申告をお手伝いさせていただいておりますが、相続人が県外にいるケースが増えており、空き家がどんどん増え、管理もできない家もどんどん増えると思います。
個人的には、コロナの影響で働き方が見直され、空き家を利用して、地域活性化が図れるのではないかと考えていますが、地方自治体を中心に何かやってほしいなぁと考えています。

空き家の賃貸・売却時の課題は「需要不足」であることについて、どう思われましたか?


相続税の税務調査で海外資産絡む申告漏れの指摘件数が149件で過去最多!

日本経済新聞によると、国税庁は、先日、2020年6月までの1年間(2019事務年度)に全国の国税局などが実施した相続税の税務調査の結果を発表し、海外資産に絡む申告漏れの件数が149件で過去最多となりました。
海外の税務当局と金融口座情報を交換する制度「CRS(共通報告基準)」を生かし、13億円を超える申告漏れを指摘した事例もあったようです。

国税庁によると、新型コロナウイルスによる感染拡大に伴い、全体の実地調査の件数は1万635件で、2018事務年度と比べて約15%減少、申告漏れ額も3,048億円と約14%減っています。

こうしたなか、国税当局は資産運用の国際化に着目し、海外資産について重点的に調査したようです。
1,008件の実地調査を実施した結果、統計を開始した2001事務年度以降で過去最多となる149件の申告漏れを指摘しています。
金額は2018事務年度比で約32%増の77億円となり、過去3番目の多さでした。

大阪国税局の事例では、相続人3人が父親の死亡後、海外の父親名義の預金口座に残高があることを認識していたにもかかわらず、「海外預金なので申告しなくても国税当局が把握することはないだろう」と考え、税理士にも伝えずに税務申告していました。

大阪国税局はCRS情報を活用して海外口座の存在をつかみ、預金を意図的に申告財産から除外していたほか、過去の贈与税が無申告だったことを明らかにしました。
3人は総額約13億6千万円の申告漏れを指摘され、重加算税を含めた追徴税額は約5.3億円に上ったようです。

国税庁は相続税の申告実績もあわせて公表しています。
2019年に亡くなった約138万人のうち、財産が相続税の対象となったのは約11万5千人で課税割合は8.3%でした。
相続財産は土地が最も多くなっています。

CRS(共通報告基準)を活用した海外の税務当局との情報交換が始まる前、当時の国税幹部は「富裕層の海外資産が丸裸になるだろう」と想定していました。
国際的な租税回避を防ぐため、経済協力開発機構(OECD)で策定された制度を通じ、国税庁は初回交換の2018年に約55万件、2019年には約189万件の情報を入手しました。

今回発表された2019事務年度の相続税調査では13億円超の申告漏れの端緒となり、所得税や法人税の税務調査でも海外での資産運用の実態解明につながる事例が出ています。
「国税当局から問題のある海外預金をピンポイントで指摘された。CRS情報による調査だと説明を受けた納税者もいる」(国税OBの税理士)とのことです。

税務調査を巡る各国の連携が威力を発揮し始めた形ですが、課題も見えつつあるようです。
CRSの枠組みが検討されていた当時、暗号資産(仮想通貨)は普及途上であり、現状では相互に交換できる情報に含まれていません。

国税幹部は「さらなる国際連携の強化や交換対象となる情報の拡大なども重要だ。国際的なルールづくりにおいて日本も重要な役割を果たしていきたい」と強調しています。

CRSは素晴らしい制度だと思いますし、タイムリーに総合交換できる情報を付け加えられるようにして、悪質な方からは、どんどん取って欲しいですね。
これだけ脱税していたとしても、逮捕はされないのでしょうか?
その当たりを明確にしてほしいなぁと思います。
税理士としても、基本的に依頼者から言われたものしか財産は分かりませんので、色々と対応を考えないといけないですね。

相続税の税務調査で海外資産絡む申告漏れの指摘件数が149件で過去最多だったことについて、どう思われましたか?


マラドーナ氏の死去により莫大な遺産をめぐり親族10人以上が骨肉相続バトルへ!

英雄亡き後に待ち受けるドロ沼の争いとは?
東スポによると、サッカー界のスーパースターで元アルゼンチン代表FWのディエゴ・マラドーナ氏が、先日60歳で死去したことで、新たな〝火種〟が持ち上がっているようです。
あまりにも早すぎる死に世界中に衝撃が走りましたが、今後に注目されるのが莫大な遺産の行方です。
複雑な家族構成ゆえ、相続を主張する関係者が続出しそうな雲行きとなっています。

マラドーナ氏は現役時代にスペイン1部バルセロナ、イタリア1部ナポリ、アルゼンチン1部ボカジュニアーズなどの強豪クラブを渡り歩き、高額な報酬を手にしてきました。
引退後もアルゼンチン代表監督を務めたほか、2011年にはUAE1部アルワスルに年俸990万ポンド(約14億円)という破格の待遇で招かれるなどサッカーにおける収入だけでも100億円以上を荒稼ぎしました。

それ以外にもスポンサーや権利関係の副収入に加え、キューバのフィデル・カストロ議長やイタリアマフィア、ドバイの投資家などさまざまな〝タニマチ〟がいたとされ、莫大な資産を築いたとみられています。
マラドーナ氏の突然の訃報を受け、遺産の行方にも注目が集まりそうです。

北中米や南米で展開するメディア「エルフットボレロ」米国版は、「マラドーナの死後、億万長者の財産の相続人は誰か」と題して今後の遺産相続を巡る争いを予想しました。
「彼の死の前に遺産はすでに論争されていた」と同紙が指摘するように、その資産規模が大きすぎるがゆえに生前から金銭トラブルが頻発していました。
2015年には自身の預金口座から無断で約10億円を引き出されたとして、前妻クラウディアさんを訴えています。

マラドーナ氏に現在、配偶者はおらず「直接の相続人は(実子の)ダルマとジャンニーナ、フェルナンド、ディエゴ・ジュニア、ジャナ。彼らの間で財産の大部分を分割する」と同紙は指摘しています。
ただ、一筋縄ではいきそうもありません。

この5人のほか、英紙「サン」は「2019年に、マラドーナ氏の顧問弁護士が3人のキューバ人の子供を認知しており、合計8人の子供がいる」と報じています。
正式に血縁関係が認められれば、当然相続権が生じます。
さらにマラドーナ氏には札幌や福岡でプレーした実弟のウーゴ氏(51)を始め、7人の兄弟姉妹がおり、こちらも遺産相続を主張する可能性があるようです。

「誰が財産を得るのか、明日から戦争が始まる」と同メディアは伝えています。
希代のスーパースターが残した遺産を巡り、まさに骨肉の争いが繰り広げられそうです。

お金を持つと、それはそれで大変ですね。
アルゼンチンの税制などがまったく分かりませんが、どういった相続対策をしているのでしょうか?
お金持ちの方はそれなりのお金をかけて相続対策をしないと、親族間での争いを作る結果となり、お金を残すことが幸せなのか不幸なのか分からなくなってしまいます。
日本でも、今月10日に公表されると言われている令和3年度税制改正大綱に『相続税と贈与税の一体化』が織り込まれるとの話があり、将来的には相続対策がガラッと変わるとか、過去の相続対策が無意味なものになったり、効果が薄まったりする可能性もありますし、財産等の状況も変化していくと考えられますので、一度相続対策をしたら終わりというものではなく、タイムリーに対策をしていかないといけないですね。

マラドーナ氏の死去により莫大な遺産をめぐり親族10人以上が骨肉相続バトルとなりそうなことについて、どう思われましたか?


故八千草薫さんの3億円豪邸が一周忌前に相続税の支払いのために解体!

女性セブンによると、自分が死んだ後の不動産について、悩みを抱える人は多いようです。
夫も子供もいないとなれば、なおさらです。
2019年に亡くなった女優・八千草薫さん(享年88)も亡くなる前に、長年過ごしてきた東京都世田谷区の豪邸に考えを巡らせ、遺言書に思いをつづっていたようです。

しかし・・・。
ミシミシ、バリバリバリと、10月中旬のとある日、東京世田谷区の閑静な高級住宅街に、轟音が響いていました。

重機が住宅の塀を壊して敷地に入り、邸宅を容赦なく破壊していく。ここに建っていたのは、瀟洒な戸建て。150坪もの敷地に広がる庭には桜や金木犀が植えられ、メダカやオタマジャクシなど小さな生き物の生をはぐくむ池もあり、土地だけでも3億円もの資産価値があります。
大きな家が多いこのあたりでも、特に目を引く豪邸だったと、近隣の住民が残念そうに話しています。

「この家は、八千草さんが生前お住まいになっていた家なんですよ。亡くなった後、ずっとそのままだったのですが、ついに取り壊しが始まってしまいましたね。まだ一周忌前というのに随分早いな……何か事情があるんでしょうか」

2019年10月24日に88才で亡くなった八千草さんですが、2018年にすい臓がんと診断され大手術を受けるも、その後は自宅に戻って療養を続けてきました。

「一時期は、懇意にしていた脚本家の倉本聰さんの案内で北海道富良野を訪れるほど回復したのですが、昨年突然体調を崩されて入院。そのまま帰らぬ人となってしまったのです」(八千草さんの知人)

八千草さんの夫で映画監督の谷口千吉さん(享年95)は2007年に他界しており、子宝には恵まれなかったものの、おしどり夫婦として知られていました。

「実は八千草さん、亡くなる直前に遺言書を書いていたんですよ。ひとり身ですし、きょうだいもいないので、自分が亡くなった後のことを気にしていたのでしょう。遺言書には、アクセサリーやバッグなどを知人に形見分けすること、“自宅をそのままの形で残してほしい”といった旨がつづられていたんです」(前出・知人)

「愛する伴侶と過ごした思い出がつまった家を残したい。」、それは、八千草さんの最後の望みでした。
この願いをかなえるため、彼女自身も生前からさまざまな方法を思案していたそうです。

「世田谷区に寄贈することも考えたそうですが、“更地なら”という条件だったそうで、断念せざるを得なかったそうです。最終的に、“いちばん迷惑が掛からない方法で”と選択したのが、お世話になったかたたち3人に遺贈することだったんです」(前出・知人)

自宅の登記簿を見ると、2020年2月、3人に遺贈の手続きが取られていました。
そのうち2人は、八千草さんと谷口さん、それぞれの遠戚にあたる人、もう1人は八千草さんの所属事務所社長のAさんです。

「3人とも八千草さんの身の回りのお世話をしたり、一緒に旅行したり、彼女が入院中に愛犬の散歩をするなど、生前かなり親しくしていた間柄のかたがたです。“自宅をこのままの形で残したい”という八千草さんの思いを汲んで、自宅を取り壊さずそのまま売却して現金化し、それを元手にして相続税を払う予定だったと聞きました」(テレビ局関係者)

しかしながら、八千草さんの願いはかなわず、自宅は即解体されてしまいました。

「2,500万円? そんなもんじゃない」
八千草さんの一周忌を前に、事態は一変していました。

「予想外のことばかり起きてしまい……背に腹は代えられない思いで解体となってしまったのです」
こう話すのは、Aさんです。

「八千草は“できることなら、個人のかたに買っていただきたい”と望んでいました。“リフォームするとしても、何かしらあの家のにおいのようなものが残ればうれしい”と話していたんです。そのため、当初は不動産業者さんではなく、個人のかたの買い手を探していました」

しかしながら、動き始めた矢先にコロナ禍に見舞われます。
先行き不安な中、個人で不動産を買おうとする人は激減し、しかも、土地だけで3億円もするような大型物件ゆえ、なかなか買い手が見つからなかったそうです。

「仲介をお願いしていた業者さんにも、“お気持ちはわかりますが、この状況で個人相手に売るのは難しいと思いますよ”と言われてしまいまして……。もう少し粘ることも考えたのですが、私たちには“タイムリミット”が迫っていたんです。仕方なく、路線変更して、業者さんに買い取っていただくことも視野に入れ始めたんです」(前出・Aさん)

2020年9月末、売却が済み、豪邸は不動産販売業者のものとなりました。
今後は業者がこの豪邸を一般向けに売っていくことになるようです。
都会では、広すぎたり、こだわりのある仕様の家だと買い手がつかないことが多いため、取り壊して更地にし、広い土地を分割して売るのが一般的なのです。

おそらく八千草さんの豪邸もそのようなケースに当てはまるのでしょう。
彼女が愛したこだわりの邸宅は、すでに取り壊され、ほぼ面影を残していません。
個人の買い手を探すことを諦めたのは、Aさんが語ったタイムリミットが大きな理由だそうです。
それは、相続税の支払いです。

法定相続人でない人が遺贈を受ける場合、通常の相続よりも2割加算された額を相続税として支払う必要があり(いわゆる2割加算)、しかも控除もありません。
そのため、相続税の支払い額を知って仰天する人も多いようです。

「実は、売却する前に相続税の支払期限が来たんですよ。金額を見たら、“うわー”って、ビックリするぐらいの額で(笑い)。一部の報道では2,500万円と書かれていましたが、そんなもんじゃないですよ……」(前出・Aさん)

数千万円という相続税の支払いは、大きな負担だったのでしょう。
自宅は売却しない限り現金化されず、多額の支払いだけがのしかかります。
Aさんたちは泣く泣く、不動産業者への売却を決めました。
そうすれば、相続税を支払っても3人の手元には現金が残るため、それを等分したのです。

八千草さんのケースの場合は、自宅の売却にこぎつけるまでの間にも、さまざまな“ハードル”がありました。
Aさんは、八千草さんが亡くなった後、庭や室内の手入れのため、毎日欠かすことなく自宅に通い続けていたそうです。
「庭は植木屋さんにお願いしたり、池のお魚や生き物を業者さんに引き取ってもらったり。やるべきことは山のようにありました」(前出・Aさん)

自宅に残っていた数々の遺品は、八千草さんが生前決めていた希望に従って知人などに分けるといった作業に没頭してきたそうです。
「膨大な量でしたが、ようやく終わったという感じです。作業の間は、“これ終わらないんじゃないかなぁ”なんて感じて、ヒーヒー言っていたんですが、終わってしまうと、心にぽっかり穴が空いたようで、とても寂しいです」(前出・Aさん)

自宅を整理するまで、なんと10か月もかかったそうです。
「遺品の整理をしている最中に、“こんなものが出てきた!”とか“このとき、あんなことがあったんだよなぁ”と感慨に浸ってしまうものですから余計に時間がかかってしまって……。
たしかに大変な作業ではありましたが、この10か月は、八千草との思い出をかみしめる大切な時間でもあったと思うんですよ。それだけに、家を取り壊さないといけないという結果になってしまい、残念ですし、悔しいんです……」(前出・Aさん)

こだわりの自宅をそのままの形で残すことはかないませんでしたが、家を愛し、周囲の人を大切にした八千草さんの思いは、目に見えずとも、この地にずっと生き続けることでしょう。

相続税の申告・納付はお亡くなりになってから10か月以内ですので、納付期限までに売れるような土地で良かったですね。
相続が発生してからしばらく経ってから売却を検討し出すと思いますので、田舎とかだと、おそらく納付期限までに売却できることは少ないのではないかと思います。
あとは、こういった相続人がいらっしゃらないケースは意外と相続対策をされていない方が多いと思いますが、きちんと遺言書を作っていたから、比較的スムーズに進んだんでしょうね。
おそらく優秀な顧問税理士などがいらっしゃるのだとは思いますが、良い対策をされていたのではないかと思います。
やはり、早めの対策が重要ということですね。

故八千草薫さんの3億円豪邸が一周忌前に相続税の支払いのために解体されたことについて、どう思われましたか?


国税庁が「路線価」を引き下げず!

新型コロナウイルスの影響で地価が下がる中、国税庁は相続税などの計算の基準となる「路線価」の補正を検討してきましたが、引き下げないことを決めました。

2020年の上半期に土地の相続などをした人の納税額は、地価が下がっていても感染拡大前の状況に基づいて決まることになります。

路線価は、国税庁が1月1日の時点での全国の主な道路に面した土地について1平方メートル当たりの評価額を算定し、相続税や贈与税を計算する基準となります。

2020年7月1日に発表された2020年度の路線価は、新型コロナウイルスの感染拡大前の地価に基づいていたため、国税庁は地価が20%以上下落する状況が全国の広範囲に及んでいないかなどを目安に、路線価の引き下げの検討を進めてきました。

2020年1月から半年間の地価の下落幅は、東京、大阪、名古屋の観光地や商業地の合わせて6地点で15%を超えましたが、全国平均では、住宅地が0.4%、商業地が1.4%だったということで、国税庁は、先日、路線価の補正は行わないと発表しました。

2020年1月から6月の間に土地を相続したり、土地の贈与を受けたりした人の納税額は、地価が下がっていても、感染拡大前の状況に基づいて決まることになります。

不動産に詳しいニッセイ基礎研究所の吉田資主任研究員は「地価の下落の幅は小さくなっていて、今回の判断は妥当だと思う。今後の感染状況による影響に注視したい」と話しています。

個人的には、税理士として相続税の申告業務も年間数件していますので、引き下げがあればいいなぁと思っていましたが、結局、引き下げはしないということになってしまいましたね。
株式の場合、一部の上場株式の月ごとの株価の推移が反映されるため、新型コロナウイルスの影響が比較的反映されると思いますが、土地と株式では元々の評価方法が異なるので、仕方ないんでしょうね。

国税庁が「路線価」を引き下げなかったことについて、どう思われましたか?


分けにくい、貸しにくい、売りにくいタワーマンション節税は有効なのか?

週刊ポストによると、2015年の税制改正で、相続税の課税対象となる被相続人が急増しています。
もはや誰もが相続税を無視できなくなっているわけであり、相続税対策について知っておくべきことは多くなっています。

相続税対策では、一般的に、不動産において節税効果が大きいとされます。
金融資産に比べて、不動産は評価額が低くなるためです。
そして、この延長で節税テクニックとして頻繁に話題にあがるのが、タワーマンションの購入です。

以前は、1階と最上階で販売価格は大きく異るタワーマンションの建物の固定資産税評価額が1階も最上階も面積が同じであれば同じだったため、親が高層階の物件を購入し、相続税を低く抑えたのち、相続した子供が時価で高く売却する「タワーマンション節税」が盛んでした。

それが2017年の税制改正で高層階ほど評価額が高くなり、節税メリットが少し薄くなったとされます。
夢相続代表で相続実務士の曽根惠子氏がアドバイスしています。
「それでも一般的な評価額は時価の30%程度しかなく、1億円で購入したタワマンの評価が3,000万円未満ということがよくあります。
ただし、タワマンは『分けにくい、貸しにくい、売りにくい』というデメリットもあります。1億円で1部屋を買うよりは、コンパクトな部屋を3~4部屋購入した方がリスクを分散できます。」

同様に節税対策としてよく取り上げられるアパート経営はどうなのでしょうか?
「土地活用で賃貸住宅を建てると『貸家評価』となって評価額がさらに低くなります。例えば1億円の建物であれば2,800万円ほどの評価になります。更地で持たず建物を建てると、節税メリットがはるかに大きくなります。」(前出・曽根氏)

ただし、素人のアパート経営には大きなリスクがあります。
元国税調査官で税理士の松嶋洋氏が解説しています。
「節税対策として不動産の賃貸経営を望む人は多いですが、相続税を減らしても相続後に入居者が見つからず、不動産事業としてのキャッシュフローが回らなくなるケースが多く、固定資産税などの維持コストもかかる。アパート経営は賃貸事業のノウハウがない人には、お勧めできません」

不動産業者が「節税対策になる」とアパート経営を勧めてくるケースもあるので注意したいですね。

個人的には同感です。
公認会計士・税理士として、相続関連のお仕事を年に数件させていただいておりますが、僕もアパート建設などによる節税対策に関して意見を求められたときは、『確かに相続税は安くなるかもしれません。しかしながら、空室の増加などによって負の財産(借入金が返済できない、売れない、壊すにしても多額の費用がかかるなど。)となる可能性がありますので、節税は置いておいて、アパートなどの建設を賃貸業の経営と考えたときに、経営が成り立つと思われるのであればやればいいんじゃないですか。』と答えるようにしています。
目先の利益だけを考えず、将来的なことを考えて検討してほしいと思いますね。

分けにくい、貸しにくい、売りにくいタワーマンション節税について、どう思われましたか?


第四銀行が「家族信託」の利用支援業務を開始!

日本経済新聞によると、第四北越フィナンシャルグループ(FG)の第四銀行は、財産の管理や運用などの権利を家族へと託す「家族信託」の利用支援業務を始めました。
少子高齢化に伴い、高齢者の財産の管理や運用などについて悩む人が増えていることに対応するものです。

業務は2020年9月1日に開始しました。
顧客が家族信託に関する相談や利用を希望する場合は、第四銀行の提携先である司法書士や税理士などの専門家を紹介するようです。
紹介だけで手数料はかかりません。
別途、専門家が定める報酬や手数料などは払う必要があります。

信託財産を管理するための専用の口座も開設できるようにしました。
開設手数料は1口座当たり5万5,000円です。
口座開設にあたっての必要書類である信託契約書は、専門家を通じて作成してもらうことになります。

僕自身は、数年前から『家族信託』に取り組んでいますが、金融機関の対応が遅いなぁという感じです。
あとは、なぜ口座開設料が必要なのだろうか?と疑問に思います。
まぁ、少しずつでもいいから、こういったことを積み重ねて『家族信託』が世の中に認知されていけばよいですね。

第四銀行が「家族信託」の利用支援業務を開始したことについて、どう思われましたか?


志村けんさんの愛犬は家政婦が相続!

2020年3月末に、新型コロナウイルスによる肺炎で急逝した志村けんさん(享年70)ですが、女性セブンによると、生前愛用していた高級外車「キャデラック・エスカレード」を、お笑いコンビ『千鳥』の大悟(40才)が購入していたことが報じられているが、ほかにも、“相続”は進んでいるそうです。

『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)の司会を16年間務めた志村さんは、プライベートでも動物好きで有名でした。
これまで計7匹の犬を飼っており、亡くなる直前には、豆柴の「殿(との)くん」とゴールデンレトリバーの「チロくん」とともに暮らしていました。

「志村さんは、自宅の庭に犬用のプレハブ小屋を建てるなど、愛犬をわが子のようにかわいがっていました。散歩は1匹ずつ連れて行くのがルール。長いときは犬が満足するまで、2時間も散歩していたようです」(志村さんの知人)

なかでも殿くんとは深い絆で結ばれていました。
殿くんと出会ったのは、2010年に『天才!志村どうぶつ園』のロケで訪れた豆柴ブリーダーの施設です。
そのとき志村さんは、すでにほかの犬を飼っていましたが、殿くんのキュートな姿に魅了され、一緒に暮らし始めたのです。

「殿くんも志村さんにとてもなついていて、この3月、コロナで志村さんが入院してからも、しばらくは玄関先で主の帰りを待っていた。1週間ほどで志村さんがもう帰ってこないことに気づいたのか、今度は寝室に行き、志村さんのにおいが残るベッドで丸まっていたそうです」(前出・志村さんの知人)

志村さんにとって2匹は家族同然です。
しかしながら、コロナで入院直後から意識を失い、そのまま帰らぬ人となったため、家族の“相続問題”は未解決のままでした。

「亡くなった当初、関係者の間では番組で共演していた嵐の相葉雅紀さん(37才)が引き取るのでは?とも囁かれていました」(テレビ局関係者)

志村さんは遺産整理をせずに亡くなったと報じられたが、愛犬に関しては別でした。
こんな“遺言”を残していたそうです。
「日頃から犬のお世話をしていた2人の家政婦さんに、“自分にもしものことがあったら2匹を頼む”と話していたそうです。いま、殿くんとチロくんは、それぞれ家政婦さんの元で元気に暮らしていますよ」(前出・志村さんの知人)

志村さんのもう1つの遺産である『天才!志村どうぶつ園』は2020年9月で終わり、10月からは相葉さんが新MCの動物番組が始まります。

番組終了に際して、志村さんの“形見分け”が進んでいるそうです。
「番組で志村さんが首に巻いていたピンクのバンダナと同じ物が100枚以上も残っているんです。番組終了のタイミングで共演者やスタッフに配られる計画があるようです」(前出・テレビ局関係者)

志村さんの“遺産”は、彼の信頼する仲間たちに託されました。
天国の志村さんも安心しているに違いないですね。

僕は、税理士として、相続税関連の仕事をそれなりにさせていただいていますが、やはり、ペットも家族同然ですよね。
ペットは相続人となりえないのですが、『民事信託』とか『家族信託』と呼ばれるものを使えば、ペットのために財産を残すことができます。
ペットの飼育のために財産を残したい方は、検討されても良いかもしれませんね。

志村けんさんの愛犬は家政婦が相続したことについて、どう思われましたか?


内閣府特命担当大臣(少子化対策)が少子化財源に相続税増税と発言!

日本経済新聞によると、衛藤晟一内閣府特命担当大臣(少子化対策)は、先日、東京都内の日本記者クラブで記者会見し、少子化対策を推進するため、財源として相続税の増税を検討すべきだとの考えを示しました。

「相続についてもっと社会全体として受け取ってもいいのではないか」と言及しました。

これは、多子世帯への給付金の拡充や育児休業給付金を休業前賃金の80%に引き上げる措置を念頭に置いているようです。

財務省に概算要求や税制改正を求めるそうです。

2015年から基礎控除額の引き下げなどにより、相続税が増税になっていますが、また、増税になるんですかね?
今でも亡くなられた方のうち相続税を支払っているのは8%くらいの方なので、増税したところでそれほどの税収増にならないと思いますし、海外に移住する方も増えてしまうような気はします。
まぁ、コロナウイルスの影響で、消費税や所得税や法人税などは上げにくいと思いますので、上げても批判が少ないのは相続税かとは思いますが。
相続税対策がますます重要になってくるかもしれませんね。

内閣府特命担当大臣(少子化対策)が少子化財源に相続税増税と発言したことについて、どう思われましたか?


熊本国税局職員が相続税など2,800万円の申告逃れで懲戒免職!

熊本日日新聞によると、熊本国税局は、先日、本来払うべき相続税など計約2,800万円を払っていなかったとして、熊本国税局に勤務する50代の男性職員を同日付で懲戒免職処分にしたと発表しました。
国家公務員法で定める信用失墜行為に当たると判断したようです。

熊本国税局によると、2017年の職員本人と親族の相続税について相続財産の一部を申告せず、約2,380万円の税負担を免れていたそうです。
このほか2015年に親族から現金の贈与を受けたにもかかわらず、贈与税の申告をしていませんでした。

2018年7月に職員本人から税務調査を受けるとの報告が当時の所属長にあり、発覚したようです。
熊本国税局の調べに対し、「認識不足だった」などと釈明したそうです。

先日、熊本市の同局で会見した松原弘明国税広報広聴室長らは、この職員が既に追徴課税の納付を済ませたことなどを説明しました。
ただし、重加算税の有無など詳細については明らかにしませんでした。

また、約1年半にわたって勤務時間中に無断帰宅を繰り返すなどしていた県内の税務署勤務の50代の男性職員を同日戒告処分にしたことも発表しました。
松原室長は「いずれも税務行政に携わる公務員としてあるまじき行為」と陳謝しました。

この前の名古屋国税局の固定資産税の情報の不正入手もそうですが、あまりにも職員のレベルが低すぎますよね。
きちんと納税しましょうという立場の国税局の職員が、『認識不足だった』とよく釈明できるなぁと思います。
国税局の職員ももちろん専門分野はあるのでしょうが、国税局の職員として専門外の分野も最低限の知識を持っておくのは当然かと思います。
あと、熊本国税局は「意図的な脱税だったかどうかはいえない」としているので、多分、重加算税は課されていないんでしょうね。
納税者に厳しく、身内に甘いというのはどうかと思いますし、『意図的かどうか』をきちんと説明すべきだったのはないかと思います。
プライバシーがどうたらという局面ではないと思いますので。

熊本国税局職員が相続税など2,800万円の申告逃れで懲戒免職になったことについて、どう思われましたか?


相続税が課税されない非課税財産は?

ガシェット通信によると、相続が発生した際に相続人の方から、「どの財産に相続税が課税されるのですか?」というご相談をよくいただくようです。
結論としては、金銭に見積もることができるものすべてが相続税の課税対象です。

一般的な認識としては、預金残高や土地、建物などの不動産、株式などが思い浮かぶかと思いますが、これら以外にも貴金属、宝石、書画、骨董品、美術品、さらには貸付金や著作権、特許権までも相続税の課税対象となります。

このように相続税の課税対象範囲は非常に広いのですが、一方でどんな財産が非課税財産になるのでしょうか?

以下の財産については、相続によって取得したものだとしても相続税非課税財産となりますので、相続税は課税されません。
●生命保険金
被相続人にかけられていた生命保険の保険金は、保険料を被相続人が負担しているとみなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、「500万円×法定相続人の数」で算出される非課税枠の範囲内であれば、非課税財産となり相続税は課税されません。
このような制度があるので、生命保険に加入する際には非課税財産になるように保険金額をうまく調整して加入しているケースが多いと思われます。
なお、生命保険金は、過去の判決から受取人固有の財産となるため、遺産分割協議の対象からは外れます。

●死亡退職金
被相続人に対して支払われる死亡退職金は、原則として相続税の課税対象ですが、生命保険金と同様に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、その範囲内の金額であれば非課税財産として扱われます。

●寄付した財産
相続財産を寄付した場合、その財産は相続税の課税対象から除外されて非課税財産として扱われます。
ただし、寄付ならどこでもよいというわけではなく、国や地方公共団体等に寄付した場合で、なおかつ相続税の申告期限までに寄付を終えていなければなりません。
日本赤十字社などは、積極的に寄付を受け付けています。

●仏具など
葬儀で使用される仏具や仏壇などの財産は、原則として非課税財産として扱われます。
ただし、これを悪用して純金の仏像を作る人などがいるため、あまりにも高額なものについては相続税の課税財産となるので注意が必要です。
また、被相続人のお墓についても相続税の非課税財産として扱われます。
ところが、生前にお墓を購入していない場合は、死亡後に慌ててお墓を購入したとしても非課税財産にはなりませんので、ご注意ください。
ちなみに、葬儀費用については、原則として相続財産から債務控除として差し引いて相続税を計算することができます。

以下は、贈与税の非課税財産です。
相続税と並びよく質問を受けるのが贈与税の非課税財産です。
贈与税については、非課税財産の取り扱いが相続税とは微妙に異っています。

★法人からの贈与
贈与税は贈与を受けた側が納税義務を負いますが、あくまで個人から贈与を受けた場合に限られます。
よって、法人から贈与を受けた場合、贈与税は非課税財産として扱われ、代わりに所得税の課税対象となるため注意が必要です。
この際、贈与された財産は一時所得として申告することになります。

★生活費
配偶者や子供など日常生活に必要な生活費については、贈与税は課税されず非課税財産となります。
例えば、一人暮らしをしている子供に仕送りをするような場合は、生活費なので課税財産に当たりません。
金額に制限はありませんが、生活費と認められないほど極端に高額な金額については、贈与する前に一度税理士に相談することをおすすめします。
例えば、毎月30万円仕送りしていて、毎月15万円は貯金しているような場合は、この15万円は生活費とは認められません。

★教育費
子供の学校の入学金や授業料なども非課税財産として扱われます。
ただし、相続が発生した際に、子供の間でかけている教育費に大きな差がある場合は、相続人から特別受益の持ち戻しなどの訴えを受ける可能性があるため注意が必要です。
相続対策としては、できるだけ平等に教育費を支出するといった配慮も必要でしょう。
数年前から、教育資金の1,500万円までの一括贈与という制度ができ、大ヒット商品になっていますが、そもそも教育費は非課税ということを認識したうえで行うかどうかの検討をした方が良いでしょう。

★香典、見舞金
個人から受け取った香典や見舞金については、贈与税の非課税財産となります。
また、花輪代、年末年始の贈答、祝物なども贈与税は課税されません。

★相続開始の年に被相続人から贈与された財産
相続が開始する前に贈与を受けていたとしても、亡くなられた年に受けていた贈与については贈与税ではなく相続税の課税対象となります。
相続税申告においては、よく漏れる部分なので注意が必要です。
なお、相続開始前3年以内の贈与財産については、贈与税が非課税である年間110万円以下のものも含めて相続税の課税対象となる点にはご注意ください。

税金については、納税者が損をしていても税務署は教えてくれません。
知らないと損をすることがあるのです。
僕は年間に数件相続税の申告のお手伝いをさせていただいておりますが、時々、お墓を買ったのですが、引けないですかね?と言われます。
お墓の場合、お亡くなりになった後に買えば引くことはできませんが、お亡くなりになる前に買っておけば、非課税財産になります。
少しでも相続税を節税したいのであれば、生前であればできることは色々とあります。
早めに検討することをお勧めします。

相続税が課税されない非課税財産は?について、どう思われましたか?


2020年7月10日から遺言書がもっと身近に!

全国312カ所の法務局で遺言書を1通3,900円で預かるサービスが、2020年7月10日に始まります。
遺言書に関心があっても「ハードルが高い」と思う方もいるでしょう。
落語家「参遊亭英遊」の芸名も持ち、相続をわかりやすく伝える活動をしている相続専門税理士の石倉英樹さん(46)に、朝日新聞が聞いています。

<遺言書の相談が増えていると聞きます>
前は、財産が多い人、子ども同士の仲が悪くて相続争いが心配な人から相談がありました。
最近は子ども同士の仲が良くても、そのなかで1人でもお金に困っていれば書いておいたほうがいいと考えるようで、増えています。
新型コロナウイルスの感染拡大でダメージを受けている人が増えたことが心理的な影響を与えていると思います。

<法務局で預かるようになると変わりますか?>
一度3,900円を払えばずっと保管してくれて、気が変わったら同額で出し直すこともできるので、身近になります。
相続法の改正で遺言書はすべてを手書きする必要がなくなり、財産目録をパソコンで作ることや、通帳などのコピーの添付が認められました。
遺言そのものも、シンプルなものであれば「私は妻○○に全財産を相続させる」と書いて、日付と署名まで自筆したうえで、押印すれば有効です。
財産目録も不要です。

<ほかには何もいらないのですか?>
「配偶者にすべて」で済まない人は多いでしょう。相続で難しいのは、主な財産が家だけの場合です。
遺族の共有にすると誰が使うかでもめたり、誰かが反対すると売ることもできなかったりします。
実家をめぐる争いは、お金持ちより、ほかに財産が少ない家で起きがちです。

<遺言を書くのも、難しい決断になりますね>
遺言がないと、仲のいい子ども同士でももめることがあります。
兄弟姉妹で話し合えば収まることも、それぞれの配偶者が関わることで崩れることがあります。
遺言で誰かに譲ると書いたら、最後になぜそうして欲しいのかの説明があると、子どもたちは納得しやすいと思います。

<法務局で遺言の中身の相談もできますか>
それは「一切受け付けない」と書いてあります。
法務局は形式が整っているかどうかのチェックはしますが、中身の相談はできません。
私を含め、司法書士や行政書士などの専門家で、初回は無料で相談に応じる人がいます。
そのうえで難易度に応じて数万円の料金で作れるはずです。

<遺言書を書き始めるといろいろ考えそうです>
財産目録を作ると、例えば預金口座が多くて整理したいと思うかもしれません。
不動産の登記簿を取ると、親の名義のままで、自分自身の相続が終わっていないことに気づく人もいるでしょう。
パソコンで目録を作るのを子どもに手伝ってもらうと、改めて子どもと向き合う機会にもなります。
遺言書を書く前は8割を長男にと考えていた人が、書いた後に事情を知らない次男から優しくされて気持ちが変わったという話を聞いたこともあります。

<法務局に出す前に必要な準備はありますか?>
原則として予約が必要です。代理人ではだめで本人が行く必要があります。
本人確認のために写真つきの身分証が必要ですが、運転免許証がない人は写真つきのマイナンバーカードがあるとスムーズに手続きができそうです。

自筆証書遺言は、コストがかからないなどのメリットがありましたが、一方で、要件を充たしていない可能性がある、改ざんのリスクがある、発見されない可能性がある、家庭裁判所の検認が必要であるなどのデメリットがありました。
今回の改正で、安いコストで、かなりデメリットを抑えることが可能になりました。
ただし、内容のアドバイスなどは受けられませんので、やはり、それなりの財産をお持ちの方は公正証書遺言が良いでしょうね。

2020年7月10日から遺言書がもっと身近になることについて、どう思われましたか?


香川県の路線価は28年連続下落!

2020年7月1日に国税庁から令和2年分の路線価が公表されました。
香川県の標準宅地2,210地点の平均変動率は前年比0.3%マイナスで、28年連続下落となりました。

最も路線価が高いのは、高松市の高松丸亀町商店街で、1㎡当たり36万円で、前年より2万円アップし、4年連続上昇となりました。

高松丸亀町商店街の路線価は、2014年に高松市兵庫町の中央通りを抜いて以降7年連続で香川県内トップです。
2014年から2016年は31万円、2017年から3年連続で1万円ずつ上昇し、2020年は2万円上昇しました。
なお、対前年の変動率はプラス5.9%で、四国の26税務署内でトップです。

445万円だったピーク時の1992年と比べると、なんと8.1%の水準です。
全国の県庁所在地の価格順位では、前年より1位上がって26位でした。

ちなみに、どこにでも路線が付いているわけではなく、香川県には、8市9町ありますが、このうち路線価が付いているのは、6市2町のみです。
三豊市と東かがわ市には路線価が付いているところはありません。
町で付いているのは、宇多津町と土庄町のみです。

6市2町も全域に路線価が付いているわけではありません。
例えば、さぬき市で路線価が付いているのは志度だけ、土庄町は淵崎と大字なしのエリアのみです。
高松市も、西は香西東町や円座町辺りまで、東は北の方は屋島西町辺り、南の方は元山町辺りまで、南は円座町や仏生山町や上林町や六条町辺りまでです。

路線価は、土日の場合を除き、毎年7月1日に公表されていますが、評価時点は1月1日です。
それゆえ、新型コロナウイルス感染症の影響は反映されていません。
先日の日本経済新聞に、国税庁が、都道府県が不動産鑑定士の評価を基にまとめる基準地価(7月1日時点、毎年9月ごろに公表)が新型コロナウイルス感染症の影響で、広範囲で大幅に下落した場合、その地域の路線価を減額修正できる措置の導入を検討している旨の記事がありました。
僕も年間数件、相続税の申告のお手伝いをさせていただいていますが、早く申告・納税を終わらせて相続から解放されたいという方が多いのですが、おそらく今年は、それを待って申告をする方が増えるでしょうね。

香川県の路線価は28年連続下落したことについて、どう思われましたか?


国税庁の「マルサ」が摘発脱税手口を公開!

日本テレビによると、国税庁は全国の国税局査察部、通称「マルサ」が2019年度に摘発した手口の一部を公開しました。

部屋に置かれたごく普通の和ダンス。
奥に見えるカベ板を取り外すと、そこには1万円の束がぎっしり。
他の引き戸にも同じ細工が施され、隠されていた現金は5,000万近くにのぼりました。

一方、こちらはレンタル収納スペース。
中に置かれたキャリーケースを開けてみると、大量の紙封筒が敷き詰められおよそ1億4,500万円の現金が隠されていました。

これらは2019年度、国税局査察部、通称「マルサ」が家宅捜索で発見したものです。

国税庁査察課の寺田広紀課長は、「我々査察部門の使命というのは、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及することで、適正かつ公平な課税を実現していくことだと思っております」とコメントしています。

2019年度に摘発された脱税総額は93億円で、集計を始めた1972年度以降で最低となりました。
国税庁は近年は経済取引の国際化やICT化などに伴い、脱税の手段が複雑になっていることなどが要因とみられるとしています。

また、新型コロナウイルスの影響により事件の着手に影響を受けたとしながらも、今後、必要性に応じて調査を実施していきたいとしています。

どういうことがきっかけで発見されたのか知りたいですね。
ここ数年、相続税の知識のある方が増えてきたのか、どこかで調べたり聞いたりしてきたのか分かりませんが、『現金で持っておけば分からないでしょ。』みたいなことをおっしゃる方が増えてきたように思いますが、それほど甘くありません。
国税庁がこういったものをドンドン流して、少しでも脱税の抑制になれば良いなぁと思いました。

国税庁の「マルサ」が摘発脱税手口を公開したことについて、どう思われましたか?


国税庁がコロナで地価下落なら路線価の減額修正を検討!

日本経済新聞によると、新型コロナウイルスによる経済活動低迷などの影響で大幅に地価(時価)が下落した場合、相続税や贈与税の算定に使う「路線価」を減額修正できる措置を国税庁が検討していることが、関係者の話で分かったようです。
実態とかい離した課税となるのを回避するのが目的です。

路線価は主要道路に面する土地の1月1日時点の1平方メートル当たりの価格で、国税庁が毎年7月1日に公表しています。

相続税法は、相続財産は被相続人が死亡した時点の地価で評価すると定めています。
上場株などと違い、相続人が地価を把握するのは難しいケースもあり、国税庁が路線価を公表し、路線価に基づいて算定した地価を原則、認めています。

現行制度でも、地価が路線価を下回った場合は、納税者が個別に不動産鑑定士に頼んで評価額を出し、それをもとに相続税などを申告しても有効です。
ただし、鑑定には数十万円の費用がかかることもあります。

このため国税庁は、都道府県が不動産鑑定士の評価を基にまとめる基準地価(7月1日時点、毎年9月ごろに公表)が新型コロナの影響で、広範囲で大幅に下落した場合、その地域の路線価を減額修正できる措置の導入を検討しているようです。

路線価は通達に基づき国税局長が定めています。
路線価を減額修正するための法改正は必要なく、国税庁長官が通達を出せば対応できる見通しです。

地価がどの程度下がった場合に減額修正の措置を導入するのか、対象地域をどう決めるのかなど詳細は今後詰めるそうです。
対象地域の路線価に1未満の係数を乗じ、減額できるようにする案が検討されているもようです。

みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所によると、新型コロナの感染拡大などが響き、上場企業などによる不動産売買額(公表ベース)は今年4月以降急減しています。
5月は約500億円と前年同月比で87%減でした。
平山重雄・常務研究理事は「不動産売買は様子見となる可能性があり、そうなれば地価の下落圧力が強まるだろう」と指摘しています。

2018年に亡くなった約136万人のうち、財産が相続税の対象となったのは約11万6千人で課税割合は8.5%でした。
相続財産で最も多かったのは土地で約6兆円(全体の35%)です。
株価や不動産価格の上昇などを背景に、相続税の課税対象となる人はこのところ増加傾向にありました。

ちなみに、路線価は、主要道路に面した土地の1平方メートルあたりの標準価格(1月1日時点)を示します。
相続税や贈与税の算定基準となるほか、銀行が融資の担保とする土地の評価にも使っています。
調査地点は約32万9千地点で、国税庁が毎年7月1日に公表しています。
路線価のほか、民間企業などの土地取引の指標として、国土交通省が毎年3月に公表する公示地価(1月1日時点)、都道府県が調べて国交省が毎年9月に公表する基準地価(7月1日時点)があります。
基準地価は7月を調査時点とするため年半ばの地価の動向を把握できる利点があります。

相続人の方にとってはこれが行われると嬉しいですね。
ただし、僕も年間数件相続税の申告をさせていただいておりますが、できるだけ早く相続税の申告・納付を終えて、心理的に相続から解放されたいとおっしゃる方がかなり多いので、これを使うために申告が少し遅くなってしまうのではないかという気もします。
個人的には、1月1日時点のものを公表するのであれば、路線価をそもそももっと早く公表して欲しいと思っています。
結局、7月1日に路線価とか倍率表が公表され、相続税の申告書のひな型が公表されるので、1月とか2月にお亡くなりになった方も、7月以降でないと相続税の申告ができず、その年度の最新の相続税の申告のソフトも8月とか9月にリリースされることになるため、申告が遅くなってしまうからです。

国税庁がコロナで地価下落なら路線価の減額修正を検討していることについて、どう思われましたか?


兄弟姉妹でもめないための「相続新ルール」の使い方と注意点!

週刊ポストによると、2018年7月の相続法の大改正を受け、遺産相続に関する新ルールが次々と施行されています。
これらの新制度にうまく対応していくことが、「兄弟姉妹」が円満に相続財産を分け合う上でのカギとなります。
相続実務士の曽根恵子氏(夢相続代表)が解説しています。

「財産目録のパソコンでの作成が認められたり、法務局で保管してもらえたりするなど、自筆の遺言書を残しやすくなりました。
ただ、親が遺言書を残しても、遺産分割に偏りがあって残された子供たちの間に不満が生じると、遺留分(相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた制度)を請求する争いなどに発展してしまうことがあります。それを防ぐには、親が子供たちに対して、遺言書の内容をあらかじめ知らせ、きょうだい間で納得する話し合いを済ませておくことが大切です」

法定相続人ではない“長男の妻”などが介護や看病にあたった場合、遺産の一部を請求できる「特別の寄与」も新たに認められるようになりましたが、大切なのはやはり、親子間と子供同士での情報共有だそうです。

「親が亡くなってから後出しで“妻がこんなに介護していた”と言い出すと、きょうだい間の揉め事のタネになる。介護が始まった時点から、全員にどのくらいの負担があるかを伝えることです。
特別の寄与が認められるために介護記録が必要という話を聞くかもしれませんが、これも単に“請求の材料”と考えるのではなく、親の状態を知らせて共有するために活用したい。理想は、親から“世話になったので嫁にもこのくらい残したい”という話を子供たちにして、遺言書にもきちんと記してもらうことでしょう」(同前)

葬儀などの費用として、故人の預金口座から一定額(ひとつの金融機関につき上限150万円)が払い戻せる新制度もスタートしました。
遺産分割協議がまとまる前でも使える便利な仕組みですが、これも残された子供たち同士での話し合いを前提に利用したいですね。

「仲が悪いと“勝手に親の預金を使い込んだんじゃないか”という不信感を生みかねません。払い戻したお金を何に使ったか記録を残すのはもちろんのこと、できる限り親が生きているうちから預金口座や残高などの情報を子供同士で共有しておくのがいちばんです」(同前)

必要な情報共有や話し合いができれば、新ルールを円滑な相続のために活用できます。
それを実現するための準備に時間を使いたいですね。

僕自身、税理士として、年間数件、相続税の申告や相続対策のお仕事をさせていただいておりますが、ここ数年、遺産分割でもめたり、話しが長引いたりするケースが増えているように思います。
良い面も悪い面もあるのですが、相続人の方の相続に関する知識レベルが上がったり、未婚だったり、離婚して実家に戻ってきているケースが増えているのもあるかとは思いますが、生前の対策の不平等さや、対策をしていなかったことに起因していると思います。
やはり、相続対策は、お元気なうちに早めにスタートするのが良いでしょうね。

兄弟姉妹でもめないための「相続新ルール」の使い方と注意点について、どう思われましたか?


静岡県内の4地銀8信金が2020年8月までに相続手続きを共通化!

日本経済新聞によると、静岡県内に本部を置く4地銀と8信金は、2020年8月までに預金などに関する相続手続きを共通化するそうです。
顧客にとっては用意する書類が各金融機関で統一され、書類作成の負担が軽くなります。
非競争分野で手を組み、顧客の利便性を高めるようです。

2019年10月、静岡銀行と浜松いわた信用金庫(浜松市)が相続手続きを共通化しました。
この取り組みを、静岡県内の他の金融機関にも広げます。

共通化には、しずおか焼津信用金庫(静岡市)、島田掛川金曜金庫(掛川市)など6信金、清水銀行が既に参加しました。
2020年6月にはスルガ銀行、8月には静岡中央銀行と富士信用金庫(富士市)も加わる予定です。

共通化では、相続人が複数いる場合でも、相続人代表者1人分の署名・なつ印で相続手続きが可能になることがあります。

一方、富士宮信用金庫(富士宮市)は、「遠方に相続人がいる場合などは利便性が高まるが係争に発展するリスクもある」として導入を見送りました。

静岡銀行によると、相続手続きは年約1万件に上るようです。
高齢化に伴って件数も増えています。

僕も毎年数件の相続税の申告のお手伝いをさせていただいていますが、相続発生後の手続きが面倒ということをよく耳にします。
金融機関ごとに必要な書類が異なるということが、その中でも多いと感じます。
それゆえ、今回の静岡県内の金融機関の相続手続き共通化というのは、素晴らしい取り組みだとだと思います。
ただし、おそらく痛い目にあったことがあるのだと思いますが、相続人が複数いる場合でも、相続人代表者1人分の署名・なつ印で相続手続きが可能になることがあるというのは、参加していない富士宮信用金庫のおっしゃるように、係争のリスクを抱えているのではないかと思います。
係争の起こらないような形で手続きを共通化すれば、とても素晴らしいことだと思いますし、全国的に統一されればいいなぁと思いますね。

静岡県内の4地銀8信金が2020年8月までに相続手続きを共通化することについて、どう思われましたか?


富裕層だけではなく中流層も「標的」とし相続課税を強化!

「税額が100万円程度の小規模な申告の件数が増えている」と、東京都、神奈川県など首都圏で相続税の申告を扱うランドマーク税理士法人の清田幸弘代表税理士は話しています。
相続税は富裕層の税金、自分には関係ないと考える人は多いのではないでしょうか?
実際、2018年の被相続人(亡くなった人)1人当たりの課税財産額は1億3,956万円、税額は1,813万円と高額です。
しかしながら、今後は「自宅と金融資産で5,000万円程度の中流層も課税を避けられない」(清田氏)とのことです。
親が都市部に住んでいるなら、あなたも相続税を支払う可能性が高いと言えるでしょう。

原因は2015年の相続課税強化です。
非課税となる基礎控除が従来の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」へと40%も縮減されました。
相続人が配偶者と子ども2人の場合、非課税枠は8,000万円から4,800万円に減りました。
その結果、東京、大阪など都市部の中流層にも課税の裾野が広がりました。

増税前の2014年は年間死亡者約127万人に対して、相続税が課税されたのは被相続人ベースで約5万6,000人で、課税割合は4%台でした。
増税後の2015年以降は年間死亡者130万人台に対し課税対象者は10万人台と、課税割合は8%台に上昇しています。

特に都市部で比率が増しています。
東京国税局管内の東京都、神奈川県など1都3県の課税割合は2017年には13%台に上昇しました。
死亡者の8人に1人が相続税の課税対象となる計算です。
全国平均を下回る熊本国税局管内(熊本県、鹿児島県など4県)が4%弱にとどまるのと対照的です。

ただし、地方でも安心できません。
2025年には団塊世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の増加で国の財政難は一段と厳しくなります。
増税は不可避の状況で、相続税も非課税枠のさらなる縮小などが検討されるでしょう。
相続税は全国的に中流層を巻き込むことになりそうです。

辻・本郷税理士法人の浅野恵理税理士は「自分が相続税を払う立場になるかを確認したい」と話しています。
親の保有財産を調べ、非課税枠内に収まっているかを見ます。
非課税枠を上回っているなら、生前贈与などで課税財産を減らします。
毎年、贈与税の基礎控除(年110万円)の枠内で贈与すれば10年間で最大1,100万円を無税で減らせます。
親と一緒に考えたい相続税対策です。

次に、親の自宅敷地に「小規模宅地の評価減の特例」を適用できるかを検討します。
この特例は330平方メートルまでの自宅敷地を配偶者や同居の子どもが相続する場合に評価額を80%減らせるのです。

人生100年時代には「支出管理」が重要になります。
この支出管理には日々の節約だけでなく、節税も含まれます。
医療費控除などを利用して所得税を減らすだけでなく、特に負担が大きい相続税節税にも関心を持ちたいですね。
ただし、親が生前贈与に走りすぎた揚げ句、生活資金が足りなくなるような事態は避けたいですね。
相続税の納税原資となる資金は別枠で現金で用意するよう親と話し合うとよいでしょう。
相続人である配偶者や自分ら子どもが困らないよう家族で準備することも大切な心得なのです。

僕自身もここ数年、年間数件の相続税の申告のお手伝いをさせていただいており、現在も数件進行中ですが、結果として相続税の申告が不要なケースが増加しているのと、全体的に遺産総額が少なくなってきているのはすごく実感しています。
それゆえ、相続税にももっと早くから興味を持っていただきたいなぁと思いますね。

富裕層だけではなく中流層も「標的」とし相続課税が強化されていることについて、どう思われましたか?


生涯収入50億円の野村克也さんの遺産をめぐる骨肉バトル!

資産家が亡くなると、著名人であればあるほど、財産分与で揉めることが多くなっています。
週刊FLASHによると、2020年2月11日に虚血性心不全で亡くなった野村克也さん(享年84)の場合も、雲行きが怪しくなっているそうです。

野村さんは、現役時代と監督時代の年俸に加え、解説者としてのギャラや講演料などで、生涯収入は50億円を超えると言われています。
さらに、田園調布に豪邸を構えており、莫大な財産をめぐっての遺産相続争いが起きる条件は、整っているというわけです。

野村さんには、前妻との間に生まれた長男、妻の故・沙知代さんの連れ子で養子の団野村氏(62)、ケニー野村氏(60)、そして沙知代さんとの間に生まれた克則氏(46)と、4人の息子がいます。
本来であれば、兄弟4人で財産を均等に分ければすむ話ですが、そう簡単には運びそうにないそうです。

野村家親族の関係者が、内情を吐露しています。
「じつは、野村さんの財産分与以前に、2017年12月に急死した沙知代さんの遺産分割で揉めていて、いまだに解決していないんです。
沙知代さんの財産は、夫である野村さんが2分の1、残りを団氏、ケニー氏、克則氏が3分の1ずつ相続する権利がありましたが、財産といっても、ほとんどが自宅などの不動産で、現金はそれほど多くなかったんです。
ところが団氏は、不動産を現物で取得する形での相続を望んでおらず、『不動産を売却して現金化したうえでの相続』を要求していると聞いています」

そもそも団氏は、沙知代さんの存命中から、不動産の売却を口にしていたそうです。
「それに対して克則氏は、『2人の思い出が詰まった家だし、“終の住処” にしてあげたい』と、反対したんです」(同前)その言葉どおり、克則夫妻は、自分たちの家も敷地内に建て、半同居生活を送ってきました。

「克則氏にすれば、『2人の面倒を見てきたのは自分と妻の有紀子さんだ』という自負がある。あまり関わってこなかった団氏が、自分に都合のいい要求をすることが、我慢ならないのでしょう」(同前)

思い出のある家や土地を残したい克則氏と、現金化したい団氏――。
このようなケースの場合、どう対処したらいいのでしょうか?
相続問題に詳しい、木野綾子弁護士に聞いています。
「遺産分割で、どうしても現物の取得を望まないというのであれば、不動産分を克則さんが取得して代償金を支払うか、第三者に不動産を売却して、その売却代金を分けることになります。
話し合いがつかなければ、家庭裁判所で遺産分割の調停を申し立て、それでも決着しない場合は、審判を仰ぐことになります。ここまで話がこじれると、決着するまでに2~3年はかかるでしょうね」

当然だとは思いますが、週刊FLASHが遺産相続問題について団氏・克則氏に問い合わせたところ、期日までに回答はなかったようです。

この沙知代さんの相続問題が解決しても、野村さんの遺産相続が控えています。
今度は、野村さんと前妻との間に生まれた長男にも相続権があるわけで、兄弟4人による泥沼の相続問題に発展する恐れもあります。

「親が急死した場合、相続で揉めるケースはかなり多い。だからこそ、元気なうちに遺言書を作っておくべきです」(木野弁護士)

息子たちの骨肉バトルを、野村さんは草葉の陰でボヤいているのでしょうか?

財産があるというのも、遺産分割でもめることが多く、悩ましいですね。
あとは、兄弟姉妹間で、父親や母親が違う方がおられるとますます難しくなることが多いですね。
やはり、もめるのが目に見えているような場合は、ご本人がお元気なうちに相続対策をして、お子様らにどう分けたいかを納得してもらっておかない(場合によっては、親の威厳で抑え込まないといけないこともあるとは思いますが。)と、相続が『争族』になる可能性が高いので、早めの相続対策をしましょう。
もめて得をすることはありませんので。

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公示地価が5年連続上昇!

国土交通省が先日発表した2020年1月1日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途平均(全国)が1.4%のプラスと5年連続で上昇しました。
札幌など中核4市を除く地方圏も0.1%上昇と28年ぶりにプラスに転換しました。
ただし、訪日客の増加や都市の再開発がけん引する構図で、新型コロナウイルスの経済への打撃が長引けば影響は避けられないでしょう。

住宅地は堅調な雇用や超低金利に支えられ、0.8%上昇しました。
商業地は3.1%上昇となり、それぞれ前年より伸び幅が拡大しました。

商業地は東京、大阪、名古屋の三大都市圏では5.4%のプラスとなりました。
企業が人材獲得のため、ゆとりのあるオフィスや通勤時間を減らせるサテライトオフィスを確保する動きが影響したようです。
訪日客の多い地区を中心にホテルや店舗向けの引き合いも強かったようです。

地方の中核4市(札幌・仙台・広島・福岡)は伸び幅が11.3%と2桁に達しました。
訪日客の消費も見込んだ商業施設やオフィスの開発が活発し、東京などの不動産価格が上昇したことを受け、より高い投資収益を求めるマネーが地方に流れたようです。

地価上昇の動きは中核4市を除く地方にも広がりました。
商業地では我がうどん県(香川県)がプラスに転じ、24都道府県で上昇しました。
秋田市では秋田駅周辺で複数の再開発が進んでいることが評価され、27年ぶりに上昇に転じました。
住宅地では山形、長崎の両県でプラスに転換しました。

もっとも、調査地点に占める上昇地点は全国で48%、地方で37%にとどまり、広がりを欠きます。
調査後の2020年2月から新型コロナの経済への打撃が強まり始め、地価回復のけん引役である観光地と大都市に影を落としています。

商業地の上昇率が13.3%、住宅地が9.5%で、ともに全国首位となった沖縄県ですが、中国発などのクルーズ船の寄港キャンセルや航空路線の減便により、足元では国際通りなどの繁華街では人出がめっきり減っています。

沖縄県内の商業施設でも営業時間短縮などの動きが相次いでいます。
地元の不動産鑑定士の浜元毅氏は「影響が長期化すれば不動産の価格にも影響を及ぼしかねない」と話しています。

訪日客数は経済情勢や2国間関係に左右されやすく、2019年は日本全体で2.2%増にとどまりました。
地価上昇を持続させるには、暮らしやすい街づくりなど地域の魅力を高める取り組みが欠かせないでしょう。

2020年の公示地価は、2019年に日本列島を襲った大型台風が爪痕を残しています。
浸水被害のあった長野市の住宅地は全国で最大の下落率となりました。
2018年に西日本を襲った豪雨など頻発する自然災害が地価を押し下げる状況が続いています。
地価上昇が続いた都心でも、一服感が見える地域も出始めているようです。
新型コロナウイルスによる逆風も強まり、地価上昇の持続力が試されています。

2019年10月の台風19号の被災地では地価の下落が目立ちました。
長野市では千曲川の氾濫で浸水した4カ所が下落しました。
堤防が決壊した場所から近く、住宅全壊などの被害が特に大きかった豊野地区(住宅地)の地点の下落率は13.6%と全国最大になりました。
同地区の3月1日時点の人口は台風前と比べて3%減り、地価下落に拍車をかけました。

福島県いわき市では、上昇基調だった地価を今回の被害が直撃しています。
市役所に近い地点では横ばいまで回復してきた地価が3.1%減となり、浸水があった商業地の地点では2019年の1.9%上昇から4.6%減へとマイナスに転じました。
宮城県丸森町でも1%未満まで下落幅が縮小していた住宅地の2地点が3~5%のマイナスに落ち込みました。

公示地価からは長く続いた上昇局面の一服感を示す数字も見て取れます。
2019年7月1日時点の基準地価と今回の公示地価の共通地点(約1,600地点)の変動率を見ると、半年間の地価上昇率は東京圏の住宅地で0.8%です。
2019年前半の半年間は0.9%で、今回5年ぶりに伸び率が縮小しました。
商業地でも三大都市圏の上昇率は2019年前半が3.2%、後半が3.3%と落ち着いてきています。

全国最高額は今回も東京都中央区銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」でしたが、伸び幅は2019年の3.1%からほぼ横ばいの0.9%に鈍化しました。
1平方メートルあたり5,770万円と既にバブル期の最高価格を上回っています。
商業地の価格で2位だった銀座5丁目の「対鶴館」も上昇幅は4.5%から1.2%に縮んだ。

銀座の場合は再開発が一巡したことや、有名店の出店が緩やかになっていることも背景にあるようです。
一般的に不動産価格は都心から地方へ上昇の波が広がっていきます。
都心の一等地で価格の一服感が出てきたことは地価の潮目の変化を示しているとの見方も多いようです。

同様の傾向は名古屋圏でも見て取れます。
全用途平均の上昇率は1.9%で、2019年の2.1%より小幅になりました。
「名古屋市中心部の中村区や中区の価格水準が上がった」(国土交通省)ことが背景にあるようです。

都市未来総合研究所によれば、国内の不動産取引は6年ぶりに4兆円を割った2018年度からやや増加し、2019年度は2月までの時点で約3.9兆円に回復しました。
ただし、5兆円前後の取引があった2014年度や2017年度に比べれば低い水準です。
海外勢の投資意欲はなお強いようですが、都心の物件価格の高騰による投資利回りの低下もあり、投資に慎重になっている様子がうかがえます。
中核4市を除いた地方圏の商業地では、基準地価との共通地点で比べると2019年の前半と後半で伸び率が0.8%で変わりませんでした。
景気が後退局面入りした可能性も取り沙汰されており、今後は子育て世代の支援や高齢者に優しい街づくりなどの努力がより重要になるでしょう。

上昇しましたが、来年はコロナウイルスの影響で下がるでしょうね。
家賃が支払えなくて出ていくテナントも増えていくでしょうし、将来への不安も増えていくでしょうから、家賃は下がり、土地の需要も減るでしょうから、数年間は厳しいでしょうね。
このような状況ですので、路線価などにも影響を及ぼす公示地価を修正することはできないのでしょうか?
相続税申告時の評価は高く、売ればかなり安いという状況になってしまうと思いますので。

公示地価が5年連続上昇していることについて、どう思われましたか?


荒廃の淡路島のランドマーク「大観音像」が民法に基づき「国庫帰属」となり解体へ!

弁護士ドットコムによると、兵庫県淡路市の「世界平和大観音像」(高さ約100メートル)は、所有者が亡くなってから、しばらく放置されていましたが、財務省近畿財務局がこのほど、2022年度までに解体撤去すると発表したそうです。

大観音像は1982年、地元出身の実業家の男性が建立しましたが、男性は1988年に亡くなり、相続人も2006年に死亡していました。淡路市によると、モルタルが剥がれ落ちるなど荒廃がすすみ、住民から不安の声があがっていたようです。

民法のルールでは、所有者が明らかでない場合、以下のような手続きがとられることになっています。

(1) 利害関係人などからの申し立てによって、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任する
(2) 相続人がいない場合は、一定の手続きを経たあと、金銭や不動産などの残余財産が国庫に帰属する

近畿財務局によると、大阪地裁が2011年、相続財産管理人(弁護士)を選任して、2018年に相続人がいないことが確定しました。
そして、このほど清算手続きが終了したため、2020年3月30日付で、大観音像(十重の塔、山門含む)は国庫に帰属することになりました(民法959条)。

大観音像はかつて淡路島のランドマークでした。
週刊ダイヤモンド(2009年9月12日)によると、1日で数千人が訪れる観光名所だったそうです。
しかしながら、2006年に相続人が亡くなり、閉鎖・放置されてからは一気に建物の劣化が激しくなったとされます。
しかも、勝手に入れるような状態だったようです。
神戸新聞によると、2020年2月、観音像の展望台から男性が飛び降りて亡くなるという事件も起きています。

近畿財務局は、住民の不安を解消するため、十重の塔と山門は2020年度中に、大観音像は2021年度から2022年かけて解体撤去工事をすすめるとしています。

個人的には時々淡路島に入っていますが、ここには行ったことがありませんでした。
集客力のあるランドマークがなくなるのは、大変残念だと思いますが、法律的なことはよく分かりませんが、地元の方々で何とか保存する方法はなかったのでしょうか?
あとは、ご本人や相続人がお亡くなりになるのがもう少し後であれば、建立された方にたくさん資産があるとすれば、信託を用いて何かできなかったのだろうかと思います。
維持費はかかるのでしょうが、インパクトのあるもの、インスタ映えするものは、淡路島のみならず、どこの観光地などの集客にとっても貴重なものだと思いますので。

荒廃の淡路島のランドマーク「大観音像」が民法に基づき「国庫帰属」となり解体されることについて、どう思われましたか?


紀州のドン・ファンの田辺市への遺産の相続費用が最大1.8億円!

多くの女性と交際を重ねて「紀州のドン・ファン」とも呼ばれ、2018年5月に急性覚醒剤中毒で急死した和歌山県田辺市の会社社長(当時77)の遺産を田辺市が受け取るための手続き費用が、最大で約1億8千万円に達するとわかったようです。
田辺市は、新年度当初予算案に関連予算1億1,698万円を盛り込み、開会中の定例市議会に提案しています。

紀州のドン・ファンは田辺市に全財産を寄付するとした「遺言書」を残しており、田辺市は2019年9月、相続する方針を表明しました。
遺産は約3億円の預貯金や約9億8千万円分の有価証券などで約13億円に上るとして、寄付を受けるための弁護士費用など関連費用として、補正予算計約6,500万円を計上していました。

債務や評価額未定の土地や建物、絵画などもあり、現在も最終的な金額は確定していないようです。
田辺市は新年度予算案に弁護士委託料1億94万円や鑑定評価手数料1,254万円などを盛り込み、年度中に債務を清算、土地や建物の評価額を算出して換金し、プラスの財産を確定することを目指すそうです。

紀州のドン・ファンの妻は遺産の一部を受け取る権利が法律で認められており、田辺市は遺産総額を確定させた後、財産分割の協議に入るそうです。

一部遺族から「遺言書」を無効とする訴えが起こされた場合、予定どおり寄付を受けられない可能性もあるようです。

結局、田辺市で、約1億1,700円を含む2020年度の当初予算が可決されたようですね。
個人的には、遺産の額に対して相続費用が高いように感じますが、田辺市としては、ネットで残れば良いんでしょうね。
遺産分割協議もすんなりいくとは思えないですし、今後どうなっていくのかウォッチしていきたいですね。

紀州のドン・ファンの田辺市への遺産の相続費用が最大1.8億円かかることについて、どう思われましたか?


『遺産相続トラブル』で70歳女性が61歳義理の妹に暴行した疑いで逮捕!

母親の遺産相続をめぐって口論になり、義理の妹に暴行を加えた疑いで、70歳の女が逮捕されました。
暴行の疑いで逮捕されたのは、兵庫県加古川市に住む無職の女性(70)です。

警察によりますと、女性は、先日、兵庫県多可町の住宅で、義理の妹(61)の腕をつかんだり引っ張ったりするなどの暴行を加えた疑いがもたれています。

2人は90代の母親の遺産の相続や年金をめぐって数年前からトラブルになっていたということで、口論の末に女が暴行したということです。
警察の調べに対し、女は「色々ないざこざはあった」と容疑を認めています。
警察は詳しい状況などを調べています。

こういうことは表沙汰にならないものがあるでしょうから、世の中にたくさんあるんでしょうね。
特に、今回のケースは義理の妹なので、血族ではないので、こういうことになるかもしれませんね。
やはり、相続税がかかるかどうかに関係なく、相続対策の中でも遺産分割対策はきちんとしておかないといけないですね。
相続をきっかけに仲が悪くなるということは、亡くなった方も望んでいないでしょうから。

『遺産相続トラブル』で70歳女性が61歳義理の妹に暴行した疑いで逮捕されたことについて、どう思われましたか?


鳩山邦夫元総務大臣の遺族が遺産7億円の申告漏れ!

