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譲渡所得

個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和7年度税制改正のあらまし(令和7年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和7年度税制改正のあらまし(令和7年5月)』を掲載しました。

このあらましは、令和7年3月31日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13号)」等の主な改正の概要を掲載しています。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和7年度税制改正のあらまし(令和7年5月)

2025年6月25日


公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらまし(令和7年5月)

国税庁は、ホームページに『公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらまし(令和7年5月)』を掲載しました。

個人が、土地、建物、株式などの財産(事業所得の基因となるものを除きます。)を法人に寄附した場合には、これらの財産は寄附時の時価により譲渡があったものとみなされ、これらの財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税されます


これは、個人から法人に土地、建物などの財産が無償で移転するときに、個人に帰属する値上がり益に対する所得税を精算するための制度的要請によるものです。

ただし、これらの財産(国外の土地など一定のものを除きます。)を公益法人等に寄附した場合に、一定の承認要件を満たすものとして国税庁長官の承認(以下「非課税承認」
といいます。)を受けたときは、この所得税を非課税とする制度が設けられています。

この非課税制度には、「一般特例」と「承認特例」の2つの制度があり、それぞれ対象となる法人の種類や承認要件などが異なります。

★リンクはこちら⇒ 公益法人等に財産を寄附した場合における譲渡所得等の非課税の特例のあらまし(令和7年5月)

2025年6月23日


特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)

国税庁は、『特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

「特定の事業用資産の買換えの特例」の内容についての詳細は、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例」をご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)

2024年7月19日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和6年3月30日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和6年法律第8号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)

2024年6月14日


個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和5年3月31日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)

2023年6月5日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和4年3月31日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和4年法律第4号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)

2022年7月21日


「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達 課資3-5 課個2-8 課法11-25 課審7-11 令和3年6月25日)

平成14年6月24日付課資3-1ほか3課共同「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)、昭和46年8月26日付直資4-5ほか2課共同「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)、昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)、平成24年1月26日付課資3-1ほか2課共同「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)及び令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」(法令解釈通達)の一部を下記のとおり改正したから、これによられたい。

(趣旨)
所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、譲渡所得等に関する取扱いの整備を行ったものである。

リンク先の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

(注)リンク先には、この改正により新たに取扱いを定めたものについてはその全文を掲げ、単に法令改正に伴い引用条文等を改めたものについては原則としてその改正箇所のみ掲げることとした。

★「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」関係

★「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」本文関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」本文関係

「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」別表関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」別表関係

★「所得税基本通達の制定について」関係はこちら⇒ 「所得税基本通達の制定について」関係

★「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」関係はこちら⇒ 「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」関係

★令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」関係はこちら⇒ 令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」関係

2021年7月21日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、「個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)

2021年5月14日


公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし

国税庁は、『公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし』をホームページに掲載した。

個人が、土地、建物、株式などの財産 (事業所得の基因となるもを除く。)を法人に寄附した場合には、これらの財産は寄附時の時価により譲渡があったものとみなされ、 これらの財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税される

これは、個人から法人に土地、建物などの財産が無償で移転するときに、個人に帰属する値上がり益に対する所得税を精算するための制度的要請によるものである。

ただし、これらの財産(国外の土地など一定のものを除きます。)を公益法人等に寄附した場合に、一定の承認要件を満たすものとして国税庁長官の承認(以下「非課税承認」という。)を受けたときは、この所得税を非課税とする制度が設けられている。

この非課税制度には、「一般特例」と「承認特例」の2つの制度があり、それぞれ対象となる法人の種類や承認要件などが異なる。

★リンクはこちら⇒ 公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし

2020年8月25日


未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合

<照会要旨>
私は、今年の6月に、所有する土地及び家屋を3,000万円で譲渡する売買契約を締結した。譲渡した土地及び家屋には本年度分の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)が課されているところ、その売買契約では、譲渡から今年の年末までの期間に係る固定資産税等に相当する額(以下「未経過固定資産税等に相当する額」という。)を、買主が私に支払うことになっている。
この受け取った未経過固定資産税等に相当する額は、譲渡所得の計算上、収入金額に算入することになるか。

<回答要旨>
支払を受けた未経過固定資産税等に相当する額は、譲渡所得の収入金額に算入される。

固定資産税等は、各年ごとに、その賦課期日(その年度の初日の属する年の1月1日)における土地または家屋の所有者を納税義務者として課されるものであり、その年度の賦課期日後に所有者の異動が生じたとしても、新たに所有者となった者がその賦課期日を基準として課される固定資産税等の納税義務を負担することはない。
固定資産税等の賦課期日とは異なる日をもって土地建物の売買契約を締結するに際し、買主が売主に対し、売主が納税義務を負担する固定資産税等の税額のうち未経過固定資産税等に相当する額を支払うことを合意した場合、この合意は、土地及び家屋の売買契約を締結するに際し、売主が1年を単位として納税義務を負う固定資産税等につき、買主がこれを負担することなくその土地及び家屋を所有する期間があるという状況を調整するために個々的に行われるものであると考えられる。

このことからすれば、支払を受けた未経過固定資産税等に相当する額は、実質的にはその土地及び家屋の譲渡の対価の一部を成すものと解するのが相当と考えられる。

★リンクはこちら⇒ 未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合

2015年12月14日

NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の拡充等(平成27年10月)

  • 20歳以上の居住者等を対象として、非課税口座で取得した上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が非課税となるNISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)について、平成28年1月1日以後、非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額が120万円(平成27年分以前は100万円)になる。
  • 平成28年1月1日以後、非課税口座を開設するため、金融商品取引業者等に対して「非課税適用確認書の交付申請書」及び「基準日(注)における住所を証する書類(住民票の写し(提出日前6か月以内に作成されたもの)等)」の提出をする際、または「非課税適用確認書」及び「非課税口座開設届出書」の提出をする際には、氏名、生年月日、住所に加え、個人番号の告知が必要になる。
    また、平成28年1月1日前に非課税口座開設届出書を提出して非課税口座を開設した居住者等は、同日から3年を経過した日以後最初に非課税口座内の上場株式等の譲渡または配当等の受入れをする日までに、金融商品取引業者等に対して個人番号を告知する必要がある。
 非課税対象  非課税口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
 開設者(対象者)  口座開設の年の1月1日において20歳以上の居住者等
 口座開設可能期間  平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間
 金融商品取引業者等の変更 一定の手続の下で、1非課税管理勘定(各年分)ごとに変更可
 非課税投資額  1非課税管理勘定における投資額(①新規投資額及び②継続適用する 

上場株式等の移管された日における終値に相当する金額の合計額) 

は120万円を上限(未使用枠は翌年以後繰越不可)
 非課税期間  最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
 非課税投資総額  最大600万円(120万円(平成27年分以前は100万円)×5年間)

(注)勘定設定期間及び各勘定設定期間に対応する基準日は、以下のとおり。

 勘定設定期間  基準日
 平成26年1月1日から平成29年12月31日まで  平成25年1月1日
 平成30年1月1日から平成33年12月31日まで  平成29年1月1日
 平成34年1月1日から平成35年12月31日まで  平成33年1月1日

★リンクはこちら⇒ NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の拡充等(平成27年10月)

2015年11月20日

ジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が始まります(平成27年10月)

 非課税対象  未成年者口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
 開設者(対象者)  口座開設の年の1月1日において20歳未満又はその年に出生した居住者等
 口座開設可能期間  平成28年4月1日から平成35年12月31日までの8年間 

(口座開設の申込みは平成28年1月から可)
 金融商品取引 

業者等の変更
 変更不可(1人につき1口座のみ)
 非課税投資額  1非課税管理勘定における投資額(①新規投資額及び②継続適用する上場株式等の移管された 

日における終値に相当する金額の合計額)は80万円を上限(未使用枠は翌年以後繰越不可)
 非課税期間  最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
 非課税投資総額  最大400万円(80万円×5年間)
 払出制限  その年の3月31日において18歳である年(基準年)の前年12月31日までは、原則として 

未成年者口座及び課税未成年者口座からの払出しは不可

★リンクはこちら⇒ ジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が始まります(平成27年10月)

2015年11月10日

特定口座制度

特定口座には、以下のとおり、簡易申告口座と源泉徴収口座の2種類があり、金融商品取引業者等に特定口座を開設した場合、その特定口座内における上場株式等の売却による所得の金額については、他の株式等の売却による所得と区分して計算する。
なお、この計算は金融商品取引業者等が行う。

(1)簡易申告口座
簡易申告口座とは、金融商品取引業者等から送られてくる特定口座年間取引報告書により、簡便に申告を行うことができる口座のことをいう。

(2)源泉徴収口座
源泉徴収口座とは、特定口座内で生じる所得に対して源泉徴収(20%(所得税15%、住民税5%))することを選択することにより、その特定口座における上場株式等の売却による所得を申告不要とすることができる口座のことをいう。
なお、金融商品取引業者等を通じて支払を受ける上場株式等の配当等については、その金融商品取引業者等に開設している源泉徴収口座に受け入れることができる。
また、上場株式等の配当等を受け入れた源泉徴収口座内に上場株式等を売却したことにより生じた譲渡損失の金額があるときは、上場株式等の配当等の額の総額からその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡損失の金額を控除(損益通算)した金額を基に源泉徴収税額が計算される。

◆源泉徴収口座における留意点◆

  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得またはその源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得を申告するかどうかは口座ごとに選択できる(1回の売却ごと、1回に支払を受ける配当等ごとの選択はできない。)。
  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得とその源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得のいずれかのみを申告することができる。
    ただし、源泉徴収口座の譲渡損失の金額を申告する場合には、その源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得も併せて申告しなければならない。
  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告した後に、その源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告しないこととする変更はできない。
    また、源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得の金額または配当所得の金額を含めないで申告した後に、その源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告することとする変更もできない。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月18日

上場株式等の譲渡損失に係る損益通算及び繰越控除

平成21年分以後の各年分において上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却したことにより生じた譲渡損失の金額は、確定申告により、その年分の上場株式等に係る配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る。以下同じ。)と損益通算ができる。

また、損益通算してもなお控除しきれない譲渡損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除できる。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月16日

株式を売却した場合の所得金額及び所得税額(住民税額)の計算

株式等の売却による所得金額及び所得税額(住民税額)は、以下のように計算する。

(1)所得金額の計算
売却価額-(取得費()十委託手数料等)=所得金額


株式等の取得費は、その購入価額(購入手数料等を含む。)となるが、同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合には、総平均法に準ずる方法によって算出した1株当たりの金額に売却株数を乗じて計算した金額が、その取得費の金額となる。

(2)所得税額(住民税額)の計算
所得金額(譲渡益)×所得税15%(ほかに住民税5%)=所得税額(住民税額)

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月13日

同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費は…

同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入し、その株式等の一部を譲渡した場合の取得費は、総平均法に準ずる方法によって求めた1単位当たりの価額を基に計算する。

総平均法に準ずる方法とは、株式等をその種類及び銘柄の異なるごとに区分して、その種類等の同じものについて以下の算式により計算する方法を言う。

((A+B)÷(C+D)=1単位当たりの価額)

 A  株式等を最初に購入した時(その後既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の時)の購入価額の総額
 B  株式等を最初に購入した後(その後既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の後)から今回の譲渡の時までの購入価額の総額
 C  Aに係る株式等の総数
 D  Bに係る株式等の総数

2013年5月21日

取得費を計算する際の1単位当たりの価額の調整が必要な場合は…

取得費は、株式等の取得に要した1単位当たりの価額に株数等を乗じて計算するが、その1単位当たりの価額が調整される場合がある。
その主なものは以下のことが生じた場合またはそれによる株式等の取得があった場合である。

  1. 株式等の分割または併合が行われた場合
  2. 同一種類の株式を株主割当てにより取得した場合
  3. 課税の繰延べの対象となる合併により合併法人の株式等を取得した場合
  4. 課税の繰延べの対象となる分割型分割により分割承継法人の株式等を取得した場合
  5. 課税の繰延べの対象となる株式交換または株式移転により株式交換完全親法人または株式移転完全親法人の株式等を取得した場合

2013年5月17日

払込みや購入以外で株式等を取得した場合の取得費は…

払込みや購入以外での株式等の主な取得原因とそれに係る取得費は、以下のとおり。
(1)相続(限定承認を除く。)、遺贈(限定承認を除く。)または贈与により取得した場合
●被相続人、遺贈者又は贈与者の取得費を引き継ぐ。

(2)発行法人から与えられた以下に掲げる権利の行使により取得した株式等(いわゆる税制適格ストックオプションの行使により取得する特定権利行使株式を除く。)
イ 平成13年法律第79号による改正前の商法に規定する株式譲渡請求権
●その権利の行使の日における価額
ロ 平成13年法律第128号による改正前の商法に規定する新株の引受権
●その権利の行使の日における価額
ハ 改正前の商法に規定する新株予約権
●その権利の行使の日における価額
会社法第238条第2項の決議等に基づき交付された新株予約権(新株予約権を引き受ける者に特に有利な条件、金額であるとされるものまたは役務の提供による対価であるとされるものに限る。)
●その権利の行使の日における価額
ホ 株式と引換えに払い込むべき金額が有利な場合におけるその株式を取得する権利(イからニに該当するものを除く。)
●その権利に基づく払込みまたは給付の期日における価額

(3)発行法人の株主等として与えられた新たな払込みや給付を要しないで取得した株式(下記の3(2)で取得費を調整する場合を除く。)または新株予約権
●零

(4)(1)から(3)以外の方法により取得した株式
●その取得の時におけるその株式等の取得のために通常要する価額

2013年5月15日

譲渡した株式等の取得費は…

株式等を譲渡(売却)した場合の譲渡所得の金額は、以下のように計算する。

(譲渡所得=譲渡価額(売却金額)-取得費(取得価額)-売却手数料等)

取得費(取得価額)は、株式等を取得したときに支払った払込代金や購入代金だが、購入手数料(購入手数料に係る消費税も含まれる。)のほか購入時の名義書換料などその株式等を取得するために要した費用も含まれる。

2013年5月13日

株式としての価値を失ったことによる損失と上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の関係

特定管理株式について、その発行会社が解散し清算が結了したことから、その株式としての価値を失ったことによる損失が株式等の譲渡による損失の金額とみなされることになったが、特定管理株式は「上場株式等に該当しないこととなった内国法人の株式」であることから、上場株式等を対象とする「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」の適用対象とはならない。
したがって、株式としての価値を失ったことによる損失の金額が当年分の他の株式等の譲渡益から控除しきれない場合に、これを翌年以降に繰り越して控除することはできない。

2012年11月13日

ゴルフ会員権を譲渡したときは…

1.課税方法
ゴルフ会員権は、特定の会社の株主にならなければ、会員となれない会員権とその他の会員権とに区分されるが、これらの会員権を譲渡したときの所得は、いずれも譲渡所得として事業所得や給与所得などの所得と合わせて総合課税の対象となる。

2.計算方法
この場合の所得金額の計算は、その会員権の所有期間に応じて以下のとおりとなる。
(1)所有期間が5年以内のもの(短期譲渡所得)
譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円(特別控除額(注))
(2)所有期間が5年を超えるもの(長期譲渡所得)
課税される金額={譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円(特別控除額(注))}✕1/2
(注)
譲渡所得の特別控除の額は、その年のゴルフ会員権の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円である。これらの譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できない。
また、(1)と(2)の両方の譲渡益がある場合には、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、(1)の譲渡益から先に控除する。

3.注意事項

  • ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができる。
    ただし、ゴルフ場経営法人が破産した場合など損益通算できない場合がある。
  • ゴルフ会員権の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得となる。

2012年10月30日

譲渡した土地・建物の取得費が分からない時はどうするのか…

譲渡所得の金額は、土地や建物を譲渡した金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する。
取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額である。
建物の場合は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額である。

しかし、譲渡した土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、取得費の額を譲渡した金額の5%相当額とすることができる。
なお、取得費が分かっている場合でも、実際の取得費が譲渡した金額の5%相当額を下回る場合も同様である。

2012年10月25日

相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期はいつになるのか…

1.相続や贈与によって取得した資産の取得費
譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する。
取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額である。
建物の場合は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額である。
譲渡した土地建物の中には相続や贈与により取得したものもある。
この場合の取得費は、死亡した人や贈与した人がその土地建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算する。
なお、業務に使われていない土地建物を相続や贈与により取得した際に相続人や受贈者が支払った登記費用や不動産取得税の金額も取得費に含まれる。

2.相続や贈与によって取得した資産の取得の時期
取得の時期は、通常、売った土地建物を買い入れた日だが、相続や贈与で取得したときは、死亡した人や贈与した人の取得の時期がそのまま取得した人に引き継がれる。
したがって、死亡した人や贈与した人が取得した時から、相続や贈与で取得した人が譲渡した年の1月1日までの所有期間で長期か短期かを判定することになる。

2012年10月23日

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱い

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いが変更になった。

<従来の取扱い>
預託金会員制ゴルフ会員権とは、契約上の地位であり、優先的施設利用権と預託金返還請求権をその内容とする譲渡所得の基因となる資産(事実上の権利)となる。このため、ゴルフ会員権を巡る種々の方策の判定に当たってのメルクマールは、そのゴルフ会員権はゴルフ会員権としての性質を有しているか(維持しているか)、という点を基本として取り扱ってきた。
このことから、自主再建型の再建が行われたゴルフクラブのゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡所得の金額の計算において、当該譲渡による収入金額から控除する取得費は、会社更生法に基づく更生計画による更生手続等により、預託金債権の一部のみを切り捨てられた場合には、切り捨てられた損失の金額は認識せず、取得価額から減額(付け替え)しないものと取り扱い、また、預託金債権の全額を切り捨てられた場合には、更生手続等により取得した優先的施設利用権のみのゴルフ会員権の時価相当額として取り扱ってきた。

<今後の取扱い>
上記の従来の取扱いの一部を以下のとおり変更する。
預託金会員制ゴルフ会員権が会社更生法に基づく更生計画による更生手続等(注)によって、預託金債権の全額を切り捨てられたことにより優先的施設利用権(年会費等納入義務等を含む。以下同じ。)のみのゴルフ会員権となったときであっても、当該更生手続等により優先的施設利用権が、以下に掲げる状況その他の事情を総合勘案し、更生手続等の前後で変更なく存続し同一性を有していると認められる場合には、その後に当該優先的施設利用権のみのゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡所得の金額の計算において、当該譲渡による収入金額から控除する取得費については、更生手続等前の預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときの優先的施設利用権部分に相当する取得価額とする。

  • 当該更生計画等の内容から、優先的施設利用権が会員の選択等にかかわらず、当該更生手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められていること。
  • 当該更生手続等により優先的施設利用権のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払いがなく、かつ、年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていないこと。

(注)
会社更生法に基づく更生計画による更生手続と同等の法的効果を有する民事再生法に基づく再生計画による再生手続等を含む。

<所得税の還付手続>
上記の取扱いの変更は、過去に遡って適用することとし、これにより、過去の所得税の申告の内容に異動が生じ所得税が納めすぎになる場合には、国税通則法の規定に基づき、この取扱いの変更を知った日の翌日から2か月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、当該納めすぎとなっている所得税が還付となる。
更正の請求をする場合は、更生計画など上記に掲げた内容が分かる書類を併せて提出する必要がある。
なお、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できないこととされているので留意が必要である。

2012年8月28日

個人から個人への固定資産の低額譲渡

時価の2分の1以上であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は課税されない
  • 譲受者
    相続税評価額または通常の取引価額(土地・家屋などはこちらのみ)と譲受価額の差額はみなし贈与
    取得価額は譲受価額

時価の2分の1未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は課税されない
    (時価で譲渡したとされる、いわゆる『みなし譲渡』課税はない)
    ただし、譲渡損はなかったものとされる
  • 譲受者
    相続税評価額または通常の取引価額(土地・家屋などはこちらのみ)と譲受価額の差額はみなし贈与
    取得価額は譲受価額
    ただし、譲渡者に譲渡損が発生する場合は、譲渡者の取得価額・取得時期を引き継ぐ

2011年11月4日

個人から法人への固定資産の低額譲渡

時価の2分の1以上であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は原則として課税されない
    (同族会社等の行為計算の否認の可能性あり)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

時価の2分の1未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は譲渡所得
    (時価で譲渡したとされる、いわゆる『みなし譲渡』となる)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

2011年11月2日

法人から個人への固定資産の低額譲渡

時価未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は寄附金(譲受者が役員の場合は役員給与)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は一般的には一時所得(譲受者が役員の場合は役員給与)
    取得価額は時価

2011年11月1日

法人から法人への固定資産の低額譲渡

時価未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は寄附金
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

2011年10月31日

相続税評価額による土地の譲渡

時価とは、客観的交換価値のことをいう。

よって、相続税評価額が時価と言えるかどうかが問題となる。

相続税評価額と同水準かそれ以上の価額で譲渡すれば、原則として、『著しく低い価額』による譲渡とはいえず、例外として、何らかの事情により相続税評価額が時価の80%よりも低くなっており、それが明らかであると認められる場合のみ、『著しく低い価額』による譲渡となりうる。

(東京地方裁判所 平成19年8月23日判決)

2011年9月29日

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贈与税

非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)

国税庁は、ホームページに『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)』を掲載しました。

法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。

この法人版事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2つの制度があり、特例措置については、事前の計画策定等や適用期限が設けられていますが、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引上げ(80%から100%)がされているなどの違いがあります。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)

2025年6月24日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)』を掲載した。

個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限ります。)に係る事業(不動産貸付業等を除きます。)を行っていた事業者の後継者(※1)として円滑化法の認定を受けた者が、平成31年1月1日から令和10年12月31日まで(※2)の贈与又は相続等により、特定事業用資産を取得した場合は、

その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、
後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものです。

※1
平成31年4月1日から令和8年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限ります。

※2
先代事業者と生計を一にする親族からの特定事業用資産の贈与・相続等については、上記の期間内で、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までにされたものに限ります。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月)

2025年6月20日


「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

標題のことについては、平成17年3月22日付課資5-11ほか6課共同「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」(法令解釈通達)の一部を別紙「新旧対照表」のとおり改正したから、今後これによられたい。

(趣旨)
税制改正等に伴い、所要の整備を図るものである。

★リンクはこちら ⇒ 「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

2025年1月28日


令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧

2025年1月7日


令和6年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、『令和6年分贈与税の申告のしかた』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和6年分贈与税の申告のしかた

2024年12月18日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

災害により被害を受けた会社又は中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて、以下「災害等」といいます。)に該当した会社に係る非上場株式等については、贈与税・相続税の納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)の適用に当たり一定の要件のもと、次の措置が講じられています。

⑴納税猶予の免除事由の追加
贈与税・相続税の納税猶予の適用を受けている次の①又は②の者については、経営承継期間等内に破産等した場合でも納税猶予税額が免除されます。
①災害等の発生前に贈与によりその非上場株式等を取得した者
②災害等の発生した日から1年を経過する日の前日までにその非上場株式等を相続又は遺贈(以下「相続等」といいます。)により取得した者

⑵納税猶予期間中の事業継続要件等の緩和
上記⑴①又は②の者については、納税猶予期間中の要件が免除又は緩和されます。

⑶相続税の納税猶予の適用要件の緩和
災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得等したその会社の非上場株式等について後継者が相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、その適用要件のうちの一部が不要とされています。

「災害」とは、震災、風水害、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び火災、鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいいます。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)

2024年7月24日


年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)

国税庁は、『年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)

2024年7月22日


法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)

国税庁は、『法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)』をホームページに掲載しました。

●法人版事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除)の適用を受けられている方は、納税猶予期間中は、
① (特例)経営(贈与)承継期間については毎年
② その期間経過後は3年ごと
一定の書類を添付した継続届出書を所轄の税務署へ提出する必要があります。

(注1)この制度の適用に係る円滑化法の認定(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定をいいます。以下同じです。)を受けた会社も、(特例)経営(贈与)承継期間内は、毎年、都道府県知事に対し年次報告書を提出し、その確認を受ける必要があります。

(注2)「(特例)経営(贈与)承継期間」とは、原則として、その会社の株式等に係る最初のこの制度の適用に係る贈与税又は相続税の申告期限の翌日から同日以後5年を経過する日までの期間をいいます。

災害等により、国税通則法第11条又は租税特別措置法第69条の8の規定に基づく申告期限の延長(以下「申告期限の延長」といいます。)がされた場合には、その延長後の申告期限となります。

●この「継続届出書」の提出がない場合には、猶予されている贈与税・相続税の全額と利子税を納付する必要があります。

●このパンフレットは、継続届出書の提出に当たり必要となる手続や添付書類等について、その概要を説明したものです。

★リンクはこちら ⇒ 法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)

2024年7月17日


相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)

国税庁は、『相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)』をホームページに掲載した。

令和5年度税制改正において創設された相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例を取りまとめたので、執務の参考として送付する。

なお、質疑応答事例は、令和6年4月1日現在の法令等に基づくものである。

<制度の概要>
(問1-1)相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の概要

<適用要件>
(問2-1)適用要件の概要
(問2-2)土地又は建物の範囲
(問2-3)特例の対象となる被害の範囲
(問2-4)継続所有要件の判定(災害発生日前に相続時精算課税適用者が死亡している場合)
(問2-5)災害減免法との重複適用

<想定価額の計算>
(問3-1)想定価額の計算
(問3-2)想定使用可能期間の年数の判定方法

<被災価額及び被災割合の計算>
(問4-1)被災価額の計算(その1):概要
(問4-2)被災価額の計算(その2):被害を受けた部分の価額が明らかでない場合
(問4-3)被災価額の計算(その3):造成工事や増改築があった場合
(問4-4)被災価額の計算(その4):保険金等により補塡される金額が確定していない場合
(問4-5)被災割合の判定(その1):同一の災害により2以上の土地又は建物が被害を受けた場合
(問4-6)被災割合の判定(その2):同一の建物の持分を2以上の贈与により取得した場合
(問4-7)被災割合の判定(その3):承認を受けた後に被災価額に異動があった場合

<相続税の課税価格に加算される金額の計算>
(問5-1)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その1):概要
(問5-2)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その2):特定贈与者が2人以上いる場合
(問5-3)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その3):同一の土地又は建物が2以上の災害により被害を受けた場合
(問5-4)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その4):災害発生前に土地の一部を贈与している場合

<特例の適用に関する手続等>
(問6-1)精算課税の災害特例の適用を受けるための手続
(問6-2)承認を受けた後の手続(被災価額の異動届出書の提出)

<その他>
(問7-1)相続税の申告書の提出期限までに承認を受けていない場合の相続税の課税価格に加算される金額等
(問7-2)特定土地等に係る相続税の特例と精算課税の災害特例の重複適用
(問7-3)個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予との関係

<記載例>
1 建物が災害により被害を受けた場合の承認申請書等の記載例
2 土地が災害により被害を受けた場合の承認申請書の記載例

★リンクはこちら ⇒ 相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)

2024年7月16日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)

国税庁は、ホームページに、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、次の制度の概要を解説したものである。

  1.  「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」
  2. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
  3. 「災害等に関する税制上の措置」

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)

2024年6月25日


一般贈与と特例贈与の両方がある場合の贈与税の計算方法

例えば、財産の贈与を受けた年の1月1日現在において18歳以上の方が、配偶者と自分の両親の両方から贈与を受けた場合などに、この計算となる。

この場合には、以下のとおり計算する。

すべての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算する。
すべての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算する。
納付すべき贈与税額は、①と②の合計額である。

(例)
一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の場合の計算
①この場合、まず、合計価額500万円を基に以下のように計算する。
(すべての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算)
500万円-110万円=390万円
390万円×20%-25万円=53万円
(上記の税額のうち、一般贈与財産に対応する税額(一般税率)の計算)
53万円×100万円/(100万円+400万円)=10.6万円…①

次に「特例贈与財産」の部分の税額計算を行う。
②この場合も、まず、合計価額500万円を基に以下のように計算する。
(すべての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算)
500万円-110万円=390万円
390万円×15%-10万円=48.5万円
(上記の税額のうち、特例贈与財産に対応する税額(特例税率)の計算)
48.5万円×400万円/(100万円+400万円)=38.8万円…②

(贈与税額の計算)
③贈与税額=①一般贈与財産の税額+②特例贈与財産の税額
上記の場合 ①10.6万円+②38.8万円=49.4万円…贈与税額

★リンクはこちら ⇒ 一般贈与と特例贈与の両方がある場合の贈与税の計算方法

2024年2月20日


令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、「令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧

2024年1月30日


令和5年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「令和5年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。

  • 令和5年分の贈与税の申告書の受付は、令和6年2月1日(木)から同年3月15日(金)まで
  • 令和5年分の贈与税の納期限は、令和6年3月15日(金)

★リンクはこちら ⇒ 令和5年分贈与税の申告のしかた

2024年1月26日


父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

<制度の概要>
平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「結婚・子育て資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に結婚・子育て資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となる

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、その死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされる

また、結婚・子育て資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる

★リンクはこちら ⇒ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

2023年7月5日


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

<制度の概要>
平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間
に、30歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に教育資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となる

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として、その死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされる

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる

★リンクはこちら ⇒ 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

2023年6月29日


令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、ホームページに「令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧」を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧

2022年12月26日


令和4年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、ホームページに「令和4年分贈与税の申告のしかた」を掲載した。

  • この冊子は、一般的な事項を説明している。申告や納税について分からない点があれば、国税庁ホームページをご覧のこと。
  • 令和4年分の贈与税の申告書の受付は、令和5年2月1日(水)から同年3月15日(水)までである。
  • 令和4年分の贈与税の納期限は、令和5年3月15日(水)である。

★リンクはこちら ⇒ 令和4年分贈与税の申告のしかた

2022年12月20日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)を掲載しました

国税庁は、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)』をホームページに掲載した。

このパンフレットは、以下の制度の概要を解説したものである。

  1. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」
  2. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
  3. 「災害等に関する税制上の措置」

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)を掲載しました

2022年12月15日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、次の制度の概要を解説したものである。

  1.  住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
  2.  住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例
  3.  災害等に関する税制上の措置

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)

2022年8月3日


令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁はホームページに『令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧』を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧

2022年1月17日


令和3年分贈与税の申告のしかた

国税庁はホームページに『令和3年分贈与税の申告のしかた』を掲載した。

この冊子は、一般的な事項を説明している。

申告や納税についてお分かりにならない点がありましたら、税理士もしくは最寄りの税務署にお尋ねのこと。

  • 令和3年分の贈与税の申告書の受付は、令和4年2月1日(火)から同年3月15日(火)までである。
  • 令和3年分の贈与税の納期限は、令和4年3月15日(火)である。

★リンクはこちら ⇒ 令和3年分贈与税の申告のしかた

2021年12月24日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

2021年6月24日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

災害()により被害を受けた会社または中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて、以下「災害等」という。)に該当した会社に係る非上場株式等については、贈与税・相続税の納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)の適用に当たり一定の要件のもと、以下の措置が講じられている。

⑴納税猶予の免除事由の追加
贈与税・相続税の納税猶予の適用を受けている以下の①または②の者については、経営承継期間等内に破産等した場合でも納税猶予税額が免除される。
①災害等の発生前に贈与によりその非上場株式等を取得した者
②災害等の発生した日から1年を経過する日の前日までにその非上場株式等を相続または遺贈(以下「相続等」という。)により取得した者

⑵納税猶予期間中の事業継続要件等の緩和
上記⑴①又は②の者については、納税猶予期間中の要件が免除または緩和される。

⑶相続税の納税猶予の適用要件の緩和
災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得等したその会社の非上場株式等について後継者が相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、その適用要件のうちの一部が不要とされている。

「災害」とは、震災、風水害、火災、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいう。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)

2021年6月22日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」という。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)

2021年6月18日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

令和元年度税制改正により創設された個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る。)に係る事業(不動産貸付業等を除く。)を行っていた事業者の後継者(※1)として円滑化法の認定を受けた者が、平成31年1月1日から令和10年12月31日まで(※2)の贈与または相続等により、特定事業用資産を取得した場合は、

  1. その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、
  2. 後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものである。

※1
平成31年4月1日から令和6年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限る。
※2
先代事業者の生計一親族からの特定事業用資産の贈与・相続等については、上記の期間内で、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までにされたものに限る。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

2021年6月15日


父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「結婚・子育て資金口座の開設等」という。)には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となる。

契約期間中に贈与者が死亡した場合には、死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とする。)を控除した残額(以下「管理残額」という。)を、贈与者から相続等により取得したこととされる。

また、受贈者が50歳に達することなどにより、結婚・子育て口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる。

★リンクはこちら ⇒ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

2021年6月8日


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)」をホームページに掲載した。

平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、30歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税が非課税となる。

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として、その死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、贈与者から相続等により取得したこととされる。

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる。

★リンクはこちら ⇒ 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

2021年5月25日


貸付自粛制度

貸付自粛制度は、2019年3月29日にスタートした。

<1.貸付自粛制度とは>
ご本人が、自らに浪費の習癖があることやギャンブル等依存症によりご本人やその家族の生活に支障を生じさせるおそれがあること、その他の理由により、ご本人自らを自粛対象者とする旨または法定代理人等または親族のうち一定の範囲の者が、金銭貸付による債務者を自粛対象者とする旨を当全国銀行個人信用情報センターに対して申告することにより、全国銀行個人信用情報センターに貸付自粛情報を登録し、一定期間、当センターの会員に対してその情報を提供する制度である。

<2.情報連携および提供について>
全国銀行個人信用情報センターは受付した申告にもとづく貸付自粛情報を日本貸金業協会に提供し、また、日本貸金業協会が受付した貸付自粛情報の提供を受けることにより、それぞれで受付した申告が当センターに登録されるとともに、日本貸金業協会が指定する個人信用情報機関(㈱日本信用情報機構、㈱シー・アイ・シー)においても登録され、それぞれの会員が利用できるよう情報連携している。
ただし、貸付自粛情報がセンターおよび日本貸金業協会が指定する各情報機関に登録された場合であっても、当該情報は、センターおよび各情報機関の会員による与信判断を拘束するものではない。

<3.貸付自粛情報の登録内容>
貸付自粛情報として登録される内容は以下のとおりである。

  • 氏名
  • 性別
  • 生年月日
  • 住所
  • 自宅電話番号(または携帯電話番号)
  • 勤務先名
  • 勤務先電話番号

<4.貸付自粛情報の登録期間>
貸付自粛申告日(以下、「申告日」という。)から5年を超えない期間

<5.撤回の制限>
貸付自粛の申告をした場合には、原則として申告日から3か月が経過するまで貸付自粛情報を撤回できない。
また、貸付自粛の申告が法定代理人等によるものである場合には、原則として自粛対象者はその貸付自粛情報を取消すことができない。
ただし、貸付自粛の申告が自粛対象者または法定代理人等によるものでない場合には、申告日から3か月が経過しなくても自粛対象者はその貸付自粛情報を取消すことができる。

<6.申告者の範囲>
申告できるのはご本人のみである。
ご家族が手続きすることは原則できない(ただし、以下の法定代理人等の場合を除く。)。

(1) ご本人
(2) ご本人以外の方
i) 法定代理人(親権者、後見人、保佐人、補助人(ただし、補助人にあたっては借財について同意する権限を有する者に限る))
ii) 自粛対象者の配偶者または二親等内の親族
ただし、以下のすべての要件が満たされる必要がある。
1) 自粛対象者の配偶者または二親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること
2) 自粛対象者が所在不明であることが客観的な事実により証明できること(家庭裁判所が発行する失踪宣言の審判書等)
3) 自粛対象者の所在不明の原因が、金銭の貸付による金銭債務の負担を原因としている可能性があること
4) 貸付自粛の対応をとることが自粛対象者の生命、身体又は財産の保護のために必要があると認められる場合であること
5) 自粛対象者本人の同意を得ることが困難であること
iii) 自粛対象者と同居する三親等内の親族。ただし、以下の全ての要件が満たされる必要がある。
前項2)~5)までの要件が満たされていること
配偶者または二親等内の親族が申告することが著しく困難と認められること
申告者が自粛対象者と同居する三親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること

★リンクはこちら ⇒ 貸付自粛制度

2021年5月18日


イメージデータで提出可能な添付書類(贈与税申告)

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、この一覧は、令和2年4月1日現在の法令に基づくものである。

<添付書類をイメージデータで提出する場合の注意事項>
「相続時精算課税選択届出書」など、電子データ(XML形式)により提出が可能な添付書類については、イメージデータで提出することができない。
なお、電子データにより提出が可能な添付書類は、「利用可能手続(贈与税申告)」でご確認のこと。

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★リンクはこちら ⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(贈与税申告)

2021年3月18日


令和2年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「令和2年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分贈与税の申告のしかた

2020年12月25日


令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、「令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧

2020年12月18日

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会計

誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)

國村 年が執筆した『誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)』が2025年5月21日に中央経済社から発売されました。

★リンクはこちら⇒ 誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)

2025年5月22日


中小事務所等施策調査会研究報告第4号「有価証券報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(中小事務所等施策調査会)は、2024年4月18日に開催された常務理事会の承認を受けて、「中小事務所等施策調査会研究報告第4号「有価証券報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について」を公表した。

本研究報告は、監査事務所が、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく財務計算に関する書類の監査において、有価証券報告書に含まれる連結財務諸表及び財務諸表に関する表示の確認を実施する際の参考に資するため、チェックリストの形式で取りまとめたものである。

法令等の改正による改正箇所及び早期適用に関する記載については網掛けをして明示している。

本研究報告は、従来会員向けウェブサイトでの公表としてきたが、今回の改正から財務諸表等の作成者も利用できるよう一般向けウェブサイトでの公表とした。

利用上の注意については、チェックリスト本文「1.はじめに」及び「3.本研究報告利用上の留意点」を参照のこと。

なお、本研究報告は、その一例を示したものであるため、被監査会社の有価証券報告書の表示を確認する際には、それぞれの実情に即して、加除修正等の検討を行う必要がある。

また、2024年3月31日時点で施行されている法令や会計基準等に基づいて作成しているため、法令や会計基準等の改正が実施された場合には、その改正事項を考慮した上で使用する必要があることを申し添える。

★リンクはこちら⇒ 中小事務所等施策調査会研究報告第4号「有価証券報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について

2024年5月28日


「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」の改正

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan:ASBJ)から公表されている「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」について、ASBJと協議し、内容の見直しを行った。

このたび、2022年12月16日に開催された理事会の承認を受けて、改正後の「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」を公表した。

【参考】
ASBJのウェブサイトにおいても改正後の「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」が公表されている。

★リンクはこちら⇒ 「企業会計基準適用指針の開発についての当面の対応」の改正

2023年2月14日


会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&Aの改正

本公認会計士協会(会計制度委員会)では、2022年10月13日に開催された常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&A(以下、これらを合わせて「外貨建取引等実務指針等」という。)を2022年10月28日付けで公表した。

1.改正の背景
企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan:ASBJ)において、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)及びグループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いに関して検討がなされ、改正企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」、改正企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」及び改正企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下、これらを合わせて「法人税等会計基準等」という。)が公表された。

これに伴い、外貨建取引等実務指針等についても改正する必要が生じたため、ASBJから当協会に対し、外貨建取引等実務指針等の改正の検討の依頼があった。

本改正は、当協会による検討の結果、外貨建取引等実務指針等の改正を行うものである。

2.改正内容
外貨建取引等実務指針等の主な改正内容は、以下のとおり。

(1)税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関する取扱い
法人税等会計基準等では、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)について、当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、その発生源泉となる取引等に応じて、損益(税引前当期純利益から控除)、株主資本及びその他の包括利益の各区分に計上する案が示された。そのため、株主資本及びその他の包括利益の各項目(評価差額及び繰延ヘッジ損益等)について、従来、繰延税金資産又は繰延税金負債に対応する額を控除した金額を計上することとしていたが、これに加えて、各項目に対して課税された法人税等の額についても控除した金額を計上することとした。

(2)グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱い
法人税等会計基準等では、グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いについて、連結財務諸表上のみ、売却時に税金費用を計上しないようにする案が示された。

そのため、持分法適用会社における留保利益、のれんの償却額、負ののれんの処理額及び欠損金について、税務上の要件を満たし、課税所得計算において売却損益を繰り延べる場合(法人税法第61条の11)に該当する当該持分法適用会社の株式売却の意思決定を行った場合には、税効果を認識しないようにした。

3.適用
法人税等会計基準等を適用する連結会計年度及び事業年度から適用することを予定している。
なお、外貨建取引等実務指針等の見直し及び検討に当たっては、2022年3月30日から2022年6月8日までの間、草案を公開し、広く意見を求めたが、意見は寄せられなかった。
【参考】
ASBJより法人税等会計基準等が公表されているので、リンク先のASBJのウェブサイトを参照のこと。

★リンクはこちら⇒ 会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&Aの改正について

2022年12月12日


中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」の改正(会員限定)

日本公認会計士協会(中小事務所等施策調査会)は、2022年10月13日に開催された常務理事会の承認を受けて、「中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について」を公表した。

本研究報告は、中小規模の監査事務所が、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく財務計算に関する書類の中間監査において、半期報告書に関する表示の確認を実施する際の参考に資するため、チェックリストの形式で取りまとめたものである。

なお、法令等の改正による改正箇所については網掛けをして明示している。

本研究報告は、チェックリストの一例を示したものであるため、被監査会社の半期報告書の表示を確認する際には、それぞれの実情に即して、加除修正等の検討を行う必要がある。

また、2022年9月30 日時点で施行されている法令や会計基準等に基づいて作成しているため、法令や会計基準等の改正が実施された場合には、その改正事項を考慮した上で使用する必要があることを申し添える。

2022年12月2日


「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」等の一部改訂

2022年5月25日から6月24日まで、総務省において「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」報告書」(以下「地方独立行政法人会計基準」という。)及び「地方独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂に係る意見募集が実施され、2022年8月31日付けで改訂された。

これに伴い、地方独立行政法人会計基準の実務上の取扱いについて定める以下のQ&Aについても、総務省及び日本公認会計士協会の二者で検討を行い、改訂した。

<改訂対象のQ&A>

  • 「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A
  • 「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A【公営企業型版】
  • 「固定資産の減損に係る地方独立行政法人会計基準」及び「固定資産の減損に係る地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A
  • 「固定資産の減損に係る地方独立行政法人会計基準」及び「固定資産の減損に係る地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A【公営企業型版】

改訂後のQ&Aの適用時期は以下のとおり。

  • 資産見返負債の廃止:2023(令和5事業)年度から
  • 収益認識基準の導入:2024(令和6事業)年度から
  • その他の改訂   :2022(令和4事業)年度から

本Q&Aの改訂に当たっては、2022年7月26日から8月25日までの間、草案を公開し、広く意見を求めたが、特段意見は寄せられなかった。

★リンクはこちら⇒ 「「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」等の一部改訂

2022年11月17日


国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」、第2号「キャッシュ・フロー計算書」、第3号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」、第4号「外国為替レート変動の影響」、第5号「借入コスト」、第9号「交換取引から生ずる収益」、第10 号「超インフレ経済下における財務報告」(国際公会計基準書ハンドブック2021年版)の翻訳完了

公会計委員会では、国際会計士連盟(IFAC)の国際公会計基準審議会(International Public Sector Accounting Standards Board – IPSASB)から公表されている国際公会計基準(International Public Sector Accounting Standards – IPSAS)第1号から第10号までの翻訳作業を完了した。

  • 国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」(IPSAS 1, Presentation of Financial Statement)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第2号「キャッシュ・フロー計算書」(IPSAS 2, Cash Flow Statements)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第3号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」(IPSAS 3, Accounting Policies, Changes in Accounting Estimates and Errors)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第4号「外国為替レート変動の影響」(IPSAS 4, The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第5号「借入コスト」(IPSAS 5, Borrowing Costs)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第9号「交換取引から生ずる収益」(IPSAS 9, Revenue from Exchange Transactions)
  • 国際公会計基準(IPSAS)第10号「超インフレ経済下における財務報告」(IPSAS 10, Financial Reporting in Hyperinflationary Economies)

※第6号、第7号、第8号は欠番である。

本翻訳は、2021年3月に発行された「国際公会計基準書ハンドブック2021年版(2021 Handbookof International Public Sector Accounting Pronouncements)」に収録されている時点のものを翻訳対象としている。

★リンクはこちら⇒ 国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」、第2号「キャッシュ・フロー計算書」、第3号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」、第4号「外国為替レート変動の影響」、第5号「借入コスト」、第9号「交換取引から生ずる収益」、第10 号「超インフレ経済下における財務報告」(国際公会計基準書ハンドブック2021年版)の翻訳完了

2022年11月2日


非営利組織会計検討会による報告「非営利組織モデル会計基準の普及のための課題の整理~非営利組織会計基準の共通化に向けた提案~」の公表

日本公認会計士協会(非営利組織会計検討会)は、2022年7月21日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利組織会計検討会による報告「非営利組織モデル会計基準の普及のための課題の整理~非営利組織会計基準の共通化に向けた提案~」を公表した。

当協会は、非営利組織会計検討会を設置し、2019年7月18日付けで「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」を公表し、モデル会計基準を提案した。

その後、モデル会計基準の普及を行う過程において、公益法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人の各会計基準とモデル会計基準との比較を行い、現時点における調査・研究の成果として、非営利組織会計検討会による報告「非営利組織モデル会計基準の普及のための課題の整理~非営利組織会計基準の共通化に向けた提案~」を取りまとめた。

今後、本報告が、各非営利組織において、会計基準を見直す場合や制度発展のための検討を行う際に参照されること等によって、非営利組織の財務報告における比較可能性の改善につながることを期待する。

当協会は、今後も多くの関係者との協力及び連携を深めながら、引き続き調査・研究を進めて、非営利組織の財務報告の発展に貢献していく所存である。

※本報告の概略は、非営利組織会計検討プロジェクト(リンクはこちら)にて、掲載を予定している。

★リンクはこちら⇒ 非営利組織会計検討会による報告「非営利組織モデル会計基準の普及のための課題の整理~非営利組織会計基準の共通化に向けた提案~」の公表

2022年10月25日


会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

日本公認会計士協会は、2022年6月16日に開催された常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」を公表した。

本研究資料は、ソフトウェアに関するビジネスの環境変化に伴い、多様な実務が生じていることを踏まえ、ソフトウェア及びその周辺の取引に関する会計上の取扱いについて調査し、現時点における考えを取りまとめたものである。

本研究資料の取りまとめに当たっては、2022年2月24日から2022年4月24日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も併せて公表したので、ご参照のこと。

★会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」はこちら⇒ 会計制度委員会研究資料第7号「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」

★会計制度委員会研究資料「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応についてはこちら⇒ 会計制度委員会研究資料「ソフトウェア制作費等に係る会計処理及び開示に関する研究資料 ~DX環境下におけるソフトウェア関連取引への対応~」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について

2022年9月26日


経営研究調査会研究資料第9号「上場会社等における会計不正の動向(2022年版)」の公表

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2022年6月27日付けで経営研究調査会研究資料第9号「上場会社等における会計不正の動向(2022年版)」を公表した。

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時にお知らせするため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものである。

2018年6月26日付けの同5号「上場会社等における会計不正の動向」から公表をはじめ、今回は、2021年7月29日付けで公表した同8号「上場会社等における会計不正の動向(2021年版)」に続く更新版となる。

★リンクはこちら⇒ 経営研究調査会研究資料第9号「上場会社等における会計不正の動向(2022年版)」の公表

2022年9月20日


「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の一部改訂について

2022年2月10日付けで「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」報告書」が改訂されたことを受けて、文部科学省及び日本公認会計士協会の二者で検討を行い、「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(以下「Q&A」という。)を改訂した。

改訂後のQ&Aの適用時期は以下のとおりである。

  • 「会計上の見積りの開示」に関する内容、「引当特定資産の会計処理のうち国立大学法人等債引当特定資産」に関する内容及び「附属明細書の引当特定資産の明細」に関する内容については2021(令和3事業)年度から適用される。
  • 「収益認識基準の導入」に関する内容については2023(令和5事業)年度から適用される。
  • その他の改訂に関する内容については、2022(令和4事業)年度から適用される。

本Q&Aの改訂に当たっては、2022年3月30日から5月2日までの間、草案を公開し、意見募集を行った。

草案に寄せられたコメントの概要とその対応も併せて公表した。

★「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」はこちら⇒ 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の一部改訂について

★「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の一部改訂について(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について はこちら⇒ 「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」の一部改訂について(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について

2022年8月22日


非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2022年3月17日に開催された常務理事会の承認を受け、同日付けで「非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について」を公表した。

本改正は、会員各位の業務の参考とするため、医療法人監査の導入後の実務を踏まえて、新たなQ&Aを追加する等の見直しを行ったものである。

★リンクはこちら⇒ 非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について

2022年7月25日


公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」

日本公認会計士協会(公会計委員会)は、2022年2月17日に開催された常務理事会の承認を受けて、公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」を公表した。

国際公会計基準(International Public Sector Accounting Standards:IPSAS)は、基準書の内容が充実するとともに採用国(地方政府・国際機関等も含む)が増加しており、国際的な政府会計基準としての地位を確立しつつある。

公会計委員会では、今般「国の財務書類」の概要や国際的な政府会計の動向をご紹介するとともに、「国の財務書類」とIPSASの主な相違点を整理し、「国の財務書類」の改善に向けた提言を行うべく、研究報告「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」を取りまとめた。

本研究報告が、公会計分野に携わる会員の理解の一助となるとともに、今後の国の財務報告の更なる発展の一助となれば幸いである。

★公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」はこちら⇒ 公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」

★公会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」(要約)はこちら⇒会計委員会研究報告第28号「国の財務書類の課題~国際公会計基準(IPSAS)との比較~」(要約)

2022年7月12日


Q&A収益認識の開示に関する基本論点

日本公認会計士協会は、「Q&A収益認識の開示に関する基本論点」を作成した。

日本公認会計士協会は、「収益認識に関する会計基準」の開示(表示及び注記事項)に関する理解を深めていただくことを目的として、基礎的な論点を図表等を用いて解説する資料を取りまとめた。

詳細はリンクを参照のこと。

★リンクはこちら⇒ Q&A収益認識の開示に関する基本論点

2022年6月13日


改正「中小企業の会計に関する指針」の公表

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、2021年8月3日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。

関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。

この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。

これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献してまいりたいと考えているので、ご協力いただきたい。

<今回の改正における改正点>
今回の改正では、改元に伴い、本文中の和暦に西暦を併記するとともに、各計算書類の例示について元号を平成から令和に変更した。

また、法令等の改正については、会社計算規則の改正に伴い、「個別注記表」等の見直しを行った。

各項目の改正の趣旨については、プレスリリースを参照のこと。

<お問い合わせ先>
日本公認会計士協会
https://www.jicpa.or.jp/
(伊藤:03-3515-1160)

日本税理士会連合会
https://www.nichizeiren.or.jp/
(河野:03-5435-0931)

日本商工会議所
https://www.jcci.or.jp/
(鶴岡:03-3283-7844)

企業会計基準委員会
https://www.asb.or.jp/jp/
(伊藤:03-5510-2711)

★リンクはこちら⇒ 中小企業の会計に関する指針(最終改訂2021年8月3日)

2021年12月13日


会計制度委員会研究資料第6号「非財務情報の充実と情報の結合性に関する 実務を踏まえた考察」の公表について

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、2021年4月15日に開催された常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会研究資料第6号「非財務情報の充実と情報の結合性に関する実務を踏まえた考察」を公表した。

近年、非財務情報を含む企業報告の質を高める動きが急速に加速しており、各国政府及び様々な民間機関・団体による非財務情報の開示の充実に向けた取組が進められている。

我が国においても、制度開示・自主開示について、特に非財務情報の開示の充実に向けた取組が進展している。

それに伴い、企業による価値創造の全体像について報告する流れが顕著になっており、非財務情報と財務情報又は非財務情報相互間における開示内容が有機的に結合し、経営者の認識に基づいた一貫した企業報告に対する投資家の期待も高まってきている。

こうした背景を踏まえ、本研究資料では、今後の企業報告の更なる質の向上に向けた課題の中から、開示される情報間の「結合性」に焦点を当て、結合性が求められる要因と求められる結合性の側面を整理することとした。

あわせて、実際の開示例の分析を通じて、結合性を高める手法や工夫が見られる点についての考察も行っている。

本研究資料が、当協会の会員のみならず、広く企業経営者や情報開示に携わる実務家、さらに、投資家にとって建設的な対話を深化させる一助となり、ひいては、持続的な経済社会の発展に役立つものになれば幸いである。

★リンクはこちら⇒ 会計制度委員会研究資料第6号「非財務情報の充実と情報の結合性に関する 実務を踏まえた考察」の公表について

2021年6月23日


「Q&A収益認識の基本論点(追補版)」の公表について

「Q&A収益認識の基本論点(追補版)」が作成された。

日本公認会計士協会は、「収益認識に関する会計基準」の円滑な導入を支援することを目的に、2020年7月から10月にかけて「Q&A収益認識の基本論点」を公表したが、その続編として、主に「Q&A収益認識の基本論点」で取り上げた基本的な論点をもとに、業種別の切り口でポイントを絞って解説した資料を作成した。

★収益基準の適用(製造業)はこちら⇒ 収益基準の適用(製造業)

★収益基準の適用(建設業、不動産業)はこちら⇒ 収益基準の適用(建設業、不動産業)

★収益基準の適用(情報サービス・ソフトウェア業)はこちら⇒ 収益基準の適用(情報サービス・ソフトウェア業)

★収益基準の適用(小売業、コンシューマ―向けサービス業、消費財製造業)はこちら⇒ 収益基準の適用(小売業、コンシューマ―向けサービス業、消費財製造業)

★収益基準の適用(卸売業)はこちら⇒ 収益基準の適用(卸売業)

2021年6月7日


非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2021年3月25日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正を公表した。

本研究報告で示すチェックリストは、社会福祉法人会計基準の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第157号)及び関連する通知等の改正を踏まえたチェック項目の追加のほか、実務として使いやすいよう所要の見直しを行っているが、本省令は令和3年4月1日施行となるので留意すること。

★リンクはこちら⇒ 非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

2021年6月2日


「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」 に関する実務指針」の一部改訂について

文部科学省及び日本公認会計士協会は、国立大学法人会計基準の実務上の留意点を定める「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(以下「実務指針」という。)を改訂した。

2019年5月に国立大学法人法が改正され、一国立大学法人の下に複数大学を設置することが可能になった。

これに伴い、国立大学法人等の財務状況をより適切に開示する観点から、実務指針の見直しを行ったものである。

今般改訂された実務指針は、令和2事業年度から適用される。

本実務指針の改訂を行うに当たっては、2020年9月18日から10月19日までの間、草案を公開し、広く意見を求めたが、特にご意見は寄せられなかった。

最後に、今後も国立大学法人の会計の理論及び実務の進展とともに、実務指針を充実・改善していく予定である。

★「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針(令和2年12月24日最終改訂)の目次はこちら⇒ 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針(令和2年12月24日最終改訂)の目次

★「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針(令和2年12月24日最終改訂)の本文はこちら⇒ 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針(令和2年12月24日最終改訂)の本文

2021年3月30日


中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(中小事務所等施策調査会)は、2020年10月8日に開催された常務理事会の承認を受けて、「中小事務所等施策調査会研究報告第6号「半期報告書に関する表示のチェックリスト」の改正について」を公表した。

本研究報告は、日本公認会計士協会東京会「監査表示チェックリストプロジェクトチーム」に審議を委託し、その協力を得て、中小規模の監査事務所が、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく財務計算に関する書類の中間監査において、半期報告書に関する表示の確認を実施する際の参考に資するため、チェックリストの形式で取りまとめたものである。

また、法令等の改正箇所については網掛けして明示している。

なお、本研究報告は、その一例を示したものであるため、被監査会社の半期報告書の表示を確認する際には、それぞれの実情に即して、加除修正等の検討を行う必要があること、また、2020年9月30日時点で施行されている法令や会計基準等に基づいて作成しているため、法令や会計基準等の改正が実施された場合には、その改正事項を考慮した上で使用する必要がある。

2021年1月6日


「Q&A 収益認識の基本論点(第6回)」の公表について

「Q&A 収益認識の基本論点」第6回を作成した。

これまでに公表した論点1~13に続き、今回公表する論点は下表の論点14~16となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更
論点7
変動対価
論点8
顧客に支払われる対価
論点9 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
論点10 顧客により行使されない権利(非行使部分)
論点11 返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払
論点12 本人と代理人の区分
論点13 製品保証
論点14 知的財産のライセンス
論点15 返品権付きの販売
論点16 有償支給取引

★論点14はこちら ⇒ 知的財産のライセンス

★論点15はこちら ⇒ 返品権付きの販売

論点16はこちら ⇒有償支給取引

2020年12月3日


「Q&A 収益認識の基本論点(第5回)」の公表について

「Q&A 収益認識の基本論点」第5回を作成した。

これまでに公表した論点1~11に続き、今回公表する論点は下表の論点12、13となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更
論点7
変動対価
論点8
顧客に支払われる対価
論点9 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
論点10 顧客により行使されない権利(非行使部分)
論点11 返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払
論点12 本人と代理人の区分
論点13 製品保証

<公表を予定している論点>

  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点12はこちら ⇒ 本人と代理人の区分

★論点13はこちら ⇒ 製品保証

2020年12月3日


「Q&A 収益認識の基本論点(第4回)」の公表について

「Q&A 収益認識の基本論点」第4回を作成した。

これまでに公表した論点1~8に続き、今回公表する論点は下表の論点9~11となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更
論点7
変動対価
論点8
顧客に支払われる対価
論点9 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
論点10 顧客により行使されない権利(非行使部分)
論点11 返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払

<公表を予定している論点>

  • 本人と代理人の区分
  • 製品保証
  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点9はこちら ⇒ 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与

★論点10はこちら ⇒ 顧客により行使されない権利(非行使部分)

★論点11はこちら ⇒ 顧客により行使されない権利(非行使部分)

2020年11月30日


「Q&A 収益認識の基本論点(第3回)」の公表について

日本公認会計士協会は、「Q&A 収益認識の基本論点」第3回を作成した。

これまでに公表した論点1~6に続き、今回公表する論点は下表の論点7及び8となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更
論点7
変動対価
論点8
顧客に支払われる対価

<公表を予定している論点>

  • 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
  • 顧客により行使されない権利
  • 返金が不要な顧客からの支払
  • 本人と代理人の区分
  • 製品保証
  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点7はこちら ⇒ 変動対価

★論点8はこちら ⇒ 顧客に支払われる対価

2020年11月27日


「Q&A 収益認識の基本論点(第2回)」の公表について

日本公認会計士協会は、「Q&A 収益認識の基本論点」第2回を作成した。

2020年7月31日に公表した第1回の論点1~3に続き、今回公表する論点は下表の論点4~6となる。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分
論点3 契約の結合
論点4 一定の期間にわたり充足される履行義務
論点5 一時点で充足される履行義務
論点6 契約の変更

<公表を予定している論点>

  • 変動対価
  • 顧客に支払われる対価
  • 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
  • 顧客により行使されない権利
  • 返金が不要な顧客からの支払
  • 本人と代理人の区分
  • 製品保証
  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点4はこちら ⇒ 一定の期間にわたり充足される履行義務

★論点5はこちら ⇒ 一時点で充足される履行義務

★論点6はこちら ⇒ 契約の変更

2020年11月26日


「Q&A 収益認識の基本論点(第1回)」の公表について

日本公認会計士協会は、「Q&A 収益認識の基本論点」第1回を作成した。

2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から、「収益認識に関する会計基準」が適用となる。

日本公認会計士協会は、「収益認識に関する会計基準」の円滑な導入を支援することを目的に、基礎的な論点を図表や設例を用いて解説する資料を取りまとめた。

今回公表する論点は下表の論点1~3であり、順次論点を公表する予定である。

番 号 論  点  名
論点1 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断
論点2 独立販売価格に基づく取引価格の配分 
論点3 契約の結合 

<公表を予定している論点>

  • 一定の期間にわたり充足される履行義務
  • 一時点で充足される履行義務
  • 契約の変更
  • 変動対価
  • 顧客に支払われる対価
  • 追加の財又はサービスを取得するオプションの付与
  • 顧客により行使されない権利
  • 返金が不要な顧客からの支払
  • 本人と代理人の区分
  • 製品保証
  • 知的財産のライセンス
  • 返品権付きの販売

★論点1はこちら ⇒ 約束した財又はサービスが別個のものか否かの判断

★論点2はこちら ⇒ 独立販売価格に基づく取引価格の配分

★論点3はこちら ⇒ 契約の結合

2020年11月25日


非営利法人委員会研究報告第21号「公益法人の継続事業の前提について」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2020年7月15日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第21号「公益法人の継続事業の前提について」を改正した。

本改正は、2020年5月15日の「公益法人会計基準」改正において、「継続事業の前提」の呼称が「継続組織の前提」に変更されたことを受け、「非営利法人委員会研究報告第21号「公益法人の継続事業の前提について」」を適合修正するものである。

★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第21号「公益法人の継続事業の前提について」の改正について

2020年11月16日


「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の一部改訂について

2020年3月25日に「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」が見直されたことを受けて、総務省行政管理局、財務省主計局及び日本公認会計士協会の三者で検討を行い、「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」を改訂した。

このQ&Aの改訂は、独立行政法人会計基準において、連結財務諸表の作成の目的及び連結の範囲等などの改訂がなされたことに伴い、所要の見直しを行ったものである。

改訂後のQ&Aは、令和2事業年度から適用される。

本Q&Aの改訂に当たっては、2020年6月5日から6月25日までの間、総務省が草案を公開し、意見募集を行ったが、草案の修正を要するコメントは寄せられなかった。

★リンクはこちら ⇒ 「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の一部改訂について

2020年8月26日


経営研究調査会研究資料第7号「上場会社等における会計不正の動向(2020年版)」の公表について

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2020年7月15日付けで経営研究調査会研究資料第7号「上場会社等における会計不正の動向(2020年版)」を公表した。

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時にお知らせするため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものである。

2018年6月26日付けの同5号「上場会社等における会計不正の動向」から公表をはじめ、今回は、2019年6月13日付けで公表した同6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」に続く更新版となる。

★リンクはこちら ⇒ 経営研究調査会研究資料第7号「上場会社等における会計不正の動向(2020年版)」の公表について

2020年8月12日


IFRS年次財務諸表ガイド – 開示チェックリスト(2019年9月版)

あずさ監査法人は、『IFRS年次財務諸表ガイド – 開示チェックリスト(2019年9月版)』を公表した。

本冊子は、国際財務報告基準(IFRS)に準拠した財務諸表を作成する際に最低限必要となる開示項目を特定することにより、初度適用企業を含む財務諸表作成者に役立つよう作成されている。

本冊子は、2019年1月1日に開始する会計年度に適用される2019年8月31日時点で公表されている規定に基づいて作成されている。

2019年1月1日以降開始する事業年度からIFRS第16号「リース」の適用が開始されることによる、財務諸表における開示への影響についても記載されている。

<PDFの内容>
1.本冊子について
2.参照及び略語
3.チェックリスト
4.Appendix
5.KPMGによるその他の刊行物

★リンクはこちら ⇒ IFRS年次財務諸表ガイド – 開示チェックリスト(2019年9月版)

2020年3月3日


内閣府子ども・子育て本部からの「幼児教育・保育の無償化に関する 自治体向けFAQ」の公表について

2019年10月1日から開始された幼児教育・保育の無償化に関し、会計処理を含む事務手続の方向性を定めたFAQが内閣府の子ども・子育て本部から公表された。

○内閣府「幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html

FAQに関する資料データは上記ページの「FAQ・実務フロー」の項目に掲載されている。
会計処理に関する事項は、【17.会計処理】(61頁)に記載されている。

★リンクはこちら ⇒ 幼児教育・保育の無償化に関する 自治体向けFAQ(2019年10月18日版)

2020年1月28日


非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~ 財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表について

日本公認会計士協会(非営利組織会計検討会)は、2019年7月18日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」を公表した。

当協会は、2013年7月2日付けで非営利法人委員会研究報告第25号「非営利組織の会計枠組み構築に向けて」を公表し、民間の非営利組織に共通の会計枠組みを構築する必要性と、そのための重要なステップとして、モデル会計基準の開発を提唱した。

その後、非営利組織会計の重要な論点について掘り下げた議論が必要であるとの認識の下、非営利組織会計検討会を設置し、非営利組織における財務報告の基礎概念及び重要な個別論点に関する検討を行い、2015年5月26日付けで「非営利組織の財務報告の在り方に関する論点整理」(以下「論点整理」という。)を公表した。

上述の経緯を受けて、当協会では、モデル会計基準開発に向けて、論点整理で取り上げた個別論点のうち、「反対給付のない収益の認識」、「固定資産の減損」について研究報告をとりまとめるなど検討を進めてきた。

このたび、連結等のいくつかの個別論点は残されているものの、これまでの検討結果を基礎に、非営利組織会計検討会において、モデル会計基準について検討を行い「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」として取りまとめて公表した。

本報告の検討に当たっては、2019年4月26日から6月3日までの間、公開草案を公開し、広く意見を求めた。公開草案とした際に寄せられた主なコメントの概要及び対応については、「公開草案に対するコメントの概要及び対応」に記載している。

今後、各法人形態の会計基準設定主体が、制度に基づく会計基準を改訂する際に、モデル会計基準を参照することにより、法人形態間の財務報告の相互整合性が高まり、非営利組織に対する資源提供者、債権者、より広範なステークホルダーによる財務情報の利用が広がっていくことを期待している。

当協会は、今後も多くの関係者との協力及び連携を深めながら、引き続きモデル会計基準及び個別論点の検討を進めて、非営利組織の財務報告の発展に貢献していく所存である。

 ★非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~ はこちら ⇒ 非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~

★附属資料1 非営利組織における財務報告の基礎概念はこちら ⇒ 附属資料1 非営利組織における財務報告の基礎概念

★附属資料2 非営利組織モデル会計基準はこちら ⇒ 附属資料2 非営利組織モデル会計基準

★非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応についてはこちら ⇒ 非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応

2019年11月11日


会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」、金融商品会計に関するQ&A及び同4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正について

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、2019年6月13日に開催された常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品会計実務指針」という。)、金融商品会計に関するQ&A(以下「金融商品会計Q&A」という。)及び同4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(以下「外貨建取引等実務指針」という。)を2019年7月4日付けで公表した。

