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相続税

相続税の合計課税価格階級別の課税状況(令和5年分)

合計課税価格
階級区分
件数 納付税額 平均
課税価格
(a)
平均
納付税額
(b)
負担割合(b)/(a)
件数 累積割合 税額 累積割合
億円 万円 万円
~5千万円 15,794 10.1 93 0.3 4,440 59 1.3
~1億円 78,684 60.7 2,100 7.3 7,097 267 3.8
~2億円 40,190 86.5 4,927 23.7 13,697 1,226 9.0
~3億円 10,429 93.2 3,569 35.6 24,123 3,422 14.2
~5億円 6,248 97.2 4,565 50.8 37,826 7,306 19.3
~7億円 1,993 98.5 2,692 59.7 58,451 13,509 23.1
~10億円 1,210 99.2 2,677 68.6 82,463 22,126 26.8
~20億円 887 99.8 3,528 80.4 131,859 39,777 30.2
20億円超 305 100.0 5,901 100.0 535,126 193,482 36.2
合計 155,740 30,053 13,891 1,930 13.9
(備考)

1.「国税庁統計年報書」による。

2.当初申告ベースの計数である(修正申告を含まない)。

★リンクはこちら⇒ 相続税の合計課税価格階級別の課税状況(令和5年分)

2025年10月30日


相続税の課税状況の推移

区分年分 死亡者数・課税件数等 課税価格 相続税額
死亡者数(a) 課税件数(b) (b)/(a) 被相続人
1人当たり
法定相続人数
合計額(c) 被相続人
1人当たり
金額
納付税額(d) 被相続人
1人当たり
金額
(d)/(c)
億円 万円 億円 万円
昭和58 740,038 39,534 5.3 4.08 50,021 12,652.7 7,153 1,809.3 14.3
59 740,247 43,012 5.8 4.05 54,287 12,621.4 7,769 1,806.2 14.3
60 752,283 48,111 6.4 4.03 62,463 12,983.1 9,261 1,925.0 14.8
61 750,620 51,847 6.9 3.99 67,637 13,045.6 10,443 2,014.2 15.4
62 751,172 59,008 7.9 3.93 82,509 13,982.6 14,343 2,430.7 17.4
63 793,014 36,468 4.6 3.68 96,380 26,428.6 15,629 4,285.5 16.2
平成元 788,594 41,655 5.3 3.90 117,686 28,252.5 23,930 5,744.9 20.3
820,305 48,287 5.9 3.86 141,058 29,212.4 29,527 6,114.8 20.9
829,797 56,554 6.8 3.81 178,417 31,548.0 39,651 7,011.2 22.2
856,643 54,449 6.4 3.85 188,201 34,564.7 34,099 6,262.5 18.1
878,532 52,877 6.0 3.81 167,545 31,685.9 27,768 5,251.5 16.6
875,933 45,335 5.2 3.79 145,454 32,084.4 21,058 4,644.9 14.5
922,139 50,729 5.5 3.72 152,998 30,159.9 21,730 4,283.5 14.2
896,211 48,476 5.4 3.71 140,774 29,039.9 19,376 3,997.0 13.8
913,402 48,605 5.3 3.68 138,635 28,522.8 19,339 3,978.8 13.9
10 936,484 49,526 5.3 3.61 132,468 26,747.1 16,826 3,397.4 12.7
11 982,031 50,731 5.2 3.59 132,699 26,157.3 16,876 3,326.5 12.7
12 961,653 48,463 5.0 3.55 123,409 25,464.7 15,213 3,139.0 12.3
13 970,331 46,012 4.7 3.52 117,035 25,435.7 14,771 3,210.2 12.6
14 982,379 44,370 4.5 3.46 106,397 23,979.4 12,863 2,899.0 12.1
15 1,014,951 44,438 4.4 3.40 103,582 23,309.4 11,263 2,534.6 10.9
16 1,028,602 43,488 4.2 3.35 98,618 22,677.0 10,651 2,449.1 10.8
17 1,083,796 45,152 4.2 3.33 101,953 22,579.9 11,567 2,561.8 11.3
18 1,084,451 45,177 4.2 3.26 104,056 23,032.9 12,234 2,708.1 11.8
19 1,108,334 46,820 4.2 3.20 106,557 22,758.9 12,666 2,705.3 11.9
20 1,142,407 48,016 4.2 3.17 107,482 22,384.7 12,517 2,606.8 11.6
21 1,141,865 46,439 4.1 3.13 101,230 21,798.6 11,632 2,504.7 11.5
22 1,197,014 49,891 4.2 3.08 104,630 20,971.7 11,753 2,355.7 11.2
23 1,253,068 51,559 4.1 3.03 107,468 20,843.7 12,516 2,427.5 11.6
24 1,256,359 52,572 4.2 3.00 107,718 20,489.6 12,446 2,367.4 11.6
25 1,268,438 54,421 4.3 2.97 116,381 21,385.3 15,366 2,823.5 13.2
26 1,273,025 56,239 4.4 2.93 114,881 20,427.3 13,904 2,472.3 12.1
27 1,290,510 103,043 8.0 2.86 145,714 14,141.1 18,116 1,758.1 12.4
28 1,308,158 105,880 8.1 2.83 148,021 13,980.1 18,679 1,764.2 12.6
29 1,340,567 111,728 8.3 2.81 155,999 13,962.4 20,141 1,802.7 12.9
30 1,362,470 116,341 8.5 2.77 162,640 13,979.6 21,104 1,814.0 13.0
令和元 1,381,093 115,267 8.3 2.74 158,021 13,709.1 19,759 1,714.2 12.5
1,372,755 120,372 8.8 2.73 164,106 13,633.2 20,928 1,738.6 12.8
1,439,856 134,275 9.3 2.70 186,039 13,855.1 24,440 1,820.1 13.1
1,569,050 150,858 9.6 2.68 207,178 13,733.3 28,007 1,856.5 13.5
1,576,016 155,740 9.9 2.66 216,830 13,922.6 30,104 1,933.0 13.9

(備考)

1.“死亡者数(a)”は「人口動態統計」(厚生労働省)により、その他の計数は「国税庁統計年報書」による。

2.“被相続人1人当たりの法定相続人数”は、当初申告ベースの計数である(修正申告を含まない)。ただし、昭和63年分には、更正の請求により納付税額がゼロとなった者の計数が含まれている。

3.“課税件数(b)”は、相続税の課税があった被相続人の数である。

4.“課税価格(c)”及び“納付税額(d)”には更正・決定分を含む。また、“納付税額(d)”には納税猶予額を含まない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の課税状況の推移

2025年10月29日


贈与税の概要

<贈与税の概要>

  • 贈与税は、個人から贈与により財産を取得した個人に対して、その財産の取得の時における時価を課税価格として課される税で、相続税の補完税としての性格を持っています。
  • 課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの仕組みがあります。

1.暦年課税の仕組み

暦年課税の概要(現行)

(※)扶養義務者相互間の生活費又は教育費に充てるための受贈財産
婚姻期間が20年以上の配偶者から贈与を受ける居住用不動産(限度:2,000万円))等

2.相続時精算課税の仕組み

 
制度の仕組み 3,000万円を生前贈与し、1,500万円を遺産として残す場合の計算例
(法定相続人が配偶者と子2人の場合)
【参考】
暦年課税の場合
贈与時
①贈与財産額から基礎控除額を控除した残額を贈与者の相続開始まで累積
②累積で2,500万円の非課税枠
③非課税枠を超えた額に一律20%の税率
計算例の図
納付税額
1,036万円
相続時 基礎控除後の累積贈与額を相続財産の価額に加算して、相続税額を精算
計算例の図
無税
合計納税額0円 1,036万円

相続時精算課税制度を選択できる場合の図

3.贈与税の課税方式(暦年課税と相続時精算課税)の比較

 
区 分 暦年課税 相続時精算課税
(相続税・贈与税の一体化措置)
贈与者
・受贈者
親族間のほか、第三者からの贈与を含む。 60歳以上の者から18歳以上の推定相続人及び孫への贈与
選択 不要 必要(贈与者ごと、受贈者ごとに選択)
→ 一度選択すれば、相続時まで継続適用
課税時期 贈与時(その時点の時価で課税) 同左
控除 ・基礎控除(毎年):110万円 ・基礎控除(毎年):110万円
・特別控除:2,500万円(限度額まで複数回使用可)
税率 10%~55%の8段階 一律 20%
相続時
相続前7年以内に受けた贈与財産を相続財産に加算(相続前3年超7年以内に受けた贈与については、総額100万円まで加算しない。)
贈与財産を贈与時の時価(基礎控除額を除く。)で相続財産に加算(相続税額を超えて納付した贈与税は還付)

★リンクはこちら⇒ 贈与税の概要

2025年10月23日


事業承継の円滑化に資する措置(山林(林地及び立木))

事業の承継が円滑に行われるよう、課税の公平性に配慮しつつ一定の範囲で相続税や贈与税を軽減する特例を講じています。

5.山林(林地及び立木)

  • 山林に係る相続税の納税猶予制度
    後継者の相続税額のうち森林経営計画に従って施業・路網整備を行う山林の課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予
  • 特定計画山林に係る相続税の課税価格の計算の特例制度
    森林経営計画に基づき施業されている山林の課税価格を5%減額

<山林に係る相続税の納税猶予制度>
森林経営計画に従って施業・作業路網の整備が行われる山林の相続に係る相続税について、一定の条件の下、納税が猶予されます。

  • 納税猶予の対象
    森林法に定める森林経営計画に従って施業・路網整備を行う山林(林地・立木)
    (注1)
    山林については、効率的かつ安定的な林業経営を推進する観点から、100ha以上のものに限る。
    (注2)
    立木については、相続開始時点から一定期間(相続人の余命年数と30年のいずれか短い期間)内に標準的な伐期を迎えないものに限る。
  • 納税猶予割合
    上記対象山林の評価額の80%に対応する相続税
  • 納税猶予の条件
    森林経営計画に従った施業の集約・作業路網の整備

    計画に従った施業を行っていない場合には、猶予税額を納付
  • チェック体制
    上記の条件については、毎年、農林水産大臣が確認
  • 猶予税額の免除
    相続人が死亡した場合には、猶予税額を免除

★リンクはこちら⇒ 事業承継の円滑化に資する措置(山林(林地及び立木))

2025年10月22日


事業承継の円滑化に資する措置(農地)

事業の承継が円滑に行われるよう、課税の公平性に配慮しつつ一定の範囲で相続税や贈与税を軽減する特例を講じています。

4.農地

  • 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度
    後継者の相続税額・贈与税額のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税・農地等の課税価額の全額に対応する贈与税の納税を猶予

★リンクはこちら⇒ 事業承継の円滑化に資する措置(農地)

2025年10月21日


事業承継の円滑化に資する措置(非上場株式)

事業の承継が円滑に行われるよう、課税の公平性に配慮しつつ一定の範囲で相続税や贈与税を軽減する特例を講じています。

3.非上場株式

  • 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度
    後継者の相続税額・贈与税額のうち非上場株式等の課税価格の80%に対応する相続税・全額に対応する贈与税の納税を猶予
  • 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(特例)
    後継者の相続税額・贈与税額のうち非上場株式等の課税価格の全額に対応する相続税・贈与税の納税を猶予

★リンクはこちら⇒ 事業承継の円滑化に資する措置(非上場株式)

2025年10月20日


事業承継の円滑化に資する措置(個人事業者の事業用資産)

事業の承継が円滑に行われるよう、課税の公平性に配慮しつつ一定の範囲で相続税や贈与税を軽減する特例を講じています。

2.個人事業者の事業用資産

  • 個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度
    後継者の相続税額・贈与税額のうち事業用資産(土地(400m²まで)、建物(床面積800m²まで)、一定の減価償却資産)の課税価格の全額に対応する相続税・贈与税の納税を猶予※本制度と特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の課税価格の計算の特例(下記1)は選択適用

★リンクはこちら⇒ 事業承継の円滑化に資する措置(個人事業者の事業用資産)

2025年10月17日


事業承継の円滑化に資する措置(事業用宅地)

事業の承継が円滑に行われるよう、課税の公平性に配慮しつつ一定の範囲で相続税や贈与税を軽減する特例を講じています。

1.事業用宅地
相続人の居住や事業の継続への配慮の観点から、一定の要件の下、居住用宅地や事業用宅地の相続税の課税価格が減額されます。

  • 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
    事業の用に供されている宅地(400m²まで)の課税価格を80%減額

★リンクはこちら⇒ 事業承継の円滑化に資する措置(事業用宅地)

2025年10月16日


相続税の負担水準

<相続税の負担割合の推移>
相続人が配偶者+子2人の場合について、過去の基礎控除や税率を基に機械的に試算をすると、負担割合は次のようになります。

<主要国における相続税負担率の比較(配偶者+子2人)>
相続人が配偶者+子2人の場合について、主要国における相続税負担率を比較をすると、次のようになります。

★相続税の負担割合の推移はこちら⇒ 相続税の負担割合の推移

★主要国における相続税負担率の比較はこちら⇒ 主要国における相続税負担率の比較

2025年10月15日


最近における相続税の税率構造の推移

相続税の税率構造は、地価の高騰や個人所得課税の最高税率等を踏まえて緩和されてきましたが、平成25年度改正において、資産再分配機能を回復させるため、最高税率を55%へ引き上げる等の見直しが行われ、平成27年1月から実施されています。

★リンクはこちら⇒ 最近における相続税の税率構造の推移

2025年10月14日


相続税の改正

<相続税の課税件数割合及び相続税・贈与税収の推移>
令和5年の相続税の課税件数割合は9.9%、負担割合は13.9%となっています。
平成27年から基礎控除の水準が引き下げられているため、課税件数割合が改正前より大きくなっています。


<地価公示指数の推移と相続税の改正>
相続税の基礎控除は、バブル期の地価の高騰等に伴い引き上げられてきましたが、その後の地価の下落にもかかわらず、基礎控除の水準は据え置かれ、また、相続税の税率構造は緩和されてきたため、相続税の負担は以前に比べ大幅に緩和され、その資産再分配機能は低下していました。
こうした状況を踏まえ、平成25年度改正において、資産再分配機能を回復させるため、基礎控除の引下げ、税率構造の見直しが行われ、平成27年1月から実施されています。


<相続税の主な改正の内容>

★リンクはこちら⇒ 相続税の改正

2025年10月10日


相続税の仕組み

〇相続税は、相続又は遺贈により財産を取得した個人に対して、その財産の取得時における時価を課税価格として課税される税です。

〇相続税の計算方法は次のとおりです。
①まず、民法に定められた「法定相続分」により遺産が分割されたと仮定して、各相続人ごとに税率を適用し、その合計額が「相続税の総額」となります。

②次に、「相続税の総額」を実際の相続割合により按分して、各相続人の相続税額を計算します。相続人が税額控除の適用を受けられる場合には、税額控除分を控除します。

★リンクはこちら⇒ 相続税の仕組み

2025年10月9日


「相続税」を知ろう

財務省は、『もっと知りたい税のこと(令和7月発行)』を発行した。

4.「相続税」を知ろう
❶相続税について
❷贈与税について

★リンクはこちら⇒ 「相続税」を知ろう

2025年9月25日


特定贈与者である被相続人より先に死亡した同人の長女(本件長女)の配偶者について、失踪宣告を受けた事実はないこと等から、当該配偶者は、本件長女の有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継し、本件長女が特定贈与者から贈与により取得した相続時精算課税の適用財産の価額は相続税の課税価格に加算されることとなると判断した事例

  • 令和2年5月相続開始に係る相続税の更正処分
  • 棄却
  • 令和6年10月7日裁決

<ポイント>
本事例は、本件長女の配偶者は、失踪宣告を受けた事実はないことから、本件長女及び本件被相続人の相続開始日において生存していたことが推定され、また、本件長女の除籍謄本には離婚の事実の記載がないことから、本件長女の配偶者は本件長女の相続開始日において同人の相続人に該当することとなり、本件長女の有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継するとしたものである。

<要旨>
請求人は、相続税法第21条の9《相続時精算課税の選択》に規定する特定贈与者である本件被相続人より先に死亡した同人の長女(本件長女)の配偶者について、①生存し、本件長女の相続人であることを原処分庁は立証しておらず、②不在者財産管理人の選任に係る審判をしたK家庭裁判所は、本件長女の配偶者が生存している事実を証明したわけではなく、真に相続人であることを判断しているわけではないのであるから、本件長女が有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を本件長女の配偶者は承継せず、相続時精算課税の適用財産(本件贈与財産)の価額は本件被相続人の相続に係る相続税の課税価格に加算されない旨主張する。

しかしながら、民法が不在者の生存を推定してその者の財産管理制度を用意し、他方で生死不明者を死亡したものと確定する失踪宣告制度を用意していることに鑑みると、失踪宣告がなされない限り生存が推定されると解するのが相当であり、本件長女の配偶者が失踪宣告を受けた事実はないことからすると、同人が本件長女及び本件被相続人の相続開始日において生存していたことが推定され、また、本件長女の除籍謄本には離婚の事実の記載がないことから、本件長女の配偶者は本件長女の相続開始日において同人の相続人であったといえる。

したがって、本件長女の配偶者は、本件長女の有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継し、本件贈与財産の価額は本件被相続人に係る相続税の課税価格に加算されることとなる。

★リンクはこちら⇒ 特定贈与者である被相続人より先に死亡した同人の長女(本件長女)の配偶者について、失踪宣告を受けた事実はないこと等から、当該配偶者は、本件長女の有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継し、本件長女が特定贈与者から贈与により取得した相続時精算課税の適用財産の価額は相続税の課税価格に加算されることとなると判断した事例

2025年9月3日


請求人が訴訟上の和解に基づき受領した解決金は、遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると断定することはできないため、更正の特則である相続税法第35条第3項第1号の要件は満たさないと判断した事例

  • 平成28年6月相続開始に係る相続税の更正処分
  • 全部取消し
  • 令和6年7月3日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が、訴訟上の和解に基づき受領した解決金は、その全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると認めるに足りる客観的な証拠はなく、価額弁償金以外の法的性質を有する金員が含まれていることを否定できず、遺留分減殺請求に基づく価額弁償金に該当すると断定することはできないことから、更正の特則である相続税法第35条《更正及び決定の特則》第3項第1号の要件は満たさないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が被相続人が有する一切の財産を請求人の兄に相続させる旨の公正証書遺言の無効を求める訴えを提起したところ、訴訟上の和解により請求人の兄から請求人に対して支払われることとなった解決金(本件解決金)について、①当該訴訟における双方の代理人弁護士の認識、②当該訴訟において請求人が予備的主張として遺留分減殺請求に基づく価額弁償を請求していたこと及び③当該和解後に請求人の兄が本件解決金の全額が請求人の個別的遺留分であることを前提として行動していたことからすると、本件解決金は遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であって、その全額が請求人の相続税の課税価格に算入される旨主張する。

しかしながら、①和解調書には、本件解決金が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であることを示す記載はないこと、②当該訴訟における双方の代理人弁護士のいずれの申述内容も、本件解決金の全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であるとするものではなく、担当裁判官の心証も不明であること、③当該訴訟においては、主位的には公正証書遺言の無効を主張しているのであって、予備的な主張を根拠にして本件解決金の性質を判断することはできないこと及び④請求人の兄も、和解当時、本件解決金には遅延利息が含まれていると認識していたと考えられること等からすると、本件解決金は、その全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると認めるに足りる客観的な証拠はなく、価額弁償金以外の法的性質を有する金が含まれていたことを否定できない。

したがって、原処分庁の主張には理由がない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が訴訟上の和解に基づき受領した解決金は、遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると断定することはできないため、更正の特則である相続税法第35条第3項第1号の要件は満たさないと判断した事例

2025年8月22日


「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

令7.2.7課資2-1

この法令解釈通達では、令和7年分以後に適用する個人立幼稚園又は個人立幼保連携型認定こども園(以下「幼稚園等」といいます。)の教育用財産に対する相続税の非課税制度(相続税法第12条第1項第3号、相続税法施行令附則第4項)における幼稚園等の事業経営者の家事充当金限度額の認定基準額及びその者の親族等の適正給与額の判定基準額の改正について定めています。


幼稚園等の事業経営者の家事充当金限度額の認定基準額は、幼稚園等に入園している幼児又は園児の数(以下「幼児数」といいます。)により算定することとしています。

幼児数560人以下の幼稚園等
については
「家事充当金限度額の規模別基準額」又は「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」※のいずれか高い方の金額
幼児数560人超の幼稚園等
については
「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」※

※「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」は、次の算式により計算します。

A+B×(幼児数-240人)

なお、上記算式における符号は次のとおりです。

A…別紙1「家事充当金限度額の規模別基準額」に掲げる幼児数規模別区分の「280人以下」の欄の地域区分に応ずる金額

B…別紙2「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価」に掲げる地域区分に応ずる金額


課資2-1
令和7年2月7日

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

昭和51年6月7日付直資2-219「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」(法令解釈通達)について、その一部を下記のとおり改正したから、令和7年分以後の家事充当金限度額の認定等について適用されたい。

(趣旨)
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(令和6年法律第72号)による国家公務員の給与の改正等に伴い、家事充当金限度額の認定基準等について所要の改定を行ったものである。

1.別紙1「家事充当金限度額の規模別基準額」を次のように改める。

別紙1

家事充当金限度額の規模別基準額
幼児数規模別区分
地域区分
280人以下 280人超
400人以下
400人超
560人以下
地域手当支給地域 地域手当20%
支給地域
千円 千円 千円
9,450 11,320 14,150
地域手当16%
支給地域
9,140 10,940 13,680
地域手当15%
支給地域
9,060 10,850 13,560
地域手当14%
支給地域
8,980 10,750 13,450
地域手当12%
支給地域
8,820 10,560 13,210
地域手当11%
支給地域
8,740 10,470 13,090
地域手当10%
支給地域
8,670 10,380 12,970
地域手当9%
支給地域
8,590 10,280 12,860
地域手当7%
支給地域
8,430 10,090 12,620
地域手当6%
支給地域
8,350 10,000 12,500
地域手当5%
支給地域
8,270 9,900 12,380
地域手当4%
支給地域
8,190 9,810 12,270
地域手当3%
支給地域
8,120 9,720 12,150
地域手当2%
支給地域
8,040 9,620 12,030
その他地域
(地域手当の支給なし)
7,880 9,430 11,800
(注) 1 「幼児数規模別区分」の各欄は、その幼稚園等に入園している幼児数に応ずる欄を使用する。
2 「地域区分」の欄における「地域手当支給地域」の各欄は、その幼稚園等の所在する人事院規則9-49-57((人事院規則9-49((地域手当))の一部を改正する人事院規則))附則別表第一(附則第二条及び附則第四条関係)に掲げる支給地域及び級地の区分に応じた同規則附則第3条各号((令和10年3月31日までの間における地域手当))に定める割合を使用し、「その他地域(地域手当の支給なし)」の欄は、地域手当支給地域に該当しない地域について使用する(別紙2及び別紙3において同じ。)。

2.別紙2「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価」を次のように改める。

別紙2

家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価
地域区分 幼児又は園児一人当たりの基準単価
地域手当支給地域 地域手当20%
支給地域
19,840
地域手当16%
支給地域
19,180
地域手当15%
支給地域
19,020
地域手当14%
支給地域
18,850
地域手当12%
支給地域
18,520
地域手当11%
支給地域
18,360
地域手当10%
支給地域
18,190
地域手当9%
支給地域
18,030
地域手当7%
支給地域
17,700
地域手当6%
支給地域
17,530
地域手当5%
支給地域
17,360
地域手当4%
支給地域
17,200
地域手当3%
支給地域
17,030
地域手当2%
支給地域
16,870
その他地域
(地域手当の支給なし)
16,540

3.別紙3「事業経営者の親族等の適正給与額の判定基準額(教諭)」を次のように改める。

別紙3

事業経営者の親族等の適正給与額の判定基準額(教諭)
在職期間区分
地域区分
4年未満 4年以上
6年未満
6年以上
8年未満
8年以上
10年未満
地域手当支給地域

地域手当20%
支給地域

千円 千円 千円 千円
4,770 5,090 5,510 5,750
地域手当16%
支給地域
4,610 4,920 5,320 5,560
地域手当15%
支給地域
4,570 4,880 5,280 5,510
地域手当14%
支給地域
4,530 4,840 5,230 5,460
地域手当12%
支給地域
4,450 4,750 5,140 5,370
地域手当11%
支給地域
4,410 4,710 5,100 5,320
地域手当10%
支給地域
4,370 4,670 5,050 5,270
地域手当9%
支給地域
4,330 4,630 5,000 5,220
地域手当7%
支給地域
4,250 4,540 4,910 5,130
地域手当6%
支給地域
4,210 4,500 4,870 5,080
地域手当5%
支給地域
4,170 4,460 4,820 5,030
地域手当4%
支給地域
4,130 4,410 4,770 4,980
地域手当3%
支給地域
4,090 4,370 4,730 4,940
地域手当2%
支給地域
4,050 4,330 4,680 4,890
その他地域
(地域手当の支給なし)
3,970 4,240 4,590 4,790

(注)「在職期間区分」の各欄は、事業経営者の親族等である教諭がその幼稚園等に在職している期間に応ずる欄を使用する。

★リンクはこちら⇒ 非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2025年8月7日


相続税の申告のしかた(令和7年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和7年分用)』をホームページに公表しました。

この『相続税の申告のしかた(令和7年分用)』は、令和7年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和7年1月1日から令和7年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものです。

なお、この申告のしかたでは、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と表記しています。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和7年分用)

2025年7月9日


相続税の申告書等の様式一覧(令和7年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(令和7年分用)』をホームページに公表しました。

(注1)
こちらに掲載されている申告書等は、令和7年1月1日から令和7年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものです。

(注2)
「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となります。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者又は相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいいます。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和7年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認ください。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和7年分用)

2025年7月7日


事業協同組合の出資持分の価額は財産評価基本通達196に定める評価方法(純資産価額)に基づき評価するのが相当であるとした事例

  • 平成29年4月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年4月11日裁決

<ポイント>
本事例は、本件における事業協同組合の出資持分が究極的には当該組合の純資産価額を体現したものといえるものであり、評価に当たって財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、その主張する相続により取得した事業協同組合の出資持分(本件持分)の価額は、当該組合の定款(本件定款)に定める脱退組合員の払戻金を根拠として組合員の間でも適正価額として流通していたものであるから、当該価額をもって評価すべき旨主張する。

しかしながら、本件定款に当該組合を脱退した際の払戻金を定めていることを前提としても、当該組合の純資産価額を基礎とした持分の価額が出資額を上回っていれば、その差額は当該組合の内部に留保された状態であり、最終的に解散して清算することになれば、純資産価額に基づく財産が分配されることになるから、本件持分は究極的には当該組合の純資産価額を体現したものといえる。

したがって、本件持分の評価に当たっては、財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であることに加え、本件持分の譲渡には当該組合の承諾が必要であり、市場を通じた不特定多数の当事者間の自由な取引が行われるものではなく、本件持分の価額が組合員の間において請求人が主張する価額と認識されていたとしても、その価額は当事者間において限定的に形成されたものであって、これを本件持分の時価と認めることはできない。

★リンクはこちら⇒ 事業協同組合の出資持分の価額は財産評価基本通達196に定める評価方法(純資産価額)に基づき評価するのが相当であるとした事例

2025年3月11日


市街化調整区域内に所在する宅地について、「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとした事例

  • 令和2年8月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 令和6年3月6日裁決

<ポイント>
本事例は、市街化調整区域のうち都市計画法第34条第12号の規定に基づき開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域に所在していたとしても、財産評価基本通達20-2《地積規模の大きな宅地の評価》に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとしたものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得した各土地(本件各土地)は、市街化調整区域のうち都市計画法第34条第12号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域(12号区域)に所在しており、宅地の分割分譲が可能であって、分割分譲に伴う減価が発生する土地であるため、財産評価基本通達20-2《地積規模の大きな宅地の評価》(本件通達)に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することができる旨主張する。

しかしながら、本件通達に定める「地積規模の大きな宅地」は、「戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域に所在する宅地」の範囲をもって定められているところ、都市計画法第34条第12号に相当する開発行為としては、分家に伴う住宅、収用対象事業の施行による移転等による建築物、社寺仏閣、研究施設等の建築物の用に供するものが予定されているのであるから、同号の規定に基づく開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域に所在していたとしても、本件通達が適用対象とする当該範囲に含むべきものではないとしたものと解するのが相当である。

したがって、当該範囲に含まれるとする市街化調整区域のうち都市計画法第34条第10号及び第11号の各規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域に所在する宅地と当該範囲に含まれないとする12号区域に所在する宅地とで本件通達上異なる取扱いを定めていることは合理的なものであって、本件各土地を「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 市街化調整区域内に所在する宅地について、「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとした事例

2025年2月27日


取引相場のない株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反するということはできないとした事例

  • 平成29年7月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和6年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、会社の事業年度の変更及び剰余金の配当が、請求人の相続税の負担を著しく軽減し、これを意図してされたものであり、財産評価基本通達の定める画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するため、当該評価による価額を上回る価額とすることに合理的な理由があると判断したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が、財産評価基本通達(評価通達)6《この通達の定めにより難い場合の評価》の定めに基づき、請求人の祖母(本件被相続人)が保有していた取引相場のない株式(本件株式)の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額(原処分庁評価額)によるものとしたことが租税法上の一般原則としての平等原則に違反する旨主張する。

しかしながら、①本件株式を発行する会社(本件会社)の事業年度の変更及びその決算期中の剰余金の配当(本件各行為)を行ったことによって、請求人の納付すべき税額は、本件各行為が行われなかった場合に比べて、約50%もの減少となることから、請求人の相続税の負担は著しく軽減されたといえ、また、②請求人は、本件各行為が近い将来発生することが予想される本件被相続人からの相続において請求人の相続税の負担を減じさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、本件各行為に係る各々の臨時株主総会を開催し、本件被相続人らと意思を相通じて賛成の議決権を行使したと推認できるから、本件各行為は請求人の租税負担の軽減をも意図して行われたものということができ、上記①及び②の事情の下においては、本件株式の価額について評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが、本件各行為のような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と請求人との間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであり、合理的な理由があると認められるから、本件株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが平等原則に違反するということはできない。

★リンクはこちら⇒ 取引相場のない株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反するということはできないとした事例

2025年2月26日


戸籍に振り仮名が記載されます

令和5年6月2日、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正法」といいます。)が成立し、同月9日に公布されました。

従前、戸籍においては、氏名の振り仮名は記載事項とされておらず、戸籍上公証されていませんでしたが、この改正法の施行により、戸籍の記載事項に氏名に加えて、新たにその振り仮名が追加されることになりました。

改正法は、令和7年5月26日に施行予定です。

★リンクはこちら⇒ 戸籍に振り仮名が記載されます

2024年11月20日


相続税申告書第11表の様式改訂(令和6年1月以降相続開始分)

相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)については、不動産や預貯金、有価証券などの全ての財産で同じ様式を使用していたが、令和6年1月以降相続開始分の相続税申告書から、各財産の種類別に所在場所や数量等の記載方法を明確化し、申告書作成に当たっての利便性の向上を図ることを目的として、相続税申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)の様式を分割するなどの改訂を行うこととした。

★リンクはこちら⇒ 相続税申告書第11表の様式改訂(令和6年1月以降相続開始分)

2024年10月3日


請求人が相続により取得した土地について、財産評価基本通達に定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとは認められず、固定資産税評価額に基づいて当該通達に従って評価された価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができると判断した事例

  • 平成28年6月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 令和5年11月9日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が相続により取得した土地についてした、市街化調整区域内に所在することなどにより財産評価基本通達の定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとの主張に対し、固定資産税評価額の算定において市街化調整区域の市場の特性等が考慮されており、当該事情には当たらないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した土地(本件各土地)について、①市街化調整区域内に所在し、かつ、既存宅地でない土地であること、②本件各土地の上には被相続人等が建築した建物等(本件各建物)があり、本件各土地を売却するには本件各建物の取壊し費用等を負担することから、財産評価基本通達(評価通達)の定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとして、本件各土地の時価は、評価通達の定める評価方法に従って算定すべきではなく、③複数の不動産業者に依頼して得た各査定額を基に、高く見積もっても評価通達の定める評価方法による本件各土地の評価額(本件各通達評価額)の2分の1に相当する金額となるから、本件各通達評価額には相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価を上回る違法がある旨主張する。

しかしながら、本件各通達評価額は、適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有している評価通達の定める評価方法により算定されており、①本件各土地が既存宅地でない土地であることの宅地利用上の制限については、評価通達の基礎となる固定資産税評価において減価修正がされ本件各通達評価額の算定過程において考慮されていること、②本件土地の上には相続開始日において本件各建物が存在し、居宅等として使用されている状況にあって、本件各建物の取壊し費用等を本件各土地の価額に反映させるべき事情は見当たらないことから、請求人が主張する事情は、いずれも評価通達の定める評価方法によるべきではない特別な事情に該当しない。

なお、③請求人が本件各土地の時価の根拠として主張する上記各査定額は、客観的な数値及び具体的な算定根拠が明らかではないから、本件各土地の時価と認めることはできない。

したがって、本件各通達評価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができるから、相続税法第22条に規定する時価を上回る違法があるとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が相続により取得した土地について、財産評価基本通達に定める評価方法によるべきではない特別の事情があるとは認められず、固定資産税評価額に基づいて当該通達に従って評価された価額は適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができると判断した事例

2024年9月13日


相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)
相続税及び贈与税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)(改正 令和5年6月23日)

2024年8月8


相続税の申告のしかた(令和6年分用)

国税庁は『相続税の申告のしかた(令和6年分用)』をホームページに掲載した。

この「相続税の申告のしかた(令和6年分用)」は、令和6年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和6年1月1日から令和6年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和6年分用)

2024年7月5


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和6年3月21日)

所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)等の施行に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和5年12月1日付課資2-21ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和6年3月21日)

2024年5月2


相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

  • 連帯納付義務の各納付通知処分
  • 棄却
  • 令和5年6月21日裁決

<ポイント>
本事例は、連帯納付責任限度額の算定において、相続登記に係る登録免許税は、連帯納付の通知処分時までに現実に納付した税額だけを相続等により取得した財産の価額から控除することが相当であることを明らかにしたものである。

<要旨>
請求人らは、原処分庁がした相続税の連帯納付義務の各納付通知処分(本件各通知処分)について、連帯納付責任の限度額の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から①相続財産の不動産登記を行う場合の司法書士報酬、登録免許税及び印紙税等の各見積額並びに②相続税申告等のための税理士報酬及び本件各通知処分等に対応するための弁護士報酬の各負担額が控除されていないため違法である旨主張する。

しかしながら、相続税法第34条第1項に規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」とは、相続人等が現実に取得した利益の価額に相当する金額であって、現実に支払義務が生じた金額を控除した後の金額と解するのが相当である。

そして、相続税法基本通達34-1(本件通達)において、「相続等により受けた利益の価額」とは、相続等により取得した財産の価額から、相続税法第13条に規定する債務控除の額のほか、相続等により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいう旨定めているところ、①相続財産である不動産は、いずれも相続による権利の移転の登記がされていないため、司法書士報酬等の各見積額は請求人らに現実に支払義務が生じたものとは認められず、②税理士報酬等は、相続税額のように納税義務に基づいて当然に負担が生じるものではないし、登録免許税額のように一般的に生じるものとも言い難いものであり、本件通達に定める債務控除の額等のいずれにも該当しないことから、請求人らの主張する各金額は、連帯納付責任限度額の算定に当たり相続等により取得した財産の価額から控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

2024年4月4


相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

  • 連帯納付義務の納付通知処分
  • 棄却
  • 令和5年6月21日裁決

<ポイント>
本事例は、連帯納付責任限度額の算定において、相続登記に係る登録免許税は、連帯納付の通知処分時までに現実に納付した税額だけを相続等により取得した財産の価額から控除することが相当であることを明らかにしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁がした相続税の連帯納付義務の納付通知処分(本件通知処分)について、連帯納付責任の限度額の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から①相続財産の不動産登記を行う場合の司法書士報酬、登録免許税及び印紙税等の各見積額並びに②相続税申告等のための税理士報酬及び本件通知処分等に対応するための弁護士報酬の各負担額が控除されていないため違法である旨主張する。

しかしながら、相続税法第34条第1項に規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」とは、相続人等が現実に取得した利益の価額に相当する金額であって、現実に支払義務が生じた金額を控除した後の金額と解するのが相当である。

そして、相続税法基本通達34-1(本件通達)において、「相続等により受けた利益の価額」とは、相続等により取得した財産の価額から、相続税法第13条に規定する債務控除の額のほか、相続等により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいう旨定めているところ、①相続財産である不動産は、いずれも相続による権利の移転の登記がされていないため、司法書士報酬及び登録免許税等の各見積額は請求人に現実に支払義務が生じたものとは認められず、②税理士報酬等は、相続税額のように納税義務に基づいて当然に負担が生じるものではないし、登録免許税額のように一般的に生じるものとも言い難いものであり、本件通達に定める債務控除の額等のいずれにも該当しないことから、請求人の主張する各金額は、連帯納付責任限度額の算定に当たり相続等により取得した財産の価額から控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第1項が規定する「相続等により受けた利益の価額に相当する金額」の算定に当たり、相続等により取得した財産の価額から控除すべき金額は、相続等により財産を取得することに伴って現実に支払義務が生じた金額と解することが相当であるとした事例

