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事務所通信2026年2月

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2026年2月号『取得費加算の特例!』

不動産を相続したものの、既にご自宅を所有していたり、不要な不動産がある場合、相続した不動産を売却されることもあるでしょう。

不動産を売却したときに、場合によっては、相続時に支払った相続税を譲渡所得の計算の際に引くことができるのです。

そこで今回は、『取得費加算の特例!』について書きたいと思います。

1.取得費加算の特例とは?

取得費加算の特例とは、相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。

この特例は、譲渡所得のみに適用がある特例ゆえ、株式等の譲渡による事業所得および雑所得については、適用できません。

2.適用を受けるための要件

適用を受けるための要件として、以下の3つがあります。

(1) 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
(2) その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
(3) その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

3.計算方法

取得費に加算する相続税額は、以下の算式で計算した金額となります。

ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。

なお、譲渡した財産ごとに計算します。

その者の相続税額×その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の相続税評価額÷(その者の取得財産の価額+その者の相続時精算課税適用財産の価額+その者の純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産の価額)

相続や遺贈により取得した株式と同一銘柄の株式を保有している場合において、上記2.(3)の期間内にその株式の一部を譲渡したときには、その譲渡については、その相続や遺贈により取得した株式の譲渡からなるものとしてこの特例を適用して差し支えありません。

4.申告等の方法

この特例の適用を受けるためには、所轄税務署に以下の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

(1) 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
(2) 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

なお、(1)の計算明細書を利用すると、取得費に加算される相続税額を計算することができます。

5.最後に

以前と比べると引ける金額は少なくなりましたが、引けると税額が減ります。

不動産はすぐに売却できるとは限りませんので、売却の意思があるのであれば、早めに売却に向けた行動をした方が良いかもしれませんね。

2026年2月24日 國村 年

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事務所通信2026年1月

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2026年1月号『税務調査!』

毎年、税理士として、数件の税務調査に立ち会っています。

昨年は2件立ち会いましたが、今までと少し変化を感じています。

そこで今回は、『税務調査!』について書きたいと思います。

1.税務調査とは?

税務調査とは、納税者が提出した申告内容が正確かどうかを確認するために税務署または国税局が行う調査のことです。

法人税や所得税などは、納税者が自ら申告・納税する申告納税制度を採用しており、納税者が正しく申告・納付していれば問題ありませんが、中にはミスをしたり、故意に不正をしたりする方もいます。

そのため、申告内容に誤りがないか確認するために、税務調査が行われます。

2.税務調査の種類

税務調査には、大きく分けて「任意調査」と「強制調査」の2種類あります。

任意調査は、税務署職員が納税者の協力のもとで実施する調査であり、税務調査の大半がこれに該当します。

一般的には、電話や通知書で事前連絡があり、日程調整をしたうえで2日ほどかけて帳簿などが調べられます。

なお、事前通知がない無予告調査もあり、帳簿書類の隠蔽や改ざんなどの不正行為の可能性があったり、適正な調査の遂行が難しかったりといった状況で実施されます。

強制調査は、国税局査察部が実施する調査で、裁判所の令状をもって強制的に行われるもので、事前連絡はなく、調査対象になると拒否はできません。

立件を目的とした犯罪捜査の一種であり、巨額の脱税の疑いがある場合に行われます。

3.税務調査の連絡が行われる時期

税務署等の事務年度は7月1日から6月30日であり、人事異動もそれに合わせて行われるため、以前は異動後に調査先の選定を行い、お盆明けくらいから連絡が行われていましたが、現在は異動前にも選定を行っており、早い場合には6月や7月に連絡があり、7月以降で税務調査に入るようになっています。

昨年も、1件(法人)は6月、もう1件(個人事業主)は7月に連絡がありました。

4.早い時期に連絡がある案件

以前から、早い時期に連絡がある案件については、じっくりと時間がかけられるため、税金を取ろうとしている案件だと一般的に言われていますが、最近は税務署職員のOJTを重視している側面もあり、必ずしもそうでもないようです。

