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東京都が特別会計事業で消費税を21年間分も未納も大半が「時効」!

2025年10月06日(月)

産経新聞によると、東京都が都営住宅等事業会計について、本来は納付すべき義務がある消費税を21年間にわたって支払っていなかったことが分かったようです。

支払いを担当する都営住宅経営部が、先日、産経新聞の取材に対し事実関係を認めました。

未納発覚を受け、都側は2019~2022年度の4年間分計1億3,642万円をさかのぼって支払いましたが、調査できた2002~2018年度までの17年間分については「時効になったため、納付義務が消失した」と説明しました。

この17年間分の未納額の総額については「算出できず、不明」だと回答し、実態がつかめていない現状が浮かびました。

都営住宅経営部などによると、この都営住宅等事業会計は、一般会計で必要な予算が計上されていたころとは違い、特別会計に移行した2002年度以降は消費税を納付すべき義務が生じていました。

ところが、「組織として消費税制度に対する理解が足りなかった」(担当者)と、支払わなくてよいとの認識でいたようです。

今回の未納問題は、インボイス(適格請求書)制度導入により、2023年度以降に消費税の国への納付が始まったことに伴い、国税庁が過去の記録を東京都側に問い合わせたことから明るみになりました。

国税庁からの指摘を受け、東京都は2019~2022年度の4年分を納付しましたが、2018年度以前については「時効」のために「納付義務が消失した」といい、「支払う予定はない」と釈明しています。

単純計算した場合に、国に支払われた直近4年分の納付額(1億3,642万円)を単年度ごとに割ってみると、1年分の平均は約3,410万円となり、こうして得られた数値に、未納期間の17年間をかけてみると計約6億円にのぼると試算されます。

それでも、担当者は「年によって取引額が違うため算出は難しい」と説明して、具体的な値についての言及を避けました。

未納発覚を受け、東京都議会では税をめぐる理解の「甘さ」を問題視する声が上がり、SNS上でも物議を醸しています。

佐藤沙織里東京都議(千代田区選出)は自身の動画サイトで「国税庁はこれまで何をしていたのか。一般国民が20年以上税金を支払わなかったら、取り立てられる。都ならばなぜ、それが許されるのか」と憤りました。

今回の未納問題について東京都の小池百合子知事は、先日、東京都議会本会議後に記者団の取材に応じ、「誠に遺憾なことだと思っている」と述べました。

未納期間が20年以上あったことについて「石原(慎太郎)知事時代からもずっと続いてきたということ」との認識を示し、「改めて申告義務がある特別会計で(ほかにも)このような例がないか、確認を指示した」と述べました。

時効というものがあるので、2018年以前のものは支払わなくて良いと思いますが、心理的には納得できない方もいらっしゃるでしょうね。

あと、佐藤沙織里東京都議の発言も、消費税は申告納税制度なので、基本的には国税庁がどうたらと言っても仕方ないと思いますが、税務調査とかをきちんとした方が良いかもしれませんね。

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物価高で企業の資金繰りが悪化し国税の滞納が昨年度は21年ぶりの水準の1兆円規模!

日本経済新聞によると、国に納める税の滞納が増えています。

2024年度に新たに発生した滞納額は前年度比24%増の9,925億円で、21年ぶりの高水準となりました。

物価高で企業の資金繰りが悪化し、消費税や法人税の納付が滞っています。

滞納額は今後さらに増える恐れがあります。

国税庁が先日発表した租税滞納状況によると、2024年度の新規滞納額は2年連続で増加しました。

バブル期直後をピークに減少傾向でしたが、新型コロナウイルス禍以降は増加基調に転じました。

コロナ禍前の2019年度と比べると、1.8倍に膨らみました。

2024年度の新規滞納額で最も大きいのが消費税で、21%増の5,298億円と全体の半分を占めました。

所得税は14%増の2,343億円、法人税は63%増の1,627億円でした。

回収し終えたり回収不能と処理したりした金額は9,488億円と24%増えたものの、新たに発生した金額の方が大きく、年度末時点の滞納残高は9,714億円と5%増加しました。

残高が増えたのは5年連続です。

国税庁は滞納者の属性などを明らかにしていませんが、多くが中小企業とみられます。

消費税の新規滞納の発生件数は64万件で、1件当たりの滞納額は平均約83万円で、売り上げ規模の小さい事業者が中心であることがわかります。

税の滞納が増えた背景に、物価高による仕入れ費用や人件費の上昇で中小企業の資金繰りが悪化したことがあります。

東京商工リサーチによると、2024年度の全国の倒産件数(負債額1,000万円以上)は12%増の1万144件で、11年ぶりに1万件を上回りました。

件数全体の75%が、負債額1億円未満の小規模倒産です。

2024年度の課税額に対する新規滞納の発生割合は1.2%でした。

前年度から0.2ポイント上昇したものの、ほとんどの個人や企業は期限内に納税しています。

国の徴税を免れるため財産を隠すといった悪質な事案もあり、国税庁は2024年度に6件を告発しました。

災害や病気などで資金を確保できない場合、原則1年以内に限って納税を猶予する制度もあります。

猶予期間中は滞納扱いにはなりません。

物価高やトランプ米政権の関税措置などで企業の経営環境は厳しくなっています。

資金繰りが悪化した企業による税の滞納は今後も増える恐れがあります。

税の滞納があると金融機関からの融資を受けられないなど事業上の制約も大きくなります。

事業者に納税資金を確保するよう習慣づけてもらうといった滞納の防止策が必要となります。

税理士団体のTKC全国政経研究会は、税の滞納を防ぐため、事業者が消費税を原則毎月納付する仕組みを国に要望しています。

現在は前年度に納めた消費税が4,800万円を超える事業者のみ毎月分割して納付する仕組みで、それ以下だと年1、2回もしくは4回です。

毎月納付になれば、資金繰りや納期を管理しやすくなるとみています。

滞納が1兆円近くあるのであれば、真面目に申告している企業に税務調査に行って税金を取るのではなく、滞納している税金を先に回収してほしいとも思いますが、税金が支払えなくて倒産となると本末転倒でしょうから、難しい話しですね。

価格転嫁などができて、日本経済が回復すれば解消するとは思いますが、とある国の場当たり的と感じられる措置などで先行きが不透明な状況にありますので、少し時間はかかるでしょうね。

TKC全国政経研究会のいうことは、中堅企業以上だと可能かもしれませんが、中小企業の場合、消費税も資金繰りの一部を構成しているように思いますし、やるとしても前年度の確定税額ベースでやることになると思いますので、設備投資とかで消費税額が結構変わってくる中小企業では、なかなか厳しいでしょうね。

消費税納税の意識を醸成させていくためには、必要なのかもしれませんが。

物価高で企業の資金繰りが悪化し国税の滞納が昨年度は21年ぶりの水準の1兆円規模となったことについて、あなたはどう思われましたか?


福岡空港で水際課税のインバウンド44人が3年で2.6億円の「逃げ得」が横行!

2025年06月20日(金)

西日本新聞によると、インバウンド(訪日客)が増え続ける福岡空港(福岡県福岡市)で、2024年度までの過去3年間に計44人の訪日外国人が、消費税分として総額約2億6,029万円の追徴課税の対象となっていたことが西日本新聞の取材で分かったようです。

実際に徴収できたのは約354万円(約1・4%)にとどまります。

一部の外国人が訪日客の消費税免税制度を悪用しているようです。

免税店で購入した物品に消費税分を上乗せして出国前に転売し、利益を得る不正が横行している上、発覚しても出国後の差し押さえは難しく、「逃げ得」を許しています。

門司税関によると、福岡空港での輸出免税物品に関わる課税実績は、2019~2021年度はゼロでしたが、2022年度は16人に対し計2億4,013万4千円、2023年度は22人に計1,912万3千円、2024年度は6人に計103万3千円でした。

国税庁は2020年度に「免税販売管理システム」を導入しました。

訪日客が福岡空港の出国ゲートで旅券を端末にかざすと、免税店から送信された訪日客の購入記録が表示されます。

実際に物品を持ち出しているか確認しやすくなったことで不正の摘発が増えたとみられますが、追徴課税の対象となったのは氷山の一角に過ぎません。

福岡空港では、2023年度、計8人が700万~1千万円分の家庭用ゲーム機を大量購入しましたが、出国時に所持していませんでした。

2022年度には22億円分のブランドバッグや健康食品を購入し、出国時に持っていなかった男性がいました。

いずれも不正が発覚したものの、免税分を徴収できずに出国しました。

追徴課税の対象となっても納付期限が当日ではないため、納税しないまま出国するケースが多いためです。

2022~2024年度の滞納額は約2億5,674万円に上っています。

旅券の提示を拒んだり、飛行機の搭乗時間間際に出国ゲートに来たりして摘発を免れようとする訪日客もいるようです。

福岡空港税関支署の担当者は「制度上、検査は任意。搭乗させないわけにはいかず、時間との闘いに苦慮している」と明かしています。

ある税関職員は「不正薬物や銃器の流入防止などの業務もあるのに、免税物品の対応に人手を割かれる」といら立ちを隠さないようです。

不正防止のため2026年11月から、購入時にいったん消費税を支払い、出国時に税関で持ち出し確認を受けた後に免税分を払い戻す方式に変更されますが、空港での混雑激化が懸念されます。

対策として、免税制度の廃止を訴える声もあるようです。

シンクタンク「SOMPOインスティチュート・プラス」の小池理人上級研究員は「免税制度廃止で訪日客が減る可能性もあるが、税収増が期待できる。飲食・宿泊業の人手不足やオーバーツーリズム(観光公害)緩和の観点からも、検討に値するのではないか」と指摘しています。

免税という優遇なわけですから、空港で時間がかかっても仕方なのではないかと思います。

優遇を受けたくなければ、払い戻しを受けなければいいわけですから。

それにしても、既に出国していても取れるようにしないと、国の税収が減るわけですから、由々しき問題ですね。

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東京国税局が旅館改修で水増しして消費税を不正還付未遂の社長らを告発!

時事通信によると、神奈川県箱根町にある旅館の改装工事で、消費税約2,900万円の還付を不正に受けようとしたとして、東京国税局査察部が消費税法違反などの容疑で、不動産会社(神奈川県箱根町)と不動産会社社長(54)を横浜地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

告発は2024年11月27日付です。

関係者によると、不動産会社社長は2022年12月~2023年11月、不動産会社が箱根町に所有する3旅館の改修工事代金を水増しして過大に計上しました。

水増しした分の消費税と地方消費税計約2,900万円の還付を不正に受けようとした疑いが持たれています。

実際の工事代金は3旅館で計約3億3,000万円でしたが、建設業者に虚偽の請求書などを作成させて計約6億6,330万円に代金を水増ししていました。

不動産会社社長が代表を務め、3旅館を運営する会社は取材に対し、「捜査中のため回答を差し控える」とコメントしたようです。

本当に、最近、安易な架空経費の計上による脱税事件が多いですね。

それだけ、儲かっている会社が多くなってきているということだとは思いますが、脱税は犯罪です。

特に、消費税の不正還付は、支払ってもいない消費税を国から返してもらうわけですから、詐欺です。

いつも思いますが、消費税の還付は厳しいので、金額が大きくなると反面(架空経費の相手先)の調査もしているのではないかと思いますが、こっちの架空経費の計上は、あっちでは架空売上の計上になりますので、税額が増えるはずです。

代金をとりあえず支払ってもらうとしても、後から戻すときに処理に困ると思いますが、どうやっているんでしょうね。

ここでもまた架空経費の計上が行われているとなると、架空経費のループに陥ってしまい、芋づる式に発覚してしまうのではないかと思います。

東京国税局が旅館改修で水増しして消費税を不正還付未遂の社長らを告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


東京地検特捜部が消費税不正還付容疑で東京都世田谷区の会社役員を逮捕!

共同通信によると、東京地検特捜部は、先日、消費税計約7,200万円の不正還付を受けたなどとして、消費税法違反容疑で、東京都世田谷区の会社役員(53)を逮捕しました。

逮捕容疑は2020年~20023年、会社役員が代表を務める宮城、石川両県などにある不動産賃貸会社4社の業務に関し、金地金売買を仮装し、架空の課税仕入れを計上するなどして消費税約7,200万円の不正還付を受けたほか、他の3社についても同様の手口で約8,800万円の還付を受けようとした疑いです。

消費税の還付は、このような不正還付事件が多いこともあり、課税当局も書類の提出を求めたり、税務調査に入ったうえで行われることが多いのは、周知の事実だと思いますが、安易にやられる方もまだまだいらっしゃるんですね。

架空取引の計上による消費税の還付は、法人税などが少なくなるだけではなく、支払ってもいない消費税を還付してもらうというかなり悪質なスキームですので、本当になくなって欲しいと思います。

東京地検特捜部が消費税不正還付容疑で東京都世田谷区の会社役員を逮捕したことについて、あなたはどう思われましたか?


東京国税局が消費税無申告のオンラインゲームの海外法人に「電光石火」で18億円追徴課税!

読売新聞によると、オンラインゲームを日本国内に配信するなどしていた香港法人が、東京国税局から2022年までの3年間で消費税計約18億円を追徴課税されていたことが関係者の話でわかったようです。

同社は税務調査に非協力的で、納税の見込みもなかったことから、東京国税局は本来の納付期限を前倒しする「繰り上げ請求」を行い、国内にある同社の財産を早期に差し押さえたようです。

海外法人に対しては税務調査が難しいだけではなく、国税当局が追徴課税をしても自主的に納めない場合、税の徴収は容易ではありません。

今回は東京国税局が徴収制度を駆使し、財産が海外に散逸する前に迅速な差し押さえに成功した形です。

今後、差し押さえた財産から消費税が徴収される見通しです。

関係者によると、追徴課税されたのは、2017年頃に設立された香港法人で、ゲームなどの開発を行うグループの主要会社です。

日本を含めた世界各国にゲームを配信し、利益を得ていたようです。

消費税は海外事業者によるサービスも含め、日本国内での取引が課税対象となります。

しかしながら、東京国税局が調べたところ、同社は、日本の利用者がアイテムを購入するなどしてゲーム内で課金された場合にかかる消費税を申告していなかったことが判明しました。

その額は計約15億円で、東京国税局は無申告加算税を含む計約18億円を追徴課税しました。

同社は税務調査に非協力的で、日本国内の「納税管理人」も定めていなかったことから、同国税局は自主的に納税する見込みがないと判断し、繰り上げ請求を実施しました。

前倒しされた期限が過ぎても同社は納税せず、東京国税局は、同社が日本子会社(東京都港区)に対して保有していた約15億円の売掛債権(将来、代金を受け取る権利)を財産として差し押さえたそうです。

追徴課税から財産の差し押さえまでは通常、1か月以上を要しますが、今回は繰り上げ請求によって10日程度で完了しました。

日本子会社から香港法人へ代金が支払われてしまうと、税にあてるべき財産が海外に散逸する恐れがあることから、東京国税局は差し押さえを急いだとみられます。

読売新聞は香港法人に追徴課税の事実などをメールで尋ねましたが、返答はなかったそうです。

日本子会社の担当者は「取材はお断りしている」と回答しました。

<繰り上げ請求>

国税通則法で定められた手続き。

納付期限までに税の完納が見込めないという「主観的要件」に加え、海外企業が国税当局との窓口となる「納税管理人」を定めていないなどの「客観的要件」を満たす場合、税務署長は期限を繰り上げて納税を求めることができます。

国税庁によると、2024年6月までの1年間に全国で259回、実施されました。

『繰り上げ請求』というものを恥ずかしながら知りませんでしたが、東京国税局も頑張っていますね。

悪質なところからは、きっちりと取って欲しいと思います。

東京国税局が消費税無申告のオンラインゲームの海外法人に「電光石火」で18億円追徴課税したことについて、あなたはどう思われましたか?


過大に消費税の還付受けた疑いで「ファーマライズ」に追徴課税!

NHKによると、全国で調剤薬局を展開する「ファーマライズ」が卸売り業者から医薬品を仕入れて別のグループ会社に販売する形を取り、消費税の計算上、仕入れの際の税額を多くすることで過大に消費税の還付を受けていたとして東京国税局から3億円余りを追徴課税されていたことが関係者への取材で分かりました。

追徴課税を受けたのは、全国でおよそ200店舗の調剤薬局を展開する東京都中野区に本社がある「ファーマライズ」です。

関係者によると、「ファーマライズ」は卸売り業者から医薬品を仕入れて別のグループ会社に販売する形を取り、消費税の計算上、仕入れにかかった税額を多くすることで還付される消費税があるとして税務申告をしていました。

しかし、一部の医薬品について、グループ会社が直接発注したり、「ファーマライズ」を経由せずに配送されたりしていて、東京国税局は「ファーマライズ」が仕入れていたとは言えず実際より多く消費税が還付されていたと判断したということです。

東京国税局は2023年5月までの3年間で過大に還付された消費税と過少申告加算税を含めて、3億3,000万円余りを追徴課税しました。

親会社の「ファーマライズホールディングス」は、「東京国税局との間で一部見解の相違はあるものの税務上はその見解に基づいて計算し連結損益計算書に反映を見込んでいる」としています。

きちんと証明できれば否認されることはないと思いますので、このケースで見解の相違があるのかどうかは個人的に疑問ですが、意図的にやっているのであれば悪質なように思います。

仕入れてもいないものを仕入れたことにして、決算時には在庫として計上して、期をまたいでからグループ会社に販売したことにすれば、消費税の支払いを実質的に先送り(もしくは還付)できますので。

過大に消費税の還付受けた疑いで「ファーマライズ」に追徴課税が行われたことについて、あなたはどう思われましたか?


消費税申告ミスで8億円追徴のエンビプロ子会社は「承服できず」不服申し立て!

朝日新聞によると、東証プライム上場企業「エンビプロ・ホールディングス」の子会社で、リサイクル資源会社「NEWSCON(ニュースコン)」(東京都中央区)が東京国税局の税務調査を受け、輸出免税取引をめぐる消費税の還付申告に誤りがあったとして、2023年までの3年間で約8億円の追徴課税(更正処分)を受けたことが関係者への取材でわかったようです。

エンビプロ社は「承服できず、国税不服審判所に不服申し立てをした」としています。

関係者によると、NEWSCONは主な輸出品である製鋼原料などのリサイクル資源に加え、中国で需要が高まった雑貨などを含めて、輸出免税の適用を受けるために申告していました。

しかしながら、東京国税局は、雑貨など約70億円分の商品については、実際の輸出元は同社ではなく仕入れ先の業者だったとして、輸出免税を認めず、2024年7月に追徴課税をしたようです。

事業者は、売上時に受け取った税額から、仕入れ時に支払った消費税額を差し引き、納税します。

輸出による売り上げは免税のため、仕入れ時の税額を還付申告できます。

輸出免税はなかなか難しいですね。

争って、白黒はっきりさせて欲しいですね。

今後どうなるかウォッチしていきたいと思います。

消費税申告ミスで8億円追徴のエンビプロ子会社は「承服できず」不服申し立てを行ったことについて、あなたはどう思われましたか?


渡航者の免税品不所持の消費税の課税漏れが3億円超!

時事通信によると、海外からの渡航者が購入した免税品を出国時に所持していない場合に、消費税が適切に課税されているかを会計検査院が調べたところ、成田、羽田両空港の税関で2022年度、計約3億3,900万円が課税漏れとなっていたことが、先日、分かったようです。

税関は、渡航者が日本国内で購入した免税品を出国時に所持せず、輸出も確認されない場合、国内で消費したと見なして消費税を課税します。

購入総額が1億円を超えるケースでは、渡航者の搭乗時に書面か口頭で課税を通知します。

会計検査院は2022~2023年度、税関が渡航者の購入額計約647億600万円について適切に課税されたかを調査しました。

両空港の税関で2022年度、9人が購入した高級腕時計など計約33億9,800万円分の消費税約3億3,900万円が課税漏れでした。

書面作成の時間が足りなかったことなどにより、渡航者の搭乗時刻までに通知が間に合わなかったようです。

税関を所管する財務省は、検査院の指摘を受けて課税通知に関する実施要領を改正するなどしました。

日本国民が外国人の消費税を負担しているのと同じだと思いますので、きっちりと取って欲しいですね。

そもそも免税品の消費税は、色々なところが確認を怠って追徴課税されたりしていますが、いったんは消費税を支払ってもらって、空港などで確認のうえ返すなど、見直した方が良いのではないかと思っています。

渡航者の免税品不所持の消費税の課税漏れが3億円超であることについて、あなたはどう思われましたか?


調剤薬局グループが架空取引で消費税16億円を不正還付か?

朝日新聞によると、全国で調剤薬局チェーンを展開する会社(兵庫県芦屋市)やグループ企業など約60社が国税当局の税務調査を受け、2022年から2023年の約1年間に消費税計約16億円の不正還付を受けたと指摘されたことがわかったようです。

薬局間での医薬品の架空取引を通じて、還付対象の消費税があるように装ったと判断されたとみられます。

追徴税額は、重加算税を含め計約23億円とみられます。

この会社は朝日新聞の取材に対し、「架空取引の認識ではなかった。見解の相違があったが、指摘を真摯(しんし)に受け止め、修正申告と追徴税額を含む納税を行った」と回答しました。

消費税は、モノやサービスを売った時に受け取る税額より仕入れ時に支払った税額が多い場合、その差額が還付されます。

関係者によると、この会社は近年、企業合併・買収の資金調達のためにグループ企業などとの間で医薬品の在庫を売買していたそうです。

大阪国税局など全国の国税当局が約60社について調べたところ、書類だけで実態のない取引が見つかり、それにより仕入れなどで支払ったとして差し引ける消費税が実際より多いように装って還付請求したと判断されたとみられます。

帝国データバンクなどによると、この会社は各地の調剤薬局チェーンを買収するなどして規模を拡大し、調剤薬局などを全国で計562店舗展開しています。

2023年5月期の連結売上高は2,233億円で、調剤薬局グループでは国内で大手とされています。

大手ドラッグストア「スギ薬局」を運営するスギホールディングスが2024年9月にこの会社を子会社化しています。

見解の相違があるのであれば、争えば良かったのではないかと思いますが、争わなかったんですね。

実態のない取引があるとされたということだと思いますので、よほど杜撰な処理をしていたんでしょうね。

過去に悪質な方法で還付申告をした会社等がたくさんあり、消費税の還付申告をすると税務調査が入る可能性が高いということを認識して、おかしなところがないことを確かめて還付申告をしないといけないということを知っておいた方がいいですね。

調剤薬局グループが架空取引で消費税16億円を不正還付していたことについて、あなたはどう思われましたか?


消費税2,400万円不正還付疑いで東京国税局が電子決済会社を告発!

共同通信によると、キャッシュレス端末の架空仕入れを計上し、消費税約2,400万円の不正還付を受けたとして、東京国税局が消費税法違反の疑いで電子決済システム関連会社(東京)と、前代表取締役(51)を東京地検に告発したことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

関係者によると、電子決済システム関連会社は他社から仕入れたキャッシュレス端末を店舗などに卸しています。

告発容疑は、キャッシュレス端末の架空仕入れを計上して仕入れ時に多額の消費税を支払ったと虚偽申告し、2020年分の消費税について不正還付を受けた疑いです。

不正に得た資金は事業費に充てていたとみられます。

こういう人がいるから、真面目に申告している会社が消費税の還付申告をすると、税務調査に来たり、資料の提出を求められたりで、なかなか還付してもらえませんので、絶対にやめて欲しいですね。

払ってもいないのに還付してもらうなんて、国からだまし取っているということですからね。

消費税2,400万円不正還付疑いで東京国税局が電子決済会社を告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


「買い子」が免税品大量購入で転売のダイコクドラッグに3億円を追徴!

朝日新聞によると、化粧品などの免税販売をめぐり、ドラッグストア「ダイコクドラッグ」をチェーン展開する運営会社2社が大阪国税局の税務調査を受け、2021年8月期までの2年間に過少申告加算税を含め消費税計約3億円を追徴課税されたことがわかったようです。

転売目的など、免税要件を満たさない外国人客への販売が約30億円分あったとみられます。

追徴課税されたのは「中央ダイコク」と「道頓堀ダイコク」(いずれも大阪市中央区)です。

2社とも修正申告をし、全額を納付したそうです。

関係者によると、日本に住む中国人らが転売業者に雇われ、「買い子」として2社の一部店舗で化粧品や日用品を大量購入するなどしたケースが多数見つかり、免税要件を満たさないと指摘されたそうです。

指摘を受けた期間は、コロナ禍の影響で訪日客が激減していた時期と重なります。

親会社の「ダイコク」は取材に「パスポートでの本人確認や在留期間の確認などが不十分だったと国税局から指摘を受けた。真摯に受け止め、適正な免税販売をする」としています。

以前は高松の商店街の中にあるダイコクドラッグで時々買い物していましたが、最近は、高松にもドラッグストアがたくさんできて、違うところで買っているので、『ダイコクドラッグ』という名前を聞いたり、見たりすることがほとんどなかったのですが、久しぶりに名前を目にするとこういうことだったんですね。

インバウンド向けの販売が多いことは分かっていましたが、会社を分けていることは初めて知りました。

株式会社四国ダイコクもありますが、本社は大阪市中央区です。

本来免税とならないものを免税とすると、国の消費税の税収が減るわけですから、課税当局には厳しく調査してもらい、適正に販売するようになってほしいと思います。

許可の取り消しとか、何年間かは許可しないとかも考えないといけないのかもしれませんね。

「買い子」が免税品大量購入で転売のダイコクドラッグに3億円を追徴したことについて、あなたはどう思われましたか?


「領収書や請求書を捨てればばれないと」などと個人事業者7,615人が消費税無申告!

読売新聞によると、消費税の申告義務がある個人事業者が申告しない事案が全国で横行しているようです。

2023年6月までの1年間の税務調査で、7,615人の無申告者が過去最高となる計198億円を追徴課税されました。

申告義務がないように装うために年間売上高をごまかしたり、故意に申告しなかったりするケースが目立つようです。

国税当局は積極的に調査に乗り出すなどして、警戒を強化しています。

福岡県内の女性ブリーダー(70歳代)は福岡国税局の税務調査を受け、2021年までの7年間で得た所得のうち約9,600万円を申告せず、消費税約1,000万円の納税を意図的に逃れていたとして、2022年に重加算税を含む計約5,300万円を追徴課税されました。

関係者によると、ブリーダーとしての年間売上金額が消費税の納税義務が生じる1,000万円を超えることが想定されましたが、申告がなかったため、同局は調査に着手しました。

女性は当初、「年間売上高は1,000万円以下で消費税の納税義務はない」と説明していました。

出品したペットオークションの運営会社が発行し、犬や猫の売買代金が記された書類などについては「捨てた」と話していました。

このため、同局は女性が出品していたペットオークションやペットショップを運営する会社に対し、女性との取引履歴を確認しました。

その結果、ブリーダー業の年間売上高が1,000万円を超えることを把握しました。

調査結果を基に女性をただしたところ、「納税義務があることを知っていた。売上金額を意図的に少なく申告した」と認め、期限後申告を行いました。

「領収書や請求書などの書類を捨てて、確定申告を行わなければ、税務署にばれないと思った」と、2023年、消費税の無申告などを指摘された長崎県在住の設備工事業の男性(60歳代)は、福岡国税局の税務調査に対し、こう語ったそうです。

関係者によると、2021年までの7年間で得た所得約5,200万円とともに、消費税約1,400万円を申告せず、納税を免れていました。

男性は売り上げや仕入れに関する領収書などの資料を破棄し、納税義務がないように装っていました。

同局の指摘を受け、重加算税を含む計約3,100万円を追徴課税されました。

国税庁によると、2023 年6月までの1年間の税務調査で確認された消費税の無申告者は、全国で7,615人に上りました。

指摘された個人事業者の業種は、ブリーダーのほか、建築業、運送業、飲食業など様々です。

追徴税額は前年度比約1.5倍で過去最高の198億円に膨らみ、1人当たりの平均額も過去最高だった前年度を上回る260万円でした。

追徴税額が増えた背景には、消費税は身近な税で、無申告が相次げば適切に納税する国民の不公平感を招きかねないため、国税当局が監視の目を光らせていることがあります。

2023年10月に始まった消費税のインボイス(適格請求書)制度導入を見据えて調査を強化したとみられ、それが影響した可能性もあります。

福岡国税局管内(福岡、佐賀、長崎各県)では、470人が消費税の無申告を指摘されました。

追徴税額の総額12億8,600万円と、1人当たりの平均額274万円はともに過去最高を更新しました。

同局の担当者は「引き続き適正に課税するため、厳格に対応していきたい」としています。

書類を破棄すればバレないと思っているのがスゴいですね。

どこかのサイトを使っていればサイト運営会社を調べればすぐに分かるでしょうし、反面調査もありますから。

名前が出るとそれまで築き上げてきた信用も一瞬にして失うでしょうし、重加算税を課されるとその後の税務調査の頻度も高くなるでしょうし、青色申告取り消しの可能性もありますから、何もいいことはないですよね。

「領収書や請求書を捨てればばれないと」などと個人事業者7,615人が消費税無申告だったことについて、あなたはどう思われましたか?


中国人爆買いの近鉄百貨店に8億円追徴!

産経新聞によると、消費税の免税要件を満たさない中国人客らに化粧品などを大量販売したとして、近鉄百貨店(本店・大阪市阿倍野区)は、先日、大阪国税局の税務調査を受け、令和4年2月期までの4年間で約7億円の申告漏れを指摘されたと明らかにしました。

過少申告加算税などを含む追徴税額は約8億円で、修正申告するとしています。
消費税法は、訪日外国人が土産物として国外に持ち出すことを前提に、1回50万円までの免税販売を認めています。

ただし、転売目的で不正購入された場合などは適用されず、阪急阪神百貨店(大阪)や大丸松坂屋百貨店(東京)などで、同様の指摘が相次いでいます。

近鉄百貨店によると、あべのハルカス本店などで、同一の外国人客が化粧品などを大量に購入するケースがあり、国税局は4年間に免税販売された一部の約75億円分が、転売目的などとみて追徴対象にしたそうです。

この期間に免税販売した約9割が中国からの訪日客で、うち7割がメークやスキンケア商品でした。

近鉄百貨店は「見解の相違はあったが指摘を受け入れた。今後は適正な処理に努める」としています。

最近、消費税の免税の指摘が増えていますが、購入した本人ではなく、販売した企業が消費税を負担することになるわけですから、適切に運用して欲しいですね。

それよりは、そもそも論として運用方法を変える必要があるのかもしれませんが。

株主とかはどう思われるんでしょうね。

利益が減るわけですから。

中国人爆買いの近鉄百貨店に8億円追徴課税が行われたことについて、あなたはどう思われましたか?


携帯買い取り店運営会社が約28億円の消費税申告漏れの指摘!

NHKによると、携帯電話の買い取り店を運営する東京の会社が、虚偽の客の名義を使って、大量のiPhoneの取り引きをしていたとして、およそ28億円の消費税の申告漏れを、東京国税局から指摘されていたことが関係者への取材で分かったようです。会社側はこれを不服として、審査を請求しました。申告漏れを指摘されたのは、東京都豊島区の携帯電話買い取り店の運営会社です。関係者によると、この会社は、令和3年までの2年間に、中国人などおよそ80人の客からおよそ60万台のiPhoneを買い取り、輸出業者に販売したと申告し、仕入れの際に支払った消費税額の控除を受けていました。しかしながら、客1人当たりの台数が不自然に多く、組織的な転売などが疑われるとして、東京国税局が取り引きの実態を調べたところ、一部の客は、「店にiPhoneを持ち込んではいない」などと話したということです。東京国税局は、この会社が虚偽の客の名義を使って大量のi Phoneを買い取っていたとみていて、適切な形で帳簿に取り引きを記載せず、税の控除は認められないとして、およそ28億円の消費税の申告漏れを指摘し、およそ32億円を追徴課税したということです。一方、会社側はこれを不服として国税不服審判所に審査請求したということです。どれくらいの規模の会社か分かりませんが、80人から60万台、約28億円というのは、すごい数・金額ですね。消費税に関しては、悪質な還付申告などが以前から結構あるようですので、課税当局も厳しいですから。不服を申し立てているということですから、今後どうなるのか楽しみにウォッチしていきたいですね。携帯買い取り店運営会社が約28億円の消費税申告漏れを指摘されたことについて、あなたはどう思われましたか?

委託事業の消費税の取り扱いを誤り課税対象約4,000万円を非課税に!

OHKによると、香川県は、社会福祉法人などに委託している障害者相談支援事業などの委託料について、誤って消費税を非課税にしていたと発表しました。

総額は6年分で約4,000万円に上っています。

香川県によると、誤って消費税を非課税としていたのは、香川県内11の社会福祉法人などに委託していた17の事業の委託料です。

障害者やその家族の悩みや相談を受け付ける事業などで、非課税としていた総額は、6年分で約4,210万円に上ります。

2023年10月4日付で委託事業が法律上の社会福祉事業には該当せず、国から課税対象であるとの通知が届き、判明しました。

非課税とされていたのは2002年度からで、香川県は修正が可能な過去5年分について事業を委託した法人に修正申告と納付を依頼し、課税対象分の消費税と延滞税相当額などを法人に支払うとしています。

また、高松市も同じように8つの事業で約1億2,00万円を非課税としていたほか、坂出市でも4つの事業で1,050万円が非課税となっていました。

県や市が事前に確認しないものなのでしょうか?

このようなものに税金が使われるのであれば、それでいいのだろうかとの疑問が湧きますね。

修正申告にかかる税理士報酬などはどうするのだろうか?とも思いますし。

委託事業の消費税の取り扱いを誤り課税対象約4,000万円を非課税にしていたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイス制度導入後は経理作業が「月12時間増」!

日本経済新聞によると、2023年10月に始まった消費税のインボイス(適格請求書)制度への対応を巡り、企業の現場で混乱が続いているようです。

民間調査によると月次決算で経理担当者1人当たりの作業が平均約12時間増えていることが分かったようです。

取引先から受け取った請求書がインボイスの要件を満たしているかどうか、目視で確認する作業の負担が増しています。

特に資金力に乏しい中小・零細事業者はデジタル化が遅れており、混乱は長期化する可能性が高いでしょう。

請求書管理ソフトを手がけるSansanが、2023年11月6〜8日、請求書業務を担当する経理担当者500人を対象に調べました。

インボイス制度対応に「課題を感じている」と答えた経理担当者の割合は70%を占めました。

課題の内容(複数回答)は「請求書業務の負荷が増えた」が最多の39.2%、「社内理解が不十分で混乱が生じた」が28.6%で続いています。

制度の理解不足などを背景に記載内容に不備がある請求書が多く出回っていることが背景にあるようです。

Sansanの調べによると、同社のソフト「Bill One」を使い、顧客企業が処理した請求書のうち、適格請求書の要件を満たさずに「要確認」と判定された項目で最も多かったのは「適用税率の記載漏れ」で4割を占めました。

不動産売買・開発を手がける日本ユニスト(大阪市)では、2023年10月に取引先から受け取った請求書のうち、1割程度で税率や税額の記載が漏れるなどの不備があったようです。

制度開始の1〜2か月前から新たな請求書の様式を取引先に周知しましたが、「不動産売買の業界はこれまで消費税を入れずに請求書を発行することが多く、対応が遅れている」(同社)とのことです。

Sansanによると受け取った請求書は経理や現場部門が「人力で対応している」との回答が計8割を占め、ソフト導入など「外部サービスで対応」は1割未満にとどまっています。

経理の作業時間が増加することは、企業側は当然分かっていたと思いますが、インボイス制度を作った側は考慮していたのでしょうか?

経理担当者でこれだけ増加しているということは、会計事務所はどれだけ増えているのでしょうか?

うちの事務所は基本的に記帳代行をやっていないので、それほど作業時間が増えるわけではありませんが、質問対応に結構時間は費やしています。

インボイス制度の導入により、もちろん、潤う事業者もいらっしゃるでしょうが、対応にかかるコストが増えますので、消費税の税収は増えるのかもしれませんが、法人税や地方税の税収は減るでしょうね。

一方、ますます、働き方改革や賃上げは厳しくなるのではないかとも思います。

インボイス制度導入後は経理作業が「月12時間増」となっていることについて、あなたはどう思われましたか?


インボイスで「消費税二重取り」の巧妙手口は財務省の試算以上の税収増の可能性!

週刊ポストによると、消費税のインボイス(適格請求書)制度導入について、「増税を目的としたものではない」と説明したのは鈴木俊一財務大臣です。

義兄の麻生太郎氏も財務大臣時代、インボイス登録が開始された日の会見でこう語っていました。

「複数税率で適正な課税をやっていくにはインボイス制度は必ず必要だ」

兄弟揃って白々しい嘘でした。

2023年10月に導入されたインボイス制度には、免税業者との取引によって、国(地方分を含む)に消費税率10%以上の税収が入ってくる「消費税二重取り」の仕組みがあります。

財務省はそれを国民にひた隠しにしたまま導入したのです。

「インボイス増税」(消費税二重取り)のカラクリは、図にすると簡単にわかります。

A社は税率10%の商品を1万円(消費税納税額は1,000円)でB社に売り、B社は1万1,000円(同100円)でC社に販売、C社は1万2,000円(同100円)で消費者に小売りする。

このケースでは本来、国(地方分を含む)に入る消費税収の合計は小売価格の10%の合計1,200円です。

B社が年間売り上げ1,000万円以下の免税業者の場合、従来は消費税分の100円はいわゆる「益税」となって納めなくていいから、税収合計は1,100円でした。

インボイス制度は、免税業者と取引する業者(C社)に、「益税」分を肩代わり納税させる制度と説明されています。

ところが、実態はもっとひどいのです。

B社が免税業者の場合、仕入れ控除を受けられないC社は、小売価格の10%の1,200円の消費税を丸ごと納めなければならないのです。

1つの商品でA社とC社が重複して消費税を納めることになります。

税理士の木村昇氏が、以下のように指摘しています。

「インボイス導入によって、C社は免税業者B社の益税分100円を肩代わり払いさせられるだけではなく、A社が納める消費税1,000円も控除できないからその分を二重払いしなければならないわけです。その結果、このケースでは小売価格1万2,000円の商品なのに消費税の納税額は合わせて2200円となり、税率約18%になってしまう。

インボイス導入から3年間は免税業者との取引は8割の仕入れ控除が認められるなどの経過措置(注:令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%控除、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは50%控除という6年間の経過措置が設けられている)がありますが、それでもC社の消費税納税額はB社の益税分を肩代わりするより多くなります」

これのどこが「適正な課税」で「増税ではない」などと言えるのでしょうか?

財務省のインボイス導入の狙いは、「免税業者」を取引から排除させ、売り上げ1,000万円以下でも消費税納税の義務がある課税業者(インボイス登録)を選択させることだと指摘されてきましたが、そうではないようです。

財務省にとっては、たとえ免税業者が課税登録しなくても、この「消費税二重取り」の仕組みがあれば消費税をどんどん二重取りできるから好都合なのです。

財務省はインボイス導入後は「益税」の減少で2,480億円の税収増になるとの試算を発表していますが、実際は、二重取りによってそれをはるかに上回る増収になる可能性が高いようです。

しかも、インボイス導入で税負担が増える事業者は、当然、損しないためにその分を小売価格に転嫁して値上げする。国が二重取りする消費税は最終的には全て消費者が負担させられるのです。

岸田文雄首相は「物価高騰対策」で所得税減税すると言いながら、財務省が仕組んだこの消費者を苦しめるカラクリに頬被りを決め込んでいます。

僕自身を含め、会計事務所は毎日のようにインボイスの質問等を受けていると思いますが、この計算については、少し前にクライアントの方から『税額が増えますが、インボイス制度はおかしくないですか?』と言われ、図に書いてみると、確かに税収が増えるんだなと思いました。

個人的には、免税事業者を排除するのがインボイス制度の目的だと思いますので、経過措置の最初の3年間は2%を負担するということで仕方なく泣く事業者もそれなりにいるのかもしれませんが、あとの3年間の5%や経過措置がなくなってからの10%の負担は厳しいでしょうから、当然に、免税事業者は取引から排除されていくと思っていますので、結果的には、益税が減るということになり、週刊ポストが書いているような二重取りはあほとんど起こらないのではないかと思っています。

それにしても、特例などで複雑になり、事業者に事務的・コスト的負担の多いインボイス制度は、シンプルなものにしてほしいなぁと思います。

軽減税率をなくしたり、免税事業者をなくしたり、簡易課税の基準を緩和するなどを考えてほしいなあと思いますね。

インボイスで「消費税二重取り」の巧妙手口は財務省の試算以上の税収増の可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


「フォートナイト」提供会社の子会社が消費税約30億円の申告漏れ!

NHKによると、世界的に人気のオンラインゲーム「フォートナイト」を提供するアメリカのゲーム会社「エピックゲームズ」の海外の子会社が、日本のユーザーからの課金収入をめぐって、東京国税局からおよそ30億円の消費税の申告漏れを指摘され、およそ35億円を追徴課税されていたことが、関係者への取材でわかったそうです。

申告漏れを指摘されたのは、世界で数億人のユーザーがいる人気オンラインゲーム「フォートナイト」を提供するアメリカのゲーム会社「エピックゲームズ」の、ルクセンブルクにある子会社です。

関係者によると、この子会社は、日本のユーザー向けに「フォートナイト」を配信していますが、ユーザーがゲーム内でのアイテムの購入などで課金したおよそ300億円について、本来は、日本の消費税の課税対象であり、申告納税の義務があるのに、これをしていなかったことが、東京国税局の税務調査で分かったようです。

東京国税局は、この子会社に対し、2020年までの3年間でおよそ30億円の消費税の申告漏れを指摘し、過少申告加算税を含め、およそ35億円を追徴課税しました。

関係者によると「エピックゲームズ」側は、すでに修正申告を済ませ、追徴課税分を全額納付しているそうです。

海外企業に対する追徴課税としては、過去最大規模とみられます。

海外からの配信などは課税されず、日本国内企業が不利ということで数年前に税制が改正されましたが、いまだに取れていないものも、ここ以外にもおそらくあるということでしょうね。

国税局には頑張ってもらって、取るべきものはきちんと取ってほしいですね。

「フォートナイト」提供会社の子会社が消費税約30億円の申告漏れを指摘されたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイスの税務調査は「大口・悪質」に限定と国税庁長官がコメント!

日本経済新聞によると、国税庁の住沢整長官は10月に始まるインボイス(適格請求書)制度の税務調査について、従来と変わらず大口で悪質な事例に限定して実施する意向を示しました。
「軽微な記載のミスを確認するための調査はこれまでしてきていない。記載事項(の不備)をあげつらうような調査はしない」と、日本経済新聞のインタビューに答えました。

住沢氏は税務調査に関して「制度の定着を図ることが当面重要な課題だ。柔軟かつ丁寧な対応をしていきたい」と述べました。

インボイスには税率ごとの消費税額や税務署から事業者ごとに割り振られる登録番号などの記載が必要になります。
住沢氏は仕入れ先から受け取ったインボイスに記載事項の不備があった場合でも、納品書や契約書など他の書類で必要事項を確認できれば、仕入れにかかった消費税額の差し引きを認める考えを明らかにしました。

仕入れ先から再度、必要事項を記載して修正したインボイスを受け取ることも選択肢になります。
「記載の漏れがあったときに、(別の方法で)きちんと確認できれば申告漏れだと指摘することはない」と強調しました。

政府は免税事業者が課税事業者に転換すると、納める税額が売り上げにかかる税額の2割で済む時限措置を設けています。
売上高5,000万円以下の「簡易課税事業者」にはインボイスがなくても支払った消費税額を控除できる仕組みもあります。
住沢氏は「インボイスが必要なケースは限られる」と説明しました。

国税庁によるとインボイス制度の申請件数は2023年8月末時点で388万件となりました。
そのうち300万いる課税事業者の申請件数は285万件で9割を超えます。
460万いる免税事業者の申請件数は103万件に達しました。
財務省は460万のうち新たに課税事業者になり得るのは160万と推計しています。

インボイスを必要としない一般消費者や、インボイスを受け取らなくても支払った消費税額を簡易に計算して差し引ける簡易課税事業者を取引先とする事業者が一定数いることを念頭に、住沢氏は「相当程度、登録申請は進んできていると見ることもできる」と訴えました。

登録を迷っている事業者に関しては制度開始後も説明会を継続するなど丁寧に対応する意向です。

免税事業者の中には、インボイスを発行できないことを理由に取引を止められたり、一方的に購入価格を下げられたりしかねないとの不安があります。
「中小事業者の不安に寄り添ってきめ細やかな対応をしていく」と言明しました。
税務署で相談を受けた場合は、公正取引委員会や中小企業庁など必要な窓口を紹介するなど関係省庁と連携します。

岸田文雄首相は、先日、事業者の不安軽減を目的に閣僚級会議の立ち上げを指示しました。
経済対策での支援を含めた必要な対応を取るそうです。
住沢氏は「新しい支援策が出てくればきちんと周知・広報していく」と話しました。

インボイス制度開始後も、免税事業者からの仕入れについても一定割合の税の差し引きを認めるなどの経過措置が用意されています。
日本税理士会連合会は「経過措置の延長や恒久化」などの検討を求めています。
住沢氏は「必要があれば与党の税制調査会などで検討することになる」と述べるにとどめました。

▼インボイス制度
「適格請求書等保存方式」の通称。2019年10月に消費税率を10%に引き上げた際に食料品などには8%の軽減税率を適用しました。
どの税率を適用したかを正確に把握して納税するために導入が決まりました。

モノやサービスの売り手は請求書に事業者の登録番号や税率ごとに区分した税額を記載することが求められます。
10月以降は売り手が課税事業者として登録しておらずインボイスを発行しないと買い手は仕入れにかかった消費税額の全額を控除できなくなる場合があります。

インボイスを発行する事業者として登録するかは任意ですが、登録すると納税義務が生じます。

ある意味想像はできていたことですが、国税庁長官が導入前にコメントする必要があるのでしょうか?
真面目にインボイスに対応するためにコスト等をかけている企業や個人事業主もたくさんおられるわけですから。
インボイス制度自体がグタグタになってしまうのではないかと思ってしまいます。
個人的には、消費税の計算は簡単にしないといけないと思いますので、インボイス導入に伴う特例は話しや処理を複雑にしますので、極力やめて欲しいと思います。

インボイスの税務調査は「大口・悪質」に限定と国税庁長官がコメントしたことについて、どう思われましたか?


農家が「減収避けられぬ」インボイス巡るJTの「通告」に公正取引委員会が注意!

朝日新聞によると、2023年10月に始まるインボイス(適格請求書)制度をめぐり、日本たばこ産業(JT)が葉タバコの生産農家に一方的に取引価格の引き下げを通告したとして、公正取引委員会から注意を受けていたことがわかったようです。
制度後に予想される消費税の負担増を農家側に転嫁しようとしたとみられます。
JTは引き下げ幅を小さくするなど修正しましたが、減収が避けられない農家側からは待遇の改善を求める声が上がっています。

JTはたばこ事業法に基づき、国内農家が生産した葉タバコを全量、買い取っています。
現在は買い取り価格に含まれる消費税分を自らの納税額から控除できますが、インボイス制度が始まると、農家側からインボイスを受け取らなければ控除できなくなり、負担が増します。
インボイスは商品の販売先に対し、適用した税率や税額を伝えるための請求書などを指します。

ただし、インボイスを発行できるのは消費税の納税義務のある「課税事業者」だけです。
現状、タバコ農家の多くは年間売り上げが1千万円以下で納税が免除された「免税事業者」です。
課税事業者にならなければ、インボイスを発行できません。

岩手県二戸市の葉タバコ農家が加入する二戸農民組合によると、JTは2022年末以降、岩手県たばこ耕作組合を通じて農家に「インボイス登録をしない免税農家には消費税額分を除いた税抜き価格で支払う」と価格引き下げを伝えました。

関係者によると、公正取引委員会はJTによる価格引き下げの通告が一方的だったことを問題視しました。
仕入れ先が免税事業者でも一定割合で税控除を認める経過措置が計6年は認められているのに、控除可能な部分も含めて大幅に価格の引き下げを求めた点も含めて独占禁止法上、問題につながるおそれがあると判断して注意に踏み切った模様です。

JTともあろう大きな会社にしてはお粗末な対応ですね。
世の中にはインボイス制度導入をきっかけに廃業などをするところも出てくるでしょうから、消費税分を値切ると廃業して仕入先などがなくなる可能性もありますので、慎重に協議のうえ取引価額を決定しないといけませんね。
個人的には、苦労なく課税売上高が1千万円を超えるような日本経済にしないといけないのではないかと思っていますが。

農家が「減収避けられぬ」インボイス巡るJTの「通告」に公正取引委員会が注意を受けたことについて、あなたはどう思われましたか?


インボイス導入で複雑ルールも背景に取引先への圧力懸念!

日本経済新聞によると、消費税の税率と税額を記した請求書などをやりとりするインボイス制度が2023年10月に始まるのを前に、取引先に不適切な圧力をかける企業などが出始めているようです。
個人や零細の事業者に一方的に取引価格の引き下げを迫るといった行為で、公正取引委員会が問題視しています。
一部の専門家は、制度やルールが複雑で企業が混乱しているとも指摘しています。
ルールを明快に周知できるかという課題も浮かんできます。

「独占禁止法違反につながる恐れがある」と、公正取引委員会は、2023年5月、インボイス導入を巡り、フリーランスなどに仕事を発注する事業者が、取引先に一方的な取引価格の引き下げを通告した5つの問題事例を公表しました。
公正取引委員会が各事業者に注意をしたそうです。

イラスト制作業者が関わった例では、業務委託先のイラストレーターに「インボイス導入後も免税事業者のままでいるなら、消費税相当額を取引価格から一律に引き下げる」などと一方的に通知したとされます。

インボイス制度は、国に納税されずに一部事業者の利益となっている「益税」解消などの狙いがあるとされています。
事業者は消費者や他の事業者から受け取った消費税から、仕入れ時などに他の事業者に支払った消費税分を差し引く「控除」をしたうえで納税しています。
しかしながら、売上高が1,000万円以下だと免税事業者とされ、受け取った消費税を納税せずに自らのものにできます。
これが益税と呼ばれています。

制度導入後は、登録事業者からの仕入れなどで支払った消費税分しか控除できなくなります。
免税事業者は消費税分を含んだ代金を受け取らなくなって、益税解消につながると見込まれています。

ただし、消費税の適正な納税が期待される一方、「個人や零細の事業者が不利益を押しつけられかねない」との指摘も出ていました。
今回の公正取引委員会による注意事例は、その懸念が現実になりつつある証左ともいえるでしょう。

インボイス制度を理由にして一方的に不利益な取引条件変更を迫るのは、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」や下請法違反にあたる恐れがあります。
公正取引委員会は事業者向けのQ&Aの公表などを通じて適切な対応を呼びかけてきましたが、問題事例を止められませんでした。

なぜ、取引先への不適切な圧力が起きるのでしょうか?
専門家には「インボイス対応に独禁法が適用されること自体があまり知られていない」との見方があります。
平山賢太郎弁護士は「そもそも『優越的地位』やその『乱用』の認定はいずれも難しい。適切な対応と不適切な乱用の線引きは、非常にわかりにくい」と指摘しています。

例えば、取引先に課税事業者への転換を要請するのは正当ですが、一方的に取引条件の変更を通知すると違法行為に問われるリスクが高まります。
転換を受け入れた相手との価格の見直し交渉では「十分な協議」が求められますが、どうすれば「十分」なのかの判断も難しいです。

大半の企業は、もっぱら税理士と相談しながら対応準備を進めています。
独占禁止法に詳しい弁護士の助言も受けるような、充実した準備ができる企業は少ないです。

新興や中小からの相談が多い緒方文彦弁護士は「新興や中小などの取引の発注元の事業者と、仕事を受けるフリーランス側の双方で制度やルールの理解が浸透していない」とみています。

仕事を発注する企業にとっては、免税事業者との取引条件を見直さなければ消費税分を余分に負担することになります。
一方で、適切な説明や協議を経なければ独禁法違反のリスクとなり、板挟みです。
長沢哲也弁護士は「(適切な手続きを進めるには)かなり複雑で作り込んだマニュアルが必要になる」と話しています。

結局「独禁法リスクを重くみて、負担増を自社で吸収すると判断する企業も出ている」(長沢弁護士)ようです。
インボイスの対応準備を進める、ある企業の担当者は「(制度の複雑さの)ツケが企業側にまわされているように感じる」と不満を漏らしています。

インボイス制度の導入まで約2かですが、対応準備が遅れている事業者も多いです。
制度開始後に戸惑いが広がる可能性もあります。

国税庁や公正取引委員会はこれまでも、特設のウェブサイトや専用の電話相談窓口などで制度の適切な運用についての周知を図ってきました。
しかしながら、事業者間のトラブルや混乱を避け、円滑に制度を導入するには、さらにわかりやすく対応の参考になる情報発信ができるかが問われます。

多数のフリーランスと取引する企業は、インボイス制度の導入にあたり、対応に苦慮しています。

ポーラ・オルビスホールディングス傘下のポーラ(東京都品川区)は、エステやカウンセリングを通じて化粧品などを販売する個人事業主2万5,000人と委託販売契約を結んでいます。
「課税事業者登録への協力を呼びかけている」(ポーラ)ようです。
同時に、オンライン説明会や動画配信、コールセンター設置など独自で手厚い対応も進めています。

仕事の発注者と働き手をマッチングする仲介サービスは、板挟みに悩む様子が垣間見えます。

約90万社の企業と働き手約560万人が登録する最大手のクラウドワークスは、2023年10月以降、働き手が課税登録をしているかどうか発注者側が確認できる仕組みにします。
クラウドワークスは、インボイス対応の方針について自社ブログで説明しています。
一方で、働き手を保護するため、発注者側に対しては従来どおり、働き手に消費税分を含んだ料金を支払うよう求める方針です。

ただし、働き手の個人事業主らからは「免税事業者のままだと選別されて、受注が減るのではないか」といった不安も出ているようです。
クラウドワークスは「制度開始後の状況によって、必要な対応をさらに検討していく」としています。

<インボイス制度とは>
消費税額を正確に計算するための制度。10%と8%税率のうち、どの税率の取引か把握するため売り手が請求書(インボイス)に税率ごとに税額を記します。
インボイスを発行できるのは税務署に登録した課税事業者のみです。
インボイスがないと買い手が消費税を納める際、仕入れにかかった消費税額を差し引けません。
フリーランスなどに多い免税事業者との取引が敬遠される懸念もあります。
ただし、制度導入後6年間は、免税事業者からの仕入れについて一定割合を差し引ける経過措置もあります。

10月にインボイス制度がスタートすると、色々と混乱するでしょうね。
個人的には、まだまだ国の周知が足りないのではないかと思いますし、特例などを設けることにより余計複雑になっているのではないかと思います。
インボイス制度導入に反対されている方もおられるようですが、登録するかどうか悩むくらいであれば、課税事業者となるよう頑張れば良いとおっしゃる方も多いですし、僕自身もそう思います。

インボイス導入で複雑ルールも背景に取引先への圧力懸念が強まっていることについて、あなたはどう思われましたか?


中身は水なのに「高級化粧品370億円分輸出」と申告し消費税を不正還付!

読売新聞によると、高級化粧品の架空取引を巡り、東京都内の卸売会社と輸出会社が東京国税局の税務調査を受け、計約44億円を追徴課税されていたことが関係者の話でわかったようです。
仕入れにかかる消費税を過大に計上したほか、輸出免税制度を悪用し、消費税の不正還付を受けようとしていました。

関係者によると、東京都新宿区の卸売会社は2021年11月までの2年間に、都内の会社から高級化粧品などを約370億円で仕入れ、輸出会社約10社に販売したと税務申告しました。
輸出会社は化粧品を香港に輸出したと申告していたようです。

東京国税局は税務調査の結果、実際に取引されていたのは化粧品ではなく、飲料水だったと判断しました。
卸売会社が約370億円とした仕入れは、実際には約30億円で、東京国税局は、仕入れにかかる消費税を過大計上していたなどとして、卸売会社に過少申告加算税を含む消費税約35億円を追徴課税しました。

輸出会社に対しては、商品を海外に輸出すると、仕入れ時に支払った消費税が還付される免税制度を悪用し、不正な還付申告をしたとして計約9億円を追徴課税しました。
東京国税局は、卸売会社が輸出会社に還付申告を促し、受け取った還付金を分配しようとしていたとみています。

卸売会社の代表は税務調査後、中国に出国して連絡がつかず、会社所在地のマンションも不在となっているようです。

事実だとすると、かなり悪質ですね。
取れないと日本として大損害ですので、どうにかして、税金を取って欲しいですね。

中身は水なのに「高級化粧品370億円分輸出」と申告し消費税を不正還付していたことについて、あなたはどう思われましたか?


ポイント交換は無償取引であるとの逆転判決!

TabisLandによると、企業間のポイント交換に応じて支払われた金員が消費税法上の役務の提供の対価に該当するか否かの判断が争われた事件で、大阪高裁(善本貞彦裁判長)は、共同で行う顧客に対する企業ポイントの交換サービスを実施して、他の法人から受領した金員は資産の譲渡等の対価に当たらず不課税取引に該当すると判断して一審の判決内容を否定し、カード運営事業者側の請求を認容する逆転判決を言い渡しました。

この事件は、会員に対して鉄道等の旅客運賃等及び商品購入代金等を決済するサービスや、商品購入代金等の決済手段としてカードを利用した際に企業ポイントを付与するサービスを提供する他、その企業ポイントと提携法人が付与する企業ポイントとを交換するなどのサービスを提供する交通系ICカードを発行する運営事業者が控訴していたものです。

控訴人は当初、提携ポイントを企業ポイントに交換した後に提携ポイントを付与した提携法人から支払われた金員を消費税の課税標準で課税資産の譲渡等の対価の額に算入した上で申告をした後、その金員は消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額に算入されないなどとして更正の請求をしたところ、原処分庁から更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたため、その一部取消しを求めて提訴したという事案です。

しかしながら、一審の大阪地裁が、控訴人に支払われた金員は、提携法人に対してポイント交換がされた提携ポイントを保有していた双方の会員に、提携ポイント数を基に所定の割合によって算出した数の企業ポイントを付与し、その数の企業ポイントについて控訴人が実施するポイントサービスの対象に組み込むという役務の提供に対する反対給付であるというべきであるから、対価に該当すると判示して訴えを斥けたことから、判決内容を不服とした運営事業者側が更にその取消しを求めて控訴していたわけです。

控訴審は、提携ポイントを付与した提携法人から支払われた金員は、ポイント交換に係る提携ポイントを発行した者としてその利用に係る経済的負担を負うべき立場にある提携法人がポイント還元を行う控訴人のためにその原資を提供する行為に他ならないことから、ポイント交換は無償取引であると判断し、運営事業者側の請求を認容する逆転判決を言い渡しました。
国側が上告を断念したため、納税者勝訴で確定しました。

納税者の勝訴は嬉しいですね。
納得できなければ、争って、課税当局の考えを正してほしいですね。

ポイント交換は無償取引であるとの逆転判決があったことについて、あなたはどう思われましたか?


不適正な免税販売で大丸松坂屋に4億円超の追徴課税!

日本経済新聞によると、大丸松坂屋百貨店が消費税の免税販売を巡って東京国税局の税務調査を受け、2022年2月までの2年間で約3億9,000万円の申告漏れを指摘されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
免税販売の要件を満たさない取引が複数あり、過少申告加算税を含めて約4億3,000万円を追徴課税されました。

消費税法は外国人観光客らが購入した土産品などに免税を認めています。
転売目的での購入はできません。

関係者によると、大丸心斎橋店(大阪府大阪市)などの一部店舗で、本人確認が不十分なまま化粧品を販売したり、購入者の誓約書など必要書類を保管していなかったりした事例が相次いで確認されました。
パスポートの人物とは異なる購入者が同じ商品を免税で数十万円分購入するなど、転売目的が疑われる事例もあったそうです。

日本経済新聞の取材に対し、大丸松坂屋百貨店は「今回の税務調査での指摘を踏まえ、今後より一層、適切な免税処理に努める」とコメントしました。

百貨店の免税販売を巡ってはそごう・西武、小田急百貨店、松屋の3社も要件を満たさない取引があったとして追徴課税を受けています。

百貨店は免税だと訪日客の売上が増えていいのかもしれませんが、不正に使われると、日本の税収が減るということを認識してほしいですね。
そもそも、それが分かっているところだけに、免税店の許可を与えるべきだと思いますが。
なぜ、海外では一般的だと思われるいったん消費税は支払って、あとから返すみたいなやり方にしなかったのでしょうか?

不適正な免税販売で大丸松坂屋に4億円超の追徴課税が行われたことについて、どう思われましたか?


給料を外注費と偽り消費税など5,500万円を脱税!

テレビ朝日によると、消費税などおよそ5,500万円を脱税したなどとして、神奈川県大和市の土木工事業の実質的経営者の男ら2人が在宅起訴されました。

土木工事業の実質的経営者(53)と役員(58)は、2019年8月までの3年間で消費税などおよそ5,500万円を脱税した罪などで在宅起訴されました。

横浜地検によると、実質的経営者らは消費税が控除されない従業員の給料について、消費税が控除される「外注費」と偽って計上し、確定申告をしていました。

横浜地検は2人の認否を明らかにしていません。

また、同じ手法で脱税したとして逮捕されていた別の代表(64)も起訴されました。

これも悪質なケースですね。
こういうのは、指南役がいるのでしょうか?
そもそも、給与か外注費かというのは判断がなかなか難しいところので、こういったところで脱税を図ると、税務調査があると、バレやすいのではなかと思います。
常々言っていますが、安易に脱税するのではなく、きちんと検討したうえで節税をしましょうということですね。

給料を外注費と偽り消費税など5,500万円を脱税していたことについて、どう思われましたか?


銀行送金をインボイスと連動し入出金の確認を大幅に短縮!

日本経済新聞によると、政府が2023年10月にインボイス(適格請求書)を導入するのに合わせ、全国銀行協会が企業間の決済を簡単にできるようにするようです。
多くの情報を載せられる送金システムの規格をデジタルインボイスに対応させ、企業が請求から決済までをデジタルで一括でできる仕組みを整えます。
三菱商事がアナログ取引削減のため顧客への普及を目指すなど、企業側の動きも広がっているようです。

政府は2023年10月にインボイス制度を導入します。
商品・サービスの売り手は税率などを記したインボイスの発行が求められます。
国が普及を推進するのが、請求書情報をデータ化したデジタルインボイスです。

全銀協は2023年春をめどに、デジタルインボイスの標準仕様に対応した送金規格をまとます。
通常よりも情報処理量が多い送金システム「全銀EDI(ZEDI)」での送金でこの規格を使います。
規格に対応した会計ソフトなどを使えば、企業が取引先からデジタルインボイスとして受け取った請求書データを送金情報に自動連携でき、送金は請求書とひも付けられます。

具体的には「どの請求書に対する支払いか」や請求書発行日、請求金額、連絡先などの情報が載せられます。
お金を受け取った企業は会計ソフトを使うと、この情報を自動で記録できるようになります。
企業の決済・会計業務を大幅に効率化できると期待されています。

恩恵が大きいのはお金の受け取り手です。
通常の送金で送る情報は「宛先」「金額」などわずかです。
商品・サービスを売ってお金を受け取った企業は「これは何のお金か」を手作業で確認して記帳しなければなりません。
送金側とメールなどでやりとりして照合する必要があることも多くなっています。
全銀協の調べでは、中小企業の半数以上が入金確認作業に月5時間以上を費やしています。
中小の素材メーカーや専門商社では電話や紙、ファクスなどアナログ取引の慣行も多く残っています。
三菱商事は請求や決済を効率化する製品を開発し、ZEDIに連携させる計画です。
決済のデジタル化を顧客や関係企業に普及させたい考えのようです。
三菱商事の担当者は2022年12月の全銀協の会合で「まずは鉄鋼業界への普及を図りたい」と話しました。

今回デジタルインボイスと連動するZEDIは、銀行間送金を担う全国銀行データ通信システム(全銀システム)を補完する送金網として2018年に稼働を始めました。

銀行界は企業の決済を効率化させる目的でZEDIを設けましたが、専用の会計ソフトが企業の間で普及しておらず、利用率が低迷していました。
普及に弾みをつけるため、全銀協はインボイスとZEDIの双方に対応する会計ソフトなどを開発する企業に助成金を交付する事業を募集し、NTTコミュニケーションズなど19事業者が応じました。

ZEDIは2024年12月に更改期限を迎えます。
更改後は、全銀協で初めて送金網にクラウドサービスを使う方針です。
NTTデータのクラウドを利用します。
クラウド化で運用コストを引き下げ、金融機関の負担を減らします。

送金に請求書などの情報を載せて決済事務を効率化する動きは世界の潮流です。
世界の銀行が出資し、1973年に設立された国際的な資金決済網であるスイフトは情報量の多い新たな送金規格への移行を進めています。
スイフトは200以上の国・地域で1万1,000社以上の金融機関が利用しており、国際送金の共通基盤となっています。
国境を越えた資金のやり取りが増えるなか、日本の国内でも決済のデジタル化は急務です。

早く、中小企業でも低コストで使えるようなデジタルインボイスが普及して、スタンダードなものになってほしいですね。
そうなると、事務処理がかなり減少すると思います。

銀行送金をインボイスと連動し入出金の確認を大幅に短縮することについて、どう思われましたか?


インボイス発行なしでもフリーランスと取引!

日本経済新聞によると、消費税の税率と税額を記した請求書をやりとりするインボイス制度の10月からの導入を控え、人材サービスのWaris(東京都千代田区)やマイナビなど7社・団体は、先日、インボイスを発行しないフリーランスと取引を続けると表明しました。
インボイスがないと税負担が増しますが、事業に欠かせないフリーランスとの協業を優先するようです。

フリーランスら1万人超が会員となっているプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(フリーランス協会、東京都中央区)が取引の維持や待遇の改善を呼びかけていました。
フリーランスが消費税の課税事業者に転換し、インボイスを発行できるようになる場合は2%以上の報酬の引き上げを促します。

現在、企業は消費税の納税で、取引先からの仕入れにかかった税額は控除できます。
しかしながら、10月以降は原則としてインボイスがなければ控除できなくなります。
よって、インボイスを発行しない事業者は取引を打ち切られる懸念がありました。

インボイスを発行するには自らが消費税の課税事業者となる必要があります。
フリーランスは売上高1,000万円以下の免税事業者が大半で、フリーランス協会が2021年に実施した調査では課税事業者への移行を選ぶ事業者は4割弱です。

中小企業庁が2022年に実施した免税事業者への調査では「課税事業者として登録する予定はない」との回答が3割でした。
取引先からインボイスの発行を求められている事業者の1割が「発注側から値下げや打ち切りを言われている」そうです。

こうした発注側の対応について、政府は「独占禁止法上の優越的地位の乱用にあたる可能性がある」と法令順守を呼びかけています。
下請け事業者の保護をめざす下請法に違反する可能性もあります。

フリーランスとの取引継続を表明したのはWarisなどのほか、IT(情報技術)系フリーランス仲介のPE-BANK(東京都港区)、キャリア開発のクオリティ・オブ・ライフ(東京都中央区)、コンサル会社のヒューマン・コネクト(東京都千代田区)、システム開発のビーブレイクシステムズ、民間団体TETAU(和歌山県上富田町)です。

協会はインボイスがないことを理由に報酬を引き下げないよう促します。

最近は、インボイスのことを聞かれることも多くなりました。
免税事業者の場合、なかなか難しい判断をしないといけないケースもあります。
10月からスタートしないのではないかと思っている方もそれなりにいるのではないかと感じていますが、個人的にはスタートすると思います。
軽減税率8%の財源の大きな部分を占めるのが、インボイス制度の導入によるものですから。

インボイス発行なしでもフリーランスと取引すると明言するところが現れたことについてどう思われましたか?


パワーストーンの仕入れを装い消費税7.5 億円の不正還付受けようとした疑いで刑事告発! 

TBS によると、パワーストーンの仕入れを装い、消費税の還付を不正に受けようとしたとして、コンサルティング会社の代表らが東京国税局に刑事告発されました。

消費税法違反の疑いで刑事告発されたのは、東京都内のコンサルティング会社の代表(36)と、雑貨販売会社などの代表ら6人です。

関係者によると、代表は6人にパワーストーンを仕入れたことにして、消費税およそ7億5,000 万円の還付を不正に受けさせようとした疑いがもたれています。

代表は「関係各所へは真摯に対応させて頂く」とコメントしています。

これも悪質な事案ですね。
脱税の指南をやってはいけないのは明白だと思いますが、やる会社の経営者も払ってもいない消費税が還付されるということをおかしいとは思わないのでしょうか?

パワーストーンの仕入れを装い消費税7.5 億円の不正還付受けようとした疑いで刑事告発されたことについて、どう思われましたか?


イオンリテールが免税不適正対応で追徴課税2億円超!

日本経済新聞によると 総合スーパーを展開するイオンリテール(千葉県千葉市)は東京国税局の税務調査で、消費税の免税販売を巡り保管が義務付けられている書類を破棄するなど不適正な対応があったとして、計2億3,600万円の追徴課税を受けたと発表しました。

既に納付を済ませたそうです。

税務調査は2021年8月~2022年2月に行われ、イオンリテールによると、同社の店舗で2020年度までの5年間にわたり必要書類を破棄していたほか、2019、2020年度にはパスポートなどによる本人確認をしないまま免税販売をしていたことが判明しました。

イオンリテールは「国税当局からの指摘を真摯に受け止め、適正な免税販売に努める」とコメントしています。

不正により日本の税収が減るわけですから、課税当局には厳正に対応していただき、今回のようにきちんとルールを守っていないとことからはきっちり取ってほしいですね。
こういうことがあると、取り消しとかはできないんですかね?

イオンリテールが免税不適正対応で追徴課税2億円超となったことについて、どう思われましたか?


不動産会社と国税局が賃料収入の解釈の対立によるマンション転売時の消費税控除は?

日本経済新聞によると、中古賃貸マンションを転売する際の消費税控除を認めず、課税処分をした国税当局の対応は不当だとして、不動産会社が処分取り消しを求めた訴訟の上告審弁論が、先日、最高裁第1小法廷(安浪亮介裁判長)で開かれました。

不動産会社は「エー・ディー・ワークス」(東京都)です。
マンションを購入して大規模修繕などして、投資家らに転売する事業を手掛けています。
2017年3月期までの3年間の売買に関する消費税の税務処理を巡って国税当局から計約5億3千万円の課税処分を受け、2018年に提訴しました。

訴訟では、消費税の「仕入れ税額控除」の適用の可否が争われました。
販売時に受け取った税額から購入時に支払った税額を控除して納税する仕組みです。

エー・ディー・ワークスは制度に基づいて税務申告しましたが、国税側は転売先が決まるまでの間、一部の住居から賃料収入を得ていた点を問題視し。控除を一部しか認めず申告漏れを指摘しました。

先日の上告審弁論で、エー・ディー・ワークス側は「マンションの購入は転売収入が目的で、賃料収入が目的ではなかった」と主張しました。
国側は「購入時点で賃料収入の発生は見込まれていた。課税処分は適法だ」と反論しました。

下級審では判断が割れました。

一審・東京地裁は2020年9月、エー・ディー・ワークスの取引の主眼は転売で賃料収入は「副産物」として、処分の取り消しを認めました。
二審・東京高裁は2021年7月、控除の対象にならないとしてエー・ディー・ワークスの逆転敗訴としました。

2020年4月に中古マンションの売買は仕入れ税額控除制度の対象から一律で除外され、今回の訴訟と同様の問題は生じないようになっています。

国税庁が解釈を途中で変えた案件だと思いますので、エー・ディー・ワークスには勝っていただいて、国税庁の勝手な解釈の変更を認めないでほしいですね。

不動産会社と国税局が賃料収入の解釈の対立によるマンション転売時の消費税控除について、どう思われましたか?


10月開始のインボイスショックで声優の「4人に1人が廃業」を検討!

ダイヤモンド・オンラインによると、声優は日本に1万人以上いますが、その約76%が年収300万円以下だそうです。
ほとんどの声優が免税事業者であり、受け取った消費税の納税は免除され益税となっています。

およそ4人に1人が廃業を検討という驚愕の事実が明らかになりました。
2022 年秋に声優やアニメ、漫画、演劇といったエンターテインメント業界4団体が、関係者たちにインボイスの影響について尋ねたアンケートの結果です。

エンタメ業界では、フリーランスや個人事業主として働く人が大半ですが、インボイス制度に対して悲観的であることがうかがえます。

例えば、声優は日本に1万人以上いますが、その約76%が年収300万円以下です。
ほとんどの声優が売上高1,000万円以下の免税事業者であり、受け取った消費税の納税は免除され益税となっています。
とはいえ、レッスンなどに多額の経費がかかり、生活は苦しいというのが実態です。

そうした中、インボイスの発行事業者(適格事業者)になれば消費税の納税義務が発生するだけでなく、事務作業の負担も増します。

何より、適格事業者にならなければ、発注元が仕入税額控除できないため仕事の依頼が来なくなったり、単価の引き下げを求められたりすることになります。

「経済的事情から事業の継続を諦めざるを得ない人が出てくる。多くの才能が集まらなくなり、クオリティーが落ちるだろう」(40代、俳優・声優)

「所属俳優でインボイス登録しない者は、消費税分のギャラを引くと言われた。実質年収1割減が確定した。登録してもしなくても収入が減り、負担が増える制度はおかしいと思う」(50代、声優・ナレーター・講師)

20代の大学生からは、「将来、私はアーティストとして活動するために勉強中です。でも、インボイス制度が導入されれば、今学んでいることが無駄になりかねません」という声も上がっています。

しかも、新型コロナウイルスの感染拡大により、特に声優や俳優、演劇の仕事はなくなり、そもそも低めだった収入がさらに大幅に減っています。
そのタイミングでの事実上の増税である“インボイスショック”に対し、悲鳴が上がるのも無理はないでしょう。

こうした憂き目に遭うのは、何もエンタメ業界だけではありません。
個人タクシーもインボイス制度の影響が大きい業界なのです。

というのも、個人タクシーの運転手は免税事業者がほとんどです。
そのため、適格事業者にならなければ、個人タクシーを利用した企業は仕入税額控除ができず、企業側の納税負担が増えてしまうのです。

それゆえ、企業から敬遠されまいとして多くの個人タクシー運転手は適格事業者となる見込みですが、消費税の納税負担があるだけでなく、インボイスを発行する機械の交換などの費用もかかるため、廃業を検討している人も少なくありません。

しかも、簡易課税制度を利用すれば売上消費税の50%を控除できますが、高額な自動車を購入した場合には簡易課税制度の方が多額になるケースも出てくるため、判断が難しいのです。

また、当面は経過措置もあり、適格事業者と免税事業者が混在することになりそうですが、社名表示灯(あんどん)や車体の色で区別する方向とはいうものの、利用者からすれば混乱を招くことになるでしょう。

インボイス導入により、業界によっては色々な問題が出てくるかと思います。
インボイス導入の目的のひとつが益税の排除なのですから、悲観ばかりせず、業界の構造を変えるチャンスとか、ご自身の商売について再度考える必要があるように思いますね。
個人的には、売上が1,000万円にいっていないから登録すると損をするからどうしようかと考えるより、1,000万円を超えるようになるにはどうすれば良いかを考える方がわくわくしますし、将来性があるのではないかと思います。

10月開始のインボイスショックで声優の「4人に1人が廃業」を検討していることについて、どう思われましたか?


インボイス制度でネットバンキングと連携し自治体が中小企業を支援!

日本経済新聞によると、消費税の軽減税率に対応し正確な税額を示すインボイス(適格請求書)制度が2023年10月1日に始まるのに合わせ、インボイスの作成や送受信を自動化するシステムを開発する動きが自治体から出てきました。
地域の中小企業などが対応を迫られる受発注業務のデジタル化を支え負担を軽減します。
岐阜県のシステムは最大約100社が実証に参加する見通しで、本格稼働すれば全国のモデルケースとなる可能性があります。

インボイス制度が始まると中小の事業者は受発注業務のデジタル化が不可欠となります。
現在、年間の課税売上高が1,000万円以下の企業は消費税の納付が免除されています。
制度開始後は、多くの企業は課税売上高などにかかわらず、消費税の適用税率や税額の明細を記したインボイス(請求書や納品書)を基に納税するのが原則となります。
中小企業にとってそのためのシステム投資は重荷です。

そこで岐阜県は県内の金融機関やシステム会社と協力し、企業間の受発注に使われる既存のEDI(電子受発注)システムを生かした「EDIデータ連携共通基盤システム」を開発します。
2023年度当初予算案に事業費を計上し実証実験を行う。岐阜県産業デジタル推進課の担当者によると、実証に参加する事業者は最大約100社に上る見通しで、本格稼働すれば「岐阜モデル」として注目されそうです。

特徴は金融機関のインターネットバンキングシステムを介してデジタルインボイスのやり取りができる点です。
利用企業は法人口座を持つ金融機関のネットバンキングシステムにログインすれば、岐阜県のEDIデータ連携共通基盤システムを利用できます。
全銀EDIシステム(ZEDI)を介しEDIの取引データと連携することで、自動振り込みやデジタルインボイスの自動作成・保存が可能になります。
ZEDIは全国銀行資金決済ネットワーク(東京都千代田区)が運用する企業間決済基盤です。

岐阜県のシステムはデジタルインボイスをやり取りできる国際規格「Peppol(ペポル)」に準拠し、2024年1月に義務化される電子帳簿保存法にも対応します。
岐阜県は中小企業への普及を促すとともに、自ら発注者として電子調達にこの仕組みを活用します。
金融機関にとっては取引データを生かした融資などの新サービスにつながる可能性があります。

インボイスのデジタル化を巡っては、会計システムを手掛ける約20社がペポル対応製品を近い時期に発表する見通しです。
ただし、製品は出そろっておらず、自治体は地元企業の支援が急務となっています。
岐阜県の情報化を推進する公益財団法人ソフトピアジャパン(岐阜県大垣市)の松島桂樹理事長は「方言が『標準語』になれる可能性がある」と全国で参考になるモデルにしたいと意気込みを語っています。

会計ソフトの会社などがデジタルインボイスのサービスを提供すると思っていたのですが、自治体でも提供するところが出てきたんですね。
税金の無駄づかいにならないよう、切磋琢磨して、事業者にとって使い勝手が良いものができることを期待しています。

インボイス制度でネットバンキングと連携し自治体が中小企業を支援することについて、どう思われましたか?


消費税免税の制度悪用を見抜けずAppleに130億円の追徴課税!

日本経済新聞によると、アメリカのアップルの日本法人、アップルジャパン(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、約130億円の消費税を追徴課税されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
過去数年間にiPhoneなどの販売で、消費税の免税制度の要件を満たさない取引を見抜けなかったケースが多数あったなどと指摘されたもようです。
客の申告に基づく日本独特の制度が悪用された形で「抜け穴」の解消が急務でしょう。

消費税で100億円を超える追徴税額は極めて異例です。
アップルジャパンは修正申告したとみられます。

消費税法は、来日6か月未満の非居住者が購入した土産物や日用品などの免税を認めています。
転売目的などは課税対象となり、不適切な購入を見抜けなかった免税店側が消費税分を負担しなければいけない場合があります。
インバウンド(訪日外国人)客の購買需要が増すなか、日本製品や高級品を巡る適切な免税販売の徹底が改め
アップルジャパンは、2022年6月に免税販売を自主的に中止しました。
日本経済新聞の取材に対し、「弊店では免税でのお買い物はご利用いただけません。ご不便をおかけすることをおわび致します」とコメントしました。

消費税の導入から33年経ちました。
国税当局が2022年6月までの1年間に実施した法人調査で、消費税は約2万4千件の申告漏れがあり、追徴税額は計869億円に上りました。
5年前から11%増え、過去最高となりました。

近年増えているとされるのが、インバウンド客への不適切な免税販売です。
2021年以降、大手百貨店3社が東京国税局から計1億円超を追徴課税されました。

政府は2012年以降、インバウンドを成長戦略の柱と位置付け、空港の発着枠や免税店を拡充してきました。
訪日客の購買意欲を示す免税売上高(日本百貨店協会)は2019年に3,400億円を超え、3年連続で過去最高を更新しました。
一部で不適切な免税販売が行われれば、本来は国の社会保障財源となるはずの消費税が納付されず「国の損失」となります。

海外では出国時に免税額を払い戻す制度が主流で、手続きが煩雑な半面、不適切な免税販売は起きにくくなっています。欧州連合(EU)は主に税関の確認を経て事業者が払い戻します。
出国時に税相当額を政府機関が還付する国もあります。

日本政府は2020年4月に、免税店が購入情報の電子データを国税庁や税関と共有する仕組みを導入しました。
国税当局は、一部業界で不正が疑われれば免税販売しないよう行政指導しました。
免税販売を適正化できるか実効性が問われています。

そもそも消費税率を上げたり、インボイス制度を導入して免税事業者を課税事業者にさせる前に、こういった取りっぱぐれをなくすことを考える方が先決なのではないかと思います。
いったんは消費税を支払ってもらって、税関で現物を確認のうえ、払い戻すのが現実的なのではないかと思います。
手続きが面倒な人からは消費税が取れ、また、転売目的のものを一定数は防げるでしょうから。

消費税免税の制度悪用を見抜けずAppleに130億円の追徴課税が行われたことについて、どう思われましたか?


絵画や骨董品で高額取引を装う消費税の不正還付申告を東京国税局が指摘!

朝日新聞によると、輸出の際に消費税が還付される制度を悪用したとして、東京都内の輸出会社が東京国税局の税務調査を受け、消費税約5,400万円の還付を不正に申告したと指摘されたようです。

重加算税を含めた追徴課税は約7,300万円です。

東京国税局は、複数の業者が組織ぐるみで絵画や骨董品などを高額で取引したように見せかけていたとみています。

関係者によると、追徴課税されたのは東京都台東区の輸出会社です。
輸出会社は、今回の追徴課税の取り消しを求めて国税不服審判所に審査請求しているようです。
東京国税局は取引自体が架空だったとみていますが、輸出会社は「適正な輸出手続きの過程で消費税の還付申告をしているので、還付を受けるのが相当だ」と主張しています。

消費税は国内で売買された商品にかかる税金のため、輸出品は免税となります。
そのため、国内で商品を仕入れて輸出した場合、仕入れの際に支払った消費税は国から還付される仕組みになっています。

関係者によると、輸出会社は2020年2月~2021年3月に、中国人画家の絵画の贋作や中国製のつぼ、陶器といった骨董品など計約30点を都内の古物販売業者から総額約6億円で仕入れ、ほぼ同額で香港の業者に輸出したとする申告書を税務署に提出しました。
「仕入れ時に支払った」として消費税約5,400万円の還付を受けようとしましたが、東京国税局は不審な申告だとして還付を保留し、実際に還付されることはなかったそうです。

どちらの主張が正しいのかはよく分かりませんが、不正還付なのであれば、きちんと対処して欲しいですね。
こういったことがあるので、普通に消費税の還付申告をしてもなかなか返してくれませんので、どうにかしてほしいですね。

絵画や骨董品で高額取引を装う消費税の不正還付申告を東京国税局が指摘したことについて、どう思われましたか?


訪日客の免税品の転売防止のために買い手から税を徴収!

日本経済新聞によると、政府は一部の訪日外国人による悪質な転売事例への対策も強めるようです。
政府・与党は訪日外国人に免税品を購入させて買い取り、消費税を免れる不正行為を防ぐための対策の検討に入いりました。

自国に持ち帰らず日本国内で転売した場合、買い取った業者側から消費税を徴収しやすくします。
2022年12月中にまとめる2023年度税制改正大綱に盛り込むことを目指すようです。

消費税法では、訪日客など日本に住まない人が一定の条件を満たす商品を買って自国に持ち帰る場合、消費税を免除する制度があります。

この制度を悪用し、国内を拠点とする業者から指示を受けた訪日外国人が免税で大量に購入した化粧品やブランド品を国内で転売し、消費税分などの利ざやを稼ぐケースが相次いでいました。

これまでは買い取った業者から徴収できるのは訪日客が特定できない場合に限っていました。
政府・与党は水際対策の緩和で訪日客が再び増えることも想定し、訪日客を特定できるかを問わず、業者側から徴収できるように制度を改めます。

日本が消費税を損しているわけですから、こういった改正は良いことだと思います。
こういうことをやる目的で日本に来て爆買いしているとしたら、訪日客が増えても喜ばしいことではないですね。

訪日客の免税品の転売防止のために買い手から税を徴収することについて、どう思われましたか?


東京地検が5,100万円の脱税疑いで不動産会社の役員を逮捕!

日本経済新聞によると、東京地検特捜部は、先日、約5,100万円を脱税したとして東京都中央区にある不動産会社の実質的経営者の会社役員(59)を法人税法違反などの疑いで逮捕しました。
東京国税局と合同で関係先を家宅捜索しました。
東京地検特捜部は、認否を明らかにしていません。

逮捕容疑は架空の業務委託費を計上するなどして約2億900万円の所得を隠し、2015年8月から2016年7月までの事業年度の法人税と地方法人税を免れた疑いです。

不動産会社のホームページなどによると、ビルやマンションの管理代行、売買などを手がけています。
不動産会社の実質的経営者の会社役員は大手の保険代理店の創業者に、消費税計約2,500万円の不正還付を指南したとして、2013年に消費税法違反などの罪で起訴され一、二審で執行猶予付きの有罪判決を受けていました。

脱税である架空の経費を計上するくらいなら、合法的な節税の方法はたくさんあると思いますが、なぜ脱税に走るんでしょうね。
決算の段階で利益が出過ぎていることに気づいて、慌てて架空の経費を入れるのでしょうか?
それならば、月次決算を行って、毎月の状況を確認しつつ、合法的な節税をすればよいと思いますが。

東京地検が5,100万円の脱税疑いで不動産会社の役員を逮捕したことについて、どう思われましたか?


小規模業者はインボイスなしでも税額控除を可能にすることを政府・与党が検討!

日本経済新聞によると、政府・与党は消費税の税率や税額を請求書に正確に記載・保存する「インボイス制度」を巡り、2023年10月の導入時に小規模な事業者向けの猶予措置を設ける調整に入ったようです。
仕入れ時にかかる消費税額の控除を、少額の取引ならインボイスがなくても受けられるようにします。
中小零細企業の事務負担を軽くし、制度を円滑に導入できる環境を整えます。

インボイス制度は「適格請求書等保存方式」の別称。取引した商品やサービスごとに消費税額と税率を記載した請求書をやりとりします。
軽減税率の導入で8%と10%に税率が分かれた消費税の正確な納税に欠かせない仕組みです。

2023年10月の導入が迫り、規模の小さい事業主の事務負担の軽減が課題となっています。
会計ソフトなどを活用していない場合、インボイスを1枚ずつ手作業で確認する必要があります。

政府・与党は会計システムの導入には一定の期間がかかるとみています。
このため数年間の時限措置として、一回の仕入れ額が少額な取引ではインボイスがなくても控除を受けられるようにします。

対象となる事業者の線引きと期間、取引額の上限は今後詰めます。
事業者は課税売上高で年1億円以下に絞る案があります。
少額取引の額は1万円未満とする方向で調整するようです。

財務省によると、課税売上高が5,000万円以下の事業者は2021年3月末時点で全国に114万あります。
1億円以下が基準となれば、100万を上回る事業者が対象となります。

現在はインボイスよりも簡素な請求書を使っています。
一回3万円未満の取引は請求書を保存しなくても仕入れ時の消費税の控除を受けられる特例があります。
この特例に似た措置を小規模事業者の少額取引に限って設けます。

消費税を納めない小規模な免税事業者はインボイスを発行できません。
控除を受けられなくなる買い手から敬遠されて取引を打ち切られる可能性がありました。
こうした心配が当面は和らぎます。

2022年10月末時点でインボイス発行の登録・申請を済ませたのは約168万社です。
日本商工会議所が2022年9月に公表した調査によると、4割の事業者は特段の準備をしていないようです。
日本税理士会連合会は2023年度税制改正に向けて「少なくとも中小企業者の実務を踏まえた柔軟な運用を行うべきだ」と要望していました。

政府は会計ソフトの導入などに使える補助金も用意しています。
手作業がいらないデジタルインボイスが広がれば、小規模事業者の事務負担を緩和できるとみています。

税額と税率を正確に記載したインボイスは、納税実務をデジタル化する基盤となります。
制度の導入は2016年に決まりました。
政府は移行時の負担軽減策を設けつつ、制度の普及を急ぎます。

結局、小規模事業者の少額取引のみが対象であれば、あまり意味をなさないのではないかと思います。
大企業と取引のあるところは、この制度を使えない大企業側は登録していないところとの取引は極力避けるでしょうし、1万円以上のものを売っているところは関係ないでしょうから。
中途半端に特例を作ると、余計面倒になるような気がしてなりません。

小規模業者はインボイスなしでも税額控除を可能にすることを政府・与党が検討していることについて、どう思われましたか?


中国人男女ら7人で77億円分の“爆買い”は消費税の免税対象外!

NHKによると、中国人の男女ら7人が大阪市内の百貨店などでいわゆる“爆買い”した高級ブランド品など77億円相当の商品について、必要な書類などがなく免税の対象にならないとして、大阪国税局が消費税およそ7億6,000万円を徴収する処分を出したことが、関係者への取材で分かったようです。
業者から頼まれた転売目的の疑いがあり、7人は大半を納付せず、すでに出国したということです。

関係者によると、中国人の男女ら7人はおととし以降、観光などの目的で日本を訪れ、大阪市内の百貨店などで高級ブランドの腕時計やバッグなど合わせて77億円相当を“爆買い”し、消費税の免除の手続きをとったということです。

しかしながら、7人は半年以上日本に滞在したうえ、免税に必要な、商品を海外に送ったことを証明する書類を持っていなかったことなどから、大阪国税局は免税の対象にならないとして、7人が納めなかった消費税、合わせておよそ7億6,000万円を徴収する処分を出したということです。

関係者によると、7人は転売目的の業者から資金を得て高級品を購入して渡し、報酬を得ていた疑いがあるということです。
また、大半を納付せず、すでに出国したということです。

大阪国税局は「免税品は、お土産などとして国外に持ち帰る目的で購入する人だけのものなので、転売目的やSNSなどで依頼を受けて購入することはできないことを周知徹底していきたい」としています。

今回、悪用されたとみられるのは、外国人観光客が商品を国外に持ち出して消費する場合などに、消費税が免税される制度です。

免税品は、外国人観光客などが税務署の許可を受けた免税店で購入することができ、家電製品やカバン、化粧品や食品など、日常の生活で使われるものが対象になっています。

免税手続きをした人が、出国時に免税品を所持していなかったり、出国までに輸出していなかったりすると、免税の対象にならないとして、消費税を徴収されます。

一方、免税品は、事業用や販売目的の場合は免税の対象になりません。

免税品をめぐっては、コロナ禍前には、インバウンドの増加を背景に、免税制度を悪用した不正な消費税の還付や、転売目的の購入が相次いでいて、水際対策が大幅に緩和される中、国税当局は警戒を強めています。

国税庁は、不正の防止などを目的に、おととし4月から、免税店が購入記録や客のパスポート情報を国税庁に送る仕組みを導入し、税関ともこの情報を共有して、対策強化を進めています。

日本百貨店協会によると、ことし1月から9月までの全国の88の百貨店の免税品の売り上げはおよそ615億3,900万円で、コロナ禍で落ち込んだ去年1年間をすでにおよそ156億円上回っています。

入国者数の段階的な引き上げとともに、ことし7月以降は1か月当たりの売り上げが去年の同じ時期と比べて倍以上に伸びていて、ことし9月の売り上げは去年の同じ時期のおよそ3倍になっています。

ことし9月は、免税品を購入した客はおよそ2万8,000人に上り、客1人当たりの平均では、およそ33万円相当の商品を購入しているということです。

人気の商品をみると、1位が化粧品、次いで高級ブランド品、食料品です。

免税手続きをした人を国や地域別でみると、最も多かったのは中国で、次いで、台湾、韓国でした。

日本百貨店協会は、「コロナ禍前と比べるとまだ低い水準ではあるものの、水際対策が大幅に緩和された先月以降、免税品の売上はさらに伸びていると感じる」としています。

爆買いは、百貨店などは売り上げが増加して喜ばしいのでしょうが、こういうことがあると、日本としては損をしていますので、どうにかして、取り返してほしいですし、今後、こういったことがないように仕組みを考えてほしいですね。

中国人男女ら7人で77億円分の“爆買い”は消費税の免税対象外であることについて、どう思われましたか?


東京国税局が全国初の「消費税不正還付対策本部」を設置!

テレビ朝日によると、東京国税局が輸出商品への免税制度などを悪用した消費税の不正還付を防ぐため、全国で初めて対策本部を設置しました。

東京国税局の重藤哲郎局長は「通常の調査事案に比べても非常に困難性が高い場合が多々あります。国税当局の様々な部署が一体となって総力を上げて取り組んでいく必要があると認識しています。」とコメントしています。

先日設置された消費税不正還付対策本部には、東京国税局や税務署の職員ら100人以上が参加しています。

不正に還付された消費税額は、2021年6月までの1年間で全国で34億円でした。

そのうち8億円は東京国税局管内で、全国で最も多くなっています。

対策本部に関係部署の職員らを一同に集めることで、効率的に調査を進める狙いがあります。

消費税の不正還付は以前からたくさんあると言われており、真面目に申告している会社でも、消費税の還付申告をすると、最近では、簡単には還付をしてくれません。
税務調査がはいったり、資料を色々と提出しないと、それほどの金額でなくても還付してくれないことが多いように感じます。
一方で、後日、e-Taxで資料を提出しておきますと言っているのに、定期異動で担当者が変わり、引継ぎがきちんと行われていなかったのか、『まだ提出していただいておりませんが、どうなっていますか?』と言われ、『1か月以上前にe-Taxで提出しましたけど。』と答えると、多額であってもすぐに還付されたケースもありましたが(笑)。
こういうのができて、消費税の不正還付が減り、真面目に申告している企業は極力早めに還付されるようになることを期待したいですね。

東京国税局が全国初の「消費税不正還付対策本部」を設置したことについて、どう思われましたか?


インボイス制度でサイトに本名ずらりという身バレ懸念を受け国税庁が見直し!

朝日新聞によると、消費税の「インボイス制度」に登録した個人事業主の名前などの公表方法について、国税庁が見直す方針を決めたことが同庁への取材でわかったようです。

国税庁のウェブサイトから名前の一覧を誰でもダウンロードできる状況になっていましたが、先日、一時的に停止しました。
個人事業主の中には本名を明かさずに仕事をしている人も多く、「身バレにつながる」と懸念する声があがっていました。

サイトでは、2022年8月末までに登録した約20万件の個人事業主の名前が登録番号などとともにファイルにまとめられ、一括でダウンロードできていました。

国税庁によると、ダウンロードを一時的に停止し、このファイルの中で公表する情報の中身を見直すそうです。

インボイスとは、請求書や領収書のことです。
通常、事業者は商品などの販売時に受け取った消費税額から、仕入れなどにかかった消費税額を差し引いて納税しています。
仕入先からインボイスをもらえなければ、消費税から差し引けずに納税額が増えるのです。
2023年10月から、仕入先の事業主から受け取ったインボイスの保存が必要となる「インボイス制度」がスタートします。

制度に登録していない事業主からの仕入れでは控除を受けられないため、取引を敬遠される可能性があり、国税庁は個人事業主にも積極的な登録を呼びかけてきました。
サイトでの氏名の公表は、登録状況を誰でも確認できるために行っています。

しかしながら、掲載が2021年11月に始まると、事業主の間で波紋が広がりました。

「名字は公表したくないが、仕事をもらっている弱い立場で断れない」と話すのは声優の岡本麻弥さんです。
「機動戦士ガンダム」シリーズなど数々の有名アニメに、旧姓であり芸名でもあるこの名前で出演してきました。

サイトで公表される情報は原則は本名だけで、住所や芸名などの「屋号」については任意となります。
ただし、取引先から求められて公表すると、サイト上に本名と芸名が並ぶことになってしまいます。
「自分の本名を誰かがネットで拡散したら」という同じ不安を多くの声優仲間が抱えていることを知り、「VOICTION(ボイクション)」という団体を立ち上げ、公表を含む制度の見直しを求めてきたのです。

少し前にできたM&Aの登録支援機関なども、登録後、M&A関連の業者からDMなどが結構来るのですが、今回のインボイス制度の件も、ある程度は想定できていたのではないかと思います。
法人の場合、いわゆる登記簿に役員の氏名や代表取締役などの住所が記載され、誰もが見ようと思えば見れるため、法人と個人事業主とで差をつける必要がないという考えもあるのかもしれませんが、個人事業主の開業届や、支払調書などの個人番号(個人事業主としての個人番号は存在せず、個人としての個人番号が使われる。)や、事業所得なのか雑所得なのかを含め、国税庁が色々と見直さないといけない時期にきているのではないかと感じた1件でした。

インボイス制度でサイトに本名ずらりという身バレ懸念を受け国税庁が見直しを行うことについて、どう思われましたか?


「インボイス制度」への対応で免税事業者と「取引しない」が約1割で半数は検討中!

2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まります。
東京商工リサーチによると、消費税の仕入額税が控除されるインボイス制度について、「知らない」は7.5%で、制度の認知は広がっています。
しかしながら、準備や対応は鈍く、まだ半数近く(46.7%)の企業が取引方針を決めていない実態もわかりました。
一方、税控除ができない免税事業者との取引については、「これまで通り」との回答は4割(41.2%)にとどまり、「取引しない」(9.8%)が約1割、「取引価格を引き下げる」も2%(2.1%)ありました。
今後、取引関係に変化をもたらす可能性も危惧されます。

なお、東京商工リサーチは2022年8月1日~9日に、インターネットによる「インボイス制度」についての企業向けアンケート調査を実施し、有効回答6,441社を集計・分析しました。
資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義しています。

課税売上高1,000万円以下のフリーランスなど小・零細規模の事業者は、消費税の申告・納税義務が免除されています。
制度開始後、消費税の申告・納税が必要となる課税事業者が、インボイス発行事業者になると、売上先は仕入税額を控除できます。
ところが、免税事業者のままだとインボイスを発行できず、売上先は仕入税額を控除できないため納税額が大きくなるのです。

これを避けたい事業者が、免税事業者との取引解消や値下を要求する懸念が問題となっています。
一方で、免税事業者が、課税事業者を選択すると消費税の納税義務が生じ、小規模事業者ほど板挟みに苦悩しています。

Q1.2023年10月に導入される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」についてご存じですか?(択一回答)
インボイス制度を「知らない」と回答した企業は7.5%(6,441社中、483社)にとどまり、「よく知っている」19.5%(1,257社)、「大体知っている」49.0%(3,158社)、「少し知っている」23.9%(1,543社)を合わせた「知っている」は92.5%に達しました。
規模別では、「知らない」は、大企業が6.2%(988社中、62社)、中小企業が7.7%(5,453社中、421社)で、規模を問わずインボイス制度の認識は広がっています。

Q2.インボイス制度導入後、免税事業者との取引はどうする方針ですか?(択一回答)
インボイス制度の導入後、免税事業者との取引について、「これまで通り」が41.2%(5,292社中2,181社)と4割超を占めました。
一方で、「免税事業者とは取引しない」は9.8%(523社)、「取引価格を引き下げる」は2.1%(115社)と、1割強(11.9%)が取引中止や取引価格の引き下げ意向を示しています。
また、「検討中」は46.7%(2,473社)と、まだ半数近くは取引方針を迷い、免税事業者への悪影響が広がる可能性もあります。
規模別では、「免税事業者とは取引しない」は、大企業が6.4%(765社中、49社)、中小企業が10.4%(4,527社中、474社)で、中小企業が大企業を4ポイント上回りました。
また、「取引価格を引き下げる」は、大企業が1.4%(11社)、中小企業が2.3%(104社)で、取引継続は資金負担が生じることもあるだけに中小企業のシビアな回答が目立ちました。
一方、「これまで通り」は大企業が38.3%(293社)、中小企業が41.7%(1,888社)で中小企業が高くなっています。
「検討中」は大企業が53.8%(412社)、中小企業が45.5%(2,061社)と大企業では過半以上が検討中で、今後の方針決定で取引関係が大きく変わる可能性があります。

例えば、メーカーのA社が小売業のB社に11,000円(消費税1,000円)で納品し、B社が消費者に16,500円(消費税1,500円)で販売した場合、A社がインボイスを交付しB社が仕入税額控除を行うと1,500円から1,000円を引いた500円が納付税額となります。
しかしながら、A社が免税事業者だと、一定期間(6年間)の経過措置が設けられていますが、B社は控除できず、1,500円を納付しなければならないケースが出てきます。
そのためB社は、免税事業者との取引見直しを検討し、今回のアンケート調査では約1割の企業が取引を止めると回答しました。

免税事業者から課税事業者への移行を前に、個人事業から法人へシフトする動きも目立っています。
東京商工リサーチの調べでは、2021年の新たな「合同会社」の法人設立は36,934社で、5年前から1.6倍に急増しました。
設立手続きが簡単で、運用コストが安いメリットの合同会社を個人事業主が選択しているとみられます。

消費税の納税義務を免除されていた一部のフリーランスなどの免税事業者は、課税事業者に移行すると納税負担が増します。
一方、免税事業者のままでは取引解消のリスクが現実味を帯びてきます。
国は免税事業者との取引に配慮し、制度開始から6年間は仕入税額の一部控除が可能としました。
また、免税事業者との取引を、インボイス制度実施を契機に取引条件を見直すと、優越的地位の濫用として問題にもなりかねないと警鐘を鳴らしている。
ただし、企業は、基本的に取引先の選択を自由にでき、税負担が増す免税事業者との取引縮小の動きが加速する可能性は高いでしょう。
長引くコロナ禍で、小・零細事業者は経営不振が続くだけに、インボイス制度の導入で混乱が起きないように、事前の支援やフォローが重要になっています。

個人的に、知らないが7.5%というのは低すぎるのではないかと思いますが、かなり認知度は増してきているのは事実だと思います。
2021年10月1日から、インボイス制度の登録がスタートしていますが、1年ほど前に弊事務所のお客様にインボイス制度の説明をしたときには、ほとんどご存じの方はおられませんでしたが、最近では、取引先から説明を受けたりいているのか、お会いした方にインボイス制度の話しをすると、制度のことは知っている方が多いように思います。
継続的に多額の取引をしているところでなくても、飲食店、消耗品を買っているところなども、結局、インボイスの登録をしていないところだと、経理処理が煩雑になりますので、敬遠されていくのではないかと思っています。
免税事業者の方は、どうするかを早くから慎重に検討しましょう。

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消費税4,900万円を脱税した税理士だった社長は国税告発直前に税理士を廃業!

読売新聞によると、消費税約4,900万円を脱税したとして、東京国税局が衣料品卸売会社(東京都渋谷区)と、衣料品卸売会社社長で元税理士の男性(54)を消費税法違反の疑いで東京地検に告発していたことがわかったようです。

関係者によると、衣料品卸売会社は海外からカシミヤ製の衣料品を輸入し、百貨店の顧客向けに販売していました。
社長は、衣料品卸売会社に消費税の申告義務があることを知りながら、2020年8月までの3年間、消費税の確定申告を行わず、同期間の売り上げにかかる消費税計約4,900万円を免れた疑いです。

不正に得た資金は、社長の生活費や、衣料品の仕入れ費などに充てられていたようです。

取材に対し、社長は「国税局の指導に従って期限後申告を行い、納税も一部済ませた。今後は期限内に申告、納税をしていく」と文書で回答しました。

社長は衣料品卸売会社経営のほか、ビジネスコンサルタントとして企業向けの講演などをしていました。
税理士としても相続の相談や税務調査の立ち会いなどの業務を行っていましたが、告発直前の2022年3月13日に税理士を廃業しました。

これも、税理士としての処分を受ける前に廃業して処分を回避するという案件ですね。
税理士としては、当然、消費税の申告義務があることは分かっていたはずですから、あってはいけないことだと思います。
この社長は何冊か本も出されている方だと思いますが、同業者として恥ずかしいですね。
税理士であることを除いて考えても、こういう人に社長やビジネスコンサルタントがつとまるのだろうかと思ってしまいますが。

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消費税の過少申告で多額の追徴課税を受けた貴金属の買取・販売業者が破産!

東京商工リサーチによると、東京都台東区の貴金属の買取・販売会社が、先日、東京地裁から破産開始決定を受けたようです。

負債は債権者6名に対し、公租公課を中心に約24億9,700万円だそうです。

貴金属の買取店を出店し、一般顧客などを対象に金・銀・プラチナなどの貴金属の買取を手掛けていました。

買い取った貴金属の転売により収益を得ていましたが、2020年に消費税の過少申告が発覚し、過去3年間について東京国税局より過少申告加算税を含めて約24億円を追徴課税される事態が発生しました。

以降、追徴課税の負担がのしかかるなか、経営も限界に達し今回の措置となったようです。

記事からは意図的なのかどうか分かりませんが、きちんと申告しないと、追徴課税のみならず、会社の存続にもかかわるという一例ですね。
金額から推測すると、結構な金額の貴金属を扱っていたんでしょうね。
破産となると、税金を取りっぱぐれてしまうのではないか思いますが、どうなるんでしょうか?

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外注費偽装で4,300万を円脱税した和歌山県の会社を告発!

産経WESTによると、従業員の人件費の一部を外注費と偽るなどし、約4,300万円を脱税したとして、大阪国税局が消費税法違反などの罪で、和歌山県岩出市の運送会社の元社長(65)と法人としての運送会社を和歌山地検に告発していたことが関係者への取材で分かったようです。

追徴税額は重加算税を含む約5,800万円で、すでに修正申告を済ませて大半を納付したようです。

関係者によると、運送会社は令和2年6月末までの3年間で、人件費の一部を、消費税の控除を受けることができる外注費に偽装して計上し、不正に消費税の還付を受けるなどし、約4,300万円を脱税したとされます。

消費税がかからない給与か消費税がかかる外注費かは、実務上判断が難しく、税務上、問題になることも多い論点だとは思いますが、偽装して、重加算税が課されているということは、悪質だったんでしょうね。
改めて、雇用か業務委託かは注意しないといけないなぁと思った1件でした。

2023年10月1日からインボイス制度が導入されますが、免税事業者である外注先がある場合、取引をどうするかなどの問題も出てきますので、早めに外注先のリストアップ、インボイス制度への対応策なども考えたほうが良いと思います。

外注費偽装で4,300万を円脱税した和歌山県の会社を告発したことについて、どう思われましたか?


「1,000万円の猫」と偽装し消費税の不正還付を受けようとした社長を逮捕!

日本経済新聞によると、東京地検特捜部は、先日、イベント用として数百万~1千万円の猫を仕入れたと装い、不正に消費税の還付を受けたとして、東京都中央区のペット関連会社の社長を(70)を消費税法違反などの疑いで逮捕しました。
東京地検特捜部と東京国税局は、同日、合同でペット関連会社の店舗を家宅捜索しました。

関係者によると、ペット関連会社の社長は実際には数十万円の猫を100匹ほどしか所有していなかったのに、数百匹分を総額20億円超で仕入れたと装っていたようです。
任意の事情聴取には、「多くは死んでしまった」と話したそうです。

消費税の還付制度では、物品の仕入れ先に払った消費税が売上時に受け取った消費税より多い際、差額分の還付が受けられます。
ペット関連会社は所有する猫と触れ合える「ふれあいねこ展」を全国で開催しており、仕入れに伴う消費税額がイベント収入などで受け取った分を上回ったとして、税務署に還付を申告していました。

逮捕容疑は、2018年1~9月に消費税と地方消費税計約9,100万円の還付を不正に受け、2018年10月~2019年9月に計約1億100万円の還付を不正に受けようとした疑いです。

事実だとすれば、かなり悪質ですね。
記事からすると、2018年1~9月分については消費税を還付を受けているようなので、国税局も還付する際の調査等が甘かったのではないかと思います。
これに味をしめて、2018年10月~2019年9月も不正還付申告をしたのではないかと思います。
こういう不正還付申告をする人が結構いるので、本当に消費税が還付になる会社などが還付申告をすると、税務調査が入ったりしてなかなか還付してもらえませんので、本当にやめて欲しいですよね。
架空経費で法人税等を脱税する行為はもちろん悪質だと思いますが、架空仕入れで消費税を不正還付を受けるという行為は、国などから不正にお金を搾取しているということですので、かなり悪質ということは理解してほしいですね。

「1,000万円の猫」と偽装し消費税の不正還付を受けようとした社長が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


公明党議員秘書が国税に再三要望!

朝日新聞によると、公明党選対委員長の高木陽介衆院議員(61)=比例東京=の公設秘書が2020年12月から2021年2月にかけて、知人が顧問を務める会社の税務調査をめぐり、会社側の要望を電話で10回以上、国税庁に伝えていたことが関係者への取材でわかったようです。
秘書は、国税側と会社側との面会の場を設けたほか、同庁職員を議員会館に呼んで会社側の不満を伝えていました。

秘書は朝日新聞の取材に対し、会社側の要望を繰り返し国税庁に伝えた事実を認めたうえで、「納税者の意見を伝えただけで、圧力をかけたわけではない」と説明しました。
一方、個別の税務調査への介入ではないかとの指摘については「真摯(しんし)に受け止めたい」と答えたようです。

東京国税局の税務調査を受けたのは、サプリメント販売会社(東京都新宿区)です。

関係者によると、サプリメント販売会社は、仕入れ時に支払った消費税が売上時に受け取った消費税を上回った場合に差額が還付される制度を使い、還付を申請していました。
しかしながら、2020年8月に税務調査が始まり、申し立てていた消費税約1億円の還付手続きがストップし、サプリメント販売会社の顧問は還付されないことなどへの不満を知人の秘書に相談しました。

秘書は2020年12月下旬以降、調査中を理由に止まっていた消費税の還付を求めるサプリメント販売会社の要望を、国税庁に電話で繰り返し伝え、社長らと面会するよう求めました。
国税側は2020年12月24日に東京上野税務署(台東区)で社長らと面会しました。
しかしながら、社長らが対応に不満を持ったため、秘書は国税庁に「うちの顔を立てて下さい」と伝えました。
その後、2020年12月28日には東京国税局(中央区)で再度の面会が行われました。

その後も続いた税務調査の中で、国税側は2021年1月27日、社長らに調査結果の見通しを説明し、課税処分する可能性を示しました。

秘書は会社側からこの説明内容への不満を聞き、2021年1月28日、国税庁の課長補佐2人を議員会館に呼び、還付が行われていないといったサプリメント販売会社の不満を直接伝えました。
サプリメント販売会社側に不正の根拠を明確に示すことを求めたうえで、「気をつけてもらいたい」と述べたそうです。

税務調査の結果、東京国税局は2021年4月、サプリメント販売会社がサプリ原料の仕入れ額を過大に計上し、2019年10月までの1年間で約11億円の所得隠しをし、消費税の還付額も過大に申し立てたと認定しました。
重加算税を含む法人税と消費税計約7億円を追徴課税(更正処分)しました。
サプリメント販売会社はこれを不服とし、2021年7月に国税不服審判所に審査を請求した。

サプリメント販売会社は朝日新聞の取材に応じていないようです。
サプリメント販売会社の税理士は、「消費税還付がされず、資金繰りが厳しくなった窮状を訴えるため、代議士事務所に国税庁への働きかけを求め、動いてもらった、と社長から聞いている」と話しているようです。

国税庁は「個別の税務調査にはコメントしない。一般論として議員や議員秘書からの問い合わせに関わらず、国税庁としては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らし適切に対応している」としています。

税務署の処分が正しいとすれば、悪質な企業なわけですから、税務調査が終わってから消費税を還付するという税務署の態度は正しいのではないかと思います。
たとえ不正をしていなくても、消費税の不正還付が過去から横行しているわけですから、消費税の還付申告をすれば、少額であっても、追加資料の提出を求められたり、税務調査に入って確認した後でないと最近は還付されないというのは周知の事実ですから。
あと、疑問に思うのは、この秘書のやっていることは税務代理のような気がしますので、税理士法違反なのではないかと思ってしまいますね。
当然、秘書のやっていることは議員にも責任があると思いますが。
国税庁の方は議員会館に行く必要はなかったように思いますが、圧力に屈することなく、最後まで毅然とした態度で臨まれたと思います。

公明党議員秘書が国税に再三要望していたことについて、どう思われましたか?


コロナ禍で国税が調査チームを作り消費税不正還付で9社で5億円を追徴!

朝日新聞によると、消費税の輸出免税制度を悪用して還付申告をしたとして、化粧品やマスクなどを扱う東海地方の貿易会社など9社が、名古屋国税局から消費税計約5億円の追徴課税を受けたことが分かったようです。

コロナ禍が企業活動にも影響を与えるなか、名古屋国税局は消費税の還付申告額が急増した業者に着目し、約100人態勢のチームで調査していました。

国税幹部は「消費税の不正還付は国から金をだまし取るようなもので、税金を納めない脱税よりも悪質と言える。コロナ禍でも厳正に調査する」と話しています。

調査を受けたのは、岐阜県瑞穂市の中国系の貿易会社7社と、不動産管理会社など2社です。

関係者によると、貿易会社などは主に、日本製のハンドクリームやマスクといった海外で人気がある化粧品・日用品を販売し、利益を上げていましたが、架空の仕入れを計上して、取引先に消費税を支払ったように仮装していました。
さらに売り上げについて、輸出や外国人旅行者向けの免税販売だったように見せかけ、税務署に消費税の還付申告をし、不正に還付を受けたとされます。

仕入れ先をごまかすため、大手ドラッグストアの白紙領収書を悪用したケースもあったそうです。

取材に対し、岐阜県瑞穂市の貿易会社の社長は「国税の指摘は納得できず、争っているところだ」、別の貿易会社(名古屋市中区)の社長は「消費税の還付について国税の指摘を受けた」と話しています。

事業者が国内で仕入れた商品を輸出すると、仕入れ時に消費税を支払う一方で、輸出先からは消費税を受け取れません。
そのため税務署に申告すると、仕入れでかかった消費税分が還付されます。
この仕組みを悪用して還付額を膨らませる事案が後を絶ちません。

国税庁によると、2020年6月までの3年間に、還付申告をめぐり意図的な不正があったとして130億円を追徴課税しました。
名古屋国税局の管内(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)では計33億円にのぼっています。
外国人旅行者に雑貨などを免税品として販売したように装う手口が目立つようです。

国税庁は2021年7月、不正還付に特化した「消費税専門官」を新設しました。
新宿や渋谷、浦和、静岡、名古屋中、神戸、福岡など全国の主要11税務署に配置しています。

消費税の不正還付は、納めないということでなく、それに加えて国からだまし取るということなので、事実だとすると、かなり悪質ですね。
消費税の不正還付はかなり前から横行しているようで、普通に消費税の還付申告をするとしたとしても、税務調査に来たり、追加で色々と書類を提出しないと、なかなか還付してもらえません。
こういった悪質な例が多いからであり、真面目に申告して還付となっている事業者は結構迷惑を被っているのではないでしょうか?
専門のチームを作ったのが遅いような気はしますが、作った以上、どんどん悪質なところを指摘して、追徴してほしいですね。

コロナ禍で国税が調査チームを作り消費税不正還付で9社で5億円を追徴したことについて、どう思われましたか?


東京都直営市場が消費税1億円の申告漏れ!

産経新聞によると、東京都直営の中央卸売市場の一つ「食肉市場」(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、2018年度までの3年間で約1億600万円の消費税の申告漏れを指摘されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
本来は消費税のかからない都債の償還(返済)について、課税対象と誤解して税務処理したのが原因でした。
追徴税額は過少申告加算税などを含め約1億2千万円で、東京都側はすでに修正申告したとしています。

消費税は、商品を販売した際などに受け取った「課税売り上げ」にかかる消費税額から、仕入れや外注などで支払った「課税仕入れ」にかかる消費税額を差し引いたものが納税額となります。
東京都の特別会計で収支を管理している食肉市場でも、食肉処理場の使用料などとして業者から消費税を徴収しており、他の経費などで支払った消費税分を差し引いて納税しています。

東京都や関係者によると、食肉市場では資金調達のために発行した都債の返済費として2016~2018年度、元本と利子を含め総額約22億円を充当しました。
このうち元本の返済分を課税仕入れとして計上していました。
これに対し国税局は、都債の返済はそもそも消費税のかからない「不課税取引」で、課税仕入れには計上できないと指摘しました。
課税仕入れ額が圧縮されたことで、1億円超の消費税が申告漏れとなりました。

東京都中央卸売市場財務課は「国税当局の手引きなどに基づき、課税仕入れになると認識して税務処理したが誤っていた。指摘に従って昨年5月に修正申告し、納税を済ませた。現在は認識を改め、適正に納付している」と話しています。

食肉市場は、豊洲市場など都内に11か所ある都中央卸売市場の一つです。
食肉の取扱量は1日当たり約315トン(2019年)で国内では最大規模です。

経営者の中にも、なぜ借入金の返済が経費にならないのかと思っている方がそれなりにいらっしゃるような気はしますが、借入金等の返済が課税仕入になるのであれば、当然、借り入れなどが課税売上になりますよね。
借り入れなどが課税売上にはならないと考えていると思いますので、借入金の返済が課税仕入にならないのは当たり前のような気はしますが、それなりの規模のところでも、そういった知識のところがあることに驚きでした。
東京都って顧問税理士がいないんですかね。

東京都直営市場が消費税1億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


3年分の税控除を過大申告し2,558万円脱税疑いで給食業者の代表取締役を逮捕!

沖縄タイムスによると、消費税と地方消費税約2,558万円を脱税したとして、那覇地検は、先日、消費税法違反と地方税法違反の疑いで、給食受託業(那覇市)の代表取締役(69)を逮捕したと発表しました。

「捜査に支障が生じる」として、認否を明らかにしていません。

那覇地検によると、代表取締役は業務全般を統括しており、2016年5月~2019年4月分の確定申告時、税控除額を過大に計上するなどして、納付税額を実際より少ない約210万円と申告し、約2,558万円の支払いを免れた疑いがあります。

那覇地検は、先日、沖縄国税事務所と合同で代表取締役の関係先を家宅捜索しました。

おそらく架空経費の計上ですが、そうであるならば、結構悪質ですよね。
消費税は、架空経費の計上で、還付申告するという悪質なものが世の中には結構あると耳にしますが、還付申告ではなく、消費税を納付していれば大丈夫と思っていたのでしょうか?
それほど、甘いものではないと思います。

3年分の税控除を過大申告し2,558万円脱税疑いで給食業者の代表取締役が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。

<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
⑤すぐに贈与税の申告ができない!

すでに、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』、『役所を信じてはいけない!』、『雑所得でも所得税の還付申告ができる!』については書きましたので、4日目の本日は、『新型コロナウイルス影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!』です。

新型コロナウイルス感染症の影響で、急遽、多額の設備投資を行うことがあるでしょう。
簡易課税を選択している場合、課税期間を短縮したうえで原則課税に変更するという手もありますが、新型コロナウイルス感染症等の影響による被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受ける(またはやめる)必要が生じた場合、税務署長の承認により、その被害を受けた課税期間から、その適用を受ける(またはやめる)ことができます。

書類としては、『災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書』を提出します。
発生した災害その他やむを得ない理由、被害の状況、被害を受けたことにより特例規定の適用を受けることが必要となった事情、災害等の生じた日及び災害等のやんだ日などの記入が必要です。
提出時期は、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2か月以内です。
ただし、災害等のやんだ日がその申請に係る課税期間等の末日の翌日(個人事業者の場合は、当該末日の翌日から1月を経過した日)以後に到来する場合には、その課税期間等に係る申告書の提出期限までとなります。

ちなみに、2通提出が必要で、税務署長が承認すると、1通は税務署長が押印して郵送されます。
(税務署の人に確認したところ、電子申告できますと言われたのですが…)僕の使っている申告ソフト(NTTデータ達人シリーズ)は、この申請書は電子申告に対応していないので、紙で提出しました。

新型コロナウイルス感染症の影響はまだまだ続くと思いますので、有効に使いたいですね。

新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できることについて、どう思われましたか?


雑所得でも消費税の還付申告ができる!

2021/4/15に自分の確定申告を終え、今シーズンの確定申告業務が終わりました。
昨シーズンは、自分を除き、当初の期限である3/15に終えたのですが、今シーズンは、3/16以降に申告を終えた方がそれなりにいて、4/14にも2名電子申告をしました。

備忘録を兼ねて、今週は、今回の確定申告で感じた留意点をまとめたいと思います。
<所得税>
①事業的規模でなくても65万円控除ができる!
②役所を信じてはいけない!
<消費税>
③雑所得でも所得税の還付申告ができる!
④新型コロナウイルス感染症の影響があれば簡易課税・原則課税を変更できる!
<贈与税>
⑤すぐに贈与税の申告ができない!

すでに、『事業的規模でなくても65万円控除ができる!』、『役所を信じてはいけない!』については書きましたので、3日目の本日は、『雑所得でも所得税の還付申告ができる!』です。

これまで、公的年金等かそれ以外の2つの区分しかなかったのですが、副業をしている方が多いのか『業務』加わり、令和2年分からは以下の3つに区分されました。
●公的年金等
●業務
●その他

ここで、所得税法上、『事業』と『業務』の明確な定義はないのです(不動産所得を除きます。)が、最高裁の判決により、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるものを『事業』とし、それ以外のものを「業務」として区分しているようです。
『事業』と『業務』の主なものに、(1)事業所得と雑所得、(2)不動産所得を生ずべき「事業」と「業務」の区分があります。

一方、消費税法上、『事業』とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいいます。

それゆえ、消費税の方が、『事業』の範囲が広いということになります。

よって、所得税法上、『事業(所得)』にあたらず『雑所得』であると考えているとしても、消費税法上、『事業』に該当すれば、所得税の確定申告書では『雑所得』で申告していたとしても、消費税の還付申告はできます。

ただし、税務署から電話がかかってきて理由を求められましたし、雑所得の場合、青色決算書などを提出しないため、税務署は収支などが分からないため、会計ソフトから出力することができる消費税の集計表を求められました。
理由の説明としては、上記の、所得税法上と消費税法上の『事業』の範囲が異なり、所得税法上は、●●という理由(ここはそれぞれ異なると思います。)で『事業』ではないと考えているものの、消費税法上は『事業』に当たるということを説明すれば大丈夫です。

雑所得でも消費税の還付申告ができることについて、どう思われましたか?


金1.7トンを密輸し10億円を脱税した韓国籍の男性らを逮捕!

金地金を密輸入して消費税など約1,800万円を脱税しようとしたとして、千葉県警は、先日、消費税法違反などの疑いで、韓国籍の無職の男性(34)ら2人を逮捕しました。

東京税関によると、2人は報酬目的だったと供述しているようです。
他に複数の韓国人が関与し、密輸入した金地金は計1.7トン、脱税額は10億円に上るということです。

逮捕容疑は、2020年6月4日、金地金30キロを香港から航空貨物で成田空港に無許可で持ち込み、消費税などを脱税しようとした疑いです。

金と比重が似たタングステン製の筒に入れて持ち込んでいたそうです。
筒は医療機器の部品と申告していました。

最近、金地金を利用した脱税が横行しているようですが、かなりの金額をやっている人がいるんですね。
消費税はインパクトが大きいので、昔から脱税とかが行われることが多いですね。
金地金の取引は課税取引ゆえ、消費税を支払っていない金地金を海外から持ってきて国内で仕入れたことにして仕入税額控除を取り、脱税するというスキームです。
おそらく、氷山の一角だと思いますので、どんどん摘発してほしいですね。

金1.7トンを密輸し10億円を脱税した韓国籍の男性らが逮捕されたことについて、どう思われましたか?


金地金買い取り業者など80法人・個人を消費税不正で40億円を追徴課税!

読売新聞によると、国税当局が、全国の免税店などを対象に消費税の不正申告の有無を調べる一斉税務調査を行い、約80の法人と個人に計約40億円を追徴課税したことが関係者の話で分かったようです。

うち約30億円は金地金買い取り業者2社への課税で、中国人などから金地金を買い取ったとする帳簿の記載に裏付けがないと判断されたようです。

2019年10月の消費増税で不正による利得額も増すため、調査を強化する必要があるとして、東京、大阪、福岡など7国税局が実施しました。

消費税の不正申告に特化した全国一斉調査は、初めてのようです。

関係者によると、最も多額の追徴を受けたのは、東京都台東区の金地金買い取り業者で、2019年8月期までの3年間について、過少申告加算税を含め約24億円を追徴課税(更正処分)されたようです。

3年間で24億円も取られるなんて、かなりの取引量がある中で、かなりの不正をしていたということでしょうね。
こういった悪質な業者からは、今回のような全国一斉調査をどんどんして、どんどん税金を取って、不正が減るように国税庁には頑張って欲しいですね。
ただし、以前、消費税の不正還付が横行して、数年前から、きちんと処理・申告をしていても、すぐには還付してくれない状況になっていますので、こういう悪質な業者がいっぱい出てくると、ますます還付が簡単にはしてもらえなくなるんでしょうね。

金地金買い取り業者など80法人・個人を消費税不正で40億円を追徴課税したことについて、どう思われましたか?


中古マンション転売の消費税の課税処分取り消し!

中古賃貸マンションの売買時の消費税の税務処理が争われた訴訟で、東京地裁(清水知恵子裁判長)は、先日、東京国税局の課税処分を取り消す国税局側敗訴の判決を言い渡しました。
法改正で現在は同じ問題は起こりませんが、過去の同種事案に波及し、不服申し立てなどにつながる可能性があります。

争っていたのは不動産会社「エー・ディー・ワークス」で、中古の賃貸マンションを購入した後、大規模修繕などで価値を高め、収益が見込める投資用不動産として販売する事業を行っています。
中古マンションの売買時にかかる消費税の税務処理をめぐって、約5億3千万円の課税処分を受け、取り消しを求めていました。

消費税には販売時に受け取った税から、仕入時に支払った税を差し引いて申告、納税する「仕入税額控除」の制度があります。
控除できる金額の計算には詳細なルールがありますが、今回は中古マンションの仕入れの目的が投資家への販売なのか、家賃収入を得る目的もあったのかが最大の争点となったのです。

エー・ディー・ワークスは販売目的の仕入れであり、仕入時の消費税を全額差し引くことができると主張しました。
一方、東京国税局は販売までの期間にマンション居住者から家賃を受け取っていると指摘し、「家賃収入も事業の目的の一つで、全額を差し引く処理はできない」としてエー・ディー・ワークスに申告漏れを指摘しました。

判決で清水裁判長は「仕入れの目的が不動産の売却にあることは明らか。賃料収入は不可避的に生じる副産物として位置づけられる」と指摘しました。
賃料収入が見込まれるからといって全額を差し引けないとする国税の判断は「相当性を欠く」と結論づけました。

同様の課税処分は全国で行われており、「判決が確定すれば、不服の申し立てなどが相次ぐ可能性もある」(国税OB)ようです。

親会社のADワークスグループは「主張の正当性が全面的に認められたものであり、妥当な判断であると考えている」とコメントしています。
一方、東京国税局は「国側の主張が認められなかったことは大変、残念。控訴するかどうか関係機関と判決文を検討中」としています。

この事件については、このBLOGでも何度か取り上げましたが、国税側がO.K.と言っていたものを急に変えて否認したというケースです。
当たり前の判決だと思いますが、こういう判決を機に、国税側のスタンスを改めて欲しいと思います。
場当たり的な対応ではなく、筋の通った、誰もが理解できるような税制にして欲しいと思います。
結局、こういう裁判関係の費用は税金で支払われていると思いますので。
個人的には、ここ数年流行っている商品でエー・ディー・ワークスさんとは付き合いがあるので、本当に良かったなぁと思います。

中古マンション転売の消費税の課税処分取り消しの判決が出たことについて、どう思われましたか?


キャッシュレス決済に係る決済手数料の消費税課否判断は?

 消費税率引上げと同時に、キャッシュレス・消費者還元事業が本格的にスタートしています。
事業者にあっては、これを機にキャッシュレス決済端末を実質無料で入手し、対応している場合もあることでしょう。

 キャッシュレス決済により商品の販売を行った場合、その販売代金は、お客様が利用した決済方法に係る決済会社に応じ、ある程度の時期にまとめて入金がされます。
その入金の際、ほとんどのケースにおいて決済手数料が差引かれることとなっていますが、この決済手数料に係る消費税について、改めて確認しておきましょう。

まずは、クレジットカード決済に係る決済手数料についてです。
これは、国税庁サイトで公表されている質疑応答事例集になります。
この事例は、加盟店が信販会社に対して商品代金という『金銭債権』を譲渡し、譲渡代金を受取っているケースです。
このような場合の決済手数料は、金銭債権の譲渡ということで、消費税は非課税として取扱われます。
決済手数料に係る消費税が非課税となるものとしては、他に、QUICPayやiDなどが該当します。
ただし、1点気をつけていただきたいのは、加盟店が信販会社と直接契約ではなく、決済代行会社を通しているケースです。
このような場合には、決済代行会社に対して『金銭債権』を譲渡しているわけではないので、決済代行会社に支払う決済手数料に係る消費税は課税として捉えられます。

また、この他に『金銭債権』を譲渡しないケースが存在します。
いわゆる“チャージ”方式のキャッシュレス決済手段を用いた場合の決済手数料です。
こちらも、消費税が“課税”になります。
代表的な決済手段ですと、Suicaなどの交通系電子マネー、LINE Pay、Alipay、WeChat Pay、d払いなどです。

以上をまとめると、以下のとおりです。

決済手数料に係る消費税が
『非課税』となる決済手段

決済手数料に係る消費税が
『課税』となる決済手段

・クレジットカード
・QUICPay
・iD
など(ただし、契約先が決済代行会社の場合には、課税)

・交通系電子マネー(Suicaなど)
・LINE Pay
・Alipay
・WeChat Pay
・d払い
・楽天Edy
・nanaco
・WAON
左の非課税となっている決済手段のうち、契約先が決済代行会社のケース
など

会計処理を行う上では、必ず契約書や入金に関する明細書をご覧いただき、消費税の課否判断を行いましょう。

なんちゃらPayとか、色々な決済手段が増えていますので、取り扱いには注意したいですね。
個人的には、なんちゃらPayも早く淘汰されて、数社に集約されて欲しいですね。
そうしないと、お店も大変だと思います。

キャッシュレス決済に係る決済手数料の消費税課否判断について、どう思われましたか?


マンション取引に関し東京地裁で消費税の注目判決!

 最近の話題の1つに消費税増税がありますが、我々、税の専門家の間で消費税の話題といえば、2018年6月にマスコミ報道のあった株式会社ムゲンエステートや株式会社エー・ディー・ワークスと課税当局との争いが挙げられるでしょう。

マンション販売事業者らが取得した居住用建物に係る消費税仕入税額控除の取扱いを巡っては、課税当局とムゲンエステート、エー・ディー・ワークスが現在東京地裁で係争中です。
争点は、入居者がいる中古賃貸マンションの建物や部屋を購入し、その後転売する取引の税務処理です。
消費税では、仕入れに際して支払った消費税を、売上時に受け取った消費税から控除して納める、いわゆる「仕入れ税額控除」をすることになります。
2019年10月1日からは、消費税率が引き上げられたことから、不動産会社によっては影響も大きく、関係者は裁判の行方を注視しています。
この地裁での争いが2019年6月25日に結審し、判決の言い渡しが10月11日に行われました。
同社並びに同様の問題を抱える同業者には厳しい内容となりました。

同裁判の争点は、中古賃貸マンションを転売目的で購入した場合の消費税還付申告について「すでに建物を仕入れた日には貸付と家賃の収受が前提で、賃借権負担付売買契約締結していた」場合、非課税所得である個人家賃収入と共同して要する課税仕入れとなるとし、全額還付とはならないことの是非を問うものでした。
従来は転売目的が明確であり、賃貸が一時的なものは全額が還付対象とされてきました。
しかしながら、近年同様のケースで、仕入れ税額控除の大部分を否認する更正処分が相次ぎましだ。

根拠となったのが平成24年1月19日付大阪国税不服審判所裁決で、「課税仕入れ等の用途区分(消費税法30条2項)の判定について、課税仕入れ等を行った日の状況により、当該課税仕入れ等の目的及び当該課税仕入れ等に対応する資産の譲渡等の内容を勘案して行う」とされました。
この裁決により、課税売上割合が95%未満の個別対応方式の場合、仕入れ税額控除が全額認められなくなり還付金額が激減するリスクが顕在化したのです。

一方、さいたま地裁平成25年6月26日付判決では、前記大阪国税不服審判所裁決を前提にしながらも、消費税法30条2項一号イに規定される「課税資産の譲渡等のみに要する課税仕入れ」の解釈について、マンション等の課税仕入れを大方容認するかのごとき「コスト」なる用語を使用されていました。
マンション等販売業社の間ではこの一点を頼みとする流れが発生しました(ただし、課税仕入れと同日に賃貸管理契約を締結しているため原告納税者側がこの裁判では敗訴しています)。
また一部の識者から指摘された、行政側の同様のケースで仕入れ税額控除全面容認を示す「国税庁内部文書」提出命令申し立ては裁判長により却下され、「国側から原告に対する反証も必要なし」との心証を示すなど原告には厳しい局面となっています。
この件はほぼ同内容で追徴税額5.4億円を争うエー・ディー・ワークス社が継続している裁判にも影響を与えると考えられますが、前記識者が関わっている事案だけに注目されています。

消費税の税収は、導入当初平成元年3.3兆円だったものが、令和元年予算では所得税収に匹敵する19.4兆円が予定されている。

2019年10月1日付で消費税率も8%から10%に引き上げられたのと同時に、2023年10月1日以降予定されている適格請求書保存方式(インボイス方式―登録ナンバーを得た事業者の請求書でなければ仕入れ税額控除できない)導入を睨み、経済合理性や効果を無視してでも消費税の課税方式の精緻化が進展しそうな状況です。

このBLOGでも以前書いていますが、国税局が従来の考え方を変えてきている案件ですが、現状では、理論的に考えれば、また、間違ったものがあれば直していくのが当然と考えれば、ムゲンエステートやエー・ディー・ワークスにこれ以上争っても勝ち目はないように思いますね。
ただし、国税局も、考え方を変えるときは、周知すべきなのではないかと思います。

マンション取引に関し東京地裁で消費税の注目判決があったことについて、どう思われましたか?


“イートイン脱税”に対し麻生財務大臣が「必要な対応とる」!

 10月1日に導入された消費税の軽減税率制度について、コンビニエンスストアなどの店内で飲食するにも関わらず、申告せずに85%の税率で購入する行為が行われていることについて、麻生太郎財務大臣は、先日の記者会見で、「業界団体などを通じ実態把握に努めないといけない」としたうえで、「周知、広報を含め、軽減税率制度の円滑な実施・定着にむけて必要な対応を講じたい」と述べました。

軽減税率制度は、酒類を除く飲食料品などの税率を8%に据え置く制度です。
低所得者対策として、税率10%への引き上げに合わせて導入されました。
レストランなど外食は軽減税率の対象外で、コンビニやスーパーなどで購入した食品も、イートインコーナーで飲食する場合は、外食扱いとなり10%の税率が適用されます。

ただし、店員が全ての客に店内飲食か持ち帰りかを聞く必要はなく、張り紙などで申告を促せばよいことになっています。
そのため、申告せずに8%の税率で購入したにも関わらず、店内飲食する行為が横行しており、インターネット上では“イートイン脱税”などと指摘されています。

これは、導入前から指摘されてきたことだと思います。
コンビニによっては、イートインコーナーに張り紙をしているようです。
代金を支払ったあとに、イートインコーナーで気付くこともあるのではないでしょうか?
このBLOGでも何度か書いていますが、もともと消費税が導入された趣旨が、簡単に計算できるということだったと思いますし、低所得者の保護が軽減税率の趣旨であれば、マイナンバーの普及を絡めたところで他にやり方はあったと思います。
本当に、軽減税率はすぐにでもやめて欲しいと思います。

“イートイン脱税”に対し麻生財務大臣が「必要な対応とる」!と発言したことについて、どう思われましたか?


輸出企業への還付が「大手優遇」との不公平感を指摘!

 輸出時に消費税が企業に払い戻される「輸出免税制度」が、大手輸出企業を優遇しているとして、税法の専門家が国を批判しているようです。
輸出先の海外では消費税を徴収できず、国内の仕入れ時に支払った税額分が「利息」付きで戻されるからです。
10月1日に税率が10%に上がれば、大手輸出企業への利息を含めた還付金額はさらに膨らみ、不公平感は大きくなるでしょう。

企業は仕入れ時に支払った消費税を商品価格に上乗せして消費者に負担してもらいますが、輸出すると消費税を受け取れないため、仕入れ時の消費税は戻ってくるのです。
2017年度の消費税の還付金額は約4兆1千億円で、消費税収の約2割の規模となっています。
財務省は「税額分を返しているだけ」と強調しています。
しかしながら、税務署から払い戻される還付金には、年率1.6%の「利息」に相当する還付加算金が上乗せされるのです。

税理士で元静岡大教授の湖東京至(ことうきょうじ)氏が2017年度の決算を基に大手企業への利息を除いた還付金額を推計したところ、トヨタ自動車は3,506億円、日産自動車は1,509億円、パナソニックは220億円だそうです。
輸出企業だけが対象になるうえ、加算金の高い利率も理由に、湖東氏は「輸出企業を優遇する補助金と言わざるを得ない」と語っています。

日本大学教授で税理士の阿部徳幸氏も、仕入れ先など下請け企業は大手企業の圧力で税額分を上乗せしにくい現状を挙げ「今回の増税で中小零細企業は負担を強いられる一方、大手輸出企業の還付金が増えるのはおかしい。制度自体を見直してほしい」と訴えています。

これに対し、財務省は、輸出免税制度は経済協力開発機構(OECD)のガイドラインに規定されているとした上で、「国際ルールに従っており、制度に問題はない」としています。

<消費税の還付>
企業が税務署に払いすぎた消費税が返金されること。消費税は消費者が負担する仕組みになっており、企業が仕入れ時に取引先に払った消費税は税務署に立て替えた形にすぎず、商品を売って消費者から回収しています。
セールなどで商品価格を下げ、立て替えた消費税のほうが高くなれば差額が還付されます。
特に、海外に商品を売った場合は消費税を受け取れず、立て替えた税額分は払い戻されるため、「輸出免税制度」とも呼ばれます。

制度上問題はないのでしょうが、心理上は疑問符が付きますね。
還付加算金は、現在の金利水準から考えてかなり高めの『金利』になっていますから、金額的な上限を設けるか、還付加算金(延滞税もそうですが)の計算方法の見直しが必要な時期になっているように思いますね。

輸出企業への還付が「大手優遇」との不公平感が指摘されていることについて、どう思われましたか?


大東建託の子会社がオーナーに増税分30億を円未払いか?

 不動産会社が賃貸用の物件をオーナーから借り上げる「サブリース契約」をめぐり、全国の不動産オーナー約3万人への支払いに消費増税分を上乗せしなかったとして、公正取引委員会は、先日、不動産管理会社の大東建託パートナーズ(東京)に消費税転嫁対策特別措置法違反(買いたたき)で勧告を出し、公表しました。
未払い分は推定で約30億円に上り、同法の施行以来、過去最高額だそうです。

発表によると、大東建託パートナーズは、駐車場や事務所用ビルを一括で借り上げて転貸するサブリース契約を個人や法人のオーナーと結び、その物件を利用者に貸し出して得た収入から管理費を差し引いた金額をオーナーに支払っていました。

しかしながら、消費税が5%から8%に上がった2014年4月以降、大東建託パートナーズは自ら受け取る管理費を増税に合わせて値上げする一方、オーナーへの支払額には本来必要な増税分を上乗せしていませんでした。
大東建託パートナーズが利用者から受け取る賃貸料は据え置きだったため、オーナーへの支払いは実質的に減額されたかたちになっていました。
公正取引委員会の調べに対し、大東建託パートナーズは「違反だと気づかなかった」と説明したようです。

サブリース契約をめぐっては、個人のオーナーを中心に「賃料を一方的に減額された」「契約解除をしたくてもできない」といった不動産会社とのトラブルが相次いで表面化しています。
ただし、借地借家法では借り主の不動産会社の権利が保護されるため、貸主側が守られにくくなっています。
このため公正取引委員会の担当者は、「オーナーのほとんどは個人事業者で、サブリース契約では往々にして弱い立場に立たされる。本件事案を契機に業界全体に良い影響を与えられることを期待する」と話しているようです。

また、公正取引委員会は、大東建託パートナーズの親会社である大東建託(東京)についても、自社が使用するために借りた事務所や駐車場の賃料に消費増税分を上乗せしていなかったとして、貸主約140人への上乗せ分約1,200万円を払うよう勧告しました。

大東建託は「公取委の処分を厳粛に受け止め、グループ全体で再発防止に取り組む」とコメントしています。

本当に、「違反だと気づかなかった」のでしょうか?
大東建託は節税をセールストークにしてアパート建設の営業をしていると思いますので、相続税だけではなく、消費税や所得税の知識を持って販売して欲しいですね。
それは、子会社である管理会社も同様だと思います。
あとは、消費税率が10%になる直前での公表は、良いタイミングで公正取引委員会は出してきたなぁと思いますね。
今回の増税は、こういったことがないようにして欲しいですね。

大東建託の子会社がオーナーに増税分30億を円未払いであることについて、どう思われましたか?


アニメ制作会社が3千万円の脱税容疑で告発!

 消費税約3千万円を脱税したとして、東京国税局がアニメ制作会社(東京都杉並区)と実質経営者(68)を消費税法違反の疑いで東京地検に告発したことがわかったようです。

関係者によると、アニメ制作会社は国内の会社からアニメの原画や動画づくりを受注し、中国や韓国の業者に下請けに出していましたが、国外からの仕入れに消費税がかからない仕組みを悪用していました。
下請け先が国内の会社であるように装って、仕入れにかかった消費税額を過大に計上し、その分を支払うべき消費税額から控除することで、2018年6月までの2年間に約3千万円を脱税した疑いがあります。

アニメ制作会社の担当者は、取材に対し、「本人は中国に行っている。会社として特にコメントはない」と話しているようです。

最近、国税局が公表した査察の概要を見ても、消費税の不正還付などに力を入れているようです。
還付でなくても、納付税額が少ないケースは、悪質さでいうと同等かと思います。
ここ数年、消費税については、還付の申告書を出すと、結構すぐに税務署から電話があって、税務調査となったり、消費税の集計表や請求書を追加で求められ、それらが終わらないと、還付になりません。
よほど、消費税の不正還付が多いということだと思います。
税務署は、最近は消費税については特に厳しいということは認識しておいてほしいですね。

アニメ制作会社が3千万円の脱税容疑で告発されたことについて、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(5/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
最終日の今日は、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についてです。

<不正資金の留保状況及び隠匿場所>
脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていましたが、その他に、有価証券、居宅、暗号資産(仮想通貨)、金地金、ブランド品の取得費用、親族や特殊関係人への援助資金、ギャンブル等の遊興費などに充てられていた事例もみられました。
また、不正資金の一部が、海外の預金口座で留保されていたほか、海外における投資、コンドミニアムの取得費用、遊興費(カジノ)などに充てられていた事例もありました。
脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、
○居宅階段下の収納庫に存在した金庫及びバッグ並びに脱衣所内の金庫の中(法人税法違反)
○居宅応接間の金庫及び居室内の衣装ケースの中(所得税法及び法人税法違反)
○居宅寝室のベッドの下(法人税法違反)
に現金を隠していた事例などがありました。

<査察事件の一審判決の状況>
平成30年度中に一審判決が言い渡された件数は122件であり、全てに有罪判決が出され、そのうち実刑判決が7人に出されました。
なお、実刑判決のうち最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役4年6月、他の犯罪と併合されたものが懲役7年でした。

<トピック11>悪質な脱税者に実刑判決
平成30年度においても、特に悪質な脱税者に対しては実刑判決が出されています。
【事例1】
L社は、美容関連製品の輸出販売を行うものですが、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上する方法により、不正に多額の消費税の還付を受けていました。
同社の代表者Mは、消費税法及び地方税法違反の罪で、懲役4年6月の実刑判決を受けました。
【事例2】
N社は、繁華街に所在する多数のビルを管理し飲食店等のテナント賃貸を行うものですが、賃料収入の一部を除外するなどの方法により所得を隠し、多額の法人税を免れていました。
同社の代表者Oは、法人税法違反の罪で、懲役4年の実刑判決を受けました。
【事例3】
Pは、Qと共謀の上、暴力団に対して上納された資金からの収入を申告から除外し、多額の所得税を免れていました。
PとQは、所得税法違反の罪で、それぞれ懲役3年と懲役2年6月の実刑判決を受けました。

不正資金の留保状況及び隠匿場所と査察事件の一審判決の状況について、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(3/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
3日目の今日は、『国際事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(3)国際事案
海外取引を利用した悪質・巧妙な事案や海外に不正資金を隠すなどの国際事案に積極的に取り組み、平成30年度は20件を告発しました。
国際事案では、租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換制度を活用しました。

<トピック6>外国法人を利用した法人税・源泉所得税事案を告発
海外取引を利用した不正は、執行管轄権等の制約のため調査は困難を伴いますが、外国との間で締結した租税条約等に基づく情報交換制度を活用するなどして、海外取引を利用した不正を解明し、法人税及び源泉所得税事案を告発しました。
【事例】
F社は、香港法人の代表者に虚偽のインボイスを発行させ架空仕入を計上する方法により法人税を免れたほか、同不正により得た資金からF社の役員に対する簿外の役員報酬を国外で支給し、同報酬に係る源泉所得税を一切徴収せずに納付していませんでした。

<トピック7>中古自動車の輸出販売を装った消費税受還付の長期事案を告発
中古自動車の販売事業者による輸出販売を装った不正取引の解明に3年余りを要しましたが、検察当局の協力の下、当該不正取引を解明し、消費税の不正受還付事案を告発しました。
【事例】
G社は、中古自動車の仕入れに係る領収証及び虚偽の輸出許可通知書を作成し、架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)を計上する方法により、内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けていたほか、受けようとしました(一部未遂)。

国際事案について、どう思われましたか?


平成30年度査察の概要(1/5)

 先日、国税庁が『平成30年度査察の概要』を公表しました。
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。
国税査察官は、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

<査察調査の概要>
【平成30年度の取組】
○査察事案121件を告発
平成30年度は、免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した消費税受還付事案、太陽光発電設備の取得を装った消費税 受還付事案、他人名義を使用したFX取引利益の無申告ほ脱事案、外国法人を利用した国際事案など、計121件を告発。
○重点事案を多数告発、特に消費税受還付事案は16件を告発(注)
消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件を告発 。
消費税受還付事案は、国庫金の詐取ともいえ悪質性が高いが、過去5年間で最も多い16件を告発。うち、平成23年に創設された未遂犯も過去最多の8件を告発。
無申告ほ脱事案は、申告納税制度の根幹を揺るがすものであり、平成23年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、18件を告発。
(注)重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案をいう。
○脱税総額(告発分)は112億円
平成30年度の査察事案に係る脱税額(告発分)は112億円。
【平成30年度中の判決状況】
○122件の一審判決全てに有罪判決が言い渡され、7人に実刑判決
最も重い実刑判決は、査察事件単独に係るものでは懲役4年6月。

この中で、『重点事案への取組』として、以下のものが挙げられています。
(1)消費税受還付事案
(2)無申告ほ脱事案
(3)国際事案
(4)その他の社会的波及効果の高い事案
また、『不正資金の留保状況及び隠匿場所』と『査察事件の一審判決の状況』についても書かれています。

今週は、これらについて、順番に取り上げていきたいと思います。
初日の今日は、『消費税受還付事案』についてです。

平成30年度においては、現下の経済社会情勢を踏まえて、特に、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案、市場が拡大する分野における事案などの社会的波及効果の高いと見込まれる事案を重点事案として積極的に取り組みました。
(1)消費税受還付事案
消費税の輸出免税制度などを利用した消費税受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い事案です。
平成30年度は16件と過去5年間で最も多くの告発を行いました。

<トピック1>免税店(輸出物品販売場)制度を悪用した不正受還付事案を告発
近年の訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加や免税店(輸出物品販売場)の増加を背景に、免税店における輸出免税制度を悪用して不正に消費税の還付を受けようとした者を告発しました。
【事例】
A社は、高額な腕時計の仕入れを装い架空仕入(課税取引)を計上するとともに、その商品を輸出物品販売場の許可を受けた免税店で外国人旅行者に販売したように装い架空売上(免税取引)を計上する方法により、多額の消費税還付金額を記載した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けようとしました。

<トピック2>太陽光発電施設の取得を装った不正受還付事案を告発
太陽光発電施設を運営し、発電した電気を再生可能エネルギー固定価格買取制度に基づき販売していた事業者による消費税の不正受還付事案を告発しました。
【事例】
B社は、太陽光発電施設を実際には取得していないにもかかわらず、これを取得したように装い架空仕入(課税取引)を計上する方法により、消費税の控除対象仕入税額を過大に計上した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けていました。

<トピック3>過去最多・最高額の消費税不正受還付の「未遂犯」を告発
平成23年に創設された消費税不正受還付の未遂犯は、平成26年度に初めて告発し、平成30年度においては、過去から最も多い8件、不正還付(未遂)総額15億円余りを告発しました。
【事例】
C社は、取引事実がないにもかかわらず、高級腕時計を代表者から仕入れたとする虚偽の納品書を作成し架空仕入(課税取引)を計上するとともに、香港でのオークション販売を装い架空輸出売上(免税取引)を計上する方法により、多額の消費税還付金額を記載した内容虚偽の消費税の確定申告を行い、不正に消費税の還付を受けようとしました。
(参考)消費税の不正受還付に係る未遂処罰規定は、悪質性の高い消費税の不正受還付事案に厳正に対処するため、平成23年に創設されました。

消費税受還付事案について、どう思われましたか?


軽減税率で高所得層で2,880億円の恩恵と財務省が試算!

 財務省は、先日、201910月の消費税率引き上げ時に導入する軽減税率制度について、所得階層別の軽減度合いに関する試算をまとめました。
衆議院の財務金融委員会に提出しました。

2018年の家計調査をもとに階層別の消費支出額とシェアを計算しています。
そのうえで、軽減税率制度による減収額1.1兆円を各所得階層のシェアで割り、それぞれの階層ごとの減収額を算出しています。

最も所得が低い層(年収238万円未満)では計1,430億円が軽減されるのに対して、最も所得が高い層(年収738万円以上)では計2,880億円でした。
中位層(同355万円以上500万円未満)は計2,190億円が軽減される計算となりました。

試算を要求していた立憲民主党の川内博史衆院議員は「低所得層への恩恵が少ない」と批判しています。
これに対し、麻生太郎財務相は高所得層の方が消費額が多く、世帯当たりの人数も低所得層の3倍弱いるとしています。

国の出すデータも正しいのかどうか分かりませんが、元々、消費税の軽減税率は低所得層の方向けのものだったと思います。
日刊紙が消費税の軽減税率の対象になっているのがよく分かりませんが(マスコミ関係を味方につけるため?)、本当に、軽減税率って必要なのかと思いますね。
早く軽減税率をやめて、期限付きの商品券を与えるなどしてほしいですね。

軽減税率で高所得層で2,880億円の恩恵と財務省が試算していることについて、どう思われましたか?


中古マンションの消費税を巡る不動産業者vs国税局の争い!

 入居者がいるマンションを売買したときの税務申告をめぐり、不動産業者と国税当局が裁判で争っているようです。
売買の際にかかる消費税と、入居者からの家賃収入の関係について見解の相違が生じている形です。
消費税率引き上げも予定されるなか、不動産会社によっては影響も大きく、関係者は裁判の行方を注視しているようです。

争点となっているのは、入居者がいる中古賃貸マンションの建物や部屋を購入し、その後に転売する取引の税務申告です。
消費税は、仕入れ時に支払った税額を売上時に受け取った税額から控除して納めます(仕入税額控除)。
たとえば、不動産会社が建物を2億1,600万円(消費税額1,600万円)で購入し、3億2,400万円(同2,400万円)で転売したとすると、納税額は800万円となります。

「ムゲンエステート」(東京)と「エー・ディー・ワークス」(同)はこの考え方で税務申告しましたが、東京国税局は、両社が購入から転売までの間に入居者から家賃を得ていたことを問題視し、家賃には消費税がかからないため、「課税対象の仕入れ(建物の購入費)から、非課税の売り上げ(家賃収入)が生じている」として、控除を一部しか認めず、両社は申告漏れを指摘されました。
エー・ディー・ワークスによると、控除は3割程度しか認められなかったようです。

過少申告加算税などを含めた追徴課税(更正処分)は、ムゲンエステートが2015年12月期までの3年間で約6億3,900万円、エー・ディー・ワークスが2017年3月期までの3年間で約5億3,700万円で、両社とも不服申し立てをしました。

両社は課税取り消しを求めて東京地裁で国税局と係争中で、エー・ディー・ワークスは「仕入れの目的は建物の転売であって、家賃収入は副次的なものにすぎない」などと主張しています。
さらに国税庁が約20年前に作成した内部文書があり、同様の取引で仕入れ税額控除を全額認める解釈が記されているとして、この文書を証拠として提出する見込み。ムゲンエステートもこの文書の提出命令を国に出すよう裁判所に申し立てており、2018年12月の口頭弁論で裁判長は「もし文書が存在するなら、業者側の主張が独自の見解だとは言えなくなる」と述べ、任意提出するか、申し立てに反論するかを国に求めたそうです。

家賃収入が見込めるワンルームマンションなどの中古不動産は、投資先として富裕層を中心に人気があり、リノベーション(改修)などで資産価値を上げてから転売されるのが一般的で、入居者が多い物件のほうが高値がつくようです。

エー・ディー・ワークスの幹部は取材に対し、「20年以上、同じ考え方で申告していて、税務調査で問題にされたことはなかった。追徴課税に戸惑っている」と話しているようです。
国税局の指摘に従うと、消費税の負担は年2億円程度増え、税率が10%に引き上げられるとさらに大きくなる見込みだそうです。
エー・ディー・ワークスの経常利益は年約9億~16億円程度で、この幹部は「不動産を再生し、投資先として提供する社会的意義の高いビジネス。このモデルを見直すことになりかねない」と心配しています。
裁判を担当する弁護士によると、他に10社ほどから同様の課税をめぐって相談があるようです。

なお、仕入税額控除の仕組みは、消費税の申告納税義務がある事業者が対象で、一般の人には適用されません。

平成12年に国税庁消費税課が出している消費税審理事例検索システムに載っていた文章(『譲渡用住宅を一時期賃貸用に供する場合の仕入税額控除』)を見ると、ムゲンエステートやエー・ディー・ワークスの処理で問題ないと思いますが、なぜ解釈を変えたのでしょうか?
その辺を明確にしてほしいですね。

中古マンションの消費税を巡る不動産業者vs国税局の争いについて、どう思われましたか?


消費増税で政府がカード手数料の引き下げを要請?

 政府が平成3110月の消費税率引き上げにあわせ消費者にポイントを還元する景気対策で、クレジットカード会社に対し、小売りなどの加盟店から受け取る手数料を引き下げるよう要請する方向で調整に入ったことが、先日、分かったようです。
ポイント還元は、クレジットカードなど現金を使わないキャッシュレス決済をした買い物客が対象です。
政府は店側の負担を軽減してクレジットカードの導入を後押しし、消費者が幅広くポイント還元を受けられるようにします。

クレジットカードを導入した店は、カードの読み取り端末を設置し、売上高に応じた手数料をカード会社に支払っており、手数料は数%で店により異なります。

しかしながら、手数料は「倒産などのリスクに備えるため、小規模な店ほど高くなる」(大手カード会社幹部)傾向にあるそうです。
このため中小の店では手数料の重い負担を嫌って、クレジットカードの導入に二の足を踏むケースも多かったようです。

カード払いができる店が少なければポイント還元による景気対策の効果も薄れるため、政府は手数料引き下げを促し、クレジットカードの導入拡大を図ります。
カード会社に要請する引き下げ幅などは今後詰めるようです。

政府が検討する景気対策では、中小の小売店で消費者がクレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済で商品を購入したときに、増税分の2%をポイントで還元します。

レストランでの食事などサービス業でのポイント還元も検討するそうです。
期間は数か月から1年程度を想定しており、ポイントを発行するカード会社などを通じて還元し、費用は国が補助します。

経済産業省によると、平成27年のキャッシュレス決済の比率は18%です。
政府は景気対策を生かして、この比率を引き上げたい考えのようです。

クレジットカード会社は、当然貸倒リスクを考慮して手数料率を決めていると思いますが、この設定に政府が口を出すのはどうかなぁと思います。
こういうことをするのであれば、軽減税率をやめて、マイナンバーを利用して所得を把握し、一定以下の所得の方に、期限付きで商品券、キャッシュレス決済の比率を高めたいのであればプリペイドカードなどで還元すれば良いのではないかと思います。
もちろん、転売などを防ぐ方法は考えないといけないとは思いますが、そうすれば、景気拡大にもつながると思いますし、キャッシュレス決済の比率が高まると思いますし、キャッシュレス決済に対応しようとするお店も増えるのではないかと思います。

消費増税で政府がカード手数料の引き下げを要請したことについて、どう思われましたか?


「軽減税率」導入の波紋を受け外食・小売りが苦悩!

 「週刊東洋経済」によると、6月中旬、ある大手外食チェーン本社の会議室に十数人の幹部が集まったようです。
 「レジの改修にいくらかかるのか」「現場のオペレーションをどのように変えたらいいのか」など、議題となっていたのは、201910月に導入される軽減税率制度の影響についてです。
 2019年秋に控える消費増税により、税率が8%から10%に引き上げられますが、それと同時に導入されるのが軽減税率です。
 20186月に閣議決定された「骨太の方針」にも明記された同制度は、生活必需品の消費税率を低く抑える低所得者対策という位置づけです。
 今回は生活必需品とされた飲食料品の税率を8%に据え置く反面、外食や酒類は10%に引き上げられます。
 軽減税率の実施まで1年余りとなり、いよいよ準備に動きだした外食・小売り各社ですが、聞こえてくるのは不安の声ばかりです。
 「食事のシーンによって分ける税制というのは無理があります。
 お客様対応の負担も増え、生産性は明らかに落ちる」と、外食の業界団体である日本フードサービス協会の髙岡慎一郎会長はそう不満を漏らしています。
 外食企業にとって問題なのは、店内飲食であれば税率10%、持ち帰りであれば8%というように、同じ商品に2つの税率が存在する点です。
 今回の税制改正では、外食に該当しない持ち帰りや宅配、出前などは軽減税率が適用されることになっています。
 ある牛丼チェーン関係者は、「軽減税率で(割安となる)持ち帰り販売の比率が高まれば、包材などの関連コスト増が想定される」と語っています。
 具体的な試算はこれからだそうですが、年間数千万〜数億円のコスト増になるおそれがあるようです。
 接客時の混乱を懸念する声も多いようです。
 別の外食チェーン幹部は「フードコートで(税率の低い)持ち帰り注文をした客が、テーブルに座って飲食することがありうる」と話しています。
 接客時に店内飲食か持ち帰りかを確認する必要が生じ、接客の手間が増えます。
 「クレームの原因にもなりそうだ。面倒な接客を嫌って、これまで以上に人手を集めることが難しくなる」(同)とも話しています。
 人手不足対策や現場の負担軽減の観点から導入が進む券売機についても、問題が指摘されています。
 現在、外食チェーンなどで使われる券売機は10円単位のものが主流で、1円玉や5円玉に対応できていないものが多くなっています。
 ただし、同じ本体価格で税率8%と10%に対応する場合、ほぼ確実に1円単位の金額が発生します。
 そのため、業界内からは「本体価格を持ち帰りと店内飲食で別々に設定して、税込み価格を統一する選択肢もある」(前出の牛丼チェーン関係者)という声も聞こえてくるようです。
 仮に持ち帰りの本体価格を306円、店内飲食を300円とした場合、税込み価格はいずれも330円となり、10円単位の券売機でも対応が可能というわけです。
 こうした価格設定は国税庁も容認しているようです。
 税制に詳しい東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は「価格設定は本来店の自由であるべき」と前置きしたうえで、「税込み価格を同じにしても、不正は生じうる」と指摘しています。
 軽減税率を導入しているドイツでは、税率の低い持ち帰りの割合を店側が実際より過大に申告することで、納税額を抑える問題が発生しているようです。
 懸念を示すのは外食企業だけではありません。
 スーパーなどの小売り事業者は8%と10%の商品を分別できるよう受発注システムやレジの改修を進める必要があります。
 中でも不安視されるのが、イートインコーナーの扱いです。
 近年、スーパー各社は購入した弁当などを店内の客席で食べられる、イートインコーナー併設店の充実に力を入れています。
 イートインコーナーでの飲食については、今回の税制改正では外食と見なされ、10%の標準税率が適用されることになっています。
 ただし、国税庁によると、「イートインコーナーをご利用する場合、お申し出ください」などの掲示で済ませればよいということだそうです。
 「適用税率の判定時期は商品を売ったとき。客が申し出ない時点で軽減税率と判定されるので、気が変わって店内で食べても、税率は変わらない」(国税庁の担当者)とのことです。
 つまり、商品購入時に「イートインコーナーを利用する」と利用者自らが申し出ないかぎり、税率は8%のままとなるのです。
 小売り事業者で構成される日本チェーンストア協会の小濵裕正会長は、「申告によって不公平感が出るおそれがある。そもそもイートインコーナーは交流の場を提供する社会貢献の意味合いもある」と憤りを隠しません。
 現場の作業負担軽減を目的としたセルフレジの導入も増える中、「店内飲食するかを確認するため、対応するシステムを入れる必要が出てくると、大きなコスト増になりかねない」(スーパー関係者)ようです。
 ある外食企業首脳は「1,000円以上の高級弁当が税率8%で、300円台の牛丼は店内飲食だと10%。どこが低所得者対策なのか」と首をかしげているようです。
 いずれにせよ、外食・小売り各社に残された準備時間はそう多くはありません。
 個人的には、軽減税率には大反対です。
 そもそも、消費税は、計算を簡単に行うために一律の税率を用いるもののはずです。
 低所得者対策を行いたのであれば、色々な方のコストや手間の増すものではなく、マイナンバーの普及も兼ねて、所得を把握し、一定の所得以下の方に、期間限定でスーパーなどで使える金券を渡す方がいいのではないかと思っています。
 あとは、税理士という仕事をしていますが、消費税の申告のために、会社も個人事業主も手間やコストが増え、税理士も手間がかかりますが、おそらく申告の報酬は上がらないでしょう。
 また、税込み金額を同じにするのが主流になると、本来は10%のものなのに税率の低い8%の方で申告して脱税するような人がたくさん出てくるでしょうね。
 本当に、軽減税率は廃止にして欲しいですね。
 「軽減税率」導入の波紋を受け外食・小売りが苦悩していることについて、どう思われましたか?

「輸出免税」悪用して消費税1億4千万円を脱税!

 輸出する商品に消費税がかからない「輸出免税制度」を悪用して約14千万円を脱税したとして、大阪国税局が消費税法違反などの罪で、兵庫県尼崎市の輸出業者の社長(51)と法人を神戸地検に告発していたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
 すでに修正申告済みで、重加算税を含む追徴税額は約17千万円に上るとみられます。
 関係者によると、平成25年3月~平成282月に、自動車の中古バッテリーなどの国内売上分を帳簿上、輸出取引で売り上げたかのように装うなどして虚偽の確定申告書を提出しました。
 還付を受けた消費税を含め、計約14千万円を脱税したとされます。
 この会社は平成21年ごろから非鉄金属相場の下落により経営が悪化し、不正に得た金を事業資金に充てていたとみられ、現在は休業しているようです。
 消費税を悪用するケースは多いですね。
 以前、消費税の不正還付が多発したこともあり、最近は、消費税の還付申告をすると、すぐに税務署から電話がかかってきて、調査に行きますとか書類を提出してくださいと言われ、それが終わらないと還付してくれないようになってきていると思います。
 きちんと申告されている企業などからすると、いい迷惑ですね。
 軽減税率がどうこうと考えるより、インボイスのことを含め、そもそもの消費税の仕組みを根本的に考え直さないといけない時期になってきているのではないかと思います。
 輸出業者が「輸出免税」悪用して消費税14千万円を脱税していたことについて、どう思われましたか?

株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による消費税転嫁対策特別措置法違反!

 中小企業庁が、株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版が支払う委託料等(原稿料、著作権使用料(印税)、広告販売手数料、講師料)に関して調査を行った結果、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段(買いたたき)の規定に違反する行為が認められたようです。
 当該調査結果を受け、先日、中小企業庁長官は、株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による違反行為に関して、同法第5条の規定に基づき、公正取引委員会に対して、適当な措置をとるよう請求しました。
<違反事実の概要>
(1) 株式会社マイナビ(以下「マイナビ」という。)は、就職・転職等の情報を提供する「マイナビ」と称するポータルサイト(以下「情報ポータルサイト」という。)を運営している。
 また、株式会社マイナビ出版(以下「マイナビ出版」という。)は、マイナビの出版部門を平成27101日に分社化して設立したものであり、マイナビから出版事業を承継し、雑誌・書籍等を発行している。
(2) マイナビ及びマイナビ出版は、自らが発行する雑誌・書籍の編集にあたり必要な原稿・イラスト作成等の業務(以下「原稿等作成業務」という。)や、当該雑誌等に掲載する広告の営業業務である広告販売促進業務について、個人事業者を中心に継続して委託している。そのほか、マイナビは、各部門が運営する情報ポータルサイトに関する原稿等作成業務や、自らが運営する就職イベント等の講師業務について、個人事業者を中心に継続して委託している。(両社の委託先を以下「本件委託先」という。)
(3) 上記(2)で記載した業務の委託料は、原稿等作成業務については業務内容ごとの「原稿単価」を消費税を含まない額(外税単価)又は消費税を含む額(内税単価)で定め、業務実績を乗じて算出した額を委託料(原稿料)として本件委託先に支払っている。
 また、著作権使用料が発生する場合は、著作権を有する事業者(以下「本件著作権者」という。)との間で出版契約書を締結し、「著作物ごとの利用単価」を消費税を含む額(内税単価)で定め、一定期間の実売部数を乗じて算出した額を著作権使用料として本件著作権者に支払っている。
 さらに、広告販売促進業務については「月額報酬単価等」を、講師業務については一回当たりの「講師単価」を、それぞれ消費税を含む額(内税単価)で定め、業務実績を乗じて算出した額を委託料(広告販売手数料、講師料)として本件委託先に支払っている。
 なお、講師業務はマイナビのみであり、講師料もマイナビのみ支払っている。
(4) マイナビ及びマイナビ出版は上記(3)で記載した消費税を含む額(内税単価)で定めた原稿単価等について平成2641日以後も消費税率引上げ分を上乗せせず、同年3月分までの原稿単価等と同額に定め、本件委託先及び本件著作権者に対し、上記(3)の方法で算出した額を当該業務の委託料及び著作権使用料として、マイナビは平成283月分まで、マイナビ出版は平成2912月分まで、支払っていた。
(5) 両社における当該行為は、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段(買いたたき)の規定に違反する行為であり、多数の本件委託先及び本件著作権者(マイナビ約960名、マイナビ出版約190)に対して当該行為が行われていた。
(6) なお、マイナビは平成264月1日以後に消費税率引上げ分を上乗せせず支払った上記(4)の委託料(原稿料、広告販売手数料、講師料)及び著作権使用料について、平成30228日までに、消費税率引上げ分に相当する額を上乗せした額に定め、平成264月1日に遡って当該引上げ分相当額を本件委託先及び本件著作権者に対して支払った。
 また、マイナビ出版は、平成279月以前の前身会社であるマイナビから継続して消費税率引上げ分を上乗せせず支払った上記(4)の委託料(原稿料、広告販売手数料)及び著作権使用料について、平成30329日までに、消費税率引上げ分に相当する額を上乗せした額に定め、平成27101日に遡って当該引上げ分相当額を本件委託先及び本件著作権者に対して支払った。
 最近、消費税転嫁対策特別措置法違反の話を目にしていなかったのですが、毎年、数件はあるみたいですね。
 ・平成26年 1113
 ・平成27年 1518
 ・平成28年 45
 ・平成29年 55
 ・平成30年 44社(6月末まで)
 我がうどん県高松市でも、平成2710月に㈱穴吹ハウジングサービスが勧告を受けていますね。
 株式会社マイナビ及び株式会社マイナビ出版による消費税転嫁対策特別措置法違反について、どう思われましたか?
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「開示地獄」を嘆く企業を金融庁が配慮し非財務情報ミスを免責の法改正へ!

2025年10月01日(水)

日本経済新聞によると、金融庁は企業が作成する有価証券報告書で、非財務情報の開示内容にミスがあっても一定程度許容するルールを金融商品取引法に明記するようです。

国際基準をふまえたサステナビリティー情報の開示が東証プライムに上場する企業を対象に2027年3月期から順次義務化されるのにあわせ、金融商品取引法の改正案を2026年の通常国会に提出する方針です。

先日開かれた金融審議会のディスクロージャー(情報開示)に関する作業部会の初会合では、サステナ開示の義務化を前に、委員から企業に積極的な開示を後押しするルールの創設に賛同する声が相次ぎました。

作業部会では有識者らで構成する委員を中心に、ルールの詳細を詰めていきます。

開示情報が多様化する現状は企業に過剰な負担を求める「開示地獄」ともやゆされています。

サステナ開示の義務化を前に「さらなる負担を強いられるのではないか」と身構える企業は多いようです。

例えば、サプライチェーン(供給網)全体の二酸化炭素(CO2)排出量を示す「スコープ3」の開示が義務化されるのです。

見積もった排出量が正しいかどうかの検証は容易ではありません。

そこで、金融庁は「安全港の規定」と呼ばれるセーフハーバー・ルールを拡充することにしました。

内容に誤りがあっても一定の条件で虚偽記載の責任を問わないというルールを指し、英米などで採用されています。

現在は金融庁が作成した開示ガイドラインで「将来に関する事項」が免責の対象となっています。

合理的で具体的な説明が記載されていれば、実際の結果が異なっても虚偽記載などの責任を問いません。

金融庁はガイドラインの改正で対応することを想定していました。

2024年10月に開いた作業部会では改正の概要も示しました。

ところが、一転して2024年12月の会合では当時の野崎彰企業開示課長が「法律改正の要否も含め、引き続き検討を深めていければと考えている」と表明したのです。

関係者によると、経済界などへのヒアリングの結果、法律に明記したほうがよいという方向に傾いたようです。

諸外国は法律に明記しているのに対し、ガイドラインには法的拘束力がなく、裁判で争う場合に十分な材料とならない可能性があるからです。

金融庁幹部は「怖くて開示できないという企業の立場を考える必要がある」と語っています。

サステナ開示の義務化に間に合わせるためには、2025年末までに詳細を詰める必要があります。

どのような場合に責任を免れるかの意見がまとまっていません。

「重過失がない場合」や「合理性があるとみなされた場合」が浮上していますが、あいまいな点が多くなっています。

第三者の視点から正しいとお墨付きを与える保証の制度について、金融庁は2028年3月期の開始を目指しています。

保証の担い手を財務情報と同様に監査法人が担うべきだという声がある一方、専門知識を持つ民間企業や事業者に担い手を広げるべきだという意見も金融庁内や企業にはあります。

開示内容の質を保つためには保証についての調整も急務です。

非財務情報の充実は投資家にとって真に役立つ質の高い情報を届けるのが趣旨です。

企業に過剰な負担を求めるだけでは制度の実効性が伴いません。

責任を免れるという安心感から企業の開示姿勢に緩みが出るようなら問題です。

企業の実務負担と投資家のニーズに対応した制度設計が必要になるでしょう。

個人的には、非財務情報は義務ではなく任意にして、積極的に開示している企業が評価される、ひいては株価が高くなるようになれば、おのずと積極的に開示するようになるのではないかと思っていますが、義務化されると、かなり企業の負担は増えるでしょうね。

この改正により、企業のリスクが減ることは良いことなのでしょうが、投資家が本当に必要としている情報なのかという点についてはそもそも疑問を感じます。

「開示地獄」を嘆く企業を金融庁が配慮し非財務情報ミスを免責の法改正がなされることについて、あなたはどう思われましたか?


有価証券報告書の前倒し開示は「だれ得」?

日本経済新聞によると、株主総会では議決権を持つ株主が、議案について選挙のように賛否を投じています。

総会が集中する6月には、機関投資家が準備や事前の投票で多忙を極めます。

ある大手運用会社では1,200社の議案を6〜7人で精査し、1日に6時間もの会議をこなしています。

判断の頼りにするのは決算資料や、総会の招集通知に添付される事業や役員の状況です。

今年は、データが網羅された有価証券報告書を総会より前に開示する企業が5割を超えました。

ところが、この運用会社の担当者は「有報はまったくみていない。必要な情報は招集通知に入れてとお願いしている」と言っています。

有報は6月の総会が終わった後、月末までに開示するのが一般的でした。

海外の投資家団体、国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)などは重要資料が総会後に出てくるのはおかしいと訴え、金融庁は2025年3月末、金融相の加藤勝信名義で企業に要請する異例の対応をとりました。

企業は有報を早く開示しようとまい進しています。

コンコルディア・フィナンシャルグループは2025年、総会8日前の6月12日に開示しました。

サステナビリティーなど非財務情報は、財務を担う主計室が情報集約するのではなく、担当部署が直接システムに打ち込むようにしました。

主計室は業績などの財務情報に集中し、有報関連資料の監査法人への提出は昨年より1週間早まりました。

ところが、企業の苦労が株主の議決権行使に役立っていないようです。

なぜすれ違いが起きるのでしょうか?

日本の決算期末から総会まで3か月間の実務は、世界に比べて煩雑すぎてパンク状態にあるのです。

まず、開示資料が多いのです。

東京証券取引所が求める決算短信、会社法で定め招集通知に添付する事業報告、金融商品取引法が規定する有報と3つあります。

欧米では1〜2に集約されています。

さらに、期間が短いのです。

開示資料が多いのに、3か月間と短期に監査や開示、総会準備をこなします。

欧米は決算期末から総会までに4〜6か月の期間があります。

多忙さから、有報の開示前倒しを求められても多くの企業は総会の1〜2日前といった微調整しかできません。

これまで、企業は有報の開示は総会後であっても、記載内容のうち政策保有株など議決権行使に必要な情報は招集通知にも記載する工夫をしてきました。

ICGNの指摘は正論ですが、機関投資家も参考資料は集約したいため、議決権行使に有報は不要との声は多いようです。

監査法人は、ただでさえ5月の連休を返上するほど忙しいのです。

あずさ監査法人で有報などの監査を担当するパートナー、和久友子さんは「全上場企業が有報を前倒ししたら受けきれない。」と実務の限界を語っています。

仕組み全体の再設計が必要です。

半導体製造装置のアドバンテストは6月27日の総会で、来年以降の総会の開催日を8月上旬まで延ばす議案を諮ります。

決算期末から総会までの期間を広げます。

事業報告と有報の一本化は法務省と金融庁の縦割りが壁とされ、あずさ監査法人の和久さんは「企業に負担を強いる前に開示プロセス効率化へ改革を進めてほしい。」と訴えています。

土台を作り直さない対策は効果が見えない「部分最適」に終わります。

僕も監査法人出身ですが、監査法人時代に有報のチェックをしているときに、『この有報は何人の人が見るのだろうか?』と思ったことが何度もあります。

本当に、決算短信・事業報告・有報を統合、もしくは、ステークホルダーにとって役立つ情報のみが記載されたどれかをベースに追加のみとかにしないと、無意味なものが多くなってきますし、人手不足の世の中を考えると、効率化を図る必要があると思います。

企業の方も監査法人の方も疲弊するだけですから。

有価証券報告書の前倒し開示は「だれ得」?について、あなたはどう思われましたか?


売上高純利益率はROEへの影響が大きい!

日本経済新聞によると、売上高純利益率は、企業の最終的なもうけである純利益を売上高で割って100を乗じて算出します。

数値が高いほど株主にとって効率よく稼いでいると言えます。

利幅の大きい製品やサービスの販売拡大、コスト削減により改善します。

ただし、保有株式や資産の売却といった一時的な利益で押し上げられる場合もあります。

国内の上場企業は利幅の拡大や値上げのほか、固定費の削減、不採算事業の切り離しなど採算改善に取り組んでいます。

2025年3月期の東証プライム企業の売上高純利益率は6.4%となり、2008年3月期以降では最も高くなっています。

業種別では製造業が5.5%、非製造業は7.3%でした。

コンテナ船が好調だった海運や旺盛な訪日客需要を取り込んだ鉄道の売上高純利益率は、2ケタでした。

売上高純利益率は、投資家が最も重視する指標の一つである自己資本利益率(ROE)に与える影響が大きいです。

ROEは、売上高純利益率と財務レバレッジ(負債の活用度)、総資産回転率(資産の効率)に分解できます。

財務レバレッジと総資産回転率は工場や本社などの資産を計上するバランスシートに影響され、短期間での改善が難しいためです。

日本企業のROEは9%程度と欧米の主要企業に見劣りしています。

日本株へのマネー流入には、売上高純利益率を一層改善しROEを上げることが欠かせないのです。

東京証券取引所が『PBR1倍割れ改善』を要請してから、企業が指標を気にするようになったことはスゴく良いことだと思います。

目標指標を定め、達成するように努力して、株主に報いないと、いつ誰がM&Aを仕掛けてくるか分からない時代ですから、経営者は収益性の向上や、株価の上昇を期待したいですね。

売上高純利益率はROEへの影響が大きいことについて、あなたはどう思われましたか?


弥生が次世代クラウド会計ソフトの提供を開始して中小企業の“経営プラットフォーム”を目指す!

INTERNET Watchによると、弥生株式会社は、2025年4月8日、法人向けクラウド会計ソフトの新製品「弥生会計 Next」の正式提供を開始しました。

また、2023年10月から提供している「弥生給与 Next」に、勤怠管理と労務管理の機能を新たに追加したことも発表しました。

弥生株式会社代表取締役社長執行役員兼最高経営責任者(CEO)の武藤健一郎氏は「いよいよ弥生会計 Nextを投入することになるが、これは始まりにすぎない。新たな機能を搭載し、中小企業のニーズに対応し、中小企業を変えていきたい」とコメントしました。
「弥生 Next」シリーズは、これまでの弥生シリーズとは異なる製品ラインとして用意したものだ。武藤氏は「会計を全ての中小企業が利用できるようにし、事業を継続し、成長させることができる製品を目指している。完全自動化により、バックオフィスの業務をゼロにすること、データを利活用し、経営の意思決定を支援できるパートナーを目指している」と語っています。

弥生 Nextシリーズとしては、先行して「弥生給与 Next」と「やよいの給与明細 Next」を提供しており、今回、中核製品となる「弥生会計 Next」も正式提供を開始したかたちです。

弥生会計 Nextは、弥生がこれまで培ってきた会計領域の知見や経験を生かし、中小企業のデジタル化をさらに加速させるほか、豊富なデータをテクノロジーと掛け合わせることで、業績向上を支える経営プラットフォームを目指しているそうです。

弥生株式会社次世代本部次世代戦略部部長の広沢義和氏は「これまでの弥生会計は、経理担当者の業務効率化にフォーカスした製品だったが、弥生会計 Nextは会計業務の効率化に加えて、経営や事業を成長させるものになる。経営者にとっても不可欠な製品になる」と位置付けています。
弥生会計 Nextの特徴として、「誰でも簡単である」を挙げ、それを構成する3つのポイントを示しました。
1つめは、使い始めから簡単であることです。

初期設定が難しく、最初から脱落してしまうことがないように、4つのステップだけで初期設定を完了できるようにしたほか、新設法人もスムーズに設定ができるように工夫し、対話型で必要事項を入力するだけで、会計ルールに則したかたちで処理ができるという。同機能については特許を取得しています。
2つめは、取引データなどの取り込みや仕訳が簡単であるという点です。

帳簿付けを簡単にすることで、継続的に利用してもらうことができるようにしているそうです。

具体的には、明細ボックスを用意し、金融機関からの入出金データを蓄積し、必要な会計処理を行い、会計帳簿に登録できます。

これらの一連の作業にはAI技術が活用されています。

「明細ボックスは、日常的に利用する画面であり、視認性やデザインにもこだわっている」そうです。
3つめは、数字確認が簡単であるという点です。

ドリルダウンやドリルアップにより、複数の帳簿や集計表を行き来しやすくすることで、決算に必要な数字を確認しやすくしているそうです。

これも特許を取得した技術です。

また、「会計ソフトの価値を最大限に享受してもらうためには、数字が重要になる。数字を経営で活用してもらうことにつながる機能である」と述べています。

さらに、複数の業務をまとめて効率化できる点についても説明しています。
弥生会計 Nextでは、会計業務だけでなく、経費精算、請求業務、証憑の保存を一元的に管理します。

外部サービスや金融機関との連携により、データ連携を強化しています。

また、会計事務所や税理士とのデータ連携も可能にしています。

「業務と取引データがシームレスにつながることで利便性が高まる。会計事務所ともつながることで、会計業務をスムーズに進めることができる」としています。

加えて、繁雑化する法令への対応にも迅速に対応するほか、長年蓄積してきたカスタマーサポートでのノウハウを弥生会計 Nextに注入しています。

「中小企業が安心して利用できるようにしている」と胸を張っています。

また、弥生会計 Nextでは、経営支援にも活用できるように進化させており、その足掛かりとなる機能として「資金予測β版」を搭載しました。

AIを活用することで、3か月分のデータをもとに、今後3か月の資金を予測する「キャッシュ予測・評価」では、現在のキャッシュの状況を確認し、今後の資金繰りを予測します。

弥生が運営するコンテンツを利用したり、サポートを活用したりすることで、資金状況の改善につなげられるよう案内します。

弥生会計 Nextは、2024年10月から先行体験プログラムを実施しており、1,000件以上のフィードバックを得て、これらの声を製品化に生かしたそうです。

また、中小企業へのインタビューによるニーズの反映や、社内のエンジニア、デザイナー、リサーチャーによる議論を通じた改善なども行ってきたようです。

「毎日、ユーザーの声を確認しており、今後も日々の改善を繰り返していく」と述べています。

また、今後もAIを活用した新機能を弥生会計 Nextに搭載する姿勢を示す一方で、「弥生の主要顧客である中小企業は、AIと言った途端に構えてしまう傾向がある。今日の発表資料には一切、AIという言葉を使っていない。弥生は、中小企業に対して、知らないうちにAIを使っているという提案をしていきたい」(武藤氏)と語っています。

弥生会計 Nextの料金(税別)は、いずれも年契約の場合で、「エントリープラン」が年額3万4,800円、有人によるメールやチャットによるサポートが付属した「ベーシックプラン」が年額5万400円、電話サポートや仕訳相談も付加した「ベーシックプラスプラン」が年額8万4,000円です。

このほか、月契約による月額料金での提供も2025年6月より開始予定です。

全ての機能を最大3か月無料で使用できる無料体験プランや、有料プランの半額相当のAmazonギフトカードをプレゼントする「弥生会計 Next」スタート応援キャンペーンも用意しています。

「小規模事業者が導入しやすい価格設定を目指した。ユーザーは最適なプランを選択することで不要なコストを抑えることができる。弥生会計の名に恥じないように大きく成長させたい」(広沢氏)と意欲を見せました。

なお、弥生では、個人事業主向けの「やよいの青色申告 オンライン」を販売しているが、同製品の弥生 Nextシリーズへの統合については「現時点では考えていない。個人事業主が法人化した際に、弥生会計 Nextを利用してもらうようになる。データやAIを活用した経営支援は共通の機能として考えたい」(武藤氏)と述べています。

一方、「弥生給与 Next」の機能拡張では、これまでの「給与計算」「年末調整」の機能に加えて、「勤怠管理」「労務管理」の機能を追加しました。

勤怠管理機能の「弥生勤怠 Next」では、自社の就業規則に合わせて柔軟な対応ができ、スムーズな管理ができるのが特徴です。

PCやスマートフォン、ICカード、指静脈認証など、多様な打刻方法に対応しているほか、フレックス制や在宅勤務などの柔軟な働き方にも対応しています。

集計作業は自動で行われます。

労務管理機能の「弥生労務 Next」では、入退社や公的保険の手続きがウェブで完結し、複雑な労務業務を効率化できます。

雇用契約書など、入社前から必要な書類の作成や回収がオンラインで完結するほか、社会保険や雇用保険、労災保険関連など、110種類以上の届け出がオンラインで完結できます。

これにより、企業が必要とする労務書類の多くに対応し、企業が成長しても使い続けることができるとしています。

広沢氏は「中小企業における給与ソフトは4割強の導入率となっているが、勤怠管理や労務管理のデジタル化は依然として進んでおらず、7割以上が手書きやExcelを利用している。手入力によるミスや工数の増加、属人化といった課題が発生しているのが実情だ。新たな弥生給与 Nextは、給与・勤怠・労務をまとめてデジタル化を進めることができる」としています。

弥生給与 Nextの利用料金(税別)は、年末調整を外部委託する場合は、基本機能が給与計算のみの「エントリーライト」が年額9,000円、同じく勤怠管理も付属した「エントリー」が年額2万400円です。

年末調整を自社で対応する場合は、給与計算・年末調整・勤怠管理が行える「ベーシックライト」が年額3万6,000円、これらに加えて労務管理も行える「ベーシック」が年額5万5,200円、さらに電話サポートなども提供する「ベーシックプラス」が年額8万4,000円です。

弥生給与 Nextでも、全ての機能を最大3か月無料で使用できる無料体験プランと、有料プランの半額相当のAmazonギフトカードをプレゼントする「弥生給与 Next」スタート応援キャンペーンを用意しています。

弥生では2025年1月、新しいミッションやビジョン、バリューを制定しました。

弥生 Nextシリーズは、それに基づいた製品に位置付けています。

武藤氏は「従来は『事業コンシェルジュ』をスローガンに掲げていたが、新たに『この社会に、挑戦の循環を』とし、弥生が中小企業の挑戦の起点となり、それによって、社会に貢献していくという意味を込めました。

また、ミッションには『中小企業を元気にすることで、日本の好循環をつくる』を掲げ、日本の企業の97%を占める中小企業を改革することで日本全体を活性化できると考えている。こうした好循環のサイクルをつくることを目指している」と述べ、「中小企業は、日本経済の低迷と労働力人口の減少、世の中の急速な変化による経営の舵取りの難しさ、デジタル化の遅れという3つの課題がある。これを解決するには、デジタルデバイドをなくすことが大切である。弥生は日本で一番、中小企業のバックオフィス業務を理解している会社である。日本の中小企業を助けることができるチャンスを持った会社であり、それを行うことを義務として捉えている」と語っています。

結構遅い気はしますが、ようやく弥生もクラウドやバックオフィス業務全般に舵を取りましたね。

一方で、弥生がクラウドに移行したことで、時代に逆行している感じはしますが、パッケージ版のソフト会社がキャンペーンをしてクラウドに抵抗がある会社を取り込もうとしています。

弊事務所は、弥生PAP会員で、会計ソフトも弥生しか使っていませんので、弥生を使って、中小企業のバックオフィス業務の効率化のお手伝いができれば良いなぁと思っています。

弥生が次世代クラウド会計ソフトの提供を開始して中小企業の“経営プラットフォーム”を目指すことについて、あなたはどう思われましたか?


肥料原料や燃料が円安でコスト増が新米高騰の一因!

日本経済新聞によると、肥料や重油といった、農作物の生産に欠かせない資材価格が高止まりしています。

国際相場の上昇や円安・ドル高が進んだ為替相場が要因です。

生産コストの高止まりは、本格的に出回り始めた新米の価格高騰を招いた一因となってます。

農林水産省が先日発表した2024年8月の農業物価統計調査によると、物価指数(2020年平均=100)は肥料が前月と比べて0.2ポイント高い139.4、重油は1ポイント低い145.7、農業機具は横ばいの109.4でした。

前年同月比でもほぼ横ばいで、高水準が続いています。

国内に流通する肥料の7割のシェアを持つJAグループは、2024年6~10月に各JAなどに卸す肥料価格を引き上げました。

値上げは2022年の秋以来でした。

肥料原料の一つであるリン酸は、原料のリン鉱石が電気自動車(EV)のバッテリーでも使われます。

引き合いが強く、国際市況が底堅く推移しました。

尿素も、穀物の生産地のブラジルで需要が増えたほか、生産トラブルもみられ相場が高水準で推移しました。

肥料原料は多くを輸入に頼っています。

2024年初めから6月にかけて円安・ドル高が進んだのも価格を押し上げました。

重油は政府が補助金を支給して価格を抑えています。

原油の国際指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は下落基調にありますが、この3年ほどは円安・ドル高基調だったため、重油価格は高止まりしています。

生産コストの高止まりは2024年産新米の値上がりの一因になっています。

コシヒカリの集荷価格を前年に比べて1俵(60キログラム、1等米)当たり4,000円(33%)引き上げたJA全農とちぎ(茨城県宇都宮市)の担当者は「需給環境のほか、コストが高止まりしている状況で生産者の再生産価格を意識した」と話しています。

コメの価格は新型コロナウイルス禍で大きく下がり、その後も他の食品と比べて値上がりが鈍かったようです。

北海道南幌町の石川農園の担当者は「身を切りながらコメを生産してきた感覚」と表現しています。

秋田県大潟村でコメを作る田口精一氏は「今の状態で息子に継いでほしいとは言えない」とこぼしています。

野菜や果物といった青果もコスト転嫁が難しい状況です。

埼玉県桶川市でトマトを栽培する手島孝明氏は「品質にも関わるため、肥料の支出は削りづらい」と語っています。

対策として「農薬は使用するタイミングを見極め、使用量を減らすようにしている」。

米が高くなっていると批判されている方もおられますが、自分で価格を決められず、需給環境により価格が決まる農作物は、コストアップ分を価格に転嫁することが困難です。

状況を知ると、高くなるのは当然のように思います。

食料品は、数年前から何度も値上げがあり、かなり高くなっていると思いますが、それについては、コストがアップしているので仕方がないと思っている方も多いのではないでしょうか。

今回の米も同じことだと思います。

そもそも、農家の方が価格を決められないような、JA経由での販売が限界に来ており、ゼロベースで農作物の販売の仕方を考えないといけない時代になってきていると感じますね。

肥料原料や燃料が円安でコスト増が新米高騰の一因となっていることについて、あなたはどう思われましたか?


弥生がエフアンドエムと資本業務提携!

先日、弥生株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員:前山 貴弘、以下「弥生」)と、株式会社エフアンドエム(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:森中 一郎、以下「エフアンドエム」)は、中小企業の経営課題解決に向けた関係強化と両社の企業価値向上を目的として資本業務提携を締結しました。

弥生は、会計・商取引・給与計算などスモールビジネスのバックオフィス業務を支援するソフトウエア「弥生シリーズ」を展開し、登録ユーザー数 310万を超え、多くのお客さまが利用しています。

エフアンドエムは、あらゆる事業者のバックオフィス業務を改善することを使命とし、中小企業向けバックオフィスコンサルティングサービス「エフアンドエムクラブ」や、 “アラカルト型”人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」を展開しています。

現在、多くの企業が物価高や原材料費の上昇などの影響を受け、抜本的な生産性の向上が求められており、特に中小企業は厳しい経営環境の中、転換点を迎えています。

このような状況において、弥生の会計・商取引・給与計算領域、エフアンドエム社の労務・人事領域を中心とした両社のバックオフィス業務支援の実績とノウハウを組み合わせることで、強みを活かした、より利便性の高い新たな製品開発や付加価値の提供ができることから、本提携の決定にいたりました。

まずは、エフアンドエムが運営する「エフアンドエムクラブ」の拡販やコンテンツの拡充、税理士をはじめとした士業向けのメンバーシップ価値の向上に取り組みます。

さらには、弥生が2023年10月に立ち上げた新ブランド「弥生 Next」におけるサービス拡張として、労務領域での展開を共同で進めることや中小企業の人的資本経営に資する人事領域での連携を検討しています。

弥生は、創業時から続く”スモールビジネスに寄り添う”姿勢と思いのもとで、スモールビジネスおよび会計事務所のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、業務効率化を加速します。

<両社からのコメント>
株式会社エフアンドエム 代表取締役社長 森中 一郎
310万を超えるスモールビジネスを中心とした顧客のバックオフィスの業務効率化を、ソフトウエア で支援している弥生社との資本業務提携により、エフアンドエム独自ではなし得なかった中小企業に向けた経営支援体制を実現できるものと考えております。

両社の強みを掛け合わせることで可能となるソリューションを含め、真に価値あるサービスをリーズナブルな価格で提供することで、あらゆる事業者のバックオフィスの生産性向上に貢献し、日本の産業界のさらなる活性化に尽力してまいります。

弥生株式会社 代表取締役社長執行役員 前山 貴弘
エフアンドエム社は、30年以上にわたり中小企業および個人事業主のバックオフィス業務を支援し、日本社会に貢献されてきました。

その実績と専門性に深い敬意を抱くとともに、これから共に新しいビジネス展開できることに大きな期待を寄せております。

今回の提携は、弥生が長年培ってきた会計や給与計算などのバックオフィス支援をさらに広げ、我々のお客さまにより一層の価値を提供する重要なステップだと考えております。

両社で連携し、中小企業のさらなる生産性向上への貢献を目指してまいります。

【株式会社エフアンドエムについて】
会社名:株式会社エフアンドエム(英文名:F&M CO.,LTD.)
証券コード:4771 (東証スタンダード)
代表者:代表取締役社長 森中 一郎
設立:1990年(平成2年)
資本金:9億8,965万円(2024年6月末現在)
連結売上高:148億6,176万円(2024年3月期・連結)
事業内容:個人事業主及び小規模企業向け会計サービス
中堅中小企業向け管理部門支援サービス(エフアンドエムクラブ)
中堅中小企業向け財務・補助金支援サービス
会計事務所向け支援サービス (経営革新等支援機関推進協議会/TaxHouse)
社会保険労務士事務所向け支援サービス(SR STATION)
ISO・Pマーク認証取得支援サービス
パソコン教室
アラカルト型 人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」
経営革新等支援機関関連業務
事業所:大阪本社・東京本社・名古屋支社・福岡支社・仙台支社・札幌支社・沖縄支社
従業員数:927人(2024年6月末現在・連結)
URL:https://www.fmltd.co.jp/

【弥生株式会社について】
弥生はスモールビジネスの事業の立ち上げと発展の過程で生まれるさまざまな課題にお応えする「事業コンシェルジュ」をビジョンとする企業です。

会計・商取引・給与計算などのバックオフィス業務を支援するソフトウエア「弥生シリーズ(クラウドサービス/デスクトップソフト)」と、起業や資金調達などを支援する「事業支援サービス」の開発・販売・サポートをしています。

代表的な製品・サービスである「弥生シリーズ」は登録ユーザー数 310万を超え、多くのお客さまにご利用いただいています。

代表者:代表取締役 社長執行役員 前山貴弘
創業:1978年
従業員数:978名(派遣・契約社員含む、2023年9月現在)
事業内容:業務ソフトウエアおよび関連サービスの開発・販売・サポート
本社所在地:東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX21F
URL: https://www.yayoi-kk.co.jp

うちの事務所は、弥生のPAP会員であり、弥生会計しか使っていませんので、今回の業務資本提携によって、クライアントの方にとって良いサービスを提供できるようになればよいなぁと思っています。

一方、エフアンドエムも無料の会員にはなっていて、何度かセミナーを受けたりしたことはあり、知っていますので、今後、サービスが拡充してくれればよいなぁと感じています。

弥生がエフアンドエムと資本業務提携したことについて、あなたはどう思われましたか?


国際会計基準は損益計算書を3区分に刷新し2027年度から強制適用!

日本経済新聞によると、国際会計基準(IFRS)で損益計算書の開示ルールが2027年度から大幅に変わるようです。

損益計算書の構造が見直され、新たに「営業」「投資」「財務」の3区分が設けられます。

「営業利益」などの利益項目も開示が義務づけられます。

IFRSを策定する国際会計基準審議会(IASB)がこのほど新基準「IFRS第18号」を最終決定しました。

IASBのアンドレアス・バーコウ議長は「IFRSが20年以上前に導入されて以降、企業業績の表示に関する最も重要な変更になる」と語っています。

営業利益の計算ルールの統一は、この変更の中の1つです。

3区分への見直しは2027年度から企業に強制適用され、早期適用も可能となります。

投資家は売上高営業利益率を分析したり、キャッシュフロー(現金収支)を予測したりしやすくなります。

新ルールでは損益計算書の売上高から税引き前利益に至るまでの段階を3つに分けます。

本業の収益や費用を示す「営業」、本体や子会社の事業以外からの投資収益を示す「投資」、資金調達に伴う費用などを示す「財務」の区分を設けます。

企業がどの段階で稼いだのか、分かりやすくします。

営業区分には売上高や売上原価、販売費、一般管理費などが入いります。

日本会計基準の特別損益に相当する損益も含まれます。

投資区分には持ち分法投資損益や保有株式から得る受取配当金、不動産賃貸収益などが対象となります。

財務区分には借入金やリース負債の金利費用などが入いります。

新たに2つの段階利益の開示も義務づけます。

一つは本業のもうけを示す「営業利益」で、営業区分までの利益を示します。

これまで営業利益を開示する企業は多かったですが、義務づけられてはいませんでした。

もう一つ、開示が義務づけられるのが「財務及び法人所得税前利益」です。

投資区分までの利益を示し、資金調達の影響を除いた利益が把握できます。

IASBはこのほか、「事業利益」や「コア営業利益」といった企業が使っている独自の業績指標についても説明を拡充するよう求めます。

今回開示が義務づけられた営業利益などから独自指標がどのように計算されるのかを示す「調整表」を開示させます。

独自指標は監査の対象にもして、透明性を高めます。

野村アセットマネジメントの磯光裕グローバル・リサーチ部長は「企業が独自指標の定義を毎年変えることは難しくなる。監査で正確性や信頼性が担保されるため非常に好ましい改正だ」と語っています。

キャッシュ・フロー計算書が、『営業』『投資』『財務』の3区分になっているので、個人的には、損益計算書も3区分するのが分かりやすくて、良いことだと思います。

本当は、全部損益計算書ではなく、変動損益計算書にして欲しいと思いますが。

国際会計基準は損益計算書を3区分に刷新し2027年度から強制適用となることについて、あなたはどう思われましたか?


『マネーフォワード クラウド』が税務申告ソフト『達人シリーズ』とのAPI連携を開始!