2024年3月29


相続開始後にされた修繕工事代金相当額は、相続税の課税価格の計算における債務控除をすることができないと判断した事例

  • 令和元年8月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年6月27日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が生前にした工事請負契約に基づき、相続開始後にされた修繕工事に係る請負代金相当額は、相続開始当時、工事が着工されていないことや、従前どおり賃借人が使用収益していたことなどの現況に照らし、その履行が確実と認められる債務には当たらないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した賃貸倉庫に係る修繕工事(本件修繕工事)について、被相続人は、①生前に請負契約を締結していたことから、相続開始日時点に当該請負契約に係る支払債務を負っていたと認められ、また、②民法第606条《賃貸人による修繕等》第1項の規定に基づき、当該賃貸倉庫に係る土間床の修繕義務を負っていたことから、相続税の課税価格の計算上、その請負代金相当額を債務控除することができる旨主張する。

しかしながら、被相続人は、①本件修繕工事の着工日前である相続開始日時点において、その請負代金の支払債務の履行を施工業者から求められる状況になく、その履行の要否すらも不確実な状況にあり、また、②本件修繕工事の着工日までは、従前どおり賃借人が賃貸倉庫を引き続き使用収益していたなどの状況からは、当該賃貸倉庫に係る修繕は、任意の履行が事実上期待されていたにすぎないものであったとみるのが相当であることからすると、当該請負代金の支払債務ないし当該賃貸倉庫に係る修繕義務は、その履行が確実と認められる債務には当たらないというべきであるから、相続税の課税価格の計算上、当該請負代金相当額を債務控除することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続開始後にされた修繕工事代金相当額は、相続税の課税価格の計算における債務控除をすることができないと判断した事例

2024年3月27


令和4年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、「令和4年分相続税の申告事績の概要」をホームページに掲載した。

令和4年分における被相続⼈数(死亡者数)は1,569,050⼈(前年対⽐109.0%)だった。

そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続⼈数は150,858 ⼈(同112.4%)、その課税価格の総額は20兆6,840 億円(同111.3%)、申告税額の総額は2兆7,989億円(同114.6%)だった。

★リンクはこちら⇒ 令和4年分相続税の申告事績の概要

2024年2月16


「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」の改訂

国税庁は、「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」を改訂した。

★リンクはこちら⇒ 「相続税申告書の代理送信等に関するQ&A」の改訂

2024年2月2


自宅の庭園設備について、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)の定めに基づいて評価するのが相当であるとした事例

  • 平成30年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年3月7日裁決

<ポイント>
本事例は、自宅の庭園設備も、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)に定める「庭園設備」として評価することが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、被相続人の自宅庭園(本件庭園設備)について、個人宅の庭であり、その立地条件等からしても本件庭園設備を一体として売却できず、また、立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取り価額は低額である上、実際に買手が見つからないことから、交換価値がなく財産評価基本通達(評価通達)は適用されない旨主張する。

しかしながら、評価通達92《附属設備等の評価》の (3)(本件通達)は、「庭園設備」について、家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当であるところ、本件庭園設備は、家屋とは別異の設備として、複数の業者によって金銭に見積もることができる経済的価値が認められているものであることからして、家屋とは別に独立した財産として評価すべきものである。

また、本件庭園設備は、造園されたものであるから、庭石商の店頭におけるように、立木や庭石、灯篭等を個別に売却することを前提に評価することは相当ではなく、上記のとおり、経済的価値が認められているものである。

よって、本件庭園設備の相続税の課税価格に算入される価額は、本件通達の定める方法によって評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 自宅の庭園設備について、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)の定めに基づいて評価するのが相当であるとした事例

2024年1月16


「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」の一部改正について(事務運営指針)

平成12年7月3日付課資2-264ほか2課共同「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(事務運営指針)の一部を下記のとおり改正したから、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する相続税及び贈与税について処理するものからこれによられたい。

(趣旨)
国税通則法の一部が改正されたことに伴い、所要の整備を図るものである。


別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

★リンクはこちら⇒ 「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」の一部改正について(事務運営指針)

2023年8月24


相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)」を掲載した。

(注1)
こちらに掲載されている申告書等は、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

(注2)
「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。
なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和5年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和5年分用)

2023年8月16


相続税の申告のしかた(令和5年分用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告のしかた(令和5年分用)」を掲載した。

Ⅰ.この冊子をご利用していただく人
この「相続税の申告のしかた(令和5年分用)」は、令和5年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和5年1月1日から令和5年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものです。

Ⅱ.マイナンバー(個人番号)の記載等について
相続や遺贈によって財産を取得した人が、相続税の申告書を提出する際には、申告書にマイナンバーを記載する必要があります。
また、マイナンバーを記載した申告書を提出する際は、税務署で本人確認(番号確認及び身元確認)を行うため、申告書に記載された各相続人等の本人確認書類(108ページ参照)の写しを添付する必要があります(各相続人等のうち税務署の窓口で申告書を提出する方は、ご自身の本人確認書類の写しの添付に代えて、本人確認書類を提示していただいても構いません。)。

Ⅲ.この冊子は、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と表記しています。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和5年分用)

2023年8月8


令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

国税庁は、ホームページに「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」を掲載した。

令和5年度税制改正により、相続税法及び租税特別措置法の一部が改正された。

0023006-004

★リンクはこちら⇒ 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

2023年7月25


相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)

国税庁は、ホームページに「相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)」を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(令和5年1月以降提出用)

2023年1月10


令和3事務年度における相続税の調査等の状況

国税庁は、ホームページに「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」を掲載した。

令 和 3事務年 度 に お け る相 続 税 の調 査 等 の状 況

★リンクはこちら⇒ 令和3事務年度における相続税の調査等の状況

2022年12月28


令和3年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、ホームページに「令和3年分相続税の申告事績の概要」を掲載した。

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★リンクはこちら⇒ 令和3年分相続税の申告事績の概要

2022年12月23


相続税の申告書に計上された預貯金口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金は、いずれも被相続人に帰属する相続財産とは認められないとした事例

  • 平成30年2月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し
  • 令和4年2月15日裁決

<ポイント>
本事例は、相続税の申告書に計上された預貯金の口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金について、いずれも被相続人の収入を原資とするものと断定することができないことなどを理由として、被相続人に帰属する相続財産とは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、相続税の申告書(本件申告書)に計上されていない現金(本件現金)、被相続人の配偶者(本件配偶者)名義及び次男名義の預貯金(本件預貯金)は、出捐者や被相続人及び本件配偶者の収入比率などからその帰属を判断すると、いずれも被相続人に帰属する財産である旨主張する。

しかしながら、①本件現金の出金元である本件申告書に計上された預貯金口座で管理運用されていた預貯金の原資が特定できないことや、本件配偶者も収入を得ていたと認められることなどからすると、本件現金には被相続人及び本件配偶者の収入が混在している可能性を否定できない中、審判所においても、被相続人及び本件配偶者の収入比率等により本件現金を合理的にあん分することもできず、また、②本件預貯金についても、本件現金と同様、それらの原資を特定することができず、本件配偶者が管理運用しており、被相続人の収入が混在している可能性を否定できない中、被相続人及び本件配偶者の収入比率等により合理的にあん分することができないのであるから、本件申告書に計上された預貯金及び現金の額を超えて、本件現金、本件預貯金が被相続人に帰属する相続財産として存在していたと断定することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書に計上された預貯金口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金は、いずれも被相続人に帰属する相続財産とは認められないとした事例

2022年10月21


評価対象地は、相続開始日において、土壌汚染のある土地と認められ、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとした事例

  • 平成28年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和3年10月8日裁決

<ポイント>
本事例は、法令等により土壌汚染の除去等の措置を講ずる義務が生じていない評価対象地について、相続開始日において、土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質を地中に含有していたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であるとして、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、評価対象地(本件各土地)は法令等により土壌汚染の除去等の措置を講ずる義務が生じておらず、本件各土地の価格形成に影響を及ぼすような土壌汚染は認められないから、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から浄化・改善費用相当額を控除する必要はない旨主張する。

しかしながら、本件各土地は、相続開始日において、土壌汚染対策法所定の基準を超える特定有害物質を地中に含有していたことが認められ、土壌汚染のある土地と認めるのが相当であることから、本件各土地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきである。

そして、本件各土地及びその周辺の状況や土壌汚染の状況から、本件各土地について最有効使用ができる最も合理的な土壌汚染の除去等の措置は掘削除去であると認められるところ、請求人が主張する土壌汚染対策工事の各見積額(本件各見積額)の算定過程に特段不合理な点は見当たらず、浄化・改善費用の金額として相当であると認められるので、本件各土地の評価に当たり、土壌汚染がないものとした場合の評価額から、浄化・改善費用相当額として本件各見積額の80%相当額を控除して評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 評価対象地は、相続開始日において、土壌汚染のある土地と認められ、当該評価対象地の評価に当たり、浄化・改善費用相当額を控除すべきとした事例

2022年9月27


租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」

日本公認会計士協会は、2022年5月19日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」」を公表した。

不動産は一物四価とも言われており、それぞれの場面で使用される時価が複数存在し、「時価」という概念を画一的に決めることが非常に難しいため、その使用する場面に応じて、どちらの「時価」を使うのかを実務家が常に認識した上で処理を行わなければならない。

本研究報告では、相続時における評価の問題点だけではなく、取得・保有・移転時での問題点、民法と税法との関係性など、多岐にわたって検討しており、実務家が日々取り組んでいる課題そのものを整理して報告するものである。

本研究報告が会員の行う業務の参考となれば幸いである。

★リンクはこちら⇒ 租税調査会研究報告第39号「不動産をめぐる課税上の論点整理」

2022年8月29


相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和4年1月1日から令和4年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和4年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和4年分用)

2022年7月19


相続税の申告のしかた(令和4年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和4年分用)』をホームページに掲載した。

この『相続税の申告のしかた(令和4年分用)』は、令和4年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和4年1月1日から令和4年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(令和4年分用)

2022年7月7


特定農業団体に対し農作業の一部を委託した場合

<照会要旨>
相続税の納税猶予の特例適用者が、農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農業経営基盤強化促進事業のうち同項第3号に規定する委託を受けて行う農作業の実施を促進する事業を行う特定農業団体に対し特例農地等に係る農作業の一部を委託した場合、相続税の納税猶予の確定事由に該当するか?

<回答要旨>
相続税の納税猶予の特例適用者が、特定農業団体に対し特例適用農地等に係る農作業の一部を委託した場合であっても、その者が農業経営を継続している場合には、納税猶予の確定事由には該当しない(贈与税の納税猶予についても同様である。)。

(注)
1.農作業とは、例えば米であれば、育苗、耕起、代かき、田植え、基肥、追肥、除草、防除、稲刈り、脱穀、乾燥等をいう。
2.実質的に農業経営を委託したと認められる場合は、納税猶予の確定事由に該当する場合があり得る。

(参考)
特定農業団体とは、農業経営の担い手不足が見込まれる地域において、地縁的まとまりをもつ地権者が、当該地域の農地の3分の2以上について農作業を委託することとして合意した任意組織(民法上の組合又は人格なき社団)であり、組合員との契約に基づき、組合員が所有する農地について委託を受けた農作業を集約して行う団体をいう(基盤法23④)。

組合員は、農作業のうち集約可能な作業(例えば米であれば、耕起、代かき、田植え、稲刈り、脱穀)の全部又は一部を特定農業団体へ委託することが可能であり、また、組合員は、特定農業団体との間で農作業の受託契約を締結することにより、特定農業団体が集約化した農作業に従事することも可能である。


特例農地等について農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)による信託契約を締結した場合の納税猶予期限の確定

<照会要旨>
農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)とは、同法第8条第1項の承認を受けた農地中間管理機構(受託者)が、離農又は農業経営規模の縮小を希望する農家(委託者・受益者)が所有する農地の売渡信託の引き受けを行い、その委託者に対しその農地等の評価額の7割以内の資金を無利子で貸し付けるものだが、特例農地等について、この信託を設定した場合には納税猶予期限の確定事由となるか?

<回答要旨>
特例農地等についてこの信託の設定があった場合には、委託者から受託者へ当該農地等に係る管理・処分権が移転するから、納税猶予期限の確定事由となる。

★リンクはこちら⇒ 特例農地等について農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(農地売渡信託等事業)による信託契約を締結した場合の納税猶予期限の確定

2022年6月29日


特例適用農地の譲渡代金の一部について代替農地の取得の見積承認申請があった場合

<照会要旨>
農地に係る贈与税の納税猶予の特例の適用を受けた者が、特例適用農地を譲渡し、その譲渡代金の一部をもって代替農地を取得する見込みであるため、租税特別措置法第70条の4第15項に規定する見積承認申請をした場合において、同項第1号に規定する「当該承認に係る譲渡等は、なかったものとみなす。」の解釈については、以下の考え方があるがいずれによるべきか?

  • 甲説
    譲渡代金のうち代替農地等の取得について承認を受けた取得価額の見積額に対応する部分の譲渡等に限り譲渡等がなかったものとみなす。
  • 乙説
    代替農地等の取得についての承認を受けた取得価額の見積額が譲渡等の対価の額の全部であるか一部であるかにかかわらず、当該譲渡等の全部について譲渡等がなかったものとみなす。

<回答要旨>
乙説による。

なお、譲渡があった日から1年を経過する日において代替農地等の取得に充てられなかった部分について譲渡があったものとみなされる。

★リンクはこちら⇒ 特例適用農地の譲渡代金の一部について代替農地の取得の見積承認申請があった場合

2022年6月23日


経営移譲年金の受給資格取得のために経営移譲が行われていた場合の相続税の納税猶予の特例の適用

<照会要旨>
父は経営移譲年金(現行:農業者年金基金法の一部を改正する法律(平成13年法律第39号)附則第8条第1項に規定する経営移譲年金)の支給を受けるため、生前にその所有農地の全部について使用貸借権を設定し長男に農業経営の移譲を行っていた。

父について相続が開始し、父所有の当該農地については、長男と二男が分割して相続により取得した。

この場合、両名は相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
長男については、取得した農地に自己の使用貸借権が設定されているが、これは相続により取得することによって混同により消滅することとなるので、引き続き農業経営を行うなど一定の要件を満たす限り納税猶予の特例の適用が受けられる。

また、二男についても、取得した農地に設定されている長男の使用貸借権を抹消し、農業経営を開始するなど一定の要件を満たす限り納税猶予の特例の適用が受けられる。

★リンクはこちら⇒ 経営移譲年金の受給資格取得のために経営移譲が行われていた場合の相続税の納税猶予の特例の適用

2022年6月21日


養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無

<照会要旨>
以下の場合、被相続人に相続が開始したときに、G、H及びIは、養子Cの代襲相続人となるか?

<回答要旨>
民法第887条第2項に規定する「被相続人の直系卑属」とは、相続開始前に死亡した被相続人の子を通じて「被相続人の直系卑属」でなければならないと解されるから、G、H及びIは養子Cの代襲相続人とならない。

★リンクはこちら⇒ 養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無

2022年6月15日


⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし

国税庁は、ホームページに『⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし』を掲載した。

⺠法の改正により、2022年4⽉1⽇から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。

これに伴い、贈与税・相続税の規定における20歳を基準とする要件についても18歳に引き下げる税制改正が⾏われている。

贈与・相続等の時期によって、受贈者や相続人等の年齢に関する要件が異なっているので、留意すること。

★リンクはこちら⇒ ⺠法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし

2022年6月13日


仮換地が指定されている相続税の納税猶予の適用を受けている農地等について特定転用を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理

<照会要旨>
仮換地が指定されている相続税の納税猶予の特例の適用を受けているA農地について特定転用の承認を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合には、猶予期限の確定処理はどのように行うのか?

<回答要旨>
換地処分は、相続税の納税猶予の特例の猶予期限の確定事由の一つである「譲渡等」に該当することとされているが、仮換地の指定されている場合の特定転用の申請が、将来、換地処分があったときにおいて、当該換地処分により取得する土地を引き続き共同住宅の敷地として使用することを前提として行われている場合には、当該換地処分は猶予期限の確定事由に該当しない。

なお、換地処分に伴って清算金を取得した場合には、清算金に対応する部分(従前地の面積×清算金の額÷従前地の価額)について換地処分が行われた時に譲渡されたものとして、猶予期限の確定処理を行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 仮換地が指定されている相続税の納税猶予の適用を受けている農地等について特定転用を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理

2022年6月3日


納税猶予の特例の適用を受けている農地等の大半が収用により譲渡されたために農業経営を廃止した場合の利子税の特例

<照会要旨>
贈与税の納税猶予の特例の適用を受けている農地等の約9割が収用交換等により譲渡されたため、農業経営を廃止した場合、その全ての猶予税額に係る利子税について措置法第70条の8第1項《農地等についての贈与税の納税猶予等に係る利子税の特例》の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
措置法第70条の8第1項の規定の適用要件は、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けている農地等について、特例適用者が、収用交換等による譲渡をしたことにより、措置法第70条の4第35項第2号に掲げる場合に該当することとなった場合に限られている。

そして、同号に掲げる場合に該当することとなった場合とは、同条第4項の規定の適用があった場合、すなわち、その一部が収用交換等により譲渡されたときをいう。

したがって、その農地等のうち収用交換等により譲渡された部分については、措置法第70条の8第1項の規定の適用があるが、譲渡されなかった残余の部分については、同項の規定の適用はない。

★リンクはこちら⇒ 納税猶予の特例の適用を受けている農地等の大半が収用により譲渡されたために農業経営を廃止した場合の利子税の特例

2022年6月2日


未成年者が農業相続人となる場合の農業委員会の証明

<照会要旨>
未成年者が農業相続人となる場合において、農業委員会が証明する「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」の「農地等の相続人」欄の記載については、どのようにすればよいか?

<回答要旨>

  • 「住所」欄から「相続開始前において農業に従事した実績の有無」欄までの各欄には、その未成年者の住所等及びその実績を記載する。
  • 「左記の農地等による農業経営の開始年月日」及び「今後引き続き農業経営を行うことに関する事項」欄には、その未成年者に代わり農業経営を行う者についての事項を記載する。
  • 「その他参考事項」欄には、その未成年者に代わり農業経営を行う者の氏名、その未成年者との続柄、その他措置法関係通達70の6-8((農業経営を行う者))後段の取扱いに該当するかどうかの判定上必要な事項を記載するとともに、農地等の相続人である未成年者についての必要な参考事項を記載する。

★リンクはこちら⇒ 未成年者が農業相続人となる場合の農業委員会の証明

2022年5月31日


相続放棄と相続税の納税猶予

<照会要旨>
農業を営む長男が死亡したが、長男には配偶者も子もいないことから、相続人は母親一人である。

母親は、財産を二男に引き継がせることを目的として相続の放棄をし、農業従事者である二男が農地等を相続した場合は、相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
長男の相続人である母親が、民法の規定に従い長男の死亡したことを知った時から3か月以内に相続の放棄をした場合には、母親ははじめから相続人とならなかったものとみなされるため、相続人は兄弟である二男となる。

したがって、相続人である二男が農地等を相続した場合には、相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 相続放棄と相続税の納税猶予

2022年5月30日


未成年者が農業相続人となった場合の農業所得の申告

<照会要旨>
未成年者が農業相続人となっており、農業所得はその未成年者に代わって農業経営を行っている親族が申告している。この場合、相続税の納税猶予の特例の適用上、問題はないか?

<回答要旨>
相続または遺贈により農地等を取得した相続人が未成年者に該当し、かつ、その未成年者に代わりその未成年者と住居及び生計を一にする親族が、その未成年者の取得した農地等につき農業経営を行う場合には、当該未成年者が農業経営を行う者に該当するものとして取り扱っているが、この場合において、当該未成年者が所得税の農業所得の申告をしなければならないという要件を課していないことから、相続税の納税猶予の特例の適用上、問題はない。

★リンクはこちら⇒ 未成年者が農業相続人となった場合の農業所得の申告

2022年5月26日


2人以上の者が農地等を共有で相続した場合の納税猶予の特例の可否

<照会要旨>
共同相続人のうち妻と子、兄弟など2人以上の者が遺産分割により共有で農地等を相続した場合において、次に掲げるケースのときに相続税の納税猶予の特例の適用を受けられるのか?
(1)共有者が共に農業を行う場合

(2)共有者のうち一人だけ農業を行う場合

(3)共有者のうち未成年者がいる場合

<回答要旨>
(1)共有者が共に農業を行う場合
相続税の納税猶予の特例の適用要件として農地等を共有で相続した場合を排除していないことから、取得した農業相続人がそれぞれ農業を行うのであれば、それぞれ納税猶予の特例の適用を受けられる。

(2)共有者のうち一人だけ農業を行う場合
相続税の納税猶予の特例の適用要件として相続した農地等において農業経営を行うこととされていることから、農業を行う者は、その取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けられるが、農業を行わない者は、その取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けられない。

(3)共有者のうち未成年者がいる場合
未成年者が農地等を相続した場合には、上記(2)にかかわらず、その未成年者に代わりその未成年者と住居及び生計を一にする親族が、その未成年者の取得した農地等につき農業経営を行う場合には、その未成年者の取得した農地等の持分について納税猶予の特例の適用を受けることができる。

ただし、その未成年者について、次に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、その者が自ら農業経営を行うときを除き、その事実が生じた日において農業経営を廃止したものとみなされる。
〔1〕その未成年者が成年に達したこと(引き続き就学している場合を除く。)
〔2〕その未成年者が成年に達した後、就学を了したこと。
〔3〕その未成年者とその未成年者の取得した農地又は採草放牧地につき農業経営を行っているその未成年者の親族とが住居又は生計を一にしないこととなったこと。
〔4〕その未成年者の取得した農地又は採草放牧地につき農業経営を行っていた親族が農業経営を行わないこととなったこと。

★リンクはこちら⇒ 2人以上の者が農地等を共有で相続した場合の納税猶予の特例の可否

2022年5月24日


同一年中に2人の贈与者から農地等の生前一括贈与を受けた場合

<照会要旨>
同一年中に父と母からそれぞれ農地等の生前一括贈与を受け、その各贈与について贈与税の納税猶予の特例の適用を受けたいと考えている。
この場合、
(1)納税猶予税額の計算はどうなるか?

(2)その適用を受けた後、それらの農地等を譲渡した場合の20%の計算はどのように計算するのか?

(3)一方の贈与者が死亡した場合の納税猶予税額の免除額はどのように計算するのか?

<回答要旨>
(1)贈与税の納税猶予の特例の適用に当たっては、納税猶予税額を父と母から受けたそれぞれの農地等の価額の比によりあん分し、父と母からの贈与に係る納税猶予税額を区分して贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることになる。

(2)その譲渡等した農地等が父から贈与を受けたものか母から受けたものかの別により、上記(1)で計算した納税猶予税額を基として各人別に計算する。

(3)父の死亡か、母の死亡かの別により、上記(1)により計算した納税猶予税額が免除される。

★リンクはこちら⇒ 同一年中に2人の贈与者から農地等の生前一括贈与を受けた場合

2022年5月16日


貸付農地がある場合の贈与税の納税猶予の適用

<照会要旨>
農地等の生前一括贈与に該当するかどうかを判定する場合、貸し付けられている農地は除外してよいか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるためには、贈与者が農業の用に供している農地の全部を推定相続人の一人に贈与しなければならない。

したがって、他に貸し付けられている農地は、贈与者の農業の用に供していた農地には該当しないので、一括贈与する必要はない。

★リンクはこちら⇒ 貸付農地がある場合の贈与税の納税猶予の適用

2022年5月13日


農業所得の申告が贈与者以外の者によって行われていた場合

<照会要旨>
農地等を所有する甲は、会社に勤務しているため農業所得の申告は甲の妻名義で申告している。

今回、所有農地の全部を長男に生前一括贈与するつもりだが、この場合、甲は納税猶予の適用上「農業を営む個人」に該当するか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の適用にあたって、「農業を営む個人」とは、耕作又は養畜の行為を反復、かつ、継続的に行う個人をいうこととされており、農業を営む個人が必ずしも所得税の課税上、農業の事業主となっていることを要件としていないので、農地等の贈与者が会社に勤務するかたわら農業を営んでいる場合には、その農業所得を妻名義で申告しているときであっても、その贈与者は、農業を営む個人に該当するものとして取り扱われている。

したがって、甲から農地等の一括贈与を受ける長男が、一定の要件を満たすものであれば、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができる。

★リンクはこちら⇒ 農業所得の申告が贈与者以外の者によって行われていた場合

2022年5月12日


同一年中に複数の者に贈与した場合

<照会要旨>
甲は7ヘクタールの農地について30年間にわたって農業経営を行ってきたが、その農地のうち2ヘクタールを○年3月に長男A(引き続き3年以上農業に従事)に、残余の農地を同年10月に次男B(引き続き3年以上農業に従事)にそれぞれ贈与した。

この場合、Bは、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
贈与税の納税猶予の特例は、農地等の贈与者が贈与をした日の属する年において他に農地等の贈与をしていないことなど条件として認められるものである。

したがって、A・Bの両名はいずれも贈与税の納税猶予の特例を受けることはできない。

★リンクはこちら⇒ 同一年中に複数の者に贈与した場合

2022年5月11日


農地所有適格法人に貸し付けることとなった農地

<照会要旨>
贈与税(相続税)の納税猶予の特例適用者が、農地所有適格法人の常時従事者となり特例農地等をその法人に貸し付けた場合には、租税特別措置法施行令第40条の6第11項第2号(第40条の7第10項)の規定による20%の計算除外を受けることができるか?

<回答要旨>
租税特別措置法施行令第40条の6第11項第2号(第40条の7第10項)の規定は、農地等を農地所有適格法人に「出資」した場合に適用されることから、貸し付けた場合又は譲渡した場合など、出資に該当しない権利の設定又は移転には、その適用がない。

★リンクはこちら⇒ 農地所有適格法人に貸し付けることとなった農地

2022年5月10日


砂利採取中の土地

<照会要旨>
生前一括贈与(相続)により取得した土地のうちに、贈与者(被相続人)が贈与前(相続開始前)に期限1年の契約でA会社に砂利を採取させているものがある。

この土地は、従前から贈与者(被相続人)が耕作しており、その期限徒過後も農地として耕作する予定である。

このような土地について贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられるか?

<回答要旨>
贈与の時(相続開始の時)において、国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業の用に供することができない土地で、かつ、その時期が、例えば、気温、積雪その他の自然条件により概ね農作物の作付ができない期間、連作の害を防ぐため休耕している期間に当たる場合などその土地の農業上の利用を害さないものと認められるものについては、納税猶予の特例対象農地として取り扱っているが、次に掲げるいずれかに該当するものについては、この取扱いをしていない。

(1) その土地が国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業に供することができなくなることについて、公共性、緊急性及び非代替性が認められないもの
(2) その土地を国又は地方公共団体等の行う事業のために農業の用に供することができなくなる期間が、その事業のため必要最小限の期間でないもの又はその土地を農業の用に供することができなくなる期間がその事業のため必要最小限の期間であっても、その期間が1年を超えるもの
(3) 一時的な使用後において、その土地が従前の農地又は採草放牧地と同等以上の利用価値を有する農地又は採草放牧地に復元されることが確実であると認められないもの

したがって、照会の砂利採取中の土地について上記のいずれにも該当せず、他の一定の要件を満たす限り、贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられる。

なお、砂利の採取については、公共事業による骨材需要に応えるため安定的に供給する必要があること及び陸砂利は限られた地域に分布していることなどから、公共性、緊急性及び非代替性があるものと判断できるため上記(1)には抵触しないと考えられる。

★リンクはこちら⇒ 砂利採取中の土地

2022年5月9日


鉄塔の建替え工事のため仮鉄塔の敷地として一時使用されている土地

<照会要旨>
生前一括贈与(相続)により取得した土地のうちに、贈与者(被相続人)が贈与の前(相続開始の前) にA電力会社に対し送電線の鉄塔の建替え工事のため仮鉄塔の敷地として1年6か月間の契約で貸し付けられているものがある。この土地は、当該貸付けの直前において農地であり、贈与者(被相続人)が耕作していた。

このような土地について贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられるか?

また、贈与税(相続税)の納税猶予の適用を受けている特例適用農地等(特例農地等)を同様に貸し付けた場合はどうか?

<回答要旨>
1.贈与の時(相続開始の時)において、国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業の用に供することができない土地で、かつ、その時期が、例えば、気温、積雪その他の自然条件により概ね農作物の作付ができない期間、連作の害を防ぐため休耕している期間に当たる場合などその土地の農業上の利用を害さないものと認められるものについては、納税猶予の特例対象農地として取り扱っているが、次に掲げるいずれかに該当するものについては、この取扱いをしていない。

(1) その土地が国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業に供することができなくなることについて、公共性、緊急性及び非代替性が認められないもの
(2) その土地を国又は地方公共団体等の行う事業のために農業の用に供することができなくなる期間が、その事業のため必要最小限の期間でないもの又はその土地を農業の用に供することができなくなる期間がその事業のため必要最小限の期間であっても、その期間が1年を超えるもの
(3) 一時的な使用後において、その土地が従前の農地又は採草放牧地と同等以上の利用価値を有する農地又は採草放牧地に復元されることが確実であると認められないもの

電力会社の行う送電線の鉄塔の建替え工事は、一般に電力需要に対する安定供給を確保するために必要な工事であるため、公共性及び緊急性があるものと判断できることから上記(1)には抵触しない場合もあるが、その土地がその事業のために農業の用に供することができなくなる期間が1年を超えていることから上記(2)に抵触する。

したがって、A電力会社に対し貸し付けられている土地は、納税猶予の対象となる農地に当たらないことから贈与税(相続税)の納税猶予の適用は受けられない。

2.贈与税(相続税)の納税猶予の適用を受けている特例適用農地等(特例農地等)をA電力会社に貸し付けた場合には、上記1と同様の理由により本取扱いの適用はできないことから納税猶予の継続はできないが、一時的道路用地の貸付特例(措置法第70条の4第18項、第70条の6第22項)の適用を受けたときには、納税猶予が継続される。

★リンクはこちら⇒ 鉄塔の建替え工事のため仮鉄塔の敷地として一時使用されている土地

2022年5月6日


農業協同組合の受託経営に係る農地

<照会要旨>
農業協同組合の行う受託農業経営事業に係る農地には、同組合のため使用収益権が設定されているが、当該受託農業経営事業から生ずる収益は、委託者の農業所得として取り扱われているので、当該農地は、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?

<回答要旨>
贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用要件の一つとして、贈与者(被相続人)がその適用を受ける農地に係る農業経営を行うこととされており、農作業の全部を農業協同組合に委託した場合には、たとえ、所得税の取扱いにおいて受託農業経営事業から生ずる収益が委託者(特例適用者)の農業所得とされていたとしても、その委託に係る農地は、委託者自身が農業を行っているわけではないので、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができない。

(注)
受託農業経営事業は、「農業協同組合農業経営受託規程例」に基づき、昭和46年から実施されている。
当該事業を行う場合には、当該農地について農地法第3条第1項の規定による使用収益権が設定されるが、受託者はその使用収益の対価を支払うことはなく、一方、受託農業経営事業から生ずる損益は委託者に帰属することとされている。

★リンクはこちら⇒ 農業協同組合の受託経営に係る農地

2022年4月28日


特例農地等の一部を市に寄附した場合の100分の20の判定

<照会要旨>
相続税の特例農地等の一部を市に寄附した場合には、当該農地等の面積は、一般の譲渡があったときと同様に100分の20の判定に含めることとなるか?

<回答要旨>
現行法上、100分の20の判定の対象外とされる譲渡等は、収用等による譲渡のほか租税特別措置法施行令第40条の7第10項に規定する一定のものに限られており、これには地方公共団体等への寄附は含まれていないので、照会意見のとおり、100分の20の判定に含めることとなる。

★リンクはこちら⇒ 相特例農地等の一部を市に寄附した場合の100分の20の判定

2022年4月27日


広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないとした事例

  • 平成26年11月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分・全部取消し
  • 令和3年8月3日裁決

<ポイント>
本事例は、広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできず、評価対象地の経済的に最も合理的な使用は道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであるなどとして、評価対象地は広大地に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地に該当するか否かの判定に当たり、①評価対象地(本件土地)は共同住宅の敷地として利用されており、現に有効利用されていること、②その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく地積が広大かについては、指標となる各自治体が定める開発許可を要する面積基準(開発許可面積基準)を満たすか否かにより判断すべきであること、③本件土地は、路地状開発をすることができ、公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、本件土地は広大地に該当しない旨主張する。

しかしながら、①その地域における標準的な宅地の使用は、戸建住宅の敷地としての利用であるから、本件土地は、現に宅地として有効利用されているとは認められないこと、②広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないこと、また、③本件土地の経済的に最も合理的な使用は、道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであると認められることから、広大地に該当する。

★リンクはこちら⇒ 広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないとした事例

2022年4月26日


相続税の特例農地等の一部について地役権が設定された場合

<照会要旨>
相続税の特例農地等の一部について、K(株)が上空に電線路を架設するため、地役権を設定し、その対価の支払いを特例適用者が受けた場合には、納税猶予の確定事由に該当するか?

<回答要旨>
地役権の設定は、納税猶予の確定事由に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の特例農地等の一部について地役権が設定された場合

2022年4月25日


請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないとした事例

  • 平成27年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和3年7月12日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、本件の各事情を考慮すれば、当該請求人名義の証券口座において夫の財産がそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるとして、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の夫名義の預金口座からの金員が入金(本件入金)された請求人名義の証券口座(本件口座)について、①請求人自身の判断で取引を行っていたこと、②本件口座の投資信託の分配金が請求人名義の普通預金口座に入金されていたこと、③当該分配金等を請求人の所得として確定申告がされていたことから、本件入金は、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当する旨主張する。

しかしながら、①請求人は、本件入金の前後を通じて夫の財産の管理を主体的に行っており、その管理に係る全部の財産について請求人に帰属していたものと認めることはできないから、本件口座において請求人自身の判断で取引を行った事実をもって利益を受けたと認めることはできない上、②分配金等の入金があっても、請求人が私的に費消した事実が認められない本件においては、これを管理・運用していたとの評価の範疇を超えるものとはいえず、③確定申告をしたことは、申告をすれば税金が還付されるとの銀行員の教示に従い深く考えずに行ったものとの請求人の主張が不自然とまではいえず、殊更重要視すべきものとは認められないことなどの各事情を考慮すれば、本件入金によっても、夫の財産は、本件口座においてそのまま管理されていたものと評価するのが相当であるため、本件入金は、請求人に贈与と同様の経済的利益の移転があったものと認めることはできず、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しない。

★リンクはこちら⇒ 請求人の夫名義の預金口座から請求人名義の証券口座に金員が入金されたことは、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当しないとした事例

2022年4月22日


納付すべき相続税額が算出されない配偶者についての納税猶予の適用

<照会要旨>
農地に係る相続税の納税猶予の特例の適用上、被相続人の配偶者が子とともに農地を相続により取得し、農業相続人として配偶者の税額軽減の規定を適用したところ、納付すべき相続税額が算出されず、また、農業相続人でないものとして相続税額を計算した場合においても配偶者の税額軽減の規定が適用されて納付すべき税額が算出されないときでも、その配偶者について納税猶予の特例を認めて差し支えないか?

(注)
その配偶者について納税猶予の特例を適用した場合には、その者が取得した農地の価額は、農業投資価格を適用することができるため、納税猶予税額の総額が増加し、他の農業相続人である子の税負担が減少するメリットがある。

<回答要旨>
配偶者について納税猶予の特例が適用されるのは、次に掲げるいずれかの場合に限られる。
①配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合
②配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出されない場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合
③配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出されない場合
したがって、照会の場合の配偶者については、納税猶予の特例は認められない。

★リンクはこちら⇒ 納付すべき相続税額が算出されない配偶者についての納税猶予の適用

2022年4月21日


被相続人が毎年一定額を入金していた請求人名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分 全部取消し、一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった請求人に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、請求人の唯一の法定代理人である母を介し、請求人名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は請求人に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった請求人に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、請求人の母を介し、請求人名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、請求人の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が請求人へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から請求人への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、請求人の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、請求人の唯一の親権者であった請求人の母は、請求人の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から請求人に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月20日


修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算税

<照会要旨>
贈与税(相続税)の期限内申告に係る修正申告又は更正により増加した税額については、租税特別措置法関係通達70の4-18((修正申告等に係る贈与税額の納税猶予))により特例適用農地等の評価誤り又は計算誤りのみに基づくものだけに限り納税猶予の特例の適用が認められることとされているが、この納税猶予が認められた部分についても加算税が賦課されるか?

<回答要旨>
加算税は、納税猶予の特例の適用が認められる増加した税額についても、一般の例により国税通則法第65条の規定に基づき賦課されることとなる。

★リンクはこちら⇒ 修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算税

2022年4月19日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 →一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の賦課決定処分  →一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月18日


修正申告等による増差税額の納税猶予の適用

<照会要旨>
相続税の申告期限後、農業相続人以外の者の取得した財産について評価誤りがあり、農業相続人の農業投資価格超過額に対応する相続税額が増加することとなった。

この場合、その増加税額については、租税特別措置法関係通達70の6-18により納税猶予の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
その増差税額については、納税猶予の対象とすることはできない。

(注)
租税特別措置法関係通達70の6-18の趣旨は、特例適用農地等の評価誤り又は税額計算の誤りにのみに基づいて修正申告又は更正があった場合の増差税額について納税猶予の適用を認めるものである。

★リンクはこちら⇒ 修正申告等による増差税額の納税猶予の適用

2022年4月15日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • ③平成27年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成29年1月相続開始に係る相続税の修正申告に基づく過少申告加算税の賦課決定処分 棄却
  • ④平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡父(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

2022年4月14日


納税猶予の適用を受ける場合の贈与者の農業に従事していた期間

<照会要旨>
(1)他家(農家)に嫁いだ娘が離婚して実家に戻り農地の贈与を受けた場合において、その娘が他家で農業に従事していた期間は、租税特別措置法施行令第40条の6第6項第2号の「農業に従事」した期間に含まれると解してよろしいか?