5.最近の税務調査の特徴

以前と比べると、取引先や関係者に連絡するなどして色々と確認しています。

それをきっかけに、新たな調査先を選んでいるようにも感じます。

また、法人や個人事業主の口座のみならず、親族の個人口座を結構調査しています。

世の中では売上などを親族の口座などに入れているケースが多いのかもしれません。

あとは、普段税理士が見ていないような資料を見ることにしているようです。

例えば、業務日報などです。

6.最後に

売上などを抜いていないかどうかを調べていることが多いように思いますが、以前よりはよく見ているように感じますので、普段からきちんと処理しておきましょう。

2026年1月28日 國村 年

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事務所通信2025年12月

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2025年12月号『賃貸不動産による節税が防がれる!』

2025年12月19日金曜日に令和8年度税制改正大綱が公表されました。

少し前から報道されていたためご存じの方もおられるかと思いますが、賃貸不動産による節税が防がれることになりました。

そこで今回は、『賃貸不動産による節税が防がれる!』について書きたいと思います。

1.賃貸不動産による節税

賃貸不動産ですが、相続税の計算上、土地は路線価による評価(時価の約8割)、建物は固定資産税による評価(時価の約5割~7割)で評価されます。

さらに、賃貸していると、土地はさらに約2割、建物はさらに約3割減額されます。

また、土地は、面積の上限はありますが、さらに減額されます。

これを利用した過度な節税が散見されることなどから、今回、改正されることとなりました。

2.貸付用不動産の改正

被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得または新築をした一定の貸付用不動産については、被相続人等が取得等をした貸付用不動産に係る取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の80%に相当する金額とすることとされました。

3.不動産小口化商品の改正

不動産特定共同事業契約または信託受益権に係る金融商品取引契約のうち一定のものに基づく権利の目的となっている貸付用不動産(いわゆる不動産小口化商品)については、出資者等の求めに応じて事業者等が示した適正な処分価格・買取価格等、事業者等が把握している適正な売買実例価額または定期報告書等に記載された不動産の価格等を参酌して求めた金額とすることとされました。

なお、これらの価額ない場合、上記2.に準じて購入価額の80%評価とされています。

4.施行時期

2027年(令和9年)1月1日以後に相続等により取得をする財産の評価に適用されます。

ただし、上記2.については、当該改正を通達に定める日までに、被相続人等がその所有する土地(同日の5年前から所有しているものに限る。)に新築をした家屋(同日において建築中のものを含む。)には適用されないこととなっています。

5.最後に

現状では、詳細は分かりませんが、久しぶりの相続税関連での大きな改正ですね。

不動産小口化商品は遅かれ早かれ改正されると思っていましたが、改正されることになってしまいましたね。

節税をうたって賃貸アパートや不動産小口化商品を販売していた営業マンや会社には、大きな影響があるでしょうね。

不動産小口化商品の販売がそれなりの割合を占めていたFPGは不動産小口化商品の販売を中止すると言っていましたが、大綱公表後、販売を継続すると発表していますが、今後どうなっていくのでしょうね。

とりあえず、2027年(令和9年)1月1日以後に相続等により取得をする財産の評価から適用されるため、来年は、貸付用不動産や不動産小口化商品の駆け込みの贈与が増えると推測されますが、今後の相続税の節税対策は大きく変わるでしょうから、見直しが必要でしょう。

2025年12月22日 國村 年

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事務所通信2025年11月

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2025年11月号『取適法(とりてきほう)!』

最近、『とりてきほう』ということばを耳にしたり、目にしたりすることがないでしょうか?

そこで今回は、『取適法(とりてきほう)!』について書きたいと思います。

1.取適法(とりてきほう)とは?

2025年5月23日に公布された「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」(令和7年法律第41号)により、下請代金支払遅延等防止法(下請法)が改正されます。

法律の題名の変更のほか、適用対象、義務、禁止行為等様々な点の変更がされています。

2.法律の題名・用語の変更

下請代金支払遅延等防止法

製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律

下請代金

製造委託等代金

親事業者

委託事業者

下請事業者

中小受託事業者

3.規制の対象となる取引(赤字が追加)

  • 物品の製造委託・修理委託・特定運送委託
  • 情報成果物制作委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に限る)

委託事業者

 

中小受託事業者

資本金3億円超

資本金3億円以下

資本金1千万円超3億円以下

資本金1千万円以下

常時使用する従業員300人超

常時使用する従業員300人以下

  • 情報成果物制作委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管、情報処理を除く)

委託事業者

 

