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上場企業の看板を返上するMBOは2024年もハイペース!

M&A Onlineによると、MBO(経営陣による買収)が今年もハイペースを保っているようです。

2024年2月25日時点でTOB(株式公開買い付け)は12件(届け出ベース)を数えますが、その半数の6件がMBO案件です。

年間16件だった2023年を上回るペースで推移しており、過去最多を記録した2011年21件に並ぶ勢いです。

MBOは上場企業の看板を返上して株式市場から「退場」することを意味し、究極の買収防衛策とも言われます。

創業家出身の経営者らがTOBを通じて自社の株式を買い取り、非公開化するパターンが一般的です。

多額の買収資金を必要とするため、投資ファンドと連携するケースが増えています。

キャンプ用品大手のスノーピークは、2024年2月20日、MBOで株式を非公開化すると発表しました。

今年に入って6件目のMBO案件で、翌21日から買い付けが始まりました。

買付代金は最大約340億円で、創業家出身で筆頭株主の山井太会長兼社長が組んだ相手は米国投資ファンドのベインキャピタルです。

MBOが成立すれば、東証プライム上場が廃止となります。

コロナ禍で盛り上がったアウトドア需要の一巡で業績の頭打ちが鮮明になったことに加え、海外ローカルブランドやスポーツ用品、ホームセンターなどの異業種の参入で今後一層の競争激化が予想されます。

こうした中、上場を維持したままでは短期的な業績や株価動向にとらわれ、中長期な視点で事業構造改革を進めるのが難しいとの判断です。

MBOは、コロナ禍の影響が広がった2020年を境に増加傾向が顕著になりました。

2020年11件(TOB総数は60件)→2021年19件(同70件)→2022年12件(同59件)→2023年16件(同74件)と増減しながらも4年連続で2ケタを記録しました。

2024年はここまで6件(同12件)ですが、前年より4か月ペースが速くなっています。

過去をたどると、MBOが最高潮を迎えたのは2000年代後半から2010年代初めのことです。

ピークの2011年は年間21件に達しました。

元通産官僚の村上世彰氏が率いる「村上ファンド」の登場や海外投資ファンドの日本上陸を機に物言う株主の存在が意識され始めた時期に重なります。

2008年のリーマンショックを引き金とする世界同時不況の中、非公開化で上場コストを減らす動きも広がったのです。

足元の2024年のMBOで例年以上に目立つのが、投資ファンドの存在です。

ここまでの6件中、アオキスーパーの案件を除く5件には投資ファンドが絡んでいます。

しかも、そのうち4件は海外投資ファンドです。

2024年1月末に始まったベネッセホールディングスのMBOでは同社創業家がスウェーデン投資ファンドのEQTと組み、総額2,079億円に上ります。

MBOをめぐってはここへきて巨額案件が相次いでいます。

中堅や地方の上場企業にとどまらず、大手クラスにも波及してきたからです。

2024年1月半ばに完了した大正製薬ホールディングスのMBOは、7,000億円超と国内最大となりました。

2024年2月末から3月にかけては製造系・技術系派遣の最大手、アウトソーシングへの2,200億円規模のMBOが控えています(2023年12月に公表)。

東京証券取引所は2023年3月、プライム・スタンダード市場の全上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請しました。

とくにPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業には風当たりが強まっています。

さらには物言う株主の台頭も著しくなっています。

こうした中、株価対策や株主の意向に左右されず、中長期で経営改革を進めるための方策として、オーナー系企業を中心にMBOによる非公開化を模索する動きが広がりを見せているのです。

◎2024年のMBO一覧(届け出ベース)
開始    対象会社    公開買付者    総額    上場
1/9    アオキスーパー    青木商店(創業家)    107億円    1994年
1/25    ペイロール    TAアソシエイツ(米国)    240億円    2021年
1/30    ベネッセホールディングス    EQT(スウェーデン)    2,079億円    1995年
2/9    ウェルビー    ポラリス・キャピタル・グループ(日本)    240億円    2017年
2/13    ローランド ディー.ジー.    タイヨウ・パシフィック・パートナーズ(米国)    620億円    2000年
2/21    スノーピーク    米ベインキャピタル(米国)    340億円    2014年
※アオキスーパーの案件は2月20日に終了(成立)。これ以外は現在進行中。

短期的な利益が求められるとか、買収の可能性があるとかは、上場する以上、当たり前の話かと思いますが、それらを理由にMBOで上場廃止になるのであれば、そもそも上場しなければいいのにと思うのは、僕だけでしょうか?

上場で莫大な財産を手にしながら、自分に都合が悪いことが起こると、ではさようならだと、損をする株主も当然いますし、MBOに応じるにしても、会社指定の証券会社に移管しないといけないなど、手間やコストもかかりますので。

そして、数年後に再上場となると、ファンドや証券会社が儲かるだけだと思いますし、

ファンドも会社の価値を上げてエグジットしないと回収できないので、ファンドからのプレッシャーも大きいのではないかと思います。

上場企業の看板を返上するMBOは2024年もハイペースであることについて、あなたはどう思われましたか?


2023年に最も多くのM&Aを手がけた上場企業はどこ?

M&A Onlineによると、2023年のM&A件数(適時開示ベース)は1,068件と前年を119件上回り、16年ぶりに1,000の大台に乗せるエポックとなりました。

その主役である上場企業の数は全国で3,900社を超えますが、年間を通じて最も多くのM&Aを手がけたのはどこだったのでしょうか?

2023年の全M&A1,068件(買収側と売却側の双方が発表したケースは買収側でカウント)のうち、1社で複数(2件以上)のM&Aに取り組んだ上場企業は193社で、件数にして計480件です。

年間1件は588社を数えました。

件数トップはSHIFTとGENDAが各10件で並び、両社ともすべて買収案件でした。

前年(2022年)に各6件でトップを分け合ったヨシムラ・フード・ホールディングス(HD)は1件、ケア21は3件とペースを落としました。

SHIFTはソフトウエアテスト業務を主力とします。

2019年を境にM&Aにアクセルを踏み込み、ソフト開発、システム開発、デジタルマーケティング分野など周辺領域に業容を拡大してきました。

2019年5件、2020年6件、2021年3件、2022年3件と推移し、2023年は10件と一気に2ケタまで件数を伸ばし、買収総額も約125億円(金額非公表が1件)に上りました。

2023年の案件をみると、バイリンガル人材紹介事業や保育園運営会社の買収も含まれます。

このうち、バイリンガル人材紹介事業については異なる言語、文化を持つメンバー間を橋渡しするブリッジエンジニアなどの採用力強化につなげるのが狙いだそうです。

一方、国内M&A市場にすい星のごとく現れたのが「GiGO」ブランドを中心にアミューズメント施設を全国展開するGENDAです。

2023年7月に東証グロース市場に上場後、わずか半年間にエンターテインメント関連で10件のM&Aに取り組みました(金額はいずれも非公表)。

会社設立は2018年5月ですが、実は上場以前も10件近くのM&Aを実施しており、買収意欲が旺盛な“ストロングバイヤー”として知られる存在だったのです。

買収対象もアミューズメント施設の運営会社をはじめ、ゲーム用景品販売、レモネード専門店、ポップコーン専門店、映画配給など多岐にわたります。

このうち、2023年11月末には独立系映画配給大手のギャガ(東京都港区)を傘下に収めました。

GENDAは2024年の年明け早々、カラオケボックス「カラオケBanBan」(全国約370施設)を運営するシン・コーポレーション(東京都新宿区)の子会社化を発表しています。

次点はSNSマーケティング事業のアジャイルメディア・ネットワークで、年間7件でした。

これに続く年間5件はグローバルキッズCOMPANY、ソラスト、日本創発グループの3社でした。

年間4件はクオールホールディングス、ニデック、トナミホールディングス、三井物産、三井松島ホールディングスなど14社ありました。

過去5年の年間トップの顔ぶれをみると、2019年はソフィアホールディングスで11件、2020年はココカラファイン(現マツキヨココカラ&カンパニー)で8件、2021年はアウトソーシングで9件、2022年、2023年についてはすでに触れたとおりです。

<2023年M&A件数:上場企業別ランキング(適時開示ベース、HDはホールディングスの略)>
10件    SHIFT、GENDA
7件    アジャイルメディア・ネットワーク
5件    グローバルキッズCOMPANY、ソラスト、日本創発グループ
4件    KPPグループHD、揚工舎、エフ・コード、クオールHD、テンダ、電通グループ、トナミHD、ニデック、日本エコシステム、ベクトル、三井物産、三井松島HD、ミンカブ・ジ・インフォノイド、ランドビジネス
3件    ダイヘン、ミネベアミツミ、戸田建設、日本テレビHDなど36社
2件    137社

個人的には、M&Aは一度うまくいくと以後も続けていく傾向があると思っていますので、GENDAみたいなところも今後、どんどん増えていってくれればいいなぁと思います。

話しを持ち掛ける方も、ストロングバイヤーに持っていくのが、話しも早いですし、決まる確率も高く、楽でしょうから。

話しを持ち掛けられる方も、良い案件が集まってきますからね。

2023年に最も多くのM&Aを手がけた上場企業はどこ?について、あなたはどう思われましたか?


大正製薬HDのオーナー家によるTOBが成立し上場廃止へ!

日本経済新聞によると、大正製薬ホールディングス(HD)は、先日、オーナー家の上原茂副社長が代表を務める大手門(東京都豊島区)が実施していたTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表しました。

大正製薬HDは2024年3月開催予定の臨時株主総会での手続きなどを経て上場廃止となる見通しです。

TOBの買い付け予定数の下限を上回る6,003万4,194株の応募がありました。

大手門は大正製薬HDの73%の議決権を取得します。

今後、全株式を取得するためスクイーズアウト(強制買い取り)を実施します。

普通株の買い付け総額は約7,100億円となり、日本企業最大のMBO(経営陣が参加する買収)となります。

大正製薬HDの株価はMBO発表後、ほぼ一貫してTOB価格の8,620円を上回って推移しました。

発表直後の大正製薬HDのPBR(株価純資産倍率)は0.5倍台で、TOB価格でも1倍を下回っています。

東京証券取引所はPBRが1倍を割り込む企業に対し、資本コストや株価を意識した経営を求めています。

投資助言会社のカタリスト投資顧問は大正製薬HDのMBOについて「PBR1倍を下回るTOB価格での市場からの退場は、少数株主を軽視した判断だ」と意見を表明していました。

大正製薬HDは今後、上原茂氏が社長に昇格する予定です。

現在の上原明社長は約40年にわたりグループのトップを務めてきました。

主力の一般用医薬品(大衆薬)が伸び悩むなか、非上場化でネット販売や海外事業を強化します。

個人的には、PBR1倍を下回るTOB価格は安すぎるのではないかと感じ、誰か出てくるかと思いましたが、出てきませんでしたね。

やはり、金額が大きいと、ハードルが高くなるんでしょうね。

TOB価格で争う方が出てきて、今後起こりうるTOBにおける価格の妥当性を示してほしいように思います。

大正製薬HDのオーナー家によるTOBが成立し上場廃止になることについて、どう思われましたか?


2023年版中小企業白書でも国内のM&Aが活発化が取り上げられている!

日税ジャーナルによると、後継者不在の問題が深刻化する中、2023年版「中小企業白書」では、中小企業でも広がりを見せているM&Aについて検証しています。

近年、M&Aの件数は増加傾向で推移しており、2022年は過去最多の 4,304件となりました(㈱レコフデータ調べ)。

これはあくまでも公表されている件数のため、未公表のものも一定数存在することを考慮すると、国内のM&Aはさらに活発化していることが推察されます。

M&Aの買い手として関心がある企業を対象に、M&Aの目的(複数回答)を尋ねたところ、「売上・市場拡大」が74.6%と最も高く7割を超えています。

また「新事業展開・異業種への参入」と回答する割合も46.9%と高く、M&Aを企業規模拡大や事業多角化といった成長戦略の一環として捉えている企業が多いことが分かります。

そのほか、「人材の獲得」が54.8%と5割を超えており、M&Aを人材獲得の手段として捉えている企業も多いようです。

買い手における経営統合(PMI)時の課題としては、「自社従業員と相手先従業員の一体感の醸成」が 50.3%と最も高く、次いで「相手先従業員のモチベーション向上」が 47.2%でした。

M&Aで期待以上の満足度を実感している企業ほど、相手先企業への確認事項として「相手先経営者や従業員の人柄・価値観」を重視しており、白書では「M&A成立前の段階から相手先従業員の人柄や価値観を確認しておき、対策を講じておくことが必要」と指摘しています。

買い手としてM&Aを実施する際の障壁(複数回答)を見ると、「相手先従業員等からの理解が得られるか不安がある」と回答した割合が51.6%と半数を超えており、白書では「M&A成立前の段階から相手先経営者や従業員の人柄・価値観を確認しておくことが、不安の解消につながる可能性が考えられる」と分析しています。

また、「判断材料としての情報が不足している」、「期待する効果が得られるかよくわからない」、「相手先(売り手)企業が見つからない」と回答した割合がそれぞれ3割を超えており、M&Aに関する情報不足や期待した効果を得られるか不明瞭である点を障壁と感じている企業も多いようです。

買い手におけるM&Aの具体的な効果(複数回答)としては、「商品・サービスの拡充による売上げ・利益の増加」(49.8%)や「商圏拡大による売上げ・利益の増加」(45.4%)など、売上げ・利益面の相乗効果を実感している企業が多い傾向にあります。

また、「技術・ノウハウ等の横展開」(26.0%)、「ブランドや信用力の向上」(21.0%)など、買い手企業・売り手企業双方の経営資源を組み合わせた相乗効果を実感している企業も目立ちます。

このように、中小企業の間でもM&Aは広がりを見せており、M&Aの目的として「売上・市場シェア拡大」や「新事業展開・異業種への参入」を挙げるなど、事業承継だけでなく企業の成長を促す手段としてM&Aが認識されつつあります。

最後に白書では、「事業承継やM&Aは企業の挑戦や成長を促す転換点といえる。事業承継やM&Aを通じて、後継者が新しい挑戦へ果敢に取り組み、企業の更なる成長・発展につなげていくことを期待したい」とまとめています。

どんどんM&Aが浸透していくことは、嬉しいことですね。

目的も事業承継だけでなく、成長を促す手段という認識がされつつあるというのも、M&A=ハゲタカみたいなイメージがあった頃からM&Aに関わっている人間としては、隔世の感がしますね。

新規事業を始めるくらいの感じでM&Aが行われるようになればいいのになぁと個人的には思っています。

2023年版中小企業白書でも国内のM&Aが活発化が取り上げられていることについて、あなたはどう思われましたか?


第一生命が異例の「後出し」買収提案で国内M&Aに転機!

日本経済新聞によると、第一生命保険ホールディングス(HD)がベネフィット・ワンの買収に向けて、異例の対抗TOB(株式公開買い付け)を表明しました。

今回の買収提案はベネフィット・ワンの事前の同意を得ておらず、長く日本企業の安定株主として経営を支えた生命保険会社の姿勢から一歩踏み込むことになります。

日本のM&A(合併・買収)の転機になりそうです。

先日開いたオンラインの記者会見で、第一生命HDの甲斐章文執行役員は「同意なき買収を企図しているのでなく、親会社のパソナやベネワンの賛同を原則にしている」と、敵対的な買収ではないと繰り返しました。

ベネフィット・ワンにはエムスリーがTOBをしています。

よって、第一生命HDの提案は結果的に「後出し」となります。

関係者によると、第一生命HDの経営陣はパソナ側と事前に接触しておらず、買収に向けた協議をこれから本格化させるようです。

第一生命HDが唐突にも映る対抗TOBに乗り出したのは、本業の国内保険事業に対する危機感があります。

傘下の第一生命保険が新たに獲得した保険契約が将来生み出す利益を示す指標では、2023年3月期に初めてマイナスとなり、事実上の採算割れを起こしたのです。

厳しい国内市場の打開策として、保険の販売を担ってきた営業職員が投資信託も取り扱ったり、2023年3月にはペット保険を手掛けるアイペットHDを完全子会社化したりしてきました。

第一生命HDは、企業の福利厚生を代行するベネフィット・ワンのネットワークを使って保険商品を拡販するほか、従業員の健康に資する新たなサービスを共同で開発する構想を描いています。

第一生命HDの甲斐氏は、「(2024年度に始まる)新しい中期経営計画で非保険事業の拡大を考えるなか、ベネワンの買収をかねて検討していた」と明らかにし、「少数株主にとっては訴求力のある提案だ」と自信をみせました。

ベネフィット・ワンの今の親会社であるパソナグループはエムスリーのTOBに応募する契約を結んでいます。

ただし、エムスリーの価格を上回る提案が出た場合は、パソナはエムスリーと協議を申し入れることができるようになっているようです。

パソナは当初の契約通り、1株1,600円でエムスリーのTOBに応じることもできます

が、高値での売却機会を逃したとしてパソナ株主からの反発が想定されます。

パソナは「エムスリーとの契約に基づいて対応を検討する」としています。

第一生命HDによる買収提案の発表後、ベネフィット・ワンの株価は私設取引システム(PTS)で、2023年12月7日の終値比25%高の1,888円まで上昇する場面がありました。

エムスリーが、第一生命HDに対抗してTOB価格を引き上げるかも焦点となります。

他の買収提案もでてきて、ベネフィット・ワンを巡る争奪戦になる可能性もあるでしょう。

日本では相手先の同意を得ないまま買収提案することは、まだ少ないです。

2020年にはDCMホールディングスが買収で合意していた島忠に対して、ニトリホールディングスがより高値の提案をして買収しています。

2023年はニデックが、TAKISAWAに同意なきまま買収提案し、実現させてます。

これらも似鳥昭雄氏や永守重信氏といった個性派の実力創業者によるもので、ほとんどの日本企業にとって「一度決まったM&Aに対抗提案を出すことや、相手の同意を得ずに買収を提案することはお行儀が悪い」(証券会社首脳)というのが常識でした。

今回の第一生命HDの対抗提案は、その常識を覆すものとなります。

経済産業省が2023年8月に「企業買収における行動指針」を出しました。

株主価値や企業価値の向上に資する買収提案であれば、経営陣は真摯に検討すべきだというのが盛り込まれました。

指針の背景には、日本企業の時価総額が海外に比べて見劣る理由の一つは、M&Aの活性化で遅れを取ったからだとの危機感があるからです。

大手機関投資家であり、創業家経営ではない第一生命HDがこれまで日本企業にとって非常識とされていたM&Aに乗り出したことは、よりM&Aを活性化させ、日本企業を魅力的な投資対象にすることにつながりそうです。

今年(2023年)は、ニデックの件や今回の件で、日本におけるM&Aで転機が訪れたということは間違いないですね。

当然、少数株主にとっては、知らないところでTOB価格は決まるわけですから、高いか安いかはなかなかは判断は難しいでしょうし、安いとしてもどうすることもできないので、高く買ってくれるところがあった方がありがたいでしょうから。

僕自身も、ベネッセホールディングスの株を持っていますが、取得価格より安いTOB価格には納得していないですからね。

第一生命が異例の「後出し」買収提案で国内M&Aに転機が訪れていることについて、あなたはどう思われましたか?


日本生命が介護最大手のニチイHDを2,100億円で買収!

日本経済新聞によると、日本生命保険は介護最大手のニチイ学館を傘下に持つニチイホールディングス(HD)を約2,100億円で買収するようです。

介護事業は高齢化に伴い、市場拡大が見込まれます。

日本生命は生保事業と相乗効果が見込みやすいライフケア分野の強化や顧客基盤の拡張につなげるようです。

生保によるM&A(合併・買収)は海外の同業や資産運用会社が中心で、異業種を買収するのは異例です。

日本生命は、先日、アメリカのベインキャピタル系のファンドなどが間接的に保有しているニチイHDの発行済み株式の約100%を約2,100億円で取得することで関係者と合意しました。

金融庁の認可を前提に、早期の買収完了をめざします。

ニチイHDは、傘下に介護や医療事務、保育サービスを手がけるニチイ学館や介護付き老人ホームなどを展開するニチイケアパレスなどを抱える持ち株会社です。

2023年3月期の営業利益は前の期比約4倍の117億円、介護事業の売上高は推定1,600億~1,700億円で業界トップ水準にあります。

日本生命とニチイHDは、1999年から子育て・介護を軸とするライフケア領域で業務提携関係にあります。

ニチイ学館の有資格者が日本生命の保険契約者向けに認知症や介護に関する相談を受けるサービスを手がけているほか、多様化する就労ニーズに対応した専用保育所を共同で展開しています。

ニチイHDが持つ顧客基盤を活用して、日本生命の本業の生保事業とのシナジー効果の発揮も見込んでいるようです。

介護や保育の顧客への保険商品の提案や、保険に付く介護関連サービスの強化などが軸になるとみられます。

具体策は今後検討するようです。

介護サービスは高齢化で市場拡大が見込まれています。

厚生労働省によると、介護が必要な高齢者は2023年8月末時点で約700万人います。

2021年度の介護費用(保険給付や自己負担を含む)は約11兆円と過去最多を更新しました。

政府推計では2025年度に給付費だけで15兆円規模まで膨らむ見通しです。

半面、担い手は小規模事業者が多くなっています。

賃金の低さから慢性的に人手が不足し、資金力が限られれば採用も難しくなっています。

近年は異業種からの参入が相次いでいます。

シェア上位にはSOMPOホールディングス傘下のSOMPOケアや教育事業を手がけるベネッセHD、学研HDといった大手企業が並んでいます。

ニチイHDは日本生命の傘下に入ることで、中長期的に安定した経営につなげやすくなります。

日本生命はかねて、子育て・介護やヘルスケアなど保険の周辺領域での新規事業創出に注力してきました。

背景には人口減少や少子高齢化など市場環境が変化するなか、生保事業だけでは収益が先細りするとの危機感があるからです。

特に主な販路である営業職員経由の保険販売は新型コロナウイルス禍が明けても、不振が続いています。

2023年4~9月期の個人保険における新規契約獲得件数や保障額は、前年同期比10%以上落ち込みました。

本業の立て直しを含めて、グループ全体での収益力の底上げが急務になっているようです。

日本生命は2024年度から始まる新たな中期経営計画で、ライフケアを中心に生保以外の新規事業の強化を柱の一つに掲げる方針です。

今回のニチイHDの買収を足がかりに、日本生命が持つ保険の周辺事業のノウハウなどを取り込むとともに、人材・資金面での支援を強化します。

現状、日本生命における新規事業の利益貢献はグループ全体の1%に満たないです。

ニチイHDの買収でまずは新規事業自体の収益力の底上げを図ります。

日本生命の傘下に入ると、資金面で困ることはないでしょうから、他社にとっては脅威でしょうね。

日本生命の傘下に入ることによって、ニチイHDの従業員の給料が高くなって業界の給与水準の底上げにつながると良いと思いますが、一方で、資金面で余裕のない小規模事業者からニチイHDに人が移って、小規模事業者の経営が成り立たなくなることは避けて欲しいですね。

日本生命が介護最大手のニチイHDを2,100億円で買収することについて、あなたはどう思われましたか?


大正製薬HDが日本企業最大約7,100億円のMBO!

日本経済新聞によると、大正製薬ホールディングス(HD)は、先日、MBO(経営陣が参加する買収)を実施すると発表しました。

オーナー家が代表を務める企業がTOB(株式公開買い付け)を実施しますが、普通株の買い付け総額は約7,100億円です。

日本企業のMBOでは過去最大です。

主力の一般用医薬品(大衆薬)が伸び悩む中、非上場化でネット販売や海外事業を強化し立て直すようです。

日本企業では、通信教育の「進研ゼミ」などを手掛けるベネッセホールディングスもMBOを発表したばかりです。

東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)の1倍割れ企業に改善を求めているほか、株主からの還元圧力も強まるなど上場維持のコストが増しています。

このような中、経営の立て直しへMBOで株式の非公開化に動く企業が増えています。

オーナー家の上原茂副社長が代表を務めている企業がTOBを実施します。

株式の買い付け期間は2023年11月27日から2024年1月15日までです。

買い付け価格は1株8,620円で、大正製薬HD株の2023年11月24日の終値を5割超上回ります。

TOBが成立すれば上場廃止になる見通しです。

大正製薬HDは、同日、TOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨すると発表しました。

筆頭株主の上原記念生命科学財団など大正製薬HD株を合計で約4割保有するオーナー家は、TOBへの応募契約を結びました。

大正製薬HDはMBOの背景について、市場環境の変化で、大衆薬のネット販売に向けたインフラの整備や、グローバルで展開できる他ブランドの買収など、中長期的な取り組みが必要になるとしています。

その上で「相応の時間と大きなリスクを伴うもので、株主の全面的な支持を得るのは難しい」としています。

大正製薬HDは、2023年9月までに早期退職優遇制度で645人が退職しました。

2024年3月期の連結純利益は前期比45%減の105億円の見通しです。

医療用医薬品などを扱う医薬事業の縮小に応じた措置としています。

大正製薬HDの医薬事業の売り上げは2012年3月期には1,000億円超でしたが、2023年3月期は377億円でした。

東海東京調査センターの赤羽高シニアアナリストは、「すでに大正製薬の社名は浸透しており、上場コストと効果が見合わないと判断したのだろう。上場廃止で経営資源を広告や製品価値の向上などに振り向ける判断をしても不思議ではない」と分析しています。

大正製薬は1912年創業で、1963年9月に東証2部に株式を上場しました。

2011年10月にはホールディングスを設立し、東証1部に上場後、2022年4月から東証スタンダード市場に上場していました。

以前からそうかもしれませんが、上場しているメリットが薄れてきているため、今後もたくさんMBOで上場廃止になるところが出てくるかもしれませんね。

物言う株主が出てきたり、敵対的M&Aをされる可能性がありますので、非上場化した方が落ち着いて経営できるでしょうね。

個人的に株式を持っているベネッセホールディングスもそうですが、プレミアを付けてくれたとしても損失が出る株主は複雑な気持ちでしょうけど。

大正製薬HDが日本企業最大約7,100億円のMBOを行うことについて、あなたはどう思われましたか?


伊藤忠商事が創業家の関与なしが条件でビッグモーターの買収を検討!

日本経済新聞によると、伊藤忠商事と国内の企業再生ファンドが中古車販売大手ビッグモーター(東京都多摩市)の買収を検討していることが、先日、わかったようです。

ジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と組み、買収に必要なデューデリジェンス(資産査定)の独占契約を結んだと発表しました。

伊藤忠商事とJWP連合は契約に当たり、ビッグモーターとの間で創業家が経営に関与しないことで大筋合意しました。

伊藤忠商事と子会社で燃料商社の伊藤忠エネクス、JWPの3社連合が、先日、ビッグモーターとデューデリジェンスを独占で実施することで基本合意書を結びました。

3社はビッグモーターの経営状況を詳細に分析し、2024年春までに再建を支援するかを最終決定します。

ビッグモーターは未上場で、ビッグモーター株は創業者の兼重宏行氏らの資産管理会社が保有しています。

2023年7月に自動車保険金の水増し請求などの不祥事が発覚し、顧客離れが進んでいます。

中古車販売は一時、例年に比べて6割以上減少しました。

現在も、月次で赤字が続いています。

ビッグモーターは現預金や売掛金などの流動資産を数百億円抱える一方、従業員への賃金支払いなどで資金の流出が続いています。

銀行団は借入金の借り換えに応じないなど資金繰りに苦慮しており、自主再建が困難な状況です。

ビッグモーターはコンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーの協力を仰ぎ、経営再建を急いでいます。

支援企業を早期に確定し経営の立て直しを目指していますが、不祥事の影響が長引き難航していました。

伊藤忠商事はグループで自動車リース事業を手掛けているほか、ニッポンレンタカーサービスを傘下に持つ東京センチュリーを持ち分法適用会社にしています。

輸入車・中古車販売大手のヤナセも抱え、自動車ビジネスとのつながりが深くなっています。

グループとの相乗効果が高い可能性があると判断し、支援に名乗りを上げました。

焦点は買収価格や事業譲渡の対象です。

ビッグモーターを巡っては、顧客の車体を故意に傷つけるなどして、損害保険会社に保険金を水増し請求する不正行為が横行していました。

国土交通省は、2023年10月、ビッグモーターが全国に持つ135工場のうち34工場で自動車整備を事業停止にするなどの行政処分を出しました。

金融庁も、2023年11月末に保険代理店登録を取り消す行政処分の実施方針を表明しています。

中古車の買い取りや販売でも1,000件以上のトラブルが生じ、複数の民事訴訟を抱えています。

2023年10月末には経営不振で東京都や埼玉県で計9店舗を閉鎖しました。

伊藤忠商事はビッグモーターの支援を通じ、自社のブランドイメージが毀損しないかも慎重に検討するようです。

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが入ったとの報道があった時点で、M&Aだろうなと思っていましたが、直感的に、オリックスかと考えていました。

少し前の報道では、オリックス・IDOM(ガリバーの運営会社)・QVC(テレビショッピング大手)が支援に手を挙げているとありましたが、このうち、IDOMが支援しないという報道が先日あったので、ますます、オリックスかと思っていましたが、伊藤忠商事が出てきましたね。

伊藤忠商事は、最近、有名ブランドを買っていますが、流石、色々なものを扱っている商社ですね。

上場企業ゆえ、コンプライスを無視したような企業の買収は慎重にやらないといけないとは思いますが。

伊藤忠商事が創業家の関与なしが条件でビッグモーターの買収を検討していることについて、あなたはどう思われましたか?


ニデック永守会長が仕掛けたTOBは敵対辞さず経営者の役割を問う!

日経ビジネスによると、ニデックが岡山県岡山市に本拠を置く中堅工作機械メーカー、TAKISAWAに仕掛けたTOB(株式公開買い付け)が9月に迫っています。
大企業によるTOBは過去、ほとんどうまくいきませんでしたが、市場の見方は近年、大きく変わりました。
業績と企業価値を上げているかどうかが厳しく問われる時代になってきており、ニデックのTOBは企業経営を巡る変化を映し出しています。

「これで(TOBが)否決されるようなことがあったら日本は異常な事態ですよ」と、工作機械メーカー、TAKISAWAに対するTOBを表明しているニデック(旧日本電産)が想定する予定買い付け期間(2023年9月14日~11月13日)のスタートまで1か月を切りましたが、ニデックの永守重信会長CEO(最高経営責任者)は、いつにも増して強気の姿勢をのぞかせています。

TAKISAWA経営陣は今もTOBに同意しておらず、このままいけば敵対的なTOBとなる可能性が大きくなっています。
日本では大企業によるTOBの成功例はごくわずかしかありませんが、永守会長は、「こういう手法が日本でも(十分に)使えることが分かれば、もっと大きな会社も買える可能性が高まる」と執念を見せています。

過去を振り返ると、ニデックは日本電産時代の2008年に鉄道用機器メーカーの東洋電機製造にTOBを仕掛けましたが、東洋電機製造の強い抵抗に遭い、取りやめた経験があります。
15年ぶりの再挑戦は、永守会長の意地のようにも映りますが、角度を変えて見れば、このTOB劇は最近の日本の企業経営を巡る変化を映し出しています。

「TOBという手法が世の中に出てきた。これが本当に使えるかを試してみようと思った。」と、2008年9月、東洋電機に対するTOB発表後、永守会長は狙いをこんな風に話しました。
M&A(合併・買収)巧者として知られる永守会長は、それまで業績が悪化し、倒産寸前になったような企業を買収しては自ら徹底した合理化で再建していきました。
基本的に元の経営者は変えず、従業員のリストラもしません。

相手の合意を得た上で傘下に収め、経営手法を徹底的に変えることで強い企業に再生するのです。
それが、東洋電機製造を巡ってはアプローチを一転させました。
そこにあったのは、いわば「さぐり」だったのでしょう。

2000年に通商産業省(現経済産業省)出身の村上世彰氏が率いた村上ファンドが不動産会社、昭栄(現ヒューリック)へ国内初の敵対的TOBを仕掛け、2003年にはアメリカ投資ファンドのスティール・パートナーズがユシロ化学工業やソトーに対する敵対的TOBに動きました。

そして、2006年には王子製紙(現王子ホールディングズ)が北越製紙(現北越コーポレーション)にTOBを仕掛けて、大企業もアメリカ型の買収に打って出ました。
これを見た永守会長は、この手法が日本に本当に定着するのかを試そうとしたのではないでしょうか?