(2)租税特別措置法関係通達70の4-11に規定する「農業に関する学科を学んだ期間」の期間中は、受贈者は必ずしも贈与者と住所を一にしている必要はないと解してよろしいか?

<回答要旨>
(1)及び(2)のいずれについても照会意見のとおり解して差し支えない。

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2022年4月13日


被相続人が毎年一定額を入金していた未成年の子名義の預金口座に係る預金は相続財産に含まれないと認定した事例

  • ①平成29年1月相続開始に係る相続税の更正処分及び更正の請求に対する更正処分 →一部取消し
  • ②平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分及び重加算税の各賦課決定処分並びに過少申告加算税の変更決定処分 →一部取消し
  • ③平成29年1月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の再変更決定処分及び重加算税の変更決定処分 →却下
  • 令和3年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が、毎年一定の金額を当時未成年であった嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証を作成した上で、長女の唯一の法定代理人である母を介し、長女名義の普通預金口座に毎年入金していたことにつき、当該母が、その贈与証に基づく贈与を受諾し、入金していたものであるから、当該口座に係る預金は長女に帰属する財産であり、相続財産には含まれないと認定したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の亡夫(被相続人)が、毎年一定の金額を当時未成年であった被相続人の嫡出でない子(長女)に贈与する旨を記した贈与証(本件贈与証)を作成した上で、長女の母を介し、長女名義の普通預金口座(本件預金口座)に平成13年から平成24年までの間、毎年入金していたことについて、長女の母は、本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金が長女へ贈与されたものとは認識していないから、被相続人から長女への贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれる旨主張する。

しかしながら、本件贈与証の内容は、その理解が特別困難なものとはいえない上、長女の母は、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金し、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していたことからすれば、平成13年当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当であり、また、本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初から長女に帰属するものであって、相続財産には含まれない。

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2022年4月12日


相続税の納税猶予の適用を受けることができる農業相続人

<照会要旨>
農業経営を行っていた被相続人の死亡により、被相続人の孫である甲は被相続人の全財産を包括遺贈により取得した。この場合、甲は農地等についての相続税の納税猶予の特例を適用することができるか?

なお、被相続人の相続人は、長男、長女及び二女である。

<回答要旨>
甲は農業相続人に該当しないため、農地等についての相続税の納税猶予の特例を適用することはできない。

(理由)
相続税の納税猶予の適用を受けられる農業相続人は、被相続人の相続人で、一定の要件に該当することにつき農業委員会が証明した者に限られている。

この場合の相続人は民法第5編第2章の規定による相続人(相続を放棄した者及び相続権を失った者を含まない。)をいうから、照会の被相続人の相続人は、長男、長女及び二女であり、孫甲はこれに該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の納税猶予の適用を受けることができる農業相続人

2022年4月11日


対象年の前年以前又は対象年に農地法第5条の許可を受けた農地等の贈与を行った場合の贈与税の納税猶予の適用

<照会要旨>
父親から農地等の贈与を受けたが、贈与を受けた年の前年に弟が父親から農地法第5条第1項本文((農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限))の規定による許可を受けた農地の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けている。この場合、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
租税特別措置法施行令第40条の6第1項の規定により、贈与者が、①贈与をした日の属する年(以下「対象年」という。)の前年以前において、その農業の用に供していた農地をその者の推定相続人に対し贈与をしている場合であって、その農地について相続時精算課税の適用を受けているとき、又は②対象年において、その贈与以外の贈与により農地等を贈与しているときには、農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予の特例の適用を受けることができないこととされている。

ところで、農地法第5条第1項本文の規定による許可を受けた農地を贈与していた場合に納税猶予の特例の適用を受けることができるかどうかについては、法文上、明らかではない。

しかしながら、平成15年度税制改正において、納税猶予の特例を受ける場合の贈与税について要件を付された趣旨が、農業経営の細分化の防止の観点からであることに鑑みると、既に、農業委員会において、農地等以外のものとすることが許可された農地等までを租税特別措置法施行令第40条の6第1項に規定する農地等に含めて考えることは適当でない。

したがって、贈与を受けた前年に弟が父親から農地の贈与を受け、その農地について相続時精算課税の適用を受けている場合であっても、その農地が農地法第5条第1項本文の規定による許可を受けたものである場合には、贈与税の納税猶予の特例の適用の対象として差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 対象年の前年以前又は対象年に農地法第5条の許可を受けた農地等の贈与を行った場合の贈与税の納税猶予の適用

2022年4月7日


調整水田に対する納税猶予の適用

<照会要旨>
調整水田とは、米の生産調整のため、各年ごとの市町村水田営農活性化計画により、農地である水田の全部又は一部について、農家の選択により「水を張ることにより常に水稲の生産力が維持される状態に管理」はするが耕作をしないこととした水田をいうが、この調整水田について、納税猶予の適用を受けることができるか?

<回答要旨>
農地法上、農地とは耕作の目的に供される土地をいい(農地法21)、「耕作の目的に供される土地」には、現に耕作される土地のほか、現に耕作されていない土地のうち現状が耕作し得る状態にあり、通常であれば耕作されていると認められるものも含まれると解されている。

したがって、調整水田についても、客観的にみてその現状が耕作の目的に供されるものと認められるものは特例農地等に該当する。

★リンクはこちら⇒ 調整水田に対する納税猶予の適用

2022年4月5日


レジャー農園の用に供されている農地

<照会要旨>
贈与時(相続開始時)においてレジャー農園の用に供されている農地であっても、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?

<回答要旨>
贈与時(相続開始時)においてレジャー農園の用に供されている農地であっても、その農地の所有者が、その農地に係る農業経営を自ら行い、利用者はその農地に係る農作業の一部を行うためにその農園に入園するにすぎない場合には、農作業の一部のみを請け負わせている農地と同様、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当する。

★リンクはこちら ⇒ レジャー農園の用に供されている農地

2022年3月30日


市民菜園として貸し付けている農地

<照会要旨>
甲は、所有する農地(都市計画法第8条第1項第14号に掲げる生産緑地地区内にある農地ではない。)の一部をA市の条例による市民菜園として貸し付けている。

この農地について贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができるか?

なお、この貸付関係を図示すると次のようになる。
(図)

<回答要旨>
市民菜園としてA市に貸し付けられている農地は、甲の農業の用に供されていた農地に該当しないので、その農地等について贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができない。

(注)生産緑地地区内にある農地については、租税特別措置法第70条の6の4第2項第3号に規定する農園用地貸付けに該当する場合には、その農地等について相続税の納税猶予の特例の適用を受けることができる(措法70の6の5)。

★リンクはこちら ⇒ 市民菜園として貸し付けている農地

2022年3月28日


納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合

<照会要旨>
贈与時(相続開始時)において農業の用に供されていない農地につき、租税特別措置法関係通達70の4-12((贈与者の農業の用に供している農地又は採草放牧地))に掲げる事由により、やむを得ず一時的に休耕しているものとして取り扱った場合において、その後、当該農地について特例適用者がその農地をその者の農業の用に供しないまま転用した場合、その農地については、当初から納税猶予の適用が受けられなかったことになるのか、又は、転用があった時に猶予期限を確定させることになるのか?

<回答要旨>
納税猶予の規定を適用する時において、租税特別措置法関係通達70の4-12(70の6-13)に該当することから農業の用に供されている農地に含まれるとしたものについて、その後その農地をその者の農業の用に供しないまま転用した場合には、農地の転用があった時に猶予期限が確定することとなる。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合

2022年3月24日


土地区画整理事業に係る土地

<照会要旨>
土地区画整理事業の完了した地域に所在する土地は、たとえ作物を栽培している場合であっても、農地法第2条第1項に規定する農地には該当しないものと考えてよいか?

<回答要旨>
土地区画整理事業の施行地区は、宅地のほか農地も含まれる場合があり、また、土地区画整理事業における換地は、原則として従前の土地の利用状況に照応して行うことが建前となっているので、土地区画整理事業が完了したからといって直ちにその施行地区内の土地が全て宅地になるわけではないことから、農地法第2条第1項に規定する農地に該当するか否かは、その土地の現況に応じて判断することとなる。

なお、区画整理中の土地で当該事業施行中のため農業の用に供することができない土地について、当該事業を施行する直前において農地である場合には、農地に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 土地区画整理事業に係る土地

2022年3月22日


農業の用に供されていた農地

<照会要旨>
次の事例の土地は、相続税の納税猶予の適用上、農業の用に供されていた農地と判断されるか?

(1)甲は、土地区画整理組合の設立準備中の○年4月に死亡した。
(2)その準備中、付近の小学校建設のための埋立てがあり、その残土が生じたので、それを組合設立予定者が引き受け農地の一部を埋め立てた。その農地のうちに、甲の所有地があったが、甲のその農地は相続開始時においては農業の用に供されていなかった。

<回答要旨>
照会の農地は、相続開始時には農業の用に供していないため、租税特別措置法関係通達70の6-13(同通達70の4-12を準用)のやむを得ず一時的に休耕している農地に該当するかどうかが問題となる。

照会の場合、埋立ての目的及び埋立て後の現況(農業の用に供し得る状態にあるのかどうか)について検討し、その農地がやむを得ず一時的に休耕地となっているものであり、かつ、近く農業の用に供されることが明らかである場合には、現に農業の用に供されていた農地として取り扱って差し支えない。

★リンクはこちら ⇒ 農業の用に供されていた農地

2022年3月18日


納税猶予の対象となる農地(2)

<照会要旨>
1.農地は現況主義によって判断すると聞いたのが、登記簿上の地目が宅地であっても農地に該当するものがあるか?

2.純農地に係る耕作権の農業投資価格は、耕作権の割合が50%と定められているので、その農地の農業投資価格による価額の50%相当額と解してよろしいか?

<回答要旨>
1.農地の判定に当たっては現況主義によることとされている。

したがって、登記簿上の地目が田・畑等であっても農地に該当しないものがある一方で、宅地であっても農地に該当するものがある。ただし、宅地の休閑地利用等のための家庭菜園のようなものは農地に該当しない。

2.照会意見のとおりである。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の対象となる農地(2)

2022年3月16日


納税猶予の対象となる農地(1)

<照会要旨>
次に掲げる土地は、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当するか?
(1)温室の敷地
(2)畜舎の敷地
(3)農作業場の敷地
(4)農業のかんがい用ため池
(5)養魚に利用している土地
(6)植木の植栽されている土地

<回答要旨>
(1)温室の敷地
贈与時(相続開始時)において温室の敷地となっている土地は、その土地を従前の農地の状態のまま耕作を継続している場合には農地に該当する。しかし、その敷地を農地以外のものとして直接耕作の用に供しない場合、例えば、温室の敷地をコンクリート等で地固めするなど農地以外のものとした場合には、たとえ、その上に土を盛って作物を栽培しているときであっても、温室の敷地は農地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当しない。なお、農地法第43条第1項の規定に従い、農業委員会に届け出て農地をコンクリート等で覆い同条第2項に規定する農作物栽培高度化施設の用に供される当該農地については、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当する。

(2)畜舎の敷地
贈与時(相続開始時)において畜舎の敷地となっている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(3)農作業場の敷地
贈与時(相続開始時)において農作業場の敷地となっている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(4)農業のかんがい用ため池
贈与時(相続開始時)において農業のかんがい用ため池の用に供されている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、準農地に該当する場合を除き、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たらない。

(5)養魚に利用している土地
農地には、現に耕作されている土地のほか、その現状が耕作し得る状態にあり、通常であれば耕作されているものが含まれるので、贈与時(相続開始時)において水田を従前の状態のままで水を張って一時的に稚魚を飼育している場合には、当該土地は農地に該当することから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たる。
ただし、当該土地を通常の水田として利用するのに必要な程度を超えたけいはん(畦畔)の補強、本地の掘削などをして養魚池とした場合には、当該土地は農地に該当しないことから、その特例の対象となる農地に当たらない。

(6)植木の植栽されている土地
贈与時(相続開始時)において植木を育成する目的で苗木を植栽し、かつ、その苗木の育成について肥培管理を行っている土地は、農地に該当することから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たる。
ただし、既に育成された植木を販売目的で販売するまでの間一時的に仮植しておく土地は、たとえ、その間その商品価値を維持するための管理が行われているとしても、農地法第2条第1項に規定する農地に該当しないことから、その特例の対象となる農地に当たらない。

(注)
納税猶予の適用を受けた後において、特例農地等を温室の敷地、畜舎の敷地、かんがい用ため池及び農作業場の敷地として利用するためにその農地等を農地等以外のものにした場合であっても、その転用は措置法令第40条の6第9項(措置法令第40条の7第8項)に規定する事務所、作業場、倉庫その他の施設又は使用人の宿舎の敷地にするための転用に該当するので、猶予期限の確定事由に該当しないことに留意すること。

★リンクはこちら ⇒ 納税猶予の対象となる農地(1)

2022年3月14日


相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の4の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例

  • 平成29年11月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 令和3年6月22日裁決

<ポイント>
本事例は、租税特別措置法第69条の4の適用について準用される相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件特例対象宅地等の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第4項ただし書にある「特例対象宅地等が申告期限から3年以内に分割された」というのは、「全ての相続財産が申告期限から3年以内に分割された」と解釈して、相続税法第32条《更正の請求の特則》第1項の更正の請求を認めるべきであるから、本件の各更正の請求(本件各更正請求)は、相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものである旨主張する。

しかしながら、請求人らによって、租税特別措置法第69条の4第1項の規定による特例(本件特例)の対象とした土地(本件土地)は、遺産分割協議書の作成日付の日において遺産分割がされたものと認められるところ、本件各更正請求は、本件特例対象宅地等の価額の計算における本件特例の適用について、申告の時点では未分割であったが、本件土地の遺産分割により「申告期限から3年以内に分割された場合」に該当したことによりされたものであるから、相続税法第32条第1項第1号及び第8号に規定する課税価格及び相続税額が異なることとなったことを知った日についても、本件土地の遺産分割の日(遺産分割協議書が作成された日)であるというべきであり、本件特例の適用についてされる相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件土地の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られることとなり、請求人らは、これをしなかったものであるから、その後にされた本件各更正請求が相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものに該当することはない。

★リンクはこちら ⇒ 相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の4の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例

2022年3月2日


建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例②

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が被相続人と生前締結した建物売買契約(売主:請求人、買主:被相続人)に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務について、当該債務のうち、当該建物の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)を超える部分は、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎず、相続開始日現在における消極的財産価値を示すものとはいえないため、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人が、被相続人と生前に締結した売主を請求人、買主を被相続人とする建物売買契約に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務(本件債務)は、真正に成立した処分証書が存在し、法的に履行が強制されることから、その全額が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は、本件債務は履行を予定していないことから、その全額が「確実と認められるもの」には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件債務の発生原因となった建物売買契約は、建物の売買金額と相続税評価額との間に生じる差額により相続税の軽減効果が期待できるとの提案があった上で締結されたことからすると、本件債務のうち、売買対象となった建物(本件建物)の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)に相当する部分については、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示しているものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎないのであるから、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示すものとはいえない。

したがって、本件債務のうち、本件建物の経済的価値に相当する部分については、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、「確実と認められるもの」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例②

2022年2月28日


建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例①

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和3年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が被相続人と生前締結した建物売買契約(売主:請求人、買主:被相続人)に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務について、当該債務のうち、当該建物の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)を超える部分は、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎず、相続開始日現在における消極的財産価値を示すものとはいえないため、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人が、被相続人と生前に締結した売主を請求人、買主を被相続人とする建物売買契約に伴い被相続人に生じた売買代金相当額の債務(本件債務)は、真正に成立した処分証書が存在し、法的に履行が強制されることから、その全額が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当する旨主張するのに対し、原処分庁は、本件債務は履行を予定していないことから、その全額が「確実と認められるもの」には該当しない旨主張する。

しかしながら、本件債務の発生原因となった建物売買契約は、建物の売買金額と相続税評価額との間に生じる差額により相続税の軽減効果が期待できるとの提案があった上で締結されたことからすると、本件債務のうち、売買対象となった建物(本件建物)の経済的価値(評価通達に基づき算出された評価額)に相当する部分については、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示しているものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、いずれ混同により消滅させるべき債務を、いわば名目的に成立させたにすぎないのであるから、相続開始日時点における債務としての消極的経済価値を示すものとはいえない。

したがって、本件債務のうち、本件建物の経済的価値に相当する部分については、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するものの、本件建物の経済的価値を超える部分については、「確実と認められるもの」には該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 建物売買に伴い被相続人に生じた債務のうち、当該建物の経済的価値を超える部分については、相続税の債務控除の対象となる「確実と認められるもの」には該当しないとした事例①

2022年2月24日


前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果になるとは認められないとした事例

<ポイント>
本事例は、前住職から請求人への資金移動は、相続税法第66条第4項に規定する財産の贈与に該当すると認められるものの、前住職及びその親族が、請求人の業務運営、財産運用及び解散した場合の財産の帰属等を事実上私的に支配している事実は認められないことから、相続税法第66条《人格のない社団又は財団等に対する課税》第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が相続税法施行令第33条《人格のない社団又は財団等に課される贈与税等の額の計算の方法等》第3項第1号ないし第3号の各要件をいずれも満たしていないことに加え、①前住職から請求人への資金移動(本件資金移動)の時点における請求人の役員の3分の2を前住職及びその親族(前住職ら)で占めており、請求人の業務を自由に裁量できる立場であったこと、②請求人は前住職らに対し、生活費の供与など特別の利益を与えていること、及び③請求人が解散した場合、前住職らに財産が帰属することなどを理由として、前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となる旨主張する。

しかしながら、請求人は上記施行令の規定には該当しないものの、①前住職らによる請求人の業務運営及び財産管理については、請求人の総代が相当程度に監督しているものと認められるほか、前住職らが私的に業務運営や財産管理を行っていたとまでは認められないこと、②前住職らが、本件資金移動の時点において、請求人の財産から私的に生活費などの財産上の利益を享受した事実は見当たらないこと、及び③前住職らが恣意的に請求人を解散し、その財産を私的に支配することができるとはいえないことから、本件資金移動は、前住職から請求人への贈与に該当するとしても、本件資金移動により相続税法第66条第4項に規定する前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果となるとは認められない。

★リンクはこちら ⇒ 前住職から請求人への資金移動により相続税法第66条第4項に規定する贈与者である前住職の親族等の相続税の負担が不当に減少する結果になるとは認められないとした事例

2022年2月21日


令和2年分相続税の申告事績の概要

令和2年分における被相続人数(死亡者数)は1,372,755人(前年対⽐99.4%)だった。

そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は120,372人(同104.4%)で、その課税価格の総額は16兆3,937億円(同103.9%)、申告税額の総額は2兆915億円(同105.9%)だった。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分相続税の申告事績の概要

2022年1月31日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報第16号 令和3年7月7日 国税庁 資産課税課

所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和3年6月24日付課資2-14ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報第16号 令和3年7月7日 国税庁 資産課税課)

2021年8月10日


死因贈与契約に基づき権利を取得した請求人らが、自己のために相続の開始があったことを知った日は、「相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるとした事例

  • 平成30年4月相続開始に係る相続税の無申告加算税の各賦課決定処分・棄却
  • 令和2年12月14日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人らが被相続人と生前締結した死因贈与契約について、被相続人の相続開始日に、請求人らが死因贈与契約に基づく権利を取得することが確定していたので、請求人らが自己のために相続の開始があったことを知った日は、「(相続人が不存在であったために行われた相続財産管理人による)相続債権者及び受遺者への請求申出の催告に係る公告の請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるから、請求人らが提出した相続税の申告書は期限後申告書であるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、被相続人と生前締結した死因贈与契約について、相続人不存在の場合、相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日以前は、当該契約に基づく権利は未確定であり、相続税法第27条《相続税の申告書》第1項に規定する「その相続の開始があったことを知った日」は当該催告期間満了日となるから、その翌日から10月を経過する日までに提出した相続税の申告書は期限内申告書である旨主張する。

しかしながら、請求人らは、被相続人に係る相続開始日に、死因贈与契約に基づく権利を取得することが確定し、自己のために相続開始があったことを知ったのであるから、被相続人の死亡を知った日の翌日から10月を経過する日までに相続税の申告書を提出しなければならなかったところ、当該経過する日までに相続税の申告書を提出しなかったのであるから、請求人らが提出した相続税の申告書は期限後申告書である。

★リンクはこちら ⇒ 死因贈与契約に基づき権利を取得した請求人らが、自己のために相続の開始があったことを知った日は、「相続債権者・受遺者に対する債権申出催告の公告に係る請求申出期間満了日」ではなく、「被相続人の死亡を知った日」であるとした事例

2021年8月6日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達 課資2-14 課審7-9 課評2-47 令和3年6月24日)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

(趣旨)

所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)等の施行に伴い、所要の整備を行うものである。

第1
昭和34年1月28日付直資10「相続税法基本通達」(法令解釈通達)について、別紙1の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

第2
昭和50年11月4日付直資2-224ほか2課共同「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)について、別紙2の「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

第3
1 この法令解釈通達による上記第1の改正後の取扱いは、令和3年4月1日以後に贈与又は相続若しくは遺贈により取得をする財産に係る贈与税又は相続税について適用し、同日前については、なお従前の例による。

2 この法令解釈通達による上記第2の改正後の取扱いの適用については、次による。
(1)改正後の〔措置法第70条の2((直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税))関係〕のうち70の2-8の2((既存住宅用家屋等が面積要件及び経過年数基準を満たすことの確認を受けるための書類))については、令和4年1月1日以後に租税特別措置法第70条の2第1項の規定の適用に係る贈与税の申告書を提出する場合について適用する。

(2)改正後の〔措置法第70条の3((特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例))関係〕については、令和4年1月1日以後に租税特別措置法第70条の3第1項の規定の適用に係る贈与税の申告書を提出する場合について適用する。

(3)上記(1)及び(2)以外の改正後の取扱いについては、令和3年4月1日から適用する。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達 課資2-14 課審7-9 課評2-47 令和3年6月24日)

2021年7月27日


相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者または相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、「相続税の申告のしかた(令和3年分)」の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和3年分用)

2021年7月14日


相続税の申告のしかた(令和3年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和3年分用)』をホームページに掲載した。

この「相続税の申告のしかた(令和3年分用)」は、令和3年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和3年分用)

2021年7月7日


特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)

国税庁は、『特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和3年5月)

2021年6月11日


取得財産に算入する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金につき、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)に定める方法により計算すべきとした事例

  • 平成28年2月相続開始に係る相続税の更正の請求に対する更正処分
  • 全部取消し
  • 令和2年8月11日裁決

<ポイント>
本事例は、共同相続人の間で相続税の取得財産の価額に算入又は控除する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金の金額について、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(1)ではなく、同通達(2)に定める方法により計算すべきであると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、遺留分減殺請求訴訟の和解(本件和解)の際に、共同相続人の間で相続税の取得財産の価額に算入又は控除する価額弁償金(本件価額弁償金)の金額について何らかの合意があったと考えるのが自然であるとして、請求人の相続税の取得財産の価額に算入する本件価額弁償金の金額は、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(本件通達)(1)の要件を満たしており、本件通達(2)によるべきとする更正の請求は認められない旨主張する。

しかしながら、訴訟中から申告までの間に直接やり取りをしていた訴訟代理人間において、本件価額弁償金をいくらとして申告するかについて協議がされていないことについては、同人らを含む関係者の答述が一致しており、訴訟中から申告に至るまでの経緯等に照らしても、本件価額弁償金については、その申告額を具体的に協議した事実は認められず、他に申告額についての具体的な協議の事実が認められるような事情もないことからすれば、その協議はなかったと認められるから、本件通達(1)の場合には該当しない。

そして、本件価額弁償金の金額は、対象財産が特定され、かつ、本件和解時に合意された当該対象財産の通常の取引価額を基として決定されたものであるから、本件通達(2)の場合に該当するので、請求人の相続税の取得財産の価額に算入する金額は、本件通達(2)に定める方法により計算すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 取得財産に算入する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金につき、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)に定める方法により計算すべきとした事例

2021年4月16日


イメージデータで提出可能な添付書類(相続税申告)

イメージデータ(PDF形式)による提出が可能な主な添付書類は、次のとおり。

なお、添付書類の名称は、例示として掲げているものであり、送付する添付書類の名称が相違している場合であっても類似するものであれば、イメージデータにより提出することができる。

また、この一覧は、令和2年4月1日現在の法令に基づくものである。

shinkoku08

★リンクはこちら ⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(相続税申告)

2021年3月22日


令和元事務年度における相続税の調査等の状況

国税庁は、令和元事務年度における相続税の調査等の状況がまとめ、その概要を報告した。

★リンクはこちら ⇒ 令和元事務年度における相続税の調査等の状況

2021年2月5日


相続税申告書の代理送信等に関するQ&A(改訂)

国税庁資産課税課は、2021年1月に『相続税申告書の代理送信等に関するQ&A』を改訂した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税申告書の代理送信等に関するQ&A(改訂)

2021年2月4日


令和元年分相続税の申告事績の概要

国税庁は、令和元年分の相続税の申告事績をまとめ、その概要を報告した。

★リンクはこちら ⇒ 令和元年分相続税の申告事績の概要

2021年2月2日


複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法(リーフレット)

国税庁は、「複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法」(リーフレット)をホームページに掲載した。

令和3年度税制改正の大綱において、税務関係書類における押印義務の見直しを行うこととされた趣旨を踏まえ、税制改正前であっても、税務関係書類に押印がなくとも改めて押印を求めないこととし、相続人又は受遺者(以下「相続人等」という。)による相続税申告書への押印についても同様に取り扱う。

このため、2人以上の相続人等がいる場合に相続税の申告書へ押印をしないときは、申告書の提出意思の有無を明らかにするため、申告書第1表及び第1表(続)(以下「第1表等」という。)には共同して提出する方のみを記載して提出すること。

なお、共同して申告書を提出しない相続人等の方は、別途申告書を作成・提出していただく必要がある。

法令上、相続税の申告書は、2人以上の相続人等が共同して提出する場合に一の申告書に連署して提出することとされている。

★リンクはこちら ⇒ 複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法(リーフレット)

2021年1月29日


相続税の課税財産である土地が、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、評価上減額すべきとした事例

  • 平成27年2月相続開始に係る相続税の更正の請求に対して平成31年3月6日付でされた更正処分(令和元年8月7日付でされた更正処分によりその一部が取り消された後のもの)
  • 全部取消し
  • 令和2年6月2日

<ポイント>
本事例は、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するか否かの判断に当たり、評価上適用すべき路線価に騒音要因がしんしゃくされておらず、合理的と認められる方法に基づく騒音測定結果で相当程度の騒音が日常的に発生していることが明らかにされ、固定資産税の評価上も騒音による減価が行われていたことをもって、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、相続財産である土地(本件土地)について、請求人が行った列車走行による騒音測定では、騒音による取引金額への影響を確認できないから、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」において示された10%減額して評価する取扱い(本件取扱い)を適用することはできない旨主張する。

しかしながら、①本件土地の評価上適用すべき路線価には騒音要因がしんしゃくされていないこと、②本件土地において列車通過時に実際に騒音が生じていること、③本件土地の所在する自治体は、本件土地の固定資産税評価額の算定上、鉄道騒音補正を適用したことが認められるから、本件土地は、騒音により取引金額に影響を受ける宅地に該当すると認められる。

したがって、これらを併せて判断すると、本件土地においては相当程度の騒音が日常的に発生し、騒音により取引金額に影響を受けていたと認めるのが相当であるから、本件土地は、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、本件取扱いを適用して評価すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の課税財産である土地が、騒音により利用価値が著しく低下している土地に該当するとして、評価上減額すべきとした事例

2021年1月13日


商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められるため、広大地に該当しないとした事例

  • 平成26年3月相続開始に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び重加算税又は過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年3月17日裁決

<ポイント>
本事例は、本件地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、A土地は、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、A土地の経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合に該当すると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得したA土地及びB土地(本件各土地)について、いずれも財産評価基本通達(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める広大地に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人らの主張する広大地通達に定める「その地域」は、交通量の多い幹線道路沿いの地域と当該道路沿いでない地域を一つの地域とし、また、用途地域、建蔽率及び容積率がいずれも異なる二つの地域を一つの地域としていることから、広大地通達の趣旨に照らして、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域と認めることはできない。

そして、当審判所が認定した「その地域」(本件地域)における宅地の標準的な使用である駐車場を備えた商業施設の敷地5画地の平均地積は1,190㎡程度であることからすると、本件地域における「標準的な宅地の地積」は1,190㎡程度であると認められるから、B土地(1,190.61㎡)は広大地通達に定める標準的な地積に比して著しく地積が広大な土地とは認められず、また、本件地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、A土地(2213.77㎡)は、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、A土地の経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合に該当する。

したがって、本件各土地はいずれも広大地通達に定める広大地に該当しない。

なお、B土地の評価に当たり、適用する奥行価格補正率が誤っていたため、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められるため、広大地に該当しないとした事例

2020年11月11日


死亡退職金の課税時期

<照会要旨>
相続税法第3条第1項第2号の規定は、「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合」と規定しているが、死亡退職金の課税時期は、死亡退職金の支給が確定した時か、それとも当該死亡退職金の支払いがあった時のいずれか?

<回答要旨>
死亡退職金の支給の確定があれば、死亡退職金の支払請求権(債権)という財産を取得したことになるため、その時点において相続税の課税原因が発生しているというべきである。相続税法第3条の規定は、相続財産とみなされる財産を擬制しているに過ぎず、課税時期については、定めていないと解される。

したがって、死亡退職金については、死亡後3年以内にその支給が確定すれば、実際の支払いが3年以内であるかどうかを問わず相続税が課税されることになる。

★リンクはこちら ⇒ 死亡退職金の課税時期

2020年10月14日


建物更生共済契約に係る課税関係

<照会要旨>
甲は、乙所有の建物の共済を目的とする建物更生共済に加入し、掛金を負担していた。

甲又は乙について相続が開始した場合、建物更生共済契約に関する相続税の課税関係はどのようになるか?

[契約関係]

共済契約者(掛金負担者) 甲(長男)
被共済者(建物所有者) 乙(父)
満期共済金受取人

<回答要旨>
共済契約者甲について相続が開始した場合には、建物更生共済契約の約款によれば、共済契約者の相続人に契約が承継されることとなっていることから、建物更生共済契約に関する権利が甲の本来の相続財産として相続税の課税対象となり、その評価額は、相続開始時における解約返戻金相当額となる。

また、乙について相続が開始した場合、当該共済契約に関して相続税の課税対象となるものはない。

なお、満期時に取得する満期共済金は、満期共済金受取人の一時所得の課税対象となる。

★リンクはこちら ⇒ 建物更生共済契約に係る課税関係

2020年10月7日


死亡退職金を辞退した場合

<照会要旨>
A㈱は、社長が死亡したため、株主総会及び取締役会の決議に基づき死亡退職金として1億円をその遺族に支払っていたが、その後、遺族から退職金受領を辞退したい旨の申し入れがあり、1億円が返還された。

この場合、相続税の課税はどのようになるのか?

<回答要旨>
社長の遺族が受領した退職金1億円は、その支給について正当な権限を有する株主総会及び取締役会の決議に基づいて支給されたものであることから、受領した退職金を返還したとしても相続税が課税されることにかわりはない。

ただし、返還理由がその退職金の支給決議が無効又は取り消し得べきものであった場合において、その無効が確認されまたは取り消しがなされたことが、権限を有する機関の議事録等から明らかであれば、相続税の課税対象とはならない。

★リンクはこちら ⇒ 死亡退職金を辞退した場合

2020年10月2日


未支給の国民年金に係る相続税の課税関係

<照会要旨>
老齢基礎年金(国民年金)の給付の受給権者が死亡した場合に、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給されていない年金がある場合には、その者の配偶者(内縁の配偶者を含む。)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが、「自己の名」で、その未支給の年金の支給を請求することができることとされている(国民年金法191)。

老齢基礎年金の受給権者の相続開始時に当該死亡した受給権者に係る未支給年金がある場合に、当該死亡した受給権者に係る当該未支給年金を配偶者等が請求することができる権利(以下「未支給年金請求権」という。)は相続税の課税対象となる財産に含まれるか?

<回答要旨>
未支給年金請求権については、当該死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給の年金を自己の固有の権利として請求するものであり、死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはならない。

なお、遺族が支給を受けた当該未支給の年金は、当該遺族の一時所得に該当する。

(理由)
1.国民年金法に基づく未支給年金請求権の相続性については、最高裁判決(平成7年11月7日)において、その相続性を否定している。
すなわち、国民年金法第19条の規定については、同条が未支給年金の支給請求することのできる者の範囲及び順位について民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは異なった定め方をしており、これは民法の相続とは別の被保険者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場から未支給の年金給付の支給を一定の遺族に対して認めたものと解されているものである。
したがって、未支給年金請求権を本来の相続財産として相続税の課税対象となると解することはできない。

2.また、未支給年金請求権は、国民年金法の規定に基づき一方的に付与されるものであることから契約に基づかない権利(請求権)であるが、相続税法第3条第1項第6号に規定する「これに係る一時金」には、継続受取人が受給を受けるべき「定期金が特別に又は選択的に一時金とされる場合の一時金のみが含まれる」こととされている趣旨からすると、照会の場合の未支給年金については、定期金ではなく最初から一時金のみを支給するものであるため、同号に規定するみなし相続財産にも該当しない。

3.以上のことから、未支給年金請求権については、死亡した受給権者に係る遺族が、当該未支給の年金を自己の固有の権利として請求するものであり、死亡した受給権者に係る相続税の課税対象にはならない。
なお、遺族が支給を受けた当該未支給の年金は、所得税基本通達34-2により、当該遺族の一時所得に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 未支給の国民年金に係る相続税の課税関係

2020年9月2日


支払期日未到来の既経過家賃と相続財産

<照会要旨>
アパートの賃貸を業務としている者が本年4月24日に死亡した。

賃貸借契約において、そのアパートの賃貸料の支払期日は、毎月の末日とする旨が明定されており、その契約に従って賃貸料が支払われてきた。未収家賃はない。

この場合、4月分の家賃は、4月30日に相続人が収受したが、その家賃のうち4月1日から24日までの期間に対応する既経過分の家賃については、相続税の課税価格に算入する必要があるか?

