Warning: Constant TRUE already defined in /home/minoru7227/kunimura-cpa.jp/public_html/wp-content/plugins/amazon-associates-link-builder/plugin_config.php on line 114
記事 アーカイブ - 2ページ目 (6ページ中) - 棚卸、事業承継、M&A・組織再編、贈与・相続などのコンサルティングが中心の國村公認会計士事務所・株式会社Your Partner(香川県高松市木太町)
カテゴリー
記事

再生

中小企業活性化協議会が「中小企業活性化協議会実施基本要領」に基づき実施した再生支援において作成された再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

1.照会の趣旨及び照会事項
中小企業活性化協議会(以下「協議会」といいます。)は、令和4年3月4日に策定された「中小企業活性化パッケージ」(経済産業省・金融庁・財務省)を受けて、同年4月1日に47都道府県に設置され、産業競争力強化法第134条の認定を受けた認定支援機関として、中小企業者(産業競争力強化法第2条第22項に規定する中小企業者をいい、常時使用する従業員数が300人以下の医療法人を含みます。以下同じです。)からの相談に対応し、再生計画の作成支援を行ってきました。

協議会が行う各種支援事業については、その設置・運営体制や各種支援の内容等を定めた「中小企業活性化協議会実施基本要領」(以下「本基本要領」といいます。)が作成されています。

そして、協議会は、再生支援を実施する場合、本基本要領「別冊2 再生支援実施要領」(以下「本要領」といいます。)に定める具体的な内容及び手続等に基づき行われることとされています。

また、本要領に関し実務上留意すべき具体的な事項がQ&A(以下「本要領QA」といいます。)に定められています。

つきましては、協議会が行う再生支援において、中小企業者に該当する個人事業者が次の2の手順に従って作成した事業再生計画(以下「再生計画」といいます。)に基づいて債務の免除を受ける場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えて差し支えないかについて照会申し上げます。

2.照会に係る取引等の事実関係
(1)対象債務者
協議会の実施する再生支援の対象となる債務者(以下「対象債務者」といいます。)は、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難であること等の要件を満たす中小企業者であることとされています【本要領2(1)】。

なお、対象債務者は、法人に限られず個人事業者も含まれています。当該個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にあることを照会の前提とします。

(2)対象債権者
本要領に基づく手続の対象となる対象債権者は、対象債務者の取引金融機関等の債権者であって再生計画が成立した場合に金融支援の要請を受けることが予定されている債権者とされています【本要領2(1)②】。

(3)統括責任者及びその役割
統括責任者とは、中小企業や事業の再生等に相当の知見と経験を有する者の中から地域の実情を考慮し、認定支援機関の長が選任する者をいい、協議会の再生支援等を行う支援業務部門に配置され、金融機関等及びその子会社からの出向者は選任できないこととなっています【本基本要領3(2)①②】。

また、統括責任者が再生支援に係る職務を執行するに当たり、対象債務者又は対象債権者等との間に利害関係を有する場合、認定支援機関の長は、統括責任者補佐(中小企業や収益力改善、経営改善、事業再生、再チャレンジ、経営企画、マーケティング、事業計画の立案等に知見を有する者の中から地域の実情を考慮し、認定支援機関の長が選任します。)の中から統括責任者の職務を代理する者を定めることとされています【本基本要領3(2)③④】。

統括責任者は、対象債務者からの申出を受けて、主要債権者(対象債権者のうち対象債務者に対する債権額が上位のシェアを占める債権者をいいます。)の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当でないと判断した場合には、再生支援案件ごとに編成される個別支援チームに参画した弁護士等を活用し、対象債務者の財務面(資産負債及び損益の状況)及び事業面(これらを併せて以下「財務面等」といいます。)の調査分析・検証を踏まえた再生計画作成の支援等を行い、作成された再生計画案の内容の相当性及び実行可能性等について、調査し、対象債権者に報告して再生計画案について合意形成を図ることとなります【本要領2(2)、(4)①、(6)①、(7)⑤】。

(4)「再生計画」の作成手順等の概要
本要領に基づく金融支援は、債権放棄等のほかリスケジュール等の様々な手法が考えられますが、債権放棄等を伴う再生計画を作成する場合には、以下の手順を経て当該再生計画が成立することが想定されます。

イ.統括責任者又は統括責任者補佐は、窓口相談段階で把握した対象債務者の状況を基に、再生支援を行うことが適当であると判断した場合には、当該対象債務者の承諾を得て、主要債権者に対して再生可能性を説明し、意向を確認することになります【本要領2(2)①】。

ロ.統括責任者は、主要債権者の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当ではないと判断した場合には、再生支援を行うことを決定し、支援を開始します【本要領2(2)②】。

ハ.統括責任者は、対象債務者に対する再生支援を実施するため、統括責任者や統括責任者補佐の他、原則として外部専門家(事業再生に関する高度の専門的な知識と経験を有する弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等であって、認定支援機関が委嘱した者をいい、債権放棄等を伴う場合、弁護士及び公認会計士が含まれることになります。)から構成される個別支援チームを編成します【本基本要領3(3)③、本要領2(3)①】。

なお、統括責任者は、統括責任者補佐が対象債務者又は対象債権者等との間に利害関係を有する等の場合には当該統括責任者補佐を個別支援チームの一員として参画させてはならず、外部専門家の活用に当たっては、対象債務者及び主要債権者との間に利害関係を有しない外部専門家を選定することとされています【本要領2(3)②③】。

ニ.対象債務者は、個別支援チームの対象債務者に対する財務面等の調査分析を通じて把握した状況に基づく支援を受けて再生計画案を作成することになります。この場合、個別支援チームによる、対象債務者が実施した財務面等の調査分析に対する検証を通じて把握した状況に基づく支援を受けて再生計画案を作成することもできることとされています【本要領2(4)①②④、本要領QA25】。

再生計画案の内容は、対象債務者の自助努力が十分に反映されたものであるとともに、企業の概況、財務状況の推移、実態貸借対照表、経営が困難になった原因、事業再生のための具体的内容、今後の事業見通し、資金繰り計画、債務弁済計画、債権放棄等の金融支援の内容及び保証人がいる場合はその資産と負債の状況を含むものとされています【本要領2(5)①】。

また、経営責任及び株主責任の明確化を図る内容であること【本要領2(5)⑤⑥】、加えて、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとって経済的合理性のある内容であることが求められます【本要領2(5)⑧】。

更に、再生計画案における権利関係の調整は、債権者間で平等であることを旨とし、債権者間の負担割合については、衡平性の観点から、個別に検討することとされています【本要領(5)⑦】。

ホ.統括責任者は、個別支援チームに参画した外部専門家である弁護士を活用して、再生計画案の内容の相当性、実行可能性及び金融支援の必要性等について調査し、調査報告書を作成の上、対象債権者に提出し報告することになります【本要領2(3)③、(6)①②、本要領QA33】。

ヘ.対象債務者により再生計画案が作成された後、全ての対象債権者による債権者会議を開催し、統括責任者は、当該債権者会議で対象債権者全員に対し再生計画案の調査結果を報告するとともに、再生計画案の説明、質疑応答及び意見交換を行うこととなります【本要領2(7)①】。

そして、全ての対象債権者が、再生計画案に同意し、その旨を文書等により確認した時点で再生計画は成立し、対象債務者は再生計画を実行する義務を負担し、対象債権者の権利は、成立した再生計画の定めにより変更され、対象債権者は、再生計画に従った債権放棄等をすることとなります【本要領2(7)②】。

ト.支援業務部門は主要債権者と連携の上、必要に応じて、外部専門家の協力を得て、再生計画成立後の対象債務者の再生計画達成状況等についてモニタリングを行うこととされ、モニタリング期間は原則として再生計画が成立してから概ね3事業年度を目途とし、必要な期間が定められます。また、支援業務部門は、対象債務者の再生計画達成状況等を踏まえ、その後のモニタリングの要否を判断することとなります【本要領4(1)①③⑤】。

3.照会者の求める見解となることの理由
個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第36条第1項に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に該当するため(所基通36-15(5))、原則として、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます。

ただし、当該個人事業者が「破産法に規定する免責許可の決定又は再生計画認可の決定があった場合その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」にその有する債務の免除を受けたときは、当該免除により受ける経済的利益の価額については、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととされています(所法44の2①)。

この「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」とは、「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」をいうこととされています(所基通44の2-1)。

この点、以下の(1)ないし(3)を踏まえれば、再生計画に基づき対象債務者である個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税基本通達44の2-1の「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」に該当することから、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えます。

(1)上記2(1)のとおり、対象債務者となる個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にありますので、民事再生法による再生手続の対象者と同様に資力を喪失している者であると認められます。

(2)上記2(4)ニのとおり、再生計画案は、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得らえる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められるため、再生計画に基づく債権放棄額は、民事再生法による再生手続と同様に破産手続による債権の免責額と同等以下となるように設定することとなります。

(3)上記2(4)ニ及びホのとおり、再生計画案は外部専門家を含む個別支援チームの支援の下に作成され、外部専門家弁護士により検証されることからすれば、再生計画に基づく債務免除額は、再生手続の対象となり得る者に対して、再生手続による債権の切捨額と同等の債務免除をするものと認められます。

(注)【 】は参照すべき本基本要領、本要領及び本要領QAの該当部分を示しています。

〔回答〕

  • 回答年月日 令和7年1月8日
  • 回答者 国税庁課税部審理室長
  • 回答内容 標題のことについては、標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。
(1)この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら⇒ 中小企業活性化協議会が「中小企業活性化協議会実施基本要領」に基づき実施した再生支援において作成された再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

2025年4月25日


「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(再生型私的整理手続)」に基づき策定された事業再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

1.照会の趣旨及び照会事項
当研究会は、令和3年6月に公表された「成長戦略実行計画」を受け、中小企業者(中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者をいい、常時使用する従業員数が300人以下の医療法人を含みます。以下同じです。)の事業再生・事業廃業(これらを併せて、以下「事業再生等」といいます。)に関し、関係者間の共通認識を醸成し、事業再生等に係る総合的な考え方及び具体的な手続等として、別添の「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」(以下「本ガイドライン」といいます。)及び同ガイドラインと一体的に定められている「『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』Q&A」(以下「QA」といいます。)を取りまとめ、令和4年3月に公表しています(本ガイドラインは、それまでの活用実績を踏まえ、令和6年1月17日に一部改定を行っております。)。

本ガイドラインは、その目的を定めた第一部、基本的な考え方を示した第二部、私的整理手続を定めた第三部から構成され、第三部の「中小企業の事業再生等のための私的整理手続(中小企業版私的整理手続)」では、破産手続、再生手続、更生手続又は特別清算手続等の法的整理手続によらずに、債務者である中小企業者と債権者である金融機関等の間の合意に基づき、主として金融債務について返済猶予・減免等を受けることにより、当該中小企業者の円滑な事業再生や廃業を行うことを目的とする私的整理の手続(以下、事業再生に係る私的整理手続を「再生型私的整理手続」といいます。)を定めたものであり、また、QAは、具体的な実務を行う上で留意すべき事項等を当研究会においてとりまとめたものです。

当研究会としましては、本ガイドラインの中小企業版私的整理手続(再生型私的整理手続及び廃業型私的整理手続)が円滑に運用されるため、当該手続に関する税務上の取扱いを検討する必要があると考えます。

つきましては、再生型私的整理手続において、中小企業者に該当する個人事業者が次の2の手順に従って策定された事業再生計画(以下「本件事業再生計画」といいます。)に基づいて債務の免除を受ける場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えて差し支えないか、ご照会申し上げます。

2.照会に係る取引等の事実関係
(1)対象債務者
再生型私的整理手続の対象となる債務者(以下「対象債務者」といいます。)は、収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生ずることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難であること等の要件を満たす中小企業者であることとされています【第三部3(1)】。

なお、再生型私的整理手続における対象債務者は、法人に限られず個人事業者も含まれています【第三部3(2)①】。

当該個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にあることを照会の前提とします。

(2)対象債権者
再生型私的整理手続の対象となる債権者は、対象債務者に対して金融債権を有する取引金融機関等で事業再生計画が成立した場合に権利を変更されることが予定されている債権者とされています【第一部3、第三部1(1)】。

(3)第三者支援専門家
第三者支援専門家とは、対象債務者及び対象債権者との間に利害関係を有しない弁護士、公認会計士等の専門家であって、再生型私的整理手続を遂行する適格性を有し、その適格認定を得たものをいいます。

第三者支援専門家は、対象債務者からの申出を受けて、主要債権者()の意向を踏まえて、再生支援を行うことが不相当でないと判断した場合には、対象債務者の資産負債や損益の状況の調査検証や事業再生計画策定の支援等を行い、策定された事業再生計画案の内容の相当性及び実行可能性等について調査し、対象債権者に報告して事業再生計画案について合意形成を図ることとなります【第三部4(1)、(5)①、(6)③】。

主要債権者とは、対象債務者に対する金融債権額が上位のシェアを占める対象債権者で金融債権額のシェアが最上位の者から順番に、そのシェアの合計額が50%以上に達するまで積み上げた際の単独又は複数の対象債権者をいいます【第三部2(5)】。

(4)「事業再生計画」の策定手順等の概要
再生型私的整理手続に基づく金融支援は、債権放棄等のほかリスケジュール等の様々な手法が考えられますが、債権放棄等を伴う事業再生計画を策定する場合には、以下の手順等を経て計画が成立することが想定されています。

イ.対象債務者が、弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等の専門家(以下「外部専門家」といいます。)と相談しつつ、第三者支援専門家を公表されたリストから選定し(複数の対象債権者が関わる場合で、対象債権者全員の同意を得たときは、リストにない専門家を第三者支援専門家として選定することも認められています。)、主要債権者に再生型私的整理手続を検討している旨を申し出るとともに、第三者支援専門家の選任について主要債権者全員から同意を得ることになります【第三部4(1)①②、QA41】。

ロ.第三者支援専門家は主要債権者の意向も踏まえて、再生支援を行うことが不相当ではないと判断した場合には、対象債務者の資産負債及び損益の状況の調査検証や事業再生計画の策定方針について支援を開始します【第三部4(1)③】。

ハ.対象債務者は、上記(2)以降、対象債権者に対して必要に応じて一時停止の要請を行います【第三部4(2)】。

ニ.対象債務者は、外部専門家からの支援を受ける等して相当の期間内に事業再生計画案を作成することになります【第三部4(3)】。

事業再生計画案の内容は、対象債務者の自助努力が十分に反映されたものであるとともに、企業の概況、財務状況の推移、保証人がいる場合はその資産と負債の状況、実態貸借対照表、経営が困難になった原因、事業再生のための具体的施策、今後の事業及び財務状況の見通し、資金繰り計画及び債権放棄等の金融支援を含むものとされています【第三部4(4)①イ】。

また、事業再生計画案は、経営責任及び株主責任の明確化を図る内容であること【第三部4(4)①ホ】、加えて、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得られる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められます【第三部4(4)①ト】。

更に、事業再生計画案における権利関係の調整は、債権者間で平等であることを旨とし、債権者間の負担割合については、衡平性の観点から、個別に検討することとされています【第三部4(4)①へ】。

ホ.第三者支援専門家は、対象債務者及び対象債権者から独立して中立かつ公正・公平な立場で、事業再生計画案の内容の相当性及び実行可能性並びに金融支援の必要性及び内容の相当性等について調査し、調査報告書を作成の上、対象債権者に提出し報告することになります【第三部4(5)①②】。

ヘ.対象債務者により事業再生計画案が作成された後、原則として全ての対象債権者による債権者会議を開催し、第三者支援専門家は、当該債権者会議で対象債権者全員に対し事業再生計画案の調査結果を報告するとともに、事業再生計画案の説明、質疑応答及び意見交換を行うこととなります【第三部4(6)①】。

そして、全ての対象債権者が、事業再生計画案に同意し、その旨を第三者支援専門家が文書等により確認した時点で事業再生計画は成立し、対象債務者は事業再生計画を実行する義務を負担し、対象債権者の権利は、成立した事業再生計画の定めにより変更され、対象債権者は、事業再生計画の定めに従った債権放棄等をすることとなります【第三部4(6)④】。

ト.外部専門家や主要債権者は、事業再生計画成立後の対象債務者の事業再生計画達成状況等について定期的にモニタリングを行うこととされ、モニタリング期間は原則として事業再生計画が成立してから概ね3事業年度を目途とし、対象債務者の状況や事業再生計画の内容等を勘案して、必要な期間が定められます。

また、主要債権者は、対象債務者の事業再生計画達成状況等を踏まえ、その後のモニタリングの要否を判断することとなります【第三部4(8)①】。

3.照会者の求める見解となることの理由
個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税法第36条第1項に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に該当するため(所基通36-15(5))、原則として、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます。

ただし、当該個人事業者が「破産法に規定する免責許可の決定又は再生計画認可の決定があった場合その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」にその有する債務の免除を受けたときは、当該免除により受ける経済的利益の価額については、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととされています(所法44の2①)。

この「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」とは、「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」をいうこととされています(所基通44の2-1)。

この点、以下の(1)ないし(3)を踏まえれば、本件事業再生計画に基づき対象債務者である個人事業者が債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額は、所得税基本通達44の2-1の「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」に該当することから、所得税法第44条の2第1項の規定により、当該個人事業者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されないと考えます。

(1)上記2(1)のとおり、対象債務者となる個人事業者は、民事再生法が定める再生手続開始の要件である「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき」と同様の状態にありますので、民事再生法による再生手続の対象者と同様に資力を喪失している者であると認められます。

(2)上記2(4)ニのとおり、事業再生計画案は、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得らえる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性のある内容であることが求められるため、本件事業再生計画に基づく債権放棄額は、民事再生法による再生手続と同様に破産手続による債権の免責額と同等以下となるように設定することとなります。

(3)上記2(4)ホのとおり、事業再生計画案は外部専門家の支援の下に作成され、独立して公平な立場から第三者支援専門家により確認されることからすれば、本件事業再生計画に基づく債務免除額は、再生手続の対象となり得る者に対して、再生手続による債権の切捨額と同等の債務免除をするものと認められます。

(注)【 】は参照すべき本ガイドライン本文ならびにQAの該当部分を示しています。

〔回答〕

  • 回答年月日 令和7年1月8日
  • 回答者 国税庁課税部審理室長
  • 回答内容 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。
(1)この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら⇒ 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(再生型私的整理手続)」に基づき策定された事業再生計画により個人事業者が債務免除を受けた場合の税務上の取扱いについて

2025年4月16日


『中小企業再生支援スキーム』の改訂

中小企業庁は、『中小企業再生支援スキーム』について、以下のとおり改訂した。

<改訂の趣旨>
中小企業再生支援スキームは、中小企業再生支援協議会等が債務免除を含む再生計画の策定支援を実施する際の手順や要件を定めたものである。
窮境に陥った事業者の方が、この手順に従って再生計画の策定支援を受け、金融機関等から債務免除等を受けた場合に、対応した税制上の措置を受けることができる。
中小企業庁では、税制の特例措置の創設等の都度、新たな規定を追加や改訂をしてる。
この度、以下の特例について、適用期限が平成31年3月末までに延長されたので、「中小企業再生支援スキーム」を改訂し公表した。

<主な改訂の内容>
●「事業再生ファンドに係る企業再生税制の特例」の延長
(具体的な内容)
事業再生ファンドによる債権放棄が行われた場合、平成31年3月末までの間、評価損の損金算入が可能となる等の特例が適用できる。

適用対象 平成21年12月4日から平成28年3月31までの間に、債務について金融機関
から貸付け条件の変更を受けた法人

●「経営者の私財提供に係る譲渡所得の非課税措置の特例」の延長
(具体的な内容)
再生企業の保証人となっている経営者が、「合理的な再生計画」に基づき、当該再生企業に対して事業用資産の私財提供を行った場合には、平成31年3月末までの間、譲渡益を非課税とする特例が適用できる。

適用対象

平成21年12月4日から平成28年3月31日までの間に、金融機関から受けた
事業資金の貸付けに係る債務の弁済について、条件変更を受けた法人

★リンクはこちら⇒ 『中小企業再生支援スキーム』の改訂

2016年8月31日

カテゴリー
記事

税務署

税理士等が「申請書等の取下書」を代理送信することができますか?

令和6年11月から「税務代理権限証書」の「その他の事項」欄に申請書等の取下げの意向を入力のうえ、代理送信いただければ、税務署等において「申請書等の取下書」として取り扱います。

「税務代理権限証書」の作成にあたっては、以下の【作成方法】をご確認いただき、申告等データとは別に「税務代理権限証書」のみ送信してください。

なお、受信通知に以下のワーニングメッセージが表示されますが、「申請書等の取下書」として正常に受け付けておりますので、再度送信いただく必要はありません。
【ワーニングメッセージ】
税務代理権限証書に入力された受付番号及び依頼者の利用者識別番号のいずれかに誤りがあり代理受領欄の選択の有無を確認できませんでした。通知書の代理受領を希望される場合は、入力内容を確認のうえ、税務代理権限証書のみを再度送信してください。

(※1)上記のワーニングメッセージが表示されない場合は、送信先の税務署等へ電話連絡いただきますようお願いいたします。

(※2)以下の取下書については、既定の様式を使用していただくようお願いいたします。
これらの様式は、イメージデータ(PDF)でe-Taxへ送信が可能です。

  • 延納申請取下げ書
  • 物納申請取下げ書
  • 審査請求取下書
  • 審査請求参加取下書
  • 行政文書開示請求取下書
  • 保有個人情報(開示・訂正・利用停止)請求取下書

【作成方法】申請書等の取下げの意向を示す「税務代理権限証書」
税務代理権限証書で「取下」の意思表示を行う場合は、以下の2点にご留意いただき、申告等データとは別に「税務代理権限証書」のみ送信してください。

★留意事項1
⇒「基申告書(申請書)の受付番号」欄には、「123」と入力してください。

⇒ご利用の民間税務ソフトで「123」と入力するとエラーになる場合は、未入力でも差し支えありません。

★留意事項2
⇒「3 その他の事項」欄には「受付番号」、「申請書等の手続名称」及び「取下の意向」を入力してください。

⇒<例>受付番号(xxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxx)の●●税申告書(申請書)について、取下げます。

★リンクはこちら⇒ 税理士等が「申請書等の取下書」を代理送信することができますか?

2025年4月10日


「納税証明に係る交付請求書及び証明書様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

平成14年5月23日付徴管2-17ほか7課共同「納税証明に係る交付請求書及び証明書様式の制定について」(法令解釈通達)の各様式について、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる事項を「改正後」欄のとおり改正したから、令和7年4月1日以降はこれによられたい。

なお、従前の様式により交付請求がなされた場合においても受理することとして差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 「納税証明に係る交付請求書及び証明書様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

2025年4月9日


登記情報連携システムを使用した登記情報の連携に関する合意書(法務省民事局/国税庁)

合意書

法務省民事局(以下「甲」という。)及び国税庁(以下「乙」という。)は、登記情報連携システムを使用した登記情報の連携に当たって、次のとおり合意した。

1 乙の職員は、登記手数料令(昭和24年政令第140号)第18条等の法令の規定に基づき、手数料を納付することなく職務上取得する登記事項証明書の代替として登記情報連携システムを使用して取得した登記情報(以下「登記情報」という。)を当該職務以外の目的に使用し、又は他に漏らしてはならない。

2 上記1の目的を達成するため、乙は、甲に対し、登記情報の取扱い及びこれを処理するシステムに関するセキュリティポリシーを提示する。セキュリティポリシーを変更したときも同様とする。

3 乙は、登記情報等を利用したことに起因して発生した損害(第三者の権利の侵害も含む。)については、自らこれを負担する。

4 登記情報等の適切な管理のための要請等については、次のとおりとする。
一 甲は乙に対し、登記情報等の適切な管理のための措置の実施状況について、報告を求めることができる。

二 甲は、乙の報告に基づき、必要に応じて、当該情報等の適切な管理のための措置の実施について要請を行うことができる。

三 乙は、甲に対し、一の求め又は二の要請があったときは、誠実に対応するものとする。

令和6年12月10日

法務省民事局長   竹 内   努
国税庁次長     小 宮 敦 史

★リンクはこちら⇒ 登記情報連携システムを使用した登記情報の連携に関する合意書(法務省民事局/国税庁)

2025年3月31日


申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)

標題のことについては、下記のとおり定めたので、平成17年4月1日以降はこれにより適正に取り扱われたい。

(目的)
申告書等の閲覧については、法令等により定められたものではないが、「財務省設置法」(平成11年法律第95号)第19条に規定された国税庁の任務である「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達」に資するため、行政サービスとしてこれを実施することとし、その事務処理要領を定めるものである(本事務運営指針において、当該行政サービスを「申告書等閲覧サービス」という。)。

なお、本事務処理要領により行う申告書等閲覧サービスは、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)に規定する保有個人情報の開示請求制度とは異なるものであるが、同法及び「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年法律第27号)の規定を踏まえ、納税者又はその代理人から当該納税者に係る申告書等の閲覧申請を受けた場合の対応について、当該納税者及び第三者の個人情報(個人番号を含む。)を保護する見地から必要な措置を講ずるものである。

★リンクはこちら⇒ 申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)

2025年2月7日


国税庁レポート2024

国税庁は『国税庁レポート2024』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 国税庁レポート2024

2024年8月2日


令和5年度査察の概要

国税庁は、『令和5年度査察の概要』をホームページに掲載した。

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としている。

国税査察官は、経済取引の広域化、デジタル化、国際化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施している。

★リンクはこちら⇒ 令和5年度査察の概要

2024年7月31日


パンフレット『国税査察制度~脱税は、犯罪。~』(令和6年6月)

国税庁は、パンフレット『国税査察制度~脱税は、犯罪。~』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ パンフレット『国税査察制度~脱税は、犯罪。~』(令和6年6月)

2024年7月30日


電子帳簿保存法に関する「お問い合わせの多いご質問」(随時更新)

国税庁は、電子帳簿保存法に関する「お問い合わせの多いご質問」に質問を追加した。

★リンクはこちら⇒ 電子帳簿保存法に関する「お問い合わせの多いご質問」(随時更新)

2024年3月22日


パンフレット「暮らしの税情報」(令和5年度版)

国税庁は、ホームページに「パンフレット「暮らしの税情報」(令和5年度版)」を掲載した。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(令和5年度版)

2023年8月18日


電話等の事前予約による申告相談体制への移行のお知らせ

具体的に書類や事実関係を確認する必要がある場合など、電話での回答が困難な相談内容については、所轄の税務署において面接にて相談を受けている。

面接相談は、面接時間を十分に確保するほか、持参していただく書類などを伝える必要があることから、電話等で事前に相談日時等をご予約いただいている。

入場整理券による個人の確定申告に関する申告相談体制については、令和5年3月16日(木)以降、税務署ごとに順次終了し、電話等の事前予約による申告相談体制に移行していく。

★リンクはこちら⇒ 電話等の事前予約による申告相談体制への移行のお知らせ

2023年3月14日


国税庁ホームページ携帯版サイト閉鎖のお知らせ

国税庁ホームページ携帯版サイト(https://www.nta.go.jp/m/)は、2021年5月31日(月)をもって閉鎖となる。

2021年5月31日(月)以降は、パソコン、スマートフォンなどから国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/)をご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 国税庁ホームページ携帯版サイト閉鎖のお知らせ

2021年5月19日


税務署の内部事務のセンター化について

<内部事務のセンター化の概要>
国税庁では、内部事務の効率化・高度化を図るとともに、納税者利便の向上や外部事務(調査・徴収事務)の充実・高度化を目指し、令和元年7月から、複数の税務署(対象署)の内部事務(※)を専担部署(センター)で集約処理する「内部事務のセンター化」の試行に取り組んでいる。

令和3年7月からは、国税局の組織として「業務センター室」(仮称)を設置するなど国税組織の体制を変更した上で、一部の税務署を対象とした「内部事務のセンター化」の実施へ移行する。

()内部事務とは、例えば、申告書の入力処理、申告内容等についての照会文書の発送などの事務をいう。

<納税者や税理士の皆様へのお願い>
内部事務のセンター化は、納税者の皆様の所轄税務署を変更するものではないが、内部事務を処理するため、納税者や税理士の皆様に対し、センターから電話や文書により問合せることがある。

なお、センターから送付する文書によって、行政指導の責任者が国税局長となる場合がある。

令和3年7月以降、内部事務のセンター化の対象となっている税務署(対象署)に、申告書、申請書等を提出する場合は、以下のとおり対応すること。

  • e-Tax(データ)により提出する場合は、従来どおり所轄税務署へ送信。
  • 書面により提出する場合は、郵送でセンターへ送付。

()書面の申告書、申請書等を、センターへ直接持ち込むことはできない。

電話による税務相談や申請書、申告書等の送付は、従来どおり電話相談センターまたは所轄税務署まで問い合わせること。

納税証明書の交付や現金領収、面接による相談等の窓口対応は、従来どおり所轄税務署で行う。

★リンクはこちら⇒ 税務署の内部事務のセンター化について

2021年5月12日


PDFファイルによる電子納税証明書の発行等について

2021年7月から、電子納税証明書について、従来のXMLファイルに加え、PDFファイル(以下「電子納税証明書(PDF)」という。)による発行ができるようになる。

なお、電子納税証明書(PDF)の導入に伴い、納税証明書のデザインが変わる。

パソコンからe-Tax(Web版)にログインし、「納税証明書の交付請求書(電子交付用)」から、PDFデータを選択し、画面表示に従い必要事項を入力し、送信することで電子納税証明書(PDF)の申請ができる。

また、e-Taxでの送信及びメッセージボックスの確認には、マイナンバーカードなどの電子証明書が必要でである。

★リンクはこちら⇒ PDFファイルによる電子納税証明書の発行等について

2021年5月11日


税務署窓口における押印の取扱いについて

令和2年12月21日に「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定され、税務関係書類の押印の見直しについて、以下の方針が示された。

提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととするほか、所要の措置を講ずる。

(1) 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2) 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
(注1) 国税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとする。
(注2) 上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する。
(注3) 上記の改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。

この閣議決定に基づき、全国の税務署窓口においては、本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めないこととする。

★リンクはこちら⇒ 税務署窓口における押印の取扱いについて

2021年1月8日


令和元年度における再調査の請求の概要

  • 国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、処分庁(税務署長など)に対する再調査の請求や国税不服審判所長に対する審査請求という行政上の救済制度(不服申立制度)と、裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度がある。
  • このうち、「再調査の請求」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続である。
  • 国税庁においては、納税者の権利利益の救済及び行政の適正な運営の確保という制度の趣旨を踏まえた適切な不服申立事務の遂行に努めている。

1.再調査の請求の発生状況
再調査の請求の発生件数は1,359件で、前年度より33.5%減少

2.再調査の請求の処理状況
再調査の請求における認容割合は12.4%

★リンクはこちら⇒ 令和元年度における再調査の請求の概要

2020年7月30日


令和元年度における訴訟の概要(令和2年6月)

  • 国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、処分庁に対する再調査の請求及び国税不服審判所長に対する審査請求という行政上の救済制度(不服申立制度)と、裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度がある。
  • 納税者は、上記の行政上の不服申立てを経た後、なお不服があるときは、裁判所に対して「訴訟」を提起することができる。
  • 国税庁においては、法務当局とも連携し訴訟事務の適切な遂行に努めている。

1.訴訟の発生状況
訴訟の発生件数は223件で、前年度より23.2%増加(第一審発生件数は微増)

2.訴訟の終結状況
国側敗訴件数は21件、国側敗訴割合は9.7%

★リンクはこちら⇒ 令和元年度における訴訟の概要(令和2年6月)

2020年7月21日


令和元年度査察の概要

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としている。

国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施している。

【令和元年度の取組】

  • 検察庁に告発した件数は116件、脱税総額(告発分)は93億円
  • 海外に不正資金を隠す国際事案、無申告ほ脱事案のほか、市場が拡大する分野や時流に即した社会的波及効果の高い事案を告発
  • 重点事案(注)として、消費税受還付事案11件、無申告ほ脱事案27件、国際事案25件を告発。
  • 国際事案では、海外に不正資金を隠した所得税ほ脱事案で、国外財産調書の不提出犯を初適用。
  • 無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、過去5年間で最も多い27件を告発。
  • その他、インターネット広告会社や消費税還付コンサルにより多額の利益を得た税理士など、市場が拡大する分野や時流に即した社会的波及効果の高い事案を告発。

(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。

【令和元年度中の判決状況】

  • 124件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、5人に実刑判決
  • 最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役 10 月、他の犯罪と併合されたものが懲役9年。

★リンクはこちら⇒ 令和元年度査察の概要

2020年7月17日


公用文等における日本人の姓名のローマ字表記について

2019年10月25日の「公用文等における日本人の姓名のローマ字表記に関する関係府省庁連絡会議」において、各府省庁が作成する公用文等において日本人の姓名をローマ字表記する際は、原則として「姓―名」の順で表記することの申合せが行われた。

詳細はリンク先の首相官邸ホームページをご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 公用文等における日本人の姓名のローマ字表記について

2020年4月20日


国税庁レポート2019

国税庁は、「国税庁レポート2019」を公表した。

 ★リンクはこちら⇒ 国税庁レポート2019

2019年8月19日


QRコードを利用したコンビニ納付手続の開始について

コンビニ納付は、従来、税務署から交付又は送付されたバーコード付の納付書がなければ利用できなかったが、平成31年(2019年)1月4日(金)以降、自宅等において納付に必要な情報(氏名や税額など)をいわゆる「QRコード」(PDFファイル)として作成・出力することにより可能となる。

利用方法は以下のとおり。

自宅等で作成・出力した「QRコード」(PDFファイル)をコンビニ店舗に持参
いわゆるキオスク端末(「Loppi」や「Famiポート」)に読み取らせることによりバーコード(納付書)が出力
バーコード(納付書)によりレジで納付

(注)詳細な利用方法等については、今後お知らせがある。


1.QRコードの作成・出力方法

(1)確定申告書等作成コーナーからの作成・出力
確定申告書等作成コーナーにおいて、所得税、消費税、贈与税の申告書を作成する際に、QRコードの作成を選択することで、申告書に併せて、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が出力(作成)される。
(2)国税庁ホームページからの作成・出力
国税庁ホームページのコンビニ納付用QRコード作成専用画面において、納付に必要な情報(住所、氏名、納付税目、納付金額等)を入力することで、QRコード(PDFファイル)を印字した書面が出力(作成)される。
(注1)納付できる金額は従来のコンビニ納付と同様に30万円以下となる。
(注2)作成したQRコード(PDFファイル)をスマートフォンやタブレット端末に保存し、スマートフォンやタブレット端末の画面に表示してキオスク端末に読み取らせることも可能である。

2.利用可能コンビニ
ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)
ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ)

QRコードは㈱デンソーウェーブの登録商標である。

 ★リンクはこちら⇒ QRコードを利用したコンビニ納付手続の開始について

2018年11月13日


「平成30年7月豪雨」により被災された納税者の国税に関する法律に基づく申告・納付等の期限の延長について

この度の平成30年7月豪雨により被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

国税庁は、下記の指定地域に納税地のある方について、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出及びその他の書類の提出並びに納付等の期限を延長(地域指定)することとした。

1.対象となる納税者
下記の指定地域に納税地のある方(法人を含む。)

(注)対象地域については、今後の状況を踏まえて見直す可能性がある。

2.延長される期限
平成30年7月5日以後に到来する国税の申告・納付等の期限について、自動的に延長されることとなる。
なお、申告・納付等の期限をいつまで延長するかについては、今後、被災者の状況に十分配慮して検討するとのこと。

3.指定地域外に納税地のある方の期限延長
指定地域外に納税地のある方であっても、今回の豪雨により被災された方については、所轄の税務署長に対して個別に申請することにより、申告・納付等の期限の延長を受けることができるので、状況が落ち着けば、税務署へご相談ください。

 ★リンクはこちら⇒ 「平成30年7月豪雨」により被災された納税者の国税に関する法律に基づく申告・納付等の期限の延長について

2018年8月3日


国税審判官(特定任期付職員)のコラム

国税不服審判所は、国税審判官(特定任期付職員)を志す方の多くが国税不服審判所を身近に感じるとともに、国税審判官の業務に興味・関心を抱いていただけるよう、ホームページに、特定任期付職員によるコラムの掲載を開始した。

コラムは、税理士・弁護士・公認会計士の現職国税審判官がリレー形式で執筆し、毎月1回の掲載を予定している。

ちなみに、第1回は『審判所ってこんなところ』である。

 ★リンクはこちら⇒ 国税審判官(特定任期付職員)のコラム

2018年4月6日


国税庁ホームページリニューアルのお知らせ(2018年3月)

国税庁では、電子政府指針等を踏まえ、ホームページの更なる利便性の向上を図るため、平成30年(2018年)3月31日(土)に国税庁ホームページのリニューアルを行う。

<リニューアルの対象>
国税庁ホームページ(www.nta.go.jpをドメインとするサイト)

※以下のサイトは、今回のリニューアルの対象にはならない。
•国税電子申告・納税システム(e-Tax)(www.e-tax.nta.go.jp)
•確定申告書等作成コーナー(www.keisan.nta.go.jp)
•財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)(www.rosenka.nta.go.jp)
•公売情報(www.koubai.nta.go.jp)
•法人番号公表サイト(www.houjin-bangou.nta.go.jp)
•国税不服審判所(www.kfs.go.jp)

<ご留意いただきたい事項>
リニューアルに当たり、トップページのURL(https://www.nta.go.jp)に変更はないが、情報分類の整理を行ったことから、各ページの掲載場所や全てのページのURLが変更になる。
各ページをブックマークに登録されている方やリンク設定をされている方は、リニューアル後にブックマークの再登録やリンク設定の変更が必要になる。

 ★リンクはこちら⇒ 国税庁ホームページリニューアルのお知らせ(2018年3月)

2018年3月27日


~口座開設等を行う法人の方へ~
金融機関等で法人の方が口座開設等をする際は、「特定法人」に該当するかどうかの確認が必要です!(平成30年2月)

平成27年度税制改正(平成29年1月1日施行)により、平成29年1月1日以後、新たに国内に所在する金融機関等(銀行、証券会社、保険会社、組合、信託等)で口座開設等を行う方(自然人、法人、組合等)は、金融機関等へその方の居住地国等を記載した届出書()の提出が必要となる。

届出書には、氏名・住所(名称・所在地)、居住地国、外国の納税者番号などを記載する必要がある。
詳しくは、リーフレット「~口座開設等を行う方へ~ 金融機関等で口座開設等をする際は、居住地国等を記載した届出書の提出が必要です!」をご覧のこと。

さらに、口座開設等を行う方が法人である場合、「特定法人」に該当するかどうかを確認していただき、「特定法人」に該当するときには、その法人の「実質的支配者」に係る居住地国等についても届出書に記載する必要がある。

 ★リンクはこちら⇒ ~口座開設等を行う法人の方へ~ 金融機関等で法人の方が口座開設等をする際は、「特定法人」に該当するかどうかの確認が必要です!(平成30年2月)

2018年3月13日


「審査請求書作成・提出時のセルフチェックシート」の新設

国税不服審判所は、審査請求をされる方に向けて、審査請求書が正しく作成・提出されるよう、ポイントや誤りやすい点をまとめた「審査請求書作成・提出時のセルフチェックシート」を、ホームページに掲載した。

審査請求書を提出する前に、ご自身で、記載漏れや不備等がないことを確認する際にご活用のこと。

 ★リンクはこちら⇒ 提出書類一覧(審査請求関係)

2018年2月15日


ダイレクト納付口座の複数利用の開始

預貯金口座ごとにあらかじめ「ダイレクト納付利用届出書」を提出することで、平成30年1月4日(木)から、ダイレクト納付の際に利用する預貯金口座を選択することができるようになる。

これにより、例えば、源泉所得税や法人税など、税金の種類別に異なる預貯金口座を使用して、ダイレクト納付が利用できる。

ますます便利なダイレクト納付を、この機会に是非利用しよう。

※1
同一金融機関における複数の預貯金口座のダイレクト納付の利用可否については、「利用可能金融機関一覧」を確認のこと。
※2
各金融機関における複数の預貯金口座の開設の可否については、利用金融機関に確認のこと。

 ★リンクはこちら⇒ ダイレクト納付口座の複数利用の開始

2017年12月20日


平成29年度版暮らしの税情報 Edit

国税庁は、『平成29年度版暮らしの税情報』を、ホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒平成29年度版暮らしの税情報

2017年10月10日

「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針) Edit

標題のことについては、平成16年2月17日付課審1-3ほか8課共同「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」(事務運営指針)の一部を下記のとおり改正したから、平成29年7月1日以後に受け付ける照会に対する文書回答手続等については、これによること。

<趣旨>
同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について、納税者利便の一層の向上の観点から、所要の整備を行うものである。

★リンクはこちら⇒「同業者団体等からの照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針)(課審1-31 課総2-5 課個1-11 課資1-21 課法1-39 課酒1-28 課評1-7 課消1-11 課軽1-3 査調1-29 平成29年5月23日)

2017年10月4日

「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針)

標題のことについては、平成14年6月28日付課審1-14ほか8課共同「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」(事務運営指針)の一部をリンクのとおり改正したから、平成29年7月1日以後に受け付ける事前照会に対する文書回答手続等については、これによること。

<趣旨>
事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について、納税者利便の一層の向上の観点から、所要の整備を行うものである。

★リンクはこちら⇒ 「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」の一部改正について(事務運営指針)(課審1-31 課総2-5 課個1-11 課資1-21 課法1-39 課酒1-28 課評1-7 課消1-11 課軽1-3 査調1-29 平成29年5月23日)

2017年7月20日

国税庁レポート2017

国税庁は、『国税庁レポート2017』を、ホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 国税庁レポート2017

2017年7月19日

平成29年2月19日及び2月26日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

平成28年分確定申告期間中は、平日(月から金曜日)以外でも、一部の税務署では、2月19日と2月26日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行う。

閉庁日対応を行う税務署等については、下記リンクを参照のこと。

道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方々からの電話相談にお答えする。
税務署にお越しの際は、なるべく公共交通機関を利用すること。

なお、税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁している。

ちなみに、香川県は高松税務署のみである。

★リンクはこちら⇒ 平成29年2月19日及び2月26日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

2017年2月3日

税務署窓口へ税務関係書類を提出される際の「提出票」作成

平成29年1月から 納税者の方が 税務署の総合窓口(管理運営部門の窓口)で申告書・届出書等の税務関係書類を提出される際には、以下のとおり「提出票」を記載・提出することになった。

<施策の概要>
平成29年1月から、税務署に多くのマイナンバー記載書類が提出されることなり、税務行政において社会保障・税番号制度が本格化した 。
これを契機に、重要な個人情報を取り扱う行政関として提出された書類を従来にも増して厳格に管理する必要があることから、納税者(税理士)の方が税務署の総合窓口(管理運営部門の窓口)で申告書・届出等の税務関係類を提出される際には、併せて「提出票」の記載・提出をお願いすることした。

<施策の開始時期>
本施策は、原則として平成29年1月から実施している。

税務署の総合窓口(管理運営部門の窓口)で税務関係書類を提出される際、提出票を作成し、提出書類及び提出票を総合窓口へ提出する。
提出票の様式は、税務署総合窓口で渡される。
受付担当者が、提出受付担当者が、提出書類の概要を提出票に記録するとともに、提出書類の収受手続を行う。

★リンクはこちら⇒ 税務署窓口へ税務関係書類を提出される際の「提出票」作成

2017年1月6日

クレジットカード納付

<概要>
クレジットカード納付とは、インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、国税庁長官が指定した納付受託者(トヨタファイナンス株式会社)へ、国税の納付の立替払いを委託することにより国税を納付する手続である。
クレジットカード納付は、平成29年1月4日8時30分からサービスを開始することとしており、同日10時00分に当ページから専用のWebサイトにアクセスを可能とする更新を行う予定である。

<対象となる国税>
申告所得税及び復興特別所得税法人税消費税及び地方消費税、贈与税、酒税などほぼ全ての税目で利用可能である(一部対象外の税目がある。)。
詳しくは下記リンクの『クレジットカード納付のQ&A』を参照のこと。

<ご準備いただくもの>
納付する税目や金額のわかるもの(確定申告書など)と、利用するクレジットカード

<受付時間>
24時間利用可能
※メンテナンス作業等でご利用いただけない時間が生じる場合がある。

<注意事項>
1.クレジットカード納付では、納付税額に応じた決済手数料がかかる。
※決済手数料は、国の収入になるものではない。
2.クレジットカード納付ができる金額は、1,000万円未満、かつ、ご利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料含む)である。
3.利用可能なクレジットカードは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARDである。
4.領収証書は発行されない。
※領収証書が必要な方は、最寄りの金融機関又は所轄の税務署の窓口で納付のこと。
5.「国税クレジットカードお支払サイト」での納付手続が完了すると、その納付手続の取消しはできない。
6.納付手続の完了後、その納付手続により納付済となった国税については、納税の猶予等を受けることはできない。
7.国税のクレジットカード納付はインターネット上のみの手続であり、金融機関やコンビニエンスストア、税務署の窓口では、クレジットカードによる納付はできない。
8.クレジットカード納付をしてから、納付済の納税証明書の発行が可能となるまで、3週間程度かかる場合がある。

<クレジットカード納付の方法>
・インターネットの利用が可能なパソコン、スマートフォン及びタブレット端末から「国税クレジットカードお支払サイト」へアクセスする。
※アクセス方法
①国税庁ホームページから
国税庁ホームページで「国税クレジットカードお支払サイト」をクリックしてアクセス(平成29年1月4日からアクセス可能)
②確定申告書等作成コーナーから
確定申告書等作成コーナーで、納税額のある申告書を作成した場合などに表示される納付方法の案内画面からアクセス(平成29年1月4日からアクセス可能)
③サイトの検索等
各種検索エンジンで「国税クレジットカード納付」と検索していただくか、サイトURL「https://kokuzei.noufu.jp」を入力してアクセス
④e-Tax(国税電子申告・納税システム)から
平成29年6月からの開始を予定している。
・「国税クレジットカードお支払サイト」での手続は『クレジットカード納付手続の流れ』を参考のこと。

<その他>
その他ご不明な点は、下記リンクの『クレジットカード納付のQ&A』を参照のこと。

★リンクはこちら⇒ クレジットカード納付のQ&A

2016年12月20日

平成29年度税制改正大綱

自民党・公明党は、2016年12月8日に『平成29年度税制改正大綱』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成29年度税制改正大綱

2016年12月8日

パンフレット『暮らしの税情報』(平成28年度版)

国税庁は、パンフレット『暮らしの税情報』(平成28年度版)を作成した。

目次は、以下のとおり。

  • 税の基礎知識
  • 給与所得者と税暮らしの中の税不動産と税
  • 贈与・相続と税申告と納税
  • 高齢者や障害者と税
  • 暮らしの中の税
  • 不動産と税 贈与・相続と税
  • 申告と納税
  • その他

★リンクはこちら⇒ パンフレット『暮らしの税情報』(平成28年度版)

2016年8月10日

租税教育の事例集(平成28年5月改訂版)

平成27年4月、租税教育推進関係省庁等協議会(中央租推協)では、租税教育に対する教員等の意識啓発を図ることを目的とし、全国で行われている租税教育の優れた取組事例などを基に、租税教育の事例集を作成した。

租税教育に関係する様々な立場の方に広く御活用いただけるつくりとしているので、よりよい租税教育の授業づくりのため、関連する教科・時間などにおいて、ぜひ活用すること。

★リンクはこちら⇒ 租税教育の事例集(平成28年5月改訂版)

2016年7月11日

添付書類のイメージデータによる提出

e-Taxでの添付書類のイメージデータによる提出については、平成28年4月1日より開始している。
ただし、以下に掲載している添付書類については、平成29年1月4日(水)までは、イメージデータによる提出はできない。
また、平成29年1月3日(火)以前に提出した申告、申請・届出等に係る添付書類については、平成29年1月4日(水)以降もイメージデータによる提出はできない。

<申告>

  1. 所得税確定申告等
  2. 贈与税申告

<申請・届出等>

  1. 所得税関係
  2. 相続税・贈与税関係
  3. 消費税(個人)関係
  4. 電子帳簿保存法関係(個人)

★リンクはこちら⇒ 添付書類のイメージデータによる提出

2016年6月3日

e-Taxの受付日の拡大

e-Taxの受付日については、平成28年5月以降、利用者の利便性向上の観点から、法人税申告書等の提出が多い、5月、8月、11月の最後の土曜日及び日曜日を拡大する。

なお、平成28年5月以降のe-Taxの受付日等は以下のとおり。
1.通常期
【受付日】

  • 月曜日~金曜日(祝日等及び12月29日~1月3日を除く。)
  • 5月、8月、11月の最後の土曜日及び日曜日(月末が土曜日の場合は、最後の日曜日を翌月の最初の日曜日とする。)

【受付時間】

  • 8時30分~24時

【平成28年度における土日対応】

  • 平成28年5月28日(土)、29日(日)
  • 平成28年8月27日(土)、28日(日)
  • 平成28年11月26日(土)、27日(日)

2.所得税等の確定申告時期

  • 全日(土日祝日等を含む。)24時間(メンテナンス時間を除く。)

具体的な期間については、12月上旬にe-Taxのホームページでお知らせする予定である。

★リンクはこちら⇒ e-Taxの受付日の拡大について

2016年5月16日

平成27年度の確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想

国税庁は、『平成27年分確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスクの電話混雑予想』を公表した。

それによると、平成27年分確定申告が始まる2月16日前後や3月に入ると「比較的電話が繋がりにくい状況」や「多少お待ちいただく場合がある」と予想しているほか、月曜日や12~16時の時間帯は問い合わせが集中する傾向にあるとしており、問い合わせの際は注意したい。

★リンクはこちら⇒ 平成27年度の確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想

2016年1月29日

税務当局における税務代理人の本人確認書類

日本税理士会連合会(日税連)は、税務当局における税務代理人の本人確認について、国税庁及び総務省にその取扱いを確認し、一覧に取りまとめた。

国税関係手続、地方税関係手続ともに、基本的には同様の取扱いとなる。

なお、税務代理権限証書の添付の有無により、実際に番号を提供したとみなされる者及び提出する書類が異なる点に留意すること。

★リンクはこちら⇒ 税務当局における税務代理人の本人確認書類

2016年1月7日

マイナンバー制度に便乗した不正な勧誘や個人情報の取得にご注意ください!

内閣府のコールセンターや地方公共団体、消費生活センターなどに、マイナンバー制度に便乗した不正な勧誘や個人情報の取得を行おうとする電話、メール、手紙、訪問等に関する情報が寄せられている。
注意していただきたい事項、困った場合の相談窓口、これまでに寄せられている相談事例をお知らせしている。

マイナンバー制度をかたった不審な電話、メール、手紙、訪問等には十分注意し、内容に応じて、相談窓口を利用してください。

★リンクはこちら⇒ マイナンバー制度に便乗した不正な勧誘や個人情報の取得にご注意ください!

2015年11月19日

社会保障・税番号制度<マイナンバー>FAQページの改修

国税庁は、社会保障・税番号制度<マイナンバー>FAQページを改修した。

申告書等の税務関係書類に個人番号・法人番号を記載しなければならない対象者、申告書等の税務関係書類への個人番号・法人番号の記載時期、法定調書提出義務者等(個人番号関係事務実施者)における本人確認方法など、国税分野における個人番号・法人番号の利用に関するFAQを掲載している。

★リンクはこちら⇒ 社会保障・税番号制度<マイナンバー>FAQページの改修

2015年11月12日

税の役割と税務署の仕事

国税庁は、取組紹介ページ「税の役割と税務署の仕事」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 税の役割と税務署の仕事

2015年11月5日

法人番号公表サイト

法人にもマイナンバーが付与されるが、平成27年10月26日(月)の夕刻以降、通知したものから順次、法人の基本3情報を検索・閲覧することができるようになっている。

このサイトでは、法人番号の指定を受けた者の
1.商号又は名称
2.本店又は主たる事務所の所在地
3.法人番号(基本3情報)
を公表している。

また、「基本3情報ダウンロード」画面より、データをダウンロードすることもできる。

★リンクはこちら⇒ 法人番号公表サイト

2015年10月29日

法人番号指定通知書の転送

国税庁では、本年10月から通知を開始している法人番号について、よくある質問と回答をホームページ上で「法人番号に関するFAQ」として公表している。

この度、当該FAQのうちQ5-2「法人番号指定通知書が届かない場合は、どのようにすればいいのでしょうか。」に、登記上の本店所在地と実態が異なる場合、郵便局の転居・転送サービスを利用することができるとの記載が追加された。

★リンクはこちら⇒ 法人番号指定通知書の転送

2015年10月22日

個人番号カードの交付申請を予定されている方へ

個人の方がe-Taxで申告手続等を行う際に必要な公的個人認証サービスに基づく電子証明書については、現在、「住民基本台帳カード」に格納されているが、平成28年1月以降、「個人番号カード」に格納されることとなる。

この「個人番号カード」の交付申請については、平成27年10月から可能となるが、申請が集中した場合、カードの作成に時間を要し、市区町村窓口における交付が遅れる可能性がある旨の注意が総務省ホームページに掲載されている。

詳しくは、総務省ホームページ「『住民基本台帳カードの電子証明書を利用されている皆様へ』~有効期間満了に伴う失効について~」を確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 住民基本台帳カードの電子証明書を利用されている皆様へ』~有効期間満了に伴う失効について~

2015年10月16日

退職手当金等受給者別支払調書

死亡退職により退職手当等を支払った場合は、「退職所得の源泉徴収票」は提出する必要はなく、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになる。

支払った日の属する月の翌月15日までに、「退職手当金等受給者別支払調書」に「平成 年 月分 退職手当金等受給者別支払調書合計表」を添付して、納税地等を所轄する税務署長に送付または持参する必要がある。

★リンクはこちら⇒ 退職手当金等受給者別支払調書

2015年9月18日

「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」 に関するQ&A(平成26年12月11日)(平成27年8月6日更新)

特定個人情報保護委員会は、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」 に関するQ&Aを追加・更新した。

★リンクはこちら⇒ 「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」 に関するQ&A(平成26年12月11日)(平成27年8月6日更新)

2015年9月3日

東日本大震災による被災者、 DV・ストーカー行為等・児童虐待等の被害者、 一人暮らしで長期間医療機関・施設に入院・入所されている方へ

平成27年10月以降、国民一人一人の住民票の住所地にマイナンバー(個人番号)が「通知カード」により通知される。
この「通知カード」は、皆さまの住民票の住所地に簡易書留で送付される。

しかしながら、

  • 東日本大震災による被災者
  • ドメスティック・バイオレンス(DV)、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者(以下「DV等被害者」という。)
    の方で、住民票を残して、別の場所(居所)にお住まいの方や、
  • 長期間にわたって医療機関・施設等に入院・入所することが見込まれ、かつ、入院・入所期間中は住所地に誰も居住していない方

などについては、住民票の住所地では通知カードを受け取ることができないこと、また、住民票の住所地に送付された通知カードをDV等の加害者が受け取ってしまうことも想定される。

住民票の住所地と異なる場所(居所)にお住まいの方は、居所に生活の本拠がある場合にはそこに住民票を異動することが基本だが、上記のような方については、現在お住まいの場所(居所)を登録すれば、そこに通知カードを送付してもらうことも可能なので、該当する方は居所情報の登録申請をすること。

★リンクはこちら⇒ 東日本大震災による被災者、 DV・ストーカー行為等・児童虐待等の被害者、 一人暮らしで長期間医療機関・施設に入院・入所されている方へ

2015年8月24日

FY2015 Japan Tax Reform

財務省は先日、パンフレット「平成27年度税制改正」の英語版を発刊した。
目次は、以下のとおり。

 Chapter1  Corporate Taxation
 Chapter2  Consumption Taxation
 Chapter3  International Taxation
 Chapter4  Development of the Environment for Tax Payment
 Chapter5  Individual Income Taxation
 Chapter6  Property Taxation

★リンクはこちら⇒ FY2015 Japan Tax Reform

2015年8月17日

パンフレット「暮らしの税情報」(平成27年度版)

国税庁は、パンフレット「暮らしの税情報」(平成27年度版)を作成した。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(平成27年度版)

2015年8月5日

中小企業・小規模事業者向けのマイナンバー電子書籍(入門編資料、チェックリスト)

日本商工会議所は、経営に役立つ情報を電子書籍で提供する『商工会議所ライブラリー』において、中小企業向けにマイナンバー制度のポイントを絞って分かりやすく説明した『マイナンバー(社会保障・税番号制度)がはじまります!中小企業の皆さんへ(入門編)』および、小規模事業者がマイナンバー導入時に対応すべき内容をまとめた『マイナンバー導入チェックリスト』(いずれも内閣府作成)を掲載した。

★『マイナンバー(社会保障・税番号制度)がはじまります!中小企業の皆さんへ(入門編)』のリンクはこちら⇒ 『マイナンバー(社会保障・税番号制度)がはじまります!中小企業の皆さんへ(入門編)』
★『マイナンバー導入チェックリスト』のリンクはこちら⇒ 『マイナンバー導入チェックリスト』

2015年7月7日

インターネット番組ダイジェスト版

国税庁は、『インターネット番組ダイジェスト版』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ インターネット番組ダイジェスト版(既に削除済み)

2015年6月18日

国税電子申告・納税システム(e-Tax)ご利用案内(平成27年4月)

国税庁は、「国税電子申告・納税システム(e-Tax)ご利用案内(平成27年4月)」をホームページに掲載した。

e-Taxのメリットとしては以下のようなものがある。

  • 税務署へ出向くことなく、インターネットを利用して申告、申請・届出、納付などの手続を行うことができる。
  • 所得税の確定申告において、添付書類(源泉徴収票や医療費の領収書など)の内容を入力して送信することにより、添付を省略することができる。
  • e-Taxで提出された還付申告は、還付金を3週間程度で受け取ることができる。
  • 確定申告書等作成コーナーを利用すれば、自動計算機能等により容易かつ正確に申告書を作成することができる。
  • 納税証明書の交付請求手数料が書面請求の場合よりも安価である。

★リンクはこちら⇒ 国税電子申告・納税システム(e-Tax)ご利用案内(平成27年4月)(既に削除済み)

2015年6月12日

マイナンバーの利用開始日が平成28年1月1日で確定

マイナンバーの利用開始日が、平成28年1月1日で確定した。

既に利用開始日を平成28年1月1日とする予定で周知されていたが、マイナンバー法の施行日を平成27年10月5日とし、同法附則第1条4号に定めるマイナンバーの利用等の施行日を平成28年1月1日とする政令が4月3日に公布されたことから確定した。

平成27年度税制改改正では、マイナンバー導入後、確定申告書等に住民票の写し等の添付が不要になる規定が盛り込まれた。
これらの適用期日は、マイナンバーの利用等の施行日とリンクしてくる。
施行日の確定により、確定申告書等は平成28年1月1日の属する年分以後、相続・贈与税申告書等は平成28年1月1日以後の相続・遺贈・贈与により取得する財産に係るもの、地方税申告書等は平成28年1月1日以後に提出する申告書に適用される。

1人に1つ。マイナンバー

番号制度の概要、メリットや今後のスケジュールについて分かりやすく解説している政府広報のサイトである。

★リンクはこちら⇒ 1人に1つ。マイナンバー

2015年5月8日

法人番号について(ご紹介コーナー)

国税庁は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)」に基づき、法人番号の指定、通知、公表に関する事務を行うこととなった。

国税庁では、法人番号の付番機関として、平成27年10月からの番号の指定、通知、公表業務の適切な実施に向け、法人番号のシステム構築などの準備を進めている。

現在構築中である法人番号の公表サイトの運用開始までの間、このコーナーを通じて、法人番号に関する最新情報を、順次提供していく。

★リンクはこちら⇒ 法人番号について(ご紹介コーナー)

2015年4月23日

国税の番号制度に関する情報

国税庁のホームページで、番号制度の概要・よくある質問や国税関係書類への番号記載時期や国税関係手続の本人確認方法など、番号制度に関連した国税に関する情報をカテゴリー別に整理している。

★リンクはこちら⇒ 国税の番号制度に関する情報

2015年4月14日

平成25年度分会社標本調査結果

国税庁は、平成25年度分会社標本調査結果について、ホームページに掲載した。
平成25年度分の推計調査結果から見た主要な点は、以下のとおりである。

  • 平成25年度分の法人数は259万5,903社で、このうち連結親法人は1,392社、連結子法人は10,171社となっている。
  • 資本金の総額は139兆6,664億円となっている。
  • 平成25年度分の法人数259万5,903社から、連結子法人の数(10,171社)を差し引いた258万5,732社のうち、欠損法人は176万2,596社で、欠損法人の割合は68.2%となっている。
    このうち連結法人(1,392社)について見ると、欠損法人が589社で、欠損法人の割合は42.3%となっている。
  • 営業収入金額は1,493兆4,688億円で、このうち利益計上法人の営業収入金額は、
    1,138兆1,711億円、所得金額は49兆7,926億円で、営業収入金額に対する所得金額の割合(所得率)は4.4%となっている。
  • 利益計上法人における益金処分の内訳を構成比で見ると、社内留保51.1%、支払配当23.0%、法人税額15.3%、その他の社外流出10.6%となっている。
  • 法人税額は10兆1,122億円となっている。また、所得税額控除は2兆885億円、外国税額控除は6,492億円となっている。
  • 繰越欠損金の当期控除額は9兆8,041億円で、翌期繰越額は68兆6,344億円となっている。
  • 交際費等の支出額は3兆825億円で、営業収入金額10万円当たりの交際費等は
    206円となっている。
  • 寄附金の支出額は6,986億円で、営業収入金額10万円当たりの寄附金は47円となっている。
  • 貸倒引当金の期末残高は3兆6,451億円となっている。
  • 当期発生分の減価償却費の損金算入額は35兆6,198億円で、損金算入限度額に対する損金算入の割合は92.3%となっている。

★リンクはこちら⇒ 平成25年度分会社標本調査結果

2015年4月7日

税のはたらきから社会の仕組みを学ぼう(小学生以上向け)

国税庁は、インターネット番組『税のはたらきから社会の仕組みを学ぼう(小学生以上向け)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 税のはたらきから社会の仕組みを学ぼう(小学生以上向け)

2015年3月24日

マイナンバー制度への対応準備のお願い

一般社団法人日本経済団体連合会(いわゆる経団連)が、先日、『マイナンバー制度への対応準備のお願い』を公表した。

マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の導入に向け、2015年10月より、マイナンバー(個人番号)の市区町村から全国民への通知が開始される。
企業においては、給与所得の源泉徴収票の作成、社会保険料の支払・事務手続きなどでマイナンバーの取扱いが必要となり、対象業務の洗い出しや対処方針の決定等、マイナンバー制度への円滑な対応に向けた準備を行う必要がある。
各社においては、政府の事業者向けマイナンバー広報資料や特定個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」を参照のうえ、実務上の対応準備を進めていただきたい。

★リンクはこちら⇒ マイナンバー制度への対応準備のお願い

2015年3月20日

マイナンバー社会保障・税番号制度

内閣官房は先日、2015年10月から導入される『マイナンバー社会保障・税番号制度』についての概要資料等を公表した。

もうすぐ導入する割には、ほとんど知られておらず、もっと広報活動が必要だと思われる。

★リンクはこちら⇒ マイナンバー社会保障・税番号制度

2015年3月10日

インターネット番組「国税庁ホームページの上手な使い方」

国税庁は、インターネット番組「国税庁ホームページの上手な使い方」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ インターネット番組「国税庁ホームページの上手な使い方」

2015年2月5日

平成27年2月22日及び3月1日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

平成26年分確定申告期間中は、平日(月~金曜日)以外でも、一部の税務署では、平成27年2月22日と3月1日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行う。
閉庁日対応を行う税務署等については、ホームページを参照のこと。
ちなみに、香川県は高松税務署のみである。

道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方からの電話相談に答える。
税務署に行く際には、なるべく公共交通機関を利用すること。
なお、税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年2月22日及び3月1日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署(既に削除済み)

2015年2月4日

確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想

国税庁は、平成26年分所得税等の確定申告におけるe-Tax利用者へのサービスとして、e-Taxの利用開始のための手続き、e-Taxソフト、確定申告書等作成コーナー及びその利用のためのパソコン操作などに関する問い合わせに電話で対応する専門窓口である「e-Tax・作成コーナーヘルプデスク」の混雑状況を、ホームページ上のe-Taxサイトに掲載した。
このサービスは、ヘルプデスクに電話をかけてもなかなかつながらないとの声を受ける形で平成23年分所得税等の確定申告期から実施しているものである。

混雑予想は、週間混雑予想(時間帯別)と月間混雑予想(日別)に分かれており、週間混雑予想は、縦軸を日付(1週間)、横軸を利用可能時間(「9時~12時」、「12時~14時」、「14時~17時」、「17時~20時」の4区分)とした表形式中に、ほとんど待たずに電話が繋がる場合は「◎」、比較的電話がつながりやすい場合は「○」、混雑することが予想され、つながるまで時間がかかる場合は「△」、非常に混雑することが予想されるため、つながりやすい時間帯への電話を勧める場合は「▲」で明記している。
また、月間混雑予想は、カレンダー様式を用いて1月19日から3月15日まで日別同様にその日の混雑予想をマークで区分している。

ちなみに現在の予想をみると、申告期限間近では3月9日~11日に「▲」が付いている。また、曜日では「月曜日」、時間帯では「11時~16時」に問い合わせが集中する傾向にあるとしている。

★リンクはこちら⇒ 確定申告期におけるe-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想

2015年1月30日

査察の役割

<査察調査とは>
査察調査とは、悪質な脱税をしている疑いのある者に対し、犯罪捜査に準じた方法で行われる特別な調査ある。調査に当たる国税査察官には、裁判官の発する許可状を受けて事務所などの捜索をしたり、帳簿などの証拠物件を差し押えたりする強制調査を行う権限が与えられている。

<査察調査の目的>
査察調査は、悪質な脱税者に対して単に免れた税金(本税)や重加算税等を納めさせるだけでなく、検察官への告発を通じて懲役や罰金といった刑罰を科すことを目的としている。

<悪質な脱税者に対する刑事責任の追及>
検察官によって裁判所に起訴され有罪が確定すると、懲役や罰金の刑罰が科される。この刑罰は、10年以下の懲役または1,000万円(脱税額が1,000万円を超える場合は、脱税相当額)以下の罰金となるか、あるいは懲役と罰金の併科となる。

<平成25年度の査察の概要>
平成25年度においては、185件の査察調査に着手し、118件(前年度以前の着手事案を含む。)を検察官に告発した(表1)。
平成25年度中に一審判決が言い渡された査察事件116件のうち、115件の事件において有罪判決が出され、実刑判決が9人に出された(表2)。

(表1)平成25年度の査察調査の状況

着手件数 処理件数 告発件数 告発率 脱税総額 内告発分
185件 185件 118件 63.8% 145億円 117億円

(注)脱税額には、加算税額を含む。

(表2)平成25年度中の査察事件の判決(第一審判決)の状況

判決件数 有罪件数 実刑判決数 一件当たり
犯則税額
一人当たり
懲役月数
一人(社)当たり
罰金額
116件 115件 9人 52百万円 12.9か月 12百万円

(注)一件(人・社)当たりの計数は、他の犯罪との併合事件を除いて算出している。

多くの納税者は適正な申告・納税を行っているが、一部に悪質な脱税者がいることは非常に残念なことである。全国に配置されている国税査察官は、悪質な脱税者に対して厳正な態度で臨み、その告発に全力を挙げている。

★リンクはこちら⇒ 査察の役割(既に削除済み)

2014年10月28日

マイナちゃんのマイナンバー解説

内閣官房は、マイナンバーという言葉自体を知らない方や、言葉は聞いたことがあるけれど内容がよくわからないという方向けにマイナンバー制度に関する基本的な疑問点に答えている。

INDEXは、以下のとおり。

  • マイナンバーって、何?何のために導入されるの?
  • 自分のマイナンバーはいつわかるの?
  • マイナンバーはいつから誰がどのような場面で使うの?
  • マイナンバーは自由に使っていいの?個人情報の管理は安全なの?
  • カードが配布されるの?使い道は?
  • 詳しい情報はどこで分かるの?

★リンクはこちら⇒ マイナちゃんのマイナンバー解説

2014年9月25日

平成26年の「税を考える週間」

国税庁は、国民に租税の意義や役割、税務行政に対する知識と理解を深めてもらうため、1年を通じて租税に関する啓発活動を行っているが、毎年11月11日から11月17日を「税を考える週間」として、集中的に様々な広報広聴施策を実施している。

平成26年の「税を考える週間」は、テーマを「税の役割と税務署の仕事」とし、以下のとおり実施する。

1.インターネットを活用した広報
国税庁の取組等を紹介するコーナーを更新
国税庁ホームページ内の「ご紹介します 税の役割と税務署の仕事」を「税を考える週間」の開催に合わせて更新する。
また、スマートフォン版も更新する。

  • 動画で見る税務署の仕事 調査や徴収などの業務をドラマ仕立てで紹介する。
  • イラストやグラフで見る税の役割と税務署の仕事  国税庁の取組等を分かりやすく最新のデータで紹介する。

ツイッターの活用
「税を考える週間」の開催に合わせて各種情報を提供する。
(YouTubeの国税庁動画チャンネルや、国税庁ホームページのインターネット番組「Web-TAX-TV」などの情報を発信する。

2.講演会の実施や関係民間団体等との連携
職員による講演会や関係民間団体、地方公共団体等と連携してイベントや作品展などを実施する。

2014年8月29日

平成26年度版暮らしの税情報

国税庁は、パンフレット「暮らしの税情報」(平成26年度版)を公表した。

どれだけの方が読まれているのかは分からないが、大変分かりやすいものになっている。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(平成26年度版)

2014年7月1日

6月16日から、スマートフォン等でのe-Taxの利用開始

近年、スマートフォンやタブレット端末(以下、「スマートフォン等」という。)の急速な普及が進み、パソコンの代替としてのアクセス手段の多様化が進んでいる。
これらスマートフォン等の普及や利用者からの意見要望を受けて、利便性の向上を図るため、これまでパソコンでの利用を前提としていたe-Taxのサービスのうち、一部の手続等について、スマートフォン等でのご利用を平成26年6月16日(月)より開始する。

1.新たなサービスの名称

  • 「e-Taxソフト(SP版)」
    ※ e-Taxソフト(SP版)のSPとは【SmartPhone】の略称である。

2.利用できる機能及び手続
以下の機能及び手続が利用できる。

  • e-Taxホームページ(スマートフォン等専用)の閲覧
    スマートフォン等専用のe-Taxホームページにて「重要なお知らせ」及び「お知らせ」の閲覧等ができる。
  • e-Taxソフト(SP版)の利用
    スマートフォン等専用のe-Taxホームページへアクセスし、「e-Taxソフト(SP版)」へのログインにより利用できる。

    利用者情報の登録・確認・変更
    申告・申請等データの基本情報となる氏名、住所等の情報、「税務署からのお知らせ」等を受信するメールアドレスの登録・確認・変更(法人利用者については、利用者情報の確認機能のみ利用が可能。)
    納税
    納付情報登録依頼(税目、納付金額等の納付情報データの作成及び送信等)、ダイレクト納付、インターネットバンキング(金融機関等サイト)へのリンク
    メッセージボックスの確認
    e-Taxに送信した申告・申請等データの送信結果、「税務署からのお知らせ」等の確認
    還付金処理状況の確認
    e-Taxを利用して還付申告を行った場合の、還付金の処理状況の確認

3.推奨環境
スマートフォン等で利用可能なOS及びブラウザ等は、以下のとおり。

  • 対応OS等
    端末 OS バージョン ブラウザ
    Android Android Android4以降 Android Browser
    iPhone iOS iOS6以降 iOS Safari

    ※標準ブラウザ(スマートフォン等に初期搭載されているブラウザ)以外では、正常に動作しない場合がある。

4.利用可能時間
e-Taxソフト(SP版)の利用可能時間は、e-Taxの利用可能時間と同様。
なお、ダイレクト納付(即時納付)及びインターネットバンキングによる電子納税については、e-Taxの利用可能時間内で、かつ、納税手続を行う金融機関のシステムが稼動している時間となる。

2014年6月12日

暮らしを支える税を学ぼう

国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『暮らしを支える税を学ぼう』を作成し、学校教育の中で税の意義や役割などを考えるきっかけとなるような内容を、ドラマ仕立てで紹介している。

★リンクはこちら⇒ 暮らしを支える税を学ぼう

2014年3月18日

税の役割と税務署の仕事

国税庁は、取組み紹介ページ「税の役割と税務署の仕事」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 税の役割と税務署の仕事

2013年11月19日

税を考える週間

11月11日(月)から17日(日)は、『税を考える週間』である。
毎年11月11日から11月17日までを、『税を考える週間』とし、国民の皆様に税の意義や役割についてより能動的に考えていただくとともに、税務行政への理解を深めていただくため、国税庁及び税務署は各種広報広聴活動を行っている。

2013年度は、「税の役割と税務署の仕事」をテーマとし、適正・公平な税務行政の推進や納税者サービスの向上に関する取組を紹介し、特に、e-TaxをはじめとしたITを活用した納税環境の整備について、納税者の皆様から広く意見を聴く。

また、期間中は、国税庁ホームページに『税を考える週間』特集ページを開設し、テーマに即した情報の提供を行う。

★リンクはこちら⇒ 税を考える週間(既に削除済み)

2013年11月8日

国税庁レポート2013

国税庁が、『国税庁レポート2013』を公表した。
平成23年度租税及び印紙収入決算額(一般会計分)を見ると、源泉所得税が11兆円、消費税が10兆円、法人税が9兆円、揮発油税・申告所得税が2兆円、相続税・酒税・たばこ税が1兆円で、合計42兆円で、前年度より増加している。

これらを見ると、法人実効税率の引き下げの代替収入はあるのかという疑問が生じ、消費税の増税はインパクトが大きいが相続税の増税はインパクトはあまりないことが見て取れる。

リンクはこちら⇒  国税庁レポート2013

2013年8月14日

暮らしの税情報(平成25年度版)

国税庁は、パンフレット『暮らしの税情報』(平成25年度版)を公表した。

とても分かりやすいものとなっている。

リンクはこちら⇒ 『暮らしの税情報』(平成25年度版)

2013年7月29日

納税証明書交付請求時の本人確認方法等の変更

平成25年7月から、納税証明書交付請求時の本人確認方法等変更になる。
納税者の大切な情報を保護するために、納税証明書交付請求時の本人確認方法等が以下ののとおり変更された。

<税務署窓口で提示する本人確認書類>
本人(法人の場合は代表者本人)または代理人本人であることを確認する本人確認書類は、以下のとおりとなる。
なお、本人確認書類の種類により、1枚の提示で足りるものと2枚の提示が必要なものに分かれるので、留意すること。

(注1)有効期限のある本人確認書類は、有効期限内のものに限る。
(注2)本人確認書類に記載された識別番号等を控えるので、あらかじめ了承のこと。

~1枚の提示で足りるもの~

  • 運転免許証
  • 写真付き住民基本台帳カード
  • 旅券(パスポート)
  • 海技免状
  • 小型船舶操縦免許証
  • 電気工事士免状
  • 宅地建物取引主任者証
  • 教習資格認定証
  • 船員手帳
  • 戦傷病者手帳
  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 在留カードまたは特別永住者証明書
  • 国または地方公共団体の機関が発行した身分・資格証明書(顔写真付き)

~2枚の提示が必要なもの~

  • 写真の貼付のない住民基本台帳カード
  • 国民健康保険、健康保険、船員保険、または介護保険の被保険者証
  • 共済組合員証
  • 国民年金手帳
  • 国民年金、厚生年金保険または船員保険の年金証書
  • 共済年金または恩給の証書
  • 上記に掲げる書類を除く、国または地方公共団体の機関が発行した身分・資格証明書(顔写真なし)※
  • 学生証、法人が発行した身分証明書(顔写真付き)※

(注)「※」を表示した本人確認書類は、「※」を表示していない本人確認書類と組み合わせて提示のこと。「※」を表示した本人確認書類のみを2枚以上ご提示いただいても本人確認できない。

<郵送で請求した場合の納税証明書の送付先>
納税証明書は、原則として本人または法人の住所(納税地)以外には送付できないので、あらかじめ了承のこと。
なお、代理人の住所への送付を希望する場合は、以下の書類が必要となる。
①本人(法人の場合は代表者本人)からの委任状
委任状には、必ず、本人が署名・押印(法人の場合は代表者の署名及び代表者の印鑑を押印)すること。
なお、委任されたかどうかを本人に電話で確認することがあるので、あらかじめ了承のこと。
②代理人本人であることを確認できる書類(<税務署窓口でご提示いただく本人確認書類>を参照)のうち送付先住所が確認できるいずれか1種類の写し
代理人の方の住所及び氏名が記載された面(ページ)の写しが必要となる。
なお、代理人本人であることを確認できる書類に記載された住所以外には送付できないので、あらかじめ了承のこと。
有効期限のある書類は、有効期限が記載されている面(ページ)の写しも同封すること。

(注)
代理人が税理士等である場合は、委任状のほか、税理士等であることを証する書類の写しを同封すれば、税理士等の事務所へ送付できる。

2013年7月1日

租税史料室

税務大学校和光校舎の「租税史料室」は、税に関する貴重な歴史的資料(租税史料)を保存・展示しており、国税庁ホームページ(税務大学校コーナー)を通じて広く一般の方々に租税史料を公開している。
「租税史料室」は、社会人、大学生の方をはじめ、小中学生、高校生等の校外学習の場としても活用でき、開館時間中は、誰でも展示室を見学できるほか、備え付けの音声ガイド(所要時間は約30分)を利用すると、展示史料の解説を聞くことができ大変便利である。

※団体の場合は、事前に連絡すれば、専門スタッフが展示室を案内してくれる。
※展示していない所蔵史料を閲覧希望する方は、租税史料室1階事務室で受付を行っている。

<平成25年度特別展示の案内>
平成25年度特別展示を行う。
平成25年度特別展示のテーマ:「災害からの復興と税」
日本では、過去から様々な災害が発生しており、災害による被害の大きさを物語る租税史料や災害における税との関わり、そして災害からの復興に関する租税史料を展示する。
展示開設期間(予定) 平成25年10月1日(火)~平成26年9月29日(月)
参考:特別展示とは、毎年テーマを定めて行う1年間限定の展示である。

<租税史料の収集に協力を>
「租税史料室」では、所蔵史料の一層の充実を図るため、租税史料の収集に努めている。
皆さんのお近くに、税務行政に関する文書に限らず、図書、写真、器具など人々の暮らしと税との関係が感じられる史料があれば、最寄りの税務署(総務課)まで問い合わせのこと。

2013年6月26日

平成25年度以降のe-Tax受付時間

利用者の利便性の向上を図る観点から、利用者のニーズ、費用対効果を踏まえて受付時間の検討を行った結果、以下のとおり、e-Taxの受付時間を拡大している。

  • 平成25年7月31日(水)まで
    月曜日~金曜日(祝日等及び以下の期間を除く。) 8時30分~21時
    平成25年5月28日(火)~31日(金) 8時30分~22時30分
  • 平成25年8月1日(木)以降
    月曜日~金曜日(祝日等及び年末年始(12月29日
    ~1月3日)並びに以下の期間を除く。)
    8時30分~24時
    確定申告時期(1月第3週月曜日~所得税確定申告期限) 24時間

    ※メンテナンス時間(毎週月曜日0時~8時30分)を除く。
    ※具体的な期間については、2013年12月上旬に国税庁のホームページで知らされる。

2013年4月15日

カテゴリー
記事

相続税

事業協同組合の出資持分の価額は財産評価基本通達196に定める評価方法(純資産価額)に基づき評価するのが相当であるとした事例

  • 平成29年4月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年4月11日裁決

<ポイント>
本事例は、本件における事業協同組合の出資持分が究極的には当該組合の純資産価額を体現したものといえるものであり、評価に当たって財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、その主張する相続により取得した事業協同組合の出資持分(本件持分)の価額は、当該組合の定款(本件定款)に定める脱退組合員の払戻金を根拠として組合員の間でも適正価額として流通していたものであるから、当該価額をもって評価すべき旨主張する。

しかしながら、本件定款に当該組合を脱退した際の払戻金を定めていることを前提としても、当該組合の純資産価額を基礎とした持分の価額が出資額を上回っていれば、その差額は当該組合の内部に留保された状態であり、最終的に解散して清算することになれば、純資産価額に基づく財産が分配されることになるから、本件持分は究極的には当該組合の純資産価額を体現したものといえる。

したがって、本件持分の評価に当たっては、財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であることに加え、本件持分の譲渡には当該組合の承諾が必要であり、市場を通じた不特定多数の当事者間の自由な取引が行われるものではなく、本件持分の価額が組合員の間において請求人が主張する価額と認識されていたとしても、その価額は当事者間において限定的に形成されたものであって、これを本件持分の時価と認めることはできない。

★リンクはこちら⇒ 事業協同組合の出資持分の価額は財産評価基本通達196に定める評価方法(純資産価額)に基づき評価するのが相当であるとした事例

2025年3月11日


市街化調整区域内に所在する宅地について、「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとした事例

  • 令和2年8月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 令和6年3月6日裁決

<ポイント>
本事例は、市街化調整区域のうち都市計画法第34条第12号の規定に基づき開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域に所在していたとしても、財産評価基本通達20-2《地積規模の大きな宅地の評価》に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとしたものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得した各土地(本件各土地)は、市街化調整区域のうち都市計画法第34条第12号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域(12号区域)に所在しており、宅地の分割分譲が可能であって、分割分譲に伴う減価が発生する土地であるため、財産評価基本通達20-2《地積規模の大きな宅地の評価》(本件通達)に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することができる旨主張する。

しかしながら、本件通達に定める「地積規模の大きな宅地」は、「戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域に所在する宅地」の範囲をもって定められているところ、都市計画法第34条第12号に相当する開発行為としては、分家に伴う住宅、収用対象事業の施行による移転等による建築物、社寺仏閣、研究施設等の建築物の用に供するものが予定されているのであるから、同号の規定に基づく開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域に所在していたとしても、本件通達が適用対象とする当該範囲に含むべきものではないとしたものと解するのが相当である。

したがって、当該範囲に含まれるとする市街化調整区域のうち都市計画法第34条第10号及び第11号の各規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域に所在する宅地と当該範囲に含まれないとする12号区域に所在する宅地とで本件通達上異なる取扱いを定めていることは合理的なものであって、本件各土地を「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 市街化調整区域内に所在する宅地について、「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとした事例

2025年2月27日


取引相場のない株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反するということはできないとした事例

  • 平成29年7月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、会社の事業年度の変更及び剰余金の配当が、請求人の相続税の負担を著しく軽減し、これを意図してされたものであり、財産評価基本通達の定める画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するため、当該評価による価額を上回る価額とすることに合理的な理由があると判断したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が、財産評価基本通達(評価通達)6《この通達の定めにより難い場合の評価》の定めに基づき、請求人の祖母(本件被相続人)が保有していた取引相場のない株式(本件株式)の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額(原処分庁評価額)によるものとしたことが租税法上の一般原則としての平等原則に違反する旨主張する。

しかしながら、①本件株式を発行する会社(本件会社)の事業年度の変更及びその決算期中の剰余金の配当(本件各行為)を行ったことによって、請求人の納付すべき税額は、本件各行為が行われなかった場合に比べて、約50%もの減少となることから、請求人の相続税の負担は著しく軽減されたといえ、また、②請求人は、本件各行為が近い将来発生することが予想される本件被相続人からの相続において請求人の相続税の負担を減じさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、本件各行為に係る各々の臨時株主総会を開催し、本件被相続人らと意思を相通じて賛成の議決権を行使したと推認できるから、本件各行為は請求人の租税負担の軽減をも意図して行われたものということができ、上記①及び②の事情の下においては、本件株式の価額について評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが、本件各行為のような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と請求人との間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであり、合理的な理由があると認められるから、本件株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが平等原則に違反するということはできない。

★リンクはこちら⇒ 取引相場のない株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反するということはできないとした事例

2025年2月26日


戸籍に振り仮名が記載されます

令和5年6月2日、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正法」といいます。)が成立し、同月9日に公布されました。

従前、戸籍においては、氏名の振り仮名は記載事項とされておらず、戸籍上公証されていませんでしたが、この改正法の施行により、戸籍の記載事項に氏名に加えて、新たにその振り仮名が追加されることになりました。

改正法は、令和7年5月26日に施行予定です。

★リンクはこちら⇒ 戸籍に振り仮名が記載されます

2024年11月20日


相続税申告書第11表の様式改訂(令和6年1月以降相続開始分)

相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)については、不動産や預貯金、有価証券などの全ての財産で同じ様式を使用していたが、令和6年1月以降相続開始分の相続税申告書から、各財産の種類別に所在場所や数量等の記載方法を明確化し、申告書作成に当たっての利便性の向上を図ることを目的として、相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の様式を分割するなどの改訂を行うこととした。

★リンクはこちら⇒ 相続税申告書第11表の様式改訂(令和6年1月以降相続開始分)

2024年10月3日


請求人が相続により取得した土地について、財産評価基本通達に定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとは認められず、固定資産税評価額に基づいて当該通達に従って評価された価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができると判断した事例

  • 平成28年6月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 令和5年11月9日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続により取得した土地についてした、市街化調整区域内に所在することなどにより財産評価基本通達の定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとの主張に対し、固定資産税評価額の算定において市街化調整区域の市場の特性等が考慮されており、当該事情には当たらないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した土地(本件各土地)について、①市街化調整区域内に所在し、かつ、既存宅地でない土地であること、②本件各土地の上には被相続人等が建築した建物等(本件各建物)があり、本件各土地を売却するには本件各建物の取壊し費用等を負担することから、財産評価基本通達(評価通達)の定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとして、本件各土地の時価は、評価通達の定める評価方法に従って算定すべきではなく、③複数の不動産業者に依頼して得た各査定額を基に、高く見積もっても評価通達の定める評価方法による本件各土地の評価額(本件各通達評価額)の2分の1に相当する金額となるから、本件各通達評価額には相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価を上回る違法がある旨主張する。

しかしながら、本件各通達評価額は、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有している評価通達の定める評価方法により算定されており、①本件各土地が既存宅地でない土地であることの宅地利用上の制限については、評価通達の基礎となる固定資産税評価において減価修正がされ本件各通達評価額の算定過程において考慮されていること、②本件土地の上には相続開始日において本件各建物が存在し、居宅等として使用されている状況にあって、本件各建物の取壊し費用等を本件各土地の価額に反映させるべき事情は見当たらないことから、請求人が主張する事情は、いずれも評価通達の定める評価方法によるべきではない特別な事情に該当しない。

なお、③請求人が本件各土地の時価の根拠として主張する上記各査定額は、客観的な数値及び具体的な算定根拠が明らかではないから、本件各土地の時価と認めることはできない。

したがって、本件各通達評価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができるから、相続税法第22条に規定する時価を上回る違法があるとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が相続により取得した土地について、財産評価基本通達に定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとは認められず、固定資産税評価額に基づいて当該通達に従って評価された価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができると判断した事例

2024年9月13日


相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)
相続税及び贈与税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

2024年8月8


相続税の申告のしかた(令和6年分用)

国税庁は『相続税の申告のしかた(令和6年分用)』をホームページに掲載した。

この「相続税の申告のしかた(令和6年分用)」は、令和6年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和6年1月1日から令和6年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和6年分用)

2024年7月5


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和6年3月21日)

所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)等の施行に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和5年12月1日付課資2-21ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和6年3月21日)

2024年5月2


相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

  • 連帯納付義務の各納付通知処分
  • 棄却
  • 令和5年6月21日裁決

<ポイント>
本事例は、連帯納付責任限度額の算定において、相続登記に係る登録免許税は、連帯納付の通知処分時までに現実に納付した税額だけを相続等により取得した財産の価額から控除することが相当であることを明らかにしたものである。

<要旨>
請求人らは、原処分庁がした相続税の連帯納付義務の各納付通知処分(本件各通知処分)について、連帯納付責任の限度額の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から①相続財産の不動産登記を行う場合の司法書士報酬、登録免許税及び印紙税等の各見積額並びに②相続税申告等のための税理士報酬及び本件各通知処分等に対応するための弁護士報酬の各負担額が控除されていないため違法である旨主張する。

しかしながら、相続税法第34条第1項に規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」とは、相続人等が現実に取得した利益の価額に相当する金額であって、現実に支払義務が生じた金額を控除した後の金額と解するのが相当である。

そして、相続税法基本通達34-1(本件通達)において、「相続等により受けた利益の価額」とは、相続等により取得した財産の価額から、相続税法第13条に規定する債務控除の額のほか、相続等により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいう旨定めているところ、①相続財産である不動産は、いずれも相続による権利の移転の登記がされていないため、司法書士報酬等の各見積額は請求人らに現実に支払義務が生じたものとは認められず、②税理士報酬等は、相続税額のように納税義務に基づいて当然に負担が生じるものではないし、登録免許税額のように一般的に生じるものとも言い難いものであり、本件通達に定める債務控除の額等のいずれにも該当しないことから、請求人らの主張する各金額は、連帯納付責任限度額の算定に当たり相続等により取得した財産の価額から控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

2024年4月4


相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

  • 連帯納付義務の納付通知処分
  • 棄却
  • 令和5年6月21日裁決

<ポイント>
本事例は、連帯納付責任限度額の算定において、相続登記に係る登録免許税は、連帯納付の通知処分時までに現実に納付した税額だけを相続等により取得した財産の価額から控除することが相当であることを明らかにしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁がした相続税の連帯納付義務の納付通知処分(本件通知処分)について、連帯納付責任の限度額の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から①相続財産の不動産登記を行う場合の司法書士報酬、登録免許税及び印紙税等の各見積額並びに②相続税申告等のための税理士報酬及び本件通知処分等に対応するための弁護士報酬の各負担額が控除されていないため違法である旨主張する。

しかしながら、相続税法第34条第1項に規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」とは、相続人等が現実に取得した利益の価額に相当する金額であって、現実に支払義務が生じた金額を控除した後の金額と解するのが相当である。

そして、相続税法基本通達34-1(本件通達)において、「相続等により受けた利益の価額」とは、相続等により取得した財産の価額から、相続税法第13条に規定する債務控除の額のほか、相続等により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいう旨定めているところ、①相続財産である不動産は、いずれも相続による権利の移転の登記がされていないため、司法書士報酬及び登録免許税等の各見積額は請求人に現実に支払義務が生じたものとは認められず、②税理士報酬等は、相続税額のように納税義務に基づいて当然に負担が生じるものではないし、登録免許税額のように一般的に生じるものとも言い難いものであり、本件通達に定める債務控除の額等のいずれにも該当しないことから、請求人の主張する各金額は、連帯納付責任限度額の算定に当たり相続等により取得した財産の価額から控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

2024年3月29


相続開始後にされた修繕工事代金相当額は、相続税の課税価格の計算における債務控除をすることができないと判断した事例

  • 令和元年8月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年6月27日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が生前にした工事請負契約に基づき、相続開始後にされた修繕工事に係る請負代金相当額は、相続開始当時、工事が着工されていないことや、従前どおり賃借人が使用収益していたことなどの現況に照らし、その履行が確実と認められる債務には当たらないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した賃貸倉庫に係る修繕工事(本件修繕工事)について、被相続人は、①生前に請負契約を締結していたことから、相続開始日時点に当該請負契約に係る支払債務を負っていたと認められ、また、②民法第606条《賃貸人による修繕等》第1項の規定に基づき、当該賃貸倉庫に係る土間床の修繕義務を負っていたことから、相続税の課税価格の計算上、その請負代金相当額を債務控除することができる旨主張する。

しかしながら、被相続人は、①本件修繕工事の着工日前である相続開始日時点において、その請負代金の支払債務の履行を施工業者から求められる状況になく、その履行の要否すらも不確実な状況にあり、また、②本件修繕工事の着工日までは、従前どおり賃借人が賃貸倉庫を引き続き使用収益していたなどの状況からは、当該賃貸倉庫に係る修繕は、任意の履行が事実上期待されていたにすぎないものであったとみるのが相当であることからすると、当該請負代金の支払債務ないし当該賃貸倉庫に係る修繕義務は、その履行が確実と認められる債務には当たらないというべきであるから、相続税の課税価格の計算上、当該請負代金相当額を債務控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続開始後にされた修繕工事代金相当額は、相続税の課税価格の計算における債務控除をすることができないと判断した事例

2024年3月27


令和4年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、「令和4年分相続税の申告事績の概要」をホームページに掲載した。

令和4年分における被相続⼈数(死亡者数)は1,569,050⼈(前年対⽐109.0%)だった。

そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続⼈数は150,858 ⼈(同112.4%)、その課税価格の総額は20兆6,840 億円(同111.3%)、申告税額の総額は2兆7,989億円(同114.6%)だった。

★リンクはこちら⇒ 令和4年分相続税の申告事績の概要

2024年2月16


「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」の改訂

国税庁は、「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」を改訂した。

★リンクはこちら⇒ 「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」の改訂

2024年2月2


自宅の庭園設備について、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)の定めに基づいて評価するのが相当であるとした事例

  • 平成30年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、自宅の庭園設備も、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)に定める「庭園設備」として評価することが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、被相続人の自宅庭園(本件庭園設備)について、個人宅の庭であり、その立地条件等からしても本件庭園設備を一体として売却できず、また、立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取り価額は低額である上、実際に買手が見つからないことから、交換価値がなく財産評価基本通達(評価通達)は適用されない旨主張する。

しかしながら、評価通達92《附属設備等の評価》の (3)(本件通達)は、「庭園設備」について、家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当であるところ、本件庭園設備は、家屋とは別異の設備として、複数の業者によって金銭に見積もることができる経済的価値が認められているものであることからして、家屋とは別に独立した財産として評価すべきものである。

また、本件庭園設備は、造園されたものであるから、庭石商の店頭におけるように、立木や庭石、灯篭等を個別に売却することを前提に評価することは相当ではなく、上記のとおり、経済的価値が認められているものである。

よって、本件庭園設備の相続税の課税価格に算入される価額は、本件通達の定める方法によって評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 自宅の庭園設備について、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)の定めに基づいて評価するのが相当であるとした事例

2024年1月16


「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」の一部改正について(事務運営指針)

平成12年7月3日付課資2-264ほか2課共同「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(事務運営指針)の一部を下記のとおり改正したから、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する相続税及び贈与税について処理するものからこれによられたい。

(趣旨)
国税通則法の一部が改正されたことに伴い、所要の整備を図るものである。


別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

★リンクはこちら⇒ 「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」の一部改正について(事務運営指針)

2023年8月24


相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)」を掲載した。

(注1)
こちらに掲載されている申告書等は、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

(注2)
「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。
なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和5年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)

2023年8月16


相続税の申告のしかた(令和5年分用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告のしかた(令和5年分用)」を掲載した。

Ⅰ.この冊子をご利用していただく人
この「相続税の申告のしかた(令和5年分用)」は、令和5年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものです。

Ⅱ.マイナンバー(個人番号)の記載等について
相続や遺贈によって財産を取得した人が、相続税の申告書を提出する際には、申告書にマイナンバーを記載する必要があります。
また、マイナンバーを記載した申告書を提出する際は、税務署で本人確認(番号確認及び身元確認)を行うため、申告書に記載された各相続人等の本人確認書類(108ページ参照)の写しを添付する必要があります(各相続人等のうち税務署の窓口で申告書を提出する方は、ご自身の本人確認書類の写しの添付に代えて、本人確認書類を提示していただいても構いません。)。

Ⅲ.この冊子は、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と表記しています。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和5年分用)

2023年8月8


令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

国税庁は、ホームページに「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」を掲載した。

令和5年度税制改正により、相続税法及び租税特別措置法の一部が改正された。

0023006-004

★リンクはこちら⇒ 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

2023年7月25


相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)」を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)

2023年1月10


令和3事務年度における相続税の調査等の状況

国税庁は、ホームページに「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」を掲載した。

令 和 3事務年 度 に お け る相 続 税 の調 査 等 の状 況

★リンクはこちら⇒ 令和3事務年度における相続税の調査等の状況

2022年12月28


令和3年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、ホームページに「令和3年分相続税の申告事績の概要」を掲載した。

sozoku_shinkoku

★リンクはこちら⇒ 令和3年分相続税の申告事績の概要

2022年12月23


相続税の申告書に計上された預貯金口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金は、いずれも被相続人に帰属する相続財産とは認められないとした事例

  • 平成30年2月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し
  • 令和4年2月15日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告書に計上された預貯金の口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金について、いずれも被相続人の収入を原資とするものと断定することができないことなどを理由として、被相続人に帰属する相続財産とは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、相続税の申告書(本件申告書)に計上されていない現金(本件現金)、被相続人の配偶者(本件配偶者)名義及び次男名義の預貯金(本件預貯金)は、出捐者や被相続人及び本件配偶者の収入比率などからその帰属を判断すると、いずれも被相続人に帰属する財産である旨主張する。

しかしながら、①本件現金の出金元である本件申告書に計上された預貯金口座で管理運用されていた預貯金の原資が特定できないことや、本件配偶者も収入を得ていたと認められることなどからすると、本件現金には被相続人及び本件配偶者の収入が混在している可能性を否定できない中、審判所においても、被相続人及び本件配偶者の収入比率等により本件現金を合理的にあん分することもできず、また、②本件預貯金についても、本件現金と同様、それらの原資を特定することができず、本件配偶者が管理運用しており、被相続人の収入が混在している可能性を否定できない中、被相続人及び本件配偶者の収入比率等により合理的にあん分することができないのであるから、本件申告書に計上された預貯金及び現金の額を超えて、本件現金、本件預貯金が被相続人に帰属する相続財産として存在していたと断定することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書に計上された預貯金口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金は、いずれも被相続人に帰属する相続財産とは認められないとした事例

2022年10月21


評価対象地は、相続開始日において、土壌汚染のある土地と認められ、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとした事例

  • 平成28年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和3年10月8日裁決

<ポイント>
本事例は、法令等により土壌汚染の除去等の措置を講ずる義務が生じていない評価対象地について、相続開始日において、土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質を地中に含有していたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であるとして、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、評価対象地(本件各土地)は法令等により土壌汚染の除去等の措置を講ずる義務が生じておらず、本件各土地の価格形成に影響を及ぼすような土壌汚染は認められないから、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から浄化・改善費用相当額を控除する必要はない旨主張する。

しかしながら、本件各土地は、相続開始日において、土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質を地中に含有していたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であることから、本件各土地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきである。

そして、本件各土地及びその周辺の状況や土壌汚染の状況から、本件各土地について最有効使用ができる最も合理的な土壌汚染の除去等の措置は掘削除去であると認められるところ、請求人が主張する土壌汚染対策工事の各見積額(本件各見積額)の算定過程に特段不合理な点は見当たらず、浄化・改善費用の金額として相当であると認められるので、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から、浄化・改善費用相当額として本件各見積額の80%相当額を控除して評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 評価対象地は、相続開始日において、土壌汚染のある土地と認められ、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとした事例

2022年9月27


租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」

日本公認会計士協会は、2022年5月19日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」」を公表した。

不動産は一物四価とも言われており、それぞれの場面で使用される時価が複数存在し、「時価」という概念を画一的に決めることが非常に難しいため、その使用する場面に応じて、どちらの「時価」を使うのかを実務家が常に認識した上で処理を行わなければならない。

本研究報告では、相続時における評価の問題点だけではなく、取得・保有・移転時での問題点、民法と税法との関係性など、多岐にわたって検討しており、実務家が日々取り組んでいる課題そのものを整理して報告するものである。

本研究報告が会員の行う業務の参考となれば幸いである。

★リンクはこちら⇒ 租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」

2022年8月29


相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和4年1月1日から令和4年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和4年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)

2022年7月19


相続税の申告のしかた(令和4年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和4年分用)』をホームページに掲載した。

この『相続税の申告のしかた(令和4年分用)』は、令和4年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和4年1月1日から令和4年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和4年分用)

2022年7月7


特定農業団体に対し農作業の一部を委託した場合

<照会要旨>
相続税の納税猶予の特例適用者が、農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農業経営基盤強化促進事業のうち同項第3号に規定する委託を受けて行う農作業の実施を促進する事業を行う特定農業団体に対し特例農地等に係る農作業の一部を委託した場合、相続税の納税猶予の確定事由に該当するか?