 2016年に67歳で死去した鳩山邦夫元総務大臣の遺族が東京国税局の税務調査を受け、相続財産について約7億円の申告漏れを指摘されたことが関係者への取材でわかったようです。
政治団体への貸付金を相続財産に含めないなどのミスがあったそうです。
過少申告加算税を含む追徴課税は2億数千万円で、すでに修正申告したとみられます。

鳩山氏が代表を務めていた資金管理団体「新声会」の収支報告書によると、2016年6月の死去の時点で、鳩山氏から6件計約4億5千万円の借入金がありました。
故人が会社や個人などに資金を貸し付けていた場合、原則として相続財産の対象となります。
しかしながら、関係者によると、鳩山氏の遺族らは、相続税の申告時に新声会への貸付金を計上していなかったとみられます。

このほか、不動産の評価額の誤りなどもあり、申告漏れの総額は計約7億円にのぼったそうです。
いずれも意図的な税逃れではないと判断され、重加算税は課されなかった模様です。

政治団体の代表者が死亡した場合の残金処理の規定はなく、後継者が新たな代表者となってそのまま資金を使うことも、別の団体に資金を移すこともできます。
こうして政治資金として引き継ぐ場合は相続税や贈与税はかかりませんが、収支報告書によると、衆院福岡6区の地盤を継いだ次男の鳩山二郎衆院議員(41)の資金管理団体への資金移動はありませんでした。

鳩山氏の母親はブリヂストン創業者の故・石橋正二郎氏の長女安子氏(2013年2月に90歳で死去)で、鳩山氏は同社株や不動産などを保有し、兄の由紀夫元首相(72)と並んで政界有数の資産家でした。
死去により、妻エミリー氏(64)、二郎氏ら遺族4人は100億円を超える遺産を相続したとみられます。

鳩山家の資産管理会社「六幸商会」(東京都港区)は朝日新聞の取材に対し、「何もお答えできない」としているようです。

これだけの財産を持っている方だと、それなりの税理士が付いていると思いますが、貸付金が漏れていたり、不動産の評価額が誤っていたというのは、どうなんでしょうか?
鳩山家は以前にも、相続を巡って問題があったと思いますが、慎重にならなかったのでしょうか?
政治団体の残金は政治資金として引き継ぐと相続税や贈与税がかからないというのもおかしい(二世議員を生み出すもと)とは思いますが、なぜ引き継がなかったのでしょうか?
財産をたくさん持つというのも、色々と大変だなぁと改めて感じた1件でした。

鳩山邦夫元総務大臣の遺族が遺産7億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


相続登記を怠ると罰則や所有権放棄制度の創設も!

 毎日新聞によると、法制審議会(法相の諮問機関)の民法・不動産登記法部会は、先日、所有者不明土地問題の解消に向けた制度改正に関する中間試案の概要をまとめたようです。
相続登記を義務付けて怠った場合の罰則を設けるほか、所有権の放棄を可能とする制度を創設することなどが柱となっています。
部会がさらに検討を加えたうえで年明けに意見公募を実施し、来夏にも要綱案をまとめるようです。
政府は、来秋の臨時国会に民法などの改正案提出を目指しています。

土地の権利関係の登記は、相続などで所有者が変わっても名義を変更する義務はなく、税負担や手続きの手間を避けようと、相続人が登記をしないケースがあるとされます。
所有者が分からないまま放置される土地が増えているとの指摘を踏まえ、中間試案は、被相続人が亡くなって相続人が土地を取得してから一定期間内に登記することを義務付け、怠れば罰則として過料を科すとしました。

また、少子高齢化などを背景に土地を手放したい人も増えていることから、所有権放棄を認める制度も創設するようです。
土地所有者からの申請を受け、権利関係に争いがないか、現状のままで管理が容易か、などの要件について行政機関が審査し、放棄が認められれば国有地になるとしました。
将来的には自治体が取得して再開発するなどの利用が想定されています。

このほか、相続人が遺産分割の協議を行う期間に制限を設ける新制度も盛り込まれました。
協議がまとまらずに遺産分割されないまま長期間経過すると、権利関係が複雑化し、土地の有効活用を妨げるとの指摘があります。
このため、制限期間を過ぎた場合は、家庭裁判所などが法定相続分に従って分割します。
制限期間は「10年」とする案を有力とし、「5年」とする案も併せて検討します。

所有者不明土地問題を巡っては、増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる研究会が2017年、所有者が分からなくなっている可能性のある土地の総面積が約410万ヘクタールに達するとの推計を公表しました。

相続関係の仕事をしていると、相続登記をせずに放置したままになっている土地をまぁまぁ目にします。
個人的には、遅くなればなるほど、関係者が増えて登記を行う際の手間が増えると思いますので、義務化は大賛成です。
相続したものの使い道のない土地というのもかなり目にしますので、所有権の放棄も大賛成ですね。
あとは、意図的に相続登記をしていないケースと、遺産分割協議が終わっていないケースがあると思いますので、遺産分割協議の期間に制限を設けるのも良いかなぁと思います。
ただし、これについては、ご家族にしか分からない過去の経緯、心情などがあると思いますので、一律法定相続分にしてしまうと、ますます相続人間の仲を悪くさせる可能性があるのではないかと思いますね。

相続登記を怠ると罰則や所有権放棄制度の創設がされることについて、どう思われましたか?


相続税の申告で「路線価」による評価を否定した地裁判決!

 「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とした東京地裁判決が波紋を広げています。
国税庁は路線価などを相続税の算定基準としていますが、「路線価の約4倍」とする国税当局の主張を裁判所が認めたからです。
路線価は取引価格の8割のため節税策として不動産を購入する人もいます。
しかしながら、相続税の基準となる路線価と、取引価格に大きな差があれば注意が必要です。

2019年8月末の判決で、東京地裁が路線価に基づく相続財産の評価を「不適切」としたのは、2012年6月に94歳で亡くなった男性が購入していた東京都内と川崎市内のマンション計2棟です。

購入から2年半~3年半で男性が死亡し、子らの相続人は路線価などから2棟の財産を「約3億3千万円」と評価しました。
銀行などからの借り入れもあったため、相続税額を「ゼロ」として国税側に申告しました。

しかしながら、男性が購入した価格は2棟で計13億8,700万円で、路線価の約4倍でした。
国税当局の不動産鑑定でも2棟の評価は約12億7,300万円で、路線価とはかけ離れていました。

このため、国税側は「路線価による評価は適当ではない」と判断しました。
不動産鑑定の価格を基に「相続税の申告漏れにあたる」と指摘し、相続人全体に計約3億円の追徴課税処分を行いましたが、相続人らは取り消しを求めて提訴していました。

土地や家などの相続財産は「時価」で評価すると法律で決められています。
ただし、国税庁は「納税者が時価を把握することは容易ではない」として主要道路に面する土地について「路線価」を毎年発表し、相続税や贈与税の算定基準としています。

路線価は土地取引の目安となる公示地価の8割の水準です。
このため現金よりも不動産を購入して相続した方が税金が安くなる傾向があり、”節税”目的での不動産取得は今も昔も広く行われていることは、よく知られていることです。

今回の判決では「特別の事情がある場合には路線価以外の合理的な方法で評価することが許される」と指摘しています。
今回は「近い将来に発生することが予想される相続で、相続税の負担を減らしたり、免れさせたりする取引であることを期待して実行した」と認定し、国税の主張する不動産鑑定の価格が妥当としました。

原告の相続人らは不服として控訴しています。

今回、国税当局は国税庁長官の指示で財産の評価を見直すことができる通達の規定(財産評価基本通達の6項)を適用して価格を見直しています。
相続税の算定基準を路線価とする根拠でもある通達です。

通達は国税当局の判断で財産の評価を変えられるため「国税の伝家の宝刀」とも呼ばれています。
しかしながら、どんな場合に宝刀が抜かれるのか明確な基準はなく、判決に困惑する税理士も少なくありません。

相続税の課税対象は、2014年は4.4%にとどまっていましたが、2015年1月から対象が拡大されました。
2017年に亡くなった人では8.3%とほぼ倍増しており、相続財産の評価が求められる機会が増えています。

相続税に詳しい佐藤和基税理士は今回の判決を受け、「金額の大きな相続では、手法やリスクの検討をこれまで以上に慎重にしないといけなくなる」と懸念しています。
税務訴訟に強い平川雄士弁護士も「正当な不動産投資をも萎縮させる可能性がある。国税当局は通達を適用する基準を明確にすべきだ」と指摘しています。

この判決には驚きですね。
僕は、以前、路線価で評価すると実勢価格と比べるとあまりにも高すぎるので、不動産鑑定士による評価を取り、それに基づいて申告した案件があるのですが、税務署に路線価でないとダメと言われたことがあります。
実勢価格と路線価がかなりかけ離れているというのであれば、国税庁の路線価の設定がおかしいのではないと思いますし、路線価がダメなケースがあるのであれば、財産評価基本通達で明確に示してほしいと思います。
そうしないと、国税庁の判断でどちらかということが決まってしまうことになりますので。
納税者には頑張ってぜひとも勝ってほしいと思いますし、興味深くウォッチいていきたいと思います。

相続税の申告で「路線価」による評価を否定した地裁判決について、どう思われましたか?


登記遅れでゆらぐ遺言の効力!

 日経電子版の記事ですが、相続人同士が遺産分割を巡って争う「争続」を避けるには、遺言を残しておくことが大事だと言われます。
しかしながら、この遺言の「効力」が揺らぎ始めたのです。
2019年7月に始まった改正民法の相続規定(相続法)の影響です。

相続が起こると、被相続人(死亡した人)の財産を法定相続人の間で分けることになります。
遺言がなければ相続人が遺産分割協議で分け、遺言があれば遺言が優先します。
しかしながら、改正民法によって相続登記の順番によっては遺言が優先しないケースが想定されるようになったのです。

相続登記とは、被相続人の不動産の所有名義を取得分に応じて相続人の名義に変更することです。
登記すれば、不動産の所有権を対外的に主張できます。
あまり知られていませんが、法定相続人は遺言があったとしても「他の相続人の了解を得ずに相続人全員がそれぞれの法定相続分を登記できる」(司法書士の大貫正男氏)のです。

具体例を見てみましょう。
子がいない夫婦の夫が「自宅は全て妻に相続させる」という遺言を残していても、4分の1の法定相続割合をもつ夫の兄は妻より先に法定相続分を登記できるのです。
すると、4分の1は夫の兄の名義になりますので、「売却したり、担保にしてお金を借りたりすることができる」(弁護士の伊東大祐氏)のです。

そうなると困るのは妻です。
せっかく自分に全てを相続させるとの遺言があるのに最悪の場合、自宅が「持ち分を購入した第三者との共有になる」(弁護士の上柳敏郎氏)からです。

民法改正前は、そのような不都合は解消できたのです。
伊東弁護士は、「妻が持ち分を買った第三者を訴えれば、勝って全てを自分のものにできた」と話しています。
最高裁が「遺言があれば遺言が優先する」と判断していたからです 。

ところが、民法改正で最高裁の判断は否定されたのです。
改正民法では、「法定相続割合(このケースでは4分の3)を超える分については登記しないと第三者に権利を主張できない」としたのです。

こんなケースもあるでしょう。
父が「自宅を全て長男に相続させる」と遺言で指定したとします。
法定相続割合は母が亡くなっていれば兄弟2人の場合、2分の1ずつです。
先に次男が法定相続分を登記し、その分を第三者に売却すれば、長男は第三者と自宅を共有せざるを得なくなるのです。

このような問題の解決策は一つです。
自宅を全て相続させると遺言で指定された相続人は「他の相続人よりも先に全部を相続する旨の登記をすること」(伊東氏)です。
他の相続人から遺留分(最低限の取り分で通常、法定相続分の半分)を請求される可能性はありますが、金銭で解決できます。
相続人が兄弟姉妹の場合(このケースだと、兄)、遺留分の請求権がないので妻がすべて取得できるのです。

今回の民法改正について知っているか知らないかで、大きな差が出ることを覚えておきましょう。

厳密にいうと、解決策は一つでないように思います。
生前であれば、いわゆる民事信託を使えば、このような問題を回避できるかもしれません。
最近でも、遺言は絶対的と書いている記事を見たりしますが、この民法改正のことを知らない方もたくさんいますので、気を付けないといけないですね。
四十九日が済んでからと悠長なことは言っていられませんので。

登記遅れでゆらぐ遺言の効力について、どう思われましたか?


借入をして賃貸物件を取得する相続税節税が認められない?

 先日、税理士としては非常に気になる判決が出ています。
税務通信によると、東京地方裁判所は2019年8月27日、被相続人が相続開始前に借入金で取得した賃貸用不動産の相続税評価額を巡り、財産評価基本通達6項に基づく国税庁長官の指示による評価を認め、納税者の主張を棄却しました(平成29年(行ウ)第539)。

本件では、平成21年まで不動産賃貸業を営む法人の代表者であった被相続人が、“相続開始前3年5か月前”に、賃貸用不動産(甲不動産)を約8億3千万円で取得しました。
また、“相続開始前2年6か月前”に、賃貸用不動産(乙不動産)も約5億5千万円で取得しました。
そして、これら本件各不動産の購入資金として、銀行から合計約10億円の借入れをしていました。
平成24年6月の相続開始後、相続人は本件各不動産を評価通達に基づき合計約3億3千万円と評価する一方、借入金約10億円を債務控除し、小規模宅地特例を適用したうえで、相続税をゼロとして申告しました。

これに対し税務署は、伝家の宝刀である評価通達6項(評価通達の定めにより評価することが著しく不適当な場合に国税庁長官の指示で評価する定め)に基づき、鑑定評価額(甲不動産:約7億5千万円、乙不動産:約5億2千万円)による評価が適正として、平成28年4月に更正処分を行いました。
国税不服審判所の裁決(平成29年5月23日裁決)を経て、提訴されました。

なお、相続人は相続開始の9か月後に、乙不動産を約5億1千万円で第三者に譲渡しています。

東京地方裁判所は国の主張どおり、本件での評価通達6項に基づく鑑定評価額を認めました。
租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかな「特別の事情」がある場合には、評価通達で定める以外の合理的な方法で評価することが許されると解すべきとして、評価通達6項の定めを支持しました。
そして、本件各不動産について、特別の事情があるか否かを検討しています。
まず、本件各不動産の評価通達の評価額と売買価額や鑑定評価額を比べ、4倍ほどかい離していることを指摘しています。
本件各不動産の売買について市場価格と比べ特別に高額等であったという事情もなく、いずれも共同住宅等として利用されており、本件鑑定評価は収益還元法による収益価格を標準に鑑定評価額を求めています。

不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づき算定する不動産の正常価格は、基本的に不動産の客観的な交換価値、つまり相続税法上の時価を示すと考えられることも勘案すれば、本件相続開始時における本件各不動産の客観的な交換価値を算定するにつき、評価通達の評価方法が合理性を有することについては、相応の疑義があると言わざるを得ないとしました。

さらに、本件各不動産が相続財産に含まれることになった経緯をみると、被相続人は当時90歳、91歳の時に銀行から多額の借入れをして本件各不動産を購入しています。
借入金と本件各不動産の購入がなければ、本件相続の課税価格は6億円を超えるものでしたが、借入金と本件各不動産の購入があったことで、評価通達の評価額と比べ借入金債務が多額となり、その差額が不動産を除く相続財産から控除され、相続税は課されないこととされました。
加えて、借入金に係る銀行の貸出稟議書の記載などによれば、本件各不動産の購入や借入れを被相続人及び法人の事業承継の過程の一つと位置づけつつも、それが近い将来発生することが予想される相続において相続税の負担を減じるものと知り、かつ、それを期待してあえて企画して実行したと認められます。

以上の事実関係の下で、本件では、評価通達の評価方法を形式的に適用すると、本件各不動産の購入と借入れに相当する行為を行わなかった他の納税者との間で、かえって租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかというべきであり、評価通達以外の評価方法で評価することが許されるというべきです。
そして、本件鑑定評価の適正さに疑いをさしはさむ点がないことに照らせば、本件各不動産の時価は、収益還元法に基づく本件鑑定評価額と認められるとしました。

●主な事実関係
・平成20年8月、被相続人は、二男の長男である孫と養子縁組をした。
・ 平成21年1月、被相続人は、売主の法人との土地と建物を買い入れる売買契約により、甲不動産を取得。被相続人はR銀行から借入れ。
・平成21年12月、被相続人は、売主の法人との土地と建物を買い入れる売買契約により、乙不動産を取得。被相続人はR銀行から借入れ。
・平成24年6月、被相続人が死亡。被相続人は平成21年まで不動産賃貸業を営む法人の代表者だった。養子が本件各不動産と債務の全部を承継した。
・平成25年3月、養子は買主の個人との乙不動産の売買契約により、乙不動産を譲渡。
・平成28年4月、税務署から相続税の更正処分を受ける。
相続人は、被相続人の妻、及び長女、長男、二男、養子(二男の長男)で、養子に多くの財産を相続させる遺言があった。
銀行が作成した貸出稟議書には、「相続税対策のためローンを実行し不動産を購入」といった旨の記載がある。

●本件のポイント
本件は、相続開始直前期において、銀行から借入れをし、その借入金で賃貸用不動産を取得したことで相続税の負担をなくしたスキーム。
その賃貸用不動産の評価通達による評価額と売買価額等が著しくかい離しているというだけでなく、銀行の貸出稟議書等から、相続税の節税のためにあえて借入れ及び不動産の購入を企画、実行したものと認め、こうした本件の経緯にも着目した上で、評価通達6項に基づき鑑定評価額を認めています。

この手の相続税対策は世間一般的によく行われていることだと思いますし、おそらく税理士も関与していると思いますが、これが否認されてしまうんですね。
高齢であったこと、相続税対策というのを前面に出してしまった(銀行の稟議書に記載)こと、相続発生後9か月で売却したことなどが理由だと思いますが、売却していない方の不動産も否認されていますから、やはり、できるだけ早めに、ストーリーをきちんと描いてやらないといけないということですね。

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信託業務の裾野が広がり5年で登録倍増!

 財産の管理や運用を担う信託業務に事業会社の参入が相次いでいるようです。
信託会社として登録する企業はこの春までの5年でほぼ倍増しています。
再生エネルギー設備や留学費用、地方の商業施設の管理といった信託銀行が手掛けてこなかった新分野で需要を掘り起こしています。
高齢化や国際化を背景に、信託の新たな担い手が存在感を高めそうです。

そもそも信託業務とは何なのでしょうか?
金銭や不動産などの財産を持つ人が第三者に財産権を引き渡し、その第三者が目的に沿って財産を管理したり処分したりする業務を指します。
日本では長く銀行法に基づく免許を持つ銀行が、信託業を兼営してきました。
しかしながら、2004年の信託業法の改正で、銀行以外の事業会社も信託業に参入できるようになったのです。
登録・免許を取得した企業数は2013年度末の14社から、2018年度末には25社に増えました。

新規参入は住宅や不動産関連の企業が目立っています。
大和ハウス工業や積水ハウス、大東建託などが信託子会社を設立し、自社で扱うアパートの事業主を対象に、認知症や相続に備えて物件の管理を受託するサービスを展開しています。

事業会社からの参入組は信託銀と競合しない新分野を広げています。
2019年3月に信託会社の免許を取得したジェイバリュー信託(東京・千代田)は、太陽光発電などの再エネ関連設備の管理・運用を受託しています。
資金管理や納税を含む発電所の運営を一括で請け負います。
既設の太陽光発電所の売買仲介も手掛け、運営に不慣れな企業でも発電所を取得しやすくします。

信託銀行が投資や相続に関わる商品開発に力を注ぐ一方、新規参入の信託各社はより小規模な利用者を想定しています。
ジェイバリュー信託の谷山信社長は「銀行では収益化が難しい分野で信託の需要を掘り起こす」と話しています。

留学安心信託(東京・新宿)は、学生が支払った留学費用の海外の大学などへの送金を受託します。
留学を支援する会社の倒産で留学費が学生に返ってこない事例が増えていることに着目しました。

信託の仕組みを使うと費用を支援会社から切り離せます。
支援会社から各個人の費用を受託し、留学に関わる書類の送付や両替業務も請け負います。
2018年12月の事業開始から約1,300人分を受託しました。
年内には専門学校とも契約する見通しです。

地方創生に信託をいかす信託会社もあります。
すみれ地域信託(岐阜県高山市)は、山間部の小水力発電所や商業施設の管理・運営を担っています。
2018年秋には地元の小売業者、建設業者などから建物や借地権を受託し、新業態の複合店舗に改装しました。
森林の相続にも進出しています。
高齢化で施設や森林を管理する人材が不足していることが背景にあります。

日本は銀行が信託業を兼営し、遺言信託など金融資産や不動産の管理が中心です。
欧米では住宅の管理や環境保護、知的財産の管理など信託の仕組みが幅広く活用されています。
新規参入各社の事業規模はまだ小粒だが信託サービスの裾野が広がり、幅広い資産の有効活用につながるかどうかが試されます。

最近は、大手の参入してこないようなニッチなところや、自社の商品の販売のためにやっているところが多いようですね。
まだまだ、色々なリスクを抱えているとは思いますが、様々な信託業務が出てきて、世の中の人々に早く信託が認知されるようになってほしいと思います。
基本的に節税にはなりませんが、僕も財産管理の観点から積極的に取り組んでいきたいと思っています。

信託業務の裾野が広がり5年で登録倍増していることについて、どう思われましたか?


中央出版創業者親族が相続税130億円の申告漏れ!

 教育関連事業を手掛ける「中央出版」(名古屋市名東区)の創業者で2014年に死去した前田亨氏の長男が、名古屋国税局の税務調査を受け、相続した株式の評価を巡って約130億円の申告漏れを指摘されていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
相続税の追徴税額は、過少申告加算税を含めて約70億円とみられます。

長男は、中央出版の役員の前田和一氏で、和一氏は追加の税金を支払った上で、処分を不服として再調査を請求し、一部が取り消されました。
現在は、全体の処分の取り消しを求めて国税不服審判所に審査請求をしています。

関係者によると、和一氏は、中央出版などの親会社にあたる「中央出版ホールディングス」(非上場)の株式などを相続し、申告しました。
国税庁は、取引相場のない非上場株の評価について、業種や事業の内容が似ている上場企業の株価などをもとに算定するよう通達で求めています。

和一氏は通達に沿って、一株の価値を18円と算定して申告しました。
しかしながら、名古屋国税局は、過去の同社株の取引価格などから「通達以外の方法によって価値を算定すべき特別な事情がある」と判断し、民間の第三者機関の鑑定をもとに一株の価値は55円と認定し、全体で約130億円の申告漏れを指摘しました。

和一氏が処分の取り消しを求めたところ、価値が一部見直され、約30億円の申告漏れが取り消され、追徴税額も約15億円減額されました。
ただし、和一氏は、全体の処分の取り消しを求めて国税不服審判所に審査請求を申し立てました。

中央出版は、1972年に創業されました。
現在の主力事業はプログラミング教室や保育園の運営事業で、2018年4月期の売上高は約45億円です。
和一氏の代理人弁護士は、「通達以外で評価すべき特別な事情はなく、申告は適正なものであると認識している」とコメントしました。

相続や贈与を巡っては、過去にも企業経営者の親族が申告漏れを指摘された例があります。
2017年に飯田グループホールディングス元会長の遺族が株式を巡り約80億円の申告漏れを指摘されたことが明らかになったほか、2016年にキーエンス創業者の贈与でも親族が株式の評価額を巡って1,500億円超の申告漏れを指摘されたことが分かっています。

報道からだとよく分かりませんが、「通達以外の方法によって価値を算定すべき特別な事情がある」と判断するのは、よっぽどの時ではないといけないと思いますし、特別な事情についてはきちんと説明すべきだと思います。
安易にこれが使われてしまうと、通達が何のためにあるのかよく分かりませんし、いちいち事前に税務署に確認したうえで申告しないといけないような状況になってしまいます。
あとは、国税庁として、『特別な事情』をきちんと世間一般に公表すべきだと思います。
個人的には、和一氏に全面的に勝ってほしいと思いますね。

中央出版創業者親族が相続税130億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


相続登記が義務化!

 所有者不明の土地が増えている問題をめぐり、法務省の研究会は先日、相続登記の義務化や所有権を放棄できる制度の導入などを提言した報告書を公表しました。
一定期間内であれば相続登記時の戸籍謄本や除籍謄本などの書類提出を不要にするなど、手続きの簡略化を盛り込みましだ。
相続人の負担を減らして義務化の実効性を持たせ、所有者不明土地の発生を予防します。

研究会での検討を踏まえ、山下貴司法務大臣は、先日、法制審議会(法相の諮問機関)に民法と不動産登記法の改正を諮問しました。
今後審議を進め、2020年秋の臨時国会にも改正案の提出をめざします。

現行法では相続登記は任意で、土地の価値が低いと登記しないケースも多くなっています。
報告書は相続登記を義務化し、違反者には罰金を検討すべきだとしています。
被相続人の死亡の事実と相続対象の不動産を申し出れば、添付書類なしに不動産登記簿上の情報を書き換えられるようにすることも提言しました。

所有権の放棄を認める要件として、(1)所有者が管理費用を負担、(2)災害で危険な状態にある、(3)土地の買い手がつかないなどのいずれかを満たす必要があると指摘しています。
放棄した場合の帰属先や財政負担をどうするかが課題だとしました。
放置されている土地について、所有者が所有権を放棄したとみなす制度の創設についても検討を求めました。

相続関係の仕事をしていると、相続登記をしていないケースを見かけますが、色々と手間が生じますよね。
よって、相続登記の義務化は良いことだと思います。
ただし、JAなどが相続人のうちの1人に預金を払い戻して問題になっているケースがたくさんあると思いますが、手続きの簡素化は必要だと思いますが、相続人間の争いのもとにならないようなものにして欲しいですね。

相続登記が義務化の方向にあることについて、どう思われましたか?


遺産約1億6千万円の横領容疑で元弁護士を逮捕!

 東京都内の寺院に寄付されるはずだった檀家(だんか)の遺産を横領したとして、警視庁捜査2課は、業務上横領の疑いで、東京都渋谷区富ケ谷の元弁護士(73)を逮捕したようです。
元弁護士は、「間違いありません」と容疑を認めています。

捜査関係者によると、元弁護士は、港区に所在する寺院から遺産の寄付業務を受任しました。
檀家の女性から、死後に寄付する予定だった約1億6千万円を預かり、自身の関係口座で保管していましたが、2016年9月に女性が死亡した後、自身名義の口座に移し替えていたそうです。

元弁護士は2018年8月、別の顧客から預かった遺産を返還しなかったとして、東京弁護士会から業務停止2年の懲戒処分を受けました。
この処分を受け、寺院側が調べたところ、寄付金が消失していたことが判明し、被害が発覚したそうです。

元弁護士は、横領した金を株取引の損失補てんなどに使っていたようです。

逮捕容疑は、2016年12月下旬、業務で預かっていた遺産約1億6千万円を横領したとしています。

年に何名かはこういう弁護士が出てきますね。
弁護士業界も、公認会計士業界や税理士業界と同様に、経営が厳しくなってきているとは思いますが、きちんとビジネスを考えて、こういったことのないようにしてほしいですね。
弁護士業界や士業業界の信用失墜につながりますので。
やはり、お金を目の前にすると、人間は目がくらんでしまうんですかね?

遺産約1億6千万円の横領容疑で元弁護士が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


土地の相続登記を義務化!

 法務省は、先日、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直すと発表しました。
相続登記の義務化や所有権の放棄を認める制度の創設、遺産分割の話し合いができる期間の制限などが柱となります。
山下貴司法務大臣が、先日の法制審議会(法相の諮問機関)総会で諮問しました。
2020年の臨時国会に改正案を提出したい考えのようです。

山下法務大臣は、先日の閣議後の記者会見で「所有者不明土地は民間の土地取引など土地の利用を妨げている。対策は政府全体で取り組むべき重要な課題だ」と述べました。

所有者不明の土地は、不動産登記簿などの所有者台帳で所有者がすぐ分からなかったり、判明しても連絡がつかなかったりする土地を指します。
増田寛也元総務大臣ら民間有識者の研究会による2016年の推計によると、全国で約410万ヘクタールです。
2040年には約720万ヘクタールにまで広がる見込みです。
所有者を探す費用や公共事業の遅れなどの経済損失額は同年までの累計で約6兆円に上ります。

こうした土地は所有者が亡くなった後に相続人が決まらず放置されたり、相続人が登記簿上の名義を書き換えなかったりして発生する例が多くなっています。
権利関係を外部からわかりやすくするため、法務省は相続時の登記の義務化を検討します。
登記していなければ罰金などを科すことも視野に入れているようです。

現在は、相続登記は任意で、登記するかどうかは相続人の判断に委ねられています。
名義が死亡者のまま長年放置されれば、法定相続人が分からなくなる可能性があります。
土地の購入や賃借をしたい人がいても取引が進みません。

相続人同士が遺産分割を話し合いで決める期間にも制限を設けます。
話し合いでの合意や家庭裁判所への調停申し立てがされずに被相続人が亡くなって一定期間が過ぎれば、法律に従って自動的に権利が決まるようにするようです。
期間は3年、5年、10年の複数案があります。

土地の所有権を放棄できるようにする制度も検討するようです。
例えば「遠方に住む親から土地を相続したが、手入れが難しく手放したい」などのケースでも、現在は放棄を認めていません。
放棄を認める条件や、第三者機関や自治体など受け皿となる機関について議論します。
税逃れや将来放棄するつもりで管理をしないなど、モラルハザードが発生しない仕組みも課題となるでしょう。

相続人のいない土地も活用を促します。
被相続人が複数の土地を持っていた場合、債権者などが土地ごとに相続財産管理人を選任できるようにします。
管理人は相続人がいないかどうかを調べた上で、土地をもらうべき人に分けたり、売却して債務の支払いに充てたりします。

相続人の調査にかかる期間を現行の10カ月から最短3~5か月に短縮します。
選任の費用負担も減らします。
全ての土地を調べる現行制度では時間が長くかかり、費用もかさんでいました。
管理人を介しやすくし、自治体や企業などへ売却を促します。

法務省の対策は新たな不明土地の発生を防ぐ仕組みが中心となります。
すでにあるものも含めて不明土地を減らし、抜本的な解決に結びつけられるかは未知数です。

良い改正だと思います。
相続関連の業務をやっていると、相続登記がなされないままになっている不動産をたまに見かけます。
登記費用がかかるとかいう理由で登記していないと思われますが、登記を義務付けないと、後々面倒になりますよね。
一方で、登記費用を安くしてほしいですね。
あとは、最近、土地を相続したがいらないとか、相続人全員が土地をいらないと言っているなど、相続したくない土地が増えているような気がします。
よって、土地の放棄は認めて欲しいですね。

土地の相続登記を義務化することについて、どう思われましたか?


2億5,000万円の遺産隠しで会社会長を告発!

 亡き夫から受け継いだ遺産2億5千万円を隠し、相続税1億3千万円を免れたとして、名古屋国税局が相続税法違反(脱税)の疑いで、化粧品会社(東京)の会長(79)を名古屋地検に告発したことが分かったようです。

関係者らによると、愛知県豊山町の夫が2016年2月に72歳で死亡し、妻の化粧品会社会長が不動産など6億円以上の遺産を相続しましたが、このうち、50キロ分の金地金(2億5千万円相当)を隠し、申告しなかったとされます。

国税局が2018年2月、強制調査(査察)に入り、意図的に申告から除外したと判断したもようです。

化粧品会社会長は取材に対し、「このような事態になりとても残念」と答えたようです。
既に修正申告し、納税済みだそうです。

民間調査会社によると、2016年8月~2017年7月の化粧品会社の売り上げは12億円です。
会長は化粧品会社ホームページなどで別名を名乗り、化粧品会社の創業者です。
夫は会長と結婚後、化粧品会社の役員を務めていました。

報道によると意図的に申告から除外したということですので、コメントの『残念』という意味がよくわかりませんが、金地金はバレないとでも思っていたのでしょうか?
それほど甘くはないですよね。
相続税の申告でこういうことをするのであれば、法人はどうなのだろうか?と思うのは僕だけでしょうか?

2億5,000万円の遺産隠しで会社会長が告発されたことについて、どう思われましたか?


相続で配偶者を優遇する改正民法が成立!

 民法の相続分野の規定を約40年ぶりに見直す改正民法など関連法が、先日の参院本会議で可決、成立しました。
残された配偶者が、自身が亡くなるまで今の住居に住める配偶者居住権が新設され、遺産分割で配偶者を優遇する規定も設けられます。
 この改正により、高齢化に対応し、配偶者が住まいや生活資金を確保しやすくなります。
 20207月までに施行されます。居住権を得た配偶者は、預貯金など他の遺産の取り分を増やすことも可能になります。
婚姻期間20年以上の夫婦であれば、住居を生前贈与するか遺産で贈与の意思を示せば住居を遺産分割の対象から外す優遇措置も設け、高齢になった配偶者が生活に困らないようになります。亡くなった被相続人の親族で相続対象でない人でも、介護や看病に貢献した場合は相続人に金銭を請求できる仕組みもできます。
息子の妻が義父母の介護をしていた場合などを想定しています。相続トラブルを避けるため、生前に書く「自筆証書遺言」を法務局に預けられる制度を創設するための法も可決、成立しました。参院法務委員会で採択した付帯決議では、配偶者居住権の評価額の基準を検討するよう求めました。
多様な家族の保護のあり方について検討するとの内容を盛り込まれました。
遺言書の保管制度の実効性を確保するため、遺言者の死亡届が提出されると、遺言書の存在が相続人などに通知される仕組みもつくられます。時代の流れに反映した改正ですね。
相続の発生により、自宅を出ていかないといけなくなったり、自宅を相続した結果、現預金などの他の資産を相続できなくなったりするケースなどがあるからです。
また、息子の妻が、どれほど義父母の介護を一生懸命行ったとしても、遺言がある場合など以外では金銭をもらえず、それが原因で『争族』に発展するケースもたくさんあったはずです。
良い方向への改正だと思います。
この改正に伴い、相続対策も、少し変わっていくでしょうね。
 相続で配偶者を優遇する改正民法が成立したことについて、どう思われましたか?

ポーラHD社長を提訴し結果次第では現経営体制の崩壊も!

 以前、このブログに書いた件ですが、週刊ダイヤモンドによると、化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長が遺産相続に関し不正をしたとして、故会長の妻が提訴したようです。
鈴木社長保有のHD株約4,191万株は遺産の対象だったことの確認などを求めるもので、複数の訴訟の結果次第ではHD株の過半が対立側へ移り、現経営体制は崩壊しかねない。
 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長を相手取り、故鈴木常司会長(鈴木社長の叔父)の妻(以下、夫人)が提訴に踏み切ったことが週刊ダイヤモンドの取材で明らかになりました。
 背景には現経営トップに対する疑念と憤りがあり、関係者によると、夫人は「これを機に真相が解明され、上場会社にふさわしいガバナンス体制になってほしい」と話しているそうです。
 鈴木社長に関しては、2017年末から20183月の間に2件の疑惑が浮上しました。
 具体的には、以下のとおりです。
①常司会長が2000年に急死した際に、「鈴木社長がグループ有力会社の株約69万株を11円で会長から譲渡される契約書を生前に作られたように捏造した」とHD元ナンバー220183月まで取締役)が告発した件。
②「常司会長が美術品を寄付する旨の確約書を鈴木社長が同様の手口で捏造した」と公益財団法人ポーラ美術振興財団の元関係者が本誌に告発した件。
 夫人は、①の疑惑に関連して、東京地方裁判所へ提訴しました。
 焦点は鈴木社長が譲渡契約書の捏造という不正をしたのか否かです。
 夫人側代理人は契約書の捏造について、HD元取締役らの証言や鈴木社長への証人尋問などで立証していくとみられます。
 総額486億円といわれた常司会長の遺産の相続をめぐる「夫人vs鈴木社長」の法廷闘争は、「戦後最大級の“争族”」(関係者)として約5年続いた後に、2005年に和解しています。
 2018年に入って①の疑惑が報道されると、HDは「取締役が指摘している先代社長(常司会長)の相続に関しては、既に裁判所で厳正に審理、判断、確認をいただき決着しております」とのコメントを出し、疑惑も否定しました。
 しかしながら、夫人は、「疑惑は今年になって初めて分かったことであり、和解の前提にない」として、争族バトルの“第2ラウンド”に乗り出しています。
 夫人側は、2000年当時のグループ有力会社の株約69万株は、2010年のポーラグループ上場などを経て、現在のHD株で約4,191万株(529日終値で時価総額約2,204億円)に当たると計算しているもようです。
 また、夫人は、同じタイミングで、②の疑惑に関連して、鈴木社長が理事長を務めるポーラ美術振興財団を相手取り、財団所有の美術品839点は本来相続人の間で分割されるべき遺産であったことを確認する訴訟も東京地裁に起こしました。
 財団は本誌の取材に対し、疑惑を否定しています。
 美術品にはゴッホ、ピカソ、レオナール・フジタといった著名画家の作品が含まれており、神奈川・箱根のポーラ美術館に所蔵されているとみられます。
 夫人は、HD株・美術品ともに、本来は遺産の対象であったことを確定させた後、当時の法定相続分(4分の3)に当たる現在のHD株で約3,143万株(529日終値で時価総額約1,653億円)を求める調停などを東京家庭裁判所に申し立てる方針です。
 また、この間に鈴木社長が得ていた株の配当金が約110億円だと計算して、それに関する不当利得返還請求の訴訟も後日起こすとみられます。
 鈴木社長は約5,067万株を所有する大株主(持ち株比率22.9%)ですが、夫人の主張が全て通ればその多く(持ち株比率14.2%)が夫人に渡ることになります。
 上場前にグループ会社の株取引に関する別の疑惑もあり、それに関しても訴訟を起こして勝てば、夫人の株は持ち株比率にしてさらに数ポイント増えます。
 鈴木社長に対する疑惑は、別の民事訴訟も20182月から進行中です。
 ①の疑惑を告発した元取締役と、仲介したHDリスク管理委託業務先代表は、告発に関連してHD最大株主(約7,861万株、持ち株比率355%)であるポーラ美術振興財団の理事職を解任されました。
 2人は解任決議無効の確認を求め、東京地裁で財団側と係争中です。
 仮にこちらも勝訴すれば2人が理事に復帰し、今度は逆に鈴木社長の理事長解任を内部から画策する可能性が高いでしょう。
 そもそも①、②の疑惑に関する訴訟で鈴木社長の不正が認められれば、鈴木社長は公益財団法人のトップにふさわしくないとして、現理事らが黙っていないでしょう。
 いずれにせよ、HD最大株主の財団が、現体制を支持する安定株主とならなくなる公算が大きくなります。
 つまり、訴訟の結果次第ではありますが、夫人が勝ち取る株と反鈴木社長派となった場合の財団の株を合わせれば、持ち株比率で過半数に達します。
 それは現体制の経営基盤が失われることを意味します。
 夫人の訴えが認められると、前代未聞の事件でしょうね。
 直感的には、それなりに株価の高い会社の株式を11円で譲渡するというのは通常ないのではないかと思いますが、どうなんでしょうね?
 結果次第で、HDの経営にも影響が及ぶでしょうね。
 ポーラHD社長を提訴し結果次第では現経営体制の崩壊が起こることについて、どう思われましたか?

土地を放棄できる制度を政府が検討!

政府は、土地の所有権を放棄したい時に放棄できる制度の検討を始めたようです。
人口減で土地の活用や売却に困る所有者が増えていることが背景にあるようです。
防災上の必要性など一定の要件を満たせば、所有者が土地を手放せるようにする方向です。
放棄された土地の引受先などが課題になるでしょう。政府が近いうちに取りまとめる「骨太の方針」に盛り込むようです。
法務省や国土交通省が具体的な検討を進め、20192月にも方向性を示すようです。民法には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」(第239条)との規定がありますが、土地放棄の手続きを定めたルールはありません。
そこで廃棄物処理のように、土地の所有者が一定額を納めれば放棄できる仕組みなどを検討します。所有者が管理できるのに、放棄して国や地方自治体に負担を押しつけるような事態を避けるため、災害で危険になった土地に限定するといった一定の要件を設ける方向です。
中山間地などで住民が極端に少ないなど適切な管理を続けるのが難しい土地について、低コストで最低限の管理をすれば済むような仕組みができれば、放棄できる土地の対象が広がる可能性もあるでしょう。要件が厳しかったり、所有者に費用負担を求めたりすれば、放棄ルールをつくっても活用されず、土地の放置状態が結局解消されない可能性もあります。
一方、放棄された土地の管理コストを税金で賄うことに反発の声も出そうです。放棄された土地の引受先も課題で、国交省内で検討されます。
民法上は国ですが、自治体や公的な第三者機関などが引き受けるべきだとの意見も政府内にはあるようです。
2019年2月にかけて、法務省の研究会で放棄できる土地の要件や、放棄の際の所有者の負担が必要かなどの詳細を詰めていきます。日本司法書士会連合会が2017年、全国約2万2千人の司法書士にアンケートしたところ、回答した797人の約半数が「いらなくなった不動産を自治体に寄付したい」と相談を受けたと回答しており、土地を手放したい人は少なくないとみられます。うまく使えるのであれば、素晴らしい制度になるでしょうね。
一方、中途半端なものにしてしまうと、やるだけ無駄になるでしょう。
個人的には、コンパクトシティなどと言っていますので、居住地域を狭めるのは行政的なコストの観点からも良いのではないかと思います。
また、土地の大部分が収用となったものの一部使えない土地が残ったままという話も聞きますし、我が高松市も近いうちに開発がしにくくなるようですし、都会に住んでいる方が田舎の土地を相続するなど、まったく使えない土地を持つ方が増えてくるように思いますので、そういった方への配慮もしてほしいなぁとも思います。土地を放棄できる制度を政府が検討していることについて、どう思われましたか?

株式譲渡契約書の捏造疑惑でポーラHD社長を役員が告発!

  週刊ダイヤモンドによると、日本初のしわ改善化粧品「リンクルショット」のヒットなどで過去最高益を更新中の国内化粧品4位、ポーラ・オルビスホールディングス(HD)で、好調な業績とは裏腹に、鈴木社長は現役の取締役に辞任を迫られていたようです。

 鈴木社長が握る株式が、不正な行為で取得したものだと告発されたそうです。

「取締役会は、監査役会意見も踏まえ、当該取締役に対し、辞任の勧告を行うことを決議し実行いたしました」と、ポーラ・オルビスHDの社内向けウェブページに緊迫した文言がアップされたのは2018222日です。
かつてHDナンバー2だった現役の取締役の名を挙げ、「忠実義務に違反」「経営を混乱させる行動」などと糾弾しました。

ポーラ・オルビスHDは、創業89年、連結従業員数4139人で、東証1部に上場しています。
一時期を除いて創業家の鈴木家が代々トップのオーナー企業で、いったい何が起こっているのでしょうか?
関係者によると、発端は201711月下旬に、先の取締役が「鈴木社長のワンマン経営で面従腹背が横行。もう我慢ならない。ひいては内部告発したい」とポーラ・オルビスHDのリスク管理業務委託先に相談しました。

委託先を通じて2017126日、この取締役は鈴木社長に退任を迫りました。
さらに201812月中旬までに数回、直接または間接的に退任を求めました。

鈴木社長は年の瀬の20171229日、取締役会で、「取締役らから恐喝、強要されている」と主張し、さらに、2018221日の取締役会では、この取締役を会社から完全に締め出すことを決め、当の取締役は監査役会の調査の不備を指摘した上、「裁判所で決めていただくしかない」と反発しました。
222日、取締役会は、冒頭の文言などを社内ウェブにアップしました。

「近年のHDは構造改革が激しく、社長に我慢ならない人が現れてもおかしくないと思っていた」と、ある業界関係者は声を潜めているようです。
激変の一つが、目まぐるしい子会社トップの入れ替えです。
「業績不振で仕方がなかったり、定年だったりもありますが、多くは鈴木社長のイエスマンを起用する独善的人事だ」とあるポーラグループ幹部は言っています。

固定費の削減も進めています。
子会社の一つでグループの化粧品を製造するポーラ化成工業の静岡工場を2014年、静岡県内の袋井工場に統合しました。
関係者によると、従業員約260人をリストラし、また、袋井工場も現在、閉鎖またはOEM(相手先ブランドによる生産)会社への売却が検討されているそうです。

かつて「ポーラレディー」と呼ばれた委託販売契約のビューティーディレクターも、2016年、約13万人から約4万人へ削減されました。

改革が奏功した面はあります。
一方で、買収した海外2企業の不振で、2013年以降、計約180億円の減損を出すなど経営の穴も目立ちます。
最近の好業績は「ひとえにインバウンドとリンクルショットのおかげ」との声が社内外から聞こえるようです。

激しい環境変化が抵抗勢力を生むのは世の常ですが、この件は謀反や権力争いとは異なる次元の問題をはらんでいるようです。
すなわち、2代目社長を務めた鈴木常司氏(鈴木社長の叔父)が2000年に急死して起きた、総額486億円といわれた遺産相続バトルの再燃となり得るのです。
常司氏の妻と鈴木社長らの間で約5年の間に、約100件も訴訟が繰り広げられ、「戦後最大級にして最悪レベルの“争続”」(関係者)となりました。
内部告発はこの争いに関わるものだったようです。

週刊ダイヤモンドが入手した取締役の内部告発書面は、18年前に鈴木社長が行ったとされる株式譲渡契約書の「捏造」を暴露しています。
告発書などによれば、鈴木社長は、子供がなく正式な遺書も残さなかった常司氏(当時会長)が急死した際、常司氏の妻が株式の多くを継承し、経営に影響を及ぼすことを懸念していました。
そこで、社内にあった常司氏の実印を使って、グループ有力会社の約69万株(46%)を11円で常司氏が鈴木社長に譲渡する契約書を、生前の日付で捏造し、それを起点にグループ支配を優位に進めました。

告発した取締役は当時秘書室長で、鈴木社長の指示で動いた一人であるため、事情に詳しいのだそうです。
書面は「不法行為等で手にした資本を背景に人の上に立って、自らの考えを押し通すために力を行使していくことは、今後とも許されることなのでしょうか」と結ばれています。

関係者によると、2017年末に退任を迫られた鈴木社長が「会社がいいときに身を引くというのは悪くはない」「年末まで時間が欲しい」などと逡巡する音声記録や、当時の「捏造」を知る別の社員の証言もある模様です。
仮に常司氏の妻がそれらを根拠に遺産分割のやり直しを求める裁判を起こして勝てば、株主構成が変わるなどし、鈴木社長体制は崩れる恐れがあります。

ポーラ・オルビスHDの広報担当者は、「取締役の主張は根拠がなく、事実ではない。近日中に刑事告訴する予定」と説明しています。

いずれにせよ、201712月期で8期連続増収増益となり、鼻高々で臨めるはずだった2018327日のHD株主総会は波乱含みとなるでしょう。

上場企業の事業承継で約100件も訴訟が起きている案件があるとは、知りませんでした。
こういうことが、会社の経営に悪影響を与えると、誰も得する人はいませんよね。
個人的には、箱根のポーラ美術館に行ったこともあり、相続税対策をうまくやっているんだろうなぁと思っていました。
11円での譲渡なので、税務上どう処理したのかが気にはなりますが、司法の場で何が正しいかを明らかにして、通常の会社に早く戻ってほしいですね。

株式譲渡契約書の捏造疑惑でポーラHD社長を役員が告発したことについて、どう思われましたか?


配偶者を優遇する相続関係の民法改正案が閣議決定!

  政府は、先日、遺産相続に関連する民法などの改正案を閣議決定しました。
改正案は、被相続人(死亡者)と法的に結婚している配偶者の優遇を強く打ち出しているのが特徴です。
寿命が延び、相続が発生する頃には被相続人の配偶者も高齢になっているケースが多いことから、配偶者が余生で困窮しないようにする狙いがあるようです。
改正されれば、昭和55年以来、約40年ぶりに相続のルールが大きく変わることになります。

 改正案に盛り込まれた配偶者優遇策は、以下のようなものがあります。
①配偶者がそれまで住んでいた家に住み続けられるようにする権利「配偶者居住権」を新設
20年以上結婚していた夫婦に限り、住居が配偶者に生前贈与もしくは遺言で遺贈された場合、遺産分割の対象から除外できる

これらの改正によって、配偶者は相続で他の相続人ともめても、住んでいた家を失わずに住めるうえに、生活に必要な現金も相続しやすくなります。

厚生労働省によると、平成28年の日本人の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳で、同い年の夫婦が平均寿命で死亡すると仮定した場合、妻は働くことが困難になる80歳過ぎから約6年、1人で生きていかなければなりません。

しかしながら、現状の相続ルールで遺産を分割すると、妻は住む家を失うか、生活資金を相続できないといったリスクがありました。

このほか、改正案では、自筆証書遺言を法務局に預けられるようにする制度を新設しています。
これにより偽造・変造や紛失などのリスクを減らすことができるようになります。
また、被相続人の預貯金を遺産分割前に引き出せるようにする制度の創設なども盛り込まれています。

職業柄、相続税の申告業務などをやっているため、相続に関わることが多いですが、なかなか良い改正なのでないかと思います。
改正になると、今まで行った相続対策を根本的に見直さないといけないケースも出てきそうですね。

配偶者を優遇する相続関係の民法改正案が閣議決定されたことについて、どう思われましたか?


リスクの見えにくい「バラ色の計画」を憂い日弁連が規制強化を要望!

 「かぼちゃの馬車」などのシェアハウス投資で約束通りの賃料が支払われず、オーナーとなった会社員らが多額の借金に苦しんでいる問題に絡み、日本弁護士連合会(日弁連)は、先日、「サブリースを前提とするアパート等の建設勧誘の際の規制強化を求める意見書」を国土交通大臣と金融担当大臣に提出しました。

日弁連は意見書で、「サブリース契約は一括借上により当面の賃料が確保されることから、表面的には、空室・賃料低下のリスク等が見えにくい」などと問題点を挙げました。
サブリース契約も借地借家法が適用される賃貸借契約であり、賃料減額請求が主張される可能性があるなど、土地所有者などが貸家ビジネスの経営リスクを負担させられるおそれがあるとしています。

その上で、サブリース業者と同一または関連会社である建設業者が、「空室や家賃滞納にかかわらず家賃保証します」などと勧誘する手法について言及しています。
金融機関から多額の融資を受けて建設しても、30年や35年の長期間の家賃保証があるおかげで実質的な負担がなく、「バラ色の計画」が実現するものと誤認させて契約に至っている実態があると指摘しています。

日弁連は国交省に対し、「家賃の変動リスクや期間の限定、中途解約のリスクなどに照らして将来の家賃収入が保証されているものではないこと」などを、建設工事請負契約を結ぶ前に説明することを法令上の義務とするべきだと主張しました。

また、日弁連は、金融庁の規制や銀行など金融機関の対応についても問題視しています。
金融庁が金融機関に対し、「アパート等のローン融資に際して、将来的な賃貸物件の需要見込み、金利上昇や空室・賃料低下リスク等を説明する義務があることを明示すべきである」と指摘しました。

サブリースとは不動産業者が建物などを一括して借り上げ、他の人に貸すこと(転貸)で収益をあげる事業のことです。
問題の「かぼちゃの馬車」の場合、多くの会社員らがスルガ銀行から多額の融資を受けてシェアハウスを建設し、「家賃収入の長期保証」をうたうスマートデイズがサブリース形式で借り上げました。
しかしながら、入居率は振るわず、約束は一方的に破られ、20181月には家賃収入がゼロになり、自己破産が続出しかねない事態に陥っているようです。

職業柄不動産投資に関わることが多いですが、経験上、業者は説明したと思っていても、オーナーは業者の意図どおりに解釈していないケースが多いのではないかと思います。
やはり、ご家族も含めたところでのきちんとした説明を義務付けて、リスクを認識してもらい、それでも投資するという人のみと契約しないと、将来、世の中トラブルだらけになるでしょうね。
投資する方も、そんなにリスクなく儲かるのであれば、業者自らやるでしょうということを念頭に置かないといけないでしょうね。
よって、不動産投資事業として成り立つと考えられるであれば、やればよいと思います。

リスクの見えにくい「バラ色の計画」を憂い日弁連が規制強化を要望したことについて、どう思われましたか?


相続税のかかる方は8.1%!

2018年01月09日(火)

国税庁は、先日、平成28年分の相続税の申告状況を発表しました。

これによると、平成28年中(平成28年1月1日から平成28年12月31日)に亡くなられた方から、相続や遺贈などにより財産を取得した方についての相続税の申告状況の概要は、次のとおりです。
(注)平成27年1月1日以後の相続等については、平成25年度税制改正により、基礎控除額の引下げ等が行われています。

1.被相続人数等
平成28年中に亡くなられた方(被相続人数)は約131万人(平成27年約129万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約10万6千人(平成27年約10万3千人)で、課税割合は8.1%(平成27年8.0%)となっており、平成27年より0.1ポイント増加しました。

2.課税価格
課税価格の合計は14兆7,813億円(平成27年14兆5,554億円)で、被相続人1人当たりでは1億3,960万円(平成27年1億4,126万円)となっています。

3.税額
税額の合計は1兆8,681億円(平成27年1兆8,116億円)で、被相続人1人当たりでは1,764万円(平成27年1,758万円)となっています。

4.相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地38.0%(平成27年38.0%)、現金・預貯金等31.2%(平成27年30.7%)、有価証券14.4%(平成27年14.9%)の順となっています。

平成27年から相続税が増税となり、平成27年から相続税がかかる方が約2倍の8%になりましたが、平成28年もほぼ同様ですね。
ざっくり言うと、130万人亡くなって、10万人くらいが相続税がかかるという感じです。
これだけ(約2倍)増えると、相続税対策を急いでしないといけないと思う方もいらっしゃるのかもしれませんが、たった8%ですし、人口が減っていく中、安易に賃貸アパートを建設することだけは避けて欲しいですね。

平成28年分の相続税の申告状況について、どう思われましたか?


一般社団法人や家なき子を利用した相続節税の抜け道が封じられる?

2017年12月04日(月) 

政府・与党は、相続税の過度な節税防止に乗り出すようです。
一般社団法人を設立して相続税の課税を逃れたり、住宅を贈与して宅地にかかる相続税を減らしたりする節税策が広がっており、2018年度税制改正で具体的な対策を講じるようです。
相続税は、2015年から始まった増税で課税対象となる人が増えており、節税策を封じて課税の公平性を確保します。

「一般社団法人の問題は放置できない」と、自民党税制調査会の宮沢洋一会長は社団法人を使った節税を問題視しています。

一般社団法人は、2008年から営利目的でも設立できるようになりましたが、株式会社と違って相続税はかからない制度となっています。
企業の株式に当たる持ち分が存在しないからです。
役員の人数や親族の割合に関する定めもなく、比較的容易に設立できる面があるのです。

この仕組みを悪用して節税に使うケースが増えているようです。
まず、親が代表者となって法人を設立し、資産を移します。
その後に子供を代表に就かせ、法人の支配権を承継すると、持ち分が存在しないため、資産には相続税がかかりません。
この仕組みを使えば、子供ばかりか、孫やその先の代まで、延々と非課税で資産を相続できるのです。

しかも、法人設立にかかる費用は、司法書士などに頼む報酬などを除けば、登記の6万円しかありません。
国も設立要件について「公序良俗に反しない限り全ての事業が対象」(法務省)としています。
2016年は6,075件が設立されており、この5年で1.5倍という急増ぶりです。
登記だけで簡単に設立できる点が、節税策として活用される一因になっています。
政府・与党は、親族が代表者を継いだ場合、非課税の対象と見なさず、課税対象とする方向で検討を進めるようです。

政府・与党が問題視するもうひとつの節税策は、小規模宅地の特例を悪用するケースです。

相続税には亡くなった人の住まいなどを、同居していた配偶者や親族が手放さずに済むよう、負担を軽くする仕組みがあります。
さらに、転勤や貸家住まいなどの事情を考慮し、過去3年間、持ち家がなければ減税してもらえる特例も設けています。
土地の評価額を330平方メートルまでは8割減らして相続の負担を軽くするのです。

悪用とも言える税逃れとは、どのようなケースが該当するのでしょうか?
40代男性を例に具体的に考えてみますと、まず、この男性が所有するマイホームを20代の長女に贈与し、自分は持ち家を持たない人になるのです。
いわゆる「家なき子」として3年以上過ごすのです。
その段階で男性の80代の父親が亡くなると、父親の宅地を相続する場合に、税負担が軽く済むのです。

このような形で特例を使う人が増えているとみられ、特例適用による減収見込み額は2016年度で1,350億円と、3年で実に2倍近く伸びています。

政府・与党は、相続時に住む家がもともとは自分で所有しているものだったり、3親等内の親族が所有する家に住んでいたりすれば、優遇の対象外とする方針のようです。
課税逃れに備えている動きと判断されます。

年間の相続税収は2兆円ほどです。
相続税は基礎控除の見直しに伴い、税金を納める人が増えています。
年間死亡者数に占める課税件数をみると、2015年に3.6ポイント上昇し、約2倍の8%にのぼりました。
このため、納税者の間で相続税の負担感が急激に増しており、政府・与党も、相続税で公平に課税する姿勢を前面に打ち出す必要があるとみています。

2017年度税制改正でも、節税防止策は論点のひとつに浮上し、高層マンションの上層階の固定資産税の負担を重くしました。
しかしながら、新たな節税策は相次いでおり、国と納税者の間でいたちごっこになっている面もあるのです。

上記は、日経新聞の記事ですが、個人的には、これらを税逃れというのか疑問に思います。
税理士は、条文に基づいて仕事をすることになるため、税制改正などが行われ、新しい制度ができたり、要件が厳しくなったりすると、当然、利用するような対策を考えたり、要件を満たすための対策を考えます。
よって、そもそも条文を作ったり、変えたりするときに、抜け穴はないだろうかという視点が抜けているか足りていないということだと思います。
それは、『税逃れ』ではなく『条文の不備』だと思いますね。
当然、税理士は、現在は対策として有効だけれども、将来、税制改正などによって使えなくなる可能性があるということを説明したうえで提案しているとは思います。
個人的には、一般社団法人については、これが認められていいのだろうかと感じ、将来おそらく改正されるだろうと思っていましたので、提案などはしていませんでした。
最近、この手(条文の不備を直す)の改正が増えていることから、提案がしにくい時代にはなってきているように感じますね。

一般社団法人や家なき子を利用した相続節税の抜け道が封じられようとしていることについて、どう思われましたか?

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東京地裁が愛媛県の丸住製紙の民事再生手続きの開始決定!

日本経済新聞によると、丸住製紙(愛媛県四国中央市)が、2025年3月5日付で東京地裁から民事再生手続きの開始決定を受けていたことが分かったようです。

丸住製紙は2025年2月28日付で東京地裁に民事再生法の適用を申請していました。

帝国データバンクによると、負債総額は約587億円に上ります。

丸住製紙によると、債権者数は約1,000人で、東京商工リサーチの調べでは1億円以上の債権者数は金融機関を中心に少なくとも20社以上です。

紙需要の減少や原材料価格の高騰により、丸住製紙の経営環境は厳しさを増していました。

2024年11月期は45億円の赤字で、3期連続の最終赤字となっていました。

丸住製紙は、2025年2月、売上高の約7割を占める新聞用紙や出版印刷用紙の事業から撤退することを明らかにしていました。

2025年3月中に取引先への納入を停止する予定です。

2025年3月3日には、債権者説明会を開催しました。

化学品や再生可能エネルギーを手がけるアメリカのペトロン・サイエンテックがスポンサーとして興味を示していることを明らかにしました。

パルプ事業や売電事業、衛生用紙事業は、今後も継続すると説明しました。

日本政策金融公庫は、先日、丸住製紙の民事再生手続きに関連し、愛媛県内3支店に相談窓口を開設しました。

中小企業や農林漁業者の融資や返済についての相談を受け付けています。

大王製紙に次いで四国中央市で第2位の丸住製紙は、採算度外視で価格を下げて仕事を取りに行くほど経営状況が良くないことは、数年前から耳にしていましたが、コロナ禍で経営判断を誤ったんでしょうね。

装置産業は設備投資額がかなり多額になりますから、投資の判断を誤ると致命傷になりますね。

四国中央市の経済に与える影響が大きいでしょうから、きちんとしたスポンサーを選んで、再起して欲しいと思います。

東京地裁が愛媛県の丸住製紙の民事再生手続きの開始決定をしたことについて、あなたはどう思われましたか?


遅すぎたSBI新生銀の公的資金完済!

日本経済新聞によると、SBI新生銀行が3,300億円の公的資金を2025年度中にも完済する方針を決めました。

前身の旧日本長期信用銀行が1998年に一時国有化されてから四半世紀が過ぎ、遅ればせながら完済にたどり着きます。

国有化後も長きにわたって経営の迷走を招いた反省を金融行政の糧にすべきでしょう。

預金保険機構の金融危機管理審査委員会(佐々波委員会)が1998年に決めた主要21行向けの約1兆8千億円など、1990年代後半からの金融危機で国は総額10兆円を超す公的資金を注入しました。

SBI新生銀行は当時注入された公的資金を抱える最後の1行であり、その完済は歴史的な節目となります。

SBI新生銀行は3,300億円抱える公的資金のうち、まず1,000億円を2025年3月末までに返します。

残る2,300億円を2025年度中にも完済する計画を6月末までに固め、国と合意したい考えです。

SBI新生銀行の親会社であるSBIホールディングスは2021年に新生銀行(当時)にTOB(株式公開買い付け)を仕掛け、その2年後に上場廃止にしました。

国が持つ普通株を優先株に転換し、優先配当を払う形で公的資金の返済を進めます。

公的資金完済の暁には再上場を検討するようです。

上場廃止からわずか2年ほどで再上場する異例のケースになる可能性があります。

株価を上げて公的資金を返す本筋を避けた今回のやり方には「奇策」との批判もつきまといます。

それでもなお、SBI新生銀行の公的資金返済が行き詰まっていた状況を打破した点は評価すべきでしょう。

反省すべきは公的資金の返済が行き詰まるに至った経緯でしょう。

旧長銀は一時国有化後、米投資ファンドの傘下で新生銀行として再上場を果たしました。

しかしながら、個人向けビジネスやノンバンクに依存した成長は長続きせず、ガバナンスの不安もたびたび指摘されました。

経営が迷走を重ねた結果、国が大株主という異常事態が長引いたのです。

SBI新生銀行は公的資金の完済後も、国の支援で立ち直った事実を忘れてはなりません。

価値ある商品・サービスを提供し、社会に貢献する姿勢が問われます。

銀行は公共インフラを担う存在であり、経営危機に際して公的資金を使う意義はあります。

ただし、国の経営への関与は最小限にとどめるべきです。

今も公的資金を抱える地方銀行は複数あるが、旧長銀の轍を踏まぬよう、金融庁に細心の注意を求めたいですね。

長い期間かかりましたね。

現在の金融機関の多さを見ると、すべてを救う必要があったのかは疑問ですが、新たなサービスとかを打ち出して、あまりサービスに違いのない古い業界を変えてもらいたいなぁと思っています。

遅すぎたSBI新生銀の公的資金完済について、あなたはどう思われましたか?


創業100年超の香川県坂出市の温泉旅館「国立公園城山温泉」が負債約3億円で破産開始決定!

OHKによると、創業100年以上の老舗温泉旅館が自己破産を申請しました。

香川県坂出市府中町にある温泉旅館「国立公園城山温泉」が、先日、高松地方裁判所丸亀支部から、破産手続きの開始決定を受けたことが、民間の信用調査会社「帝国データバンク高松支店」の調べでわかりました。

負債額は約3億円とみられています。

帝国データバンクによると、「国立公園城山温泉」は1923年創業で、創業時は農機具の製造を行っていましたが、1950年頃から温泉旅館の経営を始めました。

大展望温泉からは瀬戸大橋や瀬戸内海が一望できるほか、ラドン成分を含む天然温泉として、神経痛などに効能があるとされていました。

また、施設内に観劇専用の芝居小屋を備え、劇団による大衆演劇などで集客を図り、ピーク時には年間3億円弱の売り上げがあったということです。

しかし、その後は健康ランドやスーパー銭湯との競合激化や、個人消費の冷え込みなども重なり、厳しい経営を余儀なくされていました。

さらに2020年からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、利用客がさらに減り、近年の売り上げは年間1億円を下回る状況が続いていました。

業況の回復が図れないなか、過去の設備投資に対する借り入れ負担が重荷となり、事業の継続を断念したということです。

負債は約3億円とみられています。

行ったことはないのですが、眺めが良いということは聞いたことがあるので、残念に思います。

高松市のスーパー銭湯などをやっている会社も、財政状況があまり良くない(悪い?)と耳にしますが、経営状況は厳しいんでしょうね。

最近は、インバウンド需要も増えており、今年は、瀬戸内国際芸術祭や大阪・関西万博の開催、香川県立アリーナのこけらおとしもあるので、香川県での人の動きはかなり増えると思っていたのですが、それらも期待できないと判断したんでしょう。

それにしても、創業100年超の企業は、何とかならなかったんでしょうか?

創業100年超の香川県坂出市の温泉旅館「国立公園城山温泉」が負債約3億円で破産開始決定となったことについて、あなたはどう思われましたか?


SNS炎上で大量在庫発生の徳島県の食用コオロギ生産のベンチャー企業が破産! 

NHKによると、食糧問題の解決に貢献しようと食用コオロギの生産や商品開発に取り組んできた徳島大学発のベンチャー企業がSNS上で炎上したことをきっかけに大量の在庫を抱えるなどしたため、裁判所に破産手続きを申し立てたことがわかりました。

破産手続きを申し立てたのは徳島大学発のベンチャー企業「グリラス」です。

民間の信用調査会社「東京商工リサーチ」によると、「グリラス」は2019年に設立され、世界で深刻さを増す食糧問題を解決するためタンパク質の解析や分析を行う技術などを用いて食用のコオロギの生産と販売を行っていました。

徳島県美馬市の廃校を利用した生産拠点を中心に粉末状にした「コオロギパウダー」を生産しパウダーを使った食品を販売していましたが、徳島県内の高校で希望する生徒に粉末を使った給食が提供されたことが、2022年から2023年ごろSNS上で炎上したことをきっかけに全国販売を計画していた案件などが次々と中止になり、大量の在庫を抱えるようになりました。

その後、畜産や水産向けの飼料生産などの事業を計画して国に対して設備投資などの補助金の申請を行いましたが、申請が通らず事業の継続を断念したということです。

このため「グリラス」は、先日、徳島地方裁判所に破産手続きを申し立て、その時点の負債総額は1億5,339万円だということです。

一時期、ニュースとかで結構取り上げられていたので、驚きました。

色々な考えの方がおられると思いますが、食べたければ食べれば、食べたくなければ食べなければいいのではないかと感じますので、SNSとかで叩く必要はあったのでしょうか?

先日、カイガラムシを結構食べているというお話しを聞きましたが、普段から口に入れているものでも、表示からはよく分からず、詳細を聞くと驚くことはそれなりにあるのではないかと思います。

叩くのではなく、自分で調べて、ご本人が納得すれば食べれば良いのではないでしょうか?

SNS炎上で大量在庫発生の徳島県の食用コオロギ生産のベンチャー企業が破産したことについて、あなたはどう思われましたか?


低価格テレビで一世風靡した「世界のFUNAI」が破産手続きへ!