1.改正の背景
企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)において、主に金融商品の時価の算定に関するガイダンス及び開示に関して、国際的な会計基準との整合性を図るための検討が行われ、その結果、ASBJから当協会に対し、関連する会計制度委員会報告等として、外貨建取引等実務指針、金融商品会計実務指針及び金融商品会計Q&Aの改正の検討の依頼があった。

本改正は、当協会による検討の結果、金融商品会計実務指針等の改正を行うものである。

2.改正内容
金融商品会計実務指針等の主な改正内容は、以下のとおり。
(1)時価の算定に関する取扱い
金融商品の時価の算定に関する取扱いについては、ASBJが公表した時価算定会計基準で定めることとされたため、金融商品会計実務指針等における定めは削除することとした。
(2)その他有価証券の決算時の時価としての期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額の取扱い
時価の定義の変更に伴い、金融商品会計基準におけるその他有価証券の期末の貸借対照表価額に期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができる定めについては、その平均価額が改正された時価の定義を満たさないことから削除されている。
これに併せ、金融商品会計実務指針においても、同様の規定を削除することとした。
ただし、その他有価証券の減損を行うか否かの判断については、期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いることができる実務上の取扱いを継続している。
なお、この場合であっても、減損損失の算定には期末日の時価を用いることとしている。
また、上記の取扱いに併せ、外貨建取引等実務指針において時価として期末前1か月の市場価格の平均に基づいて算定された価額を用いる場合の換算についての取扱いも削除することとした。
(3)時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券等の取扱い
時価算定会計基準において、時価を把握することが極めて困難な場合は想定されないため、当該取扱いを削除することとした。
ただし、改正金融商品会計基準にて、市場価格のない株式等に関しては、たとえ何らかの方式により価額の算定が可能としても、それを時価とはしないとする従来の考え方を踏襲することとされている。

3.適用について
改正金融商品会計基準を適用する連結会計年度及び事業年度から適用することとしている。
本改正の取りまとめに当たっては、2019年1月18日に公開草案を公表し、同年4月5日まで広くコメントを募集した。公開草案に寄せられたコメントの書面及びコメントに対する当協会の対応を併せて公表した。
なお、コメントの書面の公表については、予めコメント提出者の承諾を得ている。

【参考】
ASBJより企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」等別ウィンドウで開くが公表されているので、リンク先のASBJのウェブサイトを参照のこと。

 ★金融商品会計に関する実務指針はこちら ⇒ 金融商品会計に関する実務指針

★金融商品会計に関するQ&Aはこちら  ⇒  金融商品会計に関するQ&A

★外貨建取引等の会計処理に関する実務指針はこちら  ⇒  外貨建取引等の会計処理に関する実務指針

★「会計制度委員会報告第 14 号「金融商品会計に関する実務指針」、金融商品会計に関するQ&A及び同4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正について(公開草案)」に対するコメントの概要とその対応はこちら   ⇒ 「会計制度委員会報告第 14 号「金融商品会計に関する実務指針」、金融商品会計に関するQ&A及び同4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の改正について(公開草案)」に対するコメントの概要とその対応

2019年9月11日


経営研究調査会研究資料第6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」の公表について

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2019年6月13日付けで経営研究調査会研究資料第6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」を公表した。

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時にお知らせするため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものであり、2018年6月26日付けで公表した経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」の更新版となる。

経営研究調査会では、このほか、企業等で発生した不正の内容や手口、実施された不正調査手法も研究しており、これまでにも研究報告を作成し、公表している。

 ★リンクはこちら ⇒ 経営研究調査会研究資料第6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」の公表について

2019年8月20日


非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年4月18日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」(改正2019年4月18日)を公表した。

本研究報告で示すチェックリストは、今般の社会福祉法人会計基準の改正、関係する厚生労働省通知の改廃が行われたことに伴い、所要の見直しを行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

2019年6月5日


建設業における「収益認識に関する会計基準」の研究報告

一般社団法人日本建設業連合会は、『建設業における「収益認識に関する会計基準」の研究報告』を公表した。

建設業の収益認識、つまり売上高に関する会計処理は、現在「工事契約に関する会計基準」に則って、工事進行基準等の会計処理を実施しているが、先般2018年3月に「収益認識に関する会計基準」が公表され、2021年度からは建設業各社はこの新基準に移行する必要がある。

本研究報告は、建設業界として一定程度は同じ方向の会計処理ができるように、新基準の具体的な建設業への当てはめ、各社での留意点等といった観点から、研究資料として取りまとめたものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 建設業における「収益認識に関する会計基準」の研究報告

2019年5月27日


非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」 の改正

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年3月19日に開催された常務理事会の承認を受けて、「公益法人会計基準に関する実務指針」の改正について」を公表した。

本改正は、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(企業会計基準第28号)」において、繰延税金資産の取扱いが改正されたこと及び内閣府公益認定等委員会「29年度報告」により、外貨建有価証券の会計処理に係る実務上の指針の明確化が必要となったことを受け、非営利法人委員会における検討を重ねてきた。

本改正は、2018年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用される。

また、本実務指針の見直し及び検討に当たっては、2019年1月18日から2月18日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」 の改正

2019年5月16日


非営利法人委員会研究報告第38号「医療法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年4月18日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第38号「医療法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」(改正2019年4月18日)を公表した。

本研究報告で示すチェックリストは、医療法人会計基準の改正、関係する厚生労働省通知の改廃が行われたことに伴い、所要の見直しを行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第38号「医療法人会計基準に基づく計算書類等の様式等に関するチェックリスト」の改正について

2019年5月14日


非営利法人委員会研究報告第40号「農業協同組合等の会計に関する研究報告」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年3月19日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第40号「農業協同組合等の会計に関する研究報告」を公表した。

本研究報告は、第189回国会における「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律」の成立により、農業協同組合等が作成する計算書類及びその附属明細書(以下、「計算書類等」という。)について、全国農業協同組合中央会による監査から、会計監査人による監査へ移行することとなったことを受け、組合の会計と企業会計等との異同・特徴を中心に円滑な移行に向けた検討を行い、会員が組合に対する適切な監査業務を実施できるよう、会計に関する論点をより明確に周知することを目的として、Q&A方式で整理したものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第40号「農業協同組合等の会計に関する研究報告」の公表

2019年4月25日


非営利法人委員会研究資料第1号「農協の決算開示書類実態分析Q&A」及び同第2号「農業協同組合の会計に関するQ&A」の廃止

第189回国会における「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律」の成立により推進されている農協改革に伴い、関係法令の改廃が活発に行われている。

そのため、次の研究資料については役割が終了したと判断されることから、2019年3月19日付けで廃止した。

  • 非営利法人委員会研究資料第1号「農業の決算開示書類実態分析Q&A」(2003年1月16日付け公表)
  • 非営利法人委員会研究資料第2号「農業協同組合の会計に関するQ&A」(2007年2月28日付け公表)

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究資料第1号「農協の決算開示書類実態分析Q&A」及び同第2号「農業協同組合の会計に関するQ&A」の廃止

2019年4月17日


「非営利法人委員会研究資料第5号「社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2018年12月11日に開催された常務理事会の承認を受けて、「非営利法人委員会研究資料第5号「社会福祉法人会計基準に関する実務上のQ&A」の改正について」を公表した。

本研究資料は、平成23年7月27日に「社会福祉法人会計基準」(「社会福祉法人会計基準の制定について」(平成23年7月27日雇児発0727第1号、社援発0727第1号、老発0727第1号 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知))が厚生労働省より公表されたことを受け、本会計基準を適用する場合の実務上の留意事項についてQ&Aとして公表したが、その後、一定規模の社会福祉法人に対して公認会計士又は監査法人による会計監査が義務付けられるなどの法改正を受けて、社会福祉法人が準拠すべき会計基準等も改正されたことから、改正後の社会福祉法人会計基準にも対応しつつ、引き続き会員各位の業務の参考とするため、再度検討を行い、新たなQ&Aを追加する等所要の見直しを行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」(2019年3月27日改正)

2019年4月12日


「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の 一部改訂及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

独立行政法人評価制度委員会会計基準等部会及び財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会(以下「会計基準等部会等」という。)から「独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針(平成29年9月1日)」が公表されたことを踏まえ、2018年(平成30年)9月3日付けで、会計基準等部会等から「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン」の設定及び「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」」(以下「独立行政法人会計基準」という。)の改訂が公表された。

これを受けて、総務省行政管理局、財務省主計局及び日本公認会計士協会の三者で検討を行い、独立行政法人会計基準の実務上の留意点を定める「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」を改訂した。

今般の本Q&Aの改訂は、独立行政法人会計基準において、行政コスト計算書及び純資産変動計算書の創設、行政サービス実施コスト計算書の廃止、特定の承継資産に係る費用相当額の会計処理の新設、運営費交付金等による財源措置が明らかにされている賞与又は退職一時金等に係る引当金及び引当金見返の計上などの改訂がなされたことに伴い、実務上の取扱いなどについて所要の見直しを行ったものである。

改訂後のQ&Aは、平成31事業年度から適用される。

本Q&Aの改訂に当たっては、2019年1月25日から2月26日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も併せて公表した。

最後に、今後も独立行政法人の会計の理論及び実務の進展とともに、Q&Aを充実・改善していく予定である。

 ★「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A(2019年3月最終改訂)はこちら ⇒ 「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A(2019年3月最終改訂)

★「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の一部改訂(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について はこちら ⇒ 「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A」の一部改訂(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について 

2019年4月10日


非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、2019年3月19日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」を公表した。

本研究資料は、「医療法人会計基準」(平成28年4月20日 厚生労働省令第95号)が厚生労働省より公表されたことを受け、本会計基準の適用に当たり新たに導入された会計手法等についての実務上の留意事項についてQ&Aとしてまとめたものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究資料第7号「医療法人会計基準に関する実務上のQ&A」の公表

2019年4月2日


改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2019年3月)

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、2月27日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。

関係4団体は、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。
この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。
これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献したいと考えている。

<今回の改正における改正点>
今回の改正では、「税効果会計」について、平成30年2月16日に企業会計基準委員会から企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」及び企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」が公表されたことに伴い、繰延税金資産と繰延税金負債の貸借対照表上の表示について見直しを行った。

また、その他、軽微な修正を行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2019年3月)

2019年3月20日


「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」 に関する実務指針」の一部改訂について

国立大学法人等の会計に関する認識、測定、表示及び開示について定める「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」(以下「国立大学法人会計基準」という。)が、2018年6月11日に改訂されたことを受け、文部科学省及び日本公認会計士協会は、国立大学法人会計基準の実務上の留意点を定める「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(以下「実務指針」という。)を改訂した。

2017年4月の国立大学法人法の一部改正の施行により、国立大学法人等の財務基盤の強化を図ることを目的に、国立大学法人等の資産の有効活用を図るための規制緩和がなされている。
また、国立大学法人等が財源の多元化を図っていく中で、従来想定されていなかった国や地方公共団体以外の団体からの補助金等が増加している。
こうした背景を踏まえ、国立大学法人等の財務状況をより適切に開示する観点から、実務指針の見直しを行ったものである。

なお、改訂後の実務指針については、平成30事業年度から適用される。

検討に当たっては、2018年11月16日から12月17日までの期間にわたり公開草案を公開し、広く意見を求めた。
公開草案に寄せられた主なコメントの概要とそれらに対する対応は、『「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について』に記載しているので参照のこと。

最後に、今後も国立大学法人の会計の理論及び実務の進展とともに、実務指針を充実・改善していく予定とのこと。

 ★「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」 に関する実務指針」はこちら ⇒ 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」 に関する実務指針」

★「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(公開草
案)に対するコメントの概要及び対応についてはこちら
 ⇒
 「「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」に関する実務指針」(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について

2019年3月5日


事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組の支援について

「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」(平成29年12月28日内閣官房、金融庁、法務省、経済産業省策定)にて、制度上は、会社法と金融商品取引法の両方の要請を満たす一つの書類を作成して、株主総会前に開示することは可能となっていることが示され、関係省庁は、会社法に基づく事業報告及び計算書類(以下「事業報告等」)と金融商品取引法に基づく有価証券報告書の一体的開示を行おうとする企業の試行的取組を支援するための方策を、当該企業及び投資家とともに、検討してきたところである。

検討の中で、当該企業の試行的取組に基づき、別添の記載例が作成された()。

当該記載例は、今後、一体的開示を行おうとする企業が参考にできるものとして有益であると考えられるため、当該記載例を紹介している。

()当該企業が、既に開示した自社の事業報告等と有価証券報告書に基づいて、事業報告等と有価証券報告書の記載内容の共通事項、有価証券報告書においてのみ記載している事項、事業報告等においてのみ記載している事項の整理を行った上で試行的に作成した一体的開示書類をもとに、関係省庁において、汎用的になるよう当該企業の個別情報を除いたもの。

 ★リンクはこちら ⇒ 事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組の支援について

2019年2月12日


国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」(国際公会計基準書ハンドブック2017年版)の翻訳完了について

日本公認会計士協会公会計委員会は、国際会計士連盟(IFAC)の国際公会計基準審議会(International Public Sector Accounting Standards Board – IPSASB)から公表されている「国際公会計基準(International Public Sector Accounting Standards – IPSAS)第1号「財務諸表の表示」」の翻訳作業を完了した。

  • 「国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」」 (「IPSAS 1, Presentation of Financial Statement」)

本翻訳は、2018年2月に発行された「国際公会計基準書ハンドブック2017年版(2017 Handbook of International Public Sector Accounting Pronouncements)」に収録されている時点のものを翻訳対象としている。

 ★リンクはこちら ⇒ 国際公会計基準(IPSAS)第1号「財務諸表の表示」(国際公会計基準書ハンドブック2017年版)の翻訳完了について

2019年1月31日


Applying IFRS 仮想資産の保有者の会計処理

EY新日本有限責任監査法人は、『Applying IFRS 仮想資産の保有者の会計処理』を発行した。

仮想通貨、仮想コインおよび仮想トークンが、様々な仮想通貨取引所で取引または上場されている。

本稿では、仮想資産の一般保有者向けのIFRS上の会計処理に関するガイダンスを提供している。

 ★リンクはこちら ⇒ Applying IFRS 仮想資産の保有者の会計処理

2018年12月4日


監査提言集2018(一般用)の公表

日本公認会計士協会は、監査提言集の一部を一般に公表しているが、このたび2018年版を公表した。

会員向けには全文を公表しているが、一般向けは、一部だけにする必要はあるのだろうか?

 ★リンクはこちら ⇒ 監査提言集2018(一般用)の公表

2018年7月13日


経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」の公表について

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、2018年6月26日付けで経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」を公表した。

本研究資料は、近年の会計不正の動向を適時にお知らせするため、上場会社及びその関係会社が公表した会計不正を集計し、取りまとめたものである。

経営研究調査会では、このほか、企業等で発生した不正の内容や手口、実施された不正調査手法も研究しており、これまでにも研究報告を作成し、公表している。

 ★リンクはこちら ⇒ 経営研究調査会研究資料第5号「上場会社等における会計不正の動向」の公表について

2018年7月4日


企業会計基準第28号 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等の公表

我が国における税効果会計に関する会計基準として、平成10年10月に企業会計審議会から「税効果会計に係る会計基準」が公表され、当該会計基準を受けて、日本公認会計士協会から実務指針が公表されている。

これらの会計基準及び実務指針に基づきこれまで財務諸表の作成実務が行われてきたが、企業会計基準委員会は、基準諮問会議の提言を受けて、日本公認会計士協会における税効果会計に関する実務指針(会計に関する部分)について、当委員会に移管すべく審議を行ってきた。

このうち、繰延税金資産の回収可能性に関する定め以外の税効果会計に関する定めについて、基本的にその内容を踏襲した上で、必要と考えられる見直しを行うこととし、主として開示に関する審議を重ねてきた。

今般、平成30年2月9日開催の第378回企業会計基準委員会において、以下の企業会計基準及び企業会計基準適用指針(以下合わせて「本会計基準等」という。)の公表を承認し、公表された。

  • 企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」
  • 企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」
  • 改正企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」
  • 企業会計基準適用指針第29号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針」

なお、本会計基準等については、平成29年6月6日に公開草案を公表し、広くコメント募集を行った後、当委員会に寄せられたコメントを検討し、公開草案の修正を行った上で公表するに至ったものである。

企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」はこちら ⇒ 企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」

★企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」はこちら ⇒ 企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」

★改正企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」はこちら ⇒改正企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」

企業会計基準適用指針第29号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針」はこちら ⇒企業会計基準適用指針第29号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針」

2018年4月12日


改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2018年3月)

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、3月12日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。
関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。
この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。
これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献したいと考えているようである。

<今回の改正における改正点>
今回の改正では、「税金費用・税金債務」について、平成29年3月16日に企業会計基準委員会から企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」が公表されたことに伴い、【関連項目】として記載している会計基準等の改正を行った。
なお、本文の内容については、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」が従前の監査・保証実務委員会実務指針第63号の内容を基本的に踏襲した上で表現の見直しや考え方の整理等を行ったものであることから、変更を行っていない。

各項目の改正の趣旨については、プレスリリースを参照のこと。

Press Releaseはこちら ⇒ Press Release

★中小企業の会計に関する指針(平成30年3月12日改正)はこちら ⇒ 中小企業の会計に関する指針(平成30年3月12日改正)

★改正「中小企業の会計に関する指針」と旧指針との対照表はこちら  改正「中小企業の会計に関する指針」と旧指針との対照表

2018年3月28日


【弥生会計(やよいの青色申告)】Windows Update後にExcelへの書き出しを行うと「ADOエラー」が発生するお客さまへ Edit

2017年10月11日以降、「弥生会計(やよいの青色申告)」をお使いのお客さまより、Windows Update後にExcelへの書き出しを行うと「ADOエラー データオープンに失敗しました」のエラーが表示されるとの問い合わせが多いようである。
こちらは、Windows Updateで配布されたプログラムの不具合であることを確認している。
現象を解消するには、今後日本マイクロソフト株式会社から配布される修正プログラムを待つこと。

なお、お急ぎの場合は、該当のプログラムをアンインストールすることで回避できることを確認している。
ただし、日本マイクロソフト株式会社のプログラムのため、その他アプリケーションへの影響について、弥生株式会社では確認できない。
必ずお客さまご自身でご判断の上、アンインストールを行うこと。
アンインストールはコントロールパネルの[プログラムと機能]から[インストールされた更新プログラムを表示]をクリックし、「KB*******」を削除すること。
なお、該当するプログラムは、利用しているOSによって異なるので以下を確認のこと。

<該当するプログラム>

OS 該当するプログラム 
Windows 7 KB4041681
Windows 8.1 KB4041693
Windows 10 KB4041691 または KB4041676
(インストールされている方をアンインストールする)

 ★リンクはこちら ⇒ 【弥生会計(やよいの青色申告)】Windows Update後にExcelへの書き出しを行うと「ADOエラー」が発生するお客さまへ

2017年10月17日

動画コンテンツ「もっと教えて!XBRL」の公表

日本公認会計士協会は、このたび動画コンテンツ「もっと教えて!XBRL」を公表した。

この動画は、XBRLに関する基本的な内容をまとめた「ちょっと教えて!XBRL」(2010年制作)の続編として、インラインXBRLをはじめとしたXBRLの進化、開示制度におけるXBRLの適用範囲の拡大について解説している。
XBRLは、財務諸表を記述するコンピュータ言語として、金融庁のEDINETや東京証券取引所のTDnet等で採用されている。
今後、ますます利用価値が高まるXBRLについて、理解の一助となれば幸いである。

 ★リンクはこちら ⇒ もっと教えて!XBRL

2017年6月12日

労働組合会計基準

労働組合会計に関するものとして、昭和60年に『労働組合会計基準』が制定されている。

公表されてから30年以上経過しているが、既に多くの労働組合において採用されており、『一般に公正妥当と認められる労働組合会計の基準』として定着している。

2017年5月23日

債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い

企業会計基準委員会は、国債等の利回りでマイナスが見受けられる状況に関連して、平成28年3月に開催された第331回企業会計基準委員会において、退職給付債務の計算における割引率に関して議論を行い、当該議論の内容を周知するため、同月に議事概要を公表した。
また、平成28年7月に開催された第340回企業会計基準委員会において、基準諮問会議より、マイナス金利に係る種々の会計上の論点への対応について、必要に応じて適時に対応を図ることの依頼を受けた。
これらを踏まえ、当委員会では、必要と考えられる当面の取扱いを明らかにすることを目的として審議を行ってきた。

今般、平成29年3月28日開催の第357回企業会計基準委員会において、標記の「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)の公表が承認されたので、公表した。
本実務対応報告は、平成29年1月27日に公開草案を公表し、広くコメント募集を行った後、当委員会に寄せられたコメントを検討し、公開草案の修正を行った上で公表するに至ったものである。

<本実務対応報告の概要>
以下の概要は、本実務対応報告の内容を要約したものである。
●会計処理(本実務対応報告第2項)
退職給付債務等の計算において、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りが期末においてマイナスとなる場合、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法による。

●適用時期(本実務対応報告第3項)
本実務対応報告は、平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月30日に終了する事業年度まで適用する。
なお、平成30年3月31日以後に終了する事業年度の取扱いに関しては、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法によることを定めたガイダンスの公表に向けて、今後、速やかに検討を開始する予定である。

 ★リンクはこちら ⇒ 債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い

2017年4月20日

非営利法人委員会研究報告第23号「公益法人の財務諸表等の様式等に関するチェックリスト(平成20年基準)」の改正

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成29年3月15日に開催された常務理事会の承認を受けて、『非営利法人委員会研究報告第23号「公益法人の財務諸表等の様式等に関するチェックリスト(平成20年基準)」の改正について』を平成29年3月28日付けで公表した。

本研究報告は、公益法人が作成した財務諸表(貸借対照表、正味財産増減計算書及びキャッシュ・フロー計算書)及び附属明細書並びに財産目録の様式等が「公益法人会計基準」(平成20年4月11日 平成21年10月16日改正、内閣府公益認定等委員会)等に準拠しているか否かを確かめるために使用するものである。

今般、内閣府公益認定等委員会により公表された「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(平成27年3月26日)及び「公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(平成28年3月23日)を踏まえた改正を行っている。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第23号「公益法人の財務諸表等の様式等に関するチェックリスト(平成20年基準)」の改正

2017年3月23日

改正「中小企業の会計に関する指針」の公表(平成29年3月)

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、平成29年3月9日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。

関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。
この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。
これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献していきたいと考えているようである。

<今回の改正における改正点>
今回の改正では、従来の中小会計指針第89項にあった「今後の検討事項」(資産除去債務)への対応として、固定資産の項目に新たに敷金に関する会計処理を明記した(第39項)。
また、税効果会計については、平成27年12月28日に企業会計基準委員会から企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」が公表されたことに伴い、関連項目の見直しを行った。

 ★リンクはこちら ⇒ 「中小企業の会計に関する指針」(平成29年3月9日)

2017年3月23日

IFRSクイックガイド(2016年6月)

昨今、M&Aを積極的に行っている企業を中心に、日本におけるIFRS(国際会計基準)の任意適用が活発化している。

新日本有限責任監査法人が作成した本冊子は、IFRSの任意適用を行うにあたり、日本基準を適用している多くの一般事業会社で重要な影響が生じる可能性が高い項目について、その概要、財務およびビジネスに与える影響、並びに想定される課題をコンパクトに解説している。

 ★リンクはこちら ⇒ IFRSクイックガイド(2016年6月)

2016年7月28日

『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~

経済産業省は、「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」という。)を活用して中小企業の抱える経営課題を可視化するとともに、課題解決に向けた取り組みを後押しするため、「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」を作成した。

<背景・経緯>
中小企業を取り巻く経営環境は、一層厳しさを増している。こうした環境下において、会社の売上や利益、雇用の場を守っていくためには、しっかりとした経営目標を掲げ、社員が一丸となって経営課題に取り組むことが必要である。
今般、経済産業省は、「中小会計要領」の活用によって中小企業の抱える経営課題を可視化するとともに、課題解決に向けた取り組みを後押しするため、「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」を作成した。
本冊子は、「中小企業の会計を活用した経営の促進事業 会計活用事例集作成委員会」(委員長:河﨑照行甲南大学共通教育センター教授)において、取りまとめられたものである。
この冊子を通じて、多くの中小企業が、「中小会計要領」を自社の経営力の強化や資金調達力の強化等のために活用いただくことによって、事業の発展につなげることを期待している。

<「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」の概要>
第1章 「会計」の活用とは?
1 経営の「困った」を解決
2 会計のメリット
3 「会計」は簡単
第2章 「会計」を活用する
自社に必要な会計のレベル
第3章 「会計」の活かし方
Level1 資金繰りを安定させる
Level2 業績を共有する
Level3 部門長に業績責任をもってもらう
Level4・5 先を読み、先手を打つ・中長期戦略を全社で共有する

 ★ リンクはこちら⇒ 『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~

2016年6月29日

オンライン基礎講座 税効果会計

KPMGのホームページに、『オンライン基礎講座 税効果会計』が掲載された。

「税効果会計」の会計処理について、音声解説付きスライドにより分かりやすく解説している(26分21秒)。

 ★リンクはこちら ⇒ オンライン基礎講座 税効果会計

2016年6月6日

会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第11号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」、同第14号「金融商品会計に関する実務指針」、税効果会計に関するQ&A及び土地再評価差額金の会計処理に関するQ&Aの改正

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、平成28年3月16日に開催された常務理事会の承認を受けて、下記の会計制度委員会報告等の改正を平成28年3月25日付けで公表した。

<改正する会計制度委員会報告等>

(1) 会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」
(2) 会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」
(3) 会計制度委員会報告第11号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」
(4) 会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」
(5) 税効果会計に関するQ&A
(6) 土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A

本改正は、企業会計基準委員会から平成27年12月に公表された企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」及び平成28年3月に公表された企業会計基準適用指針第27号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」に対応するため、関連する規定の整理、字句の見直し等を行ったものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」、同第11号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」、同第14号「金融商品会計に関する実務指針」、税効果会計に関するQ&A及び土地再評価差額金の会計処理に関するQ&Aの改正について

2016年4月19日

「業種別委員会実務指針第53 号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」」 及び「業種別委員会研究報告第10 号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正について」並びに「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

日本公認会計士協会(業種別委員会)は、平成28年3月16日に開催された常務理事会の承認を受けて、「業種別委員会実務指針第53号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」」及び「業種別委員会研究報告第10号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正について」を公表した。

本改正は、平成26年2月における監査基準の改訂及び同年4月における監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」及び監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目等に対する監査」が公表されたこと等に対応するため、現在行われている年金基金に対する監査について、特別目的の監査の枠組みに照らし、見直したものである。
平成25年3月29日に公表した業種別委員会研究報告第10号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の記載内容のうち、監査上の留意事項に当たるものを基礎として実務指針を策定し、当該実務指針には含まれない年金基金の制度及び業務に関する事項については、監査実施上、年金基金及び基金環境の理解に資するものであるため、その記載内容を見直し研究報告を改正している。

本改正の取りまとめに当たっては、平成27年12月25日から平成28年1月25日までの間、草案を公開し、広く意見を求め、公開草案に寄せられた主なコメントの概要とそれらに対する対応は「公開草案に対するコメントの概要及びその対応について」に記載している。

なお、本実務指針は、平成28年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用されている。

 ★業種別委員会実務指針第53 号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」はこちら ⇒ 業種別委員会実務指針第53 号「年金基金の財務諸表に対する監査に関する実務指針」

 ★業種別委員会研究報告第10 号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正についてはこちら ⇒ 業種別委員会研究報告第10 号「年金基金に対する監査に関する研究報告」の改正について

 ★「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表についてはこちら ⇒ 公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表について

2016年4月15日

非営利法人委員会研究報告第29号「正味財産増減計算書内訳表等に関する研究報告」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成28年2月23日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第29号「正味財産増減計算書内訳表等に関する研究報告」を平成28年3月22日付けで公表した。

本研究報告は、内閣府公益認定等委員会のもとに設置された公益法人の会計に関する研究会により公表された「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(平成27年3月26日)にて決定された事項で、会計基準に関連する事項として、公益認定等委員会委員長から当協会会長あてに検討の依頼があった項目の一部について、検討の結果、公表することとした事項についてまとめたものである。

同様に検討の依頼があったその他の事項については、「公益法人会計基準に関する実務指針」(非営利法人委員会実務指針第38号)として、同日に公表している。

 ★リンクはこちら ⇒ 非営利法人委員会研究報告第29号「正味財産増減計算書内訳表等に関する研究報告」

2016年4月8日

繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針

ASBJ(企業会計基準委員会)・FASF(公益財団法人財務会計基準機構)のサイトに、「季刊 会計基準」 第52号の記事「税効果会計に関する適用指針の公表」が掲載された。

 ★リンクはこちら ⇒ 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針

2016年4月7日

非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成28年3月16日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」を平成28年3月22日付けで公表した。
本実務指針の公表に当たっては、「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」(平成27年3月26日公益認定等委員会公益法人の会計に関する研究会)に基づき、平成27年4月24日に内閣府公益認定等委員会委員長から当協会会長あてに「公益法人の会計に関する諸課題の更なる検討について(協力依頼)」が発出されたことを受け、協力依頼があった事項について、非営利法人委員会における検討を行ってきた。

あわせて、「公益法人会計基準について」(平成20年4月11日 内閣府公益認定等委員会、平成21年10月16日改正)が設定されたことに伴い、「公益法人会計基準等の改正について」(平成16年10月14日公益法人等の指導監督等に関する関係省庁連絡会議申合せ)に基づいて公表された非営利法人委員会報告第28号、第29号、第31号及び第32号に必要な改訂を行った上で、各委員会報告を統合した。

本実務指針は、上記を併せて、規範性のある実務指針として公表するものである。

また、本実務指針の取りまとめに当たっては、平成28年2月24日から平成28年3月8日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。
公開草案に寄せられた主なコメントの概要とその対応も併せて公表した。

 ★公益法人会計基準に関する実務指針はこちら ⇒ 非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」

★公開草案に対するコメントの概要及び対応はこちら ⇒ 非営利法人委員会実務指針「公益法人会計基準に関する実務指針」(公開草案)に対するコ メントの概要及び対応について

2016年3月29日

企業会計基準適用指針公開草案第55号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針(案)」の概要

ASBJ(企業会計基準委員会)・FASF(公益財団法人財務会計基準機構)のサイトに、「季刊 会計基準」 第52号の記事「税効果会計に関する適用指針の公表」が掲載された。

 ★リンクはこちら ⇒ 「季刊 会計基準」 第52号の記事「税効果会計に関する適用指針の公表」(削除)

2016年3月28日

IT委員会研究報告第47号「業務処理統制に関する評価手続」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」の公表

日本公認会計士協会(IT委員会)では、平成28年2月23日に開催された常務理事会の承認を受けて、IT委員会研究報告第47号「業務処理統制に関する評価手続」及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」を公表した。

本研究報告は、ITの利用の促進に伴い重要性が増している業務処理統制を含んだ業務プロセスについて、財務諸表監査におけるリスク評価手続及びリスク対応手続のうち運用評価手続についての具体的な例示を提供することを目的として作成した。

本研究報告の取りまとめに当たっては、平成27年11月11日から12月11日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。
公開草案に寄せられた主なコメントの概要及び対応もあわせて公表した。

なお、ITに係る内部統制については、先般公表したIT委員会研究報告第46号「重要な虚偽表示リスクと全般統制の評価」(平成26年9月30日付け公表)と一体として理解いただければと思う。

 ★業務処理統制に関する評価手続はこちら ⇒ IT委員会研究報告第47号「業務処理統制に関する評価手続」

 ★公開草案に対するコメントの概要及び対応はこちら ⇒ コメント対応表

2016年3月17日

企業会計基準委員会「第331回企業会計基準委員会議事概要別紙(審議事項(4)マイナス金利に関する会計上の論点への対応について)」の公表

第331回企業会計基準委員会(平成28年3月9日開催)において、マイナス金利に関連する会計上の論点のうち、退職給付債務の計算における割引率に関する論点について、企業会計基準委員会における議論の内容を周知するために、別紙を議事に残すこととされた。

当該議事概要別紙が企業会計基準委員会のウェブサイトにて公表されている。

 ★リンクはこちら ⇒ 企業会計基準委員会「第331回企業会計基準委員会議事概要別紙(審議事項(4)マイナス金利に関する会計上の論点への対応について)」の公表

2016年3月15日

改正「中小企業の会計に関する指針」

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、1月26日の委員会においてその公表が承認され、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。
関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識しており、この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、継続的に見直しを行っており、今回の見直しもその一環である。
これにより、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献したいと考えているようである。

1.今回の改正における改正点
今回の改正では、誤謬の訂正の注記において、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に基づく会計処理を行わない場合には、当該注記が要求されないことを明確化した(第82項)。
また、重要性の原則(第9項(2))、固定資産の減損会計(第36項)、税効果会計(第61項)に関する記載についても明確化を図る観点から見直しを行った。
これらの見直しは、従来の取扱いについて変更することを意図したものではない。

2.「今後の検討事項」(資産除去債務)の取扱いに関する検討
企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」(以下「資産除去債務会計基準」という。)では、有形固定資産の除去に関して法令等で要求される義務(例えば、不動産の賃貸借契約における原状回復義務や建物等のアスベストの除去義務など。以下「資産除去債務」という。)についての会計処理を定めている。
資産除去債務会計基準については、改正後本文60ページの「今後の検討事項」において「本指針における資産除去債務の取扱いについては、今後の我が国における企業会計慣行の成熟を踏まえつつ、引き続き検討することとする。」としている。
委員会は、資産除去債務会計基準が金融商品取引法適用会社等に対して適用されてから5年が経過したことを勘案し、今後、「今後の検討事項」として記載している資産除去債務を「各論」の一項目として取扱うかどうかについて、中小企業関係者の意見を踏まえ、コスト・ベネフィットも考慮して検討を行っていくことを考えている。

 ★リンクはこちら ⇒ 改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2016年)

2016年2月18日

中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト

日本税理士会連合会は、中小企業の計算書類について、「中小企業の会計に関する指針」の適用状況を確認するための書類として、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を作成した。

現在、多くの金融機関において、このチェックリストを活用した融資商品が取り扱われている。
ちなみに、四国は、以下のとおり。

  • 百十四銀行
  • 宇和島信用金庫
  • 東予信用金庫
  • 伊予銀行
  • 愛媛信用金庫
  • 愛媛銀行
  • 川之江信用金庫

1行だけ香川県で、残りはすべて愛媛県なのはなぜなのだろうか?

★リンクはこちら⇒ 中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト

2015年7月8日

一般社団・財団法人法施行規則による一般社団法人の各種書類のひな型(改訂版)

経済団体連絡会は、わが国を代表する業界ごとに組織されている約60の経済団体などから構成されており、経済団体が抱える諸課題の解決や会員相互の情報共有などの活動を行っている。
本ひな型は、公益法人改革に伴い、多くの経済団体が一般社団法人へ移行し、新法の趣旨を踏まえた書類の作成、提供、公告に取り組む中で、法人運営の実務を踏まえた書類の基準となるべきものを作成し、法人運営をする皆様方の参考に供することをめざして、2013年に作成された。

今般、内部統制システムの整備等に関する一般社団・財団法人法施行規則の改正を受けて、改訂した。
なお、本ひな型は、一般社団法人全体としての統一的フォームを定めたものではない。
各団体の皆様においては、それぞれの事情に応じて、本ひな型を参考資料のひとつとして活用いただき、創意工夫を凝らした適切な開示により、社員等への説明責任を果たしていただければ幸甚に存ずる。

★リンクはこちら⇒ 一般社団・財団法人法施行規則による一般社団法人の各種書類のひな型(改訂版)

2015年6月29日

改正「中小企業の会計に関する指針」の公表

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、2015年4月21日の委員会においてその公表が承認されたので、改正「中小企業の会計に関する指針」を公表した。

今般の中小会計指針の改正では、企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準のうち、企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」に対応した用語の見直し等を行っている。
関係4団体においては、我が国の経済の好循環を実現していくためには中小企業の果たす役割が重要であると認識している。
この点を踏まえ、中小会計指針を取引実態に合わせたより利用しやすいものとするために、今後も継続的に見直しを行い、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献したいと考えている。

なお、本指針の「関連項目」に記載している法人税法等の条文は、公表日現在のものであることに留意すること。

★リンクはこちら⇒ 改正「中小企業の会計に関する指針」の公表について(2015年)

2015年6月15日

決算・開示ヘルスチェック

あらた監査法人は、決算・開示ヘルスチェックをホームページに掲載した。

おカネは会社にとっての血液である。
おカネを滞りなく循環させること、そしておカネの流れを表す決算を円滑に実施することは、会社の健康状態を良好に保つ上で非常に重要と考えられる。
この決算・開示ヘルスチェックサイトでは、自社の決算・開示業務に関する課題・問題点を、担当者やマネジメントの皆様にご自身で確認いただくための簡単な問診表を用意した。
各問診に対して回答頂いた内容を集計分析し、簡単な診断書が表示されるので、これにより貴社の現状をおおまかに把握することができる。

★リンクはこちら⇒ 決算・開示ヘルスチェック(既に削除済)

2015年6月4日

平成27年3月期決算上の留意事項

新日本有限責任監査法人が、『平成27年3月期 決算上の留意事項』をホームページに掲載した。

この平成27年3月期決算においては、改正後の退職給付会計基準の定めのうち、退職給付債務等の計算に係る部分が原則適用となる。
また、改正企業結合会計基準の早期適用が可能となっているほか、今後公布されることが見込まれる平成27年度税制改正が税効果会計に与える影響も考慮する必要がある。

これらの論点について、基本的な取扱いを中心に、平成27年3月期決算での留意事項をQ&A方式で解説している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年3月期決算上の留意事項

2015年3月23日

統一的な基準による地方公会計マニュアル

総務省は、『統一的な基準による地方公会計マニュアル』を公表した。
以下の構成となっている。

  1. 財務書類作成要領
  2. 資産評価及び固定資産台帳整備の手引き
  3. 連結財務書類作成の手引き
  4. 財務書類等活用の手引き

★リンクはこちら⇒ 統一的な基準による地方公会計マニュアル(既に削除済み)

<2016年5月に改訂>

★リンクはこちら⇒ 統一的な基準による地方公会計マニュアル(平成28年5月改訂)

2015年1月28日

有価証券報告書レビューの実施(平成26年3月期以降)

金融庁では、有価証券報告書の記載内容の適切性を確保するため、各財務局及び福岡財務支局並びに沖縄総合事務局(「財務局等」)と連携し、平成24年より、「法令改正関係審査」、「重点テーマ審査」及び「情報等活用審査」を柱とした有価証券報告書レビューを実施している。平成26年3月期以降の有価証券報告書については、以下の内容でレビューを実施することとしたため、公表された。

1.法令改正関係審査
本審査は、法令改正により有価証券報告書の記載内容が変更または追加された事項のうち、特に重要な事項について記載内容をアンケート形式で審査するものである。
今回は、平成24年5月に公表された「退職給付に関する会計基準」等を踏まえて改正された連結財務諸表規則等が平成26年3月期より適用されることから、同規則等に基づき適切な記載がなされているかどうかを審査する。
このため、以下のすべての要件に該当する企業におかれては、Excel「調査票」に回答を記入し、所管の財務局等へ、平成26年7月15日(火)までに提出いただくようお願いすることとなる。具体的な手続き等については、所管の財務局等から別途連絡がある。

  • 平成26年3月31日を決算日とする連結財務諸表を作成している。
  • 退職給付制度を採用している。
  • 連結財務諸表を日本基準で作成している。

2.重点テーマ審査
本審査は、特定の重点テーマに着目して審査対象となる企業を抽出し、当該企業に対して所管の財務局等が個別の質問事項を送付し、回答を受けることで(ヒアリングを行うこともある。)、より深度ある審査を実施するものである。
今回(平成26年3月期以降)の重点テーマは、以下のとおり。審査対象となる企業には、所管の財務局等より別途連絡する。

  • 退職給付
  • 企業結合及び事業分離等
  • 固定資産の減損

3.情報等活用審査
上記の重点テーマに該当しない場合であっても、適時開示や報道、一般投資家等から提供された情報等を勘案して、所管の財務局等より、個別の質問事項を送付させていただくことがある。

★リンクはこちら⇒ 有価証券報告書レビューの実施について(平成26年3月期以降)

2014年4月7日

有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項(平成26年3月期版)

金融庁は、平成26年3月期以降の有価証券報告書の作成に当たって留意が必要な事項等を以下のとおり取りまとめた。
各提出者におかれては、これらの点に留意して有価証券報告書を作成し、各財務局もしくは福岡財務支局または沖縄総合事務局へ提出のこと。
1.新たに適用となる開示制度・会計基準に係る留意事項
平成26年3月期に新たに適用となる開示制度・会計基準は以下のとおり(一部、早期適用されているものもある。)。

  • 「退職給付に関する会計基準」等の公表を踏まえた連結財務諸表規則等の改正
  • 「連結財務諸表に関する会計基準」等の公表を踏まえた連結財務諸表規則等の改正
  • 単体開示の簡素化を図るための財務諸表等規則等の改正

2.最近の課徴金事案及び自主訂正事案を踏まえた留意事項
最近の課徴金事案及び自主訂正事案において、以下の点などについて不適切な会計処理が認められている。

  • 売上の過大計上・前倒し計上
  • 固定資産(不動産)の減損損失の過少計上
  • 固定資産(のれん)の減損損失の不計上など

3.有価証券報告書レビュー(平成25年3月期以降)を踏まえた留意事項
平成25年3月期以降の有価証券報告書を対象とした有価証券報告書レビュー(現在、重点テーマ審査及び情報等活用審査を実施中)において、現在までに把握された事象を踏まえた留意すべき点を取りまとめた。
なお、平成25年3月期を対象とした法令改正関係審査については、審査を終了し、実施結果を公表(平成25年12月10日)しておりますので、併せて参照のこと。

★リンクはこちら⇒ 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項について(平成26年3月期版)

2014年4月4日

中小会計要領に取り組む事例65選

経済産業省は、中小企業の抱える諸課題に対し、「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」という。) を活用して、諸課題を解決し、経営を良くした具体的な事例を「中小会計要領に取り組む事例65選」として取りまとめた。

1.背景と経緯
中小企業の実態に即し、中小企業の経営者が容易に理解できる新しい会計ルールとして、平成24年2月1日に、「中小企業の会計に関する基本要領」(以下「中小会計要領」という。)が策定された。
「中小会計要領」は、中小企業の多様な実態に配慮し、その成長に資するため、中小企業が会社法上の計算書類(貸借対照表、損益計算書等)を作成する際に求められている会計処理や注記等を示しているものである。
「中小会計要領」の活用によって、中小企業の経営者が自社の財務情報や経営状況をタイムリーかつ正確に把握すれば、経営課題の早期発見、早期改善が可能になり、会社の経営戦略を立てる際や、投資判断を行う際に非常に役に立つ。また、経営者自らが自社の強みを語ることができれば、会社の見える化につながるとともに、金融機関や取引先等への信頼性を高めることになり、新たな取引や、融資にもつながる。
「中小会計要領に取り組む事例65選」は、中小企業の抱える諸課題に対し、「中小会計要領」を活用して経営を良くした企業65社の具体的な成功事例をベストプラクティスとして取りまとめたものである。
事例の取りまとめは、「中小企業の会計を活用した経営の促進に関する事例研究審委員会」 (委員長:河﨑照行 甲南大学会計大学院院長)において、審査が行われ、65社を選定した。
今回の取組事例の情報発信を通じて、さらに多くの中小企業が、「中小会計要領」 を自社の経営力の強化や資金調達力の強化等のために活用いただくことによって、事業の発展につなげることを期待する。

2.「中小会計要領に取り組む事例65選」の構成
第1章 中小会計要領作成の背景と概要について
第2章 事例から学ぶ会計の取り組み
第3章 ベストプラクティス集
• ベストプラクティス事例の企業一覧
• 65 社の概要

3.今後の予定
「中小会計要領に取り組む事例65選」は、以下の18機関等を通じて中小企業に配布するとともに中小企業庁HPや中小企業支援ポータルサイト「ミラサポ」に掲載する。
• 中小企業関係団体 (中小四団体、中小企業家同友会全国協議会、中小企業基盤整備機構)
• 金融機関関係団体(全国銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、商工組合中央金 庫、日本政策金融公庫、全国信用保証協会連合会)
• 会計専門団体(日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、中小企業診断協会、企業会計基準委員会)
また「中小会計要領に取り組む事例65選」を紹介するフォーラムを、3月7日に大阪、3月12日に名古屋、3月26日に東京で開催する予定である。

★リンクはこちら⇒ 「中小会計要領に取り組む事例65選」を取りまとめました

2014年3月10日

「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」の改定

公益社団法人日本年金数理人会及び公益社団法人日本アクチュアリー会の正式な手続きを経て、「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」を改定することとなり、公表された。

改定の内容は、平成25年11月にIASBからIAS19の改定(Defined Benefit Plans: Employee Contributions)が公表されたことに伴い、「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」において参照している関係部分について改定するものである。

ちなみに、今回の改定にあたって、平成25年12月19日に改定草案を公表して平成26年1月10日までコメントを受け付けたが、提出されたコメントはなかった。
そのため、改定草案どおりの内容で確定した。

なお、「退職給付会計に関する数理実務基準」に関しては、今回の改定は該当しなかったが、利用者の便宜のために、「退職給付会計に関する数理実務基準」と「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」とを合わせた形にしている。

★リンクはこちら⇒ 「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス」の改定

2014年2月27日

中小企業の会計に関する指針(平成25年版)の公表

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係四団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」という。)の見直しを行い、2104年1月29日の委員会においてその公表が承認されたので、「中小企業の会計に関する指針(平成25年版)」として公表した。

今般の中小会計指針の改正では、企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準のうち、主に企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」に対応した用語の見直し等を行っている。

関係四団体においては、中小会計指針を取引実態に合わせたより合理性のあるものとするために、年次ごとの見直し及び改正を行うことを決定しており、関係者が協力して中小会計指針の定着に取り組んでいくことによって、中小企業における会計の質の向上、ひいては持続的な経済社会の成長と経済基盤の整備に貢献できるものと期待している。

なお、「中小企業の会計に関する指針(平成25年版)」の全文及び新旧対照表は、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会のそれぞれのウェブサイトに掲載している。

★リンクはこちら⇒ 「中小企業の会計に関する指針(平成25年版)」の公表について

2014年2月7日

社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト

日本公認会計士協会(非営利法人委員会)は、平成25年12月3日に開催された常務理事会の承認を受けて、非営利法人委員会研究報告第26号「社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト」を同日付けで公表した。

本研究報告は、会員の業務の参考に資することを目的として、社会福祉法人が作成した財務諸表等の様式等が、「社会福祉法人会計基準」(「社会福祉法人会計基準の制定について」(平成23年7月27日(改正平成25年3月29日)雇児発0727第1号、社援発0727第1号、老発0727第1号 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)別紙)に準拠しているか否かを確かめるためのチェックリストとしてとりまとめたものである。

★リンクはこちら⇒ 社会福祉法人会計基準に基づく財務諸表等の様式等に関するチェックリスト

2014年1月16日

改正退職給付会計基準チェック・シート

仰星監査法人が、改正退職給付会計基準チェック・シートを無料で配布している。

★リンクはこちら⇒ 改正退職給付会計基準チェック・シートのご提供

2013年10月16日

監督指針案、金融検査マニュアル案等及び自己資本比率規制に関するQ&A等の公表(平成25年9月20日)

金融庁は、今般、国内基準に係る自己資本比率告示の改正(平成25年3月8日公布)を受け、監督指針案、金融検査マニュアル案等及び自己資本比率規制に関するQ&A等を取りまとめ、公表した。

★リンクはこちら⇒ 監督指針案、金融検査マニュアル案等及び自己資本比率規制に関するQ&A等の公表について

2013年10月8日

XBRL

先日、金融庁のEDINETがリニューアルし、XBRLを採用した。

このXBRLについて、公認会計士協会のHPで、動画で詳しく説明がなされている。

★リンクはこちら⇒ ちょっと教えて!XBRL

2013年10月2日

不正調査ガイドライン

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、平成25年9月4日付けで経営研究調査会研究報告第51号「不正調査ガイドライン」を公表した。

本研究報告は、主に公認会計士が、企業や企業以外の組織体(以下「企業等」という。)から不正調査業務の依頼を受けた場合、当該業務を受嘱するかの判断、当該業務の体制と計画・管理、情報の収集と分析、仮説の構築と検証、不正の発生要因と是正措置案の提言、調査報告、企業等が行うステークホルダー対応への支援、及び不正調査業務の終了といった一連の業務に関する概念や留意事項等について体系的に取りまとめたものである。

なお、本研究報告は、監査の基準である「監査における不正リスク対応基準」とは全く別のものである。

ちなみに、本研究報告の取りまとめに当たっては、7月2日から7月15日までの間、草案を公開し、広く意見を求めた。

★リンクはこちら⇒ 経営研究調査会研究報告第51号「不正調査ガイドライン」の公表について

2013年9月27日

IFRS任意適用に関する実務対応参考事例(2013年9月13日版)

我が国では、2010年3月31日以降に終了する事業年度から、国際的な財務活動または事業活動を行う一定の上場企業の連結財務諸表に、国際会計基準(IFRS)を任意適用することが可能となっている。
既に任意適用を開始している企業に加え、今後、適用を検討する企業は増加していくことが予想される。

そこで、経団連企業会計委員会企画部会では、既に任意適用を開始している企業ならびに任意適用に向けた具体的な検討を開始している企業の有志からなる「IFRS 実務対応検討会」を2012年8月に設置し、IFRS 適用にあたっての各社の対応事例を整理し、とりまとめることで、各企業における今後の任意適用の検討に向けた参考としていただくこととした。

なお、各社の対応事例は、各社の主たる検討・判断の過程を記載しているものであり、その背景や判断の全てを記述できているものではない。
具体的なIFRS 適用のあり方は、各企業の個別の状況を踏まえて検討し、判断すべきものですので、留意すること。

★リンクはこちら⇒ IFRS任意適用に関する実務対応参考事例(2013年9月13日版)

2013年9月24日

次世代EDINETの稼働開始

2013年9月17日から、次世代EDINETが稼働した。

1.次世代EDINETの概要
(1)経緯
金融庁では、「有価証券報告書等に関する業務の業務・システム最適化計画」(平成23年3月31日改定)等に基づき、開示書類の二次利用性の向上、検索機能等の向上等を目的として、「有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の次世代システム」(以下「次世代EDINET」という。)に係る設計・開発を行ってきた。

(2)次世代EDINETの目的
次世代EDINETの目的は、以下のとおり。

  • 国際水準を踏まえたXBRLの対象範囲の拡大
  • 投資家向けの検索・分析機能の向上
  • システム運用経費の削減
  • 事業継続に係る機能の向上

(3)次世代EDINETの稼働開始
次世代EDINETは、2013年9月17日午前8時30分に稼働開始した。
なお、従前のEDINETに記録されていたデータについては、先の案内(※1)のとおり、「提出書類作成一覧画面」の「書類状況」が「提出済(開示中)」、「提出済(非開示)」等(※2)となっているものは、次世代EDINETに移行されているが、提出に至っていないもの(「確定待」、「作成中」等)は移行されていない。

※1 「次世代EDINETの稼働開始日時とシステム移行に伴うサービス停止等について」(平成25年9月9日公表)。
※2 先頭3文字が「提出済」となっている全てのもの。

2.次世代EDINETのURLについて
次世代EDINETのURLは、以下のとおり。
提出用:http://submit.edinet-fsa.go.jp/
閲覧用:http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/

★リンクはこちら⇒ 次世代EDINETの稼働開始(9月17日)について

2013年9月18日

次世代EDINETタクソノミの公表(平成25年8月21日 金融庁)

金融庁では、「有価証券報告書等に関する業務の業務・システム最適化計画」(平成23年3月31日改定)に基づき、「開示書類の二次利用性の向上」、「検索機能等の向上」等を目的として「有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の次世代システム」(以下「次世代EDINET」という。)に係る設計・開発を行ってきた。EDINETにおけるXBRL(注)での提出は、平成20年4月以後開始する事業年度から行われているが、次世代EDINETにおいては、XBRLの対象範囲が拡する。
次世代EDINETタクソノミについては、平成24年6月25日に次世代EDINETタクソノミ(案)の初版を公表し、いただいた意見等を踏まえて策定した次世代EDINETタクソノミ(案)第二版を同年10月4日に公表した。同第二版を用いて、同年11月5日から平成25年3月29日まで「提出者向け事前チェックテスト」を実施した。また、「企業内容等の開示に関する内閣府令」、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」等の法令及び会計基準の改正等に対応するため、次世代EDINETタクソノミ(案)第三版を平成25年1月18日に公表し、いただいた意見等を踏まえて策定した次世代EDINETタクソノミ(案)第四版を同年3月21日に公表した。同第四版を用いて、同年5月21日から同年7月12日まで「次世代EDINET総合運転試験」を実施した。
ついては、次世代EDINET総合運転試験の結果等を踏まえて策定した次世代EDINETタクソノミ及び関連資料を公表した。

(注)XBRLとは、財務情報等を効率的に作成・流通・利用できるよう、国際的に標準化されたコンピュータ言語である。XBRLでは財務報告の電子的雛型である「タクソノミ」を基に、財務報告内容そのものを表す「インスタンス」を作成する。

1.次世代EDINETタクソノミの概要
次世代EDINETタクソノミでは、XBRLの対象範囲が拡大し、有価証券報告書等については、報告書全体がその対象になる。また、公開買付届出書、大量保有報告書等が新たにXBRL対象様式となる。技術面においては、従来の表示変換方式に替えてインラインXBRL方式を採用している。また、ディメンション等の新たな技術を採用している。
次世代EDINETタクソノミの特徴、内容等については、『次世代EDINETタクソノミ更新概要』、『EDINETタクソノミの概要説明』等を参照のこと。

2.適用時期
次世代EDINETタクソノミの適用時期の概要は、以下のとおり(詳細は、「「金融商品取引法施行令第十四条の十第一項の規定に基づき入出力装置の技術的基準を定める件(案)」等に対するパブリックコメントの結果等について」を参照のこと。)。

有価証券報告書 平成25年12月31日以後に終了する事業年度に係る書類に適用
四半期報告書
半期報告書
平成26年1月1日以後に開始する事業年度に含まれる四半期
または半期に係る書類に適用
有価証券届出書 平成25年12月31日以後に終了する事業年度を直近の事業年度と
する財務諸表等を掲げる書類に適用
大量保有報告書
臨時報告書
公開買付届出書
自己株券買付状況報告書
平成26年1月1日以後に提出する書類に適用。
ただし、早期適用可。
意見表明報告書
公開買付撤回届出書
公開買付報告書
対質問回答報告書
平成26年1月1日以後に提出する公開買付届出書(早期適用可)に
関連する書類に適用
発行登録書
発行登録追補書類
平成26年1月1日以後に提出する発行登録書及び当該発行登録書に
関連する発行登録追補書類に適用
内部統制報告書 平成25年12月31日以後に終了する事業年度に係る書類に適用。
ただし、早期適用可。

リンクはこちら⇒ 次世代EDINETタクソノミの公表について

2013年8月30日

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(平成25年8月21日 金融庁)

金融庁では、次世代EDINETに移行するための「金融商品取引法施行令第十四条の十第一項の規定に基づき入出力装置の技術的基準を定める件」等()の施行及び適用に伴い、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等を(別紙1)及び(別紙2)のとおり改正した。

「金融商品取引法施行令第十四条の十第一項の規定に基づき入出力装置の技術的基準を定める件」(金融庁告示)、「開示用電子情報処理組織による手続の特例等に関する留意事項について」(電子開示手続等ガイドライン)等について、平成25年6月20日付けで改正(案)を公表し、意見募集の上、平成25年8月20日付けで結果公表及び官報掲載した(同日付けで施行)。

なお、今回の改正は、上記の次世代EDINETのXBRL(財務情報を効率的に作成・流通・利用できるよう、国際的に標準化されたコンピュータ言語)の表現形式に、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等に定める財務諸表(様式)の体裁等を揃えるものであり、行政手続法第39条第4項第8号に該当するため、同法に定める意見公募手続は実施していない。

<改正の概要>
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の改正
株主資本等変動計算書等につき純資産の各項目を縦に並べる様式から横に並べる様式に変更

<公布・施行日等>
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令の適用時期は以下のとおり。

有価証券届出書 直近の事業年度または特定期間が平成25年12月31日以後に終了するもの
有価証券報告書 平成25年12月31日以後に終了する事業年度に係るもの
半期報告書 平成26年1月1日以後に開始する事業年度または特定期間に属する中間会計期間または中間計算期間に係るもの

リンクはこちら⇒ 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」について

2013年8月28日

「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」の改訂

日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会が主体となって設置している「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」は、「中小企業の会計に関する指針(以下「中小会計指針」という。)」を公表しているが、日本税理士会連合会では、中小企業の計算書類について、「中小企業の会計に関する指針」の適用状況を確認するための書類として、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を作成している。

ちなみに、現在、多くの金融機関において、このチェックリストを活用した融資商品が取り扱われている。

この改訂が平成25年6月に行われている。

リンクはこちら⇒ 「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」の改訂について(既に削除済み)

<2015年6月改訂>

リンクはこちら⇒ 「中小企業の会計に関する指針の適用」に関するチェックリスト

2013年7月9日

中小企業の会計に関する指針(平成24年版)

日本公認会計士協会、 日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」(以下、「委員会」という。)は、「中小企業の会計に関する指針(以下、「中小会計指針」という。)」について、「非上場会社の会計基準に関する懇談会 報告書(平成22年8月30日)」及び「中小企業の会計に関する研究会 中間報告書(平成22年9月30日)」の内容を踏まえて、見直しを図り、2月13日の委員会においてその公表が承認されたので、「中小企業の会計に関する指針(平成24年版)」として公表した。

今般の中小会計指針の改正では、会計処理のあり方自体の変更はなく、「非上場会社の会計基準に関する懇談会 報告書」及び「中小企業の会計に関する研究会 中間報告書」の提言内容を踏まえて、平易な表現に改める等経営者にとって利用しやすいものとすることを目的として見直しを行っている。

また、本指針(平成24年版)の全文及び新旧対照表は、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会のそれぞれのウェブサイトに掲載している。

中小企業の会計に関する指針(平成24年版)

2013年2月26日

中小企業の会計処理による割引制度の見直し

中小企業の会計処理による割引制度は、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小指針」という。)に準拠して作成される中小企業の計算書類について、税理士税理士法人および公認会計士(以下「税理士等」という。)により中小指針の準拠を確認するチェックリストが提出された場合において、信用保証協会の保証料率0.1%の割引が認められる制度である。

会計割引制度の適用は、平成18年4月の制度創設時では、チェックリストの添付によって認められ、平成19年4月の制度見直し後では、チェックリスト中の15項目のうち1項目以上の準拠によって認められることとされていたが、以下の見直しが行われる。

  • 信用保証協会は、チェックリストの全15項目全て(当該中小企業が保有しない資産の項目については除外)が中小指針に準拠していることをもって会計割引制度を適用する。
  • チェックリストの全15項目について中小指針に準拠している旨の記載があるにもかかわらず、故意・過失を問わず事実と異なる記載が認められると信用保証協会が判断する場合は、会計割引制度の利用を認めない。
  • 故意・過失を問わず事実と異なる記載と保証協会が認めるチェックリストが、複数回にわたり同一の税理士等から提出された場合において、当該税理士等から提出されるチェックリストの添付をもって、計算書類の信頼性向上に寄与することが認められないと保証協会が判断するときは、当該税理士等が確認したチェックリストについては、会計割引制度の利用を1年間認めない。

この変更は、平成24年4月1日から行う(平成24年4月1日以降に終了する事業年度の計算書類より適用する。)。

一時利用停止措置を受けると、税理士会や中小企業庁や全国信用保証協会連合会にも通知等が行くようであり、このようなものを公認会計士税理士がリスクを負ってまで受けるのであろうか?

