事務所通信2017年11月

事務所通信

2017年11月号『広大地がなくなる!』

平成28年12月22日の『平成29年度税制改正の大綱』において、『広大地』の評価の見直しが明記され、今般、従来の広大地評価を廃止し、『地積規模の大きな宅地』の評価を新設することになりました。
そこで今回は、『広大地がなくなる!』について書きたいと思います。

 

1.『広大地』の評価
『広大地』の評価は以下のとおりです。

路線価地域にある場合 財産評価基本通達15(奥行価格補正)から20-5(容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価)までの定めに代わるものとして広大地補正率を用いる。
<算式>
 正面路線価×広大地補正率()×地積
 広大地補正率()=0.6-0.05×広大地の地積÷1,000㎡
倍率地域にある場合 その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額を路線価として、上記①に準じて計算する。

『広大地』の評価は、適用要件が明確ではない、土地の形状が考慮されない、富裕層の節税に利用されている、取引価額との乖離が大きい事例が多数あるといった問題点が指摘されていました。

2.『地積規模の大きな宅地』の評価
地積規模の大きな宅地(三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、それ以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいい、次の(1)から(3)までのいずれかに該当するものを除く。)で普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区として定められた地域に所在するものの価額は、財産評価基本通達15(奥行価格補正)から20(不整形地の評価)までの定めにより計算した価額に、その宅地の地積の規模に応じ、次の算式により求めた規模格差補正率を乗じて計算した価額によって評価します。

(1) 市街化調整区域(都市計画法の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域を除く。)に所在する宅地
(2) 都市計画法に規定する工業専用地域に所在する宅地
(3) 容積率が10分の40(東京都の特別区においては10分の30)以上の地域に所在する宅地

<算式>
 規模格差補正率=(A×B+C)÷地積規模の大きな宅地の面積(A)×0.8
 なお、上記算式中の「B」及び「C」は、地積規模の大きな宅地が所在する地域に応じ、定められています。

3.年内の対応
新しい制度は、平成30年1月1日以降に相続などで取得した財産の評価から適用されますので、税理士に相続税の試算をしてもらった結果、増税になりそうであれば、平成29年度中に相続時精算課税制度を利用して生前贈与することが考えられます。

4.最後に
従来、『広大地』の評価は、「調査官が100人いれば100通りの考え方がある。」と言われるほど難しいものでしたが、今般の見直しにより、適用要件が明確になり、判断に迷うものが少なくなりますので、増税になる方がおられるものの、本来あるべき姿になったことは嬉しいことではありますね。

2017年11月29日 國村 年

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