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事務所通信 アーカイブ - 15ページ目 (17ページ中) - 棚卸、事業承継、M&A・組織再編、贈与・相続などのコンサルティングが中心の國村公認会計士事務所・株式会社Your Partner(香川県高松市木太町)
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事務所通信2013年12月

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2013年12月号 『借用書の印紙税

 早いもので、今回でNo.30を迎えました。
 最近、猪瀬東京都知事の借用書が話題になっていますが、印紙が貼られていないのが税理士としては気になりました。
 そこで、今回は、『借用書の印紙税』について書きたいと思います。

1.印紙税の概要
 印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金です。
 印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付します。
 例えば、「不動産売買契約書」、「工事請負契約書」、「売上代金の領収書」などは、その文書に記載されている金額に応じて納める印紙税額が異なるので、注意が必要です。

2.印紙を貼らなかったら
 印紙税が課税される文書の作成者が、印紙税を納付しなかったときは、たとえ印紙税が課税されることを知らなかったり、収入印紙を貼り忘れた場合であっても、納付しなかった印紙税の額の3倍(収入印紙を貼っていないことを自主的に申し出たときは 1.1倍)の過怠税が課税されます。
 また、文書に貼り付けた収入印紙に所定の方法で消印をしなかったときは、その消印しなかった収入印紙の金額と同額の過怠税が課税されます。
 なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費に算入されません。

3.印紙を間違って貼ったら
 印紙税を納付する必要がない文書に誤って収入印紙を貼って印紙税を納付したり、印紙税として定められた金額を超えた収入印紙を文書に貼って印紙税を納付した場合には、その文書を過誤納となったそのままの状態で所轄税務署に持参し、一定の手続をとることによって、印紙税の還付を受けることができます。
 なお、収入印紙は国の各種手数料の納付などにも使用されますが、これらの納付のために誤って収入印紙を貼った場合などは、印紙税の還付の対象にはなりません。

4.借用書の印紙税
 借用書は、前述の「印紙税額一覧表」によると、第1号文書『消費貸借に関する契約書』に該当します。
 猪瀬東京都知事の場合、記載された契約金額が、5,000万円なので、印紙税額は2万円となり、印紙を貼っていない場合、6万円の過怠税が必要となります。

5.最後に
 ちなみに、①税務代理、 ②税務書類の作成、③税務相談は税理士の独占業務とされており、税理士でないものが他人の求めに応じてこれらの業務を業として行うことは、有償・無償を問わず法律で禁止されていますが、印紙税登録免許税、自動車重量税、関税などは対象外になっています。
 以前も書きましたが、印紙税は文書に対して課税されるため、一般的に、電子メールやFAXなどの電子データで送付された電子的契約書に対しては課税されないとされており、文書と電子データで印紙税がかかったり、かからなかったりするのです。
 そもそも何に税金がかかっているのかよく分かりませんし、金額を書くかどうか、文書か電子データかなどで税額が異なることに対して違和感を感じます。
 早く廃止して欲しいですね。

2013年12月4日 國村 年

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事務所通信2013年11月

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2013年11月号 『復興特別法人税

 2012年度から2014年度まで、復興特別法人税というものが課されているのをご存じでしょうか。
 最近では、2013年度で廃止されるという話しも出ていますが、おそらく、ご存じでない方が多いのではないでしょうか。
 そこで、今回は、『復興特別法人税』について書きたいと思います。

1.概要
 この制度は、法人の各事業年度の所得の金額に対する法人税の額に10%の税率を乗じて計算した復興特別法人税を、法人税と同じ時期に申告・納付することとされているものであり、利子など一定の所得に課された復興特別所得税の額などがある場合には、所定の金額を控除した後の金額を納付することとされています。

2.課税事業年度
 復興特別法人税の課税の対象となる事業年度は、一定の場合を除き、法人の平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度とされています。
 しかしながら、2年間で廃止になるとの話しも出ています。

3.申告及び納付
 法人は、各課税事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、税務署長に対し、復興特別法人税申告書を提出しなければなりません。
 ただし、課税標準である課税標準法人税額がない場合には、復興特別法人税申告書を提出する必要はありません。
 復興特別法人税の額があるときは、復興特別法人税申告書の提出期限までに、その復興特別法人税を国に納付する必要があります。
 具体的には、申告書も納付書も法人税とは別となっているのです。