2012年3月26日

税効果会計

今回、法人税率の引き下げは見送られたが、法人税の引き下げは必ずしも喜ばしいことではない。
税率が引き上げられると、繰延税金資産が減少してしまうからである。これは、繰延税金資産が多額な会社の場合はインパクトが大きい。
簡単に言うと、実効税率が40%から35%になったとすると、単純に考えると12.5%(5%÷40%)も減少してしまう。
よって、必ずしも喜んではいられないのである。

2011年7月1日

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消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(インボイスQ&A)を改訂しました(2025年(令和7年)4月14日)

2023年(令和5年10月1日)から消費税の仕入税額控除制度において適格請求書等保存方式が開始されました。

この「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」は、事業者の皆様が、2018年(令和元年)10月1日に実施された消費税の軽減税率制度への対応とともに適格請求書等保存方式にも対応いただけるよう、適格請求書等保存方式について、分かりやすく解説したものです。

また、今後、寄せられた質問や頂いた疑問点を踏まえて、随時、追加や掲載内容の改訂を行っていく予定です。

★リンクはこちら→ 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(インボイスQ&A)を改訂しました(2025年(令和7年)4月14日)

2025年5月15日


「金融庁からの周知依頼」インボイス制度について

インボイス制度開始後に寄せられたご質問等を踏まえ、国税庁において以下の資料等を作成・更新しています。

特に、新規作成の①・②に関しては、これまでインボイス制度に馴染みが薄かった方にもできるだけ分かりやすいものとなっておりますので、ぜひご活用ください。

また、インボイス制度開始後初めての消費税の確定申告を迎えるにあたって、消費税の確定申告に関するコンテンツや中小企業・小規模事業者向け支援策に関する資料も併せてご参考ください。

<インボイス制度について>
インボイス記載事項チェックシート(記載不備のインボイスを受け取った場合の対応についても記載しています)

マンガでわかる インボイス記載事項

動画「3分でわかる インボイス○○○○」シリーズ

お問合せの多いご質問(令和6年2月19日更新)

<消費税の確定申告に関する情報>
インボイス発行事業者の登録を受けた方の確定申告について

2割特例 特設ページ(2割特例の概要や動画による申告書作成の解説など)

<中小企業・小規模事業者向け支援策>
インボイス制度への対応に取り組むみなさまへ 各種支援策のご案内

中小企業・小規模事業者インボイス相談受付窓口 オンライン税理士相談

★リンクはこちら→ 「金融庁からの周知依頼」インボイス制度について

2024年5月20日


<多く寄せられるご質問 問㉖>
多く寄せられるご質問問㉖当社は、機械装置の貸付けを行っている免税事業者です。契約上、毎月末に使用料を受領し、領収書を発行しているところ、この度、月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けたのですが、どのように領収書(適格請求書)を交付すべきでしょうか。また、棚卸資産としての機械装置の販売やその保守点検といった役務提供も行っていますが、この場合の適格請求書の交付はどうなりますか。
【インボイスQ&A問77-2として追加】

1.資産の貸付けに係る適格請求書
適格請求書発行事業者は、登録日以後の取引について、相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じて、適格請求書を交付する義務が生じます(免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間において登録を受ける場合、登録日から適格請求書発行事業者となる経過措置が設けられています。

詳細は「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問7」をご参照ください。)。

資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額(前受けに係る額を除きます。)を対価とする資産の譲渡等の時期は、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日とすることとされています。

そのため、ある月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けた場合においても、月末にその月分の支払を受けることとしているなど、使用料等の支払を受けるべき日が登録日以後となるのであれば、その月分の使用料等の全額につき適格請求書を交付することとなります。

(注)
この場合、課税資産の譲渡等がその支払を受けるべき日に行われたこととなるため、その登録を受けた月分の使用料等については、適格請求書発行事業者の登録前の期間に係るものについて日割計算などは行わず、全額を課税売上げとして消費税の申告を行うこととなります。

他方、前受けに係るもの(翌月分を前払で受けるようなもの)である場合には、その資産の譲渡等の時期は、原則として現実に資産の譲渡等を行った時となるため、登録日前の取引と登録日以後の取引に区分するなどの対応が必要となります。この場合、適格請求書ではない領収書を交付し、登録通知を受け登録日が判明した後に、適格請求書となる部分を区分して交付するなどの方法によることとして差し支えありません。

【3月15日に登録を受けた場合のイメージ】

買手においては、領収金額の総額から適格請求書として交付を受けた金額(3月15日から31日までの分)を差し引いた金額を、3月1日から14日までの分の課税資産の譲渡等に係る対価の額として追記することにより、当該金額につき区分記載請求書等と同様の記載事項が記載された請求書等の保存があるものとして、仕入税額の一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることができます。

2.棚卸資産の譲渡に係る適格請求書
棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とされており、引渡しの日がいつであるかについては、例えば、出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等、当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じてその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、事業者が継続して棚卸資産の譲渡等を行ったこととしている日によるものとされています。

したがって、貴社が継続して棚卸資産の譲渡等を行ったこととしている日が、登録日以後となる取引について、適格請求書を交付することとなります。

【3月15日に登録を受けた場合のイメージ】

3.役務の提供に係る適格請求書
役務の提供を行った日は、原則として、その約した役務の全部の提供を完了した日になります。したがって、貴社の行う保守点検が完了した日が適格請求書発行事業者の登録を受けた日以後であるならば、その保守点検料等の全額につき適格請求書を交付することとなります。

(注)
保守点検が完了した日が適格請求書発行事業者の登録を受けた日以後である場合、その保守点検料については、適格請求書発行事業者の登録前の期間に係るものについて日割計算などは行わず、全額を課税売上げとして消費税の申告を行うこととなります。

【3月15日に登録を受けた場合のイメージ】

★リンクはこちら→ 多く寄せられるご質問問㉖当社は、機械装置の貸付けを行っている免税事業者です。契約上、毎月末に使用料を受領し、領収書を発行しているところ、この度、月の中途に適格請求書発行事業者の登録を受けたのですが、どのように領収書(適格請求書)を交付すべきでしょうか。また、棚卸資産としての機械装置の販売やその保守点検といった役務提供も行っていますが、この場合の適格請求書の交付はどうなりますか。

2024年5月14日


<多く寄せられるご質問 問㉕>
当社は、クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットを利用しています。そうしたタクシーチケットは、タクシー事業者等が発行しているものとは異なり、クレジットカード利用明細書しか送られてこず、また、タクシーチケット自体取引先等に手交していることから、タクシーを利用した際に交付を受ける適格簡易請求書の保存をすることもできません。この場合、当社は仕入税額控除の適用を受けるためにどうすべきでしょうか。【インボイスQ&A問108-2として追加】

クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットにつき、その使用された金額について仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、その使用に当たってタクシー事業者(当該タクシー事業者に係る事業者団体など、個々の契約等により当該タクシー利用に係る課税売上げを計上すべきこととされている者を含みます。以下同じです。)から受領した適格簡易請求書の保存が必要となります。

しかしながら、ご質問のようにタクシーチケットは取引先等に手交されることも多いことを踏まえれば、適格簡易請求書の保存が困難といった事情があると考えられます。

そのため、受領したクレジットカード利用明細書及び以下の資料に記載された内容等に基づき、利用されたタクシー事業者が適格請求書発行事業者であることが確認できる場合には、適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている証票が使用の際に回収される取引として、帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません(回収特例)。

  • 利用されたタクシー事業者のホームページ
  • クレジットカード会社のホームページ等に掲載されている利用可能タクシー一覧

なお、適格請求書発行事業者以外のタクシー事業者の利用であったことが確認された場合には、当該タクシー利用時に受領した領収書(未収書等)や、別途当該タクシー事業者から発行を受けた書類など、区分記載請求書の記載事項を満たした書類及び一定の事項を記載した帳簿の保存があれば、仕入税額相当額の一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることができます。

★リンクはこちら→ 当社は、クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットを利用しています。そうしたタクシーチケットは、タクシー事業者等が発行しているものとは異なり、クレジットカード利用明細書しか送られてこず、また、タクシーチケット自体取引先等に手交していることから、タクシーを利用した際に交付を受ける適格簡易請求書の保存をすることもできません。この場合、当社は仕入税額控除の適用を受けるためにどうすべきでしょうか。

2024年5月10日


<多く寄せられるご質問 問㉔>
当社は適格請求書発行事業者です。当社の提供しているサービスは、利用規約においてその対象を消費者に限定しているため、課税事業者から適格請求書の求めがあったとしても適格請求書の交付は行わないこととしてよいでしょうか。【インボイスQ&A問24-3として追加】

適格請求書発行事業者は、課税事業者の求めに応じて、適格請求書の交付義務が生じます。

そのため、消費者に対しては適格請求書を交付する義務は生じませんので、貴社の利用規約等において提供するサービスの対象を消費者に限定し、実際に事業者による利用がないのであれば、適格請求書を交付する必要はありません。

しかしながら、そうした制限にもかかわらず、実際に当該サービスを利用した課税事業者から適格請求書の交付を求められた場合には、利用規約等にかかわらず、消費税法上、貴社にその交付義務が生じることとなります。

その際、貴社の提供するサービスが不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業である場合には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することが可能です。

(参考)
適格簡易請求書の記載事項等に関する詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問58」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は適格請求書発行事業者です。当社の提供しているサービスは、利用規約においてその対象を消費者に限定しているため、課税事業者から適格請求書の求めがあったとしても適格請求書の交付は行わないこととしてよいでしょうか。

2024年5月8日


<多く寄せられるご質問 問㉓>
金融機関の窓口又はオンラインで決済を行った際の金融機関の入出金手数料や振込手数料について、仕入税額控除の適用を受けるために、何を保存すればよいでしょうか。【インボイスQ&A問103-2として追加】

入出金手数料や振込手数料について仕入税額控除の適用を受けるには、原則として適格簡易請求書及び一定の事項が記載された帳簿の保存が必要となります(注1)。

他方、金融機関における入出金や振込みが多頻度にわたるなどの事情により、全ての入出金手数料及び振込手数料に係る適格簡易請求書の保存が困難なときは、金融機関ごとに発行を受けた通帳や入出金明細等(個々の課税資産の譲渡等(入出金サービス・振込サービス)に係る取引年月日や対価の額が判明するものに限ります。)と、その金融機関における任意の一取引(一の入出金又は振込み)に係る適格簡易請求書を併せて保存する(注2・3)ことで、仕入税額控除を行って差し支えありません。

また、基準期間における課税売上高が1億円以下であるなど一定規模以下の事業者については、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置(少額特例)も設けられていますので、上記のような対応は必要ありません(少額特例の詳細については、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問111」をご参照ください。)。

(注1)
一般的に、金融機関の入出金サービスや振込サービスについては、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う事業に該当し、適格簡易請求書の交付対象になるものと解されます。

また、金融機関のATMによるものである場合、3万円未満の物であれば、自動サービス機により行われる取引として、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が可能です(詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問47」をご参照ください。)。

(注2)
インターネットバンキングなど、オンラインで振込みを行った際の手数料等について、電磁的記録により適格簡易請求書が提供される場合には、当該電磁的記録をダウンロードする必要があります。

ただし、同種の手数料等を繰り返し支払っているような場合において、当該手数料等の適格簡易請求書に係る電磁的記録が、インターネットバンキング上で随時確認可能な状態であるなど一定の要件を満たすのであれば、必ずしも当該適格簡易請求書に係る電磁的記録をダウンロードせずとも、仕入税額控除の適用を受けることが可能です(適格簡易請求書に係る電磁的記録の取扱いについては「多く寄せられるご質問の問⑱」を、電子帳簿保存法の取扱いについては「電子帳簿保存方法一問一答」の「お問合せの多いご質問 電取追2-2」をご参照ください。)。

(注3)
金融機関が適格請求書発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、一回のみ取得・保存することで差し支えありません。

また、金融機関から各種手数料に係るお知らせ(適格請求書発行者の氏名又は名称及び登録番号、適用税率、取引の内容が記載されたものに限ります。)を受領した場合には、当該一のお知らせを保存することで適格簡易請求書の保存に代えることが可能です。

★リンクはこちら→ 金融機関の窓口又はオンラインで決済を行った際の金融機関の入出金手数料や振込手数料について、仕入税額控除の適用を受けるために、何を保存すればよいでしょうか。

2024年4月30日


<多く寄せられるご質問 問㉒>
私は、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者となった個人事業者ですが、それまでの間は免税事業者でした。令和7年分の申告における基準期間(令和5年分)における課税売上高は、免税事業者であった令和5年1月から9月までの金額を含むのでしょうか。【インボイスQ&A問8-2として追加】

適格請求書発行事業者になったことにより、令和5年10月1日から課税事業者となった個人事業者が、令和7年分の消費税の確定申告を行うに当たり、その基準期間は令和5年となりますが、この場合の基準期間における課税売上高(税抜)は、当該個人事業者が免税事業者であった期間(令和5年1月から9月)の課税売上高を含む金額で計算することとなります。

また、その免税事業者であった期間に係る課税売上高について税抜処理は行わず、その売上げ(非課税売上げ等を除きます。)がそのまま課税売上高となりますので、以下の例のとおり計算することとなります。

★リンクはこちら→ 私は、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者となった個人事業者ですが、それまでの間は免税事業者でした。令和7年分の申告における基準期間(令和5年分)における課税売上高は、免税事業者であった令和5年1月から9月までの金額を含むのでしょうか。

2024年4月26日


<多く寄せられるご質問 問㉑>
当協会は、協会に所属する会員向けに講師を招いてセミナーを開催しています。その際の講演料はまとめて当協会が支払いますが、一定割合を協会で負担することとした上で、残りをセミナーの参加予定者数で按分して参加費として受領しています(1,000円未満の端数は切上げ)。この場合、参加者に対してどのように適格請求書を交付すればよいでしょうか。【インボイスQ&A問94-3として追加】

国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:「インターネット広告の配信」等)については、特定課税仕入れとして、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務が課されます(リバースチャージ方式)。

そして、当該リバースチャージ方式により申告・納税を行う消費税額については、仕入税額控除の対象となりますが、その適用要件として適格請求書の保存は必要なく、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能となります。

これに対し、国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供以外の電気通信利用役務の提供(いわゆる消費者向け電気通信利用役務の提供)(例:「電子書籍・音楽の配信」等)について仕入税額控除の適用を受けるためには、売手である国外事業者から交付を受けた適格請求書(当該適格請求書の記載事項に係る電磁的記録を含みます。)の保存が必要です。

また、国外事業者が行う消費者向け電気通信利用役務の提供について、適格請求書の保存がない場合に、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについて一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることはできませんが、少額特例(一定規模以下の事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う税込み1万円未満である課税仕入れについて、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置)の適用を受けることはできます。

(注)
令和5年9月1日時点で登録国外事業者(適格請求書等保存方式の開始前において、消費者向け電気通信利用役務の提供を行うため、国税庁長官の登録を受けた国外事業者をいいます。)であり、かつ、同日おいて「登録国外事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出していない事業者は、令和5年10 月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされ、登録番号(T+13 桁の数字)が付番されています。

また、そうした国外事業者においては、令和6年3月31日までは登録国外事業者として付番されている番号(00001等の5桁の番号)を登録番号として適格請求書に記載することができることとされています。

(参考)
電気通信利用役務の提供やリバースチャージ方式の詳細については、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当協会は、協会に所属する会員向けに講師を招いてセミナーを開催しています。その際の講演料はまとめて当協会が支払いますが、一定割合を協会で負担することとした上で、残りをセミナーの参加予定者数で按分して参加費として受領しています(1,000円未満の端数は切上げ)。この場合、参加者に対してどのように適格請求書を交付すればよいでしょうか。

2024年4月24日


<多く寄せられるご質問 問⑳>
当社は、国外事業者との間でリバースチャージ方式の対象となる取引(インターネット広告の配信)や、消費者向け電気通信利用役務の提供に該当する取引(電子書籍の購入)を行っていますが、仕入税額控除を行うために適格請求書の保存は必要でしょうか。【インボイスQ&A問103-3として追加】

国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」(例:「インターネット広告の配信」等)については、特定課税仕入れとして、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務が課されます(リバースチャージ方式)。

そして、当該リバースチャージ方式により申告・納税を行う消費税額については、仕入税額控除の対象となりますが、その適用要件として適格請求書の保存は必要なく、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能となります。

これに対し、国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供以外の電気通信利用役務の提供(いわゆる消費者向け電気通信利用役務の提供)(例:「電子書籍・音楽の配信」等)について仕入税額控除の適用を受けるためには、売手である国外事業者から交付を受けた適格請求書(当該適格請求書の記載事項に係る電磁的記録を含みます。)の保存が必要です。

また、国外事業者が行う消費者向け電気通信利用役務の提供について、適格請求書の保存がない場合に、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについて一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることはできませんが、少額特例(一定規模以下の事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う税込み1万円未満である課税仕入れについて、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置)の適用を受けることはできます。

(注)
令和5年9月1日時点で登録国外事業者(適格請求書等保存方式の開始前において、消費者向け電気通信利用役務の提供を行うため、国税庁長官の登録を受けた国外事業者をいいます。)であり、かつ、同日おいて「登録国外事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出していない事業者は、令和5年10 月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされ、登録番号(T+13 桁の数字)が付番されています。

また、そうした国外事業者においては、令和6年3月31日までは登録国外事業者として付番されている番号(00001等の5桁の番号)を登録番号として適格請求書に記載することができることとされています。

(参考)
電気通信利用役務の提供やリバースチャージ方式の詳細については、「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、国外事業者との間でリバースチャージ方式の対象となる取引(インターネット広告の配信)や、消費者向け電気通信利用役務の提供に該当する取引(電子書籍の購入)を行っていますが、仕入税額控除を行うために適格請求書の保存は必要でしょうか。

2024年4月22日


<多く寄せられるご質問 問⑲>
私は、今まで免税事業者であったものの、令和5年に入ってから適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者(課税事業者)となった個人事業者です。当該登録申請書の提出に当たり、「消費税課税事業者選択届出書」も同時に提出したのですが、その提出日によっては令和5年分の確定申告において2割特例が適用できないことがあると聞きました。私のような場合には、令和5年分の申告において2割特例を適用できますか。【インボイスQ&A問116-2として追加】

2割特例は「消費税課税事業者選択届出書」の提出により課税事業者となった事業者も適用を受けることができますが、令和5年10月1日より前から同届出書の提出により引き続き課税事業者となる同日を含む課税期間、つまり、令和5年9月30日以前の期間を含む課税期間の申告については、2割特例の適用を受けることはできません(注1)

「消費税課税事業者選択届出書」の効果は、原則として、その提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じるところ、ご質問の場合、その効果は令和6年1月1日から生じるため、令和5年分については、令和5年10月1日(適格請求書発行事業者の登録日)から令和5年12月31日までの期間に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて申告を行うことになり、令和5年9月30日以前の期間を含まないことから、2割特例の適用を受けることができます(注2)

(注1)「消費税課税事業者選択届出書」の提出により令和5年10月1日の属する課税期間から課税事業者となった事業者が、同日より前に登録申請書を提出している場合は、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を当該課税期間の末日までに提出することで、令和5年10月1日を含む課税期間に係る申告につき2割特例の適用を受けることができます(その場合、上記と同様、登録日から課税期間の末日までの期間に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて申告を行うことになります。)。

その他、2割特例の適用ができない課税期間についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問115」及び「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問116」をご参照ください。

(注2)令和6年1月1日から課税事業者となる効果が生じますが、令和6年分の申告においても、基準期間である令和4年分の課税売上高が1,000万円以下である場合には、原則として、2割特例の適用を受けることができます。

★リンクはこちら→ 私は、今まで免税事業者であったものの、令和5年に入ってから適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者(課税事業者)となった個人事業者です。当該登録申請書の提出に当たり、「消費税課税事業者選択届出書」も同時に提出したのですが、その提出日によっては令和5年分の確定申告において2割特例が適用できないことがあると聞きました。私のような場合には、令和5年分の申告において2割特例を適用できますか。

2024年4月19日


<多く寄せられるご質問 問⑱>
継続的な役務提供に係る課税仕入れについて、仕入先からは書面での適格請求書は交付されず、取引先が指定したホームページ上の「マイページ」等にログインし、契約ごとに電磁的記録をダウンロードすることとなっています。当社が仕入税額控除を行うには、これらの電磁的記録を毎月ダウンロードして保存する必要があるのでしょうか。なお、この電磁的記録は、7年間いつでもダウンロードして確認することが可能な状態になっています。【インボイス
Q&A問102-2として追加】

売手である適格請求書発行事業者から適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録による提供を受けた場合、仕入税額控除の適用を受けるためには、その電磁的記録を保存する必要があります。

その際、提供を受けた電磁的記録をそのまま保存しようとするときには、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号。以下「電帳法」といいます。)に準じた方法により保存することとされています。

この点、電帳法においては、ECサイト(インターネット上に開設された商品などを販売するウェブサイトをいいます。)で物品を購入したとき、ECサイト上の購入者の購入情報を管理するページ内において、領収書等データをダウンロードすることができる場合に、当該 ECサイト上でその領収書等データの確認が随時可能な状態である場合には、必ずしもその領収書等データをダウンロードして保存していなくても差し支えないこととされています。

こうした取扱いは、当該 EC サイト提供事業者が、物品の購入者において満たすべき真実性の確保及び検索機能の確保の要件を満たしている場合に認められるものであり、また、当該領収書等データは各税法に定められた保存期間が満了するまで確認が随時可能である必要があります(その他、本取扱いに関する詳細は、国税庁ホームページに掲載されている「電子帳簿保存法一問一答」の「お問合せの多いご質問 電取追2」を参考としてください。)。

これは、適格請求書に係る電磁的記録の保存においても同様であり、ご質問のように取引先が指定したホームページ上の「マイページ」等にログインすることで、上記要件を満たした形で適格請求書に係る電磁的記録の確認が随時可能な状態である場合には、必ずしも当該電磁的記録をダウンロードせずとも、その保存があるものとして、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

(参考)
電帳法において、例えば次のような事業者については、検索機能の確保の要件が不要とされています。

(1)税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録の提示等の求めに応じることができるようにしている場合における
①判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円(令和6年1月1日以後にやり取りする電磁的記録の場合は、5,000万円)以下の事業者
②電磁的記録を出力した書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものを提示・提出できるようにしている事業者

⑵税務署長が相当の理由があると認め、かつ、保存義務者が税務調査等の際に、税務職員からの求めに応じ、その電磁的記録及び出力書面の提示等をすることができる場合には、その保存時に満たすべき要件にかかわらず電磁的記録の保存が可能となる措置(猶予措置)の対象となる事業者

そのため、こうした事業者にあっては、取引先のホームページにおいて、検索機能の確保がなされていなかったとしても、適格請求書に係る電磁的記録の確認が随時可能な状態であれば、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

なお、上記⑴②、⑵における電磁的記録を出力した書面としては、必ずしも適格請求書そのものに係る電磁的記録でなくてもよく、当該取引に係る金額や取引年月日等の情報が判別できる資料でも差し支えありません。

★リンクはこちら→ 継続的な役務提供に係る課税仕入れについて、仕入先からは書面での適格請求書は交付されず、取引先が指定したホームページ上の「マイページ」等にログインし、契約ごとに電磁的記録をダウンロードすることとなっています。当社が仕入税額控除を行うには、これらの電磁的記録を毎月ダウンロードして保存する必要があるのでしょうか。なお、この電磁的記録は、7年間いつでもダウンロードして確認することが可能な状態になっています。

2024年4月17日


<多く寄せられるご質問 問⑰>
当社は、役務の提供に当たり、予約サイトを通じて予約や代金の精算を行っています。この際、媒介者交付特例を適用し、予約サイトから購入者に適格請求書を交付してもらっていますが、実際の役務の提供に際し、顧客から当社に対して適格請求書の交付を求められました。この場合、当社は改めて適格請求書を交付しなければならないのでしょうか。【インボイスQ&A問49-2として追加】

適格請求書発行事業者には、課税資産の譲渡等を行った場合、課税事業者からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています。

また、ご質問のように予約サイトを通じて代金の精算等を行う場合、一定の要件を満たしていれば、当該予約サイトの運営者が、媒介者等として、自己の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書を、委託者である貴社に代わって顧客に対し交付することができます(以下「媒介者交付特例」といいます。)。

媒介者交付特例を適用し、媒介者等が適格請求書を交付したのであれば、その時点で適格請求書の交付義務を果たしていますが、ご質問のように、改めて委託者が適格請求書を交付することについて、消費税法上妨げられるものではありませんので、顧客の求めに応じて、適格請求書を交付することもできます。

この場合において、委託者が交付しようとする適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額は、委託者である売手の認識している金額によることとなる点にご留意ください。

なお、仕入税額控除は、行った課税仕入れに対して適用されるものですので、購入者において、一の課税仕入れについて複数枚の適格請求書の保存があったとしても、仕入税額控除の適用は一回となります。

(注)
予約サイトの運営者が適格請求書発行事業者ではないなどの理由により、媒介者交付特例を適用できない場合に、課税事業者である顧客から適格請求書の交付を求められた際は、委託者においては、適格請求書の交付義務が生じることとなります。

(参考)
適格請求書を再交付するに当たり、既に交付した複数枚の適格請求書をまとめて一の適格請求書として再発行する必要がある場合にはそのような対応も可能です。その場合、当該一の適格請求書に記載された全ての課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額の合計額を基礎として再計算した消費税額等が、適格請求書の記載事項としての消費税額等となります。

他方、売手において既に交付した適格請求書の写しを保存しているなど、再発行であることが客観的に明らかである場合には、その記載すべき消費税額等は、既に交付した適格請求書に記載された消費税額等を基に記載することとして差し支えありません。

【イメージ】(記載事項は一部省略しています。)

★リンクはこちら→ 当社は、役務の提供に当たり、予約サイトを通じて予約や代金の精算を行っています。この際、媒介者交付特例を適用し、予約サイトから購入者に適格請求書を交付してもらっていますが、実際の役務の提供に際し、顧客から当社に対して適格請求書の交付を求められました。この場合、当社は改めて適格請求書を交付しなければならないのでしょうか。

2024年4月15日


<多く寄せられるご質問 問⑯>
当社は、他の事業者が経営する食堂を社員食堂として従業員に利用させています。例えば、従業員が1,000円分の喫食を行った場合、当社はその7割(700円)を従業員から徴収し、差額300円を負担する形で食堂を経営する当該他の事業者に対して支払を行っています。適格請求書には、課税資産の譲渡等に係る税込価額として支払を行った全額が記載されているのですが、当社はどのように仕入税額控除を行うことになるのでしょうか。なお、従業員から徴収した代金は預り金として処理しています。【インボイスQ&A問 94-4として追加】

事業者が他の事業者が経営する食堂を社員食堂として従業員に利用させるという契約を当該他の事業者と締結し、その従業員の食事代の全部又は一部を支払っているときは、給与として課税されるかどうかにかかわらず、その金額は課税仕入れに該当し、当該他の事業者から受領した適格請求書及び一定の記載をした帳簿の保存により仕入税額控除を行うことが可能です。

ただし、従業員から一部の代金を徴収し、預り金として処理している場合には、事業者が実際に負担した部分の金額のみが課税仕入れの対象となることから、ご質問の例であれば、喫食に係る代金の全額が記載されている適格請求書を保存していたとしても、貴社は300円を基礎として、仕入税額控除の適用を受けることとなります。

なお、仕入控除税額の計算に当たって、積上げ計算を行う場合、受領した一の適格請求書に記載された課税資産の譲渡等に係る消費税額等のうち、課税仕入れに係る部分の金額として算出した金額に1円未満の端数が生じる場合は、受領した一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要がありますが、その方法については切上げ、切捨て、四捨五入など、任意の方法とすることができます。

【一部を従業員負担にしている場合の適格請求書に係る仕入控除税額の計算例】

★リンクはこちら→ 当社は、他の事業者が経営する食堂を社員食堂として従業員に利用させています。例えば、従業員が1,000円分の喫食を行った場合、当社はその7割(700円)を従業員から徴収し、差額300円を負担する形で食堂を経営する当該他の事業者に対して支払を行っています。適格請求書には、課税資産の譲渡等に係る税込価額として支払を行った全額が記載されているのですが、当社はどのように仕入税額控除を行うことになるのでしょうか。なお、従業員から徴収した代金は預り金として処理しています。

2024年4月12日


<多く寄せられるご質問 問⑮>
当社は、自社で雇用している従業員と同様に、派遣社員や出向社員が出張した際にも、旅費規程に基づき出張旅費を支払っています。当該出張旅費については、派遣元企業や出向元企業を通じて当該社員に支払われることになるのですが、仕入税額控除の要件として派遣元企業や出向元企業から請求書等の交付を受け、これを保存する必要はありますか。また、内定者や採用面接者に対し、内定者説明会会場や面接会場までの交通費等を支給する場合の取扱いはどうなりますか。
【インボイスQ&A問107-3として追加】

従業員等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等(以下「出張旅費等」といいます。)のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するものとして取り扱われ、この金額については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(以下「出張旅費等特例」といいます。)。

1.派遣社員や出向社員に対して支払われる出張旅費等について
派遣社員や出向社員(以下「派遣社員等」といいます。)に対して支払われる出張旅費等については、それぞれ次のとおり取り扱うこととなります。
(1)派遣元企業等に支払うもの
当該出張旅費等が直接的に派遣社員等へ支払われるものではなく、派遣元企業や出向元企業(以下「派遣元企業等」といいます。)に支払われる場合、派遣先企業や出向先企業(以下「派遣先企業等」といいます。)においては、人材派遣等の役務の提供に係る対価として、仕入税額控除に当たり派遣元企業等から受領した適格請求書の保存が必要となります。

(2)派遣元企業等を通じて派遣社員等に支払うもの
派遣元企業等が当該出張旅費等を預かり、そのまま派遣社員等に支払われることが派遣契約や出向契約等において明らかにされている場合には、派遣先企業等において、出張旅費等特例の対象として差し支えありません。この場合、当該出張旅費等に相当する金額について、派遣元企業等においては立替払を行ったものとして課税仕入れには該当せず、仕入税額控除を行うことはできません。

2.内定者や採用面接者に対して支払われる交通費等について
内定者のうち、企業との間で労働契約が成立していると認められる者※に対して支給する交通費等については、通常必要であると認められる部分の金額について出張旅費等特例の対象として差し支えありません。

※労働契約が成立していると認められるか否かは、例えば、企業から採用内定通知を受け、入社誓約書等を提出している等の状況を踏まえて判断されることとなります。

一方、採用面接者は通常、従業員等に該当しませんので、支給する交通費等について、出張旅費等特例の対象にはなりません。

(注1)
出張旅費等特例の対象となる出張旅費等や交通費等(以下「旅費交通費等」といいます。)には、概算払によるもののほか、実費精算されるものも含まれます。
なお、出張旅費等特例の対象とならない場合の派遣社員等、内定者又は採用面接者(以下「派遣社員・内定者等」といいます。)に対して支払われる旅費交通費等については、貴社が当該旅費交通費等を派遣社員・内定者等を通じて公共交通機関(船舶、バス、鉄道又は軌道)に直接支払っているものと同視し得る場合には、3万円未満の支払について、一定の事項を記載した帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められます(以下「公共交通機関特例」といいます。)。

(注2)
海外出張のために支給する出張旅費等については、原則として課税仕入れには該当しません。

(注3)
上記の出張旅費等特例や公共交通機関特例の対象にはならない旅費交通費等について仕入税額控除の適用を受けるには、派遣社員・内定者等が交付を受けた旅費交通費等に係る適格請求書又は適格簡易請求書の提出を受け、それを保存する必要があります(宛名として派遣社員・内定者等の氏名が記載されている場合には、原則として、立替金精算書の保存も必要となります。
詳細は「多く寄せられるお問合せの問⑩」をご参照ください。)。

★リンクはこちら→ 当社は、自社で雇用している従業員と同様に、派遣社員や出向社員が出張した際にも、旅費規程に基づき出張旅費を支払っています。当該出張旅費については、派遣元企業や出向元企業を通じて当該社員に支払われることになるのですが、仕入税額控除の要件として派遣元企業や出向元企業から請求書等の交付を受け、これを保存する必要はありますか。また、内定者や採用面接者に対し、内定者説明会会場や面接会場までの交通費等を支給する場合の取扱いはどうなりますか。

2024年4月10日


<多く寄せられるご質問 問⑭>
当団体は、多数の会員を有する事業者団体です。当団体は、定期的に会員の中から広く参加者を募ってセミナーを開いており、セミナー当日に参加者からその対価を徴収しています。このセミナーについては、適格簡易請求書の交付対象になりますか。なお、参加者は毎回多数に上るため、参加費を徴収する際に「●●会会員様」という宛名を事前に印刷した領収書、あるいは宛名のない領収書を配布しています。

適格請求書発行事業者が、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業を行う場合には、適格請求書に代えて、記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができます。

この適格簡易請求書の交付ができる事業は、小売業や飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業及び駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)の他、「これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」についても対象になりますが、当該事業に該当するかは、個々の事業の性質により判断されます。

「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行うもの」には、その取引に当たり、相手方の氏名等を確認するものであったとしても、相手方を問わず広く一般を対象に資産の譲渡等を行う、ホテル・旅館等の宿泊サービスや航空サービス、レンタカー事業なども含まれます。

他方、通常の事業者間取引や、消費者を含めた多数の者に対して行う取引であったとしても、その相手方を一意に特定したうえで契約を行い、その契約に係る取引の内容に応じて個々に課税資産の譲渡等を行うようなもの(電気・ガス・水道水の供給、電話料金など)は、一般的には、適格簡易請求書の交付ができる事業には当たりません。

ご質問のセミナーについては、その参加者が貴団体の会員に限られ、一定の対象者に対して取引を行うものではありますが、相手方を一意に特定したうえで開催されるものではなく、また、対象者も多数に上るものであることから、適格簡易請求書の交付を行う事業に該当することとなります。

これにより、領収書に「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載は不要となりますので、あらかじめ「●●会会員様」との宛名を印刷した領収書を適格簡易請求書として交付することも認められます。

また、仮に宛名として会員名を記載した場合であっても、適格簡易請求書であることには変わりはないため、消費税額等又は適用税率のいずれかの記載があれば問題ないことになります。

★リンクはこちら→ 当団体は、多数の会員を有する事業者団体です。当団体は、定期的に会員の中から広く参加者を募ってセミナーを開いており、セミナー当日に参加者からその対価を徴収しています。このセミナーについては、適格簡易請求書の交付対象になりますか。なお、参加者は毎回多数に上るため、参加費を徴収する際に「●●会会員様」という宛名を事前に印刷した領収書、あるいは宛名のない領収書を配布しています。

2024年4月8日


<多く寄せられるご質問 問⑬
当社は、ハンドメイド作家が作成した雑貨を仕入れ、小売店に販売する事業を営んでいる個人事業者です。これまで免税事業者でしたが、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者となり、令和5年分について初めて消費税の確定申告を行います。このような場合、消費税の納付税額を軽減できる2割特例や、簡易課税制度も適用できると思いますが、どのような方法により消費税の申告を行えばよいのでしょうか。

消費税の申告方法は、仕入控除税額について実額で計算する「一般課税」、業種ごとに決められたみなし仕入率を適用し仕入控除税額を計算する「簡易課税制度」、そして、適格請求書等保存方式を機に免税事業者から適格請求書発行事業者となった方を対象に、売上税額の2割を納税額として計算する「2割特例」による方法があります。

貴社の行っている事業は、「卸売業」に該当し、簡易課税制度を適用して申告する場合、90%のみなし仕入率が適用されることになりますので、2割特例を適用するよりも、消費税の納付金額が少なくなると考えられます。

2割特例については、適用を受ける旨を確定申告書に付記することで適用できますが、簡易課税制度は、原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります(その課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下である場合に限ります。)。

しかし、免税事業者が登録日から課税事業者となる経過措置の適用を受ける場合には、その登録日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した届出書をその課税期間中に提出すれば、その課税期間から、簡易課税制度の適用を受けることができることとされています。

したがって、ご質問のような前提のもと、令和5年分の申告について簡易課税制度の適用を選択する場合には、課税期間の末日(令和5年12月31日)まで(注)に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

なお、多額の設備投資などがあり、課税仕入れ等に係る消費税額が課税売上げに係る消費税額を上回る場合、一般課税であれば還付税額が生じますが、簡易課税制度や2割特例を適用している場合には、通常、還付税額が生じることはありませんので、その点も踏まえ申告方法をご検討ください。

(注)
課税期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日、土曜日又は12月29日、同月30日若しくは同月31日であったとしても、これらの日の翌日とはなりませんのでご留意ください。

(参考)
2割特例についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問114」をご参照ください。

また、免税事業者が登録日から課税事業者となる経過措置についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問7」を、簡易課税制度を選択する場合の手続等についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問9」をご参照ください。

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2024年2月21日


<多く寄せられるご質問 問⑫
当社は、取引先に書類を送付し、その控えを返信用封筒で当社に送り返してもらうこととしています。この際、封筒に同封する返信用封筒に郵便切手をあらかじめ貼付していますが、この郵便切手により返送を受けるという引換給付についても仕入税額控除を行ってよいでしょうか。

郵便切手類は、購入時においては原則として、課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時にその引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなります。

適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として適格請求書等の保存が必要となりますが、郵便切手類のみを対価とする郵便ポスト等への投函による郵便サービスは、適格請求書の交付義務が免除されており、買手においては、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができます。

この点、ご質問のように、返信用封筒に貼付された郵便切手類(自らが購入した郵便切手類)により返送を受けるのであれば、郵便切手類のみを対価とする郵便ポスト等への投函による郵便サービスを受けたものとして、帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。

(注)
この場合、当該郵便切手類の購入時に仕入税額控除を行うことも可能ですが、その後、返送を受けないことが明らかとなった際には、その明らかとなった課税期間において、仕入控除税額を調整することとして差し支えありません。

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2024年2月19日


<多く寄せられるご質問 問⑪>
当社は、事業に必要な消耗品等を従業員が自ら購入し、その際受領した適格簡易請求書と引き換えに、当該消耗品費を支払っています。この場合、当該適格簡易請求書の宛名には「従業員名」が記載されているのですが、これをそのまま保存することで、当社は仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するものとして取り扱われ、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

この社員に対する支給には、概算払いによるもののほか、実費精算されるものも含まれますので、実費精算に係るものであっても、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができます。

(注)
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる「その旅行に通常必要であると認められる部分」については、所得税基本通達9-3に基づき判定しますので、所得税が非課税となる範囲内で、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることになります。詳しくは、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問107」をご参照ください。

(参考)
実費精算が貴社により用務先へ直接対価を支払っているものと同視し得る場合には、通常必要と認められる範囲か否かにかかわらず、他の課税仕入れと同様、一定の事項を記載した帳簿及び社員の方から徴求した適格請求書等の保存により仕入税額控除を行うこととなります。

その際、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送など、一定の課税仕入れに当たるのであれば、当該帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

詳しくは、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問104」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、事業に必要な消耗品等を従業員が自ら購入し、その際受領した適格簡易請求書と引き換えに、当該消耗品費を支払っています。この場合、当該適格簡易請求書の宛名には「従業員名」が記載されているのですが、これをそのまま保存することで、当社は仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

2024年2月15日


<多く寄せられるご質問 問⑩>
当社は、事業に必要な消耗品等を従業員が自ら購入し、その際受領した適格簡易請求書と引き換えに、当該消耗品費を支払っています。この場合、当該適格簡易請求書の宛名には「従業員名」が記載されているのですが、これをそのまま保存することで、当社は仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

従業員が事業に必要なものとして購入した消耗品等の代金を貴社が負担する場合には、それは貴社が負担すべき費用を従業員から立替払いを受けたことになります。

原則として、本来宛名の記載を求められない適格簡易請求書であったとしても、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称として仕入税額控除を行う事業者以外の者の氏名又は名称が記載されている場合には、当該適格簡易請求書をそのまま受領し保存したとしても、これをもって、仕入税額控除を行うことはできません。

しかしながら、当該従業員が貴社に所属していることが明らかとなる名簿や当該名簿の記載事項に係る電磁的記録(以下「従業員名簿等」といいます。)の保存が併せて行われているのであれば、宛名に従業員名が記載された適格簡易請求書と、当該従業員名簿等の保存をもって、貴社は当該消耗品費に係る請求書等の保存要件を満たすこととして、仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。

なお、従業員名簿等がなく、立替払を行う者である従業員を特定できない場合には、宛名に従業員名が記載された適格簡易請求書と、従業員が作成した立替金精算書の交付を受け、その保存が必要となります(詳しくは、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問94」をご参照ください。)。

★リンクはこちら→ 当社は、事業に必要な消耗品等を従業員が自ら購入し、その際受領した適格簡易請求書と引き換えに、当該消耗品費を支払っています。この場合、当該適格簡易請求書の宛名には「従業員名」が記載されているのですが、これをそのまま保存することで、当社は仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

2024年2月13日


<多く寄せられるご質問 問⑨>
当社は、複数の事業所がある顧客との間では、その事業所ごとに契約を締結し、その代金を毎月まとめて顧客に請求しています。この代金請求に関しては、従来、毎月の請求額と消費税相当額の合計を記載した請求書に、その内訳として契約ごとの本体価格と消費税相当額(端数処理済)を記載したものを送付する方法で行ってきました。適格請求書等保存方式の開始により、消費税の端数処理については「一の適格請求書につき、税率ごとに1回」とされたことを踏まえ、一カ月分をまとめて請求するのではなく、個々の契約ごとに適格請求書を作成・交付する方法に変更しましたが、交付した適格請求書の写しとして保存すべき量が多量となることや顧客の利便性も勘案し、複数の契約に係る料金を1カ月分まとめて一の適格請求書で請求する方法に改めることを検討していますが、問題ないでしょうか。また、その際に気を付けるべき点としてはどういったことがあるでしょうか。

適格請求書に記載する消費税額等は、適格請求書に記載した税率ごとに合計した課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額に、一定の割合(税抜価額の場合100分の10(又は100分の8)、税込価額の場合110分の10(又は108分の8))を乗じて算出し、その算出した消費税額等に1円未満の端数が生じた場合にその端数を処理するため、適格請求書に記載する消費税額等の端数処理は一の適格請求書につき、税率ごとに1回行うこととなります。

ご質問のように、事業所ごとに締結した契約に基づき課税資産の譲渡等を行っているとしても、その課税資産の譲渡等に係る対価の額を請求書内で合計し、適格請求書の記載事項(課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額)とすることは何ら問題ありません。

また、ご質問の場合の適格請求書の記載例としては、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問66」にあるとおり、例えば、以下のように課税資産の譲渡等の税込価額を合計し、その合計金額から算出した消費税額等を記載することにより、適格請求書の記載事項である消費税額等とすることができます。

なお、契約ごとに算出した消費税額等を参考として記載することは問題ありませんが、法令で求められる適格請求書の記載事項としての消費税額等にはなりませんのでご留意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、複数の事業所がある顧客との間では、その事業所ごとに契約を締結し、その代金を毎月まとめて顧客に請求しています。この代金請求に関しては、従来、毎月の請求額と消費税相当額の合計を記載した請求書に、その内訳として契約ごとの本体価格と消費税相当額(端数処理済)を記載したものを送付する方法で行ってきました。適格請求書等保存方式の開始により、消費税の端数処理については「一の適格請求書につき、税率ごとに1回」とされたことを踏まえ、一カ月分をまとめて請求するのではなく、個々の契約ごとに適格請求書を作成・交付する方法に変更しましたが、交付した適格請求書の写しとして保存すべき量が多量となることや顧客の利便性も勘案し、複数の契約に係る料金を1カ月分まとめて一の適格請求書で請求する方法に改めることを検討していますが、問題ないでしょうか。また、その際に気を付けるべき点としてはどういったことがあるでしょうか。

2024年2月6日


<多く寄せられるご質問 問⑧>
当社は飲食料品を販売しており、取引は全て軽減税率(8%)対象となります。銀行振込みで代金請求するに当たり、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額を請求金額から差し引いて支払うこととしています(代金請求の際に既に適格請求書を交付しています)。売手である当社としては、売上げに係る対価の返還等として経理処理することとしていますが、この場合、当社は適格返還請求書を交付する必要があるのでしょうか。

売手が負担する振込手数料相当額に係る経理処理について、当該振込手数料相当額を売上げに係る対価の返還等として処理する場合、原則として、買手に対して適格返還請求書を交付する必要がありますが、一般的には、こうした振込手数料相当額は1万円未満となると考えられますので、その場合は適格返還請求書の交付義務が免除されることとなります。

そのため、取引の相手方から適格返還請求書の交付を求められたとしても、交付する義務はありません。

なお、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従うこととなります。そのため、軽減税率(8%)対象の課税資産の譲渡等を対象とした振込手数料相当額の売上値引きには、軽減税率(8%)が適用されます。

<参考>
売手が負担する振込手数料相当額の取扱いについての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問29」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は飲食料品を販売しており、取引は全て軽減税率(8%)対象となります。銀行振込みで代金請求するに当たり、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額を請求金額から差し引いて支払うこととしています(代金請求の際に既に適格請求書を交付しています)。売手である当社としては、売上げに係る対価の返還等として経理処理することとしていますが、この場合、当社は適格返還請求書を交付する必要があるのでしょうか。

2024年1月22日


<多く寄せられるご質問 問⑦>
当社は、仕入先が多数あり、登録番号の記載のない請求書の交付を受けることも多くあります。この場合、適格請求書発行事業者から交付を受けた登録番号の記載のない請求書等を含め、登録番号の記載のない請求書等については、一律に、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けてもよいでしょうか。

適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れであっても、適格請求書等保存方式開始から一定期期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

ただし、当該経過措置の適用は、取引の相手方が適格請求書発行事業者以外の者である場合に限りませんので、例えば適格請求書発行事業者から交付を受けた登録番号のない請求書等を含め、区分記載請求書等の記載事項を満たしたものの保存がある場合には、一律に、当該経過措置の適用を受けることとなります。

★リンクはこちら→ 当社は、仕入先が多数あり、登録番号の記載のない請求書の交付を受けることも多くあります。この場合、適格請求書発行事業者から交付を受けた登録番号の記載のない請求書等を含め、登録番号の記載のない請求書等については、一律に、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けてもよいでしょうか。

2024年1月19日


<多く寄せられるご質問 問⑥>
取引先から受領した適格請求書の記載事項に誤りがありました。この場合、取引先から修正した適格請求書の交付を受けなければならないと思いますが、例えば、取引先に電話等で修正事項を伝え、取引先が保存している適格請求書の写しに同様の修正を行ってもらえば、自ら修正を行った適格請求書の保存で仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

売手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書(電磁的記録により提供を行ったものも含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、買手である課税事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければならないこととされており、買手においては、追記や修正を行うことは認められていません。

ただし、買手が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者に確認を求めることも認められます。

この際、例えば、相互に関連する複数の書類により、仕入明細書等を作成することも可能であることから、受領した適格請求書と関連性を明確にした別の書類として修正した事項を明示したものを作成し、当該修正事項について売手の確認を受けたものを保存することも認められます。

したがって、ご質問のように、受領した適格請求書に買手が自ら修正を加えたものであったとしても、その修正した事項について売手に確認を受けることで、その書類は適格請求書であるのと同時に修正した事項を明示した仕入明細書等にも該当することから、当該書類を保存することで、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

なお、これらの対応を行った場合でも、売手において当初交付した適格請求書の写しを保存しなければなりません。

また、売手において、売上税額の積上げ計算を行う場合には、これらの対応により確認を行った仕入明細書等を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存する必要があります。

(参考)
仕入明細書等による適格請求書等の誤りの修正についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問32」を、修正した適格請求書の交付方法の詳細については「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問33」を、適格請求書と仕入明細書等を一の書類で交付することの詳細については、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問91」を、仕入明細書を受領した場合における売上税額の積上げ計算の詳細については「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問121」をそれぞれご参照ください。

★リンクはこちら→ 取引先から受領した適格請求書の記載事項に誤りがありました。この場合、取引先から修正した適格請求書の交付を受けなければならないと思いますが、例えば、取引先に電話等で修正事項を伝え、取引先が保存している適格請求書の写しに同様の修正を行ってもらえば、自ら修正を行った適格請求書の保存で仕入税額控除を行ってもよいでしょうか。

2024年1月17日


<多く寄せられるご質問 問⑤>
当社の取引先に適格請求書発行事業者以外の方がいるのですが、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置を受けるためには、どのような請求書や電磁的記録を保存すればよいのでしょうか。また、受け取った請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」等の記載がなかった場合、当社で追記することはできるのでしょうか。

適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れであっても、適格請求書等保存方式開始から一定期期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

ご質問のように、この経過措置の適用を受けるためには、例えば、「80%控除対象」、「免税」など、当該経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載をした帳簿及び、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等(区分記載請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)の保存が必要となります。

この請求書等の記載事項について、具体的には次の事項となります。

書類の作成者の氏名又は名称
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

ご質問の③かっこ書きの「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び④の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」については、受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められます。

なお、提供された請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面に追記して保存している場合も同様に認められます。

★リンクはこちら→ 当社の取引先に適格請求書発行事業者以外の方がいるのですが、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置を受けるためには、どのような請求書や電磁的記録を保存すればよいのでしょうか。また、受け取った請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」等の記載がなかった場合、当社で追記することはできるのでしょうか。

2024年1月15日


<多く寄せられるご質問 問④>
私は、免税事業者である個人事業者です。適格請求書等保存方式においては適格請求書発行事業者しか適格請求書を交付できないとのことですが、免税事業者はこれまで出していたような請求書や領収書等を交付することはできないのでしょうか。

適格請求書等保存方式において、適格請求書を交付することができるのは適格請求書発行事業者に限られます。

他方、適格請求書発行事業者以外の者であっても、適格請求書に該当しない(適格請求書の記載事項を満たさない)請求書や領収書等の交付や、それらに記載すべき事項に係る電磁的記録の提供を行うことは、これまでと同様に可能です(注1)

ただし、適格請求書発行事業者以外の者が、適格請求書発行事業者が作成した適格請求書又は適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類(注2)を交付することや、当該書類の記載事項に係る電磁的記録を提供することは禁止されており、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の適用対象となります。

なお、免税事業者が請求書等に消費税相当額を記載したとしても、それが適格請求書等と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の適用対象となるものではありません。

また、免税事業者であっても、仕入れの際に負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは適正な転嫁として、何ら問題はありません。

(注1)
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、仕入税額相当額の一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられていますが、当該経過措置の適用を受けるためには、区分記載請求書の記載事項を満たした書類等の保存が求められていますので、取引の相手方からそうした書類等の作成・交付を求められることも考えられます。

なお、保存されている書類が消費税法上の適格請求書か区分記載請求書であるかは、所得税・法人税の必要経費性・損金性に影響を与えるものではありません。

(注2)
適格請求書又は適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類とは、例えば、登録番号(T+13桁の数字)と類似した英数字や、自身のものではない登録番号を、自らの「登録番号」として記載した書類などをいいます。

(参考)
免税事業者等からの仕入れに係る経過措置についての詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問113」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 私は、免税事業者である個人事業者です。適格請求書等保存方式においては適格請求書発行事業者しか適格請求書を交付できないとのことですが、免税事業者はこれまで出していたような請求書や領収書等を交付することはできないのでしょうか。

2024年1月12日


<多く寄せられるご質問 問③>
当社は旅館を経営しており、企業に懇親会でご利用いただくこともあります。領収書の発行を求められたときには手書きで領収書を作成し、交付してきました。これを適格請求書等とするためには、宛名や税率ごとの対象金額・消費税額を明記して交付しなければならないのでしょうか。また、温泉に入浴した顧客から受け取る対価には入湯税など課税対象外のものも含まれていますが、どのように記載したらよいでしょうか。

適格請求書等保存方式においては、適格請求書発行事業者が、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業を行う場合には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することが可能です。

適格簡易請求書の具体的な記載事項は以下のとおりとされており、下記記載例のとおり、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要であり、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りることとなります。

また、適格請求書や適格簡易請求書のいずれについても、手書きの領収書等により交付することが可能であり、課税資産の譲渡等に係る「税込価額」が記載されていれば、「税抜価額」を記載する必要はありません。

【適格簡易請求書の記載事項】
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率

(参考)
適格簡易請求書の詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問 58」を、手書きの領収書の詳細は、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問 26」ご参照ください。

また、課税対象外の取引について適格請求書等の交付義務はありませんが、適格請求書等に併せて記載することも可能です。

その場合には、受け取った対価のうち課税対象外のものを除いた税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額を内訳欄に記載してください。

例えば、旅館に宿泊した顧客から宿泊料 16,500 円の他 150 円を入湯税として受け取った場合には、領収金額は実際に受け取った 16,650 円を記載しつつ、但書きに「入湯税」を追加するとともに、左下の金額(税抜・税込)欄に課税資産の譲渡等(宿泊費)に係る税込価額 16,500 円を記載してください。

★リンクはこちら→ 当社は旅館を経営しており、企業に懇親会でご利用いただくこともあります。領収書の発行を求められたときには手書きで領収書を作成し、交付してきました。これを適格請求書等とするためには、宛名や税率ごとの対象金額・消費税額を明記して交付しなければならないのでしょうか。また、温泉に入浴した顧客から受け取る対価には入湯税など課税対象外のものも含まれていますが、どのように記載したらよいでしょうか。

2024年1月10日


<多く寄せられるご質問 問②>
屋号が記載されたレシート(適格簡易請求書)の交付を受けました。当該レシートに記載された登録番号に基づき、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」にて検索した結果、事業者の氏名又は名称のみが表示され、屋号は表示されませんでした。このような場合、当社は仕入税額控除の適用を受けてよいのでしょうか。

【答】
適格請求書等に記載する氏名・名称については、電話番号等により適格請求書を交付する事業者を特定することができれば、屋号や省略した名称などの記載で差し支えないこととされています(詳細は「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの問 55」をご参照ください。)。
したがって、その氏名・名称の代わりに屋号が記載された適格請求書等を受領した事業者においては、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で当該適格請求書等に記載された登録番号を基にして検索したとしても、その結果として表示された事業者が当該適格請求書等に記載された屋号の事業者と同一であるか明らかとならないことも考えられます。
この点、本サイトは、取引先から受領した請求書等に記載されている登録番号が取引時点において有効なものかを確認するために利用されるものであるため、その登録番号の有効性が確認できれば、一義的には有効な適格請求書等として取り扱うこととして差し支えありません(注)。
(注) 売手が適格請求書発行事業者以外の者であるにもかかわらず、自らの登録番号と誤認されるような英数字が記載されているような場合には、当該請求書等は適格請求書等に該当しないこととなりますが、適格請求書発行事業者以外の者がそうした適格請求書又は適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類を交付することや、適格請求書発行事業者が偽りの記載をした適格請求書又は適格簡易請求書を交付すること、それらの書類の記載事項に係る電磁的記録を提供することは禁止されており、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の適用対象となります。
また、そうした書類や電磁的記録を受領した事業者において、災害その他やむを得ない事情により、請求書等の保存をすることができなかったことを証明した場合には、帳簿や請求書等の保存がなくとも仕入税額控除の適用を受けることが可能です。

(参考)適格請求書を発行する事業者における対応例
国税庁適格請求書発行事業者公表サイトの検索結果として表示される事業者名とレシートに表記した屋号等が異なる場合、売手である適格請求書発行事業者において、顧客から問合せを受けることも考えられます。

こうした問合せに対する対応としては、例えば、個人事業者については、申出により「主たる屋号」を公表することが考えられます。

また、法人については「主たる屋号」の公表ができる仕組みとはなっていませんが、例えば、レシートに、屋号に加えて「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」に掲載されている運営会社等の名称を併記することや、店頭に「公表サイトには運営会社等の名称(○○(株))が表示される」旨を掲示する等の方法によることもご検討ください。

【適格簡易請求書に運営会社名を表示した場合の例】

★リンクはこちら→ 屋号が記載されたレシート(適格簡易請求書)の交付を受けました。当該レシートに記載された登録番号に基づき、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」にて検索した結果、事業者の氏名又は名称のみが表示され、屋号は表示されませんでした。このような場合、当社は仕入税額控除の適用を受けてよいのでしょうか。

2024年1月9日


<多く寄せられるご質問 問①>
私は先日、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しましたが、まだ登録通知を受けていません。登録申請の処理状況を確認したい場合は、どうしたらよいでしょうか。また、自分の登録番号が記載されている通知書を紛失してしまった場合、どうすればよいでしょうか。

【答】
1.登録申請の処理状況の確認方法
登録申請書については、一時期に大量の登録申請書が提出された場合や、登録申請書に記載誤り等がある場合、内容の確認が必要になるなど、インボイス登録センターでの処理に一定の期間を要することとなります。

現時点における登録申請書を提出してから登録通知までに要する期間は、「インボイス制度特設サイト」の「適格請求書発行事業者の登録件数及び登録通知時期の目安について」に掲載しています。

まずはこの登録通知時期の目安をご確認いただき、当該目安を超えていた場合は、各国税局(所)インボイス登録センターへお問合せください。

2.ご自身の登録番号がわからなくなった場合の確認方法
既に登録を受けている事業者の方が自身の登録番号を確認したい場合には、各国税局(所)インボイス登録センターの案内ページに記載の問合せ先にお問合せください。

(注)
1.法人番号を有する法人の登録番号は「T+13 桁の法人番号」となります。
法人番号については、「国税庁法人番号公表サイト」で検索できます。

2.登録通知を e-Tax(電子データ)で受領することを希望された場合、e-Tax(電子データ)で確認ができます。
具体的な確認手順は、「インボイス制度特設サイト」の「申請手続」にある「登録通知データ確認マニュアル」をご参照ください。

★リンクはこちら→ 私は先日、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しましたが、まだ登録通知を受けていません。登録申請の処理状況を確認したい場合は、どうしたらよいでしょうか。また、自分の登録番号が記載されている通知書を紛失してしまった場合、どうすればよいでしょうか。

2024年1月5日


<インボイス制度に関するQ&A 問130
適格請求書等保存方式開始後6年間は、免税事業者等からの課税仕入れについても一定割合の仕入税額控除の適用を受けられるとのことですが、その場合の仕入税額控除の具体的な計算方法を教えてください。【令和4年4月追加】【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式の下では、原則、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、仕入税額控除を行うことはできませんが、制度開始後6年間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

本経過措置の適用を受けるために必要な要件については、問 113《免税事業者等からの仕入れに係る経過措置》をご参照ください。

本経過措置を適用する場合に仕入税額とみなす金額の具体的な計算方法は、次のとおりとなります。
1.仕入税額について「積上げ計算」を適用している場合
本経過措置の適用を受ける場合においても「積上げ計算」により計算する必要があります。

本経過措置の適用を受ける課税仕入れの都度、その課税仕入れに係る支払対価の額に 110分の7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の6.24)を乗じて算出した金額に100分の80(注)を乗じて算出します(その金額に1円未満の端数が生じたときは、その端数を切捨て又は四捨五入します。)(改正令附則 22①一、23①一)。

なお、本経過措置の適用を受ける課税仕入れを区分して管理し、課税期間の中途や期末において、当該区分した課税仕入れごとに上記の計算を行うこととしても差し支えありません。

また、税抜経理を採用している場合、課税仕入れの都度、経過措置対象分(消費税額等相当額の100分の80(注))の仮払消費税額等を算出し端数処理(その金額に1円未満の端数が生じたときは、その端数を切捨て又は四捨五入します。)を行っていれば、その金額の合計額に100分の78を乗じて算出した金額(切捨て)を本経過措置の適用を受けた課税仕入れに係る消費税額としても差し支えありません


税抜経理を採用し、積上げ計算を行っている場合における適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る経過措置を適用する場合の税額計算(標準税率適用時の場合)

2.仕入税額について「割戻し計算」を適用している場合
本経過措置の適用を受ける場合においても「割戻し計算」により計算する必要があります。

課税期間中に行った本経過措置の適用を受ける課税仕入れに係る支払対価の額の合計金額に 110 分の 7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の 6.24)を乗じて算出した金額に100分の80(注)を乗じて算出します(改正令附則22①二、23①二)。

(注)
経過措置を適用できる期間に応じた割合は、以下のとおりとなります。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式開始後6年間は、免税事業者等からの課税仕入れについても一定割合の仕入税額控除の適用を受けられるとのことですが、その場合の仕入税額控除の具体的な計算方法を教えてください。【令和4年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問129
当社は、3月決算の法人です。取引先から、3月21日から4月20日までの期間をまとめた消費税額が記載されている適格請求書の交付を受けたのですが、これを基に仕入税額について積上げ計算することができますか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

仕入税額の積上げ計算については、交付された適格請求書などの請求書等に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて算出します(請求書等積上げ計算)(消法30①、消令46①)。

ご質問のような適格請求書の交付を受けた場合、当課税期間(3月21日から3月31日まで)の消費税額等と翌課税期間(4月1日から4月20日まで)の消費税額等が合計して記載されていることになるため、これを基に仕入税額の請求書等積上げ計算をする場合は、当課税期間に係る消費税額と翌課税期間に係る消費税額について、それぞれの期間の取引に係る消費税額を算出し、それぞれの期間が含まれる課税期間においてそれぞれ積上げ計算をする必要があります。

また、仕入税額の積上げ計算は、課税仕入れの都度、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出した金額(1円未満の端数が生じたときは、端数を切捨て又は四捨五入します。)を仮払消費税額等などとし、帳簿に記載(計上)している場合は、その金額の合計額に100分の78を掛けて算出する方法も認められます(帳簿積上げ計算)(消令46②)。

このため、ご質問の適格請求書について、当課税期間に行った課税仕入れにつき、帳簿積上げ計算することもできます。

(参考)
仕入税額の計算に当たり、請求書等積上げ計算と帳簿積上げ計算を併用することも認められますが、これらの方法と割戻し計算を併用することは認められません(基通11-1-9)。

(注)
法人税基本通達2-6-1により決算締切日を継続して3月20日としているような場合、消費税の課税仕入れの時期についても、同様とすることが認められています(基通11-3-1)。

このように決算締切日により、法人税及び消費税の申告をしている場合には、仕入税額の積上げ計算のための課税期間ごとの区分の対応は不要です。

【参考】
○法人税基本通達2-6-1(決算締切日)
法人が、商慣習その他相当の理由により、各事業年度に係る収入及び支出の計算の基礎となる決算締切日を継続してその事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合には、これを認める。
(注) (省略)

★リンクはこちら→ 仕入税額の計算について、適格請求書に記載のある消費税額等に基づいて積上げ計算する場合、消費税額等の記載がない適格簡易請求書の交付を受けたときは、どのように計算すればよいですか。【令和5年10月改訂】

2023年11月24日


<インボイス制度に関するQ&A 問128
仕入税額の計算について、適格請求書に記載のある消費税額等に基づいて積上げ計算する場合、消費税額等の記載がない適格簡易請求書の交付を受けたときは、どのように計算すればよいですか。【令和5年10月改訂】

適格請求書又は適格簡易請求書に記載された消費税額等を基礎として、仕入税額を積み上げて計算する場合には、次の区分に応じた金額を基として仕入税額を計算することとなります(消令46①)。

交付を受けた適格請求書(電磁的記録により提供されたものも含みます。)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額
交付を受けた適格簡易請求書(電磁的記録により提供されたものも含みます。)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額
(適格簡易請求書に適用税率のみの記載があり、消費税額等が記載されていない場合は、適格請求書に消費税額等を記載する際の計算方法と同様の方法により計算した金額のうち課税仕入れに係る部分の金額)
作成した仕入明細書(電磁的記録により作成したものも含みます。)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額
卸売市場において、委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の譲渡及び農業協同組合等が委託を受けて行う農林水産物の譲渡について、受託者から交付を受けた書類(電磁的記録により提供されたものも含みます。)に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額
公共交通機関特例など、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるものについては、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を掛けて算出した金額(1円未満の端数が生じたときは、端数を切捨て又は四捨五入します。)

したがって、ご質問の場合は、上記②の場合ですので、適格簡易請求書に記載された対価の額が、税込金額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を掛けて消費税額等を算出し、その金額を基礎として、仕入税額の積上げ計算を行います。

(注)
一定規模以下の事業者の事務負担の軽減措置(少額特例)により、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができる課税仕入れについては、⑤の場合と同様の計算となります(改正令附則24の2②)。

少額特例については、問 111《一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 仕入税額の計算について、適格請求書に記載のある消費税額等に基づいて積上げ計算する場合、消費税額等の記載がない適格簡易請求書の交付を受けたときは、どのように計算すればよいですか。【令和5年10月改訂】

2023年11月22日


<インボイス制度に関するQ&A 問127
当社は、一部の取引について米ドル建てにより仕入れを行っており、当該取引に係る法人税の処理については、取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っており、消費税の処理についても同様としております。このような場合に、適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、どのようになりますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

外貨建取引の場合における仕入税額の計算方法の留意点は以下のとおりです。

なお、適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、問126≪仕入税額の計算方法≫をご参照ください。
1 積上げ計算
(1)請求書等積上げ計算の場合(消法30①、消令46①)
取引先から交付を受けた適格請求書などの請求書等を基礎として計算することとなりますので、外貨建取引に係る適格請求書等を取引先から交付を受けた場合、当該適格請求書等に記載された「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を基礎として計算することとなります。

外貨建取引に係る適格請求書の記載事項については、問68≪外貨建取引における適格請求書の記載事項≫をご参照ください。

この場合において、当該適格請求書等に記載された消費税額等が貴社の円換算の方法と異なるところにより算出されていたものであったとしても、問題ありません(当該適格請求書等に記載された「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を基礎として計算することとなります。)。

(2)帳簿積上げ計算の場合(消令46②)
課税仕入れに係る支払対価の額から帳簿に記載(計上)する仮払消費税額等を算出することとなるため、外貨建取引の場合、以下のいずれかの計算方法により、仮払消費税額等を算出することとなります。

なお、税抜経理により記帳している事業者については、現在行っている外貨建取引に係る記帳方法と異なるものではありませんが、仮払消費税額等を算出する際の端数処理は、切捨て又は四捨五入となりますのでご留意ください。
①課税仕入れに係る支払対価の額(外貨税込)を円換算後、仮払消費税額等を算出する方法

②課税仕入れに係る支払対価の額(外貨税込)から計算過程の仮払消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法

2 割戻し計算(消法30①、消令46③)
割戻し計算により行う場合、課税期間中の課税仕入れに係る支払対価の額を税率ごとに合計した金額を基礎として仕入税額を算出することから、外貨建取引の場合、帳簿に記載された円換算後の課税仕入れに係る支払対価の額を基礎として行うこととなります。

なお、仕入税額を割戻し計算することができるのは、売上税額を割戻し計算する場合に限ります。

★リンクはこちら→ 当社は、一部の取引について米ドル建てにより仕入れを行っており、当該取引に係る法人税の処理については、取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っており、消費税の処理についても同様としております。このような場合に、適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、どのようになりますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問126
適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、次のとおりです。

1.積上げ計算
原則として、交付された適格請求書などの請求書等に記載された消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて算出します(請求書等積上げ計算)(消法30①、消令46①)。

また、これ以外の方法として、課税仕入れの都度(注1)、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出した金額(1円未満の端数が生じたときは、端数を切捨て又は四捨五入します。)を仮払消費税額等(注2)などとし、帳簿に記載(計上)している場合は、その金額の合計額に100分の78を掛けて算出する方法も認められます(帳簿積上げ計算)(消令46②)。

なお、仕入税額の計算に当たり、請求書等積上げ計算と帳簿積上げ計算を併用することも認められますが、これらの方法と割戻し計算(下記「2」参照)を併用することは認められません(基通11-1-9)。

(注)1
例えば、課税仕入れに係る適格請求書の交付を受けた際に、当該適格請求書を単位として帳簿に仮払消費税額等として計上している場合のほか、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて交付を受けた適格請求書を単位として帳簿に仮払消費税額等として計上している場合が含まれます(基通11-1-10)。

なお、帳簿積上げ計算において計上する仮払消費税額等については、受領した適格請求書ではない納品書又は請求書を単位として計上することや継続的に買手の支払基準といった合理的な基準による単位により計上することでも差し支えありません。

(注)2
課税仕入れに係る支払対価の額には消費税額等を含みますので、帳簿に記載する仮払消費税額等は、一般的に、適格請求書等の請求書等に記載された課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となる場合は108分の8)を乗じて算出するものと考えられますが、例えば、課税仕入れに係る税抜対価の額が記載された納品書を基礎として帳簿に仮払消費税額等を記載する場合において、当該税抜対価の額に100分の10(軽減税率の対象となる場合は100分の8)を乗じて算出する方法も認められます。

2.割戻し計算
課税期間中の課税仕入れに係る支払対価の額を税率ごとに合計した金額に110分の7.8(軽減税率の対象となる部分については108分の6.24)を掛けて算出することができます(消法30①、消令46③)。

ただし、仕入税額を割戻し計算することができるのは、売上税額を割戻し計算する場合に限ります。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年11月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問125
当社は、3月決算の法人で、売上げの請求書については、毎月20日締めとしています。3月21日から4月20日までの期間に係る適格請求書には、同期間に係る消費税額を記載しているのですが、これを基に売上税額について、積上げ計算することができますか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

売上税額の計算については、交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写し(電磁的記録により提供したものを含みます。)を保存している場合に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を乗じて計算した金額とすることができます(積上げ計算)(消法45⑤、消令62)。

ご質問のような適格請求書を交付した場合、翌課税期間(4月1日から4月20日まで)の消費税額も合計して記載されていることになるため、これを基に売上税額の積上げ計算をすることはできません。

なお、売上税額の計算は、割戻し計算と積上げ計算を併用することが認められています。

したがって、ご質問のような期間(3月21日から3月31日まで(期末を含む請求書の期間)及び4月1日から4月20日まで(期首を含む請求書の期間))の取引については割戻し計算とし、それ以外の期間(4月21日から翌年3月20日)の取引については積上げ計算とすることも可能です。

また、課税期間をまたぐ期間(3月21日から3月31日及び4月1日から4月20日)に係る取引をまとめて一の適格請求書とする場合、当該適格請求書において、課税期間の範囲に応じて適格請求書の記載事項をそれぞれ区分して記載していれば、その課税期間で区分した税率ごとに合計した課税資産の譲渡等に係る税込対価(税抜対価)の額から算出した消費税額等を当該適格請求書に係る消費税額等としても差し支えありません。

一方で、課税期間をまたがない期間について一の適格請求書を交付する場合においては、その期間内で任意に区分した期間に応じた税率ごとに合計した課税資産の譲渡等に係る税込対価(税抜対価)の額から算出した消費税額等を記載したとしても、当該消費税額等は、適格請求書の記載事項としての消費税額等とはなりません。

(注)
法人税基本通達2-6-1により決算締切日を継続して3月20日としているような場合、消費税の資産の譲渡等の時期についても、同様とすることが認められています(基通9-6-2)。

このように決算締切日により、法人税及び消費税の申告をしている場合には、売上税額の積上げ計算のための課税期間ごとの区分の対応は不要です。

★リンクはこちら→ 当社は、3月決算の法人で、売上げの請求書については、毎月20日締めとしています。3月21日から4月20日までの期間に係る適格請求書には、同期間に係る消費税額を記載しているのですが、これを基に売上税額について、積上げ計算することができますか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問124
当社は、委託販売等に係る資産の譲渡等について受託し、その手数料を受け取っており、売上税額の計算について、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額としていますが、適格請求書等保存方式の下での取扱いについて教えてください。なお、当社が委託された商品の販売は軽減税率の適用対象ではありません。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

委託販売等について、委託販売等に係る受託者においては、委託者から受ける委託販売手数料が役務の提供の対価となりますが、委託者から軽減税率の適用対象とならない課税資産の譲渡等のみを行うことを委託されている場合、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額とすることも認められています(基通10-1-12(2))。

適格請求書保存方式においても、委託された商品の販売が軽減税率の適用対象でない場合には、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額とすることができます。

この場合、委託者に支払う金額に係る課税仕入れに関し、適格請求書等の保存は不要です。

★リンクはこちら→ 当社は、委託販売等に係る資産の譲渡等について受託し、その手数料を受け取っており、売上税額の計算について、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額としていますが、適格請求書等保存方式の下での取扱いについて教えてください。なお、当社が委託された商品の販売は軽減税率の適用対象ではありません。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月16日


<インボイス制度に関するQ&A 問123
当社は、委託販売等に係る資産の譲渡等を行った場合の売上税額の計算について、資産の譲渡等の金額から、受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額としていますが、適格請求書等保存方式の下での取扱いについて教えてください。なお、当社が行う委託販売等は軽減税率の適用対象ではありません。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

委託販売等について、委託販売等に係る委託者においては、受託者が委託商品の譲渡等をしたことに伴い収受した又は収受すべき金額が委託者における資産の譲渡等の金額となりますが、軽減税率の適用対象とならない課税資産の譲渡等のみを行うことを委託している場合、その課税期間中に行った委託販売等の全てについて、その資産の譲渡等の金額から受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額とすることも認められています(基通10-1-12(1))。