<回答要旨>
相続税の納税猶予の特例適用者が、特定農業団体に対し特例適用農地等に係る農作業の一部を委託した場合であっても、その者が農業経営を継続している場合には、納税猶予の確定事由には該当しない(贈与税の納税猶予についても同様である。)。

(注)
1.農作業とは、例えば米であれば、育苗、耕起、代かき、田植え、基肥、追肥、除草、防除、稲刈り、脱穀、乾燥等をいう。
2.実質的に農業経営を委託したと認められる場合は、納税猶予の確定事由に該当する場合があり得る。

(参考)
特定農業団体とは、農業経営の担い手不足が見込まれる地域において、地縁的まとまりをもつ地権者が、当該地域の農地の3分の2以上について農作業を委託することとして合意した任意組織(民法上の組合又は人格なき社団)であり、組合員との契約に基づき、組合員が所有する農地について委託を受けた農作業を集約して行う団体をいう(基盤法23④)。

組合員は、農作業のうち集約可能な作業(例えば米であれば、耕起、代かき、田植え、稲刈り、脱穀)の全部又は一部を特定農業団体へ委託することが可能であり、また、組合員は、特定農業団体との間で農作業の受託契約を締結することにより、特定農業団体が集約化した農作業に従事することも可能である。


特例農地等について農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)による信託契約を締結した場合の納税猶予期限の確定

<照会要旨>
農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)とは、同法第8条第1項の承認を受けた農地中間管理機構(受託者)が、離農又は農業経営規模の縮小を希望する農家(委託者・受益者)が所有する農地の売渡信託の引き受けを行い、その委託者に対しその農地等の評価額の7割以内の資金を無利子で貸し付けるものだが、特例農地等について、この信託を設定した場合には納税猶予期限の確定事由となるか?

<回答要旨>
特例農地等についてこの信託の設定があった場合には、委託者から受託者へ当該農地等に係る管理・処分権が移転するから、納税猶予期限の確定事由となる。

★リンクはこちら⇒ 特例農地等について農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)による信託契約を締結した場合の納税猶予期限の確定

2022年6月29日


特例適用農地の譲渡代金の一部について代替農地の取得の見積承認申請があった場合

<照会要旨>
農地に係る贈与税の納税猶予の特例の適用を受けた者が、特例適用農地を譲渡し、その譲渡代金の一部をもって代替農地を取得する見込みであるため、租税特別措置法第70条の4第15項に規定する見積承認申請をした場合において、同項第1号に規定する「当該承認に係る譲渡等は、なかったものとみなす。」の解釈については、以下の考え方があるがいずれによるべきか?

  • 甲説
    譲渡代金のうち代替農地等の取得について承認を受けた取得価額の見積額に対応する部分の譲渡等に限り譲渡等がなかったものとみなす。
  • 乙説
    代替農地等の取得についての承認を受けた取得価額の見積額が譲渡等の対価の額の全部であるか一部であるかにかかわらず、当該譲渡等の全部について譲渡等がなかったものとみなす。

<回答要旨>
乙説による。

なお、譲渡があった日から1年を経過する日において代替農地等の取得に充てられなかった部分について譲渡があったものとみなされる。

★リンクはこちら⇒ 特例適用農地の譲渡代金の一部について代替農地の取得の見積承認申請があった場合

2022年6月23日


経営移譲年金の受給資格取得のために経営移譲が行われていた場合の相続税の納税猶予の特例の適用

<照会要旨>
父は経営移譲年金(現行:農業者年金基金法の一部を改正する法律(平成13年法律第39号)附則第8条第1項に規定する経営移譲年金)の支給を受けるため、生前にその所有農地の全部について使用貸借権を設定し長男に農業経営の移譲を行っていた。

父について相続が開始し、父所有の当該農地については、長男と二男が分割して相続により取得した。

この場合、両名は相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
長男については、取得した農地に自己の使用貸借権が設定されているが、これは相続により取得することによって混同により消滅することとなるので、引き続き農業経営を行うなど一定の要件を満たす限り納税猶予の特例の適用が受けられる。

また、二男についても、取得した農地に設定されている長男の使用貸借権を抹消し、農業経営を開始するなど一定の要件を満たす限り納税猶予の特例の適用が受けられる。

★リンクはこちら⇒ 経営移譲年金の受給資格取得のために経営移譲が行われていた場合の相続税の納税猶予の特例の適用

2022年6月21日


養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無

<照会要旨>
以下の場合、被相続人に相続が開始したときに、G、H及びIは、養子Cの代襲相続人となるか?

<回答要旨>
民法第887条第2項に規定する「被相続人の直系卑属」とは、相続開始前に死亡した被相続人の子を通じて「被相続人の直系卑属」でなければならないと解されるから、G、H及びIは養子Cの代襲相続人とならない。

★リンクはこちら⇒ 養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無

2022年6月15日


⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし

国税庁は、ホームページに『⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし』を掲載した。

⺠法の改正により、2022年4⽉1⽇から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。

これに伴い、贈与税・相続税の規定における20歳を基準とする要件についても18歳に引き下げる税制改正が⾏われている。

贈与・相続等の時期によって、受贈者や相続人等の年齢に関する要件が異なっているので、留意すること。

★リンクはこちら⇒ ⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし

2022年6月13日


仮換地が指定されている相続税の納税猶予の適用を受けている農地等について特定転用を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理

<照会要旨>
仮換地が指定されている相続税の納税猶予の特例の適用を受けているA農地について特定転用の承認を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合には、猶予期限の確定処理はどのように行うのか?

<回答要旨>
換地処分は、相続税の納税猶予の特例の猶予期限の確定事由の一つである「譲渡等」に該当することとされているが、仮換地の指定されている場合の特定転用の申請が、将来、換地処分があったときにおいて、当該換地処分により取得する土地を引き続き共同住宅の敷地として使用することを前提として行われている場合には、当該換地処分は猶予期限の確定事由に該当しない。

なお、換地処分に伴って清算金を取得した場合には、清算金に対応する部分(従前地の面積×清算金の額÷従前地の価額)について換地処分が行われた時に譲渡されたものとして、猶予期限の確定処理を行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 仮換地が指定されている相続税の納税猶予の適用を受けている農地等について特定転用を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理

2022年6月3日


納税猶予の特例の適用を受けている農地等の大半が収用により譲渡されたために農業経営を廃止した場合の利子税の特例

<照会要旨>
贈与税の納税猶予の特例の適用を受けている農地等の約9割が収用交換等により譲渡されたため、農業経営を廃止した場合、その全ての猶予税額に係る利子税について措置法第70条の8第1項《農地等についての贈与税の納税猶予等に係る利子税の特例》の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
措置法第70条の8第1項の規定の適用要件は、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けている農地等について、特例適用者が、収用交換等による譲渡をしたことにより、措置法第70条の4第35項第2号に掲げる場合に該当することとなった場合に限られている。

そして、同号に掲げる場合に該当することとなった場合とは、同条第4項の規定の適用があった場合、すなわち、その一部が収用交換等により譲渡されたときをいう。

したがって、その農地等のうち収用交換等により譲渡された部分については、措置法第70条の8第1項の規定の適用があるが、譲渡されなかった残余の部分については、同項の規定の適用はない。

★リンクはこちら⇒ 納税猶予の特例の適用を受けている農地等の大半が収用により譲渡されたために農業経営を廃止した場合の利子税の特例

2022年6月2日


未成年者が農業相続人となる場合の農業委員会の証明

<照会要旨>
未成年者が農業相続人となる場合において、農業委員会が証明する「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」の「農地等の相続人」欄の記載については、どのようにすればよいか?

<回答要旨>

  • 「住所」欄から「相続開始前において農業に従事した実績の有無」欄までの各欄には、その未成年者の住所等及びその実績を記載する。
  • 「左記の農地等による農業経営の開始年月日」及び「今後引き続き農業経営を行うことに関する事項」欄には、その未成年者に代わり農業経営を行う者についての事項を記載する。
  • 「その他参考事項」欄には、その未成年者に代わり農業経営を行う者の氏名、その未成年者との続柄、その他措置法関係通達70の6-8((農業経営を行う者))後段の取扱いに該当するかどうかの判定上必要な事項を記載するとともに、農地等の相続人である未成年者についての必要な参考事項を記載する。

★リンクはこちら⇒ 未成年者が農業相続人となる場合の農業委員会の証明

2022年5月31日


相続放棄と相続税の納税猶予

<照会要旨>
農業を営む長男が死亡したが、長男には配偶者も子もいないことから、相続人は母親一人である。

母親は、財産を二男に引き継がせることを目的として相続の放棄をし、農業従事者である二男が農地等を相続した場合は、相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
長男の相続人である母親が、民法の規定に従い長男の死亡したことを知った時から3か月以内に相続の放棄をした場合には、母親ははじめから相続人とならなかったものとみなされるため、相続人は兄弟である二男となる。

したがって、相続人である二男が農地等を相続した場合には、相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 相続放棄と相続税の納税猶予

2022年5月30日


未成年者が農業相続人となった場合の農業所得の申告

<照会要旨>
未成年者が農業相続人となっており、農業所得はその未成年者に代わって農業経営を行っている親族が申告している。この場合、相続税の納税猶予の特例の適用上、問題はないか?

<回答要旨>
相続または遺贈により農地等を取得した相続人が未成年者に該当し、かつ、その未成年者に代わりその未成年者と住居及び生計を一にする親族が、その未成年者の取得した農地等につき農業経営を行う場合には、当該未成年者が農業経営を行う者に該当するものとして取り扱っているが、この場合において、当該未成年者が所得税の農業所得の申告をしなければならないという要件を課していないことから、相続税の納税猶予の特例の適用上、問題はない。

★リンクはこちら⇒ 未成年者が農業相続人となった場合の農業所得の申告

2022年5月26日


2人以上の者が農地等を共有で相続した場合の納税猶予の特例の可否

<照会要旨>
共同相続人のうち妻と子、兄弟など2人以上の者が遺産分割により共有で農地等を相続した場合において、次に掲げるケースのときに相続税の納税猶予の特例の適用を受けられるのか?
(1)共有者が共に農業を行う場合

(2)共有者のうち一人だけ農業を行う場合

(3)共有者のうち未成年者がいる場合

<回答要旨>
(1)共有者が共に農業を行う場合
相続税の納税猶予の特例の適用要件として農地等を共有で相続した場合を排除していないことから、取得した農業相続人がそれぞれ農業を行うのであれば、それぞれ納税猶予の特例の適用を受けられる。

(2)共有者のうち一人だけ農業を行う場合
相続税の納税猶予の特例の適用要件として相続した農地等において農業経営を行うこととされていることから、農業を行う者は、その取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けられるが、農業を行わない者は、その取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けられない。

(3)共有者のうち未成年者がいる場合
未成年者が農地等を相続した場合には、上記(2)にかかわらず、その未成年者に代わりその未成年者と住居及び生計を一にする親族が、その未成年者の取得した農地等につき農業経営を行う場合には、その未成年者の取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けることができる。

ただし、その未成年者について、次に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、その者が自ら農業経営を行うときを除き、その事実が生じた日において農業経営を廃止したものとみなされる。
〔1〕その未成年者が成年に達したこと(引き続き就学している場合を除く。)
〔2〕その未成年者が成年に達した後、就学を了したこと。
〔3〕その未成年者とその未成年者の取得した農地又は採草放牧地につき農業経営を行っているその未成年者の親族とが住居又は生計を一にしないこととなったこと。
〔4〕その未成年者の取得した農地又は採草放牧地につき農業経営を行っていた親族が農業経営を行わないこととなったこと。

★リンクはこちら⇒ 2人以上の者が農地等を共有で相続した場合の納税猶予の特例の可否

2022年5月24日


同一年中に2人の贈与者から農地等の生前一括贈与を受けた場合

<照会要旨>
同一年中に父と母からそれぞれ農地等の生前一括贈与を受け、その各贈与について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けたいと考えている。
この場合、
(1)納税猶予税額の計算はどうなるか?

(2)その適用を受けた後、それらの農地等を譲渡した場合の20%の計算はどのように計算するのか?

(3)一方の贈与者が死亡した場合の納税猶予税額の免除額はどのように計算するのか?

<回答要旨>
(1)贈与税の納税猶予の特例の適用に当たっては、納税猶予税額を父と母から受けたそれぞれの農地等の価額の比によりあん分し、父と母からの贈与に係る納税猶予税額を区分して贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることになる。

(2)その譲渡等した農地等が父から贈与を受けたものか母から受けたものかの別により、上記(1)で計算した納税猶予税額を基として各人別に計算する。

(3)父の死亡か、母の死亡かの別により、上記(1)により計算した納税猶予税額が免除される。

★リンクはこちら⇒ 同一年中に2人の贈与者から農地等の生前一括贈与を受けた場合

2022年5月16日


貸付農地がある場合の贈与税の納税猶予の適用

<照会要旨>
農地等の生前一括贈与に該当するかどうかを判定する場合、貸し付けられている農地は除外してよいか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるためには、贈与者が農業の用に供している農地の全部を推定相続人の一人に贈与しなければならない。

したがって、他に貸し付けられている農地は、贈与者の農業の用に供していた農地には該当しないので、一括贈与する必要はない。

★リンクはこちら⇒ 貸付農地がある場合の贈与税の納税猶予の適用

2022年5月13日


農業所得の申告が贈与者以外の者によって行われていた場合

<照会要旨>
農地等を所有する甲は、会社に勤務しているため農業所得の申告は甲の妻名義で申告している。

今回、所有農地の全部を長男に生前一括贈与するつもりだが、この場合、甲は納税猶予の適用上「農業を営む個人」に該当するか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の適用にあたって、「農業を営む個人」とは、耕作又は養畜の行為を反復、かつ、継続的に行う個人をいうこととされており、農業を営む個人が必ずしも所得税の課税上、農業の事業主となっていることを要件としていないので、農地等の贈与者が会社に勤務するかたわら農業を営んでいる場合には、その農業所得を妻名義で申告しているときであっても、その贈与者は、農業を営む個人に該当するものとして取り扱われている。

したがって、甲から農地等の一括贈与を受ける長男が、一定の要件を満たすものであれば、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 農業所得の申告が贈与者以外の者によって行われていた場合

2022年5月12日


同一年中に複数の者に贈与した場合

<照会要旨>
甲は7ヘクタールの農地について30年間にわたって農業経営を行ってきたが、その農地のうち2ヘクタールを○年3月に長男A(引き続き3年以上農業に従事)に、残余の農地を同年10月に次男B(引き続き3年以上農業に従事)にそれぞれ贈与した。

この場合、Bは、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の特例は、農地等の贈与者が贈与をした日の属する年において他に農地等の贈与をしていないことなど条件として認められるものである。

したがって、A・Bの両名はいずれも贈与税の納税猶予の特例を受けることはできない。

★リンクはこちら⇒ 同一年中に複数の者に贈与した場合

2022年5月11日


農地所有適格法人に貸し付けることとなった農地

<照会要旨>
贈与税(相続税)の納税猶予の特例適用者が、農地所有適格法人の常時従事者となり特例農地等をその法人に貸し付けた場合には、租税特別措置法施行令第40条の6第11項第2号(第40条の7第10項)の規定による20%の計算除外を受けることができるか?

<回答要旨>
租税特別措置法施行令第40条の6第11項第2号(第40条の7第10項)の規定は、農地等を農地所有適格法人に「出資」した場合に適用されることから、貸し付けた場合又は譲渡した場合など、出資に該当しない権利の設定又は移転には、その適用がない。

★リンクはこちら⇒ 農地所有適格法人に貸し付けることとなった農地

2022年5月10日


砂利採取中の土地

<照会要旨>
生前一括贈与(相続)により取得した土地のうちに、贈与者(被相続人)が贈与前(相続開始前)に期限1年の契約でA会社に砂利を採取させているものがある。

この土地は、従前から贈与者(被相続人)が耕作しており、その期限徒過後も農地として耕作する予定である。

このような土地について贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられるか?

<回答要旨>
贈与の時(相続開始の時)において、国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業の用に供することができない土地で、かつ、その時期が、例えば、気温、積雪その他の自然条件により概ね農作物の作付ができない期間、連作の害を防ぐため休耕している期間に当たる場合などその土地の農業上の利用を害さないものと認められるものについては、納税猶予の特例対象農地として取り扱っているが、次に掲げるいずれかに該当するものについては、この取扱いをしていない。

(1) その土地が国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業に供することができなくなることについて、公共性、緊急性及び非代替性が認められないもの
(2) その土地を国又は地方公共団体等の行う事業のために農業の用に供することができなくなる期間が、その事業のため必要最小限の期間でないもの又はその土地を農業の用に供することができなくなる期間がその事業のため必要最小限の期間であっても、その期間が1年を超えるもの
(3) 一時的な使用後において、その土地が従前の農地又は採草放牧地と同等以上の利用価値を有する農地又は採草放牧地に復元されることが確実であると認められないもの

したがって、照会の砂利採取中の土地について上記のいずれにも該当せず、他の一定の要件を満たす限り、贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられる。

なお、砂利の採取については、公共事業による骨材需要に応えるため安定的に供給する必要があること及び陸砂利は限られた地域に分布していることなどから、公共性、緊急性及び非代替性があるものと判断できるため上記(1)には抵触しないと考えられる。

★リンクはこちら⇒ 砂利採取中の土地

2022年5月9日


鉄塔の建替え工事のため仮鉄塔の敷地として一時使用されている土地

<照会要旨>
生前一括贈与(相続)により取得した土地のうちに、贈与者(被相続人)が贈与の前(相続開始の前) にA電力会社に対し送電線の鉄塔の建替え工事のため仮鉄塔の敷地として1年6か月間の契約で貸し付けられているものがある。この土地は、当該貸付けの直前において農地であり、贈与者(被相続人)が耕作していた。

このような土地について贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられるか?

また、贈与税(相続税)の納税猶予の適用を受けている特例適用農地等(特例農地等)を同様に貸し付けた場合はどうか?

<回答要旨>
1.贈与の時(相続開始の時)において、国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業の用に供することができない土地で、かつ、その時期が、例えば、気温、積雪その他の自然条件により概ね農作物の作付ができない期間、連作の害を防ぐため休耕している期間に当たる場合などその土地の農業上の利用を害さないものと認められるものについては、納税猶予の特例対象農地として取り扱っているが、次に掲げるいずれかに該当するものについては、この取扱いをしていない。

(1) その土地が国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業に供することができなくなることについて、公共性、緊急性及び非代替性が認められないもの
(2) その土地を国又は地方公共団体等の行う事業のために農業の用に供することができなくなる期間が、その事業のため必要最小限の期間でないもの又はその土地を農業の用に供することができなくなる期間がその事業のため必要最小限の期間であっても、その期間が1年を超えるもの
(3) 一時的な使用後において、その土地が従前の農地又は採草放牧地と同等以上の利用価値を有する農地又は採草放牧地に復元されることが確実であると認められないもの

電力会社の行う送電線の鉄塔の建替え工事は、一般に電力需要に対する安定供給を確保するために必要な工事であるため、公共性及び緊急性があるものと判断できることから上記(1)には抵触しない場合もあるが、その土地がその事業のために農業の用に供することができなくなる期間が1年を超えていることから上記(2)に抵触する。

したがって、A電力会社に対し貸し付けられている土地は、納税猶予の対象となる農地に当たらないことから贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられない。

2.贈与税(相続税)の納税猶予の適用を受けている特例適用農地等(特例農地等)をA電力会社に貸し付けた場合には、上記1と同様の理由により本取扱いの適用はできないことから納税猶予の継続はできないが、一時的道路用地の貸付特例(措置法第70条の4第18項、第70条の6第22項)の適用を受けたときには、納税猶予が継続される。

★リンクはこちら⇒ 鉄塔の建替え工事のため仮鉄塔の敷地として一時使用されている土地

2022年5月6日


農業協同組合の受託経営に係る農地

<照会要旨>
農業協同組合の行う受託農業経営事業に係る農地には、同組合のため使用収益権が設定されているが、当該受託農業経営事業から生ずる収益は、委託者の農業所得として取り扱われているので、当該農地は、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?

<回答要旨>
贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用要件の一つとして、贈与者(被相続人)がその適用を受ける農地に係る農業経営を行うこととされており、農作業の全部を農業協同組合に委託した場合には、たとえ、所得税の取扱いにおいて受託農業経営事業から生ずる収益が委託者(特例適用者)の農業所得とされていたとしても、その委託に係る農地は、委託者自身が農業を行っているわけではないので、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができない。

(注)
受託農業経営事業は、「農業協同組合農業経営受託規程例」に基づき、昭和46年から実施されている。
当該事業を行う場合には、当該農地について農地法第3条第1項の規定による使用収益権が設定されるが、受託者はその使用収益の対価を支払うことはなく、一方、受託農業経営事業から生ずる損益は委託者に帰属することとされている。

★リンクはこちら⇒ 農業協同組合の受託経営に係る農地

2022年4月28日


特例農地等の一部を市に寄附した場合の100分の20の判定

<照会要旨>
相続税の特例農地等の一部を市に寄附した場合には、当該農地等の面積は、一般の譲渡があったときと同様に100分の20の判定に含めることとなるか?

<回答要旨>
現行法上、100分の20の判定の対象外とされる譲渡等は、収用等による譲渡のほか租税特別措置法施行令第40条の7第10項に規定する一定のものに限られており、これには地方公共団体等への寄附は含まれていないので、照会意見のとおり、100分の20の判定に含めることとなる。

★リンクはこちら⇒ 相特例農地等の一部を市に寄附した場合の100分の20の判定

2022年4月27日


広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないとした事例

  • 平成26年11月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分・全部取消し
  • 令和3年8月3日裁決

<ポイント>
本事例は、広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできず、評価対象地の経済的に最も合理的な使用は道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであるなどとして、評価対象地は広大地に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地に該当するか否かの判定に当たり、①評価対象地(本件土地)は共同住宅の敷地として利用されており、現に有効利用されていること、②その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく地積が広大かについては、指標となる各自治体が定める開発許可を要する面積基準(開発許可面積基準)を満たすか否かにより判断すべきであること、③本件土地は、路地状開発をすることができ、公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、本件土地は広大地に該当しない旨主張する。

しかしながら、①その地域における標準的な宅地の使用は、戸建住宅の敷地としての利用であるから、本件土地は、現に宅地として有効利用されているとは認められないこと、②広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないこと、また、③本件土地の経済的に最も合理的な使用は、道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであると認められることから、広大地に該当する。

★リンクはこちら⇒ 広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないとした事例

2022年4月26日


相続税の特例農地等の一部について地役権が設定された場合

<照会要旨>
相続税の特例農地等の一部について、K(株)が上空に電線路を架設するため、地役権を設定し、その対価の支払いを特例適用者が受けた場合には、納税猶予の確定事由に該当するか?

<回答要旨>
地役権の設定は、納税猶予の確定事由に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の特例農地等の一部について地役権が設定された場合

2022年4月25日


請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないとした事例

  • 平成27年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和3年7月12日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、本件の各事情を考慮すれば、当該請求人名義の証券口座において夫の財産がそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるとして、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の夫名義の預金口座からの金員が入金(本件入金)された請求人名義の証券口座(本件口座)について、①請求人自身の判断で取引を行っていたこと、②本件口座の投資信託の分配金が請求人名義の普通預金口座に入金されていたこと、③当該分配金等を請求人の所得として確定申告がされていたことから、本件入金は、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当する旨主張する。

しかしながら、①請求人は、本件入金の前後を通じて夫の財産の管理を主体的に行っており、その管理に係る全部の財産について請求人に帰属していたものと認めることはできないから、本件口座において請求人自身の判断で取引を行った事実をもって利益を受けたと認めることはできない上、②分配金等の入金があっても、請求人が私的に費消した事実が認められない本件においては、これを管理・運用していたとの評価の範疇を超えるものとはいえず、③確定申告をしたことは、申告をすれば税金が還付されるとの銀行員の教示に従い深く考えずに行ったものとの請求人の主張が不自然とまではいえず、殊更重要視すべきものとは認められないことなどの各事情を考慮すれば、本件入金によっても、夫の財産は、本件口座においてそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるため、本件入金は、請求人に贈与と同様の経済的利益の移転があったものと認めることはできず、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないとした事例

2022年4月22日


納付すべき相続税額が算出されない配偶者についての納税猶予の適用

<照会要旨>
農地に係る相続税の納税猶予の特例の適用上、被相続人の配偶者が子とともに農地を相続により取得し、農業相続人として配偶者の税額軽減の規定を適用したところ、納付すべき相続税額が算出されず、また、農業相続人でないものとして相続税額を計算した場合においても配偶者の税額軽減の規定が適用されて納付すべき税額が算出されないときでも、その配偶者について納税猶予の特例を認めて差し支えないか?

(注)
その配偶者について納税猶予の特例を適用した場合には、その者が取得した農地の価額は、農業投資価格を適用することができるため、納税猶予税額の総額が増加し、他の農業相続人である子の税負担が減少するメリットがある。

<回答要旨>
配偶者について納税猶予の特例が適用されるのは、次に掲げるいずれかの場合に限られる。
①配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合
②配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出されない場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合
③配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出されない場合
したがって、照会の場合の配偶者については、納税猶予の特例は認められない。

★リンクはこちら⇒ 納付すべき相続税額が算出されない配偶者についての納税猶予の適用

2022年4月21日


被相続人が毎年一定額を入金していた請求人名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分 全部取消し、一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった請求人に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、請求人の唯一の法定代理人である母を介し、請求人名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は請求人に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった請求人に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、請求人の母を介し、請求人名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、請求人の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が請求人へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から請求人への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、請求人の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、請求人の唯一の親権者であった請求人の母は、請求人の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から請求人に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月20日


修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算税

<照会要旨>
贈与税(相続税)の期限内申告に係る修正申告又は更正により増加した税額については、租税特別措置法関係通達70の4-18((修正申告等に係る贈与税額の納税猶予))により特例適用農地等の評価誤り又は計算誤りのみに基づくものだけに限り納税猶予の特例の適用が認められることとされているが、この納税猶予が認められた部分についても加算税が賦課されるか?

<回答要旨>
加算税は、納税猶予の特例の適用が認められる増加した税額についても、一般の例により国税通則法第65条の規定に基づき賦課されることとなる。

★リンクはこちら⇒ 修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算税

2022年4月19日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 →一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の賦課決定処分  →一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月18日


修正申告等による増差税額の納税猶予の適用

<照会要旨>
相続税の申告期限後、農業相続人以外の者の取得した財産について評価誤りがあり、農業相続人の農業投資価格超過額に対応する相続税額が増加することとなった。

この場合、その増加税額については、租税特別措置法関係通達70の6-18により納税猶予の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
その増差税額については、納税猶予の対象とすることはできない。

(注)
租税特別措置法関係通達70の6-18の趣旨は、特例適用農地等の評価誤り又は税額計算の誤りにのみに基づいて修正申告又は更正があった場合の増差税額について納税猶予の適用を認めるものである。

★リンクはこちら⇒ 修正申告等による増差税額の納税猶予の適用

2022年4月15日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • ③平成27年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成29年1月相続開始に係る相続税の修正申告に基づく過少申告加算税の賦課決定処分 棄却
  • ④平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月14日


納税猶予の適用を受ける場合の贈与者の農業に従事していた期間

<照会要旨>
(1)他家(農家)に嫁いだ娘が離婚して実家に戻り農地の贈与を受けた場合において、その娘が他家で農業に従事していた期間は、租税特別措置法施行令第40条の6第6項第2号の「農業に従事」した期間に含まれると解してよろしいか?

(2)租税特別措置法関係通達70の4-11に規定する「農業に関する学科を学んだ期間」の期間中は、受贈者は必ずしも贈与者と住所を一にしている必要はないと解してよろしいか?

<回答要旨>
(1)及び(2)のいずれについても照会意見のとおり解して差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 納税猶予の適用を受ける場合の贈与者の農業に従事していた期間

2022年4月13日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 →一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分及び重加算税の各賦課決定処分並びに過少申告加算税の変更決定処分 →一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の再変更決定処分及び重加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡夫(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月12日


相続税の納税猶予の適用を受けることができる農業相続人

<照会要旨>
農業経営を行っていた被相続人の死亡により、被相続人の孫である甲は被相続人の全財産を包括遺贈により取得した。この場合、甲は農地等についての相続税の納税猶予の特例を適用することができるか?

なお、被相続人の相続人は、長男、長女及び二女である。

<回答要旨>
甲は農業相続人に該当しないため、農地等についての相続税の納税猶予の特例を適用することはできない。

(理由)
相続税の納税猶予の適用を受けられる農業相続人は、被相続人の相続人で、一定の要件に該当することにつき農業委員会が証明した者に限られている。

この場合の相続人は民法第5編第2章の規定による相続人(相続を放棄した者及び相続権を失った者を含まない。)をいうから、照会の被相続人の相続人は、長男、長女及び二女であり、孫甲はこれに該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の納税猶予の適用を受けることができる農業相続人

2022年4月11日


対象年の前年以前又は対象年に農地法第5条の許可を受けた農地等の贈与を行った場合の贈与税の納税猶予の適用

<照会要旨>
父親から農地等の贈与を受けたが、贈与を受けた年の前年に弟が父親から農地法第5条第1項本文((農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限))の規定による許可を受けた農地の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けている。この場合、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
租税特別措置法施行令第40条の6第1項の規定により、贈与者が、①贈与をした日の属する年(以下「対象年」という。)の前年以前において、その農業の用に供していた農地をその者の推定相続人に対し贈与をしている場合であって、その農地について相続時精算課税の適用を受けているとき、又は②対象年において、その贈与以外の贈与により農地等を贈与しているときには、農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができないこととされている。

ところで、農地法第5条第1項本文の規定による許可を受けた農地を贈与していた場合に納税猶予の特例の適用を受けることができるかどうかについては、法文上、明らかではない。

しかしながら、平成15年度税制改正において、納税猶予の特例を受ける場合の贈与税について要件を付された趣旨が、農業経営の細分化の防止の観点からであることに鑑みると、既に、農業委員会において、農地等以外のものとすることが許可された農地等までを租税特別措置法施行令第40条の6第1項に規定する農地等に含めて考えることは適当でない。

したがって、贈与を受けた前年に弟が父親から農地の贈与を受け、その農地について相続時精算課税の適用を受けている場合であっても、その農地が農地法第5条第1項本文の規定による許可を受けたものである場合には、贈与税の納税猶予の特例の適用の対象として差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 対象年の前年以前又は対象年に農地法第5条の許可を受けた農地等の贈与を行った場合の贈与税の納税猶予の適用

2022年4月7日


調整水田に対する納税猶予の適用

<照会要旨>
調整水田とは、米の生産調整のため、各年ごとの市町村水田営農活性化計画により、農地である水田の全部又は一部について、農家の選択により「水を張ることにより常に水稲の生産力が維持される状態に管理」はするが耕作をしないこととした水田をいうが、この調整水田について、納税猶予の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
農地法上、農地とは耕作の目的に供される土地をいい(農地法21)、「耕作の目的に供される土地」には、現に耕作される土地のほか、現に耕作されていない土地のうち現状が耕作し得る状態にあり、通常であれば耕作されていると認められるものも含まれると解されている。

したがって、調整水田についても、客観的にみてその現状が耕作の目的に供されるものと認められるものは特例農地等に該当する。

★リンクはこちら⇒ 調整水田に対する納税猶予の適用

2022年4月5日


レジャー農園の用に供されている農地

<照会要旨>
贈与時(相続開始時)においてレジャー農園の用に供されている農地であっても、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?

<回答要旨>
贈与時(相続開始時)においてレジャー農園の用に供されている農地であっても、その農地の所有者が、その農地に係る農業経営を自ら行い、利用者はその農地に係る農作業の一部を行うためにその農園に入園するにすぎない場合には、農作業の一部のみを請け負わせている農地と同様、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当する。

★リンクはこちら ⇒ レジャー農園の用に供されている農地

2022年3月30日


市民菜園として貸し付けている農地

<照会要旨>
甲は、所有する農地(都市計画法第8条第1項第14号に掲げる生産緑地地区内にある農地ではない。)の一部をA市の条例による市民菜園として貸し付けている。

この農地について贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

なお、この貸付関係を図示すると次のようになる。
(図)

<回答要旨>
市民菜園としてA市に貸し付けられている農地は、甲の農業の用に供されていた農地に該当しないので、その農地等について贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができない。

(注)生産緑地地区内にある農地については、租税特別措置法第70条の6の4第2項第3号に規定する農園用地貸付けに該当する場合には、その農地等について相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができる(措法70の6の5)。

★リンクはこちら ⇒ 市民菜園として貸し付けている農地

2022年3月28日


納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合

<照会要旨>
贈与時(相続開始時)において農業の用に供されていない農地につき、租税特別措置法関係通達70の4-12((贈与者の農業の用に供している農地又は採草放牧地))に掲げる事由により、やむを得ず一時的に休耕しているものとして取り扱った場合において、その後、当該農地について特例適用者がその農地をその者の農業の用に供しないまま転用した場合、その農地については、当初から納税猶予の適用が受けられなかったことになるのか、又は、転用があった時に猶予期限を確定させることになるのか?

<回答要旨>
納税猶予の規定を適用する時において、租税特別措置法関係通達70の4-12(70の6-13)に該当することから農業の用に供されている農地に含まれるとしたものについて、その後その農地をその者の農業の用に供しないまま転用した場合には、農地の転用があった時に猶予期限が確定することとなる。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合

2022年3月24日


土地区画整理事業に係る土地

<照会要旨>
土地区画整理事業の完了した地域に所在する土地は、たとえ作物を栽培している場合であっても、農地法第2条第1項に規定する農地には該当しないものと考えてよいか?

<回答要旨>
土地区画整理事業の施行地区は、宅地のほか農地も含まれる場合があり、また、土地区画整理事業における換地は、原則として従前の土地の利用状況に照応して行うことが建前となっているので、土地区画整理事業が完了したからといって直ちにその施行地区内の土地が全て宅地になるわけではないことから、農地法第2条第1項に規定する農地に該当するか否かは、その土地の現況に応じて判断することとなる。

なお、区画整理中の土地で当該事業施行中のため農業の用に供することができない土地について、当該事業を施行する直前において農地である場合には、農地に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 土地区画整理事業に係る土地

2022年3月22日


農業の用に供されていた農地

<照会要旨>
次の事例の土地は、相続税の納税猶予の適用上、農業の用に供されていた農地と判断されるか?

(1)甲は、土地区画整理組合の設立準備中の○年4月に死亡した。
(2)その準備中、付近の小学校建設のための埋立てがあり、その残土が生じたので、それを組合設立予定者が引き受け農地の一部を埋め立てた。その農地のうちに、甲の所有地があったが、甲のその農地は相続開始時においては農業の用に供されていなかった。

<回答要旨>
照会の農地は、相続開始時には農業の用に供していないため、租税特別措置法関係通達70の6-13(同通達70の4-12を準用)のやむを得ず一時的に休耕している農地に該当するかどうかが問題となる。

照会の場合、埋立ての目的及び埋立て後の現況(農業の用に供し得る状態にあるのかどうか)について検討し、その農地がやむを得ず一時的に休耕地となっているものであり、かつ、近く農業の用に供されることが明らかである場合には、現に農業の用に供されていた農地として取り扱って差し支えない。

★リンクはこちら ⇒ 農業の用に供されていた農地

2022年3月18日


納税猶予の対象となる農地(2)

<照会要旨>
1.農地は現況主義によって判断すると聞いたのが、登記簿上の地目が宅地であっても農地に該当するものがあるか?

2.純農地に係る耕作権の農業投資価格は、耕作権の割合が50%と定められているので、その農地の農業投資価格による価額の50%相当額と解してよろしいか?

<回答要旨>
1.農地の判定に当たっては現況主義によることとされている。

したがって、登記簿上の地目が田・畑等であっても農地に該当しないものがある一方で、宅地であっても農地に該当するものがある。ただし、宅地の休閑地利用等のための家庭菜園のようなものは農地に該当しない。

2.照会意見のとおりである。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の対象となる農地(2)

2022年3月16日


納税猶予の対象となる農地(1)

<照会要旨>
次に掲げる土地は、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?
(1)温室の敷地
(2)畜舎の敷地
(3)農作業場の敷地
(4)農業のかんがい用ため池
(5)養魚に利用している土地
(6)植木の植栽されている土地

<回答要旨>
(1)温室の敷地
贈与時(相続開始時)において温室の敷地となっている土地は、その土地を従前の農地の状態のまま耕作を継続している場合には農地に該当する。しかし、その敷地を農地以外のものとして直接耕作の用に供しない場合、例えば、温室の敷地をコンクリート等で地固めするなど農地以外のものとした場合には、たとえ、その上に土を盛って作物を栽培しているときであっても、温室の敷地は農地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当しない。なお、農地法第43条第1項の規定に従い、農業委員会に届け出て農地をコンクリート等で覆い同条第2項に規定する農作物栽培高度化施設の用に供される当該農地については、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当する。

(2)畜舎の敷地
贈与時(相続開始時)において畜舎の敷地となっている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(3)農作業場の敷地
贈与時(相続開始時)において農作業場の敷地となっている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(4)農業のかんがい用ため池
贈与時(相続開始時)において農業のかんがい用ため池の用に供されている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、準農地に該当する場合を除き、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(5)養魚に利用している土地
農地には、現に耕作されている土地のほか、その現状が耕作し得る状態にあり、通常であれば耕作されているものが含まれるので、贈与時(相続開始時)において水田を従前の状態のままで水を張って一時的に稚魚を飼育している場合には、当該土地は農地に該当することから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たる。
ただし、当該土地を通常の水田として利用するのに必要な程度を超えたけいはん(畦畔)の補強、本地の掘削などをして養魚池とした場合には、当該土地は農地に該当しないことから、その特例の対象となる農地に当たらない。

(6)植木の植栽されている土地
贈与時(相続開始時)において植木を育成する目的で苗木を植栽し、かつ、その苗木の育成について肥培管理を行っている土地は、農地に該当することから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たる。
ただし、既に育成された植木を販売目的で販売するまでの間一時的に仮植しておく土地は、たとえ、その間その商品価値を維持するための管理が行われているとしても、農地法第2条第1項に規定する農地に該当しないことから、その特例の対象となる農地に当たらない。

(注)
納税猶予の適用を受けた後において、特例農地等を温室の敷地、畜舎の敷地、かんがい用ため池及び農作業場の敷地として利用するためにその農地等を農地等以外のものにした場合であっても、その転用は措置法令第40条の6第9項(措置法令第40条の7第8項)に規定する事務所、作業場、倉庫その他の施設又は使用人の宿舎の敷地にするための転用に該当するので、猶予期限の確定事由に該当しないことに留意すること。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の対象となる農地(1)

2022年3月14日


相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の4の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 令和3年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、租税特別措置法第69条の4の適用について準用される相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件特例対象宅地等の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第4項ただし書にある「特例対象宅地等が申告期限から3年以内に分割された」というのは、「全ての相続財産が申告期限から3年以内に分割された」と解釈して、相続税法第32条《更正の請求の特則》第1項の更正の請求を認めるべきであるから、本件の各更正の請求(本件各更正請求)は、相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものである旨主張する。

しかしながら、請求人らによって、租税特別措置法第69条の4第1項の規定による特例(本件特例)の対象とした土地(本件土地)は、遺産分割協議書の作成日付の日において遺産分割がされたものと認められるところ、本件各更正請求は、本件特例対象宅地等の価額の計算における本件特例の適用について、申告の時点では未分割であったが、本件土地の遺産分割により「申告期限から3年以内に分割された場合」に該当したことによりされたものであるから、相続税法第32条第1項第1号及び第8号に規定する課税価格及び相続税額が異なることとなったことを知った日についても、本件土地の遺産分割の日(遺産分割協議書が作成された日)であるというべきであり、本件特例の適用についてされる相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件土地の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られることとなり、請求人らは、これをしなかったものであるから、その後にされた本件各更正請求が相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものに該当することはない。

★リンクはこちら ⇒ 相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の4の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例

2022年3月2日


建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例②

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が被相続人と生前締結した建物売買契約(売主:請求人、買主:被相続人)に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務について、当該債務のうち、当該建物の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)を超える部分は、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎず、相続開始日現在における消極的財産価値を示すものとはいえないため、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人が、被相続人と生前に締結した売主を請求人、買主を被相続人とする建物売買契約に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務(本件債務)は、真正に成立した処分証書が存在し、法的に履行が強制されることから、その全額が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は、本件債務は履行を予定していないことから、その全額が「確実と認められるもの」には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件債務の発生原因となった建物売買契約は、建物の売買金額と相続税評価額との間に生じる差額により相続税の軽減効果が期待できるとの提案があった上で締結されたことからすると、本件債務のうち、売買対象となった建物(本件建物)の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)に相当する部分については、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示しているものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎないのであるから、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示すものとはいえない。

したがって、本件債務のうち、本件建物の経済的価値に相当する部分については、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、「確実と認められるもの」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例②

2022年2月28日


建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例①

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が被相続人と生前締結した建物売買契約(売主:請求人、買主:被相続人)に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務について、当該債務のうち、当該建物の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)を超える部分は、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎず、相続開始日現在における消極的財産価値を示すものとはいえないため、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人が、被相続人と生前に締結した売主を請求人、買主を被相続人とする建物売買契約に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務(本件債務)は、真正に成立した処分証書が存在し、法的に履行が強制されることから、その全額が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は、本件債務は履行を予定していないことから、その全額が「確実と認められるもの」には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件債務の発生原因となった建物売買契約は、建物の売買金額と相続税評価額との間に生じる差額により相続税の軽減効果が期待できるとの提案があった上で締結されたことからすると、本件債務のうち、売買対象となった建物(本件建物)の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)に相当する部分については、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示しているものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎないのであるから、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示すものとはいえない。

したがって、本件債務のうち、本件建物の経済的価値に相当する部分については、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、「確実と認められるもの」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例①

2022年2月24日


前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果になるとは認められないとした事例

<ポイント>
本事例は、前住職から請求人への資金移動は、相続税法第66条第4項に規定する財産の贈与に該当すると認められるものの、前住職及びその親族が、請求人の業務運営、財産運用及び解散した場合の財産の帰属等を事実上私的に支配している事実は認められないことから、相続税法第66条《人格のない社団又は財団等に対する課税》第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が相続税法施行令第33条《人格のない社団又は財団等に課される贈与税等の額の計算の方法等》第3項第1号ないし第3号の各要件をいずれも満たしていないことに加え、①前住職から請求人への資金移動(本件資金移動)の時点における請求人の役員の3分の2を前住職及びその親族(前住職ら)で占めており、請求人の業務を自由に裁量できる立場であったこと、②請求人は前住職らに対し、生活費の供与など特別の利益を与えていること、及び③請求人が解散した場合、前住職らに財産が帰属することなどを理由として、前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となる旨主張する。

しかしながら、請求人は上記施行令の規定には該当しないものの、①前住職らによる請求人の業務運営及び財産管理については、請求人の総代が相当程度に監督しているものと認められるほか、前住職らが私的に業務運営や財産管理を行っていたとまでは認められないこと、②前住職らが、本件資金移動の時点において、請求人の財産から私的に生活費などの財産上の利益を享受した事実は見当たらないこと、及び③前住職らが恣意的に請求人を解散し、その財産を私的に支配することができるとはいえないことから、本件資金移動は、前住職から請求人への贈与に該当するとしても、本件資金移動により相続税法第66条第4項に規定する前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果になるとは認められないとした事例

2022年2月21日


令和2年分相続税の申告事績の概要

令和2年分における被相続人数(死亡者数)は1,372,755人(前年対⽐99.4%)だった。

そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は120,372人(同104.4%)で、その課税価格の総額は16兆3,937億円(同103.9%)、申告税額の総額は2兆915億円(同105.9%)だった。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分相続税の申告事績の概要

2022年1月31日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報第16号 令和3年7月7日 国税庁 資産課税課

所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和3年6月24日付課資2-14ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報第16号 令和3年7月7日 国税庁 資産課税課)

2021年8月10日


死因贈与契約に基づき権利を取得した請求人らが、自己のために相続の開始があったことを知った日は、「相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるとした事例

  • 平成30年4月相続開始に係る相続税の無申告加算税の各賦課決定処分・棄却
  • 令和2年12月14日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らが被相続人と生前締結した死因贈与契約について、被相続人の相続開始日に、請求人らが死因贈与契約に基づく権利を取得することが確定していたので、請求人らが自己のために相続の開始があったことを知った日は、「(相続人が不存在であったために行われた相続財産管理人による)相続債権者及び受遺者への請求申出の催告に係る公告の請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるから、請求人らが提出した相続税の申告書は期限後申告書であるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、被相続人と生前締結した死因贈与契約について、相続人不存在の場合、相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日以前は、当該契約に基づく権利は未確定であり、相続税法第27条《相続税の申告書》第1項に規定する「その相続の開始があったことを知った日」は当該催告期間満了日となるから、その翌日から10月を経過する日までに提出した相続税の申告書は期限内申告書である旨主張する。

しかしながら、請求人らは、被相続人に係る相続開始日に、死因贈与契約に基づく権利を取得することが確定し、自己のために相続開始があったことを知ったのであるから、被相続人の死亡を知った日の翌日から10月を経過する日までに相続税の申告書を提出しなければならなかったところ、当該経過する日までに相続税の申告書を提出しなかったのであるから、請求人らが提出した相続税の申告書は期限後申告書である。

★リンクはこちら ⇒ 死因贈与契約に基づき権利を取得した請求人らが、自己のために相続の開始があったことを知った日は、「相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるとした事例

2021年8月6日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達 課資2-14 課審7-9 課評2-47 令和3年6月24日)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

(趣旨)

所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、所要の整備を行うものである。

第1
昭和34年1月28日付直資10「相続税法基本通達」(法令解釈通達)について、別紙1の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

第2
昭和50年11月4日付直資2-224ほか2課共同「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)について、別紙2の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

第3
1 この法令解釈通達による上記第1の改正後の取扱いは、令和3年4月1日以後に贈与又は相続若しくは遺贈により取得をする財産に係る贈与税又は相続税について適用し、同日前については、なお従前の例による。

2 この法令解釈通達による上記第2の改正後の取扱いの適用については、次による。
(1)改正後の〔措置法第70条の2((直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税))関係〕のうち70の2-8の2((既存住宅用家屋等が面積要件及び経過年数基準を満たすことの確認を受けるための書類))については、令和4年1月1日以後に租税特別措置法第70条の2第1項の規定の適用に係る贈与税の申告書を提出する場合について適用する。

(2)改正後の〔措置法第70条の3((特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例))関係〕については、令和4年1月1日以後に租税特別措置法第70条の3第1項の規定の適用に係る贈与税の申告書を提出する場合について適用する。

(3)上記(1)及び(2)以外の改正後の取扱いについては、令和3年4月1日から適用する。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達 課資2-14 課審7-9 課評2-47 令和3年6月24日)

2021年7月27日


相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和3年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)

2021年7月14日


相続税の申告のしかた(令和3年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和3年分用)』をホームページに掲載した。

この「相続税の申告のしかた(令和3年分用)」は、令和3年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和3年分用)

2021年7月7日


特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)

2021年6月11日


取得財産に算入する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金につき、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)に定める方法により計算すべきとした事例

  • 平成28年2月相続開始に係る相続税の更正の請求に対する更正処分
  • 全部取消し
  • 令和2年8月11日裁決

<ポイント>
本事例は、共同相続人の間で相続税の取得財産の価額に算入又は控除する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金の金額について、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(1)ではなく、同通達(2)に定める方法により計算すべきであると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、遺留分減殺請求訴訟の和解(本件和解)の際に、共同相続人の間で相続税の取得財産の価額に算入又は控除する価額弁償金(本件価額弁償金)の金額について何らかの合意があったと考えるのが自然であるとして、請求人の相続税の取得財産の価額に算入する本件価額弁償金の金額は、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(本件通達)(1)の要件を満たしており、本件通達(2)によるべきとする更正の請求は認められない旨主張する。

しかしながら、訴訟中から申告までの間に直接やり取りをしていた訴訟代理人間において、本件価額弁償金をいくらとして申告するかについて協議がされていないことについては、同人らを含む関係者の答述が一致しており、訴訟中から申告に至るまでの経緯等に照らしても、本件価額弁償金については、その申告額を具体的に協議した事実は認められず、他に申告額についての具体的な協議の事実が認められるような事情もないことからすれば、その協議はなかったと認められるから、本件通達(1)の場合には該当しない。

そして、本件価額弁償金の金額は、対象財産が特定され、かつ、本件和解時に合意された当該対象財産の通常の取引価額を基として決定されたものであるから、本件通達(2)の場合に該当するので、請求人の相続税の取得財産の価額に算入する金額は、本件通達(2)に定める方法により計算すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 取得財産に算入する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金につき、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)に定める方法により計算すべきとした事例

2021年4月16日


イメージデータで提出可能な添付書類(相続税申告)

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、添付書類の名称は、例示として掲げているものであり、送付する添付書類の名称が相違している場合であっても類似するものであれば、イメージデータにより提出することができる。

また、この一覧は、令和2年4月1日現在の法令に基づくものである。

shinkoku08

★リンクはこちら ⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(相続税申告)

2021年3月22日


令和元事務年度における相続税の調査等の状況

国税庁は、令和元事務年度における相続税の調査等の状況がまとめ、その概要を報告した。

★リンクはこちら ⇒ 令和元事務年度における相続税の調査等の状況

2021年2月5日


相続税申告書の代理送信等に関するQ&A(改訂)

国税庁資産課税課は、2021年1月に『相続税申告書の代理送信等に関するQ&A』を改訂した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税申告書の代理送信等に関するQ&A(改訂)

2021年2月4日


令和元年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、令和元年分の相続税の申告事績をまとめ、その概要を報告した。

★リンクはこちら ⇒ 令和元年分相続税の申告事績の概要

2021年2月2日


複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法(リーフレット)

国税庁は、「複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法」(リーフレット)をホームページに掲載した。

令和3年度税制改正の大綱において、税務関係書類における押印義務の見直しを行うこととされた趣旨を踏まえ、税制改正前であっても、税務関係書類に押印がなくとも改めて押印を求めないこととし、相続人又は受遺者(以下「相続人等」という。)による相続税申告書への押印についても同様に取り扱う。

このため、2人以上の相続人等がいる場合に相続税の申告書へ押印をしないときは、申告書の提出意思の有無を明らかにするため、申告書第1表及び第1表(続)(以下「第1表等」という。)には共同して提出する方のみを記載して提出すること。

なお、共同して申告書を提出しない相続人等の方は、別途申告書を作成・提出していただく必要がある。

法令上、相続税の申告書は、2人以上の相続人等が共同して提出する場合に一の申告書に連署して提出することとされている。

★リンクはこちら ⇒ 複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法(リーフレット)

2021年1月29日


相続税の課税財産である土地が、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、評価上減額すべきとした事例

  • 平成27年2月相続開始に係る相続税の更正の請求に対して平成31年3月6日付でされた更正処分(令和元年8月7日付でされた更正処分によりその一部が取り消された後のもの)
  • 全部取消し
  • 令和2年6月2日

<ポイント>
本事例は、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するか否かの判断に当たり、評価上適用すべき路線価に騒音要因がしんしゃくされておらず、合理的と認められる方法に基づく騒音測定結果で相当程度の騒音が日常的に発生していることが明らかにされ、固定資産税の評価上も騒音による減価が行われていたことをもって、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、相続財産である土地(本件土地)について、請求人が行った列車走行による騒音測定では、騒音による取引金額への影響を確認できないから、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」において示された10%減額して評価する取扱い(本件取扱い)を適用することはできない旨主張する。

しかしながら、①本件土地の評価上適用すべき路線価には騒音要因がしんしゃくされていないこと、②本件土地において列車通過時に実際に騒音が生じていること、③本件土地の所在する自治体は、本件土地の固定資産税評価額の算定上、鉄道騒音補正を適用したことが認められるから、本件土地は、騒音により取引金額に影響を受ける宅地に該当すると認められる。

したがって、これらを併せて判断すると、本件土地においては相当程度の騒音が日常的に発生し、騒音により取引金額に影響を受けていたと認めるのが相当であるから、本件土地は、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、本件取扱いを適用して評価すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の課税財産である土地が、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、評価上減額すべきとした事例

2021年1月13日


商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められるため、広大地に該当しないとした事例

  • 平成26年3月相続開始に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び重加算税又は過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月17日裁決

<ポイント>
本事例は、本件地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、A土地は、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、A土地の経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合に該当すると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得したA土地及びB土地(本件各土地)について、いずれも財産評価基本通達(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める広大地に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人らの主張する広大地通達に定める「その地域」は、交通量の多い幹線道路沿いの地域と当該道路沿いでない地域を一つの地域とし、また、用途地域、建蔽率及び容積率がいずれも異なる二つの地域を一つの地域としていることから、広大地通達の趣旨に照らして、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域と認めることはできない。

そして、当審判所が認定した「その地域」(本件地域)における宅地の標準的な使用である駐車場を備えた商業施設の敷地5画地の平均地積は1,190㎡程度であることからすると、本件地域における「標準的な宅地の地積」は1,190㎡程度であると認められるから、B土地(1,190.61㎡)は広大地通達に定める標準的な地積に比して著しく地積が広大な土地とは認められず、また、本件地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、A土地(2213.77㎡)は、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、A土地の経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合に該当する。

したがって、本件各土地はいずれも広大地通達に定める広大地に該当しない。

なお、B土地の評価に当たり、適用する奥行価格補正率が誤っていたため、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められるため、広大地に該当しないとした事例

2020年11月11日


死亡退職金の課税時期

<照会要旨>
相続税法第3条第1項第2号の規定は、「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合」と規定しているが、死亡退職金の課税時期は、死亡退職金の支給が確定した時か、それとも当該死亡退職金の支払いがあった時のいずれか?

<回答要旨>
死亡退職金の支給の確定があれば、死亡退職金の支払請求権(債権)という財産を取得したことになるため、その時点において相続税の課税原因が発生しているというべきである。相続税法第3条の規定は、相続財産とみなされる財産を擬制しているに過ぎず、課税時期については、定めていないと解される。

したがって、死亡退職金については、死亡後3年以内にその支給が確定すれば、実際の支払いが3年以内であるかどうかを問わず相続税が課税されることになる。

★リンクはこちら ⇒ 死亡退職金の課税時期

2020年10月14日


建物更生共済契約に係る課税関係

<照会要旨>
甲は、乙所有の建物の共済を目的とする建物更生共済に加入し、掛金を負担していた。

甲又は乙について相続が開始した場合、建物更生共済契約に関する相続税の課税関係はどのようになるか?

[契約関係]

共済契約者(掛金負担者) 甲(長男)
被共済者(建物所有者) 乙(父)
満期共済金受取人

<回答要旨>
共済契約者甲について相続が開始した場合には、建物更生共済契約の約款によれば、共済契約者の相続人に契約が承継されることとなっていることから、建物更生共済契約に関する権利が甲の本来の相続財産として相続税の課税対象となり、その評価額は、相続開始時における解約返戻金相当額となる。

また、乙について相続が開始した場合、当該共済契約に関して相続税の課税対象となるものはない。

なお、満期時に取得する満期共済金は、満期共済金受取人の一時所得の課税対象となる。

★リンクはこちら ⇒ 建物更生共済契約に係る課税関係

2020年10月7日


死亡退職金を辞退した場合

<照会要旨>
A㈱は、社長が死亡したため、株主総会及び取締役会の決議に基づき死亡退職金として1億円をその遺族に支払っていたが、その後、遺族から退職金受領を辞退したい旨の申し入れがあり、1億円が返還された。

この場合、相続税の課税はどのようになるのか?

<回答要旨>
社長の遺族が受領した退職金1億円は、その支給について正当な権限を有する株主総会及び取締役会の決議に基づいて支給されたものであることから、受領した退職金を返還したとしても相続税が課税されることにかわりはない。

ただし、返還理由がその退職金の支給決議が無効又は取り消し得べきものであった場合において、その無効が確認されまたは取り消しがなされたことが、権限を有する機関の議事録等から明らかであれば、相続税の課税対象とはならない。

★リンクはこちら ⇒ 死亡退職金を辞退した場合

2020年10月2日


未支給の国民年金に係る相続税の課税関係

<照会要旨>
老齢基礎年金(国民年金)の給付の受給権者が死亡した場合に、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給されていない年金がある場合には、その者の配偶者(内縁の配偶者を含む。)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが、「自己の名」で、その未支給の年金の支給を請求することができることとされている(国民年金法191)。

老齢基礎年金の受給権者の相続開始時に当該死亡した受給権者に係る未支給年金がある場合に、当該死亡した受給権者に係る当該未支給年金を配偶者等が請求することができる権利(以下「未支給年金請求権」という。)は相続税の課税対象となる財産に含まれるか?

<回答要旨>
未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給の年金を自己の固有の権利として請求するものであり、死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはならない。

なお、遺族が支給を受けた当該未支給の年金は、当該遺族の一時所得に該当する。

(理由)
1.国民年金法に基づく未支給年金請求権の相続性については、最高裁判決(平成7年11月7日)において、その相続性を否定している。
すなわち、国民年金法第19条の規定については、同条が未支給年金の支給請求することのできる者の範囲及び順位について民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは異なった定め方をしており、これは民法の相続とは別の被保険者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場から未支給の年金給付の支給を一定の遺族に対して認めたものと解されているものである。
したがって、未支給年金請求権を本来の相続財産として相続税の課税対象となると解することはできない。

2.また、未支給年金請求権は、国民年金法の規定に基づき一方的に付与されるものであることから契約に基づかない権利(請求権)であるが、相続税法第3条第1項第6号に規定する「これに係る一時金」には、継続受取人が受給を受けるべき「定期金が特別に又は選択的に一時金とされる場合の一時金のみが含まれる」こととされている趣旨からすると、照会の場合の未支給年金については、定期金ではなく最初から一時金のみを支給するものであるため、同号に規定するみなし相続財産にも該当しない。

3.以上のことから、未支給年金請求権については、死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給の年金を自己の固有の権利として請求するものであり、死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはならない。
なお、遺族が支給を受けた当該未支給の年金は、所得税基本通達34-2により、当該遺族の一時所得に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 未支給の国民年金に係る相続税の課税関係

2020年9月2日


支払期日未到来の既経過家賃と相続財産

<照会要旨>
アパートの賃貸を業務としている者が本年4月24日に死亡した。

賃貸借契約において、そのアパートの賃貸料の支払期日は、毎月の末日とする旨が明定されており、その契約に従って賃貸料が支払われてきた。未収家賃はない。

この場合、4月分の家賃は、4月30日に相続人が収受したが、その家賃のうち4月1日から24日までの期間に対応する既経過分の家賃については、相続税の課税価格に算入する必要があるか?

<回答要旨>
死亡した日においてその月の家賃の支払期日が到来していない場合は、既経過分の家賃相当額を相続税の課税価格に算入しなくて差し支えない。

★リンクはこちら ⇒ 支払期日未到来の既経過家賃と相続財産

2020年8月31日


相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)

国税庁は『相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和2年1月1日から令和2年12月31までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者又は相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、『相続税の申告のしかた(令和2年分)』の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)

2020年7月13日


相続税の申告のしかた(令和2年分用)

国税庁は『相続税の申告のしかた(令和2年分用)』をホームページに掲載した。

この『相続税の申告のしかた(令和2年分用)』は、令和2年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和2年1月1日から令和2年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

なお、この申告のしかたでは、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と、所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)による改正前の租税特別措置法を「平成30年改正前の租税特別措置法」と、租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成22年政令第58号)による改正前の租税特別措置法施行令を「平成22年改正前の租税特別措置法施行令」と、租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成22年財務省令第17号)による改正前の租税特別措置法施行規則を「平成22年改正前の租税特別措置法施行規則」と表記している。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和2年分用)

2020年7月8日


評価対象土地はマンション適地と認められることから広大地には該当しないが、当該土地の評価に当たり控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、土壌汚染対策工事見積金額の80%とするのが相当であると判断した事例

  • 平成27年1月相続開始に係る相続税の更正処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月12日裁決

<ポイント>
本事例は、評価対象土地はマンション適地であると認められることから広大地には該当しないが、当該土地の評価に当たり控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、土壌汚染対策工事を単独で行うのではなく、当該土地に新築する建物の建築工事を並行して行うという事情の下における土壌汚染対策工事費用の金額とするのは相当ではなく、当該土地を評価するに際し減額すべき金額は、公正に算出された土壌汚染対策工事費用見積金額の80%相当額とすることが相当と認めたものでる。

<要旨>
請求人らは、その地域に存するマンションの棟数は少なく、マンション建築の進行度合いが遅いこと及び同地域におけるマンションの敷地の占有割合も大きくないことからすると、評価対象土地(本件土地)は、明らかにマンションの敷地に適しているとは認めらないから、マンション適地に該当しない旨主張する。

しかしながら、その地域における大規模な土地については、主としてマンションが建築されている上に、相続の開始時の前年にもマンションが建築されていること、本件土地はマンションの建築に係る規制が厳しくない地域に存し、都心への交通接近性、公共施設及び商業施設への接近性に優れていることなどからすると、本件土地はマンション適地であると認められる。

また、原処分庁は、本件土地の評価につき控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、請求人らが実際に負担した土壌汚染対策工事費用の金額の80%相当額とすべきであり、実額が明らかである以上、請求人らが主張する土壌汚染対策工事費用の見積金額の80%相当額を減額することは相当でない旨主張する。

しかしながら、当該実額は本件土地に新築する建物の建築業者に同建物の建築工事と本件土地の土壌汚染対策工事を並行して行わせることにより、重複工事部分の費用を節減させて行うという事情の下における土壌汚染対策工事費用の金額であるから、本件土地の評価につき、減額する金額として相当でない。

そして、請求人らの主張する土壌汚染対策工事費用の見積金額は公正に算出された適正なものと認められるから、本件土地を評価するに際し減額すべき土壌汚染の浄化費用の金額は当該見積金額の80%相当額とすることが相当であって、原処分の一部を取消すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 評価対象土地はマンション適地と認められることから広大地には該当しないが、当該土地の評価に当たり控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、土壌汚染対策工事見積金額の80%とするのが相当であると判断した事例

2020年7月2日


租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」の公表について

日本公認会計士協会は、2020年1月16日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」」を公表した。

法人税や所得税が独立の税体系であることに比して、資産税とはそもそも概念的であり独立の税体系ではなく、多層的かつ複雑な領域であると言える。そのため、実務においては、国税と地方税とを交差する多層的な税目間の比較を含む深い理解と経験が必要とされる。

そこで、本研究報告は、将来の税体系の整理に資することを一義的な目的としつつ、実務家の直面する複雑な課題について共有するという観点も含めて論点整理を行い、その結果を報告するものである。

本研究報告が会員の行う業務の参考となれば幸いである。

★リンクはこちら ⇒ 租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」の公表について

2020年6月4日


同族会社が所有する建物の敷地について、当該会社の借地権が存すると判断した事例

  • 平成26年4月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し、一部取消し、棄却
  • 令和元年8月19日裁決

<ポイント>
本事例は、同族会社が所有する建物の敷地(本件敷地)について、当該会社が医療法人からの転貸ではなく、直接被相続人らから借りていると認められること、また、将来、当該会社が本件敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別な事情も存しないことから、当該会社の借地権が存すると認めたものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人らは、同族会社(本件会社)が所有する登記された建物の敷地(本件敷地)を含む全ての土地(本件土地)を医療法人に賃貸しているから、本件敷地は、医療法人が本件会社に更に賃貸(転貸)したものというべきであり、また、被相続人ら及び医療法人は、土地の無償返還に関する届出書を原処分庁へ提出しているから、本件敷地の評価は、自用地としての価額の80%で評価することとなる旨主張する。

しかしながら、本件会社は、権利金の支払はしていないものの、本件敷地の上に、昭和55年8月に上記の建物を建築した後、直接被相続人らから無償又は有償で本件敷地を借りていたと認められ、また、本件会社が被相続人らに対し、将来、本件敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別の事情も存しないことからすれば、本件敷地については、本件会社の借地権が存すると認めるのが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 同族会社が所有する建物の敷地について、当該会社の借地権が存すると判断した事例

2020年5月22日


遺言書情報証明書及び遺言書保管事実証明書の見本について

法務省は、遺言書情報証明書及び遺言書保管事実証明書の見本を公表した。

<遺言書情報証明書>

<遺言書保管事実証明書>

・請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合

・請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合

遺言書情報証明書はこちら ⇒ 遺言書情報証明書

★遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合)はこちら ⇒遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合)

★遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合)はこちら ⇒ 遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合)

2020年5月21日


相続により取得した各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断した事例

  • 平成27年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、相続により取得した各土地について、貸借関係における権利金の有無、支払地代の水準、貸主と借主との関係及びその契約の経緯や趣旨を総合的に考慮すると、使用貸借契約に基づくものと認めるのが相当であるため、当該各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、それぞれが相続した被相続人所有の土地(本件各土地)について、被相続人と請求人らとの間で本件各土地上の請求人らのそれぞれの建物の所有を目的とした各土地賃貸借契約(本件各土地契約)を締結していたところ、請求人らは本件各土地契約に基づく地代に係る金員(本件各支払金員)を被相続人に対してそれぞれ支払っており、その年額は本件各土地に係る固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)の額をそれぞれ上回っていたのであるから、使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについての1《使用貸借による土地の借受けがあった場合》の定めによって、本件各土地契約は使用貸借に係るものではないなどとして、本件各土地は借地権の目的となっている土地である旨主張する。

しかしながら、①請求人らによる本件各土地の使用は、本件各支払金員の支払が開始する以前においては使用貸借によるものであって、その後においても、請求人らと被相続人との間で権利金の授受はないこと、②本件各支払金員の額は固定資産税等の額と同程度であること、③本件各支払金員の年額は被相続人が第三者に対して賃貸していた本件各土地の近隣の駐車場用地の賃料の年額に比して低廉であること、④被相続人と請求人らは親子関係にあることなどから客観的に判断すると、本件各支払金員は本件各土地の使用収益に対する対価であるとは認められず、請求人らは使用貸借契約に基づき使用収益したものと認めるのが相当であることから、本件各土地は借地権の目的となっている土地であると認めることはできない。

なお、本事例においては、一部の土地について、評価単位を見直したところにより評価したことに伴い、原処分の一部を取り消している。

★リンクはこちら ⇒ 相続により取得した各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断した事例

2020年5月20日


被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部は、請求人らの亡父から贈与されたものではなく、贈与により取得した財産には当たらないと判断した事例

  • 平成26年分の贈与税の決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年9月24日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部については、その原資は請求人らの亡父の預金口座から同人の意思に基づき出金された金員であると認められ贈与により取得した財産に当たるが、その余の金員の原資は請求人らの亡父に帰属していたとは認められず、贈与により取得した財産には当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人(本件被相続人)名義の口座(本件被相続人口座)に入金された金員の合計額(本件金員)は、請求人らの亡父が本件被相続人に贈与したものであるから、相続税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第2条の2《贈与税の課税財産の範囲》第1項に規定する贈与により取得した財産に当たる旨主張し、請求人らは、請求人らの亡父が本件被相続人に本件金員を贈与する旨の意思表示をしたとする客観的証拠はないことから、本件金員は、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない旨主張する。

しかしながら、本件金員の一部については、その原資が請求人らの亡父の預貯金から同人の意思に基づき出金された金員であり、本件被相続人口座に当該出金された金員と同額が入金された後に本件被相続人口座から本件被相続人の老人ホームの利用料が支払われていることなどから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たるが、本件金員から左記の贈与により取得したと認められる金員を差し引いた残部については、その原資が請求人らの亡父に帰属していたと認めることはできないことから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部は、請求人らの亡父から贈与されたものではなく、贈与により取得した財産には当たらないと判断した事例

2020年5月18日


相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和2年2月21日 資産評価企画官情報第1号 資産課税課情報第6号 管理運営課情報第1号 国税庁資産評価企画官 資産課税課 管理運営課)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)については、令和2年2月12日付課評2-5ほか3課共同「相続税法基本通達の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

【第23条の2(配偶者居住権等の評価)関係】
【第43条(物納財産の収納価額等)関係】

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和2年2月21日 資産評価企画官情報第1号 資産課税課情報第6号 管理運営課情報第1号 国税庁資産評価企画官 資産課税課 管理運営課)

2020年4月22日


請求人の主張する各種事情によっても、相続により取得した土地の財産評価基本通達の定めに従った原処分庁の評価額は時価であるとの推認を覆されないから、不動産販売業者が試算した価格によって評価することはできないとした事例

  • 平成27年7月相続開始に係る相続税の①更正処分及び②過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①棄却、②一部取消し
  • 令和元年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、評価通達の定めに従って相続財産を評価したものと認められる場合には、当該評価額は事実上の時価と推認され、請求人において当該評価額が当該財産の客観的交換価値を上回るものであることを主張立証するなどして、上記推認を覆すことがない限り、当該評価額を時価と認めるのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した土地(本件土地)について、原処分庁が財産評価基本通達(評価通達)の定めに従って評価した価額(本件通達評価額)は、本件土地の客観的交換価値に影響を及ぼす各事情を看過しており、請求人が売買価格の見積りを依頼した不動産販売業者が試算した価格を上回ることから、時価を上回る違法がある旨主張する。

しかしながら、評価通達の定めに従って相続財産を評価したものと認められる場合には、当該評価額は事実上の時価と推認され、請求人において当該評価額が当該財産の客観的交換価値を上回るものであることを主張立証するなどして、上記推認を覆すことがない限り、当該評価額を時価と認めるのが相当である。

この点、本件通達評価額は、評価通達の定めに従っており、時価と推認されるところ、請求人の主張する各事情は、本件土地の客観的交換価値に影響を及ぼす事情とは認められず、不動産販売業者の試算価格も本件土地の客観的交換価値とは認められないことからすれば、本件通達評価額が時価であることの推認は覆えることはなく、本件通達評価額に時価を上回る違法はないが、原処分庁のした過少申告加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税の加重分の計算に誤りがあることから、その一部を取り消すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の主張する各種事情によっても、相続により取得した土地の財産評価基本通達の定めに従った原処分庁の評価額は時価であるとの推認を覆されないから、不動産販売業者が試算した価格によって評価することはできないとした事例

2020年4月13日


請求人が受贈した現金に係る贈与者は、被相続人の配偶者ではなく被相続人であると判断した事例

  • 平成27年7月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人甲が受贈した現金に係る贈与者について、当該現金の原資、被相続人の配偶者から請求人甲へ贈与した旨記載された「贈与契約書」は事後的に作成されたものと認められることなどから、被相続人の配偶者ではなく、被相続人であると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、請求人甲が受贈した現金(本件現金贈与)に係る贈与者は、被相続人ではなく、被相続人の配偶者(本件配偶者)であり、本件現金贈与に係る贈与契約は、本件配偶者と請求人甲との間で成立していたものである旨主張し、当該主張に沿う証拠として、本件配偶者から請求人甲へ贈与した旨記載された「贈与契約書」と題する書面(本件書面)を当審判所に提出した。

しかしながら、①請求人甲の預金口座に入金された本件現金贈与に係る原資は、被相続人の固有の財産である預金口座から出金された現金であること、②被相続人は、本件現金贈与に係る現金を贈与する旨の明確な意思を有していたこと、③本件書面は、本件現金贈与に際して作成されたものではなく、事後的に作成されたものと認められることなどからすれば、本件現金贈与に係る贈与者は、被相続人であり、本件現金贈与に係る贈与契約は、被相続人と請求人甲との間で成立していたものと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が受贈した現金に係る贈与者は、被相続人の配偶者ではなく被相続人であると判断した事例

2020年4月9日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)

2020年4月8日


被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等は、相続開始日現在、現に存しその履行が確実であったと認めるのが相当であると判断した事例

  • 平成25年8月相続開始に係る相続税の①各更正の請求に対する各通知処分及び更正処分、②各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①却下、棄却、②一部取消し
  • 平成31年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が生前に解除した建築請負契約に基づく約定違約金は相続開始日に現に存し、その履行を免れないものであり、原処分庁が指摘する審査請求人らも支払を拒否して係争中であったことは、請求人が他の事由により請負業者に対して損害賠償を求めたものであって、そのことをもって当該約定違約金の支払義務が消滅等するものではないから、履行が確実な債務であったと認めるのが相当であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等について、被相続人に支払う意思はなく、相続人である審査請求人も支払を拒否して係争中であったことをもって、確実な債務ではない旨主張する。

しかしながら、相続税の課税価格から控除する債務は、相続開始当時の現況に照らし、債務が現に存するとともに、その履行が確実と認められるものをいうと解されるところ、当該約定違約金等は、相続開始日に現に存し、その履行を免れないものであるから、履行が確実な債務であったと認めるのが相当であり、債務者の履行の意思によってその確実性の判断を異にするものとは解されず、また、原処分庁が指摘する「係争」は、審査請求人が請負者側の説明義務違反等を理由として損害賠償を求めたものであり、そのことをもって当該約定違約金等の支払義務が消滅したり、履行の確実性が失われたりするものではないから、原処分庁の主張はいずれも採用できず、当該約定違約金等は相続税の課税価格から控除する債務に当たる。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等は、相続開始日現在、現に存しその履行が確実であったと認めるのが相当であると判断した事例

2020年4月7日


請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座に入金された資金は、請求人が甲の指示に基づき会議等に出席するための交通費等を支弁する目的のものであったと認められ、甲から請求人への贈与があったと認めることはできないと判断した事例

  • 平成23年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成24年分の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和元年6月27日裁決

<ポイント>
請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座への資金移動は、甲又は請求人の母が行っており、請求人は甲の指示に基づき、医療専門団体の会議等へ月1~2回程度出席していた旨申述し、会議に出席するための交通費等の支払が請求人の口座から支払われている等の事実からすれば、甲は甲の指示に基づき、請求人が会議に出席する際に要する交通費等の費用を支弁する目的で甲の預金口座から請求人の預金口座に資金を移動していたとみるのが自然であり、当該資金移動により、請求人が甲から贈与により財産を取得したものとは認められないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の父(甲)の預金口座から出金された金銭が請求人の預金口座(本件請求人口座)に入金されたこと(本件資金移動)について、請求人と甲との間で金銭消費貸借契約が締結された事実及び請求人が主張する本来甲が従事すべき医療業務に請求人が代理人として従事した際に立て替えて支払った費用の精算等の事実は認められないから、請求人と甲との間には、民法第549条《贈与》に規定する贈与契約の要件事実について黙示の合意があったと認めるのが相当であり、請求人は、本件資金移動により、甲からの贈与により財産を取得したものといえる旨主張する。

しかしながら、本件資金移動について、請求人と甲との間で金銭消費貸借契約が締結されていた事実は認められないものの、本件資金移動に係る出金及び入金の各手続は、甲又は請求人の母により行われていると認められ、請求人は、原処分庁所属の調査担当職員に対して、甲の指示により月1回から2回程度の頻度で医療専門団体の会議に出席していた旨申述し、本件請求人口座から交通費等の支払がされていることなどを併せ考慮すれば、甲は、当該会議に出席した際の交通費等を支弁する目的で本件資金移動をしていたとみるのが自然であり、請求人に、本件資金移動によって贈与と同様の経済的利益が生じていたと認めることはできないから、請求人は甲からの贈与により財産を取得したと認めることはできない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座に入金された資金は、請求人が甲の指示に基づき会議等に出席するための交通費等を支弁する目的のものであったと認められ、甲から請求人への贈与があったと認めることはできないと判断した事例

2020年4月3日


被相続人名義の預貯金は請求人の固有財産ではなく、被相続人に帰属する相続財産であると判断した事例

  • 平成27年11月相続開始に係る相続税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成31年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人名義の預貯金の相続開始時における帰属について、その名義のみならず、当該預貯金の原資の出捐者、管理及び運用状況等を総合考慮して判断したものである。

<要旨>
請求人は、亡母名義の預貯金(本件預貯金)について、請求人が亡母(本件被相続人)に預けた金員を原資として運用し形成されたものであり、請求人の固有財産である旨主張する。

しかしながら、①本件預貯金の名義は、いずれも本件被相続人であること、②本件被相続人が、各口座を開設し、各金融機関への届出住所等の変更手続を行い、各口座で使用された印鑑を管理していたと認められること、③本件被相続人が負担すべき公租公課等が口座振替により支払われていること及び④本件預貯金の金融機関の窓口での入出金手続は本件被相続人によりされているなどからすれば、各口座の管理運用は本件被相続人が行っていたと認められる。

また、⑤本件各預貯金の原資は、大部分が本件被相続人の別の預金、共済の満期金、公的年金等であること、⑥請求人の主張の根拠となる証拠は、請求人の答述しかなく、他にこれを裏付ける証拠は存在しないことを考え併せれば、本件預貯金は請求人の固有財産ではなく、本件被相続人に帰属する相続財産であると認められる。

なお、相続開始時において、本件被相続人が所有していた不動産に係る未納となっていた固定資産税額があり、これは相続税法第13条第1項第1号に規定する相続財産の価額から控除される本件被相続人の債務に該当すると認められたため、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人名義の預貯金は請求人の固有財産ではなく、被相続人に帰属する相続財産であると判断した事例

2020年3月30日


日本赤十字社への遺贈・相続財産等の寄付

近年、「自分が亡くなった後、これまで築いた財産の一部を赤十字に寄付したい」といったご相談や、大切な方を亡くされたご遺族から、「故人の遺産を社会のために役立ててほしい」という申し出が多いようである。

日本赤十字社では、このような尊いご意思に応えるために、遺贈(遺言によるご寄付)、相続財産等の寄付を承っている。

遺産・相続財産のご寄付については、下記リンクのパンフレット及び関連ページ(「遺贈(遺言による寄付)」、「相続財産からのご寄付」、「よくあるご質問」等)を参照のこと。

質問・不明点等があれば下記担当まで連絡のこと。
<担当窓口>
日本赤十字社 遺贈・相続寄付ご相談窓口
TEL: 03-3437-7082 FAX: 03-3432-5507

★リンクはこちら ⇒ 日本赤十字社への遺贈・相続財産等の寄付

2020年3月19日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和元年11月5日)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和元年7月2日付課資2-10ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和元年11月5日)

2020年2月10日


令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧

2020年1月7日


令和元年分贈与税申告のしかた

国税庁は、『令和元年分贈与税申告のしかた』をホームページに掲載した。

  • この冊子は、一般的な事項を説明している。この「贈与税の申告のしかた」において、「令和元年分」とあるのは、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの期間に係る年分をいう。
  • 令和元年分の贈与税の申告書の受付は、令和2年2月3日(月)から同年3月16日(月)までである。
  • 令和元年分の贈与税の納期限は、令和2年3月16日(月)である。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年分贈与税申告のしかた

2019年12月23日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報 第17号 令和元年11月5日 国税庁資産課税課)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和元年7月2日付課資2-10ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

 ★別添はこちら ⇒ 別添

2019年11月21日


相続税申告のe-Taxが始まります

国税庁は『相続税申告のe-Taxが始まります』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税申告のe-Taxが始まります

2019年11月5日


直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

国税庁は『直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

2019年10月28日


直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

国税庁は『直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

2019年10月18日


相続税申告書の代理送信等に関するQ&A

国税庁は『相続税申告書の代理送信等に関するQ&A』をホームページに掲載した。

相続税の申告書は、2019年10月1日(火)午前0時から、e-Taxによる提出(送信)が可能となっている。

また、2019年分の申告(2019年1月1日以降に相続等により財産を取得した人の申告)からe-Taxの対象となる。

(注)
2018年以前の年分の申告(2018年12月31日以前に相続等により財産を取得した人の申告)をe-Taxにより行うことはできない。

従来どおり書面による申告が必要である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税申告書の代理送信等に関するQ&A

2019年10月15日


請求人らが相続により取得した土地のうち、集合住宅の敷地の用に供されている土地は開発行為を了し、既に有効利用されていることから、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地には該当しないが、被相続人の居宅の敷地の用に供されている土地は、開発行為を想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるから当該広大地に該当すると判断した事例

  • 平成24年6月相続開始の相続税の各更正の請求に対する各更正処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月20日裁決

<ポイント>
本事例は、集合住宅の敷地の用に供されている土地については、集合住宅の入居率や利用可能期間からすれば、近い将来新たな開発行為を行う必要は認められず、集合住宅の敷地として既に有効利用されているといえるから広大地には該当せず、一方、被相続人の居宅の敷地の用に供されていた土地については、合理的な開発を行うことを想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要であると認められるから広大地に該当すると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得した集合住宅(本件集合住宅)の敷地の用に供されている土地(本件1土地)及び被相続人の居宅の敷地の用に供されていた土地(本件2土地)の所在する周辺地域における標準的使用は戸建住宅の敷地であるから、本件1土地及び本件2土地は財産評価基本通達24-4(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)《広大地の評価》に定める広大地(広大地)に該当する旨主張する。

しかしながら、本件1土地上に存する本件集合住宅は、入居率100%を実現していたと認められる上、今後相当の期間利用することができるものと認められることからすると、近い将来において新たな開発行為を行う必要があるなどの特段の事情は認められないから、本件1土地は本件集合住宅の敷地として現に有効に利用されているといえ広大地には該当しない。

一方、本件2土地については、原処分庁が主張する開発想定図によれば、本件私道に隣接する各土地に道路を拡幅したとしても、①集合住宅の入居者の駐車場の移設が必要となること、②道路用地に本件土地を取得した相続人以外の相続人の所有権が及ぶこと、③借家人の立ち退きが必要となることなどが考えられ、これらの事情を考慮すると原処分庁の開発想定図は合理性があるものとは認められず、請求人らが主張する開発想定図は、本件土地の所有者以外の者の所有権や賃借権を侵害するような事情はないことなどを考慮すると、合理性があるものと認められ、本件土地を開発する場合、公共公益的施設用地の負担が必要であることから、本件2土地は広大地に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人らが相続により取得した土地のうち、集合住宅の敷地の用に供されている土地は開発行為を了し、既に有効利用されていることから、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地には該当しないが、被相続人の居宅の敷地の用に供されている土地は、開発行為を想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるから当該広大地に該当すると判断した事例

2019年8月30日


被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるから、債務控除の対象となると判断した事例

  • 平成23年5月相続開始に係る相続税の更正処分
  • 一部取消し
  • 平成30年7月9日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるところ、請求人らが負担した建物収去費用の根拠となった見積書については、その算定根拠が不正確ないし不明なものがあり、経済合理性を欠くものであるが、請求人らが別途依頼していた他の業者が作成した見積書は、経済合理性にかなうものと認められるから、当該他の業者が作成した見積書の金額をもって、債務控除の対象となる金額とするのが相当であるとしたものである。

<要旨>
被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物収去及び土地明渡しに係る債務(本件債務)について、原処分庁は、土地明渡しに係る債務については確実な債務であるが、当該土地明渡しに要する金額は零円であり、建物収去に係る債務については建物を収去することなく現状有姿で引き渡すことも選択可能であったから、確実な債務ではなく、いずれも相続税の課税価格の計算上控除すべき債務には当たらないと主張し、請求人らは、本件債務は相続開始時に現に存し、確実と認められる債務であるから、控除すべき債務であると主張する。

しかしながら、本件債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実な債務であったと認められるのであり、原処分庁の主張するところは、確実な債務の履行手段であって、これは相続開始後の事情というほかないから、相続税法第22条《評価の原則》が「控除すべき債務の金額は、その時の現況による」旨規定している趣旨に照らし、採用できない。

なお、請求人らが負担した建物収去費用の根拠となった見積書については、算定根拠が不正確ないし不明なものがあり、経済合理性を欠く内容であるから、当該見積書を算定根拠とした金額を控除すべき債務の金額としては採用できず、他方、請求人らが別途見積りをしていた他の業者による見積書は詳細かつ正確なものであり、経済合理性にかなうものと認められるから、当該見積書の見積金額をもって控除すべき債務の金額とするのが相当であり、原処分については、その一部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるから、債務控除の対象となると判断した事例

2019年8月29日


相続人名義預金に入金された資金及び上場株式の購入資金の運用から生じた化体財産は、過去に被相続人から相続人に贈与があったと認められるため、これらの資金に相当する預け金返還請求権は相続財産には当たらないとした事例

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成30年8月22日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人から相続人名義の銀行口座に入金された資金及び上場株式の購入資金の合計(本件資金)について、その化体財産が過去に被相続人から相続人に贈与により移転したものとみるのが相当であることからすると、被相続人は、相続開始日において、相続人に対して本件資金相当額の預け金返還請求権を有しているとは認められないため、相続財産に当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、相続人(本件相続人)名義の銀行口座(本件預金口座)に入金された資金及び上場株式の購入資金の合計(本件資金)について、本件資金の原資(本件資金となる直前の財産)は、被相続人(本件被相続人)に帰属するものと認められ、本件被相続人と本件相続人との間で、贈与やその他の債権債務関係があったとは認められないことからすると、本件被相続人は、本件相続人に対し、本件資金相当額の預け金返還請求権を有している旨主張する。

しかしながら、①本件資金及び本件資金の原資の管理運用は、本件被相続人が行っていたものであり、そうであれば、本件資金を本件預金口座に入金したり、その後、本件相続人名義の上場株式の購入資金に充てたりしたことは、財産の管理運用の一環として、本件相続人の名義で本件被相続人が実質的に行っていたものと認められること、②平成18年頃に本件資金の運用から生じた化体財産は本件被相続人から本件相続人に贈与されていたことからすれば、そもそも本件資金相当額の預け金返還請求権の存在はおろか発生していたとすらいえない。

したがって、本件被相続人は、相続開始日において、本件相続人に対し、本件資金相当額の預け金返還請求権を有しているとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続人名義預金に入金された資金及び上場株式の購入資金の運用から生じた化体財産は、過去に被相続人から相続人に贈与があったと認められるため、これらの資金に相当する預け金返還請求権は相続財産には当たらないとした事例

2019年8月28日


相続税の申告書等の様式一覧(令和元年分用)

国税庁は、『令和元年版 法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和元年分用)

2019年8月21日


相続税の申告のしかた(令和元年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和元年分用)』をホープページに掲載した。

これは、平成31年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

なお、この申告のしかたでは、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と、所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)による改正前の租税特別措置法を「平成30年改正前の租税特別措置法」と、租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成22年政令第58号)による改正前の租税特別措置法施行令を「平成22年改正前の租税特別措置法施行令」と、租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成22年財務省令第17号)による改正前の租税特別措置法施行規則を「平成22年改正前の租税特別措置法施行規則」と表記している。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和元年分用)

2019年8月7日


老人ホームに入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について

1.事前照会の趣旨及び事実関係

(1)被相続人甲は、平成29年4月、X有料老人ホーム(老人福祉法第29条≪届出等≫第1項に規定する有料老人ホームに該当する。)に入居した。

(2)被相続人甲は、平成29年6月、X有料老人ホームに入居する直前において居住の用に供していた家屋(以下「本件家屋」という。)及びその敷地の用に供されていた宅地等(以下「本件宅地等」という。)を、Y有料老人ホームに入居(平成28年7月)していた配偶者乙から相続により取得した。

(3)被相続人甲は、平成30年2月、本件家屋に戻ることなく死亡した。
 なお、本件家屋は、被相続人甲がX有料老人ホームに入居した後は、空家となっていた。

(4)被相続人甲は、死亡する前に介護保険法第19条≪市町村の認定≫第1項に規定する要介護認定を受けている。

(5)このような事実関係を前提として、本件家屋及び本件宅地等を長男丙が相続により取得した場合において、丙は本件宅地等について租税特別措置法第69条の4第1項に規定する被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するとして、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(措法69の4)(以下「本件特例」という。)の適用を受けることができると解してよいか、照会する。

 なお、丙は、本件特例に係る他の要件を満たしている。

 参考として、相続関係図及び時系列は以下のとおりとなる。

【相続関係図】
相続関係図

【時系列】
時系列

2.照会者の求める見解となることの理由

(1)本件において、被相続人甲はX有料老人ホームへの入居前に、本件宅地等を居住の用に供していたが、X有料老人ホームに入居中に本件家屋及び本件宅地等を相続により取得し、その後本件家屋に戻ることなく死亡した。

 被相続人の居住の用に供されていた宅地等で一定のものについては、本件特例の対象となるところ、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等であっても、租税特別措置法施行令第40条の2≪小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例≫第2項に定める事由(要介護認定又は要支援認定等を受けていた被相続人が同項の住居又は施設(以下「有料老人ホーム等」という。)に入居又は入所(以下「入居等」という。)していたこと)により居住の用に供されなくなる直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等(被相続人が有料老人ホーム等に入居等した後に、事業の用又は新たに被相続人等以外の者の居住の用に供されている場合を除く。)については、本件特例の対象となる宅地等に該当するとされている(措法69の4①)。

 被相続人が有料老人ホーム等に入居等する直前において宅地等の所有者であればその宅地等が本件特例の対象となる宅地等に当たることは明らかだが、本件における被相続人甲は、X有料老人ホーム入居の直前においては本件宅地等を居住の用に供していたものの本件宅地等の所有者ではなく、本件宅地等を取得した後はこれを居住の用に供していない場合であっても、本件宅地等が本件特例の対象となると解してよいか疑義が生じるところである。

(2)上記事由により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等が、本件特例の対象となる居住の用に供されていた宅地等に該当するか否かについては、被相続人が有料老人ホーム等に入居等して居住の用に供されなくなった直前の利用状況で判定することとされているが、その時において被相続人が宅地等を所有していたか否かについては、法令上特段の規定は設けられていない。

(3)したがって、本件宅地等は、被相続人甲がX有料老人ホームに入居し居住の用に供されなくなった直前において、被相続人甲の居住の用に供されていたものであることから、その時において被相続人甲が本件宅地等を所有していなかったとしても本件特例の対象となる宅地等に該当すると解され、丙は本件特例の適用を受けることができるものと考える。

3.回答

回答年月日 平成30年12月7日

回答者 東京国税局審理課長

回答内容

標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら ⇒ 老人ホームに入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について

2019年3月26日


「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平30.12.27 課資2-21

 この法令解釈通達では、平成31年分以後に適用する個人立幼稚園又は個人立幼保連携型認定こども園(以下「幼稚園等」という。)の教育用財産に対する相続税の非課税制度(相続税法第12条第1項第3号、相続税法施行令附則第4項)における幼稚園等の事業経営者の家事充当金限度額の認定基準額及びその者の親族等の適正給与額の判定基準額の改正について定めている。


幼稚園等の事業経営者の家事充当金限度額の認定基準額は、幼稚園等に入園している幼児又は園児の数(以下、「幼児数」という。)により算定することとしている。

幼児数560人以下の幼稚園等
については
「家事充当金限度額の規模別基準額」又は「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」のいずれか高い方の金額
幼児数560人超の幼稚園等
については
 「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」

「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」は、次の算式により計算する。

A+B×(幼児数-240人)

なお、上記算式における符号は次のとおり。

A…別紙1「家事充当金限度額の規模別基準額」に掲げる幼児数規模別区分の「280人以下」の欄の地域区分に応ずる金額

B…別紙2「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価」に掲げる地域区分に応ずる金額


課資2-21
平成30年12月27日

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

昭和51年6月7日付直資2-219「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」(法令解釈通達)について、その一部を下記のとおり改正したから、平成31年分以後の家事充当金限度額の認定等について適用されたい。

(趣旨)
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(平成30年法律第82号) による国家公務員の給与の改正等に伴い、家事充当金限度額の認定基準等について所要の改定を行ったものである。

1.別紙1「家事充当金限度額の規模別基準額」を次のように改める。

別紙1

家事充当金限度額の規模別基準額
幼児数規模別区分
地域区分
280人以下 280人超
400人以下
400人超
560人以下
地域手当支給地域 地域手当20%
支給地域
千円 千円 千円
8,960 10,730 13,420
地域手当16%
支給地域
8,660 10,370 12,970
地域手当15%
支給地域
8,590 10,280 12,860
地域手当12%
支給地域
8,360 10,010 12,520
地域手当10%
支給地域
8,210 9,830 12,300
地域手当6%
支給地域
7,920 9,480 11,850
地域手当3%
支給地域
7,690 9,210 11,520
その他地域
(地域手当の支給なし)
7,470 8,940 11,180
(注) 1 「幼児数規模別区分」の各欄は、その幼稚園等に入園している幼児数に応ずる欄を使用する。
2 「地域区分」の欄における「地域手当支給地域」の各欄は、その幼稚園等の所在する人事院規則9-49 ((地域手当))第3条により定められた別表第一(第二条、第三条関係)の支給地域及び人事院規則9-49附則第2条各号に定められた級地の区分に応じた割合を使用し、「その他地域(地域手当の支給なし)」の欄は、地域手当支給地域に該当しない地域について使用する(別紙2及び別紙3において同じ。)。

2.別紙2「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価」を次のように改める。

別紙2

家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価
地域区分 幼児又は園児一人当たりの基準単価
地域手当支給地域 地域手当20%
支給地域
18,810
地域手当16%
支給地域
18,180
地域手当15%
支給地域
18,030
地域手当12%
支給地域
17,560
地域手当10%
支給地域
17,240
地域手当6%
支給地域
16,620
地域手当3%
支給地域
16,150
その他地域
(地域手当の支給なし)
15,680

3.別紙3「事業経営者の親族等の適正給与額の判定基準額(教諭)」を次のように改める。

別紙3

事業経営者の親族等の適正給与額の判定基準額(教諭)
在職期間区分
地域区分
4年未満 4年以上
6年未満
6年以上
8年未満
8年以上
10年未満
地域手当支給地域

地域手当20%
支給地域

千円 千円 千円 千円
4,520 4,830 5,220 5,450
地域手当16%
支給地域
4,370 4,670 5,050 5,270
地域手当15%
支給地域
4,330 4,630 5,000 5,220
地域手当12%
支給地域
4,220 4,500 4,870 5,090
地域手当10%
支給地域
4,140 4,420 4,790 5,000
地域手当6%
支給地域
3,990 4,260 4,610 4,810
地域手当3%
支給地域
3,880 4,140 4,480 4,680
その他地域
(地域手当の支給なし)
3,770 4,020 4,350 4,540

(注)「在職期間区分」の各欄は、事業経営者の親族等である教諭がその幼稚園等に在職している期間に応ずる欄を使用する。

 ★リンクはこちら ⇒ 「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2019年3月22日


贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

国税庁は、『贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!』(リーフ)を作成した。

  • STEP1 「確定申告書等作成コーナー」ヘアクセス
  • STEP2 申告書を作成
  • STEP3 申告書を提出

 ★リンクはこちら ⇒ 贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

2019年1月10日


平成30年度税制改正により農地等の納税猶予制度が変わりました!!(リーフレット)

平成30年度税制改正により、農地等についての贈与税・相続税の納税猶予制度が改正された。
このリーフレットでは、主な改正の概要を掲載している。

<改正項目>
1 都市農地の貸付けの特例の創設【相続税】
生産緑地地区内の農地について、①認定都市農地貸付け(農業者向けの貸付け)または②農園用地貸付け(市民農園向けの貸付け)を行った場合にも納税猶予を継続

2 適用対象地域等の見直し【相続税・贈与税】
三大都市圏の特定市に所在する①特定生産緑地である農地等及び②田園住居地域内にある農地を納税猶予の適用対象に追加等

3 納税猶予期限及び免除事由の見直し【相続税】
三大都市圏の特定市以外の生産緑地地区内の農地等について、20年免除から終身営農に

4 農地法の改正に伴う農地の定義の見直し【相続税・贈与税】
水耕栽培を行う農業用ハウスにするなど、農地の全面をコンクリートで覆った場合についても引き続き「農地」とする見直し

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年度税制改正により農地等の納税猶予制度が変わりました!!