4.落とし穴
 上記のとおり、課税標準である課税標準法人税額がない場合には、復興特別法人税申告書を提出する必要はありません。
 ただし、法人税額が零円と計算され法人税の確定申告書を期限内に提出したものの、復興特別法人税の確定申告書は提出していない場合に問題が生じることがあります。
 税務調査により確定申告額が過少であったことが判明し、法人税の修正申告書を提出するとともに、復興特別法人税の期限後申告書を提出すると、無申告加算税(期限後申告により納付すべき税額に15%の割合(その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより決定があるべきことを予知してされたものでないときは、5%)を乗じて計算した金額)が課されることになってしまうのです。
 よって、復興特別法人税がかからなくても、復興特別法人税申告書を提出しておきましょう。

5.最後に
 税理士として申告業務を行っていても、復興特別法人税申告書を別途作成したり、納付書も別途用意したりするのは非常に手間だと感じます。
 いつも、法人税の申告書や納付書と合わせてくれれば良いのに思ってしまいますね。
 早く廃止されることに越したことはないのですが、無申告加算税が課されないように注意したいものですね。

2013年11月26日 國村 年

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事務所通信2013年10月

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2013年10月号 『ミラサポ』

 中小企業庁が、中小企業・小規模事業者の未来をサポートする『ミラサポ』というサイト (https://www.mirasapo.jp/) を開設しているのをご存じでしょうか。
 おそらく、ほとんどの方がご存じないのではないでしょうか。
 そこで、今回は、『ミラサポ』について書きたいと思います。

1.概要
 中小企業庁は、2013年7月末から、支援ポータルサイト『ミラサポ』を「お試し版」として開設・運用してきました。
 開設から約2か月半で、アクセス数約20万件、ユーザー登録数約1.6万件を達成していますが、先日、これまでにユーザーから寄せられた意見なども踏まえ、「本格版」の運用を開始しました。

2.『ミラサポ』の主な機能
 『ミラサポ』の主な機能としては、以下のようなものがあります。

 ①   施策情報提供 
 ②   コミュニティ機能 
 ③   専門家相談 

 ①ですが、国や公的機関の施策情報を分かりやすく提供しています。

 ②ですが、中小企業・小規模事業者等のユーザーが先輩経営者や専門家と情報交換ができるコミュニティを提供しています。
 ユーザーが自らの課題に応じて、新たなコミュニティを作ることもできます(10/15現在、195開設)。

 ③ですが、分野ごとの専門家データベースが整備されており、ユーザーが自らの課題に応じた専門家を選択し、オンライン上で派遣を依頼することができます。
 ちなみに、私も、『ミラサポ』の専門家として登録されています。

3. 「本格版」のポイント

 ①   サイトの構造やレイアウトの改良 
 ②   コミュニティ機能の活用促進のための「グッド・ビジネス・アワード」の実施 
 ③   機能拡充やコンテンツの充実 

 ①は、ユーザーの利便性の向上の観点から、トップ画面でサイト全体の主要コンテンツを一覧できるようにし、補助金等の施策や『ミラサポ』を有効活用したビジネス等の実例を紹介するエリアを設置するなど、サイトの構造やレイアウトを改良しました。

 ②は、コミュニティ機能の活用を促進するため、「グッド・ビジネス・アワード」を実施するというものです。
 サイト上でビジネス・アイディアを募集し、優れたものに対して、コミュニティ機能を活用して、ビジネスパートナーとのマッチング等の機会を提供します。
 新たなビジネス創出につながる特に優れた取組については、表彰等を通じて幅広い周知広報を支援します。

 ③は、創業補助金の申請に当たり、『ミラサポ』からの電子エントリーを受け付けるなど、引き続き、ユーザーが使いやすい機能の拡充や施策情報等のコンテンツの充実を図っていくというものです。

4.最後に
 私自身、『ミラサポ』を使いこなせていませんが、無料で会員登録をすると、コミュニティに参加したり、サポートツールや専門家派遣が無料で利用できたり、補助金の電子エントリーができたり、興味・関心に合った情報がレコメンドされます。
 これは、使わない手はないですね。

2013年10月24日 國村 年

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事務所通信2013年9月

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2013年9月号 『50歳になるあなたが親と相談するとき 最初に読む相続の本』