中小受託事業者

資本金5千万円超

資本金5千万円以下

資本金1千万円超5千万円以下

資本金1千万円以下

常時使用する従業員100人超

常時使用する従業員100人以下

4.禁止行為の追加

取適法施行(2026年1月1日)に伴い、同日以降に発注した取適法適用対象取引では、新たに以下の行為が禁止されます。

1

協議に応じない一方的な代金決定の禁止

中小受託事業者からの価格協議の求めに応じずに、一方的に代金を決定することは違反になります。

2

手形払等の禁止

手形による代金の支払いは違反になります(「支払遅延」に該当。)。

電子記録債権やファクタリングを使用する場合にも、支払期日(最長で、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内)までに代金満額相当の現金を得ることが困難なものは違反になります(「支払遅延」に該当。)。

3

振込手数料を負担させることの禁止

中小受託事業者との合意の有無にかかわらず、振込手数料を中小受託事業者に負担させ、製造委託等代金から差し引くことは違反になります(「減額」に該当。)。

5.最後に

常時使用する従業員数を把握するのは容易ではないように思いますが、委託事業者も中小受託事業者も気をつけましょう。

2025年11月25日 國村 年

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事務所通信2025年10月

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2025年10月号『移動年計グラフ!』

毎月月次決算をしていて、単月や当期の累計の数値は把握しているものの、何となく業績が良くなっているとか悪くなっているとか感じているにもかかわらず、実際にはどうなのか分からない経営者の方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、業績のトレンドを博することができる『移動年計グラフ!』について書きたいと思います。

1.移動年計とは?

移動年計とは、当月を含めた過去12か月(1年間)の合計額を毎月、算出するものです。

決算では、年に一回だけ12か月分の合計額を算出しますが、移動年計は毎月12か月分の合計額となっています。

例えば、2025年9月であれば、2024年10月から2025年9月までの合計額となっています。

つまり、売上高・粗利益・経常利益といった重要な項目の移動年計表を作成するということは、毎月決算をしているようなものであり、季節的変動をも加味した経営状況が把握できるのです。

2.移動年計グラフで把握できること

移動年計表をグラフ化すること、つまり、移動年計グラフを作成することにより、季節的変動を練り込んだ業績のトレンドを把握することができます。

前述のとおり、各月において1年間(12 か月)の合計額を算出する、つまり毎月決算をしているようなものであるため、業績が上向いてきているのかそれとも落ち込んできているのか、「業績のトレンド」を把握できるのです。

単月ベースの比較グラフでは把握しにくい、中長期的な業績のトレンドが、移動年計グラフによって把握できます。

3.Zチャート

Zチャートとは、「月別」「累計」「移動年計」を一つのグラフにしたものです

これにより、季節的変動も加味した業績のトレンドを視覚的に把握することができます。

月別(Zの床線)、累計(Zの斜め線)、年計(Zの天井線)でチャートに表しています。

Zの形が右肩上がりであれば業績が上昇のトレンドにあり、右肩下がりであれば下降のトレンドであることが把握できます。

4.具体的な移動年計グラフの使い方

Excelなどを使って作成することもできますが、ソフトを使えば、簡単に、売上高・粗利益・固定費・経常利益を月別比較、累計比較、予算実績比較、移動年計、Zチャートでグラフ化し、業績の推移を視覚的に把握できます。

月別と期首からの累計額を当期と過年度で比較・分析できるだけでなく、移動年計グラフとZチャートで業績のトレンドを把握し、それらを元に予算実績の比較グラフを作成することもできます。

5.最後に

感覚に頼っている経営者の方も多いと思いますが、数値化とかビジュアル化は重要です。

何か手を打つ際には、何となくではなく、何か根拠のあるものをもとに行うべきです。

その時に役立つもののひとつが、移動年計グラフですので、一度見てみると、感覚と反対の結果が出るかもしれませんので、ぜひ使ってみてくださいね。

2025年10月28日 國村 年

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事務所通信2025年9月

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2025年9月号『資金別貸借対照表!』

利益は出ているものの、なぜか資金が足りないのだろうかと疑問に感じている経営者も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、『資金別貸借対照表!』について書きたいと思います。

1.資金別貸借対照表とは?

資金別貸借対照表は、創業以来稼いできたお金(利益)と、借入をして集めたお金が、どのような要因で運用され、現在の現預金残高に至っているか、見ることが出来ます。

①損益資金の部、②固定資金の部、③売上仕入資金の部、④流動資金の部に分けて考えるのです。

資金別貸借対照表には、「資金調達」と「資金運用」の欄があり、その差額が「現預金」となっています。

計算式で表すと、資金調達―資金運用=現預金となります。

創業以来稼いできたお金や、借入によって「調達した資金」が、どのように「運用」され、どれだけキャッシュが増減し、現在の現預金に至っているかを把握できます。

言い換えれば、「儲けた利益はどこに消えたのか」を4つの部に分けて見ることが出来るのです。

2.損益資金の部とは?

