事務所通信
2026年4月号『取引相場のない株式の評価が見直される!』
2026年4月20日に『取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)』が開催されました。
過度な節税が行われている取引相場のない株式の評価が見直される方向性です。
そこで今回は、『取引相場のない株式の評価が見直される!』について書きたいと思います。
1.取引相場のない株式の評価方式
取引相場のない株式の評価は、『株主の区分』及び『会社の規模』等に応じて実態に即した評価をすることになっています。
株主の区分により、原則的評価方式か特例的評価方式(配当還元方式)で評価します。
会社の規模により、大会社は原則として類似業種比準方式、小会社は原則として純資産価額方式、中会社は原則として類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式で評価します。
2.取引相場のない株式の実態
令和5年度の会計検査院の検査結果によると、類似業種比準価額の中央値は純資産価額の中央値の27.2%、純資産価額に対する申告評価額の割合の分布状況は、中央値は、大会社0.32倍、中会社0.50倍、小会社0.61倍となっています。
これについて、国税庁も実態把握をした結果、同様の結果となっています。
また、配当還元方式の還元率(10%)は、評価通達制定当時(昭和39年)の金利等を参考にするなどして設定しているものの、その後、金利水準が大幅に低下するなかで見直されていないと指摘しています。
3.評価額圧縮スキーム
国税庁は、実態把握の結果、以下の評価額圧縮スキームを指摘しています。
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グループ法人税(寄付修正)と評価差額 |
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種類株式(無議決権株式)を用いた配当還元方式の濫用 |
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超過収益力の社外流出 |
4.取引相場のない株式を取り巻く諸問題
会社法制定、組織再編税制、グループ法人税制、事業承継税制などの制度改正に対して、評価通達は十分に対応してこなかったため、高度なスキームにより事実上の事業承継が行われており、行き過ぎた節税スキームには、個別事例ごとに評価通達6項や行為計算否認を適用せざるを得ない状況になっています。
また、中小企業のM&Aの実施件数は増加しており、第三者への事業承継でも参考となり得る適正な非上場株式の評価の在り方を検討する必要が出てきています。
5.評価の見直しの方向性
国税庁は、相続税法の時価主義の下、以下の4つを基本的な観点として、評価方式について幅広く検討しようとしています。
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『評価額の“崖”』の解消 |
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評価額の『恣意性・操作性』の排除 |
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実務・学術上の進展を踏まえた『今日的観点』からの見直し |
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第三者への事業承継等の動向も踏まえた評価 |
6.最後に
国税庁は2027年度の税制改正に織り込み、2028年から改正したいようですが、メガバンクとか大手税理士法人が過度なスキームを提案することがないような公平性・中立性を確保して、時代の変化やM&Aにも対応できるものになってほしいですね。
事業承継対策も一変するでしょうね。
2026年4月27日 國村 年