2019年1月7日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(2018年10月5日)

所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)、「贈与税の非課税財産(公益を目的とする事業の用に供する財産に関する部分)及び持分の定めのない法人に対して財産の贈与等があった場合の取扱いについて」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、平成30年7月3日付課資2-9ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについてリンクのとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略している。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(2018年10月5日)

2018年11月27日


相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)

2018年7月26日


相続税の申告のしかた(平成30年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成30年分用)』をホームページに掲載した。

目次は以下のとおり。
➊ 相続税のあらまし
1 相続税とはどのような税金でしょうか
2 相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与とはどのようなことでしょうか
➋ 相続税の申告
1 どのような人が相続税の申告をする必要があるのでしょうか
2 相続税の申告書は、いつまでに、どこに提出するのでしょうか
Q&A 私は相続税の申告書の提出が必要ですか?
3 相続税は、どのような財産にかかるのでしょうか
Q&A 家族名義の財産は?
Q&A 相続税の課税対象となる生命保険金(退職手当金等)の金額は?
4 相続税は、どのように計算するのでしょうか
(1) 相続税額の計算方法について
Q&A 相続税額の計算方法は?
(2) 税額控除のあらまし
Q&A 配偶者は相続税が軽減される?
(3) 相続財産の評価のあらまし
Q&A 不動産の評価方法は?
Q&A 居住用宅地や事業用宅地について、どのような特例があるのですか?
(4) 小規模宅地等の特例
(5) 特定計画山林の特例
(6) 特定受贈同族会社株式等に係る特定事業用資産の特例
(7) 小規模宅地等の特例及び特定計画山林の特例の併用等
(8) 農地等についての相続税の納税猶予及び免除等
(9) 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等
(10) 山林についての相続税の納税猶予及び免除
(11) 医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除・税額控除
5 相続税の申告期限前に災害により相続財産に被害を受けた場合には相続税が軽減されるのでしょうか
6 提出した申告書を訂正する必要がある場合は、どうすればよいのでしょうか
(参考) 社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の導入に伴うマイナンバー(個人番号)の記載について
➌ 相続税の納付
1 相続税はどのように納めるのでしょうか(金銭納付)
Q&A 相続税の納付は?
Q&A 相続税の還付金の受取方法は?
2 連帯納付義務とは、どのような義務でしょうか
3 金銭納付が困難な場合は、どうすればよいのでしょうか(延納及び物納)
➍ 相続税の申告書の記載例
1 申告書の記載の順序について
2 具体的な記載例について
Q&A 具体的な相続税額は?
(参考) 相続税の申告の際に提出していただく主な書類

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(平成30年分用)

2018年7月12日


相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました(平成30年4月1日以後に提出する申告書から適用)

これまで、相続税の申告書には①の書類を添付しなければならないこととされていたが、平成30年4月1日以後は、①の書類に代えて、②または③のいずれかの書類を添付することができるようになった(引き続き、①の書類も添付できる。)。

「戸籍の謄本」で被相続人の全ての相続人を明らかにするもの
図形式の「法定相続情報一覧図の写し」(子の続柄が、実子または養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る。)(注)
①または②をコピー機で複写したもの


(注)
被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本または抄本(コピー機で複写したものも含む。)の添付も必要である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました(平成30年4月1日以後に提出する申告書から適用)

2018年4月19日


本件各土地は利用価値が著しく低下していると認められることから、財産評価額から10%を減額して評価すべきであり、本件意見価額は客観的な根拠が何ら示されておらず、請求人の主張には理由がないとした事例

  • 平成26年7月相続開始に係る相続税の更正の請求に対する通知処分 →一部取消し
  • 平29年4月7日裁決

<ポイント>
本事例は、本件各土地の現況を的確に確認した上で、本件各土地は一体として利用されているとは認められず、畑と宅地ごとにそれぞれ一の評価単位として評価すべきであること、また、本件各土地は利用価値が著しく低下しているから、本件各土地の財産評価額から10%を減額して評価することが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人が、相続で取得した畑及び各宅地(本件各土地)の評価は不動産業者の作成した意見書による価額(本件意見価額)によるべきであるとして更正の請求をしたことに対し、原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたところ、請求人は、本件各土地の評価に当たって、本件各土地が無道路地であり、がけ地を含む上、公道から本件各土地まで重機が届かないという制約のために本件各土地の上の建物を取り壊すことができないなどの事情を考慮すべきであるから、本件意見価額を踏まえると、財産評価基本通達の定めにより算定した価額(財産評価額)からの減額割合を60%とすべきである旨主張する。

しかしながら、本件意見価額は、本件各土地の周辺の取引相場の裏付けを欠く上、具体的な数値や客観的な根拠が何も示されておらず、適正な時価を示しているとはいえないため、請求人の主張には理由がない。

なお、本件各土地は、本件各土地の周辺の一連の土地との高低差を比較検討すると著しい高低差があり、その利用価値が付近にある他の土地の利用状況からみて著しく低下していると認められることから、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」の取扱いにより、本件各土地の財産評価額から10%を減額して評価するのが相当である。

また、本件各土地は一体の土地として利用されているとは認められないことから、畑と宅地ごとにそれぞれ一の評価単位として評価すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 本件各土地は利用価値が著しく低下していると認められることから、財産評価額から10%を減額して評価すべきであり、本件意見価額は客観的な根拠が何ら示されておらず、請求人の主張には理由がないとした事例

2018年3月26日


相続財産のうち一部の不動産については、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとした事例

  • 平成24年6月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • 平成29年5月23日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人による各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、他の納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであるから、各不動産について、財産評価基本通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続財産のうち一部の不動産(本件各不動産)については、財産評価基本通達(評価通達)に定める評価方法によらないことが相当と認められる特別の事情がないから、評価通達6《この通達の定めにより難い場合の評価》を適用することはできず、評価通達に定める評価方法により評価すべきである旨主張する。

しかしながら、被相続人による本件各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、被相続人が、多額の借入金により不動産を取得することで相続税の負担を免れることを認識した上で、当該負担の軽減を主たる目的として本件各不動産を取得したものと推認されるところ、結果としても、本件各不動産の取得に係る借入金が、本件各不動産に係る評価通達に定める評価方法による評価額を著しく上回ることから、本件不動産以外の相続財産の価額からも控除されることとなり、請求人らが本来負担すべき相続税を免れるものである。
このような事態は、相続税負担の軽減策を採らなかったほかの納税者はもちろん、被相続人が多額の財産を保有していないために同様の軽減策によって相続税負担の軽減という効果を享受する余地のないほかの納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであるから、本件各不動産について、評価通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続財産のうち一部の不動産については、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとした事例

2018年3月23日


土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員は、当該土地の使用収益に対する対価であると認められないから、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないとした事例

  • 平成24年10月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成29年1月17日裁決

<ポイント>
本事例は、土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員が、当該土地の固定資産税等年税額を超えていたものの、その他の事実関係からすると、かかる事情のみでは、当該金員が本件土地の使用収益に対する対価であるとは認めるに足りないというべきであるとして、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①本件土地上に建物を有していた被相続人が、本件土地の所有者である請求人に対し地代として金員(本件金員)を支払っていたこと、②請求人は本件金員を不動産所得に係る地代収入として所得税の確定申告をしたこと、③本件土地に係る各年度の固定資産税相当額及び都市計画税相当額の合計額(固定資産税等年税額)は変動するにもかかわらず本件金員の額が一定であり、請求人と被相続人との間において本件土地に係る通常の必要費を負担することを約していたとは認められないこと、④本件金員の年額は、本件土地に係る相続開始年度の固定資産税等年税額に本件建物に係る被相続人の持分を乗じた金額を優に上回るから、使用貸借通達からも使用貸借とみる余地はないことなどを理由に、被相続人は本件土地上に借地権を有していた旨主張する。

しかしながら、①被相続人による本件土地の使用収益は、本件金員の支払が開始する以前(本件土地を請求人が被相続人の父から相続により取得したとき以前)においては使用貸借契約に基づくものであったと認められること、②本件金員の支払開始に当たり、請求人と被相続人との間で契約書が作成されたなどの事情は見当たらないこと、③本件金員の支払開始の経緯や本件金員の算定根拠も明らかではないこと、さらに、④被相続人と請求人は親子であり、本件金員の支払が開始された当時、請求人が未成年者であったことを併せ考慮すると、本件金員が本件土地の使用収益に対する対価であると認めるに足りないというべきであるから、被相続人による本件土地の使用収益は使用貸借契約に基づくものであったと認めるのが相当であり、被相続人が本件土地上に借地権を有していたとは認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員は、当該土地の使用収益に対する対価であると認められないから、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないとした事例

2018年1月12日


平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧

2017年12月21日


平成29年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、『平成29年分贈与税の申告のしかた』をホームページに掲載した。

  • 平成29年分の贈与税の申告書の受付は、平成30年2月1日(木)から3月15日(木)までである。
  • 平成29年分の贈与税の納期限は、平成30年3月15日(木)である。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年分贈与税の申告のしかた

2017年12月14日


使用貸借により貸し付けている土地の評価単位について判断した事例 Edit

  • 平成23年6月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分
  • 一部取消し、棄却
  • 平成28年12月20日裁決

<ポイント>
本事例は、所有する土地(雑種地)の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地又は雑種地として貸し付けている場合に、地目が相違しても、その全体を一団の雑種地として評価するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、テニスクラブ(本件テニスクラブ)の敷地の一部として利用している各土地の価額は、本相続財産以外の土地を含む本件テニスクラブの敷地として利用されていた土地全体を一つの「評価単位」として財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)に定める広大地補正率を適用すべきである旨、及びf市との締結に基づく各協定書において、開発行為を行おうとした場合に制約を受けたことを理由にその協定に関する区域を一つの評価単位として、居宅として利用されていた土地(本件B区画)及び駐車場として利用されていた土地(本件C区画)を評価する際に、本件通達に定める広大地補正率を適用して評価すべきである旨主張する。

しかしながら、土地の評価単位は、原則として、遺産分割後の取得者ごとに区分した後、利用の単位となっている土地ごとに判定した評価単位を基に評価すべきであり、本件の場合、取得者別、利用の単位別に区分した4区画の土地をもって、それぞれを一つの評価単位として評価すべきである。
また、本件B区画及び本件C区画について、協定を締結したとの事実関係を前提としても、本件通達の定めに照らし、何ら影響を及ぼすものではない。

したがって、請求人らの各主張は認めることはできない。

なお、本件に係る各相続財産の土地の評価単位の認定につき、当該土地の使用貸借に係る利用状況などに照らせば、使用貸借に基づく権利は、貸主、借主間の人的なつながりのみを基盤とするもので借主の権利が極めて弱いことから、自己の所有する雑種地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地又は雑種地として貸し付けている場合には、たとえ地目が相違しても、その全体を一団の雑種地として評価するのが相当であり、また、同様に、自己の所有する宅地又は雑種地に隣接する宅地又は雑種地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地又は雑種地と一体として利用している場合であっても、所有する宅地又は雑種地のみを1画地の宅地又は一団の雑種地として評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 使用貸借により貸し付けている土地の評価単位について判断した事例

2017年11月28日

青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等から1つの評価単位とすると判断した事例 Edit

  • 平成24年11月相続開始に係る相続税の再更正処分及び更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等(物理的及び法的)から1つの評価単位として取り扱うのが相当であると判断した上で、各土地を評価するに当たっては、まず青地部分の土地を含む各土地全体の評価額を算出し、その後、当該評価額から青地部分の土地の価額を控除して評価するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、本件1土地(生産緑地)と本件2土地(生産緑地)は、市が所有する青地(旧水路)により分断されており、各土地は別個の評価単位として取り扱うべきである旨主張する。

しかしながら、相続開始日において、①本件1土地と本件2土地との間には青地が介在していたものの、当該青地は全て埋め立てられており、水路としての機能を失っていたこと、②本件1土地及び本件2土地は、青地部分の土地を含めて一体の畑として耕作されていたこと、③市は、本件1土地、本件2土地及び青地部分の土地を一体の生産緑地地区に定める都市計画を決定していたことなどの各事実が認められる。

したがって、本件1土地及び本件2土地の各土地は、物理的にも法的にも分断されておらず、また、その利用も一体であったと認められるため、一団の生産緑地、すなわち1つの評価単位として取り扱うのが相当である。
そして、本件1土地及び本件2土地の各土地を評価するに当たっては、まず青地部分の土地を含む各土地全体の評価額を算出し、その後、当該評価額から青地部分の土地の価額を控除して評価するのが相当であり、その場合、①当該青地部分の土地の売買が成立し得るのは請求人らと市の間に限定されること、②市が当該青地部分の土地を請求人らに売却した場合の売買代金である払下げ費用相当額は、国有財産評価基準によりその算定方法が画一的に決められていることからすると、青地部分の土地の価額については、相続開始日において当該青地が請求人らに払い下げられたとした場合の払下げ費用相当額とするのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等から1つの評価単位とすると判断した事例

2017年11月24日

家族名義預金の一部は相続財産に当たらないと判断した事例 Edit

平成24年2月相続開始に係る相続税の

  • ①各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 棄却・一部取消し
  • ②決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 平成28年11月8日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産と認定された家族名義預金の一部については、その原資、管理及び運用の実態から相続財産に当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人の子(P1)の配偶者(P5)名義の各貯金(P5名義各貯金)及びP1とP5の子(P10)名義の各定期預金(P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2)について、P5及びP10に当該各預貯金を形成する資力があったとは認められず、また、当該各預貯金の管理及び運用は、被相続人及び被相続人の配偶者が共同して行っていたと認められ、そのほかに贈与があったと認められる事実もないことから、当該各預貯金は被相続人に帰属する相続財産である旨主張する。

しかしながら、P5名義各貯金及びP10名義定期預金1の原資は、いずれもP5名義の普通預金口座(P5名義口座)から引き出された金員、又はP5名義口座から引き出された金員を原資とする貯金の払戻金であると認められるところ、①P5名義口座においては、公共料金等の支払のほか小口の入出金が大半を占めていること、②当該口座はP1とP5が婚姻後早々に設定されたものであり、その印鑑票の筆跡はP5のものであること、③P1が生活費等の名目で受け取った金員はP5が管理していたこと及び④当該口座の通帳はP5が管理していたことなどの事実に照らせば、P5名義口座の預金はP5又はP1に帰属する財産であると認められ、P5名義口座から引き出された金員を原資とするP5名義各貯金及びP10名義定期預金1の出捐者が被相続人であるとは認められない。
また、P10名義定期預金2については、P1を受取人とする保険の満期保険金を原資とするものであり、当該満期保険金をP1以外の者が受け取ったと認めるに足る事情や証拠資料もない以上、当該定期預金の出捐者はP1であると認められる。

そうすると、P5名義各貯金、P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2の出捐者が被相続人であるとは認められず、他に当該各預貯金について、被相続人に帰属する財産であることを裏付ける事情や証拠資料も存しないから、P5名義各貯金、P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2は本件相続に係る相続財産と認めることはできない。

★リンクはこちら⇒ 家族名義預金の一部は相続財産に当たらないと判断した事例

2017年11月20日

相続税の申告のしかた(平成29年分用) Edit

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成29年分用)』を、ホームページに掲載した。

相続税は、個人が被相続人(亡くなられた人のことをいう。)の財産を相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される税金である。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成29年分用)

2017年9月22日

相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)

国税庁は、相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)を、ホームページに掲載した。

(注)
「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。
なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者又は相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。
詳しくは、「相続税の申告のしかた(平成29年分)」の53ページからの「相続税の申告書の記載例 等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)

2017年7月18日

法定相続情報証明制度

法務省は、所有者不明土地問題、空き家問題等の改善を図るため、相続登記促進策として「法定相続情報証明制度」を新設し、平成29年5月29日より運用を開始する。

現在,相続手続では,お亡くなりになられた方の戸除籍謄本等の束を,相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要がある。

法定相続情報証明制度は,登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出せば,登記官がその一覧図に認証文を付した写しが無料で交付される。
その後の相続手続は,法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなる。

★リンクはこちら⇒ 「法定相続情報証明制度」が始まります!

2017年5月26日

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)

国税庁は、「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)」をホームページに掲載した。

<非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例>
後継者である相続人等が、相続等により、円滑化法の認定を受ける非上場会社の株式等を被相続人(先代経営者)から取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき相続税のうち、その株式等(一定の部分に限る。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予され、後継者の死亡等により、納税が猶予されている相続税の納付が免除される。

<非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例>
後継者である受贈者が、贈与により、円滑化法の認定を受ける非上場会社の株式等を贈与者(先代経営者)から全部又は一定以上取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式等(一定の部分に限る。)に対応する贈与税の全額の納税が猶予され、先代経営者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税の納付が免除される。

★リンクはこちら⇒ 非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)

2017年5月22日

本件土地の想定整形地の間口距離、奥行距離は、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、原処分庁が主張するものとは異なるとした事例

平成24年4月相続開始に係る相続税の

  • 各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 一部取消し
  • 各更正処分 棄却

平成28年5月6日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人らが相続により取得した東側と西側でそれぞれ道路に接する不整形な土地(本件土地)について、財産評価基本通達20《不整形地の評価》にいう「想定整形地」の間口距離は50.35m、奥行距離は35.0mであるから、本件土地の評価につき適用すべき同通達に定める不整形地補正率は0.98となる旨主張する。

しかしながら、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、本件土地に係る想定整形地の間口距離は50.50m、奥行距離は35.28mであるから、本件土地の評価につき適用すべき同通達に定める不整形地補正率は0.97となる。

★リンクはこちら⇒ 本件土地の想定整形地の間口距離、奥行距離は、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、原処分庁が主張するものとは異なるとした事例

2017年2月24日

被相続人は、生前、不動産を売却していないから、当該売却に係る代金債権は発生していないと判断した事例

  • 平成23年3月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成28年6月28日裁決

<ポイント>
本事例は、不動産に係る親子間の売買契約書は存在するが、当該売買契約書は、実体を伴わない架空の内容を記載した契約書であると認めるのが相当であり、当該売買に係る代金債権は発生していないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人は、生前、子に対して、不動産(本件不動産)を売却しているところ、相続開始時点において、本件不動産の売買に関する契約書(本件売買契約書)記載の代金が支払われていなかったことから、被相続人は、上記代金に相当する債権(本件代金債権)を有していた旨主張する。

しかしながら、本件売買契約書は存在するものの、本件売買契約書の作成に、買主とされる子が関与していないこと、本件売買契約書において、所有権移転登記手続は、売買代金全額の支払と引替えに行うとされているが、現在に至るまで売買代金は全く支払われておらず、そうであるのに、所有権移転登記が完了しているのは不自然であること、子が請求人との間で作成した金銭消費貸借契約書記載の金員を受け取っておらず、当該金員の返済もしていないこと、請求人及び子の間では、本件不動産の子の所有名義は便宜上のものであり、真実は請求人が所有者であることを確認する旨の合意書が作成されていること、子が本件不動産の所有者としてこれを管理、支配している形跡がうかがわれないことの事情に照らせば、本件売買契約書は、実体を伴わない架空の内容を記載した契約書であるものと認めるのが相当であり、したがって、本件代金債権は発生していないというべきである。

★リンクはこちら⇒ 被相続人は、生前、不動産を売却していないから、当該売却に係る代金債権は発生していないと判断した事例

2017年2月23日

請求人らが相続により取得した土地の一部は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の一部を取り消した事例

平成23年4月相続開始に係る相続税の各更正処分(各更正の請求に対してされた各再更正処分をあわせ審理)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(各変更決定処分後のもの)
一部取消し
平成28年2月29日裁決

<要旨>
4区画の各土地(本件各土地)の財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)の適用につき、原処分庁は、本件各土地のうち3区画の各土地(本件1ないし3土地)の本件通達に定める「その地域」(本件地域)は、財産評価基本通達14-2《地区》(6)の中小工業地区として定められた地域(原処分庁主張地域)であり、本件1ないし3土地は、いずれも原処分庁主張地域の標準的な宅地の地積と同程度であるから、本件通達の適用はない旨主張し、請求人らは本件各土地の本件地域は、道路等の施設の状況等を勘案した住居表示を基本単位とする地域(請求人ら主張地域)であり、本件各土地は、いずれも、請求人ら主張地域の標準的な宅地の地積に比して広大な土地で、かつ、開発に当たっては公共公益的施設用地の負担が必要な土地であるから、本件通達の適用はある旨主張する。

しかしながら、本件各土地の本件地域は、本件1ないし3土地と同土地の以外の土地(本件4土地)で相違し、本件1ないし3土地の本件地域は、原処分庁主張地域を含んだより広範な地域(審判所認定地域①)であり、また、本件4土地の本件地域は、請求人ら主張地域のうち河川により分断された地域(審判所認定地域②)であると認められる。
そして、本件1ないし3土地は、いずれも、審判所認定地域①の標準的な宅地の地積に比して広大な土地で、かつ、開発に当たっては公共公益的施設用地の負担が必要な土地であるから、本件通達の適用はある一方で、本件4土地は、審判所認定地域②の標準的な宅地の地積と同程度であるから、本件通達の適用はない。

★リンクはこちら⇒ 請求人らが相続により取得した土地の一部は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の一部を取り消した事例

2017年1月26日

請求人らが相続により取得した土地は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の全部を取り消した事例

平成25年6月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
全部取消し
平成28年2月9日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人ら以外の第三者が所有する位置指定道路(本件位置指定道路といい、その所有者らを本件私道所有者らという。)に接する土地(本件土地)について、都市計画法第4条《定義》第12項に規定する開発行為(開発行為)を行うとした場合、本件私道所有者らの同意を要するとしても、そのような事情は本件土地自体に起因する客観的な事情ではないから財産の評価に当たって考慮されず、本件位置指定道路を利用した開発行為を行うことが経済的に最も合理的であり、当該開発行為においては、公共公益的施設用地の負担は必要ないので、本件土地は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地(広大地)に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件位置指定道路は、本件私道所有者らが所有するもので、被相続人及び請求人らは本件位置指定道路に係る権利を何ら有していない。
そのため、本件位置指定道路を利用した開発の可否は、本件私道所有者らの意向に左右されるものであるところ、本件土地については、請求人らの主張するように、本件土地の敷地内に新たな道路を開設して行う開発方法が想定でき、その開発の方法が十分合理性を有するものである以上、このような場合にまで、第三者の所有に係る土地を利用しての開発方法を想定することに合理性があるとはいえない。
そして、請求人らの主張する開発方法においては、公共公益的施設用地の負担が必要であると認められるから、本件土地は広大地に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人らが相続により取得した土地は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の全部を取り消した事例

2017年1月25日

平成28年10月~12月分の基準年利率

平成28年10月~12月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

平成28年10月~12月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成29年1月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は9月から0.05%であったが、12月から0.1%に上昇している。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の基準年利率について」(法令解釈通達)(課評2-3)

2017年1月24日

平成28年11月及び12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)が公表された。

今回は平成28年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

贈与税の申告があるためだと思われるが、11月及び12月分については公表が早く、また、文書の日付とホームページへの掲載には、ほとんどタイムラグはない。
毎回そうして欲しいものである。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-1)

2017年1月23日

米国e州f市に所在する不動産について、その時価をe州遺産税の申告に当たりe州税務当局により是認された鑑定価額により評価した原処分を相当と認めた事例

平成22年3月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却
平成28年2月4日裁決

<ポイント>
本事例は、e州遺産税等の適正市場価額とは、相続税法第22条に規定する時価と基本的に同義の価額を指向するものであるとし、対象不動産の鑑定価額を基にしたe州遺産税の申告がe州税務当局によって是認されていることから、同鑑定価額は客観的交換価値を表すものであり、対象不動産の時価と認められると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、米国e州f市に所在する不動産17物件(本件対象不動産)の価額について、f市財産税の算定の基礎となる財産税評価額(本件財産税評価額)は、財産評価基本通達(評価通達)5-2《国外財産の評価》に定める売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価した価額であるから、本件財産税評価額から借家権として当該価額に30%の割合を乗じた金額を控除した価額が、本件対象不動産の価額である旨主張する。

しかしながら、請求人らは、被相続人に係るe州遺産税について、e州認定の鑑定人による鑑定価額(本件鑑定価額)を本件対象不動産の価額として申告しているところ、米国内国歳入法等に規定するe州遺産税における財産の価額である適正市場価額と相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価とは同義の価額を指向するものと認められること、本件鑑定価額の算定手順に別段不合理な点は認められないこと、e州遺産税の申告がe州税務当局により是認されていることから、本件鑑定価額は相続税法第22条に規定する時価と認められる。
一方で、本件財産税評価額は、収益方式によって評価されており、売買実例価額と比較して大幅に低い価額であること、財産税評価額に関する公的報告書等においても、財産税評価額が相当低額であり市場価格との相関関係が見出せない状況である旨の指摘がされていること等から、相続税法第22条に規定する時価とは認められない。
また、借家権の控除は認められるべきとする点については、本件対象不動産は評価通達に定める評価方法に準じて評価することができない財産であるから、借家権の控除に関してのみ評価通達に準じて評価することを許容すべき理由はない。

以上のことから、本件対象不動産の価額は、本件鑑定価額によることが相当である。

★リンクはこちら⇒ 米国e州f市に所在する不動産について、その時価をe州遺産税の申告に当たりe州税務当局により是認された鑑定価額により評価した原処分を相当と認めた事例

2017年1月20日

平成28年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、ホームページに『平成28年分贈与税の申告のしかた』を掲載した。

この冊子は、一般的な事項を説明している。

  • 平成28年分の贈与税の申告書の受付は、平成29年2月1日(水)から同年3月15日(水)まで
  • 平成28年分の贈与税の納期限は、平成29年3月15日(水)

★リンクはこちら⇒ 平成28年分贈与税の申告のしかた

2017年1月12日

平成28年分贈与税の申告書等

国税庁は、ホームページに『平成28年分贈与税の申告書等』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分贈与税の申告書等

2016年12月16日

平成28年9月及び10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-49)が公表された。

今回は平成28年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグがある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-49)

2016年12月1日

贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で

国税庁は、『贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で』(チラシ)を作成した。

★リンクはこちら⇒ 贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で

2016年12月1日

パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」

日本税理士会連合会(いわゆる日税連)成年後見支援センターは、パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」を作製した。

このパンフレットは、成年後見制度の仕組みと税理士の役割などを分かりやすく説明したものである。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」

2016年11月22日

平成28年7月~9月分の基準年利率

平成28年7月~9月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-46)が公表された。

平成28年7月~9月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年10月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は5月から0.01%であったが、9月から0.05%となっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2016年10月18日

平成28年7月及び8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)が公表された。

今回は平成28年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグがある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-44)

2016年10月18日

評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例

平成23年11月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し
平成27年11月25日裁決

<ポイント>
本事例は、評価対象地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない開発想定図は接道状況を踏まえた経済的に合理的な開発想定図と認められ、道路の接続状況が評価対象地と明らかに異なる開発事例は評価に当たり比較すべき開発事例とは認められず、また、評価対象地の相続開始日後の開発形態のみにより経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める開発行為を行うとした場合における公共公益的施設用地の負担が必要か否かの判断について、分譲が販売である以上、購入者側のニーズや需要という経済的合理性に応えた上でのものでなければならず、請求人らが相続により取得した土地(本件土地)は、請求人らの開発想定図又は分譲完了直前図のように道路を設置することにより、宅地としての財産価値が高まり、経済的に最も合理的な分譲ができることから、広大地通達に定める広大地に該当する旨主張する。

しかしながら、①本件土地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない原処分庁の開発想定図は、本件土地の広大地通達に定めるその地域(本件地域)における標準的な宅地の地積に、本件土地がその四方を幅員約6mないし約8mの公道に面している接道状況を踏まえたものであり、同図の各区画には、間口距離、奥行距離及びその形状も特段不合理とする点は認められないこと、②本件土地の所在する地域及びその周辺地域において、相続開始日前おおむね10年以内に行われた戸建住宅用地としての開発は4事例が認められ、いずれも道路の設置を伴う開発であるところ、これら開発事例の土地は公道と面していないなど道路の接続状況が本件土地と明らかに異なるとして、いずれも本件土地の評価に当たり比較すべき開発事例とは認められないことからすると、本件土地は、戸建住宅の敷地として都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、広大地通達に定める広大地に該当しない。
また、本件土地は、相続開始日から約1年5か月を経過した頃に実際に道路が設置された開発が行われているが、本件土地の相続開始日後の開発形態のみにより、本件土地について相続開始日において開発行為を行うとした場合に道路の設置を伴う開発が経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でない。

★リンクはこちら⇒ 評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例

2016年10月13日

後見ポータルサイト

裁判所は、『後見ポータルサイト』を開設した。

ここでは,成年後見制度の利用を検討されている方に向けて,後見制度についての説明や手続の流れ,申立てに必要な書式や資料等を紹介している。

  • 成年後見制度について
  • 未成年後見制度について
  • 後見制度支援信託について
  • 後見監督について
  • 資料・ビデオ
  • よくある質問
  • 手続案内及び各種書式
  • 各地の裁判所一覧

★リンクはこちら⇒ 後見ポータルサイト

2016年8月29日

平成28年5月及び6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)が公表された。

今回は平成28年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが2、3週間くらいあるが、なぜすぐにホームページに掲載しないのだろうか?

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-39)

2016年8月24日

平成28年3月及び4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-30)が公表された。

今回は平成28年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが2、3週間くらいある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-30)

2016年8月23日

相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)』を作成した。
この事例集は、相続税申告書を作成するに当たって、誤りやすい項目について事例形式で紹介したものである。
「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額軽減」を適用した相続税申告書の記載例(平成28年分用)と併せてご覧いただくと良い。
 http://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/sozoku-shinkokukisairei28.pdf

また、相続税の申告書が正しく作成されるよう一般に誤りやすい事項をまとめた「相続税の申告のためのチェックシート(平成28年分以降用)」も利用すること。
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/checksheet2015/pdf/28-01.pdf

 ★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)(既に削除済み)

<追加 平成29年4月1日現在>

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成29年4月1日現在)

2016年8月16日

相続税の申告のしかた(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成28年分用)』を公表した。

相続税は、個人が被相続人(亡くなられた人のことをいう。)の財産を相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される税金である。

(1)相続
相続は、原則として、死亡によって開始する。
そして、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に関する一切の権利義務を承継することになる(扶養を請求する権利や文化功労者年金を受ける権利など被相続人の一身に専属していたものは、承継されない。)。
(2)遺贈
遺贈とは、被相続人の遺言によってその財産を移転することをいう。
(注)
 贈与をした人が亡くなることによって効力を生じる贈与(これを死因贈与という。)については、相続税法上、遺贈として取り扱われる。
(3)相続時精算課税に係る贈与
相続時精算課税とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、贈与者が亡くなったときにその贈与財産の価額と相続や遺贈によって取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納付した贈与税に相当する金額を控除した額をもって納付すべき相続税額とする制度(相続時に精算)で、その贈与者から受ける贈与を「相続時精算課税に係る贈与」という。
贈与により財産を取得した人が、この制度の適用を受けるためには、一定の要件の下、原則として贈与税の申告期限までに贈与税の申告書とともに「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出する必要がある。
この届出書を提出した人を「相続時精算課税適用者」という。

(4)相続人
民法では、相続人の範囲と順位について以下のとおり定めている。
ただし、相続を放棄した人や相続権を失った人は初めから相続人でなかったものとされる。
イ.被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
(注)
 配偶者とは、婚姻の届出をした夫または妻をいい、内縁関係にある人は含まれない。
ロ.以下の人は、以下の順序で配偶者とともに相続人となる。

(イ) 被相続人の子(子が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、孫(直系卑属)が相続人となる。)
(ロ) 被相続人に子や孫(直系卑属)がいないときは、被相続人の父母(父母が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、祖父母(直系尊属)が相続人となる。)
(ハ) 被相続人に子や孫(直系卑属)も父母や祖父母(直系尊属)もいないときは、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、おい、めい(兄弟姉妹の子)が相続人となる。)

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成28年分用)

2016年8月8日

相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)』を公表した。

個人的には、路線価の公表に合わせて公表されるが、税務用のソフトの対応は数か月後になるので、早く相続税の申告をしたいと思っていてもできない方がいるので、7月1日ではなく、もっと早く出してほしいと思う。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)

2016年8月4日

平成28年4月~6月分の基準年利率

平成28年4月~6月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

平成28年4月~6月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年7月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は1月0.5%、2月0.25%、3月0.1%、4月0.05%、5・6月0.01%と、マイナス金利の影響で大幅に下落している。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-37)

2016年7月29日

割引発行の公社債の評価

平成25年度税制改正において、公社債等に係る所得に対する所得税の課税方式が見直され、平成28年1月1日以後に発行される割引発行の公社債の償還差益に係る源泉徴収は、発行時ではなく償還時に行うこととされたことから、割引発行の公社債の評価について、割引発行の公社債の差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、その金額を控除した金額によって評価する所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
割引発行の公社債の評価については、以下に掲げる区分に従い、原則として市場価額を基に評価することとしている。

(1) 金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債
(2) 日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された割引発行の公社債(金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債及び割引金融債を除く。)
(3) (1)または(2)に掲げる割引発行の公社債以外の割引発行の公社債

2.通達改正の概要等
(1)税制改正の概要(公社債等に係る所得に対する課税方式の見直し)
従来、割引債の償還差益に係る所得に対する課税については、割引債の発行時に源泉徴収することとされており、個人については他の所得と分離して源泉徴収のみで課税が終了する源泉分離課税とされ、割引債の譲渡所得は非課税とされていたが、平成25年度税制改正により、割引債を含む公社債の譲渡による譲渡所得に対して所得税を課税することとされたことに伴い、平成28年1月1日以後に発行される割引債の償還差益に係る所得税の源泉徴収については発行時ではなく、利付公社債の利子と同様に償還時に行うこととされた。

(2)通達改正の概要
従来、割引発行の公社債の償還差益に係る所得税相当額は発行時に源泉徴収されていたため、評価通達上、当該所得税相当額に係る取扱いは明記されていない。
今般の改正を受けて、割引発行の公社債の償還差益に係る源泉所得税相当額が、発行時ではなく償還時に源泉徴収がなされる場合が生じることとなることから、このような場合の償還差益に係る源泉所得税相当額については、評価上、考慮する必要があるものと考えられる。
そこで、割引発行の公社債の評価について、差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、その差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額を控除した金額によって評価することとした。

(3)適用時期
平成28年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 割引発行の公社債の評価

2016年7月25日

利付公社債の評価等

平成25年度税制改正において、公社債等に係る所得に対する道府県民税の課税方式が見直され、平成28年1月1日以後に受ける特定公社債等の利子等に係る所得については、利子割の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされたことから、利付公社債の評価等について、「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」に含むこととしている「特別徴収されるべき道府県民税」に利子割の額のみならず配当割の額に相当する金額も含まれるよう所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
利付公社債については、以下の(1)から(3)に分類した上で、各々以下のとおり評価することとしている。

(1)金融商品取引所に上場されているもの
金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格+源泉所得税額相当額()控除後の既経過利息の額
()
源泉所得税額相当額には、特別徴収されるべき道府県民税の利子割の額に相当する金額を含む。以下(2)及び(3)について同じ。

(2)日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されたもの((1)に該当するものを除く。)
日本証券業協会から公表された課税時期の平均値+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額

(3)(1)または(2)に掲げる以外のもの
発行価額+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額

2.通達改正の概要等
(1)税制改正の概要(公社債等に係る所得に対する課税方式の見直し)
平成25年度税制改正により、地方税(道府県民税)に関し、平成28年1月1日以後に受ける特定公社債等()の利子等に係る所得については、利子割の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされた。
()
特定公社債等とは、特定公社債(特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公 社債などの一定の公社債をいう。)、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募投資信託 の受益権及び特定目的信託(その社債的受益権の募集が公募により行われたものに限る。)の社債的受益権のことをいう。

(2)通達改正の概要
利付公社債については、上記⑴の税制改正により、平成28年1月1日以後に受ける利子等に係る所得に対して課される道府県民税に関し、利子割に加えて配当割が含まれることとされたことから、利付公社債の評価について「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」に含むこととしている「特別徴収されるべき道府県民税」に、配当割も含まれるよう、「特別徴収されるべき道府県民税の利子割の額に相当する金額」を「特別徴収されるべき道府県民税の額に相当する金額」と改正することとした。
また、評価通達において「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」を控除することとしている他の財産についても同様に取り扱うことを明確にした。

(3)適用時期
平成28年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 利付公社債の評価等

2016年7月21日

取引相場のない株式等の評価(純資産価額方式における法人税額等相当額)

平成28年度税制改正において、法人税率の改正が行われたことに伴い、純資産価額方式における「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」の算定に用いる「法人税(地方法人税を含む。)、事業税(地方法人特別税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」を38%から37%に改正するなど所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
取引相場のない株式等を評価する場合の純資産価額方式は、次の算式により計算することとしている。
 (算式)
純資産価額=【総資産価額()-負債の合計額-評価差額に対する法人税額等に
相当する金額】÷発行済株式数
相続税評価額による総資産価額
この場合の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、「相続税評価額による純資産価額」から「帳簿価額による純資産価額」を控除した残額に「法人税(地方法人税を含む。)、事業税(地方法人特別税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」(以下「法人税率等の合計割合」という。)として「38%」を乗じて計算した金額としていた。

2.通達改正の概要等
(1)法人税の税率の改正の内容
平成28年度税制改正により、法人税率が23.9%から23.4%()に引き下げられ、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされた。
()
所得税法等の一部を改正する法律第2条に基づく改正後の法人税率は23.2%であるが、同法附則第26条により、平成28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度における法人税率は23.4%とされている。

(2)通達改正の概要
上記(1)の改正により、「法人税率等の合計割合」の根拠となる税率が変わることから、「法人税率等の合計割合」を「38%」から「37%」に改正することとした。

(3)明細書通達の改正
本改正に伴い、次の評価明細書における「評価差額に対する法人税額等相当額」欄について改正した。

  • 「第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」
  • 「第8表 株式保有特定会社の株式の価額の計算明細書(続)」

(4)適用時期
平成28年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した取引相場のない株式等の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 取引相場のない株式等の評価(純資産価額方式における法人税額等相当額)

2016年7月19日

被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例

①平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分
②平成21年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
③平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分
①全部取消し
②一部取消し
③棄却
平成27年8月4日裁決

<要旨>
請求人らは、ジョイント・テナンシーの形態により被相続人が米国f州に所在する不動産(本件不動産)について有する持分は、我が国における共有財産ではないから、相続税の課税価格に算入されるべきものではない旨主張する。

しかしながら、被相続人及び請求人P2がジョイント・テナンシーの形態で所有している本件不動産については、ジョイント・テナンツ(合有者)の一人である被相続人が死亡したことにより、その権利は、相続されることなく、生存者への権利の帰属(サバイバー・シップ)の原則に基づいて、残りのジョイント・テナンツである請求人P2の権利に吸収されたものと認められる。
そして、サバイバー・シップの原則により請求人P2の権利が増加した時に対価の授受があった事実は認められないから、生存者である請求人P2は相続税法第9条《贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合―その他の利益の享受》に規定する「対価を支払わないで利益を受けた場合」に該当すると認められるところ、この権利の増加は、同条により、請求人P2が被相続人から贈与により取得したものとみなされる。
さらに、この権利の増加につき、請求人P2には、相続税法第19条《相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額》第1項が適用されることとなる。

したがって、被相続人がジョイント・テナンシーの形態で所有する本件不動産の持分については、請求人P2が被相続人から贈与により取得したものとみなされ、本件不動産の価額の2分の1に相当する部分の金額については、相続税の課税価格に加算すべきものと認められる。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例

2016年7月8日

登録された車両は、請求人の父がその資金の全額を拠出しており、贈与に当たるとして行われた贈与税の決定処分について、請求人に対する贈与の事実はないとして、贈与税の決定処分の全部を取り消した事例

平成20年分贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
全部取消し
平成27年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、取得資金の拠出者以外の名義で登録された財産について、相続税法基本通達9-9に基づく贈与税課税の課否を問題としたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の父(父)が請求人の名義で新たに購入した車両(本件車両)は、相続税法基本通達(相基通)9-9《財産の名義変更があった場合》により、原則として贈与として取り扱われるべきものである旨、及び本件車両の名義を請求人として登録したことが過誤に基づき、又は軽率にされたものであり、かつ、それが取得者等の年齢その他により当該事実を確認できるに足る証拠は認められないから、昭和39年5月23日付直審(資)22、直資68「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」(本件通達)の5を適用することはできない旨主張する。

しかしながら、相基通9-9は、反証があれば、贈与として取り扱わない場合があるところ、本件においては、父は購入特典の利用のために、請求人の名義を使用したことが認められ、これに加えて、①父が本件車両を請求人に贈与する動機はなかったと認められること、②請求人への贈与の事実を疑わせる事情が存在すること、③父は、本件車両の取得資金を出捐し、売却に際してはその売却代金を自ら受領・費消するとともに、その間本件車両に係る維持管理費用を全て負担していたことなどの諸事情を総合すると、本件車両の贈与の不存在について反証がされているといえる。

したがって、請求人は本件車両の贈与を受けたとは認められない。
なお、本件通達は、相基通9-9の要件を満たしているにも関わらず課税庁の立場から贈与として取り扱わない場合を類型化したものにすぎず、相手方による反証はこれに限定されるものではないところ、本件においてはその反証がされている。

★リンクはこちら⇒ 登録された車両は、請求人の父がその資金の全額を拠出しており、贈与に当たるとして行われた贈与税の決定処分について、請求人に対する贈与の事実はないとして、贈与税の決定処分の全部を取り消した事例

2016年7月6日

平成28年度路線価の公表

2016年7月1日に、国税庁が、『平成28年度の路線価』を公表した。

我がうどん県は、24年連続下落である。

個人的には、路線価が出ないと相続税の申告ができない方がいるので、7月1日ではなく、もっと早く出してほしいと思う。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分財産評価基準書 路線価図・評価倍率表

2016年7月5日

平成28年1月~3月分の基準年利率

平成28年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-25)が公表された。

平成28年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

平成27年と比べると、短期は横這いであるが、中期は下落後横這い、長期は大幅に下落している。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-25)

2016年6月24日

平成28年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)がようやく公表された。

今回は平成28年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

そもそも1月分と2月分が6月に公表されるというのはあまりにも遅すぎると思われるが、相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが3週間くらいある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-23)

2016年6月23日

相続税の申告要否判定コーナー

国税庁は、リーフレット『「相続税の申告要否判定コーナー」をご利用ください』(平成28年5月)をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否判定コーナー

2016年5月11日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部をリンクのとおり改正し、平成28年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとしたから、これによられたい。

(注)
リンクの別紙のうち、アンダーラインを付した部分が改正部分である。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-12・課資2-6・課審7-3)

2016年5月11日

平成28年分の路線価図等の公開予定日

平成28年分の路線価図等は、7月1日(金)10時に公開することを予定とのこと。

公開初日から数日間は、アクセス集中により閲覧しにくい状態となることがある。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の路線価図等の公開予定日について

2016年4月26日

平成27年11月、12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)が公表された。

今回は平成27年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)

2016年1月25日

平成27年10月~12月分の基準年利率

平成27年10月~12月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

平成27年10月~12月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに、横這いである(それぞれ、0.01%、0.05%、0.5%)。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13 平成27年5月12日 (最終改正)平成28年1月12日 課評2-3)

2016年1月21日

平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧

2015年12月25日

住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係

<照会要旨>
私は、新築の店舗兼住宅を取得するに当たり、父から金銭の贈与を受ける予定である。
この贈与については、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受けたいと考えている。
ところで、この非課税制度には、取得した新築住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル未満でなければならいないという基準が設けられているところ、私が取得しようとしている店舗兼併用住宅の床面積は、店舗として使用する部分が150平方メートル、住宅として使用する部分の床面積は100平方メートルとなっている。
このように、取得しようとしている新築の店舗兼住宅の全体の床面積は250平方メートルあり、この新築の店舗兼住宅は、上記の床面積基準に該当しない新築住宅であるとも考えられるが、住宅として使用する部分の床面積だけ見れば、上記の床面積基準に該当するため、非課税制度の適用を受けるための他の要件を満たしていれば、父からの金銭の贈与については、この非課税制度の適用があると考えるがいかがか。

<回答要旨>
この金銭の贈与について、非課税制度の適用はない。

非課税制度の床面積基準の判定は、贈与を受けた者の居住の用以外の用に供されている部分も含めた家屋全体の床面積で行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係

2015年12月18日

店舗兼住宅を取得した場合の床面積要件

<照会要旨>
私は、新築の店舗兼住宅を取得するに当たり、父から金銭の贈与を受ける予定である。
この贈与については、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受けたいと考えている。
ところで、この非課税制度には、取得した新築住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル未満でなければならいないという基準が設けられているところ、私が取得しようとしている店舗兼併用住宅の床面積は、店舗として使用する部分が150平方メートル、住宅として使用する部分の床面積は100平方メートルとなっている。
このように、取得しようとしている新築の店舗兼住宅の全体の床面積は250平方メートルあり、この新築の店舗兼住宅は、上記の床面積基準に該当しない新築住宅であるとも考えられるが、住宅として使用する部分の床面積だけ見れば、上記の床面積基準に該当するため、非課税制度の適用を受けるための他の要件を満たしていれば、父からの金銭の贈与については、この非課税制度の適用があると考えるが如何か。

<回答要旨>
この金銭の贈与について、非課税制度の適用はない。

非課税制度の床面積基準の判定は、贈与を受けた者の居住の用以外の用に供されている部分も含めた家屋全体の床面積で行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 店舗兼住宅を取得した場合の床面積要件

2015年12月18日

老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定の申請中に死亡した場合の小規模宅地等の特例

<照会要旨>
老人ホームに入所していた被相続人が、要介護認定の申請中に亡くなったが、相続開始の時において要介護認定を受けていなかった。
この場合において、相続の開始後に被相続人に要介護認定があったときには、租税特別措置法施行令第40条の2第2項第1号に規定する要介護認定を受けていた被相続人に該当するものと考えてよいか。

<回答要旨>
照会のとおりで差し支えない。

1.税法の規定
租税特別措置法第69条の4第1項に規定する居住の用に供することができない事由の一つとして、介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定又は同条第2項に規定する要支援認定(以下「要介護認定等」という。)を受けていた被相続人が、租税特別措置法施行令第40条の2第2項第1号イに規定する特別養護老人ホーム等に入所していたことが定められている。
「租税特別措置法(相続税の特例関係)の取扱いについて(法令解釈通達)」69の4-7の2《要介護認定等の判定時期》で、この要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人の相続の開始の直前においてその要介護認定等を受けていたかにより判定することとしている。

2.介護保険法の規定
介護保険法では、要介護認定等の申請を受けた市町村は、被保険者の心身の状況等を調査し、その調査の結果を認定審査会に通知し、審査及び判定を求め、認定審査会の審査判定の結果に基づき認定を行った場合には、被保険者に通知しなければならないとされている(介護保険法第27条①~⑦、第32条①~⑥)。
また、市町村は上記の申請のあった日から30日以内にその申請に対する処分を行わなければならないとされ、市町村が要介護認定等を行った場合には、その効力は、申請のあった日にさかのぼって生ずるものとされている(介護保険法第27条⑧⑪、第32条⑦)。

3.相続開始の日以後に要介護認定等があった場合
老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定等の申請中に相続が開始した場合で、その被相続人の相続開始の日以後に要介護認定等があったときには、要介護認定等はその申請のあった日にさかのぼってその効力が生ずることとなる。
要介護認定等が行われる場合、市町村は、被相続人の生前に心身の状況等の調査を行っていることから、被相続人が、相続の開始の直前において介護又は支援を必要とする状態にあったことは明らかであると認められる。

したがって、被相続人は相続の開始の直前において要介護認定等を受けていた者に該当するものとして差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定の申請中に死亡した場合の小規模宅地等の特例

2015年12月16日

平成27年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?。

今回は平成27年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)

2015年12月15日

相当の地代を支払っている場合の借地権は、贈与財産である株式の純資産価額の計算上、株式の発行会社の資産の部に算入するとした事例

平成24年分贈与税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成27年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、同族会社に土地を貸し付けている当該同族会社の同族関係者が、当該同族会社の株式を贈与した場合においても、相当地代通達6の注書の適用があるとしたものである。

<要旨>
請求人は、実父(父H)から贈与により取得した同族会社(本件同族会社)の株式(本件株式)の評価に当たり、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(昭和60直資2-58ほか)(60年通達)の6の注書及び「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」(昭和43直資3-22ほか)は、いずれも相続税の課税上のみの取扱いであるから、20%の借地権相当額を本件同族会社の純資産価額に算入すべきではない旨主張する。

しかしながら、60年通達の6の注書は、生前贈与の場合にも及ぼすべきであると考えられるところ、より一般的にいうなら、同族会社の株式を贈与する同族関係者からみて、相当程度年下の第1順位の推定相続人が受贈者である場合には、当該会社に借地権が設定されている土地の所有者との関係次第で、60年通達の注書の取扱いにより借地権相当額を当該会社の純資産価額に算入すべき場合があるということになる。

本件においては、本件株式の贈与者である父Hが所有する土地を、相当の地代を収受して父Hが同族関係者となっている本件同族会社に貸し付けている状況において、本件株式を同人の実子である請求人に贈与していることから、本件株式の評価に当たり、借地権の価額を本件同族会社の純資産価額に算入することは相当である。

★リンクはこちら⇒ 相当の地代を支払っている場合の借地権は、贈与財産である株式の純資産価額の計算上、株式の発行会社の資産の部に算入するとした事例

2015年11月18日

平成27年7月~9月分の基準年利率

平成27年7月~9月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-39)が公表された。

平成27年7月~9月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

  • 短期は、横這い(0.01%)。
  • 中期も、7月に上昇した(0.05%→0.1%)が、8月には元に戻っている。
  • 長期は、9月に下落した(0.75%→0.5%)。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-39)

2015年10月28日

平成27年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?

今回は平成27年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)

2015年10月27日

農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の評価

<照会要旨>
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地はどのように評価するのか?

<回答要旨>
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額からその価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(理由)
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により設定されている賃借権に係る農地の賃貸借については、農地法第17条(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新などの適用が除外されており、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではない。
そのため、この農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(注)
なお、その賃貸借に基づく賃借権の価額(その農地の自用地としての価額の100分の5相当額)については、相続税または贈与税の課税価格に算入する必要はない。

★リンクはこちら⇒ 農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の評価

2015年9月29日

相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)

国税庁は、相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)を公表した。

このチェックシートは、相続税の申告書が正しく作成されるよう、一般に誤りやすい事項をまとめたものである。

国税庁は、申告書作成に際して、このチェックシートでチェックのうえ、申告書に添付して提出するようお願いしている。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)

2015年9月15日

担保物の一部に対する強制換価手続が相続税法第40条第2項に規定する「強制換価手続が開始されたとき」に該当するとした事例

相続税の延納許可の取消処分
棄却 平成26年11月25日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁が行った延納許可の取消処分(本件取消処分)について、相続税法第40条《延納申請に係る徴収猶予等》第2項の「延納税額に係る担保物につき国税徴収法第2条《定義》第12号に規定する強制換価手続が開始されたとき」とは、延納許可に係る担保物全てについて強制換価手続が開始されたときをいうことから、複数の担保物の一部のみに強制換価手続が開始されたことをもってなされた本件取消処分は適切な弁明聴取を欠いた違法な処分である旨主張する。

しかしながら、延納許可に係る担保物の一部について第三者による強制換価手続が開始された場合においても、弁明の聴取を行っていては、当該強制換価手続によって担保物の一部が換価され、延納税額等の徴収を確保できなくなるおそれがあることから、相続税法第40条第2項に基づき、弁明を聴取することなく延納許可を取り消すことができる。

したがって、適切な弁明聴取が行われたか否かについて判断するまでもなく、本件取消処分が適切な弁明聴取を欠くことを理由に違法な処分であるとはいえない。

★リンクはこちら⇒ 「担保物の一部に対する強制換価手続が相続税法第40条第2項に規定する「強制換価手続が開始されたとき」に該当するとした事例

2015年9月8日

平成27年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-32)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?。

今回は平成27年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-32)

2015年8月20日

相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)』をホームページに公表した。

個人的には、公表があまりにも遅すぎると思う。

なぜなら、7月1日に公表すると、それに対応して申告ソフトメーカーが、申告ソフトをバージョンアップするため、申告ソフトが使えるようになるまで2か月くらいかかってしまう。
国税庁は、例えば、1月1日に亡くなっても11月1日までに申告すれば良いと考えているのかもしれないが、世の中には早く申告をしたいと考えている方もたくさんいらっしゃるのである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)

2015年7月29日

平成27年4月~6月分の基準年利率

平成27年4月~6月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-23)が公表された。

平成27年4月~6月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
短期は、4月に上昇した(0.01%→0.05%)が、5月には元に戻っている。
中期も、4月に上昇した(0.05%→0.1%)が、5月には元に戻っている。
長期は、6月から上昇している(0.5%→0.75%)。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23 平成27年7月1日)

2015年7月17日

相続税の申告の仕方(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告の仕方(平成27年分用)』を作成した。

内容は、以下のとおり。
1.相続税のあらまし
2.相続税の申告
3.相続税の納付
4.相続税の申告書の記載例

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告の仕方(平成27年分用)

2015年7月16日

相続税の申告要否判定コーナー

国税庁は、相続税の申告要否判定コーナーをホームページ上に設けた。
相続税の申告要否判定コーナーは、

  • 相続財産の金額などを入力することにより、相続税の申告のおおよその要否を判定するものである。
  • 相続税の申告書を作成するものではないので、留意すること。
  • 税務署から「相続税についてのお尋ね」が届いた方が、税務署への回答を作成する場合にも利用することができる。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否判定コーナー

2015年7月9日

「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」など

国税庁は、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについてをホームページに掲載した。

このページでは、平成27年度税制改正において創設された「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する情報を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについて

2015年7月6日

平成27年度分の路線価図等

国税庁が、2015年7月1日に『平成27年分の路線価図等』を公表した。

この財産評価基準は、平成27年度中に相続、遺贈または贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用する。
ただし、法令で別段の定めのあるもの及び別に通達するものについては、それによる。

★リンクはこちら⇒ 財産評価基準書(平成27年分)

2015年7月2日

平成27年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-18)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?

今回は平成27年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-18)

2015年7月1日

インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』

国税庁は、インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』

2015年6月30日

平成27年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-15)がようやく公表された。

今回は平成27年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

個人的には、1月と2月のものが、6月に公表されるのはあまりにも遅すぎると思う。
もっと早く公表して欲しい。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-15)

2015年6月17日

相続税の小規模宅地等の特例について、特例適用対象土地を取得した相続人全員の同意を証する書類の提出がないことから、同特例の適用はないとした事例

平成22年2月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
棄却 平成26年8月8日裁決

<要旨>
請求人は、同人に相続させる旨の遺言により相続した宅地について、①他の相続人は、遺言無効確認等訴訟が終了したときには、当該宅地に租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規定(本件特例)を適用することに反対していない、②遺言書の効力について訴訟で争われている場合には、当該宅地を選択特例対象宅地等とすることについて相続人全員の同意を必要とすることは、不可能なことを要求するものであるなどとして、当該宅地には、相続人全員の同意を証する書類の提出がなくても本件特例の適用が認められるべきである旨主張する。

しかしながら、本件特例を適用するためには、租税特別措置法施行令(平成22年政令第58号による改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第3項第3号により、特例対象宅地等のうち本件特例の適用を受けるものの選択について、当該特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の提出が必要とされているところ、請求人は、当該宅地につき特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類を提出していないから、当該宅地に本件特例を適用することはできない。
なお、請求人の主張するような個別事情がある場合において、例外的に同意を証する書類の提出が必要でないとする規定はなく、また、租税特別措置法の規定をみだりに拡張解釈することは許されない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の小規模宅地等の特例について、特例適用対象土地を取得した相続人全員の同意を証する書類の提出がないことから、同特例の適用はないとした事例

2015年6月9日

平成27年1月~3月分の基準年利率

平成27年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13)が公表された。

平成27年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
なお、平成27年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と長期は横這いであるが、中期は上昇している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13)

2015年5月29日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部をリンクのとおり改正し、平成27年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとしたから、これによられたい。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正(課評2-7 課資2-3 課審7-4 平成27年4月3日)

2015年5月26日

評価差額に対する法人税額等に相当する金額の40%から38%への引き下げ

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部が下記のとおり改正され、平成27年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとされたから、これによられたい。

(趣旨)
所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)の施行等に伴い、所要の改正を行うものである。

★リンクはこちら⇒ 「昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部改正(課評2-5 課資2-2 課審7-2 平成27年4月3日)

2015年5月22日

父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

国税等のホームページで、平成27年度税制改正において創設された「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する情報を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについて

2015年5月7日

共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分は適法であるとした事例

平成21年4月相続開始に係る相続税について遺産が未分割であることにつきやむを得ない事由がある旨の各承認申請の各却下処分
棄却 平成26年6月2日裁決

<要旨>
請求人らは、本件相続に係る財産が本件相続に係る申告期限の翌日から3年を経過する日(本件申告期限3年経過日)までに分割されなかったことにつき、租税特別措置法施行令(平成22年3月政令第58号による改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第11項の規定により準用される相続税法施行令第4条の2《配偶者に対する相続税額の軽減の場合の財産分割の特例》第1項第4号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、同号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」に該当するか否かは、相続に係る財産が当該相続に係る相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において、客観的に遺産分割ができないと認められる状態にあったといえるか否かにより行うことが相当であるところ、本件申告期限3年経過日の前に本件相続に係る共同相続人の範囲や本件相続に係る遺産の範囲は確定していたことが認められ、また、請求人らの遺産分割協議において協議された事項は、①別件第一次相続により取得した預金の一部に係る返済の問題、②本件相続に係る遺産のうち賃貸不動産からの収入の清算等の問題、③本件相続に係る代償金の額の問題(本件相続に係る代償金の額の決定に当たり、その対象不動産の評価額は算定されていたにもかかわらず、当該価額に納得しない者がいた。)であったと認められる。

そうすると、本件においては、本件申告期限3年経過日において、客観的に遺産分割ができないと認められる状態にあったとはいえないから、本件申告期限3年経過日までに分割されなかったことにつき、同号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」には該当しない。

★リンクはこちら⇒ 共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分は適法であるとした事例

2015年4月24日

相続税法第34条第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分が適法であるとした事例

連帯納付義務の納付通知処分
棄却 平成26年6月25日裁決

<要旨>
請求人は、本来の納税義務者には滞納相続税を納付できる十分な資力等があり、同人から徴収することが極めて容易であるにもかかわらず、原処分庁が請求人に対して恣意的に相続税法第34条《連帯納付の義務等》第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分を行ったことは徴収権の濫用に当たる旨主張する。

しかしながら、同法第34条第1項に規定する連帯納付義務は補充性を有しないのであって、連帯納付義務者は第二次納税義務等のように本来の納税義務者に滞納処分を執行しても徴収すべき額に不足すると認められる場合に限って納付義務を負担するというものではない。

したがって、原処分庁が徴収手続を怠った結果、本来の納税義務者から滞納相続税を徴収することができなくなったという事実があったとしても、同人又は第三者の利益を図る目的をもって恣意的に当該滞納相続税の徴収を行わず、他の相続人に対して徴収処分をしたというような事情がない限り、徴収権の濫用には当たらない。
本件の場合、このような事情は認められないことから、請求人の主張は採用することができない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分が適法であるとした事例

2015年4月22日

相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例

平成21年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年4月18日裁決

<要旨>
請求人らは、相続財産である貸家(本件各貸家)について、賃貸の意図をもって経常的に維持・管理を行い、賃借人の募集業務を継続して行っていることなどを理由に、相続開始日において現に賃貸されていない各独立部分(本件各独立部分)は、財産評価基本通達26《貸家建付地の評価》の(注)2に定める「課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」に該当するから、同通達に定める賃貸割合を100%として、本件各貸家及びその敷地を評価すべきである旨主張する。

しかしながら、相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価とは、相続により財産を取得した日における客観的な交換価値をいうことからすれば、各独立部分を有する家屋の全部又は一部が貸し付けられているかどうかについては、課税時期の現況に基づいて判断するのが原則である。
その上で、同通達26の(注)2が、例外として、賃貸割合の算出に当たり、賃貸されている各独立部分には、継続的に賃貸されていた各独立部分で、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるものを含むこととして差し支えない旨定めているのである。
本件各独立部分については、相続開始日の前後の空室期間は、最も長いもので8年間、最短のもので4か月を超える期間に及んでいることから、「課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」に該当しない。

したがって、同通達に定める賃貸割合を100%として、本件各独立部分及びその敷地を評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例

2015年4月21日

贈与財産である宅地について、借地権の存する土地として評価するのが相当とした事例

①平成21年分の贈与税の更正処分 ②平成21年分の贈与税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
①一部取消し ②全部取消し 平成26年5月9日裁決

<ポイント>
本事例は、贈与により取得した土地について、当該土地には借地権があるため、自用地としての価額から借地権の価額を控除して評価すべきであるとの請求人の主張を認め、処分の一部を取り消したものである。
なお、本事例は相続税法第21条の9《相続時精算課税の選択》第1項の適用事案である。

<要旨>
原処分庁は、請求人が母からの贈与(本件贈与)により取得した各土地(本件土地)について、請求人が代表者であるJ社が建築した建物(本件建物)は、本件贈与時前に滅失し、滅失後はJ社によって本件土地に建物は再建されていないことから、本件贈与時には、本件土地に係る借地権(本件借地権)は滅失している旨主張する。

しかしながら、借地法(大正10年法律第49号、平成4年8月1日廃止前のもの)第2条《借地権の存続期間》第1項ただし書は、建物がその期間満了前に朽廃したときは借地権は消滅する旨規定され、滅失はこれと区分され、建物が滅失したことのみをもって借地権は消滅しないと解されていることから、この点についての原処分庁の主張は採用できない。
J社は、遅くとも昭和63年から本件贈与時まで、本件土地の地代を支払っていたことが認められ、また、母は、亡父から本件土地を相続してから本件贈与時までの間に、J社が本件土地の使用を継続することに対して何ら異議を述べておらず、一方、J社は本件土地を継続して使用していたことが認められることからすると、遅くとも昭和63年に、J社と亡父の間には、本件土地に係る本件建物の所有を目的とする賃貸借契約が成立するとともに、母が亡父から本件土地を相続してから本件贈与時まで、同契約は継続しているものと認められる。

したがって、本件贈与時には本件借地権は存在したものと認められる。

★リンクはこちら⇒ 贈与財産である宅地について、借地権の存する土地として評価するのが相当とした事例

2015年4月17日

所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権は、一体で評価することが相当であるとした事例

平成22年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年4月22日裁決

<ポイント>
本事例は、所有する宅地に隣接する宅地を相当の地代を支払い借り受けている場合において、相当の地代を支払って借り受けている借地権の価額は零と評価されるが、当該借地権は土地を専属的に利用できる権利であるから、所有する宅地と当該借地権が一体で利用されている場合には、これらを併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として一体で評価することが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得し、隣接する各借地(本件各借地)とともに貸家の敷地として利用していた宅地(本件宅地)の価額について、本件各借地に係る借地権は、相当の地代の支払により、その価額が零とされ財産的価値がないものであるから、財産的価値がない使用借権が設定された場合と同様に、本件宅地のみを財産評価基本通達7-2《評価単位》(1)に定める評価単位(1画地の宅地)として評価すべきと主張する。

しかしながら、本件各借地に係る借地権は、借地借家法上の借地権であり、被相続人は、本件各借地を継続的かつ専属的に利用できる権利を有し、相続開始日において、本件宅地と本件各借地を併せて、貸家の敷地としてその全体を一体として利用していたものであるから、借主の死亡が終了原因とされ、人的つながりのみを基盤とする使用借権が設定された場合と同一にみることはできないので、本件宅地の価額は、隣接する本件各借地と併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として評価することが相当である。

★リンクはこちら⇒ 所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権は、一体で評価することが相当であるとした事例

2015年4月15日

平成26年10月~12月分の基準年利率

平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

長期は変化はないが、短期と中期は下がっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)

2015年1月23日

平成26年11月、12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

今回は平成26年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)

2015年1月22日

平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。
これは、贈与税の申告書及び申告のしかた並びに添付書類等について掲載している。

贈与税の申告書は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に提出すること。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となる。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた

2014年12月22日

平成26年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-51)が公表された。

今回は平成26年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-51)

2014年12月17日

相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)』を作成した。
これは、法定相続人の数及びおおよその財産価額を入力することにより、相続税の申告の要否を確認するものである。
利用の際は、『相続税のあらまし(平成27年分用)』と併せて利用すること。

なお、入力したおおよその財産価額を基に申告の要否を確認するので、確認結果は、あくまでも目安(概算)となることに留意すること。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)

2014年12月11日

相続税のあらまし(平成27年分用)

国税庁は、『相続税のあらまし(平成27年分用)』を作成した。
これは、相続税の仕組みを簡単に説明したものである。

(注)
この相続税のあらましは、平成26年4月1日現在の法律等に基づいて作成している。
また、平成26年分以前は、相続税の基礎控除額などが異なるので、注意すること。

★リンクはこちら⇒ 相続税のあらまし(平成27年分用)

2014年12月9日

農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の評価

【照会要旨】
農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地はどのように評価するのか?

【回答要旨】
農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第4項に規定する農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額からその価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(注)
農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものを除く。
(理由)
農地中間管理機構に貸し付けられている農地の賃貸借については、農地法第17条(農地または採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新の規定の適用が除外され、また、同法第18条(農地または採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)第1項本文の規定の適用が除外されるなど、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではない。
このため、農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
なお、農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき農地中間管理機構に貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものについては、農地法第17条本文及び同法18条第1項本文の規定が適用されるので、耕作権の目的となっている農地として評価する。
(注)
農地中間管理事業の推進に関する法律に基づく農用地利用配分計画の認可の公告により設定された賃借権の価額については、相続税または贈与税の課税価格に算入する必要はない。

2014年11月27日

老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例(平成26年1月1日以後に相続または遺贈により取得する場合の取扱い

【照会要旨】
被相続人は、介護保険法に規定する要介護認定を受け、居住していた建物を離れて特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5)に入所したが、一度も退所することなく亡くなった。
被相続人が特別養護老人ホームへの入所前まで居住していた建物は、相続の開始の直前まで空家となっていたが、この建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するのか?

【回答要旨】
照会のケースにおける、被相続人が所有していた建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになる。
(理由)
平成25年度の税制改正において、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等の場合であっても、①被相続人が、相続の開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと及び②その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等(以下「老人ホーム等」という。)に入居または入所(以下「入居等」という。)していたことという要件を満たすときには、その被相続人により老人ホーム等に入居等をする直前まで居住の用に供されていた宅地等(その被相続人の特別養護老人ホーム等に入居等後に、事業の用または新たに被相続人等(被相続人またはその被相続人と生計を一にしていた親族をいう。以下同じ。)以外の者の居住の用に供されている場合を除く。)については、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に当たることとされた。

なお、この改正後の規定は、平成26年1月1日以後に相続または遺贈により取得する場合について適用されている。
(注)
被相続人が介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていたかにより判定する。
したがって、老人ホーム等に入居等をする時点において要介護認定等を受けていない場合であっても、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていれば、老人ホーム等に入居等をする直前まで被相続人の居住の用に供されていた建物の敷地は、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになる。

2014年11月25日

平成26年7月~9月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに横バイである。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2014年10月22日

平成26年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)が公表された。

今回は平成26年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)

2014年10月20日

平成26年4月~6月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに下落傾向である。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-29)

2014年10月17日

平成26年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

今回は平成26年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)

2014年10月16日

相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)

国税庁は、相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)を公表した。
このチェックシートは、相続税の申告書が正しく作成されるよう、一般に誤りやすい事項をまとめたものである。
申告書作成に際しては、このチェックシートでチェックのうえ、申告書に添付して提出するよう呼びかけている。

なお、「(平成26年1月1日以降用)非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例のチェックシート」も別途用意されている。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)

2014年10月2日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(牧場、池沼欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

牧場、池沼欄には、その地域の「牧場」及び「池沼」の価額を評価する場合における評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

2014年8月28日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(原野欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

原野欄には、その地域の「原野」の価額を評価する場合における原野の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、原野の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

原野の分類等 略称
純原野
中間原野
市街地原野 比準又は市比準

(注)
「比準」及び「市比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月27日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(山林欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

山林欄には、その地域の「山林」の価額を評価する場合における山林の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、山林の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

山林の分類等 略称
純山林
中間山林
市街地山林 比準又は市比準

(注)
「比準」及び「市比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月26日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(田、畑欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

田、畑欄には、その地域の「田」、「畑」の価額を評価する場合における農地の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、農地の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

農地の分類等 略称
純農地
中間農地
市街地周辺農地 周比準
市街地農地 比準又は市比準

(注)
「比準」、「市比準」及び「周比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月25日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(宅地欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

宅地欄には、その町(丁目)又は大字の地域の「宅地」の価額を評価する場合における固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載しているが、「路線」と表示してあるのは、その地域が路線価地域であることを示している。

ただし、農用地区域又は市街化調整区域内に存する農業用施設用地の価額は、財産評価基本通達24-5(農業用施設用地の評価)の定めによって評価する。

2014年8月22日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(借地権割合欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

借地権割合欄には、倍率地域におけるその町(丁目)又は大字の地域につき、「借地権」の価額を評価する場合の借地権割合を掲げている。

(注)
路線価地域の借地権割合については、路線価図を参照のこと。
なお、例えば路線価地域で2路線以上に面する場合の借地権割合又は路線価地域と倍率地域が接続する地域の借地権割合は、原則として、路線価地域の正面路線価に表示してある借地権割合による。

2014年8月21日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(適用地域名欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用地域名 借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

適用地域名欄に、「全域」とある場合には、その町(丁目)又は大字の全域が路線価地域又は倍率地域であることを示している。
また、「一部」又は「路線価地域」とある場合には、その町(丁目)又は大字の地域に路線価地域と倍率地域が存在することを示している。
したがって、この場合には、路線価図により、その評価しようとする土地等が路線価地域又は倍率地域のいずれに所在するかを確認する必要がある。

2014年8月12日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(町(丁目)又は大字名欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順  町(丁目)
又は大字名
適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

町(丁目)又は大字名欄には、市区町村ごとに、町(丁目)又は大字名を五十音順に記載している。

2014年8月11日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(受益証券発行信託証券等の評価)

1.通達制定の趣旨
金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券(注)(「ETN」と呼称される「指標連動証券」等)が近時増加していることから、その評価方法を明らかにした。
(注)
「受益証券発行信託」は、1又は2以上の受益権を表示する証券(受益証券)を発行する旨の定めがある信託をいう(信託法185①)。
受益証券発行信託の受益証券のうち、ETN(指標連動証券)は、その価額が株価指数・商品指数等の特定の指標に連動し、発行者がその信用力を基に発行する債券である。

2.通達の内容
金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券については、①上場株式と同様に、金融商品取引所において取引され、日々の取引価格及び最終価格の月平均額が公表されていること、②上場株式における権利落又は配当落に相当する事象が生じることから、評価通達169から評価通達172までの定めに準じて評価することとした。
また、金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券については、株式に係る配当期待権に相当する金銭分配期待権が生じることから、この金銭分配期待権の価額について、評価通達193の定めに準じて評価することとした。

2014年7月17日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(証券投資信託受益証券の評価)

1.従来の取扱い
金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、評価通達169及び評価通達171の(1)の定めに準じて評価することとしていた。

2.通達改正の概要
金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、上場株式における権利落又は配当落に相当する事象が生じることから、これらを評価方法に反映させるため、評価通達170、評価通達171の⑵及び⑶並びに評価通達172の定めに準じて評価することとした。
また、金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、株式に係る配当期待権に相当する金銭分配期待権が生じることから、この金銭分配期待権の価額について、評価通達193の定めに準じて評価することとした。

2014年7月15日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(上場新株予約権の評価)

1.通達制定の趣旨
上場会社が、既存株主全員に対して新株予約権無償割当て(会社法277)を行い、その新株予約権自体が金融商品取引所に上場される事例が近時増加していることから、その評価方法を明らかにした。

(参考) 新株予約権の上場の概要
新株予約権の上場は、一般的に、上場会社が、ライツ・オファリングと呼ばれる新株予約権を利用した資金調達方法を採用する場合に行われる。
ライツ・オファリングとは、上場会社である発行会社が、既存株主全員に対して新株予約権無償割当てを行い、割当てを受けた既存株主が新株予約権を行使して所定の権利行使価額を払い込むことにより発行会社から上場株式の交付を受け、この払い込まれた金銭が発行会社の調達資金となる仕組みによる資金調達方法である。
また、この新株予約権が上場されることから、新株予約権の割当てを受けた既存株主は、新株予約権を行使する代わりに、これを市場で売却することによってその対価を取得することもできる。

2.通達の内容
新株予約権無償割当てにより株主に割り当てられた新株予約権のうち、①金融商品取引所に上場されているもの及び②上場廃止後権利行使期間内にあるものを「上場新株予約権」と定義し(注)、以下の区分に従い、それぞれ以下のように評価することとした。
(注)
上場新株予約権の評価を新設することに伴い、ストックオプションの定義から上場新株予約権に該当するものを除く改正を行った。

(1)新株予約権が上場期間内にある場合
その新株予約権が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格(注1)と上場期間中の新株予約権の毎日の最終価格の平均額(注2)のいずれか低い価額によって評価する(負担付贈与または個人間の対価を伴う取引により取得した場合を除く(注3)。)。
(注1)
課税時期に金融商品取引所の公表する最終価格がない場合には、課税時期前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格とする。
(注2)
上場新株予約権の評価に当たっては、①上場株式の評価と同様に、一時点における需給関係による偶然性を排除して評価する必要があること、及び②上場新株予約権の上場期間が2か月程度と比較的短期間であることを考慮し、課税時期における最終価格に加え、上場期間中の毎日の最終価格の平均額を採用することとした。
(注3)
負担付贈与等による財産の取得は、一般の売買取引に準じた対価を伴う経済取引行為であるため、一般の相続や贈与による財産の取得のような偶発的な無償取得であること等に配慮した評価上のしんしゃくは不要であると考えられることから、負担付贈与等により取得した上場新株予約権については、原則的な評価方法である課税時期における最終価格によることとした。

(2)上場廃止された新株予約権が権利行使期間内にある場合
課税時期におけるその目的たる株式の価額から権利行使価額を控除した金額に、新株予約権1個の行使により取得できる株式数を乗じて計算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)によって評価する。
ただし、権利行使期間内に権利行使されなかった新株予約権について、発行法人が事前に定めた算定式に基づく価格により取得する旨の条項が付されている場合には、上記の金額と取得条項に基づく取得価格のいずれか低い金額によって評価する。

2014年7月10日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(気配相場等のある株式の評価)

1.従来の取扱い
「気配相場等のある株式」のうち、「公開途上にある株式」については、以下のいずれかに該当する株式をいうこととしていた。

(1) 金融商品取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式(登録銘柄を除く。)
(2) 日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式(店頭管理銘柄を除く。)

また、公開途上にある株式の公開価格については、金融商品取引所または日本証券業協会の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の価格をいうこととしていた。

2.通達改正の概要
公開途上にある株式に該当する期間の始期について、株式取引の実態を踏まえ、「金融商品取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日」から「金融商品取引所が株式の上場を承認したことを明らかにした日」に改めた。
また、公開途上にある株式の公開価格については、現在、入札方式とブックビルディング方式(注)のいずれかの方法により決定されていることから、株式の公開価格の定義を「金融商品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブックビルディング方式又は競争入札方式のいずれかの方式により決定される公募等の価格」に改めた。

(注)「ブックビルディング方式」は、機関投資家の意見を基に仮条件を決定し、この仮条件を基に投資家が提示した価格、購入株式数により公開価格を決定する方式である。

2014年7月8日

平成26年分路線価

2014年7月1日に路線価が発表された。

我が香川県は22年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2014年は31万円となっており、7%以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示している。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用いる。
なお、路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を閲覧のこと。
相続税または贈与税の申告に際し、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地の評価をするために、特定路線価の設定の申出が必要となる場合がある。

ちなみに、路線価は、不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分の路線価図等

2014年7月2日

平成26年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)が公表された。

1週間ほど前に、1月及び2月分が公表されたが、なぜ同時の公表でないか疑問ではある。

今回は平成26年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)

2014年6月25日

子の結婚式及び披露宴の費用を親が負担した場合、贈与税の課税対象となるか?

結婚式・披露宴の費用を誰(子(新郎・新婦)、その親(両家))が負担するかは、その結婚式・披露宴の内容、招待客との関係・人数や地域の慣習などによって様々であると考えられるが、それらの事情に応じて、本来費用を負担すべき者それぞれが、その費用を分担している場合には、そもそも贈与には当たらないことから、贈与税の課税対象とならない。

2014年6月24日

数年間分の「生活費」または「教育費」を一括して贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費は、生活費または教育費として必要な 都度直接これらの用に充てるために贈与を受けた財産である。

したがって、数年間分の生活費または教育費を一括して贈与を受けた場合において、その財産が生活費または教育費に充てられずに預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費または教育費に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となる。

(注)
「教育費」については、別途、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(措法第70条の2の2)」が設けられている。

2014年6月19日

平成26年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-21)がようやく公表された。

今回は平成26年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-21)

2014年6月18日

財産評価基本通達の一部改正(法令解釈通達)

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部を下記のとおり改正し、平成26年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとなったので、これによる必要がある。

<趣旨>
最近の立木価格の実態に即して所要の改正を行うものである。

<記>
別表2「主要樹種の森林の立木の標準価額表等」に定める「6 標準伐期にある森林の立木の標準価額表」をリンクのとおり改める。

★リンクはこちら⇒ 財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)

2014年6月5日

平成26年1月~3月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年1月分から3月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに下がっている。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分の基準年利率について(法令解釈通達)

2014年6月3日

平成26年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成26年分の路線価図等の閲覧は、7月1日(火)からを予定している。

  • 路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。
    国税庁ホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等が閲覧できる。
    http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
  • 全国の国税局・税務署でもパソコンにより閲覧できる。
    ただし、混雑時はお待ちいただく場合がある。

2014年5月26日

相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、請求人が訴訟当事者である判決に限られるとした事例

<要旨>
請求人は、共同相続人Eが原告となって提起した、相続財産として申告していた貸付金のうち原告の法定相続分に相当する金員の支払を求める貸金請求訴訟において、当該貸付金の存在を認めることはできないとして原告の請求を棄却する旨の判決(本件判決)が確定し、本件判決は相続税法施行令(平成17年政令第37号による改正前のもの)第8条《更正の請求の対象となる事由》第1号に規定する判決に該当するから、相続税法(平成16年法律第147号による改正前のもの)第32条《更正の請求の特則》第5号の規定に基づいて行った更正の請求を認めるべきである旨主張する。

しかしながら、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号は、判決が確定したことを要件としており、同号に規定する判決は、更正の請求をする者が訴訟当事者である判決に限られるものと解されるところ、相続税法施行令第8条第1号が、平成15年度税制改正により相続税法第32条の更正の請求の特則事由として追加された改正趣旨は、同号の事由が、国税通則法第23条第2項の規定により、期限なしに更正の請求ができる事由であることから、税額の減額には対応できるが、その影響で他の相続人の税額が増加することとなる場合の増額の処分を可能とする規定が国税通則法にはないため、相続税法第32条においてこれを更正の請求の特則事由として特記することにより、相続税法第35条《更正及び決定の特則》第3項の規定による他の相続人に対する増額処分も可能とするためであると解されることからすれば、相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決と同義のものといえるから、更正の請求をする者が訴訟当事者である判決に限られるものと解される。これを本件についてみると、本件判決は、共同相続人Eが提起した貸金請求事件の判決であり、請求人が訴訟当事者ではない判決であるから、請求人にとって相続税法施行令第8条第1号に規定する判決には該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、請求人が訴訟当事者である判決に限られるとした事例

2014年5月23日

請求人らの主張する鑑定評価額は、相続開始日現在の時価を表しているとは認められないことから、財産評価基本通達に定める評価方法により評価することが相当であるとした事例

<要旨>
請求人らは、請求人らの一人が相続により取得した土地(本件土地)について、請求人らの依頼による鑑定評価額(本件鑑定評価額)は、本件相続開始日における本件土地の時価であり、財産評価基本通達(評価通達)による評価額は本件鑑定評価額を上回っているから、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情があるので、本件土地の価額は、本件鑑定評価額に基づき評価すべきである旨主張する。

しかしながら、本件鑑定評価額は、開発法による価格を重視し、比準価格を比較考量して決定されているところ、まる1比準価格及び規準価格の試算において考慮されている減価40%(当該宅地の画地規模が大きいことに伴い市場参加者が限定されることによる減価)の必要性が認められないこと、まる2開発法による価格は上記まる1の減価40%を除いて試算した比準価格及び規準価格と大きく乖離することから、いずれの試算価格も合理性が認められないので、本件鑑定評価額は、本件相続開始日における本件土地の客観的交換価値を表しているとは認められない。したがって、本件土地の価額について、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はないといえるので、本件土地の価額は、評価通達に定められた評価方法により評価すべきである。

 ★リンクはこちら⇒ 請求人らの主張する鑑定評価額は、相続開始日現在の時価を表しているとは認められないことから、財産評価基本通達に定める評価方法により評価することが相当であるとした事例

2014年5月19日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部を別紙1及び別紙2のとおり改正し、別紙1については、平成26年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとし、別紙2については、平成26年10月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとなった。

なお、リンクの別紙1及び2のうち、アンダーラインを付した部分が改正部分である。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2014年5月7日

請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例

<要旨>
請求人は、相続税法第14条《控除すべき債務》第1項に規定する「確実と認められるもの」について、主たる債務者が弁済不能で保証債務の履行が必要であり、保証債務履行後の求償権の行使が不可能であるという条件が相続開始日に現実に存在しているだけでなく、相続開始日における主たる債務者の財産状態や信用能力を客観的に観察した結果、当該条件に該当する事実が潜在的に存在する場合にも、保証債務は同項に規定する「確実と認められるもの」に当たるという解釈を前提に、本件における被相続人(本件被相続人)が代表社員に就任したN社及びQ社(本件各会社)の金融機関からの借入れに係る本件被相続人の各連帯保証債務は、同項に規定する「確実と認められるもの」に当たる旨主張する。

しかしながら、保証債務が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するのは、相続開始時点を基準として、主たる債務者がその債務を弁済することができないため保証人がその債務を履行しなければならない場合で、主たる債務者に求償しても補填を受ける見込みがないことが客観的に認められる場合に限られることからすると、請求人の同項に規定する「確実と認められるもの」の解釈は、保証債務一般の性質を述べるものであって、正当な解釈とはいえない。本件各会社は、本件被相続人の相続開始日において、債務超過の状況にはなく、また、各金融機関に対して弁済条件に従った返済を行っていることなどからすると、本件各会社が債務を弁済することができないため、保証人である本件被相続人がその債務を弁済しなければならい場合であったとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例

2014年4月25日

遺留分減殺請求により、価額弁償金を受領した場合の相続税の課税価格に算入すべき価額は、相続税基本通達11の2-10(2)に定める要件を充足した場合には、同(2)に定める計算方法を準用して評価することが相当であるとした事例

<要旨>
原処分庁は、請求人が提起した遺留分減殺請求訴訟(本件訴訟)の判決(本件確定判決)において、①価額弁償の対象となった不動産(本件分割対象不動産)は特定されているが、②価額弁償金の額は、価額弁償の時ではなく、相続開始日における本件分割対象不動産の通常の取引価額を基に決定されていることから、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)の定めは適用できない旨主張する。
しかしながら、遺留分減殺請求訴訟において、受贈者又は受遺者が遺留分権利者に対し事実審口頭弁論終結前に裁判所が定めた価額により民法第1041条《遺留分権利者に対する価額による弁償》の規定による遺留分の価額の弁償をなすべき旨の意思表示をした場合、相続税法基本通達11の2-10 (2)を準用する際に用いる上記まる2の「価額弁償の時」とは、「事実審口頭弁論終結の時」と解されるところ、本件確定判決において、本件分割対象不動産の価額につき、「この価額は、請求人提出の相続開始日を価格時点とする不動産鑑定評価書等における価額であり、現時点で、同価額と異なる証拠はないことから、同証拠により価額を認定する」旨判示されていることからすると、本件確定判決において認定された「現時点」の価額は、本件訴訟の控訴審の口頭弁論終結の時を基準日とする価額であると認められ、また、その価額は、その基準日における通常の取引価額であると認められる。

そうすると、本件確定判決は、価額弁償の対象となった財産の価額弁償の時における通常の取引価額を基に価額弁償金の金額を決定しているということができるから、相続税基本通達法11の2-10(2)の定めを適用することが相当である。

★リンクはこちら⇒ 遺留分減殺請求により、価額弁償金を受領した場合の相続税の課税価格に算入すべき価額は、相続税基本通達11の2-10(2)に定める要件を充足した場合には、同(2)に定める計算方法を準用して評価することが相当であるとした事例

2014年4月16日

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、どのような財産をいうのか?