日本経済新聞によると、船井電機(大阪府大東市)は、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けました。

主力の事業が海外勢との競争激化で苦しむなか、近年は2023年に買収した脱毛サロンチェーンの運営会社を1年で売却するなど迷走もみられました。

ホームベーカリー(パン焼き器)や低価格テレビで一世を風靡した関西の老舗企業は2008年の創業者の退任後、後継者選びに失敗し赤字体質に陥ったのです。

船井電機は創業者の船井哲良氏が立ち上げたミシンの卸会社が源流です。

1961年にトランジスタラジオ部門を分社する形で設立されました。

1980年代にホームベーカリー「らくらくパンだ」を発売し、ボタンを押すだけで焼きたてのパンを食べられる手軽さが消費者に受けました。

生産が注文に追いつかない人気商品になり、会社の知名度を高めました。

代名詞ともいえるテレビは、1997年のアメリカのウォルマートとの取引開始で販売に弾みをつけました。

アメリカの老舗家電メーカー「エマーソン」のブランド使用権の取得や、中国などで量産したテレビやDVDプレーヤーを北米で安く売る戦略が奏功し、2000年代初めまで2,000億円に満たなかった船井電機の売上高は2007年3月期に過去最高(3,967億円)を更新しました。

しかしながら、翌2008年3月期の売上高は前の期から30%減少しました。

北米市場を巡るソニーグループや韓国サムスン電子との競争激化に伴い、液晶パネルの調達などに苦戦したことが響いたのです。

上場以来初となる営業赤字を計上し、81歳になっていた船井氏は同じ年に社長を退任しました。

創業者の退任後はトップが安定しませんでした。

とりわけ2014年1月からの約3年半は4度の社長交代がありました。

生え抜きの幹部のほか、商社や電機大手出身者を抜てきし、最短約9か月で代わりました。

その間、オランダのフィリップスからブランド使用権を取得し、売り上げを一時回復させたものの、中国の海信集団(ハイセンス)などが船井電機より安い価格で北米に攻勢をかけると、再び劣勢に立たされました。

イギリスのオムディアによると、2012年に13.5%あった船井電機の北米市場における薄型テレビのシェア(出荷台数ベース)は2023年に2.8%まで下がりました。

日本ではヤマダホールディングスと業務提携し、2017年から現在まで「FUNAI」ブランドのテレビをヤマダの店舗で独占的に販売しています。

2021年に出版を手掛ける秀和システム(東京都江東区)の傘下に入り上場廃止となったため、損益は不明ですが、2023年に設立された船井電機の親会社(船井電機・ホールディングス)の事業報告書では、2024年3月期の映像機器事業の売上高は737億円でした。

船井電機は上場廃止になる前の2021年3月期までの10年間に、2年しか最終黒字を確保できませんでした。

再建に意欲を示した秀和システム代表の上田智一氏は2024年9月27日付で船井電機の社長と船井電機・ホールディングスの代表取締役を退きました。

柱の事業が競争力を失う過程で、事業構造の転換をなし遂げられなかったことが中堅家電メーカーの没落を招いたようです。

僕自身は船井電機の製品を買ったことはありませんが、ホテルの部屋のテレビが船井電機のものであったり、レッドソックスやエンジェルスのスポンサーになっていたので、スゴい企業なんだなぁと思っていました。

秀和システムに買収されたことを知りませんでしたし、ドジャースのスポンサーにはなっていなかったので、気にはなっていましたが、財政状態は良くなかったんですね。

日本を代表する国際企業がなくなるのは残念ですね。

ヤマダ電機が救うすべはなかったのでしょうか?

低価格テレビで一世風靡した「世界のFUNAI」が破産手続きに入ったことについて、あなたはどう思われましたか?


ついに「農協崩壊」がはじまった農林中金!

プレジデントオンラインによると、JAなどが出資する農林中央金庫の今期最終赤字が、1兆5,000億円規模になる見通しとなったと報じられています。

キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「農林中金は全国の農協が集めた60兆円超の資金を預かり、毎年3,000億円ほどの運用益を還元している。これらが縮小・消滅していくと、農協は倒産・崩壊の危機に直面することになる」といっています。

JAバンクの中央機関、農林中金は、先日の記者会見で、アメリカの金利高止まりによる外債価格下落で、2025年3月の赤字が5,000億円となる見込みとなり、傘下のJA農協から1兆2,000億円の資本増強を受けると公表しました。

ところが、後日、報道各社がその最終赤字は1兆5,000億円規模に拡大する可能性があると相次いで報じました。

2008年のリーマンショックの際にもサブプライムローン問題で5,700億円の赤字を計上し1兆9,000億円の資本増強を行っています。

JA農協の金融機関である農林中金が、なぜ多額の資金を外債で運用して損失を被ったのか、なぜ簡単にJA農協から巨額の金を集められるのか、不思議に思われる人が多いのではないでしょうか?

本稿では、その理由や背景と今回の赤字が農業に与える影響について述べられています。

戦前、農業には「農会」と「産業組合」という2つの組織がありました。
「農会」は、農業技術の普及、農政の地方レベルでの実施を担うとともに、地主階級の利益を代弁するための政治活動を行っていました。

農会の政治活動の最たるものは、米価引き上げのための関税導入でした。

農会の流れは、現在農協の営農指導・政治活動(JA全中の系統)につながっています。

地主階級が米価引き上げや保護貿易を推進したのと同様、農会を引き継いだJA農協は、高度成長期に激しい米価闘争を主導したし、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉、TPP等の貿易自由化交渉においては、農産物の貿易自由化反対運動を展開しました。

「産業組合」は、組合員のために、肥料、生活資材などを購入する購買事業、農産物を販売する販売事業、農家に対する融資など、現在農協が行っている経済事業(JA全農の系統)と信用事業(JAバンク、農林中金の系統)を行うものでした。

JA共済事業は、職員に過酷なノルマを課すことで、勧誘がうまくできないと自分で保険に加入したり他人の保険料を負担したりする自爆営業を行わせていることが問題となっています。

これは、戦後追加されたもので、本来農業と関連するよう考えられたものですが、今の事業は、生命保険や損害保険と変わりません。

当初産業組合は、地主・上層農主体の信用組合にすぎず、1930年の段階でも、零細な貧農を中心に4割の農家は未加入だったのです。

しかし、農産物価格の暴落によって、娘を身売りする農家も出た昭和恐慌を乗り切るために、1932年農林省は、有名な「農山漁村経済更生運動」を展開します。

産業組合は、全町村で、全農家を加入させ、かつ経済・信用事業全てを兼務する組織に拡充されました。

これを農林省は全面的にバックアップしました。

特に支援したのはコメの集荷と肥料の販売でした。

これに圧迫されたコメ商人や肥料商人から激しい“反産(産業組合)運動”が起こされました。

農山漁村経済更生運動の大きな目標は、農民の負債整理でした。

この手段として、産業組合が活用されました。

産業組合中央金庫は、その全国団体として設立されました。

半分が政府の出資によるものでした。

したがって、政府系金融機関としての性格が強く、理事長以下の幹部はほとんど役人でした。

これが、今の農林中金です。

産業組合中央金庫は、政府の出資金を利用して農業に低利で融資するものだったため、高橋是清蔵相は金融体系を乱すものとして設立に反対しました。

それを、農山漁村経済更生運動を推進した小平権一(後に農林次官)が、「あんなもの、頼母子講(タノモシコウ)に毛が生えたようなものですよ」と煙に巻いて認めさせたのです。

大きな頼母子講になったものです。

この二つの組織が、第2次大戦中、統制団体“農業会”として統一されました。

農業会は、農業の指導・奨励、農産物の一元集荷、農業資材の一元配給、貯金の受け入れによる国債の消化、農業資金の貸付けなど、農業・農村の全てに関係する事業を行う国策代行機関でした。

終戦直後の食糧難の時代、農家は高い値段がつくヤミ市場に、コメを流してしまいます。

そうなると、貧しい人にもコメが届くように配給制度を運用している政府にコメが集まりません。

このため、政府は農業会を農協に衣替えし、この組織を活用して、農家からコメを集荷させ、政府へ供出させようとしたのです。

これがJA農協の起こりです。

GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の意向は、戦時統制団体である農業会は完全に解体するとともに、農協は加入・脱退が自由な農民の自主的組織として設立すべきだというものでした。

農林省の中にも、そうした正論はありました。

しかし、戦後の食料事情は、そのための時間的な余裕を与えなかったのです。

こうして農協は農業会の「看板の塗り替え」に終わりました。

ヨーロッパやアメリカの農協は、酪農、青果等の作物ごと、生産資材購入、農産物販売等の事業・機能ごとに、自発的組織として設立された専門農協です。

これに対し、農業会を引き継いだJA農協は、作物を問わず、全農家が参加し、かつ農業から信用(銀行)・共済(保険)まで多様な事業を行う“総合農協”となりました。

欧米では、日本の農協のように、金融事業等なんでもできる農協はないのです。

農協法の前身の産業組合法も、当初は信用事業を兼務する組合を認めませんでした。

戦後、農協法を作る際も、GHQが意図したのは、欧米型の作物ごとに作られた専門農協だったし、GHQは、信用事業を農協に兼務させると、信用事業の独立性や健全性が損なわれるばかりか、農協が独占的な事業体になるとして、反対していました。

アメリカの協同組合に、信用事業を兼務しているものはないのです。

アメリカから日本のGHQ本部を訪問した人たちは、信用事業を兼務する協同組合が日本にあることに、みな驚いたといわれています。

しかし、農林官僚が日本の特殊性を強調し、総合農協性を維持しました。

信用事業を兼務できる協同組合はJA農協(と漁協)だけであるし、信用事業と他の業務を兼務することは、農協以外には、日本のどの法人にも認められていないのです。

農協の正組合員は、農業者です。

農業者のための協同組合だから、当然です。

しかし、農協には、地域の住民であれば誰でもなれる准組合員という独自の制度があるのです。

准組合員は、正組合員と異なり農協の意思決定には参加できませんが、農協の信用事業や共済事業などを利用することができます。

JA農協の前身だった産業組合は、農業に従事しない地主を含め地域の住民を組合員にしていました。

しかし、農協法を作る際、GHQは地主を排除するため、組合員資格を“農民”とすることにこだわったのです。

このため、元の産業組合のように、地域の住民であれば誰でも農協を利用できるようにするため、他の協同組合にない准組合員という制度を作ったのです。

利用者がコントロールするという協同組合原則からは完全に逸脱するものですが、歴史的な経緯から、やむを得ず、例外的に認められた制度でした。

戦後JAバンクは、食糧管理制度の政府買い入れ制度の下、政府から受け取ったコメ代金をコール市場で運用して大きな利益を得ました。

さらに、肥料メーカーには、独占禁止法の適用除外を認めた「肥料価格安定臨時措置法」によって1954年から1986年までカルテル価格が認められました。

本来の趣旨は、国際市場で価格競争をするため安くなる輸出向け肥料の損失を、国内向け価格を上げて補てんすることがないようにするというものでした。

しかし、制度の運用結果は、正反対のものとなったのです。

1954年当初は輸出向け価格と同水準であった硫安の国内向け価格は、1986年には輸出向け価格の3倍にまでなりました。

この法律は5年間の時限立法でしたが、制度の継続・延長を繰り返し要望したのは、肥料産業というより、肥料販売の大きなシェアを持つ農協だったのです。

高い価格を払うのは、農家です。

ところが、政府が農協を通じて農家からコメを買い入れていた食管制度の時代、肥料や農薬、農業機械などの生産資材価格は、政府が買い入れる際の価格(生産者米価)に満額盛り込まれました。

農協が農家との利益相反となるような行為を働いても、農家に批判されない仕組みが、生産者米価の算定方式によって、制度化されていたのです。

肥料などの農業資材を農家に高く販売すると、米価も上がります。

食管制度の下で米価を高くすると、農家にとってヤミに流すうまみが薄れ、農協を通じて政府に売り渡す量が増えるのです。

このため、農協のコメ販売手数料収入は価格と量の両方で増加します。

農協は、農家への資材の販売、農家の生産物の販売という両面で、手数料収入を稼いだのです。

高いコメ代金はJAバンクに預金されます。

また、農林中金は、高い肥料価格を保証された肥料産業へ融資しました。

1956年から10年間で、農林中金から肥料産業への融資額は13.5倍に増大し、農協の肥料販売シェアは、1955年の66%から03年には90%まで増加したのです。

米価引き上げで、コストの高い零細な兼業農家もコメ産業に滞留しました。

酪農家の84%が農業で生計を維持している主業農家であるのに対し、コメ農家の74%は副業農家で、主業農家は8%しかいないのです。

これらの農家の主たる収入源は兼業収入と年金収入です。

農家全体でみると、多数の米農家の存在を反映して、2003年当時で農業所得に比べ兼業所得は4倍、年金収入は2倍です。

これらは、JAバンクの口座に預金されました。

また、地価高騰による宅地等への巨額の農地転用利益もJAバンクに預金されました。

農地面積は1961年に609万haに達し、その後公共事業などで約160万haを新たに造成しました。

770万haほどあるはずなのに、現在は430万haしかありません。

食料安全保障に最も重要なものは農地資源です。

日本国民は、造成した面積の倍以上、現在の水田面積240万haを凌駕する340万haを、半分は転用、半分は耕作放棄で喪失しました。

160万haを転用したとすれば、農家は少なくとも200兆円を超える転用利益を得たことになります。

JAは、急増した預金量を農業や関連産業への融資では運用しきれなくなったのです。

このため、JAは、農協だけに認められた准組合員制度を活用して農家以外の人を組合に積極的に勧誘し、他の都市銀行に先んじて住宅ローンなどの個人融資を開始しました。

今や准組合員は634万人で農家組合員の1.6倍に達します。

また、准組合員はローンや共済を利用するだけでなく、預金もしてくれるので、さらに預金額は増えます。

JAは農家以外の組合員が多い“農業”協同組合となりました。 

1960年頃は、JAバンクの預金額が農業生産額を下回っていましたが、1970年頃から逆転し、今では10倍以上もの開きがあります。

JAが農業に融資したくても、預金額に比べて農業の規模はあまりに小さいのです。

さらに、農業には、政府系の日本政策金融公庫による長期低利の制度資金があります。

また、大きな農業法人のメインバンクは地銀となっています。

JAバンクの農業融資は、これらの金融機関と競合するのです。

このため、JAバンク全体で農業への融資は預金総額の1%程度に過ぎません。

現在JAバンクの預金量は109兆円に上ります。 

以前から、JAバンクの貯貸率(預金に対する貸し出しの比率)は3割程度であり、他の銀行に比べて著しく低いことが指摘されてきました。

JAは、准組合員向けの住宅ローンや自動車ローン、農家が農地転用した土地に建設するアパート建設資金への融資などで努力しても、30~40兆円程度しか処理しきれないのです。

60兆円超の運用を任せられる農林中金は、日本有数の機関投資家として海外有価証券市場で大きな利益を上げ、預金集めの見返りとして傘下のJAに毎年3,000億円の利益を還元してきました。

JAが簡単に資本増強に応じるのも、今までの受益の蓄積があるからです。

逆に、JAに利益を還元するためには、国内ではなく収益の高い海外で運用するしかなかったのです。

しかし、今回の赤字計上で、今まで通りの資産運用はできなくなっています。

2021年JAの収益は、信用(銀行)事業で2,425億円、共済(保険)事業で1,160億円の黒字、これに対して、農業関連事業は226億円、生活その他事業は229億円、営農指導事業は978億円の赤字です。

金融事業からの補てんで、農業等の事業を行っているのです。

別の見方をすれば、大手商社も農業資材分野で活動しているにもかかわらず、JA農協が肥料で8割、農薬や農業機械で6割の圧倒的な販売シェアを維持しているのも、この補てんによる効果があるからでしょう。

筆者の郷里の葬祭業者は店をたたんでしまいました。

住民が葬式を出そうとするとJA農協に頼むしかないのです。

今回の赤字の根源に農家や農協の“脱農業化”があります。

本籍農業のJAを支えるのは農林中金中心の金融業です。

信用事業の利益は、農林中金による利益還元のおかげです。

しかし、共済事業の自爆営業も、農林中金のマネーゲームも持続可能(サステイナブル)ではありません。

これらが縮小・消滅していくと、JA農協は倒産・崩壊の危機に直面します。

農政は、農協、農林族議員、農水省の三者による連合体で実施されてきました。

筆者は、『農協の大罪』(宝島社)という著書の中で、これを“農政トライアングル”と呼びました。

これは極めて強力な利益共同体でした。

農協は多数の農民票を取りまとめて農林族議員を当選させ、農林族議員は政治力を使って農水省に高米価や農産物関税の維持、農業予算の獲得を行わせ、農協は減反・高米価等で維持した零細農家の兼業収入を預金として活用することで日本第2位のメガバンクに発展しました。

今回の農林中金の赤字は、戦後政治で最大の利益団体となったJA農協の弱体化につながります。

政治力が弱まれば、減反政策のような「補助金」と「高いコメ代」という二重負担を国民に強いる政策についても見直されていくでしょう。

非効率な零細農家は離農し、その農地は専業農家に集約されて生産性が向上します。

本来農業振興のための組織だったJA農協の弱体化が、農業の再生につながるとは皮肉な話です。

個人的には、日本政策金融公庫の農業経営アドバイザー試験に合格し、農業関係のお仕事もさせていただいておりますが、非常に勉強になりました。

普段からJAの存在価値について考えることが多いですが、本当にゼロベースでJAの存在価値を考える時期に来ているということを再認識しました。

JAが儲かるのではなく、農家の方が儲かる農業にしないと、日本の農業に未来がないのではないかとおもいますね。

ついに「農協崩壊」がはじまった農林中金について、あなたはどう思われましたか?


経営者のモラル低下や放漫経営による倒産が急増!

2024年5月の企業倒産は約11年ぶりに1,000件を超えました。

物価高や人手不足などが増加の背景ですが、その影に隠れ「放漫経営」が急増しています。

2024年1-5月は累計190件で、過去10年間で最多を更新しました。

手厚い創業支援、個人保証に依存しない融資も増えましたが、一部の経営者のモラル低下と無謀な経営が倒産を押し上げています。
東京商工リサーチ(TSR)は、1952年に企業倒産の全国集計を開始しました。

5月に1,000件を超えましたが、月間最多は1984年5月の1,965件で、増えたと言ってもまだピークの半分です。

それでもコロナ禍で裁判所の受付が難しかった2020年5月の314件と比べると約3倍に増え、倒産が身近に迫っています。

TSRは倒産原因(主因)を、販売不振や他社倒産の余波、過小資本など10区分で集計しています。

全業種の倒産を、経営者や取引先、代理人弁護士、破産管財人などに取材し、原因を特定しているのです。

10通りのうちの1つに、「放漫経営」があります。

放漫経営は、経験不足などの「事業上の失敗」、異業種への進出失敗などの「事業外の失敗」、融通手形などの「融手操作」の3パターンに分かれます。
過去10年の1-5月の放漫経営を主因とした倒産は、2016年の188件が最多でした。

これまでの定説は「放漫経営の倒産は好況期に増える」でした。

好調な業績で事業拡大を無計画で進めたり、余剰資金を投資で増やそうとして失敗したりするのです。
ところが、コロナ禍で放漫経営による倒産が一変しました。

2021年同期は107件まで急減しましたが、これはコロナ不景気での減少ではありません。

ゼロゼロ融資などの手厚い支援で、倒産全体が減少し放漫経営が目立たなくなったに過ぎないのです。

しかし、支援縮小とともに放漫経営が顕在化し始めました。

起業しても従業員が集まらずに事業を始められなかったり、決算書作成を怠り税金を納めていなかったり、コロナ禍に隠れていた放漫経営の姿が明るみとなり、2024年同期は過去最多の190件に達しました。

放漫経営の倒産増について「経営者保証を付けないこと」が原因の1つと分析する審査マンもいます。

TSR集計で、2023年の新設法人は過去最多の15万3,405社に増えました。

経営者の個人保証に依存しない融資が次第に浸透し、起業マインドを底上げしたようです。
その副作用で、モラルハザードも起きています。

無計画な起業は、従業員や取引先に迷惑をかけるのです。

倒産増の局面では、勢いだけの経営者は、いずれ淘汰の憂き目に遭うことを教えています。

色々なところで、金融機関の支店長などお会いした時に、経営者保証のことを聞くことが多いのですが、金融庁が勧めているので、時代の流れとして外していくようにはなっていくと考えている方と、モラルハザードが起きるので正直なところ外したくはないと考えいる方とに分かれているように思います。

個人的には、どちらの意見もごもっともで、時代の流れとして外すのが当然になっていくとは思いますが、一方で、モラルハザードが起こらないようにしてほしいなぁ、緊張感を持って経営はやらないといけないのではないかなぁと思っています。

経営者のモラル低下や放漫経営による倒産が急増していることについて、あなたはどう思われましたか?


コロナ禍の支援策が重荷になるケースもあり農業関連業者の倒産が急増し過去最悪に! 

ITmediaによると、農業関連業者の倒産が急増しているようです。

帝国データバンクが調査結果を発表し、2023年度は81件の倒産があり、2000年度以降で最多だった2022年度(64件)を26.6%上回ったことが分かりました。

2024年度は4月に1件、5月に10件と計11件の倒産がすでに発生しています。

5月31日までの期間で、負債1,000万円以上法的整理による倒産を調査しました。

業種別で最も倒産が多かったのは「野菜作農業(きのこ栽培含む)」で24件で、前年度比で118.2%と急増しました。

次点は「施設野菜作農業(きのこ栽培含む)」で、同160.0%増の13件でした。

特に目立ったのが、きのこ生産業者の倒産です。

肥料やおがくずなどの価格、生産施設維持に関わる燃料費などが高騰し、収益を圧迫したことが背景にあるようです。

農業は事業初期段階で設備投資などの借入金負担が重く、収益化までの資金繰りがタイトになりやすいです。

コロナ禍前に創業した企業では、ゼロゼロ融資の返済が重荷となっているケースも多くなっています。

こうした中、2024年5月29日に食料・農業・農村基本法の改正案が参議院本会議で可決・成立しました。

農業単体でなく、食品製造や流通とも連携し、適正な利益を確保できるシステムを生み出す動きも進むなど、持続的な環境構築の取り組みも始まっています。

需給関係で価格が決まることが多いため、原価が高騰しても、価格転嫁が難しいのが、農業です。

こういう時こそ、JAに頑張って欲しいですね。

そうしないと、どんどん農家が減り、JAへの影響もあるでしょうから。

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休廃業が5万社と2022年のコロナ禍を超え10年で最多となり進む淘汰!

日本経済新聞によると、休業や廃業、解散を決めた企業が2023年に約5万社となり、比較できる2013年以降で最多となったようです。

物価や人件費が上昇するなか、新型コロナウイルス禍の補助金もなくなり、市場からの退出を選ぶ企業が増えています。

失業者の増加を招かないよう円滑な事業譲渡や人員受け入れの取り組みが重要になっています。

東京商工リサーチによると、2023年の休廃業・解散企業は前年比0.3%増の49,788社でした。

直近で最多だったのは、コロナ感染が広がった2020年の49,698社でした。

2021年はコロナ補助金や実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの公的支援で44,000社台まで減っていました。

2022年以降は49,000社台に戻りました。

休廃業・解散企業のうち、48%は直前の決算期が赤字でした。

赤字企業が占める割合は2016年の36%を底に年々上昇しています。

人件費の削減や補助金の活用で経営を続けてきた企業でも、足元のコスト高に耐えられずに赤字転落する例が増えたのです。

産業別では飲食店やホテルなどのサービス業が16,286社と全体の33%を占め、建設業が16%、小売業が12%と続きました。

いずれも人手のかかる業種です。

人手不足が休廃業・解散の判断につながっているようです。

人材サービス大手ディップによると、2024年1月のアルバイト・パートの平均時給は1,386円と前年同月比167円増え、過去最高を更新しました。

神奈川県横須賀市の酒卸・小売業を営む経営者は「昨年秋に時給を上げたがアルバイトの面接に人が来ない。春に大学生アルバイトが2人辞めてしまう。今後十分な人手を確保できるか不安だ」と人員確保の困難さを語っています。

黒字でも後継者が見当たらずに店をたたむケースは少なくありません。

休廃業・解散企業の代表者の年齢別では70代が全体の4割強にのぼっています。

一方、失業率は低水準です。

2月の完全失業率(季節調整値)は2.6%と低位にとどまります。

休廃業や解散が増えても失業率が上がらない理由のひとつに、休廃業や解散する企業の規模の小ささがあります。

有限会社や個人経営など従業員が少ない企業の休廃業・解散が増えているのです。

事業承継やM&A(合併・買収)で従業員が他社に移るケースもあります。

自動販売機向けの飲料品を扱う都内の卸売業者は2023年夏、同業の中堅企業に事業を譲り渡しました。

コロナ禍で自販機の売り上げが減り、値上げや採算性の低いエリアからの撤退に取り組んだものの業績は回復しませんでした。

40年近く営業してきました。

経営者の男性は従業員の雇用確保を優先して事業譲渡を決めました。

支援したメインバンクのきらぼし銀行が債権放棄に応じたことも寄与し、約30人の従業員のうち20人以上が譲渡先に移りました。

きらぼし銀融資管理部の牧岡大介副部長は「企業再生の弁護士と連携しながら、銀行と企業が抜本的な経営改革を決断できた」と話しています。

休廃業や解散を選ぶ企業は一段と増えそうです。

金利のある世界に戻ると、超低金利下で抑えられてきた債務の利払いは増えます。

ピクテ・ジャパンは2024年に企業の利払い費が最大で前年比4割増えると予測しています。

政府はコロナ禍の資金繰りから事業再生へと支援の軸足を移しています。

独力で再生計画を描くのが難しい企業は望む、望まないに関わらず退場を迫られる可能性があります。

従業員の雇用を確保するためにも円滑な事業譲渡やM&Aを支援する枠組みが重要になってきます。

人手不足が続いていますので、何とか休廃業を止めたいですね。

事業承継とか、M&Aとかで、微力ではありますが、公認会計士として貢献できればなぁと思っています。

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「コロラド」や「イノダ」などの京都の老舗カフェは事業承継で再興へ!

日本経済新聞によると、コーヒー文化が盛んな京都で、老舗喫茶店が事業承継による再興を探っています。

喫茶店「コロラド」を展開するワールドコーヒー(京都府京都市)は他の飲食店グループ経営者がスポンサーとなり体制を刷新しました。

イノダコーヒ(同)は投資ファンドの下で店舗拡大を図ります。

新型コロナウイルス禍や後継者難による行き詰まりの打破を目指します。

「京都でのワールドコーヒーの知名度は今でも高い。中長期ではピークだった20億円の売上高を目指したい」と、社長に就任して5か月の森田淳平氏は意気込んでいます。

2023年10月、ワールドコーヒーは債務を旧会社に切り離し、事業は新会社に移管する方式(いわゆる第2会社方式)での再生に踏み切りました。

スポンサーとなったのは焼肉店やカフェなど数十店舗を運営するダンシンダイナー(大阪府大阪市)のオーナーです。

森田社長は同社の人事部長も務めています。

1961年創業のワールドコーヒーは直営4店舗を運営し、足元の売上高は5億円ほどです。

1980年代の純喫茶ブームのころには20億円規模だった時期もありますが、前社長で現在は統括本部長を務める戸塚晴彦氏は「外資カフェチェーンなどに押されて近年は赤字が続いていた」と説明しています。

長年の負債に加え、コロナ禍で営業休止が広がりました。

コロナ対策融資の返済や特例で猶予されていた従業員の社会保険料納付が始まった2023年ごろ、資金繰りに行き詰まったのです。

新体制となり、ダンシンダイナーの系列店舗と仕入れを共通化するといった効率化策に着手しました。

仕入れ価格の上昇分の価格転嫁や、スーパー向け商品のパッケージ変更などの改革を急ぎます。

黒字体質に転換した上で「2年後をメドに店舗運営のモデルとなるような旗艦店をつくりたい」(森田氏)と話しています。

総務省の家計調査(2023年)によると、全国の都道府県庁所在地と政令指定都市の中で京都市の2人以上の世帯当たりのコーヒー(豆と粉末)の年間消費額は1万311円と、大津市(1万321円)に次いで全国2位でした。

コーヒー文化が根付いていますが、観光客の需要が多かった分コロナ禍の傷痕は深かったようです。

事業再生コンサルティングのみらいエフピー(東京都千代田区)の小林廣樹社長は「2023年に入ってゼロゼロ融資返済などが本格化した。喫茶店などの飲食業界を中心に、悪化した財務状況に改めて向き合わなくてはならなくなる事例が増えている」と指摘しています。

1940年創業で全国に9店舗を運営するイノダコーヒ(京都市)も2022年に投資ファンド、アント・キャピタル・パートナーズ(東京都千代田区)の傘下に入いりました。

イノダコーヒの前田利宜社長は「サロンのような静かな時間や空間を楽しんでもらうのが当社の強み。今後市場を見ながら複数店を出店したい」と話しています。

卵のサンドイッチなどを看板商品に喫茶店4店舗を運営するLa Madrague(ラマドラグ、京都府京都市)は2022年12月にサンマルクホールディングス(HD)の完全子会社になりました。

新型コロナ禍以降に営業赤字が続いていました。

サンマルクHDは「歴史ある店づくりの知見やレシピを生かし、新業態として好立地を選んで出店していきたい」(管理本部)と意気込んでいます。

観光客の回復に加え、昭和レトロブームなどの追い風で「若い世代や外国人の利用も多い」(サンマルクHD)。

資金力や運営ノウハウを生かしてブランド力を磨くことができれば、成長の道も見えてきそうです。

コメダも以前、ファンドが入って立て直していますので、カフェはうまく経営できれば、儲かる業種なんでしょうね。

出店で行き詰まるところが多い感じはしますので、資金があれば立て直せるのかも知れませんね。

京都に限らず、カフェは人々にとって、なくてはならないものだと思いますので、立て直しがうまくいって欲しいと思います。

「コロラド」や「イノダ」などの京都の老舗カフェは事業承継で再興していることについて、あなたはどう思われましたか?


「ゾンビ企業」がゼロゼロ融資の余波で2022年度比で3割増の25万社!

日本経済新聞によると、本業の利益で借入金の利払いをまかなえない「ゾンビ企業」が増えているようです。

2022年度は前年度比3割増の約25万社で11年ぶりの高水準となりました。

新型コロナウイルス禍に伴う政府支援で生き延びたものの、過大な債務を抱えて実質破綻状態に陥る企業が増えています。

事業譲渡など新陳代謝を促す再生支援が急務です。

帝国データバンクが国際決済銀行(BIS)が定める「ゾンビ企業」の定義に沿って、本業の利益や配当金で借入金の利払いをまかなえない企業を集計しました。

2022年度の「ゾンビ企業」の比率は前年度比3.6ポイント上昇の17.1%で6社に1社の計算になりました。

集計を始めた2007年度以降では2009〜2011年度(17.2〜19.8%)に次ぐ水準で、コロナ禍前の2019年度(10%)から急上昇しました。

リーマン・ショック後の2009年に金融機関に返済猶予や支払い期限の延長を求めた中小企業金融円滑化法が成立したのに伴い、2011年度は27万4,000社まで膨らみました。

その後は減少し、コロナ禍前の2019年度は14万8,000社でした。

増加の背景にはコロナ禍の緊急対応として政府が打ち出した資金支援があります。

2020年春に始まった実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の利用数(2022年9月末時点)は約245万件で、約43兆円の融資を実行しました。

ゼロゼロ融資はコロナ禍で中小企業の資金繰りを支え、倒産や失業者の急増に伴う社会不安の抑制に効果を発揮しました。

半面、迅速さを重視した結果、本来は融資を受けられないような企業を延命させたり審査が甘くなったりする副作用も生んだのです。

一定期間の元本返済と利払いを免除する制度だったため、目先の資金繰りを回すために債務を膨らませ、利払いすら困難になる企業が続出しました。

実質破綻状態に陥っても事業を続けようとするのは、経営者保証の影響も大きいです。

経営者個人が企業の債務を連帯保証するしくみで、企業が倒産すれば持ち家など生活の基盤までなくなってしまうという恐怖感が背景にあります。

金融機関も不良債権処理を先延ばししたいという誘因が働きやすく、政府の支援策などを使って延命させるケースは少なくありません。

「ゾンビ企業」の有利子負債は平均で月の売上高の約10倍に膨らみ、企業全体の平均の5.6倍を大きく上回っています。

平均の自己資本比率もマイナス5.4%と債務超過の状態で、手詰まり感は強くなっています。

ピクテ・ジャパンの大槻奈那氏は「2024年は長期金利の上昇や倒産リスクの上昇に伴う上乗せ金利の拡大などを背景に企業の調達金利が上昇し、利払い負担が増す可能性がある」と指摘しています。

足元では倒産件数も急増しています。

日銀で調査統計局長をつとめたSOMPOインスティチュート・プラスの亀田制作氏は「(倒産増は)過去の行き過ぎた支援策の反動であり、新たな資金支援の根拠にはならない」と話しています。

実質的に破綻状態にある「ゾンビ企業」が増えれば経済の新陳代謝は滞り、低賃金が放置されたり成長産業への労働移動が妨げられたりします。

政府も資金繰りから事業再生に支援の軸足を移す方針を示しています。

過大な債務の圧縮には金融機関の協力が欠かせません。

返済猶予や借り換えに応じるだけでなく、債権放棄や事業譲渡の支援など抜本的な策に踏み込む姿勢が求められますが、備えが万全とは言い難いです。

日銀によると、銀行が融資の焦げ付きに備えて積んでいる貸倒引当金は2023年11月時点で約3兆6,000億円です。

「ゾンビ企業」が27万社に膨らんだ2011年より3割ほど少ない水準で、貸し倒れに伴う損失のショックはそれだけ大きくなります。

金融システムへの負荷を抑えながら「ゾンビ企業」を減らしていけるか、金融機関の覚悟も問われます。

コロナの5類以降で、経済活動も通常に戻ってきているかと思います。

生活スタイルの変化などで、コロナ前の水準には戻らないとは思いますが。

このような中で、ゾンビ企業が日本経済の回復の足を引っ張ることは避けないといけないでしょう。

コロナが始まってからかなり時間が経っていますので、企業が対応しないといけない点は分かっていると思いますので、資金繰りから事業再生に支援の軸足を移すのは当然のことでしょう。

金融機関は、真摯に取り組んで欲しいですね。

「ゾンビ企業」がゼロゼロ融資の余波で2022年度比で3割増の25万社になっていることについて、あなたはどう思われましたか?


人手不足倒産が2023年1月から10月は206件で過去最多!

日本経済新聞によると、物流や建設業界ではさらなる人手不足が懸念されているようです。

帝国データバンクは、先日、人手不足による企業の倒産件数が2023年1〜10月に前年同期比78%増の206件になったと発表しました。

集計値がそろう2014年以降の年間の最多件数をすでに上回っています。

建設業が件数の37%、物流業が16%を占めました。

いずれも2024年4月から時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)が適用される業種で、さらなる人手不足が懸念されています。

調査を担当した帝国データバンク情報統括課の旭海太郎副主任は、「今後人手不足による倒産の影響が一段と広がる可能性がある」と指摘しています。

従業員規模別にみると、10人未満の企業の倒産が155件で全体の75%を占めました。

10〜50人未満が23%で50人以上は1%のみでした。

業歴別では30年以上が最多の84件で41%でした。

小規模で業歴の長い企業ほど人手不足と事業継続懸念に直面しているようです。

いわゆるゼロゼロ融資の返済がすでに始まってきていますし、いわゆる2024年問題もありますので、今後数年間は倒産する企業が増加すると考えられます。

物流や建設は、日本経済を支えている業種だと思いますので、なんとかしないといけないですね。

国はどうする対応していくのかよく分かりませんが、本当に効果のあるものにとどめて、ゾンビ企業を増やすようなばらまきはやめてほしいですね。

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ゼロゼロ融資返済で苦境の企業支援は“事業再生を軸に” が金融庁の方針!

NHKによると、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中、過剰な債務を抱えて事業の継続が危ぶまれる中小企業も出ています。

こうした中、金融庁はこれまでの資金繰り面の対応から事業再生を軸とした支援の形に転換する必要があるとして金融機関に対し、取り引き先の事業再生に向けた取り組みを早いタイミングで実施するよう求めていくことにしています。

新型コロナ対策として中小企業などを対象に実施された実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中、過剰な債務を抱え、物価高や人手不足も重荷となって倒産に追い込まれる中小企業が相次いでいます。

こうした中、金融庁はこれまでの資金繰り面の対応から事業再生を軸とした支援の形に転換する必要があるとして、金融機関に対し取り引き先の事業再生や経営の改善に向けた取り組みを早いタイミングで実施するよう求めていくことにしています。

具体的には、金融機関が取引先と積極的にコミュニケーションをはかりながら経営悪化の兆候をできるだけ早く把握し、経営改善計画の策定や事業再生に向けたメニューの提案など金融機関に期待されるコンサルティング機能を発揮するよう促していくことにしています。

金融庁は月内にもこうした方針を金融機関に示すことにしています。

個人的には、金融庁や経済産業省や財務省などの施策の失敗により、いわゆるゾンビ企業をたくさん産み出す結果になっていると思っていますので、いまさら、事業再生を軸とした支援と言われてもどうなのかなぁと思います。

いったん、退場していただいて、再起を図るということにして、国が再起しやすいような施策を整備するということの方が長い目で見ると良いのではないかと思います。

また、金融機関にコンサルティングの能力があるかどうかも疑問ですし、支店等も減らし、人も減っている中で、膨大な数の事業者の支援ができるのでしょうか?

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「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の運用開始から1年半で利用は145件!

帝国データバンクによると、コロナ禍で実行された実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資などの新型コロナ関連融資によって過剰債務状態に陥った中小企業の出口戦略としても注目されている「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」 (以下、GL)ですが、2022年4月の運用開始から1年半が経過しました。

2023年8月30日に公表された『挑戦する中小企業応援パッケージ』(経産省・金融庁・財務省)における「再生フェーズ」の体制整備項目となっており、10月17日には金融庁が活用事例を公表するなど徐々に利・活用が進んできているようです。

帝国データバンクは、GL手続きのなかで中立的な立場から再生支援を担う「第三者支援専門家」 として中小企業基盤整備機構および事業再生実務家協会が公表しているリストに登録のある専門家(弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士など213名)に限定してGLの対応状況についてアンケート調査を行い、判明した結果をもとに分析しています。

調査期間は2023年8月28日~9月29日で、有効回答数は213名中156名(回答率73.2%)となっています。

1.「第三者支援専門家」の活動状況

「第三者支援専門家」213名に対して、GL運用開始後、「GLに基づいた事業再生を手がけた・あるいは手がけているか」尋ねたところ、156名が回答(無回答57名)しています。

156名のうち「はい」が52名(構成比33.3%)、「いいえ」が104名(同66.7%)となっています。

運用から1年半で約3割の専門家が「第三者支援専門家」としてGLに基づいた手続きに関わったことが判明しました。

2.GLの利用実績

「はい」と回答した「第三者支援専門家」52名に、手がけた・あるいは手がけている案件について尋ねたところ、手続きが開始となった件数は145件でした。

145件のうち、再生型私的整理は99件(構成比68.3%)、廃業型私的整理は46件(同31.7%)でした。

手続きが開始となった145件の進捗について尋ねると、すでに再生計画案が成立したものが55件(構成比37.9%)でした。

このうち、計画をすでに実施・完了しているものが41件(同28.3%)でした。

計画案が成立した55件の内訳は、再生型私的整理が38件(構成比69.1%)、廃業型私的整理が17件(同30.9%)でした。

再生型38件のうち、債務減免、リスケがそれぞれ19件(同50.0%)でした。

計画をすでに実施・完了している41件の内訳は、再生型私的整理が28件(構成比68.3%)、廃業型私的整理が13件(同31.7%)でした。

再生型28件のうち、債務減免は19件(同67.9%)、リスケは9件(同32.1%)でした。

3.GLに基づく再生案件の特徴

2022年4月~2023年9月までに発生したGLに基づく事業再生案件145件について、「第三者支援専門家」に「業種」「所在地」「年商規模」「負債規模」「依頼を受けた経緯」について尋ねた結果を分析しています(1案件1回答ではないため、母数は一致しません。)。

業種別でみると、「製造」が33.0%で最も高く、「小売」が25.0%、「サービス」が13.0%で続きました。

「その他」には今回のGLで扱えるようになった社会福祉法人などがあります。

所在地別でみると、「関東」が33.0%でトップとなり、「近畿」が32.0%、「中国」が12.6%と続き、「関東」と「近畿」で全体の65%を占めました。

年商規模別にみると、「1億~5億円未満」が38.7%で最も高く、「5億~10億円未満」が18.3%、「10億~50億円未満」「5,000万~1億円未満」はともに17.2%となりました。

負債規模別にみると、「1億~5億円未満」が41.4%で最多となり、次いで「5億~10億円未満」が21.8%で続きました。

年商・負債いずれも「100億円以上」の案件はありませんでした。

「第三者支援専門家」を依頼された経緯を尋ねると、「外部専門家」からの依頼が72.9%と最も高く、次いで「金融機関」からの依頼が24.3%、「その他」が2.8%となりました。

「その他」は中小企業活性化協議会(以下、協議会)などがありました。

GLで、協議会では取り扱いのなかった廃業型私的整理が新たに設けられたため、協議会で進めていた案件が、GLの廃業型私的整理に移行したケースなども聞かれました。

4.まとめ

2022年4月から運用がはじまったGLの案件数は2023年の9月末時点で判明したのが145件となりました。

「第三者支援専門家」リストの専門家のうち、アンケートに回答した156名の約3割に当たる52名が「第三者支援専門家」としてGLに基づく私的整理を手がけたことが判明しました。

1人当たり1件~複数件手がけており、複数手がける専門家は「関東」と「近畿」に集中しています。

専門家のなかには「第三者支援専門家」ではなく外部専門家として関わっているケースも多くみられるほか、地域によっては企業や金融機関のGLに対する認知度が低く、再生メニューとしては全国的にはまだ定着していない印象です。

協議会の2022年度の再生計画策定支援の完了件数は1,067件で、そのうち債務圧縮や減免を伴う抜本的な支援は115件でした。

GLは、手続きが類似する協議会と比べるとまだ認知度も低く、件数は決して多くはありません。

他方で、協議会では扱うことができない社会福祉法人や学校法人等を扱うことが可能であるうえ、GLでしか扱えない廃業型私的整理手続きもあるなど、「需要は高く今後は増える」とみる専門家が多かったようです。

専門家からは実務面で「補助金の手続き」に関するコメントも多く聞かれましたが、慣れの問題もあり、案件数が増えるに従ってスムーズに行われるようになっていくものとみられます。

今後については、私的整理の選択肢として、専門家に限らず金融機関、中小企業自身においてもいかにしてGLの認知度を高めるかが当面の課題と言えるでしょう。

<第三者支援専門家からの主なコメント>

【GLの認知度や利用申請に関して】

スケジュール面が柔軟で使い勝手がよい。今後も硬直的にならぬよう実務家が工夫していくべき

地域によっては認知度が低く浸透していない部分もあるため、協議会が選ばれることが多い

担当者によってはGLへの理解に差があるため、金融機関向けの勉強会やセミナーが必要

慣れていないということもあるが、補助金の申請手続きが複雑で大変

【中小企業活性化協議会(以下、協議会)との役割分担などについて】

協議会は受理されるまでに時間がかかる一方、GLはスピード感をもって取り組める

GLには協議会のようなサポートや調整機能がないので、誰が音頭を取るのかで問題となる

協議会か、GLかの使い分けに迷いがあり、金融機関からもどちらがよいか質問を受ける

金融機関の認知度に濃淡があり、まだ「まずは協議会」というところが多い

【対象債権者について】

政府系金融機関はGLに積極的だが地銀や信金はまだ認知度が低い

協議会と類似した手続きなので、違和感はない様子で、スムーズに進む。メインバンクは協力的

廃業型ではリース会社も対象にいれることがあるが、リース会社にはまだ浸透していない印象

【再生型私的整理・廃業型私的整理について】

案件が持ち込まれるタイミングが遅く、手続きを進める間の資金繰りがもたず破産となった

廃業型はGLにしかなく、ニーズがある。後継者がいないケースに使いやすい

廃業型の入り口はたやすいが清算価値保障などを考えると終わり方が難しい

再生型はスポンサー探し、計画案、債権者との交渉など外部専門家の働きが大事。うまくいかなければ、後ろ倒しになる。入り口部分で主要債権者からある程度同意が得られないと困難

【担い手について】

GLの担い手が少ない。県内に「第三者支援専門家」の登録が少なすぎる

補佐人制度があるが、「第三者支援専門家」のいない県で登録者を増やすのは現状では難しい

企業に接触する専門家が再生メニューとしてGLを紹介するほど認知されていない

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」は、(一社)全国銀行協会を事務局とする「中小企業の事業再生等に関する研究会」によって2022年3月4日に公表、同年4月15日より運用が開始となった、事業再生について中小企業者・金融機関の基本的考え方や具体的な私的整理手続きを定めたものです。

ガイドラインは第一部「本ガイドラインの目的」、第二部「中小企業の事業再生等に関する基本的な考え方」、第三部「中小企業の事業再生等のための私的整理手続」に分かれています。

第二部において、中小企業者を「平時」「有事」の段階に分け、それぞれの段階で中小企業者と金融機関が果たすべき役割を明確化し事業再生等に関する基本的な考え方を示したことや、第三部において「有事」の場合に迅速に取り組める、新しい準則型私的整理手続きにおいて「再生型私的整理手続き」に加えて「廃業型私的整理手続き」を定めたことが注目されています。

「第三者支援専門家」は、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」において初めて定められた役割。私的整理の開始段階では弁護士などの専門家が関わる(「外部専門家」という)が、再生計画案の作成・調査を行う中立的な立場として外部専門家とは別に選任されます。

僕自身、香川県や愛媛県の案件に関わっていますが、今後、ゼロゼロ融資の出口戦略として使われることが多くなると思いますので、事例を集約するとともに、もっと認知度を高めないといけないのではないかと思いますね。

ガイドラインを使って、モラルハザードにならず、周りへの影響を抑えて再生とか廃業ができるのであれば、非常に意味のあることだと思います。

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の運用開始から1年半で利用は145件だったことについて、どう思われましたか?


天保年間創業の老舗である福岡県の酒造メーカーの鷹正宗が民事再生!

2023年06月08日(木)

東京商工リサーチによると、鷹正宗株式会社(福岡県久留米市)と、関連の叡醂酒造株式会社(えいりんしゅぞう、同市)は、先日、福岡地裁に民事再生法の適用を申請しました。
負債は、鷹正宗が約36億8,300万円、叡醂酒造が約2億5,100万円(いずれも2022年12月期決算時点)で、2社合計約39億3,400万円です。

鷹正宗は天保年間創業の老舗酒蔵で、「鷹正宗」のブランドで清酒の醸造を手掛け、高い知名度を有していました。
清酒離れが進むなか、近年は低価格帯の焼酎製造にも注力し、焼酎は麦焼酎を主体にパックの「めちゃうま」シリーズや、量り売りの「ごりょんさん」などを製造していました。

1988年8月には大手飲料メーカーが資本参加し、傘下入りしましたが、2008年6月には株式会社原武商店(福岡県久留米市)が当社株式を取得して、代表取締役会長に原武商店社長の原武康弘氏が就任し、以降は原武商店のグループ企業として新体制による業務を開始していました。

酒類の小売・卸売を手掛ける原武商店との相乗効果により、グループ業績は拡大していたとされていましたが、実際には業績不振に陥っていた模様で、2023年2月末には原武商店がバンクミーティングを開催しました。
これを機に同社の粉飾決算が明るみとなり、動向が注目されていました。

こうしたなか、原武商店が2023年5月末までに事業を停止し、6月1日に福岡地裁へ破産を申請しました。
これに連鎖する形で、鷹正宗と叡醂酒造の2社は民事再生法を申請しました。

やはり、M&Aも難しいですね。
今回のような母体が吹き飛ぶような案件は、慎重にやらないといけないですね。
粉飾も経営者としてダメでしょうね。
キチンと数値を事実として受け止め、早めに対策を打つべきだと思います。

天保年間創業の老舗である福岡県の酒造メーカーの鷹正宗が民事再生の適用を申請したことについて、どう思われましたか?


SBI新生銀の非上場化は買収当初から計画されていた!

SBIホールディングスは、先日、50%強の株式を保有するSBI新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、上場廃止にすると発表しました。
一般株主が持つ最大27%分の株式取得をめざします。
取得額は1,542億円です。
SBI新生銀行には約3,500億円の公的資金が残っています。
上場廃止により、利益剰余金での返済の道を探るようです。
SBIはSBI新生銀行や金融庁へTOBを実施する方針を伝えました。

この発表にメガバンク幹部は、「やはりこの手しかなかったのだろう。SBIの北尾吉孝氏とSBI新生銀行会長で元金融庁長官の五味広文氏との連携プレーだね」と指摘しました。
大手銀行で唯一公的資金が残るSBI新生銀行の返済は難題中の難題でした。

新生銀行は1998年から公的資金の注入を受け、1,500億円を返済しましたが、約3,500億円が未返済となっています。
2000年に当時の谷垣禎一金融再生委員長は公的資金の返済に関し、政府保有の新生銀行株の時価総額が500億円を超えることが条件との趣旨の国会答弁を行っています。
株価に引き直せば1株7,450円となります。
現状のSBI新生銀行の株価では100年たっても無理とみられていました。

実はこの公的資金返済の裏技は、SBIが新生銀行買収当初から発案されていました。
SBIは2019年4月から新生銀行株を買い増し始め、同年夏にはSBIの北尾氏が新生銀の工藤英之社長(当時)を訪ね、資本提携の提案を行っています。

その時、北尾氏が工藤氏に手渡した「公的資金返済プラン」と題する書類には、①SBIが48%を上限に新生銀行株を取得(連結子会社化)②自社株買いなどで一般株主の比率を低下③公的資金を注入している国とSBIの議決権が計90%に達した段階で非上場化④国の保有株を買い取り、公的資金を返済する、いわゆる「スクイーズアウト」を実施する–という内容が盛り込まれていました。

新生銀行株を市場で売却して公的資金を回収することは現状の株価水準からみて難しい以上、新生銀行株を非上場化し、株価が市場価格から離れることで、株価の算定方法も多様化します。
新生銀行の利益剰余金は2023年3月末で3,900億円超あります。
自己資本比率の問題は残りますが、市場を介さなければ返済は可能でしょう。

この案が浮上した背景には、SBIが新生銀行を買収し、経営陣に五味氏を送り込んだことが関係しています。
「五味氏は新生銀行に金融庁幹部として公的資金を入れた当事者。その返済に責任を感じていた」(メガバンク幹部)のためです。
同様に、現在の金融庁幹部にとっても、SBI新生銀行に残る公的資金の返済は頭痛の種でした。
まさに渡りに船ということでしょう。

これで公的資金が返済できるのであれば、すごく良いことでしょうね。
いつ想像し得ないことが起こるか分からない時代であり、また、公的資金を注入することが生じるかもしれませんし、モラルハザードが生じるかもしれませんし。

SBI新生銀の非上場化は買収当初から計画されていたことについて、どう思われましたか?


千葉の医療法人社団心和会が過去3番目の規模の倒産!

日経産業新聞によると、千葉で2023年4月、負債132億円という医療機関として過去3番目の大きさとなった倒産が発生しました。
「八千代病院」などを運営し、約1,200人の従業員が働く医療法人社団心和会(千葉県四街道市)が2023年4月4日に民事再生法の適用を申請し、倒産しました。
医療とリゾートの融合など新たなサービスを進めてきた法人が、なぜ巨額の負債を抱えることになったのでしょうか?

心和会の歴史は、1946年に荒井元吉氏が千葉県四街道市に個人経営の診療所を開設したことにはじまります。
その後、1954年に医療法人荒井病院に法人改組し、1955年に八千代市に新しく八千代診療所を開設、1957年に同診療所を八千代病院(当時53床)に変更して礎を築き、1967年に法人名を心和会に改称しました。

事業規模が大きくなったのは1983年に新八千代病院(当時200床)を開設させたことがきっかけです。
さらに、1988年に八千代病院を現在の場所に移転させて372床に増床させ、さらに1991年に現在の422床に増床させました。
このような初代の事業展開を経て、1992年に荒井壽明氏が2代目理事長に就任しました。

壽明氏は1992年の介護老人保健施設・荒井記念ホーム(100床)をはじめ、複数の訪問看護ステーションやクリニックなどの開設に携わり2009年に約17年の任期を終えました。

2009年に3代目の理事長としてバトンが引き継がれたのは、壽明氏の三男である荒井宗房氏で、2009年3月期の年収入高は約60億7,200万円まで増加していました。

宗房氏の就任後は、人間ドックからフィットネス、スパを手がける医療リゾートのシンワメディカルリゾート(2011年)、シンワメディカルリゾート柏の葉(2016年)のほか、成田リハビリテーション病院(2017年、100床)、江東メディカルタワー(2018年)、シンワメディカルリゾート宮古島(2021年)などを手がけ、医療と健康・美容の融合や医療とリゾートの融合など新しいサービスを進めてきました。

心和会の2008年3月期以降の15期分の業績推移を見ると、年収入高は一度も前期を下回ることがなく増加し続け、2015年に70億円、2019年に80億円、2021年に90億円を突破しました。
2022年3月期には約97億5,900万円と100億円目前になっています。

ただ一方で、利益(当期純利益)は近年悪化していました。
2009年を除き利益を計上し続けていましたが、2019年、2021年、2022年と赤字の計上が続いていました。
2019年は役員退職金約10億5,100万円を臨時費用として計上したことなどから約12億7,900万円を計上しました。

また、新たにはじめたリゾート関連の事業は新型コロナウイルス禍の影響もあり、当初の計画通りに進んでいなかったようです。
相次ぐ施設の開設もあり、借入金(長期・短期合計)は宗房氏の理事長就任時と比較して約3倍に膨れ上がっていました。

さらに、開設されて間もないシンワメディカルリゾート宮古島の営業が2022年12月末をもって終了しました。
2023年2月1日には宗房氏から宗房氏の兄である荒井泰助氏に理事長が交代しました。
「ついに情勢が急変する前兆かもしれない」とある関係者は語っていました。

そうしたなか、心和会は2023年4月4日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請しました。
負債は金融債務約58億4,800万円、一般債権約27億1,000万円など含めた計約132億円で、債権者数は275人にのぼりました。

2022年3月期末時点の負債は決算書上で約80億9,900万円となっていたことから約51億円もの差異があることになります。
背後にこれまで公にされてこなかった大きな問題が潜んでいるのではないかと関係者の間でささやかれていました。

132億円の負債は、医療機関の倒産として医療法人育和会(大阪、2002年民事再生法)の200億円、浪速医療生活協同組合(大阪、2005年民事再生法)の134億円に次ぐ過去3番目の規模となり、医療関連の審査関係者の間でも大きな話題となりました。

もともと医療機関は安定経営の事業者が多いとされています。
なかでも病院の倒産は年間5件(2022年)と一般企業と比べて極めて少なくなっています。
そうした中で発生した心和会というまれにみる「大倒産」は医療機関の倒産史に極めて大きなインパクトを残しました。

心和会の支払い遅延に関する情報を耳にするようになったのは2021年春を過ぎた頃からだったようです。
以後、毎月のように支払い遅延・延期要請をはじめとする信用不安情報が帝国データバンクに寄せられるようになり、特に不動産や手形に関連したトラブルが多く、不可解な人脈・関係性が見え隠れしていました。

2023年4月4日、民事再生法の一報を受け、大手医薬関連企業の審査担当幹部は「過去から信用不安情報をキャッチして警戒感を高めていたところ、2022年春に心和会の割止め情報が入り、取引撤退を社内にて決定していた」と話しています。

翌4月5日には、心和会のホームページに「民事再生手続申し立てに関するお知らせ」がアップされましたが、そこに書かれていた申し立ての経緯の内容に驚いた人は多かったはずです。

そこには、近年、意図せずに外部の者による不当な介入を受け、前理事長がこれらの者から度重なる詐欺・恐喝を受け続け、抗拒不能の状態に陥り資金流出を許してしまったという内容が書かれていました。
東京地裁に提出された申立書の中にも申し立てにいたった理由について、同じことが書かれているようです。

心和会の従業員は1,204人で、数多くの患者が存在し、多方面の取引先も有し、地域の医療だけでなく、経済・雇用も支える存在となってきました。
それだけに再生を進めていくには前理事長の経営責任を含めた徹底した原因究明が求められます。
本業とは関係ないと思われる要因が飛び交っている今回の倒産劇ですが、これまで心和会と関係を保ってきた従業員、金融機関、一般取引先、そして患者とその親族の感情にも大きく影を落としそうです。

次々と設備投資を行なっていたため、その減価償却費などで赤字になったと金融機関などには説明していたのかもしれませんが、実際は思ったほどの収益が上がらず、粉飾をして、それを補ったり、隠すために、どんどん設備投資をしていたのかもしれませんね。
規模が大きいだけに、金融機関としても、取引をしたかったでしょうし。
基本的には、フリー・キャッシュ・フローの範囲内で設備投資を行なうのが普通だと思いますが。

千葉の医療法人社団心和会が過去3番目の規模の倒産したことについて、どう思われましたか?


2022年は物価高・人手不足が打撃となり企業倒産が3年ぶりに増加!

日本経済新聞によると、2022年の日本国内の企業倒産件数が3年ぶりに前年を上回ったようです。
ウクライナ侵攻などで原燃料価格が高騰し、建設業や運輸業で資金繰りが行き詰まりました。
2021年が実質無利子・無担保融資の「ゼロゼロ融資」の恩恵で57年ぶりの低水準だった反動もあり、年8,000件台で推移していた2019年以前に比べれば少なくなっています。
ただし、物価高や人手不足は厳しさを増し、2023年は中小を中心に倒産がさらに増える可能性があります。

東京商工リサーチ(TSR)によると、2022年の倒産件数は11月まで8か月連続で前年同月を上回り、11月までの累計で5,822件と前年同期比5%増えています。
通年では6,400件程度となり2021年通年(6,030件)を超えたもようです。

負債総額は2兆3,000億円程度と、2021年の1兆1,507億円から倍増したもようです。
2017年の3兆1,676億円以来の高水準となります。
2022年には1兆円超の負債を抱えて民事再生手続き入りした自動車部品大手マレリホールディングスなどの大型倒産がありました。

ロシアによるウクライナ侵攻や円安で燃料や原材料の価格が高騰しました。
コストの上昇分を転嫁しきれず、採算が悪化する企業が増えました。
特に建設業や運輸業で倒産が広がりました。
1~11月の合計で建設業は2021年前年同期の件数を13%、運輸業は33%それぞれ上回りました。
件数全体の増加(5%)に比べ建設と運輸の増加が鮮明です。

2022年は物価高の影響が目立ちました。
帝国データバンクによると、仕入れ価格上昇などが原因の「物価高倒産」の件数は昨夏以降増加が目立つようになっています。
2022年11月まで5か月連続で最多を更新し、11月の物価高倒産は46件と全体の1割弱になりました。

人手不足も影を落としています。
コロナ禍から経済が回復するなか、働き手が確保できず経営に行き詰まるケースが出ています。
TSRによると、2022年11月は経済再開の恩恵を受けやすい飲食や宿泊業でも倒産件数が増加しました。
飲食が前年同月比26%増の49件、宿泊が50%増の6件でした。
慢性的な人手不足に悩む介護関連も1~11月の合計で2021年通年の件数を67%上回り、過去最高水準にあります。

日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、全規模全産業の雇用人員判断DI(「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いた値)は2022年12月時点でマイナス31と、近年では最も深刻だった2018~2019年ごろの水準に接近しました。

後継者不足も深刻です。
TSRの集計では、国内の企業経営者の平均年齢は2021年時点で62.77歳と過去最高でした。
2022年には経営者不在が原因の倒産が1~11月合計で389件と11%増え、通年では過去最多になったようです。

2023年は実質破綻状態でありながら延命する「ゾンビ企業」の退場を促す流れが加速する可能性があります。
ゼロゼロ融資の元金返済が本格化し、当初実質免除されていた利払いも始まります。
日銀が大規模緩和を修正し、企業の利払い負担が増える可能性もあります。

2023年は、ゼロゼロ融資の元本返済や利払いが始まるため、倒産件数が大幅に増えそうですね。
会計事務所は再生系の仕事がおそらく増えるでしょう。
国が何かするかもしれませんが、単なる延命にすぎないような政策は、日本の将来のためにもやめてほしいですね。

2022年は物価高・人手不足が打撃となり企業倒産が3年ぶりに増加したことについて、どう思われましたか?


経済産業省が中小企業支援で信用保証協会等と連携協定を締結!

TabisLandによると、経済産業省(地方経済産業局・沖縄総合事務局)はこのほど、増大する債務に苦しむ中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援をさらに加速するため、信用保証協会、中小企業活性化協議会と支援態勢構築に向けた連携協定を締結しました。

経済産業省はこれまで、2022年3月に策定した「中小企業活性化パッケージ」に基づき、コロナ禍で増大する債務に苦しむ中小企業支援を進めてきましたが、より多くの事業者の収益力改善・事業再生・再チャレンジを促すため、中小企業活性化協議会と信用保証協会の連携強化などによる「中小企業活性化パッケージ」のさらなる実行加速が求められているところです。

こうしたなか、2022年9月8日に経済産業省、金融庁及び財務省で「中小企業活性化パッケージNEXT」を策定・公表し、収益力改善支援・事業再生・再チャレンジの総合的支援をさらに加速するための追加措置の一つとして、信用保証協会、中小企業活性化協議会及び地方経済産業局の間で連携協定を締結することとしています。

これを受け、中小企業活性化協議会及び信用保証協会の連携を深化させ、強み・弱みを補完し合うことでより多くの中小企業に支援を届けることができるよう、このほど全国47都道府県において、実効的な支援態勢の構築に向けた信用保証協会、中小企業活性化協議会及び経済産業局等の連携協定を締結しました。

協定の主な内容は、1)連携深化の前提としての対話と支援対象・内容の共有、2)信用保証協会を起点とした中小企業活性化協議会との連携(プッシュ型経営支援)、3)中小企業活性化協議会を起点とした信用保証協会との連携、4)中小企業及び経営者個人の破産回避に向けた積極的な連携、5)外部意見を積極的に取り入れた更なる質向上の取組み、などです。
中小企業に対するさらなるフォロー体制の拡充に期待が寄せられます。

コロナ融資の返済がそろそろスタートし、返済できない事業者がたくさん出てくると思われますので、中小企業活性化協議会(旧中小企業再生支援協議会)及び信用保証協会の出番は今後かなり増えると思いますので、連携は良いことですね。
モラルハザードの問題もありますので、すべてを救うことが必ずしも良くないことだとは思っていますが。
我が香川県の場合、双方のトップがともに僕の大学の先輩ですので、ますます期待したいと思います。

経済産業省が中小企業支援で信用保証協会等と連携協定を締結したことについて、どう思われましたか?


マレリHDの法的整理で露呈した“全会一致”の限界!

東京商工リサーチによると、準則型私的整理の一種である事業再生ADRで再建を模索していたマレリホールディングス株式会社は、先日、ADR手続きが不成立となり、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。
負債総額は1兆1,330億円です。

ADR手続きで検討されていた再建案は、対象債権者9割以上の同意を得ており、簡易再生での再建を目指しまします。
マレリHDは商取引債権を全額弁済する方針ですが、金融債務のみを対象とした私的整理のとん挫は、2021年に改正された産業競争力強化法に大きな問いを投げかけました。

事業再生ADRは、会社更生法や民事再生法などの法的整理とは異なり、裁判外での紛争解決を目指すもので、金融債権者を対象とします。
裁判所を通さないため、憲法が保障する「財産権」や「法の下の平等」を超えることが出来ず、対象債権者の全会一致が原則です。

ただし、他の貸出先との兼ね合いで債権カットの行内調整がつかなかったり、自行に有利な条件を要求する金融機関もあり、全会一致に苦慮するケースもあります。
事業再生が必要な企業は多額の債務を背負っており、商品開発や設備投資など将来に向けた投資ができず、ADR手続きの長期化は事業価値の毀損をもたらすこともあります。

このため、2014年~2015年にかけ、事業再生ADRを念頭に多数決による成立が検討されました。
ここでの議論も踏まえ、根拠法の産業競争力強化法は以降2度にわたって改正されました。
2021年の改正では、事業再生ADRが成立しない場合、「簡易再生への移行」、手続きのなかで検討された「同一再建計画の成立見込みの予見性向上」が規定されました。
関係者の間では「ごね得の排除」と呼ばれ、金融債権者からみた場合の法的整理のインセンティブがほぼなくなるため、事業再生ADRの成立を後押しする効果が期待されました。

こうした流れを汲んだにも関わらず、マレリHDは一部の金融機関の反対で全会一致ができず、法的整理へ移行しました。
法的整理は「倒産」であり、期限の利益を喪失し、個別の契約条項の巻きなおしを迫られたり、与信限度額の引き下げ、最悪の場合、取引停止もあり得ます。
また、法的整理の申立では、株主や出資先、取引先の概要なども裁判所へ提出しますが、こうした書類は一定の手続きを経ると閲覧可能でライバル企業に手の内を晒すことになります。

国内の金融機関は、法的手続きによるこうした事業毀損が最終的に取引先の業績や従業員の待遇に結びつくことも考慮します。
1社(グループ)への債権放棄による損失の方が、法的整理による計り知れない影響よりも小さいとの理屈です。
最近では、「地域の経済合理性」などで債権放棄を理論立てる動きもありました。

しかしながら、海外の金融機関は、当該企業の取引先や従業員と取引関係にないこともあります。
つまり、法的整理のインセンティブはないがデメリットもないのです。
今回はこの盲点を突かれた格好です。

2022年6月7日に公表された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、「全ての貸し手の同意は必要とせず、裁判所の認可の下で事業再構築等に向けて多数決により権利変更(金融債務の減額等)を行う制度も存在する」と諸外国を例示しながら、「事業再構築のための私的整理法制の整備」を明記しました。

マレリHDのケースは、準則型私的整理の限界も垣間見せました。
事業価値毀損の回避に向けたさらなる検討が急がれます。

再生については詳しいことは分かりませんが、こういったことで企業の価値が毀損していくのは残念なことだと思いますし、国際的な企業が、国際的な競争から取り残されていくのは、日本経済にとっても良くないことだと思います。
実態にあった法律にして欲しいですね。

マレリHDの法的整理で露呈した“全会一致”の限界について、どう思われましたか?


鶏卵最大手のイセ食品が会社更生法の手続きへ!

日本経済新聞によると、鶏卵最大手のイセ食品(東京都千代田区)は、先日、会社更生手続きに入ったと発表しました。
グループ会社も更生手続きに入り、帝国データバンクによると2社合計の負債総額は453億円です。
全国に生産拠点を構え、アメリカやアジアに進出するなど拡大路線を続けてきましたが、近年は業績が低迷して過剰債務に陥っていたようです。
飼料や燃料など生産コストの上昇も重なり、資金繰りに行き詰まりました。

他に更生手続きに入ったのは、イセ(富山県高岡市)で、2社の株主と債権者が東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されました。
今後は再建に向けてスポンサーを探すとみられます。
金融機関との間で、当面必要な資金の融資を受けるための契約を締結済みで、商品の供給などに影響はないとみられます。

イセ食品の創業は1912年。「森のたまご」などのブランド名で鶏卵を全国のスーパーなどに卸しています。
国内7か所で鶏卵のパッキング工場を構えるほか、1980年代にはアメリカへ進出し、アメリカトップクラスの事業規模となりました。
イセ食品の売上高は500億円程度とみられます。

近年は過剰債務を抱え、資金繰りが悪化していました。
2022年1月には資金確保のため、札幌市のグループ会社を同業に売却すると決めました。

イセ食品の創業家出身であり、長年にわたり代表取締役を務めてきた伊勢彦信前会長は2021年6月末で退任しています。
業績が低迷し、取引金融機関などから経営責任を問われたのが理由のようです。

伊勢氏は日本有数の美術品収集家として知られています。
2018年夏ごろには、伊勢氏が関わる会社が格安スーパーとして関西圏で知名度が高い「スーパー玉出」を買収して話題となりました。

以前、スーパーで卵を見ると、『イセ食品』のものばかりだなぁと思った記憶がありますが、最大手だったんですね。
やはり、もともと価格が安いものは、近年のコスト上昇がかなりの影響を与えていると思いますので、うまく値上げをしないと、厳しい会社は多いんでしょうね。
会社ではなく、株主や債権者が会社更生法の申請をしており、他の報道によると、創業家は反対をしているということですが、会社としても美術品をたくさん持っているのではなかと思われますので、今後どうなるかウォッチしていきたいですね。

鶏卵最大手のイセ食品が会社更生法の手続きへ入ったことについて、どう思われましたか?


不採算店の退店が功を奏し「いきなりステーキ」が黒字化を達成!