うまくいくようなら、「強い手段」も含めて買収をさらに加速しようと考えたのでしょう。
この時期は、ニデックが、二デック急成長のけん引役となったハードディスク用の精密モーターから、自動車や家電・商業・産業用のモーターへ多角化を図り、新たな成長段階に入ろうとしていた時期に当たります。

しかしながら、結局、この時期のTOBは村上ファンドなどのアクティビスト(物言う株主)から事業会社によるものまで、ほとんど不成立に終わりました。
東洋電機製造の抵抗に遭った永守会長も、それを見て無理せず、相手企業との合意を元にしたM&Aに回帰していったのでしょう。

以後続いた「穏やかな時代」が、ここにきて変化してきたのです。
「真摯な買収提案を恣意的に解釈し、企業価値を高める提案を安易に断ることがないよう留意が必要」と、経済産業省が2023年6月に公表した「企業買収における行動指針(案)」はこううたっています。
指針は、経産省が株主利益の保護や企業価値向上を目指して日本企業にM&Aを推奨する方向に動く中で出されました。

M&Aについての事実上のガイドラインです。
6月からパブリックコメントを募集しており、年内に正式制定されると見られます。

これが企業経営を巡る1つ目の変化です。
仕掛けられた側の経営者の思いだけでは、もはや買収を拒否できません。
ニデックもTAKISAWA取締役会に送った「経営統合に関する意向表明書」でこの指針に触れ、「本取引は全体として指針で推奨されている望ましい買収であると考えている」と述べています。
株主に企業価値向上をもたらす提案であると宣言しているのです。

ニデックのTOBが映し出す企業経営の変化の2つ目は、経営者が成長と企業価値向上競争を常に迫られる時代に入ったことです。
ニデックは、2023年3月期までの10年で売上高を約3倍の約2兆2,400億円に伸ばし、さらに2030年にはその約5倍の10兆円に引き上げるという高成長構想を打ち出しています。

ニデックの工作機械事業は、もともとは車載用モーターをはじめとする主要事業の部品の精度を上げることを主な狙いとして始めたものです。
しかしながら、2021年8月に三菱重工工作機械(現ニデックマシンツール)を、2022年2月にOKK(現ニデックオーケーケー)を買収し、業績不振だった両社を短期間に再生したことで、永守会長は考え方を転換しました。
「工作機械業界には、経営改善を進めればもっと業績を上げられる企業がたくさんある」と。

工作機械事業を伸ばし、10兆円構想の柱の1つに育てる方向に転じたのです。
2023年2月にはイタリアの工作機械メーカー、PAMAもM&Aでグループに入れました。
その上でTAKISAWAに買収を提案した狙いは、既にニデックグループ入りしている工作機械メーカーとのシナジー(相乗効果)を引き出すことです。

ニデックマシンツールは、歯車工作機などニッチな分野で市場シェアが大きく、門形マシニングセンター(MC)や横中ぐりフライス盤などの大型機を持っています。
ニデックOKKは市場のボリュームゾーンである中小型MCを得意とし、PAMAは大型MCや横中ぐりフライス盤などで欧米と中国・アジアに販路を持っています。

TAKISAWAは市場規模の大きい旋盤を柱にしており、TAKISAWAをグループに加えれば、製品分野の広がりの面でも、事業エリアの地理的な面でもカバー範囲を広げられるのです。

これによって販売と生産・サービスでのシナジーと購買や生産規模拡大によるコストダウンなど多様な効果が見込めます。
それは、ニデックグループの既存3社だけでなく、グループに入ればTAKISAWAの成長にもつながり、TAKISAWAの株主のメリットにもなると、ニデックはそう訴えています。

TAKISAWAの2023年3月期の連結売上高は279億9,500万円で、10年前の2013年3月期からの成長率は33%にとどまります。
もともと東京証券取引所1部銘柄でしたが、2022年4月の市場再編の際、最上位のプライムではなく、2番手のスタンダード市場を選択しました。

こうした状況下で、TOBにかつてのような「乗っ取り屋」的な拒否反応が出ないのは、企業はたゆまず価値向上に尽くす必要があるという考え方がこの10年で日本の産業界に浸透したからでしょう。
安倍晋三政権が2013年に「日本再興戦略」を策定し、企業にガバナンス(企業統治)力の強化を求め、経営改革を進める力を付けるよう促しました。

2014年2月には金融庁の有識者検討会が「スチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)」を策定し、機関投資家が企業と対話して、その成長を促すことが投資家の役割・責任として明確にされました。
機関投資家による経営監視強化の一歩です。

2015年5月には東証によって「コーポレートガバナンス・コード」も策定され、ガバナンス強化が本格化しました。
さらに2022年4月の東証の市場再編も経営者に改革を求める圧力となりました。
経済産業省の「企業買収における行動指針(案)」などは、こうした一連の動きに連なるものでもあります。

このように経営陣が企業価値を向上できるかどうかについて市場やステークホルダー(利害関係者)の目は年を追って厳しくなってきました。

TAKISAWAの経営陣はニデックがTOB開始を想定する9月14日の前日に会社としての意見を「公表することを目指す」としており、TOBに対するその他の具体的な対応策はまだ見えません。
TAKISAWAの株価は、ニデックが7月13日にTOBの方針を公表して以降急騰し、既に予定買い付け価格である1株2,600円にほぼ達しています。

TAKISAWAの株価がこの水準に達したのは今から約5年半前の2018年2月初め以来であり、既存株主の多くにとって既に損のない水準になっていると見られます。
今後、TAKISAWAがこれを超える株価を実現する企業価値向上への方策を示せるかどうか、ニデックとTAKISAWAの攻防戦は日本の企業経営の大きな変化の1つの断面なのでしょう。

個人的にも、この案件についてはすごく興味を持っています。
敵対的TOBが日本で成功するかどうかのきっかけになる案件だと思いますので、ウォッチしていきたいですね。
上場している以上、TOBのリスクは当然ありますので、その辺りについて上場企業の経営者には認識して欲しいと思いますし、業績を上げて、配当を増やし、株価を上げるのも経営者の責任ということを自覚して欲しいですね。
そうなると、PBRが1倍を割るのも解消されるでしょうし、株価も上昇するでしょうから、日本経済も活性化するのではないでしょうか?

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『地球の歩き方』を廃刊から救った「事業譲渡」というサバイバル術!

2023年06月06日(火)

M&A Onlineによると、ダイヤモンド・ビッグ社が、先日、東京地裁より特別清算開始命令を受けたようです。
ダイヤモンド・ビッグ社は1969年9月に設立された、出版大手ダイヤモンド社の子会社です。
旅行ガイドブックの編集・出版を手がけ、1979年に創刊した『地球の歩き方』シリーズで有名です。
一部ネットメディアで同シリースが廃刊になると伝えられましたが、これは明らかな誤報で。同シリーズは引き続き発行されます。

なぜなのでしょうか?

実は『地球の歩き方』は2021年1月に、ダイヤモンド・ビッグ社から学研ホールディングスが設立した孫会社の株式会社地球の歩き方(東京都品川区)に事業譲渡されています。
今回清算するダイヤモンド・ビッグ社とは、すでに無関係なのです。

学研ホールディングスは2009年以降、少なくとも8件の買収を実施しています。
学研ホールディングスが『地球の歩き方』シリーズの事業譲渡に乗り出したのも、自然な流れでした。

『地球の歩き方』は日本人の海外旅行ブームに乗って、100タイトル以上を発行しています。
現地の口コミなど従来のガイドブックとは一線を画す実用書として人気を博していました。
「ドル箱商品」を得たダイヤモンド・ビッグ社は、2001年9月期に年間売上高112億6,500万円をあげています。

その後は出版不況が長引いた上に、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う海外渡航制限の影響もあって、2020年3月期には同28億8,500万円にまで激減し、学研グループへの事業譲渡に踏み切りました。
ダイヤモンド・ビッグ社は2023年3月31日に株主総会の決議により解散しており、清算は既定路線でした。
負債総額は2022年3月期末時点で約10億4,977万円です。

事業譲渡により『地球の歩き方』シリーズは生き残りました。
その決断をためらっていたら、『地球の歩き方』シリーズは惜しまれつつ歴史の幕を閉じることになったでしょう。
企業は消滅しても、商品は残るのです。

コロナ禍を支えた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済は2023年7月から2024年4月にかけてピークを迎えます。
事業継続を断念せざるを得ない企業も急増する見通しです。
そうした企業でも、将来性のある事業が存在するケースも少なくありません。

事業譲渡ができれば製品やサービスは残り、顧客や取引先への責任も果たせます。
状況次第で雇用も守れるでしょう。
「座して死を待つ」よりも、事業譲渡を模索する方が得策と言えそうです。

事業譲渡ではM&A仲介事業者などから、助言や買い手探し、譲渡交渉などの支援を受けられます。
経営が行き詰まる前に真剣に考えておきましょう。

海外旅行と言えば、『地球の歩き方』というイメージを持っていましたが、コロナへの対応ができなかったんでしょうね。
儲かるビジネスを構築していただけに、新たなことに対応できなかったのでしょうか?
残念ですが、事業譲渡で『地球の歩き方』は残ったわけですから、良しとしましょう。
学研ホールディングスはM&Aに力を入れているのか、先日、M&A登録支援機関である弊事務所にも、売り案件はないですか?みたいな郵便がきていました。
こういった案件をいっぱいやっていただいて、ブランドを存続させて欲しいですね。

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M&Aが「経営破綻の末の売却」とは言い切れない訳!

2023年05月23日(火)

M&Aという決断は、企業に何をもたらすのでしょうか?
ビジネスシーンでよく耳にする「M&A」ですが、その件数は増加傾向にあり、2022年には過去最多となりました。
M&Aに対し「経営破綻の末の売却」といった印象を持つ人もいますが、近年、そのイメージは塗り替えられています。
後継者不足の解決策として、また、積極的な成長戦略の一環として、M&Aを選ぶ企業が増えているのです。

東洋経済ONLINEによると、この記事の筆者らは、主に中小企業を対象としたM&A仲介をしています。
M&Aとは「Merger(合併)&Acquisition(買収)」の略です。
ある企業がほかの企業を買収したり、複数の企業が合併したりすることを指します。
よく「企業と企業の結婚」とたとえられ、私たちM&Aアドバイザーは、その「仲人」に当たります。
譲渡企業(売り手企業)と譲受企業(買い手企業)を結び付け、成長に導く仕事です。

中小企業のM&Aの場合、吸収合併や経営統合となるケースは少なく、買い手企業が売り手企業の51%以上の株式を買い取り、子会社化することがほとんどです。

日本企業のM&A件数は年々増加しています。
2020年はコロナ禍の影響で減少したと見られますが、2022年は4,304件で、過去最多となっています。

M&A仲介業は、日本独自のビジネスモデルといわれています。
これは日本企業の99%が中小企業であり、海外諸国に比べてM&Aが起きやすい環境だからだといえます。

M&Aの大きな要因は事業承継問題の顕在化です。
2045年には、70歳以上の経営者は約245万人に増え、後継者不足の企業はその半数超の127万社になるといわれています。

さらに、その127万社のうち60万社は黒字企業です。
つまり、後継者がいないために、黒字でありながら廃業しなければいけない企業が増えています。
その解決のためにM&Aを選ぶ企業が多くなっています。

このように、M&Aは後継者問題を解消する手段として注目を集めていますが、企業がM&Aを選ぶ動機はそれだけではありません。
事業拡大のため、人材確保のため、知名度の獲得のためなど、複合的かつさまざまです。

ただ、理由の1つに事業承継が含まれるケースはやはり多く、M&A業界全体の7割ほどを占めているという印象です。

かつて多くの人がM&Aに持つイメージは、「経営破綻したから売ったんだ」というものでした。
そこからM&Aの増加につれて、近年では成長戦略の手段の1つとしてM&Aを選択するケースが増えています。

2022年11月、アメリカの投資ファンドのベインキャピタルが、国内アパレルのマッシュホールディングスを2,000億円規模で買収しました。

日本経済新聞の記事(2022年11月15日、電子版)では、(マッシュホールディングスは)「さらなる成長には、ファンドのノウハウを借りながら海外展開を一段と進める必要があると判断」、(ベインキャピタルが)「成長企業に出資し、資金やノウハウを提供して一段の事業拡大を支援」と、ポジティブな表現です。M&Aというワードに対する印象が、変わってきたと感じました。

M&Aの意義を一言で表現するならば、「時間を買うことができる」です。
世界的な例を挙げると、Facebook社(現・Meta社)は、2012年にアメリカのスタートアップ企業だったInstagram社を買収しました。
10億ドルもの値段でしたが、より若い世代のユーザーを世界中で獲得することができました。

Facebook社が単独で新たなSNSを開発するよりも、すでにある企業を買収するほうが、成長戦略としては効率的です。
売り手側の目線に立てば、「頑張って株式上場を目指そう」と考えていたところから、上場企業に買われたことで、自分たちで上場しなくても上場企業グループの看板を使えることになります。

時間というリソースは限られています。世界中の企業が1分1秒を競い合って新しい価値を生み出そうとしている時代に、これまでと同じやり方ではどんどん差を付けられてしまいます。

加えて、M&Aでは「同じ船」に乗ることで生まれるエネルギーがあります。

筆者らが企業に対してM&Aのご提案をする中で、「業務提携でいいのでは」と言われることもあります。
もちろん、それで解決する部分もあると思います。
ただし、それではやはり、本当にコミットメントし合う関係にはなりません。
「受注した仕事をする」「任せた通りの仕事をしてもらう」ということ以上のインセンティブは働きません。同じ場所を目指す仲間になるからこそ100%コミットし合い、それがお互いの成長になるという関係性を築くことができます。

前述ではFacebook社とInstagram社という世界的に有名な企業を例に出しましたが、M&Aは売り手、買い手とも企業の規模を問わず適用できる戦略です。
小さな会社でも大手と一緒に組めば、より広い世界観に飛び込むことができます。

しかし、中小企業の場合、自社の将来に対する課題意識はあっても、M&Aという選択肢を考えていない経営者が多い傾向にあります。
やはりM&Aは巨額の資金を持つ大企業がするものだというイメージがあるのでしょう。

なかには、そもそも成長意欲がないと言わざるを得ない企業もあります。
ぼんやりと「現状維持でいい」と考えている経営者は、意外と多い印象です。

しかし、これからの時代において「現状維持」は「後退」を意味します。
人口が減り続けるなかで、優秀な人材の確保はより一層難しくなります。
中小企業ほど、さらなる業務効率化や生産効率の向上が求められます。

こうした意識の背景には、中小企業という閉じられた環境の中にいることで、経営環境が激変する状況に目が向けられていないことがあると思います。
あるいは、「自分が育ててきた会社だ」というプライドが邪魔をして、視野を狭くしているのかもしれません。

もちろん、自社の将来をどう考えるかは自由です。
しっかりと売上や利益が上がっていて、「ずっとこの会社をやっていくんだ、生涯現役なんだ」というのであれば、それも自社への愛着として共感できます。
その結果、廃業することになったとしても、従業員の就職先を見つけ、職を保証できれば問題ないと言えるのかもしれません。

ただ、やはりすべての企業は成長を目指すべきだと私たちは思います。
M&Aのプロセスでは、実際に契約するかしないかは、相手や条件を見てから決めることができます。
とりあえず検討してみて、自社に合わないと思えばやめればいいでしょう。
厳しい言い方になってしまいますが、成長のための選択肢を検討しないことは、経営者としての怠慢ではないでしょうか。

日本は少子高齢化が進み、労働人口も減っています。
企業の生産性も上がらず、特に中小企業ではずっと同じ給料で働く人も多いのが現状です。飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していた高度経済成長期を経て、日本は「失われた30年」などと揶揄される経済の停滞期に突入しています。

日本企業の大部分を占める中小企業の生産性が改善されなければ、当然、日本全体の生産性も高まりません。
このままでは「元気な日本」はいつまでたってもやってこないでしょう。

私たちが多くの企業の現場を見ているなかで、その危機感を覚えることもあります。
最も多いのは、やはり経営者の高齢化です。
一般的には、どうしても高齢になるほど気力や体力は続かなくなり、判断力は落ちていきます。
結果的に売上は横ばいになり、組織もマンネリ化してきます。
そういう企業では、従業員のモチベーションは下がり、優秀な人材から流出していきます。

あるいは、デジタル化の遅れです。
いまだに経理担当者が手作業で給与計算をしている会社も多く、「新しいやり方を取り入れて、ほかに労力を割いたほうがいいのでは」と感じます。

そうした課題を解決するための有効な手段が、M&Aによって成長産業を集約していくことです。
成長できる余地があるならば、思い切って自社を第三者に任せるという決断は、やはり必要です。

個人的には、この記事のタイトルにあるように『M&Aが「経営破綻の末の売却」』だと考える経営者はそんなにいないのではないかと思いますが、M&Aは、事業承継のためはもちろんのこと、事業拡大のため、人材確保のため、知名度の獲得のためなのは、間違いないと思います。
今は、70代の経営者の事業を引き継ぐいわゆる団塊ジュニア世代の方がたくさんおられると思いますが、団塊ジュニア世代の方が70代くらいになって事業を引き継ごうと思う頃には、それほど人口の多い年代がなく、かなり厳しいのではないかと考えています。
そこが厳しいのですから、今、事業をうまく引き継げないと企業は将来的には残っていけないと思います。
よって、経営者の方は、早めに事業承継のことを考えましょうということです。

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M&Aの課題は「一体感の醸成」!

2023年05月18日(木)

ツギノジダイによると、中小企業の間でもM&Aは広がりを見せていますが、買い手としてM&Aを検討する企業は、「相手先従業員等からの理解が得られるか不安がある」などの不安を抱えていると2023年版の中小企業白書は指摘しています。
調査からは、早期の段階から PMIを検討し、事前に相手先経営者や従業員の人柄・価値観などを確認することや、買い手企業と売り手企業双方でM&Aの目的や戦略を明確化することの重要性が見えてきました。

2023年版中小企業白書によると、M&Aの件数は増加傾向にあり、公表されている数字だけですが、2022年は過去最多の4,304件に上りました。

それでは、M&Aの満足度はどんな要素に影響を受けるのでしょうか?
中小企業白書によると、M&Aの満足度が「期待以上となった」企業は、「相手先経営者や従業員の人柄・価値観」をより重視する傾向にありました。

逆に、買い手としてM&Aに関心がある企業を対象に「M&Aの障壁」について尋ねたところ、「相手先従業員等からの理解が得られるか不安がある」と回答した割合が最も高く、50%を超えていました。

さきほどの結果をあわせて考えると、M&A成立から「相手先経営者や従業員の人柄・価値観」を確認しておくことが、不安の解消につながる可能性が考えられます。

また、「判断材料としての情報が不足している」、「期待する効果が得られるかよくわからない」、「相手先(売り手)企業が見つからない」と回答した割合がそれぞれ30%を超えていました。

PMIとは、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略称で、M&Aによって引き継いだ事業の継続・成長に向けた統合やすり合わせなどの取り組みのことを指します。

調査では、PMIを「基本合意締結前」に検討した企業は、「基本合意締結後~クロージング完了後」に検討した企業や「検討していない」企業と比較して、M&Aの満足度が「期待以上となった」割合が高い傾向にありました。

中小企業白書は「今回の調査だけで一概にはいえないものの、M&Aで期待した成果を得る上で、早期の段階からM&A成立後を見据えて、PMIの準備を行うことが重要だと示唆される」と説明しています。

僕自身も、年間に数件M&A案件に関わっていますが、ここ数年、PMIの重要性は非常に感じています。
やはり、買収後のことをキチンと見据えて検討しないと、買収したとしても上手くいかないケースが多いのではないかと感じています。
既に買収していたとしても、専門家などを交えて丁寧に検討していけば、上手くいくケースもあるでしょうが。

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フジトランスポートが事業譲渡希望の運送事業者を公募!

日経産業新聞によると、長距離輸送の大手のフジトランスポート(奈良県奈良市)が事業譲渡を希望する運送事業者の公募を始めたようです。
ドライバーの労働時間の規制が強化される「2024年問題」まで残り約1年となり、マッチングサイトを通じて初めて公募するそうです。

競合他社のM&A(合併・買収)も活発になる中、業界再編の波がさらに広がる可能性があります。

「24年問題に向け、輸送力のある事業者はどんどん買収されている。このタイミングで手を打つ必要があった」と、フジトランスポート執行役員の川上泰生氏はそう力を込めています。

フジトランスポートが募集するのは、積載重量10トン以上のトラックを少なくとも10台ほど所有する運送事業者や、トラック整備工場などです。
フジトランスポートが輸送網を構築していない沖縄以外の46都道府県を対象に、5月22日まで受けつけます。

運送事業者は匿名で応募でき、成約まで無料でマッチングサイトの担当者のサポートを受けられます。
マッチングサイトの担当者によると、物流企業によるこうした取り組みは珍しく、「自社でも2例目になる」と話しているようです。

背景には、ドライバーの年間時間外労働時間が960時間に制限される2024年問題を前に、物流業界でM&Aが活発になっていることがあります。

このマッチングサイトでは、物流関連のM&A件数は2021〜2022年の2年間で2019〜2020年比で1.8倍に増加しています。
フジトランスポートも2020年4月以降に10社を買収し、自社の出店も合わせて42拠点を新設しました。

従来は自社で買収先を探していましたが、他社の動きも活発になるなか、「自前では限界がある。今回の公募は予算や事業者数に上限を設けずに幅広く募集する」(川上氏)ようです。

フジトランスポートを含むグループの国内拠点数は118カ所で、保有トラックは約2,500台です。
2035年までに同200カ所、同5,000台まで増やす計画だそうです。

譲渡する企業にもメリットがあります。
グループの給油所などを利用することでコストを抑えられます。
このほか、物流業界は下請けの多重構造で、2次請けや孫請けで荷物を運ぶケースも多くなっています。

長距離輸送の大手であるフジトランスポートは、荷主との運賃交渉でも比較的スムーズです。
川上氏は「グループに入った企業は収益改善などが進んでいる。今後もM&Aを含めた規模拡大を行い、24年問題を乗り切りたい」と話しています。

2024年問題は、運送業界にとっては死活問題であり、大変ですね。どこかの傘下に入るという選択肢も重要になってきますね。
日本人は、運送に関して早さや安さを求めすぎなのかもしれませんが、物価高騰や人手不足の問題もあるわけですから、まずは、例えば、運送に関する意識を変える必要があるのではないかと思います。
また、自動運転やドローンの規制緩和と合わせてやる必要もあるのではないかと考えています。

フジトランスポートが事業譲渡希望の運送事業者を公募したことについて、どう思われましたか?


独立系M&A仲介会社が相次いで大型案件を獲得!

日本経済新聞によると、国内のM&A(合併・買収)市場で、大手証券の主戦場だった数千億円規模の大型案件に独立系M&A仲介会社が参入しているようです。
1月に完了したオリックスによる通販化粧品大手ディーエイチシー(DHC、東京・港)の子会社化は、M&Aキャピタルパートナーズが仲介しました。
仲介会社が得意とする事業承継M&Aが広がっており、非上場のまま高値で取引される企業が増えています。

オリックスのDHC買収額は約3,000億円で、M&A 仲介会社が手掛けた案件として過去最大規模です。
M&Aキャピタルパートナーズが取引完了時に得る手数料は数十億円規模とみられます。
日本経済新聞はM&Aキャピタルに事実確認を求めたようですが、同社は「個別案件へのコメントは控える」と回答しています。

M&Aキャピタルパートナーズは2022年、オリックスが電気設備工事大手のHEXEL Works(ヘクセルワークス、東京・港)を約400億円で買収した際も仲介業務を担っています。
M&Aキャピタルパートナーズは、DHC 創業者の吉田嘉明氏に会社売却の意向があることが分かると、買い手候補としてオリックスを選定し、約1年にわたり両社の調整役を務めました。

大手経営コンサルタントの山田コンサルティンググループは2022年、アメリカ投資ファンドのベインキャピタルによるアパレル大手マッシュホールディングス(東京・千代田)の買収で、売り手であるマッシュ側の財務アドバイザー(FA)を務めました。
ベインによるマッシュの評価額は約2,000億円にのぼりました。

もともと山田コンサルはマッシュから会計コンサル業務を引き受けていました。
マッシュ創業者の近藤広幸社長が新規株式公開(IPO)を検討していたところ、山田コンサルはノウハウのあるファンドに保有株式の一部を売却し、連携してIPOをめざすことを提案しました。
売り手側FAとして複数のファンドが参加する入札を取り仕切きりました。

これまで取引額1,000億円超の大型M&Aは、主に大手証券会社が手掛けていました。
一方、M&A仲介会社は、中小企業のオーナーが事業承継目的で会社を売却する数億〜数十億円の案件を中心に手掛けてきました。
両者にはすみ分けができていました。

ここにきてM&A仲介会社の存在感が増してきたのは、仲介会社が得意とする事業承継M&Aが活発化しているためです。
M&A助言のレコフによると、事業承継M&Aは2022年に約750件と前年比2割弱増え、過去最高を更新しました。
非上場であっても売却対象となれば数百億〜数千億円の高値が付く企業も出てきました。

M&A仲介会社が高い報酬で人材をひき付けていることも大きいようです。
M&Aキャピタルパートナーズの2022年9月期の平均年間給与は上場企業トップの3,161万円です。
一部の管理部門を除き、営業成績に基づく歩合制をとっています。
中村悟社長も例外ではなく、2005年の会社設立以来、中村社長の報酬が社員平均を下回ったことが2回あるそうです。

大手証券も事業承継を中心とする非上場企業のM&A案件を狙っています。
大和証券は全国の支店長を事業承継担当とし、オーナー経営者の相談に応じる体制を整えました。
社員研修でも事業承継に関する内容を増やしています。

野村証券はM&A 担当部署に非上場企業の専門チームを設けています。
主にリテール営業担当者が受けるオーナー経営者の会社売却相談を専門チームにつなぎ、FA 業務に取り組んでいます。

M&A 仲介会社では手数料を売り手・買い手の両方から徴収する「両手取引」が慣行になっており、取り過ぎとの批判があります。
公的な資格が不要で、知識や経験が不足した事業者も少なくないため、オーナー経営者とのトラブルも起きています。

もっとも、オーナー経営者の事業承継問題は深刻化しており、東京商工リサーチによると、2022 年時点の後継者不在率は約6 割にのぼります。
大手証券も交えて事業承継M&A の支援業務が活発になれば、手数料の下げ圧力や業界の透明性向上につながる可能性があります。

大手証券会社に独占されていた大型案件が、M &A 仲介会社にも回ってきていることは良いことですね。
これらにより、売ったり、買ったりする側の選択肢が増えるでしょうし、おそらくかなり高い証券会社の手数料も下がるでしょうから。

独立系M&A仲介会社が相次いで大型案件を獲得していることについて、どう思われましたか?


ソフトバンクグループがM&A税務巡る見解相違で370億円の申告漏れ!

日本経済新聞によると、ソフトバンクグループ(SBG)が東京国税局の税務調査を受け、2021年3月期までの2年間で約370億円の申告漏れを指摘されていたことが、先日、関係者への取材で分かったようです。

傘下のアメリカ携帯通信スプリントの合併に絡む取引の費用が過大に計上されていたとみられます。
グローバルなM&A(合併・買収)案件が増えるなか、関連支出を巡る国税当局と企業側の見解の相違が目立ってきました。
ルールを巡る議論にも一石を投じそうです。

調査対象の2期間とも税務申告は赤字で、追徴課税は発生しなかったもようです。
SBGは日本経済新聞の取材に対し「法人所得で約370億円の修正申告を行いました。経費計上タイミングなどの見解の相違によるもので、仮装、隠蔽に課せられる重加算税の対象となる修正はありません」とコメントしました。

関係者によると、焦点となったのはM&Aの関連支出が「費用」か「資産」かという税務処理を巡る判断です。
SBGは2020年4月に傘下だったスプリントとTモバイルUSの合併に伴ってスプリント株を手放し、新会社の株式を取得した取引に絡み、デューデリジェンス(資産査定)費用や弁護士費用などを雑損失として計上しました。
雑損失は税務上の費用として損金算入され、税負担の減少につながる場合があります。
スプリントの企業価値は2018年4月時点で約590億米ドル(当時のレートで約6.4兆円)でした。

これに対し、東京国税局は費用ではなく株式の取得価格として資産計上すべきだと指摘したもようです。
取得価格に含まれると、株式を売却するまでは税務上、損金になりません。

M&Aの関連支出を巡り、企業と国税当局間で意見が食い違うケースは少なくないとされています。
背景にあるのが国内企業によるM&Aの増加です。
M&A助言のレコフによると、2013年の約1,900件が2022年に約4,000件と倍増しました。
税法に詳しい弁護士は、「M&Aの関連支出の扱いに関する規定には曖昧さがあり、企業側は慎重な対応が必要だ」と指摘しています。

このほかに、傘下の「ビジョン・ファンド」の一部の管理費用に関する申告漏れも含まれているそうです。

SBGで数百億円以上の申告漏れが明らかになるのは、2018年にタックスヘイブン(租税回避地)の子会社などに関し約900億円の申告漏れが発覚して以降4度目です。
2019年には約4,200億円の申告漏れが判明し、子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた節税策を封じる税制改正につながりました。

ソフトバンクグループの税務処理を巡っては、色々と問題が出てきますね。
かなり税務を研究しているのではないかと思いますが、ここまで大きいと、税務の隙間みたいなところが改正されてしまいますね。
実際には、赤字であり、指摘されても期ズレの問題であり、痛くもかゆくもないのでしょうが。

ソフトバンクグループがM&A税務巡る見解相違で370億円の申告漏れを指摘されたことについて、どう思われましたか?


横浜銀行が神奈川銀行にTOBを実施し完全子会社化へ!

テレビ神奈川によると、横浜銀行は、神奈川銀行の完全子会社化へ向けて、株式の公開買い付けを開始すると、先日、正式に発表しました。

記者会見には、横浜銀行の片岡達也頭取と神奈川銀行の近藤和明頭取が出席し、社会の変化に対応するため、同じ神奈川県を地盤とする両行が一体となって、安定的な金融仲介機能を発揮する必要があると経営統合の趣旨を説明しました。

経営統合は、2022年8月から横浜銀行側からの提案で連携強化について協議を始めたもので、比較的規模が大きい企業との取り引きに強みがある横浜銀行と、中小企業への支援が得意な神奈川銀行はお互いに補い合える関係としています。

また、店舗統合ありきの完全子会社化ではなく神奈川銀行のブランド名は継続するほか、課題となっていたデジタル化について横浜銀行のノウハウを生かすメリットが期待されるとしています。

横浜銀行の片岡達也頭取は、「5年後10年後の先を見据えた経営を行っていく中で、両行の業績が堅調な状況でまさにこのタイミングで経営統合を行って将来に向けて先手を打つ」とコメントしています。

横浜銀行は、すべての株式の公開買い付けを2023年4月4日までに行うことを目指し、2月6日から買い付けを開始しています。
その規模はおよそ82億円を見込んでいるということです。

今後、こういうことが全国的にどんどん進んでいくんでしょうね。
どう考えても、金融機関は多過ぎますから。
金利で競い、手数料の高いものを売るのではなく、サービス内容で競うように早くなってほしいですね。

横浜銀行が神奈川銀行にTOBを実施し完全子会社化することについて、どう思われましたか?