株式会社マネーフォワードは、『マネーフォワード クラウド会計』、『マネーフォワード クラウド確定申告』と、株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)の税務申告ソフト『達人シリーズ』のAPI連携を開始したことを公表しました。

2020年より、事業年度開始時に資本金額等が1億円を超える大法人の電子申告が義務づけられ、政府は2026年までに主要税目の電子申告を80%以上にする、という目標を掲げています。

国を挙げた電子申告推進の流れを受け、中小企業における電子申告数も年々増加しています。

これまで、『マネーフォワード クラウド会計』や『マネーフォワード クラウド確定申告』は、決算書や消費税集計表などの会計データを『達人シリーズ』に反映する場合、両サービスにログインし、サービス間で事業者や年度ごとのファイルをエクスポート・インポートを行う必要がありました。

今回のAPI連携により、『達人シリーズ』上での簡単な操作のみで、『マネーフォワード クラウド』の会計データを取り込めるようになります。

これにより、複数の顧問先の税理申告を代理で何件も行う税理士や、申告業務を担う企業経理担当者は、税務申告作業の手間が削減でき、業務効率化を実現できます。

■利用方法
1.(※初回のみ)『達人シリーズ』と『マネーフォワード クラウド』の連動コンポーネントを設定します。
2.『達人シリーズ』を操作し、顧問先を選択します。
3.『達人シリーズ』から『マネーフォワード クラウド』にログインし、データを取り込みます。

弊事務所は申告用のソフトは達人シリーズ、会計用のソフトは弥生を使っているので、弊事務所に移ってきたお客様がマネーフォワードを使っているケースなどはありがたいですね。

ソフトをたくさん使うことは会計事務所にとって手間の増加やコストアップにつながりますので、どんどんAPI連携できるようになればいいなぁと思います。

早くfreeeもお願いしたいですね。

『マネーフォワード クラウド』が税務申告ソフト『達人シリーズ』とのAPI連携を開始したことについて、あなたはどう思われましたか?


新入社員も財務諸表の理解が必須で全員参加の経営システムで成長!

日経ビジネスによると、ヤマチユナイテッドという会社に中途社員として入社した1人の女性社員が、こんな話をしたそうです。

「ヤマチに入社して驚いたのは、幹部だけでなく若手社員までもが、会議で必ず『営業利益が今これくらいで……』と数字を把握した上で議論をしていたことです。日常会話の中で、売り上げや利益という言葉が普通に出てくる。これは、まずい!と思って、私も慌てて勉強しました(笑)」

前職の会社では、経営状況が公表されておらず、売り上げや利益の詳細を社員が知ることはなかったと言います。
ヤマチに入社した途端、入社1年目の若手社員が数字をベースに会話をしており、これは確かに、衝撃的だったのかもしれません。

ヤマチユナイテッドでは、25年ほど前から全員参加型経営の仕組みを導入しており、「システム経営」と呼んでいるようです。

システム経営とは、経営をシステム化し、社員全員が経営に参加する仕組みです。
中小企業は、社長の目が行き届きやすいために、仕組みをつくる優先度を下げている会社も多いように感じています。
しかし、成長のためには、経営を仕組み化し、進化させることが不可欠です。
仕組み化すれば、社長が経営のすべてを1人でこなすのではなく、権限委譲していくことができます。

現社長は30代で社長に就任し、長く経営手法を模索していたそうです。
さまざまな本を読み、セミナーを聞く中でたどり着いたのが、システム経営でした。
例えば何でも自分で決められるスーパーマンのような社長は、ある一定までは組織を大きくできるかもしれませんが、絶対に限界があります。
変化の激しい時代に、たとえスーパーマンでも、常に正しい判断ができるとは限りません。
答えは現場にあることのほうが多いと社長は考えているようです。
だから、社員に権限を持たせ、全員参加で経営をしたほうが、組織をより大きくすることができます。

ヤマチのシステム経営は「自主計画」「自主管理」「自主分配」の3つの柱から成り立っています。
経営計画の大枠を私がつくった後、個々の部署の目標やそれを達成するための戦術を考えるのは社員たちです。
トップダウンで決められた目標ではなく、自分たちで決めたものに対しては責任を持ちますし、主体的に進捗を管理しようとします。
こうなると、社長の仕事は、ジャッジするだけです。
社長は楽になるし、社員は成長し、どんどん頼もしくなります。

自分たちで計画し、管理しながら目標を達成し、利益が出たら、賞与や昇給の形で分配します。
自分たちの頑張りがそのまま昇給・昇格の形で返ってくるのは、やりがいにつながります。
当然、未達成の場合もあります。
1年間、一喜一憂したことが、また次の年の計画に反映されていきます。

これを実行するために必要なのが、「管理会計」の仕組みです。
管理会計とは、ヤマチの場合、「部門別営業利益管理」を指しています。
部門別に売上、粗利益、経費を振り分けて、営業利益まで算出することで、部門ごとの生産性や利益貢献度を明確にしていく仕組みです。
加えて、ヤマチでは早いサイクルでPDCAを回すため、管理会計ベースで月次決算を行い、全社員に公開しています。
税務会計とは異なり、現状を認識して対策を立てるために必要な数字なので、ある程度の概算速報値で問題ありません。
早くアウトプットすることが重要です。

それを前年の実績や目標、予算などの数字と対比し、差額があればすぐに対策を考え実行するということを毎月繰り返します。
年度末に自分の部門が決算ボーナスをもらえるかどうかも含め、すべては期中の自分たちの行動にかかっているというわけです。
生産性の良しあしと社内貢献度を明確にするこの「管理会計」の仕組みが、全員参加のシステム経営を支えているのです。

ただ、この仕組みをいきなり導入しても、うまくいかないので、教育が必要だそうです。
ヤマチでは、新入社員研修の中に、P/L(損益計算書)とB/S(貸借対照表)の読み方が組み込まれています。
公開された経営情報を正しく理解し、計画が立てられるようになるためです。
それさえクリアできれば、1年目の社員でも「うちの部署はあまり利益が出てなく、業績が良くない。もっと頑張らなければならない」といったことが言えるようになってきます。

システム経営をしていると、仕事が自分事になるため、会社への不満もなくなります。
昇給や賞与に対して不満が出るのは、数字をクローズにしているからです。
売上と利益の数字が全社員にオープンになっていて、それが自分たちの計画と実行の結果であれば、昇給や賞与に対して不満が出ることはありません。

組織を大きくしたいなら、システム経営がお勧めです。
経営者のキャパシティーを超えて、会社が成長していけます。

こういった会社が増えるといいなぁと思います。
新入社員から社長まで数値を意識し、共通言語となっている会社は、当然利益が出ますよね。
変動費と固定費に分けて数値を考えることができるようになれば、さらに管理会計として使えるのではないかと思います。
このあたりは、戦略MGマネジメントゲームなどをしていただくと、実感できるのではないでしょうか。

新入社員も財務諸表の理解が必須で全員参加の経営システムで成長している会社があることについて、どう思われましたか?


賃借対照表(ちんしゃくたいしょうひょう)?

最近、日本商工会議所の定款の中で、『貸借対照表』(たいしゃくたいしょうひょう)ではなく、『賃借対照表』(ちんしゃくたいしょうひょう)となっていることが話題となっています。

日商簿記検定を主催しているところが、こんなことで大丈夫なのでしょうか?
ちなみに、『日商簿記検定』の正式名称は、『日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験』だそうです。

あと、『中小企業の会計に関する指針』も、日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会が連名で出していますし、『中小企業の会計に関する基本要領』を出している『中小企業の会計に関する検討会』の委員11名のうちのお一人が当時の日本商工会議所常務理事ですから。

今年度の大学院の授業のレポートで『賃借対照表』と書いていた生徒さんがおられましたが、見た感じ似ていますし、普段は『貸借』ということばはあまり使いませんので、世の中ではよくあることなのかもしれませんね。
個人的には、過去から『貸借対照表』などを日本商工会議所は公表していますが、定款では『賃借対照表』となっているため、このあたりの効力はどうなるのだろうか?気になります。

賃借対照表(ちんしゃくたいしょうひょう)について、どう思われましたか?


四半期報告書は「廃止」へ!

日本経済新聞によると、金融審議会(首相の諮問機関)は、先日、上場企業などが3か月ごとに業績などを公表する四半期開示の見直し案を公表しました。
国に提出を義務づけている四半期報告書を廃止するため、2023年の通常国会に金融商品取引法の改正案を提出する方向となりました。
上場企業は第1、第3四半期決算を取引所の規則に基づく短信で公表することになりますが、将来的に短信公表も任意化する案には賛否が出ており、継続審議となりました。

四半期開示の見直しは2021年10月、岸田文雄首相が所信表明演説で言及したのがきっかけです。
廃止か否か議論が起きたものの、「法定開示の廃止」と「短信開示の維持」でいったん決着します。
年内に正式な報告書を政府に提出するようです。

意見が割れたのが、将来的に決算短信の提出義務を廃止するか否かです。
金融庁は報告書案で当面は一律に義務付けるとしたうえで、将来的には任意に切り替える可能性を盛り込みました。
2022年11月時点の原案では「将来的な方向性(案)」として「任意化のタイミングを継続的に検討する」としていましたが、「幅広い観点から継続的に検討する」とトーンを落としました。

金融庁は任意化を検討する代わりに適時開示の充実をあげていました。
企業の経営環境が刻一刻と変わるなか、投資家の判断に影響を与える重要な事項が発生したときにその都度公表する体制が確立できれば、必ずしも一律に四半期開示を求める必要はないとの考えです。

ただし、先日の会議では「日本企業の現状の開示姿勢に照らして、任意化のハードルは極めて高い」(ニッセイアセットマネジメントの井口譲二氏)と反対意見が相次ぎました。
「適時開示と決算短信などの定期開示との関係性を整理すべきだ」と検討自体、慎重に進めるべきだとの意見も複数出ました。

金融審の作業部会の座長を務める学習院大学大学院の神田秀樹教授は「四半期開示やサステナビリティー(持続可能性)に関する開示は立場によって意見が分かれる難しい問題だ」と述べました。

四半期報告書は廃止ですね。
個人的には、もちろん企業によって様々なのでしょうが、どれだけの方が見たり、使ったりしているのだろうかと疑問を持っていますし、3か月後くらいに出されるものにそれほどの価値はあるのだろうかと思っていますので、廃止には賛成です。
一方で、タイムリーな開示は必要だと思いますので、決算短信を残すか、決算短信も廃止して、任意のものを提出するようにして、開示に積極的なところが投資家などに評価されて、消極的なところも積極的に開示するようになれば良いのではないかと考えています。

四半期報告書は「廃止」の方向であることについて、どう思われましたか?


値上げで客数が2割減のスシローが抱える巨額損失の火種とは?

M&AOnlineによると、スシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIESが危機に陥っています。
2022年10月1日の値上げによって、急速に客離れを引き起こしているのです。
2022年10月の既存店客数は前年同月比20.1%減、11月は26.9%減となりました。

1皿10~35円のわずかな値上げでしたが、客数への影響は甚大でした。なお、同じ時期に値上げをしたくら寿司の既存店の客数は前年同月比8.4%の減少に留まりました。

ファンドからファンドへの転売が繰り返されたスシローは、のれんを抱えています。店舗の収益性悪化は、のれんの減損損失という巨額損失を計上する導火線ともなりかねません。

スシローは2022年6月に消費者庁からおとり広告に該当する景品表示法違反が認められると指摘され、再発防止措置をとるよう命じられるなど、店舗運営に歪みが生じていました。その年の7月にビールジョッキ半額キャンペーン実施前に広告を表示したことがSNSで大炎上し、消費者からの信頼を失います。

スシローの客数は他社と比較して後れを取っていました。
10月の値上げが客離れの決定打となります。

FOOD&LIFE COMPANIESの2022年9月期の売上高は前期比16.8%増の2,813億円と堅調ですが、営業利益は同55.8%減の101億円と大幅な減益となりました。
営業利益率は3.6%。
海外も含めて合計で116店舗を出店したために増収となったものの、既存店の集客が苦戦。国内スシロー事業のセグメント利益は前期比65.8%減少しています。

また、2021年4月に子会社化した京樽(東京都中央区)は30億円の赤字。
京樽は吉野家ホールディングス<9861>の子会社だったころから赤字に苦しんでいましたが、テイクアウト需要が活発になってFOOD&LIFE COMPANIESが連結子会社化した後も、黒字化はできていません。

2023年9月期は売上高が前期比13.8%増の3,200億円、営業利益を同8.7%増の110億円と見込んでいます。
営業利益率は3.4%で前期を下回る予想です。

ただし、経営陣が値上げによってこれほど負のインパクトを受けると予想していたとは考えづらく、業績の下方修正も視野に入ります。

FOOD&LIFE COMPANIESはコロナ禍を経てもなお、自己資本比率は19.61%と高水準にあります。
しかし、財務体質を脆弱にする爆弾を抱えています。買収によって生じたのれんです。

FOOD&LIFE COMPANIESは京樽を買収する前に、303億7,100万円ののれんを計上しています。

この額は2022年9月末時点の純資産額の46.6%に相当します。

のれんは、買収した会社の純資産と買収額の差額によって生じます。
京樽を買収する前のスシローにのれんが積まれていることに違和感を覚えるかもしれませんが、スシローは2008年に国内の投資ファンド、ユニゾン・キャピタル(東京都千代田区)、2017年にイギリスの投資ファンド、ペルミラ・アドバイザーズ(ロンドン)に買収されています。

投資ファンドは買収して企業価値を上げ、高値で売却するのが普通。
特にユニゾン・キャピタルは、買収当時に市場を席捲していたかっぱ寿司を追い抜き、スシローを国内トップの回転ずしブランドにしたことでよく知られています。

FOOD&LIFE COMPANIESは国際会計基準であるIFRSを採用しています。
そのため、無形固定資産であるのれんを償却する義務はありません。

ただし、毎年のれんに見合った収益力があるかチェックされ、必要に応じて減損処理をする決まりです。
のれんの減損損失です。

のれんの減損損失は、営業キャッシュフローが継続的にマイナスになったり、経営環境が悪化するとその兆候が認められます。
価値が毀損しているのであれば正しいものに計算しなおし、減価した分は損失として計上します。
最悪の場合、のれんの全額を減損損失として計上することもあります。

もし、FOOD&LIFE COMPANIESが300億円超の減損損失を計上すると、純資産のおよそ半分が吹き飛ぶ計算です。
スシローの業績悪化は営業利益の縮小という本業の稼ぎ以外に、巨額の損失を計上しかねない重大な意味を持っています。

FOOD&LIFE COMPANIESは2022年9月期に事業用資産の減損損失68億2,100万円を計上しました。
これは出店する店舗の収益性が当初の計画を下回り、本来の価値に算定しなおしたもの。減価した分を損失として計上します。

飲食店の場合、収益性を失うと有形固定資産(店舗)の減損損失も生じます。

減損損失の内訳をみると、スシローが41億7,000万円(前年同期は7億400万円)と激増しています。
また、京樽も18億8,100万円(7億3,300万円)と苦戦しています。
客離れが続くと、店舗の減損損失にも苦しめられるでしょう。

有形固定資産と無形固定資産の減損損失は、スシローの財務体質を弱体化させる要因になります。いち早く客数の回復に努める必要があります。

大学院の財務会計の授業をやっていますが、減損会計の話しもしています。
個人的には、減損損失も影響が大きいと思いますが、有形固定資産と無形固定資産の減損損失を計上すると、税効果会計にも大きな影響が及ぶのではないかと思っています。
会社の状況により、区分が決められ、それに伴って計上できる繰延税金資産が決ってきますから、区分が下がると繰延税金資産の計上額が減り、取り崩す必要があるため、利益が減少(損失が増加)してしまいます。
正念場でしょうね。

値上げで客数が2割減のスシローが抱える巨額損失の火種とは?について、どう思われましたか?


請求書の電子データ保存義務につき引き続き紙も認める方向で調整中!

2022年12月07日(水)

NHKによると、事業者が取引先とメールでやりとりしている請求書などを、電子データで保存することが、2022年から義務づけられましたが、政府・与党は対応が遅れている中小企業などに配慮して、2023年末で猶予期間が終わったあとも引き続き紙による保存を認める方向で調整しているようです。

政府は、企業の会計や納税業務の電子化を進めるため、2022年1月から事業者が取引先とメールでやり取りしている請求書や領収書を、電子データで保存するよう義務づけました。

保存にあたっては、データの改ざん防止対策をとることや、日付や金額、取引先ごとに検索できる機能を備えることを求めたうえで、2023年いっぱいは紙での保存を認める猶予期間を設けています。

ただし、電子化に必要な人材の不足などで中小の事業者を中心に対応が遅れていることから、政府・与党は2023年末の猶予期間の終了後も、紙での保存を引き続き、認める方向で調整しています。

紙とは別にメールでやり取りしている電子データについても保存するよう求めますが、保存にあたって検索できる機能を備えなくてもよいとして企業側の負担を軽減することにしています。

政府・与党は年末の税制改正の取りまとめに向けた議論の中で、この案について検討を進める方針です。

紙での保存を認めるのであれば、電子帳簿保存法の改正を取り消すべきだと思います。
ベンダーは商機ととらえ、セミナーをしたりして、サービスを提供し、稼いでいると思いますが、事業者側は無駄な費用が発生しているのは間違いないと思います。
個人的には、実務を何も分かっていない役人が机上で考えた改正だと思っていますので、中小企業に現実的に対応は無理だと思っていましたし、現状、どうするのが良いのか確証が持てませんでしたので、クライアントの方にもこちらから電子帳簿保存法の改正については、一切お知らせはしていませんでした。
もちろん、質問があれば答えてはいましたし、会計ソフトを作っているメーカーとか電子帳簿保存法の対応のソフトなどを作っているメーカーなどから、対応状況などをよく聞かれるのですが、そのときも、『現時点で何をすればよいのか分からないし、今後、変わるような気がするので、とりあえず今のところ何もしない。』というようなことを答えていました。
予想どおり、見直されることになり、何ら対応は不要ということになりそうですが、このしょうもない改正を取り消してほしいですね。
世の中にはすでに電子帳簿保存法の改正に対応するために多額の投資をしたところもあると思いますが、そういったところはどう対応するんでしょうね。
損害賠償請求もののような気もしますが。

請求書の電子データ保存義務につき引き続き紙も認める方向で調整中であることについて、どう思われましたか?


金融庁が四半期開示の任意化を提案!

日本経済新聞によると、金融庁は、先日、上場企業が3か月ごとに提出する「四半期決算短信」について、将来的に提出を任意とする案を提示しました。
代わりに、投資判断に影響のある情報をいち早く開示する「適時開示」を充実させます。
ただし、情報開示の質と量を維持できるかには不透明な面があります。
貯蓄から投資への動きに逆行しかねない案が提出されたことに対し、投資家からは戸惑いの声も上がっているようです。

先日開いた金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会で、金融庁が説明しました。
企業の四半期ごとの開示を巡っては、企業側の事務負担が重く、企業経営者や投資家が短期的な利益ばかりを求める原因になっているとの意見が一部にありました。岸田文雄首相は就任時、四半期開示の見直しを目玉施策の一つとして打ち出し、2022年2月から改革の議論が始まりました。

金融庁は改革を2段階で進める構えです。
第1段階として、重複が目立っていた取引所規則に基づく四半期決算短信と、政府に提出する四半期報告書を一本化し、四半期では決算短信だけを公表すればよいようにします。
開示の質と量を保ちながら企業負担を軽減するこの案については、この日の作業部会でおおむね合意し、2023年の通常国会に金融商品取引法の改正案を提出する方向となりました。

問題は、金融庁がこのタイミングにあわせて唐突に示した改革の第2段階といえる将来的な見直し案の内容です。
提示された文書には「適時開示の充実の状況を見ながら、任意化のタイミングを継続的に検討する」と明記しています。
適時開示を拡充することを条件に、四半期開示の義務をなくす方向性が示されました。

適時開示は取引所の規則にもとづく開示で、自社株買いや業績予想の変更などがあります。
経営環境が刻一刻と変わるなか、投資家の判断に影響を与える重要な事項が発生したときにその都度公表することに、開示の重点を移す考えといえそうです。

ただし、会議に参加した委員からは将来的な四半期開示義務の廃止を前提とした議論に反対する意見が相次いだようです。
学習院大学の松元暢子教授は「四半期開示と適時開示は性質が異なる点に留意する必要がある」と指摘しています。
アストナリング・アドバイザーの三瓶裕喜代表は「現状の日本の適時開示は期待される水準に達していない。まずは(任意化に向けた)環境が確立されているかの検証を検討するのが筋だ」と述べました。

日本企業の適時開示に対する姿勢は消極的との声が多いようです。
東京証券取引所は新型コロナウイルス禍でリスク情報などの積極的な開示を企業に要請しましたが、2021年3月期の第1四半期で決算発表前に業績予想の修正に関する適時開示を行った企業は約1割にとどまりました。
ロシアによるウクライナ侵攻でもリスク情報を開示した企業はごくわずかでした。

企業が情報開示に必ずしも積極的といえない状況で四半期開示が任意となれば、開示される情報が減少しかねず、投資家は日本市場に不信の目を向けかねません。
経団連の担当者も「四半期決算短信を出さないという選択肢は考えにくい」と話しています。

金融庁幹部も「適時開示を充実させることは相当ハードルが高いことだ」と認めています。
第2段階の改革には実現の時期が示されておらず、検討を続けるとしながら問題を先送りし続けることも理屈の上では可能です。
今回の案は、改革を求める岸田政権の顔を立てつつ、情報開示の質と量は確保し続けようという金融庁の窮余の一策とのややうがった見方もあるようです。

個人的には、四半期決算短信や四半期報告書は、もう少し簡便にしたうえで、早めに出すようにした方が良いのではないかと思っています。
別に強制でも任意でも構わないように思いますが、任意でも、出さないところは投資家が株を買わず、株価が低迷するため、結局、どこの会社も出すようになればいいのではないかと思います。
様式も自由にして、分かりやすい企業が評価されるようになれば、おのずと底上げが図られるのではないでしょうか。

金融庁が四半期開示の任意化を提案していることについて、どう思われましたか?


政府が四半期開示を決算短信に一本化し「四半期報告書」の廃止を検討!

日本経済新聞によると、政府は上場企業など約4,000社が四半期ごとに公表する決算書類で、法律で開示を義務づけている四半期報告書を廃止する検討に入ったようです。
証券取引所の規則に基づき開示する決算短信に一本化するようです。
内容に重複が多いため、企業側の事務負担を軽減することが目的です。
投資家が企業価値を正当に評価するため、四半期ごとの決算開示そのものは維持します。

金融庁の金融審議会で近く議論をとりまとめ、早ければ2023年の通常国会に金融商品取引法の改正案提出をめざします。
実際に四半期報告書の開示義務がなくなるのは、2024年度以降になる見通しです。

上場企業と一部の非上場企業は、証券取引所の規則に基づいて四半期ごとに損益計算書や貸借対照表を含む財務データを「決算短信」で公表しています。
これに対して四半期報告書は、金融商品取引法で上場企業に開示が義務付けられています。
決算短信が速報性を重視、四半期報告書が詳細版という位置付けですが、提出時期が近く、内容もほぼ重複しているのです。

政府は、四半期報告書をなくして一本化すれば、企業の負担が大幅に減るとみています。
ただし、金融証券取引法で開示を義務付けている有価証券報告書(年1回)は継続する意向です。

日本の四半期開示制度は1999年から東京証券取引所のルールで上場企業に順次求められるようになり、2008年には金融商品取引法で義務づけられました。
企業を取り巻く環境変化が激しくなるなか、投資家に財務情報をタイムリーに開示し、経営の透明性を高めることを狙ったものです。

岸田文雄首相は就任時、四半期開示の見直しを目玉施策の1つとして打ち出しました。

関西経済連合会もかねてから四半期の開示義務の廃止を訴え、2022年4月5日には緊急提言をまとめました。

現行の四半期開示制度について「企業経営者や投資家の短期的利益志向を助長しているとの懸念がある」とし、中長期的な企業価値向上を目指す流れに適合していないと主張しました。

ただし、金融審の作業部会では四半期開示の完全撤廃に根強い反対論があったようです。
複数の委員が「非財務情報は財務情報を補完するもので、代替するものではない」とし、企業の実務負担を軽減するために四半期開示をなくすことは不適当だという考えを示しました。

研究結果を踏まえ、「経営者の短期主義志向の原因を四半期開示のみに帰するのは、必ずしも適切とはいえない」と述べる委員もいたようです。

一方で、重複する内容の多い四半期報告書と決算短信の一本化には賛同意見が多かったようです。
自民党の金融調査会がまとめた提言も、四半期開示の見直しを「長期的な課題」とし、政府に対して決算短信への一本化を求めていました。
政府はこうした声に配慮し、四半期開示制度そのものは維持します。

世界各国も四半期開示のあり方を議論してきました。
1970年に導入したアメリカでは、トランプ前大統領が2018年に米証券取引委員会(SEC)へ義務づけの見直しを要請しましたが、議論は立ち消えになりました。
イギリスは2014年、フランスは2015年に法的な義務を廃止しましたが、大半の企業は四半期開示を続けています。
ドイツも2015年に法律での義務づけをなくしましたが、取引所規則では維持しました。

政府内では開示姿勢が後退したとみられるリスクを懸念する声が強かったようです。
四半期報告書の決算短信への一本化は投資家の判断材料の確保と企業の負担軽減の両立をねらったものです。
政府は気候変動リスクへの対応や人的資本に関する情報開示の充実を企業に求める方針で、適切な情報開示が投資マネーを呼び込む好循環をめざします。

個人的には、良い落とし所かと思います。
ダブっているようなものはなくせばいいと思っていますし、投資家としてはタイムリーな情報開示が必要なのではないでしょうか?
委員がおっしゃっているように、経営者の短期主義志向の原因は四半期開示のみではないと思います。
そして、投資家や株主を重視している会社であれば、義務でなくなっても、タイムリーな開示はするのではないかと思います。
このあたりが、評価されるようになれば、開示に消極的な会社も変わってくるのではないでしょうか?
一方で、四半期決算等を理由に監査報酬を上げたと思われる監査法人の報酬がどうなるか気になります。
監査法人も退職者が相次ぎ、人手不足のようですから、一本化により少しでも業務量が減れば、人手不足が解消するのかもしれませんが。

政府が四半期開示を決算短信に一本化し「四半期報告書」の廃止を検討していることについて、どう思われましたか?


楽天銀行とのデータ連携解消でfreeeが「重心シフト」!

日本経済新聞によると、クラウド型会計ソフトを手がけるfreeeは銀行の口座情報を使うデータ連携以外のサービス拡充を検討するようです。
収益やコスト配分をめぐり銀行側との溝が大きくなってきたためです。
楽天銀行とのデータ連携は解消することになりました。
データ連携はフィンテック推進のため政府が旗を振ってきましたが、定着するにつれて難しさも増しているようです。

freeeは100行以上の銀行システムに接続し、顧客の預金口座の資金の出入りを自動的に会計ソフトに反映するサービスが事業の柱です。
楽天銀行とも契約更新に向けて交渉してきたがまとまらず、APIと呼ぶデータ連携を解消します。
freeeがデータ連携の契約を更新できないのは初めてです。

APIは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略で、フィンテック企業と金融機関のデータをつなぐ重要なインフラです。
2018年施行の改正銀行法は、銀行にAPIの体制整備の努力義務を課しました。

ただし、データを開放する側の銀行はセキュリティー体制の不備などを理由にフィンテック企業との連携に慎重な姿勢を示しているうえ、収益やコストの配分をめぐっても見解の相違が起きやすくなっています。
関係者によると、今回のfreeeと楽天銀行の連携解消も条件面で折り合えなかったためだそうです。

佐々木大輔最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に「再締結に向けて協議を継続している」と述べましたが、楽天銀行は「契約満了に伴い終了する」と説明しています。

楽天銀行はfreeeの連携先金融機関のなかでも利用実績が多いようです。
佐々木氏は「今後はファイルをわかりやすいかたちでアップロードしてもらえるようにして、API連携ができないことによるデメリットを減らしていく」と述べ、影響を最小限にとどめる考えを示しました。

今後、他行ともAPI接続の契約を結べなくなる可能性について佐々木氏は「一般論でいえば起こり得る。個別に交渉していくに尽きる」と説明しました。
freeeにとって銀行とのAPI接続は「ユーザーに利用してもらっている価値の中の重要な一部分」だ。銀行に受け入れられない事例が増えれば「重心をシフトさせていく必要がある」との認識を示しました。

具体的には「例えば他社との取引が決まった段階でお金の流れが決まる。お金を支払うより前の段階で会計帳簿へのインパクトを認識できる」と指摘し、お金の流れの最終段階である銀行口座の出納より前の上流の情報を活用する可能性を示唆しました。
そのうえで「必ずしも銀行明細だけで帳簿を自動化するものではなく、利便性を高める重心を移すことはできる」と強調しました。

freeeは楽天銀行との提携終了の発表後、限度額5,000万円の法人向けクレジットカードを発行すると発表しました。
佐々木氏は「新しいカードは面倒な業務を自動化・可視化して、資金繰りを改善できる」と話しています。
子会社のfreee finance lab(フリーファイナンスラボ)では金融サービスの開発にも力を入れていく方針です。

フィンテック企業が手がける領域が広がるほど、新興勢を利するAPI連携に対する既存金融機関側の拒否反応も強まります。
複雑な関係の中で最適解を見つけられるかどうかに、フィンテックの成長がかかっていると言えるでしょう。

API連携が便利なのは使ったことがある方は分かると思いますが、当然、コストなどの問題はあると思いますね。
楽天銀行に続くところもおそらく出てくるでしょう。
そうなると、今までより手間がかかるようになると思われますので、離れていくfreeeユーザーも出てくるでしょうね。
個人的にはfreeeやマネーフォワードは、安い値段でユーザーを増やしておいて、途中で急に価格を上げるということをやっているので、個人的には好きにはなれませんが、弥生会計でもできますが、銀行等のデータを自動的に取り込んで仕訳を起こせるということは非常に便利ですので、クラウド会計が今後どうなっていくか、新たに便利な機能が出てくるかについてはウォッチして、正しい選択をしないといけないかなとは思っています。

楽天銀行とのデータ連携解消でfreeeが「重心シフト」することについて、どう思われましたか?


全銀協が会計ソフト会社と連携し請求・入金、紙の伝票が不要に!

日本経済新聞によると、全国銀行協会(全銀協)が企業間取引のデジタル化に向け、代金払い込みの請求と入金のデータが自動で連携する仕組みをつくるようです。
中小企業では、代金の請求や入金の確認は紙の請求書や伝票を使って作業する例が多くなっています。
全銀協は会計ソフト会社が進める請求システムの規格整備の動きと連携し、中小企業に残る紙での作業を減らし、経理業務を大幅に軽減します。

全銀協が運営する送金データの管理システム「全銀EDIシステム(ZEDI)」を企業の会計ソフトへ組み込む方向です。
ZEDIは銀行間の決済システム「全銀システム」と連動しており、個々の送金情報と、商品やサービスの請求番号をひも付けます。
会計ソフト上の請求データと、ZEDI上の送金データを自動で連携することで、社員がこれまで紙の伝票などで確認していた業務が不要になります。

日本の企業間取引では1か月分の取引の代金をまとめて翌月に振り込む商習慣があります。
取引が複数の商品にわたる場合、請求した側の企業には1件ごとに請求番号と請求額を確かめ、入金額と一致させる「消し込み」という経理業務が生じます。
商品ごとの税額が異なる場合も確認作業に手間がかかります。
こうした非効率な業務が日本企業の生産性の低さにつながっているとの指摘は多いようです。

全銀協は、政府と会計ソフト会社などが進める請求書の完全デジタル化に向けた動きと連携します。
請求書などをもとに消費税額を正確に伝えるインボイス(適格請求書)制度が2023年10月に始まるのに合わせ、民間の業界団体である「電子インボイス推進協議会」は2020年12月、請求システムの国際規格を導入することを決定しています。

欧州やアジアの各国、オーストラリアなどの30か国以上で利用されている「ペポル」という規格に対応させ、請求書の電子化に関わる仕様を統一するようです。
企業同士が異なる会計ソフトを利用していたとしてもデータをやりとりできるようになります。
国内のほとんどの会計ソフト会社が参加する見通しです。
電子インボイス推進協議会は政府と協力し、紙の請求書の削減に向けて新たな会計ソフトの普及を図ります。

全銀協は2021年1月に同協議会に特別会員として加わり、請求データと送金データの連携のさせ方を検討します。
国際規格が採用される2022年10月までに、ZEDIと会計ソフトの接続方法を固めることを目指しています。

ZEDIは送金データに取引情報を付随できるシステムとして2018年12月に稼働しました。
従来は20桁の情報しか載せられませんでしたが、支払い通知日や請求番号、納税に関わるデータを無制限に加えられるようになりました。
約9割の金融機関が対応している一方、会計ソフトとの連携が不十分なため活用が限られていました。
インボイス制度の開始により会計ソフトの仕様が大きく変わることをきっかけとして普及につなげる狙いです。

中小企業庁が2017年度に実施した実証実験では、受発注から決済までの業務が電子化されると、受注企業と発注企業のそれぞれで約6割の業務時間の削減につながることが分かりました。
平井卓也デジタル改革相は2020年10月の全銀協との会談で、ZEDIとインボイス制度の連携を要望しました。

ちなみに、インボイスは商品ごとの税率や税額を示した請求書で、適格請求書とも呼ばれます。
ネットワーク上で管理されるインボイスが電子インボイスです。
日本では2023年10月1日から、消費税を正確に徴収するためインボイス制度が始まります。
企業は仕入れ先が発行するインボイスに基づき税務申告します。
これにあわせ電子インボイスを普及させるため、大手会計ソフト10社は2020年7月に「電子インボイス推進協議会」を発足させました。
請求書の電子化に対応したソフトの導入を促します。

会計・税務関連の仕事をしておりますが、業務上、本当に無駄だなぁと思うことが多いですよね。
仕入や販売関連の取引のデータが、紙ではなく電子データで受け渡しができるようになると、かなりの業務が楽になりますよね。
大きい企業ほどメリットがあると思いますので、大きい企業から導入されていくと推測されますが、取引先は使わないといけないようになるため、徐々に中小企業にも浸透していく感じなのでしょうね。
紙がなくなると、テレワークなどもしやすくなりますし。
パソコンを使っていない人はどうなるのだろうかとは思いますが、電子申告できない税理士がおそらく淘汰されていくように、電子データのやり取りができないBtoBの事業者は商取引から淘汰されていくのではないかと思います。
あとは、会計ソフト会社にはビジネスチャンスだと思いますので、会計ソフトがどう変わっていくのが楽しみですね。

全銀協が会計ソフト会社と連携し請求・入金、紙の伝票が不要になることについて、どう思われましたか?


新型コロナ感染拡大影響で東証上場の約400社が決算発表を延期!

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業で決算の集計が間に合わず相次いで決算発表の延期を決めています。
東京証券取引所に上場する3月期決算の企業のおよそ16%にあたる400社近くにのぼり異例の事態となっているようです。

3月期決算の企業の決算発表は例年5月に集中します。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業で会計担当者が在宅勤務になったことや海外の子会社が厳しい外出制限で休業したことで決算の集計作業に遅れが出ています。

東京証券取引所によりますと、3月期決算の上場企業のうち、先月末までに決算発表を延期した企業や発表時期は未定とした企業は392社で、全体のおよそ16%にのぼっています。
政府が緊急事態宣言を延長することで決算の集計がさらに遅れることが予想されるため、発表を延期する企業は今後さらに増える可能性もあります。

金融庁や法務省などは感染の拡大を防ぎつつ決算の集計作業を正確に進めることが重要だとして遅れを容認し、企業に対して決算を承認する株主総会の開催も延期するなど柔軟な対応を呼びかけています。

決算発表を「未定」にしている企業の1つは、静岡県三島市に生産拠点がある東証2部のポンプメーカー「電業社機械製作所」です。
この会社の場合、インドにある子会社の集計作業が事実上、止まっているため決算を発表できなくなっています。
インドは新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため3月下旬から全土が封鎖=ロックダウンとなり、外出が制限されました。
現地のおよそ30人の社員のほとんどが出勤できず、決算関連の作業が進んでいません。

さらに国内でも在宅勤務が増えたことや、監査法人による監査をいわゆる「3密」を避けるためテレビ会議で行っているため時間がかかっています。

電業社機械製作所の村林秀晃社長は「過去に例がない想定外の事態になっているが、株主に正確な決算のデータをなるべく早く開示したい。しかしインドの状況が変わらないかぎり動けないので、現地の動きを見極めたい」と話しています。

このような状況下だと、仕方ないでしょうね。
ただし、今回の新型コロナウイルス感染症が、日常の経理業務や、決算作業などを根本的に見直す機会にもなるでしょうね。
もちろん、決算発表の遅れは会社側のみならず、監査法人側にも原因があるでしょうから、会計監査についても同様です。
これを機に、自主的に公表する会社もあっても良いとは思いますが、四半期決算を廃止する議論が前向きに進んで欲しいなぁと思います。

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日本郵政がゆうちょ株安で巨額減損も!

日本郵政が2020年3月期に保有するゆうちょ銀行株で巨額の減損処理をする可能性が出てきたようです。
ゆうちょの株価は新型コロナウイルスの感染拡大などを受け急落し、簿価の半額以下になっているためです。
今後の株価次第では減損せずに済む場合もありますが、計上すると国内企業で過去最大規模になるおそれもあります。

郵政はゆうちょ株の89%(議決権ベース)の33億3,700万株を保有しています。
総額は5兆7,800億円で、1株当たりの簿価は1,732円です。
2015年11月のゆうちょの上場時に1,450円で売り出しましたが、日銀のマイナス金利政策やかんぽ生命保険の不適切販売問題で下落基調が続いてきました。
足元では新型コロナの感染拡大で急落しています。
2020年3月9日終値は前週末比66円(7%)安の857円と初めて簿価の半値を割りました。
郵政が採用する日本の会計基準では日本公認会計士協会が「時価が取得原価から50%程度以上下落した場合は、合理的な反証がない限り、減損処理しなければならない」とルールを定めています。
郵政の増田寛也社長は2月に国会でゆうちょ株の減損の考え方を問われ、「そうしたルールに従う」と答弁しています。

郵政は決算期末までの一定期間の終値平均で時価を計算するため、一時的に半額以下になっても減損が確定するわけではありません。
株価が低落したまま3月末を迎えれば減損処理の可能性が出てきます。
仮に減損する場合、3月末の株価と簿価の差額をもとに減損額をはじきます。
簿価の半額なら約2兆9,000億円となります。
保有するかんぽ生命保険の株価は、まだ減損基準に達していません。

仮に減損しても子会社株のため、連結財務諸表には影響しません。
ただし、郵政単体では利益剰余金がマイナスになる見通しです。
期末の25円配当を維持すると、その他資本剰余金を取り崩して原資にすることになります。
そうなると、資本の払い戻しである「譲渡所得」の扱いとなり、株主は源泉徴収されず、確定申告しなければならなくなります。

新型コロナの前からゆうちょ株は下がってきました。
政府の間接出資が残ることで民業圧迫を避けるために融資ができないなどの規制があります。
2万4,000局の郵便局を維持するための年6,000億円の委託手数料も重くなっています。
期待していた投資信託の販売も、かんぽ問題で落ち込んでおり、市場の目は厳しくなっています。

日本郵政に限らず、これだけ新型コロナウイルスの影響で世界的に株価が大幅に下落していますので、下落が一時的として、今度の決算では、減損処理はしないかもしれませんね。
こういった株価の下落があると、安定的と思っていた投信も大幅に下がって損をしている人が多いでしょうから、解約や今後投信をやる人が減り、日本郵政の場合は、そうしても、問題の先送りに過ぎないと思いますが。
配当は、状況をかんがみて、しなくても良いと思いますね。

日本郵政がゆうちょ株安で巨額減損の可能性があることについて、どう思われましたか?


シンガポール取引所が四半期決算義務を廃止!

 AsiaXによると、シンガポール取引所(SGX)は、先日、2020年2月7日付で四半期決算の作成・報告義務を廃止すると発表したようです。
同日以降、上場企業は中間期と期末の年2回、決算報告を行えばよいことになります。

SGXでは、上場企業850社のうち、時価が7,500万Sドル(約60億円)超の企業(約600社)は4半期ごとの財務諸表作成を義務付けられていますが、時間と経費が掛かるとして廃止を求める声が強かったようです。

SGXは、今後、監査人が財務諸表に疑問を呈した会社など経営リスクを抱える企業のみ、四半期決算の作成・提出を義務付けるようです。
現時点で100社がこの適用を受ける見通しです。

SGXの監督部門SGXレギュレーションのタン・ブーンジン最高経営責任者(CEO)は、「規則を順守している上場企業には負担をかけすぎないようにする。四半期決算の廃止は世界的潮流で、企業は長期目標に焦点を合わせることができる」と説明しました。

一方で、情報公開はこれまで以上に求めるようです。
関係者間取引、資産取得などの重要取引、短期的利益見通しに影響を与える事柄、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のある情報は、速やかな開示を求めます。

シンガポール事業連盟(SBF)のホー・メンキット最高責任者は、SGXの決定を歓迎すると表明しました。
オラム・グループのムトゥクマル最高財務責任者は、「四半期報告は費用が掛かるだけでなく、上級管理職の時間も奪う」とコメントしました。

僕も個人的には、日本でも、四半期決算を廃止し、一方で適時開示のルールを厳しくすれば良いのではないかと思っています。
四半期決算短信や四半期報告書でも45日くらい経って提出しているわけですから、タイムリーな情報としては、それほど役に立っていないのではないかと思います。
投資家は、過去のことより、将来のことの方が知りたいのではないでしょうか?
任意で四半期決算を開示するのは良いと思いますが、シンガポール取引所を見習って、日本も早く、四半期決算義務を廃止してほしいですね。

風の噂では、日本公認会計士協会と金融庁が協議を行っているらしいですが、どうなるのでしょうか?

シンガポール取引所が四半期決算義務を廃止することについて、どう思われましたか?


株価不安の今「有価証券報告書」が実に面白い!

 東洋経済ONLINEによると、企業の業績を表す“通信簿”ともいえる「決算短信」、その決算短信から1カ月半~2カ月後に公表される「有価証券報告書」(有報)には、決算短信には掲載されない、実に多くの情報が掲載されていると取り上げられています。

有報には、明確にその会社の個性が表れます。
経営者が自らの言葉で投資家に語りかけるような説明文になっている会社もあれば、「わが国の経済は~」で始まるお題目が大半を占め、会社に関する具体的な説明はほんのわずかという会社もあります。

不思議なことに、縁もゆかりもない会社同士なのに、“ほとんど同じ文章”に出くわすことがあります。
宝印刷やプロネクサスなど、かつて有報の印刷業務を手がけていた会社は、入力すれば有報が出来上がるソフトを提供しています。
そのソフトによって、サンプルとして入れている例文をそのまま修正せずに使う、横着な会社が一定程度存在するからです。

最近何かと話題のキーエンスですが、日本が世界に誇る特殊センサーメーカーです。
2019年3月期の有報を見ると、従業員の年間平均給与は2,110万円超(平均年齢35.8歳)、前期の営業利益率は54.1%で、時価総額ではソフトバンクグループやソニーを抜き、4位に浮上しているほどです(2019年11月12日終値時点)。

しかしながら、黙っていても世界中から機関投資家が群がってくるほどの好業績ながら、IR(投資家向け広報)には後ろ向きなことで知られています。
近年ではだいぶ姿勢が軟化していますが、かつてはホームページ(HP)上に有報はもちろん、決算短信や適時開示も直近のものしか掲載しない会社でした。

あまりのかたくなさゆえに、ファナック、SMCとともに、“頑固3兄弟”なるあだ名を付けられていたほどです。

そのキーエンス、柔らかくなってきたとはいえ、いまもIRに積極的ではないことを、同社の有報は物語っています。
まずはページ数です。
9兆円もの時価総額の会社でありながら、総ページはわずか62ページです。
海外投資家と積極的に対話をしようという気はさらさらないのか、グローバルカンパニーでありながら会計基準は未だに日本基準です。

ちなみにほかの時価総額上位10位以内の企業のうち、会計基準が日本基準のままなのは、7位の三菱UFJフィナンシャルグループのみです。
トップのトヨタ自動車以下、百数十ページから二百数十ページがスタンダードです。
国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(SEC)の場合、日本基準に比べてページ数が多くなりがちであることを割り引いても、キーエンスの62ページというのは極端に少ないと言えるでしょう。

しかも内容を見ると、説明意欲の低さを実感します。
象徴的なのは「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」です。
割いている行数は見出しを含めてわずか12行です。
海外事業の拡大などにサラッと触れただけで具体的な中味は乏しく、キーエンスの有報が現在のスタイルになった2001年当時から、ほぼ変わっていません。

一方、それと対象的なのは、丸一鋼管です。
大阪の鉄鋼メーカーで、溶接鋼管では国内首位と地味で堅実な会社です。
時価総額は3,000億円弱で、全上場会社中の順位は400番目あたりに位置します。

何より注目すべきは、日本証券アナリスト協会が毎年公表している、優良ディスクロージャー企業ランキング上位の常連であることです。
2019年3月期の有報は、総ページ数こそ97ページと、さほど多くはありません。
しかしながら、業績の説明は中期計画と絡めて投資家が知りたいことを過不足なくきちんと説明しており、対処すべき課題も個別かつ具体的です。

実務的に有報は金融庁のEDINETで検索できますが、実は上場していなくても有報を提出している企業はあるのです。

首都圏地盤の食品スーパーを運営するオーケーは、非上場ながら、かつて顧客を対象に公募増資を実施、50人以上を対象に有価証券の募集・売り出しをしたため、有報の提出義務を負っています。

2019年3月期の有報で記載されている、対処すべき課題は秀逸です。
「『競合他社よりは良い』と心の隅で自らを慰めているようでは、国際競争には勝ち残れません。」「市場を熟知して商品を見直し、お客様に損をさせない。肝に銘じて勝つ道を求めて参ります。」などなど、一文一文に血が通っており、実に熱量が高くなっています。

既存店実績など必要な数字をしっかり折り込んだうえで、終わった決算期の振り返りに加えて、次期業績予想も明示しています。
認識している課題と対策が、平易な言葉で説明されています。
個人投資家はもちろん、プロの機関投資家でも歓迎するであろう、お手本となりうる有報なのです。

1936年開場の名門ゴルフ場「小金井カントリー倶楽部」の運営会社である小金井ゴルフも、預託金制度でなく株主会員制ゆえに50人以上の株主がいるため、非上場ながら有報の提出会社です。
ほかにもサントリーホールディングスや森ビルをはじめ、有報を提出、公表している非上場企業はあります。

有報には決算短信の貸借対照表ではわからない項目も載っているのがメリットです。
例えば「主要な設備の状況」は、その会社が持つ資産の含み益を知る手がかりにもなります。

2019年1月から4月にかけて、ベインキャピタルが買収を試みたものの、創業一族の反対や村上ファンドの参戦で頓挫したのが、廣済堂です。

廣済堂の稼ぎ頭が本業の印刷事業や出版事業でなく、子会社で手がける火葬場事業であることは決算短信でもわかるでしょう。
しかしながら、火葬場の資産価値を知る端緒となる情報は、2019年3月期の有報をめくると出ています。

主要な設備の状況にある国内子会社、東京博善(本社・千代田区)が持っている斎場に注目しましょう。
期末で土地や建物、機械装置など合計の帳簿価格は296億6,700万円です。
このうち土地の簿価は92億7,400万円で、面積は5万6,000㎡(約1万6、900坪)という情報が載っています。

土地の簿価が92億円ということは、平均の坪単価は54万円程度にすぎません。
東京博善のHPを見れば、斎場7カ所の住所が載っており、都内にあるというだけで、どれだけ安い簿価で所有しているかが判明します。

より正確な含み益をはじくには、各斎場の土地面積を住宅地図や登記簿謄本で調べたうえで、そこの路線価などと照らし合わせ、時価と簿価の差額を計算する必要があります。
ただし、少なくとも有報で多額の含み益をある程度類推することはできます。

ほかにも有報では興味深い欄もあります。
「経営上の重要な契約等」には、その会社の存続に関わりかねない、重要情報が記載されている場合もあります。

スターバックス コーヒージャパン(スタバジャパン)は好例です。
スタバジャパンは、サザビー(現・サザビーリーグ)とスタバのアメリカ本社の合弁で1995年に設立され、2001年にナスダックジャパンに上場、2015年3月に上場廃止になっています。

スタバジャパンの有報の「経営上の重要な契約等」には、上場当初から、本社とのフランチャイズ契約の条項がビッシリ記載されていました。

本社との間では年度ごとの出店ノルマも決められており、達成できなければ本社はスタバジャパンとのFC契約を解除できる条項が入っていました。
また、本社やサザビー以外の第三者が発行済み株式総数の2割以上を本社の同意なく取得したらFC契約を解除できる条項もありました。

とくに重要だったのは、本社との間のFC契約の期間が上場から20年間の契約になっており、契約期間終了時に“自動更新の定めがない”、とする部分です。
更新してもらえなければ、スタバジャパンは事業を継続できず、廃業を余儀なくされます。
どんなに業績が好調でも、20年後には突然廃業を余儀なくされるかもしれない、そんな企業が上場審査を通ったのです。

案の定、本社は「アメリカ本社の完全子会社にならなければ更新契約に応じない」と言い出し、スタバジャパンを完全子会社化してしまいました。
好調な業績と裏腹に、事業の根幹たるFC契約は脆弱そのものだったと言えるでしょう。

そんなことにも気づくことができるのも有報の面白いところです。
一見、退屈そうに見えますが、その会社の素顔が見える有効なツールなのです。

僕自身、香川大学大学院地域マネジメント研究科准教授時代に、大学生相手の授業をしないといけないことになり、『有価証券報告書』を用いた授業をしましたし、現在、非常勤講師をしていますが、現在も『有価証券報告書』を用いた授業をしています。
今回に記事のように、『有価証券報告書』には、数値だけではない役立つ情報がいっぱい載っています。
この記事に出てくるスーパーのオーケーで独立前に東京に住んでいた時には買い物をしていましたし、以前、オーケーの『有価証券報告書』のことはこのBLOGでも書いています。
もう少し『有価証券報告書』の存在が世間に認識され、見る人が増えると、公認会計士としても、『有価証券報告書』を用いた授業をしている非常勤講師としてもうれしいなぁと思います。

株価不安の今「有価証券報告書」が実に面白いことについて、どう思われましたか?


請求書の紙の保存が不要に!

 日本経済新聞によると、財務省は企業の税務手続きで完全なペーパーレス化(電子化)を認める方向性のようです。
クラウド上の会計ソフトを使えば請求書や領収書をデータにして、ほぼ自動的に会計・税務処理できます。
ただし、税務調査などに備え、原則として紙で保存する義務があり、新しいサービスの普及を阻む要因にもなっていました。
2019年10月の消費増税で、税率は10%と軽減税率の8%が併存し、企業の経理作業は複雑になりました。
会計ソフトの利用を促すことで中小企業の事務負担を軽くし、生産性を高める狙いです。

税制は、普及するクラウド上の会計サービスへの対応が後手に回っていました。
財務省が改正を検討する電子帳簿保存法もその一つです。

11月から本格的に始まる与党の税制調査会での議論も踏まえ、2020年度の税制改正大綱に電子帳簿保存法の改正方針を盛り込むようです。
政府は2019年6月に閣議決定した成長戦略で、税務手続きの電子化・自動化を進める対策を2019年度中に決めるとしました。
その柱の一つにします。

企業は様々な取引を勘定科目に分類して仕訳をします。
1年の決算期が終わったところで貸借対照表や損益計算書を作り、納税の申告をします。
209年10月の消費増税で食料品などに8%の軽減税率が適用され、この作業が複雑になっています。

例えば、仕入れや売り上げに軽減税率の対象品目がある場合、軽減税率の対象とそうでない品目を分けたうえで、税の区分を標準税率(10%)、軽減税率(8%)、非課税と指定する必要があります。
こうした経理処理が煩雑になっています。

クラウドの会計サービスを使えば、領収書や請求書をスマートフォンで読み取ったり、電子データにしたりして、複雑な会計・税務をほぼ自動的に処理できます。
ただし、消費税の控除や納税額を計算する根拠となる領収書や請求書は、紙での保存義務があるのです。

財務省は一定の条件を満たせば、請求書をデータのみで保存することを認めています。
ただし、それには請求書のデータに特別な認証をつける必要があり、手間やコストがかかります。
中小企業がクラウドサービスの活用に踏みきれない一因にもなっています。
そこで一定の条件を満たしたクラウド会計サービスを使えば、現行ルールを緩和し、企業の税務書類を完全に電子化することを認めます。

今回の電子帳簿保存法の見直しは、2023年10月から始まるインボイス(税額票)制度に備えた布石でもあるのです。
インボイス制度が始まると、請求書には8%と10%の2通りの税率ごとに消費税額を記載する必要があります。
経理の事務作業がさらに複雑になります。
クラウドの会計ソフトを使えば、インボイスの作成は円滑になります。
税に絡んだ情報がすべて電子化されれば、税逃れがしにくくなるという面もあり、財務省は税に関する手続きをすべて電子化していく構えです。

会計ソフトで、インボイスの作成ができるのかは疑問ですが、電子化が認められるのは望ましいと思います。
紙だと保存場所も必要になりますし、場合によっては時間が経つと見えなくなるものもありますし、過去のものが見当たらないケースなどがあるからです。
クラウド会計の普及が業務の効率化につながり人手不足解消にも貢献するとも考えられます。
また、クラウド会計の普及により業務が効率化され、経理の方々が単なる事務処理屋ではなく、数値を用いた様々な分析を行ったり、意思決定の際の数値の提供を行ったり、数値を用いた戦略を考える部門となれば、経理部門の地位も上昇するのではないかと個人的には思っています。

請求書の紙の保存が不要になることについて、どう思われましたか?


会計と税務の違いは何か?

 ソフトバンクグループ(SBG)が2018年3月期に税務上の赤字を計上し、日本で法人税を支払っていなかったことが、先日明らかになりました。
SBGが決算で公表した2018年3月期の最終的な損益は黒字だったはずですが、なぜなのでしょうか?

カギになるのが、「会計」と「税務」の違いです。
会計は投資家などに業績動向を伝える成績表のようなもので、株式投資や銀行の融資判断などに使われます。
ニュース報道で見聞きする企業の売上高や利益は、企業会計にもとづいています。

税務は目的が異なります。
税務当局が法人税の金額を把握するために使われます。
税務は一般になじみが薄く、独特な言葉遣いに戸惑うことも多いようです。
理解するためのキーワードが「損金」と「欠損金」です。

まずは損金ですが、会計では収益(売上高)から費用を引いて、もうけである利益を計算します。
一方、税務では収入にあたる益金から費用にあたる損金を引いてもうけを求めます。
これを課税所得と呼ぶのです。
費用と損金は似ていますが、計上するタイミングや項目が異なります。

たとえば、取引先を接待するときに支払う交際費ですが、会計では通常は費用として扱いますが、資本金が1億円を超える企業の場合、原則として損金にはならないのです。
交際費をたくさん使って節税することを防ぐためです。
役員報酬のなかにも損金にならないものがあります。

EY新日本監査法人の山岸聡シニアパートナーは、「損金は費用に比べて計上時期が遅れることが多い」と話しています。
アパレルメーカーを例に考えてみましょう。
夏物衣料が季節を過ぎて売れ残ると、会計では「来年は型落ちとなり定価では売れず、経済的な価値が減った」とみなし、在庫評価損という費用として計上します。

税務では「衣服としての役割に変わりはない」と判断し、一般に廃棄するまでは損金として計上できません。
会計の費用の方が税務の損金より早く決算書に記載することになるのです。

もう一つのキーワードが欠損金です。
益金より損金のほうが大きく、税務上のもうけである課税所得がマイナスになった金額のことです。
冒頭のSBGは税務上の欠損金が生じていたのです。

企業の立場でみると、会計の赤字は避けたいところですが、税務上の欠損金にはメリットもあるのです。
日本では欠損金が出ると最大10年先まで繰り越して課税所得を少なくできるのです。
税金支払額が年度ごとに大きくぶれるのを避ける意味があります。

大企業ではもうけである所得の半分を限度に、前年度の欠損金を活用できます。
たとえば、2018年度に10億円の欠損金が生じ、翌2019年度に12億円の所得があったとします。
2019年度は12億円の半分の6億円を限度に欠損金を活用できるため、課税対象を6億円まで抑えることができるのです。

そもそも、会計上の利益をもとに税額は決まると思っている方も多いのではないかと思いますが、そうではないのです。
それゆえ、会計上は利益が出ていても、法人税は0ということもあるのです。
僕が、公認会計士の受験をしていたころは、トライアングル体制といって、当時の証券取引法(現在の金融商品取引法)、当時の商法(現在の会社法)、税法の3つがあったのですが、今では、金融商品取引法と会社法はほぼ同じですので、会計と税務という感じになります。
実務上は、上場企業などは会計が重視されますが、中小企業などは税務が重視されます。
よって、中小企業などでは、会計と税務の差はあまり生じないのですが、上場企業などではたくさん生じることになります。
会計と税務の差を示すものが、法人税申告書の別表4や別表5ですが、一般的に、上場企業などは記載項目が多く、中小企業などは記載項目が少ないと思います。

会計と税務の違いは何か?について、どう思われましたか?


freeeが損保ジャパン日本興亜と提携し「税務調査サポート補償」の提供を開始

 freee株式会社(本社:東京都品川区、CEO:佐々木大輔、以下、freee」は、損害保険ジャパン日本興亜株式会社(本社:東京都新宿区、社長:西澤 敬二、以下、損保ジャパン日本興亜)と提携し、「クラウド会計ソフトfreee(以下、会計freee)」の個人事業主向け「プレミアムプラン」の加入者に適切な税務申告をサポートすることを目的として、税務調査の税理士費用を補償する『税務調査サポート補償』サービスの提供を開始したようです。
会計ソフトに付帯する税務調査費用を補償するサービスは国内初とのことです。

個人事業主は国内で200万を越え、日本の事業者数の約半分を占めています。
また、副業解禁やシェアリングエコノミーの台頭など働き方の多様化が進み、フリーランス人口の成長は過去四年で22.6%増と著しく、今後個人事業主数の増加が期待されています。
一方、個人事業においては、事業主自身が経理業務を行うケースがほとんどで、税務に関する専門知識やノウハウは十分に持ち合わせていません。
そのような環境下、個人事業主への税務調査は年間約11万件行われており、事業主の知識不足により対応に苦慮するケースが多々発生しています。

このような課題を解決するため、freeeは、会計freeeの「プレミアムプラン」に、損保ジャパン日本興亜が提供する補償サービスを無料で付帯することで、個人事業主の税務調査への迅速で適切な対応支援および費用負担の軽減を実現するそうです。
このサービスでは、税務調査対象となった個人事業主にfreeeが税理士を紹介し、調査立会に要した費用を、損保ジャパン日本興亜が上限50万円まで直接補償するものです。

freeeの目指す方向がよく分かりませんが、こういったサービスを開始したようです。
法人は、3年から5年に一度、税務調査が来ると一般的に言われていますが、個人事業主は、法人ほどは来ないと思われます。
そういったところに着眼して、ユーザーを増やそうということなんでしょうね。

freeeが損保ジャパン日本興亜と提携し「税務調査サポート補償」の提供を開始したことについて、どう思われましたか?


地方銀行が走る会計「装飾」のからくり!

 「ウチにも教えてもらえませんか」。
関東地方にある地方銀行の運用担当者がこんな会話を交わしていたようです。
話題は「リパッケージローン」と呼ばれる金融派生商品(デリバティブ)です。

地方銀行でひそかに広がっているのは、理由があるようです。
表面的には一定の利回りを手にできる金融商品なのですが、その中身は特定の企業や事業の破綻に備えたデリバティブで、地銀はそこに融資する形をとっています。
複雑な金融商品が姿を変え、会計上は融資が増える構図です。
「マイナス金利で何をやっても苦しい状況。決算の見栄えが良くなると頭取が喜ぶんだよ。」と運用担当者は内幕をこう明かしました。

急増している投資信託も、からくりは似ています。
少数のプロ投資家に割り当てる私募投信は、解約時に出る利益が本業のもうけを示す「業務純益」(資金運用収益)に加わるのです。
一般的な株式であれば臨時の株式関係損益となり「本業」の外になります。
価格変動による含み損益を決算に反映させる必要もありません。
この違いが決算を少しでも良く見せたい地方銀行の経営者の心に響いているようです。

地方銀行が持つ投信残高は、2018年8月に11兆円を突破しました。
この4年で3倍に膨れ、大手銀行を大きく上回っています。
通常の株式と比べて私募投信は解約が制限される例も多く、売りたいときにすぐ売れないため、リスクは格段に高くなっています。
「地域金融機関は投信を積み増す形で積極的にリスクを取り、海外金利や株式のほか不動産や為替など多様な市場リスクを抱えるようになっている」と、日本銀行は2018年10月の金融システムリポートで警鐘を鳴らしています。

それでも地方銀行は会計の「装飾」に奔走しています。
マイナス金利下で融資や金融商品の利回りは低下を続け、経営の手詰まり感が強まるばかりで、そんな地方銀行の苦境を見透かすように、売り手が群がっているのです。

2018年夏、あるメガ銀行が組成した融資500億円を複数の地銀に売り出そうと打診したようです。
融資先には伝えない「サイレント譲渡」と呼ばれる貸出債権のバラ売りです。
打診と前後して、この融資先は海外の投資家が環境保護の観点で懸念ありとして株式の保有をやめた「ダイベストメント」の対象となり、話題を集めました。
ある地銀の担当者は「リスクを落としたいメガ銀行の意図を感じた」と複雑な表情でした。
メガ銀行が組成する外貨建ての協調融資も多くの地方銀行は中身を精査しないまま参加しているようです。

リスクは徐々に目に見えつつあるようです。
2019年3月期の純利益見通しを41億円から5億円に下方修正した栃木銀行ですが、その理由は外債の損切りでした。
アメリカの長期金利が上昇した2018年9月、栃木銀行は固定金利の米国債をすべて売却しました。
しかしながら、これはまだ良い方です。

問題は含み損の拡大・蓄積により、だんだんと身動きがとれなくなってくる点にあります。
横浜銀行を傘下に抱える地銀首位のコンコルディア・フィナンシャルグループも、2019年3月期の通期見通しで純利益を100億円も下方修正しました。
含み損の拡大により市場部門の積極的な売買が制限されたためです。
機動的な売買こそ必要なのに実態は逆に向かっています。
厳しくなるばかりの運用環境下で、安易な逃げ場を探して、地方銀行は困難な道に迷い込もうとしているようです。

おそらく、本当の運用のプロは地方銀行にはあまりいないでしょうから、安易に投資に走るのは愚策ですね。
もっと地方銀行には融資先などに対してやることはたくさんあるのではないでしょうか?
地方銀行もAIに取って代わられ、店舗も減少していくと思いますが、統合するなどして根本的なことろから考えないといけない段階になっているんでしょうね。
投資の失敗がその引き金になるかもしれませんね。

地方銀行が走る会計「装飾」のからくりについて、どう思われましたか?


金融庁が法令改正で仮想通貨での出資も規制対象に!

 金融庁は、金融商品を手掛ける事業者が、現金ではなく仮想通貨で出資を募った場合も、金融商品取引法(金商法)の規制対象とする方針を固めました。
金商法は無登録業者が「金銭」による出資を募ることを禁じていますが、仮想通貨に関する記述はなく、法整備の遅れが課題となっていました。
2018年には法の“穴”を狙い、約80億円相当の仮想通貨を無許可で集めていた問題も発覚しており、同種事案の再発防止を急いでいます。

利用者保護や公正な市場をつくる観点から、金商法では金融商品を扱う事業者は内閣総理大臣の登録を受けることが義務づけられています。
ただし、金商法には金銭での出資に関する規制しかなく、無登録業者が仮想通貨で出資を受けた場合、金商法の規制対象となるかは曖昧でした。

こうした現状を悪用したとされるのが、2018年11月に米国の投資会社「SENER(セナー)」への出資を募り、金商法違反(無登録営業)容疑で逮捕=同罪で起訴=された勧誘グループの男8人です。
月利3~20%をうたって計約83億円相当の出資金を集めたとされますが、9割以上が仮想通貨だったもようです。

警視庁は40~70代の男女9人から現金計約2,900万円の出資を受けた容疑で逮捕しましたが、仮想通貨での出資については立件を見送ったようです。
関係者によると、全てが仮想通貨による出資であれば、摘発できなかった可能性もあったそうです。

金融庁は2017年10月に仮想通貨で出資を募った場合でも「金商法の規制対象となると考えられる」との見解を公表していますが、法的な裏付けがないままでは刑事裁判での公判維持が難しくなる可能性もあり、規制対象となることを法令で明示することにしました。
具体的には金商法を改正することや、関連法令を見直すことなどを検討しているようです。

最近、あまり仮想通貨のことを耳にしなくなりましたが、早く金融庁にルールを作って欲しいですね。
そうしないと、色々と問題が生じ、安心して使うことができず、せっかく少しずつ認知されてきたものがダメになってしまいそうですので。

金融庁が法令改正で仮想通貨での出資も規制対象にする方針を固めたことについて、どう思われましたか?


クラウド会計・給与は危うい?

 昨日、20181031日水曜日に、freee株式会社が提供するサービスにおいて、1234分から1500分までシステムエラー調査の影響により、緊急メンテナンスが実施されました。

この期間、freee株式会社が提供する全サービス(会計freee・人事労務freeeなど)において利用できない状況が発生していましたが、1500分に全サービスが復旧しました。

なお、今回の障害はシステム内部のトラブルであり、外部からの攻撃やコンピュータウイルスによるものではないことが確認されています。
またこのシステム障害によるお客様の個人情報やデータの漏洩や改ざん等は一切ないそうです。

月末に使えないのはキツイですね。
クラウドの場合、システムがダウンすると何もできないので、月次決算や給与計算や決算などに多大なる影響を与えたかもしれませんね。
せっかくクラウド会計などが少しずつ増えてきている中で、このようなことが起きると、少し止まってしまうかもしれません。
原因をきっちり分析して、今後このようなことがないようにしてほしいですね。
ちなみに、僕はfreeeの認定アドバイザーになっていますが、freeeは使っておらず、弥生(クラウドを含む。)を使っています。

freeeが提供する全サービスにおいて利用できない状況が発生したことについて、どう思われましたか?


過去10期分を分析したところ業績予想に「保守」と「野心」あり!

 20184月~9月期の決算発表を控え、業績予想に対する注目が高まっているようです。
実際に決算で発表した業績と期初に公表した予想は、往々にして乖離(かいり)があります。
過去10期分の実績を調べてみると、期初予想を上回りがちな企業と下回りがちな企業がそれぞれ存在することが分かったようです。
果たして日本で最も「保守的」な業績予想をする企業はどこなのでしょうか?
これは、日本経済新聞が直近の2017年度決算までの過去10期分を継続比較できる2,761社(金融除く)を対象に調べたものです。

純利益について10回のうち7回以上、実績が期初計画を超えた企業は25%でした。
逆に7回以上、実績が計画に届かなかった企業は23%でした。
予期しない要因で計画と結果に差が生じることはあります。
ただし、超過と未達のどちらかが毎年のように続くのは、予想を作る手法やビジネスの特性との関係もありそうです。

物流倉庫の自動化などを手掛けるダイフクは過去10回中8回の決算で期初計画を超えました。
業績予想の作成については、「確実な数字が見込める受注案件をもとにしている」と説明しています。

期初時点での受注を基に業績予想を作成すると、後から受注した分は上振れ要因となります。
ミロク情報サービスなどシステム業界も受注を積み上げた結果、計画を超過しがちです。

建設業界も受注の積み上げで業績予想を作成する企業が多くなっています。
全体の半数にあたる75社が7回以上、期初計画を上回っています。
関電工は10回連続です。
数年単位の工期も珍しくない建設業界では、様々なリスクを織り込んで人件費や資材などの建設コストを試算しますが、実際にすべてが悪いシナリオ通りになるケースは少ないため、利益は計画を上回りやすいようです。

鉄道・バスは8割の21社が7回以上予想を上回っています。
沿線人口を手掛かりにすれば旅客需要は予想しやすく、「鉄道関連の修繕費用は余裕を持って計上している」(相鉄ホールディングス)ようです。

映画やゲームといったコンテンツビジネスは、1つのヒットが大きく業績を左右します。
東宝は9回、期初計画を上回りました。
「作品のヒットは予想しづらい」とし、興行収入は低く見積もりがちです。
「君の名は。」では当初見通しは30億円程度だったようですが、実際は250億円を突破しました。

どのような業績予想を出すかは、会社の考え方が反映されます。
トヨタ自動車は「日本で一番保守的な社風」(国内投信の運用担当者)とも称されます。
業績に大きく影響する為替レートは不利な円高傾向に設定することが多く、20193月期も期初は1ドル=105円と、8月に106円としたが足元よりも約7円、円高寄りです。
原価低減の強化という「お家芸」もあり、上振れは9回に達します。

一方、業績予想の未達成が多い企業には、一般消費者を相手にするビジネスが目立ちます。
小売業で下振れが7回以上の企業は、70社と上振れ傾向の約2倍に達しました。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は、「業績不振とみられると客足に響くと考え、楽観的な業績予想を出す例がみられる」といっています。

外食チェーンのサンマルクホールディングスや美容室大手の田谷は、10回連続で計画未達成となっています。
未達が9回のオリンピックグループは、「事業環境変化への対応の見通しが甘かった」と反省しています。

「オーナー系の企業には、野心的な社内目標を業績予想に掲げるケースがある」(国内証券アナリスト)との指摘もあるようです。
積極的な成長戦略をとり、少々の計画の未達を恐れない姿勢が表れているともいえるでしょう。
未達成の回数が多いカワチ薬品やコナカなどは、創業家の持ち株比率が高くなっています。

市場関係者からは、企業が業績予想を控えめにする傾向が強まっているとの声が目立つそうです。
SMBC日興証券の伊藤桂一氏は、「市場では計画の超過が好まれるとの考えから、経営陣には予想を低めに出す動機づけが働きやすい」と指摘しています。
また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の渡辺篤氏は、「外国人持ち株比率が上昇する傾向にあり、計画達成へのプレッシャーは一段と高まっている」と指摘しています。

業績予想で癖がある企業については、「それを踏まえて“等身大の収益力を読み解くことが重要」(国内投信の運用担当者)です。
業績予想の修正は決算と併せて発表されることが多くなっています。
保守的か野心的か、企業の癖を踏まえて投資判断に役立てたいですね。

業績予測がある程度の確度を持ってできる企業と、そうではない企業があると思いますので、個人的には、以前からそもそも業績予想が必要なのかと思っています。
このデータを見ると、かなり偏りがあると思いますので、業績予想をする際に、過去10年間の上方修正と下方修正の回数を記載するようにしてもいいと思いますし、業績予想の仕方も少し詳しめに記載する必要があるのではないかと考えます。
これらの傾向は、既に株価に反映されているのかもしれませんが、開示のルールを厳しくすると粉飾のリスクが高まるかもしれませんが、投資家保護の観点から、ルールを変えてもいいかもしれませんね。

過去10期分を分析したところ業績予想に「保守」と「野心」があったことについて、どう思われましたか?


あみやきが台風の影響で18時に決算発表!

 決算開示一番乗りの「常連」として知られる焼き肉チェーン、あみやき亭(証券コード2753)ですが、決算期末から実質0営業日での発表が慣習化していましたが、20184月~9月期決算発表は10118時と、このところ続けていた朝7時半の開示から大きく後ずれしました。
台風24号の影響で、作業に遅れが生じたもようです。

中部電力のホームページによると、あみやき亭の本社がある愛知県春日井市では台風による停電が発生し、交通にも大きな影響が出ました。
あみやき亭は決算発表に向け、930日夜にも社員を集めて作業を進める予定でしたが、出社できない社員もいたそうです。
急ピッチで作業を進め、なんとか101日中の発表に間に合わせた格好のようです。

あみやき亭が101日に発表した20184月~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比4%減の10億円でした。
人件費の上昇が重荷となったようです。
売上高は2%増の159億円でした。

個人的には、早ければよいというものではないと思っていますが、新聞等に載るので、宣伝効果があるんでしょうね。
普段7時半に決算発表が18時に遅れただけで、新聞に載るんですから(笑)。
最近、『働き方改革』が叫ばれていますが、あみやき亭の『働き方改革』に対する姿勢について、知りたいですね。
7時半に決算発表するというのは、夜中に作業をしているでしょうし、人件費が重荷になって純利益が減少しているわけですから。
経理が2人しかいないと過去に報道されていましたが、1人が何らかの事情で休んだりするとどうなるんでしょうね。
その辺りのリスク管理に対する考え方も知りたいですね。

あみやきが台風の影響で18時に決算発表したことについて、どう思われましたか?


積み上がる「負債」に歯止めをかけるためポイント投資で投信や株運用!

 クレジットカードで支払ったり、電子商取引(EC)サイトで買い物をするとたまるポイントですが、このポイントを投資信託や株式などに投資できるサービスが相次いで登場しているようです。
 クレディセゾン、楽天証券などが参入し、プレーヤーは1年強で6社に増えました。
 相次いでポイント投資に乗り出す企業の狙いは何なのでしょうか?
 「前はポイントは航空マイルにして帰省などに使っていたけど、今はもっぱら『投資』に回す」と都内在住の自営業の男性(42)は話しています。
 クレジットカードやECサイトでためたポイントで投信を購入し、ポイント運用額は2万円を超え、「これからもコツコツ投資したい」そうです。
 201612月に国内で初めて、ポイント運用サービスを始めたクレディセゾンでは、利用者が20183月に13万人を超えました。
 運用に回ったポイントを時価換算した額は、20183月末で約87千万円です。
 運用を始めた人の40%弱は初めてポイントを使った会員だそうです。
 ポイント発行企業にとって、顧客がポイントを使うことは短期的には利益圧迫要因になります。
 ところが、実は使われないまま積み上がった「眠れるポイント」をいかに減らすかは、発行会社にとって大きな課題なのです。
 野村総合研究所によると、代表的な企業のポイント発行額は、2020年度に1兆円を超える見込みです。
 発行会社は、ポイントが使われると販売促進費などとして費用に計上しますが、未使用ポイントについては将来使われることに備え、過去の実績などを考慮して引当金を積んでいくのが一般的です。
 セゾンの「永久不滅ポイント」の場合、有効期限がないため、ポイントが使われない限り、セゾンは引当金を積み続けるしかありません。
 バランスシートの「負債」に積み上がった引当金は、2017年末に1,000億円を超えました。
 ポイントは本来、自社の次のサービスや商品の需要を喚起するための販促ツールのはずです。
 大手監査法人は「売り上げに結びつかない“塩漬けポイント”が負債に積み上がるのは財務諸表上、非効率」と指摘しています。
 楽天は、「楽天スーパーポイント」の引当金を201712月期で約700億円積んでいます。
 20178月、楽天証券は楽天スーパーポイントを投信の購入費用に充当できるようにしました。
 楽天証券では投信のスポット購入が100円からできます。
 結果、「初めて購入した人の数が直近でポイント利用開始前の3倍に膨らんでいる」ようです。
 この動きが加速すれば楽天は負債を圧縮し、楽天証券は新規顧客を獲得できるのです。
 グループ内の相乗効果を狙えるわけです。
 日銀資金循環統計によれば、昨年末時点で家計の金融資産に占める現預金は約961兆円と51%を占めました。
 株や投信などリスク商品の3倍の水準です。
 株式相場が活況だった2017年でさえ、個人マネーが投資に向かう動きは鈍かったようです。
 しかしながら、「現金では数百円の投資さえためらう人も『オマケ』と割り切れるポイントだとリスクを取ることをいとわなくなる」(セゾンの美好琢磨アセット・マネジメント・ビジネス・オフィサー)という効果もあるようです。
 これまで投資に無関心だった若年層が、ポイント投資をきっかけに株式や為替相場に興味を持って勉強を始めれば、いつか「本物の」個人投資家に育つかもしれませんね。
 テスト段階ですが、2018年3月には、少々異色な会社もポイント運用サービスを始めました。
 なんとJR東日本です。
 ロボットアドバイザー運用のお金のデザイン(東京都港区)と組んで事業を始めた理由は「交通や買い物に続く新しい接点を顧客と持つため」(事業創造本部の佐野太課長)だそうです。
 JR東日本は資産運用の分野を通じて顧客のニーズや嗜好についての分析などを進めていく考えです。
 約2週間で数千人がポイント運用を始めたようです。
 ポイントは投資の入り口にはなるでしょう。
 ただし、参入企業が増え、運用対象の金融商品の中には比較的、高リスクな商品も登場しているようです。
 ポイント制度に詳しいポイ探(東京都中央区)の菊地崇仁代表は、「自分の許容リスクや投資目的を吟味して選ぶ必要がある」と注意を促しています。
 これは、個人的には、すごく興味が沸く話でしたね。
 負債を減らすこともできますし、新規顧客も獲得できますし、新しい投資のきっかけともなりますし、リスクを取るきっかけともなりますし、新しい切り口だなぁと思いました。
 積み上がる「負債」に歯止めをかけるためポイント投資で投信や株運用が行われるようになってきていることについて、どう思われましたか?

経団連が四半期開示の廃止を提案!

2018年04月04日(水)

一般社団法人日本経済団体連合会(いわゆる経団連)は、2017年8月9日から10月20日にかけて、全会員企業・団体を対象に「2017年度経団連規制改革要望」のアンケート調査を実施し、89企業・団体から合計507件の回答が寄せられました。

本年度は、成長戦略の推進に資するべく、5つの「重点テーマ」(「1.Society 5.0の実現に向けた革新的技術の開発・普及・活用」、「2.行政手続コストの削減」、「3.多様な人材の一層の活躍促進」、「4.地域経済の活性化」、「5.エネルギーの開発・普及等」)を設定してアンケート調査を実施しました。
各要望について、関係する政策委員会において精査し、本年3月までに13分野・146項目の要望を政府の規制改革推進会議に提出しました。

経団連は、今般提出した要望の実現に向け、政府に働きかけを行っていくようです。

この中に、『四半期開示制度の見直し』があります。

具体的には、『四半期開示について、四半期決算短信、四半期報告書それぞれが異なる制度を根拠としながら、開示が要請される項目の重複などがあるため、真に開示が必要な情報を再度整理すべき。また、将来的には欧州を初めとした諸外国(英、仏等)と同様

に第1及び第3四半期開示義務を廃止すべき。』としています。

提案の理由としては、『日本の上場企業においては、毎四半期ごとに、四半期決算短信(証券取引所規則)、四半期報告書(金融商品取引法)と、それぞれが異なる制度を根拠とした開示書類を提出しており、その内容について経営成績に関する記載や財務諸表等、相当程度の項目が重複している。また、大量の開示書類を四半期単位で作成しているため、これら書類作成に携わる社員の稼動・負担は膨大なものになっている。
一方で主要国に目を転じれば、米国は証券取引法に基づく四半期報告書(10-Q)のみを開示しており、英、仏等においては、第1及び第3四半期開示制度自体が存在しない状況である。
現在、日本においては、官民を挙げて「働き方改革」「生産性向上」に取り組んでいるところであり、また、未来投資戦略2017において、「四半期開示について、義務的開示の是非を検証しつつ、更なる重複開示の解消や効率化のための課題や方策等を検討」することとしている。これらを踏まえ、真に開示が必要な項目の精査等を通じた開示項目の簡素化を要望したい。また、将来的には、欧州をはじめとした諸外国と同様に、四半期開示義務自体を廃止すべきと考える。
要望が実現すれば開示書類作成に携わる社員の負担軽減による「働き方改革」につながるとともに、「企業の生産性向上」の実現を通じた持続的な企業価値の向上が図られると考える。』

僕は公認会計士として、以前から四半期開示(第2四半期は除く。)は、いたずらに会社にも監査法人にも負担を与えるため、必要ないと言ってきましたが、経団連が提案してくれるとありがたいですね。
『働き方改革』が理由になっているところは、時代の流れを感じますが(笑)。

経団連が四半期開示の廃止を提案したことについて、どう思われましたか?


日本公認会計士協会が高等学校学習指導要領案について意見を提出!

 日本公認会計士協会は、文部科学省から平成30214日付けで公表された高等学校学習指導要領案について、意見を提出しました。

<「公民」での会計に関する教育について>
既に公表されている中学校学習指導要領(平成29331日文部科学省告示第64号)及び中学校学習指導要領解説社会編(平成29年6月)には、次のとおり記載されています。
中学校学習指導要領
「「個人や企業の経済活動における役割と責任」については,起業について触れるとともに,経済活動や起業などを支える金融などの働きについて取り扱うこと。」(第2章第2節社会〔公民的分野〕「内容の取扱い」(3)()
中学校学習指導要領解説社会編
「資金の流れや企業の経営の状況などを表す企業会計の意味を考察することを通して,企業を経営したり支えたりすることへの関心を高めるとともに,利害関係者への適正な会計情報の提供及び提供された会計情報の活用が求められていること,これらの会計情報の提供や活用により,公正な環境の下での法令等に則った財やサービスの創造が確保される仕組みとなっていることを理解できるようにすることも大切である。」
当協会は、中学校社会科(公民的分野)での学習を発展させ、市場経済における会計情報の活用及び企業会計の役割について更に学習を深めることを、高等学校学習指導要領に明記すべきと考えます。
具体的には、〔第1 公共〕の3(3)()及び〔第3 政治・経済〕の3(2)()を次のように改める(傍線部分を追加する)べきと考えます。

 P.99
12
行目「・・・。「金融の働き」については,金融とは経済主体間の資金の融通であることの理解を基に,金融を通した経済活動の活性化とそれを支える会計情報の活用についても触れること。・・・」
 P.108
15
行目「・・・また,「金融を通した経済活動の活性化」については,金融に関する技術変革と企業経営に関する金融及び企業会計の役割にも触れること。」

また、会計(複式簿記)は、15世紀ヨーロッパで取りまとめられて以降、基本的な概念の変化がなく、現在まで経済事象を記録・報告する手段として普遍的に用いられている人類の英知であるということを、高等学校学習指導要領に基づく教育課程において取り上げるべきと考えます(〔第1 公共〕の3(2)()関連)。
・意見の分類番号 ⑫
・意見

<「家庭」での会計に関する教育について>
第9節家庭では、「第1 家庭基礎」、「第2 家庭総合」に共通して、「C 持続可能な消費生活・環境」の(1)及び(3)において、生涯を通じた長期的な経済計画や家計収支が取り上げられています。また、これらに係る「内容の取扱い」では、キャッシュレス社会の利便性と問題点、将来のリスクなども取り上げられています。
第9節家庭では、主体的に家庭の生活を創造する資質・能力を、実践的・体験的な学習活動を通して育成することを目指すこととされています。このような目標については、大いに賛同するところでありますが、実践的・体験的な学習活動に加えて、事象の理論的・体系的な理解をすることで、より実生活に活用可能な資質・能力を身に付けることができると考えます。
今回、指導要領案に示された前記のような事項の学習には、「資産と負債」、「フローとストック」といった会計の基礎的な考え方の理解が役立つと考えます。また、民法改正による成年年齢の引き下げ(20歳→18歳)が検討されており、契約や財産管理の前提となる会計の基礎的な考え方を高等学校の段階において理解することが、これまで以上に重要になります。したがって、各科目の「C 持続可能な消費生活・環境」の学習の導入又はまとめとして、会計の基礎的な考え方を取り扱うことを明記すべきと考えます。

僕自身、公認会計士・税理士として会計や財務や税務にかかわる仕事をしていますし、大学院で教えたりしていますが、大学のセンター試験でも、『簿記』を選択できる人は限られていますし、少数扱いです。
家庭でも、社会に出てからも、『会計』の知識は多かれ少なかれ役立つことがあると思いますので、極論からいえば、義務にしてほしいですね。
そういうことが、起業する方の増加にもつながると思いますし、日本企業の競争力の強化にもつながるのではないかと考えています。
よって、今回の日本公認会計士協会の意見はとてもよかったと思いますね。

日本公認会計士協会が高等学校学習指導要領案について意見を提出したことについて、どう思われましたか?


NTTドコモが『dポイント』の会計処理を来期変更し減収要因に!

  NTTドコモは、顧客に付与する共通ポイントサービス『dポイント』について、2019年3月期から一部を売上高に相当する営業収益から差し引く会計処理にするそうです。

 従来の米国会計基準では、顧客に付与した時点ですべて営業費用として計上していました。

NTTドコモは、20193月期から国際会計基準に変更します。
dポイントの付与により、営業収益が数百億円押し下げられる可能性があります。
内容によって、営業費用に計上するか売り上げから差し引くか、細かく決める方針だそうです。

また、顧客が自ら獲得したdポイントを使った場合、使用分はNTTドコモの収入として計上します。
ローソンや高島屋など提携する店舗での利用時の会計処理は、今後詰めるようです。

dポイントは、2015年末に始めたもので、通話料やコンテンツ利用などに応じてポイントを顧客に与えています。
KDDI・ソフトバンクや2社系列の格安スマートフォン事業者などへの顧客流出を防ぐため、dポイントを積極的に顧客に付与してきました。

「dカードGOLD」などポイント付与率が高いクレジットカードの発行枚数も増えています。
ポイント関連費用は、20183月期に初めて1,000億円を超える見通しです。
NTTドコモの連結営業利益の約1割に相当するようです。

NTTドコモは、2018年5月、携帯電話の契約期間が長いほどポイントを手厚く付与するサービスを導入します。
20193月期は、さらにポイント関連費が増えそうです。

僕もずっとNTTドコモユーザーなのですが、dポイントは金額的にも会計処理的にも大変だろうなぁとは思っていました。
某クレジットカード会社の『永久不滅ポイント』なんかは、会計的には最悪だろうなぁとも思っていますが。
もちろん、dカードGOLDも持っています。
今までが、新しく乗り換えてきた方が優遇されるというおかしな状況でしたが、ようやく、契約期間が長い人も優遇しようという流れになってきたのは嬉しいですね。

NTTドコモが『dポイント』の会計処理を来期変更し減収要因になることについて、どう思われましたか?


JA秋田おばこがコメの販売優先し会計を後回しにして56億円の赤字!

2018年03月09日(金)

朝日新聞によると、全国の農協改革の「モデル」とみられてきたJA秋田おばこ(本店・秋田県大仙市)の失敗が波紋を呼んでいるようです。
国による米の生産調整(減反)が2017年で終わり、農協の経営能力がより重要になる中、力を入れてきた卸会社などへの直接販売で約56億円の累積赤字を抱えました。
販売拡大を優先し、適正な会計処理が後回しにされていたようです。

米の取扱量が日本有数で、秋田県内最大の組合員約3万人を抱える秋田おばこの原喜孝組合長は、先日、理事会後の記者会見で「組合員は疑心暗鬼になっており、農協離れが進む危機感もある。第三者委の客観的な検証で説明責任を果たしたい」と語りました。
JA秋田おばこは、先日、全容解明のため、弁護士と公認会計士計4人からなる第三者委員会を設置し、今後、ずさんな販売管理の原因を調べ、役員の責任を追及する方針です。

JA秋田おばこが事態を公表したのは2018年1月末でした。
会見した原組合長は「米価の推移をしっかり確認せず、奨励金などを大盤振る舞いしていた」と語りました。
秋田県は2週間前、JA秋田おばこに対し、2018年3月20日までに赤字発生の経緯や再発防止策などの報告を求める行政処分を出しました。
佐竹敬久知事は、先日の会見で、「全容を踏まえたうえで農林水産省と一緒に確認しないと支援もできない」と発言しました。

巨額の累積赤字は、JA全農あきたを通さず、卸会社などに米を直接売る「直接販売」という取引で生じたものです。
生産農家に「概算金」と呼ぶ仮払金を支払って米を預かり、その年のすべての米を売り切った後で精算します。
販売代金の総額が仮払金や経費の総額を上回れば、JA秋田おばこが農家に追加で支払い、逆に下回れば、農家から返してもらいます。
JAグループの米販売で広く採用されている仕組みです。
複数年にわたる収支をひとまとめにして精算し、JA本体の会計とは別に「共同計算会計」と呼ばれているものです。

2004年に始まったJA秋田おばこの直接販売は年々拡大し、当初は取扱量の6%でしたが、ピークの2012年には86%になりました。
直接販売により産地のブランド力で高く売れれば、農家の収入を増やせますが、販売が振るわずに概算金が割高となり、農家から返金してもらうべき精算額が増えました。

さらに、事務量が増えたのに電算システムが導入されず、職員数人の手作業では会計処理が追いつかなくなって、収支が把握できなくなっていました。
その結果、正しく精算されず、累積赤字が膨らんだとみられます。

理事会も、自ら定めたルールに沿って販売計画の審議や検証をしておらず、長年問題に気づきませんでした。
内部の調査委員会は「幹部職員や役員らのコンプライアンス(法令や社会規範の順守)違反があった」と指摘しました。

JA秋田中央会の幹部は「JA本体の決算に関わる項目を確認する程度で、細かい収支は見ていなかった」と打ち明けています。
農家への精算が遅れていたことは広く知られていたはずですが、秋田県も、農業協同組合法に基づく検査で会計に立ち入った確認をしていませんでした。
JA本体の会計から切り離された共同計算会計は、監査の目も届きにくい面があったようです。

2018年1月末にJA秋田おばこの説明会に参加した米農家の男性(69)はやり切れない表情でこぼしていたようです。
「大切に育てた米が、まさか赤字を生んでいたなんて。腹立たしいし、悲しい」

JA秋田おばこが直接販売を始めたのは2004年で、「減反廃止」に至る国の米政策見直しの動きと重なります。

「独自に販路を開拓してきた立派な農協で、当たり前の会計処理ができていなかったショックは大きい」と農水省幹部は漏らしているようです。
原因究明の結果も踏まえ、共同計算会計のルール明確化などを進めていく方針のようです。

2005年にJA全農あきたで米の架空取引などの不正が発覚した後、全農は共同計算会計のルールを具体的に定めました。
しかしながら、JA秋田おばこのような地域単位のJAの取り組みはまちまちだったようです。

政府は2002年、市場重視の方向性を盛り込んだ「米政策改革大綱」を決定し、2004年に米の生産・流通を大幅に自由化する改正食糧法が施行されました。
海外への米輸出にも積極的に取り組むJA秋田おばこの姿勢は、新しい政策のモデルとも言えました。

しかしながら、改革は想定通り進まず、米の価格は値下がり基調ながら、年によって大きく上下しました。
一方、収穫前に設定する概算金は、生産者の期待を反映する形で高めに設定されました。
JA秋田おばこは、集めた米を期待した量や値段で売れず、精算を先送りした結果、赤字が膨らんだとみられます。
めまぐるしく動く米の価格や政策にも、翻弄されました。

別のJA幹部は、「農家に少しでも高い概算金を支払って楽にしたいと、誰しも考えた。販売努力をしないと農家の希望をかなえられなかった」と、決してひとごとではないと指摘しているようです。

個人的には、JAの存在意義を考えないといけない時期に来ていると思います。
こういった事件もそれを如実に表しているように感じます。
良いところは残し、そうでないところはやめないと、農家の方々の足かせになりかねないでしょうね。

JA秋田おばこがコメの販売優先し会計を後回しにして56億円の赤字を出していることについて、どう思われましたか?


M&Aの対価の一部に仮想通貨を使用!

2018年02月21日(水)

システム開発のカイカは、先日、カイカが手掛けるM&A(合併・買収)の対価の一部を、カイカが発行する仮想通貨「CAICA(カイカ)コイン」で支払うと発表しました。

これにより、2018年10月期に約6,000万円の仮想通貨売却益を計上する方針のようです。
カイカによると、カイカの監査を担当する東光監査法人の確認がとれているそうです。

仮想通貨の会計処理には、明確な基準がありませんでした。
このためカイカはこれまで、CAICAコインを財務諸表に載らない簿外資産としていました。

個人的には、簿外資産とするのもどうかと思いますが、利益に困っている企業が、仮想通貨を用いて利益を計上するということが横行しないようにして欲しいですね。

カイカがM&Aの対価の一部に仮想通貨を使用して仮想通貨売却益を計上することについて、どう思われましたか?


金融庁と法務省が決算開示の基準を統一!

2018年01月26日(金)

金融庁と法務省は、企業の決算開示に関するルールを見直すようです。
1年ごとに作成する事業報告書と有価証券報告書(いわゆる『有報』)について、同じ情報を伝える項目であれば表記を統一します。
投資家にわかりやすい内容に改めると同時に、企業の手間を省きます。
3月末までに関連法制の施行規則などを改正し、2018年3月期決算から適用します。

事業報告書は法務省所管の会社法で、一方の有価証券報告書は金融庁所管の金融商品取引法で規定されています。
今は「純資産」と「純資産額」、「従業員の状況」と「使用人の状況」など同じ内容でも違う用語での記載を義務付ける項目が多くなっています。
ルール改正で、表記をそろえます。

また、大株主の株式所有割合を出す方法も統一します。
事業報告書では発行済み株式総数から自己株式数を差し引いて算定していますが、有価証券報告書では自己株式を差し引かない方法を採っています。
2018年3月期決算からは事業報告書のやり方に統一します。
取締役や監査役の報酬総額の記載方法もそろえます。

金融庁は、企業と投資家の対話を促す施策を重点課題に挙げています。
投資家に必要な情報をよりわかりやすく効率的に伝えるには、複数の省庁にまたがる制度を整理する必要があると判断して今回のルール改正を決めました。

これは、以前から本当に無駄なことをしているなぁとずっと思っていました。
ようやくかぁという感じですが、改正になることは喜ばしいことですね。
本当に、役所の縦割りが原因で無駄が生じていることが世の中にはいっぱいあると思います。
増税を考えるよりは、こういった無駄の排除に取り組んで、職員を削減していくことが、国民のためになるのではないかと思います。
人材が不足している中、無駄な作業をしている方の残業も減るでしょうし。

金融庁と法務省が決算開示の基準を統一することについて、どう思われましたか?


『はれのひ』は2016年9月期に1億5,000万円の修正損!

2018年01月25日(木)

1月9日までに全店舗を閉鎖し、事実上事業を停止したはれのひ㈱(神奈川県横浜市)は、ホームページでは順調な業績推移を装っていましたが、2016年9月期決算で1億5,000万円の過年度決算の修正損を計上していたことが東京商工リサーチの取材でわかったようです。

はれのひは、2016年9月期の売上高を対外的に4億8,000万円と公表していましたが、実際は3億8,000万円にとどまっていたことが東京商工リサーチの取材で判明しています。

営業利益は1億8,000万円の赤字、最終利益も3億6,000万円の赤字でした。
最終赤字が膨らんだのは過年度決算にかかわる修正損を1億5,000万円計上したためのようです。
内訳は、売上高の過大計上に関する修正損が4,000万円、商品在庫の過大計上に関する修正が9,000万円などです。
無理な店舗展開などで活発になった資金需要に対応するため、売上高や商品在庫の過大計上で不適切な会計処理を行っていた可能性があるようです。

成人式という一生に一度の場で、夢を持った将来の日本を支えていくような方々をだました行為は、決して許されるものではありません。
海外逃亡説もささやかれていますが、表に出てきて謝罪して、できる限りの返金や預かっている着物の返却をしてほしいですね。
ここも、昔の『NOVA』や最近の『てるみくらぶ』もそうですが、すぐに支払うと安くなるというところには、消費者も気を付けないといけないですね。
あとは、日本もとても残念な時代になってきていると思いますが、安易に取引をするのではなく、業者のことを調べたうえで取引をしないといけないのかもしれませんね。

『はれのひ』は2016年9月期に1億5,000万円の修正損を計上していることについて、どう思われましたか?


仮想通貨を企業使いやすくする取引環境の整備が進む!

2017年12月05日(火)

ビットコインなど仮想通貨を使いやすくする環境整備が進んでいます。
企業会計基準委員会(ASBJ)は企業が仮想通貨を活用する際の会計ルールの大枠を固め、価格変動リスクの回避に利用できるビットコインの先物取引も始まります。
取引インフラの整備が企業や機関投資家など新たな参加者を呼び込むとの期待から、ビットコインは価格の上昇が続いています。

日本企業の会計基準を策定するASBJは、先日開いた本委員会で、仮想通貨の会計ルールの大枠を固めました。
仮想通貨を資産に計上したうえで時価評価し、価格変動に合わせて損益を計上するのが柱で、細部を詰めたうえで年内に公開草案を公表するようです。
原則、2018年度決算から適用します。

ビックカメラやエイチ・アイ・エスなどビットコインを支払いに使える店舗は国内で1万店を超えました。
会計規則が明確になり、二の足を踏んでいた企業も導入しやすくなります。
ビックカメラの安部徹取締役は「企業が安心して活用できれば個人の利用も広がり、当社にもプラスに働く」と話しています。

仮想通貨は価格が乱高下し、決済や運用に使いにくいとの声も多いようです。

このため世界最大のデリバティブ取引所であるアメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は年内にもビットコイン先物の取引を始める計画です。
アメリカのシカゴ・オプション取引所(CBOE)も先物の上場を準備しています。

企業は、今後は、資産計上した仮想通貨の時価評価を義務づけられますが、先物を使えば将来の損失リスクを抑えられます。

先物の上場は機関投資家の参入も後押しします。
アメリカの運用会社ホライゾン・キネティクスの小島詩子氏は「価格の透明性が高まり、機関投資家が参加しやすくなる」と話しています。

金融庁は、2017年4月に改正資金決済法を施行し、決済手段として仮想通貨を法的に認め、現金と交換する取引所には登録制を導入しました。
CMEグループのレオ・メラメド名誉会長は「日本は世界でも最先端の取り組みを進めている」と評価しています。

課題も残っています。
世界の新興企業の間でブームになっている仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)は架空のプロジェクトを使った詐欺的な調達も少なくありません。
日本では業界ルールを定める自主規制団体がまだ設立できておらず、投資家保護の仕組みづくりが遅れています。

僕自身、まだ仮想通貨取引をやっていないのですが、大学院の授業でも生徒さんから仮想通貨のお話がよく出ますし、税理士のメルマガを読んでいても記事をよく見かけますので、そろそろやってみようかと思います。
やはり、きちんとルールが決まってからやりたいとは思いますが。

仮想通貨を企業使いやすくする取引環境の整備が進んでいることについて、どう思われましたか?

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りそな銀行が2028年度までにベンチャー融資計1,000億円へ!

日本経済新聞によると、りそな銀行はスタートアップ向けの資金供給を増やすようです。

スタートアップに融資する「ベンチャーデット」などの実行額を2026年度からの3年間で900億円増やし、2028年度に累計1,000億円を目指します。

技術力などを担保にする新たな融資手段も活用します。

りそな銀行の岩永省一社長が日本経済新聞のインタビューで明らかにしました。

りそな銀行は2023年10月に総額100億円のベンチャーデットの融資枠を設けて以降、創業初期のスタートアップを中心に20社超に約60億円を融資した実績があります。

2025年度中にも100億円に達する見込みです。

岩永社長は「10年先、20年先の日本経済を支える企業を銀行が育てなければならない」と語っています。

現在は創業初期のスタートアップへの融資が中心ですが、成長期以降の企業も対象にします。

創業初期と比べて事業規模が大きいため1件当たりの融資額も増えます。

まずは自社の審査ノウハウを高めた上で、スタートアップに融資するためのファンドにも出資します。

創業初期の企業は赤字企業も多く、従来の審査基準をスタートアップへの融資にあてるのは困難です。

岩永社長は「成長性や将来性を評価する体制を整えたことで、コストに見合う融資ができるようになった」と話しています。

2026年にも企業の技術力や成長性を担保にする「企業価値担保権」を使った融資が解禁されます。

りそな銀行はこの仕組みを使った融資にも乗り出す方針です。

これまでのスタートアップ融資は無担保が前提でした。

岩永社長は「企業価値担保融資ができるようになれば、スタートアップをより支援しやすくなる」と語っています。

スタートアップへの融資は、難しいと思いますので、金融機関の審査ノウハウが必要ですね。

本来、その辺が金融機関の存在価値だと思いますが、りそな銀行のような金融機関が増えてくると良いですね。

ちなみに、りそな銀行は、中四国で広島県に1店舗しかないので、残念ですが。

りそな銀行の前身の大和銀行高松支店が以前はありましたが、りそな銀行になった頃になくなってしまいましたからね。

りそな銀行が2028年度までにベンチャー融資計1,000億円を目指すことについて、あなたはどう思われましたか?


日本政策金融公庫が与信費用の増加で1,196億円の最終赤字!

日本経済新聞によると、日本政策金融公庫が3日発表した2024年4〜9月期決算は、最終損益が1,196億円の赤字(前年同期は69億円の黒字)でした。

信用保証協会から保険を引き受ける事業で、保険金の支払いに備えて積む保険契約準備金の戻し入れ額が減少したのです。

貸出先の業績悪化に伴う与信関係費用も増えました。

日本政策金融公庫は民間金融機関が信用保証協会による保証付き融資を実行する際、保証協会から保険を引き受ける業務を手掛けています。

保険引受収益は戻し入れ額の減少に伴い、26%減の1,858億円となりました。

保険引受費用は保険金の支払い増加に伴い23%増の1,868億円でした。

与信関係費用は35%増の1,734億円で、条件変更や債務不履行が高水準となったことが響きました。

日銀の利上げに伴い金融機関の貸出金利は上昇傾向にあります。

取引先の中小企業からは「借入金利の上昇はボディーブローのように今後効いてくると思われ、なかなか大きな設備投資を行う気にはなれない」(土木建築業)といった声が出ていると紹介しました。

新型コロナウイルス関連融資に関する状況も公表しました。

2021年3月末までの貸付先約70万件のうち、2024年9月末時点で元金返済中が52.3%を占め、完済などは15.8%にとどまりました。

返済が厳しく条件を変更したのは7.2%と、2024年3月末の6.9%から高まりました。

日本政策金融公庫が、民間金融機関が信用保証協会による保証付き融資を実行する際、保証協会から保険を引き受ける業務を手掛けているということは、初めて知りました。

コロナ融資の返済が始まり、返済できない事業者が増えていると思いますので、予想された結果だと思いますし、今後もしばらく赤字が続くのではないかと思います。

噂では、日本政策金融公庫も積極的に融資していると聞きますし、保証協会は保証付の短期融資(ころがしを想定)に舵を切ったとも聞きますし、今後どうなっていくのかウォッチしていきたいですね。

日本政策金融公庫が与信費用の増加で1,196億円の最終赤字となったことについて、あなたはどう思われましたか?


資生堂が借入金返済のため2年ぶりに社債を100億円発行!

日本経済新聞によると、資生堂が普通社債(SB)を約100億円発行するそうです。

発行は、約2年ぶりです。

利回りなどの条件決定は、2024年12月6日を予定しています。

起債するのは満期までの期間が5年の普通社債で、調達する資金は借入金の返済にあてます。

主幹事には、大和証券とみずほ証券を指名しました。

2025年2月に償還予定の社債の借り換えに充てます。

社債発行は2022年12月に200億円発行したESG(環境・社会・企業統治)債の一種「サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)」以来となります。

長期発行体格付けは、ムーディーズ・ジャパンから「A3」(シングルAマイナス相当)を取得しています。

ムーディーズ・ジャパンは、2024年9月には信用格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」へと引き下げています。

資生堂は、有利子負債が自己資本の何倍に当たるかを示す純負債資本倍率(ネットDEレシオ)が2024年9月末時点で0.18倍で、2023年12月末時点の0.06倍から上がっています。

資生堂は、2024年12月期の連結純利益(国際会計基準)は、前期比72%減の60億円を見込んでいます。

先日、増益としていた従来予想を一転減益に下方修正しました。

免税品向けや中国の化粧品販売が落ち込んでいます。

収益改善に向け、2024年から2025年にかけて日本での人員削減や中国での不採算店舗の閉鎖など400億円規模のコスト削減に取り組んでいます。

2024年11月29日には、新たな構造改革の発表を予定しています。

追加のコスト削減や中国戦略の見直し、欧米などの収益性向上に努めます。

資生堂は、驚くほど業績が悪化していますね。

それゆえ、社債発行して、借入金返済しないといけない状況に陥っているのでしょう。

ブランド力のある日本を代表する企業だと思いますので、ぜひとも構造改革を成功させて欲しいですね。

資生堂が借入金返済のため2年ぶりに社債を100億円発行することについて、あなたはどう思われましたか?


銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇!

神奈川新聞によると、コロナ禍から経済が再開し、神奈川県内で信用金庫が存在感を高めているようです。

相互扶助の協同組織として、営利法人である銀行と経営理念の違いが際立っています。

金利上昇下で資金調達の敷居が高まり始め、地域に根付いた「寄り添いやすさ」が中小企業の支持を集めています。

大手行が神奈川県東部に構えていた支店が統廃合され、地元企業は取引を打ち切りました。

乗り換え先が信用金庫です。

銀行はコスト削減で店舗縮小が時流です。

企業側は「身近に相談先があるのは心強い」ようです。

一方、信用金庫担当者は「銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇! の真価が試されている」と気負っています。

東京商工リサーチ横浜支店が2024年8月に発表した神奈川県内企業8万2千社の主力取引銀行(メインバンク)調査によると、21.9%を占めた横浜銀行が調査開始の2013年から12年連続で首位です。

金融機関は一様に融資先を拡大し、20位まで前年と変動はありませんが、注目はシェア率の高下です。

横浜銀行を含む地方銀行と主要行が軒並み低下する一方、神奈川県内に本店を置く8信用金庫のうち7信用金庫は小幅ながら上昇しました。

信用金庫勢トップで5位の横浜信用金庫は8%台に浮上しました。

2024年3月末の法人融資先は前年同期より484先増えました。

神名圭営業統括部長は「事業者支援こそ当金庫の強み。顔の見える営業活動が結実している」と手応え十分です。

2年前に東京都大田区と鎌倉市大船に新設した法人営業所が、新規先を掘り起こしています。

香川県でも、対応の変化により、あまり良い話を聞かない金融機関もありますが、他県でも同じような状況なんですね。

当然、金融機関もコスト削減などをしていかないと、将来生き残れないとは思いますが、我々会計事務所もそうですが、顧客の相談先としては上位に浮かぶ存在なので、手数料のことばかりを考えるのではなく、顧客のことを考えないとどんどん顧客は減っていくでしょうね。

銀行支店の統廃合で乗り換え需要が生じ金利が上昇で信用金庫の存在感も上昇していることについて、あなたはどう思われましたか?


3メガバンクが手形・小切手の発行を終了へ!

日本経済新聞によると、3メガバンクは2025年度中にも紙の約束手形、小切手の発行を終了するそうです。

三井住友銀行は2025年9月に既存の当座預金口座を持つ顧客向けの手形・小切手帳の発行を取りやめ、他のメガバンクも終える予定です。

取引先の企業は電子決済や銀行振り込みへの移行が必要になり、明治期以来、根強く続いてきた紙を使った商慣習は転機を迎えます。

約束手形は企業間取引の代金決済方法の一つで、将来の代金支払いを約束する有価証券を指します。

受取人は指定された期日以降に金融機関に手形を取り立てに出し、現金に換金できます。

経済成長期には手元資金に余裕のない発注企業の資金繰りに役立ってきましたが、近年は入金の遅さなど紙媒体に依存した決済の弊害が目立ってきていたのです。

三井住友銀行は、先日、2025年9月に既存の顧客向けの手形・小切手帳の発行を終了する方針を公表しました。

既に新規の当座預金口座の開設者への発行は停止しており、2026年9月末を手形、小切手の決済期限としています。

2026年10月以降は手形、小切手を使った決済ができなくなります。

未使用の手形、小切手帳は希望者を対象に、買い戻しを実施します。

2025年10月から決済時の入金に1件660円の手数料を新たに設けて移行を促します。

三井住友銀行で紙の約束手形や小切手を利用する企業は、中小企業を中心に約5万社にのぼります。

2023年度は同行だけで約170万枚の決済実績があり、金融界全体では年2,500万枚規模の取引がありました。

三菱UFJ銀行とみずほ銀行も近く手形、小切手の発行を終える日程を公表します。

発行済みの手形、小切手の扱いなどを詰めていますが、既存の顧客向けの手形・小切手帳の発行終了は2025年度中にも実現する見通しです。

3メガバンクが足並みをそろえることで、地方銀行なども今後追随する可能性が高いでしょう。

手形の交換は信用金庫、信用組合などを含め1,000超の金融機関が参加しています。

3メガバンクは今後、手形や小切手を使ってきた企業に対して代替サービスへの移行を促します。

インターネットバンキングによる振り込みや、決めた期日に金融機関の間で代金を自動送金する「電子記録債権」など電子取引が中心となります。

電子記録債権は紙の手形のように第三者に譲渡したり、融資を受ける際の担保として利用したりできます。

紛失や盗難のリスクもないため、メガバンクは企業決済の効率性や安全性が高まるとみています。

電子記録債権の利用実績は2023年に約700万件と紙の手形・小切手に比べ少ないものの、利用件数は年率2割のペースで伸びています。

手形は期日まで代金の支払いが猶予されることから、企業の資金繰りの緩和に役立ってきました。

ただし、大企業を中心に決済の電子化が進み、近年は利用の減少傾向が目立っていました。

政府も2021年の成長戦略実行計画で、手形の利用廃止や電子化の促進を打ち出していました。

メガバンクが実際に手形や小切手の発行を終えることで、中小企業の金融取引でも紙から電子への移行が決定的になります。

ところが、企業間取引を電子化するには、買い手と売り手の双方が同時に対応する必要があります。

中小企業の資金繰りへの影響を抑えるには、下請けの代金を適切な条件で支払うなど大企業を頂点とするサプライチェーン(供給網)全体への働きかけも欠かせません。

海外ではシンガポールが2025年末までに企業間の小切手のやり取りを廃止する予定であるほか、米欧でも銀行振り込みや電子決済への移行が進んでいます。

世界的に電子決済への移行は不可逆的な流れで、手形や小切手の廃止がその流れを加速することになります。

▼約束手形

将来の支払いを約束する有価証券のこと。

支払期日を指定して手渡すことで買い手の企業にとって支払いまでの資金繰りに役立つほか、売り手にとっても手数料を支払って代金を先んじて受け取れる利点がありました。

明治時代の手形交換所以来の日本独特の商慣行で、経済成長期には企業の資金不足を補う役割を果たしました。

ただし、近年は銀行での振り込みなどの支払いが主流の欧米に比べ支払いまでの期間が長いといった弊害も目立ってきました。

「紙」でのやりとりが必要になるのも難点で、紛失などのリスクがあったのです。

デジタル化を進めたい政府の方針も背景に、全国銀行協会は手形や小切手の電子化に向けた対応を進めてきました。

支払期日を指定して支払う仕組みの代替として有力視されるのは電子記録債権と呼ぶ仕組みで、2008年施行の電子記録債権法で導入されました。

現金化や譲渡、担保としての利用などは従来の手形と同様に可能で、事務を効率化する利点は大きいとされます。

導入の広がりが課題となっており、紙の約束手形の廃止によって電子への移行が加速するかが焦点となるでしょう。

個人的には、手形・小切手の廃止には賛成です。

管理的な手間やコスト、盗難などのリスク、手形を発行しているからゆえ不渡りが生じることなどを考えると、廃止が望ましいでしょう。

廃止となると、でんさいにシフトすることになると思いますが、早く、でんさいが一般的になって欲しいと思います。

ただし、でんさいを資金化するときに相手先によっては資金化できないリスクは残ると思いますので、何らかの対策は必要になるかもしれませんね。

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中小企業の資金繰り改善が狙いで約束手形の支払期日を60日以内に短縮へ!

YAHOO!ニュースによると、中小企業庁と公正取引委員会は、2024年11月から約束手形の支払い期日までの期間「手形サイト」を60日以内に短縮するよう各業界に要請しています。

長期の手形は、下請け企業の資金繰りを圧迫する要因となるため、手形サイト短縮で中小企業の経営改善につなげ、賃上げや設備投資を後押しする狙いです。

今後、60日を超える手形サイトは、行政指導の対象となります。

中小企業庁と公正取引委員会は、以前から手形サイトについて、繊維業では90日、その他の業種では120日を超える場合、下請法違反の可能性があると指導してきました。

両者が連名で、各産業の業界団体・金融機関・監督省庁等に対して出した要請の概要は、以下のとおりです。

①行政指導の対象
手形サイト等が60日を超える場合は「割引困難な手形」等にあたるとして行政指導の対象とする。

ファクタリング(事業者が保有する売掛債権などを、期日前に一定の手数料を差し引いて買い取るサービス)などの一括決済方式も含まれる。

②下請法対象外の取引
下請法対象外の取引においても手形サイト等を60日以内に短縮すること。

可能な限り現金での支払いを行う。

特に建設工事や大型機器の製造など、納期が長期にわたる取引における前払い比率や期中払い比率の向上を求めている。

③三者契約の徹底
一括決済方式の加入は下請事業者の自由意志によるものであること。

親事業者・下請事業者・金融機関の間の三者契約が必要であることが徹底されること。

④資金繰り支援
手形サイトの短縮に取り組む事業者に対しては、資金繰りの支援を丁寧に行い、事業者の状況に応じた柔軟な対応を行うこと。

手形サイトの期間短縮に対しては、サプライチェーン全体で資金繰りに及ぼす影響を考慮し、支援策を講じながら進めることが求められる。

事業承継にも当然関係しており、後継者は取引先の支払いサイト・回収サイトについて理解しておく必要がある。

場合によっては経営者の交替に合わせて支払いサイト・回収サイトの変更が必要になるケースも発生する可能性がある。

職業柄、手形をサイトなどを目にすることが多いですが、120日サイトって長すぎますよね。

例えば、月末締め、翌月末起算120日サイトだとすると、製品を売ったり、サービスを提供してから、現金化するまで、150日~180日、つまり、5か月から6か月かかるわけですから。

ある意味、短縮は当然のような気はしますが、行政指導をきちんとして、中小企業が資金繰りに困ることのないようにしてほしいですね。

中小企業の資金繰り改善が狙いで約束手形の支払期日を60日以内に短縮されることについて、あなたはどう思われましたか?


企業価値を担保にした融資をメガバンクが活用に向け準備!

日本経済新聞によると、企業の技術力や成長性といった事業価値を担保に融資できるようになる新法が成立し、メガバンクが活用を探ろうと準備を進めているようです。

不動産、生産設備を持たないスタートアップや、後継者難で事業譲渡を検討する中小企業が資金調達しやすくなりますが、事業の成長性を見極める銀行の目利き力が重要になってきます。

先日成立した「事業性融資推進法」は、担保の登記システム更改などを経て2年半以内に施行されます。

最大のポイントは、企業の持つ事業価値全体に担保権を設定できる「企業価値担保権」を新設したことです。

一般的に銀行が企業に融資する場合、返済されないリスクに備えて担保や保証をとります。

経営者個人の資産が対象の経営者保証を利用したり、企業が持つ不動産を担保にしたりすることが多くなっています。

在庫や売掛債権など「動産担保」と呼ぶものもあります。

これらは企業が傾いたときに企業活動に欠かせないオフィスや生産設備を失いかねず、企業再生の足を引っ張る要因になっていました。

スタートアップなど新興企業は担保として差し出せる手持ちの資産が少なく、融資を受けにくい課題がありました。

企業価値を担保にできるようになれば、資産を持たなくても成長が見込める事業モデルなどに融資しやすくなるのです。

ただし、担保は本来、融資先企業が立ちゆかなくなった際に債権を保全するためのものです。

企業の業績と直接連動しない不動産や経営者自身の財産であれば、価値が大きく目減りしないのです。

一方、企業価値は事業環境が悪くなれば減少、消失するリスクがあります。

そのため債権者である銀行が、中小企業などに日頃から目を配り、事業が傾き始めたら早期に経営支援や再建に取り組む意識が高まりやすくなります。

金融庁の有識者会議の委員を務めた長島・大野・常松法律事務所の井上聡弁護士は、「銀行など担保権者も融資先を支えようとするインセンティブが生まれるという点で画期的だ」と評価しています。

みずほフィナンシャルグループは、部門ごとにどのような活用が可能かアイデア会議を開きました。

受託者が担保権の管理や保全を行う担保権信託など、類似の手法をみずほ信託銀行が手がけています。

三井住友銀行は外部講師を招き、行内で勉強会を開催しました。

実務上の論点を洗い出すなど、準備を進めます。

導入には目利き力を高められるかという課題もあります。

「うちの行員が対応できるか未知数だ。まずはメガの動きをウオッチする」と、ある地方銀行の頭取はこう話しています。

地銀の多くが融資する際に使うのは、企業の貸借対照表や損益計算書、調査会社の評価を機械処理にかけ、評点を出して債務者区分する方法です。

企業価値担保権が導入されれば、企業のノウハウや技術力、将来性など財務諸表に表れない価値を行員が評価する必要があります。

特に、将来キャッシュフローの現在価値をはかるディスカウントキャッシュフロー法(DCF法)がよく使われますが、地銀などになじみは薄いです。

「営業の現場が案件を取ってきても審査部門が対応できるのかが心配だ」(金融庁)との声も漏れているようです。

金融庁は、担保や保証に依存せず事業そのものの成長性を見極めて貸し付ける「事業性融資」を金融機関に促してきました。

初めて文言として登場したのは2014年で、今からちょうど10年前のことです。

事業者との綿密な関係性によって得た情報をもとに貸し出す、リレーションシップバンキング(リレバン)の一環として推奨してきました。

地銀もこの動きに呼応して決算説明資料などで「事業性融資」という項目を導入しましたが、実態は「ほとんどが担保融資や保証協会付き融資だ」と金融庁幹部は明かしています。

新法の制定過程で、金融庁は、定期的に地銀や信金の幹部に企業価値担保権のコンセプトや活用策についてレクチャーを重ねてきました。

金融機関、事業者それぞれに対応する支援機関を民間に設け、助成金などで支援することも視野に入れているようです。

綿密な制度設計と銀行の本気度が試されます。

企業価値を担保にした融資はできるのでしょうか?

事業性融資もほとんどできていないでしょうから。

個人的には、バリュエーション業務(株価算定業務)をやっているので、いわゆるDCF法を使って計算を行うことがあるのですが、説明しても分かる方は少ないですし、恣意性の入る余地が多分にありますので、地銀や信金は経験がないとなかなか厳しいでしょうね。

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商工中金が2025年4月の民営化に向け財務省が株売却へ7月に入札を開始!

共同通信によると、財務省は、先日、中小企業への融資を担う政府系金融機関の商工中金を2025年4月にも民営化する見通しだと発表しました。

政府が保有する約46.5%の商工中金株を売却するための一般競争入札を2024年7月に開始し、2025年3月末までに売却手続きを終える予定です。

株式の売却先は中小企業のほか、中小企業関連の組合や団体に制限します。

財務省は売却額の見通しを明らかにしていませんが、証券会社の店頭扱いによる売買価格から単純計算すると、1,700億円を超える可能性があります。

商工中金を巡っては、民営化に向けた改正商工中金法が2023年6月に成立し、政府が保有する全株式について、2年以内に売却するよう定めています。

個人的には、民間の金融機関と同じレベルで競争させるべきだと思っていますので、商工中金の民営化はよいことだと思います。

そのうえで、金融機関は多すぎると思いますので、(金利ではなく)サービス等で競って、淘汰されたり、統合したりしていけばよいと考えています。

商工中金が2025年4月の民営化に向け財務省が株売却へ7月に入札を開始することについて、あなたはどう思われましたか?


保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始!

法人である中小企業者が、一定の要件を満たした場合に、保証料率の上乗せを条件に保証人による保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等が創設され、2024年3月15日から取扱いを開始されました。

2022年12月23日、経済産業省は金融庁・財務省とも連携の下、①スタートアップ・創業、②民間金融機関による融資、③信用保証付融資、④中小企業のガバナンス、の4分野に重点的に取り組む「経営者保証改革プログラム」を策定しました。

同プログラムでは、「経営者保証に関するガイドライン」(以下「経営者保証ガイドライン」という。)が定める経営者保証を提供することなく資金調達を受ける場合の要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)を充たしていれば経営者保証を解除する現在の取組を徹底するとともに、経営者保証ガイドラインの要件のすべてを充足していない場合でも、経営者保証の機能を代替する手法を用いることで、経営者保証の解除を中小企業者が選択できる制度を創設することなどが明記されました。

こうした背景等を踏まえて、中小企業の4割が利用している信用保証制度において、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させ中小企業の事業の発展を後押しするため、以下の3つの制度を創設し、2024年3月15日から保証申込の受付を開始しました。

なお、本制度の利用に関しては、金融機関または最寄りの信用保証協会にお問い合わせください。

1.事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の創設について
信用保証付融資において、一定の要件を備えた中小企業者が保証料率の上乗せを条件として経営者保証を提供しないことを選択できる制度です。

本制度を様々な信用保証付融資に適用することで、経営者保証を提供することなく融資を受けることができます。

●事業者選択型経営者保証非提供制度の概要●
<要件>
次の要件のいずれにも該当すること(*)
① 過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において決算書等(*1)を申込金融機関の求めに応じて提出していること。
② 直近の決算において代表者(*2)への貸付金等(*3)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。
③ 直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと。
④ 上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。
⑤ 中小企業者が、保証料率の上乗せにより保証人の保証を提供しないことを希望していること(*4)。

(*)法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

<保証料率>
上記の③の要件の両方を満たす場合
→信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ
上記の③の要件のいずれか一方を満たす場合又は法人の設立後2事業年度の決算がない場合
→信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ
<保証人>
不要

<対象となる保証>
無担保保険(限度額8,000万円)に係る保証など。
<その他>
原則として、本制度を適用する個別の保証制度等の取扱いに準じる。
(*1) 原則、決算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰り表等も含む。
(*2) 「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。
(*3) 「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除く。
(*4) 経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度等については、本制度によらず、引き続き従前の取扱いが可能。

2.事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度(国補助制度)について
前記1.の横断的制度の活用を一気に加速していくため、当初3年間(2027年3月末まで)の時限措置として、上乗せされる保証料率の一部を国が補助する信用保証制度を創設します。
●事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度の概要●
<要件>
前記1.の事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の要件と同じ。
<保証限度額>
8,000万円
セーフティネット保証(4号・5号)の場合は、別枠で8,000万円
<保証期間>
(1)一括返済の場合:1年以内
(2)分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)
<保証料率>
前記1.の事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)の保証料率と同じ。
<保証料補助>
保証申込日に応じて、次の補助率に相当する額を国が補助します。
・2024年3月15日~2025年3月31日の保証申込分
補助率 0.15%
・2025年4月1日~2026年3月31日の保証申込分
補助率 0.10%
・2026年4月1日~2027年3月31日保証申込分
補助率 0.05%
<保証人>
不要
<取扱期間>
2027年3月31日まで
3.プロパー融資借換特別保証制度について
経営者保証を求めない取組による信用収縮を防止し、民間金融機関における取組浸透を促すために、例外的に、既往のプロパー融資(*)(経営者保証あり)から信用保証付き融資(経営者保証なし)への借換を認める保証制度を時限的に創設します。
(*) 信用保証協会の保証を付さない融資のこと

●プロパー融資借換特別保証制度の概要●
<要件>
以下の全ての要件を充足する法人
① 資産超過であること
② EBITDA有利子負債倍率(*1)が15倍以内であること
③ 法人・個人の分離がなされていること
④ 申込日(*2)において返済緩和している借入金がないこと

(*1) EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
(*2) 危機関連保証又はSN保証4号(新型コロナ)の指定期間内の場合は、指定期間の始期の前日でも差し支えない。

<対象資金>
借換資金(プロパー融資のうち、経営者保証を提供している事業資金の借換えに限る。)
<保証限度額>
保証限度額:2億8,000万円(組合等4億8,000万円)
申込金融機関における保証限度額は、プロパー融資のうち、経営者保証を提供していない残高の範囲内。
<保証期間>
(1)一括返済の場合:1年以内
(2)分割返済の場合:10年以内(据置期間は1年以内)
<保証料率>
0.45%~1.90%
<保証人>
不要
<取扱期間>
2027年3月31日まで
<その他>
申込金融機関において、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
(1)経営者保証を不要とし、かつ、保全のないプロパー融資を実行すること
(2)経営者保証を提供している既往のプロパー融資(本制度による返済部分を除く。)の全部又は一部について経営者保証を解除し、かつ、解除したプロパー融資については保全がないこと

<お問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部 金融課 神崎
担当者:来島、青木、古川
電話:03-3501-1511(内線5271)
FAX:03-3501-6861

経営者保証を外す動きがどんどん加速していますね。

金融機関のスタンスは濃淡あると思いますが、思ったよりは簡単に外せるのではないかと思います。

我々公認会計士・税理士・社外CFOも腕の見せ所ですね。

保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始したことについて、あなたはどう思われましたか?


紙の手形・小切手サービスを大手銀行が廃止し発行停止も議論!

日本経済新聞によると、三井住友銀行やみずほ銀行が紙の約束手形、小切手のサービスを相次ぎ廃止するようです。

政府は2026年をめどに紙の手形・小切手の電子化を目指していますが、削減幅は2026年度の全廃に向けた全国銀行協会の当初計画の7割にとどまっています。

大手銀行が背中を押すことで、中小企業の業務負担を改善し生産性改善につなげる狙いがあるようです。

約束手形とは商取引における代金決済方法の一つで、将来の一定期日に代金を支払うことを約束した有価証券を指します。

受取人は指定された期日になったら金融機関に手形を取り立てに出し、現金に換金することができます。

手形による取引は、明治時代の手形交換所以来の商慣行です。

取引先への支払いが猶予されることから経済成長期には、手元資金に余裕のない発注企業の資金繰りに役立ってきました。

ただし、近年は入金の遅さなどの弊害が目立ってきました。

三井住友銀行が廃止するのは明細の一覧化のほか、「連続手形」と呼ぶ手形の用紙を1,000枚以上ひとまとめにして印刷したり、用紙に事前に支払い元の社名を印字しておいたりするサービスです。

廃止対象のサービスを利用する企業数は1,000社を超える規模になります。

みずほ銀行は企業がみずほ銀行に持ち込んだ取り立て手形の持ち込み日別、期日別の明細や入金予定を一覧にするサービスを2025年12月に廃止します。

三菱UFJ銀行もサービスの縮小を検討する方針です。

紙の約束手形、小切手を利用する企業にとっては手形の管理を自前でこなさなければならないなど利便性の低下につながります。

大手銀行が相次ぎ紙の手形サービスを縮小する背景には、2017年の未来投資会議で掲げた約束手形や小切手の電子化を目指す政府方針があります。

2021年の成長戦略実行計画でも5年後の手形の廃止や、小切手の全面的な電子化を目指す方針を盛りこみました。

全国銀行協会は2026年度末までに手形、小切手の交換枚数をゼロにする自主行動計画を定めました。

新規発行についてはすでに停止している銀行が多いようです。

三井住友銀行は2023年10月以降の新規の当座預金口座の開設者を対象に手形・小切手の発行を停止したほか、2027年4月以降を期日や振出日とする手形や小切手の取り立て受け付けを2023年末で止めました。

三菱UFJ銀行、みずほ銀行の両行も2023年9月に追随する方針を明かしました。

ただし、手形、小切手の利用縮小ペースは落ちてきています。

手形や小切手の電子化には支払い元、支払先が一体となった移行が必要となり、中小企業への周知は十分とはいえません。

手形や小切手での支払いの決済費用が値上げされても、なお他の決済手段に比べて高いと言い切れない事情もあります。

三井住友銀行は既存の当座預金の顧客向けに新規の発行に応じてきた手形・小切手の停止の議論を始める方針です。

三井住友銀行の手形・小切手類の利用件数は年数百万枚規模にのぼり、新規顧客向けに設けた当座預金の規定と従来の規定を統合することを検討しています。

三菱UFJ銀行とみずほ銀行も検討を進める意向を示しています。

政府は下請け企業への支払いに使う約束手形の運用をおよそ60年ぶりに改め、商品を納入し手形を発行してから決済までの期限を原則120日から60日以内に短縮する方針です。

電子化の恩恵を念頭に企業間決済の迅速化を後押しする狙いがあります。

大手銀行の新規顧客を対象にした手形、小切手の発行停止を受け、りそな銀行も2024年1月から新規顧客の発行停止に踏み切りました。

地方銀行でも群馬銀行や常陽銀行が当座預金口座の新規開設停止に踏み切るなど各行の動きが加速しています。

紙の手形がなくなっても、電子化された手形は残ります。

電子化された手形は電子記録債権と呼ばれ、全国銀行協会がやりとりを仲介する「でんさいネット」があります。

全国銀行協会は手形・小切手の電子化で年400億円近くのコスト削減効果があるとみています。

アメリカもかつては小切手主体でしたが、中小企業にも銀行振込やクレジットカードが浸透し始めているほか、中国でも手形の半分は電子化されているとされます。

労働力不足に悩む日本の中小企業にとって紙の手形の廃止は業務のデジタル化へ向けた好機になりそうです。

紙の手形や小切手は盗難や紛失のリスクもありますし、管理コストもかかりますので、早く電子化が当たり前になって欲しいですね。

紙の手形・小切手サービスを大手銀行が廃止し発行停止も議論していることについて、あなたはどう思われましたか?


世界最強のゴールドマン・サックスでも1年で撤退した日本の銀行業務の特殊さ!

Business Journalによると、アメリカのゴールドマン・サックス・グループ(GS)が日本での銀行業務から撤退するようです。

GSは2021年に日本で銀行免許を取得し、2023年4月からゴールドマン・サックス・バンクUSA東京支店を通じて主にトランザクション・バンキング業務を提供していましたが、すでに新規取引の受付を終了しています。

「世界最強の金融グループ」と呼ばれるGSは、なぜ開始から1年もたたないうちに日本での銀行業務からの撤退に追い込まれたのでしょうか?

GSは日本では、主にゴールドマン・サックス証券とゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを通じて、投資銀行事業や資産運用事業を展開しました。

国内外の株式やデリバティブ、債券・為替商品をはじめとする投資関連サービス、M&Aアドバイザリー業務、社債発行をはじめとする企業の資金調達引受業務、自己勘定投資・運用などを行っています。

なかでもM&Aアドバイザリー業務では2023年まで7年連続で世界シェア1位であり、「世界最強」と呼ばれるゆえんともなっています。

「GSの強みはM&A業務などを通じて培った世界中の大企業との取引関係にあります。

M&Aや投資、提携などあらゆる面で顧客企業に有望な相手を見つけて引き合わせる力を持っているのです。

また、世界中に拠点を持ち、あらゆる金融サービスを手掛けているため、日本の銀行や証券会社と比較して圧倒的に幅の広い内容の提案を顧客企業に行うことができます。

商品開発からトレーディング、アナリスト、資産運用、営業まで多岐にわたる領域に高度なスキルの人材を揃え、さらに全部門がグローバルな規模で密に連携して日々の業務を展開しているのもGSの強力な武器」(外資系証券会社関係者)

GSは「投資銀行」とカテゴライズされることが多いですが、日本のメガバンクや地方銀行が手掛ける個人向け預金口座の運用や企業融資業務、決済業務など、日本で一般的に「銀行業務」と呼ばれるものは行っていませんでした。

2021年には日本で銀行免許を取得し、2023年からトランザクション・バンキング業務を始めるとして銀行業務に参入しました。

トランザクション・バンキング業務とは、口座管理、資金管理、送金、支払いなどを企業などから受託するものです。

GSはグローバルでシステムを構築しており、企業は24時間365日、世界160カ国、120の通貨での送金や資金管理などが可能となります。

「銀行業務から撤退といっても、GSは個人からの預金集めや企業融資をやっていたわけではなく、国内外への送金、資金管理を企業から受託しようとしていた。

ただし、日本の大手企業はこのあたりの業務はすでにメインバンクの大手銀行などに任せており、今さら外資系に乗り換える理由は少ない。

一方のGSもそれほどこの新事業に力を入れていた様子はうかがえず、『試しに少しやってみたものの芽が出なそうだ』ということで早々に撤退したということでは」(外資系証券会社関係者)

メガバンク関係者は言っています。
「GSは法人向けの投資銀行業務やトレーディングは強いが、この分野はそのときどきの市況に左右されて業績に波が生じる。一方、競合のモルガン・スタンレーが強い富裕層向けの資産管理業務は業績の振り幅が小さく安定的に利益を生むとされる。そのためGSも近年では資金管理の分野を強めようとしており、欧米では一定の成果が出ているようだ」

GSは2019年にアメリカのユナイテッド・キャピタル・ファイナンシャル・パートナーズの買収を発表し、個人富裕層向け資産管理事業に力を入れていましたが、当初見込んでいた成果を出せずに2023年に同事業を売却しています。

「日本に限っていえば、企業とメインバンクの関係は強固であり、それまでメインバンクにお願いしていた業務を簡単に『こっちのほうが便利なので外資に切り替えますね』とはならないし、事業会社にとって送金や決済は本業ではなく事務処理の一部なので、従来通りメインバンクに丸投げしたほうがラクという面もあるだろう。

こうした日本の特殊事情もGSの新規参入をはばんだのかもしれない」(メガバンク関係者)

世界的に強い企業でも、日本の商慣習などに勝てないということなんでしょうね。

日本でも、金融機関が多すぎると言われて久しいので、あまりおいしい業務ではないように思いますが。

一方、資産管理業務は、個人的には、ニーズはそれなりにあるのではないかと思っています。

世界最強のゴールドマン・サックスでも1年で撤退した日本の銀行業務の特殊さについて、あなたはどう思われましたか?


トモニHD社長は「公募増資で貸し出しニーズ応える」!

2024年03月12日(火)

日本経済新聞によると、徳島大正銀行と香川銀行を傘下に持つトモニホールディングス(HD)は、2023年末に公募増資などを通じて112億円を調達しました。

全国の地銀で公募増資を実施したのは5年ぶりとみられます。

その狙いや経営環境、事業の見通しなどについて中村武社長に聞いています。

――全般的な経営環境をどう見ていますか?
「最大の注目点はモノの価格が上がり、賃金が上がり、そして『金利のある世界』がまもなくやって来そうだということ。国内では20年、30年ぶりの出来事だ。金利が上がれば、金融機関にとっては貸出金利息の増加というプラス面と、与信コストの増加というマイナス面の綱引きが起こるだろう」

――足元の経営状況はどうですか?
「2023年4〜12月期の業績は、経常利益が同時期では過去最高だ。中身を見ても本業の利益が伸び、役務収益など非金利収入でも稼げるようになっている。経費節減の成果も出ている。貸し出し面では取引先のニーズに応え、役務取引でもビジネスコンサルティングやサステナビリティー(持続可能性)の分野で利益が出ている」

――2023年末に公募増資を実施した背景は?
「当社の自己資本比率はこれまで8%台で、全地銀の中でも下から数えた方が早かった。経営上の最大の弱点といえた。地域の中小企業向けの貸し出しが多く、リスクを取りながら事業を進めてきたのが大きい。利益の積み上げで9%台を目指したが、貸し出しで分母となるリスク資産が増え、思うように行かなかった」
「これからの経営環境を考えたとき、取引先の融資ニーズに積極的に応えるためにも財務基盤の強化は不可欠だ。貸し出しがあるからこそ取引先のニーズがわかり、コンサルティングにもつながる。今回の増資で自己資本比率は9%を超えた」

――公募増資を公表後、株式希薄化の懸念から株価は2割程度下がりました。
「株式市場が厳しい反応を示したことは真摯に受け止める。だが、より大事なのは、この資本を使って我々がどういうビジネスを展開するかをきちんと説明し、実際の利益につなげることだ。金融機関で低位のPBR(株価純資産倍率)を含め、中長期的に考えていきたい」

――新たな経営計画が走り始めて1年、進捗をどう捉えていますか?
「順調とみる。例えば法人コンサルティングの売り上げは2024年3月期の上半期だけで、2023年3月期の7割の水準に達した。今回の増資で財務基盤が整ったこともあり、施策をさらに加速していく」

――エリア戦略についてはどう考えていますか?
「地元の徳島・香川については、持続可能な地域経済にいかに貢献するかを重視している。一方、東京の経済規模は両県の16倍。新店舗は東京が中心になるだろう。香川・徳島の取引先と東京・大阪のビジネスをつなぎながら、皆で成長を目指したい。貸し出しは東京の伸びが大きくなるが、地元軽視ではない」

(聞き手は日本経済新聞社鈴木泰介氏)

新型コロナウイルス禍の影響が薄れる一方、ゼロゼロ(実質無利子・無担保)融資の返済や物価高など四国企業を取り巻く状況は厳しいです。

財務基盤を強化したトモニHDが、こうした地元企業の課題にどう対処するかに注目が集まります。
一方で、公募増資は株価の下落という副作用をもたらしました。

同社のPBRは0.3倍前後で、解散価値とされる1倍を大きく下回ります。

地域経済への貢献と自社の利益拡大を両立する展望を描けるか、日銀出身の中村社長の手腕の見せどころです。

個人的には、公募増資で株価が下がっていたので、PBRが異常に低いのは気にはなりますが、株を買ってみました。

社長が日銀出身ということは知りませんでしたが、どうなっていくか楽しみですね。

知名度のない東京の融資を増やすというのがよく分かりませんが、地域に貢献する銀行であってほしいと思います。

トモニHD社長は「公募増資で貸し出しニーズ応える」について、あなたはどう思われましたか?


2023年の香川県のメインバンクシェアは1位は百十四銀行、2位は香川銀行、3位は高松信用金庫!

OHKによると、民間の信用調査会社、帝国データバンク高松支店は2023年の香川県内にある企業のメインバンクのシェアランキングを発表しました。

1位は高松市の百十四銀行でした。

9位までは前年と順位は変わっていません。

上位20の金融機関のうちメインの社数が前年に比べて10社以上増えたのは、百十四銀行と観音寺信用金庫の2つの金融機関のみでした。

また、全国のメインバンク社数ランキングでは百十四銀行が前の年と順位は変わらず39位(8,556社)でした。

香川以外の四国3県にある地方銀行では、愛媛県の伊予銀行が22位(13,201社)、徳島県の阿波銀行が51位(7,328社)、高知県の四国銀行が57位(6,808社)でした。

20位までは下記のとおりです。

順位 金融機関名 社数 シェア 前年比 前年順位
1位 百十四銀行(高松市) 6,968 45.78% ▲ 0.44 1位
2位 香川銀行(高松市) 2,658 17.47% ▲ 0.42 2位
3位 高松信用金庫 1,314 8.63% ▲ 0.26 3位
4位 中国銀行(岡山) 1,175 7.72% ▲ 0.30 4位
5位 観音寺信用金庫 617 4.05% +0.06 5位
6位 四国銀行(高知) 386 2.54% ▲ 0.06 6位
7位 香川県農協 306 2.01% ▲ 0.10 7位
8位 伊予銀行(愛媛) 278 1.83% ▲ 0.05 8位
9位 香川県信組 164 1.08% +0.03 9位
10位 愛媛銀行(愛媛) 87 0.57% +0.01 12位
11位 三菱UFJ銀行 86 0.57% ▲ 0.03 10位
12位 阿波銀行(徳島) 83 0.55% ▲ 0.02 11位
13位 三井住友銀行 64 0.42% ±0.00 13位
14位 徳島大正銀行(徳島) 53 0.35% ▲ 0.02 15位
15位 西日本信漁連 52 0.34% ▲ 0.01 16位
15位 みずほ銀行 52 0.34% ▲ 0.04 14位
17位 ゆうちょ銀行 32 0.21% ▲ 0.01 17位
18位 商工中金 27 0.18% ▲ 0.02 18位
19位 高知銀行 (高知) 13 0.09% ±0.00 19位
20位 香川県信連 7 0.05% ±0.00 20位
20位 楽天銀行 7 0.05% +0.01 21位

【調査について】
・1企業に複数のメインがあるケースでは、各企業が最上位と認識している金融機関をメインバンクとして集計しています。
・帝国データバンクの企業概要データベースを基に分析しています。

個人的には、楽天銀行がメインバンクのところがそれなりにあるのが驚きでした。

あとは、都銀がメインバンクのところは少ない(メインバンクにする必要がない?)なぁと思いました。

いずれにしても、最後まで責任をもって助けてくれるところをメインバンクとしないといけないですね。

2023年の香川県のメインバンクシェアは1位は百十四銀行、2位は香川銀行、3位は高松信用金庫だったことについて、あなたはどう思われましたか?


経済産業省が経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行います!

経済産業省が、経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行います。

経済産業省は、2023年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき、以下2点の新たな資金繰り支援を行います。
●保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設するとともに、制度の活用促進のため、3年間の時限的な保証料負担軽減策を実施

●日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンについて、黒字額が小さい事業者の金利負担軽減措置を講じる

<1.新たな信用保証制度を創設>
中小企業の4割が利用している信用保証制度で、依然として信用保証付融資の7割で経営者保証を徴求している現状を変えるため、保証料を上乗せすることで、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設することに加え、3年間の時限的な保証料負担軽減策を行います。

●保証料率の上乗せという経営者保証の機能を代替する手法を活用することから、経営者保証ガイドラインの3要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)よりも緩和した要件を設定。

●新制度の活用を促すため、新制度における「上乗せ保証料」について、3年の時限措置として軽減(2025年3月末までの保証申込分は0.15%、2025年4月から2026年3月までの保証申込分は0.10%、2026年4月から2027年3月までの保証申込分は0.05%に相当する保証料を国が補助)。

【対象要件 (一定の経営規律等、経済産業省令に規定)】

次の要件のいずれにも該当すること(※)

①過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において貸借対照表、損益計算書等その他財産、損益又は資金繰りの状況を示す書類(※1)を当該金融機関の求めに応じて提出していること。

②直近の決算書において代表者への貸付金等(※2・3)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。

③直近の決算において債務超過ではない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと。

④上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。

⑤中小企業者が保証人の保証を提供しないことを希望していること(※4)。

(※)法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

【保証料率】

●通常の保証料率に、上記③の要件を両方とも満たしている場合は0.25%、どちらか一方のみを満たしている場合は0.45%の上乗せを行う(2期分の決算書がない場合は0.45%の上乗せ)。

●事業者負担軽減のため、時限措置として、上乗せした保証料の一部について軽減措置を実施。

(※1)原則、貸借対照表及び損益計算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰り表等も含む。

(※2)「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。

(※3)「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除く。

(※4)経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度等については、本制度によらず、引き続き従前の取扱いを可能とする。

本制度については、2024年3月15日より申込受付を開始し、それに先立ち2024年2月16日より、要件確認などの事前審査も開始します。

<2.日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンの金利運用見直し>
コロナ資本性劣後ローンの黒字金利は、直近決算の黒字額から負担することになりますが、黒字額が小さい場合、金利負担により実態上赤字に転落する場合があります。

そのため、直近決算で黒字の事業者が翌年度に黒字金利を支払った場合に、直近決算において事実上の赤字に陥る場合には、直近決算期後1年間については赤字金利(0.5%)を適用するという運用見直しを2024年2月16日より行います。

最近、地銀の方何名かに聞いたところ、経営者保証を取らないようになっているとは言っていますが、一方で、貸さないところも出てくるでしょうから、保証料を上乗せするというのはニーズがあるでしょうね。

ただし、保証付の融資よりプロパー融資の方が借りやすくなるほど、保証協会が厳しくなっているとも耳にしますが。

経済産業省が経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行うことについて、あなたはどう思われましたか?


非上場株投信が日本でも可能に!

日本経済新聞によると、誰でも買える公募投資信託に非上場株を組み込めるようになるようです。

これまでは時価を算出しにくいため制限されてきましたが、ベンチャーキャピタル(VC)などが使う国際基準を使って公正に評価できるようにします。

身近な投信で投資できるようになれば個人の選択肢が広がり、上場予備軍の新興企業も大規模な資金調達が可能になります。

金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)の方針を受け、運用業界の自主規制団体である投資信託協会が2024年2月15日に自主ルールを改正しました。

非上場株の組み入れの上限は、米国の制度を参考に、純資産総額の15%までです。

個人にとっては新規株式公開(IPO)前の成長段階で投資機会を得ることにつながります。

新たなしくみで、野村アセットマネジメントや三井住友DSアセットマネジメント、フィデリティ投信などが非上場株を組み入れた投信づくりを検討します。

株価指数に連動したパッシブ運用にとどまらない運用商品の多様化につながる可能性があります。

非上場株の投信への組み入れは法令で禁じられているわけではありません。

ただし、日本の公募投信は時価評価の規則が厳しく、発表頻度が少ない気配相場による算定を求めてきました。

このため、非上場株を投資対象にすることは事実上、できませんでした。

投資信託協会は非上場株を「公正価値」で評価するようにルールに明記しました。

公正価値評価は国際会計基準(IFRS)や米国会計基準が求める時価の算定手法で、純資産や割引キャッシュフロー、類似企業との比較などで価値を測定します。

欧米のVCはスタートアップに投資する上で公正価値を出しており、日本のVCにも広がってきています。

非上場株の解禁に伴い投資家保護の新たなルールも導入しました。

投信の販売会社に対して顧客に渡す目論見書で非上場株の流動性の低さなどリスクの説明を求めます。

運用会社には非上場株の発行企業の経営の健全性を確保し、財務諸表を基に企業の継続に重要な疑義を抱かせる内容がないか継続的な審査を義務づけます。

アメリカでは非上場株を組み入れた投信が普及しています。

アメリカの資産運用大手フィデリティ・インベスメンツやアメリカのティー・ロウ・プライスは2019年に上場した配車アプリ大手のアメリカのウーバー・テクノロジーズの株を非上場の段階から投信に組み入れていました。

ティー・ロウは上場前のアメリカのX(旧ツイッター)株も投信に組み入れており、プロの運用担当者が投資銘柄を選ぶアクティブ運用投信の好成績を支える一因になりました。

すでに、イギリスのフィデリティ・インターナショナルが運用するイギリス籍の投信において一部、日本の非上場株を組み入れており、その一つが18年に上場したネット印刷仲介サービスのラクスルでした。

運用会社が新たに日本籍の投信を設定する際も、投資対象はIPOが近い「レイター」段階が中心になる見通しです。

アメリカのCBインサイツによると、アメリカで企業価値が10億ドル(約1,500億円)以上の非上場企業を指す「ユニコーン」は、2023年10月19日時点で約650社あり世界で最も多い一方、日本は7社にとどまります。

小粒なまま上場して機関投資家に相手にされず、市場から資金調達できない悪循環に陥っていました。

非上場株を組み入れた投信を運営する上で、非上場株の売買を仲介する流通市場の整備が必要となります。

多くの投資家が売買に参加する公開市場と異なり、簡単には売却できない分、リスクは高いとされます。

非上場株の組み入れは純資産総額の最大15%で、残りは上場株が中心になります。

解約が相次げば非上場株の比率が15%を超える可能性があります。

例えば、非上場株のIPO時に既存株主が売却できない「ロックアップ期間」は換金を認めないなどの工夫が必要になるでしょう。

日本は1997年に未公開株を売買するグリーンシート市場を開設し、15%を上限に非上場株や私募債などの組み入れを認めていました。

ただし、2000年に流動性の低い不動産を追加する際にこの規定を撤回したことで、運用期限がなく毎月購入や解約ができる投信に非上場株を組み込む動きが広がりませんでした。

2.000兆円の家計金融資産をプロの目利きで非上場株に供給すれば、スタートアップが上場する前の段階でも大規模な資金調達をして企業価値を高めやすくなります。

個人マネーを活用して企業の成長力を高める「資産運用立国」の実現をめざします。

会社の資金調達方法が増えることはいいことですね。

そして、もっと非上場株式への投資が世間に認識されればいいなぁと思います。

こういったことがきっかけで、日本でもユニコーンがたくさん出てきて欲しいですね。

非上場株投信が日本でも可能になることについて、あなたはどう思われましたか?


地銀融資は「無保証」が過半で事業承継・起業に追い風!

日本経済新聞によると、地方銀行で経営者に個人的な債務保証を求めない無保証融資が急増しているようです。

金融庁によると、2023年4~9月の地銀99行の新規融資に占める無保証融資割合が、半年前(2022年10月~2023年3月)より14ポイント高い54%となりました。

メガバンクなど大手行9行は4ポイント高い76.5%でした。

2023年4月の金融庁の監督指針改正をきっかけに、個人保証に頼った融資慣行が大きく変わりつつあるようです。

経営者保証は、会社が返済不能になった場合に経営者個人が私財を差し出して借金を返済する契約のことです。

経営者の心理的なハードルが高く、事業承継や起業の妨げになっているとの指摘があります。

金融庁の調査によると、2023年4~9月は99地銀のうち96地銀で無保証融資の割合が半年前より上昇しました。

無保証融資比率の伸びが最も大きかったのが福井県が地盤の福邦銀行で、25%から74%へ49ポイント上昇しました。

次いで京都銀行が39ポイント、琉球銀行が38ポイント、長野県が地盤の八十二銀行が37ポイント、横浜銀行が35ポイント上昇しました。

福邦銀行は昨春から、経営者保証を求める案件を本部に申請し、申請後も必要かどうか一件一件精査するプロセスに変えました。

従来は、経営者保証を求めない場合に本部に申請をしていました。

担当者は「保証を求めない融資を進めるには従来以上に企業としっかりと向き合うことが必要。企業との関係性で良い効果が出てきている」と話しています。

京都銀行は「原則代表権を有する経営者1人を徴求する」としていた保証の取り扱いを「原則無保証にする」に変更しました。

支店長の権限で無保証融資を決裁できるようにしたのも伸びの要因です。

現場経験が浅い行員でも一定のレベルで企業に説明できるように、説明の助けとなる動画も作成しました。

新規融資に占める無保証融資比率は、東京スター銀行の96%が最も高くなっています。

次いで、地銀単独の融資(プロパー融資)で経営者保証を廃止した北国銀行が87%です。

あとは、中小企業向け融資を専門とする東日本銀行が81%と高くなっています。

地銀で無保証融資比率が軒並み上昇したのは、2023年4月の金融庁の監督指針改正で経営者保証を求める手続きが厳格になったことがあります。

経営者保証を求める場合は、保証契約の必要性などを企業に具体的に説明することを義務付けました。

説明した件数は金融庁にも報告が必要となり、安易に経営者保証を付ける慣行を是正する狙いです。

金融庁が経営者保証を付ける慣行の見直しを促すのは、事業承継や起業などによる経済の新陳代謝を促すためです。

経営者保証は経営の規律につながる一方、事業に失敗すると経営者は自宅不動産や私財を失い、生活や再挑戦が難しくなります。

それゆえ、事業承継などに二の足を踏む要因といわれてきました。

経営者保証が外れても、貸出金利などの貸し出し条件には「直接的な影響は及んでいない」(金融庁)との指摘があります。

もともと銀行が経営者保証を求めるのは、全国銀行協会などのガイドラインで示される法人と個人の分離などの要件を満たしていない場合に限られるはずでした。

ところが、要件を満たしていても「慣習で当たり前のように(経営者保証を)付けていた」(関東地区地銀)ケースが多かったようです。

こうした保証を外したからといって、金利引き上げは求めにくいようです。

今後の課題は、比較的リスクの高い先が対象となる信用保証付き融資での経営者保証の取り扱いです。

中小企業の4割が使う信用保証制度では、融資の7割で経営者保証が使われています。

銀行が信用保証付き融資を利用する場合に経営者保証を求めるかどうかは、あらかじめ信用保証協会が銀行に示している基準がベースで、付けざるを得ない面があります。

経済産業省は、中小企業などが経営者保証なしでも融資を受けられる信用保証制度を創設します。

3月から受け付けを開始し、通常よりも高い保証料を支払うことで経営者保証が不要になります。

制度開始から3年間は国の補助で保証料上乗せ分の負担を軽減する方針で、利用が進むかが焦点となります。

経営者保証がなくなるのは、借りる方からすれば良いことですね。

少し前に、とあるところで借入金の執筆の中で経営者保証は取らないようになってくるということを書いたのですが、僕が想像した以上に、経営者保証を取らない融資が増えていますね。

金融機関側からすれば、色々と思うところはあるようですが(笑)。

地銀融資は「無保証」が過半で事業承継・起業に追い風が吹いていることについて、あなたはどう思われましたか?


銀行界が新型融資の活用を拡大して新興企業の資金調達を支援!

時事ドットコムによると、銀行が、創業間もないスタートアップ(新興企業)の資金調達支援に乗り出しているようです。

新株予約権と融資などを組み合わせた「ベンチャーデット」と呼ばれる手法を活用しています。

ベンチャーキャピタル(VC)による出資に依存してきた新興企業の資金調達手段の多様化が期待されています。

ベンチャーデットは、銀行が企業から新株予約権を取得し、それを担保代わりに融資する手法です。

銀行側は株式の価値が高まるのを待って権利行使するケースが多く、VCへの新株発行よりも株式の価値の希薄化を避けられるほか、土地や建物など資産がなくても、多額の融資を受けやすい利点があります。

銀行側も、新興企業が株式を上場すれば、取得した株式を売却しリターンを得られます。

ベンチャーデットは、2023年に入ってみずほフィナンシャルグループや三井住友銀行、りそな銀行などの大手が本格参入しました。

静岡銀行など地域金融機関も強化し始めています。

早稲田大学の入山章栄教授は「経済の疲弊が進む地方では新産業創出が不可欠。地銀には力を入れてほしい」と期待しています。
2008年度に取り組みを始めた日本政策金融公庫の2022年度の融資実績は75億円と前年度の2倍に拡大しました。

創業間もない企業の審査は難しく、最近は金融機関からノウハウについての問い合わせが増加しています。

日本政策金融公庫の荻布靖新事業・スタートアップ支援総括課長は「競争優位性や販売体制など黒字化の道筋について丁寧で細かな分析が大事だ」と話していますす。
日本政策金融公庫などから融資を受けたIT企業、スカイディスク(福岡県福岡市)の内村安里最高経営責任者(CEO)は「資本政策的にも、株式の割合を抑えて大口資金を調達できるのが魅力」と語っています。

三菱総合研究所によると、ベンチャーデットの規模はアメリカで年間2兆円超(2020年時点)ですが、日本は推計で100億円程度にとどまっています。

全国各地で起業家育成事業を行うガイアックスの上田祐司社長は「これまで銀行が参入しないのに違和感があった」と語り、銀行による積極的な取り組みを求めました。

色々な資金調達方法が出てくるのは、良いことですね。

金融機関も投資信託やイデコなどの手数料で稼ぐのではなく、融資を受ける側の立場に立った独自のサービスで競って、稼いでほしいですね。

銀行界が新型融資の活用を拡大して新興企業の資金調達を支援し始めたことについて、あなたはどう思われましたか?


「経営者保証なし」が急増し新規融資の47%に!

日本経済新聞によると、金融庁は、先日、万が一の場合に経営者個人が私財を差し出して借金を返済する「経営者保証」に関する融資の実態調査の結果を公表しました。

2023年4〜9月の民間金融機関の新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合は、2022年度に比べ13ポイント上昇し、47%となりました。

金融庁がメガバンクや地方銀行、信用金庫など計533機関の実態を調査しました。

2020年度から約3%ずつしか上昇していませんでしたが、金融庁が2023年4月に監督指針を改正したのを機に、比率が急上昇しました。

経営者保証に依存しない融資のうち、2023年4〜9月に新規に無保証で融資した件数は57万4,100件と、前年同期比で41%増加しました。

経営者保証を代替するコベナンツなどを活用した融資の件数は5.3倍に増えました。

既存融資で経営者保証を解除した件数も80%程度増加しました。

金融庁によると、業態別ではメガバンクなどの主要行が61%、地銀が55%、信金が37%、信組が22%と、すべての業態で22年度と比較して改善しているそうです。

個別の銀行の実態は、2024年1月末にも公表されます。

金融庁は2023年4月に金融機関向けの監督指針を改正し、経営者保証を求める場合は保証契約の必要性などを企業に具体的に説明することを義務付けました。

経営者保証を求める手続きを厳格にすることで、安易に経営者保証をつける融資を抑制する目的でした。

経営者保証は経営の規律づけに寄与する一方で、思い切った事業転換や再挑戦の妨げとなっていると指摘されてきました。

起業や事業承継をためらう一因にもなっているとされます。

2022年12月には経済産業省、金融庁、財務省が「経営者保証改革プログラム」を策定し、金融機関に対して安易に経営者保証をつける慣行の改善を要請していました。

経営者保証なしの方向性は良いことだと思います。

個人的には、思ったより、経営者保証なしの割合が高かったなぁと感じています。

まぁ、金融機関も融資できる先を探しているような状況だと思いますので、どこかの金融機関が経営者保証なしで来ると、ほかの金融機関も横並びで来ると思いますので、ますます加速していくでしょうね。

「経営者保証なし」が急増し新規融資の47%になっていることについて、あなたはどう思われましたか?


弥生の顧客にGMOあおぞら銀行がAI融資を導入!

日本経済新聞によると、インターネット専業のGMOあおぞらネット銀行は、人工知能(AI)を活用して最短即日で審査結果を通知する融資サービスを始めます。

弥生(東京都千代田区)の会計ソフトを利用する企業が対象で、財務諸表ではなく会計データを分析して与信判断します。

融資上限は3,000万円と従来よりも上がり、規模の大きい企業に取引を広げることを狙っているようです。

弥生の子会社、アルトア(東京都千代田区)が手掛けるAIを使った会計データ分析システムを利用します。

1年以上の会計データがあることが条件で、利用する会計データには取引の日付や売掛金・買掛金などの勘定科目、金額などが含まれます。

時系列での資産の推移やキャッシュフローなどを分析しやすくなります。

融資額は100万円〜3,000万円の範囲で、金利は0.5〜8.5%の固定金利です。

返済期間は最長3年です。

オンラインで申し込み、最短即日で審査が終わります。

財務諸表を使わないAI融資は住信SBIネット銀行なども運転資金を対象に手掛けていますが、GMOあおぞらの融資は運転資金にも設備資金にも使えることが特徴です。

GMOあおぞらはこれまで最大1,500万円の融資枠型のローンを手掛けていました。

創業間もないスタートアップが主な対象でしたが、融資額が小さく企業が成長すると対応できない場合もあったようです。

AI融資で売上高が数億円程度の企業まで対応できるようになります。

僕自身、弥生PAPのゴールド会員なので、こういう融資の形があることは、ありがたいですね。

返済期間が最長3年で、設備資金として借りる人がいるかどうかは疑問ですが。

結局は、返済ができれば良いと思いますので、事業計画を作ったり、色々な書類を出したりする手間が省けますから。

弥生の顧客にGMOあおぞら銀行がAI融資を導入することについて、あなたはどう思われましたか?


政府系コロナ融資の不良債権は6%の8,700億円!

日本経済新聞によると、政府系金融機関が中小企業に行った新型コロナウイルス対策融資で不良債権が拡大しているようです。

実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの不良債権が2022年度末に約8,700億円と全体の6%になったことが会計検査院の調べで分かりました。

回収不能額は既に697億円に上ります。

民間の融資分も含めれば不良債権は2兆円を超す可能性があり、スピード優先の副作用が出ています。

会計検査院は、先日、官庁や政府出資法人を調べた2022年度決算検査報告を岸田文雄首相に提出しました。

検査で税金の無駄遣いを指摘したり改善を求めたりしたのは344件、総額約580億円でした。

併せて日本政策金融公庫と商工組合中央金庫によるコロナ対策融資の検査結果を示しました。

同貸付は国が財政援助しており、焦げ付きは国民負担になる恐れがあります。

会計検査院は債務者の状況把握を適切に実施するよう求めました。

ゼロゼロ融資は、コロナ禍で需要が蒸発した中小企業の資金繰りを支えるため2020年3月に公庫や商工中金など政府系金融機関で取り扱いを始めました。

融資要請が殺到し2020年5月から民間金融機関でも受け付けるようになりました。

合計の利用件数は2022年9月末時点で約245万件、実行額は約43兆円にのぼります。

民間分も同様の傾向ならゼロゼロ融資全体の不良債権は単純計算で2兆円超になる可能性があります。

公庫と商工中金の2022年度末までの貸付実績は19兆4,365億円で5兆582億円が返済され、残高は14兆3,085億円でした。

回収不能額を減損処理する「償却」は697億円ありました。

「正常債権」は13兆5,064億円でした。

回収不能の恐れがある「リスク管理債権」が8,785億円、公庫が回収不能の可能性が高いとして償却した「部分直接償却」が1,246億円ありました。

リスク管理債権の額は2020年度末の3倍強になりました。

8,785億円の内訳は、返済が3か月以上遅延したなどの「要管理債権」が4,929億円、経営・財務が非常に悪化した「危険債権」が3,731億円でした。

経営破綻先の「破産更生債権」などが124億円でした。

ゼロゼロ融資はコロナ禍で中小企業の資金繰りを支え、倒産や失業者の急増に伴う社会不安の抑制に効果を発揮しました。

半面、大手銀幹部が「非常事態でほぼ目をつむって貸していた」と話す通り、スピードを重視した結果、すでに経営が行き詰まっていた企業を延命させたり審査が甘くなったりする副作用を生んだのです。

金融庁によると、銀行や信金など民間金融機関の融資に占める不良債権比率は2022年3月末時点で1.6%です。

民間を補完する役割の政府系金融機関の不良債権比率はおのずと高くなりがちです。

ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は増えています。

東京商工リサーチによると2020年7月から2023年9月までの累計の倒産(負債額1,000万円以上)件数は1,077件でした。

2023年4〜9月は333件で前年同期比44%増えました。

2023年5月から5か月連続で50件を超えるなどペースは速まっています。

旅館業を営んでいた猪の倉(三重県津市)は2023年9月、津地裁から破産手続きの開始決定を受けました。

コロナ禍の行動制限で来客数が大幅に落ち込み資金繰りが悪化しました。

ゼロゼロ融資を受けて事業継続を目指したものの、過去の設備投資による負担もかさみ、再建を断念しました。

背景にあるのがゼロゼロ融資の返済本格化です。

元本の返済猶予期間が終わる企業が続出し2023年7月には約5万社で返済が始まりました。

物価高や人手不足が経営の重荷になる中、ゼロゼロ融資の返済が重なって資金繰りに窮する企業が増えているのです。

帝国データバンクによると、実質破綻状態でありながら事業を続ける「ゾンビ企業」は2021年度末で約18.8万社と、コロナ禍前の2019年度から約3割増えました。

金融機関の融資姿勢にも問題はありました。

ゼロゼロ融資は自治体が最初の3年間は利子を企業に代わって払うのに加え、返済が焦げ付いても信用保証協会が肩代わりします。

金融機関はほぼリスクを負わずに貸し出しを伸ばすことができるため、地銀や信金は競い合うように利用を促したのです。

未曽有の危機に直面して審査が甘くなったのは海外も同じです。

アメリカでは2020年春に担保不要で保証料なしの「給与保護プログラム」など中小企業向けの緊急支援を実施しました。

アメリカ中小企業庁が2023年6月に公表した報告書によると、1.2兆ドル(約180兆円)の緊急支援のうち360億ドル分で不正が見つかったのです。

不正の9割弱はプログラム開始から当初9か月間で発生しました。

経済活動が急停止する未曽有のコロナ禍で、経済の底割れを防ぐためにゼロゼロ融資などの資金繰り支援は必須でした。

ただし、いつまでも延命的な支援は続けられません。

M&A(合併・買収)や事業譲渡で雇用を確保するなどして、再生の見込みがある企業に支援を集めるといった政策が求められます。

少し前から予想されていたことではありますが、表面化してきましたね。

今後、国がどうするのか分かりませんが、個人的には、追加の支援をしても延命するだけであり、根本的な解決につながらないと推測されるため、もう支援はいらないのではないかと思います。

当然、経営者や個人事業主が再起できるような手当は考える必要はあると思いますが。

金融機関が安易に融資して、国民が負担するというのもどうなんでしょうね。

政府系コロナ融資の不良債権は6%の8,700億円であることについて、あなたはどう思われましたか?


コロナ禍の迅速融資の副作用でコンプラ違反倒産が最多!

日本経済新聞によると、粉飾決算などコンプライアンス(法令順守)違反が発覚し、借り換え融資などを受けられずに倒産する企業が増えているようです。
民間調査会社によると、コンプラ違反関連の倒産は2023年1〜8月で228件と前年同期比39%増え、同期間で過去最多でした。
新型コロナウイルス禍の融資で金融機関が審査の質よりスピードを優先させた「副作用」が出ているとみられます。

帝国データバンクによると、要因別では粉飾決算、違法な営業活動などによる業法違反がそれぞれ50件で最多となっています。
補助金などの不正受給(19件)、私的流用による資金流出や横領などの不正(18件)が続きました。粉飾が発覚した業種では、卸売業が全体の30%を占め最多でした。
架空取引のほか、資金調達を目的にした取引の実態を伴わない不正な手形を使ったケースが多くなっています。

背景には実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化があります。
2023年7月から2024年4月にかけて返済ピークを迎えるなか、「ゼロゼロ融資の返済開始後に資金を手当てできず、借り換えや追加融資を金融機関に求めた際に不正が発覚したケースが目立つ」(帝国データの内藤修・情報統括部課長)ようです。

産業用機械のトガシ技研(山形県鶴岡市)は2023年2月、民事再生法の適用を申請しました。
帝国データによると、2022年7月、架空取引による粉飾が発覚し債務超過に転落しました。
固定費削減などに取り組んできましたが、自力での再建を断念しました。

コロナ禍での資金繰り支援は融資実行のスピードが重視され、本来は審査で問題が疑われるような企業にも資金が回り、結果としてコンプラ違反企業の延命につながっていた可能性があります。
2020年3月に始まったゼロゼロ融資は2022年9月末時点で約245万件、実行額は約43兆円まで膨れ上がったのです。

ある都内の信用金庫関係者は「審査が緩んだ面は否めない」と振り返っています。
ゼロゼロ融資は各都道府県が最初の3年間は利子を企業に代わって払うのに加え、返済が焦げ付いても信用保証協会が肩代わりするのです。
金融機関の負うリスクは小さく、むしろ低金利にあえぐ信金や地銀は競い合うように貸し出しを積極化しました。

実際、コンプラ違反は融資を受ける企業だけでなく、貸し手側にもありました。
中日信用金庫(名古屋市)はゼロゼロ融資を実行しやすくするために取引先の業績を改ざんしていたことが発覚し、2022年9月に東海財務局から業務改善命令を受けました。
その後、中日信金は経営責任を明確にするため当時の理事長が辞任しました。

コンプラ違反企業の倒産が増えている状況について、東洋大学の野崎浩成教授は「銀行の審査機能、情報をきちんと分析する能力が十分に発揮されないまま、ある意味で銀行のモラルハザード、借り手のモラルハザード、両方が原因で増えた」と指摘しています。

コロナ禍の資金繰り支援は倒産抑制に寄与した半面、本来なら淘汰されるべき企業の延命にもつながりました(いわゆるゾンビ企業)。
日本も金利のある世界になれば、利払い負担が重くなり、こうした「ゾンビ企業」の淘汰は一段と加速する可能性があります。

「今後、金融機関は事業の成長を見極める事業性評価をきちんと実施していくことが重要だ。事業性に問題があれば、廃業や他社によるM&A(合併・買収)を含めた方向性を示していく必要がある」(東洋大の野崎氏)としています。

平時ではない有事の際には、細かいことよりスピードが重視されるのは当然か思いますが、平時の時から、金融機関はもっと事業の成長を見極める眼を養っておく必要があると思いますし、補助金などではないので返済しないといけないなど、借り入れに関す知識を持っておかないといけないと思いますし、財務の状況を把握しておかないといけないのではないかと改めて感じた記事でした。

コロナ禍の迅速融資の副作用でコンプラ違反倒産が最多となったことについて、あなたはどう思われましたか?


りそな銀行が金利6%でも需要見込みベンチャー融資に100億円!

日経ビジネスによると、スタートアップ向け融資に大手銀行が本腰を入れ始めたようです。
今秋には、りそな銀行がまず首都圏と関西の一部店舗での融資を開始し、合計100億円規模を貸し出す想定のようです。
りそなはこれまで銀行が避けてきた、貸し倒れリスクの高い「アーリー期」も融資対象とする異例の戦略をとります。

りそな銀行は2023年10月内をメドに、スタートアップ向けの融資を本格化します。
これまでも資金ニーズに応じて貸し出してはいましたが、まだ事業基盤の薄い企業のリスクと成長性をどう見極めるか、支店ごとに判断が難しい面もあります。
今後はまず関東と関西の一部店舗で、業界内で「ベンチャーデット」と呼ばれる手法を広めます。
1件当たり1億円前後を想定しており、第一段階として合計100億円規模を貸し出す方針です。

新株予約権を組み合わせた融資で、起業家や既存の投資家に配慮しながら、長期的な関係構築を狙います。
企業ごとの事情にもよりけりですが、金利は概ね年3~6%を想定しています。
既存の中小企業向け融資より高水準ではあるものの、「運転資金や人材獲得費用など幅広い資金ニーズを想定している」そうです(ベンチャー支援グループの小川悠介グループリーダー)。

りそなホールディングス(HD)の南昌宏社長は2023年5月の決算会見で、「(りそな自身の)資本面の蓄積が進み、本格的に活用するフェーズになってきた」と語っています。
りそな銀行は今から20年前の2003年に資本不足が表面化し公的資金を受け入れましたが、経営再建を進めこれを完済しました。
自己資本比率は2023年6月末時点で12.61%(国内基準)と、健全な水準を維持しています。
一般的な企業に比べるとリスクの高いスタートアップにも、融資を広げられる余裕が出てきたのです。

政府が「スタートアップ5カ年計画」を実行中という追い風もあり、新興企業の資金調達をどう支えるかが重要なテーマです。
三菱UFJ銀行のようなメガバンクから比較的大手の地方金融機関まで、この分野への融資拡大を進め始めました。
そうした新たな取引先がいずれ各地の有力企業や中堅・大企業に成長すれば、継続的な貸出先になり得ます。

りそな銀行が差別化を図るのは、対象とするスタートアップの成長ステージです。
比較的初期に分類される「アーリー」の段階でも、有望な事業内容なら融資できるようにします。

通常なら、アーリー期ではまだ貸し倒れリスクが高いので、銀行が取引するのは難しいでしょう。
土地や建物など、担保にできる資産をほぼ持っていないケースも多くなっています。
商品やサービスが対象市場に合致していると判断できるPMF(プロダクト・マーケット・フィット)という状態に達するまで、予想キャッシュフローから企業価値を割り出すことも難があります。
既存の上場企業と比較して価値を算定することも多いですが、まだ金額は揺らぐ段階です。
このため、スタートアップ向け融資に参入した多くの金融機関は、新規上場(IPO)や他社による買収などが視野に入るレイター期、もしくはその手前のミドル期を主な対象としています。

ただ、特にレイター期の有力なスタートアップに対しては融資競争が激しくなるでしょう。
金融機関にとってのブルーオーシャンを探すためにも、りそな銀行はあえてリスクがより高いアーリー期へ乗り出すことにしたのです。

具体的には、すでにエクイティ(資本)の調達ラウンドで概ね初回または2回目に相当する「シリーズA」を終えた企業を対象とします。
ベンチャーキャピタル(VC)が将来性を見込んで出資しており、創業初期に比べると事業計画や財務を書面で確認しやすい状況になっているはずです。
実際の売り上げを計上し始める時期でもあり、「本当にPMFを達成できるかは別途検証が必要となるが、お客さんに購入理由をヒアリングして潜在力を検討できる段階」(小川氏)とみています。

起業家がベンチャーデットを活用するのは、「保有株の希薄化を防ぎたい」という理由もあるようです。
例えば創業初期の時点で、創業者として自社の発行済み株式の80%を所有しているとします。
そこからエクイティ調達でシリーズA、B、Cと進み、第三者割当増資などで株式を割り当てていきます。
その時々の企業価値と発行株数にもよりけりですが、創業者の持ち分は70%や60%などと低下していきます。

これはVCにとっても同です。
各ラウンドで複数のVCが協調して出資するケースが一般的ですが、エクイティ調達を重ねて多数のVCが入るたびに、既存VCの持ち分は希薄化します。
このため、返済可能なら投資先スタートアップが融資も活用したほうが将来のリターンを狙えるのです。

資金を借りたいスタートアップの経営陣にとっては、融資条件となる新株予約権の内容について銀行とよく相談しておく必要があります。
銀行は借り手の返済能力について「正常先」や「要注意先」「破綻懸念先」などと債務者区分を設けていますが、スタートアップについても特別扱いはしないそうです。
赤字でも貸し出す銀行は増えつつありますが、取引開始時点から「要注意先」として警戒される可能性があります。
銀行は与信費用を計上したり既存企業より高い金利を設定したりしておきますが、もう1つのリスク管理手法が新株予約権です。

多くのベンチャーデットでは、スタートアップが融資を受けるのと併せて、新株予約権を銀行に発行します。
このとき企業価値の評価額が低ければ、銀行は転換可能な株式数をより多く設定しないとリスクに見合わないのです。
スタートアップ経営陣は、企業価値への期待や返済能力について十分に説明する必要があります。

スタートアップ側としてはせっかくエクイティでなく融資で調達する以上、株式の希薄化リスクを抑制するために、銀行がいつから新株予約権を行使できるのかよく確認しておくべきです。
りそな銀行のケースだと「IPO後の市場売却」を念頭に置いており、基本的に上場前の段階では権利行使しない予定だそうです。
創業者やVCがいつの時点で持ち株を放出する段取りなのかをよく考えながら、ベンチャーデットの条件を確かめねばなりません。

銀行が期限前の融資返済を迫ることが可能な「コベナンツ(財務制限条項)」も要チェックです。
現預金の最低残高を条件として設定されるケースも多く、借りた資金をすべて使い切るわけにはいきません。
そうしたことを考慮した上で、企業として資金を使えるペースを算出する必要があります。

銀行は融資の審査時だけでなく、実行後もスタートアップの財務状況と成長性を継続的に見ていきます。
特に「本当に事業成長に資する資金の使い方なのかどうか」(小川氏)については、エクイティ調達に比べてシビアに判断するようです。

一方、「銀行によっては組織内の稟議書が非常に多く、ベンチャーやスタートアップのスピード感に追いついていないところもある」ようです(国内の起業アドバイザー)。
ベンチャーデットの活用に当たっては、銀行もスタートアップもお互いに相手の実情をよく確かめておく必要があります。

りそな銀行がベンチャー融資に本腰を入れるということで、ノウハウはあるのだろうかと思いましたが、結局、VCが出資しているところに融資するということなんですね。
ベンチャー企業にとって、資金調達の幅が広がるのは良いことなんでしょうが、融資する側も今までにないような将来性を見極めた融資もしてくれたらなぁと思いました。

りそな銀行が金利6%でも需要見込みベンチャー融資に100億円を貸し出すことについて、あなたはどう思われましたか?


ビッグモーターの90億円の返済に銀行団は借り換え応じず8月18日までに返済!

中古車販売大手ビッグモーターが借入金90億円を取引先金融機関に返済したことが、先日、分かったようです。

ビッグモーターは借り換えを要請していましたが、銀行団が応じませんでした。
現預金を取り崩すなどして対応したとみられます。
2023年8月18日が返済期限でした。

ビッグモーターは直近で300億円以上の現預金があり、ただちに資金繰りが悪化するようなことにはならないと思われますが、自動車保険の不正請求問題を受けて、顧客離れが進んでおり、販売が大きく落ち込んでいます。

銀行団に融資のリスクが大きいと判断されていることから、今後は支援企業が必要になるとの見方が強まっています。

今回の騒動を受けて、ビッグモーターで車を売ったり、車を買ったり、車検をする人は激減するでしょうから、個人的には、このままでは破綻に向かうのではないかと思います。
報道では、デロイトのコンサルを受けているとのことですが、売却等のための資産査定をしているのではないかと思います。
大きな会社が買うのではないかと推測されますが、早く創業者を一掃することと、過去の悪事を明らかにすることが必要でしょうね。
それでないと、金融機関は支援しにくいでしょう。

ビッグモーターの90億円の返済に銀行団は借り換え応じず8月18日までに返済したことについて、あなたはどう思われましたか?


中小の資金繰り支援策を9月末まで半年延長!

日本経済新聞によると、政府は新型コロナウイルス対策として導入した中小企業の資金繰り支援策を9月末まで半年間延長するようです。
日本政策金融公庫の低利・無担保融資などが対象となります。
実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済期限を迎える企業に対して支援を続ける必要があると判断しました。

日本公庫の低利・無担保融資は、新型コロナの感染拡大を受けて2020年3月に始まりました。
コロナの影響で売上高が減少した中小企業に無担保で、通常より低い金利で資金を貸し出します。

政府は2022年9月のゼロゼロ融資の終了に合わせて、同月で終了予定だった低利・無担保融資の期限を2023年3月末まで延長することを決めていました。
その期限をさらに2023年9月末まで延長します。

ゼロゼロ融資の融資総額は2022年9月末時点で計43兆円にのぼり、2023年に返済開始の山場をむかえます。

政府は低利・無担保融資の期限を2023年9月末まで延長することで、ゼロゼロ融資からの借り換えを円滑にします。
エネルギーや食料を中心に物価高騰が続いていることも考慮しました。

コロナ対策向けの資本性劣後ローンや、物価高騰対策で導入されたセーフティネット貸付についても、2023年9月末まで期限を半年間延長します。

一時的な資金繰りに困っている事業者を支援することは良いことだと思いますが、ゾンビ企業をさらに増やしたり、延命させたりするような状況にはならないようにしてほしいですね。
5月以降どうなるかはよく分かりませんが、おそらく、コロナ前の状況には戻らないでしょうから、退場すべきところにはいったん退場していただいて、再出発していただいたほうが日本の将来のためにも良いと考えています。

中小の資金繰り支援策を9月末まで半年延長することについて、どう思われましたか?


商工中金は政府関与を段階縮小!

日本経済新聞によると、政府が今国会への提出を目指す商工組合中央金庫(商工中金)法の改正案の概要がわかったようです。
政府保有株は公布から2年以内に全株を売却する方針を明記しました。
将来的な政府関与の縮小に向けて、業務のあり方4年以内に再検討する規定も設けます。

政府は商工中金に46%出資しています。
法案では政府保有株を「できる限り速やか」に売却すると記しました。
代表取締役を選ぶ際の国の認可は4年以内に廃止し、届け出制とするようです。
災害時などの危機対応融資の業務は残します。
株式会社化する際に政府出資を振り替えた特別準備金も維持します。

法案の付則には、政府関与を縮小するための検討規定を盛り込みました。
公布から4年以内に事業の見直しを検討します。
政府株売却後のガバナンスや地域金融機関との連携の状況を踏まえます。
危機対応業務も「所要の措置を講ずる」と記しました。
将来的な同業務の責務の廃止を視野に入れています。

政府は全株を売却し、商工中金法を廃止した段階で「完全民営化」になると位置づけています。
法廃止の時期の明示は見送りました。
「法律を廃止するための措置を講ずることができると認めるとき」に廃止するとの表現にとどめたのです。

改正案は、経済産業省の有識者会議が先日まとめた報告書に沿った内容です。
公的な役割は残しつつ、業務範囲は全株を売却した段階で銀行法に近づけます。

再生企業への出資上限を引き上げて100%出資できるようにするほか、登録型人材派遣やIT(情報技術)システム販売といった業務が新たに可能になります。

政府系金融機関として、日本政策金融公庫もありますし、一時期不祥事続きだったので、ようやくかぁという感じですね。
検討に4年もかけていたら、時代の変化に追いつかないような気はしますが、良い方向に変わればいいですね。

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経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度が2023年3月にスタート!

日前ジャーナルによると、経営者の個人保証(経営者保証)が起業・創業の阻害要因とならないように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度として創設された「スタートアップ創出促進保証制度」が2023年3月中にスタートするそうです。

スタートアップを含む起業家・創業者の育成は、日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会的課題を解決する鍵と言えますが、失敗時のリスクが大きいために起業することをためらう起業関心層のうち、約8割が「借金や個人保証を抱えること」を懸念しています。

そこで、こうした懸念を取り除き、創業機運の醸成、起業・創業の促進につながるように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度としてスタートアップ創出促進保証制度が創設されたのです。

スタートアップ創出促進保証制度は2023年3月中に開始予定とされていますが、その利用が円滑にできるように、2月20日から信用保証協会と金融機関が連携して事前相談の受付を開始しています。

<スタートアップ創出促進保証制度>
【保証対象者】
・創業予定者(これから法人を設立し、事業を開始する具体的な計画がある者)
・分社化予定者(中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立する具体的な計画がある者)
・創業後5年未満の法人
・分社化後5年未満の法人
・創業後5年未満の法人成り企業

【保証限度額】    3,500万円

【保証期間】       10年以内

【据置期間】       1年以内(一定の条件を満たす場合には3年以内)

【金利】              金融機関所定

※2023年3月中に保証取扱いを開始予定(開始日の確定後、中小企業庁のホームページで公表。)。
※スタートアップ創出促進保証制度の利用に関する問い合わせは、金融機関または最寄りの信用保証協会まで。

個人的には、ゾンビ企業を増やすような施策よりは、スタートアップ企業を増やし、経済を活性化させるほうが良いと考えていますので、良いことだと思います。
どんどん起業していただいて、そのうちの何割かが、うまくいくことを期待しています。

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新興企業向け「経営者保証」不要の融資制度が2023年3月に開始!

日本経済新聞によると、経営者個人が会社の連帯保証人となる「経営者保証」を不要にできる制度の全容が、先日、判明しました。
2023年3月に経営者保証が不要になる新興企業向けの融資制度を始めるほか、民間の銀行と政府系金融機関に不必要な経営者保証を外すように求めます。
事業再生や新興企業の育成を妨げる一因となってきた融資慣行を、官民で見直します。

経済産業省、金融庁、財務省が「経営者保証改革プログラム」を、先日、公表しました。
民間銀行だけでなく、公的機関にも経営者保証を安易につける商慣習を見直すように求めます。
民間金融機関の業界団体や政府系金融機関、信用保証協会などに対して「個人保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取り組みの促進について」と題した要請文を出しました。

銀行だけでなく、信用保証協会など公的機関も経営者保証を求める慣行がありました。
万が一、倒産すれば自宅や自家用車などを差し出す必要があり自己破産に陥るケースもあります。
金融機関にとっては安心して融資できる一方で、創業の意欲や事業承継を妨げる一因となっていました。

創業5年以内のスタートアップは経営者保証を不要にする新しい信用保証制度を始めます。
2023年3月に開始する予定です。
保証上限額は3,500万円で全額保証、無担保とします。
事業者は信用保証協会所定の保証料率に0.2%上乗せした保証料を負担します。

スタートアップの経営者保証をなくすと融資を回収できない「焦げ付き」が発生する懸念もあるため、損失を補塡するための費用として補正予算で約120億円を計上しました。
創業関連保証は年間約1万件の利用があり、原則的に経営者保証を求める慣行があります。
起業に関心がある人の約8割が起業をためらう原因に経営者保証をあげており、保証を不要にする制度をつくりスタートアップを支援します。

2023年4月からは、民間金融機関が安易に保証をとる慣行も是正します。
金融庁が監督指針を改正し経営者保証をつける場合にその必要性について説明義務を課すのです。
結果を記録し、2023年9月期実績から金融庁への報告が必要になります。

「金融機関から経営者保証に関する適切な説明がない」など相談を受け付ける専用窓口も金融庁に設置します。
問題があれば、金融機関に対して特別ヒアリングを行います。

2024年4月からは、創業5年を超えた事業者も経営者保証の解除を選択できる信用保証制度も始めます。法人から代表者への貸し付けがないことや決算書類を金融機関に定期的に提出しているなどの条件を満たし、経営状態に応じた上乗せ保証料を負担すれば解除できます。
中小企業信用保険法の改正案を2023年の通常国会に提出する見通しです。

中小・零細企業のなかには財務状況が悪かったり、法人と個人の資産が分離されていなかったりして経営者保証を求めざるを得ないケースもあります。
経営者保証解除の前提になる収益力改善やガバナンス強化への対応も求めていきます。

良い制度ですね。
やはり、経営者保証というのは、結構な心理的負担があるでしょうから。
保証料が0.2%の上乗せであれば、それほどの負担にはならず、また、個人ではなく会社負担ということになりますので。
ただし、悪用されないように、金融機関や保証協会に事業を見る眼を持ってほしいと思います。

新興企業向け「経営者保証」不要の融資制度が2023年3月に開始となることについて、どう思われましたか?


民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)が開始!

中小企業庁は、2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響の下で債務が増大した中小企業者の収益力改善等を支援するため、借換え需要に加え、新たな資金需要にも対応する信用保証制度(コロナ借換保証)を2023年1月10日から開始しました。

<コロナ借換保証について>
コロナの影響の長期化や物価高など、多くの中小企業が引き続き厳しい状況にある中、積み上がった債務の返済負担への対応はもちろん、事業再構築などの前向きな取組の促進など、個々の事業者の実態を踏まえた支援が重要です。

そのため、今後、コロナ融資の借換え保証制度を創設することで、返済負担軽減のみならず、新たな資金需要にも対応します。

そこで、一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成したうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げるコロナ借換保証を1月10日より開始します。

<制度概要>
保証限度額 1億円
保証期間 10年以内
据置期間 5年以内
金利 金融機関所定
保証料(事業者負担) 0.2%等(補助前は0.85%等)
要件 売上または利益率が5%以上減少 など
その他
・100%保証の融資は、100%保証での借換が可能
・経営行動計画書の作成
・金融機関の継続的な伴走支援

<手続イメージ>

安易に借り換えを認めるのも果たして日本のために良いのだろうかという気はしますが、金融機関の継続的な伴走支援できちんと返済できるようになればいいですね。
実効性のあるものになることを期待します。

民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)が開始したことについて、どう思われましたか?


中小企業庁は数値基準を導入し経営者保証ない融資を促す!

中小企業庁は「経営者保証」をつけない融資を金融機関に促す仕組みを導入するようです。
企業の稼ぐ力や有利子負債の返済能力など具体的な数値基準を設け、経営者保証がなくても融資できるかどうかの判断材料にします。
企業にとっても融資を受けられる条件が分かりやすくなります。
事業再生やスタートアップの成長を阻んでいた融資慣行の見直しが進みます。

経営者保証は個人保証とも呼ばれ、高度成長期に確立されました。
金融機関から受けた融資の返済が滞ったときに、会社が持っている資産と個人の財産を一体で支払う仕組みで、銀行には安心して融資できる面がありました。
一方で経営者は銀行からお金を借りて起業することをためらったり、事業を拡大する意欲を失ったりするとの指摘も多くなっています。

金融庁は2023年4月から金融機関に対し、経営者個人が信用保証を負う場合、具体的な理由を説明するよう義務付け、事実上制限することを決めました。
今回の中小企業庁の仕組みは、その一環となります。

中小企業庁は、先日の有識者会議で詳細を公表し、2022年4月から導入します。
現在のガイドラインには経営者保証をつけない融資を受けるための要件として、①法人・個人の分離②財務基盤の強化③経営の透明性確保の3つがあります。
新たにそれぞれに具体的なチェック項目を策定します。

例えば、財務基盤の強化では、「(有利子負債がキャッシュフローの何倍あるかを示す)EBITDA有利子負債倍率が15倍以内」「減価償却前の経常損益が2期連続赤字でない」といった目安を設けます。

経営の透明性確保については「経営者は日々、現預金の出入りを管理する。終業時に金庫やレジの現金と記帳残高を一致させるなど収支を確認する」といった趣旨の具体例を示します。

新たなルールは強制ではなく、金融機関が使うかどうかは任意となります。
ただし、これまでは経営者保証をつけるかどうかの交渉で金融機関ごとに基準が異なっていたり、基準がなかったりしました。
経営者はどのような点をどのくらい改善すれば、経営者保証をつけずに済むかわかりにくい状況でした。

経営者保証をつけない中小企業向け融資件数は全体の約3割にとどまっています。
金融庁は現状の経営者保証について「合理的な理由がなく不必要に経営者保証を付けている例が多い」と指摘しています。

今回、中小企業庁が数値基準などを導入することで、経営者保証を巡る金融機関と企業の交渉の透明性が増します。
銀行側は財務面だけでなく、アイデアを評価して融資するなどリスクを取る姿勢に転換できるかが今後の焦点となります。

中小企業庁は中小企業の収益力改善やガバナンス体制を整備するための実務指針案も示します。
金融機関や税理士、中小企業診断士向けで指針を活用してもらうように促します。

本来、金融機関は、事業性を評価して融資を行うべきでしょうから、経営者にとって良いことだと思います。
一方で、経営者保証は経営者の責任感を保つ一因となっているのも事実だと思いますので、悪用しようと経営者を防ぐ必要もあるんでしょうね。
事業承継のネックになったりもしますので、日本経済の発展のためにも経営者保証とか担保の提供は、本当になくしてほしいですね。

中小企業庁は数値基準を導入し経営者保証ない融資を促すことについて、どう思われましたか?


税理士支援を手がける日税グループが税理士を通じて債権買い取り!

日本経済新聞によると、税理士支援を手がける日税グループの日税経営情報センター(東京都新宿区)はフィンテック企業のTranzax(トランザックス、東京都港区)と提携し、企業の請求書などの売掛債権を買い取るサービスを始めました。
税理士の紹介を通じて企業に提供することで、買い取り手数料を0.1%からと業界最低水準に抑えています。

新サービスの「日税ファクタリング」は請求書のほか、注文書や補助金、助成金、診療報酬などを買い取り、企業の資金繰りを支援します。

買い取り手数料は請求書の場合で0.1~3%です。
請求書から買い取りを開始し、2022年11月末に注文書などの買い取りを始めます。

ファクタリングサービスの買い取り手数料は、一般的に請求書の場合で3~20%程度が多いようです。
中小企業の負担を抑えるため、日税グループは顧問税理士の紹介書を求めることで信用力を補い、手数料水準を低くしました。

日税グループが提供する税理士報酬の集金事務代行サービスは全国約4万の税理士事務所のうち約15,000を超える事務所が利用しています。
税理士のネットワークを活用し、全国の中小企業や個人事業主へ利用を呼びかけます。

弊事務所も、日税グループが提供している税理士報酬の集金事務代行サービスを利用していますが、ファクタリングサービスのことは、この記事で知りました。
ファクタリングのニーズがどこまであるのか分かりませんが、買い取り手数料が安いということは魅力的なのかもしれませんね。
顧問税理士の紹介書というものがどんなものか分かりませんが…。

税理士支援を手がける日税グループが税理士を通じて債権買い取りを行うことについて、どう思われましたか?


中小企業の融資保証を金融庁が11年ぶりに改正し起業を支援!

日本経済新聞によると、中小企業向け融資で経営者が個人で背負う「経営者保証」の慣行が見直されます。
金融庁が先日発表した監督指針改正案は金融機関に対し、経営者個人に信用保証を負ってもらう場合は具体的な理由を説明するよう義務付ける内容で、事実上、制限を加える規制です。
国が融資慣行にメスを入れるのは、スタートアップ企業が増えない危機感があるようです。

経営者保証の慣行は高度成長期に確立されました。
間接金融主体の日本は銀行がリスクをとり、起業や事業拡大する際の融資手段として定着しました。

金融庁が信用保証を規制するのは11年ぶりです。
2011年には監督指針を改正し、経営者以外の第三者に債務履行を求める「第三者保証」を原則禁止しました。

金融庁の監督指針改正案は、経営者個人が負う「経営者保証」を2023年4月から事実上制限する規制です。
2021年度の中小向け新規融資に占める経営者保証の割合は、民間金融機関全体で約7割に上ります。

改正案は金融機関に対し説明義務を課す内容となっています。
金融機関は理由を説明したことを記録し金融庁に報告しなければならず、経営者保証を求める手続きは煩雑になります。
金融庁はディスクロージャー誌などで取り組み方針を公表するよう要請します。

私財を隠していないか、経営の健全性を確保する意志があるか、不都合な情報を隠したりしないか?
経営者保証をつける場合、経営者保証を外す要件の「法人・個人の区分・分離」「財務基盤の強化」「適時適切な情報開示」の観点で、「どの部分が十分でないために保証契約が必要になるか」「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか」の具体的な説明を金融機関に求めます。

監督指針は行政処分につながる手続きを記載するルールブックです。
必要があればヒアリングや検査を実施し、手続きに違反があったり企業とトラブルが起きたりすれば行政処分の対象にします。
第三者保証を原則禁止したときと同じ規制の仕組みで、今回も経営者保証が姿を消す可能性があります。

これまで金融機関は債権保全重視の観点から、従来の慣行のまま保証を付けている例もあります。
金融庁の調査では、金融機関の7割超が新規融資で保証を取る場合に「常にガイドラインについて説明を行う方針」としています。
ただし、実際に金融機関から「ガイドラインの説明を受けた」と答えた事業者は3割程度にとどまっています。
自主的な取り組みを要請してきましたが、金融機関の姿勢に差があるなど現状を踏まえて規制に切り替えることにしたようです。

中小企業庁も、先日、中小企業政策審議会・金融小委員会を開き、経営者保証を解除できる新制度を導入する議論を本格的に始めました。
中小企業が信用保証協会に支払う保証料を上乗せすれば経営者保証を不要にできる仕組みで、財務書類を金融機関に提出したり、代表者が当該企業から貸し付けを受けていないことなどが条件となる方向です。

経営者保証は海外でも珍しくありません。
米連邦準備理事会(FRB)の2020年の報告書によると、アメリカも約6割に上りますが日本より少ないです。
日本の場合、財務内容が良好だったり、逆に弁済能力が不足していたり、「合理的な理由がなく不必要に経営者保証を付けている例が多い」(金融庁)ようです。

中小企業庁の小規模企業白書によると、日本の開業率(2020年)は5.1%で、フランスの12.1%、イギリスの11.9%、アメリカの9.2%と比べて低くなっています。
政府は、2022年6月に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画で、成長のエンジンとなるスタートアップ支援を柱に創業資金を借りやすい制度をつくる方針を掲げていました。

新規先や挑戦する事業者に対して銀行側がリスクを取る姿勢に転換することが必須となります。
東洋大学の野崎浩成教授は「財務も大事だが、アイデアを評価して融資するなどこれまで以上に経営者を深く見ていくことが重要」と話しています。

融資の信用保証を巡っては、かつて限度額や保証期間の定めもない「包括根保証」もありました。
しかしながら、生活破綻や自殺の要因と社会的に批判も出ました。
2005年に民法を改正し、今では禁止されています。

事業承継の足かせの一つが、後継者の担保や経営者保証だと言われていますし、そもそも杓子定規に取る必要はあるのだろうかと疑問に思っていたので、制限が入ることは良いことだと思います。
ただし、金融機関にその企業等のビジネスの将来性を見る能力があるのか疑問はありますし、結局、保証料や金利が上がれば、融資を受けにくくなるのではないかと思います。
経営者側が、きちんとビジネスの説明ができ、将来の事業計画を作成できるようにならないといけなくなるのかもしれませんが。

中小企業の融資保証を金融庁が11年ぶりに改正し起業を支援することについて、どう思われましたか?


手形決済の支払いを3日に短縮し信用情報も瞬時に把握!

以前にこのBlogでも書きましたが、日本経済新聞によると、紙の手形や小切手を通じた企業間決済がようやく電子化に向かいます。
全国銀行協会は、2022年11月4日に電子交換所を稼働し、140年以上続いた対面でやりとりする手形交換所を順次、廃止します。
2023年1月からは債権の発生日から支払いまでの期間を最短7営業日から3営業日に短縮します。
また、不渡り情報は瞬時に共有します。
これにより、決済の利便性が増し、企業の経理がやりやすくなります。

銀行、信用金庫、信用組合など全国1,100の金融機関は2022年11月4日以降、原則すべての手形・小切手について、電子交換所上でデータを送受信します。
全国銀行協会によると、全国の手形交換所の廃止によって金融機関全体で年間約8億円のコストを削減できるそうです。
企業の手続き方法には大きな変更はありません。

当座預金に十分な残高がないなど手形・小切手で決済ができず信用力に影響する不渡り情報は、これまで各地の参加金融機関の間で共有してきました。
今後は電子交換所に参加する全ての金融機関が瞬時に把握できるようになります。
異なる地域の企業や顧客の信用不安に関する情報が共有されることで、決済の安全性が高まります。

電子決済に移行しやすくするため、全国銀行協会は2023年1月には手形に代わる決済手段「でんさい」の機能を改善します。
債権の発生日から支払いまでの期間を最短7営業日から3営業日まで短縮するほか、債権金額の下限も1万円から1円に引き下げます。

紙の手形や小切手は残るものの、大手行や地方銀行は手数料を相次ぎ引き上げ、電子決済への移行を促します。
横浜銀行は2022年12月から振り出し側が負担する手形帳や小切手帳の発行手数料を8,800円増の11,000円にします。
受け取り側が負担する代金取立手数料も、2022年11月以降、利用する手形交換所によって異なっていた手数料区分を多くの金融機関が一律にします。
こちらも一部の手数料は上がる方向です。

全国銀行協会の2021年調査によると、回答を得た885金融機関の約半数が発行手数料や取立手数料の見直しを実施・検討しているようです。
常陽銀行は中小企業のインターネットバンキングへの移行を促すため、契約料金と半年分の月間基本料金を2023年6月末までの期間限定で無料にしています。

手形や小切手の歴史は古いです。
手形交換所は1879年に大阪で誕生し、現在は全国107カ所に設置されています。
昭和初期に制定された手形法・小切手法に基づき、企業間の資金決済に使われるようになりました。
印紙税や保管にコストがかかり、2008年に施行した電子記録債権法によって電子手形を発行できるようになったこともあり、交換高は1990年の4,797兆円をピークに減少を続け、2021年度の118兆円まで40分の1に減りました。

政府は2026年度末に紙の手形・小切手もなくす計画です。
金融界も小切手を含めた紙の全面廃止へ年間約536万枚の削減に取り組んでいます。
印紙代や人件費の削減などで、紙から電子決済へ移行することによる利用者全体の効果は約732億円に上ると試算されています。

手形や小切手は管理の手間もかかりますし、紛失等のリスクもありますので、早くなくしてほしいですね。
銀行がインターネットバンキングの利用を促すのであれば、利用料などを大幅に引き下げないといけないかと思います。
個人だと無料で、法人だと有料というのもよく分からないですし。

手形決済の支払いを3日に短縮し信用情報も瞬時に把握できるようになることについて、どう思われましたか?


法人税を払いたくない社長は多いが「中小企業の節税」が招く“本末転倒”!