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいう。

2014年4月10日

「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正

平成25年6月3日付課評2-24「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)の別紙「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目株価等(平成25年分)」の「A(株価)」欄の12月分については、平成26年1月8日付課評2-3「『平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について』の一部改正について」(法令解釈通達)において定めているところである。

今回、一部の業種目に係る「A(株価)」欄の12月分の金額について誤りがあることが確認されたため、その訂正を行っている(具体的な内容については、平成26年3月17日付課評2-6の一部改正通達をご覧のこと。)。

平成25年12月中に相続または贈与により取引相場のない株式を取得した方については、類似業種比準価額の計算上、①平成25年12月の類似業種の株価、②平成25年11月の類似業種の株価、③平成25年10月の類似業種の株価、④平成24年の類似業種の平均株価(前年平均株価)のうち最も低い株価を類似業種の株価として用いることとなるが、訂正後の平成25年12月の類似業種の株価を基にした場合であっても、121業種目の全てについて、訂正前と同様、平成24年の類似業種の平均株価(前年平均株価)が最も低くなることが確認されたため、今回の改正による影響はない

なお、ご不明な点等があれば、国税庁課税部資産評価企画官審理係まで問い合わせること。

『改正』ではなく、『訂正』のように思いますね。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正

2014年4月3日

「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平成25年6月3日付課評2-24「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)の別紙「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目株価等(平成25年分)」の「A(株価)」欄の12月分については、平成26年1月8日付課評2-3「『平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について』の一部改正について」(法令解釈通達)において定めているところであるが、その金額のうち一部の業種目に対応するものをリンクのとおり改正したから、これによられたい。

★リンクはこちら⇒ 新旧対照表

2014年4月2日

子が居住する賃貸住宅の家賃等を親が負担した場合、贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、通常の日常生活を営むのに必要な費用に該当するかどうかは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲かどうかで判断することとなる。

したがって、子が自らの資力によって居住する賃貸住宅の家賃等を負担し得ないなどの事情を勘案し、社会通念上適当と認められる範囲の家賃等を親が負担している場合には、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月31日

出産に当たって子が親から検査・検診、分娩・入院に要する費用について贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金または損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)も含まれる。
したがって、出産に要する費用で、検査・検診代、分娩・入院費に充てるために贈与を受けた場合には、これらについては治療費に準ずるものであることから、(保険等により補てんされる部分を除き、)贈与税の課税対象とならない。

また、新生児のための寝具、産着等ベビー用品の購入費に充てるため金銭の贈与を受けた場合についても、生まれてくる子供が通常の日常生活を営むのに必要なものの購入費に充てられている部分については、贈与税の課税対象とならない。

(注)
個人から受ける出産祝の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月27日

婚姻に当たって子が親から金品の贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

婚姻に当たって、子が親から婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の通常の日常生活を営むのに必要な家具什器等の贈与を受けた場合、またはそれらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、その全額を家具什器等の購入費用に充てた場合等には、贈与税の課税対象とならない。

なお、贈与を受けた金銭が預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費(家具什器等の購入費用)に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となる。

(注1)
子が親から金品を受け取った場合は、原則として贈与税の課税対象となる。
ただし、扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた財産のうち通常必要と認められるものであり、必要な都度直接生活費に充てるために贈与を受けた財産については、贈与税の課税対象とならない。
(注2)
個人から受ける結婚祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月25日

増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

<照会要旨>
所有する家屋について増改築を行いましたが、家屋の固定資産税評価額が改訂されていないため、その固定資産税評価額が増改築に係る家屋の状況を反映していない。
このような家屋は、どのように評価するのか。

<回答要旨>
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、当該増改築等に係る部分の価額として、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額)に基づき財産評価基本通達89(家屋の評価)または93(貸家の評価)の定めにより評価する。
なお、償却費相当額は、財産評価基本通達89-2(文化財建造物である家屋の評価)の(2)に定める評価方法に準じて、再建築価額から当該価額に0.1を乗じて計算した金額を控除した価額に、その家屋の耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令に規定する耐用年数)のうちに占める経過年数(増改築等の時から課税時期までの期間に相当する年数(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は、1年とする。))の割合を乗じて計算する。

★リンクはこちら⇒ 増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

2014年3月19日

贈与税の課税対象とならない「教育費」には、どのようなものがあるのか?

贈与税の課税対象とならない「教育費」とは、子や孫(被扶養者)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費等をいい、義務教育に係る費用に限らない。

(注)
個人から受ける入学祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月13日

扶養義務者(父母や祖父母)から生活費または教育費の贈与を受けたが贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象とならない。

(注1)
「扶養義務者」とは、以下の者をいう。

 配偶者
 直系血族及び兄弟姉妹
 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
 三親等内の親族で生計を一にする者

なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断する。

(注2)
「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいう。また、治療費や養育費その他これらに準ずるもの(保険金または損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)を含む。

(注3)
「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られない。

2014年3月5日

平成25年10月~12月分の基準年利率

平成26年1月6日付課評2-1「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成25年10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期と長期は変化はないが、中期は下がっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2014年1月24日

平成25年11月、12月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

今回は平成25年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)

2014年1月23日

平成25年分の所得税における未分割遺産から生ずる不動産所得に係る取扱い

平成13年7月に相続が開始した被相続人の遺産について、民法第900条第4号ただし書の規定のうち「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とするとの部分(民法第900条第4号ただし書前段。以下「嫡出に関する規定」という。)を適用して遺産の分割をすべきかが争われていた遺産分割審判に係る特別抗告事件において、最高裁判所は、平成25年9月4日付の最高裁決定において、嫡出に関する規定は「違憲」との判断(以下「違憲決定」という。)をしたところである。
また、民法の一部を改正する法律(平成25年法律第94号。以下「民法改正法」という。)により、嫡出に関する規定が削除されたところである。
標題のことについては、当該違憲決定及び民法改正法を踏まえ、下記のとおり取りまとめられた。
(注)
民法改正法は、平成25年12月11日に公布・施行され、平成25年9月5日以後に開始された相続について適用することとされている。以下、民法改正法による改正前の民法を「旧民法」、改正後の民法を「新民法」という。

  1. 未分割遺産から生ずる不動産所得の収入金額
    未分割遺産から生ずる不動産所得の収入金額については、以下の区分に応じ、それぞれ以下のとおり取り扱う。
    (1)平成25年9月5日以後に開始された相続の場合
    新民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    (2)平成25年9月4日以前に開始された相続の場合
    旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    (3)(2)のうち、平成13年7月から平成25年9月4日までの間に開始された相続の場合
    不動産所得の総収入金額の収入すべき時期に応じ、以下のとおり取り扱う。
    ①その収入すべき時期が平成25年9月4日以前である賃貸料等
    旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    ②その収入すべき時期が平成25年9月5日以後である賃貸料等
    嫡出に関する規定がないものとして旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
  2. 供託された賃貸料等に係る調整
    上記1の(3)の場合において、未分割遺産から生ずる不動産の賃貸料等が供託され、当該供託に係る供託金の全部または一部についての払渡請求が、平成25年9月5日以後に行われたときは、嫡出に関する規定がないものとして旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分により払渡しが行われることとされている(法務省民事局に確認済)。
    このため、その収入すべき時期が平成25年9月4日以前である賃貸料等について供託されている場合には、当該賃貸料等について各相続人が不動産所得の総収入金額に算入した金額の合計額と各相続人に帰属する供託金の額に差額が生じることとなるが、この差額については、平成25年分の不動産所得に係る総収入金額又は必要経費に算入する。

(参考)未分割遺産から生ずる不動産所得の取扱い
相続財産について遺産分割が確定していない場合、その相続財産は各共同相続人の共有に属するものとされ、その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものとされているところ、未分割遺産から生ずる不動産所得については、遺産分割が確定するまでの間は、各相続人にその法定相続分に応じて帰属することとなる。
遺産分割協議が整い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼさない。

2014年1月10日

平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁が、『平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧

2014年1月9日

平成25年分贈与税の申告のしかた

国税庁が、『平成25年分贈与税の申告のしかた』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成25年分贈与税の申告のしかた

2014年1月7日

平成25年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)が公表された。

今回は平成25年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)

2013年12月19日

被相続人の直系卑属である者が養子となっている場合の相続税の2割加算

<照会要旨>
被相続人甲の子Aの子B(甲の孫)が、甲の養子になっている場合、Bは相続税額の加算の規定の対象となる者に該当するか。

<回答要旨>
相続税の加算の対象となるのは、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者とされているが、この「一親等の血族」には、被相続人の直系卑属である者であって、その被相続人の養子となっている者は含まないこととされている(相続税法第18条第2項)。
したがって、Bは、相続税の加算の対象となる。
ただし、甲の子A(Bの親)が甲の相続開始以前に死亡し、または相続権を失ったため、BがAの代襲相続人となっている場合は、Bは、相続税の加算の対象とはならない。

2013年11月28日

平成25年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-39)が公表された。

今回は平成25年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-39)

2013年10月28日

平成25年7月~9月分の基準年利率

平成25年10月3日付課評2-37「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期とも変化はない。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年10月22日

贈与税の申告はe-Taxで(平成25年10月)

国税庁は、HPに『贈与税の申告はe-Taxで(チラシ)(平成25年10月)』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 贈与税の申告はe-Taxで(平成25年10月)(既に削除済み)

2013年10月15日

相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)

平成25年9月4日付最高裁判所の決定(以下「違憲決定」という。)を受け、その趣旨を尊重し、平成25年9月5日以後、申告(期限内申告、期限後申告及び修正申告をいう。)または処分により相続税額を確定する場合(平成13年7月以後に開始された相続に限る。)においては、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とする民法第900条第4号ただし書前段(以下「嫡出に関する規定」という。)がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて相続税額を計算する。

なお、この取扱いに係る留意事項は、以下のとおり。
1.平成25年9月4日以前に相続税額が確定している場合
違憲決定では、嫡出に関する規定についての違憲判断が「確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものでない」旨の判示がなされていることに鑑み、平成25年9月4日以前に、申告または処分(以下「申告等」という。)により相続税額が確定している場合には、嫡出に関する規定を適用した相続分に基づいて相続税額の計算を行っていたとしても、相続税額の是正はできない。
また、嫡出に関する規定を適用した相続分に基づいて、相続税額の計算を行っていることのみでは、更正の請求の事由には当たらない。

2.平成25年9月5日以後に相続税額が確定する場合
(1)平成25年9月4日以前に確定していた相続税額が異動する場合

  • 更正の請求または修正申告の場合
    平成25年9月4日以前に、申告等により相続税額が確定している場合において、同年9月5日以後に、相続人が、財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、更正の請求書(更正の申出書を含む。)(国税通則法第23条)もしくは修正申告書(国税通則法第19条)を提出する場合または相続税法第32条第1項に掲げる事由により更正の請求書もしくは修正申告書(相続税法第31条)を提出するときには、改めて相続税額を確定する必要がある。これらの新たに確定すべき相続税額の計算に当たっては、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、更正の請求または修正申告に係る相続税額を計算する。
  • 更正または決定の場合
    平成25年9月4日以前に、申告等により相続税額が確定している場合において、同年9月5日以後に、税務署長が、財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、更正または決定を行うときには、上記イと同様、新たに確定すべき相続税額の計算に当たっては、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、更正または決定に係る相続税額を計算する。

(2)平成25年9月5日以後に新たに相続税額が確定する場合

  • 期限内申告または期限後申告の場合
    平成25年9月5日以後に、相続税の期限内申告書または期限後申告書を提出する場合には、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、期限内申告または期限後申告に係る相続税額を計算する。
  • 決定の場合
    相続税の申告書を提出する義務があると認められる相続人が、当該申告書を提出していなかったことが明らかとなった場合には、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、決定に係る相続税額を計算する。

★リンクはこちら⇒ 相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)

2013年10月4日

相続税の申告のしかた(平成25年分用)

国税庁は、相続税の申告のしかた(平成25年分用)を公表した。

主な内容は、以下のとおり。

  • 相続税のあらまし
  • 相続税の申告
  • 相続税の納付
  • 相続税の申告書の記載例

リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成25年分用)

2013年8月22日

平成25年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-34)が公表された。

今回は平成25年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-34)

2013年8月20日

中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について

日本公認会計士協会は、平成25年6月4日に開催した常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第27号『中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について』」を公表した。
本研究報告は、平成23年9月20日付けの諮問事項「中小企業の経営者に関係する税制について調査研究されたい。」に対するものである。

平成22年度税制改正において小規模宅地の特例の改正が行われるとともに、平成23年度税制改正大綱において相続税の基礎控除の引下げ、役員報酬の給与所得控除の削減等が盛り込まれるなど課税の強化が図られており、中小企業の経営者を取り巻く課税環境が変化してきている。
このような状況の中、公認会計士は、中小企業経営者の一支援者として、また、税の専門家として、相続税制の知識が必要となってくると考えられる。
本研究報告では、特に中小企業経営者に関連して問題となりやすい相続税制上の問題について、従前の相続税、贈与税の節税の議論ではなく、中小企業の経営者を取り巻く環境の変化を考慮した事業承継に係る様々な論点について検討を行った。
本研究報告が、我が国の中小企業の経営者を取り巻く環境の変化に伴って生じる事業承継に絡んだリスク対応に利用いただけると幸いである。

リンクはこちら⇒ 中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について

2013年7月30日

平成24年度の相続税の物納申請・処理等の状況

国税庁は、『相続税の物納処理状況等(平成3年度から平成24年度)』と『相続税の延納処理状況等(平成3年度から平成24年度)』を公表した。

物納も延納も減少している。

物納のリンクはこちら⇒ 相続税の物納処理状況等(平成3年度から平成24年度)
延納のリンクはこちら⇒ 相続税の延納処理状況等(平成3年度から平成24年度)

2013年7月24日

平成25年4月~6月分の基準年利率

平成25年7月1日付課評2-32「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期とも上昇傾向にある。

リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年7月18日

平成25年分路線価

2013年7月1日に路線価が発表された。

我が香川県は21年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2011年は31万円となっており、7%以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示している。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用いる。
なお、路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を閲覧のこと。
相続税または贈与税の申告に際し、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地の評価をするために、特定路線価の設定の申出が必要となる場合がある。
路線価は、不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

リンクはこちら⇒ 平成25年分路線価図(既に削除済み)

2013年7月2日

平成25年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)が公表された。

半月ほど前に、1月及び2月分が公表されたが、なぜ同時の公表でないか疑問ではある。

今回は平成25年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)

2013年6月27日

平成25年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)がようやく公表された。

今回は平成25年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)

2013年6月14日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正(法令解釈通達)(平成25年5月27日)

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部を改正し、平成25年5月27日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することになったので、今後はこれによる。

大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準について、大会社も、従来の25%以上から50%以上となった。

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年6月7日

財産評価基本通達の一部改正(法令解釈通達)(平成25年5月27日)

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部が以下のとおり改正され、相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することになったので、今後はこれによることになる。

<趣旨>
財産評価基本通達189*10(2)における大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準について東京高等裁判所平成25年2月28日判決があったことを受け、現下の上場会社の株式等の保有状況等に基づき、所要の改正(大会社も、従来の25%以上から50%以上へ)を行うものである。

財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)

2013年6月5日

平成25年1月~3月分の基準年利率

平成25年5月16日付課評2-16「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、1月分から3月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

また、4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

なお、複利も同様である。

平成25年分の基準年利率について(法令解釈通達)

2013年6月3日

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置のQ&A(追加)

2013年4月1日から2015年12月31日までに教育資金を一括贈与した場合に贈与税が非課税措置となることが、平成25年度税制改正で決まったが、文部科学省がQ&Aを追加した(13問⇒28問)。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について

2013年5月20日

仙台国税局管内の平成24年分の評価倍率表の訂正

平成24年7月2日(月)から国税庁ホームページに掲載している平成24年分の路線価図及び評価倍率表のうち、仙台国税局管内の評価倍率表の一部(岩手県・宮城県・福島県の一部)について誤りがあり、訂正されている。

具体的な内容については、路線価図等の正誤表を参照のこと。
仙台国税局管内の平成24年分の評価倍率表の訂正について

2013年5月9日

平成25年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成25年分の路線価図等の閲覧は、平成25年7月1日(月)から予定されている。

路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。国税庁ホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等が閲覧できる。
国税庁ホームページ『路線価図』

また、全国の国税局・税務署でもパソコンにより閲覧できる。

2013年4月25日

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A

所得税法等の一部を改正する法律(平成25年法律第5号)、租税特別措置法施行令の一部を改正する政令(平成25年政令第114号)及び租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成25年財務省令第21号)により、創設された「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」について、国税庁がQ&Aを取りまとめた。

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A

2013年4月23日

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置のQ&A

2013年4月1日から2015年12月31日までに教育資金を一括贈与した場合に贈与税が1500万円まで非課税措置となることが、平成25年度税制改正で決まったが、文部科学省がQ&Aを公表した。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について

2013年4月5日

財産評価基本通達の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施

先日の高裁の判決を受けて、国税庁が財産評価基本通達を改正しようとしている。

パブコメの期間は、2013年4月2日から5月1日である。

<改正の背景>
取引相場のない株式の発行会社の中には、類似業種比準方式における標本会社である上場会社に比べて、資産構成が著しく株式等に偏った会社が見受けられる。このような会社の株式については、一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により適正な株価の算定を行うことが期し難いものと考えられることから、財産評価基本通達では、株式保有割合(評価会社の有する各資産の価額の合計額のうちに占める株式等の価額の合計額の割合)が25%以上である大会社を株式保有特定会社とし、その株式の価額を類似業種比準方式ではなく、原則として純資産価額方式で評価することとしている。
ところで、平成25年2月28日東京高等裁判所判決(以下「高裁判決」という。)において、この株式保有特定会社の株式の価額を原則として純資産価額方式により評価すること自体は合理的であると認められるものの、平成9年の独占禁止法の改正に伴って会社の株式保有に関する状況が、株式保有特定会社に係る評価通達の定めが置かれた平成2年の通達改正時から大きく変化していることなどから、株式保有割合25%という数値は、もはや資産構成が著しく株式等に偏っているとまでは評価できなくなっていたといわざるを得ないと判断された。
このため、現下の上場会社の株式等の保有状況に基づき、通達における大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準(以下「大会社の判定基準」という。)を改正するものである。
(注)
高裁判決においては、株式保有割合に加えて、その企業としての規模や事業の実態等を総合考慮して判断するとしているが、これは、現行の「大会社の判定基準」(25%以上)が合理性を有していたものとはいえないことを前提としているためであり、「大会社の判定基準」が合理性を有するものであれば、企業としての規模や事業の実態等を総合考慮することまでを求めるものではないと解される。

<改正案の概要>
「大会社の判定基準」について、「25%以上」を「50%以上」に改正する。
なお、改正後の通達は、相続税または贈与税について、改正後に納税者の方が申告する場合または税務署長が更正・決定する場合における財産の評価に適用することとする。

2013年4月4日

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-4)が公表された。

平成24年分の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一又は類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年1月23日

平成24年10月~12月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。
なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年1月22日

住宅取得等資金の贈与税の非課税の住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の要件

住宅取得等資金の贈与税の非課税の住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の要件は以下のとおり。

「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地の用に供される土地等または住宅の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得または増改築等」には、その住宅の取得または増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含む。
また、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られる。

(1)新築または取得の場合の要件

  1. 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
  2. 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。
    ①建築後使用されたことのない住宅用の家屋
    ②建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
    (注)耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいう。
    ③建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、耐震基準(耐震等級(構造躯く体の倒壊等防止)1相当以上であること)に適合するものであることにつき、「耐震基準適合証明書」または「住宅性能評価書の写し」により証明がされたもの
    (注)家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したまたは評価されたものに限る。

(2)増改築等の場合の要件

  1. 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
  2. 増改築等の工事が、自己が所有し、かつ、居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて「確認済証の写し」、「検査済証の写し」または「増改築等工事証明書」により証明されたものであること。
  3. 増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上であること。
    (注)増改築等の工事の部分に居住の用以外の用に供される部分がある場合には、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に充てられていなければならない。
    (注)「新築」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において屋根(その骨組みを含む。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれる。また、「増改築等」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において増築または改築部分の屋根(その骨組みを含む。)を有し、既存の家屋と一体となって土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれる。
    なお、「取得」の場合には、これらの状態にあるものが含まれないので、贈与を受けた住宅取得等のための金銭を建売住宅または分譲マンションの取得の対価に充てている場合でも、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその引渡しを受けていなければ、新非課税制度の適用を受けることはできない。

2013年1月15日

住宅取得等資金の贈与税の非課税の受贈者の要件

住宅取得等資金の贈与税の非課税の受贈者の要件は以下のとおり。

  1. 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
    (注)
    贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない方でも、以下のa 及びb に該当する場合は対象となる。
    a 贈与を受けた時に日本国籍を有していること。
    b 受贈者または贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
  2. 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
    (注)
    配偶者の父母(または祖父母)は直系尊属には当たらないが、養子縁組をしている場合は直系尊属に当たる。
  3. 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること(平成24年の贈与については平成4年1月2日以前に生まれた方、平成25年の贈与については平成5年1月2日以前に生まれた方、平成26年の贈与については平成6年1月2日以前に生まれた方となる。)。
  4. 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
  5. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等をすること。
    (注)
    受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれる。)ことにならない場合は、この新非課税制度の適用を受けることはできない。
  6. 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
    (注)
    贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、新非課税制度は適用されず、修正申告が必要となる。
  7. 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある方から住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等をしたものではないこと。
  8. 平成23年分以前の年分において、旧非課税制度(平成22・24年の各税制改正前の「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のことをいう。以下同じ。)の適用を受けたことがないこと。

2012年1月11日

省エネ等住宅

省エネ等住宅とは、省エネ等基準(省エネルギー対策等級4相当であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であることまたは免震建築物であることをいう。)に適合する住宅用の家屋であることにつき、以下のいずれかの証明書などを贈与税の申告書に添付することにより証明がされたものをいう。

  • 住宅性能証明書・建設住宅性能評価書の写し
  1. 新築をした住宅用の家屋
  2. 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
  3. 建築後使用されたことのある住宅用の家屋(注1)
  4. 増改築等をした住宅用の家屋(注2)
  • 長期優良住宅認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書など
  1. 新築をした住宅用の家屋
  2. 建築後使用されたことのない住宅用の家屋(注1)
    建築後使用されたことのある住宅用の家屋の場合は、その取得の日前2年以内または取得の日以降にその証明のための家屋の調査が終了したまたは評価されたものに限る。
    (注2)
    住宅用の家屋の増改築等をした場合に、省エネ等基準に適合させるための工事であることについての証明がされた「増改築等工事証明書」を、「住宅性能証明書」または「建設住宅性能評価書の写し」に代えることができる。
    (注3)
    上記の証明書などの発行については、国土交通省または地方整備局に尋ねること。

2013年1月10日

住宅取得等資金の贈与税の非課税

平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、以下の表の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。

  • 受贈者ごとの非課税限度額
     住宅の種類  平成24年  平成25年  平成26年
     省エネ等住宅  1,500万円  1,200万円  1,000万円
     上記以外の住宅  1,000万円  700万円  500万円

    (注)
    最初に新非課税制度の適用を受けようとする住宅取得等資金の贈与を受けた年分に係る金額が受贈者ごとの非課税限度額となる。
    なお、既に新非課税制度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額となる。

2013年1月9日

平成24年9月、10月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-50)が公表された。

今回は平成24年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-50)

2012年12月20日

平成24年分贈与税の申告のしかた

平成24年分の贈与税の申告の相談及び申告書の受付は、平成25年2月1日(金)から平成25年3月15日(金)までである。
贈与税の申告書は、受贈者の住所地の所轄税務署長に提出しなければならない。
申告書は、郵便や信書便による送付、または税務署の時間外収受箱への投函により、提出することもできる。
これらのことが記載された『平成24 年分贈与税の申告のしかた』が、国税庁のHPに掲載されている。
平成24年分贈与税の申告のしかた

2012年12月19日

遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合は…

相続人の1人に全部の遺産を与える旨の遺言書がある場合に、相続人全員で遺言書の内容と異なった遺産分割をしたときには、受遺者である相続人が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当である。
したがって、各人の相続税の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることとなる。
なお、受遺者である相続人から他の相続人に対して贈与があったものとして贈与税が課されることにはならない。

2012年11月12日

代償分割が行われた場合の相続税の計算は…

代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法である。

1.この場合の相続税の課税価格の計算は、以下のとおりとなる。

  • 代償財産を交付した人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額を控除した金額
  • 代償財産の交付を受けた人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額の合計額

2.この場合の代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した人が他の共同相続人などに対して負担した債務の額の相続開始の時における金額になる。
ただし、代償財産の価額については、以下の場合には、それぞれ以下のとおりとなる。

  • 代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、代償債務の額がその財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されている場合には、その代償債務の額に、代償分割の対象となった財産の相続開始の時における相続税評価額が代償分割の対象となった財産の代償分割の時において通常取引されると認められる価額に占める割合を掛けて求めた価額となる。
  • 共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づいて、上記で説明した方法に準じた方法または他の合理的と認められる方法により代償財産の額を計算して申告する場合には、その申告した額によることが認められる。

2012年11月5日

相続人の中に養子がいる時は…

1.相続税の計算をする場合、以下の4項目については、法定相続人の数を基に行う。

  • 相続税の基礎控除額
  • 生命保険金の非課税限度額
  • 死亡退職金の非課税限度額
  • 相続税の総額の計算

2.これらの計算をするときの法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されている。

  • 被相続人に実の子供がいる場合…一人まで
  • 被相続人に実の子供がいない場合…二人まで
    ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記の養子の数に含めることはできない。

3.なお、以下のいずれかに当てはまる人は、実の子供として取り扱われるので、すべて法定相続人の数に含まれる。

  • 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
  • 被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
  • 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
  • 被相続人の実の子供、養子または直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。
    なお、直系卑属とは子供や孫のことである。

2012年10月31日

平成24年7月、8月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)が公表された。

今回は平成24年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2012年10月26日

相続人の範囲と法定相続分は…

相続人の範囲や法定相続分は、民法で以下のとおり定められている。

(1)相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、以下の順序で配偶者と一緒に相続人になる。

  • 第1順位
    死亡した人の子供
    その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となる。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先する。
  • 第2順位
    死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
    父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先する。
    第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になる。
  • 第3順位
    死亡した人の兄弟姉妹
    その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となる。
    第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になる。
    なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされる。
    また、内縁関係の人は、相続人に含まれない。

(2)法定相続分

  • 配偶者と子供が相続人のケース
    配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
  • 配偶者と直系尊属が相続人のケース
    配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人のケース
    配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分ける。
また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではない。

2012年10月24日

平成24年7月~9月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2012年10月18日

相続財産から控除できる葬式費用

相続税を計算するときは、一定の相続人及び包括受遺者が負担した葬式費用を遺産総額から差し引く。

1.葬式費用となるもの
遺産総額から差し引く葬式費用は、通常以下のようなものである。

  • 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
  • 遺体や遺骨の回送にかかった費用
  • 葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められる。
  • 葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたる。)
  • 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用

2.葬式費用に含まれないもの
以下のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しない。

  • 香典返しのためにかかった費用
  • 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
  • 初七日や法事などのためにかかった費用

2012年10月16日

離婚して財産をあげたら…

夫婦が離婚したとき、相手方の請求に基づいて一方の人が相手方に財産を渡すことを財産分与という。
財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われる。
この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となる。

2012年10月4日

離婚して財産をもらったら…

離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税が課税されることはない。
これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからである。
ただし、以下のいずれかに当てはまる場合には贈与税が課税される。

  • 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
    この場合は、その多過ぎる部分に贈与税が課税される。
  • 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
    この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税が課税される。

分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになる。
したがって、将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになる。

2012年10月3日

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)が公表された。
内容は以下のとおり。

  • 非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例
  1. 特例の要件や申告手続などの流れ
  2. 納税が猶予される相続税などの計算方法
  • 非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例
  1. 特例の要件や申告手続などの流れ
  2. 納税が猶予される贈与税などの計算方法
    (参考)手続書類一覧表

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)

2012年9月5日

平成24年5月、6月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-40)が公表された。

今回は平成24年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-40)

2012年8月24日

相続税法基本通達の一部改正(平成24年)

経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第14号)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成24年法律第16号)等の施行等に伴い、相続税及び贈与税の延納及び物納に関する法令の改正等に係るものについて、所要の整備が行われた。

新旧対照表は、以下のリンクから。
新旧対照表

2012年8月3日

相続税の申告の仕方(平成24年分用)

相続税の申告の仕方(平成24年分用)が作成された。

目次は、以下のとおり。

  • 相続税のあらまし
  • 相続税の申告
  • 相続税の納付
  • 相続税の申告書の記載例

国税庁のHPは、以下のとおり。
相続税の申告の仕方(平成24年分用)   

2012年8月2日

平成24年4月~6月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2012年7月24日

「庭内神し」の敷地等に係る相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の取扱いの変更

「庭内神し(ていないしんし、もしくは、ていないじんし)」の敷地については、「庭内神し」とその敷地とは別個のものであり、相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象とはならないものと取り扱ってきた。
しかし、「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形や、その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合には、その敷地及び附属設備は、その設備と一体の物として相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象となるものとして取り扱うことに改められた。

(注)
「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者または地域住民等の信仰の対象とされているものをいう。

この変更後の取扱いは、既に相続税の申告をされた方であっても、相続した土地の中に変更後の取扱いの対象となるものがある場合には適用がある。

2012年7月18日

平成24年3月、4月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)が公表された。

前回はなぜか平成24年1月および2月分だけであったが、今回は平成24年4月分までの相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-30)

2012年7月10日

平成24年分の路線価図等

本日(7月2日)から閲覧可能となった。

路線価等は販売もされているが、全国の国税庁・税務署でパソコンにより閲覧でき、自宅などからインターネットでも過去3年分の閲覧ができる。

国税庁の路線価図等に関するページは、以下のとおり。
路線価図・評価倍率表

2012年7月2日

平成24年1月~3月分の基準年利率

平成24年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-18)が公表された。

平成24年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
なお、平成24年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

平成24年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-18)

2012年6月29日

平成24年1月、2月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-24)が公表された。

平成24年1月および2月分の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-24)

2012年6月28日

贈与税の電子申告

従来、贈与税については電子申告できなかったが、平成24年分の申告から利用できる。

2012年6月22日

固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

固定資産税評価額が付されていない家屋の評価としては、以下のようなものが考えられる。

  1. 申告書を提出するまでの間に、固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額により評価する。
  2. その家屋の付近にある状況の類似した家屋の固定資産税評価額を基とし、その評価対象である家屋と付近にある類似家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額により評価する。
  3. 付近に類似する家屋がないときは、その家屋の再建築価額から経過年数に応ずる減価償却費累計額おもしくは減価額を控除した価額に70%を乗じた金額によって評価する。

2012年6月11日

負担付贈与

負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいう。例えば、1億円の土地を贈与する際に借入金6千万円も負担させるようなケースである。

個人から負担付贈与を受けた場合は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになる。
この場合の課税価格は、贈与された財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には、一般的に評価額が低いとされる相続税評価額ではなく、その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した価額によることになっていることに留意すべきである。
また、贈与された財産が上記の財産以外のものである場合は、その財産の相続税評価額から負担額を控除した価額となる。

なお、負担付贈与があった場合においてその負担額が第三者の利益に帰すときは、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになる。

2012年6月8日

使用貸借の宅地の評価単位

所有する宅地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には、その全体を1画地の宅地として評価する。また、自己の所有する宅地に隣接する宅地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地と一体として利用している場合であっても、所有する土地のみを1画地の宅地として評価する。
なお、使用貸借に係る使用借権の価額は、零として取り扱い、使用貸借により貸し付けている宅地の価額は自用地価額で評価することに留意が必要である。

2012年6月6日

山林及び山林の上に存する権利の評価

山林の評価は、以下に掲げる区分に従い、それぞれ以下に掲げる方式によって行う。

  1. 純山林及び中間山林(通常の山林と状況を異にするため純山林として評価することを不適当と認めるものに限る。以下同じ。)
    …倍率方式
  2. 市街地山林
    …比準方式または倍率方式
  • 純山林の価額
    その山林の固定資産税評価額に、地勢、土層、林産物の搬出の便等の状況の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
  • 中間山林の価額
    その山林の固定資産税評価額に、地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
  • 市街地山林の価額
    その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額から、その山林を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1㎡当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛りまたは土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その山林の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
    ただし、その市街地山林の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価することができるものとし、その倍率が定められている地域にある市街地山林の価額は、その山林の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
    なお、その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合には、その山林の価額は、近隣の純山林の価額に比準して評価する。

(注1)
「その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は、その付近にある宅地について財産評価基本通達11(評価の方式)に定める方式によって評価した1㎡当たりの価額を基とし、その宅地とその山林との位置、形状等の条件の差を考慮して評価する。
(注2)
「その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合」とは、その山林を本項本文によって評価した場合の価額が近隣の純山林の価額に比準して評価した価額を下回る場合、またはその山林が急傾斜地等であるために宅地造成ができないと認められる場合をいう。

2012年6月5日

三方または四方路線影響加算

三方または四方に路線がある宅地の価額は、財産評価基本通達16≪側方路線影響加算≫及び前項に定める方法を併用して計算したその宅地の価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

2012年6月1日

側方路線価影響加算

正面と側方に路線がある宅地(以下「角地」という。)の価額は、以下の1.及び2.に掲げる価額の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

  1. 正面路線(原則として、前項の定めにより計算した1㎡当たりの価額の高い方の路線をいう。以下同じ。)の路線価に基づき計算した価額
  2. 側方路線(正面路線以外の路線をいう。)の路線価を正面路線の路線価とみなし、その路線価に基づ き計算した価額に付表2「側方路線影響加算率表」 に定める加算率を乗じて計算した価額

2012年5月30日

奥行価格補正

一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

2012年5月29日

特定路線価

路線価地域内において、相続税、贈与税または地価税の課税上、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合には、当該道路を路線とみなして当該宅地を評価するための路線価(以下「特定路線価」という。)を納税義務者からの申出等に基づき設定することができる

特定路線価は、その特定路線価を設定しようとする道路に接続する路線及び当該道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、当該道路の状況、前項に定める地区の別等を考慮して税務署長が評定した1㎡当たりの価額とする。

2012年5月28日

地区

路線価方式により評価する地域(以下「路線価地域」という。)については、宅地の利用状況がおおむね同一と認められる一定の地域ごとに、国税局長が以下に掲げる地区を定めている。
(1)ビル街地区
(2)高度商業地区
(3)繁華街地区
(4)普通商業・併用住宅地区
(5)普通住宅地区
(6)中小工場地区
(7)大工場地区

なお、どれに該当するかについては、路線価図の上の方を見れば把握できる。

2012年5月25日

路線価

路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう。以下同じ。)ごとに設定される。
路線価は、路線に接する宅地で以下に掲げるすべての事項に該当するものについて、売買実例価額、公示価格(地価公示法(昭和44年法律第49号)第6条≪標準地の価格等の公示≫の規定により公示された標準地の価格をいう。以下同じ。)、不動産鑑定士等による鑑 定評価額(不動産鑑定士または不動産鑑定士補が国税局長の委嘱により鑑定評価した価額をいう。以下同じ。)、精通者意見価格等を基として国税局長がその路線ごとに評定した1㎡当たりの価額とする。
(1)その路線のほぼ中央部にあること。
(2)その一連の宅地に共通している地勢にあること。
(3)その路線だけに接していること。
(4)その路線に面している宅地の標準的な間口距離及び奥行距離を有するく形または正方形のものであるこ と。

(注)
(4)の「標準的な間口距離及び奥行距離」には、それぞれ付表1「奥行価格補正率表」に定める補正率(以下「奥行価格補正率」という。)及び付表6「間口狭小補正率表」に定める補正率(以下「間口狭小補正率」という。)がいずれも1.00であり、かつ、付表7「奥行長大補正率表」に定める補正率(以下「奥行長大補正率」という。)の適用を要しないものが該当する。

2012年5月24日

宅地及び宅地の上に存する権利の評価の方式

宅地の評価は、原則として、以下の区分に従い、それぞれ以下に掲げる方式によって行う。

  • 市街地的形態を形成する地域にある宅地…路線価方式
  • 上記以外の宅地…倍率方式

路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫から20-5≪容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価≫までの定めにより計算した金額によって評価する方式をいう。

倍率方式とは、固定資産税評価額(地方税法第381条≪固定資産課税台帳の登録事項≫の規定により土地課税台帳もしくは土地補充課税台帳(同条第8項の規定により土地補充課税台帳とみなされるものを含む。)に登録された基準年度の価格または比準価格をいう。以下この章において同じ。)に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式をいう。

2012年5月23日

間口が狭小な宅地等の評価

以下に掲げる宅地(不整形地及び無道路地を除く。)の価額は、財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫の定めにより計算した1㎡当たりの価額にそれぞれ以下に掲げる補正率表に定める補正率を乗じて求めた価額にこれらの宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。
この場合において、地積が大きいもの等にあっては、近傍の宅地の価額との均衡を考慮し、それぞれの補正率表に定める補正率を適宜修正することができる。

(1)間口が狭小な宅地 付表6「間口狭小補正率表」
(2)奥行が長大な宅地 付表7「奥行長大補正率表」

2012年5月22日

不整形地の評価

不整形地(三角地を含む。以下同じ。)の価額は、以下の(1)から(4)までのいずれかの方法により財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫から18≪三方又は四方路線影響加算≫までの定めによって計算した価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、付表4「地積区分表」に掲げる地区区分及び地積区分に応じた付表5「不整形地補正率表」に定める補正率(以下「不整形地補正率」という。)を乗じて計算した価額により評価する。

(1)不整形地を区分して求めた整形地を基として計算する方法
画像の説明

(2)不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法
画像の説明
(注)ただし、計算上の奥行距離は、不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形または正方形の土地(以下「想定整形地」という。)の奥行距離を限度とする。

(3)不整形地に近似する整形地(以下「近似整形地」という。)を求め、その設定した近似整形地を基として計算する方法
画像の説明
(注)近似整形地は、近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含まれる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように求める((4)において同じ。)。

(4)近似整形地(①)を求め、隣接する整形地(②)と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから、隣接する整形地(②)の価額を差し引いた価額を基として計算する方法
画像の説明

2012年5月21日

無道路地の評価

無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき財産評価基本通達20≪不整形地の評価≫の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する。この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について建築基準法(昭和25年法律第201号)その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(以下「接道義務」という。)に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)とする。

(注)

  • 無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう。
  • 財産評価基本通達20≪不整形地の評価≫の定めにより、付表5「不整形地補正率表」の(注)3の計算をするに当たっては、無道路地が接道義務に基づく最小限度の間口距離を有するものとして間口狭小補正率を適用する。

2012年5月18日

倍率方式

相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要がある。
土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価する。

土地の評価方法には、路線価方式倍率方式がある。

倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法である。
倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額(都税事務所、市区役所または町村役場で確認できる。)に一定の倍率を乗じて計算する。
路線価図及び評価倍率表は、国税庁のホームページで閲覧できる。

なお、平成24年分の路線価図等の閲覧は、7月2日(月)から予定されている。

2012年5月11日

路線価方式

相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要がある。
土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価する。

土地の評価方法には、路線価方式倍率方式がある。

路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法である。

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表示している。
路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算する。

2012年5月10日

平成22年分の相続税の申告の状況について

東日本大震災の影響もあってか、『平成22年分の相続税の申告の状況について』がようやく公表された。
これによると、主なものは以下のとおり。

  • 被相続人数
    …約120万人(平成21年は約114万人)
  • 課税価格
    …10兆4,470億円で、被相続人1人当たり2億1,006万円(平成21年は、それぞれ10兆1,072億円、2億1,765万円)
  • 税額
    …1兆1,754億円で、被相続人1人当たり2,363万円(平成21年は、それぞれ1兆1,618億円、2,502万円)
  • 相続財産の金額の構成比
    …土地48.4%、現預金等23.2%、有価証券12.1%(平成21年はそれぞれ、49.7%、22.3%、12.0%)

2012年5月2日

平成24年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成24年分の路線価図等の閲覧は、7月2日(月)から予定されている。

路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。

国税庁のホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等を見ることができる。リンク先は以下のとおり。
http://www.rosenka.nta.go.jp

また、全国の国税局・税務署でパソコンにより閲覧できる。

2012年4月25日

配当還元方式

配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法である。

算式は、以下のとおり。
(その株式に係る年配当金額÷10%)×(その株式の1株当たりの資本金等の額÷50円)

ここで、その株式に係る年配当金額は、直前期末以前2年間の配当金額÷1株当たりの資本金の額を50円とした場合の発行済株式数となる。
なお、年配当金額が2円50銭未満となる場合は2円50銭となる。

2012年4月19日

併用方式

類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式は、類似業種比準方式と純資産価額方式のそれぞれの方式により評価した価額にそれぞれ一定の割合(Lの割合(類似業種比準価額の割合))を加味して評価額を求める方式をいう。

算式は、以下のとおり。
類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1-L)

Lの割合は、

  • 中の大会社…0.9
  • 中の中会社…0.75
  • 小の中会社…0.6
  • 小会社…0.5
  • 比準要素数1の会社…0.25

2012年4月18日

類似業種比準方式

類似業種比準方式とは、類似業種の平均株価並びに1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産価額の3つの要素を類似業種と比準して計算する方法である。
具体的な計算式は、次のとおり。

A×(b/B+c/C×3+d/D)/5×0.7(大会社の場合。中会社は0.6、小会社は0.5)

A:類似業種の株価
B:類似業種の1株当たりの配当金額
C:類似業種の1株当たりの年利益金額
D:類似業種の1株当たりの純資産価額
b:評価会社の直前期末以前2年間における1株当たりの年配当金額
c:評価会社の直前期末以前1年(または2年)間における1株当たりの年利益金額
d:評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額

なお、A・B・C・Dは国税庁から公表されている。

2012年4月17日

純資産価額方式

純資産価額方式とは、課税時期における純資産を基に計算する評価方法である。
計算方法は以下のとおり。

  • 課税時期における評価会社が所有する各資産を相続税評価額により評価した価額の合計額(総資産価額)から、課税時期における各負債を相続税評価額に基づき評価した金額の合計額(総負債価額)を差し引き、相続税評価額による純資産価額を算定する。
  • 相続税評価額による純資産価額から、帳簿価額の純資産を差し引くことで評価差額を求め、これに42%(平成24年4月から。平成22年10月~平成24年3月は45%)を乗じた金額(評価差額に対する法人税等相当額)を算定する。
  • 相続税評価額による純資産価額から評価差額に対する法人税等相当額を控除して法人税等相当額控除後の純資産価額を計算し、課税時期における発行済株式数で除して1株当たりの純資産の金額を求める。

2012年4月16日

農地の相続税の納税猶予

農業を営んでいた被相続人または特定貸付けを行っていた被相続人から相続人が一定の農地等を相続し、農業を営む場合または特定貸付けを行う場合には、農地等の価額のうち農業投資価格による価額を超える部分に対応する相続税額については、その相続した農地等について相続人が農業を営んでいるまたは特定貸付けを行っている限り、その納税が猶予される。これが、『農業後継者が農地等の相続を受けた場合の納税猶予の特例』と呼ばれるものである。

この場合の農地等納税猶予税額は、以下のいずれかに該当することとなった場合には、その納税が免除される。

  • 特例の適用を受けた相続人が死亡
  • 特例の適用を受けた相続人が、この特例の適用を受けている農地等の全部を贈与税の納税猶予が適用される生前一括贈与
  • 特例の適用を受けた相続人が相続税の申告期限から農業を20年間継続(市街化区域内農地等に対応する農地等納税猶予税額の部分に限る。)

<特例を受けるための要件>
この特例を受けることができるのは、以下の要件に該当する場合である。

a.被相続人の要件
次のいずれかに該当する人

  • 死亡の日まで農業を営んでいた
  • 農地等の生前一括贈与をした
    死亡の日まで受贈者が贈与税の納税猶予または納期限の延長の特例の適用を受けていた場合に限られる。
  • 死亡の日まで相続税の納税猶予の適用を受けていた農業相続人または農地等の生前一括贈与の適用を受けていた受贈者で、障害、疾病などの事由により自己の農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出た
  • 死亡の日まで特定貸付けを行っていた

b.農業相続人の要件
被相続人の相続人で、以下のいずれかに該当する人

  • 相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる
  • 農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受贈者で、特例付加年金または経営移譲年金の支給を受けるためその推定相続人の1人に対し農地等について使用貸借による権利を設定して、農業経営を移譲し、税務署長に届出た
    贈与者の死亡の日後も引き続いてその推定相続人が農業経営を行うものに限る。
  • 農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受贈者で、障害、疾病などの事由により自己の農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出た
    贈与者の死亡後も引き続いて賃借権等の設定による貸付けを行うものに限る。
  • 相続税の申告期限までに特定貸付けを行った

c.特例農地等の要件
以下のいずれかに該当するものであり、相続税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨が記載されたもの。

  • 被相続人が農業の用に供していた農地等で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人が特定貸付けを行っていた農地または採草放牧地で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人が営農困難時貸付け(注)を行っていた農地等で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人から生前一括贈与により取得した農地等で被相続人の死亡の時まで贈与税の納税猶予または納期限の延長の特例の適用を受けていた
  • 相続や遺贈によって財産を取得した人が相続開始の年に被相続人から生前一括贈与を受けていた農地等

2012年3月16日

農地の贈与税の納税猶予

農業を営んでいる人が、農業の用に供している農地の全部並びに採草放牧地及び準農地の一定部分をその農業を引き継ぐ推定相続人の1名に贈与した場合には、その贈与を受けた人(受贈者という。)に課税される贈与税については、その贈与を受けた農地等について受贈者が農業を営んでいる限り、その納税が猶予される制度がある。
これが、『農業後継者が農地等の贈与を受けた場合の納税猶予の特例』と呼ばれるものである。

この制度による納税猶予税額は、受贈者または贈与者のいずれかが死亡した場合には、その納税が免除される。
ただし、贈与者の死亡により農地等納税猶予税額の納税が免除された場合には、特例の適用を受けて納税猶予の対象になっていた農地等(特例農地等という。)は、贈与者から相続したものとみなされて相続税の課税対象となる。

<特例を受けるための要件>
1.贈与者の要件
a 農地等を贈与した日まで引き続き3年以上農業を営んでいた者であること。
b 以下に掲げる場合に該当しない者であること。

  • 贈与をした年の前年以前において、贈与者の農業の用に供していた農地をその者の推定相続人に対し贈与をしている場合であって、その農地が相続時精算課税の適用を受けているとき
  • 贈与をした年において、その贈与以外の贈与により農地及び採草放牧地並びに準農地の贈与をしている場合
  • 過去に、この納税猶予の特例の適用を受ける贈与を行っている場合

2.受贈者の要件
a 贈与者の推定相続人であること。
b 以下の要件に該当するものとして農業委員会が証明した者であること。

  • 贈与により農地等を取得した日における年齢が18歳以上であること
  • 贈与により農地等を取得した日まで引き続き3年以上農業に従事していたこと
  • 贈与により農地及び採草放牧地を取得した後、速やかにその農地及び採草放牧地について農業経営を行うと認められること
    なお、贈与を受けた農地等について、この特例の適用を受ける場合には、その農地等については、相続時精算課税の適用を受けることはできない。

3.特例農地等の要件
以下のすべてに該当するものであり、贈与税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨が記載されたものであること。

  • 贈与者が農業の用に供している農地等であること
  • 贈与者が農業の用に供している農地の全部と採草放牧地及び準農地の面積の3分の2以上であること

    2012年3月15日

農地の評価

財産評価上、農地は以下の4つに分けられる。

  • 純農地
  • 中間農地
  • 市街地周辺農地
  • 市街地農地

それぞれの評価は、以下のとおり。

  • 純農地及び中間農地…倍率方式
    ここで、倍率方式とは、その農地の固定資産税評価額に、国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価する方法をいう。
  • 市街地周辺農地…その農地が市街地農地であるとした場合の価額の80%に相当する金額
  • 市街地農地…宅地比準方式または倍率方式
    ここで、宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の価額からその農地を宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除した金額により評価する方法をいう。

2012年3月14日

住民票

相続時精算課税制度を選択した時に、住民票が添付書類として必要になる。

住民票は市町村などで作成される住民に関する記録である。
住民票に記載されている主なものは、以下のとおり。

  • 氏名
  • 出生の年月日
  • 男女の別
  • 世帯主の氏名、世帯主との続き柄
  • 戸籍の表示
  • 住民となった年月日
  • 住所を定めた年月日
  • 前住所
  • 転出先の住所

2012年3月13日

戸籍謄本と戸籍妙本

相続時精算課税制度を選択した時に、戸籍の謄本または妙本が添付書類として必要になる。

戸籍謄本とは、戸籍原本に記載されている人全部を複写したもので、全部事項証明ともいう。

戸籍抄本とは、戸籍原本から必要とする人の部分だけを複写したもので、個人事項証明ともいう。

2012年3月12日

戸籍の附票

相続時精算課税制度を選択した時に、戸籍の附票が添付書類として必要になる。

戸籍は、市町村などで作成される該当市区町村に本籍がある者の住所履歴に関する記録である。
一方、住民票は住所の異動や世帯の構成、戸籍が出生・死亡・結婚などの身分事項の記録である。
この2つを結びつけるものが戸籍の附票である。
戸籍の附票の記載事項は以下の4つである。

  • 戸籍の表示(=本籍および筆頭者)
  • 氏名
  • 住所
  • 住所を定めた年月日

戸籍の附票は本籍地が管理する記録である。よって、市区町村をまたいで住所が変わったとしても、戸籍が変わっていなければ、1つの戸籍の附票の中にすべての住所履歴が記録される。一方、戸籍が変わった場合、別の戸籍の附票で住所履歴の確認をすることになる。

2012年3月8日

贈与税の納付方法

贈与税の納付方法については、以下の方法がある。

  • 現金で納付 現金に納付書を添えて、金融機関(日本銀行歳入代理店)または住所地等の所轄の税務署の納税窓口で納付する。
  • e-Taxで納付 自宅等からインターネットを利用して納付できる。
  • コンビニで納付 平成20年1月21日から国税をコンビニエンスストアで納付することができる。

一方、一度に多額の納税をすることが難しい場合もあり、そのような方のために延納という納税方法がある。この延納は一定の条件のもとに、5年以内の年賦により納税する方法である。
(1)延納の要件
延納を受けるには、以下の3つのすべてに当てはまることが必要である。

  • 申告による納付税額が10万円を超えていること
  • 金銭で一度に納めることが難しい理由があること
  • 担保を提供すること。ただし、延納税額が50万円未満で延納期間が3年以下の場合、担保は不要。

(2)延納するための手続
延納しようとする贈与税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して所轄税務署長に提出することが必要である。
税務署長は延納申請書に基づいて延納の許可または却下をすることになる。なお、延納できることになった税金には年率6.6%の利子税がかかる。
ただし、平成12年1月1日以後の期間に対応する延納税額にかかる利子税の割合については以下の特例が設けられている。
贈与税の延納利子税の割合について、各分納期間の開始の日の属する月の2ヵ月前の月の末日の日本銀行の定める基準割引率に4%を加算した割合(以下「延納特例基準割合」という。)が7.3%に満たない場合には、その分納期間においては現行の利子税の割合に延納特例基準割合が7.3%に占める割合を乗じて計算した割合(以下「延納特例割合」という。)となる。

2012年3月7日

贈与税の申告期限

贈与税の申告と納税は、原則として、受贈者が、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっている。

贈与税の申告書の提出先は、原則として、受贈者の住所を所轄する税務署である。

2012年3月6日

基準年利率

基準年利率は、著作権や営業権などの財産評価を行う際に使用される利率である。
また、財産評価基本通達4-4によると、日本証券業協会において売買参考統計値が公表される利付国債に係る複利利回りを基に計算した年利率によることとし、その率は、短期(3年未満)、中期(3年以上7年未満)及び長期(7年以上)に区分し、各月ごとに別に定めるものとされている。

この「平成23年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)が国税庁より公表されている。

2012年1月25日

類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

取引相場のない株式評価方法の原則的評価方法の一つに類似業種比準方式がある。
これは、事業内容が類似する上場企業の株価を基に、評価を行う自社の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3要素(比準要素)を比較することで株価を算定する方法である。

この算定に用いる、平成23年度の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等が国税庁より公表されている。

2012年1月24日

相続を放棄した場合の相続開始前3年以内の贈与

相続を放棄して遺産を相続しておらず、かつ、遺贈による財産の取得もない場合、相続税の申告につき、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産を、課税価格に含めなくてよい。

なお、相続時精算課税を適用している場合は、課税価格に含める必要がある。

2011年11月24日

香川県の2010事務年度の相続税の税務調査の調査結果

高松国税局が2011年11月21日に発表した香川県の2010事務年度(2010年7月~2011年6月)の相続税の税務調査の調査結果の特徴は以下のとおり。

  • 申告漏れ件数は、152件(前期比1.3%増)。
  • 申告漏れ総額は、47億円(前期比31.9%増)。6年ぶりの増加。
  • 重加算税を課されたのは、16件、4億円。
  • 現金などの資産を相続したにも関わらず、まったく申告しない無申告事案が増加。
  • 申告漏れで多いのは、現金・預貯金、土地、有価証券。

2011年11月22日

著作権の評価

著作者の別に一括して以下の算式によって計算した金額によって評価する。なお、個々の著作物に係る著作物を評価する場合は、その著作物ごとに計算する。

年平均印税収入の額×0.5×評価倍率

ここで、年平均印税収入の額は、課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。

また、評価倍率は、著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とする。

2011年11月16日

特許権の評価

権利に基づき将来受ける補償金の額の基準割引率による複利現価の額の合計額による。
具体的には、第n年目の補償金年額×n年後の基準年利率による複利原価率を、1年目からn年目まで足したものとなる。

補償金を受ける期間は、課税時期から特許法第67条に規定する特許権の存続期間が終了する時期までの年数の範囲内において推算した年数とする。

なお、実用新案権、意匠権及びそれらの実施権も同様の評価を行う。

2011年11月9日

小規模宅地等の評価減の特例の平成22年改正

平成22年4月1日以後の相続または遺贈から、以下のものが適用されている。

  • 配偶者と別居親族(一定の者に限る)を除き、相続税の申告期限までに所有または事業もしくは居住を継続しないと適用対象とならない。
  • 1つの宅地等につき共同相続があった場合、取得した者ごとに適用要件の判定を行う。
  • 1棟の建物に特定居住用宅地等の要件を満たす部分とそれ以外の部分がある場合、それぞれの用途ごとに適用要件の判定を行う。
  • 特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた1つの宅地等に限られることが明確化された。

2011年10月27日

特別養子縁組

特別養子縁組とは、養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組のことをいう。この場合における養子を特別養子という。

実子として取り扱われ、人数制限からは外れ、「法定相続人の数」に含めることができる。

2011年10月26日

普通養子とは?

養子縁組とは、親子関係にない者を、法律上親子関係があるとすることである。

養子縁組には、以下の2つがある。

  • 普通養子縁組
  • 特別養子縁組

普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を残したまま、養親との親子関係を作る二重の親子関係となる縁組のことをいう。
この場合における養子を普通養子という。

養親の相続権のみならず、実親の相続権もある。

2011年10月25日

養子と相続税

相続税対策として養子縁組をしているケースがある。

例えば、孫を養子とした場合、2割加算となるものの、基礎控除額などの計算上、法定相続人の人数に含まれるため、相続税対策として養子を用いるのであるが、無制限に認められているわけではない。
以下のような制限がある。

  • 被相続人に実子がいる場合…1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合…2人まで

ただし、養子を法定相続人に含めることにより、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、含めることはできない。

2011年10月24日

二世帯住宅における小規模宅地等の特例

  • 構造上区分されていないケース

同居親族に該当するため、居住継続要件および所有継続要件(配偶者を除く。)を満たせば、特例を使うことができる。

  • 構造上区分されているケース

措置法通達69の4-21のなお書きにより、みなし同居親族として申告することを選択できる。
なお、1棟の建物のうち、1つの独立部分に被相続人が居住し、他の独立部分に被相続人の親族が居住し、以下の要件をすべて満たすケースは、その親族は非相続人の同居親族とみなされる。
①その建物1棟全部を被相続人または被相続人の親族が所有していた。
②被相続人の配偶者または被相続人が居住の用に供していた独立部分に共に起居していた親族等がいなかった。
③その親族について、同居親族として申告をした。

2011年10月21日

各独立部分とは?

「各独立部分」については、相続税法上定義はない。

地価税法施行令9条1項1号では「各独立部分」ということばが使われており、地価税法取扱通達7-20で、「建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して住居その他の用途に供することができるものをいい、~」とある。

なお、区分所有権の登記がされているかどうかは考慮しなくてよい。

2011年10月20日

同居親族とは?

同居親族については、租税特別措置法通達69の4-21に定義があり、その家屋で被相続人と共に起居していた親族をいう。

また、1棟の建物が各独立部分に区別されており、被相続人がそのうちの独立部分の1つに居住していた場合には、被相続人が居住の用に供していた独立部分において、被相続人と共に起居していた親族が同居親族となる。

なお、1棟の建物のうち、1つの独立部分に被相続人が居住し、他の独立部分に被相続人の親族が居住し、以下の要件をすべて満たすケースは、その親族は非相続人の同居親族とみなされる。
①その建物1棟全部を被相続人または被相続人の親族が所有していた。
②被相続人の配偶者または被相続人が居住の用に供していた独立部分に共に起居していた親族等がいなかった。
③その親族について、同居親族として申告をした。

2011年10月19日

生計を一とは?

最近、相続税法の改正により改正が予想される生命保険金など、「生計を一」ということが重要になるケースがあるが、相続税法には定義はなく、所基通2-47を判断基準として判定することになると思われる。

財布が一つであることと言われるが、同居は必ずしも必要ではなく、別居していても該当するケースがある。
例えば、お子様が大学生で、親元を離れてアパート等を借りて住んでおり、親からの仕送りによって生活しているようなケースである。

2011年10月18日

相続税法上の行為計算否認規定

法人税法上、以下の3つの行為計算否認規定があり、

①同族会社等の行為計算否認(法人税法132条)
②組織再編成に係る行為計算否認(法人税法132条の2)
③連結法人に係る行為計算否認(法人税法132条の3)

所得税法上も、以下の行為計算否認規定があるが、

同族会社等の行為計算否認(所得税法157条)

相続税法にも、以下の行為計算否認規定がある。

同族会社等の行為計算否認(相続税法64条)

その一方で、財産評価基本通達第6項に、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」とあり、どちらが適用されるのか不明確であると考えられる。

2011年9月14日

贈与税の基礎控除額

一般的に、110万円以下だと無税ということ、つまり贈与税の基礎控除額は110万円ということはよく知られているが、相続税法上は60万円となっている(相法21の5)。

110万円というのは、租税特別措置法に定められているのである(措法70の2の2)。

ちなみに110万円となったのは平成13年からであり、その前は60万円だった。

2011年8月3日

住所

相続税法上、住所の具体的な規定はなく、民法22条の住所(各人の生活の本拠をその者の住所とする。)を借用することになる。

住所が複数ある場合もありうると考えられるが、判例上、民法上の住所は単一である。

2011年7月29日

武富士事件

今年に入って大変興味のある訴訟の判決が出た。2011年2月18日、最高裁の判決により、武富士側が勝訴したのである。

武富士株を保有するオランダ法人の株式を両親から香港に住む子供へ贈与した案件であり、住所が争点となった。

武富士側の勝訴となったものの、残念ながら、判決で住所の具体的な判断は示されていない。

ただし、最近、国側が敗訴する事例が増えているようである。租税法律主義が徹底されてきているということであろう。

2011年7月28日

路線価

2011年7月1日に路線価が発表された。
我が香川県は19年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2011年は37万円となっており、10分の1以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の主要道路に面した1㎡当たりの土地評価額で、相続税や贈与税の評価に用いられ、基準となる標準地点の路線価を定め、周辺の路線価を決定する。
不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

2011年7月4日

カテゴリー
記事

国税通則法

消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、収支内訳書等に過少な記載を行って免税事業者であると装い続けたことは仮装隠蔽行為に該当すると判断した事例

  • ①平成27年1月1日から同年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分
  • ②平成28年1月1日から令和元年12月31日までの消費税及び地方消費税の各決定処分
  • ③平成27年1月1日から令和3年12月31日までの消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • ①一部取消し、②③棄却
  • 令和6年4月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人による継続した収支内訳書等の過少記載行為は、消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図して免税事業者であることを装い続けたものであり、仮装隠蔽行為に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、①請求人による消費税等の認識ある無申告は無申告行為そのものであることや、②何ら根拠のない収入金額及び必要経費の額を収支内訳書に記載することは、過少申告行為そのものであって、隠蔽行為又は仮装行為に該当せず、特段の行動に当たるとも評価できない旨主張する。

しかしながら、請求人は、何ら根拠のない収入金額等を収支内訳書に記載したのではなく、課税期間に係る基準期間の売上げが1,000万円以下となれば、消費税等の申告義務を負わないと認識した上で、平成25年以降比較的長期間にわたって、消費税等の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、故意に事業所得の総収入金額が1,000万円を超えないように所得税等の確定申告書及び収支内訳書に過少な収入金額を記載して原処分庁に提出することで、課税標準等の計算の基礎となるべき事実である、基準期間中における課税資産の譲渡等の対価の額を故意に脱漏し、課税期間において消費税法上の免税事業者であることを装い続け、本件の各課税期間の消費税等の確定申告をしなかったのであるから、かかる行為は隠蔽又は仮装と評価すべき行為であり、単なる無申告行為や過少申告行為そのものと評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、収支内訳書等に過少な記載を行って免税事業者であると装い続けたことは仮装隠蔽行為に該当すると判断した事例

2025年3月10日


他人による確定申告書の作成・提出について、国税通則法第24条の「納税申告書の提出があった場合」に該当するとした事例

  • 平成28年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年4月15日裁決

<ポイント>
本件は、納税義務者以外の者による納税申告について、納税義務者が明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないものの、納税義務者が、当該納税申告について追認していると認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人名義の納税申告書は、他人が成りすまして提出されたものであり、当該納税申告は無効であるため、国税通則法第24条《更正》に規定する納税申告書を提出した場合に該当しない旨主張する。

しかしながら、納税義務者以外の者が申告書を作成及び提出した場合であっても、その者が納税義務者から明示又は黙示に当該申告行為をする権限を与えられている場合や、納税義務者が当該申告行為を追認した場合は、その納税申告は有効となると解されるところ、請求人は、明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないが、権限なくされた他人による当該納税申告を当該納税申告書が提出された後に追認したと認められるから、当該納税申告は有効となり、当該納税申告書の提出は、同条の納税申告書を提出した場合に該当する。

★リンクはこちら⇒ 他人による確定申告書の作成・提出について、国税通則法第24条の「納税申告書の提出があった場合」に該当するとした事例

2025年3月6日


請求人は、会計伝票等を捨てることで、故意に真実の本件各年分の本件事業に係る売上金額及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の本件各課税期間に係る課税売上高を隠匿したといえるとして、国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとした事例

  • 平成27年分から令和3年分までの所得税及び復興特別所得税並びに平成27年課税期間から令和3年課税期間までの消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、無申告加算税に代えて課される重加算税の課税等要件に係る主観的要件について、法令解釈の上、具体的にその該当性に係る事実認定をしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人には税務に関する相応の知識がなく、事業に係る売上金額は概算で把握していたにとどまり、本件事業に利益があったとは認識しておらず、帳簿書類等を作成せず、各会計伝票、感染拡大防止対策協力金に係る支払決定通知書及び事業に関する支払に係る領収書等(各会計伝票等)を保存せずに廃棄していたのは、ひとえに請求人の無知が招いた結果であり、意図的に申告をしなかったのではないから、請求人には国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第68条《重加算税》第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、青色申告に係る帳簿の備付け、記録及び保存をしていなかった上、各会計伝票等を保管することなく全て捨てることで、各年分の事業に係る売上金額(雑収入を含む。)及び必要経費の金額を不明にしていたところ、請求人自身、当該各会計伝票等を捨てることで、各年分の事業に係る売上金額及び必要経費の金額を不明になることを認識していたといえるから、故意に真実の各年分の事業に係る売上金額(雑収入を含む。)及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の各課税期間に係る課税売上高を隠匿したというべきであり、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと認められる。

★リンクはこちら⇒ 請求人は、会計伝票等を捨てることで、故意に真実の本件各年分の本件事業に係る売上金額及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の本件各課税期間に係る課税売上高を隠匿したといえるとして、国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとした事例

2025年2月19日


請求人の従業員が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為は、事実の仮装に該当するところ、当該従業員の行為は、請求人の行為と同視でき、重加算税の賦課要件を満たすとした事例

  • 令和2年4月1日から令和3年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年1月10日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の従業員がした仮装行為について、同従業員の地位・権限は一使用人として限定されたものであったが、同行為は、請求人から付与された権限の範囲内において行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であったと認められ、また、請求人における管理・監督体制が十分であったとは認められないことからすれば、請求人の行為と同視できるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人の従業員(本件従業員)が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為(本件行為)は、事実の仮装に該当するが、①本件従業員は、請求人の一使用人として限定的な地位・権限を有していたにすぎないこと、②本件行為は、本件従業員の独断的な不正行為であったこと、③請求人は、本件従業員に対して一定の管理・監督を行っていたことなどから、本件行為を請求人の行為と同視することはできない旨主張する。

しかしながら、本件従業員の地位・権限は一使用人として限定されたもので、また、本件従業員による本件行為は、本件従業員が自身の業務負荷の増大を避けるための独断的な行為ではあるものの、本件行為は、請求人から付与された権限の範囲内において行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であったと認められ、また、請求人における管理・監督体制が十分であったとは認められない。

以上の点を総合考慮すれば、本件行為を納税者たる請求人の行為と同視することができると判断するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 請求人の従業員が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為は、事実の仮装に該当するところ、当該従業員の行為は、請求人の行為と同視でき、重加算税の賦課要件を満たすとした事例

2025年2月18日


財産債務調書に、有価証券の種類別にまとめて用途、所在等が記載され、その銘柄及び数量等の記載がない場合は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となるとした事例

  • ①令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②過少申告加算税の変更決定処分
  • ①却下及び棄却、②却下
  • 令和6年2月7日裁決

<ポイント>
本事例は、財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加算税の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当するか否かの判断は財産債務調書の記載自体から行うべきであり、財産債務調書以外の書類の記載や調査の際に確認できる事項を加味してこれを判断すべきではないとしたものである。

<要旨>
請求人は、修正申告(本件修正申告)の基因となった有価証券(本件有価証券)について、①請求人が提出した財産債務調書(本件財産債務調書)に本件有価証券の銘柄の記載はないものの、種類別、用途別、所在別に記載され、財産の価額も一括で記載されていること、②本件財産債務調書に一括で記載されている価額と証券会社が発行した残高報告書に記載されている残高が一致するため本件有価証券を容易に特定できること、③令和4年法律第4号による改正前の内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項第2号に規定する重要なものの記載が不十分であると認められる場合に該当するか否かは、調査の際に、銘柄ごとの区分ができ、残高が一致することが確認できればいいことなどから、本件修正申告による過少申告加算税の計算において、同項の規定による加重措置は適用されず、むしろ同条第1項の規定による軽減措置が適用される旨主張する。

しかしながら、加算税の加重措置及び軽減措置の適用の可否の判断は、財産債務調書の記載内容自体から行うべきであるところ、本件財産債務調書には、本件有価証券の銘柄及び数量の記載がないため、本件財産債務調書の記載内容からは本件有価証券を特定することは困難であると認められる。

したがって、本件財産債務調書の記載は同号に規定する重要なものの記載が不十分であると認められる場合に該当し、過少申告加算税の計算において加重措置が適用され、軽減措置は適用されない。

★リンクはこちら⇒ 財産債務調書に、有価証券の種類別にまとめて用途、所在等が記載され、その銘柄及び数量等の記載がない場合は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となるとした事例

2025年2月17日


各更正通知書に添付された各別表から算出される金額と当該各更正通知書に記載された金額とが不一致である場合において理由の提示に不備があると判断した事例

  • 平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで、平成30年12月1日から令和元年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和5年12月15日裁決

<ポイント>
本事例は、各更正通知書に添付された各別表から算出される控除対象仕入税額の減少額と当該各更正通知書に記載された控除対象仕入税額の減少額とが不一致である場合において、当該各別表に記載のどの部分が課税仕入れと認められなかったのかが判別できないことから、理由の提示に不備があると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、各更正通知書に記載された処分の理由には不利益処分の根幹部分をなす事実関係が明示されており、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文の法の趣旨に反するものではないから、各更正処分の理由の提示に不備はない旨主張する。

しかしながら、当該各更正通知書に添付された各別表に記載された金額から算出される控除対象仕入税額の減少額と当該各更正通知書に記載された控除対象仕入税額の減少額とは一致しておらず(本件不一致)、本件不一致は当該各別表中の一部の取引について原処分庁が請求人の仕入税額控除の対象と認めた金額(本件差額)があるために生じたものであるところ、当該各更正通知書に、本件差額に係る記載がないことにより、当該各別表を含む当該各更正通知書の記載だけでは、請求人において本件差額の存在さえ知ることができず、また、当該各別表に記載のどの部分が課税仕入れとして認められなかったのか判別することもできないため、不服の有無を判断することができない。

そうすると、当該各更正通知書は、各更正処分の全体について、原処分庁の判断過程を逐一検証し得る程度の更正の理由の記載があるとは認められず、原処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という趣旨目的を充足する程度に具体的に更正の根拠を明示したものと評価することはできないから、当該各更正処分は、その理由の提示に不備があり、違法である。

★リンクはこちら ⇒ 各更正通知書に添付された各別表から算出される金額と当該各更正通知書に記載された金額とが不一致である場合において理由の提示に不備があると判断した事例

2024年8月30日


請求人がした修正申告書の提出は、通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)の「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査通知がある前に行われたもの」に該当しないとした事例

  • 平成29年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、いわゆる更正の予知の判断枠組みにつき「税務職員がその申告に係る国税についての調査に着手してその申告が不適正であることを発見するに足るかあるいはその端緒となる資料を発見し、これによりその後の調査が進行し先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達した後に、納税者がやがて更正に至るべきことを認識した上で修正申告を決意し修正申告書を提出したものでない」か否かにより判断するとした上で、その該当性については、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断すべきとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁所属の調査担当職員(本件調査担当者)が、請求人に対して、調査又は行政指導の行為のいずれの事務として行うかを明示していないから、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「調査」があったとはいえないため、修正申告書(本件修正申告書)の提出が、同項に規定する「その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件調査担当者は、請求人が勤務する法人の親会社から受けたインセンティブ報酬(本件報酬)が記載された資料の内容と請求人の確定申告書の記載内容とを比較検討することにより、本件報酬に係る給与所得の申告金額が計上されていないことをあらかじめ確認した上で、請求人に本件報酬を確認する旨の電話連絡(本件電話)をしたと推認され、これらの行為は本件調査担当者の課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程であると認められるから、同項に規定する「調査」があった場合に該当すると認められる。

そして、調査の内容・進捗状況、調査の内容・進捗状況に関する請求人の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性に係る各事情からすれば、修正申告の時点において、本件調査担当者による調査は、その後の調査が進行し確定申告が本件報酬を計上しない不適正なものであることが発覚し更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達していたというべきであり、また、請求人は、本件電話を受けてから税理士に依頼し、修正申告していることから、やがて更正に至るべきことを認識した上で修正申告を決意し修正申告書を提出したものと認められる。

したがって、本件修正申告書の提出は、「調査があつたことにより更正があるべきことを予知してされたものではない場合」に該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人がした修正申告書の提出は、通則法第65条第5項(令和4年法律第4号による改正前のもの)の「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査通知がある前に行われたもの」に該当しないとした事例

2024年8月28日


国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容により判断すべきとした事例

  • 令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • 令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、確定申告書の内容等から国外財産調書又は財産債務調書に記載すべき財産が特定できる場合であっても、納税者が提出した国外財産調書又は財産債務調書の記載内容から当該財産の特定が困難なときは、国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例による加重措置が適用されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人がした修正申告(本件修正申告)の基因となった財産(本件財産)から生ずる所得について確定申告をしていたことや、原処分庁所属の調査担当職員から本件財産について確認があったことなどからすると、本件財産は既に特定済みであるため、本件修正申告による過少申告加算税は、令和4年法律第4号による改正前の内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第3項又は第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定(加算税加重措置)により加算税の額が加算されることとなる国外財産調書又は財産債務調書に記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分である場合には該当しない旨主張する。

しかしながら、加算税加重措置の適用の可否の判断は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容から行うべきであるところ、請求人が提出したこれらの調書には本件財産に係る記載事項に誤りや記載漏れがあり、その記載内容からは本件財産の特定が困難であると認められる。

したがって、当該記載内容は、国送法第6条第3項第2号又は第6条の3第2項第2号に規定する「記載すべき事項のうち重要なものの記載が不十分である」ものと認められるから、修正申告に係る過少申告加算税について加算税加重措置が適用される。

★リンクはこちら ⇒ 国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容により判断すべきとした事例

2024年8月26日


請求人が、工事代金の一部が申告漏れとなったことについて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 令和2年1月1日から令和3年12月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 令和2年1月1日から令和3年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和5年12月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の取締役が、申告漏れとなっていた現金での受領に係る工事代金について、領収証を故意又は過失により発行しなかったか、その控えを故意又は過失により破棄したものと認められるものの、故意に領収証を発行しなかったこと、あるいはその控えを故意に破棄したことなどにより、故意に帳簿に記載しなかったことを裏付ける証拠はないとして、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽」に該当するとは認められない旨判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が現金で受領した工事代金(本件工事代金)について、請求人の取締役が請求人に帰属する金員と認識して受領した上で帳簿に記載せず、個人的に費消したと認められ、請求人も修正申告において取締役に対する役員賞与を支出したとして追認していることから、これらの行為は故意であり、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が領収証の控えが存在しながら帳簿に記載しなかったことをうかがわせる証拠はないことから、本件工事代金が帳簿に記載されていなかったのは、請求人が本件工事代金に係る領収証を故意又は過失により発行しなかったか、その控えを故意又は過失により破棄したものと認められるところ、取締役の申立てからは過失により本件工事代金に係る領収証を発行しなかった事実は認められるものの、故意に領収証を発行しなかったこと、あるいは、領収証の控えを故意に破棄したことなどにより、故意に帳簿に記載しなかったことを裏付ける証拠は見当たらない。

また、取締役が本件工事代金を個人的に費消したと取り扱われても仕方ない旨申し立てたことや、請求人が本件工事代金相当額を修正申告で役員賞与の取扱いをしたことは認められるものの、取締役が自らの所持金と混同するなどにより本件工事代金を個人的に費消した可能性を否定できず、請求人に帰属する金員と認識した上で個人的に費消したと認める証拠もない。そうすると、請求人が課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が、工事代金の一部が申告漏れとなったことについて、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、隠匿あるいは故意に脱漏したとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2024年8月22日


請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分について、請求人が青色申請を期限までにすることができなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにもかかわらずされたものだから、同取消処分が適法とした事例

  • 災害による申告、納付等の期限延長申請の承認取消処分
  • 棄却
  • 令和5年11月15日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が先にした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請についての承認処分について、当該延長承認の要件を満たさないことから、職権で取り消したことが適法と判断したものである。

<要旨>
請求人は、「新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で提出が遅れました」と記載した青色申告承認申請書(本件青色申請書)の提出が提出期限後となったのは、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言や自治体の外出自粛要請を受けて外出自粛等をしていたためであり、これらの事情は、国税通則法第11条《災害等による期限の延長》に規定する「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」に該当するから、原処分庁が、上記記載による同申請書の提出期限の延長申請に係る承認(本件延長承認)を後日取り消した処分(本件取消処分)は違法である旨主張する。

しかしながら、本件取消処分の適否を判断するに当たっては、本件延長承認がされた時点における事情に照らし、本件延長承認に違法等が認められるか否かを審理判断すべきであり、具体的には、本件延長承認が国税通則法第11条に適合するものであったか否かを検討すべきであるところ、本件青色申請書の提出が提出期限後になったのは、提出期限後になって特別償却の適用を受けるために青色申告の承認を受けようとしたという理由によるものであり、新型コロナウイルスの感染拡大を理由とするものではないから、「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分について、請求人が青色申請を期限までにすることができなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにもかかわらずされたものだから、同取消処分が適法とした事例

2024年8月20日


給与を返還した場合には源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するとした事例

  • ①平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する理由なし通知処分
  • ②平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する理由なし通知処分
  • ①一部取消し
  • ②棄却
  • 令和5年4月12日裁決

<ポイント>
本事例は、給与の返還に伴って源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額が減少した場合には、その減少後の正当に徴収された又はされるべき所得税等の額を超える金額を算出所得税額から控除し、又は還付を受けることはできないとしたものである。

<要旨>
請求人は、役員給与につき源泉徴収された所得税等(本件各源泉所得税)について、当該役員給与を一部返還したことにより過大となったにもかかわらず、源泉徴収義務者が源泉徴収税額の精算をしない場合には、源泉徴収義務者が請求人に役員給与を支払う際に徴収した源泉所得税を国は収納し利益を得ているのであるから、所得税法(平成31年法律第6号による改正前のもの)第120条《確定所得申告》第1項第5号の「源泉徴収された又はされるべき所得税の額」は、実際に源泉徴収された所得税等の額と解するのが相当であり、請求人は、本件の各更正の請求により本件各源泉所得税の額の還付を受けることができる旨主張する。

しかしながら、同号にいう「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」とは、所得税法の源泉徴収の規定に基づき正当に徴収をされた又はされるべき所得税等の額を意味するものであり、役員給与が減額された以上、源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するのであるから、請求人が主張する事情があったとしても、請求人は、本件の各更正の請求において、本件各源泉所得税の額のうち、「正当に徴収された又はされるべき所得税等の額」を超える金額を算出所得税額から控除し、又は還付を受けることはできない。

なお、原処分庁は、請求人の源泉徴収による所得税等の額は原処分庁ではなく源泉徴収義務者が再計算すべきものであり、また、請求人は源泉徴収義務者が発行した訂正後の源泉徴収票又はこれに代わる書類を提出していないから、源泉徴収義務者によって再計算された請求人の給与所得に係る源泉徴収された所得税等の額や所得控除の額を確認することができない旨主張する。

しかしながら、所得税法第120条第1項第5号の「正当に徴収された又はされるべき所得税等の額」の意味を踏まえると、請求人が本件の各更正の請求に関して提出した資料から正当に徴収されるべき所得税等の額が計算できる場合には、その計算をした所得税等の額を基に確定申告書に記載された納付すべき税額が過大となっているか否かを判断することが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 給与を返還した場合には源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するとした事例

2024年3月25日


実地の調査に係る手続に原処分を取り消すべき違法又は不当は認められないとした事例

  • ①平成26年分から令和2年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成26年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成31年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ①②③棄却
  • 令和5年5月18日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が、その保有する情報及び請求人の確定申告書の記載内容から売上除外を想定し、原始記録及び帳簿書類等の保全のために国税通則法第74条の10《事前通知を要しない場合》に規定する事前通知を要しない場合に該当すると判断したことに、裁量権の逸脱又はその濫用は認められないことから、違法又は不当はないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が国税通則法第74条の10《事前通知を要しない場合》に規定する要件に該当しないにもかかわらず、請求人に対して無予告無通知で調査を行ったことから、原処分を取り消すべき違法又は不当がある旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、把握していた情報及び請求人の確定申告書の記載内容から売上除外等が想定され、事前通知をすることで請求人が売上げに係る原始記録及び帳簿書類等を破棄するなど不正取引の把握を困難にするおそれがあると認められたため事前通知を要しない場合に該当すると判断したものであり、その判断に全く事実に基づかず明白に合理性に欠けるなど裁量権の範囲を超え、又はその濫用があったとは認められないことから、事前通知をしなかったことに違法又は不当はない。

また、請求人は、請求人から国税通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定する調査結果の内容の説明(調査結果説明)を受けることについての同意を受けた代理人税理士(本件税理士)に調査結果説明を行えなかったのであれば、原処分庁は、他の代理人税理士に調査結果説明をすべきであり、調査結果説明がないまま行われた原処分には取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、本件税理士に対して相当の回数、調査結果説明をするために連絡を試みており、本件税理士がこれに応じなかったことは、その機会を自ら放棄したものと認められることから、調査結果説明がなかったことについて、原処分の取消事由となる違法があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 実地の調査に係る手続に原処分を取り消すべき違法又は不当は認められないとした事例

2024年3月21日


請求人が、インターネット販売に係る売上げを隠蔽し又は売上げが請求人に帰属しないかのごとく取引名義を仮装したとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成28年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ④平成28年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ①③全部取消し、②④一部取消し
  • 令和5年1月27日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、インターネット販売の出品者プロフィール画面に実在しない会社名や親族の名前を記載していたものの、請求人自身がネット販売を行っていることを示す行動をし、商品の仕入れにおいて請求人の実名で取引を行っていたことなどから、国税通則法第68条第2項に規定する隠蔽又は仮装の事実があったとは認められない旨判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、インターネット販売(本件ネット販売)において、出品者プロフィール画面に実在しない会社名や親族の名前を記載するなどして、取引名義を仮装することにより、本件ネット販売を行っていた事実を隠蔽した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、出品者プロフィール画面に請求人の携帯電話番号を表示するなど顧客に対して、請求人自身が本件ネット販売を行っていることを示す行動をしていること、商品の仕入れや売上代金の回収において、一貫して、請求人の実名で取引を行い、請求人名義の口座を用いていたことからすると、商品の出品の段階において、請求人の親族の氏名などを記載していたことをもって、直ちに請求人が本件ネット販売を行っていることを隠したなどと評価することはできない。

そうすると、請求人は、商品の仕入れから売上代金の回収までの本件ネット販売における取引の各段階において、本件ネット販売の取引上の名義に関し、あたかも請求人以外の者が取引を行っていたかのごとく装い、故意に事実をわい曲するなどの仮装行為を行っていた又は請求人に帰属する本件ネット販売の売上げを秘匿する等の隠蔽行為を行っていたとは認めることはできないから、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が、インターネット販売に係る売上げを隠蔽し又は売上げが請求人に帰属しないかのごとく取引名義を仮装したとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年12月22日


請求人が不動産の売買取引及び不動産の売買の仲介取引に関し、各取引の存在を把握し当該所得金額等も含め申告すべきことを認識しながら、これを申告しないことを意図し、これらを除外した収支内訳書の下書を作成して、それを提示して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどから、隠蔽又は仮装が認められるとした事例

  • 平成29年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成29年1月1日から令和2年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年2月8日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、一部の取引に係る所得金額等を申告すべきことを認識しながら、意図的にこれを除外した収支内訳書の下書を作成して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどの諸事情から、国税通則法第68条第1項及び第2項に規定の事実の隠蔽又は仮装が認められるとして、同条該当性を認めたものである。

<要旨>
請求人は、主たる業務である不動産賃貸の仲介の収支を管理する業績管理表実績と題する表(本件業績管理表)は、請求人の事業全部に係る帳簿書類ではないことから、同表に不動産の売買取引(本件売買取引)及び不動産の売買仲介取引(本件売買仲介取引)に関する記載がないとしても内容虚偽の帳簿書類の作成に当たらず、これらの取引の申告をしないことを意図したものではないから、国税通則法(通則法)第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する事実の隠蔽又は仮装に当たらない旨、また、これらの取引の申告をしない意図をうかがい得る特段の行動もしていない旨主張する。

しかしながら、本件売買取引に関しては、請求人は、同取引の帳簿書類たる売買計算表を作成して利益を把握しており、同表により算出した本件各売買取引に係る所得金額等も含めて申告すべきであると知りながら、これを申告しないことを意図して、本件業績管理表のみに基づいて、本件売買取引に係る収入金額等を除外した内容虚偽の収支内訳書の下書を作成し、税務署での申告相談に、本件売買取引に係る書類を一切持参せず、対応した職員に同下書を提示して相談した上で、その結果に基づいて、所得金額等を意図的に過少に記載して確定申告をしたと認められるから、通則法第68条各項に規定する隠蔽又は仮装が認められる。

また、本件売買仲介取引に関しては、請求人は、仲介手数料収入についての申告の必要性を認識していたと推認できること、本件売買仲介取引に関する収支の記録が存在しないのは、本件売買仲介取引に係る所得金額等を申告する意図がなかったことに起因すると認められること、前記申告相談の際に、対応した職員に対し、本件売買仲介取引に係る所得について何も明らかにしていないこと、調査の当初の言動は、本件売買仲介取引を隠蔽する意図に基づくものと推認できることからすると、当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったと認められ、同各項に規定する隠蔽又は仮装が認められる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が不動産の売買取引及び不動産の売買の仲介取引に関し、各取引の存在を把握し当該所得金額等も含め申告すべきことを認識しながら、これを申告しないことを意図し、これらを除外した収支内訳書の下書を作成して、それを提示して税務相談し、その結果に基づき確定申告をしたことなどから、隠蔽又は仮装が認められるとした事例

2023年12月21日


特定記録郵便により発送された処分に係る通知書は、配達完了の記録がされた日に納税者がその通知書を了知し得る客観的状態になり、送達されたものとなるとした事例

  • 令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 却下
  • 令和5年2月22日裁決

<ポイント>
本事例は、処分に係る通知書が特定記録郵便により発送された場合には、その通知書は、その配達が完了した旨が記録された日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価でき、同日に送達されたと認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分に係る通知書(本件通知書)を受け取った日からすれば、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間内にされたものである旨主張する。

しかしながら、本件通知書は、特定記録郵便により請求人の住所に発送されているところ、本件通知書が返戻された事実はなく、当審判所の調査の結果によっても本件通知書が誤配達されたこと等をうかがわせる証拠は見当たらないことからすると、その配達が完了した旨が記録された日に送達を受けるべき請求人の住所に設置された郵便受箱に配達されたと認められ、同日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価できるから、本件通知書は、同日に請求人に送達されたと認められる。

そうすると、本審査請求は、本件通知書が送達された日の翌日から起算して3月を経過した後にされたものであり、また、請求人が法定の不服申立期間内に本審査請求をしなかったことについて、国税通則法第77条《不服申立期間》第1項ただし書に規定する正当な理由があるといえる事情は認められないから、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間を経過した後にされた不適法なものである。

★リンクはこちら ⇒ 特定記録郵便により発送された処分に係る通知書は、配達完了の記録がされた日に納税者がその通知書を了知し得る客観的状態になり、送達されたものとなるとした事例

2023年12月20日


法律の規定に不備がある旨の主張は採用できないとした事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和4年11月2日裁決

<ポイント>
本事例は、先物取引等の全取引期間における損益の通算を認めないなどの現行の法律の規定には不備がある旨の請求人の主張は採用できないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分について、国税に関する法律に基づいて実施された処分であることを認める一方、先物取引や株式の譲渡取引の各損益が、各取引を実施した全ての期間の損益を通算してそれぞれ赤字となる場合には、先物取引の差金等決済に係る損失や上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除が認められる3年を超える期間であっても通算をそれぞれ認めるべきであり、また、先物取引の損益と株式譲渡の損益の間でも通算を認めるべきであるから、このような取扱いのない現行の法律には不備がある旨主張する。

しかしながら、審判所は、原処分庁が行った処分が違法又は不当なものであるか否かを判断する機関であって、その処分の基となった法令自体の適否又は合理性を判断することはその権限に属さないことであるので、請求人が主張する点については、当審判所の審理の限りではない。

★リンクはこちら ⇒ 法律の規定に不備がある旨の主張は採用できないとした事例

2023年12月6日


請求人が法定申告期限までに申告書を提出しなかったことについて、仮装又は隠蔽に該当する事実はなかったとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年9月9日裁決