M&A業務が裁量労働に!

日本経済新聞によると、厚生労働省はあらかじめ決めた時間を働いたとみなす「裁量労働制」の対象業務に銀行や証券会社のM&A(合併・買収)業務を追加します。
2023年1月内に決定します。
多様な働き方の実現に向け、時間にとらわれない働き方ができるよう対象を拡充します。
適切な運用には過重労働の防止策などの充実も求められます。

裁量労働制は弁護士やゲームソフトの創作など専門性が高い19職種が対象の「専門型」と事業の立案・調査など「企画型」の2種類あります。
M&A業務は専門型として追加します。
企業から「M&A分野は専門性が高い半面、繁閑の差が大きい」などと追加を求める声があったようです。
経団連も対象拡大を要望していました。

専門型の対象業務は省令や告示で定め、現在19あります。
M&Aを追加すれば2003年以来、約20年ぶりです。
2023年に政省令を改正し、2024年に施行する見通しです。

従来は企画型のみ必須だった本人同意を専門型でも義務化します。
企業が一方的に適用を決めると過剰な業務責任を与えて過労を引き起こすとの懸念があったからです。

厚労省による2019年の調査では、裁量労働制の適用者は1日の平均労働時間が9時間と非適用者より21分長くなっています。
適用者は8割程度が「満足」「やや満足」と答え、私生活とのバランスが取りやすいと評価する声が目立ちました。

日本総合研究所の山田久氏は「現場判断で新しいものを作るような、プロフェッショナルで自立性の高い働き方は経済活性化につながる」と裁量労働制を評価しています。
過度な裁量や業務を与えられる余地が残っている点を問題に挙げ、企業での「研修や適正なガイドラインの導入が必要だ」と課題を指摘しています。

2018年に成立した働き方改革関連法の審議過程で厚労省提出のデータに不備が見付かり、対象業務の拡大が法案から削除された経緯があります。
厚労省は改めて労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で議論しています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの普及などで従来の枠組みでは労務管理がしづらくなっている面があります。
働き手の実態に即した仕組みに改める取り組みが欠かせません。

M&A業務は仕事のある時とない時では、かなり差があるので、良い改正ですね。
M&Aというものが、世間一般に認知されたようで嬉しいですね。

M&A業務が裁量労働になることについて、どう思われましたか?


Chatworkが給与計算アウトソーシング事業を行うミナジンの株式取得して子会社化!

日本M&Aセンターによると、Chatwork株式会社は、株式会社ミナジン(大阪府大阪市)の全株式を取得し、子会社化することを決定したようです。

取得価格は、600百万円です。
ただし、業績連動型のアーンアウト方式を採用しているため、ミナジンの今後3年間の業績達成度合に応じて総額最大1,000百万円が支払われる可能性があります。

Chatworkは、クラウド型ビジネスチャットツール「Chatwork」の開発運営を行っています。

ミナジンは、クラウド型就業管理及び人事評価システムの企画・販売、並びに給与計算等の労務アウトソーシングなど、人事労務領域の事業を展開しています。

本件M&AによりChatworkは、ビジネスチャットというコミュニケーションツールと人事労務領域サービスの連携による高付加価値なサービスを顧客に提供し、さらなる価値提供を目指します。

また、両社のサービスは主要顧客が中小企業という特徴を持つことから、相互の顧客基盤の拡大による収益増、コスト効率化といったシナジー効果の創出を図ります。

Chatworkは結構前から使っていますが、ビジネスチャットだけではなく、色々なサービスをやっていますよね。
秘書みたいなサービスはすぐにやめたと思いますが、色々とやっていかないと、会社として成長しないんでしょうね。

Chatworkが給与計算アウトソーシング事業を行うミナジンの株式取得して子会社化することについて、どう思われましたか?


さようなら「東急ハンズ」「日立金属」!

M&A Onlineによると、東急ハンズ、日立金属が、先日、社名変更を発表しました。
東急ハンズは「東急」を外し、既に、10月1日に「ハンズ」として再出発しています。
日立金属は2023年1月4日に「プロテリアル」に名前を改めます。

長年慣れ親しまれた社名に別れを告げる理由はM&Aです。
買収されて親会社が変わることになったからです。

東急ハンズがホームセンター最大手、カインズ(埼玉県本庄市)の傘下に入ったのは2022年3月末です。
カインズが東急不動産ホールディングスから東急ハンズの全株式を取得し、完全子会社化しました。
このため、東急の名が消えることは時間の問題とみられていました。

東急ハンズは1976年に創業し、独自のDIYを中心に新たなライフスタイルを提案する小売業態の先駆的存在として知られ、生活雑貨ブームの牽引役となりました。
現在、国内外合わせて88店舗(うちフランチャイズ23店舗を含む)を展開しています。

近年はネット販売の台頭に押されて苦戦し、ここに新型コロナ禍が重なり、業績が急速に悪化しています。
コロナの影響が本格化する前の2020年3月期に950億円だった売上高は2022年3月期は555億円まで低下し、2年連続の営業赤字に沈みました。

新たな店名、ロゴについては今後決める予定で、当面、店舗の看板などには「東急ハンズ」が残ります。

カインズは非上場ながらホームセンター業界トップで、流通大手「ベイシアグループ」の中核会社です。
作業着大手のワークマンもベイシアグループの一員で、こちらは東証スタンダード市場に上場しています。

一方、日立金属は日立製作所グループを離れ、日米投資ファンド連合の傘下に入いります。
東証プライム市場への上場も廃止となります。

新社名の「プロテリアル」はプロと、材料を意味するマテリアルを組み合わせたものです。
プロはプロフェッショナル(専門的な)、プログレッシブ(革新的な)、プロアクティブ(主体的な)の3つの言葉を表しています。

日立金属は1956年に日立の鉄鋼部門が分離独立して発足しました。
日立グループでは日立金属、日立電線(2013年に日立金属と合併)、日立化成と並んで“御三家”と呼ばれた名門です。
グループ再編の一環として、日立化成も2020年に昭和電工に売却されています。

米投資ファンドのベインキャピタルによる日立金属へのTOB(株式公開買い付け)が9月27日(~10月25日)に始まりました。
元々、2021年11月に開始される予定でしたが、各国当局の審査が遅れていました。

ベインキャピタルはTOBを通じて47%の株式を買い付けます。
そのうえで、日本産業パートナーズ(東京都千代田区)など国内投資ファンド2社と組んで、親会社の日立が保有する残る53%の株式を取得し、日立金属を完全子会社化します。
買収総額は8,100億円に上ります。

このほか、日立金属と同じく2023年1月4日付で社名変更を予定しているのが新生銀行です。
TOBを経て、2021年12月にSBIホールディングスの子会社になったのを受け、「SBI新生銀行」として再スタートします。

最近、社名を変更するところが増えていますね。
『ホールディングス』を付けたり、『グループ』を付けたり、漢字を外したり、ローマ字にしたりするところが増えてきているように感じますが、M&Aによるものも以前から多いですね。
個人的には、小文字と思っていたのが大文字だったり、ブランド名と違っていたりするため、社名を見たりするのが、新たな発見があり、楽しいです。

さようなら「東急ハンズ」「日立金属」について、どう思われましたか?


株式交付で「私的節税」!

日本経済新聞によると、M&A(合併・買収)による事業再編を促し日本企業の競争力を高める目的で2021年に導入された株式交付制度が、上場企業オーナーの私的な節税に使われているとの指摘が出ているようです。
専門家の意見は「制度の乱用とまではいえず問題ない」や「制度趣旨から外れており税制改正が必要」などと分かれており、議論を呼びそうです。

「私的な節税策にみえる」と専門家が注目するスキームがあります。
本来は企業が事業再編しやすくするための株式交付制度を使い、オーナーが個人保有する株を資産管理会社に移すものです。
上場企業では7月末までの判明分で、ティーケーピー、coly(コリー)、G-FACTORY、アールエイジ、オージックグループの5社の例があります。

スマートフォンゲームを配信するコリーは6月に実施しました。
2021年上場の同社は、創業オーナーの姉妹2人が個人で同社株を32.55%(議決権ベース)ずつ計65.11%持っていました。
今回は株式交付制度を使い、このうち計50.56%分を、2人が折半出資する資産管理会社に移管しました。

株式交付は、自社株を対価として他社を買収できるM&Aの新たな手法です。
類似の「株式交換」もありますが、完全子会社化する場合に限られるなど使い勝手の悪さも指摘されていました。
株式交付は50%超の部分買収にも使えるため、「大型買収でも活用できて有意義だ」(M&Aに詳しい弁護士)ともいわれます。

税メリットもあり、買収される会社の株主は株式譲渡益への課税を繰り延べられます。
コリーのオーナー2人による株の売り出し価格は総額41億円で、もし、同制度がなければ、譲渡益に約2割の税率で所得税などがかかった可能性があります。

株を個人ではなく資産管理会社で持つ手法は、一般的な節税策として知られています。
例えば持ち分3分の1超の国内関連法人からの配当は一定の条件下でほぼ全額が非課税(益金不算入)になります。
オーナーが個人として配当を受ければ所得税などがかかりますが、資産管理会社が受け取れば税金を抑えられる可能性が高くなります。

資産管理会社にたまるお金は、資産運用などで様々な節税メリットも享受できます。
コリーは現在無配ですが、将来は配当を実施する可能性もあります。

株式交付制度は本来、企業の成長につながる事業再編を促す制度です。
しかしながら、オーナーの株を資産管理会社に移すのに使われるのは、私的な節税策を後押しする側面が強いようにみえます。

5社は適時開示で資産管理会社による資料も示しています。
ところが、オーナーの保有株を資産管理会社に移管する目的については、実質的な説明がほとんどありません。

日本経済新聞は5社に対し、書面で目的などを質問したようですが、「節税目的」と認めた社はなかったようです。

コリーは「長期安定的な株主構成を構築し持続的な成長に寄与する」などとし、オーナー2人の私的な節税目的ではないと説明しています。
アールエイジは「経営の不安定化を回避し、弊社株主の皆様の利益に資するようにするという観点」としました。

一方、企業再編などの税務に詳しい梅沢謙一税理士は、こうした活用について「本来の制度趣旨に沿っていないのではないか」と指摘しています。
ある上場企業の財務担当役員も「これらの事例には違和感がある。もし資産管理会社に非課税で配当をプールするスキームを組むのに使われ始めたら、やり過ぎだ」と話しています。

税制改正を検討すべきだとの声もあるようです。
仮に国税当局がこのスキームを調査するなら、どこに注目するでしょうか?
国税当局で長年、企業再編などの税務調査をした大山清税理士は「極端な租税回避行為を否認する規定(法人税法132条の2など)を視野に調査を行うだろう」とみています。
その際の注目点は「合理的な理由や租税回避の意図の有無などだ」だそうです。

一方、元国税庁キャリアの木村浩之弁護士は「法律上、オーナーから資産管理会社への株式移管には使えないなどの制約はない。法律の穴を突くあざとさがあるとは思わない」と指摘しています。
「税務調査で否認され申告漏れなどが指摘されるリスクは低いだろう」と話しています。

M&A助言のレコフによると、株式交付M&Aは制度開始から7月末まで計16件です。
このうちオーナーの資産管理会社が絡むものは5件で一定割合を占めています。
公認会計士・税理士の森将也氏は「今後も同様事例が出る可能性がある」とみています。

株式交付制度は経済産業省が長年、導入を望んできました。
担当者は「(日本企業は)現状維持やリスク回避の傾向が強く制度的なイノベーションが起こりにくい。まず制度を形にしないと大きな動きは作れない」と話しています。
今回のような利用を想定していたかについては「コメントしない」としています。

財務省で長く税制改正に携わった朝長英樹税理士は「租税回避行為として否認されるリスクは低いが、節税の目的ならば好ましくないのは明らかだ。株式交付の特例は要件が緩くなっていることもあり、税制改正が必要か検討すべきだ」と話しています。

個人的には、組織再編税制はガチッと要件を決めたうえで認めているわけですから、基本的に、要件を満たせば良いのではないかと考えています。
当然、当初想定していなかったようなスキームが出てくれば、改正すれば良いわけですから。
最近では、節税を目的としたものは否認されるリスクがあることから、目的やストーリーをきちんと考えたうえで実行していると思われますので、よっぽど安易に実行しているもの以外、否認されるリスクは低いのではないでしょうか?
それよりは、近いうちに改正される可能性の方が高いのではないでしょうか?

株式交付で「私的節税」について、どう思われましたか?


アマゾンはなぜ「ルンバ」に手を出したのか?

M&A Onlineによると、アメリカのアマゾンが、先日、アメリカの家庭用ロボット掃除機最大手iRobotを買収すると発表しました。
買収総額は約17億ドル(約2,290億円)で、コリン・アングル経営最高責任者(CEO)は残留します。
アマゾンがロボット掃除機を傘下に入れた狙いは何なのでしょうか?

iRobotは円盤型の自走式ロボット掃除機を普及させたメーカーで、アマゾンの「買収の思惑」についてはすでに多くの推察がメディアを騒がせているようです。
その中でも有力なのが「ホームマップの取得」です。

「ルンバ」は家庭で自動清掃をするプロセスで、全体の間取りを把握しているそうです。
そうした「家庭内地図」をロボットが作成し、データをメーカーのサーバに蓄積します。
そのホームマップを元に、デジタル家電の制御や新たな機器の導入が提案できるようです。

ただし、アマゾンの狙いは、そうしたBtoC(企業・個人間)ビジネスだけではありません。
大口で、より長期的に安定した取引が期待できるBtoB(企業間)ビジネスにも視野に入れているのでしょう。
同社の典型的なBtoBビジネスの成功例が、アマゾン ウェブ サービス(AWS)です。
AWSはアマゾンをクラウドサービスの「勝ち組」にしました。

アメリカの調査会社のガートナーによると、2021年にAWSは世界シェア38.9%と、同21.1%のアメリカのマイクロソフト、同9.5%中国のAlibaba、同7.1%のアメリカのGoogleなどを大きく引き離しています。
そして、クラウドに代わるビジネスとして注目されているのが、無人搬送車(AGV)です。

アマゾンとAGVと言ってもピンとこないかもしれません。
かつてアマゾンはAGVを「買う」立場でしたが、2012年にアメリカのKivaシステムズを買収してからは自社開発に力を入れ、今や「売る気満々」なのです。

物流業界では人材不足対策と配送処理の迅速化から、物流の自動化に取り組むのがトレンドです。
次世代物流構想の「ロジスティクス 4.0」でもAGVは重要な役割を果たします。
この流れに乗って、アマゾンがAGV市場の本格参入するのも時間の問題でしょう。

この市場の競争は激しく、アマゾンのKivaシステムズ以外にも、中国のギークプラスやインドのグレイオレンジ、ノルウェーのJakob Hatteland Computerなどが世界市場を狙ってしのぎを削っています。

そんなアマゾンがiRobotを狙ったのは、AGVの量産化と値下げのためと見られます。
iRobotは家庭用ロボット掃除機では高級ロボットが主力で価格は高いが、AGVの世界では格安です。
iRobotの量産技術で低価格帯のAGVを投入していけば、中小物流業者にも導入が進むでしょう。

市場調査会社のグローバルインフォメーションによると、自律型移動ロボット(AMR)を含むAGV市場は2021年の30億ドル(約4,050億円)から2027年には180億ドル(約2兆4,300億円)を超えると予測されています。

AGVの作業効率を向上し、人間などとの接触事故などを防止するためには人工知能(AI)の精度向上がカギを握るため、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)には有利です。
AGVがAWSと並ぶアマゾンのBtoBビジネスに成長する可能性もありそうです。

直感的には安いような気はしますが、さすがアマゾンですね。
色々なことを考えて、M&Aしているんでしょうね。
日本も、早くこういう自社で足りないところは買うとか、シナジー効果があれば買う、成長性がある市場にM&Aで参入するとかいうことが、日本でも当たり前になれば、日本の企業も強くなり、日本経済も活性化するでしょうね。

アマゾンはなぜ「ルンバ」に手を出したのか?について、どう思われましたか?


大王製紙が紙製猫砂メーカー大手の大貴を子会社化!

M&A Onlineによると、大王製紙は、猫の排泄に用いられる紙製猫砂を製造する大貴(東京都港区。売上高27億1,000万円、営業利益1億5,200万円、純資産40億3,000万円)の全株式を取得し子会社化することを決めました。

グループ内におけるマテリアルリサイクルモデル確立の一環です。

大貴は紙製品メーカーで規格外となった紙おむつ、壁紙、パルプ系不織布などのリサイクル原料を活用し、高品質な紙製猫砂を製造しています。

取得価額は約74億円。取得予定日は2022年10月3日です。

大貴は1984年設立で、OEM(相手先ブランド生産)を主体とし、紙製猫砂市場で約4割のシェアを持っています。
真岡工場(栃木県真岡市)、四国工場(香川県三豊市)の2工場を置き、全国をカバーしています。

大王製紙は衛生用紙、紙おむつ、生理用品、マスクの製造過程で発生する生産ロスについて、その多くを原料工程まで戻して製品化する一方、再利用が難しい部分はリサイクル原料として外販、もしくは自社ボイラーの燃料として利用することで対応していました。
今回、大貴を傘下に収めることで、一連の生産ロスについてグループ内で完結する形でマテリアルリサイクルを実現します。

自社でやっていないものを補うために、取引先をグループに取り込むということですね。
直感的には高いような気はしますが、どうしても欲しかったんでしょうね。
特定のグループに属することで、仕入先が減少するリスクもあるとは思いますが。

大王製紙が紙製猫砂メーカー大手の大貴を子会社化することについて、どう思われましたか?


チャコット・成城石井・ティップネスの親会社はどこ?

この会社ってあのグループだったの?と、よく知られた会社でも、親会社の名前を聞いて思わず驚くことがないでしょうか?

M&A Onlineによると、実はM&Aが関係していることが多いそうです。
そんな「意外な子会社」として今回ピックアップしたのは、チャコット、成城石井、ティップネスです。
この3社の親会社はどこでしょうか?

<バレエ・ダンス用品のチャコット>
バレエ・ダンス用品の国内トップブランドとして圧倒的な知名度を誇る「チャコット」(東京都港区)ですが、その名前を聞けば、バレリーナに夢見た少女時代を思い出す人も少なくないようです。
ジュニア・キッズから、レディース、プロのダンサーまで顧客層は幅広いです。

戦後間もない1950(昭和25)年に創業し、東京・板橋でトゥシューズやバレエシューズの製造に乗り出しました。
1961年に法人化し、スワンシューズを設立し、レオタード、タイツなどに手を広げ、総合用品メーカーとして道を切り開いてきました。
バレエ・ダンスはもちろん、フィットネス、ヨガ、新体操、フィギュアスケート、コスメまでカバーします。
現在、全国に直営は26店舗で、カルチャースタジオ10か所を運営しています。

チャコットに社名変更したのは1974年で、創業者の土屋 誠(つちやまこと)氏から「ま」を抜いた語順を入れ替えてネーミングしたとされます。

そんなチャコットに一大転機が訪れたのは1990年です。
同族経営にピリオドを打ち、アパレル大手のオンワード樫山(現オンワードホールディングス)の傘下に入ったのです。

<上場が取りざたされる成城石井>
成城石井(神奈川県横浜市)といえば、今や高級スーパーの代名詞とされます。
関東を中心に中部、関西に店舗を広げ、約200店舗を数えます。
2022年2月期業績は売上高1,097億円、営業利益122億円で、ここへきて東証プライム市場への上場が取りざたされています。

それもそのはずで、コンビニ3強の一角を占めるローソンの傘下で“孝行息子”に成長を遂げたからです。

ローソンが三菱商事系投資ファンドの丸の内キャピタル(東京都千代田区)から成城石井を約360億円で買収したのは2014年です。
当時に比べ売上高は倍増し、店舗数も6割増えました。
親会社のローソンの「出口戦略」として、成城石井について子会社上場の検討にいよいよ動き出した模様です。

成城石井は1927年に東京都の成城で食料品として創業しました。
1976年からスーパーとして営業展開をスタートし、高価格帯の特徴ある品ぞろえを売り物にしています。

ただし、その歩みは決して平たんではありませんでした。
2004年に焼肉「牛角」などを展開するレインズインターナショナルの傘下に入った後、2011年に丸の内キャピタルに経営権が移った経緯があります。

<ティップネスはサントリーの元子会社>
では、首都圏や関西など都市部でフィットネス事業を手がけるティップネス(東京都港区)はどうでしょうか?

コナミスポーツクラブ(コナミホールディングス傘下)、セントラルスポーツ、ルネサンスに次ぐ業界4番手で、店舗数は167(2022年3月時点。24時間ジム「FASTGYM24」110店舗を含む)です。
こちらの親会社は意外にも、日本テレビホールディングスなのです。

ティップネスもM&Aと無縁というわけではないのです。
1986年にサントリー(現サントリーホールディングス)の子会社として発足し、2001年に丸紅系スポーツクラブのレヴァンを吸収合併しました。
日本テレビが買収に動き出したのは2014年で、新たな収益源と位置づける「生活・健康関連事業」の本格展開の第一歩とする狙いでした。

ティップネスに限らず、スポーツクラブ各社の経営はコロナ禍による会員減少や利用自粛などで体力を奪われてきただけに、反転攻勢が急務になっています。

数年前から、地元でもこの会社はここのグループなんだぁとか思うことが増えたように思います。
それだけ、M&Aが増えているんでしょうね。
ちなみに、高松市で大きな税理士法人も2021年に東京の税理士法人のグループに入っています。
個人的には、最近、実業家としてのROLANDさんをよくテレビで見かけるので、すごく興味を持っているのですが、ぜひ残したいと思ったお店を買い取ったりしたりしていますね。
M&Aがどんどん一般的になって、親会社や経営者が変わっても、良い会社やお店が続いてくれたらいいなぁと思う今日この頃です。

チャコット・成城石井・ティップネスの親会社はどこ?について、どう思われましたか?


リコーが富士通のスキャナー事業を840億円で買収!

日本経済新聞によると、リコーは、先日、富士通の全額出資子会社でスキャナー大手のPFU(石川県かほく市)を買収すると発表しました。
買収額は840億円で、富士通が保有するPFUの株式の8割を取得します。
先日開いた取締役会で決議され、2022年7月1日の買収を予定しています。

PFUは1960年の創業で、主力の「スキャンスナップ」などを手掛けるスキャナーメーカーです。
医療機関や貿易機関、銀行などで手書き書類をスキャンして画像データにするなど、専門性の高い業務フロー部分に使われています。
リコーはこれまで接点の少なかった金融機関や医療機関などの顧客基盤を取り込み、デジタルサービスの提供先を広げる狙いのようです。

リコーはPFUの技術や顧客基盤と、既存のデータ処理技術などと組み合わせたデジタルサービスに力を入れます。
銀行での申請書入力作業を自動化し、リコーの持つクラウド基盤「リコースマートインテグレーション」とつなげて申請作業を効率化するサービスと組み合わせるなど、業務フロー改善を提案します。

PFUの持つIT(情報技術)技術も取り込みます。
PFUが強みとするクラウド構築運用やセキュリティーサービスといったIT管理サービスのノウハウを取得し、リコーのオフィス関連のサービスと組み合わせます。

ペーパーレス化などで事務機市場の縮小が続くなか、リコーはオフィスや様々な業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連サービスを強化し、事務機メーカーからデジタルサービス会社への転換を急ぎます。

富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)には、DocuWorksというものがあり、これが使いたいがために、富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)の複合機を使っている会計事務所も多いように聞いたことがありますが、リコーは、PFUを買収という方向に行きましたね。
僕自身も、開業当初からScanSnapを使っていますが、非常に便利なものです。
弊事務所はキヤノンの複合機を使っていますので、どうせならキヤノンに買収して欲しかったですね(笑)。

リコーが富士通のスキャナー事業を840億円で買収したことについて、どう思われましたか?


レコード大手を巡る58億円の追徴課税取り消し訴訟は国側の敗訴が確定!

グループ会社の組織再編に伴う借り入れを巡り、約58億円を追徴課税した東京国税局の処分を不服として、大手レコード会社「ユニバーサルミュージック」(東京都渋谷区)が処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は、先日、国側の上告を棄却しました。
課税処分を取り消した一、二審判決を支持し、国側の敗訴が確定しました。

訴訟では、グループ会社間で税負担を不当に減らす税務処理が行われた場合、国税当局が税額を算定し直せるとする法人税法の規定適用の是非が争われました。

第1小法廷は判決理由で、ユニバーサル社の借り入れや組織再編について「税負担の減少が目的に含まれていたといわざるをえない」としつつ、機動的な事業運営を可能にするなどの理由もあったと指摘しました。
「取引全体としてみると、経済的合理性を欠くとまではいえない」として、規定の対象にはならないと結論付けました。

判決によると、ユニバーサル社は2008年から2009年にかけて進められた組織再編に絡み、海外のグループ会社から約866億円を借り入れ、関連会社の買収費用に充てました。
その後、支払った利子計約181億円を損金として計上したのです。

東京国税局はユニバーサル社の組織再編や借り入れ行為は不自然で、課税回避が目的だったと判断し、国税側が税額を再計算できるとした法人税法の規定に基づき、2012年12月期までの5年間で計約181億円の申告漏れを指摘し、約58億円を追徴課税しました。

東京国税局は「主張が認められなかったことは大変残念だ」とのコメントを出しました。

先日の相続税対策の不動産購入の件は残念な結果に終わりましたが、こっちは喜ばしい結果となりましたね。
最近、節税目的のものはダメという傾向になっていると思いますが、『税負担の減少が目的に含まれていた』としても、『経済的合理性を欠くものではない』場合は、認められたという点が非常に意義があったと思います。
営利企業ですから、完全な節税目的の場合は除きますが、何かをやるときに、税額が安くなる方法を選ぶのは当然のことだと思います。
今回も、何かやる時は、取引全体を考えて、経済的合理性があるというストーリーを示すものにしないといけないなぁと改めて感じた一件でした。

レコード大手を巡る58億円の追徴課税取り消し訴訟は国側の敗訴が確定したことについて、どう思われましたか?


マスク氏のツイッター買収提案を巡りゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが対決!

Bloombergによると、アメリカの資産家であるイーロン・マスク氏によるツイッターへの買収提案を巡り、ウォール街の2強が対決するようです。
企業価値を約430億ドル(約5兆4,300億円)と評価し、ここ数年で最大級となる買収が成功した場合、アドバイザーを務めるモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループの両行に多額の助言料収入がもたらされます。

先日の当局への提出書類によれば、モルガン・スタンレーはマスク氏のアドバイザーを務めます。
マスク氏の買収提案にどう対応するか検討するツイッターはゴールドマン・サックスに支援を求めたと事情に詳しい複数の関係者は明らかにしています。
両行は企業の合併・買収(M&A)ランキングでたびたび首位を争っており、ブルームバーグの集計データでは、ゴールドマン・サックスが現在トップです。

もちろん、銀行の助言料の大部分は今回の買収提案の結果次第で、その行方は不確実です。
マスク氏は、先日、「実際に買収できるかどうか確信がない」と発言し、ツイッター取締役会が拒否した場合に備えプランBを用意していると述べた。

モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスは、交渉では対峙することになりますが、いずれもマスク氏とは10年以上にわたる関係を持っています。
マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める電気自動車(EV)メーカー、テスラの2010年の新規株式公開(IPO)では両行が引受業務を担いました。
当時の目論見書の1番左側に記された主幹事はゴールドマン・サックス、2番目がモルガン・スタンレーでした。

今回のツイッターを巡る件は注目していますが、裏では、そういう争いもあるんですね。
報酬も驚くほど高いんでしょうね。
プランBがどういうものか楽しみですが、今後、ウォッチしていきたいと思います。

マスク氏のツイッター買収提案を巡りゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが対決していることについて、どう思われましたか?


上場企業によるプロバスケットボールチームの買収が増加傾向!

M&A Onlineによると、コロナ禍において、上場企業によるプロバスケットボールチームの買収が増加傾向を見せているようです。
東証適時開示情報に限ると、2017年、2018年、2020年にそれぞれ1件ずつだった買収が、この1年間は3件に達しました。

買い手はいずれもIT・ソフトウエア業界の企業で、プロスポーツチームの運営と自社事業との相乗効果を高めるのが買収目的の一つとなっています。

感染防止のため観客数が制限されるなどプロスポーツは厳しい環境下にあり、経営が悪化する運営会社は少なくありません。
新型コロナウイルスの感染拡大が長引けば、さらに買収件数が増える可能性がありそうです。

全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計したところ、この1年ほど間に、スカラ<4845>、マイネット<3928>、スマートバリュー<9417>の3社がプロバスケットボールチームの運営会社を買収しました。

これ以前の4年間では2020年の識学<7049>による「福島ファイヤーボンズ」の運営会社の子会社化、2018年の加藤製作所<6390>による「東京エクセレンス(現・横浜エクセレンス)」の運営会社の子会社化、2017年のディー・エヌ・エー<2432>による「東芝川崎ブレイブサンダース(現・川崎ブレイブサンダース)」の取得の3件だったため、ここにきて買収件数が急増していることが分かります。

スカラはITやAI(人工知能)、DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術による生活やビジネスの変革)などを手がけている企業で、傘下のスポーツストーリーズ(東京都渋⾕区)を通じて、2022年3月9日に「さいたまブロンコス」を運営するさいたまブロンコス20(埼玉県さいたま市)を子会社化しました。

スカラのシステム開発⼒やデータ分析⼒を活⽤し、データに基づいた選⼿獲得や育成のほか戦略や戦術の策定などに取り組むそうです。

マイネットは、スマホゲームサービスを主力事業としている企業で、2021年9月に「滋賀レイクスターズ」を運営する滋賀レイクスターズ(滋賀県大津市)を子会社化しました。

ITツールを活用してチームの戦績や選手のパフォーマンスを上げるなどのスポーツDX事業を推進する計画のようです。

スマートバリューは、行政の電子化や車両のIoT(モノのインターネット)などを手がける企業で、新設子会社を通じて2021年3月に「西宮ストークス」を運営するストークス(兵庫県西宮市)を子会社化しました。

施設運営を予定している神戸市の多目的アリーナと「西宮ストークス」を一体的に運営することで、魅力ある神戸の街づくりという社会課題の解決につなげるのが狙いです。

3社ともスポーツのDX化を目標に掲げており、こうした取り組みでスポーツ文化の醸成や地域社会の課題解決などを促進するようです。
コロナ禍がIT・ソフトウエア業界とプロスポーツチームとの相性の良さを浮き上がらせたようです。

プロバスケットボールチームは元々地域密着というのがあるのでしょうが、移動等にもそれなりにお金がかかると思いますし、チームを強くしようとすると高い年俸を支払わないといけないと思います。
レベルが上がれば上がるほど、費用は増えていくでしょうから、地元の企業だけでは支えきれないチームが出てくるのは当然するかと思います。
そこで出てくるのは、資金力のある上場企業でしょうから、当然の結果なんでしょうね。
その企業の提供しているサービスを利用して、さらにプロバスケットボールチームのレベルが上がれば、リーグ全体にとっても良いと思います。
ちなみに、香川県のチームもどうなっていくのかウォッチしていきたいですね。

上場企業によるプロバスケットボールチームの買収が増加傾向にあることについて、どう思われましたか?


相次ぐMBO失敗は誰のせい?

