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「バーチャル開催」は株主総会の新潮流になるか?

 

東洋経済ONLINEによると、政府からの自粛要請を受け、大規模な集会やイベントが中止を余儀なくされています。

そんな中、法律上中止にできないのが定時株主総会です。
会社法の規定により、株主全員の同意があった場合以外は、必ず総会を開催しなければならないことになっています。

3月は12月決算企業の定時株主総会が開催される月で、12月決算の上場会社は453社(2020年3月10日時点)あり、このうち4月開催の窪田製薬ホールディングスを除く452社が3月中の開催を予定しています。

その窪田製薬も、2016年の上場当時から毎年4月に総会を開催しています。
つまり、新型コロナウイルス対策を理由に株主総会の開催を4月以降に延期する上場会社はゼロなのです。

法務省は定時株主総会の開催時期について、「会社法上、事業年度の終了後3カ月以内に必ず定時株主総会を招集しなければならないものとされているわけではありません」というコメントを発表しています。

しかしながら、株主総会の開催日はそう簡単に動かせません。
株主総会の開催が決算期末から3カ月を越えてしまうと、翌期の第1四半期が終わっても役員人事が確定しないという事態を招いてしまいます。
配当の決議機関を株主総会としている会社では配当の支払いが遅れ、税務処理の面でも影響が出ます。

12月決算の上場会社を単元株主数の多い順に並べ、上位50社を見てみると、2019年と同様、総会開催日も総会開催会場もほぼ同じという企業がほとんどです。

大半の企業が招集通知に新型コロナ対策についての注意書きを付し、議決権行使は総会会場に来場せずに、郵送もしくはインターネットで行使することを推奨しています。
会社側のスタッフはマスクを着用し、具合が悪そうな人には声かけをし、退場を促すなど、臨戦態勢モード全開です。

カゴメとライオンは例年手渡しているお土産を中止し、ライオンは総会後に開催していた懇談会も取りやめます。

ヤマハ発動機は会場に保健師を待機させ、お土産、飲料提供は中止します。
自社製品の展示や、総会後に実施していたコミュニケーションプラザの視察会も2020年は実施しません。

クックパッドやキヤノン、花王、電通グループ、DICは会場入口での検温を実施し、体温が37.5度以上の株主は入場を制限するとしています。
資生堂は、株主が座る座席の間隔を大きくとるなど、各種の対策をこらしています。

屋外作業向け工具卸のトラスコ中山は、2019年は3月8日に開催した総会を2020年は3月13日に開催しました。
見かけ上は1週間後ろ倒したように見えますが、3月の第2金曜日開催という従来のルールどおりで、新型コロナ問題を理由に後ろ倒したのではありません。

同社は開催会場を東京と大阪の2カ所としている唯一の上場会社だそうです。
取締役は2カ所に分かれて出席しますが、議長は1年おきに出席会場を変えます。
2019年は大阪だったので、2020年は東京会場に出席しました。

総会の進行は通信回線で両会場を結び、議長のいない方の会場の株主は、議事進行状況を会場に設けられたスクリーンで見ることができます。
議決権行使や質問、動議はもう1つの会場の議長に伝わるので、どちらの会場にいても議決権行使は可能です。

同社の2019年12月末時点の株主総数は4万106人で、2会場での総会開催ゆえか、リアル総会への出席率は例年7%を超えます。
基本的には総会への来場・出席を促しているが、今回はさすがに郵送かインターネットによる議決権行使を促しました。

12月決算会社中51番目に多い2万9,335人の株主を擁するGMOインターネットは、株主が参加しやすくするため、2019年は上場しているグループ会社8社中5社が、日曜もしくは祝日に開催しました。

ところが、2020年は逆に来場を控えるよう呼びかけ、開催日も3月30日とするなど、開催日を後ろ倒しにしました。

総会の当日はホームページ上でライブ中継も実施し、株主以外でも視聴可能です。
ソフトバンクも決算説明会や株主総会をライブ中継してきましたが、GMOは2020年が初めてで、「2021年以降も株主の反応をみて、株主の不利益やハードルがない限り継続したい」(同社広報)とのことです。