<ポイント>
本事例は、土地と建物が一括して売買され、当該売買契約において定められた土地及び建物それぞれの価額がその客観的な価値と比較して著しく不合理なものである場合には、所得税法施行令第126条第1項第1号イにいう「当該資産の購入の代価」は、合理的な基準により算定するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、土地及び建物を一括で3物件(本件3物件)買い受けて貸付けの用に供したところ、各売買契約書に記載された土地及び建物の各価額(本件各内訳価額)は第三者間での相対の商取引において合意された価額であって合理的な価額といえるから、当該各建物に係る所得税法施行令第126条《減価償却資産の取得価額》第1項に規定する「当該資産の購入の代価」は、本件各内訳価額に基づいて算定すべきである旨主張する。

しかしながら、固定資産税評価額は一般的に適切な時価を反映しているといえるところ、本件3物件の各売買代金総額は各固定資産税評価額総額を上回るのに対し、各建物価額はその固定資産税評価額を大きく上回る一方、各土地価額はその固定資産税評価額と同様か又は下回っている。

本件においてそのような評価とすべき事情は見当たらず、本件各内訳価額に係る各建物価額は、各売買代金総額から過剰に価額が配分されたものというべきであり、客観的な価値と比較して著しく不合理なものである。

そして、売主が土地及び建物を一括して譲渡する場合、建物の購入の代価について、売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額の価額比によりそれぞれあん分して算定することは、一般的には合理的な基準による算定であるといえるところ、本件各内訳価額に係る各建物価額についてはいずれも上記の不合理な場合に該当し、また、本件3物件の各固定資産税評価額が適正な時価を反映しているとはいえないような事情もないから、本件3物件に係る各建物の購入の代価は、本件3物件の各売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額比によりそれぞれあん分して算定すべきである。

なお、本件3物件のうち2物件の各建物に係る取得価額に加算すべき仲介手数料の金額等及び本件3物件の各仲介手数料に係る繰延消費税額等について、いずれも計算誤りがあると認められるため、原処分はその一部を取り消すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が法定申告期限までに申告書を提出しなかったことについて、仮装又は隠蔽に該当する事実はなかったとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年5月22日


請求人の母が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽、仮装に該当する事実があると認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続税の申告書を作成するための資料収集等を委任していた請求人の母が申告漏れとなっていた株式を当初申告の相続財産に含めなかったことについて、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められず、請求人についても、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があるとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人の相続に係る相続税の申告書(本件申告書)に被相続人の名義の株式の一部等が計上されていないことについて、請求人の母(本件母)に国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があり、請求人が本件申告書を作成するための資料収集等を本件母に委任し、請求人にはその選任及び監督につき過失がないとする特段の事情はなく、請求人は本件母と同視可能である者と認められることから、請求人にも、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、本件母が、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないことから、本件母に「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はなく、請求人についても、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はないといわざるを得ない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の母が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽、仮装に該当する事実があると認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年1月17日


請求人が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、申告漏れとなっていた株式について、申告書提出前後の請求人の行為や言動に鑑みると、その銘柄、株式数等を記載したノート等を関与税理士に提出しなかったことをもって、国税通則法第68条第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとみることは困難であり、また、当該事実につき過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものとも認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人自らが銘柄、株式数及び配当金額等を2冊のノート(本件各ノート)に記載しながら、被相続人の相続に係る相続税の申告書(本件申告書)に計上されなかった被相続人名義等の株式(本件株式)について、被相続人の相続財産である旨を十分認識していたにもかかわらず、関与税理士(本件税理士)に本件各ノートを含む本件株式に係る資料等を渡さずに本件税理士をして本件株式を計上しない本件申告書を作成、提出させたのであるから、請求人には、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件税理士から株式については証券会社から残高証明書等を取得して提出するよう指示を受け、当該指示のとおりに証券会社から残高証明書等を取得して提出していたため、本件株式についても本件申告書に計上されていると思い込んでいた可能性等が否定できない。

また、本件各ノートは、その記載状況からみて、請求人の単なる備忘メモ的なものとして使用されていたと考えられ、請求人が、本件税理士を含む第三者に提出する目的で本件各ノートを作成したものではないと推認できること、請求人は、相続税の調査の際に、原処分庁所属の調査担当職員に自ら本件各ノートを提出したことなどに鑑みると、本件各ノート等の資料を本件税理士に提出しなかった行為について、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少申告をすることを意図した上で、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものと認めるに足る事情はないから、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はないといわざるを得ない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽の行為そのものであるとか、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年1月13日


請求人が相続財産の一部の貯金のみを申告していなかったことについて、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成30年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年5月10日裁決

<ポイント>
本事例は、申告漏れとなっていた貯金について、相続税の申告からあえて当該貯金のみを除外する意図が請求人にあったものとは認められない上、他の預貯金とは異なり残高証明書の発行依頼をしなかったことが故意によるものとは認め難く、また、請求人が、申告書の作成を依頼した会計事務所に対し当該貯金の存在を故意に伝えなかったと認めることもできないとして、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価すべき事情は認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、申告漏れとなっていた貯金(本件貯金)について、請求人が被相続人名義の預貯金のうち本件貯金についてのみ残高証明書を取得することなく相続手続を行うという特異な行動をしていること、及び請求人が本件貯金の存在を認識していたにもかかわらず、これを相続税の申告書の作成を依頼した会計事務所(本件会計事務所)に対して伝えていないことが、請求人の当初から相続財産を過少に申告する意図を外部からもうかがい得る特段の行動であり、請求人には国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があった旨主張する。

しかしながら、相続税の申告からあえて本件貯金のみを除外しようとする意図が請求人にあったものとは認められない上、請求人が訪れた金融機関における貯金の一般的な相続手続などからすると請求人が誤解や失念により本件貯金の残高証明書を取得しなかった可能性も否定できないから、請求人が本件貯金についてのみ特異な行動をしたと断ずることはできず、本件貯金の残高証明書の発行依頼をしなかったことは故意によるものとは認めがたく、また、請求人が本件会計事務所に対して本件貯金の存在を故意に伝えなかったと認めることもできないから、請求人の一連の行為において当初から相続財産を過少に申告する意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと評価すべき事情は認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が相続財産の一部の貯金のみを申告していなかったことについて、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2023年1月11日


請求人が生命保険金を含めずに所得税等の確定申告をしたことについて、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 令和元年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年4月15日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、生命保険金等の存在や申告の必要性を一旦は認識していたものの、確定申告時にその存在や申告の必要性を直ちに認識していたとまではいえず、当初から当該生命保険金等を申告しないことを意図していたとはいえない上、請求人が、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとも認められないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が生命保険会社から振り込まれた保険契約に基づく一時金及び定期支払金(本件一時金等)を含めずに所得税及び復興特別所得税(所得税等)の確定申告(本件確定申告)をしたことについて、請求人が、本件一時金等が課税の対象となることを十分に認識しながら申告書の作成を補助した請求人の親族に本件一時金等が振り込まれた預金口座の通帳を提示しなかったことや、本件一時金等の支払明細等を廃棄したことは、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をした場合に当たるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、上記保険の取扱代理店である銀行の担当者から、上記一時金についての課税関係の説明を受け、上記支払明細等の送付を受けていたことから、本件一時金等の存在や申告の必要性を一旦認識することができたものと認められるが、過去5年間のうち一度しか所得税等の確定申告をしておらず、本件確定申告についても、金地金の売却利益について申告が必要である旨記載された税務署からのお知らせが届いたことを動機として行ったものであり、遺族年金を含めて申告するなど、請求人に確定申告の経験や税務の知識が豊富にあったとはいえないこと、上記説明が口頭により行われていた上、同説明があったのは本件確定申告の時点から約1年以上も前で、上記支払明細等の送付も本件確定申告の時点から9か月以上前であったことなどからすれば、請求人が、本件確定申告の時点において、本件一時金等の存在や申告の必要性を直ちに認識していたとまではいえず、請求人が本件一時金等を申告しないことを意図していたとはいえない。

また、請求人が親族に本件通帳を提示しなかったことについては、請求人が親族に申告書の作成の補助を依頼した際のやり取りが不明であること、上記支払明細等を破棄したことについても、意図的に廃棄したとは認められないことから、これらをもって、請求人が過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が生命保険金を含めずに所得税等の確定申告をしたことについて、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2022年12月22日


隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は信用できず、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に隠蔽仮装の行為があったとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分等を取り消した事例

  • ①平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ④平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • ⑤平成24年分の所得税並びに平成25年分、平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各修正申告の取消しを求める請求
  • ⑥平成24年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各修正申告の取消しを求める請求
  • ①② 全部取消し、一部取消し
  • ③④ 棄却
  • ⑤⑥ 却下
  • 令和3年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の行った隠蔽仮装行為(伝票を意図的に廃棄し、売上金額を過少に記載した日計表の作成)の始期について、請求人が争う年分及び課税期間の初年である旨の請求人の申述は信用性がなく、そのほかに、始期が同年と認める証拠はなく、また、同年分及び同課税期間において、他に請求人が隠蔽仮装行為を行ったことを示す証拠がないとして、隠蔽又は仮装に該当する事実は認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、事業に係る正しい売上金額を把握していたにもかかわらず、真実の売上金額を記載した売上メモ及び伝票を意図的に廃棄し、売上金額を過少に記載した日計表を商工会に提示することにより、売上げの一部を故意に申告していなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、調査担当職員による質問の当初、隠蔽仮装行為の始期について、曖昧な申述にとどまっていたことなどからすれば、同始期に関して、明確な記憶を持っておらず、その記憶は曖昧なものであったと認められる。

そして、隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は、自発的な申述をしたのではなく調査担当職員の教示に沿う形で申述した程度にすぎず、客観的事実とも整合せず、不自然であるともいえ、直ちに信用できない。

また、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。

また、隠蔽又は仮装の具体的事実や開始時期を特定できない本件において、他に何らかの偽計その他の工作を伴う不正の行為があったと認めるに足る証拠もないから、請求人には国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項に規定する「偽りその他不正の行為」に該当する事実があったとは認められない。

さらに、更正の請求では、納税者側において売上金額が過大であることの立証をすべきであるところ、請求人から提出された資料等では、修正申告書に記載された売上金額が過大であるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 隠蔽仮装行為の始期に関する請求人の申述は信用できず、そのほかに隠蔽仮装行為の始期を示す証拠や請求人によって隠蔽仮装行為がなされたことを示す証拠もないから、請求人に隠蔽仮装の行為があったとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分等を取り消した事例

2022年2月10日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年6月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月25日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告書の作成を依頼した税理士からの質問に対して請求人がした回答が、同税理士の質問を誤解して回答した可能性を否定できず、故意に虚偽の事実を説明したものとは認められないとして、かかる回答をしたことをもって、請求人が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、被相続人が締結していた各建物更生共済契約(本件各共済契約)に関する権利(本件各権利)を相続税の課税財産として申告する必要があると認識していながら、税理士(本件税理士)に対して本件各共済契約は掛け捨て型のものであると故意に虚偽の説明をし、本件税理士に相続税の課税財産として申告すべき損害保険契約に関する権利はないとの誤解を生じさせた上、本件税理士に本件各権利の存在を一切告げなかったことは、当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為が認められる旨主張する。

しかしながら、本件税理士の請求人に対する質問の文言からすれば、請求人の「共済は掛け捨てに移行している」旨の回答は、本件税理士の質問の趣旨を誤解してなされた可能性があり、実際に建物更生共済契約から掛け捨ての損害保険へと移行されたものもあることからすれば、必ずしも虚偽であるとまではいえない。

また、請求人が本件税理士に預けた各普通貯金通帳の中には本件各共済契約に係る共済掛金の支払が確認できるものもあることからすれば請求人が本件税理士に対して本件各権利を秘匿しようという意図があったとまで認めることはできない。

したがって、請求人が本件税理士に対して故意に虚偽の説明をしたものと認めることはできず、請求人が本件税理士に当該回答をした事実をもって、請求人が、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないから、国税通則法第68条第1項に規定の隠蔽又は仮装の行為があったということはできない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2022年2月8日


請求人が、被相続人の借入金が存在しないのに存在するかのように仮装していたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年8月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月3日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の課税価格の計算上債務控除していた被相続人の請求人からの借入金について、実際に被相続人が請求人から借り入れることとなった経緯が認められ、金銭借用証書の表題の記載からしても借入れが不自然とはいえないことや、当時、被相続人が意思能力に欠ける状態であったとは認定できず同借入れを否定する事情もないなどとして、同借入金がなかったと認めることはできないとして国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定の仮装に該当する事実があったとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が相続税の申告において相続税の課税価格の計算上債務控除をしていた被相続人の請求人からの借入金は、請求人から被相続人ヘ直接送金されておらず、十分な金額の預貯金を有する被相続人が請求人から借り入れする必要も認められないこと等から、借入金が存在しないにもかかわらず、あたかも当該借入金が存在したかのように装って金銭借用証書を作成したことが事実の仮装行為に該当し、国税通則法第68条《重加算税》第1項所定の重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、①被相続人の土地の購入資金に係る信用金庫からの融資がとん挫し、請求人が代わりに被相続人に対し金員を貸し付けることとなった経緯が認められ、金銭借用証書の表題に一時的な貸付けであることを意味する「一時」と付されていること等からすれば、請求人が被相続人に同金員の貸付けをしたとしても不自然とはいえないこと、②暫定的に請求人から被相続人に対する貸付けが行われた可能性があるから、請求人から被相続人に直接送金されていないことをもって直ちに被相続人の請求人からの借入れがなかったとはいえないこと、③同金員の貸付けについて被相続人の了解を得ていたことを否定する事情もないことからすれば、被相続人の請求人に対する借入金が存在しなかったとはいえず、請求人が金銭借用証書を作成して、存在しない債務を実際に存在するかのように仮装していたとは認められないから、請求人に国税通則法第68条第1項の「仮装」があったとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が、被相続人の借入金が存在しないのに存在するかのように仮装していたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2022年2月4日


所有者を被相続人の孫とする登記がなされているなど家屋に係る相続税の申告以前の状況からすると、相続税の申告において請求人が当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由が認められるとした事例

  • 平成29年7月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産と認められる家屋について、①相続開始前に当該家屋の登記上の所有者が被相続人から同人の孫に名義変更されていたこと、②請求人自身が関与税理士として当該家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていること、③上記①の名義変更以前から当該家屋に被相続人は居住しておらず同人の孫が居住していたことなどの理由から、相続税の申告において当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項所定の「正当な理由」があると認められるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、相続開始時点において被相続人(本件被相続人)の孫(本件孫)名義となっていた家屋(本件家屋)について、本件被相続人や共同相続人らの各預金口座等を調査すれば、本件家屋の売買代金が実質的に支払われておらず、本件被相続人と本件孫との間の当該家屋に係る売買契約が成立していないことを確認できたのであるから、本件家屋が被相続人に帰属する財産であることを把握することは可能であったにもかかわらず、その確認を怠った請求人には国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する「正当な理由」は認められない旨主張する。

しかしながら、前述するとおり、相続開始時点において本件家屋の登記上の名義は本件孫名義であり、請求人自身が関与税理士として本件家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていたことに加え、当該売買以前から本件家屋には、本件被相続人ではなく譲受人である本件孫が居住していたことからすると、請求人は、本件家屋に係る本件被相続人と本件孫との間の売買契約が有効に成立し、本件家屋の所有権が本件孫に移転したと誤信せざるを得ない事情があったといわざるを得ない。

加えて、本件家屋の売買代金が実質的に支払われていないことを把握し得た時点が、相続税の申告期限後であったことを併せ考えれば、請求人が本件家屋について申告しなかったことにより相続税の申告が過少申告となったことにつき、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお請求人に過少申告加算税を賦課することは不当又は酷であって、請求人には「正当な理由」があったと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 所有者を被相続人の孫とする登記がなされているなど家屋に係る相続税の申告以前の状況からすると、相続税の申告において請求人が当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由が認められるとした事例

2022年2月2日


第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

  • 平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月24日裁決

<ポイント>
本事例は、第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表は、当該第三者が請求人の確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の申告書を作成した第三者が、何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表(本件各試算表)を作成した上で、それを基に作成した確定申告書を提出したことは、請求人の事業所得に係る必要経費の計上について、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為であり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。

しかしながら、当該第三者は、本件各試算表を使用して確定申告書を作成した後には、本件各試算表を保存しておくことなく、不要なものとして処分しており、また、請求人を含む他者に見せることもなかったものである。

そうすると、本件各試算表は、当該第三者が確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさない。

★リンクはこちら ⇒ 第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

2021年11月11日


第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月24日裁決

<ポイント>
本事例は、第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表は、当該第三者が請求人の確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の申告書を作成した第三者が、何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表(本件試算表)を作成した上で、それを基に作成した確定申告書を提出したことは、請求人の事業所得に係る必要経費の計上について、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為であり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。

しかしながら、当該第三者は、本件試算表を使用して確定申告書を作成した後には、本件試算表を保存しておくことなく、不要なものとして処分しており、また、請求人を含む他者に見せることもなかったものである。

そうすると、本件試算表は、当該第三者が確定申告書を作成するためだけの一時的な補助資料の域を出るものではなく、その作成が、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当すると認めることは困難であるから、重加算税の賦課要件を満たさない。

★リンクはこちら ⇒ 第三者が何ら根拠のない金額を必要経費として記載した試算表を作成した行為は、過少申告行為とは別の隠ぺい又は仮装行為に該当しないとした事例

2021年11月10日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年8月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、みなし相続財産である死亡保険金の申告漏れに関し、当該死亡保険金の存在を税理士に伝えなかったことをもって、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、自身が支払を受けた2口の死亡保険金のいずれもが相続税の課税対象であることを理解しながら、そのうちの1口の死亡保険金(本件保険金)に関する資料を税理士に交付せず、本件保険金を含めない申告書を当該税理士に作成・提出させたことは、当初から財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたといえるから、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人及び被相続人が受けた本件保険金を扱う銀行の担当者の説明によると、請求人は、本件保険金が相続税の課税の対象とならないものと誤解した可能性が否定できず、この誤解に基づいて、本件保険金の存在を税理士に伝えなかった可能性も否定できない。

また、請求人は、調査の初日に本件保険金の入金事績が記録された請求人名義の銀行口座に係る通帳を原処分庁の調査担当職員に提示するなど、本件保険金の入金の事実を調査担当職員に対して隠そうとはしていなかったことが認められ、この事実は、上記誤解があった可能性を高める事実といえる。

したがって、請求人が本件保険金の存在を税理士に伝えなかったことをもって、請求人が当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえず、重加算税の賦課要件は充足しない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2021年11月9日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成29年12月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年3月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、みなし相続財産である死亡保険金の申告漏れに関し、その存在を一旦は認識していたものの、申告までの間に失念等した可能性を直ちには否定できず、また、請求人が、当初から当該死亡保険金をあえて申告から除外することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたともいえないことから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件は充足しないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、申告漏れとなっていた死亡保険金(本件死亡保険金)について、請求人が、自身でその支払請求手続を行ったこと、原処分庁の調査担当職員に本件死亡保険金の存在を伝えなかったことなどから、本件死亡保険金の存在を認識しつつ、それをあえて申告していないから、過少に申告する意図を有していたといえ、また、本件死亡保険金の存在を関与税理士等に説明せず、関係資料の提示もしなかった行為は、本件死亡保険金を相続税の申告財産から除外するという過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当するものとして、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人が当初は生命保険契約に係る申告すべき保険金は同じ保険会社の別件の申告済の保険金(本件申告済保険金)のみであると誤認していたことに加えて、本件申告済保険金及び本件死亡保険金の請求手続は、請求人が仕事で多忙な中でその合間に行われたものであることなどからすると、請求人が、本件死亡保険金について、その存在及び申告が必要な相続財産であることを一旦認識したものの、相続税の申告までの間に、本件死亡保険金の存在とこれについても申告が必要であることを失念ないし誤認した可能性を直ちに否定することはできない。

さらに、関与税理士等とのやりとりの経過等を見ても、請求人が当初から本件死亡保険金をあえて申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたともいえないため、重加算税の賦課要件は充足しない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2021年11月8日


みなし相続財産に該当する生命保険金が申告漏れとなったことにつき、請求人が殊更過少な相続税申告書を提出したとは認められないとした事例

  • ①平成29年3月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • ②平成29年3月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 → 全部取消し
  • 令和3年2月5日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の重加算税を賦課する場合の殊更過少な相続税申告書を提出したか否かの認定に当たっては、請求人や税理士の証言の一部分をもって判定するのではなく、その証言内容を裏付けるに足る事情の存在を含めて判定すべきとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が一部の生命保険金について相続税の申告すべき財産であることを十分認識していたにもかかわらず、関与税理士に対してその存在を殊更に秘匿したことなどに照らせば、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、同税理士は関係資料等の提出時や申告書の作成時に請求人に対して具体的な確認等をしていなかった上、その他に、請求人が同税理士に対して殊更にその存在を秘匿したと裏付けるに足りる事情も存在しないことなどに照らせば、請求人が当初から過少申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合に該当するとまでは認められないから、同項に規定する重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

★リンクはこちら ⇒ みなし相続財産に該当する生命保険金が申告漏れとなったことにつき、請求人が殊更過少な相続税申告書を提出したとは認められないとした事例

2021年11月5日


源泉所得税の納付が法定納期限後になったことについて、その納付が、告知があるべきことを予知してされたものではないと認められた事例

  • 平成31年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年1月20日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人が法定納期限を徒過して源泉所得税等を納付したことについて、当該納付は調査担当職員が実地調査の日程調整を依頼した際に行った源泉徴収義務の存否に関する発言(本件発言)を起因としたものであり、その後の調査が進行すれば告知に至るであろうことを予知して行ったものであるから、国税通則法第67条《不納付加算税》第2項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、当該規定の適用に係る判断に当たっては、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、納付に至る経緯、納付と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断するのが相当であるところ、調査担当職員が署内調査を行い、実地調査の日程調整を依頼した時点では、その後の調査の進行により、やがて納税の告知に至る可能性が高い状況にあったといえるものの、本件発言からは、具体的な取引内容や調査対象期間も示されず、そのため、請求人は署内調査の内容・進捗状況を具体的に認識していないと認められ、さらに、請求人が当該納付を自主的に行ったと認められるから、当該納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ない。

したがって、当該納付は、同項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 源泉所得税の納付が法定納期限後になったことについて、その納付が、告知があるべきことを予知してされたものではないと認められた事例

2021年11月4日


外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分において、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項を適用したことを適法とした事例 

  • 平成25年分から平成29年分の所得税等の決定処分等及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和3年3月26日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、外国子会社合算税制に係る所得の基因となる外国子会社の株式を記載した国外財産調書を提出していなかった場合において、原処分庁が、当該所得に係る無申告加算税の賦課決定処分を行う際に内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の加重措置を適用したことは適法と判断したものである。

<要旨>
請求人は、平成27年12月31日、平成28年12月31日及び平成29年12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有していたと認められるから、平成27年分から平成29年分までにつき、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第5条《国外財産調書の提出》第1項本文に規定する国外財産調書の提出義務があったにもかかわらず、これらをいずれも法定提出期限内に提出しなかったと認められる。

したがって、上記各年分の無申告加算税の金額につき、国税通則法第66条《無申告加算税》並びに国送法第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定に基づいて計算すると、いずれも原処分の各金額と同額となるから、本件の無申告加算税の各賦課決定処分は、いずれも適法である。

★リンクはこちら ⇒ 外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分において、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項を適用したことを適法とした事例 

2021年11月2日


予納制度を利用した納税のご案内

1.予納制度とは
予納とは、調査等により近日中(おおむね6か月以内)に納付すべき税額の確定が見込まれる場合に、修正申告書等を提出する前であっても、その納付すべき税額の見込金額を、税務署長に申し出て、あらかじめ納付(予納)することができる制度である。

期限内申告書においては、おおむね12か月以内に納付すべき税額が確定することが確実な国税について、あらかじめ税務署長に申し出ることで予納することができる。

予納した場合には、予納の目的となる申告書等の提出を行う前(納期限前)に、その還付を求めることはできないので注意すること。

2.予納のメリット
予納をすると、延滞税の計算は納付された日までとなるので、延滞税の額が少なくなる場合がある()。

(注1)法定申告期限から1年以内に修正申告等を行う場合は、延滞税の計算は予納した日までとなり、延滞税の額が少なくなる。

(注2)法定申告期限から1年を経過して修正申告等を行う場合は、除算期間がない場合に限り、延滞税の額が少なくなる。

(参考)
●予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも少ない場合
予納した額は修正申告等により確定した本税に充てられ、残りの本税、加算税、延滞税については、別途納付する必要がある。

●予納した額が、修正申告等により確定した税額よりも多い場合
予納した額を修正申告等により確定した本税に充てた残額については、順次、他の未納の国税に充てられ、納め過ぎた額については還付される。

不明な点があれば、税務署の管理運営(担当)部門に問い合せること。

★リンクはこちら ⇒ 予納制度を利用した納税のご案内

2021年9月14日


公売処分の取消請求において、国税徴収法上、土地の差押手続は土地の地番ごとに行うより他なく、差押処分の効力も当該地番の土地にしか及ばないから、公売不動産の隣接地所有者である請求人は、当該隣接地の所有権を主張する者にとどまり、差押えに係る財産について所有権を主張していないこととなり、したがって、請求人適格は認められないとした事例

  • 公売公告処分・最高価申込者の決定処分
  • 却下
  • 令和2年12月22日裁決

<ポイント>
本事例は、公売不動産の隣接地所有者が公売不動産の一部について所有権を有していると主張する審査請求において、請求人は、「差押えに係る財産について所有権を主張する者」には該当せず、したがって、請求人適格はないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、公売不動産の隣接地の実質所有者は請求人であり、当該隣接地の一部が公売不動産に含まれているため、請求人の権利が侵害されていると主張する。

しかしながら、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項は、国税に関する法律に基づく処分に不服がある者は、不服申立てをすることができる旨規定しており、この者とは、その処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者であることを要すると解される。

また、国税徴収法第89条《換価する財産の範囲等》第1項の規定では、公売処分は、差し押さえた財産について行うものであるところ、差押処分の効力は、嘱託登記により差押登記が付された地番以外の土地に及ぶと解することはできず、当該地番の土地にしか発生しないことから、公売処分もまた、公法上の一筆の土地を対象として行われることとなる。

そうすると、差押処分で特定された地番の土地に、請求人が所有する公売不動産の隣接地の地番の土地が含まれることは法律上あり得ないことから、請求人は、公売処分によって直接自己の権利又は法律上の利益が侵害された者とは認められず、国税に関する法律に基づく処分に不服がある者に該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 公売処分の取消請求において、国税徴収法上、土地の差押手続は土地の地番ごとに行うより他なく、差押処分の効力も当該地番の土地にしか及ばないから、公売不動産の隣接地所有者である請求人は、当該隣接地の所有権を主張する者にとどまり、差押えに係る財産について所有権を主張していないこととなり、したがって、請求人適格は認められないとした事例

2021年7月30日


原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を歯科医院を営む請求人の自宅兼事業所に持参した際に、請求人が診療中であり対応することができないとして各通知書を受け取らなかった事情は、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないとした事例 

  • ①平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • ②平成25年分、平成26年分、平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ④平成25年分、平成26年分、平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑤平成28年1月1日から平成28年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の過少申告加算税の賦課決定処分
  • ⑥平成28年1月1日から平成28年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和2年12月21日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法の送達に関する規定の趣旨を紐解き、その趣旨に照らせば、受送達者が診療中であったとしても、送達場所におり、原処分庁職員が交付送達のため来訪したことを現に認識していた場合には、(法が、その診療終了を待って出会送達をすることや、再度の送達を行うことまでを求めていると解することは困難であるとして)差置送達を行うことができると判断したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を自宅兼事業所に持参した際、歯科医師として診療中であり対応することができなかったから、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」に該当するため、原処分庁が差置送達を行ったことは同条に規定する差置送達の要件に該当しないから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、差置送達は、書類の送達を受けるべき者等が送達すべき場所にいない場合、又はこれらの者が正当な理由がなく書類の受領を拒んだ場合に行うことができる送達方法であり、差置送達の制度が認められた趣旨に照らせば、請求人の診療中であるという事情は、国税通則法第12条第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないと解すべきであるから、原処分庁による差置送達は法令上の要件を満たしたものであるから、原処分庁が差置送達を行ったことにつき、原処分を取り消すべき違法はない。

★リンクはこちら ⇒ 原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を歯科医院を営む請求人の自宅兼事業所に持参した際に、請求人が診療中であり対応することができないとして各通知書を受け取らなかった事情は、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないとした事例 

2021年7月29日


役務提供のない支払手数料を計上したことに事実の仮装は認められないとした事例

  • 平成27年6月1日から平成28年5月31日までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分、平成27年6月1日から平成28年5月31日までの課税事業年度の地方法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年9月4日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の実質経営者である元代表者が、役務の提供がないことを認識していたにもかかわらず、関与税理士に指示して、不動産仲介業者に対する役務提供の対価(本件金員)を支払手数料勘定に計上させたことが、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人と不動産仲介業者との間で複数の不動産取引を共同事業として行う目論見書が作成されていたことなどからすれば、元代表者が本件金員を支払う必要があると認識していた可能性が否定できない。

そして、当審判所の調査によっても、元代表者が本件金員を支払う必要がないことを認識した上で本件金員を支払手数料勘定に計上させたと認定する証拠は見当たらず、その他仮装と評価すべき行為を認めるに足りる証拠もない。

したがって、本件において認定される事実のみからは、請求人に、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実があったものとして同項を適用することはできない。

★リンクはこちら ⇒ 役務提供のない支払手数料を計上したことに事実の仮装は認められないとした事例

2021年4月14日


滞納法人の代表者である請求人の実印が押なつされた納税保証書は、請求人の同意もなく従業員によって作成、提出されたものであって、無効であるとの請求人の主張に対し、請求人に納税保証をする意思が認められるとした事例

  • 納付告知処分
  • 棄却
  • 令和2年7月1日裁決

<ポイント>
本事例は、納税保証書の真正な成立について、請求人から、いわゆる二段の推定における請求人の意思に基づくことの反証がされたところ、納税保証書の作成時の請求人の実印の保管状況等や、滞納法人の従業員に請求人の実印を冒用すべき理由があるか、納税保証書提出後に請求人が徴収職員に自らが保証人であることを自認する言動をしていたかを認定した上で、関係人の答述の信用性を評価し、判断したものである。

<要旨>
滞納法人の代表者である請求人は、請求人が滞納国税(本件滞納国税)を納税保証する旨が記載された納税保証書(本件保証書)について、滞納法人の従業員が請求人の印章を無断で使用してこれを作成したものであり、請求人が当該従業員やその他の第三者にこの作成を指示したことがなく、請求人の同意なく提出されたものであることから、当該納税保証は無効であり、これを前提とする納付告知処分は違法である旨主張する。

しかしながら、私文書中の印影が本人又は代理人の印章によって顕出された事実が確定された場合には、反証がない限り、当該印影は本人又は代理人の意思に基づいて成立したものと推定されるところ、請求人にこれを覆すべき反証はなく、また、本件保証書の提出後、請求人自身が保証人であることを自認する言動を繰り返していたことからすれば、請求人は本件滞納国税について納税保証をしたと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 滞納法人の代表者である請求人の実印が押なつされた納税保証書は、請求人の同意もなく従業員によって作成、提出されたものであって、無効であるとの請求人の主張に対し、請求人に納税保証をする意思が認められるとした事例

2021年4月12日


相続放棄の申述をした請求人に対して、原処分庁が相続放棄の無効を前提として行った不動産の差押処分について、相続人である請求人の口座に振り込まれた被相続人の顧問料相当額を引き出した事実は法定単純承認事由となる相続財産の処分に該当しないとした事例

  • 不動産の差押処分
  • 全部取消し
  • 令和2年4月17日裁決

<ポイント>
本事例は、法定単純承認事由となる相続財産の処分がされたか否かについて、請求人及び関係者の答述並びに帳簿等の広範囲な証拠に基づき、請求人が相続財産を費消(処分)したと認められるか否か、総合的かつ慎重に認定し、相続放棄の申述が有効であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①請求人名義の金融機関の口座(本件口座)に振り込まれた金員(本件金員)は、請求人の配偶者(本件被相続人)と本件金員の支払者との間の委任契約(本件委任契約)に基づき、本件被相続人に対する未払報酬が請求人名義の本件口座に振り込まれたもので、相続財産に該当するところ、請求人が本件金員を受領、出金及び返納した行為は、いずれも民法第921条《法定単純承認》第1号に規定する相続財産の「処分」に該当する旨、②請求人名義の土地及び建物(本件各不動産)の取得資金は、本件被相続人が出捐し、又は本件被相続人の意思により関係会社等が支出していることから、本件各不動産は本件被相続人に帰属する財産であり相続財産に該当するところ、請求人が本件各不動産について、同条第3号に規定する「隠匿」及び同条第1号に規定する「処分」に該当する行為をしている旨、上記①及び②の事実は法定単純承認事由に該当するから、請求人の相続放棄は認められず、請求人は本件被相続人の納付義務を承継する旨主張する。

しかしながら、①については、本件金員が相続財産に該当することが認められるものの、本件金員が本件委任契約に基づいて本件口座に振り込まれたものにすぎず、請求人が出金した本件金員を一部でも費消した事実は認められないこと、請求人が振込名義人あてに送金したのは相続放棄の申述が受理された後であることから、これらはいずれも相続財産の処分には該当しないこと、②については、本件各不動産が本件被相続人に帰属する財産であることを認めるに足りる証拠はなく、相続財産に該当すると認められないことから、本件金員及び本件各不動産について、請求人に法定単純承認事由に該当する事実はなく、請求人の相続放棄の申述は有効であり、請求人は本件被相続人の納付義務を承継しない。

★リンクはこちら ⇒ 相続放棄の申述をした請求人に対して、原処分庁が相続放棄の無効を前提として行った不動産の差押処分について、相続人である請求人の口座に振り込まれた被相続人の顧問料相当額を引き出した事実は法定単純承認事由となる相続財産の処分に該当しないとした事例

2020年12月22日


翌事業年度に計上すべき本件修繕費の完了日を仮装したとまではいえないとした事例 

  • 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月10日裁決

<ポイント>
本事例は、翌事業年度に計上すべき本件修繕費について、施行業者が発行した請求書の納品日欄に本件事業年度内の日付が記載されていたことをもって仮装行為に該当するとまでは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人代表者が翌事業年度に計上すべき本件修繕費について、本件事業年度に修繕工事が開始しておらず、本件修繕費を損金の額に算入できないことを認識した上で、施工業者に依頼して納品日欄に本件事業年度内の日付を記載した請求書を発行させ、本件修繕費を損金の額に算入したことが仮装行為に該当する旨主張する。

しかしながら、施工業者は事業年度内に施工に向けた準備を行っていることから、請求人代表者から依頼されて施工業者が本件事業年度内の日付の請求書を発行しても不自然とまでは言い切れず、請求書の納品日欄についてもシステムの便宜上入力された可能性を否定できない。

また、請求書の納品日欄に記載された日付が修繕工事の完了日を示すと認めるに足る証拠もなく、請求人代表者が施工業者に対し請求書の納品日欄の日付を修繕工事の完了日として記載するよう依頼したことを示す証拠もない。

加えて、請求人代表者は入出金に係る会計伝票を作成するにとどまり、本件修繕費のような未払金に関する会計伝票は作成しておらず税務代理人が会計処理を行ったものであり、請求人代表者に本件修繕費を本件事業年度の損金の額に算入できないとの認識があったとまでは認められない。

したがって、本件修繕費を本件事業年度の損金の額に算入したことにつき、仮装の行為があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 翌事業年度に計上すべき本件修繕費の完了日を仮装したとまではいえないとした事例 

2020年11月5日


請求人が法定申告期限までに法人税及び消費税等の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

  • 平成24年12月1日から平成25年11月30日まで、平成25年12月1日から平成26年11月30日まで、平成26年12月1日から平成27年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各事業年度の法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成24年12月1日から平成25年11月30日まで及び平成25年12月1日から平成26年11月30日までの各課税事業年度の復興特別法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成26年12月1日から平成27年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各課税事業年度の地方法人税の重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年12月1日から平成26年11月30日まで、平成27年12月1日から平成28年11月30日まで及び平成28年12月1日から平成29年11月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年2月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人には、申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったと認めるに足る事実はなく、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件は満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、所得金額を容易に把握できたにもかかわらず、申告をせず、調査において書類提示を拒否したなどの行為は、申告すべき所得金額及び納付すべき税額が生ずることを明確に認識していながら確定的な意思に基づいて無申告を貫いたものであって、当該行為は、当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められることから、その意図に基づき法定申告期限までに法人税及び地方法人税(法人税等)の確定申告書を提出しなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第2項に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、法定申告期限までに法人税等の確定申告書の提出が必要であったことを認識しながら、確定申告書を提出しなかったことは認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、調査の開始当初から事業に関連する支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性を否定できないことから、無申告行為そのものとは別に、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をとったとは言い難い。

したがって、請求人に国税通則法第68条第2項に該当するとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が法定申告期限までに法人税及び消費税等の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

2020年11月4日


当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • 平成23年分から平成29年分の所得税等に係る重加算税の各賦課決定処分及び平成23年課税期間から平成29年課税期間の消費税等の各重加算税賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和2年2月19日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、事業所得の金額を正確に把握していたにもかかわらず、収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した所得税等の確定申告書を長年にわたり継続的に提出し続け、調査の際にも、調査担当者に対し、帳簿書類の存在を秘し、事後的に作成した虚偽の帳簿書類を複数回提示したことなどが認められ、これらの一連の行為によれば、請求人は、重加算税の賦課要件を満たすとしたものである。

<要旨>
請求人は、確定申告書に誤りがあったのは勘違いや集計誤りを原因とするものにすぎず、故意に多額の所得を脱漏したのではなく、また、請求人に対する調査(本件調査)の際に請求人の行う事業(本件事業)に係る帳簿書類を隠したこともないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項又は第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件事業において収入に係る帳簿書類の作成・保存、経費に係る支払、収入が入金される口座の管理等を自ら行うなどしていることからすれば、事業所得の金額を正確に把握していたといえ、それにもにもかかわらず、請求人は、7年もの長期間にわたって収入金額を1,000万円を下回るように調整して極めて過少な所得金額を記載した確定申告を継続的に提出し続けていたものと認められる。

そして、請求人は、調査に際しても真実の総収入金額が容易に判明する帳簿書類の存在を秘しただけではなく、事後的に虚偽の帳簿書類を複数回作成し、本件調査の担当者に提示するなどしており、このことは真実の所得の調査解明に困難を伴う状況を作出し真実の所得金額を隠蔽しようという確定的な意図の下に、隠蔽のための具体的な工作を行い、真実の所得金額を隠蔽する態度、行動をできる限り貫こうとしたと評価せざるを得ない。

以上のような請求人の一連の行為によれば、請求人が、当初から所得を過少に申告する確定的な意図を有し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき過少申告をしたような場合などに該当する。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

2020年10月30日


請求人が法定申告期限までに相続税の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

  • 平成28年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年12月18日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続財産を過少に記載したお尋ね文書を提出しているものの、そのことのみをもって、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件は満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が意図的に「相続についてのお尋ね」と題する文書(本件お尋ね文書)に虚偽の記載をしてこれを提出したなどとして、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、請求人が本件お尋ね文書に意図的に虚偽の記載をしてこれを提出したことなどを裏付けるに足りる証拠は存在せず、また、請求人が当初から相続税を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたなどとも認められないことからすれば、同項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が法定申告期限までに相続税の申告をしなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

2020年6月26日


当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の決定処分及び重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月20日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が法定申告期限までに申告書の提出が必要であったことを認識しながら、これをしなかったことが認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、請求人が支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性があることを否定できないことから、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、所得金額を容易に把握できたにもかかわらず、申告をせず、調査において書類提示を拒否したなどの行為は、申告すべき所得金額及び納付すべき税額が生ずることを明確に認識していながら確定的な意思に基づいて無申告を貫いたものであって、当該行為は、当初から課税標準等及び税額等を法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められることから、その意図に基づき法定申告期限までに法人税及び地方法人税(法人税等)の確定申告書を提出しなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する事実の隠蔽又は仮装に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、法定申告期限までに法人税等の確定申告書の提出が必要であったことを認識しながら、これをしなかったことは認められるものの、調査の開始当初においては質問調査や書類の提示要請に応じるとともに、調査の開始当初から事業に関連する支出の存在を主張し所得が生じていないと認識していた可能性を否定できないことから、無申告行為そのものとは別に、請求人が当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をとったとはいい難い。

したがって、請求人に国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」と評価すべき行為があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2020年6月24日


請求人の従業員が、架空の請求書を作成して請求人に交付した一連の行為は、請求人による行為と同視できないとした事例

  • ①平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ④平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②全部取消し、①③④一部取消し
  • 令和元年10月4日裁決

<ポイント>
本事例は、従業員による行為は仮装行為に該当し、請求人による当該従業員への管理・監督が十分ではなかったものと認定したものの、当該従業員の地位・権限や行為態様等からは請求人の行為と同視できないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の従業員(本件従業員)が行った金員の詐取を目的とした仮装行為(本件仮装行為)について、法人の従業員の業務に関連する行為は、当該法人の活動領域内の行為として自己の行為の一部分とみることができるから、従業員の行為が納税者である法人の行為と同視できないといえるような特段の事情がない限り、請求人に国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実がある旨主張する。

しかしながら、①本件従業員は、請求人の経営に参画することや、経理業務に関与することのない一使用人であったと認められ、②本件仮装行為は、請求人の業務の一環として行われたものではなく、本件従業員が私的費用に充てるための金員を請求人から詐取するために独断で行ったものであると認められる。

一方、③請求人においては、一定の管理体制が整えられていたものの、本件仮装行為のような詐取行為を防止するという点では、管理・監督が十分であったとは認められない。

もっとも、職制上の重要な地位に従事せず、限られた権限のみを有する一使用人が、独断で請求人の金員を詐取したという事件の事情に鑑みれば、本件従業員に対する請求人の管理・監督が十分ではなく、本件仮装行為を発覚できなかったことをもって、本件仮装行為を請求人の行為と同視することは相当ではない。

したがって、以上の点を総合考慮すれば、本件従業員による本件仮装行為を納税者たる請求人の行為と同視することはできないと判断するのが相当であり、同項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の従業員が、架空の請求書を作成して請求人に交付した一連の行為は、請求人による行為と同視できないとした事例

2020年6月22日


相続財産の一部につて、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例

  • 平成27年4月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月19日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡母(本件相続人)が、当初申告において計上していなかった相続財産の一部である被相続人名義の預金(本件預金)について、その存在を知りながら関与税理士に伝えなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。

しかしながら、本件相続人が本件預金の存在を関与税理士に伝えなかったことは認められるものの、本件相続人が本件預金を相続財産であることを認識した上で、あえて関与税理士に本件預金の存在を伝えなかったとまで認めることはできず、また、本件相続人は、本件預金を原処分庁が容易に把握し得ないような他の金融機関や本件相続人名義以外の口座などに入金したのではなく、本件預金の口座と同じ金融機関の本件相続人名義の口座に入金し、調査日現在においても当該口座を解約していなかったことからすると、原処分庁をしてその発見を困難ならしめるような意図や行動をしているとは認められないから、本件預金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。

したがって、本件相続人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 相続財産の一部につて、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例

2020年6月19日


取引先と通謀して検収書に虚偽の検収日を記載した事実は認められないと判断した事例

  • ①平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ②平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税期間に係る消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ①②③一部取消し
  • 令和元年7月2日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人の従業員(本件従業員)が平成29年3月20日時点において、手書き図面のデータ化に係る役務の提供が完了していないにもかかわらず、本件検収書に同日を検収日として記載して事実を仮装した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の仮装に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、検収日に、手書き図面の電子データ化がされた図面をまとめたファイルの納品を受けており、本件従業員は、当該ファイルが納品された時点で役務の提供が実質的に完了しているとの認識の下、本件検収書に検収日を記載したものと認められることから、本件従業員が意図的に本件検収書に虚偽の検収日を記載したとはいえないため、請求人に同項に規定する事実の仮装があったとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 取引先と通謀して検収書に虚偽の検収日を記載した事実は認められないと判断した事例

2020年4月24日


債権差押処分における被差押債権の不存在又は消滅の主張は債権差押処分の違法又は無効事由と認められないとした事例

  • 不動産の差押処分
  • 棄却
  • 令和元年5月14日裁決

<ポイント>
本件は、滞納者や第三債務者による、被差押債権の不存在又は消滅を理由とする差押処分の違法又は無効の主張は、不存在又は消滅が明らかであるような事情、あるいは徴収権の濫用と認められる等の事情が無い限り、認められないと解されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が有する保証金の返還請求権(本件被差押債権)の差押処分(本件差押処分)時において、本件被差押債権は既に消滅しており存在しなかったから、本件差押処分は違法又は無効であり、滞納国税の徴収権の消滅時効は、本件差押処分によって中断していない、したがって、不動産差押処分時において滞納国税の徴収権は時効により消滅している旨主張する。

しかしながら、被差押債権の存在を滞納処分による債権差押処分の要件とする旨の規定は存在せず、また、仮に滞納処分による債権差押処分を行った場合に被差押債権が存在せず又は既に消滅していたとしても、それは結果的に債権差押処分の執行が功を奏しなかったというだけにすぎず、権利者による権利行使がなされたことに変わりはない。

したがって、仮に本件被差押債権が消滅しており存在しなかったとしても、そのことによって本件差押処分が違法又は無効になるものではないことから、滞納国税の徴収権の消滅時効は、本件差押処分によって中断している。

★リンクはこちら ⇒ 債権差押処分における被差押債権の不存在又は消滅の主張は債権差押処分の違法又は無効事由と認められないとした事例

2020年2月27日


収支内訳書に虚偽記載があったものの、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

  • ①平成24年課税期間の消費税等に係る重加算税の賦課決定処分
  • ②平成25年から平成28年の各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年分の所得税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • ④平成25年分から平成28年分の各年分の所得税等の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • ⑤平成24年課税期間の消費税等の更正処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑥平成25年から平成28年の各課税期間の消費税等の各更正処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • ⑦平成25年4月から平成29年9月の各月分の源泉徴収に係る所得税等の各納税告知処分並びに不納付加算税の各賦課決定処分(平成25年7月及び平成29年9月の各月分は各納税告知処分のみ、平成25年12月、平成26年12月、平成27年12月及び平成28年12月の各月分は不納付加算税の各賦課決定処分のみ)
  • ①③⑤全部取消し
  • ②④⑥一部取消し
  • ⑦棄却
  • 令和元年6月24日裁決

<ポイント>
本事例は、売上金額の一部とそれに対応する必要経費の金額を含めなかったほか、適当な金額を記載した収支内訳書を作成したことについて、請求人に当初から過少申告の意図があったと認められるものの、隠ぺい仮装と評価すべき行為とは認められず重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、過少申告の意図に基づき①売上金額が1,000万円を超えないように調整した過少な売上金額を算出するためのメモ(本件売上メモ)を請求人の妻に作成させたこと、②本件売上メモに基づいて算定した過少な売上金額を収支内訳書に記載したこと、③所得税等の確定申告をした後に、本件売上メモを廃棄したこと、④申告した売上金額は、請求人の事業に係る総収入金額の半分以下の金額であったこと、⑤除外した売上金額に対応する経費が毎年合計600万円以上ありながら、収支内訳書に必要経費の金額として計上しなかったことという一連の行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する行為又は過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動に該当し、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人には、過少申告の意図があったことは認められるものの、上記①ないし③の本件売上メモについては、作成及び廃棄の事実が認められないこと、上記④及び⑤については、請求人が本件従業員分の売上げや費用の存在を認識しつつこれらを本件各収支内訳書に計上せず、過少の申告をしたというだけでは、隠蔽又は仮装の行為があったということはできないことから、原処分庁が主張する請求人の行為は、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する行為又は過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動とは認められず、重加算税の賦課要件を満たさない。

★リンクはこちら ⇒ 収支内訳書に虚偽記載があったものの、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

2020年2月25日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年分の所得税等に係る重加算税の賦課決定処分、平成25年分から平成28年分に係る所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで及び平成28年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成31年4月9日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の意思によって提出されたと認められる内容虚偽の住民税申告書は1年分に限られ、また、請求人の電話答弁を虚偽であると評価することもできないことから、請求人が当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、個人で事業を営む請求人が、調査年分に係る所得税等及び消費税等の各確定申告書を各法定期限までに提出していなかったことについて、請求人が、確定申告の必要性を認識した上で、①自らの収入金額及び所得金額を零円とした虚偽の住民税申告書を提出したこと(本件各住民税申告)、及び②原処分庁の調査担当職員からの電話に対し、会社員である旨の虚偽の答弁をしたこと(本件電話答弁)は、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価できるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件各住民税申告のうち請求人の意思によって提出されたと認められるのは1年分にとどまるものであり、かつ、それが直接原処分庁に対してなされたものではないことから、仮に請求人が所得税等の確定申告の必要性を認識していたとしても、当該1年分の住民税の申告のみをもって、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできない。

また、本件電話答弁については、本件電話答弁時の状況からすれば、社会通念に照らして不合理ではなく、当時の請求人が給与を得ていた事実を併せ考えれば、請求人が、当初から所得税等の申告をしないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと評価することはできない。

さらに、原処分庁が作成した質問応答記録書の内容は、請求人の本件各住民税申告書の提出の動機に係る申述が不自然かつ不合理であり、重要な部分に関する解明が不足しているため信用できない。

したがって、請求人に国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」と評価すべき行為があるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2020年2月21日


個人名義のクレジットカードにより支払われた飲食店等に対する支出について、請求人代表者の個人的な飲食等にかかる金額であるとは言い切れないから、請求人に仮装をした事実は認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、平成26年7月1日から平成27年6月30日まで及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ②平成25年7月1日から平成26年6月30日までの課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ③平成27年7月1日から平成28年6月30日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • ④平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、平成26年7月1日から平成27年6月30日まで及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • ①②④ ⇒ 一部取消し
  • ③   ⇒ 全部取消し
  • 平成30年9月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人会社の代表取締役がその個人名義のクレジットカード等を用いて、飲食店で飲食したことについて、原処分庁の職員の調査を受けて、交際費勘定等に計上した費用は損金の額に算入されないなどとして法人税等の修正申告を提出したところ、原処分庁は、当該費用は代表取締役の個人的な飲食等の費用であることを認識しながら損金の額に算入したという隠ぺい又は仮装の事実があったとして法人税等の重加算税の賦課決定処分をしたことについて、代表者がそのような認識をしていたとは認められないことを理由として、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が交際費勘定等(本件費用勘定)に計上し、損金の額に算入していた飲食等代金(本件飲食等代金)について、請求人の代表者(本件代表者)が、本件飲食等代金は請求人の業務に関連するものではなく、本件代表者が一人で飲食したものや知人との飲食に係るものである上、個人で飲食等をした代金であると申述(本件申述)していることから、請求人は、本件飲食等代金が費用として計上できないものと認識しながら、その全部又は一部を損金の額に算入し、そのことが隠蔽又は仮装の事実に該当する旨主張する。

しかしながら、本件申述は、本件飲食等代金について概括的に述べたものであり、個々の支出について言及したものではなく、具体性が乏しい上、その内容を裏付ける客観的証拠は認められず、また、本件代表者が、本件飲食等代金が個人的な飲食等に係る金額であることを認識しながら、当該金額を本件費用勘定に計上したとする仮装の事実が認めるに足りる証拠もないことからすれば、本件飲食等代金を本件費用勘定に計上したことに隠蔽又は仮装の事実は認められない。

★リンクはこちら ⇒ 個人名義のクレジットカードにより支払われた飲食店等に対する支出について、請求人代表者の個人的な飲食等にかかる金額であるとは言い切れないから、請求人に仮装をした事実は認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2020年2月19日


当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • ①平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分及び平成25年1月1日から平成25年12月31日までの消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分 ⇒ 一部取消し
  • ②平成26年分ないし平成28年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 ⇒ 棄却
  • ③平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 ⇒ 棄却
  • 平成31年4月23日裁決

<ポイント>
本件は、平成26年分ないし平成28年分については請求人が、正当に申告すべき収入金額等を認識した上で、真実の所得金額よりも大幅に少なく偽った所得金額を申告する目的で、メモを作成し、そのメモに基づいて所得金額を大幅に偽った収支内訳書を作成して過少申告行為を継続的に行っていたものであり、これら一連の行為は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動と認めることができるとした一方、平成25年分については、上記特段の行動が認められないとしたものである。

<要旨>
請求人は、外注費に相当する金額は請求人の収入金額を構成しないとの誤解により収入金額を過少に申告したものであるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」た事実はない旨主張する。

しかしながら、請求人は3年間にわたり、多額の所得を継続的に過少に申告しており、作成したメモの状況とあいまって、当初から所得を過少に申告する意図があったと認められる。

そして、請求人の事業における関係書類の作成及び外注先への支払の状況を踏まえれば、請求人は収入及び外注費のおおよその金額を認識していたと認められるところ、平成26年分においては、当該認識に沿う主要な売上先に係る売上金額及び外注費等の実額が記載されたメモを作成し、また、その後の平成27年分及び平成28年分においては、申告準備段階において事実とは異なる申告すべき金額を記載したメモを作成し、これらを相談会場に持参し、真実の所得を大幅に下回る金額を記載するなど所得金額を少なく偽った収支内訳書を作成し、所得税等の申告をしていたものである。

これら一連の行為は、請求人が外部からうかがい得る特段の行動をしたものと評価することができ、重加算税の賦課要件を満たすものである。

もっとも、平成25年分はメモの作成は認められず、収支内訳書の記載状況からするとその過少申告の形態がこれ以外の各年分と異なることが認められるから、重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

2020年2月13日


請求人の取締役が、外注先に対して架空の請求書を発行するよう依頼した行為は、請求人による行為と同視できるとした事例

  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで及び平成26年1月1日から平成26年12月31日までの各課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年1月1日から平成25年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで及び平成29年1月1日から平成29年12月31日までの各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年6月20日裁決

<ポイント>
本事例は、代表取締役以外の取締役による行為を、当該取締役の業務内容、地位・権限等から請求人の仮装行為と認定した事例である。

<要旨>
請求人は、国税通則法第68条《重加算税》第1項は、隠蔽又は仮装の主体を納税者と規定していることから、専務取締役(本件専務)が外注先業者に対して架空の請求書を発行するよう依頼した行為(本件仮装)を請求人の行為と同視できないのであるから、同項の規定は適用できない旨主張する。

しかしながら、法人が納税義務者である場合、代表者自身が隠蔽又は仮装した場合に限らず、法人内部において相応の地位と権限を有する者が、その権限に基づき、法人の業務として行った隠蔽又は仮装であって、全体として納税者たる法人の行為と評価できるものについては、納税者自身による行為と同視されると解するのが相当である。

本件専務は、常務取締役又は専務取締役として対外的な営業業務を行っていたこと、請求人の他の営業担当者に対して営業方法を指導する立場にあったこと、請求人の営業利益の大部分を占める業績があり、代表者に次ぐ報酬を得ていたことから、大きな影響力を有する地位にあったと認められ、また、代表者は取引先との取引の詳細な内容まで把握しておらず、本件専務は、代表者から取引先との交渉を一任されていたことからすると、本件専務は、取引先の選定及び取引内容を確定する権限があったと認められる。

そうすると、本件仮装は、上記のような地位及び権限に基づき、請求人の業務として行われた行為であると認められ、請求人において本件仮装を防止するための措置を講じたとも認められず、全体として請求人の行為と評価できる。

したがって、本件仮装は納税者である請求人による行為と同視でき、請求人が事実を仮装したものと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の取締役が、外注先に対して架空の請求書を発行するよう依頼した行為は、請求人による行為と同視できるとした事例

2020年2月13日


売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更したなどの事実があったとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成27年6月1日から平成28年5月31日までの法人税の重加算税の賦課決定処分
  • ②平成26年6月1日から平成27年5月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成31年2月7日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が主張する売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更した事実は認められず、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺいの事実は認められないとの判断をしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の代表者(本件代表者)は銀行振込みでなければ売上げに計上されないことを認識した上で、取引先に決済方法を銀行振込みから小切手に変更するよう依頼して、請求人の売上げを脱漏したのだから、その行為は国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)(通則法)第68条《重加算税》第1項に規定する事実の隠ぺいに該当する旨主張する。

しかしながら、決済方法が銀行振込みから小切手に変更されたのは、当該取引先の事情によるものであり、本件代表者が当該取引先に対して決済方法の変更を依頼した事実が確認できず、また、その他の証拠においても、本件代表者が売上代金を銀行振込みされなければ売上げに計上されないと認識していたことを裏付ける証拠も認められないことから、請求人に通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺいがあったとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更したなどの事実があったとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2020年1月10日


過去の事業年度における仮装経理について、修正の経理を行わず、当事業年度の実際の材料仕入高を水増しした材料仕入高により帳簿書類を作成したことは、仮装に該当するとした事例

  • 平成21年8月1日から平成22年7月31日まで、平成22年8月1日から平成23年7月31日まで、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成24年8月1日から平成25年7月31日まで、平成25年8月1日から平成26年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、平成21年8月1日から平成22年7月31日まで、平成22年8月1日から平成23年7月31日まで、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の重加算税の各賦課決定処分、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年8月1日から平成28年7月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに平成21年8月1日から平成22年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成31年3月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、材料仕入高の水増し計上について、過去の事業年度における仮装経理の「修正の経理」として行った旨主張するが、当該仮装経理の金額を任意の金額で各事業年度に分けて材料仕入高を水増し計上することによって損金に算入したものであって、「修正の経理」の手続によらずに行ったものであるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が各事業年度の損金の額に算入した材料仕入高は、過去の事業年度における仮装経理の「修正の経理」であるから、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第68条《重加算税》第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実はない旨主張する。

しかしながら、請求人の代表取締役は、各事業年度において、実際とは異なる水増しした材料仕入高により帳簿書類が作成されていたことを認識していたと認められ、当該認識の下で請求人が水増しした材料仕入高を帳簿書類に計上したことは、行為の意味を理解しながら故意に事実をわい曲したものということができ、仮装したものというべきであるから、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 過去の事業年度における仮装経理について、修正の経理を行わず、当事業年度の実際の材料仕入高を水増しした材料仕入高により帳簿書類を作成したことは、仮装に該当するとした事例

2020年1月8日


国税の担保の処分においても民法第389条第1項の適用があるとした事例

  • 担保物処分のための差押処分
  • 棄却
  • 平成31年2月5日裁決

<ポイント>
本事例は、国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に建物が築造された場合には、当該担保不動産及び当該建物を一括して公売するために、国税通則法第52条第1項及び民法第389条第1項の規定に基づく担保権の実行として当該建物を差し押さえることができるとしたものである。

<要旨>
請求人は、滞納国税(本件滞納国税)を徴収するためには、本件滞納国税を担保するための抵当権が設定された各不動産(本件各不動産)の差押えで十分であるなどとして、当該抵当権の設定後に当該各不動産上に築造された請求人の物置(本件物置)に対する差押処分(本件差押処分)は違法である旨主張する。

しかしながら、民法第389条《抵当地の上の建物の競売》第1項は、民事執行における競売手続において、土地利用権のない建物の存続を図る形で売却することにより社会経済的損失を回避するとともに、競売手続の円滑な運営を目的として、土地の抵当権に内在する換価権を建物に拡大したものと解される。

そして、かかる要請は、滞納処分における公売手続においても当てはまると解され、また、国税を担保するために設定された抵当権であっても、当該抵当権に内在する換価権の及ぶ範囲については実体法である民法に委ねていると解するのが相当であることからすると、国税の担保の処分においても民法第389条第1項が適用されると解される。

そうすると、本件差押処分は、国税通則法第52条《担保の処分》第4項の規定に基づき行われたものではなく、本件各不動産及び本件物置を一括して公売に付すために同条第1項及び民法第389条第1項に基づく担保権の実行として行われたものであって、担保として提供された財産の処分の代金を滞納国税等に充ててなお不足があると認めることを要件とするものではないから、本件差押処分は適法である。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税の担保の処分においても民法第389条第1項の適用があるとした事例

2019年12月27日


換価代金等の配当処分の取消しを求める審査請求は、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了した後においても不服申立ての利益が認められるとした事例

  • 配当処分
  • 棄却
  • 平成30年10月29日裁決

<ポイント>
本事例は、税務署長は、配当処分の取消しにより、再度適法な配当処分をすべき地位に置かれることになることから、換価代金等の配当処分の取消しを求める審査請求は、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了した後においても不服申立ての利益が認められるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、配当処分(本件配当処分)は、換価代金等の交付期日に配当が実施され、その効力が消滅していること、処分の効力が消滅した後において、処分の取消しによって得られる実益がないことから、本審査請求は不服申立ての利益を欠く不適法なものである旨主張する。

しかしながら、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了すると、配当処分はその目的を完了して処分の効力が消滅したと解されるが、その場合であっても、配当処分の取消しにより、税務署長は、再度適法な配当処分をすべき地位に置かれることになると解されるから、処分の名宛人は、配当金額の交付を受け得るべき地位を回復することとなり、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するということができる。

したがって、請求人は、換価代金等が交付された後においても、本件配当処分の取消しを求めるにつき不服申立ての利益を有するから、本審査請求は適法なものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2019年11月20日


当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年2月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年10月2日裁決

<ポイント>
本事例は、各共済契約に係る権利及び出資金を相続財産として申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が各共済契約について、①関与税理士(本件税理士)からの指示に基づき解約返戻金相当額等証明書を取得したこと、②被共済者等の名義を請求人に変更したこと、また、出資金については、③払戻請求を行ったことなどの各手続等(本件手続等)を行ったにもかかわらず、本件税理士に各共済契約及び出資金の存在を一切伝えなかったことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が行った本件手続等は相続により財産を取得した相続人が通常行う手続と外形上何ら異なるものではないこと、さらに、上記各共済契約のうち満期共済契約の返戻金及び上記出資金の払戻金が相続財産として申告されている貯金の解約金の入金口座と同一の口座に入金されていることからすれば、請求人が本件税理士に各共済契約及び出資金の存在を一切伝えなかったとしても、請求人が当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたとは認められない。

したがって、請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から相続財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2019年11月18日


消費税の課税を免れるため売上金額を調整した行為が事実の隠ぺい又は仮装に当たるとした事例

  • ①平成21年分の所得税に係る重加算税の賦課決定処分(再調査決定により過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された後のもの。以下②及び④において同じ。) →全部取消し
  • ②平成22年分及び平成24年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ③平成23年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ④平成25年分から平成27年分までの所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ⑤平成21年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ⑥平成23年分の所得税及び平成23年1月1日から平成23年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分 →棄却
  • 平成30年12月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、消費税の課税事業者にならないようにする目的で、各取引先に対する売上金額を集計した表を調整して、事業所得の売上金額を1,000万円以下に減額して所得税等の申告をしたとして、国税通則法第68条《重加算税》に規定する「事実の隠蔽又は仮装」に当たるとしたものである。

<要旨>
請求人は、各取引先に対する各月の売上金額等を集計した年次の集計表(本件年次集計表)は決算時のメモでありこれに基づく申告等を行っていないのであるから、各年次の本件年次集計表の作成は税額計算の基礎となる事実についての隠ぺい又は仮装に当たらない旨主張する。

しかしながら、請求人は、消費税等の課税事業者にならないようにする目的で、売上金額を1,000万円以下に減額して所得税等の申告をすることとし、本件年次集計表において、丸印や下線を付すなどして売上金額の合計が1,000万円以下になるように調整したものと認められ、このような調整は、調整後の金額のみ申告すれば足りるかのように装うとともに、消費税等の納税義務が無いかのように装うという隠ぺい又は仮装と評価すべき行為であり、請求人は、当該調整後の金額を収支内訳書に転記して所得税等の申告をしたものと認められ、このような事実は、国税通則法第68条《重加算税》第1項又は第2項に規定する「事実の隠蔽又は仮装」に当たる。

なお、平成21年分の所得税については、偽りその他不正の行為により売上に加算されなかった金額を上回る必要経費の認容により、同年分の偽りその他不正の行為に係る所得金額は零円となり、請求人は、国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項第1号に規定する偽りその他不正の行為により所得税を免れたものとはいえないことから、同年分の重加算税の賦課決定処分(再調査決定により過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された後のもの)については5年を超えて行うことはできず、本件はこれを超えていることからその全部が取り消されるものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 消費税の課税を免れるため売上金額を調整した行為が事実の隠ぺい又は仮装に当たるとした事例

2019年11月14日


当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月27日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らは、譲渡した土地の全てに居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用できるものと誤解し、確定申告をした可能性があるといわざるを得ず、当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①請求人らが譲渡した土地(本件土地)のうちの一部のみが租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定(本件特例)の適用対象となることを認識していたにもかかわらず、本件土地の全てに本件特例を適用して所得税等の確定申告書を提出していたこと、②税理士に対する申告前の相談の際、本件土地及びその土地上の3棟の建物(本件各建物)に係る具体的な資料を提示しなかったこと、③請求人らに対する調査(本件調査)の際、調査担当職員に対し、虚偽の答弁をしたことなどから、請求人らが、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたと認められ、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人らは、本件調査の際、本件各建物のうち請求人らが日常生活を営んでいた建物(本件母屋)以外の2棟の建物(本件各別棟)は譲渡直前において物置として利用していた旨を一貫して述べていること、本件各建物の各居宅は物置として利用していたと認められることなどからすると、請求人らは、本件各別棟を物置として利用していれば、本件土地の全てに本件特例を適用できるものと誤解し、確定申告をした可能性があるといわざるを得ない。
したがって、当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできない。

また、請求人らは、確定申告時点では税理士に関与を依頼しておらず、調査の際の請求人らの答弁が虚偽であると認めるに足る証拠などもないことから、重加算税の賦課要件を充足するとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から所得を過少に申告することを意図していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとした事例

2019年7月29日


第三者が作成した内容虚偽の確定申告書の作成行為について、請求人の行為と同視することはできないとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月3日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が不動産を購入する際、その不動産販売を代理した法人の従業員が不動産の取得時期等について、事業年度の異なった確定申告書等を作成し、請求人が当該申告書等に押印をして原処分庁に提出をしたところ、当該法人の従業員の行為は請求人の行為と同視することはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の不動産購入の販売代理をした法人の従業員ら(本件従業員ら)が作成して請求人が提出した内容虚偽の確定申告書等(本件申告書等)について、請求人が本件従業員らにこれらの作成を持ちかけた、そうでなかったとしても、これらに請求人が押印し提出したものであり本件従業員らの行為は請求人の行為と同視できることなどを理由に、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件従業員らに対し本件申告書等の作成を持ちかけた事実は認められず、また、請求人が本件従業員らにより虚偽の内容の本件申告書等を作成した行為を追認したことはもとより、本件申告書等に事実と異なる内容が記載されていることを認識していたとか、それを予想することができたとは認められず、本件従業員らの行為は請求人の行為と同視することはできないから、重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 第三者が作成した内容虚偽の確定申告書の作成行為について、請求人の行為と同視することはできないとした事例

2019年7月25日


差押財産が自己に帰属するものではないことを理由として差押処分の取消しを求めることはできないとした事例

  • 差押処分
  • 棄却
  • 平成30年6月19日裁決

<ポイント>
本事例は、差押財産が自己に帰属するものではないとの請求人の主張は、「自己の法律上の利益に関係のない違法」(行政事件訴訟法第10条第1項)を主張するものであるから、差押処分の取消しを求めることはできないとしたものである。

<要旨>
審査請求は、違法又は不当な処分によって侵害された不服申立人の権利利益の救済を図るものであることから、自己の法律上の利益に関係のない違法を審査請求の理由とすることはできないと解するのが相当である。

請求人は、差し押さえられた財産は自己に帰属する財産ではないから差押処分(本件差押処分)は違法である旨主張するが、仮にそのような事実があったとしても、本件差押処分によって不利益を受けるのはその財産の真正な帰属者であって、請求人は本件差押処分によって何らの影響も受けないのであるから、結局、請求人がかかる事実を違法であると指摘することは自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものにほかならない。

したがって、差押財産が自己に帰属するものではないことを理由として本件差押処分の取消しを求めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 差押財産が自己に帰属するものではないことを理由として差押処分の取消しを求めることはできないとした事例

2019年4月19日


課税負担を軽減する目的で兄弟会社に対する債務引受による債権放棄を行ったとしても、直ちにその経済的利益の額は寄附金の額とはならないことから、確定申告が事実を隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年3月1日から平成25年2月28日まで及び平成25年3月1日から平成26年2月28日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成25年3月1日から平成26年2月28日までの課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年5月31日裁決

<ポイント>
本事例は、いわゆる兄弟会社において、その債務を引き受けたことによる債権放棄をして貸倒損失として損金の額に算入したことについて、請求人が課税軽減目的を有していたからといって、法人税基本通達9-4-1によれば、兄弟会社の債務引受等であっても相当の理由がある場合には寄附金の額に該当しないことから、直ちに請求人が計上した貸倒損失について寄附金の額に該当すると認識していたとは認められないことを理由として、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人がいわゆる兄弟会社(本件分割法人)の債務を引受け、当該債務引受けによる債権を放棄して貸倒損失として損金の額に算入したことについて、請求人における課税負担を軽減する目的で、本件分割法人の解散、請求人による債務引受けや債権放棄、本件分割法人の特別清算などの一連の行為(本件分割法人整理)を検討したことなどからすると、請求人は当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づいて法人税の確定申告(本件確定申告)をしたから、本件確定申告は事実を隠ぺい又は仮装したところに基づくものである旨主張する。

しかしながら、法人税基本通達9-4-1《子会社等を整理する場合の損失負担等》によれば、兄弟会社の債務引受け等であっても、そのことについて相当の理由があると認められる場合には、その債務引受け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないことから、支援者が課税負担を軽減する目的で当該債務引受け等を行ったことのみをもって、直ちに当該債務引受け等により供与する経済的利益の額が、寄附金となるものではないというべきであり、原処分庁が主張する本件分割法人整理に係る上記各事実をもって、直ちに請求人が計上した貸倒損失について寄附金の額に該当することを認識していたとは認められず、その他、請求人にそのような認識があったことを認めるに足りる証拠はないから、本件確定申告は、事実を隠ぺい又は仮装したところに基づくものであるとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 課税負担を軽減する目的で兄弟会社に対する債務引受による債権放棄を行ったとしても、直ちにその経済的利益の額は寄附金の額とはならないことから、確定申告が事実を隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2019年4月16日


更正の請求を提出することができる者は、納税申告書を提出した者に限られ、第三者が債権者代位権又は取消権の行使として、更正の請求を提出することはできないとした事例

  • 平成24年分贈与税に係る更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 平成30年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第23条第1項は、更正の請求をすることができる者として、納税申告書を提出した者と規定しており、その趣旨は、申告納税方式では、納付すべき税額は課税要件に関する事実関係に最も通じている納税者自らの申告により確定することが原則とされており、その税額が過大であった場合の是正手続も、納税申告書を提出した納税者自らが行うことが申告納税方式に適合するからであると解されるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、贈与税の申告書を提出した者に対し有する金銭債権を保全するため、債権者代位権又は取立権の行使として、更正の請求をすることができる旨主張する。

 しかしながら、国税通則法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第23条《更正の請求》第1項は、更正の請求をすることができる者として納税申告書を提出した者と規定しており、その趣旨は、申告納税方式では、納付すべき税額は課税要件に関する事実関係に最も通じている納税者自らの申告により確定することが原則とされており、その税額が過大であった場合の是正手続も、納税申告書を提出した納税者自らが行うことが申告納税方式に適合するからであると解される。

 また、納税者の債権者等の第三者が更正の請求をすることができるとすると、更正をした場合には納税者の課税標準等又は税額等に係る情報を当該第三者に知らせることになり、国税通則法第126条及び国家公務員法第100条《秘密を守る義務》第1項に規定する守秘義務に抵触することとなるが、その解除を規定した法令は存在しない。

 したがって、国税通則法は更正の請求をすることができる者を、納税申告書を提出した者に限定していると解するのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 更正の請求を提出することができる者は、納税申告書を提出した者に限られ、第三者が債権者代位権又は取消権の行使として、更正の請求を提出することはできないとした事例

2019年4月4日


当初から相続税を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分の所得税等の修正申告に係る重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • ②平成26年分の所得税等の更正処分 → 棄却
  • ③平成26年分の所得税等の重加算税の賦課決定処分 → 一部取消し
  • 平成30年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、本件借主に本件金員に係る領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、隠ぺいまたは仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用にならないことを認識しながら、領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項にいう隠ぺい、仮装に当たると主張する。

しかしながら、請求人が本件借主に農地法上の耕作権がないことを知っていたとしても、そのことをもって直ちに、本件借主との間の貸借状態解消のために支払った本件金員が譲渡費用にならないことまで認識していたとはいい難い。

また、その他、請求人が本件金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、請求人が同項にいう隠ぺいまたは仮装をしたものとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から相続税を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2019年1月15日


支払った金員に係る領収証の名目を書き直させた行為は、当該金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたと認めるに足りる証拠はないから隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成26年分の所得税等の修正申告に係る重加算税の賦課決定処分 → 一部取り消し
  • ②平成26年分の所得税等の更正処分 → 棄却
  • ③平成26年分の所得税等の重加算税の賦課決定処分 → 一部取り消し
  • 平成30年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、本件借主に本件金員に係る領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が農地の借主(本件借主)に支払った金員(本件金員)について、譲渡費用にならないことを認識しながら、領収証の名目を離農補償金と書き直させたことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項にいう隠ぺい、仮装に当たると主張する。

しかしながら、請求人が本件借主に農地法上の耕作権がないことを知っていたとしても、そのことをもって直ちに、本件借主との間の貸借状態解消のために支払った本件金員が譲渡費用にならないことまで認識していたとはいい難い。

また、その他、請求人が本件金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないから、請求人が同項にいう隠ぺい又は仮装をしたものとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 支払った金員に係る領収証の名目を書き直させた行為は、当該金員が譲渡費用に該当しないことを認識していたと認めるに足りる証拠はないから隠ぺい又は仮装をしたものとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月29日


当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年5月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年2月6日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らが、相続手続等を依頼した弁護士に対し、法定申告期限前に相続財産の内容等が記録されているUSBメモリを交付していたと認められるなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人らは、有価証券及び現金預貯金等を相続財産として申告しなければならないことを十分認識していたにもかかわらず、相続手続等を依頼した弁護士(本件弁護士)に対し、相続税を安くする目的で相続財産の内容等が記録されているUSBメモリ(本件USBメモリ)を交付せず、また、請求人らが相続開始直前に被相続人の預金口座から出金した現金(本件現金)の存在も伝えなかったのであり、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき過少申告をしたものと認められるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人らは、本件弁護士に対して法定申告期限前に本件USBメモリを交付していたものと認められ、また、本件現金の存在を本件弁護士に秘匿するためにその事実を伝えなかったと評価することはできず、その他、当審判所の調査及び審理の結果によっても、請求人らに、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないから、同項に規定する重加算税の賦課要件は満たさない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったことをうかがわせる事情は見当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月22日


税理士交付用として相続財産の一覧表を作成した行為は隠ぺい又は仮装の行為に当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成26年5月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月30日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告に当たり請求人が税理士へ交付した相続財産の一覧表は、あえて相続財産の一部を記載せずに作成されたものと推認することはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、相続財産を正確に把握していたにもかかわらず、あえて一部の保険金(本件各無申告保険金)及び遺族一時金(本件遺族一時金)を記載せずに相続財産の一覧表(本件税理士提出用一覧表)を作成し、相続税の申告に当たってこれを税理士に交付したものであり、請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい行為に当たる旨主張する。

しかしながら、本件各無申告保険金及び本件遺族一時金が振り込まれた請求人名義の各口座は、いずれも原処分庁においてその存在を容易に把握し得るものであることに加え、本件税理士提出用一覧表は上書入力を繰り返し行ったために本件遺族一時金の記載が消えてしまった旨の請求人の説明は、一応合理的であることなどからすれば、請求人が、あえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載せずに本件税理士提出用一覧表を作成したとの事実を推認することはできず、ほかにこの事実を認めるに足りる証拠はない。

したがって、請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は、同項に規定する隠ぺいまたは仮装の行為に当たらない。

 ★リンクはこちら ⇒ 税理士交付用として相続財産の一覧表を作成した行為は隠ぺい又は仮装の行為に当たらないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年11月16日


当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月11日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、換地不交付に対する清算金を受領した事実を秘匿するため、あえて当該清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかったとの事実を認めることはできないなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、土地区画整理組合から受領した換地不交付に対する清算金(本件清算金)について、確定申告をしなければならないことを十分認識していたにもかかわらず、原処分に係る調査において、本件清算金を受領した事実を秘匿するためにあえて本件清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかった旨申述していることなどからすれば、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人の当該申述の内容は、合理性、具体性に乏しく、審判所の調査及び審理の結果によってもこれを裏付ける客観的な証拠は認められず、請求人が本件清算金を受領した事実を秘匿するためにあえて本件清算金に係る書類を確定申告会場へ持参しなかったとの事実を認めることはできないなど、請求人が、当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年10月25日


このまま申告しなければやがて決定されるであろうとの認識の下で期限後申告書を提出したとは認められないとして、無申告加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成30年1月29日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、相続税の申告及び納付を決意した後、原処分庁所属の職員との申告相談を経て期限後申告書を提出したものと認められるとして、無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、原処分庁所属の職員(本件職員)は、請求人に対し、相続税に係る調査の事前通知をした上で当該調査を行う旨説明したほか、調査結果の内容の説明とともに期限後申告を勧奨しており、請求人は、調査があったことを認識し、期限後申告をしなければやがて決定されるであろうことを認識することができたものと認められるから、請求人が提出した期限後申告書(本件期限後申告書)は、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、請求人は、請求人の母と本件職員との間で行われた請求人の相続税に関する相談結果を契機として、相続税の申告及び納付を決意し、その後、本件職員との申告相談を経て本件期限後申告書を提出したものと認められるから、請求人が、このまま申告しなければやがて決定されるであろうとの認識の下で本件期限後申告書を提出したとは認められず、そもそも本件期限後申告書の提出に至るまで、相続税に関する調査を受けていたとの認識を有していたとも認められない。

したがって、本件期限後申告書の提出は、同項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ このまま申告しなければやがて決定されるであろうとの認識の下で期限後申告書を提出したとは認められないとして、無申告加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年10月19日


徴収担当職員から、再三再四、預金通帳の提示を求められたにもかかわらず、請求人が預金通帳を一切提示しなかったことは、帳簿書類その他の物件の検査を拒んだものと認められるとして、納税の猶予の不許可事由に該当するとした事例

  • 納税の猶予不許可処分、督促処分
  • 棄却
  • 平成30年1月9日裁決

<要旨>
請求人は、請求人がした納税の猶予の申請(本件猶予申請)につき、原処分庁が、国税通則法第46条の2《納税の猶予の申請手続等》第10項第2号に該当する事実があるとして不許可処分をしたのに対し、徴収担当職員から提示を求められた預金通帳については元関与税理士法人から返却されなかったため提示できなかったものであって、徴収担当職員の検査を拒んだり、妨げたり、忌避したりしてはいない旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、本件猶予申請に係る事項を明らかにするため、預金口座の状況を調査する必要があったと認められるところ、請求人は、徴収担当職員から、再三再四、預金通帳の提示を求められたにもかかわらず、預金通帳を一切提示しなかったのであり、請求人は、徴収担当職員による帳簿書類その他の物件の検査を拒んだものと認められる。

また、仮に、請求人が主張するように、元関与税理士法人が請求人の所有する預金通帳を返却していないとしても、請求人は、預金通帳を発行した金融機関に対して、預金通帳の再発行の手続や預金口座の異動履歴状況の分かるものの発行の手続をすれば、預金通帳その他預金口座の状況を証する書類を容易に取得できるのであるから、所有する預金通帳の提示を求められた請求人が、上記各手続をせずに、預金通帳その他預金口座の状況を証する書類の提示をしないことは、徴収担当職員の検査を拒んだものといわざるを得ない。

 ★リンクはこちら ⇒ 徴収担当職員から、再三再四、預金通帳の提示を求められたにもかかわらず、請求人が預金通帳を一切提示しなかったことは、帳簿書類その他の物件の検査を拒んだものと認められるとして、納税の猶予の不許可事由に該当するとした事例

2018年10月17日


国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物について原処分庁が行った差押処分は、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」にされたものではないとして取り消した事例

  • 不動産の差押処分
  • 全部取消し
  • 平成29年10月16日裁決

<ポイント>
本事例は、国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物についての差押えは、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」の要件を充足する必要があるとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の国税を担保するため抵当権が設定された各担保不動産(本件各担保不動産)上に、抵当権の設定後に築造された請求人の建物(本件建物)に対して行った国税徴収法第47条《差押の要件》第1項第1号に基づく差押処分(本件差押処分)は、国税通則法第52条《担保の処分》第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」になされたものではないが、抵当権の設定後に抵当地に築造された建物を抵当地とともに競売できる旨を定めた民法第389条《抵当地の上の建物の競売》第1項の規定に照らせば、許容されるべきである旨主張する。

しかしながら、国税の担保の処分においても民法第389条第1項が適用されると解する余地はあるが、その場合であっても、抵当権の設定後に抵当地に築造された建物を抵当地とともに公売するための差押えは、担保権の実行である以上、国税通則法第52条第1項に基づく担保物処分のための差押えとして行うものであり、国税徴収法第47条第1項第1号に基づいてなされた本件差押処分は、国税通則法第52条第4項の「なお不足があると認めるとき」になされたものではないから、違法である。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物について原処分庁が行った差押処分は、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」にされたものではないとして取り消した事例

2018年7月9日


国税徴収法第153条第1項各号に該当する事実がいずれも認められないことから、滞納処分の停止の取消処分は適法であると認めた事例

  • ①滞納処分の停止取消処分 →棄却
  • ②債権の差押処分 →棄却
  • 平成29年7月25日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁がした滞納処分の停止取消処分(本件停止取消処分)は、請求人には滞納処分の執行等をすることができる財産がなく、また、請求人の収入額は最低賃金にも満たないから、国税徴収法第153条《滞納処分の停止の要件等》第1項第1号及び同項第2号に該当する事実があるにもかかわらず行われた違法な処分である旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件停止取消処分時において供託金払渡請求権(本件払渡請求権)を有していたと認められ、本件払渡請求権は差押えの対象となる将来生ずべき債権であると認められる以上、請求人に国税徴収法第153条第1項第1号に該当する事実はない。
また、請求人は、妻の扶養親族であるが、自らも就労して収入を得ており、請求人の属する世帯は、それなりの収入がある一方、定期的に多額の支出があるとは認められず、生活が窮迫しているとは認められないことを考慮すると、本件払渡請求権に対して滞納処分を執行したとしても、生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態に直ちに陥ることはないと認められ、請求人に国税徴収法第153条第1項第2号に該当する事実もない。

 ★リンクはこちら ⇒ 国税徴収法第153条第1項各号に該当する事実がいずれも認められないことから、滞納処分の停止の取消処分は適法であると認めた事例

2018年6月29日


当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成22年分の所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分 →全部取消し
  • ②平成23年分から平成26年分の所得税等に係る重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税等に係る重加算税の賦課決定処分 →全部取消し
  • ④平成23年1月1日から平成26年12月31日までの各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年8月23日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠はないとして、重加算税の賦課要件を満たさないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、①特定の取引先(本件取引先)からの報酬等(本件収入)が請求人の事務所名義の預金口座(本件預金口座)に入金されていたと認識していたにもかかわらず、関与税理士に対し、本件預金口座に係る通帳(本件通帳)を提示しておらず、また、②調査担当職員から本件収入の申告漏れを指摘されるまで、調査担当職員に対して本件通帳を提示しなかったことからすると、請求人は、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものと認められるから、重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。

しかしながら、請求人は、①本件取引先が源泉徴収を行った後、本件収入は本件預金口座以外の預金口座に振り込まれているとの誤解の下、関与税理士に対し、手持ちの源泉徴収票及び支払調書に加えて本件通帳以外の通帳を提示することにより、本件収入についても適正に申告していると誤解していたものと考える余地があり、また、②調査担当職員に対して本件預金口座の存在を殊更隠ぺいしようとしたとは考え難く、本件通帳以外の通帳を提示すれば問題ないと考えて本件通帳を提示しなかったものとみる余地があるから、原処分庁が主張する事情は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その他、請求人の上記意図を認めるに足りる証拠もないから、重加算税の賦課要件を満たさない。

 ★リンクはこちら ⇒ 当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年5月16日


期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでないとした事例

  • ①平成23年分及び平成24年分の所得税に係る無申告加算税の各賦課決定処分 →全部取消し
  • ②平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年9月26日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が行った期限後申告書の提出は、調査の内容・進捗状況、それに関する請求人の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断した結果、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことに該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、調査担当職員(本件調査担当職員)が、請求人の配偶者の所得税に係る調査(本件調査)において、請求人名義の不動産から生じる不動産所得が当該配偶者の所得として申告され、請求人が申告していない事実を把握し、請求人の所得税の課税標準等又は税額等を認定するために税理士(本件税理士)に質問を行ったのであるから、本件調査後の期限後申告書(本件期限後申告書)の提出は国税通則法第66条《無申告加算税》第5項(平成28年法律第15号による改正前のもの。)に規定する「決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。

しかしながら、「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことは、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、期限後申告に至る経緯、期限後申告と調査の内容との関連性の事情を総合考慮して判断すべきところ、請求人は、本件調査に応じた本件税理士を通じて請求人の所得税に係る調査を認識したものの、本件調査とは別の契機により不動産の名義どおりに申告をやり直したいとの申出を行い、期限後申告を行ったのであるから、本件期限後申告書の提出は「決定があるべきことを予知してされたものでない」ことに該当する。

その結果、納付すべき税額に5%を乗じて計算した無申告加算税の額が5,000円未満となった年分は処分の全部を、その他の年分は上記5%相当額を超える部分につき処分の一部をそれぞれ取り消すことが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 期限後申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について決定があるべきことを予知してされたものでないとした事例

2018年5月9日


内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定は国税通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されるとした事例

  • 平成26年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成29年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、更正を予知せずにされた修正申告書であっても、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定に基づく過少申告加算税は課されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定は、国税通則法(通則法)第65条《過少申告加算税》第5項の規定が適用される請求人の修正申告書(本件修正申告書)には適用されない旨主張する。

 しかしながら、国送法第6条第2項は、通則法第65条の規定の適用がある場合に過少申告加算税を加重する旨規定しており、同条第5項の規定の適用がある場合を除く旨規定しているものではない上、同項の規定の適用がある修正申告書にも国送法第6条第2項の適用があると解することは、同条第1項及び第2項の規定の趣旨とも整合する。

 したがって、国送法第6条第2項の規定は、通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されると解するのが相当であるから、本件修正申告書についても国送法第6条第2項の規定は適用される。

 ★リンクはこちら ⇒ 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の規定は国税通則法第65条第5項の規定の適用がある修正申告書にも適用されるとした事例

2018年4月18日


請求人は、特定株式の移転の日において、K国の居住者であり、当該特定株式の移転に係るみなし譲渡益は、日本国政府とK国政府との租税協定の規定により、K国に課税権があるとし所得税の更正の請求をしたのに対し、原処分庁がした更正をすべき理由はないとの通知処分は適法であるとした事例

  • 所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 平成29年8月22日裁決

<ポイント>
本事例は、特定株式の移転に係るみなし譲渡益のうち、請求人が日本国の居住者であったときに、新株予約権を行使したことにより生じた権利行使益については、日本国政府とK国政府との租税協定による制限を受けず、国内法の規定により、国内源泉所得として課税を受けることとなると判断したものである。

<要旨>
請求人は、新株予約権の行使により取得した株式に係る租税特別措置法第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》第4項の規定により譲渡とみなされるもの(本件みなし譲渡)のうち、同条第1項に規定する経済的利益(本件権利行使益)については、本件みなし譲渡の全てが株式の保有によって生じた値上がり益、すなわち株式譲渡益と考えるのが相当であり、また、請求人は同条第4項に規定する特定株式の移転の日においてK国の居住者であるから、本件権利行使益は、日本国政府とK国政府との租税協定(本件協定)の規定が適用され、K国に課税権がある旨主張する。

しかしながら、本件みなし譲渡に係る譲渡所得は、所得税法第161条《国内源泉所得》第1号に規定する資産の譲渡により生ずる国内源泉所得であるから、租税特別措置法第37条の12《恒久的施設を有しない非居住者の株式等の譲渡に係る国内源泉所得に対する課税の特例》第1項の規定により、その全体について15%の税率を適用して分離課税の対象になるところ、この国内法上の課税関係が本件協定上受ける制限についてみると、本件みなし譲渡に係る譲渡所得のうち本件権利行使益は、請求人が内国法人であるF社から付与を受けた新株予約権を日本国の居住者である時に行使することにより生じたものであるから、本件権利行使益に係る日本国の課税権については、本件協定による制限を受けないことになり、同項に基づいて15%の税率で分離課税の対象となる。

したがって、本件権利行使益については、国内法の規定により、国内源泉所得として日本国で課税を受けることになる。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人は、特定株式の移転の日において、K国の居住者であり、当該特定株式の移転に係るみなし譲渡益は、日本国政府とK国政府との租税協定の規定により、K国に課税権があるとし所得税の更正の請求をしたのに対し、原処分庁がした更正をすべき理由はないとの通知処分は適法であるとした事例

2018年4月13日


催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じるとした事例

  • ①第二次納税義務の納付告知処分 →棄却
  • ②不動産の差押処分 →棄却
  • 平成29年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、滞納者(本件滞納者)の滞納国税(本件滞納国税)に係る債務の承認によって催告による時効中断の効力が生じるとする原処分庁の民法第153条《催告》の解釈は誤っており、本件滞納国税の徴収権の時効は中断していない旨主張する。

しかしながら、民法第153条は、債権者の催告について、債権者が正規の中断事由によって補強することにより時効中断の効力を認めるものであって、正規の中断手続をとるのが遅れることにより時効が完成するのを防ぐ便法として機能することを期待して定められたものと解され、債権者の催告について、債務者の行為による正規の中断事由である承認を、債権者の行為による正規の中断事由と区別する理由はないというべきであるから、催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じると解すべきである。

これを本件についてみると、本件滞納者の行った承認は、原処分庁が差押予告書(本件差押予告書)の送達によって行った本件滞納国税についての催告後6か月以内にされたものであるから、当該承認によって、本件差押予告書による催告の時効中断の効力が生じたものと認めるのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 催告後6か月以内にされた承認によっても、民法第153条が規定する催告による時効中断効が生じるとした事例

2018年3月6日


収入金額の一部が計上されていない試算表を作成した行為は、隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • ①平成25年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課決定処分 ⇒  一部取消し
  • ②平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の賦課決定処分 ⇒ 一部取消し
  • 平成29年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、一部の業務に係る収入金額を除く一方当該業務に係る必要経費の一部を加えて作成された試算表は、確定申告義務が生じないことの説明資料として作成されたものとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、建築設計業務のほか風俗業を営むことによって多額の利益が生じていることを認識しつつ、風俗業を行っていた複数の店舗のうちの一部の店舗に係る業務(本件独自業務)について、その収入金額を除く一方必要経費の一部を加えた試算表(本件試算表)を作成しているところ、本件試算表は、本件独自業務に係る収入金額を除外するともに、本件独自業務以外の業務において損失が生じているという虚偽の内容を記載することにより、所得金額が生じていないという状況を意図的に作出し、確定申告義務がないことの説明資料として作成されたものといえるから、請求人は、本件独自業務に基因する事業所得の金額を隠ぺいして確定申告書を提出しなかったものと認められる旨主張する。

しかしながら、本件試算表は、請求人が顧問契約の締結を検討していた税理士法人(本件税理士法人)によって作成されたものであるところ、請求人は、本件独自業務に係る売上げを記載した手帳の提示などをせず、本件税理士法人に試算表を作成させたと認められるものの、その後原処分調査までの間に、本件税理士法人に対して本件独自業務を行っていることを述べていることや、原処分調査の際、自ら進んで本件試算表を示して確定申告義務がないとの説明をしたこともなかったことなどを考慮すると、本件独自業務に係る収入金額を申告しないという意図を有していたとか、所得金額が生じない状況を意図的に作出したものとは認められず、本件試算表の作成は、請求人による隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 収入金額の一部が計上されていない試算表を作成した行為は、隠ぺい、仮装と評価すべき行為に該当するとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2018年2月23日