損益資金の部は、過去の蓄積の利益と、当期の利益でどれだけお金を稼いできたかを把握できます。

本来、損益資金の部の「現預金」が手元のキャッシュとして残るはずですが、実際の現預金の残高はなぜ違うのか、その原因を残りの3つの部から見ていくのです。

3.固定資金の部とは?

固定資金の部では、長期的な資金運用と資金調達のバランスを把握できます。

資金運用側には、設備投資や在庫など企業規模拡大の原動力となる資金が表示され、資金調達側には、長期借入金や資本金など長期的に使えるお金が表示されます。

設備投資などの固定的な資産は、長期的な資金調達方法で賄われるのが理想です。

固定資金の部がマイナスの場合、設備投資や在庫が長期借入金や資本金で賄いきれず、現預金を減らしている状況です。

4.売上仕入資金の部とは?

売上仕入資金の部は、売上債権回収サイトと仕入債務支払サイトの差が、どれだけ資金に影響を及ぼしているか把握できます。

現金商売でない場合、通常、サイト負け(売上仕入資金の部がマイナス)になります。

サイト負けだと、売上が増加すると、先行する支払いの金額も大きくなり、資金繰りが一時的に悪化するため留意が必要です。

損益資金の部、固定資産の部、売上仕入資金の部を合計したものを「安定資金」と呼びますが、資金の状態は、この「安定資金」で見ることが大切です。

なぜなら、安定資金がマイナスだと、「流動資金の部」で資金調達し、自転車操業のように短期の借入金で資金繰りをつないでいるため、借入を打ち切られた場合などに、倒産の危険性をはらんでいるからです。

5.流動資金の部とは?

流動資金の部は、短期の資金運用と資金調達の差額を把握できます。

ただし、ここで現預金を増加させても、安定した資金とは言えません。

6.最後に

資金別貸借対照表を使って、資金繰りを根本的なところから改善していきましょう。

2025年9月29日 國村 年

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事務所通信2025年8月

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2025年8月号『利益感度分析とは?』

最近では、人件費・燃料費などの物価上昇に伴い、値上げをしたり、値上げを検討されている企業も多いと思われます。

利益を増やすためには、収入を増やすか費用を減らすかになってきますが、何をすべきか考えるためには、利益感度分析が有効になってきます。

そこで今回は、『利益感度分析とは?』について書きたいと思います。

1.利益感度分析とは?