 2か月近く経ちましたが、2013年8月6日に中央経済社から『50歳になるあなたが親と相談するとき 最初に読む相続の本』を出版しました。
 前職の後輩3人と4人で書いた本です。
 そこで、今回は、『50歳になるあなたが親と相談するとき 最初に読む相続の本』について書きたいと思います。

1.この本の特徴
 相続の本は、本屋さんに行くとたくさん並んでいますが、以下のような特徴のある本となっています。

  • きっかけ作り
     一般的になかなか切り出しにくい、デリケートな問題である相続について、きっかけとなるようなトピック・話題を掲載しています。
  • 図やイラストの多用
     とっつきにくい相続関係の必要な情報・知識について少しでも分かりやすくするため、重要なものについては、できるだけ図やイラストを使って、専門用語を使用せず解説しています。
  • 相続短歌
     各項目で、親に想いを伝える短歌を詠んでいます。
     まずはここから読むのも面白いかもしれませんね。
  • 平成25年度税制改正に対応
     相続税が増税される平成25年税制改正に対応しています。
     平成27年から相続税が増税になりますので、事前の準備が必要です。

2.争族について
 相続をきっかけに親族間で争い(いわゆる争族)が起こったり、借金を相続してしまったり、相続にトラブルは付きものです。
 トラブルに巻き込まれるのは、お亡くなりになる親御さんではなく、遺されるお子さんなのです。
 しかしながら相続のトラブルは、事前に準備をしておけば回避することもできます。
 よって、親御さんからではなく、お子さんから相続の話しを切り出し、準備を主導していくべきと考えています。
 この本は、そのために知っておくべきことについて書いています。

3.最近の出版状況
 最近、会計事務所向けのメルマガを読んでいると、出版のことを書いているものを結構目にします。
 執筆する人はいるのですが、お金を払って自分の名前を載せてもらうとものです。
 執筆する人にとっては印税以外にも収入が入り、名前を載せてもらう人は書いてもいないのに書いたかのように見せることができ、両者の利害が一致します。
 僕自身は、このような行為には疑問を感じますので、絶対にしないですね。
 もちろん、この本は、自分たちで苦労して書いていますよ。

4.最後に
 うちは財産が少ないから相続税はかからないので相続は関係ないと思っている方がたくさんおられますが、相続税がかからなくても、遺産分割は必要なのです。
 実は、相続でモメるのは、お金持ちではなく、遺産が少ない方のほうが圧倒的に多いのです。
 そろそろ相続について、身近な問題として考えてみませんか?

2013年9月27日 國村 年

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事務所通信2013年8月

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2013年8月号 『経営革新等支援機関』

 2013年8月15日付けで、四国経済産業局長及び四国財務局長名の連名により経営革新等支援機関として認定されました。
 よって、今回は、『経営革新等支援機関』について書きたいと思います。

1.経営革新等支援機関の認定制度とは?
 多様化・複雑化・専門化する経営課題を抱える中小企業が安心して経営相談等が受けられるために、専門的知識や実務経験が一定レベル以上の方に対し、中小企業経営力強化支援法に基づき国が認定する仕組みです。
 公認会計士等が認定されています。

2.経営革新等支援機関の活用
 経営革新等支援機関の関与を受けることで以下のような制度などを利用できます。

  • 認定経営革新等支援機関による経営改善計画策定支援
     借入金の返済負担等の影響による財務上の問題を抱えており、自ら経営改善計画等を策定することが難しいものの、支援を受けることにより、金融機関からの支援が見込める中小企業・小規模事業者につき、経営改善計画策定等支援に係る費用のうち2/3(最大2百万円)が補助されます。
  • 経営支援型セーフティネット貸付
     経営環境の変化等による一時的な業況悪化への対応を行う中小企業者に対し、日本政策金融公庫が設備資金及び運転資金(720百万円か48百万円が上限)を基準金利-0.4%で融資を行うものです。
  • 中小企業経営力強化資金融資
     創業又は経営多角化・事業転換等による新たな事業活動への挑戦を行う中小企業・小規模事業者に対し、日本政策金融公庫が設備資金及び運転資金(720百万円【中小か72百万円)を融資するものです。
  • 商業・サービス業・農林水産業活性化税制
     商業・サービス業等の事業者が店舗改装など経営改善に資する設備投資を行った場合、税制措置を受けることができます。
     青色申告書を提出する個人事業者又は資本金1億円以下の中小企業等で指定された事業を営む者が対象で、器具及び備品(1台30万円以上)又は建物付属設備(1台60万円以上)であれば、7%の税額控除又は30%の特別償却を受けることが出来ます。
  • 地域需要創造型起業・創業促進補助金
     新たに起業・創業や第二創業を行う女性及び若者に対して事業計画を募集し、計画の実施に要する費用の一部を助成することで地域需要を興すビジネス等を支援するものです。次回は平成25年9月に第3次公募が開始される予定です。
     上限は地域需要創造型起業・創業は200万円(補助率2/3)、第二創業は500万円(同2/3)、海外需要創造型起業・創業は700万円(同2/3)となっています。
  • 中小企業経営力強化保証
     経営改善に取り組む場合に保証料を減免(概ね▲0.2%)し、金融面だけでなく、経営状態を改善する取組をサポートします。
     保証限度額は2億8千万円で、保証割合は原則80%です。