相続税の法定申告期限までに判明した相続財産のみでも、遺産に係る基礎控除を超える場合には、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」はないとした事例

  • 平成27年9月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成29年6月15日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の法定申告期限までに判明した相続財産だけで遺産に係る基礎控除を超える場合、相続税の期限内申告書を提出しなければならないと解するのが相当であり、全ての相続財産を反映した相続税の申告書を作成できなかったとしても、「正当な理由」には該当しないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、期限内申告書を提出しなかったのは、法定申告期限において、被相続人が受け取るべき損害賠償金の額が確定しておらず、全ての相続財産を反映した相続税の申告書を作成することができなかったためであるから、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」がある旨主張する。

しかしながら、納税者が相続財産の全容を把握するため、種々の調査をし、情報入手の努力をした結果、法定申告期限までに相続財産の一部しか判明しなかったとしても、その判明した部分だけで遺産に係る基礎控除額を超える場合には、納税者は、判明した相続財産につき期限内申告書を提出しなければならず、納税者が、法定申告期限までに把握した相続財産の価額が遺産に係る基礎控除額を超えることによって相続税の申告書の提出を要すると認識し、又は認識し得た場合において、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合には、同項ただし書に規定する「正当な理由」があるとは認められないと解するのが相当であるところ、請求人らは、法定申告期限までに、相続税の申告について相談した税理士から相続税の申告が必要である旨の説明を受けるとともに、相続した土地の価額のみで基礎控除額を超えることを認識していたのであるから、相続税の申告が必要であることを認識していたものと認められる。

したがって、請求人らが期限内申告書を提出しなかったことについて、同項ただし書に規定する「正当な理由」があるとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の法定申告期限までに判明した相続財産のみでも、遺産に係る基礎控除を超える場合には、その把握した相続財産に係る期限内申告書を提出しなかった場合、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」はないとした事例

2018年2月16日


当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認められるものの、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動を認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成19年分から平成24年分までの所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税の重加算税の各賦課決定処分、平成19年1月1日から平成25年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年7月4日裁決

<ポイント>
本事例は、事業所得を秘匿した内容虚偽の所得税の確定申告書の提出など、当初から所得を過少に申告することを意図して行われたものと認められるものの、請求人が事業所得を秘匿するためにあえて帳簿を作成しなかったとまでは断定し難い上、請求人の営む事業に関するその余の行為においても、過少申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動を見いだすことはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、請求人の営む事業(本件事業)で多額の利益が生じており、当該利益は帳簿書類を作成し確定申告をすべき金額であることを十分に認識していながら、債務弁済や利殖のために税を免れることを意図し、その意図に基づいて本件事業に係る帳簿書類をあえて作成せずに、7年間にわたって本件事業に係る多額の収入金額を一切記載しない内容虚偽の所得税等の確定申告を行うとともに、消費税等についてあえて申告していなかったものと認められるのであって、これら請求人の一連の行為は、請求人が当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき過少申告等をしたものと認められるから、請求人は、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠ぺいを行った旨主張する。

しかしながら、請求人が、所得税等の確定申告に際し、本件事業に係る所得を全て秘匿して、給与所得及び株式等に係る譲渡所得等のみを記載した内容虚偽の確定申告書を提出し、本件事業に係る所得を申告しなかったこと、また、本件事業に係る収入等につき消費税等の申告をしなかったことは、当初から所得を過少に申告する意図、又は法定申告期限までに申告しないことを意図して行われたものと認めるのが相当であるものの、請求人が本件事業に関する正当な収入金額、必要経費及び所得金額を秘匿するためにあえて帳簿を作成しなかったとまでは断定し難い上、審判所の調査によっても、本件事業に関する請求人のその余の行為において、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動などを見いだすことはできない。

したがって、原処分庁が主張する請求人の行為は、過少申告等の意図を外部からもうかがい得る特段の行動とは評価することができないものであり、請求人の所得税等及び消費税等について、重加算税を賦課することはできないものといわざるを得ない。

★リンクはこちら ⇒ 当初から所得を過少に申告する意図を有していたと認められるものの、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動を認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2017年8月9日

当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

  • 平成21、22、24年分の所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る重加算税の各賦課決定処分 棄却
  • 平成21年1月1日から平成24年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分 棄却
  • 平成28年9月30日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、消費税等の負担を免れるため、長年にわたり、農産物等の販売金額を過少に記載した下書用の収支内訳書を作成し、これを市の申告相談で市職員に提示することにより、同職員をして販売金額を過少に記載した収支内訳書及び確定申告書を作成させ続けていたとして、重加算税の賦課要件を満たすとしたものである。

<要旨>
請求人は、自身が下書用の収支内訳書を作成した行為は単なる過少申告行為であり、隠ぺいしようという確定的な意図の下に行った申告ではなく、隠ぺい又は仮装に該当する行為はないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項及び第2項に規定する重加算税の賦課要件は満たされない旨主張する。

しかしながら、請求人は、消費税等の負担を免れるため、7年間という長期間にわたり、農産物及び肉用牛(農産物等)の販売年間取引実績表等によってその販売金額の合計額が1千万円を超えていることを認識していたにもかかわらず、その合計額が1千万円を超えないよう、農産物等の販売金額を過少に記載した下書用の収支内訳書を作成し、これを市の申告相談で市職員に提示することによって、同職員をして農産物等の販売金額を過少に記載させ、その合計額がいずれも1千万円以下となる収支内訳書及び確定申告書を作成させ続けていたものと認められる。

したがって、請求人は、当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認められるのであるから、国税通則法第68条第1項又は第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

★リンクはこちら ⇒ 当初から過少申告及び無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき、所得税等については過少申告をし、消費税等については期限内に確定申告書を提出しなかったと認定した事例

2017年8月7日

e-Taxソフト等のメンテナンス終了について

国税庁が提供しているe-Taxソフト等について、e-Taxソフト等と組み合わせているインストール用ファイルに不具合が発見されたためメンテナンスを実施していたが、平成29年6月23日(金)に全てのインストール用ファイルのメンテナンスが終了した。
詳細は「ダウンロード再開対象一覧」をご覧のこと。

e-Taxソフト等をご利用になる場合は、最新版のインストーラをダウンロードすること。

【平成29年6月6日以前からe-Taxをご利用いただいている方へ】
6月6日(火)以前に、e-Taxソフト等をインストールされた方で、新たにe-Tax ソフトをインストールまたはバージョンアップしてe-Taxを利用する場合には、既にパソコンに保存されているインストール用ファイル(削除対象ファイル一覧)は実行せずに、確実に削除いただいた上で、6月12日(月)以降、e-Taxホームページから提供される最新版の「e-Taxソフト(共通プログラム)インストーラ」等をダウンロードまたはバージョンアップすること。

★リンクはこちら ⇒ e-Taxソフト等のメンテナンス終了について

2017年6月26日

相続財産である各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

  • 平成24年11月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月25日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、相続に関する原処分庁の照会に対して被相続人名義の各預金口座の存在を回答せず、相続税調査の初期においても上記回答に沿った申述するなど、当該各預金口座の存在を隠した事実は認められるものの、これらの行為をもって、隠ぺい又は仮装の行為と評価することは困難であるなどとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人が、生前、同人名義の各預金口座の存在を原処分庁に容易に知り得ない状況を作出するとともに、請求人に対して当該各預金口座は申告する必要はないと指示しており、請求人が、その意図を十分に理解して、当該各預金口座を記載しない「相続についてのお尋ね」(本件お尋ね回答書)を原処分庁に提出するとともに、原処分庁所属の職員に対しても、その記載に沿った申述を行った後、その存在を把握されるに至って、当該職員から指摘された口座についてのみ段階的にこれを認める行為を繰り返したのであるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい又は仮装の事実がある旨主張する。

しかしながら、無申告加算税に代えて重加算税を課す場合、法定申告期限の前後を含む、外形的、客観的な事情を合わせ考えれば、真実の相続財産を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に納税申告書を提出しなかったときには、重加算税の賦課要件を満たしていると解するのが相当である。
これを本件についてみると、請求人は、相続税の法定申告期限後において、当初、当該各預金口座の存在を隠す申述をしているものの、当該職員から指摘されるとその存在を認めており、当該各預金口座を隠す態度を一貫していたとはいえない上、当該各預金口座が発見されるのを防止するなど積極的な措置を行っていないことからすれば、本件お尋ね回答書の提出及び当該各預金口座を隠していたことを、隠ぺい又は仮装と評価するのは困難である。
そして、このほか、請求人が、法定申告期限の前後において、積極的な隠ぺい又は仮装の行為を行っていないことからすれば、法定申告期限経過時点において、相続税の調査が行われた場合には、積極的な隠ぺい又は仮装の行為を行うことを予定していたと推認することはできない。

したがって、請求人は、当該各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないから、重加算税の賦課要件を満たさない。

★リンクはこちら ⇒ 相続財産である各預金口座を隠ぺいし、秘匿しようという確定的な意図、態勢の下に、計画的に相続税の申告書を提出しなかったとまではいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例

2017年2月13日

太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできないとした事例

  • 平25.4.1~平26.3.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、太陽光発電設備に係る請求書を請求人が作成したことについて争いはなく、その請求書の欄外に工事完了は課税期間の末日までとする旨記載されていたとの事実関係の下、請求人がこのような請求書を作成したことをもって太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したとはいえないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が太陽光発電設備の取得費を課税仕入れの対価の額に含めたことについて、請求人は、課税期間内に太陽光発電設備の設置工事(本件工事)が完了しないことを十分認識していたにもかかわらず、本件工事が課税期間の末日である平成26年3月31日までに完了する旨記載した内容虚偽の請求書(本件請求書)を作成したのであるから、太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したものというべきである旨主張する。

しかしながら、本件請求書は、飽くまで本件工事の代金を請求する書面であって、太陽光発電設備の引渡しに係る書面ではない上、本件請求書が平成26年1月31日付で作成されていることからすれば、「工事完了は3月31日までとする」との記載は、工事完了の予定日が記載されたものとみるほかなく、請求人が本件請求書を作成したことをもって太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 太陽光発電設備の引渡しを受けた日を仮装したと認めることはできないとした事例

2017年2月10日

死亡保険金の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとまでは認め難いとした事例

平成24年9月相続開始に係る

  • 相続税の重加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 更正処分及び重加算税の賦課決定処分 全部取消し
  • 平成28年5月20日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が死亡保険金の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人は、11口の死亡保険金を自ら受領しそのうち4口は当初申告しており、これらの死亡保険金全てを相続税額の計算の基礎とすべきことを認識していたと認められるから、その余の7口の死亡保険金(本件各無申告保険金)を受領した事実を隠ぺいする意図があったと推認されることや、調査担当職員に対し、本件各無申告保険金についても申告したと認識していた旨の虚偽の申述をしたことなどを総合考慮すると、本件各無申告保険金を当初申告から除外したことは、課税要件事実を隠ぺいしたところに基づくものである旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件各無申告保険金をいずれも請求人名義の預金口座への振込送金により受領した上、調査の際には、調査担当職員からの求めに応じて、当該預金口座に係る預金通帳等を逡巡なく提示しているのであって、本件各無申告保険金の発見を困難ならしめるような意図や行動はうかがわれない。
また、請求人が、調査担当職員から本件各無申告保険金の申告漏れを指摘されると、特段の抗弁をすることなく当該事実を認めており、修正申告の勧奨に応じて遅滞なく修正申告をしていることにも照らせば、本件各無申告保険金を故意に当初申告の対象から除外したものとまでは認め難い。

これらによれば、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものと認めることはできないから、本件各無申告保険金を当初申告の対象に含めなかったことが、課税要件事実の隠ぺい、仮装に基づく過少申告であるとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 死亡保険金の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとまでは認め難いとした事例

2017年2月9日

生命保険金及び生命保険契約に関する権利の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとは認め難いとした事例

平成24年12月相続開始に係る相続税の

  • 重加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 全部取消し
  • 平成28年5月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が生命保険金等の一部を申告しなかったことについて、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、生命保険金及び生命保険契約上の権利が相続税の計算の基礎となる財産であることを十分に認識しながら、生命保険契約の一部のみを申告した一方、関与税理士に対して5口の保険契約(本件各保険)に関する書類を提出せず、これらを申告しなかったことは、当初から課税標準等を過少に申告することを意図して、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をし、その意図に基づく過少申告をしたものと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件各保険の契約締結に関与していないこと、相続開始の約4か月後に保険会社から教示を受けるまでは、本件各保険の2口について、相続に起因する保険金の支払請求手続ないし契約者等の変更手続の必要性を認識しておらず、保険会社から促されて受動的にこれらの手続を行ったものとみられること、当初申告後に保険会社から連絡を受けるまでは、本件各保険の3口の存在を認識していなかったことがうかがわれることに加え、当初申告書の作成過程で関与税理士に対し相続財産の計上漏れを指摘して訂正を求めるなど、正確な申告を行う姿勢を示していたこと、原処分庁の調査担当職員から本件各保険の申告漏れを指摘された後、遅滞なく修正申告に応じていることに照らせば、請求人が、本件各保険を故意に当初申告の対象から除外したものとは認め難い。

したがって、請求人が、相続税を当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたものとは認めることができない。

 ★リンクはこちら ⇒ 生命保険金及び生命保険契約に関する権利の一部を故意に相続税の申告の対象から除外したものとは認め難いとした事例

2017年2月8日

相続財産である現金の申告漏れについては、過少申告の意図を外部からもうかがい得る請求人の行為の結果としてなされたものと認定した事例

  • 平成24年10月相続開始に係る相続税の過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産である現金の申告漏れについて、請求人は、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたものと認められるとして、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」によると判断したものである。

<要旨>
請求人は、関与税理士に対し、現金の存在及びその大まかな額の分かる資料を提出しており、申告すべき現金の額について関与税理士の税務的な判断に任せていたことから、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」といわれるような行為はなかった旨主張する。

しかしながら、請求人は、被相続人の財産を管理しており、相続開始日における多額の現金が相続財産に当たることを知っていたことなどから、当初から現金を過少に申告することを意図し、その意図に基づき多額の現金の存在につき関与税理士に敢えて秘匿し、手元に残っていた現金は存在しない旨を示す書面を関与税理士に提出するなどして、その結果、関与税理士に現金を過少に記載した申告書を作成させて原処分庁に提出したものである。

したがって、請求人は、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づく過少申告をしたものと認められるから、現金に関する申告漏れについては、重加算税の賦課要件である「隠ぺい」によるものと認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続財産である現金の申告漏れについては、過少申告の意図を外部からもうかがい得る請求人の行為の結果としてなされたものと認定した事例

2017年2月6日

請求人に対する決定処分は、違法な調査に基づいて行われたものではないとされた事例

  • 平成21年分所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成25年分所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成28年5月20日裁決

<ポイント>
本事例は、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越しのみを求めるための申告書を提出できる期限は、その申告書を提出することができる日から5年を経過する日までとした申告指導等に誤りはないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁の行った平成21年分の所得税の決定処分(本件決定処分)は、①国税通則法(通則法)第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定する調査結果の説明を口頭で行っていないなど、調査終了の際の手続が不十分であること、②平成20年分の所得税につき、少なくとも法定申告期限から7年間は期限後申告が可能であったにもかかわらず、原処分庁が請求人に対して、法定申告期限から5年間が期限後申告書を提出できる期限であるとの指導(本件申告指導)をし、請求人は、不当な本件申告指導により、平成20年分の所得税の期限後申告書の提出を制限され、結果、平成21年分の所得税において、前年分の先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除が不可能な状態を強いられ、その後に本件決定処分がなされたという事情があることから、通則法第25条《決定》に基づく適法な調査によるものとはいえず、取り消されるべきである旨主張する。

しかしながら、上記①の主張について、本件における調査手続には、課税処分を取り消すべき違法な点はなく、また、上記②の主張について、請求人の平成20年分の所得税の期限後申告書は、その申告書を提出できる日から5年を経過する日が提出できる期限であると解されるところ、本件申告指導を行った時点において、既に当該期限を経過していたのであるから、本件申告指導により平成20年分の期限後申告を行う権利を制限されたとする請求人の主張はその前提を欠く。

したがって、本件決定処分は、通則法第25条に規定する「調査」に基づいて適法に行われたものであり、取り消すべき違法はない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人に対する決定処分は、違法な調査に基づいて行われたものではないとされた事例

2017年2月2日

重加算税の額の基礎となる税額は、過少申告加算税の基礎となるべき税額から、その税額の基礎となるべき税額で隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額を控除した税額となるところ、控除後の税額は零となることから、過少申告加算税の額を超える部分の金額は違法であるとした事例

平22.7.1から平23.6.30までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成28年2月4日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当初申告において組合損益に架空経費を計上し、これを基に組合損益の分配額を計上していたが、更正処分においては、組合損益の分配割合は零と認定され、この分配割合の変更については隠ぺい又は仮装の事実はないことから、重加算税の基礎となる税額は零と計算されるとしたものである。

<要旨>
請求人は、組合事業に係る組合損益の分配割合につき、更正処分においては当該組合事業に係る不動産の登記名義の割合を用いて算定しているところ、重加算税賦課決定処分においては、架空雑費(本件雑費)の金額を各組合員の出資金額の割合を用いて算定しており、計算方法の一貫性を欠くと主張する。

しかしながら、請求人は本件雑費を含む組合損益を本件雑費の割合(本件雑費割合)に応じて各組合員に分配した損益分配表に基づいて申告したのであるから、原処分庁が本件雑費を各組合員に割り付けるに当たり、本件雑費割合をよりどころとしたこと自体は何ら不合理ではない。
もっとも、国税通則法第68条《重加算税》第1項括弧書及び同法施行令第28条《重加算税を課さない部分の税額の計算》第1項の規定により、重加算税の計算の基礎となる税額は、増差税額全体から隠ぺい又は仮装されていない事実のみに基づいて更正があったものとした場合の納付すべき税額を控除して算出するとされているところ、損益の分配割合に誤りがあったことについては、隠ぺい又は仮装は認められないため、①「更正処分に基づく増差税額全体」から②「損益の分配割合に誤りがあったことのみに基づいて更正があったものとして算出した税額」を控除して計算することとなるが、①と②は同額であることから、重加算税の計算の基礎となる税額は零円となる。したがって、増差税額の全部が過少申告加算税の賦課対象となり、これを前提に請求人の加算税額を計算すると原処分額が過大となるから、当該過大部分は違法である。

 ★リンクはこちら ⇒ 重加算税の額の基礎となる税額は、過少申告加算税の基礎となるべき税額から、その税額の基礎となるべき税額で隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額を控除した税額となるところ、控除後の税額は零となることから、過少申告加算税の額を超える部分の金額は違法であるとした事例

2016年11月30日

無申告加算税に代えてなされた重加算税の賦課決定処分につき、事実を隠ぺいし、その隠ぺいされたところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められないとして、同処分を全部あるいは一部取り消した事例

平成24年3月相続開始に係る相続税の
①更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分
②重加算税の賦課決定処分
①全部取消し・②一部取消し
平成28年3月30日裁決

<要旨>
原処分庁は、原処分に係る調査時の被相続人の子ら(本件子ら)の申述等を根拠に、本件子らの間では、遅くとも法定申告期限までに、相続税の申告をしない旨の合意が成立しており、かかる合意に基づき、法定申告期限までに申告書を提出しなかったものであるから、請求人らが、事実を隠ぺい又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったことは明らかである旨主張する。

しかしながら、本件子らの申述等を含む本件の全証拠を総合しても、本件子らの間で、法定申告期限までに相続税の申告をしない旨の意思の合致があったとはにわかに認め難い。
また、本件子らには、事前通知後、原処分庁の調査に積極的には協力しない旨の漠然とした合意が形成されていたことが認められ、調査の際、被相続人が証券会社との取引があった事実を秘匿するため、虚偽の答弁や香典メモの破棄行為という明らかな証拠隠滅行為に及んだことなど、相続財産を隠ぺいし、相続税を無申告で済ませようとする意図をうかがわせる一定の事情が認められるが、これらの事情は、いずれも、法定申告期限から約1年8月が経過した後の調査時点における言動等であって、事前準備を要するような計画的なものではなく、とっさにとった行動とも評価し得るものであり、その後直ちに証券会社との取引の事実を認め、遅滞なく期限後申告に応じていることから、相続財産を隠ぺいする態度、行動をできる限り貫こうとしたとまではいえない。

したがって、請求人らが、相続税を申告しない意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったとまでは認められないから、事実を隠ぺい又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき、法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 無申告加算税に代えてなされた重加算税の賦課決定処分につき、事実を隠ぺいし、その隠ぺいされたところに基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものとは認められないとして、同処分を全部あるいは一部取り消した事例

2016年11月28日

納税の猶予不許可処分をした原処分庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできないとした事例

納税の猶予不許可処分
棄却
平成28年1月13日裁決

<要旨>
請求人は、納税の猶予の申請を許可するか否かは納税者の事業実態として納税を困難にしている事実の存否により判断されるべきところ、請求人には当該事実が存在し、国税通則法第46条《納税の猶予の要件等》第2項第5号の要件を充足していたとして、原処分庁が納税の猶予を不許可とした処分(本件不許可処分)には裁量権の範囲の逸脱又は濫用があり、違法である旨主張する。

しかしながら、納税の猶予の許否は税務署長の裁量的判断に委ねられていると解するのが相当であるところ、当該裁量基準を示した「納税の猶予等の取扱要領」(猶予取扱要領)の定めが合理性を有するものである場合には、税務署長の判断が当該取扱要領の定めに従っている限り、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとの評価を受けることはない。

これを本件についてみると、本件に関する猶予取扱要領の定めは合理的であり、当該定めに従えば、請求人には国税通則法第46条第2項第5号(第4号類似)に該当する事実があったということはできないから、本件不許可処分をした原処分庁の判断に、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 納税の猶予不許可処分をした原処分庁の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったと認めることはできないとした事例

2016年11月25日

異議申立て時には存在していなかった処分が、異議決定までになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当であるとした事例

売却決定処分、公売公告
棄却、却下
平成27年12月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、不動産等の売却決定処分(本件売却決定処分)に対する異議申立ては、異議申立ての時点で存在しない「処分」を対象とするものであって、明らかに不適法である旨主張するが、異議申立ての対象とされた本件売却決定処分が、異議申立てについての決定がされるまでになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 異議申立て時には存在していなかった処分が、異議決定までになされた場合には、その時点で異議申立ての対象とされた「処分」が存在するに至ったのであるから、それ以降、当該異議申立ては適法なものとなり、異議申立て固有の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当であるとした事例

2016年10月6日

相続財産である家族名義預金を申告せず、税務調査においても根拠のない答弁を行った納税者について、国税通則法第68条に規定する重加算税の賦課要件を満たすとした事例

平成23年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
一部取消し・棄却
平成27年10月2日裁決

<要旨>
請求人らは、被相続人の子名義の定期預金11口(本件各定期預金)は被相続人が生前に被相続人の子供ら(本件子供ら)に贈与したものであり、これを申告しなかったことにつき、隠ぺい又は仮装行為は存しない旨主張する。

しかしながら、被相続人の妻(本件妻)は、本件各定期預金を相続財産と認識しながら、これを関与税理士に告げず、本件各定期預金の記載がない遺産分割協議書を添付して相続税の過少申告を行い、その後の税務調査においても、本件各定期預金が、被相続人の生前既に贈与されたものであるなどとする根拠のない申述をして、真実の相続財産を隠ぺいする態度を貫こうとしたものである。
このような行為は、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上で、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告を行ったものと認められる。
また、本件子供らは、相続財産の調査、申告を本件妻に委任していたが、本件各定期預金のうちそれぞれの名義の定期預金が相続財産であることを認識しながら、これを関与税理士に告げず、本件妻とともに相続税の過少申告を行っており、かつ、本件子供らに受任者である本件妻の選任及び監督に過失がないと認められる特段の事情はないから、本件子供らは、本件各定期預金の全部の隠ぺいがあったと認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続財産である家族名義預金を申告せず、税務調査においても根拠のない答弁を行った納税者について、国税通則法第68条に規定する重加算税の賦課要件を満たすとした事例

2016年10月5日

請求人の法定申告期限経過前の行為及び調査に対する虚偽答弁、虚偽証拠の提出を総合判断すると、本件では、隠ぺい仮装があったと認めることができ、無申告加算税に代わる重加算税の賦課要件を充足すると認定した事例

①平成18年分~平成24年分の所得税の各更正処分
②平成18年分、平成20年分及び平成22年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
③平成19年分、平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
④平20.1.1~平22.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
⑤平23.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分
①③④⑤棄却 ②一部取消し
平成27年10月30日裁決

<要旨>
請求人は、法定申告期限までに所得税の確定申告書を提出しなかったのは請求人の税知識の不足により失念していたからであり、請求人は外国人研修・技能実習制度の送出し機関であるK社の従業員であるから、原処分庁の前回の調査結果に従って、K社から証明書の交付を受けた上で給与所得等に係る所得税の期限後申告書を提出しているなどとして、当該期限後申告書の提出並びに原処分庁の今回の調査に基づく更正について、重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。

しかしながら、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在しない場合であっても、納税者が当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかった場合には、重加算税の賦課要件が満たされると解するのが相当であるところ、請求人は、自身が事業主体であったにもかかわらず、①当該事業から生ずる収入を、K社の肩書が付された口座に振込入金させた上で毎月ほぼ全額を現金で出金し、金員の流れを容易に把握できないようにすることによって、K社に帰属するものであると装い、②多額の事業収入を得ていながら5年間にわたり無申告を続け、③原処分庁の前回調査を受けても、K社に内容虚偽の証明書を作成・提出させるなどの工作を行って、事業主体は飽くまでK社にあり自身は給与を得ていたと装うなどしていることからすると、請求人は、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたといえるから、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったことについては、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人の法定申告期限経過前の行為及び調査に対する虚偽答弁、虚偽証拠の提出を総合判断すると、本件では、隠ぺい仮装があったと認めることができ、無申告加算税に代わる重加算税の賦課要件を充足すると認定した事例

2016年8月2日

原処分庁は、被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の(実質的)経営者である請求人が債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産からこれら債権を除外して相続税の申告をしたとして重加算税を賦課したが、上記債権の一部は被相続人が実際に債権放棄をした可能性が認められるとして、原処分庁の事実認定を否定した事例

平成23年12月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成27年10月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人は各同族会社(本件各会社)の経理処理を自由にできる自身の立場を利用して、被相続人からの債務免除等の事実がないにもかかわらず、本件各会社の帳簿において事実に基づかない各仕訳を行い、被相続人からの借入金の帳簿上の残高を減少させたものと認められるから、請求人のこのような行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」たことに該当する旨主張する。

しかしながら、請求人と被相続人との間で請求人が答述するような協議があった可能性を十分に認めることができることを前提にすると、当該各仕訳の一部は、当該借入金の額を減少させるという被相続人の意思に基づき行われた可能性が十分に認められることから、当該各仕訳に係る請求人の行為は、相続税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、故意に脱漏し、あるいは故意にわい曲したものであるとまでは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁は、被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の(実質的)経営者である請求人が債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産からこれら債権を除外して相続税の申告をしたとして重加算税を賦課したが、上記債権の一部は被相続人が実際に債権放棄をした可能性が認められるとして、原処分庁の事実認定を否定した事例

2016年7月27日

収支内訳書に虚偽記載をしただけでは、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

①平成20年分~平成23年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分
②平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分
③平成22年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分
④平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の無申告加算税の各賦課決定処分

①②一部取消し ③④棄却 平成27年7月1日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人が、過少申告の意図に基づき、①得意先に対する売上金額を記載したメモの一部を破棄したこと、②平成18年分の所得税額を試算した際のメモと同様の原処分に係る各年分のメモを破棄したこと、③正確な収入金額等を容易に確認できたにもかかわらず、収支内訳書に根拠のない額を記載したことという一連の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。

しかしながら、請求人に過少申告の意図があったことは認められるものの、上記①のメモについては、売上金は全て振り込まれ、しかもその入金のあった預金口座の通帳は保存されていたこと等からすると、請求人は当該メモ書を保存する必要がなくなったから廃棄した可能性が十分に考えられること、上記②のメモについては、そのようなメモを作成していた事実が認められないこと、上記③については、収支内訳書に根拠のない額を記載する行為は過少申告行為そのものであることから、原処分庁が主張する請求人の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動には当たらず、重加算税の賦課要件を充足しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 収支内訳書に虚偽記載をしただけでは、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例

2016年5月23日

事前通知なし調査について争われた事例

①平成22年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
②平成24年分の所得税の更正処分
③平成24年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分
④平20.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
①②一部取消し、③④棄却 平成27年7月21日裁決

<ポイント>
本事例は、質問検査権の行使を行っていなければ、事前通知なく納税者方に赴いても違法にはならないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分に係る調査の担当職員(本件調査担当者)が請求人の自宅兼事業所に臨場(本件臨場)する前に請求人に対し、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定する通知(事前通知)をしなかったことが、原処分を取り消すべき事由に該当する旨主張する。

しかしながら、本件調査担当者は、本件臨場において、事前連絡をしないで請求人の自宅兼事業所を訪れ、請求人であることを確認した上で、身分証明書と質問検査章を提示し、所属と氏名を述べ、税務調査のために来訪した旨を伝えているが、請求人の課税標準等を認定する目的で、請求人に質問し、又はその事業に関する帳簿、書類その他その調査事項に関連性を有する物件の検査をした事実は認められず、質問検査権の行使を行ってはいないから、本件臨場の前に請求人に対し事前通知をしなかったことは、原処分を取り消すべき事由には該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 事前通知なし調査について争われた事例

2016年5月20日

処分理由の提示が争われた事例

平成22年11月相続開始に係る相続税の更正処分
棄却 平成27年9月28日裁決

<ポイント>
本事例は、処分通知書に記載すべき理由は、行政庁の不服申立ての抑制及び不服申立ての便宜という理由提示の制度趣旨を充足する程度に記載すれば不備はないとしたものである。

<要旨>
請求人は、相続税の更正処分に係る通知書(本件通知書)に記載された処分理由には、課税価格に加算される本件他の相続人らの相続時精算課税適用財産及び歴年課税分の贈与財産(本件贈与財産)の価額のそれぞれの合計額が記載されているものの、その明細が記載されておらず、かかる記載内容では、処分の基礎となる具体的な事実を知りえず、不服申立ての便宜を図った行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》の理由提示の趣旨に反することから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。

しかしながら、本件贈与財産の課税価格の合計額への加算に係る提示理由には、本件贈与財産について、それぞれ合計額が記載されているところ、本件贈与財産の合計額が分かれば、課税価格の合計額を算出することができるのであるから、当該記載により、原処分庁が相続税額を算出した過程を示したものといえる上に、そもそも、課税庁は、相続時精算課税適用財産の価額及び暦年課税分の贈与財産の価額を課税価格の合計額に加算するに当たっては、他の共同相続人等から提出された申告書の記載又は同人等に対する更正処分の内容等を基に相続税額の計算をするのであるから、この点に課税庁の恣意が入り込む余地は乏しく、合計額のみの記載であっても、行政庁の恣意抑制という見地から欠けるところはない。
さらに、相続時精算課税適用財産の価額及び暦年課税分の贈与財産の価額については、それぞれの合計額が記載されていれば、納税者は課税価格の合計額を算出することが可能であり、記載された合計額と納税者が認識しているこれらの合計額とを比較して、不服申立ての要否を判断することが可能といえるから、処分の名宛人の不服申立ての便宜という見地からも欠けるところはない。

したがって、本件通知書に記載された処分理由は、理由提示の趣旨目的を充足する程度に処分の理由を具体的に明示したものと認めることができ、行政手続法第14条第1項本文の要求する理由提示として不備はないから、原処分を取り消すべき違法はない。

 ★リンクはこちら ⇒ 処分理由の提示が争われた事例

2016年5月18日

帳簿を作成していない青色申告事業者に対する更正処分の理由付記の程度について、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当することから、理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に記載すればよいとした事例

①平成17年分、平成19年分、平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分
②平成18年分、平成20年分及び平成21年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
③平20.1.1~平20.12.31、平22.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
棄却 平成27年3月30日裁決

<要旨>
請求人は、青色申告者である請求人に対する所得税の更正処分(本件所得税更正処分)に係る通知書(本件更正通知書)には、調査による計数上の記載や処分の結果のみが記載されているだけで、原処分庁の判断根拠が全く記載されておらず、本件更正通知書の理由付記には、本件所得税更正処分を取り消すべき不備がある旨主張する。

しかしながら、請求人は、請求人の事業所得を生ずべき業務について、集計表等を作成するだけで日々の取引を記録する帳簿を作成していないことから、本件所得税更正処分は、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当するところ、原処分庁は、本件更正通知書において、事業所得に係る総収入金額については取引先ごとに取引期間及び年間の売上金額を一覧表で明らかにしており、必要経費については計上漏れとして認定した仕入金額等の支払先及び年間の支払合計金額などを記載していることからすれば、本件更正通知書に記載された理由は、原処分庁の恣意抑制及び納税者の不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的な記載がされていると認められることから、本件所得税更正処分を取り消すべき不備はない。

 ★リンクはこちら ⇒ 帳簿を作成していない青色申告事業者に対する更正処分の理由付記の程度について、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当することから、理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に記載すればよいとした事例

2015年10月19日

調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさないと判断した事例

①平成20年分、平成21年分及び平成24年分の所得税に係る重加算税並びに平成19年分の所得税に係る過少申告加算税並びに平21.1.1~平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分
②平成18年分~平成21年分、平成23年分及び平成24年分の所得税の各修正申告並びに平18.1.1~平18.12.31及び平21.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各期限後申告
①棄却 ②却下 平成27年3月26日裁決

請求人は、原処分に係る調査担当職員(本件調査担当職員)が行った調査につき、①国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定する調査対象期間の説明並びに同法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項及び第3項に規定する調査結果の内容の説明や法的効果の教示がなかったことから調査手続に違法があったこと及び②調査対象期間の説明及び調査結果の内容の説明がなかったため、どのような内容か分からない修正申告書及び期限後申告書(本件各修正申告書等)に署名押印して修正申告及び期限後申告(本件各修正申告等)をしたものであり錯誤があったことから、本件各修正申告等は調査手続の違法または錯誤により無効である旨主張する。

しかしながら、そもそも調査手続の違法は、それのみを理由として修正申告及び期限後申告の有効性に影響を及ぼすものではないと解されるから、たとえ調査手続に違法があったとしてもそのことのみで修正申告及び期限後申告が無効となることはない。
また、本件各修正申告書等には、請求人の署名押印がされていることから、本件各修正申告等が請求人の意思に基づいて行われたとの推定ができるところ、①修正申告書及び期限後申告書は具体的な納税義務を発生させるものであるから、内容を確認しないで署名押印をすることは通常あり得ないこと、②本件調査担当職員は調査期間中に調査対象となる税目と年分を請求人に伝えていると認められるから、請求人は調査対象期間を認識していたこと並びに③本件調査担当職員は請求人に調査結果の内容の説明を行ったと認められるから、請求人は調査結果の内容を知っていたと認められ、これらを総合すると、請求人は、税目、年分を認識した上で本件各修正申告書等に署名押印し提出したと認められるのであって、錯誤があったとは認められず、本件各修正申告等は無効とならない。

 ★リンクはこちら ⇒ 調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさないと判断した事例

2015年10月15日

事前通知に関し調査の単位を明らかにした事例

平成22年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年11月13日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》の調査は税目と課税期間によって特定される納税義務に係る調査を一の調査とみるべきであることを明らかにしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人に対し、平成24年中に平成21~23年分の所得税の調査(当初調査)を開始しているところ、平成24年分の調査は、当初調査の対象年分に追加したものであるから、平成25年1月1日前から引き続き行われている調査に該当し、経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律の附則第39条《当該職員の質問検査等に関する経過措置》第3項の規定により、国税通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項の適用はない旨主張し、一方、請求人は、平成24年分の調査は、改正国税通則法施行後に開始されたものであり、同法第74条の9第1項の事前通知が必要であったにもかかわらず、調査担当職員は、電話で「平成24年分の調査を行います。」とのみ通知しただけで、その後においても、改正後の国税通則法に則って通知が行われていないことから、平成24年分の調査は必要な手続要件を満たしておらず、違法である旨主張する。

しかしながら、調査は、納税義務者について税目と課税期間によって特定される納税義務に関してなされるものであるから、当該納税義務に係る調査を一の調査とみるべきであり、請求人に対する平成24年分の調査は、独立した一の調査となり、平成25年1月1日前から引き続き行われている調査には該当せず、国税通則法第74条の9第1項の適用があると認められる。
一方、調査担当職員は、調査の対象税目及び調査の対象期間に加えて、調査の開始時期、調査の場所、調査の目的及び調査の対象となる帳簿書類を請求人に対し通知していると認められ、請求人に対して平成24年分の所得税の調査を行う旨の通知しか行われていないとはいえない。

そうすると、平成24年分の調査の事前通知については、国税通則法第74条の9第1項の適用があるところ、調査担当職員は、同条同項の規定に沿った事前通知を行っており、調査手続に違法とすべき点はない。

★リンクはこちら⇒ 事前通知に関し調査の単位を明らかにした事例

2015年7月28日

滞納法人の破産管財人から債権譲渡の否認を求める訴訟が提起されたことは、国税通則法第77条第3項の「やむを得ない理由」には当たらないとした事例

譲渡担保権者の物的納税責任に関する各告知処分及び債権の各差押処分
却下 平成26年10月22日裁決

<要旨>
国税通則法第77条《不服申立期間》第1項は、不服申立ては、処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して2月以内にしなければならない旨規定するところ、請求人の審査請求は、同項所定の不服申立期間が経過した後に行われたものであり、また、請求人の主張する、訴訟中であることは同条第3項の「やむを得ない理由があるとき」に、徴収担当職員の「全て終了した時点で連絡してもらえば結構です。」との発言は同条第6項の「誤って法定の期間より長い期間を不服申立期間として教示した場合」にそれぞれ当たらないことから、請求人の審査請求は、法定の不服申立期間を経過した後に行われた不適法なものである。

★リンクはこちら⇒ 滞納法人の破産管財人から債権譲渡の否認を求める訴訟が提起されたことは、国税通則法第77条第3項の「やむを得ない理由」には当たらないとした事例

2015年7月23日

輸入貨物に係る消費税及び地方消費税の申告につき、意図的に過少申告することを認識した上で、正規の価格を示す書類を隠匿したものとは認められないと認定した事例

輸入申告に係る消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
全部取消し 平成26年10月9日裁決

<ポイント>
本事例は、貨物の輸出者から送付されたインボイスに記載された貨物の価格が本来の価格に比し著しく低い金額であったため、輸入貨物に係る消費税等の申告が過少申告になったのであるが、かかる過少申告に事実の隠ぺいは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、機械部品(本件貨物)の輸入に際し、本件貨物の課税価格が輸出者から受領した各書類(本件各書類)に記載された金額であることを認識し、また、本件貨物に係るインボイス(本件インボイス)に記載された金額が現実に支払う金額より著しく過少であり、本件インボイスが課税価格の決定のための資料として不十分であることを認識していたにもかかわらず、本件貨物の輸入申告手続を依頼した通関業者(本件通関業者)に対して本件インボイスのみを送付し、あえて本件各書類を送付しなかったことは書類の隠匿に該当し、さらに、請求人にはこのことが事実を隠ぺいする行為であるとの認識があったのであるから、事実の隠ぺいがあったと認められる旨主張する。

しかしながら、請求人が本件インボイスを本件貨物の輸入申告手続に必要な書類と判断し、本件インボイスのみを本件通関業者に送付したとしても不自然な行動であったとは認められず、また、請求人が本件通関業者が作成する本件貨物の輸入に係る申告書の記載内容を意識した上で本件インボイスのみを送付したとまでは認められない。
さらに、請求人が、本件の調査担当者に対し、本件インボイスのみならず、本件貨物の課税価格が記載された本件各書類も提示していたことを併せ考慮すると、請求人が本件通関業者に対し本件各書類を送付せず、本件インボイスのみを送付したことをもって、事実の隠ぺいがあったとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 輸入貨物に係る消費税及び地方消費税の申告につき、意図的に過少申告することを認識した上で、正規の価格を示す書類を隠匿したものとは認められないと認定した事例

2015年7月21日

役務の提供等の完了前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行った行為は、事実を仮装したものと認めた事例

①平23.2.1~平24.1.31の事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分
②4平23.2.1~平24.1.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分
①棄却 ②一部取消し 平成26年10月28日裁決

<要旨>
請求人は、翌期の経費として計上すべき修繕工事等の費用及び備品等の購入費用を当期の経費として計上したことについて、単なる経理処理の誤りで、修繕工事等の一部は事業年度末までに役務の提供が完了しており、また、修繕工事等の費用及び備品等の購入費用が翌事業年度に支払われていることなどからすると、帳簿書類の虚偽記載等には該当しないから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実を仮装したものではない旨主張する。

しかしながら、事業年度末までに役務の提供が完了していないにもかかわらず、修繕工事等の役務の提供や備品等の引渡しの完了より前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行うことにより故意に事実をわい曲した請求人の行為は、事実を仮装したものと認められる。
なお、修繕工事等の一部は事業年度末までに役務が完了していることから、当該完了部分については、事実を仮装したものとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 役務の提供等の完了前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行った行為は、事実を仮装したものと認めた事例

2015年7月15日

被相続人の妻が被相続人の財産内容を開示しなかった等の事情は、相続人間の主観的事情にすぎないから、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」があるとは認められないと認定した事例

平成20年3月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分
一部取消し 平成26年11月7日裁決

<要旨>
請求人は、亡弟(本件被相続人)の相続(本件相続)に係る亡父の相続税の納付義務を承継しているところ、1亡父は、本件被相続人の相続財産の全てを管理していた本件被相続人の妻に対して、相続税法第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》第1項各号に規定する財産(みなし相続財産)を含む相続財産の全容を把握するための明細の提示を依頼したが応じてもらえず、また、2本件被相続人の妻が申し立てた遺産分割調停に係る遺産目録等にはみなし相続財産が記載されていなかったが、記載された財産等に基づいて本件相続に係る相続税の課税価格を計算すると課税価格は基礎控除額を下回ることとなったことから、亡父が相続税の期限内申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人が主張する上記1の事情は、相続人相互の人間関係に基因する事情であり、また、上記2の事情は、相続人相互の人間関係によりみなし相続財産の確認ができなかったが、亡父がみなし相続財産を課税価格に加えないことを自己判断して課税価格を計算した結果、課税価格が基礎控除額以下になったというものであるから、相続人相互の人間関係を前提とした亡父の自己判断に係る事情といえる。

そうすると、請求人が主張する事情は、亡父を含む相続人間の主観的事情にすぎず、亡父が相続税の期限内申告書を提出しなかったことについて、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があったということはできないから、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人の妻が被相続人の財産内容を開示しなかった等の事情は、相続人間の主観的事情にすぎないから、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」があるとは認められないと認定した事例

2015年7月13日

請求人が主張していない行政手続法第14条に基づく理由の提示につき、審判所の調査の結果、理由の提示に不備があったと認定した事例

①平18.9.1~平19.8.31までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分
②平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31、平23.9.1~平24.8.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分
③平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分
④平18.9.1~平19.8.31、平20.9.1~平21.8.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平22.9.1~平23.8.31の事業年度の法人税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
⑤平18.9.1~平19.8.31、平20.9.1~平21.8.31、平23.9.1~平24.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平19.9.1~平20.8.31、平21.9.1~平22.8.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分、平22.9.1~平23.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分
①④⑤棄却 ②③一部取消し 平成26年12月10日裁決

<要旨>
原処分庁は、所得の金額の計算上、法人税の確定申告書において損金の額に算入していた青色欠損金額(当期控除額)を加算されることが更正通知書(本件通知書)に示されていないことについて、当期控除額を加算する理由(本件理由)は、青色申告の承認の取消処分に伴うものであり、法文の規定上明らかであることから、請求人においても容易に認識でき、理由の提示不備の違法はない旨主張する。

しかしながら、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解されることから、更正処分をする際は、当該更正通知書自体に法の要求する程度にその理由を示す必要がある。

よって、本件通知書は、本件理由の提示がなく、本件通知書自体から当期控除額を所得金額に加算する旨を特定し得る程度の理由を示していないことは明らかであるから、本件理由の提示不備の違法があると判断するのが相当である。
なお、本件通知書は、本件理由の提示のないことが更正処分全体の理由の提示を不備なものとする程度に至るとは認められず、また、他に更正処分に係る理由の提示に不備があるとも認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が主張していない行政手続法第14条に基づく理由の提示につき、審判所の調査の結果、理由の提示に不備があったと認定した事例

2015年7月10日

国税通則法改正に伴うe-Taxを利用した税務代理権限証書の提出

平成27年3月31日に公布された国税通則法の改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」により、税務代理権限証書の様式が改訂される。e-Taxソフトでは、6月15日から順次、新様式の税務代理権限証書(平成27年7月1日以後適用分)の提供が開始されるので、下記のとおり対応のこと。
なお、e-Taxソフト以外の電子申告ソフト等を使用している場合は、各ソフトウェア会社に確認のこと。

1.平成27年6月15日~30日
6月30日までは現行様式の税務代理権限証書を提出する必要がある。
e-Taxソフトでは、税務代理権限証書の提出は、申告書の添付書類として提出する方法と、申請・届出の手続として個別に提出する方法がある。
6月15日以降、下記手続では、申告書に添付書類として選択できる税務代理権限証書が新様式のみとなる。
したがって、6月15日~30日の間は、申告書の添付書類として新様式の税務代理権限証書は選択せずに、「申請・届出」手続の中にある現行様式の税務代理権限証書を選択し、個別に提出すること。

区分 手続
個人申請 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請
法人申告 法人税(単体申告)、復興特別法人税(単体申告)、消費税(一般・法人)(簡易・法人)(中間・法人)

なお、「申請・届出」手続の中の個別提出による税務代理権限証書は、6月15日以降、現行様式と新様式が選択可能になる。

2.平成27年7月1日以降
7月1日以降は、新様式の税務代理権限証書を提出する必要があるが、各手続において添付書類として新様式の税務代理権限証書を選択できるようになる時期が異なる。
下記サービス開始予定日までは、「申請・届出」手続の中にある新様式の税務代理権限証書を選択して個別に提出すること。

サービス

開始予定日
区分 手続
平成27年9月 申請 税理士法関係申請
個人申告 消費税(一般・個人)(簡易・個人)
法人申告 法人税(連結申告)、法人税(個別帰属額届出書)、復興特別法人税(連結申告)
平成28年1月 申請 納税証明書の交付請求、納税の猶予の申請(H26はH27.3サービス開始)、審査請求事務手続き(H26はH26.9サービス開始)
個人申告 所得税及び復興特別所得税申告、贈与税申告(暦年課税)(相続時精算課税)、消費税(中間・個人)
個人申請 申告所得税事務手続、法定資料事務手続、資産税事務手続、異議申立事務手続
法人申告 酒税納税申告(H26はH26.9サービス開始)、印紙税納税申告(H26はH26.9サービス開始)
法人申請 法人税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、源泉所得税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、酒税事務手続(H26はH27.3サービス開始)、諸税事務手続(H26はH27.3サービス開始)


★リンクはこちら⇒
 国税通則法改正に伴うe-Taxを利用した税務代理権限証書の提出

2015年6月25日

原処分庁が請求人の所得区分及び必要経費を否認して更正処分をした事案について、必要経費性を否認する支出を特定していない理由の提示に不備があると判断した事例

平成21年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し 平成26年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、支出の必要経費性を否認して更正処分をする場合、更正通知書に記載する理由には、否認する支出を特定して記載しなければならないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、更正通知書に記載された処分の理由は行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えるという行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》第1項本文の法の趣旨が求める程度に記載されていると認められるからその記載に不備はない旨主張する。

しかしながら、更正通知書に記載された必要経費該当性の判断に係る理由のうち旅費交通費及び新聞図書費の一部の費用が必要経費に該当しない旨の理由の記載については、当該必要経費として認められない費用がどの費用(あるいは費用の一部)であるかが特定されておらず、当該費用の内容すら理解できないものであって、要件該当性をおよそ判断できないものであり、摘示された事実からは更正の理由を検証し、その適否について検討することはできない。

そうすると、上記記載が行政手続法第14条第1項の法の趣旨目的を充足する程度に具体的に根拠を明示したとは評価できないから、これらの理由の記載には不備がある。

★リンクはこちら⇒ 原処分庁が請求人の所得区分及び必要経費を否認して更正処分をした事案について、必要経費性を否認する支出を特定していない理由の提示に不備があると判断した事例

2015年5月25日

異議審理手続において異議審理庁が原処分の理由を追加した事案で、原処分庁の手続に違法、不当がないとした事例

平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年8月1日裁決

<要旨>
請求人は、異議申立てに係る審理は、争点主義を採用し、納税者が違法であると主張している争点についてだけ審理・判断を行うべきであるのに、異議審理庁が異議決定において、新たに、原処分では争いがなかった請求人の不動産所得の金額を算定し、総所得金額が原処分を上回るから原処分は適法であるとして棄却したことは、原処分を取り消すべき不当な事由に当たると主張する。

しかしながら、審査請求の対象は原処分であり、裁決は、原処分が違法又は不当であるときにこれを取り消すものであるところ、異議申立ての審理・判断に仮に瑕疵があったとしても、それは原処分に対する不服申立手続において生じた原処分後の事情であって、そのことによって原処分それ自体が違法又は不当となることはないから、原処分を取り消す理由とはなり得ない。
なお、原処分は、行政手続法第14条《不利益処分の理由の提示》に規定する理由の提示に欠けるところはなく、また、原処分庁が原処分の理由と異なる理由を審査請求で主張することにつき、これを制限する法令はなく、審判所がこれを審理することは、当事者の主張(争点)を審理の対象とするものであるから、争点主義的運営にも反するものではない。

★リンクはこちら⇒ 異議審理手続において異議審理庁が原処分の理由を追加した事案で、原処分庁の手続に違法、不当がないとした事例

2015年5月21日

原処分庁が、請求人自身の面接を経ずに無申告加算税の賦課決定処分をした事案について、国税通則法第66条第5項の「調査」は、机上調査も含む広い概念であることを明らかにした事例

平成24年分の贈与税に係る無申告加算税の賦課決定処分
棄却 平成26年7月28日裁決

<ポイント>
本事例は、国税通則法第66条《無申告加算税》第5項に規定する「その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について…決定があるべきことを予知してされたものでないとき」の「調査」の意義について明らかにしたものである。

<要旨>
請求人は、国税通則法(通則法)第66条《無申告加算税》第5項に規定する「調査」とは、外部から認識することができる面接調査、すなわち質問検査権の行使をすることであり、部内資料の収集のような手続は「調査」には当たらない旨、また、この点をおくとしても、原処分庁の担当職員(本件担当者)は、請求人の代わりに税務署を訪れた税理士(本件税理士)に税務代理権限証書を提出させていないので、面接時には、本件税理士が請求人に代理して本件担当者の質問調査権の行使を受けたことにならないから、請求人に対する「調査」があったとは認められない旨主張する。

しかしながら、通則法第66条第5項に規定する「調査」とは、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味し、課税庁の証拠書類の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を経て決定に至るまでの思考、判断を含む包括的な概念であり、税務調査全般を指すものと解されるところ、①原処分庁の職員は、署内資料の検討等により、請求人の贈与税の申告が必要であると見込まれると判断していること、②本件担当者は、請求人の贈与税の申告について、本件税理士に面談し、資料の交付や説明をしていることなどが認められるから、これら一連の行為は、課税庁が行う課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程であると認められる。
また、面接時には、本件税理士が請求人に代理して本件担当者の質問調査権の行使を受けたことにならないという点については、請求人の本件税理士への連絡、本件税理士と本件担当者の面接の状況等からすると、少なくとも、本件税理士が、請求人に係る贈与税の申告の要否についての税務署での面接において、請求人に代理又は代行して応答し、面接の内容を請求人に報告するという内容の委任契約が成立していたものと認められる。

以上のことから、本件においては、通則法第66条第5項に規定する「調査」があったと認められる。

★リンクはこちら⇒ 原処分庁が、請求人自身の面接を経ずに無申告加算税の賦課決定処分をした事案について、国税通則法第66条第5項の「調査」は、机上調査も含む広い概念であることを明らかにした事例

2015年5月19日

新賃借人が旧賃借人の敷金を承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情がある場合、敷金返還請求権は新賃借人に承継され、新賃借人が目的物を明け渡した時に、新賃借人に対する被担保債権を控除した残額について発生するところ、原処分庁は敷金返還請求権の取立てを完了していることから、差押処分は消滅しているとした事例

各敷金返還請求権の各差押処分
却下 平成26年4月23日採決

<要旨>
原処分庁が行った各敷金返還請求権(本件各敷金返還請求権)の各差押処分(本件各差押処分)について、本件各敷金返還請求権は、旧賃借人である滞納法人から新賃借人である請求人に承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情があることから、滞納法人から請求人に承継され、請求人が目的物を明け渡した時に、請求人の被担保債権を控除した残額につき発生するものである。
そして、本件各敷金返還請求権は、既に原処分庁が取立てを完了していることが認められ、本件各差押処分はその目的を完了して消滅している。
ところで、行政処分の取消しを求めるについて、その取消しを求める処分の効力が現に存在していることが必要であるところ、本件各差押処分は上述のとおりその目的を完了して消滅している。

したがって、請求人には、本件各差押処分の取消しを求める法律上の利益はなく、本件各差押処分に対する審査請求は、請求の利益を欠く不適法なものである。

★リンクはこちら⇒ 新賃借人が旧賃借人の敷金を承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情がある場合、敷金返還請求権は新賃借人に承継され、新賃借人が目的物を明け渡した時に、新賃借人に対する被担保債権を控除した残額について発生するところ、原処分庁は敷金返還請求権の取立てを完了していることから、差押処分は消滅しているとした事例

2015年3月27日

請求人が、法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

平成23年4月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分
一部取消し 平成26年4月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人は相続財産を過少に記載したお尋ね書の回答を提出しているものの、そのことのみをもって、「相続財産について申告をしない意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と評価することはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、基礎控除額を超える相続財産の存在を認識しながら、「相続についてのお尋ね」(お尋ね書)に一部の財産のみを記載し、遺産総額が基礎控除額以下であるから、申告は不要と思っているとして、お尋ね書を原処分庁に対して提出したことは、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」又は「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と認められる旨主張する。

しかしながら、お尋ね書の提出は、相続税の申告をすべきことを知りながらこれをしなかったこと(認識ある無申告)と同等の行為と評価することができ、無申告行為そのものとは別に、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」をしたものと認めることはできない。
また、お尋ね書は、課税庁が、申告の要否を確認する趣旨で、納税者に対して提出を求める書面であるところ、お尋ね書には金額の記載のないものを含めれば、基礎控除額を超える相続財産の記載があり、原処分庁として、請求人が申告義務を有することを十分に予想することができたものといえるから、お尋ね書を提出したことをもって、「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が、法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

2015年3月26日

被相続人の遺産を構成しないことを確認する和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決等に当たるとした事例

平成21年11月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
全部取消し 平成26年5月13日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が当事者となっている訴訟に関して成立した裁判上の和解が、いわゆる「馴れ合い訴訟」の結果であるとはいえないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、受遺者である請求人が被相続人から遺贈により取得したとして相続税の修正申告に計上した各土地(本件各土地)について、請求人、R社及び相続人の間で成立した、平成13年頃に被相続人からR社に譲渡されたもので被相続人の遺産を構成しない旨を確認した裁判上の和解(本件和解)は、当事者が租税回避目的等から馴れ合いと評価されるような和解をしたにすぎず、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当しない旨主張する。
しかしながら、①本件各土地の一部には請求人の兄名義の居宅が存在すること、②平成13年にR社を権利者とする所有権移転請求権仮登記がされていること、③売買代金に相当する金員が貸付金名目でR社等から被相続人に交付されていることからすれば、本件各土地が、被相続人の遺産を構成しないことを確認した本件和解の内容について、証拠等からうかがわれる客観的事実関係に明らかに反していると認めるに足らない。
そうすると、本件和解は、相続開始時に所有権の帰属に関して当事者間に争いのあった本件各土地について、平成13年頃に被相続人からR社に対して譲渡されていたことが相応の根拠をもって認められ、実質的にみても客観的、合理的根拠を欠くということはできない。

したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当するというべきである。

★リンクはこちら⇒ 被相続人の遺産を構成しないことを確認する和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決等に当たるとした事例

2015年3月25日

振替納税の留意点

振替納税については、以下の点に留意すること。

  • 贈与税については、振替納税の制度がないので、インターネット等を利用して電子納税するか、現金で納付すること。
  • 転居等により所轄税務署が変わった場合や既に振替納税で指定している金融機関や口座を変更する場合には、新たに振替納税(変更)の手続が必要となる。
  • インターネット専用銀行等の一部金融機関及びインターネット支店等の一部店舗では振替納税が利用できないので、利用の可否については取引先の金融機関に確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 税金の納付

2015年3月5日

振替納税の手続き

<概要>
申告所得税及び復興特別所得税消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税を利用する場合の手続である。
申告所得税及び復興特別所得税の場合は、期限内に申告された確定申告(3期)分及び延納分並びに予定納税(1期、2期)分が振替納税の対象となる。
消費税及び地方消費税の場合は、期限内に申告された確定申告分及び中間申告分が振替納税の対象となる。

<手続対象者>
個人の方で申告所得税及び復興特別所得税または(並びに)消費税及び地方消費税を預貯金口座から自動振替により納付したい方
振替納税を利用している方のうち転居等により申告書の提出先税務署が変わった方

<提出時期>
振替納税したい申告所得税及び復興特別所得税消費税及び地方消費税の納付の期限まで

<提出方法>
預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を作成のうえ、提出先に持参または送付のこと。
(注)
インターネット専用銀行等の一部金融機関、及びインターネット支店等の一部店舗では振替納税が利用 できないので、利用の可否については取引先の金融機関に確認すること。

<部数>
預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を1部提出

★リンクはこちら⇒ 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続

2015年3月4日

偽りその他不正の行為が認められないとして処分を取り消した事例

平成17年分~平成23年分の所得税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平18.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・全部取消し
平成26年1月17日裁決

<要旨>
原処分庁は、平成17年分の売上金額の一部を隠ぺい又は仮装行為に基づく申告漏れと認定しているが、当該隠ぺい又は仮装行為に基づく申告漏れに対応する所得金額は異議決定により算出されないとしたから、それに対応する所得税額は存在しない。

そうすると、平成17年分の所得税の修正申告により納付すべき税額は、平成17年分の売上金額の残部(上記売上金額の一部以外の部分)の申告漏れに係るものであると認められる。

ところで、国税通則法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項は、納税者が「偽りその他不正の行為」により国税を免れた場合の加算税の賦課決定の除斥期間を7年と規定しているところ、当審判所が上記申告漏れの態様を調査した結果によれば、平成17年分の売上金額の残部が申告漏れとなったことについて、請求人が自らに帰属しないような外形を作出したとか、本件調査において、請求人が真実の所得を秘匿するため、虚偽の資料を作成し又は領収証の控えつづりを秘匿するなどして、これらの申告漏れが発覚し難い状況を作出したとかの事実を認めることはできず、請求人が平成17年分の所得税の賦課徴収を不能又は困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正な行為を行ったとはいえないから、平成17年分の売上金額の残部の申告漏れに係る行為は、国税通則法第70条第4項に規定する「偽りその他不正の行為」には該当しないというべきである。

★リンクはこちら⇒ 偽りその他不正の行為が認められないとして処分を取り消した事例

2014年12月16日

従業員からの預り金及び当該預り金を返還しないこととした事実が帳簿書類に記載されていないことにつき仮装隠ぺいの事実は認められないとした事例

平16.11.1~平23.10.31の各事業年度の法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・全部取消し
平成26年2月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が従業員からの預り金を返還しないこととしたことについて、そもそも請求人は収益に計上すべきとの認識を有していなかったと認められるとし、これを故意に帳簿書類に計上しなかったとか、預り金を返還しないこととなった事実を隠ぺいしたなどの証拠は認められず、当該収益(雑収入)の計上漏れは単なる過少申告に該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が、従業員からの預り金(その1)及び預り金(その2)を当該従業員に対し返金しないこととしたという雑収入発生の事実を帳簿書類に記載せず、また、雑収入発生の事実を裏付ける資料(本件資料)を関与税理士に提示せずに請求人代表者の机の引出し内に管理していた行為は、国税通則法第68条《重加算税》が規定する「隠ぺい又は仮装」の行為に該当する旨主張する。
しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、預り金(その1)に関しては、請求人に雑収入発生の事実を認めることができない以上、請求人に「隠ぺい又は仮装」の行為を認めることはできず、また、預り金(その2)に関しては、請求人に雑収入発生の事実を認めることができるところ、当該事実を帳簿書類に記載していないものの、本件資料が請求人代表者の机の引出し内に管理されていた事実のみをもって、請求人が雑収入発生の事実を「隠ぺい」したとは認めることはできないし、その他請求人が雑収入計上漏れの事実を故意に帳簿書類に記録せずに「隠ぺい」したと見受けられる証拠はなく、そもそも、請求人は収益が実現したとの認識を有していなかったと認められるから、請求人に「隠ぺい又は仮装」の行為を認めることはできない。

★リンクはこちら⇒ 従業員からの預り金及び当該預り金を返還しないこととした事実が帳簿書類に記載されていないことにつき仮装隠ぺいの事実は認められないとした事例

2014年12月10日

税務代理をお願いしている税理士はいないが、日頃、記帳事務を手伝ってもらっている方(記帳補助者)がいる。

その方に調査の現場に立ち会ってもらうことはできるか?

調査に立ち会って、税務当局に対して納税者の方の代わりに調査につき主張・陳述を行うことは税務代理行為に当たるため、原則として、税務代理人しか行うことはできない。
また、単に調査に立ち会うだけであっても、第三者が同席している状態で調査を行うことで調査担当者に課せられている守秘義務に抵触する可能性がある場合には、税務代理人以外の第三者の立会いはお断りしている。
ただし、その方が、日頃、納税者の方の記帳事務等を担当しているような場合には、調査を円滑に進めるために、調査担当者が必要と認めた範囲で調査に同席いただくことはある。

2014年12月2日

調査の過程で、事前通知を受けた税目・課税期間以外にも調査が及ぶこととなった場合には、調査の対象を拡大する旨や理由は説明してもらえるのか?

また、調査の対象が拡大することに対して納得できない場合には、不服を申し立てられるか?

実地の調査を行う過程で、把握された非違と同様の誤りが事前通知をした調査対象期間より以前にも発生していることが疑われる場合のように、事前通知した事項以外の事項について非違が疑われた場合には、事前通知した事項以外の事項について調査を行うことがある。
この場合には、納税者に対し、調査対象に追加する税目、課税期間等について説明し理解と協力を得た上で行うが、当初の調査の場合と同様、追加する理由については説明することはない。
また、調査を行うこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たらないので、仮に事前通知事項以外の事項を調査することの必要性について納得できない場合でも、不服申立てを行うことはできない。

2014年11月26日

「記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、その記帳・帳簿等の保存状況に応じて理由を記載する」(平成23年度税制改正大綱)とあるが、どのように記載されるのか?

理由の記載に当たっては、記帳や帳簿等の保存が十分な事業所得者等の場合には、帳簿等と対比して、具体的な取引内容を明らかにして、根拠を示すことになる一方で、記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、例えば、勘定科目ごとに申告漏れ総額を根拠とともに示すなど、平成23年度税制改正大綱の趣旨等を踏まえ、記帳や帳簿等の保存の程度に応じて、納税者がその記載内容から了知し得る程度に理由附記することとしている。

2014年11月26日

国税通則法の改正により処分の理由附記の対象が拡大されたとのことだが、具体的にはこれまでとどのような違いがあるのか?

これまで処分の理由附記は、所得税及び法人税の青色申告者に対する更正処分など一定の処分が対象とされていたが、今般の国税通則法の改正により、理由附記の対象が、国税に関する法律に基づく申請に対する拒否処分または不利益処分全体に拡大された。
したがって、今後は、例えば、白色申告者等に対する更正処分を行う場合(推計による更正の場合を含む。)にも、理由が附記されることになる。
また、加算税の賦課決定については、従来は青色申告者に対する場合でも理由附記の対象とはなっていなかったが、今後は白色申告者等に対する場合を含め理由が附記されることとなる。

なお、この理由附記の対象が拡大される時期は、原則として、平成25年1月1日以後に行われる更正処分や加算税の賦課決定処分から対象となるが、個人の白色申告者等に対しては経過措置があり、個人の白色申告者等のうち、①平成20年から25年までのいずれかの年において記帳義務・記録保存義務があった方等は平成25年1月から、②それ以外の方は平成26年1月から、理由附記を実施することとされている。

(参考)
平成23年度税制改正大綱においては、個人の白色申告者等に対する更正等に係る理由附記について、「平成25年1月以後、現行の白色申告者に係る記帳義務・記録保存義務の水準と同程度の記帳・記録保存を行っている者については、運用上、平成25年1月以後、理由附記を実施するよう努めることとします。」とされているところである。
この「運用上の対応」として、平成20年から25年までのいずれかの年において記帳義務・記録保存義務があった方に加えて、平成25年1月1日以後の現況により、現行の記帳義務・記録保存義務の内容を充足していると認められる方に対する更正等に係る理由附記については、平成25年1月から実施することとしている。

2014年11月21日

過去に調査対象となった税目・課税期間について再調査が行われる場合、なぜ再調査が行われるのかについて説明してもらえるのか?

過去に調査を行った税目・課税期間であっても、例えば、取引先の税務調査により非違につながる情報を把握した場合には、再度、同じ税目・課税期間について調査を行うことがある。

このような場合には、再調査することにつき原則として事前通知を行うが、当初の調査の場合と同様、再調査を行う理由については説明することはない。

2014年11月19日

実地の調査が終了し、「更正決定等をすべきと認められない」旨を通知する書面を受け取ったが、今後は調査を受けることはないのか?

ある税目・課税期間について調査を行った場合には、調査の結果、更正決定等をすべきと認められなかったか否かにかかわらず、原則として、その税目・課税期間について再度の調査を実施することはない。

ただし、例えば、調査終了後に行われた取引先の税務調査で、当初の調査の際には把握されていなかった非違があることが明らかになった場合のように、法令上定められている「新たに得られた情報に照らして非違があると認めるとき」との要件に該当する場合は、既に調査の対象となった税目・課税期間であっても再調査を実施することがある。

2014年11月17日

税務代理をお願いしている税理士がいるので、調査結果の内容の説明等はその税理士に対して行ってほしいのだが、何か手続は必要か?

調査結果の内容の説明等は、納税者に税務代理人がいる場合でも、原則として、納税者の方に対して行うが、納税者の同意があれば、税務代理人に対してのみ説明等を行うこともある。
したがって、税務代理人のみへの説明等を希望する場合には、調査担当者に対し、電話または対面によりその旨を伝えるか、税務代理人を通じて税務代理人への説明を同意する書面を提出することが必要になる。

なお、納税者に調査結果の内容の説明を行う場合でも、税務代理人の同席のもとに調査結果の内容の説明を行うことや、別途、税務代理人にも調査結果の内容の説明を行うことも可能である。

2014年11月13日

調査が終了し、修正申告の勧奨を受けた際に、修正申告をすると不服の申立てはできないが、更正の請求をすることはできる旨の説明を受けた。これはどういう意味か?

不服申立ては、税務当局が行った更正等の処分の課税標準等または税額等が過大であると納税者が考える場合に、税務当局に対し処分の取消しなどを求めるための手段である。
一方、更正の請求は、納税者が行った申告の課税標準等または税額等が過大であったと納税者が考える場合に、当局に対し、申告した課税標準等または税額等を減額する更正を行うことを求めるための手段である。
例えば、いったんは調査結果の内容説明に納得して修正申告を行ったものの、その後にその修正申告に誤りがあると考えられる場合、その修正申告は税務当局の処分によるものではないので、不服申立てという手段はとれないが、一定期間内であれば、更正の請求という手段をとることはできる。

なお、更正の請求に際しては、例えば、正しいと考える税額や更正の請求をする理由など法令で定められた事項を「更正の請求書」に記載するとともに、請求の理由の基礎となる「事実を証明する書類」を併せて提出する必要があるので、留意すること。

2014年11月11日

調査結果の内容説明を受けた後、調査担当者から修正申告を行うよう勧奨されたが、勧奨には応じなければいけないか? 

また、勧奨に応じないために不利な取扱いを受けることはないか?

調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、その内容を説明する際に、原則として、修正申告(または期限後申告)を勧奨することとしている。
これは、申告に問題がある場合には、納税者の方が自ら是正することが今後の適正申告に資することとなり、申告納税制度の趣旨に適うものと考えられるためである。

この修正申告の勧奨に応じるかどうかは、あくまでも納税者の方の任意の判断であり、修正申告の勧奨に応じない場合には、調査結果に基づき更正等の処分を行うこととなるが、修正申告の勧奨に応じなかったからといって、修正申告に応じた場合と比較して不利な取扱いを受けることは基本的にはない。

なお、修正申告を行った場合には、更正の請求をすることはできるが、不服申立てをすることはできないので、こうした点を理解した上で修正申告を行うこと。

2014年11月6日

更正決定等をすべきと認める場合は調査結果の内容が説明されることとなっているが、その内容を記載した書面をもらうことはできるのか?

調査の結果、更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には、納税者に対し、更正決定等をすべきと認める額やその理由など非違の内容を説明しする。
法令上は説明の方法は明示されておらず、説明は原則として口頭で行うが、必要に応じて、非違の項目や金額を整理した資料など参考となるものを示すなどして、納税者に正しく理解してもらえるよう十分な説明を行うとともに、納税者から質問等があった場合には分かりやすい説明に努める。

なお、調査が電話等によるもので、非違の内容が書面での説明でも十分に理解できるような簡易なものである場合には、納税者にその内容を記載した書面を送付することにより調査結果の内容説明を行うこともあるが、納税者からの要望に応じて調査結果の内容を記載した書面を交付することはない。

2014年11月4日

取引先等に対する調査を実地の調査として行う場合には、事前通知は行われないのか?

税務当局では、取引先など納税者以外に対する調査を実施しなければ納税者の申告内容に関する正確な事実の把握が困難と認められる場合には、その取引先等に対しいわゆる反面調査を実施することがある。
いわゆる反面調査の場合には、事前通知に関する法令上の規定はないが、運用上、原則として、あらかじめその対象者へ連絡を行うこととしている。

(注)
一部の間接諸税については、納税者以外に対する調査の場合でも、原則として事前通知を行うことが法令上規定されている。

2014年10月31日

実地の調査以外の調査が行われる場合には、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的等についての説明は受けられないのか?

税務当局では、実地の調査以外にも、税務署に来てもらい申告内容を確認するなどの方法で調査を行う場合がある。
このような実地の調査以外の調査を行う場合は、法令上は事前通知は求められていないが、運用上の対応として、来署等を依頼するための連絡の際などに、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的等を説明することとしている。

2014年10月29日

事前通知なしに実地の調査が行われた場合、事前通知が行われなかった理由の説明はあるか?

また、事前通知をしないことに納得できない場合には不服を申し立てられるか?

法令上、事前通知を行わないこととした理由を説明することとはされていない。
ただし、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしている。
また、事前通知をしないこと自体は不服申立てを行うことのできる処分には当たらないので、事前通知が行われなかったことについて納得できない場合でも、不服申立てを行うことはできない。

2014年10月27日

実地の調査が行われる場合には必ず事前通知がなされるのか?

実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる納税者に対して、調査開始前に相当の時間的余裕を置いて電話等により実地の調査を行う旨、調査を開始する日時・場所や調査の対象となる税目・課税期間、調査の目的などを通知する。
ただし、法令の規定に従い、申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、①違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にするおそれ、または、②その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともある。

なお、事前通知が行われない場合でも、運用上、調査の対象となる税目・課税期間や調査の目的などについては、臨場後速やかに説明することとしている。

2014年10月24日

事前通知の際には調査に要する時間や日数、臨場する調査担当者の人数は教えてもらえるのか?

調査に要する時間や日数は調査開始後の状況により異なるので、事前通知の時点であらかじめ知らせることは困難であることを理解願いたい。

なお、調査の臨場が複数回に及ぶこととなる場合には、調査開始後に納税者の都合を尋ねたところで、次回以降の臨場日などを調整する。

また、調査開始日時に複数の調査担当者が臨場する場合は、事前通知に際し、調査担当者を代表する者の氏名・所属官署に加え、臨場予定人数も併せて連絡することとしている。

2014年10月14日

事前通知の際にはなぜ実地の調査が必要なのかについても説明してもらえるのか?

法令上、調査の目的(例えば、提出された申告書の記載内容を確認するため)については事前通知すべきこととされているが、実地の調査を行う理由については、法令上事前通知すべき事項とはされていないので、これを説明することはない。

2014年10月10日

事前通知を受けた調査開始日時についてはどのような場合に変更してもらえるのか?

税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者や税務代理人の都合を尋ねることとしているので、その時点で都合が悪い日時が分かっている場合には、申し出れば良い。
申し出のあった都合や申告業務、決算業務等の納税者や税務代理人の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしている。
また、事前通知後においても、通知した日時について、例えば、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出れば変更を協議する。

なお、例示した場合以外でも、理由が合理的と考えられれば変更を協議するので、調査担当者まで申し出ること。

2014年10月8日

税務代理をお願いしている税理士がいるので、事前通知についてはその税理士に行うようお願いしたいのだが、何か手続が必要なのか?

平成26年7月1日以後に行う事前通知については、納税者の事前の同意がある場合には、税務代理権限証書を提出している税理士等(以下「税務代理人」という。)に行えば足りることとされた。
この場合には、税務代理人が税務署に提出する税務代理権限証書に、納税者の同意を記載しておく必要がある。
詳細については、ご自身の税務代理人に尋ねること。

なお、この同意が記載されていない場合には、納税者と税務代理人の双方に事前通知を行うこととなる。

2014年10月6日

事前通知は、調査の何日くらい前に行われるのか?

実地の調査を行う場合の事前通知の時期については、法令に特段の規定はなく、また、個々のケースによって事情も異なるので、何日程度前に通知するかを一律に示すことは困難だが、調査開始日までに納税者が調査を受ける準備等をできるよう、調査までに相当の時間的余裕を置いて行うこととしている。

2014年10月3日

希望すれば、事前通知を書面で行ってもらうことはできるか?

実地の調査の事前通知の方法は法令上は規定されておらず、原則として電話により口頭で行うこととしている。
また、通知の際には、通知事項が正確に納税者に伝わるように丁寧に行うこととしている。

なお、電話による事前通知が困難と認められる場合は、税務当局の判断で書面によって事前通知を行う場合もあるが、納税者からの要望に応じて事前通知内容を記載した書面を交付することはない。

税理士としては、なぜ書面を交付しないのか違和感を感じるところである。

2014年10月1日

留置き(預かり)に応じた場合でも、申し出れば直ちに返還してもらえるか? 

また、返還を求めたにもかかわらず返還されない場合、不服を申し立てられるか?

法令上、留め置いた帳簿書類等については、留め置く必要がなくなったときは遅滞なく返還すべきこととされている。
また、帳簿書類等の提出をされた方から、お預かりしている帳簿書類等を業務で使用する必要がある等の理由で返還を求められた場合には、特段の支障がない限り速やかに返還するが、例えば、留め置いた書類が大量にあり、そのコピーに時間がかかる場合のように、直ちに返還すると調査の適正な遂行に支障がある場合には、しばらく返還をお待ちいただくこともある。

なお、返還をお待ちいただく場合には、引き続き留置きをさせていただく旨とその理由を説明するが、これに納得できないときは、留置き(預かり)を行っている職員が税務署に所属する職員である場合には、税務署長に異議を申し立てることができる。

2014年9月29日

税務調査の担当者から、提出した帳簿書類等の留置き(預かり)を求められたが、その必要性について納得ができなくても、強制的に留め置かれることはあるのか?

税務調査において、例えば、納税者の事務所等に十分なスペースがない場合や検査の必要がある帳簿書類等が多量なため検査に時間を要する場合のように、調査担当者が帳簿書類等を預かって税務署内で調査を継続した方が、調査を円滑に実施する観点や納税者の方の負担軽減の観点から望ましいと考えられる場合には、帳簿書類等の留置き(預かり)をお願いすることがある。

帳簿書類等の留置き(預かり)は、帳簿書類等を留め置く必要性を説明した上、留め置く必要性がなくなるまでの間、帳簿書類等を預かることについて納税者の理解と協力の下、その承諾を得て行うものなので、承諾なく強制的に留め置くことはない。

2014年9月26日

X年度の税務調査を行うという事前通知を受け、調査の過程でX年度よりずっと以前の帳簿書類等を提示するよう求めらたが、これはX年度以外の税務調査を行っていることにならないか?

例えば、X年度の減価償却費の計上額が正しいかどうかを確認するため、その資産の取得価額を確認するために取得年度の帳簿書類等を検査する必要があるといった場合のように、調査担当者がX年度の申告内容を確認するために必要があると判断したときには、X年度以外の帳簿書類等の提示等をお願いすることがある。

これはあくまでもX年度の調査であって、X年度以外の調査を行っているわけではない。

2014年9月24日

調査対象となる納税者について、医師、弁護士のように職業上の守秘義務が課されている場合や宗教法人のように個人の信教に関する情報を保有している場合、業務上の秘密に関する帳簿書類等の提示・提出を拒むことはできるか?

調査担当者は、調査について必要があると判断した場合には、業務上の秘密に関する帳簿書類等であっても、納税者の理解と協力の下、その承諾を得て、そのような帳簿書類等を提示・提出してもらう場合がある。
いずれの場合においても、調査のために必要な範囲でお願いしているものであり、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものである。

なお、調査担当者には、調査を通じて知った秘密を漏らしてはならない義務が課されている。

2014年9月22日

法人税の調査の過程で帳簿書類等の提示・提出を求められることがあるが、対象となる帳簿書類等が私物である場合には求めを断ることができるか?

法令上、調査担当者は、調査について必要があるときは、帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができるものとされている。
この場合に、例えば、法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられる。

なお、調査担当者は、その帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、理解を得られるよう努めている。

2014年9月18日

税務調査時の帳簿書類等の提示・提出の求めに対して、正当な理由なく応じない場合には罰則が科されるとのことだが、どのような場合に正当な理由があるとされるのか?

どのような場合が正当な理由に該当するかについては、個々の事案に即して具体的に判断する必要があり、最終的には裁判所が判断することとなるから、確定的なことは答えられないが、例えば、提示・提出を求めた帳簿書類等が、災害等により滅失・毀損するなどして、直ちに提示・提出することが物理的に困難であるような場合などがこれに該当するものと考えられる。

2014年9月16日

税務調査で提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのか?

帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にして示すことになる。

一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものを渡すことになる。
また、電磁的記録そのものを提出する必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もある。

(注)提出した電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしている。

2014年9月12日

税務調査時に提出される物件が、調査の過程で調査担当者に提出するために新たに作成された写しである場合には、留置きには当たらないとのことだが、自己の事業の用に供するために調査前から所有している物件が写しである場合(取引書類の写しなど)であっても、留置きには当たらないのか?

調査の過程で調査担当者に提出するために新たに作成した帳簿書類等の写し(コピー)の提出を受けても留置きには当たらないこととしているのは、通常、そのような写し(コピー)は返還を予定しないものであるためである。

他方、納税者の方が事業の用に供するために保有している帳簿書類等の写し(コピー)を預かる場合は、返還を予定しないものとは言えないから、留置きの手続により預かることとなる。

2014年9月11日

税務調査時に、正当な理由がないのに帳簿書類等の提示・提出の求めに応じなければ罰則が科されるということだが、そうなると事実上は強制的に提示・提出が求められることにならないか?

税務調査時に、帳簿書類等の提示・提出をお願いしたことに対し、正当な理由がないのに提示・提出を拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が科されることがあるが、税務当局は、罰則があることをもって強権的に権限を行使することは考えておらず、帳簿書類等の提示・提出をお願いする際には、提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、納税者の理解と協力のもと、その承諾を得て行うこととしている。

2014年9月10日

税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受けたが、これは調査なのか?

調査は、特定の納税者の方の課税標準等または税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものだが、税務当局は、税務調査の他に、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合がある。

このような行政指導に基づき、納税者が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税の納付が必要な場合はあるが、過少申告加算税は賦課されない(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課される。)。

なお、税務署の担当者は、納税者に調査または行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者に明示することとしている。

2014年9月9日

平成25年1月から税務調査の手続を定めた国税通則法の規定が施行されたことにより、税務調査は変わったのか?