なぜ、小規模な事業は廃業に追い込まれやすいのでしょうか?
幻冬舎ゴールドオンラインの弊事務所も提携している株式会社SoLaboの代表取締役の田原広一さんの記事によると、突き詰めていくと、原因は「資金不足」ただ一つです。
小さな会社にとっての成長エンジンは、節税ではなく融資・投資です。
融資を受ける可能性が少しでもあるならば知っておきたい、節税にまつわるポイントを見ていきましょう。

自分で事業をしている方のなかには、「税金をなるべく払いたくない」という方も多いようです。

以前、(田原さんが)税理士事務所に勤務していた際も、節税のために「なるべく多くの経費を計上し、赤字申告したい」「なるべく利益を出したくない」という会社も少なくありませんでした。
しかし、赤字決算は融資を受ける際には大きなマイナス評価になるのです。

創業後、少しでも多くの融資を受けるならば、「売上・利益が上がっている」ことが条件となります。

もちろん黒字になれば、税金の支払額は多くなります。
特に法人税を払うことにアレルギーをもつ社長は多くいらっしゃいますが、利益が出た分、役員報酬で支払いを出したとしたら、法人税で支払うか、個人の所得税で支払うかの違いです。

しかも、税率から考えると、法人税で支払うより、所得税(住民税含む)+社会保険料(含む企業負担分)のほうが高くつくケースもあるのです。

また、決算が近づき、利益が出ていると、税金を払いたくないため、決算直前に生命保険を活用した節税策を実践する方もいます。
しかし、現在、法人で加入する保険は、支払保険料の全額を損金計上できる全損商品は少なく、支払い保険料の半分だけ損金計上できる半損商品が大半です。
節税額から見ると、費用対効果が見合わないケースも多いのです。

微々たる節税にせっせと励んだ結果、肝心の投資をしたいときに、利益が出ていないために借入ができず、事業が立ち行かなくなるような“本末転倒”の事態さえ招きかねません。

もちろん、「創業融資以降、融資を受けるつもりはいっさいない」と考えるならば、節税に励むのも一つのやり方ですが、もし融資を受ける可能性が少しでもあるのであれば、確定申告書や決算書を作成する際には注意が必要です。

私(田原さん)自身、創業時に融資のお手伝いをしたお客さまから、「今後も融資を受けていきたいのですが、決算上の数字について留意するポイントはありますか」といったご質問を受けることがあります。

その際は節税ではなく、あくまでも融資の観点から私でできるアドバイスをさせていただきますが、その観点から一つ注意点として、税理士との付き合い方があります。

税理士は税金のプロではありますが、融資に関して精通しているかというと個人差があります。
税理士が売上や利益アップより節税に注力した決算書を作成したがために、融資を受けにくくなるリスクもあるのです。

また、先の保険加入による節税策も、税理士の多くが特定の保険会社の代理店業も兼任しているため、手数料目当てだけではないとしても、将来の事業プランはさておき、目先の節税のために保険加入を勧めるようなケースもないとはいえません。

決算や会社の数字の見せ方については、税理士に一任するのではなく、長期スパンで事業をどうやっていくのか、融資の可能性も含めて、自身の考えを事前にしっかりと伝えておくことが肝心です。
さらに、税理士を選ぶ際には、融資のサポートの実績があるかどうかもチェックしておきましょう。

もちろん、私(田原さん)自身も節税対策が不要だとは思っておりません。
将来融資を受ける可能性があるのであれば、将来を見据えた計画を立てることが大切だと考えております。

ここで私(田原さん)の考えとして申し上げたいのは、小さな会社にとって成長エンジンは“投資”であるということです。

そもそも売上をはじめ、スケールが小さい中小企業や個人事業主が節税で得られるメリットは、大企業に比べて微々たるものです。

それよりも売上を伸ばすことに注力し、現預金を手厚くし、倒産リスクを抑えるとともに、ここぞと思ったときに人材や設備に投資していく。
これこそが、小さな会社にとっての成長、事業拡大につながるのです。

資金繰りも考慮し、多店舗展開したい、資金調達したいというときに、節税に目をとらわれると倒産リスクを高めることにもなりかねません。

借入で上手な資金繰りをしている経営者は、これぐらいは利益を出さなければ回らないという感覚をもっているものです。

目先の損得だけにとらわれることなく、融資を有利に運ぶためには「法人税=必要経費」という考え方で、税金をしっかり払うことこそが安定経営を目指す社長の務めと心得ましょう。

基本的には、僕自身は田原さんがおっしゃっていることと同じことを考えています。
このBLOGでも何度か述べていますが、過去には、節税が経営者の能力と考えている方が何名かいました。
節税も、本当の節税と単なる課税の繰り延べに過ぎないもの、お金がかかるものとかからないものとがあると思いますが、その当たりを理解せずに、ひとくくりで『節税』と思っている方が多いですよね。
今は、保険は節税商品としては売れませんし、個人的には売上高ではなく利益が増えることを考えないといけないと思っています(これについては、普段から費用を変動費と固定費とに分けて考えています。)。
ちなみに、先日、日本ではじめて明太子をつくった『ふくや』の川原社長のお話を聴く機会があったのですが、創業者は、納税額の予定額を決めてから逆算で売上高の予算などを決めていたそうです。

法人税を払いたくない社長は多いが「中小企業の節税」が招く“本末転倒”について、どう思われましたか?


全国の手形交換所の業務が2022年11月に終了で143年の歴史に幕!

TabisLandによると、東京商工リサーチが発表したレポートによると、文明開化の音が響く1879年(明治12年)、近代国家への道を歩み始めた日本で初の手形交換所が大阪に設立されました。
それから143年目の2022年11月2日、全国179か所の手形交換所が手形・小切手の交換業務を終了します。
現在の紙の手形、小切手は引き続き流通し、企業側に手続き変更などは必要ありません。
今後の手形交換業務は、全国銀行協会が運営する電子交換所が引き継ぎます。

これまで手形交換所を経由して搬送していた手形現物は、データ化して電子交換所に送信します。
これにより遠隔地への取立の時間短縮や災害時の輸送リスクも解消します。
政府は、2026年度までに紙の約束手形の廃止を打ち出し、“でんさい”やインターネットバンキングなど決済の電子化を急いでいます。
全銀協などによると、手形交換所は1879年に大阪手形交換所、1887年に東京手形交換所が設立されました。

その後、経済発展とともに手形の流通が活発になり、ピークの1990年の手形交換高は4,797兆2,906億円に達しました。
しかしながら、現金決済への移行や、手形の印紙税、保管、輸送などのコスト負担から手形離れが進みました。
2013年に電子記録債権“でんさい”も始まり、インターネットバンキングなどで決済の電子化が進みました。
この流れを受け2021年の手形交換高は、ピーク時の2.5%にとどまる122兆9,846億円にまで激減しました。

電子交換所でも不渡手形による銀行取引停止処分の措置は続いています。
これまで各手形交換所に参加する金融機関に通知されていた情報は、今後、電子交換所に参加する全国すべての金融機関で共有します。
全銀協によると、手形交換所の業務終了後は、これまでの不渡り情報は削除され、電子交換所に手形交換所の不渡り情報は引き継がれないそうです。

明治時代から続く商慣習が大きく変わります。
個人決済は電子マネーなどが急速に進行し、現金を使わず生活することも可能になりました。
一方、企業の決済は依然として紙の手形、小切手が残り、電子化が遅れています。
電子交換所の誕生は、紙の手形の廃止に向けた歴史的な転換の一歩になります。
ところが、運用をスムーズに進めるには、なかなか利用が進まない“でんさい”の認知と同時に、企業側のITリテラシーの向上も急務となります。

僕が会計業界で働き始めた頃は、結構、手形取引があり、決算時に実際に保管している手形を確認したり、手形のミミをチェックしたりしていましたが、期日現金が導入され、その後、でんさいも導入されましたので、最近は、あまり目にすることがなくなりましたね。
数日前に、いまだに使える場面はあるなぁと思いましたが。

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住みながら自宅を売却し高齢者の老後資金を確保する需要が増加!

日本経済新聞によると、持ち家に住みながら売却できる「ハウス・リースバック」を利用する高齢者が増えているそうです。
老後資金などの調達法となり、希望すれば物件の再購入もできるためです。
不動産仲介を手掛けるAnd Doホールディングスは2022年6月期に物件取得数が初めて1,000件を超える可能性があるそうです。
ただし、相次ぐ企業参入でトラブルも散見されており、利用者に対する丁寧な説明は欠かせません。

ハウス・リースバックは、不動産会社が立地や築年数などを調べた上で顧客の持ち家を買い取ります。
顧客は資金調達に加え、不動産会社と賃貸借契約を結ぶことで住み続けることができます。
将来希望すれば、物件を再度購入することも可能なサービスです。

高齢化が進むなか、老後資金の確保や住宅ローンの返済のため、ハウス・リースバックに対する高齢者の需要は高まっています。
不動産業界で2013年にいち早くサービスを始めたのが「ハウスドゥ」ブランドで不動産仲介を手掛けるAnd Doホールディングスでした。

And Doホールディングスの安藤正弘社長は「高齢者は老後資金が必要になるなか、不動産を所有していても現金を持つ人は少ない」と知り、持ち家を使った資金提供の方法を模索しました。

調達法で多いのは持ち家を売却する形ですが、それでは一過性の資金は入っても住まいに困ります。
そこで、引っ越しすることなく、家賃を払って住みながら持ち家の売却で資金を得るサービスを始めました。

And Doホールディングスは全国で直営やフランチャイズチェーン(FC)により、約700のハウスドゥの店舗を持っています。
店に舞い込む依頼や営業担当者による営業活動で需要を掘り起こした結果、2022年3月の単月物件取得数は190件と過去最高を更新しました。
2022年6月期は993~1,060件と大台の1,000件を超える可能性もあるようです。
取得物件について「立地などを見て売却可能かも考慮する」(花谷清明執行役員)なか、2025年6月期には10年前の26倍の1,440件まで伸ばす計画です。

ただし、ハウス・リースバックを一段と浸透させるには課題もあります。
そのひとつが利用者に対する適切な説明です。
ニッチ市場ながら成長性が見込めるとして新規参入企業が増え、「当初の説明と話が違う」など不動産会社と顧客の間でトラブルも聞かれます。
And Doホールディングスの安藤社長は「繊細な事業のため慎重にやっていかないといけない」と話しています。
業界全体で克服すべき問題と言えるでしょう。

ハウス・リースバック以外では、高齢者が持ち家を担保に住み続けて資金を借りる「リバースモーゲージ」の活用も増えています。
日常生活のため生活資金などは必要ですが、住み慣れた家から引っ越しをせずに暮らしたい人は多いようです。
顧客に寄り添ったサービスや対応が求められていますね。

長生きすることは素晴らしいことだと思いますが、一方で、老後の資金が不安にもなってきますよね。
よって、ハウス・リースバックやリバースモーゲージが流行るのは当然のことだと思います。
老後の生活を心配しなくてもいいような日本になってほしいと思いますが。
悪質な業者にだまされたり、説明を聞いていなかったという案件が今後増えてくると推測されますが、自分で調べたり、お子さんに調べてもらったり、納得がいくまで質問したりなどして、失敗のないようにしてほしいですね。

住みながら自宅を売却し高齢者の老後資金を確保する需要が増加していることについて、どう思われましたか?


遠山元衆院議員の仲介で公庫が34支店で37億円超を融資!

読売新聞によると、日本政策金融公庫の融資を巡る貸金業法違反事件で、公庫全体の2割にあたる34支店が、元公明党衆院議員の遠山清彦元財務副大臣(52)(在宅起訴)側が仲介した企業や個人に対する融資業務を担当し、計37億円超を融資していたことがわかったようです。

東京地検特捜部は、融資の手続きが国会議員の紹介を想定したマニュアルに沿って進められていたことから、公庫内部で遠山元衆院議員らの議員案件について組織的な優遇が行われていたとみているようです。

起訴状では、遠山元衆院議員は公庫が行う新型コロナウイルス対策の特別融資などを巡り、2020年3月頃~2021年6月頃、企業や個人の融資希望を公庫に伝え、公庫の担当者を紹介するなど延べ111回の仲介を無登録で行ったとしています。

関係者によると、遠山元衆院議員側の仲介で、全国152の公庫支店のうち、東京都内の12支店など、東北から九州まで16都府県の計34支店が企業や個人事業主から申し込みを受けて審査などの融資業務にあたり、総額約37億2,000万円が融資されました。

事業者は飲食業や建設業、アパレル会社など幅広い業種にわたり、融資1件当たりの最高は3億5,000万円で、数百万円~3,000万円台が多いそうです。

公庫は、国会議員案件に対応するマニュアルを複数作成し、幹部の間で共有していました。

マニュアルには、議員から紹介された企業には支店幹部が応対し、審査結果を迅速に議員に伝えるなど「特別対応」の手順が記されているそうです。

コロナ禍で融資の申し込みが殺到する中、支店幹部が対応することで早期の融資が実現したケースもあったそうです。

東京地検特捜部は、遠山元衆院議員からの仲介で公庫から融資を受けた事業者から任意で事情聴取を実施しました。

複数の業者が「『融資はできない』と言われていたのに、追加融資を受けられた」などと、口利きの効果があったことを認める供述をしたようです。

公庫は読売新聞の取材に対し、「審査基準に沿って適正に対応しており、誰からの紹介であっても特別な取り扱いをすることはなく、審査結果や審査スピードが変わることはない」としています。

国会議員案件に対応するマニュアルを作って対応していること自体、特別な扱いをしているということだと思えますが、公庫のコメントはどうなんでしょうね。
国が100%出資する金融機関だからこそ、平等であってほしいですね。
そうしないと、存在意義がなくなってしまいますから。
そもそも国会議員の口利きビジネスも問題だと思いますので、こういった規制もしてほしいなぁと思います。

遠山元衆院議員の仲介で公庫が34支店で37億円超を融資していたことについて、どう思われましたか?


東証1部から最上位プライムに8割超である1,841社が移行!

時事通信によると、東京証券取引所は、先日、2022年4月4日の市場再編で発足する新市場の所属企業を発表しました。
最上位である「プライム市場」には、トヨタ自動車など現在の東証1部企業の8割超に当たる1,841社が移行します。
このうち、Zホールディングスなど296社は上場基準を満たしておらず、暫定的にプライムにとどまる「経過措置」の適用を受けます。

現在の東証1部など4市場をグローバル企業中心の「プライム」、中堅向け「スタンダード」、新興向け「グロース」の3市場に再編します。
各市場の特徴を明確にし、国内外から活発な投資を呼び込むのが狙いです。
日本の金融市場活性化へ、今後は上場する各企業の稼ぐ力が問われることになります。

東証の山道裕己社長はスピーチし、「企業の持続的成長を支え、国内外の投資家に支持される市場を提供したい」と強調しました。

スタンダードには1,477社が上場し、このうち344社が東証1部から移ります。
長野銀行はスタンダードを選択した理由について、「営業基盤を地元に置く金融機関として身の丈の選択を行った」と説明しました。

グロースには459社が入り、メルカリなどは将来のプライム入りを目指しています。

経過措置が16%も占め、要件を満たすまでの経過措置の期間も決まっていないようですから、中途半端な感が否めないですね。
国外からの活発な投資を呼び込みたいのならば、日本的な中途半端な感じではなく、ルールはルールとしてきちんと運用したほうが良いのではないかと思います。
結局は、東証一部にふさわしくない企業が、東証一部に上場していたということですから。
きちんと運用するほうが、プライムを目指すという企業が増え、プライムの価値が高まるでしょうね。
今後、東証が、経過措置をどう扱うかをウォッチしていきます。

東証1部から最上位プライムに8割超である1,841社が移行することについて、どう思われましたか?


日本政策金融公庫の融資を巡り公明党秘書に1,600万円の「謝礼」受領疑惑!

どこまで捜査の手は伸びるのでしょうか?
日刊ゲンダイによると、日本政策金融公庫の融資を巡り、遠山清彦・公明党元衆院議員の元秘書2人と、太田昌孝前衆院議員の元政策秘書が、違法な“口利き”をした謝礼として計約1,600万円の現金を貸金業登録のない2事業者から受け取っていた疑いがあることが分かったようです。
先日、読売新聞朝刊が報じました。
東京地検特捜部が、貸金業法違反容疑で捜査しているようです。

早速、永田町では「選挙直後に新事実が出てくるのは、何か意図があるのではないか」と噂になっているようです。

「選挙前に発覚していれば、自公にとって大打撃だったのは間違いありません。『特捜部は自公に気を使って、選挙が終わるのを待ったのだろう』とみる関係者は少なくありません」(永田町関係者)

この“口利き事件”が最初に表ざたになったのは2021年8月です。
これまでは、“口利き”には遠山、太田両氏の元秘書2人が関わったとされていましたが、遠山氏の別の元秘書1人にも関与の疑いがあることが分かったようです。

「捜査対象が拡大しているのは明らかです。特捜部は早期に遠山氏の外堀を埋めて関係者の逮捕に踏み切り“幕引き”を図るつもりなのではないか。囁かれているのは、国政への影響を避けるため、12月の臨時国会閉会後、年内に一気にケリをつけるというシナリオです。年を越せば通常国会が始まり、夏の参院選に影響する恐れもあります。そこまで長々と引っ張ることはしないでしょう」(同)

「事件のキーマンとして浮上しているのが、環境関連会社を営む70代男性です。再生可能エネルギー事業を巡る詐欺事件で、社長らが逮捕された太陽光発電関連会社『テクノシステム』で顧問を務めていた人物です。複数のメディアに『遠山をテクノ社社長に紹介したのは俺』『捜査の本丸は遠山じゃない』などと発言。政界人脈は相当なものです。ただ、特捜部は自公政権に気を使っているように見えます。このまま、捜査は広がらずに終わってしまうのではないか」(官邸事情通)

これまで、テクノ社社長が小池百合子都知事の資金管理団体に献金していたことが分かっています。
デイリー新潮は、テクノ社社長と麻生副総理、原田義昭元環境相がともに写る写真を掲載しています。
やはり、大物の逮捕はないでしょうか?

融資を受けられず困っている企業がある中で、口利きで融資を受けれるとしたら、由々しき問題ですよね。
この件が事実ならば、公明党の関係者はもちろんのこと、口利きに応じた日本政策金融金庫の関係者も処分されてしかるべきではないかと思います。

日本政策金融公庫の融資を巡り公明党秘書に1,600万円の「謝礼」受領疑惑があることについて、どう思われましたか?


劣後ローンが中小企業のピンチ救う命綱に!

読売新聞によると、コロナ禍で財務状況が悪化した中小企業などを支援するため、政府系金融機関が設けた「資本性劣後ローン」の融資制度を利用する動きが広がっているようです。
政府系金融機関が資金繰りを助けることで、民間金融機関が中小企業への融資をしやすくなる「呼び水効果」を狙っており、打撃を受けた中小企業の命綱となっています。

東京・赤坂や銀座などに店舗を構える中国料理レストラン「赤坂璃宮(りきゅう)」ですが、緊急事態宣言の解除を受け、客足は戻りつつありますが、先行きの不安は拭えないままです。
蓄積されたコロナ禍のダメージは大きいようです。

店舗を運営する「タン企画」(東京都)の岩渕彦彬会長(78)は「緊急事態宣言中には、売り上げがコロナ禍前の1割程度まで落ちた月もあった」と振り返っています。

2020年、コロナ禍に直面したタン企画はまず、従業員約40人の雇用も守るため、地元の城南信用金庫から融資を受けました。
ただし、借金の増加で財務状況は悪化し、信用力が重視される「フカヒレ」など高級食材の仕入れに支障が生じる恐れが生じたのです。

ここでピンチを救ったのが、劣後ローンです。
日本政策金融公庫と劣後ローンの融資交渉を始め、2021年1月に1億円を借り入れました。

借金が膨らんだ企業に対し、金融機関は貸し倒れリスクを警戒して、当然、追加融資には慎重になります。
大企業であれば新株を発行して自己資本を増強することも可能ですが、中小企業の場合は引受先を探すことが難しいでしょう。

現実的な選択肢となるのが、劣後ローンによる資金調達です。
劣後ローンは借金ながら、借入時には自己資本と見なすことが可能で、大企業の増資に似た効果を持つものです。
タン企画の場合も、劣後ローンにより資本が増強され、城南信金がタン企画への追加の融資を実行しました。

日本政策金公庫は劣後ローンの役割について「民間金融機関による融資の『呼び水』」(広報担当者)と説明しています。
タン企画のケースは、日本政策金融公庫が想定する典型例です。

政府系金融機関による新型コロナ対応の中小企業向け劣後ローン制度は、2020年8月に始まり、日本政策金融公庫のほか商工組合中央金庫(いわゆる商工中金)も担当しています。

限度額は10億円、期間は最大20年で、元本は融資の終了時に一括返済する仕組みです。
金利の支払いは最初の3年目までは年0.5%で、4年目以降は最終利益が黒字であれば引き上げ、赤字ならば据え置きとなります。
日本政策金融公庫の融資決定実績は、2021年8月末までに計3847先、計5,759億円となりました。

コロナ禍の長期化により、借金が膨らむ一方で、手持ち資金が細る企業が増え続けています。
今後も劣後ローンの利用は拡大しそうです。

財務省がまとめた2021年4~6月の法人企業統計によると、資本金1,000万円以上1億円未満の企業(金融・保険業を除く)の借入金総額は約184兆円です。
1年前より10.6%も増えていました。
東京商工リサーチが8月上旬に行った調査では、「過剰債務」と回答した中小企業は35.7%と大企業の16.7%を20ポイント近く上回りました。

経済活動の正常化が今後進むとしても、これまでに蓄積された過剰債務が原因で資金調達ができなければ、中小企業の経営再建はおぼつかなくなります。
東京商工リサーチの友田信男・情報本部長は「短期的な業績回復が見通せない中小企業にとって劣後ローンを利用する効果は大きい」と話しています。

<資本性劣後ローン>
企業が倒産した場合に返済する順位が低い借り入れで、借入金は株式発行で調達した自己資本と同等と見なすことが可能で、企業の財務改善につながります。
一方、金融機関にとっては通常より貸出金を回収できなくなる危険性が高い融資となるため、一般的に金利は高めに設定されます。

従来から資本性劣後ローンは存在し、弊事務所のクライアントも何社か利用していますが、コロナ禍で増えているようですね。
しかしながら、融資時に借入金ではなく資本としてみなしてくれるだけで、返済が必要な借入金ということには変わりませんので、その点は理解した上で借りていただきたいですね。

劣後ローンが中小企業のピンチ救う命綱になっていることについて、どう思われましたか?


孫社長を審議会に呼ぼう!

日本経済新聞によると、大量の投資マネーが未公開株に流入する世界の潮流から、日本は取り残されています。
政府は新規株式公開(IPO)の値付けの是正や特別買収目的会社(SPAC)の解禁によってお金を流そうと躍起ですが、解決策としては的外れにみえます。
規制緩和などを通じて、投資に値するスタートアップが日本に育つ環境をつくるのが先決でしょう。

ベンチャーエンタープライズセンターによると、2021年1~3月の日本のスタートアップ投資額は前年同期比18%増の456億円です。
時期は異なりますが、アメリカは4~6月に同2.3倍の704億ドル(7.7兆円)、欧州は3.8倍の306億ドルに達し、日本はケタが2つ小さい状況です。

世界で700社を超える企業価値10億ドル以上の未公開企業「ユニコーン」は、日本は現在6社しかありません。
スタートアップにお金を流す仕組みに問題があるとみて、政府は成長戦略に「IPOの価格決定プロセスの見直し」と「SPAC制度の検討」を盛り込んだのです。

証券会社がIPOに応募した個人顧客をもうけさせるために、公開価格を不当に低く設定しており、スタートアップが必要な資金を調達できていません。
アメリカでブームになったSPACを使えば正当な価格で上場し、十分な資金を調達できるはずだという理屈なのです。

この政府案は、実務を担う専門家たちから「市場の実態を理解していない無理筋の案」という批判が相次いでいるようです。
実際、公正取引委員会がIPO実施企業に今週送った調査票を見ると重箱の隅をつつくような技術的な質問が並び、ユニコーンが育つ環境整備につながるとはとても思えないそうです。

必要なのは、発想の転換なのです。
急成長する魅力的なスタートアップがあれば、必ずお金はついてくるはずです。
そんなスタートアップが見当たらないからお金が集まらないのです。

忘れがちなのですが、世界の未公開株投資で最大のお金の出し手は日本企業です。
ソフトバンクグループのビジョン・ファンド第2号は4~6月、47社に135億ドルを投じました。
しかしながら、1号ファンドにさかのぼっても同ファンドの投資先に日本企業は1社も入っていないのです。

政府は審議会に、孫正義会長兼社長を呼んで解決策を聞いたらどうなのでしょうか。
孫社長のことです、投資したくなるスタートアップを日本で育てるためのアイデアを、たくさん持っているに違いありません。

本当に的はずれな擬音をしているような気がします。
資金調達時の調達額を増やすことが目的ではなく、資金調達ができるような企業を増やすことが大事ですから。
数年前に、IPOではなく孫さんのところに買ってもらうことを目標としている経営者が増えているというような記事を目にしましたが、ユニコーンを目指してほしいですね。

孫社長を審議会に呼ぼうということについて、どう思われましたか?


ハローズが45億円を投じ香川県坂出市に物流センターを新設!

LNEWSによると、ハローズは、先日、資金調達及び株式売出しについて発表しました。

ハローズは、2020年12月25日に新中期経営計画「2125計画」(2022年2月期から2026年2月期まで)を公表しています。
この計画では、新四国物流センター新設による物流拠点網の拡大と効率的な物流体制等を展開し、「生産性の高い会社づくり」を行っていくとしています。

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限49億3,008万6,093円については、全額を設備投資資金に充当する予定です。

これらの資金は、店舗新設や物流施設の一部に充てられる予定です。
物流施設では、香川県坂出市に45億円を投じて「四国物流センター(仮称)」を新設する予定です。
着手は2021年8月、完了は2023年1月を予定しています。

広島県が本社のハローズは、我がうどん県(香川県)にもたくさん出店しており、24時間営業で、たまに行きますが、上場企業で設備投資資金を増資でまかなうというのは珍しいと思いますね。
JALやANAもアフターコロナを見据え増資などをしていますが、おそらく、ハローズもアフターコロナやニューノーマルを考えているんでしょうね。
こういう状況だからこそ、コロナで儲かっている企業は積極的設備投資で、雇用拡大など地域にも貢献してほしいと思います。

ハローズが45億円を投じ香川県坂出市に物流センターを新設することについて、どう思われましたか?


JALがコロナ後を見据えた投資のため1,600億円を公募増資!

日本経済新聞によると、日本航空(JAL)は、先日、公募増資などで最大約1,680億円を調達すると発表しました。
新型コロナウイルスで航空需要が急減し、2021年3月期は2012年の再上場後初の赤字となる見通しです。
エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)で財務を強化しつつ、効率の高い航空機の導入など、需要回復後を見据えた投資をするようです。

新型コロナで業績が悪化した大手企業が公募増資で資本増強するのは初めてです。
調達額はアサヒグループホールディングスに並んで2020年で最大規模となります。

公募増資は国内外で実施します。
国内が3分の2、海外3分の1となります。
最大で1億株を新たに発行しますが、現在の発行済み株式数(3億3,714万株)の3割にあたります。

調達額のうち1,000億円を投資に、残りの約680億円を有利子負債の返済に充てるようです。
二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、燃費のいいエアバス社の航空機購入に800億円を使い、今後需要拡大が見込める格安航空会社(LCC)事業への投融資に150億円を投じる計画です。

社債の償還や借入金の返済などで2020年度に300億円、2021~2022年度にそれぞれ500億円の資金が必要になります。
調達資金を返済資金の一部に充てます。

新型コロナによって国際線を中心に旅客数の減少は続いています。
2021年3月期の連結最終損益(国際会計基準)は2,400億~2,700億円の赤字(前期は534億円の黒字)になる見通しです。
航空など運輸業界では需要急減で巨額の赤字を計上する企業も多く、優先株や劣後ローンでの資本増強が相次いでいます。

日本航空(JAL)が資本増強で先手を打ちました。
新型コロナウイルスの影響に苦しむ航空業界の中でも相対的に財務は安定しています。
体力があるうちに手を打ち、コロナ後の成長につなげます。

同日記者会見した木藤祐一郎財務部長は「財務的な余力があるうちに調達をして、ポストコロナをけん引する航空会社になりたい」と話しました。
JALは4~9月期に1,612億円の最終赤字を計上しました。
9月末の自己資本比率は3月末に比べて約8ポイント低下し44%となりました。
ただし、ANAホールディングス(32%)や欧米の航空会社よりも高い水準を維持しています。
比較的良好な財務はJALは2010年に会社更生法の適用を申請し、2012年の再上場後から2019年3月期まで繰越欠損金の控除で税負担が少なかったことが大きいようです。
2021年3月末でも自己資本比率は4割を確保できる見通しです。

資本増強を急いだのは、この相対優位を生かすためです。
航空業界は航空機などの設備投資が売り上げに先行します。
新型コロナが収束しても、財務が悪化していると借入金の返済を優先しなければいけなくなります。
JALの有利子負債は半年間で2,237億円増加しました。
自己資本と比べたDEレシオは0.3ポイント悪化していました。
今回の公募増資で得た資金を先を見据えた投資と負債返済にも充て、コロナ後に備えます。
一方、ANAも劣後ローンで資本増強することを発表しています。

しかしながら、調達額は、11月6日の時価総額(6,213億円)の3割と巨額です。
木藤氏は「短期的には既存株主に影響があるかもしれないが、投資を通じて企業価値を上げたい」と理解を求めましたが、11月6日の東証の取引終了後の私設取引システム(PTS)の取引では株価が1割以上下落しました。

新型コロナという不測の事態とはいえ、調達に見合った企業価値の増加につなげられなければ、市場の不信感は高まります。
世界中で感染者数が再び増加するなか、需要減が長期化する懸念も出ています。
調達資金を使って、想定通りに復活への道筋を描けるかが今後、問われることになるでしょう。

動きが早かったなぁという感じはします。
しかしながら、会社更生法の申請により借入金を棒引きしてもらい、相対的に財務体質の良いJALが先にやるのは、モラルハザードはどうなのだろうか?という疑問は残ります。
個人的には、7割経済と言われているように、将来的にもそれほど需要は戻らないと思っていますので、リスキーだなとは感じていますが、今後どうなるかウォッチしていきたいですね。

JALがコロナ後を見据えた投資のため1,600億円を公募増資することについて、どう思われましたか?


大和ハウスが財務基盤の強化ため初の劣後ローンで1千億円調達!

大和ハウス工業は、先日、ハイブリッドローン(劣後特約付きローン)で1千億円を調達すると発表しました。
調達した資金は、コマーシャルペーパー(CP)や社債の償還のほか、物流倉庫などの設備投資に充てるようです。
一部を資本としてみなせる劣後ローンで資金調達するのは同社として初めてです。
不動産開発を積極的に進める一方で財務基盤を強化する狙いです。

大和ハウスは新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり消費」などで電子商取引(EC)の急増に対応し、物流施設の開発を積極化しています 。
劣後ローンを初めて活用する背景には、物流倉庫などの投資に伴う資金需要が旺盛な一方、財務内容の健全性も保つ狙いがあります。

ダイワハウスは2020年6月、2022年3月期までの中期経営計画で物流施設などの不動産開発投資を当初計画の3,500億円から6,500億円に増額しました。
一方、有利子負債が自己資本の何倍あるかを示すDEレシオを0.5倍程度とする目標も掲げています。
2020年3月期のDEレシオは土地取得などで0.6倍です。
今後、さらに外部からの資金調達が拡大すれば、目標を達成できない懸念がありました。

今回の劣後ローンでは格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)が調達額の50%を資本と認定する予定で財務の健全性の向上につながります。

最近、劣後ローンで資金調達するケースが増えてきていますね。
劣後ローンは、貸借対照表上は負債になりますが、資金調達の際に、金融機関などが資本金とみなしてくれるというものです。
よって、この記事を見て、財務の健全性とか書いていたので、疑問に思ったので、ネットで調べてみると、カラクリがあるようですね。
最近、伊藤レポートなどで、『自己資本利益率』(いわゆるROE)が再び重視されるようになってきているようですが、こちらでは劣後ローンは負債として扱われるため分母に影響なく、一方で、『D/Eレシオ』では、一部が資本金として扱われるため、有利に働くようです。
いわゆる良いところ取りですね。
経営指標にこだわりだすと、経営指標目標を達成するがために本質からかけはなれたことをしたりするケースもありますので、注意が必要ですね。

大和ハウスが財務基盤の強化ため初の劣後ローンで1千億円調達することについて、どう思われましたか?


12兆円規模の企業の資本支援を政府が検討!

日本経済新聞によると、政府が企業向けに検討している資本支援策の枠組みが12兆円規模に達することがわかったようです。
日本政策投資銀行や官民ファンドなどが劣後ローンや株式を取得して。経営を支援したり事業再編を後押ししたりするものです。
新型コロナウイルス拡大の影響で財務基盤が悪化する企業に対し、安全網を広げます。

2020年度第2次補正予算案や財政投融資計画に盛り込むようです。

12兆円のうち約6兆円は政投銀や日本政策金融公庫など政府系金融機関による劣後ローンの活用を想定しています。
劣後ローンの資金調達は増資に近い効果を持ち、格付けの低下を防いだり金融機関の追加融資を受けやすくなったりすることが期待できます。
貸し手が経営に深く関与しないため、企業側も受け入れやすいのです。

残る6兆円は出資などの枠組みに活用します。
大企業・中堅向けには、すでに政投銀が設けている1千億円の出資枠を倍増するほか、産業革新投資機構(JIC)を通じて再編や成長投資に向けた資金を用意します。
中小企業向けには、地域経済活性化支援機構を通じて事業再生や地域ファンドの拡充をはかります。
債権買い取りファンドも整えます。

融資による支援策も強化します。
4月以降も融資需要が増えていることを踏まえ、政府の無利子融資制度などを拡充します。
民間金融機関と合わせて60兆円以上の資金繰り対策の規模を確保する方向で調整します。

政府が企業向けの資金対応を大幅に拡大するのは、コロナを巡る情勢が依然、不透明なことがあります。
現状では多くの日本企業の財務体質は比較的強固で破綻懸念があるわけではありません。
ただし、秋以降も景気悪化に歯止めがかからなければ、健全企業でも財務悪化のリスクがあり、雇用にも悪影響が出かねません。
「資本支援がすべて使われるとは思っていないが、早めに安全網を用意し、企業や市場を安心させる」(政府関係者)狙いがあるようです。

海外でも資本支援を拡充する動きが相次いでいます。
ドイツは大企業向けに1千億ユーロ(約11兆円)の優先株や普通株による出資基金を設立しました。
アメリカやフランスなども航空業界の支援に乗り出しています。

良い制度だとは思いますが、単なる延命や、詐欺的な行為が行われないようにして欲しいですね。
あとは、国が関わるとなると、中小企業が、株主や債権者への決算説明や、決算公告、招集通知、株主総会はどうするのだろうか?とは思います。

12兆円規模の企業の資本支援を政府が検討していることについて、どう思われましたか?


2020年4月から経営者個人保証の二重取り禁止の指針!

 全国銀行協会と日本商工会議所などは、中小企業の経営者が代替わりする際に金融機関が新旧トップから二重に個人保証を取ることを原則禁止するとの指針をまとめました。
経営者保証が負担となって後継ぎが見つからず、廃業に至るのを防ごうとする政府の方針に対応しました。
2020年4月から適用する。

今回の指針策定により、既に決定している商工中金による無保証融資の拡大や国の中小企業支援を含め、政府が2019年6月に決定した成長戦略などで打ち出した事業承継対策が出そろうことになりました。

指針は2014年から運用されている「経営者保証に関するガイドライン」の特則との位置付けで、二重保証の禁止に加え、後継者への保証契約も「慎重に判断すること」を金融機関に要請しました。
中小企業の側には、無保証でも融資が受けやすくなるよう財務基盤の強化や適切な情報開示を求めました。

指針に強制力はありませんが、金融庁が無保証融資の実績公表を金融機関に働き掛けるなど官民で順守を促すようです。
取りまとめを主導した小林信明弁護士は、「中小企業の活性化を図るという公共的な目的で制定した」と意義を強調しました。

そろそろ金融機関には、担保や個人保証を取るのをやめて欲しいですね。
事業の将来性を評価して、将来のキャッシュ・フローを担保に融資ができるようになって欲しいと思います。
そういうことができるようになると、銀行が最近言いたがるコンサルティングの能力が自然に高まるのではないでしょうか?

2020年4月から経営者個人保証の二重取り禁止の指針がまとめられたことについて、どう思われましたか?


スタートアップ企業が医師や教授にストックオプションを付与!

 スタートアップ企業が医師や大学教授ら社外の専門家に、株式を利用した報酬「ストックオプション」(新株予約権)を付与する動きが広がっているようです。
日本経済新聞社の調査では、未上場企業の9割がストックオプションを活用し、うち3割が社外の専門家に付与しているようです。
現金支出の負担を抑えながら、専門性を持つ社外人材の知を生かし、企業価値の向上につなげているようです。

ストックオプションを使えば、現金を常に用意しなくても高度な専門人材を生かせます。
病院向けIT(情報技術)のリンクウェル(東京都港区)は、外部の医師にストックオプションを発行し、新事業としての消費者向け商品を共同研究しています。
金子和真最高経営責任者(CEO)は、「病院に勤めていて社員になれなくても、製品開発に協力してもらえる」と話しています。

日本経済新聞社は、未上場企業の企業価値を調べた「2019年の「NEXTユニコーン調査」で、ストックオプションの施策についても聞いたところ、回答企業の89%となる154社が導入していたことがわかりました。

付与している相手は従業員83%、取締役72%に続いて社外の専門家が27%で、監査役の23%を上回っています。
付与の対象となる専門家の幅が広がっており、半導体メモリーのフローディア(東京都小平市)の場合、大手メーカー出身のエンジニアに付与しました。

イノベーションの創出には最新の技術を取り入れ、現場のニーズを踏まえることが欠かせません。
高度な専門性を持つ人材が年々重要になっており、獲得競争が激しくなっています。

スタートアップ企業は、10年前と比べれば資金を調達しやすくなったとはいえ、創業間もない赤字会社が高い給料を払って正社員を採用するのは依然として難しいでしょう。

大学教授などの安定した職に就く人にとっては、自らの研究成果や現場の経験を新たな技術や事業アイデアにつなげるうえで、転職まで踏み込む必要がありません。

スタートアップ企業が社外の人材とつながる利点は、知見を得られることだけではありません。
電動車椅子のWHILL(神奈川県横浜市)は「人脈が広がる」といっています。
そのことが新事業につながっていくきっかけになります。
ストックオプションが様々な企業のなかで知の交流を生み、イノベーションをけん引する要因となっています。

投資家側の変化が、こうした流れを後押しします。
ベンチャーキャピタルなどは、これまで、ストックオプションに伴う持ち株の希薄化を嫌がる傾向にありました。
上場時などの株売却によるもうけが減るからです。
プルータス・コンサルティング(東京都千代田区)によると、最近は「優秀な人材確保は企業価値の向上につながるとの理解が投資家に浸透しつつある」といっています。

増えていくのは望ましいことだとは思いますが、監査役を上回る水準というのは驚きました。
近年、ベンチャーキャピタルなどから資金を調達しやすくなってきているとはいえ、ベンチャーキャピタルからの出資を嫌がる経営者の方もいらっしゃるでしょうし、資金的には厳しいベンチャー企業が多いでしょう。
そのような中、ビジネスパートナーにストックオプションを付与することは、付与する側にも付与される側にもいいことなんでしょうね。
付与される側も、自分の貢献により、将来、お金になるかもしれないとなると、モチベーションが違うでしょうから。

スタートアップ企業が医師や教授にストックオプションを付与していることについて、どう思われましたか?


クールジャパン機構が株主企業6社に196億円を出資!

 東京新聞によると、政府と民間が資金を出して運営する官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が出資した事業のうち、少なくとも7件が機構の株主企業6社に関連していたことが、取材で分かったようです。
公的資金が株主企業に還流された形で、クールジャパン機構の中立性が揺らぐ可能性があります。
クールジャパン機構の投資先を決める内部組織に、投資先企業の役員がいたことも判明したそうです。
識者は、公的投資の名目で私企業の利益を図る「利益相反」の疑いを指摘しています。

東京新聞は、クールジャパン機構が2014~2019年に公表した出資32件の内容を事業報告などから調べ、株主6社に関係する出資を計7件確認しました。
総額は196百億円で、出資全体の3割にあたるそうです。

株主の出資額の20倍超を支援した例もあるようです。
クールジャパン機構は、2014年9月、中国・寧波への商業施設出店事業に110億円の出資を決めました。
この事業は、クールジャパン機構に5億円を出資する株主の「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」(大阪市)が中心を担っています。

利益相反が疑われる出資は、マレーシアにある日系百貨店の改装事業への10億円です。
機構株主の三越伊勢丹ホールディングス(HD)の子会社が事業を請け負いました。
クールジャパン機構が出資を決めた2014年9月当時、投資先を選ぶ内部組織「海外需要開拓委員会」の委員長をHDの社外取締役が務めていました。

政府は官民ファンドに中立的な投資を求めています。
海外需要開拓支援機構法は海外需要開拓委員会の運営に関し「特別の利害関係を有する委員は議決に加わることができない」と定めています。

経済産業省クールジャパン政策課の三牧純一郎課長は、株主が関わる事業への出資7件を認めたうえで、決定に際しては政策的意義や収益性といった政府の支援基準を守っていると東京新聞に説明したようです。
「機構株主と出資先の企業が同じだからといって、ただちに問題があるとの認識はない」と語ったようです。

利益相反の指摘に対しては「出資者を含む利害関係者は支援決定の議論や議決から外れることになっている。マレーシアの案件も当該取締役は議論・議決の場にいなかった」と述べています。

官民ファンド問題を追及している立憲民主党の蓮舫参院議員は「5億円の出資で110億円の支援を受けるのは公金の還流だ」と投資の中立性に疑問を呈しました。

慶応大大学院の小幡績准教授(企業金融)は「官民一体という構造上、政府が機構の株主に一定の配慮をしなければならず、結果的に利益相反が生まれる。公金が使われる以上、国民に疑問を持たれる余地があってはならない」と語っています。

クールジャパン機構は日本文化の発信で成長が見込める企業に投資しています。
2019年9月現在、政府が756億円、民間23社が計107億円を出資しています。

<官民ファンド>
リスクが高く、民間だけでは資金を調達できませんが、成長が見込めそうな企業の株を買う機関です。
株の売却益や配当が出れば出資者に配るが、事業の失敗で資金を回収できないこともあります。
2012年発足の第2次安倍政権が成長戦略に掲げ、全14のうち10ファンドを新設しました。
クールジャパン機構は2013年11月に発足したものの、業績不振が指摘され、2018年度末の累積損失は179億円となっています。

農林水産省所管のA-FIVEもそうですが、国が主体となってファンドをやるとろくなことがないですね。
国民におかしいなと思われても、問題がないと思っているようですし、どんどん累積損失が膨らんでいくでしょうから、早くやめた方がいいですね。
数億円も出資できるのであれば、自社でやればいいのではないかと思います。

クールジャパン機構が株主企業6社に196億円を出資していたことについて、どう思われましたか?


ペッパーフードが新株予約権を発行して69億円調達を想定!

 「いきなり!ステーキ」はペッパーフードの連結売上高の8割強を占める主力事業ですが、既存店売上高は20か月連続で前年同月を下回っています。
ステーキ店「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスは、先日、行使価格修正条項付きの新株予約権を発行すると発表しました。
69億円の調達を想定していますが、金額が増減する可能性があります。
調達した資金は新規出店などで膨らんだ借入金の返済や広告宣伝費などに充てるそうです。

割当先はSMBC日興証券で、新株予約権のすべてを行使すると520万株になります。
2019年6月末時点の発行済み株式の24.74%にあたります。
払込日は2020年1月15日、当初の行使価格は1,332円で、この価格での調達額は69億円となります。
ただし、株価に応じて調達額は変化します。
2019年12月27日の終値は1,294円でしたが、発行価格の下限は666円で、上限はありません。

69億円を調達した場合、48億円を借入金の返済に充てるそうです。
2019年11月末の借入金の総額は87億円でした。
また、13億円をテレビコマーシャルなどの広告宣伝費に充てるようです。

また、みずほ銀行など金融機関から計41億円を2019年8~9月に借り入れたと発表しました。

いきなり!ステーキはペッパーの連結売上高の8割強を占める主力事業です。
ただし、既存店売上高は2018年4月から20か月連続で前年同月を下回っています。
2019年12月期の連結最終損益は25億円の赤字(前期は1億2,100万円の赤字)になる見通しです。

財務体質も悪化しており、2016年12月期に30%だった自己資本比率は、2019年1~9月期末時点で5%まで低下していました。

個人的には、どこかに買収されるのではないかと思っていましたが、とりあえずはSMBC日興証券への新株予約権の発行ということになりましたね。
これで足りるとは思いませんが、今後、どう立て直していくのか、ウォッチしていきたいと思います。

ペッパーフードが新株予約権を発行して69億円調達を想定していることについて、どう思われましたか?


農林水産省所管の官民ファンドA-FIVEが廃止へ!

 農水省は、先日、農水省所管の官民ファンド、農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)を廃止すると発表しました。
2020年度末で新規投資業務を終了し、早期解散を目指すようです。
廃止の理由について、江藤拓農林水産大臣は閣議後会見で、「計画通りの累積損失を回収し、収益を確保することは困難と判断した」と述べました。

2020年度当初予算案では、関連予算の要求を取り下げ、今後、新たな予算要求はしない方針です。

後継組織について、江藤農林水産大臣は「今のところ考えていない」とする一方、「国が関与した出資が必要という声が上がった場合には、考えることもあるかもしれない」と述べました。

A-FIVEは2013年、官民共同で設立された投資組織です。
出資額は国が300億円、民間企業が19億円です。
投資が想定どおり進まず、累積赤字が2019年3月末時点で92億円に膨らんでいました。

既に交渉中の投資案件があることから、2020年度は投資決定を継続します。
2019年4月時点では、当初の事業期間が2032年度末までだったことを踏まえ、2026年度末まで投資決定する計画でした。
出資先から回収を完了するなど一定の条件が整った段階で解散します。

農林水産省は、累積赤字が膨らんだ原因について「6次産業化は投資対象として小規模な一方で、同機構がそれに見合った組織規模ではなく、投資実績に対して高コストだった」(産業連携課)と指摘しました。
地銀などと共同で出資するサブファンド方式も取り入れていましたが、「その仕組みもうまく機能しなかった」(同)。
専門家による原因の検証を始めるようです。

国が主体となってファンドをやるとろくなことがないですよね。
やはり、ファンドは事業の将来性の分かる方がいないとうまくいくはずはないと思いますし、失敗しても責任を取らない国の方が主体となるとうまくいくはずはないですよね。
日本を代表する経営者の1人であるソフトバンクグループの孫さんですら、ファンドはうまくいっていないわけですから。
税金の無駄遣いをせずに、もっと有効に使って欲しいと思います。

農林水産省所管の官民ファンドA-FIVEが廃止されることについて、どう思われましたか?


借入金利が全国で最も低いのは我が「うどん県」!

 日本銀行によるマイナス金利政策の継続により、企業を取り巻く金融環境はこれまでにない低金利の時代に突入しています。
競争が激化する地域金融機関においても、その過半数で本業利ざや(貸出金利息-預金利息)が減少するなど銀行経営に影響を及ぼし、近時は SBI グループとの連携や地銀再編機運も高まりを見せています。
五輪を控えて堅調な建設業界や、設備投資意欲の旺盛な運輸・倉庫業者など資金需要は見込めるものの、リスケジュール対応を受けながらも再建が進まない企業も多く見受けられます。
消費税引き上げによる企業へのダメージを懸念する声も聞かれるなど、企業の金融環境への注目度は高くなっています。
このようななか、帝国データバンク高松支店は、2019年10月末時点の企業財務データベース「COSMOS1」を用いて、四国地区に本社が所在する企業の平均借入金利を算出し、集計・分析しました。

<平均借入金利>
2018年度の四国地区4県の平均借入金利は、我が「香川県」が1.13%(前年度比▲0.09pt)で最も低く、「愛媛県」1.26%(同▲0.08pt)、「徳島県」1.37%(同▲0.07pt)、「高知県」1.39%(同▲0.06pt)と続きました。
また、我が「香川県」と「高知県」の平均借入金利の格差は0.26pt となり、四国地区内においても温度差がみられました。
企業の借入金利は、2007年度~2008年度にかけてピークとなり、リーマン・ショックや日本銀行の金利政策もあって2009年度以降は各県において低下が続いています。
なお、全国の平均借入金利は1.37%(前年度比▲0.08pt)となりました。

全国で最も借入金利が低かったのが我が「香川県」となり、県外金融機関の進出などで競争の激しさがうかがえます。
2018年度の四国地区4県の平均借入金利について、10年前の2008年度と比較すると、「愛媛県」が▲1.10pt と低下幅が最も大きくなっています。

次いで、「高知県」(▲0.96pt)、「徳島県」(▲0.95pt)、我が「香川県」(▲0.93pt)の順に続きました。
低下幅を「全国」(▲0.93pt)と比較すると、我が「香川県」のみ同水準ながら、その他の3県は「全国」よりも大きくなっています。

<業種別>
業種別にみると、主要6業種で平均借入金利が最も低かったのは、「製造業」(0.94%、我が香川県)で、唯一、1%を切っています。
なお、「愛媛県」を除く3県で「製造業」が低い傾向となりました。
一方、平均借入金利が最も高かったのは、「建設業」(1.64%、高知県)で、4県とも「建設業」が最も高くなっています。
「全国」との比較では、「製造業」「サービス業」において、四国4県いずれも「全国」を下回りました。

今回の調査で、四国4県の企業の平均借入金利は2018年度も低下傾向にあることが判明しました。
なかでも我が「香川県」は、全国都道府県別で最も低い金利となりました。
我が「香川県」の平均借入金利は、四国地区で最も高い「高知県」とは0.26pt、全国で最も高い「沖縄県」とは0.70ptの差があり、企業を取り巻く金融環境は地域の特性によって差異が生じている状況がうかがえます。
今後も借入金利は低水準で推移するとみられますが、世界景気の悪化により変動する可能性もあり、企業と金融機関の関係性や企業経営そのものを左右する金利の動向が注目されます。

数年前から我が高松市は日本で一番金利が安いというのは、時々耳にしますが、うどん県全体でもそうなんですね。
とある地銀がかなり安い金利で融資の獲得に走っていたのもあると思いますが、我が香川県の企業は借入先が多いとも昔から言われていますので、そういったところも影響しているのかもしれませんね。

借入金利が全国で最も低いのは我が「うどん県」であることについて、どう思われましたか?


「資本コスト」を話せますか?

 「御社が前提とする資本コストは何%ですか」「その資本コストに見合う事業でしょうか」。
そんなやりとりが、上場企業と投資家のあいだで増えていくかもしれません。
金融庁と東京証券取引所が進める企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の見直しで、2018年、資本コストという考え方が明確に盛り込まれたからです。

借りたお金には利子がかかります。
利子を上回るもうけがなければ、そのビジネスを続ける意味はありません。
それを株式にもあてはめて考えるのが資本コストです。
株主も最低限のリターンを求めているはずで、それ以上にもうけなければ企業は価値を生んでいない、とファイナンス理論では考えるのです。

経営戦略づくりも資本コストへの意識を、持ち合い株も資本コストを上回るメリットがあるか考えてとのメッセージが、見直しには込められています。
資産を無駄に抱えず、効率的にもうけてくれれば株式市場の評価も上がるとの期待があるのです。

とはいえ、いざ資本コストを数値に落とし込むとなるとことは単純ではありません。
理論的には資本資産評価モデル(CAPM)、配当割引モデルの2つが算出法の代表なのですが、実はどちらも前提の置き方次第で大きく数値が変わってくるのです。

前者は自社の株価の変動性をどうとらえるか、後者は配当が将来何%ずつ伸びると想定するかで、数値が揺れます。
「うちはどう計算すべきか」と慌てた問い合わせが、幹事証券などに舞い込んでいるようです。

経営側と投資家が双方、腑に落ちない数字がまかり通っても意味はありません。
数字に縛られすぎると、経営戦略が縮こまり、大胆さを失うかもしれません。
一方で、数値達成を急ぐあまり無理な背伸びを誘発するかもしれません。

資本コストで追い立てられる議論より前に、経営側に必要なのは、しっかりと稼ぐ堂々たる収益のビジョンと戦略です。
そして、きちんと理解し評価できる投資家側の見識も求められるのです。

株価算定(バリュエーション)の仕事をしている方は、『資本コスト』は当然知っている話ですが、一般の方には、なかなか難しいかもしれませんね。

代表的なところでも、支払利息は損金となりますが、配当は税引後利益から支払うため損金とならないといったようなことがあります。
これを契機に、『資本コスト』が少しでも浸透し、考慮されるようになればいいですね。

「資本コスト」を話せますか?について、どう思われましたか?


金融庁が経営者保証の共通指標を導入!

 金融庁は、銀行が中小企業の経営者から取っている経営者保証の状況を比較できる共通指標を来夏から導入し、開示を求めるようです。
企業が事業承継する際、新旧経営者の双方から保証を取り続ける「二重徴求」のケースもあります。
銀行に不要な保証を求めないよう促し、保証が負担となって事業承継を断念し、廃業してしまう事態を防ぐのが狙いです。

対象は大手銀行と地方銀行、第二地方銀行です。
新規融資分のうち経営者保証を求めなかった割合や、事業承継時の新旧経営者の保証件数などを指標化し、半期ごとに開示させるようです。

政府は2019年6月に閣議決定した成長戦略で、銀行による経営者保証の状況を指標で「見える化」することを打ち出しており、2019年度の「二重徴求」を含めた保証の状況を明らかにします。

金融庁の調査では、全国の地銀105行のうち、事業承継時に新旧経営者から二重に保証を取っていたケースは、調査を始めた2016年度下期は46.2%でした。
その後、2017年度下期は36.5%、2018年度上期は19.3%と減少傾向にあります。

銀行側は「経営者への借入金返済の規律付け」として経営者保証を取っており、取引状況や融資判断によっては難しい対応を迫られるでしょう。

金融庁は担保や保証に過度に依存せず、事業内容や将来性を見極めて取引するよう銀行を点検します。

そもそも二重取りというのはおかしいと思いますが、金融庁が動くのは良いことだと思います。
事業承継のネックになるものの一つが経営者保証だと思いますので、良い方向に改善されて欲しいです。
疑問なのは、なぜ、信用金庫などは入っていないのでしょうか?
金融機関も手数料ビジネスに走るのではなく、将来のキャッシュ・フローを見極る目を高めて、将来のキャッシュ・フローを担保に融資をして欲しいと思います。

金融庁が経営者保証の共通指標を導入することについて、どう思われましたか?


ユニバーサルミュージックへの課税取り消し判決!

 会社組織の再編に伴うグループ間の資金調達を巡り、約58億円を追徴課税した東京国税局の処分を不服として、大手レコード会社「ユニバーサルミュージック」(東京・渋谷)が処分取り消しを求めた訴訟の判決が、先日、東京地方裁判所でありました。
清水知恵子裁判長は、ユニバーサルミュージックの主張を認め、処分を取り消しました。

ユニバーサルミュージックは、フランス親会社の組織再編の一環で、海外の関連企業から資金を借り入れ、利子を支払いました。
国税局は、利子が関連企業への利益移転にあたるとして、2012年12月期までの5年間で計約181億円の申告漏れを指摘し、約58億円を追徴課税しました。

判決で清水智恵子裁判長は、組織の再編や借り入れには「経済的合理性がある」と判断しました。
ユニバーサルミュージックにとって大規模な資金調達が可能になるメリットがあり、国の処分は違法と結論づけました。

東京国税局は「国の主張が認められず大変遺憾」とコメントしました。

ここ数年、国税局は安易に否認しすぎているような気がします。
一部メディアによると、この事件をきっかけに税制改正を行っているので、国側は負けても痛くないということが書かれていますが、訴訟に負ければ、改正も取り消してほしいですね。

ユニバーサルミュージックへの課税取り消し判決について、どう思われましたか?


フラット35で「住む」と偽り賃貸用にして悪用し不動産投資!

 1%程度の固定低金利で長年借りられる住宅ローン「フラット35」を、不動産投資に使う不正が起きていることがわかったようです。
ローンを提供する住宅金融支援機構も「契約違反の可能性がある」とみて調査を始め、不正を確認すれば全額返済を求める方針です。

不正が見つかったのは、東京都内の中古マンション販売会社が売った物件向けのローンです。
元男性社員(50)が朝日新聞の取材に応じ、「フラット35を投資目的で使ったのは、昨年6月までの約2年間に売った150戸前後。仲間の仲介業者らと一緒にやった。このしくみでトップセールスマンになれた」と証言しました。
販売会社は2018年夏にこの社員を懲戒解雇し、2018年秋までに機構へ届け出ました。
利用客の一部も、機構から事情を聴かれています。

元社員が関与した不正な融資の顧客は20代~30代前半の若者を中心に100人超です。
融資額は1人2千万~3千万円ほどで、計数十億円規模になります。
不動産業者らがお金に困った若者らを、投資セミナーやネット上で勧誘したとみられます。
機構によると、こうした不正が大規模に発覚した例はないそうです。
同様な手口がほかの業者でもあれば、不正はさらに広がるでしょう。

元社員によると、利用客は年収300万円台以下の所得層が大半で、200万円前後の借金を抱える人も多かったようです。
「借金を帳消しにして不動産も持てる」などと勧誘していました。
利用客はマンションの賃貸収入でローンを返します。
本来は投資用なのに「住む」と偽って融資を引き出す手口で、不動産業界では「なんちゃって」と呼ばれているようでs。

フラット35を借りる際、利用客は不動産業者を経由し、機構の提携先の取り次ぎ金融機関に申し込みます。
業者らは本来の売却額を数百万円水増しした契約書を提出し、物件価値を上回る融資引き出しの不正もしました。
その分は借金の肩代わりや、利用客を探したブローカーへの紹介料などに充てていました。

融資の審査は金融機関や機構が担いますが、不正はチェックのすきをつかれました。
利用客は業者の指示で、本人の居住を示すために当初だけ物件に住民票を移し、ほどなく元に戻します。
また、機構からの郵便物は転送させるなどして発覚を防いでいましだ。

機構は政府が7千億円超を全額出資する独立行政法人で、自らは直接貸さず、取り次ぎ金融機関に融資実務を担ってもらい、その債権買い取りで資金を出しています。

機構のローンを巡ってはこれまでも融資金をだまし取るなどの不正が続発しています。
会計検査院が2012年、十分な審査態勢を金融機関とともに築くように求めました。
機構は今回の不正を踏まえ、フラット35が投資目的で使えないことを強調するなど対策に着手し、「必要に応じて審査態勢をさらに強化する」そうです。

<フラット35>
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が民間銀行などと連携して提供する住宅ローン。
国民の住宅取得を支えるため、低い固定金利で最長35年間借りられます。
転勤などで入居途中から賃貸に回すことは認められますが、当初から投資目的で借りると融資契約に違反します。
住宅ローンは不動産投資向けローンと比べ、金利が低くなっています。

ひどい話ですね。
こういうことがあると、結局、税金で負担することになってしまいますからね。
もちろん、やった本人や、それに気づかなかった中古マンション販売会社に責任があると思いますが、機構の手続きなどにも不備があったのだろうと思います。
貸したら終わりではなく、きちんとルールを守っているかどうかを事後的にチェックする仕組みが必要でしょうね。
そうしないと、機構の存在意義が問われるのではないでしょうか?

フラット35で「住む」と偽り賃貸用にして悪用し不動産投資をしていたことについて、どう思われましたか?


ASBJは自社発行の仮想通貨会計ルールを当面策定せず!

2018年03月16日(金)

日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)は、先日、企業が自社で発行した仮想通貨の会計ルールを当面策定しない方針を決めました。
仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)などを念頭に「実態を網羅的につかめていない」ためのようです。
3月中旬をメドに、自社以外が発行した仮想通貨のみを対象にルールをまとめるようです。

ASBJでは、仮想通貨の保有や売買をした際の会計処理について議論し、2017年12月に草案を公開しました。
自社で発行した仮想通貨については議論の範囲外としており、パブリックコメントも踏まえ、草案の適用範囲から自社発行の仮想通貨を除外することとしました。

ちなみに、ICOは企業が「トークン」と呼ぶデジタル権利証を発行し、事業に賛同する投資家がビットコインなど広く流通する仮想通貨で買い取る仕組みです。

既に上場企業の子会社で、ICOを使う企業が出ているのに、見送り(先送り)はどうなのかなぁと思います。
安易に自己資本を増やせるものになってはいけないと考えますし、会計基準の公表により、過去の会計処理が違っていたということになりかねないと思いますし、過度に監査法人に負担を与えることになるのではないかと憂慮されます。
過去に、業績の悪い企業が資金調達を通じて不正を働いていたケースもあると思いますので、早めに会計基準を作ってほしいですね。

ASBJは自社発行の仮想通貨会計ルールを当面策定しないことについて、どう思われましたか?


食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎる!

 東洋経済によると、食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎるそうです。
「勝つために何をするか、道は解かっています」「売上予算の達成を重視し、英知を集めて対応します」「競争には絶対に勝つ」など、株主に直接呼びかけるような表現で埋め尽くされているのです。

神奈川県や東京都など首都圏に113店(20189月末時点)の食品スーパーを運営するオーケーは、「毎日が低価格(エブリデー・ロー・プライス)」を掲げ、チラシはまかない、値上げの理由などの商品情報を店内に「オネスト(正直)カード」として掲示するなど、独自の運営方法で知られています。
低価格がウリながらも利益率は業界平均以上で、業界でも一目置かれる存在です。

そのオーケーの発行する有価証券報告書(以下、『有報』といいます。)の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」が、また独自なのです。
冒頭に引用した一節のように、株主に直接呼びかけるような表現で埋め尽くされているのです。

<紋切り型の説明はしない>
オーケーは未上場会社ですが、株主数が多いため、有報の提出義務があります。
オーケーの有報は、金融庁が所管する電子情報開示システム「EDINET」で閲覧できます。
一般的に、有報における「対処すべき課題」は紋切り型で、通り一辺倒の内容になりがちです。
「当連結会計年度における国内経済は~」から始まって、フォーマットが決まっているかのような表現が続くことが多くなっています。
しかしながら、オーケーは違うのです。
終わった期の振り返りに加え、次期予想も数字を明示して説明しています。
青果、精肉、水産、総菜の各部門の状況と、認識している課題と対応策などが書かれています。
「お友達宅配(という施策)はご利用が少なく見直しています。宅配手数料10%に抵抗があるようで、思慮が足りなかったと反省しております」「ネット販売でも『エブリデー・ロー・プライス』を実現するのが大きな課題ですが、やりがいもあります」といった調子です。
売り場を知り尽くした経営者でなければ語れない内容が、平易な言葉で、既存店実績など必要な数字も折り込んで説明されており、個人投資家はもちろん、プロの機関投資家も歓迎するであろう内容です。
それもそのはずで、同欄を書いているのは、創業オーナーである飯田勧代表取締役会長本人だそうです。
飯田会長が草稿を書き、二宮涼太郎社長などとやりとりをしてまとめているようです。
オーケーは毎年4月に取引先を集めた「オーケー会」と呼ばれる会合を開いています。
実は有報の「対処すべき課題」は、その際のスピーチ原稿を活用したものです。
新年度にあたりその年の会社方針を取引先に説明したもので、平易な表現で具体的な施策が並ぶのは、そうした理由もあるのです。

<閉店知らずで31期連続増収>
オーケーの業績は好調です。
31期連続で増収が続いており、同社が重視する経常利益も年によって多少のでこぼこはありますが、基本的なトレンドは右肩上がりです。
低価格ゆえに粗利率は同業他社よりも低いですが、販売経費を絞り込むことで、同業他社よりも格段に高い営業利益率を確保しています。
1982年以降に開業した店舗では、移転拡張や老朽化による閉店はあっても、業績不振での閉店は皆無です。
そのオーケーが最も重視する経営指標は売上高だそうです。
トップラインを重視する企業は今や珍しいですが、採算を確保する施策を徹底していれば、トップラインの上昇に利益はおのずとついてくるという発想のようです。
創業以来の飯田氏の信念は、トップラインを上げるために1人でも多くのオーケーファンを作るということです。
そのファン作りの施策の一つが「オーケークラブ」です。
入会すると食料品について約3%相当の割引が受けられる、いわゆる友の会的組織です。
流通業の一般的な会員組織は、顧客が割引などの特典を受ける代わりに自らの情報を提供、企業側が情報を分析してマーケティングなどに生かすといったギブアンドテイクの関係が成立しています。
一方、オーケークラブは、郵便番号の登録と200円の手数料のみで入会できます。
顧客側が一方的に得をしていることになりますが、「ファンを増やすことが目的なので、損をしている認識はない」(二宮社長)そうです。
ファン作りという姿勢は資本政策にも現れています。
オーケーでは2007年~2009年にかけて、計3度、種類株式を発行しています。
応募資格をオーケークラブの会員である個人に限定し、証券会社による引受を付けず、応募はオーケーが直接、店頭で受け付けたのです。
オーケーの株主数は、普通株式で法人77に対し個人が257人で、これだけでも未上場会社としてはかなりの数ですが、これに種類株式の延べ5,647、うち個人株主の5,638が加わります。

<株主になってもらい「同じ船に乗る」>
種類株の調達総額は、3回合計で73億円強でした。
販管費35日分程度の金額でしかないので、顧客に株主にもなってもらう趣旨だったことは間違いありません。
種類株式は議決権こそついていませんが、配当順位も残余財産の分配順位も普通株式と同順位です。
直近の配当性向は18%で、「世の趨勢に合わせて、少しずつ高めている」(二宮社長)そうです。
1株当たりの発行価格は20077月発行分が2,500円、20089月発行分が3,07480銭、20099月発行分が3,53020銭です。
算定方式は直前半期の経常利益の55%を2倍し、発行済み株式総数(普通株式と種類株式の合計)から自己株式を差し引いた株数で割り、それを17倍しています。
つまり、1株当たりの税引後の経常利益の17倍です。
特別損益を考慮しないので当期純利益ではなく経常利益を使いますが、税金は考慮するので経常益の55%、それの17倍ですから、感覚的にはPER(株価収益率)が17倍ということでしょう。
株主は自由に株を売買することはできませんが、発行翌年から1月と7月の年2回、会社に取得請求できます。
この際の算定方式も発行時と同じで、直近半期の経常利益が79.8億円(単体ベース)だったので、現在の買い取り価格は、ざっと5,400円程度となります。
種類株主はオーケーの成長によって、配当だけでなく、それなりの果実を得ていることになります。
オーケーの普通株主には取引先が多く、「株主になってもらい、取引先、そしてお客様と一つ同じ船に乗る」(二宮社長)そうです。
もっとも、種類株式について議決権までは与えていないところは手堅いですね。
現時点では新たに種類株式を発行する計画はないそうです。
オーケーは株主に送付している事業報告書にも、有報と同じ文章を載せています。
有報はプロしか読まないでしょうが、事業報告書は個人株主でも普通に目を通します。
有報も事業報告書もプロが読むものという発想から脱却し、個人にもわかりやすい情報開示を心掛けています。
自社製品の優待の次の一手として、ファン株主を増やしたい上場企業にとっては大いに参考になるのではないでしょうか?

僕自身2007年から2011年まで東京に住んでいて、「オーケークラブ」に入り、隣の駅のオーケーで買い物をしていました。
動線がよく、安いんですよね。
上記種類株式は、僕が東京に住んでいた時に発行しており、おそらく何かの事情で応募しなかったのだと思いますが、募集していたのを見て、どうするか検討したような記憶があります。
大学院で有報を使った授業をしている僕としては、ものすごく親近感を覚えるとともに、とても新鮮な気分になった有報でした。

食品スーパー「オーケー」の有価証券報告書が面白すぎることについて、どう思われましたか?


上場企業は仮想通貨による資金調達に慎重な対応を!

 日本取引所グループ(JPX)の清田瞭・最高経営責任者(CEO)、先日の定例会見で、仮想通貨を発行して資金調達するICO(イニシャル・コイン・オファリング)について「海外では詐欺的なものが多いと報道されている。上場企業によるICOは慎重にすべき」との見方を示しました。
 ICOは、「トークン」と呼ばれる仮想通貨を発行すれば迅速に資金調達できるメリットがあり、世界的に利用が伸びています。
 日本の上場企業でもICOを検討する動きが出ていますが、利用者保護の観点から法規制すべきだとの声が与党議員から上がっているようです。
 また、JPXは、保有するシンガポール取引所(SGX)株式5,3051,000株について、3年程度をかけて売却すると発表しました。
 SGXの株式は東京証券取引所が2007年に約370億円で取得しましたが、保有を続ける合理性を検証した結果、協力関係維持のために必ずしも保有し続ける必要はないとの結論に達したようです。
 清田CEOは、会見で「株を売るから協力関係をやめるということではない」と述べました。
 JPX自体上場しており、国際会計基準を採用しているため、保有株の売却で発生する損益は貸借対照表の利益剰余金に振り替えられます。
 20193月期以降の連結業績への影響はありません。
 個人的には、清田CEOの発言に同意します。
 株主が、仮想通貨で予期せぬ不利益を被らないようにしてほしいですね。
 上場企業は仮想通貨による資金調達に慎重な対応をと日本取引所グループの清田CEOが発言したことについて、どう思われましたか?

仮想通貨を用いた資金調達(ICO)に監査法人も困惑!

2018年02月09日(金)

最近、世間を賑わせている『仮想通貨』ですが、『仮想通貨』を用いた資金調達『ICO』が国内外で広がっています。
ただし、その会計処理についての明確な指針がまだありません。
週刊東洋経済によると、1月15日に東京証券取引所に提出されたある開示資料が市場関係者をざわつかせているようです。
決済代行サービスなどを手掛けるIT企業であるメタップス(東証マザーズ上場)が提出した、韓国子会社のICO(イニシャル・コイン・オファリング=仮想通貨を用いた資金調達)をめぐる資料です。

それによれば、メタップスは、2017年9月〜11月の四半期報告書の提出期限延長を申請しています。
今回のICOの会計処理について追加的な検討を行うためです。
さらに翌日、メタップスは、資料の一部を訂正し、「監査法人との協議の結果」という文言を削除し、協議がまだ終わっていない点を強調しました。

ICOの直訳は「新規コインの売り出し」です。
新規事業を始めたい企業などが「トークン」という独自の仮想通貨を発行し、投資家に販売して資金を集めます。
トークン購入に使えるのは、ビットコインやイーサリアムといった主要な仮想通貨で、ICO実施者が指定します。

メタップス子会社の場合、同社が新たに韓国に設立する仮想通貨取引所「コインルーム」の拡大に向けICOを実施し、2017年10月までにイーサリアムで約11億円(1月25日の時価で約39億円)を調達しました。

ICOは「資金調達」の一種といわれますが、IPO(株式新規公開)などとは手法や特徴が異なります。
ICOの場合、トークンは仮想通貨取引所で売買できるため、投資先のサービスが発展すれば売却して利益を得られる可能性もあります。

上場企業傘下のICOはメタップスが世界初です。
会計上の扱いについては、メタップスが採用する国際会計基準はもちろん、日本基準にも明確な指針がありません。

メタップスは「受領した対価(仮想通貨)は将来的に収益として認識する」方針です。
ICO直後は暫定的に流動負債の「預かり金」として計上しましたが、2017年11月のコインルーム設立と同時にホワイトペーパー(資金使途などを示す文書)の定める利用者への返還義務がなくなったとして、将来の収益認識を前提とする「前受金」へと計上し直しました。

しかしながら、この返還義務の有無には議論の余地が残ります。
韓国では今、仮想通貨の取引禁止を含む規制の議論が過熱しています。
コインルームの発展性や継続性に不安が増す中で返還義務が消滅したと言い切るのは容易ではないでしょう。

そもそも仮想通貨は現金と同様に扱えるのかという論点もあります。
2017年12月には、韓国でハッキングによる仮想通貨喪失が発生し、メタップスの監査法人は、専門家による情報セキュリティに関する追加検討や、メタップスが保有する仮想通貨残高を適時に確認する手続きの検証が必要だと会社側に説明しているようです。

ICOの波は、各国の上場企業に広がる可能性もあります。
メタップスのケースはICOの会計処理の“前例”となります。
四半期報告書の提出期限は2月15日で、その内容に注目が集まっています。

監査法人は、PwCあらた有限責任監査法人ですが、担当者は大変でしょうね。
今後も、仮想通貨がらみの取引はどんどん出てくると思いますが、頭を悩ましそうですね。

仮想通貨を用いた資金調達(ICO)に監査法人も困惑していることについて、どう思われましたか?

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非課税建物に最長55年課税していたことが漁協からの指摘で発覚し過去20年分を還付へ!

南日本新聞によると、鹿児島県肝付町は、先日、鹿児島県肝付町の高山漁協が所有する倉庫について、非課税資産にも関わらず固定資産税を誤徴収していたことを明らかにしました。

高山漁協には還付加算金を含め、20年分の1,311万円を還付します。

先日開会した9月議会で、還付金を計上した2025年度一般会計補正予算が可決されました。

肝付町税務課によると、該当する倉庫は3棟あり、それぞれ1970年、1986、1987年に建てられました。

地方税法上の非課税資産にあたりますが、当初から課税していたとみられます。

高山漁協から指摘があり発覚しました。

地方税法や肝付町の要綱に基づき、最大20年分をさかのぼって還付します。

高山漁協にはすでに謝罪しました。

肝付町税務課は「同様の案件がないように課税台帳との照合を厳密にした上で、適正な課税に努める」とコメントしました。

高山漁協はどうやって気付いたのか知りたいですね。

あと、いつも思いますが、この手の案件があったときに、時効を主張して全額を還付しませんが、間違えているのは明らかに市町村なのですから、全額還付した方がいいではないかと思います。

非課税建物に最長55年課税していたことが漁協からの指摘で発覚し過去20年分を還付することになったことについて、あなたはどう思われましたか?


神戸市へ有識者がタワマン適正管理へ「空室税」の検討を提案!

日本経済新聞によると、神戸市は、タワーマンションの空室所有者に新税を課す検討を始めるようです。

神戸市の有識者会議が、先日、空室が増えると適切な修繕がなされない恐れがあるとして、自治体が独自に課税する法定外税の創設を提案しました。

久元喜造市長は「事業者や市民の議論も注視し、検討を進めたい」と述べました。

有識者会議は神戸市長に提出した報告書で、タワマンに空室が増えると修繕や解体の際の合意形成が困難になり、修繕積立金の引き上げもできない恐れがあると指摘しました。

貴重な住宅ストックが活用されない可能性にも触れ、まずは都心のタワマンに限定して法定外税で負担を求めるのが適当としました。

税収の使途には、マンション管理の専門家派遣や防災・防犯の整備費用などを挙げました。

適正に管理されるマンションを増やすため、管理状況の届け出の義務化も提案しました。

神戸市は2021年に管理組合に届け出を任意で求める制度を設けましたが、実際の届け出は全体の2割にとどまっています。

災害対策として非常用電源や備蓄に対する補助金の創設を求めたほか、将来的な課題として、大規模マンションを新設する建築主への法定外税の創設やマンション建設の規制内容の見直しを検討するよう明記しました。

新税の導入には、神戸市議会での条例制定や国からの同意が必要となります。

神戸市は2020年にタワマンの林立を防ぐ条例を施行しました。

JR三ノ宮駅周辺で住宅の新築を禁じ、周辺の都心エリアでは1,000平方メートル以上の敷地の住宅容積率の上限を400%に制限しました。

郊外の駅周辺を再整備して、住宅地としての魅力向上に力を入れています。

久元市町はかねて「資産価値の劣化が起きればタワマンの中で空き家が増えて廃虚化する可能性が極めて高いのではないか」と指摘しています。

神戸市は人口が減少しており、タワマン建設抑制策で人口減がさらに進むとの見方もあります。

久元市町は「目の前の人口増をめざすのではなく、長い目でみて持続可能な都市として発展していきたい」と述べました。

タワーマンションは、相続税対策や投資目的で買っている人が多く人が住んでいない(ゴースト化している)とか外国人が買いあさっているとかいう話しを聞きますが、この提案は、それらを考えると、良い提案のように思いますね。

個人的には、神戸市はスゴく好きな場所なので、人口が減少しているのはとても残念ですが、我が関西学院大学の『王子キャンパス』や『空室税』で良い方向に向かうといいですね。

神戸市へ有識者がタワマン適正管理へ「空室税」の検討を提案したことについて、あなたはどう思われましたか?


修正申告を放置して確定申告情報の未処理が197件の町役場職員を懲戒処分!

京都新聞によると、滋賀県愛荘町は、先日、確定申告情報の必要な事務処理を怠ったとして、税務課だった40代男性職員を減給10分の1(1か月)の懲戒処分にしたと発表しました。

管理監督が不十分だったとして税務課で上司だった50代男性職員を、戒告としました。

愛荘町によると、40代職員は2022年度の個人町県民税で確定申告期間以外に行われた修正申告などの情報を放置し、入力事務を怠ったようです。

未処理は増額と減額で計197件に上り、課税遅れの影響が出ました。

愛荘町は「法令順守を徹底し、再発防止と信頼回復に取り組む」としています。

業務の進捗状況などを把握していないんですね。

それにしても、減給10分の1(1か月)の懲戒処分って軽すぎるように思いますね。

仕事をしていないわけですから。

人手不足で忙しすぎるのかもしれませんが、それならそれで上司に相談すれば良いのになぁと思いました。

どうやって、法令遵守をしていくのか、具体的に知りたいですね。

修正申告を放置して確定申告情報の未処理が197件の町役場職員を懲戒処分としたことについて、あなたはどう思われましたか?


市道として売却したのに市が所有権移転せず男性に45年課税し訴え無視し差し押さえも!

読売新聞によると、約45年前、当時の愛媛県川之江市(現愛媛県四国中央市)の道路拡幅工事で、市道に取り込まれた民有地の一部の手続きに不備があり、四国中央市の男性(74)に固定資産税が課せられ続けていることが分かったようです。

2024年6月、男性の自宅倉庫から当時の関係書類が見つかり、市は固定資産税の非課税範囲を示した地方税法に抵触している恐れもあるとみて、調査を始めました。

問題が発覚したのは、市道東金川1号線(総延長991メートル)のうち、東金川橋付近から南へ延びる約160メートルの部分です。

男性によると、男性の父親が1979年11月、山林の一部だった15.57平方メートルについて、当時の石津栄一川之江市長と土地売買契約を交わしました。

道路の山側部分の工事は、のり面をコンクリート擁壁にすることになり、工事完了後に市が用地面積を測量して価格を算出し、売買契約を確定させる約束だったそうです。

工事は1982年度に完了しました。

しかし、川之江市は土地所有権移転手続きを行わず、「今は予算がないので次年度で実施する」と用地測量や移転登記を延期していました。

男性は1987年12月、父親の死去に伴い土地所有者となりました。

川之江市建設課や税務課に「市道となった部分はもう民有地ではないから、工事前の面積で課税し続けるのはおかしい」と訴えました。

ところが、歴代の担当者は「今は測量調査の予算がない。来年度行う」「旧市時代の話で資料は残っておらず、工事が本当に行われたかどうかも疑問」と繰り返し、測量や課税額の修正に応じなかったそうです。

男性は2005年頃から固定資産税の支払いを拒否しました。

愛媛県内20市町でつくる「愛媛地方税滞納整理機構」からの納税催告にも応じなかったため、2008年10月には自家用車と電子オルガンを差し押さえられました。

2024年4月には納税催告書が届き、2019年度から5年間分として、延滞金を含めて計135万800円を請求すると記されていました。

男性が支払いを拒むと、2024年5月に普通預金口座の現金32円が差し押さえられました。

そんな中、男性が2024年6月に自宅倉庫を整理していたところ、当時の工事図面や工事請負契約書などが見つかったのです。

関係書類を見た四国中央市建設部の石田暁裕部長らは「男性の言い分は事実だった」と初めて認めました。

男性は「そもそも現地調査と公図との照合で簡単に判明すること。固定資産税額を修正したくないから、資料がないことを理由に動かなかったとしか思えない」と憤っているようです。

読売新聞の取材に対し、石田部長は「市道として取り込んだ民有地に課税するなど、本来あり得ない。男性には長年にわたり、大変なご迷惑と心労をおかけした」と謝罪しました。

「早急に測量を実施し、固定資産税額の修正を検討する。同時に、過去の担当者や市職員OBから放置した経緯を聞き取り、再発防止に努める」としています。

本当にひどい話しですね。

精神的苦痛・手間・時間・資金など、かなりの負担があったと思いますので、ご本人にきちんと賠償などするのは当たり前だと思いますが、過去の担当者(退職者も含む。)もきっちりと処分して欲しいですね。

市道として売却したのに市が所有権移転せず男性に45年課税し訴え無視し差し押さえもしていたことについて、あなたはどう思われましたか?


2024年度から1人年額1,000円を徴収する森林環境税がスタート!

日税ジャーナルによると、2024年度から1人年額1,000円が徴収される「森林環境税」がスタートしました。

森林環境税は、2018年5月に成立した森林経営管理法を踏まえ、パリ協定の枠組みの下における日本の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、2019年3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、「森林環境税」と「森林環境譲与税」が創設されたのです。

森林環境税は、2024年度から、個人住民税均等割の枠組みを用いて、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収するものです。

森林環境税は、国を通じて森林環境譲与税として全国すべての市町村と都道府県に配分され、森林整備やその促進のための取組みに活用されます。

なお、森林環境譲与税は、市町村による森林整備の財源として、2019年度から先行する形で国庫から交付金として配分が始まっており、市町村と都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数および人口による客観的な基準で按分して譲与されています。

森林環境譲与税の使途としては、市町村においては間伐などの「森林の整備に関する施策」と人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発などの「森林の整備の促進に関する施策」に充てられ、都道府県においては「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てることとされています。

なお、障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下の人や生活保護法による生活扶助を受けている人など、非課税基準に該当する人は森林環境税が非課税となります。

よく分からない税金が取られますね。

きちんと説明をして、趣旨などが浸透してから徴収するようにして欲しいですね。

あと、使途が決まっているわけですから、何に使ったかをきちんと説明しないと住民の納得を得られないでしょうね。

2024年度から1人年額1,000円を徴収する森林環境税がスタートしたことについて、あなたはどう思われましたか?


保育料・国保・ふるさと納税のために「今すぐ住民税額を知りたい」を可能にするサービスが便利!

INTERNET Watchによると、3歳未満の保育料、国民健康保険など、住民税によって支払額が決まるものは多数あります。

サラリーマンは6月の給与明細と一緒に受け取る「住民税の決定通知書」、個人事業主は5月末ごろに郵送される「住民税 課税明細書」に詳細が記載されていますが、SNSを見ると「保育料がいくらになるか、住民税を早く知りたい」「ふるさと納税の結果を確認したい」など、住民税の明細を早く知りたい人がいるようです。

これから紹介する、各自治体が提供している「住民税額シミュレーション」を利用すれば、ご自身の源泉徴収票や確定申告書の内容をもとに、すぐに住民税を試算することができるのです。

長野県塩尻市の「住民税や所得が影響する制度等の一覧」というサイトを見ると、国民健康保険、医療費の自己負担限度額、保育料、市営住宅等の入居、結婚新生活支援事業など、自治体窓口のものが55項目、長野県・国関係のものを含めると70項目ほど住民税や所得が影響する制度が掲載されています。

中には介護用品券の支給、高齢者世帯タクシー利用料金助成事業など自治体独自のものと思われる項目もあり、自治体により差はあるが、住民税の影響を受ける制度は多数あるようです。

試しに同じ年収で、この記事の筆者が住民票を置く名古屋市、オフィスのある川崎市に札幌市を加えて、住民税と保育料を比較してみたようです。

まずは住民税ですが、条件は年収500万円、社会保険料60万円、配偶者控除、3歳未満1人、新生命保険10万円。

住民税は多くの自治体で大きな差はないですが、標準税率の札幌市、県民税が高い川崎市、市民税が安い名古屋市の比較なので、課税所得は同じ217万2,000円ですが、市民税・県民税に若干の差があるようです。

3歳未満の保育料は3都市とも市民税の所得割で決まります。

札幌市・川崎市の市民税所得割17万1,700円、名古屋市の市民税所得割16万5,200円の保育標準時間の保育料は以下のとおりです(※令和6年の保育料が公表前なので、住民税、保育料とも令和5年で計算)。
札幌市 :45,870円
川崎市 :41,200円
名古屋市:34,900円

この事例では名古屋市と札幌市で1万円以上の差となっています。

住民税の年額の差に比べ、月額1万円の差は大きいでしょう。

ただし、保育料の体系が札幌市は10段階、川崎市は25段階、名古屋市は16段階となっていて、課税所得によって順位は異なります。

住民税の計算はそこそこ面倒くさいです。

上記の住民税の計算は、3都市が公開している住民税額シミュレーションサイトを利用したのでサクッと算出することができたようです。

この記事の筆者が確認できた住民税額シミュレーションサイトは190の自治体が公開しているようです。

昨年調べたときは180自治体だったので、1年で10自治体増えています。

全国の自治体は、総務省のサイトによると1,718で、特別区(=東京23区)を加えると1,

741となります。

今回、数百の自治体のサイトを力技で調べ、この記事の筆者が確認できた住民税額シミュレーションを導入済みの自治体は190で、導入率は1,741分の190=10.9%となりました。

ぶっちゃけ自分の住む自治体に「住民税額シミュレーション」がない人の方が多いです。

特に青森県、秋田県、山梨県、徳島県、愛媛県、高知県、宮崎県、鹿児島県の8県は、県内に導入自治体が1つもありませんので、どうしますか?

実は、住民税の地域差はそれほど多くはないです。

一部を除き、都道府県内はどの市町村でも住民税は同じです。

例えば北海道で住民税額シミュレーションを導入しているのは札幌市のみですが、道内で住民税を納めている人は函館市でも夕張市でも美瑛町でも住民税に差はありません。

札幌市以外の道内178自治体に住む人は札幌市のシミュレーションサイトを利用させていただきましょう。

さらに言うと、全国47都道府県のうち、北海道、青森県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、福井県、徳島県、香川県、沖縄県の10道府県は独自の増税を行っていないので、この10道府県にお住まいの人は札幌市でも千葉市でも東京都千代田区でも那覇市でも税額試算の結果は同じとなります。

県内に導入自治体のない青森県と徳島県の人は、税額が同じ10道府県に含まれるので、その中の導入自治体のサイトを利用させていただきましょう。

秋田県は「秋田県水と緑の森づくり税」として800円を県独自に増税しています。

秋田県と同額の県民税に800円の増税をしているのは滋賀県と兵庫県です。

秋田県の人は滋賀県、兵庫県のサイトで住民税の試算は可能です。

ただし、兵庫県の神戸市と豊岡市は市独自の増税を行っていますので、試算結果は両市の市民以外の人には当てはまりません。

愛媛県は森林環境税として700円を県独自に増税しています。

愛媛県と同額の県民税に700円を増税しているのは栃木県と群馬県です。

愛媛県の人は栃木県、群馬県のサイトの試算結果が参考になるはずです。

山梨県、高知県、宮崎県、鹿児島県の4県は500円を県独自に増税しています。

同額の県民税に500円を増税している県は16県と多いです。

富山県、石川県、長野県、愛知県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県の16県のうち、愛知県の名古屋市は市独自の減税を行っているので利用不可ですが、それ以外の自治体のシミュレーションサイトが利用できます。

念のためにお伝えすると、横浜市、名古屋市、兵庫県の神戸市と豊岡市は同じ県内であっても、市独自の増税・減税を行っていますので、他の自治体に住む人は試算結果が参考になりません。

また、神奈川県は全国で唯一、住民税の税率が他の46都道府県より0.025%高くなっています。

さらに横浜市は「横浜みどり税」として900円を市独自に増税しています。

自分が住む自治体に住民税額シミュレーションがない神奈川県民は、横浜市以外のサイトを利用させていただきましょう。

確認できた190自治体の住民税額シミュレーションサービスを提供しているのは4社です。

サンネット株式会社が92自治体、株式会社インテックが83自治体、株式会社茨城計算センターが10自治体、キステム株式会社が5自治体にサービス提供を行っています。

未導入の自治体の関係者は参考にしていただきたいですね。

僕自身は税理士として住民税の計算をすることがないので、非常に参考になる記事でした。

神奈川県だけ住民税の税率が他の46都道府県より0.025%高くなっているというのも初めて知りました。

住民の方はご存じなんでしょうか?

愛媛県は法人も住民税が香川県より高いので独自の税金を取っているのは知っていましたが、住民税も結構複雑ですね。

保育料・国保・ふるさと納税のために「今すぐ住民税額を知りたい」を可能にするサービスが便利ということについて、あなたはどう思われましたか?


85市町村の地価がバブル期を超える!

日本経済新聞によると、地価の回復が地方に広がっています。

国土交通省が2023年9月に公表した2023年の基準地価を市区町村別にみると、沖縄県などの85市町村で過去最高だったバブル期の1990年を上回りました。

新規の工場立地などに加え、子育て環境の整備などで住みやすさを実現した自治体が目立っており、まちづくりの〝通信簿〟にもなっているようです。

2023年の基準地価は、全用途の全国平均が前年比1.0%上昇と2年連続で上がりました。

投資資金の流入や再開発で三大都市圏が2.7%上がり、地方圏も0.3%上昇しました。

バブル期の地価上昇が三大都市圏に比べて緩やかだった影響もあり、1990年を上回った85市町村は大半が地方圏でした。

都道府県別で唯一バブル期を超えた沖縄県は、過半の24市町村が上回りました。

2003年に那覇市内でモノレールが開通し、訪日客が増えて観光関連産業の投資も拡大しています。

バブル期の5倍近くと全国で最も上がった沖縄県南部の八重瀬町は2006年の町村合併で誕生しました。

2000年代後半に国道が延伸され、那覇市までのアクセスが30分足らずと半減しました。

サトウキビ畑が広がっていた八重瀬町屋宜原地区には住宅が増え、人口は約2,000人と7倍になりました。

国道沿いには大型スーパーや飲食店が立ち並んでいます。

不動産鑑定士の仲本徹氏は「那覇市の不動産に手が届かなかった層が流れてきた」と説明しています。

若い世代が増え、合計特殊出生率も2.15と全国16位の高水準となっています。

八重瀬町は、2023年中に学童保育施設を2か所増設します。

地元住民は「歩道が広く、登下校時の事故の心配も少ない」と話しています。

バブル超えの市町村の多くが子育て支援や移住促進、工場誘致などで新たな土地需要を生んでいるようです。

地価がほぼ2倍になった宮城県利府町も、運動着の無料支給や、ベビー用品の無料レンタルなどが好評です。

利府町には仙台市とつながる駅や高速道路のインターチェンジがあります。

通勤・通学圏の仙台市内での不動産価格上昇もあり、「戸建て住宅を望む子連れ夫婦の転入が目立つ」(地元不動産会社)ようです。

インターチェンジ付近には物流施設も増えました。

利府町は土地整備事業を進めて、さらなる宅地需要に備えます。

熊谷大町長は「仙台市と日本三景の松島の中間にあるため通過される町だったが、選ばれる町に変貌した」と胸を張っています。

日本一面積が小さい富山県舟橋村も地価が41%上がりました。

2020年時点の人口は3,132人と1990年比で2.3倍に増加し、「奇跡の村」とも呼ばれるようになりました。

きっかけは、規制が厳しい市街化調整区域の指定が1988年に解除されて宅地開発が進んだことです。

以前から子育て支援に熱心だったうえ、隣接する富山市などに比べた割安感もあって、若い家族層が移り住むようになったのです。

舟橋村はさらなる移住促進に向けて、2019年から村営賃貸住宅を提供しており、将来の定住につなげるようです。

一方、2013年に始まった日銀の金融緩和を柱とした「アベノミクス」のもと、この10年間の全国の地価は平均45%上がり、市町村別でも4分の1の自治体が上昇しました。

特に中心都市である都道府県庁所在地の上昇率は平均65%に達しました。

再開発などが相次ぐ大阪や札幌、福岡、名古屋の4市は2倍以上となりました。

人口問題などに詳しい東北大学の吉田浩教授は「投資対象となる都市部とは異なり、地方圏の地価はそこに住みたいという人がいなければ上がらない」と強調しています。

「今後も育児環境や教育、空き家対策など総合的な住みやすさが地価に反映される流れが続くだろう」としています。

以前から、住みよい街に人が集まるようになり、そのために市町村も競い合うようになればいいなぁと思っています。

今、地価が上がっているところは、そういうところなんでしょうね。

世の中には色々なニーズがある方がいらっしゃるでしょうから、自治体の職員の方々には知恵を絞っていただいて、ふるさと納税の返礼品ではなく、サービスなどで競ってほしいですね。

競い合うと、当然、破綻するところも出てくることになるかと思いますが、自治体の職員の方々も、公務員は将来安泰と思わず、危機感を持って仕事に取り組んでいただきたいですね。

85市町村の地価がバブル期を超えたことについて、あなたはどう思われましたか?


岩手県北上市が国の基準を無視した固定資産税の算出ミスで還付総額8億円に!

朝日新聞によると、岩手県北上市が木造家屋の固定資産税を課税する際、独自のルールを適用し続け、補てんしたり追徴したりする必要が出た問題で、誤った課税は1994年度~2011年度の18年間に計1万7,553人に対して行われ、利息を含めた還付される総額は約8億1,400万円に上ることがわかったようです。
北上市が、先日の市議会全員協議会で明らかにしました。

木造家屋の固定資産税の課税は総務省が全国一律の基準を設けています。
自治体は資材や設備を調査して4つの区分に分け、経年で補正することになっています。

ところが、北上市は1991年の市町村合併前から基準を無視し、自動的に特定の区分にして課税額を算出していました。
その結果、課税額に誤りが生じていたのです。

北上市によると、還付の対象は個人1万6,987人、法人566です。
還付額は計約4億341万円で、利息相当額は計約4億1,081万円に上ります。
還付される最高額は612万700円で、平均は4万6,387円でした。

北上市は11月に市議会に提出する補正予算案に計上する予定です。
対象者には12月から通知を始め、2024年1月以降に支払いを行います。

八重樫浩文市長は「多大なるご迷惑をお掛けし、おわび申し上げたいと思います。もっと早くできなかったのかということは確かにあるが、限られた職員でギリギリの態勢で取り組んできた。幹部も含めた職員の意識をしっかりしたい」と述べました。

この問題への北上市の対応は時間がかかりました。
担当職員が不自然さに気づいても問題意識は共有されず、2016年には内部告発した北上市職員に対し幹部が「あなたがやってきたことでしょう」などと公益通報の取り下げを求めました。
北上市議会で何度も指摘されても、北上市は「裁量の範囲内」と突っぱね続けたのです。

しかし、北上市議会での追及が続き、北上市民からの問い合わせも増え、北上市は2021年12月に「考えを改めた」と表明し、差額を算定する精算を進めていました。

一連の問題を追及してきた高橋孝二市議は「職員の内部通報を隠ぺいしたうえ、これほど多額の誤りを生じさせた責任は重大。市民の信頼を回復するため、具体的な再発防止策を明示するべきだ」と訴えています。

一方、北上市はこの日、2021、2022年の保育料の算定でも誤りがあったと明らかにしました。
市民税のデータがシステムと正しく連携していなかったとして、園児17人に計約51万円を還付し、3人から計約23万円を追加徴収するそうです。

なぜ頑なに突っぱね続けたのでしょうか?
総務省が基準を設けているわけですから、基準を確認すれば分かると思いますし、おそらく前例を踏襲する方が多い市役所の仕事の中で、過去に気付いたり、内部告発をした方もおられるわけですから。
還付額より利息相当額の方が上回るということはかなり罪深いと思いますし、過去に関わった人たちで支払えということにもなりかねないのではないかと思います。
固定資産税は昔からミスが多いと言われますが、、市町村もきちんとルールを確認しなおすべきだと思いますし、現地調査もきちんと行うべきだと思いますし、ルールも分かりやすいものに見直す時期にきているのではないかと思いました。

岩手県北上市が国の基準を無視した固定資産税の算出ミスで還付総額8億円になっていることについて、あなたはどう思われましたか?


徳島県徳島市が確定申告書の課税処理間に合わず!

四国放送によると、徳島県徳島市は、2022年分の確定申告書約6,400件の処理が間に合わず、市民税や県民税の課税処理が遅れていると発表しました。

徳島県徳島市によると、遅れているのは3月15日の期限までに確定申告をした市民のうち、約6,400人分の市民税や県民税の課税処理です。

この影響で、税が給与から天引きされる「特別徴収」の人には、申告内容が反映されていない税額の通知書が5月に既に送付済みとなっています。

また、納付書で納付する「普通徴収」の人には、6月に発送される通知書や納付書の発送が遅れています。

徳島県徳島市では、2023年1月に税額を算出する新たなシステムを導入し、処理を進めていたところ、手作業になる操作が多く必要になってしまったことが処理が遅れた原因としています。

徳島県徳島市は、確定申告の内容を正しく反映させる処理を可能な限り早く進めるとしています。

事前に分からないものなんですかね?
どこのベンダーなのでしょうか?
ご本人、会社の経理の方などに迷惑がかかると思いますので、きちんと対応して欲しいですね。
マイナンバーの問題にしろ、ベンダーに原因があるのかもしれませんが、発注側にシステムのことが分かる人が少ないのかもしれませんね。
国として、システムエンジニアの方を育てていかないと、将来的に国際的競争に負けてしまうように思いますね。

徳島県徳島市が確定申告書の課税処理間に合わないことについて、あなたはどう思われましたか?


固定資産税の軽減措置は2022年度で終了へ!

共同通信によると、政府、与党は固定資産税の軽減措置を2022年度で終了する方針を固めたようです。

新型コロナウイルスによる景気悪化を受け、地価が上昇しても2021年度は2020年度の額に据え置き、2022年度は商業地に限り税額の上昇を本来の半分にしていました。

2023年度は通常に戻し、地方税収を回復させると、関係者が取材に明らかにしたようです。

軽減措置は当初、2021年度で終了する予定でした。

しかしながら、国土交通省や公明党などがコロナ禍で苦しむ事業者に配慮すべきだとして、延長を要望しました。

与党税調幹部は「再度の延長はさすがにない。地方税収に配慮する必要がある」と説明しています。

とうとう軽減措置はなくなるんですね。
個人的は、計算方法がよく分かりませんし、計算を間違っていた(けれど、時効で一部しか返してくれない)というニュースを時々目にしますし、償却資産税も計算方法に疑問を感じますので、そろそろ計算方法を見直す時期に来ているのではないかと思っています。

固定資産税の軽減措置は2022年度で終了することについて、どう思われましたか?


総務省の地方財政審議会は「資本金以外の基準を」という外形課税見直しを提言!

日本経済新聞によると、総務省の地方財政審議会は、先日、2023年度税制改正に向けた意見書で、企業が資本金の規模などに応じ納める外形標準課税の見直しを提言しました。
形式的な減資のような課税逃れとみられる動きが広がっており、資本金以外の基準の追加を求めました。

地方財政審議会は2023年度地方税制改正に関する意見書をまとめ、同日、寺田稔総務相に提出しました。
「実質的に大規模といえる法人が外形標準課税の対象法人に含まれない問題に対応する仕組みを検討することが適当」と言及しています。
制度設計の議論は2023年度以降に進める方針です。

制度設計で中小企業の負担に配慮する必要性にも触れ「小規模な企業への影響に配慮するとともに、必要以上に多くの法人に制度見直しの影響が及ばないよう」資本金1億円超の基準は維持します。

追加の基準は「法人による操作可能性が小さい基準とすること、課税実務上の確認が容易で法人・課税庁にとって執行面で過度な負担とならない基準とすることなどが必要」と明記しました。

外形標準課税は地方税の法人事業税の課税方式の一つで、2004年度に導入されました。
税収の安定を目的に変動の少ない資本金の額を制度の基準として課税しています。

企業規模が大きくても経営悪化を理由に1億円以下に減資する例が相次いでいます。
対象法人数が減り、税額も減少傾向にあります。
公平性や税収の安定性が損なわれることを懸念し、地財審の有識者会議が基準の見直しを検討していました。

個人的には、会社の規模を資本金で判断するのも時代的にどうかと思っていますが、コロナ禍などにより、業績が悪くなっているので、外形標準課税の負担感が重く感じるのだろうと思われます。
当初から、黒字でも赤字でも課税するということだとは思いますが、こういった状況は想定していなかったものと思われます。
おそらく利益が出だすと、外形標準課税の方が有利に働くのではないかと思いますので、異常な状況下においては、一定の要件を満たせば計算方法とか税率を変えるみたいにする方が現実的な対応としては良いのではないかと思います。
資本金以外のものも基準とするとしても、当然、それを避けようと色々と考えるでしょうから。

総務省の地方財政審議会は「資本金以外の基準を」という外形課税見直しを提言したことについて、どう思われましたか?


外形課税逃れ影響か資本金1億円超の企業はピークから1万社減!

東京新聞によると、資本金が1億円を超え、都道府県が課す外形標準課税の対象となった企業は2020年度に約2万社で、ピークの2006年度から約1万社減少したことが、先日分かったようです。

集計した総務省は、相当数の企業が課税を逃れる目的で1億円以下に減資した可能性があるとみています。

2020年度の税収は2017年度比で、1,500億円程度減少しています。

地方財政に打撃を与えており、詳しく分析したうえで、対策を検討する構えのようです。

ただし、対策を実施する場合でも、1億円超の基準を引き下げ、中小企業へ網を広げることは想定していないようです。

都道府県の一部は、「資本金以外の指標も使い、規模の大きな企業に幅広く課税すべきだ」と提案しています。

利益が出ていれば、それほど負担感はないと思いますが、コロナ禍で業績が悪化し、赤字になったりすると、赤字であっても多額の税額が発生する外形標準課税を避けようと思うのは、営利企業の経営者として当然かなぁと、個人的には思っています。
減資をして、外形標準課税の対象外とすることは禁止されているわけではないので、とやかく言われる問題ではないと思います。
それよりは、資本金1円でも会社を設立できる時代であり、会計上、差額の概念に過ぎない純資産の一項目である『資本金』にあまり意味はない(資金的裏付けや規模を表すものではない)と思っていますので、法人住民税のうち均等割りもそうなのですが、資本金や資本金等で税額が変わってくるというのもおかしいと思われるため、そこから改正しないといけないのではないかと思っています。
人数とか売上高とか面積とか、色々と基準は設けられるのではないかと思います。
たとえ、資本金以外で設けたとしても、該当するのを避けるという行為は避けられないのではないかとも思いますが。

外形課税逃れ影響か資本金1億円超の企業はピークから1万社減となっていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税で旅先で寄付し電子ギフトで即返礼!

日経MJによると、岡山県などの返礼品として受け取った電子ギフトを旅先の宿泊施設や飲食店などで利用できるふるさと納税の新しい形として「旅先納税」が一部地域で人気だそうです。
特産品を返礼品として受け取るこれまでのふるさと納税と異なり、出かけた先の宿や店ですぐに使える電子ギフトが返礼品なのです。
旅先に寄付し、旅をお得に楽しめます。
2022年10月11日から政府の全国旅行支援が一部で始まりましたが、応援的な消費への関心も相まって、各地に広まりそうです。

首都圏に住む50代男性は山梨県笛吹市のワイナリー巡りツアーに参加した際、旅先納税の存在を初めて知ったそうです。
「おもしろそう」。興味本位で1万円を寄付するとすぐに返礼品として3千円分の電子ギフトを受け取りました。
早速立ち寄った店で、ワインとクラフトジンを地元の店で購入しました。

返礼品を目的に幾つかの自治体に寄付をしてきたという男性は、返礼品が届くまでに1か月、場合によっては3か月かかるのが気になっていたそうです。
「通常のネット通販ではないのでそんなに早く到着しないと頭ではわかっているけれど…。旅先納税は、旅先で欲しいモノを選んだらその場で受け取れて新鮮だった。」

電子商品券の画面を見せ、スタンプを押してもらうと決済が完了します。
旅先納税が登場したのは2019年秋に、岡山県瀬戸内市で始まりました。
その後コロナが起きたためごく一部の地域だけに限られ、全国的にはほとんど知られずに3年間がたってしまいました。
旅行者の間で口コミで話題に上るようになったのは、最近になってからです。
ほかにも北海道伊達市や倶知安町などが採用し、年内にも20以上の自治体に広まる予定です。

寄付をしたらすぐに返礼品を受け取れます。
そのスピードを支えるのがテクノロジーです。
店や施設に表示されているQRコードをスマホで読み込み、会員登録します。
寄付額を選びクレジットカード払いで納税します。
使う際には電子ギフトの画面を見せ、スタンプを押してもらう仕組みです。

これすら面倒と感じる人も中にはいるかと思いますが、利用者の視点で使いやすさを追求したデザインになっています。
システムを手掛けるのはギフティです。
SNSでプレゼントするソーシャルギフトのパイオニアです。
その知見と技術が地域と人のつながり創出に生かされています。

総務省によると、2021年度のふるさと納税の総額は8,302億円と過去最高を更新しました。
めざましい伸びを見せる一方、納税額の多い自治体の顔ぶれをみると、相変わらず、人気の名産品を持っている市や町に偏っています。
旅先納税は、強い1次産品を持っていない地域にもチャンスとなりえます。瀬戸内市では「返礼品を希望される寄付者は関東圏内の方が5割だが、旅先納税は(マイクロツーリズムの広がりで)近隣の自治体に住んでいる方の利用が8割を占める」そうです。

飲食店や産地など応援を目的とした購買行動がコロナを機に定着しました。
旅は人とのつながりを強く感じます。
最初の動機は「お得に旅を楽しむ」でも、お世話になった地域を応援したい気持ちが芽生えてくるかもしれません。
ふるさと納税を一度も利用したことがない人は多く、それだけ可能性は大きいでしょう。

すごく良い取り組みですね。
ショッピングカタログで欲しいものを選ぶという感じになっているふるさと納税とは一線を画し、そこを訪れた方が、寄付をして、返礼品で買い物をしてくれれば、その地域の経済の活性化にもつながるでしょうし、自治体も寄付金で自治体の役に立つようなことにお金が使え、自治体の活性化などにつなげることもでき、通常のふるさと納税もやっているのであれば、訪問後そちらをやってくれる方もいらっしゃるでしょうし、ふるさと納税をしたことがない方が、これを機に他の自治体を含めふるさと納税をするようになれば、自治体にとっても良いでしょうから。

ふるさと納税で旅先で寄付し電子ギフトで即返礼というところがあることについて、どう思われましたか?


固定資産税の評価基準の解釈適用の誤りを指摘し原審に差戻し!

TabisLandによると、2022年9月8日、固定資産課税台帳に登録された土地の価格を巡って審査の申出を棄却する旨の審査決定をした固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反があったか否かの判断が争われた事件で、最高裁判所(山口厚裁判長)は、登録価格の決定に違法はないとした上で損害賠償請求を棄却した原審(大阪高裁2021年6月11日判決)の判決のうち、損害賠償請求に関する判決の内容を破棄するとともに、損害賠償請求に関する部分についての審理を更に尽くすよう控訴審に差戻しを命じる判決を言い渡しました。

この事件は、ゴルフ場の用に供されている一団の土地に係る固定資産税の納税義務者が、土地課税台帳に登録された各土地の価格を不服として自治体の固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の審査決定を受けたことから、価格の適否に関する決定の判断に誤りがあるなどと主張して、自治体を相手に、納税義務者側が適正な時価と主張する価格を超える部分の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき弁護士費用相当額等の損害賠償を求めたのが発端となりました。

これに対して、控訴審の大阪高裁が、登録価格の決定に違法はない旨の結論を示すとともに、固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反があったと認めることもできないと判示して請求を斥けたことから、さらに、その取消しを求めて納税義務者側が上告していたという事案です。

最高裁はまず、この原審の判断を是認できないと判示しました。
その理由として、各土地につき必要な土工事の程度を考慮することなく、丘陵コースの平均的造成費の額を用いて造成費を評定し得るとの見解に立脚した点において、評価基準の解釈適用を誤ったものということができると指摘した上で、そうした見解に立脚して評価基準の解釈適用を誤ったことについて、固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反が認められないとした控訴審の判断には、国家賠償法1条1項の解釈適用を誤った違法があるとも指摘しました。

その結果、控訴審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることから、原審判決のうち、損害賠償請求に関する部分は破棄を免れないと判示した上で、さらに審理を尽くさせるため、控訴審に差し戻しました。

固定資産税の評価は、結構間違っていると言われますが、今回の差戻しは、納税者にとって良い方向ですね。
高裁は、『先例がない』ということで、しりぞけたようですが、お役所の方は、先例がないと仕事ができないということなのでしょうか?
今後、先例を作っていく自治体が増えることを期待したいと思います。
あとは、固定資産税の計算方法はよく分からないので、納税者側でも計算をチェックできるようなもっとシンプルなものにした方が良いのではないかと思っています。

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「LINEでふるさと納税」が開始!

Impress Watchによると、LINEは、「LINE」アプリでふるさと納税が可能になる「LINEでふるさと納税」を開始しました。
LINEがさとふると協業の基本合意書を締結し、サービスを提供します。

「LINEでふるさと納税」は、ふるさと納税の仕組みやサービスをより身近なものとして利用できるようにと考えられたサービスです。
LINEのユーザーが利用するだけでなく、各自治体も寄付金の活用報告を公式アカウント上で行なうといったことが可能です。

「LINEでふるさと納税」ではお礼品の検索やふるさと納税の寄付、寄付の履歴の確認、控除額のシミュレーションを利用可能です。
さとふるのWebサイトと連携して寄付金控除の証明書発行やワンストップ特例制度の電子申請も行うことができます。

8月末には、LINE公式アカウントのトーク機能で配送状況の通知機能や、ユーザーに応じたお礼品のおすすめサービスも開始される予定です。

さらに、今後は、オンラインとオフラインを融合し、訪問先で寄付の申し込みをすると、その場でアクティビティなどの「体験型ふるさと納税」を楽しめるサービスの機能拡張を検討中です。
地域とLINEユーザーのつながりを深めるとしています。

6月30日まではキャンペーンも実施されています。
期間中に「LINEでふるさと納税」で寄付をすると、寄付をした日や金額に応じて最大6%相当のPayPayギフトカードがもらえるという内容です。

LINEを使っている方は多いでしょうから、ふるさと納税の裾野を広げるにはいいかもしれませんね。
一方で、ふるさと納税が、寄附というよりは、ますますショッピングという感じになっていくのではないのかという懸念はありますね。

「LINEでふるさと納税」が開始になったことについて、どう思われましたか?


東京都税制調査会がユーチューバーなど念頭に「個人事業税見直し」を提言!

日本経済新聞によると、東京都税制調査会(会長・池上岳彦立教大教授)は、先日、2021年度答申をまとめました。
答申では、個人が事業で得た所得にかかる個人事業税でインターネットを使う新しい業種が考慮されていないとして、「早急に時代に即した見直しをすべきだ」と提言しました。
ユーチューバーやネットで単発の仕事を請け負うギグワーカーを念頭に置いたものです。

個人事業税は都道府県税の一つで、年間290万円を超える事業所得がある個人が納めることになっています。
税率は3~5%で、地方税法は課税対象として物品販売や畜産など70業種を定めています。

答申では「事業形態が著しく多様化しているが、2007年度以後、法定業種は見直されていない」と指摘しています。
事業税の対象と考えられるものでも「法定業種に該当せず課税されない業種がある」としました。

対象業種以外の人も所得税として事業所得に応じた納税はしていますが、所得税は国税のため自治体の収入にはなりません。
東京都税制調査会は、先日、答申を小池百合子知事に手渡しました。
地方税法を所管する総務省にも送付します。

個人事業税ってあまり取り上げられることがありませんが、業種によってかかったり、かからなかったりしますし、税率も業種によって異なるため、不平等な税金のように感じます。
個人事業税は、事業を展開するうえで行政サービスを利用していると考えられることから、行政経費の一部を負担するという趣旨だと思いますので、業種によって異なるのは疑問を感じますし、異なるとしても業種ごとに明確な数値を出せないと思いますし、事業で稼ぐと当然に所得が多くなり、住民税も多くなるため、所得に応じた負担はしているのではないかと思いますし、290万円という免税点がありますが、所得の多さと受けている行政サービスは必ずしも比例しないと思われるので、廃止するか、大多数の方が納得できるように根本的なところから見直す必要があるのではないかと考えます。

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不動産の評価ミスによる過大課税の損害賠償請求を巡り最高裁判所が初判断!

不動産評価の誤りで固定資産税を納めすぎた場合、その損害賠償請求ができなくなる期間はいつから始まるのかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁判所第3小法廷(宇賀克也裁判長)は「毎年度の納税通知書が交付された時から始まる」との初判断を示しました。
判決は2020年3月24日で、裁判官4人全員一致の意見でした。

民法は不法行為から20年たつと賠償請求権がなくなる「除斥期間」を定めています。
今回の訴訟ではその起算点となる「不法行為の時」がいつなのかが争われていました。
不動産評価の誤りが発覚するケースは多くはありませんが、建築から長期間過ぎた後に評価ミスが明らかになった場合でも、不動産の所有者は払いすぎた税金の一部を取り戻せる可能性があります。

原告は1980年代に建築された建物を持つ東京都内の一般社団法人です。
建築当初の誤った不動産評価に基づき、固定資産税などを毎年過大に課されたとして、東京都に納めすぎた税金に相当する額の賠償を求めて2013年に提訴しました。
二審判決は建築当初に建物の価格の評価ミスをした時点から除斥期間が始まるとして、訴えを退けていました。

最高裁判所第3小法廷は判決で、「不動産評価を誤った時点では誰が損害を受けるかが不確定で、誤りは後から修正される可能性もある」と指摘しました。
誤りが修正されないまま所有者に納税通知書が交付された時点で初めて具体的な損害が発生するとして、各年度の納税通知書が所有者に交付された時点で除斥期間が始まると判断したのです。

その上で、原告の請求権の一部は提訴時点で除斥期間が経過していない可能性があるとして二審判決を破棄し、審理を東京高等裁判所に差し戻しました。

2020年3月24日はほぼ同じ争点の別訴訟の上告審判決もあり、最高裁判所第3小法廷は同様の判断を示して審理を大阪高等裁判所に差し戻した。

2020年3月24日は、これ以外にも『取引相場のない株式の評価』の判決もありましたし、歴史に残る日になりましたね。
固定資産税は、市町村などが勝手に計算して、納税者に伝え、納税者は疑いもなく納税するという賦課課税制度を取っていますので、『最初に間違ったとき』ではなく、『各年度の納税通知書が所有者に交付された時点』というのは、当然の結果だとは思いますが、長期間に渡り争っていただいてありがたいなぁと思います。
最高裁判所の判決は、国にやさしく、地方に厳しいという意見もあるようですが、良い判決だと思いました。

不動産の評価ミスによる過大課税の損害賠償請求を巡り最高裁判所が初判断を下したことについて、どう思われましたか?


3万人から税金取り過ぎの大阪市「20年たったら返さない」が覆る公算強まる!

行政が違法行為をしておいて「20年たったから賠償しないもんね」なんて、あなたは許せますか?
大阪市は、長年にわたり固定資産税を取り過ぎていたとして、約3万人に総額約16億円を返還すると先日発表しました。
ところが返還額が3倍前後に膨らむ可能性が出てきたのです。
「20年以上前に建てられた建物については賠償責任が及ばない」という大阪市の主張が、最高裁で覆される公算が強まったからです。
大阪市が敗訴した場合、返還額は40億円から50億円ほどに達すると原告側は試算しています。

事の発端は、今をさかのぼること42年前です。
1978年(昭和53年)、大阪市は市内のビルについて、国の規準とは別の独自の規準に基づいて評価額を決め、固定資産税を課税することにしました。
大阪市は地盤が軟弱なところが多く、ビルは多数の杭を使って建てることが多いため、算定方法を変えたといいます。
これによって税額は大きくなります。

この独自基準が国の基準と違うとは普通の市民にはわかりませんが、たまたまある建物の所有者が専門家にチェックを依頼して違法性に初めて気づきました。
そこで「税金の取り過ぎだ」と返還を求めましたが、大阪市の担当者は「独自規準は違法ではない。計算間違いがあっても返す必要はない」と、けんもほろろの応対だったといいます。

そこで所有者は6年前、大阪市に賠償を求めて裁判を起こしました。
最高裁まで争った結果、独自規準の違法性が認められて、2019年の暮れに大阪市の敗訴が確定し、所有者に292万円が支払われました。

これを受けて大阪市は、先日今後の対応を発表しました。
同様の規準で課税された建物が約6,000棟あるとして、約3万人の所有者を対象に固定資産税の取り過ぎ分を返還する方針を明らかにしました。
返還総額は約16億円に上ると試算しています。

ところが、同じように独自基準に基づく固定資産税を巡り大阪市を訴えた裁判はもう1件あるのです。
こちらは一審と二審で原告の訴えが退けられています。
それは、この建物が建てられて最初に固定資産税が算定されたのが20年以上前だったからです。
不法行為があってから20年をすぎると請求権がなくなる「除斥」という民法の規定に基づき、原告に請求権はなくなったという大阪市の主張が認められたのです。

これに対し原告は「固定資産税は完成時だけではなく毎年課税されるのだから、違法な規準に基づく不法な課税が毎年行われ続けてきた。だから除斥は適用されない」と主張し、最高裁に上告しました。

上告を受けて最高裁は、2020年2月25日、双方の主張を聞く弁論を開きました。
最高裁は、元の判決を見直さずに上告を退ける場合は弁論を開かず、いきなり判決や決定を出します。
逆に弁論を開く場合は、何らかの形で二審の判決を見直すのが通例です。

今回の場合は「除斥により請求権はなくなった」という大阪市の主張を認めた二審判決を見直し、「除斥は適用されない」という原告の訴えを認め、高裁に差し戻す公算が強いと原告側弁護士は見ています。

大阪市が先日発表した返還額の試算は、20年以上前に建てられた建物には除斥が適用されて賠償の対象にならないことを前提にしています。
もしも最終的に原告側が勝訴すれば、20年以上前の建物にも同様の返還を行わざるを得ません。
原告側の試算では、その総額は大阪市の試算の3倍前後、40億円から50億円に達するといいます。
さらに再算定や返還事務にあたる市の職員の業務負担も膨大なものになると見られます。

これほどの大問題を大阪市はどうしてこれまで放置してきたのでしょう?
除斥を盾に納税者に誠実に対応してこなかったツケが傷口を広げたと言えるのではないでしょうか?
大阪市課税課は「判決の前でもあり、今日の時点ではコメントはできない」と話しています。

注目の最高裁判決は2020年3月24日、最高裁判所で言い渡されます。

固定資産税は、市町村から通知がきて支払うもの(いわゆる賦課課税制度)ですから、納税者は通常、何ら疑うことなく、正しいものだろうと考えて納付すると思います。
完全に、ミスがあるということは市町村側のミスということですから、時効とかを主張すべきではないと個人的には思いますね。
僕自身、税理士もやっていますが、固定資産税については恥ずかしながら詳しくないですし、決定する市町村側も、それなりの知識が必要だと思いますし、現場もきちんと確認する必要があるのではないかと思います。
そのような中、数年で異動になるということは、そのたびに素人の方が入ってくるということだと思いますので、業務的になかなか厳しいのではないかと思います。
以前から、成功報酬で固定資産税の見直しをやっている税理士がいるように聞いていますが、市長村側も税理士も納税者も固定資産税に関する知識を高めていかないと、今回の大阪市のような事例はたくさん出てくるのではないかと思います。

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ふるさと納税から除外された泉佐野市を再検討へ!

 総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したことをめぐり、国の第三者機関「国地方係争処理委員会(係争委)」(委員長・富越和厚元東京高裁長官)は、判断を再検討するよう総務相に勧告することを決めたようです。
係争委が自治体に対する国の政策判断の見直しを求めるのは初めてだそうです。

総務相は今後、勧告から30日以内に再検討の結果と理由を同市に伝えることになります。
除外の判断が覆らない場合、泉佐野市は高裁に提訴できます。

ふるさと納税の返礼品を巡っては、2019年6月、法律で、寄付額の3割以下の地場産品に限ると定められました。
これに先立ち、総務省は2018年秋、ギフト券などで多額の寄付を集める自治体に見直しを求めました。
泉佐野市は「閉店キャンペーン」を展開し、制度改正前の駆け込み需要の取り込みに走りました。

こうした振る舞いが総務省の態度を硬化させました。
総務省は新制度の対象を選定するに当たり、「2018年11月から19年3月までの寄付募集について、他自治体に多大な影響を与えていない」との条件を設定しました。
泉佐野市を含む4市町が制度の対象外となりました。

係争委では、この除外理由が妥当かどうかが最大の争点でしたが、富越委員長は会見で、新制度がスタートした後に不適切な取り組みをしたかどうかで判断すべきだと強調しました。
「泉佐野市の寄付集めの手法が是正を求めるべき状況にあったことは理解している」と述べつつも、「(新制度の根拠となる)改正地方税法の目的は、過去の行為を罰することではない」と指摘しました。

国地方係争処理委員会は、地方分権一括法に基づき、2000年4月に当時の総理府(現在の総務省)に設置されました。
地方自治体は、国の関与に不服がある場合に、審査を申し出ることができます。
申し出から90日以内に、5人の委員が結論を出します。
勧告が出れば、国は必要な措置を講じる義務があります。

国と地方の関係を対等にすることを目指す改革の一環として導入された仕組みですが、これまでは十分に機能していたとは言い難い状況です。
訴える資格がないなどとして、そもそも申し出を審査の対象とせず、自治体を門前払いすることが多かったようです。

それだけに今回、踏み込んだ決定を下したことに驚きが広がっているようです。
地方関係者は「さすがに総務省のやり方が強引すぎたということだろう。泉佐野市の除外について、心情的には多くの自治体が支持しているが、法律にはのっとらないといけない」と話しています。

ただし、新制度がスタートする直前の2019年4~5月の2か月間に泉佐野市が集めた寄付額は、185億2,150万円に上り、全国最多だった2018年度1年間の約4割にも相当する水準です。
通知に従った多くの自治体の間には不公平感も残るなか、総務省も安易に矛を収めることはできないでしょう。
両者の対立が収束するかは、依然として不透明です。

制度が存在し、税理士という職業柄、ふるさと納税をされている方の確定申告のお手伝いをさせていただくこともあり、僕もふるさと納税を数年前から毎年していますが、元々、制度の不備があると思っていますし、このBLOGでも何度も書いています。
よって、制度を0ベースで見直せば良いと思いますが、制度の不備を認めたくないのか、総務省が強引に進めたので、今回の問題に発展していると思います。
法人版のふるさと納税もあまり使われておらず、変えようとしているようですが、まずは、こちらを根本的なところから変えないといけないしょうね。
総務相がどういった答えを出すか楽しみですね。

ふるさと納税から除外された泉佐野市を再検討することについて、どう思われましたか?


「ふるさと納税バブル」で一番儲けたのは誰か?

 泉佐野市は「ふるさと納税閉店セール」を展開中ですが、結局、この制度では誰が最も得をしたのでしょうか?
東洋経済オンラインによると、先日、大阪府泉佐野市のふるさと納税制度による2018年度の寄付額がなんと約497億円に達する見通しと報道されました。
2017年度に全国でトップだったときの135億円に比べて約3.7倍となる、大きな金額です。
泉佐野市の一般会計予算は約517億円ですから、実に一般会計予算に匹敵する寄付金を集めたことになります。

ふるさと納税はワンストップ納税、控除条件の拡大などによって一気に拡大し、2018年度には4,000億円を超えたと推定されています。
総務省は泉佐野市の取り組みを好ましくない事例として位置づけ、異例の指導に入り、すでに「特別交付税減額」という措置を2019年3月に行いました。
泉佐野市への交付税額は昨年度比1億9,500万円減の6,200万円となっていますが、別途約497億円を集めたわけですから、痛くもかゆくもないでしょう。

ふるさと納税という仕組みは、当初から「納税者」「自治体」「返礼品納入業者」のいずれも「やったもの勝ち」でした。
高額納税者ほど得をし、ルールを逸脱した自治体のほうが得をし、大量の返礼品ニーズに対応できる納入業者のほうが得をします。
一方、返礼品率を常識の範囲に留める自治体、所得が低くふるさと納税を活用できない人、返礼品に採用されない業者が実質的に損をするという税制としては当初から歪んだ構造でした。

早期に改正を行う必要がありましたが、返礼品競争は過熱しすぎるほど過熱し、ようやく今回の規制となったわけです。

数年にわたり、国は「地方自治体に良識を求める」という極めて甘い運用をやり、制度改正を先送りにしつつ、法的拘束力もない指導のみで、数年間返礼品競争を実質的に放置したに等しく、大変残念なことでした。
全国各地の返礼品業者は、今後少なくとも返礼率の低下、個別自治体によってはふるさと納税額の大幅低下などによって少なからず影響を受けることになります。
また、自治体も、ふるさと納税の勝ち組自治体とされたところほど、歳入減少の影響を受けることになるでしょう。

まさに制度改正を迎える2019年は、ふるさと納税の「逆噴射」が地方を襲うと言えます。
その影響は誤った競争環境での勝ち組とされた自治体ほど大きくなるのは必至です。

6月からは国が3つの基準を設け新制度がスタートし、国の審査を経た自治体しか税制優遇の対象にしないことになります。
3つの基準とは、①寄付募集の適正な実施、②返礼品の調達費が寄付額の30%以下、③返礼品は地場産品に限定というもので、泉佐野市など「従来の返礼品競争の勝ち組たち」の認定は厳しいというのが多くの見方となっています。

ふるさと納税の大きな問題は、国と地方を併せた税収が拡大するのではなく、返礼品や自治体の人件費など含めて実際には税収総額は減少するということです。

今度は国が細かな審査を経て認定をするしない、といったようなやりとりが追加発生します。
さらに国と地方にさらに業務コストが上乗せされるため、ふるさと納税は国と地方を連結すれば、実際のところは返礼品調達で3割の経費、サイト運営や配送料といった外注費、国と地方などの業務管理にかるコストが増大し、結果としてその分公共サービスに回す財源が減少します。
約4,000億円のふるさと納税総額は、結局公共サービス以外に大きく使われていることを忘れてはいけません。

それではふるさと納税で最も儲けたのはどこか?といえば、サイト運営者やアマゾンと言えるでしょう。

雨後の筍のように乱立するふるさと納税サイトについては、テレビCMを見た方も多くいるのではないでしょうか?
東海テレビの調査によると、東海地方125自治体へのアンケート調査によると全体流通額の10%程度が運営費として支払われたとされます。
ということは、全国で約4,000億円のふるさと納税市場において、約400億円がサイト運営費として支払われたと推定できます。

さらに、最近では各社ともサイトで目立つような広告枠の販売に力を入れており、自治体はわざわざ広告枠を追加で購入して宣伝をしようとしています。
今後返礼品率が抑えられるため、ふるさと納税の主戦場は広告宣伝とも言われています。
このようにふるさと納税を獲得するために、また税金で広告枠をバンバン買うという、まったくよくわからない構造が発生しています。

このような中、ふるさと納税サイト老舗であり、返礼品数No.1とするふるさとチョイスを運営するトラストバンク社は2018年、東証1部上場企業であるチェンジという会社が48億円で買収しています。
全国の自治体との営業チャネルとサイト運営の収益性が評価された結果と言え、それだけ儲かるビジネスになっているということです。

さらに隠れた勝者はアメリカのアマゾンです。
同社のグループは、日本国内だけでも1兆円を優に超える売り上げを有しながら、納税金額は2017年にはたった11億円程度と事業規模に対してあまり日本に納税しないことで有名です。
そのような中、ふるさと納税サイトの各社は2018年末に寄付額の一定率をアマゾンギフトでプレゼントするキャンペーン競争を展開していました。
泉佐野市に至っては、独自に100億円分のアマゾンギフトをプレゼントするキャンペーンを展開して話題になりました。

あまり日本で納税しないアマゾンに、日本の税収からアマゾンに100億円を超える金額が流れるという冗談にもならないことが起きたわけです。
国と地方が争っているうちに、いちばん税金からまとまった収入を得たのがアマゾンであり、漁夫の利とは言ったものです。
もはや笑うしかありません。

真のふるさと納税の勝者は納税者でも、地方生産者でも、自治体でもなく、手数料で着実に儲かるサイト運営者であり、国内納税額より多額の収入を得たアマゾンだったと言えるでしょう。

前述のとおり、ふるさと納税はこれから国の審査で規制強化を行いつつ継続しようというわけですが、はたして、多額の行政コストをかけ、公共サービスに利用できる財源を国と地方で減らしてまでやり続けるだけの意味のある制度なのでしょうか?

そもそも、自治体は、税金を財源にして無料同然で配る返礼品で集めるような一過性のお金で経営することなどありえないはずです。
しっかり地元の農林水産業、観光産業などのリアル経済を成長させ、そうした経済に即して税収を稼ぎつつ、その範囲で自治体を持続可能な形で経営するというのがあるべき姿のはずです。
そのために必要な財源移譲、独自税制に関する自由を国に求めるべきです。

一方、国も意味不明で誤った予算獲得競争を煽るべきではありません。
もっと地方への財源移譲を推進して、自治体が一過性の投機的な資金集めではなく、地に足の着いた地域経済と財政に向けた適切な投資の視点を持てるよう、より大きな都市経営を意識した地方自治にインセンティブがあるよう制度改正と向き合うべきです。
今回のような、特別交付金減額などという懲罰的なやり方をしたり、逆に国の言うことを聞けば認定をするといったようなやり方は、ますます地方の自立性を失わせ、国まかせの財政運営になっていくでしょう。

誤った競争は誤った結果を生み出します。
今回の騒動が、ふるさと納税頼みではない、真の地方の経済財政のあり方を探る転機になることを期待します。

僕は『ふるさと納税』をしていますが、制度として認められているからであって、個人的には、制度として失敗だと思っています。
『ふるさと』とか『地域の活性化』などを考えるのであれば、寄附できる地方を過去に住民票があったところとかに限るべきだと思いますし、返礼品は不要だと思います。
この記事の中に出てくる『ふるさとチョイス』を僕も使っていますが、ここに限らず『ふるさと納税』関連のサイトを使ったことのある方は分かると思いますが、完全なショッピングサイトであり、市町村がどこかは問題ではなく、自分の欲しいものがあるかどうかで『ふるさと納税』先を選んでいる方が多いのではないかと思います。
それゆえ、『ふるさと納税』はゼロベースで見直したほうが良いと考えています。

「ふるさと納税バブル」で一番儲けたのは誰か?について、どう思われましたか?


愛知県碧南へきなん市がふるさと納税を勧誘した都内の税理士に謝礼10%!

10日(水)

 愛知県碧南市が8月末以降、東京都内の税理士に、碧南市へのふるさと納税を知人や顧客に勧めてくれれば、謝礼として寄付額の10%相当の現金を支払うと協力を依頼する文書計4,000通を送っていたことが、先日分かったようです。
総務省は、ふるさと納税の制度の趣旨に合わず「不適切」として文書の撤回を要請し、碧南市9月下旬の追加発送を取りやめました。

総務省の担当者は「寄付は自発的にするもの」と指摘し、「紹介者に謝礼を支払うという自治体は聞いたことがない」と話しています。

一方、碧南市の担当者は「ふるさと納税の手続きができるインターネット上の仲介サイトにも、手数料として寄付額の10%程度を支払っており、同じ感覚で試行的に企画した」と説明しています。
「違法性はない」として、既に送付した文書に絡んで紹介による寄付があれば、謝礼を支払うとしています。

これまで税理士側から問い合わせが約20件あったようですが、謝礼を支払った事例はないそうです。

碧南市や総務省によると、文書では「愛知県内のふるさと納税件数第一位」として、うなぎやしらすなど返礼品が百種類以上あり、寄付金を地元のベンチャー企業支援に活用している点をPRしています。

大都市圏に広める狙いで都内の税理士事務所に発送したところ、9月に文書を把握した総務省が愛知県を通じて碧南市に指摘しました。
碧南市は926日に追加で発送予定だった文書の廃棄を決めました。

自治体も『ふるさと納税』集めに必死ですね。
確かに、インターネット上の仲介サイトにも手数料を支払っているので、それと大差はないように思いますね。
ある意味、仲介サイトのほうが、ショッピングのような感じで寄付先を選ぶことになるので、『ふるさと納税』の理念に反するような気はしますが。
ちなみに、総務省は、以下の3つの意義があるとしています。

 ● 第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
 ● 第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。
 ● 第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。
それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。

3つの意義のためには、『3割ルール』を徹底するのではなく、根本的にところから変える必要があるのではないかと思いますね。

愛知県碧南市がふるさと納税を勧誘した都内の税理士に謝礼10%を支払うことについて、どう思われましたか?


ふるさと納税ルール変更に自治体が悲鳴!

 実質自己負担2,000円で全国各地の自治体から豪華な返礼品を受け取れる「ふるさと納税」は、返礼品競争に拍車がかかり、ブームが過熱していましたが、先日ついに総務省から「待った」がかかり、大きな曲がり角を迎えています。
しかしながら、そんな状況下でもまだ賢く利用できる術はないのでしょうか?

地方創生の一環として整備されてきた「ふるさと納税」ですが、規制強化の動きが加速しています。
全国各地の自治体からは、怒りや戸惑いの声が噴出しているようです。

2017年度、町税の税収25億円を大きく上回る72億円の寄付金を集めた佐賀県みやき町の末安伸之町長の訴えは切実です。
「ふるさと納税を通じた寄付によって給食費や医療費の無料化、新たな保育所の整備などを進めていたので、寄付が減れば町の財政を直撃します。せっかく地方が独自の取り組みで自立しようとしてきたのに、国はわかっていない」

野田聖子前総務大臣は、911日の記者会見で、一部自治体が高額な返礼品で多額の寄付を集めていることについて「制度そのものが否定される不幸な結果を招く」として、返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に限定しました。
違反した自治体は制度から除外し、寄付しても税の優遇措置が受けられなくなるよう、来年の通常国会に地方税法改正案を提出して規制強化を目指す方針を打ち出しました。

2007年に創設されたふるさと納税は故郷や応援したい自治体に寄付すると返礼品がもらえるうえ、所得税・住民税の還付・控除が受けられて、実質的な自己負担は2,000円で済むことから、ブームと化してきた(還付・控除の上限額は所得などによって異なります。)。
一方、寄付金集めに走る一部の自治体は地場産品とは思えない高額返礼品を掲げて競うようになり、総務省は「3割ルール」「地場産品ルール」を守るよう20174月に通知しました。
しかしながら、それに従わない自治体が多かったことから、総務省は今回の大臣会見と同時に調査結果を公表しました。

そこでは、91日時点で「3割ルール」に違反している246自治体(全体の約14%)を実名で公表し、名指しされた自治体では混乱が相次いでいます。

佐賀牛のももスライス500g(寄付額1万円)や家電製品などを返礼品としてきた前出のみやき町もその一つです。

「肉の加工工場では設備投資や人員増をすでに進めている業者もいるのに、急すぎる見直しでは混乱を招くばかり。家電製品はすでに取り下げましたが、これはもともと、大手の家電量販店の進出で地元の電機店が困っているので、返礼品を出荷してもらえるよう手を差し伸べる試みだった。このままでは地元の店は潰れますよ!」(末安町長)

豚肉切り落とし5kg(寄付額1万円)などを用意する宮崎県都城市では、返礼品を供する約90の企業で構成される都城市ふるさと納税振興協議会から困惑の声が漏れています。

「急増する寄付者の期待に応えられるように、設備投資も人員も増やして量産体制をとっていますが、規制が厳しくなれば、連鎖倒産も避けられない。国の方針がコロコロ変わると困るのは、僕ら現場です」

個人的には、ふるさと納税をしていますが、遅かれ早かれ改正されると思っていましたし、特定の企業などの製品や商品を扱うのはどうなのかなぁと思っていました。
よって、みやき町長や宮崎県都城市の納税振興協議会のコメントは、どうなのかなぁ?と感じます。
一方で、『3割ルール』の中で、知恵を出し合って寄付金を集めればよいと思いますし、もう少し簡単に『ふるさと納税』が行える仕組みを作り、『ふるさと納税』をする人数を増やしていけば良いのではないかと思います。

ふるさと納税ルール変更に自治体が悲鳴をあげていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税「反抗自治体」を公表した総務省vs自治体の神経戦!

 このブログでも、先日書きましたが、国の方針に従おうとせず、見直す意向もないのはこの自治体ですと、総務省は20187月に、いまだ返礼品競争が横行しているふるさと納税をめぐって、(1)返礼割合が3割超、(2)地場産品ではない返礼品を送付している、(3)20188月までに見直す意向がないなどとして、大阪府泉佐野市や佐賀県みやき町など12の自治体名を公表しました。

20174月以降、総務省が自治体への通知や記者会見を通じて、高額な返礼品などの自粛を幾度となく要請しているにもかかわらず、反抗する自治体に対してとうとうしびれを切らした格好です。

名指しされた12の自治体は、さぞ戦々恐々としているかと思いきや、各担当者から懸念として聞こえてくるのは、意外にも自民党の総裁選の動向と東京都目黒区の取り組みについてだったようです。

一体どういうことでしょうか?
一つ目の自民党の総裁選について自治体が最も気をもんでいるのは、総裁選を経て政権が代わることによって、菅義偉官房長官が閣外に放り出されることだそうです。

菅氏はふるさと納税の“生みの親”であり、制度拡充に際して反対論を唱えた総務省の局長を退任に追い込むほど、思い入れが強いそうです。
過熱する返礼品競争を時に黙認するような姿勢を取り、自治体の強力な後ろ盾になっているわけです。

総務省は、ふるさと納税に関わる普通交付税措置や特別交付税を使って、名指しした自治体を実質的に締め上げることは制度上可能ですが、菅氏が閣僚として目を光らせている間は、手を出しにくいことを自治体はよく理解しているようです。

二つ目の目黒区の取り組みとは、20188月からふるさと納税の返礼品として、人気音楽グループ「EXILE」のTシャツやパーカなど関連グッズを用意すると発表したことです。

目黒区内に事務所やスタジオを構えており、紛れもない地場産品だと位置付けているわけですが、これは返礼品競争が過熱する中で、一番危惧していた事態ともいえます。

財政力の高い都市部の自治体が、企業の本社や事業所があることを理由に豊富な資金で魅力的な返礼品をかき集めれば、地方の自治体には当然ながら勝ち目はありません。

目黒区以外にも、これまでふるさと納税による税収減にじっと耐えてきた都市部の自治体が、次々に本格参入することになれば、地方にもっとお金(税源)を還流させるという趣旨で始まった制度が、逆回転しかねません。
菅氏に引導を渡された局長が、反対論を唱える中で最も危惧していたのも、まさに都市部の自治体の反撃による寄付金の「都心回帰」でした。
今後もし都心回帰の流れが加速したとき、名指しされた自治体が税収減で悲鳴を上げたところで、耳を傾けてくれる人たちは果たしているのでしょうか?

ふるさと納税については、このブログで何度も述べていますが、そろそろ根本的なところから見直す時期に来ていますね。
特定の政治家の影響を受ける制度というのもどうかと思いますね。
以前から気にはなっているのですが、返礼品に特定の企業のものを使うというのもどうなのかなぁと思っています。
本来は、その地域の名産などを使うべきであり、特定の企業のものを使うものではないかと思っています。

ふるさと納税「反抗自治体」を公表した総務省vs自治体の神経戦が行われていることについて、どう思われましたか?


ふるさと納税に関し「国に反逆」した12自治体を初公表!

 弁護士ドットコムによると、総務省は、先日、2017年度のふるさと納税の実績を発表しました。
 それによると、自治体が受け入れた額は3,653億円で過去最高で、2016年度(2,844億円)の約1.28倍に増加しました。
<自治体別>
 自治体別では、鹿児島産のうなぎや信州の桃、高級ビールなど地場産品以外の返礼品も大胆にそろえる大阪府泉佐野市が135億円で最も多い額を集めました。
 総務省によると、受け入れ額が多い自治体の2位から10位は、以下のとおりです。
 ・2位 宮崎県都農町(79億円)
 ・3位 宮崎県都城市(74億円)
 ・4位 佐賀県みやき町(72億円)
 ・5位 佐賀県上峰町(66億円)
 ・6位 和歌山県湯浅町(49億円)
 ・7位 佐賀県唐津市(43億円)
 ・8位 北海道根室市(39億円)
 ・9位 高知県奈半利町(39億円)
 ・10位 静岡県藤枝市(37億円)
<「通知に従う気なし」の自治体>
 一方、総務省は自治体に対する通知で、ふるさと納税をした人に対する返礼品について、原則として地場産品とすることや調達価格を3割以下におさえることを求めています。
 法的に従う義務はありませんが、通知への自治体側の対応状況(20186月時点)を総務省がまとめたところ、以下の自治体は「20188月までに見直す意向がない」ことがわかったようです。
 ・茨城県境町(21億円)
 ・岐阜県関市(14億円)
 ・静岡県小山町(27億円)
 ・滋賀県近江八幡市(17億円)
 ・大阪府泉佐野市(135億円)
 ・福岡県宗像市(15億円)
 ・福岡県上毛町(12億円)
 ・佐賀県唐津市(43億円)
 ・佐賀県嬉野市(26億円)
 ・佐賀県基山町(10億円)
 ・佐賀県みやき町(72億円)
 ・大分県佐伯市(13億円)
 あえて、通知に従わない自治体リストを明らかにするあたり、過剰な返礼品競争に歯止めをかけたい総務省が「引き締め」を狙っていることがうかがえます。
 総務省市町村税課によると、こうしたリストを公表するのは初めてだそうです。
 ちなみに、上記の従わない自治体リストは、2017年度のふるさと納税額が10億円以上の自治体に限っています。
 僕もそうですが、返礼品でふるさと納税先を選んでいる方が多いと思いますので、通知に従うと、ふるさと納税額が減り、従わないと、たくさん集まるといった状況になり、地方自治体としても頭を悩ますところだと思います。
 やはり、返礼割合の上限を決めておく、地元の品に限定する、ゆかりのある地方自治体のみにするなど、根本的なところから見直さないと、ふるさと納税に地方自治体が振り回されてしまうことになるのではないかと危惧します。
 ふるさと納税に関し「国に反逆」した12自治体を初公表したことについて、どう思われましたか?

ふるさと納税は返礼品抑制でも伸び3,000億円が視野に!

 ふるさと納税が返礼品の抑制が広がるなかでも増えているようです。
 日本経済新聞が全国814市区を調査したところ、6割が2017年度の寄付額が増えると見込んでいるようです。
 市区分だけでも2014億円と前年度より10%伸びており、都道府県や町村分を含めると3,000億円の大台を突破する勢いとなっています。
 自治体の歳入としては、ガソリン税に匹敵する規模で、主要な収入源になってきているようです。
 2017年度の自治体別の増額幅をみると、最も多かったのは1億円未満で全体の45%を占めます。
 5億円以上は3%にとどまっており、1億~5億円未満が11%でした。
 ふるさと納税が特定の自治体に集中するのではなく、利用の裾野が広がり多くの自治体で厚みを増している構図が浮かび上がります。

総務省によると、
2016年度の実績は2,844億円です。
 市区の合計額はふるさと納税全体の64%を占めていました。
 都道府県は1%で、町村は35%でした。
 市区と町村の伸び率はこれまでほぼ同じ水準で推移しており、2017年度は全国の総額で3,000億円の大台を超える見通しです。

総務省は、
20174月に資産性の高い返礼品などを自粛し、返礼割合も3割以下に抑えるよう各自治体に通知しました。
 20184月には返礼品の見直しの徹底を改めて求める追加の通知を出しています。
 通知後も高い返礼割合の自治体は残っていますが、集め方や使い道の工夫が広がっているようです。 北海道夕張市は、あらかじめ使途を明示しました。 インターネットで不特定多数の人から少額の寄付を募るクラウドファンディングの手法を採用し、少子化に悩んでいた地元の高校を救うプロジェクトなどが共感を呼び、寄付額が3,000万円増えました。 青森県弘前市は、重要文化財である弘前城の石垣修理や弘前公園の桜の管理といった街づくりに参加できる仕組みが人気を集め、前年度より16,000万円上積みしました。
 「高額」の返礼品だけでなく、幅広いアイデアが寄付を押し上げているようです。

一方で、
2016年度にトップ30だった市区のうち、6割が2017年度は減少すると見込んでいます。
 家電を返礼品から外した長野県伊那市(2016年度2位)は66億円減少し、パソコンの返礼品をやめた山形県米沢市(同5位)も17億円減りました。 ただし、全体では、2017年度も2016年度より10%伸びる見通しです。
 上位の減少分を幅広い自治体の増加分でカバーしている形になっています。 自治体の最大の歳入は、約4割を占める地方税です。
 2016年度は約39兆円でしたが、人口減時代を迎え今後の大幅な増収は見込みにくくなっています。
 3,000億円規模の歳入は自治体にとって、ガソリン税や自動車重量税の地方分と並ぶ規模になります。
 ふるさと納税が地方税の収入を上回る例も出ており、自治体の「財源」としての存在感は高まっています。 2016年度首位の宮崎県都城市を抑え、2017年度の見込み額でトップになったのは大阪府泉佐野市(同6位)でした。
 関東、関西を中心に約130億円を集め、2016年度より約95億円増えました。
 ふるさと納税の額は、同市の2016年度地方税収入の約6割にあたります。
 返礼品を大幅に増やして、1,000以上を用意しました。
 黒毛和牛などが人気で、3月までは宝飾品や自転車もそろえていました。
 返礼割合は2017年度で約4割と総務省が求める基準より高かったですが、2018年度は約3割まで下げる方針です。 一方、税収が「流出」している自治体からは不満の声も漏れます。
 東京23区では、2016年度だけで386億円が流出しています。
 世田谷区では、52億円も減りました。
 自治体によっては「既存事業や新規の事業計画に影響が出る可能性がある」と懸念するところもあるようです。 なお、この調査は、2月下旬から4月下旬に実施し、802の市区から回答を得ました。
 ふるさと納税とは、生まれ育った故郷や応援したい自治体に寄付できる制度です。
 納税者が税の使い道に関心を持ったり、寄付を受けた地域を活性化させたりする目的で2008年度に導入されました。
 寄付額から2,000円を差し引いた金額(上限あり)が所得税と個人住民税から控除されます。
 2015年度から控除上限額を2倍に引き上げ、確定申告せずに税額控除の手続きができる特例制度を導入して利用が広がりました。 本来の趣旨からはズレているんでしょうが、制度がありますし、税理士という職業柄か、ここ数年毎年ふるさと納税をしています。
 もちろん、僕自身もらえるものから寄附する先を選んでいますし、そのような方が多いのではないかと思われます。
 本来、返礼品目的の制度ではなく、東京の23区などは不利だと思いますので、根本的に制度を見直す時期には来ているのではないかと思っています。 ふるさと納税は返礼品抑制でも伸び3,000億円が視野に入ったことについて、どう思われましたか?

公示地価にダマされるな!

 国土交通省が20183月末に発表した201811日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途で0.7%のプラスでした。
 地価上昇は3年連続で、これはバブル崩壊の1992年以降で初めてのことだそうです。
 驚くのは、外資マネーが流入して再開発が活発な大都市圏だけではなく、地方圏平均でも商業地が0.5%とわずかながら、26年ぶりに上昇に転じたことです。
 新聞各紙も「地価上昇が全国的に波及、脱・資産デフレが進む」などと報じていますが、はたして本当なのでしょうか?
 ダイヤモンド・ザイによると、その背景に迫ると、不動産鑑定士がお客さんの自治体に忖度して公示地価が決まる実態が見えてきたようです。
 2018年の公示地価で、上昇率ベスト3を独占したのは、北海道倶知安(くっちゃん)町で、スキーリゾートが人気のニセコ地区は、商業地も住宅地もプラス30%を超えました。
 オーストラリア人を中心とする外国人観光客が押し寄せるニセコ地区は、スキー場に隣接する住宅地だけではなく、JR倶知安駅周辺の商業地にも地価上昇が波及しました。
 2017年の訪日客数は、2,869万人と過去最高を記録しました。
 地方圏の商業地の上昇を牽引しているのも、外国人観光客の増加で店舗やホテル需要が高まっている地方都市なのです。
 それらの恩恵を受けている4市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)だけを取り上げると、前年との平均変動率は7.9%ものプラスになります。
 しかしながら、ほとんどの地方都市はそんな活況とは無縁でしょう。
 人口流出・高齢化にあえぎ、住宅地は空き家が続出、駅前立地がシャッター通りと化している街も少なくありません。
 茨城県は、同じ関東でも13県とは違い、“地盤沈下”が激しくなっています。
 日立市に向かう国道6号沿いは閉鎖したドライブイン、飲食店、ガソリンスタンドなどが生い茂った草に覆われ、寂しい風景が続きます。
 散歩に出れば、月ごとに増える空き家、駅前は土日なのにシャッターを閉めている店舗、テナント募集の店舗が軒を連ねます。
 外国人観光客は、ほとんどいません。
 それでも、茨城県の地価変動率は住宅地、商業地ともに▲0.7%です。
 つくばエクスプレス沿線の再開発エリアが人気を集めていて、それが全体を押し上げているとしても、実感からするとマイナス幅が少ないように感じられます。
 茨城県以外に目を転じても、地方圏の商業地で、前出の上昇率の高い4市(7.9%)を除いた市区町村の変動率も▲0.4%とマイナス幅は小さくなっています。
 公示地価に詳しい不動産鑑定士が重い口を開いているようです。
 「実は、公示地価は大きく上げ下げできない事情がある。税金との絡みが公示地価にゆがみをもたらしています」
 公示地価は国が示す地価の指標です。
 国土交通省によると、売り急ぎや買い急ぎなどの特殊事情を除いた「正常な価格」(必ずしも実勢価格ではない)を表しています。
 公的な土地評価はほかにもあって、都道府県が毎年9月ごろに公表する基準地価、国税庁が毎年7月ごろに公表する相続税路線価、市区町村が3年に1回、4月ごろに公表する固定資産税評価額があります。
 土地が、『一物多価』と言われるところです。
 問題は、相続税路線価は公示地価の8割水準、固定資産税評価額は公示地価の7割水準に設定されていることです。
 相続税路線価はその名のとおり、相続税や贈与税の算出に用いられる評価額であり、固定資産税評価額は固定資産税や不動産取得税を決める基準となります。
 つまり、公示地価は、国や自治体の税収を決める基準の大元になっているのです。
 それゆえ、公示地価を実勢にあわせると、銀座の一等地のように公示地価の23倍でも売れるところは急激に相続税や固定資産税が上がってしまい、逆に、過疎化する地方のように、公示地価の8割水準の路線価でさえ売れないエリアは、税収が大きく落ち込んでしまうことになります。
 問題として大きいのが、後者でしょう。
 いまや、自治体の税収の40%強が固定資産税によるものなのです。
 地価下落は、自治体の財政悪化に直結するのです。
 不動産鑑定士の資格を持ち、複数の著書で「公示地価は実質的に破綻している」と主張する森田義男税理士が語っています。
 「自治体はできるなら公示地価は下げてほしくないと考えている。国交省もそれは認識している。調査にあたる鑑定士は、数字のごまかしはできないが、なるべく希望に沿う数字を出す。だから、結果的に地方の公示地価は“高示地価”になる。お上の意に沿わない鑑定評価をすると、翌年から仕事が来なくなる恐れがある。鑑定の世界にも、忖度が働くのです」
 森田氏によれば、特に地方の不動産鑑定士にとっておいしいのは、公示地価よりも固定資産税評価額の仕事だそうです。
 1地点当たりの報酬は54,000円(税別)で公示地価や路線価より低いですが、評価地点は全国で約44万地点に及びます。
 3年に1回、200億円以上の金額(税金)が、全国の不動産鑑定士に配分される計算になります。
 衰退が進む地方において、不動産鑑定士に、民間の仕事はそれほど多くはないでしょう。
 不動産鑑定士に限らず、「士業」の多くは官庁の強い影響下にあります。
 我が税理士は国税庁、司法書士なら法務省です。
 しかしながら、多くの士業は、官庁から直接仕事をもらうことはありません。
 ほとんどのお客さんが民間の人です。
 我が公認会計士や税理士はそうです。
 ところが、不動産鑑定士の世界は違い、お客さん=官庁なのです。
 森田氏のように不動産鑑定士の仕事に見切りをつけ、税理士として生計を立てているならいざしらず、“お客さん”には逆らえないでしょう。
 しかしながら、公示地価は我々が払う税金と密接に絡んできます。
 地価下落が進んでいる地方で、公示地価の8割水準の路線価でさえ売れない土地は珍しくありません。
 これは、相続税を払って不動産を維持しても割が合わなくなることを意味しています。
 おりしも、20183月末に厚生労働省が発表した将来推計人口によれば、2030年にはすべての都道府県で人口が減り始め、2045年には7割の市区町村で2015年に比べ人口が20%以上減る見通しです。
 秋田県では41.2%、青森県では37.0%も減るそうです。
 地方においては、一部の人気エリアを除き、これからも地価下落の大きな要因となる人口減少・高齢化が重くのしかかります。
 かくして、公示地価と実勢価格とのかい離は、ますます広がっていくでしょう。
 こういう実態があったのですね。
 職業柄、相続税の申告も年に何件かはやっていますので、路線価図は結構見るのですが、路線価の付いているエリアはどんどん減っています(つまり、評価するコストが削減されています。)。
 固定資産税評価額は、基本的にすべての土地や建屋に付きますので、それほど評価地点は減らせないでしょうね。
 税収を考慮したものではなく、実態に合ったものにしてもらいたいですね。
 公示地価について、どう思われましたか?

豊島区役所がペーパーレスによる課税・納税証明書の発行手続きの実験を開始!

2018年03月19日(月)

 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(本社東京都港区、、以下「MDIS」)と豊島区役所(本庁舎東京都豊島区)は、区民が「特別区民税・都民税(住民税)証明書」の交付を受ける際、“専用ペン“を使用してペーパーレスで申請する実証実験を201835日に開始したと発表しました。

実証実験の対象となる「特別区民税・都民税(住民税)証明書交付サービス」とは、区民が課税証明書・納税証明書を申請する際に利用するサービスで、証明する年度や必要な人の名前・住所・生年月日などを申請書に記載して申請します。
この申請手続きは、記入欄が多く記入箇所が分かりづらいことや、年間3万件以上申請のある申請書自体の管理負荷などの問題点があったようです。

今回使用するシステムは、MDISが開発・販売するペーパーレス受付システム「らくかけくん」で、プロジェクターで表示された様式イメージに専用ペンで入力する「プロジェクションマッピング技術」を活用しています。

区役所を訪れた利用者は、窓口に設置された専用記載台にて上方のプロジェクターから投影されたイメージを見て、専用ペンにて操作します。
投影イメージに直接記入することで、文字認識技術により手書き文字が瞬時に文字データへ変換されます。
実証実験では日本語と中国語の2か国語への対応を行います。
担当者は、窓口アプリで入力結果の確認や申込書の管理が可能です。

このシステムを用いることで、従来の紙の申請用紙やディスプレイモニターと比べプロジェクターで大きな文字で表示することができます。
また、キャラクターによるガイダンスが記入箇所に応じて表示されることから、利用者の利便性向上が期待できます。
一方、窓口担当者など職員にとっては、窓口での確認・問合せ対応の減少や、データ入力、申込書管理負荷の低減等、業務効率化が期待できます。
さらに、紙が不要となることで、書類保管倉庫のスペース削減も可能です。

MDISは今回の実証実験を評価し、「らくかけくん」のさらなる機能拡充と利便性向上を目指すとともに、自治体の申請窓口、小売店の各種申し込みカウンター、金融機関の店舗、ショッピングモールでのカード申し込みなど、様々な業界への拡販を検討していくようです。

役所での手続きは、無駄と思われるものや、分かりにくいものや、記入したりするのが面倒なものなどが、多々あると思います。
今後は、このようなものが出てきて、便利になることを切に願います。
まぁ、ここでもAIに取って代わられ、人がいらなくなるところもたくさん出てくるでしょうね。
手続きとは関係ありませんが、個人的には、市とかの発行する書類はA4より微妙に大きくて、職業柄コピーすると端が欠けて読めないことが頻繁にありますので、早く、書類のサイズをA4にしてほしいですね(笑)。

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大学の2割以上に公認「起業部」!

日本経済新聞によると、大学で起業について実践経験を積みながら学べる「起業部」が広がってきたようです。

独立行政法人の中小企業基盤整備機構の調査では、回答した全国89大学のうち2割以上に大学公認の起業部がありました。

大学の予算を得て教員の指導を受けられるケースもあり、起業家の裾野を広げる後押しになりそうだ。

中小機構が2024年12月から2025年3月に調査を実施しています。

回答を得た89大学のうち、24%にあたる21の大学が「公認の起業部がある」と回答しました。

非公認の起業家サークルなども含めた学生主体の団体の活用を認識している大学は49%の44大学でした。

大学に所属する講師が支援したり、部室などを提供したりする大学もある一方で、66%にあたる59の大学は「サポートしていない」と回答しました。

大学所属の教授が主導した起業部は支援を得られるケースもありますが、学生が自主的に集まって設立した場合は支援を得られないことも多いようです。

神戸大学で2022年に起業部を立ち上げた産学官連携本部の熊野正樹教授は「起業に失敗はつきものだ。学生には大いに失敗してほしいが、致命的な傷を負わせてはいけない。万が一に備えて専門の教員らがサポートするのは重要だ」と指摘しています。

神戸大学の起業部には50人超の学生が所属しています。

事業計画の作り方や組織育成の座学にはじまり、学生同士でチームを組んでビジネスプランを考えます。

学生が卒業後に数社を立ち上げた実績があります。

2033年3月までに新規株式公開(IPO)や他社にM&A(合併・買収)される企業を3社生み出す目標を掲げています。

経済産業省によると、2024年10月末時点の大学発スタートアップは5,074社と、前年から18%増えました。

ただし、教授など研究者による起業が多く、学生が起業した「学生ベンチャー」はそのうち28%にとどまります。

アメリカではメタ(旧フェイスブック)を立ち上げた起業家のマーク・ザッカーバーグ氏のような学生起業が一般的です。

日本でもすきまバイトで急成長したタイミーの小川嶺代表ら、学生時代に起業した経営者が台頭してきました。

日本では大学が主導して学生に起業家意識を身に付けてもらうためのアントレプレナーシップ教育が充実してきました。

文部科学省の2024年の調査によると、アントレプレナーシップ教育を実施する大学は全体の40%と、2020年時点と比較して13ポイント増加しました。

急成長するスタートアップには斬新なアイデアが必要になる場合も多くなっています。

リスクを承知でチャレンジすることも重要です。

大学には紋切り型の教育や支援にならないよう、学生の自由な発想を大切にする姿勢も求められます。

個人的には、大学生が起業するのは、新しいビジネスが生まれたりして良いのではないかと思っていますが、ビジネスの本質を考えると、リスクを負っているから慎重になり、うまく行くという面もありますので、教員がビジネスに関する知識を教えるのは良いと思いますが、会社自体にはあまり関わらない方がいいのではないかと思います。

教員も通常は研究者であって経営者ではないので、起業してうまく行く会社がいくつか出てくれば、その経営者がアドバイスなどをすることで、良い循環が生まれるように思いますね。

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大和ハウスが社員が事業性審査をする社内起業に300億円投資!

日本経済新聞によると、大和ハウス工業は2024年6月に社内起業制度を導入し、300億円の投資枠を設定するようです。

5万人のグループ全社員から新ビジネスの候補を募り、社員間で事業性など起業の可否を審査します。

明確な投資枠を設けることで、社員の起業への意識を高めるのが狙いです。

住宅や物流施設など主に既存事業に関連した有望なビジネスモデルをいち早く見つけ出します。

2024年6月の制度導入に合わせて社員からビジネス案を募集します。

年間200〜500件ほどの提案を見込んでいます。

中堅を含む各事業部の社員が起業の可否の審査に加わるのが特徴です。

外部のコンサルティング会社とともに、案件ごとの事業性を評価します。

既存の事業の枠組みにとらわれない自由な発想を生かすため、大和ハウスの経営陣は原則として審査プロセスの大半に関わらない方針です。

書類審査や面接などを経て2025年度内に第1号となる起業案件を出したい考えです。

年間では5社程度の社内ベンチャー企業を立ち上げます。

ベンチャー企業の設立や当面の運営に必要な資金を大和ハウスが支援します。

出資などを通じて1社当たり3億円を目安に拠出します。

立ち上げた新会社には提案者自身が少額出資できる仕組みも検討します。

3月に本格運用を始めた大和ハウスにとって初となるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)や、社外のVCからの資金調達も認める方針です。

大和ハウス本体とは別会社で事業化することで、迅速な経営判断ができます。

社員に経営者としての経験を積んでもらうため、ある程度の期間は赤字を許容しながら設備投資などの追加支援にも応じます。

業績が改善せず会社を清算する場合も、社員は起業前に所属していた部署に復帰できます。

経営の経験を大和ハウスでのキャリアに生かしてもらうことも社内起業の狙いです。

社内起業に対する明確な投資枠を設けることは珍しいようです。

大和ハウスは住宅の建設・販売を起点に、工場や物流施設、商業施設の開発など事業を多角化して成長してきました。

社内起業制度を通じて、既存事業のさらなる収益機会を模索します。

シナジー(相乗効果)が見込める新事業の開拓にもつなげます。

長期的には社内ベンチャー企業の総売上高を1,000億円規模にしたい考えです。

社内起業制度を次世代の成長エンジンと位置づけ、積極活用する企業は多いようです。

リクルートホールディングス(HD)は、通信教育サービス「スタディサプリ」や結婚情報誌「ゼクシィ」といった現在の基幹となる事業を生み出しました。

サイバーエージェントも執行役員が選抜した4人の社員がチームを組み新規事業を提案する「あした会議」を年2回開催し、2023年9月時点で累計37社の子会社設立を決めました。

これらの売上高の合計は約4,000億円に達します。

リクルートHDやサイバーエージェントには将来の起業を意識した学生などが多く入社します。

大和ハウスも外部から優秀な人材を集めるため、300億円という具体的な投資枠を設けて起業を奨励する社内風土を根付かせます。

個人的には、起業はある程度のリスクや危機感を持ってやらないといけないと思っていますが、時代的にこういった起業もありなんでしょうね。

リクルートなどのように、退職して起業しても成功する方がたくさん出るような企業は素晴らしいと思っていますので、大和ハウスもリクルートみたいな企業になってほしいですね。

実績が出てくると、採用にも良い影響を及ぼすと思いますし。

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法務省が2024年度にも会社代表者の住所を希望者は非公開へ!

日本経済新聞によると、経営者や起業家のプライバシーを保護し、ビジネスの新規参入を後押しする取り組みが始まります。

法務省は2024年度中にも、株式会社の登記の際に代表者が希望すれば自宅住所を非公開にする方針です。

会社の設立、代表者への就任などの際に住所の公表が必須でなくなります。

法務省は、パブリックコメント(意見公募)を開始しています。

省令の「商業登記規則」の改正を予定しています。

現在はストーカーなどの被害のある場合を除き、法務局の窓口などで紙の登記の資料を閲覧でき、インターネット上でも見られます。

もともと代表者の住所を公開しているのは公正で円滑な商取引を行うためです。

会社法は代表者の氏名、住所などを登記すると定めています。

取引先との商談の前に氏名や住所を確認して臨みたいという需要はあります。

自身の情報を開示して取引先の信用を得たいという起業家もいるようです。

ネットの普及で誰でも簡単に登記の情報にアクセスできるようになりました。

少額の手数料で閲覧できます。

手軽に情報を得られる半面、個人情報が不正利用され、脅迫やストーカー行為への心配が高まっていました。

かねて経団連や経済同友会、上場企業などから「代表者個人の住所を誰でも閲覧可能な状態にするのは望ましくない」と指摘がありました。

新興企業やフリーランスなどの業界団体は、2023年5月、自民党へ非公開を求める提言を提出しました。

「インターネット上に住所がさらされる可能性があり、法人化をためらうケースが発生している」などと訴えました。

日本弁護士連合会などには、悪質商法をする企業から被害を受けた消費者が会社を訴えられるように代表者の住所を公開すべきだとの意見があります。

会社に民事訴訟を起こす場合は本社の住所、届かない場合は代表者の住所に訴状を送ると定めています。

消費者が本社に訴状を送っても経営者が「雲隠れ」する事例があるようです。

本社の実際の住所と登記上の住所が一致しておらず、訴状を送付できない場合もありえます。

法務省は改正する省令案で、住所が非公開でも訴訟手続きを担保する仕組みを盛り込みます。

代表者に本社へ訴状が確実に届くことを証明してもらいます。

法務省はこれまでも住所の非公開化を検討してきました。

2022年にはネットでのみすべての住所を非公開とし、法務局での紙による閲覧は従来のままできるとする内容の省令改正案をまとめました。

パブリックコメントで「紙をもとにデータベースを構築する業者が出てきて意味がない」などの反対意見があがりました。

政府内で「紙で閲覧できる情報をネットで取得できないのは問題だ」との懸念が出ました。

僕自身も、住所が誰にでも見れる状況はどうなのだろうか?と以前から疑問に思っていました。

もちろん、世の中には悪質な会社などもあるわけですから、訴訟手続きに関する担保は必要だと思いますが。

あとは、資産管理会社などは本店所在地をご自宅にしているケースもそれなりに多いと思いますので、こちらは、本店所在地を別の場所にすることを考えた方が良いかもしれませんね。

法務省が2024年度にも会社代表者の住所を希望者は非公開になることについて、あなたはどう思われましたか?


定款認証を対面不要にして起業手続き期間を3日程度に短縮!

日本経済新聞によると、スタートアップの育成に向けて株式会社の設立手続きが簡素になるようです。

政府は公証人が設立者の意思などを確かめる際、対面確認を不要とする方向です。

意思確認できる動画などで代替する案があります。

登記を含めて2週間程度かかる手続きを3日ほどに短縮します。

2023年12月27日に開かれた法務省の有識者検討会で提言をまとめました。

公証人法は設立者が定款を作成したことを対面で認め、公証人に確認してもらう必要があると定めています。

同法を含めた関連法の改正案を2025年にも国会に提出します。

株式会社の設立には名称や事業目的などを記した定款の認証が必要です。

審査は法務大臣が任命する公証人が担います。

反社会的な勢力が他人名義でダミー会社をつくり、犯罪に悪用するといった事態を防ぐ目的です。

定款認証は年間およそ10万件あり、設立者は対面かオンラインで公証人と面会をする必要があります。

面会は5〜30分程度で、そのために公証役場に赴く負担を改善してほしいという要望があります。

対面手続きを省略するため、設立者の意思表明を撮影した動画を提出させる仕組みを想定しています。

本人確認をシステム上でできる方法も探ります。

起業の障壁を低くし、スタートアップの増加につなげる狙いです。

定款の作成についても起業家の負担軽減策を検討しています。

新興企業向けに商号や事業目的など数カ所を入力するだけで作成できる「モデル定款」の導入といった手法があります。

岸田文雄首相は2023年10月のデジタル行財政改革会議で創業環境の改善のため、公証人による定款認証を見直すよう指示しました。

法務省の調査によると、審査で指摘を受けたのは4割ほどで、最終的に認証に至らなかった事例は全体の0.5%です。

経済界からは一部の不適切な企業のためにそれ以外の企業が一律の負担を強いられることを批判する声があります。

日本の起業にかかる手続きの手間や費用の負担は他国に比べて重くなっています。

日本は定款認証と会社の登記含めて設立までおよそ2週間程度かかるのが一般的です。

アメリカやイギリスでは審査なしの登録のみで即日の起業が可能です。

ドイツやイタリアなどで公証人が定款認証や作成に関与する仕組みはあります。

定款認証と登記の費用は税金も含め最低20万円ほどかかります。

そのうち定款認証のために公証人に支払う手数料が、3万円〜5万円かかります。

予算執行の無駄などを点検する「秋の行政事業レビュー」で11月に経済界から引き下げの要望がありました。

定款認証の手数料を無料に近くすることが議論されました。

手続き効率化で引き下げの余地はあるとみています。

公証役場は全国におよそ300カ所あり、公証人は全国に500人ほどいます。

法曹資格者らから公募で採用され、7割弱が裁判官や検察官の退官者です。

法人の場合、起業(会社設立)は時間もかかるし、コストも高いと思っていましたので、期間が短縮され、コストも安くなるとありがたいですね。

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地方の新興企業が5年で5割増!

日本経済新聞によると、独自性のある技術やサービスで成長を目指すスタートアップが全国で増えているようです。
新興企業支援会社のデータベースでは、全国の企業数が5年間で5割増えました。
地元大学発の新興が相次いで誕生する長野県8割増と大きく伸ばしています。
地方でも産学官金の支援の輪が広がっており、スタートアップを生み育てる「エコシステム(生態系)」が構築されつつあります。

東証グロース上場のフォースタートアップスが作成した「STARTUP DB(データベース)」に登録されている2000年以降創業の企業を対象に、2023年6月末の登録数を2018年と比較しています。
登録は新たな技術やビジネスモデルでイノベーションの実現を目指す企業が対象です。
全体の登録数は1万5,692社で、東京都の企業が66%を占めますが、東京以外の自治体の合計登録数も5年で49.5%増と東京と同じ伸びを示しました。

増加率4位の長野県は信州大学の積極性が目立ちます。
2017年に知的財産・ベンチャー支援室を開設し、2018年には「信州大学発ベンチャー」の認定を始めました。
現在の認定企業は17社で、起業や事業拡大に向けた多彩な支援を受けられます。

信州大学は企業との共同研究が盛んで、特許の出願件数も地方大学でトップクラスです。
支援室長の松山紀里子准教授は「有望な技術が大学のどこにあるかを把握しており、起業を後押ししやすい」と説明しています。

認定企業の一つで2017年創業の精密林業計測(長野県伊那市)が目指すのは、地場産業である林業の活性化です。
担い手不足が深刻になるなか、ドローンなどを使って伐採に適切な木を判別するなど効率化を進めます。
農学部の特任教授でもある加藤正人社長は「特許取得などで大学の支援を受けており経営もしやすい」と話しています。

金融機関も支援に前向きです。
2022年には長野県が音頭を取り、八十二銀行グループや投資会社などが「信州スタートアップ・承継支援ファンド」を設立し、これまでに信州大学発企業を含めた9社に出資しています。

奈良県は18社と登録は少ないですが、増加率は2倍でトップです。
就職時の若者の県外流出に悩む奈良市は、独自の起業家育成プログラムを通じて「新興企業のエコシステムをつくりたい」(産業政策課)ようです。
7年目の今年のプログラムには6社が参加します。

在宅の縫製士をネットワーク化し、高付加価値で小ロットの仕事を発注するヴァレイ(奈良県上牧町)の谷英希社長は1期生です。
「情報不足の奈良でモヤモヤしていたが、プログラムを通じてビジョンを形にできた」と振り返っています。
2016年の会社設立から委託先は約300か所に増え、年商は1億円を超えます。
現在は高校生への講演などにも熱心です。

伸び率6位の愛知県は自動車など基幹産業が安定していることで、逆に「新興企業不毛の地」とも言われてきました。
クルマの電動化など変革の波が押し寄せるなか、大村秀章知事は「スタートアップで産業構造を変えたい」と意気込んでいます。
愛知県が2020年に開いたインキュベーション施設には300近い企業が集まっています。
2024年秋には国内最大級の育成拠点「ステーションAi」も開きます。

スタートアップ育成は国をあげての課題でもあります。
政府は2022年に「5か年計画」を策定し、2027年度の新興企業への投資額を10倍超の10兆円規模にすることを目指しています。

日本総合研究所の井村圭マネジャーは「農業や製造業の効率化など地域の課題に取り組む新興企業が増えることで産業の高度化につながる」と強調しています。
「今後も既存企業を巻き込んで地域全体の革新につながるような支援に力を入れる必要がある」としています。

やはり、スタートアップが出てくるということはすごく良いことだと思います。
ちなみに、我が香川県は増加率92.3%、スタートアップ数25社で、第2位でした。
どんどんスタートアップが出てきて、地域の活性化などに貢献してほしいですね。
信州大学のように、我が香川大学も産学官金で何かできればいいのになぁと思います。

地方の新興企業が5年で5割増となったことについて、あなたはどう思われましたか?


メガバンクがネットで法人口座開設など来店不要手続きを増やしている!

日本経済新聞によると、法人口座を開設するには来店して事業の実態を確認する面談が必要でしたが、メガバンクが来店不要の手続きを増やしているようです。

みずほ銀行は店舗に行かずに法人口座を開設できるサービスを7月中に全国展開します。
三井住友銀行と三菱UFJ銀行も今年度中に全国で導入する考えです。
個人向けでは、3メガバンクともアプリによる口座開設やネット振り込みを導入しています。
店舗やATMに行く必要があるのは、現金の入出金や細かな手続きを残すのみとなりました。

法人口座の開設には銀行員と企業の担当者との面談で事業の実態を確認する必要がありました。
このため個人向けに比べるとデジタル化が遅れていました。
全国のみずほ銀行では7月下旬から、法人は一度も来店せずに口座開設ができるようになります。
一部支店では2021年から導入しており、インターネット経由の申し込みの割合が2019年度から2020年度で1割以上伸び5割を超えてきました。

全国一斉の対応はメガバンクでは初めてです。
事業の実態などを確認する審査は専門部署に集約し、オンラインで企業の担当者と面談します。
店舗の営業時間後でも柔軟に対応し、必要書類は郵送でやりとりします。

三井住友銀行はスマートフォンとパソコンで口座開設手続きが完結するサービスを8月に都内12の本支店で始め、2022年度中に全国で導入します。
グループの日本総合研究所やSMBCクラウドサイン、ポラリファイと協力し、顔写真による本人確認や必要書類のアップロード、電子署名などのシステムを導入します。
他メガと異なり、書類の郵送やオンライン面談をせずに口座の開設ができるようにします。
速やかに口座を開きたいスタートアップなどの利便性を高めます。

法人口座の開設は申し込みから4週間程度かかっていましたが、面談や書類送付をなくすことで短縮できるとみています。
残高証明書の発行や口座解約、法人の定期預金など頻度がさらに少ない手続きもデジタル化して来店不要にすることを検討します。

三菱UFJ銀行は2018年、他メガに先駆けてネットでの法人口座開設サービスを一部店舗で始めました。
6月時点では窓口がある店舗の4割で利用が可能になりました。
2022年度中に全店展開する方針です。

法人口座を開設するには、審査のための面談やキャッシュカードの受け取りなどで数回来店するのが一般的です。
書類に不備があると来店回数が増えることもあります。
創業間もない企業の経営者が手続きのために支店を訪れるのは負担が大きいです。

法人口座のネット開設は銀行側の経営効率化にもつながります。
3メガバンクはネットからの開設申し込みを受ける部署を一本化する方針で、各店舗で担っていた業務を集約することで、生産性の向上につなげます。

2021年度の法人口座開設のうち6割超を創業間もない企業が占めるGMOあおぞらネット銀行は最短即日で法人口座の開設ができます。
4月には、会社の登記が完了する前に法人口座開設手続きに入り創業から口座開設までの期間を2~3週間短くするサービスを始めました。
メガバンクが本格的に乗り出せば、スタートアップを巡る競争が激しくなる可能性があります。

最近は、口座の開設がなかなかできない状況ですので、こういったことで少しでも口座開設ができないということが解消され、早く開設できるようになるのであれば、素晴らしいことですね。
僕自身も、法人の口座をネットでメガバンクで開設してみようと思います。

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個人保証を創業5年間は不要に!

時事ドットコムによると、政府が、創業間もない「スタートアップ企業」支援のため、金融機関から融資を受ける際に創業5年未満は経営者の個人保証を免除する方針であることが、先日、分かったようです。
日本政策金融公庫など政府系金融機関に新たな制度を設けます。
併せて、企業の独自技術など無形資産も融資時の担保にできるよう法制化を進めます。
新興企業が創業期に資金調達しやすい環境を整え、経済活性化を後押しします。

政府は2022年6月に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画で、スタートアップ企業を5年間で10倍に増やす目標を掲げました。
ただし、こうした企業は工場など担保となる有形資産を持たず、創業当初は赤字が続くことも多いです。
経営者が連帯保証人となる個人保証や担保なしに融資を受けるのは、難しいのが実情です。

支援策では、日本政策金融公庫が個人保証を不要とする期間について、現行の「創業2年未満」から2倍程度に延ばす方向です。
信用保証協会も創業5年未満の企業に対し個人保証を求める規則を見直し、保証を不要とする制度を新設します。
商工中金は現在も半分以上のスタートアップ向け融資で個人保証を取っていませんが、原則不要にします。

民間金融機関にも対応を促します。
金融庁は、法人と経営者個人の資産が明確に区分され、財務情報が適切に開示されていれば、個人保証を取らないよう改めて文書で要請する方針です。

一方、金融機関にとっては個人保証や担保なしに融資すれば、貸倒時のリスクが高まります。
金融庁は、技術力や顧客基盤、特許など将来の成長につながる無形資産も担保と位置付けられるよう法整備を検討しています。
民法の特別法として制定する見通しで、早ければ2023年の通常国会提出を目指します。

やはり、起業する方にとってネックの一つとなるのが、個人保証でしょうね。
本来、事業性を評価し、将来のキャッシュ・フローを担保にお金を貸すことが融資だと思いますが、貸す側が事業性を評価するようなノウハウを持ち合わせていないのか、個人保証や担保をベースに融資を行っているのが現状です。
もちろん、個人保証なしとなると、詐欺的な行為も増えてくるでしょうから、その辺の見極めが重要になってくるでしょうね。
多すぎると言われている金融機関が生き残っていくためには、手数料目的の投資信託やiDeCoなどに注力するのではなく、事業性を評価する能力を高めていく方が重要なのではないかと個人的には思います。
その方が諸々のコンサルティングのベースとなるでしょうから。

個人保証が創業5年間は不要になることについて、どう思われましたか?


「コロナ不況」にもかかわらず希望退職に申し込みが殺到する理由!

M&AOnlineによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う景気低迷で、希望退職の募集が相次いでいます。
景気が悪くなれば企業が希望退職を募るのは当たり前ですが、事前想定を大きく上回る応募者が殺到する事例が目立っています。
かつては従業員を震え上がらせた希望退職に、なぜ応募が殺到するのでしょうか?

松山三越(松山市)が2020年5〜7月にかけて希望退職を募ったところ、約200人が応募しました。
全従業員約250人の8割に当たる「大量退職」になります。
残る2割の50人で運営が継続できるかどうか不安になりますが、同店は2021年秋のリニューアルで7~8階に道後温泉でホテルを展開する茶玻瑠(同)が運営する高級ホテルが入居するほか、1階と地階には地元の食料品や土産物店などのテナントを誘致、直営フロアは2〜4階の3フロアに縮小するため「人手不足危機」は避けられるそうです。

大手アパレル大手のワールドが2020年9月に実施した希望退職者募集には当初想定の約200人に対して、ほぼ5割多い294人が応募しました。
ワールドは「ハッシュアッシュ」「オゾック」「サンカンシオン」など5つのブランドを廃止すると同時に358店舗を閉店するなどリストラを進めています。

同じアパレル大手では2020年1月に実施したオンワードホールディングスの希望退職で、当初想定の約350人を2割近く上回る413人が応募しました。
同列に比較できないものの、コロナ禍で希望退職への応募が加速した可能性はあります。

「はなの舞」や「さかなや道場」などの居酒屋チェーンを展開するチムニーが2020年8月に実施した希望退職者募集には、当初想定の100人を5割も上回る152人が応募しました。
同社はコロナ禍による売上減で72店舗の閉鎖を決めています。

飲食店向け人材サービスのクックビズも、外食業界がコロナ禍で売り上げを大幅に落としたあおりを受けて2020年8月に50人の希望退職を実施したところ、63人が応募しました。これは全社員約190人の3分の1に当たります。

日本では希望退職を募集しても実際の応募は当初想定を下回り、人員削減に苦労するケースがたくさんありました。
しかしながら、このところ応募者が当初想定を大幅に上回るケースが増えています。

上場企業の希望退職で想定外の応募が殺到した最初の事例として知られているのは、2001年2月に実施したマツダです。
1,800人の募集枠に対して、受付開始と同時に応募者が殺到し、2時間後に急きょ募集を打ち切り、募集枠を2割以上も上回る2,210人が退職することになりました。
突然の打ち切りに応募が間に合わず、「先月の予備面談で上司に退職の意志表示はしている。希望退職を受け付けろ」「いや、もう受け付けられない」との押し問答も見られたそうです。

当時のマツダはアメリカのフォード・モーターの経営支配下にあり、アメリカの企業では当たり前だったが当時の日本企業では破格となる30歳代で年収の1.5倍、40歳代で2.5倍という退職金の加算に加え、ITバブルで再就職先に困らなかったという事情があったようです。

現在では日本企業でもアメリカの企業並みの手厚い退職割増金や再就職支援といったサポートが充実しています。
さらには、転職が当たり前となり、再就職への抵抗感がなくなってきたという働き手の意識の変化もあるでしょう。

なにより、日本経済の「不況」のパターンが変わったことが大きいかもしれません。
かつて「不況」といえば景気循環によるものと考えられており、「いずれ景気が上昇すれば、企業収益は持ち直す」というのが共通認識でした。
それゆえ、希望退職に応じず、会社にしがみついている方が有利と考えられていたのです。

ところが、近年は「寿命」を迎えた業界は、これから景気が持ち直しても苦境が続くとの見方が一般的になっています。
たとえば、百貨店業界や同業界に大きく依存する大手アパレル、過当競争と人出不足に悩む居酒屋チェーンといった、当初想定を上回る希望退職者が出た業界が該当します。

こうした業界では、将来性が低い会社にしがみついている方がリスクは高いと言えるでしょう。
むしろ、「会社が手厚いサポートをする余裕があるうちに退職した方が有利」と考えるのも無理はありません。
企業にとっては「いかに1人でも多く希望退職に応募させるか」に悩む時代から、「どうやって当初想定の範囲内に希望退職者を抑え込むか」に苦慮する時代になったようです。

昔から『会社の寿命は30年』((注)30年でほとんどの企業が潰れるという意味ではありません。それは都市伝説です。)と言われたりしますが、新入社員として入社したときに人気業界の企業であったとすれば、管理職になるころには衰退業界の企業になっている可能性も高いのではないかと思います。

それゆえ、希望退職を機に転職するという選択肢は正しいのかもしれません。

ただし、現在は、新型コロナウイルスの影響で、特定の企業に限らず、幅広い業界で、リストラをしたり、採用を止めたり、抑えたりしているような時代なので、希望どおりの企業に転職できるかどうかは分からないでしょうね。個人的には、新規に起業したり、スモールM&Aで起業したりして、新しい商品やサービスを提供する企業や個人事業主がたくさん出てきて、日本の経済が上向けばいいなぁと考えています。

「コロナ不況」にもかかわらず希望退職に申し込みが殺到する理由について、どう思われましたか?


介護や地場産業が起業しやすくするために「協同労働」に法人格を付与!

自民、公明、立憲民主など超党派議員が、働く人たちが資金を出し合って経営に携わる「協同労働」に法人格を認める議員立法に乗り出すようです。
非営利の新たな法人格をつくり、信用力を高めて起業しやすくするようです。
超党派の協同組合振興研究議員連盟が法案をとりまとめ、今国会に提出し、成立をめざすようです。

2年以内の施行を想定しているようです。会社でもNPO法人でもない第3の法人格「労働者協同組合」をつくるようです。

一般の会社なら、出資者(株主)と経営者、従業員が別々に存在します。
しかしながら、協同労働は働き手全員が出資者となり、皆で協議しながら経営方針を決めていきます。
よって、労使関係がないため、働き手が仕事の量を調整しやすくなっています。

議連会長を務める河村建夫氏(自民党)は「主婦や高齢者などによる起業を増やし、地域課題の解決につなげたい」と語っています。

協同労働の発祥はヨーロッパで、日本でも約10万人が働いています。
訪問介護や学童保育、農産物加工品の直売などに従事しています。

国内の事業規模は、約1,000億円に成長しています。

協同組合には、農業協同組合(農協)や生活協同組合(生協)などがあります。
法律上、農協は農業従事者、生協は消費者が対象です。
幅広い業種で働く人がお金を出し合う協同労働は、協同組合として認めていませんでした。
現行では、協同労働には制約があります。

たとえば、金融機関の融資を受けにくくなっています。
それゆえ、法人格があれば、介護や保育の施設、農産物の加工場などの建設や運営がしやすくなるでしょう。

法案には多様な就労機会を創出して地域の需要に応じた事業を促進し、持続可能で活力ある地域社会の実現をめざすと明記するようです。
協同組合は、働き手がお金を出し合って設立し運営します。
なお、出資配当は認めず、事業で得たお金は働き手で分配します。
会社やNPO法人から労働者協同組合への転換は可能ですが、人材派遣業は除外するようです。
行政の監督対象となり、信用度も高まるでしょう。

かつてはPTAやボランティア団体などを想定し、営利法人と公益法人の中間的な団体を「中間法人」として法人格を与える仕組みがありました。
2008年に中間法人は廃止となり、現在は一般社団法人に統一されています。

個人的には、どれほどニーズがあるのかよく分かりませんが、起業などがしやすくなり、地域活性化につながるのであれば、良いことだと思います。
ただし、NPO法人のように、特定非営利活動法人という名前から皆さんがイメージするのものと、実態がかけ離れたものにはならないようにして欲しいと思います。

介護や地場産業が起業しやすくするために「協同労働」に法人格を付与する方向であることについて、どう思われましたか?


新設企業の5社に1社が合同会社になっている!

 20171月から12月に全国で新設された法人(以下、新設法人)は、131,981社(前年比3.1%増)で、2010年以来、8年連続で前年を上回りました。
なかでも「合同会社」は27,039社(同14.4%増)と急増ぶりが際立っています。
「合同会社」は、「株式会社」より設立費用が安価で、手続きも簡易な上に株主総会を開催する必要もなく経営の自由度が高くなっています。
最近では20185月に ()DMM.com()DMM.comラボを吸収合併し、株式会社から合同会社に組織変更しています。
同社は、この目的について「意思決定の迅速化、事業推進の効率化を図ること」と説明しています。
さらに、大手外資系企業の日本法人であるボーズ(2017年) 、ワーナーブラザースジャパン(2016年)も合同会社となる動きがありました。
なお、本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象477万社)から「合同会社」を抽出し、20171月から12月 に設立された新設法人と過去の新設法人データを分析したものです。

<新設法人の5社に1社が合同会社>
2017年の新設法人のうち、「合同会社」は27,039社で、前年より3,412社増加しました。
増加率(14.4%増)は前年(7.7%増)を6.7ポイント上回りました。
当初、「合同会社」は信用の面で「株式会社」より低いとされていました。
しかしながら、2006年の会社法施行から10年余を経て、大手外資系企業の日本法人が合同会社となった実績に加え、様々なメリットも浸透してきたようです。
新設法人に占める「合同会社」の構成比は年々上昇し、2013年の13.1%から2017年は20.4%に上昇し、2割を超えて新設法人の5社に1社にまで増えています。

<産業別>
「合同会社」を産業別でみると、10産業のうち、8産業が前年より増加しました。
構成比トップは、サービス業他で38.7%を占めました。
サービス業他の新設法人は中小・零細企業が中心で、取引相手も一般消費者が多く、会社形態にさほどこだわらないことが要因とみられます。
増加率のトップは、不動産業で前年比34.9%増で、金融・保険業(前年比32.4%増)、建設業(同30.4%増)も30%以上の増加率でした。

<業種別>
業種別でみると、社数トップは不動産業で6,024社(構成比22.2%)でした。
2015年が3,738社、2016年が4,465社と年々増加しています。
金融,保険業は2016年の前年比20.1%減(959社)から、2017年は同32.4%増(1,270社)と大幅に増えました。
FX(外国為替証拠金取引)や急騰した仮想通貨で利益を得た個人が節税目的で「合同会社」を設立し、押し上げたことも一因とみられます。
一方、減少は繊維工業(同7.9%減)、織物・衣服・身の回り品小売業(同1.8%減)などが目立ちました。

<都道府県別>
都道府県別では、最多は東京都の9,522社(前年比20.0%増、構成比35.2%)。次いで、神奈川県の2,020社(同15.0%増、同7.4%)、大阪府の1,821社(同18.2%増、同6.7%)と大都市圏が上位に並びました。
33都道府県で前年を上回り、増加率トップは、和歌山県の前年比59.0%増でした。
次いで、山梨県の同51.4%増、長野県の同42.6%増と続いています。
一方、減少率では、秋田県の同21.5%減を筆頭に、岐阜県が同13.8%減、徳島県が同13.5%減の順でした。
我がうどん県(香川県)は前年と同数でした。
地区別では、北陸を除く8地区で増加しました。
増加率トップは、中部で前年比19.9%増(2,111社)でした。
次いで、近畿が同18.0%増(3,336社)、関東が同16.4%増(15,453社)と続いています。

2017年の新設法人数は13万社を超え、調査を開始した2007年以降で最多記録を更新しました。
法人格別にみると、「合同会社」だけが年々増加し、他の法人格は伸び悩んでいます。
2017年の「合同会社」の急増は、不動産やFX、仮想通貨の個人投資家が節税対策の一つとして活用したことが背景にあるとみられます。
しかしながら、シェアハウスのサブリース問題で銀行の不動産融資は厳しくなっています。
また、仮想通貨も不正アクセスによる流出事件を契機に、交換業者やみなし業者への業務改善命令が相次ぎ、相場も乱高下を繰り返しています。
このため、今後は個人の不動産・仮想通貨への投資意欲が減退し、「合同会社」の新設数への影響も想定されます。

「合同会社」は他の法人格にはない、設立の手続きが簡便で、安価に設立でき、経営の意思決定が迅速というメリットがあります。
こうしたメリットが浸透すれば節税効果に依存せず、資金力が乏しくても創業支援の後押しを受け新規立ち上げに活用される可能性が残っています。
日本の「合同会社」のモデルとなった米国の「LLC」のように、パススルー課税(法人税がなく、出資者の所得税のみが課税される制度)の適用も、開業率アップへの検討課題かもしれません。
政府の成長戦略である「未来投資戦略」は、開業率を欧米並みの10%を目標に掲げています。
ただし、税金対策での乱立は本末転倒でしょう。
「イノベーション・ベンチャーを生み出す好循環システム」という本来の目的からも乖離してきます。
今後、「合同会社」はメリットを生かして、すそ野を広げた地域経済の活性化への貢献が求められます。
新設企業が実需と雇用を生み出し、経済活動に携わるには、時間的な猶予と同時に、サービス業や製造業、建設業など、幅広い業種での設立誘導が必要でしょう。

確かに、最近は合同会社が増えていますね。
それは、僕が設立から関わっている案件でもすごく感じます。
個人的にも、起業する人が増えて、地域の活性化につながればいいなぁと考えていますが、新設法人が増えているのは喜ばしいことですね。
ただし、節税対策として法人を設立するのも良いと思いますが、設立時は色々と資金が必要でしょうから、設立費用がもっと安くならないのかなぁと切に思います。
ベンチャー企業がたくさん出てきて、その中から地域、ひいては日本をけん引するような企業が出てきてほしいですね。

 新設企業の5社に1社が合同会社になっていることについて、どう思われましたか?


1円起業に5万円」の謎

 「一円起業、5万円也(なり)」。
起業の手続きに必要なこんな手数料について、廃止を訴える内閣官房と必要と主張する法務省が昨秋から対立してきたようです。
結果は存続で固まり、法務省に軍配があがりました。
首相官邸の人事権を背景に各省を動かす手法が、法曹界を後ろ盾にする法務省には通用しませんでした。 起業の手続きを巡る議論の発端は、安倍晋三首相が打ち出した「世界で最もビジネスしやすい国」づくりです。
成長戦略で「日本のビジネスのしやすさを20年までに先進国で3位以内にする」との目標を掲げてきました。世界銀行によると、日本の順位は2013年には経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中15位でした。
あれから5年後の順位は24位です。
目標に近づくどころか、一段と遠のいています。
とりわけ見劣りするのが、32位の評価に沈んだ「法人設立のしやすさ」です。
日本は手続きが煩雑なうえに、登記などに時間がかかるのです。政府は2017年9月に検討会を立ち上げ、法務局への登記や税務署への設立届などを1回でまとめるといった改善点をまとめました。
一方で、政府内で対立が深まったのが、公証制度を巡る問題です。公証制度は遺言書や不動産売買などの重要な契約書について、公証人が公正証書などで内容を証明する制度です。
株式会社をつくるには、会社の目的や組織、運営に関するルールを定めた定款の認証を公証人から得なければなりません。これに、1回当たり一律5万円の手数料がかかるのです。
資本金1円の株式会社でも5万円です。起業したことのある経済人からは不満が多いようです。
「超アナクロ的な現状は絶対に変えるべきだ」と、先日、官邸で開いた未来投資会議で、民間議員の金丸恭文フューチャー会長は公証制度の「面前確認」と「手数料5万円」を批判しました。経済界の声を反映し、内閣官房は改革の原案をつくりました。
標準的な項目を記載した定款に電子署名を付けてオンラインで申請すれば、公証人の認証手続きを撤廃するという案です。
これに対し、公証制度を所管する法務省が「暴力団などの反社会勢力が隠れる法人が増えかねない」と反発しました。法務省は撤廃の代わりに、「スマホなどを通じた画像や音声でのやりとりも認める」という案を示しました。
将来は、公証人にオンラインで送った定款のデータを法務局に転送するシステムもつくるようです。この見直しで、公証役場に出向く義務はなくなります。
しかしながら、それでも5万円の手数料は手つかずに終わりました。
日本公証人連合会の大野重国理事長は、「会社法の改正などに応じて公証人の研修を重ねたり、電子定款システムのセキュリティー対策を施したりするなど投資負担は軽くない」と語っています。

今回の見直しで壁となったのは、中央官庁の中では特殊な法務省内の法曹関係者の存在です。

多くの公証人は裁判官と検察官のOBです。
内閣官房の資料によると、東京法務局に所属する指定公証人は103人で、裁判官が45人、検察官が58人です。
手数料を減らしたりなくしたりすれば、裁判官や検察官の再就職先の収入が減ってしまうことになります。

制度を所管する法務省の幹部ポストには検察官や裁判官からの出向者が多くなっています。
公証制度の見直しを担当した民事局も、幹部6人のうち5人は裁判官出身者です。

ある法務省の政務三役経験者は「検察庁や裁判所からの出向者は法曹界の利益を優先しがちだ。一方で官邸の人事権は及びにくい」と語っています。
他の省庁の職員と異なり、人事を恐れて官邸の意向に従う雰囲気にならないようです。

手数料が5万円になったのは1993年だそうですが、額の根拠ははっきりしないようです。
内閣官房は定款認証による手数料収入が年50億円あり、公証人1人あたりの収入が約1,000万円とはじいています。
ある関係者は、「法務省の願いは手数料の死守だった」と話しています。

日本の開業率は6%で、10%台の米英レベルは遠いです。
日本は親会社と子会社で税務や社会保険の手続きをまとめるのが法的に難しく、社会保険労務士などの既得権になっているとの指摘もあります。

 5万円の手数料すら見直せない現状では、「ビジネスをしやすい国」は遠のくだけでしょう。

当然コストはかかるでしょうから手数料が必要なのは理解できますが、公証人の収入を確保するために手数料を死守するのはどうかと思います。
AIなどの発達により、今後、手間が省かれ、手数料が下がることを期待したいですね。
やはり、会社設立に費用がたくさんかかるということが、会社設立を躊躇する一因だと思いますので。

「1円起業に5万円」の謎があることについて、どう思われましたか?


仮想通貨(イーサリアム) を現物出資して会社設立!

2018年04月23日(月)

仮想通貨を資本金の一部に組み込んだ企業が生まれるようです。
仮想通貨関連のベンチャー、スマートコントラクトシステムズ(東京・千代田)は、金融システム開発のシンプレクス(東京・港)と5月につくる共同出資会社に仮想通貨「イーサリアム」を現物出資するようです。

 新会社は仮想通貨取引の価格の透明性を高める仕組みづくりを担うようです。
資本金2億円のうちシンプレクスが1200万円を現金で、スマート社がイーサリアム9,800万円相当を現物で出資します。
会社法は、不動産や有価証券など金銭以外の財産の現物出資を認めていますが、仮想通貨を使うのは極めて珍しいと言えます。

企業による仮想通貨の活用を巡っては、企業会計基準委員会(ASBJ)が先日、会計ルールを策定しました。
保有する仮想通貨は、原則として期末に時価評価し、価格変動に応じて損益に計上することなどを決めています。
スマート社は一定程度、多めに現物出資し、イーサリアムの価格変動に伴う出資比率の変動を吸収できるようにします。

イーサリアムの活用をめぐっては、米JPモルガン・チェースやマイクロソフトなど欧米の約30社が企業連合を立ち上げ、企業間取引への応用を目指して技術開発しています。
日本勢ではトヨタ自動車子会社や三菱UFJフィナンシャル・グループのほか、スマート社の親会社も連合に参加しています。

個人的には、いまだ成熟しておらず、価格変動リスクの高い仮想通貨を現物出資するのはどうかと思いますね。

仮想通貨(イーサリアムを現物出資して会社設立するところが現れたことについて、どう思われましたか?


経済産業省が大学発ベンチャーに関する調査結果を取りまとめデータベースの運用を開始!

 経済産業省は、大学発ベンチャーに関する調査を実施した結果、2,093社の大学発ベンチャーを把握し、昨年度調査時(1,846社)に比べ247社増加していることが分かりました。
 また、本調査の結果を基に大学発ベンチャーデータベースを構築し、運用を開始しました。<背景・経緯>
経済産業省は、大学発ベンチャーの設立状況を把握するとともに、「イノベーションの担い手」として高く期待される大学発ベンチャーの効果的な支援の検討のため、平成26年度以降、毎年本調査を実施しています。
また、大学発ベンチャーの設立状況等の動向や成功要因を正確に把握するためには、大学発ベンチャーの基礎データを継続的に把握することが重要であり、平成29年度においても引き続き調査を行いました。<調査の結果概要>
 大学発ベンチャー設立数について、平成29年度調査において存在が確認された大学発ベンチャーは2,093社であり、平成28年度調査時より247社増加していることが分かりました(平成28年度調査時は1,846社)。
大学発ベンチャーの大学別創出数について、概ね昨年度調査時と同様のランキングとなりましたが、名古屋大学が大きく順位を上げました。

順位 (前年度)     大学名      創出数
1   (1) 東京大学         245
2   (2) 京都大学         140
3   (3) 筑波大学          98
4   (4) 大阪大学          93
5   (5) 九州大学          81
6   (6) 早稲田大学         74
7  (12) 名古屋大学         69
8   (7) 東北大学          56
9   (8) 東京工業大学        53
10  (10) デジタルハリウッド大学   52
11  (11) 慶応義塾大学        51
12   (9) 北海道大学         49
13  (15) 龍谷大学          43
13  (13) 広島大学          43
15  (12) 九州工業大学        39
16  (19) 神戸大学          31
16  (18) 岡山大学          31
18  (17) 会津大学          29
19  (22) 名古屋工業大学       27
20  (16) 立命館大学         26

大学発ベンチャーの大学関係者の役割について、研究・開発の方針、戦略への助言や技術的指導を行う者(技術顧問)が約6割と最も多く、次いで経営方針・経営戦略の最終的な決定者(CEO、代表取締役)、研究・開発の方針、戦略の最終的な決定者(CTO)の順に多いことが分かりました。
大学発ベンチャーの業種について、バイオ・ヘルスケア・医療機器が最も多く、次いでIT(アプリケーション、ソフトウェア)、ものづくり(ITハードウェア除く)、環境テクノロジー/エネルギー科学・素材等の自然科学分野(バイオ関連除く)、IT(ハードウェア)の順に多いことが分かりました。

<大学発ベンチャーデータベースの構築・運用>
本調査で得られた大学発ベンチャーの情報を基に、大学発ベンチャーデータベースを構築し、運用を開始しました。
本データベースは、大学発ベンチャーの基本情報や関連特許、人材、資金等の情報を掲載しています。
本データベースが大学発ベンチャーと関連する事業者のマッチングを促進させ、大企業、アクセラレーター、ベンチャーキャピタル等から大学発ベンチャーへの人材や経営等の支援、リスクマネー等の資金の循環に繋がることを期待しています。
 大学発ベンチャーデータベースHP

<担当>
産業技術環境局大学連携推進室長飯村
担当者: 船橋、小林、内藤
電話:03-3501-1511(内線33713
03-3501-0075(直通)
03-3501-5953FAX

<公表日>
平成3039()

税金などを使って研究しているわけですから、民間企業などにそこで得られた知見などを移してしていくことは、非常に大事なことだと思っています。
一方で、研究者は、経営者には向かない方が多いと思いますので、いろいろな位置づけで、うまくやっていければいいですね。
我が関西学院大学や、教鞭をとっている香川大学が上位20大学に入っていないのはとても残念ですが、日本を挙げて、このような企業が増えてくれることを期待したいと思います。

経済産業省が大学発ベンチャーに関する調査結果を取りまとめデータベースの運用を開始したことについて、どう思われましたか?