<回答要旨>
死亡した日においてその月の家賃の支払期日が到来していない場合は、既経過分の家賃相当額を相続税の課税価格に算入しなくて差し支えない。

★リンクはこちら ⇒ 支払期日未到来の既経過家賃と相続財産

2020年8月31日


相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)

国税庁は『相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)』をホームページに掲載した。

こちらに掲載されている申告書等は、令和2年1月1日から令和2年12月31までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告に使用するものである。

「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。

なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者又は相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。

詳しくは、『相続税の申告のしかた(令和2年分)』の75ページからの「相続税の申告書の記載例等」をご確認のこと。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和2年分用)

2020年7月13日


相続税の申告のしかた(令和2年分用)

国税庁は『相続税の申告のしかた(令和2年分用)』をホームページに掲載した。

この『相続税の申告のしかた(令和2年分用)』は、令和2年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、令和2年1月1日から令和2年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

なお、この申告のしかたでは、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と、所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)による改正前の租税特別措置法を「平成30年改正前の租税特別措置法」と、租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成22年政令第58号)による改正前の租税特別措置法施行令を「平成22年改正前の租税特別措置法施行令」と、租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成22年財務省令第17号)による改正前の租税特別措置法施行規則を「平成22年改正前の租税特別措置法施行規則」と表記している。

★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和2年分用)

2020年7月8日


評価対象土地はマンション適地と認められることから広大地には該当しないが、当該土地の評価に当たり控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、土壌汚染対策工事見積金額の80%とするのが相当であると判断した事例

  • 平成27年1月相続開始に係る相続税の更正処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月12日裁決

<ポイント>
本事例は、評価対象土地はマンション適地であると認められることから広大地には該当しないが、当該土地の評価に当たり控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、土壌汚染対策工事を単独で行うのではなく、当該土地に新築する建物の建築工事を並行して行うという事情の下における土壌汚染対策工事費用の金額とするのは相当ではなく、当該土地を評価するに際し減額すべき金額は、公正に算出された土壌汚染対策工事費用見積金額の80%相当額とすることが相当と認めたものでる。

<要旨>
請求人らは、その地域に存するマンションの棟数は少なく、マンション建築の進行度合いが遅いこと及び同地域におけるマンションの敷地の占有割合も大きくないことからすると、評価対象土地(本件土地)は、明らかにマンションの敷地に適しているとは認めらないから、マンション適地に該当しない旨主張する。

しかしながら、その地域における大規模な土地については、主としてマンションが建築されている上に、相続の開始時の前年にもマンションが建築されていること、本件土地はマンションの建築に係る規制が厳しくない地域に存し、都心への交通接近性、公共施設及び商業施設への接近性に優れていることなどからすると、本件土地はマンション適地であると認められる。

また、原処分庁は、本件土地の評価につき控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、請求人らが実際に負担した土壌汚染対策工事費用の金額の80%相当額とすべきであり、実額が明らかである以上、請求人らが主張する土壌汚染対策工事費用の見積金額の80%相当額を減額することは相当でない旨主張する。

しかしながら、当該実額は本件土地に新築する建物の建築業者に同建物の建築工事と本件土地の土壌汚染対策工事を並行して行わせることにより、重複工事部分の費用を節減させて行うという事情の下における土壌汚染対策工事費用の金額であるから、本件土地の評価につき、減額する金額として相当でない。

そして、請求人らの主張する土壌汚染対策工事費用の見積金額は公正に算出された適正なものと認められるから、本件土地を評価するに際し減額すべき土壌汚染の浄化費用の金額は当該見積金額の80%相当額とすることが相当であって、原処分の一部を取消すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 評価対象土地はマンション適地と認められることから広大地には該当しないが、当該土地の評価に当たり控除すべき土壌汚染の浄化費用に相当する金額は、土壌汚染対策工事見積金額の80%とするのが相当であると判断した事例

2020年7月2日


租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」の公表について

日本公認会計士協会は、2020年1月16日に開催された常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」」を公表した。

法人税や所得税が独立の税体系であることに比して、資産税とはそもそも概念的であり独立の税体系ではなく、多層的かつ複雑な領域であると言える。そのため、実務においては、国税と地方税とを交差する多層的な税目間の比較を含む深い理解と経験が必要とされる。

そこで、本研究報告は、将来の税体系の整理に資することを一義的な目的としつつ、実務家の直面する複雑な課題について共有するという観点も含めて論点整理を行い、その結果を報告するものである。

本研究報告が会員の行う業務の参考となれば幸いである。

★リンクはこちら ⇒ 租税調査会研究報告第36号「我が国の資産課税の在り方に関する論点整理」の公表について

2020年6月4日


同族会社が所有する建物の敷地について、当該会社の借地権が存すると判断した事例

  • 平成26年4月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し、一部取消し、棄却
  • 令和元年8月19日裁決

<ポイント>
本事例は、同族会社が所有する建物の敷地(本件敷地)について、当該会社が医療法人からの転貸ではなく、直接被相続人らから借りていると認められること、また、将来、当該会社が本件敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別な事情も存しないことから、当該会社の借地権が存すると認めたものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人らは、同族会社(本件会社)が所有する登記された建物の敷地(本件敷地)を含む全ての土地(本件土地)を医療法人に賃貸しているから、本件敷地は、医療法人が本件会社に更に賃貸(転貸)したものというべきであり、また、被相続人ら及び医療法人は、土地の無償返還に関する届出書を原処分庁へ提出しているから、本件敷地の評価は、自用地としての価額の80%で評価することとなる旨主張する。

しかしながら、本件会社は、権利金の支払はしていないものの、本件敷地の上に、昭和55年8月に上記の建物を建築した後、直接被相続人らから無償又は有償で本件敷地を借りていたと認められ、また、本件会社が被相続人らに対し、将来、本件敷地に係る借地権を無償で返還するというような特別の事情も存しないことからすれば、本件敷地については、本件会社の借地権が存すると認めるのが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 同族会社が所有する建物の敷地について、当該会社の借地権が存すると判断した事例

2020年5月22日


遺言書情報証明書及び遺言書保管事実証明書の見本について

法務省は、遺言書情報証明書及び遺言書保管事実証明書の見本を公表した。

<遺言書情報証明書>

<遺言書保管事実証明書>

・請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合

・請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合

遺言書情報証明書はこちら ⇒ 遺言書情報証明書

★遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合)はこちら ⇒遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合)

★遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合)はこちら ⇒ 遺言書保管事実証明書(請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合)

2020年5月21日


相続により取得した各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断した事例

  • 平成27年12月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年9月17日裁決

<ポイント>
本事例は、相続により取得した各土地について、貸借関係における権利金の有無、支払地代の水準、貸主と借主との関係及びその契約の経緯や趣旨を総合的に考慮すると、使用貸借契約に基づくものと認めるのが相当であるため、当該各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、それぞれが相続した被相続人所有の土地(本件各土地)について、被相続人と請求人らとの間で本件各土地上の請求人らのそれぞれの建物の所有を目的とした各土地賃貸借契約(本件各土地契約)を締結していたところ、請求人らは本件各土地契約に基づく地代に係る金員(本件各支払金員)を被相続人に対してそれぞれ支払っており、その年額は本件各土地に係る固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)の額をそれぞれ上回っていたのであるから、使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについての1《使用貸借による土地の借受けがあった場合》の定めによって、本件各土地契約は使用貸借に係るものではないなどとして、本件各土地は借地権の目的となっている土地である旨主張する。

しかしながら、①請求人らによる本件各土地の使用は、本件各支払金員の支払が開始する以前においては使用貸借によるものであって、その後においても、請求人らと被相続人との間で権利金の授受はないこと、②本件各支払金員の額は固定資産税等の額と同程度であること、③本件各支払金員の年額は被相続人が第三者に対して賃貸していた本件各土地の近隣の駐車場用地の賃料の年額に比して低廉であること、④被相続人と請求人らは親子関係にあることなどから客観的に判断すると、本件各支払金員は本件各土地の使用収益に対する対価であるとは認められず、請求人らは使用貸借契約に基づき使用収益したものと認めるのが相当であることから、本件各土地は借地権の目的となっている土地であると認めることはできない。

なお、本事例においては、一部の土地について、評価単位を見直したところにより評価したことに伴い、原処分の一部を取り消している。

★リンクはこちら ⇒ 相続により取得した各土地は借地権の目的となっている宅地には該当しないと判断した事例

2020年5月20日


被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部は、請求人らの亡父から贈与されたものではなく、贈与により取得した財産には当たらないと判断した事例

  • 平成26年分の贈与税の決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年9月24日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部については、その原資は請求人らの亡父の預金口座から同人の意思に基づき出金された金員であると認められ贈与により取得した財産に当たるが、その余の金員の原資は請求人らの亡父に帰属していたとは認められず、贈与により取得した財産には当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人(本件被相続人)名義の口座(本件被相続人口座)に入金された金員の合計額(本件金員)は、請求人らの亡父が本件被相続人に贈与したものであるから、相続税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第2条の2《贈与税の課税財産の範囲》第1項に規定する贈与により取得した財産に当たる旨主張し、請求人らは、請求人らの亡父が本件被相続人に本件金員を贈与する旨の意思表示をしたとする客観的証拠はないことから、本件金員は、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない旨主張する。

しかしながら、本件金員の一部については、その原資が請求人らの亡父の預貯金から同人の意思に基づき出金された金員であり、本件被相続人口座に当該出金された金員と同額が入金された後に本件被相続人口座から本件被相続人の老人ホームの利用料が支払われていることなどから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たるが、本件金員から左記の贈与により取得したと認められる金員を差し引いた残部については、その原資が請求人らの亡父に帰属していたと認めることはできないことから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部は、請求人らの亡父から贈与されたものではなく、贈与により取得した財産には当たらないと判断した事例

2020年5月18日


相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和2年2月21日 資産評価企画官情報第1号 資産課税課情報第6号 管理運営課情報第1号 国税庁資産評価企画官 資産課税課 管理運営課)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)については、令和2年2月12日付課評2-5ほか3課共同「相続税法基本通達の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

【第23条の2(配偶者居住権等の評価)関係】
【第43条(物納財産の収納価額等)関係】

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和2年2月21日 資産評価企画官情報第1号 資産課税課情報第6号 管理運営課情報第1号 国税庁資産評価企画官 資産課税課 管理運営課)

2020年4月22日


請求人の主張する各種事情によっても、相続により取得した土地の財産評価基本通達の定めに従った原処分庁の評価額は時価であるとの推認を覆されないから、不動産販売業者が試算した価格によって評価することはできないとした事例

  • 平成27年7月相続開始に係る相続税の①更正処分及び②過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①棄却、②一部取消し
  • 令和元年5月29日裁決

<ポイント>
本事例は、評価通達の定めに従って相続財産を評価したものと認められる場合には、当該評価額は事実上の時価と推認され、請求人において当該評価額が当該財産の客観的交換価値を上回るものであることを主張立証するなどして、上記推認を覆すことがない限り、当該評価額を時価と認めるのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、相続により取得した土地(本件土地)について、原処分庁が財産評価基本通達(評価通達)の定めに従って評価した価額(本件通達評価額)は、本件土地の客観的交換価値に影響を及ぼす各事情を看過しており、請求人が売買価格の見積りを依頼した不動産販売業者が試算した価格を上回ることから、時価を上回る違法がある旨主張する。

しかしながら、評価通達の定めに従って相続財産を評価したものと認められる場合には、当該評価額は事実上の時価と推認され、請求人において当該評価額が当該財産の客観的交換価値を上回るものであることを主張立証するなどして、上記推認を覆すことがない限り、当該評価額を時価と認めるのが相当である。

この点、本件通達評価額は、評価通達の定めに従っており、時価と推認されるところ、請求人の主張する各事情は、本件土地の客観的交換価値に影響を及ぼす事情とは認められず、不動産販売業者の試算価格も本件土地の客観的交換価値とは認められないことからすれば、本件通達評価額が時価であることの推認は覆えることはなく、本件通達評価額に時価を上回る違法はないが、原処分庁のした過少申告加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税の加重分の計算に誤りがあることから、その一部を取り消すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の主張する各種事情によっても、相続により取得した土地の財産評価基本通達の定めに従った原処分庁の評価額は時価であるとの推認を覆されないから、不動産販売業者が試算した価格によって評価することはできないとした事例

2020年4月13日


請求人が受贈した現金に係る贈与者は、被相続人の配偶者ではなく被相続人であると判断した事例

  • 平成27年7月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年6月17日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人甲が受贈した現金に係る贈与者について、当該現金の原資、被相続人の配偶者から請求人甲へ贈与した旨記載された「贈与契約書」は事後的に作成されたものと認められることなどから、被相続人の配偶者ではなく、被相続人であると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、請求人甲が受贈した現金(本件現金贈与)に係る贈与者は、被相続人ではなく、被相続人の配偶者(本件配偶者)であり、本件現金贈与に係る贈与契約は、本件配偶者と請求人甲との間で成立していたものである旨主張し、当該主張に沿う証拠として、本件配偶者から請求人甲へ贈与した旨記載された「贈与契約書」と題する書面(本件書面)を当審判所に提出した。

しかしながら、①請求人甲の預金口座に入金された本件現金贈与に係る原資は、被相続人の固有の財産である預金口座から出金された現金であること、②被相続人は、本件現金贈与に係る現金を贈与する旨の明確な意思を有していたこと、③本件書面は、本件現金贈与に際して作成されたものではなく、事後的に作成されたものと認められることなどからすれば、本件現金贈与に係る贈与者は、被相続人であり、本件現金贈与に係る贈与契約は、被相続人と請求人甲との間で成立していたものと認められる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が受贈した現金に係る贈与者は、被相続人の配偶者ではなく被相続人であると判断した事例

2020年4月9日


個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)

国税庁は、『個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除に関する質疑応答事例について(情報)

2020年4月8日


被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等は、相続開始日現在、現に存しその履行が確実であったと認めるのが相当であると判断した事例

  • 平成25年8月相続開始に係る相続税の①各更正の請求に対する各通知処分及び更正処分、②各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①却下、棄却、②一部取消し
  • 平成31年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人が生前に解除した建築請負契約に基づく約定違約金は相続開始日に現に存し、その履行を免れないものであり、原処分庁が指摘する審査請求人らも支払を拒否して係争中であったことは、請求人が他の事由により請負業者に対して損害賠償を求めたものであって、そのことをもって当該約定違約金の支払義務が消滅等するものではないから、履行が確実な債務であったと認めるのが相当であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等について、被相続人に支払う意思はなく、相続人である審査請求人も支払を拒否して係争中であったことをもって、確実な債務ではない旨主張する。

しかしながら、相続税の課税価格から控除する債務は、相続開始当時の現況に照らし、債務が現に存するとともに、その履行が確実と認められるものをいうと解されるところ、当該約定違約金等は、相続開始日に現に存し、その履行を免れないものであるから、履行が確実な債務であったと認めるのが相当であり、債務者の履行の意思によってその確実性の判断を異にするものとは解されず、また、原処分庁が指摘する「係争」は、審査請求人が請負者側の説明義務違反等を理由として損害賠償を求めたものであり、そのことをもって当該約定違約金等の支払義務が消滅したり、履行の確実性が失われたりするものではないから、原処分庁の主張はいずれも採用できず、当該約定違約金等は相続税の課税価格から控除する債務に当たる。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人が生前に解除した建築工事請負契約に基づく約定違約金等は、相続開始日現在、現に存しその履行が確実であったと認めるのが相当であると判断した事例

2020年4月7日


請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座に入金された資金は、請求人が甲の指示に基づき会議等に出席するための交通費等を支弁する目的のものであったと認められ、甲から請求人への贈与があったと認めることはできないと判断した事例

  • 平成23年分の贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成24年分の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和元年6月27日裁決

<ポイント>
請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座への資金移動は、甲又は請求人の母が行っており、請求人は甲の指示に基づき、医療専門団体の会議等へ月1~2回程度出席していた旨申述し、会議に出席するための交通費等の支払が請求人の口座から支払われている等の事実からすれば、甲は甲の指示に基づき、請求人が会議に出席する際に要する交通費等の費用を支弁する目的で甲の預金口座から請求人の預金口座に資金を移動していたとみるのが自然であり、当該資金移動により、請求人が甲から贈与により財産を取得したものとは認められないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の父(甲)の預金口座から出金された金銭が請求人の預金口座(本件請求人口座)に入金されたこと(本件資金移動)について、請求人と甲との間で金銭消費貸借契約が締結された事実及び請求人が主張する本来甲が従事すべき医療業務に請求人が代理人として従事した際に立て替えて支払った費用の精算等の事実は認められないから、請求人と甲との間には、民法第549条《贈与》に規定する贈与契約の要件事実について黙示の合意があったと認めるのが相当であり、請求人は、本件資金移動により、甲からの贈与により財産を取得したものといえる旨主張する。

しかしながら、本件資金移動について、請求人と甲との間で金銭消費貸借契約が締結されていた事実は認められないものの、本件資金移動に係る出金及び入金の各手続は、甲又は請求人の母により行われていると認められ、請求人は、原処分庁所属の調査担当職員に対して、甲の指示により月1回から2回程度の頻度で医療専門団体の会議に出席していた旨申述し、本件請求人口座から交通費等の支払がされていることなどを併せ考慮すれば、甲は、当該会議に出席した際の交通費等を支弁する目的で本件資金移動をしていたとみるのが自然であり、請求人に、本件資金移動によって贈与と同様の経済的利益が生じていたと認めることはできないから、請求人は甲からの贈与により財産を取得したと認めることはできない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座に入金された資金は、請求人が甲の指示に基づき会議等に出席するための交通費等を支弁する目的のものであったと認められ、甲から請求人への贈与があったと認めることはできないと判断した事例

2020年4月3日


被相続人名義の預貯金は請求人の固有財産ではなく、被相続人に帰属する相続財産であると判断した事例

  • 平成27年11月相続開始に係る相続税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成31年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人名義の預貯金の相続開始時における帰属について、その名義のみならず、当該預貯金の原資の出捐者、管理及び運用状況等を総合考慮して判断したものである。

<要旨>
請求人は、亡母名義の預貯金(本件預貯金)について、請求人が亡母(本件被相続人)に預けた金員を原資として運用し形成されたものであり、請求人の固有財産である旨主張する。

しかしながら、①本件預貯金の名義は、いずれも本件被相続人であること、②本件被相続人が、各口座を開設し、各金融機関への届出住所等の変更手続を行い、各口座で使用された印鑑を管理していたと認められること、③本件被相続人が負担すべき公租公課等が口座振替により支払われていること及び④本件預貯金の金融機関の窓口での入出金手続は本件被相続人によりされているなどからすれば、各口座の管理運用は本件被相続人が行っていたと認められる。

また、⑤本件各預貯金の原資は、大部分が本件被相続人の別の預金、共済の満期金、公的年金等であること、⑥請求人の主張の根拠となる証拠は、請求人の答述しかなく、他にこれを裏付ける証拠は存在しないことを考え併せれば、本件預貯金は請求人の固有財産ではなく、本件被相続人に帰属する相続財産であると認められる。

なお、相続開始時において、本件被相続人が所有していた不動産に係る未納となっていた固定資産税額があり、これは相続税法第13条第1項第1号に規定する相続財産の価額から控除される本件被相続人の債務に該当すると認められたため、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 被相続人名義の預貯金は請求人の固有財産ではなく、被相続人に帰属する相続財産であると判断した事例

2020年3月30日


日本赤十字社への遺贈・相続財産等の寄付

近年、「自分が亡くなった後、これまで築いた財産の一部を赤十字に寄付したい」といったご相談や、大切な方を亡くされたご遺族から、「故人の遺産を社会のために役立ててほしい」という申し出が多いようである。

日本赤十字社では、このような尊いご意思に応えるために、遺贈(遺言によるご寄付)、相続財産等の寄付を承っている。

遺産・相続財産のご寄付については、下記リンクのパンフレット及び関連ページ(「遺贈(遺言による寄付)」、「相続財産からのご寄付」、「よくあるご質問」等)を参照のこと。

質問・不明点等があれば下記担当まで連絡のこと。
<担当窓口>
日本赤十字社 遺贈・相続寄付ご相談窓口
TEL: 03-3437-7082 FAX: 03-3432-5507

★リンクはこちら ⇒ 日本赤十字社への遺贈・相続財産等の寄付

2020年3月19日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和元年11月5日)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和元年7月2日付課資2-10ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(令和元年11月5日)

2020年2月10日


令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年分贈与税の申告書等の様式一覧

2020年1月7日


令和元年分贈与税申告のしかた

国税庁は、『令和元年分贈与税申告のしかた』をホームページに掲載した。

  • この冊子は、一般的な事項を説明している。この「贈与税の申告のしかた」において、「令和元年分」とあるのは、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの期間に係る年分をいう。
  • 令和元年分の贈与税の申告書の受付は、令和2年2月3日(月)から同年3月16日(月)までである。
  • 令和元年分の贈与税の納期限は、令和2年3月16日(月)である。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年分贈与税申告のしかた

2019年12月23日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(資産課税課情報 第17号 令和元年11月5日 国税庁資産課税課)

所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、令和元年7月2日付課資2-10ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについて別添のとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略した。

 ★別添はこちら ⇒ 別添

2019年11月21日


相続税申告のe-Taxが始まります

国税庁は『相続税申告のe-Taxが始まります』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税申告のe-Taxが始まります

2019年11月5日


直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

国税庁は『直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

2019年10月28日


直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

国税庁は『直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A(令和元年8月)

2019年10月18日


相続税申告書の代理送信等に関するQ&A

国税庁は『相続税申告書の代理送信等に関するQ&A』をホームページに掲載した。

相続税の申告書は、2019年10月1日(火)午前0時から、e-Taxによる提出(送信)が可能となっている。

また、2019年分の申告(2019年1月1日以降に相続等により財産を取得した人の申告)からe-Taxの対象となる。

(注)
2018年以前の年分の申告(2018年12月31日以前に相続等により財産を取得した人の申告)をe-Taxにより行うことはできない。

従来どおり書面による申告が必要である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税申告書の代理送信等に関するQ&A

2019年10月15日


請求人らが相続により取得した土地のうち、集合住宅の敷地の用に供されている土地は開発行為を了し、既に有効利用されていることから、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地には該当しないが、被相続人の居宅の敷地の用に供されている土地は、開発行為を想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるから当該広大地に該当すると判断した事例

  • 平成24年6月相続開始の相続税の各更正の請求に対する各更正処分
  • 一部取消し
  • 平成30年9月20日裁決

<ポイント>
本事例は、集合住宅の敷地の用に供されている土地については、集合住宅の入居率や利用可能期間からすれば、近い将来新たな開発行為を行う必要は認められず、集合住宅の敷地として既に有効利用されているといえるから広大地には該当せず、一方、被相続人の居宅の敷地の用に供されていた土地については、合理的な開発を行うことを想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要であると認められるから広大地に該当すると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得した集合住宅(本件集合住宅)の敷地の用に供されている土地(本件1土地)及び被相続人の居宅の敷地の用に供されていた土地(本件2土地)の所在する周辺地域における標準的使用は戸建住宅の敷地であるから、本件1土地及び本件2土地は財産評価基本通達24-4(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)《広大地の評価》に定める広大地(広大地)に該当する旨主張する。

しかしながら、本件1土地上に存する本件集合住宅は、入居率100%を実現していたと認められる上、今後相当の期間利用することができるものと認められることからすると、近い将来において新たな開発行為を行う必要があるなどの特段の事情は認められないから、本件1土地は本件集合住宅の敷地として現に有効に利用されているといえ広大地には該当しない。

一方、本件2土地については、原処分庁が主張する開発想定図によれば、本件私道に隣接する各土地に道路を拡幅したとしても、①集合住宅の入居者の駐車場の移設が必要となること、②道路用地に本件土地を取得した相続人以外の相続人の所有権が及ぶこと、③借家人の立ち退きが必要となることなどが考えられ、これらの事情を考慮すると原処分庁の開発想定図は合理性があるものとは認められず、請求人らが主張する開発想定図は、本件土地の所有者以外の者の所有権や賃借権を侵害するような事情はないことなどを考慮すると、合理性があるものと認められ、本件土地を開発する場合、公共公益的施設用地の負担が必要であることから、本件2土地は広大地に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人らが相続により取得した土地のうち、集合住宅の敷地の用に供されている土地は開発行為を了し、既に有効利用されていることから、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地には該当しないが、被相続人の居宅の敷地の用に供されている土地は、開発行為を想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるから当該広大地に該当すると判断した事例

2019年8月30日


被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるから、債務控除の対象となると判断した事例

  • 平成23年5月相続開始に係る相続税の更正処分
  • 一部取消し
  • 平成30年7月9日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるところ、請求人らが負担した建物収去費用の根拠となった見積書については、その算定根拠が不正確ないし不明なものがあり、経済合理性を欠くものであるが、請求人らが別途依頼していた他の業者が作成した見積書は、経済合理性にかなうものと認められるから、当該他の業者が作成した見積書の金額をもって、債務控除の対象となる金額とするのが相当であるとしたものである。

<要旨>
被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物収去及び土地明渡しに係る債務(本件債務)について、原処分庁は、土地明渡しに係る債務については確実な債務であるが、当該土地明渡しに要する金額は零円であり、建物収去に係る債務については建物を収去することなく現状有姿で引き渡すことも選択可能であったから、確実な債務ではなく、いずれも相続税の課税価格の計算上控除すべき債務には当たらないと主張し、請求人らは、本件債務は相続開始時に現に存し、確実と認められる債務であるから、控除すべき債務であると主張する。

しかしながら、本件債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実な債務であったと認められるのであり、原処分庁の主張するところは、確実な債務の履行手段であって、これは相続開始後の事情というほかないから、相続税法第22条《評価の原則》が「控除すべき債務の金額は、その時の現況による」旨規定している趣旨に照らし、採用できない。

なお、請求人らが負担した建物収去費用の根拠となった見積書については、算定根拠が不正確ないし不明なものがあり、経済合理性を欠く内容であるから、当該見積書を算定根拠とした金額を控除すべき債務の金額としては採用できず、他方、請求人らが別途見積りをしていた他の業者による見積書は詳細かつ正確なものであり、経済合理性にかなうものと認められるから、当該見積書の見積金額をもって控除すべき債務の金額とするのが相当であり、原処分については、その一部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 被相続人の生前に解除された借地契約の約定により請求人らが負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、相続開始日に現に存し、その履行が確実であったと認められるから、債務控除の対象となると判断した事例

2019年8月29日


相続人名義預金に入金された資金及び上場株式の購入資金の運用から生じた化体財産は、過去に被相続人から相続人に贈与があったと認められるため、これらの資金に相当する預け金返還請求権は相続財産には当たらないとした事例

  • 平成26年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成30年8月22日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人から相続人名義の銀行口座に入金された資金及び上場株式の購入資金の合計(本件資金)について、その化体財産が過去に被相続人から相続人に贈与により移転したものとみるのが相当であることからすると、被相続人は、相続開始日において、相続人に対して本件資金相当額の預け金返還請求権を有しているとは認められないため、相続財産に当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、相続人(本件相続人)名義の銀行口座(本件預金口座)に入金された資金及び上場株式の購入資金の合計(本件資金)について、本件資金の原資(本件資金となる直前の財産)は、被相続人(本件被相続人)に帰属するものと認められ、本件被相続人と本件相続人との間で、贈与やその他の債権債務関係があったとは認められないことからすると、本件被相続人は、本件相続人に対し、本件資金相当額の預け金返還請求権を有している旨主張する。

しかしながら、①本件資金及び本件資金の原資の管理運用は、本件被相続人が行っていたものであり、そうであれば、本件資金を本件預金口座に入金したり、その後、本件相続人名義の上場株式の購入資金に充てたりしたことは、財産の管理運用の一環として、本件相続人の名義で本件被相続人が実質的に行っていたものと認められること、②平成18年頃に本件資金の運用から生じた化体財産は本件被相続人から本件相続人に贈与されていたことからすれば、そもそも本件資金相当額の預け金返還請求権の存在はおろか発生していたとすらいえない。

したがって、本件被相続人は、相続開始日において、本件相続人に対し、本件資金相当額の預け金返還請求権を有しているとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続人名義預金に入金された資金及び上場株式の購入資金の運用から生じた化体財産は、過去に被相続人から相続人に贈与があったと認められるため、これらの資金に相当する預け金返還請求権は相続財産には当たらないとした事例

2019年8月28日


相続税の申告書等の様式一覧(令和元年分用)

国税庁は、『令和元年版 法人税申告書・地方法人税申告書の記載の手引』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(令和元年分用)

2019年8月21日


相続税の申告のしかた(令和元年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(令和元年分用)』をホープページに掲載した。

これは、平成31年4月1日現在の法令等に基づいて作成しているもので、原則として、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの間に亡くなられた人に係る相続税の申告のしかたなどについて説明したものである。

なお、この申告のしかたでは、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正前の租税特別措置法を「平成21年改正前の租税特別措置法」と、所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)による改正前の租税特別措置法を「平成30年改正前の租税特別措置法」と、租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成22年政令第58号)による改正前の租税特別措置法施行令を「平成22年改正前の租税特別措置法施行令」と、租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成22年財務省令第17号)による改正前の租税特別措置法施行規則を「平成22年改正前の租税特別措置法施行規則」と表記している。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(令和元年分用)

2019年8月7日


老人ホームに入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について

1.事前照会の趣旨及び事実関係

(1)被相続人甲は、平成29年4月、X有料老人ホーム(老人福祉法第29条≪届出等≫第1項に規定する有料老人ホームに該当する。)に入居した。

(2)被相続人甲は、平成29年6月、X有料老人ホームに入居する直前において居住の用に供していた家屋(以下「本件家屋」という。)及びその敷地の用に供されていた宅地等(以下「本件宅地等」という。)を、Y有料老人ホームに入居(平成28年7月)していた配偶者乙から相続により取得した。

(3)被相続人甲は、平成30年2月、本件家屋に戻ることなく死亡した。
 なお、本件家屋は、被相続人甲がX有料老人ホームに入居した後は、空家となっていた。

(4)被相続人甲は、死亡する前に介護保険法第19条≪市町村の認定≫第1項に規定する要介護認定を受けている。

(5)このような事実関係を前提として、本件家屋及び本件宅地等を長男丙が相続により取得した場合において、丙は本件宅地等について租税特別措置法第69条の4第1項に規定する被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するとして、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(措法69の4)(以下「本件特例」という。)の適用を受けることができると解してよいか、照会する。

 なお、丙は、本件特例に係る他の要件を満たしている。

 参考として、相続関係図及び時系列は以下のとおりとなる。

【相続関係図】
相続関係図

【時系列】
時系列

2.照会者の求める見解となることの理由

(1)本件において、被相続人甲はX有料老人ホームへの入居前に、本件宅地等を居住の用に供していたが、X有料老人ホームに入居中に本件家屋及び本件宅地等を相続により取得し、その後本件家屋に戻ることなく死亡した。

 被相続人の居住の用に供されていた宅地等で一定のものについては、本件特例の対象となるところ、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等であっても、租税特別措置法施行令第40条の2≪小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例≫第2項に定める事由(要介護認定又は要支援認定等を受けていた被相続人が同項の住居又は施設(以下「有料老人ホーム等」という。)に入居又は入所(以下「入居等」という。)していたこと)により居住の用に供されなくなる直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等(被相続人が有料老人ホーム等に入居等した後に、事業の用又は新たに被相続人等以外の者の居住の用に供されている場合を除く。)については、本件特例の対象となる宅地等に該当するとされている(措法69の4①)。

 被相続人が有料老人ホーム等に入居等する直前において宅地等の所有者であればその宅地等が本件特例の対象となる宅地等に当たることは明らかだが、本件における被相続人甲は、X有料老人ホーム入居の直前においては本件宅地等を居住の用に供していたものの本件宅地等の所有者ではなく、本件宅地等を取得した後はこれを居住の用に供していない場合であっても、本件宅地等が本件特例の対象となると解してよいか疑義が生じるところである。

(2)上記事由により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等が、本件特例の対象となる居住の用に供されていた宅地等に該当するか否かについては、被相続人が有料老人ホーム等に入居等して居住の用に供されなくなった直前の利用状況で判定することとされているが、その時において被相続人が宅地等を所有していたか否かについては、法令上特段の規定は設けられていない。

(3)したがって、本件宅地等は、被相続人甲がX有料老人ホームに入居し居住の用に供されなくなった直前において、被相続人甲の居住の用に供されていたものであることから、その時において被相続人甲が本件宅地等を所有していなかったとしても本件特例の対象となる宅地等に該当すると解され、丙は本件特例の適用を受けることができるものと考える。

3.回答

回答年月日 平成30年12月7日

回答者 東京国税局審理課長

回答内容

標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら ⇒ 老人ホームに入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について

2019年3月26日


「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平30.12.27 課資2-21

 この法令解釈通達では、平成31年分以後に適用する個人立幼稚園又は個人立幼保連携型認定こども園(以下「幼稚園等」という。)の教育用財産に対する相続税の非課税制度(相続税法第12条第1項第3号、相続税法施行令附則第4項)における幼稚園等の事業経営者の家事充当金限度額の認定基準額及びその者の親族等の適正給与額の判定基準額の改正について定めている。


幼稚園等の事業経営者の家事充当金限度額の認定基準額は、幼稚園等に入園している幼児又は園児の数(以下、「幼児数」という。)により算定することとしている。

幼児数560人以下の幼稚園等
については
「家事充当金限度額の規模別基準額」又は「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」のいずれか高い方の金額
幼児数560人超の幼稚園等
については
 「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」

「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価を用いて計算した基準額」は、次の算式により計算する。

A+B×(幼児数-240人)

なお、上記算式における符号は次のとおり。

A…別紙1「家事充当金限度額の規模別基準額」に掲げる幼児数規模別区分の「280人以下」の欄の地域区分に応ずる金額

B…別紙2「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価」に掲げる地域区分に応ずる金額


課資2-21
平成30年12月27日

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

昭和51年6月7日付直資2-219「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」(法令解釈通達)について、その一部を下記のとおり改正したから、平成31年分以後の家事充当金限度額の認定等について適用されたい。

(趣旨)
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(平成30年法律第82号) による国家公務員の給与の改正等に伴い、家事充当金限度額の認定基準等について所要の改定を行ったものである。

1.別紙1「家事充当金限度額の規模別基準額」を次のように改める。

別紙1

家事充当金限度額の規模別基準額
幼児数規模別区分
地域区分
280人以下 280人超
400人以下
400人超
560人以下
地域手当支給地域 地域手当20%
支給地域
千円 千円 千円
8,960 10,730 13,420
地域手当16%
支給地域
8,660 10,370 12,970
地域手当15%
支給地域
8,590 10,280 12,860
地域手当12%
支給地域
8,360 10,010 12,520
地域手当10%
支給地域
8,210 9,830 12,300
地域手当6%
支給地域
7,920 9,480 11,850
地域手当3%
支給地域
7,690 9,210 11,520
その他地域
(地域手当の支給なし)
7,470 8,940 11,180
(注) 1 「幼児数規模別区分」の各欄は、その幼稚園等に入園している幼児数に応ずる欄を使用する。
2 「地域区分」の欄における「地域手当支給地域」の各欄は、その幼稚園等の所在する人事院規則9-49 ((地域手当))第3条により定められた別表第一(第二条、第三条関係)の支給地域及び人事院規則9-49附則第2条各号に定められた級地の区分に応じた割合を使用し、「その他地域(地域手当の支給なし)」の欄は、地域手当支給地域に該当しない地域について使用する(別紙2及び別紙3において同じ。)。

2.別紙2「家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価」を次のように改める。

別紙2

家事充当金限度額の幼児又は園児一人当たりの基準単価
地域区分 幼児又は園児一人当たりの基準単価
地域手当支給地域 地域手当20%
支給地域
18,810
地域手当16%
支給地域
18,180
地域手当15%
支給地域
18,030
地域手当12%
支給地域
17,560
地域手当10%
支給地域
17,240
地域手当6%
支給地域
16,620
地域手当3%
支給地域
16,150
その他地域
(地域手当の支給なし)
15,680

3.別紙3「事業経営者の親族等の適正給与額の判定基準額(教諭)」を次のように改める。

別紙3

事業経営者の親族等の適正給与額の判定基準額(教諭)
在職期間区分
地域区分
4年未満 4年以上
6年未満
6年以上
8年未満
8年以上
10年未満
地域手当支給地域

地域手当20%
支給地域

千円 千円 千円 千円
4,520 4,830 5,220 5,450
地域手当16%
支給地域
4,370 4,670 5,050 5,270
地域手当15%
支給地域
4,330 4,630 5,000 5,220
地域手当12%
支給地域
4,220 4,500 4,870 5,090
地域手当10%
支給地域
4,140 4,420 4,790 5,000
地域手当6%
支給地域
3,990 4,260 4,610 4,810
地域手当3%
支給地域
3,880 4,140 4,480 4,680
その他地域
(地域手当の支給なし)
3,770 4,020 4,350 4,540

(注)「在職期間区分」の各欄は、事業経営者の親族等である教諭がその幼稚園等に在職している期間に応ずる欄を使用する。

 ★リンクはこちら ⇒ 「教育用財産に対する相続税の非課税制度における幼稚園等事業経営者に係る家事充当金限度額の認定基準等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2019年3月22日


贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

国税庁は、『贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!』(リーフ)を作成した。

  • STEP1 「確定申告書等作成コーナー」ヘアクセス
  • STEP2 申告書を作成
  • STEP3 申告書を提出

 ★リンクはこちら ⇒ 贈与税の申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

2019年1月10日


平成30年度税制改正により農地等の納税猶予制度が変わりました!!(リーフレット)

平成30年度税制改正により、農地等についての贈与税・相続税の納税猶予制度が改正された。
このリーフレットでは、主な改正の概要を掲載している。

<改正項目>
1 都市農地の貸付けの特例の創設【相続税】
生産緑地地区内の農地について、①認定都市農地貸付け(農業者向けの貸付け)または②農園用地貸付け(市民農園向けの貸付け)を行った場合にも納税猶予を継続

2 適用対象地域等の見直し【相続税・贈与税】
三大都市圏の特定市に所在する①特定生産緑地である農地等及び②田園住居地域内にある農地を納税猶予の適用対象に追加等

3 納税猶予期限及び免除事由の見直し【相続税】
三大都市圏の特定市以外の生産緑地地区内の農地等について、20年免除から終身営農に

4 農地法の改正に伴う農地の定義の見直し【相続税・贈与税】
水耕栽培を行う農業用ハウスにするなど、農地の全面をコンクリートで覆った場合についても引き続き「農地」とする見直し

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年度税制改正により農地等の納税猶予制度が変わりました!!