今般の改正は、税務調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高め、調査に当たって納税者の方の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の一層の充実・発展に資する等の観点から、調査手続に関する従来の運用上の取扱いを法令上明確化するものであり、基本的には、税務調査が従来と比べて大きく変化することはない。
国税庁は、法改正の趣旨を踏まえた上で、調査の実施に当たっては法令に定められた税務調査手続を遵守するとともに、調査はその公益的必要性と納税者の方の私的利益とのバランスを踏まえ、社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の方の理解と協力を得て行うものであることを十分認識し、その適正な遂行に努めることとしている。

【参考】国税通則法改正の概要
(1)税務調査手続の明確化
税務調査手続について、以下のとおり、現行の運用上の取扱いが法令上明確化された。

  • 税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行うこととされた。
    ただし、課税の公平確保の観点から、一定の場合には事前通知を行わないこととされた。
  • 課税庁の説明責任を強化する観点から、調査終了時の手続が整備された。
  • 納税者から提出された物件の預かりの手続のほか、課税庁が帳簿書類その他の物件の「提示」「提出」を求めることができることが法令上明確化された。

〔平成25年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する調査について適用(ただし、納税者から提出された物件の預かりの手続については、平成25年1月1日以後に提出された帳簿書類その他の物件から適用)。〕

(2)更正の請求期間の延長等
納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」の期間(改正前:原則1年)が5年に延長された。
併せて、課税庁による増額更正の期間(改正前:原則3年)が5年に延長された。
〔平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する年(度)分について適用。〕

(3)処分の理由附記等
全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)について理由附記を実施することとされた。
〔平成25年1月1日以後に行う処分から実施。〕
ただし、現在記帳・帳簿等保存義務が課されていない個人の白色申告者に対する理由附記については、記帳・帳簿等保存義務の拡大と併せて実施することとされた。
〔平成26年1月1日以後に行う処分から実施。〕

2014年9月8日

課税仕入れに係る支払対価の額に翌課税期間に納品されたパンフレット等の制作費を含めたことについて、隠ぺい仮装の行為はないとした事例

<要旨>
原処分庁は、請求人の会計処理が、請求書をもって納品があったものとみなして行われていたところ、請求人が、パンフレットの納品前に、取引先に対して請求書の発行を依頼したことは、通謀による虚偽の証ひょう書類の作成に当たり、また、当該課税期間内に納品されないこととなったにもかかわらず、あえて課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったことは、帳簿書類の意図的な集計違算に当たるから、請求人がパンフレットの製作費を当該課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺいまたは仮装の行為がある旨主張する。

しかしながら、請求人は、パンフレットの納品時に納品書を受領しており、当該請求書は前払いを求める書類として作成を依頼したもので納品の事実を示す書類として受領したものとはいえず、また、当該請求書に虚偽の記載もないのであって、通謀による虚偽の証ひょう書類の作成があったとはいえない。また、納品されないこととなったにもかかわらず課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったのは、単に請求人の会計処理を行う部署において納品の事実の確認を怠っていたことによるものであって、これをもって隠ぺいまたは仮装と評価すべき行為をしたともいえない。したがって、請求人が当該パンフレットの製作費を当該課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺいまたは仮装の行為があったとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 課税仕入れに係る支払対価の額に翌課税期間に納品されたパンフレット等の制作費を含めたことについて、隠ぺい仮装の行為はないとした事例

2014年5月20日

事前通知関係の国税通則法等の改正

国税通則法の改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第10号)が、平成26年3月20日に成立し、同年3月31日に公布された。

平成23年12月の国税通則法の改正では、調査の事前通知については、納税者の方と税務代理人の双方に対して通知することとされていたが、この改正により、平成26年7月1日以後に行う事前通知については、税務代理権限証書に、納税者の方の同意が記載されている場合には、税務代理人に対してすれば足りることとされた。

国税庁では、この改正を踏まえ、平成24年9月に策定した法令解釈通達、事務運営指針及び質疑応答集(FAQ)を改正した。

国税通則法等の改正に併せて、税務代理権限証書の様式も改訂された。
平成26年7月1日以後に税務代理権限証書を提出する場合は、改訂後の様式を使用すること。

★リンクはこちら⇒ 事前通知関係の国税通則法等の改正

2014年5月15日

出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例

<ポイント>
本事例は、請求人が、出張日の記載がなく、旅行業者が通常使用する書式と相違する請求書(本件各旅費請求書)に基づき、翌事業年度に行われる旅行費用を繰上計上していたところ、当該費用は支払われ、当該出張は実施されており、また、旅行業者の側に別の書式を使用せざるを得ない合理的な理由があり、本件各旅費請求書に単に出張日の記載がないのみであって、事実と異なる出張日を記載した、あるいは、出張日を隠ぺいした事実はないから、本件各旅費請求書は、虚偽の証ひょう書類とはいえないとして、重加算税の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が旅行費用(本件各旅行費用)を前倒し計上したことについて、旅行業者が通常使用する書式と相違する請求書(本件各旅費請求書)を使用したこと及び本件各旅費請求書に出張日を表記させなかったことなどから、本件各旅費請求書が、請求人代表者と相手先との通謀によって作成された虚偽の証ひょう書類に該当する旨主張する。

しかしながら、本件各旅費請求書の発行経緯に不自然な点は認められず、本件旅行費用は旅行業者に支払われ、旅行も実施されており、本件各旅行費用の計上に際し請求人が旅行業者と通謀の上本件各旅行請求書を発行させた等の事実を推認する証拠は見受けられず、請求人がそれらの計上に際し、事実を隠ぺいした、または事実を仮装したと評価すべき行為を行ったことは認められない。

★リンクはこちら⇒ 出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例

2014年5月12日

源泉所得税の期限後納付について、期限内納付の意思があったと認められる場合に該当しないとした事例

<要旨>
請求人は、形式的審査義務のみを負う源泉徴収義務者において、年末調整における従業員の住宅借入金等特別税額控除額(本件控除額)が過大となったことに気づくことは極めて困難であり、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由がないから、平成23年12月分の源泉所得税の不足額を法定納期限後に自主納付(本件自主納付)したことは国税通則法第67条《不納付加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当し、平成24年7月分の源泉所得税の期限後納付について国税通則法第67条第3項が適用される旨主張する。

しかしながら、源泉徴収義務者として従業員から提出された事項に関して通常程度の注意ないし確認等を行いさえすれば適切に本件控除額の計算を行うことができたと認められるから、本件控除額が過大になったことについて、請求人の責めに帰すべき事由があるというべきであり、「正当な理由があると認められる場合」には該当しない。そうすると、本件自主納付は、国税通則法施行令第27条の2《期限内申告書を提出する意思等があったと認められる場合》第2項に規定する場合に該当せず、平成24年7月分の源泉所得税の期限後納付について、国税通則法第67条第3項の規定は適用されない。

★リンクはこちら⇒ 源泉所得税の期限後納付について、期限内納付の意思があったと認められる場合に該当しないとした事例

2014年4月21日

ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例

<要旨>
請求人は、ゆうメールにより提出した所得税の確定申告書(本件確定申告書)について、国税通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定が適用される旨主張する。
しかしながら、租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には、私法上の概念と同じ意義に解することが、租税法律主義や法的安定性の確保に資するところ、国税通則法第22条は、「郵便」及び「郵便物」と規定し、同法上にその定義規定を置いておらず、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と別意に解すべきことが国税通則法の明文またはその趣旨から明らかであるなどの事情も認められない。
かえって、国税通則法第22条は、郵便及び信書便が郵便法または信書便法の規定に従って配達されるため紛失する可能性が低いことなどの事情を考慮し、また、納税者と関係税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正する必要性も勘案して、特に郵便または信書便により提出された納税申告書等については、民法上の到達主義の原則を緩和するものであることなどに照らせば、国税通則法第22条の「郵便」及び「郵便物」は、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と同じ意義に解するのが相当である。
そして、郵便法第68条《郵便約款》に基づき定められた内国郵便約款及びゆうメールについて定めるポスパケット約款によれば、ゆうメールによる役務の提供は、荷物の運送であって、郵便法上の「郵便」には該当しない。

したがって、ゆうメールによる本件確定申告書の提出について、国税通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定は適用されない。

★リンクはこちら⇒ ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例

2014年4月11日

平成26年の延滞税の割合

<平成26年1月1日以降>

  1. 納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「特例基準割合(※)+1%」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表1の割合が適用される。
  2. 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「特例基準割合(※)+7.3%」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表2の割合が適用される。

※特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいう。

 期間  割合1  割合2
 平成26年1月1日~平成26年12月31日  2.9%  9.2%

(参考)
利子税(所得税法第131条、136条、法人税法第75条、75条の2及び相続税法第51条の2、52条4項、53条に係る利子税)及び還付加算金の割合

 期間  割合
 平成26年1月1日~平成26年12月31日  1.9%

<平成25年12月31日以前>

  1. 納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間の延滞税の割合は、原則として年7.3%の割合が適用される。
    ただし、平成12年1月1日以後の延滞税の割合(年7.3%部分)については、年「7.3%」と「特例基準割合(前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率+4%)」のいずれか低い割合を適用することとなり、下表のとおりとなる。
  2. 納期限の翌日から2月を経過した日以後の延滞税の割合は、年14.6%が適用される。
     期間  割合
     平成11年12月31日以前  7.3%
     平成12年1月1日~平成12年12月31日  4.5%
     平成13年1月1日~平成13年12月31日  4.5%
     平成14年1月1日~平成14年12月31日  4.1%
     平成15年1月1日~平成15年12月31日  4.1%
     平成16年1月1日~平成16年12月31日  4.1%
     平成17年1月1日~平成17年12月31日  4.1%
     平成18年1月1日~平成18年12月31日  4.1%
     平成19年1月1日~平成19年12月31日  4.4%
     平成20年1月1日~平成20年12月31日  4.7%
     平成21年1月1日~平成21年12月31日  4.5%
     平成22年1月1日~平成22年12月31日  4.3%
     平成23年1月1日~平成23年12月31日  4.3%
     平成24年1月1日~平成24年12月31日  4.3%
     平成25年1月1日~平成25年12月31日  4.3%

    (参考)
    利子税(所得税法第131条、136条、法人税法第75条、75条の2及び相続税法第51条の2、52条4項、53条に係る利子税)及び還付加算金の割合は、延滞税の割合(年7.3%部分)と同様の割合が適用される。

2014年1月22日

ダイレクト納付

<ダイレクト納付とは>
ダイレクト納付とは、事前に税務署に届出をしておけば、e-Taxを利用して電子申告等をした後に、届出をした預貯金口座からの振替により、即時または指定した期日に納付することができる電子納税の納付手段である。

<ダイレクト納付のメリット>
ダイレクト納付は、税務署や金融機関に出向くことなく、自宅やオフィスなどから納付が可能なほか、その他の電子納税にはない以下のようなメリットがある。

  • インターネットバンキングの契約が不要。
  • 期日を指定して納付することが可能。
  • 税理士が納税者に代わって納付手続を行うことが可能。

<対象となる税目>
電子申告等が可能な税目(源泉所得税法人税消費税及び地方消費税、申告所得税、贈与税、酒税、印紙税など)が対象となる。

  • 特に利用回数の多い手続に便利である(源泉所得税の毎月納付手続等。)。
  • e-Taxに納付情報登録をすれば、上記にかかわらず全ての税目にダイレクト納付が利用できる。

<ダイレクト納付の利用のために>

  • e-Taxの利用開始手続が必要となるほか、ダイレクト納付利用届出書を所轄の税務署に書面で提出する必要がある。
  • ダイレクト納付が利用可能な金融機関については、国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)の「利用可能金融機関一覧」で確認のこと。
  • ダイレクト納付利用届出書を提出してから利用可能となるまで、1か月程度かかる。
  • ダイレクト納付を行う際には、預貯金口座の残高に注意すること。

★リンクはこちら⇒ 簡単・便利なダイレクト納付

2013年9月19日

国税審判官(特定任期付職員)の採用(平成25 年7月)

国税不服審判所では、国税審判官への外部登用の工程表(平成22年12月17日公表)に基づき、平成25年7月10日付で13名(弁護士5名・税理士6名・公認会計士2名)の民間専門家を国税審判官(特定任期付職員)として採用した。

平成25年度の採用者数は、本年4月1日付で採用した4名との合計で17名となった。

なお、民間専門家から登用した国税審判官の在籍者数(平成25年7月10日現在)は、50名となった。

リンクはこちら⇒ 国税審判官(特定任期付職員)の採用(平成25 年7月)

2013年8月15日

審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成25年7月)

国税不服審判所は、パンフレット『審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成25年7月)』を発行した。

 ★リンクはこちら⇒ 審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(既に削除済み)

<追加 平成29年8月に改訂>

 ★リンクはこちら⇒ 審査請求よくある質問-Q&A-(審査請求をより知りたい方へ)(平成29年8月)

2013年8月13日

相続税の申告時の外国人の押印は…

申告書には、その氏名及び住所または居所を記載し、押印しなければならない。
ただし、外国人の場合、署名だけで足りる。

2012年11月19日

利子税の納付が遅くなったら…

利子税は本税の延納の期間の日数に応じてかかるため、利子税の納付が遅くなっても延滞税はかからない。

2012年11月14日

修正申告を行った場合の延滞税のかかる期間は…

原則として、延滞税がかかるのは1年間だけである。

本来、修正申告を行った場合、法定納期限の翌日以降の期間について延滞税がかかるが、偽りや不正行為等によらない場合、法定申告期限の1年後の翌日から修正申告書を提出したまでの期間は、延滞税の計算の期間に含めない。
ただし、修正申告書を提出した日以後の期間については、延滞税がかかる。

2012年11月9日

税の役割と税務署の仕事

国税庁が、取組紹介ページ「税の役割と税務署の仕事」を開設した。
動画やPDFのものとがある。

リンク先は以下のとおり。
税の役割と税務署の仕事

2012年11月8日

いつまで還付は受けることができるのか…

更正の請求により還付を受けることができる。
ただし、いつまでも更正の請求をできるわけではなく、過年度の納付税額が計算ミスなどにより過大であった場合には、法定納期限から5年以内であれば可能である。言い換えれば、5年で時効により消滅する。
なお、納付税額がない場合、翌年の1月1日から還付申告書が提出できるため、翌年の1月1日が時効の起算日となる。

2012年10月10日

還付加算金はどうやって計算するのか…

還付加算金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる還付金等の額に10,000円未満の端数があるとき、またはその還付金等の額の全額が10,000円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨てる。
その計算の結果、還付加算金の確定金額に100円未満の端数があるとき、またはその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨てる。

2012年10月9日

コンビニ納付

平成20年1月21日から、国税をコンビニエンスストアで納付することができるようになっている(以下「コンビニ納付」という。)。

  1. コンビニ納付利用の条件
    国税のコンビニ納付には、バーコード付納付書が必要である。
    バーコード付納付書は、納付金額が30万円以下で、次のような場合に所轄の税務署で発行する。
  • 確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)
  • 督促・催告を行う場合(全税目)
  • 賦課課税方式による場合(各種加算税)
  • 確定した税額について納税者から納付書の発行依頼があった場合(全税目)
  1. 利用可能なコンビニエンスストア
    エブリワン、くらしハウス、ココストア、コミュニティ・ストア、サークルK、サンクス、スリーエイト、スリーエフ、セーブオン、生活彩家、セイコーマート、セブン-イレブン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ヤマザキデイリーストア、ローソン

2012年10月2日

納税環境整備に関する国税通則法等の改正

納税環境整備に関する国税通則法の改正を含む「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第114号)が、平成23年11月30日に成立し、同年12月2日に公布された。
この改正により、調査手続の透明性と納税者の方の予見可能性を高めるなどの観点から、税務調査手続について現行の運用上の取扱いが法令上明確化されるとともに、全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)に対する理由附記の実施及び記帳義務の拡大等が定められ、税務調査手続の法定化及び理由附記の実施に係る規定については、平成25年1月1日から施行することとされている。

  • 法令解釈通達の制定等について
    今般の改正により、国税通則法において法定化された税務調査手続に係る規定については、国税通則法第7章の2(第74条の2から第74条の13)に「国税の調査」として設けられており、国税庁では、これらの規定の取扱い等を定めるため、法令解釈通達を制定した。
    併せて、今般の法改正の趣旨を踏まえ、法令を遵守した適正な調査が行われるよう「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について」を定め、職員に対して指示している。
    また、税務調査手続について、一般の納税者や税理士を対象とした質疑応答集(FAQ)を作成した。
  • 税務調査手続等の先行的取組の実施について
    法定化された税務調査手続等は、原則として、平成25年1月1日以後に開始する調査から適用されることとなるが、国税庁では、法施行後における税務調査手続等を円滑かつ適切に実施する観点から、平成24年10月1日以後に開始する調査から、法施行後に実施することとなる一部の手続について、先行的に取り組むことを予定している。
  • 更正の請求期間の延長等について
    今般の改正により、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求ができる期間が原則として法定申告期限から5年に延長された。
  • 処分の理由附記について
    今般の改正により、処分の適正化と納税者の予見可能性を高める観点から、原則として、平成25年1月1日以後、国税に関する法律に基づく申請に対する拒否処分や不利益処分を行う場合には、理由附記を実施することとなる。
    【申請に対する拒否処分】
    更正の請求に対して更正をすべき理由がない旨の通知、青色申告承認申請の却下などの処分が該当する。
    【不利益処分】
    更正、決定、加算税賦課決定、督促、差押えなどの処分が該当する。
  • 個人で事業を行っている方の帳簿の記載・記録の保存について
    今般の改正により、事業所得、不動産所得又は山林所得を有する白色申告の方に対する現行の記帳・帳簿等の保存制度について、平成26年1月から対象となる方が拡大される。
    ※現行の記帳・帳簿等の保存制度の対象者は、白色申告の方のうち前々年分あるいは前年分の事業所得等の金額の合計額が300万円を超える方である。

2012年9月14日

所得税の確定申告の還付加算金はいつからいつまで発生するのか…

当該還付金に係る国税の納付があった日(その日が当該国税の法定納期限前である場合には、当該法定納期限)の翌日からその還付のための支払決定の日またはその充当の日(同日前に充当をするのに適することとなった日がある場合には、その適することとなったた日)までの期間(他の国税に関する法律に別段の定めがある場合には、その定める期間)の日数に応じ、その還付し、または充当すべき金額に加算する。

2012年9月11日

期限後申告の場合、無申告加算税は…

無申告の場合、納付すべき税額に15/100の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税が課せられる。ただし、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
なお、期限後申告書または修正申告書の提出があった場合において、その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正または決定があるべきことを予知してされたものでないときは、当該納付すべき税額に5/100の割合を乗じて計算した金額とする。

期限後申告書の提出があった場合において、その提出が期限内申告書を提出する意思があったと認められる場合として政令で定める場合(期限後申告書の提出があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、当該期限後申告書に係る国税の属する税目について、無申告加算税または重加算税を課されたことがない場合
)に該当してされたものであり、かつ、当該期限後申告書の提出が法定申告期限から2週間を経過する日までに行われたものであるときは、適用しない。

2012年8月30日

延滞税の割合

以下の場合には、延滞税を納付しなければならない。

  • 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。
  • 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、または更正もしくは決定を受けた場合において、期限後申告等による納付の規定により納付すべき国税があるとき。
  • 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税をその法定納期限後に納付するとき。
  • 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。
  • 源泉徴収による国税をその法定納期限までに完納しないとき。

延滞税の額は、国税の法定納期限の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年14.6%の割合を乗じて計算した額とする。
ただし、納期限までの期間または納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間については、その未納の税額に年7.3%の割合を乗じて計算した額とするが、現在は、特例基準割合(ちなみに、平成22年1月1日から平成24年12月31日までの期間の特例基準割合は4.3%)による。

2012年8月17日

譲渡所得を申告したあとに契約が解除されたら…

更正の請求が可能である。

納税申告書を提出した者または決定を受けた者は、以下のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、それぞれ定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、それぞれに定める期間において、その該当することを理由として更正の請求をすることができる。

  1. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき。
    …その確定した日の翌日から起算して2か月以内
  2. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算に当たってその申告をし、または決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正または決定があつたとき。
    …当該更正または決定があった日の翌日から起算して2か月以内
  3. その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき。
    …当該理由が生じた日の翌日から起算して2か月以内

政令は、以下のとおり。

  1. その申告、更正または決定に係る課税標準等(修正申告に規定する課税標準等をいう。以下同じ。)または税額等の計算の基礎となった事実のうちに含まれていた行為の効力に係る官公署の許可その他の処分が取り消されたこと。
  2. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に係る契約が、解除権の行使によって解除され、もしくは当該契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され、または取り消されたこと。
  3. 帳簿書類の押収その他やむを得ない事情により、課税標準等または税額等の計算の基礎となるべき帳簿書類その他の記録に基づいて国税の課税標準等または税額等を計算することができなかった場合において、その後、当該事情が消滅したこと。
  4. わが国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避または脱税の防止のための条約に規定する権限のある当局間の協議により、その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等に関し、その内容と異なる内容の合意が行われたこと。
  5. その申告、更正または決定に係る課税標準等または税額等の計算の基礎となった事実に係る国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、更正または決定に係る審査請求もしくは訴えについての裁決もしくは判決に伴って変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表されたことにより、当該課税標準等または税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなったことを知ったこと。

2012年8月7日

減価償却不足を理由とする更正の請求はできるか…

減価償却不足を理由とする更正の請求はできない
減価償却は任意であり、未計上や償却不足なのは、法人の判断によるものだからである。

更正の請求ができるのは、以下の場合である。
①申告書に記載した課税標準等もしくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったたことまたは計算に誤りがあったことにより、申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとき。
②前号に規定する理由により、申告書に記載した純損失等の金額が過少であるとき、または申告書に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
③①に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があった場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、または当該申告書(当該申告書に関し更正があった場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。

2012年8月1日

修正申告の納付期限は…

修正申告の納付期限は、修正申告書提出日までである。

また、修正申告に伴う過少申告加算税、無申告加算税、重加算税については、賦課決定通知書が発せられた日の翌日から1か月以内に納付しなければならない。

2012年7月31日

申告期限までに申告書を提出しないと…

申告書は法定申告期限までに税務署長に提出しなければならないが、提出期限後においても、決定(税務署長が、申告書を提出する義務があると認められる者が申告書を提出しなかった場合に、その調査により、申告書に係る課税標準等及び税額等を決定すること)があるまでは、納税申告書を税務署長に提出することができる。

ただし、無申告加算税(原則として、納付すべき税額に対し、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額。なお、税務調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、5%の割合を乗じて計算した金額に軽減される。)が課され、各種特典の認められている青色申告の承認が取り消される可能性がある。

2012年7月17日

申告書を納税地以外の税務署に提出してしまったら…

例えば、事務所を移転した場合など、納税地が変更になったにもかかわらず、以前の納税地の税務署に申告書を提出してしまった場合、現在の納税地の税務署に申告書を提出する必要はない。

ちなみに、申告書を受けとった税務署は、本来の税務署に申告書を送付するとともに、その旨を納税者に通知する必要がある。

2012年7月13日

やむを得ない理由

国税通則法第11条によると、
『国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。』
とある。

この条の「災害その他やむを得ない理由」とは、国税に関する法令に基づく申告、申請、請求、届出、その他書類の提出、納付または徴収に関する行為(以下、この条関係において「申告等」という。)の不能に直接因果関係を有するおおむね以下に掲げる事実をいい、これらの事実に基因して資金不足を生じたため、納付ができない場合は含まない。

  1. 地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地すべりその他の自然現象の異変による災害
  2. 火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通と絶その他の人為による異常な災害
  3. 申告等をする者の重傷病その他の自己の責めに帰さないやむを得ない事実

2012年6月21日

期間の計算

税務の世界では、2ヶ月以内など期間が重要になってくるが、国税通則法第10条によると、以下のようになっている。

国税に関する法律において日、月又は年をもつて定める期間の計算は、次に定めるところによる。
一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。
三 前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
2  国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。

ちなみに、この条第2項の「一般の休日」とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいうものとする。
なお、官庁における年末の休暇(明治6年太政官布告第2号「休暇日ノ件」に定める12月29日から同月31日までをいう。)は、この条の「一般の休日」には該当しないが、年始の休暇(同布告に定める1月2日および3日をいう。)は、この条の「一般の休日」に該当する(昭和43.1.30最高判、昭和33.6.2最高判)。

2012年6月19日

申告書等への自署押印

国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長またはその職員に申告書、申請書、届出書その他の書類を提出する者は、当該書類にその氏名(法人については、名称。)及び住所または居所記載しなければならない。
この場合において、その者が法人であるとき、納税管理人もしくは代理人(代理の権限を有することを書面で証明した者に限る。)によって当該書類を提出するとき、または不服申立人が総代を通じて当該書類を提出するときは、その代表者(人格のない社団等の管理人を含む。次項において同じ。)、納税管理人若しくは代理人または総代の氏名及び住所または居所をあわせて記載しなければならない。

  • 当該書類を提出する者が法人である場合 当該法人の代表者
  • 納税管理人または代理人によつて当該書類を提出する場合 当該納税管理人または代理人
  • 不服申立人が総代を通じて当該書類を提出する場合 当該総代
  • 上記に掲げる場合以外の場合 当該書類を提出する者

ただし、記載ではなく自署となっているのは法人税法第151条(以下、参照)だけであり、法人の場合は自署押印が必要となる。

法人の提出する法人税申告書等(第二条第三十号から第三十四号まで(定義)に掲げる申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書(第三項及び第五項において「法人税申告書」という。)並びに第八十一条の二十五第一項(連結子法人の個別帰属額等の届出)に規定する個別帰属額等を記載した同項に規定する書類(当該個別帰属額等に異動があつた場合に提出する同条第二項に規定する書類を含む。)をいう。以下この条において同じ。)には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者(当該者が法人である場合には、当該者の職務を行うべき者)が自署し、自己の印を押さなければならない。
一 法人の代表者(人格のない社団等で代表者の定めがなく、管理人の定めがあるものにあつては、管理人。以下この項において同じ。)が一人である場合 当該代表者
二 法人の代表者が二人以上ある場合(次号に掲げる場合を除く。) これらの者のうち社長、理事長、専務取締役、常務取締役その他の者でその法人税申告書等の作成の時においてその法人の業務を主宰しているもの
三 二人以上の者が共同して法人を代表する場合 その全員
2 法人税申告書等には、前項の代表者のほか、法人の役員及び職員のうちその法人税申告書等の作成の時においてその法人の経理に関する事務の上席の責任者である者が自署し、自己の印を押さなければならない。
3 外国法人の提出する法人税申告書については、第一項の規定によりその法人税申告書に自署し、自己の印を押すべき者は、国内において行う事業又は国内にある資産の経営又は管理の責任者とし、前項の規定によりその法人税申告書に自署し、自己の印を押すべき者は、当該事業又は資産に係る経理に関する事務の上席の責任者とする。
4 第四条の七(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人が法人税申告書等を提出する場合において、当該受託法人が同条第三号の規定により会社とみなされる個人であるときは、第一項の規定によりその法人税申告書等に自署し、自己の印を押すべき者は、当該個人とする。
5 前各項の規定による自署及び押印の有無は、法人税申告書の提出による申告の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。

2012年6月15日

申告書などの郵送による提出

納税申告書(当該申告書に添付すべき書類その他当該申告書の提出に関連して提出するものとされている書類を含む。)その他国税庁長官が定める書類が郵便または信書便により提出された場合には、その郵便物または信書便物の通信日付印により表示された日(その表示がないとき、またはその表示が明瞭でないときは、その郵便物または信書便物について通常要する送付日数を基準とした場合にその日に相当するものと認められる日)にその提出がされたものとみなされる(いわゆる発信主義)。

ただし、郵便の業務は、郵便法の定めるところにより、郵便事業株式会社(以下、「会社」という。)が行うことになっており、以下のように定められているため、宅配便やメール便は使えないことには留意すべきである。

  • 会社以外の者は、何人も、郵便の業務を業とし、また、会社の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。ただし、会社が、契約により会社のため郵便の業務の一部を委託することを妨げない。
  • 会社(契約により会社から郵便の業務の一部の委託を受けた者を含む。)以外の者は、何人も、他人の信書(特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。以下同じ。)の送達を業としてはならない。二以上の人又は法人に雇用され、これらの人又は法人の信書の送達を継続して行う者は、他人の信書の送達を業とする者とみなす。
  • 運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。ただし、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでない。
  • 何人も、第二項の規定に違反して信書の送達を業とする者に信書の送達を委託し、又は前項に掲げる者に信書(同項ただし書に掲げるものを除く。)の送達を委託してはならない。

2012年6月7日

不納付加算税とは?

不納付加算税とは、源泉徴収等による国税が法定納付期限内に完納されなかった場合に課される附帯税のことである。

納付税額の10%の割合で課税される。ただし、調査などが予想される前に納付を行った場合には、5%の割合でよい。5,000円未満の場合は、徴収されない。

2011年9月30日

無申告加算税とは?

無申告加算税とは、期限内に確定申告書の提出をしていないが、納付すべき税額があった場合に課される附帯税のことである。

納付税額の15%の割合で課税される。ただし、更正または決定があると予想される前に申告を行った場合には、5%の割合でよい。5,000円未満の場合は、徴収されない。

2011年9月28日

利子税とは?

利子税とは、会計監査人(公認会計士または監査法人)の監査を受けなければならない等の理由により申告期限を延長した場合に課される附帯税である。

附帯税はいくつかあるが、このうち利子税は利息の性格を持っているため、利子税のみは損金に算入できる。

納税を延長した本税に対し、その延長された日数に応じ、原則、7.3%の割合で課税される。ただし、1,000円未満の場合は課税されない。

なお、会計監査人の監査のためなどの理由により申告期限を延長している場合であっても、利子税を支払うのを避けるため、仮の金額で通常の申告期限内に納付しておくのが一般的である。

2011年9月26日

重加算税とは?

重加算税とは、過少申告加算税などが課される場合において、仮装・隠ぺいにより申告している場合にその過少申告加算税などに代えて課される附帯税のことである。

過少申告加算税に代えて課される場合は、追加本税の35%、
無申告加算税に代えて課される場合は、納付税額の40%、
不納付加算税に代えて課される場合は、納付税額の35%
の割合で課される。ただし、5,000円未満の場合は課税されない。

国税庁が公表している、『法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)』によると、仮装・隠ぺいとは、例えば、以下のような場合をいうとされている。

(1)いわゆる二重帳簿を作成している。

(2)次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)がある。

帳簿、原始記録、証ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表その他決算に関係
のある書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿している

帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽
の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っている

帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は
棚卸資産の除外をしている

(3)特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該
書類の交付を受けている。

(4)簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、
賃貸料収入等の果実を計上していない。

(5)簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空
に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出している。

(6)同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に
分割する等により非同族会社としている。

なお、『連結法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)』も公表されている。

2011年9月22日

過少申告加算税とは?

過少申告加算税とは、期限内に確定申告書を提出した後、修正申告書の提出または更正によって追加税額が生じた場合に課税される附帯税のことである。

なお、修正申告書の提出による場合には、調査があったことにより更正のあることを予想して修正申告書を提出した場合以外だと過少申告加算税は課されない。

原則として、追加分の本税の10%の割合で課税される。5,000円未満の場合は、徴収されない。

ただし、追加納付税額のうち、期限内納付税額または50万円のいずれか多い金額を超える部分については、15%の割合で課税される。

2011年9月20日

延滞税とは?

延滞税とは、法定納期限までに税金を納付しなかった場合に課される附帯税のことである。

納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間の延滞税の割合は、原則として年7.3%の割合が適用される。ただし、平成12年1月1日以後の延滞税の割合(7.3%部分)については、年「7.3%」と「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」のいずれか低い割合を適用することとなる。
ちなみに、平成23年(2011年)の場合、4.3%である。

なお、期限申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除される。
また、期限申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には、その申告書提出後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除される。

2011年9月15日

附帯税

附帯税には、以下のものがある。

  • 延滞税(国税通則法60条)
  • 利子税(国税通則法64条)
  • 過少申告加算税(国税通則法65条)
  • 無申告加算税(国税通則法66条)
  • 不納付加算税(国税通則法67条)
  • 重加算税(国税通則法68条)

    2011年9月13日

国税通則法の名称変更

国税通則法(こくぜいつうそくほう)は、昭和37年に創設され、国税の納付義務の確定、納付、徴収、還付、附帯税、更正、決定、不服審査、訴訟など共通事項をまとめた法律である。

今回、東日本大震災の影響でまだ改正はされていないが、平成23年税制改正で、「国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利及び義務に関する法律」(略称は、「国税手続法」が現在のところ使われている。)となる予定であった。

略称を使わなくてもよいような、もっとシンプルな名称ではダメなのだろうか。

2011年9月1日

本税と延滞税のどちらが優先されるか?

申告・納税が遅れ、本税と延滞税を支払わないといけないような場合などに、本税に満たない額しか支払わなかったとしたら、どうなるのか?

本税の一部が支払われたとされる。本税には延滞税がかかるので、本税が優先されるということは納税者有利となっている。

還付の場合も同様に、本税が優先される。

2011年8月9日

カテゴリー
記事

贈与税

「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

標題のことについては、平成17年3月22日付課資5-11ほか6課共同「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」(法令解釈通達)の一部を別紙「新旧対照表」のとおり改正したから、今後これによられたい。

(趣旨)
税制改正等に伴い、所要の整備を図るものである。

★リンクはこちら ⇒ 「資産課税関係の申請、届出等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

2025年1月28日


令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和6年分贈与税の申告書等の様式一覧

2025年1月7日


令和6年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、『令和6年分贈与税の申告のしかた』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和6年分贈与税の申告のしかた

2024年12月18日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

災害により被害を受けた会社又は中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて、以下「災害等」といいます。)に該当した会社に係る非上場株式等については、贈与税・相続税の納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)の適用に当たり一定の要件のもと、次の措置が講じられています。

⑴納税猶予の免除事由の追加
贈与税・相続税の納税猶予の適用を受けている次の①又は②の者については、経営承継期間等内に破産等した場合でも納税猶予税額が免除されます。
①災害等の発生前に贈与によりその非上場株式等を取得した者
②災害等の発生した日から1年を経過する日の前日までにその非上場株式等を相続又は遺贈(以下「相続等」といいます。)により取得した者

⑵納税猶予期間中の事業継続要件等の緩和
上記⑴①又は②の者については、納税猶予期間中の要件が免除又は緩和されます。

⑶相続税の納税猶予の適用要件の緩和
災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得等したその会社の非上場株式等について後継者が相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、その適用要件のうちの一部が不要とされています。

「災害」とは、震災、風水害、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び火災、鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいいます。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)

2024年7月24日


年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)

国税庁は、『年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 年次報告書・継続届出書の「報告基準日」について~申告期限が延長されている場合は報告基準日も延長されます~(令和6年6月)

2024年7月22日


法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)

国税庁は、『法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)』をホームページに掲載しました。

●法人版事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除)の適用を受けられている方は、納税猶予期間中は、
① (特例)経営(贈与)承継期間については毎年
② その期間経過後は3年ごと
一定の書類を添付した継続届出書を所轄の税務署へ提出する必要があります。

(注1)この制度の適用に係る円滑化法の認定(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定をいいます。以下同じです。)を受けた会社も、(特例)経営(贈与)承継期間内は、毎年、都道府県知事に対し年次報告書を提出し、その確認を受ける必要があります。

(注2)「(特例)経営(贈与)承継期間」とは、原則として、その会社の株式等に係る最初のこの制度の適用に係る贈与税又は相続税の申告期限の翌日から同日以後5年を経過する日までの期間をいいます。

災害等により、国税通則法第11条又は租税特別措置法第69条の8の規定に基づく申告期限の延長(以下「申告期限の延長」といいます。)がされた場合には、その延長後の申告期限となります。

●この「継続届出書」の提出がない場合には、猶予されている贈与税・相続税の全額と利子税を納付する必要があります。

●このパンフレットは、継続届出書の提出に当たり必要となる手続や添付書類等について、その概要を説明したものです。

★リンクはこちら ⇒ 法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和6年6月)

2024年7月17日


相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)

国税庁は、『相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)』をホームページに掲載した。

令和5年度税制改正において創設された相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例を取りまとめたので、執務の参考として送付する。

なお、質疑応答事例は、令和6年4月1日現在の法令等に基づくものである。

<制度の概要>
(問1-1)相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の概要

<適用要件>
(問2-1)適用要件の概要
(問2-2)土地又は建物の範囲
(問2-3)特例の対象となる被害の範囲
(問2-4)継続所有要件の判定(災害発生日前に相続時精算課税適用者が死亡している場合)
(問2-5)災害減免法との重複適用

<想定価額の計算>
(問3-1)想定価額の計算
(問3-2)想定使用可能期間の年数の判定方法

<被災価額及び被災割合の計算>
(問4-1)被災価額の計算(その1):概要
(問4-2)被災価額の計算(その2):被害を受けた部分の価額が明らかでない場合
(問4-3)被災価額の計算(その3):造成工事や増改築があった場合
(問4-4)被災価額の計算(その4):保険金等により補塡される金額が確定していない場合
(問4-5)被災割合の判定(その1):同一の災害により2以上の土地又は建物が被害を受けた場合
(問4-6)被災割合の判定(その2):同一の建物の持分を2以上の贈与により取得した場合
(問4-7)被災割合の判定(その3):承認を受けた後に被災価額に異動があった場合

<相続税の課税価格に加算される金額の計算>
(問5-1)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その1):概要
(問5-2)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その2):特定贈与者が2人以上いる場合
(問5-3)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その3):同一の土地又は建物が2以上の災害により被害を受けた場合
(問5-4)相続税の課税価格に加算される金額の計算(その4):災害発生前に土地の一部を贈与している場合

<特例の適用に関する手続等>
(問6-1)精算課税の災害特例の適用を受けるための手続
(問6-2)承認を受けた後の手続(被災価額の異動届出書の提出)

<その他>
(問7-1)相続税の申告書の提出期限までに承認を受けていない場合の相続税の課税価格に加算される金額等
(問7-2)特定土地等に係る相続税の特例と精算課税の災害特例の重複適用
(問7-3)個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予との関係

<記載例>
1 建物が災害により被害を受けた場合の承認申請書等の記載例
2 土地が災害により被害を受けた場合の承認申請書の記載例

★リンクはこちら ⇒ 相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例に関する質疑応答事例について(情報)(令和6年6月20日)

2024年7月16日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)

国税庁は、ホームページに、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、次の制度の概要を解説したものである。

  1.  「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」
  2. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
  3. 「災害等に関する税制上の措置」

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和6年5月)

2024年6月25日


一般贈与と特例贈与の両方がある場合の贈与税の計算方法

例えば、財産の贈与を受けた年の1月1日現在において18歳以上の方が、配偶者と自分の両親の両方から贈与を受けた場合などに、この計算となる。

この場合には、以下のとおり計算する。

すべての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算する。
すべての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算する。
納付すべき贈与税額は、①と②の合計額である。

(例)
一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の場合の計算
①この場合、まず、合計価額500万円を基に以下のように計算する。
(すべての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算)
500万円-110万円=390万円
390万円×20%-25万円=53万円
(上記の税額のうち、一般贈与財産に対応する税額(一般税率)の計算)
53万円×100万円/(100万円+400万円)=10.6万円…①

次に「特例贈与財産」の部分の税額計算を行う。
②この場合も、まず、合計価額500万円を基に以下のように計算する。
(すべての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算)
500万円-110万円=390万円
390万円×15%-10万円=48.5万円
(上記の税額のうち、特例贈与財産に対応する税額(特例税率)の計算)
48.5万円×400万円/(100万円+400万円)=38.8万円…②

(贈与税額の計算)
③贈与税額=①一般贈与財産の税額+②特例贈与財産の税額
上記の場合 ①10.6万円+②38.8万円=49.4万円…贈与税額

★リンクはこちら ⇒ 一般贈与と特例贈与の両方がある場合の贈与税の計算方法

2024年2月20日


令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、「令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和5年分贈与税の申告書等の様式一覧

2024年1月30日


令和5年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「令和5年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。

  • 令和5年分の贈与税の申告書の受付は、令和6年2月1日(木)から同年3月15日(金)まで
  • 令和5年分の贈与税の納期限は、令和6年3月15日(金)

★リンクはこちら ⇒ 令和5年分贈与税の申告のしかた

2024年1月26日


父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

<制度の概要>
平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「結婚・子育て資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に結婚・子育て資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となる

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、その死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされる

また、結婚・子育て資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる

★リンクはこちら ⇒ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

2023年7月5日


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

<制度の概要>
平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間
に、30歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に教育資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となる

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として、その死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされる

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる

★リンクはこちら ⇒ 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)

2023年6月29日


令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、ホームページに「令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧」を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧

2022年12月26日


令和4年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、ホームページに「令和4年分贈与税の申告のしかた」を掲載した。

  • この冊子は、一般的な事項を説明している。申告や納税について分からない点があれば、国税庁ホームページをご覧のこと。
  • 令和4年分の贈与税の申告書の受付は、令和5年2月1日(水)から同年3月15日(水)までである。
  • 令和4年分の贈与税の納期限は、令和5年3月15日(水)である。

★リンクはこちら ⇒ 令和4年分贈与税の申告のしかた

2022年12月20日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)を掲載しました

国税庁は、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)』をホームページに掲載した。

このパンフレットは、以下の制度の概要を解説したものである。

  1. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」
  2. 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
  3. 「災害等に関する税制上の措置」

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)(令和4年11月改訂)を掲載しました

2022年12月15日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、次の制度の概要を解説したものである。

  1.  住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
  2.  住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例
  3.  災害等に関する税制上の措置

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和4年5月)

2022年8月3日


令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁はホームページに『令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧』を掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和3年分贈与税の申告書等の様式一覧

2022年1月17日


令和3年分贈与税の申告のしかた

国税庁はホームページに『令和3年分贈与税の申告のしかた』を掲載した。

この冊子は、一般的な事項を説明している。

申告や納税についてお分かりにならない点がありましたら、税理士もしくは最寄りの税務署にお尋ねのこと。

  • 令和3年分の贈与税の申告書の受付は、令和4年2月1日(火)から同年3月15日(火)までである。
  • 令和3年分の贈与税の納期限は、令和4年3月15日(火)である。

★リンクはこちら ⇒ 令和3年分贈与税の申告のしかた

2021年12月24日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

2021年6月24日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

災害()により被害を受けた会社または中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて、以下「災害等」という。)に該当した会社に係る非上場株式等については、贈与税・相続税の納税猶予及び免除(法人版事業承継税制)の適用に当たり一定の要件のもと、以下の措置が講じられている。

⑴納税猶予の免除事由の追加
贈与税・相続税の納税猶予の適用を受けている以下の①または②の者については、経営承継期間等内に破産等した場合でも納税猶予税額が免除される。
①災害等の発生前に贈与によりその非上場株式等を取得した者
②災害等の発生した日から1年を経過する日の前日までにその非上場株式等を相続または遺贈(以下「相続等」という。)により取得した者

⑵納税猶予期間中の事業継続要件等の緩和
上記⑴①又は②の者については、納税猶予期間中の要件が免除または緩和される。

⑶相続税の納税猶予の適用要件の緩和
災害等が発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得等したその会社の非上場株式等について後継者が相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、その適用要件のうちの一部が不要とされている。

「災害」とは、震災、風水害、火災、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいう。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和3年5月)

2021年6月22日


「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」という。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。

★リンクはこちら ⇒ 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし(令和3年5月)

2021年6月18日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

令和元年度税制改正により創設された個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る。)に係る事業(不動産貸付業等を除く。)を行っていた事業者の後継者(※1)として円滑化法の認定を受けた者が、平成31年1月1日から令和10年12月31日まで(※2)の贈与または相続等により、特定事業用資産を取得した場合は、

  1. その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、
  2. 後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものである。

※1
平成31年4月1日から令和6年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限る。
※2
先代事業者の生計一親族からの特定事業用資産の贈与・相続等については、上記の期間内で、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までにされたものに限る。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和3年5月)

2021年6月15日


父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」という。)から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「結婚・子育て資金口座の開設等」という。)には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となる。

契約期間中に贈与者が死亡した場合には、死亡日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚に際して支払う金銭については、300万円を限度とする。)を控除した残額(以下「管理残額」という。)を、贈与者から相続等により取得したこととされる。

また、受贈者が50歳に達することなどにより、結婚・子育て口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる。

★リンクはこちら ⇒ 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

2021年6月8日


祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)」をホームページに掲載した。

平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、30歳未満の方(以下「受贈者」という。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から①信託受益権を取得した場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」という。)には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税が非課税となる。

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として、その死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」という。)を、贈与者から相続等により取得したこととされる。

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(管理残額がある場合には、管理残額も控除する。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされる。

★リンクはこちら ⇒ 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和3年5月)

2021年5月25日


貸付自粛制度

貸付自粛制度は、2019年3月29日にスタートした。

<1.貸付自粛制度とは>
ご本人が、自らに浪費の習癖があることやギャンブル等依存症によりご本人やその家族の生活に支障を生じさせるおそれがあること、その他の理由により、ご本人自らを自粛対象者とする旨または法定代理人等または親族のうち一定の範囲の者が、金銭貸付による債務者を自粛対象者とする旨を当全国銀行個人信用情報センターに対して申告することにより、全国銀行個人信用情報センターに貸付自粛情報を登録し、一定期間、当センターの会員に対してその情報を提供する制度である。

<2.情報連携および提供について>
全国銀行個人信用情報センターは受付した申告にもとづく貸付自粛情報を日本貸金業協会に提供し、また、日本貸金業協会が受付した貸付自粛情報の提供を受けることにより、それぞれで受付した申告が当センターに登録されるとともに、日本貸金業協会が指定する個人信用情報機関(㈱日本信用情報機構、㈱シー・アイ・シー)においても登録され、それぞれの会員が利用できるよう情報連携している。
ただし、貸付自粛情報がセンターおよび日本貸金業協会が指定する各情報機関に登録された場合であっても、当該情報は、センターおよび各情報機関の会員による与信判断を拘束するものではない。

<3.貸付自粛情報の登録内容>
貸付自粛情報として登録される内容は以下のとおりである。

  • 氏名
  • 性別
  • 生年月日
  • 住所
  • 自宅電話番号(または携帯電話番号)
  • 勤務先名
  • 勤務先電話番号

<4.貸付自粛情報の登録期間>
貸付自粛申告日(以下、「申告日」という。)から5年を超えない期間

<5.撤回の制限>
貸付自粛の申告をした場合には、原則として申告日から3か月が経過するまで貸付自粛情報を撤回できない。
また、貸付自粛の申告が法定代理人等によるものである場合には、原則として自粛対象者はその貸付自粛情報を取消すことができない。
ただし、貸付自粛の申告が自粛対象者または法定代理人等によるものでない場合には、申告日から3か月が経過しなくても自粛対象者はその貸付自粛情報を取消すことができる。

<6.申告者の範囲>
申告できるのはご本人のみである。
ご家族が手続きすることは原則できない(ただし、以下の法定代理人等の場合を除く。)。

(1) ご本人
(2) ご本人以外の方
i) 法定代理人(親権者、後見人、保佐人、補助人(ただし、補助人にあたっては借財について同意する権限を有する者に限る))
ii) 自粛対象者の配偶者または二親等内の親族
ただし、以下のすべての要件が満たされる必要がある。
1) 自粛対象者の配偶者または二親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること
2) 自粛対象者が所在不明であることが客観的な事実により証明できること(家庭裁判所が発行する失踪宣言の審判書等)
3) 自粛対象者の所在不明の原因が、金銭の貸付による金銭債務の負担を原因としている可能性があること
4) 貸付自粛の対応をとることが自粛対象者の生命、身体又は財産の保護のために必要があると認められる場合であること
5) 自粛対象者本人の同意を得ることが困難であること
iii) 自粛対象者と同居する三親等内の親族。ただし、以下の全ての要件が満たされる必要がある。
前項2)~5)までの要件が満たされていること
配偶者または二親等内の親族が申告することが著しく困難と認められること
申告者が自粛対象者と同居する三親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること

★リンクはこちら ⇒ 貸付自粛制度

2021年5月18日


イメージデータで提出可能な添付書類(贈与税申告)

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、この一覧は、令和2年4月1日現在の法令に基づくものである。

<添付書類をイメージデータで提出する場合の注意事項>
「相続時精算課税選択届出書」など、電子データ(XML形式)により提出が可能な添付書類については、イメージデータで提出することができない。
なお、電子データにより提出が可能な添付書類は、「利用可能手続(贈与税申告)」でご確認のこと。

shinkoku07

★リンクはこちら ⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(贈与税申告)

2021年3月18日


令和2年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「令和2年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分贈与税の申告のしかた

2020年12月25日


令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、「令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分贈与税の申告書等の様式一覧

2020年12月18日

カテゴリー
記事

印紙税

印紙税額一覧表(令和6年11月現在)

国税庁は『印紙税額一覧表(令和6年11月現在)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 印紙税額一覧表(令和6年11月現在)

2024年11月29日


契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)

国税庁は『契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)』をホームページに掲載しました。

印紙税は、「契約書」、「手形」、「領収書」など、リンク先の「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金です。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なりますから、お間違いのないようご注意ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和6年6月)

2024年7月29日


消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の印紙税の取扱いについて(令和6年6月)

1.従来の取扱い
印紙税法上、金銭又は有価証券の受取書は課税文書となりますが、消費生活協同組合が、その「出資者」に対して行う事業に係る金銭又は有価証券の受取書は「営業に関しないもの」として非課税文書とされています。

この非課税文書の対象となる「出資者」の範囲については、消費生活協同組合法第16条の規定に基づき、実際に出資を行った組合員に限ることとし、組合員と同一の世帯に属する者(以下、「家族組合員」といいます。)については、出資行為を行っていないことから「出資者」には含まないものとして取り扱っていました。

2.変更後の取扱い
今般、「出資者」の範囲について、家族組合員が含まれるかが争われた裁判において、東京高等裁判所は、「消費生活協同組合における『家族組合員』は印紙税法上の『出資者』に該当する」旨判示しました(令和5年10月18日判決)。

この判決の趣旨を踏まえ、消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の非課税対象となる「出資者」の範囲について、上記1の従来の取扱いを変更します。

具体的には、非課税対象となる「出資者」の範囲については、実際に出資行為を行った組合員のほか、定款に特に定めがある場合を除き、家族組合員を含むこととし、これらの者に対して交付する金銭又は有価証券の受取書は、「営業に関しないもの」として非課税文書となります。

3.還付請求手続について
上記2の取扱いは過去に遡って適用されますので、以下の納付区分に応じて、還付請求を行うことができます。

(1)書式表示に係る印紙税の納税申告の場合
家族組合員に交付した金銭又は有価証券の受取書を申告対象としていた場合は、所轄税務署に「更正請求書」を提出していただくことで還付請求を行うことができます。

請求に当たっては、更正の請求の理由となった事実を証明する書類として、申告対象に家族組合員に対する金銭又は有価証券の受取書が含まれていることが分かる書類及び定款の写しの提出が必要となります。

なお、「更正請求書」を提出する日において、法定申告期限から5年を経過している印紙税については、法令上、還付を行うことはできませんので、ご注意ください。

(2)収入印紙の貼付の場合
家族組合員に交付した金銭又は有価証券の受取書に収入印紙を貼付していた場合は、所轄税務署に「印紙税過誤納確認申請書」を提出していただくことで還付請求を行うことができます。

申請に当たっては、金銭又は有価証券の受取書の現物(原本)の提示又は提出、並びに家族組合員へ交付されたものであることが確認できる書類及び定款の写しの提出が必要となります。

なお、「印紙税過誤納確認申請書」を提出する日において、過誤納となっている文書を作成した日(家族組合員に交付を行った日)から5年を経過している印紙税については、法令上、還付を行うことはできませんので、ご注意ください。

★リンクはこちら⇒ 消費生活協同組合が作成する金銭又は有価証券の受取書の印紙税の取扱いについて(令和6年6月)

2024年7月26日


印紙税の手引(令和6年6月)

国税庁は『印紙税の手引(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の『印紙税額一覧表』に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、『印紙税額一覧表』に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただくための参考として、そのあらましを説明した『印紙税の手引』を作成した。

また、国税庁ホームページにおいても印紙税に関する情報やタックスアンサー(よくある税の質問)を提供しているので、是非ご活用のこと。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、最寄りの税務署に電話で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和6年6月)

2024年7月8日


特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税について(新型コロナ税特法)

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の方については、消費貸借契約書に係る印紙税の非課税措置が設けられている。

★リンクはこちら⇒ 特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税について(新型コロナ税特法)

2024年4月5日


契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」、「手形」、「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるので、お間違いのないよう注意すること。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和5年5月)

2023年7月7日


印紙税の手引(令和5年5月)

国税庁は、「印紙税の手引(令和5年5月)」をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただくための参考として、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

また、国税庁ホームページにおいても印紙税に関する情報やタックスアンサー(よくある税の質問)を提供しているので、是非ご活用ください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、最寄りの税務署に電話で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和5年5月)

2023年6月27日


契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)』を掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるから、間違いのないよう注意すること。

印紙税についてお分かりにならないことがありましたら、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和4年5月)

2022年8月25日


印紙税の手引(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『印紙税の手引(令和4年5月)』を掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、お分かりにならないことや、更に詳しくお知りになりたいことがありましたら、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和4年5月)

2022年6月10日


契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「契約書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるので、間違いのないようご注意ください。

印紙税について分からないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約したうえで、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和3年5月)

2021年5月27日


印紙税の手引(令和3年5月)

国税庁は、『印紙税の手引(令和3年5月)をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。
印紙税について、分かりにならないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約したうえで、その文書をご持参ください。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和3年5月)

2021年5月24日


消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該文書の一部は課税文書に該当しないなどとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消した事例

  • 平成26年9月から平成29年3月まで及び平成29年4月から平成29年8月までに作成された各課税文書に係る印紙税の過怠税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月2日裁決

<ポイント>
消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該領収書の交付を受けた者は、その作成日の時点では出資者であったと認められるから、「営業に関しない受取書」に当たり、課税文書に該当しないとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書について、請求人が出資者以外の者に交付したものであり、印紙税法別表第一の第17号の非課税物件欄2に規定する「営業に関しない受取書」に該当しない旨主張する。

しかしながら、同欄2の規定によれば、請求人がその出資者に対して行う事業は、「営業」に該当しないが、出資者以外の者に対して行う事業は、たとえ営利を目的としないものであったとしても全て「営業」に該当することになるところ、当審判所の調査によれば、当該領収書の交付を受けた者は、その作成日の時点では出資者であったと認められることなどからすれば、同欄2に規定する「営業に関しない受取書」に当たり、課税文書に該当しないと認めるのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 消費生活協同組合である審査請求人が作成した領収書等の文書について、当該文書の一部は課税文書に該当しないなどとして、印紙税の過怠税の賦課決定処分の一部を取り消した事例

2020年11月12日


契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)

国税庁は『契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。
印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるため、間違いのないよう注意すること。

印紙税について分からないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねのこと。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書を持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和2年6月)

2020年7月10日


印紙税の手引(令和2年6月)

国税庁は『印紙税の手引(令和2年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、分からないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねのこと。

なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参のこと。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和2年6月)

2020年7月7日


契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。

印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。

例えば、「不動産売買契約書(第1号の1文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、納める印紙税額が異なるから、お間違いのないようご注意のこと。

印紙税についてお分かりにならないことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。

なお、印紙税が課される文書に当たるかどうかをお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

 ★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(令和元年6月)

2019年6月26日


印紙税の手引(令和元年6月)

国税庁は、『印紙税の手引(令和元年6月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。

課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもある。

そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成した。

印紙税について、分からないことや、更に詳しくお知りになりたいことがあれば、最寄りの税務署(電話相談センター)にお尋ねください。
なお、課税文書に当たるかどうかのお尋ねのときは、電話等で事前に相談日時等を予約いただいた上で、その文書をご持参ください。

 ★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(令和元年6月)

2019年6月21日


収入印紙の形式改正について

収入印紙については、形式を改正し、平成30年7月1日から適用を開始することとなった。

形式を改正する券種は、現行の31券種(1円、2円、5円、10円、20円、30円、40円、50円、60円、80円、100円、120円、200円、300円、400円、500円、600円、1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、6,000円、8,000円、10,000円、20,000円、30,000円、40,000円、50,000円、60,000円、100,000円)のうち、19券種(下線の券種)となる。

形式改正後は、券種ごとに以下の偽造防止技術を施する。

○すべての券種
特殊発光インキ(可視領域では無色だが、紫外線ランプの照射で発光するインキ)及びマイクロ文字
着色繊維及び透かし入用紙を使用

○200円券
パールインキ(見る角度でパール色の光沢模様が現れる技術)
イメージリプル(特殊レンズを重ねると、「200」の文字が現れる技術)

○300円から600円の券種(4券種)
メタメリックインキ(専用シートを重ねると、模様が消える技術)

○1,000円以上の券種(14券種)
メタリックビュー(見る角度を変えると、複数の模様が現れる技術)

なお、改正前の収入印紙については、改正後の収入印紙の適用開始後も引き続き使用することができる。

 ★リンクはこちら⇒ 収入印紙の形式改正について

2018年6月7日


契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)

国税庁は、『契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金である。
印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付する。
例えば、「不動産売買契約書(第1号文書)」、「工事請負契約書(第2号文書)」、「売上代金の領収書(第17号の1文書)」などは、その文書に記載されている金額に応じて、収める税金が異なるので、間違いのないように注意すること。

 ★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成30年5月)

2018年6月4日


印紙税の手引(平成30年5月)

国税庁は、『印紙税の手引(平成30年5月)』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

 ★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(平成30年5月)

2018年5月30日


契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成29年5月)

2017年6月22日

平成29年5月印紙税の手引

国税庁は、『平成29年5月印紙税の手引』をホームページに掲載した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年5月印紙税の手引

2017年6月2日

総価契約単価合意方式における「単価合意書」の印紙税の取扱い

<照会要旨>
総価契約単価合意方式は、公共工事等における受発注者間の双務性の向上の観点から、請負代金額の変更があった場合の金額の算定や部分払い代金額の算定を行うための単価等を前もって協議し、合意しておくことにより、変更契約や部分払いに伴う協議の円滑化を図ることを目的として実施されている。
また、その実施方法としては、単価等を個別に合意する方式(以下「単価個別合意方式」という。)を基本としているが、一定の規模以下の契約工事においては、受注者の希望により、単価を包括的に合意する方式(以下「単価包括合意方式」という。)も可能なものとなっている。
いずれの場合であっても、発注者と受注者との間では、「工事請負契約書」と「単価合意書」(単価個別合意方式用)または「単価合意書」(単価包括合意方式用)が締結されることになる。
このうち、「工事請負契約書」は、印紙税法上、請負に関する契約書に該当することから、請負金額に応じて収入印紙を貼付しているが、契約当事者間で作成されるもう一方の「単価合意書」の印紙税の取扱いはどうなるか。
なお、「単価合意書」(単価個別合意方式用)には「単価表」、「単価合意書」(単価包括合意方式用)には「工事数量総括表」を添付する方法で作成する。

<回答要旨>
1.「単価合意書」(単価個別合意方式用)について
「単価合意書」(単価個別合意方式用)は、工事における契約の変更に用いる単価または金額を定めるために、原契約書(工事請負契約書)で定められた契約金額(請負金額の総額)に係る工事種別ごとの単価または金額(内訳金額)を記載して契約当事者間で合意した契約書であり、原契約書で定められていない契約内容(請負の内容、単価、取扱数量及び契約金額に密接に関連する事項(内訳金額))を補充するものと認められることから、印紙税法上、請負に関する契約書(第2文書)に該当する。

また、当該「単価合意書」(単価個別合意方式用)には、契約の変更に用いる単価または金額(内訳金額)のほかに当該内訳金額の合計金額(請負金額の総額)も記載されているが、当該合計金額は、原契約である「工事請負契約書」の内容から判断して当該文書(「単価合意書」(単価個別合意方式用))によって新たに契約金額を取り決めたものではなく、既に締結されている工事請負契約書の契約金額の内訳である単価または金額の合計額を示しているに過ぎないから記載金額には該当しない。

したがって、「単価合意書(単価個別合意方式用)」は、印紙税法上、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

2.「単価合意書」(単価包括合意方式用)について
「単価合意書」(単価包括合意方式用)は、契約の変更に用いる単価の考え方について合意したものであり、具体的な単価(数値として具体性を有するもの)を合意したものではないので、印紙税法上の請負に関する契約書に係る「単価」を定めたものとは認められない。
しかし、当該「単価合意書」には、工事数量総括表を別紙として添付することとされており当該工事数量総括表に記載される内容は、原契約で定められていない契約内容(請負の内容及び取扱い数量)を補充するものと認められるから、当該「単価合意書」(単価包括合意方式用)は、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

また、追加工事等により、原契約書の変更契約の締結に伴い改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容(請負内容又は取扱数量)が変更されるので、記載金額のない請負に関する契約書(第2号文書)に該当し、200円の収入印紙の貼付が必要になる。

なお、賃金または物価変動に基づく請負代金の変更(労務単価など単価のみの変更)に伴い、改めて単価合意書を作成する場合には、工事数量総括表の内容に変更はないので、課税文書には該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 総価契約単価合意方式における「単価合意書」の印紙税の取扱い

2016年3月16日

建築士法第22条の3の3の規定に基づき作成される「設計・工事監理受託契約事項の変更書面」に係る印紙税の取扱い

<照会要旨>
工事請負契約の請負者は注文者との間で工事請負契約書(以下「原契約書」という。)を締結する際に、その契約内容に当該工事請負契約書の内容に設計・工事監理が含まれ、かつ、当該工事請負契約において建設する建築物が延べ面積300㎡を超える場合、建築士法第22条の3の3の規定に基づき、「設計・工事監理受託契約事項」を作成し、原契約書に添付する。
この「設計・工事監理受託契約事項」には、設計または工事監理に従事する建築士の氏名、業務の期間、報酬の額、建築士事務所の名称及び所在地、建築士事務所の開設者の氏名及び所在地等が記載されるが、これらの事項が変更される場合、契約当事者間で「設計・工事監理受託事項の変更書面」を作成するが、以下の事項の変更が記載された当該書面の課否はどのようになるか。

業務の期間
報酬の額
建築士事務所の名称及び所在地
建築士事務所の開設者の氏名
建築士の登録番号
再委託先

なお、いずれの場合も、原契約書に記載された事項は変更されない。

<回答要旨>
「設計・工事監理受託事項の変更書面」において変更する箇所が、①のうち設計業務及び構造設計業務の期間の変更の場合は、第2号文書の重要な事項である請負の期限を変更するものに該当することから記載金額のない第2号文書、②の報酬の額を変更するものは、第2号文書の重要な事項のうち、契約金額を変更するものに該当することから、報酬の額が増額される場合は、変更金額(差額)を記載金額とする第2号文書に、報酬額が減額される場合は、記載金額のない第2号文書に該当する。

なお、③ないし⑥の事項の変更は第2号文書の重要な事項の変更に該当しないことから課税文書に該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 建築士法第22条の3の3の規定に基づき作成される「設計・工事監理受託契約事項の変更書面」に係る印紙税の取扱い

2016年3月9日

契約書の写し、副本、謄本等

契約書は、契約の当事者がそれぞれ相手方当事者などに対して成立した契約の内容を証明するために作られるので、各契約当事者が1通ずつ所持するのが一般的である。
この場合、契約当事者の一方が所持するものに正本又は原本と表示し、他方が所持するものに写し、副本、謄本などと表示することがある。

しかしながら、写し、副本、謄本などと表示された文書であっても、おおむね以下のような形態のものは、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかなため、印紙税の課税対象になる。

  • 契約当事者の双方または文書の所持者以外の一方の署名または押印があるもの
  • 正本などと相違ないこと、または写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるもの

なお、所持する文書に自分だけの印鑑を押したものは、契約の相手方当事者に対して証明の用をなさないものであるため、課税対象とはならない。

また、契約書の正本を複写機でコピーしただけのもので、上記のような署名もしくは押印または証明のないものは、単なる写しにすぎないため、課税対象とはならない。
同じく、ファックスや電子メール等により送信する場合も正本等は送付元に保存され、送付先に交付されておらず、送付先で出力された文書は写しと同様であり、課税対象とはならない。

このように、印紙税は、契約の成立を証明する目的で作成された文書を課税対象とするものであるため、一つの契約について2通以上の文書が作成された場合であっても、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであれば、すべて印紙税の課税対象となる。

★リンクはこちら⇒ 契約書の写し、副本、謄本等

2015年12月1日

印紙の消印の方法

<照会要旨>
契約書などに印紙を貼った場合には消印をすることとされているが、この消印は契約書などに押した印で消さなければならないか。
また、契約者が数人いる場合には、その全員で消印をしなければいけないのか。

<回答要旨>
印紙税の課税対象となる文書に印紙を貼り付けた場合には、その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっている。
そして、印紙を消す方法は、文書の作成者または代理人、使用人その他の従業者の印章または署名によることになっている。
このように、消印する人は文書の作成者に限られておらず、また、消印は印章でなくても署名でもよいとされているところから、文書の消印は、その文書に押した印でなくても、作成者、代理人、使用人、従業者の印章または署名であれば、どのようなものでも差し支えない。
ところで、消印は印紙の再使用を防止するためのものゆえ、それに使用する印章は通常印判といわれているもののほか、氏名、名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印のようなものでも差し支えない。
署名は自筆によるが、その表示は氏名を表すものでも通称、商号のようなものでも構わない。
しかし、単に「印」と表示したり斜線を引いたりしてもそれは印章や署名には当たらないので、消印したことにはならない。
また、印紙は判明に消さなければならないこととされているので、一見して誰が消印したかが明らかとなる程度に印章を押し又は署名することが必要であり、かつ、通常の方法では消印を取り去ることができないことが必要である。
したがって、鉛筆で署名したもののように簡単に消し去ることができるものは、消印をしたことにはならない。

次に、消印は印紙の再使用を防止することを目的とするという趣旨のものゆえ、複数の人が共同して作成した文書に貼り付けた印紙は、その作成者のうち誰か1人の者が消せばよいことになっている。
例えば、甲と乙とが共同して作成した契約書については、甲と乙の双方が消印しても甲と乙のどちらか1人が消印しても差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 印紙の消印の方法

2015年10月6日

平成27年9月印紙税の手引

国税庁は、『平成27年9月印紙税の手引』を公表した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、印紙税額一覧表記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。

そこで、国税庁は、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年9月印紙税の手引

2015年9月30日

顧客から商品の返品若しくは交換又は売価が異なるなどの申し出を受けた際に使用する「お客様返金伝票」と題する伝票のつづりは、印紙税法上の「判取帳」に該当するとした事例

平成21年12月~平成24年3月及び平成24年4月~平成24年11月に作成された各課税文書に係る印紙税の過怠税の各賦課決定処分
棄却 平成26年10月28日裁決

<要旨>
請求人は、「売場控、事務所控及び商品貼付用」の3枚一組複写式の伝票が100組つづられている伝票つづりのうち、伝票作成後も切り離されずに残されている「売場控」つづり(本件各文書)が、1伝票1枚1枚が一の文書であること、2二以上の相手方から金銭受領の付込事実の証明を受ける目的で作成されていないものであること、3印紙税法上の帳簿に当たらないことからすると、判取帳には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件各文書は、①切り離されずに残されている「売場控」伝票(本件各伝票)が、本件各文書から切り離されることが予定されていたものとはいえず、また、請求人も1冊につづった状態で保管していたから、全体として一の文書に当たると認められるものであること、②請求人には、返金を行う場合において、複数の顧客から本件各伝票に署名を受けることによって金銭受領証明目的があったと認められることからすると、二以上の相手方から金銭の受領事実の証明を受ける目的で作成されたものと認められること、③継続的又は連続的に、金銭受領の事実、すなわち、課税事項を記載するための文書といえるものと認められるから、帳簿に当たると認められるものであることからすると、判取帳に該当する。

★リンクはこちら⇒ 顧客から商品の返品若しくは交換又は売価が異なるなどの申し出を受けた際に使用する「お客様返金伝票」と題する伝票のつづりは、印紙税法上の「判取帳」に該当するとした事例

2015年9月16日

契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)

国税庁は、「契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 契約書や領収書と印紙税(平成27年4月)

2015年6月16日

印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)

国税庁は、「印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)」をホームページに掲載した。

不動産の譲渡に関する契約書」のうち、平成9年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成されるもの、「請負に関する契約書」のうち、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるもので、平成9年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成されるものについては、契約書の作成年月日及び記載された契約金額に応じ、印紙税額が軽減されている。

★リンクはこちら⇒ 印紙税額一覧表(平成27年4月1日以降適用分)

2015年6月11日

輸出免税物品購入記録票に貼付・割印するレシート

【照会要旨】
輸出物品販売場を経営する事業者が、輸出免税物品購入記録票を作成する際に、購入される物品の品名や数量、価額等の明細を記載する代わりにレシートの写しを貼り付けて割印をし、これをパスポート等に貼り付けることがあるが、当該レシートの写しは、印紙税法上の「売上代金に係る金銭の受取書」(第17号の1文書)に該当するのか?

【回答要旨】
照会のレシートの写しは、購入記録票に品名や数量、価額等の明細を記載する代わりに貼り付けられるものであり、かつ、当該購入記録票との間に割印がされることから当該購入記録票の一部と認められ、輸出物品販売場を経営する事業者が購入者から金銭を受領した事実を証するために作成されたものではないから、第17号の1文書に該当しない。

2014年12月4日

未使用の収入印紙についての印紙税過誤納還付

【照会要旨】
当社では、不動産売買契約の締結を予定していたところ、契約の相手方の都合でキャンセルになってしまい、購入した2万円の収入印紙の使用見込みが立たなくなった。未使用の収入印紙について、印紙税の過誤納還付を受けることができるか?

【回答要旨】
収入印紙は、印紙税の納付のほか、登録免許税やパスポート引換えの際の手数料または訴訟費用等の納付にも使用される。
印紙税法の規定により還付することができるのは、印紙税を納付する目的で、印紙税の課税文書に過大に収入印紙を貼り付けた場合など、いったん印紙税を納付し、その納付した印紙税について過誤納金が生じている事実が確認できる場合に限られる。

したがって、未使用の収入印紙については、税務署において印紙税の過誤納還付を受けることはできない。

なお、汚染または損傷していない収入印紙については、郵便局において、手数料を支払って他の額面の収入印紙と交換することができる。詳細は「収入印紙の交換制度」を参照のこと。

2014年12月1日

印紙税の手引(平成26年9月)

国税庁は、『印紙税の手引(平成26年9月)』を公表した。

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の印紙税額一覧表に掲げられている20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。
そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

印紙税について、分からないことや、更に詳しく知りたいことがあれば、税理士や最寄りの税務署(電話相談センター)に尋ねること。
なお、課税文書に当たるかどうかの尋ねるときは、その文書を持参すること。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(平成26年9月)

2014年10月21日

電子記録債権の受領に関する受取書

【照会要旨】
当社は、電子債権記録機関が提供している手形的利用を前提とした電子記録債権サービスの提供を受けており、売買取引等において売上代金を電子記録債権で受領した場合には、従来の手形取引と同様に、受取書を作成し、相手方に交付することとしている。
この場合、当該受取書にはただし書として、「上記金額を電子記録債権で受領しました。」と記載して、電子記録債権を受領したことを明らかにしているが、当社が取引の相手方に交付する「電子記録債権の受領に関する受取書」は、第17号の1文書(売上代金に係る有価証券の受取書)に該当することになるのか。

【回答要旨】
印紙税法に規定する「有価証券」とは、財産的価値のある権利を表彰する「証券」であって、その権利の移転、行使が「証券」をもってなされることを要するものとされており、例えば、手形、小切手、郵便為替等がこれに該当する(印紙税法基本通達60)。
電子記録債権は、有価証券(財産的価値のある権利を表彰する証券)には該当しないことから、この受取書は、第17号の1文書には該当しない。
ただし、売上代金を電子記録債権で受領する場合であっても、「上記金額を電子記録債権で受領しました。」など、受取書に電子記録債権を受領した旨の記載がないときは、第17号の1文書に該当することとなる。

2014年3月6日

印紙税第20号文書

<第20号文書とは>

  • 判取帳

<注>

  • 判取帳とは、第1号、第2号、第14号または第17号に掲げる文書により証されるべき事項につき2以上の相手方から付込証明を受ける目的をもって作成する帳簿をいう。

2013年12月24日

印紙税第19号文書

<第19号文書とは>

  • 第1号、第2号、第14号または第17号に掲げる文書により証されるべき事項を付け込んで証明する目的をもって作成する通帳(前号に掲げる通帳を除く。)

2013年12月20日

印紙税第18号文書

<第18号文書とは>

  • 預貯金通帳、信託行為に関する通帳、銀行もしくは無尽会社の作成する掛金通帳、生命保険会社の作成する保険料通帳または生命共済の掛金通帳

<注>

  • 生命共済の掛金通帳とは、農業協同組合その他の法人が生命共済に係る契約に関し作成する掛金通帳で、政令で定めるものをいう。

<主な非課税文書>

  1. 信用金庫その他政令で定める金融機関の作成する預貯金通帳
  2. 所得税法第9条第1項第2号(非課税所得)に規定する預貯金に係る預貯金通帳その他政令で定める普通預金通帳

2013年12月18日

印紙税第17号文書

<第17号文書とは>

  1. 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書
  2. 金銭または有価証券の受取書で1に掲げる受取書以外のもの

<注>

  • 売上代金に係る金銭または有価証券の受取書とは、資産を譲渡しもしくは使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)または役務を提供することによる対価(手付けを含み、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものの譲渡の対価、保険料その他政令で定めるものを除く。)として受け取る金銭または有価証券の受取書をいう。

<主な非課税文書>

  1. 記載された受取金額が3万円未満の受取書
  2. 営業(会社以外の法人で、法令の規定または定款の定めにより利益金または剰余金の配当または分配をすることができることとなっているものが、その出資者以外の者に対して行う事業を含み、当該出資者がその出資をした法人に対して行う営業を除く。)に関しない受取書
  3. 有価証券または第8号、第12号、第14号もしくは第16号に掲げる文書に追記した受取書

2013年12月16日

印紙税第16号文書

<第16号文書とは>

  • 配当金領収証または配当金振込通知書

<注>

  1. 配当金領収証とは、配当金領収書その他名称のいかんを問わず、配当金の支払を受ける権利を表彰する証書または配当金の受領の事実を証するための証書をいう。
  2. 配当金振込通知書とは、配当金振込票その他名称のいかんを問わず、配当金が銀行その他の金融機関にある株主の預貯金口座その他の勘定に振込済みである旨を株主に通知する文書をいう。

<主な非課税文書>

  • 記載された配当金額が3,000円未満の証書または文書

2013年12月13日

印紙税第15号文書

<第15号文書とは>

  • 債権譲渡または債務引受けに関する契約書

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年12月11日

印紙税第14号文書

<第14号文書とは>

  • 金銭または有価証券の寄託に関する契約書

2013年12月9日

印紙税第13号文書

<第13号文書とは>

  • 債務の保証に関する契約書(主たる債務の契約書に併記するものを除く。)

<主な非課税文書>

  • 身元保証ニ関スル法律(昭和8年法律第42号)に定める身元保証に関する契約書

2013年12月6日

印紙税第12号文書

<第12号文書とは>

  • 信託行為に関する契約書

<注>

  • 信託行為に関する契約書には、信託証書を含むものとする。

2013年12月4日

印紙税第11号文書

<第11号文書とは>

  • 信用状

2013年12月2日

印紙税第10号文書

<第10号文書とは>

  • 保険証券

<注>

  • 保険証券とは、保険証券その他名称のいかんを問わず、保険法(平成20年法律第56号)第6条第1項(損害保険契約の締結時の書面交付)、第40条第1項(生命保険契約の締結時の書面交付)または第69条第1項(傷害疾病定額保険契約の締結時の書面交付)その他の法令の規定により、保険契約に係る保険者が当該保険契約を締結したときに当該保険契約に係る保険契約者に対して交付する書面(当該保険契約者からの再交付の請求により交付するものを含み、保険業法第3条第5項第3号(免許)に掲げる保険に係る保険契約その他政令で定める保険契約に係るものを除く。)をいう。

2013年11月29日

印紙税第9号文書

<第9号文書とは>

  • 貨物引換証、倉庫証券または船荷証券

<注>

  1. 貨物引換証または船荷証券には、商法(昭和32年法律第48号)第571条第2項(貨物引換証)の記載事項または同法第769条(船荷証券)もしくは国際海上物品運送法(昭和32年法律第172号)第7条(船荷証券)の記載事項の一部を欠く証書で、これらの証券と類似の効用を有するものを含むものとする。
  2. 倉庫証券には、預証券、質入証券及び倉荷証券のほか、商法第599条(預証券等)の記載事項の一部を欠く証書で、これらの証券と類似の効用を有するものを含むものとし、農業倉庫証券及び連合農業倉庫証券を含まないものとする。

<主な非課税文書>

  • 船荷証券の謄本

2013年11月27日

印紙税第8号文書

<第8号文書とは>

  • 預貯金証書

<主な非課税文書>

  • 信用金庫その他政令で定める金融機関の作成する預貯金証書で、記載された預入額が1万円未満のもの

2013年11月25日

印紙税第7号文書

<第7号文書とは>

  • 継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が3か月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く。)

<注>

  • 継続的取引の基本となる契約書とは、特約店契約書、代理店契約書、銀行取引約定書その他の契約書で、特定の相手方との間に継続的に生ずる取引の基本となるもののうち、政令で定めるものをいう。

2013年11月22日

印紙税の手引(2013年10月)

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、20種類の文書が課税の対象となる。
課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、その内容にかかわらず、定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもある。
そこで、印紙税を正しく理解していただき、正しい納税の参考としていただくために、そのあらましを説明した「印紙税の手引」を作成している。

  • 現在、「金銭又は有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされているが、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税となる。
  • 不動産の譲渡に関する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」のうち、一定の要件に該当する契約書の印紙税を軽減する措置が平成30年3月31日まで延長されている(第1号の1文書及び第2号文書関係)。
    また、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、印紙税の軽減措置が拡充される。

★リンクはこちら⇒ 印紙税の手引(2013年10月)(既に削除済み)

2013年11月20日

印紙税第6号文書

<第6号文書とは>

  • 定款

<注>

  • 定款は、会社(相互会社を含む。)の設立のときに作成される定款の原本に限るものとする。

<主な非課税文書>

  • 株式会社または相互会社の定款のうち、公証人法第62条ノ3第3項(定款の認証手続)の規定により公証人の保存するもの以外のもの

2013年11月18日

印紙税第5号文書

<第5号文書とは>

  • 合併契約書または吸収分割契約書もしくは新設分割計画書

<注>

  1. 合併契約書とは、会社法(平成17年法律第86号)第748条(合併契約の締結)に規定する合併契約(保険業法第159条第1項(相互会社と株式会社の合併)に規定する合併契約を含む。)を証する文書(当該合併契約の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。
  2. 吸収分割契約書とは、会社法第757条(吸収分割契約の締結)に規定する吸収分割契約を証する文書(当該吸収分割契約の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。
  3. 新設分割計画書とは、会社法第762条第1項(新設分割計画の作成)に規定する新設分割計画を証する文書(当該新設分割計画の変更または補充の事実を証するものを含む。)をいう。

2013年11月11日

印紙税第4号文書

<第4号文書とは>

  • 株券、出資証券もしくは社債券または投資信託、貸付信託、特定目的信託もしくは受益証券発行信託の受益証券

<注>

  1. 出資証券とは、相互会社(保険業法(平成7年法律第105号)第2条第5項(定義)に規定する相互会社をいう。以下同じ。)の作成する基金証券及び法人の社員または出資者たる地位を証する文書(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)に規定する投資証券を含む。)をいう。
  2. 社債券には、特別の法律により法人の発行する債券及び相互会社の社債券を含むものとする。

<主な非課税文書>

  1. 日本銀行その他特別の法律により設立された法人で政令で定めるものの作成する出資証券(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成5年法律第4号)に規定する優先出資証券を除く。)
  2. 受益権を他の投資信託の受託者に取得させることを目的とする投資信託の受益証券で政令で定めるもの

2013年11月5日

印紙税第3号文書

<第3号文書とは>

  • 約束手形または為替手形

<主な非課税文書>

  1. 手形金額が10万円未満の手形
  2. 手形金額の記載のない手形
  3. 手形の複本または謄本

2013年10月31日

印紙税第2号文書

<第2号文書とは>

  • 請負に関する契約書

<注>

  • 請負には、職業野球の選手、映画の俳優その他これらに類する者で政令で定めるものの役務の提供を約することを内容とする契約を含むものとする。

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年10月29日

印紙税第1号文書

<第1号文書とは>

  1. 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書
  2. 地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書
  3. 消費貸借に関する契約書
  4. 運送に関する契約書(用船契約書を含む。)

<注>

  1. 不動産には、法律の規定により不動産とみなされるもののほか、鉄道財団、軌道財団及び自動車交通事業財団を含むものとする。
  2. 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいう。
  3. 運送に関する契約書には、乗車券、乗船券、航空券及び運送状を含まないものとする。
  4. 用船契約書には、航空機の用船契約書を含むものとし、裸用船契約書を含まないものとする。

<主な非課税文書>

  • 契約金額の記載のある契約書のうち、当該契約金額が1万円未満のもの

2013年10月25日

『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)及び『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)

国税庁が、『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)及び『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)を公表した。

★『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)はこちら → 『契約書や領収書と印紙税』(平成25年4月)(既に削除済み)

★『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)はこちら → 『印紙税額一覧表』(平成25年4月1日以降適用分)

2013年4月16日

クレジットカード払いの場合の領収書

印紙税法基本通達別表第1第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)は、金銭または有価証券の受領事実を証明する目的で作成されるものであるため、クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭または有価証券の受領事実がないから、表題が「領収書」となっていても、第17号の1文書には該当しない。
ただし、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を「領収書」に記載しなければと、第17号の1文書に該当することになるので留意すること。

2013年1月29日

電子メールやFAXによる領収書等の印紙税

請求書や領収書を電子メールやFAXにより相手方に提出する場合には、実際に文書が交付されていないため、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しない。

また、電子メールやFAXを受信した人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められることから、課税文書としては取り扱われない。

ただし、電子メールやFAXで文書を送信した後に、改めて、文書を持参するなどの方法により正本となる文書を相手方に交付する場合には、その正本となる文書は、それぞれ印紙税の課税文書となる。

相手方が保管するFAX送信用等の文書の原本は、それ自体が相手先に交付されるものではないので、課税文書には該当しない。
また、その保管している原本を、後日、訴訟等のための証拠書類として提出するために、当事者以外の第三者に交付することがあったとしても、その時点でその保管している原本が、改めて課税文書となることはない。

なお、経団連の平成24年度税制改正に関する提言に、『近年、インターネット電子商取引が一般化し、経済取引のペーパーレス化が著しく進展する中、紙を媒体とした文書のみに課税する印紙税は合理性が失われていることから、公平性の観点から、印紙税を廃止すべきである。』とあるが、個人的には同感である。

2011年10月3日

会計事務所の領収書の印紙

会計事務所から領収書をもらった時に、領収書が貼っていなくておかしいと思ったことはないだろうか?

税理士などの場合、違和感を感じるが、領収書(受取書)は営業に関しない受取書として取り扱われるため、非課税となるため、印紙を貼る必要はない。

なお、税理士法人の場合、税理士法人が出資者以外の人に交付する領収書(受取書)は、営業に関する受取書として印紙税が課税されるため、印紙を貼る必要がある。

2011年8月26日

カテゴリー
記事

BLOG(バリュエーション)

ファミマTOB価格は高裁も安すぎと判断し非公開化価格設定に影響も!

M&A Onlineによると、伊藤忠商事がファミリーマート(東京都港区)を完全子会社化する際に実施した株式公開買い付け(TOB)の価格を巡る裁判で、東京高裁は先日までに、公正な価格は実際の買い付け価格よりも300円高いとする東京地裁の判断を支持し、ファミリーマート側の抗告を棄却する決定をしました。

TOBに関して公正な価格を裁判所が決定するのは近年ではまれで、親子上場の解消のための非公開化や経営陣が参加する買収(MBO)による株式非公開化に影響を与える可能性があります。

伊藤忠商事は2020年、50.1%を保有していたファミリーマートに対し1株2,300円でTOBを実施しましたが、TOBに応募せずに強制的に株式を買い取られた海外投資家などが、買い取り価格が安すぎるとして東京地裁に公正な価格の決定を求めて申し立てを行いました。

東京地裁は2023年、ファミリーマートが設置した特別委員会が十分に機能していなかったとした上で、2,600円を公正な価格として示しました。

ファミリーマートはこの決定を不服として、東京高裁に抗告していました。

ロイターが閲覧した決定文によると、東京高裁は東京地裁の決定内容を概ね支持しました。

価格水準が不十分といった特別委員会からの意見が尊重されず、TOBが一般に公正と認められる手続きにより行われたと認めることはできないとしました。

TOB価格は、ファミリーマートの特別委員会が選任した財務アドバイザーが算定した企業価値の下限を下回っていたのです。

ファミリーマートは「当社が主張してきた手続きの公正性が認められなかったことは誠に遺憾であり、不服申し立てを行う方針。今後の対応に向けて準備を進めていく」と回答しました。

伊藤忠商事は「ファミリーマートで係争中の案件であり、コメントは差し控える」とした。

経営陣が株式を取得して非上場化したり、親会社が上場子会社を完全子会社化したりする際に実施するTOBでは、なるべく安く株式を取得したい経営陣や親会社と、高値で株式を売却したい少数株主との間で構造的な利益相反が存在します。

大正製薬ホールディングスが実施したMBOについて複数の投資家が価格決定を申し立てるなど、公正な買い取り価格について裁判所に判断を仰ぐ事例が増えています。

しかしながら、2016年以降、裁判所はTOBを巡る公正な価格の判断は行ってきませんでした。

このきっかけとなったのが、ジュピターテレコムTOBに関する2016年の最高裁の決定です。

特別委員会を設置するなど、意思決定が恣意的になることを排除する措置が講じられ、手続きが公正であればTOB価格は尊重されるとしたため、価格に不満を持つ株主側はまず手続きが公正でなかったことを立証しなければならず、価格の審査の前に門前払いとなっていました。

一方、手続きの公正性の審査が特別委員会の設置などといった形式的なものとどまれば、価格の公正さが審理される場が事実上なくなることを懸念する声も出ています。

ファミリーマートのTOBで価格にまで踏み込んだ地裁の判断は、今後の司法判断に影響を与えるとして注目を集めていました。

僕自身も個人的に何度か持っていた株式がMBOによりスクイーズアウトされたことがありますが、少数株主は何もできませんからね。

一方、仕事で上場企業のMBOに携わったことがありますが、株主から質問があった場合にはどう答えるか考えながら、言い換えれば、説明できるようなロジックかどうかを念頭に置いて業務を進めていましたが、その辺りの意識が欠けていたのでしょうか?

この事件の結果は今後のTOBに影響を与えると思いますので、どんな結論になるか楽しみにウォッチしていきたいですね。

ファミマTOB価格は高裁も安すぎと判断し非公開化価格設定に影響を与える可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


ファミマのTOB価格2,300円は不当に安かったのか?

東京地裁が不当に安いと判断した伊藤忠によるファミマTOB価格は本当に安かったのでしょうか?
M&A Onlineによると、ブルームバーグの報道では、東京地裁はファミリーマートの買収対価をめぐり反対株主から提起されていた株式買取価格決定訴訟において、伊藤忠商事による買取価格の2,300円は不当に安く、2,600円とする判決を下したとのことです。

その理由は、企業法務ナビの記事(https://www.corporate-legal.jp/news/5220)によると、ファミリーマートが設置した特別委員会が意見表明書の中で2,300円を「安い」と評しており、これを「妥当でない」と表現していればTOB自体に賛同できなかった可能性があるため、多数株主と少数株主の利害を適切に調整された結果とは言い難いからとのことです。

なお、事件の経緯の概略は、以下のとおりです。
<判決に至った経緯>
伊藤忠商事は、上場子会社であったファミリーマートの完全子会社化を行うことを決定し、2020年7月9日に1株当たり2,300円でTOBを開始しました。
TOBの実施について、伊藤忠商事の2020年7月8日付のプレスリリースでは目的・理由が詳しく記載されていますが、要約すると、「子会社上場を維持していると少数株主との利害対立を避けられず、その調整のため実施できない施策が発生するなどの弊害が大きいので、TOBによる完全子会社化を実施して親子上場を解消し、より抜本的な成長戦略を実施したい」ということになります。

ファミリーマートは同プレスリリースで、伊藤忠グループとの一体性を高めることが競争に勝つために必要であることを理由に、「TOB自体には賛同しつつ、提示された価格が一般株主への投資回収機会の提供という観点では一定の合理性があるため、妥当性を欠くとまでは言えないが、一般株主に対し積極的に応募を推奨できる水準の価格に達しているとまでは言えないため、応募するかどうかは株主の判断に委ねる」とする意見を表明しました。

ファミリーマートはメリルリンチ日本証券に、また、ファミリーマートが設置した特別委員会は、PwCにそれぞれ株式価値算定を依頼し、提示価格の妥当性を検討しています。
結論として、提示価格は両評価書の提示するレンジの範囲内であるため、妥当といえる水準には達しているが、PwCによる評価で採用したDCF法の下限値である2,472円には届いていないこと、また、2010年以降に発表され、非公開化を目的とし、買付規模が500億円以上である他の公開買付けの事例のプレミアム水準と比較して、見劣りするプレミアム水準にとどまることから、十分に高い水準であるとまでは言えない旨記載しています。

その後、TOBに十分な応募があったため、伊藤忠商事は同年11月10日に買収を完了させてファミリーマートを上場廃止とし、その後応募しなかった株主に対して同額の2,300円で株式併合によるスクイーズアウトを実施しました。このスクイーズアウトに反対する株主が、東京地裁に買取価格決定を申し立てました。

そして、東京地裁は冒頭に記載したとおり、特別委員会がプレミアムが不十分としたことを問題視し、「株価が安い」と判断した模様です。

では、TOB価格の2,300円は本当に安かったのでしょうか?
ここから先は、巽 震二氏が、アナリスト目線で検証しています。

ファミリーマートのTOBに関する意見表明のプレスリリースで開示されている提示価格のプレミアムと類似事例の平均値の比較及び類似事例の平均値に基づく株価評価を見ると、類似事例プレミアムは36%~39%で測定期間を通じて大きくはぶれていないのに対し、提示プレミアムは11%~30%と大きくぶれています。
測定期間が長いほどプレミアムが低くなっていますので、これはファミリーマートの株価が6か月間下落トレンドで推移してきたこと、一方で類似事例では6か月間に大きなトレンドがなく概ね持ち合い圏での推移をたどっていたことが読み取れます。

提示価格の2,300円が安かったのかどうかは、この下落トレンドが市場のどのような判断に起因するのかによるといえます。

スタンドアロンの今後の成長が市場の要求水準に届かず、価格訂正が続いている状況であれば、公表前日の株価に30%のプレミアムを付けて損切のチャンスが与えられる一般株主には、有利な価格と考えられます。

そうではなく、コロナ禍という一過性の業績悪化等による下落トレンドに過ぎず、今後スタンドアロンの経営努力で市場の要求水準を満たす利益成長が期待できるのであれば、足元の底値を基準にした公表前日株価に対するプレミアムではなく、6か月平均に対するプレミアムが十分なものでなければ、TOB価格が不当に抑えられたという結論になるでしょう。

そこで、2019年1月からTOB公表までのファミリーマートの株価推移をまずは見てみると、2019年1月~8月は、時折戻りを入れながらも一貫した下落トレンドを描いています。
同期間中、TOPIXは弱いながらも上昇トレンドでしたので、銘柄固有の要因でファンダメンタルな売られ方をしたのであろうと推測されます(上場廃止に伴い、当時の決算説明資料等が公開されなくなってしまいましたので、具体的な要因の分析は現時点では残念ながら困難です)。

その後、一旦株価は底打ちして反転上昇トレンドを10月まで維持しますが、結局そこで頭打ちとなり、再び下落トレンドに入ります。

さらに、2020年2月下旬から発生した新型コロナ第1波の拡大懸念による世界同時株価急落が発生して下落速度が急加速し、下落幅のおよそ半値戻し水準まで来て持ち合いの動きとなりました。
そして、一旦は上放れしたものの反落して持ち合い起点の安値を割れるかどうかというところでTOB公表となりました。

この株価推移からすると、ファミリーマートの株にはファンダメンタルな弱さがあり、市場が要求する利益成長に届かないという判断はおそらく下されていたのであろうと推察されます。
他方で、平均株価の算出期間はコロナショックの影響が非常に強く反映された時期であり、業績が落ち込んでいたとはいえ、果たしてそこまでコロナショックの影響を織り込むことが妥当であったのかという疑問が生じます。

特に3か月平均までは、コロナショック後の株価だけの平均ですが、6か月平均であれば、コロナショック前の株価を含んだ平均となりますので、コロナショックの影響を一定程度調整するのであれば、6か月平均を重視するという考え方になるかと思います。

2020年7月は、世界各地でのロックダウンが解除されはじめ、日本でも緊急事態宣言解除後、Go Toトラベル政策の開始が予定され、また5月にはモデルナワクチンの治験が成功したことが報じられるなど、ワクチン開発の進捗によるコロナ収束の期待も高まり始めた時期ですので、一定程度コロナからの立ち直りを見込んでも良い時期にあったと考えられます。

実際に、意見表明のプレスリリースで開示されている伊藤忠商事にも提出していた株価算定用の事業計画では、営業収益・事業利益は2022/2期にコロナ前の2020/2期を超過し、EBITDAも2025/2期にはほぼ2020/3期と同水準まで回復することを見込んでいます。

フリーキャッシュフローは2020/3期水準を大きく下回る水準が想定されていますが、日々現金売上が生じ、食品等販売期間の短い商品の比率が高いコンビニエンスストアという業態から見て、キャッシュ・コンバージョン・サイクルはそれほど長くないはずですので、利益が回復しているのにフリーCFが大きく減少するというのは設備投資を増加させているからと考えられます。

であるとすれば、長期的には減価償却費の増加を通じでフリーCFが反転増加トレンドになるはずですので、いずれはコロナ前の水準に回復できるとみてよいと思います。

以上から考えると、TOBを公表した7月の時点では、コロナ前水準への回復をある程度見込んだ事業計画が策定されていることから、価格面でもそれを織り込むべきと考えられ、ファミリーマート特別委員会の2,300円は「安い」という意見は合理的であると思います。

他方で、2019年からの大きな下落トレンドを見る限り、ファンダメンタルな株価下落の理由も否定はできなそうですので、あまり高くは買えないという伊藤忠商事サイドの主張も一定の合理性はあろうかと思います。

そうすると、2,600円という判決の水準は、意見表明のプレスリリースにおいてコロナショック前の交渉の初期段階で伊藤忠商事が最初に提示した価格として言及された価格でもあり、また、過去3か月分の平均株価に類似事例プレミアムを乗じた水準とほぼ同じです。

当該3か月間は、コロナショック後の底打ちから業績回復期待による小反発局面を含めた期間でもありますので、コロナからの回復期待の織り込み度合いという点でも落としどころとしてちょうどよい水準のように感じられます。

過去にも「牛角」などの飲食チェーンを運営するレックス・ホールディングスなどで問題になっているとは思いますが、なかなか難しい問題ですね。
こういった訴えられるリスクもありますので、MBOなどをやる際には、かなり慎重にやらないといけないですね。

ファミマのTOB価格2,300円は不当に安かったのか?について、どう思われましたか?


「サザビーリーグ」創業者らの80億円課税処分を「株価の根拠明確でない」との裁決で全額取り消し!

読売新聞によると、生活雑貨ブランド「アフタヌーンティー」などを展開する「サザビーリーグ」(東京都)の創業者らが東京国税局から受けた計約80億円の課税処分について、「国税不服審判所」が全額を取り消す裁決をしたことがわかったようです。
裁決は2022年1月20日付です。
巨額の課税処分の取り消しは異例です。

課税処分の取り消しを受けたのは、創業者の鈴木陸三氏(78)と、森正督会長(73)の資産管理会社「三木家」(東京都)です。
関係者によると、サザビーリーグはかつてジャスダックに上場していましたが、鈴木氏の親族が代表を務める投資会社が株式公開買い付け(TOB)を行い、2011年3月までに非上場化しました。

株を大量保有していた鈴木氏と森氏から、親族に事業を承継した形です
この際、投資会社はTOBの資金調達の一環として新株を発行し、鈴木氏と三木家が1株5万円で計6万株(30億円)を取得しました。
投資会社はTOBに成功してサザビーリーグを吸収合併した後、鈴木氏と三木家から1株8万円で株の一部を買い戻しました。

鈴木氏と三木家は計9億円の売却益について税務申告していました。
これに対し、東京国税局は一連の取引に事業承継時の税負担を軽減する目的がなかったかどうかなどについて調査を行いました。
東京国税局は、サザビーリーグの吸収合併で投資会社の資産は増えており、株の買い戻し価格は1株8万円ではなく「84万円」が相当だと判断しました。
2019年9月、当初申告との差額に当たる計約210億円の申告漏れがあったとして、過少申告加算税を含む計約80億円を追徴しました。
鈴木氏と三木家は追徴を不服とし、2019年12月に国税不服審判所に審査請求しました。
鈴木氏らは審判で「株価は投資会社の定款で定められており、適正だ。株の売却で巨額の利益を得たわけでもない」などと主張しました。
裁決はこれを認め、「国税当局側の主張する株価の根拠は明確でなく、課税処分は違法だ」と結論付けました。

納付済みだった追徴税は、利子に当たる「還付加算金」を上乗せして鈴木氏らに返還されたようです。
鈴木氏らは取材に「審判所の適正な判断に心から安堵している」と文書で回答しています。
一方、東京国税局は「個別事案については回答を差し控える」としています。
なお、サザビーリーグは1972年創業で、人気アパレルブランド「カナダグース」なども販売しており、2021年3月期の連結売上高は851億円です。
また、国税不服審判所は、国税庁に設置され、納税者からの審査請求を受けて国税職員や裁判官が審査を行うところです。
2020年度に審査された2,328件のうち、全面的な課税取り消しは65件(2.8%)で、裁決は行政の最終処分で、国税当局は再調査や提訴ができません。

個人的には、『株価が定款に定められている』というのは、根拠にならないと思います。
あくまで、『時価』ですから。
これが認められると、定款に定めることで、安易に租税回避を図ろうとする人がでてくるのではないかなぁと不安になります。
国税庁が、持って行き方を誤った案件なのではないでしょうか?

「サザビーリーグ」創業者らの80億円課税処分を「株価の根拠明確でない」との裁決で全額取り消されたことについて、どう思われましたか?


サイブリッジ合同会社がカーディナル株式会社(証券コード:7855)に対して山田マーケティング株式会社による公開買付けに関して質問書を送付!

サイブリッジ合同会社(代表:水口翼)は、カーディナル株式会社(代表取締役社長:山田弘直、証券コード:7855)の株主です。
サイブリッジ合同会社は、2021年8月5日に開示された山田マーケティング株式会社(以下「山田マーケティング社」)によるカーディナル株式会社へのいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われる株式公開買付(以下「本公開買付け」)について、本公開買付けに係る買付価格が一般株主に対して十分に配慮された価格ではない可能性があるため、カーディナル株式会社に対して本文記載の内容の質問書を送付しました。

質問書

2021年8月5日付「山田マーケティング株式会社によるカーディナル株式会社株式(証券コード:7855)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」により、山田マーケティング株式会社(以下「公開買付者」といいます。)によるカーディナル株式会社(以下「貴社」といいます。)の普通株式(以下「貴社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)が公表されました。
そして、貴社は、2021年8月5日付け「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を公表し、本件公開買付けに賛同する意見を表明しております。
一方で、本公開買付けに係る貴社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)は、普通株式1株につき851円となっており、1株当たりの貴社の純資産額(第54期における1株当たりの純資産額は1,133.53円)を大幅に下回る金額となっております。
そのため、貴社の株主であるサイブリッジ合同会社(以下「サイブリッジ」といいます。)は、本公開買付価格は貴社の一般株主に対して十分に配慮された価格ではない可能性があると考えております。
貴社に対して本事前質問状を提出し、下記の質問に対して、2021年9月1日午後5時までに、貴社のHP上にて回答を公開することを求めます。
万が一、本質問書記載のご質問に対して、了解可能なご回答をいただけなかった場合、サイブリッジは本公開買付価格の見直しの要請をすることを具体的に検討しております。

1.フェアネス・オピニオンの取得について
2021年8月6日付「意見表明報告書」(以下「本意見表明報告書」といいます。)によれば、貴社は、貴社、公開買付者及び不応募合意株主から独立した株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
経済産業省の「公正なM&Aのあり方に関する指針」(以下「MA指針」といいます。)においては、「第三者評価機関からフェアネス・オピニオンの取得が行われた場合には、公正性担保措置として積極的に評価されるべきものと考えられる。」とされております。
MA指針において、MBOを実施する際の公正性担保措置の一つとして指摘をされている「フェアネス・オピニオン」をプルータス・コンサルティングから取得しないという判断をされた理由について、具体的にご説明を願います。

2.株価算定方法について
(1)加重平均資本コストの算出について
本意見表明報告書によれば、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、プルータス・コンサルティングに対し、貴社株式価値の算定を依頼し、株式価値算定書を取得しております。
プルータス・コンサルティングは、貴社株式価値の算定にあたっては市場株価法及びDCF法を算定手法として用いて、算定を行なっております。そして、本意見表明報告書によれば、DCF法での貴社株式価値の算定において、割引率は加重平均資本コスト(以下「WACC」といいます。)とし、WACCは5.288%〜9.214%を採用しております。
WACCの評価プロセスにおいて、必要な算定要素であるベータ値の抽出が必要となりますが、このベータ値は評価対象会社の事業と類似性のある他の上場企業のLeveredベータを収集したうえで業界平均のUnleveredベータを弾き、評価対象会社としてのベータ値を算出するのが一般的であると理解をしております。
この点、本意見表明報告書によれば、プルータス・コンサルティングは、貴社株式価値の算定手法として「適切な類似上場会社を選定することが困難である」ことを理由に、類似会社比較法を不採用としています。
そこで、適切な類似上場会社を選定することが困難な状況の中で、どのようにしてWACCの評価に必要なReleveredベータを抽出したのかをご教示ください。

(2)永久成長率について
第三者算定機関であるプルータス・コンサルティングは、DCF法での貴社株式価値の算定において、永久成長率法を採用した上で、0%の永久成長率を採用しております。
永久成⾧率は、インフレ率、GDP成⾧率、あるいは、過去の企業成⾧率のいずれかを引用することが一般的であると理解をしております。
この点、国内の経済状況をふまえつつ合理的かつ客観的な値を見つけるのは難しいとも思われますが、国際通貨基金は、日本国の2021年から2025年にかけてのインフレ率について0.137%から0.963%と公表しています(「IMF World Economic Outlook Databases(2021年4月)」)。
このような公表情報がある中、貴社株式価値の算定において、永久成⾧率を0%に設定をした理由をご教示ください。

以上

MBOは、対象会社の役員等が出資した会社を通じて対象会社の株式を購入し、非上場化をはかるということですので、役員等に比べ情報力で圧倒的に劣る対象会社の一般株主は、勝手に株主から排除されてしまう結果となります。
それゆえ、一般株主が納得できるような内容でないといけないと思います。
以前、上場会社のMBOの際に、対象会社(上場企業)側の株価算定の仕事に携わったことがありますが、訴訟のリスクもあるため、使用する率などについて、質問があったときにどう回答するかということも考え、文章にしつつ、株価算定の作業を進めたことがあります。
おそらく日本でNo.1のプルータス・コンサルティングなので、明確な理由等を持っていると思いますので、時々バリュエーション業務をやっている僕としてはどのような回答があるのか非常に興味深いです。
また、こういう質問が一般的に行われるようになり、企業側もきちんと株主が理解できるような報告書などの文書を開示するようになるといいなぁと思います。

サイブリッジ合同会社がカーディナル株式会社(証券コード:7855)に対して山田マーケティング株式会社による公開買付けに関して質問書を送付したことについて、どう思われましたか?