3.最後に
 経営革新等支援機関の支援を受けることにより、保証料が安くなったり、補助金を受けることができます。
 補助金の採択率も通常の補助金よりかなり高く、非常に有益なものばかりですので、活用を検討してみてはいかがですか。

2013年8月23日 國村 年

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事務所通信2013年7月

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2013年7月号 『路線価の推移』

 早いもので、2011年7月1日に独立開業して2年が経ち、2013年7月1日に開業3年目を迎えました。
 これもひとえに皆さまのおかげだと思っております。
 今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

 さて、2013年7月1日に、国税庁から平成25年分の路線価が公表されました。
 路線価とはどのようなものかということについては、ちょうど1年前の事務所通信2012年7月号(No.13)で書きましたので、今回は、『路線価の推移』について書きたいと思います。

1.路線価とは?
 路線価とは、通常7月に国税庁によって公表されるその年の1月1日における路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額(千円単位で表示)のことです。
 路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。

2.日本の最高路線価
 日本で最も路線価が高いのは、東京都中央区銀座5丁目中央通りの鳩居前で、2,152万円となっています。
 ここは、ピークは1992年の3,650万円だったことから、当時の水準の60%弱になっています。
 また、最近のピークであるリーマン・ショック前の2008年の3,18万円と比べると、70%以下の水準になっています。

3.香川県の最高路線価
 香川県で最も路線価が高いのは、香川県高松市兵庫町の中央通りで、31万円となっています。
 香川県は、ピークは1992年の445万円だったことから、なんと当時の水準の7%弱になっています。
 また、最近のピークであるリーマン・ショック前の2008年の44万円と比べると、70%強の水準になっています。

 香川県についてもっと詳しく見てみると、1992年の445万円という数値は、全国で19位でした。
 しかしながら、2013年は全国で28位となっています。
 ちなみに、香川県の最高路線価は、21年連続下落しています。つまり、ピークの1992年からずっと下落し続けています。

 全国の最高路線価を見てみると、長崎県(75万円)、熊本県(117万円)、鹿児島県(81万円)、沖縄県(55万円)など、九州が高いところが多いような感じがしますね。
 香川県の路線価が大幅に下落しているのは、線引き制度の廃止がかなり影響していると考えられます。
 線引き制度とは、市街化区域と宅地造成などを抑制する市街化調整区域を分ける線引き制度のことであり、2004年に香川県は全国で初めて県レベルで廃止しました。

4.最後に
 土地を持っている方は、路線価は相続税額に影響を及ぼしますので、路線価が下がることは相続税額が減るという面では良いことかもしれませんが、資産価値としては下がっているので悩ましい問題ですね。
 アベノミクスの結果によっては、来年以降の路線価は上昇に転ずる可能性もあり、もうすぐお盆ですので、路線価を確認し、相続や資産運用について考える良いタイミングかもしれませんね。

2013年7月24日 國村 年

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事務所通信2013年6月

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2013年6月号 『税務調査』

 先月、顧問先の税務調査があり、2日間税務調査に立ち会ってきました。
 今年から税務調査の手続きが変わっていますが、変わってから初めての税務調査の立会いで、結果は、指摘事項なしでした。
 そこで、今回は、『税務調査』について書きたいと思います。