M&A Onlineによると、過剰出店と新型コロナウイルス感染拡大のダブルパンチで大不振に陥ったいきなりステーキが息を吹き返しているようです。
2021年12月期第3四半期において、いきなりステーキ事業単体で9,500万円のセグメント利益(前年同期は18億500万円の損失)を出しました。
事業の売上高は前期比39.3%減の127億1,400万円となったものの、利益が出る体質へと変化しました。

投資ファンドJ-STARにペッパーランチを譲渡して73億2,000万円の売却益を得たペッパーフードサービスは、アドバンテッジアドバイザーズ傘下のファンドを引受先とする第三者割当増資も実施して100億円を調達し、債務超過を脱して自己資本比率は25.1%まで回復しました。

調達した資金で徹底的な退店を実施しているペッパーフードサービスは、着実に稼ぐ力を取り戻しています。

いきなりステーキ事業単体では黒字化を達成しましたが、「炭焼きステーキくに」「牛たん仙台なとり」など他のレストラン事業が1億1,500万円のセグメント損失を計上したため、会社としては2021年12月期第3四半期に1億9,700万円の純損失(前年同期は33億400万円の純損失)を計上しています。
ただし、通期では6,100万円の純利益を予想しています。

ペッパーフードサービスの業績回復に向けた一番の取り組みは、114店舗という桁違いの大規模退店計画です。
すでに107店舗は閉店が決定しています。
飲食店は原状回復させるための費用が、一般的な相場で1坪当たり5万円前後必要です。
いきなりステーキのように特殊な店づくりの場合は居抜き物件としての売却は難しく、原状回復が求められるでしょう。
店舗の坪数は20坪ほどなので、単純計算で100店舗の退店費用だけでも1億円にのぼる計算です。

その他、早期撤退による賃料の支払いや従業員の退職金など、相当な額の費用が必要になります。
また、退店による会計処理で特別損失を計上することにより、利益も圧迫されます。
多店舗展開する飲食企業が、退店よりも業態転換で店舗を存続しようとする理由はそこにあります。

しかし、ペッパーランチ事業の売却とアドバンテッジへの第三者割当増資によって巨額の資金を調達したペッパーフードサービスは、大規模な退店を決めました。
その成果は出ています。
2020年12月期までは事業単体で全く利益は出ていませんでしたが、2021年12月期に入ってからは赤字を一度も出していません。

■いきなりステーキ事業四半期ごとの売上高と利益の推移(単位:百万円)

2020年12月期

2021年12月期

第1Q

第2Q

第3Q

第4Q

第1Q

第2Q

第3Q

売上高

10,021

14,809

20,953

26,954

4,572

8,665

12,714

セグメント利益

-542

-1,427

-1,805

-1,727

23

76

95

利益率

0.5%

0.9%

0.7%

※決算短信よりM&A Onlineの筆者作成

■いきなりステーキ既存店の対計画比月次売上

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

103.2%

106.6%

114.1%

91.4%

74.2%

71.2%

72.9%

66.2%

62.0%

※「取り組み施策の進捗状況」よりM&A Onlineの筆者作成

3月までは既存店の売上高が計画を100%上回っていましたが、5月に急降下して大幅に下回っています。
背景には新型コロナウイルスの感染再拡大と4度目の緊急事態宣言があったためと考えられます。
計画時はそこまで状況が悪くなることを見越していなかったのでしょう。

10月に入って緊急事態宣言が終わり、感染者数も激減しました。
不採算店の退店が終わった後の業績回復には、集客が欠かせない条件となります。

そのためペッパーフードサービスは、これまでにない取り組みを実施しています。
その1つが立地特性を分析して、エリアに合わせた商品開発です。
様々な部位を楽しめるよう、ステーキを小口に分けたトッピングステーキやビーフシチューハンバーグなどを一部店舗で導入しました。
6月からは事前決済で待ち時間なく食事ができるモバイルオーダーも導入しています。

リモートワークが解除され、オフィスに戻る人の姿が目立つようになりました。
いきなりステーキのランチ需要も活発になるものと予想されます。

株価は2020年1月の1,000円台から1年後の2021年1月13日に240円まで下落しました。
しかしながら、11月24日には435円まで回復しています。
これまでにない難局を乗り切ったペッパーフードサービスですが、再び高収益企業に返り咲くことができるのか。注目が集まっているようです。

数年前に大学院の授業のレポートのテーマで取り上げたため、非常に気になる会社ですが、儲かっているペッパーランチ事業を手放し、どん底のいきなりステーキ事業を残したことには驚きましたが、業績は回復しているんですね。
先日も、一流料理人の方7名が合格か不合格かを判定するテレビ番組で、5品すべて合格(そのうち2品は全員合格)で、料理自体は素晴らしいのでしょうから、頑張って欲しいですね。

不採算店の退店が功を奏し「いきなりステーキ」が黒字化を達成したことについて、どう思われましたか?


ことでんグループのゴルフ場運営「高松グランドカントリー」が民事再生!

帝国データバンクによると、高松グランドカントリー㈱(TDB企業コード:710079415、資本金9,500万円、代表豊永優氏ほか1名)は、2021年11月24日に高松地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日弁済禁止の保全処分および監督命令を受けました。

申請代理人は、籠池宗平弁護士(籠池法律事務所)ほかです。

高松グランドカントリーは、1972年(昭和47年)3月に設立されたゴルフ場で、香川県内唯一の私鉄運営業者である高松琴平電気鉄道(株)(TDB企業コード:710034020)の子会社として、地元有力企業の資本参加を得て設立され、1974年10月に「高松グランドカントリークラブ」をオープンしました。

鹿庭コースと氷上コース合わせて香川県内では唯一の36ホールのゴルフ場として、讃岐百景のひとつである「嶽山」を中心とした広大な丘陵地帯に位置することで小豆島や屋島なども一望でき、プレーとともに自然の景観も楽しめるコースとして知名度は高く、香川県外からの来場者も多かったことで、1999年11月期には年収入高約8億6,800万円を計上していました。

しかしながら、1990年代以降は長引く景気の低迷によるゴルフ人口の減少を背景に業容の縮小が続くなか、2004年には台風によって鹿庭コースが陥没などの甚大な被害を受け、大幅な欠損計上により財務面は債務超過の状態が続いていました。

そのため、平日のプレー代を低価格に設定するほか、インターネット予約、ポイント制導入、個人記名会員制の導入などで業況の回復に努めていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で利用客が減少したことや、クラブハウス内のレストランを一時期閉鎖していたこともあり、2020年11月期の年収入高は5億円を割り込んでいました。

この間、預託金の償還資金の不足に対してグループ会社の支援や期限の延長などで対応してきましたが、償還の目処が立たないことで、民事再生手続きによる再建を目指すこととなりました。

負債総額は約46億8,000万円です。

なお、ゴルフ場の営業は継続中です。

新型コロナウイルス関連倒産は香川県で23件目、四国地区では53件目となります。

コロナ禍でも、屋外でやるためゴルフ場利用者は増えているという認識だったので、驚きました。
僕の父親の会社でも以前持っていて、父親はゴルフをやめていて、僕がゴルフをやっていた時期に僕に名義変更をしたのですが、僕もゴルフをやめたため、預託金の償還を請求しました。
結局、資金不足で、請求してから償還されるまで3年くらいかかりました。
それはかなり前のことですので、最近は、償還希望者も増えていたんでしょうね。
ちなみに、預託金の10倍くらいの価格で売買されていた時期があったそうです。
スポンサーも出てくるでしょうから、民事再生を申請したとはいえ、事業を継続して、名門として早く立ち直ってほしいですね。

ことでんグループのゴルフ場運営「高松グランドカントリー」が民事再生となったことについて、どう思われましたか?


中小企業再生支援協議会の2020年度の支援件数は兵庫県が全国最多の183件!

神戸新聞によると、中小企業の経営を立て直す「兵庫県中小企業再生支援協議会」の2020年度の支援件数は183件で、全国で最多だったことが分かったようです。
新型コロナウイルス感染拡大による事業環境の悪化で、小売業やサービス業を中心に案件数が急増しましたが、阪神・淡路大震災後の経済復興などで培った関係者らの支援ノウハウも威力を発揮したようです。

中小企業再生支援全国本部によると、中小企業の再生計画策定の支援を完了した件数(速報値)は、全国で前年度比3倍の3,150件でした。
うち兵庫も同4.5倍と高い伸びを示しました。
返済期限の繰り延べを金融機関に働き掛けたり、業績改善への取り組みを助言したりしました。
兵庫県は例年、東京と大阪に次ぐ件数でしたが、初めて最多となりました。

兵庫県中小企業再生支援協議会によると、業種別の最多は製造業の62件で、次いで卸・小売業(48件)、サービス業(27件)などが続き、コロナ禍による外出自粛や休業要請などが響いた事業者への支援が目立ちました。
183件の支援完了で約8,200人の雇用が守られたそうです。

兵庫県中小企業再生支援協議会の野田勝也統括責任者は「阪神・淡路大震災やリーマン・ショック、東日本大震災など多くの危機を乗り越えてノウハウが蓄積された。今後もあらゆる手法を総動員して支援したい」としています。

兵庫県と全国の支援完了件数を押し上げたのは、国が2020年4月に創設したコロナ関連の新制度「特例リスケジュール」です。
資金繰り悪化による倒産を防ぐため、企業に最長1年間の返済猶予を認めるほか、新規の借り入れも支援しました。

借り手の企業は金融機関に資金繰りを報告し、コロナ禍が落ち着いたら返済を含めた経営計画を立てます。
早い企業では2020年秋から策定にかかり、現在は半数近くが計画を立案中です。

各都道府県の中小企業再生支援協議会は借入先の金融機関と交渉し、返済猶予を認めてもらいます。
兵庫県の場合、普段から地方銀行や信用金庫の経営陣とコミュニケーションを取っているため、経営者との面談から猶予の要請まで4日間で終わるようです。
全国平均では13日かかるそうです。

負債が資産を上回る「債務超過」の企業には、兵庫県中小企業再生支援協議会と連携する政府系金融機関のサポートを仰ぎます。
返済順位が低く、資本に近い性格の「劣後ローン」を注入し、事業を存続させます。
必要な資金は地域金融機関が協調して貸します。
資金繰り改善や事業の継続が見込めなければ、弁護士らと連携し、事業と従業員を別の企業に譲渡するよう働きかけることもあります。

帝国データバンクによると、全国のコロナ関連の企業倒産は2020年度で1,237件でした。
うち兵庫は50件で、東京(290件)や大阪(121件)などに続く7番目でした。
倒産につながりそうな企業の一部を兵庫県中小企業再生支援協議会の支援で食い止めたと見ることもできます。

ただし、3回目の緊急事態宣言が発令され、サービス業を中心に経営体力を消耗する中小企業はたくさんあります。
2020年のコロナ特例融資で企業が借り入れた資金の返済は、コロナ禍収束後に本格化します。

【中小企業再生支援協議会】
産業競争力強化法に基づき、国が都道府県ごとに設ける公的組織で、2003年2月から全国に順次設置されました。
当初は特措法に基づく時限措置でしたが、2013年から恒久的な機関となりました。
兵庫県は神戸商工会議所が運営し、常駐スタッフは14人で、2021年3月末までの約18年間に1,491件の相談を受け、667社を支援しました。
支援企業の従業員は約3万2千人に上ります。

弊事務所のクライアントで『特例リスケジュール』を使ったところもありますし、香川県中小企業再生支援協議会のお仕事もたまにやっているのですが、2020年度は兵庫県が一番支援件数が多かったんですね。
阪神・淡路大震災などで培ったノウハウが活かされているというのは、素晴らしいことだと思いますし、全国的にノウハウを広めていってほしいと思います。
ただし、コロナ融資の返済が始まると、返済できないところがたくさん出てくると思いますので、そこからが正念場だと思います。
ノウハウを活かし、残せるところは残し、雇用を守り、日本経済の回復・成長に貢献してほしいと思います。

中小企業再生支援協議会の2020年度の支援件数は兵庫県が全国最多の183件だったことについて、どう思われましたか?


藍野大学らが20億円の資金提供で明浄学院を支援し再建を目指す!

産経新聞によると、学校法人藍野大学(大阪府茨木市)と学校法人理知の杜(長野県)の麦島善光理事長は、先日、元理事長らによる巨額横領事件があった学校法人明浄学院(大阪府熊取町)と支援契約を結んだようです。

明浄学院側は約20億円の資金提供を受け、再建を目指します。
運営する明浄学院高校(大阪市)は藍野大学が、大阪観光大(大阪府熊取町)は麦島氏がそれぞれ支援します。

高校・大学は移転せず、名称もそのまま残すようです。

明浄学院をめぐっては、高校の土地の売却契約の手付金21億円を着服したとする業務上横領の罪で元理事長ら6人が起訴されました。
明浄学院側は2020年3月、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し、支援者を募っていました。

色々ありましたが、スポンサーが決まって良かったですね。
高校と大学の運営が分離される理由について、管財人の弁護士は、「教職員の意見や課題の違いを考慮した」としていますが、やはり、高校と大学を同じ組織でやるのはなかなか難しいんでしょうね。
観光業界はコロナの影響で今後厳しいかもしれませんが、知名度は良い意味でも悪い意味でも上がったと思いますので、スポンサーの力で結果を出して欲しいですね。

藍野大学らが20億円の資金提供で明浄学院を支援し再建を目指すことについて、どう思われましたか?


負債7億6,000万円の明浄学院が民事再生法を申請!

このBLOGでも何度も取り上げている元理事長らによる巨額横領事件が起きた、学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)は、先日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請しました。
負債は約7億6,000万円に上り、当面の運転資金の確保が困難になったそうです。
運営する大阪観光大(同)と明浄学院高(大阪市阿倍野区)は従来どおり存続する予定で、法的手続き下での経営再建を目指すようです。

法人は内部対立で混乱が続いており、地裁が2020年3月4日付で理事長らの職務を停止しています。
職務を代行している弁護士が、2020年3月16日に民事再生を申し立て、地裁は債務の支払いなどをいったん停止する「保全管理命令」を出しました。

選任された保全管理人側によると、法人では土地売却を巡る手付金21億円が横領された上、校舎の解体工事などの費用が拡大し、教職員の給与などの運転資金が一時的に不足する見通しだったようです。

記者会見した管理人側の北野知広弁護士は「破産とは違い、事業を継続するための手続きだ」と強調しました。
「従来の理事らではなく、管財人による事業再生が必要だ」と述べました。
借り入れで資金調達し、経営を安定化させる考えだそうです。

今後、地裁が再生手続きを開始するか判断します。
資金援助を申し出ている企業グループもあり、並行して協議を進めます。

現在の学生・生徒数は大阪観光大が783人、明浄学院高が377人に上ります。
2020年4月にはそれぞれ308人、70人が入学予定で、授業はそのまま続ける見通しです。
校舎などは維持し、教職員も原則、雇用を続けるそうです。

法人を巡っては、元理事長(62)らが高校の土地売却の手付金21億円を着服したとして業務上横領容疑で大阪地検特捜部に逮捕、起訴されています。

もうそうなるしかないかなぁと思っていましたが、とうとう民事再生法の適用の申請に至りましたね。
生徒さんには、何の責任もありませんので、経営陣を一掃して、立て直してほしいですね。
今回の新型コロナウイルスの影響で、日本が今後も観光立国に力を入れていくのかどうか分かりませんが、日本にとって観光は非常に重要だと思いますので、存在感をアピールしてほしいですね。
あとは、21億円について、早く全容を明らかにしてほしいと思います。

負債7億6,000万円の明浄学院が民事再生法を申請したことについて、どう思われましたか?


やきとりのひびきが民事再生法を申請!

 やきとり店などを手掛けるひびき(埼玉県川越市)が、先日、東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し、同日付で保全および監督命令を受けたことが分かったようです。

帝国データバンク大宮支店と東京商工リサーチ埼玉支店によると、負債総額は約77億949万円だそうです。
店舗拡大による人件費や企業買収(`M&A)による経費の増加などが影響し、債務超過に陥りました。
今後は県内の店舗を軸に事業の改善などに努めながら再建を目指すようです。

ひびきは1992年設立で、1995年に埼玉県東松山市の名物で黒豚のカシラ肉を辛口のみそだれで食べる「やきとり」を提供するテークアウト店を埼玉県川越市内に開業以降、居酒屋形態の店舗「ひびき庵」を埼玉県内を中心に展開しています。

2013年ごろから出店ペースを加速させ、2019年7月末現在で埼玉県川越市を中心に埼玉県内に24店舗、東京都内に5店舗、茨城県内に1店舗あります。
2018年6月期には売上高20億円を計上していました。

しかしながら、製造工場の開設や出店数の増加で、各種投資などに要した借入金が膨らみ収益を圧迫しました。
収益源だった都心の店舗をテナント側の意向もあり閉店しましたが、その分を他店舗で補え切れなかったようです。

2018年に埼玉県内の酒卸売業を、2019年に東京都内の飲食業をそれぞれ買収し、非食品分野への投資も推進しましたが、相乗効果を得られずコスト増で苦境に陥っていました。

店舗の統廃合など合理化を進めたものの、2019年6月期に13億円の赤字を計上し、債務超過に陥りました。
今後、資金繰りが厳しくなる可能性が極めて高くなったことから、自力での再建を断念し、法的手続きによる再建を目指すことになりました。

再建へ、債務者である日疋氏が社長職にとどまり、事業を継続しながら早期の立て直しを図ります。
具体的には県内の収益性の高い店舗に経営資源を集中させ、再建を進めます。
日疋氏は「法的手続きに基づいて早期に事業回復を図り、改めて県内経済を支える一助になれるよう努めたい」としています。

既に、東京都内で債権者向けの説明会が行われています。

事業を拡大し、失敗した典型例ですね。
やはり、身の丈に合った経営が必要ですね。
以前、埼玉県東松山市に出張で行ったときに、会社の人に『やきとり』と書いていますが『ぶた』ですよと言われてお店に行ってみて、本当だぁと驚いたことがありましたが、この辺りでは普通なんですよね。
民事再生で、こういった食文化は残してほしいと思いますね。

やきとりのひびきが民事再生法を申請したことについて、どう思われましたか?


Forever21が破産申請を準備!

 Bloombergによると、米カジュアル衣料のフォーエバー21は破産法の適用申請を準備しているそうです。
計画に詳しい複数の関係者が明らかにしたようです。
保有現金が減少する中で、立て直しに向けた選択肢が狭まりつつあります。

同社は追加の資金調達で交渉を行い、債務再編に向けてアドバイザーのチームと取り組んできましたが、潜在的な貸し手との交渉はこれまでのところ行き詰まっているそうです。
このため、破産回避へ土壇場で合意する可能性は残っているものの、焦点は連邦破産法11条に基づく会社更生手続き申請に向けたつなぎ融資(DIPファイナンス)の確保に移っているようです。

交渉の部外秘を理由に匿名で語った関係者は、破産申請が不採算店舗の閉鎖と資本増強に道を開くと説明しました。
フォーエバー21の担当者にコメントを求めたものの、返答はないようです。

共同創業者ドン・チャン氏が支配株を保持する方針を続けているため、資金調達の選択肢が限られています。

1984年創業のフォーエバー21は米欧、アジア、中南米で800を超える店舗を運営しています。

一時時代を席捲したとしても、業績が悪くなるのはあっという間ですね。
アパレルの世界ランキングを見てみても、フォーエバー21は入っていません。
ちなみに、インデックス(H&M)がトップで、ファーストリテイリング(ユニクロなど)は3位、しまむらは10位となっています。
インデックスやファーストリテイリングが業績を伸ばしているなか、うまくいっていないのは将来的な見通しを誤り、対策が間違っていたんでしょうね。
企業の寿命は30年とよく言われますが、まさしくそんな感じですね。
そういうなかで、我が日本のファーストリテイリングはすごいなぁと思いますね。

Forever21が破産申請を準備していることについて、どう思われましたか?


「逃げ恥」「三匹のおっさん」など人気ドラマ制作会社が民事再生を申し立て!

 東京商工リサーチによると、「逃げるは恥だが役に立つ」といった人気テレビドラマなどを手がけてきた映像制作会社「イメージフィールド」(東京都新宿区)が、先日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したようです。
負債は推定10億円です。

 イメージフィールドに対し、アイドルグループ「SKE48」運営会社などを傘下に抱えるKeyHolder(東証JASDAQ上場)の子会社が支援することで合意しています。

イメージフィールドは、2002年に設立され、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」や「コウノドリ」「重版出来!」「三匹のおっさん」「空飛ぶ広報室」など数々の人気ドラマや、「植物図鑑」「響 -HIBIKI-」などの映画、CMを手がけています。

イメージフィールドのWebサイトには、2019年4月クールのドラマとして「わたし、定時で帰ります」(TBS)や「インハンド」(TBS)などが掲載されています。

東京商工リサーチによると、イメージフィールドは、2019年3月期に25億1,200万円の売上高を計上していましたが、多数の制作を手掛ける中、一部の大型案件や海外案件で想定以上のコストが重なったことなどで資金繰りが急激に悪化したとのことです。

KeyHolderは、傘下の映像制作会社、フーリンラージを通じて再生を支援するようでs。
「民事再生手続きの開始は急激な資金繰りの悪化によるもの」として、2億円を当面の運転資金とし、つなぎ融資を行うことでイメージフィールドの再生を支援するとしています。

業績悪化などではなく、多くの仕事を抱えるなかでの民事再生は、珍しいかもしれませんね。
やはり、会社が伸びている時こそ、業務フローの見直し、コスト管理、資金管理、月次決算による素早い対応などが必要ということでしょうね。
キャッシュ・フローを意識した経営が大事ということを改めて感じました。

「逃げ恥」「三匹のおっさん」など人気ドラマ制作会社が民事再生を申し立てたことについて、どう思われましたか?


民事再生法弁済率調査

 2000年4月に施行された民事再生法は、2016年には申請件数が1万件を超え、2018年4月で18年が経過しました。
申請企業の負債額上位を見ると、リーマン・ブラザーズ証券㈱やタカタ㈱、㈱そごうなど、当時大きくニュースで取り上げられた企業が並びました。
民事再生法の申請件数は、倒産全体と同じく減少傾向にありますが、現在も、規模や業種を問わず、再建型倒産手続きのスタンダードとなっています。
民事再生法を申請し再建を果たした企業があるなかで、申請した企業すべてが文字通り“再生”を果たしたわけではなく、㈱SFCGや㈱安愚楽牧場など申請後に破産に移行するケースも少なくありません。
帝国データバンクは、2017年1~12月に再生手続き認可決定を受けた90社について調査し、再生計画の内容が判明した企業を対象に、一般再生債権の弁済率、弁済期間、少額弁済額の分析を行いました。

1.民事再生法件数推移
2000年4月に施行された民事再生法は、東京地裁第1号案件となった㈲白形印刷(2000年4月3日申請)から数えて、1万544件となりました(2018年11月末集計時点)。
年別ピークを見てみると、施行翌年の2001年に965件で最多となっています。
その後、2006 年まで5年連続減少が続いていましたが、2007年に増加へ転じ、リーマン・ショックが起こった2008年には、前年から214件増の884件を記録しました。
その後は再び減少傾向が続き、2017年はピーク時の約4分の1となる230件となっていましたが、2018年は11月時点で234件と2017年を既に上回り、10年ぶりの前年比増となりました。

2.負債額別平均弁済率
2017年の1年間に認可決定を受けた企業のうち、一般再生債権の弁済率が判明した32社を負債額別にみると、「20~30億円未満」の弁済率が26.4%と最も高くなりました。
次いで「10~20億円未満」の26.2%、「30~50億円未満」の10.2%と続きました。
また、2017年に認可決定を受けた企業のうち、一般再生債権の弁済率が判明した32社の平均弁済率は約15.3%となりました。
2009年調査時の平均弁済率(12.4%)は上回ったものの、2001年調査時の平均弁済率(24.2%)は下回りました。

3.弁済率別分布
判明した32社の弁済率分布をみると、「10%未満」が17件(構成比53.1%)で最多となりました。
以下、「10~30%未満」の12件(同37.5%)が続き、30%未満で全体の9割を占めました。
10%未満のうち1%以下は8件と判明しました。

4.業種別平均弁済率
判明した32社を業種別にみると、最も高い弁済率は「製造業」の28.7%で唯一の20%超えとなりました。
以下、「小売業」の18.8%、「卸売業」の13.1%と続きました。
一方、最も低い弁済率となった「不動産業」は0.3%とその他を除いて2番目に低い「建設業」の7.9%と比較しても7.6 ポイントの差があり、業種間で差が開きました。

5.一般再生債権弁済完了までの期間
一般再生債権の弁済が完了するまでの期間が判明した33社をみると、「1年未満」の一括弁済が20件(構成比60.6%)で最多でした。
次いで、法律上の最長弁済期間となる「10年」が5社(構成比15.2%)となりました。
2001年調査時には全体の59.5%が、2009年調査時は全体の35.9%が10年の再生計画となっていましたが、今回の調査では10年の再生計画となったのは5社で20%に届きませんでした。
また、「1年未満(一括弁済含む)」は、2001年調査時では1割未満だったものが、2009年調査時には約4割、今回は約6割となるなど比率が高まっています。
こうした動きは、弁済率が低くなっても短期間での弁済完了を望む債権者の意向が強く反映されたものと推察されます。
また、事業の一部もしくは全部を別会社(新設会社がほとんど)に譲渡したうえ旧会社を清算させる“清算型”民事再生法の活用が散見されることも、弁済完了までの期間を1年未満(一括弁済含む)とする比率が高まった要因ともいえます。

6.少額弁済額
少額弁済額が判明した32社をみると、「10~30万円未満」が15件(構成比46.9%)で最も多く、このうち10万円が11社と構成比34.4%に達しました。
同11社の内訳をみると、負債額は50億円近くから、1億円未満のケースまであり、少額弁済額が負債額にリンクしていないこともわかりました。
また、弁済率も50%以上から1ケタまで多岐にわたっています。
また、2009年調査時においても最多は「10~30万円未満」で構成比64.0%となっており、少額弁済額については多少の変化はあるものの傾向は変わっていません。

今回の調査で2017年認可決定を受けた企業のうち、弁済率が判明した企業の平均弁済率は15.3%と判明しました。
民事再生法は、2000年にそれまで用いられてきた和議に代わる企業再生手段の1つとして施行されました。
同じく再建型と言われる会社更生法との違いは、申請に伴い経営陣の退陣が必須事項でないことや法人だけではなく個人でも適用可能という部分です。
「破産手続開始の原因を生ずるおそれ」もしくは「事業の継続に著しい支障を来すことなく債務を弁済できないこと」などが民事再生法適用要件として挙げられ、比較的早い段階で法的整理へ移行することができることで、企業または個人が破たんすることなく再生可能という部分が特徴と考えられてきました。
今でもその特徴は消えることなく運用されていますが、近年は民事再生後に事業を別会社に移し適用会社は破産へ移行するケースや、不正などにより再生計画認可の見込みがないことなどから手続きが廃止となり、棄却され破産に移行するケースも散見されます。
2018年は8年ぶりに件数増加しましたが、取り巻く状況も変わりつつあるなか、弁済率や期間などの再生計画が今後どのように変化していくのか注目されます。
個人的には、平均弁済率が15.3%もあることには驚きました。
いわゆる抜け殻方式や借金棒引きは、同業者にはモラルハザードになるのではないかと思っている一方、企業または個人に再度チャンスを与えることができるという思いはあります。
民事再生が有効に使われればいいですね。

民事再生法弁済率調査について、どう思われましたか?


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粉飾決算を繰り返し数十億円の融資を受けた携帯電話販売会社の元社長ら3人を逮捕!

中京テレビによると、粉飾決算を行い、融資名目で銀行から、約2億円をだまし取ったとして、携帯電話販売会社の元社長ら3人が逮捕された事件で、3人が、粉飾決算を繰り返し、10社以上の金融機関から、数十億円の融資を受けていたとみられることがわかりました。

詐欺の疑いで逮捕されたのは、愛知県名古屋市に本社があった携帯電話販売会社の元社長(68)ら男3人です。

警察によると、3人は、3年前からおととしの間に、愛知県名古屋市千種区にある銀行の支店に虚偽の決算報告書を提出し、融資名目で、計1億9,000万円を入金させ、だまし取った疑いがもたれています。

その後の警察への取材で、3人が、少なくとも8年前から、粉飾決算を繰り返し、10社以上の金融機関から、数十億円の融資を受けていたとみられることがわかりました。

携帯電話販売会社はおととし、約27億円の負債をかかえて倒産しました。

この会社は、愛知県小牧市の美容専門学校を運営していましたが、倒産した影響により、学校は、2024年5月、突然閉校する事態となり、生徒は、転校や退学を余儀なくされました。

元生徒の女性(20)は、「閉校しなければ、みんなと一緒に国家試験を受けて、春から美容師として働いていただろうなと思います。学校関係者より上の人が逮捕されるとは思っていなかったので驚いています」などと話していました。

警察は、3人の認否を明らかにしていません。

携帯電話販売は儲かるイメージがあるのかもしれませんが、ドコモショップでもどんどん閉店しているところを見ると、経営は厳しいのでしょうね。

かと言って、粉飾をして良いわけではありません。

金融機関や会計事務所に、隠すのではなく、明らかにして一緒に再建策を考えて実行していく方が望ましいのではないかと思います。

粉飾決算を繰り返し数十億円の融資を受けた携帯電話販売会社の元社長ら3人が逮捕されたことについて、あなたはどう思われましたか?


「史上稀に見る悪質な倒産劇」堀正工業が粉飾決算で得た資金はどこに消えたのか?

企業の信用情報を扱う東京商工リサーチが「史上稀に見る悪質な倒産劇」評したのが、7月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた堀正工業(東京都品川区)です。
1933年創業の老舗で大手ベアリングメーカーNTN(東証プライム)の代理店として成長しました。
地味な分野の商社破産のどこがそれほど悪質だったのでしょうか?

「粉飾決算を長年続けて金融機関を騙してきた。会社側が数行と説明していた取引金融機関は、実際は地方銀行を主体に50数行に及び300億円以上を引っ張っていた。負債総額は282億円。金融機関はパニックだ」(経済記者)

週刊現代によると、粉飾は20年近くに及ぶと見られ、直近の2022年9月期では売上高約45億円、最終赤字約3.4億円のところ、粉飾により売上高約68億円、最終利益は約4.8億円にかさ上げされ、その数字も金融機関ごとに変えられていました。
裏には損保系生保の大物営業マンがいて、出身銀行の名刺を渡しながら堀正工業を紹介し、「融資の輪」を広げていったそうです。

粉飾で得た資金はどこに消えたのでしょうか?
決算書によれば、堀雅晴代表個人や代表が関係する企業や親族への貸し付けは約93億円に達します。
東京都内のタワーマンション、軽井沢の保養所などに散財された形跡もあるようです。
疑惑は、捜査当局によって解明されることになりそうです。

結構な額の粉飾ですね。
最初はすぐに取り戻せると思ったのが取り戻せずに、どんどん増えていったんでしょうね。
どんな手法だったのか明らかにして欲しいですね。
個人的には、取引銀行が多いのは何かあるのでは???と思ってしまいますが、20年近く銀行も何も気付かなかったんでしょうか?
会計事務所もどこまで知っていたんでしょうね?

「史上稀に見る悪質な倒産劇」堀正工業が粉飾決算で得た資金はどこに消えたのか?について、あなたはどう思われましたか?


コロナ融資悪用し9,800万円詐取疑いで会社役員を逮捕!

朝日新聞によると、粉飾した決算報告書を金融機関に提出し、新型コロナウイルス対応の融資金をだまし取ったとして、大阪地検特捜部は、先日、大阪市の修繕工事会社の社長(38)を詐欺容疑で、税理士法人元事務員(53)を詐欺ほう助の疑いで逮捕しました。
大阪地検特捜部は認否を明らかにしていません。

発表によると、社長は2020年4月、大阪府がコロナの影響を受けた中小企業向け制度融資を受けるため、売上高を過大に粉飾した決算報告書などを大阪府内の金融機関に提出し、翌月、計9,800万円の融資金を会社名義の預金口座に振り込ませた疑いがあります。

関係者によると、大阪地検特捜部は、2022年春、修繕工事会社の複数の関係先を家宅捜索していました。
融資金を振り込んだ金融機関の担当者は、朝日新聞の取材に対し、「コメントは差し控える」と答えています。

大阪地検特捜部によると、税理士法人元事務員は2019年12月と2020年3月、決算報告書などを粉飾して社長に提供し、犯行を助けた疑いがあるそうです。
税理士法人元事務員は、2022年3月、横浜市の家庭用給湯器の設置・販売会社の元社長が銀行から多額の融資をだまし取ったとされる事件に関与したとして、詐欺ほう助罪で起訴されています。

これって誰が主導しているのでしょうか?
税理士法人の元事務員が主導していたとすれば、会計事務所をやっている身としては恐ろしいですね。
社長が主導しているとすれば、こういった話しを持ちかけてくる会社とは契約を解除しないといけないでしょうね。
9,800万円も貸すわけですから、金融機関もどうなんでしょうね?

コロナ融資悪用し9,800万円詐取疑いで会社役員が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


粉飾決算に手を染めていた不動産会社がコロナ禍で倒産の顛末!

デザインハウス東京は、地場の不動産業者などを主な得意先に抱え、東京都世田谷区の若林・三軒茶屋など城西地区を主要営業エリアに、マンションおよび戸建住宅の販売を行っていました。

特に近年は、中古の戸建て物件を買い取った後に更地にして建売業者や個人に販売する形態で、1件当たり数千万円から1億円強程度の案件を年数件のペースで取り扱い、2017年5月期には年売上高約6億6,000万円を公表していました。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、情勢は一変しました。
戸建ての売却が大幅に減少し市場が停滞したことで、取引機会の減少や取得価格の上昇を招き、土地の仕入れが著しく困難となったのです。
また、いわゆるウッドショックの影響による建設資材高騰も、相対的な土地販売価格の抑制につながり、利益率の低下を招いていました。

資金繰り確保のために、セーフティネットやコロナ特別融資などで5,000万円を超える借り入れを行いましたが、不動産取得のためのプロジェクト融資もあることから借入金負担は増す一方となってしまいました。

また、プロジェクト融資を得る目的で、過年度より架空の売上高や実在性のない固定資産の計上といった粉飾決算に手を染めていたことから、金融機関への支援要請も断念せざるを得ない状況となっていました。

業態特性もあるが、借入過多と粉飾決算で、気づいたときには身動きがとれない状況に陥いりました。
結果論にはなりますが、早い段階で金融機関や専門家へ相談することでハードランディングを極力避けられるような結末を迎えることもできたはずです。

政策的に、金融機関は貸付先との伴走を求められており、事業再生が難しい場合でも各種私的整理制度などを活用することで、ステークホルダーや地域経済へのダメージを軽減できる可能性があります。
業容縮小期の事業運営において、金融機関への早期の相談と連携は必須事項でしょう。

粉飾は、最初はこれくらいならと思い、業績が回復すれば取り返せると思うのかもしれませんが、これだけ、コロナ禍が続くと、取り返しのつかないレベルまで行ってしまうんでしょうね。
経営者が悪いのは言うまでもないのですが、相談もされないような銀行も反省しないといけないのかもしれませんね。
同業者ゆえ、顧問税理士はどれくらい相談を受けていたのだろうかということも気になります。

粉飾決算に手を染めていた不動産会社がコロナ禍で倒産の顛末について、どう思われましたか?


「シックスパッド」など美容・健康器具を手がける美容器具会社に課徴金勧告!

徳島新聞によると、証券取引等監視委員会は、先日、売上の過大計上があったとして、金融商品取引法違反の疑いで、東証グロース上場で、トレーニング機器「シックスパッド」など美容・健康器具を手がける「MTG」(愛知県名古屋市)に課徴金366万円を納付させるよう金融庁に勧告しました。

証券取引等監視委員会などによると、MTGは「美容ローラー」などについて、MTGが最終的な販売先を確保することを前提に中国の業者に販売し、売上として計上していました。
しかしながら、その後販売先を見つけられず、商品の大半を業者から買い戻していました。

証券取引等監視委員会は、業者に販売した時点で売上として計上するのは不適切だったと判断しました。

いわゆる押し込み販売ですね。
上場企業としてあるまじき行為だと思います。
2019年9月期の上半期の話しですが、売上高を21億円、営業利益を20億円ほど修正し、通期の営業利益も黒字予想だったのが赤字に転落しています。
投資家をだましている行為だと思いますので、本当にやめて欲しいですね。

「シックスパッド」など美容・健康器具を手がける美容器具会社が課徴金勧告を受けたことについて、どう思われましたか?


長野の社会福祉法人が事業借金穴埋めで粉飾決算!

中日新聞によると、長野県内で介護サービスを展開する社会福祉法人(長野県長野市)は先日、前理事長らが高齢者向け住宅事業などで発生した借金を穴埋めするため2018年度の決算を粉飾していたと発表しました。
私的流用はなかったとしています。

社会福祉法人によると、前理事長は借金で発生した利息数千万円の支払いに法人の運営資金を流用しましたが、回収可能な資金のように会計上見せかけていました。

会計事務所の調査で2020年春に発覚しました。
2021年5月に長野県の特別監査を受け、7月19日までに改善報告を提出するよう指導されていました。

社会福祉法人は、「深くおわび申し上げる。引き続き、関係者に対する責任追及、再発防止、経営改善に取り組み、信頼の回復に努める」とコメントしました。
介護サービスの利用者らには、書面で説明したようです。

社会福祉法人も大きいところから、公認会計士または監査法人による会計監査が義務付けられるようになっていますが、取りたくてもなかなか取れない法人格である社会福祉法人であり、様々な優遇等もありますので、早期に基本的にすべての社会福祉法人に会計監査を義務付けた方がいいのではないかと思っています。
学校法人の場合、補助金をもらっているところは会計監査が義務付けられていますので、学校法人とのバランスを考えても、それが当然だと考えています。

長野の社会福祉法人が事業借金穴埋めで粉飾決算をしていたことについて、どう思われましたか?


不正会計の東芝に初の賠償命令!

2015年に発覚した東芝の不正会計問題で株価が下落し損失を被ったとして、2銀行が計約5億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地方裁判所は、先日、東芝に計約1億6千万円の支払いを命じました。
東芝によると、不正会計問題を巡り、賠償命令が出たのは初めてだそうです。

国内外の個人や機関投資家が起こした同種訴訟は、今回を含めて37件あり、請求額は総額約1,780億円に上ります。
一部では和解が成立したり、原告側の敗訴が確定したりした訴訟もあるようです。

2行は日本カストディ銀行と日本マスタートラスト信託銀行(いずれも東京)で、飛沢知行裁判長は、2010~2015年に公開された東芝の有価証券報告書の一部について「投資判断に影響を与える重要な事項に虚偽記載があった」として株価下落との因果関係を認め、法人として虚偽記載がないよう配慮すべき注意義務を怠ったと判断しました。

東芝は「判決の内容を精査し適切に対応する」とのコメントを出しました。

悲しいことではありますが、東芝の敗訴が確定し、少しでも不正会計の抑止につながればいいなぁと思っています。
損害賠償が当たり前になり、不正会計をした当時の役員も当然賠償を行うようになれば、取締役会とかも緊張感を持ったものになると思いますし、問題を隠すのではなく、利益を増やすということを考えるようになるのではないかと思います。
そうなってくると、監査法人の責任も重くなると推測されますが、監査法人に勤める人が少なくなるかもしれませんね。

不正会計の東芝に初の賠償命令が下されたことについて、どう思われましたか?


シャープの子会社でシャープ出身の社長も黙認していた不正会計が75億円!

朝日新聞によると、シャープは、先日、スマートフォン向けのカメラレンズの製造子会社「カンタツ」(東京都)で、2018年4月~2020年9月に架空計上などで売り上げを75億円水増しする不正会計があったと発表しました。
シャープ出身の社長が目標達成に強いプレッシャーをかけたことが一因だったそうです。

不正会計の影響などで、シャープは2019年3月期と2020年3月期の純利益を、それぞれ13・8%、34・5%引き下げました。
一方、2021年3月期の業績予想は、家電の販売などが好調で据え置きました。

調査にあたった弁護士らの委員会の報告書によると、シャープからカンタツに送り込まれた社長(現顧問)が、業績目標の達成を現場に強く指示し、注文がないのに売り上げを架空計上するなどの不正を黙認していました。
一部では自ら不正を指示していました。
カンタツ社内にも、親会社出身者の方針に口を挟まない「忖度(そんたく)」の雰囲気があったようです。

記者会見をしたシャープの野村勝明社長は、「管理監督が甘かった。グループのガバナンスを強化していく」と謝罪しました。
不正会計は2020年11月の内部監査で発覚しました。調査に時間がかかったため、シャープは2020年4月~12月期決算発表を金融商品取引法が定める20121年2月15日の期限までにできず、先送りしていました。

おそらく、親会社から来た方には逆らえないようなグループ全体の社風なのでしょうね。
自ら不正を指示するような方が社長として送り込まれるのくらいなので、この社長自身も強いプレッシャーを受けていたのかもしれませんが、経営者としての資格がないのではないでしょうか。
親会社の役員を含め、グループ全体の役員の教育、もしくは一掃が必要なのではないかと考えます。

シャープの子会社でシャープ出身の社長も黙認していた不正会計が75億円あったことについて、どう思われましたか?


富士電機の子会社が242億円架空取引に絡んでいた!

東証1部上場の富士電機は、先日、連結子会社の富士電機ITソリューション(東京都千代田区)が絡む架空取引で、総額242億円を売上高として計上していたと発表しました。

取引期間は2015年3月から2019年10月までで、取引件数は38件です。
すでに発注を解除した4件を加えると、総額は289億円に上ります。

富士電機は、「業績に与える影響は軽微で過年度修正はしない」としているようです。

架空取引は、ほかに、このBLOGでも取り上げましたが、東芝子会社の東芝ITサービス(神奈川県川崎市)、日本製鉄子会社の日鉄ソリューションズ、リース会社のみずほ東芝リース(東京都港区)など複数社が関与し、東証1部上場のシステム開発会社、ネットワンシステムズが取引を持ちかけるなど主導的な役割を担っていたことが分かっています。

富士電機は社外の弁護士らでつくる特別調査委員会を立ち上げ、事実関係を調べていました。
富士電機は「社員が実体のない架空取引だったと認識していたことを示す証拠や、不正の証拠は認められなかった」と結論づけました。

富士電機が言っていることが正しいのかどうか分かりませんが、いわゆる最近話題になった東芝子会社の循環取引の話です。
循環取引はぐるぐる回っているだけですから、書類はきちんと整えられているため、会計監査人は見破れないことが多いのではないかと思いますが、当事者である会社は気づかないものなのでしょうか?
1件当たりそれなりの金額の取引だと思いますので、エンドユーザーは誰とか、どういった使い方をされるものなのだろうかとか、価格は妥当なのだろうかとか、仕入れたのもの中身はどういったものなのだろうとかは、分からないものなのだろうかと思ってしまいますね。

富士電機の子会社が242億円架空取引に絡んでいたことについて、どう思われましたか?


中小企業の粉飾決算が激増している!

 日刊ゲンダイDIGITALによると、地方銀行を中心に、取引先である中堅・中小企業の長年にわたる粉飾決算が露呈するケースが増えているようです。

「昨年6月のバンクミーティングで40年間にわたり粉飾を行ってきたことを明らかにした広島の名門書店『フタバ図書』など、最近になって取引先の中堅・中小企業の粉飾が増えていることが気にかかる」(地銀幹部)というのです。

全国地方銀行協会の笹島律夫会長(常陽銀行頭取)も、2019年11月の会見で、「融資先の粉飾決算が最近になって見られている。資金繰りがついていて形式上は普通に見えていたが、後になって気が付くケースが出ている」と懸念を示しています。

粉飾から倒産にいたるケースも急増しているようです。
大手信用情報機関の東京商工リサーチが2020年1月8日に発表した2019年1月~12月の「コンプライアンス違反」倒産のうち、粉飾決算が確認された倒産は18件で、前年から倍増しています。
また、30年にわたり粉飾決算を続けていた「開成コーポレーション」(埼玉県・破産)のように、「粉飾決算の期間が30年、15年、10年など長期にわたるケースが目立った」そうです。

この背景について、東京商工リサーチは、「粉飾決算は、資金繰りが維持されている間は発覚しにくいが、人件費の負担などから資金繰りが逼迫し、金融機関に借り入れ返済のリスケ(返済猶予)を要請する際、発覚するケースが増えている」と分析しています。

特に、2009年12月に施行された中小企業等金融円滑化法により融資の返済を猶予されてきた中小企業が、円滑化法の適用からほぼ10年を迎え、さらなる返済の繰り延べを許されなくなったことが大きく影響しているとみられます。

「中小企業等金融円滑化法の適用を受けるためには、実効性のある抜本的な再建計画を策定し、金融機関に承認してもらうことが前提になっていた。その俗に、“実抜計画”と呼ばれる再建計画の最長期間は10年とされている。その期限到来を控え、再建できなかった企業が退場を余儀なくされ始めた」(地銀幹部)というわけです。

金融庁幹部も、「粉飾はなかなか見抜けないが、貸し手の銀行と企業とが距離があって話をしないので、見抜けないこともあるのではないか」とくぎを刺しています。
粉飾倒産は、地銀の与信コストを増加させ、苦しい決算をさらに苦しいものにしかねません。

個人的には、あまり、金融機関が融資先を訪問しなくなっているので、当然の結果なのでないかと思います。
生命保険や投信やM&Aなどの手数料商売に走るのではなく、金融機関の本業である融資を融資後も含めたところで今一度きちんとやらないと、金融機関の将来はないのではないかと思いますね。

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東芝の子会社が架空取引200億円!

 東芝は、先日、IT(情報技術)サービスを手掛ける連結子会社で架空取引があったと発表しました。
2019年4月~9月に計上した売上高約200億円規模がこれまで明らかになっており、2019年4月~12月期決算で取り消す方向だそうです。
2020年3月期に営業利益(米国会計基準)1,400億円を見込んでいますが、「該当するのは利益率が高くない案件で、現時点で影響があるとはみていない」としています。

架空取引があった子会社は、東芝ITサービス(川崎市)で、情報システムの導入支援や構築などを手掛けています。
製品やサービスのやりとりが存在せず、資金のみが循環する「循環取引」があったとみられます。
東芝は、子会社が積極的に関与したかどうかについて、「証拠が検出されていない」と説明しています。

東芝は2月14日に予定している2019年4月~12月期決算の発表までに詳細を明らかにし、業績に反映する見通しです。
20年3月期の売上高は3兆4,400億円を見込んでいます。
東芝は、2015年にも不正会計が発覚しています。
パソコンやテレビなどの事業で、2015年3月期までの7年間で2千億円を超す利益を水増しし、東京証券取引所から特設注意市場銘柄に一時指定されました。

あれだけ世間を騒がせたのに、今なお循環取引をやっているなんて、どういう企業体質なんでしょうね。
他の報道によると、この子会社の売り上げの半分くらいが架空取引のようです。
当然、子会社の管理責任は親会社にあると思いますので、こういう企業は、早く市場から出ていって欲しいですね。
ゆうちょ銀行もそうですが、やはり、上場企業及びそのグループ会社の役員・従業員は、モラル・常識・品格・資質などが必要なんだろうなぁと改めて感じました。

東芝の子会社が架空取引200億円を行っていたことについて、どう思われましたか?


JDIは内部通報受け昨秋にも不適切会計の有無を調査!

 朝日新聞によると、経営再建中の液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)が昨秋、内部通報を受けて不適切会計の有無を調べていたことが分かったようです。
当時の調査では、指摘された会計処理は適切だったと判断しましたが、この内部通報とは別に、不適切会計に関わったと主張する元社員からの通知が先日あり、JDIは再調査を迫られています。
内部通報を受けた調査での判断が覆れば経営再建に影響が出かねず、再調査の結果が焦点になっているようです。

複数の関係者によると、昨秋の内部通報を受けて、JDIの当時の経営陣は会計監査人のあずさ監査法人にも確認し、過去の会計処理に問題はなかったと判断しました。
JDIはこうした経緯や元社員からの通知などに基づき、在庫評価や減損処理などに問題がなかったかどうかを調べています。

不適切会計への関与を通知した元社員は、5億7,800万円を着服したとして2018年12月に懲戒解雇されました。
着服とは別に、過去の経営陣からの指示を受けて、「過年度決算で不適切な会計を行った」と先日JDIに通知しています。
これを受け、JDIは弁護士などでつくる特別調査委員会を立ち上げました。

元社員は入社以来、経理部門の幹部を務めていました。
特別調査委員会は今後、歴代の最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)から不正経理への関与などを聞き取ります。
ただし、元社員は11月下旬に自殺を図り、その後に死亡したとみられることから事情を聴くことはできなくなっています。

JDIは「適切な会計処理が行われてきた」と主張しており、2019年4月から12月期決算を発表する2020年2月までに結果を公表したい考えのようです。
特別調査委員会の調査が長引けば、金融支援の受け入れに向けた手続きが滞る可能性があるためです。

JDIは先日、投資顧問会社いちごアセットマネジメント系の企業から800億円から900億円の金融支援を受け入れることで基本合意したと発表しました。
取引先の台湾の電子機器受託製造大手ウィストロンからも5千万ドル(約54億円)の金融支援を受けることで基本合意しています。
主要顧客のアメリカのアップルは、2019年7月から操業停止中の白山工場(石川県)の一部設備を2億ドル(約216億円)で買い取ることを検討しているようです。

JDIは2020年1月中にいちご側と最終契約を結び、2~3月に資金調達を完了させようとしているようですが、特別調査委員会の調査結果次第では金融支援の受け入れに影響が出かねません。

通知したご本人がお亡くなりになっているので、うやむやにされてしまうかもしれませんが、特別調査委員会の調査結果がどうなるかウォッチしていきたいと思います。
場合によっては、再生させるに値しない会社になってしまうかもしれませんね。

JDIは内部通報受け昨秋にも不適切会計の有無を調査していたことについて、どう思われましたか?


低収益による甘い銀行審査で「粉飾倒産」が増えている!

 粉飾決算で財務内容をごまかしていた中小企業の倒産がじわりと増えているようです。
日銀の超低金利政策の影響で収益の低迷が続く中、甘い審査でこうした取引先に資金を貸し出し、痛手を被る金融機関も目立つようです。

「各金融機関、顔を合わせれば(融資先の)粉飾という言葉が出てくる」と、西日本シティ銀行と長崎銀行を傘下に置く西日本フィナンシャルホールディングスの谷川浩道社長は、先日の記者会見でこう嘆きました。

信用調査会社の東京商工リサーチによると、2019年1~10月の企業倒産件数のうち、粉飾決算を理由とする倒産は16件で、前年同期の2倍に増えました。
「経営不振で長らく粉飾を続け、隠し切れなくなった企業が多い」(担当者)そうです。

横浜銀行などを抱えるコンコルディア・フィナンシャルグループの川村健一社長は、「結構いい調子に見える会社が実は粉飾で、倒産している」と指摘しています。
多くの銀行が警戒感を強め、倒産に備えた引当金の積み増しに動いているようです。

粉飾が増えた理由はさまざまです。
景気の影響より経営者の順法意識など「個別の話」(全国地方銀行協会の笹島律夫会長)との声が多いようです。
ただし、プロである銀行が見抜けなかったのは、低金利と地元の融資先減少に苦しむ地方銀行などが「地の利がない地域で融資した」(笹島氏)事例が増えたことも一因のようです。

金融当局筋は「都道府県境を越えた融資の審査が緩くなっている。危ない融資先が(他地域から来た)新参者に押し付けられている」と不安視しています。
粉飾倒産の「地雷」を踏む銀行が一段と増える恐れもありそうです。

ここ数年、県外での融資に積極的になっている金融機関は多いと思いますが、ある種、事前に想定されていたのではないかと思います。
それでも融資しないといけないほど、金融機関の経営が厳しくなっているのでしょうね。
やはり、金融機関の数が多すぎるところに起因している面もあると思いますので、どんどん統合や淘汰が進んでいくんでしょうね。

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名門ラジオ局「エフエム東京」が不正会計!

 「番組出演者の皆様、エンタメ業界の皆様、そして何よりリスナーの皆様に大変なご心配をおかけした。国民の共有財産である電波をお預かりし、公共性の高い放送事業者としてあってはならない事態を発生させた。心よりお詫び申し上げます」
「TOKYO FM(トウキョウ エフエム)」の愛称で知られるラジオ局大手のエフエム東京の黒坂修社長は、先日の記者会見でこう言って謝罪しました。

エフエム東京は、同日、5月に設置した第三者委員会の調査報告書を公表しました。
それによると、2016年度から3期にわたる決算で、当時の経営陣が新規メディア関連子会社「トーキョー スマートキャスト」(TS社)で生じた赤字を隠匿するために、エフエム東京などが保有するTS社株を異動させることによって、TS社を連結対象から不当に除外するなどの不正会計がなされていたようです。

不正会計発覚のきっかけは、エフエム東京や同社の会計監査を担当する監査法人への内部通報でした。
本来、計上されるべきであった営業損失は3年間で約11億円にのぼります。
エフエム東京の2018年3月期の営業利益は15億円弱と発表されていましたが、TS社の2018年3月期の営業損失4億円超を加味すると、実際の営業利益は約10億円だった計算になります。

そのほかにも、銀行を介してTS社に貸し付けを行った際、必要な取締役会への報告を怠ったり、エフエム東京のラジオ番組に関する広告会社との取引に、TS社を関与させて手数料を供与していた点も問題だと指摘されています。

TS社が手がけていた新規メディアは、「i-dio」という地上波デジタル放送兼インターネットラジオです。
専用の携帯端末や車載型の受信機で移動しながらでも情報が入手できることがセールスポイントで、高音質で映像や文字も楽しめる新しいメディアです。
2013年3月にエフエム東京が公表した資料には、「ラジオを活性化し、ひいてはラジオの価値向上につながっていくことが期待されます」という意気込みが記されています。

その後、エフエム東京の関連会社が基地局開設や放送事業に必要な認可を総務省から取得し、TS社は番組企画や制作を担う形で2016年3月から放送を開始しました。
エフエム東京がi-dio事業に投じた金額は債務保証なども含めて約100億円にのぼります。

売上高185億円、総資産400億円弱(いずれも2018年3月期)のエフエム東京にとって社運を賭けたi-dio事業ですが、TS社の赤字は徐々に膨らんでいきました。
2018年3月期には債務超過に転落、2019年3月期にその額は4.5億円に拡大しました。

報告書によれば、i-dio事業の経営悪化が取締役や株主などに明らかになると、撤退を含めたi-dio事業の抜本的な見直しと経営陣の責任が問われかねないため、これを回避する動機があったようです。

i-dio事業はどの程度厳しい状況なのでしょうか?
黒坂社長は「正直、状況が厳しいという現実はある」と述べるにとどまりました。
ただし、i-dioを放送波で利用するためには専用端末が必要で、インターネットコンテンツが台頭する中、専用端末の普及は進んでいないとみられます。

i-dioを生かした防災情報配信システムが自治体に導入されつつあり、総務省から免許を付与されている立場で、i-dio事業から撤退するわけにはいかないようです。
事業の今後について、黒坂社長は「複数の協業先候補と交渉を進め、パートナーとして事業の一部を担っていただくレベルではなく、(事実上)事業そのものの営業権を担っていただく」形で検討していくと話しています。

目下の課題は発表を延期している2019年3月期決算の公表で、9月末を目指すそうです。
エフエム東京は非上場会社ですが、冒頭の黒坂社長の発言どおり、公共の電波を用いて事業を行っている放送局が決算を公表できていない事態は憂慮すべきです。

「i-dio」という新しい挑戦で「ラジオの未来」を作ろうとしましたが、その姿勢が裏目に出てしまったエフエム東京です。
調査報告書が「閉鎖的かつ風通しの悪い組織風土が醸成されたのは、(前会長の)冨木田(道臣)氏の代表取締役としての在任期間が長いこと」「(冨木田氏に)権限が集中し、(中略)経営陣の意向に対して、異を唱えることが困難な状況になっていたことも(不正会計の)重要な要因の一つ」と指摘するように、一連の不正会計を主導した冨木田氏らの「罪」は大きいようです。

旧経営陣に代わって6月に社長に就任した黒坂社長ら新経営陣がどこまで組織改革を進められるか、その手腕が問われています。

保身のために赤字企業を不当に連結対象から外すというのは、かなり悪質ですね。
公共の電波を用いて事業を行っている放送局がこういった体質だと、説得力がなくなるのではないでしょうか?

名門ラジオ局「エフエム東京」が不正会計をしていたことについて、どう思われましたか?


ホシザキが不正調査費用かさみ減益!

 子会社で不適切取引があった厨房用機器大手ホシザキが、先日発表した2019年6月中間決算は、売上高が前年同期比0.2%減の1,496億円、営業利益は13.1%減の186億円でした。

中間期の減収は10年ぶりのようです。
なお、営業利益減益は2年ぶりです。

顧客の大手飲食チェーンが人手不足から出店計画を見直したことなどで国内販売が伸び悩んだほか、不正の調査費用11億円を計上したことが響いたようです。

不正の調査費用って11億円もかかるんですね。
直感的には高すぎる気がしますが、ホシザキにとって高くつきましたね。
結局、不正をしても、何も得られるものはないということですよね。
株主の配当も減るわけでしょうから。
その辺は、すべての上場企業の経営者に認識してほしいですね。

ホシザキが不正調査費用かさみ減益となったことについて、どう思われましたか?


「J.FERRY」ブランドの会社で10年以上の粉飾が発覚!

 銀座本店のほか、自由ヶ丘や表参道、お台場のヴィーナスフォートでアパレルブランド「J.FERRY」のショップを展開してきたリファクトリィ(東京都中央区)が、先日、東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請しました。

 ファストファッションの台頭や少子化、ネット通販市場の拡大などに伴うアパレル不況が主因の倒産かと思いきや、社長が10年以上にわたって粉飾決算していたことを告白し、周辺に衝撃を与えているようです。

リファクトリィは、1992年7月に設立され、30~50代を対象とした比較的高価なラインの『J.FERRY』、20~50代を対象としたリーズナブルな価格設定の『003 J.FERRY』『MAISON TOKYO』の3ブランド・店舗名および「J.FERRY OUTLETSELECT」の店舗名で事業を展開しています。
最近は、東京(7店舗)、千葉(5店舗)をはじめ、北海道から福岡まで計30店舗を展開しています。
運営方法は直営路面店舗(5店舗)、インショップ店舗(3店舗)、リファクトリィが店舗を賃貸して運営を販売代行業者に一括委託する店舗(22店舗)の3形態となっていました。

店舗数を増やし続けたことで、会社公表による年間の売上高は約6億1,700万円(2002年6月期)、約13億8,000万円(2007年6月期)、約28億8,500万円(2012年6月期)、約43億5,300万円(2017年6月期)と拡大しています。
この間、年間の売上高が前年を下回ることは一度もなく、経営は順調に推移しているように映っていたようです。

そうしたなか、リファクトリィが倒産に向かうきっかけとなったのは、2019年5月末の金融機関への返済が厳しくなり、5月中旬に弁護士に相談したことでした。
その後、5月27日に金融機関、リース会社(計約30社)向けに説明会を開催したようです。

驚くことに、その場で10年以上にわたり粉飾決算を行っていたことを明かしたのです。
そのうえで、リファクトリィは私的整理を目指す意向を示したが、複数の金融機関から「金融機関の数が多いので、私的整理はハードルが高い」といった意見があり、自主再建を断念し、わずか2日後の5月29日に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請しました。

負債は4月30日時点で債権者265人に対する60億1,367万円で、そのうち借入金は21行に対する53億5,613万円と負債全体の89%を占めています。

会社側によると、粉飾決算をはじめるきっかけとなった時期は、2007年ごろで、当時、金融機関からの借入残高は約15億円でしたが、同じ頃に一部の金融機関から「これ以上の追加融資は行えない。借入金を15億円までに抑えるように」との指摘を受けたことだそうです。

しかしながら、新規店舗の開業準備を進めており、引き返すことはできない状態にあっため、指摘を受けた金融機関以外からの借り入れを繰り返すこととなりました。

その実態をそのまま開示すると、金融機関との関係が悪化してしまうことを恐れ、借入金を少なく見せるために2008年6月期の決算の頃から、金融機関からの借り入れを売り上げに計上するなどの粉飾決算をはじめました。
そしてその後も、財務諸表の整合性、連続性を維持するために粉飾は恒常化してしまったようです。

粉飾を行うようになったものの、その後の数年間の業績は順調に推移し、粉飾した数値と実態の数値に大きな乖離かいりはなかったそうです。
しかしながら、その後、双方の数値の乖離が大きくなっていくこととなります。
大きな原因のひとつはスマートフォンの爆発的な普及です。

このころのスマートフォンの個人保有率の推移(総務省データ)をみると、2011年から2016年までの5年間で20代が44.8%→94.2%、30代が28.9%→90.4%と急伸しました。
これによって社会で起きた現象が、ネット通販市場の急拡大でした。

それに伴い同業者は、アマゾンやゾゾタウンといったネット通販に力を注ぎ、同販路での売り上げを増やしていきましたが、リファクトリィはそれまで通り店舗数拡大に伴う売り上げ拡大方針を変えることはなかったようです。
その結果、2016年6月期(実際の売り上げは約30億2,700万円)においてはじめて前期の売り上げを下回り、さらに翌2018年6月期の実際の年間の売上高は約25億6,300万円にまでダウンし、約7億4,100万円の最終赤字となり、限界となったようです。

申請から5日後の6月3日、都内で債権者説明会が開催され、取引先約120人が集まりました。
会社側からは社長のほか、オブザーバーとして申請代理人弁護士、監督委員弁護士が参加しました。

「スポンサー選定をM&A専門会社に依頼し、早急に外部から経営・資金支援を受ける予定。7月中旬にはスポンサーに経営権を移転したい」「候補は20~30社リストアップし、数社から好印象の回答をもらっている」などと現状と見通しを伝え、今後はその進捗が注目されることとなります。

現在、公式通販サイトでは「本気のタイムセール 最大85%オフ」と称したセールが開催されており、売れ行きはとても好調のようです。

今回のケース以外にも、最近は業歴が長く、売り上げが数十億円規模で、社名や商品の知名度が高い企業の10年以上にわたる粉飾決算発覚が相次ぎ話題になっています。

知名度が高い企業、売り上げが大きい企業であると、内部統制に大きな問題は生じていないだろうといった思い込みなどから、経営状況について、疑いの目を持つステークホルダーが現れなかった背景があるのかもしれません。

10年以上前から粉飾をしていたということは、「リーマン・ショックを乗り越えられなかったはず」との見方もできるでしょう。
今後の取引先実態調査の方法について、一石を投じる案件となったのではないでしょうか?

金融機関の融資担当者も店舗を見に行くなどすれば、ある程度分かるような気はしますが、そういうこともしていないんでしょうね。
あとは、個人的には、スポンサー探しをM&A専門会社に頼むんだなぁと思いました。
再生案件とはいえ、ある意味、買い手を探すということですから、納得できました。

「J.FERRY」ブランドの会社で10年以上の粉飾が発覚したことについて、どう思われましたか?


「すてきナイスグループ」がペーパーカンパニーを介した架空の不動産取引で粉飾!

 東証1部上場の住宅関連会社「すてきナイスグループ」(横浜市鶴見区)が粉飾決算の疑いで強制捜査を受けた事件で、すてきナイスグループがペーパーカンパニーを介して架空の不動産取引を装い、業績を水増ししていたとみられることが、関係者への取材で判明したようです。

こうした架空取引による業績の水増しを複数年にわたって行っていた可能性もあり、横浜地検などは、先日、金融商品取引法違反の疑いで関係先を家宅捜索して資料などを押収し、全容解明を進めるようです。

関係者によると、2015年3月期で、すてきナイスグループ側はペーパーカンパニーに数十億円規模の資金を貸し付け、ペーパーカンパニーはその資金でグループ傘下企業の不動産を購入し、すてきナイスグループの連結決算で利益が出たように装い、本来の損失を隠した疑いがあります。
すてきナイスグループはこうした虚偽の有価証券報告書を関東財務局に提出したとされます。

問題の有価証券報告書では、第1~第3四半期(2014年4月~12月)まで赤字でしたが、第4四半期(2015年1月~3月)には大幅な黒字に転換し、通期でも黒字となっていました。

もともと、問題となった商工ローン会社と会社名が似ていたため、会社名を変えた会社だと思いますが、『すてきナイス』な会社ではないでしょうね。
ライブドアがやっていたことと、あまり違いがないような気がします。
監査法人も第4四半期で巻き返して黒字に転換したような場合には、普段にも増して慎重な監査をして欲しいですね。
たぶん、こういうことがあると、そこの監査法人(特に小規模監査法人)が監査をしている他のクライアントの決算も疑わしいと思われるでしょうね。

「すてきナイスグループ」がペーパーカンパニーを介した架空の不動産取引で粉飾をしていたことについて、どう思われましたか?


決算書を7種類偽造した元社長らを融資金詐取容疑で逮捕!

 うその決算書を提出して銀行から融資金1億円を詐取したとして、室内装飾品販売会社(東京都港区)の元社長ら5人が詐欺容疑で逮捕された事件で、室内装飾品販売会社が偽造の決算書を少なくとも7種類作成していた疑いがあることが捜査関係者への取材でわかったようです。
警視庁はこれらの偽造書類を悪用し、複数の金融機関から融資金を詐取した疑いがあるとみて調べています。

警視庁は8日夜、元社長の(44)、投資会社役員(53)両容疑者ら男5人を逮捕したと、先日発表しました。
組織犯罪対策4課によると、逮捕容疑は2016年5月~9月、架空の売り上げを計上するなどした室内装飾品販売会社の決算書を銀行に提出し、融資金1億円を詐取したというものです。

投資会社役員ら2人は容疑を否認し、元社長ら3人は認めているすです。
同課は、金融ブローカーの投資会社役員が室内装飾品販売会社の実質的オーナーで、他の容疑者らに指示して詐欺を主導したとみているようです。

捜査関係者によると、売り上げを水増しし、債務額を少なくするなどした決算書が2016年10月期分で7種類確認されました。
前年分までも数種類ありました。
5人が経営に関与したとされる2015年~2016年ごろ、室内装飾品販売会社は約20の金融機関から総額二十数億円の融資を引き出しているそうです。
警視庁は複数の偽造決算書を使い、今回の逮捕容疑以外にも融資金を詐取した疑いがあるとみています。

7種類とはスゴいですね。
ここまでくると、金融機関にボロが出ないようにするための管理が大変でしょうね。
個人的には、そういったことに労力をかけるのであれば、これだけ資金調達が出来るのであれば事業の将来性があったり、プレゼン能力が高いと思われますので、事業に注力して成功させてほしいですね。
金融機関も、見極める力を高めてほしいですね。

決算書を7種類偽造した元社長らが融資金詐取容疑で逮捕されたことについて、どう思われましたか?


売り上げ目標の重圧でホシザキ子会社6社も不適切取引!

 業務用厨房機器大手のホシザキ(愛知県豊明市)は、新たにホシザキ北海道(札幌市)やホシザキ北関東(さいたま市)など販売子会社6社で不適切な取引が見つかったと発表しました。
2018年秋に、ホシザキ東海(名古屋市)で工事の架空発注などが発覚し、第三者委員会が販売子会社15社の2018年1月~2019年1月の取引を調べていました。

営業成績が足りない場合に売り上げを先行計上したり、急きょ発生した工事費用を協力業者に支払わせる一方、その業者に工事を架空発注してお金を戻したりしていました。
社外取締役らが社員の処分を検討しています。
こうした事案が生じた背景について、第三者委の報告書は「(売り上げの)目標達成プレッシャーがあった」と指摘しました。
名古屋市内で会見したホシザキの小林靖浩社長は「大きな要因としてプレッシャーがあった。末端の営業担当者とのコミュニケーションが不足していたことを反省している。親会社主導で経営人材を育てる」と述べました。

ホシザキは2018年秋に、ホシザキ東海の2018年1月~9月の取引を対象に社内調査しました。
不適切取引に関与した従業員が70人以上にのぼり、小林社長を含む取締役13人が月額報酬の一部を自主返納しました。
ホシザキ東海の社長と管理部長を取締役から解任し、関係する全従業員を処分しました。
2019年2月には、監査法人が2018年10月~12月もホシザキ東海で不適切取引が続いていたことを指摘し、第三者委員会が調査してきました。

ホシザキは、先日、延期していた2018年12月期決算をようやく発表しました。
売上高は前年比3.7%増の2,927億円で、フードサービス産業の設備投資が好調で、冷蔵庫や製氷機販売が伸びています。

<ホシザキ、不適切取引をめぐる経緯>
2018年9月 子会社のホシザキ東海で架空発注などがあると通報を受ける
2018年10月 2018年1月~9月期決算の開示延期を発表
2018年12月 社内調査で架空発注や着服が判明。関与した従業員は少なくとも70人に。その後、ホシザキ東海社長らを取締役から解任
2019年2月 ホシザキ東海で2018年10月~12月も不適切取引が続いていたことが判明。2018年12月期決算の開示を延期
2019年3月 第三者委員会による調査が終わらず、2018年12月期の有価証券報告書の提出を延期
2019年5月 新たにホシザキ北海道(札幌市)、ホシザキ北関東(さいたま市)、ホシザキ阪神(大阪市)、ホシザキ中国(広島市)などで不適切な取引が発覚。2018年12月期決算を発表

指摘後も粉飾を続けていたこと、関与した従業員が少なくとも70人はいたことを考えると、ノルマのプレッシャーがすごいんでしょうね。
社長を始め役員の方々は、(今回のような粉飾をしていたのかもしれませんが)ノルマを達成してきた方々でしょうから、役員を一掃しないと、そもそもノルマ必達主義の考え方が変わらないのではないかと思います。
あとは、上場企業ですので、こういったことがあると、株主などいろいろな方々に迷惑がかかりますので、役員から一般の従業員の方々まで、上場企業もしくは上場企業グループの一員ということを常に念頭に置いておいてほしいですね。

売り上げ目標の重圧でホシザキ子会社6社も不適切取引をしていたことについて、どう思われましたか?


