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事務所通信2026年10月

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2026年10月号『KSK2とは?』

国税庁は、2026年9月24日に国税総合管理システムを更改しました(いわゆるKSK2への全面移行)。

そこで今回は、『KSK2とは?』について書きたいと思います。

1.KSK2とは?

国税庁の国税総合管理システム(いわゆるKSK)は、1995年から導入がスタートし、2001年から全国で運用されました。

今回、2026年9月24日からこれに代わる次世代システム(いわゆるKSK2)が本格導入されました。

2.更改の内容

  • 申告書等の様式が変わりました

一部の書面申告書や申請・届出書、法定調書の様式が新しくなりました。

なお、申告書の控用はなくなり、申告書の配色は原則、白黒になりました。

  • 税務署から送付される通知等に、お問い合わせ番号を印字します

税務署から送付される通知等にはその通知等を特定するための「番号」として、「お問い合わせ番号」(13桁)が印字されます。

「お問い合わせ番号」を税務署の担当者に伝えることで、通知等の問い合わせをスムーズに行うことが可能となります。

  • 納付書等の様式が変わりました

「納付書」、「所得税徴収高計算書」の様式が新しくなりました。

  • e-TaxのIPアドレスが変わりました

e-TaxのIPアドレスは、固定IPアドレスから動的IPアドレス(接続のたびにIPアドレスが変化)に変更されました。

e-Taxに接続する際、IPアドレスを指定して接続している方は、URLでの接続に変更する必要があります。

  • 開示する申告書等には、提出年月日を表示します

申告書等閲覧サービスや開示請求等では、申告書等の提出年月日が、申告書等のヘッダーに印字されます。

  • 漢字(旧字体等)の取扱いが変わりました

税務署から納税者の皆様へ送付する文書や納税証明書等で使用する漢字・記号は、JIS(日本産業規格)の第1水準から第4水準まで(JIS X 0213で定義された文字)となりました。

このため、一部の漢字・記号について、字形が置き換わる場合や、手書きにより表示する場合があります。

なお、申告書等を提出する際は引き続き、名前や住所等に旧字体等を使用できます。

  • 処分通知等の電子交付の手続が変更になりました

処分通知等の電子交付の対象が拡大されました。

また、電子交付の同意方法が、原則、「申請等の都度の同意」から「事前の一括同意」に変わりました。

3.税務調査への影響

税目ごとに分かれていた情報を、KSK2の導入により、納税者に関する複数のデータを横断的に確認できるようになります。

また、KSK2へは調査先などからもアクセスが可能になるため、税務署に戻って確認する必要はなくなり、調査を効率的に行えるようになります。

4.最後に

KSK2は導入後、色々とトラブルが続いているようですが、税務調査への影響は大きいと思いますので、指摘事項が増えるかもしれませんね。

2026年10月28日 國村 年

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事務所通信2026年9月

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2026年9月号『Dell Expert Networkとは?』

皆さんは、Dellというパソコンメーカーをご存じなのではないかと思います。

先日、國村公認会計士事務所がDell Expert Networkのメンバーに認定されました。

そこで今回は、『Dell Expert Networkとは?』について書きたいと思います。

1.Dell Expert Networkとは?

Dell Expert Network は、中小企業を顧客に持つITコンサルタントおよびMSP(マネージド・サービス・プロバイダー向けのプログラムです。

メンバーには、専任のアカウント・マネージャーがアサインされ、顧客企業への特別値引きをはじめ、各種情報提供、トレーニングなどが行われます。

2.特別値引きの対象

デル・テクノロジーズ製品をオンラインストア価格より、特別値引きでご提供いたします(2026年9月時点)。

ノートパソコン、デスクトップパソコン

(Dell、Dell Plus、XPS、Alienware)

ノートパソコン、デスクトップパソコン

(Dell Pro、Dell Pro Precision、Latitude)

モニター

サーバー

周辺機器(キーボード、マウス、ヘッドセットなど)