1.税務調査とは? 
 税務調査とは、国税が質問検査権という権利を行使することです。
 質問検査権ついては、会社等には、調査を受けなければならない義務がありますので、税務調査をしたいと国税が言ってきたら、調査を拒否することはできないのです。
 税務調査には、以下の3つがあります。

 ①   課税処分のための調査(任意調査) 
 ②   滞納処分のための調査 
 ③   犯則事件のための調査(強制調査) 

2.税務調査の留意点
 税務調査における留意点を書きます。

 税務調査では、税理士法により、税理士以外の人が代理人として税務に関して主張することはできません。
 よって、通常は、顧問税理士が税務調査に立会います。顧問税理士がいない場合、取引銀行などに税理士を紹介してもらうと良いでしょう。


 税務調査は、原則として、事前に国税側から税務調査に行く旨の連絡があります。
 疑問を感じる点ではありますが、書面ではなく口頭です。
 また、日時を指定してきますが、立会人の都合も含めて都合が悪ければ、その旨を伝えると、都合の良い日に変えてくれます。
 事前に通知がない場合もありますが、任意調査であれば、いったん断わり、顧問税理士に連絡のうえ、都合の良い日を調整して調査日程を決めましょう。


 連絡があってから、税務調査が行われるまでは時間がありますので、書類などを確認し、不要なものや税務調査の対象となっていないもの(例えば、法人の調査で法人の金庫に保管している社長個人の通帳など)は、整理しておきましょう。


 税務調査では、質問されますが、聞かれたことだけ答えるようにしましょう。
 緊張のあまり必要以上のことしゃべり、指摘事項が増えることも多々あります。
 また、何気ない雑談でも、先方は何か探っています。


 分からない場合には、適当に答えるのではなく、「分かりません。」と言えばいいですし、調べれば分かるのであれば、「調べてから答えします。」と言えば大丈夫です。


 先方が文書を作成して、確認の署名と印鑑を求めてくることがあります。
 このような場合、署名・捺印をする義務はありませんので、基本的に断りましょう。
 署名・捺印するとしても、立会人に相談してからにしましょう。
 おそらく、調査官が十分な証拠を入手できていないので、署名・押印させているのでしょうから。


 税務調査においては、誰が、どのような質問をし、どのような調査をしたのかをきちんとメモしておきましょう。

3.最後に
 税務調査に慣れている方はあまりいないと思いますので、通常の心境で対応することはなかなか困難と言えるでしょう。
 そのような場合には、事前に留意点を把握しておけば、かなり落ち着くはずです。
 また、そう持って行くのも立ち会う税理士の役目ですし、悪い方向に行きそうなときにフォローするのが税理士ですので。

2013年6月21日 國村 年

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事務所通信2013年5月

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2013年5月号 『動産担保融資』

 最近、動産担保融資のことが、新聞などによく載っています。
 金融機関は、従来から、不動産を担保にとったり、保証人をつけたりして融資を行なってきました。ただ、不動産の価値が下がったり、不動産を持たざる経営になってきたり、保証人制度の見直しが検討されたり、金融機関も新たな方法で融資せざるをえなくなってきています。
 そこで、今回は、『動産担保融資』について書きたいと思います。

1.担保の現状
 現在、金融機関の融資の担保は、不動産担保が中心です。
 金融庁の資料によると、地域金融機関の場合、融資の担保の9割超が不動産担保のようです。また、我が国企業の保有資産の状況(平成23年度財務省「法人企業統計調査」)は、土地が186兆円に対し、在庫と売掛金の合計は297兆円もあるそうです。
 動産・売掛金担保は、あまり活用されていないのが現状といえるでしょう。

2.動産担保融資とは?
 動産担保融資とは、企業が保有する動産を担保とする融資のことであり、ABL(Asset Based Lending、動産・売掛金担保)の一種です。
 中小企業等が経営改善・事業再生等を図るための資金はもとより、新たなビジネスに挑戦するための資金を確保することが目下の重要な課題であり、動産担保の一層の活用が図られれば、このような資金がより円滑に確保され、中小企業等の経営改善や事業の拡張等に資することが期待されます。

3.金融検査マニュアルの運用明確化
 金融検査マニュアルが改定され、ABLに関することが織り込まれています。
 例えば、「自己査定基準」には、担保掛け目を盛り込む必要があるため、「動産・売掛金担保」の標準的な掛け目の水準が新たに記載されています。
ちなみに、動産担保は評価額の70%、売掛金担保は80%となっています。