カテゴリー
記事

M&A・組織再編

<参考>
時価純資産法(または簿価純資産法)に数年分の利益を加算する場合
時価純資産法(または簿価純資産法)により算定した純資産に、数年分の任意の利益を加算した金額を譲渡額とする場合もある。

なお、加算対象とする利益の種類(税引後利益または経常利益等)及び年数(通常1年~3年)は事例ごとに異なり、交渉によって決まるケースが多い。

パターン 企業グループ内 共同事業 スピンオフ
完全支配関係
(100%)
支配関係(50%)
分割対価要件
主要資産等引継要件
事業関連要件
事業規模または
経営参画要件

(経営参画要件
の充足が必要)
従業者引継要件
移転事業継続要件
株式継続保有要件
(完全支配関係
の継続)

(支配関係
の継続)
非支配関係継続要件

『分割型分割』とは、分割対価を分割元会社ではなくその株主に交付する分割のことである。

なお、『分割型分割』は『人的分割』と呼ぶこともある。

会社法上は、『分社型分割』のみ規定されているが、『分社型分割+剰余金の配当』という形で、実質的に『分割型分割』の効果を得られる。

2021年2月25日

<事前照会の趣旨及び事前照会に係る取引等の事実関係>

1.事実関係

 医療法人である当社は、当社と出資関係のない医療法人Z社との間で、当社を合併法人、Z社を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」という。)を行うことを予定している。
本件合併に際し、被合併法人の従業者の雇用関係については、以下のとおりとすることとしている。

(1)本件合併の日の前日における従業者の総数は81名ですが、当該従業者全員は、同日付けで、被合併法人との間の雇用契約を終了(退職)するとともに、被合併法人から退職金の支払いを受ける。

(2)被合併法人の従業者であった81名のうち79名は、本件合併の日において、合併法人との間に新たな雇用契約を締結し、同日から合併法人の従業者として合併法人の業務に従事する。

2.照会要旨

本件合併は、本件合併の直前において合併法人と被合併法人との間に出資関係がないことから、本件合併が法人税法第2条第12号の8に規定する適格合併に該当するためには、本件合併が同号ハの「被合併法人と合併法人とが共同で事業を行うための合併」に該当する必要があり、この要件の一つである、いわゆる従業者引継要件(法令4の3④三)を満たす必要がある。
本件合併においては、合併の日の前日に被合併法人の全従業者は、被合併法人との間で締結された雇用契約を終了(退職)し、当該雇用契約は合併法人に承継されないことから、合併法人は被合併法人の従業者を引き継いでおらず、従業者引継要件を満たしていないとも考えられる。
しかしながら、本件合併後においては、本件合併の前日まで被合併法人の業務に従事していた被合併法人の従業者の総数の80%以上が合併法人の業務に従事することが見込まれていることから、本件合併は従業者引継要件を満たすと考えてよいか?

<照会者の求める見解の内容及びその理由>

1.関係法令

(1)適格合併について

 法人税法上、次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資以外の資産が交付されないものは適格合併に該当する(法法2十二の八)。

イ.その合併に係る被合併法人と合併法人との間に完全支配関係がある場合の当該合併(法法2十二の八イ、法令4の3②)。

ロ.その合併に係る被合併法人と合併法人との間に支配関係がある場合の当該合併のうち、所定の要件を満たすもの(法法2十二の八ロ、法令4の3③)。

ハ.その合併に係る被合併法人と合併法人とが共同で事業を行うための合併として法人税法施行令第4条の3第4項に掲げる要件(以下「共同事業要件」という。)の全てに該当するもの(法法2十二の八ハ、法令4の3④)。

(2)いわゆる「従業者引継要件」について

 上記(1)ロの所定の要件及び共同事業要件の一つに、いわゆる「従業者引継要件」が規定されている。
具体的には、合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていることを、その要件としている(法法2十二の八ロ(1)、法令4の3④三)。
なお、ここにいう「従業者」とは、役員、使用人その他の者で、合併の直前において被合併法人の合併前に行う事業に現に従事する者をいうこととしている(法基通1-4-4)。

2.当てはめ

被合併法人であるZ社と合併法人である当社との間には出資関係がないことから、本件合併が適格合併に該当するためには、共同事業要件を満たす必要があり、この共同事業要件の1つである従業者引継要件を満たす必要がある。
吸収合併が行われた場合、その合併により消滅する法人(被合併法人)の権利義務の全部は合併後存続する法人(合併法人)に承継され(医療法58)、当該合併に際し特段の合意がない限り、被合併法人の従業者の地位も合併法人に承継される。
一方で、従業者引継要件においては、「合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務に従事することが見込まれていること」と規定していることから、当該被合併法人の従業者の地位、具体的には被合併法人の従業者の権利義務や当該被合併法人の従業者と被合併法人との間の雇用契約などが必ずしも合併法人に承継されることまでをその要件とはしていないものと考えられる。
また、従業者引継要件における「従業者」とは、役員、使用人その他の者で、合併の直前において被合併法人の合併前に行う事業に現に従事する者とされており、その従業者がその合併の直前の従業者に該当するか否かを判断するに当たって、雇用契約があるかどうかといった雇用形態は関係がないものと考えられる。
以上のことからすれば、被合併法人の従業者の雇用契約が合併法人に承継されるか否かということとは関係なく、被合併法人の合併の直前の従業者の総数のおおむね80%以上に相当する者が合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれているのであれば、従業者引継要件を満たすと考えられる。
本照会では、本件合併の前日に被合併法人であるZ社とその従業者との間の雇用契約は終了(退職)するものの、本件合併後において、被合併法人の合併の直前の従業者全81名のうち79名が引き続き合併法人である当社の業務に従事することが見込まれていることから、従業者引継要件を満たすものと考える。

<回答>

回答年月日
平成30年11月15日

回答者
名古屋国税局審理課長

回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は名古屋国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら  合併に際し、被合併法人の従業者との雇用契約を終了させ、当該合併後に合併法人において当該従業者を新たに雇用する場合の従業者引継要件の判定

2019年3月11日


『「スピンオフ」の活用に関する手引』を改訂しました

経済産業省は、我が国企業が収益力(「稼ぐ力」)や中長期的な企業価値の向上に向け、大胆な事業再編を機動的に行うことを可能とするための環境整備に取り組んでいる。
こうした取組のひとつとして、スピンオフの円滑な実施を支援するため、2018年3月に『「スピンオフ」の活用に関する手引』を公表しているが、今般、平成30年度税制改正の内容を踏まえて当該手引きを改訂した。

<今回の改訂のポイント>
●平成30年度税制改正の内容を反映
平成30年度に改正された、(1)スピンオフ準備のための完全支配関係内の組織再編の適格要件の緩和、(2)スピンオフ元の会社による証券会社への分割割合等の通知義務について、説明を追加している。

スピンオフとは、企業が「選択と集中」を図るため、自社内の特定の事業部門や完全子会社を切り出して資本関係の無い別会社とし、経営を独立させる取組である。
経営の独立による迅速、柔軟な意思決定や、資本の独立による独自の資金調達や取引先の拡大が可能となり、スピンオフする側とされる側の双方にとって企業価値向上が期待される。

 ★リンクはこちら  「スピンオフ」の活用に関する手引(平成30年8月)

2018年9月4日


「我が国企業による海外M&A研究会」報告書及び「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」

<本件の概要>
経済産業省は、2017年8月より開催した「我が国企業による海外M&A研究会」等における議論の成果として、(1)日本企業が今後、海外M&Aを有効に活用していく上で留意すべきポイントと参考事例をまとめた報告書及び(2)特に経営者目線で重要なポイントを事例とともにまとめた「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」をとりまとめた。

1.背景・目的とこれまでの経緯
近年、海外M&Aは、激しいグローバル競争の中で、日本企業がスピード感を持った成長を実現していくうえで重要かつ有効なツールとなっている。
また、これまで国内を主たる事業基盤としてきた企業も含め、海外M&Aの裾野が一層拡大している。
他方で、海外M&Aに関しては、国内のM&Aや現地法人設立による海外進出と比較しても、制度・言語・文化面の違いをはじめとして難度が高い側面があり、期待された成果を十分挙げられていない事例も少なくない。
そこで、経済産業省は、2017年8月より、海外M&Aに関し豊富な経験と知見を有する専門家を集めた「我が国企業による海外M&A研究会」を開催し、日本企業が抱える課題やその克服のための取組について、海外M&Aに積極的に取り組む企業へのヒアリングや専門家を交えた議論、公開シンポジウムを通じて検討してきた。

2.「報告書」と「9つの行動」のポイント
今般、その成果物として、日本企業が今後、海外M&Aを有効に活用していく上で留意すべきポイントと参考事例をまとめた(1)「我が国企業による海外M&A研究会報告書」をとりまとめた。
さらに、研究会等において、海外M&Aに取り組む上では経営者の果たすべき役割やコミットメントが重要であるとの指摘が多くなされたことを踏まえ、今後の海外M&Aの取組に役立てていただけるよう、特に経営者目線からみて特に重要なポイントについて事例とともに、(2)「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」として、簡潔で読みやすい形でとりまとめた。
海外M&Aの裾野が一層拡大している中、今後、「報告書」や「9つの行動」の浸透を目指す。
「報告書」と「9つの行動」の主なポイントは以下のとおりである。

(1)報告書のポイント
海外M&Aを企業の成長に有効活用するためには、経営トップがプロセス全体に主体的にコミットして、リーダーシップを発揮した上で、個別案件の実行力のみならず、戦略ストーリーの構想力、基盤としてのグローバル経営力を併せ持つことが重要である。
1.「海外M&Aの実行力」
海外M&Aを効果的に活用していく上では、デュー・デリジェンスやバリュエーション、契約交渉といったM&Aのディール実行に関わる専門的な知見やスキル、買収契約成立後の統合プロセス(PMI)といった「海外M&Aの実行力」が重要であり、海外M&Aを実行する企業自身が十分なM&Aリテラシーを身につけ、外部アドバイザーに過度に依存することなく、主体的にM&Aプロセスを実行できる能力を向上させていくことがまずは重要である。
2.「M&A戦略ストーリーの構想力」と「グローバル経営力の強化」
一方で、海外M&Aを自社の成長に有効活用している企業は、M&Aの実行力にとどまらず、海外M&Aの実行の前と後の「平時」の段階から、将来の海外M&Aを見据え、海外M&Aを日常事として地道な取組みを行っている。
「前」の段階では、中長期の時間軸で自社の「目指すべき姿」をまずはっきりさせたうえで、そこから逆算して、成長戦略・ストーリーに基づいて主体的・戦略的に海外M&Aの検討・準備を行うことに十分な時間や人材等のリソースを投入している。(「M&A戦略ストーリーの構想力」)
「後」の段階では、海外企業の優れた部分を積極的に取り入れたうえで、自社グループをグローバル規模での成長が可能な経営体制へ変革させていくことが重要である。(「グローバル経営力の強化」)

(2)「9つの行動」のポイント
海外M&Aにおいては、経営トップが果たすべき役割が極めて大きい。海外M&Aを自社の成長に活用している企業の多くは、経営トップ自らが海外M&Aの本質を理解し、先手を打った主体的リーダーシップを発揮するとともに、プロセス全体を通して腰を据えてコミットしていく覚悟を持って取り組んでいる。そこで、報告書の内容から、特に経営トップ等が留意すべき点を抽出し事例とともに以下の9つの行動にとりまとめた。

  • 行動1:「目指すべき姿」と実現ストーリーの明確化
  • 行動2:「成長戦略・ストーリー」の共有・浸透
  • 行動3:入念な準備に「時間をかける」
  • 行動4:買収ありきでない成長のための判断軸
  • 行動5:統合に向け買収成立から直ちに行動に着手
  • 行動6:買収先の「見える化」の徹底(「任せて任さず」)
  • 行動7:自社の強み・哲学を伝える努力
  • 行動8:海外M&Aによる自己変革とグローバル経営力
  • 行動9:過去の経験の蓄積により「海外M&A巧者」へ

<担当>
貿易経済協力局 投資促進課長 小泉
担当者:慶野、仁平
電話:03-3501-1511(内線 3181~6)
03-3501-1662(直通)
03-3501-2082(FAX)
経済産業政策局 産業組織課長 坂本
担当者:安藤、奈良
電話:03-3501-1511(内線 2621~9)
03-3501-6521(直通)
03-3501-6046(FAX)

<公表日>
平成30年3月27日(火)

 ★「我が国企業による海外M&A研究会」報告書はこちら ⇒ 「我が国企業による海外M&A研究会」報告書(既に削除済み)
 ★「我が国企業による海外M&A研究会」報告書概要はこちら ⇒ 「我が国企業による海外M&A研究会」報告書概要
 ★「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」はこちら ⇒ 「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」

2018年6月15日


いわゆる「三角株式交換」に係る具体的な適格判定

<照会要旨>
A社の100%子会社であるB社とA社が発行済株式の22%を保有するC社との間で、B社を株式交換完全親法人、C社を株式交換完全子法人とする株式交換を予定している(A社、B社及びC社はいずれも株式会社である。)。
この株式交換は、C社の株主に交付する株式交換の対価を株式交換完全親法人であるB社の株式ではなく、B社の100%親会社であるA社(株式交換完全支配親法人)の株式とするいわゆる「三角株式交換」により行うことを予定している。
この株式交換が「共同で事業を営むための株式交換」(法2十二の十六ハ)として適格株式交換に該当するための要件(法人税法施行令第4条の3第16項各号に掲げられている要件をいい、以下「共同事業要件」という。)のうち、株式交換完全子法人の株主のうち一定の株主が保有する株式数の発行済株式等の数に占める割合が80%以上であることを求める「株式継続保有要件」については、具体的にはどのように判定することになるのか。
なお、株式交換前におけるC社の株主の数は50人未満であり、A社以外のC社の株主は株式交換により交付を受けるA社株式の全部を継続して保有することが見込まれている。
また、株式交換後の関係会社において更なる組織再編をすることは予定していない。

<回答要旨>
お尋ねの場合の株式継続保有要件の判定に当たっては、次の1と2の株式の数を合算した株式数が、株式交換完全子法人の発行済株式等の数の80%以上であるかどうかを判定することとなる。

1 株式交換により交付されるA社株式を継続保有することが見込まれているC社の株主が保有するC社株式の数
2 株式交換完全支配親法人であるA社が保有するC社株式の数

したがって、ご照会の株式交換については、A社以外のC社の株主が保有するC社株式の数とA社が保有するC社株式の数を合算した株式数は、C社の発行済株式等の100%となるので、株式継続保有要件を満たすことになる。

(理由)

  1. 株式会社である株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との関係が、完全支配関係及び支配関係のいずれにも該当しない場合において、その株式交換が次の①及び②のいずれをも満たすときには、当該株式交換は適格株式交換に該当することとなる(法2十二の十六ハ)。
    株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する関係がある法人の株式をいう。)のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと。
    その株式交換が、株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を営むための株式交換に該当すること。
  2. 上記②の「共同で事業を営むための株式交換」に該当するための要件(共同事業要件)の一つに「株式継続保有要件」がある。「株式継続保有要件」とは、リンク先の算式により算出した割合が80%以上であることを要件とするものである(法令4の316五)。
    割合の計算に際し、株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の株式を保有している場合には、当該株式を分子に含めて計算することとされている。
  3. いわゆる「三角株式交換」が行われる場合には、株式交換完全子法人の株主に対して株式交換完全支配親法人の株式が交付される。
    「三角株式交換」の場合にも、共同事業要件の一つである「株式継続保有要件」の判定については、上記2と同様の算式により算出した割合が80%以上であることが要件とされる。
    割合の計算に際し、株式交換完全支配親法人が株式交換完全子法人の株式を保有しているときには、当該株式も分子に含めて判定することとされている。
  4. ご照会の株式交換については、B社とC社の関係は、完全支配関係又は支配関係のいずれにも該当しないため、この株式交換が適格株式交換に該当するためには、共同事業要件を満たす必要がある。
    共同事業要件の一つである「株式継続保有要件」の判定について検討すると、A社以外のC社の株主については、株式交換により交付を受けるA社株式(株式交換完全支配親法人株式)の全部を継続して保有することが見込まれている。
    そして、A社以外のC社の株主が保有するC社株式の数とA社が保有するC社株式の数を合算した株式数は、C社の発行済株式等の100%となるので、「株式継続保有要件」を満たすことになる。

 ★リンクはこちら⇒ いわゆる「三角株式交換」に係る具体的な適格判定について

2016年1月20日

被合併法人(合併法人との間に支配関係がある他の法人を被合併法人とする新設合併により設立された法人)から引継ぎを受ける未処理欠損金額に係る制限の適用除外

<照会要旨>
A社は、B・C・D各社の発行済株式の100%を10年前から保有する親会社である。
平成25年4月1日に、B社とC社は、E社を新設合併設立会社とする新設合併(適格合併1)を行った。
この合併はいわゆる「みなし共同事業要件」を満たすので、E社は、B社及びC社が有する未処理欠損金額を引き継いだ。
このたび、D社とE社は、D社を合併法人、E社を被合併法人とする吸収合併(適格合併2)を行った(合併の効力発生日は平成27年6月30日)。
この場合、合併法人であるD社は、E社の未処理欠損金額を引き継ぐことができるか。
なお、適格合併2は「みなし共同事業要件」を満たさない。

<回答要旨>
D社は、E社の未処理欠損金額を引き継ぐことができる。

(理由)

  1. 適格合併が行われた場合に、被合併法人(Y)に未処理欠損金額があるときは、その未処理欠損金額は、合併法人(X)の合併の日の属する事業年度前の各事業年度に生じた欠損金額とみなして合併の日の属する事業年度以後の各事業年度において繰越控除することとされている(法法57①、②)。
  2. ただし、合併法人(X)と被合併法人(Y)との間に支配関係がある場合の適格合併であって、いわゆる「みなし共同事業要件」を満たす合併に該当する場合、又はその支配関係が合併法人(X)の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続している場合のいずれにも該当しないときには、被合併法人(Y)の有する欠損金額のうち
    合併法人(X)との支配関係が生じた日の属する事業年度前の各事業年度に生じた欠損金額
    合併法人(X)との支配関係が生じた日の属する事業年度以後の各事業年度に生じた欠損金額のうち、被合併法人(Y)が当該支配関係が生じた日において有する資産の譲渡等による損失額から成る部分の金額(特定資産譲渡等損失相当額)

    は、上記1の未処理欠損金額に含まれない(合併法人(X)の欠損金額とみなされない)こととされている(法法57③、法令112④一)。

  3. なお、被合併法人(Y)が適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日後に設立された法人である場合であって、その被合併法人(Y)とその合併法人(X)との間にその被合併法人(Y)の設立の日から継続して支配関係があるときは、上記2の制限措置は適用されず、被合併法人(Y)の未処理欠損金額を引き継ぐことができる(法法57③、法令112④二)。
  4. また、上記3に該当する場合であっても、適格合併(適格合併2)の日の前日以前に、その合併法人(X)との間に支配関係がある他の内国法人(y1、y2)を被合併法人とする適格合併(適格合併1)で、3の被合併法人(Y)を設立するものが行われていた場合には、上記3の取扱いはなく、被合併法人(Y)の未処理欠損金額を引き継ぐことはできない(法令112④二イ前段)。
    ただし、その合併法人(X)と他の内国法人(y1、y2)との間に最後に支配関係があることとなった日が、適格合併(適格合併1)の日の属する事業年度開始の日の5年前の日以前である場合には、この制限はなく、被合併法人(Y)の未処理欠損金額を引き継ぐことができる(法令112④二イ括弧書)。
  5. お尋ねのD社とE社の合併は、適格合併に該当し、被合併法人であるE社と合併法人であるD社との間には被合併法人であるE社の設立の日から継続して支配関係があるので、D社はE社の未処理欠損金額を引き継ぐことができる。
    また、D社とE社の適格合併の日の前日以前に、合併法人であるD社との間に支配関係がある他の内国法人であるB社及びC社を被合併法人としてE社を設立する適格合併が行われているが、B社及びC社とD社との間に支配関係があることとなったのは10年前であり、D社とE社の適格合併が行われた日の属する事業年度開始の日の5年前の日以前なので、E社の未処理欠損金額の引継ぎが制限されることはない。

 ★リンクはこちら⇒ 被合併法人から引継ぎを受ける未処理欠損金額に係る制限の適用除外について

2016年1月18日

株式交換契約の承認を受けるための株主総会の日に任期満了に伴い取締役が退任した場合の特定役員継続要件

<照会要旨>
支配関係のない法人間で行われる株式交換については、法人税法第2条第12号の16ハに規定する共同で事業を営むための株式交換の要件(以下「共同事業要件」という。)を満たすときは、適格株式交換に該当するとされている。
この共同事業要件の1つとして、次のいずれかを満たすことが必要となる(法令4の316二)。
1.株式交換完全子法人の子法人事業と株式交換完全親法人の親法人事業のそれぞれの売上金額、従業者の数又はこれらに準ずるものの規模の割合が、おおむね5倍を超えないこと(事業規模要件)。
2.株式交換前の株式交換完全子法人の特定役員のいずれかが当該株式交換に伴って退任(株式交換完全親法人の役員への就任に伴う退任等を除く。)をするものでないこと(特定役員継続要件)。
当社(A社)は、B社との間で当社を株式交換完全子法人とする株式交換を行うことを検討している。
具体的には、次の定時株主総会決議によって、株式交換契約の承認を受けることを予定している。
ところで、当社では、取締役の任期を2年とすることを定款で定め、また、原則として、専務取締役の再任はしないことを取り決めている。
当社の専務取締役であるXは、任期満了に伴い次の定時株主総会の終結の時をもって退任する見込みである。
この場合、特定役員継続要件を満たさないこととなるか。

<回答要旨>
お尋ねの株式交換については、特定役員継続要件を満たすものと考えられる。

(理由)
1.
株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に支配関係がない場合に共同事業要件を満たせば、適格株式交換に該当することとなるが、この共同事業要件の1つとして、事業規模要件又は特定役員継続要件のいずれかを満たすものであることが規定されている(法法2十二の十六ハ、法令4の316二)。
このうち特定役員継続要件とは、当該株式交換前の当該株式交換完全子法人の特定役員のいずれかが当該株式交換に伴って退任(当該株式交換に係る株式交換完全親法人の役員への就任に伴う退任等を除く。)をするものでないことと規定されている(法令4の316二)。
この特定役員とは、社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者をいう(法令4の34二)。

2.
お尋ねの場合のように、株主総会決議によって株式交換契約の承認を受ける場合で、たまたま当該株主総会の終結をもって任期満了となる特定役員が退任したとしても、この退任は、当該株式交換に伴ってする退任とは言えないものと考えられる。
したがって、他に当該株式交換に伴って退任する特定役員がない場合には、当該株式交換は、特定役員継続要件を満たすものと考えられる。
ただし、例えば、その特定役員の再任をしないことが株式交換を実行するための条件とされているような場合には、当該特定役員は、当該株式交換に伴って退任するものと考えられる。このような場合には、特定役員継続要件を満たさないものと考えられる。

 ★リンクはこちら⇒ 株式交換契約の承認を受けるための株主総会の日に任期満了に伴い取締役が退任した場合の特定役員継続要件について(リンク削除済)

2016年1月15日

「事業引継ぎガイドライン」「事業引継ぎハンドブック」

中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化が急速に進む中、少子化等の影響から、親族内での後継者の確保が厳しさを増しており、M&A等による事業引継ぎの必要性が年々高まってきている。

中小企業庁では、後継者のいない中小企業・小規模事業者の皆様方が安心してM&A等を活用することができるよう、今般、有識者からなる「中小企業向け事業引継ぎ検討会」を開催し、「事業引継ぎガイドライン」、「事業引継ぎハンドブック(紹介用のチラシ含む)」を策定した。
「事業引継ぎガイドライン」は、M&Aの手続きや、手続毎の利用者の役割・留意点、トラブル発生時の対応等を詳細に記載している。
また、「事業引継ぎハンドブック」は、事業者の皆様方がM&A等を活用する際の手引き書となるよう、ガイドラインを分かりやすくまとめたものである。

 ★『事業引継ぎガイドライン』はこちら⇒ 事業引継ぎガイドライン
 ★『事業引継ぎハンドブック』はこちら⇒ 事業引継ぎハンドブック
 ★『事業引継ぎチラシ』はこちら⇒ 事業引継ぎチラシ

2015年5月11日

いわゆる「三角分割(分割型分割)」に係る適格要件

<照会要旨>
C社は、A社の100%子会社であるB社との間で、C社を分割法人、B社を分割承継法人とする分割を予定している(A社、B社及びC社はいずれも株式会社である。)。
この分割は、C社に交付する分割対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とし、分割法人C社が交付を受ける分割対価(A社株式)の全てがその分割の日においてC社株主に交付されるいわゆる「三角分割(分割型分割)」により行うことを予定している。分割対価をB社株式とする通常の分割型分割の場合と「三角分割(分割型分割)」の場合とでは、適格分割型分割に該当するための要件に異なる点はあるのか?

<回答要旨>
分割対価は異なるが、適格分割型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はない。
(理由)
1.株式会社が行う分割型分割(法法2十二の九)が適格分割型分割に該当するためには、分割承継法人と分割法人との関係が、完全支配関係、支配関係又はそれ以外の関係のいずれに当たるかによってそれぞれ定められた要件(法法2十二の十一イ~ハ。以下「支配関係別要件」という。)を満たすとともに、これらの関係に共通して定められた要件(法法2十二の十一柱書き。以下「共通要件」という。)を満たす必要がある。
このうち、共通要件は、分割対価資産として、次に掲げる株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこととされており(法法2十二の十一柱書き)、いわゆる「三角分割(分割型分割)」の場合には、2の分割承継親株式以外の資産が交付されないこと(分割承継親法人株式が分割法人の株主等の有する当該分割法人の株式の数の割合に応じて交付されるものに限る。)が要件となる。
①分割承継法人の株式
又は
②分割承継親法人株式(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の
全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいう。)

2.これに対して、分割法人と分割承継法人との関係ごとに定められた要件(支配関係別要件)は、いわゆる「三角分割(分割型分割)」であるか、それ以外の分割型分割であるかにかかわらず定められた要件であり、いわゆる「三角分割(分割型分割)」であることをもって異なる要件が定められているわけではない。
(注)
分割承継法人と分割法人との関係が、完全支配関係及び支配関係のいずれにも当たらない「それ以外の関係」である場合における適格要件のうちに、分割対価である株式を継続保有する見込みの者が保有する分割法人の株式の割合により判定する要件があり(法令4の38六イ)、この判定において、いわゆる「三角分割(分割型分割)」への対応がなされている。具体的には、通常の分割型分割において分割承継法人が分割法人の株主である場合には、分割承継法人を「継続保有することが見込まれる者」に含めることとされており、いわゆる「三角分割(分割型分割)」においても分割承継親法人が分割法人の株主である場合には、分割承継親法人を「継続保有することが見込まれる者」に含めて判定することとされているものであり、実質的に要件が異なるものではない。

3.したがって、いわゆる「三角分割(分割型分割)」の場合には、分割対価が分割承継親法人株式に限られる点は異なるが、いわゆる「三角分割(分割型分割)」とそれ以外の分割型分割の間で適格分割型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はない。

 ★リンクはこちら⇒ いわゆる「三角分割(分割型分割)」に係る適格要件

2015年3月2日

いわゆる「三角分割(分社型分割)」に係る適格要件

<照会要旨>
C社は、A社の100%子会社であるB社との間で、C社を分割法人、B社を分割承継法人とする分割を予定している(A社、B社及びC社はいずれも株式会社である。)。
この分割は、C社に交付する分割対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とするいわゆる「三角分割(分社型分割)」により行うことを予定している。分割対価をB社株式とする通常の分社型分割の場合と「三角分割(分社型分割)」の場合とでは、適格分社型分割に該当するための要件に異なる点はあるのか?

<回答要旨>
分割対価は異なるが、適格分社型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はない。
(理由)
1.株式会社が行う分社型分割(法法2十二の十)が適格分社型分割に該当するためには、分割承継法人と分割法人との関係が、完全支配関係、支配関係又はそれ以外の関係のいずれに当たるかによってそれぞれ定められた要件(法法2十二の十一イ~ハ。以下「支配関係別要件」という。)を満たすとともに、これらの関係に共通して定められた要件(法法2十二の十一柱書き。以下「共通要件」という。)を満たす必要がある。
このうち、共通要件は、分割対価資産として、次に掲げる株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこととされており(法法2十二の十一柱書き)、いわゆる「三角分割(分社型分割)」の場合には、2の分割承継親法人株式以外の資産が交付されないことが要件となる。
①分割承継法人の株式
又は
②分割承継親法人株式(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいう。)

2.これに対して、分割法人と分割承継法人との関係ごとに定められた要件(支配関係別要件)は、いわゆる「三角分割(分社型分割)」であるか、それ以外の分社型分割であるかにかかわらず定められた要件であり、いわゆる「三角分割(分社型分割)」であることをもって異なる要件が定められているわけでない。

3.したがって、いわゆる「三角分割(分社型分割)」の場合には、分割対価が分割承継親法人株式に限られる点は異なるが、いわゆる「三角分割(分社型分割)」とそれ以外の分社型分割との間で適格分社型分割に該当するための要件に、原則として、異なる点はない。

 ★リンクはこちら⇒ いわゆる「三角分割(分社型分割)」に係る適格要件

2015年2月27日

いわゆる「三角合併」において端数調整金の交付を受けた被合併法人の株主における課税関係

<照会要旨>
A社の100%子会社であるB社と出資関係を有しないC社との間で、B社を合併法人とする適格合併を予定している(A社、B社及びC社はいずれも株式会社である。)。
この合併は、C社の株主に交付する対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とするいわゆる「三角合併」により行うことを予定しているが、合併比率に端数が生じ、交付すべきA社株式の数に1に満たない端数が生じることから、この端数に相当する金銭(端数調整金)をC社の株主に交付することとしている。この場合において、被合併法人C社の株主における端数調整金に係る課税関係はどのようになるのか?

<回答要旨>
C社の株主においてA社株式の端数部分の交付を受け、これを直ちに譲渡しその対価として金銭を受け取ったものと取り扱われるため、その譲渡に係る課税関係が生じる。
ただし、端数調整金に相当する金額を雑益等として益金の額に算入する処理も認められる。
(理由)
1.合併に伴い被合併法人の株主である法人が、被合併法人の株式を有しないこととなった場合には、一定の要件を満たす場合を除き、その合併の日の属する事業年度に当該被合併法人の株式の譲渡に係る譲渡損益を計上することになる(法法61の21、法規27の3九)。
2.ただし、その合併により、被合併法人の株主に合併法人株式(合併法人の株式をいう。)又は合併親法人の株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいう。)のいずれか一方の株式のみが交付された場合には、上記1の譲渡損益の算定に際し、被合併法人の株主は被合併法人の株式の譲渡対価の額を当該合併直前の被合併法人の株式の帳簿価額に相当する金額として計算することとされているので(法法61の22)、譲渡対価の額と譲渡原価の額が同額(いずれも合併の直前の被合併法人の株式の帳簿価額)となり、譲渡損益は生じない。
3.また、合併対価として交付すべき合併親法人株式の数に1に満たない端数が生ずる場合で、その端数に応じて金銭が交付されるときは、その端数に相当する部分は合併親法人株式に含まれるものとして、株主の各事業年度の所得の金額の計算をすることとされている(法令139の3の21)。このとき、被合併法人の株主は一旦端数に相当する部分の合併親法人株式の交付を受け、これを直ちに譲渡してその金銭を受領したものとして譲渡損益を認識することとされている(法法61の21、法基通2-3-25)。
4.したがって、ご照会の「三角合併」においてC社の株主が端数調整金の交付を受けた場合には、一旦その端数に相当する合併親法人の株式であるA社株式の交付を受け、これを直ちに譲渡し端数調整金を受け取ったものとして譲渡損益の計算を行うこととなる。
具体例を示すと、次のようになる。
【例】C社株主甲社の端数調整金に係る譲渡損益の計算
C社株主である甲社は、合併直前において、C社株式を1,055株(帳簿価額527,500円。@500円)保有していたところ、その合併により、甲社はA社株式527.5株の割当てを受け、A社株式527株と端数調整金600円を受領した。
合併に際しては、C社株式(時価@600円)1株につき、A社株式(時価@1,200円)0.5株が割り当てられている。
(甲社における処理)
A社株式 527,500 / C社株式 527,500
現  金  600 / A社株式(0.5株) 500
/ 有価証券譲渡益  100
5.ただし、上記の処理によらず、甲社が受領した端数調整金を雑益等として益金の額に算入する処理も認められている(法基通2-3-25ただし書)。

 ★リンクはこちら⇒ いわゆる「三角合併」において端数調整金の交付を受けた被合併法人の株主における課税関係

2015年2月26日

適格現物分配による資本の払戻しを行った場合の税務上の処理

<照会要旨>
乙社は、100%親法人である甲社に対して、乙社の保有するX社株式(簿価130)を現物分配により交付した。
この現物分配は、その他資本剰余金120とその他利益剰余金10を原資として行っており、資本剰余金120の減少を伴っていることから、法人税法第24条第1項第3号に規定する資本の払戻しに該する。
この場合の乙社における処理はどうなるか?

なお、乙社の前事業年度終了時の純資産の額(資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額)は1,200 、資本の払戻し直前の資本金等の額は600する。

<回答要旨>
次の2(1)及び(2)の算式によりそれぞれ計算された金額を資本金等の額及び利益積立金額から減算することとなる。
(理由)
1.現物分配とは、法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し当該法人の剰余金の配当や資本の払戻しなどの一定の事由により金銭以外の資産を交付することをいう(法法2十二の六)。
また、適格現物分配とは、内国法人を現物分配法人(現物分配によりその有する資産の移転を行った法人をいう。)とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう(法法2十二の十五)。
内国法人が適格現物分配により資産の移転をしたときは、その適格現物分配の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして所得の金額を計算することとされており(法法62の53)、その資産の移転により譲渡損益は発生しないこととなる。

2.法人が資本の払戻し又は解散による残余財産の分配(以下「資本の払戻し等」という。)により、その株主等に対して金銭及び金銭以外の資産の交付をした場合には、次の(1)及び(2)の算式によりそれぞれ計算された金額を資本金等の額及び利益積立金額から減算することとなる。
なお、資本の払戻しとは、剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち、分割型分割によるもの以外のものをいうとされてる(法法241三)。
(1)資本金等の額から減算する金額(法令81十六)
(算式)
資本金等の額から減算する金額(減資資本金額)=A×B÷C(※)
A 資本の払戻し等の直前の資本金等の額
B 資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあっては、その交付直前の帳簿価額)の合計額
C 資本の払戻し等の前事業年度終了の時の純資産の額
※1 A≦0のときはB÷C=0、A>0かつC≦0のときはB÷C=1として計算する。
※2 少数点以下第3位未満の端数がある場合にはこれを切り上げる。
※3 上記算式により計算した金額が、資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあっては、その交付直前の帳簿価額)の合計額(この合計額を(2)においてDという。)を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額となる。
(2)利益積立金額から減算する金額(法令91十一)
(算式)
利益積立金額から減算する金額=D-減資資本金額(※)
※ D>減資資本金額の場合に限る。

3.甲社と乙社との間には、本件現物分配の直前に当事者間の完全支配関係(一の者が法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係)があることから、本事例の現物分配は適格現物分配に該当する。このため、現物分配により移転をした資産(X社株式)の移転により譲渡損益は生じない。また、本事例の現物分配は、資本の払戻しとして行われるものであることから、次のとおり、資本金等の額及び利益積立金額を減少させることとなる。
(1)資本金等の額から減算する金額
本事例において、資本の払戻し直前の資本金等の額(A)は600であり、資本の払戻しの前事業年度終了の時の純資産の額(C)は1,200となる。
次に(B)の金額については、「資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあっては、その交付直前の帳簿価額)の合計額」とされており、本件における資本の払戻しは、適格現物分配によるものではあるが、解散による残余財産の分配により交付されたものではないため、(B)の金額は、「適格現物分配に係る資産の交付直前の帳簿価額」130ではなく、「資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額」120となる。
したがって、減少する資本金等の額(減資資本金額)は、60(=600×120÷1200)となる。
(2)利益積立金額から減算する金額
本事例において、適格現物分配に係る資産の交付直前の帳簿価額が130であることから、(D)の金額は130となり、減少する利益積立金額は70(=130-60)となる。

 ★リンクはこちら⇒ 適格現物分配による資本の払戻しを行った場合の税務上の処理

2015年2月25日

2014年第2四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2014年第2四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで6件。ちなみに前年同期は9件。
  • 第2四半期の公表案件として注目されるものは、以下のとおり。
  1. 三菱ケミカルホールディングスが資本業務提携関係の強化のため、大陽日酸に対する公開買
    付に対する基本合意を締結し、公表(公開買付は2014年11月上旬を目途として開始予定)
  2. ローランドのMBO
  • 第2四半期のボジティブプレミアムの平均値は45.2%となっており、株価が上昇した水準を保っていることから、50%を超えるプレミアムのTOBの割合は引き続き低い割合となっている。

2014年7月24日

2014年第1四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2014年第1四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで8件。ちなみに前年同期は27件。
  • 第1四半期の公表案件として注目されるものは、以下のとおり。
  1. 日本電気によるNECフィールディングに対する公開買付
  • 第1四半期のボジティブプレミアムの平均値は50.5%となっており、昨年から上昇したように見えるが、テクタイトのシーエスロジネットに対するTOBの影響が大きく、実質的には大きな変化は生じていない。

 ★リンクはこちら⇒ TOBプレミアム分析レポート2014年1Q

2014年5月8日

2013年第4四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2013年第4四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで9件。ちなみに前年同期は12件。
  • 第4四半期の公表案件として注目されるものは、以下のとおり。
  1. やまやによるチムニーの買収(143億円)
  2. セブン&アイホールディングスによるニッセンホールディングスの買収(126億円)
  3. ベインキャピタルによるマクロミルの買収(513億円)
  • 第4四半期のプレミアムは、株価が堅調に推移したために、37.7%に減少している。
    ポジティブプレミアムの平均値は48.4%で傾向に大きな変化は見られないが、分布で見た場合には、ディスカウントプレミアムの案件が増加しているため、0%以下の案件割合が増加し、50%超の案件割合が増加している。

 ★リンクはこちら⇒ TOBプレミアム分析レポート2013年4Q

2014年1月30日

2013年第3四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2013年第3四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで10件。ちなみに前年同期は11件。
  • 大型案件は少なく、100億円を超えるものは以下の1件のみ。
  1. タイヨーの経営陣によるMBO(153億円)
    なお、トータル・メディカルサービスに対するMBO(47億円)については、プレミアムが206.81%となっており、調剤薬局事業に対するM&Aニーズが高いことを示す結果となっているといえよう。
  • ポジティブプレミアムの平均値はは3Qのみで54.4%となっており、2Qから上昇したように見えるが、トータル・メディカルサービスに対するTOBの影響が大きく、実質的には大きな変化は生じていない。
  • 分布で見ても大きな変化はないものの、株価が上昇した水準を保っていることから、50%を超えるプレミアムのTOBの割合が減少傾向にある。
  • 3Qとしては前年比で減少したものの、年間を通じたTOB件数は前年1年間の件数に既に迫っており、再編傾向は引き続き継続している。

 ★リンクはこちら⇒ 2013年第3四半期TOBプレミアム分析

2013年11月7日

2013年第2四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2013年第2四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで9件。ちなみに前年同期は7件。 第2Qは毎年少ない。
  • 大型案件は以下のとおり。
  1. 丸紅によるNECモバイリングに対するTOB(716億円)
  2. 1stホールディングスの経営陣によるMBO(270億円)
  3. メガネトップの経営陣によるMBO(299億円)
  4. シンプレクス・ホールディングスの経営陣によるMBO(277億円)
  • ポジティブプレミアムの平均値はは2Qのみで41.3%、2013年上期で48.6%となっており、株価の上昇にともない、若干ダウントレンドとなっている。
  • 分布で見ても大きな変化はないものの、株価上昇の流れを受け、50%を超えるプレミアムのTOBの割合が若干減少している。
  • 2Qも前期を超える件数となり、TOBを含めた再編トレンドが継続している。

2013年7月10日

2013年第1四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2013年第1四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで27件。ちなみに前年同期は18件。
  • 大型案件は以下のとおり。
  1. サーベラスによる西武ホールディングスに対する敵対的TOB(191億円)
  2. ソフトバンクによるガンホー・オンライン・エンターテインメントへのTOB(250億円)
  3. イオンによるダイエーに対するTOB(403億円)
  • 2013年1QはディスカウントTOBが5件もあっため、総プレミアムの平均は32.6%と低下しているが、ポジティブプレミアムの平均値は51.4%で傾向に大きな変化は見られず、分布で見ても大きな変化はない。
  • 1Qのみで前期の上期(25件)を超える件数となり、TOBを含めた再編が活発化してきている。一方、株価の上昇に伴いMBO案件は減少している。

2013年4月24日

2012年第4四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2012年第4四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで12件。ちなみに前年同期は18件。
  • 公表案件としては注目されるのは以下のとおり。
  1. 住友商事とKDDIIによるジュピターテレコムの共同買収(進行中)
  2. PGMホールディングスによるアコーディア・ゴルフへの敵対的買収(不成立)
  3. ブラザー工業によるニッセイの連結子会社化(成立)
  • 2012年11月の中旬以降株価が上昇したことに加え、新星堂に対するTOBのプレミアムがディスカウントではないものの0%であったため、ポジティブプレミアムの平均値が37.2%と急低下している。

2013年2月1日

2012年第3四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2012年第3四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで11件。ちなみに前年同期は21件。
  • 大型のTOBは、J.フロントリテイリングによるパルコに対するTOB(424億円)、ソニーによるソネットエンタテインメントに対するTOB(548億円)であった。パルコについては、主要株主であるイオンがTOBに応じなかった。
    ニッシン債権回収のTOBでは大株主を対象とした第1回のTOB(6億円)、一般株主を対象として第2回TOB(1億円)と二段階のTOBが実施された。
  • ポジティブプレミアムの平均値は54.0%で傾向に大きな変化は見られない。

2012年11月6日

2012年第2四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2012年第2四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで7件。ちなみに前年同期は6件。
  • 大型案件は、エイブル&パートナーズのMBO(308億円)くらいである。
  • ポジティブプレミアムの平均値は50.9%で大きな変化なし。

2012年7月25日

2012年第1四半期のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2012年第1四半期のTOBの結果は以下のとおり。

  • 件数は公表ベースで18件。ちなみに前年同期は14件。
  • 大型案件として、ユニーのサークルKサンクスの完全子会社化(712億円)、フジ・メディア・ホールディングスのサンケイビルの完全子会社化(313億円)があり、成立金額は1,712億円。
  • MBOはベンチャーパブリックのみ。ちなみに前年同期は7件。
  • ポジティブプレミアムの平均値は56.8%で大きな変化なし。

2012年5月1日

パチンコ40グループ 申告漏れ総額1,000億円

パチンコ店をチェーン展開する約40のグループが、東京国税局などの一斉調査を受け、総額約1,000億円の申告漏れを指摘されたようである。

詳細は不明であるが、報道等によると、以下のようなスキームのようである。

  1. 含み損を抱える不動産を現物出資して子会社を設立
  2. 含み損を抱える子会社株式を現物出資して子会社を設立(これを繰り返す)
  3. 含み損を抱える子会社株式を時価で売却して損失を実現後、利益の出ているグループ企業と合併して所得を圧縮

このスキームが租税回避行為と判断され、申告漏れの指摘となったようである。

2012年2月17日

2011年のTOB

株式会社ストライクのレポートによると、2011年のTOBの結果は以下のとおりである。

  • 件数は公表ベースで58件。ちなみに2010年は59件。
  • 大型案件が少なく、成立金額は7,715億円で、平均は193億円と、2006年以降で最少。
  • ポジティブプレミアムの平均値は54.9%。
  • プレミアム上位は、チップワンストップの203.7%を筆頭に、ジェイエムテクノロジーが127.1%、三條機械製作所が123.9%、ワオ・コーポレーションが102.5%、エナジーサポートが101.1%と、5社が100%超え。

2012年2月14日

分割型新設分割

分割型は、会社法では分社型+剰余金の分配という扱いである。
この場合、組織再編行為ゆえ分配可能額の制限はない。

会計処理は、会社計算規則第49条を適用する場合と第50条を適用する場合があり。前者はB/Sの借方から子会社株式が減少し、貸方からその他利益剰余金が減少する。
後者は分割会社(親会社)で減らした分を新設会社(子会社)で計上する。つまり、分割会社のB/Sを2つに分けたと考える。
なお、第50条適用型は減資の手続と利益準備金の減少手続も必要である。

2011年12月15日

行為計算否認(日産自動車)?

少し前から気にはなってはいたものの、詳細がよく分からなかった日産自動車の税務訴訟。

T&A master No.419によると、組織再編税制関係との情報も流れているが、有価証券の譲渡対価を巡る寄附金課税がなされたとのことである。

日産自動車は、各子会社の株式消却を伴う減資により各子会社から金銭の払い戻しを受けたが、この払い戻し額が時価純資産価額よりも低いとされ、差額を寄附金と認定し、約640億円の申告漏れが指摘されたようである。

この件も、今後の訴訟の結果がどうなるか注目したい。

2011年9月21日

国内上場企業のM&Aに関する意識調査

日本M&Aセンターが国内上場企業のM&Aに関する意識調査の結果を発表した。

東日本大震災後、一時は低下していた企業のM&Aへの意欲は回復し、非常に高い水準(「積極的に検討したい」と「良い案件があれば検討したい」を合わせて93%弱)にある。

ただし、アンケートの送付先企業数が3,433社で、回答企業者数が231社ということであり、7%以下の企業しか回答していないということであり、国内上場企業全体の意識とは言えないと考えられよう。

2011年9月9日

行為計算否認(日本IBM)

T&A master No.416に日本IBMの行為計算否認の記事が載っている。スキームは以下のとおり。なお、今回の、みなし配当の益金不算入と、株式譲渡損失の2重取りは、税制改正により、使えなくなっている。

①米国IBMが、日本IBMの親会社のホールディングカンパニー(日本)へ、資金を提供
②ホールディングカンパニーが、米国IBMから、日本IBMの株式を取得
③日本IBMが、ホールディングカンパニーから、日本IBMの株式(いわゆる自己株式)を取得

自己株式を取得した場合、みなし配当と、株式譲渡所得もしくは譲渡損失(今回のケースでは、譲渡損失)が生じる。
そして、みなし配当は益金不算入となり、ホールディングカンパニーと日本IBMは連結納税制度を採用し、この譲渡損失と日本IBMの黒字を相殺し、法人税がかからないようにした。

今回のケースは、連結法人に係る行為計算否認規定(法人税法132の3)を適用したものではなく、連結納税申告そのものではなく、その前の行為に問題があったと判断し、同族会社等の行為計算否認規定(法人税法132)を適用したようである。

こちらも、ヤフー同様、今後の訴訟の結果に注目したい。

2011年8月31日

行為計算否認(ヤフー)

T&A master No.416にヤフーの行為計算否認の記事が載っている。時系列的には以下のとおり。

平成20年12月 ヤフーの社長が今回問題となったI社の副社長に就任
平成21年2月  ヤフーがI社を100%子会社化
平成21年3月  ヤフーがI社を吸収合併

買収価格に繰越欠損金の引継ぎによる節

カテゴリー
記事

譲渡所得

特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)

国税庁は、『特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

「特定の事業用資産の買換えの特例」の内容についての詳細は、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例」をご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには事前に届出が必要です(令和6年6月)

2024年7月19日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和6年3月30日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和6年法律第8号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和6年度税制改正のあらまし(令和6年5月)

2024年6月14日


個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和5年3月31日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和5年度税制改正のあらまし(令和5年5月)

2023年6月5日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)

国税庁は、ホームページに『個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)』を掲載した。

このパンフレットは、令和4年3月31日付で公布された「所得税法等の一部を改正する法律(令和4年法律第4号)」等の主な改正の概要を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和4年度税制改正のあらまし(令和4年5月)

2022年7月21日


「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達 課資3-5 課個2-8 課法11-25 課審7-11 令和3年6月25日)

平成14年6月24日付課資3-1ほか3課共同「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)、昭和46年8月26日付直資4-5ほか2課共同「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)、昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)、平成24年1月26日付課資3-1ほか2課共同「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)及び令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」(法令解釈通達)の一部を下記のとおり改正したから、これによられたい。

(趣旨)
所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、譲渡所得等に関する取扱いの整備を行ったものである。

リンク先の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

(注)リンク先には、この改正により新たに取扱いを定めたものについてはその全文を掲げ、単に法令改正に伴い引用条文等を改めたものについては原則としてその改正箇所のみ掲げることとした。

★「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」関係

★「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」本文関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」本文関係

「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」別表関係はこちら⇒ 「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」別表関係

★「所得税基本通達の制定について」関係はこちら⇒ 「所得税基本通達の制定について」関係

★「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」関係はこちら⇒ 「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の制定等に伴う所得税(譲渡所得関係)の取扱いについて」関係

★令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」関係はこちら⇒ 令和元年6月28日付課資3-3ほか3課共同「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」関係

2021年7月21日


個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、「個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が土地・建物等や株式等を譲渡した場合の令和3年度税制改正のあらまし(令和3年5月)

2021年5月14日


公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし

国税庁は、『公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし』をホームページに掲載した。

個人が、土地、建物、株式などの財産 (事業所得の基因となるもを除く。)を法人に寄附した場合には、これらの財産は寄附時の時価により譲渡があったものとみなされ、 これらの財産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税される

これは、個人から法人に土地、建物などの財産が無償で移転するときに、個人に帰属する値上がり益に対する所得税を精算するための制度的要請によるものである。

ただし、これらの財産(国外の土地など一定のものを除きます。)を公益法人等に寄附した場合に、一定の承認要件を満たすものとして国税庁長官の承認(以下「非課税承認」という。)を受けたときは、この所得税を非課税とする制度が設けられている。

この非課税制度には、「一般特例」と「承認特例」の2つの制度があり、それぞれ対象となる法人の種類や承認要件などが異なる。

★リンクはこちら⇒ 公益法人等に財産を寄附した場合おける譲渡所得等の非課税の特例のあらまし

2020年8月25日


未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合

<照会要旨>
私は、今年の6月に、所有する土地及び家屋を3,000万円で譲渡する売買契約を締結した。譲渡した土地及び家屋には本年度分の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)が課されているところ、その売買契約では、譲渡から今年の年末までの期間に係る固定資産税等に相当する額(以下「未経過固定資産税等に相当する額」という。)を、買主が私に支払うことになっている。
この受け取った未経過固定資産税等に相当する額は、譲渡所得の計算上、収入金額に算入することになるか。

<回答要旨>
支払を受けた未経過固定資産税等に相当する額は、譲渡所得の収入金額に算入される。

固定資産税等は、各年ごとに、その賦課期日(その年度の初日の属する年の1月1日)における土地または家屋の所有者を納税義務者として課されるものであり、その年度の賦課期日後に所有者の異動が生じたとしても、新たに所有者となった者がその賦課期日を基準として課される固定資産税等の納税義務を負担することはない。
固定資産税等の賦課期日とは異なる日をもって土地建物の売買契約を締結するに際し、買主が売主に対し、売主が納税義務を負担する固定資産税等の税額のうち未経過固定資産税等に相当する額を支払うことを合意した場合、この合意は、土地及び家屋の売買契約を締結するに際し、売主が1年を単位として納税義務を負う固定資産税等につき、買主がこれを負担することなくその土地及び家屋を所有する期間があるという状況を調整するために個々的に行われるものであると考えられる。

このことからすれば、支払を受けた未経過固定資産税等に相当する額は、実質的にはその土地及び家屋の譲渡の対価の一部を成すものと解するのが相当と考えられる。

★リンクはこちら⇒ 未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合

2015年12月14日

NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の拡充等(平成27年10月)

  • 20歳以上の居住者等を対象として、非課税口座で取得した上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が非課税となるNISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)について、平成28年1月1日以後、非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額が120万円(平成27年分以前は100万円)になる。
  • 平成28年1月1日以後、非課税口座を開設するため、金融商品取引業者等に対して「非課税適用確認書の交付申請書」及び「基準日(注)における住所を証する書類(住民票の写し(提出日前6か月以内に作成されたもの)等)」の提出をする際、または「非課税適用確認書」及び「非課税口座開設届出書」の提出をする際には、氏名、生年月日、住所に加え、個人番号の告知が必要になる。
    また、平成28年1月1日前に非課税口座開設届出書を提出して非課税口座を開設した居住者等は、同日から3年を経過した日以後最初に非課税口座内の上場株式等の譲渡または配当等の受入れをする日までに、金融商品取引業者等に対して個人番号を告知する必要がある。
 非課税対象  非課税口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
 開設者(対象者)  口座開設の年の1月1日において20歳以上の居住者等
 口座開設可能期間  平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間
 金融商品取引業者等の変更 一定の手続の下で、1非課税管理勘定(各年分)ごとに変更可
 非課税投資額  1非課税管理勘定における投資額(①新規投資額及び②継続適用する 

上場株式等の移管された日における終値に相当する金額の合計額) 

は120万円を上限(未使用枠は翌年以後繰越不可)
 非課税期間  最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
 非課税投資総額  最大600万円(120万円(平成27年分以前は100万円)×5年間)

(注)勘定設定期間及び各勘定設定期間に対応する基準日は、以下のとおり。

 勘定設定期間  基準日
 平成26年1月1日から平成29年12月31日まで  平成25年1月1日
 平成30年1月1日から平成33年12月31日まで  平成29年1月1日
 平成34年1月1日から平成35年12月31日まで  平成33年1月1日

★リンクはこちら⇒ NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の拡充等(平成27年10月)

2015年11月20日

ジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が始まります(平成27年10月)

 非課税対象  未成年者口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
 開設者(対象者)  口座開設の年の1月1日において20歳未満又はその年に出生した居住者等
 口座開設可能期間  平成28年4月1日から平成35年12月31日までの8年間 

(口座開設の申込みは平成28年1月から可)
 金融商品取引 

業者等の変更
 変更不可(1人につき1口座のみ)
 非課税投資額  1非課税管理勘定における投資額(①新規投資額及び②継続適用する上場株式等の移管された 

日における終値に相当する金額の合計額)は80万円を上限(未使用枠は翌年以後繰越不可)
 非課税期間  最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
 非課税投資総額  最大400万円(80万円×5年間)
 払出制限  その年の3月31日において18歳である年(基準年)の前年12月31日までは、原則として 

未成年者口座及び課税未成年者口座からの払出しは不可

★リンクはこちら⇒ ジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)が始まります(平成27年10月)

2015年11月10日

特定口座制度

特定口座には、以下のとおり、簡易申告口座と源泉徴収口座の2種類があり、金融商品取引業者等に特定口座を開設した場合、その特定口座内における上場株式等の売却による所得の金額については、他の株式等の売却による所得と区分して計算する。
なお、この計算は金融商品取引業者等が行う。

(1)簡易申告口座
簡易申告口座とは、金融商品取引業者等から送られてくる特定口座年間取引報告書により、簡便に申告を行うことができる口座のことをいう。

(2)源泉徴収口座
源泉徴収口座とは、特定口座内で生じる所得に対して源泉徴収(20%(所得税15%、住民税5%))することを選択することにより、その特定口座における上場株式等の売却による所得を申告不要とすることができる口座のことをいう。
なお、金融商品取引業者等を通じて支払を受ける上場株式等の配当等については、その金融商品取引業者等に開設している源泉徴収口座に受け入れることができる。
また、上場株式等の配当等を受け入れた源泉徴収口座内に上場株式等を売却したことにより生じた譲渡損失の金額があるときは、上場株式等の配当等の額の総額からその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡損失の金額を控除(損益通算)した金額を基に源泉徴収税額が計算される。

◆源泉徴収口座における留意点◆

  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得またはその源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得を申告するかどうかは口座ごとに選択できる(1回の売却ごと、1回に支払を受ける配当等ごとの選択はできない。)。
  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得とその源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得のいずれかのみを申告することができる。
    ただし、源泉徴収口座の譲渡損失の金額を申告する場合には、その源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に係る配当所得も併せて申告しなければならない。
  • 源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告した後に、その源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告しないこととする変更はできない。
    また、源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得の金額または配当所得の金額を含めないで申告した後に、その源泉徴収口座における上場株式等の売却による所得または配当所得を申告することとする変更もできない。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月18日

上場株式等の譲渡損失に係る損益通算及び繰越控除

平成21年分以後の各年分において上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却したことにより生じた譲渡損失の金額は、確定申告により、その年分の上場株式等に係る配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る。以下同じ。)と損益通算ができる。

また、損益通算してもなお控除しきれない譲渡損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除できる。

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月16日

株式を売却した場合の所得金額及び所得税額(住民税額)の計算

株式等の売却による所得金額及び所得税額(住民税額)は、以下のように計算する。

(1)所得金額の計算
売却価額-(取得費()十委託手数料等)=所得金額


株式等の取得費は、その購入価額(購入手数料等を含む。)となるが、同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合には、総平均法に準ずる方法によって算出した1株当たりの金額に売却株数を乗じて計算した金額が、その取得費の金額となる。

(2)所得税額(住民税額)の計算
所得金額(譲渡益)×所得税15%(ほかに住民税5%)=所得税額(住民税額)

★リンクはこちら⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月13日

同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費は…

同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入し、その株式等の一部を譲渡した場合の取得費は、総平均法に準ずる方法によって求めた1単位当たりの価額を基に計算する。

総平均法に準ずる方法とは、株式等をその種類及び銘柄の異なるごとに区分して、その種類等の同じものについて以下の算式により計算する方法を言う。

((A+B)÷(C+D)=1単位当たりの価額)

 A  株式等を最初に購入した時(その後既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の時)の購入価額の総額
 B  株式等を最初に購入した後(その後既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の後)から今回の譲渡の時までの購入価額の総額
 C  Aに係る株式等の総数
 D  Bに係る株式等の総数

2013年5月21日

取得費を計算する際の1単位当たりの価額の調整が必要な場合は…

取得費は、株式等の取得に要した1単位当たりの価額に株数等を乗じて計算するが、その1単位当たりの価額が調整される場合がある。
その主なものは以下のことが生じた場合またはそれによる株式等の取得があった場合である。

  1. 株式等の分割または併合が行われた場合
  2. 同一種類の株式を株主割当てにより取得した場合
  3. 課税の繰延べの対象となる合併により合併法人の株式等を取得した場合
  4. 課税の繰延べの対象となる分割型分割により分割承継法人の株式等を取得した場合
  5. 課税の繰延べの対象となる株式交換または株式移転により株式交換完全親法人または株式移転完全親法人の株式等を取得した場合

2013年5月17日

払込みや購入以外で株式等を取得した場合の取得費は…

払込みや購入以外での株式等の主な取得原因とそれに係る取得費は、以下のとおり。
(1)相続(限定承認を除く。)、遺贈(限定承認を除く。)または贈与により取得した場合
●被相続人、遺贈者又は贈与者の取得費を引き継ぐ。

(2)発行法人から与えられた以下に掲げる権利の行使により取得した株式等(いわゆる税制適格ストックオプションの行使により取得する特定権利行使株式を除く。)
イ 平成13年法律第79号による改正前の商法に規定する株式譲渡請求権
●その権利の行使の日における価額
ロ 平成13年法律第128号による改正前の商法に規定する新株の引受権
●その権利の行使の日における価額
ハ 改正前の商法に規定する新株予約権
●その権利の行使の日における価額
会社法第238条第2項の決議等に基づき交付された新株予約権(新株予約権を引き受ける者に特に有利な条件、金額であるとされるものまたは役務の提供による対価であるとされるものに限る。)
●その権利の行使の日における価額
ホ 株式と引換えに払い込むべき金額が有利な場合におけるその株式を取得する権利(イからニに該当するものを除く。)
●その権利に基づく払込みまたは給付の期日における価額

(3)発行法人の株主等として与えられた新たな払込みや給付を要しないで取得した株式(下記の3(2)で取得費を調整する場合を除く。)または新株予約権
●零

(4)(1)から(3)以外の方法により取得した株式
●その取得の時におけるその株式等の取得のために通常要する価額

2013年5月15日

譲渡した株式等の取得費は…

株式等を譲渡(売却)した場合の譲渡所得の金額は、以下のように計算する。

(譲渡所得=譲渡価額(売却金額)-取得費(取得価額)-売却手数料等)

取得費(取得価額)は、株式等を取得したときに支払った払込代金や購入代金だが、購入手数料(購入手数料に係る消費税も含まれる。)のほか購入時の名義書換料などその株式等を取得するために要した費用も含まれる。

2013年5月13日

株式としての価値を失ったことによる損失と上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の関係

特定管理株式について、その発行会社が解散し清算が結了したことから、その株式としての価値を失ったことによる損失が株式等の譲渡による損失の金額とみなされることになったが、特定管理株式は「上場株式等に該当しないこととなった内国法人の株式」であることから、上場株式等を対象とする「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」の適用対象とはならない。
したがって、株式としての価値を失ったことによる損失の金額が当年分の他の株式等の譲渡益から控除しきれない場合に、これを翌年以降に繰り越して控除することはできない。

2012年11月13日

ゴルフ会員権を譲渡したときは…

1.課税方法
ゴルフ会員権は、特定の会社の株主にならなければ、会員となれない会員権とその他の会員権とに区分されるが、これらの会員権を譲渡したときの所得は、いずれも譲渡所得として事業所得や給与所得などの所得と合わせて総合課税の対象となる。

2.計算方法
この場合の所得金額の計算は、その会員権の所有期間に応じて以下のとおりとなる。
(1)所有期間が5年以内のもの(短期譲渡所得)
譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円(特別控除額(注))
(2)所有期間が5年を超えるもの(長期譲渡所得)
課税される金額={譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円(特別控除額(注))}✕1/2
(注)
譲渡所得の特別控除の額は、その年のゴルフ会員権の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円である。これらの譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できない。
また、(1)と(2)の両方の譲渡益がある場合には、特別控除額は両方合わせて50万円が限度で、(1)の譲渡益から先に控除する。

3.注意事項

  • ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができる。
    ただし、ゴルフ場経営法人が破産した場合など損益通算できない場合がある。
  • ゴルフ会員権の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得となる。

2012年10月30日

譲渡した土地・建物の取得費が分からない時はどうするのか…

譲渡所得の金額は、土地や建物を譲渡した金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する。
取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額である。
建物の場合は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額である。

しかし、譲渡した土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、取得費の額を譲渡した金額の5%相当額とすることができる。
なお、取得費が分かっている場合でも、実際の取得費が譲渡した金額の5%相当額を下回る場合も同様である。

2012年10月25日

相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期はいつになるのか…

1.相続や贈与によって取得した資産の取得費
譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する。
取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額である。
建物の場合は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額である。
譲渡した土地建物の中には相続や贈与により取得したものもある。
この場合の取得費は、死亡した人や贈与した人がその土地建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算する。
なお、業務に使われていない土地建物を相続や贈与により取得した際に相続人や受贈者が支払った登記費用や不動産取得税の金額も取得費に含まれる。

2.相続や贈与によって取得した資産の取得の時期
取得の時期は、通常、売った土地建物を買い入れた日だが、相続や贈与で取得したときは、死亡した人や贈与した人の取得の時期がそのまま取得した人に引き継がれる。
したがって、死亡した人や贈与した人が取得した時から、相続や贈与で取得した人が譲渡した年の1月1日までの所有期間で長期か短期かを判定することになる。

2012年10月23日

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱い

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いが変更になった。

<従来の取扱い>
預託金会員制ゴルフ会員権とは、契約上の地位であり、優先的施設利用権と預託金返還請求権をその内容とする譲渡所得の基因となる資産(事実上の権利)となる。このため、ゴルフ会員権を巡る種々の方策の判定に当たってのメルクマールは、そのゴルフ会員権はゴルフ会員権としての性質を有しているか(維持しているか)、という点を基本として取り扱ってきた。
このことから、自主再建型の再建が行われたゴルフクラブのゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡所得の金額の計算において、当該譲渡による収入金額から控除する取得費は、会社更生法に基づく更生計画による更生手続等により、預託金債権の一部のみを切り捨てられた場合には、切り捨てられた損失の金額は認識せず、取得価額から減額(付け替え)しないものと取り扱い、また、預託金債権の全額を切り捨てられた場合には、更生手続等により取得した優先的施設利用権のみのゴルフ会員権の時価相当額として取り扱ってきた。

<今後の取扱い>
上記の従来の取扱いの一部を以下のとおり変更する。
預託金会員制ゴルフ会員権が会社更生法に基づく更生計画による更生手続等(注)によって、預託金債権の全額を切り捨てられたことにより優先的施設利用権(年会費等納入義務等を含む。以下同じ。)のみのゴルフ会員権となったときであっても、当該更生手続等により優先的施設利用権が、以下に掲げる状況その他の事情を総合勘案し、更生手続等の前後で変更なく存続し同一性を有していると認められる場合には、その後に当該優先的施設利用権のみのゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡所得の金額の計算において、当該譲渡による収入金額から控除する取得費については、更生手続等前の預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときの優先的施設利用権部分に相当する取得価額とする。

  • 当該更生計画等の内容から、優先的施設利用権が会員の選択等にかかわらず、当該更生手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められていること。
  • 当該更生手続等により優先的施設利用権のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払いがなく、かつ、年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていないこと。

(注)
会社更生法に基づく更生計画による更生手続と同等の法的効果を有する民事再生法に基づく再生計画による再生手続等を含む。

<所得税の還付手続>
上記の取扱いの変更は、過去に遡って適用することとし、これにより、過去の所得税の申告の内容に異動が生じ所得税が納めすぎになる場合には、国税通則法の規定に基づき、この取扱いの変更を知った日の翌日から2か月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、当該納めすぎとなっている所得税が還付となる。
更正の請求をする場合は、更生計画など上記に掲げた内容が分かる書類を併せて提出する必要がある。
なお、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できないこととされているので留意が必要である。

2012年8月28日

個人から個人への固定資産の低額譲渡

時価の2分の1以上であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は課税されない
  • 譲受者
    相続税評価額または通常の取引価額(土地・家屋などはこちらのみ)と譲受価額の差額はみなし贈与
    取得価額は譲受価額

時価の2分の1未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は課税されない
    (時価で譲渡したとされる、いわゆる『みなし譲渡』課税はない)
    ただし、譲渡損はなかったものとされる
  • 譲受者
    相続税評価額または通常の取引価額(土地・家屋などはこちらのみ)と譲受価額の差額はみなし贈与
    取得価額は譲受価額
    ただし、譲渡者に譲渡損が発生する場合は、譲渡者の取得価額・取得時期を引き継ぐ

2011年11月4日

個人から法人への固定資産の低額譲渡

時価の2分の1以上であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は原則として課税されない
    (同族会社等の行為計算の否認の可能性あり)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

時価の2分の1未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は譲渡所得
    (時価で譲渡したとされる、いわゆる『みなし譲渡』となる)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

2011年11月2日

法人から個人への固定資産の低額譲渡

時価未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は寄附金(譲受者が役員の場合は役員給与)
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は一般的には一時所得(譲受者が役員の場合は役員給与)
    取得価額は時価

2011年11月1日

法人から法人への固定資産の低額譲渡

時価未満であれば、以下ような取り扱いとなる。

  • 譲渡者
    時価と譲渡価額の差額は寄附金
  • 譲受者
    時価と譲受価額の差額は受贈益
    取得価額は時価

2011年10月31日

相続税評価額による土地の譲渡

時価とは、客観的交換価値のことをいう。

よって、相続税評価額が時価と言えるかどうかが問題となる。

相続税評価額と同水準かそれ以上の価額で譲渡すれば、原則として、『著しく低い価額』による譲渡とはいえず、例外として、何らかの事情により相続税評価額が時価の80%よりも低くなっており、それが明らかであると認められる場合のみ、『著しく低い価額』による譲渡となりうる。

(東京地方裁判所 平成19年8月23日判決)

2011年9月29日

カテゴリー
記事

事業承継

個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限ります。)に係る事業(不動産貸付業等を除きます。)を行っていた事業者の後継者※1として円滑化法の認定を受けた者が、平成31年1月1日から令和10年12月31日まで※2の贈与又は相続等により、特定事業用資産を取得した場合は、
①その青色申告に係る事業の継続等、一定の要件のもと、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、
②後継者の死亡等、一定の事由により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納税が免除されるものです。

※1平成31年4月1日から令和8年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限ります。

※2先代事業者と生計を一にする親族からの特定事業用資産の贈与・相続等については、上記の期間内で、先代事業者からの贈与・相続等の日から1年を経過する日までにされたものに限ります。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)

2024年7月12日


非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)

国税庁は、『非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)』をホームページに掲載した。

法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。

★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和6年6月)

2024年7月10日


法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和3年6月)

国税庁は、『法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和3年6月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 法人版事業承継税制の適用を受けられている方に~継続届出書の提出について~(令和3年6月)

2021年7月12日


円滑な事業承継のための3ステップ

中小企業庁は、中小企業の皆様の営む事業をしっかりと次世代に引き継いでいただけるよう、事業承継のステップに応じた支援を紹介する、リーフレットを作成した。

<円滑な事業承継のための3ステップ>
事業承継への取組は会社にとって非常に大きな問題だが、ついつい先送りされがちである。
しかしながら、事業承継の準備には、後継者の育成も含めると、5~10年程度を要する。
経営者の平均引退年齢が70歳前後であることを踏まえると、60歳ごろには事業承継に向けた準備に着手する必要があると言える。
中小企業庁では、今後10年間を事業承継支援の集中実施期間と位置づけ、事業承継のステップに応じた切れ目のない支援を行う。

本リーフレットは、事業承継問題を取り上げたNHKドラマで主演を務めた内山理名さんを表紙に起用している。


<本発表のお問い合わせ先>

中小企業庁事業環境部財務課長 菊川
担当者:増田
電話:03-3501-1511(内線5281~4)
03-3501-5803(直通)
FAX:03-3501-6868
メールアドレス:chusyo-toiawase@meti.go.jp
(メールによるお問い合わせの際は、差し支えなければ電話番号もご記入のこと。)

 ★リンクはこちら ⇒ 円滑な事業承継のための3ステップ

2018年5月31日


平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わります

平成30年度税制改正において、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大きく改正され、10年間限定の特例措置が設けられた。
なお、申請書類等の提出先は申請企業の主たる事務所が所在している都道府県庁になる。

<改正の概要>
事業承継税制の特例の内容については、以下の概要資料をご覧のこと。
平成30年度事業承継税制の改正の概要
特例の適用を受けるためには、以下の2点を満たしていることが必要である。

(1) 平成30年4月1日から平成35年3月31日までに、都道府県庁に「特例承継計画」を提出していること。
(2) 平成30年1月1日から平成39年12月31日までに、贈与・相続(遺贈を含む)により自社の株式を取得すること。

平成29年12月31日までに贈与・相続により株式を取得した場合は、特例の認定を受ける(あるいは通常の認定から特例の認定へ切替えを行う)ことはできない。

<申請の手引き・記載例>
納税猶予を受けるための手続
詳細な手引きや記載例については、順次中小企業庁のホームページに掲載予定である。公表までしばらくお待ちのこと。

<申請書類>

特例承継計画(事業承継税制の認定の申請をするまで、かつ、平成35年3月31日までに都道府県に提出する必要がある。)
第一種特例認定申請書(「先代経営者」から後継者への贈与・相続等)
第二種特例認定申請書(「先代経営者以外の株主」から後継者への贈与・相続等)
通常の事業承継税制に関する申請書類
報告(認定を受けた中小企業者用。通常認定・特例認定で共通。)


<参考資料>

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改正する省令
新旧対照表
附則

<認定・申請に関するお問い合わせ先>
お問い合わせが集中しており、電話がつながりにくくなっている。
認定・申請に関するお問い合わせにつきましては、各都道府県庁の担当課へ問い合わせること。
各都道府県の申請窓口・お問い合わせ先
なお、申請の手引きや記載例を順次掲載するので、公表までしばらくお待ちのこと。

<本発表のお問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部財務課
電話:03-3501-5808(直通)
FAX:03-3501-6868

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わります

2018年5月14日


平成29年度補正予算「事業承継補助金(後継者承継支援型~経営者交代タイプ~)」の概要を公表します

中小企業庁は、事業承継をきっかけとした、中小企業による経営革新や事業転換への挑戦を応援するため、平成29年度に引き続き、「事業承継補助金」を実施する。
「後継者承継支援型~経営者交代タイプ~」は4月下旬の公募開始を予定しているので、事業の活性化に、是非ご活用のこと。

<概要>
「後継者承継支援型~経営者交代タイプ~」は、(1)地域経済に貢献する中小企業者等による、(2)事業承継(事業再編・事業統合を除く)をきっかけとした、(3)経営革新や事業転換などの新しい取組を支援する補助金である。
補助率:2/3
補助上限:経営革新を行う場合 200万円
事業所の廃止や既存事業の廃止・集約を伴う場合 500万円

補助対象者や事業承継についての考え方は以下のとおりである。
(1)地域への貢献
他社との取引関係や地域の需要に応える商品・サービスの提供、雇用の維持・創出によって地域に貢献している中小企業が補助の対象である。
(2)事業承継
平成27年4月1日から、補助事業期間完了日(最長平成30年12月31日)までの間に事業承継(代表者の交代)を行ったまたは行う必要がある。
(3)新しい取組
・経営革新等
※ビジネスモデルの転換(新商品、新分野への挑戦等)による市場創出、新市場開拓等
※新規設備導入(製造ラインのIT化、顧客管理システム刷新等)による生産性向上等
・事業転換
※事業所の廃止や既存事業の集約・廃止等

<公募期間>
平成30年4月下旬~平成30年6月上旬頃(予定)

<留意点>
応募の際は、認定支援機関が作成する、以下に関する「確認書」が必要である。最寄りの認定支援機関にご相談のこと。ちなみに、弊所も認定支援機関である。
(1) 地域に貢献する中小企業であること
(2) 経営革新等の独創性など
(3) 事業期間中に継続的な支援を行うこと

※確認書のフォーマットは公募開始後、ホームページに掲載される。
※事業承継補助金事務局ページは4月下旬OPEN予定。

<本発表の問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部財務課長 菊川
担当者:成田、鈴木、小野
電話:03-3501-1511(内線5281~4)
03-3501-5803(直通)
FAX:03-3501-6868

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年度補正予算「事業承継補助金(後継者承継支援型~経営者交代タイプ~)」の概要を公表します

2018年4月25日


非上場株式等について贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし

国税庁は、『非上場株式等について贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし』をホームページに公表した。

事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。

 ★リンクはこちら ⇒ 非上場株式等について贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし

2018年4月17日


中小企業施策調査会研究報告第3号「公認会計士による中小企業の事業承継支援-事業継続・廃業に対する早期判断とその支援手法について」の公表

日本公認会計士協会は、平成30年1月15日付けで「公認会計士による中小企業の事業承継支援-事業継続・廃業に対する早期判断とその支援手法について」を公表した。

本研究報告は、事業承継支援の重要性が叫ばれている中で、事業承継と表裏一体ともいえる廃業への対応も喫緊の課題であると考え、廃業支援における一般的な検討・考慮すべき事項や想定されるトラブルを事前に列挙することで、公認会計士として相談企業の廃業支援に資する情報を提供しようとするものである。

また、今後、研修会を実施する予定とのことである。

 ★リンクはこちら ⇒ 中小企業施策調査会研究報告第3号「公認会計士による中小企業の事業承継支援-事業継続・廃業に対する早期判断とその支援手法について」の公表

2018年1月30日


中小企業施策調査会研究報告第2号「公認会計士による中小企業の事業承継支援-従業員承継の支援手法について」の公表

日本公認会計士協会は、平成30年1月15日付けで「公認会計士による中小企業の事業承継支援-従業員承継の支援手法について」を公表した。

本研究報告は、昨今、中小企業の事業承継支援の重要性が叫ばれている中で、従業員承継に焦点を絞り、従業員承継における一般的な検討・考慮すべき事項や想定されるトラブルを事前に列挙することで、公認会計士として相談企業の事業承継支援に資する情報を提供しようとするものである。

また、今後、研修会を実施する予定とのことでである。

 ★リンクはこちら ⇒ 中小企業施策調査会研究報告第2号「公認会計士による中小企業の事業承継支援-従業員承継の支援手法について」の公表

2018年1月23日


経営研究調査会研究報告第60号「事業承継支援マニュアル」の公表 Edit

日本公認会計士協会(経営研究調査会)は、平成29年9月15日付けで経営研究調査会研究報告第60号「事業承継支援マニュアル」を公表した。

本研究報告は、平成23年10月11日に公表された経営研究調査会研究報告第45号「事業承継支援マニュアル」の見直しであり、事業承継を取り巻く環境が厳しさを増す中、経営者保証ガイドラインの制定、民法や会社法の改正、相続税・贈与税の納税猶予制度の改正等が行われており、これらに対応するため新たな経営研究調査会研究報告として取りまとめたものである。

本研究報告では、「事業価値源泉」に着目し、その分析と承継を軸として事業承継の進め方を示している。
最近では、事業承継の課題において単に税や資金調達など個別の問題だけではなく、中小企業の経営を強化し事業を継続・発展させることに注目が置かれているためより一層本研究報告の活用が期待される。
今回の見直しでは、更に増えつつある第三者売却に対応すべく対応する章の記述を充実させるとともに、実際に公認会計士が行う支援業務の具体例を追加している。

★リンクはこちら ⇒ 経営研究調査会研究報告第60号「事業承継支援マニュアル」の公表

2017年10月19日

『中小企業経営承継円滑法の申請マニュアル・申請様式の一覧』の更新 Edit

中小企業庁は、平成29年度より、事業承継税制・金融支援に係る認定・確認等の窓口が都道府県知事に委譲されたことに伴い、申請マニュアルの改訂を行った。

★リンクはこちら ⇒ 中小企業経営承継円滑法の申請マニュアル・申請様式の一覧(既に削除済み)

2017年9月27日

事業承継5ヶ年計画 Edit

中小企業庁は、中小企業経営者の高齢化の進展等を踏まえ、地域の事業を次世代にしっかりと引き継ぐとともに、事業承継を契機に後継者がベンチャー型事業承継などの経営革新等に積極的にチャレンジしやすい環境を整備するため、今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間とする「事業承継5ヶ年計画」を策定した。

<背景・経緯>
中小企業経営者の高齢化が進み、数十万者の中小企業が事業承継のタイミングを迎えようとしている。
しかし、今後5年間で30万以上の経営者が70歳になるにもかかわらず、6割が後継者未定であり、70代の経営者でも、事業承継に向けた準備を行っている経営者は半数にとどまる。
また、経営者の高齢化が進むと、企業の業績が停滞する可能性も高くなる。

中小企業庁はこうした現状を踏まえ、地域の事業を次世代にしっかりと引き継ぐとともに、事業承継を契機に後継者がベンチャー型事業承継などの経営革新等に積極的にチャレンジしやすい環境を整備すべく、今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間と定め、支援のあり方についてまとめた「事業承継5ヶ年計画」を策定した。

<事業承継5ヶ年計画の概要>
今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間とし、以下の観点から、支援体制、支援施策を抜本的に強化する。

  • 経営者の「気付き」の提供
    地域毎に、それぞれの支援機関がつながる事業承継プラットフォームを立ち上げ、事業承継診断等によるプッシュ型の支援を行い、事業承継ニーズを掘り起こす。
  • 後継者が継ぎたくなるような環境を整備
    資金繰り・採算管理等の早期段階からの経営改善の取組を支援する。また、早期承継のインセンティブを強化し、後継者や経営者による経営の合理化やビジネスモデルの転換など成長への挑戦を支援する。
  • 後継者マッチング支援の強化
    事業引継ぎ支援センターの体制強化や、民間企業との連携により、小規模M&Aマーケットを整備する。
  • 事業からの退出や事業統合等をしやすい環境の整備
    サプライチェーンや地域における事業承継、事業再編・統合を促進し、中小企業の経営力強化を後押しする。
  • 経営人材の活用
    次期経営者候補やアドバイザーとして、経営スキルの高い外部人材を活用しやすい環境を整備する。

★リンクはこちら ⇒ 中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)

2017年7月13日

平成29年度予算「事業承継ネットワーク構築事業(全国事務局事業)」に係る地域事務局の決定

平成29年度予算「事業承継ネットワーク構築事業」では、地域における事業承継支援体制の強化に向けて、各都道府県に拠点を置く支援機関等による、地方自治体等と連携した、地域における事業承継支援のためのネットワーク(事業承継ネットワーク)の構築に取り組む。

この度、都道府県や地域の支援機関等と連携して事業承継支援の中核を担う「地域事務局」を19の県において採択した。

なお、我がうどん県も入っており(採択事業者は、(公財)かがわ産業支援財団)、19県のうち3県が四国である。

★リンクはこちら ⇒ 平成29年度予算「事業承継ネットワーク構築事業(全国事務局事業)」に係る地域事務局を決定しました

2017年6月7日

事業承継に関するパンフレット『会社を未来につなげる-10年先の会社を考えよう-』

中小企業庁は、中小企業の皆様の営む事業をしっかりと次世代に引き継いでいただけるよう、事業の見える化・磨き上げ、そして来たるべき事業承継に向けた準備を分かりやすく解説したパンフレットを作成した。

会社を未来につなげるために、経営の見える化・磨き上げに取り組むことが重要である。
自社の経営状況を客観的に把握し、10年先を見据えた本業の強化に着手しよう。
また、10年後に事業運営を担うのは誰か、を考えることも必要である。
経営者の皆様の年齢・状況によっては、その間に事業承継のタイミングを迎えるかもしれない。
後継者の確保と育成、資産やノウハウの承継には時間がかかる。
60歳を目安に、事業承継に向けた準備にとりかかろう。

このパンフレットでは、見える化・磨き上げに向けた具体的な取組や、事業承継の進め方について紹介している。

10年先を見据えて会社を未来につなげていくために、ぜひ活用しよう。

★リンクはこちら ⇒ 事業承継に関するパンフレット『会社を未来につなげる-10年先の会社を考えよう-』

2017年4月18日

事業承継マニュアル』の公表

中小企業庁は、中小企業の皆様の営む事業をしっかりと次世代に引き継いでいただけるよう、事業承継計画の立て方や後継者の育成方法、その他事業承継に伴う課題と対策について分かりやすく解説した「事業承継マニュアル」を作成した。

なお、紙媒体での配布は行っていない。

中小企業経営者の皆様に円滑な事業承継を実現していただくために、中小企業庁は平成28年12月、「事業承継ガイドライン」を10年ぶりに改訂し、公表した。
この度、同ガイドラインの内容を踏まえ、

  • 事業承継計画の立て方
  • 後継者の育成方法
  • 経営権の分散防止や税負担、資金調達等の課題への対策

等についてわかりやすくまとめた「事業承継マニュアル」を作成した。

円滑な事業承継の実現のために、是非活用のこと。

★リンクはこちら ⇒ 事業承継マニュアル

2017年4月12日

事業承継税制の適用を受けようとしている方又は、事業承継税制の適用を受けている方へ

平成29年4月1日から、非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例の適用を受けようとしている方、又は、適用を受けている方で、 相続税又は贈与税の申告書・納税猶予の継続届出書等に添付して提出する 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則」に基づく認定・確認及びそれに係る申請書・報告書の提出に関する窓口が、各地の経済産業局から都道府県に変更となる。

★リンクはこちら ⇒ 事業承継税制の適用を受けようとしている方又は、事業承継税制の適用を受けている方へ

2017年2月22日

事業承継ガイドライン

中小企業庁は、中小企業経営者の高齢化の進展等を踏まえ、円滑な事業承継の促進を通じた中小企業の事業活性化を図るため、事業承継に向けた早期・計画的な準備の重要性や課題への対応策、事業承継支援体制の強化の方向性等について取りまとめた「事業承継ガイドライン」を策定した。

<背景・経緯>
中小企業経営者の高齢化が進み、今後5年から10年程度で、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えようとしている。
中小企業に蓄積されたノウハウや技術といった価値を次世代に受け継ぎ、世代交代によるさらなる活性化を実現していくために、円滑な事業承継は極めて重要な課題である。
そこで、中小企業庁では近年の中小企業を取り巻く状況の変化を踏まえた事業承継のあり方を議論する場として、「事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会」および「事業承継ガイドライン改訂小委員会」を開催し、具体的検討を経て、この度、「事業承継ガイドライン」として取りまとめた。

<事業承継ガイドラインの概要>
本ガイドラインの主な内容は、以下の3点である。
(1)事業承継に向けた早期・計画的な取組の重要性(事業承継診断の導入)
(2)事業承継に向けた5ステップの提示
(3)地域における事業承継を支援する体制の強化
中小企業経営者の皆様や、経営者の身近な存在として活動されている団体や金融機関等の支援機関の皆様に、本ガイドラインを参考にしていただき、価値ある事業をしっかりと次世代へ承継していただくことを期待している。

★リンクはこちら ⇒ 事業承継ガイドライン

2016年12月8日

「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律(承継円滑化法)」の施行

2015年8月21日に第189回通常国会にて成立、同28日に公布された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律(承継円滑化法)」が2016年4月1日に施行された。
本法律は、事業承継の円滑化を図るため、経営承継円滑化法における遺留分特例制度の対象を親族外へ拡充することや、小規模企業共済制度における親族内承継等の共済金引上げ等の措置を講じている。

<法律の背景・目的>
事業承継の形態が多様化し、20年前は親族内承継が9割だったが、近年は親族外承継が約4割と増加傾向となっている。また、中小企業基本法等で掲げられた「事業承継の円滑化」を促進し、中小企業・小規模事業者の持続的発展を図る必要がある。
こうした状況を踏まえ、中小企業・小規模事業者の事業承継を円滑化するための措置を講じ、中小企業・小規模事業者の持続的発展を図る。

<法律の概要>
●中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)の一部改正
(1)遺留分特例制度の対象を親族外へ拡充
対象が親族内承継に限定されている遺留分特例制度()について、親族外承継の際にも適用できるよう、制度を拡充した。
()
後継者が、経営者から贈与を受けた株式について、事前に後継者以外の親族と合意し、経済産業大臣の確認を受けることにより、遺留分放棄の法的確定に係る家庭裁判所の申請手続を単独で行うことが可能となる制度。
(2)独立行政法人中小企業基盤整備機構による事業承継サポート機能の強化
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」。)が、事業承継に係る計画的な取組を後押しするため、経営者、後継者等に対して必要な助言等のサポートを行えるようになった。

●小規模企業共済法の一部改正
個人事業者や会社等の役員が、廃業・退職後の生活の安定等を図るための資金として積み立てを行う小規模企業共済制度を見直した(中小機構が実施)。
(1)小規模企業者の事業承継の円滑化
小規模企業者の事業承継の円滑化を図るため、個人事業者が親族内で事業承継した場合や65歳以上の会社役員が退任した場合の共済金を引き上げた。
(2)小規模企業者の経営状況に応じた掛金の柔軟化
小規模企業共済制度の利便性向上を図るため、掛金の変更を柔軟にした。

●独立行政法人中小企業基盤整備機構法(中小機構法)の一部改正
(1)中小機構による事業承継サポート機能の強化(再掲)
(2)中小機構による「申込金」に係る金融機関への委託業務の廃止
共済加入時の「申込金」を手続き面の簡素化の観点から廃止した。

★リンクはこちら ⇒ 承継円滑化法が本日施行されました

2016年4月13日

中小企業税制パンフレット

地域の経済と雇用を支えているのは中小企業の皆様である。
こうした中小企業を応援する、様々な税制上の措置が用意されている。
製造業の方が新しい設備を入れて、生産性を上げようとする場合、商業、サービス業の方が自店の魅力向上を図るための投資を行う場合、新規事業開拓のために試験研究をする場合、 後継者へ経営のバトンタッチ(事業承継)を行う場合など、企業活動の様々な局面に応じて使える税制が用意されている。

本パンフレットでは、中小企業の皆様に、代表的で、使ってお得な税制措置について、具体的な内容のポイントについて解説している。
「税制は難しいから・・・」と敬遠せず、経営上の課題の解決や経営戦略に応じて、上手に活用していただきたい。

★リンクはこちら ⇒ 中小企業税制パンフレット

2014年3月28日

新・事業承継税制

平成25年度税制改正において事業承継税制(非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度)の適用要件等が見直されることになった。

中小企業庁のホームページで、平成27年1月施行の新しい事業承継税制について情報提供を行っている。

★リンクはこちら ⇒ 新・事業承継税制について

2013年10月11日

事業承継税制の制度改正(平成27年1月施行)

平成25年度税制改正において事業承継税制(非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度)の適用要件等が見直されることになった。

中小企業のホームページでは、平成27年1月施行の新しい事業承継税制について情報提供をしている。

リンクはこちら ⇒ 事業承継税制の制度改正(平成27年1月施行)

2013年7月31日

事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)(一部改訂)

中小企業庁が、事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)を一部改訂した。

平成25年4月1日に施行された中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改訂する省令(平成25年経済産業省令第18号)により、経済産業大臣の事前確認手続が事業承継税制の適用の前提となる認定の要件から外れることになった。
これに伴い、平成25年4月1日以後に経済産業大臣に認定申請する申請者は、事前確認を受けなくても申請が可能となる。
このため、(2)「事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度」(税制版)が一部改訂となった。

これまで、事業承継円滑化のための支援策等を説明した「中小企業事業承継ハンドブック29問29答」を作成し、提供してきたが、今回、支援策毎に、そのポイントを簡潔に説明した以下の4種類の小冊子を作成していた。
(1)『大切な会社の将来のために』~円滑な事業の承継に向けて~(全体版)
(2)『事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度』(税制版)
(3)『事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例』(民法特例版)
(4)『事業承継における融資・保証制度』(金融版)

事業承継に関する支援策の内容を短時間で把握したい方、「中小企業事業承継ハンドブック29問29答」を読まれる前にまず簡単に概要を把握したい方、経営者の方で事業承継をどの様に進めたら良いのかお悩みの方などにご利用いただきたい。

事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)(一部改訂)

2013年4月19日

事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)

中小企業庁は、これまで、事業承継円滑化のための支援策等を説明した『中小企業事業承継ハンドブック29問29答』を作成し、提供していたが、今回、支援策毎に、そのポイントを簡潔に説明した以下の4種類の小冊子を作成した。

  1. 『大切な会社の将来のために』~円滑な事業の承継に向けて~(全体版)
  2. 事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度』(税制版)
  3. 事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例』(民法特例版)
  4. 事業承継における融資・保証制度』(金融版)

事業承継に関する支援策の内容を短時間で把握したい方、『中小企業事業承継ハンドブック29問29答』を読む前にまず簡単に概要を把握したい方、経営者の方で事業承継をどの様に進めたらいのかお悩みの方などにご利用いただきたい。

事業承継に関する支援策を紹介する分かりやすいリーフレット(4種類)

2012年10月12日

事業承継のリスク

事業承継には、以下の3つのリスクがある。

  • 事業存続リスク
    現経営者に頼るところが大きくいなくなると経営ができない、後継者が役員や従業員と上手く行かず反対勢力が生まれたり退職者が出る、金融機関や取引先の信頼関係が崩れるなど。
  • 争族リスク
    相続人間の経営権や財産を巡る争いなど。
  • 納税リスク
    相続税に加え加算税や延滞税が発生したり、借入で納税することによる返済が負担になったり、会社から借り入れると財務内容が悪化したりするなど。

2012年4月12日

事業承継とは?

事業承継とは、企業の現経営者が後継者に事業を承継させることをいう。

事業承継の目的は、以下の2つである。

  • 事業を存続させ、発展させる
  • 経営者一族の資産を保全し、繁栄させる

事業承継の方法は、以下の3つプラス1つである。

  • 親族内の後継者への承継
  • 役員・従業員や外部から招いた経営者への承継
  • M&A
  • 廃業

2012年3月21日