キャンペーン対象製品にも、会員様特典の特別割引を併用することができますので、大変お得にご購入いただけます。

専任アドバイザーからご購入いただく場合、一部製品は追加の割引が可能です。

3.特別値引きでの購入方法

特別値引きでの購入方法として、以下の2つの方法があります。

①

Dellの専任ITアドバイザーを通じて購入

②

Dellのオンラインストアで購入

まず、Dellの専任ITアドバイザーを通じて購入する方法ですが、製品購入相談や見積もりなど、アドバイザーが対応します。

専任のビジネステクノロジーアドバイザーがサポートするため、皆様は自信を持って計画、拡張、課題解決ができ、ITに関する意思決定を単独で行う必要はありません。

専任アドバイザーからご購入いただく場合、メンバー特別割引に加えて、一部製品については追加の割引が可能ですので、アドバイザーを通じてのご購入がお勧めです。

次に、Dellのオンラインストアで購入する方法ですが、メンバー向け専用ページでメンバー認証を行った後、Dellオンラインストアでご購入いただくと、特別割引がカートに自動適用されます。

流れとしては、まずは、弊所から専用の登録コードを発行しますので、マイアカウントにログインまたはアカウントの新規作成を行っていただきます。

マイアカウントの『メンバーシップ』タブで登録コードなどの必要情報を入力し、メンバー認証を行い、オンラインストアでご希望の製品を選択し、カートに追加していただくと、メンバー限定の特別割引がカートに自動適用されます。

4.最後に

パソコン関連製品もご多分に漏れず高くなってきていますので、Dell製品をお得に買いたい方がおられましたら、ご連絡くださいね。

2026年9月28日 國村 年

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事務所通信2026年8月

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2026年8月号『残余利益方式(簿価純資産ベース)!』

少し前に、取引相場のない株式の評価について書きましたが、2026年8月20日に国税庁の「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の第5回会合が開催され、「残余利益方式(簿価純資産ベース)」という方向性が示されました。

そこで今回は、『残余利益方式(簿価純資産ベース)!』について書きたいと思います。

1.残余利益方式(簿価純資産ベース)

残余利益方式は、企業の①保有資産(簿価純資産)と②収益獲得能力から評価額を算出する方式(①+②)とされています。

保有資産(簿価純資産)は、時価ではなく、簿価純資産です。

時価ではなく、売却を前提としない継続企業としての資産価値で、建物・設備等は減価償却後の価額です。

また、時価への洗替不要で簡素な評価で、帳簿の簿価純資産を使用するため、事務負担が軽微されます。

次に、収益獲得能力は、数年分の超過収益(マイナスの場合を含む)です。

数年分の企業の超過収益(=残余利益)を株価へ反映します。

企業の超過収益とは、企業が通常期待される利益を上回る金額(=残余利益)の数年分の現在価値の合計で、過去数年間の平均利益から計算することになります。

ちなみに、数年分が何年分になるかは、まだ決まっていません。

2.株価の計算に必要なもの

株価の計算に必要なものは、a.直前期末の貸借対照表とb.過去数年分の損益計算書等のみとなっています

直前期末の貸借対照表の簿価純資産(準思案合計)、過去数年分の損益計算書の当期純利益を使います。

3.企業収益と株式評価額の水準のイメージ

期待収益率以上の収益率の会社については、簿価純資産価額以上の株式評価額となります。

一方、期待収益率以下または赤字の会社については、簿価純資産価額以下の株式評価額となります。

4.純資産価額方式

現行、いわゆる資産管理会社などについては、原則として純資産価額方式となりますが、原則的評価方式ではなく、「特定の評価会社の株式の評価方式」として位置付けることとされています。

ただし、特定の評価会社の範囲と判定の基準、退職給付引当金等の負債の範囲、評価方法の簡便化、法人が取得した貸付用不動産の評価、法人税額等相当額の控除については、まだ決まっていません。

5.配当還元方式

現行、少数株主などについては、特例的評価方式として、配当還元方式となりますが、特別の例外措置として適用の範囲等を見直した上で存置することとされています。

ただし、適用すべき株主の範囲・基準、適用を受ける株主と適用外の株主における評価額のかい離への対応、固定価格の従業員持株会株式との関係の整理、額面制度が廃止されていることを踏まえて最低配当2.5円とする計算方法をどのように見直すべきかについては、まだ決まっていません。

6.最後に

まだ詳細は決まっていませんが、方向性は示されたので、株価が高くなる場合などは、早めの対応が必要かもしれませんね。

2026年8月31日 國村 年

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事務所通信2026年7月

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2026年7月号『祝30周年!』

2026年7月21日に、香美市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム開館30周年記念セレモニーに参加しました。