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BLOG(相続税)

地価上昇で税収が潤う不動産取得税は17年ぶりの水準で相続負担に軽減論も!

日本経済新聞によると、地価の上昇を受け、不動産の売買や所有にかかる税収が増えているようです。

2024年度は不動産取得税が17年ぶりの高水準となり、固定資産税は過去最高を更新しました。

税収の増加は財政を下支えする一方、相続や住宅ローンを巡って税負担の軽減に向けた議論が盛り上がる可能性があります。

不動産は購入、所有、売却の各段階で税金がかかります。

総務省によると、購入時に都道府県に納める不動産取得税は2024年度に4,546億円となりました。

前の年度に比べて3%増え、不動産ミニバブル期の2007年度(4,845億円)以来の水準に回復しました。

地価が上がったことで課税額の基準となる不動産評価額が上昇し、取引件数の増加も寄与しました。

行政手続きの手数料収入も増加しました。

該当する国の印紙収入は1兆442億円と3%増え、6年ぶりの高い水準となりました。

収入の内訳は公表されていないものの、財務省によると、不動産取引が活発になったことで所有権を移転する際の登記にかかる登録免許税が増加しました。

紙の印紙税はデジタル化で減収基調にあり、登録免許税が補っているようです。

不動産の所有者が市町村に払う固定資産税は9兆9,556億円と2%増え、3年連続で過去最高となりました。

市街地にある土地や建物の所有者に上乗せする都市計画税は1兆4,402億円と2%増え、こちらも過去最高を更新しました。

国に納める相続税は3兆5,523億円で、過去最高だった2023年度の3兆5,663億円に次ぐ規模でした。

要因としては地価上昇が大きいようです。

株高による株式価値の向上も税収を押し上げました。

相続税の算定基準となる路線価は2025年に、全国の標準宅地の平均変動率が4年連続でプラスとなりました。

高齢化で亡くなる人が増えていることもあり、今後も税収増加が見込まれます。

不動産にかかる主な税収はバブル期の1990年代をピークに減少しましたが、2013年の日銀による異次元緩和後は増加傾向にあります。

低金利を背景に住宅購入が幅広い世代で盛り上がり、外国人による投資も旺盛となりました。

こうした動きが地価を押し上げ、当面は上昇が続くとの見方から不動産取引が活発になっています。

2024年度の不動産関連の税収合計はおよそ16兆4,000億円と過去最高となり、バブル期のピークだった1996年度の15兆3,000億円程度に1兆円超の差をつけました。

不動産売買では他にも所得税や消費税がかかり、これらを含めると関連する税収はさらに大きくなります。

税収の拡大は国や地方自治体の財政を下支えします。

ただし、都市部ではマンションなどの価格が高騰し、若年層が住宅を購入しづらい状況が続いています。

お金を借りて物件を買った人の所得税を軽くする「住宅ローン減税」は2025年末が期限で、制度の継続の是非は2026年度税制改正のテーマのひとつとなります。

相続税を巡っては過去に、地価の上昇局面で課税の最低ラインにあたる基礎控除を引き上げてきた経緯があります。

2015年にはバブル期以降の地価下落をふまえ、控除額を引き下げました。

消費税増税への不満が高まるなか、富裕層の課税を強化する狙いもありました。

2015年の制度改正以降、亡くなった人に占める課税対象件数の割合は5%程度から、足元では1割程度に上昇しました。

地価が上昇基調に転じたことで、控除引き上げの議論が再燃する可能性があります。

亡くなった人の自宅を相続する際、相続税を払えず同居していた配偶者らが家を手放すことを防ぐ仕組みの充実を求める声もあるようです。

先日の参院選では、外国人による不動産取得の規制を公約にかかげる政党が目立ちました。

規制を設けることになれば、税収にも影響は広がるでしょう。

不動産価格が上昇すると、税収が増えますね。

先日、とあるところで二重に固定資産税が課されていたケースを目にしましたので、固定資産税が正しく計算されているかどうかの疑問はありますが。

確かに、不動産価格が上昇すれば、基礎控除額を引き上げてほしいですね。

地価上昇で税収が潤う不動産取得税は17年ぶりの水準で相続負担に軽減論も出ていることについて、あなたはどう思われましたか?


おひとり様が遺言・契約で財産や死後事務の後を託す!

日本経済新聞によると、ずっと独身だったり、家族と離別・死別したりした高齢の単身者が増えています。

「死んだ後のことなど関係ない」などと言っていられるのは若いうちだけです。

高齢のおひとり様は、自分の財産をどう引き継ぐか、万が一の際の手続きを誰に頼むかといったことを早めに決めておかないと、親族や周囲に迷惑や負担をかけることになります。

東京都内に住むAさん(70)の60代のいとこが一昨年、心臓発作で亡くなりました。

いとこはひとりっ子でずっと独身、両親もすでになく相続人はいませんでした。

「複数の不動産物件を持ち、1億円以上は財産があったはず」とAさんは話しています。

入退院を繰り返すいとこの面倒をみていたAさんは特別縁故者として財産の一部を受け取ることができると思い、裁判所に相続財産清算人選任の申し立てをしました。

清算人の経費や報酬に充てる予納金約100万円も払いました。

裁判所が指定した弁護士が相続人や債権者を探す官報公告を出すなど手続きをして1年後、「特別縁故者には該当しない」という裁判官の判断でAさんは1円も受け取ることができませんでした。

予納金は戻ってきましたが「死ぬ前も死んだ後も迷惑ばかり被り、嫌な思いだけ残った」とAさん。

「国に財産がいってしまうから遺言を書くように言ってきたのに『まだ早い』と応じてくれなかった」と振り返っています。

相続人が不在で国庫に入る遺産が増えています。

2023年度は1,015億5,027万円となり、「記録が残る2013年度以降では最も多い金額」(最高裁判所)となりました。

前の年度からは240億円以上の大幅増加で、2013年度の3倍以上に膨みました。

相続人や債権者の有無を確認し未払いの債務を清算するなど、遺産が国庫に入るまでの手続きをする相続財産清算人の選任申し立ても増えています。

国庫に入った遺産の使い道は明確には決められていません。

「せっかくの遺産がよく分からない使い方をされるのはもったいない。遺言を書いて行き先を指定しておきたい」と話すのは弁護士の武内優宏氏です。

Aさんのケースでは「いとこが財産の全部や一部をAさんに相続させるという遺言を書いておけばよかった」と振り返っています。

おひとり様には相続人がいない人もいれば、兄弟姉妹など相続人はいるものの、疎遠だったり、頼りたくなかったりする人もいます。

むしろ後者の方が多いとみられます。

相続人の側でも交流がない親族が亡くなると、戸惑いや煩わしさを感じる人がいます。

故人が何の準備もしていなければ、残った財産は債務も含め相続人が話し合って分け方を決めなければなりません。

決まらなければ、引き取られず空き家や休眠預金になることもあります。

仲が悪かったり、全く会ったことがなかったりする親族に財産が引き継がれる可能性もあります。

それを避けたいなら「渡す相手をきちんと指定しておくことだ」(武内氏)。

気の合うおいやめいなどと連絡を取り、彼らや世話になった人に財産を譲るという遺言を残せばよいのです。

そうすれば遺留分がない兄弟姉妹らには財産は渡りません。

葬儀や納骨、遺品整理や家の処分、役所への届け出といった死後の手続きはどうなのでしょうか?

親族がいれば彼らがするのです。

おひとり様が死亡したケースでは、6親等の血族である、はとこ(祖父母の兄弟姉妹の孫)にまで警察から「遺体を引き取ってほしい」という連絡があったそうです。

突然の連絡に引き取りを拒む人も珍しくありません。

行き場をなくした遺体は、親族がいない場合も含め、市区町村が火葬し、提携する寺院などに納骨します。

戸籍への死亡記載も市区町村がします。

遺品整理や家、家財の処分などは、市区町村は通常しません。

それらは亡くなった人を世話した親族や、隣近所、周辺の住民、友人らが負うことがあります。

故人が賃貸住宅に住んでいた場合、部屋の片付けや原状回復を家主が自腹ですることもあります。

周囲に迷惑をかけたくないなら「遺言に加え、死後事務委任契約も必要」と行政書士の汲田健氏は話しています。

契約先は行政書士や司法書士ら専門家、おひとり様をサポートする事業者などです。

遺言では主に財産の分け方を決めますが、死後事務委任契約では「葬儀・納骨に加え、医療費や老人ホームなどの利用料の支払い、役所への届け出や公共料金や各種サービスの解約、部屋の片付けといった様々な業務を委ねる」(汲田氏)。

内容や相手によって費用は変わりますが、死後事務の契約と遺言の作成で20万〜30万円が一般的です。

これに葬儀・納骨や各種の手続きでかかる実費や専門家の報酬が加わります。

あらかじめ預託金として納めるところもあれば、事後に遺産から清算する場合もあります。

おひとり様の状況によっては、死後事務以外にも様々な契約を交わすこともあります。

体調に不安があるなら定期的な訪問や電話連絡をする「見守り契約」、認知症に備えるなら「任意後見契約」などです。

判断能力はあるが足腰が弱って銀行に行けなくなったら、入出金の管理などをしてもらう「財産管理等委任契約」もあります。

「見守りに始まり、財産管理、任意後見、死後事務・遺言執行が一連の流れ」と司法書士の村山澄江氏は話しています。

フルセットで契約すると締結時に50万〜60万円程度かかる場合が多くなっています。

見守りには月額費用、任意後見では後見開始時と後見期間中に別途費用が発生します。

「おひとり様の状態によっては契約が長期にわたり、費用が膨らむケースがある」(村山氏)。

自分の健康や経済状態に合った内容や契約先を選びたいですね。

「おひとり様」の財産の行き先のひとつに個人や団体などに寄付をする「遺贈」があります。

遺贈を支援する日本承継寄付協会(東京都文京区)がまとめた「遺贈寄付白書」によれば、遺贈寄付実行件数は年々増えており、2022年は1,040件、金額は約321億円(出典は国税庁)でした。

これは相続税を申告した人の数字なので、非課税だった人も加えれば「数倍の市場規模になるのではないか」と代表理事の三浦美樹氏は話しています。

多いのは相続人がいない人や、相続人がいても「財産を渡したくない」という人、応援したい団体などがある人たちです。

「遺贈には『お金持ちが大口で行う』イメージがあるが、少額でも可能」(三浦氏)。

生前にどこにどれぐらい遺贈するか遺言で指定し、本人が亡くなった後に遺言執行者が手続きをします。

遺贈には「現金○○円」「××銀行の預金」など財産を個別に指定して渡す「特定遺贈」と、財産の全部や2分の1など一定の割合で渡す「包括遺贈」があります。

包括遺贈は債務があれば、それも引き継ぐので団体へ寄付する場合は特定遺贈が適しているとされます。

不動産や株式も遺贈できるが、現金しか受け付けていない団体も多くなっています。

実りあるギフトにするためには、士業の人や金融機関など専門家に相談して進めるとよいです。

以前から、お子様がおられなくて、相続人が兄弟姉妹のケースがもめるケースが多いと言われていますが、相続は関係ないと思わずに、早めに対策をしましょう。

ご自身が渡したいところに渡すのが一番良いですよね。

おひとり様が遺言・契約で財産や死後事務の後を託すことについて、あなたはどう思われましたか?


東京国税局が相続財産を3億円余りを過少申告で脱税した60代の女性を刑事告発! 

テレビ朝日によると、姉から相続した財産を3億円余り少なく申告し、相続税約1億5,000万円を脱税したとして、60代の女性が東京国税局に刑事告発されました。

東京都港区の不動産賃貸業の女性(67)は、2022年に死亡した姉から相続した財産のうち、約3億1,100万円を隠して相続税1億5,000万円ほどを脱税した疑いが持たれています。

東京国税局査察部によると、不動産賃貸業の女性は税理士に嘘の申告をして、相続した財産を少なく見せ掛けていたということです。

不正に得たお金は、自身の口座に貯蓄していたとみられます。

相続税の申告に関しては、税理士は相続人の方などから伝えてもらわないと財産等については基本的に分かりませんので、悪質な事件ですよね。

バレないと思うところが、スゴいなぁと思いますが。

金融機関口座とか登記とかで、国税局は簡単に把握できますので。

東京国税局が相続財産を3億円余りを過少申告で脱税した60代の女性を刑事告発したことについて、あなたはどう思われましたか?


日本証券業協会が認知症でも代理人が投資可能な証券をサービス設計!

2025年05月15日(木)

少し前の話になりますが、日本経済新聞によると、日本証券業協会は、認知症などによって判断能力が落ちた高齢顧客が株式や投資信託などの取引を続けられるサービスの仕組みを発表しました。

会員の証券会社が採用することを前提に設計しました。
認知能力が低下する前に配偶者や子・孫を代理人に指定し、事前に定めた「管理・運用方針」に沿って商品を売買してもらいます。

証券会社は、原則、顧客が認知症になった場合は取引を停止します。

成年後見制度や、一部の証券会社が提供する事前予約の代理人サービスでは本人に代わって金融商品の売却はできますが、新たに購入はできません。

日本証券業協会は判断能力が低下した後も市場環境の変化に応じた資産形成のニーズがあることを想定し、新たなサービスをつくりました。

高齢者本人はまず、判断能力があるうちに家族代理人と公正証書を通じて代理取引の契約を結びます。

株や投信の運用・管理方針を証券会社に出した上でサービスの利用を申し込みます。

信用取引やデリバティブ(金融派生商品)といったリスクの高い取引は扱えません。

高齢者本人は認知判断が低下するまで通常通り売買でき、認知症などになった段階で証券会社への届け出書提出を経て代理取引が始まります。

証券会社は代理人が事前に定めた方針通りに取引しているかを確認した上で売買を実行します。

新規の入金はできず、証券口座から出金する際は高齢者の本人名義の銀行口座にしか送れません。

日本証券業協会は2023年12月に法律の専門家や証券会社で構成する作業部会を設けてサービスの設計を検討してきました。

日本証券業協会が策定した要綱に沿って仕組みをつくった場合に限り、証券会社はサービス名称である「家族サポート証券口座」として顧客に提供できるようにしました。

インフレ時代になると、デフレ時代とは違った資産運用が必要になると思います。そのような中、このようなものができたことは素晴らしいことだと思います。

相続するのは基本的に相続人ですので、資産を組み替えるなどして増えれば、相続人も幸せなはずです。

絵に描いた餅にならないように、広がってくれれば良いなぁと思います。

日本証券業協会が認知症でも代理人が投資可能な証券をサービス設計したことについて、あなたはどう思われましたか?


相続税の滞納で差し押さえられ公売で不動産会社が落札した私立幼稚園が閉園へ!

日本テレビによると、千葉県松戸市の私立幼稚園が、相続税の滞納を理由に東京国税局に差し押さえられ公売にかけられていたことがわかったようです。

土地などは不動産会社に落札され、園は2025年3月末で閉園するということです。

関係者によると、千葉県松戸市にある私立幼稚園は、関係者が相続税を滞納し延滞税などが生じているとして、東京国税局に園の土地や建物を差し押さえられ、2025年2月、公売にかけられたということです。

幼稚園として使用されている土地が国税局の公売にかけられるのは異例で、園側も入札したもののおよそ1億5,000万円で不動産会社が落札したということです。

園は2025年3月末で閉園することが決まり、現在、在籍しているおよそ20人の園児は、別の園に移ることになるということです。

園長は、日本テレビの取材に対し、「多大なご迷惑をおかけし、園児や保護者には申し訳ない気持ちでいっぱいです」としています。

初めて目にする事件ですね。

相続対策をきちんとしておかないと、このようなことが起こり、親族だけではなく、外部の方にも迷惑をかけてしまいますね。

改めて、できるだけ早くからの相続対策が必要ということを感じました。

相続税の滞納で差し押さえられ公売で不動産会社が落札した私立幼稚園が閉園になることについて、あなたはどう思われましたか?


2023年度は国庫に帰属「相続人なき遺産」が1,000億円で10年で3倍!

2025年02月28日(金)

日本経済新聞によると、相続人が不在で国庫に入る財産が2023年度に1,015億円となったことが最高裁への取材で分かったようです。

10年で3倍に増え、初めて1,000億円を超えました。

配偶者や子どものいない単身高齢者は増加しており、今後も増え続ける可能性が高いでしょう。

相続時に登記されないことなどによる「所有者不明の土地」が全国で問題化し、土地については2023年4月から国が不要な土地を引き取り国有地とする「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。

資産は国庫に帰属すると使途が選べず、専門家は「望む使い道があれば早めに遺言をつくるべきだ」と指摘しています。

最高裁によると、相続人不存在によって国庫に帰属した財産収入は2023年度に1,015億5,027万円でした。

2022年度の768億9,444万円から32%増えました。

記録が残る2013年度は約336億円でした。

財務省によると、国庫帰属分の遺産の使途は明確に決まっておらず、何らかの歳出に充てられるそうです。

相続人が存在せず遺言もない場合、国や自治体のほか利害関係者が「相続財産管理人」の選任を家庭裁判所に申し立て、整理を任せます。

未払いの公共料金や税金などの債務を清算した残りが国庫に入ります。

最高裁の調査では相続財産管理人の選任申し立ても2019年以降、毎年増えています。

2023年は前年比4%増の計6,948件でした。

「相続人なき遺産」が近年増えている大きな要因が単身高齢者の増加です。

厚生労働省の2023年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の3,952万7,000人のうち「単独世帯」は21.6%(855万3,000人)でした。

10年前の17.7%から増加傾向となっています。

国立社会保障・人口問題研究所の2024年推計で、65歳以上の一人暮らしは2050年に1,084万人となります。

高齢者の単独世帯で未婚者の割合も男性が6割、女性が3割になる見通しです。

国庫以外の遺産の行き先として、遺言を残してNPOなどに寄付する「遺贈寄付」があります。

相続の実務に詳しい松岡章夫税理士は「家族を持つ人が少なくなり、相続人がいない人は増えている。特定の使途に遺産を使ってほしいという希望がある場合などには、早めに遺言を準備すべきだ」と話しています。

遺産を特定の使途に使って欲しいとか、特定の人に渡したいという考えがあるのであれば、早めに相続の専門家などに相談して、国庫に入るのではなく、ご自身の希望がかなうようにして欲しいですね。

もちろん、僕も相談に応じます。

2023年度は国庫に帰属「相続人なき遺産」が1,000億円で10年で3倍となったことについて、あなたはどう思われましたか?


相続税脱税の母娘が起訴内容認め結審!

上毛新聞によると、相続税約8,500万円を脱税したとして、相続税法違反の罪に問われた群馬県明和町の会社役員の女性(77)と群馬県太田市の無職の長女(54)の初公判が、先日、前橋地裁(橋本健裁判長)であり、2人は起訴内容を認めました。

検察側は「動機は身勝手で手口は巧妙」として、会社役員の女性に懲役1年6月と罰金1,000万円、長女に懲役1年と罰金1,000万円を求刑し、即日結審しました。

検察側は冒頭陳述で、2019年に死亡した会社役員の女性の夫(会社役員)が生前に主導し、病気の長男らのために遺産を多く残そうとしたと説明しました。

両被告は無断で開設した親族名義の口座に資産を移したり、自宅のサウナ室に隠したりとさまざまな手段を講じたと指摘しました。

長男は知らなかったようです。

弁護側は修正申告と支払いを済ませ反省しているとして、寛大な判決を求めました。

論告によると、会社役員の女性と長女は共謀して夫の遺産を過小記載した相続税申告書を提出し、約8,500万円の支払いを免れたとされます。

関東信越国税局が2023年3月に告発し、前橋地検が2024年10月に起訴しました。

無断で開設した親族名義の口座に資産を移したり、自宅のサウナ室に隠したりというのはかなり悪質ですね。

簡単に脱税できるほど、課税当局は甘くないですよ。

妻と長女が共謀して、長男は知らなかったとありますが、修正申告をすると、知らなかった長男の税額も増えると推測されますが、どういう心理になり、どのように負担をしたんでしょうか?

相続税脱税の母娘が起訴内容認め結審したことについて、あなたはどう思われましたか?


「税務署員にはノルマがあって…」国税庁が“相続税裁判で完敗”のワケ!

週刊新潮によると、日経速報ニュースが、国税庁の「完敗」を報じたのは2024年9月27日のことです。

それによると、2024年8月末、相続税の税額を争った裁判で東京高裁が国税庁の控訴を棄却しました。

国税庁が上告せず、そのまま敗訴が確定となりました。

裁判所の担当記者が解説しています。
「この訴訟は “東北薬局事件”と呼ばれ、税務関係者の間で注目されてきました。舞台は仙台を中心に50店舗以上を展開している調剤薬局で、創業者は武見太郎・元日本医師会会長から薫陶を受けて事業を始めた人。2014年6月に亡くなり、2人のお子さんが株を相続します。しかし、未上場だったことから同業の上場会社の株価と比較して、相続額は総額約1億7,500万円と申告したのです。払った相続税はそれぞれ約8,000万円。これは国税庁のルールに基づいて算出したものです。」

ところが、しばらくして国税庁が手のひらを返したのです。

創業者の死後、医薬品商社が調剤薬局を買収し、その値段が申告時より10倍以上に跳ね上がっていたのです。

「それを知った税務署は、株の評価額が少な過ぎたとして、税額をそれぞれ2億6,800万円に引き上げ、さらには約2,400万円の過少申告加算税まで取り立てたのです」(同)

国税庁が根拠としたのは、「財産評価基本通達総則6項」です。

たとえ法律に沿った申告でも課税逃れと見なされると、国税庁の判断で税額を引き上げることができるという内容です。

税務関係者の間では「総則6項」と略して呼ばれており、誰もが畏れる“伝家の宝刀”です。

以前にも固定資産評価額が実勢価格より低いことを利用するマンション節税に対して総則6項が適用され、2年前に最高裁で国税庁が勝利しました。

ところが今回、納得がいかない子供たちが国税庁を提訴すると、一審で国税が敗訴しました。

そして、控訴審も冒頭のとおりに棄却となったのです。

課税逃れとまではいえないと判断されたのです。

税理士の浦野広明氏が言っています。
「公然の秘密ですが税務署員にはノルマがあって、達成するためにずさんな課税をしてくるケースがままあります。総則6項といってもしょせんは通達であって法律には勝てません。課税がおかしいと思ったら迷わず税理士に相談することです。」

そこで国税庁に聞くと、「国側の主張が認められなかったことは残念ではありますが、判決結果を受け止め今後も適切な課税に努めてまいります。」と回答があったようです。

「伝家の宝刀」は、めったに抜かないから威力があるのです。

この判決は、今後の課税当局の対応に影響を及ぼすでしょうね。

早く後出しじゃんけんみたいな伝家の宝刀をなくして欲しいと思います。

「税務署員にはノルマがあって…」国税庁が“相続税裁判で完敗”のワケについて、あなたはどう思われましたか?


国税当局の「伝家の宝刀」が折れて相続税の算定ルール見直しも!

日本経済新聞によると、非上場株の相続を巡り、国税当局が「伝家の宝刀」と呼ばれる特別な規定を使って課税した事案の税務訴訟で2024年8月、国税側が敗訴しました。

通常ルールでは財産評価が実態とかけ離れる場合などに適用してきた特別規定ですが、今後は慎重な運用になるとの見方があるようです。

また、非上場株の通常の評価ルール自体を見直す議論につながる可能性もあります。

「本件控訴を棄却する」。

2024年8月28日午後、東京高裁の法廷で梅本圭一郎裁判長がごく短い主文の判決を言い渡しました。

東京地裁で2024年1月に下った一審判決に続き、国税当局側の2連敗です。

最高裁への上告は断念し、判決が確定しました。

「伝家の宝刀」とも呼ばれる財産評価基本通達総則6項という特別規定を使った相続税の課税を巡り、国税側の敗訴確定は初めてとなりました。

裁判で争われたのは、東北地方で薬局経営などを手掛ける非上場企業の株式の評価額についてでした。

代表取締役の死去後、その子らの相続人は法定の期限内に相続税を申告しましたが、相続した株式について、国税当局が通達で定めている通常の算定ルールにのっとって1株8,186円と評価しました。

これに対して国税当局は「評価額が低すぎる」と判断し、総則6項を適用し、専門会社に価格算定を依頼して1株8万373円が妥当だと結論付けたのです。

相続人側が求められた追加の相続税額は約4億円です。

相続人側はこの処分を違法だとして2021年に提訴していました。

財産評価基本通達は、相続税を算定する際の財産評価の手法を細かく定めています。

非上場企業の株式の場合、その企業の利益や配当、類似企業の株価をもとに評価するなどとしており、今回の相続人もこの手法で申告しました。

一方、基本通達には例外規定として「総則6項」があるのです。

通常の算定ルールでの評価が「著しく不適当」と認められる場合に、国税当局が評価をし直すことができると定めている特別規定です。

総則6項の適用は年に数件で、節税策などで相続財産のみかけの価値が極端に下がっている場合などに使われることが多くなっています。

ただし、今回は事情がやや異なりました。

代表者の男性は生前、同社株を他社に売却しようと検討していました。

みずほ銀行をアドバイザーとして価格も算定し、売却予定価格は総額約63億円(1株10万5,068円)でした。

しかしながら、正式な契約が成立する前の2014年6月に男性は急逝したのです。

妻が交渉を引き継ぎ、約1か月後に予定価格で売却しました。

その後2015年2月に相続税の申告を行いましたが、申告では通常の通達ルールに基づいて株式を評価し、評価額は実際の売却額の12分の1以下だったのです。

国税当局はこの価格差などに注目しました。

総則6項を適用し、企業が将来生み出すキャッシュフローをもとにして現在価値を算定する「DCF法」で再評価し、1株8万373円という数字をはじき出したのです。

裁判では、この評価額の引き上げが正当かが焦点になりました。

この裁判の審理中に出た別の裁判の判決が、今回の結果に影響しました。

いわゆる「マンション節税」に対して国税当局が総則6項を適用したことが争われた、2022年4月の最高裁判決です。

この最高裁判決では国税側が勝訴しましたが、判決の中で最高裁は「通達評価とかいりがあるだけでは、6項適用の合理的な理由にはならない」と指摘したのです。

そのうえで、「租税負担の公平に反する事情がある場合には適用できる」などとしました。

つまり、節税策が可能な人とできない人との間に見過ごせないほどの違いがみられる場合に総則6項が使えると示したのです。

非上場株式の評価を巡る今回のケースについて、一審の東京地裁は「税負担の回避を目的で売却を行ったとは認められない」などとして国税当局の処分を違法としました。

東京高裁も「評価額を下げるような行為はなく、相続人らが税負担を免れさせる行為がない以上、不公平であると判断する余地はない」などと指摘しました。

いずれも2022年の最高裁判決の考え方をベースにした形です。

税法に詳しい平川雄士弁護士は「国税当局は今後、総則6項の発動に、より慎重になるだろう」とみています。

さらに「国税当局は今後、納税者側に税負担回避の目的があったことを示す電子メールなどの証拠を集めようとする傾向が強まるのではないか。一方で納税者側も、節税目的以外の経済合理性を示せるようにしておくなど、より慎重な対応が求められる」と話しています。

相続財産を評価する通常の算定ルールの見直し議論につながる可能性があります。

今回のように、非上場株の実際の売買価格と通達で定められたルールでの評価額に差があるケースもみられます。

ある弁護士は「非上場株の評価をめぐる通達のルールが経済的な実態を表さなくなってしまっているのは事実だ」と話しています。

実際にマンション節税を巡って争われた裁判の後、マンションの評価ルールが見直されました。

相続税の実務に詳しい松岡章夫税理士は「マンションの評価ルールと同様に、今回の判決を契機として国税当局が非上場株式に関する通達を見直す可能性がある」と指摘しています。

国税OBの税理士によると、役員退職金を支給するなど、様々な施策で非上場株式の評価を大きく引き下げるような節税策も実施されています。

ただし、非上場株は不動産と違い実勢価格があるわけではなく、各企業の事情による個別要素も強くなっています。

非上場株は流動性が低いため、納税者が高額の相続税を支払うために一部を売却して資金を確保することが難しいなどの問題もあります。

事業承継などに詳しい鈴木淳税理士は「通達ルールの改正を検討するならば、事業承継の観点や相続後の納税資金の手当てなど精緻な検討が必要だ。拙速に結論を出すべき問題ではない」としています。

<総則6項とは>

国税庁の財産評価基本通達の規定の一つです。

財産評価基本通達は、様々な財産の評価方法を細かく定めた国税当局の内部規則で、相続税などの財産評価は原則としてこの通達に沿った方法で計算します。

非上場企業の株式などのほか、土地や建物、特許権などの評価方法を示しています。

総則6項は例外規定のような位置づけで「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」としています。

非上場企業の株式の場合、通達ではその企業の純資産や類似業種の企業を参考にして算定するとしていますが、6項を適用して将来のキャッシュフロー予想を基にDCF法などで評価し直すこともあるのです。

適用されると評価額が跳ね上がり税額が大幅に増えるケースもあり、影響は大きいでしょう。

ただし、何をもって「著しく不適当」と判断するかなどの明確な基準はないのです。

良い判決が出ましたね。

ここ数年、総則6項を適用した案件が増えていると思いますが、財産評価基本通達で計算方法を定めているのに、後から総則6項を適用されると、どのような場合に総則6項が適用されるか具体的な定めがないので、申告に常にリスクが伴ってしまいます。

現実と財産評価基本通達がかけ離れているというのであれば、財産評価基本通達を見直すのが先だと思います。

また、総則6項を適用する場合の具体的な要件も定めて欲しいと思います。

この判決で、安易に伝家の宝刀を使う案件が減ることを切に願っています。

国税当局の「伝家の宝刀」が折れて相続税の算定ルール見直しの可能性があることについて、あなたはどう思われましたか?


相続手続きの効率化が進んで預金・不動産の一括照会が可能に!

日本経済新聞によると、相続で遺族などが直面する煩雑な手続きの効率化が進みそうです。

2024年3月から被相続人(亡くなった人)などの戸籍情報について本籍地が遠かったり、生前の転居などで請求先が複数あったりする場合に最寄りの役場でまとめて取得できるようになったのに続き、故人の財産を一括で照会できる制度が預貯金では2025年3月末をメドに、不動産では2026年2月に始まる予定です。

それぞれの制度を活用し、相続に役立てたいですね。

「相続人の負担が相当軽くなっている」と、司法書士の船橋幹男氏は、法務省が始めた「戸籍の広域交付制度」についてこう話しています。

相続で財産の分け方を決める際は相続人を確定するため、故人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本をすべて集める必要があります。

戸籍を遡れば、例えば、故人に離婚経験があり前の配偶者との間に子どもがいるといったことが分かります。

故人に転居などで複数の本籍地がある場合、子どもなど相続人はこれまで各地の役場に出向いたり、郵送で請求したりするなどしていました。

「すべての戸籍を集めるだけで数カ月かかることも少なくなかった」(船橋氏)そうです。

しかしながら、全国の市区町村と法務省をつなぐ「戸籍情報連携システム」が2024年3月に稼働しました。

利用者が自分の居住地など最寄りの役場で申請すると、同システムを通じて例えば故人の出生時、転居時、死亡時の本籍地の役場から戸籍謄本をまとめて入手できるようになったのです。

申請者は市区町村役場の窓口に出向いて手続きをする必要があり、戸籍謄本の取得に1通当たり450円かかります。

交付までにかかる日数はケース・バイ・ケースです。

本籍地があった市区町村が少なければ当日交付も可能とする自治体があれば、数が多いと1週間程度かかるとする自治体もあります。

それゆえ、申請する際に確認するとよいでしょう。

相続手続きを円滑に進めるには、故人がどんな財産をどれだけ保有していたかを確認することも大切です。

遺言書を残していれば原則として遺言に沿って財産を分けますが、遺言があるケースは少ないです。

多くの場合は相続人が自力で財産を調べたうえで、遺産分割協議で誰が、どの財産を、どれだけ引き継ぐかを決めます。

まず、預貯金は通帳やキャッシュカード、郵便物などを手掛かりに金融機関に口座の有無を問い合わせます。

取引のあったことを確認できたら、死亡した日の残高証明書を請求します。

ただし、相続人は心あたりに一つ一つ尋ねるといった手間がかかりやすく、故人の口座のあった金融機関すべてをカバーできているかどうかの懸念もあります。

預貯金口座探しの負担軽減につながる可能性があるのが、マイナンバーを活用した「預貯金口座管理制度」です。

個人が取引のある一つの金融機関で自分の口座をマイナンバーで管理することを申請し氏名、住所、生年月日といった本人を特定できる情報も提供します。

本人が希望すれば、預金保険機構を通じて、口座のあるすべての金融機関でマイナンバーとひも付けることができます。

口座をひも付けた人が亡くなって相続が発生した際に相続人が一つの金融機関に照会すると、故人の口座情報が一括して通知されます。

ひも付けを申請できるのは原則名義人だけのため、被相続人が生前に手続きをする必要があります。

デジタル庁では「2024年度末ごろに稼働させたい」としています。

相続財産で預貯金と並んで金額が大きい不動産でも、物件を一括して照会できる「所有不動産記録証明制度」が2026年2月2日にスタートします。

法務省が登記簿の名義人ごとに全国の所有不動産をリストにします。

名義人が保有している土地や建物の種類、所在地、面積といった情報を一覧できるようになるのです。

名義人のほか相続人などが情報を請求できます。

故人の保有不動産を調べる方法としては現在、固定資産税の納税通知書を確認したり、市区町村が固定資産課税台帳を基に不動産の所有者別にまとめた「名寄帳」を閲覧したりするなどがあります。

ただし、いずれも管轄内の物件に限られます。

新制度は全国の不動産が対象のため、故人の不動産の全容を把握しやすくなりそうです。

生命保険では生命保険協会が提供する「生命保険契約照会制度」があります。

協会が契約の有無について生保各社に調査を依頼し、結果をまとめて回答します。

上場株式や上場投資信託(ETF)などの口座は、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報」に開示請求をすれば、どの証券会社にあるかが分かります。

非上場の投信などは対象外です。

戸籍集めや財産調べは「相続開始から2~3カ月以内に終わらせたい」と船橋氏は助言しています。

故人に多額の借り入れがあることが分かったとき、相続人は預貯金などの資産も負債も引き継がない「相続放棄」をしたり、資産の範囲で負債を相続する「限定承認」をしたりすることができますが、相続開始から3カ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

また相続税の申告・納付は故人が亡くなった日の翌日から10カ月以内が期限です。

故人の財産が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)を上回ると課税対象になります。

ただし、自宅の土地の評価額を一定の条件で8割減とする特例や、配偶者は相続額が法定相続分か1億6,000万円のどちらか大きな額までは課税されない特例があります。

遺言書がない場合、特例が適用されるには期限までに遺産分割協議を終え、分割協議書を作成することが条件です。

便利にはなりそうですね。

ただ、預金とかはマイナンバーとのひも付けを嫌がる方が多いのではないかなぁと推測されます。

すべてを紐付けしないと意味がないと思いますが、強制にすると、タンス預金が増えるでしょうから、本当に実効性のあるものにするには、もっとやり方を考えないといけないでしょうね。

相続手続きの効率化が進んで預金・不動産の一括照会が可能になることについて、あなたはどう思われましたか?


相続手続きの負担減のため戸籍謄本の電子交付を政府が検討!

日本経済新聞によると、政府は相続手続きに必要な戸籍謄本などの戸籍証明書に関し、全国の自治体で電子交付できるようにします

家族が死亡したときの相続手続きを巡る負担を軽減します。

提出先となる金融機関や法務局、税務署にデータで提出できる仕組みを念頭に置いています。

行政手続きのデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めて煩雑な手間を減らします。

法務省とデジタル庁が連携し、2024年度中に結論を出します。

すでに電子データ化されたおよそ1億1,000万件の戸籍を対象とします。

パソコンやスマートフォンを使ってインターネット上で申請から交付までを完結できるシステムの整備を目指します。

パスポート(旅券)の新規発行は2024年度中に行政手続きの個人向けサイト「マイナポータル」から申請し、紙の戸籍謄本を提出しなくてもよくなります。

相続手続きの電子化の具体案はこれからですが、同じような仕組みになる可能性はあります。

法務省のシステムを介してPDFなどの形式で電子化された戸籍謄本が申請者のスマホやパソコンに届くイメージです。

税務署などにはPDFのまま提出できます。

相続手続きでは戸籍謄本や遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書といった複数の書類を金融機関や法務局、税務署などに提出する必要があります。

なかでも法定相続人を特定する際は、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての本籍地の戸籍謄本と除籍謄本といった戸籍証明書を各自治体から書面で集めなければならないのです。

電子交付ができるようになれば、市区町村の窓口に行ったり郵送したりする手間を省けます。

2022年に死亡した人は全国で156万人と前年比で9%増えました。

相続手続き用を含め、2022年度に発行された戸籍証明書は前年度比5%増の4,059万件にのぼります。

法務省によると、戸籍証明書を電子交付している自治体はまだありません。

申請手続きだけなら、270ほどの自治体がマイナポータルなどを使ったオンライン申請を導入していますが、全国の市区町村の15%程度にすぎません。

政府は2024年6月に閣議決定した規制改革実施計画に、戸籍証明書の電子交付やオンライン申請について全国で実現を目指す案を盛り込みました。

しかしながら、実現に課題もあります。

電子交付に対応する市区町村はシステム改修が必要で、その費用を国と自治体のどちらが負担するのかを検討しなければならなりません。

電子データでの提出を受けることになる金融機関なども同様です。

国のシステムで電子交付する場合は、自治体の事務を国が担っていいのかという問題も残ります。

これまでも、政府は戸籍に関する手続きのDXを進めてきました。

2019年に改正戸籍法が成立し、2024年3月から戸籍情報とマイナンバーの連携が可能になりました。

これらの新たな仕組みを活用し、年金や児童扶養手当の申請、結婚の届け出、パスポート申請などで必要だった戸籍証明書の提出を順次不要とします。

全国の市区町村は1994年以降、戸籍を紙から電子データに置き換えてきました。

氏名に使う文字が適合しないものや存在しない日付などデータにできない戸籍は今回の電子交付の対象外となります。

現在、紙に印刷された戸籍証明書の取得は、自治体の窓口で受け取るほか郵送やコンビニエンスストアの複合機で入手できます。

マイナンバーカードを使ったコンビニ交付は本人や同一の戸籍に入っている人が対象です。

別の戸籍に入る親の証明書を子どもや代理人が取得するには、地方自治体の窓口に行ったり、郵送を依頼したりする必要があります。

法務省が2024年3月に始めた本籍地以外の市区町村で戸籍証明書を取得できる「広域交付」の仕組みを使えば、相続手続きでも1カ所の自治体の窓口に行けば被相続人の戸籍証明書をたどれます。

窓口に直接出向く必要は残ります。

便利になることはいいことですね。

僕自身、相続税の申告のお手伝いを年間それなりにさせていただいておりますが、戸籍謄本の取得は、お金も時間もかかりますからね。

お金については、国が負担すれば良いのではないかと思います。

ついでに、e-TaxとeLTAXも統一してくれればいいなぁと思いました。

相続手続きの負担減のため戸籍謄本の電子交付を政府が検討していることについて、あなたはどう思われましたか?


路線価でミスがあり農地の一部の評価額が過大となり国税は「個別に対応する」!

朝日新聞によると、相続税や贈与税の算定基準となる路線価をめぐり、国税庁は、先日、農地の一部の評価額が誤っていたと発表しました。

税額が過大になったとみられる納税者には税務署から個別に連絡し、還付などの対応を取るそうです。

誤りがあったのは、2024年7月公表の大阪国税局と関東信越国税局、2019年7月公表の高松国税局の路線価です。

「市街地周辺農地」と「市街地農地」について、評価額から差し引く金額を示す「宅地造成費の金額表」にミスがありました。

このため1平方メートル当たり6,200~100円、評価額が過大になっていたそうです。

高松国税局が管轄する四国4県では、誤りがなかった「純農地」「中間農地」も含め、2019年に約2千件の農地の相続・贈与の申告がありました。

大阪国税局と関東信越国税局での影響は、最大で百数十件とみられるそうです。

国税庁は「税額が過大になった納税者には個別に連絡し丁寧に対応する。心当たりのある人は最寄りの税務署にお問い合わせいただきたい」と呼びかけています。

国税庁が間違えていると、納税者や税理士ではどうしようもないですから、何かを出す前にはきちんとチェックをしてほしいですね。

あとは、税理士に負担をかけないように、個別に対応してほしいですね。

路線価でミスがあり農地の一部の評価額が過大となり国税は「個別に対応する」ことについて、あなたはどう思われましたか?


資産家の遺族の9億円の申告漏れを大阪国税局が指摘!

日本経済新聞によると、不動産業を営んでいた資産家の男性の遺族が大阪国税局の税務調査を受け、相続財産を巡って総額約9億円の申告漏れを指摘されたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

重加算税と過少申告加算税を含む相続税の追徴税額は計約3億1千万円で、すでに全額が納付されました。

関係者によると、この男性は生前、大阪府内で不動産業を営み、自分の預金を引き出して複数の金融機関に開設した妻や子ども名義の口座に振り分けて入金していました。

口座から不審な現金の引き出しがあったことなどから、国税局が調査したそうです。

遺族は当初、「自らの資産だ」などと説明していましたが、その後、遺産と知りながら相続税を逃れるため、申告していなかったことを認めたそうです。

課税当局も皆さんが考えているほど甘くないということがよくわかる案件ですね。

やはり、『名義預金』については厳しいですね。

重加算税は35%取られますから、かなりの税額になります。

これに過少申告加算税とかもかかってくると、もちろん、税理士の報酬も再度必要になってくるでしょうし、最初からきちんと申告しておいた方がよかったという気持ちになったのではないかと思います。

結局、きちんと申告しましょうということです。

資産家の遺族の9億円の申告漏れを大阪国税局が指摘したことについて、あなたはどう思われましたか?


戸籍謄抄本がどの自治体でも取得可能になる改正法が成立!

日本経済新聞によると、戸籍データを法務省のシステムでつなぐ改正戸籍法が、先日、参院本会議で可決、成立しました。

パスポートの取得などに必要な戸籍謄本や抄本が、本籍地以外の市区町村でも取得できるようになります。

法務省は2024年をめどに新システムの運用を始める予定です。

戸籍の原本は市区町村がそれぞれ管理し、法務省のシステムで副本を管理しています。

個人情報を含むため、現在は自治体間や年金事務所などとの間で戸籍情報の共有ができないのです。

法改正を受けて、法務省の管理システムをネットワークでつなぎます。

本籍地以外の自治体も戸籍データを見られるようにします。

本籍地以外の自治体で戸籍の謄本や抄本を請求する場合は、運転免許証やマイナンバーカードで本人確認します。

本籍地から離れて住んでいる場合に、自ら出向いたり郵送したりして請求する必要がなくなるのです。

本籍地以外の自治体で婚姻などを届け出るときにも、戸籍データを添える必要がなくなります。

届け出を受けた自治体が、法務省のシステムから審査に必要な情報を取得できるようになるためです。

戸籍データは、マイナンバーとも連携させます。

色々エラーが起きたようですが、年金受給など社会保障関係の手続きでも、戸籍データの添付を省略できるようになります。

税理士として、毎年数件、相続税の申告のお手伝いをさせていただいておりますが、相続が発生した際の手続きの中で、面倒なことの一つが戸籍謄本などを取ることだと思います。

同じ市町村内にずっと戸籍がある方はそうでもないのかもしれませんが、そうでない方は

色々な自治体で入手する必要があります。

郵送とかだと色々と時間がかかったりするので、わざわざ、県外まで取りに行く方もおられます。

これらが解消するのであれば、素晴らしいことですね。

自治体も楽になるでしょうから、なぜ、もっと早くできなかったのだろうかと思いますが。

戸籍謄抄本がどの自治体でも取得可能になる改正法が成立したことについて、あなたはどう思われましたか?


富裕層の相続税節税に厳しい目で国税当局が「伝家の宝刀」の活用増!

日本経済新聞によると、国税当局による富裕層への相続税調査が厳しくなっています。

節税策などに対し、税負担の大幅増につながる特別規定の「総則6項」を適用する例が急増しています。

かつて適用が極めて少なく「伝家の宝刀」ともいわれた規定ですが、専門家は「国税当局が一般的に使う手法になりつつある」と指摘しています。

「6項による課税処分を検討することになります」。

2023年、ある相続税を巡る調査で、国税当局の担当者が納税者側に迫ったようです。

この納税者は多額の資産を持ち、資産管理会社を活用するなどのスキームで相続税の軽減を試みていました。

節税策は合法で、通常の相続税の算定ルールを適用すれば税負担が大幅に軽減される計算でした。

しかしながら、国税当局は簡単に認めず、総則6項という「宝刀」をちらつかせたのです。

総則6項は「著しく不適当と認められる財産の価額」の場合、通常の財産評価手法とは別の手法でやり直すことができるものです。

この件では納税者側が折れて修正申告をし、最終的には6項は適用されませんでした。

ところが、関与した税理士は「6項の活用に関し、明らかに国税当局がシフトチェンジした」と振り返っています。

相続税は、相続した財産の総額に税率をかけて計算します。

財産は「時価で評価する」とされ、通常は国税当局の内部ルール「財産評価基本通達」に従って計算します。

ただし、財産の種類や納税者が節税スキームを組んだ場合などによっては、通常の評価手法では極端に納税額が低く算出される例もあります。

こうした場合に対応するための規定が「総則6項」なのです。

かつて、国税当局内部には「あくまで例外的な規定で、なるべく使わずに済ませたい」との声もあったようです。

しかし、近年、潮目が変わりました。

国税庁によると、2012事務年度(2012年7月から2013年6月まで)から2021事務年度までの10年間で総則6項の適用は計9件のみです。

それが2022事務年度だけで一気に6件に急増し、2023事務年度も2023年10月末までで3件ありました。

金融機関からの借入金を使って極端に税負担を減らす不動産節税などに適用されたもようです。

近年は、タワーマンションなど相続税の評価額と実勢価格がかけ離れた物件を利用した節税もブームになっていました。

中には相続税の評価額は4,000万円弱にもかかわらず実勢価格は1億円を超えるような物件もあり、国税当局が注視していました。

6項の適用急増の背景には、2022年の最高裁判決の影響があるとみられます。

相続した不動産の評価に6項を適用した国税当局による課税処分の妥当性が争われた訴訟で、最高裁は国税当局の処分を適法としたのです。

最高裁は「相続人らは税負担の軽減を期待して不動産を購入、借り入れを行った。他の納税者との間に看過しがたい不均衡を生じさせ、租税負担の公平に反する」としました。

6項適用の是非を巡る初めての最高裁判決でした。

最高裁判決を受け、国税庁は6項の適用に関する事務運営指針を策定、現場に示しました。

指針は、①通達評価以外に他の評価方法が存在するか、②著しい乖離があるか、③通達以外の価格とすることに合理的な理由があるかなどの内容です。

ある国税幹部は「6項を使うのにためらいがなくなった」と明かしているようです。

もともと国税当局は富裕層調査に積極的です。

2022事務年度の所得税の税務調査で富裕層の申告漏れは、過去最高の総額980億円となりました。

相続税でも積極的に調査しており、国税当局は6項という大きな武器が使いやすくなった形です。

ただし、「宝刀」も絶対ではありません。

東京地裁は2024年1月、国税当局が過去に6項を適用した案件について、国税側敗訴の判決を出したのです。

非上場株を巡る案件での適用の是非が争われ、判決は「6項の適用には、相続税負担を回避する目的を持って積極的な行為を行うなど特段の事情が必要」と指摘しました。

そのうえで「特段の事情はなく、適用は違法」としました。

国側は控訴しました。

税務に詳しい平川雄士弁護士は、最高裁判決以降に国税当局が6項の活用に積極的な現状を「理解できる」としつつ、「本来は6項を適用すべきでない事案にも、過剰に適用されている懸念がある」とみています。

平川氏は「最高裁判決は6項適用について、適用の可否が十分判断可能な要件は示した。国税当局と納税者側の双方とも、判決の趣旨に沿った慎重な検討が重要だ」と話しています。

相続節税に対する国税当局の厳しい姿勢は、今後も続きそうです。

元熊本国税局長の渡辺定義税理士は、「納税者は外部のコンサルタントなどからもたらされる安易な節税策に飛びつかない慎重さが必要だ。新しい取引、金融商品など税金の処理方法が不明瞭なものも多い。場合によっては専門家の活用なども検討すべきだ」と話しています。

▼総則6項とは
国税庁の財産評価基本通達の規定の一つです。

財産評価基本通達は様々な財産の評価方法を細かく定めた国税当局の内部規則で、相続税などの財産評価は原則としてこの通達に沿った方法で計算します。

例えば市街地の宅地などは、路線価をもとに財産価値をはじき出します。

総則6項は例外規定のような位置づけで「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」としています。

路線価と実勢価格がかけ離れている場合に不動産鑑定などで評価し直す例があります。

適用されると評価額が跳ね上がる場合もあり影響は大きいが、何をもって「著しく不適当」と判断するかなどの明確な基準はありません。

個人的には、財産評価の結果と時価に乖離が生じるのは、結局のところ、税制の不備なのではないかと考えています。

おかしなところがあれば、税法などを改正すれば良いわけで、それをやらずに総則6項を適用するというのは、おかしいことに気づいていながら放置しておき、後出しじゃんけんで否認するということですから。

納税者や税理士は、基本的に、財産評価基本通達に基づいて評価を行うわけですから、これで評価して、あとからアウトといわれるのであれば、何に基づいて評価すれば良いのか分からないですから。

本当に、総則6項の適用については、納税者や税理士が納得できるような明確なものを明らかににしてほしいですね。

富裕層の相続税節税に厳しい目で国税当局が「伝家の宝刀」の活用を増やしていることについて、あなたはどう思われましたか?


東京地裁で総則6項を巡る事件で国が敗訴!

税務通信によると、東京地方裁判所(民事第51部:岡田幸人裁判長)は、先日、非上場株式の相続税評価に係る「総則6項」を巡る事件で、総則6項の適用を認めず、国の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消しました。

裁判で総則6項の適用が認められなかった事件は初めてとみられます。

不動産に係る総則6項の適用を巡る令和4年の最高裁判決以降、初めての総則6項に係る判決で、その適用解釈を示しています。

2024年1月24日現在、国は控訴していません。

<事件の概要>
本件被相続人の子である法定相続人の原告AとBが、その相続で取得した非上場株式(本件被相続人が代表取締役の会社(X社)の株式)について、X社は「大会社」(評基通178)に該当するため、評価通達に基づき、「類似業種比準価額」(評基通180)によって1株当たり約8千円(本件通達評価額)と評価して相続税の申告をしました。

しかしながら、国側は、評価通達の定めにより評価することが著しく不適当として、国税庁長官指示により評価する総則6項に基づき、類似業種比準価額とは異なる株式価値の算定金額に基づき1株当たり約8万円(本件算定報告額)と評価したうえで、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(本件各更正処分等)を行ったのです。

本件では、「本件相続株式を総則6項により評価することの適否」が争点となっています。

<裁判所の判断>
●通達評価額と算定報告額の大きなかい離のみで公平に反するとはいえない
東京地裁はまず、令和4年の最高裁判決に基づき、本件通達評価額と本件算定報告額との間に大きなかい離があることのみをもって直ちに、評価通達の定めによる画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があるとはいえないとしています。
そのうえで、「本件では類似業種比準価額による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情(特段の事情)」があるか否かを検討するとしました。

●X社株式の売却は租税回避目的と認めず
最高裁判決は、実質的には、「特段の事情」がある場合に総則6項を適用することを肯定しているものと解されると指摘しました。

ところが、特段の事情としてどのようなものが挙げられるか一般論として明示はしておらず、被相続人側の租税回避目的による租税回避行為がない場合について直接判示したものとは解されないとしました。

もっとも、租税回避行為をしなかった他の納税者との不均衡、租税負担の公平に言及している点に鑑みると、租税回避行為をしたことによって納税者が不当ないし不公平な利得を得ている点を問題にしていることがうかがえるとしています。
本件では、最高裁判決の事案とは異なり、本件被相続人及び本件相続人らが相続税の租税回避の目的でX社株式の売却を行ったとは認められないと判断しました。

そのため、本件更正処分等の適否は、本件相続開始日以前に本件通達評価額を大きく超える金額での売却予定があったX社株式について、実際に本件相続開始日直後に当該金額で予定どおり売却ができ、その代金を本件相続人らが得たことをもって、この事実を評価しなければ、「他の納税者と原告らとの間に看過しがたい不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反する」(最高裁判決)といえるかどうかによって判断すべきとしました。

●多額の借金で不動産購入などの租税回避行為なければ不均衡とはいえず
相続財産の一部を売却して現金化することは稀有な事情ではなく、評価通達の定めに基づく評価額よりも相当高額で現金化することができたとしても、その売却やそれに向けて交渉すること自体は何ら不当ないし不公平なことではないとしています。
相続税を軽減するために、被相続人の生前に多額の借金をした上であらかじめ不動産などを購入して、評価通達の定める方法における現金と不動産など他の財産に係る評価額の差異を利用する相続税の回避行為をしているような場合でない限り、他の納税者と比較してその租税負担に看過しがたい不均衡があるとまでいうことは困難と判断しました。

<本件の主な事実関係>
①平成26年5月29日、本件被相続人は、Y社との間で、X社株式をY社に対して売却・資本提携等を前提に、X社株式の譲渡に向けた協議を行うことの基本合意(本件基本合意)を締結した。本件被相続人は、X社株式の全部を取りまとめY社に譲渡するものとして、譲渡価格は1株当たり約10万5千円(譲渡予定価格)とされた。
②6月11日、本件被相続人は死亡。同18日、X社の取締役会により、本件被相続人の妻である法定相続人のCが代表取締役となり、X社株式の売却プロセスを進めることになった。
③7月8日、遺産分割協議が行われ、X社株式をA、B、C(本件相続人ら)がそれぞれ一定数を取得(本件相続株式)することを合意。原告らが保有するX社株式をそれぞれ譲渡予定価格と同じ1株当たり約10万5千円でCに譲渡する契約を締結した。
④7月14日、CがY社にX社の全株式を1株当たり約10万5千円(本件売却価格)の譲渡価格とする契約に基づき、譲渡した。
⑤平成27年2月27日、本件相続人らは類似業種比準価額により本件相続株式を1株当たり約8千円と評価するなどして、相続税を申告した。

<X社株式の1株当たりの各価額>
・Y社への譲渡予定価格(①)
・原告からCへの譲渡価格(③)
・CからY社への本件売却価格(④)

①③④ 1株当たり約10万5千円

・原告側の類似業種比準価額による本件通達評価額(⑤)

⑤1株当たり約8千円

・国側の本件算定報告額

1株当たり約8万円
※①③④⑤は上記「本件の主な事実関係」の番号を指す
●相続開始前のX社株式の譲渡価格の合意は特段の事情とはいえない
本件相続開始日直後に評価通達の定める方法による評価額を大幅に上回る高値で本件相続株式を売却できたという事情に加え、本件相続開始日以前から本件被相続人がX社株式の売却の交渉をしており、譲渡予定価格まで基本合意していた事情があるとしました。

しかしながら、この場合でも、最終的に本件相続株式の売却が成立し、本件相続人らが本件通達評価額を大幅に上回る代金を現に取得したという事情がなければ、およそ本件算定報告額をもって課税しなければ他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じるとはいえないとしています。
こうした点から、本件相続の開始前からX社株式の譲渡予定価格が事実上合意されていたという事情をもって、特段の事情(の一部)ということはできないとしました。

●相続開始前に税額を軽減させる積極的行為をしていた程度の事情が必要
本件のように、相続財産となるべき株式売却に向けた交渉が相続開始前から進行しており、相続開始後において実際に相続開始前に合意されていた価格で売却することができ、かつ、当該価格が評価通達の定める方法による評価額を著しく超えていたという事実をもってしても、直ちに納税者側に不当ないし不公平な利得があると評価することは相当でないと指摘しています。
総則6項を納税者の不利に適用するには、一定の納税者側の事情が必要と解すべきとして、例えば、【参考】のような事情が特段の事情として必要なものと解されるとしました。

●本件の総則6項の適用は最高裁判決の判断枠組みに照らして違法
本件被相続人が本件相続開始日以前に行った行為は、本件基本合意等にとどまり、これらの行為は、本件相続開始日以降に行われた本件相続株式の売却の結果を含めて評価したとしても、それがなかった場合と比べて相続税の金額を軽減する効果を持つものではないと指摘しています。
本件において特段の事情はないものというほかなく、本件相続株式の価額は本件通達評価額によって評価すべきであり、総則6項を適用し本件算定報告額を用いて本件相続株式を評価した本件各更正処分等は、最高裁判決の判断枠組みに照らして、平等原則の観点から違法としました。
そのため、本件相続株式の価額は、本件通達評価額によって定められるべきと判断しています。

【参考】本件で特段の事情として必要と解されると例示した内容
被相続人の生前に実質的に売却の合意が整っており、売却手続を完了することができたにもかかわらず、相続税の負担を回避する目的で、他に合理的理由もなく、殊更に売却手続を相続開始後まで遅らせたり、売却時期を被相続人の死後に設定しておいたりした場合など、最高裁判決の事例のように、納税者側が、それがなかった場合と比較して相続税額が相当程度軽減される効果を持つ多額の借入れやそれによる不動産等の購入といった積極的な行為を相続開始前にしていたという程度の事情

<ポイント>
令和4年の最高裁判決後に、総則6項の適否がどのように判断されるか注目されていました。
本件では、X社株式の原告側の通達評価額と国側の算定価額が約10倍と大きくかい離していますが、総則6項の対象と解される「特段の事情」として相続開始前に税軽減効果を持つ積極的な行為をしていたという程度の事情が必要であるとし(【参考】)、X社株式の譲渡の合意に至っているという事情は特段の事情に当たらないと判断しました。

【参考】では、本件において特段の事情に当たるような状況も例示しています。

近年、課税当局が安易に総則6項を発動している事案が増えてきていますので、素晴らしい判決のように思います。

総則6項は、『伝家の宝刀』と巷では呼ばれており、何がO.K.で、何がN.G.か分からない中で、課税当局がN.G.と言ってくる可能性があるというものであり、安易にこれが発動されると、納税者も税理士も安心して申告ができないのではないかと思います。

もっと、総則6項を発動する基準を明確にしてほしいですね。

東京地裁で総則6項を巡る事件で国が敗訴したことについて、あなたはどう思われましたか?


印鑑登録証明書の有効期限!

年間に数件相続税の申告のお手伝いをしていますし、先日、僕自身の相続税の申告を行いましたが、必要な書類のひとつに、『印鑑登録証明書』があります。
いわゆる『印鑑証明書』です。

その『印鑑登録証明書』ですが、結構、聞かれるのが有効期限です。
金融機関で、3か月以内のものが必要と言われたりすることがあり、そのイメージがあるためかと思っています。

そもそも『印鑑登録証明書』は契約書類に押印された印鑑が、本人が自治体に登録済みの『実印』であるということを証明する書類です。
それゆえ、重要な契約を結ぶときなどに、『実印』による押印と『印鑑登録証明書』の提出を求められたりします。

また、個人にも法人にも『印鑑登録証明書』があるのですが、今回は個人の『印鑑登録証明書』について話しを進めていきます。

自治体によって内容が異なりますが、例えば、我が香川県高松市の『印鑑登録証明書』の記載内容は、以下のとおりです。
・登録印影
・氏名
・旧氏
・生年月日
・住所
・備考

少し前に色々と問題があり、コンビニでの取得ができない自治体があるかもしれませんが、高松市の場合、マイナンバーカードがあれば、コンビニで『印鑑登録証明書』を取得できます。
また、窓口で取得すると1通350円かかりますが、コンビニだと250円です。

『印鑑登録証明書『そのものは、登録している印鑑が変更にならない限り有効期限はありません

色々な手続きの際、発行から3か月以内とか6か月以内の『印鑑登録証明書』を要求される場合があります。
これは、あくまで提出先が有効期限を設定しているに過ぎないのです。

ただし、不動産登記の申請で印鑑登録証明書を法務局に提出する場合、不動産登記令16条3項により「作成後3ヶ月以内のもの」とありますので、3か月以内のものを提出する必要があります。

ちなみに、相続税の申告書において、遺産分割協議書のコピーを提出する場合、『印鑑登録証明書』の提出も求められますが、遺産分割協議書に押印した『実印』と同じであれば、3か月以内とかいう期限は問われません。
結局、『印鑑登録証明書』は『印鑑』が変わらない限り基本的に有効期限はないということですが、不動産登記の場合や、提出先によっては、3か月以内のものとか6か月以内のものが必要となるということです。
非常に分かりにくいですね。

印鑑登録証明書の有効期限について、あなたはどう思われましたか?


マンション節税防止で算定法を見直し評価額4割から6割に!

日本経済新聞によると、国税庁が「マンション節税」や「タワマン節税」の防止に向け、相続税の算定ルールを見直す方針を固めました。
実勢価格を反映する新たな計算式を導入します。
マンションの評価額と実勢価格とのかい離が約1.67倍以上の場合に評価額が上がり、高層階ほど税額が増える見通しです。
年間10万人以上の相続財産が課税対象となる中、税負担の公平化を図る狙いがあります。

現行ルールは1964年の国税庁通達に基づきます。
国税庁は財産の評価方法を定めた通達を2023年中に改正し、2024年1月1日以降の適用を目指します。
現在は実勢価格の平均4割程度にとどまっている評価額が、6割以上に引き上がる結果となります。

相続税法は財産の評価は「時価による」と規定しています。
現金や上場株に比べて土地や建物は評価が難しく、国税庁は通達で、マンションの場合は建物と土地の評価額の合計とします。
建物は建築費などから地方自治体が算定する固定資産税の評価額を使用し、土地は一般的に毎年公表される路線価を使って計算します。
金額に応じて10〜55%の税率を掛け、相続税額を申告します。

今回のルール改正の最大のポイントは、実勢価格を反映する指標の導入です。
新たなルールは①築年数や階数などに基づいて評価額と実勢価格のかい離の割合(かい離率)を計算、②約1.67倍以上の場合、従来の評価額にかい離率と0.6を掛けることで評価額を引き上げます。
戸建ての平均かい離率(1.66倍)にそろえる狙いです。

国税庁がルール改正を検討するために設置した有識者会議の資料によると、東京都内の築9年の43階建て高層マンションの23階で、約1億1,900万円の実勢価格に対して評価額が3,720万円となっていました。
相続税に詳しい複数の税理士によると、この場合、従来は3,720万円が基準で、相続するのが子ども1人の場合は単純計算で相続税は約12万円になります。

新たなルールでは、実勢価格とのかい離率を3.2倍とした場合、3,720万円に3.2と0.6を掛けた約7,140万円が評価額となります。
単純計算の相続税額は約508万円となり、従来に比べて負担は500万円近く増すことになります。

国税庁が全国の20階以上のマンションについて2018年のデータを抽出調査したところ、かい離率は平均3.16倍でした。
国税庁の調査範囲に限れば、1.67倍の基準を大きく上回り、大半の住戸で税負担が増える可能性があります。

国税庁がルールを見直す背景にあるのが、評価額と実勢価格のかい離です。
路線価はそもそも公示地価の8割が基準で、足元の地価上昇が反映されにくくなっています。
さらにマンションの場合、全体の敷地面積を戸数で分けるため、戸数が多い高層マンションであるほど1戸当たりの土地の持ち分は小さくなります。

現行の算定ルールが導入された当時は皆無だったタワーマンションは現在、全国に1,400棟以上あります。
人気で高価格の高層階ほど実勢価格と評価額の差が大きくなる傾向があります。
この差を使った節税策は「マンション節税」や「タワマン節税」とも呼ばれ、相続税負担の不公平性がかねて指摘されていました。

見直し議論が本格化したきっかけは、2022年4月の最高裁判決です。
購入価格が計13億円超のマンション2棟の評価額を3億3千万円とした相続人に対し、実際の評価額は12億7千万円だとした国税当局の追徴課税を認容しました。
判決理由で「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ租税負担の公平に反する」と言及しました。
国税庁が2023年1月に有識者会議を立ち上げ、算定ルールの見直しを検討してきました。

2021年に亡くなった約143万人のうち、不動産や現預金などの相続財産の税務申告が必要だったのは約13万人でした。
相続税に関わる裾野は広がっており、多くの納税者にとって無縁ではなくなってきています。
高層階の税負担が大幅に増えればマンション市場に影響する可能性もあります。

<相続税>
亡くなった親などから受け継いだお金や土地といった遺産にかかる税金で、資産が多い人の富を再分配する役割があります。
相続した財産の額から葬式費用や借金を差し引き、基礎控除である「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」を上回った額に応じて10〜55%の税率がかかります。
基礎控除を下回る場合、税額はゼロになります。
2015年に基礎控除が縮小され、相続税が課税された被相続人の割合は以前の4%台から8%台に上昇しました。
2021年分の申告では亡くなった約143万人のうち9%にあたる13万人の相続財産が課税対象となり、税額は計2兆4,421億円と5年前と比べて1.3倍に増えました。

そもそも、同じ面積であれば、タワーマンションの1階だろうと最上階だろうと、同じ評価額になるのはおかしいですよね。
節税目的の方が、本当にマンションを買いたい方の相場を上げていると思いますし、改正は良いことだと思います。
このニュースが出てから、マンション販売業者の株価が下がっているようですから、今後のマンションの売れ行きや価格に影響を及ぼすということなんでしょうね。

マンション節税防止で算定法を見直し評価額4割から6割になることについて、あなたはどう思われましたか?


市街地の空き家建て替えが狭い道路沿いでも可能に!

時事通信によると、国土交通省は、市街地での空き家の建て替えを促すため、狭い道路に面した敷地での建築の規制を市区町村が緩和できるようにするようです。
今国会で審議中の空き家対策特別措置法改正案に特例の創設を盛り込みました。
使い道が見つからない敷地の有効活用を後押しします。

建築基準法のルールでは、住宅やビルを建てる場合、原則として敷地が幅4メートル以上の道路に2メートル以上接している必要があります。
消防活動の場や災害時の避難スペースを確保するためです。
ただし、道路幅が狭い市街地や古い住宅街などでは、この規制の影響で同じ場所での建て替えができないケースがあり、空き家が放置される要因の一つとなっていました。

そこで改正案では、市区町村が中心市街地などを空き家の「活用促進区域」に指定できる制度を創設しています。
区域内では、安全確保策を実施すれば、敷地に接する道路幅が4メートル未満の場合でも建て替えを可能にします。

国交省は今後、規制緩和の条件となる安全確保の基準をまとめ、市区町村に提示します。
例えば、新しい建物について燃えにくい構造とすることや、避難対策を講じることを想定しています。
ガイドラインも作成し、具体的な事例を示す考えです。

改正案は、促進区域内で建物の用途に関する規制を緩和できる特例も盛り込みました。
例えば、原則店舗を建てられないなどの制限があるエリアでも、地域活性化や観光振興を目的に、空き家をカフェなどに活用することを可能とします。

年間に何件か相続税の申告のお手伝いをさせていただいておりますが、何もできない土地に結構出くわします。
こういう改正により、土地を使えるようになるのはいいことですね。
一方で、土地の価値が高まるわけですから、路線価とか固定資産税評価額も上がるのでしょうか?
エリアがどこになるか分かりませんが、業者が今のうちに買い漁るかもしれませんね。

市街地の空き家建て替えが狭い道路沿いでも可能になることについて、どう思われましたか?


認知症の母の遺産「14億円」を次男がコンビニで少しずつ出金したものバレた理由!

2023年05月22日(月)

幻冬舎ゴールドオンラインで、認知症の母の口座から14億円を出金していた息子ですが、その後、母が亡くなり、母名義の財産のみで相続税申告をしたところ数年後に国税局から連絡が来て税務調査が入る事態に発展したという実際にあった裁判事例をもとに税理士が解説しています。

アルツハイマー型認知症を患っていた母・ママ子さん(仮名)は、秋も深まるある日に財産を残して亡くなりました。
相続人は長男・タロー(仮名)と次男・ジロー(仮名)です。
ママ子さんは、亡くなる3年半前から老人保健施設で暮らしていました。

悲しみに暮れるなかタローとジローはママ子さんが残した財産を相続し、それぞれの相続額分の相続税申告をしました。
ところが数年後、国税局からジローのもとへ連絡が入り、税務調査に発展しました。

ジローがママ子さんが亡くなるまでの2年の間に、ママ子さんの預金口座からATMで合計約1,900回以上、総額約14億円以上を引き出した記録があります。
しかしながら、ジロー本人はこの出金の事実について否認しています。

ママ子さんが亡くなった時点では、財産がすでに約14億円目減りした状態だということが判明したのです。

<時系列まとめ>
本件は、実際にあった裁判事例です。
まずは、時系列を整理していきましょう。
H22.11
母・ママ子さん アルツハイマー型認知症と診断される
H24
ママ子さんは所有している証券口座について、次男・ジローを取引代理人とする「代理人・印鑑届」を提出
H24.12
ママ子さん 老人保健施設に入所
H25.9~12
ジローが上記、ママ子名義の証券口座に預けられていた株式を全て売却
H26.2
ママ子さん 介護付き有料老人ホームに転居
H25.12~H28.1
ジローが750日(約2年)の間に、ATMを通じて合計1,902回、総額14億3,002万3,000円を出金
H28.4
タローとジローがママ子さんの遺産を相続開始
タローとジローは法定期限内に相続税申告書を国税局に提出(上記出金は相続財産に計上していない)
数年後
ジローへの税務調査に発展。
ジローはATMでの出金の事実を否認
R2.3
国税局が「13億8,735万円に相当する金員に係る不当利得返還請求権が相続財産に含まれるもの」として、ジローへ更正処分を下す
R3.4
国税不服審判所にて、国税局のジローへの処分は適法と判断
R5.2
東京地方裁判所にて、国税局の処分は適法と判断

争点としては、下記2つです。
1. ATMから出金をしたのは次男か
2. もし次男だとしたら不当利得返還請求権が成立するか

1. ATMから出金をしたのは次男・ジローか
現金が出金されたATMはとあるコンビニに設置されているものです。
そのコンビニの店長及び従業員に、国税局の調査担当職員が、ジローの顔写真を提示して、「この人物について知っていることを教えて欲しい」と質問しました。
コンビニの店長や従業員は、「毎回のようにATMで用事を済ませた後、食料品を大量に買い、税金の支払いに係る納付書を何枚も持ってきて、多額の納付をすることもあった」と回答しました。
この店長や従業員はジローとは利害関係のない第三者であって、虚偽の発言をする動機は見当たらず、両者の具体的な申述内容が合致していることから、「ジローについての申述は正確なものと認められる」と審判所、裁判所は判断しました。
すなわち、次男・ジローの申述内容は信頼できず、ATMから出金したのはジローだと認定されたのです。

2. ATMから出金をしたのは次男・ジローだとしたら不当利得返還請求権は成立するか
ATMからの出金者はジローと認定されました。
次に、相続財産を構成するために、出金した財産を特定するか、次男に対する債権であるかのいずれかを認定しなければなりません。
本件では、出金したあとの財産を特定することができなかったと推察されます。
となると、次男に対する債権であることを認定する必要があります。
この認定のために重要となるのが出金時の母・ママ子さんの状況です。
ママ子さんは平成22年11月にアルツハイマー型認知症と診断されています。
出金時の平成25年12月~平成28年1月の意思能力の程度を考慮すると、ジローに対して、本件金員が贈与されたとは考え難く、ジロー本人も本件金員の贈与等を受けた事実がないことは認めています。

したがって、ジローは相続の開始までに出金した約14億円の一部を自己のために費消し、いずれかで保管していることから、法律上の原因なく利益を受け、そのためにママ子さんに損失を及ぼしたものといえます。
すなわち、母・ママ子さんは次男・ジローに対する不当利得返還請求権を有することとなります。

相続税の負担を軽減するため、被相続人(財産を遺して亡くなった方)が亡くなる数年間で現金を引き出したとしてもバレます。
銀行の記録を調べれば、どこのATMで引き出したかもすぐに分かります。
そしてそのATMの防犯カメラや従業員等の申述により、引き出した人は特定されてしまいます。

本事例では、次男のジローは出金した財産を隠すことには成功しました。
仮に自宅の庭などに埋められていて、国税局の職員が発見すればその現金を相続財産として認定します。
しかしながら、本件では、現金や他の預金等を見つけることができなかったのでしょう。
それゆえ、不当利得返還請求権として相続財産に計上すべきであると認定されたのです。

すなわち、出金した現金を無事隠すことに成功したとしても不当利得返還請求権等の債権として相続税がかかってきてしまうのです。

本件で相続税申告を担当した税理士はジローに対し、「『多額の出金を隠してもいいことはなく、このまま申告書を提出すると税務調査が入る可能性がある』と伝えましたが、ジローは『調査が入っても構わない』旨を返答した」と言います。

本件は出金を隠したことにより、当初から適切に申告をしていればかからなかった重加算税等のペナルティもかかってしまいました。
経済的に得をするために虚偽の申告をした結果、むしろ経済的に損をしてしまった事例です。
亡くなったお母様は一番悲しむのではないでしょうか?

バレないと思っているのが、ある意味スゴいなぁと思います。
それほど甘くはないです。
長男はこの14億円について知らなかったでしょうから、この後、どうしたんでしょうね?
この14億円が次男のものだとしても、相続財産がこれだけ増えると長男の税額もかなり上がるでしょうから。

認知症の母の遺産「14億円」を次男がコンビニで少しずつ出金したものバレた理由について、どう思われましたか?


デジタル遺言制度を創設!

日本経済新聞によると、政府は法的効力がある遺言書をインターネット上で作成・保管できる制度の創設を調整するようです。
署名・押印に代わる本人確認手段や改ざん防止の仕組みをつくります。
デジタル社会で使いやすい遺言制度の導入により円滑な相続につなげます。

法務省が年内に有識者らで構成する研究会を立ち上げ、2024年3月を目標に新制度の方向性を提言します。
法務大臣の諮問機関である法制審議会の議論を経て民法などの法改正をめざします。

現行制度で法的効力がある遺言書は3種類あります。
本人が紙に直筆する自筆証書遺言、公証人に作成を委嘱する公正証書遺言、封書した遺言書を公証役場に持参する秘密証書遺言です。

自筆遺言には国による保管制度があります。
法務省が2018年に発表した推計では作成済みと作成予定の合計で1,204万人の需要がありました。
公正証書遺言は2022年に11万1,977件の利用がありました。
秘密証書はほとんど使われていません。

新制度では自筆遺言をパソコンやスマートフォンで作成し、クラウド上などに保管する案があります。
現在の自筆遺言は本人がペンを使って本文や作成日を書いて署名・押印しなければ法的効力を持ちません。
法務局に預けて亡くなった後で受け取りを請求する制度は用紙の大きさや余白やページ番号のふり方まで細かい規定があります。

不動産や現預金など相続する財産を一覧化した財産目録も作成しなければならず、高齢者が自筆遺言を作るのは簡単ではありません。
弁護士らの助けが必要になるケースが多いようです。

ネット上での作成が可能になればフォーマットに沿って入力する形になるため遺言制度に詳しくない人でも自分でつくりやすくなります。
紙の遺言書と違って紛失リスクがなく、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使えば改ざんもされにくくなります。

デジタルでの相続対策サービスを手がけるサムライセキュリティ(東京都渋谷区)の浜川智最高経営責任者(CEO)は「デジタル化で遺言作成の利便性が高まれば利用者の裾野が広がる」とみています。

海外では紙以外の遺言制度の整備が進んでいます。
法務省などの資料によると、アメリカは2019年に電子遺言書法を定めました。

2人以上の証人の前で電子署名すればデジタルでの遺言書を認めました。
導入は各州の判断に委ねられており、これまでにネバダ州やフロリダ州などが取り入れました。

韓国も遺言を残す本人による趣旨説明や証人の立ち会いで、録音の遺言が効力を持ちます。

一方で、ドイツやフランスなどまだデジタル形式や録音での遺言を認めていない国もあります。
遺言書は通常の契約と異なり本人が死去した後に使うものであり、事後の意思確認ができないため、電子化への慎重論もあります。

政府はこうした意見を踏まえ、安全性や実効性を担保できる制度設計を探ります。

『争族』を避けるためにも、もっと『遺言書』が普及すれば良いと考えていますので、今までより簡単に作成できるデジタル遺言が認められればいいなぁとは思いますね。

デジタル遺言制度を創設することについて、どう思われましたか?


夫の遺産相続で相続税1億円あまりを脱税した妻を告発!

NHKによると、5年前に亡くなった夫の遺産を相続したのに申告せず、相続税1億900万円余りを脱税したとして、岡山県瀬戸内市の71歳の妻が広島国税局から検察庁に告発されました。

告発されたのは岡山県瀬戸内市の会社員(71)です。
広島国税局によると、2018年6月に夫が亡くなり、ほかの相続人とともにおよそ4億4,800万円を相続しましたが、複数の場所に分散して隠すなどしたうえ、相続税の申告書を提出しなかったということです。

広島国税局は、相続した遺産を隠し、1億900万円余りを脱税したとして、相続税法違反の疑いで、先日、岡山地方検察庁に告発しました。

約4億5千万円を相続したのに、複数の場所に分散して隠し、申告しないというのは、かなり悪質ですね。
遺産が何なのか、どうやって分かったのかなどについては分かりませんが、これだけの遺産があると、隠し通せるほど甘くはないと思いますが、簡単に隠せると思ったのでしょうか?
重加算税や延滞税などを考えると、かなり持っていかれるでしょうね。

夫の遺産相続で相続税1億円あまりを脱税した妻を告発したことについて、どう思われましたか?


2021年度は相続人なき遺産が過去最高の647億円で国庫へ入いった!

朝日新聞によると、遺産の相続人がいないなどの理由で国庫に入る財産額が、2021年度は647億円と過去最高だったことがわかったようです。

身寄りのない「おひとり様」の増加や不動産価格の上昇も背景に、行き場のない財産は10年前の倍近くに増えています。

専門家は早めに遺言書をつくるよう勧めています。

最高裁判所によると、相続人不存在による相続財産の収入は、2021年度は前年度比7.8%増の647億459万円でした。

2001年度は約107億円、2011年度は約332億円で、この20年で6倍に増えたことになります。

相続人も遺言もない遺産は、利害関係者の申し立てにより、家庭裁判所に選任された「相続財産管理人」が整理します。

未払いの税金や公共料金などを清算し、相続人が本当にいないかを確認し、一緒に暮らしたり身の回りの世話をしたりした「特別縁故者」がいれば家裁の判断などにもとづいて財産を分与し、残りは国庫に入るのです。

もし、お世話になった方などがいて財産を渡したいと思っていたにも関わらず、遺言書などを作成していなかったばかりに国庫に入るのは非常にもったいないように感じますね。
エンディングノートなどが大事になってくるのかもしれませんが、おひとり様だとしても、早めに、遺言書を作っておくのがいいでしょうね。

2021年度は相続人なき遺産が過去最高の647億円で国庫へ入いったことについて、どう思われましたか?


放置された空き家について活用を促すため税負担増を政府が検討!

日本経済新聞によると、政府は全国で増える空き家について、壁に亀裂が入るなど管理が不十分な建物の税優遇を見直す検討に入ったようです。
住宅用地を対象に固定資産税を軽減する特例から外す方向で、事実上の増税となります。
実施されれば平均的な宅地の税額は4倍程度に増えます。
建て替えや売却を促して倒壊などの危険のある住宅の増加を抑え、中古住宅市場の活性化につなげます。

先日に開かれた有識者会議で空き家対策の方向性が示されました。
2023年1月ごろに報告書をまとめ、空き家対策特別措置法など関連法の改正を視野に内容を詰めます。
早ければ2023年度中の実施をめざします。

国土交通省によると、全国の空き家は2018年時点で849万戸です。
うち賃貸・売却用などを除き居住目的のない空き家は349万戸と、20年前からほぼ倍増しています。
地方の住宅を親や祖父母から相続して放置するケースなどが目立っています。
適切な対策をとらなければ2030年に470万戸に増える見込みです。

住宅用地の固定資産税の軽減は、高度成長期に農地などの宅地化を進めるために導入されました。
倒壊の危険がある「特定空き家」は既に特例からの除外が可能です。
今回さらに対象を広げ、そこまで状態が悪化していない建物でも管理が不十分なら適用しないようにします。

屋根の一部や窓が損壊する建物などを念頭に置いています。
こうした建物は少なくとも約24万件あります。

所有者が分からない約5万戸の空き家の扱いも課題となっています。
自治体は固定資産税の情報を利用するなどして所有者を探せるが限界があります。
市町村が裁判所に財産管理人の選任申し立てをして、弁護士らが物件を管理する制度の見直しも議論されています。

個人的には、活用を促すことになるのか疑問に思います。
定年後などに実家に帰ってくることもあるため、実家を相続してそのままにしている方も結構いらっしゃるのではないかと推測されますが、こういう制度ができると、実家を早めに売り払おうとして、将来実家に戻ってくる可能性を閉ざすのではないかと思います。
もちろん、購入された方が、その地域の活性化などに貢献していただければ、素晴らしいことだとは思いますが、おそらく、都会に出て行って戻ってこない方が、地方に移住する方を上回ると思いますので、地域の過疎化が進んでいくのではないかと思います。
固定資産税を上げるよりは、地方自治体が中心となって、移住を考えている方や移住者に期間限定でこういった家を安く貸すような制度を作ったり、ふるさと納税を使うなどしてこういった家を管理してくれるような制度を作ったり、サブスクリプション方式のわーケーションの場として提供するといった仕組みを作ったり、四国だと世界遺産を目指しているお遍路さん向けに貸したりする仕組みを作るなど、家を守っていくということも考えた方が良いのではないかと思います。

放置された空き家について活用を促すため税負担増を政府が検討していることについて、どう思われましたか?


東京都心の中古マンションが1億円超え!

日本経済新聞によると、東京カンテイ(東京都品川区)が先日まとめた11月の東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)の中古マンション平均希望売り出し価格(70平方メートル換算)は、前月に比べ63万円(0.6%)高い1億13万円だったようです。
14か月連続で上昇し、2002年の集計開始後で初めて1億円の大台に乗りました。

高橋雅之主任研究員は「投資マネーの流入でバブル期以来の水準になった」と指摘しています。
都心部では新築の高額物件に引っ張られるといった形で中古マンションも値上がりが目立ち、実際に住む需要だけでなく投資目的の資金も集めました。

首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)全体では2万円安い4,807万円と、18か月続いた値上がりが一服しました。
都内の都心6区外での値下がりが響いた格好で、高橋氏は「実需向けには高額すぎる一方で、投資目的には人気が薄いエリアだ」と言っています。
周辺3県は実需に支えられて価格上昇が続いています。

日銀は、先日、長期金利の許容上限を従来の0.25%程度から0.5%程度へ引き上げることを決めました。
固定型住宅ローン金利の上昇を通じて需要は全般に落ち込む可能性があります。
東京カンテイの高橋氏は「資産形成目的の投資家はキャッシュで買うことが多く、都心部の人気物件は値下がりしないのでは」とみています。

近畿圏は21万円(0.7%)高い2,888万円、中部圏は30万円(1.3%)高い2,281万円でした。

中古で1億円を超えるなんて、凄いですね。
高層マンションは軽くするために、作り自体はあまり良くないと聞きますが、修繕が必要になってくる将来的な資産価値はどうなっていくんでしょうね?
また、個人的には、今回の税制改正では改正になりませんでしたが、相続税や贈与税の計算の際の評価方法が近いうちに改正になり、節税目的の購入が減り、相場が下がると思っているのですが、どうなんでしょうね?
あとは、震災等のリスクのことも考えないといけないように思います。

東京都心の中古マンションが1億円超えになったことについて、どう思われましたか?


コロナ禍の影響薄れ相続税の申告漏れは2,230億円!

日本経済新聞によると、国税庁は、先日、2022年6月までの1年間(2021事務年度)の調査で、相続税の申告漏れが前年度に比べ24.9%増の2,230億円だったと発表しました。
新型コロナウイルス禍の影響が弱まり、調査件数は前年度比23.7%増の6,317件でした。

国税庁によると、調査では悪質なものや大口の事案が優先され、1件当たりの申告漏れ課税額は3,530万円と過去10年間で最高となりました。

項目別の相続財産の金額は、現金・預貯金6兆6,846億円、土地6兆5,428億円、有価証券3兆2,204億円、家屋1兆133億円で、いずれも過去10年間で最高となりました。

申告漏れの事例では、関東信越国税局が、洗濯機の下や床下に隠した夫の現金約3億円や家族名義の預金通帳約1億円を申告しなかったとして、妻や子に重加算税を含めて約1億7千万円を追徴課税した事例があるようです。

税務調査も増えてきていますね。
悪質なケースを中心に頑張ってほしいですね。
どうやって見つけたのかとかについても知りたいですね。

コロナ禍の影響薄れ相続税の申告漏れは2,230億円だったことについて、どう思われましたか?


相続税の節税のイタチごっこで不動産「小口化」市場が急伸!

日本経済新聞によると、相続税の財産評価をめぐり、新しく編み出される節税スキームと国税当局のイタチごっこが繰り返されているようです。
ここにきて都心オフィスビルなどを共同で所有する「不動産小口化商品」が急伸しています。
2015年の基礎控除縮小で中流層も課税対象になり、高齢者らの関心は高まる一方ですが、節税効果に目を奪われ、リスクが過小評価される可能性もあります。

東京・豊洲の商業ビル「セレサージュ豊洲」はコスモスイニシアが展開する不動産小口化商品のひとつです。
東京オリンピック会場に近い豊洲エリアは再開発で子育て世代が増え、このビルも学習塾「早稲田アカデミー」などのテナントで埋まっています。

セレサージュ豊洲を所有する任意組合への出資は1口500万円で2口から。投資家は相続税の節税を目的とする高齢者が目立ちます。
神奈川県在住の二宮太郎さん(仮名、78)はマンション1戸よりも少額から始められるうえ、「子ども2人に相続するときに分けやすい」とみて4,000万円を投じました。

「これからは都心のビルを小口化して所有する」と、新幹線の車内広告にも不動産小口化商品のセールストークが躍っています。
2013年度末に473億円だった任意組合型の累計募集額は2020年度末に3倍の1,447億円にのぼりました。
足元で2,000億円規模に積み上がったとの見方があります。
信託法に基づく商品を含めると、さらにふくらみます。

大手の青山財産ネットワークスは「相続課税が強化された2015年以降に商品供給が増えた」(東川亨FTK推進部部長)といっています。
2015年に相続税の基礎控除が縮小され、都市部に持ち家のある中流層が広く課税対象になりました。
家賃収入による分配金に加えて相続税の財産評価を下げたい高齢者が小口化不動産を買っているのです。

配偶者と子ども2人が法定相続人の場合の基礎控除は、8,000万円から4,800万円になりました。
東京都では2015年、亡くなった人のうち相続税がかかる割合が16%と前年の10%から跳ね上がりました。
夫婦の一方が先に亡くなる「1次相続」で残された配偶者の相続分は1億6,000万円まで非課税のため、世帯単位では課税対象の割合はもっと高いとみられます。

資産を現金などから不動産に移しておくのは、相続税の節税の常とう手段です。
土地は実勢価格の約8割の路線価、建物は固定資産税評価額で計算するため、現金での相続に比べて節税になるのです。
賃貸アパートなどに使っている「貸家建付地」、200平方メートルまでの「小規模宅地」とみなされれば、2,000万円で買った小口化不動産の評価が最終的に400万~600万円ほどに下がる場合があります。

富裕層によるタワーマンションの高級住戸などの取得や地主の賃貸マンション経営といった節税スキームは、中流層には困難でした。
これに対して、資産価値が落ちにくい都心一等地の不動産を1口数百万円から買える小口化不動産は投資家の裾野がはるかに広く、資金が集まりやすくなっています。

ただし、投資リスクが消えるわけではありません。
サンフロンティア不動産の荒井徹也コンサルティング事業部長は「運用期間が終わるタイミングが、リーマン・ショックのように市況が悪い場合は元本割れするリスクがあります。
『出口戦略』をよく考えて購入の判断をするべきだ」と指摘しています。

小口化不動産は「資産圧縮」「納税額軽減」など、あからさまに相続税の節税メリットをうたった広告も多くなっています。
ある国税幹部は「税務上問題になるかどうかは、個別のケースを検討しないと分からない」との原則を前置きしたうえで「興味深く、注視している」と問題意識をにじませています。

FP総合研究所の松原健司代表理事は「相続前後に短期売買したりすると、当局から目をつけられる可能性が高い」と分析しています。
相続の発生時期は予想できず、そのときまでに相続税制が変わっているかもしれません。

「新しい資本主義」で分配を重んじる岸田文雄政権の下、2023年度の税制改正大綱では生前贈与の見直しが議論される可能性が浮上しています。
もらう人1人当たり年110万円までの非課税枠が縮小されるとの見方があり、これが現実になれば中流層の節税対策は過熱しそうです。

相続財産評価の実務ルールは国税庁の「財産評価基本通達」であり、節税スキームの規制も国税当局の裁量という面があります。
当局は通達に基づく相続税申告が「著しく不適当」である場合、国税庁長官の指示を受けて再評価できます。
節税目的で肥大化しつつある小口化不動産がどう扱われるか、業界関係者は当局のさじ加減に神経をとがらせています。

最高裁は2022年4月、借入金とマンション取得を組み合わせた極端な相続節税について、国税当局の課税を容認する判決を出しました。
多額の財産を背景として高齢者には異例の高額ローンを組んだ事例で、最高裁は「租税負担の公平に反する」と判断しました。

税理士業界でも「あの節税はやり過ぎだ」(フジ相続税理士法人の高原誠税理士)との声が多いようです。
ただし、節税スキームの骨格は一般的なものだけに、極端かどうかの線引きがはっきりしないと「後出しジャンケン」との不満を招きかねません。

2021年度の相続税収は2兆7,702億円と国税の3.9%ほどですが、一人ひとりの納税者にとっては金額が大きいです。
節税ニーズは強く、過去にも不動産会社などが地主層に薦める賃貸アパート経営の失敗などが問題になってきました。

2015年の基礎控除縮小により、相続財産が1億円未満の中流層の負担も重くなりました。
これに合わせて教育資金や結婚資金を贈与する場合の非課税枠を設けました。
現役世代への資産移転によって景気浮揚につなげる狙いでしたが、富の再分配という税の本来的な役割になじまないご都合主義が否めません。

相続税制は国による違いが大きくなっています。
シンガポール、オーストラリアなどは相続税がありません。
アメリカは基礎控除が大きく、ごく限られた富裕層しか課税されません。
中流層に課税を広げた日本の相続税制は、税の3原則「公平、中立、簡素」に照らして検証すべき時期にきていると言えるでしょう。

■日本の相続税
日露戦争の戦費調達のため1905年に導入されました。
第2次世界大戦後はGHQ(連合国軍総司令部)が財閥などに富を集中させないよう税率の引き上げを求めました。
累進の最高税率はかつて90%に達しており、「3代で財産がなくなる」といわれていました。
税務申告ベースでは2020年に亡くなった約137万人の8.8%に相当する約12万人が残した財産が課税対象になりました。
相続財産は約17兆4,000億円で、土地と家屋が合わせて40%、現金などが34%を占めています。
相続発生時に亡くなった人と相続人がともに10年を超えて海外に住んでいれば海外財産に相続税はかかりません。
超富裕層は節税目的で海外移住することがあり、法改正で5年超から10年超になりました。

個人的には、今年の4月の最高裁の判決は極端な事例だと思っていますし、相続税法上認められた評価なので、批判されるべきものではないと考えています。
ダメなのであれば、後出しジャンケンの総則第6項ではなく、明確にダメなものを規定すべきだと思います。
記事を書いた方があまり詳しくないのではないかと思いますが、贈与税が改正されるかもということで昨年あたりは人気があり、すぐに売り切れていましたが、今年は取り扱っている業者が増えたのもあると思いますが、大手業社の物件も売れ残る状況になっており、会計事務所向けなどに色々なイベント等を開催して販売しようとしているのがありありと見てとれますので、かなり下火になってきているのではないかと感じています。

相続税の節税のイタチごっこで不動産「小口化」市場が急伸していることについて、どう思われましたか?


路線価の全国平均は2年ぶりに上昇も明暗が分かれる!

読売新聞によると、国税庁は、2022年7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる2022年分(1月1日時点)の路線価を発表しました。
全国の平均変動率は前年比プラス0.5%で、2年ぶりに上昇しました。
コロナ禍の影響が縮小し、一部の観光地などでは回復しましたが、需要が低調なオフィス街などは下落が続いています。

都道府県別では、地方を中心に27県で下落した一方、前年より13都府県多い20都道府県で上昇しました。
宅地やオフィス需要のある北海道がプラス4.0%で最も高く、福岡3.6%、宮城2.9%と続きました。
東京(プラス1.1%)や愛知(同1.2%)など、前年はマイナスだった都市部も多くが上昇に転じました。

都道府県庁がある47都市の最高路線価も、前年より7都市多い15都市で上昇しました。
最も上昇幅が大きかったのはJR駅周辺の再開発が進む千葉市(プラス5.1%)で、札幌市(同4.8%)や広島市(同3.5%)が続きました。

路線価トップは、東京都中央区銀座5の銀座中央通りで、1平方メートル当たり4,224万円です。
前年から1.1%下落しましたが、37年連続で全国1位となりました。

一方、大阪のミナミの戎橋ビル前の心斎橋筋は、前年が26.4%下落、2022年が10.6%下落で、2年連続下落率日本一ですから、明暗が分かれています。

相続税を考えると路線価は低い方がいいんでしょうけど、財産として考えると高い方がいいですし、色々な方々のマインドへの影響を考えると上昇する方がいいんでしょうね。
毎年のことですが、基本的に、路線価は1月1日時点のものが7月1日に公表されますが、もっと早く公表できないのだろうかと思います。
1月の初めの頃にお亡くなりになった場合、土地を持っていると7月1日以降でないと、相続税の計算ができないからです。
非上場株式もそうなのですが、1月や2月にお亡くなりになった場合、6月にならないと、評価に用いるデータが公表されないため、相続税の計算ができないのです。
贈与税の申告のためのデータは、12月までのものが翌年1月に公表されるので、非上場株式の方は間違いなく早く公表できるはずです。
相続税の申告・納税を早く終わらせて、すっきりしたいと考える方が多いので、本当にどうにかしてほしいですね。

路線価の全国平均は2年ぶりに上昇も明暗が分かれたことについて、どう思われましたか?


新田真剣佑に“相続トラブル”!

2021年、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった千葉真一さんの「遺産整理」の過程で、息子で俳優の新田真剣佑が〝千葉さんに1,300万円〟を貸したとする「借用書」の存在が明らかになったと『FRIDAY』が報じています。

同誌の取材に応じた千葉さんの所属事務所社長が明かしたところによると、この「借用書」のサインは千葉さんの筆跡ではないそうです。

「千葉さんの死後、一部の関係者たちが対立関係に陥っているんです。あれほどの世界的スターですから、さぞかし莫大な遺産が残っていると思われがちですが、映画制作などに巨費も投じていた千葉さんには、相当な額の借金もあると言われていました。」(スポーツ紙記者)

問題の「借用書」は、千葉さんの遺産を整理するにあたって代理人が「債権者は届け出てほしい」とアナウンスした際に提出されたもののようです。

「千葉さんの所属事務所社長は、対立する関係者が勝手に出したのではないかと疑っているようです。しかし、提出したのは真剣佑の代理人だとされていますから、彼もまったく知らないわけではなさそうですね。」(同・記者)

真剣佑は、異母姉で女優の真瀬樹里とも協調路線をとることなく、千葉さんの「お別れ会」を同じ日に別々に行う予定だったとされています。

「実の弟の眞栄田郷敦は真剣佑サイドについているというが、結局『お別れ会』は真瀬サイドだけが予定通りに執り行い、真剣佑・郷敦サイドは延期している。千葉さんの遺品に関しても、真瀬と関係者などの間でもめているというからね。もうグチャグチャだよ。」(芸能プロ関係者)

最終的に、問題の「借用書」は取り下げられたそうですが、真剣佑は別の〝金銭トラブル〟も抱えているようです。

暴露系ユーチューバーのガーシーこと東谷義和氏に巨額のカネを貸し付けているのです。
「ガーシーは、真剣佑に6,000万円借りていることを認め、それをギャンブルに使ったことまで明かしている。本人は返済の意思を示しており、参院選にガーシーを擁立するNHK党の立花孝志党首も、弁護士を通じて返済の仲介役を買って出ているが、今のところ真剣佑サイドからの連絡はないようだ。」(同・関係者)

真剣佑は、東谷氏に女性スキャンダルやステマによる〝脱税疑惑〟まで暴露されています。
6,000万円を返済してもらいたくても、下手にコンタクトをとれば再び火だるまになりかねません。

災難続きの真剣佑は、SNSなどの更新もストップし、沈黙を続けているようです。

芸能人は相続トラブルが多いですね。
たくさん稼がれてたくさん財産があるということもあるのでしょうけど、親族関係が複雑だったり、資産家の割には相続税対策とかをあまりしていないんでしょうね。
芸能人に限りませんが、相続をきっかけに親族の中が悪くなるのは非常に残念なことですので、できるだけ早めに相続税対策などを始めましょう。

新田真剣佑に“相続トラブル”が起こっていることについて、どう思われましたか?


2022年世界長者番付トップはテスラCEOで日本人トップは柳井正氏!

読売新聞によると、アメリカの経済誌のフォーブスは、先日、2022年版の世界長者番付を発表しました。
アメリカの電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の資産額が2,190億ドル(約27兆円)に上り、初めて首位に立ちました。
テスラの業績が好調で保有株が大幅に値上がりし、資産額が膨らんだのです。

ウクライナ侵攻に伴う対露経済制裁により、ロシア市場で株価や通貨ルーブルの価値が下落し、フォーブスの試算ではロシアの億万長者の資産は昨年から2,600億ドル(約32兆円)以上減りました。
100億ドル以上減る富豪が続出し、リスト(保有資産10億ドル以上)に入ったロシアの億万長者は2021年から34人減って83人となりました。

2021年まで4年連続で首位だったアメリカのアマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏は1,710億ドル(約21兆円)で2位となりました。
3位は高級ブランド「ルイ・ヴィトン」などを傘下に持つ仏LVMHのベルナール・アルノーCEOで、1,580億ドル(約19兆円)でした。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が日本人トップの54位で、資産額は261億ドル(約3.2兆円)でした。
2位は、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の74位で、213億ドル(約2.6兆円)でした。

毎年、大学院の授業で、フォーブスの世界長者番付を取り上げていますが、すごい金額ですよね。
日本人も、トップが柳井さんと孫さんが年によって入れ替わっていますが、業績によって大きく変りますね。
日本で売上高が1兆円を超える企業が100数十社しかないわけですから、財産として3.2兆円とか2.6兆円というのは想像を絶しますね。
ちなみに、日本で一番売上高が多いトヨタ自動車が27兆円ですから、マスクさんとかペゾスさんの財産は、それに匹敵するくらいあるということです。
資産が大幅に減少したロシアの富豪の方々は、今どのような気持ちなのでしょうか?

2022年世界長者番付トップはテスラCEOで日本人トップは柳井正氏だったことについて、どう思われましたか?


注目のマンション相続課税は「伝家の宝刀」抜いた国の勝訴が確定!

朝日新聞によると、父が購入したマンションを相続した遺族が相続税を「ゼロ」と申告したところ、税務署が「伝家の宝刀」とも呼ばれる手法で、3億円余りの追徴課税をしました。
この課税が妥当かどうかが争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(長嶺安政裁判長)は2022年4月19日、取り消しを求めた遺族の請求を棄却する判決を言い渡した。
これにより、遺族側の敗訴が確定しました。

問題とされたのは東京都杉並区と川崎市のマンション計2棟です。
不動産会社の代表だった男性(故人)が銀行から借金をして2009年に計13億8,700万円で購入し、子どもたちが2012年に遺産相続しました。

国税庁の通達では、不動産の相続税を計算する際、土地の評価に「路線価」、建物に「固定資産税評価額」を使うとしています。
遺族はこれをもとに土地と建物の価値を計約3億3,300万円と評価したうえで、銀行からの借金を差し引き、相続税はゼロと申告しました。

しかしながら、評価額が購入額より大幅に低いことなどから、税務署は、マンションの購入自体が相続税を回避しながら資産を引き継ぐ目的だったとみなし、「行きすぎた節税策で、ほかの納税者と著しく不公平になる」と考えたのです。

通達には、税務署が「著しく不適当」と考えた場合、独自に評価をやり直せるという例外規定があります。
税務の世界で「伝家の宝刀」とも呼ばれるこの手法を使い、税務署は土地と建物の鑑定をやり直しました。
その結果、マンションが将来生み出す収益も見込めば評価額は約12億7,300万円だと算定し、約3億3千万円を追徴課税したのです。

遺族は「マンション購入は父親の不動産業の経営効率を良くするためだった」「例外規定の適用基準があいまいだ」と反論し、追徴課税の取り消しを求めて裁判を起こしました。
一審・東京地裁と二審・東京高裁はいずれも、遺族の申告は「租税負担の実質的な公平を著しく害する」などと指摘し、追徴課税は妥当と判断していました。

相続税の申告をしている税理士にとっては、注目されていた案件の判決が出ました。
国側が敗訴することを期待していたのですが、残念な結果となりました。
残念な結果となったのは仕方ないですが、『租税負担の公平』と言われても非常に難しいので、どういうケースだと『伝家の宝刀』(いわゆる総則6項)を使うのかということを明確にしてほしかったと思います。
そうしないと、税理士も通達に基づいて申告をしてもアウトと言われる可能性があり、何に基づいて計算すればいいのだろうかということになってしまいますので。
きちんと説明しておかないと(きちんと説明していても?)納税者から訴えられるリスクがありますし、保守的な方を取っているとあの税理士は保守的すぎると批判されるかもしれませんし、他の税理士に更正の請求をされて万が一通ったら信頼を失うでしょうし、税理士のリスクがあまりにも高いように思います。

注目のマンション相続課税は「伝家の宝刀」抜いた国の勝訴が確定したことについて、どう思われましたか?


税務署が「亡くなった人の印鑑」を厳しくチェックする理由!

ダイヤモンド・オンラインによると、大切な人を亡くした後、残された家族には膨大な量の手続が待っています。
しかし手続を放置すると、過料(金銭を徴収する制裁)が生じるケースもあり、要注意です。
また、国税庁によれば、2019年7月~2020年6月の事務年度において、税務調査を受けた家庭の85.3%が修正となり、1件当たりの平均追徴課税(申告ミス等により追加で課税される税金)は、なんと641万円でした。
税務署は「不慣れだったため、計算を間違えてしまった」という人でも容赦しません。

●税務署が「印鑑」を徹底的に調べる理由
税務調査が行われると、「今、この家にあるすべての印鑑を出してもらえますか?」と言われます。
指示に従い、印鑑を渡すと、調査官は「印影をいただきますね」と言いながら、印影を取っていきます。
このとき、最初の1回目は朱肉を使わずに印影を取ります。
おっちょこちょいな調査官なのかと思いきや、これはあえてそのようにしているのです。
朱肉を使わずに印影が取れた場合、その印鑑は最近使用したと推定されます。
税務調査は、実際に相続が発生してから2年後くらいに行われます。
故人の実印は、基本的に亡くなった後に使う機会はなくなるはずです。
それにもかかわらず、故人の実印が最近使われたというのは、契約書のバックデイト等の疑いが浮上します。
バックデイトとは、過去から契約書が存在するように見せかけて、本当は日付を遡って契約書を作成するという文書偽造行為です。
昔から贈与契約書があったと見せかけるために、税務調査直前に贈与契約書を偽造する人がいるので、このような調査が行われます。

●調査官は、既に知っていることも質問する
事前に調べていて調査官が知っていることでも、知らないふりをして質問してきます。
これは、調査を受けている相続人が嘘をつく人なのかどうかを調べるために行います。
調査官に嘘をつくような人には、重加算税という非常に重いペナルティが課されるので、そういったことは絶対にしないようにしましょう。
国は、みなさんが大体どのくらいの財産を所有しているか把握しています。
国税庁には、国税総合管理(KSK)システムという巨大なデータベースがあり、全国民の毎年の確定申告(サラリーマンの場合は給与の源泉徴収票)の情報や、過去にどのくらいの遺産を相続したか等の情報が集約されています。
その情報をもとに、「この人はこれくらいの財産を持っているだろう」という理論値を計算します。
税務調査に選ばれるのは、KSKシステムが弾き出した理論値と、実際に申告した遺産額に大きな乖離がある方です。

(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」ーー相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』を編集・抜粋したものですが)そこで、みなさんに強く推奨したいことが2つあります。
1つ目は「税務署の影に怯えながら、故意に違法なことをするのではなく、合法的な相続税対策をしたほうがいい」ということ。
2つ目は「税務調査では嘘をつかずに誠実に対応したほうが、良い結果になりますよ」ということです。

僕も税理士として年間数件、相続税申告のお手伝いをさせていただいているため、それなりに相続税の税務調査の立ち会いもしています。
そこで感じるのは、まずは、隠さずに申告したほうが安く付きますよということです。
税務調査で、何か出てくると、財務調査が長引いて精神的にも良くないですし、重加算税や過少申告加算税や延滞税、税務調査立ち会いや修正申告の我々税理士の報酬を考えると、明らかです。
次に、事前にきちんと対策をしておけば、こんなことにならなかったのにということです。
ちょっとした事前対策をしておけば相続税は抑えられたのになぁとか、なぜこの対策をしたのだろう?と思うことが多々あります。
これらを避けるためには、早めにきちんとした対策を時間をかけて行うということだと思います。

税務署が「亡くなった人の印鑑」を厳しくチェックする理由について、どう思われましたか?


「おひとりさま」の相続で重要な2つのポイント!

幻冬舎ゴールドオンラインによると、近年増えている、生涯所帯をもたない「おひとりさま」ですが、自身の相続の生前対策として、どのような手続きをとっておくべきなのでしょうか?
誰が相続人となるのか、また自分が認知症などで財産管理が出来なくなった場合の対処法について、相続に詳しいAuthense法律事務所の柳川智輝弁護士が解説しています。

おひとりさまと言われる独身者の相続では、生前に何も対策をしていないと、財産の把握などができず、相続手続きが非常に難航することが多いです。

また、独身者の場合、直系尊属(父母や祖父母)がいない場合は、兄弟姉妹が相続人となるため、相続人と被相続人(ご本人様)間、相続人同士の関係が疎遠で、うまく話し合いが進まず、遺産分割調停などの裁判所を使った手続きとなることも多いです。

また、最近は、高齢化が進んでいるため、独身の方が認知症などで自身での財産管理や施設との契約行為が困難となった場合に、誰が財産管理や身の回りの世話をするのかという問題も生じます。

そのため、独身者の相続対策では、
1.財産の承継先を決めておくこと、
2.自分の判断能力が無くなった場合に備え、財産管理や身の回りの世話を依頼する人を決めておくこと
が重要となります。

ここでは、1.2.について、詳しく解説していきます。
1.財産の承継先を決めておく
<自分の相続人を把握する>
独身者の相続では、遺言書などを作成し、財産の承継先を決めておくことが重要になります。
そのために、まず、自分の相続人が誰か把握するようにしましょう。
直系尊属(父母や祖父母)がいる場合は、直系尊属が法定相続人となります。
直系尊属が亡くなっている場合は、兄弟姉妹が法定相続人となります。
法定相続人となる兄弟姉妹には、父母が同じ兄弟姉妹だけでなく、父母の一方が同じ兄弟姉妹も含まれますので、注意が必要です。
例えば、自分の父が再婚で、前妻との間にも子どもがいる場合は、その前妻との間の子どもも異母兄弟となりますので、法定相続人に該当します(ただし、法定相続分は、父母が同じ兄弟姉妹の2分の1)。

<財産目録・遺言書を作成>
次に、自分が所有する財産の財産目録を作成しましょう。
自分に万が一のことがあった場合、財産がどこにあるか分からず、残された方が非常に苦労する場合もあります。
また、財産を誰に承継させるかを決めましょう。
法定相続人が兄弟姉妹となる場合、遺留分(遺言内容にかかわらず、相続人が最低限相続できる相続分)は生じませんので、生前に遺言書を作成しておくと、遺された方で紛争が生じる可能性は非常に低くなります。
そのため、財産を誰に承継させるかを決めて、遺言書を作成しましょう。
遺言書は、主に自筆証書遺言(手書きの遺言)と公正証書遺言(公証人が作成する遺言)がありますが、公正証書遺言がお勧めです。
というのも、公証人が作成するため、遺言の内容の誤りが少なく、遺言能力(遺言を作成できる判断能力があること)も問題になりにくいため、遺言書を巡って争いが生じにくいからです。
また、遺言書作成時には、遺言執行者(遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人)も指定しておきましょう。遺言執行者は、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などを指定することも可能ですので、財産を承継する人が、相続関係の手続きに不慣れな場合は、専門家を指定すると良いでしょう。

2.財産管理・身の回りの世話をお願いする人を決める
<後見制度を活用する>
高齢になってくると、財産管理や施設入所や病院の手続きなどを一人で行うことが難しくなってきます。
最近では、高齢者を狙った詐欺事件も多く、より一層財産管理に注意しなければならなくなりました。
高齢になり、判断能力が不十分となると、後見制度を活用することになります。
後見制度には、任意後見制度と法定後見制度があります。
任意後見制度は、将来自分の判断能力が不十分になったときに備えて、予め、依頼する後見事務の内容を定め、自身にかわりその事務を行う人(任意後見人)を決めておく制度になります。
法定後見制度は、既に判断能力が不十分の方の保護のために後見人を選任する制度になります。
両制度の大きな違いは、任意後見制度では、任意後見人や後見事務を本人が決めることができますが、法定後見制度は、家庭裁判所が後見人を選任し、後見事務の内容は法律で定めるとおりになるという点になります。
そのため、自分の財産の管理方法や生活状況について、自分の意向を反映させたい場合は任意後見契約がお勧めです。
独身者財産管理については、判断能力が不十分となった時点で後見人(任意後見人)が介入するという後見制度では不十分な場合も多くあります。
そのため、例えば、判断能力はあるけれども、高齢のため、多額の財産の管理は心配だという場合は、財産管理委任契約を締結して、信頼できる親族又は専門家に財産の管理を依頼する契約を締結することもできます。
また、定期的に面談したり連絡をとったり、生活状況や健康状況の把握をしてもらうことで見守りをしてもらう、見守り契約を専門家との間で締結することも可能です。この見守り契約では、契約内容によっては緊急時の連絡先になってもらったり、トラブルへの対応などをしてもらうこともできます。
基本的に、本人の死亡により後見契約は終了するため、相続発生後の葬儀や後片付けなどの死後の事務を依頼する死後事務委任契約を、親戚や専門家との間で締結しておくことも可能です。
死後事務委任契約にて、どの葬儀社に依頼するか、葬儀の規模や読経をお願いするお寺などを決めておくことも可能です。

独身者の相続では、法定相続人を正確に把握し、財産の承継先をしっかりと決めておくことが大事になります。

もし、身の回りの世話をしてくれている甥や姪に財産を承継させたいという場合は、自分の両親や兄弟が生きている場合、甥や姪は法定相続人になりませんので、その甥や姪に確実に財産が承継されるよう遺言書に記載をしたり、その甥や姪を受取人とした生命保険に加入しておくと良いでしょう。

また、自身で自分の財産を全て把握することもなかなか大変です。
最近は、ネット口座などもあり、財産の把握に苦労することもありますので、専門家に確認しながら、財産目録を作成すると良いでしょう。

さらに、任意後見契約や死後事務委任契約をどのような内容にするかについて、自分の希望を専門家に伝え、それをうまく契約の内容に入れてもらうことが必要です。

手続きを依頼する専門家を決め、納得のいく契約書を作成するようにしましょう。

これらの手続きは、生前かつ判断能力があるときでないと行うことはできませんので、なるべく早めに相続や後見制度に詳しい、弁護士、司法書士や行政書士などに相談をして、手続を進めると良いでしょう。

おひとりさまの相続は、生前の対策が不可欠となります。
また、遺言書や様々な契約書の作成が必要となりますので、相続に強い弁護士に早めに相談をして、納得のいく対策を一緒に検討してもらうことをお勧めします。

以前は、こどもがいないご夫婦の場合、相続対策が必要と言われていましたが、一歩進んで、おひとりさまも同じですね。
おひとりさまは増えていますし、家族がいる方よりさらに財産の把握が難しいので、早めの対策が必要ですね。
この記事では(意図的なのか知識がないのか分かりませんが)触れられていませんが、家族信託も使えると思います。

「おひとりさま」の相続で重要な2つのポイントについて、どう思われましたか?


路線価に基づかない相続課税の是非につき最高裁が司法判断へ!

日本経済新聞によると、実勢価格より大幅に低い路線価に基づいて相続財産を評価することが適切かどうかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は、先日、当事者の意見を聞く上告審弁論を2022年3月15日に開くと決めました。
二審・東京高裁は、路線価が大幅に低い場合は路線価による財産評価は不適当だとする国の主張を認めましたが、最高裁が改めて考え方を示す可能性があります。

国税庁が相続財産の算定基準のひとつとする路線価は、土地取引の目安となる公示地価の約8割とされており、実勢価格より低いのが一般的です。
このため節税目的で不動産を購入する富裕層も多くなっています。
今回の事案は実勢価格から大きくかい離した路線価を基にした相続財産の評価が問題となった訴訟で、関係者の間で大きな注目を集めていました。

原告は、故人が銀行から融資を受けて購入した不動産の相続人です。
一、二審の判決での事実認定などによると、原告は東京都内と神奈川県内のマンション計2棟を相続した際、路線価に基づいて財産を約3億3,000万円と評価しました。
一方、銀行からの借り入れもあったため、相続税額を「ゼロ」として申告しました。

もともと故人が購入した価格は2棟で計13億8,700万円でした。
国税当局の不動産鑑定でも評価は計約12億7,300万円で、路線価とかけ離れていたため、国税当局は「路線価による評価は適当ではない」と判断し、相続人による財産評価を否認し、約3億円を追徴課税しました。
原告側はこれを不当だとして訴えました。

2019年8月の一審・東京地裁判決は、路線価に基づいて申告した評価額について「不動産の客観的な交換価値を示しているかは相応の疑義がある」と指摘しました。
「特別な事情がある場合には路線価以外の合理的な方法で評価されることが許される」として、課税処分は妥当だと判断しました。
2020年6月の二審・東京高裁判決も判断を維持しました。

国税庁は相続時の財産評価のあり方を「財産評価基本通達」で示しています。
不動産なら公表されている路線価などを算定基準としているのです。

ただし、路線価は実態と大きく乖離する場合があることから、同通達6項では「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」との例外規定を設けています。
今回の訴訟で争われた財産を巡っても、国税当局はこの規定を適用し、評価を見直したのです。

最高裁はこの規定の適用について司法判断を示す可能性があり、その内容に関心が集まりそうです。

どういう場合に財産評価基本通達6項が発動されるか明確ではないにもかかわらず、最近は、6項を発動した否認が多くなっています。
あまりにもかけ離れ過ぎているようにも思いますが、どういう場合に6項が認められるのかが明らかになればいいなぁと思います。
今後どうなるか注目したいですね。

路線価に基づかない相続課税の是非につき最高裁が司法判断することについて、どう思われましたか?


相続税調査件数は5割減だが22億円超の申告漏れ例も!

日本経済新聞によると、国税庁は先日、2021年6月までの1年間(20事務年度)に全国の国税局などが実施した相続税の実地調査件数が前年度より52%減の5,106件だったと発表しました。

新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言が発令されるなど、対面による調査が困難だったことが主な原因だそうです。

申告漏れ額は前年度比41%減の1,785億円でした。
ただし、大口事案を重点調査したことで、調査1件当たりでは22%増の3,496万円となっています。
追徴税額は47%増の943万円で、過去10年で最高でした。

関東信越国税局は約22億2,000万円の申告漏れを指摘しました。
公益法人を主宰する女性が公益法人名義の投資信託を購入し、相続人の男性は投資信託の管理を女性から生前に任されて申告の必要性を認識していましたが、故意に税理士に伝えませんでした。
相続財産から除外して申告したとして、重加算税を含めて約12億9,000万円を追徴課税しました。

無申告事案の1件当たりの追徴税額も48%増の1,328万円と、集計を始めた2009年度以降で最高となりました。

国税庁は相続税の申告実績も併せて公表しました。
2020年に亡くなった約137万人のうち、財産が相続税の対象となったのは約12万人でした。
課税割合は、相続税の基礎控除額が引き下げられた2015年分以降で最も高い8.8%となっています。

税務調査の手続きの厳格化による調査件数の減少に加え、新型コロナウイルスの影響による調査件数の減少がありますので、相続財産が大きい案件は、税務調査が入ると思っていた方がいいでしょうね。
22億2,000万円も除外するとは、かなり悪質ですね。
この金額で、重加算税を含めて追徴税額が12億9,000万円というのは少なすぎるような気はしますが。
最高税率55%だと、重加算税がこの35%、これに加えて重加算税の場合は申告期限の翌日から延滞税がかかりますので、ほとんど残らないイメージがあります。
やはり、きちんと申告しましょうということです。
相続税の申告の場合、税理士もスポットのことが多いですので信頼関係が築きにくいこと、ご本人が亡くなっていること、いわゆる名義預金などの名義財産が存在することが多いこと、いわゆる都市伝説も多いことなどから、申告漏れが発生する可能性がどうしても高くなってしまいますが。

相続税調査件数は5割減だが22億円超の申告漏れ例もあったことについて、どう思われましたか?


相続金融資産が首都圏へ流入!

日本経済新聞によると、筑波大学などが実施した相続に伴う資産の流れを「見える化」する分析で、東京や周辺部への金融資産の移転が進んでいることが浮き彫りになったようです。
筑波大学の持つ社会工学のノウハウと、民間のデータを組み合わせて分析しました。
人口の都市部への集中で、相続資産も地方から都市部にシフトする傾向が指摘されていますが、今回初めて具体的な数字を示して定量分析しました。

地域科学に関する学際的な研究を進める「応用地域学会」で2021年11月下旬に公表しました。
相続関連サービスのルリアン(京都府京都市)が持つ被相続人が住む市町村、相続財産の額、相続人数、年齢、子供や配偶者の有無などのビッグデータを活用しました。
移動可能な金融資産を「可動産」と定義し、総額を年間34兆円と推計しました。

調査では国の一般会計歳出の3割強に相当する規模の可動産が地域間でどのように移動するのかを分析しました。
国内を「東京都」「大阪府」のほか、埼玉県、神奈川県、愛知県、福岡県の「準都会」、それ以外の「地方」の4地域に分類し、マーケティングで使うOD調査の手法を用いて調べました。

ルリアンが扱う相続データを基に、被相続人が所有していた金融資産の額を人口比や相続件数などを考慮して地域別に計算しました。
東京都の占める割合は約8%、大阪府20%、準都会32%、地方は約40%になりました。

一方、相続を受けた後の金融資産額の地域別の割合は、東京都が約11%、準都会が約34%で、被相続人の金融資産の割合を上回り、資産が他の地域から移転してきたことがわかります。
逆に大阪府は約16%、地方は約39%で相続に伴って他の地域に流出したと判断できます。

大阪府の占める割合が比較的高いのは、「ルリアンの営業地域が関西地盤という点が影響している」(小西弘樹取締役)。
さらに「東京都は不動産が資産に占める割合が高めで、金融資産だけをみると比率が小さくなる傾向がある」(同)が、「全体のトレンドをみるには問題ない」(同)そうです。

東京都は、地域外から流れ込む金融資産の割合が53.5%で唯一、過半を占めました。
地方の可動産の8.4%が東京に、9.2%が準都会に移転するなど、金融資産が地方から東京都や周辺部などにシフトしているのです。

都道府県別に相続前後で金額がどう変化したかを分析すると、流入額(1案件当たり)のトップは神奈川県の81万1,000円です。
次いで東京都65万4,000円、千葉県35万7,000円など首都圏の自治体が上位3位を占めています。
逆に流出額が多いのは、長野県の96万1,000円、群馬県の31万3,000円などとなっています。

相続人となる子供が地方から首都圏に移動し、配偶者を亡くした人が地方から都会に住む子供を頼って引っ越す例が増えています。
これに伴い、相続資産も都市部に移動する傾向があることはこれまでにも指摘されてきました。
今回の分析は具体的なデータで資産の流れを裏付けた形です。

分析を指導した筑波大学の大沢義明教授は、「都会に流入している相続税の地方への再配分を検討するなど、地方創生につながる政策提言に生かしていきたい」と話しています。

僕も職業柄、相続税の申告を何件かお手伝いさせていただいておりますが、最近は、相続人の方が首都圏に住まれているケースが多いように感じていますので、当然の結果だとは思います。
当然、相続だけでなく、贈与も世の中ではたくさん行われているわけですから、相続財産に限らず、金融資産が首都圏に流入しているのでしょう。
地方に住む僕としては、地域活性化のためにも、地方で有効な資産運用の方法がないかなぁと日々考えています。

相続金融資産が首都圏へ流入していることについて、どう思われましたか?


岩手県内3行が金融資産の相続手続き書類を共通化!

岩手日報によると、岩手銀行、北日本銀行、東北銀行の岩手県内地銀3行は10月1日から、預金や投資信託など金融資産の相続手続きの書類を共通化するそうです。

これまでは各行で記入する書式や提出する書類が異なっており、利用者が煩雑な手続きに戸惑うケースもあったようです。
高齢化社会で相続手続きは増加傾向にあり、競争関係にある地銀が協力して利用者の負担軽減を図ります。

亡くなった人の預金などを家族らが受け取る場合は、金融機関での相続手続きが必要になります。
その際に必要となる用紙は記入する書式が異なり、提出を求められる書類も一部で違っていました。

これらを共通化し、遺族ら相続する利用者の必要な作業をできる限り統一します。
ただし、手続き自体は各行で行う必要があります。

徐々に同様のことが増えていっていますが、地銀側の都合で決めていたものが、利用者の利便性を考えて共通化されるということは良いことだと思います。
口座は地銀だけではないと思いますので、特定の県の中だけではなく、メガバンクや信金なども含め、全国的に統一したらよいのではないかと思います。

岩手県内3行が金融資産の相続手続き書類を共通化したことについて、どう思われましたか?


「二世帯住宅」「アパート経営」に関して相続でよくある失敗とリスク回避法!

マネーポストWEBによると、相続には様々な“特例”があり、それを活用した相続税対策も多いですが、注意が必要です。
たとえば、親と同居する子が自宅を相続する場合、「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)」が適用され、土地(330平方メートル以内)の相続税評価額が8割減(言い換えれば2割の評価)となります。

その特例を使おうと、父親の土地に二世帯住宅を建て、1階を父親、2階を長男の名義としたものの、父親の死後、「同居」とは認められず、特例の適用を受けられなかったというケースがあります。

相続専門の税理士法人レディング代表の木下勇人税理士が解説しています。
「これはよくある失敗で、二世帯住宅が階ごとの区分所有となっていると、“同じマンションの別室に住んでいる”のと同様に解釈されてしまい、原則として同居とみなされない。
建物を区分所有登記にするのではなく、親と長男の2分の1ずつの共有名義にすると、特例が適用できる可能性が高まります。ただ、登記変更は土地家屋調査士などに依頼する必要があり、手間もコストもかかるので、それに見合うかは要検討です。」

小規模宅地等の特例は、節税効果が高いので活用したくなりますが、かえって損をするリスクもあるのです。

年老いた母親は、相続税対策でアパートを経営していました。
賃貸アパートが建つ「貸付事業用宅地等」は相続の際に小規模宅地等の特例が適用され、200平方メートルまでの敷地の相続税評価額が最大50%削減されるからです(ただし、特定居住用宅地等には制限があります。)。

ところが、建てて10年後には空き部屋だらけにというケースがあります。

「とくに地方ではこうした相続税対策の事例が目立ちます。代々受け継いできた土地があって、毎年の固定資産税ばかりがかさむといった場合、業者から勧められるままにアパート経営に手を出してしまうことがある。
ただ、地方では需要が少ないため、築10年を超えたあたりから経営が厳しくなりがちです。自己所有の土地に借金をしてアパートを建てていれば、たしかに相続財産は圧縮されて相続税は安くなります。小規模宅地等の特例を使うなどして、相続税がゼロになることもあるでしょう。
ただ、空室だらけのアパートは相続人にとってマイナスの資産でしかない。売却しようにも金額を相当下げなければ買い手はなかなか見つかりません」(木下氏)

“負の遺産”を残すようでは、対策は失敗でしょう。

この2つに限りませんが、安易な節税策を結構目にします。
特に、後者のアパート経営は、あまり勧めていません。
地方だと、土地を持っていて、どうしてもその土地の有効活用がしたいというときで、アパート経営として成り立つと思うのであれば、やってくださいというスタンスで相談に乗ったり、提案しています。
木下氏の言うように、マイナスの資産になりかねませんので。
個人的には、お金があるのであれば、都会の区分所有不動産に投資する方が良いと思っています。
あとは、相続対策で、非上場会社の株式を毎年110万円の範囲内でたくさんの方に贈与して移していっているケースも結構目にしますが、現在は、経営権が重要なため、できるだけ株主は少なくというのが主流だと思いますので、疑問を感じますね。
対策にも、時代に合った流行り廃りがあると思いますので、慎重な検討が必要だと思います。

「二世帯住宅」「アパート経営」に関して相続でよくある失敗とリスク回避法について、どう思われましたか?


親の介護で苦労しても相続で報われるケースがほとんどない理由!

マネーポストWEBによると、遺産相続において、介護を担った相続人には「寄与分」が認められるとされていますが、実際には認められないケースは少なくないようです。

そのリアルケースを見てみましょう。
ひとり暮らしをする高齢の父の近所に住む50代の長女は、食事や洗濯、デイサービスセンターへの送り迎えなど、父の身の回りの世話を続けてきました。
父の死後、遺産分割協議では介護を負担した分、多く相続することを長女は求めましたが、2人の弟は「遺産は均等に分けるべきだ」と反発し、弁護士を交えて話し合うことになりました。

「このような事例では、長女が単に親の面倒を見たということだけでは寄与分(相続人等が、被相続人に対して特別の貢献をしていた場合、遺産分割に反映させる制度)の主張は、認められない可能性が高いでしょう」
そう解説するのは、1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、『トラブルの芽を摘む相続対策』などの著書がある吉澤相続事務所代表の吉澤諭氏です。

「基本的に、子供が親の面倒を見るのは当たり前のことと理解されます。長女は“弟たちは一切、親の世話をしなかった”と主張するかもしれませんが、たとえ弟たちが何もしなかったとしても、長女がやったことは当然のこととされ、相当な寄与がない限り寄与分はないということになるのです。
親の面倒を見て寄与分が認められるケースは、例えば徘徊を防ぐために24時間見守っていたとか、仕事を辞めてまで親の世話をせざるをえなかった、などになります。
デイサービスの送り迎えをしたといっても、デイに預けている間は面倒を見ていなかったわけですし、そもそも送迎だけでは寄与を主張するのは難しいでしょう」

ただし、高齢の親の目線で考えても、介護してくれた子供が報われないという状況は望まないのではないでしょうか?
それではどうすればいいのでしょうか?
吉澤氏が続けています。

「たとえば、親が元気なうちに遺言書を残して長女の取り分が多くなるようにしておくとか、生命保険の受取人を長女にしておくといった選択肢があります。先に長女に生前贈与しておくことも考えられるでしょう。つまりは、子供の側が“親を介護したんだから多く相続できるだろう”と考えるだけでは不十分で、親の側が“感謝しているから多く残したい”と思っていなくてはならないのです。
仮に親がそうした意思を残しておらず、介護した子供が寄与分を主張するためには、“通常の限度を超えて多大に貢献した”と言えるような事実を示す資料を残しておくことです。1時間ごとのタン吸引を1年以上続けたとか、寝たきりの世話を2年続けたとか、細かく日記をつけておくなどして、他の兄弟が納得して寄与分を認めるようにするしかないでしょう。それでも認められない場合は裁判に持ち込むしかありませんが、認められるハードルは高いと思ってください」(吉澤氏)

超高齢社会を迎えるにあたって、多くの家族にとって他人事ではないでしょう。

遺産分割の際に、もめる理由として多いものがいくつかあると思いますが、そのうちの一つが、この介護の問題だと考えています。
これが原因で、仲の良かった兄弟姉妹の仲が悪くなるというのはとても不幸なことだと思いますので、やはり、生前に、親御さんがお元気なうちに、きちんとお子さんに説明をしたうえで、遺言書で介護をされているお子さんの分を増やすのが一番良いのではないかと思っています。
そこでの注意点は、相続人ではないお子さんの配偶者は話し合いの場には入れないことだと思います。
相続で重要なことは、何事も、お元気なうちから早めにということだと思います。

親の介護で苦労しても相続で報われるケースがほとんどない理由について、どう思われましたか?


最強の相続税対策は「家族仲良く円満に」!

DIAMONDonlineに、橘慶太税理士が書いています。
コロナ禍では、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。
相続税は、おひとりにつき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。
家族間のトラブルも年々増えており、相続争いの8割近くが遺産5,000万円以下の「普通の家庭」で起きています。

「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」、橘税理士の大好きな相田みつをさんの言葉だそうです。
橘税理士はこれまで数多くの相続の現場に立ち会ってきましたが、「この言葉の通りになるなぁ」と感じることが多々あるそうです。

小規模宅地等の特例を始め、相続税にはたくさんの特例がありますが、その特例を使うには「遺産分割が決まっていること」が条件になります。
他にも、家族全員の足並みが揃っていれば、生前贈与や生命保険の活用など、相続税対策はいくらでもできます。

一方で、相続トラブルが起きた場合は、相続税の特例が使えないのはもちろん、弁護士費用などの余計なコストが発生する可能性もあります。

さらに、金銭的な負担だけでなく、時間的・精神的エネルギーも相当奪われます。
何とか勝利を収めたとしても、後味のよいものではないでしょう。

最高で最大の効果を発揮する相続税対策は、家族仲良く円満に過ごすことなのです。

以前、とある方の相続税申告の依頼を受け、お父さまの遺産の分け方を、お母さま、長女、二女の3人で検討していたそうです。

しかしながら、その途中でお母さまに重い病気があることが発覚し、緊急入院することになりました。
先は長くないと医師から伝えられたお母さまは、病院に私を呼び、「私がもうすぐ死んでしまうとしたら、娘たちに一番多く遺産を残す方法は何ですか?」と質問されたそうです。

橘税理士が「それはご主人の遺産をお母さまが一切相続しないことです」とお伝えすると、「それでは、そのように主人の遺産分割協議書を作ってきてください」とおっしゃりました。

その後、病院で遺産分割協議書に相続人全員で署名をし、それからしばらくしてお母さまも息を引き取りました。

最後の最後まで娘さんたちのことを思いやる姿に、橘税理士はとても多くのことを感じましたようです。

相続トラブルを抱えている多くの方が「昔は仲良かったんですけどね……」と言います。とある3姉妹の三女から相談を受けました。

「父が元気だったころは、お正月やお盆に家族皆で集まり仲も良かったのに、父が急に他界し、それにショックを受けた母が一気に重度のうつと認知症を併発しました。母の介護をしていた長女は、私たちに『あなたたちも少しは手伝いなさいよ!』と当たり散らすようになり、今では絶縁状態になりました。私たちにはまだ小さい子どもがいて、遠方に住んでいる母の介護まで見れる状態になかったんです……」

今現在、家族の仲が良かったとしても油断しないでください。

「自分の家は大丈夫」と過信してしまうことが一番危険なのかもしれません。
先人たちが落ちた穴に、皆さんは落ちないよう気をつけてくださいね。

僕も税理士として、毎年数件、相続税申告や相続税対策のお仕事をさせていただいておりますが、相続税の申告は、ご家族の仲が良いかどうかで、スムーズにいくかどうかがかなり変わってきます。
また、相続税対策をする場合、ご家族の仲もヒアリングし、仲が悪くなるとできなくなる場合があることをお伝えしていますが、今仲が良いご家族は、たいてい『うちは仲がいいので大丈夫です。』とおっしゃられます。
僕自身も、相続がきっかけでご家族の仲が悪くなるのは、お亡くなりになった方の本望ではないと思いますし、相続税対策は、残す方が、仲が悪くならないような対策を考える場であると常に思って、提案をしています。

最強の相続税対策は「家族仲良く円満に」であることについて、どう思われましたか?


相続や終末期医療を話し合う「家族会議」は参加者が多いと失敗の元に!

新型コロナウイルスのワクチン接種が進むとともに、お盆や年末年始の帰省も増えていくのではないでしょうか?
「抗体獲得後」に、久しぶりに親子が顔を合わせた際、話し合っておきたいことは数多くあります。
マネーポストWEBに、どうやって話を切り出し、何を決めればいいのかが書かれています。

相続や葬儀、終末期医療などは、家族同士でも話題にするのがはばかられることもあるデリケートな問題です。
気軽に“リモートで話そう”というわけにはいきません。
だからこそ、新型コロナの影響は大きいのです。

妻に先立たれ、ひとり暮らしの73歳男性がこう話しています。
「父が亡くなった時は、実家のどこに通帳や現金、重要書類があるかを整理している最中だったので、全財産をきちんと継げたのか判然としなかった。その反省から、息子と娘には面倒をかけないようにと、細かい財産目録を作って3か月に1回更新しています。誰に何を相続させるかも整理して、子供たちが帰省した時に最新のリストを見せていた。ただ、この1年ほどはコロナで子供たちも帰省しないので、その機会がなくなってしまった。」

この男性のようにコロナ前から準備を進めていたのであれば影響は少ないですが、“これから話し合おう”と思っていた家族には、コロナ禍が大きな問題となりました。

ワクチン接種が進めば、ようやく「家族会議」で顔を合わせて話せるようになるでしょう。

相続問題に詳しい公認会計士・税理士の五十嵐明彦氏はこう言っています。
「いたずらに焦っても仕方ありませんが、家族会議をやろうと思っているうちに親御さんの認知症が進行してしまったケースもあるので、早い段階で話し合う場が設けられるとよいでしょう。ポイントのひとつとしては、参加者をしぼることです。息子や娘など、法定相続人に限定し、それぞれの配偶者を入れないほうがスムーズに進みやすい。」

関西在住の78歳男性は一昨年、ケガで入院して手術を受けた後、退院する際に集まった2人の息子とそれぞれの妻の4人を前に、自分が死んだ後の財産分与について話したというが、「失敗だった」と振り返っています。

「長男は東京で就職し、次男夫婦は私と同居している。だから自宅は次男に相続させ、預貯金は2人で分けてほしいと伝えました。自宅を継ぐと、墓を守ったりと色々費用がかかるから、多少、次男に手厚くしたいという話もしました。
すると後日、長男が“配分に納得できない”と言い出したのです。どうも、一緒に話を聞いていた長男の妻から文句が出たようです。コロナが収束したら、息子たちだけを呼んでもう一度、話をしなくてはならないと思っています」

家族会議では、「誰に、どこまで情報を伝えるか」が重要です。
ひとつひとつ確認していきましょう。
まず、家族会議に先立って、財産の内容を整理した一覧を作成します。
預貯金や有価証券、不動産などをリスト化していきますが、その内容を子供たちにどこまで伝えるかは、慎重な検討が必要です。
相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美氏はこう言っています。
「口座番号などの情報を整理して一覧にするのは必須ですが、細かい残高まで記入したほうがいいかはケースバイケースでしょう。金額がはっきり分かったことで、子供たちが遺産をアテにするようになっても困ります。
ただし、子供たちのうちの誰か一人、たとえば同居する長男が親の財産を管理するといった場合は、内容をオープンにしたほうがいい場合もある。子供たちの間で、“不正な持ち出しがあったのでは”といった疑心暗鬼が生じることを防ぐ必要があります」

また、“マイナスの財産”である負債については、亡くなった後に発覚すると家族の手間も負担も増えるので、その存在を家族の誰かに明確に伝えておくことが重要です。

僕も、税理士として、相続税の申告のお手伝い、相続税対策のお手伝いなどをさせていただいておりますが、もめるケースで多いものの1つは、遺産分割協議などに相続人以外を入れるケースだと以前から感じています。
窓口となる方が相続人でないような場合、結構気を使っています。
血のつながった方じゃないと分からない過去の細かいことなどがあり、他人(姻族を含む。)が口をはさむ問題ではないからです。
この辺りは、気をつけて進めていただきたいですね。

相続や終末期医療を話し合う「家族会議」は参加者が多いと失敗の元になることについて、どう思われましたか?


自宅の相続の考え方は「誰に譲りたいか」より「税負担を軽くする」が重要!

自分が亡くなった後、遺産相続を巡って家族がバラバラになる──そんな悲しいことはないでしょう。
そういったトラブルを避けるためには、相続や生前整理について正しい備えが必要なのです。

週刊ポストによると、預貯金などの財産が少ない場合はとくに、「自宅」を巡ってトラブル(争族)になるケースが多いようです。
妻と子の関係が険悪な場合は、分け方でもめないように遺言書で遺産配分を明記しておくことが望ましいです。

相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美氏はこう話しています。
「課税強化によって都市圏でマイホームがあれば相続税がかかる家族もいますから、“誰に譲りたいか”だけでなく“どうすれば妻子の税負担が軽くなるか”を考えたい。
妻がある程度の財産を持っている場合、妻が亡くなった後の『二次相続』で子供たちが大きな税負担を強いられるリスクがある。子供に相続させたほうが得になることもあるので、税理士など専門家に相談して、家族の負担が軽くなる方法を考えるといいでしょう」

遺品整理は手間がかかるため、“生前からの形見分け”も多くなりました。
ただし、特定の人だけを対象にすると、それもトラブル(争族)を招きかねません。

「貴金属などの高価なものは、どの子供たちも欲しがるケースが多い。たとえば娘が2人いて、姉だけを呼んで渡すと、妹はいい気持ちがしません。相続では、そういうちょっとしたことが積もり積もって感情的な争いになりがち。だからこそ、できれば子供全員を呼んで分けてもらうのが望ましい」(明石氏)

“一体なんて死に方してくれたんだ!”と恨まれないために、考えるべきことは多いです。

遺産分割は、金額で考える方も多いのかもしれませんが、分けやすい・分けにくい、換金化しやすい・換金化しにくいといったことも考えないといけません。
相続をきっかけに仲の良いご家族や兄弟姉妹の仲が悪くなってしまうことは、ぜひとも避けたいですね。
そのためには、できるだけ早くから、慎重に検討しましょうね。

自宅の相続の考え方は「誰に譲りたいか」より「税負担を軽くする」が重要であることについて、どう思われましたか?


生命保険の契約で同性パートナーを保険金の受取人にできるのか?

ファイナンシャルフィールドによると、同姓パートナーを受取人に指定できる保険商品が増えているようです。
同姓パートナーを受取人とする保険を契約するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか?

昨今、多様性を尊重する考えが広まるとともに、LGBTなど性的少数者のカップルを認めるパートナーシップ制度を導入する自治体が増えてきました。
我がうどん県(香川県)でも増えてきています。
東京新聞 TOKYO Webによれば、2021年4月1日現在、導入自治体数は100に達したということです。

パートナーシップ制度を導入した自治体では、結婚している夫婦と同じ関係の同性カップルが「パートナーシップ証明書」の発行を受けられます。
そして、2015年に渋谷区と世田谷区でこの制度がスタートして以降、それまで親族しか認められなかった生命保険の受取人に、同性のパートナーの指定を認める生命保険会社が増えてきました。
現在は、約半分の保険会社で同性パートナーを受取人にして加入できると言われています。

「パートナーシップ証明書」によって2人の関係が公に認められるようになりましたが、残念ながら法的拘束力がないため、戸籍上の夫婦に認められている権利が認められません。

例えば、万が一どちらかが亡くなったとき、遺された同性パートナーには相続の権利がありません。
そのため、遺産は亡くなった人の親族が相続することになります。
遺言書を遺したとしても、もし亡くなった人の親や子どもがいる場合は、相続の権利を主張(遺留分侵害額請求←昔の遺留分減殺請求)されれば、すべてを同性パートナーに遺せない可能性があります。

その点、生命保険の保険金は、法定相続分とは関係なく、受取人に指定された人が受け取れます。
したがって、自分に万一のことがあった場合にパートナーにお金を遺す方法の1つとして、生命保険の利用が有効となります。

同性パートナーを受取人として認める場合も、生命保険会社によって必要な書類はまちまちです。
大きく分けると、パートナーシップ証明書の提出を必要とするか、会社独自の書類を提出するかの2つに分かれます。

まず、パートナーシップ証明書を必要とする保険会社の場合、住民登録している自治体がパートナーシップ制度を導入していなければ申し込めません。
また、中にはパートナーシップ証明書とともに、任意後見契約や合意契約の公正証書を求める保険会社もあります。

ここで、任意後見とは、将来本人の判断能力が低下した場合などに、本人に代わって法律行為や財産管理などを行う後見人を自ら指名しておく制度です。
公正証書によってパートナーを任意後見人に指名する契約を結び、将来、例えば認知症で判断能力が低下したときなどに、家庭裁判所に申し出て任意後見監督人を選定してもらったうえで、パートナーが後見人になります。

後見人であれば、本人に代わって介護サービスの契約や、本人のために必要なお金を銀行口座から引き出すこともできます。
なお、渋谷区では任意後見契約と合意契約の公正証書がパートナーシップ証明書の条件となっています。

パートナーシップ証明書を必要とせず、所定の書類や住民票などで契約できる生命保険会社もあります。
居住地にパートナーシップ制度がなくても、生命保険に加入できます。
なお、契約の際、訪問して同居実態を確認するケースもあるということです。

ちなみに、自動車保険でも、同性パートナーを配偶者として認める保険会社が出てきました。
これにより、同性パートナーを「夫婦限定」の契約や個人賠償責任保険の補償の対象とすることができるようになります。
また、住宅ローンでも、同性パートナーを連帯保証人として認める銀行や、同性カップルがペアローンを組める銀行が登場しました。

配偶者として税制上の優遇措置が受けられない、相続の権利が認められないなどの不平等はまだありますが、同性カップルを夫婦として認める動きは少しずつ広がっているようです。

日本では、相続においてもそうですが、戸籍にこだわり過ぎているように思います。
時代の流れ・多様性などに対応して、生命保険のように、実態に即したものになっていって欲しいと思いますね。

生命保険の契約で同性パートナーを保険金の受取人にできるのか?について、どう思われましたか?


紀州のドン・ファン元妻逮捕で遺産の行方は?

夕刊フジによると、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家(当時77)を殺害したとして元妻(25)が殺人などの疑いで逮捕されたことで、注目されるのが13億円超の遺産の行方です。
すでに訴訟沙汰になっていますが、今後の捜査も取り分を左右しそうです。

約13億5,000万円とされる遺産について2019年9月、紀州のドン・ファンが全財産を田辺市に寄付するとした遺言書が見つかったとして、田辺市が受け取る方針を明らかにしています。

弁護士の高橋裕樹氏は、「相続人ではない第三者に全額を相続するという遺言でも、妻、子供、親には『遺留分侵害額請求権』が認められている。このケースでは請求権を認められるのは元妻のみで、田辺市と半分ずつ相続することになる」と解説しています。
元妻には6億7,500万円が入る計算です。

これに対し、紀州のドン・ファンの兄ら親族4人は2020年5月、遺言書の無効確認を求めて提訴しました。
訴状によると、遺言はコピー用紙1枚に赤ペンで手書きされたもので、熟慮の末に作成したとは考えにくいとしています。
無効が認められた場合、「元の法定相続に従って遺産が分配され、親族側は4分の1、残りの4分の3は元妻に相続される」と高橋氏は言っています。
元妻の相続分は10億円を上回ります。

しかしながら、元妻の逮捕で状況は一変しました。
民法にのっとり相続人の相続権を剥奪する「相続欠格」という制度があるためです。
前出の高橋氏は「相続欠格の要件の一つに『故意に被相続人を死亡させて刑に処された場合』という項目がある。元妻が殺人罪で起訴され有罪が確定した場合、相続権をはく奪され、焦点は再び遺言の有効性に移る。遺言が有効なら遺産は全額田辺市に、無効と認められれば親族側が全額を分け合うことになる」と話しています。

元妻が今後起訴された場合、公判の長期化が予想されます。
「有罪か無罪か決まるまでは遺産の分割に踏み切ることはできないだろう」と高橋氏は言っています。

これとは別に、元妻は紀州のドン・ファンから引き継いだ会社の資金約3,830万円を詐取したとして、紀州のドン・ファンの知人男性で会社の元監査役から詐欺容疑で告発されています。
事件の影に、金銭問題が見え隠れしています。

真実が何かは僕には分かりませんが、相続って大変ですよね。
お金持ちは、相続人らがもめないよう時間をかけて慎重に相続税対策をしないといけないと思いますし、普通の人でも、相続税はかからなくても遺産分割は必要ですので、相続対策は必要かと思います。

紀州のドン・ファン元妻逮捕で遺産の行方は?について、どう思われましたか?


国税庁がHOYA元社長遺族の遺産90億円の申告漏れを指摘!

2015年に死去した光学機器大手「HOYA」(東京)の鈴木哲夫元社長の遺族が東京国税局の税務調査を受け、約90億円の相続財産の申告漏れを指摘されたことがわかったようです。
国税局は、鈴木氏が保有していたHOYA株を移転させたことによる相続財産の圧縮が、「著しく不適当」と判断した模様です。

過少申告加算税を含む相続税の追徴課税は約50億円で、遺族は既に納税したとみられます。

鈴木氏は2015年6月に90歳で死去しました。
関係者によると、死去する前年の2014年、保有する百数十億円分のHOYA株を資産管理会社「エス・アイ・エヌ」(以下、「エヌ社」といいます。)に現物出資し、エス社の株を取得したのち、エス社はHOYA株を完全子会社の「ティ・ワイ・エッチ」(以下、「ティ社」といいます。)に寄付しました。
ちなみに、いずれも非上場会社でした。

鈴木氏の遺族はエス社株を相続しましたが、相続税は相続財産の価格をもとに算出する必要がありますが、株価が公開される上場企業の株と違い、エス社株は時価が分からないため、独自にその価値を計算しなければなりません。
遺族側はこれを約20億円と算出し、相続税を申告しました。

これに対し国税局は金額が少なすぎると指摘したのです。
遺族側がエス社株の価値の算定に当たり、完全子会社であるティ社が持つHOYA株の存在を十分に反映していなかったということです。

これだけの金額の(結果としてなっていませんが)節税を図っているので、当然、税理士が関わっていると思われますが、少し安易すぎるのではないかと思います。
この手の節税スキームは世の中でたくさん行われていると推測されますが、色々と検討して、きちんとストーリーを描いたうえで実行しないと、損害賠償請求にもつながるのではないかと思います。
ざっくりと言うと、非上場株式の評価は、『類似業種比準価額方式』と『純資産価額方式』というものを用いて行うのですが、一般的に、前者のほうが後者より低い金額になります。
好きにどちらを選んでも良いというわけではなく、原則的に、会社の規模が大きくなると、前者のウェイトが高まり、株価が安くなっていきます。
また、計算上、その会社が『大会社』となると、前者のみを使うことになるのですが、そうなると、その非上場会社の配当・利益・純資産を用いて計算しますので、持っている上場株式の評価は関係なくなります。
それゆえ、相続税が極端に少なくなるのです。
財産評価基本通達6項は、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と定められており、行為計算の否認の条項ではないのですが、課税当局の伝家の宝刀であることには違いありません。資産管理会社へ移すタイミング・理由などを明確にしておかないと節税が目的ということになるでしょうし、時価との乖離が大きい場合は慎重にやらないと、厳しいでしょうね。
もちろん、財産評価基本通達6項も、何がO.K.で何がN.G.というのがまったく分かりませんから、明確なものに変えないといけない時期に来ているのかもしれませんが。

国税庁がHOYA元社長遺族の遺産90億円の申告漏れを指摘したことについて、どう思われましたか?


2020年分の路線価の引き下げが大阪・ミナミの13地域に拡大!

国税庁は、先日、大阪・ミナミ(大阪市中央区)の13地域の地価について、新型コロナウイルスの影響で最大30%近い下落が確認されたとして、相続税などの算出に使う2020年分の路線価を引き下げると発表しました。
引き下げは、2021年1月に続き2回目です。
前回の対象は道頓堀周辺に限られていましたが、今回、難波や船場にまで拡大しました。

路線価は全国の主要道路に面した1平方メートル当たりの土地評価額で、毎年1月1日時点の調査で決められています。
地価の約8割を目安としているため、下落幅が20%を超えると路線価の方が高くなり、算出される税額も高くなってしまいます。
その不利益をなくすため、国税庁は3か月ごとに地価を調べ直しています。

前回の再調査(2020年7~9月)では、心斎橋筋2丁目、道頓堀1丁目、宗右衛門町の3地域の地価が2020年1月と比べて23%下落したことが分かり、路線価を引き下げました。
今回の再調査(2020年10~12月)では、この3地域に加え、難波千日前や日本橋1丁目、南船場3丁目など、計13地域で21~28%の下落が確認されました。

金融庁は、「訪日客の不在が長期化している影響」とし、13地域について、路線価に補正率(0.90~0.98)を掛けて減額します。

今回の再調査では、そのほかに、東京都新宿区の「歌舞伎町1丁目」で15%、名古屋市中区の「錦3丁目」で16%、京都市東山区の祇園で14%程度、神戸市中央区の三宮駅付近で8~13%の下落がそれぞれ確認されましたが、いずれも路線価の引き下げは見送られました。

大阪のミナミは、コロナ前は外国人だらけでしたから、地価が大きく下落していますね。
相続税の計算上は引き下げは嬉しいでしょうが、資産としての価値を考えると厳しいですね。
それ以外の、新宿の歌舞伎町、名古屋の錦3丁目、京都の祇園、神戸の三宮駅付近も地価と路線価が近づいているわけですね。
まだまだ新型コロナウイルスは収まらないでしょうから、2021年分の路線価はかなり下がるでしょうね。

2020年分の路線価の引き下げが大阪・ミナミの13地域に拡大したことについて、どう思われましたか?


亡くなった人の銀行預金をおろす方法!

DIAMONDonlineに橘慶太税理士の記事が載っていますが、相続が発生すると、その方の預金口座は凍結されます。
預金の払い戻しを受けるためには、相続人全員の同意と印鑑が必要でした。

そのため、「相続人同士の仲が悪い」「遠方にお住まいのため共同で手続きができない」ときなどは、故人の預金を引き出すことができず、当面の生活費や葬儀に充てるための費用を工面できませんでした。

そこで2019年7月より、預金の払い戻し制度が始まりました。
これにより、相続発生後に凍結されてしまう銀行口座について、相続人の同意がなくても一定の金額を払い戻すことができるようになりました。

一定の金額とは、各銀行の相続開始時の預金額に3分の1と、その相続人の法定相続分を乗じて計算した金額とされており、その金額が150万円を超える場合は150万円が上限となります。

例えば、相続人が子ども2人であれば、各相続人の法定相続分は2分の1ですので、仮に預金額が600万円であれば、600万円×3分の1×2分の1=100万円となるので、100万円を払い戻すことが可能です。

もし、預金額が1,200万円であれば、1,200万円×3分の1×2分の1=200万円となり、150万円を超えているので、払い戻せる金額は150万円になります。

また、遺産分割協議が難航し、調停や審判を行う場合で、家庭裁判所が必要性を認めた場合には、この金額を超える部分の引き出しも認めてもらえるようになりました(仮分割の仮処分の要件緩和)。

当初、使いやすそうな制度に思えたのですが、実際の手続きには、法定相続分を明らかにするために、亡くなった方の出生から死亡時までの戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本が必要です。
申請してから振込までに2週間以上かかる銀行もありますので、葬儀費用に充てるには間に合いません。

ただし、葬儀費用のためではなく、当面の生活費の確保のためということであれば、とても有効な制度と言えるでしょう。

なお、この払い戻したお金を葬儀費用に充てる場合はいいのですが、もしも、相続人の自分の生活費に使った場合には、相続放棄ができなくなってしまいます。
そういった面でも、この制度の利用は慎重に考えなければいけません。

ちなみに、ちょっと悲しい話ですが、葬儀費用を誰が負担すべきかを争った裁判は過去にいくつかあります。
裁判の結果、①相続前から葬儀社との間で負担者が決まっていた場合にはその人、②相続人の話し合いで負担者が決まればその人、③話し合いで決着がつかない場合には、喪主負担とすることが通例となっています。

このあたりの知識も持っておいて損することはないでしょう。

以前から、亡くなってから葬儀費用を預金から引き出そうとすると、口座が凍結されて引き出せないということはよく耳にするせいか、相続税申告のお手伝いをしていると、最近は、亡くなる直前や、亡くなった直後に預金を引き出しているケースをたまに目にしていましたが、こういう制度もありますので、知っておくことは重要ですね。
あとは、亡くなる直前に引き出しても、亡くなったときに残っていたものについては相続財産になりますので、申告漏れがないようにしたいですね。

亡くなった人の銀行預金をおろす方法について、どう思われましたか?


「借金すれば相続税対策になる」に騙されるな!

ダイヤモンドオンラインに、橘慶太税理士の記事が載っています。
コロナ禍では、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。
相続税は、1人につき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。
家族間のトラブルも年々増えており、相続争い(争族)の8割近くが遺産5,000万円以下の「普通の家庭」で起きているのです。

ちまたでよく聞く「借金をすれば相続税対策になる」という話を考察していきましょう。
結論から言うと、この話は嘘です。
不動産を購入するから相続税が減るのであって、借金やローン自体に相続税を減らす効果があるわけではありません。
手元に余裕資金のある人は、手元の預金で不動産を買っても、借金して不動産を買ったとしても、減る相続税の金額は同じです。
つまり、相続税対策のために無理にローンを組む必要はないのです。

ただし、生活費や将来の相続税の納税資金を残しつつ、規模の大きめな不動産を買いたい方は、あえてローンを組んで不動産を買うのもよいでしょう。

不動産を買うために手元の資金をほとんど使い、相続税の支払いに充てる資金を無くしてしまった場合は、①延納(税金の分割払い)、②銀行から借金をして相続税を払う、このいずれかを選ばなければいけません。
銀行は、相続税を払う目的でもお金を貸してくれますが、一般的にこの場合の金利はかなり高く、年利3~10%前後になることが多いです。
ちなみに、延納の利子税は1%前後で銀行の金利よりも安いです。
しかしながら、延納は、当面の生活費(3か月分)だけの金銭を残し、それ以外の金銭はすべて納税に充て、それでも賄い切れない部分にだけしか認められません。
非常に厳しい制度なのです。

一方、不動産を買うためのローンは、不動産に抵当権を設定される代わりに、金利は比較的安く、自宅として使うなら住宅ローン控除が使え、投資用として使うなら利息は経費として扱えます。
相続税を払うための借り入れに比べてかなり得です(相続税を払うための利息は経費にできません)。
そういった意味でも、あえてローンを組んで余裕資金を確保しておくのも一つの手です。

「相続争いは金持ちだけの話」ではありません。
実は「普通の家庭」が一番危ないのです。
2018年に起こった相続争いの調停・審判は1万5,706件。
そのうち、遺産額1,000万円以下が33%、5,000万円以下が43.3%です。
つまり、相続争いの8割近くが、遺産5,000万円以下の「普通の家庭」 で起きています。
さらに、2000年から2020年にかけての20年間で、調停に発展した件数は1.5倍以上に増えており、今後もさらに増えていくことが予想されます。

なぜ、普通の家庭で相続争いが起こるのでしょうか?

「財産がたくさんある家庭」が揉めると思われがちですが、それは間違いです。
揉めるのは 「バランスが取れるだけの金銭がない家庭」 です。
例えば、同じ5,000万円の財産でも、「不動産が2,500万円、預金が2,500万円」という家庭であれば、一方が不動産を、もう一方は預金を相続すれば問題ありません。
ところが、「不動産が4,500万円、預金が500万円」ならどうでしょうか?
不動産をどちらか一方が相続すれば、大きな不平等が生じます。
こういった家庭に相続争いが起こりやすいのです。

多くの方が「私たちの家庭事情は特殊だから」と考えがちです。
しかしながら、相続にまつわるトラブルには明確なパターンが存在します。
パターンが存在するということは、それを未然に防ぐ処方箋も存在するのです。

記事には書いていませんが、相続財産が少ないほどもめる件数が多いというのは、分母がそもそも違うという面はあるのかもしれませんが、相続財産がそれなりにある方は、相続対策をしているということだと思います。
あとは、相続税がかかるかかからないかを問わず、遺産分割、つまり、財産を分けることはしないといけないからです。
僕も良く言っていますが、『借り入れをすれば相続税が安くなるというのはウソ!』など、間違った知識をお持ちの方も多いのも事実かと思います。
『うちは関係ない。』と思わずに、早めに相続対策はしましょうね。

「借金すれば相続税対策になる」に騙されるなということについて、どう思われましたか?


10年分の管理費相当額の納付で相続した土地を国有化できる制度案!

2021年03月26日(金)

読売新聞によると、政府は、先日の閣議で、所有者不明土地問題の解消策を盛り込んだ民法などの改正案を決定しました。

相続登記や住所変更登記の申請を義務化することなどが柱です。

今国会での成立を目指し、2023年度にも施行するようです。

改正案では、相続人が相続した土地を手放したい場合、権利関係に争いがないなどの要件を満たしていれば、10年分の管理費相当額を納付することで、土地を国有化できる制度も新設するようです。

土地の所有者が特定できない場合、裁判所が管理人を選定する制度も設けました。

僕も、年間数件、相続税の申告のお手伝いをさせていただいておりますし、相続税対策のお手伝いもさせていただいておりますが、亡くなられた方が農家、相続人がサラリーマンというケースが結構多く、空き地を含めて、相続した土地をどうするか?ということが問題となることが多いです。
都会の違い、地方は土地が簡単には売れないからです。
また、最近は、相続人が県外にお住いのことも多く、なおさら、土地をどうするか?ということが悩ましい問題になります。
こういう制度ができると、選択肢の一つとして、すごく良いと思います。
管理費相当額がどれくらいになるのかが、この制度が使われるか使われないか、重要な気はしますが。

10年分の管理費相当額の納付で相続した土地を国有化できる制度案について、どう思われましたか?


少子高齢化時代反映し相続人のいない方の国への遺産漂流が603億円!

産経新聞によると、財産を残して死亡したものの相続人がおらず、換金の末に国が引き取った遺産の額が令和元年度は603億円に達し、わずか4年の短期間で約1.4倍に急増したことが、先日、最高裁への取材で分かったようです。
少子高齢化の影響とみられます。
遺産を残した人の思いとは裏腹に、国による「相続」を阻もうとした身内が、遺言書を偽造するなど不正に手を染めるケースもあるようです。
自らの死後、誰に何をどれだけ渡したいのか、早めの相続準備が求められていると言えるでしょう。

故人が遺言書を残さず死亡した場合、民法の規定に基づき、遺産は「法定相続人」が遺産分割協議で相続します。
配偶者は常に相続人となり、ほかの血族については子、孫、親などの順で相続します。
兄弟姉妹が死亡していれば、その子に当たる甥(おい)や姪(めい)にも相続権があるものの、遺言書がある場合を除き、いとこを含む遠縁の親族には権利がありません。

相続人が存在しない遺産については、行政機関などの申し立てを受け、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が整理します。
法定相続人のほか、内縁の妻や、介護を続けた「特別縁故者」がいないことを改めて確認し、不動産などは現金化した上で国庫に入れます。
ある法曹関係者は「少子高齢化を背景に、身近な親族や晩年の世話をしてくれる人がいないまま亡くなる人は増えている」と説明しています。

最高裁によると、相続人不在で国が「相続」した遺産の金額は、右肩上がりで増加しています。
平成27年度は約420億円でしたが、平成30年度は過去最高額の約627億円に。令和元年度は約603億円と前年よりもわずかに減少したものの、対平成27年度比で約1.4倍に増えました。

故人が遺言書を残していれば、法定相続人以外の人でも遺産相続は可能です。
このため、遺言書の偽造トラブルが後を絶たないようです。

関係者によると、兵庫県内で法律事務所を営んでいた40代の元男性弁護士は2020年初め、亡くなった大阪府内の女性が残した約2億円の遺産を相続できないか、との相談を女性のいとこから受けました。

元弁護士は「(故人の)全財産をいとこに包括遺贈する」とした文案をいとこに示し、いとこが女性の筆跡をまねた手書きの遺言書を実際に偽造しました。
2020年5月に大阪家裁に提出し、相続できるようにしました。

ところが、その後偽造が疑われ、兵庫県弁護士会の調査に元弁護士は不正を認めました。
「遺産をいとこに遺贈させた方が故人の遺志を反映できると思った」などと説明しましたが、元弁護士は、有印私文書偽造・同行使などの罪で在宅起訴され、2020年11月に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受けました。

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「50歳時での未婚の割合」によると、平成27年で男性は23.37%、女性は14.06%と、それぞれ過去最高を更新しました。
このデータは生涯未婚率とも呼ばれます。
厚生労働省の推定では、生涯未婚率は今後さらに上昇し、法定相続人がいないまま亡くなる人の数も増えるとみられます。

電話相談を受け付ける大阪弁護士会「遺言・相続センター」の蝶野弘治弁護士によると、2020年は、新型コロナウイルスに感染し命を落とすといった不慮の事態に備え、遺産分割や遺言書作成の方法を尋ねる高齢者の相談が特に目立ったそうです。
蝶野弁護士は「残された財産をめぐって遺族同士が相争い、関係が悪化する例は少なくない。遺言書を残すなどして、元気なうちに『終活』に向き合うことが大切だ」と話しています。

国庫に入るのはもったいないと考えるのは分からなくもありませんが、遺言書の偽造は決して認められるものではありません。
弁護士が偽造のお手伝いをしているというのも驚きですが、『相続対策はできるだけ早めに!』というのを改めて感じた記事でした。
皆さまも、できるだけ早めに相続対策に取り組みましょうね。

少子高齢化時代反映し相続人のいない方の国への遺産漂流が603億円もあったことについて、どう思われましたか?


ポーラ・オルビスHDの鈴木社長が保有する株式の売買契約書が「偽造の可能性が高い」との判決!

ダイヤモンド・オンラインによると、化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長が保有する同社株式(以下、HD株)のうち4,191万株(2021年1月29日終値で時価総額877億円)は、元をたどればグループ2代目社長が亡くなった後、鈴木社長が指示して有価証券売買契約書を偽造し入手していた可能性が高いようです。

ポーラ・オルビスHD創業家の巨額遺産裁判で、東京地方裁判所(東京地裁、伊藤繁裁判長)は、2021年1月29日、被告の鈴木社長の指示によって上記の不正が行われた可能性が高いと判断しました。
原告の鈴木千壽氏の訴えを全面的に認める判決を出したのです。
鈴木千壽氏は、鈴木社長の叔父でグループ2代目社長を務めた鈴木常司氏(2000年死去)の妻です。

訴えは、鈴木社長保有のHD株4,191万株が「本来、常司氏死亡後に親族間で分割されるべき遺産であった」ことの確認を求めるものです。
仮に地裁判決が確定すれば、4,191万株は法定相続のやり直しにより、その4分の3(3,143万株、時価総額658億円)が鈴木千壽氏の手に渡る見込みです。

4,191万株は同社の発行済株数(自己株式除く)の18.93%を占め、株式相続のやり直しと鈴木社長の不正濃厚認定は、「株の支配」に大きな変化をもたらします。
遺産裁判によって、鈴木社長を中心とした現経営体制は崩壊しかねません。

以前から興味を持っていたポーラ・オルビスHD創業家の巨額遺産裁判に関し、東京地方裁判所の判決が出ました。
個人的には、非常に安い価格での有価証券売買契約書だったので、本当にありうるのだろうかと思う一方、上場企業のトップともあろう方がそんなことをするのだろうかという、一体どうなるのだろうかと気にはなっていましたが、東京地方裁判所は偽造という判断を下しましたね。
上場企業では前代未聞のできごとだと思いますので、今後どうなるのか楽しみです。
偽造だとすれば、社長では本来なかったということになるでしょうから、過去の役員報酬や株式の配当なんかはどうなるんでしょうね?

ポーラ・オルビスHDの鈴木社長が保有する株式の売買契約書が「偽造の可能性が高い」との判決が出たことについて、どう思われましたか?


土地登記を相続から3年以内にしなければ過料!

日本経済新聞によると、法制審議会(法相の諮問機関)は、先日、相続や住所・氏名を変更した時に土地の登記を義務付ける法改正案を答申しました。
相続から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料を科します。
所有者に連絡がつかない所有者不明土地は全体の2割程度に達し、土地の有効活用の弊害になっています。

法制審の総会で民法や不動産登記法などの改正案の要綱を示しました。
政府は3月に改正案を閣議決定します。
今国会で成立させ、2023年度にも施行します。

現状では、相続が発生しても登記は義務ではありません。
申請しなくても罰則はありません。
土地の価値が低かったり、手続きが面倒と感じたりした場合は、放置する例があります。
死亡者の名義のまま年月を経れば、所有権の把握は難しくなります。

所有者が不明の空き家や荒れ地は処分ができず、周辺地の地価が下がったり景観が悪化したりする問題があります。
公共事業や民間の都市開発が一部の所有者不明土地のために進まないケースも多いようです。

法務省によると、所有者不明土地が発生する理由の66%は相続登記がないことで、34%が住所変更の不備だそうです。

改正案では取得を知ってから3年以内に登記を申請しなければ10万円以下の過料を科します。
住所変更や結婚などで氏名が変わった場合も、2年以内に申請しなければ5万円以下の過料になります。
法人が本社の登記変更を届け出ない場合も過料の対象になります。

一連の罰則は、法施行後に新たに相続する人らが対象になります。
施行前の相続などに伴う問題は一定の猶予期間を定めて適用する見通しです。

登記手続きの負担は減らします。
相続人のうち1人の申し出で登記ができます。
10年間、届け出がなければ行政が法律で定める割合で遺産を配分する「法定相続」にします。

行政が住民基本台帳ネットワークで死亡者を把握し、登記に自動的に反映する仕組みもつくります。
死亡者が名義人だった不動産の一覧情報を発行して親族が簡単に把握できるようにします。

土地やビルなどの建物の共有者が不明でも改修や売却をしやすくします。
裁判所の確認を経て公告し、他の共有者の同意で利用目的を変更できます。
短期間の賃貸借は共有者の過半数で決められます。

裁判所が管理人を選べば、不明の所有者に代わって土地や建物の売却もできます。
代金は所有者が判明した場合に備えて供託します。
商業地などでは共有者が分からず、有効利用ができない不動産も多くなっています。
制度が広がれば都市開発が進む可能性があります。

今回の法改正が実現すれば、新たな所有者不明土地が生まれることを抑える効果はありそうです。
一方で既に所有者が不明になっているへき地の山林などでは、公共事業や民間の開発の対象外なら、引き続き放置される可能性があります。

改正されることは良いことです。
しかしながら、過料が10万円以下というのはどうなのでしょうか?
地価の高いエリアにある土地、面積の広い土地とかだと、登録免許税や司法書士の報酬などで10万円を超えるでしょう。
そのようなケースだと、過料の方がマシという方も出てくるのではないでしょうか?
登記した方が安くつくようにしないと、実効性に欠けるでしょうね。

土地登記を相続から3年以内にしなければ過料となることについて、どう思われましたか?


保険証券に載っていない人が保険金を受け取れる!

ファイナンシャルフィールドによると、保険証券に載っている死亡保険金の保険金受取人ですが、受取人を変更する場合、基本的には、契約者が被保険者の同意を得て手続きを行います。

ところが、死亡保険金の受取人を変更の手続きをせずに変える方法があるのです。
どういうことでしょうか?
死亡保険金の受取人を遺言で指定することができるのです。
受取人の変更にあたり保険会社の手続きを行う時に、受取人の同意を得る必要はありません。

例えば、以下のような生命保険の契約があったとしましょう。
生命保険会社:X
契約者:Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:Bさん(保険金受取割合100%)

Aさんは遺言を作成することにし、その内容に「死亡保険金の受取人をCに変更する」としました。
遺言の作成では、推定相続人(=相続が現実になった時には相続人になる)の同意は不要です。
特に秘密証書遺言の場合、公正証書遺言は2人以上の証人が必要ですが、推定相続人は証人になることはできません。
つまり、遺言によって受取人を変更する場合も同じです。
先述の例でいうと、Cさんが死亡保険金の受取人になったという事実は、Aさんの遺言を見て初めて知ることとなります。

なお、Aさんが遺言によってBさんからCさんに受取人を変更した場合、生命保険会社もその事実を知る由もありません。
つまり、Aさんが契約者・被保険者である生命保険の契約における保険金受取割合100%の受取人として、BさんとCさんの2人が存在することになってしまうのです。

Aさんに相続が発生した場合、どのような展開になるのでしょうか?
BさんとCさんの両方が、それぞれ受取割合100%の死亡保険金を受け取ることができるのでしょうか?
それは、できません。
では、BさんとCさんそれぞれが受取割合50%の死亡保険金(=2人合わせて受取割合100%の死亡保険金)を受け取ることになるのでしょうか?
そうではありません。
答えを言葉飾らずに言えば、BさんとCさんのいずれか、早い者勝ちということになります。

では、保険金の請求手続きに違いはあるのでしょうか。
Bさんの保険金請求は、保険金請求書や死亡診断書、本人確認書類、保険会社によっては戸籍抄本の他、状況によっては他に必要な書類などを生命保険会社Xに送ります。
基本的に、この手続きについてはCさんも同様です。

ただし、Cさんは上記に加え以下の手続きを踏む必要があります。
保険法73条では、『保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない』と書かれています。
保険者とは、先述の例でいうと生命保険会社Xです。
Cさんが保険契約者、つまりAさんの相続人となった場合、Cさんが生命保険会社Xに遺言書を送付して通知する必要があります。
ちなみに、保険金の支払い手続き後、遺言書の原本は返却されます。

保険金請求の手続きにおいて、スムーズに受け取ることはできるのはBさんのほうでしょう。
Bさんは、保険金の請求書を準備するにあたり、他の相続人に諮ることなく、必要な書類を準備できるからです。
また、Bさんは(死亡保険金に限っては)遺言の中身を知らなくても良いのです。

しかし、Cさんのほうは、遺言を見た時に初めて、自らが死亡保険金の受取人であることを知ります。
そして、遺言の原本は(原則として)一通しか存在せず、その一通しか存在しない遺言を生命保険会社Xに送らなくてはなりません。
当然、他の相続人に諮る必要があるでしょう。

生命保険会社Xは、BさんでもCさんでも、保険金を支払ってしまえばその役割を終えることになるので、相続においてこれ以上の関わりを持つことはできません。

遺言によって保険金受取人を変更することは、受取時のトラブル・相続トラブルを生じさせてしまう可能性を秘めています。
こういった事態をしっかり考慮して、検討・手続きを行うことをおすすめします。

遺言による保険金受取人の変更は、2010年6月に施行された保険法によります。
施行前に契約が成立している生命保険では、遺言によって受取人を変更できないこともありますので、生命保険会社に確認する必要があります。

前述のとおり、相続が発生した時に「死亡保険金の受取人を遺言で変更した」がゆえに、相続トラブルに発展してしまう可能性があります。
保険金受取時・相続時のさまざまな状況を想定し、しっかりと検討しましょう。

当初、受取人として考えていたものの、何らかの理由で気が変わり、遺言で受取人を変更することもあるでしょう。
遺言で受取人を変更できることは専門家であれば当然知っていると思いますが、実行する際には、もめる原因とならないように気をつけましょうね。

保険証券に載っていない人が保険金を受け取れることについて、どう思われましたか?


大手銀行の「通帳有料化」が与える相続税申告への意外な影響!

みずほ銀行は「2021年1月18日以降に新規で口座開設する70歳未満の人」から「新規発行時と繰越時」の通帳発行手数料を有料化し、通帳1冊につき1,100円の手数料が発生するようになりました。
また、三井住友銀行でも「2021年4月1日以降に新規で口座開設する18歳から74歳までの人」を対象に、年550円の手数料が発生することが決まっています。
幻冬舎ゴールドオンラインは、そこで相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士に、通帳の有料化に伴う相続税申告の影響と対策について解説してもらっています。

税理士が相続税申告に関与する場合、一般的には亡くなる前の5~6年分の通帳を確認します。
残高証明があれば亡くなった時点の口座種類、口座番号、金額が明らかになるにもかかわらず、通帳の中身を確認するのは、通帳には相続税申告書を作成するための多くのヒントが隠れているためです。
具体的には通帳から下記のような取引を探し、申告書作成のヒントにします。
●親族への資金移動(親族への振込や、親族名のメモ)
●預金口座からの多額の出金(一度に30万~50万円以上)
●相続開始直前の出金(手許現金の金額の推測のため)
●証券会社との取引や配当金の入金
●生命保険料の支払いや個人年金の入金
●定期的な入金(収入)と出金額(生活費)

相続税の申告において、親の財産を子どもが申告するケースが多いですが、子どもが親の財産内容や取引をまったく把握していないということは少なくありません。
生前贈与を行っていたことは覚えていても、その時期や金額をはっきりと覚えていないというケースもあります。
通帳で事実を確認し、それを相続人に質問していくという作業をするために、通帳は欠かすことができない資料なのです。

申告のお手伝いをしていると、亡くなった人の通帳がないというケースは現在でも多くあります。
では、古い通帳が残っていない場合、実務上はどうするのでしょうか?
相続人の間で資金移動が絶対にないというケースであれば確認を省略することもありますが、それ以外のケースでは取引履歴を銀行から取得することをおすすめしています。
相続人から依頼を受けて、専門家が取得代行まで行うこともあります。

この場合、銀行の手数料がかかります。
みずほ銀行の場合は1か月当たり330円ですので、仮に5年分を取得すれば、330円×12月×5年=19,800円の手数料となります。
取得を専門家に依頼すればその手数料もかかりますし、取引銀行の数が多ければそれなりの費用と時間がかかります。

三菱UFJ銀行はまだですが、メガバンク2行で新規口座の通帳発行が有料化されることに伴い、徐々にデジタル通帳(紙でない通帳)を利用する人が増加するのは間違いなさそうです。
この動きはすでに広がりを見せ始めており、他の金融機関でも有料化を行うことが発表されています。
ちなみに、三菱UFJ銀行も、「2021年7月1日以降の新規口座」を対象に、2年以上利用がない口座は年1,200円(税別)の口座管理手数料を徴収することが発表されました。

今現在でも50代、60代の人が亡くなった場合に、インターネット銀行の取引があることはわかっているものの、相続人がそのパスワードを知らないことから、取引履歴をプリントアウトすることができないというケースがあります。
このような場合も、手数料や手間の兼ね合いから必ずしも取引履歴を取得するとは限らず、紙の通帳があるときと比較して、税理士が亡くなった人の通帳を確認できずに申告書を作成せざるを得ないケースが多いように思われます。

一方、税務当局は必要に応じて自由に取引履歴を確認することが可能ですので、税理士が確認できていない取引について指摘され、対応が後手になることが増加しそうです。

また、金融機関は過去10年間の取引履歴の保管義務があるものの、それ以降は行内のルールに従って破棄しているはずのため、税務調査での通帳確認も一部の例外を除いて最大10年間といわれてきました。

ところが、三井住友銀行ではデジタル通帳(三井住友銀行は「Web通帳」と呼んでいます)の利用者は2019年10月以降の取引について、最大30年間の取引を見ることができる予定になっています。
利便性が高まる一方、データが残っていることから将来的には税務調査で10年以上前のことが論点とされるケースが出てくるかもしれません。

有料化の対象は「新規」で口座開設するものが対象です。
今現在、紙の通帳を利用している人は、これまでと同様に手数料がかからないので、高齢者は今までどおり、紙の通帳をしっかりと保管したほうが相続税申告の観点からは好ましいといえるでしょう。

なお、みずほ銀行では毎年1月時点で過去1年間通帳記帳がない方は自動的に「e-口座」という紙の通帳が発行されない口座に移行してしまうため、定期的に記帳するよう注意が必要です。

また、利便性の面を含め、インターネット口座に切り替えたいという人は定期的に取引履歴を家族が利用できるPCにPDF等で保管しておくことや、家族にIDやパスワード等を残すなど対策が必要です。

デジタル遺産という言葉を耳にして久しくなりましたが、その管理と承継の重要性は今後ますます高くなりそうです。

本当は、マイナンバーにすべて口座を紐づけすれば良いのでしょうが、反対もあり、できないでしょうね。
個人的には、マイナンバーを導入するのであれば、そこまでやらないといけないとは思いますが。
まずは、口座を手数料がかかる前に開設しておくということも重要だと思いますね。
あとは、過去の経験上、税務調査において、数十年前の取引が確認できれば反論できるかもしれないにもかかわらず、金融機関が10年しか保管していないということで、悔しい思いをしたこともあります。
良い方に働くか、悪い方に働くか分かりませんが、取引を確認できる期間が延びるということは個人的にはありがたいことだと思っています。

大手銀行の「通帳有料化」が与える相続税申告への意外な影響について、どう思われましたか?


浅香光代さんの内縁の夫が「財産は息子たちと分けてと遺言あった」と独白!

2020年12月13日、すい臓がんのために波乱の生涯を終えた女優の浅香光代さん(享年92)ですが、週刊朝日は浅香さんと事実婚の関係にあったコメディアンの世志凡太さん(87)に独占インタビューしています。

2人が一緒に暮らした約30年の年月、がんがあちこちに転移し「余命3か月」と宣告された最後の日々、浅香さんの「遺言」など、初めて語る数々の秘話を明かしていただいています。

世志さんが浅香さんと暮らしていたのは東京・浅草にある事務所兼自宅の5階建てのビルで、通いのお手伝いさんと猫の「たっくん」(浅草福猫太郎)と、3人と1匹の暮らしでした。

「このビルを建てたのが1991年。ビルができた時から一緒に暮らしていましたから、もうかれこれ約30年になります」
浅香さんは世志さんより5つ歳上で、ビル内にはエレベーターがあり、3階に上がると世志さんの部屋でした。

「この部屋で、浅香と食事をして語り合い、4階の寝室に上がって寝ていました。ベッドは隣合せでしたが別々に分かれていました。とてもかわいがっていた猫の『たっくん』が浅香のふとんに潜り込んできて、寝ていました。寝室の私のベッドの枕元には浅香の分骨がまつってあります。いつでもお参りできるようにね。大勢お参りに来てくれてますよ」

浅香さんは3年前から、心臓にペースメーカーを入れていたそうです。
「若い頃から、心臓がドキドキする方だったそうです。浅香は18年に90歳の卒寿のお祝いパーティを盛大に催しましたが、その時には既にペースメーカーを入れていました。本人は『肋骨のソバにデッパリがあってやだね』って言ってましたがね」

異変があったのは2020年10月中旬のことです。
浅香さんの最後の出演番組となったNHKの「アナザーストーリーズ 運命の分岐点 『阿部定事件〜昭和を生きた妖婦の素顔〜』」を撮り終えた後のことでした。
「自宅の、私が今座っているこのソファーで収録しました。その時はいつもと変わらず歩いてしゃべっていたんですが、3〜4日経って寝込むようになったんです。ソファに私が『そんなとこで寝ちゃだめだよ。ちゃんとベッドで寝なよ』と言うと、ベッドに這いずり上がるようにして寝ていました。足がしびれてトイレに行けないって言うから、これはいけないと思った」

さっそく主治医に相談し、10月末まで2週間ほど介護施設に預かってもらうことになったそうです。
「施設に入って3日目くらいに総合病院に入院することになって、そこでがんが発見されました。医師から『あちこちに転移していて、あと3か月の命です』と宣告され、愕然としました。しかも、新型コロナウイルスの感染予防のために面会謝絶状態となり、思うように面会することもできなくなってしまいました」

ようやく面会がかなったのは、浅香さんが亡くなる1週間前のことで、世志さんは地元の後援者と一緒に見舞いに行ったそうです。

「『わかるかい、6番目の亭主の世志凡太だよ』と言ったら、本人はうなずくだけ。言葉は出なかったけど、私とわかったんじゃないかと思います。それが、私たちの最後の会話でした……それから亡くなるまで私に知らせはなく、最期を看取ることはできませんでした」

2020年12月17日に、家族葬がしめやかにとり行われました。
喪主は長男が務めました。
「家族葬の時、私は内縁の夫だという理由で友人・知人の席に座らされ、妙な感じでした。だから、今度は別のかたちで『忍ぶ会』を盛大にやりたいと思っています。30年前の二人の披露宴は、私がもともとジャズ屋なので、クレイジーキャッツのメンバーとジャズの演奏をしたり、浅香が劇団の連中に引っ張られた人力車に乗っかって登場し、踊りを披露してました。仲人は、はかま満緒、高橋圭三、政治家の福田康夫、当時の世田谷区長と4人いましたね。それはにぎやかな式でした。本人も、そういう送られ方を望んでいるのではないかと思うんです」

ところで、30年も二人で暮らしながら、何故、入籍しなかったのでしょうか?
「私は若い頃から不動産の売買をしていて借金があったから、浅香に迷惑がかかることになってはいけないと思い、入籍はしませんでした」

事実婚なので通常は世志さんに相続の権利はないが、浅香さんは生前、自身の「終活」の一貫として「遺言書」を作っていたそうです。
「ちゃんと法的な立ち会いも入った遺言書です。そこには、『遺産は息子たちと私とで3人仲良く分けて』という主旨のことが書いてありました。遺産と言っても、この5階建てのビルの土地は別の人の持ち物だし、建物だけ。そんなにはありません。貯金などすべて合せて数千万円くらいです。私は、子供たちと平等に3分の1ずつ分ければいいと思っています。ビルの建物も売却する予定で話が進んでいます。ただ、浅香は一生、浅草にいたいと言っていて浅草が大好きでしたから、売却してもここを借りる予定でいます」

浅香さんは9歳で舞台劇団の一座に加わるようになり、「浅香光代一座」を旗揚げで、浅草や新宿など各地で興行しました。
そのうちに、ジャズマンだった世志さんと知り合い、今日に至っています。
世志さんは、こう回想しています。
「戦後の一時期、浅香は舞台で、胸のさらしが落っこちそうになると暗転する、そういう“チラリズム”の演出をやっていて、これがまた人気になりましたね」
60年代に入ると、長谷川伸の名戯曲「一本刀土俵入」や「勧進帳」などの演目で大劇場で舞台公演をし、女剣劇のスターになりました。

日本舞踊では全国に3千人以上の門弟がいる「浅香流演劇舞踊団」を主宰していました。
弟子の中には著名人もいたようです。
「昨年亡くなった芸能リポーターで目黒区議の須藤甚一郎さんや梨元勝さん、オスマン・サンコンさんも、舞踊の弟子でしたね。浅香流の『名取』にもなれたんじゃないかな」
浅香さんはきっぷのよい性格で、稽古場では人前で胸のさらしを取り替えても気にしなかったそうです。

「稼いだお金はほとんど、衣装、かつら、大小の刀などにつぎ込んでいました。私はそんな彼女の仕事へのひたむきさに惚れましたね」
プロ野球監督だった野村克也氏の妻、野村沙知代さんとは、1999年から3年くらい「ミッチー・サッチー騒動」でお茶の間の話題をかっさらった。
「もともと、ノムさん(野村克也氏)とサッチーさんと私たち4人は古くからの知り合いでした。サッチーさんの情報が浅香に集まるものだから、テレビリポーターやスポーツ紙、週刊誌の記者たちが連日、うちに詰めかけていましたよ。今思えばたわいもないネタで盛り上がったものですが、うちはサッチーから名誉毀損で訴えられ、110万円の支払い命令を受けました。でも、サッチーはその後、騒動について『あれは浅香光代さんを有名にするためにやってあげたのよ』なんて言ってましたけどね」

様々な修羅場をくぐり抜けてきた浅香さんですが、この1年くらいの暮らしぶりはどうだったのでしょうか?

「1日5食べていましたよ。眠っているか食べるか、でしたね。2人で外食へもよく行きました。浅草の老舗の喫茶店『デンキヤホール』の『ゆであずき』とオムレツの皮で巻いた『オムマキ』が大好物でしたね。ラーメン店へもよく出かけました」

世志さんは今後、茨城県に引っ越す計画を立てている。
「茨城県に全部で2万5,000坪くらいの広い土地がありまして、開発する会社の役員になっています。そこに浅香光代の芸能記念館、介護施設、ショッピングモールを造りたいと思っています。私は昔から、売れてナンボの芸能界だから、売れないで下の方でうろちょろする人生はつまんねぇと思っていましてね。新型コロナで、歌い手も役者もスタッフもどれもこれもみんな食えなくなっているでしょう。地方の方が、面白い時代ですよ。やりがいのある時代でもあります。才能はあるけど、埋もれている芸人にどんどんと仕事を与えたいと思っています」
FMスタジオなども設け、30席前後の客席もつくり、日本舞踊や三味線の演奏者などに芸を披露してもらう構想も持っているそうです。
「茨城県は都道府県別の魅力度ランキング(ブランド総合研究所調査)で42位。そんな茨城県を活性化したいと思っています。ちょっとこれからは違う世志凡太の生き方も模索したい」

前述の、浅香さんの最後の出演番組となった「アナザーストーリーズ 運命の分岐点 『阿部定事件〜昭和を生きた妖婦の素顔〜』」は、浅香さんが亡くなった後の2020年12月22日に放送されました。
浅香さんは定と実際に交流があったそうです。
「浅香の最後にふさわしいドキュメンタリーになりました。浅香がいないのは寂しいけど、浅草のみなさんに愛された浅香光代なんだから、天寿をまっとうし、今でも慕われ、浅香も満足だと思います」

形式ではなく、実態で判断すべきものだと思いますが、事実婚の場合、民法で相続権は認められておらず、税法(相続税法)でも基本的に民法の規定に従います。
そのような中、きちんと『終活』をして、公正証書遺言を作っていたというのは、素晴らしいことだと思います。
野村さんのところはもめているみたいですので。
遺言書を作ることが逆にもめる原因になることもあるかもしれませんが、生前にきちんと遺言書を作っておくというのが普通になればいいなぁと思います。

浅香光代さんの内縁の夫が「財産は息子たちと分けてと遺言あった」と独白!したことについて、どう思われましたか?


任意後見人の立場悪用した行政書士が90代女性の口座から4,800万円を着服!

読売新聞によると、任意後見人の立場を悪用して女性の預金約4,800万円を着服したとして、業務上横領罪に問われた大分市の元会社経営で、大分県行政書士会員(55)に対し、大分地裁は、先日、懲役3年6月(求刑・懲役5年)の判決を言い渡しました。

判決によると、行政書士は2017年2月~2019年6月、任意後見人として財産を管理していた大分県宇佐市の女性(90歳代)の口座から30回以上にわたり、計約4,800万円を着服しました。
事業資金や借金の返済に充てていたようです。

金友宏平裁判官は「行政書士の立場を利用して信頼を得ており、被害結果も重大」と指摘しました。

判決後、弁護側は控訴しない方針を示しました。

大分県行政書士会は「最も重い廃業勧告を視野に処分を検討する」としているようです。

士業による着服も年間何件かは起こりますね。
どの士業も、人数が増えて、報酬が安くなっているのかもしれませんが、付加価値の高い仕事を考えたり、業務の効率化を考えたり、時代の流れを見越した商売をしないといけないですね。
そもそも倫理とかの話だと思いますので、こういった方々には、士業をやらないで欲しいですね。
こういった事件が、士業の信頼を失うことになりますので。

任意後見人の立場悪用した行政書士が90代女性の口座から4,800万円を着服したことについて、どう思われましたか?


家族信託のメリットとは?

ガシェット通信によると、家族信託とは、財産を信じて託すことで、一般的には銀行の信託が有名ですが、銀行ではなく家族を信じて託すのが家族信託です。
例えば、アパートの大家さんが家族信託をする場合、自分でアパートを所有したまま、賃貸経営者である受託者と、家賃を受け取る受益者を家族に指定する内容の信託契約書を締結します。
・委託者:本人
・受託者(賃貸経営する人):子
・受益者(家賃を受け取る人):孫
通常、本人が所有していれば賃貸経営するのも家賃を受け取るのも本人ですが、家族信託を利用することでこれらをすべて別々の人に指定することができるのです。

では、受託者、受益者を指定することでどのようなメリットがあるのでしょうか?

アパート経営をしている本人が認知症にかかってしまうと、その後の賃貸経営が非常に難航します。
具体的には、家賃の集金管理や建物に必要な維持修繕費用の支出、さらには管理会社との管理委託契約など、さまざまな法律行為について本人が行うことができません。
通常、このような状況に陥ると成年後見という制度を利用することになります。

成年後見制度とは、認知症や痴ほうなどで判断能力がなくなってしまった方の財産を保護するために、裁判所に申し立てをして本人の代わりに財産を管理する成年後見人を選任してもらう必要があります。
この場合、手続き的には非常に大変で医師の診断書など様々な書類が必要になるほか、時間もかかるため実際に利用するのはとても大変です。

また、成年後見人を家族で選任できたとしても、財産の処分など一定の行為については後見監督人や裁判所の許可などが求められるため、とにかく時間がかかります。

一方、家族信託を利用した場合、本人が認知症にかかったとしても賃貸経営の実務については、事前に受託者に委託しているので、本人の同意をその都度得ることなく、受託者の名前で管理委託契約書を締結したり、場合によっては物件自体を売却したりすることも可能です。
つまり、本人が認知症になっても成年後見制度を利用することなく、これまで通り受託者が主体となって賃貸経営を継続することができます。

アパートの所有者が何らかの事情で破産した場合、通常であればアパートは差し押さえの対象になります。
一方、家族信託を使っている場合、本人が自己破産した場合でも、アパートは信託財産なので受託者に属するという扱いになり、差し押さえの対象ではなくなるのです。
ということは、受託者が破産したらアパートを差し押さえられるのでは、と思うかもしれませんが、ここが家族信託の面白いところで、信託財産は独立した財産として扱われるので、受託者が破産したとしても差し押さえられません。
このように破産から財産を守ることができることから、「倒産隔離機能」ともいわれています。

遺言書で財産を相続させる場合、自分が死亡した時の相続についてはもちろん指定できますが、そこから先の二次相続のことについては遺言書に書いたとしても実現することができません。
よく相談されるのは、自分の財産を妻に相続させたのち、将来妻が死亡したら長男に相続させることはできますか、と聞かれることがあるのですが、これを遺言書で実現することはできません。
通常であれば、妻の相続については妻自身の遺言書でしか指定ができないからです。

一方、家族信託を利用した場合、信託契約書の条文で信託財産から生じる家賃について、受益者が死亡した場合、次の受益者を指定しておくことができます。
つまり、妻の死亡後の二次相続にまで踏み込んで信託契約ができるということです。
こういった内容の信託契約のことを「後継ぎ遺贈型の受益者連続型信託」といいます。
これを使えば、遺言書では実現できない二次相続後の扱いについても、本人の意思で実現することが可能なのです。

家族信託はまだ広く一般には浸透していませんが、メリットが非常に大きく成年後見制度よりも使い勝手がいいので、アパートなどの収益物件をお持ちの方については特におすすめです。
ぜひ遺言書とあわせて検討してみてはいかがでしょうか?

個人的にも、数年前から『家族信託』に興味を持ち、講座を受けたりして、資格なども取得しています。
比較的新しい制度であり、今後、訴訟の判決によって実務がこなれていく面は大いにあるとは思いますが、使い方を間違えなければ、素晴らしい選択肢の一つになります。
基本的には、節税にはなりませんが、財産管理、相続対策という意味ではすごく使えると思います。

家族信託のメリットについて、どう思われましたか?


亡くなった本人しか分からないネット口座内の上場株式を相続する際の対処策!

相続した株式を売却すると、譲渡所得税がかかります。
一般に、株式を相続するなら証券会社で名義変更の手続きが必要です。
また、上場株式だと評価はそれほど難しくありませんが、評価額を巡って相続人同士がもめることがあります。
さらに、インターネット口座の普及で保有株式の存在が本人しか分からないと、相続する身内はどうしたらいいか分かりません。
相続会議で、上場株式の相続手続きや評価方法、相続する際の注意点について、税理士が解説しています。

上場株式の相続手続きは、以下の流れで行います。

<1.証券会社へ連絡し、取引内容を確認する>
相続が始まったら故人が口座を保有していた証券会社に連絡しましょう。
取引していたかどうかは、証券会社からの郵便物や通帳の履歴から把握します。
この連絡の際、相続に必要な書類と手続きを確認します。
また、遺産分割や相続税の申告に備えて残高証明書を請求しましょう。
残高証明書で株式の種類や銘柄、数量が確認できます。
遺産分割協議前でも相続人なら取得可能です。
ただし残高は相続開始日(口座名義人の死亡日)のものでなくてはなりません。

<2.相続人名義の口座を開設>
故人の株式を相続するには、引き継ぐ人自身の口座を準備しなくてはなりません。
故人の株式を売却する予定であっても相続人名義の口座が必要になります。
故人と同じ証券会社に以前から口座を持っていたのでなければ、口座開設の手続きを行いましょう。

<3.名義変更をする>
相続人名義の口座を準備できたら、株式の名義変更を行います。
株式の売却は名義変更後になります。
なお、名義変更には次のような書類が必要です。
・相続による株券名義書換依頼書(証券会社所定の書類)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・遺産分割協議書または遺言書
・相続人全員の印鑑証明書
なお、戸籍謄本の代わりに「法定相続一覧図」を使うこともできます。

故人が上場株を保有していたかどうかは、配当計算書や支払通知書、株主総会招集通知書が郵便物にあるかどうかで分かります。
また、取引残高報告書も郵送かメールで証券会社から交付されます。
しかしそれでも取引があったかどうか、分からないことがあります。
このようなときは証券保管振替機構(通称「ほふり」)に連絡しましょう。
「登録済加入者情報の開示請求」という手続きを行えば、どの証券会社に口座を開設していたかが分かります。
この開示請求で必要な書類は、以下のとおりです。
・開示請求書
・請求する人(通常は相続人)の氏名・生年月日・住所が確認できる書類(運転免許証など)
・法定相続一覧図(なければ被相続人の除籍謄本や相続人の戸籍謄本など)
・被相続人の住所を確認できるもの(戸籍の附票など)
・相続人の印鑑証明書

【参考】証券保管振替機構HP
【相続人(又は相続人の代理人)】登録済加入者情報の開示請求に係るお手続について(https://www.jasdec.com/download/ds/certificate/kaiji/otetsuzuki2.pdf

また、現在、上場株は法律によりすべて電子化されています。
なので、通常、上場株には株券という書面が存在しません。
しかしごく稀に電子化されていない株券(失念株)が発見されることがあります。
このようなときも「ほふり」に連絡し、電子化の処理を依頼しなくてはなりません。

預金もそうなのですが、ネット取引があると、相続財産の把握が困難なときがあります。
上場株式については、上記のように『ほふり』に連絡すれば分かりますので、便利ですね。
まぁ、それよりは、エンディングノートを書くなどして、相続人が相続財産の把握に苦労することがないようにしておくことが大事かと思います。
早めに、相続のことを考えておきましょう。

亡くなった本人しか分からないネット口座内の上場株式を相続する際の対処策について、どう思われましたか?


空き家の賃貸・売却時の課題は「需要不足」!

不動産流通研究所によると、国土交通省は、先日、「令和元年空き家所有者実態調査」の結果を公表しました。

1980年よりほぼ5年ごとに「空家実態調査」として継続的に実施してきましたが、「平成30年住宅・土地統計調査(総務省)において世帯が回答する調査票に新たに「居住世帯のない住宅(空き家)」についての調査項目が追加されたため、調査対象・方法を見直し、名称が変更されました。
調査対象は、「平成30年住宅・土地統計調査」(2018年10月1日現在)の調査区から無作為に抽出した調査区内において、「居住世帯のない住宅(空き家)を所有している」と回答した1万2,151世帯。有効回答数は5,791世帯です。
調査期間は2019年11月~2020年1月となっています。

調査では、半数を超える空き家で、腐朽・破損が見られました。
利用現況別では、「二次的住宅・別荘用」は3割超、「貸家用」は4割超、「売却用」・「その他」については6割超の物件で、腐朽・破損が報告されました。
管理頻度・利用頻度は「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割となっています。
所有世帯の居住地からの所要時間は1時間以内が約7割を占めています。

今後5年程度の利用意向は、「空き家にしておく」が約3割で最多となっています。
その理由は「物置として必要」(60.3%)、「解体費用をかけたくない」(46.9%)など。「賃貸・売却」、「セカンドハウスなどとして利用」もそれぞれ約2割に上っています。
「賃貸・売却」する上での課題点としては「買い手・借り手の少なさ」(42.3%)、「住宅の痛み」(30.5%)、「設備や建具の古さ」(26.9%)があげられました。
「寄付・贈与」の意向はわずか1.3%でしたが、その中でも、「費用がかかるなら寄付・贈与しない」が40%を超え、「一定の費用負担を伴っても寄付・贈与したい」と同程度に並んでいます。

個人的には、この調査は実態を表しているのだろうかという気はしますが、税理士として、相続税対策や相続税申告をお手伝いさせていただいておりますが、相続人が県外にいるケースが増えており、空き家がどんどん増え、管理もできない家もどんどん増えると思います。
個人的には、コロナの影響で働き方が見直され、空き家を利用して、地域活性化が図れるのではないかと考えていますが、地方自治体を中心に何かやってほしいなぁと考えています。

空き家の賃貸・売却時の課題は「需要不足」であることについて、どう思われましたか?


相続税の税務調査で海外資産絡む申告漏れの指摘件数が149件で過去最多!