適格請求書等保存方式においては、行った課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、受託者から交付を受けた適格請求書等の保存が必要となります。

したがって、その資産の譲渡等の金額から受託者に支払う委託販売手数料(課税仕入れ)を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額とするためには、当該委託販売手数料に係る適格請求書等の保存が必要となります。

★リンクはこちら→ 当社は、委託先に商品の販売を委託しており、毎月、販売に係る精算書を受領しています。その精算書には、適格請求書の記載事項が全て記載されているのですが、これを基に売上税額の積上げ計算をしてもいいのですか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問122
当社は、委託先に商品の販売を委託しており、毎月、販売に係る精算書を受領しています。その精算書には、適格請求書の記載事項が全て記載されているのですが、これを基に売上税額の積上げ計算をしてもいいのですか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

売上税額の計算は、交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写し(電磁的記録により提供したものも含みます。)を保存している場合に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を乗じて計算した金額とすることができます(積上げ計算)(消法45⑤、消令62)。

また、委託販売における受託者が媒介者交付特例を適用して適格請求書を交付する場合においては、

買手に交付した適格請求書の写し又は提供した電磁的記録を保存する
買手に交付した適格請求書の写し又は提供した電磁的記録を速やかに委託者に交付又は提供する

こととされており、②について、例えば、複数の委託者の商品を販売した場合や、多数の購入者に対して日々適格請求書を交付する場合などで、コピーが大量になるなど、適格請求書の写しそのものを交付することが困難な場合には、適格請求書の写しと相互の関連が明確な、精算書等の書類等を交付することで差し支えないものとされています(基通1-8-11)。

したがって、ご質問のように、委託先から適格請求書の記載事項が全て記載されている精算書の交付を受けている場合は、その精算書を基に売上税額の積上げ計算をして差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、委託先に商品の販売を委託しており、毎月、販売に係る精算書を受領しています。その精算書には、適格請求書の記載事項が全て記載されているのですが、これを基に売上税額の積上げ計算をしてもいいのですか。【令和3年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問121
当社は売上税額の積上げ計算を行うため、適格請求書を交付して、その写しを保存することとしています。しかし、取引先の中には、仕入明細書により支払が行われ、当社が作成した適格請求書を受けとってもらえない取引先もあります。そういった取引先に対する売上げについては、売上税額の積上げ計算を行うために必要な「交付した適格請求書の写し」の保存を行うことができません。このような場合、当該取引先に対する売上げに係る売上税額の積上げ計算を行うことはできないのでしょうか。なお、確認をするために取引先から受領した仕入明細書については、当社でも保存しています。【令和4年4月追加】【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法については、割戻し計算のほか、相手方に「交付」した適格請求書等の写しを保存している場合(適格請求書等に係る電磁的記録を保存している場合を含みます。)に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とする積上げ計算も認められています(消法45⑤、消令62)。

また、買手である取引先が、仕入明細書を仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等とするには、当該仕入明細書に記載されている事項について売手である貴社の確認を受けることが必要です。

この確認の結果、貴社と相手方との間で仕入明細書に記載された消費税額等について共有されることになりますので、ご質問のように、取引当事者間での取決め等により、仕入明細書により代金の支払が行われ、売手が適格請求書を交付することができない場合であっても、仕入明細書に記載されている事項の確認に当たって仕入明細書を受領しており、かつ、当該受領した仕入明細書を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存している場合には、「交付した適格請求書等の写しの保存」があるものとして、売上税額の積上げ計算を行って差し支えありません。

※適格請求書の写しの保存期間や方法については、問79《適格請求書の写しの保存期間等》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は売上税額の積上げ計算を行うため、適格請求書を交付して、その写しを保存することとしています。しかし、取引先の中には、仕入明細書により支払が行われ、当社が作成した適格請求書を受けとってもらえない取引先もあります。そういった取引先に対する売上げについては、売上税額の積上げ計算を行うために必要な「交付した適格請求書の写し」の保存を行うことができません。このような場合、当該取引先に対する売上げに係る売上税額の積上げ計算を行うことはできないのでしょうか。なお、確認をするために取引先から受領した仕入明細書については、当社でも保存しています。【令和4年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問120
当社はスーパマーケットを経営しています。交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写しを保存している場合には、売上税額の積上げ計算をすることができるとのことですが、例えば、商品販売時に顧客に対して適格簡易請求書であるレシートを交付しようとしたところ、顧客がこれを受け取らなかった場合などは、交付がないとして売上税額の積上げ計算はできないのですか。【令和元年7月追加】【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法については、原則の割戻し計算のほか、相手方に「交付」した適格請求書等の写しを保存している場合(適格請求書等に係る電磁的記録を保存している場合を含みます。)に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とする積上げ計算も認められています(消法45⑤、消令62)。

この点、ご質問のように、適格請求書等を交付しようとしたものの顧客が受け取らなかったため、物理的な「交付」ができなかったような場合や交付を求められたとき以外レシートを出力していない場合であっても、適格請求書発行事業者においては、当該適格請求書等の写しを保存しておけば、「交付した適格請求書等の写しの保存」があるものとして、売上税額の積上げ計算を行って差し支えありません。

※適格請求書等の写しの範囲については、問78《適格請求書等の写しの範囲》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社はスーパマーケットを経営しています。交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写しを保存している場合には、売上税額の積上げ計算をすることができるとのことですが、例えば、商品販売時に顧客に対して適格簡易請求書であるレシートを交付しようとしたところ、顧客がこれを受け取らなかった場合などは、交付がないとして売上税額の積上げ計算はできないのですか。【令和元年7月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問119
適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式における売上税額については、原則として、課税期間中の課税資産の譲渡等の税込金額の合計額に110分の100(軽減税率の対象となる場合は108分の100)を掛けて計算した課税標準額に7.8%(軽減税率の対象となる場合は6.24%)を掛けて算出します(割戻し計算)。

また、これ以外の方法として、交付した適格請求書及び適格簡易請求書の写し(電磁的記録により提供したものも含みます。)を保存している場合に、そこに記載された税率ごとの消費税額等の合計額に100分の78を乗じて計算した金額とすることもできます(積上げ計算)(消法45⑤、消令62)。

ただし、適格簡易請求書の記載事項は、「適用税率又は税率ごとに区分した消費税額等」であるため、「適用税率」のみを記載して交付する場合、税率ごとの消費税額等の記載がないため、積上げ計算を行うことはできません。

なお、売上税額の計算は、取引先ごとに割戻し計算と積上げ計算を分けて適用するなど、併用することも認められますが、併用した場合であっても売上税額の計算につき積上げ計算を適用した場合に当たるため、仕入税額の計算方法に割戻し計算を適用することはできません(基通15-2-1の2)。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式における売上税額の計算方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年11月9日


<インボイス制度に関するQ&A 問118
適格請求書等保存方式における税額計算の方法について教えてください。【令和5年10月改訂】

軽減税率制度の実施後は、消費税率が軽減税率と標準税率の複数となることから、売上げと仕入れを税率ごとに区分して税額計算を行う必要がありますが、売上税額から仕入税額を控除するといった消費税額の計算方法は、適格請求書等保存方式においてもこれまでと変わりません。

具体的な売上税額と仕入税額の計算方法は、次のとおりとなります。
1.売上税額(詳細については、問119《売上税額の計算方法》をご参照ください。)
(1)原則(割戻し計算)
税率ごとに区分した課税期間中の課税資産の譲渡等の税込価額の合計額に、108分の100又は110分の100を掛けて税率ごとの課税標準額を算出し、それぞれの税率(6.24%又は7.8%)を掛けて売上税額を算出します(消法45)。

(2)特例(積上げ計算)
相手方に交付した適格請求書又は適格簡易請求書(以下これらを併せて「適格請求書等」といいます。)の写しを保存している場合(適格請求書等に係る電磁的記録を保存している場合を含みます。)には、これらの書類に記載した消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とすることができます(消法45⑤、消令62①)。
なお、売上税額を積上げ計算した場合、仕入税額も積上げ計算しなければなりません。

2.仕入税額(詳細については、問 126 及び問 128 をご参照ください。)
(1)原則(積上げ計算)
相手方から交付を受けた適格請求書などの請求書等(提供を受けた電磁的記録を含みます。)に記載されている消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額の合計額に100分の78を掛けて仕入税額を算出します(消法30①、消令46①②)。

(2)特例(割戻し計算)
税率ごとに区分した課税期間中の課税仕入れに係る支払対価の額の合計額に、108分の6.24又は110分の7.8を掛けて算出した金額を仕入税額とすることができます(消令46③)。
なお、割戻し計算により仕入税額を計算できるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます。

★リンクはこちら→ 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けていましたが、翌課税期間から2割特例が適用できなくなるため、簡易課税制度の適用を受けたいのですが、いつまでに消費税簡易課税制度選択届出書を提出すればよいですか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月8日


<インボイス制度に関するQ&A 問117
小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けていましたが、翌課税期間から2割特例が適用できなくなるため、簡易課税制度の適用を受けたいのですが、いつまでに消費税簡易課税制度選択届出書を提出すればよいですか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

簡易課税制度を適用して申告する場合には、原則として、その適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

この点、2割特例の適用を受けた事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間中に納税地を所轄する税務署長にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、その課税期間の初日の前日に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出したものとみなされます(28年改正法附則51の2⑥)。

したがって、例えば、令和8年分まで2割特例により申告を行った個人事業者が翌年分から簡易課税制度の適用を受けようとする場合には、令和9年中に「消費税簡易課税制度選択届出書(令和9年分から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載したもの)」を提出すれば、令和9年分から、簡易課税制度の適用を受けることができます。

(注)簡易課税制度を適用して申告する場合には、2割特例と異なり、申告時の選択ではないため、事前の届出が必要となりますので、ご留意ください。

★リンクはこちら→ 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けていましたが、翌課税期間から2割特例が適用できなくなるため、簡易課税制度の適用を受けたいのですが、いつまでに消費税簡易課税制度選択届出書を提出すればよいですか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月7日


<インボイス制度に関するQ&A 問116
課税選択届出書の提出により納税義務の免除が制限されている場合であっても小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けられない場合があるとのことですが教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2割特例は、適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者(「課税選択届出書」の提出により課税事業者となった免税事業者を含みます。)が適格請求書発行事業者となる場合に適用することができます(28年改正法附則51の2①)。

一方で、令和5年10月1日より前から「課税選択届出書」の提出により引き続き課税事業者となる同日を含む課税期間、つまり、適格請求書等保存方式の開始前である令和5年9月30日以前の期間を含む課税期間の申告については、2割特例の適用を受けることはできません(28年改正法附則51の2①一)。

適格請求書発行事業者の登録申請書を提出した事業者であって、「課税選択届出書」の提出により令和5年10月1日を含む課税期間の初日から課税事業者となる事業者(注)については、当該課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することにより、「課税選択届出書」を失効させることができます(28年改正法附則51の2⑤)。

この場合、当該登録申請書の提出により、適格請求書発行事業者となった場合においては、登録日から課税事業者となり、当該課税事業者となった課税期間から2割特例を適用できることとなります。

なお、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない場合であっても、令和5年10月1日を含む課税期間の翌課税期間以後については、基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合には、問115≪2割特例の適用ができない課税期間①≫の課税期間に該当しない限り、2割特例を適用することができます。

(注)上記の「「課税選択届出書」の提出により令和5年10月1日を含む課税期間の初日から課税事業者となる事業者」とは、当該課税期間から初めて課税事業者となる事業者をいうのであり、「課税選択届出書」の提出により令和5年10月1日を含む課税期間より前の課税期間から課税事業者となっていた事業者は、該当しません。

そのため、対象外となる事業者においては、令和5年10月1日を含む課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出したとしても、当該課税期間につき「消費税課税事業者選択届出書」を失効させることはできません。また、結果として当該課税期間においては2割特例を適用できないこととなります。

《消費税課税事業者選択不適用届出書の提出に係る特例》
(例)令和5年10月1日を含む課税期間を対象として課税選択届出書を提出した個人事業者が当該届出書を失効させる場合

★リンクはこちら→ 課税選択届出書の提出により納税義務の免除が制限されている場合であっても小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)の適用を受けられない場合があるとのことですが教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問115
小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)は、基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間などについては適用できないとのことですが、具体的に教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2割特例は、適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者(「課税選択届出書」の提出により課税事業者となった免税事業者を含みます。)が適格請求書発行事業者となる場合に適用することができます(28年改正法附則51の2①)。

ただし、以下の課税期間については、2割特例の適用を受けることはできません。

適格請求書等保存方式の開始前である令和5年9月30日以前の期間を含む申告については、2割特例の適用はありません。詳しくは、問116《2割特例の適用ができない課税期間②》をご参照ください。

【過去の売上が一定金額以上ある場合】
① 基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間(消法9①)

② 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法9の2①)

③ 相続(注1)・合併・分割があった場合の納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法10、11、12)

(注1)相続のあった課税期間について、当該相続により事業者免税点制度の適用が制限される場合であっても、適格請求書発行事業者の登録が相続日以前であり、他の2割特例の適用が制限される課税期間でなければ、2割特例の適用を受けることができます(28年改正法附則51の2①三)。

【新たに設立された法人が一定規模以上の法人である場合】
④ 新設法人・特定新規設立法人の納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法12の2①、12の3①)

【高額な資産を仕入れた場合】
⑤ 「課税選択届出書」を提出して課税事業者となった後2年以内に本則課税で調整対象固定資産(注2)の仕入れ等を行った場合において、「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出ができないことにより事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(注3)(消法9⑦)

(注2)調整対象固定資産とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が百万円以上の棚卸資産以外の資産をいいます(消法2①十六、消
令5)。

(注3)免税事業者に係る登録の経過措置(28年改正法附則44④)の適用を受けて適格請求書発行事業者となった者は、「課税選択届出書」の提出をして課税事業者となっていませんので、これに該当することはありません。

⑥ 新設法人及び特定新規設立法人の特例の適用を受けた課税期間中に、本則課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行ったことにより事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法12の2②、12の3③)

⑦ 本則課税で高額特定資産(注4)の仕入れ等を行った場合(棚卸資産の調整の適用を受けた場合)において事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(消法12の4①②③)

(注4)高額特定資産とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が1千万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます(消法12の4①、消令25の5①)。

【課税期間を短縮している場合】
⑧ 課税期間の特例の適用を受ける課税期間(注5)

(注5)課税期間の特例の適用を受ける課税期間とは、「消費税課税期間特例選択届出書」の提出により、課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間であり、当該届出書の提出により一の課税期間とみなされる課税期間も含みます(消法19)。

★リンクはこちら→ 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)は、基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間などについては適用できないとのことですが、具体的に教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年11月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問114
適格請求書等保存方式の開始後一定期間は、適格請求書発行事業者の登録により課税事業者となった免税事業者については、消費税の申告について簡易に計算できる経過措置(2割特例)があるそうですが、その内容について教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者(免税事業者が「課税選択届出書」の提出により課税事業者となった場合を含みます。)が適格請求書発行事業者となる場合(注)には、納付税額の計算において控除する金額を、その課税期間における課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額に8割を乗じた額(以下「特別控除税額」といいます。)とすることができる経過措置(以下「2割特例」といいます。)が設けられています(28年改正法附則51の2①②)。

(注)
課税事業者が適格請求書発行事業者となった場合であっても、当該適格請求書発行事業者となった課税期間の翌課税期間以後の課税期間について、基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合には、原則として、2割特例の適用を受けることができます。

また、2割特例は、簡易課税制度のように事前の届出や継続して適用しなければならないという制限はなく、申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することにより、適用を受けることができます(28年改正法附則51の2③)。

なお、2割特例の適用を受けることができない課税期間については、問115《2割特例の適用ができない課税期間①》及び問11《6 2割特例の適用ができない課税期間②》をご参照ください。

《2割特例を適用した場合の納付税額の計算イメージ》
納付税額 = 売上税額 - 特別控除税額(売上税額の8割)
⇒ 売上税額の2割

《適用可能期間》
 (例)個人事業者(12月決算の法人)の場合
(本来免税事業者である事業者が適格請求書発行事業者となる場合)

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の開始後一定期間は、適格請求書発行事業者の登録により課税事業者となった免税事業者については、消費税の申告について簡易に計算できる経過措置(2割特例)があるそうですが、その内容について教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問113
適格請求書等保存方式の開始後一定期間は、免税事業者等からの仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があるそうですが、この場合の仕入税額控除の要件について教えてください。【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式の下では、適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについては、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等の交付を受けることができないことから、仕入税額控除を行うことができません(消法30⑦)。

ただし、適格請求書等保存方式開始から一定期間は、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています(28年改正法附則52、53)。

経過措置を適用できる期間等は、次のとおりです。

期 間 割 合
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで 仕入税額相当額の80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日まで 仕入税額相当額の50%

なお、この経過措置の適用を受けるためには、次の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となります。
1.帳簿
区分記載請求書等保存方式の記載事項に加え、例えば、「80%控除対象」など、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要となります。

具体的には、次の事項となります。

課税仕入れの相手方の氏名又は名称
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨)及び経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨
課税仕入れに係る支払対価の額

(参考1)
③の「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」の記載については、個々の取引ごとに「80%控除対象」、「免税事業者からの仕入れ」などと記載する方法のほか、例えば、本経過措置の適用対象となる取引に、「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、かつ、これらの記号・番号等が「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を別途「※(☆)は80%控除対象」などと表示する方法も認められます。

2.請求書等
区分記載請求書等と同様の記載事項が必要となります(区分記載請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)。

具体的には、次の事項となります。

書類の作成者の氏名又は名称
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

(参考2)
適格請求書発行事業者以外の者から受領した請求書等の内容について、③かっこ書きの「資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨」及び④の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」の記載がない場合に限り、受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められます。

なお、提供された請求書等に係る電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面に追記して保存している場合も同様に認められます。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の開始後一定期間は、免税事業者等からの仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があるそうですが、この場合の仕入税額控除の要件について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年10月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問112
一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)については、1万円未満の課税仕入れが対象とのことですが、どのような単位となりますか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

一定規模以下の事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により、当該課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置が設けられています(28年改正法附則53の2、改正令附則24の2①)。

また、ここでいう「課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満」に該当するか否かについては、一回の取引の課税仕入れに係る金額(税込み)が1万円未満かどうかで判定するため、課税仕入れに係る一商品ごとの金額により判定するものではありません。
この考え方は、公共交通機関特例における「3万円未満の公共交通機関による旅客の運送」の判定と同様です。
この考え方の詳細については問43《公共交通機関特例の3万円未満の判定単位》をご参照ください。

なお、基本的には、取引ごとに納品書や請求書といった書類等の交付又は提供を受けることとが一般的であるため、そのような書類等の単位で判定することが考えられます。

(注)
月まとめ請求書のように複数の取引をまとめた単位により判定することとはならないことにご留意ください。
例:

5,000円の商品をXX月3日に購入、7,000円の商品をXX月10日に購入し、それぞれで請求・精算
 ⇒ それぞれ1万円未満の取引となり、本経過措置の対象
5,000円の商品と7,000円の商品(合計額12,000円)を同時に購入
 ⇒ 1万円以上の取引となり、本経過措置の対象外
1回8,000円のクリーニングをXX月2日に1回、XX月15日に1回行い、それぞれで請求・精算
 ⇒ それぞれ1万円未満の取引となり、本経過措置の対象
月額100,000円の清掃業務(稼働日数:12日)
 ⇒ 1万円以上の取引となり、本経過措置の対象外

★リンクはこちら→ 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)については、1万円未満の課税仕入れが対象とのことですが、どのような単位となりますか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月25日


<インボイス制度に関するQ&A 問111
一定規模以下の事業者は、1万円未満の課税仕入れについて、一定期間、適格請求書の保存を要しないとのことですが、その内容について教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

基準期間(※1)における課税売上高が1億円以下又は特定期間(※2)における課税売上高(※3)5千万円以下である事業者が、令和年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿(※4)みの保存により、当該課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置(少額特例)が設けられています(28年改正法附則53の2、改正令附則24の2①)。

※1
基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年、法人についてその事業年度の前々事業年度をいいます(消法2①十四)。

※2
特定期間とは、個人事業者についてはその年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人についてはその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます(消法9の2④)。

※3
特定期間における課税売上高については、納税義務の判定における場合と異なり、課税売上高に代えて給与支払額の合計額によることはできません。

※4
当該経過措置の適用に当たっては、帳簿に「経過措置(少額特例)の適用がある旨」を記載する必要はありません。

(注1)
新たに設立した法人における基準期間のない課税期間については、特定期間の課税売上高が5千万円超となった場合であっても、当該課税期間について、本経過措置の適用を受けることができます。

(注2)
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には本経過措置の対象となります。

★リンクはこちら→ 一定規模以下の事業者は、1万円未満の課税仕入れについて、一定期間、適格請求書の保存を要しないとのことですが、その内容について教えてください。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月24日


<インボイス制度に関するQ&A 問110
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送などは、請求書等の保存が不要で、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができるそうですが、この場合の帳簿への記載事項について教えてください。【令和5年10月改訂】

請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①、消規15の4)。

適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引
古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入
質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物の取得
宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物の購入
適格請求書発行事業者でない者からの再生資源又は再生部品の購入
適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストにより差し出されたものに限ります。)
従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

この場合、帳簿の記載事項に関し、通常必要な記載事項に加え、次の事項の記載が必要となります。
・帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
例:①に該当する場合、「3万円未満の鉄道料金」
②に該当する場合、「入場券等」
・ 仕入れの相手方の住所又は所在地(一定の者を除きます。)
例:⑦に該当する場合、「〇〇市 自機」、「✕✕銀行▢▢支店ATM」

(注)
帳簿に仕入れの相手方の住所又は所在地の記載が不要な一定の者は、次のとおりです(令和5年国税庁告示第26号)。

適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送について、その運送を行った者
適格請求書の交付義務が免除される郵便役務の提供について、その郵便役務の提供を行った者
課税仕入れに該当する出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)を支払った場合の当該出張旅費等を受領した使用人等
上記③から⑥の課税仕入れ(③から⑤に係る課税仕入れについては、古物営業法、質屋営業法又は宅地建物取引業法により、業務に関する帳簿等へ相手方の氏名及び住所を記載することとされているもの以外のものに限り、⑥に係る課税仕入れについては、事業者以外の者から受けるものに限ります。)を行った場合の当該課税仕入れの相手方

(参考)
古物営業を営む場合、古物営業法において、商品を仕入れた際の対価の総額が1万円以上(税込み)の場合には、帳簿(いわゆる「古物台帳」)に①取引年月日、②古物の品目及び数量、③古物の特徴、④相手方の住所、氏名、職業及び年齢、⑤相手方の確認方法を記載し、保存しなければならないこととされています(古物営業法16、18)。

帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項は、「①課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地(古物台帳に、取引の相手方の氏名や住所を記載することとされていない場合には不要)」、「②課税仕入れを行った年月日」、「③課税仕入れに係る資産又は役務の内容」、「④課税仕入れに係る支払対価の額」、「⑤帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨」ですが、古物台帳には①から④の事項が記載されていることになります。

なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿の記載事項としては、⑤の事項も必要となるため、古物台帳と⑤の事項について記載した帳簿(総勘定元帳等)を合わせて保存することで、帳簿の保存要件を満たすことができます。

この場合、古物台帳については帳簿の保存期間(課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間)保存しておく必要がある点にご留意ください(消令71②)。

★リンクはこちら→ 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送などは、請求書等の保存が不要で、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を行うことができるそうですが、この場合の帳簿への記載事項について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年10月23日


<インボイス制度に関するQ&A 問109
令和5年10月1日から、仕入税額控除の方式は、「適格請求書等保存方式」となりましたが、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿の記載事項について教えてください。【令和5年10月改訂】

令和元年9月30日まで、仕入税額控除については、一定の帳簿及び請求書等の保存が要件とされていました(請求書等保存方式)。

また、令和元年10月1日から令和5年9月30日(適格請求書等保存方式の開始前)までの間は、この仕入税額控除の要件について、請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、軽減税率の適用対象となる商品の仕入れかそれ以外の仕入れかの区分を明確にするための記載事項を追加した帳簿及び請求書等の保存が要件とされていました(区分記載請求書等保存方式)。

具体的には、請求書等保存方式において必要とされている記載事項に、次の事項が追加されています(28年改正法附則34②)。
1 帳簿
課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合にはその旨

2 区分記載請求書等

  • 課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合にはその旨
  • 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額

令和5年10月1日から開始された適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が要件とされているところ、保存すべき帳簿の記載事項については次のとおりであり、区分記載請求書等保存方式の下での帳簿の記載事項と同様です(相手方の登録番号の記載は不要です。)。

課税仕入れの相手方の氏名又は名称
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨)
課税仕入れに係る支払対価の額

(参考)取引先コード等による表示
帳簿に記載する課税仕入れの相手方の氏名又は名称は、取引先コード等の記号・番号等による表示で差し支えありません。

また、課税仕入れに係る資産又は役務の内容についても、商品コード等の記号・番号等による表示で差し支えありませんが、この場合、課税資産の譲渡等であるか、また、軽減対象課税資産の譲渡等に係るものであるときは、軽減対象課税資産の譲渡等に係るものであるかの判別が明らかとなるものである必要があります(基通11-6-1 )。

★リンクはこちら→ 令和5年10月1日から、仕入税額控除の方式は、「適格請求書等保存方式」となりましたが、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿の記載事項について教えてください。【令和5年10月改訂】

2023年10月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問108
社員に支給する通勤手当については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができませんが、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

従業員等で通勤する者に支給する通勤手当のうち、通勤に通常必要と認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額として取り扱われます。この金額については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①一ニ、消規15の4三、基通11-6-5)。

なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる「通勤者につき通常必要と認められる部分」については、通勤に通常必要と認められるものであればよく、所得税法施行令第20条の2において規定される非課税とされる通勤手当の金額を超えているかどうかは問いません。

また、この場合の帳簿の記載事項については、問110《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 社員に支給する通勤手当については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができませんが、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問107
社員に支給する国内の出張旅費、宿泊費、日当等については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができませんが、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するものとして取り扱われます。

この金額については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①一ニ、消規15の4二、基通11-6-4)。
なお、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる「その旅行に通常必要であると認められる部分」については、所得税基本通達9-3に基づき判定しますので、所得税が非課税となる範囲内で、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることになります。

また、この場合の帳簿の記載事項については、問110《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。

【参考】
○ 所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)
法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。
⑴その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
⑵その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

★リンクはこちら→ 社員に支給する国内の出張旅費、宿泊費、日当等については、社員は適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができませんが、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月18日


<インボイス制度に関するQ&A 問106
当社は、中古車販売業(古物商)を営んでおり、事業者及び消費者から中古車の仕入れを行っています。適格請求書等保存方式の下では、消費者からの仕入れは、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

古物営業法上の許可を受けて古物営業を営む古物商が、適格請求書発行事業者以外の者から同法に規定する古物(古物商が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を買い受けた場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①一ハ(1))。したがって、貴社が消費者から中古車の仕入れを行った場合には、一定の事項を記載した帳簿を保存することで、仕入税額控除が認められます。

なお、相手方が適格請求書発行事業者である場合は、適格請求書の交付を受け、それを保存する必要があります。

この場合の帳簿の記載事項については、問110《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。

また、古物商が適格請求書発行事業者以外の者から古物を買い取る場合のほか、適格請求書発行事業者以外の者から仕入れを行う、次の場合も同様に、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等の交付を受けることが困難な場合として、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消令49①一ハ(2)~(4))。

質屋営業法に規定する質屋営業を営む質屋が、適格請求書発行事業者以外の者から質物(質屋が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を取得する場合
宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引業者が、適格請求書発行事業者以外の者から同法に規定する建物(宅地建物取引業者が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を購入する場合
再生資源卸売業その他不特定かつ多数の者から資源の有効な利用の促進に関する法律に規定する再生資源及び再生部品を購入する事業を営む事業者が、適格請求書発行事業者以外の者から再生資源及び再生部品(購入する事業者が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を購入する場合

★リンクはこちら→ 当社は、中古車販売業(古物商)を営んでおり、事業者及び消費者から中古車の仕入れを行っています。適格請求書等保存方式の下では、消費者からの仕入れは、仕入税額控除を行うことはできないのですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問105
取引先への移動に際し、券売機で乗車券を購入し、公共交通機関である鉄道を利用した場合に、仕入税額控除の要件として請求書等の保存は必要ですか。【令和5年10月改訂】

適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消法30⑦、消令49①一イ、70の9②一)。

一方、3万円以上の公共交通機関を利用した場合には、その利用に係る適格請求書の保存が仕入税額控除の要件となりますので、ご留意ください。

ただし、この場合であっても、公共交通機関である鉄道事業者から適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)を記載した乗車券の交付を受け、その乗車券が回収される場合は、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消令49①ロ)。

なお、この場合の帳簿の記載事項については、110《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。

(参考)
・ 適格請求書の交付義務が免除される取引:問41参照
・ 公共交通機関特例の3万円未満の判定単位:問43参照

★リンクはこちら→ 取引先への移動に際し、券売機で乗車券を購入し、公共交通機関である鉄道を利用した場合に、仕入税額控除の要件として請求書等の保存は必要ですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月16日


<インボイス制度に関するQ&A 問104
適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件ですが、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の要件を満たすのは、どのような場合ですか。【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされます(消法30⑦)。

ただし、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消令49①、消規15の4)。

  1. 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
  2. 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(1.に該当するものを除きます。)
  3. 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  4. 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得
  5. 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  6. 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  7. 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
  8. 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
  9. 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件ですが、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除の要件を満たすのは、どのような場合ですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問103
当社では高速道路を頻繁に利用するのですが、高速道路利用について、いわゆるETCシステムを利用し、後日、クレジットカードにより料金を精算しています。この場合、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書の保存により仕入税額控除を行うことはできますか。【令和5年10月追加】

クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付するクレジットカード利用明細書は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成及び交付する書類ではなく、また、課税資産の譲渡等の内容や適用税率など、適格請求書の記載事項も満たしませんので、一般的に、適格請求書には該当しません。

そのため、高速道路の利用について、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)により料金を支払い、ETCクレジットカード(クレジットカード会社がETCシステムの利用のために交付するカードをいい、高速道路会社が発行するETCコーポレートカード及びETCパーソナルカードを除きます。)で精算を行った場合に、支払った料金に係る仕入税額控除の適用を受けるには、原則、高速道路会社が運営するホームページ(ETC利用照会サービス)から通行料金確定後、適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録(以下「利用証明書」といいます。)をダウンロードし、それを保存する必要があります。

他方、高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により、全ての高速道路の利用に係る利用証明書の保存が困難なときは、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書(個々の高速道路の利用に係る内容が判明するものに限ります。また、取引年月日や取引の内容、課税資産の譲渡等に係る対価の額が分かる利用明細データ等を含みます。)と、利用した高速道路会社及び地方道路公社など(以下「高速道路会社等」といいます。)の任意の一取引(複数の高速道路会社等の利用がある場合、高速道路会社等ごとに任意の一取引)に係る利用証明書をダウンロードし、併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えありません。

(注1)
利用証明書については、クレジットカード利用明細書の受領ごとに(毎月)取得・保存する必要はなく、高速道路会社等が適格請求書発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引に係る適格簡易請求書の記載事項を満たした利用証明書を一回のみ取得・保存することで差し支えありません。また、例えば、A高速道路会社からB高速道路会社を経由してC高速道路会社の料金所で降りた際、C高速道路会社がまとめて利用証明書を発行している場合には、C高速道路会社の利用証明書を保存することになります。

(注2)
空港と内陸部を結ぶ連絡橋の通行料金(空港連絡橋利用税)など、消費税の課税対象とならない金額がある場合、その金額は仕入税額控除の対象外となりますのでご留意ください。

★リンクはこちら→ 当社では高速道路を頻繁に利用するのですが、高速道路利用について、いわゆるETCシステムを利用し、後日、クレジットカードにより料金を精算しています。この場合、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書の保存により仕入税額控除を行うことはできますか。【令和5年10月追加】

2023年10月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問102
当社は、取引先から、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録の提供を受けています。仕入税額控除の要件を満たすためには、電磁的記録をどのような方法で保存すればよいですか。【令和5年10月改訂】

相手方から適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録による提供を受けた場合、仕入税額控除の適用を受けるためには、その電磁的記録を保存する必要があります(消法30⑦⑨二)。

提供を受けた電磁的記録をそのまま保存しようとするときには、以下の措置を講じる必要があります(消令50①、消規15の5)。
①次のイからニのいずれかの措置を行うこと
イ タイムスタンプが付された適格請求書に係る電磁的記録を受領すること(受領した者がタイムスタンプを付す必要はありません。)(電帳規4①一)

ロ 次に掲げる方法のいずれかにより、タイムスタンプを付すとともに、その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと(電帳規4①二)
・ 適格請求書に係る電磁的記録の提供を受けた後、速やかにタイムスタンプを付すこと
・ 適格請求書に係る電磁的記録の提供からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合において、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかにタイムスタンプを付すこと

ハ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について、次のいずれかの要件を満たす電子計算機処理システムを使用して適格請求書に係る電磁的記録の受領及びその電磁的記録を保存すること(電帳規4①三)
・ 訂正又は削除を行った場合には、その事実及び内容を確認することができること
・ 訂正又は削除することができないこと

ニ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと(電帳規4①四)

② 適格請求書に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム概要書の備付けを行うこと(電帳規2②一、4①)

③ 適格請求書に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと(電帳規2②二、4①)

④ 適格請求書に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと(電帳規2⑥六、4①)
※ 国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは、ⅱ及びⅲの要件が不要となります。

また、当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合で、かつ、その判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者であるときは検索機能の全てが不要となります。
ⅰ 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索条件として設定できること
ⅱ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
ⅲ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できること

他方、提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録を紙に印刷して保存しようとするときは、整然とした形式及び明瞭な状態で出力する必要があります(消規15の5②)。

(参考)電帳法上の保存方法等については、国税庁ホームページに掲載されている、「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」や「電子帳簿保存法一問一答」を参考としてください。

(注)令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について、次のとおり見直しが行われました。
・ 上記①ロの「その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと」は不要とされました。
・ 上記④の※書きについて、下線部分が変更されました。

※国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは、ⅱ及びⅲの要件が不要となります。
また、当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合で、かつ、その判定期間に係る基準期間における売上高が 5,000万円以下の事業者であるとき又は国税に関する法律の規定による電磁的記録の出力書面(整然とした形及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは検索機能の全てが不要となります。

・上記④の根拠法令のうち、電帳規第2条第6項第6号は同項第5号に改正されました。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先から、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録の提供を受けています。仕入税額控除の要件を満たすためには、電磁的記録をどのような方法で保存すればよいですか。【令和5年10月改訂】

2023年10月11日


<インボイス制度に関するQ&A 問101
当社は、購入した物品切手等により引換給付を受けた場合、当該物品切手等の購入金額を課税仕入れに係る支払対価の額としていました。適格請求書等保存方式においては、物品切手等により引換給付を受ける場合であっても、原則として、適格請求書等の保存が必要とのことですが、物品切手等の購入金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることになりますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

適格請求書等保存方式以前の取扱いにおいて、物品切手等による引換給付として課税仕入れを行った場合の課税仕入れに係る支払対価の額は、事業者がその物品切手等の取得に要した金額とされていました。

他方、適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書等の保存が必要となりますので、物品切手等の取得(購入)に要した金額の如何にかかわらず、当該適格請求書等に記載された金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとなります。

なお、物品切手等に適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されているものが、引換給付を受ける際に適格請求書発行事業者により回収される場合、当該物品切手等により役務又は物品の引換給付を受ける買手は、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができますが(新消令49①一ロ)、このような物品切手等には、適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されていることから、当該物品切手により引換給付を受ける課税仕入れについては、当該物品切手等に記載された金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとなります。

(参考)仕入税額の計算方法については、問126《仕入税額の計算方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、購入した物品切手等により引換給付を受けた場合、当該物品切手等の購入金額を課税仕入れに係る支払対価の額としていました。適格請求書等保存方式においては、物品切手等により引換給付を受ける場合であっても、原則として、適格請求書等の保存が必要とのことですが、物品切手等の購入金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることになりますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問100
当社は、購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自社で引換給付を受けるものについては、継続的に郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上していました。適格請求書等保存方式において、引き続き、郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上しているものについて仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては原則として、課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時にその引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなりますが、適格請求書等保存方式以前における取扱いとして、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、その購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続してその郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認めることとされていました。

適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書等の保存が必要となりますが、郵便切手類のみを対価とする郵便ポスト等への投函による郵便サービスは、適格請求書の交付義務が免除されており、買手においては、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができます(消令49①一ニ、消規15の4一)。

また、物品切手等で適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されているものが、引換給付を受ける際に適格請求書発行事業者により回収される場合、当該物品切手等により役務又は物品の引換給付を受ける買手は、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができます(消令49①一ロ)。

したがって、このような郵便切手類及び物品切手等(適格請求書発行事業者により回収されることが明らかなものに限ります。)のうち、自ら引換給付を受けるものについては、適格請求書等保存方式においても、購入(対価の支払)時に課税仕入れとして計上し、一定の事項を記載した帳簿を保存することにより、仕入税額控除の適用を受けることができます(基通11-3-7)。

なお、上記(一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができるもの)以外の物品切手等に係る課税仕入れは、購入(対価の支払)時ではなく、適格請求書等の交付を受けることとなるその引換給付を受けた時に課税仕入れを計上し、仕入税額控除の適用を受けることとなります。

★リンクはこちら→ 当社は、購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自社で引換給付を受けるものについては、継続的に郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上していました。適格請求書等保存方式において、引き続き、郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上しているものについて仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問99
所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース資産の譲渡時に適格請求書の交付義務が生じるとのことですが、当該リース取引につき賃借人が賃貸借処理し、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース譲渡時に交付を受ける適格請求書の保存により仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

所有権移転外ファイナンス・リース取引(所得税法施行令第120条の2第2項第5号又は法人税法施行令第48条の2第5項第5号に規定する「リース取引」をいい、以下「移転外リース取引」といいます。)については、リース資産の譲渡として取り扱われるため、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、当該リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとして処理(一括控除)することが原則です。

しかしながら、経理実務の簡便性という観点から、移転外リース取引について賃借人が賃貸借処理(通常の賃貸借取引に係る取引に準じた会計処理をいいます。)している場合、リース資産の譲渡時の課税仕入れとするのではなく、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)して差し支えないこととしています。

この点、移転外リース取引における適格請求書については、リース資産の引渡し時に当該リース取引の全額に対する適格請求書が交付されるものと考えられます。

したがって、移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース資産の引渡し時に交付を受けた適格請求書を保存することにより、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間ごとに計上した課税仕入れに係る仕入税額控除の適用要件を満たすこととなります。

なお、当該適格請求書については、リース料の最終支払期日(移転外リース取引について賃貸借処理により計上する最後の課税仕入れ)の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要があります。

(注)令和5年10月1日前に行われた移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合の当該移転外リース取引に係る同日以後に賃貸借処理により計上する課税仕入れについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることとなります。

★リンクはこちら→ 所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース資産の譲渡時に適格請求書の交付義務が生じるとのことですが、当該リース取引につき賃借人が賃貸借処理し、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース譲渡時に交付を受ける適格請求書の保存により仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和5年4月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月5日


<インボイス制度に関するQ&A 問98
当社は、法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

法人税の計算において、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち支出した事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。以下同じです。)の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、当該前払費用を損金の額に算入することが認められています(法人税基本通達2-2-14)(所得税についても同様です。)。

消費税の計算についても、当該取扱いの適用を受ける前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととしています(基通11-3-8)。

したがって、このような前払費用については、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととなりますが、当該前払費用に係る課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要となり、ご質問のように当該前払費用に係る適格請求書等を保存している場合は、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができます。

また、当該前払費用に係る課税仕入れが適格請求書発行事業者から行われるものである場合には、当該前払費用を支出した日の属する課税期間において適格請求書の交付を受けられなかったとしても、事後に交付される適格請求書を保存することを条件として、当該前払費用として支出した額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

なお、当該前払費用として仕入税額控除の適用を受けた金額が契約変更等により変動した場合の対応については、問96《見積額が記載された適格請求書の保存等》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】【令和5年10月改訂】

2023年10月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問97
所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース資産の譲渡時に適格請求書の交付義務が生じるとのことですが、当該リース取引につき賃借人が賃貸借処理し、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース譲渡時に交付を受ける適格請求書の保存により仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和5年4月追加】

所有権移転外ファイナンス・リース取引(所得税法施行令第120条の2第2項第5号又は法人税法施行令第48条の2第5項第5号に規定する「リース取引」をいい、以下「移転外リース取引」といいます。)については、リース資産の譲渡として取り扱われるため、移転外リース取引によりリース資産を賃借した賃借人においては、当該リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間の課税仕入れとして処理(一括控除)することが原則です。

しかしながら、経理実務の簡便性という観点から、移転外リース取引について賃借人が賃貸借処理(通常の賃貸借取引に係る取引に準じた会計処理をいいます。)している場合、リース資産の譲渡時の課税仕入れとするのではなく、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)して差し支えないこととしています。

この点、移転外リース取引における適格請求書については、リース資産の引渡し時に当該リース取引の全額に対する適格請求書が交付されるものと考えられます。

したがって、移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース資産の引渡し時に交付を受けた適格請求書を保存することにより、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間ごとに計上した課税仕入れに係る仕入税額控除の適用要件を満たすこととなります。

なお、当該適格請求書については、リース料の最終支払期日(移転外リース取引について賃貸借処理により計上する最後の課税仕入れ)の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要があります。

(注)令和5年10月1日前に行われた移転外リース取引について、賃借人が賃貸借処理によりそのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合の当該移転外リース取引に係る同日以後に賃貸借処理により計上する課税仕入れについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることとなります。

★リンクはこちら→ 所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース資産の譲渡時に適格請求書の交付義務が生じるとのことですが、当該リース取引につき賃借人が賃貸借処理し、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして処理(分割控除)している場合、リース譲渡時に交付を受ける適格請求書の保存により仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和5年4月追加】

2023年10月3日


<インボイス制度に関するQ&A 問96
当社は、法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、引き続き、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】

法人税の計算において、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち支出した事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。以下同じです。)の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、当該前払費用を損金の額に算入することが認められています(法人税基本通達2-2-14)(所得税についても同様です。)。

消費税の計算についても、当該取扱いの適用を受ける前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととしており(基通11-3-8)、これは、適格請求書等保存方式においても同様です。

このような前払費用については、適格請求書等保存方式においても、現行制度と同様にその支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととなりますが、当該前払費用に係る課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要となります。

したがって、ご質問のように当該前払費用に係る適格請求書等を保存している場合は、引き続き、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができます。

また、当該前払費用に係る課税仕入れが適格請求書発行事業者から行われるものである場合には、当該前払費用を支出した日の属する課税期間において適格請求書の交付を受けられなかったとしても、事後に交付される適格請求書を保存することを条件として、当該前払費用として支出した額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません。

なお、当該前払費用として仕入税額控除の適用を受けた金額が契約変更等により変動した場合の対応については、問94《見積額が記載された適格請求書の保存等》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、引き続き、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】

2023年9月29日


<インボイス制度に関するQ&A 問95
当社は、請け負った建設工事について、当該建設工事の一部を他の事業者(以下「下請業者」といいます。)に請け負わせています。下請業者に対しては、下請業者が行った工事の出来高について検収を行い、当該検収の内容及び出来高に応じた金額を記載した書類(以下「出来高検収書」といいます。)を作成し、それに基づき請負金額を支払っています。現在、当該出来高検収書については、下請業者に記載事項の確認を受けており、これを保存することにより仕入税額控除を行っていますが、適格請求書等保存方式において、このような出来高検収書により仕入税額控除の適用を受けることは可能でしょうか。【令和4年11月追加】

適格請求書等保存方式の下においても、建設工事を請け負った事業者(以下「元請業者」といいます。)が作成した出来高検収書を、下請業者に記載事項の確認を受けた上で保存することにより、仕入税額控除の適用を受けること(基通11-6-6)については、現行の取扱いと変わりません。

なお、出来高検収書は、適格請求書等保存方式における仕入明細書等の記載事項を満たす必要があります※。仕入明細書等の記載事項については、問85≪仕入明細書等の記載事項≫をご参照ください。

元請業者が出来高検収書を下請業者に交付し、それに基づき下請業者が請求書を作成・交付する場合において、当該請求書を仕入税額控除の適用を受けるために保存する場合には、当該請求書が適格請求書の記載事項を満たす必要があります。適格請求書の記載事項については、問26≪適格請求書の様式≫をご参照ください。

したがって、ご質問の場合、貴社の取引の相手方である下請業者が適格請求書発行事業者であって、現在作成している出来高検収書を適格請求書等保存方式の下における仕入明細書等の記載事項を満たすものとして下請業者の確認を受けることにより、適格請求書等保存方式においてもその出来高検収書により仕入税額控除を行うことができます。

ただし、下請業者の行う建設工事について、当該下請業者が適格請求書発行事業者でなくなったことにより、適格請求書の交付ができないものであることが判明した場合には、出来高検収書により仕入税額控除の対象とした消費税額を、その交付ができないことが明らかとなる建設工事完了日の属する課税期間における課税仕入れに係る消費税額から控除することとなります(仕入税額の計算方法として、割戻し計算による場合、仕入税額控除の対象とした課税仕入れに係る支払対価の額をその建設工事完了日の属する課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額から控除することとなります。)。

★リンクはこちら→ 当社は、請け負った建設工事について、当該建設工事の一部を他の事業者(以下「下請業者」といいます。)に請け負わせています。下請業者に対しては、下請業者が行った工事の出来高について検収を行い、当該検収の内容及び出来高に応じた金額を記載した書類(以下「出来高検収書」といいます。)を作成し、それに基づき請負金額を支払っています。現在、当該出来高検収書については、下請業者に記載事項の確認を受けており、これを保存することにより仕入税額控除を行っていますが、適格請求書等保存方式において、このような出来高検収書により仕入税額控除の適用を受けることは可能でしょうか。【令和4年11月追加】

2023年9月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問94
当社では、水道光熱費など検針等に一定期間を要し、課税仕入れを行った課税期間の末日までに支払対価の額が確定しない課税仕入れについては、対価の額を見積もることにより仕入税額控除を行っています。適格請求書等保存方式において、このような見積額による仕入税額控除の取扱いはどのようになりますか。【令和元年7月追加】【令和4年11月改訂】

ご質問のように、課税期間の末日までにその支払対価の額が確定せず、見積額で仕入税額控除を行う場合の取扱いについては、以下のとおりとなります。

なお、以下の①、②のいずれの場合も、その後確定した対価の額が見積額と異なるときは、確定した対価の額に基づく課税仕入れに係る消費税額と見積額に基づく課税仕入れに係る消費税額との差額を、その確定した日の属する課税期間における課税仕入れに係る消費税額に加算又は減算することとなります(仕入税額の計算方法として、割戻し計算による場合、確定した対価の額と見積額との差額をその確定した日の属する課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に加算し、又は当該課税仕入れに係る支払対価の額から控除することとなります。)。

①見積額が記載された適格請求書の交付を受ける場合
取引の相手方から見積額が記載された適格請求書の交付を受ける場合、これを保存することで見積額による仕入税額控除が認められます(注1)。

その後、確定額が見積額と異なる場合には、確定額が記載された適格請求書(対価の額を修正した適格請求書)の交付を受けた上で、これを保存する必要があります。

②見積額が記載された適格請求書の交付を受けられない場合
見積額が記載された適格請求書の交付を受けられない場合であっても、電気・ガス・水道水の供給のような適格請求書発行事業者から継続して行われる取引(注2)については、見積額が記載された適格請求書や仕入明細書の保存がなくとも、その後、金額が確定したときに交付される適格請求書を保存することを条件として、課税仕入れを行う事業者が課税期間の末日の現況により適正に見積もった金額で、仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。

(注)1
見積額を記載した仕入明細書を自ら作成し、相手方の確認を受けた場合は、これを保存することで見積額による仕入税額控除が認められます。
確定額が見積額と異なる場合の取扱いは、上記と同様です。

(注)2
このほか、例えば、機械等の保守点検、弁護士の顧問契約のように契約等に基づき継続的に課税資産の譲渡等が行われ、金額が確定した際に適格請求書の交付を受ける蓋然性の高い取引がこれに該当します。

★リンクはこちら→ 当社では、水道光熱費など検針等に一定期間を要し、課税仕入れを行った課税期間の末日までに支払対価の額が確定しない課税仕入れについては、対価の額を見積もることにより仕入税額控除を行っています。適格請求書等保存方式において、このような見積額による仕入税額控除の取扱いはどのようになりますか。【令和元年7月追加】【令和4年11月改訂】

2023年9月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問93
当社は、事務所を賃借しており、口座振替により家賃を支払っています。不動産賃貸契約書は作成していますが、請求書や領収書の交付は受けておらず、家賃の支払の記録としては、銀行の通帳に口座振替の記録が残るだけです。このような契約書の締結後に口座振替等により代金を支払い、請求書や領収書の交付を受けない取引の場合、請求書等の保存要件を満たすためにはどうすればよいですか。【令和4年4月改訂】

通常、契約書に基づき代金決済が行われ、取引の都度、請求書や領収書が交付されない取引であっても、仕入税額控除を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要です。

この点、適格請求書は、一定期間の取引をまとめて交付することもできますので、相手方(貸主)から一定期間の賃借料についての適格請求書の交付を受け、それを保存することによる対応も可能です。

なお、適格請求書として必要な記載事項は、一の書類だけで全てが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類全体で適格請求書の記載事項を満たすことになりますので、契約書に適格請求書として必要な記載事項の一部が記載されており、実際に取引を行った事実を客観的に示す書類とともに保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

ご質問の場合には、適格請求書の記載事項の一部(例えば、課税資産の譲渡等の年月日以外の事項)が記載された契約書とともに通帳(課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すもの)を併せて保存することにより、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

また、口座振込により家賃を支払う場合も、適格請求書の記載事項の一部が記載された契約書とともに、銀行が発行した振込金受取書を保存することにより、請求書等の保存があるものとして、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

なお、このように取引の都度、請求書等が交付されない取引について、取引の中途で取引の相手方(貸主)が適格請求書発行事業者でなくなる場合も想定され、その旨の連絡がない場合には貴社(借主)はその事実を把握することは困難となります(適格請求書発行事業者以外の者に支払う取引対価の額については、原則として、仕入税額控除を行うことはできません。)。

そのため、必要に応じ、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で相手方が適格請求書発行事業者か否かを確認してください。

(参考)令和5年9月30日以前からの契約について
令和5年9月30日以前からの契約について、契約書に登録番号等の適格請求書として必要な事項の記載が不足している場合には、別途、登録番号等の記載が不足していた事項の通知を受け、契約書とともに保存していれば差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先のB社に経費を立て替えてもらう場合があります。この場合、経費の支払先であるC社から交付される適格請求書には立替払をしたB社の名称が記載されますが、B社からこの適格請求書を受領し、保存しておけば、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすこととなりますか。【令和4年11月改訂】

2023年9月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問92
当社は、取引先のB社に経費を立て替えてもらう場合があります。この場合、経費の支払先であるC社から交付される適格請求書には立替払をしたB社の名称が記載されますが、B社からこの適格請求書を受領し、保存しておけば、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすこととなりますか。【令和4年11月改訂】

貴社が、C社から立替払をしたB社宛に交付された適格請求書をB社からそのまま受領したとしても、これをもって、C社から貴社に交付された適格請求書とすることはできません。

ご質問の場合において、立替払を行ったB社から、立替金精算書等の交付を受けるなどにより、経費の支払先であるC社から行った課税仕入れが貴社のものであることが明らかにされている場合には、その適格請求書及び立替金精算書等の書類の保存をもって、貴社は、C社からの課税仕入れに係る請求書等の保存要件を満たすこととなります(インボイス通達4-2)。

また、この場合、立替払を行うB社が適格請求書発行事業者以外の事業者であっても、C社が適格請求書発行事業者であれば、仕入税額控除を行うことができます。

なお、立替払の内容が、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れに該当することが確認できた場合、貴社は、一定の事項を記載した帳簿を保存することにより仕入税額控除を行うことができます。

この場合、適格請求書及び立替金精算書等の保存は不要となります。

帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れについては、問101《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合》を、帳簿の記載事項については、問107《帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合の帳簿への一定の記載事項》をご参照ください。


(参考)
A社を含む複数者分の経費を一括してB社が立替払している場合、原則として、B社はC社から受領した適格請求書をコピーし、経費の支払先であるC社から行った課税仕入れがA社及び各社のものであることを明らかにするために、B社が作成した精算書を添えるなどし、A社を含む立替えを受けた者に交付する必要があります。

しかしながら、立替えを受けた者に交付する適格請求書のコピーが大量となるなどの事情により、立替払を行ったB社が、コピーを交付することが困難なときは、B社がC社から交付を受けた適格請求書を保存し、立替金精算書を交付することにより、A社はB社が作成した(立替えを受けた者の負担額が記載されている)立替金精算書の保存をもって、仕入税額控除を行うことができます。

この場合、立替払いを受けたA社等は、立替金精算書の保存をもって適格請求書の保存があるものとして取り扱われるため、立替払を行った取引先のB社は、その立替金が仕入税額控除可能なものか(すなわち、適格請求書発行事業者からの仕入れか、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど、A社が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を立替金精算書に記載しなければなりません。

したがって、立替金精算書に記載する「消費税額等」については、課税仕入れの相手方であるC社から交付を受けた適格請求書に記載された消費税額等を基礎として、立替払いを受ける者の負担割合を乗じてあん分した金額によるなど合理的な方法で計算した「消費税額等」を記載する必要があります。

また、立替金精算書に記載する複数の事業者ごとの消費税額等の合計額が適格請求書に記載された「消費税額等」と一致しないことも生じますが、この消費税額等が合理的な方法により計算されたものである限り、当該立替金精算書により仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。

なお、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名又は名称の記載が必要であるほか、その仕入れ(経費)が適格請求書発行事業者から受けたものか否かを確認できるよう、立替払を行ったB社とA社の間で、課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号を確認できるようにしておく必要があります。

ただし、これらの事項について、別途、書面等で通知する場合のほか、継続的な取引に係る契約書等で、別途明らかにされているなどの場合には、精算書において明らかにしていなくても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先のB社に経費を立て替えてもらう場合があります。この場合、経費の支払先であるC社から交付される適格請求書には立替払をしたB社の名称が記載されますが、B社からこの適格請求書を受領し、保存しておけば、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすこととなりますか。【令和4年11月改訂】

2023年9月25日


<インボイス制度に関するQ&A 問91
当社は、取引先数社と任意組合を組成し、イベントを行っています。現行、仕入先から交付される請求書等は、幹事会社が保管し、当社を含めた構成員は、幹事会社から精算書の交付を受けています。適格請求書等保存方式においては、構成員である当社も仕入先から適格請求書の交付を受け、保存する必要がありますか。

適格請求書等保存方式の下では、適格請求書など請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります(新消法30⑦⑨)。

任意組合の共同事業として課税仕入れを行った場合に、幹事会社が課税仕入れの名義人となっている等の事由により各構成員の持分に応じた適格請求書の交付を受けることができないときにおいて、幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書のコピーに各構成員の出資金等の割合に応じた課税仕入れに係る対価の額の配分内容を記載したものは、貴社及びその他の構成員における仕入税額控除のために保存が必要な請求書等に該当するものとして取り扱われますので、その保存をもって、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすことになります。

また、任意組合の構成員に交付する適格請求書のコピーが大量となる等の事情により、立替払を行った幹事会社が、コピーを交付することが困難なときは、幹事会社が仕入先から交付を受けた適格請求書を保存し、精算書を交付することにより、貴社は幹事会社が作成した(立替えを受けた構成員の負担額が記載されている)精算書の保存をもって、仕入税額控除を行うことができます(インボイス通達4-2)。

この場合、幹事会社は、精算書に記載されている仕入れ(経費)について、仕入税額控除が可能なものか(すなわち、適格請求書発行事業者からの仕入れか、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど、各構成員が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を記載しておく必要があります。

なお、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名又は名称の記載が必要となりますし、適格請求書のコピーにより、その仕入れ(経費)が適格請求書発行事業者から受けたものか否かを確認できなくなるため、幹事会社と構成員の間で、課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号を確認できるようにしておく必要があります。

ただし、これらの事項について、別途、書面等で通知する場合のほか、継続的な取引に係る契約書等で、別途明らかにされている等の場合には、精算書において明らかにしていなくても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先数社と任意組合を組成し、イベントを行っています。現行、仕入先から交付される請求書等は、幹事会社が保管し、当社を含めた構成員は、幹事会社から精算書の交付を受けています。適格請求書等保存方式においては、構成員である当社も仕入先から適格請求書の交付を受け、保存する必要がありますか。

2023年9月22日


<インボイス制度に関するQ&A 問90
記載事項に誤りがある適格請求書の交付を受けた事業者が、その課税仕入れについて仕入税額控除の適用に係る請求書等の保存要件を満たすために必要となる対応について教えてください。【令和3年7月追加】

買手である課税事業者は、交付を受けた適格請求書又は適格簡易請求書(電磁的記録により提供を受けた場合も含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、売手である適格請求書発行事業者に対して修正した適格請求書又は適格簡易請求書の交付を求め、その交付を受けることにより、修正した適格請求書又は適格簡易請求書を保存する必要があります(自ら追記や修正を行うことはできません。)。

なお、買手である課税事業者が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので(新消法30⑨三)、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けた上で、その仕入明細書等を保存することもできます。

売手である適格請求書発行事業者の対応は、問33《交付した適格請求書に誤りがあった場合の対応》を、仕入明細書等の記載事項については、問85《仕入明細書等の記載事項》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。仕入明細書には、当社が行った商品の配送について、配送料として記載し、仕入金額から控除しており、これは、当社の売上げとして計上しています。この場合、仕入明細書とは別にその配送料に係る適格請求書を相手方に交付しなければならないのでしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

2023年9月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問89
当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。仕入明細書には、当社が行った商品の配送について、配送料として記載し、仕入金額から控除しており、これは、当社の売上げとして計上しています。この場合、仕入明細書とは別にその配送料に係る適格請求書を相手方に交付しなければならないのでしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4①)。

ご質問の場合、貴社が行う配送(課税資産の譲渡等)の対価として収受する配送料については、別途、相手方の求めに応じて適格請求書を交付する義務があります。このため、配送料に係る適格請求書を仕入明細書とは別に交付する、又は仕入明細書に合わせて配送料に係る適格請求書の記載事項を1枚の書類で交付するといった方法により対応する必要があります。

なお、仕入明細書と適格請求書の記載事項は、それぞれ次のとおりです。
1 仕入明細書の記載事項(新消令49④)

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等

2 適格請求書の記載事項

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
 税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

★リンクはこちら→ 当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。仕入明細書には、当社が行った商品の配送について、配送料として記載し、仕入金額から控除しており、これは、当社の売上げとして計上しています。この場合、仕入明細書とは別にその配送料に係る適格請求書を相手方に交付しなければならないのでしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

2023年9月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問88
当社は、食品及び日用雑貨の販売を行う事業者です。当社の商品販売売上げに関しては、請求書の交付をすることなく、相手方から交付される次の支払通知書に基づき支払を受けています。また、返品があった場合には、支払通知書にその内容等が記載されていますが、こうした場合であっても、適格請求書等保存方式においては、改めて、適格返還請求書を交付する必要がありますか。なお、相手方は、仕入税額控除の適用を受けるために、支払通知書を保存しています。【平成30年11月追加】【令和5年4月改訂】

適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書の交付義務が課されています(新消法57の4③)。

適格返還請求書の記載事項は、次のとおりです。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えありません。)
売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
売上げに係る対価の返還等の金額に係る税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率

また、課税仕入れの相手方において課税資産の譲渡等に該当する場合において、仕入側が作成した次の記載事項のある仕入明細書等の書類で、相手方の確認を受けたものについては、仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等に該当します(新消法 30⑨三、新消49④)。

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
 税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
 税率ごとに区分した消費税額等

ご質問の場合、相手方が仕入税額控除のために作成・保存している支払通知書に、返品に関する適格返還請求書として必要な事項が記載されていれば、貴社と相手方の間で、貴社の売上げに係る対価の返還等の内容について確認されていますので、貴社は、改めて適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。

なお、支払通知書に適格返還請求書として必要な事項を合わせて記載する場合に、事業者ごとに継続して、課税仕入れに係る支払対価の額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を税率ごとに支払通知書に記載することで、仕入明細書に記載すべき「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」と適格返還請求書に記載すべき「売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「売上げに係る対価の返還等の金額に係る税率ごとに区分した消費税額等」の記載を満たすこともできます。

(注)
売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除されます(新消法57の4③、新消令70の9③二)。

ここでいう1万円未満の判定単位については、問29《少額な対価返還等に係る適格返還請求書の交付義務免除に係る1万円未満の判定単位》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、食品及び日用雑貨の販売を行う事業者です。当社の商品販売売上げに関しては、請求書の交付をすることなく、相手方から交付される次の支払通知書に基づき支払を受けています。また、返品があった場合には、支払通知書にその内容等が記載されていますが、こうした場合であっても、適格請求書等保存方式においては、改めて、適格返還請求書を交付する必要がありますか。なお、相手方は、仕入税額控除の適用を受けるために、支払通知書を保存しています。【平成30年11月追加】【令和5年4月改訂】

2023年9月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問87
適格請求書等保存方式の下では、記載事項を満たす仕入明細書には、「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」と「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が必要とのことですが、税抜きの仕入金額と消費税額等を記載することで、必要な記載事項を満たすことになりますか。【平成30年11月追加】

適格請求書等保存方式の下で、仕入税額控除の要件として保存すべき仕入明細書には、次の事項が記載されていることが必要です(新消法30⑨三、新消令49④)。

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等

ご質問の「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」については、税込金額となりますが、税率ごとに区分した仕入金額の税抜きの合計額及び税率ごとに区分した消費税額等を記載することで、その記載があるものとして取り扱われます。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の下では、記載事項を満たす仕入明細書には、「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」と「税率ごとに区分した消費税額等」の記載が必要とのことですが、税抜きの仕入金額と消費税額等を記載することで、必要な記載事項を満たすことになりますか。【平成30年11月追加】

2023年9月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問86
当社は、EDI取引を行っており、取引先と電磁的記録を交換することにより、日々の受発注などを行っています。また、決済に当たっては、取引先から請求書が交付されず、当社から取引先に、月まとめで支払通知書を書面で交付しています(いわゆる請求レス取引)。支払通知書には相手方の登録番号等の記載を行いますが、日々の取引の明細については、取引先から提供される電磁的記録である取引明細(税率ごとに分けて作成されています。)を参照しようと考えています。このような場合、相手方の確認を受けた上で、書面の支払通知書と取引明細の電磁的記録を合わせて保存することで、仕入税額控除の要件である仕入明細書の保存があることとなりますか。【令和2年9月改訂】
(注)EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。

相手方から確認を受けた仕入明細書を仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等とするには、次の事項が記載されていることが必要です(区分記載請求書等保存方式における仕入明細書の記載事項に加え、次の②、⑤及び⑥の下線部分が追加されました。)(新消法30⑨三、新消令49④)。

また、保存すべき請求書等には仕入明細書に係る電磁的記録も含まれます(新消令49⑤)。

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等

なお、保存が必要な請求書等の記載事項は、一の書類だけで記載事項を満たす必要はなく、複数の書類や、書類と電磁的記録について、これらの書類(書類と電磁的記録)相互の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法で交付されていれば、その複数の書類や電磁的記録の全体により適格請求書の記載事項を満たすことができます。

したがって、ご質問の場合、課税資産の譲渡等の内容(軽減税率の対象である旨を含みます。)を記録した取引明細に係る電磁的記録と書面で作成する支払通知書の全体により、請求書等の記載事項を満たすため、貴社は、書面で作成した支払通知書と取引明細に係る電磁的記録を合わせて保存することで、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすこととなります。

また、取引明細に係る電磁的記録の保存方法は、提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法と同様となります(新消令50①、新消規15の5)。

この電磁的記録の保存方法については、問100《提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、EDI取引を行っており、取引先と電磁的記録を交換することにより、日々の受発注などを行っています。また、決済に当たっては、取引先から請求書が交付されず、当社から取引先に、月まとめで支払通知書を書面で交付しています(いわゆる請求レス取引)。支払通知書には相手方の登録番号等の記載を行いますが、日々の取引の明細については、取引先から提供される電磁的記録である取引明細(税率ごとに分けて作成されています。)を参照しようと考えています。このような場合、相手方の確認を受けた上で、書面の支払通知書と取引明細の電磁的記録を合わせて保存することで、仕入税額控除の要件である仕入明細書の保存があることとなりますか。【令和2年9月改訂】

2023年9月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問85
当店は、食料品及び日用雑貨の小売を行っています。軽減税率制度の実施後、仕入先への代金の支払に当たり、以下のような仕入明細書を作成し、仕入先の確認を受け、保存しています。令和5年10月1日からは、適格請求書等保存方式における請求書等としての記載事項を満たすためには、仕入明細書について、どのような対応が必要ですか。【令和4年4月改訂】

区分記載請求書等保存方式においても、仕入側が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、相手方の確認を受けたものについては、仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等に該当します(消法30⑨二)。

適格請求書等保存方式の下でも同様に仕入明細書等による仕入税額控除は可能ですが、課税仕入れの相手方において課税資産の譲渡等に該当するものであり、次の事項が記載されていることが必要となります(区分記載請求書等保存方式における仕入明細書の記載事項に加え、②、⑤及び⑥の下線部分が追加されています。)(新消法30⑨三、新消令49④)。

仕入明細書の作成者の氏名又は名称
課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号
課税仕入れを行った年月日
課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等

(注)
上記の記載事項のうち、②の登録番号を記載しないで作成した仕入明細書は、令和元年10月1日から令和5年9月30日(適格請求書等保存方式の開始前)までの間における区分記載請求書等として取り扱われます。

(参考)仕入明細書等の電磁的記録による保存
仕入税額控除の要件として保存が必要な請求書等には、上記①から⑥までの記載事項に係る電磁的記録も含まれます(新消令49⑦)。

したがって、上記①から⑥までの記載事項を記録した電磁的記録を保存することで、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たします。

なお、仕入明細書等の電磁的記録の保存方法は、提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法と同様となります(新消令50①、新消規15の5)。