最近、公益財団法人やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団の監事に就任したからです。

そこで今回は、『祝30周年!』について書きたいと思います。

1.香美市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム

アンパンマンの作者やなせたかしさんの多彩な創作世界の収集・研究・公開を柱に、高知県香美市の中核的文化施設として設立したミュージアムです。

建物の所有者は香美市であり、公益財団法人やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団が香美市から指定管理を受けて運営を行っています。

2.やなせたかしさん

1919年2月6日、高知県在所村(現・香美市香北町)生まれ。

終戦後に三越百貨店宣伝部に入社し、皆さんご存じの包装紙「華ひらく」のレタリング(手書きのデザイン文字)などを手がけました。

ちなみに、デザインは、香川県高松市生まれの猪熊弦一郎さんです。

1960年代にはテレビ・ラジオ番組の構成や舞台の美術監督など多様な創作活動を行うようになり、マルチタレントと評されるようになり、その中でいずみたくさん作曲、やなせたかしさん作詞による「手のひらを太陽に」を発表しました。

1969年、50歳の時に雑誌『PHP』にて「アンパンマン」を発表しました。

1988年にはテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」の放送が開始され、その登場キャラクター数(1,768体)は2009年にギネス世界記録に認定されています。

2010年頃に目が悪くなったことを理由に引退を考えられましたが、東日本大震災を機に引退を撤回し、被災地に送るポスター制作など多数の支援を行いました。

2013年10月13日、94歳で永眠されました。

「人生は喜ばせごっこ」という自身の言葉のとおり、「アンパンマン」をはじめとする多くの創作活動、そして自身の人生そのものを通してその精神を体現し続けられました。

3.連続テレビ小説あんぱん

アンパンマンを生み出したやなせたかしさんと暢さんのご夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった二人の人生。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語『あんぱん』が、2025年3月31日から9月26日まで放映されました。

暢さん役は今田美桜さん、やなせたかしさん役は北村匠海さんでした。

4.最後に

開館30周年おめでとうございます。

個人的には、『アンパンマン』は日本を代表する作品ですし、50歳で発表したやなせたかしさんを尊敬しています。

アンパンマンミュージアムが四国にあることを誇りに思いますし、いつまでも、人気のある作品であってほしいですね。

2026年7月28日 國村 年

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事務所通信2026年6月

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2026年6月号『損益計算書で利益を計上しても貸借対照表の実質的純資産は目減りしているかも?』