4.動産担保の具体例
 動産担保の具体例としては、例えば、鹿児島銀行は、牛と豚が担保の融資残高は約170億円にのぼるそうです。
 また、みちのく銀行は、1万トンのリンゴを担保に約4億円の融資をしているようです。また、これ以外にも、米や日本酒、冷凍ホタテを担保にした融資を積極的に手掛けているようです。
 さらに、動産担保融資は地方の話しだけではなく、三菱東京UFJ銀行など9行が、東京の銀座に店を構える中古ブランド品販売店のブランド品を担保に30億円の融資枠を設定しているようです。

5.最後に
 本来、金融機関は、不動産担保をとったり、保証人をつけるのではなく、将来のキャッシュ・フローを担保に融資をすべきだと思いますが、残念ながら、それを見極めることができていないのが現状です。
 金融機関は融資をビジネスとしているのに、非常に疑問を感じます。
 その点、動産担保融資は、将来的にキャッシュ・フローを生むはずのものを担保に融資するわけですから、少しは進歩したということでしょうか。
 早く将来のキャッシュ・フローを担保に融資する時代が来て欲しいものですね。

2013年5月21日 國村 年

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2013年4月号 『節税と脱税と租税回避』

 最近、自民党議員の迂回寄付の記事が新聞紙上を賑わせています。
 議員から政党支部への寄付、政党支部から後援会や資金管理団体への寄付というそれぞれの行為は問題ないかもしれません。
 ところが、一連の行為を見ると、議員から後援会や資金管理団体への寄付と考えられ、租税回避行為であると思われます。
 そこで、今回は、『節税と脱税と租税回避』について書きたいと思います。

1.政党等寄附金特別控除制度
 個人が平成26年12月31日までに支払った政党または政治資金団体に対する政治活動に関する寄附金で一定のものについては、支払った年分の所得控除としての寄附金控除の適用を受けるか、または以下の算式で計算した金額(その年分の所得税額の25%相当額が限度)について税額控除の適用を受けるか、いずれか有利な方を選択することができます。

(その年に支払った政党などに対する寄附金の合計額―2,000円)×30%

 ただし、「その年に支払った政党などに対する寄附金の合計額」は、総所得金額等の40%相当額が限度とされています。
 ここで、「一定のもの」とは、政治資金規正法に規定する政党及び政治資金団体に対する政治活動に関する寄附(同法の規定に違反することとなるもの及びその寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるものを除く。)で、政治資金規正法の規定による報告書により報告されたものをいいます。

2.節税
 合法的に、異常な行為形式を用いず、税負担を軽減することを言います。
 使えば得、使わないと損というものです。
 税理士にとって、腕の見せ所でしょう。
 税金を削減できるものと課税の繰り延べ、キャッシュ・アウトを伴うものとそうでないものの4つの組み合わせがあります。 

    課税の繰延   税金の削減 
 キャッシュ・アウトを伴う   ケース1   ケース2 
 キャッシュ・アウトを伴わない   ケース3   ケース3 

3.脱税
 違法な方法で税負担の軽減を図ることを言います。
 やってはいけないことで、税務調査等で明らかになると、ペナルティが課されます。
 税理士は、脱税の手助けはしません。

4.租税回避
 法律上、定義があるわけではなく、一般的に、以下のようなものであると言われています。

 ①   異常な行為形式を利用し、 
 ②   通常の行為形式を利用するのと同様の経済的効果を得ながら、 
 ③   税負担を軽減すること 

 合法的な行為であり犯罪ではありませんが、これを認めると納税者間で著しく不公平なため、認められないというものです。
 実際には、租税回避に該当するかという判断は難しく、税法に具体的に租税回避の例が規定されているわけではなく、結局、租税回避かどうかという判断は、国税局や税務署や裁判所が行うことになります。
 拠り所としては、通常行う行為であれば『節税』、通常行わない行為であれば『租税回避』となるでしょう。

5.最後に
 記事を見るたび、このような人たちに政治を任せておいて良いのか不安になります。
 また、民主党と異なり、税制改正が公な場ではなく、閉ざされた場で検討されており、自分たちに都合の悪い税制改正が行われると思われません。
 公な場で議論して欲しいものです。

2013年4月19日 國村 年

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事務所通信2013年3月

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2013年3月号 『平成25年度税制改正法人税ほか編~』