この電磁的記録の保存方法については、問100《提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録の保存方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当店は、食料品及び日用雑貨の小売を行っています。軽減税率制度の実施後、仕入先への代金の支払に当たり、以下のような仕入明細書を作成し、仕入先の確認を受け、保存しています。令和5年10月1日からは、適格請求書等保存方式における請求書等としての記載事項を満たすためには、仕入明細書について、どのような対応が必要ですか。【令和4年4月改訂】

2023年9月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問84
当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。適格請求書等保存方式の下でも仕入明細書を保存することによって、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすそうですが、相手方への確認は、どのように行えばよいですか。【令和2年9月改訂】

仕入税額控除の適用を受けるための請求書等に該当する仕入明細書等は、相手方の確認を受けたものに限られます(新消法30⑨三、インボイス通達4-6)。この相手方の確認を受ける方法としては、例えば、

仕入明細書等の記載内容を、通信回線等を通じて相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けた上で、自己の端末機から出力したもの
仕入明細書等に記載すべき事項に係る電磁的記録につきインターネットや電子メールなどを通じて課税仕入れの相手方へ提供し、相手方から確認の通知等を受けたもの
仕入明細書等の写しを相手方に交付し、又は仕入明細書等の記載内容に係る電磁的記録を相手方に提供した後、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする基本契約等を締結した場合におけるその一定期間を経たもの

があります。

なお、③については、

仕入明細書等に「送付後一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする」旨の通知文書等を添付して相手方に送付し、又は提供し、了承を得る。
仕入明細書等又は仕入明細書等の記載内容に係る電磁的記録に「送付後一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする」といった文言を記載し、又は記録し、相手方の了承を得る。

といったように、仕入明細書等の記載事項が相手方に示され、その内容が確認されている実態にあることが明らかであれば、相手方の確認を受けたものとなります。

(参考)
区分記載請求書等保存方式においても、仕入れを行った者が作成する仕入明細書等の書類で、一定事項が記載されており、相手方の確認を受けたものについては、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等に該当します。

ただし、適格請求書等保存方式における仕入明細書等と区分記載請求書等保存方式における仕入明細書等の記載事項は異なりますので、ご注意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、現在、自ら作成した仕入明細書を相手方の確認を受けた上で請求書等として保存しています。適格請求書等保存方式の下でも仕入明細書を保存することによって、仕入税額控除のための請求書等の保存要件を満たすそうですが、相手方への確認は、どのように行えばよいですか。【令和2年9月改訂】

2023年9月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問83
当社は、取引先から請求書を電子データにより提供を受けました。これを出力して保存することで、仕入税額控除の要件を満たしますか。なお、提供を受けた請求書データは、適格請求書の記載事項を満たしています。【令和5年4月改訂】

ご質問の請求書の電子データのように、適格請求書に係る電磁的記録による提供を受けた場合であっても、電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面を保存することで、仕入税額控除の適用に係る請求書等の保存要件を満たします(新消規15の5②)。

(参考)
令和3年度の税制改正により、電帳法において、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税の保存義務者については、令和4年1月1日以後行う電子取引に係る電磁的記録を書面やマイクロフィルムに出力してその電磁的記録の保存に代えられる措置が廃止されましたので、全ての電子取引の取引情報に係る電磁的記録を一定の要件の下、保存しなければならないこととされました。

なお、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に電子取引を行う場合には、授受した電磁的記録について要件に従って保存をすることができないことについて、納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め、かつ、保存義務者が税務調査等の際に、税務職員からの求めに応じ、その電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提出をすることができる場合には、その保存要件にかかわらず電磁的記録の保存が可能となり、また、その電磁的記録の保存に代えてその電磁的記録を出力することにより作成した書面による保存をすることも認められます(この取扱いを受けるに当たり税務署への事前申請等の手続は必要ありません。)。

また、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については要件に従った電子データの保存が必要(注)ですので、そのために必要な準備をお願いします。

電帳法上の保存方法等については、国税庁ホームページに掲載されている、「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」や「電子帳簿保存法一問一答」を参考としてください。

(注)
令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について見直しが行われました。令和5年度の税制改正を反映した「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」などについては、国税庁ホームページに随時掲載していきます。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先から請求書を電子データにより提供を受けました。これを出力して保存することで、仕入税額控除の要件を満たしますか。なお、提供を受けた請求書データは、適格請求書の記載事項を満たしています。【令和5年4月改訂】

2023年9月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問82
適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件を教えてください。【令和5年4月改訂】

適格請求書等保存方式の下では、一定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の要件とされます(新消法30⑦)。

保存すべき請求書等には、適格請求書のほか、次の書類等も含まれます(新消法30⑨)。

適格簡易請求書
適格請求書又は適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録
適格請求書の記載事項が記載された仕入明細書、仕入計算書その他これに類する書類(課税仕入れの相手方において課税資産の譲渡等に該当するもので、相手方の確認を受けたものに限ります。)(書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)
次の取引について、媒介又は取次ぎに係る業務を行う者が作成する一定の書類(書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)

  • 卸売市場において出荷者から委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の販売
  • 農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等が生産者(組合員等)から委託を受けて行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式によるものに限ります。)

なお、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(新消法30⑦、新消令49①、新消規15の4)。

公共交通機関特例の対象として適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除きます。)
古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得
宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

(注)一定規模以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により、当該課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置が設けられています(28年改正法附則53の2、改正令附則24の2①)。

詳しくは、問108《一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件を教えてください。【令和5年4月改訂】

2023年9月5日


<インボイス制度に関するQ&A 問81
当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録(PDF形式)を提供しています。提供した電磁的記録については、電帳法に準じた方法により保存することとされていますが、保存する電磁的記録は、相手方に提供したPDF形式のものではなく、このPDF形式を作成するための基となったXML形式の電磁的記録でも認められますか。【令和4年11月追加】

適格請求書発行事業者が適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合であって、電帳法に準じた方法により、当該電磁的記録を保存したときは、消費税法における適格請求書の写しの保存要件を満たすこととなります。適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法の詳細については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

この場合、保存する電磁的記録は、必ずしも、相手方に提供した電磁的記録そのものに限られたものではなく、取引内容が変更されるおそれのない合理的な方法により編集された電磁的記録により保存することも可能です(電帳法一問一答【電子取引関係】問35参照)。

ご質問の場合、相手方に提供する電磁的記録は、PDF形式とのことですが、例えば、データベースからフォーマットに出力してPDF形式の請求書を作成するといった、そのPDF形式がXML形式の電磁的記録から取引内容が変更されるおそれがなく合理的な方法により編集されたものであれば、PDF形式の基となったXML形式の電磁的記録を保存することでも差し支えありません。

なお 、当該電磁的記録の保存に当たっては、相手方に提供したPDF形式として出力できるなど、整然とした形式及び明瞭な状態でディスプレイ等に出力できるようにしておく必要がありますのでご注意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、保存しなければならないとのことですが、どのような方法で保存すればよいですか。【令和5年4月改訂】

2023年9月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問80
当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、電帳法に準じた方法により保存することとされていますが、当該電磁的記録がXML形式等の取引情報に関する文字の羅列である場合、電帳法における保存要件の一つである「整然とした形式及び明瞭な状態」での画面及び書面への出力は、どの程度の表示が求められるのでしょうか。例えば、適格請求書の記載事項を示す文言(例えば、「取引年月日」という文言)も必要となるのでしょうか。【令和4年11月追加】

適格請求書発行事業者が適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合において、電帳法に準じた方法により、当該電磁的記録を保存することで、消費税法における適格請求書の写しの保存要件を満たすこととなります。

適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法の詳細については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

ご質問において保存する電磁的記録は、XML形式等の取引情報に関する文字の羅列とのことですが、請求書等のフォーマットなどにより視覚的に確認・出力されるものについては、保存要件を満たすこととなります(電帳法一問一答【電子取引関係】問33参照)。

具体的には、以下の出力(印刷)イメージのように適格請求書であることが視覚的に確認でき、内容が記載事項のどの項目を示しているか認識できるものであれば、消費税法上は、必ずしも、適格請求書の記載事項を示す文言(「取引年月日」や「課税資産の譲渡等の税抜金額又は税込金額を税率ごとに区分して合計した金額」という文言など)が必要となるものではありません。

なお、電帳法においては、「取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項)に係る電磁的記録」を保存する必要があり(電帳法2五、7)、当該電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておく必要があります(電帳規4①柱書、2②二)。

したがって、原則としては、電磁的に授受をした内容に含まれる「通常記載される事項」は全て出力(表示)することができる必要がありますが、その記載事項(金額等)が一見して何を表しているかが明らかである場合には、当該記載事項に係る項目が出力されていなくても差し支えありません。

ただし、授受した「通常記載される事項」に係る電磁的記録について、要件を満たして保存を行う必要があるのでご注意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、電帳法に準じた方法により保存することとされていますが、当該電磁的記録がXML形式等の取引情報に関する文字の羅列である場合、電帳法における保存要件の一つである「整然とした形式及び明瞭な状態」での画面及び書面への出力は、どの程度の表示が求められるのでしょうか。例えば、適格請求書の記載事項を示す文言(例えば、「取引年月日」という文言)も必要となるのでしょうか。【令和4年11月追加】

2023年8月31日


<インボイス制度に関するQ&A 問79
当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、保存しなければならないとのことですが、どのような方法で保存すればよいですか。【令和5年4月改訂】

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは適格請求書を交付しなければなりませんが、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を相手方に提供することができます(新消法57の4①⑤)。

その場合、適格請求書発行事業者は、提供した電磁的記録を

  • 電磁的記録のまま、又は
  • 紙に印刷して、

その提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません(新消法57の4⑥、新消令70の13①、新消規26の8)。

また、その電磁的記録をそのまま保存しようとするときには、以下の措置を講じる必要があります(新消規26の8①)。

①次のイからニのいずれかの措置を行うこと
イ 適格請求書に係る電磁的記録を提供する前にタイムスタンプを付し、その電磁的記録を提供すること(電帳規4①一)

ロ 次に掲げる方法のいずれかにより、タイムスタンプを付すとともに、その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと(電帳規4①二)

  • 適格請求書に係る電磁的記録の提供後、速やかにタイムスタンプを付すこと
  • 適格請求書に係る電磁的記録の提供からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合において、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかにタイムスタンプを付すこと

ハ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について、次のいずれかの要件を満たす電子計算機処理システムを使用して適格請求書に係る電磁的記録の提供及びその電磁的記録を保存すること(電帳規4①三)

  • 訂正又は削除を行った場合には、その事実及び内容を確認することができること
  • 訂正又は削除することができないこと

ニ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと(電帳規4①四)

②適格請求書に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム概要書の備付けを行うこと(電帳規2②一、4①)

③適格請求書に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと(電帳規2②二、4①)

④適格請求書に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと(電帳規2⑥六、4①)

国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときはⅱ及びⅲの要件が不要となり、その判定期間に係る基準期間における売上高が 1,000 万円以下の事業者が国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは検索機能の全てが不要となります(注)。

  1. 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索条件として設定できること
  2. 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
  3. 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できること

他方、適格請求書に係る電磁的記録を紙に印刷して保存しようとするときには、整然とした形式及び明瞭な状態で出力する必要があります(新消規26の8②)。

(参考)電帳法上の保存方法等については、国税庁ホームページに掲載されている、「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」や「電子帳簿保存法一問一答」を参考としてください。

(注)令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について見直しが行われました。
令和5年度の税制改正を反映した「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」などについては、国税庁ホームページに随時掲載していきます。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、保存しなければならないとのことですが、どのような方法で保存すればよいですか。【令和5年4月改訂】

2023年8月30日


<インボイス制度に関するQ&A 問78
当社は、自己の業務システムで作成した適格請求書を出力し、書面で交付しています。適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しを保存しなければなりませんが、書面で交付した適格請求書の写しとして、当該システムで作成したデータを保存することも認められますか。【令和4年11月改訂】

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写しの保存義務があります(新消法57の4⑥)。

こうした国税に関する法律の規定により保存が義務付けられている書類で、自己が一貫して電子計算機を使用して作成したものについては、電帳法に基づき、電磁的記録による保存をもって書類の保存に代えることができることとされています(電帳法4②)。

なお、作成したデータでの保存に当たっては、次の要件を満たす必要があります。

適格請求書に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)の備付けを行うこと(電帳規2②一、③)
適格請求書に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと(電帳規2②二、③)
国税に関する法律の規定による適格請求書に係る電磁的記録の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしておくこと又は適格請求書に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと(電帳規2②三、③)

  •  取引年月日、その他の日付を検索条件として設定できること
  •  日付に係る記録項目は、その範囲を指定して条件を設定することができること

(参考1)
複数の適格請求書の記載事項に係る一覧表等を適格請求書の写しとして電磁的記録により保存する場合には、消費税法上は、必ずしも交付した適格請求書として出力する必要はなく、上記①~③の要件を満たした当該一覧表等の電磁的記録を保存することで問題ありません。

(参考2)
電帳法上の保存方法等については、国税庁ホームページに掲載されている、「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」や「電子帳簿保存法一問一答」を参考としてください。

★リンクはこちら→ 当社は、自己の業務システムで作成した適格請求書を出力し、書面で交付しています。適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しを保存しなければなりませんが、書面で交付した適格請求書の写しとして、当該システムで作成したデータを保存することも認められますか。【令和4年11月改訂】

2023年8月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問77
交付した適格請求書の写しや提供した適格請求書に係る電磁的記録については、何年間保存が必要ですか。

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写し及び提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存義務があります(新消法57の4⑥)。

この適格請求書の写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければなりません(新消令70の13①)。

(参考)
仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等についても、同様です(新消令50①)。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書の写しや提供した適格請求書に係る電磁的記録については、何年間保存が必要ですか。

2023年8月25日


<インボイス制度に関するQ&A 問76
適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しの保存が義務付けられるとのことですが、「交付した適格請求書の写し」とは、交付した書類を複写したものでなければならないのですか。【令和元年7月追加】

適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写し及び提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存義務があります(新消法57の4⑥)。

「交付した適格請求書の写し」とは、交付した書類そのものを複写したものに限らず、その適格請求書の記載事項が確認できる程度の記載がされているものもこれに含まれますので、例えば、適格簡易請求書に係るレジのジャーナル、複数の適格請求書の記載事項に係る一覧表や明細表などの保存があれば足りることとなります。

自己が一貫して電子計算機を使用して作成した適格請求書については、その写しを電磁的記録により保存することも認められます。
詳しくは、問78《適格請求書の写しの電磁的記録による保存》をご参照ください。
また、適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書の写しの保存が義務付けられるとのことですが、「交付した適格請求書の写し」とは、交付した書類を複写したものでなければならないのですか。【令和元年7月追加】

2023年8月23日


<インボイス制度に関するQ&A 問75
当社は、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受ける予定です。当社は、売上げの請求書について、毎月15日締めとしています。適格請求書等保存方式が開始する令和5年10月1日をまたぐ令和5年9月16日から10月15日までの期間に係る請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和4年4月追加】

適格請求書発行事業者には、登録日以後の取引について、相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務があります。

登録日をまたぐ一定の期間の取引に係る請求書については、登録日以後の課税資産の譲渡等について適格請求書を交付することとなるため、課税資産の譲渡等の対価の額や税率ごとに区分した消費税額等の記載に当たっては、登録日前の課税資産の譲渡等に係るものと登録日以後の課税資産の譲渡等に係るものとに区分するなどの対応が必要となります。

ただし、ご質問のように、登録日が令和5年10月1日(適格請求書等保存方式の開始日)である場合については、買手において登録日前後の課税仕入れがいずれも仕入税額控除の対象となることから、登録日をまたぐ請求書を適格請求書とするときは、登録日前後の課税資産の譲渡等(令和5年9月16日から30日までの期間と令和5年10月1日から15日までの期間)を区分することなく請求書に記載して交付することも認められます。

★リンクはこちら→ 当社は、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受ける予定です。当社は、売上げの請求書について、毎月15日締めとしています。適格請求書等保存方式が開始する令和5年10月1日をまたぐ令和5年9月16日から10月15日までの期間に係る請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和4年4月追加】

2023年8月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問74>
当社は、令和3年10月に登録申請書を提出し、適格請求書等保存方式が開始される前(令和5年9月30日以前)に登録番号が通知されました。令和5年9月30日以前に交付する区分記載請求書等に登録番号を記載しても問題ないですか。【令和4年4月改訂】

書等の記載事項が記載されていれば、取引の相手方は、区分記載請求書等保存方式の間(令和元年10月1日から令和5年9月30日まで)における仕入税額控除の要件である区分記載請求書等を保存することができますので、区分記載請求書等に登録番号を記載しても差し支えありません。

また、適格請求書の発行に対応したレジシステム等の改修を行い、適格請求書の記載事項を満たした請求書等を発行する場合にも、その請求書等は、区分記載請求書等として必要な記載事項を満たしていますので、区分記載請求書等保存方式の間に交付しても問題ありません。

(注)区分記載請求書等の記載事項のうち、税率ごとに区分して合計した税込価額については、適格請求書の記載事項である課税資産の譲渡等の税抜価額を税率ごとに区分して合計した金額及び税率ごとに区分した消費税額等を記載することとして差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、令和3年10月に登録申請書を提出し、適格請求書等保存方式が開始される前(令和5年9月30日以前)に登録番号が通知されました。令和5年9月30日以前に交付する区分記載請求書等に登録番号を記載しても問題ないですか。【令和4年4月改訂】

2023年8月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問73>
民法上の任意組合(組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、その旨の届出書を所轄税務署長に提出しています。)の事業として行った取引について、適格請求書を交付する場合、適格請求書には、組合員全ての「氏名又は名称及び登録番号」を記載する必要がありますか。

任意組合等の事業として行われる取引については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、業務執行組合員が、その旨を記載した届出書に、当該任意組合等の契約書の写しを添付し、納税地を所轄する税務署長に提出した場合に限り、適格請求書を交付することができます(新消法57の6①、新消令70の14①)。

この場合、交付する適格請求書に記載する「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」は、原則として組合員全員のものを記載することとなりますが、次の事項(①及び②)を記載することも認められます(新消令70の14⑤)。

その任意組合等の、いずれかの組合員の「氏名又は名称及び登録番号」(一又は複数の組合員の「氏名又は名称及び登録番号」で差し支えありません。)
その任意組合等の名称

★リンクはこちら→ 民法上の任意組合(組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、その旨の届出書を所轄税務署長に提出しています。)の事業として行った取引について、適格請求書を交付する場合、適格請求書には、組合員全ての「氏名又は名称及び登録番号」を記載する必要がありますか。

2023年8月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問72>
当社は、日用雑貨の卸売を行う事業者です。当社では、軽減税率の適用対象となる商品の販売がありません。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次の請求書を取引先に交付しています。当社が交付する請求書を適格請求書とするためには、記載内容にどのような変更が必要でしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

適格請求書の記載事項は、次のとおりです(区分記載請求書等保存方式における請求書等の記載事項に加え、①、④及び⑤の下線部分が追加されます。)(新消法57の4①)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

このため、貴社の対応としては、次の記載例のように、適格請求書として必要な事項(上記①、④及び⑤の下線部分)を記載することが必要です。

ご質問のように、販売する商品が軽減税率の適用対象とならないもののみであれば、「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載は不要であり、これまでと同様に課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)の記載があれば、結果として「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」の記載があるものとなります。

なお、適用税率(10%)や消費税額等の記載が必要となる点には、ご留意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、日用雑貨の卸売を行う事業者です。当社では、軽減税率の適用対象となる商品の販売がありません。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次の請求書を取引先に交付しています。当社が交付する請求書を適格請求書とするためには、記載内容にどのような変更が必要でしょうか。【平成30年11月追加】【令和2年9月改訂】

2023年8月9日


<インボイス制度に関するQ&A 問71>
適格請求書の記載事項である「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載方法について教えてください。【令和5年4月追加】

適格請求書の記載事項である「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載については、軽減税率が適用された課税資産の譲渡等であることが客観的に明らかであるといえる程度の表示がされていればよく、個々の取引ごとに適用税率が記載されている場合のほか、例えば、以下のような場合も認められます(軽減通達18)。

同一の適格請求書において、軽減対象資産の譲渡等に該当する取引内容ごとに軽減対象資産の譲渡等であることを示す記号、番号等を表示し、かつ、当該適格請求書において当該記号、番号等が軽減対象資産の譲渡等に係るものであることとして表示されている場合
同一の適格請求書において、軽減対象資産の譲渡等に該当する取引内容を区分し、当該区分して記載された軽減対象資産の譲渡等に該当する取引内容につき軽減対象資産の譲渡等であることが表示されている場合
軽減対象資産の譲渡等に係る適格請求書と軽減対象資産の譲渡等以外のものに係る適格請求書とが区分して作成され、当該区分された軽減対象資産の譲渡等に係る適格請求書に、記載された取引内容が軽減対象資産の譲渡等であることが表示されている場合

★リンクはこちら→ 適格請求書の記載事項である「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載方法について教えてください。【令和5年4月追加】

2023年8月7日


<インボイス制度に関するQ&A 問70>
当社は、EDI取引を行っており、受発注や納品などの日々の取引については、取引先と電磁的記録を交換することにより行っています。ただし、請求書については、月まとめで、書面により取引先に交付しています。請求書を適格請求書とするために、請求書には、以下のように登録番号等の記載を行い、日々の取引の明細については、電磁的記録である請求明細(税率ごとに分けて作成します。)を参照しようと考えています。このような場合であっても、適格請求書を交付したことになりますか。
(注)EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。

適格請求書とは、次の事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいますが、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、書類相互(書類と電磁的記録)の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法で交付されていれば、複数の書類や、書類と電磁的記録の全体により、適格請求書の記載事項を満たすことになります。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 課税資産の譲渡等を行った年月日
  3. 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減税率の対象となるものであれば、その内容及び軽減税率の対象である旨)
  4. 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 適格請求書の交付を受ける事業者の氏名又は名称

したがって、ご質問の場合、課税資産の譲渡等の内容(軽減税率の対象である旨を含みます。)を含む請求明細に係る電磁的記録を提供した上で、それ以外の記載事項のある月まとめの請求書を交付することで、これら全体により、適格請求書の記載事項を満たすことになります。

なお、請求明細に係る電磁的記録については、提供した適格請求書に係る電磁的記録と同様の措置等を行い、保存する必要があります。

提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存方法については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、EDI取引を行っており、受発注や納品などの日々の取引については、取引先と電磁的記録を交換することにより行っています。ただし、請求書については、月まとめで、書面により取引先に交付しています。請求書を適格請求書とするために、請求書には、以下のように登録番号等の記載を行い、日々の取引の明細については、電磁的記録である請求明細(税率ごとに分けて作成します。)を参照しようと考えています。このような場合であっても、適格請求書を交付したことになりますか。

2023年8月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問69>
当社で主催する演劇の入場券について、一定の販売方法においては、券面金額から一定金額を値引きして販売しています。例えば、12,000円の入場券について、1,000円引きの11,000円で販売しています。このような場合において、当該入場券と引換えに行う演劇に係る適格請求書(又は適格簡易請求書)の記載事項はどのようになりますか。【令和4年11月追加】

適格請求書(又は適格簡易請求書)に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額(又は税込価額)を税率ごとに区分して合計した金額」は、売手において課税売上げとして計上する金額を基礎として記載することとなります。

この点、貴社は、当該入場券を11,000円で販売しているとのことですので、当該入場券と引換えに行う演劇(役務の提供)の対価(課税売上げとして計上する金額)は、11,000円となります。

したがって、当該入場券と引換えに行う演劇について適格請求書(又は適格簡易請求書)を交付する場合、当該適格請求書等に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額(又は税込価額)を税率ごとに区分して合計した金額」は、券面金額としている12,000円ではなく、実際に受領した金額11,000円を基礎とした金額となります。

★リンクはこちら→ 当社で主催する演劇の入場券について、一定の販売方法においては、券面金額から一定金額を値引きして販売しています。例えば、12,000円の入場券について、1,000円引きの11,000円で販売しています。このような場合において、当該入場券と引換えに行う演劇に係る適格請求書(又は適格簡易請求書)の記載事項はどのようになりますか。【令和4年11月追加】

2023年8月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問68>
当社は、事業者に対して食料品などの卸売を行っています。取引先に対する請求に際して、当該請求金額の合計額の端数を値引きすることがあるのですが(いわゆる「出精値引き」)、適格請求書等保存方式においては、請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和4年4月追加】【令和5年4月改訂】

ご質問のように課税資産の譲渡等の対価の額の端数を値引きする場合、値引きの時期が課税資産の譲渡等を行う前か後かで以下のように対応が分けられます。

既に行った課税資産の譲渡等の対価の額に係る値引きである場合、売上げに係る対価の返還等として処理する
これから行う課税資産の譲渡等の対価の額に係る値引きである場合(課税資産の譲渡等を行う際に当該課税資産の譲渡等の対価の額を減額している場合)、課税資産の譲渡等の対価の額から直接減額して処理する

なお、値引きの時期が課税資産の譲渡等を行う前か後かについて厳密な区分が困難である場合は、①と②のいずれの処理を行っても差し支えありません。

1.売上げに係る対価の返還等として処理する方法(上記①)
既に行った課税資産の譲渡等の対価の額の端数の値引きである場合、当該課税資産の譲渡等に対する値引きについては適格返還請求書を交付することとなりますが、適格請求書と適格返還請求書のそれぞれの記載事項を満たして一の書類で記載することもできます。

この場合、貴社が行う出精値引きは既に行った個々の取引のいずれかに対して値引きを行う性質のものではなく、その請求全体に対して値引きを行うものであるため、適格返還請求書の記載事項である「売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」は、適格請求書の記載事項である「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」と同一となることから、記載する必要はありません。

また、例えば、標準税率の取引のみを行っているなど、取引に係る適用税率が単一である場合、適格返還請求書の記載事項である売上げに係る対価の返還等の金額に係る「適用税率」に関しても同様に、適格請求書の記載事項である「適用税率」とは別に記載する必要はありません。

なお、適格返還請求書は、売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率のいずれか一方のみの記載が求められている(両方記載することも可能です。)ことから、適用税率を記載した場合は、「売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等」の記載を省略することができます。

貴社が帳簿に記載する「売上げに係る対価の返還等に係る課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」については、端数値引きによる対価の返還等であることが明らかな記載であれば問題ありません。

2.課税資産の譲渡等の対価の額から直接減額して処理する方法(上記②)
これから行う課税資産の譲渡等の値引きである場合、課税資産の譲渡等の対価の額から直接減額して処理することとなりますので、適格請求書には、値引き後の対価の額に係る消費税額等の記載が必要となります。

また、標準税率及び軽減税率対象の取引を同時に行う場合の出精値引きについては、当該出精値引額をその資産の譲渡等の価額の比率によりあん分し、適用税率ごとに区分する必要があります。

なお、この場合において、例えば、標準税率対象のものからのみ値引きを行うとしても値引額又は値引き後の対価の額が明らかとなっていれば、合理的に区分されているものに該当します(軽減通達15)。

軽減対象資産の譲渡等とそれ以外の資産の譲渡等を一括して値引きする場合の適格簡易請求書の記載方法については、問 67《一括値引きがある場合の適格簡易請求書の記載》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、事業者に対して食料品などの卸売を行っています。取引先に対する請求に際して、当該請求金額の合計額の端数を値引きすることがあるのですが(いわゆる「出精値引き」)、適格請求書等保存方式においては、請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和4年4月追加】【令和5年4月改訂】

2023年7月31日


<インボイス制度に関するQ&A 問67>
当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。当社では、飲食料品と飲食料品以外のものを同時に販売した際に、合計金額(税込み)から1,000 円の値引きができる割引券を発行しています。令和5年10月から、顧客が割引券を使用し、値引きを行った場合、当社が発行するレシートには、どのような記載が必要となりますか。【平成30年11月追加】

飲食料品と飲食料品以外の資産を同時に譲渡し、割引券等の利用により、その合計額から一括して値引きを行う場合、税率ごとに区分した値引き後の課税資産の譲渡等の対価の額に対してそれぞれ消費税が課されることとなります。

そのため、適格簡易請求書であるレシート等における「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」は、値引き後のものを明らかにする必要があります。

なお、税率ごとに区分された値引き前の課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額と税率ごとに区分された値引額がレシート等において明らかとなっている場合は、これらにより値引き後の課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額が確認できるため、このような場合であっても、値引き後の「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」が明らかにされているものとして取り扱われます。

また、レシート等に記載する「消費税額等」については、値引き後の「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」から計算することとなります。

ご質問の場合、レシートの記載方法としては次のようなものがあります。

★リンクはこちら→ 当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。当社では、飲食料品と飲食料品以外のものを同時に販売した際に、合計金額(税込み)から1,000 円の値引きができる割引券を発行しています。令和5年10月から、顧客が割引券を使用し、値引きを行った場合、当社が発行するレシートには、どのような記載が必要となりますか。【平成30年11月追加】

2023年7月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問66>
当社は、米ドル建てにより取引を行っており、当該取引に係る資産の譲渡等の対価の額については、法人税における処理と同様に取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っています。このような外貨建取引に係る適格請求書は、どのように記載すればよいですか。【令和4年4月追加】【令和4年11月改訂】

米ドルなどの外貨建てによる取引であっても、適格請求書に記載が必要な事項は問52《適格請求書に記載が必要な事項》と同様ですが、「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を除き、記載事項を外国語や外貨により記載しても問題ありません。

しかし、外貨建てによる取引であっても、「税率の異なるごとに区分した消費税額等」については、円換算した金額を記載する必要があります。

具体的には、以下のいずれかの計算方法により、円換算して「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を算出することとなります。

  1. 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税抜)を円換算後、消費税額等を算出する方法
  2. 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税込)を円換算後、消費税額等を算出する方法
  3. 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税抜)から計算過程の消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税込)から計算過程の消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法

★リンクはこちら→ 当社は、米ドル建てにより取引を行っており、当該取引に係る資産の譲渡等の対価の額については、法人税における処理と同様に取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っています。このような外貨建取引に係る適格請求書は、どのように記載すればよいですか。【令和4年4月追加】【令和4年11月改訂】

2023年7月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問65>
当社は、商品の納品の都度、取引先に納品書を交付しており、そこには、当社の名称、商品名、納品書ごとの合計金額を記載しています。令和5年10月から、納品書に税率ごとに区分して合計した税込価額、適用税率と納品書ごとに計算した消費税額等の記載を追加するとともに、請求書に登録番号の記載を追加すれば、納品書と請求書を合わせて適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。また、その場合、端数処理はどのように行えばよいでしょうか。【平成30年11月追加】【令和4年4月改訂】

適格請求書とは、必要な事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいますが、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法(例えば、請求書に納品書番号を記載する方法など)で交付されていれば、これら複数の書類に記載された事項により適格請求書の記載事項を満たすことができます(インボイス通達3-1)。

このため、ご質問のように納品書に「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率」及び「税率ごとに区分した消費税額等」の記載を追加するとともに、「登録番号」を請求書に記載した場合は、納品書と請求書を合わせて適格請求書の記載事項を満たすこととなります。

この場合、納品書に「税率ごとに区分した消費税額等」を記載するため、納品書につき税率ごとに1回の端数処理を行うこととなります。

★リンクはこちら→ 当社は、商品の納品の都度、取引先に納品書を交付しており、そこには、当社の名称、商品名、納品書ごとの合計金額を記載しています。令和5年10月から、納品書に税率ごとに区分して合計した税込価額、適用税率と納品書ごとに計算した消費税額等の記載を追加するとともに、請求書に登録番号の記載を追加すれば、納品書と請求書を合わせて適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。また、その場合、端数処理はどのように行えばよいでしょうか。【平成30年11月追加】【令和4年4月改訂】

2023年7月24日


<インボイス制度に関するQ&A 問64>
当社は、複数の事業所がある顧客に対しては、その事業所ごとに契約を締結し取引を行っています。一方、請求書は、以下のように複数の契約をまとめて交付しています。現在、契約ごとに消費税額等の端数処理を行い、ご請求金額欄における消費税額等はその端数処理をした消費税額等の合計額を記載していますが、令和5年10月から、この請求書に登録番号を追加すれば適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。【令和4年11月追加】

適格請求書に記載する消費税額等は、適格請求書に記載した税率ごとに合計した課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額に、一定の割合(税抜価額の場合100分の10(又は100分の8)、税込価額の場合110分の10(又は108分の8)を乗じて算出し、その算出した消費税額等に1円未満の端数が生じた場合にその端数を処理するため、適格請求書に記載する消費税額等の端数処理は一の適格請求書につき、税率ごとに1回行うこととなります(新消令70の10、インボイス通達3-12)。

ご質問の請求書については、契約ごとに課税資産の譲渡等の税抜金額及び消費税額等を記載しているものですが、一の書類として交付しているものであるため、この書類を適格請求書とする場合、当該一の書類に係る課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額の合計額から消費税額等を算出する必要があります。

この点、ご質問の請求書に記載されている消費税額等は、契約ごとの課税資産の譲渡等の税抜価額から算出して端数処理した消費税額等を合計しているため、適格請求書の記載事項を満たしません。

なお、例えば、以下の場合のように、課税資産の譲渡等の税込価額を合計し、その合計金額から算出した消費税額等を記載することにより、適格請求書の記載事項である消費税額等とすることができます。

この場合、契約ごとに算出した消費税額等を参考として記載することは問題ありませんが、法令で求められる適格請求書の記載事項としての消費税額等にはなりませんのでご留意ください。

★リンクはこちら→ 当社は、複数の事業所がある顧客に対しては、その事業所ごとに契約を締結し取引を行っています。一方、請求書は、以下のように複数の契約をまとめて交付しています。現在、契約ごとに消費税額等の端数処理を行い、ご請求金額欄における消費税額等はその端数処理をした消費税額等の合計額を記載していますが、令和5年10月から、この請求書に登録番号を追加すれば適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。【令和4年11月追加】

2023年7月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問63>
当社は、書類に代えて、インターネットを利用して電子メールで請求書に係る電磁的記録を提供しています。適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供できるそうですが、この電磁的記録には、どのような内容を記録する必要がありますか。

適格請求書とは、次の事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいますが、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、交付された複数の書類相互の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引内容を正確に認識できる方法(例えば、請求書に納品書番号を記載するなど)で交付されていれば、その複数の書類の全体により適格請求書の記載事項を満たすことになります(インボイス通達3-1)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
適格請求書の交付を受ける事業者の氏名又は名称

したがって、ご質問の場合、次の対応が考えられます。

1.請求書に適格請求書として必要な事項を全て記載する場合
適格請求書として必要な事項を全て記載することにより、請求書の交付のみをもって、適格請求書の交付義務を果たすことができます。この場合、納品書の様式を変更していただく必要はありません。
【適格請求書として必要な記載事項を全て請求書に記載する場合の記載例】

2.請求書のみでは適格請求書の記載事項が不足するため、納品書で不足する記載事項を補完する場合
請求書に、登録番号、税率ごとに区分した消費税額等及び適用税率を記載するとともに、日々の取引の内容(軽減税率の対象である旨を含みます。)については、納品書に記載することにより、2種類の書類で適格請求書の記載事項を満たすことができます。
したがって、この場合、請求書と納品書を交付することにより、適格請求書の交付義務を果たすことができます。
【請求書に不足する適格請求書の記載事項を納品書で補完する場合の記載例】

★リンクはこちら→ 当社は、書類に代えて、インターネットを利用して電子メールで請求書に係る電磁的記録を提供しています。適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供できるそうですが、この電磁的記録には、どのような内容を記録する必要がありますか。

2023年7月18日


<インボイス制度に関するQ&A 問62
当社は、書類に代えて、インターネットを利用して電子メールで請求書に係る電磁的記録を提供しています。適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供できるそうですが、この電磁的記録には、どのような内容を記録する必要がありますか。

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは適格請求書を交付しなければなりませんが、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4①⑤)。

なお、提供する電磁的記録は、次のとおり適格請求書の記載事項と同じ内容の記録である必要があります。

電磁的記録を提供する適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
電磁的記録の提供を受ける事業者の氏名又は名称

また、電磁的記録による提供方法については、問32《適格請求書に係る電磁的記録による提供》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、書類に代えて、インターネットを利用して電子メールで請求書に係る電磁的記録を提供しています。適格請求書に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供できるそうですが、この電磁的記録には、どのような内容を記録する必要がありますか。

2023年7月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問61
当社は、販売促進の目的で、一定の商品を対象として、取引高に応じて、取引先(当社の売上先)に販売奨励金を支払うこととしています。 販売奨励金の精算に当たっては、取引先から交付される奨励金請求書に基づき支払い、消費税については、売上げに係る対価の返還等として処理しています。この場合、適格請求書等保存方式においては、当社から取引先に対して、改めて、適格返還請求書を交付する必要がありますか。【平成30年11月追加】【令和5年4月改訂】

ご質問の販売奨励金は、貴社の売上げに係る対価の返還等に該当します(基通14-1-2)ので、貴社は、取引先に対し、適格返還請求書を交付する義務があります(新消法57の4③)。

適格返還請求書の記載事項は、次のとおりです。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えありません。)
売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
売上げに係る対価の返還等の金額に係る税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率

ご質問の場合、取引先が作成する書類である奨励金請求書に販売奨励金に関する適格返還請求書として必要な事項が記載されていれば、貴社と取引先との間で、貴社の売上げに係る対価の返還等の内容について記載された書類が共有されていますので、貴社は、改めて、適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、販売促進の目的で、一定の商品を対象として、取引高に応じて、取引先(当社の売上先)に販売奨励金を支払うこととしています。 販売奨励金の精算に当たっては、取引先から交付される奨励金請求書に基づき支払い、消費税については、売上げに係る対価の返還等として処理しています。この場合、適格請求書等保存方式においては、当社から取引先に対して、改めて、適格返還請求書を交付する必要がありますか。【平成30年11月追加】【令和5年4月改訂】

2023年7月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問60
当社は、事業者に対して食料品及び日用雑貨の卸売を行っています。取引先と販売奨励金に係る契約を締結しており、一定の商品を対象として、取引高に応じて、取引先に販売奨励金を支払うこととしています。また、販売奨励金の精算に当たっては、当月分の請求書において、当月分の請求金額から前月分の販売奨励金の金額を控除する形式で行っています。適格請求書等保存方式においては、請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和5年4月改訂】

ご質問の販売奨励金は、貴社の売上げに係る対価の返還等に該当します。

したがって、貴社は、取引先に対し、課税資産の譲渡等と売上げに係る対価の返還等を行っていることから、取引先に対し、適格請求書と適格返還請求書を交付する義務があります。

この場合において、貴社が交付する請求書に、適格請求書と適格返還請求書それぞれに必要な記載事項を記載して1枚の書類で交付することも可能です。

具体的には、当月販売した商品について、適格請求書として必要な事項を記載するとともに、前月分の販売奨励金について、適格返還請求書として必要な事項を記載すれば、1枚の請求書を交付することで差し支えありません。

また、継続して、課税資産の譲渡等の対価の額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を税率ごとに請求書等に記載することで、適格請求書に記載すべき「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」と適格返還請求書に記載すべき「売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等」の記載を満たすこともできます(インボイス通達3-16)。

(注)
この場合、課税資産の譲渡等の金額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額に基づく消費税額等の計算については、税率ごとに1回の端数処理となります。

★リンクはこちら→ 当社は、事業者に対して食料品及び日用雑貨の卸売を行っています。取引先と販売奨励金に係る契約を締結しており、一定の商品を対象として、取引高に応じて、取引先に販売奨励金を支払うこととしています。また、販売奨励金の精算に当たっては、当月分の請求書において、当月分の請求金額から前月分の販売奨励金の金額を控除する形式で行っています。適格請求書等保存方式においては、請求書の記載についてどのような対応が必要ですか。【令和5年4月改訂】

2023年7月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問59
適格返還請求書には、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」を記載する必要があるとのことですが、日々、商品の返品が行われているため、個々の商品について正確な販売年月日を把握することが困難です。そのため、例えば、10月中に返品を受けた商品は、前月である9月中に販売したものの返品として処理している場合には「9月末日」を、同商品について最後に販売したものの返品として処理している場合には「最終販売年月日」を、それぞれ「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」として記載することも認められるでしょうか。【令和元年7月追加】

適格請求書発行事業者には、課税事業者に対して売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書を交付する義務が課されており、適格返還請求書には、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」を記載することとされています(新消法 57の4③)。

この点、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」は、課税期間の範囲内で一定の期間の記載で差し支えありませんので、例えば、月単位や「○月~△月分」といった記載も認められることとなります。

他方、返品等の処理を合理的な方法により継続して行っているのであれば、当該返品等の処理に基づき合理的と認められる年月日を記載することとしても差し支えありませんので、ご質問のように「前月末日」や「最終販売年月日」を「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」として記載することも、そのような処理が合理的な方法として継続して行われているのであれば、認められることとなります。

なお、その年月日が、適格請求書発行事業者の登録前の期間に属するものであるときは、適格返還請求書の交付義務はありません(インボイス通達3-14)。

★リンクはこちら→ 適格返還請求書には、「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」を記載する必要があるとのことですが、日々、商品の返品が行われているため、個々の商品について正確な販売年月日を把握することが困難です。そのため、例えば、10月中に返品を受けた商品は、前月である9月中に販売したものの返品として処理している場合には「9月末日」を、同商品について最後に販売したものの返品として処理している場合には「最終販売年月日」を、それぞれ「売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」として記載することも認められるでしょうか。【令和元年7月追加】

2023年7月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問58
適格返還請求書の記載事項について教えてください。【令和5年4月改訂】

適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4③)。

適格返還請求書の記載事項は、次のとおりです。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
売上げに係る対価の返還等を行う年月日及びその売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日(適格請求書を交付した売上げに係るものについては、課税期間の範囲で一定の期間の記載で差し支えありません。)
売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
売上げに係る対価の返還等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率

(注)
売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除されます(新消法 57の4③、新消令 70の9③二)。ここでいう1万円未満の判定単位については、問 29《少額な対価返還等に係る適格返還請求書の交付義務免除に係る1万円未満の判定単位》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格返還請求書の記載事項について教えてください。【令和5年4月改訂】

2023年7月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問57
当社は、小売業(スーパーマーケット)を経営する事業者です。当社のレジシステムで買い物客に発行するレシートは、一般の商品は、税抜価額を記載していますが、たばこなどの一部の商品は税込価額を記載しています。この場合、適格簡易請求書に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、どのように算出すればよいのですか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(新消令70の10、インボイス通達3-12)。

この取扱いについては、適格簡易請求書に消費税額の記載を行う場合についても同様です。

ご質問のように、一の適格簡易請求書において、税抜価額を記載した商品と税込価額を記載した商品が混在するような場合、いずれかに統一して「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した額」を記載するとともに、これに基づいて「税率ごとに区分した消費税額等」を算出して記載する必要があります。

なお、税抜価額又は税込価額のいずれかに統一して「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した額」を記載する際における1円未満の端数処理については、「税率ごとに区分した消費税額等」を算出する際の端数処理ではありませんので、この場合にどのように端数処理を行うかについては、事業者の任意となります。

ただし、たばこなど、法令・条例の規定により「税込みの小売定価」が定められている商品や再販売価格維持制度の対象となる商品と、税抜価額で記載するその他の商品を合わせて一の適格簡易請求書に記載する場合については、「税込みの小売定価」を税抜化せず、「税込みの小売定価」を合計した金額及び「税率の異なるごとの税抜価額」を合計した金額を表示し、それぞれを基礎として消費税額等を算出し、算出したそれぞれの金額について端数処理して記載することとしても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社は、小売業(スーパーマーケット)を経営する事業者です。当社のレジシステムで買い物客に発行するレシートは、一般の商品は、税抜価額を記載していますが、たばこなどの一部の商品は税込価額を記載しています。この場合、適格簡易請求書に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、どのように算出すればよいのですか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

2023年6月30日


<インボイス制度に関するQ&A 問56
当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次のレシートを取引先に交付しています。小売業などは、適格請求書の交付に代えて、記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができるそうですが、その記載事項について教えてください。【令和4年4月改訂】

適格請求書等保存方式においては、適格請求書発行事業者が、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業(適格簡易請求書を交付することができる事業については問25《適格簡易請求書の交付ができる事業》をご参照ください。)を行う場合には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます(新消法57の4②、新消令70の11)。

適格簡易請求書の記載事項は、適格請求書の記載事項よりも簡易なものとされており、適格請求書の記載事項と比べると、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要である点、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りる点が異なります。

なお、具体的な記載事項は、次のとおりです。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率()

「税率ごとに区分した消費税額等」と「適用税率」を両方記載することも可能です。

(注)
上記の記載事項のうち、①の登録番号を記載しないで作成したレシートは、令和元年10月1日から令和5年9月30日(適格請求書等保存方式の開始前)までの間における区分記載請求書等に該当します。

(参考)
これまでも仕入税額控除の要件として保存が必要な請求書等の記載事項について、小売業など不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業に係るものである場合には、請求書等の交付を受ける相手方の氏名又は名称の記載は不要とされています(消法30⑨一)。

★リンクはこちら→ 当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次のレシートを取引先に交付しています。小売業などは、適格請求書の交付に代えて、記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができるそうですが、その記載事項について教えてください。【令和4年4月改訂】

2023年6月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問55
適格請求書には、税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要となるそうですが、消費税額等を計算する際の1円未満の端数処理はどのように行えばよいですか。【令和3年7月改訂】

適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(新消令70の10、インボイス通達3-12)。
なお、切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすることができます。
(注) 一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません。

★リンクはこちら→ 適格請求書には、税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要となるそうですが、消費税額等を計算する際の1円未満の端数処理はどのように行えばよいですか。【令和3年7月改訂】

2023年6月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問54
現在、当社は、名称に代えて、取引先と共有する取引先コード(取引先コード表により当社の名称等の情報を共有しています。)を請求書に記載しています。取引先コードの内容に登録番号を追加することにより、適格請求書の記載事項
を満たすことになりますか。

適格請求書には、「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」の記載が必要となります(新消法57の4①一)。

登録番号と紐付けて管理されている取引先コード表などを適格請求書発行事業者と相手先の間で共有しており、買手においても取引先コードから登録番号が確認できる場合には、取引先コードの表示により「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」の記載があると認められます。

したがって、貴社の請求書は、適格請求書の記載事項を満たすことになります(インボイス通達3-3)。

なお、売手が適格請求書発行事業者でなくなった場合は、速やかに取引先コード表を修正する必要があるほか、事後的な確認を行うために、売手が適格請求書発行事業者である期間が確認できる措置を講じておく必要があります。

★リンクはこちら→ 現在、当社は、名称に代えて、取引先と共有する取引先コード(取引先コード表により当社の名称等の情報を共有しています。)を請求書に記載しています。取引先コードの内容に登録番号を追加することにより、適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。

2023年6月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問53
現在、当社は、請求書を交付する際に記載する名称について、屋号を使用しています。適格請求書に記載する名称も屋号で認められますか。

現行、請求書等に記載する名称については、例えば、請求書に電話番号を記載するなどし、請求書を交付する事業者を特定することができる場合、屋号や省略した名称などの記載でも差し支えありません。

適格請求書に記載する名称についても同様に、例えば、電話番号を記載するなどし、適格請求書を交付する事業者を特定することができれば、屋号や省略した名称などの記載でも差し支えありません。

★リンクはこちら→ 現在、当社は、請求書を交付する際に記載する名称について、屋号を使用しています。適格請求書に記載する名称も屋号で認められますか。

2023年6月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問52
当社は、事業者に対して飲食料品及び日用雑貨の卸売を行っています。軽減税率制度の実施後、買手の仕入税額控除のための請求書等の記載事項を満たすものとして、次の請求書を取引先に交付しています。今後、令和5年10月からの適格請求書等保存方式の開始を踏まえ、適格請求書の記載事項を満たす請求書を取引先に交付したいと考えていますが、どのような対応が必要ですか。【令和4年4月改訂】

適格請求書には、次の事項が記載されていることが必要です(区分記載請求書等保存方式における請求書等の記載事項に加え、①、④及び⑤の下線部分が追加されます。)(新消法57の4①)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲
渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

このため、貴社の対応としては、次の記載例のように、適格請求書として必要な事項(上記①、④及び⑤の下線部分)を記載することが必要です。

(注)上記の記載事項のうち、①の登録番号を記載しないで作成した請求書等は、令和元年10月1日から実施された軽減税率制度における区分記載請求書等として取り扱われます。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書発行事業者です。適格請求書発行事業者でない事業者と共有している建物を売却することになりましたが、適格請求書はどのように交付すればよいですか。

2023年6月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問51>
当社は、適格請求書発行事業者です。適格請求書発行事業者でない事業者と共有している建物を売却することになりましたが、適格請求書はどのように交付すればよいですか。

適格請求書発行事業者が適格請求書発行事業者以外の者と資産を共有している場合、その資産の譲渡や貸付けについては、所有者ごとに取引を合理的に区分し、相手方の求めがある場合には、適格請求書発行事業者の所有割合に応じた部分について、適格請求書を交付しなければなりません(インボイス通達3-5)。

したがって、貴社は、建物の売却代金のうち、貴社の所有割合(例えば持分など)に対応する部分を基礎として、適格請求書を交付することとなります。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書発行事業者です。適格請求書発行事業者でない事業者と共有している建物を売却することになりましたが、適格請求書はどのように交付すればよいですか。

2023年6月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問50>
当社は、取引先数社と任意組合であるJVを組成し、建設工事を行っています。このような任意組合により事業を行う場合、取引の相手方に対し、どのように適格請求書を交付すればよいですか。【令和3年7月改訂】

民法第667条第1項に規定する組合契約によって成立する組合、投資事業有限責任組合契約に関する法律第2条第2項に規定する投資事業有限責任組合若しくは有限責任事業組合契約に関する法律第2条に規定する有限責任事業組合又は外国の法令に基づいて設立された団体であってこれらの組合に類似するもの(以下「任意組合等」といいます。)が事業として行う課税資産の譲渡等については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、民法第670条第3項に規定する業務執行者などの業務執行組合員が、納税地を所轄する税務署長に「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出した場合に限り、適格請求書を交付することができます(新消法57の6①、新消令70の14①②)。

この場合、任意組合等のいずれかの組合員が適格請求書を交付することができ、その写しの保存は、適格請求書を交付した組合員が行うこととなります。

なお、次の場合に該当することとなったときは、該当することとなった日以後の取引について、適格請求書を交付することができなくなります。

適格請求書発行事業者でない新たな組合員を加入させた場合
当該任意組合等の組合員のいずれかが適格請求書発行事業者でなくなった場合

これらの場合に該当することとなったときは、業務執行組合員が速やかに納税地を所轄する税務署長に「任意組合等の組合員が適格請求書発行事業者でなくなった旨等の届出書」を提出しなければなりません(新消法57の6②)。

(参考)
任意組合等の事業に係る適格請求書の記載事項については問73《任意組合が交付する適格請求書の記載事項》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社は、取引先数社と任意組合であるJVを組成し、建設工事を行っています。このような任意組合により事業を行う場合、取引の相手方に対し、どのように適格請求書を交付すればよいですか。【令和3年7月改訂】

2023年6月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問49>
当社(受託者)は、複数の取引先(委託者)から委託を受けて、受託販売を行っています。一の売上先に対して、複数の取引先の商品の販売を行うことがあり、その場合、媒介者交付特例により、当社が一括して適格請求書を交付することは可能でしょうか。【平成30年11月追加】【令和4年11月改訂】

次の①及び②の要件を満たすことにより、媒介又は取次ぎを行う者である受託者が、委託者の課税資産の譲渡等について、自己(受託者)の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書又は適格請求書に係る電磁的記録を、委託者に代わって、購入者に交付し、又は提供することができます(新消令70の12①)。

委託者及び受託者が適格請求書発行事業者であること
委託者が受託者に、自己が適格請求書発行事業者の登録を受けている旨を取引前までに通知していること(通知の方法としては、個々の取引の都度、事前に登録番号を書面等により通知する方法のほか、例えば、基本契約等により委託者の登録番号を記載する方法などがあります(インボイス通達3-7)。)

この媒介者交付特例の適用により、ご質問のように複数の委託者に係る商品を一の売上先に販売した場合であっても、1枚の適格請求書により交付を行うことが可能です。

この場合、適格請求書の記載事項である課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額は、委託者ごとに記載し、消費税額等の端数処理についても委託者ごとに行うことが原則となります。

ただし、受託者が交付する適格請求書単位で、複数の委託者の取引を一括して記載し、消費税額等の端数処理を行うことも差し支えありません。

この場合において、受託者が各委託者に適格請求書の写しに替えて交付する精算書等(適格請求書の写しに替えて精算書等の書類等を交付することで差し支えない場合については、48《媒介者交付特例》の【受託者の対応(新消令70の12①③)】をご参照ください。)に記載する消費税額等の合計額と、売上先に交付した適格請求書に記載した消費税額等とが必ずしも一致しないことも生じますが、各委託者の税込対価の合計額から消費税額等を計算するなど、合理的な方法によることとしている場合には差し支えありません。

また、委託者に適格請求書発行事業者とそれ以外の者が混在していたとしても、適格請求書発行事業者とそれ以外の者とに区分することにより、適格請求書発行事業者に係るもののみを適格請求書とすることができます。

★リンクはこちら→ 当社(受託者)は、複数の取引先(委託者)から委託を受けて、受託販売を行っています。一の売上先に対して、複数の取引先の商品の販売を行うことがあり、その場合、媒介者交付特例により、当社が一括して適格請求書を交付することは可能でしょうか。【平成30年11月追加】【令和4年11月改訂】

2023年6月9日


<インボイス制度に関するQ&A 問48>
当社(委託者)は、取引先(受託者)に商品の販売を委託し、委託販売を行っています。これまで、販売した商品の納品書は取引先から購入者に交付していましたが、この納品書を適格請求書として交付することはできますか。なお、当社と取引先はいずれも適格請求書発行事業者です。【令和4年11月改訂】

適格請求書発行事業者には、課税資産の譲渡等を行った場合、課税事業者からの求めに応じて適格請求書の交付義務が課されています(新消法57の4①)。

委託販売の場合、購入者に対して課税資産の譲渡等を行っているのは、委託者ですから、本来、委託者が購入者に対して適格請求書を交付しなければなりません。

このような場合、受託者が委託者を代理して、委託者の氏名又は名称及び登録番号を記載した、委託者の適格請求書を、相手方に交付することも認められます(代理交付)。

また、次の①及び②の要件を満たすことにより、媒介又は取次ぎを行う者である受託者が、委託者の課税資産の譲渡等について、自己の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書又は適格請求書に係る電磁的記録を、委託者に代わって、購入者に交付し、又は提供することができます(以下「媒介者交付特例」といいます。)(新消令70の12①)。

委託者及び受託者が適格請求書発行事業者であること
委託者が受託者に、自己が適格請求書発行事業者の登録を受けている旨を取引前までに通知していること(通知の方法としては、個々の取引の都度、事前に登録番号を書面等により通知する方法のほか、例えば、基本契約等により委託者の登録番号を記載する方法などがあります(インボイス通達3-7)。)

この媒介者交付特例は、物の販売などを委託し、受託者が買手に商品を販売しているような取引だけではなく、請求書の発行事務や集金事務といった商品の販売等に付随する行為のみを委託しているような場合も対象となります。

なお、媒介者交付特例を適用する場合における受託者の対応及び委託者の対応は、次のとおりです。
【受託者の対応(新消令70の12①③)】

交付した適格請求書の写し又は提供した電磁的記録を保存する。
交付した適格請求書の写し又は提供した電磁的記録を速やかに委託者に交付又は提供する。

(注)
委託者に交付する適格請求書の写しについては、例えば、複数の委託者の商品を販売した場合や、多数の購入者に対して日々適格請求書を交付する場合などで、コピーが大量になるなど、適格請求書の写しそのものを交付することが困難な場合には、適格請求書の写しと相互の関連が明確な、精算書等の書類等を交付することで差し支えありませんが、この場合には、交付した当該精算書等の写しを保存する必要があります(インボイス通達3-8)。

なお、精算書等の書類等には、適格請求書の記載事項のうち、「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率」や「税率ごとに区分した消費税額等」など、委託者の売上税額の計算に必要な一定事項を記載する必要があります。

【委託者の対応(新消令70の12④)】

自己が適格請求書発行事業者でなくなった場合、その旨を速やかに受託者に通知する。
委託者の課税資産の譲渡等について、受託者が委託者に代わって適格請求書を交付していることから、委託者においても、受託者から交付された適格請求書の写しを保存する。

したがって、ご質問の場合は、取引先も適格請求書発行事業者ですから、貴社が取引先に自らが適格請求書発行事業者であることを通知することにより、取引先が自らの名称及び登録番号を記載した納品書を作成し、貴社の適格請求書として購入者に交付することができます。

なお、貴社は取引先から交付を受けた適格請求書の写しを保存する必要があります。

(注)
媒介者交付特例により適格請求書の交付を行う受託者が、自らの課税資産の譲渡等に係る適格請求書の交付も併せて行う場合、自らの課税資産の譲渡等と委託を受けたものを一の適格請求書に記載しても差し支えありません。

★リンクはこちら→ 当社(委託者)は、取引先(受託者)に商品の販売を委託し、委託販売を行っています。これまで、販売した商品の納品書は取引先から購入者に交付していましたが、この納品書を適格請求書として交付することはできますか。なお、当社と取引先はいずれも適格請求書発行事業者です。【令和4年11月改訂】

2023年6月7日


<インボイス制度に関するQ&A 問47>
3万円未満の自動販売機や自動サービス機による商品の販売等は、適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的にはどのようなものが該当しますか。【令和4年11月改訂】

適格請求書の交付義務が免除される自動販売機特例の対象となる自動販売機や自動サービス機とは、代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置であって、その機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結するものをいいます(インボイス通達3-11)。

したがって、例えば、自動販売機による飲食料品の販売のほか、コインロッカーやコインランドリー等によるサービス、金融機関のATMによる手数料を対価とする入出金サービスや振込サービスのように機械装置のみにより代金の受領と資産の譲渡等が完結するものが該当することとなります。

なお、小売店内に設置されたセルフレジを通じた販売のように機械装置により単に精算が行われているだけのもの、コインパーキングや自動券売機のように代金の受領と券類の発行はその機械装置で行われるものの資産の譲渡等は別途行われるようなもの及びネットバンキングのように機械装置で資産の譲渡等が行われないものは、自動販売機や自動サービス機による商品の販売等に含まれません。

(参考)
コインパーキングは、適格請求書の交付義務が免除される自動販売機特例の対象とはなりませんが、駐車場業(不特定かつ多数の者に対するもの)に該当することから、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます。

★リンクはこちら→ 3万円未満の自動販売機や自動サービス機による商品の販売等は、適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的にはどのようなものが該当しますか。【令和4年11月改訂】

2023年6月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問46>
農業協同組合等を通じた農林水産物の委託販売は、組合員等の適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的には、どのような取引が対象となりますか。

農業協同組合法に規定する農業協同組合や農事組合法人、水産業協同組合法に規定する水産業協同組合、森林組合法に規定する森林組合及び中小企業等協同組合法に規定する事業協同組合や協同組合連合会(以下これらを併せて「農協等」といいます。)の組合員その他の構成員が、農協等に対して、無条件委託方式かつ共同計算方式により販売を委託した、農林水産物の販売(その農林水産物の譲渡を行う者を特定せずに行うものに限ります。)は、適格請求書を交付することが困難な取引として、組合員等から購入者に対する適格請求書の交付義務が免除されます(新消法57の4①、新消令70の9②二ロ)。

なお、無条件委託方式及び共同計算方式とは、それぞれ、次のものをいいます(新消令70の9②二ロ、新消規26の5②)。

無条件委託方式 出荷した農林水産物について、売値、出荷時期、出荷先等の条件を付けずに、その販売を委託すること
共同計算方式 一定の期間における農林水産物の譲渡に係る対価の額をその農林水産物の種類、品質、等級その他の区分ごとに平均した価格をもって算出した金額を基礎として精算すること

また、この場合において、農林水産物を購入した事業者は、農協等が作成する一定の書類を保存することが仕入税額控除の要件となります。

仕入税額控除の要件については、問82《仕入税額控除の要件》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 農業協同組合等を通じた農林水産物の委託販売は、組合員等の適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的には、どのような取引が対象となりますか。

2023年5月31日


<インボイス制度に関するQ&A 問45>
卸売市場を通じた生鮮食料品等の委託販売は、出荷者等の適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的には、どのような取引が対象となりますか。【令和2年9月改訂】

卸売市場法に規定する卸売市場において、同法に規定する卸売業者が卸売の業務として出荷者から委託を受けて行う同法に規定する生鮮食料品等の販売は、適格請求書を交付することが困難な取引として、出荷者等から生鮮食料品等を購入した事業者に対する適格請求書の交付義務が免除されます(新消法57の4①、新消令70の9②二イ)。

本特例の対象となる卸売市場とは、

農林水産大臣の認定を受けた中央卸売市場
都道府県知事の認定を受けた地方卸売市場
①及び②に準ずる卸売市場として農林水産大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たす卸売市場のうち農林水産大臣の確認を受けた卸売市場とされています。

農林水産大臣が財務大臣と協議して定める基準は、以下の5つが定められています(令和2年農林水産省告示第683号)。

生鮮食料品等(卸売市場法第2条第1項に規定する生鮮食料品等をいいます。②についても同じです。)の卸売のために開設されていること
卸売場、自動車駐車場その他の生鮮食料品等の取引及び荷捌きに必要な施設が設けられていること
継続して開場されていること
売買取引の方法その他の市場の業務に関する事項及び当該事項を遵守させるための措置に関する事項を内容とする規程が定められていること
卸売市場法第2条第4項に規定する卸売をする業務のうち販売の委託を受けて行われるものと買い受けて行われるものが区別して管理されていること

なお、この場合において、生鮮食料品等を購入した事業者は、卸売の業務を行う事業者など媒介又は取次ぎに係る業務を行う者が作成する一定の書類を保存することが仕入税額控除の要件となります。

仕入税額控除の要件については、問82《仕入税額控除の要件》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 卸売市場を通じた生鮮食料品等の委託販売は、出荷者等の適格請求書の交付義務が免除されるそうですが、具体的には、どのような取引が対象となりますか。【令和2年9月改訂】

2023年5月29日


<インボイス制度に関するQ&A 問44>
特急列車に乗車するために支払う特急料金や駅構内に入場するために支払う入場料は、公共交通機関特例の対象になりますか。

適格請求書の交付義務が免除される公共交通機関特例の対象となるのは、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送です(新消令70の9②一)。

ご質問の特急料金、急行料金及び寝台料金は、旅客の運送に直接的に附帯する対価として、公共交通機関特例の対象となります。

他方、入場料金や手回品料金は、旅客の運送に直接的に附帯する対価ではありませんので、公共交通機関特例の対象となりません(インボイス通達3-10)。

★リンクはこちら→ 特急列車に乗車するために支払う特急料金や駅構内に入場するために支払う入場料は、公共交通機関特例の対象になりますか。

2023年5月25日


<インボイス制度に関するQ&A 問43>
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、どのような単位で判定するのですか。

適格請求書の交付義務が免除される公共交通機関特例の対象となるのは、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送です(新消令70の9②一)。

この3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、1回の取引の税込価額が3万円未満かどうかで判定します(インボイス通達3-9)。

したがって、1商品(切符1枚)ごとの金額や、月まとめ等の金額で判定することにはなりません。

【具体例】
東京-新大阪間の新幹線の大人運賃が13,000円であり、4人分の運送役務の提供を行う場合には、4人分の52,000 円で判定することとなります。

★リンクはこちら→ 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、どのような単位で判定するのですか。

2023年5月23日


<インボイス制度に関するQ&A 問42>
公共交通機関特例の対象となる公共交通機関の行う旅客の運送とは、具体的にはどのようなものですか。

適格請求書の交付義務が免除される公共交通機関特例の対象となるのは、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送で、次のものをいいます(新消令70の9②一)。

①船舶による旅客の運送
一般旅客定期航路事業(海上運送法2⑤)、人の運送をする貨物定期航路事業(同法19の6の2)、人の運送をする不定期航路事業(同法20②)(乗合旅客の運送をするものに限ります。)として行う旅客の運送(対外航路のものを除きます。)

②バスによる旅客の運送
一般乗合旅客自動車運送事業(道路運送法3-イ)として行う旅客の運送
(注)路線不定期運行(空港アクセスバス等)及び区域運行(旅客の予約等による乗合運行)も対象となります。

③鉄道・軌道による旅客の運送
・鉄道:第一種鉄道事業(鉄道事業法2②)、第二種鉄道事業(同法2③)として行う旅客の運送
・軌道(モノレール等):軌道法第3条に規定する運輸事業として行う旅客の運送

★リンクはこちら→ 公共交通機関特例の対象となる公共交通機関の行う旅客の運送とは、具体的にはどのようなものですか。

2023年5月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問41>
適格請求書の交付が困難な取引として、交付義務が免除される取引にはどのようなものがありますか。【令和2年9月改訂】

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書の交付義務が課されています(新消法57の4①)。

ただし、次の取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難なため、適格請求書の交付義務が免除されます(新消令70の9②)。

  1. 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送(以下「公共交通機関特例」といいます。)
  2. 出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
  3. 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
  4. 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等(以下「自動販売機特例」といいます。)
  5. 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

★リンクはこちら→ 適格請求書の交付が困難な取引として、交付義務が免除される取引にはどのようなものがありますか。【令和2年9月改訂】

2023年5月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問40>
工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)など、資産の譲渡等の時期の特例を適用した場合、適格請求書の交付義務はどのようになるでしょうか。【令和5年4月追加】

工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)(消法17)など、資産の譲渡等の時期の特例により、資産の譲渡等を行ったものとみなされるものについては、適格請求書の交付を要しないこととされています(新消法57の4①、新消令70の9①)。

これは、当該資産の譲渡等の時期の特例により、原則的な資産の譲渡等の時期よりも前に課税売上げを計上した際、当該特例により資産の譲渡等を行ったものとみなされる部分について、適格請求書の交付を要しないこととしているものです。

したがって、原則的な資産の譲渡等の時期において、当該資産の譲渡等に係る適格請求書の交付を要しないこととしているものではありません。

このため、例えば、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)の適用を受ける工事の請負工事については、適格請求書発行事業者は、工事完成(引渡し)時に相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書の交付義務が生じることとなります。