損益計算書で利益が出ているからといって安心してはいけません。

インフレ下においては、普通預金などで財産を持っていると、実質的に目減りすることになってしまうため、貸借対照表を重視すべき時代になってきています。

そこで今回は、『損益計算書で利益を計上しても貸借対照表の実質的純資産は目減りしているかも?』について書きたいと思います。

1.損益計算書重視から貸借対照表重視の時代へ

損益計算書は過去の数値であり、貸借対照表は未来を示すものであるため、少し前から貸借対照表が重視される傾向にはなってきていました。

そこへ最近のインフレが加わり、ある程度経営者の意思でデザインできる貸借対照表を重視すべき時代になっていると言えるでしょう。

2.資産戦略

以下のような資産戦略が重要になってきます。

収益を生まない資産をできるだけなくす

コストのかかる資産をできるだけなくす

簿外資産を持つ

インフレに強い資産を持つ

金利が相対的に低い借入金などはできるだけ早期に返済しない

まず、販売できそうにない棚卸資産、使われていない固定資産など、収益を生まない資産をできるだけなくしましょう。

次に、メンテナンス費用が多額にかかる固定資産など、コストのかかる資産をできるだけなくしましょう。

さらに、費用処理した生命保険、リセールバリューの高い車両など、簿外資産を持ちましょう。

また、以下のようなインフレに強い資産を持ちましょう。

不動産など『実物資産自体に価値があるもの』

食品関連・日用品関連・エネルギー関連の株式など『需要が安定した業種のものであるもの』

エネルギー関連の株式など『物価上昇と連動して価格が上昇しやすいもの』

アメリカドルやユーロなど外貨建ての『円の価値に依存しないもの』

最後に、インフレ時に実質的な価値が下がる金利が相対的に低い借入金などはできるだけ早期に返済しないようにしましょう。

3.資産戦略実行の流れ

資産戦略実行は、以下のような流れで行うと良いでしょう。

1

(簿外資産を含む)資産の実態の把握

2

収益を生まない資産、コストのかかる資産のリストアップ

3

資産の組み替えの検討

4

長期・積立・分散を念頭に、定期的な資産戦略の見直し

4.最後に

インフレ時においては、損益計算書を重視したり、何もしないことは、衰退につながってしまいます。

『現状維持は衰退』です。

貸借対照表の構成については、経営者が自らの意思である程度デザインできます。

収益を生まない資産、コストのかかる資産から脱却して、収益を生む貸借対照表に変えていきましょう。

2026年6月26日 國村 年

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事務所通信2026年5月

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2026年5月号『投資の三大原則!』

最近、色々なものの値段が上昇していることは皆さんも日々実感されていることと思います。

いわゆるインフレです。

インフレ下においては、普通預金などで財産を持っていると、実質的に目減りすることになってしまいます。

それゆえ、最近は資産運用に関して質問を受けたり、雑誌などの執筆を依頼されることが増えています。

そこで今回は、『投資の三大原則!』について書きたいと思います。

1.投資の三大原則

投資のリスクを軽減するには、『長期』『積立』『分散』が重要だと言われます。

これらを、『投資の三大原則』と呼んだりします。

2.長期投資のメリット

 『長期投資』には、以下のようなメリットがあります。

利息に利息が付く『複利』の効果が大きくなる

短期的な売買を前提にしないので、売買手数料を抑制できる

長期的な視点で運用するので、日々の値動きに一喜一憂しない

市場変動のバラツキがならされ収益が安定する傾向がある

こうした『長期投資』のメリットに、『分散投資』や『積立投資』を組み合わせてリスク軽減を図ることで、元本割れする可能性の低減が期待できます。

3.分散投資のメリット

『分散投資』には、以下のようなメリットがあります。

『分散投資』とは、一つの商品や一度のタイミングに絞って投資するのではなく、複数の商品や複数のタイミングで分散投資すればリスクを軽減できるという以下のような考え方のことです

<資産(銘柄)の分散>
特性の異なる複数の資産(銘柄)を組み合わせる

<地域の分散>
複数の地域や通貨を組み合わせる

<時間(時期)の分散>
少額ずつタイミングをずらして購入する

こうした『分散投資』を実践することで価格の変動をある程度抑え、安定的な運用を目指すことができます。

4.積立投資のメリット

『積立投資』には、以下のようなメリットがあります。

『積立投資』とは、あらかじめ決まった金額を続けて投資することです。

時間による分散投資の効果によって、価格が高いときには少なく、低いときには多く買うことができ、平均購入単価を下げやすくなります。

また、『積立投資』には、まとまったお金がなくても少ない金額でコツコツ始められるメリットもあります。

5.最後に

投資の経験が浅い方は特に、日々の値動きに一喜一憂しがちで、一時的に暴落すると、慌てて売却したりしてしまいます。

しかしながら、投資は長期的視点で考えるべきであり、日々の値動きに一喜一憂すべきでありません。

『長期』『積立』『分散』を常に意識して投資を行いましょう。

2026年5月29日 國村 年

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2026年4月号『取引相場のない株式の評価が見直される!』

2026年4月20日に『取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)』が開催されました。

過度な節税が行われている取引相場のない株式の評価が見直される方向性です。

そこで今回は、『取引相場のない株式の評価が見直される!』について書きたいと思います。

1.取引相場のない株式の評価方式

取引相場のない株式の評価は、『株主の区分』及び『会社の規模』等に応じて実態に即した評価をすることになっています。

株主の区分により、原則的評価方式か特例的評価方式(配当還元方式)で評価します。

会社の規模により、大会社は原則として類似業種比準方式、小会社は原則として純資産価額方式、中会社は原則として類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式で評価します。

2.取引相場のない株式の実態

令和5年度の会計検査院の検査結果によると、類似業種比準価額の中央値は純資産価額の中央値の27.2%、純資産価額に対する申告評価額の割合の分布状況は、中央値は、大会社0.32倍、中会社0.50倍、小会社0.61倍となっています。

これについて、国税庁も実態把握をした結果、同様の結果となっています。

また、配当還元方式の還元率(10%)は、評価通達制定当時(昭和39年)の金利等を参考にするなどして設定しているものの、その後、金利水準が大幅に低下するなかで見直されていないと指摘しています。

