事務所通信
2025年7月号『全税目でオンライン調査スタート!』
コロナ禍以降、オンラインでの会議や研修などは当たり前になっていますが、税務調査も、全税目でオンラインで行われることになるようです
そこで今回は、『全税目でオンライン調査スタート!』について書きたいと思います。
1.概要
税務通信によると、国税庁は2025年9月から段階的に、税務調査で必要に応じて、調査官と納税者がメールでやりとりすることやWEB会議システムでの面談、オンラインストレージサービスによる帳簿書類等データの受渡し(まとめて以下、「オンライン調査等」)に着手するようです。
2.調査課所管法人から全納税者に対象拡大
コロナ禍を契機に、調査部特別国税調査官所掌法人へのオンライン調査が始まり、対象は全ての調査課所管法人になりました。
2025年9月からのGSS導入に伴い、税務署所管の法人にとどまらず個人にまで対象を拡大し、税目も法人税や消費税、源泉所得税といった事業者に係るものだけでなく、相続税や贈与税といった資産税についてもオンライン調査等の対象となります。
3.事前通知は従来どおり口頭でその後はメール
オンライン調査等の対象となる『調査等』には、実地の調査や行政指導、書面添付制度に係る意見聴取が該当します。
オンライン調査等として、①「インターネットメールでの連絡」が挙げられます。
具体的には、事前通知の後の調査官との連絡でメールを利用することで、例えば、調査官より調査で必要となる資料の準備の依頼がメールで行われます。
ただし、税務調査の事前通知は従来どおり、原則電話等の口頭で実施されます。
また、②「WEB会議システムによる面談」があります。
WEB会議システム『Teams』を利用して、調査等に係る質問や回答等のヒアリングが行われます。
そして、③「オンラインストレージサービスでのデータの受渡し」があります。
インターネットメールやe-Taxのほか、オンラインストレージサービス(PrimeDrive)を利用して、調査官から求められた帳簿書類等の資料のデータの受渡しを行います。
4.オンライン調査等は事前の手続きが必要
オンライン調査等は、納税者の利便性向上や税務行政の効率化を図る目的で実施されますが、あくまで調査等で必要に応じて行われるものであり、強制ではありません。
基本的には、調査等に当たり調査官が納税者の同意を得た上でオンライン調査等を実施することとなり、その際、納税者は調査官に同意書を提出するなどの手続きが必要となります。
5.金沢局と福岡局で先行スタート
2025年9月に金沢国税局及び福岡国税局とその管内税務署において、職員1人につき1台のGSS端末が配備され、同月以降にオンライン調査等の対応が始まります。
その他の国税局等及び管内税務署では、2026年3月から6月の間に順次配備され、オンライン調査等に対応していく予定です。
6.最後に
税務調査も、法人・個人、税目を問わず、オンラインで行われる時代になりますが、オンラインと対面のどちらが納税者にとって良いのか分かりませんが、臨機応変に対応していきたいものですね。
2025年7月30日 國村 年