経済産業省は、2020年2月26日、「ハイブリッド型バーチャル株主総会」(以下、バーチャル総会)に関する実施ガイドを公表しました。
バーチャル総会とは、取締役などがリアルの株主総会を開催しつつ、インターネットなどを使って遠隔地の株主が総会に参加・出席できる総会のことです。
ソフトバンクなどのような一般公開型の株主総会中継と異なり、参加・出席できるのは議決権を持った株主に限定しています。

バーチャル総会には、参加者が議決権行使や質問などをすることができない「参加型」と、それができる「出席型」があります。
参加型は、希望する株主にIDとパスワードを発行し、WEBサイト等で配信される中継動画を視聴してもらいます。
質問や動議を出せないが、参加者のコメントを議長の裁量で取り上げることはできます。
議決権行使は事前に郵送かインターネットで済ませておく必要があり、すでにグリーやアステリアで実施された実績があります。

これに対し、出席型の場合、会社側は通信障害の対策を施さねばならず、株主側も参加可能な通信環境を備えていることが前提になります。
12月決算企業で唯一、この出席型総会の実施に踏み切ったのは、独立系ソフト開発大手の富士ソフトです。
2019年12月末時点の株主総数は1万1,118人で、例年の出席株主数は200人前後にとどまっています。

同社が3月13日に開いた総会でバーチャル出席を希望したのは11人でした。
事前に通信環境を会社側に申請させ、議決権行使に必要なiPadを保有していることを必須条件としました。

一方、リアル会場での出席者は159人でした。
当日は密集を避けるために複数の会議室に映像と音声を同時中継し、座席の間隔を大きくとりました。
同社は以前からバーチャル総会用のソフト開発を進めており、今回もリアルの総会会場に、出席者の人数分のiPadを用意し、iPad上で議決権行使できるようにしました。

同社は「少人数だからこそ実施できたが、マンモス総会に対応できるかどうかは未知数」(広報)としています。

バーチャル総会の議論はそもそも、企業と株主・投資家の建設的な対話を促すための環境整備という視点で始まったものです。

取締役会が不適切な意思決定をすれば、株主は会社側と対話をしたり、取締役の選任議案に反対するなど、株主総会で権利を行使したりすることもなく、その会社を見限って株を売ってしまいます。
一部のエンゲージメントファンドが根気強く会社と対話をし、権利を行使する場合もありますが、それはあくまでも例外でしかありません。

株主総会の実務に詳しい大塚和成弁護士によると、「上場会社と株主の対話をどのように促し、株主総会を活性化させるかというのは、昔からある、古くて新しいテーマ」だそうです。

日本は3月期決算企業が上場会社の6割強を占め、総会開催日が特定の日に集中しやすくなっています。
さらに、株主総会の招集通知を発送してから総会開催日までの日数が短く、議案を検討する時間が十分にとれません。
欧米の投資家は長年、こうした点の弊害を指摘し続けていますが、バーチャル総会には日本の株主総会慣行を多少なりとも変える機能を期待できるでしょう。

ある上場会社の幹部からは「今後、バーチャル総会が一般化すると、経営側は緊張感が高まる」という声もあがっているようです。

日本企業は株主に総会前の議決権行使を促し、会社提案の議案可決ラインの票を確保した上で総会に臨むことが多くなっています。
しかしながら、バーチャル総会が一般化すると、事前に議決権行使をせず、当日の総会の場で議決権行使をする株主が増え、総会終了まで結果がわからないという事態が一般化する可能性があります。
そうすると、その分だけ経営陣の緊張感は高まり、ガバナンス上は好ましいでしょう。

想定外の新型コロナウイルス禍でバーチャル総会が広まれば、日本企業のガバナンス向上に一役買うことになるのかもしれませんね。

限られた時間の中で、新しいことをするのは大変だと思いますが、新型コロナウイルスがきっかけとは言え、株主にとっては株主総会に参加する方法が増えることは望ましいことだと思います。
このような状況下で、感染のリスクを背負ってまで株主総会に参加しなくても良いと思います。
お土産目的で株主総会に参加される方もそれなりに多いようなことを聞きますが、個人的には、そもそもお土産は必要なのかと疑問に思っています。
株主総会に参加できる人とそうでない人がいると思いますので、お土産を出すのであれば、配当を1円でも増やしたり、株主優待を増やしたりして欲しいですね。
僕みたいに地方に住んでいる人間にとっては、株主総会にリアルで参加するには、時間もコストもかなりかかりますので。
今後、株主総会が新たな方向に向かうことを期待したいと思います。

「バーチャル開催」は株主総会の新潮流になるか?について、どう思われましたか?