3.評価額圧縮スキーム

国税庁は、実態把握の結果、以下の評価額圧縮スキームを指摘しています。

グループ法人税(寄付修正)と評価差額

種類株式(無議決権株式)を用いた配当還元方式の濫用

超過収益力の社外流出

4.取引相場のない株式を取り巻く諸問題

会社法制定、組織再編税制、グループ法人税制、事業承継税制などの制度改正に対して、評価通達は十分に対応してこなかったため、高度なスキームにより事実上の事業承継が行われており、行き過ぎた節税スキームには、個別事例ごとに評価通達6項や行為計算否認を適用せざるを得ない状況になっています。

また、中小企業のM&Aの実施件数は増加しており、第三者への事業承継でも参考となり得る適正な非上場株式の評価の在り方を検討する必要が出てきています。

5.評価の見直しの方向性

国税庁は、相続税法の時価主義の下、以下の4つを基本的な観点として、評価方式について幅広く検討しようとしています。

『評価額の“崖”』の解消

評価額の『恣意性・操作性』の排除

実務・学術上の進展を踏まえた『今日的観点』からの見直し

第三者への事業承継等の動向も踏まえた評価

6.最後に

国税庁は2027年度の税制改正に織り込み、2028年から改正したいようですが、メガバンクとか大手税理士法人が過度なスキームを提案することがないような公平性・中立性を確保して、時代の変化やM&Aにも対応できるものになってほしいですね。

事業承継対策も一変するでしょうね。

2026年4月27日 國村 年

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事務所通信2026年3月

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2026年3月号『企業価値担保権!』

2024年6月に『事業性融資の推進等に関する法律』が成立し、交付されました。

そして、2026年5月25日に施行される予定です。

そこで今回は、『企業価値担保権!』について書きたいと思います。

1.企業価値担保権とは?

企業価値担保権は、事業の将来性に基づく融資を後押しする新しい制度です。

事業の将来性に基づく融資のための新たな選択肢となります。

事業者と金融機関の緊密な信頼関係を構築
(=将来性に依拠するための大前提)
  • 担保目的財産は、会社の総財産
  • 企業価値担保権は、商業登記簿に登記
  • 企業価値担保権者は、制度概要等の説明義務を負う
  • 事業者は、将来性に基づく融資判断の前提(事業計画等)を超える財産処分(事業譲渡等)をする際、企業価値担保権者と事前のコミュニケーション・同意が必要
事業の継続・成長を支える
(=将来性に依拠した融資の後押し)
  • 極度額の設定(上限額の設定)は、任意であり、事業の成長に応じた資金需要の増加にも対応可能。なお、極度額は、借り手からの請求があれば、設定される
  • 事業の継続に支障を来すような他の担保権の実行等に対して異議が可能

2.主な活用例

スタートアップ企業への融資(VCと協調)
  • アーリーステージの赤字資金への対応(新株予約権付き)等
地域の中小/中堅企業への融資
  • 事業の継続・成長のために必要な設備投資等に対応
事業再生・事業承継
  • 新たな事業計画・経営体制等の下での資金需要に対応
  • 負債再構築(取引行の整理・スリム化、経営者保証の解除等)
M&A/プロジェクト・ファイナンス
  • 既存の全財産担保設定実務の負担軽減とコスト削減
  • ローンの譲渡性向上

3.よくあるご質問

企業価値担保権は、借り手にどのようなメリットがあるのでしょうか?
借り手が、総財産(将来性を含めた事業全体)を担保とすることで、金融機関との事業の将来性に基づく資金調達の相談が円滑になり、資金調達後も、業況を理解する金融機関から経営支援を受けやすくなります。
お取引先等からはどのような見方をされるのでしょうか?
金融機関に事業の将来性を評価・期待されており、資金・経営支援を受けやすい緊密な関係にある等、前向きな見方がされるものと考えております。
担保価値(企業価値)の範囲内で融資を受けられるということですか?
融資可否・融資額は、事業の将来性(事業計画等)を踏まえ、その実現に必要な資金額の評価等に基づいて判断されます。
企業価値は、融資時に算定されない場合も多く想定されるなど、融資額に直結するものではありません。

4.最後に

色々な局面で『企業価値担保権』は活用される可能性がありますので、融資のための選択肢として考えていきましょう。

2026年3月31日 國村 年

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事務所通信2026年2月

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2026年2月号『取得費加算の特例!』

不動産を相続したものの、既にご自宅を所有していたり、不要な不動産がある場合、相続した不動産を売却されることもあるでしょう。

不動産を売却したときに、場合によっては、相続時に支払った相続税を譲渡所得の計算の際に引くことができるのです。

そこで今回は、『取得費加算の特例!』について書きたいと思います。

1.取得費加算の特例とは?