利益感度分析は、価格、数量、変動費、固定費の各要素が変動したときに利益に対してどれだけ影響を与えるかを分析するものです。

2.利益感度分析の目的

利益感度分析の目的は、「利益を増やすためにはどの部分から手を付ければ一番効果的か」を把握することです。

利益を増やすには、以下の4つの戦略が考えられます。

①   価 格

販売価格を上げる

②   数 量

販売数量を増やす

③   変動費

変動費を下げる

④   固定費

固定費を減らす

価格、数量、変動費、固定費の変動があった場合、どの戦略が最も利益に敏感(与える影響が大きい)かを把握するのです。

3.感度比率の意味と計算式

感度比率は、以下のように各戦略に占める経常利益の割合ですが、その数値は「どれだけ変動すると、利益(赤字)がなくなるか?」を表しています。

戦略

計算式

やさしい順

価 格

経常利益÷売上高

4

数 量

経常利益÷粗利益

3

変動費

経常利益÷変動費

2

固定費

経常利益÷固定費

1

例えば「価格」の感度比率が5%の場合、販売単価が5%下がると、利益がなくなることになります。

感度比率を算出することで、「利益改善に与える影響度の大きさ」を数値化し、把握することができます。

4.感度比率を基に感度順位を把握

感度順位は、利益に敏感な順位のことで、言い換えれば、少しの変動で利益改善に与える影響度の大きい順番です。

感度比率の数値が小さいものほど利益に敏感なので、感度順位は計算式の結果を基に決まります。

5.やさしい順を加味してどこから手を付ければ効果的かを把握

やさしい順は、取り組みやすさの順番で、固定費→変動費→数量→価格の順番になります。

価格は常に感度順位が1番になりますが、やさしい順では4番になります。

利益を増やそうとする際に、「固定費削減」から手を打ちがちですが、その理由は、固定費のやさしい順が1番だからです。

ところが、固定費の感度順位が低い場合は、固定費削減が利益の増加に与える影響は小さく、あまり効果的ではないのです。

利益感度分析をすることで、感度順位とやさしい順を加味して、どこから手を付ければ効率的に利益を増やすことができるかを把握できます。

6.最後に

コスト削減が厳しい時代になってきていますので、利益感度分析をうまく使って、利益を増やしていきましょう。

2025年8月29日 國村 年

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事務所通信2025年7月

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2025年7月号『全税目でオンライン調査スタート!』

コロナ禍以降、オンラインでの会議や研修などは当たり前になっていますが、税務調査も、全税目でオンラインで行われることになるようです

そこで今回は、『全税目でオンライン調査スタート!』について書きたいと思います。

1.概要

税務通信によると、国税庁は2025年9月から段階的に、税務調査で必要に応じて、調査官と納税者がメールでやりとりすることやWEB会議システムでの面談、オンラインストレージサービスによる帳簿書類等データの受渡し(まとめて以下、「オンライン調査等」)に着手するようです。

2.調査課所管法人から全納税者に対象拡大

コロナ禍を契機に、調査部特別国税調査官所掌法人へのオンライン調査が始まり、対象は全ての調査課所管法人になりました。

2025年9月からのGSS導入に伴い、税務署所管の法人にとどまらず個人にまで対象を拡大し、税目も法人税や消費税、源泉所得税といった事業者に係るものだけでなく、相続税や贈与税といった資産税についてもオンライン調査等の対象となります。

3.事前通知は従来どおり口頭でその後はメール

オンライン調査等の対象となる『調査等』には、実地の調査や行政指導、書面添付制度に係る意見聴取が該当します。

オンライン調査等として、①「インターネットメールでの連絡」が挙げられます。
具体的には、事前通知の後の調査官との連絡でメールを利用することで、例えば、調査官より調査で必要となる資料の準備の依頼がメールで行われます。
ただし、税務調査の事前通知は従来どおり、原則電話等の口頭で実施されます。

また、②「WEB会議システムによる面談」があります。
WEB会議システム『Teams』を利用して、調査等に係る質問や回答等のヒアリングが行われます。

そして、③「オンラインストレージサービスでのデータの受渡し」があります。
インターネットメールやe-Taxのほか、オンラインストレージサービス(PrimeDrive)を利用して、調査官から求められた帳簿書類等の資料のデータの受渡しを行います。

4.オンライン調査等は事前の手続きが必要

オンライン調査等は、納税者の利便性向上や税務行政の効率化を図る目的で実施されますが、あくまで調査等で必要に応じて行われるものであり、強制ではありません。

基本的には、調査等に当たり調査官が納税者の同意を得た上でオンライン調査等を実施することとなり、その際、納税者は調査官に同意書を提出するなどの手続きが必要となります。

5.金沢局と福岡局で先行スタート

2025年9月に金沢国税局及び福岡国税局とその管内税務署において、職員1人につき1台のGSS端末が配備され、同月以降にオンライン調査等の対応が始まります。

その他の国税局等及び管内税務署では、2026年3月から6月の間に順次配備され、オンライン調査等に対応していく予定です。

6.最後に

税務調査も、法人・個人、税目を問わず、オンラインで行われる時代になりますが、オンラインと対面のどちらが納税者にとって良いのか分かりませんが、臨機応変に対応していきたいものですね。

2025年7月30日 國村 年

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事務所通信2025年6月

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2025年6月号『類似業種平均株価表の業種目の見直し!』

国税庁は2025年6月16日、令和7年分の類似業種比準方式に係る「株価表」等を公表しました(「令和7年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)」、「類似業種比準価額計算上の業種目分類について(情報)」)。

2024年の「日本標準産業分類」の改定に伴い、株価表の業種目が見直されており、これまでの113業種目から115業種目となっています。

そこで今回は、『類似業種平均株価表の業種目の見直し!』について書きたいと思います。

1.類似業種株価等通達の業種目及び標本会社の業種目の分類

類似業種比準方式は、類似業種の株式の株価の平均値に、評価会社と類似業種の1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額、1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額をいいます。)の比準割合を乗じて、取引相場のない株式の価額を評価する方式です。