 平成25年1月24日に、平成25年度税制改正大綱が公表されました。
 基礎控除額の見直し、税率構造の見直し、相続時精算課税制度の適用要件の見直し、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の見直し、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置など相続税・贈与税に関する改正に注目が集まっていますが、法人に関するものも、該当する企業にとっては影響の大きい改正があります。
 そこで、今回は、『平成25年度税制改正~法人税ほか編~』について書きたいと思います。

1.国内設備投資を促進するための税制措置の創設(H25/4~H27/3)
 青色申告書を提出する法人が取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備で、その事業年度終了の日において有するものの取得価額の合計額が以下の①及び②の金額を超える場合において、その生産等設備を構成する資産のうち機械装置をその法人の国内にある事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の3%の税額控除との選択適用ができます。
 ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%が限度です(所得税も同様。)。

 ①   当期の償却費として損金経理した金額 
 ②   前事業年度において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備の取得価額の合計額の110%相当額 

2.企業による雇用・労働分配(給与等支給)を拡大するための税制措置の創設(H25/4~H28/3)
 青色申告書を提出する法人が国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その法人の雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であるとき(一定の場合に限る。)は、その雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができます。
 ただし、控除税額は、当期の法人税額の10%(中小企業者等は、20%)が限度です(所得税も同様。)。

3.中小企業等の経営改善に向けた設備投資を促進するための税制措置の創設(H25/4~H27/3)
 青色申告書を提出する中小企業等で経営改善に関する指導及び助言を受けたものがその指導及び助言を受けて行う店舗の改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等をして指定事業の用に供した場合には、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の7%の税額控除との選択適用ができます。
 ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%が限度で、控除限度超過額は1年間の繰越しができます(所得税も同様。)。

4.試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)の見直し
 試験研究費の総額に係る税額控除制度、特別試験研究費の額に係る税額控除制度、繰越税額控除限度超過額に係る税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度について、2年間の時限措置として、控除税額の上限を当期の法人税額の30%(現行20%)に引き上げます。
 また、特別試験研究費の範囲に一定の契約に基づき企業間で実施される共同研究に係る試験研究費等を加えます(所得税も同様。)。

5.雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)の拡大
 雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)について、税額控除限度額を増加雇用者数1人当たり40万円(現行20万円)に引き上げるほか、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲について所要の措置を講じます(所得税も同様。)。

6.交際費等の損金不算入制度における中小法人に係る損金算入の特例の拡大
 交際費等の損金不算入制度における中小法人に係る損金算入の特例について、定額控除限度額を800万円(現行600万円)に引き上げるとともに、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置(現行10%)を廃止します。

7.特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度等の制限対象の見直し(支配関係がH25/4~)

  • 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度について、対象となる特定資産の範囲に、特定適格組織再編成等を行った法人がその特定適格組織再編成等の日以前に行われた他の特定適格組織再編成等によりその法人と支配関係がある他の法人から移転を受けた一定の資産を加えます。
  • 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度について、支配関係がある法人間でみなし共同事業要件を満たさない適格合併等が行われた場合において引継ぎが制限される被合併法人等の欠損金及びないものとされる合併法人等の欠損金の範囲に、一定の金額を加えます。

8.土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置
 ここから以下は法人税でありませんが、法人に関するものとして挙げます。
 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年(平成27年12月31日まで)延長します。

9.不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置
 不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置について、その適用期限を5年延長した上、平成26年4月1日以後に作成される文書に係る税率を最高で6万円引き下げます。

10.金銭または有価証券の受取書(H26/4~)
 金銭または有価証券の受取書(いわゆる領収書)のうち記載された受取金額が5万円未満(現行3万円未満)だと、印紙税が課されません。

11.最後に
 新聞や雑誌などでよく取り上げられている相続税・贈与税を始め、平成25年度税制改正は増税のイメージがあります。
 しかしながら、法人税については減税方向なのです。
 現在、赤字企業が多い中、法人税額がベースとなっているものが多いので使えない企業も多いかもしれませんが、該当する企業にとっては非常にありがたい改正です。
 接待交際費もそれなりに影響はあるでしょう。
 登録免許税印紙税も1件当たりは少額だとしても、合計すると意外と多額になりますので、良い改正だと思われますね。

2013年3月28日 國村 年