また、リース譲渡(所得税法第65条第1項又は法人税法第63条第1項に規定するリース譲渡に係る資産の譲渡等をいいます。)については、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)により、リース資産の譲渡(引渡し)時ではなく、支払期日ごとに当該支払期日に係るリース料部分について、課税売上げを計上することができます(消法16)。

この点、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)により、資産の譲渡等を行ったものとみなされるものについては、適格請求書の交付を要しないこととされていませんが、これは、リース資産の譲渡(引渡し)を行った時に当該リース資産の譲渡に対して、適格請求書の交付義務が生じるためであり、支払期日ごとに当該支払期日に係るリース料部分について、課税売上げを計上したものに対して適格請求書の交付義務が課されているものではありません。

★リンクはこちら→ 工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例(工事進行基準)など、資産の譲渡等の時期の特例を適用した場合、適格請求書の交付義務はどのようになるでしょうか。【令和5年4月追加】

2023年5月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問39>
当社はシステム保守を業としています。この点、定期保守については、月額22,000円(税込み)であるところ、1年間分を保守開始前に相手方から支払ってもらうこととしており、当該代金請求時において請求書を交付しています。適格請求書等保存方式の下では、この請求書を適格請求書とする予定ですが、問題ありませんか。【令和5年4月追加】

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4①)が、課税資産の譲渡等を行う前であっても、適格請求書を交付することは可能です。

したがって、貴社は、現状交付している定期保守に係る代金請求時における請求書について適格請求書として必要な事項を記載することにより、当該請求書を適格請求書とすることができます。

なお、課税資産の譲渡等を行った時において、交付した適格請求書の記載事項に変更が生じることとなった場合には、修正した適格請求書を交付する必要があります。交付した適格請求書の修正方法等の詳細については、問34《修正した適格請求書の交付方法》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当社はシステム保守を業としています。この点、定期保守については、月額 22,000 円(税込み)であるところ、1年間分を保守開始前に相手方から支払ってもらうこととしており、当該代金請求時において請求書を交付しています。適格請求書等保存方式の下では、この請求書を適格請求書とする予定ですが、問題ありませんか。【令和5年4月追加】

2023年5月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問38>
適格請求書等保存方式の下では、仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れ等に係る帳簿及び適格請求書等の保存が原則として必要になるとのことですが、令和5年10月1日前後の取引において、売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が異なる場合、適格請求書等の保存の要否についてどのように考えればよいでしょうか。【令和5年4月追加】

適格請求書等保存方式の下では、適格請求書発行事業者である売手は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合、取引の相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4①)。

また、課税事業者である買手は、仕入税額控除の要件として、原則として、課税仕入れ等に係る帳簿及び適格請求書等の保存を要することとなります(新消法30⑦⑧⑨)。

これらについては、令和5年10月1日以後に売手が行う課税資産の譲渡等及び買手が行う課税仕入れについて適用されることとなります(28年改正法附則46①)。

この点、同じ取引であっても、売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が必ずしも一致しない場合があります。

例えば、機械装置の販売において、売手が出荷基準により令和5年9月に課税売上げを計上し、買手が検収基準により令和5年10月に課税仕入れを計上するといったことも生じます。

この場合、売手においては、適格請求書等保存方式の開始前に行った取引(課税資産の譲渡等)であることから、買手から当該取引について適格請求書の交付を求められたとしても、当該取引に係る適格請求書の交付義務はありません。

このため、買手においては、原則として、売手における課税売上げの計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が令和5年10月1日以後のものとなる取引から、仕入税額控除の適用を受けるために適格請求書等を保存する必要があります。

なお、上記の例のように、売手における課税売上げの計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が令和5年9月となる取引については、買手は区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます。

(注)1
令和5年10月1日前であっても、適格請求書の記載事項を満たした請求書等を交付することとしても問題ありません。
詳細は、問74《令和5年9月30日以前の請求書への登録番号の記載》をご参照ください。

(注)2
電気料金等のように検針日基準で売上げ及び仕入れを計上している場合であって、当該検針した期間に令和5年10月1日を含んでいたとしても、検針日により売上げ及び仕入れを計上している限り、令和5年10月1日前後の取引を厳密に区分する必要はありません。

(注)3
未成工事支出金及び建設仮勘定に係る課税仕入れの計上時期について、建設工事等の目的物の引渡し又は完成の日の属する課税期間の課税仕入れとすることができます(基通11-3-5、11-3-6)。
この場合、当該引渡し等の日(課税仕入れを計上する日)が令和5年10月1日以後であったとしても、当該未成工事支出金等の基礎となる課税仕入れに含まれる令和5年10月1日前の取引については、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます。

(注)4
短期前払費用に係る課税仕入れの計上時期について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとすることができます(基通11-3-8)。
この場合、当該短期前払費用に係る取引に係る売手における課税売上げの計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が令和5年10月1日以後になるものであっても、買手において同日前までに課税仕入れを計上しているものについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます(短期前払費用について、買手における課税仕入れの計上時期が令和5年10月1日以後になる場合の取扱いに関しては、問96《短期前払費用》をご参照ください。)。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の下では、仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れ等に係る帳簿及び適格請求書等の保存が原則として必要になるとのことですが、令和5年10月1日前後の取引において、売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が異なる場合、適格請求書等の保存の要否についてどのように考えればよいでしょうか。【令和5年4月追加】

2023年5月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問37>
適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に対しては、その旨が書面等で通知されるそうですが、登録日から通知を受けるまでの間の取引については、既に請求書(区分記載請求書等の記載事項である「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」を記載しており、「税率ごとに区分した消費税額等」の記載はありません。)を交付しています。改めて、適格請求書の記載事項を満たした書類を交付しなければいけませんか。【令和5年4月改訂】

ご質問の場合、登録日から登録の通知を受けるまでの間の取引について、相手方に交付した請求書は、登録番号、税率ごとに区分した消費税額等の記載がなく適格請求書の記載事項を満たしていません。

この場合、通知を受けた後、登録番号や税率ごとに区分した消費税額等を記載し、適格請求書の記載事項を満たした請求書を改めて相手方に交付する必要がありますが、通知を受けた後に登録番号などの適格請求書の記載事項として不足する事項を相手方に書面等()で通知することで、既に交付した請求書と合わせて適格請求書の記載事項を満たすことができます(インボイス通達2-4)。

()既に交付した書類との相互の関連が明確であり、書面等の交付を受ける事業者が適格請求書の記載事項を適正に認識できるものに限ります。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に対しては、その旨が書面等で通知されるそうですが、登録日から通知を受けるまでの間の取引については、既に請求書(区分記載請求書等の記載事項である「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」を記載しており、「税率ごとに区分した消費税額等」の記載はありません。)を交付しています。改めて、適格請求書の記載事項を満たした書類を交付しなければいけませんか。【令和5年4月改訂】

2023年5月8日


<インボイス制度に関するQ&A 問36>
当社の行う建設工事等について、その建設工事等の引渡しの日において当該建設工事等の請負代金に係る請求書を交付しています。一方、建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金については、相手方との協議によりその収入すべきことが確定することから、当初交付した請求書とは別に値増金に係る請求書を交付しています。この場合、それぞれ交付している請求書を適格請求書とすることで問題ないですか。【令和4年11月追加】

建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金は、当該建設工事等の対価の一部を構成するものですが、その金額の確定時期は区々であり、必ずしも建設工事等の引渡しの時までに確定するものではありません。

そのため、相手方との協議によりその収入すべきことが確定する値増金については、その収入すべき金額が確定した日の属する課税期間の課税標準額に算入することとしています(基通9-1-7)。

このように、ご質問の値増金は、相手方との協議によりその収入すべきことが確定した日の属する課税期間の課税標準額に算入することとしているため、当該値増金が建設工事等の対価の一部を構成するものであったとしても、当初交付している適格請求書とは別に当該値増金に係る適格請求書を交付することとなります。

この場合における適格請求書の次の記載事項は、当該値増金に係る金額を基礎として記載することとなります。

  1. 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
  2. 税率ごとに区分した消費税額等

(参考)
協同組合等において農産物の買取販売に係る販売代金の価格修正として組合員が受け取る事業分量配当金についても同様です。

★リンクはこちら→ 当社の行う建設工事等について、その建設工事等の引渡しの日において当該建設工事等の請負代金に係る請求書を交付しています。一方、建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金については、相手方との協議によりその収入すべきことが確定することから、当初交付した請求書とは別に値増金に係る請求書を交付しています。この場合、それぞれ交付している請求書を適格請求書とすることで問題ないですか。【令和4年11月追加】

2023年5月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問35
当社は機械用部品の卸売業者です。販売先の小売業者に対しては、1月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書において前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合において、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。【令和4年11月追加】

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合(電磁的記録により提供を行った場合を含みます。)において、これらの書類の記載事項に誤りがあったときには、これらの書類を交付した相手方に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

これらの交付方法として、

  • 誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  • 当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます(具体的な記載方法については、問34《修正した適格請求書の交付方法》をご参照ください。)。

一方で、ご質問における過少請求等の調整に関しては、単に誤りを修正するもののほか、売上げに係る対価の返還等に該当するものも含まれるものと考えられます。

当該対価の返還等については、適格返還請求書を交付することとなりますが、適格返還請求書と適格請求書は一の書類で交付することができます(具体的な方法については、問60《適格請求書と適格返還請求書を一の書類で交付する場合》をご参照ください。)。

したがって、ご質問のような過少請求等について、翌月の請求書において継続的に調整している場合には、当該調整(翌月の請求書において、過少請求等に関する金額を当該請求書における課税資産の譲渡等の対価の額から直接加減算した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を記載する方法)により修正した適格請求書の交付があったものとして取り扱って差し支えありません。

この場合における当月分の適格請求書等に記載すべき「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、前月分の過少請求等について加減算を行った調整後の金額となります。

★リンクはこちら→ 当社は機械用部品の卸売業者です。販売先の小売業者に対しては、1月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書において前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合において、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。【令和4年11月追加】

2023年4月28日


<インボイス制度に関するQ&A 問34
交付した適格請求書等に誤りがあった場合に交付する修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。【令和3年7月追加】

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合(電磁的記録により提供を行った場合を含みます。)において、これらの書類の記載事項に誤りがあったときには、これらの書類を交付した相手方に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

これらの交付方法は、例えば、

  • 誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  • 当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書等に誤りがあった場合に交付する修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。【令和3年7月追加】

2023年4月26日


<インボイス制度に関するQ&A 問33
交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。【令和3年7月改訂】

売手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書(電磁的記録により提供を行った場合も含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、買手である課税事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

なお、買手である課税事業者が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので(新消法30⑨三)、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者に確認を求めることも考えられます。

この場合は、売手である適格請求書発行事業者は、改めて修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。

買手である課税事業者の対応は、問90《交付を受けた適格請求書に誤りがあった場合の対応》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。【令和3年7月改訂】

2023年4月24日


<インボイス制度に関するQ&A 問32
当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。【令和3年7月改訂】

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは、適格請求書を交付する必要がありますが、交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4①⑤)。

したがって、貴社は、請求書データに適格請求書の記載事項を記録して提供することにより、適格請求書の交付に代えることができます。

ただし、適格請求書発行事業者が提供した電子データを電磁的に保存しようとする場合には一定の要件を満たした状態で保存する必要がありますが、その具体的な内容については、問79《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

(参考)
電磁的記録による提供方法としては、光ディスク、磁気テープ等の記録用の媒体による提供のほか、例えば、次の方法があります(インボイス通達3-2)。

EDI取引(注)における電子データの提供
電子メールによる電子データの提供
インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じた電子データの提供

(注)
EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。

★リンクはこちら→ 当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。【令和3年7月改訂】

2023年4月21日


<インボイス制度に関するQ&A 問31
当社は機械用部品の卸売業者です。販売先の小売業者に対しては、1月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書において前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合において、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。【令和4年11月追加】

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合(電磁的記録により提供を行った場合を含みます。)において、これらの書類の記載事項に誤りがあったときには、これらの書類を交付した相手方に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

これらの交付方法として、

  •  誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  •  当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます(具体的な記載方法については、問30《修正した適格請求書の交付方法》をご参照ください。)。

一方で、ご質問における過少請求等の調整に関しては、単に誤りを修正するもののほか、売上げに係る対価の返還等に該当するものも含まれるものと考えられます。当該対価の返還等については、適格返還請求書を交付することとなりますが、適格返還請求書と適格請求書は一の書類で交付することができます(具体的な方法については、問53《適格請求書と適格返還請求書を一の書類で交付する場合》をご参照ください。)。

したがって、ご質問のような過少請求等について、翌月の請求書において継続的に調整している場合には、当該調整(翌月の請求書において、過少請求等に関する金額を当該請求書における課税資産の譲渡等の対価の額から直接加減算した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を記載する方法)により修正した適格請求書の交付があったものとして取り扱って差し支えありません。

この場合における当月分の適格請求書等に記載すべき「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、前月分の過少請求等について加減算を行った調整後の金額となります。

★リンクはこちら→ 当社は機械用部品の卸売業者です。販売先の小売業者に対しては、1月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書において前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合において、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。【令和4年11月追加】

2023年4月19日


<インボイス制度に関するQ&A 問30
交付した適格請求書等に誤りがあった場合に交付する修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。【令和3年7月追加】

適格請求書発行事業者が、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した場合(電磁的記録により提供を行った場合を含みます。)において、これらの書類の記載事項に誤りがあったときには、これらの書類を交付した相手方に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

これらの交付方法は、例えば、

  •  誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  •  当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書等に誤りがあった場合に交付する修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。【令和3年7月追加】

2023年4月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問29
交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。【令和3年7月改訂】

売手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書(電磁的記録により提供を行った場合も含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、買手である課税事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。

なお、買手である課税事業者が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので(新消法30⑨三)、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者に確認を求めることも考えられます。

この場合は、売手である適格請求書発行事業者は、改めて修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。

買手である課税事業者の対応は、問82《交付を受けた適格請求書に誤りがあった場合の対応》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 交付した適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。【令和3年7月改訂】

2023年4月14日


<インボイス制度に関するQ&A 問28
当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。【令和3年7月改訂】

適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)から求められたときは、適格請求書を交付する必要がありますが、交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4①⑤)。

したがって、貴社は、請求書データに適格請求書の記載事項を記録して提供することにより、適格請求書の交付に代えることができます。

ただし、適格請求書発行事業者が提供した電子データを電磁的に保存しようとする場合には一定の要件を満たした状態で保存する必要がありますが、その具体的な内容については、問71《適格請求書に係る電磁的記録を提供した場合の保存方法》をご参照ください。

(参考) 電磁的記録による提供方法としては、光ディスク、磁気テープ等の記録用の媒体による提供のほか、例えば、次の方法があります(インボイス通達3-2)。

EDI取引(注)における電子データの提供
電子メールによる電子データの提供
インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じた電子データの提供

(注)EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。

★リンクはこちら→ 当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。【令和3年7月改訂】

2023年4月12日


<インボイス制度に関するQ&A 問27
返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格請求書発行事業者は、何か対応が必要ですか。【令和2年9月改訂】

適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格返還請求書の交付義務が課されています(新消法57の4③)。
ただし、適格請求書の交付義務が免除される場合と同様、次の場合には、適格返還請求書の交付義務が免除されます(新消令70の9③)。
①3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
②出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が
卸売の業務として行うものに限ります。)
③生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
④3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
⑤郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
なお、適格返還請求書の記載事項については、問51から問53までをご参照ください。

★リンクはこちら→ 返品や値引き等の売上げに係る対価の返還等を行う場合、適格請求書発行事業者は、何か対応が必要ですか。【令和2年9月改訂】

2023年4月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問26
当店は、現在、顧客に手書きの領収書を交付しています。適格請求書等保存方式の開始後においても、その手書きの領収書を適格請求書として交付することはできますか。【令和4年4月改訂】

手書きの領収書であっても、適格請求書として必要な次の事項が記載されていれば、適格請求書に該当します(新消法57の4①、インボイス通達3-1)。

適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

なお、適格簡易請求書を交付する場合の記載事項については、問49《適格簡易請求書の記載事項》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 当店は、現在、顧客に手書きの領収書を交付しています。適格請求書等保存方式の開始後においても、その手書きの領収書を適格請求書として交付することはできますか。【令和4年4月改訂】

2023年4月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問25
適格請求書の様式は、法令又は通達等で定められていますか。【令和4年4月改訂】

適格請求書の様式は、法令等で定められていません。

適格請求書として必要な次の事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシート等)であれば、その名称を問わず、適格請求書に該当します(新消法57の4①、インボイス通達3-1)。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 課税資産の譲渡等を行った年月日()
  3. 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
  4. 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につき適格請求書をまとめて作成する場合には、当該一定の期間を記載することができます。

★リンクはこちら→ 適格請求書の様式は、法令又は通達等で定められていますか。【令和4年4月改訂】

2023年4月4日


<インボイス制度に関するQ&A 問24
適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付できるのは、どのような場合ですか。【令和4年11月改訂】

適格請求書発行事業者が、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う次の事業を行う場合には、適格請求書に代えて、適格請求書の記載事項を簡易なものとした適格簡易請求書を交付することができます(新消法57の4②、新消令70の11)。

また、適格簡易請求書についても、その交付に代えて、その記載事項に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4⑤)。

小売業
飲食店業
写真業
旅行業
タクシー業
駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)
その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業

①から⑤までの事業については、「不特定かつ多数の者に対するもの」との限定はありませんので、例えば、小売業として行う課税資産の譲渡等は、その形態を問わず、適格簡易請求書を交付することができます。

また、「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」であるかどうかは、個々の事業の性質により判断します。

例えば、以下のような事業が該当することとなります。

  • 資産の譲渡等を行う者が資産の譲渡等を行う際に相手方の氏名又は名称等を確認せず、取引条件等をあらかじめ提示して相手方を問わず広く資産の譲渡等を行うことが常態である事業
  • 事業の性質上、事業者がその取引において、氏名等を確認するものであったとしても、相手方を問わず広く一般を対象に資産の譲渡等を行っている事業(取引の相手方について資産の譲渡等を行うごとに特定することを必要とし、取引の相手方ごとに個別に行われる取引であることが常態である事業を除きます。)

★リンクはこちら→ 適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付できるのは、どのような場合ですか。【令和4年11月改訂】

2023年3月31日


<インボイス制度に関するQ&A 問23
適格請求書発行事業者は、どのような場合に適格請求書の交付義務が課されるのですか。また、交付義務が課されない場合はあるのですか。【令和2年9月改訂】

適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等(注1、2)を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています(新消法57の4①)。

なお、適格請求書発行事業者は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供することができます(新消法57の4⑤)。

ただし、次の取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難なため、適格請求書の交付義務が免除されます(新消令70の9②)(適格請求書の交付義務が免除される取引の詳細については問34から問40までをご参照ください。)。

3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

(注1)
課税資産の譲渡等に係る適用税率は問いませんので、標準税率の取引のみを行っている場合でも、取引の相手方(課税事業者に限ります。)から交付を求められたときは、適格請求書の交付義務があることにご留意ください。
(注2)
免税取引、非課税取引及び不課税取引のみを行った場合については、適格請求書の交付義務は課されません。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者は、どのような場合に適格請求書の交付義務が課されるのですか。また、交付義務が課されない場合はあるのですか。【令和2年9月改訂】

2023年3月29日


<インボイス制度に関するQ&A 問22
適格請求書発行事業者の公表情報に変更等があった場合の手続について教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

適格請求書発行事業者の氏名又は名称、法人の本店所在地などの法定の公表事項に変更があった場合は、適格請求書発行事業者は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」(個人事業者の氏名について「住民票に併記されている外国人の通称」若しくは「住民票に併記されている旧氏(旧姓)」を公表している場合又はこれらを氏名と併記して公表している場合に、その公表事項等を変更するときは、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」)を提出する必要があり、これにより、適格請求書発行事業者登録簿の情報及び公表情報が変更されます(新消法57の2⑧)。

また、個人事業者等が主たる屋号や主たる事務所の所在地を公表している場合に、その情報に変更等があったとき又は公表をしないこととするときは、当該個人事業者等は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出する必要があり、これにより、公表情報が変更されます。

なお、通知を受けた適格請求書発行事業者の登録番号は変更することはできません。

「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」及び「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」は、e-Tax を利用して提出することができますのでぜひご利用ください。

また、郵送により提出する場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターとなります。

届出の概要については、問2《登録の手続》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の公表情報に変更等があった場合の手続について教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

2023年3月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問21
適格請求書発行事業者公表サイトでの適格請求書発行事業者の公表情報の確認方法について教えてください。【令和4年4月改訂】

「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」では、交付を受けた請求書等に記載された登録番号を基にして検索する方法により、適格請求書発行事業者の氏名・名称や登録年月日などの公表情報を確認することができます。

なお、相手方から交付を受けた請求書等に記載がある登録番号に基づき、検索を行った結果、該当する公表情報がない場合(交付を受けた請求書等の記載内容と異なる情報が表示される場合を含みます。)、請求書等に記載された登録番号が誤っている可能性などがありますので、まずは、相手方にご確認いただきますようお願いします。

<参考>
「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」には、登録番号を基にした検索のほか、システム間連携のための Web-API 機能や公表情報に係るデータのダウンロード機能があります。

これらの機能の詳細については、同サイトで仕様公開しておりますので、ご確認ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者公表サイトでの適格請求書発行事業者の公表情報の確認方法について教えてください。【令和4年4月改訂】

2023年3月23日


<インボイス制度に関するQ&A 問20
適格請求書発行事業者の情報は、どのような方法で公表されますか。【令和4年4月改訂】

適格請求書発行事業者の情報(登録日など適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項)は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されます(新消法57の2④⑪、新消令70の5②)。

また、適格請求書発行事業者の登録が取り消された場合又は効力を失った場合、その年月日が「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されます。

具体的な公表情報については、次のとおりです。

(1)法定の公表事項(新消法57の2④⑪、新消令70の5①)

適格請求書発行事業者の氏名(※)又は名称
法人(人格のない社団等を除きます。)については、本店又は主たる事務所の所在地
特定国外事業者以外の国外事業者については、国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地
登録番号
登録年月日
登録取消年月日、登録失効年月日

(※)個人事業者の氏名について、「住民票に併記されている外国人の通称」若しくは「住民票に併記されている旧氏(旧姓)」を氏名として公表することを希望する場合又はこれらを氏名と併記して公表することを希望する場合は、登録申請書と併せて、必要事項を記載した「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」をご提出ください。

(2)本人の申出に基づき追加で公表できる事項
次の①、②の事項について公表することを希望する場合には、必要事項を記載した「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」をご提出ください。

個人事業者の「主たる屋号」、「主たる事務所の所在地等」
人格のない社団等の「本店又は主たる事務所の所在地」

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の情報は、どのような方法で公表されますか。【令和4年4月改訂】

2023年3月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問19
登録番号は、どのような構成ですか。【令和4年4月改訂】

登録番号(注1)の構成は、次のとおりです(インボイス通達2-3)。

① 法人番号を有する課税事業者
「T」(ローマ字)+法人番号(数字13桁)

② ①以外の課税事業者(個人事業者、人格のない社団等)
「T」(ローマ字)+数字13桁(注2)

(注1)
一度付番された登録番号は、変更することはできません。
(注2)
13桁の数字には、マイナンバー(個人番号)は用いず、法人番号とも重複しない事業者ごとの番号となります。

<参考>登録番号の記載例
・ T1234567890123
・ T-1234567890123

※請求書等への表記に当たり、半角・全角は問いません。

★リンクはこちら→ 登録番号は、どのような構成ですか。【令和4年4月改訂】

2023年3月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問18
当社は、適格請求書発行事業者の登録を受けています。翌課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下ですが、当社は、免税事業者となりますか。【令和4年4月改訂】

その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として、消費税の納税義務が免除され、免税事業者となります。

しかしながら、適格請求書発行事業者は、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下となった場合でも免税事業者となりません(新消法9①、インボイス通達2-5)。

したがって、適格請求書発行事業者である貴社は、翌課税期間(適格請求書等保存方式の開始後)に免税事業者となることはありません。

★リンクはこちら→ 当社は、適格請求書発行事業者の登録を受けています。翌課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下ですが、当社は、免税事業者となりますか。【令和4年4月改訂】

2023年3月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問17
適格請求書発行事業者の登録が取り消される場合はありますか。【令和4年4月改訂】

税務署長は、次の場合に適格請求書発行事業者の登録を取り消すことができます(新消法 57の2⑥)。

  1. 1年以上所在不明であること
  2. 事業を廃止したと認められること
  3. 合併により消滅したと認められること
  4. 納税管理人を定めなければならない事業者が、納税管理人の届出をしていないこと
  5. 消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと
  6. 登録拒否要件に関する事項について、虚偽の記載をした申請書を提出し、登録を受けたこと

このうち、1.「1年以上所在不明であること」における「所在不明」については、例えば、消費税の申告書の提出がないなどの場合において、文書の返戻や電話の不通をはじめとして、事業者と必要な連絡が取れないときなどが該当します。

なお、消費税法上、事業者に、2.事業の廃止の事実があった場合は「事業廃止届出書」を、3.合併による消滅の事実があった場合は「合併による法人の消滅届出書」をそれぞれ提出する義務があります(これらの届出書の提出により登録は失効します。)(消法57①三、五、新消法57の2⑩)。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録が取り消される場合はありますか。【令和4年4月改訂】

2023年3月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問16
適格請求書発行事業者の登録を受けていた親から相続を受け、事業を承継したのですが、適格請求書等保存方式において必要となる手続及び適格請求書発行事業者の登録の効力について教えてください。【令和3年7月追加】

1.令和5年10 月1日より前に死亡した場合
令和5年10月1日から登録を受けることとされていた事業者が、令和5年10月1日より前に死亡した場合は、登録の効力は生じません。したがって、相続により事業を承継した相続人が、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、登録申請書を提出する必要があります(相続人が既に登録申請書を提出していた場合を除きます。)。

令和5年10月1日から登録を受けようとする場合は、原則として、令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要がありますが、令和5年3月31日までに登録申請書を提出できなかったことにつき困難な事情がある場合に、令和5年9月30日までの間に登録申請書にその困難な事情を記載して提出し、税務署長により適格請求書発行事業者の登録を受けたときは、令和5年10月1日に登録を受けたこととみなされる措置が設けられています(改正令附則15)。相続による事業承継は、この困難な事情に該当しますので、令和5年9月30日までに登録申請書を提出していただければ、令和5年10月1日から登録を受けることができます。

なお、登録申請を行った事業者が死亡した場合は、相続人は、「個人事業者の死亡届出書」を提出いただきますようお願いします。

2.令和5年10月1日以後に死亡した場合
令和5年10月1日以後に適格請求書発行事業者が死亡した場合、その相続人は「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出する必要があり、届出書の提出日の翌日又は死亡した日の翌日から4月を経過した日のいずれか早い日(※)に登録の効力が失われます。

また、相続により事業を承継した相続人が、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、相続人は登録申請書の提出が必要となります(相続人が既に登録を受けていた場合を除きます。)。

なお、相続により適格請求書発行事業者の事業を継承した相続人の相続のあった日の翌日から、その相続人が適格請求書発行事業者の登録を受けた日の前日又はその相続に係る適格請求書発行事業者が死亡した日の翌日から4月を経過する日のいずれか早い日までの期間については、相続人を適格請求書発行事業者とみなす措置(※)が設けられており、この場合、被相続人の登録番号を相続人の登録番号とみなすこととされています。

登録申請書の提出から登録通知を受けるまでには、その審査等に一定の期間を要しますので、相続により事業を承継した相続人が適格請求書発行事業者の登録を受ける場合は、お早めに登録申請書をご提出ください。
(※)相続人を適格請求書発行事業者とみなす措置の適用がある場合、その措置の適用がある期間は被相続人の登録は有効です。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録を受けていた親から相続を受け、事業を承継したのですが、適格請求書等保存方式において必要となる手続及び適格請求書発行事業者の登録の効力について教えてください。【令和3年7月追加】

2023年3月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問15
事業の廃止や法人の合併による消滅があった場合の手続について教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年11月改訂】 

消費税法上、事業者が事業を廃止した場合は「事業廃止届出書」を、合併による消滅の事実があった場合は「合併による法人の消滅届出書」を、納税地を所轄する税務署長に提出する義務があります(消法57①三、五)。

なお、「事業廃止届出書」を提出した場合は、事業を廃止した日の翌日に、「合併による法人の消滅届出書」を提出した場合は、法人が合併により消滅した日に適格請求書発行事業者の登録の効力が失われます(新消法57の2⑩、インボイス通達2-7、2-8)。

(注) これらの届出書を提出していない場合であっても、税務署長は、事業を廃止したと認められる場合、合併により消滅したと認められる場合に適格請求書発行事業者の登録を取り消すことができます(新消法57の2⑥)。

★リンクはこちら→ 事業の廃止や法人の合併による消滅があった場合の手続について教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年11月改訂】

2023年3月8日


<インボイス制度に関するQ&A 問14
当社は3月決算法人であり、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けていましたが、令和8年4月1日から適格請求書発行事業者の登録を取りやめたいと考えています。この場合、どのような手続が必要ですか。【令和3年7月改訂】

適格請求書発行事業者は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(以下「登録取消届出書」といいます。)を提出することにより、適格請求書発行事業者の登録の効力を失わせることができます(新消法57の2⑩一)。

なお、この場合、原則として、登録取消届出書の提出があった日の属する課税期間の翌課税期間の初日に登録の効力が失われることとなります(新消法57の2⑩一)。

ただし、登録取消届出書を、その提出のあった日の属する課税期間の末日から起算して30日前の日から、その課税期間の末日までの間に提出した場合は、その提出があった日の属する課税期間の翌々課税期間の初日に登録の効力が失われることとなります。

したがって、ご質問の場合については、令和8年3月1日までに登録取消届出書を提出する必要があります。

★リンクはこちら→ 当社は3月決算法人であり、令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けていましたが、令和8年4月1日から適格請求書発行事業者の登録を取りやめたいと考えています。この場合、どのような手続が必要ですか。【令和3年7月改訂】

2023年3月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問13
適格請求書発行事業者の登録を申請した場合に、登録を拒否される場合はありますか。【令和4年4月改訂】

登録を受けようとする事業者が、特定国外事業者以外の事業者であって、次のいずれかの事実に該当しなければ、原則として、登録を拒否されることはありません(新消法57の2⑤)。

  • 納税管理人を定めなければならない事業者が、納税管理人の届出をしていないこと
  • 消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者であること

(注1)
例えば、法人が消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた場合において、当該法人の代表者が法人とともに罰金以上の刑に処せられたときは、その執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しなければ、代表者は個人事業者としての登録も受けることができません。
(注2)
「罰金以上の刑」には、各種加算税や延滞税の賦課決定処分は含まれません。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録を申請した場合に、登録を拒否される場合はありますか。【令和4年4月改訂】

2023年3月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問12
適格請求書等保存方式の開始後、新たに設立した法人が事業開始(設立)と同時に適格請求書発行事業者の登録を受けることはできますか。【令和4年11月改訂】

適格請求書発行事業者の登録を受けることができるのは、課税事業者に限られます(新消法57の2①)。
新たに設立された法人が免税事業者の場合、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに、課税選択届出書を提出すれば、その事業を開始した日の属する課税期間の初日から課税事業者となることができます(消法9④、消令20一)。
また、新たに設立された法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長により適格請求書発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日に登録を受けたものとみなされます(以下「新たに設立された法人等の登録時期の特例」といいます。)(新消令70の4、新消規26の4、インボイス通達2-2)。
したがって、新たに設立された法人が免税事業者である場合、事業開始(設立)時から、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、設立後、その課税期間の末日までに、課税選択届出書と登録申請書を併せて提出することが必要です。
なお、新たに設立された法人が課税事業者の場合については、事業を開始した課税期間の末日までに、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を提出することで、新たに設立された法人等の登録時期の特例の適用を受けることができます。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式の開始後、新たに設立した法人が事業開始(設立)と同時に適格請求書発行事業者の登録を受けることはできますか。【令和4年11月改訂】

2023年2月27日


<インボイス制度に関するQ&A 問11
当社は、軽減税率対象品目の販売を行っていませんが、適格請求書発行事業者の登録を必ず受けなければなりませんか。

適格請求書を交付できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者に限られますが、適格請求書発行事業者の登録を受けるかどうかは事業者の任意です(新消法57の2①、57の4①)。

ただし、登録を受けなければ、適格請求書を交付することができないため、取引先が仕入税額控除を行うことができませんので、このような点を踏まえ、登録の必要性をご検討ください。

また、適格請求書発行事業者は、販売する商品に軽減税率対象品目があるかどうかを問わず、取引の相手方(課税事業者に限ります。)から交付を求められたときには、適格請求書を交付しなければなりません。

一方で、消費者や免税事業者など、課税事業者以外の者に対する交付義務はありませんので、例えば、顧客が消費者のみの場合には、必ずしも適格請求書を交付する必要はありません。

このような点も踏まえ、登録の必要性をご検討ください。

★リンクはこちら→ 当社は、軽減税率対象品目の販売を行っていませんが、適格請求書発行事業者の登録を必ず受けなければなりませんか。

2023年2月22日


<インボイス制度に関するQ&A 問10
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者になるとのことですが、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合には、登録日(令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日から生じます。)から課税事業者となる経過措置が設けられています(28年改正法附則44④、インボイス通達5-1)。

この経過措置の適用を受ける事業者が、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を、納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、その課税期間の初日の前日に消費税簡易課税制度選択届出書を提出したものとみなされます(改正令附則18)。

したがって、ご質問の場合、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、その課税期間から、簡易課税制度の適用を受けることができます。

★リンクはこちら→ 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者になるとのことですが、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

2023年2月20日


<インボイス制度に関するQ&A 問9
個人事業者が、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受ける場合における、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの課税期間(令和5年分)の消費税の申告について具体的に教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

1.令和5年分について免税事業者である個人事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けた場合(登録に際して令和5年分を適用開始課税期間とする課税選択届出書を提出した場合を除きます。)
令和5年分について免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けた場合(令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日である令和5年10月1日から生じることとなります。)には、登録日である令和5年10月1日以後は課税事業者となりますので、令和5年10月1日から令和5年12月31日までの期間に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて、令和5年分の消費税の申告が必要となります。

2.令和5年分について課税事業者である個人事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けた場合(登録に際して令和5年分を適用開始課税期間とする課税選択届出書を提出した場合を含みます。)
令和5年分について課税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、同日から適格請求書発行事業者となりますが、その課税期間(令和5年1月1日から令和5年12月31日まで)中に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて、令和5年分の消費税の申告が必要となります。

★リンクはこちら→ 個人事業者が、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受ける場合における、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの課税期間(令和5年分)の消費税の申告について具体的に教えてください。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】

2023年2月17日


<インボイス制度に関するQ&A 問8
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の取扱いについて教えてください。また、この場合、いつから課税事業者となりますか。【令和4年4月改訂】

免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合には、登録日(令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日から生じることとなります。)から課税事業者となる経過措置が設けられています(28 年改正法附則 44④、インボイス通達5-1)。

したがって、この経過措置の適用を受けることとなる場合は、登録日から課税事業者となり、登録を受けるに当たり、課税選択届出書を提出する必要はありません。

なお、経過措置の適用を受けて適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間の末日までの期間について、消費税の申告が必要となります。

★リンクはこちら→ 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の取扱いについて教えてください。また、この場合、いつから課税事業者となりますか。【令和4年4月改訂】

2023年2月15日


<インボイス制度に関するQ&A 問7
適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けるためには、いつまでに登録申請書を提出すればよいですか。【令和4年4月改訂】

適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、令和5年3月31日まで(注)に納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります(28年改正法附則44①)。

登録申請書は、e-Tax を利用して提出できますので、ぜひご利用ください(個人事業者はスマートフォンでも手続が可能となります。)。

なお、郵送により登録申請書を提出する場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターとなります。

インボイス登録センターの所在地は問2《登録の手続》をご参照ください。

なお、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、消費税課税事業者選択届出書(以下「課税選択届出書」といいます。)を提出し、課税事業者となる必要がありますが、登録日が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中である場合は、課税選択届出書を提出しなくても、登録を受けることができます(28 年改正法附則44④、インボイス通達5-1)。

★リンクはこちら→ 適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けるためには、いつまでに登録申請書を提出すればよいですか。【令和4年4月改訂】

2023年2月13日


<インボイス制度に関するQ&A 問6
課税事業者は、課税期間の途中であっても、適格請求書発行事業者の登録を受けることができますか。【令和3年7月追加】

課税事業者は、課税期間の途中であっても、登録申請書を提出し、登録を受けることができます。
登録申請書を提出し登録を受けた場合、登録の効力は、登録日から生じます。

なお、新たに設立された法人等の登録時期の特例については、問12《新たに設立された法人等の登録時期の特例》をご参照ください。

(参考)令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日である令和5年10月1日から生じることとなります。

★リンクはこちら→ 課税事業者は、課税期間の途中であっても、適格請求書発行事業者の登録を受けることができますか。【令和3年7月追加】

2023年2月10日


<インボイス制度に関するQ&A 問5
適格請求書発行事業者の登録の効力は、いつから発生するのですか。【令和3年7月改訂】

登録申請書の提出を受けた税務署長は、登録拒否要件に該当しない場合には、適格請求書発行事業者登録簿に法定事項を登載して登録を行い、登録を受けた事業者に対して、その旨を通知することとされています(新消法 57 の2③④⑤⑦)。

登録の効力は、通知の日にかかわらず、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日(以下「登録日」といいます。)から生じます。
このため、登録日以降の取引については、相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務があります(インボイス通達2-4)。

なお、登録日から登録の通知を受けるまでの間の取扱いについては、問33《登録日から登録の通知を受けるまでの間の取扱い》をご参照ください。

(参考)令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日である令和5年10月1日に生じることとなります。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録の効力は、いつから発生するのですか。【令和3年7月改訂】

2023年2月8日


<インボイス制度に関するQ&A 問4
登録申請書を提出してから登録の通知を受けるまでにどの程度の期間がかかりますか。

登録申請書を提出してから登録通知を受けるまでの期間については、一時期に多量の登録申請書が提出された場合は処理に時間を要するなど、登録申請書の提出状況により異なります。

現時点における登録申請書を提出してから登録通知までに要する期間については、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」に掲載していますのでご確認ください。

なお、登録申請書を e-Tax で提出し、登録通知を電子データで受け取ることを希望される場合は、事前にメールアドレスを登録すると、登録したメールアドレス宛に、登録通知が「通知書等一覧」に格納されたことをお知らせするメールが送信され、すぐに登録通知を確認できますので、ぜひご利用ください。

★リンクはこちら→ 登録申請書を提出してから登録の通知を受けるまでにどの程度の期間がかかりますか。

2023年2月6日


<インボイス制度に関するQ&A 問3
適格請求書発行事業者の登録は、どのような方法で通知されますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】 

適格請求書発行事業者の登録の通知については、登録申請書を e-Tax により提出して、登録通知について電子での通知を希望した場合は、通知書等一覧に登録番号等が記載された登録通知書がデータで格納され、その他の場合は、書面にて登録番号等が記載された登録通知書が送付されます。 電子データで登録通知を希望していただくことで、

  • 税務署での処理後、速やかに電子通知が行われるため、書面より早期に登録通知書を受領
    することができる
  • 通知書等一覧内にデータ保管されるため、登録通知書の紛失のおそれがない(保管されたデータは、書面により出力することやPDFデータでの保存をすることが可能)

などのメリットがありますので、ぜひご利用ください。

なお、登録通知書は、原則として再発行を行いませんので大切に保管してください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録は、どのような方法で通知されますか。【令和3年7月追加】【令和4年4月改訂】 

2023年2月2日


<インボイス制度に関するQ&A 問2
適格請求書発行事業者の登録は、どのような手続で行うのですか。【令和4年4月改訂】

適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者(登録を受けることができるのは、課税事業者に限られます。)は、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります(新消法57の2②、インボイス通達2-1)。

登録申請書は、e-Tax を利用して提出できますので、ぜひご利用ください(個人事業者はスマートフォンでも手続が可能となります。)。

なお、郵送により登録申請書を提出する場合の送付先は、各国税局のインボイス登録センターとなります。

登録申請書の提出を受けた税務署長は、登録拒否要件に該当しない場合には、適格請求書発行事業者登録簿に法定事項を登載して登録を行い、登録を受けた事業者に対して、その旨を通知することとされています(新消法57の2③④⑤⑦)。

また、適格請求書発行事業者の情報は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されます。

なお、免税事業者が登録を受ける場合の手続については、問8《免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合》をご参照ください。

★リンクはこちら→ 適格請求書発行事業者の登録は、どのような手続で行うのですか。【令和4年4月改訂】

2023年1月30日


<インボイス制度に関するQ&A 問1
令和5年10月1日から開始される「適格請求書等保存方式」の概要を教えてください。

複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、令和5年10月1日から「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)が開始されます(新消法 30、57の2、57の2)。

★リンクはこちら→ 令和5年10月1日から開始される「適格請求書等保存方式」の概要を教えてください。

2023年1月27日

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登録免許税

<事前照会の趣旨・事実関係>

1.事実関係の概要

甲は、自身が認知症及び要介護状態となった場合における財産管理等を目的として、甲の推定相続人のうちの一人である実子乙との間で、甲を委託者兼受益者、乙を受託者及び受益者の死亡により信託が終了したときの残余財産帰属権利者として、所有する建物、宅地(以下、建物と併せて「本件不動産」という。)及び金銭を信託財産(以下「本件信託財産」という。)とする信託契約(以下「本件信託契約」という。)を締結する(以下、本件信託契約に係る信託を「本件信託」という。)。

2.本件信託契約の概要

本件信託は、本件信託財産の管理、処分及び運用によって、甲の生活、介護、療養及び納税等に必要な資金を給付し、甲の幸福な生活及び福祉を確保すること並びに本件信託財産の円滑な承継を目的としている。
本件信託契約の定めにおいて、委託者兼受益者である甲の死亡は、本件信託の終了事由の一つとされており、その場合、甲が有していた本件信託に関する委託者及び受益者としての地位及び権利については、以下(1)及び(2)のとおりとなる。

(1) 本件信託に係る委託者の地位は、残余財産帰属権利者として指定されている乙が取得し、委託者の権利については、相続により承継されることなく消滅する。
(2) 本件信託に係る受益者の地位及び権利は、相続により承継されることなく消滅する。

なお、本件信託の終了に伴い、信託の清算を行う清算受託者については、信託終了時点における受託者が指定されている。
また、甲の死亡により本件信託が終了した場合、本件信託財産については、残余財産帰属権利者として指定されている乙が取得し、甲死亡時点で既に乙が死亡していたときには、乙の子が取得する。
すなわち、甲死亡時点において乙が生存している場合、乙は、本件信託契約に基づき、甲より本件信託に係る委託者の地位を取得するとともに、本件信託に係る清算受託者及び残余財産帰属権利者となる。

3.照会事項

このような契約関係を前提として、甲の死亡により、甲の相続人である乙が本件信託財産を取得する場合、本件信託契約が終了したことに伴う本件不動産に係る所有権移転登記(以下「本件登記」という。)について、登録免許税法第7条《信託財産の登記等の課税の特例》第2項の規定が適用され、相続による所有権の移転の登記とみなして登録免許税が課されると解してよいか、照会する。

<上記の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由>

1.法令の規定

登録免許税法第7条第2項(以下「本件特例」という。)は、「信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合」(以下「要件1」という。)であって、「当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合」(以下「要件2」という。)において、「当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(・・・)であるとき」(以下「要件3」という。)と規定していることから、その適用に当たっては、各要件を満たす必要があると考えられる。

2.あてはめ

本件信託契約においては、甲の死亡により本件信託は終了し、受益者の地位及び権利は消滅する。
そして、乙は、委託者の地位を取得するとともに、残余財産帰属権利者として本件信託財産を取得する。
このように、甲の死亡により本件信託は終了し、乙が残余財産帰属権利者として本件信託財産を取得するので、本件登記は上記要件1を満たさないようにも思える。
しかしながら、登録免許税法には「受益者」の定義がないので、乙が「受益者」に当たるか否かについては、信託法の定義にて判断することとなる。
信託法では、「受益者」とは、受益権を有する者をいい、また、「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権及びこれを確保するために信託法の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう旨規定されている。
そしてまた、信託法では、信託が終了した場合においても、その清算が結了するまで信託はなお存続するものと擬制され、残余財産帰属権利者は当該清算中受益者とみなされる旨が規定されている。
すなわち、残余財産帰属権利者である乙は、本件信託の清算中、受益者とみなされるので、乙は登録免許税法の「受益者」に該当することとなる。
よって、本件登記は、本件信託の清算受託者である乙から、本件信託の受益者乙に対する所有権の移転登記であることから、上記要件1を満たすと解するのが相当である。
また、上記要件2は、本件特例の対象となる信託として、委託者のみが信託財産の元本の受益者となる信託であることをその要件としているところ、本件信託においては、甲が死亡するまでは、委託者甲が受益者であり、また、甲の死亡後は、甲から委託者の地位を取得した乙のみが残余財産帰属権利者(受益者)であることから、同要件についても満たしていると解するのが相当である。
そして、乙は、本件信託契約の効力が生じた時における委託者である甲の相続人であることから、上記要件3についても満たすこととなる。
以上のとおり、本件登記については、本件特例の趣旨にも反しておらず、本件特例に係る各要件を全て満たしているものと解されることから、その適用があるものと考えられる。

<回答内容>

回答年月日
平成30年12月18日

回答者
名古屋国税局審理課長

回答内容
 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は名古屋国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら ⇒ 信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について

2019年3月13日


原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の固定資産課税台帳の登録価格を基礎としたものということはできないとした事例

  • 登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成30年3月14日裁決

<ポイント>
本事例は、平成27年中にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(台帳登録価格)がない土地(本件各土地9の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、本件各土地の周辺で、本件各土地と不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容や固定資産評価に適用される路線価等が類似すると認められる土地の台帳登録価格の1㎡当たりの価格を基礎として、本件各土地の価額を算定するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、平成27年中にした固定資産課税台帳に登録された価格(台帳登録価格)がない土地(本件各土地)の所有権移転登記(本件登記)に当たり、原処分庁が、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき近傍宅地(本件近傍宅地:面積が150㎡程度の画地)の価格から認定した価額(登記官認定価額)は過大であり、平成28年度台帳登録価格が、本件登記時の正当な価額であるから、納付した登録免許税は過大になっている旨主張する。

しかしながら、本件各土地に係る登記申請は、平成27年中になされており、用いるべき台帳登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成28年1月1日を基準日とする平成28年度台帳登録価格を用いる請求人の主張額は、同項第1号の規定に反しており、また、登記官認定価額は、単に本件近傍宅地の固定資産評価の路線価に雑種地等補正をして算定されただけであることがうかがわれ、不動産の形状、地積等の異なる本件各土地に類似する不動産の台帳登録価格を基礎としたものということはできない。

したがって、当審判所が認定した、本件登記の嘱託の日において、本件各土地の周辺で、本件各土地と不動産の形状、地積、間口、奥行き、利用状況及び接道状況、土地利用に係る行政上の規制等の内容や固定資産評価に適用される路線価等が類似すると認められる土地の台帳登録価格の1㎡当たりの価格を基礎として、本件各土地の価額を算定するのが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の固定資産課税台帳の登録価格を基礎としたものということはできないとした事例

2019年1月23日


登録価格のない土地の課税標準について、当該土地の近傍に存する土地の登録価格を基礎として算定した事例 Edit

  • 平成27年3月登記により納付された登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年9月28日裁決

<ポイント>
本事例は、登録価格のない土地の課税標準について、当該土地に類似する土地は当該土地に隣接する土地よりも当該土地の近傍に存する土地(近傍地)であるから、当該近傍地の登録価格を基礎として算定した価額と判断したものである。

<要旨>
請求人は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》に規定する価額につき、同附則の委任を受けた登録免許税法施行令附則第3項(施行令附則第3項)に規定する固定資産課税台帳に登録された評価額(登録価格)のない土地(本件土地)の登記申請に際し納付した登録免許税額は過大であり、本件土地が合筆・分筆される前の土地(本件土地とおおむね所在地が同じ。)に係る平成27年1月1日現在の登録価格に基づく1㎡当たりの評価額に本件土地の地積を乗じて算定した価額(請求人主張額)を本件土地の登録免許税の課税標準(本件土地課税標準)とするべきである旨主張し、原処分庁は、登記申請に際し、登記機関が認定した価額(本件登記機関認定価額)の基礎とした本件土地に隣接する土地(本件隣接地)は、その立地条件等から本件土地との類似性が極めて高い土地であり、本件登記機関認定価額に誤りはない旨主張する。

しかしながら、本件土地の登記申請が平成27年3月になされていることから、本件登記機関認定価額算定の基準日は、施行令附則第3項第1号の規定により、平成26年12月31日となるため、請求人の主張する平成27年1月1日現在の登録価格を算定の基礎とする請求人主張額をもって、本件土地課税標準とすることはできない。
また、本件隣接地は、本件土地の属する地域の土地利用に係る行政上の規制等の内容や登録価格の算定の基礎となる価格が異なっており、本件土地と類似する土地であるとは認め難く、他方、本件土地の近傍に存する土地(本件近傍地)は、土地利用に係る行政上の規制等の内容や登録価格の算定の基礎となる価格が本件土地と同じである。

したがって、本件隣接地よりも本件土地に類似する土地は、本件近傍地であると認められ、本件近傍地の登録価格を基礎として算定した価額を本件土地課税標準とするのが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 登録価格のない土地の課税標準について、当該土地の近傍に存する土地の登録価格を基礎として算定した事例

2017年9月28日

原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできないとして処分の一部を取り消した事例

  • 平成27年2月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月7日裁決

<ポイント>
本事例は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、他に当該土地の登記の時における適正な価額とは認められるものがないときは、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が当該土地の登記の時の価額として相当なものであると認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地(本件土地)の所有権移転登記に当たり、納付した登録免許税は過誤納となっている旨主張し、原処分庁は、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき付近の土地の登録価格から認定した価額は適正であり、過誤納はない旨主張する。

しかしながら、本件土地の周辺で、本件土地と形状、間口、奥行き、利用状況及び接道状況等が類似する不動産は存在しなかったと認められる上、登記官が認定した価額は、単に近傍の固定資産評価の路線価に雑種地等補正をして算定されただけであるとうかがわれ、これを本件土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできない。

本件の登記申請は、平成27年2月になされており、用いるべき登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成27年1月1日を基準日とする平成27年度の登録価格を用いる請求人の主張額は、登録免許税法施行令附則第3項第1号の規定に反しており、また、平成27年2月と平成27年1月1日とでは、本件土地の造成工事が完了していたか否かという差異があるから、平成27年度の登録価格をもって直ちに同項所定の登記官が認定する価額とは認められない。

いずれの価額も本件土地の登記の時における適正な価額とは認められないから、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が本件土地の登記の時の価額として相当なものであると認められる。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできないとして処分の一部を取り消した事例

2017年2月28日

火災による損害が反映されていない建物の台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、合理的に算定した価額をもって課税標準とするのが相当であるとした事例

  • 登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 平成28年6月8日裁決

<ポイント>
本事例は、火災による損害が反映されていない台帳価格の建物の時価は、経年減点補正率により算定された建物の台帳価格に、市の建物の固定資産評価に係る調査結果に基づき算定した建築時再建築費評点数に占める補正後再建築費評点数の割合を乗ずることで、本来考慮されるべき損害を反映した建物の台帳価格に相当する価額の算出が可能であり、当該価額は、固定資産評価基準に従って適正に算定されたものといえ、登記の時における建物の適正な時価を表したものと認められると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、所有権移転登記(本件登記)時に課税標準とした建物(本件建物)の固定資産課税の台帳価格(台帳価格)に、過去に生じた火災による損害(本件損害)が反映されていないとしても、台帳価格のある不動産の課税標準の額は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》、登録免許税法施行令附則第3項の規定により、本件建物の本件登記の時における台帳価格によるべきである旨主張する。

しかしながら、登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項の登録免許税の課税標準たる不動産の価額とは不動産の「時価」をいうところ、時価の設定は基本的に当該不動産の台帳価格によるべきであるものの、台帳価格が何らかの理由により時価を表していない場合には、他の方法により求めた時価を登録免許税の課税標準として採用することができると解するのが相当である。

そこで、本件建物の時価を検討すると、経年減点補正率により算定された本件建物の台帳価格に、市の本件建物の固定資産評価に係る調査結果に基づき算定した建築時再建築費評点数に占める補正後再建築費評点数の割合を乗ずることで、本来考慮されるべき本件損害を反映した本件建物の台帳価格に相当する価額の算出が可能であり、当該価額は、固定資産評価基準に従って適正に算定されたものといえ、本件登記の時における本件建物の適正な時価を表したものと認められる。
そして、本件建物の台帳価格はその時価を上回るから、本件建物の登記に係る課税標準の額は、本件建物の台帳価格とはならず、当該時価によるべきである。

★リンクはこちら ⇒ 火災による損害が反映されていない建物の台帳価格が、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていることから、合理的に算定した価額をもって課税標準とするのが相当であるとした事例

2017年2月27日

原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものではないとして処分の全部を取り消した事例

  • 平成26年11月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分
  • 全部取消し
  • 平成28年3月7日裁決

<要旨>
原処分庁は、敷地権付き区分建物に係る請求人及びその配偶者が有する敷地権(本件敷地権)の登記申請(この申請に係る登記を本件登記)において、本件敷地権の目的である各土地(本件各土地)は年の途中で雑種地から宅地に地目が変更されているところ、同申請の添付書類である「固定資産(土地・家屋)評価証明書」には本件各土地の1平方メートル当たりの近傍宅地の類似価額(本件近傍類似価額)が記載されていることから、本件近傍類似価額に基づき本件敷地権に係る登録免許税の課税標準額たる価額を算出すべきである旨主張する。

しかしながら、登録免許税の課税標準額につき、台帳価格のある土地についてはその価格に相当する額とするが、登記簿の記載により現況地目が変更していることが判然としている場合は、近傍類似の土地の固定資産評価額(台帳価格)を参考として定めるとされていることからすると、登記官が認定した課税標準たる土地の価額は、それが近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものであるとすれば、適法であると解するのが相当である。
これを本件についてみると、原処分庁が算出した課税標準たる本件敷地権の価額は、本件近傍類似価額に本件各土地の地積と本件敷地権の割合を乗じて算出したものであり、本件各土地の形状等に応じた固定資産評価基準に定める画地計算法等に基づく補正は行っていないことが認められるところ、このような補正を行っていない原処分庁の本件各土地の価額の算定は、合理的なものと認めることはできない。

したがって、原処分庁が算出した課税標準たる本件敷地権の価額は、本件登記の時における不動産の価額として適正であるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものではないとして処分の全部を取り消した事例

2017年1月27日

登録免許税の税率の軽減措置

平成28年度の税制改正により、以下の1から3までの登録免許税の税率の軽減措置について、その適用期限が平成30年3月31日まで2年延長された。

1.特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第74条)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の保存の登記  0.4%  0.15%  0.1%
 所有権の移転の登記  マンション  2.0%  0.3%  0.1%
 戸建て住宅  2.0%  0.3%  0.2%

2.認定低炭素住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第74条の2)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の保存の登記  0.4%  0.15%  0.1%
 所有権の移転の登記  2.0%  0.3%

3.特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減(租税特別措置法第74条の3)【延長】

 登記の種類  本則  一般住宅(※)  軽減措置
 所有権の移転の登記  2.0%  0.3%  0.1%


「一般住宅」欄は、住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減(租税特別措置法第72条の2)または住宅用家屋の移転登記の税率の軽減(租税特別措置法第73条)を適用した場合の登録免許税の税率を参考掲載している。

(注)
上記1から3までの軽減措置の適用を受けるには、登記の申請書に住宅用家屋の所在地の市区町村長の証明書(住宅用家屋の床面積が50㎡以上であること等の一定の要件(裏面参照)を満たす旨の証明)を添付の上、当該住宅用家屋の新築または取得後1年以内に登記を受けなければならない。

★リンクはこちら ⇒ 登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

2016年5月9日

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再生

中小企業活性化協議会が「中小企業活性化協議会実施基本要領」に基づき実施した再生支援において作成された再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

1.照会の趣旨及び照会事項
中小企業活性化協議会(以下「協議会」といいます。)は、令和4年3月4日に策定された「中小企業活性化パッケージ」(経済産業省・金融庁・財務省)を受けて、同年4月1日に47都道府県に設置され、産業競争力強化法第134条の認定を受けた認定支援機関として、中小企業者(産業競争力強化法第2条第22項に規定する中小企業者をいい、常時使用する従業員数が300人以下の医療法人を含みます。以下同じです。)からの相談に対応し、再生計画の作成支援を行ってきました。

協議会が行う各種支援事業については、その設置・運営体制や各種支援の内容等を定めた「中小企業活性化協議会実施基本要領」(以下「本基本要領」といいます。)が作成されています。

そして、協議会は、再生支援を実施する場合、本基本要領「別冊2 再生支援実施要領」(以下「本要領」といいます。)に定める具体的な内容及び手続等に基づき行われることとされています。

また、本要領に関し実務上留意すべき具体的な事項がQ&A(以下「本要領QA」といいます。)に定められています。

つきましては、協議会が行う再生支援において、中小企業者に該当する個人事業者が次の2の手順に従って作成した事業再生計画(以下「再生計画」といいます。)に基づいて債務の免除を受ける場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えて差し支えないかについて照会申し上げます。

2.照会に係る取引等の事実関係
(1)対象債務者
協議会の実施する再生支援の対象となる債務者(以下「対象債務者」といいます。)は、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難であること等の要件を満たす中小企業者であることとされています【本要領2(1)】。

なお、対象債務者は、法人に限られず個人事業者も含まれています。当該個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にあることを照会の前提とします。

(2)対象債権者
本要領に基づく手続の対象となる対象債権者は、対象債務者の取引金融機関等の債権者であって再生計画が成立した場合に金融支援の要請を受けることが予定されている債権者とされています【本要領2(1)②】。

(3)統括責任者及びその役割
統括責任者とは、中小企業や事業の再生等に相当の知見と経験を有する者の中から地域の実情を考慮し、認定支援機関の長が選任する者をいい、協議会の再生支援等を行う支援業務部門に配置され、金融機関等及びその子会社からの出向者は選任できないこととなっています【本基本要領3(2)①②】。

また、統括責任者が再生支援に係る職務を執行するに当たり、対象債務者又は対象債権者等との間に利害関係を有する場合、認定支援機関の長は、統括責任者補佐(中小企業や収益力改善、経営改善、事業再生、再チャレンジ、経営企画、マーケティング、事業計画の立案等に知見を有する者の中から地域の実情を考慮し、認定支援機関の長が選任します。)の中から統括責任者の職務を代理する者を定めることとされています【本基本要領3(2)③④】。

統括責任者は、対象債務者からの申出を受けて、主要債権者(対象債権者のうち対象債務者に対する債権額が上位のシェアを占める債権者をいいます。)の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当でないと判断した場合には、再生支援案件ごとに編成される個別支援チームに参画した弁護士等を活用し、対象債務者の財務面(資産負債及び損益の状況)及び事業面(これらを併せて以下「財務面等」といいます。)の調査分析・検証を踏まえた再生計画作成の支援等を行い、作成された再生計画案の内容の相当性及び実行可能性等について、調査し、対象債権者に報告して再生計画案について合意形成を図ることとなります【本要領2(2)、(4)①、(6)①、(7)⑤】。

(4)「再生計画」の作成手順等の概要
本要領に基づく金融支援は、債権放棄等のほかリスケジュール等の様々な手法が考えられますが、債権放棄等を伴う再生計画を作成する場合には、以下の手順を経て当該再生計画が成立することが想定されます。

イ.統括責任者又は統括責任者補佐は、窓口相談段階で把握した対象債務者の状況を基に、再生支援を行うことが適当であると判断した場合には、当該対象債務者の承諾を得て、主要債権者に対して再生可能性を説明し、意向を確認することになります【本要領2(2)①】。

ロ.統括責任者は、主要債権者の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当ではないと判断した場合には、再生支援を行うことを決定し、支援を開始します【本要領2(2)②】。

ハ.統括責任者は、対象債務者に対する再生支援を実施するため、統括責任者や統括責任者補佐の他、原則として外部専門家(事業再生に関する高度の専門的な知識と経験を有する弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等であって、認定支援機関が委嘱した者をいい、債権放棄等を伴う場合、弁護士及び公認会計士が含まれることになります。)から構成される個別支援チームを編成します【本基本要領3(3)③、本要領2(3)①】。

なお、統括責任者は、統括責任者補佐が対象債務者又は対象債権者等との間に利害関係を有する等の場合には当該統括責任者補佐を個別支援チームの一員として参画させてはならず、外部専門家の活用に当たっては、対象債務者及び主要債権者との間に利害関係を有しない外部専門家を選定することとされています【本要領2(3)②③】。

ニ.対象債務者は、個別支援チームの対象債務者に対する財務面等の調査分析を通じて把握した状況に基づく支援を受けて再生計画案を作成することになります。この場合、個別支援チームによる、対象債務者が実施した財務面等の調査分析に対する検証を通じて把握した状況に基づく支援を受けて再生計画案を作成することもできることとされています【本要領2(4)①②④、本要領QA25】。

再生計画案の内容は、対象債務者の自助努力が十分に反映されたものであるとともに、企業の概況、財務状況の推移、実態貸借対照表、経営が困難になった原因、事業再生のための具体的内容、今後の事業見通し、資金繰り計画、債務弁済計画、債権放棄等の金融支援の内容及び保証人がいる場合はその資産と負債の状況を含むものとされています【本要領2(5)①】。

また、経営責任及び株主責任の明確化を図る内容であること【本要領2(5)⑤⑥】、加えて、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとって経済的合理性のある内容であることが求められます【本要領2(5)⑧】。

更に、再生計画案における権利関係の調整は、債権者間で平等であることを旨とし、債権者間の負担割合については、衡平性の観点から、個別に検討することとされています【本要領(5)⑦】。

ホ.統括責任者は、個別支援チームに参画した外部専門家である弁護士を活用して、再生計画案の内容の相当性、実行可能性及び金融支援の必要性等について調査し、調査報告書を作成の上、対象債権者に提出し報告することになります【本要領2(3)③、(6)①②、本要領QA33】。

ヘ.対象債務者により再生計画案が作成された後、全ての対象債権者による債権者会議を開催し、統括責任者は、当該債権者会議で対象債権者全員に対し再生計画案の調査結果を報告するとともに、再生計画案の説明、質疑応答及び意見交換を行うこととなります【本要領2(7)①】。

そして、全ての対象債権者が、再生計画案に同意し、その旨を文書等により確認した時点で再生計画は成立し、対象債務者は再生計画を実行する義務を負担し、対象債権者の権利は、成立した再生計画の定めにより変更され、対象債権者は、再生計画に従った債権放棄等をすることとなります【本要領2(7)②】。

ト.支援業務部門は主要債権者と連携の上、必要に応じて、外部専門家の協力を得て、再生計画成立後の対象債務者の再生計画達成状況等についてモニタリングを行うこととされ、モニタリング期間は原則として再生計画が成立してから概ね3事業年度を目途とし、必要な期間が定められます。また、支援業務部門は、対象債務者の再生計画達成状況等を踏まえ、その後のモニタリングの要否を判断することとなります【本要領4(1)①③⑤】。

3.照会者の求める見解となることの理由
個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第36条第1項に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に該当するため(所基通36-15(5))、原則として、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます。

ただし、当該個人事業者が「破産法に規定する免責許可の決定又は再生計画認可の決定があった場合その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」にその有する債務の免除を受けたときは、当該免除により受ける経済的利益の価額については、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととされています(所法44の2①)。

この「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」とは、「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」をいうこととされています(所基通44の2-1)。

この点、以下の(1)ないし(3)を踏まえれば、再生計画に基づき対象債務者である個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税基本通達44の2-1の「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」に該当することから、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えます。

(1)上記2(1)のとおり、対象債務者となる個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にありますので、民事再生法による再生手続の対象者と同様に資力を喪失している者であると認められます。

(2)上記2(4)ニのとおり、再生計画案は、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得らえる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められるため、再生計画に基づく債権放棄額は、民事再生法による再生手続と同様に破産手続による債権の免責額と同等以下となるように設定することとなります。

(3)上記2(4)ニ及びホのとおり、再生計画案は外部専門家を含む個別支援チームの支援の下に作成され、外部専門家弁護士により検証されることからすれば、再生計画に基づく債務免除額は、再生手続の対象となり得る者に対して、再生手続による債権の切捨額と同等の債務免除をするものと認められます。

(注)【 】は参照すべき本基本要領、本要領及び本要領QAの該当部分を示しています。

〔回答〕

  • 回答年月日 令和7年1月8日
  • 回答者 国税庁課税部審理室長
  • 回答内容 標題のことについては、標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。
(1)この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら⇒ 中小企業活性化協議会が「中小企業活性化協議会実施基本要領」に基づき実施した再生支援において作成された再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

2025年4月25日


「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(再生型私的整理手続)」に基づき策定された事業再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

1.照会の趣旨及び照会事項
当研究会は、令和3年6月に公表された「成長戦略実行計画」を受け、中小企業者(中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者をいい、常時使用する従業員数が300人以下の医療法人を含みます。以下同じです。)の事業再生・事業廃業(これらを併せて、以下「事業再生等」といいます。)に関し、関係者間の共通認識を醸成し、事業再生等に係る総合的な考え方及び具体的な手続等として、別添の「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」(以下「本ガイドライン」といいます。)及び同ガイドラインと一体的に定められている「『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』Q&A」(以下「QA」といいます。)を取りまとめ、令和4年3月に公表しています(本ガイドラインは、それまでの活用実績を踏まえ、令和6年1月17日に一部改定を行っております。)。

本ガイドラインは、その目的を定めた第一部、基本的な考え方を示した第二部、私的整理手続を定めた第三部から構成され、第三部の「中小企業の事業再生等のための私的整理手続(中小企業版私的整理手続)」では、破産手続、再生手続、更生手続又は特別清算手続等の法的整理手続によらずに、債務者である中小企業者と債権者である金融機関等の間の合意に基づき、主として金融債務について返済猶予・減免等を受けることにより、当該中小企業者の円滑な事業再生や廃業を行うことを目的とする私的整理の手続(以下、事業再生に係る私的整理手続を「再生型私的整理手続」といいます。)を定めたものであり、また、QAは、具体的な実務を行う上で留意すべき事項等を当研究会においてとりまとめたものです。