取得費加算の特例とは、相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。

この特例は、譲渡所得のみに適用がある特例ゆえ、株式等の譲渡による事業所得および雑所得については、適用できません。

2.適用を受けるための要件

適用を受けるための要件として、以下の3つがあります。

(1) 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
(2) その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
(3) その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

3.計算方法

取得費に加算する相続税額は、以下の算式で計算した金額となります。

ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。

なお、譲渡した財産ごとに計算します。

その者の相続税額×その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の相続税評価額÷(その者の取得財産の価額+その者の相続時精算課税適用財産の価額+その者の純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産の価額)

相続や遺贈により取得した株式と同一銘柄の株式を保有している場合において、上記2.(3)の期間内にその株式の一部を譲渡したときには、その譲渡については、その相続や遺贈により取得した株式の譲渡からなるものとしてこの特例を適用して差し支えありません。

4.申告等の方法

この特例の適用を受けるためには、所轄税務署に以下の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

(1) 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
(2) 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

なお、(1)の計算明細書を利用すると、取得費に加算される相続税額を計算することができます。

5.最後に

以前と比べると引ける金額は少なくなりましたが、引けると税額が減ります。

不動産はすぐに売却できるとは限りませんので、売却の意思があるのであれば、早めに売却に向けた行動をした方が良いかもしれませんね。

2026年2月24日 國村 年

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2026年1月号『税務調査!』

毎年、税理士として、数件の税務調査に立ち会っています。

昨年は2件立ち会いましたが、今までと少し変化を感じています。

そこで今回は、『税務調査!』について書きたいと思います。

1.税務調査とは?

税務調査とは、納税者が提出した申告内容が正確かどうかを確認するために税務署または国税局が行う調査のことです。

法人税や所得税などは、納税者が自ら申告・納税する申告納税制度を採用しており、納税者が正しく申告・納付していれば問題ありませんが、中にはミスをしたり、故意に不正をしたりする方もいます。

そのため、申告内容に誤りがないか確認するために、税務調査が行われます。

2.税務調査の種類

税務調査には、大きく分けて「任意調査」と「強制調査」の2種類あります。

任意調査は、税務署職員が納税者の協力のもとで実施する調査であり、税務調査の大半がこれに該当します。

一般的には、電話や通知書で事前連絡があり、日程調整をしたうえで2日ほどかけて帳簿などが調べられます。

なお、事前通知がない無予告調査もあり、帳簿書類の隠蔽や改ざんなどの不正行為の可能性があったり、適正な調査の遂行が難しかったりといった状況で実施されます。

強制調査は、国税局査察部が実施する調査で、裁判所の令状をもって強制的に行われるもので、事前連絡はなく、調査対象になると拒否はできません。

立件を目的とした犯罪捜査の一種であり、巨額の脱税の疑いがある場合に行われます。

3.税務調査の連絡が行われる時期

税務署等の事務年度は7月1日から6月30日であり、人事異動もそれに合わせて行われるため、以前は異動後に調査先の選定を行い、お盆明けくらいから連絡が行われていましたが、現在は異動前にも選定を行っており、早い場合には6月や7月に連絡があり、7月以降で税務調査に入るようになっています。

昨年も、1件(法人)は6月、もう1件(個人事業主)は7月に連絡がありました。

4.早い時期に連絡がある案件

以前から、早い時期に連絡がある案件については、じっくりと時間がかけられるため、税金を取ろうとしている案件だと一般的に言われていますが、最近は税務署職員のOJTを重視している側面もあり、必ずしもそうでもないようです。

5.最近の税務調査の特徴

以前と比べると、取引先や関係者に連絡するなどして色々と確認しています。

それをきっかけに、新たな調査先を選んでいるようにも感じます。

また、法人や個人事業主の口座のみならず、親族の個人口座を結構調査しています。

世の中では売上などを親族の口座などに入れているケースが多いのかもしれません。

あとは、普段税理士が見ていないような資料を見ることにしているようです。

例えば、業務日報などです。

6.最後に

売上などを抜いていないかどうかを調べていることが多いように思いますが、以前よりはよく見ているように感じますので、普段からきちんと処理しておきましょう。

2026年1月28日 國村 年