日本経済新聞によると、国税庁は、先日、2020年6月までの1年間(2019事務年度)に全国の国税局などが実施した相続税の税務調査の結果を発表し、海外資産に絡む申告漏れの件数が149件で過去最多となりました。
海外の税務当局と金融口座情報を交換する制度「CRS(共通報告基準)」を生かし、13億円を超える申告漏れを指摘した事例もあったようです。

国税庁によると、新型コロナウイルスによる感染拡大に伴い、全体の実地調査の件数は1万635件で、2018事務年度と比べて約15%減少、申告漏れ額も3,048億円と約14%減っています。

こうしたなか、国税当局は資産運用の国際化に着目し、海外資産について重点的に調査したようです。
1,008件の実地調査を実施した結果、統計を開始した2001事務年度以降で過去最多となる149件の申告漏れを指摘しています。
金額は2018事務年度比で約32%増の77億円となり、過去3番目の多さでした。

大阪国税局の事例では、相続人3人が父親の死亡後、海外の父親名義の預金口座に残高があることを認識していたにもかかわらず、「海外預金なので申告しなくても国税当局が把握することはないだろう」と考え、税理士にも伝えずに税務申告していました。

大阪国税局はCRS情報を活用して海外口座の存在をつかみ、預金を意図的に申告財産から除外していたほか、過去の贈与税が無申告だったことを明らかにしました。
3人は総額約13億6千万円の申告漏れを指摘され、重加算税を含めた追徴税額は約5.3億円に上ったようです。

国税庁は相続税の申告実績もあわせて公表しています。
2019年に亡くなった約138万人のうち、財産が相続税の対象となったのは約11万5千人で課税割合は8.3%でした。
相続財産は土地が最も多くなっています。

CRS(共通報告基準)を活用した海外の税務当局との情報交換が始まる前、当時の国税幹部は「富裕層の海外資産が丸裸になるだろう」と想定していました。
国際的な租税回避を防ぐため、経済協力開発機構(OECD)で策定された制度を通じ、国税庁は初回交換の2018年に約55万件、2019年には約189万件の情報を入手しました。

今回発表された2019事務年度の相続税調査では13億円超の申告漏れの端緒となり、所得税や法人税の税務調査でも海外での資産運用の実態解明につながる事例が出ています。
「国税当局から問題のある海外預金をピンポイントで指摘された。CRS情報による調査だと説明を受けた納税者もいる」(国税OBの税理士)とのことです。

税務調査を巡る各国の連携が威力を発揮し始めた形ですが、課題も見えつつあるようです。
CRSの枠組みが検討されていた当時、暗号資産(仮想通貨)は普及途上であり、現状では相互に交換できる情報に含まれていません。

国税幹部は「さらなる国際連携の強化や交換対象となる情報の拡大なども重要だ。国際的なルールづくりにおいて日本も重要な役割を果たしていきたい」と強調しています。

CRSは素晴らしい制度だと思いますし、タイムリーに総合交換できる情報を付け加えられるようにして、悪質な方からは、どんどん取って欲しいですね。
これだけ脱税していたとしても、逮捕はされないのでしょうか?
その当たりを明確にしてほしいなぁと思います。
税理士としても、基本的に依頼者から言われたものしか財産は分かりませんので、色々と対応を考えないといけないですね。

相続税の税務調査で海外資産絡む申告漏れの指摘件数が149件で過去最多だったことについて、どう思われましたか?


マラドーナ氏の死去により莫大な遺産をめぐり親族10人以上が骨肉相続バトルへ!

英雄亡き後に待ち受けるドロ沼の争いとは?
東スポによると、サッカー界のスーパースターで元アルゼンチン代表FWのディエゴ・マラドーナ氏が、先日60歳で死去したことで、新たな〝火種〟が持ち上がっているようです。
あまりにも早すぎる死に世界中に衝撃が走りましたが、今後に注目されるのが莫大な遺産の行方です。
複雑な家族構成ゆえ、相続を主張する関係者が続出しそうな雲行きとなっています。

マラドーナ氏は現役時代にスペイン1部バルセロナ、イタリア1部ナポリ、アルゼンチン1部ボカジュニアーズなどの強豪クラブを渡り歩き、高額な報酬を手にしてきました。
引退後もアルゼンチン代表監督を務めたほか、2011年にはUAE1部アルワスルに年俸990万ポンド(約14億円)という破格の待遇で招かれるなどサッカーにおける収入だけでも100億円以上を荒稼ぎしました。

それ以外にもスポンサーや権利関係の副収入に加え、キューバのフィデル・カストロ議長やイタリアマフィア、ドバイの投資家などさまざまな〝タニマチ〟がいたとされ、莫大な資産を築いたとみられています。
マラドーナ氏の突然の訃報を受け、遺産の行方にも注目が集まりそうです。

北中米や南米で展開するメディア「エルフットボレロ」米国版は、「マラドーナの死後、億万長者の財産の相続人は誰か」と題して今後の遺産相続を巡る争いを予想しました。
「彼の死の前に遺産はすでに論争されていた」と同紙が指摘するように、その資産規模が大きすぎるがゆえに生前から金銭トラブルが頻発していました。
2015年には自身の預金口座から無断で約10億円を引き出されたとして、前妻クラウディアさんを訴えています。

マラドーナ氏に現在、配偶者はおらず「直接の相続人は(実子の)ダルマとジャンニーナ、フェルナンド、ディエゴ・ジュニア、ジャナ。彼らの間で財産の大部分を分割する」と同紙は指摘しています。
ただ、一筋縄ではいきそうもありません。

この5人のほか、英紙「サン」は「2019年に、マラドーナ氏の顧問弁護士が3人のキューバ人の子供を認知しており、合計8人の子供がいる」と報じています。
正式に血縁関係が認められれば、当然相続権が生じます。
さらにマラドーナ氏には札幌や福岡でプレーした実弟のウーゴ氏(51)を始め、7人の兄弟姉妹がおり、こちらも遺産相続を主張する可能性があるようです。

「誰が財産を得るのか、明日から戦争が始まる」と同メディアは伝えています。
希代のスーパースターが残した遺産を巡り、まさに骨肉の争いが繰り広げられそうです。

お金を持つと、それはそれで大変ですね。
アルゼンチンの税制などがまったく分かりませんが、どういった相続対策をしているのでしょうか?
お金持ちの方はそれなりのお金をかけて相続対策をしないと、親族間での争いを作る結果となり、お金を残すことが幸せなのか不幸なのか分からなくなってしまいます。
日本でも、今月10日に公表されると言われている令和3年度税制改正大綱に『相続税と贈与税の一体化』が織り込まれるとの話があり、将来的には相続対策がガラッと変わるとか、過去の相続対策が無意味なものになったり、効果が薄まったりする可能性もありますし、財産等の状況も変化していくと考えられますので、一度相続対策をしたら終わりというものではなく、タイムリーに対策をしていかないといけないですね。

マラドーナ氏の死去により莫大な遺産をめぐり親族10人以上が骨肉相続バトルとなりそうなことについて、どう思われましたか?


故八千草薫さんの3億円豪邸が一周忌前に相続税の支払いのために解体!

女性セブンによると、自分が死んだ後の不動産について、悩みを抱える人は多いようです。
夫も子供もいないとなれば、なおさらです。
2019年に亡くなった女優・八千草薫さん(享年88)も亡くなる前に、長年過ごしてきた東京都世田谷区の豪邸に考えを巡らせ、遺言書に思いをつづっていたようです。

しかし・・・。
ミシミシ、バリバリバリと、10月中旬のとある日、東京世田谷区の閑静な高級住宅街に、轟音が響いていました。

重機が住宅の塀を壊して敷地に入り、邸宅を容赦なく破壊していく。ここに建っていたのは、瀟洒な戸建て。150坪もの敷地に広がる庭には桜や金木犀が植えられ、メダカやオタマジャクシなど小さな生き物の生をはぐくむ池もあり、土地だけでも3億円もの資産価値があります。
大きな家が多いこのあたりでも、特に目を引く豪邸だったと、近隣の住民が残念そうに話しています。

「この家は、八千草さんが生前お住まいになっていた家なんですよ。亡くなった後、ずっとそのままだったのですが、ついに取り壊しが始まってしまいましたね。まだ一周忌前というのに随分早いな……何か事情があるんでしょうか」

2019年10月24日に88才で亡くなった八千草さんですが、2018年にすい臓がんと診断され大手術を受けるも、その後は自宅に戻って療養を続けてきました。

「一時期は、懇意にしていた脚本家の倉本聰さんの案内で北海道富良野を訪れるほど回復したのですが、昨年突然体調を崩されて入院。そのまま帰らぬ人となってしまったのです」(八千草さんの知人)

八千草さんの夫で映画監督の谷口千吉さん(享年95)は2007年に他界しており、子宝には恵まれなかったものの、おしどり夫婦として知られていました。

「実は八千草さん、亡くなる直前に遺言書を書いていたんですよ。ひとり身ですし、きょうだいもいないので、自分が亡くなった後のことを気にしていたのでしょう。遺言書には、アクセサリーやバッグなどを知人に形見分けすること、“自宅をそのままの形で残してほしい”といった旨がつづられていたんです」(前出・知人)

「愛する伴侶と過ごした思い出がつまった家を残したい。」、それは、八千草さんの最後の望みでした。
この願いをかなえるため、彼女自身も生前からさまざまな方法を思案していたそうです。

「世田谷区に寄贈することも考えたそうですが、“更地なら”という条件だったそうで、断念せざるを得なかったそうです。最終的に、“いちばん迷惑が掛からない方法で”と選択したのが、お世話になったかたたち3人に遺贈することだったんです」(前出・知人)

自宅の登記簿を見ると、2020年2月、3人に遺贈の手続きが取られていました。
そのうち2人は、八千草さんと谷口さん、それぞれの遠戚にあたる人、もう1人は八千草さんの所属事務所社長のAさんです。

「3人とも八千草さんの身の回りのお世話をしたり、一緒に旅行したり、彼女が入院中に愛犬の散歩をするなど、生前かなり親しくしていた間柄のかたがたです。“自宅をこのままの形で残したい”という八千草さんの思いを汲んで、自宅を取り壊さずそのまま売却して現金化し、それを元手にして相続税を払う予定だったと聞きました」(テレビ局関係者)

しかしながら、八千草さんの願いはかなわず、自宅は即解体されてしまいました。

「2,500万円? そんなもんじゃない」
八千草さんの一周忌を前に、事態は一変していました。

「予想外のことばかり起きてしまい……背に腹は代えられない思いで解体となってしまったのです」
こう話すのは、Aさんです。

「八千草は“できることなら、個人のかたに買っていただきたい”と望んでいました。“リフォームするとしても、何かしらあの家のにおいのようなものが残ればうれしい”と話していたんです。そのため、当初は不動産業者さんではなく、個人のかたの買い手を探していました」

しかしながら、動き始めた矢先にコロナ禍に見舞われます。
先行き不安な中、個人で不動産を買おうとする人は激減し、しかも、土地だけで3億円もするような大型物件ゆえ、なかなか買い手が見つからなかったそうです。

「仲介をお願いしていた業者さんにも、“お気持ちはわかりますが、この状況で個人相手に売るのは難しいと思いますよ”と言われてしまいまして……。もう少し粘ることも考えたのですが、私たちには“タイムリミット”が迫っていたんです。仕方なく、路線変更して、業者さんに買い取っていただくことも視野に入れ始めたんです」(前出・Aさん)

2020年9月末、売却が済み、豪邸は不動産販売業者のものとなりました。
今後は業者がこの豪邸を一般向けに売っていくことになるようです。
都会では、広すぎたり、こだわりのある仕様の家だと買い手がつかないことが多いため、取り壊して更地にし、広い土地を分割して売るのが一般的なのです。

おそらく八千草さんの豪邸もそのようなケースに当てはまるのでしょう。
彼女が愛したこだわりの邸宅は、すでに取り壊され、ほぼ面影を残していません。
個人の買い手を探すことを諦めたのは、Aさんが語ったタイムリミットが大きな理由だそうです。
それは、相続税の支払いです。

法定相続人でない人が遺贈を受ける場合、通常の相続よりも2割加算された額を相続税として支払う必要があり(いわゆる2割加算)、しかも控除もありません。
そのため、相続税の支払い額を知って仰天する人も多いようです。

「実は、売却する前に相続税の支払期限が来たんですよ。金額を見たら、“うわー”って、ビックリするぐらいの額で(笑い)。一部の報道では2,500万円と書かれていましたが、そんなもんじゃないですよ……」(前出・Aさん)

数千万円という相続税の支払いは、大きな負担だったのでしょう。
自宅は売却しない限り現金化されず、多額の支払いだけがのしかかります。
Aさんたちは泣く泣く、不動産業者への売却を決めました。
そうすれば、相続税を支払っても3人の手元には現金が残るため、それを等分したのです。

八千草さんのケースの場合は、自宅の売却にこぎつけるまでの間にも、さまざまな“ハードル”がありました。
Aさんは、八千草さんが亡くなった後、庭や室内の手入れのため、毎日欠かすことなく自宅に通い続けていたそうです。
「庭は植木屋さんにお願いしたり、池のお魚や生き物を業者さんに引き取ってもらったり。やるべきことは山のようにありました」(前出・Aさん)

自宅に残っていた数々の遺品は、八千草さんが生前決めていた希望に従って知人などに分けるといった作業に没頭してきたそうです。
「膨大な量でしたが、ようやく終わったという感じです。作業の間は、“これ終わらないんじゃないかなぁ”なんて感じて、ヒーヒー言っていたんですが、終わってしまうと、心にぽっかり穴が空いたようで、とても寂しいです」(前出・Aさん)

自宅を整理するまで、なんと10か月もかかったそうです。
「遺品の整理をしている最中に、“こんなものが出てきた!”とか“このとき、あんなことがあったんだよなぁ”と感慨に浸ってしまうものですから余計に時間がかかってしまって……。
たしかに大変な作業ではありましたが、この10か月は、八千草との思い出をかみしめる大切な時間でもあったと思うんですよ。それだけに、家を取り壊さないといけないという結果になってしまい、残念ですし、悔しいんです……」(前出・Aさん)

こだわりの自宅をそのままの形で残すことはかないませんでしたが、家を愛し、周囲の人を大切にした八千草さんの思いは、目に見えずとも、この地にずっと生き続けることでしょう。

相続税の申告・納付はお亡くなりになってから10か月以内ですので、納付期限までに売れるような土地で良かったですね。
相続が発生してからしばらく経ってから売却を検討し出すと思いますので、田舎とかだと、おそらく納付期限までに売却できることは少ないのではないかと思います。
あとは、こういった相続人がいらっしゃらないケースは意外と相続対策をされていない方が多いと思いますが、きちんと遺言書を作っていたから、比較的スムーズに進んだんでしょうね。
おそらく優秀な顧問税理士などがいらっしゃるのだとは思いますが、良い対策をされていたのではないかと思います。
やはり、早めの対策が重要ということですね。

故八千草薫さんの3億円豪邸が一周忌前に相続税の支払いのために解体されたことについて、どう思われましたか?


国税庁が「路線価」を引き下げず!

新型コロナウイルスの影響で地価が下がる中、国税庁は相続税などの計算の基準となる「路線価」の補正を検討してきましたが、引き下げないことを決めました。

2020年の上半期に土地の相続などをした人の納税額は、地価が下がっていても感染拡大前の状況に基づいて決まることになります。

路線価は、国税庁が1月1日の時点での全国の主な道路に面した土地について1平方メートル当たりの評価額を算定し、相続税や贈与税を計算する基準となります。

2020年7月1日に発表された2020年度の路線価は、新型コロナウイルスの感染拡大前の地価に基づいていたため、国税庁は地価が20%以上下落する状況が全国の広範囲に及んでいないかなどを目安に、路線価の引き下げの検討を進めてきました。

2020年1月から半年間の地価の下落幅は、東京、大阪、名古屋の観光地や商業地の合わせて6地点で15%を超えましたが、全国平均では、住宅地が0.4%、商業地が1.4%だったということで、国税庁は、先日、路線価の補正は行わないと発表しました。

2020年1月から6月の間に土地を相続したり、土地の贈与を受けたりした人の納税額は、地価が下がっていても、感染拡大前の状況に基づいて決まることになります。

不動産に詳しいニッセイ基礎研究所の吉田資主任研究員は「地価の下落の幅は小さくなっていて、今回の判断は妥当だと思う。今後の感染状況による影響に注視したい」と話しています。

個人的には、税理士として相続税の申告業務も年間数件していますので、引き下げがあればいいなぁと思っていましたが、結局、引き下げはしないということになってしまいましたね。
株式の場合、一部の上場株式の月ごとの株価の推移が反映されるため、新型コロナウイルスの影響が比較的反映されると思いますが、土地と株式では元々の評価方法が異なるので、仕方ないんでしょうね。

国税庁が「路線価」を引き下げなかったことについて、どう思われましたか?


分けにくい、貸しにくい、売りにくいタワーマンション節税は有効なのか?

週刊ポストによると、2015年の税制改正で、相続税の課税対象となる被相続人が急増しています。
もはや誰もが相続税を無視できなくなっているわけであり、相続税対策について知っておくべきことは多くなっています。

相続税対策では、一般的に、不動産において節税効果が大きいとされます。
金融資産に比べて、不動産は評価額が低くなるためです。
そして、この延長で節税テクニックとして頻繁に話題にあがるのが、タワーマンションの購入です。

以前は、1階と最上階で販売価格は大きく異るタワーマンションの建物の固定資産税評価額が1階も最上階も面積が同じであれば同じだったため、親が高層階の物件を購入し、相続税を低く抑えたのち、相続した子供が時価で高く売却する「タワーマンション節税」が盛んでした。

それが2017年の税制改正で高層階ほど評価額が高くなり、節税メリットが少し薄くなったとされます。
夢相続代表で相続実務士の曽根惠子氏がアドバイスしています。
「それでも一般的な評価額は時価の30%程度しかなく、1億円で購入したタワマンの評価が3,000万円未満ということがよくあります。
ただし、タワマンは『分けにくい、貸しにくい、売りにくい』というデメリットもあります。1億円で1部屋を買うよりは、コンパクトな部屋を3~4部屋購入した方がリスクを分散できます。」

同様に節税対策としてよく取り上げられるアパート経営はどうなのでしょうか?
「土地活用で賃貸住宅を建てると『貸家評価』となって評価額がさらに低くなります。例えば1億円の建物であれば2,800万円ほどの評価になります。更地で持たず建物を建てると、節税メリットがはるかに大きくなります。」(前出・曽根氏)

ただし、素人のアパート経営には大きなリスクがあります。
元国税調査官で税理士の松嶋洋氏が解説しています。
「節税対策として不動産の賃貸経営を望む人は多いですが、相続税を減らしても相続後に入居者が見つからず、不動産事業としてのキャッシュフローが回らなくなるケースが多く、固定資産税などの維持コストもかかる。アパート経営は賃貸事業のノウハウがない人には、お勧めできません」

不動産業者が「節税対策になる」とアパート経営を勧めてくるケースもあるので注意したいですね。

個人的には同感です。
公認会計士・税理士として、相続関連のお仕事を年に数件させていただいておりますが、僕もアパート建設などによる節税対策に関して意見を求められたときは、『確かに相続税は安くなるかもしれません。しかしながら、空室の増加などによって負の財産(借入金が返済できない、売れない、壊すにしても多額の費用がかかるなど。)となる可能性がありますので、節税は置いておいて、アパートなどの建設を賃貸業の経営と考えたときに、経営が成り立つと思われるのであればやればいいんじゃないですか。』と答えるようにしています。
目先の利益だけを考えず、将来的なことを考えて検討してほしいと思いますね。

分けにくい、貸しにくい、売りにくいタワーマンション節税について、どう思われましたか?


第四銀行が「家族信託」の利用支援業務を開始!

日本経済新聞によると、第四北越フィナンシャルグループ(FG)の第四銀行は、財産の管理や運用などの権利を家族へと託す「家族信託」の利用支援業務を始めました。
少子高齢化に伴い、高齢者の財産の管理や運用などについて悩む人が増えていることに対応するものです。

業務は2020年9月1日に開始しました。
顧客が家族信託に関する相談や利用を希望する場合は、第四銀行の提携先である司法書士や税理士などの専門家を紹介するようです。
紹介だけで手数料はかかりません。
別途、専門家が定める報酬や手数料などは払う必要があります。

信託財産を管理するための専用の口座も開設できるようにしました。
開設手数料は1口座当たり5万5,000円です。
口座開設にあたっての必要書類である信託契約書は、専門家を通じて作成してもらうことになります。

僕自身は、数年前から『家族信託』に取り組んでいますが、金融機関の対応が遅いなぁという感じです。
あとは、なぜ口座開設料が必要なのだろうか?と疑問に思います。
まぁ、少しずつでもいいから、こういったことを積み重ねて『家族信託』が世の中に認知されていけばよいですね。

第四銀行が「家族信託」の利用支援業務を開始したことについて、どう思われましたか?


志村けんさんの愛犬は家政婦が相続!

2020年3月末に、新型コロナウイルスによる肺炎で急逝した志村けんさん(享年70)ですが、女性セブンによると、生前愛用していた高級外車「キャデラック・エスカレード」を、お笑いコンビ『千鳥』の大悟(40才)が購入していたことが報じられているが、ほかにも、“相続”は進んでいるそうです。

『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)の司会を16年間務めた志村さんは、プライベートでも動物好きで有名でした。
これまで計7匹の犬を飼っており、亡くなる直前には、豆柴の「殿(との)くん」とゴールデンレトリバーの「チロくん」とともに暮らしていました。

「志村さんは、自宅の庭に犬用のプレハブ小屋を建てるなど、愛犬をわが子のようにかわいがっていました。散歩は1匹ずつ連れて行くのがルール。長いときは犬が満足するまで、2時間も散歩していたようです」(志村さんの知人)

なかでも殿くんとは深い絆で結ばれていました。
殿くんと出会ったのは、2010年に『天才!志村どうぶつ園』のロケで訪れた豆柴ブリーダーの施設です。
そのとき志村さんは、すでにほかの犬を飼っていましたが、殿くんのキュートな姿に魅了され、一緒に暮らし始めたのです。

「殿くんも志村さんにとてもなついていて、この3月、コロナで志村さんが入院してからも、しばらくは玄関先で主の帰りを待っていた。1週間ほどで志村さんがもう帰ってこないことに気づいたのか、今度は寝室に行き、志村さんのにおいが残るベッドで丸まっていたそうです」(前出・志村さんの知人)

志村さんにとって2匹は家族同然です。
しかしながら、コロナで入院直後から意識を失い、そのまま帰らぬ人となったため、家族の“相続問題”は未解決のままでした。

「亡くなった当初、関係者の間では番組で共演していた嵐の相葉雅紀さん(37才)が引き取るのでは?とも囁かれていました」(テレビ局関係者)

志村さんは遺産整理をせずに亡くなったと報じられたが、愛犬に関しては別でした。
こんな“遺言”を残していたそうです。
「日頃から犬のお世話をしていた2人の家政婦さんに、“自分にもしものことがあったら2匹を頼む”と話していたそうです。いま、殿くんとチロくんは、それぞれ家政婦さんの元で元気に暮らしていますよ」(前出・志村さんの知人)

志村さんのもう1つの遺産である『天才!志村どうぶつ園』は2020年9月で終わり、10月からは相葉さんが新MCの動物番組が始まります。

番組終了に際して、志村さんの“形見分け”が進んでいるそうです。
「番組で志村さんが首に巻いていたピンクのバンダナと同じ物が100枚以上も残っているんです。番組終了のタイミングで共演者やスタッフに配られる計画があるようです」(前出・テレビ局関係者)

志村さんの“遺産”は、彼の信頼する仲間たちに託されました。
天国の志村さんも安心しているに違いないですね。

僕は、税理士として、相続税関連の仕事をそれなりにさせていただいていますが、やはり、ペットも家族同然ですよね。
ペットは相続人となりえないのですが、『民事信託』とか『家族信託』と呼ばれるものを使えば、ペットのために財産を残すことができます。
ペットの飼育のために財産を残したい方は、検討されても良いかもしれませんね。

志村けんさんの愛犬は家政婦が相続したことについて、どう思われましたか?


内閣府特命担当大臣(少子化対策)が少子化財源に相続税増税と発言!

日本経済新聞によると、衛藤晟一内閣府特命担当大臣(少子化対策)は、先日、東京都内の日本記者クラブで記者会見し、少子化対策を推進するため、財源として相続税の増税を検討すべきだとの考えを示しました。

「相続についてもっと社会全体として受け取ってもいいのではないか」と言及しました。

これは、多子世帯への給付金の拡充や育児休業給付金を休業前賃金の80%に引き上げる措置を念頭に置いているようです。

財務省に概算要求や税制改正を求めるそうです。

2015年から基礎控除額の引き下げなどにより、相続税が増税になっていますが、また、増税になるんですかね?
今でも亡くなられた方のうち相続税を支払っているのは8%くらいの方なので、増税したところでそれほどの税収増にならないと思いますし、海外に移住する方も増えてしまうような気はします。
まぁ、コロナウイルスの影響で、消費税や所得税や法人税などは上げにくいと思いますので、上げても批判が少ないのは相続税かとは思いますが。
相続税対策がますます重要になってくるかもしれませんね。

内閣府特命担当大臣(少子化対策)が少子化財源に相続税増税と発言したことについて、どう思われましたか?


熊本国税局職員が相続税など2,800万円の申告逃れで懲戒免職!

熊本日日新聞によると、熊本国税局は、先日、本来払うべき相続税など計約2,800万円を払っていなかったとして、熊本国税局に勤務する50代の男性職員を同日付で懲戒免職処分にしたと発表しました。
国家公務員法で定める信用失墜行為に当たると判断したようです。

熊本国税局によると、2017年の職員本人と親族の相続税について相続財産の一部を申告せず、約2,380万円の税負担を免れていたそうです。
このほか2015年に親族から現金の贈与を受けたにもかかわらず、贈与税の申告をしていませんでした。

2018年7月に職員本人から税務調査を受けるとの報告が当時の所属長にあり、発覚したようです。
熊本国税局の調べに対し、「認識不足だった」などと釈明したそうです。

先日、熊本市の同局で会見した松原弘明国税広報広聴室長らは、この職員が既に追徴課税の納付を済ませたことなどを説明しました。
ただし、重加算税の有無など詳細については明らかにしませんでした。

また、約1年半にわたって勤務時間中に無断帰宅を繰り返すなどしていた県内の税務署勤務の50代の男性職員を同日戒告処分にしたことも発表しました。
松原室長は「いずれも税務行政に携わる公務員としてあるまじき行為」と陳謝しました。

この前の名古屋国税局の固定資産税の情報の不正入手もそうですが、あまりにも職員のレベルが低すぎますよね。
きちんと納税しましょうという立場の国税局の職員が、『認識不足だった』とよく釈明できるなぁと思います。
国税局の職員ももちろん専門分野はあるのでしょうが、国税局の職員として専門外の分野も最低限の知識を持っておくのは当然かと思います。
あと、熊本国税局は「意図的な脱税だったかどうかはいえない」としているので、多分、重加算税は課されていないんでしょうね。
納税者に厳しく、身内に甘いというのはどうかと思いますし、『意図的かどうか』をきちんと説明すべきだったのはないかと思います。
プライバシーがどうたらという局面ではないと思いますので。

熊本国税局職員が相続税など2,800万円の申告逃れで懲戒免職になったことについて、どう思われましたか?


相続税が課税されない非課税財産は?

ガシェット通信によると、相続が発生した際に相続人の方から、「どの財産に相続税が課税されるのですか?」というご相談をよくいただくようです。
結論としては、金銭に見積もることができるものすべてが相続税の課税対象です。

一般的な認識としては、預金残高や土地、建物などの不動産、株式などが思い浮かぶかと思いますが、これら以外にも貴金属、宝石、書画、骨董品、美術品、さらには貸付金や著作権、特許権までも相続税の課税対象となります。

このように相続税の課税対象範囲は非常に広いのですが、一方でどんな財産が非課税財産になるのでしょうか?

以下の財産については、相続によって取得したものだとしても相続税非課税財産となりますので、相続税は課税されません。
●生命保険金
被相続人にかけられていた生命保険の保険金は、保険料を被相続人が負担しているとみなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、「500万円×法定相続人の数」で算出される非課税枠の範囲内であれば、非課税財産となり相続税は課税されません。
このような制度があるので、生命保険に加入する際には非課税財産になるように保険金額をうまく調整して加入しているケースが多いと思われます。
なお、生命保険金は、過去の判決から受取人固有の財産となるため、遺産分割協議の対象からは外れます。

●死亡退職金
被相続人に対して支払われる死亡退職金は、原則として相続税の課税対象ですが、生命保険金と同様に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、その範囲内の金額であれば非課税財産として扱われます。

●寄付した財産
相続財産を寄付した場合、その財産は相続税の課税対象から除外されて非課税財産として扱われます。
ただし、寄付ならどこでもよいというわけではなく、国や地方公共団体等に寄付した場合で、なおかつ相続税の申告期限までに寄付を終えていなければなりません。
日本赤十字社などは、積極的に寄付を受け付けています。

●仏具など
葬儀で使用される仏具や仏壇などの財産は、原則として非課税財産として扱われます。
ただし、これを悪用して純金の仏像を作る人などがいるため、あまりにも高額なものについては相続税の課税財産となるので注意が必要です。
また、被相続人のお墓についても相続税の非課税財産として扱われます。
ところが、生前にお墓を購入していない場合は、死亡後に慌ててお墓を購入したとしても非課税財産にはなりませんので、ご注意ください。
ちなみに、葬儀費用については、原則として相続財産から債務控除として差し引いて相続税を計算することができます。

以下は、贈与税の非課税財産です。
相続税と並びよく質問を受けるのが贈与税の非課税財産です。
贈与税については、非課税財産の取り扱いが相続税とは微妙に異っています。

★法人からの贈与
贈与税は贈与を受けた側が納税義務を負いますが、あくまで個人から贈与を受けた場合に限られます。
よって、法人から贈与を受けた場合、贈与税は非課税財産として扱われ、代わりに所得税の課税対象となるため注意が必要です。
この際、贈与された財産は一時所得として申告することになります。

★生活費
配偶者や子供など日常生活に必要な生活費については、贈与税は課税されず非課税財産となります。
例えば、一人暮らしをしている子供に仕送りをするような場合は、生活費なので課税財産に当たりません。
金額に制限はありませんが、生活費と認められないほど極端に高額な金額については、贈与する前に一度税理士に相談することをおすすめします。
例えば、毎月30万円仕送りしていて、毎月15万円は貯金しているような場合は、この15万円は生活費とは認められません。

★教育費
子供の学校の入学金や授業料なども非課税財産として扱われます。
ただし、相続が発生した際に、子供の間でかけている教育費に大きな差がある場合は、相続人から特別受益の持ち戻しなどの訴えを受ける可能性があるため注意が必要です。
相続対策としては、できるだけ平等に教育費を支出するといった配慮も必要でしょう。
数年前から、教育資金の1,500万円までの一括贈与という制度ができ、大ヒット商品になっていますが、そもそも教育費は非課税ということを認識したうえで行うかどうかの検討をした方が良いでしょう。

★香典、見舞金
個人から受け取った香典や見舞金については、贈与税の非課税財産となります。
また、花輪代、年末年始の贈答、祝物なども贈与税は課税されません。

★相続開始の年に被相続人から贈与された財産
相続が開始する前に贈与を受けていたとしても、亡くなられた年に受けていた贈与については贈与税ではなく相続税の課税対象となります。
相続税申告においては、よく漏れる部分なので注意が必要です。
なお、相続開始前3年以内の贈与財産については、贈与税が非課税である年間110万円以下のものも含めて相続税の課税対象となる点にはご注意ください。

税金については、納税者が損をしていても税務署は教えてくれません。
知らないと損をすることがあるのです。
僕は年間に数件相続税の申告のお手伝いをさせていただいておりますが、時々、お墓を買ったのですが、引けないですかね?と言われます。
お墓の場合、お亡くなりになった後に買えば引くことはできませんが、お亡くなりになる前に買っておけば、非課税財産になります。
少しでも相続税を節税したいのであれば、生前であればできることは色々とあります。
早めに検討することをお勧めします。

相続税が課税されない非課税財産は?について、どう思われましたか?


2020年7月10日から遺言書がもっと身近に!

全国312カ所の法務局で遺言書を1通3,900円で預かるサービスが、2020年7月10日に始まります。
遺言書に関心があっても「ハードルが高い」と思う方もいるでしょう。
落語家「参遊亭英遊」の芸名も持ち、相続をわかりやすく伝える活動をしている相続専門税理士の石倉英樹さん(46)に、朝日新聞が聞いています。

<遺言書の相談が増えていると聞きます>
前は、財産が多い人、子ども同士の仲が悪くて相続争いが心配な人から相談がありました。
最近は子ども同士の仲が良くても、そのなかで1人でもお金に困っていれば書いておいたほうがいいと考えるようで、増えています。
新型コロナウイルスの感染拡大でダメージを受けている人が増えたことが心理的な影響を与えていると思います。

<法務局で預かるようになると変わりますか?>
一度3,900円を払えばずっと保管してくれて、気が変わったら同額で出し直すこともできるので、身近になります。
相続法の改正で遺言書はすべてを手書きする必要がなくなり、財産目録をパソコンで作ることや、通帳などのコピーの添付が認められました。
遺言そのものも、シンプルなものであれば「私は妻○○に全財産を相続させる」と書いて、日付と署名まで自筆したうえで、押印すれば有効です。
財産目録も不要です。

<ほかには何もいらないのですか?>
「配偶者にすべて」で済まない人は多いでしょう。相続で難しいのは、主な財産が家だけの場合です。
遺族の共有にすると誰が使うかでもめたり、誰かが反対すると売ることもできなかったりします。
実家をめぐる争いは、お金持ちより、ほかに財産が少ない家で起きがちです。

<遺言を書くのも、難しい決断になりますね>
遺言がないと、仲のいい子ども同士でももめることがあります。
兄弟姉妹で話し合えば収まることも、それぞれの配偶者が関わることで崩れることがあります。
遺言で誰かに譲ると書いたら、最後になぜそうして欲しいのかの説明があると、子どもたちは納得しやすいと思います。

<法務局で遺言の中身の相談もできますか>
それは「一切受け付けない」と書いてあります。
法務局は形式が整っているかどうかのチェックはしますが、中身の相談はできません。
私を含め、司法書士や行政書士などの専門家で、初回は無料で相談に応じる人がいます。
そのうえで難易度に応じて数万円の料金で作れるはずです。

<遺言書を書き始めるといろいろ考えそうです>
財産目録を作ると、例えば預金口座が多くて整理したいと思うかもしれません。
不動産の登記簿を取ると、親の名義のままで、自分自身の相続が終わっていないことに気づく人もいるでしょう。
パソコンで目録を作るのを子どもに手伝ってもらうと、改めて子どもと向き合う機会にもなります。
遺言書を書く前は8割を長男にと考えていた人が、書いた後に事情を知らない次男から優しくされて気持ちが変わったという話を聞いたこともあります。

<法務局に出す前に必要な準備はありますか?>
原則として予約が必要です。代理人ではだめで本人が行く必要があります。
本人確認のために写真つきの身分証が必要ですが、運転免許証がない人は写真つきのマイナンバーカードがあるとスムーズに手続きができそうです。

自筆証書遺言は、コストがかからないなどのメリットがありましたが、一方で、要件を充たしていない可能性がある、改ざんのリスクがある、発見されない可能性がある、家庭裁判所の検認が必要であるなどのデメリットがありました。
今回の改正で、安いコストで、かなりデメリットを抑えることが可能になりました。
ただし、内容のアドバイスなどは受けられませんので、やはり、それなりの財産をお持ちの方は公正証書遺言が良いでしょうね。

2020年7月10日から遺言書がもっと身近になることについて、どう思われましたか?


香川県の路線価は28年連続下落!

2020年7月1日に国税庁から令和2年分の路線価が公表されました。
香川県の標準宅地2,210地点の平均変動率は前年比0.3%マイナスで、28年連続下落となりました。

最も路線価が高いのは、高松市の高松丸亀町商店街で、1㎡当たり36万円で、前年より2万円アップし、4年連続上昇となりました。

高松丸亀町商店街の路線価は、2014年に高松市兵庫町の中央通りを抜いて以降7年連続で香川県内トップです。
2014年から2016年は31万円、2017年から3年連続で1万円ずつ上昇し、2020年は2万円上昇しました。
なお、対前年の変動率はプラス5.9%で、四国の26税務署内でトップです。

445万円だったピーク時の1992年と比べると、なんと8.1%の水準です。
全国の県庁所在地の価格順位では、前年より1位上がって26位でした。

ちなみに、どこにでも路線が付いているわけではなく、香川県には、8市9町ありますが、このうち路線価が付いているのは、6市2町のみです。
三豊市と東かがわ市には路線価が付いているところはありません。
町で付いているのは、宇多津町と土庄町のみです。

6市2町も全域に路線価が付いているわけではありません。
例えば、さぬき市で路線価が付いているのは志度だけ、土庄町は淵崎と大字なしのエリアのみです。
高松市も、西は香西東町や円座町辺りまで、東は北の方は屋島西町辺り、南の方は元山町辺りまで、南は円座町や仏生山町や上林町や六条町辺りまでです。

路線価は、土日の場合を除き、毎年7月1日に公表されていますが、評価時点は1月1日です。
それゆえ、新型コロナウイルス感染症の影響は反映されていません。
先日の日本経済新聞に、国税庁が、都道府県が不動産鑑定士の評価を基にまとめる基準地価(7月1日時点、毎年9月ごろに公表)が新型コロナウイルス感染症の影響で、広範囲で大幅に下落した場合、その地域の路線価を減額修正できる措置の導入を検討している旨の記事がありました。
僕も年間数件、相続税の申告のお手伝いをさせていただいていますが、早く申告・納税を終わらせて相続から解放されたいという方が多いのですが、おそらく今年は、それを待って申告をする方が増えるでしょうね。

香川県の路線価は28年連続下落したことについて、どう思われましたか?


国税庁の「マルサ」が摘発脱税手口を公開!

日本テレビによると、国税庁は全国の国税局査察部、通称「マルサ」が2019年度に摘発した手口の一部を公開しました。

部屋に置かれたごく普通の和ダンス。
奥に見えるカベ板を取り外すと、そこには1万円の束がぎっしり。
他の引き戸にも同じ細工が施され、隠されていた現金は5,000万近くにのぼりました。

一方、こちらはレンタル収納スペース。
中に置かれたキャリーケースを開けてみると、大量の紙封筒が敷き詰められおよそ1億4,500万円の現金が隠されていました。

これらは2019年度、国税局査察部、通称「マルサ」が家宅捜索で発見したものです。

国税庁査察課の寺田広紀課長は、「我々査察部門の使命というのは、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及することで、適正かつ公平な課税を実現していくことだと思っております」とコメントしています。

2019年度に摘発された脱税総額は93億円で、集計を始めた1972年度以降で最低となりました。
国税庁は近年は経済取引の国際化やICT化などに伴い、脱税の手段が複雑になっていることなどが要因とみられるとしています。

また、新型コロナウイルスの影響により事件の着手に影響を受けたとしながらも、今後、必要性に応じて調査を実施していきたいとしています。

どういうことがきっかけで発見されたのか知りたいですね。
ここ数年、相続税の知識のある方が増えてきたのか、どこかで調べたり聞いたりしてきたのか分かりませんが、『現金で持っておけば分からないでしょ。』みたいなことをおっしゃる方が増えてきたように思いますが、それほど甘くありません。
国税庁がこういったものをドンドン流して、少しでも脱税の抑制になれば良いなぁと思いました。

国税庁の「マルサ」が摘発脱税手口を公開したことについて、どう思われましたか?


国税庁がコロナで地価下落なら路線価の減額修正を検討!

日本経済新聞によると、新型コロナウイルスによる経済活動低迷などの影響で大幅に地価(時価)が下落した場合、相続税や贈与税の算定に使う「路線価」を減額修正できる措置を国税庁が検討していることが、関係者の話で分かったようです。
実態とかい離した課税となるのを回避するのが目的です。

路線価は主要道路に面する土地の1月1日時点の1平方メートル当たりの価格で、国税庁が毎年7月1日に公表しています。

相続税法は、相続財産は被相続人が死亡した時点の地価で評価すると定めています。
上場株などと違い、相続人が地価を把握するのは難しいケースもあり、国税庁が路線価を公表し、路線価に基づいて算定した地価を原則、認めています。

現行制度でも、地価が路線価を下回った場合は、納税者が個別に不動産鑑定士に頼んで評価額を出し、それをもとに相続税などを申告しても有効です。
ただし、鑑定には数十万円の費用がかかることもあります。

このため国税庁は、都道府県が不動産鑑定士の評価を基にまとめる基準地価(7月1日時点、毎年9月ごろに公表)が新型コロナの影響で、広範囲で大幅に下落した場合、その地域の路線価を減額修正できる措置の導入を検討しているようです。

路線価は通達に基づき国税局長が定めています。
路線価を減額修正するための法改正は必要なく、国税庁長官が通達を出せば対応できる見通しです。

地価がどの程度下がった場合に減額修正の措置を導入するのか、対象地域をどう決めるのかなど詳細は今後詰めるそうです。
対象地域の路線価に1未満の係数を乗じ、減額できるようにする案が検討されているもようです。

みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所によると、新型コロナの感染拡大などが響き、上場企業などによる不動産売買額(公表ベース)は今年4月以降急減しています。
5月は約500億円と前年同月比で87%減でした。
平山重雄・常務研究理事は「不動産売買は様子見となる可能性があり、そうなれば地価の下落圧力が強まるだろう」と指摘しています。

2018年に亡くなった約136万人のうち、財産が相続税の対象となったのは約11万6千人で課税割合は8.5%でした。
相続財産で最も多かったのは土地で約6兆円(全体の35%)です。
株価や不動産価格の上昇などを背景に、相続税の課税対象となる人はこのところ増加傾向にありました。

ちなみに、路線価は、主要道路に面した土地の1平方メートルあたりの標準価格(1月1日時点)を示します。
相続税や贈与税の算定基準となるほか、銀行が融資の担保とする土地の評価にも使っています。
調査地点は約32万9千地点で、国税庁が毎年7月1日に公表しています。
路線価のほか、民間企業などの土地取引の指標として、国土交通省が毎年3月に公表する公示地価(1月1日時点)、都道府県が調べて国交省が毎年9月に公表する基準地価(7月1日時点)があります。
基準地価は7月を調査時点とするため年半ばの地価の動向を把握できる利点があります。

相続人の方にとってはこれが行われると嬉しいですね。
ただし、僕も年間数件相続税の申告をさせていただいておりますが、できるだけ早く相続税の申告・納付を終えて、心理的に相続から解放されたいとおっしゃる方がかなり多いので、これを使うために申告が少し遅くなってしまうのではないかという気もします。
個人的には、1月1日時点のものを公表するのであれば、路線価をそもそももっと早く公表して欲しいと思っています。
結局、7月1日に路線価とか倍率表が公表され、相続税の申告書のひな型が公表されるので、1月とか2月にお亡くなりになった方も、7月以降でないと相続税の申告ができず、その年度の最新の相続税の申告のソフトも8月とか9月にリリースされることになるため、申告が遅くなってしまうからです。

国税庁がコロナで地価下落なら路線価の減額修正を検討していることについて、どう思われましたか?


兄弟姉妹でもめないための「相続新ルール」の使い方と注意点!

週刊ポストによると、2018年7月の相続法の大改正を受け、遺産相続に関する新ルールが次々と施行されています。
これらの新制度にうまく対応していくことが、「兄弟姉妹」が円満に相続財産を分け合う上でのカギとなります。
相続実務士の曽根恵子氏(夢相続代表)が解説しています。

「財産目録のパソコンでの作成が認められたり、法務局で保管してもらえたりするなど、自筆の遺言書を残しやすくなりました。
ただ、親が遺言書を残しても、遺産分割に偏りがあって残された子供たちの間に不満が生じると、遺留分(相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた制度)を請求する争いなどに発展してしまうことがあります。それを防ぐには、親が子供たちに対して、遺言書の内容をあらかじめ知らせ、きょうだい間で納得する話し合いを済ませておくことが大切です」

法定相続人ではない“長男の妻”などが介護や看病にあたった場合、遺産の一部を請求できる「特別の寄与」も新たに認められるようになりましたが、大切なのはやはり、親子間と子供同士での情報共有だそうです。

「親が亡くなってから後出しで“妻がこんなに介護していた”と言い出すと、きょうだい間の揉め事のタネになる。介護が始まった時点から、全員にどのくらいの負担があるかを伝えることです。
特別の寄与が認められるために介護記録が必要という話を聞くかもしれませんが、これも単に“請求の材料”と考えるのではなく、親の状態を知らせて共有するために活用したい。理想は、親から“世話になったので嫁にもこのくらい残したい”という話を子供たちにして、遺言書にもきちんと記してもらうことでしょう」(同前)

葬儀などの費用として、故人の預金口座から一定額(ひとつの金融機関につき上限150万円)が払い戻せる新制度もスタートしました。
遺産分割協議がまとまる前でも使える便利な仕組みですが、これも残された子供たち同士での話し合いを前提に利用したいですね。

「仲が悪いと“勝手に親の預金を使い込んだんじゃないか”という不信感を生みかねません。払い戻したお金を何に使ったか記録を残すのはもちろんのこと、できる限り親が生きているうちから預金口座や残高などの情報を子供同士で共有しておくのがいちばんです」(同前)

必要な情報共有や話し合いができれば、新ルールを円滑な相続のために活用できます。
それを実現するための準備に時間を使いたいですね。

僕自身、税理士として、年間数件、相続税の申告や相続対策のお仕事をさせていただいておりますが、ここ数年、遺産分割でもめたり、話しが長引いたりするケースが増えているように思います。
良い面も悪い面もあるのですが、相続人の方の相続に関する知識レベルが上がったり、未婚だったり、離婚して実家に戻ってきているケースが増えているのもあるかとは思いますが、生前の対策の不平等さや、対策をしていなかったことに起因していると思います。
やはり、相続対策は、お元気なうちに早めにスタートするのが良いでしょうね。

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静岡県内の4地銀8信金が2020年8月までに相続手続きを共通化!

日本経済新聞によると、静岡県内に本部を置く4地銀と8信金は、2020年8月までに預金などに関する相続手続きを共通化するそうです。
顧客にとっては用意する書類が各金融機関で統一され、書類作成の負担が軽くなります。
非競争分野で手を組み、顧客の利便性を高めるようです。

2019年10月、静岡銀行と浜松いわた信用金庫(浜松市)が相続手続きを共通化しました。
この取り組みを、静岡県内の他の金融機関にも広げます。

共通化には、しずおか焼津信用金庫(静岡市)、島田掛川金曜金庫(掛川市)など6信金、清水銀行が既に参加しました。
2020年6月にはスルガ銀行、8月には静岡中央銀行と富士信用金庫(富士市)も加わる予定です。

共通化では、相続人が複数いる場合でも、相続人代表者1人分の署名・なつ印で相続手続きが可能になることがあります。

一方、富士宮信用金庫(富士宮市)は、「遠方に相続人がいる場合などは利便性が高まるが係争に発展するリスクもある」として導入を見送りました。

静岡銀行によると、相続手続きは年約1万件に上るようです。
高齢化に伴って件数も増えています。

僕も毎年数件の相続税の申告のお手伝いをさせていただいていますが、相続発生後の手続きが面倒ということをよく耳にします。
金融機関ごとに必要な書類が異なるということが、その中でも多いと感じます。
それゆえ、今回の静岡県内の金融機関の相続手続き共通化というのは、素晴らしい取り組みだとだと思います。
ただし、おそらく痛い目にあったことがあるのだと思いますが、相続人が複数いる場合でも、相続人代表者1人分の署名・なつ印で相続手続きが可能になることがあるというのは、参加していない富士宮信用金庫のおっしゃるように、係争のリスクを抱えているのではないかと思います。
係争の起こらないような形で手続きを共通化すれば、とても素晴らしいことだと思いますし、全国的に統一されればいいなぁと思いますね。

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富裕層だけではなく中流層も「標的」とし相続課税を強化!

「税額が100万円程度の小規模な申告の件数が増えている」と、東京都、神奈川県など首都圏で相続税の申告を扱うランドマーク税理士法人の清田幸弘代表税理士は話しています。
相続税は富裕層の税金、自分には関係ないと考える人は多いのではないでしょうか?
実際、2018年の被相続人(亡くなった人)1人当たりの課税財産額は1億3,956万円、税額は1,813万円と高額です。
しかしながら、今後は「自宅と金融資産で5,000万円程度の中流層も課税を避けられない」(清田氏)とのことです。
親が都市部に住んでいるなら、あなたも相続税を支払う可能性が高いと言えるでしょう。

原因は2015年の相続課税強化です。
非課税となる基礎控除が従来の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」へと40%も縮減されました。
相続人が配偶者と子ども2人の場合、非課税枠は8,000万円から4,800万円に減りました。
その結果、東京、大阪など都市部の中流層にも課税の裾野が広がりました。

増税前の2014年は年間死亡者約127万人に対して、相続税が課税されたのは被相続人ベースで約5万6,000人で、課税割合は4%台でした。
増税後の2015年以降は年間死亡者130万人台に対し課税対象者は10万人台と、課税割合は8%台に上昇しています。

特に都市部で比率が増しています。
東京国税局管内の東京都、神奈川県など1都3県の課税割合は2017年には13%台に上昇しました。
死亡者の8人に1人が相続税の課税対象となる計算です。
全国平均を下回る熊本国税局管内(熊本県、鹿児島県など4県)が4%弱にとどまるのと対照的です。

ただし、地方でも安心できません。
2025年には団塊世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の増加で国の財政難は一段と厳しくなります。
増税は不可避の状況で、相続税も非課税枠のさらなる縮小などが検討されるでしょう。
相続税は全国的に中流層を巻き込むことになりそうです。

辻・本郷税理士法人の浅野恵理税理士は「自分が相続税を払う立場になるかを確認したい」と話しています。
親の保有財産を調べ、非課税枠内に収まっているかを見ます。
非課税枠を上回っているなら、生前贈与などで課税財産を減らします。
毎年、贈与税の基礎控除(年110万円)の枠内で贈与すれば10年間で最大1,100万円を無税で減らせます。
親と一緒に考えたい相続税対策です。

次に、親の自宅敷地に「小規模宅地の評価減の特例」を適用できるかを検討します。
この特例は330平方メートルまでの自宅敷地を配偶者や同居の子どもが相続する場合に評価額を80%減らせるのです。

人生100年時代には「支出管理」が重要になります。
この支出管理には日々の節約だけでなく、節税も含まれます。
医療費控除などを利用して所得税を減らすだけでなく、特に負担が大きい相続税節税にも関心を持ちたいですね。
ただし、親が生前贈与に走りすぎた揚げ句、生活資金が足りなくなるような事態は避けたいですね。
相続税の納税原資となる資金は別枠で現金で用意するよう親と話し合うとよいでしょう。
相続人である配偶者や自分ら子どもが困らないよう家族で準備することも大切な心得なのです。

僕自身もここ数年、年間数件の相続税の申告のお手伝いをさせていただいており、現在も数件進行中ですが、結果として相続税の申告が不要なケースが増加しているのと、全体的に遺産総額が少なくなってきているのはすごく実感しています。
それゆえ、相続税にももっと早くから興味を持っていただきたいなぁと思いますね。

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生涯収入50億円の野村克也さんの遺産をめぐる骨肉バトル!

資産家が亡くなると、著名人であればあるほど、財産分与で揉めることが多くなっています。
週刊FLASHによると、2020年2月11日に虚血性心不全で亡くなった野村克也さん(享年84)の場合も、雲行きが怪しくなっているそうです。

野村さんは、現役時代と監督時代の年俸に加え、解説者としてのギャラや講演料などで、生涯収入は50億円を超えると言われています。
さらに、田園調布に豪邸を構えており、莫大な財産をめぐっての遺産相続争いが起きる条件は、整っているというわけです。

野村さんには、前妻との間に生まれた長男、妻の故・沙知代さんの連れ子で養子の団野村氏(62)、ケニー野村氏(60)、そして沙知代さんとの間に生まれた克則氏(46)と、4人の息子がいます。
本来であれば、兄弟4人で財産を均等に分ければすむ話ですが、そう簡単には運びそうにないそうです。

野村家親族の関係者が、内情を吐露しています。
「じつは、野村さんの財産分与以前に、2017年12月に急死した沙知代さんの遺産分割で揉めていて、いまだに解決していないんです。
沙知代さんの財産は、夫である野村さんが2分の1、残りを団氏、ケニー氏、克則氏が3分の1ずつ相続する権利がありましたが、財産といっても、ほとんどが自宅などの不動産で、現金はそれほど多くなかったんです。
ところが団氏は、不動産を現物で取得する形での相続を望んでおらず、『不動産を売却して現金化したうえでの相続』を要求していると聞いています」

そもそも団氏は、沙知代さんの存命中から、不動産の売却を口にしていたそうです。
「それに対して克則氏は、『2人の思い出が詰まった家だし、“終の住処” にしてあげたい』と、反対したんです」(同前)その言葉どおり、克則夫妻は、自分たちの家も敷地内に建て、半同居生活を送ってきました。

「克則氏にすれば、『2人の面倒を見てきたのは自分と妻の有紀子さんだ』という自負がある。あまり関わってこなかった団氏が、自分に都合のいい要求をすることが、我慢ならないのでしょう」(同前)

思い出のある家や土地を残したい克則氏と、現金化したい団氏――。
このようなケースの場合、どう対処したらいいのでしょうか?
相続問題に詳しい、木野綾子弁護士に聞いています。
「遺産分割で、どうしても現物の取得を望まないというのであれば、不動産分を克則さんが取得して代償金を支払うか、第三者に不動産を売却して、その売却代金を分けることになります。
話し合いがつかなければ、家庭裁判所で遺産分割の調停を申し立て、それでも決着しない場合は、審判を仰ぐことになります。ここまで話がこじれると、決着するまでに2~3年はかかるでしょうね」

当然だとは思いますが、週刊FLASHが遺産相続問題について団氏・克則氏に問い合わせたところ、期日までに回答はなかったようです。

この沙知代さんの相続問題が解決しても、野村さんの遺産相続が控えています。
今度は、野村さんと前妻との間に生まれた長男にも相続権があるわけで、兄弟4人による泥沼の相続問題に発展する恐れもあります。

「親が急死した場合、相続で揉めるケースはかなり多い。だからこそ、元気なうちに遺言書を作っておくべきです」(木野弁護士)

息子たちの骨肉バトルを、野村さんは草葉の陰でボヤいているのでしょうか?

財産があるというのも、遺産分割でもめることが多く、悩ましいですね。
あとは、兄弟姉妹間で、父親や母親が違う方がおられるとますます難しくなることが多いですね。
やはり、もめるのが目に見えているような場合は、ご本人がお元気なうちに相続対策をして、お子様らにどう分けたいかを納得してもらっておかない(場合によっては、親の威厳で抑え込まないといけないこともあるとは思いますが。)と、相続が『争族』になる可能性が高いので、早めの相続対策をしましょう。
もめて得をすることはありませんので。

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公示地価が5年連続上昇!

国土交通省が先日発表した2020年1月1日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途平均(全国)が1.4%のプラスと5年連続で上昇しました。
札幌など中核4市を除く地方圏も0.1%上昇と28年ぶりにプラスに転換しました。
ただし、訪日客の増加や都市の再開発がけん引する構図で、新型コロナウイルスの経済への打撃が長引けば影響は避けられないでしょう。

住宅地は堅調な雇用や超低金利に支えられ、0.8%上昇しました。
商業地は3.1%上昇となり、それぞれ前年より伸び幅が拡大しました。

商業地は東京、大阪、名古屋の三大都市圏では5.4%のプラスとなりました。
企業が人材獲得のため、ゆとりのあるオフィスや通勤時間を減らせるサテライトオフィスを確保する動きが影響したようです。
訪日客の多い地区を中心にホテルや店舗向けの引き合いも強かったようです。

地方の中核4市(札幌・仙台・広島・福岡)は伸び幅が11.3%と2桁に達しました。
訪日客の消費も見込んだ商業施設やオフィスの開発が活発し、東京などの不動産価格が上昇したことを受け、より高い投資収益を求めるマネーが地方に流れたようです。

地価上昇の動きは中核4市を除く地方にも広がりました。
商業地では我がうどん県(香川県)がプラスに転じ、24都道府県で上昇しました。
秋田市では秋田駅周辺で複数の再開発が進んでいることが評価され、27年ぶりに上昇に転じました。
住宅地では山形、長崎の両県でプラスに転換しました。

もっとも、調査地点に占める上昇地点は全国で48%、地方で37%にとどまり、広がりを欠きます。
調査後の2020年2月から新型コロナの経済への打撃が強まり始め、地価回復のけん引役である観光地と大都市に影を落としています。

商業地の上昇率が13.3%、住宅地が9.5%で、ともに全国首位となった沖縄県ですが、中国発などのクルーズ船の寄港キャンセルや航空路線の減便により、足元では国際通りなどの繁華街では人出がめっきり減っています。

沖縄県内の商業施設でも営業時間短縮などの動きが相次いでいます。
地元の不動産鑑定士の浜元毅氏は「影響が長期化すれば不動産の価格にも影響を及ぼしかねない」と話しています。

訪日客数は経済情勢や2国間関係に左右されやすく、2019年は日本全体で2.2%増にとどまりました。
地価上昇を持続させるには、暮らしやすい街づくりなど地域の魅力を高める取り組みが欠かせないでしょう。

2020年の公示地価は、2019年に日本列島を襲った大型台風が爪痕を残しています。
浸水被害のあった長野市の住宅地は全国で最大の下落率となりました。
2018年に西日本を襲った豪雨など頻発する自然災害が地価を押し下げる状況が続いています。
地価上昇が続いた都心でも、一服感が見える地域も出始めているようです。
新型コロナウイルスによる逆風も強まり、地価上昇の持続力が試されています。

2019年10月の台風19号の被災地では地価の下落が目立ちました。
長野市では千曲川の氾濫で浸水した4カ所が下落しました。
堤防が決壊した場所から近く、住宅全壊などの被害が特に大きかった豊野地区(住宅地)の地点の下落率は13.6%と全国最大になりました。
同地区の3月1日時点の人口は台風前と比べて3%減り、地価下落に拍車をかけました。

福島県いわき市では、上昇基調だった地価を今回の被害が直撃しています。
市役所に近い地点では横ばいまで回復してきた地価が3.1%減となり、浸水があった商業地の地点では2019年の1.9%上昇から4.6%減へとマイナスに転じました。
宮城県丸森町でも1%未満まで下落幅が縮小していた住宅地の2地点が3~5%のマイナスに落ち込みました。

公示地価からは長く続いた上昇局面の一服感を示す数字も見て取れます。
2019年7月1日時点の基準地価と今回の公示地価の共通地点(約1,600地点)の変動率を見ると、半年間の地価上昇率は東京圏の住宅地で0.8%です。
2019年前半の半年間は0.9%で、今回5年ぶりに伸び率が縮小しました。
商業地でも三大都市圏の上昇率は2019年前半が3.2%、後半が3.3%と落ち着いてきています。

全国最高額は今回も東京都中央区銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」でしたが、伸び幅は2019年の3.1%からほぼ横ばいの0.9%に鈍化しました。
1平方メートルあたり5,770万円と既にバブル期の最高価格を上回っています。
商業地の価格で2位だった銀座5丁目の「対鶴館」も上昇幅は4.5%から1.2%に縮んだ。

銀座の場合は再開発が一巡したことや、有名店の出店が緩やかになっていることも背景にあるようです。
一般的に不動産価格は都心から地方へ上昇の波が広がっていきます。
都心の一等地で価格の一服感が出てきたことは地価の潮目の変化を示しているとの見方も多いようです。

同様の傾向は名古屋圏でも見て取れます。
全用途平均の上昇率は1.9%で、2019年の2.1%より小幅になりました。
「名古屋市中心部の中村区や中区の価格水準が上がった」(国土交通省)ことが背景にあるようです。

都市未来総合研究所によれば、国内の不動産取引は6年ぶりに4兆円を割った2018年度からやや増加し、2019年度は2月までの時点で約3.9兆円に回復しました。
ただし、5兆円前後の取引があった2014年度や2017年度に比べれば低い水準です。
海外勢の投資意欲はなお強いようですが、都心の物件価格の高騰による投資利回りの低下もあり、投資に慎重になっている様子がうかがえます。
中核4市を除いた地方圏の商業地では、基準地価との共通地点で比べると2019年の前半と後半で伸び率が0.8%で変わりませんでした。
景気が後退局面入りした可能性も取り沙汰されており、今後は子育て世代の支援や高齢者に優しい街づくりなどの努力がより重要になるでしょう。

上昇しましたが、来年はコロナウイルスの影響で下がるでしょうね。
家賃が支払えなくて出ていくテナントも増えていくでしょうし、将来への不安も増えていくでしょうから、家賃は下がり、土地の需要も減るでしょうから、数年間は厳しいでしょうね。
このような状況ですので、路線価などにも影響を及ぼす公示地価を修正することはできないのでしょうか?
相続税申告時の評価は高く、売ればかなり安いという状況になってしまうと思いますので。

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荒廃の淡路島のランドマーク「大観音像」が民法に基づき「国庫帰属」となり解体へ!

弁護士ドットコムによると、兵庫県淡路市の「世界平和大観音像」(高さ約100メートル)は、所有者が亡くなってから、しばらく放置されていましたが、財務省近畿財務局がこのほど、2022年度までに解体撤去すると発表したそうです。

大観音像は1982年、地元出身の実業家の男性が建立しましたが、男性は1988年に亡くなり、相続人も2006年に死亡していました。淡路市によると、モルタルが剥がれ落ちるなど荒廃がすすみ、住民から不安の声があがっていたようです。

民法のルールでは、所有者が明らかでない場合、以下のような手続きがとられることになっています。

(1) 利害関係人などからの申し立てによって、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任する
(2) 相続人がいない場合は、一定の手続きを経たあと、金銭や不動産などの残余財産が国庫に帰属する

近畿財務局によると、大阪地裁が2011年、相続財産管理人(弁護士)を選任して、2018年に相続人がいないことが確定しました。
そして、このほど清算手続きが終了したため、2020年3月30日付で、大観音像(十重の塔、山門含む)は国庫に帰属することになりました(民法959条)。

大観音像はかつて淡路島のランドマークでした。
週刊ダイヤモンド(2009年9月12日)によると、1日で数千人が訪れる観光名所だったそうです。
しかしながら、2006年に相続人が亡くなり、閉鎖・放置されてからは一気に建物の劣化が激しくなったとされます。
しかも、勝手に入れるような状態だったようです。
神戸新聞によると、2020年2月、観音像の展望台から男性が飛び降りて亡くなるという事件も起きています。

近畿財務局は、住民の不安を解消するため、十重の塔と山門は2020年度中に、大観音像は2021年度から2022年かけて解体撤去工事をすすめるとしています。

個人的には時々淡路島に入っていますが、ここには行ったことがありませんでした。
集客力のあるランドマークがなくなるのは、大変残念だと思いますが、法律的なことはよく分かりませんが、地元の方々で何とか保存する方法はなかったのでしょうか?
あとは、ご本人や相続人がお亡くなりになるのがもう少し後であれば、建立された方にたくさん資産があるとすれば、信託を用いて何かできなかったのだろうかと思います。
維持費はかかるのでしょうが、インパクトのあるもの、インスタ映えするものは、淡路島のみならず、どこの観光地などの集客にとっても貴重なものだと思いますので。

荒廃の淡路島のランドマーク「大観音像」が民法に基づき「国庫帰属」となり解体されることについて、どう思われましたか?


紀州のドン・ファンの田辺市への遺産の相続費用が最大1.8億円!

多くの女性と交際を重ねて「紀州のドン・ファン」とも呼ばれ、2018年5月に急性覚醒剤中毒で急死した和歌山県田辺市の会社社長(当時77)の遺産を田辺市が受け取るための手続き費用が、最大で約1億8千万円に達するとわかったようです。
田辺市は、新年度当初予算案に関連予算1億1,698万円を盛り込み、開会中の定例市議会に提案しています。

紀州のドン・ファンは田辺市に全財産を寄付するとした「遺言書」を残しており、田辺市は2019年9月、相続する方針を表明しました。
遺産は約3億円の預貯金や約9億8千万円分の有価証券などで約13億円に上るとして、寄付を受けるための弁護士費用など関連費用として、補正予算計約6,500万円を計上していました。

債務や評価額未定の土地や建物、絵画などもあり、現在も最終的な金額は確定していないようです。
田辺市は新年度予算案に弁護士委託料1億94万円や鑑定評価手数料1,254万円などを盛り込み、年度中に債務を清算、土地や建物の評価額を算出して換金し、プラスの財産を確定することを目指すそうです。

紀州のドン・ファンの妻は遺産の一部を受け取る権利が法律で認められており、田辺市は遺産総額を確定させた後、財産分割の協議に入るそうです。

一部遺族から「遺言書」を無効とする訴えが起こされた場合、予定どおり寄付を受けられない可能性もあるようです。

結局、田辺市で、約1億1,700円を含む2020年度の当初予算が可決されたようですね。
個人的には、遺産の額に対して相続費用が高いように感じますが、田辺市としては、ネットで残れば良いんでしょうね。
遺産分割協議もすんなりいくとは思えないですし、今後どうなっていくのかウォッチしていきたいですね。

紀州のドン・ファンの田辺市への遺産の相続費用が最大1.8億円かかることについて、どう思われましたか?


『遺産相続トラブル』で70歳女性が61歳義理の妹に暴行した疑いで逮捕!

母親の遺産相続をめぐって口論になり、義理の妹に暴行を加えた疑いで、70歳の女が逮捕されました。
暴行の疑いで逮捕されたのは、兵庫県加古川市に住む無職の女性(70)です。

警察によりますと、女性は、先日、兵庫県多可町の住宅で、義理の妹(61)の腕をつかんだり引っ張ったりするなどの暴行を加えた疑いがもたれています。

2人は90代の母親の遺産の相続や年金をめぐって数年前からトラブルになっていたということで、口論の末に女が暴行したということです。
警察の調べに対し、女は「色々ないざこざはあった」と容疑を認めています。
警察は詳しい状況などを調べています。

こういうことは表沙汰にならないものがあるでしょうから、世の中にたくさんあるんでしょうね。
特に、今回のケースは義理の妹なので、血族ではないので、こういうことになるかもしれませんね。
やはり、相続税がかかるかどうかに関係なく、相続対策の中でも遺産分割対策はきちんとしておかないといけないですね。
相続をきっかけに仲が悪くなるということは、亡くなった方も望んでいないでしょうから。

『遺産相続トラブル』で70歳女性が61歳義理の妹に暴行した疑いで逮捕されたことについて、どう思われましたか?


鳩山邦夫元総務大臣の遺族が遺産7億円の申告漏れ!

 2016年に67歳で死去した鳩山邦夫元総務大臣の遺族が東京国税局の税務調査を受け、相続財産について約7億円の申告漏れを指摘されたことが関係者への取材でわかったようです。
政治団体への貸付金を相続財産に含めないなどのミスがあったそうです。
過少申告加算税を含む追徴課税は2億数千万円で、すでに修正申告したとみられます。

鳩山氏が代表を務めていた資金管理団体「新声会」の収支報告書によると、2016年6月の死去の時点で、鳩山氏から6件計約4億5千万円の借入金がありました。
故人が会社や個人などに資金を貸し付けていた場合、原則として相続財産の対象となります。
しかしながら、関係者によると、鳩山氏の遺族らは、相続税の申告時に新声会への貸付金を計上していなかったとみられます。

このほか、不動産の評価額の誤りなどもあり、申告漏れの総額は計約7億円にのぼったそうです。
いずれも意図的な税逃れではないと判断され、重加算税は課されなかった模様です。

政治団体の代表者が死亡した場合の残金処理の規定はなく、後継者が新たな代表者となってそのまま資金を使うことも、別の団体に資金を移すこともできます。
こうして政治資金として引き継ぐ場合は相続税や贈与税はかかりませんが、収支報告書によると、衆院福岡6区の地盤を継いだ次男の鳩山二郎衆院議員(41)の資金管理団体への資金移動はありませんでした。

鳩山氏の母親はブリヂストン創業者の故・石橋正二郎氏の長女安子氏(2013年2月に90歳で死去)で、鳩山氏は同社株や不動産などを保有し、兄の由紀夫元首相(72)と並んで政界有数の資産家でした。
死去により、妻エミリー氏(64)、二郎氏ら遺族4人は100億円を超える遺産を相続したとみられます。

鳩山家の資産管理会社「六幸商会」(東京都港区)は朝日新聞の取材に対し、「何もお答えできない」としているようです。

これだけの財産を持っている方だと、それなりの税理士が付いていると思いますが、貸付金が漏れていたり、不動産の評価額が誤っていたというのは、どうなんでしょうか?
鳩山家は以前にも、相続を巡って問題があったと思いますが、慎重にならなかったのでしょうか?
政治団体の残金は政治資金として引き継ぐと相続税や贈与税がかからないというのもおかしい(二世議員を生み出すもと)とは思いますが、なぜ引き継がなかったのでしょうか?
財産をたくさん持つというのも、色々と大変だなぁと改めて感じた1件でした。

鳩山邦夫元総務大臣の遺族が遺産7億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


相続登記を怠ると罰則や所有権放棄制度の創設も!

 毎日新聞によると、法制審議会(法相の諮問機関)の民法・不動産登記法部会は、先日、所有者不明土地問題の解消に向けた制度改正に関する中間試案の概要をまとめたようです。
相続登記を義務付けて怠った場合の罰則を設けるほか、所有権の放棄を可能とする制度を創設することなどが柱となっています。
部会がさらに検討を加えたうえで年明けに意見公募を実施し、来夏にも要綱案をまとめるようです。
政府は、来秋の臨時国会に民法などの改正案提出を目指しています。

土地の権利関係の登記は、相続などで所有者が変わっても名義を変更する義務はなく、税負担や手続きの手間を避けようと、相続人が登記をしないケースがあるとされます。
所有者が分からないまま放置される土地が増えているとの指摘を踏まえ、中間試案は、被相続人が亡くなって相続人が土地を取得してから一定期間内に登記することを義務付け、怠れば罰則として過料を科すとしました。

また、少子高齢化などを背景に土地を手放したい人も増えていることから、所有権放棄を認める制度も創設するようです。
土地所有者からの申請を受け、権利関係に争いがないか、現状のままで管理が容易か、などの要件について行政機関が審査し、放棄が認められれば国有地になるとしました。
将来的には自治体が取得して再開発するなどの利用が想定されています。

このほか、相続人が遺産分割の協議を行う期間に制限を設ける新制度も盛り込まれました。
協議がまとまらずに遺産分割されないまま長期間経過すると、権利関係が複雑化し、土地の有効活用を妨げるとの指摘があります。
このため、制限期間を過ぎた場合は、家庭裁判所などが法定相続分に従って分割します。
制限期間は「10年」とする案を有力とし、「5年」とする案も併せて検討します。

所有者不明土地問題を巡っては、増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる研究会が2017年、所有者が分からなくなっている可能性のある土地の総面積が約410万ヘクタールに達するとの推計を公表しました。

相続関係の仕事をしていると、相続登記をせずに放置したままになっている土地をまぁまぁ目にします。
個人的には、遅くなればなるほど、関係者が増えて登記を行う際の手間が増えると思いますので、義務化は大賛成です。
相続したものの使い道のない土地というのもかなり目にしますので、所有権の放棄も大賛成ですね。
あとは、意図的に相続登記をしていないケースと、遺産分割協議が終わっていないケースがあると思いますので、遺産分割協議の期間に制限を設けるのも良いかなぁと思います。
ただし、これについては、ご家族にしか分からない過去の経緯、心情などがあると思いますので、一律法定相続分にしてしまうと、ますます相続人間の仲を悪くさせる可能性があるのではないかと思いますね。

相続登記を怠ると罰則や所有権放棄制度の創設がされることについて、どう思われましたか?


相続税の申告で「路線価」による評価を否定した地裁判決!

 「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とした東京地裁判決が波紋を広げています。
国税庁は路線価などを相続税の算定基準としていますが、「路線価の約4倍」とする国税当局の主張を裁判所が認めたからです。
路線価は取引価格の8割のため節税策として不動産を購入する人もいます。
しかしながら、相続税の基準となる路線価と、取引価格に大きな差があれば注意が必要です。

2019年8月末の判決で、東京地裁が路線価に基づく相続財産の評価を「不適切」としたのは、2012年6月に94歳で亡くなった男性が購入していた東京都内と川崎市内のマンション計2棟です。

購入から2年半~3年半で男性が死亡し、子らの相続人は路線価などから2棟の財産を「約3億3千万円」と評価しました。
銀行などからの借り入れもあったため、相続税額を「ゼロ」として国税側に申告しました。

しかしながら、男性が購入した価格は2棟で計13億8,700万円で、路線価の約4倍でした。
国税当局の不動産鑑定でも2棟の評価は約12億7,300万円で、路線価とはかけ離れていました。

このため、国税側は「路線価による評価は適当ではない」と判断しました。
不動産鑑定の価格を基に「相続税の申告漏れにあたる」と指摘し、相続人全体に計約3億円の追徴課税処分を行いましたが、相続人らは取り消しを求めて提訴していました。

土地や家などの相続財産は「時価」で評価すると法律で決められています。
ただし、国税庁は「納税者が時価を把握することは容易ではない」として主要道路に面する土地について「路線価」を毎年発表し、相続税や贈与税の算定基準としています。

路線価は土地取引の目安となる公示地価の8割の水準です。
このため現金よりも不動産を購入して相続した方が税金が安くなる傾向があり、”節税”目的での不動産取得は今も昔も広く行われていることは、よく知られていることです。

今回の判決では「特別の事情がある場合には路線価以外の合理的な方法で評価することが許される」と指摘しています。
今回は「近い将来に発生することが予想される相続で、相続税の負担を減らしたり、免れさせたりする取引であることを期待して実行した」と認定し、国税の主張する不動産鑑定の価格が妥当としました。

原告の相続人らは不服として控訴しています。

今回、国税当局は国税庁長官の指示で財産の評価を見直すことができる通達の規定(財産評価基本通達の6項)を適用して価格を見直しています。
相続税の算定基準を路線価とする根拠でもある通達です。

通達は国税当局の判断で財産の評価を変えられるため「国税の伝家の宝刀」とも呼ばれています。
しかしながら、どんな場合に宝刀が抜かれるのか明確な基準はなく、判決に困惑する税理士も少なくありません。

相続税の課税対象は、2014年は4.4%にとどまっていましたが、2015年1月から対象が拡大されました。
2017年に亡くなった人では8.3%とほぼ倍増しており、相続財産の評価が求められる機会が増えています。

相続税に詳しい佐藤和基税理士は今回の判決を受け、「金額の大きな相続では、手法やリスクの検討をこれまで以上に慎重にしないといけなくなる」と懸念しています。
税務訴訟に強い平川雄士弁護士も「正当な不動産投資をも萎縮させる可能性がある。国税当局は通達を適用する基準を明確にすべきだ」と指摘しています。

この判決には驚きですね。
僕は、以前、路線価で評価すると実勢価格と比べるとあまりにも高すぎるので、不動産鑑定士による評価を取り、それに基づいて申告した案件があるのですが、税務署に路線価でないとダメと言われたことがあります。
実勢価格と路線価がかなりかけ離れているというのであれば、国税庁の路線価の設定がおかしいのではないと思いますし、路線価がダメなケースがあるのであれば、財産評価基本通達で明確に示してほしいと思います。
そうしないと、国税庁の判断でどちらかということが決まってしまうことになりますので。
納税者には頑張ってぜひとも勝ってほしいと思いますし、興味深くウォッチいていきたいと思います。

相続税の申告で「路線価」による評価を否定した地裁判決について、どう思われましたか?


登記遅れでゆらぐ遺言の効力!

 日経電子版の記事ですが、相続人同士が遺産分割を巡って争う「争続」を避けるには、遺言を残しておくことが大事だと言われます。
しかしながら、この遺言の「効力」が揺らぎ始めたのです。
2019年7月に始まった改正民法の相続規定(相続法)の影響です。

相続が起こると、被相続人(死亡した人)の財産を法定相続人の間で分けることになります。
遺言がなければ相続人が遺産分割協議で分け、遺言があれば遺言が優先します。
しかしながら、改正民法によって相続登記の順番によっては遺言が優先しないケースが想定されるようになったのです。

相続登記とは、被相続人の不動産の所有名義を取得分に応じて相続人の名義に変更することです。
登記すれば、不動産の所有権を対外的に主張できます。
あまり知られていませんが、法定相続人は遺言があったとしても「他の相続人の了解を得ずに相続人全員がそれぞれの法定相続分を登記できる」(司法書士の大貫正男氏)のです。

具体例を見てみましょう。
子がいない夫婦の夫が「自宅は全て妻に相続させる」という遺言を残していても、4分の1の法定相続割合をもつ夫の兄は妻より先に法定相続分を登記できるのです。
すると、4分の1は夫の兄の名義になりますので、「売却したり、担保にしてお金を借りたりすることができる」(弁護士の伊東大祐氏)のです。

そうなると困るのは妻です。
せっかく自分に全てを相続させるとの遺言があるのに最悪の場合、自宅が「持ち分を購入した第三者との共有になる」(弁護士の上柳敏郎氏)からです。

民法改正前は、そのような不都合は解消できたのです。
伊東弁護士は、「妻が持ち分を買った第三者を訴えれば、勝って全てを自分のものにできた」と話しています。
最高裁が「遺言があれば遺言が優先する」と判断していたからです 。

ところが、民法改正で最高裁の判断は否定されたのです。
改正民法では、「法定相続割合(このケースでは4分の3)を超える分については登記しないと第三者に権利を主張できない」としたのです。

こんなケースもあるでしょう。
父が「自宅を全て長男に相続させる」と遺言で指定したとします。
法定相続割合は母が亡くなっていれば兄弟2人の場合、2分の1ずつです。
先に次男が法定相続分を登記し、その分を第三者に売却すれば、長男は第三者と自宅を共有せざるを得なくなるのです。

このような問題の解決策は一つです。
自宅を全て相続させると遺言で指定された相続人は「他の相続人よりも先に全部を相続する旨の登記をすること」(伊東氏)です。
他の相続人から遺留分(最低限の取り分で通常、法定相続分の半分)を請求される可能性はありますが、金銭で解決できます。
相続人が兄弟姉妹の場合(このケースだと、兄)、遺留分の請求権がないので妻がすべて取得できるのです。

今回の民法改正について知っているか知らないかで、大きな差が出ることを覚えておきましょう。

厳密にいうと、解決策は一つでないように思います。
生前であれば、いわゆる民事信託を使えば、このような問題を回避できるかもしれません。
最近でも、遺言は絶対的と書いている記事を見たりしますが、この民法改正のことを知らない方もたくさんいますので、気を付けないといけないですね。
四十九日が済んでからと悠長なことは言っていられませんので。

登記遅れでゆらぐ遺言の効力について、どう思われましたか?


借入をして賃貸物件を取得する相続税節税が認められない?

 先日、税理士としては非常に気になる判決が出ています。
税務通信によると、東京地方裁判所は2019年8月27日、被相続人が相続開始前に借入金で取得した賃貸用不動産の相続税評価額を巡り、財産評価基本通達6項に基づく国税庁長官の指示による評価を認め、納税者の主張を棄却しました(平成29年(行ウ)第539)。

本件では、平成21年まで不動産賃貸業を営む法人の代表者であった被相続人が、“相続開始前3年5か月前”に、賃貸用不動産(甲不動産)を約8億3千万円で取得しました。
また、“相続開始前2年6か月前”に、賃貸用不動産(乙不動産)も約5億5千万円で取得しました。
そして、これら本件各不動産の購入資金として、銀行から合計約10億円の借入れをしていました。
平成24年6月の相続開始後、相続人は本件各不動産を評価通達に基づき合計約3億3千万円と評価する一方、借入金約10億円を債務控除し、小規模宅地特例を適用したうえで、相続税をゼロとして申告しました。

これに対し税務署は、伝家の宝刀である評価通達6項(評価通達の定めにより評価することが著しく不適当な場合に国税庁長官の指示で評価する定め)に基づき、鑑定評価額(甲不動産:約7億5千万円、乙不動産:約5億2千万円)による評価が適正として、平成28年4月に更正処分を行いました。
国税不服審判所の裁決(平成29年5月23日裁決)を経て、提訴されました。

なお、相続人は相続開始の9か月後に、乙不動産を約5億1千万円で第三者に譲渡しています。

東京地方裁判所は国の主張どおり、本件での評価通達6項に基づく鑑定評価額を認めました。
租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかな「特別の事情」がある場合には、評価通達で定める以外の合理的な方法で評価することが許されると解すべきとして、評価通達6項の定めを支持しました。
そして、本件各不動産について、特別の事情があるか否かを検討しています。
まず、本件各不動産の評価通達の評価額と売買価額や鑑定評価額を比べ、4倍ほどかい離していることを指摘しています。
本件各不動産の売買について市場価格と比べ特別に高額等であったという事情もなく、いずれも共同住宅等として利用されており、本件鑑定評価は収益還元法による収益価格を標準に鑑定評価額を求めています。

不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づき算定する不動産の正常価格は、基本的に不動産の客観的な交換価値、つまり相続税法上の時価を示すと考えられることも勘案すれば、本件相続開始時における本件各不動産の客観的な交換価値を算定するにつき、評価通達の評価方法が合理性を有することについては、相応の疑義があると言わざるを得ないとしました。

さらに、本件各不動産が相続財産に含まれることになった経緯をみると、被相続人は当時90歳、91歳の時に銀行から多額の借入れをして本件各不動産を購入しています。
借入金と本件各不動産の購入がなければ、本件相続の課税価格は6億円を超えるものでしたが、借入金と本件各不動産の購入があったことで、評価通達の評価額と比べ借入金債務が多額となり、その差額が不動産を除く相続財産から控除され、相続税は課されないこととされました。
加えて、借入金に係る銀行の貸出稟議書の記載などによれば、本件各不動産の購入や借入れを被相続人及び法人の事業承継の過程の一つと位置づけつつも、それが近い将来発生することが予想される相続において相続税の負担を減じるものと知り、かつ、それを期待してあえて企画して実行したと認められます。

以上の事実関係の下で、本件では、評価通達の評価方法を形式的に適用すると、本件各不動産の購入と借入れに相当する行為を行わなかった他の納税者との間で、かえって租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかというべきであり、評価通達以外の評価方法で評価することが許されるというべきです。
そして、本件鑑定評価の適正さに疑いをさしはさむ点がないことに照らせば、本件各不動産の時価は、収益還元法に基づく本件鑑定評価額と認められるとしました。

●主な事実関係
・平成20年8月、被相続人は、二男の長男である孫と養子縁組をした。
・ 平成21年1月、被相続人は、売主の法人との土地と建物を買い入れる売買契約により、甲不動産を取得。被相続人はR銀行から借入れ。
・平成21年12月、被相続人は、売主の法人との土地と建物を買い入れる売買契約により、乙不動産を取得。被相続人はR銀行から借入れ。
・平成24年6月、被相続人が死亡。被相続人は平成21年まで不動産賃貸業を営む法人の代表者だった。養子が本件各不動産と債務の全部を承継した。
・平成25年3月、養子は買主の個人との乙不動産の売買契約により、乙不動産を譲渡。
・平成28年4月、税務署から相続税の更正処分を受ける。
相続人は、被相続人の妻、及び長女、長男、二男、養子(二男の長男)で、養子に多くの財産を相続させる遺言があった。
銀行が作成した貸出稟議書には、「相続税対策のためローンを実行し不動産を購入」といった旨の記載がある。

●本件のポイント
本件は、相続開始直前期において、銀行から借入れをし、その借入金で賃貸用不動産を取得したことで相続税の負担をなくしたスキーム。
その賃貸用不動産の評価通達による評価額と売買価額等が著しくかい離しているというだけでなく、銀行の貸出稟議書等から、相続税の節税のためにあえて借入れ及び不動産の購入を企画、実行したものと認め、こうした本件の経緯にも着目した上で、評価通達6項に基づき鑑定評価額を認めています。

この手の相続税対策は世間一般的によく行われていることだと思いますし、おそらく税理士も関与していると思いますが、これが否認されてしまうんですね。
高齢であったこと、相続税対策というのを前面に出してしまった(銀行の稟議書に記載)こと、相続発生後9か月で売却したことなどが理由だと思いますが、売却していない方の不動産も否認されていますから、やはり、できるだけ早めに、ストーリーをきちんと描いてやらないといけないということですね。

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信託業務の裾野が広がり5年で登録倍増!

 財産の管理や運用を担う信託業務に事業会社の参入が相次いでいるようです。
信託会社として登録する企業はこの春までの5年でほぼ倍増しています。
再生エネルギー設備や留学費用、地方の商業施設の管理といった信託銀行が手掛けてこなかった新分野で需要を掘り起こしています。
高齢化や国際化を背景に、信託の新たな担い手が存在感を高めそうです。

そもそも信託業務とは何なのでしょうか?
金銭や不動産などの財産を持つ人が第三者に財産権を引き渡し、その第三者が目的に沿って財産を管理したり処分したりする業務を指します。
日本では長く銀行法に基づく免許を持つ銀行が、信託業を兼営してきました。
しかしながら、2004年の信託業法の改正で、銀行以外の事業会社も信託業に参入できるようになったのです。
登録・免許を取得した企業数は2013年度末の14社から、2018年度末には25社に増えました。

新規参入は住宅や不動産関連の企業が目立っています。
大和ハウス工業や積水ハウス、大東建託などが信託子会社を設立し、自社で扱うアパートの事業主を対象に、認知症や相続に備えて物件の管理を受託するサービスを展開しています。

事業会社からの参入組は信託銀と競合しない新分野を広げています。
2019年3月に信託会社の免許を取得したジェイバリュー信託(東京・千代田)は、太陽光発電などの再エネ関連設備の管理・運用を受託しています。
資金管理や納税を含む発電所の運営を一括で請け負います。
既設の太陽光発電所の売買仲介も手掛け、運営に不慣れな企業でも発電所を取得しやすくします。

信託銀行が投資や相続に関わる商品開発に力を注ぐ一方、新規参入の信託各社はより小規模な利用者を想定しています。
ジェイバリュー信託の谷山信社長は「銀行では収益化が難しい分野で信託の需要を掘り起こす」と話しています。

留学安心信託(東京・新宿)は、学生が支払った留学費用の海外の大学などへの送金を受託します。
留学を支援する会社の倒産で留学費が学生に返ってこない事例が増えていることに着目しました。

信託の仕組みを使うと費用を支援会社から切り離せます。
支援会社から各個人の費用を受託し、留学に関わる書類の送付や両替業務も請け負います。
2018年12月の事業開始から約1,300人分を受託しました。
年内には専門学校とも契約する見通しです。

地方創生に信託をいかす信託会社もあります。
すみれ地域信託(岐阜県高山市)は、山間部の小水力発電所や商業施設の管理・運営を担っています。
2018年秋には地元の小売業者、建設業者などから建物や借地権を受託し、新業態の複合店舗に改装しました。
森林の相続にも進出しています。
高齢化で施設や森林を管理する人材が不足していることが背景にあります。

日本は銀行が信託業を兼営し、遺言信託など金融資産や不動産の管理が中心です。
欧米では住宅の管理や環境保護、知的財産の管理など信託の仕組みが幅広く活用されています。
新規参入各社の事業規模はまだ小粒だが信託サービスの裾野が広がり、幅広い資産の有効活用につながるかどうかが試されます。

最近は、大手の参入してこないようなニッチなところや、自社の商品の販売のためにやっているところが多いようですね。
まだまだ、色々なリスクを抱えているとは思いますが、様々な信託業務が出てきて、世の中の人々に早く信託が認知されるようになってほしいと思います。
基本的に節税にはなりませんが、僕も財産管理の観点から積極的に取り組んでいきたいと思っています。

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中央出版創業者親族が相続税130億円の申告漏れ!

 教育関連事業を手掛ける「中央出版」(名古屋市名東区)の創業者で2014年に死去した前田亨氏の長男が、名古屋国税局の税務調査を受け、相続した株式の評価を巡って約130億円の申告漏れを指摘されていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。
相続税の追徴税額は、過少申告加算税を含めて約70億円とみられます。

長男は、中央出版の役員の前田和一氏で、和一氏は追加の税金を支払った上で、処分を不服として再調査を請求し、一部が取り消されました。
現在は、全体の処分の取り消しを求めて国税不服審判所に審査請求をしています。

関係者によると、和一氏は、中央出版などの親会社にあたる「中央出版ホールディングス」(非上場)の株式などを相続し、申告しました。
国税庁は、取引相場のない非上場株の評価について、業種や事業の内容が似ている上場企業の株価などをもとに算定するよう通達で求めています。

和一氏は通達に沿って、一株の価値を18円と算定して申告しました。
しかしながら、名古屋国税局は、過去の同社株の取引価格などから「通達以外の方法によって価値を算定すべき特別な事情がある」と判断し、民間の第三者機関の鑑定をもとに一株の価値は55円と認定し、全体で約130億円の申告漏れを指摘しました。

和一氏が処分の取り消しを求めたところ、価値が一部見直され、約30億円の申告漏れが取り消され、追徴税額も約15億円減額されました。
ただし、和一氏は、全体の処分の取り消しを求めて国税不服審判所に審査請求を申し立てました。

中央出版は、1972年に創業されました。
現在の主力事業はプログラミング教室や保育園の運営事業で、2018年4月期の売上高は約45億円です。
和一氏の代理人弁護士は、「通達以外で評価すべき特別な事情はなく、申告は適正なものであると認識している」とコメントしました。

相続や贈与を巡っては、過去にも企業経営者の親族が申告漏れを指摘された例があります。
2017年に飯田グループホールディングス元会長の遺族が株式を巡り約80億円の申告漏れを指摘されたことが明らかになったほか、2016年にキーエンス創業者の贈与でも親族が株式の評価額を巡って1,500億円超の申告漏れを指摘されたことが分かっています。

報道からだとよく分かりませんが、「通達以外の方法によって価値を算定すべき特別な事情がある」と判断するのは、よっぽどの時ではないといけないと思いますし、特別な事情についてはきちんと説明すべきだと思います。
安易にこれが使われてしまうと、通達が何のためにあるのかよく分かりませんし、いちいち事前に税務署に確認したうえで申告しないといけないような状況になってしまいます。
あとは、国税庁として、『特別な事情』をきちんと世間一般に公表すべきだと思います。
個人的には、和一氏に全面的に勝ってほしいと思いますね。

中央出版創業者親族が相続税130億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


相続登記が義務化!

 所有者不明の土地が増えている問題をめぐり、法務省の研究会は先日、相続登記の義務化や所有権を放棄できる制度の導入などを提言した報告書を公表しました。
一定期間内であれば相続登記時の戸籍謄本や除籍謄本などの書類提出を不要にするなど、手続きの簡略化を盛り込みましだ。
相続人の負担を減らして義務化の実効性を持たせ、所有者不明土地の発生を予防します。

研究会での検討を踏まえ、山下貴司法務大臣は、先日、法制審議会(法相の諮問機関)に民法と不動産登記法の改正を諮問しました。
今後審議を進め、2020年秋の臨時国会にも改正案の提出をめざします。

現行法では相続登記は任意で、土地の価値が低いと登記しないケースも多くなっています。
報告書は相続登記を義務化し、違反者には罰金を検討すべきだとしています。
被相続人の死亡の事実と相続対象の不動産を申し出れば、添付書類なしに不動産登記簿上の情報を書き換えられるようにすることも提言しました。

所有権の放棄を認める要件として、(1)所有者が管理費用を負担、(2)災害で危険な状態にある、(3)土地の買い手がつかないなどのいずれかを満たす必要があると指摘しています。
放棄した場合の帰属先や財政負担をどうするかが課題だとしました。
放置されている土地について、所有者が所有権を放棄したとみなす制度の創設についても検討を求めました。

相続関係の仕事をしていると、相続登記をしていないケースを見かけますが、色々と手間が生じますよね。
よって、相続登記の義務化は良いことだと思います。
ただし、JAなどが相続人のうちの1人に預金を払い戻して問題になっているケースがたくさんあると思いますが、手続きの簡素化は必要だと思いますが、相続人間の争いのもとにならないようなものにして欲しいですね。

相続登記が義務化の方向にあることについて、どう思われましたか?


遺産約1億6千万円の横領容疑で元弁護士を逮捕!

 東京都内の寺院に寄付されるはずだった檀家(だんか)の遺産を横領したとして、警視庁捜査2課は、業務上横領の疑いで、東京都渋谷区富ケ谷の元弁護士(73)を逮捕したようです。
元弁護士は、「間違いありません」と容疑を認めています。

捜査関係者によると、元弁護士は、港区に所在する寺院から遺産の寄付業務を受任しました。
檀家の女性から、死後に寄付する予定だった約1億6千万円を預かり、自身の関係口座で保管していましたが、2016年9月に女性が死亡した後、自身名義の口座に移し替えていたそうです。

元弁護士は2018年8月、別の顧客から預かった遺産を返還しなかったとして、東京弁護士会から業務停止2年の懲戒処分を受けました。
この処分を受け、寺院側が調べたところ、寄付金が消失していたことが判明し、被害が発覚したそうです。

元弁護士は、横領した金を株取引の損失補てんなどに使っていたようです。

逮捕容疑は、2016年12月下旬、業務で預かっていた遺産約1億6千万円を横領したとしています。

年に何名かはこういう弁護士が出てきますね。
弁護士業界も、公認会計士業界や税理士業界と同様に、経営が厳しくなってきているとは思いますが、きちんとビジネスを考えて、こういったことのないようにしてほしいですね。
弁護士業界や士業業界の信用失墜につながりますので。
やはり、お金を目の前にすると、人間は目がくらんでしまうんですかね?

遺産約1億6千万円の横領容疑で元弁護士が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


土地の相続登記を義務化!

 法務省は、先日、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直すと発表しました。
相続登記の義務化や所有権の放棄を認める制度の創設、遺産分割の話し合いができる期間の制限などが柱となります。
山下貴司法務大臣が、先日の法制審議会(法相の諮問機関)総会で諮問しました。
2020年の臨時国会に改正案を提出したい考えのようです。

山下法務大臣は、先日の閣議後の記者会見で「所有者不明土地は民間の土地取引など土地の利用を妨げている。対策は政府全体で取り組むべき重要な課題だ」と述べました。

所有者不明の土地は、不動産登記簿などの所有者台帳で所有者がすぐ分からなかったり、判明しても連絡がつかなかったりする土地を指します。
増田寛也元総務大臣ら民間有識者の研究会による2016年の推計によると、全国で約410万ヘクタールです。
2040年には約720万ヘクタールにまで広がる見込みです。
所有者を探す費用や公共事業の遅れなどの経済損失額は同年までの累計で約6兆円に上ります。

こうした土地は所有者が亡くなった後に相続人が決まらず放置されたり、相続人が登記簿上の名義を書き換えなかったりして発生する例が多くなっています。
権利関係を外部からわかりやすくするため、法務省は相続時の登記の義務化を検討します。
登記していなければ罰金などを科すことも視野に入れているようです。

現在は、相続登記は任意で、登記するかどうかは相続人の判断に委ねられています。
名義が死亡者のまま長年放置されれば、法定相続人が分からなくなる可能性があります。
土地の購入や賃借をしたい人がいても取引が進みません。

相続人同士が遺産分割を話し合いで決める期間にも制限を設けます。
話し合いでの合意や家庭裁判所への調停申し立てがされずに被相続人が亡くなって一定期間が過ぎれば、法律に従って自動的に権利が決まるようにするようです。
期間は3年、5年、10年の複数案があります。

土地の所有権を放棄できるようにする制度も検討するようです。
例えば「遠方に住む親から土地を相続したが、手入れが難しく手放したい」などのケースでも、現在は放棄を認めていません。
放棄を認める条件や、第三者機関や自治体など受け皿となる機関について議論します。
税逃れや将来放棄するつもりで管理をしないなど、モラルハザードが発生しない仕組みも課題となるでしょう。

相続人のいない土地も活用を促します。
被相続人が複数の土地を持っていた場合、債権者などが土地ごとに相続財産管理人を選任できるようにします。
管理人は相続人がいないかどうかを調べた上で、土地をもらうべき人に分けたり、売却して債務の支払いに充てたりします。

相続人の調査にかかる期間を現行の10カ月から最短3~5か月に短縮します。
選任の費用負担も減らします。
全ての土地を調べる現行制度では時間が長くかかり、費用もかさんでいました。
管理人を介しやすくし、自治体や企業などへ売却を促します。

法務省の対策は新たな不明土地の発生を防ぐ仕組みが中心となります。
すでにあるものも含めて不明土地を減らし、抜本的な解決に結びつけられるかは未知数です。

良い改正だと思います。
相続関連の業務をやっていると、相続登記がなされないままになっている不動産をたまに見かけます。
登記費用がかかるとかいう理由で登記していないと思われますが、登記を義務付けないと、後々面倒になりますよね。
一方で、登記費用を安くしてほしいですね。
あとは、最近、土地を相続したがいらないとか、相続人全員が土地をいらないと言っているなど、相続したくない土地が増えているような気がします。
よって、土地の放棄は認めて欲しいですね。

土地の相続登記を義務化することについて、どう思われましたか?


2億5,000万円の遺産隠しで会社会長を告発!

 亡き夫から受け継いだ遺産2億5千万円を隠し、相続税1億3千万円を免れたとして、名古屋国税局が相続税法違反(脱税)の疑いで、化粧品会社(東京)の会長(79)を名古屋地検に告発したことが分かったようです。

関係者らによると、愛知県豊山町の夫が2016年2月に72歳で死亡し、妻の化粧品会社会長が不動産など6億円以上の遺産を相続しましたが、このうち、50キロ分の金地金(2億5千万円相当)を隠し、申告しなかったとされます。

国税局が2018年2月、強制調査(査察)に入り、意図的に申告から除外したと判断したもようです。

化粧品会社会長は取材に対し、「このような事態になりとても残念」と答えたようです。
既に修正申告し、納税済みだそうです。

民間調査会社によると、2016年8月~2017年7月の化粧品会社の売り上げは12億円です。
会長は化粧品会社ホームページなどで別名を名乗り、化粧品会社の創業者です。
夫は会長と結婚後、化粧品会社の役員を務めていました。

報道によると意図的に申告から除外したということですので、コメントの『残念』という意味がよくわかりませんが、金地金はバレないとでも思っていたのでしょうか?
それほど甘くはないですよね。
相続税の申告でこういうことをするのであれば、法人はどうなのだろうか?と思うのは僕だけでしょうか?

2億5,000万円の遺産隠しで会社会長が告発されたことについて、どう思われましたか?


相続で配偶者を優遇する改正民法が成立!

 民法の相続分野の規定を約40年ぶりに見直す改正民法など関連法が、先日の参院本会議で可決、成立しました。
残された配偶者が、自身が亡くなるまで今の住居に住める配偶者居住権が新設され、遺産分割で配偶者を優遇する規定も設けられます。
 この改正により、高齢化に対応し、配偶者が住まいや生活資金を確保しやすくなります。
 20207月までに施行されます。居住権を得た配偶者は、預貯金など他の遺産の取り分を増やすことも可能になります。
婚姻期間20年以上の夫婦であれば、住居を生前贈与するか遺産で贈与の意思を示せば住居を遺産分割の対象から外す優遇措置も設け、高齢になった配偶者が生活に困らないようになります。亡くなった被相続人の親族で相続対象でない人でも、介護や看病に貢献した場合は相続人に金銭を請求できる仕組みもできます。
息子の妻が義父母の介護をしていた場合などを想定しています。相続トラブルを避けるため、生前に書く「自筆証書遺言」を法務局に預けられる制度を創設するための法も可決、成立しました。参院法務委員会で採択した付帯決議では、配偶者居住権の評価額の基準を検討するよう求めました。
多様な家族の保護のあり方について検討するとの内容を盛り込まれました。
遺言書の保管制度の実効性を確保するため、遺言者の死亡届が提出されると、遺言書の存在が相続人などに通知される仕組みもつくられます。時代の流れに反映した改正ですね。
相続の発生により、自宅を出ていかないといけなくなったり、自宅を相続した結果、現預金などの他の資産を相続できなくなったりするケースなどがあるからです。
また、息子の妻が、どれほど義父母の介護を一生懸命行ったとしても、遺言がある場合など以外では金銭をもらえず、それが原因で『争族』に発展するケースもたくさんあったはずです。
良い方向への改正だと思います。
この改正に伴い、相続対策も、少し変わっていくでしょうね。
 相続で配偶者を優遇する改正民法が成立したことについて、どう思われましたか?

ポーラHD社長を提訴し結果次第では現経営体制の崩壊も!

 以前、このブログに書いた件ですが、週刊ダイヤモンドによると、化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長が遺産相続に関し不正をしたとして、故会長の妻が提訴したようです。
鈴木社長保有のHD株約4,191万株は遺産の対象だったことの確認などを求めるもので、複数の訴訟の結果次第ではHD株の過半が対立側へ移り、現経営体制は崩壊しかねない。
 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の鈴木郷史社長を相手取り、故鈴木常司会長(鈴木社長の叔父)の妻(以下、夫人)が提訴に踏み切ったことが週刊ダイヤモンドの取材で明らかになりました。
 背景には現経営トップに対する疑念と憤りがあり、関係者によると、夫人は「これを機に真相が解明され、上場会社にふさわしいガバナンス体制になってほしい」と話しているそうです。
 鈴木社長に関しては、2017年末から20183月の間に2件の疑惑が浮上しました。
 具体的には、以下のとおりです。
①常司会長が2000年に急死した際に、「鈴木社長がグループ有力会社の株約69万株を11円で会長から譲渡される契約書を生前に作られたように捏造した」とHD元ナンバー220183月まで取締役)が告発した件。
②「常司会長が美術品を寄付する旨の確約書を鈴木社長が同様の手口で捏造した」と公益財団法人ポーラ美術振興財団の元関係者が本誌に告発した件。
 夫人は、①の疑惑に関連して、東京地方裁判所へ提訴しました。
 焦点は鈴木社長が譲渡契約書の捏造という不正をしたのか否かです。
 夫人側代理人は契約書の捏造について、HD元取締役らの証言や鈴木社長への証人尋問などで立証していくとみられます。
 総額486億円といわれた常司会長の遺産の相続をめぐる「夫人vs鈴木社長」の法廷闘争は、「戦後最大級の“争族”」(関係者)として約5年続いた後に、2005年に和解しています。
 2018年に入って①の疑惑が報道されると、HDは「取締役が指摘している先代社長(常司会長)の相続に関しては、既に裁判所で厳正に審理、判断、確認をいただき決着しております」とのコメントを出し、疑惑も否定しました。
 しかしながら、夫人は、「疑惑は今年になって初めて分かったことであり、和解の前提にない」として、争族バトルの“第2ラウンド”に乗り出しています。
 夫人側は、2000年当時のグループ有力会社の株約69万株は、2010年のポーラグループ上場などを経て、現在のHD株で約4,191万株(529日終値で時価総額約2,204億円)に当たると計算しているもようです。
 また、夫人は、同じタイミングで、②の疑惑に関連して、鈴木社長が理事長を務めるポーラ美術振興財団を相手取り、財団所有の美術品839点は本来相続人の間で分割されるべき遺産であったことを確認する訴訟も東京地裁に起こしました。
 財団は本誌の取材に対し、疑惑を否定しています。
 美術品にはゴッホ、ピカソ、レオナール・フジタといった著名画家の作品が含まれており、神奈川・箱根のポーラ美術館に所蔵されているとみられます。
 夫人は、HD株・美術品ともに、本来は遺産の対象であったことを確定させた後、当時の法定相続分(4分の3)に当たる現在のHD株で約3,143万株(529日終値で時価総額約1,653億円)を求める調停などを東京家庭裁判所に申し立てる方針です。
 また、この間に鈴木社長が得ていた株の配当金が約110億円だと計算して、それに関する不当利得返還請求の訴訟も後日起こすとみられます。
 鈴木社長は約5,067万株を所有する大株主(持ち株比率22.9%)ですが、夫人の主張が全て通ればその多く(持ち株比率14.2%)が夫人に渡ることになります。
 上場前にグループ会社の株取引に関する別の疑惑もあり、それに関しても訴訟を起こして勝てば、夫人の株は持ち株比率にしてさらに数ポイント増えます。
 鈴木社長に対する疑惑は、別の民事訴訟も20182月から進行中です。
 ①の疑惑を告発した元取締役と、仲介したHDリスク管理委託業務先代表は、告発に関連してHD最大株主(約7,861万株、持ち株比率355%)であるポーラ美術振興財団の理事職を解任されました。
 2人は解任決議無効の確認を求め、東京地裁で財団側と係争中です。
 仮にこちらも勝訴すれば2人が理事に復帰し、今度は逆に鈴木社長の理事長解任を内部から画策する可能性が高いでしょう。
 そもそも①、②の疑惑に関する訴訟で鈴木社長の不正が認められれば、鈴木社長は公益財団法人のトップにふさわしくないとして、現理事らが黙っていないでしょう。
 いずれにせよ、HD最大株主の財団が、現体制を支持する安定株主とならなくなる公算が大きくなります。
 つまり、訴訟の結果次第ではありますが、夫人が勝ち取る株と反鈴木社長派となった場合の財団の株を合わせれば、持ち株比率で過半数に達します。
 それは現体制の経営基盤が失われることを意味します。
 夫人の訴えが認められると、前代未聞の事件でしょうね。
 直感的には、それなりに株価の高い会社の株式を11円で譲渡するというのは通常ないのではないかと思いますが、どうなんでしょうね?
 結果次第で、HDの経営にも影響が及ぶでしょうね。
 ポーラHD社長を提訴し結果次第では現経営体制の崩壊が起こることについて、どう思われましたか?

土地を放棄できる制度を政府が検討!

政府は、土地の所有権を放棄したい時に放棄できる制度の検討を始めたようです。
人口減で土地の活用や売却に困る所有者が増えていることが背景にあるようです。
防災上の必要性など一定の要件を満たせば、所有者が土地を手放せるようにする方向です。
放棄された土地の引受先などが課題になるでしょう。政府が近いうちに取りまとめる「骨太の方針」に盛り込むようです。
法務省や国土交通省が具体的な検討を進め、20192月にも方向性を示すようです。民法には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」(第239条)との規定がありますが、土地放棄の手続きを定めたルールはありません。
そこで廃棄物処理のように、土地の所有者が一定額を納めれば放棄できる仕組みなどを検討します。所有者が管理できるのに、放棄して国や地方自治体に負担を押しつけるような事態を避けるため、災害で危険になった土地に限定するといった一定の要件を設ける方向です。
中山間地などで住民が極端に少ないなど適切な管理を続けるのが難しい土地について、低コストで最低限の管理をすれば済むような仕組みができれば、放棄できる土地の対象が広がる可能性もあるでしょう。要件が厳しかったり、所有者に費用負担を求めたりすれば、放棄ルールをつくっても活用されず、土地の放置状態が結局解消されない可能性もあります。
一方、放棄された土地の管理コストを税金で賄うことに反発の声も出そうです。放棄された土地の引受先も課題で、国交省内で検討されます。
民法上は国ですが、自治体や公的な第三者機関などが引き受けるべきだとの意見も政府内にはあるようです。
2019年2月にかけて、法務省の研究会で放棄できる土地の要件や、放棄の際の所有者の負担が必要かなどの詳細を詰めていきます。日本司法書士会連合会が2017年、全国約2万2千人の司法書士にアンケートしたところ、回答した797人の約半数が「いらなくなった不動産を自治体に寄付したい」と相談を受けたと回答しており、土地を手放したい人は少なくないとみられます。うまく使えるのであれば、素晴らしい制度になるでしょうね。
一方、中途半端なものにしてしまうと、やるだけ無駄になるでしょう。
個人的には、コンパクトシティなどと言っていますので、居住地域を狭めるのは行政的なコストの観点からも良いのではないかと思います。
また、土地の大部分が収用となったものの一部使えない土地が残ったままという話も聞きますし、我が高松市も近いうちに開発がしにくくなるようですし、都会に住んでいる方が田舎の土地を相続するなど、まったく使えない土地を持つ方が増えてくるように思いますので、そういった方への配慮もしてほしいなぁとも思います。土地を放棄できる制度を政府が検討していることについて、どう思われましたか?

株式譲渡契約書の捏造疑惑でポーラHD社長を役員が告発!

  週刊ダイヤモンドによると、日本初のしわ改善化粧品「リンクルショット」のヒットなどで過去最高益を更新中の国内化粧品4位、ポーラ・オルビスホールディングス(HD)で、好調な業績とは裏腹に、鈴木社長は現役の取締役に辞任を迫られていたようです。

 鈴木社長が握る株式が、不正な行為で取得したものだと告発されたそうです。

「取締役会は、監査役会意見も踏まえ、当該取締役に対し、辞任の勧告を行うことを決議し実行いたしました」と、ポーラ・オルビスHDの社内向けウェブページに緊迫した文言がアップされたのは2018222日です。
かつてHDナンバー2だった現役の取締役の名を挙げ、「忠実義務に違反」「経営を混乱させる行動」などと糾弾しました。

ポーラ・オルビスHDは、創業89年、連結従業員数4139人で、東証1部に上場しています。
一時期を除いて創業家の鈴木家が代々トップのオーナー企業で、いったい何が起こっているのでしょうか?
関係者によると、発端は201711月下旬に、先の取締役が「鈴木社長のワンマン経営で面従腹背が横行。もう我慢ならない。ひいては内部告発したい」とポーラ・オルビスHDのリスク管理業務委託先に相談しました。

委託先を通じて2017126日、この取締役は鈴木社長に退任を迫りました。
さらに201812月中旬までに数回、直接または間接的に退任を求めました。

鈴木社長は年の瀬の20171229日、取締役会で、「取締役らから恐喝、強要されている」と主張し、さらに、2018221日の取締役会では、この取締役を会社から完全に締め出すことを決め、当の取締役は監査役会の調査の不備を指摘した上、「裁判所で決めていただくしかない」と反発しました。
222日、取締役会は、冒頭の文言などを社内ウェブにアップしました。

「近年のHDは構造改革が激しく、社長に我慢ならない人が現れてもおかしくないと思っていた」と、ある業界関係者は声を潜めているようです。
激変の一つが、目まぐるしい子会社トップの入れ替えです。
「業績不振で仕方がなかったり、定年だったりもありますが、多くは鈴木社長のイエスマンを起用する独善的人事だ」とあるポーラグループ幹部は言っています。

固定費の削減も進めています。
子会社の一つでグループの化粧品を製造するポーラ化成工業の静岡工場を2014年、静岡県内の袋井工場に統合しました。
関係者によると、従業員約260人をリストラし、また、袋井工場も現在、閉鎖またはOEM(相手先ブランドによる生産)会社への売却が検討されているそうです。

かつて「ポーラレディー」と呼ばれた委託販売契約のビューティーディレクターも、2016年、約13万人から約4万人へ削減されました。

改革が奏功した面はあります。
一方で、買収した海外2企業の不振で、2013年以降、計約180億円の減損を出すなど経営の穴も目立ちます。
最近の好業績は「ひとえにインバウンドとリンクルショットのおかげ」との声が社内外から聞こえるようです。

激しい環境変化が抵抗勢力を生むのは世の常ですが、この件は謀反や権力争いとは異なる次元の問題をはらんでいるようです。
すなわち、2代目社長を務めた鈴木常司氏(鈴木社長の叔父)が2000年に急死して起きた、総額486億円といわれた遺産相続バトルの再燃となり得るのです。
常司氏の妻と鈴木社長らの間で約5年の間に、約100件も訴訟が繰り広げられ、「戦後最大級にして最悪レベルの“争続”」(関係者)となりました。
内部告発はこの争いに関わるものだったようです。

週刊ダイヤモンドが入手した取締役の内部告発書面は、18年前に鈴木社長が行ったとされる株式譲渡契約書の「捏造」を暴露しています。
告発書などによれば、鈴木社長は、子供がなく正式な遺書も残さなかった常司氏(当時会長)が急死した際、常司氏の妻が株式の多くを継承し、経営に影響を及ぼすことを懸念していました。
そこで、社内にあった常司氏の実印を使って、グループ有力会社の約69万株(46%)を11円で常司氏が鈴木社長に譲渡する契約書を、生前の日付で捏造し、それを起点にグループ支配を優位に進めました。

告発した取締役は当時秘書室長で、鈴木社長の指示で動いた一人であるため、事情に詳しいのだそうです。
書面は「不法行為等で手にした資本を背景に人の上に立って、自らの考えを押し通すために力を行使していくことは、今後とも許されることなのでしょうか」と結ばれています。

関係者によると、2017年末に退任を迫られた鈴木社長が「会社がいいときに身を引くというのは悪くはない」「年末まで時間が欲しい」などと逡巡する音声記録や、当時の「捏造」を知る別の社員の証言もある模様です。
仮に常司氏の妻がそれらを根拠に遺産分割のやり直しを求める裁判を起こして勝てば、株主構成が変わるなどし、鈴木社長体制は崩れる恐れがあります。

ポーラ・オルビスHDの広報担当者は、「取締役の主張は根拠がなく、事実ではない。近日中に刑事告訴する予定」と説明しています。

いずれにせよ、201712月期で8期連続増収増益となり、鼻高々で臨めるはずだった2018327日のHD株主総会は波乱含みとなるでしょう。

上場企業の事業承継で約100件も訴訟が起きている案件があるとは、知りませんでした。
こういうことが、会社の経営に悪影響を与えると、誰も得する人はいませんよね。
個人的には、箱根のポーラ美術館に行ったこともあり、相続税対策をうまくやっているんだろうなぁと思っていました。
11円での譲渡なので、税務上どう処理したのかが気にはなりますが、司法の場で何が正しいかを明らかにして、通常の会社に早く戻ってほしいですね。

株式譲渡契約書の捏造疑惑でポーラHD社長を役員が告発したことについて、どう思われましたか?


配偶者を優遇する相続関係の民法改正案が閣議決定!

  政府は、先日、遺産相続に関連する民法などの改正案を閣議決定しました。
改正案は、被相続人(死亡者)と法的に結婚している配偶者の優遇を強く打ち出しているのが特徴です。
寿命が延び、相続が発生する頃には被相続人の配偶者も高齢になっているケースが多いことから、配偶者が余生で困窮しないようにする狙いがあるようです。
改正されれば、昭和55年以来、約40年ぶりに相続のルールが大きく変わることになります。

 改正案に盛り込まれた配偶者優遇策は、以下のようなものがあります。
①配偶者がそれまで住んでいた家に住み続けられるようにする権利「配偶者居住権」を新設
20年以上結婚していた夫婦に限り、住居が配偶者に生前贈与もしくは遺言で遺贈された場合、遺産分割の対象から除外できる

これらの改正によって、配偶者は相続で他の相続人ともめても、住んでいた家を失わずに住めるうえに、生活に必要な現金も相続しやすくなります。

厚生労働省によると、平成28年の日本人の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳で、同い年の夫婦が平均寿命で死亡すると仮定した場合、妻は働くことが困難になる80歳過ぎから約6年、1人で生きていかなければなりません。

しかしながら、現状の相続ルールで遺産を分割すると、妻は住む家を失うか、生活資金を相続できないといったリスクがありました。

このほか、改正案では、自筆証書遺言を法務局に預けられるようにする制度を新設しています。
これにより偽造・変造や紛失などのリスクを減らすことができるようになります。
また、被相続人の預貯金を遺産分割前に引き出せるようにする制度の創設なども盛り込まれています。

職業柄、相続税の申告業務などをやっているため、相続に関わることが多いですが、なかなか良い改正なのでないかと思います。
改正になると、今まで行った相続対策を根本的に見直さないといけないケースも出てきそうですね。

配偶者を優遇する相続関係の民法改正案が閣議決定されたことについて、どう思われましたか?


リスクの見えにくい「バラ色の計画」を憂い日弁連が規制強化を要望!

 「かぼちゃの馬車」などのシェアハウス投資で約束通りの賃料が支払われず、オーナーとなった会社員らが多額の借金に苦しんでいる問題に絡み、日本弁護士連合会(日弁連)は、先日、「サブリースを前提とするアパート等の建設勧誘の際の規制強化を求める意見書」を国土交通大臣と金融担当大臣に提出しました。

日弁連は意見書で、「サブリース契約は一括借上により当面の賃料が確保されることから、表面的には、空室・賃料低下のリスク等が見えにくい」などと問題点を挙げました。
サブリース契約も借地借家法が適用される賃貸借契約であり、賃料減額請求が主張される可能性があるなど、土地所有者などが貸家ビジネスの経営リスクを負担させられるおそれがあるとしています。

その上で、サブリース業者と同一または関連会社である建設業者が、「空室や家賃滞納にかかわらず家賃保証します」などと勧誘する手法について言及しています。
金融機関から多額の融資を受けて建設しても、30年や35年の長期間の家賃保証があるおかげで実質的な負担がなく、「バラ色の計画」が実現するものと誤認させて契約に至っている実態があると指摘しています。

日弁連は国交省に対し、「家賃の変動リスクや期間の限定、中途解約のリスクなどに照らして将来の家賃収入が保証されているものではないこと」などを、建設工事請負契約を結ぶ前に説明することを法令上の義務とするべきだと主張しました。

また、日弁連は、金融庁の規制や銀行など金融機関の対応についても問題視しています。
金融庁が金融機関に対し、「アパート等のローン融資に際して、将来的な賃貸物件の需要見込み、金利上昇や空室・賃料低下リスク等を説明する義務があることを明示すべきである」と指摘しました。

サブリースとは不動産業者が建物などを一括して借り上げ、他の人に貸すこと(転貸)で収益をあげる事業のことです。
問題の「かぼちゃの馬車」の場合、多くの会社員らがスルガ銀行から多額の融資を受けてシェアハウスを建設し、「家賃収入の長期保証」をうたうスマートデイズがサブリース形式で借り上げました。
しかしながら、入居率は振るわず、約束は一方的に破られ、20181月には家賃収入がゼロになり、自己破産が続出しかねない事態に陥っているようです。

職業柄不動産投資に関わることが多いですが、経験上、業者は説明したと思っていても、オーナーは業者の意図どおりに解釈していないケースが多いのではないかと思います。
やはり、ご家族も含めたところでのきちんとした説明を義務付けて、リスクを認識してもらい、それでも投資するという人のみと契約しないと、将来、世の中トラブルだらけになるでしょうね。
投資する方も、そんなにリスクなく儲かるのであれば、業者自らやるでしょうということを念頭に置かないといけないでしょうね。
よって、不動産投資事業として成り立つと考えられるであれば、やればよいと思います。

リスクの見えにくい「バラ色の計画」を憂い日弁連が規制強化を要望したことについて、どう思われましたか?


相続税のかかる方は8.1%!

2018年01月09日(火)

国税庁は、先日、平成28年分の相続税の申告状況を発表しました。

これによると、平成28年中(平成28年1月1日から平成28年12月31日)に亡くなられた方から、相続や遺贈などにより財産を取得した方についての相続税の申告状況の概要は、次のとおりです。
(注)平成27年1月1日以後の相続等については、平成25年度税制改正により、基礎控除額の引下げ等が行われています。

1.被相続人数等
平成28年中に亡くなられた方(被相続人数)は約131万人(平成27年約129万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約10万6千人(平成27年約10万3千人)で、課税割合は8.1%(平成27年8.0%)となっており、平成27年より0.1ポイント増加しました。

2.課税価格
課税価格の合計は14兆7,813億円(平成27年14兆5,554億円)で、被相続人1人当たりでは1億3,960万円(平成27年1億4,126万円)となっています。

3.税額
税額の合計は1兆8,681億円(平成27年1兆8,116億円)で、被相続人1人当たりでは1,764万円(平成27年1,758万円)となっています。

4.相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地38.0%(平成27年38.0%)、現金・預貯金等31.2%(平成27年30.7%)、有価証券14.4%(平成27年14.9%)の順となっています。

平成27年から相続税が増税となり、平成27年から相続税がかかる方が約2倍の8%になりましたが、平成28年もほぼ同様ですね。
ざっくり言うと、130万人亡くなって、10万人くらいが相続税がかかるという感じです。
これだけ(約2倍)増えると、相続税対策を急いでしないといけないと思う方もいらっしゃるのかもしれませんが、たった8%ですし、人口が減っていく中、安易に賃貸アパートを建設することだけは避けて欲しいですね。

平成28年分の相続税の申告状況について、どう思われましたか?


一般社団法人や家なき子を利用した相続節税の抜け道が封じられる?

2017年12月04日(月) 

政府・与党は、相続税の過度な節税防止に乗り出すようです。
一般社団法人を設立して相続税の課税を逃れたり、住宅を贈与して宅地にかかる相続税を減らしたりする節税策が広がっており、2018年度税制改正で具体的な対策を講じるようです。
相続税は、2015年から始まった増税で課税対象となる人が増えており、節税策を封じて課税の公平性を確保します。

「一般社団法人の問題は放置できない」と、自民党税制調査会の宮沢洋一会長は社団法人を使った節税を問題視しています。

一般社団法人は、2008年から営利目的でも設立できるようになりましたが、株式会社と違って相続税はかからない制度となっています。
企業の株式に当たる持ち分が存在しないからです。
役員の人数や親族の割合に関する定めもなく、比較的容易に設立できる面があるのです。

この仕組みを悪用して節税に使うケースが増えているようです。
まず、親が代表者となって法人を設立し、資産を移します。
その後に子供を代表に就かせ、法人の支配権を承継すると、持ち分が存在しないため、資産には相続税がかかりません。
この仕組みを使えば、子供ばかりか、孫やその先の代まで、延々と非課税で資産を相続できるのです。

しかも、法人設立にかかる費用は、司法書士などに頼む報酬などを除けば、登記の6万円しかありません。
国も設立要件について「公序良俗に反しない限り全ての事業が対象」(法務省)としています。
2016年は6,075件が設立されており、この5年で1.5倍という急増ぶりです。
登記だけで簡単に設立できる点が、節税策として活用される一因になっています。
政府・与党は、親族が代表者を継いだ場合、非課税の対象と見なさず、課税対象とする方向で検討を進めるようです。

政府・与党が問題視するもうひとつの節税策は、小規模宅地の特例を悪用するケースです。

相続税には亡くなった人の住まいなどを、同居していた配偶者や親族が手放さずに済むよう、負担を軽くする仕組みがあります。
さらに、転勤や貸家住まいなどの事情を考慮し、過去3年間、持ち家がなければ減税してもらえる特例も設けています。
土地の評価額を330平方メートルまでは8割減らして相続の負担を軽くするのです。

悪用とも言える税逃れとは、どのようなケースが該当するのでしょうか?
40代男性を例に具体的に考えてみますと、まず、この男性が所有するマイホームを20代の長女に贈与し、自分は持ち家を持たない人になるのです。
いわゆる「家なき子」として3年以上過ごすのです。
その段階で男性の80代の父親が亡くなると、父親の宅地を相続する場合に、税負担が軽く済むのです。

このような形で特例を使う人が増えているとみられ、特例適用による減収見込み額は2016年度で1,350億円と、3年で実に2倍近く伸びています。

政府・与党は、相続時に住む家がもともとは自分で所有しているものだったり、3親等内の親族が所有する家に住んでいたりすれば、優遇の対象外とする方針のようです。
課税逃れに備えている動きと判断されます。

年間の相続税収は2兆円ほどです。
相続税は基礎控除の見直しに伴い、税金を納める人が増えています。
年間死亡者数に占める課税件数をみると、2015年に3.6ポイント上昇し、約2倍の8%にのぼりました。
このため、納税者の間で相続税の負担感が急激に増しており、政府・与党も、相続税で公平に課税する姿勢を前面に打ち出す必要があるとみています。

2017年度税制改正でも、節税防止策は論点のひとつに浮上し、高層マンションの上層階の固定資産税の負担を重くしました。
しかしながら、新たな節税策は相次いでおり、国と納税者の間でいたちごっこになっている面もあるのです。

上記は、日経新聞の記事ですが、個人的には、これらを税逃れというのか疑問に思います。
税理士は、条文に基づいて仕事をすることになるため、税制改正などが行われ、新しい制度ができたり、要件が厳しくなったりすると、当然、利用するような対策を考えたり、要件を満たすための対策を考えます。
よって、そもそも条文を作ったり、変えたりするときに、抜け穴はないだろうかという視点が抜けているか足りていないということだと思います。
それは、『税逃れ』ではなく『条文の不備』だと思いますね。
当然、税理士は、現在は対策として有効だけれども、将来、税制改正などによって使えなくなる可能性があるということを説明したうえで提案しているとは思います。
個人的には、一般社団法人については、これが認められていいのだろうかと感じ、将来おそらく改正されるだろうと思っていましたので、提案などはしていませんでした。
最近、この手(条文の不備を直す)の改正が増えていることから、提案がしにくい時代にはなってきているように感じますね。

一般社団法人や家なき子を利用した相続節税の抜け道が封じられようとしていることについて、どう思われましたか?

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「国内最大級歯科医院グループ」が“年商100億円”達成からたった1年で破産した命運を分けた経営!

帝国データバンクによると、新型コロナウイルスの感染蔓延に対し、政府は担保なし、金利なしの「ゼロゼロ融資」によって資金を供給し、その間企業の倒産は急減しました。

しかし、そんな「あぶく銭」はいつまでも続きません。

時代の変化に応じてビジネスモデルを変えられなかった企業は、円安、資源高、人件費の高騰などに見舞われ、たちまち資金繰りに窮することになりました。

そして、今また、破産、会社更生法・民事再生法適用など様々な形での倒産が急増しています。

60年にわたって「倒産」の現実を取材・分析しつづけてきた日本最高のエキスパート集団が、2021~2024年の最新の倒産事例をレポートした『なぜ倒産 運命の分かれ道』から紹介をしています。

「東京プラス歯科矯正歯科」
運営 友伸會
代表(理事長)    坂下亨氏
年収入高    約80億3,500万円(2022年8月期)
負債    約37億円
2023年9月29日 民事再生法適用申請

「東京プラス歯科矯正歯科」の院名で、東京や神奈川を中心に矯正歯科を運営していた医療法人社団友伸會が2023年9月29日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請しました。

運営施設を増やし、直近ではグループ全体で年商100億円に達するなど、歯科医院グループとして国内最大級の規模を誇りましたが、業績不振の医院も見られ資金繰りが悪化しました。

外部の支援機関が介入して再建を進めていましたが、スポンサー支援の下で法的手続きによる再生を目指すこととなりました。

友伸會は元理事長が運営していた個人歯科医院を法人改組して2002年2月に設立されました。

当初は一般歯科や予防歯科を中心に手がけ、新規開院や歯科医院を譲り受けて事業規模を拡大し、2015年8月末時点で10施設を運営していました。

その後、2017年7月から矯正用マウスピース製造業者が展開する「キレイライン矯正」の提供を開始しました。

「キレイライン矯正」は、患者ごとにオーダーメードで作製したマウスピースを装着し、歯並びを改善する矯正法です。

見た目に影響の大きな上下の前歯6本ずつの矯正に特化し、ワイヤー矯正と比較して装置が透明で目立たない点や、安価で期間も短いなどの特徴がありました。

これを契機に矯正治療を中心とした自由診療にシフトしました。

新規開院や譲り受けを進め、2021年には29施設まで拡大しました。

割安なマウスピース矯正が歯科矯正市場に浸透し、市場規模が拡大した結果、2021年8月期の年収入高は約86億3,300万円に達し、さらに2021年11月から12月にかけて5つの医療法人を買収したことから、2022年8月期にはグループ全体の年収入高が100億円に達するなど、歯科医院グループとしては国内最大級の規模となっていました。

しかし、買収した5法人が業績不振かつ債務超過状態だったことや、「キレイライン矯正」の技工料(原価)の高さも課題となっていました。

このため、2022年7月に矯正用マウスピース製造業者と「キレイライン矯正」の提携を解消しました。

代わりに当法人が開発した利益率の高い自社ブランド「ホワイトライン」の広告・宣伝を積極的に手がけるようになりました。

しかしながら、この経営判断が結果として当法人の命運を分けることとなったのです。

想定した新規顧客を確保できなかったどころか、来院患者数が大幅に減少しました。

一方では、施設数を増やしたことで固定費負担が重く、資金繰りが急速に悪化していました。

こうした状況を受け、2022年10月29日には理事長が辞任し、別の人物が理事長に就任しました。

新たなトップの主導のもと、2022年11月中ごろから「キレイライン矯正」の提携再開や不採算医院の閉鎖を進めていました。

2022年12月に入り、東京都中小企業活性化協議会(以下、活性協)の利用を申請し、同月中ごろには金融機関やリース会社に対し返済猶予を要請しました。

「まさに寝耳に水。『優良先』と判断していたため、リスケ要請は完全に想定外だった」(金融機関担当者)など、多くの関係者に動揺が広がる事態となったのです。

活性協の下で自主再建の道を探るとともに、スポンサーによる再建も視野に入れて、候補先の選定に着手しました。

医療法人や事業会社、投資ファンドなどにスポンサー支援を打診し、数社との間で交渉を進めました。

最終的には、介護・福祉事業を手がける企業グループの代表個人から資金サポートを受けた医療法人社団穏容会(東京都渋谷区、友伸會のグループ会社)と、「キレイライン矯正」で取引のあった矯正用マウスピース製造業者との間でスポンサー契約を締結するに至り、2023年9月29日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請しました。

穏容会へ15施設を承継し、他の施設は一部を矯正用マウスピース製造業者へ承継、残りは閉院を予定していました。

これらスポンサーへの施設譲渡は、東京地裁の許可を得たうえで、計画外事業譲渡の方法により行うものです。

すでに治療費を支払っている既存患者の治療には、影響を及ぼさない形となっています。

スポンサーの支援・協力の下、民事再生手続きにより再生を目指しています。

外注先とか仕入先とが儲かっていると思い、外注先とか仕入先とかを切り、自前でやろうとする会社を時々目にしますが、大体うまくいかないですよね。

いわゆる餅は餅屋だと思います。

商流の中で、自分だけ利益を得ようとすると、うまくいくはずはありません。

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日産の『退任社長らに報酬6億円超』の報道にネットでは皮肉や疑問視する声!

中日スポーツによると、日産自動車の内田誠前社長らの退任に伴う報酬が、6億円を超えると先日、各メディアで報じられました。

巨額な赤字に陥っている日産は、工場の大幅閉鎖や2万人規模の人員削減を余儀なくされている最中とあって、ネット上ではさまざまな声が噴出しました。

内田氏は、業績悪化やホンダとの経営統合協議の破談を受けて2025年3月末に退任しました。

共同通信などによると、内田氏はじめ執行役4人の退任に伴う報酬が計6億4,600万円だったと、株主総会の招集通知で開示されました。

日産の2025年3月期連結決算は、純損益が6,708億円の巨額赤字となりました。

世界の完成車工場を17か所から10か所に減らし、2万人規模の人員削減する方針を示しています。

経営責任を取った形の役員に、多額の報酬が支払われるのは理解しがたいという人が大半を占めたようで、X(旧ツイッター)には「内田前社長ら」「報酬6億円」「執行役4人の退任」などの関連ワードが次々とトレンド入りしました。

「成果でも貢献でもなく、失敗の代償として支払われた報酬にしては額が大きすぎませんか?」「まともなら報酬辞退ではないのか? これまでも随分もらっているでしょうから」「正当な報酬なんだろうけど希望退職の募集とかするのであるだろうから辞退してほしい これまでに十分もらっているでしょ?」と疑問視する声があふれました。

「いい会社だなー」「良い会社だね『もらっちゃえ日産!』だな」「経営不振になるのも納得ですね」「日産がこうなってしまったのも納得。必然」といった皮肉や、「いや 6億円払う方だろ」「これは株主代表訴訟案件だろ会社に多大な損害を与えてるんだから」とあらためて経営責任を問う書き込みも目立ちました。

「工場閉鎖で多くの従業員たちがあすの生活も不安なほど困窮するまで追い込まれる可能性がある中で、あまりにも理不尽」「2万人の従業員のクビを切って、退任する役員には4人で6億円の報酬 これが日産、これが資本主義」といった意見もありました。

役員は株主総会で選任され、報酬についても上限などが株主総会で決まっているでしょうから、とやかく言われる筋合いはないのでしょうが、心理的にはそういう批判も出てくるのも仕方ないでしょうね。

僕自身も、日産の株を持っていますが、(そもそも対等の立場での交渉できるはずがない)HONDAと統合すれば良かったと思いますし、既に減りましたが、役員が多くて意思決定ができるのだろうかと思っていましたし、昔のようなヒット商品がないので、頑張ってほしいなぁとは思います。

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脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の紆余曲折!

東京商工リサーチによると、大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」に対し、債権者から破産を申し立てられました。

ミュゼプラチナムを巡っては、2025年2月に経営を巡って内紛が発生し、3月には直営の全店舗で休業を発表していました。
全国で約20万人の顧客が前払い金を払いながら施術を受けられず、従業員への給与も遅延しています。

これに対応するため、フランチャイズ(FC)展開などの事業変革を模索していた矢先の出来事です。
かつて、有名タレントを使った広告戦略で業界トップに急成長したミュゼプラチナムのこれまでをまとめています。

2002年8月、㈱ジンコーポレーション(現:㈱M&Fアセットパートナーズ、福島県)が設立され、2003年7月に福島県郡山市で「美容脱毛専門サロン・ミュゼプラチナム」の1号店がオープンしました。
有名な女性タレントを起用した広告戦略で顧客を増やし、事業を拡大しました。

とくに低価格キャンペーンや通い放題プランなど若者に刺さる施策を次々と打ち出し、瞬く間に人気サロンとなりました。

2005年8月期に4億3,090万円だった売上高は、2014年8月期は386億7,127万円へ急成長を遂げたのです。
しかしながら、顧客が支払った前払金ついて、預り金として施術ごとに売上計上する処理ではなく、一括で売上計上していたことが表面化しました。

また、急成長のあおりで会員の予約の取りにくさも増し、解約が急増したのです。

このため、解約金の支払いが増加したことに加え、成長にブレーキがかかり、2015年8月期は約52億円の最終赤字を計上し、経営危機に陥りました。
2015年12月、ミュゼプラチナム事業は負債を除いて休眠会社の㈱ミュゼプラチナム(現:㈱MIT、TSRコード:300036639、東京都大田区)に譲渡されました。

この時に支援したのが東証二部上場(当時)の(株)RVH(TSR、東京都港区)でした。

ミュゼプラチナムは、顧客に不評だった予約の取りにくさの解消や公式アプリのリリースなど矢継ぎ早に改革を実行しました。

ところが、同業との激しい顧客の奪い合いと宣伝広告費の負担で、厳しい業況が続いたのです。
2019年3月期の売上高は393億5,700万円を維持しましたが、最終利益は20億1,400万円の赤字に沈みました。

期末時点の純資産はわずか1億4,000万円でした。
2020年4月、今度は「たかの友梨ビューティークリニック」の運営会社を傘下に置く㈱G.Pホールディング(東京都新宿区)の子会社となりました。

2023年4月、今度は話題となった「船井電機」のグループに入りましたが、わずか1年で離脱しました。
この間、ミュゼプラチナムの運営会社は、脱毛サロン「キレイモ」などの運営を他社から承継しましたが、広告費の未払いが発生しました。

この未払広告費は船井電機の親会社である船井電機・ホールディングス㈱(現:FUNAI GROUP㈱、大阪府大東市)が連帯保証しました。

そして、船井電機・ホールディングスの保有する船井電機の株式に仮差押が申し立てられ、2024年5月に仮差押が決定しました。

運営会社や親会社がたびたび変更され、2024年9月に設立されたのが現在の運営会社のMPH㈱(東京都大田区)です。
新たなスポンサーに名乗りを上げたのがグローバルブリッジファンド合同会社(東京都千代田区)です。

GBF社は2024年10月のプレスリリースで、MPHの事業支援に取り組むことを表明しました。
ところが、2025年2月に経営権を巡って対立が発生したのです。

合同会社トラスト(東京都東村山市)が、「経営体制及び今後の運営に関するご連絡」をMPHに送付し、取締役の解任などを突きつけました。
この問題で、MPHとトラストは裁判で争うことになりましたが、2025年3月26日に役員の地位保全の仮処分命令の判決が下り、本社への立ち入りが出来なくなっていた三原孔明社長(当時)が経営権を取り戻しました。
前後して、3月21日、MPHは公式サイトで「資金支援およびサービス拡充準備に向けた一時休業のお知らせ」をリリースし、「国内優良企業からの資金支援を受けることが決定し、各種準備のために3月22日から4月20日までの期間、全店舗を一時休業する」ことを明らかにしました。

現在、ミュゼプラチナムの事業は、MPH、新生ミュゼプラチナム㈱(東京都千代田区)、どこでもミュゼプラチナム㈱(東京都千代田区)の3社が連携して担っています。

今後は裁判所が支払い状況などを調べ、手続きの開始が妥当かを判断することになります。

色々と親会社やスポンサーが変わっていますが、船井電機・ホールディングスは破綻に追い込まれていますので、市場規模はあり、事業自体は価値があるように見えるものの、実際はそうでもないんでしょうね。

2社が手放している時点で、ヤバいと気付かないといけないような気はしますが。

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東京地裁が愛媛県の丸住製紙の民事再生手続きの開始決定!

日本経済新聞によると、丸住製紙(愛媛県四国中央市)が、2025年3月5日付で東京地裁から民事再生手続きの開始決定を受けていたことが分かったようです。

丸住製紙は2025年2月28日付で東京地裁に民事再生法の適用を申請していました。

帝国データバンクによると、負債総額は約587億円に上ります。

丸住製紙によると、債権者数は約1,000人で、東京商工リサーチの調べでは1億円以上の債権者数は金融機関を中心に少なくとも20社以上です。

紙需要の減少や原材料価格の高騰により、丸住製紙の経営環境は厳しさを増していました。

2024年11月期は45億円の赤字で、3期連続の最終赤字となっていました。

丸住製紙は、2025年2月、売上高の約7割を占める新聞用紙や出版印刷用紙の事業から撤退することを明らかにしていました。

2025年3月中に取引先への納入を停止する予定です。

2025年3月3日には、債権者説明会を開催しました。

化学品や再生可能エネルギーを手がけるアメリカのペトロン・サイエンテックがスポンサーとして興味を示していることを明らかにしました。

パルプ事業や売電事業、衛生用紙事業は、今後も継続すると説明しました。

日本政策金融公庫は、先日、丸住製紙の民事再生手続きに関連し、愛媛県内3支店に相談窓口を開設しました。

中小企業や農林漁業者の融資や返済についての相談を受け付けています。

大王製紙に次いで四国中央市で第2位の丸住製紙は、採算度外視で価格を下げて仕事を取りに行くほど経営状況が良くないことは、数年前から耳にしていましたが、コロナ禍で経営判断を誤ったんでしょうね。

装置産業は設備投資額がかなり多額になりますから、投資の判断を誤ると致命傷になりますね。

四国中央市の経済に与える影響が大きいでしょうから、きちんとしたスポンサーを選んで、再起して欲しいと思います。

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遅すぎたSBI新生銀の公的資金完済!

日本経済新聞によると、SBI新生銀行が3,300億円の公的資金を2025年度中にも完済する方針を決めました。

前身の旧日本長期信用銀行が1998年に一時国有化されてから四半世紀が過ぎ、遅ればせながら完済にたどり着きます。

国有化後も長きにわたって経営の迷走を招いた反省を金融行政の糧にすべきでしょう。

預金保険機構の金融危機管理審査委員会(佐々波委員会)が1998年に決めた主要21行向けの約1兆8千億円など、1990年代後半からの金融危機で国は総額10兆円を超す公的資金を注入しました。

SBI新生銀行は当時注入された公的資金を抱える最後の1行であり、その完済は歴史的な節目となります。

SBI新生銀行は3,300億円抱える公的資金のうち、まず1,000億円を2025年3月末までに返します。

残る2,300億円を2025年度中にも完済する計画を6月末までに固め、国と合意したい考えです。

SBI新生銀行の親会社であるSBIホールディングスは2021年に新生銀行(当時)にTOB(株式公開買い付け)を仕掛け、その2年後に上場廃止にしました。

国が持つ普通株を優先株に転換し、優先配当を払う形で公的資金の返済を進めます。

公的資金完済の暁には再上場を検討するようです。

上場廃止からわずか2年ほどで再上場する異例のケースになる可能性があります。

株価を上げて公的資金を返す本筋を避けた今回のやり方には「奇策」との批判もつきまといます。

それでもなお、SBI新生銀行の公的資金返済が行き詰まっていた状況を打破した点は評価すべきでしょう。

反省すべきは公的資金の返済が行き詰まるに至った経緯でしょう。

旧長銀は一時国有化後、米投資ファンドの傘下で新生銀行として再上場を果たしました。

しかしながら、個人向けビジネスやノンバンクに依存した成長は長続きせず、ガバナンスの不安もたびたび指摘されました。

経営が迷走を重ねた結果、国が大株主という異常事態が長引いたのです。

SBI新生銀行は公的資金の完済後も、国の支援で立ち直った事実を忘れてはなりません。

価値ある商品・サービスを提供し、社会に貢献する姿勢が問われます。

銀行は公共インフラを担う存在であり、経営危機に際して公的資金を使う意義はあります。

ただし、国の経営への関与は最小限にとどめるべきです。

今も公的資金を抱える地方銀行は複数あるが、旧長銀の轍を踏まぬよう、金融庁に細心の注意を求めたいですね。

長い期間かかりましたね。

現在の金融機関の多さを見ると、すべてを救う必要があったのかは疑問ですが、新たなサービスとかを打ち出して、あまりサービスに違いのない古い業界を変えてもらいたいなぁと思っています。

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創業100年超の香川県坂出市の温泉旅館「国立公園城山温泉」が負債約3億円で破産開始決定!

OHKによると、創業100年以上の老舗温泉旅館が自己破産を申請しました。

香川県坂出市府中町にある温泉旅館「国立公園城山温泉」が、先日、高松地方裁判所丸亀支部から、破産手続きの開始決定を受けたことが、民間の信用調査会社「帝国データバンク高松支店」の調べでわかりました。

負債額は約3億円とみられています。

帝国データバンクによると、「国立公園城山温泉」は1923年創業で、創業時は農機具の製造を行っていましたが、1950年頃から温泉旅館の経営を始めました。

大展望温泉からは瀬戸大橋や瀬戸内海が一望できるほか、ラドン成分を含む天然温泉として、神経痛などに効能があるとされていました。

また、施設内に観劇専用の芝居小屋を備え、劇団による大衆演劇などで集客を図り、ピーク時には年間3億円弱の売り上げがあったということです。

しかし、その後は健康ランドやスーパー銭湯との競合激化や、個人消費の冷え込みなども重なり、厳しい経営を余儀なくされていました。

さらに2020年からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、利用客がさらに減り、近年の売り上げは年間1億円を下回る状況が続いていました。

業況の回復が図れないなか、過去の設備投資に対する借り入れ負担が重荷となり、事業の継続を断念したということです。

負債は約3億円とみられています。

行ったことはないのですが、眺めが良いということは聞いたことがあるので、残念に思います。

高松市のスーパー銭湯などをやっている会社も、財政状況があまり良くない(悪い?)と耳にしますが、経営状況は厳しいんでしょうね。

最近は、インバウンド需要も増えており、今年は、瀬戸内国際芸術祭や大阪・関西万博の開催、香川県立アリーナのこけらおとしもあるので、香川県での人の動きはかなり増えると思っていたのですが、それらも期待できないと判断したんでしょう。

それにしても、創業100年超の企業は、何とかならなかったんでしょうか?

創業100年超の香川県坂出市の温泉旅館「国立公園城山温泉」が負債約3億円で破産開始決定となったことについて、あなたはどう思われましたか?


SNS炎上で大量在庫発生の徳島県の食用コオロギ生産のベンチャー企業が破産! 

NHKによると、食糧問題の解決に貢献しようと食用コオロギの生産や商品開発に取り組んできた徳島大学発のベンチャー企業がSNS上で炎上したことをきっかけに大量の在庫を抱えるなどしたため、裁判所に破産手続きを申し立てたことがわかりました。

破産手続きを申し立てたのは徳島大学発のベンチャー企業「グリラス」です。

民間の信用調査会社「東京商工リサーチ」によると、「グリラス」は2019年に設立され、世界で深刻さを増す食糧問題を解決するためタンパク質の解析や分析を行う技術などを用いて食用のコオロギの生産と販売を行っていました。

徳島県美馬市の廃校を利用した生産拠点を中心に粉末状にした「コオロギパウダー」を生産しパウダーを使った食品を販売していましたが、徳島県内の高校で希望する生徒に粉末を使った給食が提供されたことが、2022年から2023年ごろSNS上で炎上したことをきっかけに全国販売を計画していた案件などが次々と中止になり、大量の在庫を抱えるようになりました。

その後、畜産や水産向けの飼料生産などの事業を計画して国に対して設備投資などの補助金の申請を行いましたが、申請が通らず事業の継続を断念したということです。

このため「グリラス」は、先日、徳島地方裁判所に破産手続きを申し立て、その時点の負債総額は1億5,339万円だということです。

一時期、ニュースとかで結構取り上げられていたので、驚きました。

色々な考えの方がおられると思いますが、食べたければ食べれば、食べたくなければ食べなければいいのではないかと感じますので、SNSとかで叩く必要はあったのでしょうか?

先日、カイガラムシを結構食べているというお話しを聞きましたが、普段から口に入れているものでも、表示からはよく分からず、詳細を聞くと驚くことはそれなりにあるのではないかと思います。

叩くのではなく、自分で調べて、ご本人が納得すれば食べれば良いのではないでしょうか?

SNS炎上で大量在庫発生の徳島県の食用コオロギ生産のベンチャー企業が破産したことについて、あなたはどう思われましたか?


低価格テレビで一世風靡した「世界のFUNAI」が破産手続きへ!

日本経済新聞によると、船井電機(大阪府大東市)は、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けました。

主力の事業が海外勢との競争激化で苦しむなか、近年は2023年に買収した脱毛サロンチェーンの運営会社を1年で売却するなど迷走もみられました。

ホームベーカリー(パン焼き器)や低価格テレビで一世を風靡した関西の老舗企業は2008年の創業者の退任後、後継者選びに失敗し赤字体質に陥ったのです。

船井電機は創業者の船井哲良氏が立ち上げたミシンの卸会社が源流です。

1961年にトランジスタラジオ部門を分社する形で設立されました。

1980年代にホームベーカリー「らくらくパンだ」を発売し、ボタンを押すだけで焼きたてのパンを食べられる手軽さが消費者に受けました。

生産が注文に追いつかない人気商品になり、会社の知名度を高めました。

代名詞ともいえるテレビは、1997年のアメリカのウォルマートとの取引開始で販売に弾みをつけました。

アメリカの老舗家電メーカー「エマーソン」のブランド使用権の取得や、中国などで量産したテレビやDVDプレーヤーを北米で安く売る戦略が奏功し、2000年代初めまで2,000億円に満たなかった船井電機の売上高は2007年3月期に過去最高(3,967億円)を更新しました。

しかしながら、翌2008年3月期の売上高は前の期から30%減少しました。

北米市場を巡るソニーグループや韓国サムスン電子との競争激化に伴い、液晶パネルの調達などに苦戦したことが響いたのです。

上場以来初となる営業赤字を計上し、81歳になっていた船井氏は同じ年に社長を退任しました。

創業者の退任後はトップが安定しませんでした。

とりわけ2014年1月からの約3年半は4度の社長交代がありました。

生え抜きの幹部のほか、商社や電機大手出身者を抜てきし、最短約9か月で代わりました。

その間、オランダのフィリップスからブランド使用権を取得し、売り上げを一時回復させたものの、中国の海信集団(ハイセンス)などが船井電機より安い価格で北米に攻勢をかけると、再び劣勢に立たされました。

イギリスのオムディアによると、2012年に13.5%あった船井電機の北米市場における薄型テレビのシェア(出荷台数ベース)は2023年に2.8%まで下がりました。

日本ではヤマダホールディングスと業務提携し、2017年から現在まで「FUNAI」ブランドのテレビをヤマダの店舗で独占的に販売しています。

2021年に出版を手掛ける秀和システム(東京都江東区)の傘下に入り上場廃止となったため、損益は不明ですが、2023年に設立された船井電機の親会社(船井電機・ホールディングス)の事業報告書では、2024年3月期の映像機器事業の売上高は737億円でした。

船井電機は上場廃止になる前の2021年3月期までの10年間に、2年しか最終黒字を確保できませんでした。

再建に意欲を示した秀和システム代表の上田智一氏は2024年9月27日付で船井電機の社長と船井電機・ホールディングスの代表取締役を退きました。

柱の事業が競争力を失う過程で、事業構造の転換をなし遂げられなかったことが中堅家電メーカーの没落を招いたようです。

僕自身は船井電機の製品を買ったことはありませんが、ホテルの部屋のテレビが船井電機のものであったり、レッドソックスやエンジェルスのスポンサーになっていたので、スゴい企業なんだなぁと思っていました。

秀和システムに買収されたことを知りませんでしたし、ドジャースのスポンサーにはなっていなかったので、気にはなっていましたが、財政状態は良くなかったんですね。

日本を代表する国際企業がなくなるのは残念ですね。

ヤマダ電機が救うすべはなかったのでしょうか?

低価格テレビで一世風靡した「世界のFUNAI」が破産手続きに入ったことについて、あなたはどう思われましたか?


ついに「農協崩壊」がはじまった農林中金!

プレジデントオンラインによると、JAなどが出資する農林中央金庫の今期最終赤字が、1兆5,000億円規模になる見通しとなったと報じられています。

キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「農林中金は全国の農協が集めた60兆円超の資金を預かり、毎年3,000億円ほどの運用益を還元している。これらが縮小・消滅していくと、農協は倒産・崩壊の危機に直面することになる」といっています。

JAバンクの中央機関、農林中金は、先日の記者会見で、アメリカの金利高止まりによる外債価格下落で、2025年3月の赤字が5,000億円となる見込みとなり、傘下のJA農協から1兆2,000億円の資本増強を受けると公表しました。

ところが、後日、報道各社がその最終赤字は1兆5,000億円規模に拡大する可能性があると相次いで報じました。

2008年のリーマンショックの際にもサブプライムローン問題で5,700億円の赤字を計上し1兆9,000億円の資本増強を行っています。

JA農協の金融機関である農林中金が、なぜ多額の資金を外債で運用して損失を被ったのか、なぜ簡単にJA農協から巨額の金を集められるのか、不思議に思われる人が多いのではないでしょうか?

本稿では、その理由や背景と今回の赤字が農業に与える影響について述べられています。

戦前、農業には「農会」と「産業組合」という2つの組織がありました。
「農会」は、農業技術の普及、農政の地方レベルでの実施を担うとともに、地主階級の利益を代弁するための政治活動を行っていました。

農会の政治活動の最たるものは、米価引き上げのための関税導入でした。

農会の流れは、現在農協の営農指導・政治活動(JA全中の系統)につながっています。

地主階級が米価引き上げや保護貿易を推進したのと同様、農会を引き継いだJA農協は、高度成長期に激しい米価闘争を主導したし、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉、TPP等の貿易自由化交渉においては、農産物の貿易自由化反対運動を展開しました。

「産業組合」は、組合員のために、肥料、生活資材などを購入する購買事業、農産物を販売する販売事業、農家に対する融資など、現在農協が行っている経済事業(JA全農の系統)と信用事業(JAバンク、農林中金の系統)を行うものでした。

JA共済事業は、職員に過酷なノルマを課すことで、勧誘がうまくできないと自分で保険に加入したり他人の保険料を負担したりする自爆営業を行わせていることが問題となっています。

これは、戦後追加されたもので、本来農業と関連するよう考えられたものですが、今の事業は、生命保険や損害保険と変わりません。

当初産業組合は、地主・上層農主体の信用組合にすぎず、1930年の段階でも、零細な貧農を中心に4割の農家は未加入だったのです。

しかし、農産物価格の暴落によって、娘を身売りする農家も出た昭和恐慌を乗り切るために、1932年農林省は、有名な「農山漁村経済更生運動」を展開します。

産業組合は、全町村で、全農家を加入させ、かつ経済・信用事業全てを兼務する組織に拡充されました。

これを農林省は全面的にバックアップしました。

特に支援したのはコメの集荷と肥料の販売でした。

これに圧迫されたコメ商人や肥料商人から激しい“反産(産業組合)運動”が起こされました。

農山漁村経済更生運動の大きな目標は、農民の負債整理でした。

この手段として、産業組合が活用されました。

産業組合中央金庫は、その全国団体として設立されました。

半分が政府の出資によるものでした。

したがって、政府系金融機関としての性格が強く、理事長以下の幹部はほとんど役人でした。

これが、今の農林中金です。

産業組合中央金庫は、政府の出資金を利用して農業に低利で融資するものだったため、高橋是清蔵相は金融体系を乱すものとして設立に反対しました。

それを、農山漁村経済更生運動を推進した小平権一(後に農林次官)が、「あんなもの、頼母子講(タノモシコウ)に毛が生えたようなものですよ」と煙に巻いて認めさせたのです。

大きな頼母子講になったものです。

この二つの組織が、第2次大戦中、統制団体“農業会”として統一されました。

農業会は、農業の指導・奨励、農産物の一元集荷、農業資材の一元配給、貯金の受け入れによる国債の消化、農業資金の貸付けなど、農業・農村の全てに関係する事業を行う国策代行機関でした。

終戦直後の食糧難の時代、農家は高い値段がつくヤミ市場に、コメを流してしまいます。

そうなると、貧しい人にもコメが届くように配給制度を運用している政府にコメが集まりません。

このため、政府は農業会を農協に衣替えし、この組織を活用して、農家からコメを集荷させ、政府へ供出させようとしたのです。

これがJA農協の起こりです。

GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の意向は、戦時統制団体である農業会は完全に解体するとともに、農協は加入・脱退が自由な農民の自主的組織として設立すべきだというものでした。

農林省の中にも、そうした正論はありました。

しかし、戦後の食料事情は、そのための時間的な余裕を与えなかったのです。

こうして農協は農業会の「看板の塗り替え」に終わりました。

ヨーロッパやアメリカの農協は、酪農、青果等の作物ごと、生産資材購入、農産物販売等の事業・機能ごとに、自発的組織として設立された専門農協です。

これに対し、農業会を引き継いだJA農協は、作物を問わず、全農家が参加し、かつ農業から信用(銀行)・共済(保険)まで多様な事業を行う“総合農協”となりました。

欧米では、日本の農協のように、金融事業等なんでもできる農協はないのです。

農協法の前身の産業組合法も、当初は信用事業を兼務する組合を認めませんでした。

戦後、農協法を作る際も、GHQが意図したのは、欧米型の作物ごとに作られた専門農協だったし、GHQは、信用事業を農協に兼務させると、信用事業の独立性や健全性が損なわれるばかりか、農協が独占的な事業体になるとして、反対していました。

アメリカの協同組合に、信用事業を兼務しているものはないのです。

アメリカから日本のGHQ本部を訪問した人たちは、信用事業を兼務する協同組合が日本にあることに、みな驚いたといわれています。

しかし、農林官僚が日本の特殊性を強調し、総合農協性を維持しました。

信用事業を兼務できる協同組合はJA農協(と漁協)だけであるし、信用事業と他の業務を兼務することは、農協以外には、日本のどの法人にも認められていないのです。

農協の正組合員は、農業者です。

農業者のための協同組合だから、当然です。

しかし、農協には、地域の住民であれば誰でもなれる准組合員という独自の制度があるのです。

准組合員は、正組合員と異なり農協の意思決定には参加できませんが、農協の信用事業や共済事業などを利用することができます。

JA農協の前身だった産業組合は、農業に従事しない地主を含め地域の住民を組合員にしていました。

しかし、農協法を作る際、GHQは地主を排除するため、組合員資格を“農民”とすることにこだわったのです。

このため、元の産業組合のように、地域の住民であれば誰でも農協を利用できるようにするため、他の協同組合にない准組合員という制度を作ったのです。

利用者がコントロールするという協同組合原則からは完全に逸脱するものですが、歴史的な経緯から、やむを得ず、例外的に認められた制度でした。

戦後JAバンクは、食糧管理制度の政府買い入れ制度の下、政府から受け取ったコメ代金をコール市場で運用して大きな利益を得ました。

さらに、肥料メーカーには、独占禁止法の適用除外を認めた「肥料価格安定臨時措置法」によって1954年から1986年までカルテル価格が認められました。

本来の趣旨は、国際市場で価格競争をするため安くなる輸出向け肥料の損失を、国内向け価格を上げて補てんすることがないようにするというものでした。

しかし、制度の運用結果は、正反対のものとなったのです。

1954年当初は輸出向け価格と同水準であった硫安の国内向け価格は、1986年には輸出向け価格の3倍にまでなりました。

この法律は5年間の時限立法でしたが、制度の継続・延長を繰り返し要望したのは、肥料産業というより、肥料販売の大きなシェアを持つ農協だったのです。

高い価格を払うのは、農家です。

ところが、政府が農協を通じて農家からコメを買い入れていた食管制度の時代、肥料や農薬、農業機械などの生産資材価格は、政府が買い入れる際の価格(生産者米価)に満額盛り込まれました。

農協が農家との利益相反となるような行為を働いても、農家に批判されない仕組みが、生産者米価の算定方式によって、制度化されていたのです。

肥料などの農業資材を農家に高く販売すると、米価も上がります。

食管制度の下で米価を高くすると、農家にとってヤミに流すうまみが薄れ、農協を通じて政府に売り渡す量が増えるのです。

このため、農協のコメ販売手数料収入は価格と量の両方で増加します。

農協は、農家への資材の販売、農家の生産物の販売という両面で、手数料収入を稼いだのです。

高いコメ代金はJAバンクに預金されます。

また、農林中金は、高い肥料価格を保証された肥料産業へ融資しました。

1956年から10年間で、農林中金から肥料産業への融資額は13.5倍に増大し、農協の肥料販売シェアは、1955年の66%から03年には90%まで増加したのです。

米価引き上げで、コストの高い零細な兼業農家もコメ産業に滞留しました。

酪農家の84%が農業で生計を維持している主業農家であるのに対し、コメ農家の74%は副業農家で、主業農家は8%しかいないのです。

これらの農家の主たる収入源は兼業収入と年金収入です。

農家全体でみると、多数の米農家の存在を反映して、2003年当時で農業所得に比べ兼業所得は4倍、年金収入は2倍です。

これらは、JAバンクの口座に預金されました。

また、地価高騰による宅地等への巨額の農地転用利益もJAバンクに預金されました。

農地面積は1961年に609万haに達し、その後公共事業などで約160万haを新たに造成しました。

770万haほどあるはずなのに、現在は430万haしかありません。

食料安全保障に最も重要なものは農地資源です。

日本国民は、造成した面積の倍以上、現在の水田面積240万haを凌駕する340万haを、半分は転用、半分は耕作放棄で喪失しました。

160万haを転用したとすれば、農家は少なくとも200兆円を超える転用利益を得たことになります。

JAは、急増した預金量を農業や関連産業への融資では運用しきれなくなったのです。

このため、JAは、農協だけに認められた准組合員制度を活用して農家以外の人を組合に積極的に勧誘し、他の都市銀行に先んじて住宅ローンなどの個人融資を開始しました。

今や准組合員は634万人で農家組合員の1.6倍に達します。

また、准組合員はローンや共済を利用するだけでなく、預金もしてくれるので、さらに預金額は増えます。

JAは農家以外の組合員が多い“農業”協同組合となりました。 

1960年頃は、JAバンクの預金額が農業生産額を下回っていましたが、1970年頃から逆転し、今では10倍以上もの開きがあります。

JAが農業に融資したくても、預金額に比べて農業の規模はあまりに小さいのです。

さらに、農業には、政府系の日本政策金融公庫による長期低利の制度資金があります。

また、大きな農業法人のメインバンクは地銀となっています。

JAバンクの農業融資は、これらの金融機関と競合するのです。

このため、JAバンク全体で農業への融資は預金総額の1%程度に過ぎません。

現在JAバンクの預金量は109兆円に上ります。 

以前から、JAバンクの貯貸率(預金に対する貸し出しの比率)は3割程度であり、他の銀行に比べて著しく低いことが指摘されてきました。

JAは、准組合員向けの住宅ローンや自動車ローン、農家が農地転用した土地に建設するアパート建設資金への融資などで努力しても、30~40兆円程度しか処理しきれないのです。

60兆円超の運用を任せられる農林中金は、日本有数の機関投資家として海外有価証券市場で大きな利益を上げ、預金集めの見返りとして傘下のJAに毎年3,000億円の利益を還元してきました。

JAが簡単に資本増強に応じるのも、今までの受益の蓄積があるからです。

逆に、JAに利益を還元するためには、国内ではなく収益の高い海外で運用するしかなかったのです。

しかし、今回の赤字計上で、今まで通りの資産運用はできなくなっています。

2021年JAの収益は、信用(銀行)事業で2,425億円、共済(保険)事業で1,160億円の黒字、これに対して、農業関連事業は226億円、生活その他事業は229億円、営農指導事業は978億円の赤字です。

金融事業からの補てんで、農業等の事業を行っているのです。

別の見方をすれば、大手商社も農業資材分野で活動しているにもかかわらず、JA農協が肥料で8割、農薬や農業機械で6割の圧倒的な販売シェアを維持しているのも、この補てんによる効果があるからでしょう。

筆者の郷里の葬祭業者は店をたたんでしまいました。

住民が葬式を出そうとするとJA農協に頼むしかないのです。

今回の赤字の根源に農家や農協の“脱農業化”があります。

本籍農業のJAを支えるのは農林中金中心の金融業です。

信用事業の利益は、農林中金による利益還元のおかげです。

しかし、共済事業の自爆営業も、農林中金のマネーゲームも持続可能(サステイナブル)ではありません。

これらが縮小・消滅していくと、JA農協は倒産・崩壊の危機に直面します。

農政は、農協、農林族議員、農水省の三者による連合体で実施されてきました。

筆者は、『農協の大罪』(宝島社)という著書の中で、これを“農政トライアングル”と呼びました。

これは極めて強力な利益共同体でした。

農協は多数の農民票を取りまとめて農林族議員を当選させ、農林族議員は政治力を使って農水省に高米価や農産物関税の維持、農業予算の獲得を行わせ、農協は減反・高米価等で維持した零細農家の兼業収入を預金として活用することで日本第2位のメガバンクに発展しました。

今回の農林中金の赤字は、戦後政治で最大の利益団体となったJA農協の弱体化につながります。

政治力が弱まれば、減反政策のような「補助金」と「高いコメ代」という二重負担を国民に強いる政策についても見直されていくでしょう。

非効率な零細農家は離農し、その農地は専業農家に集約されて生産性が向上します。

本来農業振興のための組織だったJA農協の弱体化が、農業の再生につながるとは皮肉な話です。

個人的には、日本政策金融公庫の農業経営アドバイザー試験に合格し、農業関係のお仕事もさせていただいておりますが、非常に勉強になりました。

普段からJAの存在価値について考えることが多いですが、本当にゼロベースでJAの存在価値を考える時期に来ているということを再認識しました。

JAが儲かるのではなく、農家の方が儲かる農業にしないと、日本の農業に未来がないのではないかとおもいますね。

ついに「農協崩壊」がはじまった農林中金について、あなたはどう思われましたか?


経営者のモラル低下や放漫経営による倒産が急増!

2024年5月の企業倒産は約11年ぶりに1,000件を超えました。

物価高や人手不足などが増加の背景ですが、その影に隠れ「放漫経営」が急増しています。

2024年1-5月は累計190件で、過去10年間で最多を更新しました。

手厚い創業支援、個人保証に依存しない融資も増えましたが、一部の経営者のモラル低下と無謀な経営が倒産を押し上げています。
東京商工リサーチ(TSR)は、1952年に企業倒産の全国集計を開始しました。

5月に1,000件を超えましたが、月間最多は1984年5月の1,965件で、増えたと言ってもまだピークの半分です。

それでもコロナ禍で裁判所の受付が難しかった2020年5月の314件と比べると約3倍に増え、倒産が身近に迫っています。

TSRは倒産原因(主因)を、販売不振や他社倒産の余波、過小資本など10区分で集計しています。

全業種の倒産を、経営者や取引先、代理人弁護士、破産管財人などに取材し、原因を特定しているのです。

10通りのうちの1つに、「放漫経営」があります。

放漫経営は、経験不足などの「事業上の失敗」、異業種への進出失敗などの「事業外の失敗」、融通手形などの「融手操作」の3パターンに分かれます。
過去10年の1-5月の放漫経営を主因とした倒産は、2016年の188件が最多でした。

これまでの定説は「放漫経営の倒産は好況期に増える」でした。

好調な業績で事業拡大を無計画で進めたり、余剰資金を投資で増やそうとして失敗したりするのです。
ところが、コロナ禍で放漫経営による倒産が一変しました。

2021年同期は107件まで急減しましたが、これはコロナ不景気での減少ではありません。

ゼロゼロ融資などの手厚い支援で、倒産全体が減少し放漫経営が目立たなくなったに過ぎないのです。

しかし、支援縮小とともに放漫経営が顕在化し始めました。

起業しても従業員が集まらずに事業を始められなかったり、決算書作成を怠り税金を納めていなかったり、コロナ禍に隠れていた放漫経営の姿が明るみとなり、2024年同期は過去最多の190件に達しました。

放漫経営の倒産増について「経営者保証を付けないこと」が原因の1つと分析する審査マンもいます。

TSR集計で、2023年の新設法人は過去最多の15万3,405社に増えました。

経営者の個人保証に依存しない融資が次第に浸透し、起業マインドを底上げしたようです。
その副作用で、モラルハザードも起きています。

無計画な起業は、従業員や取引先に迷惑をかけるのです。

倒産増の局面では、勢いだけの経営者は、いずれ淘汰の憂き目に遭うことを教えています。

色々なところで、金融機関の支店長などお会いした時に、経営者保証のことを聞くことが多いのですが、金融庁が勧めているので、時代の流れとして外していくようにはなっていくと考えている方と、モラルハザードが起きるので正直なところ外したくはないと考えいる方とに分かれているように思います。

個人的には、どちらの意見もごもっともで、時代の流れとして外すのが当然になっていくとは思いますが、一方で、モラルハザードが起こらないようにしてほしいなぁ、緊張感を持って経営はやらないといけないのではないかなぁと思っています。

経営者のモラル低下や放漫経営による倒産が急増していることについて、あなたはどう思われましたか?


コロナ禍の支援策が重荷になるケースもあり農業関連業者の倒産が急増し過去最悪に! 

ITmediaによると、農業関連業者の倒産が急増しているようです。

帝国データバンクが調査結果を発表し、2023年度は81件の倒産があり、2000年度以降で最多だった2022年度(64件)を26.6%上回ったことが分かりました。

2024年度は4月に1件、5月に10件と計11件の倒産がすでに発生しています。

5月31日までの期間で、負債1,000万円以上法的整理による倒産を調査しました。

業種別で最も倒産が多かったのは「野菜作農業(きのこ栽培含む)」で24件で、前年度比で118.2%と急増しました。

次点は「施設野菜作農業(きのこ栽培含む)」で、同160.0%増の13件でした。

特に目立ったのが、きのこ生産業者の倒産です。

肥料やおがくずなどの価格、生産施設維持に関わる燃料費などが高騰し、収益を圧迫したことが背景にあるようです。

農業は事業初期段階で設備投資などの借入金負担が重く、収益化までの資金繰りがタイトになりやすいです。

コロナ禍前に創業した企業では、ゼロゼロ融資の返済が重荷となっているケースも多くなっています。

こうした中、2024年5月29日に食料・農業・農村基本法の改正案が参議院本会議で可決・成立しました。

農業単体でなく、食品製造や流通とも連携し、適正な利益を確保できるシステムを生み出す動きも進むなど、持続的な環境構築の取り組みも始まっています。

需給関係で価格が決まることが多いため、原価が高騰しても、価格転嫁が難しいのが、農業です。

こういう時こそ、JAに頑張って欲しいですね。

そうしないと、どんどん農家が減り、JAへの影響もあるでしょうから。

コロナ禍の支援策が重荷になるケースもあり農業関連業者の倒産が急増し過去最悪になったことについて、あなたはどう思われましたか?


休廃業が5万社と2022年のコロナ禍を超え10年で最多となり進む淘汰!

日本経済新聞によると、休業や廃業、解散を決めた企業が2023年に約5万社となり、比較できる2013年以降で最多となったようです。

物価や人件費が上昇するなか、新型コロナウイルス禍の補助金もなくなり、市場からの退出を選ぶ企業が増えています。

失業者の増加を招かないよう円滑な事業譲渡や人員受け入れの取り組みが重要になっています。

東京商工リサーチによると、2023年の休廃業・解散企業は前年比0.3%増の49,788社でした。

直近で最多だったのは、コロナ感染が広がった2020年の49,698社でした。

2021年はコロナ補助金や実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの公的支援で44,000社台まで減っていました。

2022年以降は49,000社台に戻りました。

休廃業・解散企業のうち、48%は直前の決算期が赤字でした。

赤字企業が占める割合は2016年の36%を底に年々上昇しています。

人件費の削減や補助金の活用で経営を続けてきた企業でも、足元のコスト高に耐えられずに赤字転落する例が増えたのです。

産業別では飲食店やホテルなどのサービス業が16,286社と全体の33%を占め、建設業が16%、小売業が12%と続きました。

いずれも人手のかかる業種です。

人手不足が休廃業・解散の判断につながっているようです。

人材サービス大手ディップによると、2024年1月のアルバイト・パートの平均時給は1,386円と前年同月比167円増え、過去最高を更新しました。

神奈川県横須賀市の酒卸・小売業を営む経営者は「昨年秋に時給を上げたがアルバイトの面接に人が来ない。春に大学生アルバイトが2人辞めてしまう。今後十分な人手を確保できるか不安だ」と人員確保の困難さを語っています。

黒字でも後継者が見当たらずに店をたたむケースは少なくありません。

休廃業・解散企業の代表者の年齢別では70代が全体の4割強にのぼっています。

一方、失業率は低水準です。

2月の完全失業率(季節調整値)は2.6%と低位にとどまります。

休廃業や解散が増えても失業率が上がらない理由のひとつに、休廃業や解散する企業の規模の小ささがあります。

有限会社や個人経営など従業員が少ない企業の休廃業・解散が増えているのです。

事業承継やM&A(合併・買収)で従業員が他社に移るケースもあります。

自動販売機向けの飲料品を扱う都内の卸売業者は2023年夏、同業の中堅企業に事業を譲り渡しました。

コロナ禍で自販機の売り上げが減り、値上げや採算性の低いエリアからの撤退に取り組んだものの業績は回復しませんでした。

40年近く営業してきました。

経営者の男性は従業員の雇用確保を優先して事業譲渡を決めました。

支援したメインバンクのきらぼし銀行が債権放棄に応じたことも寄与し、約30人の従業員のうち20人以上が譲渡先に移りました。

きらぼし銀融資管理部の牧岡大介副部長は「企業再生の弁護士と連携しながら、銀行と企業が抜本的な経営改革を決断できた」と話しています。

休廃業や解散を選ぶ企業は一段と増えそうです。

金利のある世界に戻ると、超低金利下で抑えられてきた債務の利払いは増えます。

ピクテ・ジャパンは2024年に企業の利払い費が最大で前年比4割増えると予測しています。

政府はコロナ禍の資金繰りから事業再生へと支援の軸足を移しています。

独力で再生計画を描くのが難しい企業は望む、望まないに関わらず退場を迫られる可能性があります。

従業員の雇用を確保するためにも円滑な事業譲渡やM&Aを支援する枠組みが重要になってきます。

人手不足が続いていますので、何とか休廃業を止めたいですね。

事業承継とか、M&Aとかで、微力ではありますが、公認会計士として貢献できればなぁと思っています。

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「コロラド」や「イノダ」などの京都の老舗カフェは事業承継で再興へ!

日本経済新聞によると、コーヒー文化が盛んな京都で、老舗喫茶店が事業承継による再興を探っています。

喫茶店「コロラド」を展開するワールドコーヒー(京都府京都市)は他の飲食店グループ経営者がスポンサーとなり体制を刷新しました。

イノダコーヒ(同)は投資ファンドの下で店舗拡大を図ります。

新型コロナウイルス禍や後継者難による行き詰まりの打破を目指します。

「京都でのワールドコーヒーの知名度は今でも高い。中長期ではピークだった20億円の売上高を目指したい」と、社長に就任して5か月の森田淳平氏は意気込んでいます。

2023年10月、ワールドコーヒーは債務を旧会社に切り離し、事業は新会社に移管する方式(いわゆる第2会社方式)での再生に踏み切りました。

スポンサーとなったのは焼肉店やカフェなど数十店舗を運営するダンシンダイナー(大阪府大阪市)のオーナーです。

森田社長は同社の人事部長も務めています。

1961年創業のワールドコーヒーは直営4店舗を運営し、足元の売上高は5億円ほどです。

1980年代の純喫茶ブームのころには20億円規模だった時期もありますが、前社長で現在は統括本部長を務める戸塚晴彦氏は「外資カフェチェーンなどに押されて近年は赤字が続いていた」と説明しています。

長年の負債に加え、コロナ禍で営業休止が広がりました。

コロナ対策融資の返済や特例で猶予されていた従業員の社会保険料納付が始まった2023年ごろ、資金繰りに行き詰まったのです。

新体制となり、ダンシンダイナーの系列店舗と仕入れを共通化するといった効率化策に着手しました。

仕入れ価格の上昇分の価格転嫁や、スーパー向け商品のパッケージ変更などの改革を急ぎます。

黒字体質に転換した上で「2年後をメドに店舗運営のモデルとなるような旗艦店をつくりたい」(森田氏)と話しています。

総務省の家計調査(2023年)によると、全国の都道府県庁所在地と政令指定都市の中で京都市の2人以上の世帯当たりのコーヒー(豆と粉末)の年間消費額は1万311円と、大津市(1万321円)に次いで全国2位でした。

コーヒー文化が根付いていますが、観光客の需要が多かった分コロナ禍の傷痕は深かったようです。

事業再生コンサルティングのみらいエフピー(東京都千代田区)の小林廣樹社長は「2023年に入ってゼロゼロ融資返済などが本格化した。喫茶店などの飲食業界を中心に、悪化した財務状況に改めて向き合わなくてはならなくなる事例が増えている」と指摘しています。

1940年創業で全国に9店舗を運営するイノダコーヒ(京都市)も2022年に投資ファンド、アント・キャピタル・パートナーズ(東京都千代田区)の傘下に入いりました。

イノダコーヒの前田利宜社長は「サロンのような静かな時間や空間を楽しんでもらうのが当社の強み。今後市場を見ながら複数店を出店したい」と話しています。

卵のサンドイッチなどを看板商品に喫茶店4店舗を運営するLa Madrague(ラマドラグ、京都府京都市)は2022年12月にサンマルクホールディングス(HD)の完全子会社になりました。

新型コロナ禍以降に営業赤字が続いていました。

サンマルクHDは「歴史ある店づくりの知見やレシピを生かし、新業態として好立地を選んで出店していきたい」(管理本部)と意気込んでいます。

観光客の回復に加え、昭和レトロブームなどの追い風で「若い世代や外国人の利用も多い」(サンマルクHD)。

資金力や運営ノウハウを生かしてブランド力を磨くことができれば、成長の道も見えてきそうです。

コメダも以前、ファンドが入って立て直していますので、カフェはうまく経営できれば、儲かる業種なんでしょうね。

出店で行き詰まるところが多い感じはしますので、資金があれば立て直せるのかも知れませんね。

京都に限らず、カフェは人々にとって、なくてはならないものだと思いますので、立て直しがうまくいって欲しいと思います。

「コロラド」や「イノダ」などの京都の老舗カフェは事業承継で再興していることについて、あなたはどう思われましたか?


「ゾンビ企業」がゼロゼロ融資の余波で2022年度比で3割増の25万社!

日本経済新聞によると、本業の利益で借入金の利払いをまかなえない「ゾンビ企業」が増えているようです。

2022年度は前年度比3割増の約25万社で11年ぶりの高水準となりました。

新型コロナウイルス禍に伴う政府支援で生き延びたものの、過大な債務を抱えて実質破綻状態に陥る企業が増えています。

事業譲渡など新陳代謝を促す再生支援が急務です。

帝国データバンクが国際決済銀行(BIS)が定める「ゾンビ企業」の定義に沿って、本業の利益や配当金で借入金の利払いをまかなえない企業を集計しました。

2022年度の「ゾンビ企業」の比率は前年度比3.6ポイント上昇の17.1%で6社に1社の計算になりました。

集計を始めた2007年度以降では2009〜2011年度(17.2〜19.8%)に次ぐ水準で、コロナ禍前の2019年度(10%)から急上昇しました。

リーマン・ショック後の2009年に金融機関に返済猶予や支払い期限の延長を求めた中小企業金融円滑化法が成立したのに伴い、2011年度は27万4,000社まで膨らみました。

その後は減少し、コロナ禍前の2019年度は14万8,000社でした。

増加の背景にはコロナ禍の緊急対応として政府が打ち出した資金支援があります。

2020年春に始まった実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の利用数(2022年9月末時点)は約245万件で、約43兆円の融資を実行しました。

ゼロゼロ融資はコロナ禍で中小企業の資金繰りを支え、倒産や失業者の急増に伴う社会不安の抑制に効果を発揮しました。

半面、迅速さを重視した結果、本来は融資を受けられないような企業を延命させたり審査が甘くなったりする副作用も生んだのです。

一定期間の元本返済と利払いを免除する制度だったため、目先の資金繰りを回すために債務を膨らませ、利払いすら困難になる企業が続出しました。

実質破綻状態に陥っても事業を続けようとするのは、経営者保証の影響も大きいです。

経営者個人が企業の債務を連帯保証するしくみで、企業が倒産すれば持ち家など生活の基盤までなくなってしまうという恐怖感が背景にあります。

金融機関も不良債権処理を先延ばししたいという誘因が働きやすく、政府の支援策などを使って延命させるケースは少なくありません。

「ゾンビ企業」の有利子負債は平均で月の売上高の約10倍に膨らみ、企業全体の平均の5.6倍を大きく上回っています。

平均の自己資本比率もマイナス5.4%と債務超過の状態で、手詰まり感は強くなっています。

ピクテ・ジャパンの大槻奈那氏は「2024年は長期金利の上昇や倒産リスクの上昇に伴う上乗せ金利の拡大などを背景に企業の調達金利が上昇し、利払い負担が増す可能性がある」と指摘しています。

足元では倒産件数も急増しています。

日銀で調査統計局長をつとめたSOMPOインスティチュート・プラスの亀田制作氏は「(倒産増は)過去の行き過ぎた支援策の反動であり、新たな資金支援の根拠にはならない」と話しています。

実質的に破綻状態にある「ゾンビ企業」が増えれば経済の新陳代謝は滞り、低賃金が放置されたり成長産業への労働移動が妨げられたりします。

政府も資金繰りから事業再生に支援の軸足を移す方針を示しています。

過大な債務の圧縮には金融機関の協力が欠かせません。

返済猶予や借り換えに応じるだけでなく、債権放棄や事業譲渡の支援など抜本的な策に踏み込む姿勢が求められますが、備えが万全とは言い難いです。

日銀によると、銀行が融資の焦げ付きに備えて積んでいる貸倒引当金は2023年11月時点で約3兆6,000億円です。

「ゾンビ企業」が27万社に膨らんだ2011年より3割ほど少ない水準で、貸し倒れに伴う損失のショックはそれだけ大きくなります。

金融システムへの負荷を抑えながら「ゾンビ企業」を減らしていけるか、金融機関の覚悟も問われます。

コロナの5類以降で、経済活動も通常に戻ってきているかと思います。

生活スタイルの変化などで、コロナ前の水準には戻らないとは思いますが。

このような中で、ゾンビ企業が日本経済の回復の足を引っ張ることは避けないといけないでしょう。

コロナが始まってからかなり時間が経っていますので、企業が対応しないといけない点は分かっていると思いますので、資金繰りから事業再生に支援の軸足を移すのは当然のことでしょう。

金融機関は、真摯に取り組んで欲しいですね。

「ゾンビ企業」がゼロゼロ融資の余波で2022年度比で3割増の25万社になっていることについて、あなたはどう思われましたか?


人手不足倒産が2023年1月から10月は206件で過去最多!

日本経済新聞によると、物流や建設業界ではさらなる人手不足が懸念されているようです。

帝国データバンクは、先日、人手不足による企業の倒産件数が2023年1〜10月に前年同期比78%増の206件になったと発表しました。

集計値がそろう2014年以降の年間の最多件数をすでに上回っています。

建設業が件数の37%、物流業が16%を占めました。

いずれも2024年4月から時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)が適用される業種で、さらなる人手不足が懸念されています。

調査を担当した帝国データバンク情報統括課の旭海太郎副主任は、「今後人手不足による倒産の影響が一段と広がる可能性がある」と指摘しています。

従業員規模別にみると、10人未満の企業の倒産が155件で全体の75%を占めました。

10〜50人未満が23%で50人以上は1%のみでした。

業歴別では30年以上が最多の84件で41%でした。

小規模で業歴の長い企業ほど人手不足と事業継続懸念に直面しているようです。

いわゆるゼロゼロ融資の返済がすでに始まってきていますし、いわゆる2024年問題もありますので、今後数年間は倒産する企業が増加すると考えられます。

物流や建設は、日本経済を支えている業種だと思いますので、なんとかしないといけないですね。

国はどうする対応していくのかよく分かりませんが、本当に効果のあるものにとどめて、ゾンビ企業を増やすようなばらまきはやめてほしいですね。

人手不足倒産が2023年1月から10月は206件で過去最多だったことについて、あなたはどう思われましたか?


ゼロゼロ融資返済で苦境の企業支援は“事業再生を軸に” が金融庁の方針!

NHKによると、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中、過剰な債務を抱えて事業の継続が危ぶまれる中小企業も出ています。

こうした中、金融庁はこれまでの資金繰り面の対応から事業再生を軸とした支援の形に転換する必要があるとして金融機関に対し、取り引き先の事業再生に向けた取り組みを早いタイミングで実施するよう求めていくことにしています。

新型コロナ対策として中小企業などを対象に実施された実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中、過剰な債務を抱え、物価高や人手不足も重荷となって倒産に追い込まれる中小企業が相次いでいます。

こうした中、金融庁はこれまでの資金繰り面の対応から事業再生を軸とした支援の形に転換する必要があるとして、金融機関に対し取り引き先の事業再生や経営の改善に向けた取り組みを早いタイミングで実施するよう求めていくことにしています。

具体的には、金融機関が取引先と積極的にコミュニケーションをはかりながら経営悪化の兆候をできるだけ早く把握し、経営改善計画の策定や事業再生に向けたメニューの提案など金融機関に期待されるコンサルティング機能を発揮するよう促していくことにしています。

金融庁は月内にもこうした方針を金融機関に示すことにしています。

個人的には、金融庁や経済産業省や財務省などの施策の失敗により、いわゆるゾンビ企業をたくさん産み出す結果になっていると思っていますので、いまさら、事業再生を軸とした支援と言われてもどうなのかなぁと思います。

いったん、退場していただいて、再起を図るということにして、国が再起しやすいような施策を整備するということの方が長い目で見ると良いのではないかと思います。

また、金融機関にコンサルティングの能力があるかどうかも疑問ですし、支店等も減らし、人も減っている中で、膨大な数の事業者の支援ができるのでしょうか?

ゼロゼロ融資返済で苦境の企業支援は“事業再生を軸に” が金融庁の方針であることについて、あなたはどう思われましたか?


「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の運用開始から1年半で利用は145件!

帝国データバンクによると、コロナ禍で実行された実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資などの新型コロナ関連融資によって過剰債務状態に陥った中小企業の出口戦略としても注目されている「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」 (以下、GL)ですが、2022年4月の運用開始から1年半が経過しました。

2023年8月30日に公表された『挑戦する中小企業応援パッケージ』(経産省・金融庁・財務省)における「再生フェーズ」の体制整備項目となっており、10月17日には金融庁が活用事例を公表するなど徐々に利・活用が進んできているようです。

帝国データバンクは、GL手続きのなかで中立的な立場から再生支援を担う「第三者支援専門家」 として中小企業基盤整備機構および事業再生実務家協会が公表しているリストに登録のある専門家(弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士など213名)に限定してGLの対応状況についてアンケート調査を行い、判明した結果をもとに分析しています。

調査期間は2023年8月28日~9月29日で、有効回答数は213名中156名(回答率73.2%)となっています。

1.「第三者支援専門家」の活動状況

「第三者支援専門家」213名に対して、GL運用開始後、「GLに基づいた事業再生を手がけた・あるいは手がけているか」尋ねたところ、156名が回答(無回答57名)しています。

156名のうち「はい」が52名(構成比33.3%)、「いいえ」が104名(同66.7%)となっています。

運用から1年半で約3割の専門家が「第三者支援専門家」としてGLに基づいた手続きに関わったことが判明しました。

2.GLの利用実績

「はい」と回答した「第三者支援専門家」52名に、手がけた・あるいは手がけている案件について尋ねたところ、手続きが開始となった件数は145件でした。

145件のうち、再生型私的整理は99件(構成比68.3%)、廃業型私的整理は46件(同31.7%)でした。

手続きが開始となった145件の進捗について尋ねると、すでに再生計画案が成立したものが55件(構成比37.9%)でした。

このうち、計画をすでに実施・完了しているものが41件(同28.3%)でした。

計画案が成立した55件の内訳は、再生型私的整理が38件(構成比69.1%)、廃業型私的整理が17件(同30.9%)でした。

再生型38件のうち、債務減免、リスケがそれぞれ19件(同50.0%)でした。

計画をすでに実施・完了している41件の内訳は、再生型私的整理が28件(構成比68.3%)、廃業型私的整理が13件(同31.7%)でした。

再生型28件のうち、債務減免は19件(同67.9%)、リスケは9件(同32.1%)でした。

3.GLに基づく再生案件の特徴

2022年4月~2023年9月までに発生したGLに基づく事業再生案件145件について、「第三者支援専門家」に「業種」「所在地」「年商規模」「負債規模」「依頼を受けた経緯」について尋ねた結果を分析しています(1案件1回答ではないため、母数は一致しません。)。

業種別でみると、「製造」が33.0%で最も高く、「小売」が25.0%、「サービス」が13.0%で続きました。

「その他」には今回のGLで扱えるようになった社会福祉法人などがあります。

所在地別でみると、「関東」が33.0%でトップとなり、「近畿」が32.0%、「中国」が12.6%と続き、「関東」と「近畿」で全体の65%を占めました。

年商規模別にみると、「1億~5億円未満」が38.7%で最も高く、「5億~10億円未満」が18.3%、「10億~50億円未満」「5,000万~1億円未満」はともに17.2%となりました。

負債規模別にみると、「1億~5億円未満」が41.4%で最多となり、次いで「5億~10億円未満」が21.8%で続きました。

年商・負債いずれも「100億円以上」の案件はありませんでした。

「第三者支援専門家」を依頼された経緯を尋ねると、「外部専門家」からの依頼が72.9%と最も高く、次いで「金融機関」からの依頼が24.3%、「その他」が2.8%となりました。

「その他」は中小企業活性化協議会(以下、協議会)などがありました。

GLで、協議会では取り扱いのなかった廃業型私的整理が新たに設けられたため、協議会で進めていた案件が、GLの廃業型私的整理に移行したケースなども聞かれました。

4.まとめ

2022年4月から運用がはじまったGLの案件数は2023年の9月末時点で判明したのが145件となりました。

「第三者支援専門家」リストの専門家のうち、アンケートに回答した156名の約3割に当たる52名が「第三者支援専門家」としてGLに基づく私的整理を手がけたことが判明しました。

1人当たり1件~複数件手がけており、複数手がける専門家は「関東」と「近畿」に集中しています。

専門家のなかには「第三者支援専門家」ではなく外部専門家として関わっているケースも多くみられるほか、地域によっては企業や金融機関のGLに対する認知度が低く、再生メニューとしては全国的にはまだ定着していない印象です。

協議会の2022年度の再生計画策定支援の完了件数は1,067件で、そのうち債務圧縮や減免を伴う抜本的な支援は115件でした。

GLは、手続きが類似する協議会と比べるとまだ認知度も低く、件数は決して多くはありません。

他方で、協議会では扱うことができない社会福祉法人や学校法人等を扱うことが可能であるうえ、GLでしか扱えない廃業型私的整理手続きもあるなど、「需要は高く今後は増える」とみる専門家が多かったようです。

専門家からは実務面で「補助金の手続き」に関するコメントも多く聞かれましたが、慣れの問題もあり、案件数が増えるに従ってスムーズに行われるようになっていくものとみられます。

今後については、私的整理の選択肢として、専門家に限らず金融機関、中小企業自身においてもいかにしてGLの認知度を高めるかが当面の課題と言えるでしょう。

<第三者支援専門家からの主なコメント>

【GLの認知度や利用申請に関して】

スケジュール面が柔軟で使い勝手がよい。今後も硬直的にならぬよう実務家が工夫していくべき

地域によっては認知度が低く浸透していない部分もあるため、協議会が選ばれることが多い

担当者によってはGLへの理解に差があるため、金融機関向けの勉強会やセミナーが必要

慣れていないということもあるが、補助金の申請手続きが複雑で大変

【中小企業活性化協議会(以下、協議会)との役割分担などについて】

協議会は受理されるまでに時間がかかる一方、GLはスピード感をもって取り組める

GLには協議会のようなサポートや調整機能がないので、誰が音頭を取るのかで問題となる

協議会か、GLかの使い分けに迷いがあり、金融機関からもどちらがよいか質問を受ける

金融機関の認知度に濃淡があり、まだ「まずは協議会」というところが多い

【対象債権者について】

政府系金融機関はGLに積極的だが地銀や信金はまだ認知度が低い

協議会と類似した手続きなので、違和感はない様子で、スムーズに進む。メインバンクは協力的

廃業型ではリース会社も対象にいれることがあるが、リース会社にはまだ浸透していない印象

【再生型私的整理・廃業型私的整理について】

案件が持ち込まれるタイミングが遅く、手続きを進める間の資金繰りがもたず破産となった

廃業型はGLにしかなく、ニーズがある。後継者がいないケースに使いやすい

廃業型の入り口はたやすいが清算価値保障などを考えると終わり方が難しい

再生型はスポンサー探し、計画案、債権者との交渉など外部専門家の働きが大事。うまくいかなければ、後ろ倒しになる。入り口部分で主要債権者からある程度同意が得られないと困難

【担い手について】

GLの担い手が少ない。県内に「第三者支援専門家」の登録が少なすぎる

補佐人制度があるが、「第三者支援専門家」のいない県で登録者を増やすのは現状では難しい

企業に接触する専門家が再生メニューとしてGLを紹介するほど認知されていない

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」は、(一社)全国銀行協会を事務局とする「中小企業の事業再生等に関する研究会」によって2022年3月4日に公表、同年4月15日より運用が開始となった、事業再生について中小企業者・金融機関の基本的考え方や具体的な私的整理手続きを定めたものです。

ガイドラインは第一部「本ガイドラインの目的」、第二部「中小企業の事業再生等に関する基本的な考え方」、第三部「中小企業の事業再生等のための私的整理手続」に分かれています。

第二部において、中小企業者を「平時」「有事」の段階に分け、それぞれの段階で中小企業者と金融機関が果たすべき役割を明確化し事業再生等に関する基本的な考え方を示したことや、第三部において「有事」の場合に迅速に取り組める、新しい準則型私的整理手続きにおいて「再生型私的整理手続き」に加えて「廃業型私的整理手続き」を定めたことが注目されています。

「第三者支援専門家」は、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」において初めて定められた役割。私的整理の開始段階では弁護士などの専門家が関わる(「外部専門家」という)が、再生計画案の作成・調査を行う中立的な立場として外部専門家とは別に選任されます。

僕自身、香川県や愛媛県の案件に関わっていますが、今後、ゼロゼロ融資の出口戦略として使われることが多くなると思いますので、事例を集約するとともに、もっと認知度を高めないといけないのではないかと思いますね。

ガイドラインを使って、モラルハザードにならず、周りへの影響を抑えて再生とか廃業ができるのであれば、非常に意味のあることだと思います。

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の運用開始から1年半で利用は145件だったことについて、どう思われましたか?


天保年間創業の老舗である福岡県の酒造メーカーの鷹正宗が民事再生!

2023年06月08日(木)

東京商工リサーチによると、鷹正宗株式会社(福岡県久留米市)と、関連の叡醂酒造株式会社(えいりんしゅぞう、同市)は、先日、福岡地裁に民事再生法の適用を申請しました。
負債は、鷹正宗が約36億8,300万円、叡醂酒造が約2億5,100万円(いずれも2022年12月期決算時点)で、2社合計約39億3,400万円です。

鷹正宗は天保年間創業の老舗酒蔵で、「鷹正宗」のブランドで清酒の醸造を手掛け、高い知名度を有していました。
清酒離れが進むなか、近年は低価格帯の焼酎製造にも注力し、焼酎は麦焼酎を主体にパックの「めちゃうま」シリーズや、量り売りの「ごりょんさん」などを製造していました。

1988年8月には大手飲料メーカーが資本参加し、傘下入りしましたが、2008年6月には株式会社原武商店(福岡県久留米市)が当社株式を取得して、代表取締役会長に原武商店社長の原武康弘氏が就任し、以降は原武商店のグループ企業として新体制による業務を開始していました。

酒類の小売・卸売を手掛ける原武商店との相乗効果により、グループ業績は拡大していたとされていましたが、実際には業績不振に陥っていた模様で、2023年2月末には原武商店がバンクミーティングを開催しました。
これを機に同社の粉飾決算が明るみとなり、動向が注目されていました。

こうしたなか、原武商店が2023年5月末までに事業を停止し、6月1日に福岡地裁へ破産を申請しました。
これに連鎖する形で、鷹正宗と叡醂酒造の2社は民事再生法を申請しました。

やはり、M&Aも難しいですね。
今回のような母体が吹き飛ぶような案件は、慎重にやらないといけないですね。
粉飾も経営者としてダメでしょうね。
キチンと数値を事実として受け止め、早めに対策を打つべきだと思います。

天保年間創業の老舗である福岡県の酒造メーカーの鷹正宗が民事再生の適用を申請したことについて、どう思われましたか?


SBI新生銀の非上場化は買収当初から計画されていた!

SBIホールディングスは、先日、50%強の株式を保有するSBI新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、上場廃止にすると発表しました。
一般株主が持つ最大27%分の株式取得をめざします。
取得額は1,542億円です。
SBI新生銀行には約3,500億円の公的資金が残っています。
上場廃止により、利益剰余金での返済の道を探るようです。
SBIはSBI新生銀行や金融庁へTOBを実施する方針を伝えました。

この発表にメガバンク幹部は、「やはりこの手しかなかったのだろう。SBIの北尾吉孝氏とSBI新生銀行会長で元金融庁長官の五味広文氏との連携プレーだね」と指摘しました。
大手銀行で唯一公的資金が残るSBI新生銀行の返済は難題中の難題でした。

新生銀行は1998年から公的資金の注入を受け、1,500億円を返済しましたが、約3,500億円が未返済となっています。
2000年に当時の谷垣禎一金融再生委員長は公的資金の返済に関し、政府保有の新生銀行株の時価総額が500億円を超えることが条件との趣旨の国会答弁を行っています。
株価に引き直せば1株7,450円となります。
現状のSBI新生銀行の株価では100年たっても無理とみられていました。

実はこの公的資金返済の裏技は、SBIが新生銀行買収当初から発案されていました。
SBIは2019年4月から新生銀行株を買い増し始め、同年夏にはSBIの北尾氏が新生銀の工藤英之社長(当時)を訪ね、資本提携の提案を行っています。

その時、北尾氏が工藤氏に手渡した「公的資金返済プラン」と題する書類には、①SBIが48%を上限に新生銀行株を取得(連結子会社化)②自社株買いなどで一般株主の比率を低下③公的資金を注入している国とSBIの議決権が計90%に達した段階で非上場化④国の保有株を買い取り、公的資金を返済する、いわゆる「スクイーズアウト」を実施する–という内容が盛り込まれていました。

新生銀行株を市場で売却して公的資金を回収することは現状の株価水準からみて難しい以上、新生銀行株を非上場化し、株価が市場価格から離れることで、株価の算定方法も多様化します。
新生銀行の利益剰余金は2023年3月末で3,900億円超あります。
自己資本比率の問題は残りますが、市場を介さなければ返済は可能でしょう。

この案が浮上した背景には、SBIが新生銀行を買収し、経営陣に五味氏を送り込んだことが関係しています。
「五味氏は新生銀行に金融庁幹部として公的資金を入れた当事者。その返済に責任を感じていた」(メガバンク幹部)のためです。
同様に、現在の金融庁幹部にとっても、SBI新生銀行に残る公的資金の返済は頭痛の種でした。
まさに渡りに船ということでしょう。

これで公的資金が返済できるのであれば、すごく良いことでしょうね。
いつ想像し得ないことが起こるか分からない時代であり、また、公的資金を注入することが生じるかもしれませんし、モラルハザードが生じるかもしれませんし。

SBI新生銀の非上場化は買収当初から計画されていたことについて、どう思われましたか?


千葉の医療法人社団心和会が過去3番目の規模の倒産!

日経産業新聞によると、千葉で2023年4月、負債132億円という医療機関として過去3番目の大きさとなった倒産が発生しました。
「八千代病院」などを運営し、約1,200人の従業員が働く医療法人社団心和会(千葉県四街道市)が2023年4月4日に民事再生法の適用を申請し、倒産しました。
医療とリゾートの融合など新たなサービスを進めてきた法人が、なぜ巨額の負債を抱えることになったのでしょうか?

心和会の歴史は、1946年に荒井元吉氏が千葉県四街道市に個人経営の診療所を開設したことにはじまります。
その後、1954年に医療法人荒井病院に法人改組し、1955年に八千代市に新しく八千代診療所を開設、1957年に同診療所を八千代病院(当時53床)に変更して礎を築き、1967年に法人名を心和会に改称しました。

事業規模が大きくなったのは1983年に新八千代病院(当時200床)を開設させたことがきっかけです。
さらに、1988年に八千代病院を現在の場所に移転させて372床に増床させ、さらに1991年に現在の422床に増床させました。
このような初代の事業展開を経て、1992年に荒井壽明氏が2代目理事長に就任しました。

壽明氏は1992年の介護老人保健施設・荒井記念ホーム(100床)をはじめ、複数の訪問看護ステーションやクリニックなどの開設に携わり2009年に約17年の任期を終えました。

2009年に3代目の理事長としてバトンが引き継がれたのは、壽明氏の三男である荒井宗房氏で、2009年3月期の年収入高は約60億7,200万円まで増加していました。

宗房氏の就任後は、人間ドックからフィットネス、スパを手がける医療リゾートのシンワメディカルリゾート(2011年)、シンワメディカルリゾート柏の葉(2016年)のほか、成田リハビリテーション病院(2017年、100床)、江東メディカルタワー(2018年)、シンワメディカルリゾート宮古島(2021年)などを手がけ、医療と健康・美容の融合や医療とリゾートの融合など新しいサービスを進めてきました。

心和会の2008年3月期以降の15期分の業績推移を見ると、年収入高は一度も前期を下回ることがなく増加し続け、2015年に70億円、2019年に80億円、2021年に90億円を突破しました。
2022年3月期には約97億5,900万円と100億円目前になっています。

ただ一方で、利益(当期純利益)は近年悪化していました。
2009年を除き利益を計上し続けていましたが、2019年、2021年、2022年と赤字の計上が続いていました。
2019年は役員退職金約10億5,100万円を臨時費用として計上したことなどから約12億7,900万円を計上しました。

また、新たにはじめたリゾート関連の事業は新型コロナウイルス禍の影響もあり、当初の計画通りに進んでいなかったようです。
相次ぐ施設の開設もあり、借入金(長期・短期合計)は宗房氏の理事長就任時と比較して約3倍に膨れ上がっていました。

さらに、開設されて間もないシンワメディカルリゾート宮古島の営業が2022年12月末をもって終了しました。
2023年2月1日には宗房氏から宗房氏の兄である荒井泰助氏に理事長が交代しました。
「ついに情勢が急変する前兆かもしれない」とある関係者は語っていました。

そうしたなか、心和会は2023年4月4日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請しました。
負債は金融債務約58億4,800万円、一般債権約27億1,000万円など含めた計約132億円で、債権者数は275人にのぼりました。

2022年3月期末時点の負債は決算書上で約80億9,900万円となっていたことから約51億円もの差異があることになります。
背後にこれまで公にされてこなかった大きな問題が潜んでいるのではないかと関係者の間でささやかれていました。

132億円の負債は、医療機関の倒産として医療法人育和会(大阪、2002年民事再生法)の200億円、浪速医療生活協同組合(大阪、2005年民事再生法)の134億円に次ぐ過去3番目の規模となり、医療関連の審査関係者の間でも大きな話題となりました。

もともと医療機関は安定経営の事業者が多いとされています。
なかでも病院の倒産は年間5件(2022年)と一般企業と比べて極めて少なくなっています。
そうした中で発生した心和会というまれにみる「大倒産」は医療機関の倒産史に極めて大きなインパクトを残しました。

心和会の支払い遅延に関する情報を耳にするようになったのは2021年春を過ぎた頃からだったようです。
以後、毎月のように支払い遅延・延期要請をはじめとする信用不安情報が帝国データバンクに寄せられるようになり、特に不動産や手形に関連したトラブルが多く、不可解な人脈・関係性が見え隠れしていました。

2023年4月4日、民事再生法の一報を受け、大手医薬関連企業の審査担当幹部は「過去から信用不安情報をキャッチして警戒感を高めていたところ、2022年春に心和会の割止め情報が入り、取引撤退を社内にて決定していた」と話しています。

翌4月5日には、心和会のホームページに「民事再生手続申し立てに関するお知らせ」がアップされましたが、そこに書かれていた申し立ての経緯の内容に驚いた人は多かったはずです。

そこには、近年、意図せずに外部の者による不当な介入を受け、前理事長がこれらの者から度重なる詐欺・恐喝を受け続け、抗拒不能の状態に陥り資金流出を許してしまったという内容が書かれていました。
東京地裁に提出された申立書の中にも申し立てにいたった理由について、同じことが書かれているようです。

心和会の従業員は1,204人で、数多くの患者が存在し、多方面の取引先も有し、地域の医療だけでなく、経済・雇用も支える存在となってきました。
それだけに再生を進めていくには前理事長の経営責任を含めた徹底した原因究明が求められます。
本業とは関係ないと思われる要因が飛び交っている今回の倒産劇ですが、これまで心和会と関係を保ってきた従業員、金融機関、一般取引先、そして患者とその親族の感情にも大きく影を落としそうです。

次々と設備投資を行なっていたため、その減価償却費などで赤字になったと金融機関などには説明していたのかもしれませんが、実際は思ったほどの収益が上がらず、粉飾をして、それを補ったり、隠すために、どんどん設備投資をしていたのかもしれませんね。
規模が大きいだけに、金融機関としても、取引をしたかったでしょうし。
基本的には、フリー・キャッシュ・フローの範囲内で設備投資を行なうのが普通だと思いますが。

千葉の医療法人社団心和会が過去3番目の規模の倒産したことについて、どう思われましたか?


