事務所通信2023年1月

事務所通信

2023年1月号『農家の方が注意すべきインボイスの特例!』

2023年10月から、いわゆるインボイス制度が導入されますが、農家の方は、注意すべき点があります。

そこで今回は、『農家の方が注意すべきインボイスの特例!』について、書きたいと思います。

1.農家の方が注意すべきインボイスの特例

農家の方が注意すべきものとして、①農協特例、②卸売市場特例、③媒介者特例があります。

2.農協特例とは?

農協へ販売委託した米は、以下の「無条件委託方式・共同計算方式」により販売されることが一般的です。

①   無条件委託方式
出荷した農林水産物について、売値、出荷時期、出荷先などの条件を付けずに、その販売を委託すること
②   共同計算方式
一定の期間における農林水産物の譲渡に係る対価の額をその農林水産物の種類、品質、等級その他の区分ごとに平均した価格をもって算出した金額を基礎として精算すること

この2つの要件を満たす委託販売の場合、売り手と買い手が1対1で紐づかない取引になるため、売り手が買い手にインボイスを発行することが困難です。

そのため、農業者である売り手のインボイス発行義務を免除し、農協が発行するインボイスにより買い手が「仕入税額控除」することを認めることとなっています。

これが「農協特例」です。

3.卸売市場特例とは?

農協へ販売委託した野菜などは、卸売市場を通して卸売業者などに販売することが一般的です。

この場合、農業者である売り手のインボイス発行義務を免除し、卸売市場が発行するインボイスにより買い手が「仕入税額控除」することが認められています。

これが「卸売市場特例」です。

対象となる卸売市場は以下のとおりです。

農林水産大臣認定中央卸売市場
都道府県知事認定地方卸売市場
①及び②に準ずる卸売市場として農林水産大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たす卸売市場のうち農林水産大臣の確認を受けた卸売市場

4.媒介者特例とは?

農協直売所へ販売委託した農産物は、農協直売所を通して一般消費者や事業者へ販売されますが、「農協特例」や「卸売市場特例」は使うことができません。

しかし、農協直売所のレジでお会計をする際に、農業者である売り手が個別にお客様へインボイスを発行することは困難です。

そのため、委託者(農業者)が、媒介者(農協直売所等)を介して行う取引の場合、双方がインボイス発行事業者の場合、委託者に代わって媒介者が自己の氏名・登録番号を記載したインボイスを発行できます。

これが「媒介者特例」です。

5.最後に

「農協特例」や「卸売市場特例」は使えても、「媒介者特例」は登録しないと使えませんので、注意しましょう。

2023年1月30日 國村 年

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