当研究会としましては、本ガイドラインの中小企業版私的整理手続(再生型私的整理手続及び廃業型私的整理手続)が円滑に運用されるため、当該手続に関する税務上の取扱いを検討する必要があると考えます。

つきましては、再生型私的整理手続において、中小企業者に該当する個人事業者が次の2の手順に従って策定された事業再生計画(以下「本件事業再生計画」といいます。)に基づいて債務の免除を受ける場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えて差し支えないか、ご照会申し上げます。

2.照会に係る取引等の事実関係
(1)対象債務者
再生型私的整理手続の対象となる債務者(以下「対象債務者」といいます。)は、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生ずることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難であること等の要件を満たす中小企業者であることとされています【第三部3(1)】。

なお、再生型私的整理手続における対象債務者は、法人に限られず個人事業者も含まれています【第三部3(2)①】。

当該個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にあることを照会の前提とします。

(2)対象債権者
再生型私的整理手続の対象となる債権者は、対象債務者に対して金融債権を有する取引金融機関等で事業再生計画が成立した場合に権利を変更されることが予定されている債権者とされています【第一部3、第三部1(1)】。

(3)第三者支援専門家
第三者支援専門家とは、対象債務者及び対象債権者との間に利害関係を有しない弁護士、公認会計士等の専門家であって、再生型私的整理手続を遂行する適格性を有し、その適格認定を得たものをいいます。

第三者支援専門家は、対象債務者からの申出を受けて、主要債権者()の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当でないと判断した場合には、対象債務者の資産負債や損益の状況の調査検証や事業再生計画策定の支援等を行い、策定された事業再生計画案の内容の相当性及び実行可能性等について調査し、対象債権者に報告して事業再生計画案について合意形成を図ることとなります【第三部4(1)、(5)①、(6)③】。

主要債権者とは、対象債務者に対する金融債権額が上位のシェアを占める対象債権者で金融債権額のシェアが最上位の者から順番に、そのシェアの合計額が50%以上に達するまで積み上げた際の単独又は複数の対象債権者をいいます【第三部2(5)】。

(4)「事業再生計画」の策定手順等の概要
再生型私的整理手続に基づく金融支援は、債権放棄等のほかリスケジュール等の様々な手法が考えられますが、債権放棄等を伴う事業再生計画を策定する場合には、以下の手順等を経て計画が成立することが想定されています。

イ.対象債務者が、弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等の専門家(以下「外部専門家」といいます。)と相談しつつ、第三者支援専門家を公表されたリストから選定し(複数の対象債権者が関わる場合で、対象債権者全員の同意を得たときは、リストにない専門家を第三者支援専門家として選定することも認められています。)、主要債権者に再生型私的整理手続を検討している旨を申し出るとともに、第三者支援専門家の選任について主要債権者全員から同意を得ることになります【第三部4(1)①②、QA41】。

ロ.第三者支援専門家は主要債権者の意向も踏まえて、再生支援を行うことが不相当ではないと判断した場合には、対象債務者の資産負債及び損益の状況の調査検証や事業再生計画の策定方針について支援を開始します【第三部4(1)③】。

ハ.対象債務者は、上記(2)以降、対象債権者に対して必要に応じて一時停止の要請を行います【第三部4(2)】。

ニ.対象債務者は、外部専門家からの支援を受ける等して相当の期間内に事業再生計画案を作成することになります【第三部4(3)】。

事業再生計画案の内容は、対象債務者の自助努力が十分に反映されたものであるとともに、企業の概況、財務状況の推移、保証人がいる場合はその資産と負債の状況、実態貸借対照表、経営が困難になった原因、事業再生のための具体的施策、今後の事業及び財務状況の見通し、資金繰り計画及び債権放棄等の金融支援を含むものとされています【第三部4(4)①イ】。

また、事業再生計画案は、経営責任及び株主責任の明確化を図る内容であること【第三部4(4)①ホ】、加えて、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得られる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められます【第三部4(4)①ト】。

更に、事業再生計画案における権利関係の調整は、債権者間で平等であることを旨とし、債権者間の負担割合については、衡平性の観点から、個別に検討することとされています【第三部4(4)①へ】。

ホ.第三者支援専門家は、対象債務者及び対象債権者から独立して中立かつ公正・公平な立場で、事業再生計画案の内容の相当性及び実行可能性並びに金融支援の必要性及び内容の相当性等について調査し、調査報告書を作成の上、対象債権者に提出し報告することになります【第三部4(5)①②】。

ヘ.対象債務者により事業再生計画案が作成された後、原則として全ての対象債権者による債権者会議を開催し、第三者支援専門家は、当該債権者会議で対象債権者全員に対し事業再生計画案の調査結果を報告するとともに、事業再生計画案の説明、質疑応答及び意見交換を行うこととなります【第三部4(6)①】。

そして、全ての対象債権者が、事業再生計画案に同意し、その旨を第三者支援専門家が文書等により確認した時点で事業再生計画は成立し、対象債務者は事業再生計画を実行する義務を負担し、対象債権者の権利は、成立した事業再生計画の定めにより変更され、対象債権者は、事業再生計画の定めに従った債権放棄等をすることとなります【第三部4(6)④】。

ト.外部専門家や主要債権者は、事業再生計画成立後の対象債務者の事業再生計画達成状況等について定期的にモニタリングを行うこととされ、モニタリング期間は原則として事業再生計画が成立してから概ね3事業年度を目途とし、対象債務者の状況や事業再生計画の内容等を勘案して、必要な期間が定められます。

また、主要債権者は、対象債務者の事業再生計画達成状況等を踏まえ、その後のモニタリングの要否を判断することとなります【第三部4(8)①】。

3.照会者の求める見解となることの理由
個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第36条第1項に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に該当するため(所基通36-15(5))、原則として、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます。

ただし、当該個人事業者が「破産法に規定する免責許可の決定又は再生計画認可の決定があった場合その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」にその有する債務の免除を受けたときは、当該免除により受ける経済的利益の価額については、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととされています(所法44の2①)。

この「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」とは、「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」をいうこととされています(所基通44の2-1)。

この点、以下の(1)ないし(3)を踏まえれば、本件事業再生計画に基づき対象債務者である個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税基本通達44の2-1の「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」に該当することから、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えます。

(1)上記2(1)のとおり、対象債務者となる個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にありますので、民事再生法による再生手続の対象者と同様に資力を喪失している者であると認められます。

(2)上記2(4)ニのとおり、事業再生計画案は、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得らえる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められるため、本件事業再生計画に基づく債権放棄額は、民事再生法による再生手続と同様に破産手続による債権の免責額と同等以下となるように設定することとなります。

(3)上記2(4)ホのとおり、事業再生計画案は外部専門家の支援の下に作成され、独立して公平な立場から第三者支援専門家により確認されることからすれば、本件事業再生計画に基づく債務免除額は、再生手続の対象となり得る者に対して、再生手続による債権の切捨額と同等の債務免除をするものと認められます。

(注)【 】は参照すべき本ガイドライン本文ならびにQAの該当部分を示しています。

〔回答〕

  • 回答年月日 令和7年1月8日
  • 回答者 国税庁課税部審理室長
  • 回答内容 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。
(1)この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら⇒ 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(再生型私的整理手続)」に基づき策定された事業再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

2025年4月16日


『中小企業再生支援スキーム』の改訂

中小企業庁は、『中小企業再生支援スキーム』について、以下のとおり改訂した。

<改訂の趣旨>
中小企業再生支援スキームは、中小企業再生支援協議会等が債務免除を含む再生計画の策定支援を実施する際の手順や要件を定めたものである。
窮境に陥った事業者の方が、この手順に従って再生計画の策定支援を受け、金融機関等から債務免除等を受けた場合に、対応した税制上の措置を受けることができる。
中小企業庁では、税制の特例措置の創設等の都度、新たな規定を追加や改訂をしてる。
この度、以下の特例について、適用期限が平成31年3月末までに延長されたので、「中小企業再生支援スキーム」を改訂し公表した。

<主な改訂の内容>
●「事業再生ファンドに係る企業再生税制の特例」の延長
(具体的な内容)
事業再生ファンドによる債権放棄が行われた場合、平成31年3月末までの間、評価損の損金算入が可能となる等の特例が適用できる。

適用対象 平成21年12月4日から平成28年3月31までの間に、債務について金融機関
から貸付け条件の変更を受けた法人

●「経営者の私財提供に係る譲渡所得の非課税措置の特例」の延長
(具体的な内容)
再生企業の保証人となっている経営者が、「合理的な再生計画」に基づき、当該再生企業に対して事業用資産の私財提供を行った場合には、平成31年3月末までの間、譲渡益を非課税とする特例が適用できる。

適用対象

平成21年12月4日から平成28年3月31日までの間に、金融機関から受けた
事業資金の貸付けに係る債務の弁済について、条件変更を受けた法人

★リンクはこちら⇒ 『中小企業再生支援スキーム』の改訂

2016年8月31日

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印紙税

印紙税額一覧表(令和6年11月現在)

国税庁は『印紙税額一覧表(令和6年11月現在)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 印紙税額一覧表(令和6年11月現在)

2024年11月29日


契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)

国税庁は『契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)』をホームページに掲載しました。

印紙税は、「契約書」、「手形」、「領収書」など、リンク先の「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金です。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なりますから、お間違いのないようご注意ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)

2024年7月29日


消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の印紙税の取扱いについて(令和6年6月)

1.従来の取扱い
印紙税法上、金銭又は有価証券の受取書は課税文書となりますが、消費生活協同組合が、その「出資者」に対して行う事業に係る金銭又は有価証券の受取書は「営業に関しないもの」として非課税文書とされています。

この非課税文書の対象となる「出資者」の範囲については、消費生活協同組合法第16条の規定に基づき、実際に出資を行った組合員に限ることとし、組合員と同一の世帯に属する者(以下、「家族組合員」といいます。)については、出資行為を行っていないことから「出資者」には含まないものとして取り扱っていました。

2.変更後の取扱い
今般、「出資者」の範囲について、家族組合員が含まれるかが争われた裁判において、東京高等裁判所は、「消費生活協同組合における『家族組合員』は印紙税法上の『出資者』に該当する」旨判示しました(令和5年10月18日判決)。

この判決の趣旨を踏まえ、消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の非課税対象となる「出資者」の範囲について、上記1の従来の取扱いを変更します。

具体的には、非課税対象となる「出資者」の範囲については、実際に出資行為を行った組合員のほか、定款に特に定めがある場合を除き、家族組合員を含むこととし、これらの者に対して交付する金銭又は有価証券の受取書は、「営業に関しないもの」として非課税文書となります。

3.還付請求手続について
上記2の取扱いは過去に遡って適用されますので、以下の納付区分に応じて、還付請求を行うことができます。

(1)書式表示に係る印紙税の納税申告の場合
家族組合員に交付した金銭又は有価証券の受取書を申告対象としていた場合は、所轄税務署に「更正請求書」を提出していただくことで還付請求を行うことができます。

請求に当たっては、更正の請求の理由となった事実を証明する書類として、申告対象に家族組合員に対する金銭又は有価証券の受取書が含まれていることが分かる書類及び定款の写しの提出が必要となります。

なお、「更正請求書」を提出する日において、法定申告期限から5年を経過している印紙税については、法令上、還付を行うことはできませんので、ご注意ください。

(2)収入印紙の貼付の場合
家族組合員に交付した金銭又は有価証券の受取書に収入印紙を貼付していた場合は、所轄税務署に「印紙税過誤納確認申請書」を提出していただくことで還付請求を行うことができます。

申請に当たっては、金銭又は有価証券の受取書の現物(原本)の提示又は提出、並びに家族組合員へ交付されたものであることが確認できる書類及び定款の写しの提出が必要となります。

なお、「印紙税過誤納確認申請書」を提出する日において、過誤納となっている文書を作成した日(家族組合員に交付を行った日)から5年を経過している印紙税については、法令上、還付を行うことはできませんので、ご注意ください。

★リンクはこちら⇒ 消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の印紙税の取扱いについて(令和6年6月)

2024年7月26日


印紙税の手引(令和6年6月)

国税庁は『印紙税の手引(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の『印紙税額一覧表』に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、『印紙税額一覧表』に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただくための参考として、そのあらましを説明した『印紙税の手引』を作成した。

また、国税庁ホームページにおいても印紙税に関する情報やタックスアンサー(よくある税の質問)を提供しているので、是非ご活用のこと。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、最寄りの税務署に電話で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和6年6月)

2024年7月8日


特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税について(新型コロナ税特法)

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の方については、消費貸借契約書に係る印紙税の非課税措置が設けられている。

★リンクはこちら⇒ 特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税について(新型コロナ税特法)

2024年4月5日


契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」、「手形」、「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるので、お間違いのないよう注意すること。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)

2023年7月7日


印紙税の手引(令和5年5月)

国税庁は、「印紙税の手引(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただくための参考として、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

また、国税庁ホームページにおいても印紙税に関する情報やタックスアンサー(よくある税の質問)を提供しているので、是非ご活用ください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、最寄りの税務署に電話で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和5年5月)

2023年6月27日


契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)』を掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるから、間違いのないよう注意すること。

印紙税についてお分かりにならないことがありましたら、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)

2022年8月25日


印紙税の手引(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『印紙税の手引(令和4年5月)』を掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、お分かりにならないことや、更に詳しくお知りになりたいことがありましたら、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和4年5月)

2022年6月10日


契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「契約書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるので、間違いのないようご注意ください。

印紙税について分からないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約したうえで、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)

2021年5月27日


印紙税の手引(令和3年5月)

国税庁は、『印紙税の手引(令和3年5月)をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。
印紙税について、分かりにならないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約したうえで、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和3年5月)

2021年5月24日


消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該文書の一部は課税文書に該当しないなどとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消した事例

  • 平成26年9月から平成29年3月まで及び平成29年4月から平成29年8月までに作成された各課税文書に係る印紙税の過怠税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月2日裁決

<ポイント>
消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該領収書の交付を受けた者は、その作成日の時点では出資者であったと認められるから、「営業に関しない受取書」に当たり、課税文書に該当しないとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書について、請求人が出資者以外の者に交付したものであり、印紙税法別表第一の第17号の非課税物件欄2に規定する「営業に関しない受取書」に該当しない旨主張する。

しかしながら、同欄2の規定によれば、請求人がその出資者に対して行う事業は、「営業」に該当しないが、出資者以外の者に対して行う事業は、たとえ営利を目的としないものであったとしても全て「営業」に該当することになるところ、当審判所の調査によれば、当該領収書の交付を受けた者は、その作成日の時点では出資者であったと認められることなどからすれば、同欄2に規定する「営業に関しない受取書」に当たり、課税文書に該当しないと認めるのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該文書の一部は課税文書に該当しないなどとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消した事例

2020年11月12日


契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)

国税庁は『契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。
印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるため、間違いのないよう注意すること。

印紙税について分からないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねのこと。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書を持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)

2020年7月10日


印紙税の手引(令和2年6月)

国税庁は『印紙税の手引(令和2年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、分からないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねのこと。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和2年6月)

2020年7月7日


契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるから、お間違いのないようご注意のこと。

印紙税についてお分かりにならないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

 ★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)

2019年6月26日


印紙税の手引(令和元年6月)

国税庁は、『印紙税の手引(令和元年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、分からないことや、更に詳しくお知りになりたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。
なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

 ★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和元年6月)

2019年6月21日


収入印紙の形式改正について

収入印紙については、形式を改正し、平成30年7月1日から適用を開始することとなった。

形式を改正する券種は、現行の31券種(1円、2円、5円、10円、20円、30円、40円、50円、60円、80円、100円、120円、200円、300円、400円、500円、600円、1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、6,000円、8,000円、10,000円、20,000円、30,000円、40,000円、50,000円、60,000円、100,000円)のうち、19券種(下線の券種)となる。

形式改正後は、券種ごとに以下の偽造防止技術を施する。

○すべての券種
特殊発光インキ(可視領域では無色だが、紫外線ランプの照射で発光するインキ)及びマイクロ文字
着色繊維及び透かし入用紙を使用

○200円券
パールインキ(見る角度でパール色の光沢模様が現れる技術)
イメージリプル(特殊レンズを重ねると、「200」の文字が現れる技術)

○300円から600円の券種(4券種)
メタメリックインキ(専用シートを重ねると、模様が消える技術)

○1,000円以上の券種(14券種)
メタリックビュー(見る角度を変えると、複数の模様が現れる技術)

なお、改正前の収入印紙については、改正後の収入印紙の適用開始後も引き続き使用することができる。

 ★リンクはこちら⇒ 収入印紙の形式改正について

2018年6月7日


契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。
印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。
例えば、「不動産売買契約書(第1号文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、収める税金が異なるので、間違いのないように注意すること。

 ★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)

2018年6月4日


印紙税の手引(平成30年5月)

国税庁は、『印紙税の手引(平成30年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

 ★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(平成30年5月)

2018年5月30日


契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)

2017年6月22日

平成29年5月印紙税の手引

国税庁は、『平成29年5月印紙税の手引』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年5月印紙税の手引

2017年6月2日

総価契約単価合意方式における「単価合意書」の印紙税の取扱い

<照会要旨>
総価契約単価合意方式は、公共工事等における受発注者間の双務性の向上の観点から、請負代金額の変更があった場合の金額の算定や部分払い代金額の算定を行うための単価等を前もって協議し、合意しておくことにより、変更契約や部分払いに伴う協議の円滑化を図ることを目的として実施されている。
また、その実施方法としては、単価等を個別に合意する方式(以下「単価個別合意方式」という。)を基本としているが、一定の規模以下の契約工事においては、受注者の希望により、単価を包括的に合意する方式(以下「単価包括合意方式」という。)も可能なものとなっている。
いずれの場合であっても、発注者と受注者との間では、「工事請負契約書」と「単価合意書」(単価個別合意方式用)または「単価合意書」(単価包括合意方式用)が締結されることになる。
このうち、「工事請負契約書」は、印紙税法上、請負に関する契約書に該当することから、請負金額に応じて収入印紙を貼付しているが、契約当事者間で作成されるもう一方の「単価合意書」の印紙税の取扱いはどうなるか。
なお、「単価合意書」(単価個別合意方式用)には「単価表」、「単価合意書」(単価包括合意方式用)には「工事数量総括表」を添付する方法で作成する。

<回答要旨>
1.「単価合意書」(単価個別合意方式用)について
「単価合意書」(単価個別合意方式用)は、工事における契約の変更に用いる単価または金額を定めるために、原契約書(工事請負契約書)で定められた契約金額(請負金額の総額)に係る工事種別ごとの単価または金額(内訳金額)を記載して契約当事者間で合意した契約書であり、原契約書で定められていない契約内容(請負の内容、単価、取扱数量及び契約金額に密接に関連する事項(内訳金額))を補充するものと認められることから、印紙税法上、請負に関する契約書(第2文書)に該当する。

また、当該「単価合意書」(単価個別合意方式用)には、契約の変更に用いる単価または金額(内訳金額)のほかに当該内訳金額の合計金額(請負金額の総額)も記載されているが、当該合計金額は、原契約である「工事請負契約書」の内容から判断して当該文書(「単価合意書」(単価個別合意方式用))によって新たに契約金額を取り決めたものではなく、既に締結されている工事請負契約書の契約金額の内訳である単価または金額の合計額を示しているに過ぎないから記載金額には該当しない。

したがって、「単価合意書(単価個別合意方式用)」は、印紙税法上、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

2.「単価合意書」(単価包括合意方式用)について
「単価合意書」(単価包括合意方式用)は、契約の変更に用いる単価の考え方について合意したものであり、具体的な単価(数値として具体性を有するもの)を合意したものではないので、印紙税法上の請負に関する契約書に係る「単価」を定めたものとは認められない。
しかし、当該「単価合意書」には、工事数量総括表を別紙として添付することとされており当該工事数量総括表に記載される内容は、原契約で定められていない契約内容(請負の内容及び取扱い数量)を補充するものと認められるから、当該「単価合意書」(単価包括合意方式用)は、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

また、追加工事等により、原契約書の変更契約の締結に伴い改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容(請負内容又は取扱数量)が変更されるので、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

なお、賃金または物価変動に基づく請負代金の変更(労務単価など単価のみの変更)に伴い、改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容に変更はないので、課税文書には該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 総価契約単価合意方式における「単価合意書」の印紙税の取扱い

2016年3月16日

建築士法第22条の3の3の規定に基づき作成される「設計・工事監理受託契約事項の変更書面」に係る印紙税の取扱い

<照会要旨>
工事請負契約の請負者は注文者との間で工事請負契約書(以下「原契約書」という。)を締結する際に、その契約内容に当該工事請負契約書の内容に設計・工事監理が含まれ、かつ、当該工事請負契約において建設する建築物が延べ面積300㎡を超える場合、建築士法第22条の3の3の規定に基づき、「設計・工事監理受託契約事項」を作成し、原契約書に添付する。
この「設計・工事監理受託契約事項」には、設計または工事監理に従事する建築士の氏名、業務の期間、報酬の額、建築士事務所の名称及び所在地、建築士事務所の開設者の氏名及び所在地等が記載されるが、これらの事項が変更される場合、契約当事者間で「設計・工事監理受託事項の変更書面」を作成するが、以下の事項の変更が記載された当該書面の課否はどのようになるか。

業務の期間
報酬の額
建築士事務所の名称及び所在地
建築士事務所の開設者の氏名
建築士の登録番号
再委託先

なお、いずれの場合も、原契約書に記載された事項は変更されない。

<回答要旨>
「設計・工事監理受託事項の変更書面」において変更する箇所が、①のうち設計業務及び構造設計業務の期間の変更の場合は、第2号文書の重要な事項である請負の期限を変更するものに該当することから記載金額のない第2号文書、②の報酬の額を変更するものは、第2号文書の重要な事項のうち、契約金額を変更するものに該当することから、報酬の額が増額される場合は、変更金額(差額)を記載金額とする第2号文書に、報酬額が減額される場合は、記載金額のない第2号文書に該当する。

なお、③ないし⑥の事項の変更は第2号文書の重要な事項の変更に該当しないことから課税文書に該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 建築士法第22条の3の3の規定に基づき作成される「設計・工事監理受託契約事項の変更書面」に係る印紙税の取扱い

2016年3月9日

契約書の写し、副本、謄本等

契約書は、契約の当事者がそれぞれ相手方当事者などに対して成立した契約の内容を証明するために作られるので、各契約当事者が1通ずつ所持するのが一般的である。
この場合、契約当事者の一方が所持するものに正本又は原本と表示し、他方が所持するものに写し、副本、謄本などと表示することがある。

しかしながら、写し、副本、謄本などと表示された文書であっても、おおむね以下のような形態のものは、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかなため、印紙税の課税対象になる。

  • 契約当事者の双方または文書の所持者以外の一方の署名または押印があるもの
  • 正本などと相違ないこと、または写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるもの

なお、所持する文書に自分だけの印鑑を押したものは、契約の相手方当事者に対して証明の用をなさないものであるため、課税対象とはならない。

また、契約書の正本を複写機でコピーしただけのもので、上記のような署名もしくは押印または証明のないものは、単なる写しにすぎないため、課税対象とはならない。
同じく、ファックスや電子メール等により送信する場合も正本等は送付元に保存され、送付先に交付されておらず、送付先で出力された文書は写しと同様であり、課税対象とはならない。

このように、印紙税は、契約の成立を証明する目的で作成された文書を課税対象とするものであるため、一つの契約について2通以上の文書が作成された場合であっても、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであれば、すべて印紙税の課税対象となる。

★リンクはこちら⇒ 契約書の写し、副本、謄本等

2015年12月1日

印紙の消印の方法

<照会要旨>
契約書などに印紙を貼った場合には消印をすることとされているが、この消印は契約書などに押した印で消さなければならないか。
また、契約者が数人いる場合には、その全員で消印をしなければいけないのか。

<回答要旨>
印紙税の課税対象となる文書に印紙を貼り付けた場合には、その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっている。
そして、印紙を消す方法は、文書の作成者または代理人、使用人その他の従業者の印章または署名によることになっている。
このように、消印する人は文書の作成者に限られておらず、また、消印は印章でなくても署名でもよいとされているところから、文書の消印は、その文書に押した印でなくても、作成者、代理人、使用人、従業者の印章または署名であれば、どのようなものでも差し支えない。
ところで、消印は印紙の再使用を防止するためのものゆえ、それに使用する印章は通常印判といわれているもののほか、氏名、名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印のようなものでも差し支えない。
署名は自筆によるが、その表示は氏名を表すものでも通称、商号のようなものでも構わない。
しかし、単に「印」と表示したり斜線を引いたりしてもそれは印章や署名には当たらないので、消印したことにはならない。
また、印紙は判明に消さなければならないこととされているので、一見して誰が消印したかが明らかとなる程度に印章を押し又は署名することが必要であり、かつ、通常の方法では消印を取り去ることができないことが必要である。
したがって、鉛筆で署名したもののように簡単に消し去ることができるものは、消印をしたことにはならない。

次に、消印は印紙の再使用を防止することを目的とするという趣旨のものゆえ、複数の人が共同して作成した文書に貼り付けた印紙は、その作成者のうち誰か1人の者が消せばよいことになっている。
例えば、甲と乙とが共同して作成した契約書については、甲と乙の双方が消印しても甲と乙のどちらか1人が消印しても差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 印紙の消印の方法

2015年10月6日

平成27年9月印紙税の手引

国税庁は、『平成27年9月印紙税の手引』を公表した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年9月印紙税の手引

2015年9月30日

顧客から商品の返品若しくは交換又は売価が異なるなどの申し出を受けた際に使用する「お客様返金伝票」と題する伝票のつづりは、印紙税法上の「判取帳」に該当するとした事例

平成21年12月~平成24年3月及び平成24年4月~平成24年11月に作成された各課税文書に係る印紙税の過怠税の各賦課決定処分
棄却 平成26年10月28日裁決

<要旨>
請求人は、「売場控、事務所控及び商品貼付用」の3枚一組複写式の伝票が100組つづられている伝票つづりのうち、伝票作成後も切り離されずに残されている「売場控」つづり(本件各文書)が、1伝票1枚1枚が一の文書であること、2二以上の相手方から金銭受領の付込事実の証明を受ける目的で作成されていないものであること、3印紙税法上の帳簿に当たらないことからすると、判取帳には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件各文書は、①切り離されずに残されている「売場控」伝票(本件各伝票)が、本件各文書から切り離されることが予定されていたものとはいえず、また、請求人も1冊につづった状態で保管していたから、全体として一の文書に当たると認められるものであること、②請求人には、返金を行う場合において、複数の顧客から本件各伝票に署名を受けることによって金銭受領証明目的があったと認められることからすると、二以上の相手方から金銭の受領事実の証明を受ける目的で作成されたものと認められること、③継続的又は連続的に、金銭受領の事実、すなわち、課税事項を記載するための文書といえるものと認められるから、帳簿に当たると認められるものであることからすると、判取帳に該当する。

★リンクはこちら⇒ 顧客から商品の返品若しくは交換又は売価が異なるなどの申し出を受けた際に使用する「お客様返金伝票」と題する伝票のつづりは、印紙税法上の「判取帳」に該当するとした事例

2015年9月16日

契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)

2015年6月16日

印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)

国税庁は、「印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)」をホームページに掲載した。

不動産の譲渡に関する契約書」のうち、平成9年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成されるもの、「請負に関する契約書」のうち、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるもので、平成9年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成されるものについては、契約書の作成年月日及び記載された契約金額に応じ、印紙税額が軽減されている。

★リンクはこちら⇒ 印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)

2015年6月11日

輸出免税物品購入記録票に貼付・割印するレシート

【照会要旨】
輸出物品販売場を経営する事業者が、輸出免税物品購入記録票を作成する際に、購入される物品の品名や数量、価額等の明細を記載する代わりにレシートの写しを貼り付けて割印をし、これをパスポート等に貼り付けることがあるが、当該レシートの写しは、印紙税法上の「売上代金に係る金銭の受取書」(第17号の1文書)に該当するのか?

【回答要旨】
照会のレシートの写しは、購入記録票に品名や数量、価額等の明細を記載する代わりに貼り付けられるものであり、かつ、当該購入記録票との間に割印がされることから当該購入記録票の一部と認められ、輸出物品販売場を経営する事業者が購入者から金銭を受領した事実を証するために作成されたものではないから、第17号の1文書に該当しない。

2014年12月4日

未使用の収入印紙についての印紙税過誤納還付

【照会要旨】
当社では、不動産売買契約の締結を予定していたところ、契約の相手方の都合でキャンセルになってしまい、購入した2万円の収入印紙の使用見込みが立たなくなった。未使用の収入印紙について、印紙税の過誤納還付を受けることができるか?

【回答要旨】
収入印紙は、印紙税の納付のほか、登録免許税やパスポート引換えの際の手数料または訴訟費用等の納付にも使用される。
印紙税法の規定により還付することができるのは、印紙税を納付する目的で、印紙税の課税文書に過大に収入印紙を貼り付けた場合など、いったん印紙税を納付し、その納付した印紙税について過誤納金が生じている事実が確認できる場合に限られる。

したがって、未使用の収入印紙については、税務署において印紙税の過誤納還付を受けることはできない。

なお、汚染または損傷していない収入印紙については、郵便局において、手数料を支払って他の額面の収入印紙と交換することができる。詳細は「収入印紙の交換制度」を参照のこと。

2014年12月1日

印紙税の手引(平成26年9月)

国税庁は、『印紙税の手引(平成26年9月)』を公表した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。
そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

印紙税について、分からないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、税理士や最寄りの税務署(電話相談センター)に尋ねること。
なお、課税文書に当たるかどうかの尋ねるときは、その文書を持参すること。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(平成26年9月)

2014年10月21日

電子記録債権の受領に関する受取書

【照会要旨】
当社は、電子債権記録機関が提供している手形的利用を前提とした電子記録債権サービスの提供を受けており、売買取引等において売上代金を電子記録債権で受領した場合には、従来の手形取引と同様に、受取書を作成し、相手方に交付することとしている。
この場合、当該受取書にはただし書として、「上記金額を電子記録債権で受領しました。」と記載して、電子記録債権を受領したことを明らかにしているが、当社が取引の相手方に交付する「電子記録債権の受領に関する受取書」は、第17号の1文書(売上代金に係る有価証券の受取書)に該当することになるのか。

【回答要旨】
印紙税法に規定する「有価証券」とは、財産的価値のある権利を表彰する「証券」であって、その権利の移転、行使が「証券」をもってなされることを要するものとされており、例えば、手形、小切手、郵便為替等がこれに該当する(印紙税法基本通達60)。
電子記録債権は、有価証券(財産的価値のある権利を表彰する証券)には該当しないことから、この受取書は、第17号の1文書には該当しない。
ただし、売上代金を電子記録債権で受領する場合であっても、「上記金額を電子記録債権で受領しました。」など、受取書に電子記録債権を受領した旨の記載がないときは、第17号の1文書に該当することとなる。

2014年3月6日

印紙税第20号文書

<第20号文書とは>

  • 判取帳

<注>

  • 判取帳とは、第1号、第2号、第14号または第17号に掲げる文書により証されるべき事項につき2以上の相手方から付込証明を受ける目的をもって作成する帳簿をいう。

2013年12月24日

印紙税第19号文書

<第19号文書とは>

  • 第1号、第2号、第14号または第17号に掲げる文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的をもって作成する通帳(前号に掲げる通帳を除く。)

2013年12月20日

印紙税第18号文書

<第18号文書とは>

  • 預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行もしくは無尽会社の作成する掛金通帳、生命保険会社の作成する保険料通帳または生命共済の掛金通帳

<注>

  • 生命共済の掛金通帳とは、農業協同組合その他の法人が生命共済に係る契約に関し作成する掛金通帳で、政令で定めるものをいう。

<主な非課税文書>

  1. 信用金庫その他政令で定める金融機関の作成する預貯金通帳
  2. 所得税法第9条第1項第2号(非課税所得)に規定する預貯金に係る預貯金通帳その他政令で定める普通預金通帳

2013年12月18日

印紙税第17号文書

<第17号文書とは>

  1. 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書
  2. 金銭または有価証券の受取書で1に掲げる受取書以外のもの

<注>

  • 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書とは、資産を譲渡しもしくは使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)または役務を提供することによる対価(手付けを含み、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものの譲渡の対価、保険料その他政令で定めるものを除く。)として受け取る金銭または有価証券の受取書をいう。

<主な非課税文書>

  1. 記載された受取金額が3万円未満の受取書
  2. 営業(会社以外の法人で、法令の規定または定款の定めにより利益金または剰余金の配当または分配をすることができることとなっているものが、その出資者以外の者に対して行う事業を含み、当該出資者がその出資をした法人に対して行う営業を除く。)に関しない受取書
  3. 有価証券または第8号、第12号、第14号もしくは第16号に掲げる文書に追記した受取書

2013年12月16日

印紙税第16号文書

<第16号文書とは>

  • 配当金領収証または配当金振込通知書

<注>

  1. 配当金領収証とは、配当金領収書その他名称のいかんを問わず、配当金の支払を受ける権利を表彰する証書または配当金の受領の事実を証するための証書をいう。
  2. 配当金振込通知書とは、配当金振込票その他名称のいかんを問わず、配当金が銀行その他の金融機関にある株主の預貯金口座その他の勘定に振込済みである旨を株主に通知する文書をいう。

<主な非課税文書>

  • 記載された配当金額が3,000円未満の証書または文書

2013年12月13日

印紙税第15号文書

<第15号文書とは>

  • 債権譲渡または債務引受けに関する契約書

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年12月11日

印紙税第14号文書

<第14号文書とは>

  • 金銭または有価証券の寄託に関する契約書

2013年12月9日

印紙税第13号文書

<第13号文書とは>

  • 債務の保証に関する契約書(主たる債務の契約書に併記するものを除く。)

<主な非課税文書>

  • 身元保証ニ関スル法律(昭和8年法律第42号)に定める身元保証に関する契約書

2013年12月6日

印紙税第12号文書

<第12号文書とは>

  • 信託行為に関する契約書

<注>

  • 信託行為に関する契約書には、信託証書を含むものとする。

2013年12月4日

印紙税第11号文書

<第11号文書とは>

  • 信用状

2013年12月2日

印紙税第10号文書

<第10号文書とは>

  • 保険証券

<注>

  • 保険証券とは、保険証券その他名称のいかんを問わず、保険法(平成20年法律第56号)第6条第1項(損害保険契約の締結時の書面交付)、第40条第1項(生命保険契約の締結時の書面交付)または第69条第1項(傷害疾病定額保険契約の締結時の書面交付)その他の法令の規定により、保険契約に係る保険者が当該保険契約を締結したときに当該保険契約に係る保険契約者に対して交付する書面(当該保険契約者からの再交付の請求により交付するものを含み、保険業法第3条第5項第3号(免許)に掲げる保険に係る保険契約その他政令で定める保険契約に係るものを除く。)をいう。

2013年11月29日

印紙税第9号文書

<第9号文書とは>

  • 貨物引換証、倉庫証券または船荷証券

<注>

  1. 貨物引換証または船荷証券には、商法(昭和32年法律第48号)第571条第2項(貨物引換証)の記載事項または同法第769条(船荷証券)もしくは国際海上物品運送法(昭和32年法律第172号)第7条(船荷証券)の記載事項の一部を欠く証書で、これらの証券と類似の効用を有するものを含むものとする。
  2. 倉庫証券には、預証券、質入証券及び倉荷証券のほか、商法第599条(預証券等)の記載事項の一部を欠く証書で、これらの証券と類似の効用を有するものを含むものとし、農業倉庫証券及び連合農業倉庫証券を含まないものとする。

<主な非課税文書>

  • 船荷証券の謄本

2013年11月27日

印紙税第8号文書

<第8号文書とは>

  • 預貯金証書

<主な非課税文書>

  • 信用金庫その他政令で定める金融機関の作成する預貯金証書で、記載された預入額が1万円未満のもの

2013年11月25日

印紙税第7号文書

<第7号文書とは>

  • 継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が3か月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く。)

<注>

  • 継続的取引の基本となる契約書とは、特約店契約書、代理店契約書、銀行取引約定書その他の契約書で、特定の相手方との間に継続的に生ずる取引の基本となるもののうち、政令で定めるものをいう。

2013年11月22日

印紙税の手引(2013年10月)

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、その内容にかかわらず、定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。
そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

  • 現在、「金銭又は有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされているが、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税となる。
  • 不動産の譲渡に関する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」のうち、一定の要件に該当する契約書の印紙税を軽減する措置が平成30年3月31日まで延長されている(第1号の1文書及び第2号文書関係)。
    また、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、印紙税の軽減措置が拡充される。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(2013年10月)(既に削除済み)

2013年11月20日

印紙税第6号文書

<第6号文書とは>

  • 定款

<注>

  • 定款は、会社(相互会社を含む。)の設立のときに作成される定款の原本に限るものとする。

<主な非課税文書>

  • 株式会社または相互会社の定款のうち、公証人法第62条ノ3第3項(定款の認証手続)の規定により公証人の保存するもの以外のもの

2013年11月18日

印紙税第5号文書

<第5号文書とは>

  • 合併契約書または吸収分割契約書もしくは新設分割計画書

<注>

  1. 合併契約書とは、会社法(平成17年法律第86号)第748条(合併契約の締結)に規定する合併契約(保険業法第159条第1項(相互会社と株式会社の合併)に規定する合併契約を含む。)を証する文書(当該合併契約の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。
  2. 吸収分割契約書とは、会社法第757条(吸収分割契約の締結)に規定する吸収分割契約を証する文書(当該吸収分割契約の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。
  3. 新設分割計画書とは、会社法第762条第1項(新設分割計画の作成)に規定する新設分割計画を証する文書(当該新設分割計画の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。

2013年11月11日

印紙税第4号文書

<第4号文書とは>

  • 株券、出資証券もしくは社債券または投資信託、貸付信託、特定目的信託もしくは受益証券発行信託の受益証券

<注>

  1. 出資証券とは、相互会社(保険業法(平成7年法律第105号)第2条第5項(定義)に規定する相互会社をいう。以下同じ。)の作成する基金証券及び法人の社員または出資者たる地位を証する文書(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)に規定する投資証券を含む。)をいう。
  2. 社債券には、特別の法律により法人の発行する債券及び相互会社の社債券を含むものとする。

<主な非課税文書>

  1. 日本銀行その他特別の法律により設立された法人で政令で定めるものの作成する出資証券(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成5年法律第4号)に規定する優先出資証券を除く。)
  2. 受益権を他の投資信託の受託者に取得させることを目的とする投資信託の受益証券で政令で定めるもの

2013年11月5日

印紙税第3号文書

<第3号文書とは>

  • 約束手形または為替手形

<主な非課税文書>

  1. 手形金額が10万円未満の手形
  2. 手形金額の記載のない手形
  3. 手形の複本または謄本

2013年10月31日

印紙税第2号文書

<第2号文書とは>

  • 請負に関する契約書

<注>

  • 請負には、職業野球の選手、映画の俳優その他これらに類する者で政令で定めるものの役務の提供を約することを内容とする契約を含むものとする。

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年10月29日

印紙税第1号文書

<第1号文書とは>

  1. 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書
  2. 地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書
  3. 消費貸借に関する契約書
  4. 運送に関する契約書(用船契約書を含む。)

<注>

  1. 不動産には、法律の規定により不動産とみなされるもののほか、鉄道財団、軌道財団及び自動車交通事業財団を含むものとする。
  2. 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいう。
  3. 運送に関する契約書には、乗車券、乗船券、航空券及び運送状を含まないものとする。
  4. 用船契約書には、航空機の用船契約書を含むものとし、裸用船契約書を含まないものとする。

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年10月25日

『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)及び『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)

国税庁が、『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)及び『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)を公表した。

★『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)はこちら → 『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)(既に削除済み)

★『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)はこちら → 『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)

2013年4月16日

クレジットカード払いの場合の領収書

印紙税法基本通達別表第1第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)は、金銭または有価証券の受領事実を証明する目的で作成されるものであるため、クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭または有価証券の受領事実がないから、表題が「領収書」となっていても、第17号の1文書には該当しない。
ただし、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を「領収書」に記載しなければと、第17号の1文書に該当することになるので留意すること。

2013年1月29日

電子メールやFAXによる領収書等の印紙税

請求書や領収書を電子メールやFAXにより相手方に提出する場合には、実際に文書が交付されていないため、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しない。

また、電子メールやFAXを受信した人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められることから、課税文書としては取り扱われない。

ただし、電子メールやFAXで文書を送信した後に、改めて、文書を持参するなどの方法により正本となる文書を相手方に交付する場合には、その正本となる文書は、それぞれ印紙税の課税文書となる。

相手方が保管するFAX送信用等の文書の原本は、それ自体が相手先に交付されるものではないので、課税文書には該当しない。
また、その保管している原本を、後日、訴訟等のための証拠書類として提出するために、当事者以外の第三者に交付することがあったとしても、その時点でその保管している原本が、改めて課税文書となることはない。

なお、経団連の平成24年度税制改正に関する提言に、『近年、インターネット電子商取引が一般化し、経済取引のペーパーレス化が著しく進展する中、紙を媒体とした文書のみに課税する印紙税は合理性が失われていることから、公平性の観点から、印紙税を廃止すべきである。』とあるが、個人的には同感である。

2011年10月3日

会計事務所の領収書の印紙

会計事務所から領収書をもらった時に、領収書が貼っていなくておかしいと思ったことはないだろうか?

税理士などの場合、違和感を感じるが、領収書(受取書)は営業に関しない受取書として取り扱われるため、非課税となるため、印紙を貼る必要はない。

なお、税理士法人の場合、税理士法人が出資者以外の人に交付する領収書(受取書)は、営業に関する受取書として印紙税が課税されるため、印紙を貼る必要がある。

2011年8月26日

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ファミマTOB価格は高裁も安すぎと判断し非公開化価格設定に影響も!

M&A Onlineによると、伊藤忠商事がファミリーマート(東京都港区)を完全子会社化する際に実施した株式公開買い付け(TOB)の価格を巡る裁判で、東京高裁は先日までに、公正な価格は実際の買い付け価格よりも300円高いとする東京地裁の判断を支持し、ファミリーマート側の抗告を棄却する決定をしました。

TOBに関して公正な価格を裁判所が決定するのは近年ではまれで、親子上場の解消のための非公開化や経営陣が参加する買収(MBO)による株式非公開化に影響を与える可能性があります。

伊藤忠商事は2020年、50.1%を保有していたファミリーマートに対し1株2,300円でTOBを実施しましたが、TOBに応募せずに強制的に株式を買い取られた海外投資家などが、買い取り価格が安すぎるとして東京地裁に公正な価格の決定を求めて申し立てを行いました。

東京地裁は2023年、ファミリーマートが設置した特別委員会が十分に機能していなかったとした上で、2,600円を公正な価格として示しました。

ファミリーマートはこの決定を不服として、東京高裁に抗告していました。

ロイターが閲覧した決定文によると、東京高裁は東京地裁の決定内容を概ね支持しました。

価格水準が不十分といった特別委員会からの意見が尊重されず、TOBが一般に公正と認められる手続きにより行われたと認めることはできないとしました。

TOB価格は、ファミリーマートの特別委員会が選任した財務アドバイザーが算定した企業価値の下限を下回っていたのです。

ファミリーマートは「当社が主張してきた手続きの公正性が認められなかったことは誠に遺憾であり、不服申し立てを行う方針。今後の対応に向けて準備を進めていく」と回答しました。

伊藤忠商事は「ファミリーマートで係争中の案件であり、コメントは差し控える」とした。

経営陣が株式を取得して非上場化したり、親会社が上場子会社を完全子会社化したりする際に実施するTOBでは、なるべく安く株式を取得したい経営陣や親会社と、高値で株式を売却したい少数株主との間で構造的な利益相反が存在します。

大正製薬ホールディングスが実施したMBOについて複数の投資家が価格決定を申し立てるなど、公正な買い取り価格について裁判所に判断を仰ぐ事例が増えています。

しかしながら、2016年以降、裁判所はTOBを巡る公正な価格の判断は行ってきませんでした。

このきっかけとなったのが、ジュピターテレコムTOBに関する2016年の最高裁の決定です。

特別委員会を設置するなど、意思決定が恣意的になることを排除する措置が講じられ、手続きが公正であればTOB価格は尊重されるとしたため、価格に不満を持つ株主側はまず手続きが公正でなかったことを立証しなければならず、価格の審査の前に門前払いとなっていました。

一方、手続きの公正性の審査が特別委員会の設置などといった形式的なものとどまれば、価格の公正さが審理される場が事実上なくなることを懸念する声も出ています。

ファミリーマートのTOBで価格にまで踏み込んだ地裁の判断は、今後の司法判断に影響を与えるとして注目を集めていました。

僕自身も個人的に何度か持っていた株式がMBOによりスクイーズアウトされたことがありますが、少数株主は何もできませんからね。

一方、仕事で上場企業のMBOに携わったことがありますが、株主から質問があった場合にはどう答えるか考えながら、言い換えれば、説明できるようなロジックかどうかを念頭に置いて業務を進めていましたが、その辺りの意識が欠けていたのでしょうか?

この事件の結果は今後のTOBに影響を与えると思いますので、どんな結論になるか楽しみにウォッチしていきたいですね。

ファミマTOB価格は高裁も安すぎと判断し非公開化価格設定に影響を与える可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


ファミマのTOB価格2,300円は不当に安かったのか?

東京地裁が不当に安いと判断した伊藤忠によるファミマTOB価格は本当に安かったのでしょうか?
M&A Onlineによると、ブルームバーグの報道では、東京地裁はファミリーマートの買収対価をめぐり反対株主から提起されていた株式買取価格決定訴訟において、伊藤忠商事による買取価格の2,300円は不当に安く、2,600円とする判決を下したとのことです。

その理由は、企業法務ナビの記事(https://www.corporate-legal.jp/news/5220)によると、ファミリーマートが設置した特別委員会が意見表明書の中で2,300円を「安い」と評しており、これを「妥当でない」と表現していればTOB自体に賛同できなかった可能性があるため、多数株主と少数株主の利害を適切に調整された結果とは言い難いからとのことです。

なお、事件の経緯の概略は、以下のとおりです。
<判決に至った経緯>
伊藤忠商事は、上場子会社であったファミリーマートの完全子会社化を行うことを決定し、2020年7月9日に1株当たり2,300円でTOBを開始しました。
TOBの実施について、伊藤忠商事の2020年7月8日付のプレスリリースでは目的・理由が詳しく記載されていますが、要約すると、「子会社上場を維持していると少数株主との利害対立を避けられず、その調整のため実施できない施策が発生するなどの弊害が大きいので、TOBによる完全子会社化を実施して親子上場を解消し、より抜本的な成長戦略を実施したい」ということになります。

ファミリーマートは同プレスリリースで、伊藤忠グループとの一体性を高めることが競争に勝つために必要であることを理由に、「TOB自体には賛同しつつ、提示された価格が一般株主への投資回収機会の提供という観点では一定の合理性があるため、妥当性を欠くとまでは言えないが、一般株主に対し積極的に応募を推奨できる水準の価格に達しているとまでは言えないため、応募するかどうかは株主の判断に委ねる」とする意見を表明しました。

ファミリーマートはメリルリンチ日本証券に、また、ファミリーマートが設置した特別委員会は、PwCにそれぞれ株式価値算定を依頼し、提示価格の妥当性を検討しています。
結論として、提示価格は両評価書の提示するレンジの範囲内であるため、妥当といえる水準には達しているが、PwCによる評価で採用したDCF法の下限値である2,472円には届いていないこと、また、2010年以降に発表され、非公開化を目的とし、買付規模が500億円以上である他の公開買付けの事例のプレミアム水準と比較して、見劣りするプレミアム水準にとどまることから、十分に高い水準であるとまでは言えない旨記載しています。

その後、TOBに十分な応募があったため、伊藤忠商事は同年11月10日に買収を完了させてファミリーマートを上場廃止とし、その後応募しなかった株主に対して同額の2,300円で株式併合によるスクイーズアウトを実施しました。このスクイーズアウトに反対する株主が、東京地裁に買取価格決定を申し立てました。

そして、東京地裁は冒頭に記載したとおり、特別委員会がプレミアムが不十分としたことを問題視し、「株価が安い」と判断した模様です。

では、TOB価格の2,300円は本当に安かったのでしょうか?
ここから先は、巽 震二氏が、アナリスト目線で検証しています。

ファミリーマートのTOBに関する意見表明のプレスリリースで開示されている提示価格のプレミアムと類似事例の平均値の比較及び類似事例の平均値に基づく株価評価を見ると、類似事例プレミアムは36%~39%で測定期間を通じて大きくはぶれていないのに対し、提示プレミアムは11%~30%と大きくぶれています。
測定期間が長いほどプレミアムが低くなっていますので、これはファミリーマートの株価が6か月間下落トレンドで推移してきたこと、一方で類似事例では6か月間に大きなトレンドがなく概ね持ち合い圏での推移をたどっていたことが読み取れます。

提示価格の2,300円が安かったのかどうかは、この下落トレンドが市場のどのような判断に起因するのかによるといえます。

スタンドアロンの今後の成長が市場の要求水準に届かず、価格訂正が続いている状況であれば、公表前日の株価に30%のプレミアムを付けて損切のチャンスが与えられる一般株主には、有利な価格と考えられます。

そうではなく、コロナ禍という一過性の業績悪化等による下落トレンドに過ぎず、今後スタンドアロンの経営努力で市場の要求水準を満たす利益成長が期待できるのであれば、足元の底値を基準にした公表前日株価に対するプレミアムではなく、6か月平均に対するプレミアムが十分なものでなければ、TOB価格が不当に抑えられたという結論になるでしょう。

そこで、2019年1月からTOB公表までのファミリーマートの株価推移をまずは見てみると、2019年1月~8月は、時折戻りを入れながらも一貫した下落トレンドを描いています。
同期間中、TOPIXは弱いながらも上昇トレンドでしたので、銘柄固有の要因でファンダメンタルな売られ方をしたのであろうと推測されます(上場廃止に伴い、当時の決算説明資料等が公開されなくなってしまいましたので、具体的な要因の分析は現時点では残念ながら困難です)。

その後、一旦株価は底打ちして反転上昇トレンドを10月まで維持しますが、結局そこで頭打ちとなり、再び下落トレンドに入ります。

さらに、2020年2月下旬から発生した新型コロナ第1波の拡大懸念による世界同時株価急落が発生して下落速度が急加速し、下落幅のおよそ半値戻し水準まで来て持ち合いの動きとなりました。
そして、一旦は上放れしたものの反落して持ち合い起点の安値を割れるかどうかというところでTOB公表となりました。

この株価推移からすると、ファミリーマートの株にはファンダメンタルな弱さがあり、市場が要求する利益成長に届かないという判断はおそらく下されていたのであろうと推察されます。
他方で、平均株価の算出期間はコロナショックの影響が非常に強く反映された時期であり、業績が落ち込んでいたとはいえ、果たしてそこまでコロナショックの影響を織り込むことが妥当であったのかという疑問が生じます。

特に3か月平均までは、コロナショック後の株価だけの平均ですが、6か月平均であれば、コロナショック前の株価を含んだ平均となりますので、コロナショックの影響を一定程度調整するのであれば、6か月平均を重視するという考え方になるかと思います。

2020年7月は、世界各地でのロックダウンが解除されはじめ、日本でも緊急事態宣言解除後、Go Toトラベル政策の開始が予定され、また5月にはモデルナワクチンの治験が成功したことが報じられるなど、ワクチン開発の進捗によるコロナ収束の期待も高まり始めた時期ですので、一定程度コロナからの立ち直りを見込んでも良い時期にあったと考えられます。

実際に、意見表明のプレスリリースで開示されている伊藤忠商事にも提出していた株価算定用の事業計画では、営業収益・事業利益は2022/2期にコロナ前の2020/2期を超過し、EBITDAも2025/2期にはほぼ2020/3期と同水準まで回復することを見込んでいます。

フリーキャッシュフローは2020/3期水準を大きく下回る水準が想定されていますが、日々現金売上が生じ、食品等販売期間の短い商品の比率が高いコンビニエンスストアという業態から見て、キャッシュ・コンバージョン・サイクルはそれほど長くないはずですので、利益が回復しているのにフリーCFが大きく減少するというのは設備投資を増加させているからと考えられます。

であるとすれば、長期的には減価償却費の増加を通じでフリーCFが反転増加トレンドになるはずですので、いずれはコロナ前の水準に回復できるとみてよいと思います。

以上から考えると、TOBを公表した7月の時点では、コロナ前水準への回復をある程度見込んだ事業計画が策定されていることから、価格面でもそれを織り込むべきと考えられ、ファミリーマート特別委員会の2,300円は「安い」という意見は合理的であると思います。

他方で、2019年からの大きな下落トレンドを見る限り、ファンダメンタルな株価下落の理由も否定はできなそうですので、あまり高くは買えないという伊藤忠商事サイドの主張も一定の合理性はあろうかと思います。

そうすると、2,600円という判決の水準は、意見表明のプレスリリースにおいてコロナショック前の交渉の初期段階で伊藤忠商事が最初に提示した価格として言及された価格でもあり、また、過去3か月分の平均株価に類似事例プレミアムを乗じた水準とほぼ同じです。

当該3か月間は、コロナショック後の底打ちから業績回復期待による小反発局面を含めた期間でもありますので、コロナからの回復期待の織り込み度合いという点でも落としどころとしてちょうどよい水準のように感じられます。

過去にも「牛角」などの飲食チェーンを運営するレックス・ホールディングスなどで問題になっているとは思いますが、なかなか難しい問題ですね。
こういった訴えられるリスクもありますので、MBOなどをやる際には、かなり慎重にやらないといけないですね。

ファミマのTOB価格2,300円は不当に安かったのか?について、どう思われましたか?


「サザビーリーグ」創業者らの80億円課税処分を「株価の根拠明確でない」との裁決で全額取り消し!

読売新聞によると、生活雑貨ブランド「アフタヌーンティー」などを展開する「サザビーリーグ」(東京都)の創業者らが東京国税局から受けた計約80億円の課税処分について、「国税不服審判所」が全額を取り消す裁決をしたことがわかったようです。
裁決は2022年1月20日付です。
巨額の課税処分の取り消しは異例です。

課税処分の取り消しを受けたのは、創業者の鈴木陸三氏(78)と、森正督会長(73)の資産管理会社「三木家」(東京都)です。
関係者によると、サザビーリーグはかつてジャスダックに上場していましたが、鈴木氏の親族が代表を務める投資会社が株式公開買い付け(TOB)を行い、2011年3月までに非上場化しました。

株を大量保有していた鈴木氏と森氏から、親族に事業を承継した形です
この際、投資会社はTOBの資金調達の一環として新株を発行し、鈴木氏と三木家が1株5万円で計6万株(30億円)を取得しました。
投資会社はTOBに成功してサザビーリーグを吸収合併した後、鈴木氏と三木家から1株8万円で株の一部を買い戻しました。

鈴木氏と三木家は計9億円の売却益について税務申告していました。
これに対し、東京国税局は一連の取引に事業承継時の税負担を軽減する目的がなかったかどうかなどについて調査を行いました。
東京国税局は、サザビーリーグの吸収合併で投資会社の資産は増えており、株の買い戻し価格は1株8万円ではなく「84万円」が相当だと判断しました。
2019年9月、当初申告との差額に当たる計約210億円の申告漏れがあったとして、過少申告加算税を含む計約80億円を追徴しました。
鈴木氏と三木家は追徴を不服とし、2019年12月に国税不服審判所に審査請求しました。
鈴木氏らは審判で「株価は投資会社の定款で定められており、適正だ。株の売却で巨額の利益を得たわけでもない」などと主張しました。
裁決はこれを認め、「国税当局側の主張する株価の根拠は明確でなく、課税処分は違法だ」と結論付けました。

納付済みだった追徴税は、利子に当たる「還付加算金」を上乗せして鈴木氏らに返還されたようです。
鈴木氏らは取材に「審判所の適正な判断に心から安堵している」と文書で回答しています。
一方、東京国税局は「個別事案については回答を差し控える」としています。
なお、サザビーリーグは1972年創業で、人気アパレルブランド「カナダグース」なども販売しており、2021年3月期の連結売上高は851億円です。
また、国税不服審判所は、国税庁に設置され、納税者からの審査請求を受けて国税職員や裁判官が審査を行うところです。
2020年度に審査された2,328件のうち、全面的な課税取り消しは65件(2.8%)で、裁決は行政の最終処分で、国税当局は再調査や提訴ができません。

個人的には、『株価が定款に定められている』というのは、根拠にならないと思います。
あくまで、『時価』ですから。
これが認められると、定款に定めることで、安易に租税回避を図ろうとする人がでてくるのではないかなぁと不安になります。
国税庁が、持って行き方を誤った案件なのではないでしょうか?

「サザビーリーグ」創業者らの80億円課税処分を「株価の根拠明確でない」との裁決で全額取り消されたことについて、どう思われましたか?


サイブリッジ合同会社がカーディナル株式会社(証券コード:7855)に対して山田マーケティング株式会社による公開買付けに関して質問書を送付!

サイブリッジ合同会社(代表:水口翼)は、カーディナル株式会社(代表取締役社長:山田弘直、証券コード:7855)の株主です。
サイブリッジ合同会社は、2021年8月5日に開示された山田マーケティング株式会社(以下「山田マーケティング社」)によるカーディナル株式会社へのいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われる株式公開買付(以下「本公開買付け」)について、本公開買付けに係る買付価格が一般株主に対して十分に配慮された価格ではない可能性があるため、カーディナル株式会社に対して本文記載の内容の質問書を送付しました。

質問書

2021年8月5日付「山田マーケティング株式会社によるカーディナル株式会社株式(証券コード:7855)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」により、山田マーケティング株式会社(以下「公開買付者」といいます。)によるカーディナル株式会社(以下「貴社」といいます。)の普通株式(以下「貴社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)が公表されました。
そして、貴社は、2021年8月5日付け「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を公表し、本件公開買付けに賛同する意見を表明しております。
一方で、本公開買付けに係る貴社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)は、普通株式1株につき851円となっており、1株当たりの貴社の純資産額(第54期における1株当たりの純資産額は1,133.53円)を大幅に下回る金額となっております。
そのため、貴社の株主であるサイブリッジ合同会社(以下「サイブリッジ」といいます。)は、本公開買付価格は貴社の一般株主に対して十分に配慮された価格ではない可能性があると考えております。
貴社に対して本事前質問状を提出し、下記の質問に対して、2021年9月1日午後5時までに、貴社のHP上にて回答を公開することを求めます。
万が一、本質問書記載のご質問に対して、了解可能なご回答をいただけなかった場合、サイブリッジは本公開買付価格の見直しの要請をすることを具体的に検討しております。

1.フェアネス・オピニオンの取得について
2021年8月6日付「意見表明報告書」(以下「本意見表明報告書」といいます。)によれば、貴社は、貴社、公開買付者及び不応募合意株主から独立した株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
経済産業省の「公正なM&Aのあり方に関する指針」(以下「MA指針」といいます。)においては、「第三者評価機関からフェアネス・オピニオンの取得が行われた場合には、公正性担保措置として積極的に評価されるべきものと考えられる。」とされております。
MA指針において、MBOを実施する際の公正性担保措置の一つとして指摘をされている「フェアネス・オピニオン」をプルータス・コンサルティングから取得しないという判断をされた理由について、具体的にご説明を願います。

2.株価算定方法について
(1)加重平均資本コストの算出について
本意見表明報告書によれば、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、プルータス・コンサルティングに対し、貴社株式価値の算定を依頼し、株式価値算定書を取得しております。
プルータス・コンサルティングは、貴社株式価値の算定にあたっては市場株価法及びDCF法を算定手法として用いて、算定を行なっております。そして、本意見表明報告書によれば、DCF法での貴社株式価値の算定において、割引率は加重平均資本コスト(以下「WACC」といいます。)とし、WACCは5.288%〜9.214%を採用しております。
WACCの評価プロセスにおいて、必要な算定要素であるベータ値の抽出が必要となりますが、このベータ値は評価対象会社の事業と類似性のある他の上場企業のLeveredベータを収集したうえで業界平均のUnleveredベータを弾き、評価対象会社としてのベータ値を算出するのが一般的であると理解をしております。
この点、本意見表明報告書によれば、プルータス・コンサルティングは、貴社株式価値の算定手法として「適切な類似上場会社を選定することが困難である」ことを理由に、類似会社比較法を不採用としています。
そこで、適切な類似上場会社を選定することが困難な状況の中で、どのようにしてWACCの評価に必要なReleveredベータを抽出したのかをご教示ください。

(2)永久成長率について
第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングは、DCF法での貴社株式価値の算定において、永久成長率法を採用した上で、0%の永久成長率を採用しております。
永久成⾧率は、インフレ率、GDP成⾧率、あるいは、過去の企業成⾧率のいずれかを引用することが一般的であると理解をしております。
この点、国内の経済状況をふまえつつ合理的かつ客観的な値を見つけるのは難しいとも思われますが、国際通貨基金は、日本国の2021年から2025年にかけてのインフレ率について0.137%から0.963%と公表しています(「IMF World Economic Outlook Databases(2021年4月)」)。
このような公表情報がある中、貴社株式価値の算定において、永久成⾧率を0%に設定をした理由をご教示ください。

以上

MBOは、対象会社の役員等が出資した会社を通じて対象会社の株式を購入し、非上場化をはかるということですので、役員等に比べ情報力で圧倒的に劣る対象会社の一般株主は、勝手に株主から排除されてしまう結果となります。
それゆえ、一般株主が納得できるような内容でないといけないと思います。
以前、上場会社のMBOの際に、対象会社(上場企業)側の株価算定の仕事に携わったことがありますが、訴訟のリスクもあるため、使用する率などについて、質問があったときにどう回答するかということも考え、文章にしつつ、株価算定の作業を進めたことがあります。
おそらく日本でNo.1のプルータス・コンサルティングなので、明確な理由等を持っていると思いますので、時々バリュエーション業務をやっている僕としてはどのような回答があるのか非常に興味深いです。
また、こういう質問が一般的に行われるようになり、企業側もきちんと株主が理解できるような報告書などの文書を開示するようになるといいなぁと思います。

サイブリッジ合同会社がカーディナル株式会社(証券コード:7855)に対して山田マーケティング株式会社による公開買付けに関して質問書を送付したことについて、どう思われましたか?

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M&A・組織再編

<参考>
時価純資産法(または簿価純資産法)に数年分の利益を加算する場合
時価純資産法(または簿価純資産法)により算定した純資産に、数年分の任意の利益を加算した金額を譲渡額とする場合もある。

なお、加算対象とする利益の種類(税引後利益または経常利益等)及び年数(通常1年~3年)は事例ごとに異なり、交渉によって決まるケースが多い。

パターン 企業グループ内 共同事業 スピンオフ
完全支配関係
(100%)
支配関係(50%)
分割対価要件
主要資産等引継要件
事業関連要件
事業規模または
経営参画要件

(経営参画要件
の充足が必要)
従業者引継要件
移転事業継続要件
株式継続保有要件
(完全支配関係
の継続)

(支配関係
の継続)
非支配関係継続要件

『分割型分割』とは、分割対価を分割元会社ではなくその株主に交付する分割のことである。

なお、『分割型分割』は『人的分割』と呼ぶこともある。

会社法上は、『分社型分割』のみ規定されているが、『分社型分割+剰余金の配当』という形で、実質的に『分割型分割』の効果を得られる。

2021年2月25日

<事前照会の趣旨及び事前照会に係る取引等の事実関係>

1.事実関係

 医療法人である当社は、当社と出資関係のない医療法人Z社との間で、当社を合併法人、Z社を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」という。)を行うことを予定している。
本件合併に際し、被合併法人の従業者の雇用関係については、以下のとおりとすることとしている。

(1)本件合併の日の前日における従業者の総数は81名ですが、当該従業者全員は、同日付けで、被合併法人との間の雇用契約を終了(退職)するとともに、被合併法人から退職金の支払いを受ける。

(2)被合併法人の従業者であった81名のうち79名は、本件合併の日において、合併法人との間に新たな雇用契約を締結し、同日から合併法人の従業者として合併法人の業務に従事する。

2.照会要旨

本件合併は、本件合併の直前において合併法人と被合併法人との間に出資関係がないことから、本件合併が法人税法第2条第12号の8に規定する適格合併に該当するためには、本件合併が同号ハの「被合併法人と合併法人とが共同で事業を行うための合併」に該当する必要があり、この要件の一つである、いわゆる従業者引継要件(法令4の3④三)を満たす必要がある。
本件合併においては、合併の日の前日に被合併法人の全従業者は、被合併法人との間で締結された雇用契約を終了(退職)し、当該雇用契約は合併法人に承継されないことから、合併法人は被合併法人の従業者を引き継いでおらず、従業者引継要件を満たしていないとも考えられる。
しかしながら、本件合併後においては、本件合併の前日まで被合併法人の業務に従事していた被合併法人の従業者の総数の80%以上が合併法人の業務に従事することが見込まれていることから、本件合併は従業者引継要件を満たすと考えてよいか?