日本経済新聞によると、片倉工業のMBO(経営陣の参加する買収)がとん挫しました。
株価がTOB(株式公開買い付け)価格を上回って推移し、成立に必要な応募が集まらなかったのです。
MBOの失敗は2021年以降5件と相次いでいます。
現在の株価に責任のある経営陣が、買収にあたり評価した企業価値が適切かが問われているのでしょう。

片倉工業は会長と社長が折半出資する会社(かたくら)が1株2,150円でTOBをしていました。
期間中に筆頭株主の保有株を1株2,350円で取得した鹿児島東インド会社(鹿児島県大島郡)が「片倉工業が保有する不動産の時価を考慮した場合、TOB価格は著しく低廉」と反発していました。

片倉工業はさいたま新都心駅の東側に広がるショッピングセンター「コクーンシティ」を保有しています。
賃貸等不動産の2020年12月期末の時価は約1,278億円、簿価は314億円と有価証券報告書で開示しています。
含み益を反映するとTOB価格に対する実質的なPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回るとみられ、TOB価格が安いとの主張につながりました。

M&A助言のレコフによるとMBOの失敗は2004年のソトー以降、10件しかありません。
2021年には光陽社や日本アジアグループ、サカイオーベックス(1度目)、パイプドHDも失敗しており、半数がこの1年強で起きたことになります。

MBOが当初の思惑通り進まなくなった背景には、物言う株主(アクティビスト)の台頭があるのです。

日本アジアグループ、サカイオーベックスには村上世彰氏がTOB価格が安すぎると主張し、株式を買い付けて株価がTOB価格を上回りました。
それにならうように光陽社やパイプドHD、そして今回の片倉工業もTOB価格に不満を唱える株主が現れ、不成立につながったのです。

企業価値に比べてTOB価格は低いとのアクティビストの主張に市場が呼応し、株価がTOB価格を上回ることが、MBOの失敗が相次ぐ背景にあります。

村上氏は「少数株主を一番なめてはいけないのがMBO」だと断じています。
買い手が経営陣のMBOは、高く評価してもらわないといけない売り手と、少しでも安く手に入れたい買い手が同一という利益相反関係にあります。
株価を企業価値に比べ割安に放置してきた経営陣が、本来より安い値段で買収することで、少数株主が得られるはずの利益を得られなくなるからです。

TOB価格の妥当性で議論になる一つがPBRです。
PBR1倍割れは、企業が解散して資産を株主に分配した方が株主にとって理論上、得になるほど株価が割安な状態です。

2021年にMBOを狙った光陽社の場合、TOB価格を基にしたPBRは0.5倍強しかありませんでした。
直近3か月の平均株価に対するプレミアム(上乗せ幅)は5割強と一般的なTOBよりも高かったですが、「株価を割安に放置していた経営陣が高いプレミアムを主張しても説得力がない」(個人投資家)と応募は集まりませんでした。

MBOには一時的な収益悪化を気にせずに抜本的な改革ができる利点があります。
上場にはコーポレートガバナンス(企業統治)の強化などコストもかかります。
証券会社が企業に提案することもあり、MBOに踏み切る企業が増える可能性はあります。

ただし、経営者はMBOの前に自社の株価が企業価値に見合っているかを鑑みたほうがいいでしょう。
安易に考えると「割安な株価を放置したあげく、MBOにも失敗した経営者」との烙印を押されかねません。

僕も20年以上前から株式投資をしているので、過去に何度かMBOによって、スクイーズアウトされたことがあります。
少数株主だと、結局何もできません。
結局、株価を上げることができなかったことに対して経営者に責任があると思いますが、一方で、安く買おうとするのがおかしいなぁと思うところですね。
そして、数年後に再上場するところがありますが、創業家などは上場時と再上場時の2回、キャピタルゲインを得ることができますが、会社の将来性などを見越して投資した株主のキャピタルゲインが創業家に取られているだけのように思います。
そう考えると、アクティビストのおっしゃることは当然のことだと思いますし、今後も、安易に安い価格でMBOが行われることがないようになればいいなぁと期待しています。

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イオンがキャンドゥ買収で業界“激震”の100均戦争!

テレビ朝日によると、先日、イオンが100円ショップ「キャンドゥ」買収を正式に発表しました。
「ダイソー」、「セリア」に続いて業界3位のキャンドゥの買収ですが、狙いはどこにあるのでしょうか?

業界に衝撃が走った、イオンとキャンドゥの強力タッグですが、
100円ショップの利用者:「個人的にはダイソーの方が好きかな。種類豊富」「セリアはたまに行きます。おしゃれで良い」「(Q.キャンドゥは?)は、うふふ…」
現状、キャンドゥは業界3番手です。しかし、今後は大きく変わるかもしれません。

経済ジャーナリストの荻原さんは、今回のタッグは消費者にとってメリットが大きいと話しています。
経済ジャーナリスト・荻原博子さん:「良い組み合わせなんじゃないかと思います」

コロナ禍でも支持を集める100円ショップは出店競争が激化していますが、キャンドゥは店舗数がおよそ1,200店舗と業界トップのダイソーの3分の1にとどまっていました。
経済ジャーナリスト・荻原博子さん:「100円ショップを店舗内に入れると集客の目玉になる。知名度の高い100円ショップを入れたいの一番最初に声掛かるのがダイソー」

今回、全国に2万店舗あるイオングループの傘下に入ることでキャンドゥの店舗数が増え、消費者にとっても便利になります。
キャンドゥ・城戸一弥社長:「5年後には店舗数が2,000店舗になることを計画」

ただし、イオンの中には他の100円ショップが入っている店舗もあります。
これらは、キャンドゥに変わっていくのでしょうか?
イオン・吉田昭夫社長:「我々の考え方としては、立地だとか区画に合わせて使い分けていこうと。当然、今回グループ入りしたのでキャンドゥの出店は優先的に考えていきたい」

消費者にとっては、これもメリットになるといいます。
さらに、将来的には両社のオンラインショップを共同で運営できるようになり、100円ショップの商品をもっと簡単に手に入れられるようになりそうです。

個人的には、言うほど簡単ではないように思います。
我が香川県で集客力のあるイオンモール綾川店には、セリアが入っていますし、その隣の300円ショップもPayPayで支払うとダイソーと出るのでお店の人に聞いて知ったのですが、ダイソーがやっています。
現在、イオンはスーパーではなく、銀行やデベロッパーとして稼いでいます。
当然、イオンモールを出店するときには、集客力のありそうなお店に声をかけているのだと思います。
そう考えると、既存店は変えられないのと、イオンモールへの出店を持ち掛けられて、会社の戦略としてもイオンモールへの出店を積極的に進めていたお店から反発も出るのではないかと推測されますね。

イオンがキャンドゥ買収で業界“激震”の100均戦争について、どう思われましたか?


カインズが東急ハンズを買収!

J-CASTニュースによると、ホームセンター大手のカインズが東急不動産ホールディングス傘下の生活雑貨大手、東急ハンズを2022年3月に完全子会社化します。

ここ数年、ホームセンターが絡む合併・買収(M&A)が相次いでいます。
ホームセンター業界はコロナ禍にあっても、感染対策や「巣ごもり」需要の拡大を背景に業績は好調でしたが、「コロナ特需」だけでは乗り切れない苦境が再編の動きを加速させているようです。

カインズは全国に227店舗を展開しています。
一方の東急ハンズは、都市部を中心に86店舗を運営しています。
完全子会社化を発表した2021年12月22日の記者会見で、カインズの高家正行社長兼経営責任者(CEO)は、
「地方を中心に大型店舗を展開するカインズと、都市を中心に店舗を構える東急ハンズは相互補完性が高い」と述べ、買収による相乗効果の大きさを強調しました。

ホームセンター業界のM&Aの動きは活発です。
2021年1月には家具・日用品大手のニトリホールディングスがホームセンター大手の島忠を完全子会社化しました。
また、ホームセンター大手のアークランドサカモトは、子会社のビバホームを2022年9月に合併する予定です。
ビバホームは2020年11月にアークランドの完全子会社になったばかりで、その動きは素早いです。

ただし、コロナ禍にあって、コンビニエンスストアをはじめ、百貨店など小売業界全体が苦しんでいる中で、ホームセンターは比較的好調に推移しています。
アクリル板やビニールシートなど、感染対策用グッズの売り上げが伸びたほか、多くの人が自粛生活を送るなか、家庭内で楽しめるインテリア用品やDIY用の商品が売れたからです。

日本DIY・ホームセンター協会によれば、2020年度のホームセンター全体の売上高は4兆2,680億円で、初めて4兆円に乗せました。

しかしながら、ホームセンター業界に楽観論はないようです。
「そもそもホームセンターは、日用品でドラッグストアやディスカウントストアと、インテリア用品でイケアなどの専門の小売業と競合するなど、異業界が絡んだ競争が熾烈だ。当然、インターネット通販との戦いにも対応しなければならない」(流通関係者)といい、経営環境は非常に厳しいからです。

その一方で、ホームセンター各社が新規出店を加速してきた結果、「市場はすでに飽和状態にある」とも言われているようです。
日本DIY・ホームセンター協会によれば、2020年度の店舗数は4,860店で、2010年度(4,180店舗)比で約2割増、2000年度(3,730店舗)比で約3割増に膨らんでいます。

異業種の攻勢に加え、同業同士の戦いも年々激しくなっており、生き残りのための対応が避けられなくなっているようです。

中長期的に人口減少による消費の先細りが不安材料なのは他業界と同様で、コロナ禍の下での一過性の好調さに甘んじるどころではありません。
「むしろ今こそ、将来に向けた戦略や投資が必要だという考えが強まっている」(同)とされています。

地域の郊外型店舗というイメージが強いカインズが、洗練されたブランドとして定着している東急ハンズに狙いを定めたのも、将来を見込んでのことでした。
カインズは東急ハンズの名称を将来は使わないという可能性も示しており、どのような戦略で買収の成果を発揮するのか、業界では注目の的だそうです。

カインズに続き、相手・規模など多彩なM&Aが引き続き行われる可能性は高く、ホームセンター業界には期待や不安が渦巻いています。

ブランド力のある東急ハンズを手放すのは驚きでしたが、ホームセンターが買うというのも驚きでしたね。
東急ハンズは品揃えが豊富で魅力的ですが、専門的な知識がある人を雇わないといけないけれど採用が困難な時代であったり、小さくて比較的高価なものも多いでしょうから万引きの被害も大きいでしょうし、豊富な品揃えには在庫のリスクが生じ、資金も寝てしまうこと、大店舗ゆえそれなりの来客者がないと商売が成り立たない中でコロナの影響で来客者が減ったりなど、経営はそれほど簡単ではないのでしょうね。

カインズが東急ハンズを買収することについて、どう思われましたか?


2021年の日本企業のM&Aは過去最多に!

朝日新聞によると、2021年に日本企業が関わったM&A(合併・買収)の件数は4,280件(速報値)で、過去最多になったことがわかったようです。
新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な脱炭素の流れを受け、事業の再編が活発化しています。

M&A助言大手のレコフが公表情報をまとめた2021年のM&A(出資を含む)の件数は前年より550件(14・7%)多く、過去最多だった2019年を上回りました。

コロナ禍で案件は一時減りましたが、全体的には増加傾向です。
国内市場の先細りなどを背景に大企業が子会社を売るケースがめだちます。
DX(デジタル化による変革)のため技術がある企業が買われているようです。
2022年4月の東京証券取引所の市場再編を控え、上場基準に対応するための再編も出てきています。

レコフによると、2021年の取引総額は16兆4,844億円でした。
最高額は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)による米地銀MUFGユニオンバンクの売却で約1兆9千億円でした。
2位と3位は構造転換を進める日立製作所の案件です。
米IT企業のグローバルロジック社を約1兆円で買収し、中核子会社である日立金属を日米の投資ファンド連合に約8千億円で売却します。

脱炭素もキーワードになっています。
石油元売り最大手のENEOSホールディングスは、子会社で道路舗装大手のNIPPOの株式を約1,900億円で売って非上場化します。
舗装用のアスファルト合材をつくる過程で大量の二酸化炭素(CO2)が出ることが経営課題となっていました。
エネオスは北海油田で原油生産を手がける英国子会社も約1,900億円で手放します。
一方で、太陽光などの再生可能エネルギー大手のジャパン・リニューアブル・エナジーを約2千億円で買います。
エネオスは車の電動化などで遅くとも2040年には国内の石油需要が半減するとみており、石油関連事業の変革を急いでいます。

M&Aは増えているとは聞いていましたが、そのとおりでしたね。
将来を見越した再編が進んでいますね。
一方で、香川県は案件が少なかったと聞いていますし、僕自身も、ここ数年で一番関与した案件が少なかったです。
2022年は増えるといいなぁと思っています。

20222021年の日本企業のM&Aは過去最多になったことについて、どう思われましたか?


兵庫県内の11信金がM&Aで連携!

神戸新聞によると、兵庫県内の11信用金庫が、後継者がいない企業を別の企業に譲り渡す「小規模M&A(合併・買収)」で連携するようです。
2か月ごとに信金の担当者が集まり、売り手と買い手の情報を共有します。
条件などを精査して双方を引き合わせます。
「信金王国」と呼ばれる兵庫は取引先が約8万社と多く、M&Aの成約率向上を目指します。
県内の全信金が連携する取り組みは全国でも珍しいそうです。

信金の取引先は小規模事業者が多く、経営者の高齢化による廃業の増加が見込まれます。
ただし、「まだ頑張れる」という経営者が多かったり、親族や従業員の中に後継者候補がいなくて外部に相談しづらかったりするなど、信金の対応は進んでいません。

新たに取り組む小規模M&Aで、各信金はまず、事業を第三者に譲りたいという取引先のニーズを掘り起こします。
こうした売り手に、信金が自らの取引先の中から買い手を紹介(マッチング)するのが理想ですが、現状では見つかりにくいです。
そこで買い手の範囲を兵庫県内11信金の取引先に広げ、成約につなげる方針です。

M&Aの専任者を置く信金は兵庫県内でもまだ少なく、当面は担当者同士のネットワークづくりや、実務手法の共有などを重点的に進めます。
連携組織は「しんきん事業承継ネットワーク・ハイタッチ兵庫」と名付け、2021年11月下旬に初会合を開きました。

同様の組織は、2019年以降、岡山の7信金や島根、鳥取の6信金などが立ち上げました。
兵庫の11信金は都道府県別の預金量で全国4位と規模が大きくなっています。
取引先の数も多いため、M&Aの増加が期待されます。

兵庫県信用金庫協会の作田誠司会長(尼崎信金理事長)は「新型コロナウイルス禍の融資対応で信金の身近さを感じてもらえたと思う。マッチングは信金の取引先同士という安心感もある。実績を重ね、地域で培われた技術や雇用の流出を防ぎたい」と話しています。

やはり、M&Aはマッチングが難しいので、良い試みですね。
信金中金がM&Aに取り組んでいますが、それほど成果が上がっていないと思いますので、全国に広がって、M&Aの実績が増えるといいですね。
必ずしも県内企業同士のM&Aが良いとは限りませんので、県内だけでなく、もう少し広い範囲で提携したほうが良いと思いますが。

兵庫県内の11信金がM&Aで連携いたことについて、どう思われましたか?


「事業承継ガイドライン」 と「中小M&Aガイドライン」の違いは?

M&A Onlineによると、後継者不在による中小企業の廃業が急増しています。
政府は会社や事業を現経営者から後継者へ引き継ぐことを意味する「事業承継」に関する問題を喫緊の課題と位置づけ、第三者への承継や参入業者が相次ぐ「M&A」に関する政策に力を入れています。

今回のコラムでは、混同しやすい「事業承継ガイドライン」と「中小M&Aガイドライン」の違いについて書かれています。

1.「事業承継ガイドライン」とは
「事業承継ガイドライン」は、日本の企業数の99%を占める中小企業・小企業事業で経営者の高齢化が進んでいる状況を踏まえて、円滑な事業承継の手引きとして、中小企業庁によって2006年(平成18年度)に策定されました。

その10年後、経営者の子供が必ずしも後を継ぐとは限らない価値観の変化、後継者の不在、それによる廃業増加の予測から、「事業承継ガイドライン」が2016年(平成28年度)に改訂されました。

「事業承継ガイドライン」(平成28年度改訂)は、
①中小企業・小企業事業者の経営者に事業承継を取り巻く現状と課題、事業承継の進め方を知ってもらうこと
②地域の支援機関、支援団体、金融機関、自治体、士業等の専門家に事業承継計画書の策定を支援してもらうこと
を目的としています。

2.「中小M&Aガイドライン」とは
一方で、「中小M&Aガイドライン」の前身は、「事業引継ぎガイドライン」です。先ほどご紹介した「事業承継ガイドライン」と「事業引継ぎガイドライン」は名称が似ているので、混同しやすいのですが、別のガイドラインとなります。

「事業引継ぎガイドライン」は、中小企業・小企業事業の経営者の高齢化が進む中、親族内承継、従業員承継だけでは後継者の確保が厳しくなっている状況から、第三承継の手段として、大手だけでなく中小企業・小企業事業においても、M&Aの手続きの流れ、仲介者・アドバイザーの役割、契約内容、留意点などを知ってもらうために、中小企業庁によって2015年(平成27年度)に策定されました。

そして5年後、日本の中小M&Aが拡充してきたことから、新たに「中小M&Aガイドライン」が2020年(令和2年度)に策定されました。

「中小M&Aガイドライン」は、
①M&Aに関する意識、知識、経験がない後継者不在の経営者が適切な形でM&Aを進められる手引きの提示
②中小企業・小規模事業のM&Aを支援する関係者がそれぞれの特色や能力に応じて適切に支援するための基本事項の提示
を目的としています。

「中小M&Aガイドライン」には、M&A専門業者を利用する経営者向けに、中小企業・小規模事業の中小M&Aの事例紹介、中小M&Aの進め方、M&Aプラットフォームの活用、事業引継ぎ支援センターの活用、仲介者へ支払う手数料の考え方などが記載されています。

また、M&A専門業者、金融機関、商工団体、公認会計士・税理士・中小企業診断士・弁護士などの各士業や専門家向けに、それぞれの特色や能力に応じた支援内容(企業価値や事業価値の評価、財務デューデリジェンス、税務デューデリジェンス、事業デューデリジェンス、法務デューデリジェンス、契約書の作成など)が記載されています。

3.2つのガイドラインの違い
「事業承継ガイドライン」は、
①親族内・従業員・社外(M&A)のいずれかで後継者がいる中小企業・小規模事業を対象とした、事業承継に向けた5つのステップの提示
②支援機関を対象とした、事業承継診断と事業承継計画の策定支援
がポイントとなります。

「中小M&Aガイドライン」は、
①後継者不在である中小企業・小規模事業を対象とした、中小M&Aの進め方、相手企業とマッチングできるツールの紹介
②中小M&Aの支援者を対象とした、それぞれの特色や能力に応じた支援内容
がポイントとなります。

いずれも発行体が中小企業庁(経済産業省)のため混同しやすいのですが、「事業承継ガイドライン」が事業承継(第三者承継)を行う経営者向けであるのに対し、「中小M&Aガイドライン」は未上場企業がM&Aを実施する際のガイドラインという位置づけになると思います。

4.今後の取り組み
「事業承継ガイドライン」と「中小M&Aガイドライン」は、いずれも経営環境の変化に応じて改訂されています。

事業承継における取組の経緯
経済産業省 中小企業庁財務課 事務局説明資料(令和3年9月1日)より
前回の「事業承継ガイドライン」改訂から約5年後の2021年9月1日、「事業承継ガイドライン第1回改訂検討会」が開催され、2022年に改訂が予定されています。

この5年間で、「事業承継税制」は法人版に加えて個人版の創設、第三者承継の手段として「中小M&A」の重要性の高まり、「事業承継補助金」が「事業承継・経営資源引継ぎ補助金」に拡充、新型コロナウイルス感染症の影響による廃業の増加に対する支援、若手後継者による支援グループの創設など、様々な環境の変化に応じる施策が実行されてきました。

検討会の委員メンバーは前回と比べて入れ替えがあり、中小企業・小規模事業の経営環境の変化に応じた「事業承継ガイドライン」に改訂されるものと思われます。

また、2021年9月には「事業承継ガイドライン」の改訂検討会の下に、「中小PMIガイドライン(仮称)策定小委員会」が設置され、M&A後の課題に取り組む姿勢も打ち出しています。

弊事務所・弊株式会社もM&A支援機関として先日登録されましたが、『中小M&Aガイドライン』を遵守することが要請されています。
国のやることは、省庁が違うことなどが理由で、同じようなことでも非常に分かりにくくなったりしていることも多々ありますが、分かりやすい体系にして欲しいですね。
ともあれ、こういったものができることにより、サポートする側の品質がきちんと担保され、事業承継やM&Aというものが、世間一般に認知されるようになればいいなぁと思います。

「事業承継ガイドライン」 と「中小M&Aガイドライン」の違いについて、どう思われましたか?


ウィズコロナ見据えた投資でM&A件数が過去最高に!

産経新聞によると、国内企業が実施するM&A(企業の合併・買収)の件数が2021年、過去最高となる可能性が高まってきたようです。

デジタル化の加速で、IT技術を活用して事業構造を抜本的に改革するDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の大型案件が相次いでいます。

新型コロナウイルス禍による消費者心理の変化や業績の落ち込みは、生き残りに向けた業態変化の背中も押しています。

企業にM&A関連の助言を行っているレコフによると、2021年1~9月の国内企業のM&A件数は前年同期比17%増の3,153件でした。
このペースで12月まで増加した場合、過去最高を記録した2019年(4,088件)を大きく超える見通しです。

大型案件が目立つのは、国内企業による海外企業の買収や資本参加です。
代表例の一つはパナソニックによる米IT企業ブルーヨンダーの完全子会社化です。
約78億9千万ドル(約8,600億円)を投じ、2021年9月17日に買収完了を発表しました。
ブルーヨンダーが手掛ける製造や小売り、物流管理のソフトウエアを活用し顧客企業のデジタル革新を支援するようです。

一方、コロナ禍による経済構造の変化を捉えたM&Aも多くなっています。
営業自粛要請で打撃を受けた飲食業界では、回転ずし「スシロー」を展開するフード&ライフカンパニーズが2021年4月、吉野家ホールディングス子会社で持ち帰りすしの「京樽」を約42億円で買収しました。
〝巣ごもり消費〟の常態化を見据え、自宅需要を取り込むようです。

キャベジンなどの医薬品製造の興和(名古屋市)は2021年5月、20億円を投じ、挙式中止が相次いで経営が悪化した婚礼大手ワタベウェディング(京都市)の筆頭株主となり、6月に完全子会社化しました。
興和は名古屋市などでホテル事業も手掛けており、婚礼事業とのシナジー効果を期待しているようです。

コロナ禍では、自粛経済で業績が著しく悪化した企業と、手元資金が厚く不景気でも攻勢に出られる企業との二極化が進みました。
岡三証券の高田創(はじめ)エグゼクティブエコノミストは「今後もデジタル関連や、資本が不足している飲食・宿泊などのM&Aは増加傾向が続く」と予想している。

予想された結果だと思います。
2極化が進んでいますので、見極めが難しい面はありますが、今後しばらくは続くでしょうね。
数年後に、コロナ融資の返済がスタートすると倒産するところがたくさん出てくると思いますので、売り手も買い手も早めに手を打つ必要があると思います。

ウィズコロナ見据えた投資でM&A件数が過去最高になりそうであることについて、どう思われましたか?


二谷友里恵氏が社長の「家庭教師のトライ」買収を英投資ファンドが検討!

読売新聞によると、英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」が、「家庭教師のトライ」を展開するトライグループ(東京)を買収する方向で検討していることが、先日わかったようです。

買収額は1,000億円規模に上るとみられます。

トライグループは非上場企業で、二谷友里恵氏が社長を務めています。
家庭教師や個別指導塾などを手がけており、登録家庭教師数は20万人を超えています。
コロナ禍の影響で教育分野ではオンライン化が進んでいます。

CVC傘下でデジタル投資を強化し、3~4年後の上場を目指す模様です。

ちなみに、CVCは投資ファンドの世界的大手です。
日本では、2021年、資生堂の「TSUBAKI(ツバキ)」などのブランドを含む日用品事業を買収したほか、東芝に対し、全株式を取得して非公開化する提案をしたりしています。

久しぶりに、二谷友里恵氏の名前を目にしましたが、社長をされているんですね。
それも、1,000億円くらいの評価の会社ですから、すごいですね。
デジタル投資がうまくいって、上場できればいいですね。
ただし、日本のファンドにも頑張って欲しいなぁと思います。

二谷友里恵氏が社長の「家庭教師のトライ」買収を英投資ファンドが検討していることについて、どう思われましたか?


事業承継研究会が定例会を実施し事業譲渡がしやすくなった建設業界について議論!

安定的な事業承継の実現を目指し、国による様々な後押しも実行される昨今、株式会社ワールドファミリーゼネラルコンサルティングは、税理士、司法書士など各分野のエキスパートたちによる“事業承継研究会”を発足し、定期的な議論を重ねているようです。

2021年9月も定例会を実施し、8月に続き建設事業者へのサポートについて議論したようです。
話題の中心になったのは、2020年に改定された建設業法です。
譲渡も含めた事業の引き継ぎが容易となった中で、改めて懸念される許可の要件を確認し、助言の方向性を決めたようです。

建設業は許可事業であり、許認可を受けていないと、500万円以下の案件しか請け負えないなどの制約があります。
事業承継の際に、身内や社内に後継者が見つからず、組織や事業を他者に引き継ごうとした場合、この許認可の問題が二の足を踏む要因となってきているようです。
従来は事業譲渡に伴い、引き継ぐ事業者が新たに許認可を取得しなければなりませんでした。
しかしながら、2020年10月の建設業法改定によって、こうした状況に変化が起きたと税理士から説明がされました。
「事業譲渡あるいはM&Aなどの際、事前に申請をしておけば許認可も引き継げるようになりました。これまでは、事業を受け継いだものの、許認可のために書類作成や審査などの煩雑な手続きがあり、クリアするまでに数か月かかっていた。利益の生まれない時間をきらって、事業承継が成立しないケースも多分にありました。空白期間が無くなったことで、事業承継を積極的に考えられるようになったと思います。事業承継を後押しする国の姿勢も窺えるので、この改定を私たちも活かしていきたいですね」。

事業承継のハードルが下がったことに研究会のメンバーからも期待を寄せる声が続いたようです。

その上で、他の税理士さんからはこうした指摘がありました。
「引き継ぐ側が要件をきちんと満たすためのフォローも改めてしていくべきだと思います。例えば、建設業を営むには経営業務管理責任者が必須です。事業だけ切り分けて譲渡したい、けれど引き継ぐ先にこの役職に就ける人がいないと問題になる場合もあります。建設業界での役員並みの経験が5年要るポストなので、他分野の事業者が引き継ごうとする場合は特に注意が必要です。許認可は容易になったものの、時間をかけた綿密な承継準備の必要性を引き続き伝えていきましょう」。

建設業法の改定によって、事業承継できる可能性は広がりました。
一方で、許可事業である以上、引き継ぎが容易になったとはいえ、適切な承継ができるように整えるべきことはいくつもあります。
事業を受け渡す側、引き継ぐ側、そして、仕事を依頼するお客様。
誰もが将来的に安心できる承継を実現するために、留意点の確認とサポートの方針が定められたそうです。

次回も建設業についての検討がなされる予定だそうです。

僕も年に数件、M&A案件に関わっていますが、ここ数年、多い業種の一つが建設業です。しかしながら、建設業は、M&A案件の中では非常に難しいと思っています。
それは、この記事の『許認可』のタイミングの問題や、『経営業務管理責任者』の要件の問題などがあるからです。
また、『経営事項審査』(いわゆる経審)というものがあるため、粉飾のリスクが他の業種と比べると高いと思いますし、M&Aに際しての損失の計上がしにくいといった面があります。
この辺りは、経験が大事になってきますし、公認会計士や税理士だけではできないところですね。

事業承継研究会が定例会を実施し事業譲渡がしやすくなった建設業界について議論したことについて、どう思われましたか?


マツキヨココ始動し社長は「追加M&A視野に」!

日本経済新聞によると、マツモトキヨシホールディングスは、2021年10月1日、ココカラファインと経営統合し、新会社のマツキヨココカラ&カンパニー(マツキヨココ)が始動しました。

連結売上高の単純合算でウエルシアホールディングスに次ぐ業界2位に浮上しました。
2026年3月期に目指す連結売上高1兆5千億円に向け、追加のM&A(合併・買収)に乗り出す構えです。

新会社の社長に就任するマツキヨの松本清雄社長は日本経済新聞のインタビューで「(追加の)M&Aなしで1兆5千億円を狙えるとは思っていない。一緒に進む仲間を集め、向かっていく」と、さらなる業界再編に意欲をみせました。
再編相手は郊外型ドラッグストアも含めて検討するそうですが、スーパーなど異業種は選択肢としない考えのようです。

新会社はマツキヨ流の都市部中心の出店戦略を維持します。
足元は新型コロナウイルス禍でインバウンド需要が急減し、郊外立地が中心の競合他社に後れを取っています。
ただし、「3回目のワクチン接種が終わる2022年春ごろにはインバウンドも戻ってくる」(松本社長)とみています。

マツキヨは売り上げ規模より収益性を重視する戦略をとり、コロナ禍前の2020年3月期の連結売上高は5,905億円と業界5位にとどまっていました。
一方、付加価値の高い化粧品の取り扱いなどが奏功し、同期の売上高営業利益率は約6.4%と業界トップでした。
新会社では物流や発注などのシステム統一で稼ぐ力を引き上げ、2026年3月期の営業利益率7%の実現につなげるようです。

しかしながら、こうした数値目標の達成に向けた具体的な手法は明示されていません。
株式市場は実効性を見極めており、マツキヨ株の2021年9月30日終値は5,050円と、2021年9月7日に付けた年初来高値(5,440円)に比べて7%安い水準にあります。
クレディ・スイス証券の山田紘規アナリストは「具体的なシナジーの内容や今後の利益率の改善ペースなどについてより詳細な説明があれば、都心店やインバウンドの回帰と相まって株価は持ち直す」とみています。

こういう記事を見ると、企業の成長戦略の一環に、当然のごとくM&Aが織り込まれる時代になったんだなぁと感慨深いものがありますね。
個人的には、業界トップであっても、売上高営業利益率が6.4%で、将来的に7%を目指すというのは、再編が避けられない業界なのだなぁとは思います。
これだけドラッグストアが増えていますから、独自性を出さないと将来的にはキツいでしょうね。

マツキヨココ始動し社長は「追加M&A視野に」入れていることについて、どう思われましたか?


M&A仲介業自主規制団体「一般社団法人M&A仲介協会」設立!