2022年は物価高・人手不足が打撃となり企業倒産が3年ぶりに増加!

日本経済新聞によると、2022年の日本国内の企業倒産件数が3年ぶりに前年を上回ったようです。
ウクライナ侵攻などで原燃料価格が高騰し、建設業や運輸業で資金繰りが行き詰まりました。
2021年が実質無利子・無担保融資の「ゼロゼロ融資」の恩恵で57年ぶりの低水準だった反動もあり、年8,000件台で推移していた2019年以前に比べれば少なくなっています。
ただし、物価高や人手不足は厳しさを増し、2023年は中小を中心に倒産がさらに増える可能性があります。

東京商工リサーチ(TSR)によると、2022年の倒産件数は11月まで8か月連続で前年同月を上回り、11月までの累計で5,822件と前年同期比5%増えています。
通年では6,400件程度となり2021年通年(6,030件)を超えたもようです。

負債総額は2兆3,000億円程度と、2021年の1兆1,507億円から倍増したもようです。
2017年の3兆1,676億円以来の高水準となります。
2022年には1兆円超の負債を抱えて民事再生手続き入りした自動車部品大手マレリホールディングスなどの大型倒産がありました。

ロシアによるウクライナ侵攻や円安で燃料や原材料の価格が高騰しました。
コストの上昇分を転嫁しきれず、採算が悪化する企業が増えました。
特に建設業や運輸業で倒産が広がりました。
1~11月の合計で建設業は2021年前年同期の件数を13%、運輸業は33%それぞれ上回りました。
件数全体の増加(5%)に比べ建設と運輸の増加が鮮明です。

2022年は物価高の影響が目立ちました。
帝国データバンクによると、仕入れ価格上昇などが原因の「物価高倒産」の件数は昨夏以降増加が目立つようになっています。
2022年11月まで5か月連続で最多を更新し、11月の物価高倒産は46件と全体の1割弱になりました。

人手不足も影を落としています。
コロナ禍から経済が回復するなか、働き手が確保できず経営に行き詰まるケースが出ています。
TSRによると、2022年11月は経済再開の恩恵を受けやすい飲食や宿泊業でも倒産件数が増加しました。
飲食が前年同月比26%増の49件、宿泊が50%増の6件でした。
慢性的な人手不足に悩む介護関連も1~11月の合計で2021年通年の件数を67%上回り、過去最高水準にあります。

日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、全規模全産業の雇用人員判断DI(「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いた値)は2022年12月時点でマイナス31と、近年では最も深刻だった2018~2019年ごろの水準に接近しました。

後継者不足も深刻です。
TSRの集計では、国内の企業経営者の平均年齢は2021年時点で62.77歳と過去最高でした。
2022年には経営者不在が原因の倒産が1~11月合計で389件と11%増え、通年では過去最多になったようです。

2023年は実質破綻状態でありながら延命する「ゾンビ企業」の退場を促す流れが加速する可能性があります。
ゼロゼロ融資の元金返済が本格化し、当初実質免除されていた利払いも始まります。
日銀が大規模緩和を修正し、企業の利払い負担が増える可能性もあります。

2023年は、ゼロゼロ融資の元本返済や利払いが始まるため、倒産件数が大幅に増えそうですね。
会計事務所は再生系の仕事がおそらく増えるでしょう。
国が何かするかもしれませんが、単なる延命にすぎないような政策は、日本の将来のためにもやめてほしいですね。

2022年は物価高・人手不足が打撃となり企業倒産が3年ぶりに増加したことについて、どう思われましたか?


経済産業省が中小企業支援で信用保証協会等と連携協定を締結!

TabisLandによると、経済産業省(地方経済産業局・沖縄総合事務局)はこのほど、増大する債務に苦しむ中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援をさらに加速するため、信用保証協会、中小企業活性化協議会と支援態勢構築に向けた連携協定を締結しました。

経済産業省はこれまで、2022年3月に策定した「中小企業活性化パッケージ」に基づき、コロナ禍で増大する債務に苦しむ中小企業支援を進めてきましたが、より多くの事業者の収益力改善・事業再生・再チャレンジを促すため、中小企業活性化協議会と信用保証協会の連携強化などによる「中小企業活性化パッケージ」のさらなる実行加速が求められているところです。

こうしたなか、2022年9月8日に経済産業省、金融庁及び財務省で「中小企業活性化パッケージNEXT」を策定・公表し、収益力改善支援・事業再生・再チャレンジの総合的支援をさらに加速するための追加措置の一つとして、信用保証協会、中小企業活性化協議会及び地方経済産業局の間で連携協定を締結することとしています。

これを受け、中小企業活性化協議会及び信用保証協会の連携を深化させ、強み・弱みを補完し合うことでより多くの中小企業に支援を届けることができるよう、このほど全国47都道府県において、実効的な支援態勢の構築に向けた信用保証協会、中小企業活性化協議会及び経済産業局等の連携協定を締結しました。

協定の主な内容は、1)連携深化の前提としての対話と支援対象・内容の共有、2)信用保証協会を起点とした中小企業活性化協議会との連携(プッシュ型経営支援)、3)中小企業活性化協議会を起点とした信用保証協会との連携、4)中小企業及び経営者個人の破産回避に向けた積極的な連携、5)外部意見を積極的に取り入れた更なる質向上の取組み、などです。
中小企業に対するさらなるフォロー体制の拡充に期待が寄せられます。

コロナ融資の返済がそろそろスタートし、返済できない事業者がたくさん出てくると思われますので、中小企業活性化協議会(旧中小企業再生支援協議会)及び信用保証協会の出番は今後かなり増えると思いますので、連携は良いことですね。
モラルハザードの問題もありますので、すべてを救うことが必ずしも良くないことだとは思っていますが。
我が香川県の場合、双方のトップがともに僕の大学の先輩ですので、ますます期待したいと思います。

経済産業省が中小企業支援で信用保証協会等と連携協定を締結したことについて、どう思われましたか?


マレリHDの法的整理で露呈した“全会一致”の限界!

東京商工リサーチによると、準則型私的整理の一種である事業再生ADRで再建を模索していたマレリホールディングス株式会社は、先日、ADR手続きが不成立となり、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。
負債総額は1兆1,330億円です。

ADR手続きで検討されていた再建案は、対象債権者9割以上の同意を得ており、簡易再生での再建を目指しまします。
マレリHDは商取引債権を全額弁済する方針ですが、金融債務のみを対象とした私的整理のとん挫は、2021年に改正された産業競争力強化法に大きな問いを投げかけました。

事業再生ADRは、会社更生法や民事再生法などの法的整理とは異なり、裁判外での紛争解決を目指すもので、金融債権者を対象とします。
裁判所を通さないため、憲法が保障する「財産権」や「法の下の平等」を超えることが出来ず、対象債権者の全会一致が原則です。

ただし、他の貸出先との兼ね合いで債権カットの行内調整がつかなかったり、自行に有利な条件を要求する金融機関もあり、全会一致に苦慮するケースもあります。
事業再生が必要な企業は多額の債務を背負っており、商品開発や設備投資など将来に向けた投資ができず、ADR手続きの長期化は事業価値の毀損をもたらすこともあります。

このため、2014年~2015年にかけ、事業再生ADRを念頭に多数決による成立が検討されました。
ここでの議論も踏まえ、根拠法の産業競争力強化法は以降2度にわたって改正されました。
2021年の改正では、事業再生ADRが成立しない場合、「簡易再生への移行」、手続きのなかで検討された「同一再建計画の成立見込みの予見性向上」が規定されました。
関係者の間では「ごね得の排除」と呼ばれ、金融債権者からみた場合の法的整理のインセンティブがほぼなくなるため、事業再生ADRの成立を後押しする効果が期待されました。

こうした流れを汲んだにも関わらず、マレリHDは一部の金融機関の反対で全会一致ができず、法的整理へ移行しました。
法的整理は「倒産」であり、期限の利益を喪失し、個別の契約条項の巻きなおしを迫られたり、与信限度額の引き下げ、最悪の場合、取引停止もあり得ます。
また、法的整理の申立では、株主や出資先、取引先の概要なども裁判所へ提出しますが、こうした書類は一定の手続きを経ると閲覧可能でライバル企業に手の内を晒すことになります。

国内の金融機関は、法的手続きによるこうした事業毀損が最終的に取引先の業績や従業員の待遇に結びつくことも考慮します。
1社(グループ)への債権放棄による損失の方が、法的整理による計り知れない影響よりも小さいとの理屈です。
最近では、「地域の経済合理性」などで債権放棄を理論立てる動きもありました。

しかしながら、海外の金融機関は、当該企業の取引先や従業員と取引関係にないこともあります。
つまり、法的整理のインセンティブはないがデメリットもないのです。
今回はこの盲点を突かれた格好です。

2022年6月7日に公表された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、「全ての貸し手の同意は必要とせず、裁判所の認可の下で事業再構築等に向けて多数決により権利変更(金融債務の減額等)を行う制度も存在する」と諸外国を例示しながら、「事業再構築のための私的整理法制の整備」を明記しました。

マレリHDのケースは、準則型私的整理の限界も垣間見せました。
事業価値毀損の回避に向けたさらなる検討が急がれます。

再生については詳しいことは分かりませんが、こういったことで企業の価値が毀損していくのは残念なことだと思いますし、国際的な企業が、国際的な競争から取り残されていくのは、日本経済にとっても良くないことだと思います。
実態にあった法律にして欲しいですね。

マレリHDの法的整理で露呈した“全会一致”の限界について、どう思われましたか?


鶏卵最大手のイセ食品が会社更生法の手続きへ!

日本経済新聞によると、鶏卵最大手のイセ食品(東京都千代田区)は、先日、会社更生手続きに入ったと発表しました。
グループ会社も更生手続きに入り、帝国データバンクによると2社合計の負債総額は453億円です。
全国に生産拠点を構え、アメリカやアジアに進出するなど拡大路線を続けてきましたが、近年は業績が低迷して過剰債務に陥っていたようです。
飼料や燃料など生産コストの上昇も重なり、資金繰りに行き詰まりました。

他に更生手続きに入ったのは、イセ(富山県高岡市)で、2社の株主と債権者が東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されました。
今後は再建に向けてスポンサーを探すとみられます。
金融機関との間で、当面必要な資金の融資を受けるための契約を締結済みで、商品の供給などに影響はないとみられます。

イセ食品の創業は1912年。「森のたまご」などのブランド名で鶏卵を全国のスーパーなどに卸しています。
国内7か所で鶏卵のパッキング工場を構えるほか、1980年代にはアメリカへ進出し、アメリカトップクラスの事業規模となりました。
イセ食品の売上高は500億円程度とみられます。

近年は過剰債務を抱え、資金繰りが悪化していました。
2022年1月には資金確保のため、札幌市のグループ会社を同業に売却すると決めました。

イセ食品の創業家出身であり、長年にわたり代表取締役を務めてきた伊勢彦信前会長は2021年6月末で退任しています。
業績が低迷し、取引金融機関などから経営責任を問われたのが理由のようです。

伊勢氏は日本有数の美術品収集家として知られています。
2018年夏ごろには、伊勢氏が関わる会社が格安スーパーとして関西圏で知名度が高い「スーパー玉出」を買収して話題となりました。

以前、スーパーで卵を見ると、『イセ食品』のものばかりだなぁと思った記憶がありますが、最大手だったんですね。
やはり、もともと価格が安いものは、近年のコスト上昇がかなりの影響を与えていると思いますので、うまく値上げをしないと、厳しい会社は多いんでしょうね。
会社ではなく、株主や債権者が会社更生法の申請をしており、他の報道によると、創業家は反対をしているということですが、会社としても美術品をたくさん持っているのではなかと思われますので、今後どうなるかウォッチしていきたいですね。

鶏卵最大手のイセ食品が会社更生法の手続きへ入ったことについて、どう思われましたか?


不採算店の退店が功を奏し「いきなりステーキ」が黒字化を達成!

M&A Onlineによると、過剰出店と新型コロナウイルス感染拡大のダブルパンチで大不振に陥ったいきなりステーキが息を吹き返しているようです。
2021年12月期第3四半期において、いきなりステーキ事業単体で9,500万円のセグメント利益(前年同期は18億500万円の損失)を出しました。
事業の売上高は前期比39.3%減の127億1,400万円となったものの、利益が出る体質へと変化しました。

投資ファンドJ-STARにペッパーランチを譲渡して73億2,000万円の売却益を得たペッパーフードサービスは、アドバンテッジアドバイザーズ傘下のファンドを引受先とする第三者割当増資も実施して100億円を調達し、債務超過を脱して自己資本比率は25.1%まで回復しました。

調達した資金で徹底的な退店を実施しているペッパーフードサービスは、着実に稼ぐ力を取り戻しています。

いきなりステーキ事業単体では黒字化を達成しましたが、「炭焼きステーキくに」「牛たん仙台なとり」など他のレストラン事業が1億1,500万円のセグメント損失を計上したため、会社としては2021年12月期第3四半期に1億9,700万円の純損失(前年同期は33億400万円の純損失)を計上しています。
ただし、通期では6,100万円の純利益を予想しています。

ペッパーフードサービスの業績回復に向けた一番の取り組みは、114店舗という桁違いの大規模退店計画です。
すでに107店舗は閉店が決定しています。
飲食店は原状回復させるための費用が、一般的な相場で1坪当たり5万円前後必要です。
いきなりステーキのように特殊な店づくりの場合は居抜き物件としての売却は難しく、原状回復が求められるでしょう。
店舗の坪数は20坪ほどなので、単純計算で100店舗の退店費用だけでも1億円にのぼる計算です。

その他、早期撤退による賃料の支払いや従業員の退職金など、相当な額の費用が必要になります。
また、退店による会計処理で特別損失を計上することにより、利益も圧迫されます。
多店舗展開する飲食企業が、退店よりも業態転換で店舗を存続しようとする理由はそこにあります。

しかし、ペッパーランチ事業の売却とアドバンテッジへの第三者割当増資によって巨額の資金を調達したペッパーフードサービスは、大規模な退店を決めました。
その成果は出ています。
2020年12月期までは事業単体で全く利益は出ていませんでしたが、2021年12月期に入ってからは赤字を一度も出していません。

■いきなりステーキ事業四半期ごとの売上高と利益の推移(単位:百万円)

2020年12月期

2021年12月期

第1Q

第2Q

第3Q

第4Q

第1Q

第2Q

第3Q

売上高

10,021

14,809

20,953

26,954

4,572

8,665

12,714

セグメント利益

-542

-1,427

-1,805

-1,727

23

76

95

利益率

0.5%

0.9%

0.7%

※決算短信よりM&A Onlineの筆者作成

■いきなりステーキ既存店の対計画比月次売上

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

103.2%

106.6%

114.1%

91.4%

74.2%

71.2%

72.9%

66.2%

62.0%

※「取り組み施策の進捗状況」よりM&A Onlineの筆者作成

3月までは既存店の売上高が計画を100%上回っていましたが、5月に急降下して大幅に下回っています。
背景には新型コロナウイルスの感染再拡大と4度目の緊急事態宣言があったためと考えられます。
計画時はそこまで状況が悪くなることを見越していなかったのでしょう。

10月に入って緊急事態宣言が終わり、感染者数も激減しました。
不採算店の退店が終わった後の業績回復には、集客が欠かせない条件となります。

そのためペッパーフードサービスは、これまでにない取り組みを実施しています。
その1つが立地特性を分析して、エリアに合わせた商品開発です。
様々な部位を楽しめるよう、ステーキを小口に分けたトッピングステーキやビーフシチューハンバーグなどを一部店舗で導入しました。
6月からは事前決済で待ち時間なく食事ができるモバイルオーダーも導入しています。

リモートワークが解除され、オフィスに戻る人の姿が目立つようになりました。
いきなりステーキのランチ需要も活発になるものと予想されます。

株価は2020年1月の1,000円台から1年後の2021年1月13日に240円まで下落しました。
しかしながら、11月24日には435円まで回復しています。
これまでにない難局を乗り切ったペッパーフードサービスですが、再び高収益企業に返り咲くことができるのか。注目が集まっているようです。

数年前に大学院の授業のレポートのテーマで取り上げたため、非常に気になる会社ですが、儲かっているペッパーランチ事業を手放し、どん底のいきなりステーキ事業を残したことには驚きましたが、業績は回復しているんですね。
先日も、一流料理人の方7名が合格か不合格かを判定するテレビ番組で、5品すべて合格(そのうち2品は全員合格)で、料理自体は素晴らしいのでしょうから、頑張って欲しいですね。

不採算店の退店が功を奏し「いきなりステーキ」が黒字化を達成したことについて、どう思われましたか?


ことでんグループのゴルフ場運営「高松グランドカントリー」が民事再生!

帝国データバンクによると、高松グランドカントリー㈱(TDB企業コード:710079415、資本金9,500万円、代表豊永優氏ほか1名)は、2021年11月24日に高松地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日弁済禁止の保全処分および監督命令を受けました。

申請代理人は、籠池宗平弁護士(籠池法律事務所)ほかです。

高松グランドカントリーは、1972年(昭和47年)3月に設立されたゴルフ場で、香川県内唯一の私鉄運営業者である高松琴平電気鉄道(株)(TDB企業コード:710034020)の子会社として、地元有力企業の資本参加を得て設立され、1974年10月に「高松グランドカントリークラブ」をオープンしました。

鹿庭コースと氷上コース合わせて香川県内では唯一の36ホールのゴルフ場として、讃岐百景のひとつである「嶽山」を中心とした広大な丘陵地帯に位置することで小豆島や屋島なども一望でき、プレーとともに自然の景観も楽しめるコースとして知名度は高く、香川県外からの来場者も多かったことで、1999年11月期には年収入高約8億6,800万円を計上していました。

しかしながら、1990年代以降は長引く景気の低迷によるゴルフ人口の減少を背景に業容の縮小が続くなか、2004年には台風によって鹿庭コースが陥没などの甚大な被害を受け、大幅な欠損計上により財務面は債務超過の状態が続いていました。

そのため、平日のプレー代を低価格に設定するほか、インターネット予約、ポイント制導入、個人記名会員制の導入などで業況の回復に努めていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で利用客が減少したことや、クラブハウス内のレストランを一時期閉鎖していたこともあり、2020年11月期の年収入高は5億円を割り込んでいました。

この間、預託金の償還資金の不足に対してグループ会社の支援や期限の延長などで対応してきましたが、償還の目処が立たないことで、民事再生手続きによる再建を目指すこととなりました。

負債総額は約46億8,000万円です。

なお、ゴルフ場の営業は継続中です。

新型コロナウイルス関連倒産は香川県で23件目、四国地区では53件目となります。

コロナ禍でも、屋外でやるためゴルフ場利用者は増えているという認識だったので、驚きました。
僕の父親の会社でも以前持っていて、父親はゴルフをやめていて、僕がゴルフをやっていた時期に僕に名義変更をしたのですが、僕もゴルフをやめたため、預託金の償還を請求しました。
結局、資金不足で、請求してから償還されるまで3年くらいかかりました。
それはかなり前のことですので、最近は、償還希望者も増えていたんでしょうね。
ちなみに、預託金の10倍くらいの価格で売買されていた時期があったそうです。
スポンサーも出てくるでしょうから、民事再生を申請したとはいえ、事業を継続して、名門として早く立ち直ってほしいですね。

ことでんグループのゴルフ場運営「高松グランドカントリー」が民事再生となったことについて、どう思われましたか?


中小企業再生支援協議会の2020年度の支援件数は兵庫県が全国最多の183件!

神戸新聞によると、中小企業の経営を立て直す「兵庫県中小企業再生支援協議会」の2020年度の支援件数は183件で、全国で最多だったことが分かったようです。
新型コロナウイルス感染拡大による事業環境の悪化で、小売業やサービス業を中心に案件数が急増しましたが、阪神・淡路大震災後の経済復興などで培った関係者らの支援ノウハウも威力を発揮したようです。

中小企業再生支援全国本部によると、中小企業の再生計画策定の支援を完了した件数(速報値)は、全国で前年度比3倍の3,150件でした。
うち兵庫も同4.5倍と高い伸びを示しました。
返済期限の繰り延べを金融機関に働き掛けたり、業績改善への取り組みを助言したりしました。
兵庫県は例年、東京と大阪に次ぐ件数でしたが、初めて最多となりました。

兵庫県中小企業再生支援協議会によると、業種別の最多は製造業の62件で、次いで卸・小売業(48件)、サービス業(27件)などが続き、コロナ禍による外出自粛や休業要請などが響いた事業者への支援が目立ちました。
183件の支援完了で約8,200人の雇用が守られたそうです。

兵庫県中小企業再生支援協議会の野田勝也統括責任者は「阪神・淡路大震災やリーマン・ショック、東日本大震災など多くの危機を乗り越えてノウハウが蓄積された。今後もあらゆる手法を総動員して支援したい」としています。

兵庫県と全国の支援完了件数を押し上げたのは、国が2020年4月に創設したコロナ関連の新制度「特例リスケジュール」です。
資金繰り悪化による倒産を防ぐため、企業に最長1年間の返済猶予を認めるほか、新規の借り入れも支援しました。

借り手の企業は金融機関に資金繰りを報告し、コロナ禍が落ち着いたら返済を含めた経営計画を立てます。
早い企業では2020年秋から策定にかかり、現在は半数近くが計画を立案中です。

各都道府県の中小企業再生支援協議会は借入先の金融機関と交渉し、返済猶予を認めてもらいます。
兵庫県の場合、普段から地方銀行や信用金庫の経営陣とコミュニケーションを取っているため、経営者との面談から猶予の要請まで4日間で終わるようです。
全国平均では13日かかるそうです。

負債が資産を上回る「債務超過」の企業には、兵庫県中小企業再生支援協議会と連携する政府系金融機関のサポートを仰ぎます。
返済順位が低く、資本に近い性格の「劣後ローン」を注入し、事業を存続させます。
必要な資金は地域金融機関が協調して貸します。
資金繰り改善や事業の継続が見込めなければ、弁護士らと連携し、事業と従業員を別の企業に譲渡するよう働きかけることもあります。

帝国データバンクによると、全国のコロナ関連の企業倒産は2020年度で1,237件でした。
うち兵庫は50件で、東京(290件)や大阪(121件)などに続く7番目でした。
倒産につながりそうな企業の一部を兵庫県中小企業再生支援協議会の支援で食い止めたと見ることもできます。

ただし、3回目の緊急事態宣言が発令され、サービス業を中心に経営体力を消耗する中小企業はたくさんあります。
2020年のコロナ特例融資で企業が借り入れた資金の返済は、コロナ禍収束後に本格化します。

【中小企業再生支援協議会】
産業競争力強化法に基づき、国が都道府県ごとに設ける公的組織で、2003年2月から全国に順次設置されました。
当初は特措法に基づく時限措置でしたが、2013年から恒久的な機関となりました。
兵庫県は神戸商工会議所が運営し、常駐スタッフは14人で、2021年3月末までの約18年間に1,491件の相談を受け、667社を支援しました。
支援企業の従業員は約3万2千人に上ります。

弊事務所のクライアントで『特例リスケジュール』を使ったところもありますし、香川県中小企業再生支援協議会のお仕事もたまにやっているのですが、2020年度は兵庫県が一番支援件数が多かったんですね。
阪神・淡路大震災などで培ったノウハウが活かされているというのは、素晴らしいことだと思いますし、全国的にノウハウを広めていってほしいと思います。
ただし、コロナ融資の返済が始まると、返済できないところがたくさん出てくると思いますので、そこからが正念場だと思います。
ノウハウを活かし、残せるところは残し、雇用を守り、日本経済の回復・成長に貢献してほしいと思います。

中小企業再生支援協議会の2020年度の支援件数は兵庫県が全国最多の183件だったことについて、どう思われましたか?


藍野大学らが20億円の資金提供で明浄学院を支援し再建を目指す!

産経新聞によると、学校法人藍野大学(大阪府茨木市)と学校法人理知の杜(長野県)の麦島善光理事長は、先日、元理事長らによる巨額横領事件があった学校法人明浄学院(大阪府熊取町)と支援契約を結んだようです。

明浄学院側は約20億円の資金提供を受け、再建を目指します。
運営する明浄学院高校(大阪市)は藍野大学が、大阪観光大(大阪府熊取町)は麦島氏がそれぞれ支援します。

高校・大学は移転せず、名称もそのまま残すようです。

明浄学院をめぐっては、高校の土地の売却契約の手付金21億円を着服したとする業務上横領の罪で元理事長ら6人が起訴されました。
明浄学院側は2020年3月、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し、支援者を募っていました。

色々ありましたが、スポンサーが決まって良かったですね。
高校と大学の運営が分離される理由について、管財人の弁護士は、「教職員の意見や課題の違いを考慮した」としていますが、やはり、高校と大学を同じ組織でやるのはなかなか難しいんでしょうね。
観光業界はコロナの影響で今後厳しいかもしれませんが、知名度は良い意味でも悪い意味でも上がったと思いますので、スポンサーの力で結果を出して欲しいですね。

藍野大学らが20億円の資金提供で明浄学院を支援し再建を目指すことについて、どう思われましたか?


負債7億6,000万円の明浄学院が民事再生法を申請!

このBLOGでも何度も取り上げている元理事長らによる巨額横領事件が起きた、学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)は、先日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請しました。
負債は約7億6,000万円に上り、当面の運転資金の確保が困難になったそうです。
運営する大阪観光大(同)と明浄学院高(大阪市阿倍野区)は従来どおり存続する予定で、法的手続き下での経営再建を目指すようです。

法人は内部対立で混乱が続いており、地裁が2020年3月4日付で理事長らの職務を停止しています。
職務を代行している弁護士が、2020年3月16日に民事再生を申し立て、地裁は債務の支払いなどをいったん停止する「保全管理命令」を出しました。

選任された保全管理人側によると、法人では土地売却を巡る手付金21億円が横領された上、校舎の解体工事などの費用が拡大し、教職員の給与などの運転資金が一時的に不足する見通しだったようです。

記者会見した管理人側の北野知広弁護士は「破産とは違い、事業を継続するための手続きだ」と強調しました。
「従来の理事らではなく、管財人による事業再生が必要だ」と述べました。
借り入れで資金調達し、経営を安定化させる考えだそうです。

今後、地裁が再生手続きを開始するか判断します。
資金援助を申し出ている企業グループもあり、並行して協議を進めます。

現在の学生・生徒数は大阪観光大が783人、明浄学院高が377人に上ります。
2020年4月にはそれぞれ308人、70人が入学予定で、授業はそのまま続ける見通しです。
校舎などは維持し、教職員も原則、雇用を続けるそうです。

法人を巡っては、元理事長(62)らが高校の土地売却の手付金21億円を着服したとして業務上横領容疑で大阪地検特捜部に逮捕、起訴されています。

もうそうなるしかないかなぁと思っていましたが、とうとう民事再生法の適用の申請に至りましたね。
生徒さんには、何の責任もありませんので、経営陣を一掃して、立て直してほしいですね。
今回の新型コロナウイルスの影響で、日本が今後も観光立国に力を入れていくのかどうか分かりませんが、日本にとって観光は非常に重要だと思いますので、存在感をアピールしてほしいですね。
あとは、21億円について、早く全容を明らかにしてほしいと思います。

負債7億6,000万円の明浄学院が民事再生法を申請したことについて、どう思われましたか?


やきとりのひびきが民事再生法を申請!

 やきとり店などを手掛けるひびき(埼玉県川越市)が、先日、東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し、同日付で保全および監督命令を受けたことが分かったようです。

帝国データバンク大宮支店と東京商工リサーチ埼玉支店によると、負債総額は約77億949万円だそうです。
店舗拡大による人件費や企業買収(`M&A)による経費の増加などが影響し、債務超過に陥りました。
今後は県内の店舗を軸に事業の改善などに努めながら再建を目指すようです。

ひびきは1992年設立で、1995年に埼玉県東松山市の名物で黒豚のカシラ肉を辛口のみそだれで食べる「やきとり」を提供するテークアウト店を埼玉県川越市内に開業以降、居酒屋形態の店舗「ひびき庵」を埼玉県内を中心に展開しています。

2013年ごろから出店ペースを加速させ、2019年7月末現在で埼玉県川越市を中心に埼玉県内に24店舗、東京都内に5店舗、茨城県内に1店舗あります。
2018年6月期には売上高20億円を計上していました。

しかしながら、製造工場の開設や出店数の増加で、各種投資などに要した借入金が膨らみ収益を圧迫しました。
収益源だった都心の店舗をテナント側の意向もあり閉店しましたが、その分を他店舗で補え切れなかったようです。

2018年に埼玉県内の酒卸売業を、2019年に東京都内の飲食業をそれぞれ買収し、非食品分野への投資も推進しましたが、相乗効果を得られずコスト増で苦境に陥っていました。

店舗の統廃合など合理化を進めたものの、2019年6月期に13億円の赤字を計上し、債務超過に陥りました。
今後、資金繰りが厳しくなる可能性が極めて高くなったことから、自力での再建を断念し、法的手続きによる再建を目指すことになりました。

再建へ、債務者である日疋氏が社長職にとどまり、事業を継続しながら早期の立て直しを図ります。
具体的には県内の収益性の高い店舗に経営資源を集中させ、再建を進めます。
日疋氏は「法的手続きに基づいて早期に事業回復を図り、改めて県内経済を支える一助になれるよう努めたい」としています。

既に、東京都内で債権者向けの説明会が行われています。

事業を拡大し、失敗した典型例ですね。
やはり、身の丈に合った経営が必要ですね。
以前、埼玉県東松山市に出張で行ったときに、会社の人に『やきとり』と書いていますが『ぶた』ですよと言われてお店に行ってみて、本当だぁと驚いたことがありましたが、この辺りでは普通なんですよね。
民事再生で、こういった食文化は残してほしいと思いますね。

やきとりのひびきが民事再生法を申請したことについて、どう思われましたか?


Forever21が破産申請を準備!

 Bloombergによると、米カジュアル衣料のフォーエバー21は破産法の適用申請を準備しているそうです。
計画に詳しい複数の関係者が明らかにしたようです。
保有現金が減少する中で、立て直しに向けた選択肢が狭まりつつあります。

同社は追加の資金調達で交渉を行い、債務再編に向けてアドバイザーのチームと取り組んできましたが、潜在的な貸し手との交渉はこれまでのところ行き詰まっているそうです。
このため、破産回避へ土壇場で合意する可能性は残っているものの、焦点は連邦破産法11条に基づく会社更生手続き申請に向けたつなぎ融資(DIPファイナンス)の確保に移っているようです。

交渉の部外秘を理由に匿名で語った関係者は、破産申請が不採算店舗の閉鎖と資本増強に道を開くと説明しました。
フォーエバー21の担当者にコメントを求めたものの、返答はないようです。

共同創業者ドン・チャン氏が支配株を保持する方針を続けているため、資金調達の選択肢が限られています。

1984年創業のフォーエバー21は米欧、アジア、中南米で800を超える店舗を運営しています。

一時時代を席捲したとしても、業績が悪くなるのはあっという間ですね。
アパレルの世界ランキングを見てみても、フォーエバー21は入っていません。
ちなみに、インデックス(H&M)がトップで、ファーストリテイリング(ユニクロなど)は3位、しまむらは10位となっています。
インデックスやファーストリテイリングが業績を伸ばしているなか、うまくいっていないのは将来的な見通しを誤り、対策が間違っていたんでしょうね。
企業の寿命は30年とよく言われますが、まさしくそんな感じですね。
そういうなかで、我が日本のファーストリテイリングはすごいなぁと思いますね。

Forever21が破産申請を準備していることについて、どう思われましたか?


「逃げ恥」「三匹のおっさん」など人気ドラマ制作会社が民事再生を申し立て!

 東京商工リサーチによると、「逃げるは恥だが役に立つ」といった人気テレビドラマなどを手がけてきた映像制作会社「イメージフィールド」(東京都新宿区)が、先日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したようです。
負債は推定10億円です。

 イメージフィールドに対し、アイドルグループ「SKE48」運営会社などを傘下に抱えるKeyHolder(東証JASDAQ上場)の子会社が支援することで合意しています。

イメージフィールドは、2002年に設立され、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」や「コウノドリ」「重版出来!」「三匹のおっさん」「空飛ぶ広報室」など数々の人気ドラマや、「植物図鑑」「響 -HIBIKI-」などの映画、CMを手がけています。

イメージフィールドのWebサイトには、2019年4月クールのドラマとして「わたし、定時で帰ります」(TBS)や「インハンド」(TBS)などが掲載されています。

東京商工リサーチによると、イメージフィールドは、2019年3月期に25億1,200万円の売上高を計上していましたが、多数の制作を手掛ける中、一部の大型案件や海外案件で想定以上のコストが重なったことなどで資金繰りが急激に悪化したとのことです。

KeyHolderは、傘下の映像制作会社、フーリンラージを通じて再生を支援するようでs。
「民事再生手続きの開始は急激な資金繰りの悪化によるもの」として、2億円を当面の運転資金とし、つなぎ融資を行うことでイメージフィールドの再生を支援するとしています。

業績悪化などではなく、多くの仕事を抱えるなかでの民事再生は、珍しいかもしれませんね。
やはり、会社が伸びている時こそ、業務フローの見直し、コスト管理、資金管理、月次決算による素早い対応などが必要ということでしょうね。
キャッシュ・フローを意識した経営が大事ということを改めて感じました。

「逃げ恥」「三匹のおっさん」など人気ドラマ制作会社が民事再生を申し立てたことについて、どう思われましたか?


民事再生法弁済率調査

 2000年4月に施行された民事再生法は、2016年には申請件数が1万件を超え、2018年4月で18年が経過しました。
申請企業の負債額上位を見ると、リーマン・ブラザーズ証券㈱やタカタ㈱、㈱そごうなど、当時大きくニュースで取り上げられた企業が並びました。
民事再生法の申請件数は、倒産全体と同じく減少傾向にありますが、現在も、規模や業種を問わず、再建型倒産手続きのスタンダードとなっています。
民事再生法を申請し再建を果たした企業があるなかで、申請した企業すべてが文字通り“再生”を果たしたわけではなく、㈱SFCGや㈱安愚楽牧場など申請後に破産に移行するケースも少なくありません。
帝国データバンクは、2017年1~12月に再生手続き認可決定を受けた90社について調査し、再生計画の内容が判明した企業を対象に、一般再生債権の弁済率、弁済期間、少額弁済額の分析を行いました。

1.民事再生法件数推移
2000年4月に施行された民事再生法は、東京地裁第1号案件となった㈲白形印刷(2000年4月3日申請)から数えて、1万544件となりました(2018年11月末集計時点)。
年別ピークを見てみると、施行翌年の2001年に965件で最多となっています。
その後、2006 年まで5年連続減少が続いていましたが、2007年に増加へ転じ、リーマン・ショックが起こった2008年には、前年から214件増の884件を記録しました。
その後は再び減少傾向が続き、2017年はピーク時の約4分の1となる230件となっていましたが、2018年は11月時点で234件と2017年を既に上回り、10年ぶりの前年比増となりました。

2.負債額別平均弁済率
2017年の1年間に認可決定を受けた企業のうち、一般再生債権の弁済率が判明した32社を負債額別にみると、「20~30億円未満」の弁済率が26.4%と最も高くなりました。
次いで「10~20億円未満」の26.2%、「30~50億円未満」の10.2%と続きました。
また、2017年に認可決定を受けた企業のうち、一般再生債権の弁済率が判明した32社の平均弁済率は約15.3%となりました。
2009年調査時の平均弁済率(12.4%)は上回ったものの、2001年調査時の平均弁済率(24.2%)は下回りました。

3.弁済率別分布
判明した32社の弁済率分布をみると、「10%未満」が17件(構成比53.1%)で最多となりました。
以下、「10~30%未満」の12件(同37.5%)が続き、30%未満で全体の9割を占めました。
10%未満のうち1%以下は8件と判明しました。

4.業種別平均弁済率
判明した32社を業種別にみると、最も高い弁済率は「製造業」の28.7%で唯一の20%超えとなりました。
以下、「小売業」の18.8%、「卸売業」の13.1%と続きました。
一方、最も低い弁済率となった「不動産業」は0.3%とその他を除いて2番目に低い「建設業」の7.9%と比較しても7.6 ポイントの差があり、業種間で差が開きました。

5.一般再生債権弁済完了までの期間
一般再生債権の弁済が完了するまでの期間が判明した33社をみると、「1年未満」の一括弁済が20件(構成比60.6%)で最多でした。
次いで、法律上の最長弁済期間となる「10年」が5社(構成比15.2%)となりました。
2001年調査時には全体の59.5%が、2009年調査時は全体の35.9%が10年の再生計画となっていましたが、今回の調査では10年の再生計画となったのは5社で20%に届きませんでした。
また、「1年未満(一括弁済含む)」は、2001年調査時では1割未満だったものが、2009年調査時には約4割、今回は約6割となるなど比率が高まっています。
こうした動きは、弁済率が低くなっても短期間での弁済完了を望む債権者の意向が強く反映されたものと推察されます。
また、事業の一部もしくは全部を別会社(新設会社がほとんど)に譲渡したうえ旧会社を清算させる“清算型”民事再生法の活用が散見されることも、弁済完了までの期間を1年未満(一括弁済含む)とする比率が高まった要因ともいえます。

6.少額弁済額
少額弁済額が判明した32社をみると、「10~30万円未満」が15件(構成比46.9%)で最も多く、このうち10万円が11社と構成比34.4%に達しました。
同11社の内訳をみると、負債額は50億円近くから、1億円未満のケースまであり、少額弁済額が負債額にリンクしていないこともわかりました。
また、弁済率も50%以上から1ケタまで多岐にわたっています。
また、2009年調査時においても最多は「10~30万円未満」で構成比64.0%となっており、少額弁済額については多少の変化はあるものの傾向は変わっていません。

今回の調査で2017年認可決定を受けた企業のうち、弁済率が判明した企業の平均弁済率は15.3%と判明しました。
民事再生法は、2000年にそれまで用いられてきた和議に代わる企業再生手段の1つとして施行されました。
同じく再建型と言われる会社更生法との違いは、申請に伴い経営陣の退陣が必須事項でないことや法人だけではなく個人でも適用可能という部分です。
「破産手続開始の原因を生ずるおそれ」もしくは「事業の継続に著しい支障を来すことなく債務を弁済できないこと」などが民事再生法適用要件として挙げられ、比較的早い段階で法的整理へ移行することができることで、企業または個人が破たんすることなく再生可能という部分が特徴と考えられてきました。
今でもその特徴は消えることなく運用されていますが、近年は民事再生後に事業を別会社に移し適用会社は破産へ移行するケースや、不正などにより再生計画認可の見込みがないことなどから手続きが廃止となり、棄却され破産に移行するケースも散見されます。
2018年は8年ぶりに件数増加しましたが、取り巻く状況も変わりつつあるなか、弁済率や期間などの再生計画が今後どのように変化していくのか注目されます。
個人的には、平均弁済率が15.3%もあることには驚きました。
いわゆる抜け殻方式や借金棒引きは、同業者にはモラルハザードになるのではないかと思っている一方、企業または個人に再度チャンスを与えることができるという思いはあります。
民事再生が有効に使われればいいですね。

民事再生法弁済率調査について、どう思われましたか?


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孫正義氏が後継者は「社内にいる」「何人か可能性のある人は絞っている」と言及!

読売新聞によると、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、先日の定時株主総会で、自身の後継者をグループ内から登用する可能性に言及しました。

孫氏は株主から後継者の育成について質問され、「グループ何百社ある経営陣から、おのずと競争の中から上がってくる。外から急に連れてくるというのはなかなか難しい」と述べました。

また、「頭の中には何人か可能性のある人は絞っている。社員の中にいる」とし、「着実に育ちつつある」との認識も示しました。

ただし、交代の時期については「いつ何があっても任せられるように、という気持ちの準備はしている」としつつ、「もうしばらくやりたい気持ちもある」と話し、明言しませんでした。

今後の事業戦略については、人類の知能をはるかに上回る「ASI」(人工超知能)の実現を見据え、10年後にASIに関連した産業の中核となる企業を目指す考えを示しました。

孫正義氏を上回る方はおそらくおられないでしょうから、孫氏が誰かを後継者として選んだとしても、すべて満足することはないように思いますが、とある会社のように何人も社長を選んでは交代させるということがないよう、おおらかな気持ちで、後継者を選んで、好きなようにさせてほしいですね。

カリスマ経営者は本人が優秀すぎるゆえ、後継者の悪い点に目が行くのだと思いますが、孫氏にしても、ファーストリテイリングの柳井さんにしても、楽天グループの三木谷さんにしても、まだ、後継者が決まっていませんが、ご本人が元気なうちに早めに決めて、巨大な企業グループをうまく引き継いでほしいですね。

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2024年度の後継者難倒産は500件超の高水準が続く!

帝国データバンクによると、2024年度の「後継者難倒産」は、507件発生しました。

過去最多だった2023年度(586件)から減少に転じたものの、2年連続で500件を上回りました。

社長の平均年齢は60.7歳(2024年)となり年々上昇が続いており、高齢化が進めば「不測の事態」に見舞われるリスクも高まり、今後も後継者難倒産は高水準で推移する可能性があります。

後継者がいないことで事業継続が困難になったことによる「後継者難倒産」(負債1,000万円以上、法的整理)は、2024年度に507件判明しました。

2013年度に集計を開始して以降で最多の件数となった2023年度(586件)に比べると79件(前年度比-13.5%)少なかったですが、2年連続で500件を上回り、過去2番目の高水準となりました。

業種別では、建設業が127件と全体の25.0%を占めました。

建設業は他の業界と比較して労働環境が厳しいといった印象が強く、若年層から就業を敬遠される傾向があります。

結果、後継者候補となる人材が不足していることや技術伝承の難しさが、後継者難倒産が多い要因と考えられます。

次いで製造業(88件)、サービス業(87件)などが続きました。

2024年6月に中小企業庁が取りまとめた、民間企業による中小企業向けM&A成約件数は2022年度時点で4,036件、事業承継・引継ぎ支援センターによる件数は同1,681件で、いずれも増加傾向にあります。

それでも後継者難倒産が相次ぐ背景には、深刻な社長の高齢化があげられます。

帝国データバンクの調査では2024年時点の社長の平均年齢は60.7歳となり、34年連続で上昇を続けています。

後継者難で倒産した企業を倒産時の社長平均年齢を算出すると、2024年時点で69.8歳に及び、過去10年でみても70歳前後で推移しています。

高齢になれば病気・死亡など「不測の事態」に見舞われるリスクも増加すると考えられ、社長平均年齢が上昇し続けた場合、今後も後継者難倒産は高水準で発生する可能性があり、早いタイミングで後継者の選定・育成を進めることが望まれます。

後継者難倒産はある程度防ぐことができると思っています。

倒産となると、取引先、従業員、従業員のご家族、金融機関、社長のご家族など、たくさんの方に迷惑がかかります。

ノウハウ・技術・雇用などの継続が失われると、日本経済にとっても大損失です。

普段接している我々税理士や金融機関、事業承継に取り組みだして結構経っている国などの力不足もあるのでしょうが、できるだけ早めに、事業承継に取り組みましょう。

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四国化成HDが香川県の「骨付鳥」実店舗で老舗の味を継承!

香川県で讃岐うどんと並ぶ名物といえば、丸亀市が発祥の骨付鳥でしょう。

日本経済新聞によると、地元の四国化成ホールディングス(HD)は傘下のシコク・フーズ商事(宇多津町)を通じ、骨付鳥の持ち帰り専門店を丸亀市内に開きました。

味を監修したのは老舗居酒屋の「藤(とう)ちゃん」です。

異業種の大手企業が地域の食文化を受け継ぎ、より大きな事業に育てようとしているのです。

丸亀市の青果市場内に2024年6月下旬、「おやわか厨房」の1号店が開業しました。

独自の下味を付けた骨付きの鳥もも肉を、注文を受けてからオーブンで焼き上げます。

値段は1本900円です。

営業は金曜と土曜の週2日のみですが、多いときには1日100本前後を売り上げる人気ぶりです。

四国化成HDは化学品や建材の製造などを手がけています。

一方、子会社のシコク・フーズは食品関連の商社で、香川県内でハンバーガーチェーン「モスバーガー」のフランチャイズ店を運営し、「オリーブ牛」など地元の名産品を通信販売しています。

骨付鳥の販売を始めたのは2023年2月からです。

シコク・フーズで新規事業の立ち上げを指揮する大空浩基取締役によると「フランチャイズではない、独自の事業をチームで模索したところ、地元発祥の骨付鳥を使うアイデアが浮上した」と振り返っています。

丸亀市で骨付鳥が生まれたのは約70年前のことです。

ある飲食店経営者が外国映画を鑑賞中に、登場人物が骨付きの鳥もも肉をうまそうに食べるシーンを見てひらめいたそうです。

その後、骨付鳥を提供する店は丸亀市内外に広がり、味付けも多彩になりました。

シコク・フーズが目を付けたのは、地元で人気の居酒屋「藤ちゃん」でした。

骨付鳥発祥の店で創業期から働いていた店主が、独立して開業しました。

藤ちゃんの骨付鳥は、本家本元の作り方を今に伝えているわけです。

調味料は塩とコショウ、ガーリックのみです。

シンプルな味わいで鳥肉のうまみを生かしています。

「スパイスに頼りすぎず、女性や子供にも食べやすい味付けにしたい」という社内からの意見にも合致しました。

店主から鳥肉の下処理や味付けなどの指導を受けた後、冷蔵した骨付鳥の通信販売と、焼きたてを提供するキッチンカーの営業を始めたのです。

「藤ちゃんの味やね」と、老舗の味を知る地元の人からも評価を得て、着実に販売実績を伸ばしました。

口コミ効果もあって、販売開始から1年で約3万本を売り上げました。

2023年末のクリスマス商戦で店舗販売を試したところ好評で、2024年6月に1号店を開業しました。

一方で、同じ6月末に藤ちゃんは休業を決めました。

高齢の店主の体調不良もあり、営業が難しくなったそうです。

このため藤ちゃん流の骨付鳥の味を楽しめるのは、現時点ではシコク・フーズの製品だけです。

自社の新事業開拓を目的に始めた骨付鳥の販売は、いつしか「後世に残したい伝統食品の保存・継承」に変わったのです。

シコク・フーズは多店舗展開により、「おやわか厨房」を商事部門の新たな柱に育てたい考えです。

大空取締役は「将来はイートイン(店内飲食)ができる店も開きたい」と話しています。

香川県でも、有名飲食店が閉店し、残念に思っている方も多いと思います。

誰か個人が引き継いでくれたら良かったのになぁと思うことも多いですが、今回の四国化成HDのように、地元の大手企業が引き継ぐことも大事だと考えています。

名店を残し、それも県外資本ではなく、地元資本で承継していくことになりますので。

四国化成HDが香川県の「骨付鳥」実店舗で老舗の味を継承したことについて、あなたはどう思われましたか?


中小企業の事業承継を地銀が支援!

日本経済新聞によると、経営者の高齢化や後継者難で、中小企業の廃業が増えている状況に対応して、地方銀行が企業の買い取り先を探す「事業承継・M&A(合併・買収)」業務を強化しています。
事業承継支援を目的にしたファンド組成などを手掛けているほか、営業エリア外の企業とのマッチングができるプラットフォームを活用するなど、デジタル技術の活用にも熱心です。

岐阜県岐阜市に本店を置く十六フィナンシャルグループ(FG)は、2023年7月、日本M&Aセンターホールディングス(HD)と、中小企業の事業承継を支援する共同出資会社「NOBUNAGAサクセション」(岐阜県岐阜市)を設立しました。
十六FGの営業基盤である岐阜県と愛知県でも、中小企業の後継者難は深刻です。
新会社は企業に後継人材を紹介したり、他社とのM&Aを仲介したりして、地域経済の活性化を目指そうとしています。

事業承継を支援するため、ファンドを設ける動きも広がっています。
最近では秋田銀行が10億円規模の「あきぎんNEXTファンド」の組成を発表しました。
「ベンチャー企業や事業承継等の課題を抱える企業」を、出資や株式取得を通じて支援する計画です。
事業承継したい中小企業と経営人材をつなぐファンドは「サーチファンド」と呼ばれ、地域金融機関の出資が相次いでいます。

事業の売り手と買い手をマッチングするプラットフォームの利用も活発です。
我が香川県高松市に本店がある百十四銀行は、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(FA)が運営するプラットフォーム「M&Aプラス」を活用しています。
百十四銀行は「支店の情報網が及ばない地域での企業探しに役立てている」(中山正史コンサルティング部長)といいます。

このプラットフォームは、地銀などの地域金融機関や会計事務所、M&A仲介会社など700社あまりがデロイトの審査を経て参加し、M&A案件などの情報を交換しています。
他の会員に案件情報を知られたくない場合には非開示先を設定することで、情報の流出リスクを抑える仕組みを取り入れています。

東京商工リサーチによると、2022年の企業の休廃業・解散件数は49,625件で、ここ数年増加傾向にあります。
休廃業・解散直前期の業績を見ると黒字企業が54.9%、赤字企業は45.1%です。
黒字であっても、後継者難などで廃業を余儀なくされる企業は少なくありません。

中小企業の事業承継問題に詳しいデロイトトーマツFAの牟禮貴史シニアアナリストは、「地銀やM&A事業者などが手がけるM&Aは、年間3千〜4千件程度と推定されるが、廃業防止に十分寄与しているとは言い難い」と話しています。
中小企業の事業承継・M&Aを支援する社会ニーズはますます高まりそうです。

百十四銀行は、地域経済の振興を目的に、取引先企業の事業承継やM&Aを支援する業務に力を入れ、事業承継先の企業を探すデジタルツールも積極的に活用しています。
百十四銀行が進める事業承継・M&A支援の現状や見通しを中山正史コンサルティング部長に聞きました。

「顧客である取引先企業に事業を継続してもらうことは、我々のような地域金融機関にとって極めて重要です。取引先企業が直面している状況や課題を最も理解できる立場にあるのが地域の金融機関です。地方銀行だからこそ可能な支援業務があります。地域経済や雇用を支える企業の事業承継やM&Aを支援することには、大きな社会的価値があると考えています」

「取引先企業の事業承継やM&Aに関与すると、多くの場合はその後も当該企業との取引関係が長く続きます。これも事業承継・M&A支援を重視している大きな理由です。事業承継やM&Aのディール完了といった顧客にとっての大きなターニングポイントの局面を支援することは、地銀の様々な業務の中でも重要性が増しています」

実際の事業承継・M&Aではどのようなケースが多いのでしょうか。
「やはり中小企業で後継者がいないという事情を抱えているところが多いですね。ただ、後継者が確保されている場合でも、経営者が事業の先行きに不安を感じているケースが最近は多いと感じています。その一方で事業成長のためM&Aを選択され、そのための相談に来られる経営者も少なくありません」

「我々の場合、中国・四国地方を中心に支店を展開しており、これらの地域の案件が多いです。東京都や福岡市にも支店を置いており、それらのネットワークを通じて寄せられる案件もあります。年によって変動がありますが、事業承継・M&Aの成立件数はこのところ年間10数件の水準で推移しています」

どのような体制で事業承継・M&A支援に取り組んでいますか。
「コンサルティング部の中に事業承継担当が3人、M&A担当が5人います。これ以外に事業承継ファンドや関連企業への出向者が3人います。コンサルティング部は約60人の体制で、企業の事業計画や人事制度、ICT(情報通信技術)構築、人材紹介など事業に関する支援をすべて行うことができます。事業承継・M&Aの前後で多面的な支援ができる体制を整えているところが我々の強みです」

事業承継の相手先を探すマッチングプラットフォームを活用しているそうですね。
「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが運営している会員制プラットフォーム『M&Aプラス』を約5年前から使っています。事業譲渡を希望する顧客からの依頼を受けて、買い手企業を探す際などに利用しています。そうした買い手企業の情報は、関東以北など支店のない地域では得にくいため、マッチングの可能エリアを広げる目的でこのプラットフォームを活用しています」

「M&Aプラスの場合、我々のような地域金融機関のほか、会計事務所や税理士法人といったM&Aに精通した会員が多く、案件が具体的に進み始めた場合に、実務の分かった人間同士で話が非常にスムーズに進むという特徴もあります」

それ以前はどんな方法で事業承継先などを探していたのですか。
「支店のない地域では、同業の金融機関から寄せられる情報や、人脈を頼りに探していました。同じ地銀で比較的親密な関係があるところと定期的に連絡をとりながら、そのネットワークの中で探していました。M&Aプラスのようなデジタルツールを使うことで、業務の効率性が飛躍的に向上したと思います」

今後、どのような分野に特に力を入れますか。
「新型コロナウイルス感染症の流行期には、我々から見て十分に事業継続の余地がある会社でも、将来に不安を感じる経営者が増えました。地域の企業が減ることは地域経済の衰退につながりかねません。事業を承継する意欲のある経営者を広く探して、地元企業とマッチングを進められればと思います。その場合も、地域のサプライチェーン(供給網)を維持できる形で話が進むのが望ましいです」

「地元の医院やクリニックの事業承継を支援するのも重要な業務です。開業医の方々の高齢化が進み、後継者がいなくなっていくためです。香川県の医師会と事業承継に関する連携協定を結んでマッチングに力を入れているところです」

『取引先企業が直面している状況や課題を最も理解できる立場にあるのが地域の金融機関です。』とありますが、自戒を込めて、会計事務所がそうでないといけないように思います。
手数料ビジネスではなく、クライアントのために提案等をできるのが会計事務所だと考えています。
公認会計士や税理士の業界をあげて、事業承継やM&Aに取り組んでいかないといけないのではないかと改めて感じた記事でした。

中小企業の事業承継を地銀が支援していることについて、あなたはどう思われましたか?


ジャニーズ事務所ジュリー氏「代表取締役残留」は相続税支払い免除のためだった!

文春オンラインによると、2023年9月7日の会見で、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏(57)は、社長からの引責辞任を発表したが、同時に「性加害の補償への取り組み」を理由に、代表取締役の留任を明かしていました。

会見に先立ち、「外部専門家による再発防止特別チーム」は、性加害問題の背景に同族経営の問題があると指弾したうえで、ジュリー氏は代表取締役社長を辞任し、「解体的出直し」を図るべきだと提案していました。

なぜ、それでもジュリー氏は「代表取締役」に居座ったのでしょうか?
その主な理由が、ジャニーズ事務所が「事業承継税制」の特例措置で税優遇を受けるためだったことが、「週刊文春」の取材で明らかになりました。
同誌の取材に対し、ジャニーズ事務所も事業承継税制の特例措置を申請し、適用されていると認めました。

ジャニー氏が逝去したのは2019年7月で、ジャニーズ事務所の株は、メリー氏とジュリー氏の2人で分け合い、50%ずつ保有する形になりました。
さらに、2021年にメリー氏が亡くなると、メリー氏の株がジュリー氏にわたり、彼女は全株を保有することとなりました。

専門家が同業他社などの株価を勘案し、ジャニー氏が亡くなった時点での1株当たりの評価額を約200万円とした場合、ジュリー氏が納めるべき株に対する相続税は約860億円と推計できるそうです。
しかしながら、この巨額の相続税をジュリー氏は一切、支払っていないのです。
「事業承継税制」の特例措置を申請し、相続税の支払いを免れているからです。

それでは、「事業承継税制」とはどのような制度なのでしょうか?
税理士の板倉京氏が解説しています。
「近年、後継者不足や後継者の重い税負担を理由に、黒字廃業する中小企業が後を絶たない。そこで国は、2009年から中小企業の事業承継を後押しするため、『事業承継税制』を導入しました。2018年にできた特例措置が適用されれば、株式の相続税や贈与税の納税が猶予され、実質ゼロにできるのです」

ただし、ジャニーズ事務所が事業承継税制の特例措置で税優遇を受けるためには、ジュリー氏が「代表取締役」の座に座り続ける必要があります。

「相続税をゼロにするには、申告期限の翌日から5年間、代表取締役を務めないといけません。また5年後以降は株を継続して保有する必要がある。この税優遇の目的は、後継者が事業を円滑に次世代に繋ぐことを条件に、本来かかる税金を全額免除しますよ、というもの。なぜ、5年間かというと、後継者育成に最低5年は必要とされているからです。ジャニー氏が亡くなった際の、相続税の申告期限は2020年5月。そこから5年間つまり2025年5月まで、ジュリー氏は代表取締役を務める必要があるのです」(同前)

制度の適用対象は、非上場の中小企業です。
年間の売り上げが1,000億円を超えるジャニーズ帝国は中小企業といえるのでしょうか?

「サービス業の場合、従業員100人以下、もしくは資本金5,000万円以下のどちらかに該当すれば適用対象となる。同社の社員数は200人以上とされますが、資本金は設立以来ずっと変わらず、1,000万円に設定されており、中小企業扱いとなります」(同前)

もし、今回、ジュリー氏が代表取締役を辞任していたら、どうなったのでしょうか?
「精神疾患や要介護認定を受けるなど、やむを得ない事情を除き、特例措置の認定が取り消しになる。それまで猶予されていた相続税に利子分を加えて納税しなくてはいけません」(同前)

ジャニーズ事務所の同制度利用について、国税庁関係者は、「被害者やファンを馬鹿にした話」と憤っています。

「ジュリー氏が代表取締役を留任した最大の理由は、税金逃れに他ならない。このまま彼女は、性加害の被害者補償を名目に、2025年5月まで時間稼ぎをするつもりでしょう。もちろん事業承継税制を申請すること自体は何ら違法ではないが、きちんと会見で説明すべき。税逃れを隠して『被害者への補償・救済』へと目的をすり替えるのは、悪質な手口と言わざるを得ません」

「事業承継税制」の趣旨の観点から、前出の板倉氏が指摘しています。
「事業承継税制は、地道に経営する中小企業を助けるための優遇措置です。ジャニーズ事務所のように巨額の資産を保有する企業を想定していません。また先代の性加害への対応で芸能事務所として適切な事業継続が求められる中、免税のために留任しているのであれば、事業承継税制の本来の趣旨にも反していると言わざるを得ません」

ジャニーズ事務所に尋ねると、「事業承継税制を受けているのは事実です」と認めたうえで、次のように回答した。

「中小企業が事業および雇用の継続等を行うための事業承継税制であり、当社は雇用を維持し、事業を継続しております。法律事務所、会計事務所と協議し事業を継続するためには、どのようにするのが一番良いか話し合った結果であり、税金逃れと言われるのは大変遺憾です。(相続税の額が860億円か?との質問には)違います」

個人的には、この記事に、国税庁関係者が憤っているとありますが、ジュリー氏が事業承継税制を使っていることについては、批判されるべき話ではないと思います。
要件を満たしているからこそ、使えているわけであり、制度の趣旨にそぐわないというのであれば、制度の設計がおかしかったということだと思います。
相続税の猶予を継続するのであれば、要件を満たす(代表取締役であることを継続する)のは当然なのではないかと思います。
100%株主であり、また、事業承継税制を用いるときに、色々と検討したうえでやったわけでしょうから。
一方で、僕自身は、この件もそうだと思いますが、税制の要件を満たすために、経営における判断等が制約されるものは、そもそも使うべきではないと考えており、事業承継税制は、よほど納税できないという状況を除いては、色々と要件があるため使うべきではないと考えていますので、改めて、この考え方は間違っていないなぁと感じたニュースでした。

ジャニーズ事務所ジュリー氏「代表取締役残留」は相続税支払い免除のためだったことについて、あなたはどう思われましたか?


親族内承継は早めの行動と準備が必要!

中小企業にとって事業承継は重要なテーマですが、その選択肢の一つとして親族内承継があります。
しかしながら、適任者の選定や教育など、成功させるためには慎重な準備と対策が必要です。
J-Net21では、事業承継を考える経営者の方々に向けて、親族内承継の方法と注意点、メリット・デメリットなどについて解説しています。

1.親族内承継とは
親族内承継は、経営者が自身の親族(子供、孫、甥、姪、兄弟など)に会社の経営を引き継ぐことです。
この方法は、日本では最も一般的な事業承継手法ですが、親族内承継には適任者の選定や教育を含む複数年にわたる準備が必要なため、現経営者が健康なうちから計画を立てることが重要です。
親族内承継は、経営者が直接的に後継者を指名できるため、経営理念や企業文化の継承が比較的スムーズに行われることが特徴です。
この形態の事業承継を実現するためには、遺言書作成や各種税金対策などを事前に考慮することが重要です。
後継者不足が問題化している現在では、親族内承継の割合も年々減少しています。
このような背景もあり、事業承継や親族内承継は、早めの準備と対応がポイントとなるでしょう。

2.親族内承継のメリット
(1)早めの準備や後継者の育成が可能
親族内承継では、経営者本人の子供や兄弟などの親族が後継者となるため、早い段階で育成や事業の引継ぎ準備を始めることができます。

(2)従業員や取引先などの理解や協力を得やすい
円滑に事業承継を進めるためには、あらかじめ従業員や取引先に後継者を周知していくことが必要です。
日本では、現経営者の子供が会社を引き継ぐケースが一般的であり、その点で社内外の関係者を納得させやすい利点があります。
周囲に明確な説明を行い、後継者が事業を引き継ぐことについての納得を得ることで、得意先や金融機関との取引を円滑に引き継ぐことが可能となります。

(3)相続・贈与などの節税対策がしやすい
親族内承継では、経営者が生前に相続や贈与の計画を立てることができます。
これにより、相続税や贈与税の節税対策をすることができ、事業の継続性や財務面においてメリットを享受できます。

3.親族内承継のデメリット
(1)適切な後継者の不在
親族内承継では、経営者の子供や兄弟など親族が後継者となりますが、必ずしも経営能力や意欲があるとは限りません。
適任者が不在の場合、事業の継続と成長が困難になる可能性があります。

(2)後継者以外の親族とのトラブル
親族内承継では、後継者以外の親族との関係が事業に影響を及ぼす可能性があります。
相続や遺産の分配に関するトラブルが生じる場合もあり、経営者としての判断や意思決定に制約が生じることがあります。

(3)現経営者の借入に対する個人保証の問題
親族内承継では、現経営者が過去に行った借入に対する個人保証や、契約などの責任も後継者に引き継がれます。
これにより、後継者に負担がかかり、事業の安定性に悪影響を与えることがあります。
また、個人保証を引継ぐには、金融機関の承諾が必要ですが、変更が認められないケースもあります。

4.親族内承継の方法
親族内承継の流れは下記のような手順で進められます。
事業の継続や相続税の負担軽減に向けて、遺言書作成や税金対策などをしっかりと考慮し、専門家などの適切な指導を受けながら進めることが重要です。
(1)親族内から後継者を選んで育成する
事業を継続的に成功させるためには、後継者の選定と育成が重要です。
適切な資質を備えた一族のメンバーを選び、新しい役割を担うための適切なスキルと知識を身につけさせることが重要です。
後継者は、必要なトレーニングや能力開発を行えるよう、早い段階で選定することが望ましいと言えるでしょう。
また、後継者をどのように親族や従業員、その他の利害関係者に周知するかを検討することも重要です。

(2)株式など会社資産の承継準備をする
親族内承継を行うためには、自社株などの資産を移転する必要があります。
事業承継の早い段階で、所有割合などを明確にしておくことが望ましいでしょう。
そうすることで、将来の意思決定や経営管理が明確になり、トラブル(争族)の予防にもなります。
さらに、会社資産の譲渡による法的・税務的問題から、後継者を保護するための対策を講じることが可能になります。

(3)従業員や取引先に事業承継を周知する
従業員・株主・取引先に、事業承継について、周知するタイミングや方法も重要です。
事業承継のプロセスを早期に開示することで、利害関係者は経営者の交代に対応するために必要な調整を行うことができます。
また、懸念事項があればそれに対処し、円滑な移行のために必要な措置を講じることができます。

(4)実際の株式や会社資産の承継手続きを行う(相続・生前贈与・遺言など)
親族内承継の場合、慎重に遺言などを作成する必要があります。
遺言によって、重要な会社資産や株式を後継者に譲ることができます。
また、生前贈与によって株式などを引き継ぐ場合には、節税対策を検討する必要があります。

(5)借入などの個人保証を後継者に変更する
現経営者が会社の借入の個人保証や、個人資産を担保に入れている場合には、金融機関と交渉をして保証や担保を外し、後継者に替える必要があります。
変更がスムーズに行えるように、事前に交渉しておくことが重要です。

5.親族内承継の注意点
後継者不足が社会問題化している現在においては、事業承継を希望する場合には、早い段階から計画的に対策を講じることが重要です。
特に親族内承継は、親族だからこそ注意すべき点を考慮して行うことが求められます。
(1)後継者を早めに決めて対策を講じる
親族内承継を成功させるポイントは、後継者を早期に決定し、その育成に必要な対策を講じることです。
誰が経営者に最も適しているかは、意欲・野心・経営センスといった、個人の資質や適性に基づいて判断すべきでしょう。
事業承継の準備や、後継者選びが原因で、事業が衰退するケースも多いので、十分に注意しましょう。

(2)公正証書遺言を作成する
事業を親族に引き継ぐことを決めたら、遺言書の作成を行う必要がある。遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」がありますが、事業承継においては、公的な証明性の高い公正証書遺言を作成することが重要です。
公正証書遺言があれば、不測の事態に備え、現経営者の希望に沿った承継手続きを行うことができます。
まだお持ちでない場合は、司法書士などの専門家に相談して遺言書を作成することをおすすめします。
さらに、一度作れば良いというわけではなく、事業や状況やお気持ちに変化があった場合は、その都度遺言書を更新することが重要です。

(3)相続税や贈与税などを考慮して承継方法を決める
相続時には相続税が、贈与時には贈与税が課されることがあります。
例えば、株式の相続の場合、経営者に退職金を支払うなどして株式の評価額を抑え、生前に贈与することで節税できるケースもあります。

(4)有利な税制や補助金の最新情報を入手しておく
事業譲渡に伴う節税のためには、状況に応じて有利な税制や補助金などの、最新情報を事前に入手することが重要です。
現在は、事業譲渡に関する特例措置などが用意されており、関連する税金を最小限に抑えることが可能になります。
また、事業承継や後継者育成のための補助金もあるので、最新情報の把握は非常に重要です。

以前から何度も言っていますが、やはり、事業承継に重要なことは、早めに検討するということだと思います。
まだ早いと思わずに、早めにスタートして、事業承継計画を立てましょう。

親族内承継は早めの行動と準備が必要であることについて、あなたはどう思われましたか?


意欲低下が原因で中小企業の「事業承継したい」が過去最低に!

ニューススイッチによると、大同生命保険が発表した中小企業を対象にしたアンケートでは、「事業承継したい」と答えた企業の割合は53%と、2019年に同様の質問を始めて以来、最低となりました。

大同生命は、専門家の見方として「コロナ禍やインフレといった急激な経営環境の変化に中小企業が対応しきれていない」ことが原因の一つとしています。

調査によると、事業承継したいと答えた企業の割合2022年比で3ポイント低下し2019年比では20ポイント減と大幅に下がりました。
事業承継したいと答えなかった理由としては、廃業予定や後継者不在を挙げています。

企業からは「コロナ禍により業界構造が変化し、外注先の廃業が進んだ。今後が心配」(卸売業・南関東)との声があがっています。

事業承継したいと答えた企業に課題を尋ねたところ、「後継者の育成」が最多の48%となり、「後継者の選定・確保」が28%で続きました。

また、事業承継先を検討する際の相談相手を聞いたところ、公認会計士・税理士が61%、自社で検討が26%、銀行が20%の順番でした。

調査は2023年6月1日から28日に大同生命と契約のある企業を中心に大同生命営業職員が聞き取りで実施し、8,000社超の企業から回答を得ました。

災害やコロナなど何が起こるか分からず、経営環境の変化が激しい時代なので、設備投資や事業承継の意欲が低下するのは、当然のことのように思います。
サラリーマンをしているお子さんがいても、将来が見えない会社だと引き継ごうとは思わないでしょうね。
明るい未来が見えるようにならないと、国も数年前から事業承継を進めようとしていますが、なかなか厳しいでしょうね。

意欲低下が原因で中小企業の「事業承継したい」が過去最低になっていることについて、あなたはどう思われましたか?


羽二重餅の老舗が6代目への承継を機に和カフェをオープン!

朝日新聞によると、福井の銘菓「羽二重餅」の老舗(福井県福井市)が、6代目に事業を継承するのを機に和カフェを始めました。
来春の北陸新幹線福井開業を見据えた取り組みで、老舗の強みを生かして打ち出しました。

福井駅西口から約800メートル。
足羽川の近くで、かつて繊維業者が軒を連ねた地域の一角に「羽二重餅総本舗松岡軒」はあります。

1897年に高級絹織物「羽二重」を扱う織物屋として創業。
ただし、繊維業は浮き沈みが激しいことから、2代目が東京で菓子修業を積み、絹織物の白さと、なめらかな肌触りを表現し、1905年から販売したのが羽二重餅です。

現在は5代目の淡島律子さん(74)が切り盛りしています。
2014年に亡くなった夫の洋さんから引き継ぎましたが、事業承継は懸案でした。

後継ぎに期待されたのが長女の智子さん(49)でした。
大学進学を機に福井を離れ、東京都内で働いていました。
しかしながら、経営に関わったことはありません。
「自分の代で店が途絶えるのか」と考えても、継ぐのは重圧だと感じ、背を向けた状況が続いていました。

転機はコロナ禍です。
仕事量が減り、自分自身と向き合う時間が増えたのです。
娘は2人とも成人し、仕事も一段落していました。

「今、決断すれば10~15年は働ける」と考え、2022年春、Uターンしました。
国の委託を受けた「福井県事業承継・引継ぎ支援センター」に相談し、第三者の視点も入れて会社を分析しました。

強みは、代々受け継がれた材料の配合で築いた商品力です。
味にこだわり、粘りや保存を高める添加物を一切使わなかったことで、安心安全という評価も得ました。

一方で、老舗企業であっても人手不足は深刻です。
新たな事業展開を打ち出しにくい状況にありました。

たどり着いたのが、和カフェでした。
羽二重餅を取り入れたメニューを通じて、福井県内外の人に改めて魅力を感じてもらうのが狙いで、強みを伸ばせると考えました。

実は、本店で夏場を中心に販売するかき氷はカンナで削ったもので、明治期から続くロングセラー商品です。
この取り組みをリニューアルし、通年でカフェを構えることにしたのです。

目玉の抹茶パフェなどと一緒に提供する日本茶は、福井県内の専門店で試飲を繰り返し、合うものを厳選しました。
融資に関わった日本政策金融公庫福井支店の担当者は「和菓子の販売との相乗効果も期待できる」と話しています。

中小企業庁の2023年版「中小企業白書」によると、事業を承継した企業は、実施しない企業と比べて、売上高成長率が高い傾向です。
中小企業庁は、承継を機に事業を再構築し、企業の付加価値を高めたとみています。

4月21日に新装開店しましたが、智子さんは「福井を盛り上げる取り組みにつなげていきたい」と意気込んでいます。

2023年版中小企業白書によると、後継者の不在率は2017年の66.5%をピークに減少傾向にあり、2022年には57.2%となりました。
2011年以降の調査で初めて60%を下回りました。

一方、事業承継が円滑に進められなかったことが原因の倒産が増加しています。
帝国データバンクによると、そのことが原因の2022年度の倒産件数は487件となっています。
このうち半数近い48%は「代表者の病気・死亡」が理由でした。

不測の事態で会社の事業が途絶えてしまうことを意味し、「全体が減少傾向でも楽観できない」と中小企業基盤整備機構の担当者は指摘しています。

福井商工会議所が運営する「県事業承継・引継ぎ支援センター」によると、事業承継が行われた2022年度の案件のうち約7割は、「高齢・後継者不在」が事業を譲渡する理由でした。
全国平均より厳しい状況にあると言えそうです。

やはり、親族内で承継するにしろ、親族外で承継するにしろ、自社の分析(SWOT分析など)を行い、引き継いでもらえるような将来性のある状態に磨き上げておくことが重要だなぁと思った1件でした。

羽二重餅の老舗が6代目への承継を機に和カフェをオープンしたことについて、あなたはどう思われましたか?


「柿の種」の元祖である浪花屋が事業承継で再スタート!

新潟テレビ21によると、新潟ならではの米菓「柿の種」を巡る事業承継ですが、柿の種の元祖とも言われる長岡市の浪花屋製菓が新たな体制で再スタートしました。

創業100周年という節目に事業承継した浪花屋製菓ですが、引受先は同じく米菓を手がける新潟県小千谷市の阿部幸製菓です。

■浪花屋製菓 兼 阿部幸製菓専務 阿部幸明社長
「浪花屋製菓は元祖柿の種っていうブランドと歴史があってお土産の方での販売の強みがある。阿部幸製菓は業務用柿の種という販路と強みがある、お互いの強みを活かしてグループ一体になってともに成長し合う」

新型コロナ禍によるお土産の需要低迷と後継者問題が重なった浪花屋製菓ですが、歴史を絶やさぬため事業承継を選びました。

■浪花屋製菓 兼 阿部幸製菓専務 阿部幸明社長
「実は中越地震の時に、阿部幸製菓は震源地だったので被災した。商品供給が滞った時に浪花屋製菓から助けてもらった経緯がある」

阿部幸製菓が設立した新たな会社が引き継ぐ形で「浪花屋製菓」の名前・商品も、約70人の従業員の雇用も守られました。

■浪花屋製菓 螻健児 製造部長
「今まで以上にお客さんに喜んでもらえるネットワークが広がることになるので日本を超えて世界にもサービスを届けられるように広げていきたい」

今後はお互いの強みを生かして海外も含めた販路開拓商品開発を進めます。

■浪花屋製菓 兼 阿部幸製菓専務 阿部幸明社長
「柿の種や米菓の世界・海外に向けての発信。両者の強みを活かしてともに成長していきながら次の100年につなげていくことを目指していきたい」

こういう老舗は守っていきたいですね。
それなりの規模の会社となると、営業マンや職人などではなく、経営者が必要になってきますが、親族内にも会社内にもそういった人はなかなかいないでしょうから、外部に求めるのは至極当然のことのように思います。
今後、こういった流れはどんどん進んでいくのではないかと思います。

「柿の種」の元祖である浪花屋が事業承継で再スタートしたことについて、あなたはどう思われましたか?


徳島県の中小事業者の11%が事業承継せず「清算・廃業」!

2023年06月02日(金)

朝日新聞によると、後継者の確保に悩む企業などを支える徳島県事業承継・引継ぎ支援センターが、徳島県内の中小・小規模事業者に事業承継の進め方をアンケートしたところ、経営資源を引き継がずに「清算・廃業予定」と回答した社が11%を占めたようです。
センターは、相談会を開くなど、廃業をなくす取り組みに力を入れたいとしています。

センターは中小企業庁・四国経済産業局の委託を受けた公的相談窓口で、徳島市南末広町5丁目の徳島経済産業会館内にあります。
2023年2~3月に代表者・経営者が55歳以上の徳島県内3,076社を対象に調査をし、809社から回答を得ました。
結果の公表は、2023年4月24日付けです。

事業承継の課題(複数回答)を尋ねると、「後継者育成」が36.54%、「後継者未定」が24.32%、「負債」が15.05%でした。

現在考えていたり、決めたりしている承継方法は「親族承継」52.20%、「役員・従業員承継」12.05%、「第三者M&A(合併・買収)」7.65%の順でした。
一方で、「清算・廃業予定」も11.67%ありました。

清算・廃業を選んだ事業者に「引き継いでくれる会社・人材が見つかれば譲渡を検討するか」と聞くと、「するつもりはない」30.93%、「わからない」25.77%、「相手の会社や経営者により検討」15.46%といった回答でした。

センターの担当者は、「譲渡したくないという回答が予想より多かった。廃業は地域経済や雇用への影響が大きいため、セミナーや相談会を通じて事業者の意識を変えていきたい」と話している。

国が事業承継に取り組みだして、結構経ちますが、まだまだ経営者の方々には重要性が伝わっていないということしょうね。
こういったアンケートも結構やっていると思いますが、フォローができていないんでしょうね。
徳島県だけの話ではなく、我が香川県でも同じような状況かと推測されますが、やはり、事業承継するとなると、後継者が引き継ぎたいと思うような財務内容、将来性などが必要になると思いますので、そのあたりが見いだせず、自分の代で、終わりにしようと考える経営者の方々が一定数いらっしゃるのは仕方ないと思いますが、従業員の方の雇用もできれば守っていきたいでしょうし、経営者ご本人が買ってくれるところはないだろうと思っていたとしても、価値を見いだし買ってくれるところもあるかもしれませんので、少しでも、清算・廃業しようと考えているところを減らすことのお手伝いが何かできないかなぁと感じます。

徳島県の中小事業者の11%が事業承継せず「清算・廃業」を考えていることについて、どう思われましたか?


筑邦銀行が北九州市のふく太郎本部の株式を取得!

㈱筑邦銀行(久留米市諏訪野町、佐藤清一郎頭取)は、先日、事業承継ファンドの㈱事業承継機構(東京都千代田区、吉川明社長)との合弁会社を通じて、ふぐ加工食品製造加工の㈲ふく太郎本部(北九州市門司区白野江1丁目)の株式を取得したようです。

両社では後継者不在など事業承継に課題を抱える中小企業にファンド「ちくぎん事業承継投資事業有限責任組合」(ファンド総額10億100万円)を通じて投資して、事業継続や雇用の維持を目指す取り組みを2020年11月から実施しました。

今回が2号案件となります。
新社長には千葉忍氏が就き、創業者で前社長の古川順一氏は相談役に就きました。

合弁会社の㈱ちくぎん事業永久承継では同社の株式を永年保有し、事業継続を支援します。
同行では「中小企業廃業の急増により、2025年頃までに約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性がある『2025年問題』が問題視されています。事業承継問題を積極的に解決し、『必要な企業は地域に残す』『地域の雇用を守る』ことで、地域とともに成長・発展していくことを目指す」と話しています。

地域のためにも、地域の名店などを残していくことはすごく重要なことだと思います。
ただし、ファンドが永年保有するのはどうなのかなぁという気はします。
どこかのタイミングで、経営陣がバイアウトして、自由に経営していくほうが企業の将来的な成長につながるのではないかと思いますね。

筑邦銀行が北九州市のふく太郎本部の株式を取得したことについて、どう思われましたか?


日本企業の約半数が「同族企業」 でその事業承継に潜むリスクと失敗パターン!

日刊ゲンダイによると、企業の後継者不足が深刻です。
近年は、大企業にかかわらず中小企業の事業承継も増え、家族間のトラブルも起きています。
「いきなり事業承継」(講談社)の著者で、税理士法人小形会計事務所所長の小形剛央氏は、公認会計士・税理士として中小企業の税務顧問や事業承継のコンサルティングを行っていますが、実際、後継者の能力やマインドが不十分なまま事業承継した結果、短期間で従業員や取引先が離れてしまい、数年で廃業に追い込まれたという会社をたくさん見てきたそうです。
失敗パターンとして多いのが「同族経営」のケースです。

日本の上場企業は、ファミリービジネス(同族経営)が53%、単独経営が10%、一般企業が37%という構成で成り立っています。たしかにお子さんである後継者は、小さいときから経営者としての親の背中を見て育ってきています。
そのため、経営の細かい内実はわからないにせよ、従業員や取引先を大切にする気持ちや、経営者としての責任感などを体感として学び、持ち合わせているものです。

ところが中小企業や零細企業の場合、「家族だから」という盲目的な信頼によって、経営能力がない我が子を後継者に据え、失敗してしまう例が非常に多いのです。

創業から50年近く経つ産廃関連会社(売上約5億円)のケースです。
ニッチな分野ではありますが、クライアントや従業員からも信頼されており、着実な経営を続けていました。
仕事一筋だった先代経営者は、「これからは家族のために何かしてあげたい」という気持ちを強く抱き、自身が80歳に近づいたタイミングで娘(43歳)に会社を継がせることにしました。
しかし、娘にはリーダーシップがなく、目先の利益を優先して行動するタイプで、承継後まもなく経営に致命的な損害を与え、1年も経たずに事業は廃止となりました。
その後、先代経営者も心労から持病が悪化し、お亡くなりになったのです。

また、建設業(リフォーム=売上約3億円)の65歳の先代経営者は、息子(35歳)を後継者にすることを決めていたものの、「年齢的には、まだまだ現役としていけるだろう」と考えていました。
しかし、引き継ぐ前に先代経営者が急死したことで事態は一変します。
後継者である息子も、引き継ぐのはまだまだ先のことと考えていて、心の準備もできていなかったのです。
もちろん後継者に経営の知識や経験はほとんどなく、それどころか、「経営者になったら経費を使いたい放題だ」くらいの考えしか持っておらず、非常に危険な状態でした。
結局、バタバタと承継したものの、その後すぐに従業員の退職が相次ぎ、取引先は離れていき……と、わずか1年足らずで廃業寸前まで追い込まれてしまったのです。
何の準備を何もしないまま「親族」という理由だけで後継者を選ぶと、ほぼ確実に会社が立ち行かなくなってしまいます。先代経営者は、自分の子どものことだとフィルターがかかって正しい判断を下しにくくなるため、後継者候補を選定する段階で第三者の意見を聞くことが大切です。
また、経営者には「元気だからこそ、今のうちに準備を進めよう」という意識が必要です。
高齢になるほど、突然死のリスクは高まります。
急死すると同時に資金繰りがショートするという事例も、決して少なくありません。
突然死でなくとも、ケガや病気で入院せざるを得なくなったり、それまでのように働けなくなったりという恐れもあります。

結局、事業承継は、計画(事業承継計画)を作って、できるだけ早く取り組みましょうということだと思います。
お子様に引き継ぐことがベストだと限りませんし、お子様が引き継がないかもしれませんし、一般的に、事業承継は5年から10年かかると言われていますので、年齢的な問題や突然死のリスクを考えると、早く取り掛かることに越したことはありません。
何を誰に相談すればいいのかわからないかもしれませんが、事業承継の相談を行っている士業、金融機関、公的機関などはたくさんありますので、相談しやすいところに相談してみればいかがでしょうか?

日本企業の約半数が「同族企業」 でその事業承継に潜むリスクと失敗パターンについて、どう思われましたか?


「休廃業」企業の7割が十分な資産があった!

読売新聞によると、2022年に休廃業や解散した山梨県内の企業のうち、十分な資産があるのにもかかわらず休廃業や解散した企業が7割近くに上ることが、帝国データバンクの調査で分かったようです。
事業承継や事業改革の課題を克服する見通しが立たない中でコロナ禍となり、経営へのダメージが広がる前に休廃業などを決断したとみられます。

帝国データバンク甲府支店によると、2022年に休廃業や解散した山梨県内企業は340件です。
このうち資産が負債を上回る「資産超過型」の割合が前年比7.2ポイント増の67.9%で、2016年に現在の手法で調査を始めて以来最高でした。
コロナ禍となった2020年から急激に増えており、担当者は「コロナ禍が経営に影響し、資産がなくなる前に事業をやめることにした」と分析しています。

休廃業や解散した企業の代表者の年齢は、前年並みの平均71.4歳です。
年代別では70代が35.4%で最も多く、80代以上が28%、60代が21.2%で続きました。
80代以上は前年比7.5ポイント増で、事業承継がうまくいかないまま高齢化が進んでいるとみられます。
担当者は「(高齢の経営者が)判断に迷った末に、休廃業・解散を余儀なくされている可能性もある」と話しています。

こうした状況に危機感を持った山梨県や商工団体は、事業承継のサポートに取り組んでいます。

山梨県は2018年7月、商工団体や金融機関などと「山梨県事業承継ネットワーク会議」を設立し、2021年には、やまなし産業支援機構に「山梨県事業承継・引継ぎ支援センター」を設置しました。

同会議が、事業承継を希望する事業者を掘り起こし、センターが金融機関や、企業の合併・買収(M&A)を専門に行う業者を紹介するなどしています。
2021年度に事業承継が成功した件数は45件で、目標(39件)を上回りました。
同会議への相談も3,250件で、目標(1,547件)の2倍以上となりました。

また、補助金も用意し、企業価値の簡易算定や事業を引き継ぐマニュアルの作成、M&Aにかかる経費などの3分の2(上限50万円)を助成しています。

山梨県商工会連合会は会員事業者へのアンケートで事業承継のニーズを把握し、中小企業診断士や税理士といった専門家を派遣するなどしています。

山梨県産業振興課は「すばらしい技術を引き継いでいくためにも、事業者の掘り起こしに力を入れていきたい」と話しています。

山梨県に限らず、基本的に地方は同じような状況だと思いますが、まだまだ、会議やセンターの認知度はそれほど高くないのではないでしょうか?
国も力を入れていることは間違いないと思いますが、普段事業者と接している我々会計事務所や金融機関や商工会議所・商工会などが、もっともっと頑張らないといけないですね。

「休廃業」企業の7割が十分な資産があったことについて、どう思われましたか?


2022年6月で閉店した福岡県柳川市の名物回転焼きのお店の味が事業承継で復活!

読売新聞によると、2022年6月末で閉店した福岡県柳川市辻町の「まよい焼き でんちゃん」の回転焼きが、同市坂本町にオープンしたベーカリーカフェに引き継がれたそうです。
市民のソウルフードとして親しまれ、惜しまれながら30余年の歴史に幕を下ろしたでんちゃんの元女将おかみである高崎貴美代さん(79)は「良い事業承継先が見つかり、うれしい」と 安堵しているようです。

事業を引き継いだのは、「tanabata(たなばた)」です。
同市などでコンビニを経営する会社「Newem」社長の石橋隆也さん(37)が、日吉神社そばの古民家を改装し、9月17日にオープンさせました。

石橋さんは小学生の頃にでんちゃんの常連で、「安くておいしい」まよい焼きの味を覚えていました。
体調が優れず、店を閉めることにした高崎さんが事業承継を望んでいることを知り、柳川商工会議所に相談をすると、福岡県事業承継・引継ぎ支援センターを紹介され、高崎さんと引き合わせてもらったそうです。

高崎さんは「しっかりしていて人物も良い」と、石橋さんへの承継を決断しました。
カフェの店舗前に止めたキッチンカーに回転焼きの機材が据えられると、「もう一踏ん張り」と足を運び、石橋さんらに作り方を指導しました。

店名の由来となり、選ぶのに迷うほど種類が多い具材は定番の黒あんと白あんをはじめ、チョコレート、ベーコン、ピザなど14種類もあり、一つ一つを丁寧に教えました。
10月中旬に販売を始めると多くの客が訪れ、連日100個以上を売り上げるほど人気になしました。
高崎さんは「石橋さんがもっと自信を持って作れるよう、しばらくは教え続けようと思う」と話しています。

石橋さんは「場所や人が変わっても味は変わらず、きちっと引き継ぐことを大事にしたい」と誓い、将来はキッチンカーで市外にも出向き、まよい焼きの魅力を広げる夢も描いているそうです。

このようなケースが、本当の事業承継なんでしょうね。
我がうどん県高松市でも、今年、昔、高松の監査法人で働いていたころに時々行っていたビーフレストランウエノやグリル山が閉店になりましたが、個人的には事業承継で誰かが引き継ぐことができなかったのだろうかと残念な気持ちでいっぱいです。
こういった名店を、てんちゃんのように、事業承継で残していけるお手伝いをどうにかしてやっていけないだろうかと思う今日この頃です。

2022年6月で閉店した福岡県柳川市の名物回転焼きのお店の味が事業承継で復活したことについて、どう思われましたか?


若手後継者が新市場を開く[業を継ぐ]ベンチャー型事業承継に注目!

読売新聞によると、家族や親族らが営む会社の若手後継者らが、本業を守りつつ新事業などに挑むケースが目立ち始めているようです。

「ベンチャー型事業承継」と呼ばれる取り組みで、事業の継続と、新市場の開拓などによる会社の成長を両立させるのが狙いのようです。

「みそ汁に入れたり、ポップコーンにかけたりと、使い方は様々です」と、野菜加工を手がける「村ネットワーク」(大分県豊後大野市)の応和春香常務(37)は、自身が開発した野菜パウダー「ベジマリ」を手に笑顔を見せています。

応和さんが家業を継ぐため同社に入ったのは2016年です。

大分県大分市で臨床心理士として働いていましたが、2005年に同社を設立した父の小原秀樹社長(66)から「後継者がいない」と聞き、思い切って転身しました。

同社は、地元の規格外野菜をカットして学校給食用などに販売する事業が主力ですが、生野菜のため賞味期限が短く、販路も限られていました。

応和さんは、野菜をパウダーにすれば用途と販路が広がることに着目し、ニンジンやカボチャなどを原料に、栄養素を逃がさないよう低温乾燥など製造法にこだわって2019年に完成させました。

臨床心理士の経験も生かし、女性が手に取りやすいようシンプルなデザインのパッケージも考案しました。

年間4,000個が売れるヒット商品となり、日本貿易振興機構(ジェトロ)の商談会を機にフランスと豪州にも取引が広がりました。

応和さんは「新事業を通じ、会社を継ぐ自負が生まれてきた。父が大事にしてきた会社を残したい」と話し、小原社長も「私では生み出せなかったであろう商品を開発してくれた」と目を細めています。

増田桐箱店(福岡県古賀市)の3代目である藤井博文社長(35)も、アイデアで市場を切り開いた後継者の一人です。

社長に就いた約10年前はリーマン・ショックの影響で高級品の需要が伸びず、工芸品を入れる桐箱の卸販売も低迷していました。

「自分と同年代の消費者が気軽に買える商品が作れないか」と、知り合いのデザイナーの協力を得て2015年頃に米びつやブックエンド(本立て)などを開発してインターネットで販売したところ人気となり、小売り事業は売上高の2割を占めるまで成長しました。

藤井社長は「職人や社員の意識向上にもつながった」と手応えを語っています。

中小企業の社長が後継者を決めるときの選択肢として最も多いのは、家族や親族ら「同族承継」とされています。

東京商工リサーチが2021年、全国の中小企業約17万社を対象に調べたところ、後継者が「いる」とした約72,000社のうち67%は経営者の息子や娘らが後継ぎで、従業員を昇格させる「内部昇進」の17%を大きく上回りました。

経営を受け継いだ若手による「起業」が相次ぐのは、情報技術(IT)の進化などで経営を巡る環境が一変し、生き残りに向けて新たな対応が必要となっているためです。

九州・山口でホームセンター「グッデイ」を展開する嘉穂無線ホールディングス(福岡県福岡市)の柳瀬隆志社長(46)が2016年の就任後に力を入れたのは、デジタル技術の活用です。

店舗などで得られるデータを分析して営業や在庫管理などに生かし、売上高を就任前の1.2倍に伸ばしました。

2017年には企業のデータ分析を支援する新会社も設立し、事業領域を広げています。

ただし、家業を継いだ経営者が始めた事業が軌道に乗るかどうかは未知数で、失敗すれば大きな損失につながる恐れもあります。

新事業に傾注しすぎると本業とのバランスが崩れる可能性もあり、従業員の理解を得られるかが課題となります。

事業承継に詳しい早大ビジネススクールの入山章栄教授は「中小企業の活性化は経済成長に不可欠で、ベンチャー型事業承継は有効な手段だ。後継者が30~40歳代の頃から任せるなど、経営トップが思い切った世代交代を図る必要がある。後継者は、産業構造や市場の変化に応じた事業に取り組むことが求められる」と指摘しています。

ベンチャー型事業承継を巡っては、地域企業の廃業が減って経済活性化につながるとみて、自治体などの支援も充実してきています。

大分県は2022年9月、家業を継ぐ40歳以下の後継者ら10人に対し、デザインや市場分析などの専門家が手助けする事業を始めました。

福岡県も、新商品の開発などを目指す後継者らの相談に応じる制度を設けており、今年度は選ばれた8社をサポートしている。

若手後継者を支える全国組織もあります。

企業経営者らでつくる一般社団法人「ベンチャー型事業承継」(東京)は、新事業の開発支援や、投資家との仲介などを行っています。

九州地区担当の山岸勇太・事業戦略マネージャーは「企業が存続するためにも、若い世代の後継者によるイノベーション(革新)が必要だ」と話しています。

後継者が会社を引き継いだときに悩むのが、既存事業の安定・成長と、新規事業だとよく言われます。

どちらかだけというわけではなく、時代の変化を読み取り、バランスを取ることが必要かと思います。

新規事業は、もちろん、必ずしもうまく行くとは限りませんし、結果が出るまでに長期間を要するものもあります。

場合によっては、会社の存亡危機に陥るかもしれません。

しかしながら、商売の面白さは新しいことをすることではないかと思っています。

周りのサポートを受けながら、新規事業を軌道を乗せ、地域活性化につながればいいですね。

若手後継者が新市場を開く[業を継ぐ]ベンチャー型事業承継に注目が集まっていることについて、どう思われましたか?


ソフトバンクGは3人いた副社長がゼロに!

読売新聞によると、ソフトバンクグループは、先日、ラジーブ・ミスラ氏が副社長を辞任したと発表しました。
ソフトバンクグループでは2018年に3人の副社長が就任し、一時は孫正義会長兼社長の後継者候補と目されていました。
すでに2人が退社しており、ミスラ氏の辞任で副社長はゼロとなりました。

ミスラ氏は、欧州の大手銀行などを経て2014年に入社し、2017年にソフトバンクグループ傘下の新興企業向け投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の設立を主導しました。
副社長辞任後も、SVFの運営責任者は続けるようです。

ソフトバンクグループの副社長では、ゴールドマン・サックス証券副会長やゆうちょ銀行副社長を歴任した佐護勝紀氏が、2021年辞任しました。

2022年1月には、海外事業を統括するマルセロ・クラウレ氏も退社しました。

ソフトバンクグループは2022年4~6月期連結決算(国際会計基準)で、投資事業の低迷により最終利益が3兆1,627億円の赤字に陥るなど、厳しい経営環境が続いています。

ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井さんや日本電産の永守さんなどもそうですが、 日本を代表する優秀な経営者で、会社をすごく大きくされましたが、後継者が未だにいないです。
経営者の重要な仕事の一つは、後継者を見つけたり、育てたりすることだと思いますので、その点については、御三方ともにできていないということです。
もちろん、ご本人が非常に優秀なので、ご本人が求めるレベルに達する方がいまだにいないということだと思いますが、そういうレベルの方は世の中にはそうはいないということを認識するというのも重要なのではないかと思います。

ソフトバンクGは3人いた副社長がゼロになったことについて、どう思われましたか?


2021年度は後継者難倒産が深刻化!

日本経済新聞によると、後継者がいないために倒産や廃業をする企業が東京都内で増えています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行政の資金繰り支援策で企業倒産件数は低水準に抑えられていますが、後継者難による倒産は2021年度に過去最多を更新しました。
経営者の高齢化が進む中、金融機関などは事業承継や事業再生の支援強化を急いでいます。

「早く後継者を決めなければ……」と、東京都内で内装業を経営する80代女性は危機感を口にしています。
社長の夫は90歳を超えました。
後継者候補として迎え入れた社員との調整もうまく進まず、脳裏に”廃業”の2文字がよぎているようです。
女性は「取引先との人間関係が重要な仕事。経営者として任せられるようになるには何年もかかる」と事業承継の難しさに直面しています。

東京商工リサーチの調査では、2021年度の後継者難による東京都内の企業倒産件数(負債額1千万円以上)は86件で、中小・零細企業が中心で、統計を取り始めた2013年度に比べ倍増しました。
特に2021年度は前年比で40.9%増え、増加ペースが大幅に加速しました。

東京商工リサーチによると、新規出店の減少に伴い需要が縮小した建築内装関連などが目立つそうです。
要因別では、代表者の死亡と体調不良が約8割を占めました。
東京商工リサーチは「後継者の育成や事業承継が後手に回っていたところに経営の中核を失い、事業継続を断念するケースが大半」と指摘しています。

経営者の高齢化は深刻さが増しています。
中小企業白書によると、最も多い経営者年齢層は2000年は50~54歳だったのに対し、2015年は65~69歳となりました。
2020年も70歳以上の経営者の割合は高まりました。
廃業する企業数も高水準で推移していて、東京都内の金融機関の幹部は「経済の規模が拡大し続けてきた東京では、事業承継を考えていなかった経営者が地方よりも多い」と明かしています。

中小企業が地域から減っていく厳しい現実を受け、金融機関などはより実効性の高い支援を展開する必要性に迫られています。
東京都墨田区では、東京東信用金庫と区内に拠点を置く地元の3信用組合が連携協定を2月に締結し、利害が対立しがちな組織の枠を超え、企業情報を共有しながら事業承継を支援する体制を整えました。

全国信用金庫協会によると、こうした金融機関主導の取り組みは全国的に珍しいそうです。
担当者は「業態をまたぎ、顧客の方を向いて足並みをそろえて取り組むのはいいこと。今後広がっていくのでは」と話しています。

長引くコロナ禍で都内の事業所は疲弊しています。
行政の資金繰り支援で倒産件数は抑制されているものの、ウクライナ情勢の悪化もあって経営環境は一層厳しくなっています。
増大する債務に苦しむ中小の支援を強化するため、経済産業省は2022年4月1日、中小企業活性化協議会を設置し、収益力改善や事業再生などの一元的なサポートに力を入れます。

事業再生支援が専門の宮原一東弁護士は、コロナ禍で受けた融資の返済期限が多くの企業で迫ってきていることに関し「(2回目の)『おかわり』の融資はハードルが高い。資金繰りがつかず、やむを得ず倒産する会社が増える可能性がある」と見通しています。
その上で、中小企業活性化協議会について「再生支援のニーズは多い。マンパワーを拡充するなどして、事業再生の案件を増やしていくことが望まれる」と指摘しています。

長引くコロナで廃業を決断する経営者も多いのでしょうが、地域経済や雇用などをまもっていくためにも、事業承継に早めに取り組んでほしいですね。
事業承継も経営者の重要な仕事の一つですから。
毎回、このような記事を見るたびに思いますが、国や金融機関や会計事務所がなかなか事業承継に取り組んでこなかったことが原因であり、僕自身も公認会計士・税理士として、事業承継のお手伝いをして、1社でも倒産や廃業を防ぎたいと思っています。

2021年度は後継者難倒産が深刻化していることについて、どう思われましたか?

北信越の事業承継は新潟の酒蔵を中心に「後継は非同族」で広がる!

日本経済新聞によると、北信越5県の2021年の後継者不在率を2011年と比べたところ、新潟・福井・長野が改善(低下)した一方、石川・富山は悪化(上昇)したようです。
4年連続で不在率が改善した新潟では、日本酒業界を中心に後継者難から非同族への承継が広がっています。
また、各地域では事業承継を支援する組織を設立し、技術や伝統を次代につなげて、地域再生に生かそうとしています。

日本三大夜桜の地としても知られる高田城址公園(新潟県上越市)からも近い地にある1804年創業の老舗造り酒屋、上越酒造は、2021年秋に導入した新設備で「越後美人 初しぼり」を初出荷しました。
旧来の設備も展示用に残し、見学もできます。

「上越に酒造りを残すことができ、本当に良かった」と、飯野美徳会長は語っています。
後継者がおらず、廃業も視野に相談した関東甲信越酒税担当官から紹介をされたのが「新潟県事業承継・引継ぎ支援センター」です。
にいがた産業創造機構(NICO)内に2015年7月に設立されました。

新潟県内外から多くの譲り受け希望会社が名乗りをあげたなか、選ばれたのは公営競技の企画・運営を全国展開する日本トーター(東京都港区)でした。
日本トーターは、地方創生につながる新事業開発の一つとして日本酒業界への参入を検討していました。
新潟とは、妙高市の競輪場外車券売場「サテライト妙高」や全国で唯一、村が運営する「弥彦競輪場」などで縁があったのです。

上越酒造は2021年8月に日本トーターの子会社となりました。
新設備を導入し、機械化・省人化を推進し、温度などのデータ管理も工場に泊まる必要なくスマホで遠隔で確認できるようにしました。
新ブランド開発に加え、競技場ごとのオリジナルラベル日本酒なども検討し、シナジー効果を高める考えです。

日本のアンデルセンといわれた児童文学作家・小川未明の「赤い蝋燭(ろうそく)と人魚」ですが、そのモチーフとされる日本海に近い上越市の海岸近くにある小山酒造店の看板商品の一つだったのが「人魚の里」です。
江戸時代から続く老舗を半世紀の間、守ってきた小山伸一さんですが、後継者不在で国税局酒類業調整官に廃業を打診したところ、新潟県事業承継・引継ぎ支援センターを紹介されました。

3年程度をメドに自宅に隣接する会社名義の工場・作業場などを解体し、更地に戻したい小山さんの意向を受け、譲り受け候補先を探しました。
登録民間支援機関の大光銀行(新潟県長岡市)が伝えてきたのが、低たんぱく米を製造するバイオテックジャパン(新潟県阿賀野市)でした。
新潟県事業承継・引継ぎ支援センターと、バイオ社のアドバイザーとなった大光銀行が連携し支援しました。

バイオ社は自社の発酵技術を生かし清酒製造業への参入をめざしており、主力商品の低たんぱく米を使った酒造りなどを計画しており、清酒製造拠点は阿賀野市に移します。
まだ使える設備は移設します。
「雪解けが進んだら阿賀野に行く」と、2021年12月に事業承継の最終契約を結び、技術顧問として残る小山さんには技術の伝承という大仕事が残っています。

「やめるのが早いと言われるが、早いうちがいい」と、2022年に創業60年を迎えた自動車販売・整備の旭自動車工業(新潟市)の原山徹社長は、こう話しています。
86歳の父親が創業した同社の株式の大半を中古車販売のONE&PEACE(新潟市)に売却しました。
ONE&PEACEの販売網と、旭自動車工業が地元で培った顧客への対応力や整備技術のシナジー効果をめざします。

広い県土をもち「車社会」の新潟県のなかでも新潟市などの下越地域では「過当競争で我慢比べの状況が続いている」(原山さん)。
20社ほどの候補先があるなかから選んだのが「新潟県事業承継・引継ぎ支援センター」から紹介されたONE&PEACEでした。
原山さんは「顧客へのサービスと従業員の雇用を守り、父親が作った会社を続けるための最善の選択ができた」と語っています。

地方企業の事業承継を手がける企業も生まれています。
新潟ベンチャーキャピタル(VC、新潟市)取締役などを務める星野善宣氏は2021年5月、エスイノベーション(新潟市)を設立しました。
星野最高経営責任者(CEO)は「小規模事業者の想いやストーリーを引き継げる後継者を探していきたい」と話しています。
スタートアップや首都圏の人材との連携も仲介し、地方企業の成長を後押しします。
スノーピークの山井太会長、デジタルホールディングスの野内敦社長らも取り組みを支援します。

北陸3県で唯一、不在率が改善した福井は、歴史的に中小企業や家族経営が多く、福井商工会議所の調べでは5割近い経営者が60歳代以上です。
帝国データバンクによると、コロナ禍前の2019年の「休廃業・解散率」は全国で首位でした。
危機感は強く、福井県は2022年度当初予算案に、中小企業の経営を県外から引き継いだ社長に奨励金300万円を支給する事業を計上しました。

2022年1月31日、地元電器店のデンキ・ビート(福井市)は開業4年目の新興IT企業、PTOK(同)と事業譲渡契約を結びました。
社長が70歳を超え廃業を考えていましたが、業容拡大を狙う若手IT経営者の意向と一致しました。
福井商工会議所内に2021年4月に設置された「福井県事業承継・引き継ぎ支援センター」の仲介です。

福井県事業承継・引き継ぎ支援センターは全国に先駆け福井弁護士会と提携し、依頼料の一部を補助するなどしてM&A(合併・買収)案件に早期に県内弁護士が関与する仕組みを構築しました。
中小零細企業では弁護士を頼みづらいことも多く「法律面の安心感につながる」との声が上がるほか、弁護士側も県内ではまだ数少ないM&Aの経験を積めます。

福井県事業承継・引き継ぎ支援センターは2021年4月、第三者承継と親族承継の相談窓口を一本化する形で発足しました。
2022年1月までの相談件数はすでに前年度比6割増、第三者承継の成約率も4割増えています。
弁護士紹介のほか、民間M&A仲介会社からも出向を受け入れ、相談機能を強化します
他都道府県の同様のセンターに比べ、広報に力を入れ案件の掘り起こしを進めています。

士業とセンターがうまく連携できているところは、事業承継がうまく進んでいるみたいですね。
中小零細企業は、センターとかを利用して、うまく事業承継できれば、雇用も継続できますし、技術なども後世に残していくことができますので、こういった取り組みが、全国的に広がると良いなぁと思います。
今なお社長の高齢化が進んでいるようであり、早く、事業承継を進めていかないと将来の日本経済に大きな影響が出るのではないかと思っています。

北信越の事業承継は新潟の酒蔵を中心に「後継は非同族」で広がっていることについて、どう思われましたか?


社長の平均年齢は60.3歳と「社長の高齢化」に歯止めがかからず!

帝国データバンクによると、「社長の高齢化」に歯止めがかからないようです。
帝国データバンクの調査では、2021年の平均社長年齢は60.3歳(前年比+0.2歳)となり過去最高を更新しました。
調査を開始した1990年以降右肩上がりの状況が続いています。
事業承継や世代交代などが進んでいない現状が表れており、後継者の選定・育成など事業承継が課題として一段と鮮明になっています。

内閣府の発表した『令和3年版高齢社会白書』によると「日本の高齢化率は世界で最も高い」とされています。
また、2022年以降は団塊の世代が後期高齢者になり、事業承継の課題が一段と深刻になるといわれる「2025年問題」まで残り3年となるなど、高齢化の問題は日本社会に重くのしかかり今後さまざまな影響が懸念されています。
特に企業においても代表者の平均年齢は年々上昇を続け、2020年には調査開始以来初の60歳超となりましたが、2021年はさらに社長の高齢化が進んだ格好となりました。

2021年の社長の平均年齢は60.3歳(前年比+0.2歳)と、調査を開始した1990年以降右肩上がりの状況が続き、31年連続で過去最高を更新しました。
年代別の割合をみると、「50代」が構成比27.6%を占め最多、「60代」が同26.9%、「70代」が同20.2%で続いています。
また、交代企業の平均年齢は交代前の68.6歳に対して交代後は52.1歳となり、交代による若返りは平均16.5歳となりました。

社長の高齢化が進むと、年齢を理由に引退を迎える社長が増えると予想されますが、企業がこれまで培ってきた事業や貴重な経営資源を次世代の社長(後継者)へ引き継いでいくことは重要です。
そこで、社長年齢別に後継者の有無について確認すると、「60代」では約半数、「70代」は約4割、「80代以上」は約3割で後継者が不在となっており、社長年齢の高い企業においても、後継者が不在の企業が多く存在することが分かります。

2021年の社長年齢の平均は昨年比で「50代」と「80代以上」が増加しました。
「70代」の増加幅は昨年までと比べると落ち着いたものの、引き続き「70代」と「80代以上」を含めた70歳以上の代表が全体の25%近くを占める高齢化の傾向が続いています。

昨今のコロナ禍以降、事業環境が急激に変化するなか、依然6割を超える企業が後継者不在であるものの、4年連続で不在率は低下し過去10年で最も低くなりました。
後継者問題に対する社長の意識に変化がみられ、明るい兆しも見えてきています。

一方で、2021年の社長交代率は、3.92%と依然低水準の状態が続いています。
直近2年では改善傾向となっているものの、リーマン・ショック以降低下した交代率が元の水準に戻りきっているとはいえず、引き続き低水準を脱していない点は否めません。

帝国データバンクが実施した「事業承継に関する企業の意識調査(2021年8月)」では、「後継者への移行にかかる期間」を3年以上と回答した企業が半分以上を占めているように、事業承継には長い年月が必要となります。
また、適切な人材の選定・育成などを含めると交代は容易でなく、今後も社長交代率の短期間における大幅な上昇は見込めない可能性が高いと言えます。

社長の平均年齢を業種別にみると、「不動産業」が62.4歳で最も高く、「製造業」(61.3歳)、「卸売業」(61.1歳)、「小売業」(60.3歳)も全体の平均年齢を上回りました。
また、この4業種のうち、「不動産業」では「70代」が最多、「製造業」「卸売業」「小売業」では「60代」が最多となりました。
「サービス業」も58.8歳と上昇しました。
さらに、「運輸・通信業」は初の60歳超えとなるなど、全業種で平均年齢の上昇が続いています。
上場企業社長の平均年齢は58.5歳(前年比-0.2歳)、年代別では「60代」が構成比42.0%を占め、最多となりました。

また、平均年齢を年商規模別にみると、「1億円未満」(61.6歳)が最も高く、次いで「500億以上」(60.7歳)が続き、比較的小規模な事業者と大規模な事業者の二者で平均年齢を上回る結果となりました。

都道府県別にみると、社長年齢が最も高いのは「秋田県」の平均62.3歳(全国平均+2.0歳)です。
次いで「岩手県」が62.1歳(同+1.8歳)、「青森県」が61.9歳(同+1.6歳)でこれに続いています。
秋田県は対90年比で+8.5歳と対90年比ではトップ、青森県は2021年で対90年比+8.0歳になるなど、東北地方における平均年齢の上昇が目立ちます。
また、東北以外でも主に東日本において全国平均を上回る地域が目立ち、東京都(同59.7歳)、石川県(同59.3歳)以外は平均を上回る結果となりました。

一方、前年比減となったのは西日本の島根県(同-0.1歳)と徳島県(同-0.1歳)の2県のみと、引き続き“東高西低”のような状況が続いています。

社長年齢の上昇は、代表の培ってきた業界経験や経営手腕などを生かし、最前線で今なお活躍していることを示す一方で、事業承継や世代交代などが進んでいないことを表しています。
事業の将来的な存続に欠かせない後継者の選定と育成にかかる時間を見誤ると、不測の事態が起きた際に円滑な移行に失敗する危険性をはらんでいます。

今後は経営リスクの軽減に向けて、事業承継や後継者の選定・育成はさらなる課題になるでしょう。
世界的に事業を取り巻く環境が変化しつつある今、企業がこれまで培ってきた経営資源や企業が紡いできた長年の歴史を絶やさないためにも、内部からの昇格や外部からの招聘、あるいは近年さらに増加しつつあるM&Aなども視野に入れた様々な事業承継の形から、会社の将来を選択する必要に迫られています。

数年前から国もかなり力を入れて(税金を使って)、事業承継を進めようとしていますが、それほど効果があがっていないということなんでしょうね。
事業承継は重要ではあるものも、喫緊性はない(事業承継に取り組んでも売り上げが上がるなど目に見えるものは少なく、むしろコスト等がかかる。)ということだと思います。
しかしながら、公認会計士や税理士や金融機関などが頑張って事業承継を進めないと、日本経済の将来に関わってくるでしょう。
微力ではありますが、事業承継のお手伝いを1件でも多くさせていただきたいと思っています。

社長の平均年齢は60.3歳と「社長の高齢化」に歯止めがかかっていないことについて、どう思われましたか?


東海4県でも後継者難は解消せず!

日本経済新聞によると、経営を次世代にバトンタッチする事業承継の進み具合で全国トップは三重県で、2021年までの10年間で後継者のいない企業の割合が31.3ポイント改善したそうです。
東海4県では愛知県が全国8位で7.5%の改善。岐阜県(31位)と静岡県(34位)はマイナスでした。
三重県では地域金融機関が仲介に入り、県境を超えたM&A(合併・買収)にも取り組んでいます。
行政も支援体制の拡充を急いでいます。

「後継者はどうするんですか」。
金属加工の森安鉄工(三重県桑名市)を経営していた森浩光さん(76)は60歳を過ぎたころ、取引先からこう聞かれて後継ぎを考え始めました。
子どもには断られ清算も頭をよぎったようですが、会社は黒字経営で無借金です。
従業員の雇用を守ろうとM&Aの仲介を依頼したのはメインバンクの百五銀行でした。

紹介されたのは三重県桑名市に拠点を持つ自動車部品のエイベックス(名古屋市)でした。
エイベックスは「財務状況が良く、独自の技術と顧客を持つ」(加藤丈典社長)と森安鉄工を評価しました。
社員に子会社を任せて経営感覚を磨いてもらう狙いもありました。
森さんも「大きい会社に任せれば従業員の雇用も安心」と売却を決め、2017年に無事に社長を引き継ぎました。

百五銀行は本部に事業承継M&A支援課を設置し、専門の担当者を11人置き、営業店の担当者と連携して売り手と買い手をつないでいます。

チラシ配布を手掛けるミッド八光(三重県菰野町)創業者の横山義之会長(80)は70歳を迎えた2012年から承継を考え始めました。
長男に打診したようですが、多数の社員をまとめる自信がないと断られました。
当時未成年だった孫に継がせることも考えたようですが、中継ぎ社長として期待した社員が退社し、2018年にメインバンクの百五銀行にM&Aの仲介を依頼しました。

紹介されたのは三重県桑名市で印刷業を手掛けるアサプリホールディングスでした。
同社社長は横山会長と10年来の付き合いで話は進み、2020年に傘下に入いりました。
家族以外の社員が引き継ぐ場合には、株式の買い取りに大きな資金が必要になります。
横山会長は家族に後継者がいなければ「承継してくれる会社を見つけるのが手っ取り早い」と語っています。

政府系の金融機関でも取り組みが進んでいます。
日本政策金融公庫岐阜支店・多治見支店は岐阜県商工会連合会と2021年12月に事業承継で提携しました。
各地の商工会に寄せられた事業譲渡の相談を日本公庫に紹介し、日本公庫が持つ全国のネットワークから買い手を探します。
こうした提携は全国で2例目です。
2022年1月末までに商工会連合会から4件の相談の紹介を受け、買い手を探し中です。

一方、行政も地道に取り組んでいます。
静岡県の事業承継・引継ぎ支援センターは事業承継の事例集を2冊つくりました。
センターが支援した企業の経営者や後継者にインタビューして、何に悩み、どう解決してきたかを紹介しており、相談会の参加者などに渡している。「冊子を家に持ち帰ってもらい、家族で事業承継を話し合うきっかけにしてほしい」(担当者)そうです。

愛知県は外国人経営者にも手を差し伸べています。
2022年4月から外国人経営者の事業承継などの相談に乗る経営支援センターを設けます。
予約制で英語、中国語、ポルトガル語のほか、ベトナム語、タガログ語など幅広い言語に対応します。
相談は無料です。
愛知県は人口に占める外国人の比率が3.4%で全国2位で、会社を経営する人もたくさんいます。

ただし、社長が交代すれば終わりではありません。
森安鉄工ではエイベックスに買収された直後に社員数人が退社しました。
エイベックスの加藤社長は「買収してもすぐに当社の色に染めるのではなく、社員の思いを理解して10年、20年かけて企業文化を伝えることが必要だ」と指摘しています。
官民の支援も息長く続けていくことが欠かせません。

事業承継は簡単ではありません。
株式譲渡とかが終われば完了ではありません。
事業承継後のことも考えて、きちんと事業承継計画を立てて、事業承継を着実進めていきましょう。
後回しにせず、早めにスタートしましょう。

東海4県でも後継者難は解消していないことについて、どう思われましたか?


広島のお好み焼き「みっちゃん総本店」の全株式を広島マツダが取得!

広島経済新聞によると、広島のお好み焼き店「みっちゃん総本店」(八丁堀本店=広島市中区)を運営する「株式会社ISE広島育ち」(広島市佐伯区)の全株式を、先日、カーディーラーや「おりづるタワー」などの観光、宿泊業を手掛ける株式会社広島マツダ(広島市中区)が取得しました。

「みっちゃん総本店」は「美笠屋(みかさや)」の名称で、1950(昭和25)年に中区中央通りで創業したお好み焼き店です。
1968(昭和43)年に現在の店名に改め、現在は広島市内を中心に広島県内に6店、東京都内に2店舗を展開しています。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、外食需要が低迷し、売り上げは例年に比べて8割減少したそうです。

支援を決めた株式会社広島マツダの松田哲也会長と株式会社ISE広島育ちの小林直哉社長は中学、高校の同級生だった縁もあったそうです。
店名や経営体制は現状維持で、広島マツダが経営の多角化をサポートし、経営基盤を強化します。

先日、福岡でもありましたが、こういった地元の名店を地元の名士が引き継いで、守っていくという案件が増えていくんでしょうね。
想像以上に会社が大きくなると、普通の方では経営が難しく、プロの経営者に任せるとかバックについてもらい、さらに大きくしていくケースですね。
それは、地元にとってもとても素晴らしいことだと思います。
飲食店は、コロナ禍で経営が大変だと思いますが、頑張って、広島のお好み焼きをもっともっと広めていってほしいですね。

広島のお好み焼き「みっちゃん総本店」の全株式を広島マツダが取得したことについて、どう思われましたか?


会社の後継ぎも働き手もいない場合の第三者への事業譲渡という選択肢!

朝日新聞によると、戦後のベビーブーム世代の高齢化が進み、山口県内でも働き手の世代の減少が著しいようです。

先行きが見通せないなか、社会を支える産業の維持は大きな課題です。
後継者がいない中小企業の経営者には、第三者への事業譲渡を選ぶ人もいます。

山口県山口市朝田の幹線道路沿いですが、オレンジの壁の工場が目を引きます。
2021年7月に設立された自動車整備会社「二光自動車工業」です。
工場はトヨタ車の販売店だった建物を改修したものです。

「自分は運が良かった」と新会社の設立に同市の吉崎祐美さん(66)は胸をなで下ろしました。
約1.5キロ離れた場所で別の自動車整備会社を経営していましたが、その社名と、約20人の従業員のほとんどが新会社に引き継がれたからです。

旧二光自動車工業は1961年の創業で、吉崎さんの父親やおじが支えてきました。
吉崎さんは約30年前に社長に就き、主にリース車のメンテナンスを手がけてきました。
自前のデータベースをつくって作業を効率化するなどして取引先を増やし、会社を成長させました。

しかしながら、自分や弟の子どもは県外に就職し、後継ぎがいませんでした。
工場は電気設備の老朽化などで改修が必要でしたが、その費用は約1億円。
数年前からは、従業員を募集しても採用につながらなくなりました。
人口減少で市場規模が縮む中、新たな投資の決断はできませんでした。

廃業も考えたようですが、「親から継いだ会社を自分の代で終わらせたくない」と思っていた時に、知人に紹介されたのが山口県宇部市で同じ自動車整備業を営む俵美将さん(68)でした。

俵さんの会社は、一般客の車検や新車・中古車販売を手がけていたため、営業のノウハウが違う新会社を持つことによる相乗効果に期待し、事業を引き継ぐことを決めました。

空き店舗を改修した現在の社屋に移転しましたが、「地場でやってきた看板と信用がある」と、社名はそのまま残しました。
新社屋の設備投資など、全体で約7千万円の資金は、日本政策金融公庫の融資を受けるなどしてまかないました。

戦後のベビーブーム世代を中心に高齢化が進み、山口県内の働き手世代は激減しています。
2020年の国勢調査によると、山口県内の15~64歳の「生産年齢人口」は72万3,588人で、10年前から13万人以上減少しました。
山口県は生産年齢人口の割合(53.9%)が全国の都道府県で4番目に低く、逆に高齢化率は3番目に高くなっています。
その影響は山口県内の中小企業にも及び、後継者不在は課題の一つです。

帝国データバンクが2021年に発表した調査結果では、回答が得られた山口県内企業2,516社のうち、後継者がいないか、決まっていない会社は1,786社で、71.0%を占めました。
全国の61.5%を上回り、都道府県で5番目に高くなっています。
山口県経営金融課の担当者は「廃業が続けば、地域経済が先細りしてしまう」と危機感を募らせています。

国の委託を受けた「山口県事業承継・引継ぎ支援センター」(山口県山口市)では、山口県内で出張相談会を開催するなど、無料の個別相談に乗っています。しかしながら、事業者にはほとんど知られていないそうです。

一般に、事業承継は引き継ぎに5~10年かかると言われています。
一方、廃業を選ぶ事業者のうち半分は黒字とされ、支援センターの福田敏彦統括責任者は「事業者が減って雇用が失われれば、価値ある技術が失われ、若者が県外に流出するなど生産年齢人口が減る負のスパイラルに陥る。切羽詰まる前に、とにかく早く相談を」と呼びかけています。

働き手の減少を受け入れつつ、どう産業力を維持するか、山口県の施策も問われています。

これは山口県だけの問題ではなく、日本全体の問題だと思います。
団塊の世代から第2次ベビーブームの世代に事業承継するのが、当面の事業承継では多いのかもしれませんが、その次の事業承継を考えると、人口が多い年代がありませんので、さらに厳しくなるのではないかと思います。
それゆえ、当面の事業承継は、早めに取り組んで、ぜひとも成功させて雇用を守り、知的資産もきちんと引き継いで、日本経済が活性化するよう僕自身も微力ながら貢献したいと思います。
もちろん、都道府県や市町村も、魅力ある街づくりをしていただいて、従業員の方などが楽しく、安全に過ごせるようにすることが、地域の活性化、夢のある日本につながると思いますので、真剣に取り組んでほしいですね。

会社の後継ぎも働き手もいない場合の第三者への事業譲渡という選択肢もあることについて、どう思われましたか?


農業と事業承継!

幻冬舎オンラインによると、農業の事業承継は我が国にとって重要なテーマです。
なぜならば、農業という食の根幹事業であるにもかかわらず、農業の担い手は、通常の中小企業以上に少子高齢化の状態に陥っている場合が多いからです。
具体的には、農林水産省によると「農村において、少子高齢化・人口減少が都市に先駆けて進行しており、農村の高齢化率は特に平成27(2015)年時点で31.0%であり、都市部よりも20年程度先行して」いると報告されている。

さらに、事業承継に悩む農家にとっては採算性もまた重要な問題となりえます。
そのため、農業の事業承継を円滑に行うにあたっては、採算性等に目処を立てるか、あるいは大手の農家に全てを委ねるかという判断にもなりかねません。

それでは、農家にとって採算性を高めるにはどのような方法があるのでしょうか?
仮に採算性=利益率の向上と考えた場合、利益=売上-経費である以上、売上を上げるか、経費を下げることが考えられます。
経費を削減する1つの方法としては無人収穫ロボット等のスマート農業を活用することが考えられます。

また、売上は商品単価×販売量によって決まるので、理論的には付加価値をつけて単価を上げるか、作付面積を増やして収穫量を増加するか、あるいは、高性能土壌の利用や環境制御装置による生産性の向上が考えられます。

しかしながら、現実はもっと複雑であり、①品種改良の進んだ作物であればあるほど付加価値をつけることが難しい場合があり、②マーケット価格の影響を大きく受ける作物も存在し、③作付面積が増えたことによって、かえって収穫の効率性が落ちる場合も想定されます。
したがって、農業における採算性の向上はこのような諸要素を踏まえて実行していく必要があるのです。

次に、採算性に目処がついたとしても、それをどのように事業承継させるかという問題が存在します。

類型的には、①親族に承継させる場合、②従業員に承継させる場合、③第三者にM&Aで承継させる場合があります。
また、それぞれ農地を承継させるのか、それとも農業法人の株式を承継させるのかという場合分けが考えられます。

親族への承継の場合、遺言によって承継させる場合もあれば、事前に生前贈与や負担付贈与を実行する場合が考えられます。
もっとも生前贈与等の場合は農地法の許可を得る必要があります。
このことは、従業員や第三者に有償譲渡する場合も同様です。

これに対して、農業法人の株式を譲渡する場合には、農地法の許可は直ちには必要ありませんが、農業法人が農地所有適格法人であるための農地法の要件を具備しておく必要があります。
具体的には、(非常に簡単に記載すると)①法人形態要件(株式会社であれば非公開会社)、②事業要件(主たる事業が農業であること)、③議決権要件(農業関係者が総議決権の過半を占めること)、④役員要件(役員の過半が法人の行う農業に常時従事する構成員であること)、⑤農作業従事要件(役員又は重要な使用人の1人以上が法人の行う農業に必要な農作業に従事すること)が規定されています。

次に、農業の承継に際しては、①農地のような可視化された資産のみならず、②可視化されていない資産の承継も重要です。
②の資産としては、農業上のノウハウ、取引先との人間関係(原材料の調達等を含む)等であり、これらは一朝一夕に承継できるものではないため、時間をかけた承継、場合によっては承継後のサポートが必要になることもあります。

また、農業は各地のルールを尊重することが非常に重要となりうる事業でもあります。
したがって、農地の獲得に際しては、地元との友好関係構築、土地改良区のスケジュール把握等の情報にも配慮が必要となる場合があります。
さらに、農業は農地という土壌があってこそ、実施できる事業ではありますが、農地に関しては相続未登記農地の問題にも留意が必要です
なお、農業は光合成を利用した事業であるため、土壌は当然のこと、水や光といった光合成に不可欠な要素に関する情報取得も重要です。

また、農業の事業承継は必ずしも短期間で行うものでもありません。
既に述べたように可視化できない資産の承継には、信頼関係構築の時間が必要なこともあります。
そのような場合には、①入り口段階として業務提携を締結したり、②農業法人の株式をマジョリティとマイノリティで分け合い、株主間協定を締結することも想定されます。
すなわち、一定期間を経て信頼関係が構築された場合には(農地所有適格法人の要件に留意しつつ)プットオプション(株式売却権)を行使してすべての株式を譲渡し、逆に信頼関係の構築が難しいと判断された場合にはコールオプション(株式購入権)を行使して全ての株式を買い戻すことが考えられます。

さらに、事業が債務超過である場合、どのように負債を承継させるかという問題が存在します。
債務超過が過大でなければ、今後の収益等で埋め合わせることが考えられるでしょう。
しかしながら、債務超過が過大な場合、事業を廃止し、事業承継を断念することも選択肢としてありえるでしょう。

他方、当該債務をリストラクチャリングする場合には、通常以上の留意が必要になることが想定されます。
農業の現場は狭い社会です。
そのため、債務のリストラが思わぬ形でレピュテーションリスクを生む場合があれば、金融機関の同意が得にくい場合も想定されます。
また、スポンサーが農家を救済しようにも、前述した農地法の許可等が得られるかという問題も存在します。

しかしながら、債務のリストラクチャリングがまったく行われていないわけでもありません。
帝国データバンクの分析によると、2019年度の「野菜作農業」倒産は、過去20年で最多の37件(前年度比105.5%増)に達し、そのうち負債1億円未満が21件を占めるとのことですが、実際にはレピュテーションリスクの回避の観点から、私的整理を通じたリストラクチャリングも存在します。
また、金融機関側も、農業経営体は家族経営が多く、経営リスクへの対応力が必ずしも十分とはいえないことから早期に対応できる相談窓口設置の必要性を認識しているようです。

さらに、事業承継に関しては保証契約の承継が問題となりえます。
特に事業借入は個人にとって巨額になりうるため、承継は相続人等から難色を示されることも多いです。
この問題に明確な解は存在しませんが、対応策としては、①相続人全員が(相続分に応じて)承継する方法、②事業承継の対象者のみが保証切替により承継する方法、③保証によらない融資が望まれていることを丹念に金融機関に説明する方法、④経営者保証ガイドラインまたは特定調停等の手法により保証債務の削減を依頼する方法等が考えられます。

このような状況を踏まえ、政府としても、農業競争力強化支援法を準備し、農家の事業承継をサポートしています。
具体的には、①登録免許税の軽減、②減価償却の特例、③事業再編における資産評価損の損金算入、③事業譲渡時の債権者みなし同意の規定を設けています。

農業は国民生活の根幹であり、安定的な生産供給を維持するためにも、また、海外への輸出によって売上を確保するためにも、農業及び農業を取り巻く環境の特質を理解した対応が必要と思われます。

事業承継は、一般企業でも、簡単に考えられている方もたくさんおられますが、実際には何かと難しいのですが、農業の場合、さらに難しくなったりしますね。
一つは農地の問題ですね。
自由に売買などができないので、手間も時間もかかります
あとは、ほとんど農協に出荷しているケースですね。
その場合、自分で値段を付けることができないので、将来的な採算を検討しにくいからです。
まぁ、事業承継はすぐにはできませんので、しっかりと計画を立てて、時間をかけて取り組んでいきましょう。

農業と事業承継について、どう思われましたか?


ホワイトデー発祥の博多の「鶴乃子」の老舗和菓子店「石村萬盛堂」が業績悪化で新会社に事業譲渡!

「鶴乃子」で知られる老舗菓子店「石村萬盛堂」が、複数の地場企業が出資する新会社に事業を譲渡したと発表しましたそうです。

新型コロナによる業績の悪化が理由だそうです。

石村萬盛堂が事業を譲渡したのは、明太子メーカー「ふくや」の持ち株会社の「かわとし」や福岡地所など、6つの地場企業が出資する新会社です。

石村萬盛堂は1905年創業で、あんをマシュマロで包んだ「銘菓鶴乃子」が、博多土産として全国に知られています。

しかしながら、他社との競争に加え、コロナ禍で土産物の需要が減り、2020年6月期の売り上げは約30億円で、5年前の半分ほどに落ち込むなど業績が悪化したことから、事業の譲渡を決断したものです。

今後は新会社が、従業員の雇用と店舗の経営を引き継ぎ、商号はそのままで営業を継続するそうです。

この記事を見て、こういうのが、地方における事業承継の一つの在り方かなと思いました。
ちなみに、ネットで調べると、現在では定着したホワイトデーの起源は、昭和52年にこの石村萬盛堂の考えついた「マシュマロデー」に由来しているそうです。
マシュマロの売上を増やすために、百貨店に話を持ち込み、バレンタインデーの1か月後をマシュマロデーにしたようですが、7、8年間それほど売れず、百貨店の提案でホワイトデーに変更したところ、定着したそうです。
今回のような業績の悪化だけではなく、後継者不在などのケースでも、いわゆる地元の名士みたいなところが共同で出資して、地元の企業を守っていくというのは非常に重要なのではないかと思います。
県外の企業に事業譲渡したり、株式譲渡したりすると、商号はそのまま残ったとしても実質的に県外の企業になるかもしれませんし、将来的に本社移転とか、合併で、県外の企業になってしまうかもしれないからです。
まぁ、こういうことが可能になるには、普段から地元の経営者が顔を合わせていて、(地元の経営者に知られるのは嫌ということで県外の企業などに話を持ちかけることがないよう)色々なことを隠さずに相談できるような環境を作っておかないといけないでしょうが。

博多の「鶴乃子」の老舗和菓子店「石村萬盛堂」が業績悪化で新会社に事業譲渡したことについて、どう思われましたか?


中小企業の事業承継で大切な技術や雇用を守れるか?

読売新聞によると、中小企業の後継者不足が深刻化し、廃業になるケースが増えています。
技術や雇用を支えている中小企業を守るために、官民挙げて支援策を強化することが不可欠です。

民間の信用調査会社によると、2020年の企業の休廃業、解散は、前年より1割以上多い約5万件で、過去最高でした。
この中で、黒字の企業が6割を占めています。

後継者難にコロナ禍が追い打ちをかけ、事業継続を断念した中小企業が相次いだようです。

2025年までに70歳を超える経営者は約245万人に上るとみられますが、半数程度は後継者が決まっていないとの推計もあります。

中小企業には高度な技術を持つ町工場や、雇用の受け皿となって地域経済を支えているサービス業も少なくありません。
そうした健全な会社が、後継者がいないという理由で廃業に追い込まれるとすれば、経済の損失は計り知れないでしょう。

これまでは、親族や従業員に引き継ぐのが主流でしたが、受け手がいない場合の打開策として、他企業や起業を目指す人による買収が有望視されています。

経済産業省によると、中小企業の合併・買収(M&A)は年3,000~4,000件に達し、事業承継にも活用されています。

売り手と買い手を仲介する業者も増加しており、経済産業省は業者の登録制度を始めました。
政府が「お墨付き」を与えて使いやすくする狙いです。
トラブルを防ぎつつ、事業承継の円滑化につながるといいですね。

M&Aでは、会社の資産査定などに多額の費用がかかるほか、手続きがわかりにくいため、尻込みする経営者が目立つそうです。

政府は、全国に相談窓口として「事業承継・引継ぎ支援センター」を整備して、自ら紹介業務も手がけています。
体制を強化するとともに、国による費用補助の拡充などを検討してほしいですね。

すでに成功事例は増えています。
社員十数人の石川県の産業機械企業は社長が急逝しましたが、支援センターに相談し、地元出身で東京の大手重工メーカーに勤務経験がある人材に株式を売却して社長に迎え入れ、雇用を守りました。

好業績を上げながら後継者難に悩んでいた長崎県の機械設計会社は、強みが異なる同業者の傘下に入り、業務を補完し合って一層の事業拡大につなげました。

地域金融機関の役割も重要です。
企業の経営状況や成長力を熟知しているはずで、融資だけでなく、事業承継に関する助言や仲介業務に力を注いでもらいたいですね。

経済産業省のM&A支援機関の登録制度は、僕(及び法人)も先日申請はしました。
ただし、過去の実績等が問われるわけではなく、おそらく申請すれば、書類の不備がなければ登録されると言われています。
よって、登録されている支援機関だからといって安心というわけではなく、個人的にはM&Aの成立ではなく、その後の統合(いわゆるPMI)の方がかなり重要だと思っていますので、その辺も考慮したうえで、登録支援機関や支援センターを選んで欲しいと思いますし、僕自身(法人を含む。)も、大切な技術や雇用を守るためにできるだけのお手伝いをしていきたいと思っています。

中小企業の事業承継で大切な技術や雇用を守れるか?について、どう思われましたか?


秋田県由利本荘市が移住者が担う事業承継へ挑戦!

日本経済新聞によると、オムレツとタルトが人気の秋田県由利本荘市のカフェ「カトルセゾン」は約2年半前、愛知県から移住した夫婦が前オーナーから店を引き継ぎました。
人口減と少子高齢化が進む秋田県由利本荘市では移住者に事業承継も担ってもらう取り組みを進めており、成功事例の一つです。

前経営者(72)が愛知県岡崎市から移住した後継者(33)夫妻に店を引き継いでもらったのは2019年4月のことです。

その10年ほど前、フランスで菓子づくりを2年間学んだ前経営者が妻の実家がある秋田県で開業しました。
焼き菓子のタルトは風味豊かで人気を呼んだのです。
「食い道楽」という前経営者は旬の食材にこだわり、ランチも工夫して地域の人々の胃袋をつかみました。

しかしながら、飲食店経営は重労働です。
仕込みは午前9時ごろに始めますが、菓子づくりに取りかかるのは閉店後です。
一段落つくころには日付が変わっていたことも少なくありません。
60代後半で持病もある前経営者は体力に不安があったようです。

「開店して約10年。ありがたいことに常連さんがお店についてくれていた。閉めるのは忍びなく、誰かに引き継げないか」、前経営者がこう考えていたとき、秋田県由利本荘市が引き合わせたのが愛知県の食品会社に勤めていた後継者です。

後継者は当時30歳で、「新しいことに挑戦したい」と脱サラも考えながら、自治体の移住関連情報をよく調べていたのです。

「やっていけるのか」、後継者を探していたカトルセゾンを見つけて興味を覚えたものの、後継者の最大の懸念は飲食店勤務の経験がなかったことでした。
それでも前経営者は「本気で考えるなら、面倒を見るよ」と。
「開店して半年は横にいて店を手伝う」、そのひと言が迷っていた後継者の背中を押したのです。

移住前、毎月のように愛知県から通い、前経営者から接客の方法も料理も一から学びました。
店のメニューで人気のオムレツも同じ味を再現できるまで「何十回も作り直しさせた」(前経営者)。
塩加減ひとつ違っていても同じ味を再現できなかったのです。

後継者夫妻が引き継いだのは店やレシピだけではありません。
常連客もです。
地域には年配者が多く、当初は「味が変わったね」「しょっぱいね」と告げられました。
後継者の妻は今も感謝しています。
「店の常連さんが頑張ってね、といつも声をかけてくれた。味を引き継げるようになるまで、辛抱強く待ってくれた」

秋田県由利本荘市も後継者夫妻を支えました。
移住まるごとサポート課の長谷部浩司課長は「2人が互いに納得するまで時間をかけたこと、関係機関の連携と情報共有が後押しした」と振り返っています。

後継者が愛知県から前経営者のもとに通う際、秋田県由利本荘市はその旅費の一部を補助しました。
双方の思いを受け止め、クッション役を果たしました。
互いの話を聞き、焦らず雰囲気を醸成していったのです。

秋田県由利本荘市と商工会、秋田県事業承継・引継ぎ支援センターの連携と情報共有も機能しました。
秋田県由利本荘市が調整役になり、商工会は必要な資金の手当て、センターは契約など法律面の助言を請け負いました。
後継者の不安について情報を共有し、解消に努めたのです。

秋田県由利本荘市は「移住」と「継業(事業を継続)」をテーマに掲げ、移住・定住対策を進めてきました。
地域の企業や店舗に後継者がおらず、事業を続けられない事例も増えているからです。
事業を継ぐ意欲がある移住希望者にその役割を担ってもらい、人口と地域の活気の双方を維持する狙いです。

「飲食店に限らず、お客さんや取引先の思いに一つひとつ応えていくことが大切」と、店を継ぎ2年半近くが過ぎてたどり着いた後継者のこの思いが地域の活力になっているようです。

秋田県は昔から事業承継に力を入れていることは知っていましたが、国とか県とか市はこういう案件に取り組んでほしいですね。
店が続き、雇用も守られ、移住者も増えるわけですから。
あとは、地元の方より、外から来られた方のほうが、客観的にものごとを見れると思いますので、色々なことを残したり、変えたりすることができるのではないかと思います。
それが、地域活性化にもつながっていくでしょう。

秋田県由利本荘市が移住者が担う事業承継へ挑戦について、どう思われましたか?


阿波銀行がAIチャットボット「あわぎん事業承継Bebot」の導入!

阿波銀行(頭取 長岡奨、本店:徳島県徳島市)は、2021年8月20日(金)に株式会社ビースポーク(代表取締役 綱川明美、本社:東京都渋谷区)との共同開発により、AIチャットボット「あわぎん事業承継Bebot」のサービスを開始しました。

近年、企業オーナーのみなさまが抱える事業承継に関する悩みは、経営者の高齢化、後継者不足等、年々深刻さを増しています。
また、企業にとってデリケートな問題であることから、どこに、何を相談すればよいのか分からず、先延ばしにしてしまう傾向があります。
当サービスの導入により、来店不要で事業承継課題に対する相談に24時間(365日)対応可能な体制を整えます。
また、AIチャットボットを通じ、事前に課題を整理されることで、阿波銀行にご相談いただいた際に、より具体的なサポートが可能となります。

ちなみに、AIチャットボット(Chatbot)とは、AIを活用した自動会話プログラムです。
リアルタイムで短文のやり取りを行う「チャット」と、ロボットを意味する「ボット」を合わせた言葉で、人間同士のような感覚でAIと会話を行い、自動応答による情報収集を行うことができます。

■サービス概要
名称  :あわぎん事業承継Bebot
提供開始:2021年8月20日(金) 12:00から
搭載場所:阿波銀行 公式ウェブサイト 「法人のお客さま」トップページ
https://www.awabank.co.jp/houjin/
内容  :事業承継(親族内承継・社内承継)・M&A等に関する対策や手続等
対応言語:日本語

■開発会社概要
会社名 :株式会社ビースポーク
代表者 :綱川 明美
所在地 :東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ8F
設立  :2015年10月
事業内容:DXソリューション「Bebot」の開発・運用
URL :https://www.be-spoke.io/jp/

■株式会社阿波銀行(The Awa Bank, Ltd.)について
本店所在地:徳島県徳島市西船場町二丁目24番地の1
設立   :明治29(1896)年6月19日
資本金  :234億円
店舗数  :102店舗(徳島県内83店舗、県外19店舗、2021年6月末現在)
URL   : https://www.awabank.co.jp/

少しさわってみましたが、別にここだけではなくほかもそうですが、会話というよりは、選んでいくと簡単な説明文が出てくるだけという感じです。
この文章を読んで分かるのだろうか?、抽象的すぎないか?などと感じますが、大企業がこういうのを作って、調べたい方が調べて、具体的なことは会計事務所に聞くという流れになるのではないかと思っていまいます。

阿波銀行がAIチャットボット「あわぎん事業承継Bebot」の導入をしたことについて、どう思われましたか?


事業承継は3社に2社が『経営上の問題』と認識!

帝国データバンクによると、新型コロナウイルスの影響拡大により倒産のみならず休廃業の増加も懸念されるなか、その回避策としての事業承継が今まで以上に注目されています。
また、政府は若い世代における事業承継の気運醸成や、世代交代にともなう中小企業の成長を促進する施策のほか、税制面の優遇措置や第三者承継の促進など、事業承継への支援体制を強化しています。
なお、調査期間は2021年5月18日~31日、調査対象は全国23,724社で、有効回答企業数は11,242社(回答率47.4%)です。
事業承継に関する調査は、2017年10月、2020年8月に続き、今回で3回目です。

<事業承継に対する考え方>
事業承継について、どのように考えているか尋ねたところ、「経営上の問題のひとつと認識している」と回答した企業が55.5%と半数を超え、最多でした。
また、「最優先の経営上の問題と認識している」は11.9%となり、企業の67.4%が事業承継を経営上の問題として考えていることが明らかとなりました。
他方、「経営上の問題として認識していない」(21.6%)は2割程度にとどまり、「分からない」は11.0%でした。
事業承継を『経営上の問題として考えている』割合(「最優先の経営上の問題として認識している」と「経営上の問題のひとつと認識している」の合計)を業界別みると、『建設』が71.7%で最も高くなりました。
次いで、『製造』(70.0%)、『卸売』(68.2%)が続きました。
他方、『金融』が44.0%で低水準となりました。
また、従業員数別では、「6~20人」(72.9%)、「21~50人」(70.9%)が7割超となった一方で、「1,000人超」(33.6%)が3割台にとどまりました。
業界や企業規模によって事業承継の捉え方に濃淡がみられます。
企業からは「中小企業が持続可能であるためには、継続的な収益を確保できるための事業の確立と、後継者の確保・育成は最重要課題の一つと考える」(コンクリート製品製造、大阪府)といった声があがっています。
他方で、「継承していくための準備がまだできておらず、人材育成を行うとしてもその若手人材が決まっていないのが問題点である」(一般貨物自動車運送、香川県)というように経営上の問題と捉えつつも後継者の人材に苦慮している様子もうかがえました。

<事業承継を『経営上の問題として考えている』割合>
事業承継を円滑に行うためにどのようなことが必要か尋ねたところ、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が43.5%で最高となりました(複数回答、以下同)。
以下、「経営状況・課題を正しく認識」(37.4%)、「早期・計画的な事業承継の準備」(36.2%)、「早めに後継者を決定」(33.9%)、「事業の将来性、魅力の維持」(30.1%)が3割台で続きました。
とりわけ、「早めの後継者を決定」は、「中小企業」(35.1%)の方が「大企業」(27.8%)と比較すると7.3ポイント高く、先を見据えて次世代への継承を意識している様子がうかがえました。
他方で、企業からは「今年から後継予定者を定めて教育と経験を積ませることを取り組み始めた。しかし、順調に進まなかった場合が心配だ」(和洋紙卸売、東京都)といった長期的な準備が必要なため不安を感じる声もあるようです。

本調査の結果、7割近くの企業で、事業承継を経営上の問題として考えており、およそ1割の企業は、最優先の問題として捉えていました。
しかしながら、その認識は、業界や企業規模で差異が生じています。
また、企業の多くは、円滑な事業承継のためには、現代表と後継候補者との意識の共有をはじめ、経営状況の現状認識や早期の計画的な準備などが重要と考えています。
一方で、後継者の育成など長期の準備期間が必要であることから事業承継に不安を感じている企業もあります。
他方で、「株の引継ぎなど相続が発生した際の税金納付が大きな経営課題となる」(ごみ収集運搬、北海道)とあるように、後継者が取得した資産に対する贈与税や相続税といった税負担が障壁となっているといった意見も多数あがっています。

日本企業を支える中小企業を中心に事業承継は喫緊の課題となっています。
企業にとって円滑な事業承継には、自社における承継に向けた意識共有や事前準備に加えて、税制の改善は不可欠と言えるでしょう。

事業承継の重要性が叫ばれて久しいですが、これだけ事業承継が進まないのは、お金をかけて取り組んでいる国、金融機関、我々会計事務所に原因があると思っています。
事業承継の重要性をきちんと周知し、説明していくことはもちろん重要です。
それ以前に、現時点での事業承継は、第2次ベビーブームの時に生まれた方が後継者や引受先となることができるため、後継者や引受先がたくさんいるので、まだ何とかなるのかもしれませんが、次の事業承継の時代には、後継者や引受先となる人の多い年代層がありませんので、かなり難しいと思いますので、今回は本気で事業承継を成功させないと日本の将来はないというくらいの気持ちで取り組んでいかないといけないということを認識したうえで取り組んでいかないといけないのではないかと思っています。
個人的には、帝国データバンクの記事には『税制の改善は不可欠と言えるでしょう。』と書いていますが、日本の場合、ほとんどが中小企業で、黒字企業が3割くらいしかないわけですから、税制の改善はそれほど大した問題ではないと考えています。
それよりは、SWOT分析を行うなどじっくりと時間をかけて事業承継についてしっかりと考えていく中で、税理士と税金対策も考えていけばいいのではないかと思います。
税金対策は主目的ではありませんから。

事業承継は3社に2社が『経営上の問題』と認識していることについて、どう思われましたか?


他の社員は年上の営業担当がまさかの社長に!

朝日新聞によると、経営は好調なのに後継者がいないため事業を畳む中小企業が増えています。
従業員や取引先との問題だけでなく、地域経済の衰退にもつながりかねません。
商工団体などが間に入り、「事業承継」の支援に動き出しています。

電設資材の販売、設備工事などを主要業務とするエバラデンキ(千葉県市原市、従業員14人)は2021年5月に創業者(86)から従業員(41)に社長を引き継ぎました。
2人に縁戚関係はなく、親族外承継になります。

エバラデンキは1959年創業し、京葉コンビナートの埋め立てとともに発展しました。
「1日に2回、3回とお得意先に通った。苦しかったが支払いを現金にすることで信用を得た」(創業者)。
安定した取引先を持ち、コロナ禍でも業績は変わらないそうです。

しかしながら、悩みの種が後継者でした。
3人の子どもは、事業を継ぐ意思はありませんでした。
実は60歳の時に社長を従業員に譲ったのです。
ところが、「後継者は高圧的で、社内で自由に話せる空気がなくなってしまった」ということで、社長に復帰後、外部登用も試みたがうまくいかなかったようです。

そんな中で目を付けたのが、2004年に入社した後継者です。
工事の現場で働きたいという希望を持って入社したが、「工事はほかの人でもできる。自分が営業に回った方が会社の利益になる」と考え、創業者とともに地域を走り回っていました。

2年前に話を持ちかけられたとき、後継者は「責任が重すぎる」と断りました。
社員の多くは年上で、まとめる自信がなかったからです。
ところが、1年以上かけて説得され、「今まで社長がつくった土台を崩してはいけない」と承諾しました。

事業承継の実務は千葉県信用保証協会が相談に乗ってくれましたが、課題は株式承継だったようです。
事業が好調なことで、株式の評価額は1株3,000円を超していました。
まずは、後継者が20,000株中1,000株を買い取り、時間をかけて3分の2まで買い増すことにしました。
「譲ることは証書で取り決めている。撤回することはない」(創業者)

社長になっても後継者が営業の先頭に立つことに変わりはないようです。
「自分もここで育ててもらい成長してきた。他の社員とともにステップアップしていきたい」

最近、この手の事業承継の成功事例をちょくちょく目にしますが(事例や宣伝のために積極的に出しているのでしょうが)、顧問の公認会計士とか税理士の名前が出てこないのが、残念ですね。
近いところにいて、数値のことは分かっているわけですから、業界として、クライアントの事業承継について常日ごろから考え、提案していかないと、他の業界の人たちに仕事を取られ、信頼関係も築けないのではないかと思った1件でした。

他の社員は年上の営業担当がまさかの社長になったことについて、どう思われましたか?


宮崎県高原町の小さなパン屋さんの店主の思いが事業承継へ!

テレビ宮崎による特集で、2021年6月26日で店を閉めた宮崎県高原町のパン屋さんが取り上げられました。
先日、地元の人たちによって開かれたお別れイベントでは清々しい表情を浮かべる店主の姿がありました。
「町から店をなくしたくない」と話す店主の思いは、新たな形で引き継がれるようです。

2021年6月20日に宮崎県高原町の皇子原公園で開催された「さよならパンまつり」。
高原町のパン屋さん「天然酵母田舎のぱん屋さん」が、6月26日に閉店することになり、有志が企画し開催されました。
店主(64)と妻(60)の九州産の小麦と天然酵母を使用し地元の野菜を使うなど素材にこだわるパンは地元の人に愛され、この日も別れを惜しむ多くの常連客が訪れました。
(客)「名残惜しいですけど、顔見にきたいと思って…」

店主は、高原町の自宅の横に店舗を構えていました。
大阪でシステムエンジニアとして働いていた店主が、15年前に脱サラして高原町出身の妻とオープンさせました。
(店主)「買ってくださる、おいしかったというのがやりがい。第2の人生の中でおもしろい。」

店主は、夫婦二人三脚で大好きなパン作りをやりきったという思いから閉店することを決めました。
ただ一つだけ心残りが…
(店主)「やめたら高原町自体がパン店が少ないので、そこを誰か引き継いでくれれば、1軒消えた分、1軒起こしてくれればうれしいかな。」

宮崎県高原町で数少ないパン屋さん。
店主は閉店を決めたものの、後ろ髪を引かれる思いでした。
そんな店主に宮崎県高原町は、あるサイトへの掲載を提案しました。
それは「リレイ」という事業承継のサイトで、後継者を募集する事業者の思いや店のストーリーが掲載されます。
また引き継ぐことに興味がある人は、事業承継をする際の譲渡金額や売上げの推移などの財務情報も見ることができます。

町から店をなくしたくないと話す店主は、機材やノウハウを無償で譲渡することにしました。
すると、宮崎県小林市出身で現在は千葉県に家族で住む女性が、Uターンして店主の店を継ぎたいと名乗り出たのです。
女性はパン屋やカフェで働いていて、いつか自分の店を持ちたいという夢があったそうです。
(女性)「きっかけがなかったからずっとできなかったんですけど、こういった形で紹介していただいたりすると店主からレシピ教えていただいたりですとか、機材の譲渡というのも大きいと思うので、開業する上でのハードルをすごい下げてくれたと思う。」

帰省した時に店主のパンを買いにきていたという女性は、店主からレシピや機材を引き継ぎ、町内でパンも楽しめるカフェをオープンすることを目指します。
(店主)「自分の店を知っている方がやってみたいというのが嬉しい」
(女性)「体に優しいものとか店主の思いも受け継いで私が継ぐことで町も少しでも元気になってくれればなと思っています。」
(店主)「嬉しいですね。次を継続する相手の方が見つかりましたので、その方にバトンをタッチして一軒新しい店ができると、また皆さんで支えていっていただきたい。本当にきょうはありがとうございました。」

地域住民に愛された田舎のパン屋さん。
店主の、店と地域への思いは次の時代へとつながります。
女性は、2021年度中のオープンを目指しているそうです。

宮崎県内の60歳以上の経営者を対象にしたアンケートによると、自分の代で廃業を考えている方の理由で最も多いのが、後継者がいないからです。

こういうのが、究極の事業承継だと思いますね。
街には、昔から飲みに行ったり、買いに行ったりしている、なくなってほしくない小さな飲食店やパン屋さんやケーキ屋さんなどは皆さんにもあるかと思いますが、後継者のいないところがほとんどではないかと思います。
お店を使っていて、お店を残したいと思う方が引き継ぐのが、一番いいのではないかと思います。
後継者がいなくて悩んでいるという方や廃業しかないと考えている方は、各都道府県の事業承継・引き継ぎ支援センターやM&Aの仲介会社などに相談してみてくださいね。
ちなみに、うちも、バトンズM&A相談所高松市木太町店になっており、無料で相談を受け付けています。

宮崎県高原町の小さなパン屋さんの店主の思いが事業承継へつながったことについて、どう思われましたか?


投資ファンドを歓喜させた久美子氏の「中期経営計画」の中身と戦略!

日刊ゲンダイDIGITALによると、2015年2月26日に開かれた記者会見で、大塚家具社長の大塚久美子氏は創業者の父・勝久氏との確執について自分なりの意見をひとしきり話すと、本題の「中期経営計画」について説明を始めました。
これは単なる大塚家具再建のシナリオではありませんでした。
雌雄を決する株主総会で大口投資家たちを取り込んで勝久氏を追放するプレゼンテーションの材料でもあるわけです。
そのためには大口投資家である投資ファンドが食いつくような内容でなければなりませんでした。

もともと投資ファンドは企業現場の実態にあまり関心を寄せません。
興味を示すのは流行のビジネスモデルや財務戦略、配当性向などです。
目先の株価が上がるかどうかを重視しているからであり、金融出身の久美子氏は、そうした投資ファンドの気心を熟知していました。

会見で明らかになった「中期経営計画」のポイントは、①ビジネスモデルの変革、②開かれたガバナンス、③財務戦略としての積極的な株主還元の3つでした。
新しいビジネスモデルの構築については、単純な対立の構図を示して説明しました。
それは、時代遅れの旧態依然とした勝久氏の経営手法に対して、新しい時代にマッチした最先端の経営手法を採用するというものでした。

勝久氏は、丁寧な接客と会員制の導入で高級ブランドイメージを構築してきました。
それによって結婚や新築などのハレの日のまとめ買い需要をつかむことに成功し、大塚家具を急成長させています。

それに対して久美子氏は、「消費者の購買スタイルが『まとめ買い』に代わり、『単品買い』が主流になっている」と分析しました。
勝久氏が構築した会員制や高級ブランドイメージを活用したビジネスモデルはすでに過去の遺物になっており、これらのビジネスモデルを見直すことが必要であると主張しました。

「当社が中価格帯のメインプレーヤーとして認知されることで、IKEAやニトリが攻勢をかける低価格帯から中価格帯へ顧客が回帰する」(久美子氏)

さらに専門店の出店、地方の百貨店などとの提携、B to B事業の強化などで2015年下期までには黒字化を達成し、売上高は2014年度の555億円から2017年度には594億円、営業利益は4億円の赤字から19億円の黒字、当期利益は5億円から14億円を達成するとしました。

さらにコーポレートガバナンスを強化するために社内取締役を5人から4人に減らし、一方で社外取締役を2人から6人、監査役を3人から4人に増やすことを表明しました。
社外取締役や監査役候補には有名大学教授、大手金融機関元役員、弁護士ら投資ファンドが喜びそうな華やかな学歴、キャリアの人材を集めました。

そして2015年度から2017年度までの3年間、株主配当を40円から80円に引き上げることを約束したのです。

こうした久美子氏の計画は表面的なビジネスモデルや財務戦略、コーポレートガバナンス体制を重視する投資ファンドの心をとらえることに成功し、株主総会での勝機をつかみました。
しかしながら、これがキャッシュリッチの優良企業だった大塚家具を地獄の底に陥れるとは、このとき誰も予想だにしていなかったのです。

先日、ジャパネットたかたの前社長の高田さんのセミナーをオンラインで受講した(2回目)のですが、事業承継に大事なのは、『残す』『捨てる』『変える』『加える』の4つだとおっしゃっておられましたが、その時に、大塚家具のことが真っ先に頭に浮かびました。
この4つを見誤ると、事業承継どころか、会社の存亡の危機につながってしまいますね。
個人的には、今でも、既存のままではダメだったと思いますが、高級路線でブランドイメージのある大塚家具が、ニトリやIKEAを意識して、中価格帯の方に向かっていったのが失敗だった(高価格帯は残すところであった。)、変えるところは店舗の展示の仕方などであったと思っています。
投資ファンドも、企業現場の実態をきちんと把握しないといけないですね。

投資ファンドを歓喜させた久美子氏の「中期経営計画」の中身と戦略について、どう思われましたか?


なぜ事業承継は会社法で考えないといけないのか?

DIAMOND onlineで、株式会社武蔵野の小山 昇代表取締役社長が、書籍『経営・戦略 門外不出の経営ノート』のうち、事業承継は「会社法」で考える理由を取り上げています。

事業承継には、「民法(相続)」「会社法(株式承継)」「税法(株式売却益課税・贈与税・相続税)」という、3つの法律が関わってきます。

A社の先代社長は、「自分が亡くなった後、会社を継ぐのは長男。自分が100%保有している自社株は、妻と子ども(3人)の計4人に相続させる」ことにしました。

法定相続人(妻と子ども)は、一定の割合で財産を相続できることが「民法」により保障されています。
民法では、法定相続人は、
・配偶者……財産の2分の1
・子ども……残りの2分の1を子どもの数で均等に分割の割合
で相続できます。

したがって、母親が50%、子どもたちはそれぞれ17%弱の株を持つことになりました。

先代経営者が保有していた株式を妻と子どもたちで分けるのは、民法上は正しいでしょう。

しかしながら、「会社法」で事業承継を考えた場合、「後継者が(長男が会社を継ぐなら長男が)、すべての自社株式を相続する」のが正しいのです。

後継者がどれだけ自社株を保有しているかによって、経営者に与えられる議決権が変わるからです。

結果的にA社では、先代社長が亡くなった後、母親と次男が経営方針をめぐって長男と対立しました。
母親は次男に、「長男を追い出してあなたが社長になったほうがいい」とそそのかしました。
結果、長男は会社を追い出され、母親に操られた弟に社長の椅子を譲ることになりました。

自社株が分散していたり、自分の会社の株を、誰が、どれくらい持っているかわからない状況だったりすると、後継者に会社を承継させても、安定した経営はできません。

A社のケースだと、先代経営者が「長男に自社株を集中させる」計画をあらかじめ立てておけば、母と子の骨肉の争いは避けられたはずです。

僕もおっしゃるとおりだと思います。
今まで、民法・会社法・税法という切り口は持っていなかったのですが、以前から、『事業承継は平等さを考えなくてよい。』とか『相続税対策でたくさんの子どもや孫に110万円の範囲で自社株を贈与をするのは会社の経営を考えるとすべきではない。』とか『株主は極力少なく。』ということは、色々なところで言ってきました。
その辺は、結局、会社法(議決権)の話しです。
切り口というか説明の仕方として、『民法』『会社法』『税法』というのは、すっきりしていてよいなぁと感じました。

なぜ事業承継は会社法で考えないといけないのか?ということについて、どう思われましたか?


建設業の事業承継!

建設通信新聞によると、事業譲渡の合意までに一般的に1年程度を要する企業の第三者承継(M&A)にとって、2021年度以降に新型コロナウイルス感染症の影響が表面化してくる可能性があるようです。

影響度合いは現段階で予測しづらいですが、廃業が増加に傾けば大きな経済損失をもたらすだけに、予防線となり得る事業承継の役割は否が応でも高まっていきます。

また、コロナ禍のM&Aという枠組みの中で、エッセンシャルワーカーとして業務継続が求められる建設業の立ち位置も変化しそうです。

全国48か所(東京都は2か所)にある事業引継ぎ支援センターをサポートする、中小企業基盤整備機構(中小機構)中小企業事業引継ぎ支援全国本部によると、2020年11月末までの2020年度累計(4月から11月)の取扱件数は相談が7,556件と前年度同期と比べ、ほぼ横ばいとなっています。

一方、事業引継ぎの成約は902件と前年度(通期1,176件)を上回るペースで推移しています。

2012年から2020年度までの合計は4,479件に上り、事業承継に携わる国内の機関・企業でトップクラスの実績を誇ります。

建設業の成約は110件(2020年度4月から11月累計)と例年並みですが、今後の状況によっては単年度で最多だった2019年度(131件)を超えることも見込まれます。

全産業に占める割合は12%で、サービス・その他(30%)、製造業(24%)、卸・小売業(19%)に次ぐ比率となっています。

一般的に事業承継の成立には1年程度がかかり、2020年度の成約は2019年度以前に着手した案件のため、コロナ禍の影響は現段階で顕在化していません。

ただし、今後はコロナ禍が経営面などを直撃し、かじ取りが難しくなるとみられる業種も少なくありません。

中小機構事業承継・再生支援部の木口慎一審議役は、「(企業存続・成長の観点から)世代交代が進み事業承継が増えるのか、それとも廃業が増えるのか。先行きを見通せず、予断を許さない」と吐露しています。

どちらに振れても、国内の雇用・経済損失を防ぐ上で事業承継が果たす役割が高まることから「相談体制を拡充していきたい」と話しています。

建設業については、未曾有の感染症下でも社会・経済活動を支えるために事業継続が要請される、“安定産業”として買い手にとって魅力的に映り、事業承継が加速する可能性があります。

また、建設企業や専門工事企業を対象とした第三者承継の場合、買い手は、売り手が持つ公共工事の入札参加要件に設定される地域要件や工事実績などが取得できるとともに、技術者、技能者の人材も引き継げ、当該地域の建設事業を取り込めます。

一方、次の経営者がいない、もしくはその候補を探している売り手は、社会資本の整備・維持管理、災害対応などを通じて地域の安心・安全に貢献する社会的使命を受け渡すことができ、双方にとってのメリットは多いものとなっています。

中小機構中小企業事業引継ぎ支援全国本部では相談体制を強化するため、各支援センターの増員を計画しています。

さらに、中小企業庁が民間委託していた事業承継ネットワーク事業の業務を2021年度から実施する見通しです。

同ネットワークは地銀や商工会議所などと連携しながら、地元企業を直接訪問し、事業承継に関する相談に応じています。

能動的な相談体制を加えることで、潜在的な事業承継を掘り起こすのが狙いです。

木口審議役は、「『うちのような会社は事業引継ぎの対象として目にとまらない』と決め付けずに、気軽に相談してほしい。立地やネームバリュー、技術力、ノウハウなど(売り手)自身では気付かない魅力を買い手が感じてくれることも多い」と話しています。

中小企業庁は、全国の中小企業経営者の平均年齢(2018年時点・62歳)と引退年齢(70歳)に基づいて、2025年までに245万人が70歳以上を迎え、そのうち後継者未定が127万人に上ると試算しています。

具体策を講じずに廃業が加速すると、2025年ごろまでの10年間の累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDP(国内総生産)が失われると予測され、中小企業庁は事業承継を最重要施策に位置付けています。

新型コロナウイルスの影響で、生き残りが最優先事項となり、ますます事業承継の優先度が下がるのではないかと個人的には危惧しています。
M&A市場では今後売り案件が増加すると推測していますが、新型コロナウイルスの影響でどうしようもなくなって売りに出すところが多くなってくるでしょう。
そうなると、買い手としては、良いところかそうでないところかの見極めが必要になってくるでしょうし、どうしようもなくなっているところを買うことを検討するとしては、立て直し方が今までにはないような難しさもあるでしょう。
安く買えると考えるところもあるでしょうが、結局のところ、買うことを決定するのに時間やコストがかかり、その間にもますます悪化していくという状況が多くなり、スピードも重要なM&A市場ではその点もネックになってくるのではないかと考えています。
あとは、建設業のM&Aの実務に関わっている方でないと分からないかもしれませんが、建設業のM&Aは他の業種と比べて、難しい面が多く、時間がかかる可能性があるかもしれませんので、その点も認識はしておいた方が良いでしょうね。

建設業の事業承継について、どう思われましたか?


東邦銀行が中小企業の事業承継絡みのM&A資金を融資!

日本経済新聞によると、東邦銀行(福島県福島市)は、先日、中小企業の事業承継に絡むM&A(合併・買収)資金の一部を融資したと発表しました。
買収対象企業の資産や収益力を担保とするLBO(レバレッジド・バイアウト)ローンと呼ばれる手法で、東北地方では珍しいそうです。

民間投資会社の技術承継機構(東京都中央区)が特別目的会社(SPC)を通じ、はんだ付け装置製造のFAシンカテクノロジー(福島県福島市)の全株式を取得しました。
東邦銀行は、買収資金のほぼ全額をSPCに貸し付けました。

FA社は主に車載向けのプリント基板製造用のはんだ付け装置を製造し、売り上げを伸ばしています。
2020年6月期の売上高は、約4億2,000万円でした。
現時点で山口薫社長(59)の後継者がおらず、自社株式の譲渡を先行実施しました。

同機構は、官民ファンドの旧産業革新機構(現INCJ)に参画した新居英一社長が2018年に設立しました。
後継者不足などに悩む中小製造業者の買収で技術継承の受け皿となり、転売を目的とせず、長期的な成長を目指す経営手法をとっています。
投資は今回で3件目だそうです。

すぐに事業承継したい、会社を売りたいというニーズがあっても、すぐに、承継できる人、買ってくれるところがあるとは限りませんので、こういう形態の事業承継やM&Aは増えていくでしょうね。
銀行としても、融資が発生しますから。
ただ、渡り鳥経営者みたいな方がいらっしゃるのかどうかは疑問ですが。

東邦銀行が中小企業の事業承継絡みのM&A資金を融資したことについて、どう思われましたか?


社長の平均年齢が調査開始以来初めて60歳に到達!

社長の平均年齢は年々上昇し続けており、70歳以上で現役の社長も珍しくはありません。
その一方、全国の後継者不在率は2020年時点で65.1%(「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年)」帝国データバンク、2020年11月発表)と依然高水準であり、事業承継への備えが追いついていない現状もうかがえます。

帝国データバンクは、2021年1月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)から企業の社長データ(個人、非営利、公益法人等除く)を抽出し、約94万社を、業種別、業歴別、都道府県別に集計・分析しました。

2020年の社長の平均年齢は60.1歳(前年比+0.2歳)と、調査を開始した1990年以降初めて60歳を上回りました。
年代別の割合をみると、「60代」が構成比27.3%を占め、最多となっています。
業歴別にみると、30年以上では全体の平均年齢を上回りました。
また、「30~50年未満」では「60代」「70代」、「50~100年未満」「100年以上」では「60代」がそれぞれ最多となっています。
都道府県別にみると、「秋田県」が平均62.2歳(全国平均+2.1歳)で最も高く、「岩手県」が62.0歳(同+1.9歳)、「青森県」が61.8歳(同+1.7歳)でこれに続いています。
上位3県はすべて東北地方となっています。

<社長の平均年齢>
2020年の社長の平均年齢は60.1歳(前年比+0.2歳)と、調査を開始した1990年以降初めて60歳を超え、過去最高を更新しました。
年代別の割合をみると、「60代」が構成比27.3%を占め最多、「50代」が同26.9%、「70代」が同20.3%で続いています。
上場企業社長の平均年齢は58.7歳(前年比±0.0歳)、年代別では「60代」が構成比43.3%を占め最多となりました。

<業種別>
社長の平均年齢を業種別にみると、「不動産業」が62.2歳で最も高く、「製造業」(61.3歳)、「卸売業」(61.0歳)、「小売業」(60.2歳)も全体の平均年齢を上回りました。
また、「製造業」「卸売業」「小売業」では「60代」が最多、「不動産業」では「70代」が最多となりました。

<業歴別>
業歴別にみると、30年以上では全体の平均年齢を上回りました。
また、「10年未満」では「40代」が最多(構成比34.5%)となる一方、「30~50年未満」では「60代」「70代」(同29.3%)、「50~100年未満」「100年以上」では「60代」(各、同29.7%、同32.7%)がそれぞれ最多となりました。
業歴別における「80歳以上」の割合をみると、「50~100年未満」では構成比7.4%、「100年以上」では同6.2%と、50年未満よりも割合が大きくなる傾向がみられました。

<都道府県別>
都道府県別にみると、「秋田県」が平均62.2歳(全国平均+2.1歳)で最も高く、「岩手県」が62.0歳(同+1.9歳)、「青森県」が61.8歳(同+1.7歳)でこれに続いています。
また、東北以外でも主に東日本において全国平均を上回る地域が目立ちました。
1990年と比較して社長の平均年齢が最も高くなったのは「秋田県」(+8.4歳)、次いで「青森県」(+7.9歳)、「山梨県」・「沖縄県」(+7.8歳)となりました。
一方、「三重県」は平均58.8歳(全国平均▲1.3歳)と、全国で最も平均年齢が低くなっています。

<早めの後継者選定および育成に取り組むことの重要性>
2020年の社長の平均年齢は60.1歳と、調査開始以来初の60歳超となりました。
高齢化が進むにつれて社長の平均年齢も右肩上がりで推移しており、1990年(平均54.0歳)と比較して6.1歳上昇しました。
また、業歴30年以上では全体の平均年齢を上回っており、老舗クラスの企業においては社長の高齢化が顕著に進んでいるといえるでしょう。
社長平均年齢の上昇は、年齢に関係なく第一線で活躍し続ける社長が多いことを示しています。
その反面、事業承継の観点では課題の一つになり得ます。
2020年時点の社長交代率は3.80%と、ここ数年の推移から大きな変動はみられないほか、後継者が不在であることなどが一因となった倒産(後継者難倒産)は2020年1月から12月で452件と、依然高水準です。
企業の将来性を担保する観点からも、早めの後継者選定および育成に取り組むことの重要性が増しています。
社長の平均年齢は今後も上昇傾向が続くとみられますが、これまでに培ってきたノウハウや歴史を絶やさないためにも、円滑な事業承継に向けた準備が急務になっているといえるでしょう。

国も事業承継に力を入れていますが、新型コロナウイルスの影響もあるのかもしれませんが、事業承継が思ったほど進んでいませんね。
日本経済を支え、雇用を守り、地域に貢献するためなどには円滑な事業承継は必要です。
国もそうですが、金融機関、我々公認会計士や税理士がもっと積極的に推し進めていかないと手遅れになってしまうと思います。
今後は引き継ぐ世代の人口がどんどん減っていくわけですから。

社長の平均年齢が調査開始以来初めて60歳に到達したことについて、どう思われましたか?


広島銀行が事業承継の専門サイト立ち上げ中小企業を開拓!

日本経済新聞によると、広島銀行はNTTドコモなどと組み、企業の事業承継をサポートする専門サイトを2月1日に試験的に開設すると発表しました。
ネットで申し込みを受け付け、地元の税理士などを紹介するようです。

広島銀行はこれまでも事業承継業務を手がけてきましたが、経営者の高齢化でニーズが増え中小企業まで手が回らないこともあったようです。
より効率的に地場企業の相談に対応できる仕組みとして期待しているようです。

広島県内にある年間売上高10億円未満の会社を主なターゲットとします。
サイト名は「事業承継サポート」です。
経営者は申し込み後、地元の税理士など10人の中からアドバイザーを選んで相談できます。
事業承継の手法を決めて契約を結ぶまで費用はかかりません。
親族内承継が難しく、外部の企業に自社を売却するための相談が中心になると見込んでいるようです。

サイトの試験運用は2022年1月末までで、期間内に100件の相談受け付けを目指しています。
うまくいけば、2022年3月ごろに本格的なサービスとして始めます。

個人的には、今まで、手が回らないというよりは、(手数料ビジネスの)収益にならないと思って取り組んでいなかったけれど、銀行の業績が悪くなり、もう少し小さな企業から手数料を取ることを考え始めたのではないかと思います。
中小企業から手数料があまり取れなくても、紹介した税理士から取ることができますから。
あとは、事業承継のお手伝いをしないと、融資先がなくなったり、(事業承継の支援を積極的に行っている)サブにメインを取られたりするリスクもあるわけですから。

広島銀行が事業承継の専門サイト立ち上げ中小企業を開拓することについて、どう思われましたか?


事業承継の仲介企業が受け皿としてファンドを設立!

日本経済新聞によると、第三者承継のニーズの高まりを受け、事業承継の仲介企業も動き出したようです。
名南コンサルティングネットワーク(名古屋市)は2020年10月、投資専門会社の「名南経営キャピタル」を設立しました。
自己資金で投資しながら経営を支援するセレンディップ・ホールディングス(HD、名古屋市)はグループ企業を6社に増やしています。

名南経営キャピタルは2021年1月にも1号ファンドを組成します。
自己資金で10億円規模をまかないます。
「後継者不足に悩みつつも、成長が期待できる中部圏の中小企業を投資対象としたい」(永井晶也社長)そうです。
議決権の過半数を抑え、名南ネットワークのサポートで投資先の収益力を高めるのが基本戦略です。
3~5年程度をかけて第三者への再譲渡や新規株式公開(IPO)で出口を探ります。

名南ネットワークに相談する顧客企業の中には「後継者不足に悩むが、譲渡先がいきなり第三者というのには抵抗感がある」という企業が少なくないそうです。
ファンドはこうした企業の受け皿としての役割を担うことになります。

ファンドと聞いただけでアレルギー反応を起こす経営者はまだいるようです。
セレンディップHDは長期保有を前提にしています。
投資先の信頼感を得ながら、収益を立て直して経営指導料を得る事業モデルです。
目指すのは「経営力の高いものづくり企業集団」(竹内在社長)です。

2018年にはトヨタ自動車の内装部品を手掛ける三井屋工業(愛知県豊田市)を譲り受けました。
トヨタと関係の深いサプライヤーがコンサルティング会社に事業譲渡するのは珍しいそうです。
2020年夏にはシステム開発会社を傘下に収め、グループのIT(情報技術)基盤を整えています。

最近は、事業承継の受け皿としてファンドを作るところが増えているみたいですね。
早く入りたい、直接第三者に売るのは抵抗があるとかいう場合には、ファンドもバリューアップして売却益を得ることができますので、両者の利害が一致する感じですね。
スキームはどうであれ、事業承継ができ、会社が存続し、雇用も継続するということで日本の経済を守っていけると思いますので、どんどん色々なスキームができてほしいですね。

事業承継の仲介企業が受け皿としてファンドを設立したことについて、どう思われましたか?


後継者難倒産がコロナで加速!

J-CASTニュースによると、少子高齢が進むなか、中小企業では事業後継が大きな課題の一つになっています。
東京商工リサーチが2020年11月2日に発表した調査結果によると、2020年1~9月に発生した後継者難による倒産は278件で、前年同期比54.4%増と急増していることがわかりました。

東京商工リサーチが集計を開始した2013年以降で年間(1~12月)の最多を記録した2015年(279件)を大幅に上回り、最多件数を塗り替えることが確実です。
2020年になって突然社会を覆ったコロナ禍の影響が大きいとみられます。

2020年1~9月に発生した後継者難を要因とする倒産のうち、48.5%とほぼ半数の135件は、1980年代以前に設立・創業した業歴30年以上の企業です。
また、倒産に至った代表をめぐる理由は、「死亡」が119件(前年同期比21.4%増)と最多で、次いで「体調不良」の96件(同57.3%増)となっています。
構成比は前者が42.8%、後者が34.5%と、1、2位で計215件と77.3%を占めています。

トップの高齢や健康不安が、後継者がいない企業での最大の経営リスクになっているということでしょう。

2020年1~9月の全国の企業倒産件数は6,022件(前年同期比2.4%減)で、前年同期を下回っています。
新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われて増えた倒産件数でしたが、政府の支援策が奏功し、再び企業倒産は小康状態になっています。

その一方で、後継者難倒産は急増しています。
代表者が高齢化などに悩むなか、コロナ禍の直撃を受けて事業意欲が低下したとみられます。

後継者難倒産が、全倒産に占める割合は、2013年1~9月は2.1%でしたが、2020年同期は4.6%に拡大しました。

東京商工リサーチによると、中小企業では、代表者が営業や経理の責任者を兼務することも少なくなく、このことが会社全体での情報共有に障害となり、後継者候補などブレーンも育ちにくい要因になっています。
そのため、代表者の急な死亡や病気に直面すると事業継続が困難に陥りやすいと言えるでしょう。

コロナ禍の収束が見えないなか、後継者がいない企業では倒産や廃業が加速する可能性も高いようです。

みずほフィナンシャルグループ系列シンクタンク、みずほ総合研究所の上席主任コンサルタント、堀内直太郎さんは、2020年8月25日に「ウィズコロナの事業承継に必要な中長期的『構造変革』の備え」と題するレポートを公開しました。
このなかで東京商工リサーチが2020年7月に発表した「2020年上半期(1~6月)『後継者難』の倒産状況調査」を引用して、コロナ禍の収束が見通せないこと関連づけて、経営者の高齢化や人手不足による事業承継問題が深刻さを増していることを指摘しています。
「内に後継者がいない企業の中には、これまで想定してこなかったM&Aを具体的に検討し始めるケースも少なくない」と、指摘しています。

狭義の事業承継やM&Aに関わる僕としては、実感として合っています。
事業承継関連のお仕事で経営者の方にお話を聞いていると、後継者が既に会社にいて、ほとんどのことは経験しているが、経営者や経営者の配偶者が握っている経理・財務だけ経験していないというケースが非常に多いように感じます。
ここも早めに引き継いておかないと、危ないですね。
また、M&Aのネットでのマッチングサイトのアドバイザーとして登録していますが、最近は、飲食店をはじめ、かなり売り案件が多くなっています。
良い意味でコロナがきっかけで広義の事業承継が進めば良いとは思います。
ただし、コロナによる業績悪化で売らざるをえないようになってからでは、買い手もなかなか見つからないと思いますので、こちらも早めの決断が必要ですね。

後継者難倒産がコロナで加速していることについて、どう思われましたか?


群馬銀行が事業承継や相続のCM!

日本経済新聞によると、群馬銀行は、事業承継と相続に関するテレビCMを群馬テレビや自行ホームページなどで配信を始めました。
2020年8月下旬から順次配信しており、時間の長さによって、15秒と30秒の2種類ずつ制作しています。
事業承継と相続に関する顧客のニーズを喚起し、関連業務での収益の積み増しを狙うようです。

群馬銀行が事業承継や相続に関するテレビCMを配信するのは初めてだそうです。
群馬テレビでは、群馬銀行がスポンサーの番組内で配信しています。

群馬銀行は2022年3月まで3年間の中期経営計画で、事業承継支援では6千件の実施を目標に掲げています。
2020年6月末までの累計では3,343件でした。
同じく400件を目標とする相続関連業務では93件でした。

銀行がどれほど事業承継や相続の支援ができるのか分かりませんが、こういったCMで、少しでも事業承継や相続のニーズの掘り起こしができるのであれば、資金に余裕があるところにどんどんやって欲しいですね。
我々公認会計士や税理士では、限界がありますので。
両方ともCMを観てみましたが、少しインパクトに欠けるなぁという感じはしますが。

群馬銀行が事業承継や相続のCMを配信し始めたことについて、どう思われましたか?


山陰の6信金が事業承継で連携!

日本経済新聞によると、山陰地方の6つの信用金庫は、先日、事業承継の後押しで連携することで合意しました。
山陰地方では企業経営者の高齢化が大きな課題であるため、引き継ぎ先候補の企業を紹介し合うほか、信金中央金庫の提携先の専門機関も活用し、地域経済の維持や雇用確保を図ります。

ネットワークに参加するのは、鳥取県内の鳥取、米子、倉吉の3信金、島根県内は、しまね、日本海、島根中央の3信金で、これに、信金中央金庫と信金キャピタルも加わります。
「山陰の企業で承継できれば、地元の雇用が守られ意義が大きい」と山陰信用金庫協議会会長を務める島根中央信金の福間均理事長は話しています。

同様の連携は2019年秋に岡山県の8信金が全国で初めてスタートさせ、2020年7月に広島県の4信金も取り組むなど中国地方の取り組みが先行しています。

帝国データバンクの調査によると「後継者がいない(決まっていない)」という企業は鳥取県で約76%、島根県で約71%あり、全国平均(65%)と比べて高水準です。

こちらも、広島県に引き続き、良い試みですね。
個人的には、やはり、売り手も買い手も数が多い方が良いと思いますので、信用金庫だけでなく、地方銀行なども加わればいいなぁとは思いますが。
信金キャピタルのホームページを見ても、2001年5月14日から2020年8月17日までの19年間で140件しか成約していないわけですので。

山陰の6信金が事業承継で連携したことについて、どう思われましたか?


「廃業惜しい」と昔ながらの老舗を近所の食品メーカー社員が新社長に就任し職人技を引き継ぐ!

上毛新聞によると、100年以上続く老舗の技術を守れと、昔ながらの製法であめを作る小見製菓(群馬県高崎市江木町)の新社長に、近くの食品メーカーに勤める方(36)が就任しました。
先代社長(71)から職人技を少しずつ受け継ぎ、新たな一歩を踏み出しました。

「あと2回でよろしく」と、水盤という冷たい台の上で煮詰めた水あめや砂糖を何度も折り畳んでいます。
あめ全体を均一に冷やせるかどうかで仕上がりが左右される重要な工程です。後継者は先代社長から微妙なあんばいを教わり、重さ20キロ以上のあめを練り込んでいます。

2019年12月に相川さんが食品衛生指導員として同社を訪問したのが、2人の出会いでした。
体力の低下などから廃業を決めた先代社長が機械を手放し始めた頃でした。
先代社長の職人技を反映させた年季の入った機械を前に「まだ動くのに、なくしてしまうのは惜しい」と跡取りに名乗りを上げたのです。

同社は1918年に先代社長の祖父が創業し、ニッキあめや黒あめなど伝統的な菓子を製造、販売してきました。
以前は高崎市内だけであめ製造の会社が10社以上あったそうですが、現在は同社のみだそうです。
企業買収での継続も考えていたようですが、創業100年を区切りに畳もうとしていました。

2020年5月1日付で正式に社長を交代しました。
後継者は勤務する会社と小見製菓が同じ町内にあり、業務を掛け持ちしています。
引退した先代社長からあめ作りを学び、技術を磨いています。

卸売業者だけでなく個人客からも注文が入るたびに、小見製菓は愛されていると感じるという後継者ですが、新社長となった今、伝統を受け継ぐ地元の産業としての価値を高め、新たな販路をつくれないかと考えています。
先代社長に支えてもらいながら「まずは売り上げを増やし、少しずつ頑張りたい」と意気込んでいます。

群馬経済研究所(前橋市)が2018年に実施した事業承継動向調査によると、群馬県内企業263社のうち16.7%(44社)が「後継者不在」と回答しています。
73.5%が経営上の課題として捉えているにもかかわらず、「(承継の)計画があり、進めている」と応えた企業は36.4%にとどまりました。

同研究所は「後継者がいないことで廃業する企業が増えれば、技術やノウハウ、雇用が失われる。地域経済の活力を維持するためには円滑な事業承継が重要」としています」。

国もここ数年事業承継に力を入れていますが、ビジネスとして見合う報酬を支払うことのできないような案件、この事例のような案件を引き継ぐことが、個人的には重要だと思っています。
地元の方に愛されていたお店が急にやめて、悲しい思いをしたことのある方も多いのではないかと思います。
もちろん、全国展開のチェーン店ではなく、地元の小さなお店に行くという地元の方の貢献は必要になると思いますが、味や技術や雇用や町の存続を図っていくことが非常に大事なのではないかと思います。
そのためには、Uターンを考えている人、転勤とかをしたくない人、今の仕事に満足していない人、何か新しいことをしたい人、そのお店を大好きな人などが、こういうお店を引き継いでいって欲しいなぁと改めて思いました。

「廃業惜しい」と昔ながらの老舗を近所の食品メーカー社員が新社長に就任し職人技を引き継ぐことについて、どう思われましたか?


広島の4信金が事業承継で連携!

日本経済新聞によると、広島県内の4つの信用金庫は、先日、取引先の事業承継を後押しするネットワークを立ち上げました。
引き継ぎ先の候補となる企業を紹介し合うほか、信金中央金庫の提携先の専門機関も活用します。
広島県内では後継者難に加え、新型コロナウイルスによる業況悪化で中小の廃業が増えかねません。
各信金は地域の技術や雇用を守る取り組みを「点」から「面」で展開する狙いです。

同ネットワークに参加するのは広島信金(広島市)、呉信金(広島県呉市)、しまなみ信金(同三原市)、広島みどり信金(同庄原市)です。
信金中央金庫や同中金が提携する専門機関、信金キャピタルなども入ります。

4信金は事業承継の相談があった場合、買い手となる可能性がある取引先の情報を交換します。
従来はそれぞれの金庫の取引先内で引き継ぎ先を探すことが多かったようですが、営業エリアが限定されているために限界もあったようです。
他の信金の協力を得ることで、事業基盤を県内にとどめることにつなげます。

今回の取り組みでは信金同士の横の連携に加え、信金中金が業務提携を結んでいるスタートアップ企業や専門機関なども力を発揮します。
トランビ(東京都港区)が手掛ける事業承継の仲介サイトに各信金が案件をあげることで、より広域で買い手企業を探すことができるようにします。

事業承継を検討する売り手企業は相手探しに時間や費用がかかることが多く、煩わしさから廃業を決める例も少なくありません。
買い手とのマッチングまでは売り手に費用がかからない仕組みにすることで、廃業ではなく事業譲渡や売却といった承継につなげることを目指します。
マッチング後の監査や株式譲渡にかかる契約書類の作成などはミロク情報サービスグループなどが税理士や会計士を紹介するようです。

同様の仕組みは2019年秋に岡山県でも立ち上がっており、今回は全国で2例目です。
岡山県では既に複数の成功事例が出ているそうです。

広島でも同ネットワークが立ち上がった背景には、広島県内の後継者不足の問題があります。
帝国データバンク広島支店がまとめた調査によると、県内企業の後継者不在率(2019年)は7割超で、全国で4番目に高い水準です。
広島県内の経営者の平均年齢は59.8歳と、高齢化も年々進行しています。

足元では新型コロナの影響で、幅広い業種で収益環境が悪化しています。
呉市では日本製鉄が呉製鉄所(現・瀬戸内製鉄所呉地区)を2023年9月末までに閉鎖することもあり、広島県内での廃業増も懸念されています。
2019年の県内における休廃業・解散件数は650件と、3年ぶりに増加しました。
帝国データバンク広島支店の藤井俊氏は「今後はさらに増加基調になる可能性が高い」と指摘しています。

先日の発足式で、広島信金の武田龍雄理事長は「コロナによる廃業は何としても防ぎたい」と話しました。
地域金融機関としては取引先に事業を継続してもらうことが最も望ましいですが、「事業承継も一つの選択肢として提示できることが大事」(呉信金の向井淳滋理事長)と話しています。
廃業を防ぎつつ、円滑な承継の好事例を広島県内で共有する取り組みも欠かせません。

良い試みですね。
本当は、自県のことを考えるのであれば、地銀も巻き込めればいいのでしょうが、そう簡単にはいかないんでしょうね。
一方で、残念ながら、国が各都道府県に設置している事業引継ぎ支援センターや事業承継ネットワークにあまり期待していないということの表れようにも思われますので、事業引継ぎ支援センターや事業承継ネットワークにも頑張って欲しいと思います。

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事業承継の際の個人保証が不要になる中小企業成長促進法が成立!

日本経済新聞によると、中小企業の事業承継の際に、経営者の個人保証を不要にする制度を盛り込んだ「中小企業成長促進法」が、先日の参議院本会議で可決、成立したようです。
信用保証協会が経営者の個人保証を肩代わりする制度を新設します。
中小企業が事業承継をためらう一因を排除し、体力のある中小企業の廃業を防ぎます。

同法は事業承継を後押しする改正経営承継円滑化法などを束ねています。
経済産業大臣の認定を受けると、事業承継の際に通常の保証と別枠で最大2.8億円の保証を受けられるようになります。

経営者の高齢化などで中小企業が後継者を探す場合、個人保証の存在がネックとなるケースは多く、円滑な事業承継の妨げとなっていました。

事業の拡大で公的支援を打ち切られることが理由で中小企業が経営革新に尻込みするのを防ぐため、支援制度も見直すようです。
国や地方自治体が地域活性化に重要と認めた場合、大企業へと成長した後も地域未来投資促進法に基づく計画期間中は低利融資などの特例を受けられるようにします。

血縁関係のない社内のサラリーマン役員や従業員を後継者とすることを考えたとしても、財産がそれほどないことも多く、保証や担保提供がネックとなり事業承継が進まないこともありますので、良い方向に向かっていますね。
そもそものところは、金融機関が事業内容を評価して、将来のキャッシュ・フローを担保に融資すれば、経営者の担保提供や保証はいらないと思うのですが、金融機関にその能力があまりないのと、世の中には悪いことを考える人もたくさんいますので、なかなか難しい面もありますが、こういった方法で補われるのはありがたいですね。
コロナ禍で、事業承継がさらに後回しになってしまうかもしれませんが、使えるところは有効に使ってほしいですね。

事業承継の際の個人保証が不要になる中小企業成長促進法が成立したことについて、どう思われましたか?


中小企業の休廃業件数の推移!

新型コロナウイルスの感染拡大により資金繰りや財務が悪化する中小企業が相次ぐなか、後継者を見つけられず廃業に追い込まれるケースが出てきています。

政府は2020年度補正予算に事業承継の支援策として、100億円を計上しました。
廃業の抑制を図りたい考えです。

一方、東京商工リサーチによると、新型コロナに関連した経営破綻は4月に急増し、4月27日時点で100件に達しました。

4月20日には、東京・銀座の歌舞伎座前の老舗弁当店「木挽町辨松」が、後継者がいないことなどを理由に廃業し、歌舞伎役者やファンの間に波紋が広がったのも記憶に新しいところです。

2019年に約4万3,000件だった中小の休廃業件数は2020年、増加するとみられます。

新型コロナウイルスの影響で、お店を一定期間閉めたり、営業時間を短縮したり、お店を閉めたものの再び開けるタイミングが見つからないなど、中小企業も、今後、どんどん休業や廃業するところが出てくると思います。
現在、色々な融資制度や給付金や助成金などが出てきたり、社会保険料や税金の猶予が認められたりはしていますが、給付金や助成金など返さなくてもよいものを除き、結局は無利息だろうと、元本を返済したり、社会保険料や税金を支払ったりしないといけません。
新型コロナウイルスが落ち着いたとしても、おそらくしばらくは厳しい状況は続くでしょう。
それゆえ、融資などで延命したとしても、結局は破綻に追い込まれる企業も増えてくると思われます。
よって、将来的なことを考え、早めに休業や廃業を決めることも英断かと思いますので、休廃業は増えるでしょうが、良い意味での早めの休廃業の決断が増えることは、悪くはないかもしれません。

中小企業の休廃業件数の推移について、どう思われましたか?


特例で猶予される事業承継税制の申請は10倍だが認知向上に課題!

日本経済新聞によると、「約3000万円の贈与税の支払いがすべて猶予されました」と都内で部品製造会社を経営するAさんはほっとしたように話しています。
創業者の父親が80代と高齢のため、2019年に父の所有する株式の贈与を受けて社長に就任しました。
会社を継ぐ際の税負担がネックでしたが、「事業承継税制」が2018年に大幅に緩和されたことが背中を押したそうです。

(親族内)事業承継とは、大まかにいえば中小企業を経営する親から子に経営を譲ることです。
その際に子は親の株式を贈与や相続や売買で取得する必要があります。
ただし業績が好調だったり、会社の保有資産が多額だったりすると株式評価額は高くなり、贈与税や相続税や所得税の負担が重くなる例は少なくありません。
そこで雇用維持(現在は実質的に撤廃)などの条件を満たせば納税負担を軽減するのが、事業承継税制なのです。

経営を引き継いだとき猶予された贈与税は先代の経営者が亡くなると免除になります。
一方で、贈与された株式は相続税の対象ですが、手続きをすれば、納税は猶予されます。
次の世代まで経営を引き継ぐと、猶予されていた相続税は最終的に免除となります。

事業承継税制は2009年に始まりましたが、条件が厳格で利用は低調でした。
そこで政府は2018年1月から10年間の特例として、一定の手筒機などをすれば、贈与や相続に伴う税負担を全額猶予・免除することにしました。
従来からあった特例措置ではない一般措置は、相続税は全株式の53%相当のみ、贈与税は67%相当のみの猶予で、残りは納税する必要があるだけに、思い切った措置なのです。

政府の緩和を受けて、都道府県に特例承継計画を提出する経営者は増えています。
特例措置に必要な計画の申請件数は2019年に3,815件と、一般措置だけだった2017年の396件に比べほぼ10倍に膨らんでいます。

優遇のメリットに加えて、特例の対象になるには2023年3月31日までに計画を申請する必要があることも件数を押し上げたようです。
期限を過ぎると一般措置しか受けられないため「特例を受けるか否かは別として、ひとまず計画を提出する経営者が目立った」と税理士の藤曲武美氏は話しています。

ただ、特例の内容が十分に知られていない面もあるようです。
東京商工会議所が特例承継計画の策定状況を中小企業に調査したところ「申請中」「申請を検討している」との回答は合計で14%弱にとどまり、「よく分からない」が23%あまりを占めました。

中小企業は国内企業の大半を占め、独自の技術・ノウハウをもつ企業はたくさんあります。
中小企業庁によると、2025年までに平均引退年齢の70歳を超える中小企業経営者は245万人で、その約半数は後継者が未定です。
特例の認知度が上がれば、活用する企業が増える余地は大きいといえそうです。

上記はもともと日本経済新聞の記事ですが、少し付け加えています。
あまりにも、簡単に事業承継税制が使えるような書き方だからです。
個人的には、この記事ほど、事業承継税制が知られていないわけではないように感じます。
皆さんが考えているほど、簡単ではありません。
『猶予』であって『免除』ではないからです。
上記に『免除』というところがでてきますが、一方で後継者が『猶予』を引き継ぐだけです。
新型コロナウイルスの影響で、業績が悪化し、財務状況も悪化する企業が増えると推測されます。
確かに株価は安くなり、事業承継対策はしやすくなる面はあるかもしれませんが、そのような会社を後継者が引き継ぎたいと思うでしょうか?
個人的には、いわゆる親族内もしくは会社内の第三者への承継は思ったほど増えず、会社外の第三者への承継(いわゆるM&A)が増えるのではないかと考えています。
国がせっかく多額の予算を投入して事業承継を進めようとしていますが、当初の想定とは違う方向に行きそうですね。

特例で猶予される事業承継税制の申請は10倍だが認知向上に課題があることについて、どう思われましたか?


新型コロナで後継者不足が深刻化し政府が中小企業・個人事業者の事業承継の支援を強化!

新型コロナウイルスの感染拡大により資金繰りや財務が悪化する中小企業が相次ぐ中、後継者を見つけられず廃業に追い込まれるケースが出てきています。
政府は2020年度補正予算に事業承継の支援策として100億円を計上しました。
廃業の抑制を図りたい考えです。

東京商工リサーチによると、新型コロナに関連した経営破綻は4月に急増し、4月27日時点で100件に達しました。
先日、東京・銀座の歌舞伎座前の老舗弁当店「木挽町辨松」が、後継者がいないことなどを理由に廃業し、歌舞伎役者やファンの間に波紋が広がりました。
2019年に約4万3,000件だった中小の休廃業件数は今年、増加するとみられます。

国内雇用の7割を占める中小企業の経営者や個人事業者の多くが後継者不足に頭を悩ませる中、コロナ拡大がこの問題を一段と深刻化させています。
宿泊・飲食業を中心に需要回復が見通せないだけに、事業を引き継いでくれる人が見つかりにくくなっているためです。

政府は補正予算で事業承継の仲介手数料などに対応した補助金を新設しました。
官民が出資する支援ファンドも創設します。
後継者が見つからない場合でも、企業の合併・買収(M&A)は事業を存続させる有効な手段となります。中小企業庁は2020年3月、中小企業向けにM&A契約の具体例や仲介手数料の目安をまとめた指針を策定しました。
「ハゲタカのイメージが強いM&Aに対する不安を払拭(ふっしょく)したい」(幹部)としており、M&Aによる廃業回避を進める方針です。

このような状況を考えると、破綻や休廃業が増えるのは明らかでしょう。
当然、M&A市場で、売り希望の企業は増えるでしょう。
しかしながら、一般的に、財務状態や経営成績が悪化している企業を買い手が買う可能性は下がるでしょうし、買い手側の財務状態や経営成績が悪化している可能性も高いため、買いにくくはなるでしょう。
ただし、一部の元気な企業はチャンスとみて積極的にM&Aを進めるでしょう。
このような中で、事業承継の仲介手数料などに対応した補助金を新設したり、官民が出資する支援ファンドを創設したり、中小企業向けにM&A契約の具体例や仲介手数料の目安をまとめた指針を策定したりしても、あまり役に立たないのではないかとも思えますね。

新型コロナで後継者不足が深刻化し政府が中小企業・個人事業者の事業承継の支援を強化していることについて、どう思われましたか?


「事業承継」の窓口である事業引継ぎ支援センターと事業承継ネットワークを一本化!