キャッシュ・フロー計算書の粉飾!

 証券取引等監視委員会は、先日、金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書提出)の嫌疑で、株式会社ソルガム・ジャパン・ホールディングス及び嫌疑者3名を東京地方検察庁に告発しました。

告発の対象となった犯則事実については、下記のとおりです。

1.告発の対象となった犯則事実
 犯則嫌疑法人株式会社ソルガム・ジャパン・ホールディングス(以下「犯則嫌疑法人」という。平成28年10月1日、株式会社SOL Holdingsから商号を変更)は、東京都品川区に本店を置き、植物種子、植物加工品に関する製品化及びサービスの企画、開発、販売、輸出入等の事業を営む会社等の株式又は持分を取得・保有することにより、当該会社等の事業活動を支配・管理することを目的とする会社であって、その発行する株券を株式会社東京証券取引所が開設するJASDAQ市場に上場していたもの(平成30年9月3日付けで上場廃止)、犯則嫌疑者Aは、犯則嫌疑法人の実質的経営者であったもの、犯則嫌疑者Bは、犯則嫌疑法人の代表取締役であったもの、犯則嫌疑者Cは、犯則嫌疑法人の取締役管理部長であったものであるが、犯則嫌疑者らは、共謀の上、犯則嫌疑法人の業務及び財産に関し、平成29年6月30日、東京都品川区内に設置された入出力装置から、開示用電子情報処理組織を使用して、内閣府の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録させる方法により、関東財務局において、同財務局長に対し、同法人の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの連結会計年度につき、営業活動によるキャッシュ・フローの額が負の9億6,625万8,000円(1,000円未満切捨て)であったにもかかわらず、11億円の借入金をスーパーソルガム種子の売上代金と偽装する方法により、営業活動によるキャッシュ・フローの額を正の1億3,374万1,000円と記載するなどした連結キャッシュ・フロー計算書を掲載した有価証券報告書を提出し、もって重要な事項につき虚偽の記載のある有価証券報告書を提出した。

基本的に、損益計算書で粉飾をしていてもキャッシュ・フロー計算書で粉飾が分かると言われていますが、おそらく、キャッシュ・フロー計算書を粉飾して告発された初の事例ですね。
比較的容易にイメージをつかめる貸借対照表や損益計算書と違い、キャッシュ・フロー計算書はつかみにくいと思いますので、ある程度分かっていないと粉飾もできないような気はしますが、借入金を売上にするのは中小企業が使っていたと聞いている非常に古典的な手法だと思いますが、監査法人は気づかなかったのでしょうか?

キャッシュ・フロー計算書の粉飾について、どう思われましたか?


ホシザキのアメリカ子会社を巡り監査法人に通報!

2019年03月27日(水)

 厨房機器のホシザキは、先日、アメリカの製造販売子会社で取引などを巡る問題が生じたことを明らかにしました。
現地の監査法人に対し、監査に影響を及ぼしかねない通報があったといい、現地の法律事務所を通じて実態を調べています。
ホシザキは国内販社の不適切取引で2018年12月期通期の決算開示が遅れています。

 ホシザキアメリカ(ジョージア州)の監査手続きの過程で、監査法人に何らかの通報があったようです。
通報者を保護するため、詳細は明らかになっていません。
ホシザキは現地の法律事務所に調査を依頼しました。
ホシザキは2018年秋、販売子会社のホシザキ東海(名古屋市)で架空発注などの不適切取引が発覚。米国では代理店経由で販売するなど日本とは商流は異なりますが、ホシザキ東海との関連についても焦点になるでしょう。

 ホシザキは一連の不適切取引を精査するため、2018年12月期通期の決算発表を延期しています。
2019月3月中に開示する予定でしたが、4月にずれ込むようです。
業績や株価にも打撃となるでしょう。
海を越えた新たな問題の発覚で、企業統治(ガバナンス)のあり方を問う声が一段と強まりそうです。

 ホシザキは、株主総会を3月27日(本日)午前10時に愛知県豊明市の本社で開くと発表しています。
決算が開示できていないため、この日は剰余金の配当や取締役の選任議案などにとどめるようです。
株主の承認が得られれば、決算報告の総会を後日開きます。
「株主、投資家、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をかけたことを深くおわびします」とのコメントを発表しました。

  やはり、内部統制をしっかりと整備・運用しないといけないですね。
最近は、どこかの支店や営業所や子会社で問題が生じると、他の支店や営業所や子会社で同様の問題がないか確かめるため、規模が大きな会社ほど時間がかかるようになってきています。

 ホシザキのアメリカ子会社を巡り監査法人に通報があったことについて、どう思われましたか?


大和ハウス工業の中国の関連会社で234億円の横領!

 大和ハウス工業は、先日、中国の大連市の住宅販売の関連会社で、約234億円の会社資金が不正に引き出されたと発表しました。
中国の合弁先から派遣された取締役の中国人男性2人と出納担当者の中国人女性の計3人が関与したとみられるそうです。
現地の捜査当局に、業務上横領罪などで刑事告訴する手続きを行っているようです。

大阪市内で会見した芳井敬一社長は、「大変ご迷惑をおかけした。心より深くおわび申し上げます」と陳謝し、「関連会社でガバナンスが甘くなっていた」と悔みました。

この関連会社は「大連大和中盛房地産有限公司」で、現地の建設会社と合弁で2005年に設立し、分譲マンションの販売、開発を行っています。
不正を行ったとみられる3人は親族で、合弁先の建設会社を経営しています。

大和ハウス工業によると、関連会社の経理担当者から2019312日、預金残高と帳簿で金額の差異があると報告を受け調査を開始しました。
2015年からインターネットバンキングを通じ不正に送金された形跡があり、約141,500万元(約234億円)が使途不明金になっていました。

201937日に出納担当者の女性が会計書類を持ち出そうとしているのを現地社員が発見し、それを機に女性が出社しなくなったことを怪しみ、帳簿などを確認したようです。

合弁先の建設会社は昨年夏、関連会社が開発した物件を無断で譲渡していたことが判明し、大和ハウス工業側は合弁解消の方針を固め、両社の対立が深まっていました。

全額が回収できなかった場合、約117億円の持分法投資損失を計上する見込みです。
大和ハウス工業は関連会社の内部統制システムを見直すとともに、第三者委員会を立ち上げ、全容解明と今後の再発防止策を検討するようです。

関連会社は子会社ではないため、支配しておらず、主導権を握れないことから、内部統制上のリスクは高くなると思われます。
それゆえ、合弁会社の出資比率を、その辺も考え見直さないと危ないでしょうね。
特に、大和ハウス工業は、ここ数年、色々な会社を買いまくっていますから、子会社を含め、社長がおっしゃっているようにガバナンスが弱くなっているのではないかと思います。
色々な会社を買って、規模を拡大するのも戦略としては間違っていないとは思いますが、人が追い付かない企業もたくさんありますから、マネジメントできる人のこと(能力や人数など)も考えたうえでやっていかないとだめでしょうね。

大和ハウス工業の中国の関連会社で234億円の横領があったことについて、どう思われましたか?


2018年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査

 2018年(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は54社で、2017年の53社(前年比1.8%増)を1社上回りました。
不適切会計の開示企業は、調査を開始した2008年の25社から2016年は過去最多の57社と9年間で2.2倍に増え、2018年は過去2番目となりました。
市場別では東証1部上場が26社(構成比48.1%)でほぼ半数を占めました。
内容別は、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が22社(同40.7%)のほか、子会社で不適切会計処理が行われるなどの「粉飾」が21社(同38.8%)でした。
産業別の最多は「製造業」で、17社(同31.4%)、次いで運輸・情報通信業が、10社(同18.5%)でした。
適正会計に対するコンプライアンス意識が求められる中、不適切会計は高止まりが続いています。
なお、本調査は、このようななか、東京商工リサーチが、自社開示、金融庁、東京証券取引所などの公表資料を基に、上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計したものです。
同一企業で調査期間内に2回以上内容を異にした開示の場合、社数は1社、件数は2件としてカウントしています。
業種分類は、証券コード協議会の業種分類に基づく。上場の市場は、東証1部、同2部、マザーズ、JASDAQ、名古屋1部、同2部、セントレックス、アンビシャス、福岡、Qボードを対象にしています。

<開示企業数>
2018(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は、過去最多の2016年(57社)に次ぐ、過去2番目の54社でした。
2015年5月に発覚した東芝の不適切会計問題が表面化して以降、開示資料の信頼性確保や企業のガバナンス強化の取り組みを求める声は強まっています。
上場企業は、国内市場の成熟化で各企業は売上拡大を求め、海外展開を進めています。
しかしながら、拡大する営業網のなかでグループ各社へのガバナンスが行き届かず、不適切会計の開示に追い込まれる企業は少なくありません。
また、企業会計は厳格な運用が求められていますが、経営側に時価会計や連結会計などの厳格な会計知識が欠如し、現場で適切に対応できず会計処理を誤る事例も生じています。
内部統制報告書(企業の財務報告に関する内部統制が有効に機能しているかを経営者自身が評価し、その結果を記載した報告書)を訂正する企業も相次いでいます。
背景には、会計処理の高度化(能力不足)や現場の人手不足などがあり、この状況を改善できないと今後も不適切会計が増える可能性を示しています。

<内容別>
内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が22社(構成比40.7%)で最多でした。
次いで、「架空売上の計上」や「水増し発注」など、営業ノルマの達成を推測させる「粉飾」が21社(同38.8%)と続きます。
また、子会社・関係会社の役員や従業員による着服横領は11社(同20.3%)で、「会社資金の私的流用」、「商品の不正転売」など、個人の不祥事についても監査法人が厳格な監査を求めた結果が表れているようです。

<発生当事者別>
発生当事者別では、最多は「会社」の26社(構成比48.1%)で、2017年の21社から5社増えました。
会計処理手続きの誤りや事業部門で売上の前倒し計上などのケースがありました。
「子会社・関係会社」は15社(同27.7%)で、子会社による売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立ちます。
「会社」と「子会社・関係会社」を合わせると41社で、社数全体の75.9%と多数を占めました。

<市場別>
市場別では、「東証1部」が26社(構成比48.1%)で最多となりました。
「ジャスダック」が14社(同25.9%)、「東証2部」が8社(同14.8%)と続きます。
2013年までは新興市場が目立ちましたが、2015年から国内外に子会社や関連会社を多く展開する東証1部の増加が目立っています。

<産業別>
産業別では、「製造業」の17社(構成比31.4%)が最多でした。
製造業は、国内外の子会社、関連会社による製造や販売管理の体制不備に起因するものが多くなっています。
運輸・情報通信業では、元社長や元役員が不明瞭な外部取引を通じて着服横領を行っていたケースなどが目立ちました。

2018年の不適切会計の開示企業数は54社で、高水準が続いています。
2015年5月に発覚した東芝の不適切会計を契機に、監査の信頼性確保が強く求められている事も一因です。
2018年1月、不適切会計を開示した愛知県三河地域を地盤とする中堅食品スーパーの㈱ドミー(TSR企業コード:400215950、愛知県岡崎市、元名証2部)は監査法人より、仕入先からのリベートや協賛金を不適切に傾斜配賦していた不正会計の疑いの指摘を受けました。
その後、第三者委員会の調査でも全容が判明せず、2018年5月期第2四半期(2017年6~11月期)報告書が提出できず、3月27日上場廃止に追い込まれました。
また、㈱ディー・エル・イー(TSR企業コード:295371960、千代田区、東証1部)も不適切会計処理に関する決算開示に問題があるとして東証から上場契約違約金の徴求を受けました。
こうした企業の相次ぐ不祥事で、公認会計士の職業倫理に関する規則が2019年4月から厳格化されます。
公認会計士は監査を請負う企業で違法行為を発見した場合、監督官庁などへの通報義務が課せられています。
企業側は、公認会計士との適切な距離感を保つと同時に、会計倫理の向上が一層求められることになります。
ビジネスのグローバル化で事業規模が拡大し、海外子会社との取引に伴う不適切会計も増加傾向にあります。
一方、売上達成に対する過度なプレッシャーで、不正会計に陥る企業、担当者も後を絶ちません。
コーポレートガバナンスやコンプライアンスへの意識向上だけでなく、不適切会計を生じさせないためには社員の働きやすい環境づくり、風通しの良い組織への整備も急務になっています。

小規模な上場企業や上場間もない企業は内部統制報告書を緩和するような意見が以前からありますが、こういったものを見ていると、緩和なんてあり得ないと思いますね。
最近では、資金調達方法は色々あるわけですから、内部統制の整備や運用ができないのであれば、そもそも上場しなければ良いのではないかと思います。
内部統制報告書が緩和された市場を作り、リスクを承知した上で投資するというのはありかもしれませんが。
ただし、監査法人も、内部統制が整備・運用されているからこそ、決算のときの手続きが少なくなるわけなので、決算時の作業が膨大に増え、結果として、監査報酬も膨大に増えるような気がします。
おそらく、そのような企業の会計監査を大手の監査法人は引き受けないように思いますが。

2018年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査について、どう思われましたか?


会計操作に巨額報酬で破綻招いた異常経営!

 首都圏で老人ホーム「未来倶楽部」など37施設を運営し、2千人近い入居者を抱える未来設計(東京)が経営破綻しました。
その創業者には、毎年3億円前後という巨額の報酬が支払われ続けていました。
巨額報酬はどのように捻出されたのでしょうか?
異常な経営はなぜこれまで放置されてきたのでしょうか?

未来設計の親会社を2018年に買収した同業の創生事業団(福岡市)が内部告発を端緒に未来の経営実態を調べたところ、『BK』と書かれたファイルが複数見つかったようです。
『BK』はBANK(銀行)の略です。
銀行から融資を引き出そうと、経営を黒字に見せかけるよう粉飾された決算書だったと、未来設計の幹部が証言したそうです。

未来設計の売上高は年間90億円規模で、老人ホーム運営会社としては中堅です。
それが創業者(70)に毎年3億円前後もの報酬を支払い続けた結果、資金繰りが悪化しました。
2011年8月期には債務超過に陥っていたものの、創業者は高額の報酬を受け取り続けました。

幹部の証言などによれば、経営を黒字に見せかける会計操作は2011年ごろから続けられていたようです。
支払いを翌期に繰り延べたり、翌期に入ってくるはずの介護報酬を前倒しで計上したりしていたそうです。

さらに目を付けたのが、入居時に支払われる「入居一時金」です。
未来設計では240万円~1千万円が入居のたびに入ってきます。
しかしながら、この一時金は「前払いの家賃」に相当する預かり金で、月々に分割して売上高に計上することが入居者との契約で定められています。

ところが未来設計は、2012年8月期から、翌期の売上高に計上しなくてはいけない一時金を一部前倒しで計上して売上高をかさ上げしていました。
2016年8月期からは、入金後すぐに全額を計上し、まるまる運転資金に回すことで役員報酬の「原資」を捻出していたそうです。

創生事業団の調査では、銀行からの融資をめぐって2017年4月に創業者と未来幹部が交わしたとされる会話の音声記録も出てきました。
銀行に経営実態を開示するよう進言する幹部に対し、創業者が引き続き融資を受けられるようにするべきだと繰り返し主張する内容だったようです。

創業者による会計操作の指示があったのか?、経営が苦しい中でなぜ高額の報酬をもらい続けたのか?など、朝日新聞は創業者側に質問を送ってコメントを求めたようですが、回答はないようです。

未来設計で長年続いていた一連の会計処理は、内部告発されるまで表面化しませんでした。
背景には、民間企業の老人ホーム運営に「外部の目」によるチェックが入りにくい構造的な問題があります。

老人福祉法は、運営会社に帳簿の作成や保存を義務づけているものの、財務資料を公表したり、会計監査を受けたりすることまでは求められていません。
厚生労働省の担当者によれば、会計処理の方法も企業側に任されているそうです。

老人ホームの監督権限は自治体にあり、未来設計の場合は東京都になります。
東京都は独自の取り組みとして、ホーム運営会社に毎年の決算の報告を求めていますが、未来設計は黒字に見せかけた決算を東京都に報告していたため、未来設計に対する東京都の評価は「短期的にも長期的にも安全」でした。
東京都の担当者は「(報告される決算書が)粉飾されたら見抜けない」と話しているようです。

一方、特別養護老人ホームなど公的な介護施設を運営する社会福祉法人の経営には厳しいチェックが入いります。
主な財務資料は公表が義務づけられ、役員報酬の支給基準や総額も明らかにする義務があります。

入居一時金をめぐっては、かつて「短い入居でも返金されない」といったトラブルが相次ぎ、2012年施行の改正老人福祉法で返還義務などが明確化されました。
ただし、同法は、老人ホーム運営会社の会計処理まで規制するものではありません。

有料老人ホームの経営に詳しい田所貴広公認会計士(監査法人・薄衣佐吉事務所代表)は「老人ホーム運営会社のガバナンス(企業統治)は極めて不透明なまま放置されてきた。性善説に立たずに、簡易な監査であっても『外部の目』を入れる仕組みが必要だ」と指摘しています。

報道のとおりだとすれば、かなり悪質ですね。
自治体に監督権限があるところについては、自治体の担当者の会計に関する知識のレベルを上げたり、公認会計士に委託したり、会計監査を義務付けるなどして、急に破綻することがないような利用者が安心して利用できる制度にしてほしいですね

会計操作に巨額報酬で破綻招いた異常経営について、どう思われましたか?


融資名目で約2億円を詐取した容疑でラジコンヘリメーカー元財務部長を逮捕!

 金融機関に粉飾した決算書類などを提出し、約2億円の融資をだまし取ったとして、大阪府警捜査2課は、先日、詐欺容疑で、電気製品製造メーカー(本店・三重県松阪市、破産手続き中)の元財務部長(58)を逮捕しました。
大阪府警捜査2課によると、「融資金をだまし取ったことは間違いない」と容疑を認めているそうです。

逮捕容疑は、201511月中旬~20161月下旬、金融機関に電気製品製造メーカーの売上高を水増しした決算書類や架空の事業計画書などを提出し、融資名目で約2億円をだまし取ったとしています。

大阪府警捜査2課によると、元財務部長は、201412月ごろから電気製品製造メーカーの創業者一族に近付き経営に関与しました。
電気製品製造メーカーの資金を外国為替証拠金取引(FX)に充て約15億円の損失を出し、だましとった2億円もおよそ半額をFXに充てていました。
他の金融機関からも借り入れがあり、大阪府警捜査2課は余罪を調べています。

関係者によると、電気製品製造メーカーはラジコンヘリコプターメーカーとして高い知名度を持ち、2009年には大阪府東大阪市の中小企業がつくった人工衛星「まいど1号」の姿勢制御などを担当していました。
経営悪化で、2017年末に破産手続きを始めていました。

高い知名度を持っていただけに、この事件が経営悪化の原因であるとすれば、非常に残念な事件ですね。
普通の法人でFXをするというのもどうかと思いますし、万が一するとしたら、定期的に数値を報告しないといけないでしょうね。

融資名目で約2億円を詐取した容疑でラジコンヘリメーカー元財務部長が逮捕されたことについて、どう思われましたか?

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神戸市へ有識者がタワマン適正管理へ「空室税」の検討を提案!

日本経済新聞によると、神戸市は、タワーマンションの空室所有者に新税を課す検討を始めるようです。

神戸市の有識者会議が、先日、空室が増えると適切な修繕がなされない恐れがあるとして、自治体が独自に課税する法定外税の創設を提案しました。

久元喜造市長は「事業者や市民の議論も注視し、検討を進めたい」と述べました。

有識者会議は神戸市長に提出した報告書で、タワマンに空室が増えると修繕や解体の際の合意形成が困難になり、修繕積立金の引き上げもできない恐れがあると指摘しました。

貴重な住宅ストックが活用されない可能性にも触れ、まずは都心のタワマンに限定して法定外税で負担を求めるのが適当としました。

税収の使途には、マンション管理の専門家派遣や防災・防犯の整備費用などを挙げました。

適正に管理されるマンションを増やすため、管理状況の届け出の義務化も提案しました。

神戸市は2021年に管理組合に届け出を任意で求める制度を設けましたが、実際の届け出は全体の2割にとどまっています。

災害対策として非常用電源や備蓄に対する補助金の創設を求めたほか、将来的な課題として、大規模マンションを新設する建築主への法定外税の創設やマンション建設の規制内容の見直しを検討するよう明記しました。

新税の導入には、神戸市議会での条例制定や国からの同意が必要となります。

神戸市は2020年にタワマンの林立を防ぐ条例を施行しました。

JR三ノ宮駅周辺で住宅の新築を禁じ、周辺の都心エリアでは1,000平方メートル以上の敷地の住宅容積率の上限を400%に制限しました。

郊外の駅周辺を再整備して、住宅地としての魅力向上に力を入れています。

久元市町はかねて「資産価値の劣化が起きればタワマンの中で空き家が増えて廃虚化する可能性が極めて高いのではないか」と指摘しています。

神戸市は人口が減少しており、タワマン建設抑制策で人口減がさらに進むとの見方もあります。

久元市町は「目の前の人口増をめざすのではなく、長い目でみて持続可能な都市として発展していきたい」と述べました。

タワーマンションは、相続税対策や投資目的で買っている人が多く人が住んでいない(ゴースト化している)とか外国人が買いあさっているとかいう話しを聞きますが、この提案は、それらを考えると、良い提案のように思いますね。

個人的には、神戸市はスゴく好きな場所なので、人口が減少しているのはとても残念ですが、我が関西学院大学の『王子キャンパス』や『空室税』で良い方向に向かうといいですね。

神戸市へ有識者がタワマン適正管理へ「空室税」の検討を提案したことについて、あなたはどう思われましたか?


修正申告を放置して確定申告情報の未処理が197件の町役場職員を懲戒処分!

京都新聞によると、滋賀県愛荘町は、先日、確定申告情報の必要な事務処理を怠ったとして、税務課だった40代男性職員を減給10分の1(1か月)の懲戒処分にしたと発表しました。

管理監督が不十分だったとして税務課で上司だった50代男性職員を、戒告としました。

愛荘町によると、40代職員は2022年度の個人町県民税で確定申告期間以外に行われた修正申告などの情報を放置し、入力事務を怠ったようです。

未処理は増額と減額で計197件に上り、課税遅れの影響が出ました。

愛荘町は「法令順守を徹底し、再発防止と信頼回復に取り組む」としています。

業務の進捗状況などを把握していないんですね。

それにしても、減給10分の1(1か月)の懲戒処分って軽すぎるように思いますね。

仕事をしていないわけですから。

人手不足で忙しすぎるのかもしれませんが、それならそれで上司に相談すれば良いのになぁと思いました。

どうやって、法令遵守をしていくのか、具体的に知りたいですね。

修正申告を放置して確定申告情報の未処理が197件の町役場職員を懲戒処分としたことについて、あなたはどう思われましたか?


市道として売却したのに市が所有権移転せず男性に45年課税し訴え無視し差し押さえも!

読売新聞によると、約45年前、当時の愛媛県川之江市(現愛媛県四国中央市)の道路拡幅工事で、市道に取り込まれた民有地の一部の手続きに不備があり、四国中央市の男性(74)に固定資産税が課せられ続けていることが分かったようです。

2024年6月、男性の自宅倉庫から当時の関係書類が見つかり、市は固定資産税の非課税範囲を示した地方税法に抵触している恐れもあるとみて、調査を始めました。

問題が発覚したのは、市道東金川1号線(総延長991メートル)のうち、東金川橋付近から南へ延びる約160メートルの部分です。

男性によると、男性の父親が1979年11月、山林の一部だった15.57平方メートルについて、当時の石津栄一川之江市長と土地売買契約を交わしました。

道路の山側部分の工事は、のり面をコンクリート擁壁にすることになり、工事完了後に市が用地面積を測量して価格を算出し、売買契約を確定させる約束だったそうです。

工事は1982年度に完了しました。

しかし、川之江市は土地所有権移転手続きを行わず、「今は予算がないので次年度で実施する」と用地測量や移転登記を延期していました。

男性は1987年12月、父親の死去に伴い土地所有者となりました。

川之江市建設課や税務課に「市道となった部分はもう民有地ではないから、工事前の面積で課税し続けるのはおかしい」と訴えました。

ところが、歴代の担当者は「今は測量調査の予算がない。来年度行う」「旧市時代の話で資料は残っておらず、工事が本当に行われたかどうかも疑問」と繰り返し、測量や課税額の修正に応じなかったそうです。

男性は2005年頃から固定資産税の支払いを拒否しました。

愛媛県内20市町でつくる「愛媛地方税滞納整理機構」からの納税催告にも応じなかったため、2008年10月には自家用車と電子オルガンを差し押さえられました。

2024年4月には納税催告書が届き、2019年度から5年間分として、延滞金を含めて計135万800円を請求すると記されていました。

男性が支払いを拒むと、2024年5月に普通預金口座の現金32円が差し押さえられました。

そんな中、男性が2024年6月に自宅倉庫を整理していたところ、当時の工事図面や工事請負契約書などが見つかったのです。

関係書類を見た四国中央市建設部の石田暁裕部長らは「男性の言い分は事実だった」と初めて認めました。

男性は「そもそも現地調査と公図との照合で簡単に判明すること。固定資産税額を修正したくないから、資料がないことを理由に動かなかったとしか思えない」と憤っているようです。

読売新聞の取材に対し、石田部長は「市道として取り込んだ民有地に課税するなど、本来あり得ない。男性には長年にわたり、大変なご迷惑と心労をおかけした」と謝罪しました。

「早急に測量を実施し、固定資産税額の修正を検討する。同時に、過去の担当者や市職員OBから放置した経緯を聞き取り、再発防止に努める」としています。

本当にひどい話しですね。

精神的苦痛・手間・時間・資金など、かなりの負担があったと思いますので、ご本人にきちんと賠償などするのは当たり前だと思いますが、過去の担当者(退職者も含む。)もきっちりと処分して欲しいですね。

市道として売却したのに市が所有権移転せず男性に45年課税し訴え無視し差し押さえもしていたことについて、あなたはどう思われましたか?


2024年度から1人年額1,000円を徴収する森林環境税がスタート!

日税ジャーナルによると、2024年度から1人年額1,000円が徴収される「森林環境税」がスタートしました。

森林環境税は、2018年5月に成立した森林経営管理法を踏まえ、パリ協定の枠組みの下における日本の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、2019年3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、「森林環境税」と「森林環境譲与税」が創設されたのです。

森林環境税は、2024年度から、個人住民税均等割の枠組みを用いて、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収するものです。

森林環境税は、国を通じて森林環境譲与税として全国すべての市町村と都道府県に配分され、森林整備やその促進のための取組みに活用されます。

なお、森林環境譲与税は、市町村による森林整備の財源として、2019年度から先行する形で国庫から交付金として配分が始まっており、市町村と都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数および人口による客観的な基準で按分して譲与されています。

森林環境譲与税の使途としては、市町村においては間伐などの「森林の整備に関する施策」と人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発などの「森林の整備の促進に関する施策」に充てられ、都道府県においては「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てることとされています。

なお、障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下の人や生活保護法による生活扶助を受けている人など、非課税基準に該当する人は森林環境税が非課税となります。

よく分からない税金が取られますね。

きちんと説明をして、趣旨などが浸透してから徴収するようにして欲しいですね。

あと、使途が決まっているわけですから、何に使ったかをきちんと説明しないと住民の納得を得られないでしょうね。

2024年度から1人年額1,000円を徴収する森林環境税がスタートしたことについて、あなたはどう思われましたか?


保育料・国保・ふるさと納税のために「今すぐ住民税額を知りたい」を可能にするサービスが便利!

INTERNET Watchによると、3歳未満の保育料、国民健康保険など、住民税によって支払額が決まるものは多数あります。

サラリーマンは6月の給与明細と一緒に受け取る「住民税の決定通知書」、個人事業主は5月末ごろに郵送される「住民税 課税明細書」に詳細が記載されていますが、SNSを見ると「保育料がいくらになるか、住民税を早く知りたい」「ふるさと納税の結果を確認したい」など、住民税の明細を早く知りたい人がいるようです。

これから紹介する、各自治体が提供している「住民税額シミュレーション」を利用すれば、ご自身の源泉徴収票や確定申告書の内容をもとに、すぐに住民税を試算することができるのです。

長野県塩尻市の「住民税や所得が影響する制度等の一覧」というサイトを見ると、国民健康保険、医療費の自己負担限度額、保育料、市営住宅等の入居、結婚新生活支援事業など、自治体窓口のものが55項目、長野県・国関係のものを含めると70項目ほど住民税や所得が影響する制度が掲載されています。

中には介護用品券の支給、高齢者世帯タクシー利用料金助成事業など自治体独自のものと思われる項目もあり、自治体により差はあるが、住民税の影響を受ける制度は多数あるようです。

試しに同じ年収で、この記事の筆者が住民票を置く名古屋市、オフィスのある川崎市に札幌市を加えて、住民税と保育料を比較してみたようです。

まずは住民税ですが、条件は年収500万円、社会保険料60万円、配偶者控除、3歳未満1人、新生命保険10万円。

住民税は多くの自治体で大きな差はないですが、標準税率の札幌市、県民税が高い川崎市、市民税が安い名古屋市の比較なので、課税所得は同じ217万2,000円ですが、市民税・県民税に若干の差があるようです。

3歳未満の保育料は3都市とも市民税の所得割で決まります。

札幌市・川崎市の市民税所得割17万1,700円、名古屋市の市民税所得割16万5,200円の保育標準時間の保育料は以下のとおりです(※令和6年の保育料が公表前なので、住民税、保育料とも令和5年で計算)。
札幌市 :45,870円
川崎市 :41,200円
名古屋市:34,900円

この事例では名古屋市と札幌市で1万円以上の差となっています。

住民税の年額の差に比べ、月額1万円の差は大きいでしょう。

ただし、保育料の体系が札幌市は10段階、川崎市は25段階、名古屋市は16段階となっていて、課税所得によって順位は異なります。

住民税の計算はそこそこ面倒くさいです。

上記の住民税の計算は、3都市が公開している住民税額シミュレーションサイトを利用したのでサクッと算出することができたようです。

この記事の筆者が確認できた住民税額シミュレーションサイトは190の自治体が公開しているようです。

昨年調べたときは180自治体だったので、1年で10自治体増えています。

全国の自治体は、総務省のサイトによると1,718で、特別区(=東京23区)を加えると1,

741となります。

今回、数百の自治体のサイトを力技で調べ、この記事の筆者が確認できた住民税額シミュレーションを導入済みの自治体は190で、導入率は1,741分の190=10.9%となりました。

ぶっちゃけ自分の住む自治体に「住民税額シミュレーション」がない人の方が多いです。

特に青森県、秋田県、山梨県、徳島県、愛媛県、高知県、宮崎県、鹿児島県の8県は、県内に導入自治体が1つもありませんので、どうしますか?

実は、住民税の地域差はそれほど多くはないです。

一部を除き、都道府県内はどの市町村でも住民税は同じです。

例えば北海道で住民税額シミュレーションを導入しているのは札幌市のみですが、道内で住民税を納めている人は函館市でも夕張市でも美瑛町でも住民税に差はありません。

札幌市以外の道内178自治体に住む人は札幌市のシミュレーションサイトを利用させていただきましょう。

さらに言うと、全国47都道府県のうち、北海道、青森県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、福井県、徳島県、香川県、沖縄県の10道府県は独自の増税を行っていないので、この10道府県にお住まいの人は札幌市でも千葉市でも東京都千代田区でも那覇市でも税額試算の結果は同じとなります。

県内に導入自治体のない青森県と徳島県の人は、税額が同じ10道府県に含まれるので、その中の導入自治体のサイトを利用させていただきましょう。

秋田県は「秋田県水と緑の森づくり税」として800円を県独自に増税しています。

秋田県と同額の県民税に800円の増税をしているのは滋賀県と兵庫県です。

秋田県の人は滋賀県、兵庫県のサイトで住民税の試算は可能です。

ただし、兵庫県の神戸市と豊岡市は市独自の増税を行っていますので、試算結果は両市の市民以外の人には当てはまりません。

愛媛県は森林環境税として700円を県独自に増税しています。

愛媛県と同額の県民税に700円を増税しているのは栃木県と群馬県です。

愛媛県の人は栃木県、群馬県のサイトの試算結果が参考になるはずです。

山梨県、高知県、宮崎県、鹿児島県の4県は500円を県独自に増税しています。

同額の県民税に500円を増税している県は16県と多いです。

富山県、石川県、長野県、愛知県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県の16県のうち、愛知県の名古屋市は市独自の減税を行っているので利用不可ですが、それ以外の自治体のシミュレーションサイトが利用できます。

念のためにお伝えすると、横浜市、名古屋市、兵庫県の神戸市と豊岡市は同じ県内であっても、市独自の増税・減税を行っていますので、他の自治体に住む人は試算結果が参考になりません。

また、神奈川県は全国で唯一、住民税の税率が他の46都道府県より0.025%高くなっています。

さらに横浜市は「横浜みどり税」として900円を市独自に増税しています。

自分が住む自治体に住民税額シミュレーションがない神奈川県民は、横浜市以外のサイトを利用させていただきましょう。

確認できた190自治体の住民税額シミュレーションサービスを提供しているのは4社です。

サンネット株式会社が92自治体、株式会社インテックが83自治体、株式会社茨城計算センターが10自治体、キステム株式会社が5自治体にサービス提供を行っています。

未導入の自治体の関係者は参考にしていただきたいですね。

僕自身は税理士として住民税の計算をすることがないので、非常に参考になる記事でした。

神奈川県だけ住民税の税率が他の46都道府県より0.025%高くなっているというのも初めて知りました。

住民の方はご存じなんでしょうか?

愛媛県は法人も住民税が香川県より高いので独自の税金を取っているのは知っていましたが、住民税も結構複雑ですね。

保育料・国保・ふるさと納税のために「今すぐ住民税額を知りたい」を可能にするサービスが便利ということについて、あなたはどう思われましたか?


85市町村の地価がバブル期を超える!

日本経済新聞によると、地価の回復が地方に広がっています。

国土交通省が2023年9月に公表した2023年の基準地価を市区町村別にみると、沖縄県などの85市町村で過去最高だったバブル期の1990年を上回りました。

新規の工場立地などに加え、子育て環境の整備などで住みやすさを実現した自治体が目立っており、まちづくりの〝通信簿〟にもなっているようです。

2023年の基準地価は、全用途の全国平均が前年比1.0%上昇と2年連続で上がりました。

投資資金の流入や再開発で三大都市圏が2.7%上がり、地方圏も0.3%上昇しました。

バブル期の地価上昇が三大都市圏に比べて緩やかだった影響もあり、1990年を上回った85市町村は大半が地方圏でした。

都道府県別で唯一バブル期を超えた沖縄県は、過半の24市町村が上回りました。

2003年に那覇市内でモノレールが開通し、訪日客が増えて観光関連産業の投資も拡大しています。

バブル期の5倍近くと全国で最も上がった沖縄県南部の八重瀬町は2006年の町村合併で誕生しました。

2000年代後半に国道が延伸され、那覇市までのアクセスが30分足らずと半減しました。

サトウキビ畑が広がっていた八重瀬町屋宜原地区には住宅が増え、人口は約2,000人と7倍になりました。

国道沿いには大型スーパーや飲食店が立ち並んでいます。

不動産鑑定士の仲本徹氏は「那覇市の不動産に手が届かなかった層が流れてきた」と説明しています。

若い世代が増え、合計特殊出生率も2.15と全国16位の高水準となっています。

八重瀬町は、2023年中に学童保育施設を2か所増設します。

地元住民は「歩道が広く、登下校時の事故の心配も少ない」と話しています。

バブル超えの市町村の多くが子育て支援や移住促進、工場誘致などで新たな土地需要を生んでいるようです。

地価がほぼ2倍になった宮城県利府町も、運動着の無料支給や、ベビー用品の無料レンタルなどが好評です。

利府町には仙台市とつながる駅や高速道路のインターチェンジがあります。

通勤・通学圏の仙台市内での不動産価格上昇もあり、「戸建て住宅を望む子連れ夫婦の転入が目立つ」(地元不動産会社)ようです。

インターチェンジ付近には物流施設も増えました。

利府町は土地整備事業を進めて、さらなる宅地需要に備えます。

熊谷大町長は「仙台市と日本三景の松島の中間にあるため通過される町だったが、選ばれる町に変貌した」と胸を張っています。

日本一面積が小さい富山県舟橋村も地価が41%上がりました。

2020年時点の人口は3,132人と1990年比で2.3倍に増加し、「奇跡の村」とも呼ばれるようになりました。

きっかけは、規制が厳しい市街化調整区域の指定が1988年に解除されて宅地開発が進んだことです。

以前から子育て支援に熱心だったうえ、隣接する富山市などに比べた割安感もあって、若い家族層が移り住むようになったのです。

舟橋村はさらなる移住促進に向けて、2019年から村営賃貸住宅を提供しており、将来の定住につなげるようです。

一方、2013年に始まった日銀の金融緩和を柱とした「アベノミクス」のもと、この10年間の全国の地価は平均45%上がり、市町村別でも4分の1の自治体が上昇しました。

特に中心都市である都道府県庁所在地の上昇率は平均65%に達しました。

再開発などが相次ぐ大阪や札幌、福岡、名古屋の4市は2倍以上となりました。

人口問題などに詳しい東北大学の吉田浩教授は「投資対象となる都市部とは異なり、地方圏の地価はそこに住みたいという人がいなければ上がらない」と強調しています。

「今後も育児環境や教育、空き家対策など総合的な住みやすさが地価に反映される流れが続くだろう」としています。

以前から、住みよい街に人が集まるようになり、そのために市町村も競い合うようになればいいなぁと思っています。

今、地価が上がっているところは、そういうところなんでしょうね。

世の中には色々なニーズがある方がいらっしゃるでしょうから、自治体の職員の方々には知恵を絞っていただいて、ふるさと納税の返礼品ではなく、サービスなどで競ってほしいですね。

競い合うと、当然、破綻するところも出てくることになるかと思いますが、自治体の職員の方々も、公務員は将来安泰と思わず、危機感を持って仕事に取り組んでいただきたいですね。

85市町村の地価がバブル期を超えたことについて、あなたはどう思われましたか?


岩手県北上市が国の基準を無視した固定資産税の算出ミスで還付総額8億円に!

朝日新聞によると、岩手県北上市が木造家屋の固定資産税を課税する際、独自のルールを適用し続け、補てんしたり追徴したりする必要が出た問題で、誤った課税は1994年度~2011年度の18年間に計1万7,553人に対して行われ、利息を含めた還付される総額は約8億1,400万円に上ることがわかったようです。
北上市が、先日の市議会全員協議会で明らかにしました。

木造家屋の固定資産税の課税は総務省が全国一律の基準を設けています。
自治体は資材や設備を調査して4つの区分に分け、経年で補正することになっています。

ところが、北上市は1991年の市町村合併前から基準を無視し、自動的に特定の区分にして課税額を算出していました。
その結果、課税額に誤りが生じていたのです。

北上市によると、還付の対象は個人1万6,987人、法人566です。
還付額は計約4億341万円で、利息相当額は計約4億1,081万円に上ります。
還付される最高額は612万700円で、平均は4万6,387円でした。

北上市は11月に市議会に提出する補正予算案に計上する予定です。
対象者には12月から通知を始め、2024年1月以降に支払いを行います。

八重樫浩文市長は「多大なるご迷惑をお掛けし、おわび申し上げたいと思います。もっと早くできなかったのかということは確かにあるが、限られた職員でギリギリの態勢で取り組んできた。幹部も含めた職員の意識をしっかりしたい」と述べました。

この問題への北上市の対応は時間がかかりました。
担当職員が不自然さに気づいても問題意識は共有されず、2016年には内部告発した北上市職員に対し幹部が「あなたがやってきたことでしょう」などと公益通報の取り下げを求めました。
北上市議会で何度も指摘されても、北上市は「裁量の範囲内」と突っぱね続けたのです。

しかし、北上市議会での追及が続き、北上市民からの問い合わせも増え、北上市は2021年12月に「考えを改めた」と表明し、差額を算定する精算を進めていました。

一連の問題を追及してきた高橋孝二市議は「職員の内部通報を隠ぺいしたうえ、これほど多額の誤りを生じさせた責任は重大。市民の信頼を回復するため、具体的な再発防止策を明示するべきだ」と訴えています。

一方、北上市はこの日、2021、2022年の保育料の算定でも誤りがあったと明らかにしました。
市民税のデータがシステムと正しく連携していなかったとして、園児17人に計約51万円を還付し、3人から計約23万円を追加徴収するそうです。

なぜ頑なに突っぱね続けたのでしょうか?
総務省が基準を設けているわけですから、基準を確認すれば分かると思いますし、おそらく前例を踏襲する方が多い市役所の仕事の中で、過去に気付いたり、内部告発をした方もおられるわけですから。
還付額より利息相当額の方が上回るということはかなり罪深いと思いますし、過去に関わった人たちで支払えということにもなりかねないのではないかと思います。
固定資産税は昔からミスが多いと言われますが、、市町村もきちんとルールを確認しなおすべきだと思いますし、現地調査もきちんと行うべきだと思いますし、ルールも分かりやすいものに見直す時期にきているのではないかと思いました。

岩手県北上市が国の基準を無視した固定資産税の算出ミスで還付総額8億円になっていることについて、あなたはどう思われましたか?


徳島県徳島市が確定申告書の課税処理間に合わず!

四国放送によると、徳島県徳島市は、2022年分の確定申告書約6,400件の処理が間に合わず、市民税や県民税の課税処理が遅れていると発表しました。

徳島県徳島市によると、遅れているのは3月15日の期限までに確定申告をした市民のうち、約6,400人分の市民税や県民税の課税処理です。

この影響で、税が給与から天引きされる「特別徴収」の人には、申告内容が反映されていない税額の通知書が5月に既に送付済みとなっています。

また、納付書で納付する「普通徴収」の人には、6月に発送される通知書や納付書の発送が遅れています。

徳島県徳島市では、2023年1月に税額を算出する新たなシステムを導入し、処理を進めていたところ、手作業になる操作が多く必要になってしまったことが処理が遅れた原因としています。

徳島県徳島市は、確定申告の内容を正しく反映させる処理を可能な限り早く進めるとしています。

事前に分からないものなんですかね?
どこのベンダーなのでしょうか?
ご本人、会社の経理の方などに迷惑がかかると思いますので、きちんと対応して欲しいですね。
マイナンバーの問題にしろ、ベンダーに原因があるのかもしれませんが、発注側にシステムのことが分かる人が少ないのかもしれませんね。
国として、システムエンジニアの方を育てていかないと、将来的に国際的競争に負けてしまうように思いますね。

徳島県徳島市が確定申告書の課税処理間に合わないことについて、あなたはどう思われましたか?


固定資産税の軽減措置は2022年度で終了へ!

共同通信によると、政府、与党は固定資産税の軽減措置を2022年度で終了する方針を固めたようです。

新型コロナウイルスによる景気悪化を受け、地価が上昇しても2021年度は2020年度の額に据え置き、2022年度は商業地に限り税額の上昇を本来の半分にしていました。

2023年度は通常に戻し、地方税収を回復させると、関係者が取材に明らかにしたようです。

軽減措置は当初、2021年度で終了する予定でした。

しかしながら、国土交通省や公明党などがコロナ禍で苦しむ事業者に配慮すべきだとして、延長を要望しました。

与党税調幹部は「再度の延長はさすがにない。地方税収に配慮する必要がある」と説明しています。

とうとう軽減措置はなくなるんですね。
個人的は、計算方法がよく分かりませんし、計算を間違っていた(けれど、時効で一部しか返してくれない)というニュースを時々目にしますし、償却資産税も計算方法に疑問を感じますので、そろそろ計算方法を見直す時期に来ているのではないかと思っています。

固定資産税の軽減措置は2022年度で終了することについて、どう思われましたか?


総務省の地方財政審議会は「資本金以外の基準を」という外形課税見直しを提言!

日本経済新聞によると、総務省の地方財政審議会は、先日、2023年度税制改正に向けた意見書で、企業が資本金の規模などに応じ納める外形標準課税の見直しを提言しました。
形式的な減資のような課税逃れとみられる動きが広がっており、資本金以外の基準の追加を求めました。

地方財政審議会は2023年度地方税制改正に関する意見書をまとめ、同日、寺田稔総務相に提出しました。
「実質的に大規模といえる法人が外形標準課税の対象法人に含まれない問題に対応する仕組みを検討することが適当」と言及しています。
制度設計の議論は2023年度以降に進める方針です。

制度設計で中小企業の負担に配慮する必要性にも触れ「小規模な企業への影響に配慮するとともに、必要以上に多くの法人に制度見直しの影響が及ばないよう」資本金1億円超の基準は維持します。

追加の基準は「法人による操作可能性が小さい基準とすること、課税実務上の確認が容易で法人・課税庁にとって執行面で過度な負担とならない基準とすることなどが必要」と明記しました。

外形標準課税は地方税の法人事業税の課税方式の一つで、2004年度に導入されました。
税収の安定を目的に変動の少ない資本金の額を制度の基準として課税しています。

企業規模が大きくても経営悪化を理由に1億円以下に減資する例が相次いでいます。
対象法人数が減り、税額も減少傾向にあります。
公平性や税収の安定性が損なわれることを懸念し、地財審の有識者会議が基準の見直しを検討していました。

個人的には、会社の規模を資本金で判断するのも時代的にどうかと思っていますが、コロナ禍などにより、業績が悪くなっているので、外形標準課税の負担感が重く感じるのだろうと思われます。
当初から、黒字でも赤字でも課税するということだとは思いますが、こういった状況は想定していなかったものと思われます。
おそらく利益が出だすと、外形標準課税の方が有利に働くのではないかと思いますので、異常な状況下においては、一定の要件を満たせば計算方法とか税率を変えるみたいにする方が現実的な対応としては良いのではないかと思います。
資本金以外のものも基準とするとしても、当然、それを避けようと色々と考えるでしょうから。

総務省の地方財政審議会は「資本金以外の基準を」という外形課税見直しを提言したことについて、どう思われましたか?


外形課税逃れ影響か資本金1億円超の企業はピークから1万社減!

東京新聞によると、資本金が1億円を超え、都道府県が課す外形標準課税の対象となった企業は2020年度に約2万社で、ピークの2006年度から約1万社減少したことが、先日分かったようです。

集計した総務省は、相当数の企業が課税を逃れる目的で1億円以下に減資した可能性があるとみています。

2020年度の税収は2017年度比で、1,500億円程度減少しています。

地方財政に打撃を与えており、詳しく分析したうえで、対策を検討する構えのようです。

ただし、対策を実施する場合でも、1億円超の基準を引き下げ、中小企業へ網を広げることは想定していないようです。

都道府県の一部は、「資本金以外の指標も使い、規模の大きな企業に幅広く課税すべきだ」と提案しています。

利益が出ていれば、それほど負担感はないと思いますが、コロナ禍で業績が悪化し、赤字になったりすると、赤字であっても多額の税額が発生する外形標準課税を避けようと思うのは、営利企業の経営者として当然かなぁと、個人的には思っています。
減資をして、外形標準課税の対象外とすることは禁止されているわけではないので、とやかく言われる問題ではないと思います。
それよりは、資本金1円でも会社を設立できる時代であり、会計上、差額の概念に過ぎない純資産の一項目である『資本金』にあまり意味はない(資金的裏付けや規模を表すものではない)と思っていますので、法人住民税のうち均等割りもそうなのですが、資本金や資本金等で税額が変わってくるというのもおかしいと思われるため、そこから改正しないといけないのではないかと思っています。
人数とか売上高とか面積とか、色々と基準は設けられるのではないかと思います。
たとえ、資本金以外で設けたとしても、該当するのを避けるという行為は避けられないのではないかとも思いますが。

外形課税逃れ影響か資本金1億円超の企業はピークから1万社減となっていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税で旅先で寄付し電子ギフトで即返礼!

日経MJによると、岡山県などの返礼品として受け取った電子ギフトを旅先の宿泊施設や飲食店などで利用できるふるさと納税の新しい形として「旅先納税」が一部地域で人気だそうです。
特産品を返礼品として受け取るこれまでのふるさと納税と異なり、出かけた先の宿や店ですぐに使える電子ギフトが返礼品なのです。
旅先に寄付し、旅をお得に楽しめます。
2022年10月11日から政府の全国旅行支援が一部で始まりましたが、応援的な消費への関心も相まって、各地に広まりそうです。

首都圏に住む50代男性は山梨県笛吹市のワイナリー巡りツアーに参加した際、旅先納税の存在を初めて知ったそうです。
「おもしろそう」。興味本位で1万円を寄付するとすぐに返礼品として3千円分の電子ギフトを受け取りました。
早速立ち寄った店で、ワインとクラフトジンを地元の店で購入しました。

返礼品を目的に幾つかの自治体に寄付をしてきたという男性は、返礼品が届くまでに1か月、場合によっては3か月かかるのが気になっていたそうです。
「通常のネット通販ではないのでそんなに早く到着しないと頭ではわかっているけれど…。旅先納税は、旅先で欲しいモノを選んだらその場で受け取れて新鮮だった。」

電子商品券の画面を見せ、スタンプを押してもらうと決済が完了します。
旅先納税が登場したのは2019年秋に、岡山県瀬戸内市で始まりました。
その後コロナが起きたためごく一部の地域だけに限られ、全国的にはほとんど知られずに3年間がたってしまいました。
旅行者の間で口コミで話題に上るようになったのは、最近になってからです。
ほかにも北海道伊達市や倶知安町などが採用し、年内にも20以上の自治体に広まる予定です。

寄付をしたらすぐに返礼品を受け取れます。
そのスピードを支えるのがテクノロジーです。
店や施設に表示されているQRコードをスマホで読み込み、会員登録します。
寄付額を選びクレジットカード払いで納税します。
使う際には電子ギフトの画面を見せ、スタンプを押してもらう仕組みです。

これすら面倒と感じる人も中にはいるかと思いますが、利用者の視点で使いやすさを追求したデザインになっています。
システムを手掛けるのはギフティです。
SNSでプレゼントするソーシャルギフトのパイオニアです。
その知見と技術が地域と人のつながり創出に生かされています。

総務省によると、2021年度のふるさと納税の総額は8,302億円と過去最高を更新しました。
めざましい伸びを見せる一方、納税額の多い自治体の顔ぶれをみると、相変わらず、人気の名産品を持っている市や町に偏っています。
旅先納税は、強い1次産品を持っていない地域にもチャンスとなりえます。瀬戸内市では「返礼品を希望される寄付者は関東圏内の方が5割だが、旅先納税は(マイクロツーリズムの広がりで)近隣の自治体に住んでいる方の利用が8割を占める」そうです。

飲食店や産地など応援を目的とした購買行動がコロナを機に定着しました。
旅は人とのつながりを強く感じます。
最初の動機は「お得に旅を楽しむ」でも、お世話になった地域を応援したい気持ちが芽生えてくるかもしれません。
ふるさと納税を一度も利用したことがない人は多く、それだけ可能性は大きいでしょう。

すごく良い取り組みですね。
ショッピングカタログで欲しいものを選ぶという感じになっているふるさと納税とは一線を画し、そこを訪れた方が、寄付をして、返礼品で買い物をしてくれれば、その地域の経済の活性化にもつながるでしょうし、自治体も寄付金で自治体の役に立つようなことにお金が使え、自治体の活性化などにつなげることもでき、通常のふるさと納税もやっているのであれば、訪問後そちらをやってくれる方もいらっしゃるでしょうし、ふるさと納税をしたことがない方が、これを機に他の自治体を含めふるさと納税をするようになれば、自治体にとっても良いでしょうから。

ふるさと納税で旅先で寄付し電子ギフトで即返礼というところがあることについて、どう思われましたか?


固定資産税の評価基準の解釈適用の誤りを指摘し原審に差戻し!

TabisLandによると、2022年9月8日、固定資産課税台帳に登録された土地の価格を巡って審査の申出を棄却する旨の審査決定をした固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反があったか否かの判断が争われた事件で、最高裁判所(山口厚裁判長)は、登録価格の決定に違法はないとした上で損害賠償請求を棄却した原審(大阪高裁2021年6月11日判決)の判決のうち、損害賠償請求に関する判決の内容を破棄するとともに、損害賠償請求に関する部分についての審理を更に尽くすよう控訴審に差戻しを命じる判決を言い渡しました。

この事件は、ゴルフ場の用に供されている一団の土地に係る固定資産税の納税義務者が、土地課税台帳に登録された各土地の価格を不服として自治体の固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の審査決定を受けたことから、価格の適否に関する決定の判断に誤りがあるなどと主張して、自治体を相手に、納税義務者側が適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき弁護士費用相当額等の損害賠償を求めたのが発端となりました。

これに対して、控訴審の大阪高裁が、登録価格の決定に違法はない旨の結論を示すとともに、固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反があったと認めることもできないと判示して請求を斥けたことから、さらに、その取消しを求めて納税義務者側が上告していたという事案です。

最高裁はまず、この原審の判断を是認できないと判示しました。
その理由として、各土地につき必要な土工事の程度を考慮することなく、丘陵コースの平均的造成費の額を用いて造成費を評定し得るとの見解に立脚した点において、評価基準の解釈適用を誤ったものということができると指摘した上で、そうした見解に立脚して評価基準の解釈適用を誤ったことについて、固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反が認められないとした控訴審の判断には、国家賠償法1条1項の解釈適用を誤った違法があるとも指摘しました。

その結果、控訴審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることから、原審判決のうち、損害賠償請求に関する部分は破棄を免れないと判示した上で、さらに審理を尽くさせるため、控訴審に差し戻しました。

固定資産税の評価は、結構間違っていると言われますが、今回の差戻しは、納税者にとって良い方向ですね。
高裁は、『先例がない』ということで、しりぞけたようですが、お役所の方は、先例がないと仕事ができないということなのでしょうか?
今後、先例を作っていく自治体が増えることを期待したいと思います。
あとは、固定資産税の計算方法はよく分からないので、納税者側でも計算をチェックできるようなもっとシンプルなものにした方が良いのではないかと思っています。

固定資産税の評価基準の解釈適用の誤りを指摘し原審に差戻したことについて、どう思われましたか?


「LINEでふるさと納税」が開始!

Impress Watchによると、LINEは、「LINE」アプリでふるさと納税が可能になる「LINEでふるさと納税」を開始しました。
LINEがさとふると協業の基本合意書を締結し、サービスを提供します。

「LINEでふるさと納税」は、ふるさと納税の仕組みやサービスをより身近なものとして利用できるようにと考えられたサービスです。
LINEのユーザーが利用するだけでなく、各自治体も寄付金の活用報告を公式アカウント上で行なうといったことが可能です。

「LINEでふるさと納税」ではお礼品の検索やふるさと納税の寄付、寄付の履歴の確認、控除額のシミュレーションを利用可能です。
さとふるのWebサイトと連携して寄付金控除の証明書発行やワンストップ特例制度の電子申請も行うことができます。

8月末には、LINE公式アカウントのトーク機能で配送状況の通知機能や、ユーザーに応じたお礼品のおすすめサービスも開始される予定です。

さらに、今後は、オンラインとオフラインを融合し、訪問先で寄付の申し込みをすると、その場でアクティビティなどの「体験型ふるさと納税」を楽しめるサービスの機能拡張を検討中です。
地域とLINEユーザーのつながりを深めるとしています。

6月30日まではキャンペーンも実施されています。
期間中に「LINEでふるさと納税」で寄付をすると、寄付をした日や金額に応じて最大6%相当のPayPayギフトカードがもらえるという内容です。

LINEを使っている方は多いでしょうから、ふるさと納税の裾野を広げるにはいいかもしれませんね。
一方で、ふるさと納税が、寄附というよりは、ますますショッピングという感じになっていくのではないのかという懸念はありますね。

「LINEでふるさと納税」が開始になったことについて、どう思われましたか?


東京都税制調査会がユーチューバーなど念頭に「個人事業税見直し」を提言!

日本経済新聞によると、東京都税制調査会(会長・池上岳彦立教大教授)は、先日、2021年度答申をまとめました。
答申では、個人が事業で得た所得にかかる個人事業税でインターネットを使う新しい業種が考慮されていないとして、「早急に時代に即した見直しをすべきだ」と提言しました。
ユーチューバーやネットで単発の仕事を請け負うギグワーカーを念頭に置いたものです。

個人事業税は都道府県税の一つで、年間290万円を超える事業所得がある個人が納めることになっています。
税率は3~5%で、地方税法は課税対象として物品販売や畜産など70業種を定めています。

答申では「事業形態が著しく多様化しているが、2007年度以後、法定業種は見直されていない」と指摘しています。
事業税の対象と考えられるものでも「法定業種に該当せず課税されない業種がある」としました。

対象業種以外の人も所得税として事業所得に応じた納税はしていますが、所得税は国税のため自治体の収入にはなりません。
東京都税制調査会は、先日、答申を小池百合子知事に手渡しました。
地方税法を所管する総務省にも送付します。

個人事業税ってあまり取り上げられることがありませんが、業種によってかかったり、かからなかったりしますし、税率も業種によって異なるため、不平等な税金のように感じます。
個人事業税は、事業を展開するうえで行政サービスを利用していると考えられることから、行政経費の一部を負担するという趣旨だと思いますので、業種によって異なるのは疑問を感じますし、異なるとしても業種ごとに明確な数値を出せないと思いますし、事業で稼ぐと当然に所得が多くなり、住民税も多くなるため、所得に応じた負担はしているのではないかと思いますし、290万円という免税点がありますが、所得の多さと受けている行政サービスは必ずしも比例しないと思われるので、廃止するか、大多数の方が納得できるように根本的なところから見直す必要があるのではないかと考えます。

東京都税制調査会がユーチューバーなど念頭に「個人事業税見直し」を提言したことについて、どう思われましたか?


不動産の評価ミスによる過大課税の損害賠償請求を巡り最高裁判所が初判断!

不動産評価の誤りで固定資産税を納めすぎた場合、その損害賠償請求ができなくなる期間はいつから始まるのかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁判所第3小法廷(宇賀克也裁判長)は「毎年度の納税通知書が交付された時から始まる」との初判断を示しました。
判決は2020年3月24日で、裁判官4人全員一致の意見でした。

民法は不法行為から20年たつと賠償請求権がなくなる「除斥期間」を定めています。
今回の訴訟ではその起算点となる「不法行為の時」がいつなのかが争われていました。
不動産評価の誤りが発覚するケースは多くはありませんが、建築から長期間過ぎた後に評価ミスが明らかになった場合でも、不動産の所有者は払いすぎた税金の一部を取り戻せる可能性があります。

原告は1980年代に建築された建物を持つ東京都内の一般社団法人です。
建築当初の誤った不動産評価に基づき、固定資産税などを毎年過大に課されたとして、東京都に納めすぎた税金に相当する額の賠償を求めて2013年に提訴しました。
二審判決は建築当初に建物の価格の評価ミスをした時点から除斥期間が始まるとして、訴えを退けていました。

最高裁判所第3小法廷は判決で、「不動産評価を誤った時点では誰が損害を受けるかが不確定で、誤りは後から修正される可能性もある」と指摘しました。
誤りが修正されないまま所有者に納税通知書が交付された時点で初めて具体的な損害が発生するとして、各年度の納税通知書が所有者に交付された時点で除斥期間が始まると判断したのです。

その上で、原告の請求権の一部は提訴時点で除斥期間が経過していない可能性があるとして二審判決を破棄し、審理を東京高等裁判所に差し戻しました。

2020年3月24日はほぼ同じ争点の別訴訟の上告審判決もあり、最高裁判所第3小法廷は同様の判断を示して審理を大阪高等裁判所に差し戻した。

2020年3月24日は、これ以外にも『取引相場のない株式の評価』の判決もありましたし、歴史に残る日になりましたね。
固定資産税は、市町村などが勝手に計算して、納税者に伝え、納税者は疑いもなく納税するという賦課課税制度を取っていますので、『最初に間違ったとき』ではなく、『各年度の納税通知書が所有者に交付された時点』というのは、当然の結果だとは思いますが、長期間に渡り争っていただいてありがたいなぁと思います。
最高裁判所の判決は、国にやさしく、地方に厳しいという意見もあるようですが、良い判決だと思いました。

不動産の評価ミスによる過大課税の損害賠償請求を巡り最高裁判所が初判断を下したことについて、どう思われましたか?


3万人から税金取り過ぎの大阪市「20年たったら返さない」が覆る公算強まる!

行政が違法行為をしておいて「20年たったから賠償しないもんね」なんて、あなたは許せますか?
大阪市は、長年にわたり固定資産税を取り過ぎていたとして、約3万人に総額約16億円を返還すると先日発表しました。
ところが返還額が3倍前後に膨らむ可能性が出てきたのです。
「20年以上前に建てられた建物については賠償責任が及ばない」という大阪市の主張が、最高裁で覆される公算が強まったからです。
大阪市が敗訴した場合、返還額は40億円から50億円ほどに達すると原告側は試算しています。

事の発端は、今をさかのぼること42年前です。
1978年(昭和53年)、大阪市は市内のビルについて、国の規準とは別の独自の規準に基づいて評価額を決め、固定資産税を課税することにしました。
大阪市は地盤が軟弱なところが多く、ビルは多数の杭を使って建てることが多いため、算定方法を変えたといいます。
これによって税額は大きくなります。

この独自基準が国の基準と違うとは普通の市民にはわかりませんが、たまたまある建物の所有者が専門家にチェックを依頼して違法性に初めて気づきました。
そこで「税金の取り過ぎだ」と返還を求めましたが、大阪市の担当者は「独自規準は違法ではない。計算間違いがあっても返す必要はない」と、けんもほろろの応対だったといいます。

そこで所有者は6年前、大阪市に賠償を求めて裁判を起こしました。
最高裁まで争った結果、独自規準の違法性が認められて、2019年の暮れに大阪市の敗訴が確定し、所有者に292万円が支払われました。

これを受けて大阪市は、先日今後の対応を発表しました。
同様の規準で課税された建物が約6,000棟あるとして、約3万人の所有者を対象に固定資産税の取り過ぎ分を返還する方針を明らかにしました。
返還総額は約16億円に上ると試算しています。

ところが、同じように独自基準に基づく固定資産税を巡り大阪市を訴えた裁判はもう1件あるのです。
こちらは一審と二審で原告の訴えが退けられています。
それは、この建物が建てられて最初に固定資産税が算定されたのが20年以上前だったからです。
不法行為があってから20年をすぎると請求権がなくなる「除斥」という民法の規定に基づき、原告に請求権はなくなったという大阪市の主張が認められたのです。

これに対し原告は「固定資産税は完成時だけではなく毎年課税されるのだから、違法な規準に基づく不法な課税が毎年行われ続けてきた。だから除斥は適用されない」と主張し、最高裁に上告しました。

上告を受けて最高裁は、2020年2月25日、双方の主張を聞く弁論を開きました。
最高裁は、元の判決を見直さずに上告を退ける場合は弁論を開かず、いきなり判決や決定を出します。
逆に弁論を開く場合は、何らかの形で二審の判決を見直すのが通例です。

今回の場合は「除斥により請求権はなくなった」という大阪市の主張を認めた二審判決を見直し、「除斥は適用されない」という原告の訴えを認め、高裁に差し戻す公算が強いと原告側弁護士は見ています。

大阪市が先日発表した返還額の試算は、20年以上前に建てられた建物には除斥が適用されて賠償の対象にならないことを前提にしています。
もしも最終的に原告側が勝訴すれば、20年以上前の建物にも同様の返還を行わざるを得ません。
原告側の試算では、その総額は大阪市の試算の3倍前後、40億円から50億円に達するといいます。
さらに再算定や返還事務にあたる市の職員の業務負担も膨大なものになると見られます。

これほどの大問題を大阪市はどうしてこれまで放置してきたのでしょう?
除斥を盾に納税者に誠実に対応してこなかったツケが傷口を広げたと言えるのではないでしょうか?
大阪市課税課は「判決の前でもあり、今日の時点ではコメントはできない」と話しています。

注目の最高裁判決は2020年3月24日、最高裁判所で言い渡されます。

固定資産税は、市町村から通知がきて支払うもの(いわゆる賦課課税制度)ですから、納税者は通常、何ら疑うことなく、正しいものだろうと考えて納付すると思います。
完全に、ミスがあるということは市町村側のミスということですから、時効とかを主張すべきではないと個人的には思いますね。
僕自身、税理士もやっていますが、固定資産税については恥ずかしながら詳しくないですし、決定する市町村側も、それなりの知識が必要だと思いますし、現場もきちんと確認する必要があるのではないかと思います。
そのような中、数年で異動になるということは、そのたびに素人の方が入ってくるということだと思いますので、業務的になかなか厳しいのではないかと思います。
以前から、成功報酬で固定資産税の見直しをやっている税理士がいるように聞いていますが、市長村側も税理士も納税者も固定資産税に関する知識を高めていかないと、今回の大阪市のような事例はたくさん出てくるのではないかと思います。

3万人から税金取り過ぎの大阪市「20年たったら返さない」が覆る公算強まっていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税から除外された泉佐野市を再検討へ!

 総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したことをめぐり、国の第三者機関「国地方係争処理委員会(係争委)」(委員長・富越和厚元東京高裁長官)は、判断を再検討するよう総務相に勧告することを決めたようです。
係争委が自治体に対する国の政策判断の見直しを求めるのは初めてだそうです。

総務相は今後、勧告から30日以内に再検討の結果と理由を同市に伝えることになります。
除外の判断が覆らない場合、泉佐野市は高裁に提訴できます。

ふるさと納税の返礼品を巡っては、2019年6月、法律で、寄付額の3割以下の地場産品に限ると定められました。
これに先立ち、総務省は2018年秋、ギフト券などで多額の寄付を集める自治体に見直しを求めました。
泉佐野市は「閉店キャンペーン」を展開し、制度改正前の駆け込み需要の取り込みに走りました。

こうした振る舞いが総務省の態度を硬化させました。
総務省は新制度の対象を選定するに当たり、「2018年11月から19年3月までの寄付募集について、他自治体に多大な影響を与えていない」との条件を設定しました。
泉佐野市を含む4市町が制度の対象外となりました。

係争委では、この除外理由が妥当かどうかが最大の争点でしたが、富越委員長は会見で、新制度がスタートした後に不適切な取り組みをしたかどうかで判断すべきだと強調しました。
「泉佐野市の寄付集めの手法が是正を求めるべき状況にあったことは理解している」と述べつつも、「(新制度の根拠となる)改正地方税法の目的は、過去の行為を罰することではない」と指摘しました。

国地方係争処理委員会は、地方分権一括法に基づき、2000年4月に当時の総理府(現在の総務省)に設置されました。
地方自治体は、国の関与に不服がある場合に、審査を申し出ることができます。
申し出から90日以内に、5人の委員が結論を出します。
勧告が出れば、国は必要な措置を講じる義務があります。

国と地方の関係を対等にすることを目指す改革の一環として導入された仕組みですが、これまでは十分に機能していたとは言い難い状況です。
訴える資格がないなどとして、そもそも申し出を審査の対象とせず、自治体を門前払いすることが多かったようです。

それだけに今回、踏み込んだ決定を下したことに驚きが広がっているようです。
地方関係者は「さすがに総務省のやり方が強引すぎたということだろう。泉佐野市の除外について、心情的には多くの自治体が支持しているが、法律にはのっとらないといけない」と話しています。

ただし、新制度がスタートする直前の2019年4~5月の2か月間に泉佐野市が集めた寄付額は、185億2,150万円に上り、全国最多だった2018年度1年間の約4割にも相当する水準です。
通知に従った多くの自治体の間には不公平感も残るなか、総務省も安易に矛を収めることはできないでしょう。
両者の対立が収束するかは、依然として不透明です。

制度が存在し、税理士という職業柄、ふるさと納税をされている方の確定申告のお手伝いをさせていただくこともあり、僕もふるさと納税を数年前から毎年していますが、元々、制度の不備があると思っていますし、このBLOGでも何度も書いています。
よって、制度を0ベースで見直せば良いと思いますが、制度の不備を認めたくないのか、総務省が強引に進めたので、今回の問題に発展していると思います。
法人版のふるさと納税もあまり使われておらず、変えようとしているようですが、まずは、こちらを根本的なところから変えないといけないしょうね。
総務相がどういった答えを出すか楽しみですね。

ふるさと納税から除外された泉佐野市を再検討することについて、どう思われましたか?