会社法改正案では非上場の大企業にも社外取締役を義務化!

 

 法制審議会(法相の諮問機関)の会社法部会がまとめた会社法改正の要綱案の全容が判明しました。
 上場会社や非上場の大会社を対象に、社外取締役の設置を義務付けることなどが柱です。
 株主総会での一部の株主による提案権の乱発も抑え、企業と株主の対話を促します。
 2月に山下貴司法相に答申し、2019年の通常国会に改正案を提出し、2020年の施行を目指すようです。

 海外の機関投資家などから企業の外部監査機能が不十分との指摘があるため、経営の監視機能を高めます。
 社内の利害関係に縛られず、第三者の視点から経営をチェックするのが狙いです。

 社外取締役の設置は、(1)監査役会を置き、株式の譲渡制限がない会社、(2)資本金が5億円以上または負債総額200億円以上の大会社、(3)有価証券報告書の提出義務があるのいずれも満たす企業が対象です。

 上場企業のほか、少数株主がいる非上場の大会社も含みます。
 法務省幹部は「今回の法改正で非上場では数百社が義務化の対象になる」とみています。
 要綱案には「社外取締役を置かなければならない」と明記し、人数は1人以上を想定しています。

 2015年5月施行の改正会社法は、監査役会を置き、株式の譲渡制限がない会社で大会社が社外取締役を置かない場合には、株主総会で理由を説明するよう求めています。
 すでに東京証券取引所の上場企業は9割超が社外取締役を置いています。
 一方、コストを敬遠したり、適任者がいなかったりして、未設置の企業も2.3%あります。

 社外取締役の義務化で会社の意思決定に外部の見方を反映できます。
 企業統治の多様性や透明性を確保することが、上場会社の収益性の向上や国際競争力の確保にもつながります。
 取締役会の位置付けは異なるものの、欧米などでは上場会社の取締役の半数以上を独立した社外取締役にすることが多いようです。

 要綱案では株主提案権の制限も盛り込みました。
 株を持つ期間など一定の条件を満たせば、上限なく提案できる現行のルールを改めます。
 1人の株主が株主総会で提案できる議案数を最大10に制限し、株主提案の内容にも制約を設けます。
 誹謗中傷や侮辱行為、総会運営を妨げるような提案は認めません。

 日産自動車の元会長のカルロス・ゴーン容疑者の報酬過少記載事件で役員報酬の透明化への関心が高まるなか、報酬の概要や基本的な考え方を取締役会が決定し、開示することも明記しました。
 固定報酬や業績連動型報酬など、報酬の種類ごとの基準なども示します。
 個々の役員の報酬開示については見送りました。

 取締役会で決定した概要を開示し、株主に役員報酬の中身をわかりやすくし、妥当性の判断や株主総会で疑問点を追及できるようにします。
 社外取締役が義務化される会社のほか、監査等委員会設置会社も対象とします。
 事業報告には決定方針や報酬に関する決議、報酬の種類ごとの総額などを盛り込みます。

 事業報告などの株主総会資料はインターネット上で提供できるようにします。
 これまでは原則書面で、電子データでの提供は株主から個別に承諾を得る必要がありました。
 定款で電子提供をすると定めれば、株主の承諾なしに電子化できるようにし、企業の負担軽減につなげます。
 システム対応が必要なため、電子提供については2021年以降に施行する見通しです。

 電子提供を定款に盛り込んだ企業は、株主総会の日時や資料を「総会の3週間前」からインターネット上で提供します。
 書面での株主総会の招集通知の発送時期は現行通り「総会の2週間前」に据え置きます。
 上場企業には施行日から電子化を義務付けます。

 不適切会計の東芝にも社外取締役はいたわけですから、義務化すれば良いとは思いません。
 同じ方が何社も社外取締役を兼務しているようですので、兼務を禁止するとか、お友達を禁止するとかしないと、何ら有効なものにならないような気はします。
 どうせ改正するのであれば、有効なものにしてほしいですね。

 会社法改正案では非上場の大企業にも社外取締役を義務化していることについて、どう思われましたか?


 

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