2019年1月7日


相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(2018年10月5日)

所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)等の施行等に伴い、「相続税法基本通達」(法令解釈通達)、「贈与税の非課税財産(公益を目的とする事業の用に供する財産に関する部分)及び持分の定めのない法人に対して財産の贈与等があった場合の取扱いについて」(法令解釈通達)及び「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)については、平成30年7月3日付課資2-9ほか2課共同「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)により、所要の整備を行ったところであるが、そのあらましについてリンクのとおり送付するので、執務の参考とされたい。

なお、単なる条項の異動等その改正の内容が形式的なものについては省略している。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)(2018年10月5日)

2018年11月27日


相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)

2018年7月26日


相続税の申告のしかた(平成30年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成30年分用)』をホームページに掲載した。

目次は以下のとおり。
➊ 相続税のあらまし
1 相続税とはどのような税金でしょうか
2 相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与とはどのようなことでしょうか
➋ 相続税の申告
1 どのような人が相続税の申告をする必要があるのでしょうか
2 相続税の申告書は、いつまでに、どこに提出するのでしょうか
Q&A 私は相続税の申告書の提出が必要ですか?
3 相続税は、どのような財産にかかるのでしょうか
Q&A 家族名義の財産は?
Q&A 相続税の課税対象となる生命保険金(退職手当金等)の金額は?
4 相続税は、どのように計算するのでしょうか
(1) 相続税額の計算方法について
Q&A 相続税額の計算方法は?
(2) 税額控除のあらまし
Q&A 配偶者は相続税が軽減される?
(3) 相続財産の評価のあらまし
Q&A 不動産の評価方法は?
Q&A 居住用宅地や事業用宅地について、どのような特例があるのですか?
(4) 小規模宅地等の特例
(5) 特定計画山林の特例
(6) 特定受贈同族会社株式等に係る特定事業用資産の特例
(7) 小規模宅地等の特例及び特定計画山林の特例の併用等
(8) 農地等についての相続税の納税猶予及び免除等
(9) 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等
(10) 山林についての相続税の納税猶予及び免除
(11) 医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除・税額控除
5 相続税の申告期限前に災害により相続財産に被害を受けた場合には相続税が軽減されるのでしょうか
6 提出した申告書を訂正する必要がある場合は、どうすればよいのでしょうか
(参考) 社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の導入に伴うマイナンバー(個人番号)の記載について
➌ 相続税の納付
1 相続税はどのように納めるのでしょうか(金銭納付)
Q&A 相続税の納付は?
Q&A 相続税の還付金の受取方法は?
2 連帯納付義務とは、どのような義務でしょうか
3 金銭納付が困難な場合は、どうすればよいのでしょうか(延納及び物納)
➍ 相続税の申告書の記載例
1 申告書の記載の順序について
2 具体的な記載例について
Q&A 具体的な相続税額は?
(参考) 相続税の申告の際に提出していただく主な書類

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告のしかた(平成30年分用)

2018年7月12日


相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました(平成30年4月1日以後に提出する申告書から適用)

これまで、相続税の申告書には①の書類を添付しなければならないこととされていたが、平成30年4月1日以後は、①の書類に代えて、②または③のいずれかの書類を添付することができるようになった(引き続き、①の書類も添付できる。)。

「戸籍の謄本」で被相続人の全ての相続人を明らかにするもの
図形式の「法定相続情報一覧図の写し」(子の続柄が、実子または養子のいずれであるかが分かるように記載されたものに限る。)(注)
①または②をコピー機で複写したもの


(注)
被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本または抄本(コピー機で複写したものも含む。)の添付も必要である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました(平成30年4月1日以後に提出する申告書から適用)

2018年4月19日


本件各土地は利用価値が著しく低下していると認められることから、財産評価額から10%を減額して評価すべきであり、本件意見価額は客観的な根拠が何ら示されておらず、請求人の主張には理由がないとした事例

  • 平成26年7月相続開始に係る相続税の更正の請求に対する通知処分 →一部取消し
  • 平29年4月7日裁決

<ポイント>
本事例は、本件各土地の現況を的確に確認した上で、本件各土地は一体として利用されているとは認められず、畑と宅地ごとにそれぞれ一の評価単位として評価すべきであること、また、本件各土地は利用価値が著しく低下しているから、本件各土地の財産評価額から10%を減額して評価することが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人が、相続で取得した畑及び各宅地(本件各土地)の評価は不動産業者の作成した意見書による価額(本件意見価額)によるべきであるとして更正の請求をしたことに対し、原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたところ、請求人は、本件各土地の評価に当たって、本件各土地が無道路地であり、がけ地を含む上、公道から本件各土地まで重機が届かないという制約のために本件各土地の上の建物を取り壊すことができないなどの事情を考慮すべきであるから、本件意見価額を踏まえると、財産評価基本通達の定めにより算定した価額(財産評価額)からの減額割合を60%とすべきである旨主張する。

しかしながら、本件意見価額は、本件各土地の周辺の取引相場の裏付けを欠く上、具体的な数値や客観的な根拠が何も示されておらず、適正な時価を示しているとはいえないため、請求人の主張には理由がない。

なお、本件各土地は、本件各土地の周辺の一連の土地との高低差を比較検討すると著しい高低差があり、その利用価値が付近にある他の土地の利用状況からみて著しく低下していると認められることから、国税庁ホームページのタックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」の取扱いにより、本件各土地の財産評価額から10%を減額して評価するのが相当である。

また、本件各土地は一体の土地として利用されているとは認められないことから、畑と宅地ごとにそれぞれ一の評価単位として評価すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 本件各土地は利用価値が著しく低下していると認められることから、財産評価額から10%を減額して評価すべきであり、本件意見価額は客観的な根拠が何ら示されておらず、請求人の主張には理由がないとした事例

2018年3月26日


相続財産のうち一部の不動産については、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとした事例

  • 平成24年6月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • 平成29年5月23日裁決

<ポイント>
本事例は、被相続人による各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、他の納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであるから、各不動産について、財産評価基本通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、相続財産のうち一部の不動産(本件各不動産)については、財産評価基本通達(評価通達)に定める評価方法によらないことが相当と認められる特別の事情がないから、評価通達6《この通達の定めにより難い場合の評価》を適用することはできず、評価通達に定める評価方法により評価すべきである旨主張する。

しかしながら、被相続人による本件各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、被相続人が、多額の借入金により不動産を取得することで相続税の負担を免れることを認識した上で、当該負担の軽減を主たる目的として本件各不動産を取得したものと推認されるところ、結果としても、本件各不動産の取得に係る借入金が、本件各不動産に係る評価通達に定める評価方法による評価額を著しく上回ることから、本件不動産以外の相続財産の価額からも控除されることとなり、請求人らが本来負担すべき相続税を免れるものである。
このような事態は、相続税負担の軽減策を採らなかったほかの納税者はもちろん、被相続人が多額の財産を保有していないために同様の軽減策によって相続税負担の軽減という効果を享受する余地のないほかの納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであるから、本件各不動産について、評価通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続財産のうち一部の不動産については、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとした事例

2018年3月23日


土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員は、当該土地の使用収益に対する対価であると認められないから、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないとした事例

  • 平成24年10月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成29年1月17日裁決

<ポイント>
本事例は、土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員が、当該土地の固定資産税等年税額を超えていたものの、その他の事実関係からすると、かかる事情のみでは、当該金員が本件土地の使用収益に対する対価であるとは認めるに足りないというべきであるとして、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、①本件土地上に建物を有していた被相続人が、本件土地の所有者である請求人に対し地代として金員(本件金員)を支払っていたこと、②請求人は本件金員を不動産所得に係る地代収入として所得税の確定申告をしたこと、③本件土地に係る各年度の固定資産税相当額及び都市計画税相当額の合計額(固定資産税等年税額)は変動するにもかかわらず本件金員の額が一定であり、請求人と被相続人との間において本件土地に係る通常の必要費を負担することを約していたとは認められないこと、④本件金員の年額は、本件土地に係る相続開始年度の固定資産税等年税額に本件建物に係る被相続人の持分を乗じた金額を優に上回るから、使用貸借通達からも使用貸借とみる余地はないことなどを理由に、被相続人は本件土地上に借地権を有していた旨主張する。

しかしながら、①被相続人による本件土地の使用収益は、本件金員の支払が開始する以前(本件土地を請求人が被相続人の父から相続により取得したとき以前)においては使用貸借契約に基づくものであったと認められること、②本件金員の支払開始に当たり、請求人と被相続人との間で契約書が作成されたなどの事情は見当たらないこと、③本件金員の支払開始の経緯や本件金員の算定根拠も明らかではないこと、さらに、④被相続人と請求人は親子であり、本件金員の支払が開始された当時、請求人が未成年者であったことを併せ考慮すると、本件金員が本件土地の使用収益に対する対価であると認めるに足りないというべきであるから、被相続人による本件土地の使用収益は使用貸借契約に基づくものであったと認めるのが相当であり、被相続人が本件土地上に借地権を有していたとは認めることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員は、当該土地の使用収益に対する対価であると認められないから、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないとした事例

2018年1月12日


平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年分贈与税の申告書等の様式一覧

2017年12月21日


平成29年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、『平成29年分贈与税の申告のしかた』をホームページに掲載した。

  • 平成29年分の贈与税の申告書の受付は、平成30年2月1日(木)から3月15日(木)までである。
  • 平成29年分の贈与税の納期限は、平成30年3月15日(木)である。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成29年分贈与税の申告のしかた

2017年12月14日


使用貸借により貸し付けている土地の評価単位について判断した事例 Edit

  • 平成23年6月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分
  • 一部取消し、棄却
  • 平成28年12月20日裁決

<ポイント>
本事例は、所有する土地(雑種地)の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地又は雑種地として貸し付けている場合に、地目が相違しても、その全体を一団の雑種地として評価するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、テニスクラブ(本件テニスクラブ)の敷地の一部として利用している各土地の価額は、本相続財産以外の土地を含む本件テニスクラブの敷地として利用されていた土地全体を一つの「評価単位」として財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)に定める広大地補正率を適用すべきである旨、及びf市との締結に基づく各協定書において、開発行為を行おうとした場合に制約を受けたことを理由にその協定に関する区域を一つの評価単位として、居宅として利用されていた土地(本件B区画)及び駐車場として利用されていた土地(本件C区画)を評価する際に、本件通達に定める広大地補正率を適用して評価すべきである旨主張する。

しかしながら、土地の評価単位は、原則として、遺産分割後の取得者ごとに区分した後、利用の単位となっている土地ごとに判定した評価単位を基に評価すべきであり、本件の場合、取得者別、利用の単位別に区分した4区画の土地をもって、それぞれを一つの評価単位として評価すべきである。
また、本件B区画及び本件C区画について、協定を締結したとの事実関係を前提としても、本件通達の定めに照らし、何ら影響を及ぼすものではない。

したがって、請求人らの各主張は認めることはできない。

なお、本件に係る各相続財産の土地の評価単位の認定につき、当該土地の使用貸借に係る利用状況などに照らせば、使用貸借に基づく権利は、貸主、借主間の人的なつながりのみを基盤とするもので借主の権利が極めて弱いことから、自己の所有する雑種地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地又は雑種地として貸し付けている場合には、たとえ地目が相違しても、その全体を一団の雑種地として評価するのが相当であり、また、同様に、自己の所有する宅地又は雑種地に隣接する宅地又は雑種地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地又は雑種地と一体として利用している場合であっても、所有する宅地又は雑種地のみを1画地の宅地又は一団の雑種地として評価するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 使用貸借により貸し付けている土地の評価単位について判断した事例

2017年11月28日

青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等から1つの評価単位とすると判断した事例 Edit

  • 平成24年11月相続開始に係る相続税の再更正処分及び更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成28年12月7日裁決

<ポイント>
本事例は、青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等(物理的及び法的)から1つの評価単位として取り扱うのが相当であると判断した上で、各土地を評価するに当たっては、まず青地部分の土地を含む各土地全体の評価額を算出し、その後、当該評価額から青地部分の土地の価額を控除して評価するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、本件1土地(生産緑地)と本件2土地(生産緑地)は、市が所有する青地(旧水路)により分断されており、各土地は別個の評価単位として取り扱うべきである旨主張する。

しかしながら、相続開始日において、①本件1土地と本件2土地との間には青地が介在していたものの、当該青地は全て埋め立てられており、水路としての機能を失っていたこと、②本件1土地及び本件2土地は、青地部分の土地を含めて一体の畑として耕作されていたこと、③市は、本件1土地、本件2土地及び青地部分の土地を一体の生産緑地地区に定める都市計画を決定していたことなどの各事実が認められる。

したがって、本件1土地及び本件2土地の各土地は、物理的にも法的にも分断されておらず、また、その利用も一体であったと認められるため、一団の生産緑地、すなわち1つの評価単位として取り扱うのが相当である。
そして、本件1土地及び本件2土地の各土地を評価するに当たっては、まず青地部分の土地を含む各土地全体の評価額を算出し、その後、当該評価額から青地部分の土地の価額を控除して評価するのが相当であり、その場合、①当該青地部分の土地の売買が成立し得るのは請求人らと市の間に限定されること、②市が当該青地部分の土地を請求人らに売却した場合の売買代金である払下げ費用相当額は、国有財産評価基準によりその算定方法が画一的に決められていることからすると、青地部分の土地の価額については、相続開始日において当該青地が請求人らに払い下げられたとした場合の払下げ費用相当額とするのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等から1つの評価単位とすると判断した事例

2017年11月24日

家族名義預金の一部は相続財産に当たらないと判断した事例 Edit

平成24年2月相続開始に係る相続税の

  • ①各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 棄却・一部取消し
  • ②決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分 一部取消し
  • 平成28年11月8日裁決

<ポイント>
本事例は、相続財産と認定された家族名義預金の一部については、その原資、管理及び運用の実態から相続財産に当たらないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人の子(P1)の配偶者(P5)名義の各貯金(P5名義各貯金)及びP1とP5の子(P10)名義の各定期預金(P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2)について、P5及びP10に当該各預貯金を形成する資力があったとは認められず、また、当該各預貯金の管理及び運用は、被相続人及び被相続人の配偶者が共同して行っていたと認められ、そのほかに贈与があったと認められる事実もないことから、当該各預貯金は被相続人に帰属する相続財産である旨主張する。

しかしながら、P5名義各貯金及びP10名義定期預金1の原資は、いずれもP5名義の普通預金口座(P5名義口座)から引き出された金員、又はP5名義口座から引き出された金員を原資とする貯金の払戻金であると認められるところ、①P5名義口座においては、公共料金等の支払のほか小口の入出金が大半を占めていること、②当該口座はP1とP5が婚姻後早々に設定されたものであり、その印鑑票の筆跡はP5のものであること、③P1が生活費等の名目で受け取った金員はP5が管理していたこと及び④当該口座の通帳はP5が管理していたことなどの事実に照らせば、P5名義口座の預金はP5又はP1に帰属する財産であると認められ、P5名義口座から引き出された金員を原資とするP5名義各貯金及びP10名義定期預金1の出捐者が被相続人であるとは認められない。
また、P10名義定期預金2については、P1を受取人とする保険の満期保険金を原資とするものであり、当該満期保険金をP1以外の者が受け取ったと認めるに足る事情や証拠資料もない以上、当該定期預金の出捐者はP1であると認められる。

そうすると、P5名義各貯金、P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2の出捐者が被相続人であるとは認められず、他に当該各預貯金について、被相続人に帰属する財産であることを裏付ける事情や証拠資料も存しないから、P5名義各貯金、P10名義定期預金1及びP10名義定期預金2は本件相続に係る相続財産と認めることはできない。

★リンクはこちら⇒ 家族名義預金の一部は相続財産に当たらないと判断した事例

2017年11月20日

相続税の申告のしかた(平成29年分用) Edit

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成29年分用)』を、ホームページに掲載した。

相続税は、個人が被相続人(亡くなられた人のことをいう。)の財産を相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される税金である。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成29年分用)

2017年9月22日

相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)

国税庁は、相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)を、ホームページに掲載した。

(注)
「一般用」に「○」が付いている申告書は、一般の場合に使用する申告書となる。
なお、一般の場合とは、相続時精算課税適用者又は相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合をいう。
詳しくは、「相続税の申告のしかた(平成29年分)」の53ページからの「相続税の申告書の記載例 等」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成29年分用)

2017年7月18日

法定相続情報証明制度

法務省は、所有者不明土地問題、空き家問題等の改善を図るため、相続登記促進策として「法定相続情報証明制度」を新設し、平成29年5月29日より運用を開始する。

現在,相続手続では,お亡くなりになられた方の戸除籍謄本等の束を,相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要がある。

法定相続情報証明制度は,登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出せば,登記官がその一覧図に認証文を付した写しが無料で交付される。
その後の相続手続は,法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなる。

★リンクはこちら⇒ 「法定相続情報証明制度」が始まります!

2017年5月26日

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)

国税庁は、「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)」をホームページに掲載した。

<非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例>
後継者である相続人等が、相続等により、円滑化法の認定を受ける非上場会社の株式等を被相続人(先代経営者)から取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき相続税のうち、その株式等(一定の部分に限る。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予され、後継者の死亡等により、納税が猶予されている相続税の納付が免除される。

<非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例>
後継者である受贈者が、贈与により、円滑化法の認定を受ける非上場会社の株式等を贈与者(先代経営者)から全部又は一定以上取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式等(一定の部分に限る。)に対応する贈与税の全額の納税が猶予され、先代経営者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税の納付が免除される。

★リンクはこちら⇒ 非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年5月)

2017年5月22日

本件土地の想定整形地の間口距離、奥行距離は、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、原処分庁が主張するものとは異なるとした事例

平成24年4月相続開始に係る相続税の

  • 各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 一部取消し
  • 各更正処分 棄却

平成28年5月6日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人らが相続により取得した東側と西側でそれぞれ道路に接する不整形な土地(本件土地)について、財産評価基本通達20《不整形地の評価》にいう「想定整形地」の間口距離は50.35m、奥行距離は35.0mであるから、本件土地の評価につき適用すべき同通達に定める不整形地補正率は0.98となる旨主張する。

しかしながら、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、本件土地に係る想定整形地の間口距離は50.50m、奥行距離は35.28mであるから、本件土地の評価につき適用すべき同通達に定める不整形地補正率は0.97となる。

★リンクはこちら⇒ 本件土地の想定整形地の間口距離、奥行距離は、建築計画概要書の写しにある配置図によれば、原処分庁が主張するものとは異なるとした事例

2017年2月24日

被相続人は、生前、不動産を売却していないから、当該売却に係る代金債権は発生していないと判断した事例

  • 平成23年3月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成28年6月28日裁決

<ポイント>
本事例は、不動産に係る親子間の売買契約書は存在するが、当該売買契約書は、実体を伴わない架空の内容を記載した契約書であると認めるのが相当であり、当該売買に係る代金債権は発生していないと判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、被相続人は、生前、子に対して、不動産(本件不動産)を売却しているところ、相続開始時点において、本件不動産の売買に関する契約書(本件売買契約書)記載の代金が支払われていなかったことから、被相続人は、上記代金に相当する債権(本件代金債権)を有していた旨主張する。

しかしながら、本件売買契約書は存在するものの、本件売買契約書の作成に、買主とされる子が関与していないこと、本件売買契約書において、所有権移転登記手続は、売買代金全額の支払と引替えに行うとされているが、現在に至るまで売買代金は全く支払われておらず、そうであるのに、所有権移転登記が完了しているのは不自然であること、子が請求人との間で作成した金銭消費貸借契約書記載の金員を受け取っておらず、当該金員の返済もしていないこと、請求人及び子の間では、本件不動産の子の所有名義は便宜上のものであり、真実は請求人が所有者であることを確認する旨の合意書が作成されていること、子が本件不動産の所有者としてこれを管理、支配している形跡がうかがわれないことの事情に照らせば、本件売買契約書は、実体を伴わない架空の内容を記載した契約書であるものと認めるのが相当であり、したがって、本件代金債権は発生していないというべきである。

★リンクはこちら⇒ 被相続人は、生前、不動産を売却していないから、当該売却に係る代金債権は発生していないと判断した事例

2017年2月23日

請求人らが相続により取得した土地の一部は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の一部を取り消した事例

平成23年4月相続開始に係る相続税の各更正処分(各更正の請求に対してされた各再更正処分をあわせ審理)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(各変更決定処分後のもの)
一部取消し
平成28年2月29日裁決

<要旨>
4区画の各土地(本件各土地)の財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)の適用につき、原処分庁は、本件各土地のうち3区画の各土地(本件1ないし3土地)の本件通達に定める「その地域」(本件地域)は、財産評価基本通達14-2《地区》(6)の中小工業地区として定められた地域(原処分庁主張地域)であり、本件1ないし3土地は、いずれも原処分庁主張地域の標準的な宅地の地積と同程度であるから、本件通達の適用はない旨主張し、請求人らは本件各土地の本件地域は、道路等の施設の状況等を勘案した住居表示を基本単位とする地域(請求人ら主張地域)であり、本件各土地は、いずれも、請求人ら主張地域の標準的な宅地の地積に比して広大な土地で、かつ、開発に当たっては公共公益的施設用地の負担が必要な土地であるから、本件通達の適用はある旨主張する。

しかしながら、本件各土地の本件地域は、本件1ないし3土地と同土地の以外の土地(本件4土地)で相違し、本件1ないし3土地の本件地域は、原処分庁主張地域を含んだより広範な地域(審判所認定地域①)であり、また、本件4土地の本件地域は、請求人ら主張地域のうち河川により分断された地域(審判所認定地域②)であると認められる。
そして、本件1ないし3土地は、いずれも、審判所認定地域①の標準的な宅地の地積に比して広大な土地で、かつ、開発に当たっては公共公益的施設用地の負担が必要な土地であるから、本件通達の適用はある一方で、本件4土地は、審判所認定地域②の標準的な宅地の地積と同程度であるから、本件通達の適用はない。

★リンクはこちら⇒ 請求人らが相続により取得した土地の一部は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の一部を取り消した事例

2017年1月26日

請求人らが相続により取得した土地は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の全部を取り消した事例

平成25年6月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
全部取消し
平成28年2月9日裁決

<要旨>
原処分庁は、請求人ら以外の第三者が所有する位置指定道路(本件位置指定道路といい、その所有者らを本件私道所有者らという。)に接する土地(本件土地)について、都市計画法第4条《定義》第12項に規定する開発行為(開発行為)を行うとした場合、本件私道所有者らの同意を要するとしても、そのような事情は本件土地自体に起因する客観的な事情ではないから財産の評価に当たって考慮されず、本件位置指定道路を利用した開発行為を行うことが経済的に最も合理的であり、当該開発行為においては、公共公益的施設用地の負担は必要ないので、本件土地は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地(広大地)に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件位置指定道路は、本件私道所有者らが所有するもので、被相続人及び請求人らは本件位置指定道路に係る権利を何ら有していない。
そのため、本件位置指定道路を利用した開発の可否は、本件私道所有者らの意向に左右されるものであるところ、本件土地については、請求人らの主張するように、本件土地の敷地内に新たな道路を開設して行う開発方法が想定でき、その開発の方法が十分合理性を有するものである以上、このような場合にまで、第三者の所有に係る土地を利用しての開発方法を想定することに合理性があるとはいえない。
そして、請求人らの主張する開発方法においては、公共公益的施設用地の負担が必要であると認められるから、本件土地は広大地に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人らが相続により取得した土地は、財産評価基本通達24-4に定める広大地に当たるとして処分の全部を取り消した事例

2017年1月25日

平成28年10月~12月分の基準年利率

平成28年10月~12月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

平成28年10月~12月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成29年1月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は9月から0.05%であったが、12月から0.1%に上昇している。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の基準年利率について」(法令解釈通達)(課評2-3)

2017年1月24日

平成28年11月及び12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)が公表された。

今回は平成28年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

贈与税の申告があるためだと思われるが、11月及び12月分については公表が早く、また、文書の日付とホームページへの掲載には、ほとんどタイムラグはない。
毎回そうして欲しいものである。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-1)

2017年1月23日

米国e州f市に所在する不動産について、その時価をe州遺産税の申告に当たりe州税務当局により是認された鑑定価額により評価した原処分を相当と認めた事例

平成22年3月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却
平成28年2月4日裁決

<ポイント>
本事例は、e州遺産税等の適正市場価額とは、相続税法第22条に規定する時価と基本的に同義の価額を指向するものであるとし、対象不動産の鑑定価額を基にしたe州遺産税の申告がe州税務当局によって是認されていることから、同鑑定価額は客観的交換価値を表すものであり、対象不動産の時価と認められると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、米国e州f市に所在する不動産17物件(本件対象不動産)の価額について、f市財産税の算定の基礎となる財産税評価額(本件財産税評価額)は、財産評価基本通達(評価通達)5-2《国外財産の評価》に定める売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価した価額であるから、本件財産税評価額から借家権として当該価額に30%の割合を乗じた金額を控除した価額が、本件対象不動産の価額である旨主張する。

しかしながら、請求人らは、被相続人に係るe州遺産税について、e州認定の鑑定人による鑑定価額(本件鑑定価額)を本件対象不動産の価額として申告しているところ、米国内国歳入法等に規定するe州遺産税における財産の価額である適正市場価額と相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価とは同義の価額を指向するものと認められること、本件鑑定価額の算定手順に別段不合理な点は認められないこと、e州遺産税の申告がe州税務当局により是認されていることから、本件鑑定価額は相続税法第22条に規定する時価と認められる。
一方で、本件財産税評価額は、収益方式によって評価されており、売買実例価額と比較して大幅に低い価額であること、財産税評価額に関する公的報告書等においても、財産税評価額が相当低額であり市場価格との相関関係が見出せない状況である旨の指摘がされていること等から、相続税法第22条に規定する時価とは認められない。
また、借家権の控除は認められるべきとする点については、本件対象不動産は評価通達に定める評価方法に準じて評価することができない財産であるから、借家権の控除に関してのみ評価通達に準じて評価することを許容すべき理由はない。

以上のことから、本件対象不動産の価額は、本件鑑定価額によることが相当である。

★リンクはこちら⇒ 米国e州f市に所在する不動産について、その時価をe州遺産税の申告に当たりe州税務当局により是認された鑑定価額により評価した原処分を相当と認めた事例

2017年1月20日

平成28年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、ホームページに『平成28年分贈与税の申告のしかた』を掲載した。

この冊子は、一般的な事項を説明している。

  • 平成28年分の贈与税の申告書の受付は、平成29年2月1日(水)から同年3月15日(水)まで
  • 平成28年分の贈与税の納期限は、平成29年3月15日(水)

★リンクはこちら⇒ 平成28年分贈与税の申告のしかた

2017年1月12日

平成28年分贈与税の申告書等

国税庁は、ホームページに『平成28年分贈与税の申告書等』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分贈与税の申告書等

2016年12月16日

平成28年9月及び10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-49)が公表された。

今回は平成28年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグがある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-49)

2016年12月1日

贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で

国税庁は、『贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で』(チラシ)を作成した。

★リンクはこちら⇒ 贈与税の申告は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で

2016年12月1日

パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」

日本税理士会連合会(いわゆる日税連)成年後見支援センターは、パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」を作製した。

このパンフレットは、成年後見制度の仕組みと税理士の役割などを分かりやすく説明したものである。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「あなたと歩む成年後見制度(税理士は財産管理の専門家です)」

2016年11月22日

平成28年7月~9月分の基準年利率

平成28年7月~9月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-46)が公表された。

平成28年7月~9月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年10月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は5月から0.01%であったが、9月から0.05%となっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2016年10月18日

平成28年7月及び8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)が公表された。

今回は平成28年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグがある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-44)

2016年10月18日

評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例

平成23年11月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
一部取消し
平成27年11月25日裁決

<ポイント>
本事例は、評価対象地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない開発想定図は接道状況を踏まえた経済的に合理的な開発想定図と認められ、道路の接続状況が評価対象地と明らかに異なる開発事例は評価に当たり比較すべき開発事例とは認められず、また、評価対象地の相続開始日後の開発形態のみにより経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でないと判断したものである。

<要旨>
請求人らは、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める開発行為を行うとした場合における公共公益的施設用地の負担が必要か否かの判断について、分譲が販売である以上、購入者側のニーズや需要という経済的合理性に応えた上でのものでなければならず、請求人らが相続により取得した土地(本件土地)は、請求人らの開発想定図又は分譲完了直前図のように道路を設置することにより、宅地としての財産価値が高まり、経済的に最も合理的な分譲ができることから、広大地通達に定める広大地に該当する旨主張する。

しかしながら、①本件土地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない原処分庁の開発想定図は、本件土地の広大地通達に定めるその地域(本件地域)における標準的な宅地の地積に、本件土地がその四方を幅員約6mないし約8mの公道に面している接道状況を踏まえたものであり、同図の各区画には、間口距離、奥行距離及びその形状も特段不合理とする点は認められないこと、②本件土地の所在する地域及びその周辺地域において、相続開始日前おおむね10年以内に行われた戸建住宅用地としての開発は4事例が認められ、いずれも道路の設置を伴う開発であるところ、これら開発事例の土地は公道と面していないなど道路の接続状況が本件土地と明らかに異なるとして、いずれも本件土地の評価に当たり比較すべき開発事例とは認められないことからすると、本件土地は、戸建住宅の敷地として都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、広大地通達に定める広大地に該当しない。
また、本件土地は、相続開始日から約1年5か月を経過した頃に実際に道路が設置された開発が行われているが、本件土地の相続開始日後の開発形態のみにより、本件土地について相続開始日において開発行為を行うとした場合に道路の設置を伴う開発が経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でない。

★リンクはこちら⇒ 評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例

2016年10月13日

後見ポータルサイト

裁判所は、『後見ポータルサイト』を開設した。

ここでは,成年後見制度の利用を検討されている方に向けて,後見制度についての説明や手続の流れ,申立てに必要な書式や資料等を紹介している。

  • 成年後見制度について
  • 未成年後見制度について
  • 後見制度支援信託について
  • 後見監督について
  • 資料・ビデオ
  • よくある質問
  • 手続案内及び各種書式
  • 各地の裁判所一覧

★リンクはこちら⇒ 後見ポータルサイト

2016年8月29日

平成28年5月及び6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)が公表された。

今回は平成28年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが2、3週間くらいあるが、なぜすぐにホームページに掲載しないのだろうか?

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-39)

2016年8月24日

平成28年3月及び4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-30)が公表された。

今回は平成28年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが2、3週間くらいある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-30)

2016年8月23日

相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)』を作成した。
この事例集は、相続税申告書を作成するに当たって、誤りやすい項目について事例形式で紹介したものである。
「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額軽減」を適用した相続税申告書の記載例(平成28年分用)と併せてご覧いただくと良い。
 http://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/sozoku-shinkokukisairei28.pdf

また、相続税の申告書が正しく作成されるよう一般に誤りやすい事項をまとめた「相続税の申告のためのチェックシート(平成28年分以降用)」も利用すること。
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/checksheet2015/pdf/28-01.pdf

 ★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成28年分用)(既に削除済み)

<追加 平成29年4月1日現在>

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成29年4月1日現在)

2016年8月16日

相続税の申告のしかた(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告のしかた(平成28年分用)』を公表した。

相続税は、個人が被相続人(亡くなられた人のことをいう。)の財産を相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される税金である。

(1)相続
相続は、原則として、死亡によって開始する。
そして、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に関する一切の権利義務を承継することになる(扶養を請求する権利や文化功労者年金を受ける権利など被相続人の一身に専属していたものは、承継されない。)。
(2)遺贈
遺贈とは、被相続人の遺言によってその財産を移転することをいう。
(注)
 贈与をした人が亡くなることによって効力を生じる贈与(これを死因贈与という。)については、相続税法上、遺贈として取り扱われる。
(3)相続時精算課税に係る贈与
相続時精算課税とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、贈与者が亡くなったときにその贈与財産の価額と相続や遺贈によって取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納付した贈与税に相当する金額を控除した額をもって納付すべき相続税額とする制度(相続時に精算)で、その贈与者から受ける贈与を「相続時精算課税に係る贈与」という。
贈与により財産を取得した人が、この制度の適用を受けるためには、一定の要件の下、原則として贈与税の申告期限までに贈与税の申告書とともに「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出する必要がある。
この届出書を提出した人を「相続時精算課税適用者」という。

(4)相続人
民法では、相続人の範囲と順位について以下のとおり定めている。
ただし、相続を放棄した人や相続権を失った人は初めから相続人でなかったものとされる。
イ.被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
(注)
 配偶者とは、婚姻の届出をした夫または妻をいい、内縁関係にある人は含まれない。
ロ.以下の人は、以下の順序で配偶者とともに相続人となる。

(イ) 被相続人の子(子が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、孫(直系卑属)が相続人となる。)
(ロ) 被相続人に子や孫(直系卑属)がいないときは、被相続人の父母(父母が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、祖父母(直系尊属)が相続人となる。)
(ハ) 被相続人に子や孫(直系卑属)も父母や祖父母(直系尊属)もいないときは、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が被相続人の相続開始以前に死亡しているときや相続権を失っているときは、おい、めい(兄弟姉妹の子)が相続人となる。)

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成28年分用)

2016年8月8日

相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)』を公表した。

個人的には、路線価の公表に合わせて公表されるが、税務用のソフトの対応は数か月後になるので、早く相続税の申告をしたいと思っていてもできない方がいるので、7月1日ではなく、もっと早く出してほしいと思う。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成28年分用)

2016年8月4日

平成28年4月~6月分の基準年利率

平成28年4月~6月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

平成28年4月~6月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年7月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と中期は横這いであるが、長期は1月0.5%、2月0.25%、3月0.1%、4月0.05%、5・6月0.01%と、マイナス金利の影響で大幅に下落している。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-37)

2016年7月29日

割引発行の公社債の評価

平成25年度税制改正において、公社債等に係る所得に対する所得税の課税方式が見直され、平成28年1月1日以後に発行される割引発行の公社債の償還差益に係る源泉徴収は、発行時ではなく償還時に行うこととされたことから、割引発行の公社債の評価について、割引発行の公社債の差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、その金額を控除した金額によって評価する所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
割引発行の公社債の評価については、以下に掲げる区分に従い、原則として市場価額を基に評価することとしている。

(1) 金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債
(2) 日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された割引発行の公社債(金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債及び割引金融債を除く。)
(3) (1)または(2)に掲げる割引発行の公社債以外の割引発行の公社債

2.通達改正の概要等
(1)税制改正の概要(公社債等に係る所得に対する課税方式の見直し)
従来、割引債の償還差益に係る所得に対する課税については、割引債の発行時に源泉徴収することとされており、個人については他の所得と分離して源泉徴収のみで課税が終了する源泉分離課税とされ、割引債の譲渡所得は非課税とされていたが、平成25年度税制改正により、割引債を含む公社債の譲渡による譲渡所得に対して所得税を課税することとされたことに伴い、平成28年1月1日以後に発行される割引債の償還差益に係る所得税の源泉徴収については発行時ではなく、利付公社債の利子と同様に償還時に行うこととされた。

(2)通達改正の概要
従来、割引発行の公社債の償還差益に係る所得税相当額は発行時に源泉徴収されていたため、評価通達上、当該所得税相当額に係る取扱いは明記されていない。
今般の改正を受けて、割引発行の公社債の償還差益に係る源泉所得税相当額が、発行時ではなく償還時に源泉徴収がなされる場合が生じることとなることから、このような場合の償還差益に係る源泉所得税相当額については、評価上、考慮する必要があるものと考えられる。
そこで、割引発行の公社債の評価について、差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、その差益金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額を控除した金額によって評価することとした。

(3)適用時期
平成28年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 割引発行の公社債の評価

2016年7月25日

利付公社債の評価等

平成25年度税制改正において、公社債等に係る所得に対する道府県民税の課税方式が見直され、平成28年1月1日以後に受ける特定公社債等の利子等に係る所得については、利子割の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされたことから、利付公社債の評価等について、「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」に含むこととしている「特別徴収されるべき道府県民税」に利子割の額のみならず配当割の額に相当する金額も含まれるよう所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
利付公社債については、以下の(1)から(3)に分類した上で、各々以下のとおり評価することとしている。

(1)金融商品取引所に上場されているもの
金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格+源泉所得税額相当額()控除後の既経過利息の額
()
源泉所得税額相当額には、特別徴収されるべき道府県民税の利子割の額に相当する金額を含む。以下(2)及び(3)について同じ。

(2)日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されたもの((1)に該当するものを除く。)
日本証券業協会から公表された課税時期の平均値+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額

(3)(1)または(2)に掲げる以外のもの
発行価額+源泉所得税額相当額控除後の既経過利息の額

2.通達改正の概要等
(1)税制改正の概要(公社債等に係る所得に対する課税方式の見直し)
平成25年度税制改正により、地方税(道府県民税)に関し、平成28年1月1日以後に受ける特定公社債等()の利子等に係る所得については、利子割の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされた。
()
特定公社債等とは、特定公社債(特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公 社債などの一定の公社債をいう。)、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募投資信託 の受益権及び特定目的信託(その社債的受益権の募集が公募により行われたものに限る。)の社債的受益権のことをいう。

(2)通達改正の概要
利付公社債については、上記⑴の税制改正により、平成28年1月1日以後に受ける利子等に係る所得に対して課される道府県民税に関し、利子割に加えて配当割が含まれることとされたことから、利付公社債の評価について「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」に含むこととしている「特別徴収されるべき道府県民税」に、配当割も含まれるよう、「特別徴収されるべき道府県民税の利子割の額に相当する金額」を「特別徴収されるべき道府県民税の額に相当する金額」と改正することとした。
また、評価通達において「源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額」を控除することとしている他の財産についても同様に取り扱うことを明確にした。

(3)適用時期
平成28年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 利付公社債の評価等

2016年7月21日

取引相場のない株式等の評価(純資産価額方式における法人税額等相当額)

平成28年度税制改正において、法人税率の改正が行われたことに伴い、純資産価額方式における「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」の算定に用いる「法人税(地方法人税を含む。)、事業税(地方法人特別税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」を38%から37%に改正するなど所要の改正を行った。

1.従来の取扱い
取引相場のない株式等を評価する場合の純資産価額方式は、次の算式により計算することとしている。
 (算式)
純資産価額=【総資産価額()-負債の合計額-評価差額に対する法人税額等に
相当する金額】÷発行済株式数
相続税評価額による総資産価額
この場合の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は、「相続税評価額による純資産価額」から「帳簿価額による純資産価額」を控除した残額に「法人税(地方法人税を含む。)、事業税(地方法人特別税を含む。)、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合」(以下「法人税率等の合計割合」という。)として「38%」を乗じて計算した金額としていた。

2.通達改正の概要等
(1)法人税の税率の改正の内容
平成28年度税制改正により、法人税率が23.9%から23.4%()に引き下げられ、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされた。
()
所得税法等の一部を改正する法律第2条に基づく改正後の法人税率は23.2%であるが、同法附則第26条により、平成28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度における法人税率は23.4%とされている。

(2)通達改正の概要
上記(1)の改正により、「法人税率等の合計割合」の根拠となる税率が変わることから、「法人税率等の合計割合」を「38%」から「37%」に改正することとした。

(3)明細書通達の改正
本改正に伴い、次の評価明細書における「評価差額に対する法人税額等相当額」欄について改正した。

  • 「第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」
  • 「第8表 株式保有特定会社の株式の価額の計算明細書(続)」

(4)適用時期
平成28年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した取引相場のない株式等の評価に適用することとした。

★リンクはこちら⇒ 取引相場のない株式等の評価(純資産価額方式における法人税額等相当額)

2016年7月19日

被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例

①平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分
②平成21年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
③平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分
①全部取消し
②一部取消し
③棄却
平成27年8月4日裁決

<要旨>
請求人らは、ジョイント・テナンシーの形態により被相続人が米国f州に所在する不動産(本件不動産)について有する持分は、我が国における共有財産ではないから、相続税の課税価格に算入されるべきものではない旨主張する。