「ふるさと納税バブル」で一番儲けたのは誰か?

 泉佐野市は「ふるさと納税閉店セール」を展開中ですが、結局、この制度では誰が最も得をしたのでしょうか?
東洋経済オンラインによると、先日、大阪府泉佐野市のふるさと納税制度による2018年度の寄付額がなんと約497億円に達する見通しと報道されました。
2017年度に全国でトップだったときの135億円に比べて約3.7倍となる、大きな金額です。
泉佐野市の一般会計予算は約517億円ですから、実に一般会計予算に匹敵する寄付金を集めたことになります。

ふるさと納税はワンストップ納税、控除条件の拡大などによって一気に拡大し、2018年度には4,000億円を超えたと推定されています。
総務省は泉佐野市の取り組みを好ましくない事例として位置づけ、異例の指導に入り、すでに「特別交付税減額」という措置を2019年3月に行いました。
泉佐野市への交付税額は昨年度比1億9,500万円減の6,200万円となっていますが、別途約497億円を集めたわけですから、痛くもかゆくもないでしょう。

ふるさと納税という仕組みは、当初から「納税者」「自治体」「返礼品納入業者」のいずれも「やったもの勝ち」でした。
高額納税者ほど得をし、ルールを逸脱した自治体のほうが得をし、大量の返礼品ニーズに対応できる納入業者のほうが得をします。
一方、返礼品率を常識の範囲に留める自治体、所得が低くふるさと納税を活用できない人、返礼品に採用されない業者が実質的に損をするという税制としては当初から歪んだ構造でした。

早期に改正を行う必要がありましたが、返礼品競争は過熱しすぎるほど過熱し、ようやく今回の規制となったわけです。

数年にわたり、国は「地方自治体に良識を求める」という極めて甘い運用をやり、制度改正を先送りにしつつ、法的拘束力もない指導のみで、数年間返礼品競争を実質的に放置したに等しく、大変残念なことでした。
全国各地の返礼品業者は、今後少なくとも返礼率の低下、個別自治体によってはふるさと納税額の大幅低下などによって少なからず影響を受けることになります。
また、自治体も、ふるさと納税の勝ち組自治体とされたところほど、歳入減少の影響を受けることになるでしょう。

まさに制度改正を迎える2019年は、ふるさと納税の「逆噴射」が地方を襲うと言えます。
その影響は誤った競争環境での勝ち組とされた自治体ほど大きくなるのは必至です。

6月からは国が3つの基準を設け新制度がスタートし、国の審査を経た自治体しか税制優遇の対象にしないことになります。
3つの基準とは、①寄付募集の適正な実施、②返礼品の調達費が寄付額の30%以下、③返礼品は地場産品に限定というもので、泉佐野市など「従来の返礼品競争の勝ち組たち」の認定は厳しいというのが多くの見方となっています。

ふるさと納税の大きな問題は、国と地方を併せた税収が拡大するのではなく、返礼品や自治体の人件費など含めて実際には税収総額は減少するということです。

今度は国が細かな審査を経て認定をするしない、といったようなやりとりが追加発生します。
さらに国と地方にさらに業務コストが上乗せされるため、ふるさと納税は国と地方を連結すれば、実際のところは返礼品調達で3割の経費、サイト運営や配送料といった外注費、国と地方などの業務管理にかるコストが増大し、結果としてその分公共サービスに回す財源が減少します。
約4,000億円のふるさと納税総額は、結局公共サービス以外に大きく使われていることを忘れてはいけません。

それではふるさと納税で最も儲けたのはどこか?といえば、サイト運営者やアマゾンと言えるでしょう。

雨後の筍のように乱立するふるさと納税サイトについては、テレビCMを見た方も多くいるのではないでしょうか?
東海テレビの調査によると、東海地方125自治体へのアンケート調査によると全体流通額の10%程度が運営費として支払われたとされます。
ということは、全国で約4,000億円のふるさと納税市場において、約400億円がサイト運営費として支払われたと推定できます。

さらに、最近では各社ともサイトで目立つような広告枠の販売に力を入れており、自治体はわざわざ広告枠を追加で購入して宣伝をしようとしています。
今後返礼品率が抑えられるため、ふるさと納税の主戦場は広告宣伝とも言われています。
このようにふるさと納税を獲得するために、また税金で広告枠をバンバン買うという、まったくよくわからない構造が発生しています。

このような中、ふるさと納税サイト老舗であり、返礼品数No.1とするふるさとチョイスを運営するトラストバンク社は2018年、東証1部上場企業であるチェンジという会社が48億円で買収しています。
全国の自治体との営業チャネルとサイト運営の収益性が評価された結果と言え、それだけ儲かるビジネスになっているということです。

さらに隠れた勝者はアメリカのアマゾンです。
同社のグループは、日本国内だけでも1兆円を優に超える売り上げを有しながら、納税金額は2017年にはたった11億円程度と事業規模に対してあまり日本に納税しないことで有名です。
そのような中、ふるさと納税サイトの各社は2018年末に寄付額の一定率をアマゾンギフトでプレゼントするキャンペーン競争を展開していました。
泉佐野市に至っては、独自に100億円分のアマゾンギフトをプレゼントするキャンペーンを展開して話題になりました。

あまり日本で納税しないアマゾンに、日本の税収からアマゾンに100億円を超える金額が流れるという冗談にもならないことが起きたわけです。
国と地方が争っているうちに、いちばん税金からまとまった収入を得たのがアマゾンであり、漁夫の利とは言ったものです。
もはや笑うしかありません。

真のふるさと納税の勝者は納税者でも、地方生産者でも、自治体でもなく、手数料で着実に儲かるサイト運営者であり、国内納税額より多額の収入を得たアマゾンだったと言えるでしょう。

前述のとおり、ふるさと納税はこれから国の審査で規制強化を行いつつ継続しようというわけですが、はたして、多額の行政コストをかけ、公共サービスに利用できる財源を国と地方で減らしてまでやり続けるだけの意味のある制度なのでしょうか?

そもそも、自治体は、税金を財源にして無料同然で配る返礼品で集めるような一過性のお金で経営することなどありえないはずです。
しっかり地元の農林水産業、観光産業などのリアル経済を成長させ、そうした経済に即して税収を稼ぎつつ、その範囲で自治体を持続可能な形で経営するというのがあるべき姿のはずです。
そのために必要な財源移譲、独自税制に関する自由を国に求めるべきです。

一方、国も意味不明で誤った予算獲得競争を煽るべきではありません。
もっと地方への財源移譲を推進して、自治体が一過性の投機的な資金集めではなく、地に足の着いた地域経済と財政に向けた適切な投資の視点を持てるよう、より大きな都市経営を意識した地方自治にインセンティブがあるよう制度改正と向き合うべきです。
今回のような、特別交付金減額などという懲罰的なやり方をしたり、逆に国の言うことを聞けば認定をするといったようなやり方は、ますます地方の自立性を失わせ、国まかせの財政運営になっていくでしょう。

誤った競争は誤った結果を生み出します。
今回の騒動が、ふるさと納税頼みではない、真の地方の経済財政のあり方を探る転機になることを期待します。

僕は『ふるさと納税』をしていますが、制度として認められているからであって、個人的には、制度として失敗だと思っています。
『ふるさと』とか『地域の活性化』などを考えるのであれば、寄附できる地方を過去に住民票があったところとかに限るべきだと思いますし、返礼品は不要だと思います。
この記事の中に出てくる『ふるさとチョイス』を僕も使っていますが、ここに限らず『ふるさと納税』関連のサイトを使ったことのある方は分かると思いますが、完全なショッピングサイトであり、市町村がどこかは問題ではなく、自分の欲しいものがあるかどうかで『ふるさと納税』先を選んでいる方が多いのではないかと思います。
それゆえ、『ふるさと納税』はゼロベースで見直したほうが良いと考えています。

「ふるさと納税バブル」で一番儲けたのは誰か?について、どう思われましたか?


愛知県碧南へきなん市がふるさと納税を勧誘した都内の税理士に謝礼10%!

10日(水)

 愛知県碧南市が8月末以降、東京都内の税理士に、碧南市へのふるさと納税を知人や顧客に勧めてくれれば、謝礼として寄付額の10%相当の現金を支払うと協力を依頼する文書計4,000通を送っていたことが、先日分かったようです。
総務省は、ふるさと納税の制度の趣旨に合わず「不適切」として文書の撤回を要請し、碧南市9月下旬の追加発送を取りやめました。

総務省の担当者は「寄付は自発的にするもの」と指摘し、「紹介者に謝礼を支払うという自治体は聞いたことがない」と話しています。

一方、碧南市の担当者は「ふるさと納税の手続きができるインターネット上の仲介サイトにも、手数料として寄付額の10%程度を支払っており、同じ感覚で試行的に企画した」と説明しています。
「違法性はない」として、既に送付した文書に絡んで紹介による寄付があれば、謝礼を支払うとしています。

これまで税理士側から問い合わせが約20件あったようですが、謝礼を支払った事例はないそうです。

碧南市や総務省によると、文書では「愛知県内のふるさと納税件数第一位」として、うなぎやしらすなど返礼品が百種類以上あり、寄付金を地元のベンチャー企業支援に活用している点をPRしています。

大都市圏に広める狙いで都内の税理士事務所に発送したところ、9月に文書を把握した総務省が愛知県を通じて碧南市に指摘しました。
碧南市は926日に追加で発送予定だった文書の廃棄を決めました。

自治体も『ふるさと納税』集めに必死ですね。
確かに、インターネット上の仲介サイトにも手数料を支払っているので、それと大差はないように思いますね。
ある意味、仲介サイトのほうが、ショッピングのような感じで寄付先を選ぶことになるので、『ふるさと納税』の理念に反するような気はしますが。
ちなみに、総務省は、以下の3つの意義があるとしています。

 ● 第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
 ● 第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。
 ● 第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。
それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。

3つの意義のためには、『3割ルール』を徹底するのではなく、根本的にところから変える必要があるのではないかと思いますね。

愛知県碧南市がふるさと納税を勧誘した都内の税理士に謝礼10%を支払うことについて、どう思われましたか?


ふるさと納税ルール変更に自治体が悲鳴!

 実質自己負担2,000円で全国各地の自治体から豪華な返礼品を受け取れる「ふるさと納税」は、返礼品競争に拍車がかかり、ブームが過熱していましたが、先日ついに総務省から「待った」がかかり、大きな曲がり角を迎えています。
しかしながら、そんな状況下でもまだ賢く利用できる術はないのでしょうか?

地方創生の一環として整備されてきた「ふるさと納税」ですが、規制強化の動きが加速しています。
全国各地の自治体からは、怒りや戸惑いの声が噴出しているようです。

2017年度、町税の税収25億円を大きく上回る72億円の寄付金を集めた佐賀県みやき町の末安伸之町長の訴えは切実です。
「ふるさと納税を通じた寄付によって給食費や医療費の無料化、新たな保育所の整備などを進めていたので、寄付が減れば町の財政を直撃します。せっかく地方が独自の取り組みで自立しようとしてきたのに、国はわかっていない」

野田聖子前総務大臣は、911日の記者会見で、一部自治体が高額な返礼品で多額の寄付を集めていることについて「制度そのものが否定される不幸な結果を招く」として、返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に限定しました。
違反した自治体は制度から除外し、寄付しても税の優遇措置が受けられなくなるよう、来年の通常国会に地方税法改正案を提出して規制強化を目指す方針を打ち出しました。

2007年に創設されたふるさと納税は故郷や応援したい自治体に寄付すると返礼品がもらえるうえ、所得税・住民税の還付・控除が受けられて、実質的な自己負担は2,000円で済むことから、ブームと化してきた(還付・控除の上限額は所得などによって異なります。)。
一方、寄付金集めに走る一部の自治体は地場産品とは思えない高額返礼品を掲げて競うようになり、総務省は「3割ルール」「地場産品ルール」を守るよう20174月に通知しました。
しかしながら、それに従わない自治体が多かったことから、総務省は今回の大臣会見と同時に調査結果を公表しました。

そこでは、91日時点で「3割ルール」に違反している246自治体(全体の約14%)を実名で公表し、名指しされた自治体では混乱が相次いでいます。

佐賀牛のももスライス500g(寄付額1万円)や家電製品などを返礼品としてきた前出のみやき町もその一つです。

「肉の加工工場では設備投資や人員増をすでに進めている業者もいるのに、急すぎる見直しでは混乱を招くばかり。家電製品はすでに取り下げましたが、これはもともと、大手の家電量販店の進出で地元の電機店が困っているので、返礼品を出荷してもらえるよう手を差し伸べる試みだった。このままでは地元の店は潰れますよ!」(末安町長)

豚肉切り落とし5kg(寄付額1万円)などを用意する宮崎県都城市では、返礼品を供する約90の企業で構成される都城市ふるさと納税振興協議会から困惑の声が漏れています。

「急増する寄付者の期待に応えられるように、設備投資も人員も増やして量産体制をとっていますが、規制が厳しくなれば、連鎖倒産も避けられない。国の方針がコロコロ変わると困るのは、僕ら現場です」

個人的には、ふるさと納税をしていますが、遅かれ早かれ改正されると思っていましたし、特定の企業などの製品や商品を扱うのはどうなのかなぁと思っていました。
よって、みやき町長や宮崎県都城市の納税振興協議会のコメントは、どうなのかなぁ?と感じます。
一方で、『3割ルール』の中で、知恵を出し合って寄付金を集めればよいと思いますし、もう少し簡単に『ふるさと納税』が行える仕組みを作り、『ふるさと納税』をする人数を増やしていけば良いのではないかと思います。

ふるさと納税ルール変更に自治体が悲鳴をあげていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税「反抗自治体」を公表した総務省vs自治体の神経戦!

 このブログでも、先日書きましたが、国の方針に従おうとせず、見直す意向もないのはこの自治体ですと、総務省は20187月に、いまだ返礼品競争が横行しているふるさと納税をめぐって、(1)返礼割合が3割超、(2)地場産品ではない返礼品を送付している、(3)20188月までに見直す意向がないなどとして、大阪府泉佐野市や佐賀県みやき町など12の自治体名を公表しました。

20174月以降、総務省が自治体への通知や記者会見を通じて、高額な返礼品などの自粛を幾度となく要請しているにもかかわらず、反抗する自治体に対してとうとうしびれを切らした格好です。

名指しされた12の自治体は、さぞ戦々恐々としているかと思いきや、各担当者から懸念として聞こえてくるのは、意外にも自民党の総裁選の動向と東京都目黒区の取り組みについてだったようです。

一体どういうことでしょうか?
一つ目の自民党の総裁選について自治体が最も気をもんでいるのは、総裁選を経て政権が代わることによって、菅義偉官房長官が閣外に放り出されることだそうです。

菅氏はふるさと納税の“生みの親”であり、制度拡充に際して反対論を唱えた総務省の局長を退任に追い込むほど、思い入れが強いそうです。
過熱する返礼品競争を時に黙認するような姿勢を取り、自治体の強力な後ろ盾になっているわけです。

総務省は、ふるさと納税に関わる普通交付税措置や特別交付税を使って、名指しした自治体を実質的に締め上げることは制度上可能ですが、菅氏が閣僚として目を光らせている間は、手を出しにくいことを自治体はよく理解しているようです。

二つ目の目黒区の取り組みとは、20188月からふるさと納税の返礼品として、人気音楽グループ「EXILE」のTシャツやパーカなど関連グッズを用意すると発表したことです。

目黒区内に事務所やスタジオを構えており、紛れもない地場産品だと位置付けているわけですが、これは返礼品競争が過熱する中で、一番危惧していた事態ともいえます。

財政力の高い都市部の自治体が、企業の本社や事業所があることを理由に豊富な資金で魅力的な返礼品をかき集めれば、地方の自治体には当然ながら勝ち目はありません。

目黒区以外にも、これまでふるさと納税による税収減にじっと耐えてきた都市部の自治体が、次々に本格参入することになれば、地方にもっとお金(税源)を還流させるという趣旨で始まった制度が、逆回転しかねません。
菅氏に引導を渡された局長が、反対論を唱える中で最も危惧していたのも、まさに都市部の自治体の反撃による寄付金の「都心回帰」でした。
今後もし都心回帰の流れが加速したとき、名指しされた自治体が税収減で悲鳴を上げたところで、耳を傾けてくれる人たちは果たしているのでしょうか?

ふるさと納税については、このブログで何度も述べていますが、そろそろ根本的なところから見直す時期に来ていますね。
特定の政治家の影響を受ける制度というのもどうかと思いますね。
以前から気にはなっているのですが、返礼品に特定の企業のものを使うというのもどうなのかなぁと思っています。
本来は、その地域の名産などを使うべきであり、特定の企業のものを使うものではないかと思っています。

ふるさと納税「反抗自治体」を公表した総務省vs自治体の神経戦が行われていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税に関し「国に反逆」した12自治体を初公表!

 弁護士ドットコムによると、総務省は、先日、2017年度のふるさと納税の実績を発表しました。
 それによると、自治体が受け入れた額は3,653億円で過去最高で、2016年度(2,844億円)の約1.28倍に増加しました。
<自治体別>
 自治体別では、鹿児島産のうなぎや信州の桃、高級ビールなど地場産品以外の返礼品も大胆にそろえる大阪府泉佐野市が135億円で最も多い額を集めました。
 総務省によると、受け入れ額が多い自治体の2位から10位は、以下のとおりです。
 ・2位 宮崎県都農町(79億円)
 ・3位 宮崎県都城市(74億円)
 ・4位 佐賀県みやき町(72億円)
 ・5位 佐賀県上峰町(66億円)
 ・6位 和歌山県湯浅町(49億円)
 ・7位 佐賀県唐津市(43億円)
 ・8位 北海道根室市(39億円)
 ・9位 高知県奈半利町(39億円)
 ・10位 静岡県藤枝市(37億円)
<「通知に従う気なし」の自治体>
 一方、総務省は自治体に対する通知で、ふるさと納税をした人に対する返礼品について、原則として地場産品とすることや調達価格を3割以下におさえることを求めています。
 法的に従う義務はありませんが、通知への自治体側の対応状況(20186月時点)を総務省がまとめたところ、以下の自治体は「20188月までに見直す意向がない」ことがわかったようです。
 ・茨城県境町(21億円)
 ・岐阜県関市(14億円)
 ・静岡県小山町(27億円)
 ・滋賀県近江八幡市(17億円)
 ・大阪府泉佐野市(135億円)
 ・福岡県宗像市(15億円)
 ・福岡県上毛町(12億円)
 ・佐賀県唐津市(43億円)
 ・佐賀県嬉野市(26億円)
 ・佐賀県基山町(10億円)
 ・佐賀県みやき町(72億円)
 ・大分県佐伯市(13億円)
 あえて、通知に従わない自治体リストを明らかにするあたり、過剰な返礼品競争に歯止めをかけたい総務省が「引き締め」を狙っていることがうかがえます。
 総務省市町村税課によると、こうしたリストを公表するのは初めてだそうです。
 ちなみに、上記の従わない自治体リストは、2017年度のふるさと納税額が10億円以上の自治体に限っています。
 僕もそうですが、返礼品でふるさと納税先を選んでいる方が多いと思いますので、通知に従うと、ふるさと納税額が減り、従わないと、たくさん集まるといった状況になり、地方自治体としても頭を悩ますところだと思います。
 やはり、返礼割合の上限を決めておく、地元の品に限定する、ゆかりのある地方自治体のみにするなど、根本的なところから見直さないと、ふるさと納税に地方自治体が振り回されてしまうことになるのではないかと危惧します。
 ふるさと納税に関し「国に反逆」した12自治体を初公表したことについて、どう思われましたか?

ふるさと納税は返礼品抑制でも伸び3,000億円が視野に!

 ふるさと納税が返礼品の抑制が広がるなかでも増えているようです。
 日本経済新聞が全国814市区を調査したところ、6割が2017年度の寄付額が増えると見込んでいるようです。
 市区分だけでも2014億円と前年度より10%伸びており、都道府県や町村分を含めると3,000億円の大台を突破する勢いとなっています。
 自治体の歳入としては、ガソリン税に匹敵する規模で、主要な収入源になってきているようです。
 2017年度の自治体別の増額幅をみると、最も多かったのは1億円未満で全体の45%を占めます。
 5億円以上は3%にとどまっており、1億~5億円未満が11%でした。
 ふるさと納税が特定の自治体に集中するのではなく、利用の裾野が広がり多くの自治体で厚みを増している構図が浮かび上がります。

総務省によると、
2016年度の実績は2,844億円です。
 市区の合計額はふるさと納税全体の64%を占めていました。
 都道府県は1%で、町村は35%でした。
 市区と町村の伸び率はこれまでほぼ同じ水準で推移しており、2017年度は全国の総額で3,000億円の大台を超える見通しです。

総務省は、
20174月に資産性の高い返礼品などを自粛し、返礼割合も3割以下に抑えるよう各自治体に通知しました。
 20184月には返礼品の見直しの徹底を改めて求める追加の通知を出しています。
 通知後も高い返礼割合の自治体は残っていますが、集め方や使い道の工夫が広がっているようです。 北海道夕張市は、あらかじめ使途を明示しました。 インターネットで不特定多数の人から少額の寄付を募るクラウドファンディングの手法を採用し、少子化に悩んでいた地元の高校を救うプロジェクトなどが共感を呼び、寄付額が3,000万円増えました。 青森県弘前市は、重要文化財である弘前城の石垣修理や弘前公園の桜の管理といった街づくりに参加できる仕組みが人気を集め、前年度より16,000万円上積みしました。
 「高額」の返礼品だけでなく、幅広いアイデアが寄付を押し上げているようです。

一方で、
2016年度にトップ30だった市区のうち、6割が2017年度は減少すると見込んでいます。
 家電を返礼品から外した長野県伊那市(2016年度2位)は66億円減少し、パソコンの返礼品をやめた山形県米沢市(同5位)も17億円減りました。 ただし、全体では、2017年度も2016年度より10%伸びる見通しです。
 上位の減少分を幅広い自治体の増加分でカバーしている形になっています。 自治体の最大の歳入は、約4割を占める地方税です。
 2016年度は約39兆円でしたが、人口減時代を迎え今後の大幅な増収は見込みにくくなっています。
 3,000億円規模の歳入は自治体にとって、ガソリン税や自動車重量税の地方分と並ぶ規模になります。
 ふるさと納税が地方税の収入を上回る例も出ており、自治体の「財源」としての存在感は高まっています。 2016年度首位の宮崎県都城市を抑え、2017年度の見込み額でトップになったのは大阪府泉佐野市(同6位)でした。
 関東、関西を中心に約130億円を集め、2016年度より約95億円増えました。
 ふるさと納税の額は、同市の2016年度地方税収入の約6割にあたります。
 返礼品を大幅に増やして、1,000以上を用意しました。
 黒毛和牛などが人気で、3月までは宝飾品や自転車もそろえていました。
 返礼割合は2017年度で約4割と総務省が求める基準より高かったですが、2018年度は約3割まで下げる方針です。 一方、税収が「流出」している自治体からは不満の声も漏れます。
 東京23区では、2016年度だけで386億円が流出しています。
 世田谷区では、52億円も減りました。
 自治体によっては「既存事業や新規の事業計画に影響が出る可能性がある」と懸念するところもあるようです。 なお、この調査は、2月下旬から4月下旬に実施し、802の市区から回答を得ました。
 ふるさと納税とは、生まれ育った故郷や応援したい自治体に寄付できる制度です。
 納税者が税の使い道に関心を持ったり、寄付を受けた地域を活性化させたりする目的で2008年度に導入されました。
 寄付額から2,000円を差し引いた金額(上限あり)が所得税と個人住民税から控除されます。
 2015年度から控除上限額を2倍に引き上げ、確定申告せずに税額控除の手続きができる特例制度を導入して利用が広がりました。 本来の趣旨からはズレているんでしょうが、制度がありますし、税理士という職業柄か、ここ数年毎年ふるさと納税をしています。
 もちろん、僕自身もらえるものから寄附する先を選んでいますし、そのような方が多いのではないかと思われます。
 本来、返礼品目的の制度ではなく、東京の23区などは不利だと思いますので、根本的に制度を見直す時期には来ているのではないかと思っています。 ふるさと納税は返礼品抑制でも伸び3,000億円が視野に入ったことについて、どう思われましたか?

公示地価にダマされるな!

 国土交通省が20183月末に発表した201811日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途で0.7%のプラスでした。
 地価上昇は3年連続で、これはバブル崩壊の1992年以降で初めてのことだそうです。
 驚くのは、外資マネーが流入して再開発が活発な大都市圏だけではなく、地方圏平均でも商業地が0.5%とわずかながら、26年ぶりに上昇に転じたことです。
 新聞各紙も「地価上昇が全国的に波及、脱・資産デフレが進む」などと報じていますが、はたして本当なのでしょうか?
 ダイヤモンド・ザイによると、その背景に迫ると、不動産鑑定士がお客さんの自治体に忖度して公示地価が決まる実態が見えてきたようです。
 2018年の公示地価で、上昇率ベスト3を独占したのは、北海道倶知安(くっちゃん)町で、スキーリゾートが人気のニセコ地区は、商業地も住宅地もプラス30%を超えました。
 オーストラリア人を中心とする外国人観光客が押し寄せるニセコ地区は、スキー場に隣接する住宅地だけではなく、JR倶知安駅周辺の商業地にも地価上昇が波及しました。
 2017年の訪日客数は、2,869万人と過去最高を記録しました。
 地方圏の商業地の上昇を牽引しているのも、外国人観光客の増加で店舗やホテル需要が高まっている地方都市なのです。
 それらの恩恵を受けている4市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)だけを取り上げると、前年との平均変動率は7.9%ものプラスになります。
 しかしながら、ほとんどの地方都市はそんな活況とは無縁でしょう。
 人口流出・高齢化にあえぎ、住宅地は空き家が続出、駅前立地がシャッター通りと化している街も少なくありません。
 茨城県は、同じ関東でも13県とは違い、“地盤沈下”が激しくなっています。
 日立市に向かう国道6号沿いは閉鎖したドライブイン、飲食店、ガソリンスタンドなどが生い茂った草に覆われ、寂しい風景が続きます。
 散歩に出れば、月ごとに増える空き家、駅前は土日なのにシャッターを閉めている店舗、テナント募集の店舗が軒を連ねます。
 外国人観光客は、ほとんどいません。
 それでも、茨城県の地価変動率は住宅地、商業地ともに▲0.7%です。
 つくばエクスプレス沿線の再開発エリアが人気を集めていて、それが全体を押し上げているとしても、実感からするとマイナス幅が少ないように感じられます。
 茨城県以外に目を転じても、地方圏の商業地で、前出の上昇率の高い4市(7.9%)を除いた市区町村の変動率も▲0.4%とマイナス幅は小さくなっています。
 公示地価に詳しい不動産鑑定士が重い口を開いているようです。
 「実は、公示地価は大きく上げ下げできない事情がある。税金との絡みが公示地価にゆがみをもたらしています」
 公示地価は国が示す地価の指標です。
 国土交通省によると、売り急ぎや買い急ぎなどの特殊事情を除いた「正常な価格」(必ずしも実勢価格ではない)を表しています。
 公的な土地評価はほかにもあって、都道府県が毎年9月ごろに公表する基準地価、国税庁が毎年7月ごろに公表する相続税路線価、市区町村が3年に1回、4月ごろに公表する固定資産税評価額があります。
 土地が、『一物多価』と言われるところです。
 問題は、相続税路線価は公示地価の8割水準、固定資産税評価額は公示地価の7割水準に設定されていることです。
 相続税路線価はその名のとおり、相続税や贈与税の算出に用いられる評価額であり、固定資産税評価額は固定資産税や不動産取得税を決める基準となります。
 つまり、公示地価は、国や自治体の税収を決める基準の大元になっているのです。
 それゆえ、公示地価を実勢にあわせると、銀座の一等地のように公示地価の23倍でも売れるところは急激に相続税や固定資産税が上がってしまい、逆に、過疎化する地方のように、公示地価の8割水準の路線価でさえ売れないエリアは、税収が大きく落ち込んでしまうことになります。
 問題として大きいのが、後者でしょう。
 いまや、自治体の税収の40%強が固定資産税によるものなのです。
 地価下落は、自治体の財政悪化に直結するのです。
 不動産鑑定士の資格を持ち、複数の著書で「公示地価は実質的に破綻している」と主張する森田義男税理士が語っています。
 「自治体はできるなら公示地価は下げてほしくないと考えている。国交省もそれは認識している。調査にあたる鑑定士は、数字のごまかしはできないが、なるべく希望に沿う数字を出す。だから、結果的に地方の公示地価は“高示地価”になる。お上の意に沿わない鑑定評価をすると、翌年から仕事が来なくなる恐れがある。鑑定の世界にも、忖度が働くのです」
 森田氏によれば、特に地方の不動産鑑定士にとっておいしいのは、公示地価よりも固定資産税評価額の仕事だそうです。
 1地点当たりの報酬は54,000円(税別)で公示地価や路線価より低いですが、評価地点は全国で約44万地点に及びます。
 3年に1回、200億円以上の金額(税金)が、全国の不動産鑑定士に配分される計算になります。
 衰退が進む地方において、不動産鑑定士に、民間の仕事はそれほど多くはないでしょう。
 不動産鑑定士に限らず、「士業」の多くは官庁の強い影響下にあります。
 我が税理士は国税庁、司法書士なら法務省です。
 しかしながら、多くの士業は、官庁から直接仕事をもらうことはありません。
 ほとんどのお客さんが民間の人です。
 我が公認会計士や税理士はそうです。
 ところが、不動産鑑定士の世界は違い、お客さん=官庁なのです。
 森田氏のように不動産鑑定士の仕事に見切りをつけ、税理士として生計を立てているならいざしらず、“お客さん”には逆らえないでしょう。
 しかしながら、公示地価は我々が払う税金と密接に絡んできます。
 地価下落が進んでいる地方で、公示地価の8割水準の路線価でさえ売れない土地は珍しくありません。
 これは、相続税を払って不動産を維持しても割が合わなくなることを意味しています。
 おりしも、20183月末に厚生労働省が発表した将来推計人口によれば、2030年にはすべての都道府県で人口が減り始め、2045年には7割の市区町村で2015年に比べ人口が20%以上減る見通しです。
 秋田県では41.2%、青森県では37.0%も減るそうです。
 地方においては、一部の人気エリアを除き、これからも地価下落の大きな要因となる人口減少・高齢化が重くのしかかります。
 かくして、公示地価と実勢価格とのかい離は、ますます広がっていくでしょう。
 こういう実態があったのですね。
 職業柄、相続税の申告も年に何件かはやっていますので、路線価図は結構見るのですが、路線価の付いているエリアはどんどん減っています(つまり、評価するコストが削減されています。)。
 固定資産税評価額は、基本的にすべての土地や建屋に付きますので、それほど評価地点は減らせないでしょうね。
 税収を考慮したものではなく、実態に合ったものにしてもらいたいですね。
 公示地価について、どう思われましたか?

豊島区役所がペーパーレスによる課税・納税証明書の発行手続きの実験を開始!

2018年03月19日(月)

 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(本社東京都港区、、以下「MDIS」)と豊島区役所(本庁舎東京都豊島区)は、区民が「特別区民税・都民税(住民税)証明書」の交付を受ける際、“専用ペン“を使用してペーパーレスで申請する実証実験を201835日に開始したと発表しました。

実証実験の対象となる「特別区民税・都民税(住民税)証明書交付サービス」とは、区民が課税証明書・納税証明書を申請する際に利用するサービスで、証明する年度や必要な人の名前・住所・生年月日などを申請書に記載して申請します。
この申請手続きは、記入欄が多く記入箇所が分かりづらいことや、年間3万件以上申請のある申請書自体の管理負荷などの問題点があったようです。

今回使用するシステムは、MDISが開発・販売するペーパーレス受付システム「らくかけくん」で、プロジェクターで表示された様式イメージに専用ペンで入力する「プロジェクションマッピング技術」を活用しています。

区役所を訪れた利用者は、窓口に設置された専用記載台にて上方のプロジェクターから投影されたイメージを見て、専用ペンにて操作します。
投影イメージに直接記入することで、文字認識技術により手書き文字が瞬時に文字データへ変換されます。
実証実験では日本語と中国語の2か国語への対応を行います。
担当者は、窓口アプリで入力結果の確認や申込書の管理が可能です。

このシステムを用いることで、従来の紙の申請用紙やディスプレイモニターと比べプロジェクターで大きな文字で表示することができます。
また、キャラクターによるガイダンスが記入箇所に応じて表示されることから、利用者の利便性向上が期待できます。
一方、窓口担当者など職員にとっては、窓口での確認・問合せ対応の減少や、データ入力、申込書管理負荷の低減等、業務効率化が期待できます。
さらに、紙が不要となることで、書類保管倉庫のスペース削減も可能です。

MDISは今回の実証実験を評価し、「らくかけくん」のさらなる機能拡充と利便性向上を目指すとともに、自治体の申請窓口、小売店の各種申し込みカウンター、金融機関の店舗、ショッピングモールでのカード申し込みなど、様々な業界への拡販を検討していくようです。

役所での手続きは、無駄と思われるものや、分かりにくいものや、記入したりするのが面倒なものなどが、多々あると思います。
今後は、このようなものが出てきて、便利になることを切に願います。
まぁ、ここでもAIに取って代わられ、人がいらなくなるところもたくさん出てくるでしょうね。
手続きとは関係ありませんが、個人的には、市とかの発行する書類はA4より微妙に大きくて、職業柄コピーすると端が欠けて読めないことが頻繁にありますので、早く、書類のサイズをA4にしてほしいですね(笑)。

豊島区役所がペーパーレスによる課税・納税証明書の発行手続きの実験を開始したことについて、どう思われましたか?

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日本政策金融公庫が与信費用の増加で1,196億円の最終赤字!

日本経済新聞によると、日本政策金融公庫が3日発表した2024年4〜9月期決算は、最終損益が1,196億円の赤字(前年同期は69億円の黒字)でした。

信用保証協会から保険を引き受ける事業で、保険金の支払いに備えて積む保険契約準備金の戻し入れ額が減少したのです。

貸出先の業績悪化に伴う与信関係費用も増えました。

日本政策金融公庫は民間金融機関が信用保証協会による保証付き融資を実行する際、保証協会から保険を引き受ける業務を手掛けています。

保険引受収益は戻し入れ額の減少に伴い、26%減の1,858億円となりました。

保険引受費用は保険金の支払い増加に伴い23%増の1,868億円でした。

与信関係費用は35%増の1,734億円で、条件変更や債務不履行が高水準となったことが響きました。

日銀の利上げに伴い金融機関の貸出金利は上昇傾向にあります。

取引先の中小企業からは「借入金利の上昇はボディーブローのように今後効いてくると思われ、なかなか大きな設備投資を行う気にはなれない」(土木建築業)といった声が出ていると紹介しました。

新型コロナウイルス関連融資に関する状況も公表しました。

2021年3月末までの貸付先約70万件のうち、2024年9月末時点で元金返済中が52.3%を占め、完済などは15.8%にとどまりました。

返済が厳しく条件を変更したのは7.2%と、2024年3月末の6.9%から高まりました。

日本政策金融公庫が、民間金融機関が信用保証協会による保証付き融資を実行する際、保証協会から保険を引き受ける業務を手掛けているということは、初めて知りました。

コロナ融資の返済が始まり、返済できない事業者が増えていると思いますので、予想された結果だと思いますし、今後もしばらく赤字が続くのではないかと思います。

噂では、日本政策金融公庫も積極的に融資していると聞きますし、保証協会は保証付の短期融資(ころがしを想定)に舵を切ったとも聞きますし、今後どうなっていくのかウォッチしていきたいですね。

日本政策金融公庫が与信費用の増加で1,196億円の最終赤字となったことについて、あなたはどう思われましたか?


資生堂が借入金返済のため2年ぶりに社債を100億円発行!

日本経済新聞によると、資生堂が普通社債(SB)を約100億円発行するそうです。

発行は、約2年ぶりです。

利回りなどの条件決定は、2024年12月6日を予定しています。

起債するのは満期までの期間が5年の普通社債で、調達する資金は借入金の返済にあてます。

主幹事には、大和証券とみずほ証券を指名しました。

2025年2月に償還予定の社債の借り換えに充てます。

社債発行は2022年12月に200億円発行したESG(環境・社会・企業統治)債の一種「サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)」以来となります。

長期発行体格付けは、ムーディーズ・ジャパンから「A3」(シングルAマイナス相当)を取得しています。

ムーディーズ・ジャパンは、2024年9月には信用格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」へと引き下げています。

資生堂は、有利子負債が自己資本の何倍に当たるかを示す純負債資本倍率(ネットDEレシオ)が2024年9月末時点で0.18倍で、2023年12月末時点の0.06倍から上がっています。

資生堂は、2024年12月期の連結純利益(国際会計基準)は、前期比72%減の60億円を見込んでいます。

先日、増益としていた従来予想を一転減益に下方修正しました。

免税品向けや中国の化粧品販売が落ち込んでいます。

収益改善に向け、2024年から2025年にかけて日本での人員削減や中国での不採算店舗の閉鎖など400億円規模のコスト削減に取り組んでいます。

2024年11月29日には、新たな構造改革の発表を予定しています。

追加のコスト削減や中国戦略の見直し、欧米などの収益性向上に努めます。

資生堂は、驚くほど業績が悪化していますね。

それゆえ、社債発行して、借入金返済しないといけない状況に陥っているのでしょう。

ブランド力のある日本を代表する企業だと思いますので、ぜひとも構造改革を成功させて欲しいですね。

資生堂が借入金返済のため2年ぶりに社債を100億円発行することについて、あなたはどう思われましたか?


銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇!

神奈川新聞によると、コロナ禍から経済が再開し、神奈川県内で信用金庫が存在感を高めているようです。

相互扶助の協同組織として、営利法人である銀行と経営理念の違いが際立っています。

金利上昇下で資金調達の敷居が高まり始め、地域に根付いた「寄り添いやすさ」が中小企業の支持を集めています。

大手行が神奈川県東部に構えていた支店が統廃合され、地元企業は取引を打ち切りました。

乗り換え先が信用金庫です。

銀行はコスト削減で店舗縮小が時流です。

企業側は「身近に相談先があるのは心強い」ようです。

一方、信用金庫担当者は「銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇! の真価が試されている」と気負っています。

東京商工リサーチ横浜支店が2024年8月に発表した神奈川県内企業8万2千社の主力取引銀行(メインバンク)調査によると、21.9%を占めた横浜銀行が調査開始の2013年から12年連続で首位です。

金融機関は一様に融資先を拡大し、20位まで前年と変動はありませんが、注目はシェア率の高下です。

横浜銀行を含む地方銀行と主要行が軒並み低下する一方、神奈川県内に本店を置く8信用金庫のうち7信用金庫は小幅ながら上昇しました。

信用金庫勢トップで5位の横浜信用金庫は8%台に浮上しました。

2024年3月末の法人融資先は前年同期より484先増えました。

神名圭営業統括部長は「事業者支援こそ当金庫の強み。顔の見える営業活動が結実している」と手応え十分です。

2年前に東京都大田区と鎌倉市大船に新設した法人営業所が、新規先を掘り起こしています。

香川県でも、対応の変化により、あまり良い話を聞かない金融機関もありますが、他県でも同じような状況なんですね。

当然、金融機関もコスト削減などをしていかないと、将来生き残れないとは思いますが、我々会計事務所もそうですが、顧客の相談先としては上位に浮かぶ存在なので、手数料のことばかりを考えるのではなく、顧客のことを考えないとどんどん顧客は減っていくでしょうね。

銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇していることについて、あなたはどう思われましたか?


3メガバンクが手形・小切手の発行を終了へ!

日本経済新聞によると、3メガバンクは2025年度中にも紙の約束手形、小切手の発行を終了するそうです。

三井住友銀行は2025年9月に既存の当座預金口座を持つ顧客向けの手形・小切手帳の発行を取りやめ、他のメガバンクも終える予定です。

取引先の企業は電子決済や銀行振り込みへの移行が必要になり、明治期以来、根強く続いてきた紙を使った商慣習は転機を迎えます。

約束手形は企業間取引の代金決済方法の一つで、将来の代金支払いを約束する有価証券を指します。

受取人は指定された期日以降に金融機関に手形を取り立てに出し、現金に換金できます。

経済成長期には手元資金に余裕のない発注企業の資金繰りに役立ってきましたが、近年は入金の遅さなど紙媒体に依存した決済の弊害が目立ってきていたのです。

三井住友銀行は、先日、2025年9月に既存の顧客向けの手形・小切手帳の発行を終了する方針を公表しました。

既に新規の当座預金口座の開設者への発行は停止しており、2026年9月末を手形、小切手の決済期限としています。

2026年10月以降は手形、小切手を使った決済ができなくなります。

未使用の手形、小切手帳は希望者を対象に、買い戻しを実施します。

2025年10月から決済時の入金に1件660円の手数料を新たに設けて移行を促します。

三井住友銀行で紙の約束手形や小切手を利用する企業は、中小企業を中心に約5万社にのぼります。

2023年度は同行だけで約170万枚の決済実績があり、金融界全体では年2,500万枚規模の取引がありました。

三菱UFJ銀行とみずほ銀行も近く手形、小切手の発行を終える日程を公表します。

発行済みの手形、小切手の扱いなどを詰めていますが、既存の顧客向けの手形・小切手帳の発行終了は2025年度中にも実現する見通しです。

3メガバンクが足並みをそろえることで、地方銀行なども今後追随する可能性が高いでしょう。

手形の交換は信用金庫、信用組合などを含め1,000超の金融機関が参加しています。

3メガバンクは今後、手形や小切手を使ってきた企業に対して代替サービスへの移行を促します。

インターネットバンキングによる振り込みや、決めた期日に金融機関の間で代金を自動送金する「電子記録債権」など電子取引が中心となります。

電子記録債権は紙の手形のように第三者に譲渡したり、融資を受ける際の担保として利用したりできます。

紛失や盗難のリスクもないため、メガバンクは企業決済の効率性や安全性が高まるとみています。

電子記録債権の利用実績は2023年に約700万件と紙の手形・小切手に比べ少ないものの、利用件数は年率2割のペースで伸びています。

手形は期日まで代金の支払いが猶予されることから、企業の資金繰りの緩和に役立ってきました。

ただし、大企業を中心に決済の電子化が進み、近年は利用の減少傾向が目立っていました。

政府も2021年の成長戦略実行計画で、手形の利用廃止や電子化の促進を打ち出していました。

メガバンクが実際に手形や小切手の発行を終えることで、中小企業の金融取引でも紙から電子への移行が決定的になります。

ところが、企業間取引を電子化するには、買い手と売り手の双方が同時に対応する必要があります。

中小企業の資金繰りへの影響を抑えるには、下請けの代金を適切な条件で支払うなど大企業を頂点とするサプライチェーン(供給網)全体への働きかけも欠かせません。

海外ではシンガポールが2025年末までに企業間の小切手のやり取りを廃止する予定であるほか、米欧でも銀行振り込みや電子決済への移行が進んでいます。

世界的に電子決済への移行は不可逆的な流れで、手形や小切手の廃止がその流れを加速することになります。

▼約束手形

将来の支払いを約束する有価証券のこと。

支払期日を指定して手渡すことで買い手の企業にとって支払いまでの資金繰りに役立つほか、売り手にとっても手数料を支払って代金を先んじて受け取れる利点がありました。

明治時代の手形交換所以来の日本独特の商慣行で、経済成長期には企業の資金不足を補う役割を果たしました。

ただし、近年は銀行での振り込みなどの支払いが主流の欧米に比べ支払いまでの期間が長いといった弊害も目立ってきました。

「紙」でのやりとりが必要になるのも難点で、紛失などのリスクがあったのです。

デジタル化を進めたい政府の方針も背景に、全国銀行協会は手形や小切手の電子化に向けた対応を進めてきました。

支払期日を指定して支払う仕組みの代替として有力視されるのは電子記録債権と呼ぶ仕組みで、2008年施行の電子記録債権法で導入されました。

現金化や譲渡、担保としての利用などは従来の手形と同様に可能で、事務を効率化する利点は大きいとされます。

導入の広がりが課題となっており、紙の約束手形の廃止によって電子への移行が加速するかが焦点となるでしょう。

個人的には、手形・小切手の廃止には賛成です。

管理的な手間やコスト、盗難などのリスク、手形を発行しているからゆえ不渡りが生じることなどを考えると、廃止が望ましいでしょう。

廃止となると、でんさいにシフトすることになると思いますが、早く、でんさいが一般的になって欲しいと思います。

ただし、でんさいを資金化するときに相手先によっては資金化できないリスクは残ると思いますので、何らかの対策は必要になるかもしれませんね。

3メガバンクが手形・小切手の発行を終了することについて、あなたはどう思われましたか?


中小企業の資金繰り改善が狙いで約束手形の支払期日を60日以内に短縮へ!

YAHOO!ニュースによると、中小企業庁と公正取引委員会は、2024年11月から約束手形の支払い期日までの期間「手形サイト」を60日以内に短縮するよう各業界に要請しています。

長期の手形は、下請け企業の資金繰りを圧迫する要因となるため、手形サイト短縮で中小企業の経営改善につなげ、賃上げや設備投資を後押しする狙いです。

今後、60日を超える手形サイトは、行政指導の対象となります。

中小企業庁と公正取引委員会は、以前から手形サイトについて、繊維業では90日、その他の業種では120日を超える場合、下請法違反の可能性があると指導してきました。

両者が連名で、各産業の業界団体・金融機関・監督省庁等に対して出した要請の概要は、以下のとおりです。

①行政指導の対象
手形サイト等が60日を超える場合は「割引困難な手形」等にあたるとして行政指導の対象とする。

ファクタリング(事業者が保有する売掛債権などを、期日前に一定の手数料を差し引いて買い取るサービス)などの一括決済方式も含まれる。

②下請法対象外の取引
下請法対象外の取引においても手形サイト等を60日以内に短縮すること。

可能な限り現金での支払いを行う。

特に建設工事や大型機器の製造など、納期が長期にわたる取引における前払い比率や期中払い比率の向上を求めている。

③三者契約の徹底
一括決済方式の加入は下請事業者の自由意志によるものであること。

親事業者・下請事業者・金融機関の間の三者契約が必要であることが徹底されること。

④資金繰り支援
手形サイトの短縮に取り組む事業者に対しては、資金繰りの支援を丁寧に行い、事業者の状況に応じた柔軟な対応を行うこと。

手形サイトの期間短縮に対しては、サプライチェーン全体で資金繰りに及ぼす影響を考慮し、支援策を講じながら進めることが求められる。

事業承継にも当然関係しており、後継者は取引先の支払いサイト・回収サイトについて理解しておく必要がある。

場合によっては経営者の交替に合わせて支払いサイト・回収サイトの変更が必要になるケースも発生する可能性がある。

職業柄、手形をサイトなどを目にすることが多いですが、120日サイトって長すぎますよね。

例えば、月末締め、翌月末起算120日サイトだとすると、製品を売ったり、サービスを提供してから、現金化するまで、150日~180日、つまり、5か月から6か月かかるわけですから。

ある意味、短縮は当然のような気はしますが、行政指導をきちんとして、中小企業が資金繰りに困ることのないようにしてほしいですね。

中小企業の資金繰り改善が狙いで約束手形の支払期日を60日以内に短縮されることについて、あなたはどう思われましたか?


企業価値を担保にした融資をメガバンクが活用に向け準備!

日本経済新聞によると、企業の技術力や成長性といった事業価値を担保に融資できるようになる新法が成立し、メガバンクが活用を探ろうと準備を進めているようです。

不動産、生産設備を持たないスタートアップや、後継者難で事業譲渡を検討する中小企業が資金調達しやすくなりますが、事業の成長性を見極める銀行の目利き力が重要になってきます。

先日成立した「事業性融資推進法」は、担保の登記システム更改などを経て2年半以内に施行されます。

最大のポイントは、企業の持つ事業価値全体に担保権を設定できる「企業価値担保権」を新設したことです。

一般的に銀行が企業に融資する場合、返済されないリスクに備えて担保や保証をとります。

経営者個人の資産が対象の経営者保証を利用したり、企業が持つ不動産を担保にしたりすることが多くなっています。

在庫や売掛債権など「動産担保」と呼ぶものもあります。

これらは企業が傾いたときに企業活動に欠かせないオフィスや生産設備を失いかねず、企業再生の足を引っ張る要因になっていました。

スタートアップなど新興企業は担保として差し出せる手持ちの資産が少なく、融資を受けにくい課題がありました。

企業価値を担保にできるようになれば、資産を持たなくても成長が見込める事業モデルなどに融資しやすくなるのです。

ただし、担保は本来、融資先企業が立ちゆかなくなった際に債権を保全するためのものです。

企業の業績と直接連動しない不動産や経営者自身の財産であれば、価値が大きく目減りしないのです。

一方、企業価値は事業環境が悪くなれば減少、消失するリスクがあります。

そのため債権者である銀行が、中小企業などに日頃から目を配り、事業が傾き始めたら早期に経営支援や再建に取り組む意識が高まりやすくなります。

金融庁の有識者会議の委員を務めた長島・大野・常松法律事務所の井上聡弁護士は、「銀行など担保権者も融資先を支えようとするインセンティブが生まれるという点で画期的だ」と評価しています。

みずほフィナンシャルグループは、部門ごとにどのような活用が可能かアイデア会議を開きました。

受託者が担保権の管理や保全を行う担保権信託など、類似の手法をみずほ信託銀行が手がけています。

三井住友銀行は外部講師を招き、行内で勉強会を開催しました。

実務上の論点を洗い出すなど、準備を進めます。

導入には目利き力を高められるかという課題もあります。

「うちの行員が対応できるか未知数だ。まずはメガの動きをウオッチする」と、ある地方銀行の頭取はこう話しています。

地銀の多くが融資する際に使うのは、企業の貸借対照表や損益計算書、調査会社の評価を機械処理にかけ、評点を出して債務者区分する方法です。

企業価値担保権が導入されれば、企業のノウハウや技術力、将来性など財務諸表に表れない価値を行員が評価する必要があります。

特に、将来キャッシュフローの現在価値をはかるディスカウントキャッシュフロー法(DCF法)がよく使われますが、地銀などになじみは薄いです。

「営業の現場が案件を取ってきても審査部門が対応できるのかが心配だ」(金融庁)との声も漏れているようです。

金融庁は、担保や保証に依存せず事業そのものの成長性を見極めて貸し付ける「事業性融資」を金融機関に促してきました。

初めて文言として登場したのは2014年で、今からちょうど10年前のことです。

事業者との綿密な関係性によって得た情報をもとに貸し出す、リレーションシップバンキング(リレバン)の一環として推奨してきました。

地銀もこの動きに呼応して決算説明資料などで「事業性融資」という項目を導入しましたが、実態は「ほとんどが担保融資や保証協会付き融資だ」と金融庁幹部は明かしています。

新法の制定過程で、金融庁は、定期的に地銀や信金の幹部に企業価値担保権のコンセプトや活用策についてレクチャーを重ねてきました。

金融機関、事業者それぞれに対応する支援機関を民間に設け、助成金などで支援することも視野に入れているようです。

綿密な制度設計と銀行の本気度が試されます。

企業価値を担保にした融資はできるのでしょうか?

事業性融資もほとんどできていないでしょうから。

個人的には、バリュエーション業務(株価算定業務)をやっているので、いわゆるDCF法を使って計算を行うことがあるのですが、説明しても分かる方は少ないですし、恣意性の入る余地が多分にありますので、地銀や信金は経験がないとなかなか厳しいでしょうね。

企業価値を担保にした融資をメガバンクが活用に向け準備していることについて、あなたはどう思われましたか?


商工中金が2025年4月の民営化に向け財務省が株売却へ7月に入札を開始!

共同通信によると、財務省は、先日、中小企業への融資を担う政府系金融機関の商工中金を2025年4月にも民営化する見通しだと発表しました。

政府が保有する約46.5%の商工中金株を売却するための一般競争入札を2024年7月に開始し、2025年3月末までに売却手続きを終える予定です。

株式の売却先は中小企業のほか、中小企業関連の組合や団体に制限します。

財務省は売却額の見通しを明らかにしていませんが、証券会社の店頭扱いによる売買価格から単純計算すると、1,700億円を超える可能性があります。

商工中金を巡っては、民営化に向けた改正商工中金法が2023年6月に成立し、政府が保有する全株式について、2年以内に売却するよう定めています。

個人的には、民間の金融機関と同じレベルで競争させるべきだと思っていますので、商工中金の民営化はよいことだと思います。

そのうえで、金融機関は多すぎると思いますので、(金利ではなく)サービス等で競って、淘汰されたり、統合したりしていけばよいと考えています。

商工中金が2025年4月の民営化に向け財務省が株売却へ7月に入札を開始することについて、あなたはどう思われましたか?


保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始!

法人である中小企業者が、一定の要件を満たした場合に、保証料率の上乗せを条件に保証人による保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等が創設され、2024年3月15日から取扱いを開始されました。

2022年12月23日、経済産業省は金融庁・財務省とも連携の下、①スタートアップ・創業、②民間金融機関による融資、③信用保証付融資、④中小企業のガバナンス、の4分野に重点的に取り組む「経営者保証改革プログラム」を策定しました。

同プログラムでは、「経営者保証に関するガイドライン」(以下「経営者保証ガイドライン」という。)が定める経営者保証を提供することなく資金調達を受ける場合の要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)を充たしていれば経営者保証を解除する現在の取組を徹底するとともに、経営者保証ガイドラインの要件のすべてを充足していない場合でも、経営者保証の機能を代替する手法を用いることで、経営者保証の解除を中小企業者が選択できる制度を創設することなどが明記されました。

こうした背景等を踏まえて、中小企業の4割が利用している信用保証制度において、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させ中小企業の事業の発展を後押しするため、以下の3つの制度を創設し、2024年3月15日から保証申込の受付を開始しました。

なお、本制度の利用に関しては、金融機関または最寄りの信用保証協会にお問い合わせください。

1.事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の創設について
信用保証付融資において、一定の要件を備えた中小企業者が保証料率の上乗せを条件として経営者保証を提供しないことを選択できる制度です。

本制度を様々な信用保証付融資に適用することで、経営者保証を提供することなく融資を受けることができます。

●事業者選択型経営者保証非提供制度の概要●
<要件>
次の要件のいずれにも該当すること(*)
① 過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において決算書等(*1)を申込金融機関の求めに応じて提出していること。
② 直近の決算において代表者(*2)への貸付金等(*3)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。
③ 直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと。
④ 上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。
⑤ 中小企業者が、保証料率の上乗せにより保証人の保証を提供しないことを希望していること(*4)。

(*)法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

<保証料率>
上記の③の要件の両方を満たす場合
→信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ
上記の③の要件のいずれか一方を満たす場合又は法人の設立後2事業年度の決算がない場合
→信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ
<保証人>
不要

<対象となる保証>
無担保保険(限度額8,000万円)に係る保証など。
<その他>
原則として、本制度を適用する個別の保証制度等の取扱いに準じる。
(*1) 原則、決算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰り表等も含む。
(*2) 「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。
(*3) 「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除く。
(*4) 経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度等については、本制度によらず、引き続き従前の取扱いが可能。

2.事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度(国補助制度)について
前記1.の横断的制度の活用を一気に加速していくため、当初3年間(2027年3月末まで)の時限措置として、上乗せされる保証料率の一部を国が補助する信用保証制度を創設します。
●事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度の概要●
<要件>
前記1.の事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の要件と同じ。
<保証限度額>
8,000万円
セーフティネット保証(4号・5号)の場合は、別枠で8,000万円
<保証期間>
(1)一括返済の場合:1年以内
(2)分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)
<保証料率>
前記1.の事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の保証料率と同じ。
<保証料補助>
保証申込日に応じて、次の補助率に相当する額を国が補助します。
・2024年3月15日~2025年3月31日の保証申込分
補助率 0.15%
・2025年4月1日~2026年3月31日の保証申込分
補助率 0.10%
・2026年4月1日~2027年3月31日保証申込分
補助率 0.05%
<保証人>
不要
<取扱期間>
2027年3月31日まで
3.プロパー融資借換特別保証制度について
経営者保証を求めない取組による信用収縮を防止し、民間金融機関における取組浸透を促すために、例外的に、既往のプロパー融資(*)(経営者保証あり)から信用保証付き融資(経営者保証なし)への借換を認める保証制度を時限的に創設します。
(*) 信用保証協会の保証を付さない融資のこと

●プロパー融資借換特別保証制度の概要●
<要件>
以下の全ての要件を充足する法人
① 資産超過であること
② EBITDA有利子負債倍率(*1)が15倍以内であること
③ 法人・個人の分離がなされていること
④ 申込日(*2)において返済緩和している借入金がないこと

(*1) EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
(*2) 危機関連保証又はSN保証4号(新型コロナ)の指定期間内の場合は、指定期間の始期の前日でも差し支えない。

<対象資金>
借換資金(プロパー融資のうち、経営者保証を提供している事業資金の借換えに限る。)
<保証限度額>
保証限度額:2億8,000万円(組合等4億8,000万円)
申込金融機関における保証限度額は、プロパー融資のうち、経営者保証を提供していない残高の範囲内。
<保証期間>
(1)一括返済の場合:1年以内
(2)分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)
<保証料率>
0.45%~1.90%
<保証人>
不要
<取扱期間>
2027年3月31日まで
<その他>
申込金融機関において、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
(1)経営者保証を不要とし、かつ、保全のないプロパー融資を実行すること
(2)経営者保証を提供している既往のプロパー融資(本制度による返済部分を除く。)の全部又は一部について経営者保証を解除し、かつ、解除したプロパー融資については保全がないこと

<お問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部 金融課 神崎
担当者:来島、青木、古川
電話:03-3501-1511(内線5271)
FAX:03-3501-6861

経営者保証を外す動きがどんどん加速していますね。

金融機関のスタンスは濃淡あると思いますが、思ったよりは簡単に外せるのではないかと思います。

我々公認会計士・税理士・社外CFOも腕の見せ所ですね。

保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始したことについて、あなたはどう思われましたか?


紙の手形・小切手サービスを大手銀行が廃止し発行停止も議論!

日本経済新聞によると、三井住友銀行やみずほ銀行が紙の約束手形、小切手のサービスを相次ぎ廃止するようです。

政府は2026年をめどに紙の手形・小切手の電子化を目指していますが、削減幅は2026年度の全廃に向けた全国銀行協会の当初計画の7割にとどまっています。

大手銀行が背中を押すことで、中小企業の業務負担を改善し生産性改善につなげる狙いがあるようです。

約束手形とは商取引における代金決済方法の一つで、将来の一定期日に代金を支払うことを約束した有価証券を指します。

受取人は指定された期日になったら金融機関に手形を取り立てに出し、現金に換金することができます。

手形による取引は、明治時代の手形交換所以来の商慣行です。

取引先への支払いが猶予されることから経済成長期には、手元資金に余裕のない発注企業の資金繰りに役立ってきました。

ただし、近年は入金の遅さなどの弊害が目立ってきました。

三井住友銀行が廃止するのは明細の一覧化のほか、「連続手形」と呼ぶ手形の用紙を1,000枚以上ひとまとめにして印刷したり、用紙に事前に支払い元の社名を印字しておいたりするサービスです。

廃止対象のサービスを利用する企業数は1,000社を超える規模になります。

みずほ銀行は企業がみずほ銀行に持ち込んだ取り立て手形の持ち込み日別、期日別の明細や入金予定を一覧にするサービスを2025年12月に廃止します。

三菱UFJ銀行もサービスの縮小を検討する方針です。

紙の約束手形、小切手を利用する企業にとっては手形の管理を自前でこなさなければならないなど利便性の低下につながります。

大手銀行が相次ぎ紙の手形サービスを縮小する背景には、2017年の未来投資会議で掲げた約束手形や小切手の電子化を目指す政府方針があります。

2021年の成長戦略実行計画でも5年後の手形の廃止や、小切手の全面的な電子化を目指す方針を盛りこみました。

全国銀行協会は2026年度末までに手形、小切手の交換枚数をゼロにする自主行動計画を定めました。

新規発行についてはすでに停止している銀行が多いようです。

三井住友銀行は2023年10月以降の新規の当座預金口座の開設者を対象に手形・小切手の発行を停止したほか、2027年4月以降を期日や振出日とする手形や小切手の取り立て受け付けを2023年末で止めました。

三菱UFJ銀行、みずほ銀行の両行も2023年9月に追随する方針を明かしました。

ただし、手形、小切手の利用縮小ペースは落ちてきています。

手形や小切手の電子化には支払い元、支払先が一体となった移行が必要となり、中小企業への周知は十分とはいえません。

手形や小切手での支払いの決済費用が値上げされても、なお他の決済手段に比べて高いと言い切れない事情もあります。

三井住友銀行は既存の当座預金の顧客向けに新規の発行に応じてきた手形・小切手の停止の議論を始める方針です。

三井住友銀行の手形・小切手類の利用件数は年数百万枚規模にのぼり、新規顧客向けに設けた当座預金の規定と従来の規定を統合することを検討しています。

三菱UFJ銀行とみずほ銀行も検討を進める意向を示しています。

政府は下請け企業への支払いに使う約束手形の運用をおよそ60年ぶりに改め、商品を納入し手形を発行してから決済までの期限を原則120日から60日以内に短縮する方針です。

電子化の恩恵を念頭に企業間決済の迅速化を後押しする狙いがあります。

大手銀行の新規顧客を対象にした手形、小切手の発行停止を受け、りそな銀行も2024年1月から新規顧客の発行停止に踏み切りました。

地方銀行でも群馬銀行や常陽銀行が当座預金口座の新規開設停止に踏み切るなど各行の動きが加速しています。

紙の手形がなくなっても、電子化された手形は残ります。

電子化された手形は電子記録債権と呼ばれ、全国銀行協会がやりとりを仲介する「でんさいネット」があります。

全国銀行協会は手形・小切手の電子化で年400億円近くのコスト削減効果があるとみています。

アメリカもかつては小切手主体でしたが、中小企業にも銀行振込やクレジットカードが浸透し始めているほか、中国でも手形の半分は電子化されているとされます。

労働力不足に悩む日本の中小企業にとって紙の手形の廃止は業務のデジタル化へ向けた好機になりそうです。

紙の手形や小切手は盗難や紛失のリスクもありますし、管理コストもかかりますので、早く電子化が当たり前になって欲しいですね。

紙の手形・小切手サービスを大手銀行が廃止し発行停止も議論していることについて、あなたはどう思われましたか?


世界最強のゴールドマン・サックスでも1年で撤退した日本の銀行業務の特殊さ!

Business Journalによると、アメリカのゴールドマン・サックス・グループ(GS)が日本での銀行業務から撤退するようです。

GSは2021年に日本で銀行免許を取得し、2023年4月からゴールドマン・サックス・バンクUSA東京支店を通じて主にトランザクション・バンキング業務を提供していましたが、すでに新規取引の受付を終了しています。

「世界最強の金融グループ」と呼ばれるGSは、なぜ開始から1年もたたないうちに日本での銀行業務からの撤退に追い込まれたのでしょうか?

GSは日本では、主にゴールドマン・サックス証券とゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを通じて、投資銀行事業や資産運用事業を展開しました。

国内外の株式やデリバティブ、債券・為替商品をはじめとする投資関連サービス、M&Aアドバイザリー業務、社債発行をはじめとする企業の資金調達引受業務、自己勘定投資・運用などを行っています。

なかでもM&Aアドバイザリー業務では2023年まで7年連続で世界シェア1位であり、「世界最強」と呼ばれるゆえんともなっています。

「GSの強みはM&A業務などを通じて培った世界中の大企業との取引関係にあります。

M&Aや投資、提携などあらゆる面で顧客企業に有望な相手を見つけて引き合わせる力を持っているのです。

また、世界中に拠点を持ち、あらゆる金融サービスを手掛けているため、日本の銀行や証券会社と比較して圧倒的に幅の広い内容の提案を顧客企業に行うことができます。

商品開発からトレーディング、アナリスト、資産運用、営業まで多岐にわたる領域に高度なスキルの人材を揃え、さらに全部門がグローバルな規模で密に連携して日々の業務を展開しているのもGSの強力な武器」(外資系証券会社関係者)

GSは「投資銀行」とカテゴライズされることが多いですが、日本のメガバンクや地方銀行が手掛ける個人向け預金口座の運用や企業融資業務、決済業務など、日本で一般的に「銀行業務」と呼ばれるものは行っていませんでした。

2021年には日本で銀行免許を取得し、2023年からトランザクション・バンキング業務を始めるとして銀行業務に参入しました。

トランザクション・バンキング業務とは、口座管理、資金管理、送金、支払いなどを企業などから受託するものです。

GSはグローバルでシステムを構築しており、企業は24時間365日、世界160カ国、120の通貨での送金や資金管理などが可能となります。

「銀行業務から撤退といっても、GSは個人からの預金集めや企業融資をやっていたわけではなく、国内外への送金、資金管理を企業から受託しようとしていた。

ただし、日本の大手企業はこのあたりの業務はすでにメインバンクの大手銀行などに任せており、今さら外資系に乗り換える理由は少ない。

一方のGSもそれほどこの新事業に力を入れていた様子はうかがえず、『試しに少しやってみたものの芽が出なそうだ』ということで早々に撤退したということでは」(外資系証券会社関係者)

メガバンク関係者は言っています。
「GSは法人向けの投資銀行業務やトレーディングは強いが、この分野はそのときどきの市況に左右されて業績に波が生じる。一方、競合のモルガン・スタンレーが強い富裕層向けの資産管理業務は業績の振り幅が小さく安定的に利益を生むとされる。そのためGSも近年では資金管理の分野を強めようとしており、欧米では一定の成果が出ているようだ」

GSは2019年にアメリカのユナイテッド・キャピタル・ファイナンシャル・パートナーズの買収を発表し、個人富裕層向け資産管理事業に力を入れていましたが、当初見込んでいた成果を出せずに2023年に同事業を売却しています。

「日本に限っていえば、企業とメインバンクの関係は強固であり、それまでメインバンクにお願いしていた業務を簡単に『こっちのほうが便利なので外資に切り替えますね』とはならないし、事業会社にとって送金や決済は本業ではなく事務処理の一部なので、従来通りメインバンクに丸投げしたほうがラクという面もあるだろう。

こうした日本の特殊事情もGSの新規参入をはばんだのかもしれない」(メガバンク関係者)

世界的に強い企業でも、日本の商慣習などに勝てないということなんでしょうね。

日本でも、金融機関が多すぎると言われて久しいので、あまりおいしい業務ではないように思いますが。

一方、資産管理業務は、個人的には、ニーズはそれなりにあるのではないかと思っています。

世界最強のゴールドマン・サックスでも1年で撤退した日本の銀行業務の特殊さについて、あなたはどう思われましたか?


トモニHD社長は「公募増資で貸し出しニーズ応える」!