株式会社日本M&Aセンターホールディングス(本社:東京都千代田区、代表:三宅 卓)は、子会社の株式会社日本M&Aセンターが同社を含むM&A仲介上場5社(株式会社日本M&Aセンター、株式会社ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ株式会社、株式会社オンデック、名南M&A株式会社)が、各社の代表者を理事としてM&A仲介業自主規制団体「一般社団法人M&A仲介協会」を2021年10月1日に設立したことを公表しました。

<設立の背景と目的>
日本企業の後継者不在率は65%と依然として高く、2025年に経営者が70歳を超える245万社のうち、127万社が後継者未定となり、その半数の60万社が黒字廃業の危機にさらされています。
中小企業庁では、2021年4月に中小企業・小規模事業者のM&A推進のために今後5年間に実施すべき官民の取り組みを「中小M&A推進計画」として取りまとめました。「中小M&A推進計画」では、2021年8月より運用を開始したM&A支援機関の新たな登録制度の創設とM&A仲介業者による自主規制団体である本協会の設立が盛り込まれました。

こうした官民の連携強化により、中小企業・小規模事業者が安心してM&Aに取り組める基盤の構築が進んでいます。

本協会は、中小M&Aガイドラインを含む適正な取引ルールの徹底などを通じて、M&A仲介サービスの品質向上とM&A仲介業界全体の健全な発達を図るとともに、M&Aを行う企業を支援することを目的に設立されました。
M&A仲介上場5社(株式会社日本M&Aセンター、株式会社ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ株式会社、株式会社オンデック、名南M&A株式会社)の各代表者を理事として設立し、2022年1月よりM&A仲介業者および金融機関などを対象に、会員の募集を開始する予定です。
M&A仲介に携わる業者が一丸となり、企業の次世代への事業継承と新たな成長機会の創出をサポートすることで、日本国経済の発展と維持へ寄与することを目指しています。
ちなみに、株式会社日本M&Aセンターは、2021年10月1日より持株会社体制に移行し、親会社となる株式会社日本M&Aセンターホールディングス(2127)が上場企業となりました。

<事業内容>
上記の目的に資するため、次の事業を行います。
●M&A仲介の公正・円滑な取引の促進
●中小M&Aガイドラインを含む適正な取引ルールの徹底
●M&A支援人材の育成サポート
●M&A仲介に係る苦情相談窓口の運営

<協会概要>
■名称:一般社団法人M&A仲介協会
■英文名称:M&A Intermediaries Association(MAIA)
■設立日:2021年10月1日
■代表理事:
三宅 卓(株式会社日本M&Aセンター 代表取締役社長)
■理事:
荒井 邦彦(株式会社ストライク 代表取締役社長)
中村 悟(M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役社長)
久保 良介(株式会社オンデック 代表取締役社長)
篠田 康人(名南M&A株式会社 代表取締役社長)
■監事:
弁護士 菊地 裕太郎(菊地綜合法律事務所)
■所在地:東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館20階
■URL:https://ma-chukai.or.jp/

M&Aは、(最低報酬の設定は別にして、個人的には手間などを考えると決して高いとは思いませんが)仲介業者のフィーが高いとか、儲かるということで色々な業者が参入しサービス内容に疑問が残る業者も多いなどということを耳にしたりするのではないでしょうか?
こういう協会ができて、啓蒙活動を行ったり、一定以上の品質が保たれるようになれば、M&Aを安心して取り組める土壌ができ、一般的なものになっていくのではないかと期待しています。

M&A仲介業自主規制団体「一般社団法人M&A仲介協会」が設立されたことについて、どう思われましたか?


中小企業庁がM&A支援機関として専門業者など493件を登録!

M&A Onlineによると、中小企業庁は2021年9月13日、新たな「M&A支援機関登録制度」で公募している登録ファイナンシャルアドバイザー(FA)及び仲介業者の中間結果を公表しました。
登録要件を満たしたのは493件で、M&A専門業者が半数超を占めました。
新型コロナウイルスの影響にも苦しむ中小企業の経営資源活用が急務の中、中小M&A市場の活性化につながることが期待されています。

M&A支援機関登録制度は、中小企業庁が2021年4月に取りまとめた「中小M&A推進計画」で2021年度の創設を明記しました。
2021年8月24日に運用開始され、支援機関の公募もスタートしました。

国の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)における支援機関の活用で生じる仲介手数料などの補助は、登録を終えた機関が提供する支援のみが対象となります。

中間結果の493件は2021年9月6日までに申請があったもので、法人405件、個人事業主88件でした。
M&A専門業者は271件で、仲介154件、FA117件でした。
種類別では税理士(61件)、公認会計士(43件)、地方銀行(26件)、信用金庫・信用組合(11件)、弁護士(5件)、M&Aプラットフォーマー(同)が続きました。

一方、M&A支援業務専従者別は「0~2人」が294件と圧倒的で、大半は9人以下の小規模な体制です。
設立年代別も「2010年代」が252件、「2020年代」と比較的経験の浅い組織が156件に上ります。

中小企業庁は登録機関の支援をめぐる問題などを抱える企業側からの情報提供に応じる窓口を設けますが、制度の円滑な活用を促す上では窓口の適格な運用も求められそうです。

公募期間は2021年9月21日まででした。
登録要件は、M&A事業者などの適切な行動指針を示す「中小M&Aガイドライン」で国が定めた契約交渉、デューデリジェンス(DD)実施などに関する項目の順守を宣誓するなどとなっています。
中小企業庁は2021年度事業承継・引継ぎ補助金の利用に際し、支援機関を検索できるデータベースを2021年10月中旬までに公表します。

中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤づくりに向けては、M&A業界の健全な発展と中小企業の保護を目指す自主規制団体の設立も2021年度中に予定されています。

國村公認会計士事務所及び株式会社Your Partnerは、2021年9月13日に登録されました。
なお、M&A関連業務は従来は、國村公認会計士事務所で行っていましたが、徐々に、株式会社Your Partnerに移管していっています。
ここ数年、色々な事業者がM&A関連業務に進出してきていますので、実績が多数あるところからないところまで色々あると思います。
よって、とりあえず、こういう制度ができるのは、一定以上の品質を担保するには必要でしょう。
ただし、登録には実績は要求されていませんので、どう運用していくのかが重要なのではないかと思っています。

中小企業庁がM&A支援機関として専門業者など493件を登録したことについて、どう思われましたか?


株主が迷う関西スーパー争奪戦はM&Aの情報開示に一石!

日本経済新聞によると、関西スーパーを巡り、2つの陣営が別々の買収提案を戦わせています。
関西を地盤とする食品スーパー、『関西スーパーマーケット』を巡る買収合戦で、一般株主や投資家から「判断材料が足りない」との声が出ているようです。
2つの買収提案に関する関西スーパー側の説明だけでは、どちらが株主に有利かわかりにくいためです。
M&A(合併・買収)の際の企業の説明責任について、日本のルールなどが曖昧だとの指摘もあるようです。

「エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)の提案では関西スーパーの1株当たりの価値がわかりにくい」。「きちんと2つの買収提案を評価したのか」。
買収合戦が表面化した8月末以降、関西スーパーの株主や投資家が集まるネット上の掲示板には、不満を示す書き込みが連なっています。

関西スーパーには、H2Oと関東が地盤のオーケー(横浜市)がそれぞれ買収提案を出しました。
オーケーの提案は、上場来高値である1株当たり2,250円でTOB(株式公開買い付け)を実施するものです。
H2O案は、同社の子会社の株式と関西スーパー株を交換するものです。
異なる構図の提案がぶつかる珍しいケースのうえ、H2Oの子会社が非上場のため市場価格がつかないことが比較を難しくしています。

関西スーパーは、H2Oの提案を受け入れる方針です。
社外取締役と外部の弁護士で構成する特別委員会が両提案を検討し、「(オーケーの提案と比べ)これを上回るか少なくとも遜色ないもの」として、H2Oとの経営統合を進めるよう取締役会に勧告した。関西スーパーは勧告内容や経緯を公表しており、「現段階で株主への説明責任は果たしていると考えている」(同社広報)としています。

ただし、特別委員会も、H2O案が関西スーパー株を2,250円よりも高く評価したといえるのかまでは言及していません。
一般株主や投資家の戸惑いが消えない理由でもあります。

そもそもM&Aについての適切な情報開示とは何なのでしょうか?
日本には詳細なルールがないのが実情です。
企業法務に詳しい弁護士は「各提案について、現金に換算してどちらが高値をつけているかまで株主に示さなければいけないという法令はない」と解説しています。

法律ではありませんが、経済産業省は2019年に「公正なM&Aの在り方に関する指針」を策定しました。
同指針は、買われる側の企業が対価が低い買収提案の方が企業の価値を向上させると判断する場合は「判断の合理性について十分な説明責任を果たすことが望ましい」としています。

九州大学大学院の徳本穣教授は、同指針などを踏まえ、関西スーパーの取締役が十分に説明することは「民法や会社法で定める善管注意義務・忠実義務の内容になってくる」とみています。
会社に損害を与えないよう十分に注意を払って業務を行う法的な義務のことで、過去の判例でも、適正な情報開示をその義務の範囲に含むとするものがあります。

ただし、同指針も、何をもって「十分な説明」とするのかまでは詳しく示していません。
結局、関西スーパーの情報開示が妥当といえるのかどうかは、はっきりしないのです。

アメリカとの差を指摘する声もあるようです。
アメリカでは1986年の判例で定着した「レブロン義務」により、企業経営者は株主のために最善の買収価格を獲得する努力を尽くす義務を負います。
複数の買収提案が出された場合、会社側はどの提案が最も株主の利益になるのか、株主にしっかり説明しなければなりません。

株価の算定が難しい複雑なスキームでも、説明責任の重さは同じです。
アメリカのM&Aに詳しい植松貴史弁護士は、「株式交換において、非上場会社の株式の算定価格の公表まで踏み切る例はまれとみられるが、少なくとも、どの提案が最も評価が高かったかを判断した根拠は丁寧に説明することが求められる」と話しています。
説明不足となれば、反対する株主から多額の賠償金を求める訴訟を起こされるリスクもあります。

関西スーパーは2021年10月末の臨時株主総会に、H2O側との経営統合案を提出します。
総会では、2021年3月末時点で約35%を保有していた個人株主の動向も影響を与えそうです。
関西スーパーが今後、どれだけ説得力のある説明を続けるのでしょうか?
それは買収合戦の行方を占うだけでなく、日本のM&Aにおける情報開示のあり方にも一石を投じるでしょう。

基本的にMBOなどのケースでは、個人株主は置いてけぼりの感じはありますので、今回のように一方は非上場の株式との交換、もう一方はTOB(株式公開買い付け)という珍しい状況下においては、通常以上に、個人株主に丁寧な説明が必要なのではないかと思います。
その辺の対応は、会社が個人株主をどれだけ重視しているのかが現れるんでしょうね。

株主が迷う関西スーパー争奪戦はM&Aの情報開示に一石を投じたことについて、どう思われましたか?


「敵対的」案件増によるTOB不成立が早くも前年に並ぶ6件に!

M&A Onlineによると、TOB(株式公開買い付け)の不成立が相次いでいるようです。
2021年はすでに6件を数え、4か月余りを残して過去最高だった前年分と並びました。
こうした背景にあるのが対象企業の同意を得られずに行われる敵対的TOBの増加です。

ENEOS系石油販売会社の富士興産(東証1部)の子会社化を目的にTOBを実施していたシンガポール投資会社のアスリード・キャピタルは、先日、関東財務局にTOB撤回届出書を提出しました。
これにより、TOB不成立が確定しました。
TOBに反対する富士興産が6月下旬の株主総会で新株予約権の無償割り当てによる買収防衛策を可決したことを撤回の理由としています。

TOBの不成立は富士興産の案件で2021年は年6件目となりましたが、うち4件は富士興産のケースと同様に敵対的TOBです。
残る2つの不成立案件はMBO(経営陣による買収)の一環として行われたTOBでした。

敵対的TOBそのものは2021年に入って5件ありますが、成立したのは東京製綱株を買い増した日本製鉄の1件だけです。
敵対的TOBは2020年に年間5件発生し、2007年(5件)以来13年ぶりの高水準となりましたが、2021年も増勢が続いています。

敵対的TOBに発展すると、対象企業は買収防衛策で対応するのが一般的です。
フリージア・マクロスは、7月末、日邦産業の持ち分法適用関連会社化を目的に1月末から実施していたTOBを撤回しました。
日邦産業の買収防衛策に関する名古屋地裁への仮処分命令の申し立てが棄却される見通しとなったのを踏まえての判断です。

旧村上ファンドの投資会社シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が日本アジアグループの全株取得を目指して2月~3月に行ったTOBでも撤回がありました。
日本アジアグループが対抗措置として純資産の52%(帳簿価額)に相当する特別配当を実施する方針を打ち出したのを受け、TOBを維持することは著しく経済合理性を欠くとして取り下げたのです。

もっとも、日本アジアグループを巡っては「続き」があったのです。
シティは4月末に日本アジアグループに対する再TOBに乗り出し、今度は日本アジアグループも賛同に転じ、7月末にTOBが成立しました。
日本アジアグループは2020年秋、MBOで株式の非公開化をもくろみましたが、不調に終わり、二転三転の末にシティの傘下に入ることになりました。

上場企業の間では買収防衛策を廃止する動きが年々広がっています。
平時に買収防衛策を継続することは経営陣の保身につながりかねないなどとの批判があるためで、近年は新たな買収者が出現した“有事”に際して買収防衛策導入の是非を検討するケースが主流になりつつあります。

買付者

対象企業

2021

フリージア・マクロス

日邦産業(反対)

シティインデックスイレブンス

日本アジアグループ(反対)

経営陣

サカイオーベックス(賛成)

経営陣

光陽社(賛成)

米スターウッド・キャピタル・グループ

インベスコ・オフィス・ジェイリート(反対)

アスリード・キャピタル(シンガポール)

富士興産(反対)

2020

シティインデックスイレブンス

東芝機械(反対)

META Capital

澤田ホールディングス(反対)

DCMホールディングス

島忠(留保)

ストラテジックキャピタル

京阪神ビルディング(反対)

経営陣と米カーライル・グループ

日本アジアグループ(賛成)

出光興産

東亜石油(賛成)

2019

経営陣と米ベインキャピタル

廣済堂(賛成)

南青山不動産

廣済堂(中立)

エイチ・アイ・エス

ユニゾホールディングス(反対)

米フォートレス

ユニゾホールディングス(反対)

2018

2017

富士通

ソレキア(賛成)

経営陣

東栄リーファーライン(賛成)

2016

敵対的買収が増えているということだと思いますが、個人的には、成功するかどうかは別にして敵対的買収が増えることは良いことだと思っています。
やはり、株主の方を向いていない上場企業も多いと思いますので、その点が、敵対的買収の増加により是正されていけば良いのではないかと感じています。

「敵対的」案件増によるTOB不成立が早くも前年に並ぶ6件になっていることについて、どう思われましたか?


現役税理士が警告する「M&Aマッチングサイト」で初心者がハマる“落とし穴”!

今やM&Aもネットのマッチングサイトからスタートすることが可能になりましたが、初心者といえども知っておくべきこと、注意を要する点は厳然とあるようです。
今回、現役税理士の今村仁さんが、そんな重要ポイントを専門家の目線でレクチャーし、「売り手側に立った当然の礼儀」が必要と説いています。

ネットのマッチングサイトを使ったスモールM&Aでは、登録者のうち、買い手が9割以上となっています。
もしマッチングサイトに訪れている人をリアル化出来るとしたら、そこにいる人のほとんどが買い手であるということです。
マッチングサイトを通じて私たち専門家に送られてくる問い合わせも、そのほとんどが買い手からです。

さらに、その売り案件が人気のものであれば、ライバルの買い手候補は通常20社以上となります。

そんな状況にも関わらず、「短文の質問事項を、スマホ片手に、お酒飲みながら夜中に書き込み」をして、返事がないのは、当然かもしれません。
「お金を出して買おうとしているのに、何で返事がないのかな?もしかしたら、書き込みを見落としているのかな?」と考えて、「至急返事下さい!!」なんて、買い手が更に書き込むとどうなるでしょうか。
売り手や売り手アドバイザーの多くの反応は、更に「音沙汰無し」でしょうが、もし返事があるとしたら、それは怒りの滲み出た「結構です」の一言だったりします。

「質問しても音沙汰無し」という状況にマッチングサイト初心者の買い手が陥ってしまうのは、そもそも「サイト利用者のほとんどが買い手であるという事実」を知らないからと、ネットであってもM&Aという会社の第三者承継である以上、「当然の礼儀が必要であるという真実」を知らないからだと思われます。

最近のマッチングサイトでは、スマホから、いつでも簡単にそして自由に、売り手へコンタクトがとれます。
このこと自体は、ネットの特性でもあり、素晴らしいことだと思います。
しかしながら、買い手9割というライバルが多い状況であることを考えると、「是非と思う案件ほどファーストコンタクト=最初の書き込み」は、慎重にされたほうがいいでしょう。
リアルと同じでネットでも、ファーストインプレッション=最初の印象は、最後まで良きにつけ悪しきにつけ、引きずります。

短文の質問事項で、誤字もあり、自分の欲求解消だけを目的としたような書き込みを、最初に売り手やそのアドバイザーが見て、どのように感じるでしょうか。
他の丁寧な売り手の事情も考慮されているような書き込みをされている買い手さんと比べて、売り手やそのアドバイザーはどう思うでしょうか。

もしこのような状況で前に進んだとしても、最初に上記のようなネガティブな印象を売り手が受けた場合に、その後、トップ面談や財務調査などお互い顔を合わすときに、スムーズにいくでしょうか。
さらに、もしですが、売り手が我慢したままM&Aが成約となった場合、買い手は売買対価を支払った後にある売り手からの引継ぎ業務において、ノウハウの開示や承継、前向きな取引先の紹介などをしてもらう事が出来るでしょうか。

売り手やそのアドバイザーは、買い手が思っている以上に、「必死」です。
売り手にとってM&Aとは、手塩にかけてきた自分の子供のような会社や事業を、見ず知らずの第三者に譲り渡すということです。

そこには、長年苦楽を共にしてきた従業員もいれば、大切な取引先もいます。

買い手も同じ経営者である以上、いつかは売り手側に回る可能性もあるのですから、当たり前に「売り手側に立った当然の礼儀」が必要です。

僕も年間数件M&Aに関わっており、現在進行中の案件もありますが、買い手は売り手の10倍と言われていますので、おっしゃるとおりかと思います。
自分で会社を設立した方しか分からないかもしれませんが、自分で設立した会社は、子どものようなものなので、値段だけではない面もあります。
よって、買い手は、この点を強く認識しておかないといけないと思います。
買い手がここを意識していないと、成約の確率が低いのは、過去の経験から明らかだと思います。

現役税理士が警告する「M&Aマッチングサイト」で初心者がハマる“落とし穴”について、どう思われましたか?


ストライクが着手金を無料化し中小M&Aの促進を図る!

M&A(合併・買収)仲介大手のストライク(東京都千代田区)は、先日から、仲介の契約時に受け取っていた「着手金」を無料にしました。
M&A業界では、会社の譲渡を希望する「売り手企業」から着手金を徴収するのが一般的で、従来はストライクも資産総額の大きさに応じて100万~300万円を受け取っていました。
今回の着手金の無料化は、スタートアップ企業やM&Aを通じた事業承継を検討している中小企業の経営者の仲介サービスへのハードルを低くすることで、新規契約の増加を目指すようです。
M&Aの敷居が低くなれば、企業の資本集約を通じた中小企業の生産性向上を後押しする可能性もあるそうです。

ストライクでは中小企業の事業承継やスタートアップ企業などを中心に、年間で100組超、200件超のM&Aを手掛けています。
従来は仲介依頼の契約を結ぶ際に、資産総額が10億円以下の場合、100万円、10億円超〜50億円の場合は200万円、50億円超の場合は300万円の着手金を徴収していました。

ただし、「実際に買い手企業を見つけてもらえるのか」「手元資金が少ない」などの理由から、着手金を支払うことをためらう譲渡希望企業も一部にあったようです。
特にスタートアップでは、成長期待が高いにもかかわらず、資金が乏しい企業も多く、着手金の存在がM&Aの最初のハードルとなっていました。

このため、同社は譲渡希望企業と買収を希望する企業を引き合わせ、M&Aの基本合意を結んだ時点で「基本合意報酬」を支払ってもらう方式に変更します。
基本合意報酬の料金体系は、従来の着手金と同じにし、成約した際の「成約報酬」の体系も従来から変更しないとしています。

少子・高齢化や団塊の世代の大量退職などを背景に、中小企業では後継者不在の問題が深刻になっています。
M&Aを通じて事業を承継する動きも増えています。
着手金無料化により、「会社を譲渡したい」と希望する企業は、M&Aの基本合意までお金がかかりません。
ストライクでは、仲介サービスの使い勝手が良くなり、中小企業の事業承継の促進にもつながるとしています。

確かに、着手金が必要になるため、M&Aをためらう企業もあったのではないかと思います。
よって、着手金無料化に伴って、使い勝手が良くなる面はあるかと思います。
一方で、着手金は、企業のM&Aに対する本気度を測るバロメーターであるという面があります。
途中でやめても返ってこない着手金を支払うということは、安易にM&Aをやってみようかなぁという企業を排除するハードルになるのです。
よって、着手金を取っている大手のM&A仲介会社は、ストライクの着手金無料化をそれほど気にしていないのかもしれませんね。

ストライクが着手金を無料化し中小M&Aの促進を図ることについて、どう思われましたか?


47都道府県のM&A勢力図は?

M&A Onlineによると、2021年上期(1~6月)のM&A件数(適時開示ベース)は前年同期を26件上回る447件で、上期として2008年(468件)以来13年ぶりの高水準を記録しました。
新型コロナ禍による経済環境の変化がM&A市場にとって追い風となっていますが、47都道府県ごとの状況はどうなっているのでしょうか?

上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、今年上期のM&A全447件について、買い手、売り手、対象(自社もしくは子会社・事業がターゲット)のいずれかの立場でM&Aにかかわった件数を集計しています。

例えば、神奈川県のA社(買い手)が大阪府に本社を置くB社(売り手)の石川県内にある子会社C社(対象)を買収したケースでは神奈川県、大阪府、石川県をそれぞれ1件とし、逆に同じ県内ですべての完結する場合は当該県の1件のみとカウントしています。

集計結果は、東京都(346件)が2位の大阪府(68件)を5倍の大差で引き離して断トツの首位となっています。
1位、2位は不動ですが、3位の座は愛知県が神奈川県から奪還しました。
愛知県は42件と前年の20件から倍増する一方、神奈川県は前年の25件から19件に減りました。

愛知県の中身をみると、県内企業が買い手となったケースが25件。県内企業が対象となったのは17件で、このうち7件は県内企業が売り手として子会社や事業を手放しました。
個別には、医療機器メーカーの朝日インテック(愛知県瀬戸市)が上期だけで4件の買収(うち3件は海外)を手がけたほか、製造系を中心に人材サービス会社が買収対象となった案件が4件あり、総件数を押し上げました。

上期中10件を超えたのは東京、大阪をはじめ、愛知、神奈川、福岡、千葉、兵庫、埼玉、京都の9都府県でした。
前年14件だった北海道は7件に半減し、勢いを欠いています。

買い手、売り手、対象のいずれにも該当せず、上期段階で件数ゼロだったのは和歌山、鳥取、うどん、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本の8県でした。
西日本に集中し、国内M&A市場の「東高西低」が浮き彫りになった格好です。

M&A市場は、東高西低なんですね。
この集計方法が良いのかどうかは別にして、我がうどん県は件数ゼロですので、M&Aに関わる僕としては、もっともっと頑張らないといけないなぁと思いました。

47都道府県のM&A勢力図は?について、どう思われましたか?


ツイッターがクラブハウス買収で交渉していた!

Bloombergによると、アメリカのツイッターは、ここ数か月以内に、招待制の音声交流サイト(SNS)アプリ「クラブハウス」の買収に向けて協議していたと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたいようです。

部外秘情報であることを理由に匿名で語った関係者によると、双方はクラブハウスの価値を約40億ドル(約4,400億円)と評価する可能性について話し合っていたようです。
交渉はもはや行われていないようですが、その理由は不明だそうです。

ツイッターの広報担当者は、コメントを控えました。
クラブハウスの担当者にもコメントを求めたようですが、これまで返答は得られていないようです。

ブルームバーグ・ニュースは今週に入り、クラブハウスを運営するアルファ・エクスプロレーションが、企業価値を約40億ドルと評価して新たな資金調達を交渉していると報じていました。
ツイッターとの協議が進展しなかった後、クラブハウスは代わりにその評価額での資金調達が妥当かどうかを検討し始めたようです。

すでに下火になったと思われるクラブハウスを、約4,400億円も出して買うところは出てくるのでしょうか?
こういうケースは、スピードが大事かもしれないですね。
Androidユーザーゆえ、どこにキャッシュポイントがあるのかも知らないのですが(笑)。

ツイッターがクラブハウス買収で交渉していたことについて、どう思われましたか?


香川県高松市の大豊産業がM&Aで関東の基盤強化!

日本経済新聞によると、産業用機器の販売などを手がける大豊産業(香川県高松市)が関東の生産・営業基盤の強化を進めているようです。
40人超の技術者を抱える日本治具(群馬県太田市)を買収したほか、2019年に完全子会社化したロボットの設計・製造を手掛けるヤザックを吸収合併して神奈川事業所としました。
優れた技術者を得て、これまでヤザックが外注していた製品を内製化するなど、相乗効果を狙うようです。

2021年2月、大豊産業は日本治具の全株式を取得しました。
取得額は非公表です。
日本治具は治具や加工装置、組み立て装置の設計や製造を手掛けています。
大豊産業は産業用機器の販売で全国の製造業と取引があり、ロボット関連事業を強化していきたいとの考えから、技術力のある企業を探していたようです。

大豊産業はグループ全体の売上高のうち7割弱を四国が占めています。
関東圏での事業拡大が成長のカギになるとみて、企業買収を進めてきました。
今回の買収では、製造面での相乗効果を生み出すことが狙いの一つのようです。

ヤザックと日本治具は、装置の設計や製作などで、事業内容と取引先が重複する部分があります。
買収により生産・販売効率を高めることができるとみています。
ヤザックは設計力に強みがあるものの技術者の数は少ないことから、製造を外注していました。
日本治具の技術者を取り込むことで生産能力を強化し、これまでの外注分を内製化していきます。

大豊産業が2020年に開発した、死亡鶏など鶏舎の異常を人工知能(AI)で検知する自走式装置の販売にもつなげます。
人が巡回し確認していた作業を自動化できることから、養鶏業の省力化につながるとみています。
北関東で農業畜産分野の事業を拡大するため、日本治具を装置の組み立て・整備拠点にします。
これまでは、ヤザックの人材に限りがあるため、対応することは難しかったようです。

販売面の相乗効果も狙っています。
大豊産業が手掛ける太陽光パネルや産業用機器の販売を、関東圏でも広げるための営業拠点にします。
日本治具の中に大豊産業東日本支社を設立し、物販を強化します。
日本治具のある群馬県は太陽光発電が盛んなことから、新エネルギー関連の需要を取り込みたい考えです。

大豊産業の2020年3月期の売上高は約108億円です。
技術の獲得ではスピード感を重視していることから、近年積極的なM&A(合併・買収)に動いています。
四国での事業は継続しながら、関東での基盤強化を進めていく考えのようです。

我が香川県の企業がM&Aをして、県外に進出しているというのは嬉しいですね。
こういう記事がたくさん出てくるようになって、M&Aが経営の中で一般的に使われるような時代に早くなってほしいと思います。

香川県高松市の大豊産業がM&Aで関東の基盤強化をしていることについて、どう思われましたか?


日本アジアグループのMBOが旧村上ファンド系の対抗受け不成立!

日本経済新聞によると、再生可能エネルギー事業などを手掛ける日本アジアグループは、先日、アメリカ投資ファンドのカーライル・グループと組んで実施していたMBO(経営陣が参加する買収)が不成立になったと発表しました。

旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が対抗TOB(株式公開買い付け)を実施し、株価が高止まりしていました。
シティ社のTOBに対する意見は留保としました。

MBOでの買い付け価格は当初1株600円でしたが、株価の高止まりなどを受けて1,200円に引き上げました。
最近、シティ社が1,210円で対抗TOBを開始すると発表し、期限におけるMBOへの応募は買い付け予定数の4割弱にとどまりました。

安く買いたい経営陣側と、高く売りたい株主側の利害は対立しますので、安過ぎる設定はこういうことになりかねないという良い例でしょう。
こういうことが、普通に行われるようになって、MBOの際の株価の算定がもっと適正になればいいですね。

日本アジアグループのMBOが旧村上ファンド系の対抗受け不成立となったことについて、どう思われましたか?


「ルイ・ヴィトン」展開の仏LVMHがティファニーの買収完了!

讀賣新聞によると、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」などを展開する仏LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、先日、米宝飾大手ティファニーの買収を完了したと発表しました。

ティファニーの新しい最高経営責任者(CEO)には、かつてティファニーに在籍していたルイ・ヴィトン幹部のアントニー・ルドリュー氏を起用しました。

両社は2019年11月に買収で合意しましたが、LVMHが2020年9月に買収計画の撤回を表明したことで対立し、一時は訴訟にまで発展しました。

2020年10月に買収額を当初の約162億ドル(約1兆6,800億円)から約158億ドルに引き下げ、再び合意していました。

無事に買収したみたいですね。
売買代金は少し下がりましたが、コロナウイルスの影響を考えると、売り手側はこの金額で売れて良かったのではないかと思います。
ブランドってなかなか評価が難しいとは思いますが、それにしてもスゴい金額ですね。

「ルイ・ヴィトン」展開の仏LVMHがティファニーの買収を完了したことについて、どう思われましたか?


ニフティが女性客取り込みのため通販のセシールを買収!

日本経済新聞によると、家電量販店のノジマは、先日、傘下でネット接続事業者のニフティ(東京都新宿区)が通販大手のディノス・セシール(東京都中野区)から「セシール」ブランドのカタログ通販事業を買収すると発表しました。
買収金額は約30億円とみられます。

ニフティのネット接続サービスの会員は男性が中心ですが、セシールは女性消費者の知名度が高くなっています。
カタログや通販の会員を取り込み、顧客層を広げるようです。
新型コロナウイルスの流行に伴う巣ごもり消費の寄与も狙っています。

ディノス・セシールは2013年7月にセシール、ディノス、フジ・ダイレクト・マーケティングの3社が合併して発足しました。
新たに設立する完全子会社にセシール事業を承継し、2021年3月1日付でニフティに新会社の株式を譲渡する予定です。
「ディノス」ブランドの通販事業は引き続き継続します。

ディノスは生活用品分野のカタログやネットの通販事業に強みを持っています。
近年は人工知能(AI)を使った顧客分析などに力を入れています。
アメリカのアマゾンなどネット通販の普及でカタログ通販は苦戦しており、ブランドを整理するようです。

ノジマは2017年に富士通からニフティのインターネット接続事業を買収しました。
部門削減など構造改革を進め、現在はグループ企業のスルガ銀行との連携も模索するようです。

セシールは元々、我が香川県高松市の会社でしたので、驚きました。
最初は、ライブドアグループとなり、その後、フジテレビグループとなったのですが、次はノジマグループなんですね。
グループは変わりましたが、セシールの名前で頑張って欲しいですね。
巣ごもり需要が追い風になると考えられますので、ニューノーマルにうまく対応して、フジテレビグループに手放さなければ良かったと思われるような存在になればいいですね。

ニフティが女性客取り込みのため通販のセシールを買収したことについて、どう思われましたか?


日本政策投資銀行がMBA取得者を中小社長に仲介する事業承継ファンドを設立!