しかしながら、被相続人及び請求人P2がジョイント・テナンシーの形態で所有している本件不動産については、ジョイント・テナンツ(合有者)の一人である被相続人が死亡したことにより、その権利は、相続されることなく、生存者への権利の帰属(サバイバー・シップ)の原則に基づいて、残りのジョイント・テナンツである請求人P2の権利に吸収されたものと認められる。
そして、サバイバー・シップの原則により請求人P2の権利が増加した時に対価の授受があった事実は認められないから、生存者である請求人P2は相続税法第9条《贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合―その他の利益の享受》に規定する「対価を支払わないで利益を受けた場合」に該当すると認められるところ、この権利の増加は、同条により、請求人P2が被相続人から贈与により取得したものとみなされる。
さらに、この権利の増加につき、請求人P2には、相続税法第19条《相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額》第1項が適用されることとなる。

したがって、被相続人がジョイント・テナンシーの形態で所有する本件不動産の持分については、請求人P2が被相続人から贈与により取得したものとみなされ、本件不動産の価額の2分の1に相当する部分の金額については、相続税の課税価格に加算すべきものと認められる。

★リンクはこちら⇒ 被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例

2016年7月8日

登録された車両は、請求人の父がその資金の全額を拠出しており、贈与に当たるとして行われた贈与税の決定処分について、請求人に対する贈与の事実はないとして、贈与税の決定処分の全部を取り消した事例

平成20年分贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
全部取消し
平成27年9月1日裁決

<ポイント>
本事例は、取得資金の拠出者以外の名義で登録された財産について、相続税法基本通達9-9に基づく贈与税課税の課否を問題としたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の父(父)が請求人の名義で新たに購入した車両(本件車両)は、相続税法基本通達(相基通)9-9《財産の名義変更があった場合》により、原則として贈与として取り扱われるべきものである旨、及び本件車両の名義を請求人として登録したことが過誤に基づき、又は軽率にされたものであり、かつ、それが取得者等の年齢その他により当該事実を確認できるに足る証拠は認められないから、昭和39年5月23日付直審(資)22、直資68「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」(本件通達)の5を適用することはできない旨主張する。

しかしながら、相基通9-9は、反証があれば、贈与として取り扱わない場合があるところ、本件においては、父は購入特典の利用のために、請求人の名義を使用したことが認められ、これに加えて、①父が本件車両を請求人に贈与する動機はなかったと認められること、②請求人への贈与の事実を疑わせる事情が存在すること、③父は、本件車両の取得資金を出捐し、売却に際してはその売却代金を自ら受領・費消するとともに、その間本件車両に係る維持管理費用を全て負担していたことなどの諸事情を総合すると、本件車両の贈与の不存在について反証がされているといえる。

したがって、請求人は本件車両の贈与を受けたとは認められない。
なお、本件通達は、相基通9-9の要件を満たしているにも関わらず課税庁の立場から贈与として取り扱わない場合を類型化したものにすぎず、相手方による反証はこれに限定されるものではないところ、本件においてはその反証がされている。

★リンクはこちら⇒ 登録された車両は、請求人の父がその資金の全額を拠出しており、贈与に当たるとして行われた贈与税の決定処分について、請求人に対する贈与の事実はないとして、贈与税の決定処分の全部を取り消した事例

2016年7月6日

平成28年度路線価の公表

2016年7月1日に、国税庁が、『平成28年度の路線価』を公表した。

我がうどん県は、24年連続下落である。

個人的には、路線価が出ないと相続税の申告ができない方がいるので、7月1日ではなく、もっと早く出してほしいと思う。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分財産評価基準書 路線価図・評価倍率表

2016年7月5日

平成28年1月~3月分の基準年利率

平成28年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-25)が公表された。

平成28年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

なお、平成28年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

平成27年と比べると、短期は横這いであるが、中期は下落後横這い、長期は大幅に下落している。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-25)

2016年6月24日

平成28年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)がようやく公表された。

今回は平成28年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

そもそも1月分と2月分が6月に公表されるというのはあまりにも遅すぎると思われるが、相変わらず、文書の日付とホームページへの掲載には、タイムラグが3週間くらいある。

★リンクはこちら⇒ 「平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-23)

2016年6月23日

相続税の申告要否判定コーナー

国税庁は、リーフレット『「相続税の申告要否判定コーナー」をご利用ください』(平成28年5月)をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否判定コーナー

2016年5月11日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部をリンクのとおり改正し、平成28年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとしたから、これによられたい。

(注)
リンクの別紙のうち、アンダーラインを付した部分が改正部分である。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-12・課資2-6・課審7-3)

2016年5月11日

平成28年分の路線価図等の公開予定日

平成28年分の路線価図等は、7月1日(金)10時に公開することを予定とのこと。

公開初日から数日間は、アクセス集中により閲覧しにくい状態となることがある。

★リンクはこちら⇒ 平成28年分の路線価図等の公開予定日について

2016年4月26日

平成27年11月、12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)が公表された。

今回は平成27年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)

2016年1月25日

平成27年10月~12月分の基準年利率

平成27年10月~12月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

平成27年10月~12月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに、横這いである(それぞれ、0.01%、0.05%、0.5%)。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13 平成27年5月12日 (最終改正)平成28年1月12日 課評2-3)

2016年1月21日

平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁は、『平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分贈与税の申告書等の様式一覧

2015年12月25日

住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係

<照会要旨>
私は、新築の店舗兼住宅を取得するに当たり、父から金銭の贈与を受ける予定である。
この贈与については、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受けたいと考えている。
ところで、この非課税制度には、取得した新築住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル未満でなければならいないという基準が設けられているところ、私が取得しようとしている店舗兼併用住宅の床面積は、店舗として使用する部分が150平方メートル、住宅として使用する部分の床面積は100平方メートルとなっている。
このように、取得しようとしている新築の店舗兼住宅の全体の床面積は250平方メートルあり、この新築の店舗兼住宅は、上記の床面積基準に該当しない新築住宅であるとも考えられるが、住宅として使用する部分の床面積だけ見れば、上記の床面積基準に該当するため、非課税制度の適用を受けるための他の要件を満たしていれば、父からの金銭の贈与については、この非課税制度の適用があると考えるがいかがか。

<回答要旨>
この金銭の贈与について、非課税制度の適用はない。

非課税制度の床面積基準の判定は、贈与を受けた者の居住の用以外の用に供されている部分も含めた家屋全体の床面積で行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係

2015年12月18日

店舗兼住宅を取得した場合の床面積要件

<照会要旨>
私は、新築の店舗兼住宅を取得するに当たり、父から金銭の贈与を受ける予定である。
この贈与については、租税特別措置法第70条の2の規定の適用を受けたいと考えている。
ところで、この非課税制度には、取得した新築住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル未満でなければならいないという基準が設けられているところ、私が取得しようとしている店舗兼併用住宅の床面積は、店舗として使用する部分が150平方メートル、住宅として使用する部分の床面積は100平方メートルとなっている。
このように、取得しようとしている新築の店舗兼住宅の全体の床面積は250平方メートルあり、この新築の店舗兼住宅は、上記の床面積基準に該当しない新築住宅であるとも考えられるが、住宅として使用する部分の床面積だけ見れば、上記の床面積基準に該当するため、非課税制度の適用を受けるための他の要件を満たしていれば、父からの金銭の贈与については、この非課税制度の適用があると考えるが如何か。

<回答要旨>
この金銭の贈与について、非課税制度の適用はない。

非課税制度の床面積基準の判定は、贈与を受けた者の居住の用以外の用に供されている部分も含めた家屋全体の床面積で行うことになる。

★リンクはこちら⇒ 店舗兼住宅を取得した場合の床面積要件

2015年12月18日

老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定の申請中に死亡した場合の小規模宅地等の特例

<照会要旨>
老人ホームに入所していた被相続人が、要介護認定の申請中に亡くなったが、相続開始の時において要介護認定を受けていなかった。
この場合において、相続の開始後に被相続人に要介護認定があったときには、租税特別措置法施行令第40条の2第2項第1号に規定する要介護認定を受けていた被相続人に該当するものと考えてよいか。

<回答要旨>
照会のとおりで差し支えない。

1.税法の規定
租税特別措置法第69条の4第1項に規定する居住の用に供することができない事由の一つとして、介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定又は同条第2項に規定する要支援認定(以下「要介護認定等」という。)を受けていた被相続人が、租税特別措置法施行令第40条の2第2項第1号イに規定する特別養護老人ホーム等に入所していたことが定められている。
「租税特別措置法(相続税の特例関係)の取扱いについて(法令解釈通達)」69の4-7の2《要介護認定等の判定時期》で、この要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人の相続の開始の直前においてその要介護認定等を受けていたかにより判定することとしている。

2.介護保険法の規定
介護保険法では、要介護認定等の申請を受けた市町村は、被保険者の心身の状況等を調査し、その調査の結果を認定審査会に通知し、審査及び判定を求め、認定審査会の審査判定の結果に基づき認定を行った場合には、被保険者に通知しなければならないとされている(介護保険法第27条①~⑦、第32条①~⑥)。
また、市町村は上記の申請のあった日から30日以内にその申請に対する処分を行わなければならないとされ、市町村が要介護認定等を行った場合には、その効力は、申請のあった日にさかのぼって生ずるものとされている(介護保険法第27条⑧⑪、第32条⑦)。

3.相続開始の日以後に要介護認定等があった場合
老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定等の申請中に相続が開始した場合で、その被相続人の相続開始の日以後に要介護認定等があったときには、要介護認定等はその申請のあった日にさかのぼってその効力が生ずることとなる。
要介護認定等が行われる場合、市町村は、被相続人の生前に心身の状況等の調査を行っていることから、被相続人が、相続の開始の直前において介護又は支援を必要とする状態にあったことは明らかであると認められる。

したがって、被相続人は相続の開始の直前において要介護認定等を受けていた者に該当するものとして差し支えない。

★リンクはこちら⇒ 老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定の申請中に死亡した場合の小規模宅地等の特例

2015年12月16日

平成27年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?。

今回は平成27年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)

2015年12月15日

相当の地代を支払っている場合の借地権は、贈与財産である株式の純資産価額の計算上、株式の発行会社の資産の部に算入するとした事例

平成24年分贈与税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
一部取消し
平成27年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、同族会社に土地を貸し付けている当該同族会社の同族関係者が、当該同族会社の株式を贈与した場合においても、相当地代通達6の注書の適用があるとしたものである。

<要旨>
請求人は、実父(父H)から贈与により取得した同族会社(本件同族会社)の株式(本件株式)の評価に当たり、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」(昭和60直資2-58ほか)(60年通達)の6の注書及び「相当の地代を収受している貸宅地の評価について」(昭和43直資3-22ほか)は、いずれも相続税の課税上のみの取扱いであるから、20%の借地権相当額を本件同族会社の純資産価額に算入すべきではない旨主張する。

しかしながら、60年通達の6の注書は、生前贈与の場合にも及ぼすべきであると考えられるところ、より一般的にいうなら、同族会社の株式を贈与する同族関係者からみて、相当程度年下の第1順位の推定相続人が受贈者である場合には、当該会社に借地権が設定されている土地の所有者との関係次第で、60年通達の注書の取扱いにより借地権相当額を当該会社の純資産価額に算入すべき場合があるということになる。

本件においては、本件株式の贈与者である父Hが所有する土地を、相当の地代を収受して父Hが同族関係者となっている本件同族会社に貸し付けている状況において、本件株式を同人の実子である請求人に贈与していることから、本件株式の評価に当たり、借地権の価額を本件同族会社の純資産価額に算入することは相当である。

★リンクはこちら⇒ 相当の地代を支払っている場合の借地権は、贈与財産である株式の純資産価額の計算上、株式の発行会社の資産の部に算入するとした事例

2015年11月18日

平成27年7月~9月分の基準年利率

平成27年7月~9月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-39)が公表された。

平成27年7月~9月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

  • 短期は、横這い(0.01%)。
  • 中期も、7月に上昇した(0.05%→0.1%)が、8月には元に戻っている。
  • 長期は、9月に下落した(0.75%→0.5%)。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-39)

2015年10月28日

平成27年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?

今回は平成27年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)

2015年10月27日

農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の評価

<照会要旨>
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地はどのように評価するのか?

<回答要旨>
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額からその価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(理由)
農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により設定されている賃借権に係る農地の賃貸借については、農地法第17条(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新などの適用が除外されており、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではない。
そのため、この農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(注)
なお、その賃貸借に基づく賃借権の価額(その農地の自用地としての価額の100分の5相当額)については、相続税または贈与税の課税価格に算入する必要はない。

★リンクはこちら⇒ 農業経営基盤強化促進法に基づく農用地利用集積計画の公告により賃借権が設定されている農地の評価

2015年9月29日

相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)

国税庁は、相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)を公表した。

このチェックシートは、相続税の申告書が正しく作成されるよう、一般に誤りやすい事項をまとめたものである。

国税庁は、申告書作成に際して、このチェックシートでチェックのうえ、申告書に添付して提出するようお願いしている。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(平成27年分以降用)

2015年9月15日

担保物の一部に対する強制換価手続が相続税法第40条第2項に規定する「強制換価手続が開始されたとき」に該当するとした事例

相続税の延納許可の取消処分
棄却 平成26年11月25日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁が行った延納許可の取消処分(本件取消処分)について、相続税法第40条《延納申請に係る徴収猶予等》第2項の「延納税額に係る担保物につき国税徴収法第2条《定義》第12号に規定する強制換価手続が開始されたとき」とは、延納許可に係る担保物全てについて強制換価手続が開始されたときをいうことから、複数の担保物の一部のみに強制換価手続が開始されたことをもってなされた本件取消処分は適切な弁明聴取を欠いた違法な処分である旨主張する。

しかしながら、延納許可に係る担保物の一部について第三者による強制換価手続が開始された場合においても、弁明の聴取を行っていては、当該強制換価手続によって担保物の一部が換価され、延納税額等の徴収を確保できなくなるおそれがあることから、相続税法第40条第2項に基づき、弁明を聴取することなく延納許可を取り消すことができる。

したがって、適切な弁明聴取が行われたか否かについて判断するまでもなく、本件取消処分が適切な弁明聴取を欠くことを理由に違法な処分であるとはいえない。

★リンクはこちら⇒ 「担保物の一部に対する強制換価手続が相続税法第40条第2項に規定する「強制換価手続が開始されたとき」に該当するとした事例

2015年9月8日

平成27年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-32)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?。

今回は平成27年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-32)

2015年8月20日

相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)』をホームページに公表した。

個人的には、公表があまりにも遅すぎると思う。

なぜなら、7月1日に公表すると、それに対応して申告ソフトメーカーが、申告ソフトをバージョンアップするため、申告ソフトが使えるようになるまで2か月くらいかかってしまう。
国税庁は、例えば、1月1日に亡くなっても11月1日までに申告すれば良いと考えているのかもしれないが、世の中には早く申告をしたいと考えている方もたくさんいらっしゃるのである。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告書等の様式一覧(平成27年分用)

2015年7月29日

平成27年4月~6月分の基準年利率

平成27年4月~6月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-23)が公表された。

平成27年4月~6月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
短期は、4月に上昇した(0.01%→0.05%)が、5月には元に戻っている。
中期も、4月に上昇した(0.05%→0.1%)が、5月には元に戻っている。
長期は、6月から上昇している(0.5%→0.75%)。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23 平成27年7月1日)

2015年7月17日

相続税の申告の仕方(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告の仕方(平成27年分用)』を作成した。

内容は、以下のとおり。
1.相続税のあらまし
2.相続税の申告
3.相続税の納付
4.相続税の申告書の記載例

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告の仕方(平成27年分用)

2015年7月16日

相続税の申告要否判定コーナー

国税庁は、相続税の申告要否判定コーナーをホームページ上に設けた。
相続税の申告要否判定コーナーは、

  • 相続財産の金額などを入力することにより、相続税の申告のおおよその要否を判定するものである。
  • 相続税の申告書を作成するものではないので、留意すること。
  • 税務署から「相続税についてのお尋ね」が届いた方が、税務署への回答を作成する場合にも利用することができる。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否判定コーナー

2015年7月9日

「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」など

国税庁は、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについてをホームページに掲載した。

このページでは、平成27年度税制改正において創設された「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する情報を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについて

2015年7月6日

平成27年度分の路線価図等

国税庁が、2015年7月1日に『平成27年分の路線価図等』を公表した。

この財産評価基準は、平成27年度中に相続、遺贈または贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用する。
ただし、法令で別段の定めのあるもの及び別に通達するものについては、それによる。

★リンクはこちら⇒ 財産評価基準書(平成27年分)

2015年7月2日

平成27年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-18)が公表された。

いつも思うが、法令解釈通達の日付とホームページ公表日に半月くらいの差があるのはなぜなのだろうか?

今回は平成27年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-18)

2015年7月1日

インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』

国税庁は、インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』をホームページに掲載した。

★リンクはこちら⇒ インターネット番組『相続税の申告要否判定コーナーを利用した申告要否の確認』

2015年6月30日

平成27年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-15)がようやく公表された。

今回は平成27年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

個人的には、1月と2月のものが、6月に公表されるのはあまりにも遅すぎると思う。
もっと早く公表して欲しい。

★リンクはこちら⇒ 「平成27年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)(課評2-15)

2015年6月17日

相続税の小規模宅地等の特例について、特例適用対象土地を取得した相続人全員の同意を証する書類の提出がないことから、同特例の適用はないとした事例

平成22年2月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
棄却 平成26年8月8日裁決

<要旨>
請求人は、同人に相続させる旨の遺言により相続した宅地について、①他の相続人は、遺言無効確認等訴訟が終了したときには、当該宅地に租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規定(本件特例)を適用することに反対していない、②遺言書の効力について訴訟で争われている場合には、当該宅地を選択特例対象宅地等とすることについて相続人全員の同意を必要とすることは、不可能なことを要求するものであるなどとして、当該宅地には、相続人全員の同意を証する書類の提出がなくても本件特例の適用が認められるべきである旨主張する。

しかしながら、本件特例を適用するためには、租税特別措置法施行令(平成22年政令第58号による改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第3項第3号により、特例対象宅地等のうち本件特例の適用を受けるものの選択について、当該特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の提出が必要とされているところ、請求人は、当該宅地につき特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類を提出していないから、当該宅地に本件特例を適用することはできない。
なお、請求人の主張するような個別事情がある場合において、例外的に同意を証する書類の提出が必要でないとする規定はなく、また、租税特別措置法の規定をみだりに拡張解釈することは許されない。

★リンクはこちら⇒ 相続税の小規模宅地等の特例について、特例適用対象土地を取得した相続人全員の同意を証する書類の提出がないことから、同特例の適用はないとした事例

2015年6月9日

平成27年1月~3月分の基準年利率

平成27年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13)が公表された。

平成27年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17)4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
なお、平成27年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

短期と長期は横這いであるが、中期は上昇している。

★リンクはこちら⇒ 平成27年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-13)

2015年5月29日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部をリンクのとおり改正し、平成27年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとしたから、これによられたい。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正(課評2-7 課資2-3 課審7-4 平成27年4月3日)

2015年5月26日

評価差額に対する法人税額等に相当する金額の40%から38%への引き下げ

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部が下記のとおり改正され、平成27年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとされたから、これによられたい。

(趣旨)
所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)の施行等に伴い、所要の改正を行うものである。

★リンクはこちら⇒ 「昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部改正(課評2-5 課資2-2 課審7-2 平成27年4月3日)

2015年5月22日

父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

国税等のホームページで、平成27年度税制改正において創設された「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する情報を掲載している。

★リンクはこちら⇒ 「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについて

2015年5月7日

共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分は適法であるとした事例

平成21年4月相続開始に係る相続税について遺産が未分割であることにつきやむを得ない事由がある旨の各承認申請の各却下処分
棄却 平成26年6月2日裁決

<要旨>
請求人らは、本件相続に係る財産が本件相続に係る申告期限の翌日から3年を経過する日(本件申告期限3年経過日)までに分割されなかったことにつき、租税特別措置法施行令(平成22年3月政令第58号による改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第11項の規定により準用される相続税法施行令第4条の2《配偶者に対する相続税額の軽減の場合の財産分割の特例》第1項第4号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」に該当する旨主張する。

しかしながら、同号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」に該当するか否かは、相続に係る財産が当該相続に係る相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において、客観的に遺産分割ができないと認められる状態にあったといえるか否かにより行うことが相当であるところ、本件申告期限3年経過日の前に本件相続に係る共同相続人の範囲や本件相続に係る遺産の範囲は確定していたことが認められ、また、請求人らの遺産分割協議において協議された事項は、①別件第一次相続により取得した預金の一部に係る返済の問題、②本件相続に係る遺産のうち賃貸不動産からの収入の清算等の問題、③本件相続に係る代償金の額の問題(本件相続に係る代償金の額の決定に当たり、その対象不動産の評価額は算定されていたにもかかわらず、当該価額に納得しない者がいた。)であったと認められる。

そうすると、本件においては、本件申告期限3年経過日において、客観的に遺産分割ができないと認められる状態にあったとはいえないから、本件申告期限3年経過日までに分割されなかったことにつき、同号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」には該当しない。

★リンクはこちら⇒ 共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分は適法であるとした事例

2015年4月24日

相続税法第34条第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分が適法であるとした事例

連帯納付義務の納付通知処分
棄却 平成26年6月25日裁決

<要旨>
請求人は、本来の納税義務者には滞納相続税を納付できる十分な資力等があり、同人から徴収することが極めて容易であるにもかかわらず、原処分庁が請求人に対して恣意的に相続税法第34条《連帯納付の義務等》第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分を行ったことは徴収権の濫用に当たる旨主張する。

しかしながら、同法第34条第1項に規定する連帯納付義務は補充性を有しないのであって、連帯納付義務者は第二次納税義務等のように本来の納税義務者に滞納処分を執行しても徴収すべき額に不足すると認められる場合に限って納付義務を負担するというものではない。

したがって、原処分庁が徴収手続を怠った結果、本来の納税義務者から滞納相続税を徴収することができなくなったという事実があったとしても、同人又は第三者の利益を図る目的をもって恣意的に当該滞納相続税の徴収を行わず、他の相続人に対して徴収処分をしたというような事情がない限り、徴収権の濫用には当たらない。
本件の場合、このような事情は認められないことから、請求人の主張は採用することができない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法第34条第6項に規定する連帯納付義務の納付通知処分が適法であるとした事例

2015年4月22日

相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例

平成21年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年4月18日裁決

<要旨>
請求人らは、相続財産である貸家(本件各貸家)について、賃貸の意図をもって経常的に維持・管理を行い、賃借人の募集業務を継続して行っていることなどを理由に、相続開始日において現に賃貸されていない各独立部分(本件各独立部分)は、財産評価基本通達26《貸家建付地の評価》の(注)2に定める「課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」に該当するから、同通達に定める賃貸割合を100%として、本件各貸家及びその敷地を評価すべきである旨主張する。

しかしながら、相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価とは、相続により財産を取得した日における客観的な交換価値をいうことからすれば、各独立部分を有する家屋の全部又は一部が貸し付けられているかどうかについては、課税時期の現況に基づいて判断するのが原則である。
その上で、同通達26の(注)2が、例外として、賃貸割合の算出に当たり、賃貸されている各独立部分には、継続的に賃貸されていた各独立部分で、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるものを含むこととして差し支えない旨定めているのである。
本件各独立部分については、相続開始日の前後の空室期間は、最も長いもので8年間、最短のもので4か月を超える期間に及んでいることから、「課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」に該当しない。

したがって、同通達に定める賃貸割合を100%として、本件各独立部分及びその敷地を評価することはできない。

★リンクはこちら⇒ 相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例

2015年4月21日

贈与財産である宅地について、借地権の存する土地として評価するのが相当とした事例

①平成21年分の贈与税の更正処分 ②平成21年分の贈与税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
①一部取消し ②全部取消し 平成26年5月9日裁決

<ポイント>
本事例は、贈与により取得した土地について、当該土地には借地権があるため、自用地としての価額から借地権の価額を控除して評価すべきであるとの請求人の主張を認め、処分の一部を取り消したものである。
なお、本事例は相続税法第21条の9《相続時精算課税の選択》第1項の適用事案である。

<要旨>
原処分庁は、請求人が母からの贈与(本件贈与)により取得した各土地(本件土地)について、請求人が代表者であるJ社が建築した建物(本件建物)は、本件贈与時前に滅失し、滅失後はJ社によって本件土地に建物は再建されていないことから、本件贈与時には、本件土地に係る借地権(本件借地権)は滅失している旨主張する。

しかしながら、借地法(大正10年法律第49号、平成4年8月1日廃止前のもの)第2条《借地権の存続期間》第1項ただし書は、建物がその期間満了前に朽廃したときは借地権は消滅する旨規定され、滅失はこれと区分され、建物が滅失したことのみをもって借地権は消滅しないと解されていることから、この点についての原処分庁の主張は採用できない。
J社は、遅くとも昭和63年から本件贈与時まで、本件土地の地代を支払っていたことが認められ、また、母は、亡父から本件土地を相続してから本件贈与時までの間に、J社が本件土地の使用を継続することに対して何ら異議を述べておらず、一方、J社は本件土地を継続して使用していたことが認められることからすると、遅くとも昭和63年に、J社と亡父の間には、本件土地に係る本件建物の所有を目的とする賃貸借契約が成立するとともに、母が亡父から本件土地を相続してから本件贈与時まで、同契約は継続しているものと認められる。

したがって、本件贈与時には本件借地権は存在したものと認められる。

★リンクはこちら⇒ 贈与財産である宅地について、借地権の存する土地として評価するのが相当とした事例

2015年4月17日

所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権は、一体で評価することが相当であるとした事例

平成22年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
棄却 平成26年4月22日裁決

<ポイント>
本事例は、所有する宅地に隣接する宅地を相当の地代を支払い借り受けている場合において、相当の地代を支払って借り受けている借地権の価額は零と評価されるが、当該借地権は土地を専属的に利用できる権利であるから、所有する宅地と当該借地権が一体で利用されている場合には、これらを併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として一体で評価することが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人らは、相続により取得し、隣接する各借地(本件各借地)とともに貸家の敷地として利用していた宅地(本件宅地)の価額について、本件各借地に係る借地権は、相当の地代の支払により、その価額が零とされ財産的価値がないものであるから、財産的価値がない使用借権が設定された場合と同様に、本件宅地のみを財産評価基本通達7-2《評価単位》(1)に定める評価単位(1画地の宅地)として評価すべきと主張する。

しかしながら、本件各借地に係る借地権は、借地借家法上の借地権であり、被相続人は、本件各借地を継続的かつ専属的に利用できる権利を有し、相続開始日において、本件宅地と本件各借地を併せて、貸家の敷地としてその全体を一体として利用していたものであるから、借主の死亡が終了原因とされ、人的つながりのみを基盤とする使用借権が設定された場合と同一にみることはできないので、本件宅地の価額は、隣接する本件各借地と併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として評価することが相当である。

★リンクはこちら⇒ 所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権は、一体で評価することが相当であるとした事例

2015年4月15日

平成26年10月~12月分の基準年利率

平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

長期は変化はないが、短期と中期は下がっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-1)

2015年1月23日

平成26年11月、12月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

今回は平成26年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)

2015年1月22日

平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた

国税庁は、「平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた」をホームページに掲載した。
これは、贈与税の申告書及び申告のしかた並びに添付書類等について掲載している。

贈与税の申告書は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に提出すること。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となる。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分贈与税の申告書等の様式一覧・平成26年分贈与税の申告のしかた

2014年12月22日

平成26年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-51)が公表された。

今回は平成26年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-51)

2014年12月17日

相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)

国税庁は、『相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)』を作成した。
これは、法定相続人の数及びおおよその財産価額を入力することにより、相続税の申告の要否を確認するものである。
利用の際は、『相続税のあらまし(平成27年分用)』と併せて利用すること。

なお、入力したおおよその財産価額を基に申告の要否を確認するので、確認結果は、あくまでも目安(概算)となることに留意すること。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告要否の簡易判定シート(平成27年分用)

2014年12月11日

相続税のあらまし(平成27年分用)

国税庁は、『相続税のあらまし(平成27年分用)』を作成した。
これは、相続税の仕組みを簡単に説明したものである。

(注)
この相続税のあらましは、平成26年4月1日現在の法律等に基づいて作成している。
また、平成26年分以前は、相続税の基礎控除額などが異なるので、注意すること。

★リンクはこちら⇒ 相続税のあらまし(平成27年分用)

2014年12月9日

農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の評価

【照会要旨】
農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地はどのように評価するのか?

【回答要旨】
農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第4項に規定する農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額からその価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(注)
農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものを除く。
(理由)
農地中間管理機構に貸し付けられている農地の賃貸借については、農地法第17条(農地または採草放牧地の賃貸借の更新)本文の賃貸借の法定更新の規定の適用が除外され、また、同法第18条(農地または採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)第1項本文の規定の適用が除外されるなど、いわゆる耕作権としての価格が生じるような強い権利ではない。
このため、農地中間管理機構に賃貸借により貸し付けられている農地の価額は、その農地の自用地としての価額から、その価額に100分の5を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
なお、農地法第3条第1項第14号の2の規定に基づき農地中間管理機構に貸し付けられている農地のうち、賃貸借期間が10年未満のものについては、農地法第17条本文及び同法18条第1項本文の規定が適用されるので、耕作権の目的となっている農地として評価する。
(注)
農地中間管理事業の推進に関する法律に基づく農用地利用配分計画の認可の公告により設定された賃借権の価額については、相続税または贈与税の課税価格に算入する必要はない。

2014年11月27日

老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例(平成26年1月1日以後に相続または遺贈により取得する場合の取扱い

【照会要旨】
被相続人は、介護保険法に規定する要介護認定を受け、居住していた建物を離れて特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5)に入所したが、一度も退所することなく亡くなった。
被相続人が特別養護老人ホームへの入所前まで居住していた建物は、相続の開始の直前まで空家となっていたが、この建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するのか?

【回答要旨】
照会のケースにおける、被相続人が所有していた建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになる。
(理由)
平成25年度の税制改正において、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等の場合であっても、①被相続人が、相続の開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと及び②その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等(以下「老人ホーム等」という。)に入居または入所(以下「入居等」という。)していたことという要件を満たすときには、その被相続人により老人ホーム等に入居等をする直前まで居住の用に供されていた宅地等(その被相続人の特別養護老人ホーム等に入居等後に、事業の用または新たに被相続人等(被相続人またはその被相続人と生計を一にしていた親族をいう。以下同じ。)以外の者の居住の用に供されている場合を除く。)については、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に当たることとされた。

なお、この改正後の規定は、平成26年1月1日以後に相続または遺贈により取得する場合について適用されている。
(注)
被相続人が介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていたかにより判定する。
したがって、老人ホーム等に入居等をする時点において要介護認定等を受けていない場合であっても、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていれば、老人ホーム等に入居等をする直前まで被相続人の居住の用に供されていた建物の敷地は、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになる。

2014年11月25日

平成26年7月~9月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに横バイである。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2014年10月22日

平成26年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)が公表された。

今回は平成26年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-44)

2014年10月20日

平成26年4月~6月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに下落傾向である。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-29)

2014年10月17日

平成26年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)が公表された。

今回は平成26年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-37)

2014年10月16日

相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)

国税庁は、相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)を公表した。
このチェックシートは、相続税の申告書が正しく作成されるよう、一般に誤りやすい事項をまとめたものである。
申告書作成に際しては、このチェックシートでチェックのうえ、申告書に添付して提出するよう呼びかけている。

なお、「(平成26年1月1日以降用)非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例のチェックシート」も別途用意されている。

★リンクはこちら⇒ 相続税の申告のためのチェックシート(平成26年分以降用)

2014年10月2日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(牧場、池沼欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

牧場、池沼欄には、その地域の「牧場」及び「池沼」の価額を評価する場合における評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

2014年8月28日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(原野欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

原野欄には、その地域の「原野」の価額を評価する場合における原野の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、原野の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

原野の分類等 略称
純原野
中間原野
市街地原野 比準又は市比準

(注)
「比準」及び「市比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月27日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(山林欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

山林欄には、その地域の「山林」の価額を評価する場合における山林の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、山林の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

山林の分類等 略称
純山林
中間山林
市街地山林 比準又は市比準

(注)
「比準」及び「市比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月26日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(田、畑欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

田、畑欄には、その地域の「田」、「畑」の価額を評価する場合における農地の分類、評価方式及び固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載している。

なお、農地の分類等は、以下に掲げる略称を用いて記載している。

農地の分類等 略称
純農地
中間農地
市街地周辺農地 周比準
市街地農地 比準又は市比準

(注)
「比準」、「市比準」及び「周比準」と表示してある地域は、付近の宅地の価額に比準(「宅地比準方式」という。)して評価する地域である。

2014年8月25日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(宅地欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

宅地欄には、その町(丁目)又は大字の地域の「宅地」の価額を評価する場合における固定資産税評価額に乗ずる倍率を記載しているが、「路線」と表示してあるのは、その地域が路線価地域であることを示している。

ただし、農用地区域又は市街化調整区域内に存する農業用施設用地の価額は、財産評価基本通達24-5(農業用施設用地の評価)の定めによって評価する。

2014年8月22日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(借地権割合欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

借地権割合欄には、倍率地域におけるその町(丁目)又は大字の地域につき、「借地権」の価額を評価する場合の借地権割合を掲げている。

(注)
路線価地域の借地権割合については、路線価図を参照のこと。
なお、例えば路線価地域で2路線以上に面する場合の借地権割合又は路線価地域と倍率地域が接続する地域の借地権割合は、原則として、路線価地域の正面路線価に表示してある借地権割合による。

2014年8月21日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(適用地域名欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順 町(丁目)又は大字名 適用地域名 借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

適用地域名欄に、「全域」とある場合には、その町(丁目)又は大字の全域が路線価地域又は倍率地域であることを示している。
また、「一部」又は「路線価地域」とある場合には、その町(丁目)又は大字の地域に路線価地域と倍率地域が存在することを示している。
したがって、この場合には、路線価図により、その評価しようとする土地等が路線価地域又は倍率地域のいずれに所在するかを確認する必要がある。

2014年8月12日

評価倍率表(一般の土地等用)の説明(町(丁目)又は大字名欄)

評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用いる。

音順  町(丁目)
又は大字名
適用
地域名
借地権
割合
固定資産税評価額に乗ずる倍率等
宅地 山林 原野 牧場 池沼

町(丁目)又は大字名欄には、市区町村ごとに、町(丁目)又は大字名を五十音順に記載している。

2014年8月11日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(受益証券発行信託証券等の評価)

1.通達制定の趣旨
金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券(注)(「ETN」と呼称される「指標連動証券」等)が近時増加していることから、その評価方法を明らかにした。
(注)
「受益証券発行信託」は、1又は2以上の受益権を表示する証券(受益証券)を発行する旨の定めがある信託をいう(信託法185①)。
受益証券発行信託の受益証券のうち、ETN(指標連動証券)は、その価額が株価指数・商品指数等の特定の指標に連動し、発行者がその信用力を基に発行する債券である。

2.通達の内容
金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券については、①上場株式と同様に、金融商品取引所において取引され、日々の取引価格及び最終価格の月平均額が公表されていること、②上場株式における権利落又は配当落に相当する事象が生じることから、評価通達169から評価通達172までの定めに準じて評価することとした。
また、金融商品取引所に上場されている受益証券発行信託の受益証券については、株式に係る配当期待権に相当する金銭分配期待権が生じることから、この金銭分配期待権の価額について、評価通達193の定めに準じて評価することとした。

2014年7月17日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(証券投資信託受益証券の評価)

1.従来の取扱い
金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、評価通達169及び評価通達171の(1)の定めに準じて評価することとしていた。

2.通達改正の概要
金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、上場株式における権利落又は配当落に相当する事象が生じることから、これらを評価方法に反映させるため、評価通達170、評価通達171の⑵及び⑶並びに評価通達172の定めに準じて評価することとした。
また、金融商品取引所に上場されている証券投資信託の受益証券については、株式に係る配当期待権に相当する金銭分配期待権が生じることから、この金銭分配期待権の価額について、評価通達193の定めに準じて評価することとした。

2014年7月15日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(上場新株予約権の評価)

1.通達制定の趣旨
上場会社が、既存株主全員に対して新株予約権無償割当て(会社法277)を行い、その新株予約権自体が金融商品取引所に上場される事例が近時増加していることから、その評価方法を明らかにした。

(参考) 新株予約権の上場の概要
新株予約権の上場は、一般的に、上場会社が、ライツ・オファリングと呼ばれる新株予約権を利用した資金調達方法を採用する場合に行われる。
ライツ・オファリングとは、上場会社である発行会社が、既存株主全員に対して新株予約権無償割当てを行い、割当てを受けた既存株主が新株予約権を行使して所定の権利行使価額を払い込むことにより発行会社から上場株式の交付を受け、この払い込まれた金銭が発行会社の調達資金となる仕組みによる資金調達方法である。
また、この新株予約権が上場されることから、新株予約権の割当てを受けた既存株主は、新株予約権を行使する代わりに、これを市場で売却することによってその対価を取得することもできる。

2.通達の内容
新株予約権無償割当てにより株主に割り当てられた新株予約権のうち、①金融商品取引所に上場されているもの及び②上場廃止後権利行使期間内にあるものを「上場新株予約権」と定義し(注)、以下の区分に従い、それぞれ以下のように評価することとした。
(注)
上場新株予約権の評価を新設することに伴い、ストックオプションの定義から上場新株予約権に該当するものを除く改正を行った。

(1)新株予約権が上場期間内にある場合
その新株予約権が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格(注1)と上場期間中の新株予約権の毎日の最終価格の平均額(注2)のいずれか低い価額によって評価する(負担付贈与または個人間の対価を伴う取引により取得した場合を除く(注3)。)。
(注1)
課税時期に金融商品取引所の公表する最終価格がない場合には、課税時期前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格とする。
(注2)
上場新株予約権の評価に当たっては、①上場株式の評価と同様に、一時点における需給関係による偶然性を排除して評価する必要があること、及び②上場新株予約権の上場期間が2か月程度と比較的短期間であることを考慮し、課税時期における最終価格に加え、上場期間中の毎日の最終価格の平均額を採用することとした。
(注3)
負担付贈与等による財産の取得は、一般の売買取引に準じた対価を伴う経済取引行為であるため、一般の相続や贈与による財産の取得のような偶発的な無償取得であること等に配慮した評価上のしんしゃくは不要であると考えられることから、負担付贈与等により取得した上場新株予約権については、原則的な評価方法である課税時期における最終価格によることとした。

(2)上場廃止された新株予約権が権利行使期間内にある場合
課税時期におけるその目的たる株式の価額から権利行使価額を控除した金額に、新株予約権1個の行使により取得できる株式数を乗じて計算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)によって評価する。
ただし、権利行使期間内に権利行使されなかった新株予約権について、発行法人が事前に定めた算定式に基づく価格により取得する旨の条項が付されている場合には、上記の金額と取得条項に基づく取得価格のいずれか低い金額によって評価する。

2014年7月10日

財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらまし(気配相場等のある株式の評価)

1.従来の取扱い
「気配相場等のある株式」のうち、「公開途上にある株式」については、以下のいずれかに該当する株式をいうこととしていた。

(1) 金融商品取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式(登録銘柄を除く。)
(2) 日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式(店頭管理銘柄を除く。)

また、公開途上にある株式の公開価格については、金融商品取引所または日本証券業協会の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の価格をいうこととしていた。

2.通達改正の概要
公開途上にある株式に該当する期間の始期について、株式取引の実態を踏まえ、「金融商品取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日」から「金融商品取引所が株式の上場を承認したことを明らかにした日」に改めた。
また、公開途上にある株式の公開価格については、現在、入札方式とブックビルディング方式(注)のいずれかの方法により決定されていることから、株式の公開価格の定義を「金融商品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブックビルディング方式又は競争入札方式のいずれかの方式により決定される公募等の価格」に改めた。

(注)「ブックビルディング方式」は、機関投資家の意見を基に仮条件を決定し、この仮条件を基に投資家が提示した価格、購入株式数により公開価格を決定する方式である。

2014年7月8日

平成26年分路線価

2014年7月1日に路線価が発表された。

我が香川県は22年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2014年は31万円となっており、7%以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示している。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用いる。
なお、路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を閲覧のこと。
相続税または贈与税の申告に際し、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地の評価をするために、特定路線価の設定の申出が必要となる場合がある。

ちなみに、路線価は、不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分の路線価図等

2014年7月2日

平成26年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)が公表された。

1週間ほど前に、1月及び2月分が公表されたが、なぜ同時の公表でないか疑問ではある。

今回は平成26年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-23)

2014年6月25日

子の結婚式及び披露宴の費用を親が負担した場合、贈与税の課税対象となるか?