2024年03月12日(火)

日本経済新聞によると、徳島大正銀行と香川銀行を傘下に持つトモニホールディングス(HD)は、2023年末に公募増資などを通じて112億円を調達しました。

全国の地銀で公募増資を実施したのは5年ぶりとみられます。

その狙いや経営環境、事業の見通しなどについて中村武社長に聞いています。

――全般的な経営環境をどう見ていますか?
「最大の注目点はモノの価格が上がり、賃金が上がり、そして『金利のある世界』がまもなくやって来そうだということ。国内では20年、30年ぶりの出来事だ。金利が上がれば、金融機関にとっては貸出金利息の増加というプラス面と、与信コストの増加というマイナス面の綱引きが起こるだろう」

――足元の経営状況はどうですか?
「2023年4〜12月期の業績は、経常利益が同時期では過去最高だ。中身を見ても本業の利益が伸び、役務収益など非金利収入でも稼げるようになっている。経費節減の成果も出ている。貸し出し面では取引先のニーズに応え、役務取引でもビジネスコンサルティングやサステナビリティー(持続可能性)の分野で利益が出ている」

――2023年末に公募増資を実施した背景は?
「当社の自己資本比率はこれまで8%台で、全地銀の中でも下から数えた方が早かった。経営上の最大の弱点といえた。地域の中小企業向けの貸し出しが多く、リスクを取りながら事業を進めてきたのが大きい。利益の積み上げで9%台を目指したが、貸し出しで分母となるリスク資産が増え、思うように行かなかった」
「これからの経営環境を考えたとき、取引先の融資ニーズに積極的に応えるためにも財務基盤の強化は不可欠だ。貸し出しがあるからこそ取引先のニーズがわかり、コンサルティングにもつながる。今回の増資で自己資本比率は9%を超えた」

――公募増資を公表後、株式希薄化の懸念から株価は2割程度下がりました。
「株式市場が厳しい反応を示したことは真摯に受け止める。だが、より大事なのは、この資本を使って我々がどういうビジネスを展開するかをきちんと説明し、実際の利益につなげることだ。金融機関で低位のPBR(株価純資産倍率)を含め、中長期的に考えていきたい」

――新たな経営計画が走り始めて1年、進捗をどう捉えていますか?
「順調とみる。例えば法人コンサルティングの売り上げは2024年3月期の上半期だけで、2023年3月期の7割の水準に達した。今回の増資で財務基盤が整ったこともあり、施策をさらに加速していく」

――エリア戦略についてはどう考えていますか?
「地元の徳島・香川については、持続可能な地域経済にいかに貢献するかを重視している。一方、東京の経済規模は両県の16倍。新店舗は東京が中心になるだろう。香川・徳島の取引先と東京・大阪のビジネスをつなぎながら、皆で成長を目指したい。貸し出しは東京の伸びが大きくなるが、地元軽視ではない」

(聞き手は日本経済新聞社鈴木泰介氏)

新型コロナウイルス禍の影響が薄れる一方、ゼロゼロ(実質無利子・無担保)融資の返済や物価高など四国企業を取り巻く状況は厳しいです。

財務基盤を強化したトモニHDが、こうした地元企業の課題にどう対処するかに注目が集まります。
一方で、公募増資は株価の下落という副作用をもたらしました。

同社のPBRは0.3倍前後で、解散価値とされる1倍を大きく下回ります。

地域経済への貢献と自社の利益拡大を両立する展望を描けるか、日銀出身の中村社長の手腕の見せどころです。

個人的には、公募増資で株価が下がっていたので、PBRが異常に低いのは気にはなりますが、株を買ってみました。

社長が日銀出身ということは知りませんでしたが、どうなっていくか楽しみですね。

知名度のない東京の融資を増やすというのがよく分かりませんが、地域に貢献する銀行であってほしいと思います。

トモニHD社長は「公募増資で貸し出しニーズ応える」について、あなたはどう思われましたか?


2023年の香川県のメインバンクシェアは1位は百十四銀行、2位は香川銀行、3位は高松信用金庫!

OHKによると、民間の信用調査会社、帝国データバンク高松支店は2023年の香川県内にある企業のメインバンクのシェアランキングを発表しました。

1位は高松市の百十四銀行でした。

9位までは前年と順位は変わっていません。

上位20の金融機関のうちメインの社数が前年に比べて10社以上増えたのは、百十四銀行と観音寺信用金庫の2つの金融機関のみでした。

また、全国のメインバンク社数ランキングでは百十四銀行が前の年と順位は変わらず39位(8,556社)でした。

香川以外の四国3県にある地方銀行では、愛媛県の伊予銀行が22位(13,201社)、徳島県の阿波銀行が51位(7,328社)、高知県の四国銀行が57位(6,808社)でした。

20位までは下記のとおりです。

順位 金融機関名 社数 シェア 前年比 前年順位
1位 百十四銀行(高松市) 6,968 45.78% ▲ 0.44 1位
2位 香川銀行(高松市) 2,658 17.47% ▲ 0.42 2位
3位 高松信用金庫 1,314 8.63% ▲ 0.26 3位
4位 中国銀行(岡山) 1,175 7.72% ▲ 0.30 4位
5位 観音寺信用金庫 617 4.05% +0.06 5位
6位 四国銀行(高知) 386 2.54% ▲ 0.06 6位
7位 香川県農協 306 2.01% ▲ 0.10 7位
8位 伊予銀行(愛媛) 278 1.83% ▲ 0.05 8位
9位 香川県信組 164 1.08% +0.03 9位
10位 愛媛銀行(愛媛) 87 0.57% +0.01 12位
11位 三菱UFJ銀行 86 0.57% ▲ 0.03 10位
12位 阿波銀行(徳島) 83 0.55% ▲ 0.02 11位
13位 三井住友銀行 64 0.42% ±0.00 13位
14位 徳島大正銀行(徳島) 53 0.35% ▲ 0.02 15位
15位 西日本信漁連 52 0.34% ▲ 0.01 16位
15位 みずほ銀行 52 0.34% ▲ 0.04 14位
17位 ゆうちょ銀行 32 0.21% ▲ 0.01 17位
18位 商工中金 27 0.18% ▲ 0.02 18位
19位 高知銀行 (高知) 13 0.09% ±0.00 19位
20位 香川県信連 7 0.05% ±0.00 20位
20位 楽天銀行 7 0.05% +0.01 21位

【調査について】
・1企業に複数のメインがあるケースでは、各企業が最上位と認識している金融機関をメインバンクとして集計しています。
・帝国データバンクの企業概要データベースを基に分析しています。

個人的には、楽天銀行がメインバンクのところがそれなりにあるのが驚きでした。

あとは、都銀がメインバンクのところは少ない(メインバンクにする必要がない?)なぁと思いました。

いずれにしても、最後まで責任をもって助けてくれるところをメインバンクとしないといけないですね。

2023年の香川県のメインバンクシェアは1位は百十四銀行、2位は香川銀行、3位は高松信用金庫だったことについて、あなたはどう思われましたか?


経済産業省が経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行います!

経済産業省が、経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行います。

経済産業省は、2023年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき、以下2点の新たな資金繰り支援を行います。
●保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設するとともに、制度の活用促進のため、3年間の時限的な保証料負担軽減策を実施

●日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンについて、黒字額が小さい事業者の金利負担軽減措置を講じる

<1.新たな信用保証制度を創設>
中小企業の4割が利用している信用保証制度で、依然として信用保証付融資の7割で経営者保証を徴求している現状を変えるため、保証料を上乗せすることで、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設することに加え、3年間の時限的な保証料負担軽減策を行います。

●保証料率の上乗せという経営者保証の機能を代替する手法を活用することから、経営者保証ガイドラインの3要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)よりも緩和した要件を設定。

●新制度の活用を促すため、新制度における「上乗せ保証料」について、3年の時限措置として軽減(2025年3月末までの保証申込分は0.15%、2025年4月から2026年3月までの保証申込分は0.10%、2026年4月から2027年3月までの保証申込分は0.05%に相当する保証料を国が補助)。

【対象要件 (一定の経営規律等、経済産業省令に規定)】

次の要件のいずれにも該当すること(※)

①過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において貸借対照表、損益計算書等その他財産、損益又は資金繰りの状況を示す書類(※1)を当該金融機関の求めに応じて提出していること。

②直近の決算書において代表者への貸付金等(※2・3)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。

③直近の決算において債務超過ではない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと。

④上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。

⑤中小企業者が保証人の保証を提供しないことを希望していること(※4)。

(※)法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

【保証料率】

●通常の保証料率に、上記③の要件を両方とも満たしている場合は0.25%、どちらか一方のみを満たしている場合は0.45%の上乗せを行う(2期分の決算書がない場合は0.45%の上乗せ)。

●事業者負担軽減のため、時限措置として、上乗せした保証料の一部について軽減措置を実施。

(※1)原則、貸借対照表及び損益計算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰り表等も含む。

(※2)「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。

(※3)「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除く。

(※4)経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度等については、本制度によらず、引き続き従前の取扱いを可能とする。

本制度については、2024年3月15日より申込受付を開始し、それに先立ち2024年2月16日より、要件確認などの事前審査も開始します。

<2.日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンの金利運用見直し>
コロナ資本性劣後ローンの黒字金利は、直近決算の黒字額から負担することになりますが、黒字額が小さい場合、金利負担により実態上赤字に転落する場合があります。

そのため、直近決算で黒字の事業者が翌年度に黒字金利を支払った場合に、直近決算において事実上の赤字に陥る場合には、直近決算期後1年間については赤字金利(0.5%)を適用するという運用見直しを2024年2月16日より行います。

最近、地銀の方何名かに聞いたところ、経営者保証を取らないようになっているとは言っていますが、一方で、貸さないところも出てくるでしょうから、保証料を上乗せするというのはニーズがあるでしょうね。

ただし、保証付の融資よりプロパー融資の方が借りやすくなるほど、保証協会が厳しくなっているとも耳にしますが。

経済産業省が経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行うことについて、あなたはどう思われましたか?


非上場株投信が日本でも可能に!

日本経済新聞によると、誰でも買える公募投資信託に非上場株を組み込めるようになるようです。

これまでは時価を算出しにくいため制限されてきましたが、ベンチャーキャピタル(VC)などが使う国際基準を使って公正に評価できるようにします。

身近な投信で投資できるようになれば個人の選択肢が広がり、上場予備軍の新興企業も大規模な資金調達が可能になります。

金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)の方針を受け、運用業界の自主規制団体である投資信託協会が2024年2月15日に自主ルールを改正しました。

非上場株の組み入れの上限は、米国の制度を参考に、純資産総額の15%までです。

個人にとっては新規株式公開(IPO)前の成長段階で投資機会を得ることにつながります。

新たなしくみで、野村アセットマネジメントや三井住友DSアセットマネジメント、フィデリティ投信などが非上場株を組み入れた投信づくりを検討します。

株価指数に連動したパッシブ運用にとどまらない運用商品の多様化につながる可能性があります。

非上場株の投信への組み入れは法令で禁じられているわけではありません。

ただし、日本の公募投信は時価評価の規則が厳しく、発表頻度が少ない気配相場による算定を求めてきました。

このため、非上場株を投資対象にすることは事実上、できませんでした。

投資信託協会は非上場株を「公正価値」で評価するようにルールに明記しました。

公正価値評価は国際会計基準(IFRS)や米国会計基準が求める時価の算定手法で、純資産や割引キャッシュフロー、類似企業との比較などで価値を測定します。

欧米のVCはスタートアップに投資する上で公正価値を出しており、日本のVCにも広がってきています。

非上場株の解禁に伴い投資家保護の新たなルールも導入しました。

投信の販売会社に対して顧客に渡す目論見書で非上場株の流動性の低さなどリスクの説明を求めます。

運用会社には非上場株の発行企業の経営の健全性を確保し、財務諸表を基に企業の継続に重要な疑義を抱かせる内容がないか継続的な審査を義務づけます。

アメリカでは非上場株を組み入れた投信が普及しています。

アメリカの資産運用大手フィデリティ・インベスメンツやアメリカのティー・ロウ・プライスは2019年に上場した配車アプリ大手のアメリカのウーバー・テクノロジーズの株を非上場の段階から投信に組み入れていました。

ティー・ロウは上場前のアメリカのX(旧ツイッター)株も投信に組み入れており、プロの運用担当者が投資銘柄を選ぶアクティブ運用投信の好成績を支える一因になりました。

すでに、イギリスのフィデリティ・インターナショナルが運用するイギリス籍の投信において一部、日本の非上場株を組み入れており、その一つが18年に上場したネット印刷仲介サービスのラクスルでした。

運用会社が新たに日本籍の投信を設定する際も、投資対象はIPOが近い「レイター」段階が中心になる見通しです。

アメリカのCBインサイツによると、アメリカで企業価値が10億ドル(約1,500億円)以上の非上場企業を指す「ユニコーン」は、2023年10月19日時点で約650社あり世界で最も多い一方、日本は7社にとどまります。

小粒なまま上場して機関投資家に相手にされず、市場から資金調達できない悪循環に陥っていました。

非上場株を組み入れた投信を運営する上で、非上場株の売買を仲介する流通市場の整備が必要となります。

多くの投資家が売買に参加する公開市場と異なり、簡単には売却できない分、リスクは高いとされます。

非上場株の組み入れは純資産総額の最大15%で、残りは上場株が中心になります。

解約が相次げば非上場株の比率が15%を超える可能性があります。

例えば、非上場株のIPO時に既存株主が売却できない「ロックアップ期間」は換金を認めないなどの工夫が必要になるでしょう。

日本は1997年に未公開株を売買するグリーンシート市場を開設し、15%を上限に非上場株や私募債などの組み入れを認めていました。

ただし、2000年に流動性の低い不動産を追加する際にこの規定を撤回したことで、運用期限がなく毎月購入や解約ができる投信に非上場株を組み込む動きが広がりませんでした。

2.000兆円の家計金融資産をプロの目利きで非上場株に供給すれば、スタートアップが上場する前の段階でも大規模な資金調達をして企業価値を高めやすくなります。

個人マネーを活用して企業の成長力を高める「資産運用立国」の実現をめざします。

会社の資金調達方法が増えることはいいことですね。

そして、もっと非上場株式への投資が世間に認識されればいいなぁと思います。

こういったことがきっかけで、日本でもユニコーンがたくさん出てきて欲しいですね。

非上場株投信が日本でも可能になることについて、あなたはどう思われましたか?


地銀融資は「無保証」が過半で事業承継・起業に追い風!

日本経済新聞によると、地方銀行で経営者に個人的な債務保証を求めない無保証融資が急増しているようです。

金融庁によると、2023年4~9月の地銀99行の新規融資に占める無保証融資割合が、半年前(2022年10月~2023年3月)より14ポイント高い54%となりました。

メガバンクなど大手行9行は4ポイント高い76.5%でした。

2023年4月の金融庁の監督指針改正をきっかけに、個人保証に頼った融資慣行が大きく変わりつつあるようです。

経営者保証は、会社が返済不能になった場合に経営者個人が私財を差し出して借金を返済する契約のことです。

経営者の心理的なハードルが高く、事業承継や起業の妨げになっているとの指摘があります。

金融庁の調査によると、2023年4~9月は99地銀のうち96地銀で無保証融資の割合が半年前より上昇しました。

無保証融資比率の伸びが最も大きかったのが福井県が地盤の福邦銀行で、25%から74%へ49ポイント上昇しました。

次いで京都銀行が39ポイント、琉球銀行が38ポイント、長野県が地盤の八十二銀行が37ポイント、横浜銀行が35ポイント上昇しました。

福邦銀行は昨春から、経営者保証を求める案件を本部に申請し、申請後も必要かどうか一件一件精査するプロセスに変えました。

従来は、経営者保証を求めない場合に本部に申請をしていました。

担当者は「保証を求めない融資を進めるには従来以上に企業としっかりと向き合うことが必要。企業との関係性で良い効果が出てきている」と話しています。

京都銀行は「原則代表権を有する経営者1人を徴求する」としていた保証の取り扱いを「原則無保証にする」に変更しました。

支店長の権限で無保証融資を決裁できるようにしたのも伸びの要因です。

現場経験が浅い行員でも一定のレベルで企業に説明できるように、説明の助けとなる動画も作成しました。

新規融資に占める無保証融資比率は、東京スター銀行の96%が最も高くなっています。

次いで、地銀単独の融資(プロパー融資)で経営者保証を廃止した北国銀行が87%です。

あとは、中小企業向け融資を専門とする東日本銀行が81%と高くなっています。

地銀で無保証融資比率が軒並み上昇したのは、2023年4月の金融庁の監督指針改正で経営者保証を求める手続きが厳格になったことがあります。

経営者保証を求める場合は、保証契約の必要性などを企業に具体的に説明することを義務付けました。

説明した件数は金融庁にも報告が必要となり、安易に経営者保証を付ける慣行を是正する狙いです。

金融庁が経営者保証を付ける慣行の見直しを促すのは、事業承継や起業などによる経済の新陳代謝を促すためです。

経営者保証は経営の規律につながる一方、事業に失敗すると経営者は自宅不動産や私財を失い、生活や再挑戦が難しくなります。

それゆえ、事業承継などに二の足を踏む要因といわれてきました。

経営者保証が外れても、貸出金利などの貸し出し条件には「直接的な影響は及んでいない」(金融庁)との指摘があります。

もともと銀行が経営者保証を求めるのは、全国銀行協会などのガイドラインで示される法人と個人の分離などの要件を満たしていない場合に限られるはずでした。

ところが、要件を満たしていても「慣習で当たり前のように(経営者保証を)付けていた」(関東地区地銀)ケースが多かったようです。

こうした保証を外したからといって、金利引き上げは求めにくいようです。

今後の課題は、比較的リスクの高い先が対象となる信用保証付き融資での経営者保証の取り扱いです。

中小企業の4割が使う信用保証制度では、融資の7割で経営者保証が使われています。

銀行が信用保証付き融資を利用する場合に経営者保証を求めるかどうかは、あらかじめ信用保証協会が銀行に示している基準がベースで、付けざるを得ない面があります。

経済産業省は、中小企業などが経営者保証なしでも融資を受けられる信用保証制度を創設します。

3月から受け付けを開始し、通常よりも高い保証料を支払うことで経営者保証が不要になります。

制度開始から3年間は国の補助で保証料上乗せ分の負担を軽減する方針で、利用が進むかが焦点となります。

経営者保証がなくなるのは、借りる方からすれば良いことですね。

少し前に、とあるところで借入金の執筆の中で経営者保証は取らないようになってくるということを書いたのですが、僕が想像した以上に、経営者保証を取らない融資が増えていますね。

金融機関側からすれば、色々と思うところはあるようですが(笑)。

地銀融資は「無保証」が過半で事業承継・起業に追い風が吹いていることについて、あなたはどう思われましたか?


銀行界が新型融資の活用を拡大して新興企業の資金調達を支援!

時事ドットコムによると、銀行が、創業間もないスタートアップ(新興企業)の資金調達支援に乗り出しているようです。

新株予約権と融資などを組み合わせた「ベンチャーデット」と呼ばれる手法を活用しています。

ベンチャーキャピタル(VC)による出資に依存してきた新興企業の資金調達手段の多様化が期待されています。

ベンチャーデットは、銀行が企業から新株予約権を取得し、それを担保代わりに融資する手法です。

銀行側は株式の価値が高まるのを待って権利行使するケースが多く、VCへの新株発行よりも株式の価値の希薄化を避けられるほか、土地や建物など資産がなくても、多額の融資を受けやすい利点があります。

銀行側も、新興企業が株式を上場すれば、取得した株式を売却しリターンを得られます。

ベンチャーデットは、2023年に入ってみずほフィナンシャルグループや三井住友銀行、りそな銀行などの大手が本格参入しました。

静岡銀行など地域金融機関も強化し始めています。

早稲田大学の入山章栄教授は「経済の疲弊が進む地方では新産業創出が不可欠。地銀には力を入れてほしい」と期待しています。
2008年度に取り組みを始めた日本政策金融公庫の2022年度の融資実績は75億円と前年度の2倍に拡大しました。

創業間もない企業の審査は難しく、最近は金融機関からノウハウについての問い合わせが増加しています。

日本政策金融公庫の荻布靖新事業・スタートアップ支援総括課長は「競争優位性や販売体制など黒字化の道筋について丁寧で細かな分析が大事だ」と話していますす。
日本政策金融公庫などから融資を受けたIT企業、スカイディスク(福岡県福岡市)の内村安里最高経営責任者(CEO)は「資本政策的にも、株式の割合を抑えて大口資金を調達できるのが魅力」と語っています。

三菱総合研究所によると、ベンチャーデットの規模はアメリカで年間2兆円超(2020年時点)ですが、日本は推計で100億円程度にとどまっています。

全国各地で起業家育成事業を行うガイアックスの上田祐司社長は「これまで銀行が参入しないのに違和感があった」と語り、銀行による積極的な取り組みを求めました。

色々な資金調達方法が出てくるのは、良いことですね。

金融機関も投資信託やイデコなどの手数料で稼ぐのではなく、融資を受ける側の立場に立った独自のサービスで競って、稼いでほしいですね。

銀行界が新型融資の活用を拡大して新興企業の資金調達を支援し始めたことについて、あなたはどう思われましたか?


「経営者保証なし」が急増し新規融資の47%に!

日本経済新聞によると、金融庁は、先日、万が一の場合に経営者個人が私財を差し出して借金を返済する「経営者保証」に関する融資の実態調査の結果を公表しました。

2023年4〜9月の民間金融機関の新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合は、2022年度に比べ13ポイント上昇し、47%となりました。

金融庁がメガバンクや地方銀行、信用金庫など計533機関の実態を調査しました。

2020年度から約3%ずつしか上昇していませんでしたが、金融庁が2023年4月に監督指針を改正したのを機に、比率が急上昇しました。

経営者保証に依存しない融資のうち、2023年4〜9月に新規に無保証で融資した件数は57万4,100件と、前年同期比で41%増加しました。

経営者保証を代替するコベナンツなどを活用した融資の件数は5.3倍に増えました。

既存融資で経営者保証を解除した件数も80%程度増加しました。

金融庁によると、業態別ではメガバンクなどの主要行が61%、地銀が55%、信金が37%、信組が22%と、すべての業態で22年度と比較して改善しているそうです。

個別の銀行の実態は、2024年1月末にも公表されます。

金融庁は2023年4月に金融機関向けの監督指針を改正し、経営者保証を求める場合は保証契約の必要性などを企業に具体的に説明することを義務付けました。

経営者保証を求める手続きを厳格にすることで、安易に経営者保証をつける融資を抑制する目的でした。

経営者保証は経営の規律づけに寄与する一方で、思い切った事業転換や再挑戦の妨げとなっていると指摘されてきました。

起業や事業承継をためらう一因にもなっているとされます。

2022年12月には経済産業省、金融庁、財務省が「経営者保証改革プログラム」を策定し、金融機関に対して安易に経営者保証をつける慣行の改善を要請していました。

経営者保証なしの方向性は良いことだと思います。

個人的には、思ったより、経営者保証なしの割合が高かったなぁと感じています。

まぁ、金融機関も融資できる先を探しているような状況だと思いますので、どこかの金融機関が経営者保証なしで来ると、ほかの金融機関も横並びで来ると思いますので、ますます加速していくでしょうね。

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弥生の顧客にGMOあおぞら銀行がAI融資を導入!

日本経済新聞によると、インターネット専業のGMOあおぞらネット銀行は、人工知能(AI)を活用して最短即日で審査結果を通知する融資サービスを始めます。

弥生(東京都千代田区)の会計ソフトを利用する企業が対象で、財務諸表ではなく会計データを分析して与信判断します。

融資上限は3,000万円と従来よりも上がり、規模の大きい企業に取引を広げることを狙っているようです。

弥生の子会社、アルトア(東京都千代田区)が手掛けるAIを使った会計データ分析システムを利用します。

1年以上の会計データがあることが条件で、利用する会計データには取引の日付や売掛金・買掛金などの勘定科目、金額などが含まれます。

時系列での資産の推移やキャッシュフローなどを分析しやすくなります。

融資額は100万円〜3,000万円の範囲で、金利は0.5〜8.5%の固定金利です。

返済期間は最長3年です。

オンラインで申し込み、最短即日で審査が終わります。

財務諸表を使わないAI融資は住信SBIネット銀行なども運転資金を対象に手掛けていますが、GMOあおぞらの融資は運転資金にも設備資金にも使えることが特徴です。

GMOあおぞらはこれまで最大1,500万円の融資枠型のローンを手掛けていました。

創業間もないスタートアップが主な対象でしたが、融資額が小さく企業が成長すると対応できない場合もあったようです。

AI融資で売上高が数億円程度の企業まで対応できるようになります。

僕自身、弥生PAPのゴールド会員なので、こういう融資の形があることは、ありがたいですね。

返済期間が最長3年で、設備資金として借りる人がいるかどうかは疑問ですが。

結局は、返済ができれば良いと思いますので、事業計画を作ったり、色々な書類を出したりする手間が省けますから。

弥生の顧客にGMOあおぞら銀行がAI融資を導入することについて、あなたはどう思われましたか?


政府系コロナ融資の不良債権は6%の8,700億円!

日本経済新聞によると、政府系金融機関が中小企業に行った新型コロナウイルス対策融資で不良債権が拡大しているようです。

実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの不良債権が2022年度末に約8,700億円と全体の6%になったことが会計検査院の調べで分かりました。

回収不能額は既に697億円に上ります。

民間の融資分も含めれば不良債権は2兆円を超す可能性があり、スピード優先の副作用が出ています。

会計検査院は、先日、官庁や政府出資法人を調べた2022年度決算検査報告を岸田文雄首相に提出しました。

検査で税金の無駄遣いを指摘したり改善を求めたりしたのは344件、総額約580億円でした。

併せて日本政策金融公庫と商工組合中央金庫によるコロナ対策融資の検査結果を示しました。

同貸付は国が財政援助しており、焦げ付きは国民負担になる恐れがあります。

会計検査院は債務者の状況把握を適切に実施するよう求めました。

ゼロゼロ融資は、コロナ禍で需要が蒸発した中小企業の資金繰りを支えるため2020年3月に公庫や商工中金など政府系金融機関で取り扱いを始めました。

融資要請が殺到し2020年5月から民間金融機関でも受け付けるようになりました。

合計の利用件数は2022年9月末時点で約245万件、実行額は約43兆円にのぼります。

民間分も同様の傾向ならゼロゼロ融資全体の不良債権は単純計算で2兆円超になる可能性があります。

公庫と商工中金の2022年度末までの貸付実績は19兆4,365億円で5兆582億円が返済され、残高は14兆3,085億円でした。

回収不能額を減損処理する「償却」は697億円ありました。

「正常債権」は13兆5,064億円でした。

回収不能の恐れがある「リスク管理債権」が8,785億円、公庫が回収不能の可能性が高いとして償却した「部分直接償却」が1,246億円ありました。

リスク管理債権の額は2020年度末の3倍強になりました。

8,785億円の内訳は、返済が3か月以上遅延したなどの「要管理債権」が4,929億円、経営・財務が非常に悪化した「危険債権」が3,731億円でした。

経営破綻先の「破産更生債権」などが124億円でした。

ゼロゼロ融資はコロナ禍で中小企業の資金繰りを支え、倒産や失業者の急増に伴う社会不安の抑制に効果を発揮しました。

半面、大手銀幹部が「非常事態でほぼ目をつむって貸していた」と話す通り、スピードを重視した結果、すでに経営が行き詰まっていた企業を延命させたり審査が甘くなったりする副作用を生んだのです。

金融庁によると、銀行や信金など民間金融機関の融資に占める不良債権比率は2022年3月末時点で1.6%です。

民間を補完する役割の政府系金融機関の不良債権比率はおのずと高くなりがちです。

ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は増えています。

東京商工リサーチによると2020年7月から2023年9月までの累計の倒産(負債額1,000万円以上)件数は1,077件でした。

2023年4〜9月は333件で前年同期比44%増えました。

2023年5月から5か月連続で50件を超えるなどペースは速まっています。

旅館業を営んでいた猪の倉(三重県津市)は2023年9月、津地裁から破産手続きの開始決定を受けました。

コロナ禍の行動制限で来客数が大幅に落ち込み資金繰りが悪化しました。

ゼロゼロ融資を受けて事業継続を目指したものの、過去の設備投資による負担もかさみ、再建を断念しました。

背景にあるのがゼロゼロ融資の返済本格化です。

元本の返済猶予期間が終わる企業が続出し2023年7月には約5万社で返済が始まりました。

物価高や人手不足が経営の重荷になる中、ゼロゼロ融資の返済が重なって資金繰りに窮する企業が増えているのです。

帝国データバンクによると、実質破綻状態でありながら事業を続ける「ゾンビ企業」は2021年度末で約18.8万社と、コロナ禍前の2019年度から約3割増えました。

金融機関の融資姿勢にも問題はありました。

ゼロゼロ融資は自治体が最初の3年間は利子を企業に代わって払うのに加え、返済が焦げ付いても信用保証協会が肩代わりします。

金融機関はほぼリスクを負わずに貸し出しを伸ばすことができるため、地銀や信金は競い合うように利用を促したのです。

未曽有の危機に直面して審査が甘くなったのは海外も同じです。

アメリカでは2020年春に担保不要で保証料なしの「給与保護プログラム」など中小企業向けの緊急支援を実施しました。

アメリカ中小企業庁が2023年6月に公表した報告書によると、1.2兆ドル(約180兆円)の緊急支援のうち360億ドル分で不正が見つかったのです。

不正の9割弱はプログラム開始から当初9か月間で発生しました。

経済活動が急停止する未曽有のコロナ禍で、経済の底割れを防ぐためにゼロゼロ融資などの資金繰り支援は必須でした。

ただし、いつまでも延命的な支援は続けられません。

M&A(合併・買収)や事業譲渡で雇用を確保するなどして、再生の見込みがある企業に支援を集めるといった政策が求められます。

少し前から予想されていたことではありますが、表面化してきましたね。

今後、国がどうするのか分かりませんが、個人的には、追加の支援をしても延命するだけであり、根本的な解決につながらないと推測されるため、もう支援はいらないのではないかと思います。

当然、経営者や個人事業主が再起できるような手当は考える必要はあると思いますが。

金融機関が安易に融資して、国民が負担するというのもどうなんでしょうね。

政府系コロナ融資の不良債権は6%の8,700億円であることについて、あなたはどう思われましたか?


コロナ禍の迅速融資の副作用でコンプラ違反倒産が最多!

日本経済新聞によると、粉飾決算などコンプライアンス(法令順守)違反が発覚し、借り換え融資などを受けられずに倒産する企業が増えているようです。
民間調査会社によると、コンプラ違反関連の倒産は2023年1〜8月で228件と前年同期比39%増え、同期間で過去最多でした。
新型コロナウイルス禍の融資で金融機関が審査の質よりスピードを優先させた「副作用」が出ているとみられます。

帝国データバンクによると、要因別では粉飾決算、違法な営業活動などによる業法違反がそれぞれ50件で最多となっています。
補助金などの不正受給(19件)、私的流用による資金流出や横領などの不正(18件)が続きました。粉飾が発覚した業種では、卸売業が全体の30%を占め最多でした。
架空取引のほか、資金調達を目的にした取引の実態を伴わない不正な手形を使ったケースが多くなっています。

背景には実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化があります。
2023年7月から2024年4月にかけて返済ピークを迎えるなか、「ゼロゼロ融資の返済開始後に資金を手当てできず、借り換えや追加融資を金融機関に求めた際に不正が発覚したケースが目立つ」(帝国データの内藤修・情報統括部課長)ようです。

産業用機械のトガシ技研(山形県鶴岡市)は2023年2月、民事再生法の適用を申請しました。
帝国データによると、2022年7月、架空取引による粉飾が発覚し債務超過に転落しました。
固定費削減などに取り組んできましたが、自力での再建を断念しました。

コロナ禍での資金繰り支援は融資実行のスピードが重視され、本来は審査で問題が疑われるような企業にも資金が回り、結果としてコンプラ違反企業の延命につながっていた可能性があります。
2020年3月に始まったゼロゼロ融資は2022年9月末時点で約245万件、実行額は約43兆円まで膨れ上がったのです。

ある都内の信用金庫関係者は「審査が緩んだ面は否めない」と振り返っています。
ゼロゼロ融資は各都道府県が最初の3年間は利子を企業に代わって払うのに加え、返済が焦げ付いても信用保証協会が肩代わりするのです。
金融機関の負うリスクは小さく、むしろ低金利にあえぐ信金や地銀は競い合うように貸し出しを積極化しました。

実際、コンプラ違反は融資を受ける企業だけでなく、貸し手側にもありました。
中日信用金庫(名古屋市)はゼロゼロ融資を実行しやすくするために取引先の業績を改ざんしていたことが発覚し、2022年9月に東海財務局から業務改善命令を受けました。
その後、中日信金は経営責任を明確にするため当時の理事長が辞任しました。

コンプラ違反企業の倒産が増えている状況について、東洋大学の野崎浩成教授は「銀行の審査機能、情報をきちんと分析する能力が十分に発揮されないまま、ある意味で銀行のモラルハザード、借り手のモラルハザード、両方が原因で増えた」と指摘しています。

コロナ禍の資金繰り支援は倒産抑制に寄与した半面、本来なら淘汰されるべき企業の延命にもつながりました(いわゆるゾンビ企業)。
日本も金利のある世界になれば、利払い負担が重くなり、こうした「ゾンビ企業」の淘汰は一段と加速する可能性があります。

「今後、金融機関は事業の成長を見極める事業性評価をきちんと実施していくことが重要だ。事業性に問題があれば、廃業や他社によるM&A(合併・買収)を含めた方向性を示していく必要がある」(東洋大の野崎氏)としています。

平時ではない有事の際には、細かいことよりスピードが重視されるのは当然か思いますが、平時の時から、金融機関はもっと事業の成長を見極める眼を養っておく必要があると思いますし、補助金などではないので返済しないといけないなど、借り入れに関す知識を持っておかないといけないと思いますし、財務の状況を把握しておかないといけないのではないかと改めて感じた記事でした。

コロナ禍の迅速融資の副作用でコンプラ違反倒産が最多となったことについて、あなたはどう思われましたか?


りそな銀行が金利6%でも需要見込みベンチャー融資に100億円!

日経ビジネスによると、スタートアップ向け融資に大手銀行が本腰を入れ始めたようです。
今秋には、りそな銀行がまず首都圏と関西の一部店舗での融資を開始し、合計100億円規模を貸し出す想定のようです。
りそなはこれまで銀行が避けてきた、貸し倒れリスクの高い「アーリー期」も融資対象とする異例の戦略をとります。

りそな銀行は2023年10月内をメドに、スタートアップ向けの融資を本格化します。
これまでも資金ニーズに応じて貸し出してはいましたが、まだ事業基盤の薄い企業のリスクと成長性をどう見極めるか、支店ごとに判断が難しい面もあります。
今後はまず関東と関西の一部店舗で、業界内で「ベンチャーデット」と呼ばれる手法を広めます。
1件当たり1億円前後を想定しており、第一段階として合計100億円規模を貸し出す方針です。

新株予約権を組み合わせた融資で、起業家や既存の投資家に配慮しながら、長期的な関係構築を狙います。
企業ごとの事情にもよりけりですが、金利は概ね年3~6%を想定しています。
既存の中小企業向け融資より高水準ではあるものの、「運転資金や人材獲得費用など幅広い資金ニーズを想定している」そうです(ベンチャー支援グループの小川悠介グループリーダー)。

りそなホールディングス(HD)の南昌宏社長は2023年5月の決算会見で、「(りそな自身の)資本面の蓄積が進み、本格的に活用するフェーズになってきた」と語っています。
りそな銀行は今から20年前の2003年に資本不足が表面化し公的資金を受け入れましたが、経営再建を進めこれを完済しました。
自己資本比率は2023年6月末時点で12.61%(国内基準)と、健全な水準を維持しています。
一般的な企業に比べるとリスクの高いスタートアップにも、融資を広げられる余裕が出てきたのです。

政府が「スタートアップ5カ年計画」を実行中という追い風もあり、新興企業の資金調達をどう支えるかが重要なテーマです。
三菱UFJ銀行のようなメガバンクから比較的大手の地方金融機関まで、この分野への融資拡大を進め始めました。
そうした新たな取引先がいずれ各地の有力企業や中堅・大企業に成長すれば、継続的な貸出先になり得ます。

りそな銀行が差別化を図るのは、対象とするスタートアップの成長ステージです。
比較的初期に分類される「アーリー」の段階でも、有望な事業内容なら融資できるようにします。

通常なら、アーリー期ではまだ貸し倒れリスクが高いので、銀行が取引するのは難しいでしょう。
土地や建物など、担保にできる資産をほぼ持っていないケースも多くなっています。
商品やサービスが対象市場に合致していると判断できるPMF(プロダクト・マーケット・フィット)という状態に達するまで、予想キャッシュフローから企業価値を割り出すことも難があります。
既存の上場企業と比較して価値を算定することも多いですが、まだ金額は揺らぐ段階です。
このため、スタートアップ向け融資に参入した多くの金融機関は、新規上場(IPO)や他社による買収などが視野に入るレイター期、もしくはその手前のミドル期を主な対象としています。

ただ、特にレイター期の有力なスタートアップに対しては融資競争が激しくなるでしょう。
金融機関にとってのブルーオーシャンを探すためにも、りそな銀行はあえてリスクがより高いアーリー期へ乗り出すことにしたのです。

具体的には、すでにエクイティ(資本)の調達ラウンドで概ね初回または2回目に相当する「シリーズA」を終えた企業を対象とします。
ベンチャーキャピタル(VC)が将来性を見込んで出資しており、創業初期に比べると事業計画や財務を書面で確認しやすい状況になっているはずです。
実際の売り上げを計上し始める時期でもあり、「本当にPMFを達成できるかは別途検証が必要となるが、お客さんに購入理由をヒアリングして潜在力を検討できる段階」(小川氏)とみています。

起業家がベンチャーデットを活用するのは、「保有株の希薄化を防ぎたい」という理由もあるようです。
例えば創業初期の時点で、創業者として自社の発行済み株式の80%を所有しているとします。
そこからエクイティ調達でシリーズA、B、Cと進み、第三者割当増資などで株式を割り当てていきます。
その時々の企業価値と発行株数にもよりけりですが、創業者の持ち分は70%や60%などと低下していきます。

これはVCにとっても同です。
各ラウンドで複数のVCが協調して出資するケースが一般的ですが、エクイティ調達を重ねて多数のVCが入るたびに、既存VCの持ち分は希薄化します。
このため、返済可能なら投資先スタートアップが融資も活用したほうが将来のリターンを狙えるのです。

資金を借りたいスタートアップの経営陣にとっては、融資条件となる新株予約権の内容について銀行とよく相談しておく必要があります。
銀行は借り手の返済能力について「正常先」や「要注意先」「破綻懸念先」などと債務者区分を設けていますが、スタートアップについても特別扱いはしないそうです。
赤字でも貸し出す銀行は増えつつありますが、取引開始時点から「要注意先」として警戒される可能性があります。
銀行は与信費用を計上したり既存企業より高い金利を設定したりしておきますが、もう1つのリスク管理手法が新株予約権です。

多くのベンチャーデットでは、スタートアップが融資を受けるのと併せて、新株予約権を銀行に発行します。
このとき企業価値の評価額が低ければ、銀行は転換可能な株式数をより多く設定しないとリスクに見合わないのです。
スタートアップ経営陣は、企業価値への期待や返済能力について十分に説明する必要があります。

スタートアップ側としてはせっかくエクイティでなく融資で調達する以上、株式の希薄化リスクを抑制するために、銀行がいつから新株予約権を行使できるのかよく確認しておくべきです。
りそな銀行のケースだと「IPO後の市場売却」を念頭に置いており、基本的に上場前の段階では権利行使しない予定だそうです。
創業者やVCがいつの時点で持ち株を放出する段取りなのかをよく考えながら、ベンチャーデットの条件を確かめねばなりません。

銀行が期限前の融資返済を迫ることが可能な「コベナンツ(財務制限条項)」も要チェックです。
現預金の最低残高を条件として設定されるケースも多く、借りた資金をすべて使い切るわけにはいきません。
そうしたことを考慮した上で、企業として資金を使えるペースを算出する必要があります。

銀行は融資の審査時だけでなく、実行後もスタートアップの財務状況と成長性を継続的に見ていきます。
特に「本当に事業成長に資する資金の使い方なのかどうか」(小川氏)については、エクイティ調達に比べてシビアに判断するようです。

一方、「銀行によっては組織内の稟議書が非常に多く、ベンチャーやスタートアップのスピード感に追いついていないところもある」ようです(国内の起業アドバイザー)。
ベンチャーデットの活用に当たっては、銀行もスタートアップもお互いに相手の実情をよく確かめておく必要があります。

りそな銀行がベンチャー融資に本腰を入れるということで、ノウハウはあるのだろうかと思いましたが、結局、VCが出資しているところに融資するということなんですね。
ベンチャー企業にとって、資金調達の幅が広がるのは良いことなんでしょうが、融資する側も今までにないような将来性を見極めた融資もしてくれたらなぁと思いました。

りそな銀行が金利6%でも需要見込みベンチャー融資に100億円を貸し出すことについて、あなたはどう思われましたか?


ビッグモーターの90億円の返済に銀行団は借り換え応じず8月18日までに返済!

中古車販売大手ビッグモーターが借入金90億円を取引先金融機関に返済したことが、先日、分かったようです。

ビッグモーターは借り換えを要請していましたが、銀行団が応じませんでした。
現預金を取り崩すなどして対応したとみられます。
2023年8月18日が返済期限でした。

ビッグモーターは直近で300億円以上の現預金があり、ただちに資金繰りが悪化するようなことにはならないと思われますが、自動車保険の不正請求問題を受けて、顧客離れが進んでおり、販売が大きく落ち込んでいます。

銀行団に融資のリスクが大きいと判断されていることから、今後は支援企業が必要になるとの見方が強まっています。

今回の騒動を受けて、ビッグモーターで車を売ったり、車を買ったり、車検をする人は激減するでしょうから、個人的には、このままでは破綻に向かうのではないかと思います。
報道では、デロイトのコンサルを受けているとのことですが、売却等のための資産査定をしているのではないかと思います。
大きな会社が買うのではないかと推測されますが、早く創業者を一掃することと、過去の悪事を明らかにすることが必要でしょうね。
それでないと、金融機関は支援しにくいでしょう。

ビッグモーターの90億円の返済に銀行団は借り換え応じず8月18日までに返済したことについて、あなたはどう思われましたか?


中小の資金繰り支援策を9月末まで半年延長!

日本経済新聞によると、政府は新型コロナウイルス対策として導入した中小企業の資金繰り支援策を9月末まで半年間延長するようです。
日本政策金融公庫の低利・無担保融資などが対象となります。
実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済期限を迎える企業に対して支援を続ける必要があると判断しました。

日本公庫の低利・無担保融資は、新型コロナの感染拡大を受けて2020年3月に始まりました。
コロナの影響で売上高が減少した中小企業に無担保で、通常より低い金利で資金を貸し出します。

政府は2022年9月のゼロゼロ融資の終了に合わせて、同月で終了予定だった低利・無担保融資の期限を2023年3月末まで延長することを決めていました。
その期限をさらに2023年9月末まで延長します。

ゼロゼロ融資の融資総額は2022年9月末時点で計43兆円にのぼり、2023年に返済開始の山場をむかえます。

政府は低利・無担保融資の期限を2023年9月末まで延長することで、ゼロゼロ融資からの借り換えを円滑にします。
エネルギーや食料を中心に物価高騰が続いていることも考慮しました。

コロナ対策向けの資本性劣後ローンや、物価高騰対策で導入されたセーフティネット貸付についても、2023年9月末まで期限を半年間延長します。

一時的な資金繰りに困っている事業者を支援することは良いことだと思いますが、ゾンビ企業をさらに増やしたり、延命させたりするような状況にはならないようにしてほしいですね。
5月以降どうなるかはよく分かりませんが、おそらく、コロナ前の状況には戻らないでしょうから、退場すべきところにはいったん退場していただいて、再出発していただいたほうが日本の将来のためにも良いと考えています。

中小の資金繰り支援策を9月末まで半年延長することについて、どう思われましたか?


商工中金は政府関与を段階縮小!

日本経済新聞によると、政府が今国会への提出を目指す商工組合中央金庫(商工中金)法の改正案の概要がわかったようです。
政府保有株は公布から2年以内に全株を売却する方針を明記しました。
将来的な政府関与の縮小に向けて、業務のあり方4年以内に再検討する規定も設けます。

政府は商工中金に46%出資しています。
法案では政府保有株を「できる限り速やか」に売却すると記しました。
代表取締役を選ぶ際の国の認可は4年以内に廃止し、届け出制とするようです。
災害時などの危機対応融資の業務は残します。
株式会社化する際に政府出資を振り替えた特別準備金も維持します。

法案の付則には、政府関与を縮小するための検討規定を盛り込みました。
公布から4年以内に事業の見直しを検討します。
政府株売却後のガバナンスや地域金融機関との連携の状況を踏まえます。
危機対応業務も「所要の措置を講ずる」と記しました。
将来的な同業務の責務の廃止を視野に入れています。

政府は全株を売却し、商工中金法を廃止した段階で「完全民営化」になると位置づけています。
法廃止の時期の明示は見送りました。
「法律を廃止するための措置を講ずることができると認めるとき」に廃止するとの表現にとどめたのです。

改正案は、経済産業省の有識者会議が先日まとめた報告書に沿った内容です。
公的な役割は残しつつ、業務範囲は全株を売却した段階で銀行法に近づけます。

再生企業への出資上限を引き上げて100%出資できるようにするほか、登録型人材派遣やIT(情報技術)システム販売といった業務が新たに可能になります。

政府系金融機関として、日本政策金融公庫もありますし、一時期不祥事続きだったので、ようやくかぁという感じですね。
検討に4年もかけていたら、時代の変化に追いつかないような気はしますが、良い方向に変わればいいですね。

商工中金は政府関与を段階縮小することについて、どう思われましたか?


経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度が2023年3月にスタート!

日前ジャーナルによると、経営者の個人保証(経営者保証)が起業・創業の阻害要因とならないように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度として創設された「スタートアップ創出促進保証制度」が2023年3月中にスタートするそうです。

スタートアップを含む起業家・創業者の育成は、日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会的課題を解決する鍵と言えますが、失敗時のリスクが大きいために起業することをためらう起業関心層のうち、約8割が「借金や個人保証を抱えること」を懸念しています。

そこで、こうした懸念を取り除き、創業機運の醸成、起業・創業の促進につながるように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度としてスタートアップ創出促進保証制度が創設されたのです。

スタートアップ創出促進保証制度は2023年3月中に開始予定とされていますが、その利用が円滑にできるように、2月20日から信用保証協会と金融機関が連携して事前相談の受付を開始しています。

<スタートアップ創出促進保証制度>
【保証対象者】
・創業予定者(これから法人を設立し、事業を開始する具体的な計画がある者)
・分社化予定者(中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立する具体的な計画がある者)
・創業後5年未満の法人
・分社化後5年未満の法人
・創業後5年未満の法人成り企業

【保証限度額】    3,500万円

【保証期間】       10年以内

【据置期間】       1年以内(一定の条件を満たす場合には3年以内)

【金利】              金融機関所定

※2023年3月中に保証取扱いを開始予定(開始日の確定後、中小企業庁のホームページで公表。)。
※スタートアップ創出促進保証制度の利用に関する問い合わせは、金融機関または最寄りの信用保証協会まで。

個人的には、ゾンビ企業を増やすような施策よりは、スタートアップ企業を増やし、経済を活性化させるほうが良いと考えていますので、良いことだと思います。
どんどん起業していただいて、そのうちの何割かが、うまくいくことを期待しています。

経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度が2023年3月にスタートすることについて、どう思われましたか?


新興企業向け「経営者保証」不要の融資制度が2023年3月に開始!

日本経済新聞によると、経営者個人が会社の連帯保証人となる「経営者保証」を不要にできる制度の全容が、先日、判明しました。
2023年3月に経営者保証が不要になる新興企業向けの融資制度を始めるほか、民間の銀行と政府系金融機関に不必要な経営者保証を外すように求めます。
事業再生や新興企業の育成を妨げる一因となってきた融資慣行を、官民で見直します。

経済産業省、金融庁、財務省が「経営者保証改革プログラム」を、先日、公表しました。
民間銀行だけでなく、公的機関にも経営者保証を安易につける商慣習を見直すように求めます。
民間金融機関の業界団体や政府系金融機関、信用保証協会などに対して「個人保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取り組みの促進について」と題した要請文を出しました。

銀行だけでなく、信用保証協会など公的機関も経営者保証を求める慣行がありました。
万が一、倒産すれば自宅や自家用車などを差し出す必要があり自己破産に陥るケースもあります。
金融機関にとっては安心して融資できる一方で、創業の意欲や事業承継を妨げる一因となっていました。

創業5年以内のスタートアップは経営者保証を不要にする新しい信用保証制度を始めます。
2023年3月に開始する予定です。
保証上限額は3,500万円で全額保証、無担保とします。
事業者は信用保証協会所定の保証料率に0.2%上乗せした保証料を負担します。

スタートアップの経営者保証をなくすと融資を回収できない「焦げ付き」が発生する懸念もあるため、損失を補塡するための費用として補正予算で約120億円を計上しました。
創業関連保証は年間約1万件の利用があり、原則的に経営者保証を求める慣行があります。
起業に関心がある人の約8割が起業をためらう原因に経営者保証をあげており、保証を不要にする制度をつくりスタートアップを支援します。

2023年4月からは、民間金融機関が安易に保証をとる慣行も是正します。
金融庁が監督指針を改正し経営者保証をつける場合にその必要性について説明義務を課すのです。
結果を記録し、2023年9月期実績から金融庁への報告が必要になります。

「金融機関から経営者保証に関する適切な説明がない」など相談を受け付ける専用窓口も金融庁に設置します。
問題があれば、金融機関に対して特別ヒアリングを行います。

2024年4月からは、創業5年を超えた事業者も経営者保証の解除を選択できる信用保証制度も始めます。法人から代表者への貸し付けがないことや決算書類を金融機関に定期的に提出しているなどの条件を満たし、経営状態に応じた上乗せ保証料を負担すれば解除できます。
中小企業信用保険法の改正案を2023年の通常国会に提出する見通しです。

中小・零細企業のなかには財務状況が悪かったり、法人と個人の資産が分離されていなかったりして経営者保証を求めざるを得ないケースもあります。
経営者保証解除の前提になる収益力改善やガバナンス強化への対応も求めていきます。

良い制度ですね。
やはり、経営者保証というのは、結構な心理的負担があるでしょうから。
保証料が0.2%の上乗せであれば、それほどの負担にはならず、また、個人ではなく会社負担ということになりますので。
ただし、悪用されないように、金融機関や保証協会に事業を見る眼を持ってほしいと思います。

新興企業向け「経営者保証」不要の融資制度が2023年3月に開始となることについて、どう思われましたか?


民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)が開始!

中小企業庁は、2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響の下で債務が増大した中小企業者の収益力改善等を支援するため、借換え需要に加え、新たな資金需要にも対応する信用保証制度(コロナ借換保証)を2023年1月10日から開始しました。

<コロナ借換保証について>
コロナの影響の長期化や物価高など、多くの中小企業が引き続き厳しい状況にある中、積み上がった債務の返済負担への対応はもちろん、事業再構築などの前向きな取組の促進など、個々の事業者の実態を踏まえた支援が重要です。

そのため、今後、コロナ融資の借換え保証制度を創設することで、返済負担軽減のみならず、新たな資金需要にも対応します。

そこで、一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げるコロナ借換保証を1月10日より開始します。

<制度概要>
保証限度額 1億円
保証期間 10年以内
据置期間 5年以内
金利 金融機関所定
保証料(事業者負担) 0.2%等(補助前は0.85%等)
要件 売上または利益率が5%以上減少 など
その他
・100%保証の融資は、100%保証での借換が可能
・経営行動計画書の作成
・金融機関の継続的な伴走支援

<手続イメージ>

安易に借り換えを認めるのも果たして日本のために良いのだろうかという気はしますが、金融機関の継続的な伴走支援できちんと返済できるようになればいいですね。
実効性のあるものになることを期待します。

民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)が開始したことについて、どう思われましたか?


中小企業庁は数値基準を導入し経営者保証ない融資を促す!

中小企業庁は「経営者保証」をつけない融資を金融機関に促す仕組みを導入するようです。
企業の稼ぐ力や有利子負債の返済能力など具体的な数値基準を設け、経営者保証がなくても融資できるかどうかの判断材料にします。
企業にとっても融資を受けられる条件が分かりやすくなります。
事業再生やスタートアップの成長を阻んでいた融資慣行の見直しが進みます。

経営者保証は個人保証とも呼ばれ、高度成長期に確立されました。
金融機関から受けた融資の返済が滞ったときに、会社が持っている資産と個人の財産を一体で支払う仕組みで、銀行には安心して融資できる面がありました。
一方で経営者は銀行からお金を借りて起業することをためらったり、事業を拡大する意欲を失ったりするとの指摘も多くなっています。

金融庁は2023年4月から金融機関に対し、経営者個人が信用保証を負う場合、具体的な理由を説明するよう義務付け、事実上制限することを決めました。
今回の中小企業庁の仕組みは、その一環となります。

中小企業庁は、先日の有識者会議で詳細を公表し、2022年4月から導入します。
現在のガイドラインには経営者保証をつけない融資を受けるための要件として、①法人・個人の分離②財務基盤の強化③経営の透明性確保の3つがあります。
新たにそれぞれに具体的なチェック項目を策定します。

例えば、財務基盤の強化では、「(有利子負債がキャッシュフローの何倍あるかを示す)EBITDA有利子負債倍率が15倍以内」「減価償却前の経常損益が2期連続赤字でない」といった目安を設けます。

経営の透明性確保については「経営者は日々、現預金の出入りを管理する。終業時に金庫やレジの現金と記帳残高を一致させるなど収支を確認する」といった趣旨の具体例を示します。

新たなルールは強制ではなく、金融機関が使うかどうかは任意となります。
ただし、これまでは経営者保証をつけるかどうかの交渉で金融機関ごとに基準が異なっていたり、基準がなかったりしました。
経営者はどのような点をどのくらい改善すれば、経営者保証をつけずに済むかわかりにくい状況でした。

経営者保証をつけない中小企業向け融資件数は全体の約3割にとどまっています。
金融庁は現状の経営者保証について「合理的な理由がなく不必要に経営者保証を付けている例が多い」と指摘しています。

今回、中小企業庁が数値基準などを導入することで、経営者保証を巡る金融機関と企業の交渉の透明性が増します。
銀行側は財務面だけでなく、アイデアを評価して融資するなどリスクを取る姿勢に転換できるかが今後の焦点となります。

中小企業庁は中小企業の収益力改善やガバナンス体制を整備するための実務指針案も示します。
金融機関や税理士、中小企業診断士向けで指針を活用してもらうように促します。

本来、金融機関は、事業性を評価して融資を行うべきでしょうから、経営者にとって良いことだと思います。
一方で、経営者保証は経営者の責任感を保つ一因となっているのも事実だと思いますので、悪用しようと経営者を防ぐ必要もあるんでしょうね。
事業承継のネックになったりもしますので、日本経済の発展のためにも経営者保証とか担保の提供は、本当になくしてほしいですね。

中小企業庁は数値基準を導入し経営者保証ない融資を促すことについて、どう思われましたか?


税理士支援を手がける日税グループが税理士を通じて債権買い取り!

日本経済新聞によると、税理士支援を手がける日税グループの日税経営情報センター(東京都新宿区)はフィンテック企業のTranzax(トランザックス、東京都港区)と提携し、企業の請求書などの売掛債権を買い取るサービスを始めました。
税理士の紹介を通じて企業に提供することで、買い取り手数料を0.1%からと業界最低水準に抑えています。

新サービスの「日税ファクタリング」は請求書のほか、注文書や補助金、助成金、診療報酬などを買い取り、企業の資金繰りを支援します。

買い取り手数料は請求書の場合で0.1~3%です。
請求書から買い取りを開始し、2022年11月末に注文書などの買い取りを始めます。

ファクタリングサービスの買い取り手数料は、一般的に請求書の場合で3~20%程度が多いようです。
中小企業の負担を抑えるため、日税グループは顧問税理士の紹介書を求めることで信用力を補い、手数料水準を低くしました。

日税グループが提供する税理士報酬の集金事務代行サービスは全国約4万の税理士事務所のうち約15,000を超える事務所が利用しています。
税理士のネットワークを活用し、全国の中小企業や個人事業主へ利用を呼びかけます。

弊事務所も、日税グループが提供している税理士報酬の集金事務代行サービスを利用していますが、ファクタリングサービスのことは、この記事で知りました。
ファクタリングのニーズがどこまであるのか分かりませんが、買い取り手数料が安いということは魅力的なのかもしれませんね。
顧問税理士の紹介書というものがどんなものか分かりませんが…。

税理士支援を手がける日税グループが税理士を通じて債権買い取りを行うことについて、どう思われましたか?


中小企業の融資保証を金融庁が11年ぶりに改正し起業を支援!

日本経済新聞によると、中小企業向け融資で経営者が個人で背負う「経営者保証」の慣行が見直されます。
金融庁が先日発表した監督指針改正案は金融機関に対し、経営者個人に信用保証を負ってもらう場合は具体的な理由を説明するよう義務付ける内容で、事実上、制限を加える規制です。
国が融資慣行にメスを入れるのは、スタートアップ企業が増えない危機感があるようです。

経営者保証の慣行は高度成長期に確立されました。
間接金融主体の日本は銀行がリスクをとり、起業や事業拡大する際の融資手段として定着しました。

金融庁が信用保証を規制するのは11年ぶりです。
2011年には監督指針を改正し、経営者以外の第三者に債務履行を求める「第三者保証」を原則禁止しました。

金融庁の監督指針改正案は、経営者個人が負う「経営者保証」を2023年4月から事実上制限する規制です。
2021年度の中小向け新規融資に占める経営者保証の割合は、民間金融機関全体で約7割に上ります。

改正案は金融機関に対し説明義務を課す内容となっています。
金融機関は理由を説明したことを記録し金融庁に報告しなければならず、経営者保証を求める手続きは煩雑になります。
金融庁はディスクロージャー誌などで取り組み方針を公表するよう要請します。

私財を隠していないか、経営の健全性を確保する意志があるか、不都合な情報を隠したりしないか?
経営者保証をつける場合、経営者保証を外す要件の「法人・個人の区分・分離」「財務基盤の強化」「適時適切な情報開示」の観点で、「どの部分が十分でないために保証契約が必要になるか」「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか」の具体的な説明を金融機関に求めます。

監督指針は行政処分につながる手続きを記載するルールブックです。
必要があればヒアリングや検査を実施し、手続きに違反があったり企業とトラブルが起きたりすれば行政処分の対象にします。
第三者保証を原則禁止したときと同じ規制の仕組みで、今回も経営者保証が姿を消す可能性があります。

これまで金融機関は債権保全重視の観点から、従来の慣行のまま保証を付けている例もあります。
金融庁の調査では、金融機関の7割超が新規融資で保証を取る場合に「常にガイドラインについて説明を行う方針」としています。
ただし、実際に金融機関から「ガイドラインの説明を受けた」と答えた事業者は3割程度にとどまっています。
自主的な取り組みを要請してきましたが、金融機関の姿勢に差があるなど現状を踏まえて規制に切り替えることにしたようです。

中小企業庁も、先日、中小企業政策審議会・金融小委員会を開き、経営者保証を解除できる新制度を導入する議論を本格的に始めました。
中小企業が信用保証協会に支払う保証料を上乗せすれば経営者保証を不要にできる仕組みで、財務書類を金融機関に提出したり、代表者が当該企業から貸し付けを受けていないことなどが条件となる方向です。

経営者保証は海外でも珍しくありません。
米連邦準備理事会(FRB)の2020年の報告書によると、アメリカも約6割に上りますが日本より少ないです。
日本の場合、財務内容が良好だったり、逆に弁済能力が不足していたり、「合理的な理由がなく不必要に経営者保証を付けている例が多い」(金融庁)ようです。

中小企業庁の小規模企業白書によると、日本の開業率(2020年)は5.1%で、フランスの12.1%、イギリスの11.9%、アメリカの9.2%と比べて低くなっています。
政府は、2022年6月に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画で、成長のエンジンとなるスタートアップ支援を柱に創業資金を借りやすい制度をつくる方針を掲げていました。

新規先や挑戦する事業者に対して銀行側がリスクを取る姿勢に転換することが必須となります。
東洋大学の野崎浩成教授は「財務も大事だが、アイデアを評価して融資するなどこれまで以上に経営者を深く見ていくことが重要」と話しています。

融資の信用保証を巡っては、かつて限度額や保証期間の定めもない「包括根保証」もありました。
しかしながら、生活破綻や自殺の要因と社会的に批判も出ました。
2005年に民法を改正し、今では禁止されています。

事業承継の足かせの一つが、後継者の担保や経営者保証だと言われていますし、そもそも杓子定規に取る必要はあるのだろうかと疑問に思っていたので、制限が入ることは良いことだと思います。
ただし、金融機関にその企業等のビジネスの将来性を見る能力があるのか疑問はありますし、結局、保証料や金利が上がれば、融資を受けにくくなるのではないかと思います。
経営者側が、きちんとビジネスの説明ができ、将来の事業計画を作成できるようにならないといけなくなるのかもしれませんが。

中小企業の融資保証を金融庁が11年ぶりに改正し起業を支援することについて、どう思われましたか?


手形決済の支払いを3日に短縮し信用情報も瞬時に把握!

以前にこのBlogでも書きましたが、日本経済新聞によると、紙の手形や小切手を通じた企業間決済がようやく電子化に向かいます。
全国銀行協会は、2022年11月4日に電子交換所を稼働し、140年以上続いた対面でやりとりする手形交換所を順次、廃止します。
2023年1月からは債権の発生日から支払いまでの期間を最短7営業日から3営業日に短縮します。
また、不渡り情報は瞬時に共有します。
これにより、決済の利便性が増し、企業の経理がやりやすくなります。

銀行、信用金庫、信用組合など全国1,100の金融機関は2022年11月4日以降、原則すべての手形・小切手について、電子交換所上でデータを送受信します。
全国銀行協会によると、全国の手形交換所の廃止によって金融機関全体で年間約8億円のコストを削減できるそうです。
企業の手続き方法には大きな変更はありません。

当座預金に十分な残高がないなど手形・小切手で決済ができず信用力に影響する不渡り情報は、これまで各地の参加金融機関の間で共有してきました。
今後は電子交換所に参加する全ての金融機関が瞬時に把握できるようになります。
異なる地域の企業や顧客の信用不安に関する情報が共有されることで、決済の安全性が高まります。

電子決済に移行しやすくするため、全国銀行協会は2023年1月には手形に代わる決済手段「でんさい」の機能を改善します。
債権の発生日から支払いまでの期間を最短7営業日から3営業日まで短縮するほか、債権金額の下限も1万円から1円に引き下げます。

紙の手形や小切手は残るものの、大手行や地方銀行は手数料を相次ぎ引き上げ、電子決済への移行を促します。
横浜銀行は2022年12月から振り出し側が負担する手形帳や小切手帳の発行手数料を8,800円増の11,000円にします。
受け取り側が負担する代金取立手数料も、2022年11月以降、利用する手形交換所によって異なっていた手数料区分を多くの金融機関が一律にします。
こちらも一部の手数料は上がる方向です。

全国銀行協会の2021年調査によると、回答を得た885金融機関の約半数が発行手数料や取立手数料の見直しを実施・検討しているようです。
常陽銀行は中小企業のインターネットバンキングへの移行を促すため、契約料金と半年分の月間基本料金を2023年6月末までの期間限定で無料にしています。

手形や小切手の歴史は古いです。
手形交換所は1879年に大阪で誕生し、現在は全国107カ所に設置されています。
昭和初期に制定された手形法・小切手法に基づき、企業間の資金決済に使われるようになりました。
印紙税や保管にコストがかかり、2008年に施行した電子記録債権法によって電子手形を発行できるようになったこともあり、交換高は1990年の4,797兆円をピークに減少を続け、2021年度の118兆円まで40分の1に減りました。

政府は2026年度末に紙の手形・小切手もなくす計画です。
金融界も小切手を含めた紙の全面廃止へ年間約536万枚の削減に取り組んでいます。
印紙代や人件費の削減などで、紙から電子決済へ移行することによる利用者全体の効果は約732億円に上ると試算されています。

手形や小切手は管理の手間もかかりますし、紛失等のリスクもありますので、早くなくしてほしいですね。
銀行がインターネットバンキングの利用を促すのであれば、利用料などを大幅に引き下げないといけないかと思います。
個人だと無料で、法人だと有料というのもよく分からないですし。

手形決済の支払いを3日に短縮し信用情報も瞬時に把握できるようになることについて、どう思われましたか?


法人税を払いたくない社長は多いが「中小企業の節税」が招く“本末転倒”!

なぜ、小規模な事業は廃業に追い込まれやすいのでしょうか?
幻冬舎ゴールドオンラインの弊事務所も提携している株式会社SoLaboの代表取締役の田原広一さんの記事によると、突き詰めていくと、原因は「資金不足」ただ一つです。
小さな会社にとっての成長エンジンは、節税ではなく融資・投資です。
融資を受ける可能性が少しでもあるならば知っておきたい、節税にまつわるポイントを見ていきましょう。

自分で事業をしている方のなかには、「税金をなるべく払いたくない」という方も多いようです。

以前、(田原さんが)税理士事務所に勤務していた際も、節税のために「なるべく多くの経費を計上し、赤字申告したい」「なるべく利益を出したくない」という会社も少なくありませんでした。
しかし、赤字決算は融資を受ける際には大きなマイナス評価になるのです。

創業後、少しでも多くの融資を受けるならば、「売上・利益が上がっている」ことが条件となります。

もちろん黒字になれば、税金の支払額は多くなります。
特に法人税を払うことにアレルギーをもつ社長は多くいらっしゃいますが、利益が出た分、役員報酬で支払いを出したとしたら、法人税で支払うか、個人の所得税で支払うかの違いです。

しかも、税率から考えると、法人税で支払うより、所得税(住民税含む)+社会保険料(含む企業負担分)のほうが高くつくケースもあるのです。

また、決算が近づき、利益が出ていると、税金を払いたくないため、決算直前に生命保険を活用した節税策を実践する方もいます。
しかし、現在、法人で加入する保険は、支払保険料の全額を損金計上できる全損商品は少なく、支払い保険料の半分だけ損金計上できる半損商品が大半です。
節税額から見ると、費用対効果が見合わないケースも多いのです。

微々たる節税にせっせと励んだ結果、肝心の投資をしたいときに、利益が出ていないために借入ができず、事業が立ち行かなくなるような“本末転倒”の事態さえ招きかねません。

もちろん、「創業融資以降、融資を受けるつもりはいっさいない」と考えるならば、節税に励むのも一つのやり方ですが、もし融資を受ける可能性が少しでもあるのであれば、確定申告書や決算書を作成する際には注意が必要です。

私(田原さん)自身、創業時に融資のお手伝いをしたお客さまから、「今後も融資を受けていきたいのですが、決算上の数字について留意するポイントはありますか」といったご質問を受けることがあります。

その際は節税ではなく、あくまでも融資の観点から私でできるアドバイスをさせていただきますが、その観点から一つ注意点として、税理士との付き合い方があります。

税理士は税金のプロではありますが、融資に関して精通しているかというと個人差があります。
税理士が売上や利益アップより節税に注力した決算書を作成したがために、融資を受けにくくなるリスクもあるのです。

また、先の保険加入による節税策も、税理士の多くが特定の保険会社の代理店業も兼任しているため、手数料目当てだけではないとしても、将来の事業プランはさておき、目先の節税のために保険加入を勧めるようなケースもないとはいえません。

決算や会社の数字の見せ方については、税理士に一任するのではなく、長期スパンで事業をどうやっていくのか、融資の可能性も含めて、自身の考えを事前にしっかりと伝えておくことが肝心です。
さらに、税理士を選ぶ際には、融資のサポートの実績があるかどうかもチェックしておきましょう。

もちろん、私(田原さん)自身も節税対策が不要だとは思っておりません。
将来融資を受ける可能性があるのであれば、将来を見据えた計画を立てることが大切だと考えております。

ここで私(田原さん)の考えとして申し上げたいのは、小さな会社にとって成長エンジンは“投資”であるということです。

そもそも売上をはじめ、スケールが小さい中小企業や個人事業主が節税で得られるメリットは、大企業に比べて微々たるものです。

それよりも売上を伸ばすことに注力し、現預金を手厚くし、倒産リスクを抑えるとともに、ここぞと思ったときに人材や設備に投資していく。
これこそが、小さな会社にとっての成長、事業拡大につながるのです。

資金繰りも考慮し、多店舗展開したい、資金調達したいというときに、節税に目をとらわれると倒産リスクを高めることにもなりかねません。

借入で上手な資金繰りをしている経営者は、これぐらいは利益を出さなければ回らないという感覚をもっているものです。

目先の損得だけにとらわれることなく、融資を有利に運ぶためには「法人税=必要経費」という考え方で、税金をしっかり払うことこそが安定経営を目指す社長の務めと心得ましょう。

基本的には、僕自身は田原さんがおっしゃっていることと同じことを考えています。
このBLOGでも何度か述べていますが、過去には、節税が経営者の能力と考えている方が何名かいました。
節税も、本当の節税と単なる課税の繰り延べに過ぎないもの、お金がかかるものとかからないものとがあると思いますが、その当たりを理解せずに、ひとくくりで『節税』と思っている方が多いですよね。
今は、保険は節税商品としては売れませんし、個人的には売上高ではなく利益が増えることを考えないといけないと思っています(これについては、普段から費用を変動費と固定費とに分けて考えています。)。
ちなみに、先日、日本ではじめて明太子をつくった『ふくや』の川原社長のお話を聴く機会があったのですが、創業者は、納税額の予定額を決めてから逆算で売上高の予算などを決めていたそうです。

法人税を払いたくない社長は多いが「中小企業の節税」が招く“本末転倒”について、どう思われましたか?