日本経済新聞によると、日本政策投資銀行は経営学修士号(MBA)を取得するなど起業意欲がある若者を中小企業に仲介するファンドをつくるようです。
経営人材として有望な若手に、中小企業を買収する資金を提供します。
後継難に悩む経営者が増えていることに対応するものです。

アメリカで1980年代に始まった「サーチファンド」と呼ぶ事業承継の仕組みを日本で初めて全国展開します。
経営者を目指す個人に対して、複数の投資家が買収に必要な資金をサーチファンドに拠出します。

日本政策投資銀行は日本M&Aセンターと、経営者紹介のキャリアインキュベーション(東京・千代田)とファンドの運営会社を設立しました。
外資系ファンドを経て中小企業の経営支援に携わってきた伊藤公健氏が社長に就きました。

2020年11月までに10億円弱の規模の1号ファンドを組成します。
年間売上高が数億円の小規模な企業を対象とし、2年程度のうちに数件の実績を目指します。

企業の新陳代謝が活発なアメリカでは、サーチファンドはあくまで資金の出し手で、経営者を目指す若者が対象企業を選んで条件を交渉します。

日本の中小企業は創業者が高齢になるまで経営を担うことが多くなっています。
後継者難に直面しているが、外部から経営者を突然招くことへの抵抗感も根強くあります。
日本政策投資銀行は資金の出し手となるファンドを仲介役に、友好的に事業承継を進めたい考えです。

日本M&Aセンターの知見などを活用して候補となる企業の情報を集め、買い手と売り手の交渉や経営方針の共有を後押しします。
買収後も定期的に経営者と面談をして円滑な承継を支援するようです。

サーチファンドの仕組みを使った事業承継はアメリカで300件以上の実績があり、近年は欧州やアジアにも広がっているようです。
日本でも山口フィナンシャルグループなどが2019年にファンドを立ち上げ、同社の営業地域内で案件を組成しています。

銀行や投資ファンドによる事業承継の枠組みは広がっています。
日本政策投資銀行らのサーチファンドが対象とする小規模な中小企業は、安定的な業績をあげていても将来の売却による収益が少ないため投資先になりにくい状況にあります。
ファンドによる買収と異なり、オーナー自身が次世代の経営者の人柄を見定められる仕組みはニーズが強いとみて全国での仲介を目指します。
日本に少ないプロ経営者を育成する仕組みとしても活用を促すようです。

東京商工リサーチによると、2020年1月から6月に後継者難を理由に倒産した企業は194件と前年同期比で8割増えました。
上期としては調査を始めた2013年以降で最多となりました。
日本政策投資銀行の担当者は、「次の難局を意識して前倒しで承継を検討する企業が増える」と指摘しているようです。

規模の大きな企業を相手にしている日本政策投資銀行や、手数料が高いと言われる日本M&Aセンターが、売上高数億円規模の中小企業の事業承継にも参入してくるんですね。
政府系のファンドはあまりうまく行っていないものがほとんどだと思いますが、お手並み拝見ですね。

日本政策投資銀行がMBA取得者を中小社長に仲介する事業承継ファンドを設立することについて、どう思われましたか?


コロナ禍のM&Aは売り手と買い手で意識格差!

中小企業の事業承継問題を解決する一つとしてM&A(合併・買収)に注目が集まっていますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、M&A市場はどうなっているのでしょうか?
KaikeiZineによると、M&A仲介サービス大手のストライク(東京都千代田区)の調査により、コロナ禍での売り手、買い手の意識格差が浮き彫りになったようです。

日本国内はもとより世界経済に大きなダメージを与えている新型コロナウイルスですが、事業承継に踏み切れない中小企業経営者の中には、この“コロナ”をきっかけに、M&Aを真剣に考える向きがあるようです。
こうしたなか、ストライクは2020年6月、コロナ禍においての、買い手、売り手の意識調査を行いました。
調査は2020年6月3日から5日の間、インターネットを通じて経営者を対象にアンケート調査を実施し、有効回答数は311人でした。

それによると、買い手は売り手に比べて事業規模が大きく、財務基盤が強いことが多いため、コロナ禍でもM&Aに積極的ということが分かりました。

調査では、買い手企業が、コロナ禍によるM&Aへの「マイナスの影響はない」(52%)「プラスの影響がある」(14%)と回答しており、合わせて7割近くを占めています。
「マイナスの影響がある」との答えしたのは33%にとどまりました。

一方で、売り手企業の58%が「マイナスの影響がある」と回答しています。
「影響はない」は25%、「プラスの影響がある」は16%でした。

買い手企業の経営者の多くが、コロナ禍でもM&Aに積極的な理由としては、72%が「コロナ禍が経営にそれほど影響がなかったため」と回答しています。
18%が「コロナ禍は経営に影響しているが、M&Aは必要と考えているため」と答えています。

買い手企業の多くが体力のある大企業とみられ、企業買収を中期的な経営戦略の一環ととらえていることが、逆風下でもM&Aに積極的な理由だと考えられます。

売り手企業で「マイナスの影響がある」と答えた理由は、52%が「売り上げが減少し、将来に不安を感じた」と回答しています。
19%は「売り上げが減少し、事業を継続できなくなった」としています。
いずれも、コロナ禍による業績の悪化が、M&Aに悪影響を及ぼした格好です。
「オンライン化などのビジネス環境の変化により将来不安を感じた」との回答も9%ありました。

コロナ禍でもM&Aに積極的な買い手企業は、計画を延期しても「M&Aを再検討する」としており、再検討する時期についても87%以上が「半年以内」と回答しています。
「3か月以内に再検討する」とした買い手企業も5割に達しています。
迅速に業容を拡大したい方針が垣間見えます。

一方で、計画が延期になった場合に「M&Aを再検討する」と答えた売り手企業は66%にとどまり、「半年以内に再検討する」と答えた企業は20%、「3か月以内」としたのは6%に過ぎませんでした。
「再検討するのは1年以上経過してから」と回答した売り手企業は33%にのぼりました。

2020年上旬までは、売り手、買い手ともに前向きだったM&A市場ですが、コロナ禍の影響で売上高の減少や将来不安などが影響し、買い手、売り手双方の経営者の心理や行動に影を落としていることが浮き彫りになりました。

僕自身、年間5件から10件ほどM&A案件に関わらせていただいておりますが、この調査と同じように認識しています。
従来からM&Aをやられている買い手の方、これからM&Aをしようとしている方は、買うという姿勢は変わらず、また、今が買い時と考えているように思います。
売り手の方は、お話がかなり減っていますので、延期になっているのではないかと推測されます。
コロナ禍でも話を進めている方の中には、先延ばしにすればするほど売却価格が安くなると考えている方もおられるのではないかと思います。
個人的には、今後は売らざるをえなくなった売り案件が増えてくると思いますが、買い手はM&Aに慣れている方が多いと思いますので、何かこれがあるから買いたいというものがないと、なかなか成立しないかもしれないですね。

コロナ禍のM&Aは売り手と買い手で意識格差が生じていることについて、どう思われましたか?


SGHDと日立物流が新型コロナウイルス感染症の影響で経営統合を見送り!

日本経済新聞によると、佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(HD)と日立物流は、先日、経営統合を当面見送ると発表しました。
2016年に統合を視野に資本・業務提携を決めましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界的に物流が停滞するなど環境が一変し、提携の重要性が薄れたと判断したようです。
相互に持ち合う株式の出資比率も引き下げ、両社とも独自の成長戦略を優先させます。

SGHDは日立物流が保有する佐川急便の発行済み株式の20%分すべてを875億円で買い取ります。
日立物流もSGHDが持つ自社株を、988億円を上限として市場で取得します。
SGHDの持ち分は現在の29%から6%前後になる見通しです。

売買は2020年10月29日に完了する予定で、日立物流はSGHDの持ち分法適用会社から外れます。
トラックの共同利用といった業務提携は続けます。

佐川急便は宅配便大手で、日立物流は企業間物流に強みを持っています。
2016年の提携は、個人から法人まで包括的に荷物を扱う総合物流グループの形成が目標とされていました。

しかしながら、新型コロナの流行で両社の経営環境は一変しました。
電子商取引(EC)の利用は急拡大しました。
宅配便の需要が膨らむなかで業務の効率化や省人化への取り組みなど、佐川急便の経営判断を迅速に行う必要性が高まったのです。
SGHDは完全子会社化の必要があると判断し、株式の買い戻しを日立物流側と協議していました。

日立物流も目算が外れました。
国内では業務の効率化などで一定の成果があがったものの、新型コロナの流行で世界的に物流網が目詰まりしました。
輸送量も急減し、成長のけん引役として重視していた国際物流で連携の効果が生じにくくなったのです。

日立物流は海外事業のてこ入れにはSGHDよりも、海外企業との連携を強化する必要があるとの判断に傾いたようです。
自社株を活用した現地企業のM&A(合併・買収)も視野に入れているとみられ、株式の買い戻しにつながったようです。

SGHDは、先日、出資比率の引き下げに伴い2021年3月期の業績予想を見直すと発表しました。
日立物流の株式持ち分比率が減ることで連結経常利益は前期比11%増の890億円と、従来予想に比べて20億円減少します。

一方で佐川急便株を取得するため、純利益は前期比16%増の550億円と従来予想に比べて25億円増える見通しです。

純利益の増加で配当予想も見直しました。
1株当たり前期比8円増の52円にし、従来予想から3円積み増します。

SGHDは同日、株式1株を2株に分割することも発表しました。
2020年10月31日を基準日とし、11月1日付で実施します。

新型コロナウイルスの影響は色々なところに出てきますね。
ただし、意思決定が早かったと個人的には思います。
まずは、それぞれが現状を打破するようにタイムリーに取り組んで、ニューノーマルというものがある程度確立してきたときにでも、再度どうするかを考えれば良いのではないかと思います。

SGHDと日立物流が新型コロナウイルス感染症の影響で経営統合を見送ったことについて、どう思われましたか?


東京海上が誓約違反を補償する中小企業のM&Aの保険を販売!

日本経済新聞によると、東京海上日動火災保険は中小企業の事業承継を支援する保険を売り出すそうです。
隠れた負債などの誓約違反が発覚した場合に、承継先の損失を補償します。
個別に補償内容などを定める従来のM&A(合併・買収)保険は、保険料が高額で中小企業は使いづらいものとなっています。
誓約内容を定型化し、保険料を下げて加入しやすくします。

経営者の高齢化や後継者の不在で廃業する事業者が増えています。
雇用や技術の消失を防ぐためにも円滑な事業承継が重要になっています。
承継は買い主と売り主が対立することが少なくありません。
一般的に、買う側は想定外のリスクに備えて広範囲の誓約を求めますが、売る側は時間やコストをかけるのを嫌い、限定的な内容を希望するからです。

東京海上は誓約の書類を定型化して、無駄な交渉を省けるようにします。
引き受けの調査にかかる時間も縮めます。
保険料は300万円からで、1,000万円以上するオーダーメード型のM&A保険より割安にしました。

情報開示が進んでいない非上場の中小・零細企業は買収した後に財務や法務の隠れたリスクが見つかるケースがあります。
誓約書は財務の計算処理、取引先との契約、労務、租税関係などを網羅します。
従業員の賃金の未払いや隠れた株主が発覚するような事態も補償します。

このような保険が発売されることは良いことだと思います。
しかしながら、どれだけ保険を使う方がいらっしゃるのかは疑問です。
中小企業のM&Aの場合、数千万円から数億円の案件、もちろん、数百万円の案件もあります。
僕も年間5件から10件ほどM&A案件に関わっていますが、このような中、M&Aの仲介手数料が安くても数百万円、財務DDの報酬も数百万円すると思いますし、隠れた負債とかを避けたいのであれば、株式譲渡ではなく事業譲渡にすれば良いと思いますので、ここに300万円以上乗ってくるとなると、それなりの金額の案件になってくると考えられ、使われるのはそれほどないのではないかと思います。
ただし、この記事が日経に出た日に受講したセミナーで、上場している某M&A仲介会社の子会社の方が既に保険を検討しているとおっしゃっていたので、他社からも今後この手の保険が出てくると思いますので、もっと小さな案件に使えそうな保険が出てくるききっかけになればいいなぁと思います。

東京海上が誓約違反を補償する中小企業のM&Aの保険を販売することについて、どう思われましたか?


M&A「やっぱりやめた」が横行!

日経ビジネスによると、欧米で合意済みのM&A(合併・買収)案件の破談が相次いでいるようです。

高級ブランド世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)が米ティファニーの買収見直しを示唆、米ボーイングもブラジルのエンブラエルとの事業統合を撤回した。新型コロナウイルスの影響で、コロナ前に見込んでいた買収効果が得られるか不透明になったというのが理由だそうです。

コロナ禍の今、欧米ではM&A案件は「撤回するのが当たり前」(外資系投資銀行)のようです。
そして日本で強行された1兆円ディールには驚きの声が集まっているそうです。

LVMHは2019年11月、ティファニーを総額162億ドルで買収することで合意しました。
しかしながら、新型コロナの影響を鑑み、2020年6月2日の取締役会でティファニー買収の妥当性を再協議し、6月4日に「現時点でティファニー株の購入を予定していない」という声明を出しました。
水面下でLVMHが買収価格引き下げを打診したものの、ティファニーが拒否したという情報もあるようです。

ブラジル航空機大手のエンブラエルは、事業統合を撤回したボーイングを相手取り「契約不履行とキャンセルにより被害を受けた」とする仲裁手続き入りを表明しました。
直近では2020年6月10日、アメリカのショッピングモールを運営するサイモン・プロパティ・グループが、同業であるタウブマン・センターズを36億ドルで買収するという合意の撤回を求める訴えを起こしています。

いずれの場合も、買収撤回の理由は新型コロナウイルスとされます。
ティファニーなどの売り上げは新型コロナで急減しており、LVMHの翻意は分からなくもありません。
もちろん合意済みの買収を撤回すれば違約金は発生します。
しかしながら、「違約金を払ってでも買収をやめた方が、強行するよりリスクが小さいと考える経営者が急増している」(米系投資銀行幹部)ようです。
もちろん合意を一方的に破棄するのだから、裁判沙汰になるのは覚悟の上だそうです。

「クローバック条項」を導入している企業が欧米には多いことも、買収撤回の判断に影響している可能性があります。
クローバック条項とは、投資に伴う巨額損失や不祥事などが後々発生した場合、支給済みの役員報酬を会社に強制返還させる仕組みです。
アメリカでは、2017年時点で製造業の9割超が導入済みとされます。
新型コロナ前に決めた価格で買収を強行して後に巨額損失が発生した場合、役員としては自分の懐が痛みかねません。

こうして合意済みのM&A案件の撤回が欧米で相次ぐ中、逆に注目を集めてしまったのが昭和電工による日立化成買収です。

「えっ、あのディールは実行されたのか」。
2020年6月5日、東京証券取引所は日立化成株を6月19日付で上場廃止にすると発表した(実際に、6月19日で上場廃止になっています。)。
昭和電工による買収成立を受けた措置です。
それを伝え聞いたアメリカの大手証券会社幹部は「てっきりやめたと思っていた」と絶句したそうです。

昭和電工は1兆円弱を投じて日立化成を買収しましたが、そもそも買収で合意したと発表したのは2019年12月です。
つまり、新型コロナ前です。
当時でさえ高値づかみのリスクがささやかれていましたが、その後のコロナ危機で日立化成の業績は悪化しています。

買収発表時点の日立化成の2020年3月期の純利益見通しは前の期比23%減の220億円でしたが、新型コロナの影響などで最終的に同利益は43%減の164億円になりました。
自動車向け顧客が新型コロナの影響を受けていることが響いたようです。

そして昭和電工による日立化成買収のためのTOB(株式公開買い付け)は、買い付け価格を変えることなく2020年3月24日に始まりました。
コロナの影響で世界経済が大きく傷むことが既に十分分かっていた時期です。
日立化成買収に同じく手を上げていた外資系ファンド幹部は「この状況では数百億円の違約金を払ってでもTOBを始めないのが普通。昭和電工の決断は全く理解できなかった」と振り返っているようです。

欧米と日本の経営者の考え方の違いは何なのでしょうか?
思い出されるのは2~3年前、数千億円の買収案件を巡り、日本のある上場企業のアドバイザーに就いた投資銀行幹部の言葉です。

その企業は買収を巡り最後まで他社と競り合い、買収価格を何度も引き上げ最終的に競り勝ちました。
アドバイザーは「確かにその会社に必要な買収だった。だが事前に取締役会で決めた上限価格を超えても、社長は退かなかった。もうペイしない、撤退も考えるべきだと進言したが、社長はサラリーマン人生をかけた高揚感に包まれ耳を貸さなかった」と振り返っています。

幸い、その買収案件ではその後に大きな減損損失を出したとは聞かないようです。
しかしながら、交渉の過程で、買収することが目的化していた面は否めないでしょう。
まして、昭和電工の場合は買収で合意と発表済みです。
新型コロナのせいとはいえ、その後に買収を撤回すればレピュテーションリスク(企業に対するマイナス評価)にさらされると危惧するのも理解できます。

日本電産や富士フイルムホールディングスのように買収慣れしている企業ならともかく、多くのトップにとってM&Aはサラリーマン人生最大の決断でしょう。
一度腹をくくったそれを、数百億円の違約金を払ってでも撤回しろというのは確かに酷な話かもしれませんね。

一方、裁判沙汰になってでも撤回した方がいいとドライに経済合理性で判断するのが欧米企業です。
両社を比較すると、あくまでも「理」で決める欧米に対し、「情」が強い日本企業とでも言えるかもしれません。
ここでその優劣を論じるつもりはありませんが、結果で評価されるのもまたトップの宿命です。
どちらであっても、結果を出せば勝ち、結果が出なければ負けなのです。

過去にも、買収が失敗と言われたものの成功している事例はあります。
ブリヂストンによるファイアストンなどです。
しばらく経ってからでないとM&Aが成功だったか失敗だったかは分からないと思いますが、日本人の『情』が成功につながったと言えるように、あまり外野の意見は気にせず、昭和電工さんにはぜひとも頑張って欲しいですね。

M&A「やっぱりやめた」が横行していることについて、どう思われましたか?


経済産業省が中小企業のM&A手数料で根拠明示を求める指針!

経済産業省は中小企業のM&A(合併・買収)を手がける業者が不当に高い仲介手数料を取るのを防ぐ指針をまとめました。
手数料の根拠や支払時期をあらかじめ説明するよう求め、悪質な業者を排除します。
優れた技術を持ちながら後継者難に悩む企業の事業承継などが円滑に進む環境を整えます。

指針は成功報酬や着手金などの一般的な水準を示しました。
「複数の業者を比較検討することが望ましい」と明記しています。
中小企業側に不安がある場合は他の支援機関に意見を聞くことも勧めています。

国が全国の都道府県に設けた「事業引継ぎ支援センター」に登録する約200の仲介業者らに指針の順守を求めます。
違反した場合は登録取り消しも検討します。
各地の事業引継ぎ支援センターは事業の譲り渡しを望む中小とM&Aを検討する事業者の橋渡しの場となっています。
除外されれば仲介の機会や情報を得にくくなるため、経済産業省は指針が一定の強制力を持つとみています。

国内では2025年までに経営者が70歳を迎える中小企業のうち127万社で後継者が決まっていないとされます。
黒字のまま廃業を迫られる事例も多くなっています。
親族などに後継者がいない場合、社外の第三者への売り渡しが選択肢となります。
実際には仲介業者が高額な手数料を要求したり、説明が不十分なまま契約を結んだりするケースがあります。

経済産業省は2029年ごろまでに60万件のM&Aを成立させる目標を掲げます。
新たな指針も含め、支援を強化します。

国が民間のことに口を出すのはどうかと思いますが、悪徳なところも多いんでしょうね。
個人的には、コロナウイルスの影響で、生き残るために国が力を入れている事業承継は後回しになる可能性が高いと思いますが、どうにもならなくなって売りに出す企業は多くなるのではないかと思います。
その点、買いたたかれ、手数料もたくさん取られてほとんど残らないということの歯止めには少しはなるかなぁとも思います。

経済産業省が中小企業のM&A手数料で根拠明示を求める指針を作成したことについて、どう思われましたか?


新型コロナウイルスに負けないM&Aとは?

日経ビジネスによると、M&A(合併・買収)の世界にも新型コロナウイルスの影響が出始めたようです。
業績の急激な悪化や株価の急落を受け、世界中で様々な案件が中止や延期に追い込まれ始めており、今後もこうした動きが続々と出てくるのは間違いありません。
では逆に、こうした株価急落を受けて前に進むM&Aはないのでしょうか?

「今年はもう冬眠するよ…」。
外資系の投資銀行でM&Aのアドバイスを手掛ける担当者はこうため息をついているようです。
理由は新型コロナのまんえんです。
買収交渉の最終局面で必須のトップ同士の対面交渉が世界各国の移動制限でままならない上、買収価格を決めるのに必要な買収先企業のデューデリジェンス(DD)と呼ばれる資産査定業務も進みません。
書面チェックだけなら可能ですが、工場在庫の確認などの実地調査ができないためです。

どの業界でも今後の業績見通しを立てることが困難になっており、どの程度の成長可能性を織り込んだ買収価格が妥当なのか、合理的に計算がしづらくなっています。

実際、M&Aの破談や延期は相次いでいます。
アメリカ事務機器大手ゼロックスがアメリカHPへの敵対的TOB(株式公開買い付け)を撤回しました。
マクロ経済と市場の混乱でTOBを継続できない環境になった、というのがその理由です。

国内では2020年3月31日に神戸製鋼所が子会社コベルコ マテリアル銅管の株式の一部を日本産業パートナーズに売却するのを延期すると発表しました。
同日には古河電気工業も日本産業パートナーズへの事業譲渡を延期すると発表しています。
両社ともに買い手の日本産業パートナーズが新型コロナによる環境変化を理由に延期を求めてきたといい、「できるだけ早期に本株式譲渡を確実に実行するよう、(日本産業パートナーズに)要求してまいります」としています。

買い手からすると、新型コロナがここまで大きな騒ぎになる前に決めた買収条件なので、割に合わなくなったから猶予がほしいということなのかもしれません。
このほかに未発表ですが水面下で交渉が進んでいたM&A案件が、新型コロナの影響で中止や先送りになってしまったというケースも数多くあるでしょう。

ただし、M&A案件がすべてなくなるのかというと、そうとは限りません。
ある投資銀行の担当者は「これからは親子上場の完全子会社化案件とMBO(経営陣が参加する買収)に絞って営業をかけていくつもり」だそうです。
どういうことなのでしょうか?

いま、M&Aの障害になりつつあるのはDDが精緻にできないことと、業績見通しが立たないため合理的な買収価格の算定が難しいことでしょう。このハードルが比較的低いのが、上場子会社の完全子会社化とMBOなのだそうです。

情報が不足しがちな他社を買収するのに最も大事なのが正確なDDだが、子会社であればある程度の事前情報は持っているはず、というのがその理由です。
MBOなら自社のことなのでなおさらです。
つまり、DDの不足に対する懸念が相対的に低いM&Aが子会社の完全子会社化とMBOということになります。
加えて買収先の収益見通しが甘すぎたりしたため、「のれん」の減損処理をする羽目に追い込まれた、といったことも起きにくくなります。

世界的な株価急落を受け、従来よりも割安な価格で完全子会社化、もしくはMBOができる可能性も高まっています。
これは買い手の論理ですが、動機としてはむしろ背中を後押しする方に働きます。

マルハニチロは2020年3月30日に50%強の株を持つ連結子会社の大都魚類をTOBで完全子会社化すると発表しました。
TOB価格は過去6か月の平均株価に対するプレミアム(上乗せ)で見ると30%にとどまりますが、発表直前の株価に対するプレミアムで見ると約5割に達します。
直近の大都魚類の株価が急落したため、足元の株価と比べると魅力的なTOB価格を提示することが可能になった、とみることもできます。

世界的な株安で、「今、会社を売るのは得策ではない」と経営者、つまり売り手は考えるはずです。
買い手からすると割安で買える可能性が高いですが、双方の思惑が一致しないとM&Aは成立しません。
売り手の思惑にとらわれることなく、ディールが進められるという点で、半分以上の株を既に押さえている上場子会社の完全子会社化と売り手がある意味で存在しないMBOは話が進展しやすいでしょう。

もちろん上場子会社だからといって、少数株主の意向を無視した過度に割安な価格設定にしたりすると、不満を持った少数株主から訴訟を起こされるリスクもあります。
とはいえ、こんな時だからこそ前に進みそうなディールもあるでしょう。
銘柄選別の上で先回り買いが好きな投資家には一つの基準となるかもしれません。

確かに、売り手は今はやめておこう、買い手は今が買い時と考えるとすると、M&Aはなかなか成り立たないのかもしれません。
その点、子会社の完全子会社化とMBOが狙い目というのは正しいように思えます。
しかしながら、コロナウイルスの影響で業績が悪化し、資金が必要になり、資金が潤沢な大手の傘下に入るというケースも、収束までに時間がかかるとなると増えてくるのではないかと思います。
高い給料をもらっているM&A仲介会社の方々は収入が減って大変かもしれませんが、うどん県を中心に微力ながらM&Aに関わっている身としては、地域経済や雇用のために、少しでも貢献できれば良いなぁと思っています。

新型コロナウイルスに負けないM&Aとは?について、どう思われましたか?


小売業のM&Aはデジタル強化主流!

あらゆる産業で進むデジタル化は小売業界に変革をもたらしています。
ネット通販の伸長で従来の出店モデルが転機を迎え、デジタル強化を狙った大型M&A(合併・買収)や提携の動きが増えているようです。

小売り世界最大手のアメリカのウォルマートは2018年にインドのEC大手フリップカートを160億ドル(約1兆7,500億円)で買収しました。
アメリカでの大量出店と世界各国での小売業の買収でグローバル展開してきた同社の戦略は、方向転換しているようです。

そうした波は日本にも押し寄せています。
ウォルマートは2018年、傘下の西友を通じて楽天とネットスーパーでの協業を発表しました。
日本では同業への買収戦略で最大手に成長したイオンも戦略を練り直しています。
2019年にイギリスのネットスーパー大手のオカドと提携しました。
これまでの小売業のM&A戦略は規模拡大を最優先課題とし、自社のノウハウを買収先に注入するのが基本戦略でした。
これに対して、今後は、買収・提携先の事業モデルから学び、自らを変革することが求められそうです。

小売業は、通販などの影響を受け、苦戦していますから、当然の流れでしょうね。
時代の激しい移り変わりに対応するには、スピードも必要ですし、既存事業を0から見直すくらいでないとうまく行かないと思いますので、既存事業の思考を持った方よりは、新しい思考を持った方の方が良いでしょうから、M&Aということになると思います。
大手は、購買力や店舗網があり、価格競争力や顧客はあるのですから、頑張って、ネットスーパーを一般的なものにして欲しいと思います。

小売業のM&Aはデジタル強化主流であることについて、どう思われましたか?


MBOが今年早くも5件に達しているが「上場企業」返上の理由は?

M&A Onlineによると、2020年に入り、経営陣による買収(MBO)がすでに5件に達し、前年の6件に早くも並ぶ勢いです。
このままのペースでいけば、2013年以来、7年ぶりに2桁(10件)に乗せる公算が大きいようです。

MBOを通じて上場廃止は、敵対的買収を回避する究極の策とされます。
その数は2011年の21件をピークに減少傾向に転じていますが、モノ言う株主(アクティビスト)による株主提案の活発化などを背景に潮目の変わる可能性もあり、今後の推移が注目されます。

5件のMBOは1月30日から翌週の2月5日までの1週間の間にバタバタと発表されました。
非公開化によって上場企業の看板を下ろすことを決めたのは豆蔵ホールディングス(東証1部)、JEUGIA(東証2部)、オーデリック(東証1部)、ミヤコ(ジャスダック)、総合メディカルホールディングス(東証1部)です。

上場歴が最も長いのは1991年以来のJEUGIAで、30年近く経っています。
最も浅い豆蔵HDでも2004年から16年となります。
5件のうち、JEUGIAを除く4件のMBOは創業者(家)の意向によるもので、所有と経営を一つにする狙いが込められているようです。

◎2020年:MBOによる非公開化を発表した企業

企業名

業種

上場年

PBR

豆蔵HD

システム開発支援

2004

3.55

JEUGIA

楽器販売など

1991

0.64

オーデリック

住宅用照明器具

1996

1.08

ミヤコ

住宅用給排水器具

2000

0.95

総合メディカルHD

調剤薬局・医業支援

2001

1.92

※PBR(株価純資産倍率)は2月14日時点のものです。

それにしても、なぜ、多くの企業にとって目標である上場企業の座を返上してまで非公開化するのでしょうか?

各社がそろって大きな理由の一つに挙げるのが「抜本的・機動的な意思決定を可能にする経営体制の構築」です。
機関投資家など株主の要求や株価動向など市場の声に惑わされることなく、中長期的な戦略や方針に基づき、迅速な経営判断が行えるようになるというわけです。

含み資産を持ちながら、時価総額を純資産で割ったPBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込むような割安企業は買収のターゲットとされやすくなります。
したがって、上場廃止による非公開化は買収リスクから経営陣を解放することを意味します。
一方で、非公開化はコーポレートガバナンス(企業統治)や経営監視機能の低下につながるといった懸念が生じます。

MBOに際しては、経営陣が市場から株式を買い付けるための資金を銀行借り入れなどで賄いますが、投資ファンドの協力を得る場合も少なくありません。

今回の5件のケースをみると、JEUGIAが19億4,700万円、オーデリックは313億円、ミヤコは31億円の銀行融資を受けるようです。
豆蔵HDは国内投資ファンドのインテグラル(東京)、総合メディカルHDも同じく国内投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(東京)と組みます。
MBO資金として、豆蔵HDは344億円、総合メディカルHDは763億円を必要とします。

MBOは2000年代後半から2010年代初めにかけて盛り上がりました。
リーマンショックによる金融危機が起きた2008年16件→2009年18件→2010年13件→2011年21件→2012年9件→2013年10件と推移し、以降は6件~3件です。
ピーク時の2011年は全TOB(株式公開買い付け)の3分の1以上をMBOが占めました。

2000年代半ば、旧村上ファンドに代表されるモノ言う株主や一部の外国人投資家による株買い占めが先鋭化したことなどから、非公開化に向けた企業の背中を押したのです。

また、近年は政府主導のコーポレートガバナンス改革で持ち合い解消による安定株主の減少が進み、割安企業を中心に買収リスクが高まっているほか、株価維持のために自社株買いなどの株主還元が強く求められています。

こうした中でのMBOラッシュです。
2020年を境に、非公開化志向が再び台頭する転換点になるのでしょうか?

個人的には、迅速な経営判断や買収リスクからの解放ということが目的であるならば、元々上場しなければ良いのではないかと思いますが、時代の変化や元々の目的が相続税対策というところもあるので、仕方ないんでしょうね。
株主の視点がすっぽりと抜けているような気はしますが。

MBOが今年早くも5件に達しているが「上場企業」返上の理由は?について、どう思われましたか?


タブーが薄れ敵対的TOBに証券会社も動く!

日本経済新聞によると、企業やファンドによる「敵対的買収」が広がる中、長らく協力に後ろ向きだった証券業界の風向きが変わりつつあるようです。
経営者や投資家が企業価値の最大化へ敵対的な手段も辞さないようになり、証券会社にもそうした動きが波及しているためです。
その敵対的買収の成否を左右する証券会社が、日本橋兜町の東京証券取引所のすぐそばにあるのです。
1949年設立の老舗、三田証券です。

「三田は押さえたか?」「三田をとったのはどこだ」――。
企業買収を巡る水面下の攻防で、M&A(合併・買収)関係者の間でこうした声が聞かれるようになっているようです。

それでは、なぜ従業員数が100人に満たない「中小」の三田証券がなぜ注目されるようになったのでしょうか?