政府は事業承継を支援する国の機関「事業引継ぎ支援センター」と、経済産業省が自治体などと連携して支援する「事業承継ネットワーク」を2021年4月に統合するそうです。
5月にも今通常国会に提出する「中小企業成長促進法案」に関連法案を盛り込みます。

関連事業の窓口を一本化することで、連続性のある支援の提供と事業者の利便性向上につなげます。
統合した機関を、経営再建を支援する国の機関「再生支援協議会」に合流させるかが今後の焦点とみられます。

事業承継ネットワークは、親族内外の事業承継を促進するため、2017年度から経済産業省のプッシュ型事業承継支援高度化事業として開始しました。
東京都を除く道府県で支援事業を展開しています。
独自の事業承継診断を活用し、商工団体や金融機関などの専門家が課題を探るとともに、経営者に事業承継の準備に対する“気付き”を促しています。
事業承継診断の実績は2019年4月から9月の半年間で約6万3,400件です。
中小企業庁は、この診断結果を事業引継ぎ支援センターでも活用し、“気付き”を事業承継の実現につなげたい意向です。

事業引継ぎ支援センターはデータベースを活用し、県境を越えたマッチングで事業承継を促進しています。
センターは全国47都道府県に設置され、2011年度の発足以来、相談件数は累計4万件超と増加傾向にあります。
ただし、政府が今後10年間で60万人の第三者承継を目指しているのに対し、事業引継ぎ支援センターの事業引継ぎ件数は、累計約3,000件にとどまっています。

事業引継ぎ支援センターの業務はM&A(合併・買収)による事業承継に限られていることが背景にあります。
事業引継ぎ支援センターと事業承継ネットワークが円滑に統合するには、親族内承継事業を追加する必要があり、今国会で法改正を目指します。

また、東京商工リサーチがまとめた「2019年休廃業・解散企業動向調査」によると、休廃業・解散する直前期の決算は、2019年には赤字率が5年前より1.2ポイント上昇して38.6%になっています。
赤字経営が廃業を促す一因となっていると言えるでしょう。

事業引継ぎ支援センターと、経営再建を支援する再生支援協議会が統合すれば、こうした事態を回避する効果が期待され、今後の課題になります。
ワンストップの支援により、経営再建と経営者の交代が同時に進むことになります。

僕自身、中小企業基盤整備機構(いわゆる中小機構)で事業承継コーディネーターをやっているので、『色々なところがあるのでどこに頼んでよいのか分からない』と言われることがまぁまぁあります。
個人的には、まずは窓口を一本化したほうが良いと思っていたので、とりあえず一本化は良いことだと思います。
ただし、一本化して終わりということではなく、あとは目標などの数値を達成することが目的ではないと思いますので、きちんと事業引継ぎの後押しができる組織になってほしいですね。

「事業承継」の窓口である事業引継ぎ支援センターと事業承継ネットワークを一本化することについて、どう思われましたか?


中小企業の「2025年問題」は根深い!

 ニッセイ基礎研究所によると、中小企業の事業承継問題が話題になる機会が増えています。
経営者が高齢化していく中、後継者が見つからない中小企業も多くなっています。
2017年秋に経済産業省と中小企業庁が出した試算によれば、「現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる」可能性があるそうです。
あわせて、休廃業・解散企業の約5割が黒字であることにも触れ、地方経済の再生・持続的発展には事業承継問題の解消が必要であると言及しています。
上記は一定の仮定を置いた試算ではありますが、2025年まで残された時間は少なくなる中、政府も中小企業の事業承継対策に取組んでいる状況です。

中小企業は、企業数では日本企業の約99%を占め、従業員数では約70%を占めます。
経済や社会の基盤を支え、雇用の受け皿として機能としていると言えるでしょう。
中小企業の経営は、経営者自身の手腕・信用によるところも大きくなっています。
しかしながら、その経営者の高齢化が進んでいるのです。
年代別に見た経営者の年齢分布を見てみると、1995年から2015年にかけて高齢の経営者の割合が増加しています。
経営者年齢のボリュームゾーンは、40代後半から60代半ばへと移動しています。
あと数年で、そのボリュームゾーンが70代に突入するのです。
まだまだ元気で活力ある経営者も多いのでしょうが、そのボリュームゾーンにいる多くの経営者が引退を考える時期がもうすぐやってくるのです。

しかしながら、まだ後継者を決められていない経営者が多くなっています。
東京商工会議所のアンケート調査によれば、「既に後継者を決めている」経営者は、60代で約3割、70代でも約5割に留まっています。

また、同アンケートで「後継者は決めていないが、事業は継続したい」と回答した経営者の多くが後継者探索・確保を障害・課題と感じています。
ところが、そう感じていてもその準備・対策に取組む経営者は少ないようです。
日々の経営で精一杯、または何から始めたら良いのか分からないといったことも背景にあるのでしょう。
後継者を決定して終わりではなく、後継者の育成、承継準備にも時間がかかることを考えると、承継のハードルは年々上がっていくことになります。

かつては子や親族が事業を承継するケースが多かったですが、親族内承継が必ずしも当たり前ではなくなってきています。
事業承継のリスクや不安から、安定した会社勤めを選ぶ経営者の子・親族も多くなっています。
最近は、役員・従業員への承継や、M&A等(株式譲渡や事業譲渡等)による承継が増加傾向にあります。
こうした後継者確保の難しさ、親族外承継のニーズの高まりもあって、中堅・中小企業のM&A仲介を手掛ける株式会社日本M&AセンターのM&A成約件数は堅調に伸びているのです。
地方銀行への事業承継への相談件数も増加傾向にあり、事業承継問題はM&A仲介業や地方銀行、コンサルティング会社等にとっては、大きなビジネスチャンスになっている一面もあるのです。

政府も、成長戦略において今後10年程度を「集中実施期間」とする等、取組みを強化する方針です。
例えば、「平成30年度税制改正」では、事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制について、「今後5年以内に特例承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う者」を対象として抜本的に拡充しています。
また、2018年7月に中小企業等経営強化法、及び中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の一部改正が施行され、M&A等再編による事業承継への措置や、親族外承継時の資金ニーズへの対応が追加されました。

まだまだ後継者が決まっていない企業も多い中、政府の支援策や、M&A仲介業・地方銀行といった民間のサポートで、事業承継問題がどこまで好転するのかに注目が集まっています。

経営者の高齢化、事業承継の問題は今になって叫ばれているわけではありません。
2004年度版の中小企業白書にも、経営者の高齢化、後継者難が言及されています。
それから約14年、経済環境は改善しましたが、事業承継問題は依然として大きな課題として残っており、解決の難しさを改めて認識させられます。

事業承継を考える経営者・中小企業は、早めに課題に着手する必要があります。
仮に後継者が見つかったとしても、後継者の育成やその準備に数年かかることも多くなっています。
M&Aによる株式譲渡、事業譲渡等を考えるにも、実際にM&Aが成立するまでには時間がかかります。
買い手がすぐに見つかるとは限りませんし、買い手候補が見つかったとしても、企業価値算定・デューデリジェンス・条件交渉(譲渡価格、今後の経営方針、従業員の処遇等)には一定の時間を要します。
売り手の時間に余裕がなければ、足もとを見られて買い手ペースで交渉を進めなくてはならないこともあるでしょう。
また、所在不明株主が存在する場合には、買い手が嫌がって条件で譲歩せざるを得ないケースもあります。
そうした所在不明株主の整理等にも時間を要する点には留意が必要です。
また、M&Aによる承継が増えてきたとはいえ、小規模・零細事業者のM&Aの担い手はまだまだ少なく、小規模・零細になるほどハードルも高くなっています。
このように、事業承継には時間がかかり、早めの着手が求められるものの、実際には何から手をつけて良いか分からない経営者も多くなっています。
地域金融機関、地方自治体、商工会・商工会議所等の支援組織の一層の啓蒙・支援活動に期待したいですね。

また、親族内承継であっても、親族外承継であっても、如何に企業の魅力を高められるかが重要です。
中小企業庁の「経営者のための事業承継マニュアル」の中でも、事業承継に向けた経営改善、会社の「磨き上げ」の重要性が強く指摘されています。
後継者候補に是非継ぎたいと思わせるように、他の企業から是非買いたい、その事業が欲しいと言われるように、企業の魅力を高めていく必要があるのです。

継続的に利益を出して成長し、雇用の受け皿となるような魅力や可能性のある中小企業が、後継者がいないという理由で廃業に追い込まれるのは余りに惜しいですね。
事業承継で経営者としてチャレンジしたいという人材を増やしていく必要があります。
イノベーション推進・ベンチャー支援策にも共通する点ですが、日本はリスクをとって起業等にチャレンジする人が少ないことが長らく指摘されてきました。
アントレプレナーシップ(起業家精神)を育む起業家教育や、承継後間もない経営者への支援策、ロールモデルの提示等の更なる推進が必要でしょう。

アベノミクスで景況感が改善したものの、中小企業は新たな経営課題に直面しています。
深刻化する人手不足が中小企業を悩ませています。
また、小売や生産の現場等、様々な領域でデジタル化が急速に進もうとしています。
今後、IT人材に乏しく、積極的なIT投資に手を打てない中小企業が、競争力を失う可能性もあります。

後継者がなかなか見つからない状況下、中核人材獲得や生産性向上を果たせず競争力に乏しくなった中小企業の退出(廃業)が一定程度増えていくことは避けられないでしょう。
ネガティブな話題が先行する事業承継問題ですが、むしろこれを契機に、廃業、再編、経営者の若返り等を通じて、産業や経済の新陳代謝を進めていくことも求められます。
活力ある中小企業が次々と登場し、日本経済、地方経済を盛り上げていくことが出来るでしょうか?
今後の展開を見守りたいですね。

上記は目新しいことは一つも書いていませんが、事業承継がなかなか進んでいないのは事実です。
僕自身、独立して8年半ほど経ちますが、独立当初から事業承継は事務所の柱として捉えています。
色々な面で、事業承継の重要性が叫ばれていますが、まだまだ進んでいないのは、公認会計士・税理士・中小企業基盤整備機構事業承継コーディネーターとして力不足と、認識していただく難しさを感じています。
業務として、M&Aも柱として捉えていますが、独立してから、圧倒的にお手伝いさせていただいているのはM&Aです。
ここ数年、特にその傾向が強いように思います。
個人的には、1947年から1949年に生まれたいわゆる団塊の世代の経営者から、僕もそうですがいわゆる第2次ベビーブームで生まれた経営者に承継することが、ここ数年は中心になると思いますが、本当に大変なのはその次の事業承継だと思っています。
人口分布図を見ても、第2次ベビーブーム以降、大きな山はないわけですから。
それゆえ、今回の事業承継が順調に進まないと、日本経済が終わってしまうのではないかとすら思っています。
それゆえ、親族内の事業承継にしろ、M&Aにしろ、1件でも多くの案件をお手伝いさせていただき、雇用や地域経済を少しでも守ることに貢献したいと思っています。

中小企業の「2025年問題」は根深いことについて、どう思われましたか?


大戸屋のお家騒動が終結!

 M&A Onlineによると、居酒屋「甘太郎」などを運営するコロワイドが、大戸屋ホールディングスの株式18.67%を取得して筆頭株主になったようです。
急逝した創業者・三森久実氏の妻・三枝子氏とその息子・智仁氏が、保有していた株式をすべて譲渡したのです。
大戸屋ホールディングスは久実氏が逝去した後、現社長・窪田健一氏と三森家の間で後継者を巡る壮絶な争いを繰り広げていました。
コロワイドの登場により、後継者争いに終止符が打たれました。
これは大戸屋の騒動をまとめたものです。

大戸屋ホールディングスの創業者である三森久実氏が、肺がんにより逝去したのは平成27年7月27日のことです。
その後、久実氏の従弟で取締役の窪田健一氏がトップに立ちました。
46歳だった窪田氏は国内事業本部長などを務めており、その実力は社内外からも認められていました。
しかしながら、それを良しとしない三枝子夫人が、会社の裏口から社長室に入り込み、机の上に久実氏の遺骨と位牌、遺影を置いて退任を迫るといった。そんなドラマのような一幕があったことはあまり知られていません。
「主人があなたを見ている。窪田、社長を辞めなさい。そして、智仁を社長にしなさい」
この鬼気迫るやり取りに至るまでに、いったい何があったのでしょうか?

こじれた要因は大きく2つあります。
1つは久実氏の肺がんが判明してから死に至るまで、わずか一年しかなく後継者問題に決着をつける時間がなかったこと、2つ目は息子の智仁氏が当時27歳とあまりにも若かったことです。

久実氏が不治の病だとわかったのは、平成26年7月でした。
そのときすでに脳への転移が認められており、悪化すれば通常の判断ができない状態でした。
窪田氏と智仁氏は主治医から、久実氏がいなくなった後の会社の方針をできるだけ早く本人から吸収するようにと伝えられます。

創業者・久実氏が息子の智仁氏にかける期待と熱の入れ方は相当なものです。
戸田公園店の店長だった智仁氏は、肺がんが判明した直後の平成26年8月に執行役員社長付に昇進しています。
更に平成27年6月の株主総会では取締役に選任され、常務取締役海外事業本部長に就任しました。

役員や執行役、社外役員の大半が「昇進は早すぎる」という印象を持っていました。
しかしながら、死期が迫る会長の意向を汲み、反論ができませんでした。
生前の久実氏は親族だけでなく、窪田氏などの主要経営幹部にも「智仁を後継者に」という意向を伝えていたといいます。

久実氏の死後、窪田氏と智仁氏の関係は悪化します。
平成27年8月に窪田氏と智仁氏は都内の焼き鳥店で食事をしました。
そこで智仁氏が「僕が正当な事業の継承者だ」などと思いのたけを口にします。
対する窪田氏は「もっと経験を積んで地べたを這ってやらないと誰もついてこないし、そんな簡単な会社じゃない」とたしなめます。
会話はヒートアップし、「(智仁氏は)もう会社には来なくていい」との発言に至りました。
それが決定的となり、二人の関係は急速に冷え込みます。
そのおよそ一か月後に三枝子夫人が遺骨と位牌を持って会社にやってくるのです。

そんな折、功労金を巡る大問題が巻き起こります。
それが智仁氏の逆鱗に触れるのです。
功労金は生前に支払うことができませんでしたが、役員は創業家に8億円程度を準備するつもりでした。
しかしながら、それに待ったがかかるのです。
大戸屋は「祇園ミクニ」や上海事業、植物工場などの負の遺産を抱えていました。
まずはそれらを整理するための資金に充てた方が良いのではないかという意見が出たのです。
結局、功労金の支払いは先延ばしになりました。
決まりかけていたことを知っていた智仁氏は激怒しました。

追い打ちをかけるように、窪田氏は智仁氏に対して、海外事業本部長の任を解いて香港事業運営部長に任命します。
事実上の降格です。
「僕が唯一無二の存在だ」と言い放つ智仁氏の未熟さを考慮し、経験を積ませるための決断でした。

社会の厳しさを知り、客観的かつドライに対応する窪田氏と、久実氏と三枝子夫人に可愛がられ、期待されて大志を抱く智仁氏の間で、跡継ぎ問題は、価値観や視座が異なることで巻き起こった出来事でした。
これは、カリスマ性を持った創業者が急逝した際によくみられる事象の一つです。

結局、会社に居場所を失くした智仁氏は、平成28年に大戸屋ホールディングスの役員を辞任し、スリーフォレストという高齢者向けの宅配事業の会社を立ち上げました。
平成29年6月の株主総会では、功労金2億円の支給が決まるのです。

そして今回、持ち株すべてをコロワイドに譲渡して、智仁氏と三枝子夫人の株主としての影響力もなくなりました。

一連の後継者を巡る騒動は、こうして終焉を迎えたのです。

最近の事業承継の失敗例として取り上げられたりする大戸屋ですが、とりあえず騒動は終わりを迎えたようですね。
上場企業は、プライベートカンパニーではなくパブリックカンパニーですから、やはり、早くから取り組んでおかないと、会社の存続問題につながりかねないということを改めて認識しました。
これは、上場企業だけでなく、中小企業でも同様です。

大戸屋のお家騒動が終結したことについて、どう思われましたか?


中小企業の第三者承継に関する支援税制を中小企業庁と財務省が検討!

 後継ぎのいない中小企業の経営者が第三者に円滑に事業を譲り渡せるよう、中小企業庁と財務省は新たな支援税制の創設を検討するようです。
経営者が会社を売った時に手にする利益にかかる税金を、一定条件のもとで繰り延べる内容です。
会社を譲り受けた側にも、損失に備えた引当金を税務上の損金とすることを認めるなど優遇策を検討します。

中小企業庁が近くまとめる税制改正要望のなかに「第三者承継促進税制」の創設を盛り込み、財務省と折衝します。
2025年には全国の中小企業の経営者の約6割が70歳以上になり、その半分の約127万人は後継者不在とされています。
税制面の支援措置を設け、後継者難による廃業を回避する狙いがあります。

検討中の新たな税制の柱となるのが経営者の税負担軽減です。
経営者が他企業やファンドなど第三者に会社を売って退任する際、株式の簿価と売却額の差分だけ譲渡益(黒字)が生じ、通常20.315%の税金がかかります。
検討中の新税制では、課税をいったん繰り延べます。

経営者が退任後、譲渡益を元手にベンチャー企業などに投資して赤字が発生した場合などは、赤字と譲渡時に生じた黒字を相殺することを認めることを検討しています。

経営者から事業を承継した第三者側への優遇措置も設けます。
承継に伴って発生した「のれん」の価値について、通常は5年かけて償却するところを、特別に一括償却できるようにします。

承継後に投資損失に備えて計上した引当金を税務上の損金として扱い、毎年の税負担を圧縮できるようにする案も浮上しているようです。

事業承継を巡っては、親族内の承継に伴う贈与税・相続税の負担を大幅に減らす「新事業承継税制」が2018年4月からスタートしています。
2019年度からは個人事業主版の事業承継税制も創設されました。

事業承継を進めていくのは大事なことだとは思いますが、どこか支援税制が的外れだと思うのは僕だけでしょうか?
高齢の方が多いなか、課税を繰り延べる必要があるのか疑問ですし、高齢の方がベンチャー企業に投資するでしょうか?
第三者側を優遇するのは良いかと思いますが、『のれん』を償却するのが嫌で、IFRSを採用している上場企業が多いと思いますので、一括償却はニーズがどれほどあるのかなぁと疑問に思います。
株式譲渡所得の税率を軽減したり、第三者側は法人を含め、エンジェル税制的なものを整備すれば良いのではないかと個人的には思っています。

中小企業の第三者承継に関する支援税制を中小企業庁と財務省が検討していることについて、どう思われましたか?


2018年は「人手不足」関連倒産が過去最多の387件発生!

 2018年(1-12月)の「人手不足」関連倒産は387件(前年比22.0%増、前年317件)に達したようです。
2013年に調査を開始以来、これまで最多だった2015年の340件を上回り、最多記録を更新しました。

<2018年の要因別>
2018年の「人手不足」関連倒産387件の内訳では、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が278件(前年比11.6%増、前年249件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が59件(同68.5%増、同35件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が24件(同33.3%増、同18件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が26件(同73.3%増、同15件)でした。
事業承継が問題になるなか、「後継者難」型が全体の7割(構成比71.8%)を占めた一方、「求人難」型や「人件費高騰」型の増勢が目立ちました。

<2018年の産業別>
2018年の産業別では、最多がサービス業他の106件(前年比39.4%増、前年76件)でした。
次いで、建設業71件(同10.1%減、同79件)、卸売業63件(同61.5%増、同39件)、製造業63件(同50.0%増、同42件)、運輸業28件(同21.7%増、同23件)の順です。
2018年の地区別では、全国9地区のすべてで倒産が発生し、このうち関東(132→170件)、九州(40→51件)、中部(32→45件)、近畿(33→36件)、東北(21→29件)、我が四国(10→15件)の6地区で前年を上回りました。
一方、減少は中国(21→20件)と北海道(24→17件)の2地区だけで、同数が北陸(4→4件)でした。

政府は深刻な人手不足から外国人労働者の受け入れ策として「出入国管理法」を改正しました。
しかしながら、新制度導入は2019年4月以降で、当面の間は人手不足の早急な解消は難しく、「人手不足」関連倒産は今後も増勢をたどるとみられます。
時代を如実に反映したような結果になっていますね。
個人的には、日本の将来のためにも1社でも事業承継のお手伝いをしたいなぁと思います。

2018年は「人手不足」関連倒産が過去最多の387件発生したことについて、どう思われましたか?


「後継者不在企業」の動向はどうなっているのか?

 地域の経済や雇用を支える中小企業ですが、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多いと見られています。
経済産業省が201710月に公表した試算では、今後10年間で70歳を超える全国の中小企業経営者は約245万人と推計しています。
経済産業省は、2025年頃までに約650万人の雇用と約22兆円分のGDP(国内総生産)が失われる可能性を指摘しています。
こうした中、小企業の休廃業が相次げば地域経済の衰退や雇用喪失を招きかねないとして、国や県、地域金融機関などが中心となって事業承継への支援を強化するなど、日本企業の後継者問題は官民ともに喫緊の課題として捉えられています。
帝国データバンクは、201810月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)及び信用調査報告書ファイル(約180万社収録)をもとに、2016年以降の事業承継の実態について分析可能な約276千社(全国・全業種)を対象に、後継者の決定状況など後継者問題と事業承継動向について調査を行いました。
なお、同様の調査は201711月以来5回目です。

●後継者不在状況・概要●
<年代別後継者不在率>
2016年以降(201610月~201810月間)の詳細な実態が判明した約276千社(全国・全業種)の後継者不在状況は、全体の約66.4%に当たる約18万社で後継者が「不在」となりました。
社長年代別に見た後継者不在率では、最も高いのは「30代未満」の94.1%となり、経営者が高齢になるにつれ、後継者不在率は減少傾向となっています。
過去3年間の傾向を見ると、2016年に全年代で後継者不在率は悪化していましたが、2017年以降「50代」以上で後継者不在率は改善し、2018年における「60代」~「80代以上」の後継者不在率は調査開始以降最低となりました。
一方、「30代」と「40代」では、2018年における後継者不在率は調査開始以降最高となるなど、事業承継に対する意識は年代別で傾向に差も見られます。
現社長における先代経営者との関係別(就任経緯別)に見た後継者不在状況では、全年齢で一貫して「同族承継」で就任した社長の後継者不在率が、「創業者」の後継者不在率を下回りました。
「同族承継」では、親族間で確立した世代交代制度などが、後継候補の確保に寄与している可能性があります。
他方、「創業者」では事業承継が未経験の企業も多く、事業を承継させるために「何に取り組めばいいのかがわからない」まま、先延ばししている中小企業も少なくないと見られます。
一方、「内部昇格」で就任した社長の後継者不在率は、67歳以降全国平均を上回り、68歳以降で「創業者」を上回りました。
内部昇格や外部招聘などにおいて、若い世代が事業承継を受けた企業では次代の後継者選定に向けた十分な時間が取れているケースが多いと見られます。
一方、比較的高齢で事業を引き継いだ経営者などでは、後継候補の選定や育成といった事業承継の準備期間が短くなりやすく、後継者候補の選定や事業承継が難航する要因となっています。

<地域・都道府県別>
地域別の後継者不在状況を見ると、9地域中4地域で前年を下回りました。
このうち、「北海道」が後継者不在率73.5%となり、過去調査同様に全国で最も高かったものの、2017年からは0.5ポイント低下しました。
また、「中国」(70.4%)は3年連続で後継者不在率が前年から低下しました。
一方、「東北」(64.8%)や「北陸」(58.2%)など5地域では前年を上回り、なかでも「北陸」は2017年から1.1 ポイント上昇しました。
また、5地域中「東北」と「近畿」を除く3地域では、いずれも2011年の調査開始以降で後継者不在率が最高となりました。
都道府県別では、「沖縄県」が全国平均(66.4%)を大幅に上回る83.5%で全国トップとなり、全国で唯一8割台を超えました。
沖縄県では、ベンチャー企業をはじめとした創業年数が比較的若い企業や、沖縄県の本土復帰に伴い創業した企業なども多く、他地域に比べ事業承継を経験した機会が比較的少ないことも背景にあると考えられます。
以下、「山口県」(75.0%)、「神奈川県」(73.8%)、「北海道」(73.5%)などが続いています。
他方、「佐賀県」では全国平均を大幅に下回る43.2%で全国最低となりました。

<業種・企業規模別>
業種別の後継者不在率では「その他」を除く7業種中4業種で全国平均を上回り、なかでも「建設業」(71.4%)は2017年から0.2ポイント上昇しました。
後継者不在率が最も高いのは「サービス業」(71.6%)となりましたが、2017年と比較して0.2ポイント低下し、後継者問題への対応の改善が見られました。
2018年における後継者不在率を従業員数別に見ると、従業員数「5人以下」の企業は全体の75.0%が後継者不在となりました。
売上高規模別では「5,000万円未満」で81.4%、資本金別では個人事業主を含む「1,000万円未満」で76.9%の企業がそれぞれ後継者不在となっており、中・小規模企業を中心に後継者の選定を終えていない企業が多くなっています。
一方、中堅~大規模企業になるほど後継者の選定が進んでいる傾向が見られます。

●事業承継動向●
<就任経緯別(事業承継前)>
276千社(全国・全業種)のうち、詳細な後継候補が判明している約93千社の後継者候補の属性を見ると、後継候補として全国で最も多いのは「子供」の39.7%となり、次いで「非同族」の33.0%となりました。
年代別に見ると、60代以降の社長では後継候補として「子供」を選定するケースが多い一方、50代以下の社長では「親族」や「非同族」を後継候補としている企業が多く、50代では約4割が「非同族」を後継候補としていました。
この結果、全国平均では「非同族」の割合は2017年と比較して1.5ポイント上昇しました。
承継を受けた社長における先代経営者との関係別(就任経緯別)に、後継者候補の属性をみると、「子供」を後継者候補とする企業が多いのは「創業者」(60.3%)、「同族承継」(48.5%)となり、いずれも「子供」の次は「親族」「配偶者」の順に後継者候補とする企業が多くなっています。
しかしながら、2017年と比較すると、ほとんどで後継者候補に、従業員など社内外の第三者である「非同族」を挙げる企業の割合が増加しました。
近年は、同族外への承継に際しても利用可能な「事業承継税制」における対象制限の緩和など、国や自治体による政策的な事業承継の支援のほか、社内外の第三者へ事業譲渡を行う事に対する抵抗感が、従前より軟化しつつあることも影響していると見られます。

<就任経緯別(事業承継後)>
276千社(全国・全業種)の代表就任経緯を見ると、全体の40.3%に当たる約11万社の企業が「同族承継」となり、計算上国内企業の約2.5社に1社が同族企業となりました。
次いで「創業者」(34.7%)、「内部昇格」(14.7%)となり、社外の第三者による事業の継承など「外部招聘」は3.2%にとどまりました。

2016年以降に事業承継が判明した企業約35千社の社長について、先代経営者との関係(就任経緯別)を見ると、2018年は「同族承継」で引き継いだ割合が最も高く36.0%となりました。
しかしながら、2016年(42.4%)と比較すると6.4ポイント低下し、2017年からも2.8ポイント低下しました。
一方、「同族承継」の次に多い「内部昇格」による事業継承は32.0%となり、2016年(30.8%)から1.2ポイント上昇しました。
社外の第三者が就任した「外部招聘」は、2018年は8.2%となり、2016年(7.7%)から0.5ポイント上昇しましたが、2017年からは同水準で推移しました。
この結果、2018年に判明した事業承継は、子供や配偶者、親族間で事業を引き継ぐ「同族承継」より、親族以外の従業員などが事業を承継した「内部昇格」や「その他(買収・出向・分社化等)」などの割合が上昇し、全体の半数超で親族以外出身の社長が事業承継を受けていました。
こうしたケースでは、幹部人材の登用による50代や60代の社長で多くみられ、豊富な業界経験や経営経験を背景に代表職へ就任した企業が多くなっています。
このほか、2018年は「創業者」への事業承継が5.3%を占め、2016年から1.4ポイント上昇しました。
創業者による事業承継は、特に70代や80代など高齢社長による事業承継が多く、一度社長職から代表権のない会長職などに退任したものの、後継候補の育成に伴うものや、経営幹部人材の不足などで、再度代表職へ復帰したケースが見られました。

今回の調査では、2018年の後継者不在率は全国・全業種で66.4%となり、2017年からほぼ横ばいで推移しました。
㈱日本政策金融公庫が行った調査では、中規模企業の9割以上、小規模企業では8割以上の企業が、後継者の育成には最低でも3年以上かかると回答しています。
後継候補の育成は中長期間に渡ることから、事業承継には後継者の育成を考慮したうえでの計画的な準備が重要であることを指摘しています。
しかしながら、今回の調査では社長の平均年齢である50代で約7割、社長引退の平均年齢である60代でも約5割の企業で後継者候補が未定となるなど、事業承継時期に差し掛かる年代の後継者不在率は依然高位に留まっています。
他方、事業承継を行いたくとも後継者候補がいない企業では、転廃業や上場、M&Aなど事業承継のための選択肢が限られやすくなります。
また、技術力など有用な経営資源を有していても債務負担が重い企業では、後継者や事業売却先、金融機関との調整が難航するケースもあり、承継に向けた心理的ハードルの高さから事業承継を断念してしまう可能性もあると見られます。
こうしたなか、今年に入って後継者不在のため事業継続の見込みが立たないことで倒産した企業は316件発生し(201810月時点)、2018年通年では2015年以来3年ぶりに増加する可能性が高くなりました。
代表者の逝去や体調不良で事業継続がままならなかった企業や、後継社長への引継ぎや育成が上手くいかず、経営が立ち行かなくなったことで事業清算を選択する企業が多くなっています。
近年は「非同族」を後継候補とする企業や、経営経験や現場経験が豊富な「内部昇格」「外部招聘」により事業承継を行った企業の割合は年々上昇傾向にあり、親族だけでなく「社内外の第三者」による親族外承継も含めた事業継承を検討・実施する動きが徐々に広がりつつあります。
そのため、国や地方自治体では「プッシュ型事業承継支援高度化事業」や「よろず支援拠点」などの公的支援を活用しました、
中小企業経営者への事業承継に向けた積極的な働きかけのほか、より利便性の高い事業承継の選択肢、制度拡充への取り組みが引き続き求められます。
また、地域金融機関では地域の事業者情報等を有する強みを生かし、「事業性評価」の活用による中小企業の事業承継フォローなど、債務面以外に着目した多面的なサポートが期待されるでしょう。

国も『事業承継』に力を入れており、その例がいわゆる『新事業承継税制』だと思いますが、それもあってか、最近は経営者がかなり『事業承継』に興味を持つようになってきていると実感しています。
ただし、『事業承継』の必要性を認識されていない経営者や『事業承継』の必要性を認識しているもののどうしていいのか分からない経営者も、まだまだたくさんいらっしゃると思いますので、その辺りの顕在化やニーズの把握に少しでも貢献できればいいなぁと思っています。

2018年全国「後継者不在企業」動向調査について、どう思われましたか?


事業承継で経営者の保証を解除せず4割が二重保証となっている!

 産経新聞によると、中小企業が事業を承継する際、銀行が融資のために旧経営者から取得していた個人保証を解除せず、新経営者からも二重に保証を取るケースが4割弱に上っていることが、先日、金融庁の調査で分かったようです。

 経営者の高齢化が進み、後継者不足に悩む中小企業は多くなっています。
銀行は、融資先の倒産に備える慣行として個人保証を求めてきましたが、負担が大きいことから、事業承継ではなく廃業を選ぶ企業もあります。

金融庁が、大手銀行や地方銀行など全国548の金融機関を対象に実施した調査によると、201710月から20183月に事業承継があった取引先25,732件のうち、二重の保証取得は36.3%9,349件だったようです。
旧経営者の保証を解除し、新経営者からも取らなかったのは9.5%2,438件にとどまっています。

個人保証や担保提供については、事業承継においては、ネックになることがあります。
特に、最近では、親族以外の第三者に事業承継するケースも増えており、サラリーマンである親族ではない役員や従業員である後継者はそれほどの資力がないケースが必然的に多くなります。
よって、個人保証や担保提供ができなかったり、嫌がったりすることで、事業承継ができないケースも出てきます。

そこは、本来は、金融機関は事業性で判断すべきです。
しかしながら、あまりできていないのが現実です。
金融機関も当然、融資をするというのがビジネスですから、リスクを避けたいというのは分かりますが、事業性を評価する目をもっと養って、事業承継がうまくいくように協力してほしいですね。
事業承継は、金融機関にとっても、後継者との関係性を深くする良いチャンスだと思いますので。

事業承継で経営者の保証を解除せず4割が二重保証となっていることについて、どう思われましたか?


廃業予備軍が127万社の衝撃!

2018年05月15日(火)

東京商工リサーチによると、後継者難などで毎年3万件の企業が休業や廃業、解散しています。
技術やノウハウが失われかねない事態にどう対応すべきでしょうか?

JR大宮駅から北へ約10キロの埼玉県伊奈町の事業所や工場が集まる一角に、円戸(えんど)幸雄さん(82)が1989年に創業した三協技研があります。
複数の素材を貼り合わせて包装材などに仕上げるラミネート加工が専門です。

社屋に隣接する工場では、ゆっくりと回る2つのローラーから出た2枚の素材を自動でぴったり接着させる工程が続いていました。
できたシートは、住宅の鉄骨と外壁の間に入れられ、緩衝材の役目を果たします。

円戸さんが考案したこの製法は、大幅な自動化で人件費を抑えられるのが特徴で、特許もとっています。
製品は全て大手住宅メーカーが買い上げます。
「この製品は営業する必要がないんです」だそうで、需要は増加傾向といいます。

そんなアイデアと技術力で会社を引っ張ってきた円戸さんですが、悩みがあります。
自社の将来を任せる後継ぎがいないのです。

3人いる娘はすでにそれぞれの道を見つけました。
10年ほど前から、取引先企業に頼んで、優秀な社員を後継候補として何人か送り込んでもらいました。
しかしながら、どの候補者も定着しませんでした。
中小企業の社長は、営業から開発、製造まで、細かく把握する必要があります。
円戸さんは住宅だけでなく、土木、金属、食品、化学繊維など幅広い取引先から細かい悩みを聞き、独自の技術提案をして商機につなげてきました。
同じことを後継者が務めるのは簡単ではありません。

会社の売却という道もありますが、密接な取引がしづらくなると心配する取引先からは、独立経営をお願いされるようです。
「あと3年のうちには跡取りを見つけなければ」と、あらゆるつてをたどって探すつもりだそうです。

経済産業省によると、この20年で中小企業の経営者の年齢分布は47歳から66歳へ高齢化しています。
2020年ごろには、数十万人の「団塊の世代」の経営者が引退時期となります。
「中小企業の競争力の源泉は『社長』自身であることが多く、創業者はなおさらです。
引き継ぐのは簡単ではない」(大手銀行幹部)ですし、少子化や「家業」意識の薄れもあり、後継ぎのめどが立たない企業は多くなっています。

経営者が60歳以上で後継者が決まっていない中小企業は、日本企業の3分の1にあたる127万社に達します。
事業が続けられず廃業する企業の半分は黒字とされ、2025年ごろまでに650万人分の雇用と22兆円分の国内総生産(GDP)が失われる可能性があります。

首都圏近郊の板金会社の社長だった女性(60)は昨春、板金工の兄が約40年前に創業した会社をたたみました。
精密加工技術が評価され、製品は新幹線の車体にも採用されました。
 2011年に兄が急死し、社長を継ぎました。
出入金管理や不利な手形取引の見直しを進め、就任3年で無借金経営に転換しました。

しかしながら、兄の一人息子は後継に一時意欲を見せたが、結局別の道を選びました。
古株の従業員にも引き継ぎを断られました。
それゆえ、「私が会社をみとろう」と決めたそうです。

取引先からは「同じ品質のものが調達できなくなる」と嘆かれたようです。
廃業すれば、サプライチェーン(部品供給網)の分断にもつながります。
何とか技術は残せないかと考え、同業者と交渉し、設備やノウハウ、従業員を譲渡することでまとまりました。

機械設備を売り払って廃業してしまう方が、手続きは簡単で、多くの金額が残る可能性はありました。でも、事業譲渡で技術を引き継ぐことを優先しました。
女性は言っています、「会社をつくり、経営したのは私たちだけど、培った事業は社会のものですから」と。

中小企業の事業承継の足かせの一つが、経営者が後継者に引き継ぐ自社株の扱いです。
政府は今後10年間に限り、後継者が受け取る株式にかかる税金を全額猶予し、承継に伴う税負担を緩和します。
経営者が後継者に自社株を渡すと、相続税や贈与税の納税義務が後継者に発生します。
億単位になることもあり、代替わりにちゅうちょする一因になっていました。
既に、後継者が引き継ぐ株式の3分の2を上限に、80%まで納税を猶予する制度はあります。
ただし、フル活用しても税額全体の53%までしか猶予されず、中途半端さは否めませんでした。

そこで政府は、納税猶予の対象株式を「3分の2」から「全株」に、納税猶予の割合を「80%」から「100%」に拡充し、承継時の税負担をゼロにすることにしました。
新制度を使えるのは今後10年以内に実際に会社を引き継ぐ人のみで、中小企業の事業承継への決断を早める狙いがあります。

個人的にも、事業承継関連の仕事をしていますし、このような記事を見るたびに、社長の仕事の一つは後継者を決めるこということを、社長就任時から認識しておいてほしいなぁと思います。
ここ10年で、事業承継税制を用いた事業承継が進むのは間違いないと思いますが、落とし穴もありますので、きちんと専門家を交えたうえで慎重に検討してから実行してほしいと切に思っています。

廃業予備軍が127万社の衝撃について、どう思われましたか?


上場企業でも後継経営者の育成が進んでいない!

 企業統治のあり方を示す「コーポレートガバナンス・コード」(企業統治指針)の適用からまもなく3年になります。

 企業統治指針は、経営者の後継を育成する計画をつくるよう求めていますが、思うように進んでいないようです。
経済産業省の調査では、「文書の計画はない」と答えた企業はおよそ半数にのぼり、計画が存在するかどうか分からない企業とあわせると約8割に達します。

20156月に適用が始まった企業統治指針は、企業の取締役会に対し、最高経営責任者(CEOC)などの後継者に関する計画を適切に監督するよう求めています。
指名委員会をすでに設けたり、設ける予定の企業は約半数にのぼりますが、後継者に求められる資質・能力を文書に落とし込む作業などはなかなか進まず、試行錯誤が続いています。
経済産業省は、201712月から20181月にかけて東証1部・2部上場の2,569社を対象に計画の進み具合の調査を実施し、941社から回答を得ました。

これによると、社長やCEOの後継者に関する具体的な計画が存在しない企業は48%に達します。
計画が存在するかわからない企業は29%で、計画があると答えた11%の企業の比率を大きく上回りました。

計画があると答えた企業を見ても、「社内外の取締役に内容が共有されている」と答えた企業は半分弱にとどまります。
指名委員会との計画共有も60%ほどです。
次期経営者の具体策は、「いまの経営者の頭の中のみにある」という企業が多いようです。
計画で明文化した中身(複数回答)では「後継者に求める資質・技術・経験などの定義」が、約75%で最多でした。

次期経営者を選ぶためのプロセスが決まっているとした企業は約50%で、後継者候補者を評価する基準も決まっているとしたのは約41%どまりでした。
経済産業省は、「後継者選びを現経営陣の専権事項とする企業が多いことも背景の一つにある」(産業組織課)とみています。

計画のない企業に理由を聞いたところ、「現経営陣の意向が尊重されるため」という回答が半数を占めたようです。
現経営者の任期・定年が来るまで時間があることから、具体的な議論に着手していない企業も多いようです。

金融庁が開いている企業統治指針のフォローアップ検討会でも、取締役会で後継者計画の策定や候補者選びに十分な時間や資源が割かれているかが、主な論点の一つになっています。
企業統治指針適用から3年がたつなか、企業統治指針が示した理想像と現実の差を埋めていく作業には時間がかかりそうですね。

優秀な経営者で、世界的なお金持ちでもある、ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さんでも、過去に事業承継に失敗し、現状では後継者が決まっていません。
今年から国も事業承継に一段と力を入れていますが、こういった優秀な経営者でも(カリスマ性のある経営者ゆえ)後継者育成がうまくできないわけですから、経営者の任務の一つとして事業承継を考え、上場企業のみならず、日本経済にとって大切な中小企業がなくなったり、傾いたりしないように、微力ながらお手伝いがしたいですね。

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廃業予備軍が127万社!

2018年02月16日(金)

先日の 『週刊ダイヤモンド』の特集は、「廃業or承継 大量廃業時代の最終決断」でした。
団塊世代の大量引退時期が迫り、大廃業時代の足音が聞こえています。
廃業するのか、事業承継を検討するのか?
オーナー経営者が大事に育ててきた会社の“最終決断”をどう下すべきなのでしょうか?

経済産業省が衝撃的なシナリオを提示しました。
日本の企業の3社に1社、127万社が2025年に廃業危機を迎えるというものです。
このまま廃業問題を放置すると、雇用650万人、GDP22兆円が消失してしまうそうです。

東京商工リサーチによると、廃業する企業の約半数が経常黒字です。
優良企業が大量に退出してゆく姿は、異様にも映るでしょう。
事業がジリ貧になっているわけではなく、後を受け継ぐ者がいないため、仕方なく廃業を選ぶ経営者が増えているのです。

実際に、惜しまれて廃業を決めた中小企業の経営者も少なくありません。

ご存じの方も多い『岡野工業』が製造する注射針は、赤ちゃんや糖尿病患者のインスリン注射などにも使われる「痛くない注射針」です。
品質管理に厳しい大手自動車メーカー向けの部品も製造するなど、世界に誇る技術を持つ企業ですが、2人の娘さんは嫁いで別の道に進んだため、後継者がおらず、廃業の道を選んだのです。

技術を残すために、注射針の製造はテルモに移管することに決まっています。

作り続けて82年、羽衣文具が製造するチョークは「世界一書きやすい」という評判でしたが、需要が低迷したうえ、後継者問題も持ち上がり、会社を畳みました。
興味深いのがこの先で、羽衣文具の製造技術・ノウハウは海を渡って韓国企業に買収されたのです。
他社商品で代用が利かないチョーク界の『ロールスロイス』とすら称されたメード・イン・ジャパンの技術で、廃業が決まり、アメリカの数学者らのグループが1トン分を駆け込み購入するほどの人気でした。

2018年度の税制改正で、事業承継税制が大幅に改正される予定です。
国が、事業承継を10年間で推し進めたいという意思の表れです。
一方で、数年前から事業承継が大事と言われていたわけであり、やっと国も本気になったわけですが、このような日本を代表するような技術を持つ企業が廃業するというのは、日本にとって損失であり、残念でなりません。
僕は独立開業してから6年半くらい経ちますが、独立当初から『事業承継』を看板に掲げています。
また、2年ほど前から、中小機構で『事業承継コーディネーター』をやっています。
少しでも、廃業しようとしている会社が廃業をせず、事業承継するようなお手伝いができればいいなぁと思っています。

廃業予備軍が127万社もあることについて、どう思われましたか?

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大江戸は「Oedo」→「Ōedo」「Ooedo」とローマ字表記がヘボン式に!

日本経済新聞によると、ローマ字表記の目安が約70年ぶりに見直されることになったようです。

国は内閣告示で母音と子音を規則的に並べる「訓令式」を用いるとしてきましたが、英語の発音に近い「ヘボン式」を基本とする方針です。

ヘボン式が社会で定着している実態に合わせるとともに、外国人らにも読みやすくする狙いのようです。

文化審議会の小委員会が先日、ヘボン式に移行する案を大筋で了承しました。

内閣告示は審議会の答申を受け、改定される見通しです。

訓令式では「し」は「si」、「しゃ」は「sya」、「つ」は「tu」と表記していますが、ヘボン式ではそれぞれ「shi」「sha」「tsu」となります。

「ふ」は「hu」から「fu」に変わります。

ヘボン式は幕末に来日したアメリカ人宣教師が考案したとされています。

1954年の内閣告示は「一般に国語を書き表す場合」は訓令式を用い、ヘボン式は限定的に使うとしました。

ただし、実際には、ローマ字は外国人向けに固有名詞を表記する際に使われることが多く、ヘボン式が浸透しました。

文化審議会の小委員会はこうした実態を踏まえるとともに、グローバル化への対応も考慮しました。

インバウンド(訪日外国人)や日本に住む外国人は増えており、日本語を母語としない人が読みやすいようにします。

文化庁が2024年に日本で生活する外国人を対象に実施した調査では、母語や国籍にかかわらず、95%が訓令式よりヘボン式が読みやすいと答えています。

改定案は、表記の割れが目立つ長音の示し方も明記しました。

訓令式とヘボン式ではそれぞれ母音字に長音符号の「^」「¯」をつけるとされていますが、英語の影響で符号を用いない表記が広がりました。

この場合は「大野」も「小野」も「Ono」と書き、音の長短を判別しにくいのが難点でした。

このため、符号としてより社会に定着している「¯」を使用するか、符号をつけず母音字を並べるとした。例えば「大江戸」は「Ōedo」「Ooedo」と表記します。

はねる音である撥音(はつおん)の「ん」は「n」を統一的に用い、つまる音の促音は子音字を重ねて「zasshi(雑誌)」などとします。

文化庁によると、内閣告示は国として示す目安という位置づけで、強制力はないそうです。

「judo(柔道)」のように定着している表記の変更を直ちに求めるものではなく、当事者の意思が尊重されるそうです。

学校では訓令式を教えてきました。

改定されればヘボン式に変更します。

2030年度をめどに小学校で全面実施予定の次期学習指導要領でヘボン式を採用し、教科書の表記が変わる見通しです。

数年前に、こどもの宿題を見ているときに、ローマ字の問題があって、『si』とか『tu』とか書いていたので『間違えているやん。「shi」とか「tsu」でしょ。』と言ったら、『これであっているわ。教科書に書いているやん。』と怒られて、教科書を見たり、ネットで調べると、今は、僕が習った『ヘボン式』ではなく『訓令式』が使われていることを知り、カルチャーショックを受けたことがありましたが、どうも『訓令式』はなじめないので、今回、『訓令式』から『ヘボン式』に変更になると知り、嬉しかったです(笑)。

大江戸は「Oedo」→「Ōedo」「Ooedo」とローマ字表記がヘボン式になることについて、あなたはどう思われましたか?


ネットに広がる「JA不要論」をコメ農家が農家直売がスーパーよりも高くなる理由で一蹴!

2025年06月24日(火)

ENCOUNTによると、コメの価格高騰が止まりません。

農林水産省の発表によると、2025年5月18日までの1週間に全国のスーパーで販売されたコメの平均価格は5キロあたり4,285円で、前の週から17円値上がりし、2週連続で過去最高を更新しました。

昨年同時期の2倍以上の高値が続いています。

高騰が国民生活を直撃する中、ネット上では「中抜きするJAこそ諸悪の根源」という臆測をもとにした、JA悪玉論や解体論が噴出しています。

JAとはどういった組織で、仮になくなるとどんな事態が起こるのでしょうか?

SNS上でJAの必要性を力説したある農家に話を聞いています。

JA(全国農業協同組合)とは、農業従事者によって全国に組織された協同組合(農協)のことです。

組合員の農家に対する技術指導や必要資材の共同購入、農産物の共同販売や直売所運営の他、資金の融資や共済に至るまで幅広い支援を行っています。

農作物の生産をなりわいとし、流通や販売まで手が回らない農家にとってなくてはならない存在ですが、流通の過程で農作物に中間手数料が上乗せされることから、昨今の価格高騰を背景に一部でその在り方が疑問視されているのです。

そんな“JA不要論”に対し、「JA要らない。農家から直接買えば直接の利益になるし、安く買える。は妄想です」とSNS上に反論を投稿したのが、栃木県在住のあるコメ農家です。

投稿者は「ちょっとだけ想像してみてください。私は3ha(ヘクタール)の田んぼで米を作っています」と一般論を交えつつコメ作りの規模感を語っています。

1ヘクタールは100メートル×100メートルの広さの土地で、スタンドまでを含めた甲子園球場の総面積3.85ヘクタールと比較すると、おおよその大きさがイメージできるでしょう。

田んぼ3ヘクタールの稲刈りには、コンバイン1台で約10日ほどの日数がかかるとされています。

投稿ではまず、3ヘクタールある自身の田んぼで年間に収穫できるコメの量が1万4,400キロ、市場で販売される30キロのコメ袋に換算すると480袋にもなると説明しています。

その上で「私のような小さな農家でもこの量になります。では私の10倍規模の農家なら簡単に計算しても凡そ10倍。4,800袋のお米を在庫しなければなりません」「『玄米じゃなくて精米しろ』となれば精米設備も必要になりますし、米は生鮮食品なので保管するにしても『冷蔵設備完備』でないと鮮度は維持できません」と、JAを介さず直販するには多額の設備投資がかかる事情を解説しています。

さらに、仮に設備を整えたとしても、精米する時間、袋詰め、配送手配などさまざまな販売コストや人件費がかかるとし、「それ等も販売価格に上乗せしますので、結果スーパーで買うよりも高くなる事が解ると思います」と結論付けています。

JAがなくなることで、よりコメの価格が高くなる可能性をつづっているのです。

投稿は1万件以上のリポスト、3.7万件の“いいね”を集めるなど話題になりました。

「現場の声をありがとうございます JAはなくてはならない組織なんですね!」「これだけわかりやすく説明しても米農家とJA悪論で確定バイアスのかかっている人は全く理解できないだろうな」「いわゆるJA解体を掲げてる人たちは部外者が多いですよね」「JA解体したらどうせよくわからない企業や外資系とかが入り乱れて、今より荒れた状況になりそうです」といった声が寄せられています。

投稿者は、今回の投稿の意図について、「農家から直接買えば安くなるという風潮について、個人的に『果たしてそうなのか?』と感じて投稿しました。実際には収穫から販売までに多数の過程が存在し、それらの工程を経て販売に至ります。出荷し小売店の店頭に並ぶにはさまざまな業者さんがそれぞれの役割を分担している訳ですが、直販となればその負担を生産者自らが行わなければならない。安直に『生産者から直接買えば安く買える』というのは少し違うのかなと思ったので、ざっくりではありますが投稿させていただきました」と説明しています。

一連の反響については、「本当に驚きました。当初は特に何も考えず、『こんな風になってるんだよ~』と知ってもらえたらありがたいなぁと思っていただけでしたが、ふたを開けたら多くの方からコメントを多数いただきました。もちろん賛否両論ありますし、それらを否定しようとも思いませんが、生産者の裏側を少しは知ってもらえたのかなとは思っています」と話しています。

農家の方の貴重な意見ですね。

農業、特にお米はコストがかかるのは間違いありませんので、現在、米が高いのは悪みたいな感じに世の中がなっていますが、米の価格が上がってようやくお米を作っている方も利益が出るようになった(儲からないので辞める方も多い。)という事実もきちんとマスコミ等は伝えていかないといけないと思います。

個人的には、精米や保管の設備を持っている農業法人などが設備等を貸したり、持っていない農家の方から買い取って販売するということもできるでしょうから、JAは必ずしもいらないのではないかと考えています。

また、JAはきちんと値付けができる組織になれば、存在価値が出てくる(高まる)のではないかと思っています。

ネットに広がる「JA不要論」をコメ農家が農家直売がスーパーよりも高くなる理由で一蹴したことについて、あなたはどう思われましたか?


羽田空港の駐車場予約枠を高額転売か?

日本テレビによると、予約が取りにくいという羽田空港の駐車場の背景に、高額転売の可能性が出ています。

事前予約枠をめぐり、転売禁止に乗り出す事態となっています。

“東京の空の玄関口”羽田空港は、出張や旅行を控え、ただでさえ慌ただしい朝を迎えます。

月3回ほど駐車場を利用している方
「(空港の駐車場に)来たらいっぱい。冷や汗かきながら近所の駐車場探して。きょうも結構やばかったかもしれない」

月2回ほど駐車場を利用している方
「(朝)7時とかになってくると、とめられないので、できるだけ早く来ている」

駐車場の混雑を避けるため早起きをしたという人もいるようです。

3連休など繁忙期は“数時間待ち”になるなど慢性的に混雑している羽田空港の駐車場ですが、今、その「事前予約枠」をめぐり、中野国土交通大臣が「買い占めや転売が行われているとの報告を、私も運営する各事業者から受けている。1人でも多くの方に利用をしていただくということが重要であると」国が“問題視”する事態になっているのです。

そもそも羽田空港の駐車場では、およそ800台分の「事前予約」が可能となっています。

専用サイトで利用したい日の30日前から名前や車のナンバーなどを登録し、予約料金「1,000円」を支払えば利用できます。

しかしながら、羽田空港、予約代行で検索するとずらっと業者が出てきます。
ネット上には“予約代行”をうたう業者がズラリと並んでいます。

駐車場代でしょうか、中には「3万円台」で販売されているものもありました。

駐車場の「運営事業者」が調査を行ったところ、「予約代行業者」が受け付け開始後、すぐに予約枠を買い占め、高額で転売している可能性が浮上しました。

登録した車のナンバーをあとから変更するケースが見つかったといいます。

実際、羽田空港のサイトを見てみると、午前10時からの予約開始分があっという間に埋まってしまいました。
30日後の予約枠が受け付け開始とほぼ同時に埋まってしまいました。

この状況に利用者からは“不満”の声が噴出しています。
月2回ほど駐車場を利用している方
「利益がほしい人たちによって奪われるのは、憤慨。憤りを感じる」

月3回ほど駐車場を利用している方
「(Q.3万円とかで売っている)赤ちゃんがいるとか、荷物がある人は電車で来たくないから、少々お金払ってもと思う」

年に3~4回ほど駐車場を利用している方
「3万円ですよね、考えられない。僕はバカバカしくてもったいないと感じるので朝イチに来る」

駐車場の“代行業者”を利用したという方
「(公式サイトの)1か月前の(受け付け開始日)から狙いましたが ダメでした。妻が頑張ってやったけど瞬く間に赤(満車)になっちゃって、じゃあほかで頼むしかないよねと。何千円か割高かな。でも安心を買うようなもの」

every.は駐車場の「予約代行」を行っている業者を取材しました。
駐車場の“予約代行”行う業者
「客からの依頼を受けて予約を確保しているので転売ではない。予約枠を確保したら手数料をいただく」

依頼の数は月20件ほどで、「予約の枠」が少ないのが問題だと話しています。

駐車場の運営事業者は、来月から利用規約に転売禁止を盛り込み、予約後の車のナンバーの変更も禁止にするようです。

誰もが安心して利用できるよう対策を強化するとしています。

やはりお困りごとを解決することがお仕事につながりますから、ニーズに対して、こういう業者が出てくるのでしょうね。

登録した車のナンバーをあとから変更できる仕組み自体にもんだいがあると思いますので、身元確認から始まり、対策をしていくしかないでしょうね。対策したとしても、おそらく、いたちごっこになるでしょうから。

羽田空港の駐車場予約枠が高額転売されていることについて、あなたはどう思われましたか?


「アメ車」は日本で一人負けのシェア0.4%ゆえ非関税障壁より消費者の壁!

日本経済新聞によると、日本市場でアメリカ車の販売が振るいません。

2024年の年間販売台数は1996年のピークから8割減り、アメリカ車が新車販売に占める割合はわずか0.4%にとどまります。

アメリカのトランプ大統領は安全基準の違いなどを「非関税障壁」としてやり玉に挙げていますが、当事者のアメリカメーカーは影響を否定しています。

「アメ車」はなぜ日本で売れなくなったのでしょうか?

日本自動車輸入組合(JAIA)のデータからアメリカブランド車の販売台数を集計しています。

アメリカで生産しているかは考慮していません。

アメリカ電気自動車(EV)大手のテスラは地域別の販売台数を公表していないため推計しました。

2024年のアメリカ車の販売台数は約1万6,700台でした。

国内新車販売全体は442万1,494台で、アメリカ車の割合は0.4%しかありません。

輸入車販売(22万7,202台)でみても割合は1割に満たないです。

実はアメ車は日本で一人負けなのが実態なのです。

輸入車で首位がドイツのメルセデス・ベンツの5万3,195台、2位が同じくドイツのBMWの3万5,240台です。

アメリカ車はジープが9,633台と7位でようやく顔を出します。

アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)のブランド「シボレー」は587台、「キャデラック」は449台しか売れていないのです。

なぜ日本でアメ車離れが起きているのでしょうか?
1990年代にアメ車ブームが巻き起こり、1996年に販売台数は約7万2,900台とピークに達しました。

けん引したのはフォード・モーターとGM、クライスラーの「ビッグ3」です。

シボレーのミニバン「アストロ」などを中心に人気を集めました。

そこから販売は減少の一途をたどっています。

2009年に約8,700台まで落ち込み、2016年にフォードは日本から撤退しました。

車体の大きさや燃費性能の悪さなどが消費者から敬遠されたのです。

伊藤忠総研の深尾三四郎エグゼクティブ・フェローは当時のビッグ3について「顧客へのサービスが不十分だった」と指摘しています。

一方、アメリカ勢で気を吐くジープは主力の「ラングラー」などをアメリカから輸入しているが、日本市場に合わせて右ハンドル車を導入しています。

ジープを傘下に持つヨーロッパのステランティス日本法人の成田仁社長は非関税障壁について「日本に参入しにくいと感じたことはない」とし、「顧客が求める形で提供することが大前提」と強調しています。

アメ車も変わろうとしています。

キャデラックは2025年3月に日本で発売したEVで約12年ぶりに右ハンドルを導入しました。

日本法人の若松格社長は「新しい需要を開拓する」といっています。

世界で不買運動が起きているテスラは日本で好調です。

日本車メーカーのEVが低迷しているためで、深尾氏は「日本市場に合ったEVを投入できれば、アメリカ車でも売れる余地はある」と話しています。

トランプ大統領は日本の充電規格にも不満を示していますが、中国のEV大手の比亜迪(BYD)は規格に対応したうえで、軽自動車に参入して日本の牙城を切り崩しにかかっています。

日本に対する自動車の非関税障壁の見直しは、オバマ元大統領の時から要求が続いています。

今回、日本政府は関税撤廃に向けた交渉カードの一つとして、輸入自動車への特例措置を想定しています。

しかしながら、非関税障壁が一部見直されたとしても、日本市場に合った車がなければ売れません。

今も左ハンドルは多く、燃費性能が悪い印象が消費者から持たれています。

大事なことはアメ車に対する消費者の心の壁を崩せるかです。

僕も昔、アストロとかハマー3とかを買うことを考えたことがありますが、大きさ、左ハンドル、燃費の悪さなどを考え、買いませんでした。

今だと、ガソリン価格も当時の2倍くらいになっていますから、なかなか買う人は少ないでしょうね。

トランプ大統領は、関税が原因のようなことを言っていますが、関税では何も解決しないと思いますね。

プロダクトアウトかマーケットインかの話しのように感じます。

「アメ車」は日本で一人負けのシェア0.4%ゆえ非関税障壁より消費者の壁!があることについて、あなたはどう思われましたか?


「何てことをしてくれたんだ」とシャインマスカット農家はショックを隠し切れず!

信越放送によると、長野県須坂市が、地元産ではないシャインマスカットをふるさと納税の返礼品にしていた問題について、生産農家はショックを隠し切れないようです。

吉池果樹園 吉池拓也代表:「そういうことされたらもう信用がないじゃないですか」

3年ほど前から須坂市の返礼品としてシャインマスカットを出荷する吉池拓也さん。

吉池果樹園 吉池拓也代表:「信頼していた部分が大きかったのでとてもショックです。何てことしてくれたんだと」

吉池さんは偽装の情報を知ってすぐに、日本グルメ市場との取引の中止を決めたといいます。

吉池果樹園 吉池拓也代表:「まずは信頼できる業者を市が判断して頂いた方が、ブランドもあるのでそこら辺を農家と話し合いながら進めていければ」

市民の反応は…。

須坂市民:「ブランドを傷付けるような行為なので迷惑で今後どうなっていくか不安。把握した段階で是正すれば、仕方ないことはないが対応できたのかなと。隠したのは完全にアウトだと思います」

須坂市民:「皆さん産地偽装を知らないで買い求めている。それを知ったらショック」

日本グルメ市場の長野営業所はSBCの取材に対し、「社長が長野に訪れる予定はしばらくない」と説明しています。

こういった事件が出てくるとは思っていましたが、やはり出てきましたね。

当然、農作物などは収穫量が天候や病気等に左右されるわけですし、人気のあるものには申し込みが殺到するわけですから、きちんと数量管理をして、申込件数を制限しないと、同じような事件は今後も出てくるのではないかと思います。

今回、日本グルメ市場は、長野県ではなく和歌山県の会社ですから、業者も市内とか県内とかに制限する方が、ふるさとへの貢献にもつながるのではないかと思いました。

「何てことをしてくれたんだ」とシャインマスカット農家はショックを隠し切れないことについて、あなたはどう思われましたか?


ドバイに続く「億万長者の街」として世界の富裕層がバンコクへ!

日本経済新聞によると、タイの首都バンコクに世界の富裕層が集い始めているようです。

東南アジアの比較的温暖な気候や豊かな食文化が生活拠点として評価され、中国や欧米の資産家の移住先として人気が高まっています。

ドイツのポルシェやフランスのバカラなど欧州ブランドが手掛ける高級マンションの建設も相次ぎ、ドバイやシンガポールに続く「億万長者の街」として注目されています。

バンコク中心部にそびえる高さ314メートルの「キングパワー・マハナコン」の66階の住居フロアに個人投資家の与沢翼さん(42)とその家族が居を構えています。

2024年に、3年ほど住んだドバイを離れてバンコクに移り住んだのです。

「物価や食事、教育面などを総合的に考えればタイが一番」と与沢さんは語っています。

ドバイやマレーシア、日本にマンションなど複数の物件を保有していますが、将来はタイへの投資に集中する考えのようです。

2025年3月にはおよそ2億バーツ(約8億8,000万円)の新規物件を購入しました。

「高級住宅市場が急速に立ち上がっている。富裕層がバンコクに移る動きも出ている」とのことです。

富裕層向けの投資コンサルティング会社、イギリスのヘンリー・アンド・パートナーズによると、100万ドル(約1億5,000万円)以上の流動資産を持つ富裕層のタイへの流入数は2024年におよそ300人と、2023年比で倍増しました。

アラブ首長国連邦(UAE、6,700人)やアメリカ(3,800人)に数は及ばないものの、伸び率は世界最大です。

ヘンリー・アンド・パートナーズのアンドリュー・アモイル氏は「富裕層がバンコクに向かう流れは2025年にさらに加速する」とみています。

充実した教育制度やナイトライフなど生活の利便性も人気の理由だそうです。

周辺に150を超えるインターナショナルスクールがあり、年率2桁のペースで増えています。

イギリスのユーロモニターによると、2024年にバンコクを訪れた外国人観光客は3,240万人と世界の主要都市で最多でした。

旅行でこの街を気に入り、移住を考える富裕層も多いようです。

バンコク市内では、富裕層の流入を見越した高級マンションの開発ラッシュが起きています。

バンコクの目抜き通り「スクンビット」の一角で、ドイツの高級車ブランド「ポルシェ」の名前を冠した超高級マンションの建設が進んでいます。

2028年にも完成する22戸は平均価格が1,500万ドル(約22億円)です。

最高級は4,000万ドルと、タイの分譲マンションで過去最高額となる見通しです。

開発会社ポルシェ・ライフスタイル・グループのステファン・ビュッシャー最高経営責任者(CEO)は「新たな生活体験を求めて、金に糸目をつけない富裕層が購入意欲を示している」と話しています。

ポルシェはドイツのシュツットガルト、アメリカのマイアミに次ぐアジア初のマンション開発地にバンコクを選んだのです。

ビュッシャー氏はその理由として「街の活気」を挙げています。

東京や上海も候補として検討したようですが、高額物件の需要に加え、都心の一等地を確保しやすく建設費が比較的安いことも決め手になったそうです。

不動産調査会社C9ホテルワークスによると、ホテル名などを冠した高級マンションの販売総額は2024年末時点でタイが62億ドルと、アジア圏で最大、日本のおよそ7倍に及びます。

フランスのバカラは現地の不動産開発大手と提携し、自社がデザインを手掛ける高級住宅の開発を進めています。

戸数は4戸限定で価格は48億円です。

高級ホテルブランド「アマン」も2023年に竣工した東京都港区の「麻布台ヒルズ」に続き、バンコクの中心部に高級マンションを開発中です。

タイの不動産市場に詳しいCBREタイランドのアティタヤ氏は「ドバイの物件は投資対象として人気だが、バンコクは住居用の需要が高い」と解説しています。

バンコク中心部の一等地を保有し、タイ最大の「地主」とされるタイ王室も富裕層の誘致に一役買っています。

王室財産管理局は不動産開発会社を傘下に置き、ドイツの高級ホテル系などのマンション開発を手掛けています。

民間最大の投資プロジェクト「ワンバンコク」や老舗ホテル「デュシタニ・バンコク」の再開発にも王室が保有する土地をマンション用地として拠出しました。

タイ政府住宅銀行がまとめた2024年1〜9月のタイ国内における外国人の物件購入件数は1万1,036件で、そのうち4割が中国人でした。

ヘンリー・アンド・パートナーズは、中国の富裕層の国外流出数が2024年に1万5,200人と過去最多になったと推計しています。

経済成長の鈍化や政府当局による監視強化を避けて国外移住する富裕層が増えているとみられ、バンコクが受け皿の一つになっているのです。

アメリカのトランプ大統領は2025年2月、外国人が500万ドル(約7億5,000万円)を支払えば米国で永住権を得られる「トランプ・ゴールドカード制度」の創設を表明しました。

「100万枚以上売れるだろう。世界の富裕層がアメリカに集まり、大成功を収める」と唱えました。

世界各国で富裕層の誘致競争が過熱しているのです。

資金力のある個人を自国に呼び込み、経済の活性化や投資の促進につなげようとしています。

シンガポールは2004年に「グローバル投資プログラム」を導入し、外国人の一定規模の投資家や起業家に永住権の取得を可能にしました。

タイは2022年に純資産額1,00万ドル、年収8万ドル以上の富裕層向けに長期滞在ビザを設けました。

インドネシアやマレーシアでも同様の仕組みが始まっています。

富裕層の流入数でトップのドバイは永住権制度はありませんが、預金額200万ディルハム(約8,100万円)以上などの条件で最長10年のビザを提供しています。

一方、国内の不動産価格の高騰や安全保障上の理由から、富裕層への永住権や長期ビザの発行を取りやめる動きもあるようです。

イギリスやオランダが近年廃止したほか、スペインも2025年4月に長期ビザ制度を終了します。

国際社会では、税制優遇などで富裕層を呼び込む手法が課税逃れやマネーロンダリング(資金洗浄)につながっているという批判もあります。

■富裕層■

一般的に日本では1億円以上、国際的には100万ドル(約1億5,000万円)以上の流動資産を保有する個人や世帯と定義されています。
イギリスのヘンリー・アンド・パートナーズの推計では、100万ドル以上の「ミリオネア」は世界におよそ1,700万人、全人口の0.2%に相当します。

国別の居住者数は2023年末時点でアメリカが549万人と最多で、以下、中国(86万人)、ドイツ(80万人)、日本(75万人)と続きます。

10億ドル以上の「ビリオネア」となると世界で2,650人に限られます。
より良い生活環境や税制などの好条件を求めて外国に移り住む富裕層も多くなっています。

2024年に国外移住した富裕層は12万8,000人と、2014年比で2.2倍に増えました。

色々な国が富裕層の誘致に力を入れているんですね。

日本は、都道府県では移住に力を入れているところ(我がうどん県もそうだと思いますが。)もありますが、所詮、日本国内での奪い合いであり、世界的には取り残されているような気はしますが。

まぁ、複雑な税制を根本的にシンプルなものに変えないと無理でしょうね。

あとは、先日のミャンマーの地震で1,000キロメートル以上も離れたバンコクの建設中のビルが倒壊したりしていましたが、これが影響を及ぼすかもしれません。

ドバイに続く「億万長者の街」として世界の富裕層がバンコクへ移住していることについて、あなたはどう思われましたか?


顧問税理士が語った中居正広さんとの“30年”の関係!

FLASHによると、20代女性との性的なトラブルで、解決金を払ったと「NEWSポスセブン」「文春オンライン」に報じられた、タレントの中居正広さんですが、女性との仲介役として、フジテレビの編成幹部社員が関与した疑惑も浮上し、フジテレビの港浩一社長が緊急記者会見を開くなど、社会問題にまで発展しています。

そうした影響で、中居さんがレギュラー出演していたテレビ番組5本、ラジオ番組1本の全6本はすべて消滅することになりました。

中居さんは2025年1月23日、芸能界からの引退を発表しました。

中居さんは1987年にジャニーズ事務所に入所し、翌1988年に結成されたアイドルグループ・SMAPに加入し、リーダーとなりました。

2016年12月末にSMAPが解散した後は、ソロ活動に入り、2020年2月19日に個人事務所「のんびりなかい」を設立しました。

代表取締役社長に就任し、2020年3月末にジャニーズ事務所を退所しました。

中居さんの個人事務所は、都内のオフィス街の一角にある、古いマンションの1室に法人登記されています。

代表取締役である中居さんの住所も、登記上は同じ住所になっていました。

FLASHの記者がそのオフィスを訪ねると、ドアには「〇〇税務会計事務所」という表記が貼られていたようです。

ドアをノックすると、年配の男性が対応しました。

記者が名刺を差し出すと、男性は理解したようで「ああ、中居さんの件?」と言い、こう話し始めました。
「私は、中居さん本人と会社の顧問税理士です。登記簿謄本に『のんびりなかい』の本社と中居さんの自宅住所をのせるのに、本当の住所をのせたくないということで、中居さんのほうから、本社の住所と自宅住所をここに置かせてください、ということで、こちらの住所になっています。ただ、今回の件は何も聞いていませんので、ノーコメントでお願いします」

さらに聞くと、この男性は、中居さんの顧問税理士になってから30年近いのだそうです。

「1995年か、1996年ころからです。いまほど(中居が)有名ではないころですね。そのくらいから、中居さん個人の確定申告をやっています。それまでは、お母さまがされていたそうです。

もともとジャニーズにいたマネージャーさんから、『中居さんが顧問税理士を探している』という話があり、私が引き受けることになりました。そういう関係ですから、今回のことはびっくりしています。

(中居さんは今年の収入が激減して、去年の所得分の税金を払うのに大変では?)

まあ、細かいことは言えませんけどね。

その辺はちょっと、まだ連絡もないし。2024年の3月ごろに、確定申告の件でお会いしたのが最後ですね。

『のんびりなかい』のほうは3月決算、5月申告ですので、個人と会社の確定申告の件でした。

中居さんとは毎年1、2回会うくらいです。

ここには1回も来たことはないです。

ここを調べたようで、中居さんのファンの方がお見えになったことがあります。

女性の方が3、4人で『会わせてください』と。

こちらは、オフィスのなかを見てもらいながら、顧問税理士の事務所であることを説明し、お引き取り願いました。

不満そうな顔をして帰りましたけど。

『中居さんの弟子になりたい』と話す、若い男性の方も来ましたね。

(中居さんの収入がどんどん増えていくのを目の当たりにされたのですね?)

長者番付が発表されていたころには、タレントさん部門で中居さんはトップになったこともありましたね」

中居さんは2002年度の確定申告では、俳優・タレント部門で2001年まで5年連続トップだった、とんねるずの石橋貴明さんを抑え、所得税額1億6,808万円と、初の1位に躍り出ていました。

中居さんの人柄については、こんなエピソードも。
「中居さんは、私から見るとまじめな方ですよ。

昔、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)をやっているころ、収録の合間にスタジオでよくお会いしました。

夏で暑くて、私は最初、アイスコーヒーを飲んでいたのですが、クーラーが効いて、途中からちょっと寒いと感じていたところ、中居さんは気をきかせて『温かいコーヒーを頼みましょうか』と。気配りのできる方でした。

2002年か2003年ころからは、草彅剛さんの個人の確定申告も、私がやっています。

草彅さんの所属事務所・CULENの飯島三智社長の紹介です。

飯島さんの確定申告もやっています。

昔は事務所に4人ほどいたのですが、いまは事務所を縮小して、私ひとりでやっています」

芸能界から姿を消した中居さんですが、今後、税金の支払いはどうしていくのか、気になるところです。

顧問税理士に話しを聞くというのもスゴいと思いますが、顧問税理士は答える必要はあったのでしょうか?

詳細が分からないので何とも言えないですが、中居さんの行為は問題があったとは推測されますが、当事者間で示談が成立しているわけであり、引退する必要はあったのでしょうか?

司会者や俳優としても才能があり、長者番付トップになったことがある方ですから、非常に残念でなりません。

芸能界が昭和時代のままなのかもしれませんが、この件を機に令和時代に変わって欲しいなぁと思います。

一方、フジテレビの対応はあまりにもひどかったのではないかと感じています。

報道機関でありながら、クローズの記者会見はありえないのではないかと思いました。

この事件があって、急に労働組合への加入者が増えているようですが、フジテレビも特殊な世界なんでしょうね。

以前、株式を保有していて好きなテレビ局ですが、今回、膿を出し切って変わらないと将来はないのではないかと思います。

第三者委員会の報告がきっかけとなることに期待したいですね。

顧問税理士が語った中居正広さんとの“30年”の関係について、あなたはどう思われましたか?


なぜ外資系高級ホテルの進出計画が続々と瀬戸内に?

中国新聞によると、瀬戸内で外資系の高級ホテルの出店計画が相次いでいます。

音戸の瀬戸公園(広島県呉市)での計画に加え、アメリカ大手ヒルトンは2028年に廿日市市宮島口西に高級ホテルを開業します。

複数の外資系高級ホテルができることで、面としての魅力が高まり、外国人観光客の集客につながりそうです。

音戸の瀬戸公園の事業で、ひろぎんホールディングス(HD、広島県広島市中区)のグループ企業は資金調達やコンサルティングなどを担っています。

ひろぎんHDは、外国人観光客にとって音戸の知名度は低いですが、高級ホテルの誘致などを通じて人気を高められると評価しました。

部谷俊雄社長は「瀬戸内には観光資源がたくさんあるのに、高級ホテルがあまりなかった」と説明しています。

広島市、呉市、尾道市でのクルーズなど「面的に瀬戸内海をうまく使うことを考えなければいけない」と語っています。

ヒルトンが宮島の対岸に開業するのは、上級ブランド「LXRホテルズ&リゾーツ」です。

ひろぎんHDのグループ社員向け保養施設の跡地に建てます。

「厳島神社を望む海辺で、ぜいたくで唯一無二の体験を提供する」とし、国内で高まる高級ホテルへの需要に対応する考えです。

広島県内では、世界的高級ホテル「アマン」の創業者が手がける新ブランドの旅館「アズミ瀬戸田」が2021年、尾道市瀬戸田町に開業しました。

四国でも、香港拠点のマンダリンオリエンタルホテルグループが2027年夏、国内2か所目のホテルを我が香川県高松市にオープンする計画です。

香川県の直島にも富裕層向けの古民家風ホテルを2027年に開業します。

観光庁の宿泊旅行統計によると、2023年に広島県に宿泊した外国人は延べ144万人と10年前の約3倍に増えました。

安田女子大国際観光ビジネス学科のジョアン・ロマォン准教授(観光学)は「繰り返し日本を訪れたい外国人は、混雑を避けられる観光スポットを瀬戸内に求めている」と分析しています。

多島美や瀬戸内しまなみ海道のサイクリングなどの魅力が広く知られるようになったのも要因とみています。

我が香川県の話しは当然知っていますが、広島でもたくさんできているんですね。

昨年、広島市に久しぶりに行ったときに、路面電車や原爆ドームなどは外国人だらけだなぁと思いましたが、外国人観光客向けとしてはいいんでしょうね。

先日、広島にお住まいの方が、広島は外国人がたくさん来ているけれど、富裕層ではないので、お金はあまり使わないとおっしゃっていましたが、どうなるんでしょうね。

札幌・東京・名古屋・大阪・福岡だけではなく、中四国地方にも来て、お金を使って欲しいと思っていますので、期待したいですね。

なぜ外資系高級ホテルの進出計画が続々と瀬戸内に?について、あなたはどう思われましたか?


「ついにナイキ王国落城へ」箱根駅伝の厚底戦争で新首位候補の”2社”が完全包囲!

PRESIDENT Onlineによると、2025年の箱根駅伝のレースの行方とともに、毎年注目されるのが選手が履くシューズのようです。

ナイキが2017年に厚底を投入後、ずっとシェア率のトップを突っ走ってきましたが、最近はライバル社も猛追しています。

スポーツライターの酒井政人さんがシューズ戦争の最新事情を報告しています。

国民的行事となっている箱根駅伝ですが、近年は箱根ランナーたちが着用するシューズも注目を浴びており、スポーツブランドの“戦い”が過熱しています。

ナイキが2017年に反発力のあるカーボンプレートを軽量でエネルギーリターンの高いフォームで挟んだ“厚底シューズ”を投入すると、シューズ革命が起こりました。

駅伝やマラソンのタイムが大幅短縮したのです。

箱根駅伝を走る選手のシューズシェア率は2018年大会からナイキがトップを独走しています。

2021年大会では95.7%(210人中201人)に到達して、1社独占のような異常事態となったのです。

その間、他社もカーボンプレート搭載の厚底モデルを開発しています。

近年はナイキの圧倒的優位が崩れているのです。

前回の2024年大会(記念大会で230人が出場)はナイキが42.6%(98人)でトップを守るも、アシックスが24.8%(57人)まで上昇しました。

アディダスも18.3%(42人)と肉薄しました。

さらにプーマが8.7%(20人)と大躍進しました。

他にもミズノ(5人)、オン(3人)、ホカ(2人)、ニューバランス(1人)、アンダーアーマー(1人)、ブルックス(1人)がいて、過去最多となる10ブランドが新春の舞台を駆け抜けたのです。

箱根駅伝のシューズシェア争いは“群雄割拠”の時代に入ったと言っていいでしょう。

そして2025年大会ですが、「ついに王者・ナイキが首位から陥落する」との予測も出てきました。

では、新王者はどこなのでしょうか?

候補はアシックスとアディダスです。

アシックスは2017年大会でシェアトップでしたが、2021年大会でまさかの0人となりました。

かつての王者が屈辱的な大惨敗を喫したのです。

崖っぷちに立ったアシックスは2019年11月にトップアスリートが勝てるシューズを開発すべく各部署の精鋭を集めた社長直轄組織「Cプロジェクト」を発足しました。

2021年3月にランナーの走り方に着目した「METASPEED」シリーズを発売したのです。

ストライド型(歩幅を伸ばすことでスピードを上げる)のランナーに向けた「SKY」と、ピッチ型(ピッチの回転数を上げることでスピードを上げる)に向けた「EDGE」の2種類があり、ともにストライド(歩幅)が伸びやすい仕様になっています。

同モデルを履いた当時33歳だった川内優輝選手が、25歳の時に出した自己ベスト(2時間8分14秒)を大幅に塗り替える2時間7分27秒をマークしたのです。

「METASPEED」が脚光を浴びるようなると、アシックスが反撃を開始しました。

箱根駅伝は2022年大会でシェア率を11.4%まで取り戻して、2023年大会で15.2%にアップしました。

前回大会で24.8%まで引き上げて、ナイキの背中がグンと近づいてきたのです。

2024年3月にはパリ五輪を前に「METASPEED PARIS」シリーズを発売しました。

新採用された「FF TURBO PLUS」というミッドソール素材が従来素材と比較して、約8.0%軽く、反発性は約8.2%、クッション性は約6.0%向上しました。

その結果、「SKY」は約20g、「EDGE」は約25g軽くなったのです。

また「SKY」はカーボンプレート前足部の幅を拡大、「EDGE」は前足部の厚みを3mm増加させたことで反発性がアップしました。

今季の学生駅伝は前年と比べて、10月の出雲駅伝で4.4%、箱根予選会で7.6%、全日本大学駅伝大会で2.7%も着用率がアップしました。

先日行われた全国高校駅伝でもアシックスの着用者が目立っていました。

前回の箱根駅伝は青山学院大学が往路をぶっち切ると、復路も独走しました。

優勝の立役者となったのが、花の2区で区間賞を獲得した黒田朝日選手と、3区で日本人最高記録を叩き出した太田蒼生選手です。

このふたりは8万2,500円(税込)のスーパーシューズ「アディゼロ アディオス Pro EVO 1」で爆走しました。

従来のレース用シューズより40%軽い片足138g(27.0cm)という超軽量モデルが彼らのポテンシャルを引き出したのです。

「抜群に軽さが違っていて、履いていても、シューズが気にならないくらいに軽いんです。僕はなかなかすごいペースで入ったんですけど、後半に何回も仕掛けることができた。脚に余力があったのは、シューズのおかげでもあるのかなと思います」と太田選手は振り返っています。

「アディゼロ アディオス Pro EVO 1」は大量生産が困難なモデルで、前回大会の着用者は3人しかいませんでした。

徐々に有力選手への提供も進んでおり、着用者が大幅に増えそうです。

今大会でもレースの命運を左右する存在になるかもしれません。

アディダスは最新のレーシングモデル「アディゼロ アディオス プロ 4」を11月27日、世界に先駆けて日本国内限定で先行発売しました。

箱根駅伝ではこちらが主要モデルになるでしょう。

また、國學院大学のエース平林清澄選手(4年)はさほどソールが厚くない「アディゼロ タクミ セン ナイン」を愛用しています。

アディダスは2025年の箱根駅伝で「ブランドシェアNo.1」を目標に掲げていますが、正月決戦の前哨戦ともいえる11月の全日本大学駅伝(関東15校)のシューズシェア率はナイキの32%に迫る28%でした。

前年(59%)を27ポイントも下落したナイキに対して、アディダスは前年を8ポイントも上回ったのです。

また、プーマも前年の6%から17%に伸ばしています。

プーマは全日本大学駅伝での着用者が2021年0人、2022年3人、2023年10人、2024年22人と右肩上がりです。

箱根駅伝でも着用者が倍増するでしょう。

山口智規選手(早稲田大学3)、斎藤将也選手(城西大学3)、青木瑠郁選手(國學院大学3)、馬場賢人選手(立教大学3)らレースのカギを握る選手が着用予定で、新たなドラマをつくるかもしれません。

最近はアディダス、アシックスらに押され気味のナイキですが、世界の舞台では結果を残しています。

2023年9月のベルリンマラソンで「アディゼロ アディオス Pro EVO 1」を履いたティギスト・アセファ(エチオピア)が2時間11分53秒の世界記録(当時)を打ち立てて、関係者を驚かせましたが、2024年10月のシカゴマラソンでその記録を今度は「ナイキ アルファフライ 3」を着用したルース・チェプンゲティチ(ケニア)が2時間9分56秒という驚異的なタイムで塗り替えたのです。

ナイキが現在販売中の最新レーシングシューズは「アルファフライ 3」と「ヴェイパーフライ 3」というモデルです。

しかし、ナイキは水面下で「ヴェイパーフライ 4」と思われる一般発売前のモデルを一部選手にプッシュしているようで、その影響がどれぐらいあるのでしょうか?

それから前回の箱根駅伝で3人が着用したオンにも注目です。

全日本大学駅伝は5人の選手がオンのシューズで出走しました。

国内ではまだ未発売の「Cloudboom 4」というモデルを着用した駒澤大学・篠原倖太朗選手(4年)が7区で青山学院大学・太田蒼生選手(4年)、國學院大学・平林清澄選手(4年)らを抑えて、ハイレベルの区間賞をゲットしたのです。

また、全日本大学駅伝では3区でトップを突っ走った青山学院大学・折田壮太選手(1年)、創価大学・吉田凌選手(4年)という実力者もオンを着用していました。

ふたりが使用していたシューズがまた斬新だったのです。

2024年7月に発表した最新テクノロジーを搭載した「Cloudboom Strike LS」というモデルになります。

自動化されたロボットアームで素材をスプレー噴射することで、接着剤フリーのつなぎ目のないアッパーを実現しています。

超軽量の立体成型のため、極薄でシームレスなつくりで靴紐なしで着用できるのです。

とにかく足へのフィット感が抜群で、サポート性を発揮しています。

インソールも中敷きもなく、足が直接ハイパーフォームに接するため、エネルギーのロスも少ないのです。

ビジュアル面でも目立つ“近未来シューズ”で快走する選手が出てくると一気に話題になりそうです。

王座奪還を目指す駒澤大学のキーマンとなる佐藤圭汰選手(3年)もオンを着用する可能性が高いです。

前回はシューズシェア率が1.2%(3人)だったブランドが、箱根駅伝2度目の登場で強烈なインパクトを残すかもしれません。

結果は、青山学院大学の優勝でしたね。

Runtripの速報によると、アディダスが76名で着用数トップでした。
今大会の出場全210選手のうち、ブランド別着用率ではアディダスが36.2%(76名)となり大きく躍進しました。

METASPEEDシリーズを展開するアシックスが25.7%(54名)と続く形となりました。
そして、ナイキの着用率は23.3%(49名)でした。

2017年にヴェイパーフライ 4%登場以来、ヴェイパーフライやアルファフライといったナイキのレーシングシューズを着用する選手が数多く見られましたが、その情勢が変化する結果となりました。

すでに登場しているアルファフライ 3やヴェイパーフライ 3のほか、ヴェイパーフライ ネクスト% 4プロトタイプを着用する選手も見られました。
さらに、プーマは11.9%(25名)、Onが1.4%(3名)、ミズノ、ニューバランス、ブルックスがそれぞれ0.5%(各ブランド1名)と続きました。
全10区間の区間賞選手の着用シューズに絞ると、10選手中着用シューズの最多は6名のアディダスでした。

全体のシューズ着用率のみならず、“速さ”においてもその勢いが現れました。
なお、アディダスを着用した選手の中でも最新モデルのADIZERO ADIOS PRO 4を着用して区間賞を獲得した選手は4名、極めて軽量なモデルとして注目を集めるADIZERO ADIOS PRO EVO1を履いて区間賞を獲得したのは2名と、選手たちの中でも選択は分かれた模様です。
なお、7区区間新記録で区間賞を獲得した駒澤大学・佐藤圭汰選手はOnのCloudboom Strikeを着用してレースに出走するなど、話題となりました。
そのほか、9区区間賞を獲得した城西大学・桜井優我選手をはじめプーマ『ディヴィエイト ニトロ エリート 3』を着用した選手も多く見られました。
沿道にも多くの観客が駆けつけ、210名の選手たちが力走する姿に声援が送られた第101回箱根駅伝ですが、選手たちを支えるシューズの今後の動向にも、注目が集まりますね。

個人的には、マラソンとかをするわけではないですが、ニューバランスとかアディダスとかプーマとかアシックスとかが好きなので、頑張って欲しいですね。

「ついにナイキ王国落城へ」箱根駅伝の厚底戦争で新首位候補の”2社”が完全包囲したことについて、あなたはどう思われましたか?


厚生労働省が次期年金制度改革での専業主婦優遇「3号」廃止を見送り!

毎日新聞によると、厚生労働省は、2025年の通常国会に法案の提出を目指している年金制度改革で、会社員らに扶養される配偶者が年金保険料を納めなくても基礎年金を受け取れる「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を盛り込まない方針だそうです。

パート従業員らの働き控えを招く「年収の壁」の温床と批判され、日本商工会議所や連合などが将来的な廃止を求めていました。

直ちに廃止すると不利益を被る人が多いため、本格的な議論は5年後の次回以降になるとみられます。

公的年金制度の加入者には3つの区分があります。

自営業者やフリーランスなど国民年金の保険料を自ら納める「第1号被保険者」と、会社員や公務員など労使折半で厚生年金保険料を支払う「第2号被保険者」に加え、3号です。

3号の主な加入者は専業主婦やパート労働者らで、勤務する企業の規模が従業員50人以下なら年収130万円、51人以上なら同106万円未満であれば3号にとどまれます。

3号は1985年に、サラリーマン世帯の専業主婦でも自分名義の年金権を確保できるよう創設されました。

当時は約1,093万人が加入していましたが、共働き世帯の増加を背景に2024年5月時点で約676万人に減少しています。

20代女性で3号の人は1割未満ですが、35歳以上になると約3割を占めています。

2024年10月以降、連合や日本商工会議所、経済同友会が中小企業の人手不足を背景に「将来的な廃止」を求める提言を公表しました。

共働きが増加する中、働かずに年金を受け取れることに不公平感も残り、男女の賃金格差を助長するとの批判も上がっています。

年金制度改革を議論する厚労省の社会保障審議会年金部会では、これまで3号のあり方を複数回議論しています。

委員からは「女性の就労を阻む」と廃止を求める意見が上がる一方、「3号には所得保障機能がある」などと存続を求める声もあり、現段階で議論は収束していません。

年金制度は5年に1度見直されており、厚生労働省は次回以降、廃止するかどうか本格的な議論を始める方向です。

当面はパート労働者が厚生年金に入りやすくなるよう要件を緩和し、3号からの移行を目指しています。

個人的には、3号が人手不足の一因だと考えていますし、優秀な方が労働市場に出てこず、日本経済にとってマイナス効果を与えていると思いますので、5年後と言わず、早めに廃止等の検討して欲しいと思います。

厚生労働省が次期年金制度改革での専業主婦優遇「3号」廃止を見送ることについて、あなたはどう思われましたか?


王子ファイバーがマイクロプラスチック汚染対策で人工芝を紙製に!

日本経済新聞によると、細かく砕けたプラスチック片が分解されずに海中を漂う「マイクロプラスチック」は、排出源としてレジ袋や飲料ボトルを思い浮かべがちですが、実は人工芝が大きな原因であることが明らかになってきたようです。

健康や生態系への悪影響が懸念されるなか、日本のメーカーが対策に乗り出しました。

「紙から人工芝を作る。」と、2024年9月中旬、王子ファイバー(東京都中央区)の幹部らが研究開発の進捗について議論しました。

「引っ張る力に対しては合成繊維に負けない強度になってきた」「屋外のスポーツで使うためにさらに摩擦にも強くしていこう」

紙原料の糸の製造を手掛ける王子ファイバーは、技術力の応用展開の一環として2023年から人工芝の販売を始めました。

紙幣にも使われているマニラ麻の繊維で紙をつくり、それを独自の製法で糸にして編み上げます。

水に弱い紙の弱点は克服し、環境に負荷をかけない生分解性を強みとして屋内向け市場に参入する段階まできました。

「すでに家庭やオフィスのラグの引き合いがある」(平井雅一社長)ようです。

次のステップは市場規模が大きい屋外向けの人工芝です。

サッカーや野球などスポーツのフィールドに使うには、まだ耐久性が十分ではありません。

張り替えの頻度を踏まえると、価格は通常製品の4〜5倍程度にしなければ収益化しません。

販売開始は2025年度、3年ほどで年間10億円規模の売上高が当面の目標です。

コスト削減に向けて他の原料も模索するなど試行錯誤が続いています。

プラスチックごみ問題は深刻度を増しています。

経済協力開発機構(OECD)の2022年の発表によると、2019年には世界で年間2,200万トンのプラスチックが海や陸上などに流出しました。

プラごみのなかでも5ミリメートル以下のマイクロプラは、飲み水や魚から人間へと取り込まれるリスクが高くなっています。

世界自然保護基金(WWF)の資料では、クレジットカード1枚分に相当する約5グラムのマイクロプラが世界の人々の口に毎週入っている可能性が示唆されました。

人体への影響については、世界の様々な機関で研究が行われている段階です。

名古屋大学の春里暁人特任講師が海などを漂うマイクロプラを再現したものを、通常実験で使われる投与量の1,000分の1以下にして2か月間、水に含ませてマウスに与えたところ、腸の免疫の働きが落ちました。

「ごく微量の投与で安全を確認するつもりだったが、健康に何らかの影響が出るという懸念が残った」(春里氏)

人工芝が問題視されるのは、スポーツ競技などで摩耗するとマイクロプラの排出源となるためです。

パイルと呼ぶ芝部分と根元の隙間を埋めて人の足腰の負担を和らげる充塡剤で構成されるが、パイルはプラスチック製、充塡剤はゴムチップ製が主流です。

環境問題に取り組むピリカ(東京都渋谷区)は2020年から2021年にかけて、国内120地点で河川や海などに流出したマイクロプラを調査しました。

質量でみると、人工芝が25.3%を占めて最多でした。

発生源を突き止めたピリカの調査手法は国連でも導入されました。

小嶌不二夫社長は「企業は予防的に対処すべきだ」と話しています。

規制の動きも出ています。

欧州連合(EU)では2023年9月、充塡剤などマイクロプラの原因となる部材を意図的に添加した製品の域内での販売を2031年以降に禁止することを決めました。

2024年3月には東京都多摩市が国内で初めて独自の人工芝のマイクロプラ流出対策ガイドラインを公表しました。

人工芝はパイルなどの原料を仕入れて編めば一定の品質の製品になるため、中小企業や地場の織物企業が取り扱う事例も多いようです。

世界の参入業者が正確につかめないなか、環境対策の先頭に立つのは日本の大手企業となります。

住友ゴム工業はピリカの調査結果を受け、2021年から独自システムの実証実験を始めました。

流出経路となる排水溝と施設を囲むフェンスにフィルターやネットを設けたり、人工芝の外周部に流出しづらい高比重の充塡剤を使ったりする仕組みです。

定期的なメンテナンスは必要ですが、流出をほぼ防げるそうです。

住友ゴム工業は新設と張り替えの合算で年間にテニスコート約400面、サッカー場70面ほどの人工芝の敷設を手がけ、国内の面積シェアは4割程度とみられます。

ハイブリッド事業本部の長谷川浩氏は「全件にシステムを設置するべく根気よく説明を続ける」と語っています。

ミズノはマイクロプラの流出を抑えた人工芝を2014年から販売し、現在は人工芝の売上高のほとんどを占めています。

パイル1本ずつが縮れる特殊な加工を施し、ちぎれにくくしました。

充塡剤の流出は従来品と比べて新品で84%、摩耗後でも70%少ないそうです。

環境省が2023年に「環境技術実証事業」に選定し、2023年12月には台湾の「台北ドーム」でも採用されました。

足元では毎年10%ほど売上高が伸長しており、スポーツ用品で販売網のある海外展開の拡大を視野に入れています。

カネカは人工芝への導入を視野に同社が開発した生分解性プラ原料の耐久性強化などの研究を進めています。

海に流出しても微生物が分解し、最終的に二酸化炭素と水になる強みがあり、使い捨てのストローやフォークなどで利用の裾野が広がっています。

調査会社のグローバルインフォメーションは、人工芝の世界市場が2030年には2023年比で63%増の57億8千万ドル(約8,500億円)に達すると予測しています。

具体的な健康被害が出てからでは遅いです。

将来のリスクを率先して極小化する努力は、高い技術力を持つ日本企業が販路を拡大するための武器にもなるでしょう。

少し前から、『マイクロプラスチック』のことがニュース等で取り上げられ、ペットボトルなどが結構気になっていましたが、人工芝が大きな原因なのと、対策は日本企業が進んでいるということを知り、驚きました。

スポーツに影響を及ぼしてはいけないと思いますし、日本企業の技術力の高さを世界に示し、対策ができるといいですね。

王子ファイバーがマイクロプラスチック汚染対策で人工芝を紙製にすることについて、あなたはどう思われましたか?


タリーズの顧客9万人の情報漏洩の可能性!

朝日新聞によると、タリーズコーヒージャパンは、先日、通販サイト「タリーズオンラインストア」が不正アクセスを受け、会員登録していた顧客9万2,685人の個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。

このうち5万2,958人は、クレジットカードの情報が流出したおそれがあるそうです。

タリーズコーヒージャパンは、2024年5月、不正アクセスによって顧客情報が漏れた可能性があると発表し、サイトを一時閉鎖し、第三者調査機関による調査を進めてきました。

漏えいした可能性があるのは顧客の氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどです。

さらに、2021年7月以降に通販サイトの決済で使ったクレジットカードについて、カード番号と名義人名、有効期限、セキュリティーコードが漏れた可能性があります。

対象者にはメールや郵送で個別に連絡しているそうです。

タリーズコーヒージャパンは「今回の公表に至るまで時間を要しましたことを深くおわび申し上げます。このたびの事態を厳粛に受け止め、再発防止を図ってまいります」などとコメントしました。

クレジットカードのセキュリティーコードが漏れた可能性があるというのがよく分からないのですが、セキュリティーコードを保存しているのでしょうか?

一律に補償(お礼?)するにしろ、かなりの額になると思いますし、委託先とかから漏れていたのかもしれませんが、そういうところに委託することに責任があるわけですから、タリーズコーヒージャパンは信用をかなり失ったでしょうね。

タリーズの顧客9万人の情報漏洩の可能性について、あなたはどう思われましたか?


金融庁がビッグモーターの不正で大型保険代理店に新規制!

日本経済新聞によると、金融庁は大規模な保険代理店の規制強化に乗り出します。

複数の保険会社の商品を扱う一定規模以上の乗り合い代理店に対し、コンプライアンス(法令順守)担当者の設置を義務づけるなど複数の案を検討します。

内部管理体制の拡充を求めることで、中古車販売店大手の旧ビッグモーターによる保険金不正請求のような不正が再発する事態を防ぎます。

鈴木俊一金融相が、金融審議会(首相の諮問機関)総会で、新規制の検討を諮問する見込みです。

金融庁は2024年9月中に新たな会議体を立ち上げ、有識者を交えた議論を始めます。

2025年に保険業法改正案を国会に提出することを視野に、新規制案の具体化を急ぎます。

15社以上の保険会社の商品を扱うなど一定規模以上の代理店は現在、保険会社から受け取る手数料などを記した事業報告書を年1回提出する必要があります。

こうした代理店は500社程度あるとみられます。

新たに上乗せする規制では対象の代理店を更に絞り込んだうえで、法令順守の強化につながるルールを追加で課していく方針です。

法令順守担当者の配置や、内部通報体制の構築を義務づける案などを検討する見通しです。

新規制の対象となる代理店を決めるため、保険会社に取引関係がある大規模代理店の保険料収入の提出を求めるなど現状把握のための調査を進めます。

調査結果を基に、保険料収入や従業員数といった新たな大型代理店の基準を設けた上で、規制を適用していく方向です。

金融庁が大規模な乗り合い代理店に照準を合わせる背景には、旧ビッグモーターによる大規模な不正の発覚があります。

旧ビッグモーターでは、会社法上の要件を満たす取締役会を開いていなかったり、内部通報の規定が整備されていなかったりするなどガバナンス(企業統治)上の不備が多数見つかりました。

金融庁は、不適切な内部管理体制が不正の拡大を招いたとみています。

大型代理店は顧客の数が多く、不正が実行された場合の被害も大きくなる可能性があるため、規模の小さな代理店よりも厳しい規制が必要だと判断しました。

ブローカー(保険仲立ち人)の活用促進に向けた議論も始めます。

今の規制ではブローカーと保険代理店が協業することはできませんが、この規制の緩和を検討し、企業がブローカーと代理店の両方を使って、より良い内容の保険契約を結べるようにします。

2023年に発覚した大手損保による企業向け保険の価格調整問題では、企業が自社グループの代理店に依存し、不適切な保険契約を見破れない実態も浮き彫りになりました。

より中立的な立場のブローカーが関与することで、企業が対等な立場で保険会社側と交渉し、カルテルなどの不正が起きないようにします。

金融庁は大型代理店に対する新規制の検討と並行して、資金決済法の見直しについても議論を始めます。

同法は銀行以外の事業者にも一定の決済サービスなどの提供を認める「資金移動業」を規定しています。

この資金移動業の登録に関する要件が、現在の金融サービスの状況に合っているかを検討します。

例えば、近年増えている後払い決済サービスを提供する事業者は資金移動業の登録対象になっていません。

利用者から資金を事前に預かり、支払いに充てる従来の決済サービスとは異なるためです。

ただ、事前に資金を預かっていないとしても、提供しているサービスの質は同等だとの指摘もあります。

金融庁関係者は「世の中の動きに法律が追いついていないなら必要な部分は見直していきたい」と語っており、今後立ち上げる金融審議会の作業部会で議論していく考えのようです。

自己の利益のために、お互いが修理を依頼したり、保険の契約を取っていたりしていたわけですから、その辺りはきちんと規制して欲しいですね。

あと、保険会社が大手代理店に広告費を支払うなど、自分のところの保険を扱ってもらうために渡したり、大手代理店に出向した保険会社の職員が個人情報を漏らしたりしているわけですから、コンプライアンスの面も含めて、保険会社と大手代理店のおかしな関係を断ち切って欲しいですね。

金融庁がビッグモーターの不正で大型保険代理店に新規制をすることについて、あなたはどう思われましたか?


日本生命の元職員が顧客個人情報を公開など生保会社で客の金銭詐取が続出の理由!

日本生命保険の元女性職員が、インターネット上にプロ野球球団・読売巨人軍の選手への殺害予告を30回以上にわたり投稿し、威力業務妨害の容疑で逮捕されました。

女性は日本生命の顧客情報管理システムの当該選手の画面を撮影し投稿していました。

なぜ生保職員・元職員による不正や犯罪が絶えないのでしょうか?

Business Journalが、業界関係者の見解を交えて追っています。

生保元職員による不正事件として世間から大きな関心が寄せられたのが、2020年に発覚した、第一生命保険の元・特別調査役の女性による約19億円の金銭詐取事件でした。

女性は計24人の顧客に架空の金融取引を持ちかけていたが、第一生命保険では他にも元職員による複数の金銭詐取事案が発覚し、被害総額は20億7,690万円に達しました。

2023年には、日本生命の元営業職員が90代の女性に架空の保険契約を提案するなどし、約1,532万円をだまし取っていたことが発覚しました。

先月には明治安田生命保険の元営業職員が顧客10人から約1億3,000万円をだまし取っていたと発表しました。

1994年から2021年までの間、保険料を着服したり、顧客から預かった通帳を使って、契約した保険を担保にお金を借りる制度を悪用して振り込まれたお金を着服していたのです。

なぜ生保職員による不正が相次いでいるのでしょうか?

大手生保社員は言っています。
「現場の生保レディは顧客と非常に親密、かつ何年ものお付き合いをするケースも珍しくなく、顧客から心を許されて通帳を預けられることもある。顧客のなかには高齢で高額な資産を持つ人もおり、業務で扱う金額は何千万単位と高額で金銭感覚が麻痺しやすいうえに、生保レディの給与はそれほど高いわけではない。こうした事情が重なり、『自分もちょっとぐらい得していい』『相手の判断能力が低下しているからバレない』と勘違いして不正に走る人が出る。もっとも、生保会社で働く営業職員は全国で20万人以上おり、確率論的に悪いことをする人が一定数出てくるのは避けられない」

不正が相次ぐ生保会社だが、その業務は金融庁によって厳しく監督されています。

発売する商品や各種契約書類などはすべて金融庁の認可が必要であり、保険募集においては顧客への情報提供や意向把握が義務化されており、逸脱行為があれば金融庁から業務改善命令や業務停止命令などの行政処分を受けます。

そんな生保の営業現場を支えてきた営業職員の労働環境は、独特であることが知られてきました。

いわゆる「ターンオーバー」といわれる大量採用・大量離職が常態化し、かつては入社2年後の離職率は7~8割にも上るといわれ、人の入れ替わりが激しかったのです。

背景には過酷なノルマと歩合給があります。

飛び込み営業を強いられ、ノルマ未達の際には知人に名義を借りて新規の保険契約をつくり、自腹で払う「自爆営業」も横行しました。

給料のうち歩合給の割合が大きいため、契約が取れないと給料が著しく落ち込む仕組みも長く続いていたのです。

「親戚や知人の生命保険契約を切り替えさせ、契約に入ってくれる知り合いがいなくなれば辞めてもらうという“使い捨て”が当たり前だった」(同)

そんな環境がここ数年、大きく変化しています。

日本生命は採用数の目標値を撤廃し、2021年度の採用数は前年度より15%程度減少するなど、各社は年間の採用数を抑制しています。

平均賃金を一律で引き上げ、固定給の割合を増やしたり、既存顧客の継続率やアフターフォローへの取り組みを評価に組み入れるなど“新規契約獲得主義”からの脱却を進めつつあるのです。

「かつて生保の支店や営業所では、営業職員の成績を壁に貼りだしたり、成績が悪い職員を怒鳴ったりといったことが普通に行われていたが、今ではどの大手でも、そのような光景はほとんどみられなくなったのではないか。

ネット生保や保険ショップの台頭により、対面の営業職員経由での新規契約の数が減っているものの、いまだに対面営業は主要な販売チャネルではことには変わりない。

だが、“生保の営業の仕事はキツイ”というイメージが定着していることや、全業界での人手不足で他にも仕事がたくさんあることも影響して、かつてのように黙っていても営業職員のなり手が集まるという状況ではなくなった。
なので生保各社は、待遇を引き上げる一方で人材を厳選して採用するようにし、優秀な人材には長く働いてもらえるよう努力するようになった。

かつてのような“ムチで叩く”やり方ではすぐに人が辞めてしまうため、研修を充実させるなどして職員一人ひとりのスキルとモチベーションを向上させてパフォーマンスを発揮させるという方向に大きくシフトした。

要は、長い年月を経て生保業界もやっと、まともになったということ」(前出・大手生保社員)

また、金融業界関係者は言っています。

「かつては昼休み時間に生保レディが職場に出入りして社員に声をかけ、グッズやパンフレットを配って営業活動する光景がみられたが、現在ではオフィスビルのセキュリティーが厳しくなったこともあり、ほとんどなくなった。

会社の受付に備え付けられた内線電話前に陣取って、片っ端から社員に内線で営業電話をかけたり、若い男性社員をターゲットに合コンを設定して囲い込みを図る猛者もいたが、最近ではそれすらも難しくなっており、生保レディたちはいろいろな工夫をして見込み顧客への接触を図ろうとしている。
生保各社は営業職員の評価基準に既存顧客の契約継続率や顧客訪問の頻度といった項目も加えて評価軸の多様化に努めているが、依然として新規獲得件数が最重要視される傾向は変わらない。

業界特有の、入社3年目くらいから固定給が減る仕組みも残っている。

加えて、最近では顧客者側も保険の購入を検討する際には自分で情報を入念に調べたりフィナンシャルプランナーに相談したりして知識が豊富になっており、営業職員はこれまでのようなGNP(義理・人情・プレゼント)が通用せず、自社・他社の商品に関する知識量とロジカルな説明スキルが求められるようになった。

こうした変化も踏まえ生保各社は、営業職員の採用で厳密な選考を行い人材をより厳選する一方、優秀な職員には長く残ってもらうように取り組み始めた。

要は人材の取捨選択の度合いを強めている」

僕の担当者も過去に何人か変わっていますが、個人情報保護法やコロナなどでなかなか会うこともできず、生保レディも大変なんでしょうね。

まったく話しのかみ合わない飛び込みの生保レディも過去に何人かいましたが。

あとは、商業施設などに来店型の保険代理店も結構入っていますから。

日本生命の元職員が顧客個人情報を公開など生保会社で客の金銭詐取が続出の理由について、あなたはどう思われましたか?


イオンが定額減税で「4万円均一」消費喚起セール!

日本経済新聞によると、イオンは先日、全国の総合スーパー(GMS)の500店舗で定額減税に伴うセールを順次、始めると発表しました。

GMS子会社のイオンリテールでは関東や関西など本州の店舗で寝具やベビーカーなどの「4万円均一」商品を用意しました。

トマトなど野菜の値下げ品も企画します。

インフレで低迷する消費を喚起し、6月の売上高を前年同月に比べ1割増やします。

セールはイオングループの北海道から沖縄まで全国に出店する500のGMSでそれぞれ実施します。

対象とする商品や数量などセールの中身は、地域によって異なります。

このうち、イオンリテールは本州の380店でセールします。

6月のセール企画は前年に比べて2倍の19種類を投入し、セール対象品は前年同月比2倍の850品目に及びます。

まず、税抜きで4万円均一の企画ではマットレスと枕とベッドのセット品やコードレスの掃除機、ベビーカーなどメーカー製品を中心とした11品目を数量限定でそろえました。

通常は5万円~6万円程度の商品で、最大4割引きで提供します。

また、トマト1個やジャガイモ3個などで「105円」均一などインフレで節約志向の強い消費者の購入を促すセール企画も提供します。

小売り各社も動きます。

スーパー大手の西友は13日から加工食品や日用品などを最大3割引きで特売しています。

百貨店の松屋は1日から松屋浅草店(東京都台東区)で和牛や果物など食料品の一部商品を1〜2割引きで提供しています。

定額減税は、政府が近年の税収増を還元して家計支援につなげる目的で6月から実施しています。

1人当たり所得税から年3万円、住民税から年1万円を差し引きます。

納税者本人だけでなく配偶者や子供ら扶養親族も対象になり、家計負担の一定の軽減につながると期待されています。

ただし、インフレに伴う消費動向は冷え込んでいます。

物価変動の影響を除いた実質賃金は3月に24か月連続でマイナスになりました。

3月の家計調査でも、2人以上世帯の消費支出は実質で13か月連続のマイナスを記録しています。

公的年金は2024年度に前年度から2.7%引き上げられましたが、生鮮食品を除く総合の物価上昇率の3.1%(2023年)より低くなっています。

大企業では賃上げが広がりましたが、中小企業まで波及は厳しく、年金受給者も余裕ありません。

先日、イオンスタイル品川シーサイド(東京都品川区)を訪れた30代女性は「野菜の価格が高騰し、子供の離乳食用には買うけど大人の分は安いカット野菜で済ませている。定額減税はあまり意識していなかったが、安ければ買いたいと思う」と話していました。

イオンリテールの伊藤竜也営業企画本部長は「インフレで生活防衛意識が高まり、国内消費は低迷している。イオングループとして定額減税をきっかけとして消費を喚起し、日本を元気にしたい」と語っています。

個人的には、一度に1人当たり4万円支給・減税されるわけではないので、4万円均一のセールをしたところでそれほど効果はないのではないかと思います。あとは、セールによる値下げ分をイオンが全額負担するのであれば構わないと思いますが、おそらく仕入先にも負担させているので、仕入先は大変だろうなぁと思います。特に、野菜を作っている法人や個人事業主は、需給関係によって価格が決まるため、物価高騰などによるコストアップ分を販売価格に転嫁できていないところが多いと思いますので。

いつもイオンなどを見ていると、消費者のためということで値下げとか価格据え置きとかやっていますが、買いたたかれる仕入先の役員・従業員・従業員(そのご家族)も結局、消費者なので、仕入先の方の給料が上がらず、消費に回らないという誰も得しないことになっているのではないかと思いますね。

やはり、安ければいいということでなく、適正な価格で売るというのが重要なのでないかと考えます。

イオンが定額減税で「4万円均一」消費喚起セールをしていることについて、あなたはどう思われましたか?


ホタルイカ大漁は南海トラフ地震の前兆か?

暗闇の中、海面を神秘的に青白く照らす無数の光、その正体は「イカ」です。

週刊現代によると、今春、富山湾でホタルイカが文字通り“爆湧き”しているようです。

2024年3月の漁獲量は、昨シーズンの16倍、1953年の統計開始以来最も多かったようです。

当然、地元は大喜びかと思いきや、この奇妙な現象に一抹の不安を抱えていました。

滑川漁港のベテラン漁師は言っています。
「イカ漁師の間では、大地震の前にはイカがよく獲れるってのは、有名な話さ。おらの親父も南海地震が起きた年(1946年)は、イカが豊漁だったと言ってたな。能登半島地震が起きたばかりだけど、もうすぐでっかい地震が来るかもな」

地震大国の日本では、古くから様々な自然現象を大地震の予兆と捉えてきました。

海の生物の異常行動もその一つです。

2011年の東日本大震災、さらに1995年の阪神・淡路大震災でも、直前にイカの漁獲量が大きく増えています。

これは偶然ではありません。

2024年4月に入り、研究者たちの間でにわかに大地震、マグニチュード(以下M)8~9クラスの南海トラフ地震への警戒度が高まっているのです。

東京大学地震研究所名誉教授の笠原順三氏が警鐘を鳴らしています。
「4月以降、日本列島近辺でフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む動きに起因する地震が多発しています。プレートの境界である南海トラフにひずみがどんどん蓄積しているのは間違いありません」

4月3日、台湾をM7.7の大地震が襲ったことはまだ記憶に新しいですが、震源に近い花蓮県では震度6強を記録し、高層ビルの倒壊などで多くの死傷者を出しました。

それからわずか5日後の4月8日、鹿児島県・大隅半島東方沖を震源とするM5.1の地震が発生しました。
「地震の波がじわじわと日本のほうへ近づいているのではないか……?」
その不安は現実となりました。

4月17日、今度は愛媛県と大分県に挟まれた豊後水道を震源とするM6.6の地震が起きたためです。

同地域では実に56年ぶりの大規模地震です。

とはいえ専門家の中には「豊後水道の地震と南海トラフ地震とは関係しない」と主張する者も少なくないようです。
その論拠は、豊後水道の地震が、プレートを引き裂くような引っぱりの力が働いて起こる「正断層」型だったという点にあります。

他方、南海トラフ地震はプレートを押し潰すような圧縮の力が働いて起こる「逆断層」型ということがわかっています。

そもそも2つの地震はメカニズムが異なる、というわけです。

ところが、笠原氏の考えはまったく違います。
「正断層型と逆断層型が連動することを多くの人は見落としています。2006年に千島列島沖で起きたM7.9の大地震がよい例でしょう。この時は最初に逆断層型が、その直後に正断層型の地震が起き、研究者をはじめ皆が驚きました。したがってその逆、正断層型により逆断層型が誘発されることも想定できます」

台湾もいまだ予断を許さない状況が続いています。

4月23日には再びM6.6の大きな地震を観測しました。

笠原氏が続けています。
「台湾で相次ぐ揺れは、当初こそ3日の余震と考えられていましたが、今では群発地震の様相を呈しています。南海トラフに関連する場所での地震に引き続き警戒する必要があります」

ついつい大きな地震にばかり目がいってしまうかもしれませんが、「小さな地震」にも注視したいですね。
気象庁の調べによれば、4月16日~22日の1週間に観測された地震活動は6,000回以上です。

そのうち、豊後水道だけで2,079回にものぼっています。

その大部分を占めるのが震度1程度の「人間が感じることのできない小さな揺れ」です。

個人的には、兵庫県で阪神・淡路大震災、東京都で東日本大震災を経験していますので、地震はすごく気になるのですが、先日、こどもたちの小学校の参観の時に、『南海トラフ』の授業をやっていましたが、我が香川県は南海トラフがいつ来てもおかしくない状況でしょうね。

個人的には、物流はどうなるのだろうか?、四国が孤立化するのではないだろうか?、瀬戸内海では津波はどうなるのだろうか?などと色々考えています。

備えられることは、備えていきたいと思いますね。

ホタルイカ大漁は南海トラフ地震の前兆か?について、あなたはどう思われましたか?


和牛の子牛価格は暴落しブロッコリーは高騰!

テレビ朝日によると、物価高や異常気象で食材の価格の波が大きくなり、消費者の負担が増しています。

一方で、生産者も高騰や暴落に頭を悩ませていて、沖縄では日本が世界に誇る和牛に異変が起きています。

石垣島で30年以上、親子三代で牛の繁殖農家を営む宮良妙子さん(62)は現状をこう話しています。

宮良さん
「1頭70万~80万円で売れていた牛が、コロナ禍で50万円ぐらい下がって、今は30万円ぐらいになってますね」

今月ここまで行われていた市場の平均価格は1頭あたりおよそ40万円です。

去年の同じ月と比べ、マイナス7万円になりました。

JA沖縄によると、その要因の一つは、物価高だといいます。

比較的安い鶏肉や豚肉などへ消費の流れが変わり、和牛の価格が上がりにくくなっているのです。

それに加えて、ウクライナ侵攻や円安の影響で、エサ代が高騰しています。

石垣島という立地にも理由がありました。

宮良さん
「特に離島は遠いので、飼料も牛自体も運搬する上でのハンディもある。(買い手は)ちょっとためらうのではないかなと思います」

宮良さんの農家では、(メスの子牛の場合)30年前ならば子牛をセリに出すまで18万円ほどかけて育て、36万円ほどで売れていました。

現在は育てるまでに40万円もかかるため、平均販売価格のおよそ35万円で売ると5万円の赤字になってしまいます。

宮良さん
「子牛を育てれば育てるほど、赤字が増えるという現状があります」

同じ石垣島の繁殖農家の中には、専業から離れる決意をしたという人もいるといいます。

繁殖農家 歴3年 30代男性
「兼業がもし赤字補填できるほどにうまくいかなければ、いずれは体力が尽きて離農するしかなくなるのかなという感じはしますね」

男性のように兼業に切り替えたり、農業をやめたりした人が増えたといいます。

畜産農家の努力だけでは、もはやどうにもならないと宮良さんは話します。

宮良さん
「和牛は本当に世界的なブランドなので。和牛が潰れてしまう、和牛を守る手立てを政治が考えてほしいと思います。一生懸命育ててるのにね。消費者にきちんと届いてくれたら、本望だと思うんだけど」

価格が暴落する食品もあれば、反対に高騰している食品もあります。

ブロッコリーの価格が跳ね上がっているのです。

買い物客
「最近しばらく買ってない」
「(Q.きょうは398円)買わない」

青果店の店主も、あきれるほどの高値です。

千駄木金杉青果店 鈴木孝弘店主
「150円から高くても180円ぐらいで売れていたかなという記憶はあるんですけど、398円はちょっと高すぎますよね」

ブロッコリーの仕入れ値は通常、1株100円から150円でしたが、直近では378円で仕入れたといいます。

398円で売っても、ほぼ利益が出ません。

先週はキャベツの店頭価格が1,000円を超える事態になったため、店主は頭を抱えています。

鈴木店主
「(Q.キャベツとブロッコリーの価格高騰について)八百屋さんでは上位の人気野菜で、皆さん大体買われるので。それが高いというのは、売り上げにも大ダメージです」

なぜこんなにまで値上がりしているのでしょうか?

卸売業者を訪ねました。

國崎青果 関東営業所 小園智之所長
「全国的に今年は天候不良によって、ブロッコリーが順調に成長しなかった」

特に九州と四国では、出荷量が去年のおよそ5分の1に落ち込んでいる地域もあるといいます。

ブロッコリーがいつもの価格に戻るのは、いつになるのでしょうか?

小園所長
「今週から徐々に下がってくるとは思うんですけど。福島、新潟、鳥取(の出荷)が出てきて、今後落ち着いてくると思います」

ブロッコリーの他にも、リンゴやミカンも値上がりしているという状況です。

食卓に当たり前にある食材が軒並み高騰していて、家計への圧迫はしばらく続きそうです。

先日新聞に載っていましたが、我が香川県(うどん県)はブロッコリーの出荷額で全国2位になっています。

需要と供給により価格が決まる世界ですから、個人的には、当然ではないかと思います。

農家の方も、価格が高騰するときは野菜などを作れていないわけですから。

基本的に、野菜などは高くなったときにニュースなどで取り上げられますが、基本的に農家の方が値付けをできない市場出荷やJA出荷を根本的に見直す時期に来ているのではないかと思います。

肥料や苗などの価格が上がっても、価格転嫁ができない状況なのですから。

和牛の子牛価格は暴落しブロッコリーは高騰していることについて、あなたはどう思われましたか?


“家族の代わり”担う「身元保証」サービスの指針案の課題は?

「介護施設に入るには保証人が必要と言われましたが私は1人なので…」。
夫に先立たれ、その後、重度のやけどをして1人での生活が難しくなった80歳の女性に頼める家族はなく、途方に暮れる中、助けとなったのは高齢者の「身元保証」を行う事業者でした。

単身高齢者の増加を背景にいま、こうした事業のニーズが高まっています。

しかしながら、NHKによると、ルールがないことから契約上のトラブルも相次いでいて、国は初めて指針の案を示すなど対策に乗り出しています。

入院や施設への入所などの際に、緊急時の対応などのために求められることがある「身元保証」は、法律などで規定されたものではなく、病院や介護施設などが慣習的に求めているものですが、身寄りのない人や頼れる親族などがいない人がサービスを受けられないケースが問題となっています。

静岡県静岡市の介護施設で暮らす80歳の女性は夫に先立たれて市内の自宅で暮らしてきましたが料理中に大やけどをして手術をしたあと、1人での生活は難しくなり、ことし1月、介護施設への入所を希望しました。

ところが、入所の際に求められた「身元保証人」を頼める人がなく、希望した施設には入所できませんでした。

当時の状況について、女性は「介護施設は今の世の中、どこに入るにも保証人などが必要ですが、私は1人なのでしかたがないと思いました」と振り返ります。

その後、女性は市内で身元保証事業を行う社会福祉法人に相談し、事業者に保証人になってもらい、別の介護施設への入所が実現しました。

事業者は入所時の「保証人」になるだけでなく、施設での暮らしに必要なものを買って届けるなど、日常生活の支援もしていて、この日は女性と一緒に振り込みの手続きのため、郵便局の窓口まで付き添っていました。

女性は「病院の付き添いなどもいつも助けていただいて非常に助かっています。お互いに信頼がなければ、そうしたことを頼むこともできないので、家族のような存在です」と話していました。

事業者が保証人になることを条件に、女性を受け入れた介護施設の施設長は「利用者の体調に変化があったときの相談や病院の受診、容体急変時の救急搬送、入院手続きなどはこれまでは親族に頼らざるをえなかったので、事業者のこうしたサービスはとても助かります」と話していました。

身寄りのない高齢者に入院時の「身元保証」などを行う民間のサポート事業をめぐっては、単身の高齢者の増加などで需要が高まる一方、監督する省庁や法律はなく、契約をめぐるトラブルも相次いでいます。

国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談件数は2018年は100件でしたが去年は302件と5年で3倍以上に増えていることがわかりました。

契約や解約に関する相談が最も多く、「希望していないサービスを追加され高額になった」や「解約を申し出たが返金されない」といった相談があったということです。

こうした状況を受け、厚生労働省などはサービスの健全性を確保し、高齢者などが安心して利用できるよう事業者が守るべき指針の案を初めてとりまとめました。

指針案ではサービスの内容や費用をホームページなどで表示することや、解約や返金方法は重要事項として書面で説明することが望ましいとしています。

また、サービスの提供にあたっては、内容や費用などを記録して定期的に利用者に知らせることや認知症などで利用者が十分に判断できない場合は成年後見制度の活用も求めています。

厚生労働省などは、指針の案についてパブリックコメントを行って意見を募ったうえで最終的な策定を目指すことにしていますが、指針に強制力はなく、監督官庁も決まっていないことから今後、事業が適正に行われているかチェックする体制の整備などが課題となります。

今回の指針の案で、身寄りのない人が入院や施設入所などの際に求められる「身元保証」や、買い物や通院の付き添いなどの「日常生活支援」、亡くなったあとの葬儀や遺品の処分などの「死後事務」を行うサービスは「高齢者等終身サポート事業」と位置づけられました。

こうした事業は、高齢化や単身世帯の増加などを背景に、「介護保険」といった既存の制度では補いきれない部分のニーズを引き受ける形で利用者が増えているとみられます。

事業を利用している殿岡さえ子さん(71)は都内で1人暮らしをしていて、交通事故の影響で高次脳機能障害があるほか、腰椎に痛みもあります。

そのため、月に数回のクリニックへの通院時には、事業者の付き添いサービスを利用していて、この日は男性スタッフが診察に立ち会い、医師の問診を一緒に聞いたり、骨折予防の注射を打つのを見守ったりしたほか、受診料の支払いなどをサポートしていました。

殿岡さんは「今は特に体の具合が悪いので重い荷物を持ってくれたり、一緒にあちこち連れて行ってくれたりするのはとても楽で助かります」と話していました。

こうしたサービスは、事業者との契約に基づいて行われ、支援は亡くなったあとまで続くことから契約が長期にわたるのも特徴です。

そのため、この事業者は利用者の容体が急変したときに備え、受けたい医療や最期に過ごしたい場所などの要望を定期的に確認しているほか、亡くなった後に備え、葬儀や納骨などを行うことをあらかじめ定める契約も結んでいます。

身元保証などを行う事業者の小池安喜さんは「利用者が元気なうちからいざというときの希望や思いを聞いておくことではじめて本人の意思を代弁することができます。高齢で身寄りがなければ、生活に不備が生じる場面が現実にはあり、支援を通じて安心につなげられればと思います」と話していました。

「身元保証」などを行う事業のニーズが高まる中、独自に事業者の質の確保に取り組み始めた自治体も出てきています。

静岡県静岡市ではことし、契約ルールや解約時の返金手続き、利用者からの寄付の扱いなどの基準を新たに定め、条件を満たす場合に限って3年間「優良事業者」として認証する制度を導入しました。

認証の取得を希望した事業者に対しては市がヒアリング調査などを行い、支援や契約の内容、個人情報の取り扱いなど市の定めた基準にのっとった運用をしているか、細かく確認します。

そして基準を満たすと確認できれば「優良事業者」として認証しますが、基準は30項目以上と多岐にわたるため、認証を得たのはまだこの1法人だけです。

今後どれだけ公的な枠組みの中で「身元保証」などの事業の普及が進むかが課題になっています。

認証事業を始めた静岡市地域包括ケア・誰もが活躍推進本部の担当者は「市が一定のルールを作って事業者の質の確保に関わることで、一人暮らしで困っている高齢者が安心して過ごせるよう、終活支援の手伝いができればと考えています」と話していました。

静岡県静岡市内で唯一の認証を受けた事業者で、社会福祉法人「まごころ」の田中努さんは「何もルールがない中での運営は高齢者からすればどの事業者を選んだらいいかわからず戸惑う一方、私たちも手探り状態で支援をするには不安があったので、認証という形でルールを設けてもらえるのはありがたいです。いま多くの高齢者に求められる大事な事業だと思うので、これからは自信を持ってサービスを提供していきたい」と話していました。

事業者向けの指針の案が初めて示されたことについて、「身元保証」などの問題に詳しい日本総合研究所の沢村香苗研究員は「身寄りのない人の増加とともにこれまでは家族が担ってきた役割を代行するサービスへのニーズが高まる中、今回、指針が示されたことで事業者の質をある程度担保して高齢者に不利益がないよう手だてがとられた意義は大きい」と話しています。

その上で、今後の課題については「事業を監督する官庁がない前提は変わっていないので示された指針を事業者がしっかり守れているか、守らなかったらどうなるのかといった実効性や仕組みの検討が必要です。また、支援は有償なので、経済的な事情や判断能力が十分でないなどの理由で利用できない高齢者への対応も考える必要がある。そして、事業者がいるからといって全部を担ってもらおうとすると負荷が高まるため、自治体や地域のほか、親族がいる人はその力も借りて身寄りがない人をより多くの人で高齢者を支えていく体制づくりを目指すべきだ」と話していました。

現代社会においては、『身元保証』は必要なサービスだと思いますが、監督する省庁や法律がないというのは驚きでした。

静岡県静岡市の取り組みはとても素晴らしいことだと思います。し国としても、早く対応して欲しいですね。

そうしないと、きちんとしていない業者がたくさん出てきて、『身元保証』というサービス自体が信頼されない状況になってしまうと思います。

“家族の代わり”担う「身元保証」サービスの指針案の課題について、あなたはどう思われましたか?


Googleが迷惑メール対策を大幅強化しGmailに送れなくなる恐れ! 

日本経済新聞によると、アメリカのGoogleが2024年2月以降、迷惑メール(なりすましメール)対策を大幅に強化した「メール送信者のガイドライン(Email sender guidelines)」を適用すると発表し、メールに携わるIT(情報技術)業界関係者に衝撃が走っているようです。

メールの送信者がこのガイドラインの要件を満たしていない場合、世界最大規模のメールサービス「Gmail」にメールを送れなくなる恐れがあるためです。

具体的には、送信したメールが拒否されたり、受信者の迷惑メールフォルダーに配信されたりする可能性があります。

メール配信事業者や企業のメールサーバー管理者などは、2024年2月の適用開始までに対策を施す必要があります。

なお、通信事業者やインターネット接続事業者(ISP)のほとんどは対応済みなので、それらが割り当てたメールアドレスのユーザーは影響を受けません。

Googleが2023年10月3日(米国時間、以下同)に発表したガイドラインによると、対象になる宛先アドレスは、個人向けのGmailアカウントです。

末尾が@gmail.comまたは@googlemail.comのメールアドレスです。

ガイドライン公開当初は、法人向けクラウドサービスGoogle WorkspaceのGmailアカウントも対象になるとしていました。

しかしながら、2023年12月初めに実施したガイドラインアップデートで対象から外しました。

また、その後、メールの送信にTLSを使用するという要件も加えました(要件については後述)。

TLSは通信を暗号化するプロトコル(通信規約)です。

Googleは今後もガイドラインを適宜アップデートする可能性があります。

このため関係する企業は最新の情報を絶えずチェックする必要があるのです(ガイドラインのURLはhttps://support.google.com/mail/answer/81126)。

今回のガイドラインはすべてのメール送信者が影響を受けます。

しかしながら、特に深刻なのは、Gmailアカウント宛てに大量のメールを送信しているメール配信事業者や企業です。

ガイドラインに記された要件は、Gmailアカウントに1日当たり5,000件以上のメールを送っているかどうかで異なるからです。

一番の違いは、対応すべき送信ドメイン認証の種類です。

送信ドメイン認証とは、送信元メールサーバーのIPアドレスや送信元が施した電子署名を利用して、メールがなりすまされていないかどうかを判断する仕組みです。

1日当たり5,000件未満の送信元は、送信ドメイン認証の「SPF」と「DKIM」のどちらか一方に対応する必要があります。

一方、5,000件以上の送信元はSPFとDKIMの両方に対応した上で「DMARC(ディーマーク)」にも対応しなければならないのです。

1日当たり5,000件未満と5,000件以上で共通の要件もあります。

具体的には「送信元のドメインまたはIPアドレスに有効な正引き及び逆引きDNSレコードを設定する」「メールの送信にTLSを使用する」「受信者から報告される迷惑メールの割合を0.1%未満に保ち、0.3%を超えないようにする」「Internet Message Format標準に準拠する」などです。

国内最大のメールセキュリティー団体「JPAAWG」の会長を務める、インターネットイニシアティブ(IIJ)技術研究所技術連携室の櫻庭秀次シニアリサーチエンジニアによると、これら共通の要件については「配信事業者や企業の多くは既に対応済み」だそうです。

1日当たり5,000件以上の送信元だけの要件もいくつかあります。

その1つがDMARCをパスすることです。

これはメールソフトやウェブブラウザーなどに表示される送信者アドレス(ヘッダーFrom)がなりすまされていないことを意味します。

マーケティング目的のメールや配信登録されたメールの場合には、ワンクリックで登録を解除できるようにするとともに、そのリンクをメールの本文中に分かりやすく表示する必要があります。

前述のように、Gmailアカウントにメールを送信するには送信ドメイン認証に対応する必要があります。

送信ドメイン認証にはSPF、DKIM、DMARCがあります。

SPFとDKIMは、それぞれIPアドレス及び電子署名を利用して、メールの送信元ドメインがなりすまされていないかを確認する仕組みです。

SPFあるいはDKIMを利用すれば送信元ドメインの詐称は見抜けます。

しかしながら、メールソフトやウェブブラウザーなどに表示される送信者アドレスは偽装できてしまいます。

近年の迷惑メールの多くは送信者アドレスを偽装します。

そこで開発されたのがDMARCです。

DMARCは送信ドメイン認証の1つとされるが、厳密には送信元のドメインは検証しません。

SPFやDKIMとの併用を前提としています。

DMARCは、SPFやDKIMの検証をパスした送信元ドメインとメールの送信者アドレスのドメインを照合し、これらが一致したメールのみパス(合格)とするのです。

つまり、DMARCを導入すれば、送信者アドレスのなりすましを見抜けます。

Googleの新しいガイドラインの主な目的は、大量のメールを送信する事業者/企業にDMARCを導入させることだといえるでしょう。

3種類の送信ドメイン認証のうち、国内普及率が最も高いのはSPFです。

総務省の情報通信白書(2023年版)によれば、2022年12月時点でのJPドメインにおけるSPFの普及率は77.2%だそうです。

導入が容易な上に「NTTドコモによる対応が普及を後押しした」(櫻庭シニアリサーチエンジニア)。

NTTドコモは2007年11月、携帯電話の迷惑メール対策の一環として、SPFによる検証機能を用意しました。

ユーザーがなりすましメールを拒否する設定にした場合、SPFに対応していないドメインからのメールは届かなくなりました。

このため企業やISPなどはSPFに対応し、普及率が向上したのです。

前出の情報通信白書によれば、2022年12月時点でDMARCの普及率はわずか2.7%です。

ところが、2023年以降、導入の機運は高まっています。

総務省と警察庁および経済産業省は2023年2月、「クレジットカード会社等に対するフィッシング対策強化の要請」を発表しました。

その中でクレジット会社に対してDMARCの導入を要請しています。

また、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が2023年7月に公開した「政府機関等の対策基準策定のためのガイドライン(2023年度版)」でも、基本対策事項の1つとしてDMARCの導入を挙げています。

今回のGoogleのガイドラインが、さらに導入を後押しする可能性は高いでしょう。

「SPFのときと同じような普及率の向上が期待できる」(櫻庭シニアリサーチエンジニア)。

ただし、ガイドラインの要件を満たす最低限のハードルは、DMARCよりもDKIMのほうが高いです。

SPFとDMARCについては、DNSサーバーに特定の設定情報(TXTレコード)を追加すればガイドラインをクリアできます。

一方、DKIMはそれだけでは済みません。

送信するメールに電子署名を付与する仕組みが必要です。

自社でメールサーバーを運用している場合にはDKIM用のサーバーを用意します。

オープンソースソフトウエア(OSS)のサーバーソフトとしてはOpenDKIMが有名です。

クラウドメールサービスを利用している場合には、設定変更などが必要になります。

今回のガイドラインでは送信ドメイン認証が注目されますが、メールマガジンなどを配信している事業者や企業は、ワンクリック登録解除への対応も必須です。

メール中の目立つ場所にリンクを用意し、それをクリックするだけでメール配信の登録を解除できるようにする必要があります。

登録解除の申請ページに誘導するリンクや、登録解除のメールを送るようなリンクでは不十分です。

櫻庭シニアリサーチエンジニアによると、ワンクリック登録解除を用意していないメールマガジンは「とても多い」。

2024年2月1日以降、そういったメールマガジンはGmailユーザーに届かなくなる可能性が高いです。

ガイドラインにはワンクリック登録解除の実装方法が記されているため、該当する事業者や企業は参考にしましょう。

メールマガジンなどの送信をメール配信事業者に委託している企業は、その事業者の対応状況を確認する必要があります。

さもないと2024年2月1日以降、Gmailユーザーから「メールマガジンが届かない」といった苦情が押し寄せることになります。

世界中のメールユーザーに大きな影響を与えるであろう今回のガイドラインですが、特にメール配信事業者からの反発は必至です。

Googleとしても当然予想していたでしょう。

迷惑メール撲滅に注力するGoogleの覚悟のほどがうかがえます。

今回のガイドラインを機に、メールを利用している企業は送信量にかかわらず迷惑メールの対策状況、特に送信ドメイン認証の対応状況を確認すべきです。

今後、Googleに続けとばかりに、迷惑メール対策を強化するメールサービスが増える可能性が高いでしょう。

実際、アメリカのYahooはGoogleと同様の対策をすると公表しています。

送信ドメイン認証、特にDMARCに対応していないとメールを受け取ってもらえなくなる時代がすぐそこまで来ているのです。

僕もメルマガを配信したり、受信したりしていますが、対応しないといけないですね。

確かに、毎日、数え切れないほどの迷惑メールが送信されてきますので、Googleの対応を機に、迷惑メールが減れば良いなぁと思います。

Googleが迷惑メール対策を大幅強化しGmailに送れなくなる恐れがあることについて、あなたはどう思われましたか?


「若者集まる」高松中央商店街に大手チェーンが続々出店!

日本経済新聞によると、高松市の中心商店街に外食大手のサイゼリヤやディスカウント店「ドン・キホーテ」など、大手チェーンの新規出店が相次いでいるようです。

これまで香川県内の郊外の大型店舗やロードサイドへの出店が中心だでした。

アーケードの総延長の長さが日本一で、活性化の成功例とされてきた高松中央商店街ですが、新型コロナウイルス禍が落ち着いて若者の往来が戻りつつある機会をとらえ、大手チェーンが進出したかっこうです。

2023年11月下旬、高松中央商店街の中でも注目度が高い丸亀町商店街に、その複合型商業施設「丸亀町グリーン」でサイゼリヤの新店舗がオープンしました。

開業から1か月以上たった現在も、ランチの時間帯をはじめ多くの人でにぎわっています。

サイゼリヤは四国では香川県にしか店舗が無く、新店舗が香川県内4店舗目です。

高松市内では2店舗目となります。

丸亀町グリーンでは、2022年にマクドナルドの新店舗も開業しています。

丸亀町商店街では2023年8月、ディスカウント店「ドン・キホーテ」の新店舗がオープンしました。

ドン・キホーテも高松市郊外に店舗を構えていましたが、商店街を「再開発が進み注目が高まっている地域」(運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの担当者)と位置づけ、出店を決めたようです。

各社は商店街に若者が集まっていることに注目しています。

サイゼリヤは「多くの人が往来していることに加え、若い世代の方の比率が高い」と出店の背景を説明しています。

パン・パシフィックHDも「若い単身世帯の人や学生が楽しめる店舗づくりをしている」そうです。

2012年に開業した丸亀町グリーンは出店誘致の方針の一つとして「飲食メジャーブランドのエリア初出店による集客の強化」を掲げており、マクドナルドやサイゼリヤの誘致に成功しました。

2022年のマクドナルド出店により若者の客足が増えたといい、さらなる出店につながる好循環が生まれているようです。

高松丸亀町商店街振興組合の古川康造理事長は「大手チェーンばかりになるのはよくないが、来てくれるのは歓迎だ」と語っています。

実際にドン・キホーテの集客力が商店街の客足を押し上げている面もあるそうです。

高松市中心部に位置する中央商店街は「日本一長いアーケード商店街」として知られています。

丸亀町商店街など各商店街を合わせた全長は2.7キロメートルで、近隣にはオフィスに加え学校も多く、若者の往来が盛んです。

地方都市の商店街は郊外店舗に押されて活気が失われる地域が多い中で、中央商店街は空き店舗ができても新陳代謝が速く進んでいます。

高松市に見学に訪れる商店街関係者も多いです。

さらにアーケード商店街内ではマンションの建設が相次いでおり、にぎわいの場を持続させる要因になりそうです。

個人的には、チェーン店ばっかりできてと思っていましたが、やはり、集客力はあるんですね。

昔のトキワ街などのにぎわいを知っている人間からすると、現状、商店街を見るとさみしい気持ちになりますし、現在の丸亀町商店街も決して成功しているわけではないと思っていますが、少しでもにぎわいが戻るといいですね。

郊外のショッピングモールに人が集まっても、儲かるのは運営会社だけであまり地域活性化につながらないと思いますので、通勤している人、観光客、出張に来ている人、大学生、専門学生、高校生、何かの会合などで街中に来ている人などが、商店街を訪れてお金を使ってくれて、商店街が活性化すれば、高松市の活性化につながると思いますので、期待したいですね。

「若者集まる」高松中央商店街に大手チェーンが続々出店していることについて、あなたはどう思われましたか?


脱毛サロン大手「銀座カラー」の営業停止で「返金は?」などと戸惑い!

「返金はされるのか」。

毎日新聞によると、美容脱毛サロン大手「銀座カラー」の運営会社「エム・シーネットワークスジャパン」(東京都港区)が、2023年12月15日に破産手続き開始を公表したことを受け、利用者とみられる人たちはX(ツイッター)への投稿で不満と戸惑いをにじませています。

「会員の皆さまへ」と、毎日新聞の記者が12月16日昼過ぎに銀座本店(東京都中央区)が入るビルの階段を上ると、店舗に通じる扉にこう題した紙が張ってありました。

「16日以降、全店で営業を停止させていただきますので、会員の皆さまへの施術を行うことはできません」とあり、今後の会員への対応については、登録されているメールアドレスに送信し、破産管財人のホームページに掲載しているとしています。

銀座カラーのウェブサイトによると、過去には約40万円で全身脱毛の施術を何度も受けられる「通い放題プラン」や、約30万円で2年間有効な「脱毛し放題プラン」もあったが、最近は全身脱毛6回コース5万9,400円などがあったようです。

こうしたサービスなどに関し、Xには利用客とみられる人たちからの投稿が相次いだ。

<8年くらい前に永久会員? みたいなのになって、育児落ち着いたらまた通おうと思ってたのに! まだ期限も毛も残ってますけど!!>

<さっき急に倒産の連絡来た…最近、店舗の閉鎖が相次いでたからヤバいのかなって思ってたけど…ショックがでかすぎる>

<急に部分だけの施術になるし、おかしいなとは思ってた。次どこ通えばいいん? また新しく契約?>

<銀座カラー倒産? 40万のプランまだ途中ですけど…>

<脱毛行く準備しよと思って起きたら倒産!?今日まさに予約入れてるけど?? 脱毛し放題コースはどうなるん??>

「会員の皆さまへ」と題された紙には、上野保弁護士(東京第二弁護士会)が破産管財人となり、コールセンターが存在することが示されていました。

また、管財人ホームページを紹介しており、このページには、回数プランの未消化分のサービスは「一切受けられません」と記され、サービスを継承する会社も「現時点ではありません」としています。

また、未消化分のサービスに関する返金は「できません」と説明しており、クレジット会社や信販会社を通じたローン契約などは「クレジット会社などに直接お問い合わせください」としています。

過去にも結構あると思いますが、前払いのところとか、極端に安いところは危険ですね。

利用者も、きちんとお店を選ばないといけないですね。

お店の数が多いから安心とはいかないのが、なかなか難しいところですが。

美容とかダイエットはいつの時代も、ニーズがあるということでしょうから、引っかかる方も多くはなりますね。

脱毛サロン大手「銀座カラー」の営業停止で「返金は?」などと戸惑っていることについて、あなたはどう思われましたか?


世相を表す2023年の漢字は「税」!

NHKによると、ことし1年の世相を漢字ひと文字で表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表され、「税」の文字が選ばれました。

「今年の漢字」は京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」が、その年の世相を表す漢字ひと文字を一般から募集し、最も多かった字が選ばれています。

ことしは11月1日から12月6日までの14万7,878票の応募の中から、最も多い5,976票を集めた「税」の文字が選ばれました。

京都市東山区にある清水寺では午後2時すぎ、森清範貫主が大きな和紙に「税」の字を一気に書き上げました。

「税」が選ばれたのは、消費税率が引き上げられた2014年以来、2です。

「税」の字が選ばれた理由について協会は、1年を通して増税の議論が行われたことに加えて、所得税などの定額減税が話題にのぼったことのほか、インボイス制度の導入やふるさと納税のルールの厳格化など、「税」にまつわるさまざまな改正や検討が行われたことなどをあげています。

筆を執った清水寺の森清範 貫主は「税」が選ばれたことについて「国民がシビアに税の行方を見ている。税に対する意識が非常に強いことを改めて感じた」と話しました。

その上で「世の中は不穏な空気ばかりだが、来年こそは世界の人々が和むような『和』という字が選ばれることを願っている」と話していました。

「今年の漢字」に寄せられた文字は去年に続いて戦争を意識したものが目立った一方、野球に関連した明るいイメージのものも多く並んでいます。

「日本漢字能力検定協会」によりますと2番目は「暑」で、夏の平均気温が気象庁が統計を取り始めてから最も高くなったことを理由にあげています。

1番目の「税」との差は405票でした。

3番目は去年最も多かった「戦」でした。

12番目の「争」とともに2年連続でトップ20に入っていて、ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突などの不安が続いていることを物語っています。

一方、野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで日本が優勝したことや、阪神タイガースがプロ野球で38年ぶりの日本一に輝いたこと、それに大リーグの大谷翔平選手の活躍を受けて、野球に関連した「虎」「勝」「球」「翔」「侍」が、トップ20に相次いでランクインしました。

「今年の漢字」は、京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」が1995年に始めました。

これまでの漢字を振り返ると、最も多く選ばれたのは「金」が4回です。

いずれもオリンピックが開催された年に選ばれています。

2番目に多かったのは、「災」と「戦」で2回でした。

気象や災害に関する漢字も多く、東日本大震災が発生した2011年には「絆」が、阪神・淡路大震災が発生した1995年には「震」が選ばれています。

このほか、暮らしや生活に関わる漢字では消費税が8%に引き上げられた2014年には「税」が、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年には「密」が選ばれています。

先日、長男から『ことしの漢字は「熱」だと思うけどどう思う?』と聞かれて、『同じことを思ったけど「暑」かな?』という会話をしましたが、『税』でしたね。

やはり2023年は10月1日から導入された消費税の『インボイス制度』に翻弄されましたし、税務調査とかで今までで圧倒的に『税務署』の方と会うことが多かったですね。

最近話題の『パーティー券』の問題も『脱税』ではないかと思っていますし、『税』で妙に納得もしました。

世相を表す2023年の漢字は「税」であったことについて、あなたはどう思われましたか?


事業再構築補助金の新規採択の停止を有識者が提言!

東京新聞によると、中央省庁の予算執行の無駄を有識者がチェックする「秋の行政事業レビュー」で、先日、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた中小企業の事業転換を支援する「事業再構築補助金」の新規採択をいったん停止するべきだと有識者が提言したそうです。

所管する経済産業省が補助金の効果を検証していないことを問題視し、給付後の企業の状況を調べる仕組みの構築や給付審査の厳格化を求めました。

事業再構築補助金は中小企業の設備投資の費用などを補助する仕組みで、これまでに計7万6,224社が採択されました。

財務省によると、2023年9月末時点で、累計約2兆4千億円の予算を確保しました。

有識者の一人は、「いったん新規採択を停止すべきだ」と指摘しました。

この事業再構築補助金は、基本的に今までにやっていないことに新たにチャレンジする際の設備投資などを補助するというものなので、成功の確率は低いのでしょうが、詐欺的なものもおそらくあると推測されますので、効果を検証することは必要でしょうね。

金額も、中小企業が使える補助金の中ではずば抜けて多額ですから。

僕自身も、事業再構築補助金のお手伝いをさせていただいておりますが、(規模の小さな)中小企業の実態を分かっていない方々が制度設計をされていると思いますし、誰が補助金の恩恵をこうむっているのだろうかと疑問を感じたりもします。

事業再構築補助金の新規採択の停止を有識者が提言したことについて、あなたはどう思われましたか?


2022年の出生数は想定より11年早く初の80万人割れ!

日本経済新聞によると、厚生労働省は、先日、2022年の出生数が外国人を含む速報値で前年比5.1%減の79万9,728人だったと発表しました。
80万人割れは比較可能な1899年以降で初めてです。
国の推計より11年早くなっています。
出産期にあたる世代の減少に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で結婚や妊娠・出産をためらう人が増えました。
若い世代の経済不安を和らげ、出産に前向きになれる社会に変える必要があります。

出生数は7年連続で過去最少を更新しました。
2022年の出生数は2019年の89.9万人より10万人少なくなっています。
出生数が最も多かった1949年の269.6万人に比べると、2022年は3割に満たないのです。

急速な出生減の主因はコロナ禍での結婚の減少です。
2019年に60万組を超えていた婚姻数が2020年に53.7万組、2021年に51.4万組に減り、2022年も51万9823組にとどまりました。
日本では結婚数がその後の出生数に直結する傾向があり、影響が色濃く出ました。
コロナ下の経済の混乱も妊娠・出産をためらう要因となりました。

行動制限などは和らいだものの出生数が反転する兆しは見えないようです。
2022年の出生数を月ごとに見ると12月は前年同月に比べて6.8%減っています。
減少率は4か月続けて拡大しています。
年間の減少率も2022年は5.1%で、2021年の3.4%減より大きくなっています。

人口の動きは日本経済の成長力や社会保障の持続性を左右します。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した最新の推計では、基本的なシナリオとされる出生中位の場合に出生数が80万人を下回るのは2033年でした。
実際には11年も前倒しとなりました。
低位では2021年に77万人となって80万人を割る想定で、現状は最も悪いシナリオに近くなっています。

人口減も加速しています。
死亡数は8.9%増の158万2,033人で過去最多を更新しました。
新型コロナによる死亡が影響した可能性があります。
出生から死亡を引いた自然減も78万2,305人と過去最大です。
減少幅は2021年より17万人ほど広がりました。

今回の速報値は外国人による出産や死亡などを含んでいます。
日本人のみの出生数や合計特殊出生率は6月に公表予定です。
減少ペースをもとに、加藤勝信厚労相は2月に「77万人前後になるのではないか」との見方を示しています。

日本の社会保障制度は持続可能性を問われます。
高齢者自身の負担に加えて、現役世代が果たす役割が大きいためです。
年金や医療、介護など約130兆円の給付費の財源のうち、現役が多くを拠出する保険料は全体の半分以上を占めています。
出生が減れば、高齢者を支える将来世代が減ります。
保険料の引き上げなど一段の負担増が避けられなくなるでしょう。

欧米の多くの国はコロナ禍による出生減からすでに回復しています。
ドイツやフランス、ベルギーなど少子化対策が手厚い国は回復が早い傾向があります。

ドイツは2021年の出生数が二十数年ぶりの高水準になりました。
男性の育児参加など子育てしやすい環境作りに取り組んでいます。
フランスは多子世帯の税優遇や育児休業中の賃金保障などで支援しています。

岸田文雄首相は政権の最重要課題として次元の異なる少子化対策を掲げ、3月末をメドに具体策をまとます。

短期的には出産・育児への支援充実が欠かせません。
厚労省の調査によると、妻が35歳未満で理想の数の子どもを持たない夫婦の77.8%が「お金がかかりすぎる」ことを理由に挙げています。

京都大の柴田悠准教授は2023年2月20日の政府会議で児童手当の増額や学費の軽減、保育の定員拡大などが必要と訴えました。
即時に必要な政策に2025年ごろまでに年間6.1兆円規模を投じる必要があるそうです。

コロナの影響で、出会いや結婚が減っているのはあるのでしょうが、その辺を差し引いても、政府の少子化対策の失敗でしょう。
中国の人口が減少したというのも驚きましたが、11年も早いというのは日本の将来がすごく心配になりますね。
うちも子どもが2人いますが、お金は結構かかるなぁと普段から感じますし、一方で、昔はこども手当てや医療費の無償化はなかったでしょうから、自分の両親とかは結構大変だっただろうなぁとよく思います。
将来の日本を支える人達ですから、みんなで知恵を出し合って、安心して結婚や出産や子育てができる日本にしないといけないと本当に思いますね。

2022年の出生数は想定より11年早く初の80万人割れだったことについて、どう思われましたか?


金融庁が「エヌエヌ生命保険」に立ち入り検査へ!

東洋経済によると、金融庁が外資系のエヌエヌ生命保険(旧アイエヌジー生命保険)に対して、近く立ち入り検査に入ることがわかったようです。

エヌエヌ生命の関係者によると、8月19日までに検査予告があったそうです。
中小企業オーナーなどを対象にした「節税保険」の販売や商品開発の実態について、今後検査を進めるとみられます。

節税保険の不適切販売を巡っては、金融庁が2022年7月にマニュライフ生命保険に対して初の行政処分を下したばかりです。
販売行為の組織性や悪質性が生保各社の中でも際立っていたことでやり玉に挙がった格好でしたが、同じく節税保険販売における組織性などが強く疑われていたのがエヌエヌ生命でした。

そもそも同社は2022年2月、金融庁から保険業法に基づく報告徴求命令を受けており、逓増定期保険などを活用し、「租税回避行為」を指南する私製の資料が多数見つかったことをすでに報告しています。

今後の立ち入り検査の動向次第では、マニュライフ生命の事例と同様に、他社に転じたエヌエヌ生命の旧経営陣に対する責任追及に発展する可能性もあります。

保険の本質を忘れているような生命保険会社は処分されて当然かと思います。
僕自身も代理店をやっていますが、こういったことで色々なことが厳しくなっていきますので、勘弁して欲しいですね。
他社に転じた旧経営陣の責任もきちんと追求して欲しいと思います。
やってはいけないことをやって、多額の報酬を得たり、多額の報酬で他社に転じているのでしょうから。

金融庁が「エヌエヌ生命保険」に立ち入り検査することについて、どう思われましたか?


国税庁をかたる不審なメールにご注意!

TabisLandによると、国税庁をかたる不審なショートメッセージやメールから、国税庁ホームページになりすました偽のホームページに誘導する事例が見つかっているとして、国税庁が注意を呼びかけています。

情報によると、国税庁の名称や国税庁と類似した名称を使用した団体から、携帯電話等に「還付金を振り込む。」、「受取口座情報を返信してください。」などの内容のメールが届く事例が発生しているようです。

一例としては、「National Tax Agency(国税庁)」を名乗る者から、「You are eligible to receive a tax return of JPY~(~円の税金の払い戻しを受ける権利がある)」という旨のフィッシングメールが届き、メールに記載されたアドレス(https://www.nta.go.jp/~)をクリックすると、国税庁の偽サイト画面が表示され、本人確認と称して「Name(氏名)」「Date of birth(生年月日)」「16 digit debit card number(16桁のデビットカード番号)」等の個人情報を取得しようとする事例が発生しています。

国税庁(国税局、税務署を含む)からショートメッセージによる案内を送信することはなく、国税の納付を求める旨や、差押えの執行を予告する旨のショートメッセージやメールも送信していません。
国税庁からのメールによる案内は、国税庁ホームページ新着情報の配信サービスの登録をしている場合、国税庁メールマガジン配信サービスの登録をしている場合、e-Taxの利用にあたりメールアドレスを登録している場合に限って送信しています。

国税庁では、不審なショートメッセージやメールを受信した場合や、国税庁ホームページをかたるサイトを発見した場合には、アクセスすると被害を受けるおそれがあるためアクセスしないこと、また、国税庁ホームページを利用する際にはブラウザのアドレス欄(国税庁ホームページアドレスは、https://www.nta.go.jp/)を必ず確認するよう呼びかけています。

最近は、色々な不審メールがたくさん送られてきますね。
国税庁からメールが送られてくると、焦る方もおられると思いますので、そのあたりの心理状況もついているんでしょうね。
安易に、クリックとかしないようにしましょう。

国税庁をかたる不審なメールにご注意!について、どう思われましたか?


持続化給付金の不正受給が続々発覚し自主返還は166億円に!

朝日新聞によると、家族ぐるみで計約9億6千万円もの持続化給付金の不正受給にかかわったとして、住居不詳の男性(47)が詐欺容疑で指名手配され(インドネシアで逮捕)、男性の元妻と長男、次男が逮捕されました。
新型コロナウイルスの経済対策として導入された持続化給付金は、迅速な支給のため手続きが簡素化された半面、後に数多くの不正受給が発覚しています。

中小企業庁によると、要件を満たさなかったとして給付金の受給者が自主返還を申し出た件数は、2022年5月26日時点で約2万2千件です。
このうち約1万5千件についてはすでに返還があり、その総額は約166億円に上っています。
中小企業庁は、自主返還があった場合には警察への通報や被害相談はしていないそうです。

一方で、全国の警察による摘発も相次いでいます。
2021年3月、衆院議員事務所元スタッフの男ら4人が給付金100万円を詐取した疑いで愛知県警に逮捕されました。
セミナーを開いて「私ども自民党としましては、みなさんが持っていない情報を持っている」などと話し、不正受給を持ちかけていたとされます。

大阪国税局OBで元税理士の男も、身分を個人事業主と偽るなどして同じく4,500万円を詐取したとして2022年1月に有罪判決を受けました。

キャリア官僚の関与が明るみに出たこともありました。
経済産業省の元官僚2人はペーパーカンパニー2社の売り上げを偽造し、持続化給付金など計約1,550万円を詐取したとして2021年12月に東京地裁で有罪判決を受けました。

早く給付する必要はあったと思いますが、明るみに出ているところでこれだけの不正受給があったということは、制度がザルだったと言わざるを得ませんね。
このような給付金があったからこそ、犯罪者がたくさん生まれたわけですから。
中小企業庁にも反省してもらい、今後に活かしてほしいですね。
今回の事業復活支援金を見ると、改善されたところはありますが、支給されないケースもあり、ビジネスのことが分からない人たちが作っているんだろうなぁと感じる点がありますが。

持続化給付金の不正受給が続々発覚し自主返還は166億円にのぼったことについて、どう思われましたか?


国税職員ら20代男女7人が給付金詐欺で逮捕!

読売新聞によると、新型コロナウイルス対策の国の給付金をだまし取ったとして、警視庁が東京国税局職員(24)(神奈川県横浜市)ら20歳代の男女7人を詐欺容疑で逮捕しました。
7人は投資仲間で、名義人に不正受給させた約2億円の大半を暗号資産に投資していたといい、警視庁が金の行方を調べています。

ほかに逮捕されたのは、東京国税局職員と同期入庁だった東京国税局元職員の男(24)(詐欺罪で起訴)らです。
警視庁は2022年2月頃にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに出国した30歳代の男が中心メンバーだったとみて行方を追っています。

捜査関係者によると、7人は2020年8月頃、埼玉県に住む当時17歳の少年(詐欺容疑で書類送検)がコロナ禍で収入を減らした個人投資家だと偽り、中小企業庁から持続化給付金100万円をだまし取った疑いです。
東京国税局職員は黙秘していますが、一部のメンバーは容疑を認めています。

7人のうち東京国税局職員ら複数のメンバーがオンライン上の投資サロンに所属しています。
「給付金をビットコインに投資して2倍にする」などと言って知人らを勧誘し、約200件の不正受給を行わせたようです。
東京国税局職員と元国税職員は申請に必要な確定申告書の作成を担当し、1件当たり5万円の報酬を得たとみられます。

申請名義人は高校生や大学生など若者が多かったようです。
グループは給付金を全額回収し、メンバーの報酬を差し引いた残りの大半を暗号資産に投資しましたが、その後、元金などは名義人に返還されていないそうです。

名義人の一人が2020年8月頃、警視庁に不正受給を申告し、警視庁が捜査していました。
持続化給付金の不正受給を巡っては、2020年12月にも東京国税局の甲府税務署員が逮捕され、詐欺罪などで有罪判決を受けています。

最近は国税庁職員の不祥事も目につきますね。
こういう人たちがいる組織に税務調査などはできるのでしょうか?
報酬を申告しているのかも気になりますが、国税局もご多分に漏れず人がなかなか採用できないのかもしれませんが、採用時にきちんと適性を確かめ、採用後も全職員を対象にモラルなど研修が必要なのでないかと思います。
本当に、持続化給付金は、期限内に申告している人のみを対象にして、過去何年間かの納税額を給付額のMAXにした方が良かったのではないかと改めて思います。
簡単に申請できたことが、逮捕者がたくさん出る状況を生み出しているわけですので。

国税職員ら20代男女7人が給付金詐欺で逮捕されたことについて、どう思われましたか?


事業復活支援金の申請期限及び事前確認期限が延長!

2022年5月31日火曜日までとされていた事業復活支援金の申請期限が、6月17日金曜日まで延長されました。
なお、申請前に必要な「登録確認機関による事前確認」の実施は6月14日火曜日までとなります。

ただし、申請や事前確認のために必要な「申請IDの発行」は5月31日火曜日までとなりますので、ご注意ください。

申請をお考えの事業者の方は、お早めに申請IDを発行していただき、必要書類を準備し、登録確認機関での事前確認を受けたうえで、申請をしてくださいね。

事業復活支援金では、申請を行う前に事務局が募集・登録した「登録確認機関」において、①事業を実施しているか、②給付対象等を正しく理解しているか等の事前確認を受けていただく必要があります。

事前確認を受ける際には「申請ID」を登録確認機関に掲示する必要があります。
事前確認を受ける前に本ホームページにて仮登録(申請ID発番)を行ってください。
なお、コールセンターでも仮登録(申請ID発番)を受け付けておりますので、ホームページのご利用が難しい方は、コールセンターまでお問い合わせください。

いったん期限を決めたのであれば、きちんと守って欲しいですね。
弊事務所も登録確認機関となっていますが、何かと時間はかかりますし、確定申告や3月決算で忙しい時期に大変ですので。
ちなみに、弊事務所は顧問先の事前確認しかやっていませんので、これ以上やりませんが。

事業復活支援金の申請期限及び事前確認期限が延長になったことについて、どう思われましたか?


高校で「金融教育」が始動したことで金融各社が教材開発に注力!

日本経済新聞によると、学習指導要領の改訂で2022年4月1日から高校で本格的な金融教育が始まったのを受け、金融各社が教材開発や教員育成に本腰を入れているようです。

若い時から日々の家計の管理や金融商品の知識をつけることで金融リテラシーの向上を狙う施策です。
証券会社などが培ってきたノウハウを提供し、国全体で「豊かさ」を追求する動きが手探りで始まっているようです。

新学習指導要領では、家庭科の中で預貯金や株式・債券などの基本的な金融商品の特徴、資産形成の視点も教えることとされました。
新たに必修科目となった「公共」の授業でも、金融の役割を学びます。
こちらは企業の資金調達のしくみなどお金がどのように社会の中で動いているかという観点が中心になります。

20年以上金融教育に注力してきた野村ホールディングスの出張講座は、小学生から大学生、学校の教員まで延べ約91万人が受講しました。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、学校支援の「教育と探求社」(東京都千代田区)と組み、人生とお金について考える教材を中高生向けに開発し、2023年度から提供します。
さいたま市教育委員会と金融経済教育に関する連携協定を結んでおり、2022年度は小学生向けに同市に加えて東京都や京都府など複数地域で授業を提供する予定です。

三井住友フィナンシャルグループ(FG)でも傘下のSMBC日興証券やSMBCコンシューマーファイナンスが協力してグループ共通で使える教材を開発しています。
投機と投資の違いや長期投資のポイントなどを解説する出張授業のプログラムを、この春から始めます。

金融教育の流れは資産運用会社にも広がります。
ニッセイアセットマネジメントはタカラトミーと金沢工業大学と組み、SDGs(持続可能な開発目標)に特化した教育用の「人生ゲーム」を制作しています。
8月以降、全国の小学校で展開する計画です。
ニッセイアセットはESG(環境・社会・企業統治)運用の実績を生かして、ESGをテーマにした盤面の開発を担いました。

教員にとっては慣れないテーマで、授業の方法も確立されていないため授業時間を割くハードルは高くなっています。
みずほ証券は、早稲田大学と共同で投資教育を担える教員養成の研究を実施しています。
大学院との研究の一環で、中高生向けの教材作成を取り入れています。
証券会社などにとっては教育活動は大きな収益源にはなりませんが、国民の資産形成への意識を高める活動として注力し始めているようです。

投資ではなく貯蓄が好きな日本人が多いため、貯蓄から投資へのシフトを図るためには、金融教育も必要なことだと思います。
投資をすることで、潜在的な先を含め投資先の企業にも興味を持つと思いますし、企業の活動にも興味を持つでしょうから。
しかしながら、個人的には、物価が上がる中で給与が上がらない日本の現状を考えると、稼ぐ(経営)ということも学んだ方が良いのではないかと思います。
稼がないと運用に回す資金もないわけですから、まずは稼がないと始まらないわけですから。
また、日本の将来に不安があって、投資ではなく貯蓄に回してしまう方も多いでしょうから、みんなが稼げる日本を作っていけば、当然、投資をするようになるのではないかと思います。
この『稼ぐ』ということを学ぶためには、『戦略マネジメント・ゲーム』がふさわしいのではないかと改めて感じた記事でした。

高校で「金融教育」が始動したことで金融各社が教材開発に注力していることについて、どう思われましたか?


給付金搾取で逮捕された経済産業省のキャリア官僚は慶應義塾高校の同級生!

朝日新聞によると、経済産業省のキャリア官僚2人がコロナ禍の影響を受けた中小企業を支援する家賃支援給付金を詐取したとして逮捕された事件で、2人が「相談して2人でやった」などと容疑を認める供述をしていることが、先日、捜査関係者への取材でわかったようです。
1人は「警察の捜査を免れるために職場で証拠隠滅の相談をした」といった趣旨の話もしているそうです。
警視庁は関係者に事情を聴くなどして裏付けをする方針です。

逮捕されたのは、経済産業省産業資金課係長(28)と産業組織課職員(28)の両容疑者です。
2人は慶應義塾高校の同級生だそうです。

警視庁捜査2課によると、2人は共謀して2020年12月、コロナ禍で収入が減った中小企業を装い、給付金を専用サイトから申請しました。
2021年1月に約550万円を詐取した疑いがあります。
申請には、職員が入省前の2019年に設立し、社長を親族に引き継いだとみられるペーパーカンパニーを使い、売り上げ台帳などを偽造した可能性が高いそうです。

捜査関係者によると、2人はいずれも容疑を認め、「2人でやった」「2人で相談した」などと供述しているようです。
また、2人のうち1人は「警察の捜査を察知した」といった趣旨の説明もし、「職場で申請に使ったデータの消去方法などについて話し合った」などと話しているそうです。
警視庁捜査2課は、経済産業省の防犯カメラの映像を分析するなどして、裏付け捜査をする考えです。

一方、係長は世界有数の高級時計メーカーの腕時計や複数のブランド品をクレジットカードで買っていたことが、捜査関係者への取材でわかっています。
警視庁は、給付金の大半を係長が受け取っていたとみており、支払いに充てた可能性があるとみています。
また、自宅マンションの1か月の賃料は国家公務員としての給与額を超えていたほか、複数の外車にも乗っていたといい、収入源や生活実態を調べているようです。

他の報道などによると、2人は暗号資産(仮想通貨)の世界で有名とか、株取引で稼いでいたとか、持続化給付金200万円なども受け取っていたようですが、1人はメガバンク出身、もう一人は司法試験合格者とのことであり、慶應義塾高校を出ているくらいですからそれなりの裕福な家庭に育った方だと思われますので、なぜ給付金を管轄する経済産業省に属する優秀な方が、このようなことをするのだろうか理解できません。
こういう給付金などの詐欺事件を目にするたびに、何度もこのBLOGでも書いていますが、コロナ前の期限内申告を要件とすべきだったと思ってしまいますね。

給付金搾取で逮捕された経済産業省のキャリア官僚は慶應義塾高校の同級生だったことについて、どう思われましたか?


東北新社の総務省接待問題で総務省の調査漏れの会食が複数あった!

讀賣新聞によると、総務省幹部への接待問題を巡り、放送関連会社「東北新社」が設置した特別調査委員会が、総務省の調査で公表されていない複数の接待を確認したことが、先日、東北新社関係者への取材でわかったようです。
総務省側も報告を受けており、接待が放送行政に影響を与えていないか調査しているようです。

東北新社は、問題の経緯をまとめた特別調査委員会の報告書を2021年5月24日に公表する予定です。

関係者によると、東北新社が2017年、認可を担当する衛星・地域放送課長(当時)を接待していたことが新たに判明しました。
東北新社が衛星放送事業に関する外資規制違反を認識した時期です。
会食と近い時期に、この課長に野球観戦チケットも渡していたそうです。
当時の課長は、先日、読売新聞の取材に「(会食の有無は)答えられない」と述べました。

東北新社は2017年1月、「BS4K放送」事業の認定を受けました。
その後、外資比率が20%以上と放送法違反の状態であると認識し、違反を解消するため、総務省の認定を受けたうえで2017年10月に子会社に事業承継しました。
この過程で総務省と東北新社でどのようなやり取りがあったかが焦点となっています。

総務省は2021年2月、東北新社側と延べ38回会食したとの内部調査を公表しました。
当時の総務審議官ら11人を処分しています。

総務省の調査がいい加減ということでしょうね。
きちんと、説明責任を果たしてもらいたいと思います。
そもそも、放送法違反の状況を、子会社に事業譲渡することで解消が認められるのであれば、放送法の存在意義はあるのだろうかと思ってしまいます。
おそらく、この会社に限らず、接待をしている会社はたくさんあるでしょうから、総務省を解体して、不正が起こらないような許認可の仕組みを作ってほしいと思います。
そして、接待を受けた側も、懲戒解雇(退職金なし)くらいにして欲しいですね。

東北新社の総務省接待問題で総務省の調査漏れの会食が複数あったことについて、どう思われましたか?


離婚発表のビル・ゲイツ氏がメリンダさんに1,980億円相当の株式を譲渡!

日刊スポーツによると、先日、離婚を発表したアメリカのマイクロソフトの共同創設者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏(65)が、27年間連れ添った妻のメリンダさん(56)にすでに18億ドル(1,980億円)相当の株式を譲渡していたことが明らかになったようです。

芸能情報サイトのE!ニュースやアメリカの経済誌フォーブスが報じました。
フォーブスは推定1,304億ドルと言われるビル・ゲイツ氏の保有資産は、わずかに減少して1,286億ドルになったと伝えています。

アメリカ証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、ビル・ゲイツ氏の投資会社カスケード・インベストメント社が離婚を発表した日にカナダ国内最大の鉄道会社カナディアン・ナショナル鉄道の株式約1,400万株と自動車ディーラーのオートネーション社の株式290万株をメリンダさんに譲渡していたそうです。

一方、ウォールストリート・ジャーナル紙は、他にもコカ・コーラなども含め24億ドル相当の株式を譲渡したと伝えています。

1994年に結婚した2人は、「人生の次の段階において夫婦としては共に成長できるとは考えられなくなった」と理由を明かして離婚することをツイッターで発表しました。

共同で2000年に創設したビル・アンド・メリンダ財団については今後も共に活動を続けていくことを表明していますが、財産分与に関しては婚前契約を結んでいなかったことが明らかになっています。

メリンダさんが裁判所に提出した離婚申請の書類によると、離婚前に巨額の資産の分割方法について別離契約書を作成しており、それに基づいて資産を分割することが記されていたことから、今回の株式譲渡は離婚による資産分与の一環であることは間違いないとみられています。

別離契約の内容は明らかにされていないことから、今回明らかにされた株式譲渡以外にも非公開の取引で資産の一部をメリンダさんに譲渡している可能性もあるとフォーブス誌は伝えています。

税理士の中には節税目的では?という方もいるようですが、それはさておき、保有資産が1,286億ドルというのは想像もつかない数値ですね。
マイクロソフトの功績の表れでしょうが、使いきれないでしょうし、税金対策も大変だろうなぁと思います。
どういう方が顧問税理士なのかにすごく興味があります。

離婚発表のビル・ゲイツ氏がメリンダさんに1,980億円相当の株式を譲渡したことについて、どう思われましたか?


「あなたと同姓の富豪が死んだ」との周到な「ドバイ詐欺」相次ぐ!

毎日新聞によると、オイルマネーの流れ込む中東屈指の金融センターや林立する超高層ビルなど、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイが持つ華やかなイメージを利用した「ドバイ詐欺」が全国で相次いでいるようです。
在ドバイ総領事館によると、2019年~2020年と21年3月までの邦人被害額は、少なくとも計約7,800万円に上ります。
未遂に終わったものの約50億円を要求されたケースもあり、1件当たりの最高被害額は2,500万円です。
奈良県では、60代の男性が約830万円をだまし取られる被害が発生しています。
在ドバイ総領事館が国内外の邦人に向けて、ホームページで注意を呼びかける事態となっています。

「私はドバイに住んでいます」。
2018年冬ごろ、60代男性のSNS「インスタグラム」アカウントに1通のメッセージが届いたそうです。
差出人は、国際的に有名な銀行の取締役だという男で、この男性は外国の友人を増やしたいとの思いもあり、SNS上の友人になりました。

「ドバイの富豪が大いなる遺産を残して死んだ。偶然にもあなたと同じ姓だ」。
メッセージのやり取りを始めてから約2か月後、突然こう告げられました。
詳しい話を聞くと、共に事業を進めていた親しいドバイの富豪が亡くなり、遺産相続人を探していると言いました。
「同じ姓のあなたは関係があるのではないか?」
男性には心当たりがあったそうです。
以前、親戚から外国人の身内がいると聞かされたことがあったからです。
「ひょっとすると……」。
どうすればよいか尋ねると、「銀行の顧問弁護士」を紹介されました。

「遺産相続の法的手続きを取るための着手金が必要です」。
その弁護士にメールで連絡を取ると、初めて金銭を要求されました。
高額だったこともあり一度は断ったそうですが、しばらくして男から「着手金は私が払う。遺産を相続してほしい」とのメッセージが届きました。
弁護士からもメッセージが届きました。
「裁判所に書類を提出し、遺産相続が認められた。金額は1億500万ドルだ」

「相続人」となった男性の元には、弁護士から次々と関係書類がメールで送られてきました。
富豪の死亡届に国際通貨基金(IMF)の資金証明書など精巧に作り込まれた十数通の書類をメールで受け取るうち、男性は完全に男たちを信用するようになっていました。
着手金を肩代わりしてもらった「恩義」もあり、泥沼にはまり込むようでした。

証明書取得のための手数料や巨額送金をするための銀行員への賄賂など、男性は、弁護士から次々と出される指示を受け、日本やトルコの銀行口座に計約830万円を送金しました。
「遺産を相続したら、一緒に事業をやろう」という話も持ちかけられましたが、いつまでたっても男性の口座には肝心の遺産が振り込まれないため、「だまされたのではないか?」と思い始めた時には、男とも弁護士とも連絡が取れなくなっていました。

奈良県警郡山署などは、2021年2月、送金先とされた銀行口座を管理していた外国籍の50代男性を詐欺容疑などで逮捕しましたが、容疑不十分で不起訴となりました。
奈良県警は引き続き、男の周辺捜査を進めています。

在ドバイ総領事館によると、ドバイで見られる詐欺は、①金融機関をかたる詐欺、②王族、政府機関をかたる詐欺、③高利商取引を持ちかける詐欺、④王族や紛争地域に在住する軍人や医師らとのロマンス詐欺の4類型が多いようです。
2021年1月からは、総領事館に寄せられた相談事案などをまとめた注意喚起文書をホームページに掲載し、類型ごとの特徴を詳しく紹介し、詐欺被害に遭わないためのポイントを解説しています。

総領事館の関口昇総領事(54)は「王族の存在や日本の生活にはないきらびやかさなどドバイのイメージが詐欺に使われ、被害が生じていることは非常に残念だ」と話し、「ドバイ政府自身が観光や経済のイメージを積極的に発信していることもあって、荒唐無稽な話を信じ込んでしまうのだろう。おいしい話が入ってきたら、一度相手と接触を絶ち、周りの人に相談して」と注意を呼びかけています。

ドバイというイメージを使うのは巧みだとは思いますが、やはり、目の前にお金がちらつくと、簡単に騙されてしまう方がいらっしゃるんですね。
少し冷静になって、周りの方や弁護士さんに早めに相談しましょう。

「あなたと同姓の富豪が死んだ」との周到な「ドバイ詐欺」相次いでいることについて、どう思われましたか?


詐欺と大麻で逮捕の「甲府税務署職員」の父親は東京国税局の「エース」職員!

新型コロナウイルス禍を受けて、2019年2月半ばから9月末まで原則として税務調査を見合わせていた国税当局ですが、調査は10月から再開されたものの、相手側にウイルス感染させる可能性を排除できないとして、強制権限を持つ査察部(マルサ)を除けば、必ず相手側の同意を事前に得るよう、例年以上に徹底されているそうです。
このため調査の対象も自ずと限定されることになり、現場はストレスのたまる毎日が続いているようです。
また、確定申告期限の延長により、確定申告期限の終了までは、新規の案件に着手できないことになっており、事実上、当事務年度(6月末まで)の新規の案件の着手は事実上できないと言えるでしょう。

その国税当局を震撼させる一大不祥事が、2020年12月2日に山梨県で起きました。
東京国税局甲府税務署に勤務する26歳の男性職員が、新型コロナ禍対策として国から支給される持続化給付金100万円をだまし取った疑いで愛知県警に逮捕され、自宅から乾燥大麻が押収されたのです。
ただでさえ思い通りに調査できない日々の中で起きた前代未聞の事件に、東京・築地の東京国税局は重苦しい空気に包まれたようです。

ただ、デイリー新潮によると、この事件が国税当局に衝撃を与えた本当の理由は、実は別のところにあるそうです。
国税関係者が「東京国税局の今後の人事構想や調査方針に悪影響が出かねない」と表情を曇らせる、その理由とは何なのでしょうか?

まず、今回の事件の内容を振り返っておきます。
甲府税務署の資産課税第2部門に所属する調査官(26)は、愛知大学生の男性2人(起訴済み)と共謀して2020年5月下旬、愛知県内に住む20代の男子学生を個人事業主(美容業)と偽り、2020年4月の事業収入が前年同月比で大幅に減少したとする虚偽の内容を中小企業庁に申請しました。
2020年6月2日に申請者の口座に給付金100万円を振り込ませた詐欺の疑いで、愛知県警に逮捕されました。

国税職員だった調査官は、給付金申請の際に添付する確定申告書の偽造を担当し、2020年9月に愛知大学生2人が逮捕・起訴された後の捜査で関与が浮上しました。
2020年12月24日には、この愛知大学生1人の不正請求にも関わった疑いで再逮捕されました。
自宅から押収された資料からは虚偽の確定申告書を約250件作成していたことが判明したそうです。

また、愛知県警が2020年12月2日朝に調査官の自宅を詐欺容疑で家宅捜索した際、乾燥大麻や吸引用具が発見され、同容疑者はその場にいた埼玉県川越市の無職男(25)と自称フィリピン国籍の男(24)とともに大麻取締法違反容疑で緊急逮捕されました。
起訴済みの愛知大学生のうち1人は、大麻取締法違反罪でも起訴されています。

調査官は都内の私立大学を卒業後、2016年に国税専門官として東京国税局に採用され、杉並署など東京都内の複数の税務署を経て、2019年7月に甲府署に異動となり、相続税などの調査を担当する資産課税第2部門に勤務していました。

東京国税局元幹部は「杉並署から甲府署への異動は、将来有望と目される若手職員が歩むルートとされています。その有望株がよりによって持続化給付金の詐欺に加えて、薬物絡みの事件まで起こすなど前代未聞。セクハラやパワハラなど比較にならない、言語道断の行いです」と憤っているようです。

調査官の逮捕を受けて、東京国税局は西川健士総務部長名で「職務外の行為とはいえ、職員が逮捕される事態は公務に対する信頼を著しく損なうもので遺憾。事実関係を確認し、厳正に対処する」とコメントしましたが、公式の謝罪会見は調査官の起訴を待って行われるようです。

国税職員としてどころか、社会人として当たり前のモラルさえ持ち合わせていなかった調査官ですが、大学卒業後5年目の社会人とはいいながら、いったいどんな家庭教育を受けてきたのか、それこそ親の顔が見てみたいものです。

前出の国税関係者が声を潜めて話したようです。
「実は両親とも国税局の現役職員なんです。特に50代半ばの父親は、甲府署で息子も配属された資産課税畑の専門家。東京国税局の中枢を担うノンキャリのエースの一人としてここ数年、局内の重要ポストを次々と歴任しました。その点からも、今回の事件はまさに痛恨事。エースの一人である父親の将来に禍根を残したと断罪されています」

ここ数年間の父親のキャリアを遡ると、資産課税課筆頭課長補佐→浜松西税務副署長(名古屋国税局への出向)→東京派遣国税庁監察官→調査第1部特別国税調査官(特官)→査察部査察第10部門統括査察官と1、2年で異動を繰り返し、現在は今事務年度に新設された課税第1部統括国税実査官(富裕層担当)を務めています。
これがどれほどピカピカの経歴なのか、国税OB税理士が解説しています。

「他局の大規模署の副署長、東京局職員の不正を捜査する監察官、超大法人を調査する特官、マルサの情報部門(通称ナサケ)の統括官と、重要ポストを短期間に幅広く経験させてもらっています。ナサケ第10部門は、マルサ未経験の幹部候補が希望して着任する、いわば“お客様ポスト”。画に描いたような出世コースで、課長以上の幹部就任に向けた階段を、猛スピードで駆け上っている感じです。その中でも期待度の高さを示すのが、初代として就任した富裕層統轄実査官(統実官)のポストでしょう」

統実官とは、縦割りの組織の弊害を打破して調査の精度や効率を上げる狙いから、東京局では所得税と資産税を担当する課税第1部に7つ、資本金1億円未満の法人税と消費税、酒税を担当する課税第2部に1つ設置されている重要ポストです。
中でも今事務年度から新設された東京局課税第1部の富裕層統実官は、新型コロナ禍で任意の税務調査を思うように進められない国税当局の“打ち出の小槌”として、期待度大なのです。

「税務調査の“米櫃”的な存在の飲食店やパチンコ店などの現金商売業者に対しては例年、無予告調査が多用されますが、新型コロナ禍の今事務年度はその手がおいそれとは使えません。一方で海外の税務当局との情報交換制度であるCRS(共通報告基準)が軌道に乗り、日本人富裕層が海外に所有する資産の監視体制は急速に整備されています。
2019事務年度の富裕層に対する追徴税額は前年度に比べて約28%増の259億円と過去最多を記録しており、今事務年度もCRSの効果は大いに期待できます。それに知的レベルの高い納税者が大半の富裕層は、こちらが不正蓄財の証拠さえ明示すれば調査に協力的で、効率も上がります」(国税庁幹部)

その富裕層を専門的に調査する新たなポストを与えられたのが、他ならぬ調査の父親だったのです。
結果を残せて当然のお誂え向きのポストが、資産課税畑のエースに用意されたというわけです。

前出の国税OB税理士が話しています。
「自身が起こした不祥事ではないものの、国税職員になった息子への教育の責任を問われる事態は避けられないでしょう。少なくとも、これまでのような出世街道を歩むことはもう難しいのでは。今後の東京局内の人事構想や調査方針に及ぼす悪影響は必至です」

今回の息子の不祥事を受けて、国税関係者の間では、父親が重責の富裕層統実官を適切に遂行できるのか危ぶむ声が出るなど、動揺が広がっているそうです。

事の重大性は、世間が考える以上に深刻のようです。

税務当局は、パートの方も職員のご家族を採用していると聞きますし、閉ざされた世界だと思いますが、親の力で採用され、エリートコースを歩んでいるのではないかと推測されますが、別人格とはゆえ、親にも責任はあるのではないかと思われる1件ですよね。
国民の脱税とかを防ぐ立場にある人が、国からお金だまし取っているわけですから。
銀行の職員の横領などもそうですが、やはり、『資質』というものが大事であり、『資質』は親の教育などにも影響を受けるのではないかと思います。
この事件に限ることではありませんが、最近、その職業や資格を目指した時の夢や希望をすっかり忘れて事件を起こしているケースが多いのではないかと感じています。
自分への戒めもありますが、時には、初心を思い出すことがとても重要ですね。
そこは、会社員の方も、クレドを見て経営企業などの理念に立ち返るということと同じかと思います。

詐欺と大麻で逮捕の「甲府税務署職員」の父親は東京国税局の「エース」職員であることについて、どう思われましたか?


クラウド会計のfreeeの顧客情報2,800件が漏えいの恐れ!

日本経済新聞によると、クラウド会計ソフト大手のフリーで、クレジットカード番号を含む約2,800件の顧客情報が漏えいした恐れがあることが、先日わかったようです。
フリーが使う外部のクラウドシステムのセキュリティー設定に不備があり、第三者がアクセスできる状態でした。
実際に情報が閲覧されたり、悪用されたりした被害は確認していないそうです。

情報漏洩の恐れがあるのは、顧客からのアカウント設定や支払い方法に関する問い合わせフォームの内容です。
外部からアクセス可能だった約2,800件の大半は顧客のメールアドレスでしたが、問い合わせの際に記載されていた氏名、住所、電話番号に加え、銀行口座やクレジットカードの番号、会計ソフトにログインするためのIDとパスワードも含まれていました。

フリーが展開する会計ソフトなどの自社サービスから顧客情報は流出していません。

フリーが情報管理に使っていたのは、企業向けソフトウエア大手であるアメリカのセールスフォース・ドットコムのクラウドシステムとみられます。
フリーが、先日、外部のセキュリティー関係者から情報提供を受け社内調査したところ、同日までの約1年間、第三者が情報にアクセスできる状態が続いていました。
すでに外部からアクセスできないように閲覧権限の設定を変更したそうです。

セールスフォースのクラウドシステムを巡っては、導入企業である楽天のほか、ソフトバンク傘下のスマートフォン決済大手PayPay(ペイペイ)などでも、設定ミスによって加盟店や個人の顧客情報が漏洩した疑いが明らかになっています。
これを受け、セールスフォースは導入企業に対し、アクセス権限の設定を確認するよう注意を呼びかけています。

フリーは2013年にクラウド会計ソフトのサービスを始めた国内の先駆けです。
登録した銀行口座やクレジットカードなどの明細を自動取得し、帳簿を作成できるソフトを手がけています。
経理業務の専門知識がなくても手軽に使える利便性を売りに、個人事業主や中小企業を中心に直近の有料会員は23万件に上ります。
2019年12月、東証マザーズに上場しました。

最近、情報漏えいのニュースを見ると、セールスフォースのクラウドシステムを使っているところばかりですね。
きちんと説明などがされているのかわかりませんが、これだけの大手が設定をみすしているわけですから、セールスフォース側にも原因はあるんでしょうね。
おそらく、信頼も失っているでしょう。
いずれにしても、丸投げではなく、きちんと管理していかないと痛い目にあいますね。

クラウド会計のfreeeの顧客情報2,800件が漏えいの恐れがあることについて、どう思われましたか?


持続化給付金詐欺事件で元税理士の親族ら9人も書類送検!

毎日新聞によると、大阪国税局OBの元税理士が新型コロナウイルスに伴う国の持続化給付金をだまし取った詐欺事件で、大阪府警東淀川署は、先日、逮捕された元税理士(43)=詐欺罪で公判中=の親族や事務所スタッフら20~70代の男女9人を詐欺の疑いで書類送検したと発表しました。
名義貸しや虚偽申請を手伝っていたとみられ、東淀川署は事務所ぐるみで不正に手を染めていたとみて全容解明を進めています。

書類送検されたのは、元税理士が代表を務める税理士事務所(閉鎖)のスタッフ5人と元税理士の親族4人の合わせて9人です。
容疑は、2020年5月から6月に、元税理士と共謀して個人事業主と偽ったり、うその売り上げを提出したりして給付金計1,500万円をだまし取ったとされます。

東淀川署などによると、元税理士は2020年4月に中小企業庁から給付金の申請手続きが公表された時に、開業届の提出が必ずしも求められていないことに着目しました。
申請が殺到して調査が追いつかない上に、規模の小さい零細事業者を装えば、営業実態の把握が困難になるだろうと考えて虚偽申請を計画したようです。
申請が始まった5月からスタッフや親族、顧問先に名義貸しを持ち掛け、成功報酬を受け取っていました。
スタッフは役割分担して申請業務を進めていました。

元税理士の事務所が申請した給付金の総額は計4億3,700万円で、このうち約1億円分を不正受給したとみられます。

元税理士は論外でしょうが、税理士事務所のスタッフもおかしいと思う人がいなかったのでしょうか?
おそらく、法人ではなく個人事業主でしょうが、1億円分は不正受給だとしても、4億3,700万円分申請するというのはスゴイですね。
それだけクライアントがあれば、そんなにせこいことをしなくても、他に稼ぐ方法はあるように推測されますが、なぜ、こんなことに手を染めたんでしょうね。
気のせいかもしれませんが、問題を起こす税理士は国税局OBが多いように思いますが、モラルが低いんでしょうか?

国税局OBが税理士登録できるという制度もそろそろ見直す時期に来ているのではないでしょうか?


給付金詐欺容疑の慶応大学生は「起業の金欲しかった」!

サンケイスポーツによると、新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして、島根県警に詐欺容疑で逮捕された慶応大学4年生(22)が「起業のためにお金が欲しかった」と動機を供述していることが、先日、捜査関係者への取材で分かったようです。

関係者によると、慶応大学生はプロ野球の監督を務めた方の孫で、慶応大学野球部で捕手として活動していました。

慶応大学生は、受給対象でない松江市の男子大学生に給付金を申請するよう指南し、2020年7月に中小企業庁から100万円を大学生の口座に振り込ませて詐取した疑いで、島根県警松江署に2020年1月26日に逮捕されました。
島根県警松江署によると容疑を認めているようです。

捜査関係者によると、慶応大学生は知人らに会員制交流サイト(SNS)で不正申請を促し、関与した給付金の不正受給額は計1,000万円以上とみられます。
受給者はそれぞれ数十万円を慶応大学生に「アドバイス料」として渡した疑いがあります。

お金に困っている企業や個人事業主に早めにお金を渡すということを優先したのでしょうが、これだけ、大学生や税務署職員や税理士やそれ以外の方が逮捕されているところを見ると、制度の設計がザルだったということでしょうね。
個人的には、当初から、過年度の期限内の確定申告や2019年の開業の開業届の募集要項公表までの提出は条件に入れるべきだったと考えています。
そうすれば、不正受給はかなり防げたと思いますし、開業届の提出や確定申告をきちんとしておかないといけないという国民の意識の向上、正直者が得をするということにつながったのではないかと思います。

給付金詐欺容疑の慶応大学生は「起業の金欲しかった」とコメントしていることについて、どう思われましたか?


Clubhouseの利用規約が早くも有名無実化!

Business Journalによると、音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」が大流行中です。
まだiOS版のみでAndroid版が出ていないものの、連日メディアを賑わせる人気ぶりとなっています。
現状は芸能人などが大量に参入しており、ここだけの話が聞けることでも人気となっています。

ある40代男性は、入浴中もトイレ中も使い続け、「クラブハウスに住んでいる状態」だそうです。
「憧れの漫画家さんと直接話せて夢のよう。すべてClubhouseのおかげ」。
一方、眠っている間に貴重な話を聞き逃すのが怖くて、ほとんど眠れなくなってしまったのだそうです。

あまりの人気から、Facebookでも対抗となる音声SNSを開発中と報道されています。
Twitterでも2020年末より「Spaces」という音声チャットルームのβテストを開始しており、音声SNSへの注目は当分続きそうです。

一方、Clubhouseにはさまざまな問題点が指摘されています。
改めて3つの大きな問題について紹介されています。

<データの取扱いは不透明、セキュリティリスクは高い>
Clubhouseではじめから指摘されていたのは、セキュリティ上の問題です。
「セキュリティ的に考えると怖くてできない」という人も少なくなく、利用していても「セキュリティは心配だけれど利用したいから仕方がない」という人もいるようです。

2021年2月、ドイツのハンブルクのデータ保護当局は、同アプリの個人情報の扱いを問題視する文書を公表しています。
「運営会社がルーム内の全ての会話を録音・保存している」と指摘すると同時に、個人情報の収集方法にも問題があるとしています。
ユーザーが誰かを招待する際はスマホの連絡先データを全てアプリ側に渡す必要があり、運営会社はサービスの利用者以外の個人情報も得ますが、データ管理や削除方法については不透明のままです。
このようなデータは、知らぬ間に第三者に利用される可能性もあります。

さらに、アメリカのスタンフォード大学の調査によると、同アプリのデータの一部に中国企業がアクセスできる可能性があるそうです。
同アプリにAPIを提供している上海のソフトウェアプロバイダーAgora社に、ユーザーのIDとチャットルームのIDを送信しているというのです。
つまり、Agora社を経由すれば、誰がどのチャットルームにいたかがわかってしまうというわけです。
さらに、アカウントも一度つくったら簡単には削除できない点も問題です。
削除ボタンがあるわけではなく、アカウント削除や無効を希望する場合にはメールアドレスを登録の上、support@joinclubhouse.comに削除申請を送る必要があります。
しかも、申請が受理されるまでに時間がかかるという声もあがっています。

<出会い系利用や情報ビジネスの温床にも>
Clubhouseで興味があるテーマのルームに参加すると新しい出会いにつながることがあるようです。
これは楽しい経験だそうですが、一方で諸刃の剣にもなりえます。

あるルームで初めて会った同士が、「明日会おう」と言っていたそうです。
つまり、すでに出会い系に使われているということです。

以下で述べるとおり、未成年も多く参加しており、音声でのやり取りが残らない以上、出会い系被害につながっても証拠も残らない可能性があるのです。

すでに誹謗中傷や差別発言などが見られるだけでなく、情報ビジネスや宗教関係とも相性が良いといわれています。
海外ではすでに情報ビジネスの温床となっているようです。
他のSNSではフォロワーがそれほど多くないのに同アプリ内ではフォロワーを多く集め、「一般人が○日でフォロワー☓☓人になったコツ」などとルームを立てて語っているのを見かけることもあるようです。

話が上手い人が活躍できるSNSですが、逆に話術によって騙されるリスクも出てくるので注意が必要です。

<18歳以下も多く、録音録画される例も>
Clubhouseには利用規約があるが、規約はまったく守られていないようです。
たとえば18歳以上対象とされていますが、年齢確認などの仕組みはなく誰でも利用可能です。
「高校生(17)」「高校生、17歳です」「15歳の中学生です」「中学生、13歳です」などというユーザーが多数見つかる状態です。
なんと「8歳の小学生がいた」という声もあがっています。

大人が18歳以下のユーザーをフォローしたり、話しかけることもできます。
実際、「高校生と話せた」と喜んでいる40代男性もいるようです。
前述のように出会い系にも使われていることを考えると、リスクが高いことは言うまでもありません。

同アプリは、規約で会話の録音や記録を禁じています。
ところが、藤田ニコルさんが話していた内容が週刊誌の記事となってしまい、規約が守られていないことが明らかになりました。
また、YouTubeなどで検索すると、同アプリでの芸能人などの会話が録音・録画された例が多数見つかる状態です。
「規約で禁止されていても、アカウント停止になる程度。スクープがとれるなら自分でもやると思う」とある記者は言っているようです。

フォロワーを増やすために相互フォローを目的としたいわゆる「フォロー部屋」も禁止されています。
ところが、フォロー部屋を名乗るルームは頻繁に立ち上がっており、こちらも特に罰則などもないようです。
規約が有名無実化しているのが現実です。

この他にも、電話番号を使った招待制のため、思わぬ問題も起きているようです。
SNSでつながる今の時代、電話帳に登録されているのは友だちとは限らず、最新の人間関係を反映させたものではなくなっています。
「友だちの多い本名も知らないキャバクラ嬢に招待されてしまった」とか、「縁を切ったはずの元カレや絶交した元友人が表示されて気分が悪い」という話も聞きます。

その他、アーカイブが残らないリアルタイムで聞かねばならないサービスのため、時間を食ってしまい睡眠不足になっている人もいます。

問題を中心に述べてきたが、Clubhouseが楽しいものであることは確かなようです。
このサービスが向いている人にとっては、コロナ禍でもリアルコミュニケーションできる貴重な場であり、新しい出会いにつながる場でもあるのでしょう。

すでにビジネスに活用している人も出てきています。
なかには、ルームでのトークで数十万円の物販につながったという人もいるようです。
ただし、「特に承諾のないまま商業目的で商品またはサービスの売買を広告しまたは販売すること」は規約で禁止されており、注意が必要でしょう。

新しいサービスが、はじめから問題がないということはまずありません。
リスクもありますが、可能性も秘めていることは間違いありません。
リスクに気をつけながら使ってみるのはいいかもしれません。

当初からFacebookなどで招待してとか書かれている方がたくさんいたので、知ってはいたのですが、Androidユーザーなので、僕自身はやっていません(できません)。
自分にはあまり向かないだろうなぁと思っています。
セキュリティについては、昨年、セキュリティに問題があると言われたZoomがセキュリティの改善などをしてあれほど流行った(定着した?)わけですから、Clubhouseも徐々に改善はしていくことでしょう。

Clubhouseの利用規約が早くも有名無実化であることについて、どう思われましたか?


国税局OBの元税理士が約100人に持続化給付金の不正受給を指南か?

新型コロナウイルスの影響で収入が減った個人事業主らを支援する国の持続化給付金をだまし取ったとして、大阪府警東淀川署は、先日、大阪国税局OBの元税理士(43)と、税理士事務所の事務員だった30歳代の男を詐欺容疑で逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかったようです。

大阪府警東淀川署は、大阪国税局OBの元税理士が顧問先企業の従業員ら約100人に不正受給を指南したとみており、被害総額は約1億円に上る可能性があるそうです。

捜査関係者によると、大阪国税局OBの元税理士は2020年6月、代表を務める大阪市内の税理士事務所(2020年11月に閉鎖)で、当時事務員の男と共謀し、顧問先の会社に勤める男性(20歳代)を個人事業主と偽った2019年分の確定申告書などの書類を準備し、新型コロナウイルスの影響で収入が減ったように装って、中小企業庁の専用サイトから持続化給付金を申請し、男性の口座に100万円を振り込ませ、詐取した疑いです。

大阪国税局OBの元税理士は手数料名目で数十万円を受け取ったといい、大阪府警東淀川署は男性からも任意で事情を聞くようです。

大阪国税局OBの元税理士らは、手数料を稼ぐ目的で顧問先企業の社員やその家族らに次々と不正受給を持ちかけ、応じた人に対して給付金の申請手続きに必要な身分証の写真や通帳のコピーをメールなどで送信するよう指示し、事務所内で、うその収入などを記した確定申告を電子申請し、虚偽の書類を入手していたとみられます。

大阪国税局OBの元税理士は、2015年に大阪国税局を退職し、税理士事務所を開業しました。
不動産オーナー向けに節税方法を指南する書籍を出版し、税務調査への対応方法を解説するセミナーなどで講師も務めていましたが、2020年9月に入ってから日本税理士会連合会に登録抹消届を提出し、9月29日付で受理されています。

ちなみに、持続化給付金は、コロナ禍で、月の売上高が前年同月比50%以上減った事業者などを対象に、中小企業は200万円、個人事業主やフリーランスは100万円を上限に支給するものです。
2020年11月23日時点で約380万件、約5兆円を給付しているそうです。
申請は2021年1月15日までです。

なぜ、この大阪国税局OBの元税理士が、このようなことをするのか、同業者として理解できません。
よほどお金に困っていたのでしょうか?
国税局OBはモラルがないのでしょうか?
こういう人が、業界の信用を失墜させるので、本当に勘弁してほしいですね。

国税局OBの元税理士が約100人に持続化給付金の不正受給を指南していたことについて、どう思われましたか?


持続化給付金詐欺の疑いの税務署職員は100件以上のうその確定申告書を作成か?

東京国税局甲府税務署の職員が、新型コロナウイルスで影響を受けた事業者に支給される、国の持続化給付金をだまし取ったとして逮捕された事件で、職員がこれまでに100件以上のうその確定申告書を作成していたとみられることが分かったようです。
警察は職員がうその申告書を作成した見返りに、報酬を得ていたとみて調べを進めています。

東京国税局甲府税務署の職員(26)は、2020年6月、国の持続化給付金をめぐり、受給対象ではない大学生を申請者にして、事業収入が大幅に減ったという、うその確定申告書を作成し、100万円をだまし取ったとして詐欺の疑いで逮捕され、先日、検察庁に送られました。

警察が東京国税局甲府税務署の職員の携帯電話に残された、やり取りなどを解析したところ、これまでに100件以上のうその確定申告書を作成していたとみられることが分かりました。

すでに逮捕・起訴されている愛知大学の学生2人の捜査の過程で、東京国税局甲府税務署の職員が確定申告書の作成に関わっていたことが分かりましたが、学生2人との面識はなく、間をとりもった人物がいるとみられるということです。

警察はうその申告書を作成した見返りに、報酬を得ていたとみて調べを進めています。

こういう人が税務署の職員というのは驚きです。
報道によると、資産税の担当だったようですが、こういう人に税務調査とかでとやかく言ってほしくないですよね。
資質の問題かとは思われますが、税務署も、教育とかがきちんとできていないということなのでしょうね。この件だけではないのですが、これ以外にも税務署の職員の不祥事は起こっていますので、税務調査がやりにくくなるでしょうね。

持続化給付金詐欺の疑いの税務署職員が100件以上のうその確定申告書を作成していたことについて、どう思われましたか?


持続化給付金の詐取容疑で国立印刷局職員2人を逮捕!