結婚式・披露宴の費用を誰(子(新郎・新婦)、その親(両家))が負担するかは、その結婚式・披露宴の内容、招待客との関係・人数や地域の慣習などによって様々であると考えられるが、それらの事情に応じて、本来費用を負担すべき者それぞれが、その費用を分担している場合には、そもそも贈与には当たらないことから、贈与税の課税対象とならない。

2014年6月24日

数年間分の「生活費」または「教育費」を一括して贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費は、生活費または教育費として必要な 都度直接これらの用に充てるために贈与を受けた財産である。

したがって、数年間分の生活費または教育費を一括して贈与を受けた場合において、その財産が生活費または教育費に充てられずに預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費または教育費に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となる。

(注)
「教育費」については、別途、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(措法第70条の2の2)」が設けられている。

2014年6月19日

平成26年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-21)がようやく公表された。

今回は平成26年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成26年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-21)

2014年6月18日

財産評価基本通達の一部改正(法令解釈通達)

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部を下記のとおり改正し、平成26年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとなったので、これによる必要がある。

<趣旨>
最近の立木価格の実態に即して所要の改正を行うものである。

<記>
別表2「主要樹種の森林の立木の標準価額表等」に定める「6 標準伐期にある森林の立木の標準価額表」をリンクのとおり改める。

★リンクはこちら⇒ 財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)

2014年6月5日

平成26年1月~3月分の基準年利率

平成26年中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同)4-4に定める「基準年利率」であるが、平成26年5月15日付課評2-13「平成26年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成26年1月分から3月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり定められたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期ともに下がっている。

★リンクはこちら⇒ 平成26年分の基準年利率について(法令解釈通達)

2014年6月3日

平成26年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成26年分の路線価図等の閲覧は、7月1日(火)からを予定している。

  • 路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。
    国税庁ホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等が閲覧できる。
    http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
  • 全国の国税局・税務署でもパソコンにより閲覧できる。
    ただし、混雑時はお待ちいただく場合がある。

2014年5月26日

相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、請求人が訴訟当事者である判決に限られるとした事例

<要旨>
請求人は、共同相続人Eが原告となって提起した、相続財産として申告していた貸付金のうち原告の法定相続分に相当する金員の支払を求める貸金請求訴訟において、当該貸付金の存在を認めることはできないとして原告の請求を棄却する旨の判決(本件判決)が確定し、本件判決は相続税法施行令(平成17年政令第37号による改正前のもの)第8条《更正の請求の対象となる事由》第1号に規定する判決に該当するから、相続税法(平成16年法律第147号による改正前のもの)第32条《更正の請求の特則》第5号の規定に基づいて行った更正の請求を認めるべきである旨主張する。

しかしながら、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号は、判決が確定したことを要件としており、同号に規定する判決は、更正の請求をする者が訴訟当事者である判決に限られるものと解されるところ、相続税法施行令第8条第1号が、平成15年度税制改正により相続税法第32条の更正の請求の特則事由として追加された改正趣旨は、同号の事由が、国税通則法第23条第2項の規定により、期限なしに更正の請求ができる事由であることから、税額の減額には対応できるが、その影響で他の相続人の税額が増加することとなる場合の増額の処分を可能とする規定が国税通則法にはないため、相続税法第32条においてこれを更正の請求の特則事由として特記することにより、相続税法第35条《更正及び決定の特則》第3項の規定による他の相続人に対する増額処分も可能とするためであると解されることからすれば、相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決と同義のものといえるから、更正の請求をする者が訴訟当事者である判決に限られるものと解される。これを本件についてみると、本件判決は、共同相続人Eが提起した貸金請求事件の判決であり、請求人が訴訟当事者ではない判決であるから、請求人にとって相続税法施行令第8条第1号に規定する判決には該当しない。

★リンクはこちら⇒ 相続税法施行令第8条第1号に規定する判決は、請求人が訴訟当事者である判決に限られるとした事例

2014年5月23日

請求人らの主張する鑑定評価額は、相続開始日現在の時価を表しているとは認められないことから、財産評価基本通達に定める評価方法により評価することが相当であるとした事例

<要旨>
請求人らは、請求人らの一人が相続により取得した土地(本件土地)について、請求人らの依頼による鑑定評価額(本件鑑定評価額)は、本件相続開始日における本件土地の時価であり、財産評価基本通達(評価通達)による評価額は本件鑑定評価額を上回っているから、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情があるので、本件土地の価額は、本件鑑定評価額に基づき評価すべきである旨主張する。

しかしながら、本件鑑定評価額は、開発法による価格を重視し、比準価格を比較考量して決定されているところ、まる1比準価格及び規準価格の試算において考慮されている減価40%(当該宅地の画地規模が大きいことに伴い市場参加者が限定されることによる減価)の必要性が認められないこと、まる2開発法による価格は上記まる1の減価40%を除いて試算した比準価格及び規準価格と大きく乖離することから、いずれの試算価格も合理性が認められないので、本件鑑定評価額は、本件相続開始日における本件土地の客観的交換価値を表しているとは認められない。したがって、本件土地の価額について、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はないといえるので、本件土地の価額は、評価通達に定められた評価方法により評価すべきである。

 ★リンクはこちら⇒ 請求人らの主張する鑑定評価額は、相続開始日現在の時価を表しているとは認められないことから、財産評価基本通達に定める評価方法により評価することが相当であるとした事例

2014年5月19日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部を別紙1及び別紙2のとおり改正し、別紙1については、平成26年4月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することとし、別紙2については、平成26年10月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することとなった。

なお、リンクの別紙1及び2のうち、アンダーラインを付した部分が改正部分である。

★リンクはこちら⇒ 「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2014年5月7日

請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例

<要旨>
請求人は、相続税法第14条《控除すべき債務》第1項に規定する「確実と認められるもの」について、主たる債務者が弁済不能で保証債務の履行が必要であり、保証債務履行後の求償権の行使が不可能であるという条件が相続開始日に現実に存在しているだけでなく、相続開始日における主たる債務者の財産状態や信用能力を客観的に観察した結果、当該条件に該当する事実が潜在的に存在する場合にも、保証債務は同項に規定する「確実と認められるもの」に当たるという解釈を前提に、本件における被相続人(本件被相続人)が代表社員に就任したN社及びQ社(本件各会社)の金融機関からの借入れに係る本件被相続人の各連帯保証債務は、同項に規定する「確実と認められるもの」に当たる旨主張する。

しかしながら、保証債務が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するのは、相続開始時点を基準として、主たる債務者がその債務を弁済することができないため保証人がその債務を履行しなければならない場合で、主たる債務者に求償しても補填を受ける見込みがないことが客観的に認められる場合に限られることからすると、請求人の同項に規定する「確実と認められるもの」の解釈は、保証債務一般の性質を述べるものであって、正当な解釈とはいえない。本件各会社は、本件被相続人の相続開始日において、債務超過の状況にはなく、また、各金融機関に対して弁済条件に従った返済を行っていることなどからすると、本件各会社が債務を弁済することができないため、保証人である本件被相続人がその債務を弁済しなければならい場合であったとは認められない。

★リンクはこちら⇒ 請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例

2014年4月25日

遺留分減殺請求により、価額弁償金を受領した場合の相続税の課税価格に算入すべき価額は、相続税基本通達11の2-10(2)に定める要件を充足した場合には、同(2)に定める計算方法を準用して評価することが相当であるとした事例

<要旨>
原処分庁は、請求人が提起した遺留分減殺請求訴訟(本件訴訟)の判決(本件確定判決)において、①価額弁償の対象となった不動産(本件分割対象不動産)は特定されているが、②価額弁償金の額は、価額弁償の時ではなく、相続開始日における本件分割対象不動産の通常の取引価額を基に決定されていることから、相続税法基本通達11の2-10《代償財産の価額》(2)の定めは適用できない旨主張する。
しかしながら、遺留分減殺請求訴訟において、受贈者又は受遺者が遺留分権利者に対し事実審口頭弁論終結前に裁判所が定めた価額により民法第1041条《遺留分権利者に対する価額による弁償》の規定による遺留分の価額の弁償をなすべき旨の意思表示をした場合、相続税法基本通達11の2-10 (2)を準用する際に用いる上記まる2の「価額弁償の時」とは、「事実審口頭弁論終結の時」と解されるところ、本件確定判決において、本件分割対象不動産の価額につき、「この価額は、請求人提出の相続開始日を価格時点とする不動産鑑定評価書等における価額であり、現時点で、同価額と異なる証拠はないことから、同証拠により価額を認定する」旨判示されていることからすると、本件確定判決において認定された「現時点」の価額は、本件訴訟の控訴審の口頭弁論終結の時を基準日とする価額であると認められ、また、その価額は、その基準日における通常の取引価額であると認められる。

そうすると、本件確定判決は、価額弁償の対象となった財産の価額弁償の時における通常の取引価額を基に価額弁償金の金額を決定しているということができるから、相続税基本通達法11の2-10(2)の定めを適用することが相当である。

★リンクはこちら⇒ 遺留分減殺請求により、価額弁償金を受領した場合の相続税の課税価格に算入すべき価額は、相続税基本通達11の2-10(2)に定める要件を充足した場合には、同(2)に定める計算方法を準用して評価することが相当であるとした事例

2014年4月16日

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、どのような財産をいうのか?

贈与税の課税対象とならない生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいう。

2014年4月10日

「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正

平成25年6月3日付課評2-24「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)の別紙「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目株価等(平成25年分)」の「A(株価)」欄の12月分については、平成26年1月8日付課評2-3「『平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について』の一部改正について」(法令解釈通達)において定めているところである。

今回、一部の業種目に係る「A(株価)」欄の12月分の金額について誤りがあることが確認されたため、その訂正を行っている(具体的な内容については、平成26年3月17日付課評2-6の一部改正通達をご覧のこと。)。

平成25年12月中に相続または贈与により取引相場のない株式を取得した方については、類似業種比準価額の計算上、①平成25年12月の類似業種の株価、②平成25年11月の類似業種の株価、③平成25年10月の類似業種の株価、④平成24年の類似業種の平均株価(前年平均株価)のうち最も低い株価を類似業種の株価として用いることとなるが、訂正後の平成25年12月の類似業種の株価を基にした場合であっても、121業種目の全てについて、訂正前と同様、平成24年の類似業種の平均株価(前年平均株価)が最も低くなることが確認されたため、今回の改正による影響はない

なお、ご不明な点等があれば、国税庁課税部資産評価企画官審理係まで問い合わせること。

『改正』ではなく、『訂正』のように思いますね。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正

2014年4月3日

「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)

平成25年6月3日付課評2-24「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」(法令解釈通達)の別紙「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目株価等(平成25年分)」の「A(株価)」欄の12月分については、平成26年1月8日付課評2-3「『平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について』の一部改正について」(法令解釈通達)において定めているところであるが、その金額のうち一部の業種目に対応するものをリンクのとおり改正したから、これによられたい。

★リンクはこちら⇒ 新旧対照表

2014年4月2日

子が居住する賃貸住宅の家賃等を親が負担した場合、贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、通常の日常生活を営むのに必要な費用に該当するかどうかは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲かどうかで判断することとなる。

したがって、子が自らの資力によって居住する賃貸住宅の家賃等を負担し得ないなどの事情を勘案し、社会通念上適当と認められる範囲の家賃等を親が負担している場合には、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月31日

出産に当たって子が親から検査・検診、分娩・入院に要する費用について贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合に、贈与税の課税対象とならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金または損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)も含まれる。
したがって、出産に要する費用で、検査・検診代、分娩・入院費に充てるために贈与を受けた場合には、これらについては治療費に準ずるものであることから、(保険等により補てんされる部分を除き、)贈与税の課税対象とならない。

また、新生児のための寝具、産着等ベビー用品の購入費に充てるため金銭の贈与を受けた場合についても、生まれてくる子供が通常の日常生活を営むのに必要なものの購入費に充てられている部分については、贈与税の課税対象とならない。

(注)
個人から受ける出産祝の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月27日

婚姻に当たって子が親から金品の贈与を受けた場合、贈与税の課税対象となるか?

婚姻に当たって、子が親から婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の通常の日常生活を営むのに必要な家具什器等の贈与を受けた場合、またはそれらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、その全額を家具什器等の購入費用に充てた場合等には、贈与税の課税対象とならない。

なお、贈与を受けた金銭が預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に充てられた場合等のように、その生活費(家具什器等の購入費用)に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となる。

(注1)
子が親から金品を受け取った場合は、原則として贈与税の課税対象となる。
ただし、扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた財産のうち通常必要と認められるものであり、必要な都度直接生活費に充てるために贈与を受けた財産については、贈与税の課税対象とならない。
(注2)
個人から受ける結婚祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月25日

増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

<照会要旨>
所有する家屋について増改築を行いましたが、家屋の固定資産税評価額が改訂されていないため、その固定資産税評価額が増改築に係る家屋の状況を反映していない。
このような家屋は、どのように評価するのか。

<回答要旨>
増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、当該増改築等に係る部分の価額として、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額)に基づき財産評価基本通達89(家屋の評価)または93(貸家の評価)の定めにより評価する。
なお、償却費相当額は、財産評価基本通達89-2(文化財建造物である家屋の評価)の(2)に定める評価方法に準じて、再建築価額から当該価額に0.1を乗じて計算した金額を控除した価額に、その家屋の耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令に規定する耐用年数)のうちに占める経過年数(増改築等の時から課税時期までの期間に相当する年数(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は、1年とする。))の割合を乗じて計算する。

★リンクはこちら⇒ 増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

2014年3月19日

贈与税の課税対象とならない「教育費」には、どのようなものがあるのか?

贈与税の課税対象とならない「教育費」とは、子や孫(被扶養者)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費等をいい、義務教育に係る費用に限らない。

(注)
個人から受ける入学祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とならない。

2014年3月13日

扶養義務者(父母や祖父母)から生活費または教育費の贈与を受けたが贈与税の課税対象となるか?

扶養義務者相互間において生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象とならない。

(注1)
「扶養義務者」とは、以下の者をいう。

 配偶者
 直系血族及び兄弟姉妹
 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
 三親等内の親族で生計を一にする者

なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断する。

(注2)
「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいう。また、治療費や養育費その他これらに準ずるもの(保険金または損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)を含む。

(注3)
「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られない。

2014年3月5日

平成25年10月~12月分の基準年利率

平成26年1月6日付課評2-1「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、平成25年10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期と長期は変化はないが、中期は下がっている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2014年1月24日

平成25年11月、12月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)が公表された。

今回は平成25年11月及び12月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-3)

2014年1月23日

平成25年分の所得税における未分割遺産から生ずる不動産所得に係る取扱い

平成13年7月に相続が開始した被相続人の遺産について、民法第900条第4号ただし書の規定のうち「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とするとの部分(民法第900条第4号ただし書前段。以下「嫡出に関する規定」という。)を適用して遺産の分割をすべきかが争われていた遺産分割審判に係る特別抗告事件において、最高裁判所は、平成25年9月4日付の最高裁決定において、嫡出に関する規定は「違憲」との判断(以下「違憲決定」という。)をしたところである。
また、民法の一部を改正する法律(平成25年法律第94号。以下「民法改正法」という。)により、嫡出に関する規定が削除されたところである。
標題のことについては、当該違憲決定及び民法改正法を踏まえ、下記のとおり取りまとめられた。
(注)
民法改正法は、平成25年12月11日に公布・施行され、平成25年9月5日以後に開始された相続について適用することとされている。以下、民法改正法による改正前の民法を「旧民法」、改正後の民法を「新民法」という。

  1. 未分割遺産から生ずる不動産所得の収入金額
    未分割遺産から生ずる不動産所得の収入金額については、以下の区分に応じ、それぞれ以下のとおり取り扱う。
    (1)平成25年9月5日以後に開始された相続の場合
    新民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    (2)平成25年9月4日以前に開始された相続の場合
    旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    (3)(2)のうち、平成13年7月から平成25年9月4日までの間に開始された相続の場合
    不動産所得の総収入金額の収入すべき時期に応じ、以下のとおり取り扱う。
    ①その収入すべき時期が平成25年9月4日以前である賃貸料等
    旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
    ②その収入すべき時期が平成25年9月5日以後である賃貸料等
    嫡出に関する規定がないものとして旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分に応じて各相続人に帰属する。
  2. 供託された賃貸料等に係る調整
    上記1の(3)の場合において、未分割遺産から生ずる不動産の賃貸料等が供託され、当該供託に係る供託金の全部または一部についての払渡請求が、平成25年9月5日以後に行われたときは、嫡出に関する規定がないものとして旧民法第900条第4号の規定を適用した相続分により払渡しが行われることとされている(法務省民事局に確認済)。
    このため、その収入すべき時期が平成25年9月4日以前である賃貸料等について供託されている場合には、当該賃貸料等について各相続人が不動産所得の総収入金額に算入した金額の合計額と各相続人に帰属する供託金の額に差額が生じることとなるが、この差額については、平成25年分の不動産所得に係る総収入金額又は必要経費に算入する。

(参考)未分割遺産から生ずる不動産所得の取扱い
相続財産について遺産分割が確定していない場合、その相続財産は各共同相続人の共有に属するものとされ、その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものとされているところ、未分割遺産から生ずる不動産所得については、遺産分割が確定するまでの間は、各相続人にその法定相続分に応じて帰属することとなる。
遺産分割協議が整い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼさない。

2014年1月10日

平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧

国税庁が、『平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成25年分贈与税の申告書等の様式一覧

2014年1月9日

平成25年分贈与税の申告のしかた

国税庁が、『平成25年分贈与税の申告のしかた』を公表した。

★リンクはこちら⇒ 平成25年分贈与税の申告のしかた

2014年1月7日

平成25年9月、10月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)が公表された。

今回は平成25年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-41)

2013年12月19日

被相続人の直系卑属である者が養子となっている場合の相続税の2割加算

<照会要旨>
被相続人甲の子Aの子B(甲の孫)が、甲の養子になっている場合、Bは相続税額の加算の規定の対象となる者に該当するか。

<回答要旨>
相続税の加算の対象となるのは、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者とされているが、この「一親等の血族」には、被相続人の直系卑属である者であって、その被相続人の養子となっている者は含まないこととされている(相続税法第18条第2項)。
したがって、Bは、相続税の加算の対象となる。
ただし、甲の子A(Bの親)が甲の相続開始以前に死亡し、または相続権を失ったため、BがAの代襲相続人となっている場合は、Bは、相続税の加算の対象とはならない。

2013年11月28日

平成25年7月、8月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-39)が公表された。

今回は平成25年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-39)

2013年10月28日

平成25年7月~9月分の基準年利率

平成25年10月3日付課評2-37「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期とも変化はない。

★リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年10月22日

贈与税の申告はe-Taxで(平成25年10月)

国税庁は、HPに『贈与税の申告はe-Taxで(チラシ)(平成25年10月)』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 贈与税の申告はe-Taxで(平成25年10月)(既に削除済み)

2013年10月15日

相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)

平成25年9月4日付最高裁判所の決定(以下「違憲決定」という。)を受け、その趣旨を尊重し、平成25年9月5日以後、申告(期限内申告、期限後申告及び修正申告をいう。)または処分により相続税額を確定する場合(平成13年7月以後に開始された相続に限る。)においては、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とする民法第900条第4号ただし書前段(以下「嫡出に関する規定」という。)がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて相続税額を計算する。

なお、この取扱いに係る留意事項は、以下のとおり。
1.平成25年9月4日以前に相続税額が確定している場合
違憲決定では、嫡出に関する規定についての違憲判断が「確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものでない」旨の判示がなされていることに鑑み、平成25年9月4日以前に、申告または処分(以下「申告等」という。)により相続税額が確定している場合には、嫡出に関する規定を適用した相続分に基づいて相続税額の計算を行っていたとしても、相続税額の是正はできない。
また、嫡出に関する規定を適用した相続分に基づいて、相続税額の計算を行っていることのみでは、更正の請求の事由には当たらない。

2.平成25年9月5日以後に相続税額が確定する場合
(1)平成25年9月4日以前に確定していた相続税額が異動する場合

  • 更正の請求または修正申告の場合
    平成25年9月4日以前に、申告等により相続税額が確定している場合において、同年9月5日以後に、相続人が、財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、更正の請求書(更正の申出書を含む。)(国税通則法第23条)もしくは修正申告書(国税通則法第19条)を提出する場合または相続税法第32条第1項に掲げる事由により更正の請求書もしくは修正申告書(相続税法第31条)を提出するときには、改めて相続税額を確定する必要がある。これらの新たに確定すべき相続税額の計算に当たっては、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、更正の請求または修正申告に係る相続税額を計算する。
  • 更正または決定の場合
    平成25年9月4日以前に、申告等により相続税額が確定している場合において、同年9月5日以後に、税務署長が、財産の申告漏れ、評価誤りなどの理由により、更正または決定を行うときには、上記イと同様、新たに確定すべき相続税額の計算に当たっては、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、更正または決定に係る相続税額を計算する。

(2)平成25年9月5日以後に新たに相続税額が確定する場合

  • 期限内申告または期限後申告の場合
    平成25年9月5日以後に、相続税の期限内申告書または期限後申告書を提出する場合には、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、期限内申告または期限後申告に係る相続税額を計算する。
  • 決定の場合
    相続税の申告書を提出する義務があると認められる相続人が、当該申告書を提出していなかったことが明らかとなった場合には、嫡出に関する規定がないものとして民法第900条第4号の規定を適用した相続分に基づいて、決定に係る相続税額を計算する。

★リンクはこちら⇒ 相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)

2013年10月4日

相続税の申告のしかた(平成25年分用)

国税庁は、相続税の申告のしかた(平成25年分用)を公表した。

主な内容は、以下のとおり。

  • 相続税のあらまし
  • 相続税の申告
  • 相続税の納付
  • 相続税の申告書の記載例

リンクはこちら⇒ 相続税の申告のしかた(平成25年分用)

2013年8月22日

平成25年5月、6月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-34)が公表された。

今回は平成25年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンクはこちら⇒ 「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-34)

2013年8月20日

中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について

日本公認会計士協会は、平成25年6月4日に開催した常務理事会の承認を受けて「租税調査会研究報告第27号『中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について』」を公表した。
本研究報告は、平成23年9月20日付けの諮問事項「中小企業の経営者に関係する税制について調査研究されたい。」に対するものである。

平成22年度税制改正において小規模宅地の特例の改正が行われるとともに、平成23年度税制改正大綱において相続税の基礎控除の引下げ、役員報酬の給与所得控除の削減等が盛り込まれるなど課税の強化が図られており、中小企業の経営者を取り巻く課税環境が変化してきている。
このような状況の中、公認会計士は、中小企業経営者の一支援者として、また、税の専門家として、相続税制の知識が必要となってくると考えられる。
本研究報告では、特に中小企業経営者に関連して問題となりやすい相続税制上の問題について、従前の相続税、贈与税の節税の議論ではなく、中小企業の経営者を取り巻く環境の変化を考慮した事業承継に係る様々な論点について検討を行った。
本研究報告が、我が国の中小企業の経営者を取り巻く環境の変化に伴って生じる事業承継に絡んだリスク対応に利用いただけると幸いである。

リンクはこちら⇒ 中小企業の経営者に関係する相続税制と手続について

2013年7月30日

平成24年度の相続税の物納申請・処理等の状況

国税庁は、『相続税の物納処理状況等(平成3年度から平成24年度)』と『相続税の延納処理状況等(平成3年度から平成24年度)』を公表した。

物納も延納も減少している。

物納のリンクはこちら⇒ 相続税の物納処理状況等(平成3年度から平成24年度)
延納のリンクはこちら⇒ 相続税の延納処理状況等(平成3年度から平成24年度)

2013年7月24日

平成25年4月~6月分の基準年利率

平成25年7月1日付課評2-32「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

短期・中期・長期とも上昇傾向にある。

リンクはこちら⇒ 「平成25年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年7月18日

平成25年分路線価

2013年7月1日に路線価が発表された。

我が香川県は21年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2011年は31万円となっており、7%以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示している。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用いる。
なお、路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を閲覧のこと。
相続税または贈与税の申告に際し、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地の評価をするために、特定路線価の設定の申出が必要となる場合がある。
路線価は、不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

リンクはこちら⇒ 平成25年分路線価図(既に削除済み)

2013年7月2日

平成25年3月、4月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)が公表された。

半月ほど前に、1月及び2月分が公表されたが、なぜ同時の公表でないか疑問ではある。

今回は平成25年3月及び4月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-26)

2013年6月27日

平成25年1月、2月の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)がようやく公表された。

今回は平成25年1月及び2月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成25年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)

2013年6月14日

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正(法令解釈通達)(平成25年5月27日)

平成2年12月27日付直評23ほか1課共同「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部を改正し、平成25年5月27日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価から適用することになったので、今後はこれによる。

大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準について、大会社も、従来の25%以上から50%以上となった。

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年6月7日

財産評価基本通達の一部改正(法令解釈通達)(平成25年5月27日)

昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の一部が以下のとおり改正され、相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用することになったので、今後はこれによることになる。

<趣旨>
財産評価基本通達189*10(2)における大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準について東京高等裁判所平成25年2月28日判決があったことを受け、現下の上場会社の株式等の保有状況等に基づき、所要の改正(大会社も、従来の25%以上から50%以上へ)を行うものである。

財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)

2013年6月5日

平成25年1月~3月分の基準年利率

平成25年5月16日付課評2-16「平成25年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、1月分から3月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

また、4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

なお、複利も同様である。

平成25年分の基準年利率について(法令解釈通達)

2013年6月3日

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置のQ&A(追加)

2013年4月1日から2015年12月31日までに教育資金を一括贈与した場合に贈与税が非課税措置となることが、平成25年度税制改正で決まったが、文部科学省がQ&Aを追加した(13問⇒28問)。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について

2013年5月20日

仙台国税局管内の平成24年分の評価倍率表の訂正

平成24年7月2日(月)から国税庁ホームページに掲載している平成24年分の路線価図及び評価倍率表のうち、仙台国税局管内の評価倍率表の一部(岩手県・宮城県・福島県の一部)について誤りがあり、訂正されている。

具体的な内容については、路線価図等の正誤表を参照のこと。
仙台国税局管内の平成24年分の評価倍率表の訂正について

2013年5月9日

平成25年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成25年分の路線価図等の閲覧は、平成25年7月1日(月)から予定されている。

路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。国税庁ホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等が閲覧できる。
国税庁ホームページ『路線価図』

また、全国の国税局・税務署でもパソコンにより閲覧できる。

2013年4月25日

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A

所得税法等の一部を改正する法律(平成25年法律第5号)、租税特別措置法施行令の一部を改正する政令(平成25年政令第114号)及び租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成25年財務省令第21号)により、創設された「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」について、国税庁がQ&Aを取りまとめた。

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A

2013年4月23日

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置のQ&A

2013年4月1日から2015年12月31日までに教育資金を一括贈与した場合に贈与税が1500万円まで非課税措置となることが、平成25年度税制改正で決まったが、文部科学省がQ&Aを公表した。

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について

2013年4月5日

財産評価基本通達の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施

先日の高裁の判決を受けて、国税庁が財産評価基本通達を改正しようとしている。

パブコメの期間は、2013年4月2日から5月1日である。

<改正の背景>
取引相場のない株式の発行会社の中には、類似業種比準方式における標本会社である上場会社に比べて、資産構成が著しく株式等に偏った会社が見受けられる。このような会社の株式については、一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により適正な株価の算定を行うことが期し難いものと考えられることから、財産評価基本通達では、株式保有割合(評価会社の有する各資産の価額の合計額のうちに占める株式等の価額の合計額の割合)が25%以上である大会社を株式保有特定会社とし、その株式の価額を類似業種比準方式ではなく、原則として純資産価額方式で評価することとしている。
ところで、平成25年2月28日東京高等裁判所判決(以下「高裁判決」という。)において、この株式保有特定会社の株式の価額を原則として純資産価額方式により評価すること自体は合理的であると認められるものの、平成9年の独占禁止法の改正に伴って会社の株式保有に関する状況が、株式保有特定会社に係る評価通達の定めが置かれた平成2年の通達改正時から大きく変化していることなどから、株式保有割合25%という数値は、もはや資産構成が著しく株式等に偏っているとまでは評価できなくなっていたといわざるを得ないと判断された。
このため、現下の上場会社の株式等の保有状況に基づき、通達における大会社の株式保有割合による株式保有特定会社の判定基準(以下「大会社の判定基準」という。)を改正するものである。
(注)
高裁判決においては、株式保有割合に加えて、その企業としての規模や事業の実態等を総合考慮して判断するとしているが、これは、現行の「大会社の判定基準」(25%以上)が合理性を有していたものとはいえないことを前提としているためであり、「大会社の判定基準」が合理性を有するものであれば、企業としての規模や事業の実態等を総合考慮することまでを求めるものではないと解される。

<改正案の概要>
「大会社の判定基準」について、「25%以上」を「50%以上」に改正する。
なお、改正後の通達は、相続税または贈与税について、改正後に納税者の方が申告する場合または税務署長が更正・決定する場合における財産の評価に適用することとする。

2013年4月4日

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-4)が公表された。

平成24年分の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一又は類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年1月23日

平成24年10月~12月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、10月分から12月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。
なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2013年1月22日

住宅取得等資金の贈与税の非課税の住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の要件

住宅取得等資金の贈与税の非課税の住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の要件は以下のとおり。

「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地の用に供される土地等または住宅の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得または増改築等」には、その住宅の取得または増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含む。
また、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られる。

(1)新築または取得の場合の要件

  1. 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
  2. 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。
    ①建築後使用されたことのない住宅用の家屋
    ②建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
    (注)耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいう。
    ③建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、耐震基準(耐震等級(構造躯く体の倒壊等防止)1相当以上であること)に適合するものであることにつき、「耐震基準適合証明書」または「住宅性能評価書の写し」により証明がされたもの
    (注)家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したまたは評価されたものに限る。

(2)増改築等の場合の要件

  1. 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
  2. 増改築等の工事が、自己が所有し、かつ、居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて「確認済証の写し」、「検査済証の写し」または「増改築等工事証明書」により証明されたものであること。
  3. 増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上であること。
    (注)増改築等の工事の部分に居住の用以外の用に供される部分がある場合には、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に充てられていなければならない。
    (注)「新築」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において屋根(その骨組みを含む。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれる。また、「増改築等」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において増築または改築部分の屋根(その骨組みを含む。)を有し、既存の家屋と一体となって土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれる。
    なお、「取得」の場合には、これらの状態にあるものが含まれないので、贈与を受けた住宅取得等のための金銭を建売住宅または分譲マンションの取得の対価に充てている場合でも、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその引渡しを受けていなければ、新非課税制度の適用を受けることはできない。

2013年1月15日

住宅取得等資金の贈与税の非課税の受贈者の要件

住宅取得等資金の贈与税の非課税の受贈者の要件は以下のとおり。

  1. 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
    (注)
    贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない方でも、以下のa 及びb に該当する場合は対象となる。
    a 贈与を受けた時に日本国籍を有していること。
    b 受贈者または贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
  2. 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
    (注)
    配偶者の父母(または祖父母)は直系尊属には当たらないが、養子縁組をしている場合は直系尊属に当たる。
  3. 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること(平成24年の贈与については平成4年1月2日以前に生まれた方、平成25年の贈与については平成5年1月2日以前に生まれた方、平成26年の贈与については平成6年1月2日以前に生まれた方となる。)。
  4. 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
  5. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等をすること。
    (注)
    受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれる。)ことにならない場合は、この新非課税制度の適用を受けることはできない。
  6. 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
    (注)
    贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、新非課税制度は適用されず、修正申告が必要となる。
  7. 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある方から住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等をしたものではないこと。
  8. 平成23年分以前の年分において、旧非課税制度(平成22・24年の各税制改正前の「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のことをいう。以下同じ。)の適用を受けたことがないこと。

2012年1月11日

省エネ等住宅

省エネ等住宅とは、省エネ等基準(省エネルギー対策等級4相当であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であることまたは免震建築物であることをいう。)に適合する住宅用の家屋であることにつき、以下のいずれかの証明書などを贈与税の申告書に添付することにより証明がされたものをいう。

  • 住宅性能証明書・建設住宅性能評価書の写し
  1. 新築をした住宅用の家屋
  2. 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
  3. 建築後使用されたことのある住宅用の家屋(注1)
  4. 増改築等をした住宅用の家屋(注2)
  • 長期優良住宅認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書など
  1. 新築をした住宅用の家屋
  2. 建築後使用されたことのない住宅用の家屋(注1)
    建築後使用されたことのある住宅用の家屋の場合は、その取得の日前2年以内または取得の日以降にその証明のための家屋の調査が終了したまたは評価されたものに限る。
    (注2)
    住宅用の家屋の増改築等をした場合に、省エネ等基準に適合させるための工事であることについての証明がされた「増改築等工事証明書」を、「住宅性能証明書」または「建設住宅性能評価書の写し」に代えることができる。
    (注3)
    上記の証明書などの発行については、国土交通省または地方整備局に尋ねること。

2013年1月10日

住宅取得等資金の贈与税の非課税

平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築もしくは取得または増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」という。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、以下の表の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。

  • 受贈者ごとの非課税限度額
     住宅の種類  平成24年  平成25年  平成26年
     省エネ等住宅  1,500万円  1,200万円  1,000万円
     上記以外の住宅  1,000万円  700万円  500万円

    (注)
    最初に新非課税制度の適用を受けようとする住宅取得等資金の贈与を受けた年分に係る金額が受贈者ごとの非課税限度額となる。
    なお、既に新非課税制度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額となる。

2013年1月9日

平成24年9月、10月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-50)が公表された。

今回は平成24年9月及び10月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-50)

2012年12月20日

平成24年分贈与税の申告のしかた

平成24年分の贈与税の申告の相談及び申告書の受付は、平成25年2月1日(金)から平成25年3月15日(金)までである。
贈与税の申告書は、受贈者の住所地の所轄税務署長に提出しなければならない。
申告書は、郵便や信書便による送付、または税務署の時間外収受箱への投函により、提出することもできる。
これらのことが記載された『平成24 年分贈与税の申告のしかた』が、国税庁のHPに掲載されている。
平成24年分贈与税の申告のしかた

2012年12月19日

遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合は…

相続人の1人に全部の遺産を与える旨の遺言書がある場合に、相続人全員で遺言書の内容と異なった遺産分割をしたときには、受遺者である相続人が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当である。
したがって、各人の相続税の課税価格は、相続人全員で行われた分割協議の内容によることとなる。
なお、受遺者である相続人から他の相続人に対して贈与があったものとして贈与税が課されることにはならない。