敵対的買収にはTOB(株式公開買い付け)が多く用いられます。
そのためにはTOBに応じる株主向けの証券口座が必要で、代理人の証券会社の協力が欠かせません。
しかしながら、敵対的買収は買われる側の企業の反発を招くため、証券会社にはタブーだったのです。

そこに風穴を開けたのが、三田証券なのです。
転機は2012年から2013年にかけて繰り広げられた案件です。
ゴルフ場運営大手のPGMホールディングスによる同業のアコーディア・ゴルフへの敵対的TOBで、三田証券はPGMの代理人業務を務めました。
TOBは失敗しましたが「三田証券」の名は投資銀行業界にとどろいたのです。

2017年に富士通が企業向けパソコン販売のソレキアをTOBで子会社化しようとした際、対抗TOBに成功した企業経営者の佐々木ベジ氏に証券口座を提供したのも三田証券でした。

「対抗TOBなどが出るのは日本市場にとってよいことだ」と、三田証券の3代目である三田邦博社長は話しています。
「敵対的でも既存株主に利点があり、企業統治の強化につながるなら受託する。」

同氏が家業の三田証券に入社したのは1998年です。
1997年には山一証券が自主廃業を決め、1999年には株式売買の委託手数料が完全自由化されました。
2001年にトップに就いた三田社長は旧来型の証券事業からの脱却を進め、社外取締役にはゴールドマン・サックス証券で金融アナリストだったデービッド・アトキンソン氏が就いています。

複数の買収者が入り乱れた不動産大手のユニゾホールディングス争奪戦では、敵対的買収も検討していたアメリカの投資ファンドのブラックストーン・グループが三田証券を「予約」していたとみられます。

もっとも、敵対的案件をタブー視しない姿勢は大手でも広がっているようです。
大和証券グループ本社の中田誠司社長は、「外形的に『敵対的TOB』とみなされる案件も引き受けることはある」と明言しています。

2019年末、東芝による上場子会社、ニューフレアテクノロジーのTOBで、対抗TOBに打って出たHOYAのM&A助言とTOBの代理人になりました。
このTOBは最終的に東芝に軍配が上がりましたが、大和証券の思い切った決断で、敵対的買収を検討する買い手の選択肢が増えそうです。

先日、前田道路へのTOBを発表した前田建設工業の助言は大和証券が担っています。

歴史をひもとくと、2006年に王子製紙(現王子ホールディングス)が北越製紙(現北越コーポレーション)に敵対的TOBを仕掛けた際は取引会社らの反発を招き、成立しませんでした。
このとき王子製紙側についたのが野村証券で、敵対的案件は「タブー」という風潮が続くことになりました。

その野村證券も、2019年は伊藤忠商事による系列のデサントへのTOBで、伊藤忠商事側の代理人を務めました。

「19年は敵対的買収の元年とも言われるだろう」(外資系証券幹部)とのことです。

企業統治指針と機関投資家の行動規範であるスチュワードシップ・コードが定着し、経営者や投資家は企業価値の向上につながる決断を求められようになりました。
その結果、敵対的な買収でも以前より成立しやすくなっているといえるでしょう。
裏方である証券会社の出番が増えるなか、「三田争奪戦」が激しくなりそうです。

大手証券会社ともなると、敵対的買収の案件の両社ともかかわっている可能性が高く、かかわっていないとしても今後のことを考えてやらなかったのでしょうが、こういった証券会社が増えて、敵対的買収が増えることは良いことなんだろうなと、個人的には思っています。
敵対的買収が成功するにしろ失敗するにしろ、株主の方を向いた経営をするようになれば良いと思います。

タブーが薄れ敵対的TOBに証券会社も動いていることについて、どう思われましたか?


コメ兵の香港子会社の社員が1億円を着服!

日本最大級のリサイクルショップであるコメ兵は、先日、グループ会社であるBRAND OFF LIMITED社員により不正行為が行われていた疑いがあることが発覚したと発表しました。

発表内容は以下のとおりです。

グループ会社社員による不正行為の疑いについてのお知らせ

この度、当社のグループ会社であるBRAND OFF LIMITED社員により不正行為が行われていた疑いがあることが発覚いたしました。BRAND OFF LIMITEDは、2019年12月3日付で当社のグループ会社となりました株式会社K-ブランドオフの香港子会社であります。

当社グループ会社においてこのような事態が生じましたことにより、お客様、株主の皆様ならびに関係者の皆様に、多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを心より深くお詫び申し上げます。

なお、現在、本件の事実関係の解明に鋭意取り組んでおりますが、現時点で判明している内容及び今後の対応につきましては、下記の通りであります。

1.不正行為の疑いの概要

現在判明しております不正行為の疑いの概要は、BRAND OFF LIMITED社員が、経理担当としての立場を利用し、同社の資金を着服していたとの本人の申告に基づくものであり、2020年1月22 日、当社内部監査担当者等による臨店の際のヒアリングにより発覚したものであります。なお、その合計金額は約1億円の見込みであります。

2.当社の対応について

当社は、すでに社外取締役(監査等委員)を中心に調査委員会を立ち上げ、調査を進めておりますが、今後、社外の法律及び会計の専門家の協力のもと、事実関係の解明を進めてまいります。なお、調査委員会では、①本件に関する事実関係の確認、②本件による当社連結財務諸表等への影響額の確認、③類似事案の調査と確認、④本件が生じた原因の分析と再発防止策の提言、⑤その他、調査委員会が必要と認めた事項等について調査を進めてまいります。

調査が終了し、事実関係及び会社の損害額が判明した段階で、関係者に対する必要な措置を決定するとともに、再発防止策を策定し、併せてご報告いたします。

また、当期の業績に与える影響または、影響を及ぼす期間等につきましては、現在判明しておりませんが、調査委員会による事実関係の解明に伴う損害額が判明次第、適時開示させていただきます。

なお、2020年3月期第3四半期の決算発表につきましては、2020年2月10日を予定しており、現時点での変更はございませんが、調査の状況等により、万一日程等を変更する場合は、確定次第報告させていただきます。

当社といたしましては、このような事態が発生したことを厳粛に受け止め、調査結果を改めてご報告させていただくとともに、グループ管理体制の見直し、強化を行い、再発防止に向け、当社を含むグループ全体で取り組んでまいる所存であります。

今後ともご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

以上

スポンサーになってすぐに不正が発覚したようですが、財務調査も子会社も含めたところできちんとしないといけないですね。
僕自身、M&A関連の業務を年間数件行っているため、こういう案件が出ることによって、今後、買い手やスポンサー側が消極的にならないかがすごく気になります。
先日の公認会計士協会の研修でも言っていましたが、内部統制監査導入後、不正が増加しており、中でも最近は海外子会社の不正が多くなっていますので、子会社のコントロールを改めて見直さないといけない時代になっているなぁとは思いました。

コメ兵の香港子会社の社員が1億円を着服していたことについて、どう思われましたか?


M&Aの2019年の件数は6%増で最高更新!

 M&A(合併・買収)助言のレコフによると、日本企業が関わった2019年の件数は前年比6%増の4,088件と、過去最高を更新しました。
金額は約18兆円と前年の大型案件の反動で減少したものの、2017年比では3割多い水準になっています。

デジタル化をはじめとする産業構造の変化や海外市場の開拓に対応しようと、幅広い業種の企業がM&Aを活発化させています。
野村証券グローバル・ヘッド・オブM&Aの角田慎介氏は、「今と同じやり方では5年後に通用しないという危機感が後押ししている」と指摘しています。

ただし、M&A競争の過熱で買収価格が割高になり、将来見込んでいた収益を得られず損失を被るリスクも増しています。
IT企業を対象にしたM&A1件当たりの平均金額は日本で25億円と、この5年間で2倍強に膨張しています。
世界では8,000万ドル(約90億円)と前年から1.25倍に上昇しています。

どうやって件数等を把握しているのかよく分かりませんが、僕もそれなりにM&A案件に関わっていますので、ここ数年、M&Aの件数が増えているのは、我がうどん県(香川県)でも実感しています。
一方で、利益が出ているにも関わらず後継者がいないため売り案件になっている会社が多くなっているので、赤字の会社や債務超過の会社が売れにくくなっているような話を耳にします。
あとは、M&Aに慣れている大きめの買い手の会社が、M&Aの知識のない中小企業を安く買っているという話も耳にします。
M&Aの世界も、売りやすい業種や売りにくい業種のトレンドもありますし、また、当事者はある程度のM&Aに関する知識を持っておかないといけないと思っています。

M&Aの2019年の件数は6%増で最高更新だったことについて、どう思われましたか?


ライザップの経営立て直しへの手ごたえ!

 「この1年間取り組んできたことを通じて、やっと黒字を一歩一歩出せる状況になった」と、RIZAP(ライザップ)グループの瀬戸健社長は、先日東京都内で開いた9月中間決算の説明会で、経営立て直しへの手ごたえをこう語りました。

 実は、この日はM&Aの凍結を宣言した1年前と同じ日です。
「まだ足りないことはたくさんあるが、(RIZAPが)こんなに変わったと言われるように、結果を出していきたい」と決意をにじませました。

9月中間の連結業績(国際会計基準)は売上高が前年同期比2.5%増の1,083億円、営業利益が27億円(前年同期は58億円の赤字)でした。
本業のもうけを示す営業利益は、9つある上場子会社の8社が黒字を達成しました。
前年同期は6社が赤字に陥っていましたが、このうちフリーペーパー発行大手の「ぱど」を除いて黒字転換しました。

ぱどについては、赤字幅が半減したものの、短期的に収益改善が期待できないとして、12月に売却することを決めています。
売却金額は約24億円で、グループ傘下の会社・事業の売却は2018年10月に事業構造改革に着手して以来4件目ですが、9社ある上場子会社では、ぱどが初のケースです。
売却益として約10億円を計上します。

ちなみに、上場子会社9社の取得価格は166億円です。
これに対して持分時価は379億円(2019年11月13日時点)で、子会社の大半が再建途上ながらも230億円近い投資効果を生んでいる計算です。

<RIZAPグループ傘下の上場会社9社>

買収年 社名 業務内容

2013

イデアインターナショナル

インテリア雑貨、旅行用品など

2014

SDエンターテイメント

エンタメ事業を売却、
ウェルネス(健康)事業に集中

2015

夢展望

衣料品ネット販売

2016

HAPiNS

インテリア・生活雑貨

MRKホールディングス

体型補正下着、ヘアサロン関連

2017

ジーンズメイト

ジーンズなどカジュアル衣料専門店

ぱど
(12月売却予定)

フリーペーパー発行など

堀田丸正

和装・洋装、寝装

2018

ワンダーコーポレーション

ゲームソフト、CD、文具など

中核であるフィットネスなどのRIZAP関連事業の売上高は微増の222億円(前年同期は221億円)でした。
5月半ばに発表した赤字決算が響き、7月にかけて入会者数が伸び悩んだそうです。
「8月以降は上向いている」(瀬戸社長)とし、下期に巻き返しを期しているようです。

2020年3月期(通期)予想は売上高1.1%増の2,250億円、営業利益32億円(前期93億円の赤字)、最終利益5億円(同193億円の赤字)となっています。
今回の中間決算段階では従来予想をそのまま据え置きました。

この点について、瀬戸社長は「足元をしっかり一歩一歩固めていきたい。本当の意味での成長は来期以降。今期中に(課題を)すべてやってしまいたい。必要な投資があれば行う」との基本スタンスを強調しました。
また、下期に何らかの大きな損失が出る可能性の有無については「確度が高いものはない」とかわしました。

RIZAPは積極的な企業買収を成長の原動力としてきましたが、買収した企業の経営改善の遅れなどで2019年3月期は193億円の最終赤字(2018年3月期は92億円の黒字)に転落しました。
このため、M&Aを凍結し、本業のフィットネス事業と関連性や相乗効果が乏しい事業の売却や整理を進めてきました。

業績不振の企業を純資産より割安な価格で買収し、この差額を「負ののれん」として利益計上してきました。
しかしながら、子会社化した企業が早期に赤字から脱却できなければ、連結業績の足を引っ張るリスクがあり、それが現実となっていました。

RIZAPは2020年度入りに合わせ、新中期経営計画をスタートさせる予定です。
「下期にしっかり結果を出す」としたうえで「当社の強みを磨き、新たな価値創造をしていきたい」と意欲的に語りました。

成長の両輪と位置づけるのが、20~40代を中心とした「美容・ダイエット」と、法人、ミドル・シニア世代を対象とする「健康・ヘルスケア」です。
シニア向けの新プログラムについては、来年度発表に向けて「今まさに開発中」としています。

個人的には、本業がしっかりしているので、立て直してくるとは思っていましたが、結構早かったですね。
いわゆる『負ののれん』で収益を稼いでいた企業ですが、きちんと子会社を立て直し、将来的には、再び再生などを手掛ける企業になるのではないかと思っています。
色々と処分したり、黒字化したりしていますので、ノウハウもかなり得ているのではないかと思います。
今後も期待したい企業の一つです。

ライザップの経営立て直しへの手ごたえについて、どう思われましたか?


「焼肉店」のM&Aが再燃?

 M&A Onlineによると、焼肉店のM&A(合併・買収)がじわり増えているようです。
上場の外食企業が買い手となる案件は2018年はゼロでしたが、2019年はこれまで3件を数えています。
ターゲットは、いずれも都内に本拠を置く焼肉店です。
同業同士は1件で、残る2件は居酒屋チェーンが新業態として「焼肉」に取り込むケースです。

海鮮居酒屋で知られるチムニーは焼肉業態に進出します。
2019年12月1日付で、都内や埼玉県で「牛星」など焼肉店10店舗を経営するシーズライフ(東京都渋谷区)の全株式を取得して子会社化します。
ちなみに、買収価格は非公表です。

シーズライフは2011年に設立し、直近売上高は約8億7,300万円です。
焼肉「牛星」8店舗、焼肉「山河」2店舗のほか、居酒屋「熟成魚うらら」1店舗を運営しています。
首都圏以外では我がうどん県(香川県)内に「牛星高松空港通り店」を唯一出店しています。

チムニーは「はなの舞」「さかな道場」「豊丸水産」などのブランドで全国732店舗(2019年9月末)を展開しています。
海鮮居酒屋以外に、鶏肉や串焼き、もつ煮といった専門店も持っていますが、焼肉業態はこれまで手がけていませんでした。
居酒屋業態は競争激化や客足減少などで苦戦が続いており、新業態の開発を課題としていました。

2018年11月には、チムニーの親会社である酒類販売大手、やまやが「つぼ八」を日鉄住金物産(現日鉄物産)から買収しました。
現在、チムニーとつぼ八を合わせた店舗数は約920店舗で、規模拡大による調達コストの削減などを進めてきました。

そうした中、チムニーが繰り出したのが焼肉業態への参戦です。
戦線拡大に向けて第2、第3のM&Aも十分に考えられます。

2019年5月、飲食業の弥七(東京都港区)から立ち食い焼肉「治郎丸」を買収したのは海帆です。
海帆は名古屋で居酒屋「なつかし処昭和食堂」を中心に、レストラン、ギョウザ、油そば、タンメンなどの約90店舗を運営していますが、焼肉は初挑戦です。

「治郎丸」は比較的珍しい立ち食いスタイルの焼肉店です。
寿司屋を思わせるカウンター席に小さなコンロが置かれ、好みの肉を一切れずつ注文できます。
値段は1切れ30円から高級なもので300円ほどで、新宿、渋谷、御徒町、秋葉原、大井町、荻窪の都内6店舗があります。

都内では2011年に出店した1店舗(池袋、居酒屋)にとどまっていましたが、「治郎丸」の買収で本格的な足場を築いた形です。
今後、本拠地の名古屋で「治郎丸」ブランドを投入することになるのかどうか注目されます。

中部地区を地盤に焼肉チェーンを展開する、あみやき亭は2019年4月、「ホルモン青木」で知られるホルモン焼肉専門店を都内で6店舗展開する杉江商事(東京都江東区)の全株式を取得して子会社化しました。
あみやき亭は中部と関東で合計266店舗(2019年10月末)を展開していますが、関東ではとくに都心部への出店加速を課題としていました。

傘下に収めた「ホルモン青木」は行列店としても知られる“名店”です。
あみやき亭は関東で焼肉業態の店舗として「スエヒロ館」「炭火焼肉かるび家」「ブラックホール」を展開していますが、いずれも買収で傘下に収めています。

上場企業に義務づけられた適時開示情報をもとに、M&A Online編集部が調べたところ、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)件数は今年に入り697件(2019年11月11日時点)です。
業種別では外食関連が26件あり、このうち焼肉店を買収先とする案件は3件と全体の1割強を占めています。
2018年までの過去3年間、焼肉店がターゲットだと明確に認められる案件は見当たらず、2019年は一転、M&Aが再燃した格好です。

外食産業では市場が縮小に向かう中、新業態の取り込みや既存業態のスクラップ・アンド・ビルドが課題となっており、その過程で今後、焼肉店がM&Aの草刈り場になる可能性も考えられます。

過去、焼肉業界の大型M&Aとして思い出されるのは、2012年の「牛角」を運営するレインズインターナショナルの買収劇です。
居酒屋「甘太郎」などを展開する外食大手、コロワイドが約140億円を投じて傘下に収めました。
翌2013年には、回転寿司店「平禄寿司」などで知られるジー・テイストが「焼肉屋さかい」を運営する、さかい(当時ジャスダック上場)を吸収合併しました。

焼肉店の買収が進んでいるということは、将来的な収益への貢献が期待されるということでしょうね。
個人的には、『牛星』がなぜ関東以外で我がうどん県(香川県)高松市に出店しているのだろうか?、日本で一番決算発表の早い『あみやき亭』の名前を久しぶりに聞いたなぁと思いましたが、興味深くウォッチしていきたいと感じました。

「焼肉店」のM&Aが再燃していることについて、どう思われましたか?


ソフトバンクグループの窮地で孫正義氏が狙うLINE買収

 新聞などでも報道されましたが、その前に文春オンラインが取り上げていました。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長(62)が窮地に立たされています。
孫氏が組成した10兆円の「ビジョン・ファンド」が投資するシェアオフィス大手のアメリカのウィー・カンパニーが新規株式公開を延期し、さらに米ゴールドマン・サックスが同ファンドへの融資枠(約3,300億円)の一部を引き上げる検討に入ったと報じられたためです。

当初、ウィーは2019年9月に上場予定で、孫氏は「470億ドル(約5兆円)の企業価値がある」と豪語し、110億ドル(約1兆2,000億円)を投じてきました。
しかしながら、創業者のアダム・ニューマンCEO(最高経営責任者)による杜撰な経営が暴露され上場は延期され、ニューマン氏も辞任に追い込まれ、先行きは不透明です。

「市場では、ビジョン・ファンドが投資する他のユニコーン企業群についても疑念が持たれ始めています」(大手証券幹部)

孫氏は2019年8月の会見で、ビジョン・ファンドについて「7兆円を投資して2兆円利益を出した。来年3月までに5、6社が上場」と豪語していましたが、ウィーの失敗でシナリオが狂い始めました。
しかも、利益の大半は投資する未上場株の評価益で、約80社の投資先企業の価値が下がれば利益も目減りします。

危機を跳ね返す奇策はあるのか、孫氏が狙っているとされたのが、あの企業でした。

「国内8,000万人ものユーザーを持ち、85%が毎日アクセスするというLINEです。LINEの時価総額は9,300億円足らずで、プレミアムを加味しても十分射程に入る。また筆頭株主の韓国ネイバーが株の約73%を保有しているので、買いやすい」(市場関係者)

その仲介役とみられるのが、みずほフィナンシャルグループです。SBGとLINEの共通のメインバンクで「ソフトバンクから得る手数料は多い年に数百億円で、一蓮托生の関係」(メガバンク幹部)です。
また、みずほとLINEは共同でネット銀行「LINE Bank」を設立、来年開業を目指しています。

「LINEは金融子会社『LINEフィナンシャル』を設立し、既存の事業者と組んで金融事業を強化しています。対話アプリが頭打ちとなり、新たな収益源として『LINE経済圏』の構築を図っているのです。しかし、金融事業を含む戦略事業の営業損益が赤字で、テコ入れは待ったなしの状況です」(エコノミスト)

メガバンク幹部が続けます。
「買収すればSBGの価値は飛躍的に高まる。ヤフー、ZOZOにLINEが加われば、アマゾンに対抗できるでしょう」

連結純有利子負債は2019年3月末で17兆円と世界2位のSBGですが、孫氏の真価が問われています。

先日、真っ赤っかの大赤字の決算を発表した孫氏は何かを仕掛けてくると思いましたが、早かったですね。
実現すれば、楽天を追い抜くようですので、すごい規模になりますね。
ただし、銀行、証券会社、クレジットカード会社、生命保険会社、損害保険会社などを、おそらく計画的に次々と子会社化してきた楽天と比べると、LINEペイを手にしたとしても、収益源となる金融関係がまだまだ弱いような気はしますね。

ソフトバンクグループの窮地で孫正義氏が狙うLINE買収について、どう思われましたか?


M&Aに対する企業の意識調査!

 日本経済が持続的に成長するためには、企業がこれまでに培ってきた技術やノウハウ、貴重な人材や設備などを次世代に引き継ぐことが喫緊の課題といわれています。
こうしたなか、政府や行政などの支援も後押しとなり、中小企業における事業承継などの課題解決の手段の1つとして、M&Aが注目されています。
そこで、帝国データバンクは、M&Aに対する企業の見解について調査を実施しました。
本調査は、TDB景気動向調査2019年6月調査とともに行っています。
ここで、M&A とは、企業の買収や合併、一部株式を売買して資本提携することなどの企業戦略全般を指しています。
また、人材難などにより後継者がいない場合の事業承継の手段や事業の一部を譲渡することなども含められています。
なお、資本の移動を伴わない業務提携(共同研究、開発など)は含んでいません。

<今後5年以内に『M&Aに関わる可能性がある』企業>
近い将来(今後5年以内)における自社のM&Aへの関わり方について尋ねたところ、『M&Aに関わる可能性がある』(「買い手となる可能性がある」「売り手となる可能性がある」「買い手・売り手両者の可能性がある」の合計)企業は35.9%となりました。
また、「近い将来においてM&Aに関わる可能性はない」が39.0%、「分からない」が25.1%となりました。
企業の3社に1社が何らかの形でM&Aに関わる可能性がある一方、M&Aに関わる可能性がない企業も4割近くにのぼりました。
『M&Aに関わる可能性がある』企業を業界別にみると、『小売』が42.7%でトップとなりました。
次いで『金融』(42.0%)、『サービス』(41.2%)、『運輸・倉庫』(40.4%)が4割台で続きました。
他方で、『農・林・水産』(16.7%)は唯一1割台となっており、他の業界と比較するとM&Aに関わる可能性が極めて低い結果となりました。
従業員数別にみると、従業員数が多くなるにつれてM&Aに関わる可能性は高くなる傾向が表れました。
とりわけ「1,000人超」(56.3%)では半数を超え、「5人以下」(30.1%)と比較すると26.2ポイント上回っていました。
「M&Aの買い手となる可能性がある」企業からは、「将来を見据えた企業規模の拡大、事業戦略としてM&Aは必要と考えている」(建設機械器具賃貸、埼玉県)や「初期投資を考えるとM&Aの方が投資効率は高い」(旅館、愛知県)といった声が聞かれました。
一方、「M&Aの売り手となる可能性がある」企業からは、「事業承継のためにM&Aを考える時期は近いと思う」(乾物卸売、千葉県)や「当社を買収したいと思わせるように、魅力的な会社に成長させている」(ソフト受託開発、東京都)などの意見があげられました。
他方、「近い将来においてM&Aに関わる可能性はない」企業からは、「後継者が育っているので、弊社には不必要」(製紙機械・パルプ装置製造、大阪府)や「現状は考えていないが、条件が合致すれば、買い手として考えてみても良い」(包装用品卸売、埼玉県)などの意見が聞かれました。
既に後継者や事業承継の道筋が立っている企業からは、そもそもM&Aを検討していないという声もあがった一方、条件などが合致すれば検討するなど前向きな企業もみられました。

<買い手として相手企業にM&Aを進める上でどのようなことを重視するか?>
「買い手となる可能性がある」または「買い手・売り手両者の可能性がある」企業に対して、買い手として相手企業にM&Aを進める上でどのようなことを重視するか尋ねたところ、「金額の折り合い」が76.8%で最も高くなっています(複数回答、以下同)。
次いで、「財務状況」(70.3%)、「事業の成長性」(67.4%)、雇用維持などの「従業員の処遇」(54.6%)、「技術やノウハウの活用・発展」(54.3%)が続きました。
他方、「売り手となる可能性がある」または「買い手・売り手両者の可能性がある」企業では、「従業員の処遇」が78.3%でトップとなり、「買い手」の同選択肢を23.7 ポイント上回りました。
企業からも「従業員などの生活基盤が大きく崩れないよう配慮する必要がある」(鉄鋼卸売、東京都)や「今後、廃業かM&Aかの選択を迫られれば、従業員の事を考えるとM&Aを選ばざるを得ない」(油圧・空圧機器製造、京都府)などの声が聞かれ、従来から雇用している従業員の今後を第一に考えている様子がうかがえました。
次いで、「金額の折り合い」(72.7%)、「経営陣の意向」(50.4%)、「人事労務管理や賃金制度」(35.9%)、「財務状況」(32.6%)が上位にあげられました。
「金額の折り合い」は「買い手」「売り手」企業ともに7割を超えており、売買金額を重視する割合は非常に高くなっています。
また、雇用維持などの「従業員の処遇」では「売り手」企業が「買い手」企業を、「財務状況」「事業の成長性」などでは「買い手」企業が「売り手」企業を大きく上回っていました。
立場によりM&Aを進める上での重要事項に大きな差異があることが浮き彫りとなりました。

<今後のM&A の必要性>
2019 年版中小企業白書では、社会の大きな変化や経営者の高齢化が進むなかで、「経営者の世代交代」「経営資源の引継ぎ」「構造変化への対応」が重要な課題として指摘されています。
そこで、これらの課題に関して、今後のM&Aの必要性について尋ねたところ、企業の51.5%が今後「M&Aの必要性は高くなる」と認識していました。
また、必要性は「変わらない」が21.7%、「M&Aの必要性は低くなる」が1.7%でした。
半数を超える企業でM&Aの必要性が高まると考えている一方で、「自社の役員・従業員、全員で対応をする予定」(医薬品小売、岡山県)という意見も聞かれました。
「M&Aの必要性は高くなる」と認識している企業からは、「後継者が不在である場合の事業承継の有効な手段になり得る」(医療用機械器具卸売、山形県)や「優良な技術を持つ企業がM&Aによって残っていくことができれば良い」(冷暖房設備工事、東京都)といった意見があがりました。
他方、「信頼のおけるM&A会社に仲介を依頼したいが、なかなか見当たらない」(冷暖房設備工事、北海道)や「M&A仲介業者の手数料が高すぎる。買い手として依頼出来ない」(鉄骨工事、静岡県)などといった意見もありました。
企業がM&Aを進める上で仲介業者との関係に頭を悩ませている様子もうかがえました。
また、「会員制の紹介プラットフォームがあれば誰もが利用できるのではないか」(再

生資源卸売、滋賀県)という指摘にあるように、M&Aの紹介サイトやマッチングサイトなどのWebサービスを期待する声もあがりました。

本調査結果から、企業の35.9%が近い将来(今後5年以内)に何らかの形で『M&Aに関わる可能性がある』と考えていることが明らかとなりました。
特に小規模企業からは「後継者の問題、技術の伝承などからみてもM&Aをもっと大いに取り上げ、国全体の問題として取り組んでほしい」(鉄鋼卸売、福岡県)といった声もあるように、事業承継問題の解決や貴重な経営資源の散逸を防ぐ手段としてM&Aに期待感を持っている様子が明らかになりました。
また、「後継者不足による廃業・営業縮小の企業を買収し、事業拡大を模索中」(飲食料品卸売、東京都)など、既にM&Aを検討し、業容拡大を目指している企業も多くなっています。
M&Aを進める上で相手企業に対し重視することは、両者の立場によって重視する項目に大きな違いがみられ、「買い手」企業においては相手企業の財務状況や成長性を重視する一方で、「売り手」企業においては既存の従業員の処遇に重きを置いていました。
また、売買金額についての関心は高く、「買い手」「売り手」企業を問わず7割を超えています。
他方、今後、社会の大きな変化や経営者の高齢化が進むなかで、企業規模に関係なく5割以上の企業でM&Aの必要性は高まるとみています。
しかしながら、実際にM&Aを進める上では、適切な情報収集や仲介役となる企業との関係性などが課題という声が聞かれました。
政府や行政は、M&Aが企業の直面する課題解決の手段として活用されるよう、引き続き取り組み支援や財政支援を行う必要があります。
特に中小企業においては、行政をはじめとする公的な機関に加えて、民間の仲介業者の必要性も高まるなかで、買い手と売り手をつなぐマッチングサービスの充実などが重要となるでしょう。

個人的には、国も力を入れていますし、安価なコストで利用できるマッチングサイトも増えてきているように思いますが、まだまだアピールができていないということでしょうね。
売買金額が重要なことなのは当然だと思いますが、僕もM&A案件に年間数件関わらせていただいている感覚からすれば、売り手は既存の従業員の処遇に重きを置き、買い手は相手企業の財務状況や成長性を重視するのは肌感覚と合っています。
僕自身も、M&Aのお手伝いをしていることがまだまだアピールできていないので、1件でも多くのお手伝いができるよう取り組んでいきたいと思います。

M&Aに対する企業の意識調査について、どう思われましたか?


ライザップが子会社不振で純損失193億円に転落!

 トレーニングジム大手のRIZAP(ライザップ)グループが先日発表した2019年3月期決算(国際会計基準)は、純損益が193億円の赤字(前年は90億円の黒字)となり、大幅な赤字に転落しました。
この日開示した決算短信に、企業としての存続に疑義を生じさせるような状況があるが、対策を講じている場合に記載する「継続企業の前提に関する重要事象等」(いわゆるゴーイングコンサーン注記、GC注記)をつけました。
つまり、経営上のリスクが高まっているということです。

 期初は純損益が159億円の黒字になると見込んでいましたが、2018年11月に業績予想を下方修正し、70億円の赤字になるとの見通しを発表していました。
赤字幅はこの予想より123億円拡大しました。
売上高は前年比82.3%増の2,225億円でした。

ちなみに、2020年3月期の業績予想は、売上高が前年比1.1%増の2,250億円、純損益は5億円の黒字となっています。
資金が必要になる事態に備えて、取引銀行3行との間で計70億円の融資枠(コミットメントライン)を設定することも発表しました。

ライザップは、積極的なM&A(企業合併・買収)で事業規模を拡大してきましたが、傘下に収めた企業の再建が進んでおらず、拡大路線を転換しました。
新規のM&Aを凍結し、不採算企業の整理に乗り出しています。
ただし、傘下に収めた企業の経営改善に向けて2018年6月に招いた元カルビーCEO(最高経営責任者)で、「プロ経営者」の松本 晃氏は2019年4月に、取締役を2019年6月に退任すると発表しています。

松本氏がいなくなって大丈夫なのかという気はしますが、本業は順調なようなので、しばらくは本業で利益を出し続け、組織的にも経営者となれるような人が育ってくれば、再び、M&Aで拡大していって欲しいと思います。
CMに出ていた方々は、痩せたあとどうなっているんでしょうね?
個人的には、そのあたりも気になります。

ライザップが子会社不振で純損失193億円に転落したことについて、どう思われましたか?


日本企業による海外M&A実態調査報告書!