<照会者の求める見解の内容及びその理由>

1.関係法令

(1)適格合併について

 法人税法上、次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資以外の資産が交付されないものは適格合併に該当する(法法2十二の八)。

イ.その合併に係る被合併法人と合併法人との間に完全支配関係がある場合の当該合併(法法2十二の八イ、法令4の3②)。

ロ.その合併に係る被合併法人と合併法人との間に支配関係がある場合の当該合併のうち、所定の要件を満たすもの(法法2十二の八ロ、法令4の3③)。

ハ.その合併に係る被合併法人と合併法人とが共同で事業を行うための合併として法人税法施行令第4条の3第4項に掲げる要件(以下「共同事業要件」という。)の全てに該当するもの(法法2十二の八ハ、法令4の3④)。

(2)いわゆる「従業者引継要件」について

 上記(1)ロの所定の要件及び共同事業要件の一つに、いわゆる「従業者引継要件」が規定されている。
具体的には、合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていることを、その要件としている(法法2十二の八ロ(1)、法令4の3④三)。
なお、ここにいう「従業者」とは、役員、使用人その他の者で、合併の直前において被合併法人の合併前に行う事業に現に従事する者をいうこととしている(法基通1-4-4)。

2.当てはめ

被合併法人であるZ社と合併法人である当社との間には出資関係がないことから、本件合併が適格合併に該当するためには、共同事業要件を満たす必要があり、この共同事業要件の1つである従業者引継要件を満たす必要がある。
吸収合併が行われた場合、その合併により消滅する法人(被合併法人)の権利義務の全部は合併後存続する法人(合併法人)に承継され(医療法58)、当該合併に際し特段の合意がない限り、被合併法人の従業者の地位も合併法人に承継される。
一方で、従業者引継要件においては、「合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること」と規定していることから、当該被合併法人の従業者の地位、具体的には被合併法人の従業者の権利義務や当該被合併法人の従業者と被合併法人との間の雇用契約などが必ずしも合併法人に承継されることまでをその要件とはしていないものと考えられる。
また、従業者引継要件における「従業者」とは、役員、使用人その他の者で、合併の直前において被合併法人の合併前に行う事業に現に従事する者とされており、その従業者がその合併の直前の従業者に該当するか否かを判断するに当たって、雇用契約があるかどうかといった雇用形態は関係がないものと考えられる。
以上のことからすれば、被合併法人の従業者の雇用契約が合併法人に承継されるか否かということとは関係なく、被合併法人の合併の直前の従業者の総数のおおむね80%以上に相当する者が合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれているのであれば、従業者引継要件を満たすと考えられる。
本照会では、本件合併の前日に被合併法人であるZ社とその従業者との間の雇用契約は終了(退職)するものの、本件合併後において、被合併法人の合併の直前の従業者全81名のうち79名が引き続き合併法人である当社の業務に従事することが見込まれていることから、従業者引継要件を満たすものと考える。

<回答>

回答年月日
平成30年11月15日

回答者
名古屋国税局審理課長

回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は名古屋国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら  合併に際し、被合併法人の従業者との雇用契約を終了させ、当該合併後に合併法人において当該従業者を新たに雇用する場合の従業者引継要件の判定

2019年3月11日


『「スピンオフ」の活用に関する手引』を改訂しました

経済産業省は、我が国企業が収益力(「稼ぐ力」)や中長期的な企業価値の向上に向け、大胆な事業再編を機動的に行うことを可能とするための環境整備に取り組んでいる。
こうした取組のひとつとして、スピンオフの円滑な実施を支援するため、2018年3月に『「スピンオフ」の活用に関する手引』を公表しているが、今般、平成30年度税制改正の内容を踏まえて当該手引きを改訂した。

<今回の改訂のポイント>
●平成30年度税制改正の内容を反映
平成30年度に改正された、(1)スピンオフ準備のための完全支配関係内の組織再編の適格要件の緩和、(2)スピンオフ元の会社による証券会社への分割割合等の通知義務について、説明を追加している。

スピンオフとは、企業が「選択と集中」を図るため、自社内の特定の事業部門や完全子会社を切り出して資本関係の無い別会社とし、経営を独立させる取組である。
経営の独立による迅速、柔軟な意思決定や、資本の独立による独自の資金調達や取引先の拡大が可能となり、スピンオフする側とされる側の双方にとって企業価値向上が期待される。

 ★リンクはこちら  「スピンオフ」の活用に関する手引(平成30年8月)

2018年9月4日


「我が国企業による海外M&A研究会」報告書及び「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」

<本件の概要>
経済産業省は、2017年8月より開催した「我が国企業による海外M&A研究会」等における議論の成果として、(1)日本企業が今後、海外M&Aを有効に活用していく上で留意すべきポイントと参考事例をまとめた報告書及び(2)特に経営者目線で重要なポイントを事例とともにまとめた「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」をとりまとめた。

1.背景・目的とこれまでの経緯
近年、海外M&Aは、激しいグローバル競争の中で、日本企業がスピード感を持った成長を実現していくうえで重要かつ有効なツールとなっている。
また、これまで国内を主たる事業基盤としてきた企業も含め、海外M&Aの裾野が一層拡大している。
他方で、海外M&Aに関しては、国内のM&Aや現地法人設立による海外進出と比較しても、制度・言語・文化面の違いをはじめとして難度が高い側面があり、期待された成果を十分挙げられていない事例も少なくない。
そこで、経済産業省は、2017年8月より、海外M&Aに関し豊富な経験と知見を有する専門家を集めた「我が国企業による海外M&A研究会」を開催し、日本企業が抱える課題やその克服のための取組について、海外M&Aに積極的に取り組む企業へのヒアリングや専門家を交えた議論、公開シンポジウムを通じて検討してきた。

2.「報告書」と「9つの行動」のポイント
今般、その成果物として、日本企業が今後、海外M&Aを有効に活用していく上で留意すべきポイントと参考事例をまとめた(1)「我が国企業による海外M&A研究会報告書」をとりまとめた。
さらに、研究会等において、海外M&Aに取り組む上では経営者の果たすべき役割やコミットメントが重要であるとの指摘が多くなされたことを踏まえ、今後の海外M&Aの取組に役立てていただけるよう、特に経営者目線からみて特に重要なポイントについて事例とともに、(2)「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」として、簡潔で読みやすい形でとりまとめた。
海外M&Aの裾野が一層拡大している中、今後、「報告書」や「9つの行動」の浸透を目指す。
「報告書」と「9つの行動」の主なポイントは以下のとおりである。

(1)報告書のポイント
海外M&Aを企業の成長に有効活用するためには、経営トップがプロセス全体に主体的にコミットして、リーダーシップを発揮した上で、個別案件の実行力のみならず、戦略ストーリーの構想力、基盤としてのグローバル経営力を併せ持つことが重要である。
1.「海外M&Aの実行力」
海外M&Aを効果的に活用していく上では、デュー・デリジェンスやバリュエーション、契約交渉といったM&Aのディール実行に関わる専門的な知見やスキル、買収契約成立後の統合プロセス(PMI)といった「海外M&Aの実行力」が重要であり、海外M&Aを実行する企業自身が十分なM&Aリテラシーを身につけ、外部アドバイザーに過度に依存することなく、主体的にM&Aプロセスを実行できる能力を向上させていくことがまずは重要である。
2.「M&A戦略ストーリーの構想力」と「グローバル経営力の強化」
一方で、海外M&Aを自社の成長に有効活用している企業は、M&Aの実行力にとどまらず、海外M&Aの実行の前と後の「平時」の段階から、将来の海外M&Aを見据え、海外M&Aを日常事として地道な取組みを行っている。
「前」の段階では、中長期の時間軸で自社の「目指すべき姿」をまずはっきりさせたうえで、そこから逆算して、成長戦略・ストーリーに基づいて主体的・戦略的に海外M&Aの検討・準備を行うことに十分な時間や人材等のリソースを投入している。(「M&A戦略ストーリーの構想力」)
「後」の段階では、海外企業の優れた部分を積極的に取り入れたうえで、自社グループをグローバル規模での成長が可能な経営体制へ変革させていくことが重要である。(「グローバル経営力の強化」)

(2)「9つの行動」のポイント
海外M&Aにおいては、経営トップが果たすべき役割が極めて大きい。海外M&Aを自社の成長に活用している企業の多くは、経営トップ自らが海外M&Aの本質を理解し、先手を打った主体的リーダーシップを発揮するとともに、プロセス全体を通して腰を据えてコミットしていく覚悟を持って取り組んでいる。そこで、報告書の内容から、特に経営トップ等が留意すべき点を抽出し事例とともに以下の9つの行動にとりまとめた。

  • 行動1:「目指すべき姿」と実現ストーリーの明確化
  • 行動2:「成長戦略・ストーリー」の共有・浸透
  • 行動3:入念な準備に「時間をかける」
  • 行動4:買収ありきでない成長のための判断軸
  • 行動5:統合に向け買収成立から直ちに行動に着手
  • 行動6:買収先の「見える化」の徹底(「任せて任さず」)
  • 行動7:自社の強み・哲学を伝える努力
  • 行動8:海外M&Aによる自己変革とグローバル経営力
  • 行動9:過去の経験の蓄積により「海外M&A巧者」へ

<担当>
貿易経済協力局 投資促進課長 小泉
担当者:慶野、仁平
電話:03-3501-1511(内線 3181~6)
03-3501-1662(直通)
03-3501-2082(FAX)
経済産業政策局 産業組織課長 坂本
担当者:安藤、奈良
電話:03-3501-1511(内線 2621~9)
03-3501-6521(直通)
03-3501-6046(FAX)

<公表日>
平成30年3月27日(火)

 ★「我が国企業による海外M&A研究会」報告書はこちら ⇒ 「我が国企業による海外M&A研究会」報告書(既に削除済み)
 ★「我が国企業による海外M&A研究会」報告書概要はこちら ⇒ 「我が国企業による海外M&A研究会」報告書概要
 ★「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」はこちら ⇒ 「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」

2018年6月15日


いわゆる「三角株式交換」に係る具体的な適格判定

<照会要旨>
A社の100%子会社であるB社とA社が発行済株式の22%を保有するC社との間で、B社を株式交換完全親法人、C社を株式交換完全子法人とする株式交換を予定している(A社、B社及びC社はいずれも株式会社である。)。
この株式交換は、C社の株主に交付する株式交換の対価を株式交換完全親法人であるB社の株式ではなく、B社の100%親会社であるA社(株式交換完全支配親法人)の株式とするいわゆる「三角株式交換」により行うことを予定している。
この株式交換が「共同で事業を営むための株式交換」(法2十二の十六ハ)として適格株式交換に該当するための要件(法人税法施行令第4条の3第16項各号に掲げられている要件をいい、以下「共同事業要件」という。)のうち、株式交換完全子法人の株主のうち一定の株主が保有する株式数の発行済株式等の数に占める割合が80%以上であることを求める「株式継続保有要件」については、具体的にはどのように判定することになるのか。
なお、株式交換前におけるC社の株主の数は50人未満であり、A社以外のC社の株主は株式交換により交付を受けるA社株式の全部を継続して保有することが見込まれている。
また、株式交換後の関係会社において更なる組織再編をすることは予定していない。

<回答要旨>
お尋ねの場合の株式継続保有要件の判定に当たっては、次の1と2の株式の数を合算した株式数が、株式交換完全子法人の発行済株式等の数の80%以上であるかどうかを判定することとなる。

1 株式交換により交付されるA社株式を継続保有することが見込まれているC社の株主が保有するC社株式の数
2 株式交換完全支配親法人であるA社が保有するC社株式の数

したがって、ご照会の株式交換については、A社以外のC社の株主が保有するC社株式の数とA社が保有するC社株式の数を合算した株式数は、C社の発行済株式等の100%となるので、株式継続保有要件を満たすことになる。

(理由)

  1. 株式会社である株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との関係が、完全支配関係及び支配関係のいずれにも該当しない場合において、その株式交換が次の①及び②のいずれをも満たすときには、当該株式交換は適格株式交換に該当することとなる(法2十二の十六ハ)。
    株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する関係がある法人の株式をいう。)のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと。
    その株式交換が、株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を営むための株式交換に該当すること。
  2. 上記②の「共同で事業を営むための株式交換」に該当するための要件(共同事業要件)の一つに「株式継続保有要件」がある。「株式継続保有要件」とは、リンク先の算式により算出した割合が80%以上であることを要件とするものである(法令4の316五)。
    割合の計算に際し、株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の株式を保有している場合には、当該株式を分子に含めて計算することとされている。
  3. いわゆる「三角株式交換」が行われる場合には、株式交換完全子法人の株主に対して株式交換完全支配親法人の株式が交付される。
    「三角株式交換」の場合にも、共同事業要件の一つである「株式継続保有要件」の判定については、上記2と同様の算式により算出した割合が80%以上であることが要件とされる。
    割合の計算に際し、株式交換完全支配親法人が株式交換完全子法人の株式を保有しているときには、当該株式も分子に含めて判定することとされている。
  4. ご照会の株式交換については、B社とC社の関係は、完全支配関係又は支配関係のいずれにも該当しないため、この株式交換が適格株式交換に該当するためには、共同事業要件を満たす必要がある。
    共同事業要件の一つである「株式継続保有要件」の判定について検討すると、A社以外のC社の株主については、株式交換により交付を受けるA社株式(株式交換完全支配親法人株式)の全部を継続して保有することが見込まれている。
    そして、A社以外のC社の株主が保有するC社株式の数とA社が保有するC社株式の数を合算した株式数は、C社の発行済株式等の100%となるので、「株式継続保有要件」を満たすことになる。

 ★リンクはこちら⇒ いわゆる「三角株式交換」に係る具体的な適格判定について

2016年1月20日

被合併法人(合併法人との間に支配関係がある他の法人を被合併法人とする新設合併により設立された法人)から引継ぎを受ける未処理欠損金額に係る制限の適用除外

<照会要旨>
A社は、B・C・D各社の発行済株式の100%を10年前から保有する親会社である。
平成25年4月1日に、B社とC社は、E社を新設合併設立会社とする新設合併(適格合併1)を行った。
この合併はいわゆる「みなし共同事業要件」を満たすので、E社は、B社及びC社が有する未処理欠損金額を引き継いだ。
このたび、D社とE社は、D社を合併法人、E社を被合併法人とする吸収合併(適格合併2)を行った(合併の効力発生日は平成27年6月30日)。
この場合、合併法人であるD社は、E社の未処理欠損金額を引き継ぐことができるか。
なお、適格合併2は「みなし共同事業要件」を満たさない。

<回答要旨>
D社は、E社の未処理欠損金額を引き継ぐことができる。

(理由)

  1. 適格合併が行われた場合に、被合併法人(Y)に未処理欠損金額があるときは、その未処理欠損金額は、合併法人(X)の合併の日の属する事業年度前の各事業年度に生じた欠損金額とみなして合併の日の属する事業年度以後の各事業年度において繰越控除することとされている(法法57①、②)。
  2. ただし、合併法人(X)と被合併法人(Y)との間に支配関係がある場合の適格合併であって、いわゆる「みなし共同事業要件」を満たす合併に該当する場合、又はその支配関係が合併法人(X)の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続している場合のいずれにも該当しないときには、被合併法人(Y)の有する欠損金額のうち
    合併法人(X)との支配関係が生じた日の属する事業年度前の各事業年度に生じた欠損金額
    合併法人(X)との支配関係が生じた日の属する事業年度以後の各事業年度に生じた欠損金額のうち、被合併法人(Y)が当該支配関係が生じた日において有する資産の譲渡等による損失額から成る部分の金額(特定資産譲渡等損失相当額)

    は、上記1の未処理欠損金額に含まれない(合併法人(X)の欠損金額とみなされない)こととされている(法法57③、法令112④一)。

  3. なお、被合併法人(Y)が適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日後に設立された法人である場合であって、その被合併法人(Y)とその合併法人(X)との間にその被合併法人(Y)の設立の日から継続して支配関係があるときは、上記2の制限措置は適用されず、被合併法人(Y)の未処理欠損金額を引き継ぐことができる(法法57③、法令112④二)。
  4. また、上記3に該当する場合であっても、適格合併(適格合併2)の日の前日以前に、その合併法人(X)との間に支配関係がある他の内国法人(y1、y2)を被合併法人とする適格合併(適格合併1)で、3の被合併法人(Y)を設立するものが行われていた場合には、上記3の取扱いはなく、被合併法人(Y)の未処理欠損金額を引き継ぐことはできない(法令112④二イ前段)。
    ただし、その合併法人(X)と他の内国法人(y1、y2)との間に最後に支配関係があることとなった日が、適格合併(適格合併1)の日の属する事業年度開始の日の5年前の日以前である場合には、この制限はなく、被合併法人(Y)の未処理欠損金額を引き継ぐことができる(法令112④二イ括弧書)。
  5. お尋ねのD社とE社の合併は、適格合併に該当し、被合併法人であるE社と合併法人であるD社との間には被合併法人であるE社の設立の日から継続して支配関係があるので、D社はE社の未処理欠損金額を引き継ぐことができる。
    また、D社とE社の適格合併の日の前日以前に、合併法人であるD社との間に支配関係がある他の内国法人であるB社及びC社を被合併法人としてE社を設立する適格合併が行われているが、B社及びC社とD社との間に支配関係があることとなったのは10年前であり、D社とE社の適格合併が行われた日の属する事業年度開始の日の5年前の日以前なので、E社の未処理欠損金額の引継ぎが制限されることはない。

 ★リンクはこちら⇒ 被合併法人から引継ぎを受ける未処理欠損金額に係る制限の適用除外について

2016年1月18日

株式交換契約の承認を受けるための株主総会の日に任期満了に伴い取締役が退任した場合の特定役員継続要件

<照会要旨>
支配関係のない法人間で行われる株式交換については、法人税法第2条第12号の16ハに規定する共同で事業を営むための株式交換の要件(以下「共同事業要件」という。)を満たすときは、適格株式交換に該当するとされている。
この共同事業要件の1つとして、次のいずれかを満たすことが必要となる(法令4の316二)。
1.株式交換完全子法人の子法人事業と株式交換完全親法人の親法人事業のそれぞれの売上金額、従業者の数又はこれらに準ずるものの規模の割合が、おおむね5倍を超えないこと(事業規模要件)。
2.株式交換前の株式交換完全子法人の特定役員のいずれかが当該株式交換に伴って退任(株式交換完全親法人の役員への就任に伴う退任等を除く。)をするものでないこと(特定役員継続要件)。
当社(A社)は、B社との間で当社を株式交換完全子法人とする株式交換を行うことを検討している。
具体的には、次の定時株主総会決議によって、株式交換契約の承認を受けることを予定している。
ところで、当社では、取締役の任期を2年とすることを定款で定め、また、原則として、専務取締役の再任はしないことを取り決めている。
当社の専務取締役であるXは、任期満了に伴い次の定時株主総会の終結の時をもって退任する見込みである。
この場合、特定役員継続要件を満たさないこととなるか。

<回答要旨>
お尋ねの株式交換については、特定役員継続要件を満たすものと考えられる。

(理由)
1.
株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に支配関係がない場合に共同事業要件を満たせば、適格株式交換に該当することとなるが、この共同事業要件の1つとして、事業規模要件又は特定役員継続要件のいずれかを満たすものであることが規定されている(法法2十二の十六ハ、法令4の316二)。
このうち特定役員継続要件とは、当該株式交換前の当該株式交換完全子法人の特定役員のいずれかが当該株式交換に伴って退任(当該株式交換に係る株式交換完全親法人の役員への就任に伴う退任等を除く。)をするものでないことと規定されている(法令4の316二)。
この特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう(法令4の34二)。

2.
お尋ねの場合のように、株主総会決議によって株式交換契約の承認を受ける場合で、たまたま当該株主総会の終結をもって任期満了となる特定役員が退任したとしても、この退任は、当該株式交換に伴ってする退任とは言えないものと考えられる。
したがって、他に当該株式交換に伴って退任する特定役員がない場合には、当該株式交換は、特定役員継続要件を満たすものと考えられる。
ただし、例えば、その特定役員の再任をしないことが株式交換を実行するための条件とされているような場合には、当該特定役員は、当該株式交換に伴って退任するものと考えられる。このような場合には、特定役員継続要件を満たさないものと考えられる。

 ★リンクはこちら⇒ 株式交換契約の承認を受けるための株主総会の日に任期満了に伴い取締役が退任した場合の特定役員継続要件について(リンク削除済)

2016年1月15日

「事業引継ぎガイドライン」「事業引継ぎハンドブック」

中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化が急速に進む中、少子化等の影響から、親族内での後継者の確保が厳しさを増しており、M&A等による事業引継ぎの必要性が年々高まってきている。

中小企業庁では、後継者のいない中小企業・小規模事業者の皆様方が安心してM&A等を活用することができるよう、今般、有識者からなる「中小企業向け事業引継ぎ検討会」を開催し、「事業引継ぎガイドライン」、「事業引継ぎハンドブック(紹介用のチラシ含む)」を策定した。
「事業引継ぎガイドライン」は、M&Aの手続きや、手続毎の利用者の役割・留意点、トラブル発生時の対応等を詳細に記載している。
また、「事業引継ぎハンドブック」は、事業者の皆様方がM&A等を活用する際の手引き書となるよう、ガイドラインを分かりやすくまとめたものである。

 ★『事業引継ぎガイドライン』はこちら⇒ 事業引継ぎガイドライン
 ★『事業引継ぎハンドブック』はこちら⇒ 事業引継ぎハンドブック
 ★『事業引継ぎチラシ』はこちら⇒ 事業引継ぎチラシ

2015年5月11日

いわゆる「三角分割(分割型分割)」に係る適格要件

<照会要旨>
C社は、A社の100%子会社であるB社との間で、C社を分割法人、B社を分割承継法人とする分割を予定している(A社、B社及びC社はいずれも株式会社である。)。
この分割は、C社に交付する分割対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とし、分割法人C社が交付を受ける分割対価(A社株式)の全てがその分割の日においてC社株主に交付されるいわゆる「三角分割(分割型分割)」により行うことを予定している。分割対価をB社株式とする通常の分割型分割の場合と「三角分割(分割型分割)」の場合とでは、適格分割型分割に該当するための要件に異なる点はあるのか?

<回答要旨>
分割対価は異なるが、適格分割型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はない。
(理由)
1.株式会社が行う分割型分割(法法2十二の九)が適格分割型分割に該当するためには、分割承継法人と分割法人との関係が、完全支配関係、支配関係又はそれ以外の関係のいずれに当たるかによってそれぞれ定められた要件(法法2十二の十一イ~ハ。以下「支配関係別要件」という。)を満たすとともに、これらの関係に共通して定められた要件(法法2十二の十一柱書き。以下「共通要件」という。)を満たす必要がある。
このうち、共通要件は、分割対価資産として、次に掲げる株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこととされており(法法2十二の十一柱書き)、いわゆる「三角分割(分割型分割)」の場合には、2の分割承継親株式以外の資産が交付されないこと(分割承継親法人株式が分割法人の株主等の有する当該分割法人の株式の数の割合に応じて交付されるものに限る。)が要件となる。
①分割承継法人の株式
又は
②分割承継親法人株式(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の
全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいう。)

2.これに対して、分割法人と分割承継法人との関係ごとに定められた要件(支配関係別要件)は、いわゆる「三角分割(分割型分割)」であるか、それ以外の分割型分割であるかにかかわらず定められた要件であり、いわゆる「三角分割(分割型分割)」であることをもって異なる要件が定められているわけではない。
(注)
分割承継法人と分割法人との関係が、完全支配関係及び支配関係のいずれにも当たらない「それ以外の関係」である場合における適格要件のうちに、分割対価である株式を継続保有する見込みの者が保有する分割法人の株式の割合により判定する要件があり(法令4の38六イ)、この判定において、いわゆる「三角分割(分割型分割)」への対応がなされている。具体的には、通常の分割型分割において分割承継法人が分割法人の株主である場合には、分割承継法人を「継続保有することが見込まれる者」に含めることとされており、いわゆる「三角分割(分割型分割)」においても分割承継親法人が分割法人の株主である場合には、分割承継親法人を「継続保有することが見込まれる者」に含めて判定することとされているものであり、実質的に要件が異なるものではない。

3.したがって、いわゆる「三角分割(分割型分割)」の場合には、分割対価が分割承継親法人株式に限られる点は異なるが、いわゆる「三角分割(分割型分割)」とそれ以外の分割型分割の間で適格分割型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はない。

 ★リンクはこちら⇒ いわゆる「三角分割(分割型分割)」に係る適格要件

2015年3月2日

いわゆる「三角分割(分社型分割)」に係る適格要件

<照会要旨>
C社は、A社の100%子会社であるB社との間で、C社を分割法人、B社を分割承継法人とする分割を予定している(A社、B社及びC社はいずれも株式会社である。)。
この分割は、C社に交付する分割対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とするいわゆる「三角分割(分社型分割)」により行うことを予定している。分割対価をB社株式とする通常の分社型分割の場合と「三角分割(分社型分割)」の場合とでは、適格分社型分割に該当するための要件に異なる点はあるのか?

<回答要旨>
分割対価は異なるが、適格分社型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はない。
(理由)
1.株式会社が行う分社型分割(法法2十二の十)が適格分社型分割に該当するためには、分割承継法人と分割法人との関係が、完全支配関係、支配関係又はそれ以外の関係のいずれに当たるかによってそれぞれ定められた要件(法法2十二の十一イ~ハ。以下「支配関係別要件」という。)を満たすとともに、これらの関係に共通して定められた要件(法法2十二の十一柱書き。以下「共通要件」という。)を満たす必要がある。
このうち、共通要件は、分割対価資産として、次に掲げる株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこととされており(法法2十二の十一柱書き)、いわゆる「三角分割(分社型分割)」の場合には、2の分割承継親法人株式以外の資産が交付されないことが要件となる。
①分割承継法人の株式
又は
②分割承継親法人株式(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいう。)

2.これに対して、分割法人と分割承継法人との関係ごとに定められた要件(支配関係別要件)は、いわゆる「三角分割(分社型分割)」であるか、それ以外の分社型分割であるかにかかわらず定められた要件であり、いわゆる「三角分割(分社型分割)」であることをもって異なる要件が定められているわけでない。

3.したがって、いわゆる「三角分割(分社型分割)」の場合には、分割対価が分割承継親法人株式に限られる点は異なるが、いわゆる「三角分割(分社型分割)」とそれ以外の分社型分割との間で適格分社型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はない。

 ★リンクはこちら⇒ いわゆる「三角分割(分社型分割)」に係る適格要件

2015年2月27日

いわゆる「三角合併」において端数調整金の交付を受けた被合併法人の株主における課税関係

<照会要旨>
A社の100%子会社であるB社と出資関係を有しないC社との間で、B社を合併法人とする適格合併を予定している(A社、B社及びC社はいずれも株式会社である。)。
この合併は、C社の株主に交付する対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とするいわゆる「三角合併」により行うことを予定しているが、合併比率に端数が生じ、交付すべきA社株式の数に1に満たない端数が生じることから、この端数に相当する金銭(端数調整金)をC社の株主に交付することとしている。この場合において、被合併法人C社の株主における端数調整金に係る課税関係はどのようになるのか?

<回答要旨>
C社の株主においてA社株式の端数部分の交付を受け、これを直ちに譲渡しその対価として金銭を受け取ったものと取り扱われるため、その譲渡に係る課税関係が生じる。
ただし、端数調整金に相当する金額を雑益等として益金の額に算入する処理も認められる。
(理由)
1.合併に伴い被合併法人の株主である法人が、被合併法人の株式を有しないこととなった場合には、一定の要件を満たす場合を除き、その合併の日の属する事業年度に当該被合併法人の株式の譲渡に係る譲渡損益を計上することになる(法法61の21、法規27の3九)。
2.ただし、その合併により、被合併法人の株主に合併法人株式(合併法人の株式をいう。)又は合併親法人の株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいう。)のいずれか一方の株式のみが交付された場合には、上記1の譲渡損益の算定に際し、被合併法人の株主は被合併法人の株式の譲渡対価の額を当該合併直前の被合併法人の株式の帳簿価額に相当する金額として計算することとされているので(法法61の22)、譲渡対価の額と譲渡原価の額が同額(いずれも合併の直前の被合併法人の株式の帳簿価額)となり、譲渡損益は生じない。
3.また、合併対価として交付すべき合併親法人株式の数に1に満たない端数が生ずる場合で、その端数に応じて金銭が交付されるときは、その端数に相当する部分は合併親法人株式に含まれるものとして、株主の各事業年度の所得の金額の計算をすることとされている(法令139の3の21)。このとき、被合併法人の株主は一旦端数に相当する部分の合併親法人株式の交付を受け、これを直ちに譲渡してその金銭を受領したものとして譲渡損益を認識することとされている(法法61の21、法基通2-3-25)。
4.したがって、ご照会の「三角合併」においてC社の株主が端数調整金の交付を受けた場合には、一旦その端数に相当する合併親法人の株式であるA社株式の交付を受け、これを直ちに譲渡し端数調整金を受け取ったものとして譲渡損益の計算を行うこととなる。
具体例を示すと、次のようになる。
【例】C社株主甲社の端数調整金に係る譲渡損益の計算
C社株主である甲社は、合併直前において、C社株式を1,055株(帳簿価額527,500円。@500円)保有していたところ、その合併により、甲社はA社株式527.5株の割当てを受け、A社株式527株と端数調整金600円を受領した。
合併に際しては、C社株式(時価@600円)1株につき、A社株式(時価@1,200円)0.5株が割り当てられている。
(甲社における処理)
A社株式 527,500 / C社株式 527,500
現  金  600 / A社株式(0.5株) 500
/ 有価証券譲渡益  100
5.ただし、上記の処理によらず、甲社が受領した端数調整金を雑益等として益金の額に算入する処理も認められている(法基通2-3-25ただし書)。

 ★リンクはこちら⇒ いわゆる「三角合併」において端数調整金の交付を受けた被合併法人の株主における課税関係

2015年2月26日

適格現物分配による資本の払戻しを行った場合の税務上の処理

<照会要旨>
乙社は、100%親法人である甲社に対して、乙社の保有するX社株式(簿価130)を現物分配により交付した。
この現物分配は、その他資本剰余金120とその他利益剰余金10を原資として行っており、資本剰余金120の減少を伴っていることから、法人税法第24条第1項第3号に規定する資本の払戻しに該する。
この場合の乙社における処理はどうなるか?

なお、乙社の前事業年度終了時の純資産の額(資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額)は1,200 、資本の払戻し直前の資本金等の額は600する。

<回答要旨>
次の2(1)及び(2)の算式によりそれぞれ計算された金額を資本金等の額及び利益積立金額から減算することとなる。
(理由)
1.現物分配とは、法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し当該法人の剰余金の配当や資本の払戻しなどの一定の事由により金銭以外の資産を交付することをいう(法法2十二の六)。
また、適格現物分配とは、内国法人を現物分配法人(現物分配によりその有する資産の移転を行った法人をいう。)とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう(法法2十二の十五)。
内国法人が適格現物分配により資産の移転をしたときは、その適格現物分配の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして所得の金額を計算することとされており(法法62の53)、その資産の移転により譲渡損益は発生しないこととなる。

2.法人が資本の払戻し又は解散による残余財産の分配(以下「資本の払戻し等」という。)により、その株主等に対して金銭及び金銭以外の資産の交付をした場合には、次の(1)及び(2)の算式によりそれぞれ計算された金額を資本金等の額及び利益積立金額から減算することとなる。
なお、資本の払戻しとは、剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち、分割型分割によるもの以外のものをいうとされてる(法法241三)。
(1)資本金等の額から減算する金額(法令81十六)
(算式)
資本金等の額から減算する金額(減資資本金額)=A×B÷C(※)
A 資本の払戻し等の直前の資本金等の額
B 資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあっては、その交付直前の帳簿価額)の合計額
C 資本の払戻し等の前事業年度終了の時の純資産の額
※1 A≦0のときはB÷C=0、A>0かつC≦0のときはB÷C=1として計算する。
※2 少数点以下第3位未満の端数がある場合にはこれを切り上げる。
※3 上記算式により計算した金額が、資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあっては、その交付直前の帳簿価額)の合計額(この合計額を(2)においてDという。)を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額となる。
(2)利益積立金額から減算する金額(法令91十一)
(算式)
利益積立金額から減算する金額=D-減資資本金額(※)
※ D>減資資本金額の場合に限る。

3.甲社と乙社との間には、本件現物分配の直前に当事者間の完全支配関係(一の者が法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係)があることから、本事例の現物分配は適格現物分配に該当する。このため、現物分配により移転をした資産(X社株式)の移転により譲渡損益は生じない。また、本事例の現物分配は、資本の払戻しとして行われるものであることから、次のとおり、資本金等の額及び利益積立金額を減少させることとなる。
(1)資本金等の額から減算する金額
本事例において、資本の払戻し直前の資本金等の額(A)は600であり、資本の払戻しの前事業年度終了の時の純資産の額(C)は1,200となる。
次に(B)の金額については、「資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあっては、その交付直前の帳簿価額)の合計額」とされており、本件における資本の払戻しは、適格現物分配によるものではあるが、解散による残余財産の分配により交付されたものではないため、(B)の金額は、「適格現物分配に係る資産の交付直前の帳簿価額」130ではなく、「資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額」120となる。
したがって、減少する資本金等の額(減資資本金額)は、60(=600×120÷1200)となる。
(2)利益積立金額から減算する金額
本事例において、適格現物分配に係る資産の交付直前の帳簿価額が130であることから、(D)の金額は130となり、減少する利益積立金額は70(=130-60)となる。

 ★リンクはこちら⇒ 適格現物分配による資本の払戻しを行った場合の税務上の処理

2015年2月25日

2014年第2四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2014年第2四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで6件。ちなみに前年同期は9件。
  • 第2四半期の公表案件として注目されるものは、以下のとおり。
  1. 三菱ケミカルホールディングスが資本業務提携関係の強化のため、大陽日酸に対する公開買
    付に対する基本合意を締結し、公表(公開買付は2014年11月上旬を目途として開始予定)
  2. ローランドのMBO
  • 第2四半期のボジティブプレミアムの平均値は45.2%となっており、株価が上昇した水準を保っていることから、50%を超えるプレミアムのTOBの割合は引き続き低い割合となっている。

2014年7月24日

2014年第1四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2014年第1四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで8件。ちなみに前年同期は27件。
  • 第1四半期の公表案件として注目されるものは、以下のとおり。
  1. 日本電気によるNECフィールディングに対する公開買付
  • 第1四半期のボジティブプレミアムの平均値は50.5%となっており、昨年から上昇したように見えるが、テクタイトのシーエスロジネットに対するTOBの影響が大きく、実質的には大きな変化は生じていない。

 ★リンクはこちら⇒ TOBプレミアム分析レポート2014年1Q

2014年5月8日

2013年第4四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2013年第4四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで9件。ちなみに前年同期は12件。
  • 第4四半期の公表案件として注目されるものは、以下のとおり。
  1. やまやによるチムニーの買収(143億円)
  2. セブン&アイホールディングスによるニッセンホールディングスの買収(126億円)
  3. ベインキャピタルによるマクロミルの買収(513億円)
  • 第4四半期のプレミアムは、株価が堅調に推移したために、37.7%に減少している。
    ポジティブプレミアムの平均値は48.4%で傾向に大きな変化は見られないが、分布で見た場合には、ディスカウントプレミアムの案件が増加しているため、0%以下の案件割合が増加し、50%超の案件割合が増加している。

 ★リンクはこちら⇒ TOBプレミアム分析レポート2013年4Q

2014年1月30日

2013年第3四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2013年第3四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで10件。ちなみに前年同期は11件。
  • 大型案件は少なく、100億円を超えるものは以下の1件のみ。
  1. タイヨーの経営陣によるMBO(153億円)
    なお、トータル・メディカルサービスに対するMBO(47億円)については、プレミアムが206.81%となっており、調剤薬局事業に対するM&Aニーズが高いことを示す結果となっているといえよう。
  • ポジティブプレミアムの平均値はは3Qのみで54.4%となっており、2Qから上昇したように見えるが、トータル・メディカルサービスに対するTOBの影響が大きく、実質的には大きな変化は生じていない。
  • 分布で見ても大きな変化はないものの、株価が上昇した水準を保っていることから、50%を超えるプレミアムのTOBの割合が減少傾向にある。
  • 3Qとしては前年比で減少したものの、年間を通じたTOB件数は前年1年間の件数に既に迫っており、再編傾向は引き続き継続している。

 ★リンクはこちら⇒ 2013年第3四半期TOBプレミアム分析

2013年11月7日

2013年第2四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2013年第2四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで9件。ちなみに前年同期は7件。 第2Qは毎年少ない。
  • 大型案件は以下のとおり。
  1. 丸紅によるNECモバイリングに対するTOB(716億円)
  2. 1stホールディングスの経営陣によるMBO(270億円)
  3. メガネトップの経営陣によるMBO(299億円)
  4. シンプレクス・ホールディングスの経営陣によるMBO(277億円)
  • ポジティブプレミアムの平均値はは2Qのみで41.3%、2013年上期で48.6%となっており、株価の上昇にともない、若干ダウントレンドとなっている。
  • 分布で見ても大きな変化はないものの、株価上昇の流れを受け、50%を超えるプレミアムのTOBの割合が若干減少している。
  • 2Qも前期を超える件数となり、TOBを含めた再編トレンドが継続している。

2013年7月10日

2013年第1四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2013年第1四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで27件。ちなみに前年同期は18件。
  • 大型案件は以下のとおり。
  1. サーベラスによる西武ホールディングスに対する敵対的TOB(191億円)
  2. ソフトバンクによるガンホー・オンライン・エンターテインメントへのTOB(250億円)
  3. イオンによるダイエーに対するTOB(403億円)
  • 2013年1QはディスカウントTOBが5件もあっため、総プレミアムの平均は32.6%と低下しているが、ポジティブプレミアムの平均値は51.4%で傾向に大きな変化は見られず、分布で見ても大きな変化はない。
  • 1Qのみで前期の上期(25件)を超える件数となり、TOBを含めた再編が活発化してきている。一方、株価の上昇に伴いMBO案件は減少している。

2013年4月24日

2012年第4四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2012年第4四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで12件。ちなみに前年同期は18件。
  • 公表案件としては注目されるのは以下のとおり。
  1. 住友商事とKDDIIによるジュピターテレコムの共同買収(進行中)
  2. PGMホールディングスによるアコーディア・ゴルフへの敵対的買収(不成立)
  3. ブラザー工業によるニッセイの連結子会社化(成立)
  • 2012年11月の中旬以降株価が上昇したことに加え、新星堂に対するTOBのプレミアムがディスカウントではないものの0%であったため、ポジティブプレミアムの平均値が37.2%と急低下している。

2013年2月1日

2012年第3四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2012年第3四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで11件。ちなみに前年同期は21件。
  • 大型のTOBは、J.フロントリテイリングによるパルコに対するTOB(424億円)、ソニーによるソネットエンタテインメントに対するTOB(548億円)であった。パルコについては、主要株主であるイオンがTOBに応じなかった。
    ニッシン債権回収のTOBでは大株主を対象とした第1回のTOB(6億円)、一般株主を対象として第2回TOB(1億円)と二段階のTOBが実施された。
  • ポジティブプレミアムの平均値は54.0%で傾向に大きな変化は見られない。

2012年11月6日

2012年第2四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2012年第2四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで7件。ちなみに前年同期は6件。
  • 大型案件は、エイブル&パートナーズのMBO(308億円)くらいである。
  • ポジティブプレミアムの平均値は50.9%で大きな変化なし。

2012年7月25日

2012年第1四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2012年第1四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで18件。ちなみに前年同期は14件。
  • 大型案件として、ユニーのサークルKサンクスの完全子会社化(712億円)、フジ・メディア・ホールディングスのサンケイビルの完全子会社化(313億円)があり、成立金額は1,712億円。
  • MBOはベンチャーパブリックのみ。ちなみに前年同期は7件。
  • ポジティブプレミアムの平均値は56.8%で大きな変化なし。

2012年5月1日

パチンコ40グループ 申告漏れ総額1,000億円

パチンコ店をチェーン展開する約40のグループが、東京国税局などの一斉調査を受け、総額約1,000億円の申告漏れを指摘されたようである。

詳細は不明であるが、報道等によると、以下のようなスキームのようである。

  1. 含み損を抱える不動産を現物出資して子会社を設立
  2. 含み損を抱える子会社株式を現物出資して子会社を設立(これを繰り返す)
  3. 含み損を抱える子会社株式を時価で売却して損失を実現後、利益の出ているグループ企業と合併して所得を圧縮

このスキームが租税回避行為と判断され、申告漏れの指摘となったようである。

2012年2月17日

2011年のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2011年のTOBの結果は以下のとおりである。

  • 件数は公表ベースで58件。ちなみに2010年は59件。
  • 大型案件が少なく、成立金額は7,715億円で、平均は193億円と、2006年以降で最少。
  • ポジティブプレミアムの平均値は54.9%。
  • プレミアム上位は、チップワンストップの203.7%を筆頭に、ジェイエムテクノロジーが127.1%、三條機械製作所が123.9%、ワオ・コーポレーションが102.5%、エナジーサポートが101.1%と、5社が100%超え。

2012年2月14日

分割型新設分割

分割型は、会社法では分社型+剰余金の分配という扱いである。
この場合、組織再編行為ゆえ分配可能額の制限はない。

会計処理は、会社計算規則第49条を適用する場合と第50条を適用する場合があり。前者はB/Sの借方から子会社株式が減少し、貸方からその他利益剰余金が減少する。
後者は分割会社(親会社)で減らした分を新設会社(子会社)で計上する。つまり、分割会社のB/Sを2つに分けたと考える。
なお、第50条適用型は減資の手続と利益準備金の減少手続も必要である。

2011年12月15日

行為計算否認(日産自動車)?

少し前から気にはなってはいたものの、詳細がよく分からなかった日産自動車の税務訴訟。

T&A master No.419によると、組織再編税制関係との情報も流れているが、有価証券の譲渡対価を巡る寄附金課税がなされたとのことである。

日産自動車は、各子会社の株式消却を伴う減資により各子会社から金銭の払い戻しを受けたが、この払い戻し額が時価純資産価額よりも低いとされ、差額を寄附金と認定し、約640億円の申告漏れが指摘されたようである。

この件も、今後の訴訟の結果がどうなるか注目したい。

2011年9月21日

国内上場企業のM&Aに関する意識調査

日本M&Aセンターが国内上場企業のM&Aに関する意識調査の結果を発表した。

東日本大震災後、一時は低下していた企業のM&Aへの意欲は回復し、非常に高い水準(「積極的に検討したい」と「良い案件があれば検討したい」を合わせて93%弱)にある。

ただし、アンケートの送付先企業数が3,433社で、回答企業者数が231社ということであり、7%以下の企業しか回答していないということであり、国内上場企業全体の意識とは言えないと考えられよう。

2011年9月9日

行為計算否認(日本IBM)

T&A master No.416に日本IBMの行為計算否認の記事が載っている。スキームは以下のとおり。なお、今回の、みなし配当の益金不算入と、株式譲渡損失の2重取りは、税制改正により、使えなくなっている。

①米国IBMが、日本IBMの親会社のホールディングカンパニー(日本)へ、資金を提供
②ホールディングカンパニーが、米国IBMから、日本IBMの株式を取得
③日本IBMが、ホールディングカンパニーから、日本IBMの株式(いわゆる自己株式)を取得

自己株式を取得した場合、みなし配当と、株式譲渡所得もしくは譲渡損失(今回のケースでは、譲渡損失)が生じる。
そして、みなし配当は益金不算入となり、ホールディングカンパニーと日本IBMは連結納税制度を採用し、この譲渡損失と日本IBMの黒字を相殺し、法人税がかからないようにした。

今回のケースは、連結法人に係る行為計算否認規定(法人税法132の3)を適用したものではなく、連結納税申告そのものではなく、その前の行為に問題があったと判断し、同族会社等の行為計算否認規定(法人税法132)を適用したようである。

こちらも、ヤフー同様、今後の訴訟の結果に注目したい。

2011年8月31日

行為計算否認(ヤフー)

T&A master No.416にヤフーの行為計算否認の記事が載っている。時系列的には以下のとおり。

平成20年12月 ヤフーの社長が今回問題となったI社の副社長に就任
平成21年2月  ヤフーがI社を100%子会社化
平成21年3月  ヤフーがI社を吸収合併

買収価格に繰越欠損金の引継ぎによる節

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事業承継

個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限ります。)に係る事業(不動産貸付業等を除きます。)を行っていた事業者の後継者※1として円滑化法の認定を受けた者が、平成31年1月1日から令和10年12月31日まで※2の贈与又は相続等により、特定事業用資産を取得した場合は、
①その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、
②後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものです。

※1平成31年4月1日から令和8年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限ります。

※2先代事業者と生計を一にする親族からの特定事業用資産の贈与・相続等については、上記の期間内で、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までにされたものに限ります。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)

2024年7月12日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)

2024年7月10日


法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和3年6月)

国税庁は、『法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和3年6月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和3年6月)

2021年7月12日


円滑な事業承継のための3ステップ

中小企業庁は、中小企業の皆様の営む事業をしっかりと次世代に引き継いでいただけるよう、事業承継のステップに応じた支援を紹介する、リーフレットを作成した。

<円滑な事業承継のための3ステップ>
事業承継への取組は会社にとって非常に大きな問題だが、ついつい先送りされがちである。
しかしながら、事業承継の準備には、後継者の育成も含めると、5~10年程度を要する。
経営者の平均引退年齢が70歳前後であることを踏まえると、60歳ごろには事業承継に向けた準備に着手する必要があると言える。
中小企業庁では、今後10年間を事業承継支援の集中実施期間と位置づけ、事業承継のステップに応じた切れ目のない支援を行う。

本リーフレットは、事業承継問題を取り上げたNHKドラマで主演を務めた内山理名さんを表紙に起用している。


<本発表のお問い合わせ先>

中小企業庁事業環境部財務課長 菊川
担当者:増田
電話:03-3501-1511(内線5281~4)
03-3501-5803(直通)
FAX:03-3501-6868
メールアドレス:chusyo-toiawase@meti.go.jp
(メールによるお問い合わせの際は、差し支えなければ電話番号もご記入のこと。)

 ★リンクはこちら ⇒ 円滑な事業承継のための3ステップ

2018年5月31日


平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わります

平成30年度税制改正において、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大きく改正され、10年間限定の特例措置が設けられた。
なお、申請書類等の提出先は申請企業の主たる事務所が所在している都道府県庁になる。

<改正の概要>
事業承継税制の特例の内容については、以下の概要資料をご覧のこと。
平成30年度事業承継税制の改正の概要
特例の適用を受けるためには、以下の2点を満たしていることが必要である。

(1) 平成30年4月1日から平成35年3月31日までに、都道府県庁に「特例承継計画」を提出していること。
(2) 平成30年1月1日から平成39年12月31日までに、贈与・相続(遺贈を含む)により自社の株式を取得すること。

平成29年12月31日までに贈与・相続により株式を取得した場合は、特例の認定を受ける(あるいは通常の認定から特例の認定へ切替えを行う)ことはできない。

<申請の手引き・記載例>
納税猶予を受けるための手続
詳細な手引きや記載例については、順次中小企業庁のホームページに掲載予定である。公表までしばらくお待ちのこと。

<申請書類>

特例承継計画(事業承継税制の認定の申請をするまで、かつ、平成35年3月31日までに都道府県に提出する必要がある。)
第一種特例認定申請書(「先代経営者」から後継者への贈与・相続等)
第二種特例認定申請書(「先代経営者以外の株主」から後継者への贈与・相続等)
通常の事業承継税制に関する申請書類
報告(認定を受けた中小企業者用。通常認定・特例認定で共通。)


<参考資料>

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改正する省令
新旧対照表
附則

<認定・申請に関するお問い合わせ先>
お問い合わせが集中しており、電話がつながりにくくなっている。
認定・申請に関するお問い合わせにつきましては、各都道府県庁の担当課へ問い合わせること。
各都道府県の申請窓口・お問い合わせ先
なお、申請の手引きや記載例を順次掲載するので、公表までしばらくお待ちのこと。

<本発表のお問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部財務課
電話:03-3501-5808(直通)
FAX:03-3501-6868

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わります

2018年5月14日


平成29年度補正予算「事業承継補助金(後継者承継支援型~経営者交代タイプ~)」の概要を公表します

中小企業庁は、事業承継をきっかけとした、中小企業による経営革新や事業転換への挑戦を応援するため、平成29年度に引き続き、「事業承継補助金」を実施する。
「後継者承継支援型~経営者交代タイプ~」は4月下旬の公募開始を予定しているので、事業の活性化に、是非ご活用のこと。

<概要>
「後継者承継支援型~経営者交代タイプ~」は、(1)地域経済に貢献する中小企業者等による、(2)事業承継(事業再編・事業統合を除く)をきっかけとした、(3)経営革新や事業転換などの新しい取組を支援する補助金である。
補助率:2/3
補助上限:経営革新を行う場合 200万円
事業所の廃止や既存事業の廃止・集約を伴う場合 500万円

補助対象者や事業承継についての考え方は以下のとおりである。
(1)地域への貢献
他社との取引関係や地域の需要に応える商品・サービスの提供、雇用の維持・創出によって地域に貢献している中小企業が補助の対象である。
(2)事業承継
平成27年4月1日から、補助事業期間完了日(最長平成30年12月31日)までの間に事業承継(代表者の交代)を行ったまたは行う必要がある。
(3)新しい取組
・経営革新等
※ビジネスモデルの転換(新商品、新分野への挑戦等)による市場創出、新市場開拓等
※新規設備導入(製造ラインのIT化、顧客管理システム刷新等)による生産性向上等
・事業転換
※事業所の廃止や既存事業の集約・廃止等

<公募期間>
平成30年4月下旬~平成30年6月上旬頃(予定)

<留意点>
応募の際は、認定支援機関が作成する、以下に関する「確認書」が必要である。最寄りの認定支援機関にご相談のこと。ちなみに、弊所も認定支援機関である。
(1) 地域に貢献する中小企業であること
(2) 経営革新等の独創性など
(3) 事業期間中に継続的な支援を行うこと

※確認書のフォーマットは公募開始後、ホームページに掲載される。
※事業承継補助金事務局ページは4月下旬OPEN予定。

<本発表の問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部財務課長 菊川
担当者:成田、鈴木、小野
電話:03-3501-1511(内線5281~4)
03-3501-5803(直通)
FAX:03-3501-6868

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年度補正予算「事業承継補助金(後継者承継支援型~経営者交代タイプ~)」の概要を公表します

2018年4月25日


非上場株式等について贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし

国税庁は、『非上場株式等について贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし』をホームページに公表した。

事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。

 ★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等について贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし

2018年4月17日


中小企業施策調査会研究報告第3号「公認会計士による中小企業の事業承継支援-事業継続・廃業に対する早期判断とその支援手法について」の公表

日本公認会計士協会は、平成30年1月15日付けで「公認会計士による中小企業の事業承継支援-事業継続・廃業に対する早期判断とその支援手法について」を公表した。

本研究報告は、事業承継支援の重要性が叫ばれている中で、事業承継と表裏一体ともいえる廃業への対応も喫緊の課題であると考え、廃業支援における一般的な検討・考慮すべき事項や想定されるトラブルを事前に列挙することで、公認会計士として相談企業の廃業支援に資する情報を提供しようとするものである。

また、今後、研修会を実施する予定とのことである。

 ★リンクはこちら ⇒ 中小企業施策調査会研究報告第3号「公認会計士による中小企業の事業承継支援-事業継続・廃業に対する早期判断とその支援手法について」の公表

2018年1月30日


中小企業施策調査会研究報告第2号「公認会計士による中小企業の事業承継支援-従業員承継の支援手法について」の公表

日本公認会計士協会は、平成30年1月15日付けで「公認会計士による中小企業の事業承継支援-従業員承継の支援手法について」を公表した。

本研究報告は、昨今、中小企業の事業承継支援の重要性が叫ばれている中で、従業員承継に焦点を絞り、従業員承継における一般的な検討・考慮すべき事項や想定されるトラブルを事前に列挙することで、公認会計士として相談企業の事業承継支援に資する情報を提供しようとするものである。

また、今後、研修会を実施する予定とのことでである。

 ★リンクはこちら ⇒ 中小企業施策調査会研究報告第2号「公認会計士による中小企業の事業承継支援-従業員承継の支援手法について」の公表

2018年1月23日


経営研究調査会研究報告第60号「事業承継支援マニュアル」の公表 Edit

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、平成29年9月15日付けで経営研究調査会研究報告第60号「事業承継支援マニュアル」を公表した。

本研究報告は、平成23年10月11日に公表された経営研究調査会研究報告第45号「事業承継支援マニュアル」の見直しであり、事業承継を取り巻く環境が厳しさを増す中、経営者保証ガイドラインの制定、民法や会社法の改正、相続税・贈与税の納税猶予制度の改正等が行われており、これらに対応するため新たな経営研究調査会研究報告として取りまとめたものである。

本研究報告では、「事業価値源泉」に着目し、その分析と承継を軸として事業承継の進め方を示している。
最近では、事業承継の課題において単に税や資金調達など個別の問題だけではなく、中小企業の経営を強化し事業を継続・発展させることに注目が置かれているためより一層本研究報告の活用が期待される。
今回の見直しでは、更に増えつつある第三者売却に対応すべく対応する章の記述を充実させるとともに、実際に公認会計士が行う支援業務の具体例を追加している。

★リンクはこちら ⇒ 経営研究調査会研究報告第60号「事業承継支援マニュアル」の公表

2017年10月19日

『中小企業経営承継円滑法の申請マニュアル・申請様式の一覧』の更新 Edit

中小企業庁は、平成29年度より、事業承継税制・金融支援に係る認定・確認等の窓口が都道府県知事に委譲されたことに伴い、申請マニュアルの改訂を行った。

★リンクはこちら ⇒ 中小企業経営承継円滑法の申請マニュアル・申請様式の一覧(既に削除済み)

2017年9月27日

事業承継5ヶ年計画 Edit

中小企業庁は、中小企業経営者の高齢化の進展等を踏まえ、地域の事業を次世代にしっかりと引き継ぐとともに、事業承継を契機に後継者がベンチャー型事業承継などの経営革新等に積極的にチャレンジしやすい環境を整備するため、今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間とする「事業承継5ヶ年計画」を策定した。

<背景・経緯>
中小企業経営者の高齢化が進み、数十万者の中小企業が事業承継のタイミングを迎えようとしている。
しかし、今後5年間で30万以上の経営者が70歳になるにもかかわらず、6割が後継者未定であり、70代の経営者でも、事業承継に向けた準備を行っている経営者は半数にとどまる。
また、経営者の高齢化が進むと、企業の業績が停滞する可能性も高くなる。

中小企業庁はこうした現状を踏まえ、地域の事業を次世代にしっかりと引き継ぐとともに、事業承継を契機に後継者がベンチャー型事業承継などの経営革新等に積極的にチャレンジしやすい環境を整備すべく、今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間と定め、支援のあり方についてまとめた「事業承継5ヶ年計画」を策定した。

<事業承継5ヶ年計画の概要>
今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間とし、以下の観点から、支援体制、支援施策を抜本的に強化する。

  • 経営者の「気付き」の提供
    地域毎に、それぞれの支援機関がつながる事業承継プラットフォームを立ち上げ、事業承継診断等によるプッシュ型の支援を行い、事業承継ニーズを掘り起こす。
  • 後継者が継ぎたくなるような環境を整備
    資金繰り・採算管理等の早期段階からの経営改善の取組を支援する。また、早期承継のインセンティブを強化し、後継者や経営者による経営の合理化やビジネスモデルの転換など成長への挑戦を支援する。
  • 後継者マッチング支援の強化
    事業引継ぎ支援センターの体制強化や、民間企業との連携により、小規模M&Aマーケットを整備する。
  • 事業からの退出や事業統合等をしやすい環境の整備
    サプライチェーンや地域における事業承継、事業再編・統合を促進し、中小企業の経営力強化を後押しする。
  • 経営人材の活用
    次期経営者候補やアドバイザーとして、経営スキルの高い外部人材を活用しやすい環境を整備する。

★リンクはこちら ⇒ 中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)

2017年7月13日

平成29年度予算「事業承継ネットワーク構築事業(全国事務局事業)」に係る地域事務局の決定

平成29年度予算「事業承継ネットワーク構築事業」では、地域における事業承継支援体制の強化に向けて、各都道府県に拠点を置く支援機関等による、地方自治体等と連携した、地域における事業承継支援のためのネットワーク(事業承継ネットワーク)の構築に取り組む。

この度、都道府県や地域の支援機関等と連携して事業承継支援の中核を担う「地域事務局」を19の県において採択した。

なお、我がうどん県も入っており(採択事業者は、(公財)かがわ産業支援財団)、19県のうち3県が四国である。

★リンクはこちら ⇒ 平成29年度予算「事業承継ネットワーク構築事業(全国事務局事業)」に係る地域事務局を決定しました

2017年6月7日

事業承継に関するパンフレット『会社を未来につなげる-10年先の会社を考えよう-』

中小企業庁は、中小企業の皆様の営む事業をしっかりと次世代に引き継いでいただけるよう、事業の見える化・磨き上げ、そして来たるべき事業承継に向けた準備を分かりやすく解説したパンフレットを作成した。

会社を未来につなげるために、経営の見える化・磨き上げに取り組むことが重要である。
自社の経営状況を客観的に把握し、10年先を見据えた本業の強化に着手しよう。
また、10年後に事業運営を担うのは誰か、を考えることも必要である。
経営者の皆様の年齢・状況によっては、その間に事業承継のタイミングを迎えるかもしれない。
後継者の確保と育成、資産やノウハウの承継には時間がかかる。
60歳を目安に、事業承継に向けた準備にとりかかろう。

このパンフレットでは、見える化・磨き上げに向けた具体的な取組や、事業承継の進め方について紹介している。

10年先を見据えて会社を未来につなげていくために、ぜひ活用しよう。

★リンクはこちら ⇒ 事業承継に関するパンフレット『会社を未来につなげる-10年先の会社を考えよう-』

2017年4月18日

事業承継マニュアル』の公表

中小企業庁は、中小企業の皆様の営む事業をしっかりと次世代に引き継いでいただけるよう、事業承継計画の立て方や後継者の育成方法、その他事業承継に伴う課題と対策について分かりやすく解説した「事業承継マニュアル」を作成した。

なお、紙媒体での配布は行っていない。

中小企業経営者の皆様に円滑な事業承継を実現していただくために、中小企業庁は平成28年12月、「事業承継ガイドライン」を10年ぶりに改訂し、公表した。
この度、同ガイドラインの内容を踏まえ、

  • 事業承継計画の立て方
  • 後継者の育成方法
  • 経営権の分散防止や税負担、資金調達等の課題への対策

等についてわかりやすくまとめた「事業承継マニュアル」を作成した。

円滑な事業承継の実現のために、是非活用のこと。

★リンクはこちら ⇒ 事業承継マニュアル

2017年4月12日

事業承継税制の適用を受けようとしている方又は、事業承継税制の適用を受けている方へ

平成29年4月1日から、非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例の適用を受けようとしている方、又は、適用を受けている方で、 相続税又は贈与税の申告書・納税猶予の継続届出書等に添付して提出する 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則」に基づく認定・確認及びそれに係る申請書・報告書の提出に関する窓口が、各地の経済産業局から都道府県に変更となる。

★リンクはこちら ⇒ 事業承継税制の適用を受けようとしている方又は、事業承継税制の適用を受けている方へ

2017年2月22日

事業承継ガイドライン

中小企業庁は、中小企業経営者の高齢化の進展等を踏まえ、円滑な事業承継の促進を通じた中小企業の事業活性化を図るため、事業承継に向けた早期・計画的な準備の重要性や課題への対応策、事業承継支援体制の強化の方向性等について取りまとめた「事業承継ガイドライン」を策定した。

<背景・経緯>
中小企業経営者の高齢化が進み、今後5年から10年程度で、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えようとしている。
中小企業に蓄積されたノウハウや技術といった価値を次世代に受け継ぎ、世代交代によるさらなる活性化を実現していくために、円滑な事業承継は極めて重要な課題である。
そこで、中小企業庁では近年の中小企業を取り巻く状況の変化を踏まえた事業承継のあり方を議論する場として、「事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会」および「事業承継ガイドライン改訂小委員会」を開催し、具体的検討を経て、この度、「事業承継ガイドライン」として取りまとめた。

<事業承継ガイドラインの概要>
本ガイドラインの主な内容は、以下の3点である。
(1)事業承継に向けた早期・計画的な取組の重要性(事業承継診断の導入)
(2)事業承継に向けた5ステップの提示
(3)地域における事業承継を支援する体制の強化
中小企業経営者の皆様や、経営者の身近な存在として活動されている団体や金融機関等の支援機関の皆様に、本ガイドラインを参考にしていただき、価値ある事業をしっかりと次世代へ承継していただくことを期待している。

★リンクはこちら ⇒ 事業承継ガイドライン

2016年12月8日

「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律(承継円滑化法)」の施行

2015年8月21日に第189回通常国会にて成立、同28日に公布された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律(承継円滑化法)」が2016年4月1日に施行された。
本法律は、事業承継の円滑化を図るため、経営承継円滑化法における遺留分特例制度の対象を親族外へ拡充することや、小規模企業共済制度における親族内承継等の共済金引上げ等の措置を講じている。

<法律の背景・目的>
事業承継の形態が多様化し、20年前は親族内承継が9割だったが、近年は親族外承継が約4割と増加傾向となっている。また、中小企業基本法等で掲げられた「事業承継の円滑化」を促進し、中小企業・小規模事業者の持続的発展を図る必要がある。
こうした状況を踏まえ、中小企業・小規模事業者の事業承継を円滑化するための措置を講じ、中小企業・小規模事業者の持続的発展を図る。

<法律の概要>
●中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)の一部改正
(1)遺留分特例制度の対象を親族外へ拡充
対象が親族内承継に限定されている遺留分特例制度()について、親族外承継の際にも適用できるよう、制度を拡充した。
()
後継者が、経営者から贈与を受けた株式について、事前に後継者以外の親族と合意し、経済産業大臣の確認を受けることにより、遺留分放棄の法的確定に係る家庭裁判所の申請手続を単独で行うことが可能となる制度。
(2)独立行政法人中小企業基盤整備機構による事業承継サポート機能の強化
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」。)が、事業承継に係る計画的な取組を後押しするため、経営者、後継者等に対して必要な助言等のサポートを行えるようになった。

●小規模企業共済法の一部改正
個人事業者や会社等の役員が、廃業・退職後の生活の安定等を図るための資金として積み立てを行う小規模企業共済制度を見直した(中小機構が実施)。
(1)小規模企業者の事業承継の円滑化
小規模企業者の事業承継の円滑化を図るため、個人事業者が親族内で事業承継した場合や65歳以上の会社役員が退任した場合の共済金を引き上げた。
(2)小規模企業者の経営状況に応じた掛金の柔軟化
小規模企業共済制度の利便性向上を図るため、掛金の変更を柔軟にした。

●独立行政法人中小企業基盤整備機構法(中小機構法)の一部改正
(1)中小機構による事業承継サポート機能の強化(再掲)
(2)中小機構による「申込金」に係る金融機関への委託業務の廃止
共済加入時の「申込金」を手続き面の簡素化の観点から廃止した。

★リンクはこちら ⇒ 承継円滑化法が本日施行されました

2016年4月13日

中小企業税制パンフレット

地域の経済と雇用を支えているのは中小企業の皆様である。
こうした中小企業を応援する、様々な税制上の措置が用意されている。
製造業の方が新しい設備を入れて、生産性を上げようとする場合、商業、サービス業の方が自店の魅力向上を図るための投資を行う場合、新規事業開拓のために試験研究をする場合、 後継者へ経営のバトンタッチ(事業承継)を行う場合など、企業活動の様々な局面に応じて使える税制が用意されている。

本パンフレットでは、中小企業の皆様に、代表的で、使ってお得な税制措置について、具体的な内容のポイントについて解説している。
「税制は難しいから・・・」と敬遠せず、経営上の課題の解決や経営戦略に応じて、上手に活用していただきたい。

★リンクはこちら ⇒ 中小企業税制パンフレット

2014年3月28日

新・事業承継税制

平成25年度税制改正において事業承継税制(非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度)の適用要件等が見直されることになった。

中小企業庁のホームページで、平成27年1月施行の新しい事業承継税制について情報提供を行っている。

★リンクはこちら ⇒ 新・事業承継税制について

2013年10月11日

事業承継税制の制度改正(平成27年1月施行)

平成25年度税制改正において事業承継税制(非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度)の適用要件等が見直されることになった。

中小企業のホームページでは、平成27年1月施行の新しい事業承継税制について情報提供をしている。

リンクはこちら ⇒ 事業承継税制の制度改正(平成27年1月施行)

2013年7月31日

事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)(一部改訂)

中小企業庁が、事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)を一部改訂した。

平成25年4月1日に施行された中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改訂する省令(平成25年経済産業省令第18号)により、経済産業大臣の事前確認手続が事業承継税制の適用の前提となる認定の要件から外れることになった。
これに伴い、平成25年4月1日以後に経済産業大臣に認定申請する申請者は、事前確認を受けなくても申請が可能となる。
このため、(2)「事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度」(税制版)が一部改訂となった。

これまで、事業承継円滑化のための支援策等を説明した「中小企業事業承継ハンドブック29問29答」を作成し、提供してきたが、今回、支援策毎に、そのポイントを簡潔に説明した以下の4種類の小冊子を作成していた。
(1)『大切な会社の将来のために』~円滑な事業の承継に向けて~(全体版)
(2)『事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度』(税制版)
(3)『事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例』(民法特例版)
(4)『事業承継における融資・保証制度』(金融版)

事業承継に関する支援策の内容を短時間で把握したい方、「中小企業事業承継ハンドブック29問29答」を読まれる前にまず簡単に概要を把握したい方、経営者の方で事業承継をどの様に進めたら良いのかお悩みの方などにご利用いただきたい。

事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)(一部改訂)

2013年4月19日

事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)

中小企業庁は、これまで、事業承継円滑化のための支援策等を説明した『中小企業事業承継ハンドブック29問29答』を作成し、提供していたが、今回、支援策毎に、そのポイントを簡潔に説明した以下の4種類の小冊子を作成した。

  1. 『大切な会社の将来のために』~円滑な事業の承継に向けて~(全体版)
  2. 事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度』(税制版)
  3. 事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例』(民法特例版)
  4. 事業承継における融資・保証制度』(金融版)

事業承継に関する支援策の内容を短時間で把握したい方、『中小企業事業承継ハンドブック29問29答』を読む前にまず簡単に概要を把握したい方、経営者の方で事業承継をどの様に進めたらいのかお悩みの方などにご利用いただきたい。

事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)

2012年10月12日

事業承継のリスク

事業承継には、以下の3つのリスクがある。

  • 事業存続リスク
    現経営者に頼るところが大きくいなくなると経営ができない、後継者が役員や従業員と上手く行かず反対勢力が生まれたり退職者が出る、金融機関や取引先の信頼関係が崩れるなど。
  • 争族リスク
    相続人間の経営権や財産を巡る争いなど。
  • 納税リスク
    相続税に加え加算税や延滞税が発生したり、借入で納税することによる返済が負担になったり、会社から借り入れると財務内容が悪化したりするなど。

2012年4月12日

事業承継とは?

事業承継とは、企業の現経営者が後継者に事業を承継させることをいう。

事業承継の目的は、以下の2つである。

  • 事業を存続させ、発展させる
  • 経営者一族の資産を保全し、繁栄させる

事業承継の方法は、以下の3つプラス1つである。

  • 親族内の後継者への承継
  • 役員・従業員や外部から招いた経営者への承継
  • M&A
  • 廃業

2012年3月21日