新型コロナウイルスの影響で経営に打撃を受けた個人事業主などに国が支給する持続化給付金をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は、先日、詐欺容疑でいずれも国立印刷局職員の21歳の容疑者と20歳の容疑者を逮捕しました。
警視庁捜査2課によると、2人は容疑を認めているようです。

持続化給付金詐取事件で国家公務員が逮捕されるのは初だそうです。
警視庁捜査2課によると、21歳の容疑者が指南役だったとみられ、「身分証を出せばお金がもらえる」などと20歳の容疑者に不正受給を持ちかけたそうです。
職場の同世代の同僚や、会員制交流サイト(SNS)で計数十人を勧誘し不正受給を指南したそうで、実際に受給したケースもあるとみられます。

逮捕容疑は2020年6月ごろ、それぞれ個人事業主と偽り、虚偽の確定申告書の写しや売り上げ台帳を中小企業庁所管の事務局に提出し、同給付金計200万円を詐取したとしています。

事件をめぐっては、SNSを通じて21歳の容疑者に不正受給を指南した人物がいた可能性もあり、警視庁捜査2課は全容解明を進める方針だそうです。

すぐに支給できるよう制度設計が簡単すぎたのが原因だとは感じますが、とある税理士の方が言っているように、税務調査ができなかったので、持続化給付金の事務局を税務署の職員が手伝ったら良かったのではないかと思います。
また、持続化給付金のために今まで申告をしていなかったのに過去の申告をした人をどんどん税務調査してほしいと思います。
何度かこのBLOGでも書いていますが、本当に、過去から事業をしている人は2018年度などの期限内申告、2019年に開業した人は持続化給付金の公表までの開業届の提出などを要件にしておけば良かったのにと感じます。

持続化給付金の詐取容疑で国立印刷局職員2人が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


摘発を恐れる持続化給付金の不正受給者の返金希望が殺到し返金手続きが一部停止!

共同通信によると、新型コロナ対策で個人事業主らに支給される持続化給付金を巡り、警察の摘発などを恐れる不正受給者から返還希望が殺到していることを受け、国が返金手続きの一部を7月から停止していることが、先日、中小企業庁への取材で分かったようです。

希望自体は受け付けていますが、誰からの返金かを明確にするため個別に受付口座を準備中で、振り込みを待たせている状態が続いているようです。

2020年10月下旬ごろをめどに返金の方法を郵送で案内する方針だそうです。

当初はいずれの受給者に対しても同じ口座に振り込ませていたようですが、名義の入力を誤るケースが続出し、7月はさらに希望者が増え、返金方法を見直したそうです。

返金すれば良いのだろうかという気はしますね。
確か当初の想定だと、1件当たりの事務費が4、5万円くらい想定されていたと思いますので、その分も返してもらわないといけないように思いますね。
最初に申請要項を見たときにこれで大丈夫なのだろうか?(抜け穴がいくつでもあるのでは?)と思うくらい要件等を簡単にしすぎたので、不正も横行したという感じですね。
その当たりは、制度設計の段階である程度は分かっていたのではないのかと思いますが。

摘発を恐れる持続化給付金の不正受給者の返金希望が殺到し返金手続きが一部停止していることについて、どう思われましたか?


加速する三井物産の印鑑レスだがそれでも残る「岩盤」!

日本経済新聞によると、新型コロナウイルスの感染拡大の結果、在宅勤務によるテレワークが当たり前になり、様々な局面で接触を減らす努力がなされるようになりました。
変化を余儀なくされる中で浮かび上がってきたのは、デジタルを使いこなせていない日本の姿です。
押印のための出勤など、デジタル化を真剣に進めていれば、容易に解決できた問題もたくさんあります。
多くの日本企業も、コロナ禍を契機にデジタル化をもう一歩進めようとしています。
新本社の本格稼働を機に「印鑑レス」を加速している三井物産の事例が紹介されています。

コロナ禍は、机に置かれた決裁箱から印鑑待ちのりん議書の山を取り出し、次々とはんこを押していくという日本のオフィスのこのような日常を変えられるのでしょうか?

2020年6月に東京都千代田区大手町の新本社を本格移動させた三井物産が「印鑑レス」を加速させています。
電子署名サービス大手のアメリカのドキュサインのサービスを全社に導入しました。
新型コロナウイルスの脅威がまだ広がっていなかった2月と比較すると、6月の利用数は10倍以上になっています。

新本社は、社員一人ひとりに割り当てられた席がありません。
執務席は本社で働く4,500人に対し7割しか用意されておらず、社員には高さ約50センチのロッカーが割り当てられただけです。
その日、仕事をする席は、その日ごとに選ぶフリーアドレス制なのです。

新オフィスは社内外の活発な交流を期待しての仕掛けなのですが、大量の書類を持ち歩いて座席を探していては、かえって効率が落ちます。
新本社の移転前にペーパーレスをなじませる必要があると、2019年11月にドキュサインを使い始めました。
世界で50万社以上が利用し、最大手とされます。

クラウドに契約書やりん議書などの書類データをアップし、関係者はクラウド上で承認(署名)します。
社員が書いたりん議を上長が承認すると、さらに役員へ通知が行くといった具合にワークフローが可視化されています。
自分が提出した書類の決裁がどこまで進んでいるか不安になることもありません。

三井物産には、はんこ待ちの紙は「インボックス」、はんこを押した後は「アウトボックス」という箱に入れる慣習があるそうですが、新本社移転によりかなり廃れたようです。

はんこレスの習慣をさらに加速させたのが、新型コロナです。
ドキュサインの利用数は2019年11月が66、12月は306と、そろりと滑り出しましたが、2020年3月は2,364と、2月の651の3倍超に急伸しています。
4月は5,940、5月が6,491と増え続け、6月以降は7,000を超えています。
赤石理・企画法務室室長補佐は、「1~2月は取引先にドキュサインに移行したいと申し出るのを面倒がる雰囲気があったが、コロナで一気に変わった」と話しています。

ある社員は「ドキュサイン導入後、りん議の文章直しに伴う再提出が減った。紙で回ってくると上司は、『てにをは』を直したくなるが、デジタルだと突き返すのをためらうようだ」と笑っています。

導入前に多かった疑問は「法務的に通用するかどうか」でした。
総合商社は、取引先が世界にまたがるため、「この国も使えるか」「紙を使わなければならない分野はあるか」など実用面での不安を解消する必要がありました。

このため国際的な法律事務所や現地法人の法務担当の協力を得て、主要取引国上位約30か国を調査しました。
10数か国でドキュサインが利用できると判断し、紙の契約を前提にした内規を変更しました。
グループ会社も含めて10回以上の説明会を開き、日本の法律に必要なカスタマイズを行い、準備に1年かけました。

安永竜夫社長は就任直後に取締役会資料を電子化するなど率先してペーパーレス化を進めていたため、社内への浸透も速かったようです。
現場からの意見で、韓国やカナダなどに対象国を広げたり、通関用の書類に適用したりと改善を進めました。

デジタル総合戦略部の下田幸大氏は、「デジタル、法務、財務部門が三位一体になって進められた」と語っています。

三井物産で急速に浸透するペーパーレスですが、「岩盤」が残っているようです。

ドキュサインは、対外的な契約書だけでなく、りん議書や月報、報告書など社内の書類にも使われています。
社外と交わしている紙の売買契約書は年5万件程度で、ドキュサインの利用数月7,000のうち8割が社内、2割が社外となっており、社外文書の電子化率は3割程度となっているようです。

取引先にドキュサインの利用を依頼すると、「ITの会社でも、『契約に関するルール変更を取締役会にかけなければならない』と返答がくる」(下田氏)そうです。
ドキュサインを利用する際は、三井物産がライセンスを持っていれば取引先は不要だが、契約書にまつわる内規という壁は高いようです。
同じ反応はグループ会社からも出たそうです。

もっと硬い岩盤は、「行政」です。
ドキュサインの利用が加速した4月以降も、法務部の社員は「社印」を押すために交代で出勤したようです。

例えば、農薬や劇物などの化学品関係で農林水産省などに提出する報告書は、「営業担当から『どうしてもはんこが必要です』と要望があった」(赤石氏)ようです。
外国政府に提出する書類の作成や商業登記の変更、トラックや乗用車の所有名義の変更など、総合商社の業務は多岐にわたるので仕方がない面はあるにしても、多くが行政向けです。
緊急事態宣言時は、曜日や時間を限定して社印が必要な書類を受け付けたそうです。

財務担当も頭を悩ませています。
税務調査では、電子帳簿保存法が求める「検索機能の確保」に対応が必要ですが、ハードルが高く十分に進められていないようです。

同法は、「取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定」でき、「日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定」できることなどを求めているほか、訂正や削除履歴が確認できることも必要とされています。

契約書だけでなく、領収書、請求書、業務委託に関する書類、委任状など文書の種類ごとに要件を備えるコストが高く、三井物産はさしあたり契約書だけ対応しました。

紙からデジタルになるなら、「より便利に使えるべきだ」という「ディマンディング(過剰要求)現象」がデジタル化を阻んでいる一例です。

2019年10月、三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、電子契約サービスを手掛ける弁護士ドットコムと合弁会社、SMBCクラウドサイン(東京都港区)を設立しました。

契約書をクラウドにアップし、「いつ」「誰」が契約を承認したかを、電子署名と暗号技術を用いて改ざんできないように記録する「立会人型」と呼ばれるサービスで、ドキュサインと同じタイプです。
銀行の取引網を通じて、売り込んでいます。

4月の緊急事態宣言を受けて、外資系とIT系企業がこぞって導入しています。
導入期間は約2か月から、2週間から3週間に縮まりました。
利用者数は1.5倍に増え、契約送信数は10倍になりました。

大手企業も6月頃から動き出しました。
緊急事態宣言で業務がストップし、電子契約の必要性を体感して「本腰を上げ始めた」(SMBCクラウドサインの三嶋英城社長)ようです。
コロナ以降、「電子契約はNO」と安易に断ってはいけない雰囲気が高まっているそうです。

三井住友FGが、電子契約サービスに参入したのは、銀行の信用力が生かせるリーガルテックに狙いを定めたと同時に、銀行こそが印鑑に縛られている業種だからです。
銀行に届け出た印鑑と異なる印鑑を書類に押してしまった「印鑑相違」は、利用者、銀行の双方にとって大きなストレスです。

三嶋社長は、「『レガシー企業』の代表格である銀行が取り組むことに意義がある」と話しています。
メガバンクや総合商社という日本を代表する企業が日本をデジタル先進国へと導こうとしています。

僕も数年前に、印紙税を削減できるということで電子契約について調べた時期があり、少し前から、取引先から電子契約や電子サインを求められるケースが出てきています。
うちの事務所もそろそろ電子契約にしようかなぁと思っていたところなので、コロナがきっかけで進めやすい環境にはなってきたなぁとは思っているところです。
大企業がどんどん進めてくれれば、中小企業もせざるをえなくなり、世間一般的に行われるようになることを期待したいと思います。
あとは、普段は政治に期待はしていませんが(笑)、行政のはんこをなくそうとしている河野太郎行政改革大臣には期待しています。

加速する三井物産の印鑑レスだがそれでも残る「岩盤」について、どう思われましたか?


持続化給付金を大学生グループが不正受給か?

東京新聞によると、新型コロナウイルスで収入が半減した個人事業主や中小企業への持続化給付金を、関東地方の大学生のグループが不正受給していた疑いがあることが、関係者への取材で分かったようです。
迅速な支給のため手続きが簡素化されている点につけ込んだとみられます。
友人の誘いで不正受給に加担した大学生は警察の摘発を恐れ、被害弁済の手続きを始めたそうです。

関係者によると、「持続化給付金が簡単に手に入る。君たちも申請すればもらえるからやってくれないか」と4月下旬に、関東地方に住む20代の大学生に、友人の他大学の男子学生から会員制交流サイト(SNS)でそんなメッセージが届いたそうです。
友人は他にも首都圏の学生を十数人集め、インターネットのビデオ会議システムを使って受け取り方法を指南しました。
「確定申告の書類を作れるやつがいるから、大丈夫」「あとは(その書類を)近くの税務署に出すだけ」などと説明しました。

大学生が住所や銀行口座などの個人情報を指南役の友人に知らせると、税務署に申請する書類がPDFファイルで送られてきたようです。
大学生は前年度、収入がありませんでしたが、個人事業主として確定申告するよう言われ、収入があったと偽って最寄りの税務署で確定申告を済ませ、ネットで持続化給付金の受給を申請しました。
5月中旬、口座に100万円近い給付金が振り込まれ、当初の約束通り、大半を友人に渡しました。
後日、犯罪行為に当たると知り、国民生活センターや弁護士に相談したようです。
大学生は現在、持続化給付金事務局のコールセンターを通じて被害弁済の手続きを進め、警察への自首も検討しているそうです。
周囲には「友人を信じ切っていた。申し訳ない」と話しています。

事務局のコールセンターには、こうした弁済に関する相談が相次いで寄せられているようです。
不正受給が発覚すると、詐欺罪に問われる可能性があるほか、支給額に年3%の延滞金を加えた額に20%の加算金を上乗せして返金する必要があります。
制度を所管する中小企業庁の担当者は、「不正が疑われる事案は警察と情報を共有している。逃げ得は許さない、というスタンスでやっていく。給付金の原資は税金。不正受給をしてしまったなら、まずは返金し、警察の捜査に協力してほしい」と話しています。

<持続化給付金>
新型コロナウイルスの影響を受けた個人、中小企業が対象で、今年1月以降に前年同月比で事業収入が50%以上減った月があることなどが条件です。
支給額は個人事業主が最大100万円、中小企業は同200万円です。
迅速な支給のため手続きは簡素化され、申請はインターネットで今年の収入を自己申告で記載し、確定申告書などの写しを添付します。
申請期間は2021年1月15日までで、経済産業省によると、8月5日現在で、293万件、3兆8,150億円が支給済みだそうです。

持続化給付金の不正受給を巡っては、実際に若者の逮捕者も出ています。
山梨県警は、7月22日、100万円を詐取したとして、詐欺の疑いで埼玉県内の男子大学生(19)を逮捕しました。
捜査関係者は「容疑者は普通の大学生」と話しています。
ツイッターなどのSNS上には不正受給を誘う書き込みが相次いでいます。
多くは「給付金案件」「申請代行」といった投稿で不特定多数を勧誘し、これまで犯罪に手を染めたことのない若者らが、軽い気持ちで応じていることがうかがえます。
各地の消費生活センターには5月下旬以降、20~30代からの不審な勧誘に関する相談が増加しています。
中小企業庁の担当者も「不正受給が疑われる情報はたくさん入ってきている」と明かしています。
山梨県警の事件が報道された後、詐欺の発覚を恐れたのか、返金の申し出が増えたそうです。

警察当局も今回の大学生グループとは別に、組織的な不正受給に関する情報を把握しており、詐欺容疑で捜査する方針だそうです。
警察庁幹部は「被害弁済が済んでいれば、それを加味して対応する」と話す一方、「組織的詐欺の指南役には厳しく対処したい」と強調しています。

制度設計に不備があったと言われればそれまでかもしれませんが、迅速に対応するためにはある程度はシンプルな設計で仕方なかったとは思います。
もちろん、不正受給は言うまでもなくアウトですが、個人的には、2018年と2019年の確定申告をしているとか、2018年は期限内申告をしているとか、マイナンバーを使うなどのやり方はあったのではないかと今でも思っています。
あまり深く考えずに応じている大学生が多いのかもしれませんが、自分できちんと判断するようにしないといけないですね。

持続化給付金を大学生グループが不正受給していた疑いがあることについて、どう思われましたか?


国家公務員に昨年の夏より多いボーナスの支給!

国家公務員に、6月30日、夏のボーナス(期末・勤勉手当)が支給されました。
管理職を除く一般行政職(平均35歳)の支給額は平均680,100円です。
昨年までの民間企業の賃金アップを踏まえ、昨夏より1,000円多く、8年連続プラスとなりました。安倍晋三首相は404万円、閣僚は337万円でした。
一般行政職は支給平均年齢が0.5歳若くなり減額要因となった一方、昨年の人事院勧告に基づき、支給月数が0.025か月引き上げられ、月給の2.22か月分に増加し、結果として支給額は増加しました。支給額トップは最高裁長官の577万円(前年同期比8万円増)です。
衆参両院の議長は535万円(同8万円増)で、国会議員319万円(同5万円増)、中央省庁の事務次官328万円(同5万円増)となりました。首相ら特別職は平成24年から、行財政改革に取り組む姿勢を示すため、首相が支給額の30%、閣僚が20%を自主返納しています。
内閣人事局の試算によると、返納後の金額は首相404万円(昨年同期比6万円増)、閣僚337万円(同5万円増)となりました。新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響から、今年度の通常国会では「内閣、国会議員は特権的待遇と国民は見ている」(4月27日の参院本会議、鈴木宗男参院議員)などとボーナス返上を求める声も上がっていました。
これに対し首相は「国会での議論を踏まえつつ、適切に判断する」(同)と答えていました。

このような状況下で、増加するというのは国民の感情的にどうなんでしょうね?
もちろん頑張られている方もたくさんいらっしゃると思いますが、最近、麻雀、なんちゃらハウス、夫婦で逮捕、給付金の支給遅延、給付金の事務局選定の不透明さなど、国民の国や公務員に対する不信感が高まっているのではないでしょうか?
増えても当然と思われるような仕事をして欲しいですね。
国家公務員に昨年の夏より多いボーナスの支給がされたことについて、どう思われましたか?


時効を教えず町が勝訴し14年間分の水道料金を請求!

朝日新聞によると、長野県富士見町が、住民の男性(82)に水道料金徴収の時効を大きく超える14年前からの滞納分と延滞金計約607万円の支払いを求めて提訴し、その主張を認める長野地裁諏訪支部(手塚隆成裁判官)の判決が確定したことが分かったようです。
提訴時の水道料金の時効は2年でしたが、時効の成立には債務者側がそれを主張する必要がありました。
行政絡みの訴訟に詳しい弁護士は「住民に有利になることは行政側が教えるべきだ。地方自治体は一般企業とは違う」と、町の対応を疑問視しています。

町が男性を提訴したのは2018年夏でした。
町は弁護士を代理人にし、男性は「お金がなかったので」と弁護士を雇いませんでした。

提訴を知るとほぼ同時に自宅隣で営む製造会社が倒産状態になっていました。
県地方税滞納整理機構から同社への発注元に、支払代金の差し押さえが通告されたのです。
半月後に税金は支払ったものの、発注は消えました。
男性は「町県民税は分割で払い続けていたのに」と話しています。
その後は生活するだけでやっとの状態が続いているようです。

判決が言い渡されたのは翌2019年11月21日です。
支払いを命じられた606万8,892円の内訳は、2004年3月~2018年4月の水道料金約335万円と延滞金約271万円でした。
町は2020年3月13日に男性への給水を停止しました。
4月7日、長野地裁諏訪支部が自宅とその敷地一帯の強制競売開始を決定しました。

公債権の税金と違い、水道料は私債権として民法が適用されます。
時効は公債権の原則5年に対し、2年(2020年4月の新民法施行からは5年)です。
ただし、債務者側が主張(「時効の援用」と呼ぶ)しなければ時効が有効とはならないのです。

提訴を前に、町は「債権がある限り請求しない理由はない」(上下水道課)として、滞納が始まった14年前からの水道料金と延滞金を請求しました。
時効は男性に知らせないことにしたようです。
同課は「裁判で時効の援用をされると想定したが、それがなかった」と明かしています。

男性の方は「時効なんて全く知らなかった」と説明しています。
控訴をしなかったため、判決が確定しました。
直後、町は提訴後(2018年5月以降)の水道料金も請求しました。
2019年12月までの約28万円を、男性側は2020年1月末までに支払っています。

行政関係の訴訟を数多く手がけた岡谷市の松村文夫弁護士は、富士見町のやり方に「違和感を感じる」と話しています。
「地方自治の目的は住民福祉の増進」としたうえで、町が時効を教えなかったことを「配慮が足りなかった」と指摘しています。
「特に、(弁護士を付けない)本人訴訟ですから。時効を教えなかったのはよくないと思う」と、延滞金の利率が14・6%と高いことにも疑問を呈しています。

裁判では町が男性に支払いを促す面談をしていないことも明らかになりましたが、判決は「面接をして任意の納付を促す義務があるとはいえない」としたのです。

強制競売に先立ち、同支部の執行官が男性宅を訪れ、家屋や自宅敷地、会社敷地の現況調査をしています。

時効だけでなく延滞金にも疑問の声が出ています。

町は延滞金徴収条例に基づいて利率14・6%の延滞金(民法では遅延損害金)を請求し、認められました。

これに関し、行政実例に詳しい全国町村会法務支援室は「14・6%は高い。普通は旧民法にある法定利率の5%だ」と話しています。
半面、一般論として「市町村が条例で(延滞金の利率を)定めていればそちらが適用される」とも指摘しています。

ただし、それは私債権を対象とした条例がある場合のようです。
又坂常人・信州大名誉教授(行政法)は富士見町の延滞金徴収条例を読み込んだ上で、「この条例は(税金などの)公債権を対象としている」と結論づけています。

又坂氏によると、同条例は地方自治法第231条の3が規定する延滞料について定めている▽同条は公債権について定めたもので私債権には適用されないという解釈が一般的であり、多くの自治体でもそのように運用されている▽私債権について条例に規定がない以上、(提訴当時の)民法を適用して法定利率の5%で再計算しなければいけない―と指摘しています。

又坂氏は「間違った債権額で強制執行が行われると、国家賠償請求を起こされる可能性もある」と話しています。

長野県諏訪市役所3階にある諏訪湖記者クラブですが、室内の掲示板に男性が数枚の紙を貼ったのは3月半ばでした。
手書きの文面には「焼身自殺」の文字があったようです。

自宅を訪ねると、男性は「先祖の墓の前で焼身自殺するつもりだった」と話し始めたそうです。
「家族に迷惑をかけたらだめだから、女房とは離婚した。子どもとも縁を切った」

自宅には仏壇があり、壁には家族の写真や標語などがたくさん掲げてあります。
幼少期に一家で満蒙開拓団に加わったため、それにかかわる記念の品もあるようです。

男性は、53年前から自宅の隣でアルミ鋳造の会社を営んできました。
取引先を失った後も細々と仕事を続けていましたが、給水停止で不可能になりました。
「溶かしたアルミを入れる金型と鋳造機械を冷やすために水がいるんです」

町とは約20年前、自宅隣のマンホールポンプ場をめぐって裁判になりました。
水道料金を滞納し始めたのはそのさなかです。
「東京の弁護士を雇ったので弁護士代がかさんでしまって……」

税金や電気代の支払いを優先し、水道料金は後回しにしてきたと話しています。
「町はいろんなトラブルを棚に上げて水道料金だけ『これでもか』ってやってくる。先祖代々の土地と汗水垂らして建てた家をこんなことで取られるなんて」と悔しさをにじませました。

こういう間違ったやり方が原因で、もし自殺などで尊い命が失われると、どうするんでしょうね。
固定資産税の計算を間違っていた場合は、時効を主張して、過去の分を市町村は支払わないのに、逆の立場になると、黙っておくんですね。
やはり税金もそうですが、知らないと損をすることが世の中にはたくさんありますので、国民も色々と勉強しないといけないですね。

時効を教えず町が勝訴し14年間分の水道料金を請求したことについて、どう思われましたか?


指南役暗躍し「カラ研修」で助成金を詐取する不正が審査追いつかず横行!

日本経済新聞によると、非正規労働者の待遇改善を支援する「キャリアアップ助成金」の不正受給が全国で横行しているようです。
大阪府警は4月までに指南役ら30人を詐欺容疑で摘発しています。
急増する申請に対して、十分な審査を行う体制が整っていないことが不正受給の背景にあるようです。

「労せずしてもうかる国の支援制度がある」と、コンサルタント会社顧問だった30代の男らは接骨院の事業主らを集めたセミナーで、こんな誘いの言葉をかけていたようです。

関心を示した事業主に男らが指南したのはキャリアアップ助成金の不正受給の手口でした。
受給の要件を満たすために、実際には行っていない従業員の研修を実施したと申請書類に記入するよう指示し、受け取る助成金の額を水増しするため、架空の人物や知人を従業員として申請させていたようです。

コンサルタント会社顧問だった男らは、報酬として助成金の2~3割を受け取っていたそうです。
2019年に大阪労働局の調査で不正が発覚し、大阪府警は2019年10月、詐欺容疑で男を逮捕(詐欺罪で起訴)しました。
事業主側の捜査も進め、2020年4月までに計30人を摘発しました。
だまし取られた助成金は、2013~2016年で計1億2千万円に上るそうです。

キャリアアップ助成金は、厚生労働省が2013年度に創設しました。
研修や賃金増など、雇用する非正規労働者の処遇を改善した事業主に支給します。
処遇改善の対象は7種類あり、事業主が各地の労働局に申請します。
最大1千万円超の助成が受けられます。

厚生労働省によると、キャリアアップ助成金の不正受給が発覚した件数は2014年度は2件でしたが、2016年度は26件、2018年度は70件と急増傾向にあるようです。

刑事事件に発展するケースも相次いでいます。
奈良県警は2019年2月までに約1,700万円をだまし取ったとして、指南役とされる50代の男ら31人を詐欺容疑などで摘発しました。
複数の申請書で、同じマンションの一室が事業所の住所として記載されていることに奈良労働局の職員が気付き、発覚したそうです。

キャリアアップ助成金の申請件数は、2018年度は約9万3千件で2015年度(約4万7千件)からほぼ倍増しました。
審査を担う現場である労働局の体制が追いついておらず、不正受給が横行する要因になっているようです。

会計検査院の調査報告書では、2015~2018年度に大阪や神奈川など8労働局で計約5,400万円の支給が不当だったと認定しています。
「申請書の記載内容が事実と違っていたにもかかわらず、労働局の確認が不十分だった」と指摘しています。
大阪労働局の担当者は「人手不足で不正の発見が遅れたことは否定できない。再発防止の体制を整えたい」と話しています。

厚生労働省は2019年4月、不正受給した事業主が助成金を申請できない期間を3年から5年に延長するなどペナルティーを強化しました。
指南役が不正を主導するケースがあることなどから、同省の担当者は「『100%助成金を受け取れる』『無料で受給額を査定する』といった勧誘には注意してほしい」と呼びかけています。

助成金制度に詳しい社会保険労務士の藤原郁子さんは、「不正を一目で見抜くのは難しく、審査は性善説に頼っているところが大きい」と説明しています。
「本当に必要としている人への迅速な支給と、支給後の抜き打ち検査など不正抑止策を両立させていくことが必要だ」と話しています。

もう明らかなことだと思いますが、補助金や助成金や給付金などは、一定数、不正受給が出てくることを想定したうえで制度を設計しないといけないのではないかと思います。
設計する側は、要件等をこうすれば、抜け道としてこういったことを考えて来る人もいるだろうなと想定し、できる限り不正受給の芽をつぶしていかないといけないのではないかと思います。
その辺は、公務員一筋の方にはなかなか難しいかもしれませんね。
あとは、国がやっているものは、ペナルティが管轄の省庁を問わず及ぶようにしないといけないと思います。
根本的には、本当に必要な方ができるだけ早く使える制度にしてほしいですね。

指南役暗躍し「カラ研修」で助成金を詐取する不正が審査追いつかず横行していることについて、どう思われましたか?


持続化給付金の業務の受託団体が設立時から一度も決算公告せず!

国から持続化給付金の業務を受注した一般社団法人サービスデザイン推進協議会が、2016年の設立以降、法律で定められている決算公告を一度も出していなかったことが、先日、わかったようです。

一般社団法人サービスデザイン推進協議会をめぐっては、電話番号が明示されていないなど、運営の実態がはっきりしないとの指摘が相次いでいました。
新たに財務情報を公開していなかったこともわかり、不透明な民間団体に巨額の公的事業を発注した経済産業省の対応が問われます。

一般社団法人は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき、定時社員総会などの終了後、遅滞なく貸借対照表を公告しなければなりません。
法人の財務情報をきちんと知ってもらうためです。
しなかった場合は、「百万円以下の過料」という罰則もあります。

衆院経産委員会で、経済産業省は野党の質問に対し、「協議会に確認したところ、設立年度である16年度以来、3カ年分の決算は適切に行われているものの、決算公告は行われていない」と答えました。

過去3年度分の決算については、直近の2019年度分に合わせて、6月の社員総会終了後に公告する予定だそうです。

実は、決算公告は、一般社団法人だけでなく株式会社にも会社法で義務づけられています。
中小企業などでは公告をしていないケースも目立ちますが、国から巨額の公的事業を多数受注してきた一般社団法人がしていないというのは異例です。

一般社団法人サービスデザイン推進協議会は今回の給付金事業を含め、過去に経済産業省の事業計14件(総額約1,600億円)を受注していました。
経済産業省は一般社団法人サービスデザイン推進協議会について、事業実施を通じて「つきあいの深い団体」であることを認めています。

また、一般社団法人サービスデザイン推進協議会は持続化給付金の業務を769億円で受注し、その97%にあたる749億円で広告大手電通に再委託していたこともわかっています。

経産省中小企業庁の前田泰宏長官は経産委で、一般社団法人サービスデザイン推進協議会との契約にあたり、電通に再委託することは知っていたが、協議会の提案書には金額が明記されていなかったと説明しています。
「97%(分の金額で再委託する)という認識はなかった」と述べました。

経済産業省はこれまで、契約は適切だったと繰り返し主張してきました。
業務の大部分を電通に再委託することの是非が、改めて問題になりそうです。

さらに野党側は、契約の手続きについても追及しています。

経済産業省は給付金事業の実施事業者について、競争入札で公募することを4月8日に公示しました。

経済産業省によると公示前の4月2日に、経済産業省担当者が一般社団法人サービスデザイン推進協議会関係者と接触し、意見を聞いていました。
過去の受注実績などを考慮して、経済産業省側から声をかけたそうです。
一般社団法人サービスデザイン推進協議会は4月7日の理事会で、入札に参加することを決めていたとされます。

野党議員は「事前に声をかけている。競争入札のあり方として変じゃないか」などと問いただしました。

経済産業省は、入札の公示前に協議会のほかにも2団体から意見を聞いており、一般社団法人サービスデザイン推進協議会だけ特別扱いしたわけではないとの立場のようです。

これほどの規模のものを短期間にということになると、受けられる企業も限られてくると思いますので、事前に声をかけるのは致し方ないところもあるのではないかと思います。
ただし、社会保険庁などが再委託で問題を起こしていますので、再委託を制限しないといけないのではないかと思いますし、税金を使っているわけですから、黒塗りではなく内容を明らかにしてほしいと思いますね。
あとは、今後は入札時に、決算公告とか(これについては大臣もおっしゃっていましたが)、納税とか、財務状態や損益状況などをきちんと確認しないといけないのではないかと思います。

持続化給付金の業務の受託団体が設立時から一度も決算公告をしていないことについて、どう思われましたか?


「持続化給付金」の受託団体の入札の経緯に野党が注目!

「持続化給付金」をめぐり、国から業務委託を受けた民間団体の実態が不透明とされる問題ですが、野党側は、入札の経緯について詳細な数字を開示するよう政府に求めました。

「つまり事実上、全部委託しているんです。中身何もないから。だから幽霊会社だって務まるんですよ」(「立国社」会派 田嶋要衆院議員)

野党が“幽霊会社”と指摘するのは、「持続化給付金」の業務を受託した「サービスデザイン推進協議会」です。
この団体は業務を769億円で受託しましたが、そこから電通におよそ749億円で再委託されていて、差額について野党は「中抜きではないか」と批判しています。

先日、野党側が追及したのは、この団体の入札の経緯です。
経済産業省が提出した資料によると、入札では、この団体と外資系のコンサルタント会社が競いました。
会社のランクを示す等級では、コンサルタント会社がAなのに対し、団体がCと劣勢でしたが、最終的に団体が落札しています。

「等級Aの『デロイトトーマツ』よりもCの『協議会』が落札をしたと先ほども議論がありました。ランクの低いCランクの『協議会』法人の方が、結局なぜ総合評価で高かったかと」(共産党 笠井亮衆院議員)

「一般競争入札の評価方法は総合評価でございますので、提案内容の技術点であるとか、あるいは価格、こういったものを総合的に勘案して決定するもの」(中小企業庁担当者)

しかしながら、資料では価格や技術点、総合評価点などの部分は全て黒塗りとなっていて、全体像が把握できません。

「疑念が持たれないように、価格についても開示するからねと、デロイトトーマツさんにお話していただいて開示してください」(立憲民主党 川内博史衆院議員)

「今のところ2度確認をしましたけれども、公表していただきたくないということでありました」(梶山弘志経済産業相)

梶山大臣は、開示は難しいという考えを繰り返しました。
野党側は、実態解明のため、改めて安倍総理が出席する予算委員会の集中審議の開催を求めることにしています。

川内博史衆院議員がデロイトトーマツに確認したところ、開示に関しては聞かれていないと答えているようですが、この大臣は大丈夫なのでしょうか?
このサービスデザイン推進協議会の共同代表理事と電通グループの執行社員などが記者会見を開いていましたが、イマイチ納得はできない感じでしたね。
税金を使っているわけですから、入札の結果は、きちんと開示して欲しいですね。
応札の前提として、入札の内容が開示されることもあるということにしておけば、いいのではないかと思います。
それが、色々な面で抑止力になるのではないかと思いますから。

「持続化給付金」の受託団体の入札の経緯に野党が注目していることについて、どう思われましたか?


持続化給付金の事業費の97%が電通へ!

東京新聞によると、新型コロナウイルスで売り上げが減少した中小企業などに最大200万円を給付する持続化給付金で、国の委託先であるか『一般社団法人サービスデザイン推進協議会』が広告大手の電通に対して、事業の大半を再委託していることが分かったようです。
国の委託費の97%は法人経由で電通に流れるようです。
実質的な給付事業は電通が行っているといえ、法人の実体の乏しさが鮮明となりました。

経済産業省が、立憲民主党の川内博史衆院議員に回答しました。
経済産業省は、法人に769億円の委託費を支払うことを公表しています。
今回、法人が電通に支払う再委託費が749億円に上ることが判明しました。

法人は、電通、パソナ、トランスコスモスが2016年に設立しています。
約150万件を想定している膨大な給付件数を処理するには多くの人手が必要で、電通から他の企業に事業の外注が行われている可能性もあります。

電通が設立した法人から電通へ「事業が丸投げされているのではないか」というこれまでの本紙の取材に対し、中小企業庁は「迅速に体制をつくり、誰がどんな業務に当たるかを考える上で法人は大事だ」と回答しているようです。

一方、法人や電通は「経産省の事業なので回答は控える」などとして、給付金事業の運営体制を明らかにしていません。

法人から電通への再委託について、財政が専門の法政大学の小黒一正教授は、「経産省は再委託を含めた業務の流れを承認している。法人が(電通への再委託額との差額にあたる)20億円に見合った役割を果たしているのかどうかを説明する責任がある」と指摘しています。

それでは、『一般社団法人サービスデザイン推進協議会』とはどんな団体なのでしょうか?
ホームページに情報はほとんどなく、電話番号も公表されていません。
先日、登記簿上の所在地を訪ねると、東京・築地の9階建ての小さなビルの9階に入居していたようです。
インターホンに応答はなく、「お問い合わせは(給付金の)コールセンターまで」の張り紙があるだけだそうです。

登記簿情報から代表理事の男性に電話すると、「私はアドバイザーで、詳しいことは不明。実態は電通の人たちがやっているので聞いてほしい」と述べたそうです。
電通は「回答を控える」とコメントしています。

立憲民主党の川内博史衆院議員が中小企業庁に問い合わせると、作業は「少なくとも5千人以上で対応している」と回答したようです。
国が当初想定した申請は約150万件で、マンパワーが必要なため、電通以外にも再委託されている可能性があります。
しかしながら、中小企業庁は取材に対し、「国が契約しているのは協議会。その先の再委託は公表しない」と回答しています。
コールセンターの場所すら明かさなかったようです。

設立以降の経緯からは経済産業省との距離の近さが浮かびます。
法人の設立日は経済産業省が主導した優良ホテルなどの認定事業の委託者公募が始まったのと同日で、法人はこの事業を受託しています。
以来、持続化給付金も含め、4年間で計14件の事業を経済産業省から受託しています。

持続化給付金事業の入札には、もう1社が応札しましたが、法人は公募開始の2日前に持続化給付金のウェブサイト用アドレスをすでに取得していたようです。
事業受託を見越したような対応ですが、同法人は「受託できた場合に備えた」としています。

国税庁出身で中央大法科大学院の酒井克彦教授は、「多額の税を使いながら持続化給付金の交付が滞っており、経産省には再委託を含めた委託先の業務の実態について国民に説明する責任がある。ブラックボックスのまま検証ができなければ問題だ」と話しています。

税金を使っている以上、国民にきちんと説明してほしいですね。
1件当たり50,000円くらい入ってくる計算ですから、電通はおいしい商売をしていますよね。
公募開始前にウェブサイト用アドレスを取得していたということは、裏ですでに決まっていたんでしょうね。
公募の意味はあるのでしょうか?

持続化給付金の事業費の97%が電通へ入いることについて、どう思われましたか?


福島県天栄村が特別定額給付金10万円を1,162人に二重払い!

時事ドットコムによると、福島県天栄村は、先日、政府が国民に1人10万円を配る特別定額給付金について、375世帯の1,162人に誤って二重払いしていたと発表しました。

福島県天栄村が振込先のデータを金融機関に2度渡すミスがあったそうです。

福岡県天栄村総務課によると、給付事務では出納室の職員が金融機関の担当者に振込先のデータをDVDで渡しているようです。
2020年5月19日に振り込む分のデータを5月15日に渡したつもりでしたが、実際は5月14日に渡し済みの5月18日分のデータだったそうです。

金融機関や住民の問い合わせで二重払いが分かったようです。

人口5,300人くらいのところで、2割発生して、1億円強ですから、人口が数十万規模の市とかになると、間違うと、かなりの額になりますし、返してもらう手続きも大変でしょうね。
色々と市町村の方も大変だとは思いますが、きちんとチェックして、間違いのないようにして欲しいですね。
そうしないと、余計な負担がかかって、他でもミスが生じる可能性が高まり、悪循環に陥ると思いますから。

福島県天栄村が特別定額給付金10万円を1,162人に二重払いしていたことについて、どう思われましたか?


売れ筋は「テイクアウト用弁当箱」だが隠れ営業やダミー休業の横行も!

飲食店や喫茶店などに食材を卸す会社の担当者が、世相を囁いています。
「今の売れ筋は、食材ではなくテイクアウト用の弁当箱や小分けしたケチャップ、ドレッシングだ」。
そう話した後、東京商工リサーチ(TSR)の取材に、一斉休業の裏話を話し始めたそうです。

担当者によると、多くの飲食店は当面の店舗営業が期待できず、穴埋めでテイクアウトにシフトしています。
それを裏付けるように、今まで発注がなかった「テイクアウト用弁当箱」や「小分けされた調味料」、「弁当用の総菜」が急増しています。
なかでも、「弁当箱」の在庫が一気に捌けたそうです。
「発注しても全部は入ってこない」ため、このままでは数週間で在庫が無くなる可能性すらあるそうです。
とはいえ、特需があっても「全体の売上は、通常から7割減少している。おかげで週2~3日は自宅待機だ」とこぼしています。

いま、「新型コロナウイルス」感染拡大の防止で政府や自治体は事業者に休業を要請し、要請に応じた事業者には協力金の支給に向けた準備が進んでいます。
ところが、この担当者が声を潜めて驚くようなことを話し出しました。
「表に休業中の紙を張り出し、消灯しているお店が常連客にこっそり営業時間を伝え、暗闇の中で営業している」というのです。
「休業中」なのに発注があり、「隠れ営業」がわかるそうです。
別の飲食店は、毎年ゴールデンウィーク中は定休日にしています。
しかしながら、今年はあえて「ゴールデンウィーク中は休業」と告知しました。
営業マンは、「休業補償の協力金を狙っているのだろう」と憶測しています。
あの手この手で難局を乗り切る知恵なのでしょうか、それとも姑息な手段なのでしょうか?

この担当者は、これまで苦労している経営者を見てきました。
それだけに新型コロナの感染拡大の中で、「休業や時短が続けば生き残りは難しい。グレーとわかっていても事業継続したいと思うのだろう」と、やるせない心情を漏らしています。

要件を厳しくしないとこういうケースが一定数出てくるということは、当初から分かっていますよね。
できるだけシンプルな制度が良いと思いますが、極力、不正が起こらないようにしてほしいですね。

売れ筋は「テイクアウト用弁当箱」だが隠れ営業やダミー休業が横行していることについて、どう思われましたか?


税務大学校和光校舎における専門官基礎研修がオンライン研修等に!

税務大学校においては、令和2年4月6日より国税専門官採用試験により新規に採用された約1,100名を対象とする専門官基礎研修を実施することとしていました。

この研修は、国税庁使命である適正・公平な課徴収の実現ため、税務職員として必要となる税法や会計学などの高度な知識を習得させ、全国統一的な納税者対応を確保するためのものです。

大勢の人が一堂に会するということで、批判がたくさんあったようですが、ようやく、専門官基礎研修の実施に当たっては、専門家等の意見を踏まえ、感染防止対策を徹底することとしていましたが、今般、新型コロナウイルスの感染拡大の状況等を踏まえ、当分の間、和光校舎での専門官基礎研修を、在宅でのオンライン等研修により実施することとしました。

高知県など税務署職員が新型コロナウイルスに何名か感染していますので、もう少し危機感があっても良いように思いますが、決めるのが遅すぎたという感じですね。
期間は約3か月で9割が寮に入る見通しだったようですが、新型コロナウイルスの拡大を不安視する市民から和光市に苦情が相次ぎ、市長もツイッターで「クラスター(感染集団)が発生したら責任を取れるのか」と批判していましたが、クラスター感染が発生する可能性があるような行為は、参加する方やそのご家族の方々も不安でしょうし、国関係のところが率先して避けて欲しかったと思います。

税務大学校和光校舎における専門官基礎研修がオンライン研修等になったことについて、どう思われましたか?


過払い金をめぐる紹介料で東京弁護士会が弁護士法人を業務停止に!

時事ドットコムによると、大手司法書士法人から過払い金返還請求事件を引き継いだ際、弁護士職務基本規程で禁じられた紹介料を支払ったとして、東京弁護士会は、先日、「弁護士法人ベリーベスト法律事務所」(東京都港区)を業務停止6か月の懲戒処分としたようです。
代表社員の両弁護士(ともに43歳)も業務停止6か月としました。

同事務所は2010年設立の新興大手です。
ホームページや東京弁護士会によると、約220人の弁護士を抱え、国内外に38の支店を構えています。

懲戒請求を受けた後、別の弁護士会に新法人を立ち上げ、国内支店の登録も移しました。
新法人や支店に処分は及ばず、東京弁護士会は「懲戒逃れ」と指摘しています。

別の弁護士法人を立ち上げ、支店の登録も移すと、処分は及ばず、やっていけるんですね。
弁護士ゆえ、法律に詳しいのでしょうが、そういったケースを想定しないものになっているのでしょうか?
時代に即していないのであれば、早めに変えた方がいいんでしょうね。

過払い金をめぐる紹介料で東京弁護士会が弁護士法人を業務停止にしたことについて、どう思われましたか?


介護施設が競合激化などで年100件超倒産し戸惑う家族!

 日本経済新聞によると、自宅で暮らせない高齢者の受け皿となる介護施設の倒産が高止まりしているようです。
競合激化や人手不足などから福祉・介護事業の倒産は2016年以降、毎年100件を超え、入居時に払った前払い金が戻らないトラブルもあるようです。
倒産に備えた業界団体の保証制度はあるものの要件が厳しく、国は緩和を検討しているそうです。

「ようやく母が穏やかに暮らすことができる」と、2019年12月、神奈川県平塚市の男性(54)は母(83)が乗る車椅子を押しながら、胸をなでおろしました。
母が入居していた東京都内の有料老人ホームの倒産に巻き込まれ、対応に追われてきましたが、2019年末に同市の別の施設に無事、転居できたそうです。

母は脳梗塞の後遺症で会話や体を動かすことが難しく、2017年10月に、都内の施設に入居しました。
立地も気に入り、迷いなく前払い金570万円を支払ったそうです。

しかしながら、最初から気がかりなことが続いたようです。
部屋に運んだはずの荷物が一時行方不明になるなど、ずさんな管理が目に付いたほか、母の着替えが行われずにパジャマ姿のままだったこともあるようです。
職員に問いただしても「すみません」と言うばかりでした。

2018年秋、体調を崩した母が入退院を繰り返すようになり我慢も限界に達しました。
退去して「戻ってくる前払い金で転居しよう」と考えていた2019年1月、運営会社が倒産し、前払い金が戻ってこないことを知らされたのです。

契約時に支払う前払い金は高額ですが、月々の利用料が安くなり、入居者が退去・死亡した場合は返金されます。
しかしながら、経営が破綻し、運営を引き継いだ別会社に返済債務が引き継がれない場合、返金されることはなくなるのです。

こうした場合に備えて、全国有料老人ホーム協会(東京都)は最大500万円の保証制度を設けています。
男性もこの制度を頼りにしましたが、運営は入居者ごと別会社が引き継いだため、保証要件の「入居者全員が退去する場合」に該当せず、前払い金は返ってきませんでした。

男性は弁護士の助言に従い、毎月の利用料を前払い金で相殺することを施設側に提案しましたが、施設側は受け入れず、「利用料の滞納」を理由に2019年中の退去を要請され、2019年12月末にようやく転居のめどがついたのです。
男性は「引っ越し後は心なしか母の体調も良く、ひとまず安心している」としつつも、前の施設での未納分については今後、弁護士と話し合う予定です。

東京商工リサーチによると、福祉・介護事業の倒産は2012年ごろから増加傾向となり、2016年以降は100件を超えて高止まりが続いています。
担当者は「介護や福祉の市場が大きくなり、ノウハウがないまま参入した業者の倒産が増加している」と分析しています。
「利用者側に前払い金が戻らなかったりヘルパーが定着しなかったりするなど様々な問題が起きている。新規参入はまだ多く、倒産は今後も増えるだろう」とみているようです。

一般社団法人「有料老人ホーム入居支援センター」(東京都)の上岡栄信代表理事は、「施設の質は運営者で大きく変わる。利用者側は入居前に施設をしっかり確認することが重要だ」と強調しています。
施設を見極めるポイントとして、(1)職員数が入居者数の8割以上、(2)職員の勤続年数が長い、(3)広告なしでも満室状態が継続などを挙げています。

マイホーム建設やリフォームなどでも同じだと思いますが、やはり、多額のお金を支払うのであれば、運営会社のことを調べるのは当然のことではないかと思います。
性善説ではなく、性悪説で考えないといけない時代になっているわけですから。
自分の目で現場を確かめたり、運営会社の状況を調べたりして、入居するかどうかを決めて欲しいですね。

介護施設が競合激化などで年100件超倒産し戸惑う家族が増えていることについて、どう思われましたか?


総務次官を日本郵政への情報漏えいで更迭!

 読売新聞によると、監督官庁の事務方トップが、大物OBに行政処分の情報を事前に漏らしていました。
癒着を疑われても仕方ないでしょう。
前代未聞の不祥事です。

 高市総務大臣は、鈴木茂樹総務次官が日本郵政の鈴木康雄上級副社長に対して情報を漏えいしたとして、停職3か月の懲戒処分を科したと発表しました。
鈴木次官は漏えいを認め、辞職しました。
事実上の更迭です。

鈴木前次官は、かんぽ生命保険と日本郵便による保険商品の不適切契約問題を巡り、日本郵政グループへの行政処分の検討状況を電話などで複数回伝えていたそうです。
行政の公正性をゆがめる行為であり、厳正な処分は当然でしょう。

高市総務大臣は、大臣室で開かれた少数の幹部による会議内容が日本郵政側に漏れているとの疑念が浮かんだことから、内部監察を命じ、問題が発覚したとしています。

鈴木康雄氏は総務次官を退任した後、2013年に日本郵政副社長に就任し、現在は上級副社長を務めています。
かんぽ問題をいち早く報道したNHKに対して強硬に抗議し、批判を浴びた方です。

監督官庁が民間企業と必要な情報交換をすること自体は悪いことではありません。
しかしながら、行政処分の情報を事前に企業に伝えることは通常あり得ません。
先輩後輩の関係があるからと言って、機密を漏らすことは到底許されません。

かんぽ問題では、法令違反や社内規定違反が疑われる事案が約1万3,000件に上ります。
日本郵政と日本郵便を所管する総務省は、監督が不十分だったとして業務改善命令の発動を検討していました。

高市総務大臣は記者会見で、「次官が公務に対する信頼性を著しく失墜させる行為を行ってしまったことは誠に残念だ」と語りました。

「逐一情報が漏れていくことによって、先方の対応の仕方などが変わってくる可能性がある」と指摘したのは、もっともです。
総務省は情報管理の適正化を図り、信頼回復に努めねばならないでしょう。

持ち株会社である日本郵政だけでなく、日本郵便、かんぽ生命、ゆうちょ銀行でも総務省OBが役員になっているそうです。

高市総務大臣は「OBが日本郵政グループの取締役などに就任することは好ましくない」と述べ、今後、役員人事を認可する際に厳正な態度で臨む考えを示しました。
グループのガバナンス(企業統治)のあり方を問題視しているのでしょう。

日本郵政と総務省はまず、なれ合いと見られるような両者の関係を改めることが必要ですね。

あってはならない事件ですね。
事務次官ともあろう方が、善悪が分からないのでしょうか?
将来的に、後を引き継ぐことが想定されていたのでしょうか?
停職3か月というのも、甘過ぎますよね。
個人的には、懲戒解雇でもいいのではないかと思います。
高市総務大臣には、天下りに対して、厳しい姿勢で取り組んでほしいですね。

総務次官が日本郵政への情報漏えいで更迭されたことについて、どう思われましたか?


徳島県からデパートがなくなる!

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は、先日、徳島市寺島本町西のそごう徳島店の営業を2020年8月末で終了すると発表しました。
人口減が進む地方を中心とした経営合理化の一環で、徳島県内唯一の百貨店が姿を消します。
徳島県都のにぎわいに影を落としそうです。

そごう徳島店は1983年10月、徳島駅前市街地再開発事業で再開発ビルの核テナントに誘致され、「徳島そごう」として開業しました。
2000年7月に民事再生法の適用を申請し、その後、そごう徳島店となりました。
営業面積は22,512㎡です。

徳島県都の玄関口の顔として高い集客力を誇り、売上高はピークの1993年2月期で444億円あったようですが、明石海峡大橋の開通などによる買い物客の県外流出などもあり、2019年2月期には3割以下の128億2,500万円に落ちていたようです。
社員数は社員72人と契約社員104人の計176人です。

セブン&アイHDは2020年8月末で、そごう徳島店のほか、西神店(神戸市)、西武大津店(大津市)、西武岡崎店(愛知県岡崎市)の4店舗を閉店します。
また、2021年2月末に、川口店(埼玉県川口市)を閉めます。
西武の福井店(福井市)と秋田店(秋田市)も2021年2月末に店舗面積を縮小します。

年に数回はこの辺りを車で通りますが、あまり人が入っている感じではなかったので、いつまでもつのかなぁと思っていましたが、とうとうこの時が来たかという感じですね。
若い方は、神戸とか大阪に気軽に高速バスで行くんでしょうね。
年配の方にとっては、デパートに行くことがステータスだったかもしれませんので、なくなってしまうことで行くという楽しみところがなくなってしまうのが残念ですね。
香川県にとっても他人事とは思えないニュースでした。

徳島県からデパートがなくなることについて、どう思われましたか?


暗号資産は政治家個人への寄付禁止規制の対象外!

 時事ドットコムによると、高市早苗総務大臣は、先日の閣議後記者会見で、政治資金規正法が原則禁じている政治家個人への寄付について、暗号資産(仮想通貨)による寄付は違反の対象にならないとの見解を示しました。

「金銭などと同様に規制の対象とするためには法的な手当てが必要。新たに政治家の政治活動に制限を加えることになるので、各党、各会派でまず議論してもらう問題だ」と述べました。

政治資金規正法が政治家個人への寄付を禁じている「金銭等」は、金銭・有価証券と規定されています。
高市総務大臣は「暗号資産は、いずれにも該当しないため、寄付の制限の対象にならないものと解されている」と説明しました。

こんなんでいいんですかね?
この辺の感覚がよく分からないですね。
政治資金規正法を早く改正して欲しいと思います。

暗号資産は政治家個人への寄付禁止規制の対象外であることについて、どう思われましたか?


「タピオカ屋さん」の動向調査!

 「タピオカ屋さん」が増えています。
東京商工リサーチ(TSR)が保有する日本最大級の企業データベース(約379万社)から、「タピオカ」専業及び関連事業を営む企業を抽出したところ、2019年8月末現在で60社あることがわかったようです。
2019年3月末時点では32社でしたが、夏場の半年間でほぼ2倍に急増しました。

60社のうち、49社(構成比81.6%)は2018年以前の設立で、空前の「タピオカブーム」に乗り、新規に会社を興すより、既存企業が業態や扱い品を変更して参入しているのが特徴です。

貿易統計(財務省)によると、2019年1~7月の「タピオカ」と「タピオカ代用物」の輸入は約6,300トンで、2018年(1~12月)の約3,000トンをすでに大幅に上回っています。
大手飲食チェーンでもタピオカ関連メニューの提供を始めており、街はタピオカブームで溢れています。

なお、本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象約379万社)から、営業種目や業績変動要因(主要分)に「タピオカ」の記載があるものを抽出、分析したものです。

街を席巻する勢いの「タピオカ屋さん」60社のうち、2019年設立は8社(構成比13.3%)に過ぎません。
ただし、設立年別では、2017年が3社(同5.0%) 、2018年が6社(同10.0%)と年々増え、「インスタ映え」を狙い、多様なタピオカドリンクを生み出しています。
「タピオカ屋さん」 60社の本業は、「パンケーキカフェ」、「肉バル」、「助成金コンサルティング」や「売電事業」など、飲食業から電力事業まで様々です。
本業とは別にタピオカブームにあやかる副業的な店舗展開が特徴になっています。

60社の本社所在地は、東京都が25社(構成比41.6%)で最も多く、次いで、神奈川県と大阪府、福岡県が各5社(同8.3%)、千葉県4社(同6.6%)、沖縄県3社(同5.0%)と続きます。
大都市圏やインバウンドで活気づく地方都市を中心にタピオカが広がっていることがわかります。
中国地方で数年前から「タピオカ屋さん」を運営する企業は、「昨年から来店客数が以前の倍になった」と語っていますが、「毎年、冬場は売上が落ちるが、今年は夏過ぎから来店客数が落ちている」とブーム終焉の兆しも感じ始めているようです。
関東地方で「タピオカ屋さん」を営む企業は、「ライバルが増え、味やインスタ映えなど戦略が重要」と語っています。
ブームが終焉を迎えるのか、落ち着くのか、まだ盛り上がるのか。分岐点に差し掛かっているようです。

タピオカブームは景気と微妙に関連があります。
第1次ブームは、バブル崩壊の1992年頃、第2次ブームは、リーマン・ショックの2008年頃です。
いずれも不況に前後してブームが起きています。
今回の第3次ブームは、米中の貿易摩擦、英国のEU離脱、国内では消費税増税と重なります。
果たして景気を占うブームとなるのか、今後の動きが注目されます。
ちなみに、タピオカミルクティーは“バブル”ティーとも呼ばれています。

我が高松市でも商店街にここ1か月以内で数店舗が出店しています。
個人的には、既にブームは終わっていると思っていますが、どうなるのでしょうか?
あと、最近数多く出てきている相続税対策の商品である東京の区分所有不動産も、1階のテナントがタピオカ屋さんだったりして、この商品はどうなのかなぁと思ってしまいます。

「タピオカ屋さん」の動向調査について、どう思われましたか?


農業票が勝敗を左右する!

 日本経済新聞によると、55年体制下で自民党の最大の票田といわれた農業票ですが、農業人口の激減でかつての神通力は失われたといわれてきました。
しかしながら、過去の参院選で自民・非自民勢力が激突した1人区を分析すると、揺れ動く農業票が勝敗を左右してきたことが浮き彫りとなるようです。
21日投開票の参院選で、日本の「スイングボート(勝敗を決する票)」はどう動くのでしょうか?

参院選の主戦場は全国に32ある改選定数1の1人区です。
野党5党派は全区で候補者を一本化し自民党は16区を「激戦区」に指定しました。
1人区には農村部が多くなっています。
かつては自民・非自民の勝敗は固定的でしたが、1990年代以降は振り子のように動いているようです。

「都市部」と「農村部」で自民党の比例代表の得票率を見ると、変化はわかりやすいです。
農業者比率3%未満の14都府県を「都市部」、3%以上の33道県を「農村部」と定義すると、2013年参院選から2017年衆院選の4回の選挙で都市部の得票率はほぼ動いていませんが、農村部の得票率は乱高下しながら下がっています。

背景にあるのは農産品の輸入自由化と、その対策としての「ばらまき」の歴史です。

自民党の安定が崩れたきっかけは1989年参院選です。
竹下政権が前年の日米交渉で牛肉とオレンジの輸入自由化を決め、惨敗しました。
1993年の多角的貿易交渉「ウルグアイ・ラウンド」合意時は6兆円の対策費が配られました。
一方、民主党は2009年衆院選でコメなどの生産・販売価格の差額を交付する戸別所得補償制度を掲げ、農家の支持を取り付けました。

2016年参院選は直前に環太平洋経済連携協定(TPP)に署名し、自民圧勝のなか東北6県中5県で野党が勝利しました。
安倍晋三首相は参院選をにらみ、農業票奪回に力を注いできました。
1月の施政方針演説で「政権交代前の3倍の6,000億円を上回る土地改良予算」を強調し、5,000億円超の巨額の補正予算もつけました。

存在感と比べ、農家の数は激減しています。
1960年に1,175万人いた人口は1980年には約3分の1の412万人に減少しました。
2018年は145万人です。
もはや日本の多数派ではありませんが、激戦区のスイングボートであるがゆえに予算の優先権を握り続けているのです。

参院選を前に農家はなお揺れています。
5月に来日したアメリカのトランプ大統領は日米貿易交渉について、「多くは7月の選挙後。大きな数字を期待している!」とツイッターでつぶやきました。
2020年に大統領選を控えたトランプ氏にとっても農業票は重いのです。
2016年大統領選と2018年下院選を比べると、農家が多い23州では共和党候補の得票率が下がっているためです。

農村では疑心暗鬼が広がっています。
秋田県の農政連は自民現職の推薦を決めましたが、秋田県内13支部のうち3支部は「自主投票」としました。
組合長は「農家をまとめきれない」と語っています。

与野党は30年間、攻守を変えながらスイングボートの争奪戦に明け暮れてきました。
その間、農村にばらまかれた税金は100兆円規模にも迫ります。
その結果、小規模農家が温存され農業の刷新も遅れてきました。
農家の平均年齢は66.6歳で、65歳以上が68%を占めています。
このままでは農業は消滅していくでしょう。

今、必要なのは「消える農村」に税金を注ぎ続けることではないでしょう。
農業を若者やベンチャー企業が魅力を感じるフロンティアへと立て直し、縮小を続ける地方経済をインバウンドなどで活性化することでしょう。
与野党が参院選で競うべきは、そんな未来像です。

選挙のために必要以上に予算が割り振られてきた典型例ですね。
時代の変化に伴った変革が必要だと思いますので、こういう政治も変えていかないといけないでしょうね。
農業に関わっている優秀な方がたくさんいますので、政治に振り回されることなく、農業の発達を期待しています。

農業票が勝敗を左右することについて、どう思われましたか?


タピオカブームは本当に「株価暴落の前兆」なのか?

 MONEY PLUSによると、「タピオカブームは株価暴落の前兆ではないか」と、SNSを中心に、タピオカがブームになると株価が暴落するというウワサが広がっているようです。

2019年は「第3次タピオカブーム」とも呼ばれる、タピオカドリンクの流行が起きています。
これが一部の投資家にとって懸念材料となっているようです。

今回のブームでは、若年層の女性を中心に人気が広がり、「タピる」(タピオカドリンクを飲むこと)や「タピ活」(タピオカドリンクを飲む活動のこと)といった新しい言葉が生まれました。
業務スーパーでは即席のタピオカが品切れ続出となるなど、第3次ブームの勢いはとどまるところを知りません。

日本で初めてタピオカブームが起こったのは、1992年といわれています。
ちょうど平成バブルが崩壊している最中の出来事になります。

2回目のブームは、リーマンショックが発生した2008年です。
このように考えると、2019年のタピオカブームが不況の前兆ではないかというウワサ話にも、妙な説得力があるように思えてしまいます。

タピオブームが不況のシグナルであるという考え方は、株式市場でよく生まれる「アノマリー」の1つといえるでしょう。
アノマリーとは、具体的な根拠や理論をもって説明することはできないものの、経験則上よく当たるといわれる物事のことをいいます。
大安に結婚式を挙げると幸せな生活が送れるという経験則も、典型的なアノマリーです。

株式市場で有名なアノマリーといえば「夏枯れ相場」です。
夏枯れ相場とは、8月ごろになると株式の取引高が減少するというもので、8月はお盆やバカンスによって市場参加者が取引を控えるため、取引高が減少する、と解説されることがあります。

実際のところ、本当に休暇が理由で夏枯れ相場になっているのかは判明していません。
ここ10年の傾向でいえば、夏に取引高が減少し、9月から再び活発に取引される傾向にあるようです。

タピオカブームと不況の時期が今後もピッタリ重なるのであれば、夏枯れ相場と同様に、株式市場における有用なアノマリーとなってくるかもしれません。

夏枯れ相場のようなメジャーなアノマリーと比べて、市場との関連が薄いアノマリーには“賞味期限”がある場合もあります。

市場との関連が薄いアノマリーとして、「芸能人の結婚が日経平均株価の暴落を引き起こす」というものがありました。
このアノマリーがどのような顛末をたどったか、実際の例を挙げながら考えてみたいと思います。

2015年に女優の堀北真希さんが俳優の山本耕史さんと結婚発表した翌営業日、8月24日の日経平均は前日比▲895.15円と大きく下落しました。
同年に俳優・歌手の福山雅治さんと女優の吹石一恵さんが結婚したと報じられた翌日、9月28日の日経平均は同▲715円となりました。

2016年に入ると、女優の北川景子さんと歌手のDAIGOさん、女優の優香さんと俳優の青木崇高さんが結婚したと報じられ、どちらのパターンも日経平均が大きく下落しました。
これらの経験則から、芸能人が結婚発表すると日経平均が一時的に急落するというアノマリーが生まれ、内容の面白さも相まって知名度を向上させていきました。

しかしながら、このアノマリーが広く知られることとなった2017年ごろから、ぱったりと株価の急落は起きなくなってきています。

2017年の女優の佐々木希さんとお笑いタレントの渡部建さんの結婚報道では、むしろプラスになりました。
2018年は、結婚報道ではありませんが、女優の石原さとみさんとSHOWROOM社長の前田裕二さんの熱愛が報じられました。
この時、確かに株価は下落しましたが、暴落というほどの下げ幅ではありませんでした。

先日明らかになった女優の蒼井優さんとお笑いタレントの山里亮太さんの結婚報道でも、その翌日6月5日の日経平均株価は+367円と大幅高となりました。

ここ2年に限っていえば、芸能人の結婚は暴落というよりも、むしろ株価の上昇を引き起こす可能性が高いといえます。
市場の反応としても、蒼井優さんの事例で日経平均の暴落を懸念する書き込みはあまりみられませんでした。
芸能人の結婚で日経平均が暴落するというアノマリーは、賞味期限が切れたといっても差し支えなさそうです。

タピオカブームも芸能人の結婚と同様に市場との関連が薄いと考えられるため、賞味期限が切れている可能性に注意が必要です。

アノマリーが成立する要因としては、アノマリーを信じる投資家たちがその通りに行動することで株価に影響が出てくるという説があります。
つまり、ある出来事と株価の変動に本質的な因果関係がなくても、それを信じる人が多ければ、その通りに株価が動くということです。

本当は因果関係のないものに相関性を見出してしまうことを、心理学では「錯誤相関」といいます。
そのルーツは、古代における雨乞いの儀式にまでさかのぼります。

本来、雨乞いの儀式と降水の間に因果関係はないはずです。
しかしながら、雨乞いをした日に降水があると、人は雨乞いをしたら雨が降ったと考えてしまいます。
特に、雨乞いが連続して成功していけば、雨乞いの有効性が徐々に確信に変わってきます。

こうなってしまうと、雨乞いを行なった日に降水がなくても「祈りが足りない」、ないしは「供物が少ない」などといったやり方の部分に視点が移ってしまい、雨乞いという儀式自体を否定しなくなります。
そのため、多少失敗したとしても、雨乞いの儀式はいろいろな地域で長きにわたり受け継がれていったのではないでしょうか?

私たちも、このような心理は持ち合わせています。
たとえばルーレットで、2回連続で赤が出たら次は黒が出るというパターンを10回繰り返しているような時、次に2回連続で赤が出たら黒に賭けたくなってくるのではないでしょうか?
しかしながら、実際にはそこに法則はなく、たまたまそのようなパターンが連続して出てきただけといえます。

タピオカブームと株価暴落について考えると、たった2回のサンプルしかないうえ、初回のブームはバブル崩壊後、しばらくしてから発生しています。
わずか2回の中でも整合性に微妙な点があることを踏まえると、タピオカブームと株価の暴落はいまだ錯誤相関の域を出ないと考えて差し支えないでしょう。

MONEY PLUSのこの記事を読んで安心しました。
最近、月に1回大阪に行っていますが、タピオカを売っているお店は大行列です。
東京オリンピック前が残された消費税率アップの最後のチャンスと言われているため、ここで株価暴落が起こると、しばらく(景気が回復するまで)、消費税率を上げることはできなくなるでしょう。
個人的には、軽減税率には反対ですが、消費税率アップは仕方ないし、10%の方が分かりやすいと思っています。
特に支持政党があるわけではないのですが、消費税率アップに反対や延期と言っている政党には、代替財源を示して欲しいなぁとは思いますね。

タピオカブームは本当に「株価暴落の前兆」なのか?について、どう思われましたか?


オリンピック選手村マンション用地の「不透明」な格安払い下げ!

 東京オリンピック・パラリンピックの選手村宿泊棟(21棟)が建設中ですが、都有地だったこの敷地が格安でマンション開発業者に売却されたことが問題視されているようです。
この選手村宿泊棟は、オリンピック後にリフォームされて分譲マンションなどになりますが、はやくもこのGWからはモデルルームが公開されました。

この土地を巡っては、2016年、東京都都市整備局長に、一般財団法人「日本不動産研究所」(東京都港区)が作成した「調査報告書」が提出されましたが、東京都は主要部分を黒塗りし、開示してこなかったそうです。
今回、黒塗りしていない「調査報告書」(別表含め全119ページ)の全文を、ノンフィクション作家の清武英利氏が入手し、ライターの小野悠史氏と「週刊文春」取材班とともに分析・取材したところ、大幅に値引きする根拠が不透明なことがわかったようです。

13.4ヘクタール、東京ドーム約3個分にあたる東京・晴海の同敷地は、もともと都有地でしたが、払い下げの際に約1,500億円とも試算される破格の値引きが行われた経緯が、これまでも疑問視されてきました。
2017年には、値引き分(または適正価格との差額)を舛添前知事と小池知事に求める住民訴訟が起きています(訴訟は現在も継続中)。

これまで住民団体や報道機関が、度々東京都に情報公開請求を行いましたが、東京都は肝心な部分を黒塗りにした“のり弁”資料しか開示してこなかったようです。

「それに強い疑問を感じた」という選手村事業関係者から、“のり弁”のない原本の写しが清武氏に提供されたようです。

報告書の「原本」には、比較対象となったマンションの実名が記載されており、その用地の売買価格を調査したところ、選手村用地の約19倍だったそうです。
都の払い下げ価格が、異常に安い(時価の約5%)ことを、東京都の鑑定資料自体が物語っていることになります。

東京都は、こうした情報を開示しない理由について、次のように回答しています。
「日本不動産研究所が独自に収集、加工した情報が含まれており、公にすることによって研究所の競争上、または事業運営上の地位、その他社会的な地位が損なわれる」(東京都都市整備局)。

小池百合子知事は、都知事選で〈“のり弁”から“日の丸弁当”へ〉と、情報開示の重要性を訴えていましたが、その情報公開に対する姿勢が問われそうです。

おそらく表に出てきているのは一部だけで、本当はこのようなことが他にもあるんでしょうね。
ここ数年、これだけ色々な問題が表沙汰になっているのに、いまだに行われているということは、美味しい思いをしている人がたくさんしるということなんでしょうね。
東京都民ではありませんが、結局は住民が損しているということになると思いますので、こういったことをどんどん表沙汰にしていって、少しでも減ることを期待したいですね。
まともな方々には、どんどん告発していただきたいですね。

オリンピック選手村マンション用地の「不透明」な格安払い下げについて、どう思われましたか?


日付表示はあなたは和暦派?それとも西暦派?

 「平成」の次の元号が「令和」に決まりました。
とはいえ元号が発表されるまでの間、和暦を主とする官公庁などの書類のほか、会計基準等の適用時期に関しても「平成33年」など、すでに平成が使われていない年であっても便宜上は平成として記載が行われてきました。
経営財務によると、このため、有価証券報告書などの提出書類における日付表示を西暦に統一したいと考える企業もあるようです。

有価証券報告書における開示に関する規定を定めた「企業内容等の開示に関する内閣府令」の第三号様式をみると、例えば、【提出日】については「平成 年 月 日」となっており、【事業年度】も同様に当該様式上は和暦で示されています。
そのため、和暦表示をしなければならないように思えますが、実務上は全て西暦表示でも問題はないようです。
特別な手続き等は不要で、西暦表示に統一したい企業は、任意で西暦に変更ができます。

経営財務が2018年中に提出された有報の表紙ページを調査したところ、トヨタ自動車や日立製作所、ファーストリテイリングなど、500社以上が西暦表示だったようです。
その中には、ヤマトホールディングスのように表紙に「(注)第153期有価証券報告書より、日付の表示を和暦から西暦に変更しております。」(2018年3月期有価証券報告書)と注釈を入れている事例もあり、同社は監査報告書も含めて西暦表示に変更していました。

しばらく、ややこしい状況が続きそうですね。
僕自身も公的な仕事をいくつかしていますが、2月と3月は書類の提出が結構多かったのですが、同じところに提出する資料でも、和暦と西暦が混在していましたね。
日本人ゆえ、和暦は大事だと思いますし、今後も残していただきたいと考えていますが、混乱・コスト増加などを防ぐため、書類などは西暦で統一してもいいのではないかと思います。
外国から来ている方も多いでしょうから。
個人的にも、元号が変わると発表されたころから、ホームページやブログなどもできる限り西暦に変更をしていますので、僕は『西暦派』です。
『平成』と印刷している事務所の封筒も今後は西暦にしようと思います。

日付表示について、どう思われましたか?


京王電鉄子会社が『キセル』で2億円詐取の疑い!

 ニュースでも結構取り上げられていますが、京王電鉄が株式を100%保有する子会社で、法人・学校向け団体旅行を数多く手掛ける京王観光が、組織ぐるみで“キセル”(不正乗車)を行い、JR各社から少なくとも2億円を詐取していた疑いのあることが「週刊文春」の取材で分かったようです。

「不正が行われていたのは、京王観光の大阪支店と大阪西支店の2支店(2018年秋に統合)です。
団体旅行を実施する際、ツアー参加人数分のJR乗車券を購入せず、差額分の乗車料金を利益に計上していたのです。
京王観光にはJR乗車券の発券端末が各支店に設置されており、京王側の責任で発券・発売が行えるようになっています。
この仕組みはJRとの信頼関係のもと、性善説で成り立っており、団体旅行で改札を通過する際、JR側も発券数と乗車人数が合致するかなど、いちいちカウントしていません。
それを逆手に取った不正乗車ですから極めて悪質です」(京王観光関係者)とのことです。

被害に遭ったうちの一社であるJR東海は、「JRの乗車券類を発売できる立場を悪用した不正乗車であって、極めて遺憾であり、厳正に対処する考えである」と回答しています。

一方、親会社の京王電鉄は、「同じ鉄道業界に身を置く同業であると同時に、重要なお取引先様でもあるJR様への背信行為ですので、極めて重大な不正と考えております。JR様や監督官庁の判断結果が下されるのを待って(公表を)検討します」と回答しています。

ヒドい話ですね。
従業員のモラルが低すぎます。
京王電鉄のはキセルに寛容なところなのでしょうか?
こういう事件によって、今後、ツアー参加者側で諸々の手続きが面倒になったりするのは避けてほしいですね。
JRにも厳粛に対応してほしいです。

京王電鉄子会社が『キセル』で2億円詐取の疑いがあることについて、どう思われましたか?


廃校となった小学校の体育館と敷地をマイナス795万円で売却!

 埼玉県深谷市は、先日、廃校となった小学校の体育館と敷地について、入札によりマイナス795万円で売却することになったと発表しました。
落札者側で体育館を解体することが条件でした。
マイナス価格で入札が成立し、自治体が資産を手放すのは全国で初めてだそうです。

対象は深谷市中瀬の旧市立中瀬小学校の体育館と敷地約1,505平方メートルです。
統合で1984年に廃校になりました。
体育館は2010年末まで活用され、2015年6月と2017年7月の2回、1,782万1千円の予定価格で入札にかけられましたが、応札はありませんでした。

深谷市は、今回、体育館を落札者が解体する条件を付け、解体費の負担を考慮して予定価格をマイナス1,340万6千円(市が支払う最高額)として入札を行いました。

民間への「無償譲渡」になるため、正式契約には地方自治法に基づく市議会の議決が必要となるそうです。

解体費は結構高いですし、土地の価格がどんどん下がっていく地方では、こういう案件は今後もどんどん出てくるでしょうね。
10年ほど前に、上場企業などには『資産除去債務に関する会計基準』が適用されることになりましたが、有形固定資産の取得、建設、開発または通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令または契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう『資産除去債務』を考慮するという考え方は正しかったという感じはしますね。

廃校となった小学校の体育館と敷地をマイナス795万円で売却したことについて、どう思われましたか?


「税を考える週間」ってなに?

 国税庁は、日頃から国民各層・納税者の皆様に租税の意義、役割や税務行政の現状について、より深く理解してもらい、自発的かつ適正に納税義務を履行していただくために納税意識の向上に向けた施策を行っています。
特に、毎年1111日から1117日までの一週間を「税を考える週間」とし、この期間を中心に様々な広報広聴施策を実施するとともに、税務行政に対するご意見やご要望をお寄せいただく機会としています。
2018年の「税を考える週間」では、「くらしを支える税」をテーマとして、国民各層・納税者の皆様に国民生活と税の関わりを理解してもらうことにより、納税意識の向上を図ることとしています。

<「税を考える週間」の取組み>
「税を考える週間」期間中は、主に次のような広報広聴活動を行います。
①マスメディアを通じた広報
新聞広告やインターネット広告などのマスメディアを通じて広報します。
②国税庁ホームページの活用
国税庁ホームページに国税庁の取組を紹介するページを開設します。
このページでは、インターネット番組「Web-TAX-TV」で国税庁の仕事をドラマ仕立てで紹介した番組に加え、社会保障・税番号制度(マイナンバー)、e-Tax、消費税の軽減税率制度の概要を解説した番組を紹介するほか、講演会資料も掲載します。
Web-TAX-TV」の番組については、国税庁ホームページのほかYouTubeに開設している国税庁動画チャンネルにおいても配信します。
③講演会及び説明会等
国税局や税務署による主に大学生や社会人を対象とした講演会や説明会を開催し、くらしを支える税をテーマに説明を行います。
④国税モニター座談会
国税局や税務署では、幅広い分野の方にお願いしている国税モニターと座談会を行い、税に関するご意見・ご要望をお聴きし、双方向の情報交換に努めます。
⑤税に関する作文の表彰
全国の中学生・高校生の皆さんから応募のあった税に関する作文の入選作品の表彰が、全国各地で行われます。
なお、優秀作品は、国税庁ホームページ及び各種広報紙等に掲載し広く発表します。
⑥その他
関係民間団体による講演会や税の作品展の開催などが全国各地で行われます。

<「税を考える週間」の歴史>
「税を考える週間」のようなキャンペーン期間を設けて集中的に行う広報活動は、かなり古くから行っています。
その歴史は、昭和22年に申告納税制度が導入され、昭和24年に国税局が発足しておりますが、当時は税務行政に対する納税者の不満が多く聞かれていたという時代でした。
そのような時代背景があり、円滑な税務行政の成否は、納税者の協力いかんにかかっている点に顧み、昭和29年から、「納税者の声を聞く月間」を設けたことから始まります。
当時は、積極的な苦情相談、納税施設の改善及び各税法の趣旨の周知を中心とした納税思想の高揚に関する各施策を中央及び地方を通じて組織的に行うこととしていました。
そして、昭和31年からは、苦情相談を重点項目として期間を「月間」から「旬間」に改め、税務行政に対する納税者の皆様の意見や要望を積極的に聴き、各種の行事を通じて納税者の皆様との信頼を深め、納税者の皆様にとって近づきやすい税務署というイメージを作り、納税意識の高揚を図ることを目的に実施していました。
その後、昭和49年には、「旬間」の全般的な見直しを行い、毎年同じ時期に行うこととして「税を知る週間」に改称しました。
「週間」の実施に当たっては、税を社会全体の役割の中で捉える見地から、納税者の方だけでなく国民各層が、税のよき理解者、協力者であるべきことを改めて認識し、広報広聴の対象とするとともに、各種の施策を通じて、声を聞くという受身の姿勢だけでなく、積極的に税の重要性、執行の公平性等を広報することを目的に実施しました。
そして、平成16年からは、国民一人一人が、わが国をどのようにして支えていくのか、公的サービスと負担をどのように選択するのかを含めて、税のあり方、国のあり様を真剣に考えていただく時期に来ているという観点から、単に税を知るだけでなく、能動的に税の仕組みや目的を考えてもらい、国の基本となる税に対する理解を深めていただくことを明確にするため「税を考える週間」に改称しています。
このように、この取組は大変歴史のあるものなのです。

納税は国民の義務ですので、僕ら税理士のように業務として日々税務のことを考えている人は別にして、一般の方々も使い道なども含めて『税金のことを考える』機会を持つことは重要だと思います。
ただし、古くからやっている割には、一般の方々に『税を考える週間』のことがほとんど知られていないのは、国税庁の努力不足だと思います。
彼らは真っ先にチラシなどを送ったり、ホームページに掲載するということを考えるのでしょうが、どれほどの人が見たり聞いたりしているのでしょうか?
最近では、税理士が高校などに行って、『租税教室』を開催していますが、将来の納税者はもちろんですが、既存の納税者にリーチできるものを考えないといけないと思います。
国税庁が考えるべきことだとは思いますが、税務署などで『税金教室』のようなものを頻繁にして、これを受けた方には何らかの所得控除を設けるといったようなことを考えても良いのではないかと思います。
そうすることによって、サラリーマンの方などの税金に対する知識が高まり、経営にも良い影響が出るのではないかと考えます。
教育の中でも、『税金』の授業を義務化するとか、商業学校などだけではなく、どこの学校でも『簿記』を選択科目にすることが、会計や財務や税務に対する興味はもちろんのこと、将来的に素晴らしい経営者を生み出すことになるのではないかと思います。

「税を考える週間」について、どう思われましたか?


新天皇即位日は祝日で2019年の大型連休は10連休に!

 2019年春の天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位の準備を進めるため、政府は先日午前の閣議で、安倍晋三首相が委員長を務める「式典委員会」の設置を決めました。
直後に首相官邸で初会合を開き、安倍首相はあいさつで、新天皇の即位日となる201951日を2019年限りの祝日とし、2019年の大型連休を10連休とする方針を表明しました。

安倍首相は、新天皇の即位を国内外に宣言する「即位礼正殿(せいでん)の儀」の20191022日も、祝日とする方針を明らかにしました。
51日と1022日を、2019年に限って祝日とする政府提出法案を臨時国会に提出する見通しです。

この日設置した委員会の名称は「天皇陛下の退位及び皇太子殿下の即位に伴う式典委員会」です。
菅義偉官房長官が副委員長を務め、杉田和博、西村康稔、野上浩太郎の3官房副長官、横畠裕介内閣法制局長官、山本信一郎宮内庁長官、河内隆内閣府次官で構成します。
12か月に1度会合を開き、式次第や参列者の範囲などを検討、皇位継承の各儀式の実施指針となる大綱を取りまとめまるようです。

安倍首相は「天皇陛下の退位と、皇太子殿下の即位が同時に行われるのは約200年ぶり。我が国の歴史にとって極めて重要な節目だ。国民こぞって言祝(ことほ)ぐことができるよう、政府として万全の準備を進めていかなければならない」と述べました。

初会合では、皇位継承順位第1位の皇嗣(こうし)となる秋篠宮さまが、皇太子と同様の立場であることを内外に示す「立皇嗣(りっこうし)の礼」の2儀式を、憲法が定める国事行為として2020419日に行うことも決定しました。

立皇嗣の礼は、天皇の弟が皇太子待遇となるのに伴い初めて実施されるようです。
浩宮さまが皇太子となった際の「立太子(りったいし)の礼」にならい、皇太子待遇となったことを宣言する「立皇嗣宣明(せんめい)の儀」、天皇にお礼を述べる「朝見の儀」を2020419日に行います。
立太子の礼では賓客を招く祝宴「宮中饗宴(きょうえん)の儀」も行われましたが、宮内庁内には見送り論があるようです。

この日の会合では、2019224日に政府主催で行う「天皇陛下在位30年記念式典」の概要も決まりました。
即位20年の式典を基本的に踏襲し、安倍首相が式辞、衆参両院の議長と最高裁長官らが祝辞を述べるようです。
「国民代表の辞」もあり、民間から研究や芸術、スポーツなどで業績をあげた人々も招くそうです。

内閣府には、各府省庁の事務次官らで構成する「式典実施連絡本部」(本部長=菅官房長官)を設置しました。
警備、外国からの賓客、国内の参列者といった分担ごとに班を立ち上げ、事務的な準備を加速させるようです。

ちなみに、政府は20184月に、皇位継承に伴う一連の儀式や式典に関する基本方針を閣議決定し、憲政史上初となる退位の礼として2019430日に「退位礼正殿の儀」、51日に皇位のしるしとされる神器などを引き継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」といった一連の日程を決めていました。

2019年は427日土曜日から56日月曜日まで(430日火曜日と52日木曜日は祝日に挟まれ休日、56日月曜日は振替休日)10連休となるようで、休日が増えることは喜ばしいことかもしれませんが、公認会計士・税理士という職業柄、財務・会計・税務に関わる仕事をしているため、月末の仕入先などへの支払い、金融機関への借入金の返済、給与計算や支払い、決算業務、申告業務などに多大なる影響を与えるのではないかという点がすごく気になります。
実務のことをよく知らない方々が決めているんでしょうね。
2月決算企業の場合、実質は申告期限が57日になるのかもしれませんが、決算・申告後にやっていた業務を前倒してしないといけなくなったり、3月決算企業や4月決算企業は、決算業務や申告業務に使える営業日が少なくなったりしますので、大変でしょうね。
結局のところ、通常より前倒しのルーチン業務が多くなり、決算や申告のために大型連休中も出社して仕事をするということになりそうに思いますね。
あと、月末や月初に返済しているところには、金融機関も返済予定表を出し直さないといけなくなるでしょうね。

新天皇即位日は祝日で2019年の大型連休は10連休になることについて、どう思われましたか?


中央省庁の障害者雇用が実際は半数以下!

2018年09月06日(木)

毎日新聞によると、中央省庁による障害者雇用の水増し問題で、厚生労働省が先日公表した調査結果は、不適切に算入した人数は3,460人に上り、実際の雇用者数は半数以下だったことが明らかになったようです。
意図的な不正もあったとの証言もあり、障害者の支援団体や企業からは「裏切られた」「民間なら誰かのクビが飛ぶ問題」などと怒りの声が上がりました。

「国家公務員になれたかもしれない3,460人の障害者の期待を裏切った」と、障害のある地方議員らでつくる「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」代表の伝田ひろみ・さいたま市議は憤っているようです。
伝田市議は幼いころの病気で手足に障害が残り、車いすで生活しています。
今回の調査結果を受け、「障害者と共に暮らす環境整備ができていないというのが根本的な問題だ」と語気を強めました。

NPO法人「障害者の職場参加をすすめる会」(埼玉県越谷市)の山下浩志事務局長も、「率先垂範すべき行政が、水増しをしていたなんてとんでもない」と怒りを隠しません。
法定雇用率を定めた障害者雇用促進法について「数合わせをすればよいという制度の問題が明らかになった」と指摘し、「数字を見るだけでなく、障害者の雇用実態や労働環境を検証すべきだ」と訴えました。

一方、今回の雇用率の問題以外にも、障害者に関する制度で不正が横行しているのではないかと心配する声もあるようです。
知的障害者や家族でつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」で統括を務める田中正博さんは、「それぞれの制度が本来の趣旨に沿って運用されているか、行政は確認してほしい」と訴えました。

ある大手銀行の幹部は「障害者雇用の旗を振っている官が、こんなにも水増しをしていたなんて、信じられない」と憤慨しているようです。
民間企業は、厚生労働省から毎年6月1日時点で障害者雇用数の報告を求められ、雇用率が達成できなければ、1人につき月5万円を納めなければなりません。
3年に1度は独立行政法人の調査も受けており、それぞれ雇用率を達成するために試行錯誤しています。
この銀行でも障害者が働きやすい会社を設立して多くを雇用し、グループでの雇用率を高めているようです。

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、2018年の国内での障害者雇用率は5.28%と、企業の法定雇用率(2.2%)を大幅に上回ります。
担当者は「一人一人の特性を見極めるため、個人面談を重ねて担当業務を決めている。足が不自由な人には座ってできる作業を、耳が不自由な人には聴覚障害を示す名札をつけてもらい、顧客の理解を得やすいようにして接客業務を任せている」と話しています。

こうした取り組みの結果、民間企業の障害者雇用者数は、2017年まで14年連続で過去最高を更新し、法定雇用率を達成した企業の割合は19年ぶりに5割を超えました。
大手電機メーカーの幹部は「民間企業で今回の省庁と同じことをすれば誰かのクビは飛ぶ。省庁の水増しは意図的な不正であり、しっかり原因究明をしてもらいたい」と注文を付けました。

最近、公務員の存在価値はあるのかと思うような事件が多いですね。
何かを進めるのであれば、自らが規範となるべきであり、民間企業が独立行政法人の調査を受けるのであれば、中央省庁なども受けるべきであり、達成していない場合は、関係者のボーナスを減らして負担すべきではないかと思います。
他の報道によると、国税庁が最も水増しが多いとのことですが、国税庁相手に税務調査で戦ったりしている税理士としては、国税庁に、調査などをする資格はないと思ってしまいますね。
公務員制度を含め、中央省庁の解体・再構築を考えないといけない時期になっているのではないかと切に感じます。

中央省庁の障害者雇用が実際は半数以下であったことについて、どう思われましたか?


日本銀行が投資信託の家計保有額を30兆円以上も誤計上!

 毎日新聞によると、個人の代表的投資商品である「投資信託」の家計保有額が、日本銀行の統計作成時の誤りで30兆円以上も過大計上されていたことが判明したようです。
 近年順調に増加しているとされてきた投信保有額が、実際は減っていたことになり、「貯蓄から投資」が進んでいると信じてきた証券業界に衝撃が広がっているそうです。
 過剰計上があったのは、金融機関や家計など各部門の資産や負債の推移などを示す「資金循環統計」です。
 同統計では年1回調査方法を見直す改定を行っており、20186月下旬発表分の改定値を算出する際に、過剰計上が見つかったようです。
 2005年以降の数値をさかのぼって改定した結果、201712月末の家計の投信保有額は、改定前の1091,000億円から約33兆円少ない764,000億円まで激減しました。
 個人金融資産に占める投信の割合も、改定前は2012年の3.8%から2017年の5.8%まで上昇していましたが、改定後は2014年の4.6%をピークに低下し、2017年は4.1%まで下落していたことが分かったようです。
 これほど大きな修正が生じたのは、日本銀行が、ゆうちょ銀行が保有する投信を個人が保有しているものと誤って計算していたことが原因です。
 家計の保有額は、投信の総額から、金融機関など他部門の保有額を差し引くことで算出しています。
 関係者によると、日本銀行が改定作業を行う際、ゆうちょ銀の保有分でこれまで「外国債券」としていた資産の一部が実は投信だったことが判明しました。
 改定後はその分だけ金融機関の投信保有額が膨らみ、逆に家計保有分は減額されました。
 ゆうちょ銀が近年、比較的利回りのいい投信の保有額を急増させていたことも、「誤差」の巨大化につながったようです。
 日本銀行調査統計局は「調査項目が多数あり、見直しが追いつかなかった」と釈明していますが、証券業界は「30億円なら分かるが、個別指標で30兆円も変わる改定は聞いたことがない」(大手証券幹部)と怒り心頭のようです。
 政府や証券業界は、現預金に偏る家計の資金が、経済成長に資する企業への投資資金として回るような政策を進めてきました。
 日銀の統計に基づく投信保有額の増加は政策効果の表れとみていただけに、金融庁幹部は「我々の認識以上に個人の投資への動きが進んでいないなら、改めてどうすべきか考えないといけない」と厳しい表情を見せたようです。
 個人や、法人形態を取らない自営業者(農林業従事者を含む)が保有する現預金、株式、投資信託などの金融商品の合計です。
 日本銀行が四半期ごとに「資金循環統計」で公表しており、20183月時点の総額は1,829205億円です。
 資産ごとの比率は、現預金が52%、保険・年金準備金28%、株式6%、投資信託4%などです。
 現預金は近年52%前後にとどまっています。
 意図的でないのであれば、これだけの金額のミスを犯すということは、内部のチェック体制が構築されていないんでしょうね。
 責任感を持って、きちんと仕事してもらいたいですね。
 国などが公表する指標などを信用してもいいか疑問に思いますね。
 金融機関などが、近年、手数料を稼ぐために投資信託を販売したりしているので、増えている面もあるのかもしれませんが、個人的には、相続関連の仕事をしていると、投資信託や株をやっていた方が亡くなった場合、相続人は引き継がず、解約や売却などをしているケースが圧倒的に多いような気はします。
 これだけ金利が低い中、投資信託が減っているのであれば、『貯蓄から投資へ』ということを目指すのであれば、手数料などを含め、魅力的な商品や会社にならないといけないんでしょうね。
 日本銀行が投資信託の家計保有額を30兆円以上も誤計上していたことについて、どう思われましたか?

金融庁が公開請求者の情報漏出認め野田総務大臣も謝罪!

 野田聖子総務大臣の事務所による金融庁への説明要求に絡み、朝日新聞が同庁に情報公開請求していた内容が開示決定前に漏出していた問題で、金融庁は、先日、請求者に関する情報も含めて総務省に伝えていたことを、取材に対して認めました。
 また、野田氏は閣議後の会見で、伝え聞いた内容を第三者に漏らしていたことをあらためて認め、「慎重さに欠けたと反省している」と述べて謝罪しました。
 朝日新聞は201852日、金融庁に対し、野田氏の事務所が違法性を指摘されている会社の関係者を同席させ、同庁の担当者に説明をさせた際の面会記録の開示を求めました。
 金融庁は531日付で開示決定通知を出し、66日に開示文書の写しを交付しました。
 一方で、野田氏が開示決定前に請求の内容を知り、5月下旬に第三者に対し、自身の事務所に絡んで朝日新聞が金融庁に情報公開請求をしたと話していたことが朝日新聞の取材で分かりました。
 先日の会見でこうした内容を野田氏に質問したところ、野田氏は外形的事実を認め、「私の事務所の活動について情報公開請求が行われていると聞き、(記者との)懇親会の席で話題にしたと記憶している」と説明しました。
 ただし、「(聞いた内容は)そういうことが言われているよという話」「明確に事実が漏出したということではない」とも主張し、不適切ではないとの認識を示していました。
 野田氏は先日の閣議後会見で、「事実確認したところ、総務省の担当者が金融庁の担当者から伝えられていたことがわかった。請求者の情報も含まれており、不適切だった。(自分が知った時点で)確認して注意喚起するなどの対応を取るべきだった」としました。
 さらに「自分が記者との懇親会で問題意識を持たず、話題としてしまったのは慎重さに欠けたと反省している」などと述べました。
 一方、金融庁は朝日新聞の取材に総務省への伝達を認め、「請求者の情報を伝えたということは法の趣旨からして好ましくない。今後、情報公開法の適切な運用に努めたい」とコメントしました。
 別の報道によると、野田氏の配偶者が関わっている案件のようなことが書かれていましたが、これだけ色々な問題が批判されている時代に、平気でできるというのが普通では考えられないですね。
 そもそも議員としての資質がない人が多いのではないかと思います。
 こういうことがあると、総務省や金融庁がどこかを監督とかする資格がないように思えますね。
 立て続けに逮捕者が出ているところもありますが、省庁を根本的なところから見直さないといけない時期に来ているのではないかと思った1件でした。
 金融庁が公開請求者の情報漏出認め野田総務大臣も謝罪したことについて、どう思われましたか?

滋賀県内の税務署職員3人が紛失した書類を作り直し減給処分!

 大阪国税局は、先日、滋賀県内の税務署の課長級職員3人が、紛失した納税者の書類を作り直すなどして国家公務員法に違反したとして、いずれも減給10分の13か月)の懲戒処分にしました。
 国税局によると、3人は、50代の統括国税徴収官と50代の統括国税調査官、40代の連絡調整官です。
 納税者が確定申告後、税金の減額を請求するために提出する書類を作成し直していたようです。
 20184月、税務署に提出された書類5件が署内で紛失したことが判明しました。
 3人は、納税者が税務署に相談をした際のメモをもとに書類を作り直し、上司に「既に発見された」とうその報告をしたようです。
 後日、別の職員の指摘で発覚しました。
 3人は「署内の事務処理を滞らせてはいけないと考え、書類を作り直した。大変申し訳ない」と反省しているようです。
 納税者には既に謝罪し、書類は見つかっていないようですが、外部流出は確認されていないとしています。
 こういう人たちがいる組織に税務調査などをしてほしくないですね。
 こういう人たちがいるのに、もし、税務調査先が書類を作り直していたなどしていた場合、税務署は、指摘できるのでしょうか?
 また、他にも同じようなことはないのでしょうか?
 紛失したものに限らず、税務署にとって都合がよいように変えたりしていないのでしょうか?
 すごく重大なことを犯していると個人的には思いますが、たった減給10分の13か月)なんですね。
 滋賀県内の税務署職員3人が紛失した書類を作り直し減給処分を受けたことについて、どう思われましたか?

レオパレス21が建築基準法違反疑いで3.7万棟を調査へ!

2018年06月04日(月)

レオパレス21は、先日、計206棟のアパートで施工不良を確認したと発表しました。
「界壁」と呼ばれる防火性などを高める部材が天井裏に未設置だったり、十分な範囲に設けられていなかったりしたようです。
建築基準法違反の疑いがあります。
2019年6月までに全3万7,853棟を調査し、不備のある物件を改修するようです。

田尻和人取締役専務執行役員が、都内で記者会見し、「当社に施工管理責任があった」と謝罪しました。
施工不良が見つかったのは19962009年に施工したアパート6シリーズです。
すでに調査を終えた290棟のうち、38棟で界壁がないなどの不備があったようです。

建築基準法は、火災時の延焼防止などの観点から界壁を天井裏に設置するよう定めています。

施工業者に渡したマニュアルには界壁の記載があったのに、個別の下請け業者が参照する図面には記載がないなど整合性に不備があったようです。
施工時の検査でも、図面との照合確認が不十分だったそうです。

これとは別に、19941995年に竣工した2シリーズでも、調査した184棟のうち168棟で界壁がありませんでした。
レオパレス21は、2018年4月末に施工の不備がみつかったと発表していました。

一連の調査での不備は200棟を超え、今後も増える見通しです。
2019年6月までに全棟を調査し、201910月までに改修工事を終える方針です。
工事費は10室程度の物件の場合、1棟あたり60万円程度としています。

レオパレス21は意図的な手抜き工事の可能性を否定する一方、天井に不燃材が使われており「安全性はある」と強調しています。

これだけあるのに、意図的ではないと言えるのでしょうか?
違う問題でも訴訟を抱えていますし、今回の件で、信用を失い、今後は厳しいでしょうね。
アパート建設に対する銀行の融資も厳しくなっているようですし、数年後にはこの会社はなくなっているかもしれませんね。
オーナーにとっては、建てたら終わりではなく、長い間にわたり所有するものですので、メーカー側もその点を認識しないと未来はないでしょうね。

レオパレス21が建築基準法違反疑いで3.7万棟を調査することについて、どう思われましたか?


シェアハウス投資の不動産会社スマートデイズが民事再生法申請!

2018年04月27日(金)

シェアハウス投資の賃料不払い問題で、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」などを運営する不動産会社スマートデイズ(東京都中央区、赤間健太社長)は、先日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、地裁から保全処分と監督命令を受けたと発表しました。
帝国データバンクによると、負債額は20183月末時点で約60億円です。

スマートデイズは2012年設立で、一括借り上げによる長期の賃料保証をうたって会社員らをシェアハウスオーナーに勧誘し、会社員らは億単位のお金を借りてスマートデイズから割高な物件を買いました。
スマートデイズは、入居者募集や管理を担いましたが入居率は低迷し、オーナーへの物件売却益で賃料を払う自転車操業状態でした。

20181月には資金繰り悪化を理由に賃料支払いを停止し、オーナーの借金返済が難しくなって問題が表面化しました。
物件は20181月時点で未完成分を含め約1千棟で、オーナーは約700人にのぼります。

スマートデイズは、先日、「目下の資金繰りに鑑みると、物件の水道、電気などの生活インフラの確保が困難となるおそれがある」とのコメントを公表し、オーナーらに管理会社を変更するよう求めています。
先日、債権者となるオーナー向け説明会を開きました。
スマートデイズでは、経営再建のため20181月に社長に就いた菅沢聡氏が今月初めに退き、取締役の赤間氏が社長に就任しています。

そもそも投資家は一括借上げに飛びつきがちですが、相手がどこで稼ぐのかを考えてやったほうがいいですね。
一括借上げは儲からないはずなので、販売時にその分まで回収しているはずです。
本人が投資という商売が成り立つかどうかのけんとうはもちろんのこと、相手の商売も成り立つかどうか考えないといけないですね。

シェアハウス投資の不動産会社スマートデイズが民事再生法を申請したことについて、どう思われましたか?


会計検査院は財務省や官邸に頭が上がらない!

 週刊ダイヤモンドによると、会計検査院による森友問題の検査について、財務省に配慮したと思わせる対応が批判されているようです。
 元官僚からすれば、それは当たり前のことだそうです。
 会計検査院は内閣に対して“独立”の地位を有する特別な組織ですが、それは形式的なものであり、財務省や官邸には頭が上がらない組織になっています。
 国会法第105条に基づき、参議院からの検査要請を受けて行われた「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査」において、会計検査院が決裁文書の改ざんと、改ざん前の原本の存在を知っていながら、改ざんされた文書を対象として検査を行っていたことが明らかとなりました。
これでは何のための検査だったのでしょうか?
まるで財務省と示し合わせたアリバイ作りのための“出来レース”、「茶番劇ではないか」と批判されても仕方ないでしょう。問題は、会計検査院がなぜそのようなことをしたのかです。
それを考えていくと、会計検査院という組織の置かれた立場、制度的状況から来る、避けがたいジレンマが見えてきます。
そもそも会計検査院とは、憲法第90条にその根拠を持つ機関であり、内閣に対して“独立”の地位を有している、特殊かつ特別な行政機関です。
会計検査院には担当の大臣等は置かれず、その任命に国会の同意を要する検査官3名が置かれ、うち1名が互選により院長となります。
ただし、検査官を任命するのは内閣であり、院長についても互選の上、任命するのは内閣です。
この検査官の人事、かつてこのうち一人が大蔵省(当時)からの天下りポストの事実上の“指定席”になっていたのです。ところが、大蔵省不祥事に端を発する霞が関バッシングの嵐が吹き荒れる中、国会同意を前に大蔵省出身の検査官候補が蹴られて、なぜか総務庁(当時)出身者(元事務次官)に棚からぼたもちのようにお鉢が回ってきたということがあり、その後2代は旧総務庁系(二人目も元事務次官)の指定席になったこともありました。
まさにこの人事に関連して、衆参両院での同意後の平成9325日の第140回国会衆議院決算員会の参考人質疑において、参考人として出席した岸井成格・毎日新聞編集局次長(当時)は、この件について、以下のように述べています。
「 ~(前略)~ 会計検査官の大事(原文ママ・おそらく「人事」の打ち間違い?)については、あの当時、特に大蔵省からOBを起用するというのは、あれだけ大蔵省の問題が騒がれ、まさに監督権限の分離問題という議論の真っ最中にそういう人事任命を発令するということ自体が、ちょっと政治的には不用意だったという点が一つと、やはり基本的には、会計検査院の独立性、信頼性からいえば、官僚OBの起用は慎むべきである ~(後略)~ 」要するに、会計検査院のトップ人事は、霞が関や永田町の事情に大きく左右されてきたということです。また、会計検査院の職員は独自の試験によって採用されるのではなく、国家公務員採用試験によって選抜し、採用者を決定するという、他の府省と同じ方法によっています。
つまり、会計検査院の職員といっても国家公務員法が適用される一般職の国家公務員であり(幹部職への任命等に関する規定については適用除外)、給与体系も同様に給与法が適用されているのです。
予算についても、査定するのは財務省であり、国会及び裁判所と同様に財政法第19条に二重予算制度と呼ばれる“例外的な規定”が設けられてはいるものの、基本的には各府省と変わりありません(財務省の説明よると、同条に基づくこの取り扱いの適用があったのは昭和27年度予算に関する1例のみとのこと)。
19条 内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、国会が、国会、裁判所又は会計検査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。ちなみにこの例外的な取り扱いがある国会及び裁判所については、各府省との人事交流はあるものの職員の身分は別であり、当然採用も国家公務員とは別の試験等によっています。
こうした点を踏まえても、会計検査院については非常に“中途半端な扱い”をされていると言えるでしょう。加えて、かつて会計検査院は、検査、特に地方等での検査に当たって、いわゆる官官接待を受けていたことが大問題となり、会計検査院への風当たりが非常に強くなったことがあるようです。要するに、会計検査院は“独立”の地位を占めているといってもそれは形式的である面が多く、基本的には霞が関の各府省と同じ、「並びの存在」であって、その活動、職権の行使についてもおのずと制約というか、自制がかかってしまう傾向があると考えた方がいいようです。
分かりやすく言えば、会計検査院といえども、対財務省、対官邸ということになると慎重にならざるをえない、単刀直入に言えば、「頭が上がらない」ということでしょう。
それが今回の森友問題に関する検査における不祥事につながったのではないでしょうか?
実際、会計検査院の、まさに森友問題検査を担当した部局は、参院に提出した報告書には相当自信を持っていたようです。
一方で、検査の対象はあくまでも国の収入および支出であること等を盾に、必要十分な行政文書が把握できないために詳細な内容が確認できなかったことを報告書において指摘しながら、「検査をやり直す必要はない」としていたようです。
検査に必要な資料がなければそれの提出を求める、そうしなければ、検査の対象が国の収入および支出だとして、それを全うすることすることすらできないはずです。
しかしながら、実際には文書がないのではなく、改ざん前の文書が存在していることを認識していながら、それを検査の対象としなかったわけですから、なんらかの自制が働かなければそうしたことは起こりえないと考えるのが自然でしょう。
従って、森友問題に関しては、財務省のみならず会計検査院の検査についても国会において追求されるべき点は多々あるはずです。
ただし、その最終的な目的は、一部で主張されているやに聞く“会計検査院解体論”といった極端なものではあるまい(会計検査院解体ということになれば憲法第90条を改正する必要があるから、もしかしたら改憲のとっかかりとすることが解体論の真の目的?)。
その目指すべきところはといえば、すなわち会計検査院を現状の中途半端な位置から解放し、高い倫理観を堅持しつつ、自制も萎縮もすることなくその職責を心置きなく全うできるようにすること、つまり権限の適正化(実質的には強化)であるはずです。
その対象は、会計検査院の組織および権限を規定した会計検査院法にとどまらず、先にも触れた国家公務員法等も含まれるべきでしょう。
もっとも、それは容易な話ではない。霞が関の各府省からの相当強い抵抗や反発が想定されるからです。
会計検査院ともなれば、強い抵抗が予想されるため、政治が一体となって進める必要があるでしょう。
 そのためにも、森友問題に関する国会での審議においては、やみくもに財務省の責任追及一辺倒になったり、大上段に構えた官邸や安倍総理の責任追及に終始したりすることなく(これはこれで重要ですが、そこに至るには議論の積み上げが必要であるわけですし)、バランス感覚を持って、徹底した課題・問題の洗い出しと整理が必要不可欠でしょう。
 公正取引委員会と会計検査院は頑張っていると思っていましたが、こういう状況なのですね。
完全に独立の立場から、業務ができる組織であってほしいですし、そのための改革をしてほしいですね。
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シェアハウス融資で役員に不正行為の疑いがあり金融庁がスルガ銀行を緊急検査!

2018年04月24日(火)

  金融庁は、スルガ銀行への緊急の立ち入り検査を始めたようです。

 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐる投資トラブルに絡んで銀行側の対応を調べるようです。
大半の建設費用を融資したスルガ銀行で、審査を通りやすくするために書類の改ざんなど不正行為に役員が関与していた可能性もあるとみています。

かぼちゃの馬車は、先日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、経営破綻したスマートデイズ(東京・中央)が運営するシェアハウスです。
所有者の建物を借り上げ、女子学生らに転貸する「サブリース」と呼ばれる事業を展開していました。
長期の賃料保証をうたい、会社員らの投資を勧誘しました。
空室を埋められず、1月に賃料の支払いを止めました。
スルガ銀行は、1棟で1億円前後する土地・建物の資金を約700人の投資家に融資しました。
融資額は1千億円規模に上るとされます。

複数の関係者によると、スルガ銀行の一部役員が主導する形で、投資家の年収を証明したり、預貯金の残高を示したりする審査書類を改ざんするなどの行為に関与した疑いが持たれています。
金融庁は、スルガ銀行が不正を見抜けなかっただけでなく、スルガ銀行の役員が不正に加担していた例もあるとみています。

金融庁は3月中旬、銀行法に基づく報告命令をスルガ銀行に出し、状況を把握しています。
今回の検査で役員の関与や組織的な不正行為が判明すれば、厳しい行政処分を検討するでしょう。

投資家の相談を受けている弁護士によると、スマート社の販売代理店経由でスルガ銀行に提出された審査書類では、預貯金残高が100倍程度に水増しされているといった例が多数みつかったようです。
販売代理店が融資審査を通りやすくするため改ざんした可能性が高いようです。
弁護士によると、販売代理店は投資家に対して「(改ざんは)スルガ銀行も承知していることだ」と話しているようです。

スルガ銀行の広報担当者は、先日、「指摘のような事実を認識していないため、コメントは差し控える」と話しています。

実際はどうなのか分かりませんが、調査をして全容を明らかにしてほしいですね。
銀行のビジネスのために、個人の方々が損をするのは許せないですね。

シェアハウス融資で役員に不正行為の疑いがあり金融庁がスルガ銀行を緊急検査したことについて、どう思われましたか?


仮想通貨交換業者7社が業務改善計画を提出!

 580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出し、金融庁から2度の業務改善命令を受けたコインチェック(東京)など交換業者7社は、先日、経営管理体制の見直しなどを盛り込んだ業務改善計画を同庁に提出しました。
 業界は信頼回復を図ろうとしていますが、規制強化の流れは強まり、取り巻く環境は厳しさを増しているようです。  改善命令を受け、計画を提出したのはコインチェックのほか、バイクリメンツ(東京)、GMOコイン(同)、テックビューロ(大阪市)、ミスターエクスチェンジ(福岡市)、ビットステーション(名古屋市)、FSHO(横浜市)の6社です。
 ビットステーション、FSHO2社は、顧客資産の私的流用などが確認され、1か月間の業務停止も命じられています。  コインチェックの改善計画提出は、2月に続き2度目です。
 今回は、送金先を追跡できず、匿名性が高い「Monero(モネロ)」など4種類の仮想通貨の取り扱い打ち切りも盛り込まれたとみられます。
 コインチェックは提出後、「改善策を着実に実施する。信頼回復に向け、最善の努力をしていく」とのコメントを出しています。  2018322日には、NEM流出後に停止していた「リスク」「ファクトム」の2種類の仮想通貨の引き出しと売却の再開も発表しています。
 取引を停止している仮想通貨は残り5種類となります。
 先日、流出発覚時のNEM保有者に対して日本円で計約466億円を補償金として支払ったほか、一部通貨の出金や売却を再開していました。  先にルールを作って、それを満たすことのできる企業のみが参入するという流れではなく、既に取引が行われていた中で、あとからルールを作った以上、こういった企業が出てくるのは仕方ないでしょうね。
 実務を考慮し、規制する以上、安心して投資ができる環境を作らないと、仮想通貨市場は成り立っていかないでしょうね。
 コインチェックのマネックスグループによる買収のように、大手に買収されるところもたくさん出てくるでしょうね。
 金融庁には、頑張ってもらいたいですね。  仮想通貨交換業者7社が業務改善計画を提出したことについて、どう思われましたか?

仮想通貨交換業者7社に対して一斉に行政処分!

 金融庁が201838日、仮想通貨交換業者7社に対して一斉に行政処分を出しました。
 業務停止命令を含む厳しい対応で臨み、利用者保護最優先の姿勢を鮮明にしました。
 一方で、「育成路線」とのバランスに腐心する苦悩もにじんでいます。

 2018216日、衆議院財務金融委員会で、「内部管理体制などを検証し、早期に登録の可否を判断したい」と、金融庁で仮想通貨チームのヘッドをつとめる佐々木清隆総括審議官は、正規の登録が済んでいない「みなし業者」のまま営業しているコインチェックへの対応を問われると、こう答えました。

中途半端な「みなし業者」という位置づけが多額の仮想通貨の流出事件を招いたのではないか?という空気が広がるなか、答弁は金融庁がコインチェックを廃業に追い込む「登録拒否」に突き進んでいると受け止められたようです。
“封印”してきた強権路線が頭をもたげた瞬間でした。

このころ、金融庁内にもじわりと温度差が広がり始めました。
「ほかのみなし業者にも検査に入っている以上、実態を比較しながらきちんと手続きを踏む必要がある」(金融庁幹部)と、コインチェックだけ抜き出して処分を急げば、監督方針に整合性が取れないという意見も現場にはあったようです。

2018年2月末に、コインチェックは当初、補償時期などを公表する考えを持っていました。
記者会見の予定まで立てていたようですが、直前になって自主的に取りやめました。
金融庁の検査が続き、追加の処分の中身が見えないなか「事業の継続ありき」で公表するのはかえって金融庁を刺激しかねないという思惑が働いたとみられます。

2018年3月初旬には、「(コインチェックに)かなり厳しい要求を投げかけている。まだ足りない部分はたくさんある」(金融庁)と言ったようですが、それでも1回目の業務改善命令で求めたシステム管理の強化はある程度めどが立ちつつあったようです。
検査に入った一部のみなし業者には違法行為も見つかりました。
実態を比較し、業務停止命令は早計だとの判断に傾きました。

答弁から約3週間たった2018年3月8日、金融庁がコインチェックに出したのは2度目の業務改善命令でした。
「経営体制の抜本的な見直し」など厳しい要求事項が並ぶ半面「取引再開や新規顧客のアカウント開設に先立ち」といった文言もみられ、金融庁の対応への苦慮が垣間見えました。

「けしからん、と登録拒否するのは簡単かもしれないが、まずやるべきは補償と顧客資産の返還だ」と、ある金融庁幹部は冷静にこう話しているようです。

顧客の約580億円相当の仮想通貨を流出させた事実は、きわめて重いでしょう。
かと言って、懲罰的に登録を拒否すれば問題が解決するわけではなく、利用者保護にもつながりません。
また、麻生太郎金融相が掲げる「金融処分庁から金融育成庁へ」という路線の自己否定にもつながりかねません。

片っ端から厳しく処分しては、生まれたての仮想通貨市場が一気にしぼみかねず、それは避けたいというのが金融庁の本音のようです。
フィンテックの「テック」部分の担い手は、金融庁がこれまで監督してきた金融業界の外にいた人たちでもあります。
登録の可否を性急に判断せず「じっくりと丁寧に手順を踏む」(幹部)と、金融庁も模索が続いています。

コインチェックは設立からわずか6年だが、自己資金で460億円もの補償ができてしまうほど「軽視できない顧客基盤を抱えている」(幹部)のが実態です。

ただし、懲罰的な「処分のための処分」では意味がありません。
まだ続くコインチェックへの対応に「育成庁」をめざす金融庁のあり方も試されていますね。

金融庁が関わる以上は、きちんと規制もしないといけないと思いますが、仮想通貨は実態が見えないところも多々あるでしょうから、金融庁も大変でしょうね。
仮想通貨は素晴らしいものだと思いますので、規制をきちんとして、皆さんが安心して取引ができるように早くなってほしいですね。

仮想通貨交換業者7社に対して一斉に行政処分が行われたことについて、どう思われましたか?


「Zaif」のシステム異常で仮想通貨をゼロ円で販売!

2018年03月07日(水)

仮想通貨交換業者のテックビューロ(大阪市)は、先日、運営する交換所「Zaif(ザイフ)」で、仮想通貨をゼロ円で販売するトラブルがあったと発表しました。
顧客の7人がゼロ円で仮想通貨を取得したようです。
価格の計算システムに異常が生じたのが原因で、訂正扱いとして顧客の残高データを修正しました。

テックビューロによると、約18分間、仮想通貨の「ビットコイン」や「モナコイン」を扱う「簡単売買」と呼ばれる取引で、無料で仮想通貨を取得できる状態になったようです。
その後、完全復旧しました。

一部の顧客が、取得した仮想通貨を売り注文に出したため、購入したい人と売却したい人の注文を合わせる取引でも異常な数値が表示されたそうです。

テックビューロはしばらく、事実関係に関する取材に回答していませんでしたが、後日ネット上で「お客さまには多大なご心配とご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございません」とコメントしました。

取得した人がどうなるか分かりませんが、先日の件もそうですが、こういうことがあると、取引をしてよいのだろうかと不安に思ってしまいますね。
きちんと取引の仕組みなどを確立したうえで、システムの構築をして、こういうことがないようにしてほしいですね。
そうしないと、仮想通貨は素晴らしいとは思いますが、信用をどんどん失って行くと思いますので。

「Zaif」のシステム異常で仮想通貨をゼロ円で販売できたことについて、どう思われましたか?


日本株は予想重視ではなく決算後に買え!

2018年02月20日(火)

決算発表で企業業績の実績を確認してから投資する方がパフォーマンスが上がりやすいという構造変化が日本株市場で起こっているようです。
規制の影響でアナリスト予想の正確性が落ち、世界景気の好調さなどを背景に企業業績の実績値は着実に拡大が続いているからです。
「思惑で買って、事実で売れ」との相場格言は過去のものになるかもしれません。

先日も「実績重視」を感じさせる銘柄がありました。
前週末発表の2017年4~12月期決算で純利益が前年同期比で47%増と大幅に拡大したファナックです。
寄り付きから買い注文を集め、朝方には一時5%高まで上昇しました。

ファナックは四半期受注高を公表し、業績の予想が容易なため、好決算でも「材料出尽くし」として売られやすい銘柄だとされています。
しかし今回は、「業績の好調さが確認でき、まだ弱気になる必要はない」(アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之氏)との受け止めが優勢だったようです。

「予想重視」が従来の常識でした。
証券アナリストの予想を織り込む形で業績拡大が期待される銘柄は先んじて買われてきました。
そうなると、決算内容が予想通りでも「驚きはない」として利益確定売りに押されやすくなります。
実際、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の分析によると、2008年以降、アナリスト予想をもとに先回りで投資すると高い運用成績を上げてきました。

ところが、2017年は、実績重視で「決算後に買う」方が運用成績がよくなるという変化が生じました。
具体的には、発表された四半期決算で増益率の高さなどがはっきりした好決算銘柄を買い、低調な銘柄を売る戦略だ。特に10月下旬から11月の決算発表シーズンで運用成績のよさが顕著でした。

背景には2つの環境変化があるようです。
まず1つめは、円相場とアメリカ長期金利の安定です。
実績重視の投資法が高成績をあげた2017年3月から年末まで、円相場は7円程度の幅で安定的に推移していました。
将来の為替・金利動向に不透明感があれば、早めに利益を確定したくなるのが投資家心理です。
一方で、安定した環境下であれば、好業績企業が今後も好調を維持するとの見通しが成り立ちやすくなります。
2つめは、上場企業が一部のアナリストなどだけに業績動向を示唆するのを禁じた規制の影響で、事前に業績予想を立てるのが難しくもなりました。
この結果、アナリスト予想の上方修正や下方修正といった短期的な情報の価値が低下し、「実績を見てから買う投資行動になりやすくなった」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏)。

2018年に入っても、投資家の間で「為替・金利の安定」という前提条件は崩れていません。
ピクテ投信投資顧問の松元浩氏は、「円相場が108円台をつけたといっても、17年の変動幅の範囲。為替よりも景気拡大の持続性が重要な局面」と指摘しています。
アメリカの税制改革による需要の押し上げなどを理由に、日本株に強気な姿勢を続けています。
実績重視の投資行動が定着したとすれば、決算発表シーズン終了後に買いが優勢になる展開も期待できそうです。

証券アナリストも、AIに取って代わられる代表的な職業だと思いますので、厳しい時代になってきたなぁと改めて感じました。
我々、公認会計士や税理士も、AIに取って代わられる代表的な職業ですので、差別化を図ってずっと生き延びていきたいですね。

日本株は予想重視ではなく決算後に買えという構造変化が起きていることについて、どう思われましたか?


森友学園との交渉の関連文書である「照会票」や「相談記録」などを開示!

2018年02月14日(水)

学校法人「森友学園」(大阪市)が大阪府豊中市の国有地を評価額より大幅に安く取得した問題で、財務省近畿財務局が学園への売却を検討した際に作成した内部文書を保管していたことが、先日、分かったようです。
これまで同省は「交渉記録は廃棄した」と説明していました。
同省担当者は「近畿財務局内での問い合わせと回答内容を記載したもので、学園との交渉記録には当たらない」としています。

国に情報公開請求し、開示を受けた上脇博之神戸学院大教授が明らかにしたものです。
開示されたのは、近畿財務局が2015~2016年度に作成した文書で、財務局の売却担当者から法務担当者への質問を記した「照会票」や回答をまとめた「相談記録」などです。

文書には、学園側が国有地から新たにごみが見つかったとして「土地を安価に買い受けることで問題解決を図りたい」と提案し「無理であれば事業を中止して損害賠償請求をせざるを得ない」などと主張したと記載されています。

売却担当者は法務担当者に「法的にどういう責任を負担することになるのか」と照会し、法務担当者が「速やかに方針を決定し、方策を講じることが望ましい」と回答した経緯も記されていました。

大半の文書で、事案概要などとして学園の主張や交渉経緯が説明され、学園側が「(国有地を)買い受ける場合、損害賠償請求などは一切行わない」と約束したことも記載していました。

これが交渉記録なのか交渉記録ではないのか分かりませんが、あれだけの問題になったわけなのですから、国会の場などで自ら明らかにすべきだったのではないかと思いますね。
そうしないと、今後も『廃棄した』と言えばいいということになりかねないのではないでしょうか?

森友学園との交渉の関連文書である「照会票」や「相談記録」などが開示されたことについて、どう思われましたか?


国土交通省が公用メールを1年で自動廃棄!

2018年02月06日(火)

省庁で利用が急増している公用電子メールについて、国土交通省は2月から、送受信後1年が経過したものをサーバーから自動的に廃棄することを決めたようです。
保存が必要な公文書に該当するメールは職場で保存するよう指示しましたが、廃棄可能なメールとして、国会議員からの説明要求の連絡文書などを挙げています。
専門家は「政策の検証に必要なメールが消去される」と懸念しているようです。

毎日新聞が入手したメール管理指針案や国土交通省の説明によると、国土交通省は昨年、自動廃棄の方針を職員に伝えたうえで、今年1月末までに保存期間が1年以上の公文書に該当するメールをデータファイル化し、共有フォルダーなどに保存・登録するよう指示しました。
登録手続きをしないメールは、サーバーから自動廃棄された時点で見られなくなります。

公文書に該当する場合でも、官僚の裁量で重要性が低いと分類されれば保存期間は1年未満となるようです。
指針案は保存期間1年未満のメールについて、職員間で共有する必要性が高いものを除いて廃棄するよう求めました。
廃棄可能な例として、国会議員からのレクチャー要求の内容を記載した連絡文書、会議や国会議員への説明の日程調整のためのメールなどを挙げています。

指針案には、廃棄可能なメールが「(情報公開の)対象になり得ることに留意する必要がある」と記されているようですが、国土交通省関係者は「職員にまずいメールは捨てろというふうに受け止められかねない」と話しているようです。

森友学園問題や南スーダンPKO日報問題では、政府が「保存期間1年未満」との理由で文書を廃棄したと説明していますが、1年未満の文書の定義があいまいだと批判が出ていました。
国土交通省は、森友学園への国有地売却の事務手続きを担当していました。

国交省はメールを自動廃棄する理由について、政府の公文書管理のガイドラインが改正され適正な管理が求められたことや、サーバーの容量確保の必要があるためなどと説明しています。
廃棄可能なメールは、紙であっても保存期間1年未満のものだとしています。

NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、『メールが自動廃棄されれば、本来なら公文書として保存すべきものまで消えるのは確実だ。メールを選別して保存するには手間もかかるし、どのメールを保存するかの判断は個々の官僚の能力や意識、職場の文化によっても異なる。導入すべきは、重要なメールを確実に保存させるシステムと言える。国交省は森友学園問題に関するような都合の悪いメールを大量に廃棄してしまおうとしていると疑わざるを得ない。』と話しています。

森友問題で、現国税庁長官である佐川氏の発言が、国民の方々に不信感を抱かせたと思っています。
そのような中で、国土交通省のこのような方針は、『都合の悪いメールを大量に廃棄してしまおうとしている』と思われても仕方ないと思いますし、ますます国民の不信感を助長させるのではないでしょうか?
公務員も高い給料をもらって働いているわけですから、責任感を持って仕事をして、問題があれば隠すのではなく、きちんと責任を取って欲しいですね。

国土交通省が公用メールを1年で自動廃棄することについて、どう思われましたか?


月面探査レースに参加しているHAKUTOが3月末までの打ち上げを断念!

2018年01月17日(水)

ショックなニュースがありました。
アメリカのグーグルが支援するXプライズ財団が主催する月面探査レースに参加しているHAKUTO(ハクト)の袴田武史代表が、先日、東京都内で記者会見し、当初レースの期限とされた3月末までの打ち上げを断念すると正式に発表しました。
今後は財団側にレースの期限延期を打診するなどして、3月以降での月面到達を目指すそうです。

「Xプライズ財団に期限の延期を要望している。すでにコミュニケーションは取り始めた」。会見で袴田代表は硬い面持ちでこう話しました。
HAKUTOは、月面探査スタートアップのispace(東京・港)が中心となって結成された月面探査レースのプロジェクトチームで、KDDIやスズキなどが支援しています。

インドの探査チーム「チームインダス」が開発する月面着陸機に相乗りし、インドのロケットPSLVで打ち上げて月を目指す計画でしたが、チームインダス側とロケットを打ち上げるインド宇宙研究機構(ISRO)との交渉が難航し、3月末までの打ち上げが不可能になったそうです。
「資金難と開発の遅れが原因だと推測している」(HAKUTO関係者)ようです。

月面でのレースにはHAKUTOを含め、世界各国の5チームが月を目指していましたが、現時点で各チームとも打ち上げ日程が明確になっていません。
期限が3月末に迫っており、月面での探査機の走行などの期間が必要なだけに、各チームとも瀬戸際のスケジュールです。
財団としても、期限を延期できなければ勝者が決まらない可能性もあります。
HAKUTOは、「延期の可能性はある」(袴田代表)と見て、交渉を続けるようですが、先行きは不透明なままです。

スタートアップによる宇宙への挑戦は、外的な要因で困難になることが多いようです。
2017年11月にも、宇宙ゴミ(デブリ)回収スタートアップのアストロスケール(シンガポール、岡田光信最高経営責任者=CEO)が打ち上げたデブリ観測衛星も、ロシアのロケット打ち上げの失敗の影響で失われました。
「もらい事故」の様相も否めませんが、衛星や探査機の開発は膨大な資金がかかるため「運が悪かった」では片付けられないでしょう。
HAKUTOは今後もチームインダスが打ち上げるロケットに相乗りする方向で進めていくそうです。

HAKUTOの中心を担うispaceは、2020年までに月面着陸ができる探査機の打ち上げを計画しています。
HAKUTOの取り組みとispaceの計画は直接関係しませんが、ispace単独での探査を前に、月面探査の技術的な実証を済ませておきたいという狙いもあったようです。

袴田代表は「チャレンジをあきらめたわけではない。ハクトは7年間やってきていろんな困難があったが一歩ずつ前進することで乗り越えてきた。大きな山だが、必ず解決したい」と話しました。

年明けに、テレビでHAKUTOのことをやっていて、日本にもスゴいことをやっている会社があるんだなぁとか、優勝賞金が2,000万ドル(約22億円)なんてグーグルってやっぱりスゴいなぁとか、元ヤンキーの開発者もいるんだぁなどと思っていただけに、非常にショックです。
他の国にも頑張って欲しいですが、HAKUTOを応援しているので、期限が延期になって欲しい気はしますね。

月面探査レースに参加しているHAKUTOが3月末までの打ち上げを断念したことについて、どう思われましたか?


立憲民主党代表の枝野氏が佐川国税庁長官に「確定申告前にけじめを!」

2018年01月15日(月)

『森友学園問題は(国有地売却額の)値引きが不正・不当であったことの結論は出ていますので、しっかりと「けじめ」をつけてほしい。』と、立憲民主党代表枝野幸男氏が、先日、発言したようです。

『まず国会でおかしな説明をしていた人(佐川宣寿〈のぶひさ〉・前財務省理財局長)がいま国税庁の長官をしている。これから確定申告だが、全国の税務署の職員は気の毒だ。トップがいい加減な説明で、捨てちゃいけない書類を捨てておいて、(納税者側から)「こんな小さなお金の書類がないといって何を言っているんだ」と確定申告の窓口で様々な声が上がってくるのではないか。その前にしっかりとけじめをつけていかないといけない。』と、NHKの番組で発言しています。

特に、枝野氏を支持しているわけではありませんが、おっしゃるとおりかと思います。
税理士向けの新聞に、日税連会長と国税庁長官の対談の記事が載っていましたが、きちんと表に出てきて話をして欲しいものですね。

立憲民主党代表の枝野氏が佐川国税庁長官に「確定申告前にけじめを!」という旨の発言をしたことについて、どう思われましたか?


森友学園の撤去ごみは100分の1!

2018年01月12日(金)

学校法人「森友学園」が大阪府豊中市の国有地を小学校建設用地として格安で取得した問題で、国土交通省大阪航空局は、先日、建設用地から実際に撤去したごみが、算定の100分の1に当たる194トンだったと明らかにしました。

国は、撤去すべきごみの量を1万9,500トンと算定し、土地売却額を約8億円値引きしており、値引きした根拠がより揺らぐことになりました。

森友、加計学園の疑惑を追及する民進党調査チームの会合で、大阪航空局の担当者は、「まだ学園内に積まれたごみもあるが、最終処分場で処理したごみは非常に少ない。」と言っているそうです。

早く、佐川宣寿国税庁長官に、記者会見して説明して欲しいものですね。
あとは、8億円を、当時の国土交通省大阪航空局の方々に弁償してもらいたいですね。

森友学園の撤去ごみは100分の1だったことについて、どう思われましたか?


金融庁職員が天下り斡旋!

2018年01月05日(金) 

金融庁の発表によると、金融庁職員が天下り斡旋をしていたようです。

 2017年1月、内閣官房内閣人事局が再就職等規制に関する全省庁調査を実施した結果、同局から再就職等監視委員会に対して規制違反の疑いのある27事案の報告が行われた。
 この報告を受けて再就職等監視委員会が調査を実施した結果、金融庁職員の再就職等規制に違反する行為が認められた。
 本件に係る事案の概要及び当庁の対応は、下記のとおり。

                        記

1.事案の概要
室長級職員Aは、
①平成28年、法人Bに再就職していた元職員Cの求めに応じ、同人を介して、法人Bに対し、職員Dをその離職後に法人Bの地位に就かせることを目的として、職員Dの退職時期に関する情報を提供した。
②平成28年、元職員Eの求めに応じ、同人を介して、法人Fに対し、職員Gをその離職後に法人Fの地位に就かせることを目的として、職員Gの略歴書の提供及び再就職意思の伝達をして各情報を提供した。
こうした行為は、国家公務員法第106条の2第1項に違反する行為であったと認められた。

2.関係者の処分
 職員Aを国家公務員法第82条第1項に基づく懲戒処分として、3月間俸給の月額の10分の1を減額する。なお、職員Aは、処分と同時に総務企画局付へ異動させた。
 また、職員Aの上司である課長級職員(当時)については、部下職員に対する管理監督責任があったとして、内規に基づく処分である「訓告」を行った。

3.再発防止策
 本件の背景には、職員及び金融庁OBの再就職等規制に関する適切な認識が欠けていたことがあるため、本件のような違反行為が再び行われることのないよう、全職員に対して、改めて再就職等規制の周知・徹底を図る。特に、OBから再就職に係る情報提供等の依頼を受けた場合にはそれに応じてはならない旨を徹底する。また、OBに対しても、改めて再就職等規制の周知・徹底を図る。

4.金融庁による調査
 今後、当庁においては、上記2事案以外にも他に違反行為がないか全容を解明するため、外部の法曹資格者を含めるなど適切な人選の調査体制を整備し、徹底した調査を行う。

(注)当庁は、再就職等監視委員会から、金融庁職員に係る上記2事案を調査する過程で当該2事案以外にも再就職等規制違反行為を行った疑いがあるとして国家公務員法第106条の18第1項に基づく調査(任命権者調査)を行うよう求められている。

一般企業でこのような問題が生じた場合、株主等に対する謝罪の言葉などがあると思いますが、金融庁の場合、ないんですね。
この辺りが、悪いことをしているという意識に欠けているという感じがしてなりません。
また、元職員に対する何らかの処分はできないのでしょうか?
当然、優秀な方が民間授業などに行くことを否定するつもりはまったくないですが、天下り問題は、本当にどうにかして欲しいですね。
あとは、金融機関や監査法人などを検査している金融庁がこういうコンプライアンスを無視した行為をしていると、こういう組織が検査する組織に値するのかと思いますね。

金融庁職員が天下り斡旋をしていたことについて、どう思われましたか?

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波乱の日本公認会計士協会の会長選はサステナ推進に中小そっぽで初の大手以外!

日本経済新聞によると、日本公認会計士協会の新会長に仰星監査法人の南成人氏が就きます。

2006年以降で準大手や中堅監査法人から選ばれるのは初めてです。

「予想外」の結果になった背景には、サステナビリティー保証などを巡り、大手とそれ以外で温度差があったとの声が多いようです。

公認会計士の業務は多様になっており、これまで以上に難しいかじ取りが求められます。

「驚いた。会長のイスは大手で持ち回りと思っていた」(大手監査法人パートナー)と、次期会長選考の結果は公認会計士業界に驚きをもって受け止められました。

立候補したのは仰星監査法人理事の南氏と、あずさ監査法人専務理事の小倉加奈子氏の2人で、前評判では小倉氏が有利とみられていたようです。

日本公認会計士協会は法律で設立が義務付けられています。

「公認会計士の業務について調査研究を行い、必要に応じて官公署に建議または諮問に応ずること」などと事業内容も定められています。

「ビッグ4」と呼ばれる四大監査法人の体制になった2006年以降、会長は四大法人の出身者が占め、現在の茂木哲也会長はEY新日本監査法人の出身です。

会長は会員の投票ではなく、推薦委員と呼ばれる代表者16人の投票で決まります。

16人の内訳は会計士協会の役員7人、各地の会員が所属する地域会が推薦する7人、学者など外部委員の2人です。

2025年4月の選挙では南氏が11票、小倉氏が5票を獲得し、南氏に軍配が上がりました。

準大手から会長が選ばれた背景を探ると、会計士の業務が多様化し、協会が取り組むべきテーマが広がってきていることがあります。

ある会計士は「『サステナ推進の小倉』と『中小支援の南』の争い」と評しています。

あずさ監査法人の小倉氏が重点的に主張したのはサステナ開示保証の制度化と、それに伴う法改正対応です。

仰星監査法人を小規模法人から準大手に成長させた南氏は中小への支援などを訴えました。

国内では2027年3月期から時価総額3兆円以上の東証プライム上場企業を対象にサステナ情報の開示が必要になり、翌年度から監査法人などによる保証も義務化される方向で議論が進んでいます。

報酬は現行の3割程度が目安とされ、監査法人には新たなビジネスチャンスになる一方で、システム投資や人材育成も必要になります。

3兆円以上の大企業の会計監査は大手監査法人の独壇場で、サステナ保証の「恩恵」を受けるのは当面、大手が中心になる見通しです。

金融庁は段階的に時価総額基準を引き下げプライム全社に広げる方針ですが、企業側の負担増加に加え、アメリカ発の「反ESG」の潮流もあり、どこまで対象が広がるかは不透明です。

こうした中で中堅・中小にはサステナ保証は「大手の話」と映ったようです。

中堅のふじみ監査法人の山田浩一理事長は「中小法人にとってサステナ保証の対象になるのは仮に基準が下がっても数社あるかないかだ。システムや人材教育にそこまで投資できない」と話しています。

「サステナ保証」への支持が広がりを欠いた要因は監査業務で大手監査法人のシェアが低下し、準大手や中堅の存在感が増していることもあげられます。

公認会計士・監査審査会によると、大手法人所属の会計士の比率は10年で4割から3割に低下しました。

経理や経営企画など企業内で働いたり、税理士業務で生計を立てたりする会計士にとっても喫緊の課題ではありません。

ある日本公認会計士協会の幹部は「多くの会員にとってサステナ保証は優先順位が低く、全体のニーズに満たないと判断されたのだろう」とみています。

大手監査法人に所属しない公認会計士の代弁者として期待が高まる南新会長ですが、協会運営は容易ではありません。

「公約」の中堅・中小への支援を強化しつつ、迫るサステナ保証への対応は必要です。

青山学院大学の八田進二名誉教授は「選出は、地方や中小などに光が当たっていないとの意思表示だった。運営には大手の協力が不可欠だ」とクギを刺しています。

新会長就任は7月23日付を予定しています。

一部には「準大手出身で会長が務まるのか」と冷ややかな見方もあるようです。

南氏は公認会計士受験予備校の「名物講師」だった顔も持っています。

大手監査法人の公認会計士にも「南先生の授業を受けた」という人は多いようです。

地域や規模を問わず気脈を通じる強みを生かして実績を重ねる必要があります。

日本経済新聞は、7月23日付で日本公認会計士協会の会長に就任する南成人氏に立候補した背景や任期中の抱負を聞いています。

――会長選に立候補された理由は何ですか。
「監査法人の経営をしながら会計士協会の仕事を20年近くやってきた。経営の方は達成感がある一方で、業界内の課題を感じることが増えた。一番は若い会計士が監査法人に入って作業に追われ、経営への助言など仕事に魅力を感じる前にやめてしまうことだ。若い世代に魅力ある業界にしていきたい」

――会長選はどのように臨みましたか。
「16人の推薦委員の前で2回のプレゼンと質疑応答の準備を進めた。現在、協会では副会長として中小支援や地域活性化などを担当している。それ以外の施策も考えないといけない。業界の課題を関係者にヒアリングしながら準備を進めた」

――どういった点が推薦委員から評価されたと思いますか。
「監査において社会から信頼され、若い世代がやりがいを感じてもらえる業界をつくりたいと訴えた。サステナ保証など新しい領域で会員が活躍する仕組みを整え、社会の信頼を得るとの点に共感していただいたのではないか」

――会計士協会の会長就任後、どんなことに取り組まれますか。
「魅力ある業界にしていくために、十分な監査時間の確保が必要だ。有価証券報告書の株主総会前開示が政府から要請されたが、大幅な前倒しは現状では難しい。しっかり時間を確保できる制度設計を協会としてもお願いしていく。並行して監査調書の電子化や人工知能(AI)を活用した監査の効率化も進める」

「中小法人については監査品質を底上げしていかないといけない。公認会計士・監査審査会の検査に基づく総合評価は大手と準大手・中小で差がある。5段階評価で上から3つ目以上の評価を得ることを全法人に求めたい。相当厳しいが、言っていくつもりだ」

「地域も活性化していかないといけない。非監査法人所属の会員が全体の6割で税理士や社外役員などで生計を立てている。成長するための研修や業務領域を増やす取り組みを進める。監査法人を離れると個の世界に入りがちだ。成功事例など暗黙知を共有するためのネットワーキングの機会を提供したい」

――サステナ保証は従来より優先順位が下がるのではとの見方もあります。
「(優先順位が)下がることはない。サステナ保証は時価総額5,000億円以上のプライム上場企業で30年3月期からとロードマップが敷かれている。その先はどうなるかわからないが、仮にプライム全体に広がる場合、まだ時間的に余裕があり、中小法人を含めて対応できると考えている。業界として教育制度を整えていきたい」

日本公認会計士協会四国会の総会には、毎年、茂木会長は来られていましたが、僕も個人的には、監査法人関係の話ばかりしていて、監査法人に属していない公認会計士のことは重視されていないのではないかと思っていましたので、南次期会長には期待したいと思います。

南次期会長も監査法人の人なので、監査法人に属していない人のことを本当に分かるのだろうかという気はしますが。

波乱の日本公認会計士協会の会長選はサステナ推進に中小そっぽで初の大手以外から選出されたことについて、あなたはどう思われましたか?


真の勝者はMLBの会計士?

RONSPOによると、メジャーリーグ機構はドジャースとカブスの東京ドームでの開幕シリーズがメジャー史上最大の単独国際イベントとなったことを発表しました。

ドジャースの大谷翔平(30)選手ら日本人メジャーリーガー5人が出場した今回のシリーズの視聴者数、グッズ販売数、観客動員数でメジャーの新記録を樹立しました。

アメリカのメディアは「真の勝者はメジャーリーグの会計士だ」と皮肉っています。

“MVP男”大谷選手が凱旋帰国した東京シリーズは記録づくしの大成功に終わりました。
史上初の日本人同士の開幕対決となった山本由伸選手と今永昇太選手が投げ合い、大谷選手が2安打2得点をマークして、ドジャースがカブスに4-1で勝利した開幕戦の日本での平均視聴者数は、2,500万人以上で、国際イベントでは過去最高だった昨年のドジャースとパドレスの韓国シリーズの1,870万人を600万人以上も上回ったのです。
マリナーズのイチローの引退試合となった2019年のマリナーズとアスレチックスの東京シリーズの開幕戦の560万人に比べると1,900万人以上も多かったそうです。
全米での過去最高記録である2017年のワールドシリーズ第7戦、ドジャース対アストロズの2,820万人には届かなかったですが、2位の記録だった2019年のワールドシリーズ第7戦、アストロズ対ナショナルズの2,300万人を上回りました。
大谷選手が今季1号を放ちドジャースが連勝した第2戦も2,300万人以上の視聴者数を記録しました。

また、ドジャース対巨人のエキシビションゲームも1,800万人の平均視聴者数を記録し、これは全米で最も視聴されたMLBのエキシビションゲームとなりました。

ドジャース対阪神の平均視聴者数も1,230万人でした。
時間帯が悪かったアメリカでの視聴者数も大成功でした。

シカゴで午前5時、ロサンゼルスで午前3時に試合が始まりましたが、開幕戦がFOXで平均83万8,000人の視聴者を記録し、アジアで行われた開幕戦としてはMLB史上最高記録を更新しました。

昨年の韓国シリーズでの平均視聴者数35万人を139%上回っています。
グッズ販売も史上最大の売り上げを記録しました。

Fanatics社によると、総売り上げは4,029万ドル(約60億円)にのぼり、同社の最高記録となりました。

東京ドームの場外に設置された巨大なオフィシャルストアには、140台のレジが設置され、1時間あたり平均1,000件以上の取引があり、50万以上の商品が販売されました。

最も売れたのは東京シリーズのワッペンが貼られた大谷選手のユニホームでした。

また、ネットで販売されたアーティストの村上隆氏とコラボした東京シリーズのユニホームは、発売開始1時間で在庫がなくなったそうです。

約60億円の売り上げは、国際イベントでは過去最大だった2024年のロンドンシリーズを320%も上回り、全米で最もグッズ売り上げのあった2022年のロサンゼルスでのオールスター戦ウイークの数字も105%上回っています。
トレーディングカードのTOPP社も、特別に「TokyoSeries MegaBox」を販売しました。

これも大ヒットで1週間で1万2,000箱を販売し、約20万人が楽しんだそうです。
また、観客動員も、阪神、巨人のエキシビションゲーム4試合と開幕2試合を合わせた6試合で計25万2,795人を数えました。

Mastercardのチケットの先行販売では、38万人以上が同時に殺到しました。
さらに、東京スカイツリーなど東京ドーム以外の各所でファンフェスティバルも行われ、12日間で45万人以上のファンが集まりました。
SNSやネットの世界も席巻しました。

MLBの公式アカウントに投稿された動画コンテンツは、計8,807万回も再生され、昨年の韓国シリーズに比べて75%増でした。

SNSの関連コンテンツのインタラクションは、917万回で、これも韓国シリーズの50%増でした。

今回は、MLBアプリ内で初めて日本語のコンテンツが公開されたことで、期間中のアクセスが急増したのです。

アプリへのアクセス数は、平均的な春季キャンプ時に比べて約2倍になっています。
スポンサー収入も記録を更新しました。

今回は23社のスポンサーが全国各地で活動を展開しました。

MLB公式サイトは、各社の広告企画を紹介しています。

セブンイレブンは全国2万2,000以上の店舗でプロモーションを行い、日本航空は大谷とMLBのロゴが描いたドリームショウジェットを運航し、チケットプレゼント企画を実施して27万人以上の応募者があったそうです。

アサヒビールは、東京シリーズの記念のビール缶を200万本以上製造し、チケットプレゼント企画には、44万8,000人が応募したそうです。

スポンサー収入は、これまで最多だった2024年の韓国シリーズを240%上回りました。
アメリカのスポーツサイトの「エッセンシャリスポーツ」は「ポケモンや鬼滅の刃などの人気アニメメシリーズとコラボしたファンイベントもたくさんあった。試合だけでなくMLBと日本の野球の絆が強まった。東京シリーズは、単なる野球の試合ではなく、スポーツマーケティング、文化融合、経済的成功の特別な舞台だった」と、東京シリーズの成功を評価した上で、こう皮肉ることを忘れていませんでした。
「MLBは野球だけのために活動しているのではなく収益のために活動している。この傾向が続けば真の勝者はMLBの会計士になるのかもしれない」

会計士が儲かるのかどうか分かりませんが、マーケティング会社やコンサルティング会社とかと契約していて、結構な報酬を支払っているんでしょうね。

皮肉られるほど日本が熱狂したのだと思いますが、やはり、大谷選手をはじめ、たくさんの選手がメジャーリーグで主力として活躍していることやWBCなんかが影響しているんでしょうね。

それを考えると、野茂選手やイチロー選手たちが築いてきた道が素晴らしかったんだなぁと改めて感じました。

真の勝者はMLBの会計士?について、あなたはどう思われましたか?


インボイス制度開始で8割超の公認会計士や税理士の業務量が増加!

2024年04月26日(金)

TECH+によると、freeeは2024年4月11日、公認会計士や税理士を対象に実施した、インボイス制度と電子帳簿保存法対応に関するアンケート調査の結果を公表しました。

インボイス制度開始によって80.6%の公認会計士や税理士は業務量が増えたことが明らかになりました。

このレポートは、freeeが2024年2月22日〜3月1日、公認会計士または税理士196人を対象にWEBアンケート方式で実施したインボイス制度と電子帳簿保存法対応に関する調査の結果に基づいています。

インボイス制度対応は業務量に影響をおよぼしたか尋ねると、「20〜39%増えた」が36.2%、「1〜19%増えた」が31.1%、「変わらない」が18.9%「40%以上増えた」が13.3%、「減った」が0.1%の回答となっています。

全体の80.6%がインボイス制度対応で業務量が増えたと回答しました。

インボイス制度対応のために顧問料を値上げしたか質問すると、「行っておらず、検討もしていない」が41.8%、次いで「行ってはいないが、検討している」が32.7%、「行った」が20.9%、「その他」が4.6%となり、インボイス制度対応を目的とした値上げは現状74.5%が行っていませんでした。

インボイス制度対応のために従業員を増員したかという問いには、「行っておらず、検討もしていない」が85.2%、次いで「行ってはいないが、検討している」が12.2%、「行った」が1.5%、「その他」が1%と、従業員増員は行わず現状維持で対応する事務所がほとんどでした。

また、電子帳簿保存法対応は業務量が増えたか聞くと、「変わらない」が46.9%、「1〜19%増えた」が32.1%、「20〜39%増えた」が15.3%、「40%以上増えた」が4.1%、「その他」が1.5%と、電帳法対応で業務量が増えた先は半数を超えることがわかりました。

今後新たに生じる制度対応に不安はあるか尋ねると、「少しある」が41.3%、「大いにある」が24.5%、「ある」が19.4%、「全くない 」12.2%、「その他」が2.6%で、85.2%が将来の制度変更対応に関して不安を感じていることが明らかになりました。

記帳代行を基本的にやっていない弊事務所でも、グダグダの電子帳簿保存法はともかく、インボイスは質問対応を含めて業務量は増加しています。

そして今年は、定額減税で業務量が増えることが明らかです。

個人的には、賃上げと言っている割に、一方で収益を生まないような業務を増やしているので、時間やコストが増加しているのは明らかなので、業務量が増加した事業者や会計事務所に、1人当たりいくらとか税額控除してくれるような仕組みを作ってほしいなぁと思います。

インボイス制度開始で8割超の公認会計士や税理士の業務量が増加していることについて、あなたはどう思われましたか?


公認会計士のマネロン対策が厳格に!

日本経済新聞によると、政府は2024年4月から司法書士や公認会計士に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)対策を厳しくするように求める見通しです。

顧客となる企業や個人に、取引目的や職業を確認することを義務付け、疑わしい取引は行政に報告することを課します。

改正犯罪収益移転防止法の施行に伴うもので、対象は司法書士や行政書士、公認会計士、税理士といった士業になります。

これまでは氏名や住居、生年月日など顧客の基本情報を確認する義務が課されていました。

今後は本人確認以外に、取引を行う目的、職業・事業内容も確認します。

法人の場合は、実質的支配者の確認も求めます。

すでに義務化している金融機関と同様の内容を求めることになるのです。

行政書士、公認会計士、税理士には新たに「疑わしい取引」の届け出義務を課します。

顧客から得た収益が犯罪による収益である疑いがあると判断した場合に、所管行政庁に速やかに届け出ることを義務付けます。

200万円を超える取引は、資産や収入の状況も確認します。

公認会計士は顧客の会社設立の手続きを行うことがあります。

例えば、事業実態のないペーパーカンパニーは、資金洗浄に使われる可能性があります。

こうした場合は「疑わしい取引」として届け出対象になることが想定されます。

マネロン対策を強化する背景には、特殊詐欺などが増え、犯罪者の資金源となっている可能性があるからです。

警察庁によると、2022年には特殊詐欺の被害額が8年ぶりに増加し、2023年も11月末時点で2022年を上回る被害額となりました。

クレジットカードの不正利用被害額も2022年には約437億円にのぼり、過去最悪を更新しました。

テロ資金などを警戒する国際社会からの圧力も強まっています。

各国・地域のマネロン対策を調べる国際組織「金融活動作業部会(FATF)」が2021年に公表した第4次審査の結果で、日本は実質的に不合格を意味する「重点フォローアップ国」という評価を受けたのです。

なかでも士業や非金融機関は「マネロン対策への理解が不十分」「その監督当局もリスクベースによる監督を実施していない」など厳しい評価を受けました。

数年後に控える第5次審査では士業・非金融機関への審査が強化される見込みです。

士業の一つである公認会計士を所管する金融庁は、公認会計士と監査法人を対象に改正犯収法施行に伴う実務上の新たな指針を2024年3月末までに示すようです。

指針案によると取引目的や職業などの確認義務の対象業務は、財務に関する相談業務に付随した会社設立の手続き時などになる見通しです。

金融庁は新たな指針をもとにモニタリングも行います。

問題が見つかれば犯収法に基づき報告徴収や是正命令を出すことも視野に入れています。

マネロン対策は預金を扱う大手銀行や地域金融機関にとっても喫緊の課題です。

金融庁が2021年から金融機関にマネロンに関する体制整備を要請していました。

80超の項目を並べて対応を求めており、2024年3月末は対応完了の期限となります。

金融庁や財務局は、各地域でマネロン担当役員を対象としたフォーラムや勉強会を開いて対応を促します。

金融庁は2024年4月以降、指針に関する不備がある金融機関には業務改善命令などの行政処分を出すことも辞さない構えです。

公認会計士も、マネロンに関する対応が必要な時代なんですね。

それだけ、特殊詐欺などが増えているということなんでしょうけど。

公認会計士のマネロン対策が厳格になることについて、あなたはどう思われましたか?


PwCあらたとPwC京都が合併して「PwC Japan有限責任監査法人」へ!

LIMOによると、PwCあらた監査法人(以下「あらた」という)とPwC京都監査法人(以下「京都」という)は、2023年12月1日付で合併すると発表しました。

あらた・京都ともに4大国際会計ファーム・コンサルティングファーム(Big 4)の一つである「PwC(PricewaterhouseCoopers、プライスウォーターハウスクーパース)」のメンバーファームです。

監査法人とは、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明を組織的に行うことを目的として、公認会計士法第34条の2の2第1項によって、公認会計士が共同して設立した法人のことです(公認会計士法第1条の3第3項、第2条第1項)。

一般的には、上場している企業の決算を監査する、公認会計士資格を持つ者が所属する組織と言われます。

実際は、上述の法定監査以外にも、「任意監査」「決算早期化支援」「経理・財務に関する相談業務」「コンサルティング業務」など多くの業務を行っています。

そのため、社員も公認会計士資格者のみで組織されているわけではなく、様々なバックグラウンドを持った者が在籍しています(法律上、公認会計士でない社員の割合は決められています)。

国際会計ファーム・コンサルティングファームとしては大規模グループが存在し、
・Deloitte Touche Tohmatsu(デロイト トウシュ トーマツ)
・EY(Ernst & Young、アーンスト&ヤング)
・KPMG
・PwC(PricewaterhouseCoopers、プライスウォーターハウスクーパース)
の4グループ(順不同)が「Big 4」と呼ばれます。

「Big 4」それぞれのメンバーファームが日本国内にも存在し、4大監査法人と呼ばれており、以下のとおりです。
・有限責任監査法人トーマツ(デロイト)
・EY新日本有限責任監査法人(EY)
・有限責任あずさ監査法人(KPMG)
・PwCあらた有限責任監査法人(PwC)

2023年6月1日、あらたは京都との統合に向けた協議を開始したと公表しています。
ともに同じPwCのメンバーファームであるため、Purposeも共通しています。

また、監査業界では、人的資本や気候変動対策を記載する、サステナビリティ関連開示情報の保証業務(著者注:「経理の状況」に対してと同様に何らかの保証をすること)を担うことが想定されることや、テクノロジーを用いた監査の更なる高度化が求められることなど、監査法人を取り巻く環境が大きく変化することが見込まれています。

両法人の強みを活かすことで、統合して規模を拡大することが高品質の保証サービスを提供できるとしています。

<各社概要>
●PwCあらた有限責任監査法人
・設立:2006年6月1日
・人員:3,006名(2023年6月30日時点)
・売上高:609億8,100万円(2022年7月1日~2023年6月30日)
・主要顧客:トヨタ自動車株式会社(東証プライム、7203)、ソニーグループ株式会社(東証プライム、6758)ほか、トヨタ傘下企業、ソニーグループ傘下企業など

●PwC京都監査法人
・設立:2007年3月19日
・人員:443名(2023年6月30日時点) ・売上高:69億9,000万円(2022年7月1日~2023年6月30日)
・主要顧客:KDDI株式会社(東証プライム、9433)、ニデック(旧:日本電産)(東証プライム、6594)、京セラ株式会社(東証プライム、6971)、任天堂(東証プライム、7974)

京都の主要顧客を見て、驚かれた方もいるのではないでしょうか?
準大手監査法人ながら、多くのグローバル企業の会計検査人を担当しているのです。

2023年12月より、4大監査法人の名称が変更となります。
17年の歴史がある「あらた」の名が消えて、「PwC Japan有限責任監査法人」となります。

僕は、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)の出身ですが、就職活動をしていた頃は、6大監査法人と言われていました。
・太田昭和監査法人(E&Y)
・中央監査法人(C&L)
・監査法人トーマツ(DTT)
・朝日監査法人(AA)
・センチュリー監査法人(KPMG)
・青山監査法人(Pw)
色々とくっついたり、離れたりで提携ファームが変わったり、この中にはカネボウ事件でなくなった監査法人もありますし、今でも名前が残っているのはトーマツだけですね。
『トーマツ』はあまり知られていないのかもしれませんが、実は、監査法人等松・青木・津田・塚田・青木・宇野・月下部事務所の『等松』なのです。
大手監査法人がくっついたり、離れたりするたびに、粉飾の歴史などを思い出しますね。

PwCあらたとPwC京都が合併して「PwC Japan有限責任監査法人」になることについて、あなたはどう思われましたか?


会計監査の現場離れ!

日本経済新聞に東京都立大学大学院の松田千恵子教授が以下のように、書かれています。記録的な猛暑とそれに続く豪雨などで体調を崩した人も多いでしょう。
新型コロナウイルスも相変わらず猛威を振るっています。
しかしながら、感染症法上の分類が「5類」に移行して以来、会食や旅行需要は相当回復してきました。

コーポレートガバナンス(企業統治)の世界でも、社外役員を含む現場視察やオフサイト、監査役員による現場実査などもコロナ前と同様に活発に行われるようになっています。
ただひとつ気になるのは、時たまささやかれる「会計監査のリモート化が戻らない」という点だそうです。

もちろん、多くの会計監査人は真摯に現場で業務を遂行しています。
移動にさしたる障害がなくなった今、リアルでの監査は通常のことでしょう。
しかしながら、コロナ禍で行われていたような、実地棚卸をスマートフォン越しに済ませるといったことも引き続きあるという声を時々耳にするようです。

リモートワークに異を唱えるつもりはありません。
むしろ、適宜活用して生産性を上げることは大事です。
会計など情報を扱う分野は、リモートワークとの親和性も高いでしょう。
ただし、率直に言えば、実地棚卸などを含む会計監査については、当然ながら現場をしっかり見てほしいというのが本音です。

ある監査法人の調査によれば「今後は不正リスクが高まる」と感じている企業の割合は2020年に59%でしたが、22年には64%へと上昇しました。
これまで現場のチェックや対面での状況把握が難しかったため、不正の芽が見えなくなっているのではという不安の表れとも言えるでしょう。

一般に、景気の先行きが不透明になれば、将来への不安や金銭面の困窮、ノルマ達成圧力の増大などにより、不正に走る動機は多くなります。
基本中の基本とも言える、「しっかりと現場を把握すること」の重要性を改めてかみしめるべき時機でしょう。

僕自身は、実地棚卸の本を出していますので、少し前に監査法人の後輩から棚卸の立会はZoomとかで現場でつないでやっていますと聞いて、コロナ禍とはいえ大丈夫なのだろうか?と思いましたが、やはり現場に行って現物を確認することが重要だと思いますね。
過去においても、棚卸を通じた粉飾がたくさんあり、会計監査人が基本的に必ずやらなければならないこととして、実査・立会・確認があるわけですから、実地棚卸の立会は必ず現場に行ってやってほしいですね。

会計監査の現場離れについて、どう思われましたか?


形式的な作業に失望し公認会計士の監査法人離れが進む!

日本経済新聞によると、財務諸表をチェックする会計監査の担い手不足が深刻になっているようです。
監査法人で働く公認会計士の比率は10年で10ポイント下がりました。
上場企業数や監査業務量が増え続けるなか、やりがいに乏しい形式的な作業に失望し、スタートアップやコンサルティング企業に転身する動きが目立っています。
資本市場の門番役を担う監査制度に、空洞化の危機が迫っています。

「お世話になりました」と、監査法人の年度末から初めにあたる6月から7月、大手法人幹部のメールボックスには所属公認会計士から届く離職のあいさつが引きも切らないようです。
「採用するのと同じ規模の人数がやめてしまう」と頭を抱えています。

公認会計士登録者は2023年3月末時点で3万4,436人と10年前から38%増えていますが、監査法人所属の公認会計士は1万3,980人と7%しか増えていません。
10年前に51%だった監査法人所属者比率は41%まで低下しました。

公認会計士は歴史的に流動性の高い職種です。
監査法人内でパートナーと呼ばれる役職者になれるのは同期の1割ほどで、経験を重ねつつ徐々に責任が重くなるピラミッド構造にあります。
入所10年程度で昇格するマネジャー職まで経験を積み、別の道を歩むのがかつての典型でした。

しかしながら、近年は離職する公認会計士が若手スタッフからパートナーまで全職階に広がりました。
「マネジャーまで頑張ろうと思っていたが、1年働くごとに気持ちが変わっていった」と、2021年8月に監査法人を去った20代公認会計士は吐露しています。

なぜなのでしょうか?
まず、「本当に意味があるのかと思う部分まで、全てをしゃくし定規に記録に残す」(30代公認会計士)監査業務への失望が挙げられます。
監査法人を退職した公認会計士約10人への取材で多く聞かれたのが、日本公認会計士協会が監査でやるべき手続きを定めた「監査基準委員会報告書」、通称「カンキホウ」への不満です。
元あずさ監査法人所属の40代独立公認会計士は「(報告書では)形式的で膨大な作業が積み上がっている」と明かしています。

東芝や英カリリオン、独ワイヤーカードなど、世界的に大きな会計不正は絶えず、発覚の度に監査法人に批判の矛先が向きました。
国際的な監査基準の要求事項は上乗せされ、監査法人も所属公認会計士に、規制当局から責められないように実施手続きを監査調書に細かく記録するよう求めたことも形式化に一段と拍車をかけています。

前出の20代公認会計士は「労働時間の概念を取っ払って大量のチェック項目をつぶすことが生きがいなのか、自問した」と話しています。
監査法人トーマツパートナーを経て早稲田大学会計大学院で教える林敬子教授は「(若い公認会計士に)回り道したくないという意識が強まっている」と指摘しています。
成長に寄与しない業務を避ける構図が、監査法人離れの背景にあるようです。

全体の業務が増える一方、近年は若手スタッフの残業時間上限が管理されるため、上司であるマネジャーやシニアスタッフらが「残務を巻き取っていた」(2022年に大手法人を退職した30代公認会計士)。
若手の離脱や働き方改革のしわ寄せが上の階層に波及し、監査現場全体の疲弊が進んでいるようです。

監査法人以外の「活躍のフィールドが広がっている」(日本公認会計士協会の鶴田光夫副会長)ことも要因です。
企業では経理のほか、経営企画や内部監査など引く手あまたです。
スタートアップでは若くして最高財務責任者(CFO)も珍しくありません。

かつては高収入の代表格だった監査法人ですが、一般企業の待遇面は遜色なくなってきています。
監査法人入所後、数年で昇格するシニアスタッフの年収が最低でも600万円程度、10年前後でなれるマネジャーは800万〜1,000万円程度とされます。
他方、会計系の転職エージェントでは内部監査や経理で700万円程度、戦略コンサルだと900万円強が提示されます。

監査法人に公認会計士をつなぎ留めるには、賃上げやデジタルを活用した業務効率化が必要です。
原資となる顧客から受け取る監査報酬の引き上げが欠かせませんが、時間単価はここ10年ほど1万2,000円弱と一向に伸びていません。
日本の上場企業は過去最高水準まで増えているにもかかわらず、顧客企業に危機感が伝わっていないようです。
EY新日本監査法人の片倉正美理事長は「値上げを納得してもらうには、単に監査意見を出すだけでなく付加価値のある知見を提供する必要がある」と語っています。

監査が空洞化して情報の信頼性が欠如すれば市場は効率的に機能しなくなります。
ある会計監査業界の関係者は「中小企業と大企業で同じ情報開示が必要かなど、資本市場システムの全体像を議論すべきだ」と強調しています。
公認会計士の監査法人離れは監査制度の土台を揺るがしかねず、すでに崩壊の瀬戸際にあるのかもしれません。

公認会計士に時間的な余裕を生み出すための監査DX(デジタルトランスフォーメーション)で各法人がしのぎを削っています。
カギを握るのが人工知能(AI)の活用です。

理化学研究所が日本公認会計士協会の協力で実施した2022年発表の調査によると、監査現場の進捗管理や取りまとめなどを担う現場責任者「主査」の各業務はAI活用で10年後に平均35%の時間短縮をもたらす可能性があります。
特に定型的な監査手続きは70%減、監査契約時のリスク評価は42%減と想定効果が大きいようです。

AI監査は実証段階から本格導入へ移行し始めています。
EY新日本監査法人は「リアルタイム監査」などと呼ばれる仕組みの本格展開を開始しました。
企業の統合基幹業務システム(ERP)からの取引データなどの定期的抽出や加工、AI分析による異常検知まで人手を介さず進めます。
足元では10社程度で、3年後までに100社に広げます。

今後は生成AIも広がりそうです。
あずさ監査法人では取引を勘定科目で記録した仕訳データの分析で活用を目指します。
「基礎分析して」と指示すると平均や分散などの統計量を出すとともに「金額が大きい項目の詳細分析をする」など次の行動も推奨するのです。

生成AIは、一見もっともらしいが事実と異なる内容を返す「ハルシネーション(幻覚)」を起こすこともあります。
業務効率化を理由に監査の質を落とさないため、回答をうのみにしないで高度な判断につなげる知見は欠かせません。

<公認会計士>
財務諸表に不正などがないか確認する監査業務を独占的に担います。
イギリスで誕生し、日本では医師、司法試験に並ぶ難関資格とされています。
資格取得には短答式と論文式試験の合格、監査法人勤務など3年以上の実務経験のうえ、修了考査合格が必要になります。
2006年以降の新試験制度から大学卒業などの受験資格要件をなくしました。
直後に試験合格率は2割弱まで上昇しましたが、近年の合格率は1割程度、人数はおよそ1,300〜1,400人で推移しています。
2022年試験合格者の平均年齢は24.4歳と、10年前から2歳下がるなど低年齢化が進んでおり、資格自体の若者の人気は高いようです。
試験合格後に監査法人を経ず、コンサルティング企業に就職を希望する例も増えています。

僕は、約11年監査法人に勤め、そのあと東京の会計事務所に転職し、約4年勤めてから独立開業しましたが、監査法人をやめた理由のうちの大きな一つが、当時、カネボウの粉飾事件があり、金融庁の検査のために行っているのではないかと思われる手続きが増えたことです。
もう16年以上前の話しになりますが、その当時と比べても、格段にそのようなことが増えているんでしょうね。
個人的には、会計監査は、マニュアルも重要かもしれませんが、直観も非常に大事だと思っていますので、マニュアル化やAIは、直観とか経験があまり生かせなくなりますので、自分で考えて仕事がしたい方には、会計監査という仕事は面白くないでしょうね。
かと言って、公認会計士になったからといって、企業の経理やコンサルティングがすぐにできるわけはない(会計監査という仕事は、会社が作った財務諸表などに大きな間違いがないかどうかを確かめる仕事)ということは、雇う側も公認会計士も知っておいた方がよいかと思います。
僕自身、転職活動をするときに、監査法人で会計監査のみしていた人間にセールスポイントはあるのだろうか?と本当に思いましたから。

形式的な作業に失望し公認会計士の監査法人離れが進んでいることについて、あなたはどう思われましたか?


金融庁が専門部署を設置し監査法人を直接監督へ!

日本経済新聞によると、金融庁が監査法人を直接監督する体制を整えます。
2023年度に金融庁内に「監査モニタリング室」を置き、傘下の公認会計士・監査審査会の中に「公認会計士監査検査室」を設置する方向です。

15年ぶりに公認会計士法を改正し、自主規制機関(日本公認会計士協会)だけでなく、金融庁も直接監督・検査できるようにしました。

金融庁が近くまとめる23年度の機構・定員要求に盛り込むそうです。

2022年5月に改正公認会計士法が成立していました。
上場企業の監査を担うにあたって、自主規制団体の日本公認会計士協会による登録を法律で義務付けます。
また、公認会計士・監査審査会の立ち入り検査などにおいて、通常の業務運営体制に加えて新たに有価証券報告書に対する虚偽の監査証明の検証も行えるようになります。

金融庁による監査法人への検査・監督では行政処分を発動するといった監督権限は企画市場局が持ち、検査については公認会計士・監査審査会が担っています。
監査モニタリング室は企画市場局に、公認会計士監査検査室は公認会計士・監査審査会にそれぞれ設置することを想定しているようです。

大手監査法人からそれ以外の監査法人への監査契約のシフトがここ数年、急激に進んでいます。
『監査難民』ということばが使われるほど、監査法人との監査契約が締結できないところも増えています。
当然、大手監査法人と監査レベルが大きく異なる監査法人が、上場企業の監査をしていることがあるのも事実です。
自主規制機関では年間に検査できる件数が限られているようですので、今後、一定のレベルに達していない監査法人の排除が進めばいいですね。

金融庁が専門部署を設置し監査法人を直接監督することについて、どう思われましたか?


あずさ監査法人の公認会計士が法定研修で不正で45人処分!

大手のあずさ監査法人は、先日、所属する公認会計士45人が法律で義務づけられた研修をオンラインで不正に受講していた疑いがあると発表しました。
2つの講座に同時にログインして受講したと偽り、単位認定を受けた可能性があるようです。
あずさ監査法人は公認会計士たちを減給などの懲戒処分にすることを検討中だそうです。
また、高波博之理事長ら役員10人の報酬をカットする方針を決めました。

公認会計士たちが不正に受講していたのは、公認会計士法で義務づけられている「継続的専門研修」(CPE)です。
「職業倫理」「不正リスク対応」などの科目を直近3年間で120単位以上、年20単位以上取得する必要があります。

2020年3月に内部告発があり、過去数年にわたってパソコンのログなどを調べたところ、20代~40代の45人が1台の端末を使って2つのオンライン講義を同時に受講した可能性があることがわかったようです。
あずさ監査法人は最終的な調査を現在進めていますが、対象となる公認会計士の中に「パートナー」と呼ばれる幹部社員も含まれています。

システムに二重ログインができるようになった2014年から、不正受講を繰り返していた公認会計士もいるようです。
あずさ監査法人は2020年5月にシステムを改修し、現在は同時にアクセスできない仕組みに変えています。

CPEは、アメリカのエンロン事件など続発した会計不祥事に対応するため、監査の質向上をめざし、2004年から法律で義務づけられました。
ただし、オンラインで受講したり、学会に出席したりすれば単位取得が認められることもあるため、研修制度そのものが形骸化していた可能性もあります。

先日会見した日本公認会計士協会の手塚正彦会長は「会計士制度の根幹をなす研修を怠ったのは極めて遺憾だ」と語り、協会として他の監査法人にも同様の不正がなかったのか調べる考えのようです。
不正を繰り返し悪質な場合は、金融庁の行政処分を受けて公認会計士の登録を抹消される可能性もあるそうです。

公認会計士の教育や研修をめぐっては2017年、公認会計士試験に合格した補習生12人が実務補習中に提出した論文に、他の文献を引き写す盗用行為が見つかり、大手監査法人から処分を受けたことがあります。
公認会計士としての資質が問われかねない事態が再び起こり、2006年に簡素化され、試験合格者を大量に出すようになった会計士試験のあり方を変えるべきだとの声もあがっているようです。

青山学院大の八田進二名誉教授は「不正を見抜く立場にある会計士としての資質に欠けていると言わざるをえない。試験制度そのものを見直し、マナーや倫理観を兼ね備えるような会計士を育てていく必要がある」と指摘しています。

ちなみに、あずさ監査法人は、旧新日本監査法人(現EY新日本監査法人)から国際会計事務所KPMGと提携する部門が独立し、2004年に旧朝日監査法人と合併して発足した監査法人です。
国内の4大監査法人のひとつで、約3千人の会計士が所属し、約3,600にのぼる企業や学校法人などの監査を手がけています。

同業者として恥ずかしい限りです。
普段、内部統制がどうとか、決算の数値がどうとか言っている監査法人の人間が、このような不正をしているとは、モラルが低すぎますね。
こういう人たちは、会計監査をすべきではないと思いますし、公認会計士をやめるべきだと思います。
社風なども影響しているでしょうから、あずさ監査法人にも責任があるのではないでしょうか。
あずさ監査法人にも会計監査を受けている企業はどう思われるのでしょうか?
コンプライアンスが重要とは監査法人の人間は言っているでしょうから、これをきっかけに契約解除されても仕方ないようなことだと思います。
日本公認会計士協会も、厳しい処分を課して欲しいと思います。

あずさ監査法人の公認会計士が法定研修で不正で45人処分されたことについて、どう思われましたか?


BACK TO THE BASIC!

 今日は、いつもと違った感じです。

 現在、連載もので執筆しているものがあるのですが、来年度も継続の依頼をいただきました。

 2か月ごとに発行されますので、年間6回書くことになるのですが、初回はこれについて書いて欲しいというオーダーをいただきました。

 税務のテクニカルな話しではなく、会計のベーシックな話しでしたので、事務所の本棚から古い本を取り出しました。

 飯野利夫氏の書かれた『財務会計論(三訂版)』です。

 10数年以上前にお亡くなりになっていますが、僕が大学2年生のときに、公認会計士試験のために専門学校にも通い始めて一番最初に買った会計の本なのではないかと思いますので、僕の公認会計士としてのベースになっている本ですね。

 それから25年以上経っていますが、さらっと見たところ、会計の理論は色褪せていないかもしれないですね。

 この本を参考に、来年度は6回の連載を執筆していこうと思います。

 さらっと見ましたが、日頃は目の前の仕訳や税務に対応していることが多いですが、会計のベーシックなことを久しぶりに目にして、スゴく新鮮な気持ちになりました。

 普段もシンプルにものごとを考えるということを念頭に置いて仕事に取り組んでいますが、たまには、こういうベーシックなところに立ち返って、シンプルにものごとを考えるということを改めて考えるというのも良いなぁと感じました。

 ちなみに、櫻井通晴氏の書かれた『原価計算<理論と計算>』や『経営原価計算論(増補版)』も、僕の公認会計士としてのベースになっている本です。


金融庁が清流監査法人を処分!

 金融庁は、清流監査法人に対して処分を行いました。

内容は、以下のとおりです。

 金融庁は、令和元年7月5日、公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)から、清流監査法人(法人番号8011205001626)に対して行った検査の結果、当監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、当監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるよう勧告を受けました。
 同勧告を踏まえ、金融庁は本日、下記のとおり、当監査法人に対して公認会計士法第34条の21第2項に基づき、以下の処分を行いました。

                      記

1.処分の概要
(1)処分の対象
名称:清流監査法人(法人番号8011205001626)
事務所所在地:東京都千代田区

(2)処分の内容
業務改善命令(業務管理体制の改善)

(3)処分理由
別紙のとおり、運営が著しく不当と認められるため。

2.業務改善命令の内容
(1)総括代表社員は、組織的に監査の品質を確保する必要性を十分に認識し、社員の職責の明確化、社員会の機能発揮、社員及び職員の経験に依存した業務運営の改善など、実効性のある品質管理のシステムの構築に向け、当監査法人の業務管理態勢を整備すること。
(2)総括代表社員は、審査会の検査及び日本公認会計士協会の品質管理レビューにおいて指摘された不備の原因を十分に分析したうえで改善策を策定及び実施し、改善状況の適切な検証ができる態勢を整備するとともに、監査契約の新規の締結における十分かつ適切なリスク評価、監査実施者に対する実効性のある教育・訓練、審査担当責任者による批判的かつ適切な審査、実効性のある日常的監視及び定期的な検証を実施できる態勢を整備するなど、当監査法人の品質管理態勢の整備に責任を持って取り組むこと。
(3)現行の監査の基準に準拠した監査手続を実施するための態勢を強化すること(固定資産の減損会計における兆候判定、株式移転の会計処理、関連当事者取引に関する検討など、審査会の検査において指摘された事項の改善を含む。)。
(4)上記(1)から(3)に関する業務の改善計画について、令和元年11月末日までに提出し、直ちに実行すること。
(5)上記(4)の報告後、当該計画の実施完了までの間、令和2年4月末日を第1回目とし、以後、6か月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。

上記の『別紙』の内容は以下のとおりです。

清流監査法人の運営は、下記のとおり著しく不当なものと認められる。

               記

1 業務管理態勢
 当監査法人は、社員5名、非常勤職員を中心とした監査補助者等により構成されているが、総括代表社員を除く社員は、それぞれの個人事務所等の業務を主としており、当監査法人の業務への関与は低く、総括代表社員が品質管理担当責任者を兼務している。
 また、当監査法人は、設立以来、特定の個人により実質的に支配されている企業グループを主な被監査会社とし、その監査報酬は当監査法人の業務収入の大部分を占めている。
 当監査法人の監査業務は、社員2名がそれぞれ審査又は定期的な検証の専任であることから、総括代表社員を含む3名の社員を中心に実施されている。また、監査補助者は主に非常勤職員で構成され、業務執行社員が主査を担当する監査業務もあるなど監査実施態勢は十分ではない。この点について、総括代表社員は、当監査法人の強みを、経験を積んだ公認会計士を基本に監査チームを編成していることであるとし、社員及び職員のこれまでの経験に依存した運営を継続しており、品質管理態勢を十分に整備する必要性を認識していない。
 このような状況において、当監査法人は、日本公認会計士協会(以下「協会」という。)の平成29年度品質管理レビューにおいて限定事項を付されており、総括代表社員は、限定事項とされた関連当事者取引の不備の根本原因を会計基準や監査の基準の理解不足にあると認識している。
 しかしながら、下記2に記載するとおり、その改善は、チェックリストの整備等の対症療法的な対応であり、知識や能力の向上を各自に委ねており、適切な教育・訓練態勢を構築していない。また、限定事項とされた審査態勢や定期的な検証等の実施態勢の改善を検討していない。
 そのため、下記3に記載するとおり、今回公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)検査で検証対象とした全ての個別監査業務の業務執行社員及び監査補助者において、会計基準及び現行の監査の基準が求める水準の理解が不足している状況、職業的懐疑心が発揮できていない状況がみられ、それらに起因する重要な不備を含む不備が広範かつ多数認められている。
 また、総括代表社員以外の社員は、当監査法人の業務運営を総括代表社員に委ね、重要事項の意思決定に十分に関与していない。そのため、財務諸表等の訂正要否や監査契約の新規の締結の審査などの重要事項が社員会に付議されているにもかかわらず、十分に検討されることなく承認されるなど社員会の機能が発揮されていない。
 このように、総括代表社員においては、法人トップとして組織的に監査の品質を確保するという意識に欠けており、当監査法人の監査業務の現状を踏まえた実効的な品質管理のシステムを構築するためにリーダーシップを発揮していない。また、総括代表社員以外の社員においては、当監査法人の業務運営、品質管理のシステムの整備及び運用を総括代表社員に委ね、これに関与するという意識に乏しく、社員としての職責を十分に果たしていない。

2 品質管理態勢
(前回審査会検査及び品質管理レビューでの指摘事項に対する改善状況)
 総括代表社員は、前回審査会検査及び平成29年度品質管理レビューでの指摘事項を踏まえた対応として、全社員及び職員を対象として品質管理レビュー等の結果報告会を開催し、指摘事項を周知するとともに、指摘事項を反映したチェックリストを作成し、業務執行社員が当該チェックリストを用いて改善状況を確認する等の改善措置を指示している。
 しかしながら、総括代表社員は、社員及び職員が会計基準や監査の基準を十分に理解していないことを個別監査業務における不備の根本原因として認識していたにもかかわらず、法人内での指示やチェックリストは、指摘事項に直接対応する対症療法的な内容にとどまっており、認識していた根本原因に対応したものとしていない。
 また、平成29年度品質管理レビューにおいて、「指示と監督及び監査調書の査閲並びに監査業務の審査、定期的な検証」について限定事項とされているが、これに対する改善は、限定事項の理由とされた関連当事者取引を重点的に確認する等の措置のみにとどまっており、総括代表社員は、審査、定期的な検証等の実施態勢の改善を検討していない。
 このように、いずれの取組も不十分であることから、今回審査会検査で検証した個別監査業務の全てにおいて、これまでの品質管理レビュー等での指摘事項と同様の不備が繰り返されている。

(監査契約の新規の締結及び更新)
 当監査法人は、監査契約の新規の締結及び更新に関する方針及び手続を「監査の品質管理規程」に定めているが、業務執行社員予定者の選任、独立性の確認、リスク評価などについて具体的な実施手続を整備していない。
 また、前回審査会検査において監査契約の新規の締結に伴うリスク評価の不備について指摘を受けているが、今回審査会検査においても監査契約の新規の締結に当たり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況に係る検討が不足しており、また、主要な経営者、監査役等の異動をリスクとして識別していないなど、リスク評価が不十分である。
 さらに、限定事項付き結論となった平成29年度品質管理レビューの結果を会計監査人の選任議案の決定権限を有する監査役等に書面で伝達していない。

(監査実施者の教育・訓練)
 監査実施者の教育・訓練を担当する総括代表社員は、前回審査会検査及び平成29年度品質管理レビューにおいて指摘された不備には、社員及び職員の会計基準及び監査の基準の理解不足に起因するものがあると認識している。このような認識の下、総括代表社員は、自ら出席した協会研修のうち業務上重要と判断した研修資料を社員及び職員へのメール等で共有し、また、専門要員の年間40単位以上の継続的専門研修の履修を確認したとしている。
 しかしながら、今回審査会検査においても、会計基準及び監査の基準の理解不足に起因した不備が多数生じており、当監査法人の教育・訓練は実効性のあるものとなっていない。

(監査業務に係る審査)
 当監査法人は、特定の社員を審査担当責任者として選任し、全ての監査業務の審査を担当させている。
 当該審査担当責任者は、審査で気付いた点を監査チームに伝達するにとどまり、最終的な判断を業務執行社員に委ねていること、監査チームの説明に過度に依存し、監査調書に基づいた客観的な検証が不足していることなどから、今回審査会検査において指摘した重要な不備を指摘できていない。
 このように、平成29年度品質管理レビューにおいて限定事項とされた後も、審査担当責任者は、審査の職責を果たしておらず、当監査法人の審査態勢は十分に機能していない。また、総括代表社員は、限定事項とされた後も、このような審査態勢の改善を検討していない。

(品質管理のシステムの監視)
 当監査法人は、特定の社員を定期的な検証担当責任者として選任し、日常的監視及び監査業務の定期的な検証の全てを担当させている。
 当該定期的な検証担当責任者は、日常的監視において、内部規程の内容を十分に確認しておらず、定期的な検証業務においては、会計上の論点を中心に検証し、監査証拠の適切性及び十分性の観点からの検証が不足している。このようなことから、今回審査会検査において認められた内部規程等の整備及び運用状況に係る不備や個別監査業務の重要な不備を看過しており、定期的な検証担当責任者が実施する、日常的監視及び定期的な検証による品質管理システムの監視は不十分である。また、総括代表社員は、定期的な検証について平成29年度品質管理レビューにおいて限定事項とされた後も、このような実施態勢の改善を検討していない。
 このように、当監査法人の品質管理態勢は、前回審査会検査及び品質管理レビューでの指摘事項に対する改善状況、監査契約の新規の締結及び更新並びに監査業務に係る審査に重要な不備が認められるほか、広範に不備が認められており、著しく不十分である。

3 個別監査業務
 総括代表社員を含む業務執行社員及び監査補助者は、会計基準及び現行の監査の基準が求める水準の理解が不足している。そのため、固定資産の減損会計における兆候判定の誤りや株式移転の会計処理の誤りを見落としている事例、関連当事者取引の開示や連結財務諸表に関する会計基準に従った連結範囲の検討が不足している事例などの重要な不備が認められる。
 また、当監査法人の主な被監査会社は、特定の個人により実質的に支配されており、関連当事者間で多様な取引が行われている状況にあるが、総括代表社員を含む業務執行社員及び監査補助者は、関連当事者取引の検討や会計上の見積りの監査などにおいて、職業的懐疑心が不足している。そのため、当該特定の個人との通例ではない重要な取引を批判的に検討していない事例、工事進行基準の適用における会計上の見積りの検討が不足している事例などの重要な不備が認められる。
 上記のような重要な不備は今回審査会検査で検証対象とした個別監査業務の全てにみられる。そのほか重要な不備ではないものの、被監査会社が作成した情報の信頼性を評価していない事例、経営者が利用する専門家の適性・能力及び客観性の評価が不足している事例、不正リスクを識別している売上高の実証手続が不足している事例、監査報告書日後に実施した手続を監査報告書日前に実施したように監査調書に記載している事例など、不備が広範かつ多数認められる。
 このように、検証した個別監査業務において、重要な不備を含めて広範かつ多数の不備が認められており、当監査法人の個別監査業務の実施は著しく不十分なものとなっている。

以上

このような状況の監査法人が、上場企業の会計監査をやっていて良いのでしょうか?
毎年、いくつかの監査法人が処分されていると思いますが、オピニオンショッピング(会計監査を受ける企業が、自社にとって都合の良い監査意見を表明してくれる監査法人や公認会計士を新たに選任すること。)の温床とならないこと祈るばかりです。
市場から退場していただかないといけないところは早めに退場していただかないと思いますし、このようなことがあると、公認会計士業界全体の信頼が失われてしまいますので。

金融庁が清流監査法人を処分したことについて、どう思われましたか?


女子中学生にわいせつな行為をしようとした公認会計士を逮捕!

 先日、公認会計士の男が女子中学生にわいせつな行為をしようとしたとして、警視庁に逮捕されました。

強制わいせつ未遂の疑いで逮捕されたのは、東京都調布市の公認会計士(32)です。
公認会計士は5月12日午後5時ごろ、調布市のマンションで帰宅途中の女子中学生がエレベーターからおりたところ、後ろから抱きついて口を塞ぎ、わいせつな行為をしようとした疑いがもたれています。

警視庁によると、2人に面識はなく、女子中学生が悲鳴をあげたため、公認会計士は非常階段から逃げましたが、防犯カメラの捜査で関与が浮上したようです。
取り調べに対し、公認会計士は「間違いありません」と容疑を認めているということです。

後日、PwCあらた有限責任監査法人が、『当法人の職員の逮捕に関するお詫び』という以下のプレスリリースを行っています。
 昨日PwCあらた有限責任監査法人の職員が逮捕されました。詳細は現在調査中であり、事実関係を確認次第、厳正に対処いたします。皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
                                    2019年5月22日
                              PwCあらた有限責任監査法人

本当にこういったことはやめて欲しいですね。
1人の行為が、所属監査法人、公認会計士業界に多大なる影響を与えてしまいます。
先生と呼ばれることの多い士業には、人格や品位などが必要だと思いますね。
PwCあらた有限責任監査法人のプレスリリースも『皆様』になっていますが、まずは被害者の方やご家族に謝罪すべきであると思いますので、このプレスリリースはどうなんだろうと思いますね。
クライアントに向けてリリースしているのでしょうか?

女子中学生にわいせつな行為をしようとした公認会計士が逮捕されたことについて、どう思われましたか?


イギリスの競争当局が4大監査法人の「業務分離」を報告!

 イギリスの競争当局である競争・市場庁は、先日、イギリス監査業界の改革に関する最終報告書を公表しました。
「ビッグ4」と呼ばれる4大監査法人グループについて、監査とそれ以外の業務を組織内で分離するよう求めるのが柱です。
大手4社の寡占が監査の質を下げていると問題視し、上場する大企業には複数の監査法人による共同監査を義務付けることも提言しました。

イギリス政府は、報告書への見解や対応方針を90日以内に明らかにし、法制化の必要性などを判断するようです。

イギリスでは建設大手カリリオンが2018年1月に経営破綻したのを機に、経営悪化を見抜けなかった外部監査人のKPMGなど大手監査法人への批判が強まりました。
競争・市場庁は、2018年12月、利益相反リスクを減らすため監査とそれ以外の非監査業務を組織内で分けたり、共同監査を導入したりする案を示して意見を募っていました。

最終報告書は、これまでの議論を踏襲しました。
まず大手4グループについて、決算書類が正しいか調べる監査業務と、経営や税務戦略を指南するコンサルティングなどの非監査業務を運営上分離するよう求めました。
グループ内で経営や収益管理などを分け、監査部門は監査に集中すべきだと訴えました。

この背景には利益相反の懸念に加え、高収益な非監査部門の存在が監査部門を資金的にも支え、準大手以下の参入を妨げる一因になっているとの問題意識もあるようです。
政界からは別法人として完全に切り分ける「解体」論も上がっていたようですが、急進的な変更はリスクがあるとして踏み込みませんでした。

ロンドン証券取引所に上場する主要350社を対象に、原則として2つ以上の監査法人による共同監査を義務付けることも提案しました。
イギリスでは主要350社の97%の監査を4大法人が行っています。
寡占を打破するため少なくとも1つは4大監査法人以外とし、準大手以下の参入による競争の活性化を促すようです。

競争・市場庁は声明で「市民の生計や貯蓄、年金は監査が高い基準で行われているかにかかっている」と述べ、改革の必要性を強調しました。
一方で、市場関係者からは実効性に疑問の声も出ているようです。
英金融業界団体ザ・シティーUKは「真の監査の質向上につながる証拠はない」とし、急進的な改革で副作用が出ないよう慎重な実施を求めました。

僕は公認会計士で、もともと監査法人に勤めていた人間ですが、個人的には、独立性の観点からは、一般の方々にとっては、同一クライアントに対して監査以外のサービスを提供しているという状況は監査上大丈夫なのだろうかという疑問は生じると思いますので、同一クライアントに対して監査業務以外のサービス提供はやめた方がよいのではないかと思います。
共同監査については、個人的には、反対です。
日本でもあまり行われていないということは効果がないことの表れだと思いますが、監査法人ごとに監査手続きの進め方などに独自のやり方があると思いますが、共同監査になると、それを見せることになり、独自性がなくなっていく(存在意義がなくなる)と思います。
結局、お互いが手の内を見せないことになると、担当を完全に切り分けるだけになると思いますが、コミュニケーションのなさが粉飾等を見落とす原因となると推測されます。
あとは、監査意見や会計処理についてもそれぞれ独自のものがあるでしょうから、監査法人間の意見の対立・調整という監査の本質ではない無駄な時間が増加する可能性があるように思います。

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東芝の監査法人である新日本監査法人に1兆円請求!

 東芝の不適切会計問題を巡り、株主が会計監査を担った新日本監査法人(東京)に損害賠償を求めた株主代表訴訟で、原告の株主側が請求額を約105億円から1兆円に増額したことがわかったようです。
監査法人を訴えた同種訴訟は珍しく、請求額が1兆円に上るのは異例です。

東芝は、20157月、パソコン部門で利益を水増しするなどの不適切会計があったとする外部の第三者委員会の報告書を公表し、3人の歴代社長が辞任しました。
金融庁は201512月~20161月、不適切会計を見抜けなかったとして、新日本監査法人に一部業務停止や約21億円の課徴金納付を命じ、20169月、大阪府内の株主が約105億円の賠償を求めて東京地裁に提訴しました。

ただし、その約3か月後、アメリカにある東芝の原発子会社ウェスチングハウス(WH)が201512月に買収したアメリカの原発建設企業の資産価値が想定より大幅に低かったことも発覚し、東芝は、アメリカの原子力事業で1兆円超の損失を計上する事態となりました。

原告側が問題視するのは、アメリカでの原発建設の遅れに伴ってWH20122013年度に計上した約1,100億円の損失を東芝がすぐには公表しなかった点です。
東芝は201511月に公表したものの、この時にはWHと原発建設企業が買収に合意していました。

原告側は「WHの損失が早く公表されていれば、株主は原発建設企業の買収を認めなかった。公表しないという東芝の判断を追認した監査法人は損失の責任を負う」として、20191月に請求額を増額しました。
これに対し、新日本監査法人は「企業が何を公表するかは監査法人の監査対象ではない」として請求棄却を求めています。

株主代表訴訟は、提訴時の手数料が一律13,000円で、請求額に応じて上昇する通常の民事訴訟よりも巨額訴訟を起こしやすいとされます。
会社法に詳しい上村達男早稲田大教授は、今回の訴訟について、「会社で生じた損失には多くの要因があり、全てを監査法人に負担させようというのは無理がある」とした上で、「1兆円の請求額は根拠に乏しい」と指摘しています。

一方、原告側代理人の弁護士は「監査法人の責任でどれだけ損害が生じたのかを裁判で明らかにすることは、再発防止のためにも意味がある」と話しているようです。

僕自身、公認会計士というのもあるとは思いますが、上村教授のおっしゃるとおりだと思います、
粉飾も第一義的には、東芝に責任があるということをきちんと認識してほしいですね。
当然、会計監査人に責任がないとは思いませんが、こういうことがどんどん出てくると、最近増えている大手監査法人が監査契約を断るというケースがますます増え、いわゆる『監査難民』となる上場企業が増えるのではないかと思います。
世間一般的に、会計監査人側と投資家側の会計監査に対する『ギャップ』があるのは事実だと思いますが、金融庁とか証券取引所とか日本公認会計士協会などが、地道に取り組んでいかないといけないでしょうね。

東芝の監査法人である新日本監査法人に1兆円請求がなされたことについて、どう思われましたか?


日本公認会計士協会が通年でビジネスカジュアルを実施!

 日本公認会計士協会は、これまで、官庁が提唱する温暖化対策への対応として、夏季期間に会館内で執務する役職員の軽装を実施していました。
しかしながら、今後は、通年で「ビジネスカジュアル」を実施するようです。

役職員のビジネスカジュアルに当たっては、『来館者の方々に対し、失礼とならない服装に努めますので、何卒、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。』とコメントしています。

僕自身も、普段お会いしている方はご存知かと思いますが、監査法人トーマツ時代に、夏場はビジネスカジュアルだったこともありますが、年がら年中、ビジネスカジュアルで、スーツを着るのは年間数日です。

昔は、スーツや靴やネクタイやシャツに結構お金をかけていましたし、スーツが嫌いなわけではないのですが、特に必要もないのではないかと思っています。
クールビズでも、上着を着ず、ネクタイをしない(クールビズにふさわしくないようなシャツ)だけなのは、中途半端さが個人的には大嫌いで、やめた方が良いと思っています。
服装で仕事をするわけではないので、こういった流れがどんどん広がり、ビジネスカジュアルが普通という時代に早くなってほしいですね。

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監査法人トーマツが罰金2億円を支払い!

 アメリカ証券取引委員会(SEC)は、先日、僕の出身の監査法人トーマツが会計監査の独立性ルールに違反し、200万ドル(約2億2,000万円)の罰金を支払うと発表しました。
トーマツ元幹部は同法人が監査を担当する金融機関の口座に一定基準を上回る金額を預けていました。
「独立性が損なわれた状態」で監査報告書が提出されていた上に、法人内の監督体制も不十分で、今回の処分につながったようです。

SECの発表によると、トーマツの元最高経営責任者(CEO)である天野太道氏が独立性ルールに違反しました。
金融機関名は公表されていませんが、アメリカニューヨーク証券取引所に上場する三菱UFJフィナンシャル・グループとみられます。
三菱UFJフィナンシャル・グループが2015年にSECに提出した資料で、トーマツ幹部の預金残高が限度額を超え、独立性ルールに抵触していたと開示していました。
天野氏、は2015年7月末にトーマツのCEO職を辞任しています。

SECのルールでは会計監査の独立性を保つために、監査法人の幹部や監査チームのスタッフが、監査担当企業の銀行口座に一定水準を超す金額を預けないように求めています。
日本企業の場合、預金保険機構の保険限度額(1千万円)がこの水準に当てはまります。
天野氏は三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の銀行に口座を持ち、預金額が一定期間、1千万円を超えていたとみられます。
この間、三菱UFJフィナンシャル・グループは、トーマツの監査報告書を添付してSECに財務書類を提出していた。

SECによると、天野氏の違反は2014年3月にトーマツ内で発見されましたが、監査先の金融機関に伝達されたのは2015年に入ってからでした。
さらに別の調査によって、トーマツに所属する計88人が「独立性ルール」に違反していたことが判明したそうです。
SECはトーマツの違反発見後の対応のまずさや、ずさんな監督体制を問題視し、今回の重い処分につながったようです。

トーマツは「品質管理態勢への影響はない。今後とも監査品質の向上に最善を尽くす」とコメントしています。

独立性が重要な監査法人のトップがこれでは、処分されて当然のように思います。
僕が勤務していた時から、こういったことはチェックするシステムがありましたが、甘かったんでしょうね。
幹部の方々はたくさん報酬をもらっていらっしゃるでしょうから、忙しくて数か月放置しておくとすぐに超えてしまうのかもしれませんね。
それについては、元々、報酬の振込口座としてクライアントを除くことにしておけば良いかと思いますが。

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タクシー運転手を蹴った公認会計士を暴行容疑で逮捕!

 タクシー運転手の男性に暴行を加えたとして、神奈川県警緑署は、先日、暴行容疑で、横浜市緑区長津田町の公認会計士(49)を逮捕したようです。
公認会計者は、「覚えていない」と供述しているそうです。

逮捕容疑は、2019日午前2時5分ごろ、自宅近くの路上に止まったタクシー車内で男性運転手(54)を蹴ったとしています。

神奈川県警緑署によると、公認会計士は東京都千代田区内からタクシーに乗車し、自宅付近にさしかかったため寝ていた公認会計士を男性運転手が起こそうとした際、足蹴りしたそうです。
男性運転手が取り押さえて通報し、駆け付けた同署員に引き渡しました。

こういったことで『公認会計士』の名前が出ることは、残念なことです。
人格なども大事ですね。
おそらく、この方はコンサル会社の執行役員だと思いますが、そもそもこういう方がコンサルをできるのでしょうか?
あとは、公認会計士協会のホームページから検索すると、平成29年度は、継続的専門研修(いわゆるCPE)の履修義務が不履行になっていますね。

タクシー運転手を蹴った公認会計士が暴行容疑で逮捕されたことについて、どう思われましたか?


1億8千万円横領容疑で弁護士を逮捕!

 土地建物管理会社から依頼を受けて弁護士の業務として預かっていた計約18,200万円を着服したとして、大阪地検特捜部は、先日、業務上横領容疑で、大阪弁護士会所属の弁護士(66)を逮捕したようです。
大阪地検特捜部は認否を明らかにしていません。

逮捕容疑は、土地建物管理会社が所有するビルの賃料相当損害金を管理する業務を行っていた20135月~201412月、19回にわたり、同社から預かっていた賃料相当損害金を、預かり金口座から出金して流用したり、自分個人名義の口座に振り込んだりして計約18,200万円を着服したとしています。

弁護士をめぐっては、大阪弁護士会が20183月、預かり金をめぐるトラブルの調査に誠実な回答をしなかったとして、業務停止3か月の懲戒処分にしたと発表していました。

大阪弁護士会によると、弁護士が建物の明け渡しや賃料の支払いをめぐる訴訟の代理人をしていた2012年~2014年、相手方が賃料として預かり金口座に振り込んだうち、約9,200万円の行方が分からなくなったようです。

大阪弁護士会が調査に乗り出したようですが、弁護士は口座の取引明細証明書の一部を黒塗りにして大阪弁護士会に提出し、開示を求めても応じなかったりしたため、懲戒処分を決定したそうです。

毎年何人かこのような弁護士のことが新聞などに出ていますが、専門家としては、悲しくなりますね。
信用で成り立っている専門家ですので、一人の行為が、業界全体の信用失墜につながりますからね。
専門家として、プライドを持って仕事をしてほしいですね。
仕事を頼まれる方も、誰を信じていいのか分からなくなると思いますので。

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公認会計士の継続的専門研修における「会員の研修履修結果の開示」!

 公認会計士は、導入されてかなり経ちますが、継続的専門研修制度(いわゆるCPE制度)は、公認会計士としての使命及び職責を全うし、監査業務等の質的向上を図るため、公認会計士の資質の向上及び公認会計士が環境の変化に適応するための支援を目的とし行われ、会員は所定の単位数の取得を義務付けられています。

日本公認会計士協会の会員の義務達成率は平成29年度では98.8%となっており、大多数の会員が義務を達成し、その資質の向上に役立てています。

この度、公認会計士に業務を依頼する際の参考に資するための情報充実の観点から、会員の研修履修結果が開示されることになりました。

会員の研修履修結果については、公認会計士等検索システムで会員個人を検索していただいた画面で確認することができます。

僕も自分のものを確認してみましたが、開示されるようになっています。
僕自身も、年間に、公認会計士や税理士向けの研修だけでなく、かなりの数の研修を受講していますので、良い試みではないかと思います。
これを見て、この人に仕事を頼もうなどといった考えが働くかどうかは疑問ではありますが。

公認会計士の継続的専門研修における「会員の研修履修結果の開示」について、どう思われましたか?


ユニクロの柳井氏が記念式典で講演し「公認会計士がハンコを押す人になっている」!

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、先日、日本公認会計士協会が開催した記念講演で、公認会計士に対して「経営者と経営課題を議論できるパートナーになってもらいたい」と語った。人工知能(AI)の発達などで会計業務が標準化される可能性について言及したうえで、会計知識の経営への活用を参加者らに呼びかけました。

 日本公認会計士協会が東京国際フォーラム(東京・千代田)で開いた「公認会計士制度70周年記念式典及び記念講演」に登壇しました。

柳井氏は、公認会計士が「(監査業務で)ハンコを押す人になっている」と指摘しました。
AIの発達などで「単純な計算や分析は必要がなくなる」との見通しを示したうえで、経営者との協調を呼びかけました。

柳井氏は、また、国内企業の経営力が劣化しているとの持論を展開し、その例として「一番もうかっている半導体の部門を売って時代遅れの重厚長大な部門を残す経営判断はおかしい」と半導体メモリー子会社を売却した東芝を挙げました。

近くで開催されれば行ったのですが、流石に、柳井さんは的をついたことをおっしゃいますね。
日本公認会計士協会は、AIが発達しても、業務に影響がないことをアピールしたいのでしょうが(笑)。
僕が、監査法人にいた頃から、指導はしてはいけないということがあったので、疑問は感じでいました。
本当に、『ハンコを押す人』になっていると思います。
やはり、監査に関すること以外も経営者と協議をして、色々なことに対して発言・指導することによって、存在感が増し、クライアントとの良好な関係が構築されるのではないかと思います。
当然、監査を行う公認会計士に、幅広い知識が要求されます。

ユニクロの柳井氏が記念式典で講演し「公認会計士はハンコを押す人になっている。」と述べられたことについて、どう思われましたか?