この業種目は、「日本標準産業分類」に基づいて区分しています。

また、類似業種の株価等の計算の基となる標本会社の業種目についても、「日本標準産業分類」に基づいて区分しています。

2.「日本標準産業分類」の改定等に伴う業種目の見直し

平成25年の改定から10年が経過し、その間の経済・社会の状況に変化が生じたことを踏まえ、「日本標準産業分類」の改定が行われました(令和6年4月施行)。

これに伴い、令和7年分の類似業種株価等通達について、業種目の見直しが行われました。

また、標本会社の業種目の判定を行った結果、標本会社が少数となる業種目については、特定の標本会社の個性が業種目の株価等に強く反映されることとなることから、このような影響を排除するため、業種目の統合を行うとともに、標本会社が多数となる業種目については、業種目の新設が行われました。

3.令和7年分の類似業種比準価額計算上の業種目分類

令和6年の日本標準産業分類の改定等を踏まえ、該当する上場会社が多数になる業種目として、大分類「専門・技術サービス業」の中分類として新たに「技術サービス業」、その小分類として「土木建築サービス業」、「その他の技術サービス業」の3業種目がそれぞれ株価表に新設されました。

一方、該当する上場会社が少数になる株価表の業種目として、株価表の大分類「建設業」の小分類であった「電気通信・信号装置工事業」が廃止され、「その他の設備工事業」に統合されました。

これまでは、日本標準産業分類の「電気通信・信号装置工事業」に該当する場合、株価表における業種目も「電気通信・信号装置工事業」として評価していましたが、日本標準産業分類の「電気通信・信号装置工事業」に該当しても、令和7年分の株価表には同業種目がないため、株価表の業種目としては「その他の設備工事業」に区分して評価することになります。

4.最後に

令和7年分の株価表は、令和7年1月1日以後の非上場株式の相続・贈与に適用されますので、留意しましょう。

2025年6月26日 國村 年

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2025年5月号『誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)』

2025年5月21日に、中央経済社から『誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)』を出版しました

2018年2月15日に、『誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A』を中央経済社から出版し、2019年2月に増刷となりましたが、今回、改訂を行いました。

改訂のお話しをいただいてから1年半くらいかかりましたが、ようやく出版に至りました。

 そこで今回は、『誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A(第2版)』について書きたいと思います。

 

1.月次決算の目的

決算とは、一定期間の収益と費用を集計して損益を算出し、資産や負債、資本金、剰余金といった財政状態を確定する手続です。

法律的には、1年に1回だけ決算をすればよいですが、実際には、管理会計上の要請から、多くの企業が1か月ごと、四半期(3か月)ごと、半年ごとに決算をしています。

このうち、 1か月ごとに決算をするのが月次決算と呼ばれています。

棚卸もそうなのですが、月次決算は、年度決算のように会社法や税法などの法規制を受けないため、決算の厳密さのレベルに自由度があります。

それゆえ、どこまで厳密に行うか、いいかえれば、どの厳密さのレベルで決算を行うかは、以下のような月次決算の目的に照らして、経営者自らが決めればよいのです。

財務諸表作成

販売価格等の決定

損益・原価管理、予算実績管理

資金管理

経営管理、経営の意思決定

2.書籍の内容

目次は、以下のとおりです。

第1章

月次決算の概要

第2章

月次決算体制の構築

第1節

現金及び預金プロセスの見直し

第2節

収益認識・債権回収プロセスの見直し

第3節

費用認識・債務支払プロセスの見直し

第4節

経費精算プロセスの見直し

第5節

人件費計上プロセスの見直し

第6節

売上原価・在庫計上プロセスの見直し

第7節

月次決算整理プロセス

第8節

月次決算のチェック

第3章

月次決算の分析・報告

第1節

月次決算分析・報告の手順

第2節

月次決算資料の作成

第3節

各部門での利益分析

第4節

経営者に対する報告・内容検討・対策立案

第4章

月次資金管理の実務

第1節

資金繰り管理の実務

第2節

資金繰りの分析

第5章

月次決算報告の具体例

3.最後に

本書は、月次決算を行うための「仕組み」「体制」づくりに焦点を当てています。

月次決算は何のために行うか?、それは、経営者の適時、適切な経営判断を行うためということを忘れてはいけません。

本書が、時代とともに進化する月次決算体制の構築のための、一助になれば幸いです。

2025年5月26日 國村 年