2012年11月12日

代償分割が行われた場合の相続税の計算は…

代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法である。

1.この場合の相続税の課税価格の計算は、以下のとおりとなる。

  • 代償財産を交付した人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額を控除した金額
  • 代償財産の交付を受けた人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額の合計額

2.この場合の代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した人が他の共同相続人などに対して負担した債務の額の相続開始の時における金額になる。
ただし、代償財産の価額については、以下の場合には、それぞれ以下のとおりとなる。

  • 代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、代償債務の額がその財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されている場合には、その代償債務の額に、代償分割の対象となった財産の相続開始の時における相続税評価額が代償分割の対象となった財産の代償分割の時において通常取引されると認められる価額に占める割合を掛けて求めた価額となる。
  • 共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づいて、上記で説明した方法に準じた方法または他の合理的と認められる方法により代償財産の額を計算して申告する場合には、その申告した額によることが認められる。

2012年11月5日

相続人の中に養子がいる時は…

1.相続税の計算をする場合、以下の4項目については、法定相続人の数を基に行う。

  • 相続税の基礎控除額
  • 生命保険金の非課税限度額
  • 死亡退職金の非課税限度額
  • 相続税の総額の計算

2.これらの計算をするときの法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されている。

  • 被相続人に実の子供がいる場合…一人まで
  • 被相続人に実の子供がいない場合…二人まで
    ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記の養子の数に含めることはできない。

3.なお、以下のいずれかに当てはまる人は、実の子供として取り扱われるので、すべて法定相続人の数に含まれる。

  • 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
  • 被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
  • 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
  • 被相続人の実の子供、養子または直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。
    なお、直系卑属とは子供や孫のことである。

2012年10月31日

平成24年7月、8月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)が公表された。

今回は平成24年7月及び8月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-46)

2012年10月26日

相続人の範囲と法定相続分は…

相続人の範囲や法定相続分は、民法で以下のとおり定められている。

(1)相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、以下の順序で配偶者と一緒に相続人になる。

  • 第1順位
    死亡した人の子供
    その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となる。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先する。
  • 第2順位
    死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
    父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先する。
    第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になる。
  • 第3順位
    死亡した人の兄弟姉妹
    その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となる。
    第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になる。
    なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされる。
    また、内縁関係の人は、相続人に含まれない。

(2)法定相続分

  • 配偶者と子供が相続人のケース
    配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
  • 配偶者と直系尊属が相続人のケース
    配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人のケース
    配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分ける。
また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではない。

2012年10月24日

平成24年7月~9月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、7月分から9月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2012年10月18日

相続財産から控除できる葬式費用

相続税を計算するときは、一定の相続人及び包括受遺者が負担した葬式費用を遺産総額から差し引く。

1.葬式費用となるもの
遺産総額から差し引く葬式費用は、通常以下のようなものである。

  • 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
  • 遺体や遺骨の回送にかかった費用
  • 葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められる。
  • 葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたる。)
  • 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用

2.葬式費用に含まれないもの
以下のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しない。

  • 香典返しのためにかかった費用
  • 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
  • 初七日や法事などのためにかかった費用

2012年10月16日

離婚して財産をあげたら…

夫婦が離婚したとき、相手方の請求に基づいて一方の人が相手方に財産を渡すことを財産分与という。
財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われる。
この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となる。

2012年10月4日

離婚して財産をもらったら…

離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税が課税されることはない。
これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからである。
ただし、以下のいずれかに当てはまる場合には贈与税が課税される。

  • 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
    この場合は、その多過ぎる部分に贈与税が課税される。
  • 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
    この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税が課税される。

分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになる。
したがって、将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになる。

2012年10月3日

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)が公表された。
内容は以下のとおり。

  • 非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例
  1. 特例の要件や申告手続などの流れ
  2. 納税が猶予される相続税などの計算方法
  • 非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例
  1. 特例の要件や申告手続などの流れ
  2. 納税が猶予される贈与税などの計算方法
    (参考)手続書類一覧表

非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし(平成24年8月)

2012年9月5日

平成24年5月、6月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-40)が公表された。

今回は平成24年5月及び6月の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-40)

2012年8月24日

相続税法基本通達の一部改正(平成24年)

経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第14号)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成24年法律第16号)等の施行等に伴い、相続税及び贈与税の延納及び物納に関する法令の改正等に係るものについて、所要の整備が行われた。

新旧対照表は、以下のリンクから。
新旧対照表

2012年8月3日

相続税の申告の仕方(平成24年分用)

相続税の申告の仕方(平成24年分用)が作成された。

目次は、以下のとおり。

  • 相続税のあらまし
  • 相続税の申告
  • 相続税の納付
  • 相続税の申告書の記載例

国税庁のHPは、以下のとおり。
相続税の申告の仕方(平成24年分用)   

2012年8月2日

平成24年4月~6月分の基準年利率

平成24年5月22日付課評2-18「平成24年分の基準年利率について」(法令解釈通達)について、4月分から6月分の基準年利率が定められ、リンクのとおり改正されたので、これによる必要がある。

なお、複利も同様である。

「平成24年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)

2012年7月24日

「庭内神し」の敷地等に係る相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の取扱いの変更

「庭内神し(ていないしんし、もしくは、ていないじんし)」の敷地については、「庭内神し」とその敷地とは別個のものであり、相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象とはならないものと取り扱ってきた。
しかし、「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形や、その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合には、その敷地及び附属設備は、その設備と一体の物として相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象となるものとして取り扱うことに改められた。

(注)
「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者または地域住民等の信仰の対象とされているものをいう。

この変更後の取扱いは、既に相続税の申告をされた方であっても、相続した土地の中に変更後の取扱いの対象となるものがある場合には適用がある。

2012年7月18日

平成24年3月、4月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等についての一部改正について(法令解釈通達)(課評2-24)が公表された。

前回はなぜか平成24年1月および2月分だけであったが、今回は平成24年4月分までの相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
「平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)(課評2-30)

2012年7月10日

平成24年分の路線価図等

本日(7月2日)から閲覧可能となった。

路線価等は販売もされているが、全国の国税庁・税務署でパソコンにより閲覧でき、自宅などからインターネットでも過去3年分の閲覧ができる。

国税庁の路線価図等に関するページは、以下のとおり。
路線価図・評価倍率表

2012年7月2日

平成24年1月~3月分の基準年利率

平成24年1月~3月分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-18)が公表された。

平成24年1月~3月中に相続、遺贈または贈与により取得した財産を評価する場合における財産評価基本通達4-4に定める「基準年利率」が下記のリンクのとおり定められたので、これによる必要がある。
なお、平成24年4月分以降については、基準年利率を定めた都度通達される。

平成24年分の基準年利率について(法令解釈通達)(課評2-18)

2012年6月29日

平成24年1月、2月分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-24)が公表された。

平成24年1月および2月分の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式(事業の種類が同一または類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式)により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額及び株価について定められている。

リンク先は以下のとおりである。
平成24年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)(課評2-24)

2012年6月28日

贈与税の電子申告

従来、贈与税については電子申告できなかったが、平成24年分の申告から利用できる。

2012年6月22日

固定資産税評価額が付されていない家屋の評価

固定資産税評価額が付されていない家屋の評価としては、以下のようなものが考えられる。

  1. 申告書を提出するまでの間に、固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額により評価する。
  2. その家屋の付近にある状況の類似した家屋の固定資産税評価額を基とし、その評価対象である家屋と付近にある類似家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額により評価する。
  3. 付近に類似する家屋がないときは、その家屋の再建築価額から経過年数に応ずる減価償却費累計額おもしくは減価額を控除した価額に70%を乗じた金額によって評価する。

2012年6月11日

負担付贈与

負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいう。例えば、1億円の土地を贈与する際に借入金6千万円も負担させるようなケースである。

個人から負担付贈与を受けた場合は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになる。
この場合の課税価格は、贈与された財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には、一般的に評価額が低いとされる相続税評価額ではなく、その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した価額によることになっていることに留意すべきである。
また、贈与された財産が上記の財産以外のものである場合は、その財産の相続税評価額から負担額を控除した価額となる。

なお、負担付贈与があった場合においてその負担額が第三者の利益に帰すときは、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになる。

2012年6月8日

使用貸借の宅地の評価単位

所有する宅地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には、その全体を1画地の宅地として評価する。また、自己の所有する宅地に隣接する宅地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地と一体として利用している場合であっても、所有する土地のみを1画地の宅地として評価する。
なお、使用貸借に係る使用借権の価額は、零として取り扱い、使用貸借により貸し付けている宅地の価額は自用地価額で評価することに留意が必要である。

2012年6月6日

山林及び山林の上に存する権利の評価

山林の評価は、以下に掲げる区分に従い、それぞれ以下に掲げる方式によって行う。

  1. 純山林及び中間山林(通常の山林と状況を異にするため純山林として評価することを不適当と認めるものに限る。以下同じ。)
    …倍率方式
  2. 市街地山林
    …比準方式または倍率方式
  • 純山林の価額
    その山林の固定資産税評価額に、地勢、土層、林産物の搬出の便等の状況の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
  • 中間山林の価額
    その山林の固定資産税評価額に、地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
  • 市街地山林の価額
    その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額から、その山林を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1㎡当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛りまたは土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その山林の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
    ただし、その市街地山林の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価することができるものとし、その倍率が定められている地域にある市街地山林の価額は、その山林の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
    なお、その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合には、その山林の価額は、近隣の純山林の価額に比準して評価する。

(注1)
「その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は、その付近にある宅地について財産評価基本通達11(評価の方式)に定める方式によって評価した1㎡当たりの価額を基とし、その宅地とその山林との位置、形状等の条件の差を考慮して評価する。
(注2)
「その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合」とは、その山林を本項本文によって評価した場合の価額が近隣の純山林の価額に比準して評価した価額を下回る場合、またはその山林が急傾斜地等であるために宅地造成ができないと認められる場合をいう。

2012年6月5日

三方または四方路線影響加算

三方または四方に路線がある宅地の価額は、財産評価基本通達16≪側方路線影響加算≫及び前項に定める方法を併用して計算したその宅地の価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

2012年6月1日

側方路線価影響加算

正面と側方に路線がある宅地(以下「角地」という。)の価額は、以下の1.及び2.に掲げる価額の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

  1. 正面路線(原則として、前項の定めにより計算した1㎡当たりの価額の高い方の路線をいう。以下同じ。)の路線価に基づき計算した価額
  2. 側方路線(正面路線以外の路線をいう。)の路線価を正面路線の路線価とみなし、その路線価に基づ き計算した価額に付表2「側方路線影響加算率表」 に定める加算率を乗じて計算した価額

2012年5月30日

奥行価格補正

一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

2012年5月29日

特定路線価

路線価地域内において、相続税、贈与税または地価税の課税上、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合には、当該道路を路線とみなして当該宅地を評価するための路線価(以下「特定路線価」という。)を納税義務者からの申出等に基づき設定することができる

特定路線価は、その特定路線価を設定しようとする道路に接続する路線及び当該道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、当該道路の状況、前項に定める地区の別等を考慮して税務署長が評定した1㎡当たりの価額とする。

2012年5月28日

地区

路線価方式により評価する地域(以下「路線価地域」という。)については、宅地の利用状況がおおむね同一と認められる一定の地域ごとに、国税局長が以下に掲げる地区を定めている。
(1)ビル街地区
(2)高度商業地区
(3)繁華街地区
(4)普通商業・併用住宅地区
(5)普通住宅地区
(6)中小工場地区
(7)大工場地区

なお、どれに該当するかについては、路線価図の上の方を見れば把握できる。

2012年5月25日

路線価

路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう。以下同じ。)ごとに設定される。
路線価は、路線に接する宅地で以下に掲げるすべての事項に該当するものについて、売買実例価額、公示価格(地価公示法(昭和44年法律第49号)第6条≪標準地の価格等の公示≫の規定により公示された標準地の価格をいう。以下同じ。)、不動産鑑定士等による鑑 定評価額(不動産鑑定士または不動産鑑定士補が国税局長の委嘱により鑑定評価した価額をいう。以下同じ。)、精通者意見価格等を基として国税局長がその路線ごとに評定した1㎡当たりの価額とする。
(1)その路線のほぼ中央部にあること。
(2)その一連の宅地に共通している地勢にあること。
(3)その路線だけに接していること。
(4)その路線に面している宅地の標準的な間口距離及び奥行距離を有するく形または正方形のものであるこ と。

(注)
(4)の「標準的な間口距離及び奥行距離」には、それぞれ付表1「奥行価格補正率表」に定める補正率(以下「奥行価格補正率」という。)及び付表6「間口狭小補正率表」に定める補正率(以下「間口狭小補正率」という。)がいずれも1.00であり、かつ、付表7「奥行長大補正率表」に定める補正率(以下「奥行長大補正率」という。)の適用を要しないものが該当する。

2012年5月24日

宅地及び宅地の上に存する権利の評価の方式

宅地の評価は、原則として、以下の区分に従い、それぞれ以下に掲げる方式によって行う。

  • 市街地的形態を形成する地域にある宅地…路線価方式
  • 上記以外の宅地…倍率方式

路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫から20-5≪容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価≫までの定めにより計算した金額によって評価する方式をいう。

倍率方式とは、固定資産税評価額(地方税法第381条≪固定資産課税台帳の登録事項≫の規定により土地課税台帳もしくは土地補充課税台帳(同条第8項の規定により土地補充課税台帳とみなされるものを含む。)に登録された基準年度の価格または比準価格をいう。以下この章において同じ。)に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式をいう。

2012年5月23日

間口が狭小な宅地等の評価

以下に掲げる宅地(不整形地及び無道路地を除く。)の価額は、財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫の定めにより計算した1㎡当たりの価額にそれぞれ以下に掲げる補正率表に定める補正率を乗じて求めた価額にこれらの宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。
この場合において、地積が大きいもの等にあっては、近傍の宅地の価額との均衡を考慮し、それぞれの補正率表に定める補正率を適宜修正することができる。

(1)間口が狭小な宅地 付表6「間口狭小補正率表」
(2)奥行が長大な宅地 付表7「奥行長大補正率表」

2012年5月22日

不整形地の評価

不整形地(三角地を含む。以下同じ。)の価額は、以下の(1)から(4)までのいずれかの方法により財産評価基本通達15≪奥行価格補正≫から18≪三方又は四方路線影響加算≫までの定めによって計算した価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、付表4「地積区分表」に掲げる地区区分及び地積区分に応じた付表5「不整形地補正率表」に定める補正率(以下「不整形地補正率」という。)を乗じて計算した価額により評価する。

(1)不整形地を区分して求めた整形地を基として計算する方法
画像の説明

(2)不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法
画像の説明
(注)ただし、計算上の奥行距離は、不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形または正方形の土地(以下「想定整形地」という。)の奥行距離を限度とする。

(3)不整形地に近似する整形地(以下「近似整形地」という。)を求め、その設定した近似整形地を基として計算する方法
画像の説明
(注)近似整形地は、近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含まれる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように求める((4)において同じ。)。

(4)近似整形地(①)を求め、隣接する整形地(②)と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから、隣接する整形地(②)の価額を差し引いた価額を基として計算する方法
画像の説明

2012年5月21日

無道路地の評価

無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき財産評価基本通達20≪不整形地の評価≫の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する。この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について建築基準法(昭和25年法律第201号)その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(以下「接道義務」という。)に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)とする。

(注)

  • 無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう。
  • 財産評価基本通達20≪不整形地の評価≫の定めにより、付表5「不整形地補正率表」の(注)3の計算をするに当たっては、無道路地が接道義務に基づく最小限度の間口距離を有するものとして間口狭小補正率を適用する。

2012年5月18日

倍率方式

相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要がある。
土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価する。

土地の評価方法には、路線価方式倍率方式がある。

倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法である。
倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額(都税事務所、市区役所または町村役場で確認できる。)に一定の倍率を乗じて計算する。
路線価図及び評価倍率表は、国税庁のホームページで閲覧できる。

なお、平成24年分の路線価図等の閲覧は、7月2日(月)から予定されている。

2012年5月11日

路線価方式

相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要がある。
土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価する。

土地の評価方法には、路線価方式倍率方式がある。

路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法である。

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表示している。
路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算する。

2012年5月10日

平成22年分の相続税の申告の状況について

東日本大震災の影響もあってか、『平成22年分の相続税の申告の状況について』がようやく公表された。
これによると、主なものは以下のとおり。

  • 被相続人数
    …約120万人(平成21年は約114万人)
  • 課税価格
    …10兆4,470億円で、被相続人1人当たり2億1,006万円(平成21年は、それぞれ10兆1,072億円、2億1,765万円)
  • 税額
    …1兆1,754億円で、被相続人1人当たり2,363万円(平成21年は、それぞれ1兆1,618億円、2,502万円)
  • 相続財産の金額の構成比
    …土地48.4%、現預金等23.2%、有価証券12.1%(平成21年はそれぞれ、49.7%、22.3%、12.0%)

2012年5月2日

平成24年分の路線価図等の閲覧

相続税・贈与税の土地などの評価に用いる平成24年分の路線価図等の閲覧は、7月2日(月)から予定されている。

路線価図等は、自宅などでインターネットにより閲覧できる。

国税庁のホームページでは、全国の過去3年分の路線価図等を見ることができる。リンク先は以下のとおり。
http://www.rosenka.nta.go.jp

また、全国の国税局・税務署でパソコンにより閲覧できる。

2012年4月25日

配当還元方式

配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る1年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法である。

算式は、以下のとおり。
(その株式に係る年配当金額÷10%)×(その株式の1株当たりの資本金等の額÷50円)

ここで、その株式に係る年配当金額は、直前期末以前2年間の配当金額÷1株当たりの資本金の額を50円とした場合の発行済株式数となる。
なお、年配当金額が2円50銭未満となる場合は2円50銭となる。

2012年4月19日

併用方式

類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式は、類似業種比準方式と純資産価額方式のそれぞれの方式により評価した価額にそれぞれ一定の割合(Lの割合(類似業種比準価額の割合))を加味して評価額を求める方式をいう。

算式は、以下のとおり。
類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1-L)

Lの割合は、

  • 中の大会社…0.9
  • 中の中会社…0.75
  • 小の中会社…0.6
  • 小会社…0.5
  • 比準要素数1の会社…0.25

2012年4月18日

類似業種比準方式

類似業種比準方式とは、類似業種の平均株価並びに1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産価額の3つの要素を類似業種と比準して計算する方法である。
具体的な計算式は、次のとおり。

A×(b/B+c/C×3+d/D)/5×0.7(大会社の場合。中会社は0.6、小会社は0.5)

A:類似業種の株価
B:類似業種の1株当たりの配当金額
C:類似業種の1株当たりの年利益金額
D:類似業種の1株当たりの純資産価額
b:評価会社の直前期末以前2年間における1株当たりの年配当金額
c:評価会社の直前期末以前1年(または2年)間における1株当たりの年利益金額
d:評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額

なお、A・B・C・Dは国税庁から公表されている。

2012年4月17日

純資産価額方式

純資産価額方式とは、課税時期における純資産を基に計算する評価方法である。
計算方法は以下のとおり。

  • 課税時期における評価会社が所有する各資産を相続税評価額により評価した価額の合計額(総資産価額)から、課税時期における各負債を相続税評価額に基づき評価した金額の合計額(総負債価額)を差し引き、相続税評価額による純資産価額を算定する。
  • 相続税評価額による純資産価額から、帳簿価額の純資産を差し引くことで評価差額を求め、これに42%(平成24年4月から。平成22年10月~平成24年3月は45%)を乗じた金額(評価差額に対する法人税等相当額)を算定する。
  • 相続税評価額による純資産価額から評価差額に対する法人税等相当額を控除して法人税等相当額控除後の純資産価額を計算し、課税時期における発行済株式数で除して1株当たりの純資産の金額を求める。

2012年4月16日

農地の相続税の納税猶予

農業を営んでいた被相続人または特定貸付けを行っていた被相続人から相続人が一定の農地等を相続し、農業を営む場合または特定貸付けを行う場合には、農地等の価額のうち農業投資価格による価額を超える部分に対応する相続税額については、その相続した農地等について相続人が農業を営んでいるまたは特定貸付けを行っている限り、その納税が猶予される。これが、『農業後継者が農地等の相続を受けた場合の納税猶予の特例』と呼ばれるものである。

この場合の農地等納税猶予税額は、以下のいずれかに該当することとなった場合には、その納税が免除される。

  • 特例の適用を受けた相続人が死亡
  • 特例の適用を受けた相続人が、この特例の適用を受けている農地等の全部を贈与税の納税猶予が適用される生前一括贈与
  • 特例の適用を受けた相続人が相続税の申告期限から農業を20年間継続(市街化区域内農地等に対応する農地等納税猶予税額の部分に限る。)

<特例を受けるための要件>
この特例を受けることができるのは、以下の要件に該当する場合である。

a.被相続人の要件
次のいずれかに該当する人

  • 死亡の日まで農業を営んでいた
  • 農地等の生前一括贈与をした
    死亡の日まで受贈者が贈与税の納税猶予または納期限の延長の特例の適用を受けていた場合に限られる。
  • 死亡の日まで相続税の納税猶予の適用を受けていた農業相続人または農地等の生前一括贈与の適用を受けていた受贈者で、障害、疾病などの事由により自己の農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出た
  • 死亡の日まで特定貸付けを行っていた

b.農業相続人の要件
被相続人の相続人で、以下のいずれかに該当する人

  • 相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる
  • 農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受贈者で、特例付加年金または経営移譲年金の支給を受けるためその推定相続人の1人に対し農地等について使用貸借による権利を設定して、農業経営を移譲し、税務署長に届出た
    贈与者の死亡の日後も引き続いてその推定相続人が農業経営を行うものに限る。
  • 農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受贈者で、障害、疾病などの事由により自己の農業の用に供することが困難な状態であるため賃借権等の設定による貸付けをし、税務署長に届出た
    贈与者の死亡後も引き続いて賃借権等の設定による貸付けを行うものに限る。
  • 相続税の申告期限までに特定貸付けを行った

c.特例農地等の要件
以下のいずれかに該当するものであり、相続税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨が記載されたもの。

  • 被相続人が農業の用に供していた農地等で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人が特定貸付けを行っていた農地または採草放牧地で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人が営農困難時貸付け(注)を行っていた農地等で相続税の申告期限までに遺産分割された
  • 被相続人から生前一括贈与により取得した農地等で被相続人の死亡の時まで贈与税の納税猶予または納期限の延長の特例の適用を受けていた
  • 相続や遺贈によって財産を取得した人が相続開始の年に被相続人から生前一括贈与を受けていた農地等

2012年3月16日

農地の贈与税の納税猶予

農業を営んでいる人が、農業の用に供している農地の全部並びに採草放牧地及び準農地の一定部分をその農業を引き継ぐ推定相続人の1名に贈与した場合には、その贈与を受けた人(受贈者という。)に課税される贈与税については、その贈与を受けた農地等について受贈者が農業を営んでいる限り、その納税が猶予される制度がある。
これが、『農業後継者が農地等の贈与を受けた場合の納税猶予の特例』と呼ばれるものである。

この制度による納税猶予税額は、受贈者または贈与者のいずれかが死亡した場合には、その納税が免除される。
ただし、贈与者の死亡により農地等納税猶予税額の納税が免除された場合には、特例の適用を受けて納税猶予の対象になっていた農地等(特例農地等という。)は、贈与者から相続したものとみなされて相続税の課税対象となる。

<特例を受けるための要件>
1.贈与者の要件
a 農地等を贈与した日まで引き続き3年以上農業を営んでいた者であること。
b 以下に掲げる場合に該当しない者であること。

  • 贈与をした年の前年以前において、贈与者の農業の用に供していた農地をその者の推定相続人に対し贈与をしている場合であって、その農地が相続時精算課税の適用を受けているとき
  • 贈与をした年において、その贈与以外の贈与により農地及び採草放牧地並びに準農地の贈与をしている場合
  • 過去に、この納税猶予の特例の適用を受ける贈与を行っている場合

2.受贈者の要件
a 贈与者の推定相続人であること。
b 以下の要件に該当するものとして農業委員会が証明した者であること。

  • 贈与により農地等を取得した日における年齢が18歳以上であること
  • 贈与により農地等を取得した日まで引き続き3年以上農業に従事していたこと
  • 贈与により農地及び採草放牧地を取得した後、速やかにその農地及び採草放牧地について農業経営を行うと認められること
    なお、贈与を受けた農地等について、この特例の適用を受ける場合には、その農地等については、相続時精算課税の適用を受けることはできない。

3.特例農地等の要件
以下のすべてに該当するものであり、贈与税の期限内申告書にこの特例の適用を受ける旨が記載されたものであること。

  • 贈与者が農業の用に供している農地等であること
  • 贈与者が農業の用に供している農地の全部と採草放牧地及び準農地の面積の3分の2以上であること

    2012年3月15日

農地の評価

財産評価上、農地は以下の4つに分けられる。

  • 純農地
  • 中間農地
  • 市街地周辺農地
  • 市街地農地

それぞれの評価は、以下のとおり。

  • 純農地及び中間農地…倍率方式
    ここで、倍率方式とは、その農地の固定資産税評価額に、国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価する方法をいう。
  • 市街地周辺農地…その農地が市街地農地であるとした場合の価額の80%に相当する金額
  • 市街地農地…宅地比準方式または倍率方式
    ここで、宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の価額からその農地を宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除した金額により評価する方法をいう。

2012年3月14日

住民票

相続時精算課税制度を選択した時に、住民票が添付書類として必要になる。

住民票は市町村などで作成される住民に関する記録である。
住民票に記載されている主なものは、以下のとおり。

  • 氏名
  • 出生の年月日
  • 男女の別
  • 世帯主の氏名、世帯主との続き柄
  • 戸籍の表示
  • 住民となった年月日
  • 住所を定めた年月日
  • 前住所
  • 転出先の住所

2012年3月13日

戸籍謄本と戸籍妙本

相続時精算課税制度を選択した時に、戸籍の謄本または妙本が添付書類として必要になる。

戸籍謄本とは、戸籍原本に記載されている人全部を複写したもので、全部事項証明ともいう。

戸籍抄本とは、戸籍原本から必要とする人の部分だけを複写したもので、個人事項証明ともいう。

2012年3月12日

戸籍の附票

相続時精算課税制度を選択した時に、戸籍の附票が添付書類として必要になる。

戸籍は、市町村などで作成される該当市区町村に本籍がある者の住所履歴に関する記録である。
一方、住民票は住所の異動や世帯の構成、戸籍が出生・死亡・結婚などの身分事項の記録である。
この2つを結びつけるものが戸籍の附票である。
戸籍の附票の記載事項は以下の4つである。

  • 戸籍の表示(=本籍および筆頭者)
  • 氏名
  • 住所
  • 住所を定めた年月日

戸籍の附票は本籍地が管理する記録である。よって、市区町村をまたいで住所が変わったとしても、戸籍が変わっていなければ、1つの戸籍の附票の中にすべての住所履歴が記録される。一方、戸籍が変わった場合、別の戸籍の附票で住所履歴の確認をすることになる。

2012年3月8日

贈与税の納付方法

贈与税の納付方法については、以下の方法がある。

  • 現金で納付 現金に納付書を添えて、金融機関(日本銀行歳入代理店)または住所地等の所轄の税務署の納税窓口で納付する。
  • e-Taxで納付 自宅等からインターネットを利用して納付できる。
  • コンビニで納付 平成20年1月21日から国税をコンビニエンスストアで納付することができる。

一方、一度に多額の納税をすることが難しい場合もあり、そのような方のために延納という納税方法がある。この延納は一定の条件のもとに、5年以内の年賦により納税する方法である。
(1)延納の要件
延納を受けるには、以下の3つのすべてに当てはまることが必要である。

  • 申告による納付税額が10万円を超えていること
  • 金銭で一度に納めることが難しい理由があること
  • 担保を提供すること。ただし、延納税額が50万円未満で延納期間が3年以下の場合、担保は不要。

(2)延納するための手続
延納しようとする贈与税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して所轄税務署長に提出することが必要である。
税務署長は延納申請書に基づいて延納の許可または却下をすることになる。なお、延納できることになった税金には年率6.6%の利子税がかかる。
ただし、平成12年1月1日以後の期間に対応する延納税額にかかる利子税の割合については以下の特例が設けられている。
贈与税の延納利子税の割合について、各分納期間の開始の日の属する月の2ヵ月前の月の末日の日本銀行の定める基準割引率に4%を加算した割合(以下「延納特例基準割合」という。)が7.3%に満たない場合には、その分納期間においては現行の利子税の割合に延納特例基準割合が7.3%に占める割合を乗じて計算した割合(以下「延納特例割合」という。)となる。

2012年3月7日

贈与税の申告期限

贈与税の申告と納税は、原則として、受贈者が、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっている。

贈与税の申告書の提出先は、原則として、受贈者の住所を所轄する税務署である。

2012年3月6日

基準年利率

基準年利率は、著作権や営業権などの財産評価を行う際に使用される利率である。
また、財産評価基本通達4-4によると、日本証券業協会において売買参考統計値が公表される利付国債に係る複利利回りを基に計算した年利率によることとし、その率は、短期(3年未満)、中期(3年以上7年未満)及び長期(7年以上)に区分し、各月ごとに別に定めるものとされている。

この「平成23年分の基準年利率について」の一部改正について(法令解釈通達)が国税庁より公表されている。

2012年1月25日

類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等

取引相場のない株式評価方法の原則的評価方法の一つに類似業種比準方式がある。
これは、事業内容が類似する上場企業の株価を基に、評価を行う自社の1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3要素(比準要素)を比較することで株価を算定する方法である。

この算定に用いる、平成23年度の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等が国税庁より公表されている。

2012年1月24日

相続を放棄した場合の相続開始前3年以内の贈与

相続を放棄して遺産を相続しておらず、かつ、遺贈による財産の取得もない場合、相続税の申告につき、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産を、課税価格に含めなくてよい。

なお、相続時精算課税を適用している場合は、課税価格に含める必要がある。

2011年11月24日

香川県の2010事務年度の相続税の税務調査の調査結果

高松国税局が2011年11月21日に発表した香川県の2010事務年度(2010年7月~2011年6月)の相続税の税務調査の調査結果の特徴は以下のとおり。

  • 申告漏れ件数は、152件(前期比1.3%増)。
  • 申告漏れ総額は、47億円(前期比31.9%増)。6年ぶりの増加。
  • 重加算税を課されたのは、16件、4億円。
  • 現金などの資産を相続したにも関わらず、まったく申告しない無申告事案が増加。
  • 申告漏れで多いのは、現金・預貯金、土地、有価証券。

2011年11月22日

著作権の評価

著作者の別に一括して以下の算式によって計算した金額によって評価する。なお、個々の著作物に係る著作物を評価する場合は、その著作物ごとに計算する。

年平均印税収入の額×0.5×評価倍率

ここで、年平均印税収入の額は、課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。

また、評価倍率は、著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とする。

2011年11月16日

特許権の評価

権利に基づき将来受ける補償金の額の基準割引率による複利現価の額の合計額による。
具体的には、第n年目の補償金年額×n年後の基準年利率による複利原価率を、1年目からn年目まで足したものとなる。

補償金を受ける期間は、課税時期から特許法第67条に規定する特許権の存続期間が終了する時期までの年数の範囲内において推算した年数とする。

なお、実用新案権、意匠権及びそれらの実施権も同様の評価を行う。

2011年11月9日

小規模宅地等の評価減の特例の平成22年改正

平成22年4月1日以後の相続または遺贈から、以下のものが適用されている。

  • 配偶者と別居親族(一定の者に限る)を除き、相続税の申告期限までに所有または事業もしくは居住を継続しないと適用対象とならない。
  • 1つの宅地等につき共同相続があった場合、取得した者ごとに適用要件の判定を行う。
  • 1棟の建物に特定居住用宅地等の要件を満たす部分とそれ以外の部分がある場合、それぞれの用途ごとに適用要件の判定を行う。
  • 特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた1つの宅地等に限られることが明確化された。

2011年10月27日

特別養子縁組

特別養子縁組とは、養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組のことをいう。この場合における養子を特別養子という。

実子として取り扱われ、人数制限からは外れ、「法定相続人の数」に含めることができる。

2011年10月26日

普通養子とは?

養子縁組とは、親子関係にない者を、法律上親子関係があるとすることである。

養子縁組には、以下の2つがある。

  • 普通養子縁組
  • 特別養子縁組

普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を残したまま、養親との親子関係を作る二重の親子関係となる縁組のことをいう。
この場合における養子を普通養子という。

養親の相続権のみならず、実親の相続権もある。

2011年10月25日

養子と相続税

相続税対策として養子縁組をしているケースがある。

例えば、孫を養子とした場合、2割加算となるものの、基礎控除額などの計算上、法定相続人の人数に含まれるため、相続税対策として養子を用いるのであるが、無制限に認められているわけではない。
以下のような制限がある。

  • 被相続人に実子がいる場合…1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合…2人まで

ただし、養子を法定相続人に含めることにより、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、含めることはできない。

2011年10月24日

二世帯住宅における小規模宅地等の特例

  • 構造上区分されていないケース

同居親族に該当するため、居住継続要件および所有継続要件(配偶者を除く。)を満たせば、特例を使うことができる。

  • 構造上区分されているケース

措置法通達69の4-21のなお書きにより、みなし同居親族として申告することを選択できる。
なお、1棟の建物のうち、1つの独立部分に被相続人が居住し、他の独立部分に被相続人の親族が居住し、以下の要件をすべて満たすケースは、その親族は非相続人の同居親族とみなされる。
①その建物1棟全部を被相続人または被相続人の親族が所有していた。
②被相続人の配偶者または被相続人が居住の用に供していた独立部分に共に起居していた親族等がいなかった。
③その親族について、同居親族として申告をした。

2011年10月21日

各独立部分とは?

「各独立部分」については、相続税法上定義はない。

地価税法施行令9条1項1号では「各独立部分」ということばが使われており、地価税法取扱通達7-20で、「建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して住居その他の用途に供することができるものをいい、~」とある。

なお、区分所有権の登記がされているかどうかは考慮しなくてよい。

2011年10月20日

同居親族とは?

同居親族については、租税特別措置法通達69の4-21に定義があり、その家屋で被相続人と共に起居していた親族をいう。

また、1棟の建物が各独立部分に区別されており、被相続人がそのうちの独立部分の1つに居住していた場合には、被相続人が居住の用に供していた独立部分において、被相続人と共に起居していた親族が同居親族となる。

なお、1棟の建物のうち、1つの独立部分に被相続人が居住し、他の独立部分に被相続人の親族が居住し、以下の要件をすべて満たすケースは、その親族は非相続人の同居親族とみなされる。
①その建物1棟全部を被相続人または被相続人の親族が所有していた。
②被相続人の配偶者または被相続人が居住の用に供していた独立部分に共に起居していた親族等がいなかった。
③その親族について、同居親族として申告をした。

2011年10月19日

生計を一とは?

最近、相続税法の改正により改正が予想される生命保険金など、「生計を一」ということが重要になるケースがあるが、相続税法には定義はなく、所基通2-47を判断基準として判定することになると思われる。

財布が一つであることと言われるが、同居は必ずしも必要ではなく、別居していても該当するケースがある。
例えば、お子様が大学生で、親元を離れてアパート等を借りて住んでおり、親からの仕送りによって生活しているようなケースである。

2011年10月18日

相続税法上の行為計算否認規定

法人税法上、以下の3つの行為計算否認規定があり、

①同族会社等の行為計算否認(法人税法132条)
②組織再編成に係る行為計算否認(法人税法132条の2)
③連結法人に係る行為計算否認(法人税法132条の3)

所得税法上も、以下の行為計算否認規定があるが、

同族会社等の行為計算否認(所得税法157条)

相続税法にも、以下の行為計算否認規定がある。

同族会社等の行為計算否認(相続税法64条)

その一方で、財産評価基本通達第6項に、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」とあり、どちらが適用されるのか不明確であると考えられる。

2011年9月14日

贈与税の基礎控除額

一般的に、110万円以下だと無税ということ、つまり贈与税の基礎控除額は110万円ということはよく知られているが、相続税法上は60万円となっている(相法21の5)。

110万円というのは、租税特別措置法に定められているのである(措法70の2の2)。

ちなみに110万円となったのは平成13年からであり、その前は60万円だった。

2011年8月3日

住所

相続税法上、住所の具体的な規定はなく、民法22条の住所(各人の生活の本拠をその者の住所とする。)を借用することになる。

住所が複数ある場合もありうると考えられるが、判例上、民法上の住所は単一である。

2011年7月29日

武富士事件

今年に入って大変興味のある訴訟の判決が出た。2011年2月18日、最高裁の判決により、武富士側が勝訴したのである。

武富士株を保有するオランダ法人の株式を両親から香港に住む子供へ贈与した案件であり、住所が争点となった。

武富士側の勝訴となったものの、残念ながら、判決で住所の具体的な判断は示されていない。

ただし、最近、国側が敗訴する事例が増えているようである。租税法律主義が徹底されてきているということであろう。

2011年7月28日

路線価

2011年7月1日に路線価が発表された。
我が香川県は19年連続下落のようである。高松市の最高路線価も1992年の445万円から2011年は37万円となっており、10分の1以下になっている。

路線価とは、1月1日時点の主要道路に面した1㎡当たりの土地評価額で、相続税や贈与税の評価に用いられ、基準となる標準地点の路線価を定め、周辺の路線価を決定する。
不動産鑑定士による鑑定評価や売買実績を参考にしており、公示価格の8割程度と言われている。

2011年7月4日

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