全国の手形交換所の業務が2022年11月に終了で143年の歴史に幕!

TabisLandによると、東京商工リサーチが発表したレポートによると、文明開化の音が響く1879年(明治12年)、近代国家への道を歩み始めた日本で初の手形交換所が大阪に設立されました。
それから143年目の2022年11月2日、全国179か所の手形交換所が手形・小切手の交換業務を終了します。
現在の紙の手形、小切手は引き続き流通し、企業側に手続き変更などは必要ありません。
今後の手形交換業務は、全国銀行協会が運営する電子交換所が引き継ぎます。

これまで手形交換所を経由して搬送していた手形現物は、データ化して電子交換所に送信します。
これにより遠隔地への取立の時間短縮や災害時の輸送リスクも解消します。
政府は、2026年度までに紙の約束手形の廃止を打ち出し、“でんさい”やインターネットバンキングなど決済の電子化を急いでいます。
全銀協などによると、手形交換所は1879年に大阪手形交換所、1887年に東京手形交換所が設立されました。

その後、経済発展とともに手形の流通が活発になり、ピークの1990年の手形交換高は4,797兆2,906億円に達しました。
しかしながら、現金決済への移行や、手形の印紙税、保管、輸送などのコスト負担から手形離れが進みました。
2013年に電子記録債権“でんさい”も始まり、インターネットバンキングなどで決済の電子化が進みました。
この流れを受け2021年の手形交換高は、ピーク時の2.5%にとどまる122兆9,846億円にまで激減しました。

電子交換所でも不渡手形による銀行取引停止処分の措置は続いています。
これまで各手形交換所に参加する金融機関に通知されていた情報は、今後、電子交換所に参加する全国すべての金融機関で共有します。
全銀協によると、手形交換所の業務終了後は、これまでの不渡り情報は削除され、電子交換所に手形交換所の不渡り情報は引き継がれないそうです。

明治時代から続く商慣習が大きく変わります。
個人決済は電子マネーなどが急速に進行し、現金を使わず生活することも可能になりました。
一方、企業の決済は依然として紙の手形、小切手が残り、電子化が遅れています。
電子交換所の誕生は、紙の手形の廃止に向けた歴史的な転換の一歩になります。
ところが、運用をスムーズに進めるには、なかなか利用が進まない“でんさい”の認知と同時に、企業側のITリテラシーの向上も急務となります。

僕が会計業界で働き始めた頃は、結構、手形取引があり、決算時に実際に保管している手形を確認したり、手形のミミをチェックしたりしていましたが、期日現金が導入され、その後、でんさいも導入されましたので、最近は、あまり目にすることがなくなりましたね。
数日前に、いまだに使える場面はあるなぁと思いましたが。

全国の手形交換所の業務が2022年11月に終了で143年の歴史に幕を下ろすことについて、どう思われましたか?


住みながら自宅を売却し高齢者の老後資金を確保する需要が増加!

日本経済新聞によると、持ち家に住みながら売却できる「ハウス・リースバック」を利用する高齢者が増えているそうです。
老後資金などの調達法となり、希望すれば物件の再購入もできるためです。
不動産仲介を手掛けるAnd Doホールディングスは2022年6月期に物件取得数が初めて1,000件を超える可能性があるそうです。
ただし、相次ぐ企業参入でトラブルも散見されており、利用者に対する丁寧な説明は欠かせません。

ハウス・リースバックは、不動産会社が立地や築年数などを調べた上で顧客の持ち家を買い取ります。
顧客は資金調達に加え、不動産会社と賃貸借契約を結ぶことで住み続けることができます。
将来希望すれば、物件を再度購入することも可能なサービスです。

高齢化が進むなか、老後資金の確保や住宅ローンの返済のため、ハウス・リースバックに対する高齢者の需要は高まっています。
不動産業界で2013年にいち早くサービスを始めたのが「ハウスドゥ」ブランドで不動産仲介を手掛けるAnd Doホールディングスでした。

And Doホールディングスの安藤正弘社長は「高齢者は老後資金が必要になるなか、不動産を所有していても現金を持つ人は少ない」と知り、持ち家を使った資金提供の方法を模索しました。

調達法で多いのは持ち家を売却する形ですが、それでは一過性の資金は入っても住まいに困ります。
そこで、引っ越しすることなく、家賃を払って住みながら持ち家の売却で資金を得るサービスを始めました。

And Doホールディングスは全国で直営やフランチャイズチェーン(FC)により、約700のハウスドゥの店舗を持っています。
店に舞い込む依頼や営業担当者による営業活動で需要を掘り起こした結果、2022年3月の単月物件取得数は190件と過去最高を更新しました。
2022年6月期は993~1,060件と大台の1,000件を超える可能性もあるようです。
取得物件について「立地などを見て売却可能かも考慮する」(花谷清明執行役員)なか、2025年6月期には10年前の26倍の1,440件まで伸ばす計画です。

ただし、ハウス・リースバックを一段と浸透させるには課題もあります。
そのひとつが利用者に対する適切な説明です。
ニッチ市場ながら成長性が見込めるとして新規参入企業が増え、「当初の説明と話が違う」など不動産会社と顧客の間でトラブルも聞かれます。
And Doホールディングスの安藤社長は「繊細な事業のため慎重にやっていかないといけない」と話しています。
業界全体で克服すべき問題と言えるでしょう。

ハウス・リースバック以外では、高齢者が持ち家を担保に住み続けて資金を借りる「リバースモーゲージ」の活用も増えています。
日常生活のため生活資金などは必要ですが、住み慣れた家から引っ越しをせずに暮らしたい人は多いようです。
顧客に寄り添ったサービスや対応が求められていますね。

長生きすることは素晴らしいことだと思いますが、一方で、老後の資金が不安にもなってきますよね。
よって、ハウス・リースバックやリバースモーゲージが流行るのは当然のことだと思います。
老後の生活を心配しなくてもいいような日本になってほしいと思いますが。
悪質な業者にだまされたり、説明を聞いていなかったという案件が今後増えてくると推測されますが、自分で調べたり、お子さんに調べてもらったり、納得がいくまで質問したりなどして、失敗のないようにしてほしいですね。

住みながら自宅を売却し高齢者の老後資金を確保する需要が増加していることについて、どう思われましたか?


遠山元衆院議員の仲介で公庫が34支店で37億円超を融資!

読売新聞によると、日本政策金融公庫の融資を巡る貸金業法違反事件で、公庫全体の2割にあたる34支店が、元公明党衆院議員の遠山清彦元財務副大臣(52)(在宅起訴)側が仲介した企業や個人に対する融資業務を担当し、計37億円超を融資していたことがわかったようです。

東京地検特捜部は、融資の手続きが国会議員の紹介を想定したマニュアルに沿って進められていたことから、公庫内部で遠山元衆院議員らの議員案件について組織的な優遇が行われていたとみているようです。

起訴状では、遠山元衆院議員は公庫が行う新型コロナウイルス対策の特別融資などを巡り、2020年3月頃~2021年6月頃、企業や個人の融資希望を公庫に伝え、公庫の担当者を紹介するなど延べ111回の仲介を無登録で行ったとしています。

関係者によると、遠山元衆院議員側の仲介で、全国152の公庫支店のうち、東京都内の12支店など、東北から九州まで16都府県の計34支店が企業や個人事業主から申し込みを受けて審査などの融資業務にあたり、総額約37億2,000万円が融資されました。

事業者は飲食業や建設業、アパレル会社など幅広い業種にわたり、融資1件当たりの最高は3億5,000万円で、数百万円~3,000万円台が多いそうです。

公庫は、国会議員案件に対応するマニュアルを複数作成し、幹部の間で共有していました。

マニュアルには、議員から紹介された企業には支店幹部が応対し、審査結果を迅速に議員に伝えるなど「特別対応」の手順が記されているそうです。

コロナ禍で融資の申し込みが殺到する中、支店幹部が対応することで早期の融資が実現したケースもあったそうです。

東京地検特捜部は、遠山元衆院議員からの仲介で公庫から融資を受けた事業者から任意で事情聴取を実施しました。

複数の業者が「『融資はできない』と言われていたのに、追加融資を受けられた」などと、口利きの効果があったことを認める供述をしたようです。

公庫は読売新聞の取材に対し、「審査基準に沿って適正に対応しており、誰からの紹介であっても特別な取り扱いをすることはなく、審査結果や審査スピードが変わることはない」としています。

国会議員案件に対応するマニュアルを作って対応していること自体、特別な扱いをしているということだと思えますが、公庫のコメントはどうなんでしょうね。
国が100%出資する金融機関だからこそ、平等であってほしいですね。
そうしないと、存在意義がなくなってしまいますから。
そもそも国会議員の口利きビジネスも問題だと思いますので、こういった規制もしてほしいなぁと思います。

遠山元衆院議員の仲介で公庫が34支店で37億円超を融資していたことについて、どう思われましたか?


東証1部から最上位プライムに8割超である1,841社が移行!

時事通信によると、東京証券取引所は、先日、2022年4月4日の市場再編で発足する新市場の所属企業を発表しました。
最上位である「プライム市場」には、トヨタ自動車など現在の東証1部企業の8割超に当たる1,841社が移行します。
このうち、Zホールディングスなど296社は上場基準を満たしておらず、暫定的にプライムにとどまる「経過措置」の適用を受けます。

現在の東証1部など4市場をグローバル企業中心の「プライム」、中堅向け「スタンダード」、新興向け「グロース」の3市場に再編します。
各市場の特徴を明確にし、国内外から活発な投資を呼び込むのが狙いです。
日本の金融市場活性化へ、今後は上場する各企業の稼ぐ力が問われることになります。

東証の山道裕己社長はスピーチし、「企業の持続的成長を支え、国内外の投資家に支持される市場を提供したい」と強調しました。

スタンダードには1,477社が上場し、このうち344社が東証1部から移ります。
長野銀行はスタンダードを選択した理由について、「営業基盤を地元に置く金融機関として身の丈の選択を行った」と説明しました。

グロースには459社が入り、メルカリなどは将来のプライム入りを目指しています。

経過措置が16%も占め、要件を満たすまでの経過措置の期間も決まっていないようですから、中途半端な感が否めないですね。
国外からの活発な投資を呼び込みたいのならば、日本的な中途半端な感じではなく、ルールはルールとしてきちんと運用したほうが良いのではないかと思います。
結局は、東証一部にふさわしくない企業が、東証一部に上場していたということですから。
きちんと運用するほうが、プライムを目指すという企業が増え、プライムの価値が高まるでしょうね。
今後、東証が、経過措置をどう扱うかをウォッチしていきます。

東証1部から最上位プライムに8割超である1,841社が移行することについて、どう思われましたか?


日本政策金融公庫の融資を巡り公明党秘書に1,600万円の「謝礼」受領疑惑!

どこまで捜査の手は伸びるのでしょうか?
日刊ゲンダイによると、日本政策金融公庫の融資を巡り、遠山清彦・公明党元衆院議員の元秘書2人と、太田昌孝前衆院議員の元政策秘書が、違法な“口利き”をした謝礼として計約1,600万円の現金を貸金業登録のない2事業者から受け取っていた疑いがあることが分かったようです。
先日、読売新聞朝刊が報じました。
東京地検特捜部が、貸金業法違反容疑で捜査しているようです。

早速、永田町では「選挙直後に新事実が出てくるのは、何か意図があるのではないか」と噂になっているようです。

「選挙前に発覚していれば、自公にとって大打撃だったのは間違いありません。『特捜部は自公に気を使って、選挙が終わるのを待ったのだろう』とみる関係者は少なくありません」(永田町関係者)

この“口利き事件”が最初に表ざたになったのは2021年8月です。
これまでは、“口利き”には遠山、太田両氏の元秘書2人が関わったとされていましたが、遠山氏の別の元秘書1人にも関与の疑いがあることが分かったようです。

「捜査対象が拡大しているのは明らかです。特捜部は早期に遠山氏の外堀を埋めて関係者の逮捕に踏み切り“幕引き”を図るつもりなのではないか。囁かれているのは、国政への影響を避けるため、12月の臨時国会閉会後、年内に一気にケリをつけるというシナリオです。年を越せば通常国会が始まり、夏の参院選に影響する恐れもあります。そこまで長々と引っ張ることはしないでしょう」(同)

「事件のキーマンとして浮上しているのが、環境関連会社を営む70代男性です。再生可能エネルギー事業を巡る詐欺事件で、社長らが逮捕された太陽光発電関連会社『テクノシステム』で顧問を務めていた人物です。複数のメディアに『遠山をテクノ社社長に紹介したのは俺』『捜査の本丸は遠山じゃない』などと発言。政界人脈は相当なものです。ただ、特捜部は自公政権に気を使っているように見えます。このまま、捜査は広がらずに終わってしまうのではないか」(官邸事情通)

これまで、テクノ社社長が小池百合子都知事の資金管理団体に献金していたことが分かっています。
デイリー新潮は、テクノ社社長と麻生副総理、原田義昭元環境相がともに写る写真を掲載しています。
やはり、大物の逮捕はないでしょうか?

融資を受けられず困っている企業がある中で、口利きで融資を受けれるとしたら、由々しき問題ですよね。
この件が事実ならば、公明党の関係者はもちろんのこと、口利きに応じた日本政策金融金庫の関係者も処分されてしかるべきではないかと思います。

日本政策金融公庫の融資を巡り公明党秘書に1,600万円の「謝礼」受領疑惑があることについて、どう思われましたか?


劣後ローンが中小企業のピンチ救う命綱に!

読売新聞によると、コロナ禍で財務状況が悪化した中小企業などを支援するため、政府系金融機関が設けた「資本性劣後ローン」の融資制度を利用する動きが広がっているようです。
政府系金融機関が資金繰りを助けることで、民間金融機関が中小企業への融資をしやすくなる「呼び水効果」を狙っており、打撃を受けた中小企業の命綱となっています。

東京・赤坂や銀座などに店舗を構える中国料理レストラン「赤坂璃宮(りきゅう)」ですが、緊急事態宣言の解除を受け、客足は戻りつつありますが、先行きの不安は拭えないままです。
蓄積されたコロナ禍のダメージは大きいようです。

店舗を運営する「タン企画」(東京都)の岩渕彦彬会長(78)は「緊急事態宣言中には、売り上げがコロナ禍前の1割程度まで落ちた月もあった」と振り返っています。

2020年、コロナ禍に直面したタン企画はまず、従業員約40人の雇用も守るため、地元の城南信用金庫から融資を受けました。
ただし、借金の増加で財務状況は悪化し、信用力が重視される「フカヒレ」など高級食材の仕入れに支障が生じる恐れが生じたのです。

ここでピンチを救ったのが、劣後ローンです。
日本政策金融公庫と劣後ローンの融資交渉を始め、2021年1月に1億円を借り入れました。

借金が膨らんだ企業に対し、金融機関は貸し倒れリスクを警戒して、当然、追加融資には慎重になります。
大企業であれば新株を発行して自己資本を増強することも可能ですが、中小企業の場合は引受先を探すことが難しいでしょう。

現実的な選択肢となるのが、劣後ローンによる資金調達です。
劣後ローンは借金ながら、借入時には自己資本と見なすことが可能で、大企業の増資に似た効果を持つものです。
タン企画の場合も、劣後ローンにより資本が増強され、城南信金がタン企画への追加の融資を実行しました。

日本政策金公庫は劣後ローンの役割について「民間金融機関による融資の『呼び水』」(広報担当者)と説明しています。
タン企画のケースは、日本政策金融公庫が想定する典型例です。

政府系金融機関による新型コロナ対応の中小企業向け劣後ローン制度は、2020年8月に始まり、日本政策金融公庫のほか商工組合中央金庫(いわゆる商工中金)も担当しています。

限度額は10億円、期間は最大20年で、元本は融資の終了時に一括返済する仕組みです。
金利の支払いは最初の3年目までは年0.5%で、4年目以降は最終利益が黒字であれば引き上げ、赤字ならば据え置きとなります。
日本政策金融公庫の融資決定実績は、2021年8月末までに計3847先、計5,759億円となりました。

コロナ禍の長期化により、借金が膨らむ一方で、手持ち資金が細る企業が増え続けています。
今後も劣後ローンの利用は拡大しそうです。

財務省がまとめた2021年4~6月の法人企業統計によると、資本金1,000万円以上1億円未満の企業(金融・保険業を除く)の借入金総額は約184兆円です。
1年前より10.6%も増えていました。
東京商工リサーチが8月上旬に行った調査では、「過剰債務」と回答した中小企業は35.7%と大企業の16.7%を20ポイント近く上回りました。

経済活動の正常化が今後進むとしても、これまでに蓄積された過剰債務が原因で資金調達ができなければ、中小企業の経営再建はおぼつかなくなります。
東京商工リサーチの友田信男・情報本部長は「短期的な業績回復が見通せない中小企業にとって劣後ローンを利用する効果は大きい」と話しています。

<資本性劣後ローン>
企業が倒産した場合に返済する順位が低い借り入れで、借入金は株式発行で調達した自己資本と同等と見なすことが可能で、企業の財務改善につながります。
一方、金融機関にとっては通常より貸出金を回収できなくなる危険性が高い融資となるため、一般的に金利は高めに設定されます。

従来から資本性劣後ローンは存在し、弊事務所のクライアントも何社か利用していますが、コロナ禍で増えているようですね。
しかしながら、融資時に借入金ではなく資本としてみなしてくれるだけで、返済が必要な借入金ということには変わりませんので、その点は理解した上で借りていただきたいですね。

劣後ローンが中小企業のピンチ救う命綱になっていることについて、どう思われましたか?


孫社長を審議会に呼ぼう!

日本経済新聞によると、大量の投資マネーが未公開株に流入する世界の潮流から、日本は取り残されています。
政府は新規株式公開(IPO)の値付けの是正や特別買収目的会社(SPAC)の解禁によってお金を流そうと躍起ですが、解決策としては的外れにみえます。
規制緩和などを通じて、投資に値するスタートアップが日本に育つ環境をつくるのが先決でしょう。

ベンチャーエンタープライズセンターによると、2021年1~3月の日本のスタートアップ投資額は前年同期比18%増の456億円です。
時期は異なりますが、アメリカは4~6月に同2.3倍の704億ドル(7.7兆円)、欧州は3.8倍の306億ドルに達し、日本はケタが2つ小さい状況です。

世界で700社を超える企業価値10億ドル以上の未公開企業「ユニコーン」は、日本は現在6社しかありません。
スタートアップにお金を流す仕組みに問題があるとみて、政府は成長戦略に「IPOの価格決定プロセスの見直し」と「SPAC制度の検討」を盛り込んだのです。

証券会社がIPOに応募した個人顧客をもうけさせるために、公開価格を不当に低く設定しており、スタートアップが必要な資金を調達できていません。
アメリカでブームになったSPACを使えば正当な価格で上場し、十分な資金を調達できるはずだという理屈なのです。

この政府案は、実務を担う専門家たちから「市場の実態を理解していない無理筋の案」という批判が相次いでいるようです。
実際、公正取引委員会がIPO実施企業に今週送った調査票を見ると重箱の隅をつつくような技術的な質問が並び、ユニコーンが育つ環境整備につながるとはとても思えないそうです。

必要なのは、発想の転換なのです。
急成長する魅力的なスタートアップがあれば、必ずお金はついてくるはずです。
そんなスタートアップが見当たらないからお金が集まらないのです。

忘れがちなのですが、世界の未公開株投資で最大のお金の出し手は日本企業です。
ソフトバンクグループのビジョン・ファンド第2号は4~6月、47社に135億ドルを投じました。
しかしながら、1号ファンドにさかのぼっても同ファンドの投資先に日本企業は1社も入っていないのです。

政府は審議会に、孫正義会長兼社長を呼んで解決策を聞いたらどうなのでしょうか。
孫社長のことです、投資したくなるスタートアップを日本で育てるためのアイデアを、たくさん持っているに違いありません。

本当に的はずれな擬音をしているような気がします。
資金調達時の調達額を増やすことが目的ではなく、資金調達ができるような企業を増やすことが大事ですから。
数年前に、IPOではなく孫さんのところに買ってもらうことを目標としている経営者が増えているというような記事を目にしましたが、ユニコーンを目指してほしいですね。

孫社長を審議会に呼ぼうということについて、どう思われましたか?


ハローズが45億円を投じ香川県坂出市に物流センターを新設!

LNEWSによると、ハローズは、先日、資金調達及び株式売出しについて発表しました。

ハローズは、2020年12月25日に新中期経営計画「2125計画」(2022年2月期から2026年2月期まで)を公表しています。
この計画では、新四国物流センター新設による物流拠点網の拡大と効率的な物流体制等を展開し、「生産性の高い会社づくり」を行っていくとしています。

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限49億3,008万6,093円については、全額を設備投資資金に充当する予定です。

これらの資金は、店舗新設や物流施設の一部に充てられる予定です。
物流施設では、香川県坂出市に45億円を投じて「四国物流センター(仮称)」を新設する予定です。
着手は2021年8月、完了は2023年1月を予定しています。

広島県が本社のハローズは、我がうどん県(香川県)にもたくさん出店しており、24時間営業で、たまに行きますが、上場企業で設備投資資金を増資でまかなうというのは珍しいと思いますね。
JALやANAもアフターコロナを見据え増資などをしていますが、おそらく、ハローズもアフターコロナやニューノーマルを考えているんでしょうね。
こういう状況だからこそ、コロナで儲かっている企業は積極的設備投資で、雇用拡大など地域にも貢献してほしいと思います。

ハローズが45億円を投じ香川県坂出市に物流センターを新設することについて、どう思われましたか?


JALがコロナ後を見据えた投資のため1,600億円を公募増資!

日本経済新聞によると、日本航空(JAL)は、先日、公募増資などで最大約1,680億円を調達すると発表しました。
新型コロナウイルスで航空需要が急減し、2021年3月期は2012年の再上場後初の赤字となる見通しです。
エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)で財務を強化しつつ、効率の高い航空機の導入など、需要回復後を見据えた投資をするようです。

新型コロナで業績が悪化した大手企業が公募増資で資本増強するのは初めてです。
調達額はアサヒグループホールディングスに並んで2020年で最大規模となります。

公募増資は国内外で実施します。
国内が3分の2、海外3分の1となります。
最大で1億株を新たに発行しますが、現在の発行済み株式数(3億3,714万株)の3割にあたります。

調達額のうち1,000億円を投資に、残りの約680億円を有利子負債の返済に充てるようです。
二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、燃費のいいエアバス社の航空機購入に800億円を使い、今後需要拡大が見込める格安航空会社(LCC)事業への投融資に150億円を投じる計画です。

社債の償還や借入金の返済などで2020年度に300億円、2021~2022年度にそれぞれ500億円の資金が必要になります。
調達資金を返済資金の一部に充てます。

新型コロナによって国際線を中心に旅客数の減少は続いています。
2021年3月期の連結最終損益(国際会計基準)は2,400億~2,700億円の赤字(前期は534億円の黒字)になる見通しです。
航空など運輸業界では需要急減で巨額の赤字を計上する企業も多く、優先株や劣後ローンでの資本増強が相次いでいます。

日本航空(JAL)が資本増強で先手を打ちました。
新型コロナウイルスの影響に苦しむ航空業界の中でも相対的に財務は安定しています。
体力があるうちに手を打ち、コロナ後の成長につなげます。

同日記者会見した木藤祐一郎財務部長は「財務的な余力があるうちに調達をして、ポストコロナをけん引する航空会社になりたい」と話しました。
JALは4~9月期に1,612億円の最終赤字を計上しました。
9月末の自己資本比率は3月末に比べて約8ポイント低下し44%となりました。
ただし、ANAホールディングス(32%)や欧米の航空会社よりも高い水準を維持しています。
比較的良好な財務はJALは2010年に会社更生法の適用を申請し、2012年の再上場後から2019年3月期まで繰越欠損金の控除で税負担が少なかったことが大きいようです。
2021年3月末でも自己資本比率は4割を確保できる見通しです。

資本増強を急いだのは、この相対優位を生かすためです。
航空業界は航空機などの設備投資が売り上げに先行します。
新型コロナが収束しても、財務が悪化していると借入金の返済を優先しなければいけなくなります。
JALの有利子負債は半年間で2,237億円増加しました。
自己資本と比べたDEレシオは0.3ポイント悪化していました。
今回の公募増資で得た資金を先を見据えた投資と負債返済にも充て、コロナ後に備えます。
一方、ANAも劣後ローンで資本増強することを発表しています。

しかしながら、調達額は、11月6日の時価総額(6,213億円)の3割と巨額です。
木藤氏は「短期的には既存株主に影響があるかもしれないが、投資を通じて企業価値を上げたい」と理解を求めましたが、11月6日の東証の取引終了後の私設取引システム(PTS)の取引では株価が1割以上下落しました。

新型コロナという不測の事態とはいえ、調達に見合った企業価値の増加につなげられなければ、市場の不信感は高まります。
世界中で感染者数が再び増加するなか、需要減が長期化する懸念も出ています。
調達資金を使って、想定通りに復活への道筋を描けるかが今後、問われることになるでしょう。

動きが早かったなぁという感じはします。
しかしながら、会社更生法の申請により借入金を棒引きしてもらい、相対的に財務体質の良いJALが先にやるのは、モラルハザードはどうなのだろうか?という疑問は残ります。
個人的には、7割経済と言われているように、将来的にもそれほど需要は戻らないと思っていますので、リスキーだなとは感じていますが、今後どうなるかウォッチしていきたいですね。

JALがコロナ後を見据えた投資のため1,600億円を公募増資することについて、どう思われましたか?


大和ハウスが財務基盤の強化ため初の劣後ローンで1千億円調達!

大和ハウス工業は、先日、ハイブリッドローン(劣後特約付きローン)で1千億円を調達すると発表しました。
調達した資金は、コマーシャルペーパー(CP)や社債の償還のほか、物流倉庫などの設備投資に充てるようです。
一部を資本としてみなせる劣後ローンで資金調達するのは同社として初めてです。
不動産開発を積極的に進める一方で財務基盤を強化する狙いです。

大和ハウスは新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり消費」などで電子商取引(EC)の急増に対応し、物流施設の開発を積極化しています 。
劣後ローンを初めて活用する背景には、物流倉庫などの投資に伴う資金需要が旺盛な一方、財務内容の健全性も保つ狙いがあります。

ダイワハウスは2020年6月、2022年3月期までの中期経営計画で物流施設などの不動産開発投資を当初計画の3,500億円から6,500億円に増額しました。
一方、有利子負債が自己資本の何倍あるかを示すDEレシオを0.5倍程度とする目標も掲げています。
2020年3月期のDEレシオは土地取得などで0.6倍です。
今後、さらに外部からの資金調達が拡大すれば、目標を達成できない懸念がありました。

今回の劣後ローンでは格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)が調達額の50%を資本と認定する予定で財務の健全性の向上につながります。

最近、劣後ローンで資金調達するケースが増えてきていますね。
劣後ローンは、貸借対照表上は負債になりますが、資金調達の際に、金融機関などが資本金とみなしてくれるというものです。
よって、この記事を見て、財務の健全性とか書いていたので、疑問に思ったので、ネットで調べてみると、カラクリがあるようですね。
最近、伊藤レポートなどで、『自己資本利益率』(いわゆるROE)が再び重視されるようになってきているようですが、こちらでは劣後ローンは負債として扱われるため分母に影響なく、一方で、『D/Eレシオ』では、一部が資本金として扱われるため、有利に働くようです。
いわゆる良いところ取りですね。
経営指標にこだわりだすと、経営指標目標を達成するがために本質からかけはなれたことをしたりするケースもありますので、注意が必要ですね。

大和ハウスが財務基盤の強化ため初の劣後ローンで1千億円調達することについて、どう思われましたか?


12兆円規模の企業の資本支援を政府が検討!

日本経済新聞によると、政府が企業向けに検討している資本支援策の枠組みが12兆円規模に達することがわかったようです。
日本政策投資銀行や官民ファンドなどが劣後ローンや株式を取得して。経営を支援したり事業再編を後押ししたりするものです。
新型コロナウイルス拡大の影響で財務基盤が悪化する企業に対し、安全網を広げます。

2020年度第2次補正予算案や財政投融資計画に盛り込むようです。

12兆円のうち約6兆円は政投銀や日本政策金融公庫など政府系金融機関による劣後ローンの活用を想定しています。
劣後ローンの資金調達は増資に近い効果を持ち、格付けの低下を防いだり金融機関の追加融資を受けやすくなったりすることが期待できます。
貸し手が経営に深く関与しないため、企業側も受け入れやすいのです。

残る6兆円は出資などの枠組みに活用します。
大企業・中堅向けには、すでに政投銀が設けている1千億円の出資枠を倍増するほか、産業革新投資機構(JIC)を通じて再編や成長投資に向けた資金を用意します。
中小企業向けには、地域経済活性化支援機構を通じて事業再生や地域ファンドの拡充をはかります。
債権買い取りファンドも整えます。

融資による支援策も強化します。
4月以降も融資需要が増えていることを踏まえ、政府の無利子融資制度などを拡充します。
民間金融機関と合わせて60兆円以上の資金繰り対策の規模を確保する方向で調整します。

政府が企業向けの資金対応を大幅に拡大するのは、コロナを巡る情勢が依然、不透明なことがあります。
現状では多くの日本企業の財務体質は比較的強固で破綻懸念があるわけではありません。
ただし、秋以降も景気悪化に歯止めがかからなければ、健全企業でも財務悪化のリスクがあり、雇用にも悪影響が出かねません。
「資本支援がすべて使われるとは思っていないが、早めに安全網を用意し、企業や市場を安心させる」(政府関係者)狙いがあるようです。

海外でも資本支援を拡充する動きが相次いでいます。
ドイツは大企業向けに1千億ユーロ(約11兆円)の優先株や普通株による出資基金を設立しました。
アメリカやフランスなども航空業界の支援に乗り出しています。

良い制度だとは思いますが、単なる延命や、詐欺的な行為が行われないようにして欲しいですね。
あとは、国が関わるとなると、中小企業が、株主や債権者への決算説明や、決算公告、招集通知、株主総会はどうするのだろうか?とは思います。

12兆円規模の企業の資本支援を政府が検討していることについて、どう思われましたか?


2020年4月から経営者個人保証の二重取り禁止の指針!

 全国銀行協会と日本商工会議所などは、中小企業の経営者が代替わりする際に金融機関が新旧トップから二重に個人保証を取ることを原則禁止するとの指針をまとめました。
経営者保証が負担となって後継ぎが見つからず、廃業に至るのを防ごうとする政府の方針に対応しました。
2020年4月から適用する。

今回の指針策定により、既に決定している商工中金による無保証融資の拡大や国の中小企業支援を含め、政府が2019年6月に決定した成長戦略などで打ち出した事業承継対策が出そろうことになりました。

指針は2014年から運用されている「経営者保証に関するガイドライン」の特則との位置付けで、二重保証の禁止に加え、後継者への保証契約も「慎重に判断すること」を金融機関に要請しました。
中小企業の側には、無保証でも融資が受けやすくなるよう財務基盤の強化や適切な情報開示を求めました。

指針に強制力はありませんが、金融庁が無保証融資の実績公表を金融機関に働き掛けるなど官民で順守を促すようです。
取りまとめを主導した小林信明弁護士は、「中小企業の活性化を図るという公共的な目的で制定した」と意義を強調しました。

そろそろ金融機関には、担保や個人保証を取るのをやめて欲しいですね。
事業の将来性を評価して、将来のキャッシュ・フローを担保に融資ができるようになって欲しいと思います。
そういうことができるようになると、銀行が最近言いたがるコンサルティングの能力が自然に高まるのではないでしょうか?

2020年4月から経営者個人保証の二重取り禁止の指針がまとめられたことについて、どう思われましたか?


スタートアップ企業が医師や教授にストックオプションを付与!

 スタートアップ企業が医師や大学教授ら社外の専門家に、株式を利用した報酬「ストックオプション」(新株予約権)を付与する動きが広がっているようです。
日本経済新聞社の調査では、未上場企業の9割がストックオプションを活用し、うち3割が社外の専門家に付与しているようです。
現金支出の負担を抑えながら、専門性を持つ社外人材の知を生かし、企業価値の向上につなげているようです。

ストックオプションを使えば、現金を常に用意しなくても高度な専門人材を生かせます。
病院向けIT(情報技術)のリンクウェル(東京都港区)は、外部の医師にストックオプションを発行し、新事業としての消費者向け商品を共同研究しています。
金子和真最高経営責任者(CEO)は、「病院に勤めていて社員になれなくても、製品開発に協力してもらえる」と話しています。

日本経済新聞社は、未上場企業の企業価値を調べた「2019年の「NEXTユニコーン調査」で、ストックオプションの施策についても聞いたところ、回答企業の89%となる154社が導入していたことがわかりました。

付与している相手は従業員83%、取締役72%に続いて社外の専門家が27%で、監査役の23%を上回っています。
付与の対象となる専門家の幅が広がっており、半導体メモリーのフローディア(東京都小平市)の場合、大手メーカー出身のエンジニアに付与しました。

イノベーションの創出には最新の技術を取り入れ、現場のニーズを踏まえることが欠かせません。
高度な専門性を持つ人材が年々重要になっており、獲得競争が激しくなっています。

スタートアップ企業は、10年前と比べれば資金を調達しやすくなったとはいえ、創業間もない赤字会社が高い給料を払って正社員を採用するのは依然として難しいでしょう。

大学教授などの安定した職に就く人にとっては、自らの研究成果や現場の経験を新たな技術や事業アイデアにつなげるうえで、転職まで踏み込む必要がありません。

スタートアップ企業が社外の人材とつながる利点は、知見を得られることだけではありません。
電動車椅子のWHILL(神奈川県横浜市)は「人脈が広がる」といっています。
そのことが新事業につながっていくきっかけになります。
ストックオプションが様々な企業のなかで知の交流を生み、イノベーションをけん引する要因となっています。

投資家側の変化が、こうした流れを後押しします。
ベンチャーキャピタルなどは、これまで、ストックオプションに伴う持ち株の希薄化を嫌がる傾向にありました。
上場時などの株売却によるもうけが減るからです。
プルータス・コンサルティング(東京都千代田区)によると、最近は「優秀な人材確保は企業価値の向上につながるとの理解が投資家に浸透しつつある」といっています。

増えていくのは望ましいことだとは思いますが、監査役を上回る水準というのは驚きました。
近年、ベンチャーキャピタルなどから資金を調達しやすくなってきているとはいえ、ベンチャーキャピタルからの出資を嫌がる経営者の方もいらっしゃるでしょうし、資金的には厳しいベンチャー企業が多いでしょう。
そのような中、ビジネスパートナーにストックオプションを付与することは、付与する側にも付与される側にもいいことなんでしょうね。
付与される側も、自分の貢献により、将来、お金になるかもしれないとなると、モチベーションが違うでしょうから。

スタートアップ企業が医師や教授にストックオプションを付与していることについて、どう思われましたか?


クールジャパン機構が株主企業6社に196億円を出資!

 東京新聞によると、政府と民間が資金を出して運営する官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が出資した事業のうち、少なくとも7件が機構の株主企業6社に関連していたことが、取材で分かったようです。
公的資金が株主企業に還流された形で、クールジャパン機構の中立性が揺らぐ可能性があります。
クールジャパン機構の投資先を決める内部組織に、投資先企業の役員がいたことも判明したそうです。
識者は、公的投資の名目で私企業の利益を図る「利益相反」の疑いを指摘しています。

東京新聞は、クールジャパン機構が2014~2019年に公表した出資32件の内容を事業報告などから調べ、株主6社に関係する出資を計7件確認しました。
総額は196百億円で、出資全体の3割にあたるそうです。

株主の出資額の20倍超を支援した例もあるようです。
クールジャパン機構は、2014年9月、中国・寧波への商業施設出店事業に110億円の出資を決めました。
この事業は、クールジャパン機構に5億円を出資する株主の「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」(大阪市)が中心を担っています。

利益相反が疑われる出資は、マレーシアにある日系百貨店の改装事業への10億円です。
機構株主の三越伊勢丹ホールディングス(HD)の子会社が事業を請け負いました。
クールジャパン機構が出資を決めた2014年9月当時、投資先を選ぶ内部組織「海外需要開拓委員会」の委員長をHDの社外取締役が務めていました。

政府は官民ファンドに中立的な投資を求めています。
海外需要開拓支援機構法は海外需要開拓委員会の運営に関し「特別の利害関係を有する委員は議決に加わることができない」と定めています。

経済産業省クールジャパン政策課の三牧純一郎課長は、株主が関わる事業への出資7件を認めたうえで、決定に際しては政策的意義や収益性といった政府の支援基準を守っていると東京新聞に説明したようです。
「機構株主と出資先の企業が同じだからといって、ただちに問題があるとの認識はない」と語ったようです。

利益相反の指摘に対しては「出資者を含む利害関係者は支援決定の議論や議決から外れることになっている。マレーシアの案件も当該取締役は議論・議決の場にいなかった」と述べています。

官民ファンド問題を追及している立憲民主党の蓮舫参院議員は「5億円の出資で110億円の支援を受けるのは公金の還流だ」と投資の中立性に疑問を呈しました。

慶応大大学院の小幡績准教授(企業金融)は「官民一体という構造上、政府が機構の株主に一定の配慮をしなければならず、結果的に利益相反が生まれる。公金が使われる以上、国民に疑問を持たれる余地があってはならない」と語っています。

クールジャパン機構は日本文化の発信で成長が見込める企業に投資しています。
2019年9月現在、政府が756億円、民間23社が計107億円を出資しています。

<官民ファンド>
リスクが高く、民間だけでは資金を調達できませんが、成長が見込めそうな企業の株を買う機関です。
株の売却益や配当が出れば出資者に配るが、事業の失敗で資金を回収できないこともあります。
2012年発足の第2次安倍政権が成長戦略に掲げ、全14のうち10ファンドを新設しました。
クールジャパン機構は2013年11月に発足したものの、業績不振が指摘され、2018年度末の累積損失は179億円となっています。

農林水産省所管のA-FIVEもそうですが、国が主体となってファンドをやるとろくなことがないですね。
国民におかしいなと思われても、問題がないと思っているようですし、どんどん累積損失が膨らんでいくでしょうから、早くやめた方がいいですね。
数億円も出資できるのであれば、自社でやればいいのではないかと思います。

クールジャパン機構が株主企業6社に196億円を出資していたことについて、どう思われましたか?


ペッパーフードが新株予約権を発行して69億円調達を想定!

 「いきなり!ステーキ」はペッパーフードの連結売上高の8割強を占める主力事業ですが、既存店売上高は20か月連続で前年同月を下回っています。
ステーキ店「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスは、先日、行使価格修正条項付きの新株予約権を発行すると発表しました。
69億円の調達を想定していますが、金額が増減する可能性があります。
調達した資金は新規出店などで膨らんだ借入金の返済や広告宣伝費などに充てるそうです。

割当先はSMBC日興証券で、新株予約権のすべてを行使すると520万株になります。
2019年6月末時点の発行済み株式の24.74%にあたります。
払込日は2020年1月15日、当初の行使価格は1,332円で、この価格での調達額は69億円となります。
ただし、株価に応じて調達額は変化します。
2019年12月27日の終値は1,294円でしたが、発行価格の下限は666円で、上限はありません。

69億円を調達した場合、48億円を借入金の返済に充てるそうです。
2019年11月末の借入金の総額は87億円でした。
また、13億円をテレビコマーシャルなどの広告宣伝費に充てるようです。

また、みずほ銀行など金融機関から計41億円を2019年8~9月に借り入れたと発表しました。

いきなり!ステーキはペッパーの連結売上高の8割強を占める主力事業です。
ただし、既存店売上高は2018年4月から20か月連続で前年同月を下回っています。
2019年12月期の連結最終損益は25億円の赤字(前期は1億2,100万円の赤字)になる見通しです。

財務体質も悪化しており、2016年12月期に30%だった自己資本比率は、2019年1~9月期末時点で5%まで低下していました。

個人的には、どこかに買収されるのではないかと思っていましたが、とりあえずはSMBC日興証券への新株予約権の発行ということになりましたね。
これで足りるとは思いませんが、今後、どう立て直していくのか、ウォッチしていきたいと思います。

ペッパーフードが新株予約権を発行して69億円調達を想定していることについて、どう思われましたか?


農林水産省所管の官民ファンドA-FIVEが廃止へ!

 農水省は、先日、農水省所管の官民ファンド、農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)を廃止すると発表しました。
2020年度末で新規投資業務を終了し、早期解散を目指すようです。
廃止の理由について、江藤拓農林水産大臣は閣議後会見で、「計画通りの累積損失を回収し、収益を確保することは困難と判断した」と述べました。

2020年度当初予算案では、関連予算の要求を取り下げ、今後、新たな予算要求はしない方針です。

後継組織について、江藤農林水産大臣は「今のところ考えていない」とする一方、「国が関与した出資が必要という声が上がった場合には、考えることもあるかもしれない」と述べました。

A-FIVEは2013年、官民共同で設立された投資組織です。
出資額は国が300億円、民間企業が19億円です。
投資が想定どおり進まず、累積赤字が2019年3月末時点で92億円に膨らんでいました。

既に交渉中の投資案件があることから、2020年度は投資決定を継続します。
2019年4月時点では、当初の事業期間が2032年度末までだったことを踏まえ、2026年度末まで投資決定する計画でした。
出資先から回収を完了するなど一定の条件が整った段階で解散します。

農林水産省は、累積赤字が膨らんだ原因について「6次産業化は投資対象として小規模な一方で、同機構がそれに見合った組織規模ではなく、投資実績に対して高コストだった」(産業連携課)と指摘しました。
地銀などと共同で出資するサブファンド方式も取り入れていましたが、「その仕組みもうまく機能しなかった」(同)。
専門家による原因の検証を始めるようです。

国が主体となってファンドをやるとろくなことがないですよね。
やはり、ファンドは事業の将来性の分かる方がいないとうまくいくはずはないと思いますし、失敗しても責任を取らない国の方が主体となるとうまくいくはずはないですよね。
日本を代表する経営者の1人であるソフトバンクグループの孫さんですら、ファンドはうまくいっていないわけですから。
税金の無駄遣いをせずに、もっと有効に使って欲しいと思います。

農林水産省所管の官民ファンドA-FIVEが廃止されることについて、どう思われましたか?


借入金利が全国で最も低いのは我が「うどん県」!

 日本銀行によるマイナス金利政策の継続により、企業を取り巻く金融環境はこれまでにない低金利の時代に突入しています。
競争が激化する地域金融機関においても、その過半数で本業利ざや(貸出金利息-預金利息)が減少するなど銀行経営に影響を及ぼし、近時は SBI グループとの連携や地銀再編機運も高まりを見せています。
五輪を控えて堅調な建設業界や、設備投資意欲の旺盛な運輸・倉庫業者など資金需要は見込めるものの、リスケジュール対応を受けながらも再建が進まない企業も多く見受けられます。
消費税引き上げによる企業へのダメージを懸念する声も聞かれるなど、企業の金融環境への注目度は高くなっています。
このようななか、帝国データバンク高松支店は、2019年10月末時点の企業財務データベース「COSMOS1」を用いて、四国地区に本社が所在する企業の平均借入金利を算出し、集計・分析しました。

<平均借入金利>
2018年度の四国地区4県の平均借入金利は、我が「香川県」が1.13%(前年度比▲0.09pt)で最も低く、「愛媛県」1.26%(同▲0.08pt)、「徳島県」1.37%(同▲0.07pt)、「高知県」1.39%(同▲0.06pt)と続きました。
また、我が「香川県」と「高知県」の平均借入金利の格差は0.26pt となり、四国地区内においても温度差がみられました。
企業の借入金利は、2007年度~2008年度にかけてピークとなり、リーマン・ショックや日本銀行の金利政策もあって2009年度以降は各県において低下が続いています。
なお、全国の平均借入金利は1.37%(前年度比▲0.08pt)となりました。

全国で最も借入金利が低かったのが我が「香川県」となり、県外金融機関の進出などで競争の激しさがうかがえます。
2018年度の四国地区4県の平均借入金利について、10年前の2008年度と比較すると、「愛媛県」が▲1.10pt と低下幅が最も大きくなっています。

次いで、「高知県」(▲0.96pt)、「徳島県」(▲0.95pt)、我が「香川県」(▲0.93pt)の順に続きました。
低下幅を「全国」(▲0.93pt)と比較すると、我が「香川県」のみ同水準ながら、その他の3県は「全国」よりも大きくなっています。

<業種別>
業種別にみると、主要6業種で平均借入金利が最も低かったのは、「製造業」(0.94%、我が香川県)で、唯一、1%を切っています。
なお、「愛媛県」を除く3県で「製造業」が低い傾向となりました。
一方、平均借入金利が最も高かったのは、「建設業」(1.64%、高知県)で、4県とも「建設業」が最も高くなっています。
「全国」との比較では、「製造業」「サービス業」において、四国4県いずれも「全国」を下回りました。

今回の調査で、四国4県の企業の平均借入金利は2018年度も低下傾向にあることが判明しました。
なかでも我が「香川県」は、全国都道府県別で最も低い金利となりました。
我が「香川県」の平均借入金利は、四国地区で最も高い「高知県」とは0.26pt、全国で最も高い「沖縄県」とは0.70ptの差があり、企業を取り巻く金融環境は地域の特性によって差異が生じている状況がうかがえます。
今後も借入金利は低水準で推移するとみられますが、世界景気の悪化により変動する可能性もあり、企業と金融機関の関係性や企業経営そのものを左右する金利の動向が注目されます。

数年前から我が高松市は日本で一番金利が安いというのは、時々耳にしますが、うどん県全体でもそうなんですね。
とある地銀がかなり安い金利で融資の獲得に走っていたのもあると思いますが、我が香川県の企業は借入先が多いとも昔から言われていますので、そういったところも影響しているのかもしれませんね。

借入金利が全国で最も低いのは我が「うどん県」であることについて、どう思われましたか?


「資本コスト」を話せますか?

 「御社が前提とする資本コストは何%ですか」「その資本コストに見合う事業でしょうか」。
そんなやりとりが、上場企業と投資家のあいだで増えていくかもしれません。
金融庁と東京証券取引所が進める企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の見直しで、2018年、資本コストという考え方が明確に盛り込まれたからです。

借りたお金には利子がかかります。
利子を上回るもうけがなければ、そのビジネスを続ける意味はありません。
それを株式にもあてはめて考えるのが資本コストです。
株主も最低限のリターンを求めているはずで、それ以上にもうけなければ企業は価値を生んでいない、とファイナンス理論では考えるのです。

経営戦略づくりも資本コストへの意識を、持ち合い株も資本コストを上回るメリットがあるか考えてとのメッセージが、見直しには込められています。
資産を無駄に抱えず、効率的にもうけてくれれば株式市場の評価も上がるとの期待があるのです。

とはいえ、いざ資本コストを数値に落とし込むとなるとことは単純ではありません。
理論的には資本資産評価モデル(CAPM)、配当割引モデルの2つが算出法の代表なのですが、実はどちらも前提の置き方次第で大きく数値が変わってくるのです。

前者は自社の株価の変動性をどうとらえるか、後者は配当が将来何%ずつ伸びると想定するかで、数値が揺れます。
「うちはどう計算すべきか」と慌てた問い合わせが、幹事証券などに舞い込んでいるようです。

経営側と投資家が双方、腑に落ちない数字がまかり通っても意味はありません。
数字に縛られすぎると、経営戦略が縮こまり、大胆さを失うかもしれません。
一方で、数値達成を急ぐあまり無理な背伸びを誘発するかもしれません。

資本コストで追い立てられる議論より前に、経営側に必要なのは、しっかりと稼ぐ堂々たる収益のビジョンと戦略です。
そして、きちんと理解し評価できる投資家側の見識も求められるのです。

株価算定(バリュエーション)の仕事をしている方は、『資本コスト』は当然知っている話ですが、一般の方には、なかなか難しいかもしれませんね。

代表的なところでも、支払利息は損金となりますが、配当は税引後利益から支払うため損金とならないといったようなことがあります。
これを契機に、『資本コスト』が少しでも浸透し、考慮されるようになればいいですね。

「資本コスト」を話せますか?について、どう思われましたか?


金融庁が経営者保証の共通指標を導入!

 金融庁は、銀行が中小企業の経営者から取っている経営者保証の状況を比較できる共通指標を来夏から導入し、開示を求めるようです。
企業が事業承継する際、新旧経営者の双方から保証を取り続ける「二重徴求」のケースもあります。
銀行に不要な保証を求めないよう促し、保証が負担となって事業承継を断念し、廃業してしまう事態を防ぐのが狙いです。

対象は大手銀行と地方銀行、第二地方銀行です。
新規融資分のうち経営者保証を求めなかった割合や、事業承継時の新旧経営者の保証件数などを指標化し、半期ごとに開示させるようです。

政府は2019年6月に閣議決定した成長戦略で、銀行による経営者保証の状況を指標で「見える化」することを打ち出しており、2019年度の「二重徴求」を含めた保証の状況を明らかにします。

金融庁の調査では、全国の地銀105行のうち、事業承継時に新旧経営者から二重に保証を取っていたケースは、調査を始めた2016年度下期は46.2%でした。
その後、2017年度下期は36.5%、2018年度上期は19.3%と減少傾向にあります。

銀行側は「経営者への借入金返済の規律付け」として経営者保証を取っており、取引状況や融資判断によっては難しい対応を迫られるでしょう。

金融庁は担保や保証に過度に依存せず、事業内容や将来性を見極めて取引するよう銀行を点検します。

そもそも二重取りというのはおかしいと思いますが、金融庁が動くのは良いことだと思います。
事業承継のネックになるものの一つが経営者保証だと思いますので、良い方向に改善されて欲しいです。
疑問なのは、なぜ、信用金庫などは入っていないのでしょうか?
金融機関も手数料ビジネスに走るのではなく、将来のキャッシュ・フローを見極る目を高めて、将来のキャッシュ・フローを担保に融資をして欲しいと思います。

金融庁が経営者保証の共通指標を導入することについて、どう思われましたか?


ユニバーサルミュージックへの課税取り消し判決!

 会社組織の再編に伴うグループ間の資金調達を巡り、約58億円を追徴課税した東京国税局の処分を不服として、大手レコード会社「ユニバーサルミュージック」(東京・渋谷)が処分取り消しを求めた訴訟の判決が、先日、東京地方裁判所でありました。
清水知恵子裁判長は、ユニバーサルミュージックの主張を認め、処分を取り消しました。

ユニバーサルミュージックは、フランス親会社の組織再編の一環で、海外の関連企業から資金を借り入れ、利子を支払いました。
国税局は、利子が関連企業への利益移転にあたるとして、2012年12月期までの5年間で計約181億円の申告漏れを指摘し、約58億円を追徴課税しました。

判決で清水智恵子裁判長は、組織の再編や借り入れには「経済的合理性がある」と判断しました。
ユニバーサルミュージックにとって大規模な資金調達が可能になるメリットがあり、国の処分は違法と結論づけました。

東京国税局は「国の主張が認められず大変遺憾」とコメントしました。

ここ数年、国税局は安易に否認しすぎているような気がします。
一部メディアによると、この事件をきっかけに税制改正を行っているので、国側は負けても痛くないということが書かれていますが、訴訟に負ければ、改正も取り消してほしいですね。

ユニバーサルミュージックへの課税取り消し判決について、どう思われましたか?


フラット35で「住む」と偽り賃貸用にして悪用し不動産投資!

 1%程度の固定低金利で長年借りられる住宅ローン「フラット35」を、不動産投資に使う不正が起きていることがわかったようです。
ローンを提供する住宅金融支援機構も「契約違反の可能性がある」とみて調査を始め、不正を確認すれば全額返済を求める方針です。

不正が見つかったのは、東京都内の中古マンション販売会社が売った物件向けのローンです。
元男性社員(50)が朝日新聞の取材に応じ、「フラット35を投資目的で使ったのは、昨年6月までの約2年間に売った150戸前後。仲間の仲介業者らと一緒にやった。このしくみでトップセールスマンになれた」と証言しました。
販売会社は2018年夏にこの社員を懲戒解雇し、2018年秋までに機構へ届け出ました。
利用客の一部も、機構から事情を聴かれています。

元社員が関与した不正な融資の顧客は20代~30代前半の若者を中心に100人超です。
融資額は1人2千万~3千万円ほどで、計数十億円規模になります。
不動産業者らがお金に困った若者らを、投資セミナーやネット上で勧誘したとみられます。
機構によると、こうした不正が大規模に発覚した例はないそうです。
同様な手口がほかの業者でもあれば、不正はさらに広がるでしょう。

元社員によると、利用客は年収300万円台以下の所得層が大半で、200万円前後の借金を抱える人も多かったようです。
「借金を帳消しにして不動産も持てる」などと勧誘していました。
利用客はマンションの賃貸収入でローンを返します。
本来は投資用なのに「住む」と偽って融資を引き出す手口で、不動産業界では「なんちゃって」と呼ばれているようでs。

フラット35を借りる際、利用客は不動産業者を経由し、機構の提携先の取り次ぎ金融機関に申し込みます。
業者らは本来の売却額を数百万円水増しした契約書を提出し、物件価値を上回る融資引き出しの不正もしました。
その分は借金の肩代わりや、利用客を探したブローカーへの紹介料などに充てていました。

融資の審査は金融機関や機構が担いますが、不正はチェックのすきをつかれました。
利用客は業者の指示で、本人の居住を示すために当初だけ物件に住民票を移し、ほどなく元に戻します。
また、機構からの郵便物は転送させるなどして発覚を防いでいましだ。

機構は政府が7千億円超を全額出資する独立行政法人で、自らは直接貸さず、取り次ぎ金融機関に融資実務を担ってもらい、その債権買い取りで資金を出しています。

機構のローンを巡ってはこれまでも融資金をだまし取るなどの不正が続発しています。
会計検査院が2012年、十分な審査態勢を金融機関とともに築くように求めました。
機構は今回の不正を踏まえ、フラット35が投資目的で使えないことを強調するなど対策に着手し、「必要に応じて審査態勢をさらに強化する」そうです。

<フラット35>
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が民間銀行などと連携して提供する住宅ローン。
国民の住宅取得を支えるため、低い固定金利で最長35年間借りられます。
転勤などで入居途中から賃貸に回すことは認められますが、当初から投資目的で借りると融資契約に違反します。
住宅ローンは不動産投資向けローンと比べ、金利が低くなっています。

ひどい話ですね。
こういうことがあると、結局、税金で負担することになってしまいますからね。
もちろん、やった本人や、それに気づかなかった中古マンション販売会社に責任があると思いますが、機構の手続きなどにも不備があったのだろうと思います。
貸したら終わりではなく、きちんとルールを守っているかどうかを事後的にチェックする仕組みが必要でしょうね。
そうしないと、機構の存在意義が問われるのではないでしょうか?

フラット35で「住む」と偽り賃貸用にして悪用し不動産投資をしていたことについて、どう思われましたか?


ASBJは自社発行の仮想通貨会計ルールを当面策定せず!

2018年03月16日(金)

日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)は、先日、企業が自社で発行した仮想通貨の会計ルールを当面策定しない方針を決めました。
仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)などを念頭に「実態を網羅的につかめていない」ためのようです。
3月中旬をメドに、自社以外が発行した仮想通貨のみを対象にルールをまとめるようです。

ASBJでは、仮想通貨の保有や売買をした際の会計処理について議論し、2017年12月に草案を公開しました。
自社で発行した仮想通貨については議論の範囲外としており、パブリックコメントも踏まえ、草案の適用範囲から自社発行の仮想通貨を除外することとしました。

ちなみに、ICOは企業が「トークン」と呼ぶデジタル権利証を発行し、事業に賛同する投資家がビットコインなど広く流通する仮想通貨で買い取る仕組みです。

既に上場企業の子会社で、ICOを使う企業が出ているのに、見送り(先送り)はどうなのかなぁと思います。
安易に自己資本を増やせるものになってはいけないと考えますし、会計基準の公表により、過去の会計処理が違っていたということになりかねないと思いますし、過度に監査法人に負担を与えることになるのではないかと憂慮されます。
過去に、業績の悪い企業が資金調達を通じて不正を働いていたケースもあると思いますので、早めに会計基準を作ってほしいですね。

ASBJは自社発行の仮想通貨会計ルールを当面策定しないことについて、どう思われましたか?


食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎる!

 東洋経済によると、食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎるそうです。
「勝つために何をするか、道は解かっています」「売上予算の達成を重視し、英知を集めて対応します」「競争には絶対に勝つ」など、株主に直接呼びかけるような表現で埋め尽くされているのです。

神奈川県や東京都など首都圏に113店(20189月末時点)の食品スーパーを運営するオーケーは、「毎日が低価格(エブリデー・ロー・プライス)」を掲げ、チラシはまかない、値上げの理由などの商品情報を店内に「オネスト(正直)カード」として掲示するなど、独自の運営方法で知られています。
低価格がウリながらも利益率は業界平均以上で、業界でも一目置かれる存在です。

そのオーケーの発行する有価証券報告書(以下、『有報』といいます。)の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」が、また独自なのです。
冒頭に引用した一節のように、株主に直接呼びかけるような表現で埋め尽くされているのです。

<紋切り型の説明はしない>
オーケーは未上場会社ですが、株主数が多いため、有報の提出義務があります。
オーケーの有報は、金融庁が所管する電子情報開示システム「EDINET」で閲覧できます。
一般的に、有報における「対処すべき課題」は紋切り型で、通り一辺倒の内容になりがちです。
「当連結会計年度における国内経済は~」から始まって、フォーマットが決まっているかのような表現が続くことが多くなっています。
しかしながら、オーケーは違うのです。
終わった期の振り返りに加え、次期予想も数字を明示して説明しています。
青果、精肉、水産、総菜の各部門の状況と、認識している課題と対応策などが書かれています。
「お友達宅配(という施策)はご利用が少なく見直しています。宅配手数料10%に抵抗があるようで、思慮が足りなかったと反省しております」「ネット販売でも『エブリデー・ロー・プライス』を実現するのが大きな課題ですが、やりがいもあります」といった調子です。
売り場を知り尽くした経営者でなければ語れない内容が、平易な言葉で、既存店実績など必要な数字も折り込んで説明されており、個人投資家はもちろん、プロの機関投資家も歓迎するであろう内容です。
それもそのはずで、同欄を書いているのは、創業オーナーである飯田勧代表取締役会長本人だそうです。
飯田会長が草稿を書き、二宮涼太郎社長などとやりとりをしてまとめているようです。
オーケーは毎年4月に取引先を集めた「オーケー会」と呼ばれる会合を開いています。
実は有報の「対処すべき課題」は、その際のスピーチ原稿を活用したものです。
新年度にあたりその年の会社方針を取引先に説明したもので、平易な表現で具体的な施策が並ぶのは、そうした理由もあるのです。

<閉店知らずで31期連続増収>
オーケーの業績は好調です。
31期連続で増収が続いており、同社が重視する経常利益も年によって多少のでこぼこはありますが、基本的なトレンドは右肩上がりです。
低価格ゆえに粗利率は同業他社よりも低いですが、販売経費を絞り込むことで、同業他社よりも格段に高い営業利益率を確保しています。
1982年以降に開業した店舗では、移転拡張や老朽化による閉店はあっても、業績不振での閉店は皆無です。
そのオーケーが最も重視する経営指標は売上高だそうです。
トップラインを重視する企業は今や珍しいですが、採算を確保する施策を徹底していれば、トップラインの上昇に利益はおのずとついてくるという発想のようです。
創業以来の飯田氏の信念は、トップラインを上げるために1人でも多くのオーケーファンを作るということです。
そのファン作りの施策の一つが「オーケークラブ」です。
入会すると食料品について約3%相当の割引が受けられる、いわゆる友の会的組織です。
流通業の一般的な会員組織は、顧客が割引などの特典を受ける代わりに自らの情報を提供、企業側が情報を分析してマーケティングなどに生かすといったギブアンドテイクの関係が成立しています。
一方、オーケークラブは、郵便番号の登録と200円の手数料のみで入会できます。
顧客側が一方的に得をしていることになりますが、「ファンを増やすことが目的なので、損をしている認識はない」(二宮社長)そうです。
ファン作りという姿勢は資本政策にも現れています。
オーケーでは2007年~2009年にかけて、計3度、種類株式を発行しています。
応募資格をオーケークラブの会員である個人に限定し、証券会社による引受を付けず、応募はオーケーが直接、店頭で受け付けたのです。
オーケーの株主数は、普通株式で法人77に対し個人が257人で、これだけでも未上場会社としてはかなりの数ですが、これに種類株式の延べ5,647、うち個人株主の5,638が加わります。

<株主になってもらい「同じ船に乗る」>
種類株の調達総額は、3回合計で73億円強でした。
販管費35日分程度の金額でしかないので、顧客に株主にもなってもらう趣旨だったことは間違いありません。
種類株式は議決権こそついていませんが、配当順位も残余財産の分配順位も普通株式と同順位です。
直近の配当性向は18%で、「世の趨勢に合わせて、少しずつ高めている」(二宮社長)そうです。
1株当たりの発行価格は20077月発行分が2,500円、20089月発行分が3,07480銭、20099月発行分が3,53020銭です。
算定方式は直前半期の経常利益の55%を2倍し、発行済み株式総数(普通株式と種類株式の合計)から自己株式を差し引いた株数で割り、それを17倍しています。
つまり、1株当たりの税引後の経常利益の17倍です。
特別損益を考慮しないので当期純利益ではなく経常利益を使いますが、税金は考慮するので経常益の55%、それの17倍ですから、感覚的にはPER(株価収益率)が17倍ということでしょう。
株主は自由に株を売買することはできませんが、発行翌年から1月と7月の年2回、会社に取得請求できます。
この際の算定方式も発行時と同じで、直近半期の経常利益が79.8億円(単体ベース)だったので、現在の買い取り価格は、ざっと5,400円程度となります。
種類株主はオーケーの成長によって、配当だけでなく、それなりの果実を得ていることになります。
オーケーの普通株主には取引先が多く、「株主になってもらい、取引先、そしてお客様と一つ同じ船に乗る」(二宮社長)そうです。
もっとも、種類株式について議決権までは与えていないところは手堅いですね。
現時点では新たに種類株式を発行する計画はないそうです。
オーケーは株主に送付している事業報告書にも、有報と同じ文章を載せています。
有報はプロしか読まないでしょうが、事業報告書は個人株主でも普通に目を通します。
有報も事業報告書もプロが読むものという発想から脱却し、個人にもわかりやすい情報開示を心掛けています。
自社製品の優待の次の一手として、ファン株主を増やしたい上場企業にとっては大いに参考になるのではないでしょうか?

僕自身2007年から2011年まで東京に住んでいて、「オーケークラブ」に入り、隣の駅のオーケーで買い物をしていました。
動線がよく、安いんですよね。
上記種類株式は、僕が東京に住んでいた時に発行しており、おそらく何かの事情で応募しなかったのだと思いますが、募集していたのを見て、どうするか検討したような記憶があります。
大学院で有報を使った授業をしている僕としては、ものすごく親近感を覚えるとともに、とても新鮮な気分になった有報でした。

食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎることについて、どう思われましたか?


上場企業は仮想通貨による資金調達に慎重な対応を!

 日本取引所グループ(JPX)の清田瞭・最高経営責任者(CEO)、先日の定例会見で、仮想通貨を発行して資金調達するICO(イニシャル・コイン・オファリング)について「海外では詐欺的なものが多いと報道されている。上場企業によるICOは慎重にすべき」との見方を示しました。
 ICOは、「トークン」と呼ばれる仮想通貨を発行すれば迅速に資金調達できるメリットがあり、世界的に利用が伸びています。
 日本の上場企業でもICOを検討する動きが出ていますが、利用者保護の観点から法規制すべきだとの声が与党議員から上がっているようです。
 また、JPXは、保有するシンガポール取引所(SGX)株式5,3051,000株について、3年程度をかけて売却すると発表しました。
 SGXの株式は東京証券取引所が2007年に約370億円で取得しましたが、保有を続ける合理性を検証した結果、協力関係維持のために必ずしも保有し続ける必要はないとの結論に達したようです。
 清田CEOは、会見で「株を売るから協力関係をやめるということではない」と述べました。
 JPX自体上場しており、国際会計基準を採用しているため、保有株の売却で発生する損益は貸借対照表の利益剰余金に振り替えられます。
 20193月期以降の連結業績への影響はありません。
 個人的には、清田CEOの発言に同意します。
 株主が、仮想通貨で予期せぬ不利益を被らないようにしてほしいですね。
 上場企業は仮想通貨による資金調達に慎重な対応をと日本取引所グループの清田CEOが発言したことについて、どう思われましたか?

仮想通貨を用いた資金調達(ICO)に監査法人も困惑!

2018年02月09日(金)

最近、世間を賑わせている『仮想通貨』ですが、『仮想通貨』を用いた資金調達『ICO』が国内外で広がっています。
ただし、その会計処理についての明確な指針がまだありません。
週刊東洋経済によると、1月15日に東京証券取引所に提出されたある開示資料が市場関係者をざわつかせているようです。
決済代行サービスなどを手掛けるIT企業であるメタップス(東証マザーズ上場)が提出した、韓国子会社のICO(イニシャル・コイン・オファリング=仮想通貨を用いた資金調達)をめぐる資料です。

それによれば、メタップスは、2017年9月〜11月の四半期報告書の提出期限延長を申請しています。
今回のICOの会計処理について追加的な検討を行うためです。
さらに翌日、メタップスは、資料の一部を訂正し、「監査法人との協議の結果」という文言を削除し、協議がまだ終わっていない点を強調しました。

ICOの直訳は「新規コインの売り出し」です。
新規事業を始めたい企業などが「トークン」という独自の仮想通貨を発行し、投資家に販売して資金を集めます。
トークン購入に使えるのは、ビットコインやイーサリアムといった主要な仮想通貨で、ICO実施者が指定します。

メタップス子会社の場合、同社が新たに韓国に設立する仮想通貨取引所「コインルーム」の拡大に向けICOを実施し、2017年10月までにイーサリアムで約11億円(1月25日の時価で約39億円)を調達しました。

ICOは「資金調達」の一種といわれますが、IPO(株式新規公開)などとは手法や特徴が異なります。
ICOの場合、トークンは仮想通貨取引所で売買できるため、投資先のサービスが発展すれば売却して利益を得られる可能性もあります。

上場企業傘下のICOはメタップスが世界初です。
会計上の扱いについては、メタップスが採用する国際会計基準はもちろん、日本基準にも明確な指針がありません。

メタップスは「受領した対価(仮想通貨)は将来的に収益として認識する」方針です。
ICO直後は暫定的に流動負債の「預かり金」として計上しましたが、2017年11月のコインルーム設立と同時にホワイトペーパー(資金使途などを示す文書)の定める利用者への返還義務がなくなったとして、将来の収益認識を前提とする「前受金」へと計上し直しました。

しかしながら、この返還義務の有無には議論の余地が残ります。
韓国では今、仮想通貨の取引禁止を含む規制の議論が過熱しています。
コインルームの発展性や継続性に不安が増す中で返還義務が消滅したと言い切るのは容易ではないでしょう。

そもそも仮想通貨は現金と同様に扱えるのかという論点もあります。
2017年12月には、韓国でハッキングによる仮想通貨喪失が発生し、メタップスの監査法人は、専門家による情報セキュリティに関する追加検討や、メタップスが保有する仮想通貨残高を適時に確認する手続きの検証が必要だと会社側に説明しているようです。

ICOの波は、各国の上場企業に広がる可能性もあります。
メタップスのケースはICOの会計処理の“前例”となります。
四半期報告書の提出期限は2月15日で、その内容に注目が集まっています。

監査法人は、PwCあらた有限責任監査法人ですが、担当者は大変でしょうね。
今後も、仮想通貨がらみの取引はどんどん出てくると思いますが、頭を悩ましそうですね。

仮想通貨を用いた資金調達(ICO)に監査法人も困惑していることについて、どう思われましたか?