事務所通信2012年1月

事務所通信

2012年1月号 『所得税の青色申告制度』

 2012年3月15日が、平成23年度の所得税の確定申告の期限です。
 所得税には青色申告制度というものがあり、様々なメリットが用意されています。
 そこで、今回は、『所得税の青色申告制度』について書きたいと思います。

1.青色申告とは?
 日本の所得税は、納税者自らが税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度を採っています。
 ここで、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられるというのが青色申告制度です。
 なお、青色申告できるのは、不動産所得・事業所得・山林所得のある人です。

2.青色申告のメリット
 青色申告のメリットには、主なものとして以下のものがあります。
(1)青色申告特別控除
 不動産所得または事業所得を生ずべき事業者は、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除できます。
 また、それ以外の青色申告者については、不動産所得・事業所得及び山林所得を通じて最高10万円を控除できます。
(2)青色事業専従者給与
 青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
 なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれませんのでご留意下さい。
(3)貸倒引当金
 事業所得を生ずべき事業者で、その事業の遂行上生じた売掛金・貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認められます。ただし、金融業の場合は 3.3%です(一括評価)。なお、個別評価も可能です。
(4)純損失の繰越しと繰戻し
 事業所得などに損失がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額が生じたときは、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除できます。
 また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

3.青色申告の申請
 新たに青色申告の申請をする人は、原則として、その年の3月15日までに青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
 なお、その年の1月16日以後に新規開業した場合は業務を開始した日から2か月以内となります。

4.最後に
 青色申告は難しいものだと感じられている方も多いかもしれません。
 しかしながら、収入や経費の日々の取引を記帳し、取引関係の書類を保存しておけば可能ですので、メリットを考慮のうえ、検討されてはいかがですか?

2012年1月30日 國村 年

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