 経済産業省は、2018年夏より、M&A経験豊富な海外企業や外資系投資ファンドへのインタビュー、日本企業とのグループディスカッションを含むワークショップ等を通じ、M&Aの最前線に立つ国内外企業の「生の声」を集め、日本企業による海外M&Aの課題を整理した報告書にまとめました。

1.報告書作成の背景
近年、日本企業がグローバル規模で成長を実現していく上で、海外M&Aが重要かつ有効なツールとして認識され、日本企業による海外M&Aは増加傾向にあります。一方で、海外M&Aの難易度の高さから、期待されていた成果を十分あげられないケースが少なくありません。こうした背景から、平成29年度に経済産業省は、「我が国企業による海外M&A研究会」を発足させ、日本企業が抱えるM&Aに関する課題を有識者とともに検討し、海外M&Aを有効に活用していく上での留意点や事例を報告書と「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」として取りまとめたところです。

平成30年度においては、上記取組をさらに深化させ広く共有することで、日本企業が激しいグローバル競争環境の中で十分に成果を得られるように、以下のような調査を実施し、報告書にまとめました。

2.調査内容
•海外M&Aの課題や対応策をさらに具体化させるため、買収契約成立後の統合プロセス(PMI:Post Merger Integration)の一環で現地に派遣されている日本企業の駐在員や買収先の経営陣を複数名集めた座談会の開催(米国・英国・シンガポール)および海外企業(米国・英国・独国・シンガポール・インドで計15社)・外資系投資ファンド(日本未進出のファンドを含む計5社)等へのインタビューの実施
•「9つの行動」を活用して海外M&Aに関する留意点等を日本企業に幅広く浸透させること、及び日本企業が抱える課題の深堀を行うことを目的として、海外M&Aに取り組んでいる又は取り組もうとしている企業を対象とした、双方向での議論を含む国内ワークショップの開催
•海外企業・外資系投資ファンドへのヒアリングを通じて、日本への投資における魅力及び課題と、海外M&Aにおける工夫点や事例等を整理

3.報告書概要
海外M&Aにおける日本企業の課題は、グローバルで事業を行うに当たって直面する「グローバル経営力の不足」、「グローバル経営の制度・仕組みの未整備」、そしてM&Aを効果的に実行するための「M&Aプロセス全体を意識した「型」作りの不備」の3つに整理されます。
1.グローバル経営力の不足
– 自社の経営理念・ビジョン・強み、M&Aの位置付けを明確に「伝える力」
-「伝える力」に必要となる「言語力」
– 買収後の経営を効果的に推進するための「異なる企業文化への適合力」
2.グローバル経営の制度・仕組みの未整備
– 説明責任・結果責任を意識したコーポレートガバナンスへの対応
– インセンティブの仕組みを含むグローバルスタンダードの報酬制度
3.M&Aプロセス全体を意識した「型」作りの不備
– M&Aの戦略、実行、PMIの各プロセスにおいて押さえるべきポイントの明確
– M&Aへの取組にかかわる組織体制

上記の通り、海外M&Aでは、異なる言語・文化・商慣習・制度を有する海外企業を買収し経営管理していく必要があるため、グローバルで共通とされる経営力を備え、かつ、グローバルで多く取り入れられ、当たり前とされている制度や仕組みに対応することが不可欠であり、国内M&Aとは大きく異なる点といえます。また、M&Aを行う際の戦略から検討・実行、買収後の経営管理までの一連のプロセスの型を持っているかという点も問われています。

当たり前のことを書いているような気はしますが、日本国内企業同士のM&Aでも上手くいかないケースが結構あるわけですから、海外M&Aはそれ以上に難しいでしょうね。
豊富な資金力を活かして海外のM&Aをたくさん仕掛けたものの、失敗しまくりのNTTドコモなどが良い失敗例ですね。
その辺は十分に認識したうえで、海外M&Aを進めて欲しいですね。

『日本企業による海外M&A実態調査報告書「海外M&Aと日本企業~M&Aの最前線に立つ国内外の企業の声からひもとく課題克服の可能性~」をまとめました!』について、どう思われましたか?


建設業界のM&Aのピークは2021年!

 M&Aの市場が拡大を続けています。
2017年の日本のM&A件数は3,050件(2018年版中小企業白書、㈱レコフデータより)と過去最高となりました。
後継者がいない中小企業の事業承継や事業規模の拡大、海外進出への足がかりなど、ニーズは様々です。

東京商工リサーチ(TSR)は、中堅・中小企業に特化したM&A仲介の㈱日本M&Aセンター(東京都千代田区、東証1部)の三宅卓社長に業界の課題と今後の展望を聞いています。

-現在の業界のトレンドは?
2つの大きな波が来ている。1つは事業承継型のM&Aの波。団塊の世代が70歳を超え、後継者不在率が66%を超えている。今、まさに後継者問題に差し迫っている企業が爆発的に増えている。それにも関わらず、後継者がおらず、10年間で83万社が減少するという調査もある。約400万社のうちの83万社。このため、国や経済産業省をはじめ、地方創生を合言葉に中小企業を救っていこうという動きがある。こうした状況で事業承継型が非常に増えているというのが1つの大きな波だ。

-もう1つの波は?
もう1つは「就業人口が激減する」というもの。20~64歳が、2000年に約8,000万人いたのが、2025年に6,600万人、2060年には4,400万人にまで減少するという。働く人が約半分になる。ということは、モノを買う人も半分になってしまう。「家を買う」、「車を買う」、「洋服を買う」など、その行為は20~64歳が中心。モノを作る人が半分、モノを買う人も半分になるということは極論を言えばGDPが半分になる。輸出・輸入を考慮する必要はあるが、GDPは少なくとも激減する。そうすると企業の数も激減する。実際には、強いところが弱いところを買収する形で「業界再編」が起こるだろう。すでに再編が多く起こっているのは、ドラッグストア、調剤薬局を皮切りに、建設業、IT・ソフトウェア関連。さらに食品業。これらの業界は再編の波が起こっている。しばらくはこの波が続くだろう。

-M&Aが顕著な業種は?
建設業だ。ただ、東京五輪のあと1年ぐらいが(M&Aの)ピークだと思う。M&Aが盛んで、建設業だけでなく周辺業種も含めて非常に活況を呈している。今は仕事があり、技術者が足りないので買収ニーズが強い。一方、後継者不在による譲渡ニーズも強い。譲渡を希望する場合、買い手が豊富にいるので会社は売りやすい。だが、東京五輪が終わって1年ぐらいの後処理期間を挟んだ後は、民間も公共もかなり冷えむと予測する。仕事が減るため、建設業界のM&Aは激減していくだろう。「売る」のも、「買う」のも、東京五輪プラス1年ぐらい。2021年ぐらいまでがピークだろう。

-建設業以外でM&Aが顕著な業種は?
製造業も多い。これから自動車関連業界のM&Aが増えていくと思っている。自動車の電動化が進めば使用する部品が減る。海外移転も進んでいく。メーカーが海外に行っても、下請けは簡単に海外移転できない。海外展開している企業の傘下に入るのも有効な手段となる。ただ、自動車産業はまだこれから。
ソフトウェア会社は業態が古く顕著だ。オフィスコンピュータ時代の人がソフトウェア会社を作って、今、65歳とか70歳になっている。こういう人たちは、新しいスマホの時代に対応できなかったり、クラウドに対応できないということで非常に困っている。片やフィンテック企業やクラウド系の会社は技術者不足なので、そういう会社を買収し、「技術者を手に入れたい」、「得意先を手に入れたい」と思っている。M&Aも熾烈になっている。
また、就業者人口が激減している中で、働き手が得られない業種は、M&Aの増加が顕著だ。例えば、レストランチェーンや居酒屋チェーンなどの外食産業や運送、印刷は人手が確保できない。M&Aが増えている。

-病院・介護業界のM&Aの背景は?
病院の背景は2つあり、1つは後継者不足。ご子息が医師になっている場合も多いが、後を継がないことも多い。というのも、病院経営と医療の追求は両立しづらいからだ。息子が医者になっていても、医療の道を進みたいという意思が強い場合は、「高度医療をやりたい」とそのまま大学に残ったり、「自分で(患者さんの)ケアをやりたい」とクリニックを開業するケースも多い。
もう1つは、経営が難しくなっている点。レセプト(診療報酬)点数が下がっている。一方、病院は設備投資が増えている。清潔感のある病院じゃないと患者が来ない、高度医療機器、CTとかMRIも必要になっている。設備投資は増える一方で、診療報酬が下がっているので経営は厳しい。2つのこと(経営と医療)を両立させることは非常に難しい。
医師は“医療のプロ”ではあるが必ずしも“経営のプロ”ではない。昔は、診療報酬が十分に入ってきたので、医療のプロであれば経営も伴っていた。きちんとした医療をしていたら自然と儲かって両立できていたが、今は難しい時代になった。今は経営の能力も問われる。両立は難しいと判断し、経営能力のある大手の傘下に入って、「医療に特化していきたい」というケースがある。反対に大手は病院を多数買収してスケールメリットを出していかないと、なかなか採算が合わない。こうした背景で病院(のM&A)は増えている。
介護も同様だ。人手不足やヘルパーの賃金が低いなど劣悪な環境。車両やロボット化など積極的な設備投資が必要となり、スケールメリットを追求していかなくてはならない。

個人的にも、年々に何件かはM&A関連のお仕事をさせていただいていますが、僕の感じていることはおおむね間違っていないなぁというのを改めて感じました。
あとは、都会と地方では少し違うように感じてはいますので、その辺の情報を収集しつつ、良いサービスが提供できればいいなぁと思っています。

建設業界のM&Aのピークは2021年であることについて、どう思われましたか?


M&Aは成功から成約の時代へ!

 M&A成立後の統合プロセス“PMI(注、ポスト・マネージャー・インテグレーション)”が日本ではまだ浸透していません。
国内外のみならず、世界各地のM&Aに触れてきたなかで、日本は世界の中で最もPMIが苦手な国であると言えるでしょう。
それは、日本の企業文化に拠るところが大きいのではないでしょうか?
日本企業は“同一文化”の傾向が強く、M&A後に買収企業の新たな文化が加わった際、戸惑ってしまう場面も少なくありません。
買収企業は「こちらの気持ち分かりますよね?だからよしなにやってくださいよ」と“空気”に任せてしまうきらいがあります。
例えば、製造と小売が一緒になった場合など、文化は全く異なります。
それゆえ、互いに目標を明確に設定する過程や、企業文化の融合は欠かせないのです。
東京商工リサーチ(TSR)は、中堅・中小企業に特化したM&A仲介の㈱日本M&Aセンター(東京都千代田区、東証1部)の三宅卓社長にPMIなどについて聞いています。

-PMIに関して代表的な取り組みは?
 当社のPMIは成約式の実施等、企業文化の融合に特に注力している。当社は2016年にPMI支援室を設置し、その後2018年4月にPMIコンサルタント会社である(株)日本CGパートナーズ(TSR企業コード:027958264、千代田区)を設立した。
 PMIの取り組みのひとつとしては、成約式を専門に手掛ける“M&Aセレモニスト”を配置し、結婚式のような「成約式」を執り行う。成約式では企業間の相互文化理解につながるサービスを提案する。中でも式のハイライトともいえる“手紙の代読”は大変好評を頂いている。事業を譲渡する側の社長の奥様から、ご主人に向けた手紙をお預かりする。社長の一番そばで会社の成長を見続けてきたのが奥様。そんな奥様が綴る会社への想いの数々に式出席者は皆、感動し感銘を受ける。また、その模様を買い手企業の役員会で放映する。それを観ることで「自分たちは前経営者がこんなに苦労して築いた事業を承継したんだ」と、よりM&Aへの思いを強くする。(映像を)流すのと流さないのとでは結果が全く違う。M&A後の文化相違の解消につながっている。

-成約式セレモニーを行うきっかけは?
 結婚の仲介・紹介会社の取り組みを参考にした。民間調査で、結婚式を挙げなかったカップルは、挙げたカップルに比べ離婚率が高いという統計を見た。その差は倍以上だった。それを目にして「この統計結果はM&Aにも共通するだろう」と。
 例えば、結婚式やパーティーを通じて親類縁者に「この人が私の奥さんです」、「旦那さんです」と紹介する。そうすると「奥さん元気?」、「旦那さん元気?」、「何か困ったことがあったら相談してね」と、周囲の人間にちょっとした協力体制が生まれる。(結婚)式を挙げた夫婦に離婚が少ないという調査結果の要因の一つに周りの協力、理解がもたらす面も少なからずあるだろう。そこに目を付けた。

-M&A仲介会社が増えている
 現在、雨後の筍のようにM&A仲介会社は増加している。小規模を含めると現時点で300社あると言われている。その状況下、これからのM&Aは“成約”ではなく、“成功”の時代に向かっていく。(企業の)売りニーズも増えているし、買いニーズも増えているので、各案件の“成約”のハードルは下がってきている。でも、M&Aは“成約”がゴールではない。市場が成熟に向かっていくなか、しっかりとした“成功”を収めることができなければ、仲介会社もお客様から選ばれなくなる。結婚だって、結婚そのものが目的ではないはずだ。夫婦でどんな家庭を築き、どんな幸せを手に入れていくかが大事。「結婚できたから、まあいいや」ではない。それと一緒だ。

-地方創生が叫ばれて久しい
 創生に絡み、地方経済を支える各企業の構成は4つのレイヤーに分けられる。まず下層は、零細企業や商店が支える。3段目に中小企業、2段目に中堅企業が来て、一番上にその地元の核となる企業が存在し、地域経済が成り立つ、というものだ。その上で、国内各所でこれまでよく議論されてきたことが、“中小企業をどう存続させていくか”。でも、地方だって都心と同様、中小企業だけで成り立っているわけではない。中小企業だけが存続したところで地元経済は果たして救われるのか―と。さらに、規模の小さい零細企業にも目を向けなければ、地域経済は支えられない。零細を含めたM&Aのウエートは地方で高まるだろう。

-零細の具体例でどのような会社があるか
 例えば、秋田県や島根県の山間部に行くと、10台しか車両のないタクシー会社がある。営業を続けてきたが、経営者が廃業を考えはじめた。しかし、そのタクシー会社がなくなると、地域住民の“足”に多大な影響を及ぼすことが予想される。交通インフラが半ば崩れてしまうような地域-例えば、1日1往復しかバスが運行しないような地域。子供も都心に出てしまい、夫婦や独居で暮らすお年寄りだと、そのタクシー会社がなくなるだけで医療機関にも満足に通えなくなるし、食品の買い出しだってままならなくなるだろう。でも、これが東京になると話は別。逆に10台のタクシー会社が廃業しても地域への影響はものすごく限定的だ。

-自治体からの仲介ニーズは?
 年々高まっている。自治体だけの力では、事業承継や譲渡を必要としている会社の把握は難しい。2018年に、弊社ではインターネット上で零細企業向けのM&A、事業譲渡の仲介を行う「バトンズ」をグループ会社のアンドビズ(株)(TSR企業コード:027958426、千代田区)でスタートした。手数料も通常のM&A案件の10分の1、20分の1の低価格で実現できる。街の商店レベルで事業承継が可能となった。このような背景もあり、自治体からの問い合わせは今後もっと増えるだろう。今、市や県レベルでは年10数件ペースで相談を受けているが、間もなく数十件のレベルに達する。

-経営者の高齢化、後継者不足も深刻だ
 後継者問題を後回しにする経営者は多い。私も60歳になって久しいが、やはり経営者は60代になったら「3つのこと」を考えなければならないと思っている。▽会社▽家族▽自分の人生のこと、これらをちゃんとテーブルに載せて見つめ直す機会が必要だ。特に、「会社のこと」は会社を成長戦略にのせてくれる相手にしっかり事業承継しなければならない。従業員のいることなのだから。実の子供か、娘婿か、はたまた第三者か、成長戦略を実現してくれる人がみつかれば、潔くM&Aを決断すべきだと思う。会社には関係者がたくさんおり、単なる“私物”ではないのだから。しかしいつまで経っても“会社”“仕事”から離れられない経営者は多い。

-なぜそのような傾向にあるのか
 それは、中堅・中小企業の社長さんがバリバリの「営業マンタイプ」と「技術者タイプ」が多いからだろう。大企業での総合企画部あがりや人事部あがりの人材が多いのとは対照的。営業マンタイプ・技術者タイプ両者に共通するのが「前向きの問題解決は極めてポジティブ」だ。逆に、「後ろ向きの問題解決は面倒に思う」傾向にある。例えば、突然クライアントから強力な値下げを要求されたとか、競争相手が現れて値下げを要求された際には、値段交渉のために先方の元に向かう。片や、経理のことや健康診断、後継者問題等、自身の得意とする業務以外になると「考えたくない」、「後回しにしたい」と思ってしまう。

-事業承継に伴う課題も山積している。業界の今後の見通しは?
 全国津々浦々、事業承継問題は今後10年間、活発になりピークを迎えていく。その中で、新しいM&A仲介会社やコンサル会社ができてきていて、業界としてはますます活発化するとみている。業界内で特徴がある企業が現れてサービスレベルの更なる向上が望めそうだ。
 一方で経験の少ないプレーヤーも相当に増えていくだろう。PMIのことを考えず、成約のことしか頭になくM&Aを進める新興業者だって増える可能性がある。私たちはセミナーを全国で開催し、事業承継のプロセスや重要性を経営者さんにお伝えしている。弊社で毎年開催している「M&Aカンファレンス WiNNOVATION」は「法務」、「PMI」、「海外M&A」など多岐に渡る講演が好評をいただき、昨年は3,000名の参加申し込みがあった。今年も東京・台場で2月26日に開催する。

-業界の中でも淘汰される会社も増えるか
 今後、仲介会社が増えることで、淘汰も進んでいくだろう。企業を買う側、買われる側も「どこにM&Aを頼むか」としっかり見極め、考えなければいけない時代に入っていく。しっかり見極めていただきたい。M&Aはものを売ったり買ったりするほど簡単なものではない。経営者は従業員の“人生”という大きなリスクを背負っている。だからこそ、絶対に失敗できない仕事である。そこを業界全体でどう担保していくか、リーディングカンパニーとして、その見本を私たちが示していく責務があると思っている。

 M&Aは企業同士の結婚-。三宅社長は、M&Aをこう表現する。何よりも「互いに夢を育み、新しい世界を築くための結婚(M&A)。仕方がないからと妥協してはいけない。将来のことをしっかり考えて」と成長の大切さを訴える。

 現在、「高齢化」、「地方創生」など、企業を取り巻く環境は厳しさを増している。経営者が業界の現状や自社の不調に気付かず、「やむを得ずに会社を失ってしまうケースは少なくない」(三宅社長)と経営者の“決断機会の損失”に警鐘を鳴らす。同時に、三宅社長は「60(歳)を過ぎたら、自分と会社の来し方を振り返り、行く末を考えなければならない。会社を支えてきてくれた従業員さんを思うなら尚更」と、決断に悩む経営者に“心から”のメッセージを送る。

(注)PMI(ポスト・マネージャー・インテグレーション) M&A成立後の統合過程。M&Aの当事者である買収側、承継側のシナジー効果発揮のために行う戦略・販売体制・従業員意識等の目標設定や実現に向けての進捗管理。

何年も前から言われていますが、PMIが重要ですね。
失敗している事例も多いでしょう。
僕も、『M&Aは企業同士の結婚のようなもの』と言っていますが、我々、M&A関連する業務を行っているところは『仲人』だと思いますので、PMIのことも考えて業務をやっていきたいですね。

M&Aは成功から成約の時代へ向かっていることについて、どう思われましたか?


RIZAPがグループ企業の「減量」で損失を計上!

 先日、RIZAPグループ㈱(札証アンビシャス)は20193月期第3四半期(4月~12月)の決算説明会を開きました。
説明会には瀬戸 健代表取締役社長、松本 晃取締役が出席しました。

20193月期第3四半期(累計)は201811月から着手している構造改革により、営業利益は▲579,900万円(前年同期808,200万円の黒字)、四半期利益は▲812,600万円(同52100万円の黒字)と大幅な赤字を計上しました。
グループ会社の「減量」による構造改革について、瀬戸社長は「今期中に損失を確定させる」と強い意欲を見せました。

美容やヘルスケアを中心としたRIZAP関連事業の好調に加え、新規連結が寄与して第3四半期の累計売上高(連結)は1,724400万円(前年同期比73.9%増)と、7期連続の増収となった。
一方、利益は「グループ企業の経営再建の早期完遂」、「事業の選択と集中」、「新規M&Aの原則凍結」を柱とする構造改革を進め、大幅な赤字を計上しました。
具体的な構造改革として、201812月に連結子会社のSDエンターテイメント㈱(JASDAQ)のエンターテイメント事業を北海道SOキャピタル㈱に売却し、20191月には㈱ジャパンゲートウェイを㈱萬楽庵に譲渡しました。
これに伴い、第4四半期は77,000万円の売却損を計上しました。

4四半期は、グループ企業・事業の再編を集中的に実施し、構造改革を加速させる方針を明らかにしました。
瀬戸社長は、「多額の赤字を出している企業を優先し、大きく踏み込んで再生に注力する」とし、今期中に「(構造改革に伴う)損失を確定する」と語りました。
これに伴い、事業売却損及び構造改革関連費用の追加発生が見込まれますが、通期業績への影響は「精査中」としました。

会見に詰めかけた記者からは、損失の具体的な金額、売却対象となるグループ企業への質問が相次ぎましだ。
瀬戸社長は明言を避け、「今期中に大きく踏み込んで損失を確定させたい」と強調するにとどめました。
構造改革担当の松本取締役は、構造改革のスピード感を問われ、「まあまあ」と評価しました。
瀬戸社長と松本取締役のコミュニケーションは取れており、ロードマップで進捗を確認しているそうです。
松本取締役は「ひとつひとつやっていけば2019年には少しずつ回復し、2020年には本格復活できるのではないか」と見通しを述べました。
自身の去就を問われ、松本取締役は「役目は半分終わったと感じている」としながらも、「去就は決めていないが、瀬戸社長との関係は切れることはない」と明言しました。

4四半期で一層の事業売却を進め、20193月期で損失を確定、来期への黒字復活を見すえています。
RIZAPグループが「減量」をコミットできるか注目されますね。

松本取締役は非常に優秀な方だと思いますので、『減量』も思った以上に進んでいるように感じました。
ここで、去就を問う方もどうかと思いますね。
早くグループ企業を『減量』していただき、事業として、個人だけでなく企業も『減量』できる企業になれるのではないかと密かに期待しております。

RIZAPがグループ企業の「減量」で損失を計上したことについて、どう思われましたか?


伊藤忠商事vsデサントの断絶を招いた根本原因!

 「(デサントの)ガバナンスに関してかなりの懸念を持っている」と、伊藤忠商事の鉢村剛CFO(最高財務責任者)は、2019年2月5日の決算会見で述べました。

伊藤忠商事とスポーツウェア大手デサントとの不協和音が止まりません。
伊藤忠商事は、2019年1月31日、デサントへの出資比率を現在の30.44%から最大40%に引き上げるべく、TOB(株式公開買い付け)を行うと発表しました。
買い増しが順調に進めば、伊藤忠商事は株主総会で拒否権を発動できる3分の1超を確保することになります。

東洋経済オンラインによると、伊藤忠商事とデサントの付き合いは、約50年にのぼります。
1980年代からデサントの筆頭株主となった伊藤忠商事は、1984年と1998年の2度にわたる経営難の際、デサントを支援してきました。
その両社が今、仲たがいするのはなぜでしょうか?
その経緯を時系列で追うと、両者の断絶をもたらした事件の数々がみえてきます。

デサントが伊藤忠商事に対する不信感を強めたのは2011年ごろからです。
2011年、デサントが伊藤忠商事から仕入れる額を年間100億円から150億円へ引き上げるよう、伊藤忠商事出身の社長が社内に呼び掛けました。
翌2012年にはこの150億円の目標値を達成するために、「通し」や「付け替え」が、伊藤忠商事からデサントへ要請されました。

通しとは、デサントが伊藤忠商事以外の商社から仕入れている取引について、伊藤忠商事が間に入ったような形に伝票上変更することです。
一方、付け替えとは、デサントがほかの商社から仕入れている取引を、伊藤忠商事に代わって取引することです。
これらはデサントの仕入れ政策をゆがめ、商品力を落としかねず、「到底受け入れ困難なものだった」(デサントの公表資料より)。

大株主としての立場を利用して、商社としてのビジネスの拡大を図る伊藤忠商事の姿勢に、デサント社内での反発は高まりました。
その空気のもと、2013年2月には創業家出身の石本雅敏氏のデサント社長就任が決まりました。
この人事を決めた取締役会に際しては、事前に伊藤忠商事側への根回しはなかったそうです。

デサントによれば、石本社長の就任と同時に、一連の経緯を社内委員会で調査し、結果をまとめた文書を伊藤忠商事に届けました。
しかしながら、その後も両者の間でこの問題をめぐる対話は深まりませんでした。
長年にわたる信頼関係は傷付いたまま、放置されていたのです。
伊藤忠商事はデサントからの問題提起に応えるわけでも、信頼関係回復のためのアクションをとるわけでもありませんでした。
この後、数年にわたって伊藤忠商事が沈黙を続けた理由は、大きな謎です。

そして2018年、両者の相互不信を決定的なものとする展開がありました。
6月に決算報告に訪れたデサントの石本社長と伊藤忠商事・岡藤正広会長CEOとの面談で両者のスタンスの違いが明らかになり、伊藤忠商事がついに実力行使を決断しました。
資本の論理でデサントを押さえ込むべく動いたのです。

2018年7月4日、伊藤忠商事がデサント株を買い増し始めました。
伊藤忠商事のデサントへの出資比率は2011年から25.7%で横ばいでしたが、7月4日以降、伊藤忠商事はデサント株を順次買い増しました。

すると、8月末、デサントがワコールとの包括的業務提携を発表したのです。
デサントの取締役には伊藤忠商事出身者が2人いますが、彼らへの事前説明がないまま取締役会に緊急動議として付議され、決まったようです。

その後、岡藤会長CEOと石本社長の会談内容が漏洩し、週刊文春11月1日号に「伊藤忠商事のドン岡藤会長のデサント“恫喝テープ”」として掲載されました。
ことここに及んで、両者の関係は修復不可能なまでに悪化したのです。

伊藤忠商事の説明によれば、11月中旬ごろ、デサントの石本社長からMBO(経営陣が参加する買収)による株式非公開化を検討しているとの連絡を受けました。
これに関わっているファンドは伊藤忠商事に対し、デサントは多額の借り入れをして市中の株式を買い取り、非上場化すると説明しました。
伊藤忠商事はデサントの財務体質が不安定になるとして、株式非公開化に反対し、「現経営陣の保身を優先し、社員を軽視している可能性がある」と指摘したのです。

そして2019年1月31日、伊藤忠商事はデサント株のTOBに踏み切りました。

これに対しデサントは2月7日、TOBに対して「反対」の意見を表明し、伊藤忠商事側の言い分に真っ向から異を唱えました。

「株式非公開化は、初期的に検討されたものにすぎず、負債の金額その他具体的な取引条件等の検討に至っておりません」「従業員との間の良好な関係を極めて重要視しており、現に良好な関係を構築してまいりました」「伊藤忠商事らの主張は、事実に反するとともに、極めて誤導的なものであり、非常に恣意的かつ悪意に満ちた内容でさえあると当社は考えています」と、反対表明のリリースに記しています。

2月8日には、デサントのホームページに、デサント労働組合執行部が伊藤忠商事のTOBに対して反対する声明が掲載されました。
組合は声明で、「当社の価値を支える労使の信頼関係や雇用、労働条件へ重大な影響を及ぼしかねない本TOBに対して、受け入れることはできない。今後両社の経営陣が敵対的ではなく、建設的な協議のもと平和的解決に導かれることを強く望みます」としています。

ただし、伊藤忠商事がTOBを中止する可能性は低いと思われます。
伊藤忠商事はなぜデサントから手を引かず、ここまでこだわるのでしょうか?
岡藤会長CEOが繊維カンパニー出身であることが影響しているのではないかと見る向きは少なくありません。
伊藤忠商事側には、今日のデサントをつくりあげてきたのは伊藤忠商事だとの思いもあるのでしょう。

伊藤忠商事の2018年度純利益は5,000億円が見込まれます。
デサントの2018年度の純利益は65億円の計画で、伊藤忠商事の株式持ち分に応じた純利益への貢献は20億円程度でしかありません。
1株当たり2,800円の買付価格を設定したTOBには、約200億円を投じることになります。
直近の株価に約50%のプレミアムを乗せた価格です。

割に合わないのではないかとの質問に、伊藤忠商事の鉢村CFOは「デサントは高い商品力を持っており、従業員のレベルも高い」とし、「デサントの持っている潜在力をフルに発揮できる環境、体制であるべきだ」と説明しています。

低迷するアパレル業界にあってデサントが手掛けるスポーツ分野は「伸びしろがある領域」です。
2020年の東京五輪・パラリンピックなどスポーツイベントが控えているだけでな中国の旺盛な需要を取り込む余地は大きいと言えます。
とはいえ、約200億円の投資を上回る追加リターンを得られるかは未知数です。

伊藤忠商事は4月1日付で繊維カンパニープレジデントの小関秀一専務を理事とする人事を発表しました。
デサントへ小関氏を送り込む布石とみられます。
デサントの経営陣刷新へ向けて準備を着々と進めているようです。
伊藤忠商事にとってもこれだけの騒動となったデサントがまるで収益に貢献しないということになれば、今度は伊藤忠商事の株主から経営責任を追及されかねません。
TOBの期限は3月14日。あと1か月ほどあるため、その間に新たな展開もあるでしょう。
伊藤忠商事とデサントのなりふり構わぬ対立は、どう決着するのでしょうか?

伊藤忠商事のTOBに対し、ほとんど打つ手がないデサントが頼みの綱とするのは世論です。
世論を味方につけるには、デサントの主張の正当性や、伊藤忠商事が自社の利益を優先しデサントの企業価値を損ねる可能性が高いことを丁寧に説明する必要がありますね。

今回の対立の報道で知ったのですが、デサントは、ルコック、アリーナ、マンシングウェア、アンブロ、スリクソン、アヴィアなどのブランドを保有しているんですね。
僕の中ではあまり伊藤忠商事のイメージは良くないので、デサントに頑張って欲しいですね。
早く、ホワイトナイト(白馬の騎士)が現れることを期待しています。

伊藤忠商事vsデサントの断絶を招いた根本原因について、どう思われましたか?


4億円の赤字でも社長報酬14億円のあの“お騒がせ企業”がついに身売り!

 ミネベアミツミが売上高1兆円企業の仲間入りを果たすようです。
精密部品メーカーのミネベアミツミは、同じく東証1部上場の自動車ドア関連部品メーカーのユーシンを買収します。
2019年1月下旬からユーシン株に対して1株あたり985円でTOB(株式公開買い付け)を実施して、完全子会社にします。
買収総額は326億円を見込んでいます。

ミネベアミツミの2019年3月期の売上高は9,400億円、ユーシンの2018年12月期の売上高は1,510億円の見通しで、単純合計すると、連結売上高が1兆910億円の企業となります。

ミネベアミツミの貝沼由久会長兼社長は積極的なM&A(合併・買収)で、同社をベアリングから電子部品まで扱う総合部品メーカーに育てました。
自動車部品は電動化を背景に再編の最中にあります。

ミネベアミツミは自動車向けにボールベアリング(軸受け)や液晶バックライト、モーターなどを生産し、ユーシンは電子錠やドアハンドルなどを国内外の自動車メーカーに供給しています。
完成車メーカーと直接取引するユーシンの販売網を取り込み、成長市場と位置づける自動車分野を強化するようです。

貝沼氏は旧ミネベアの中興の祖といわれた元社長、故高橋髙見氏の娘婿です。
従業員10数人の日本ミネチュアベアリング(のちのミネベア)に入社した高橋氏は、1970年代から国内外でM&Aを重ね「買収王」の異名をとりました。

1985年から1988年にかけての、ミネベアによる世界的なオルゴールメーカー、三協精機製作所(現日本電産サンキョー)の乗っ取りは、M&A攻防戦の歴史に名をとどめます。
しかしながら、高橋氏の最後の乗っ取りは失敗に終わり、有終の美を飾れませんでした。

貝沼氏は慶應義塾大学法学部法律学科を卒業し、ハーバード大学ロースクール出身で国際弁護士の資格を持っています。
アメリカで弁護士をしていましたが、義父の招きで1988年にミネベアに入社しました。
胃がんに侵された高橋氏が三協精機の乗っ取りを断念した年です。
高橋氏は翌1989年に亡くなり、娘婿の貝沼氏に事業の後継を託したのです。

貝沼氏は松下電器産業(現パナソニック)との小型モーターの合弁会社の経営で事業家としての経験を積み、2009年、ミネベア社長に就任しました。
貝沼氏は義父譲りの買収による多角化とグローバル化を両輪に、攻めの経営を進めました。

貝沼氏の大型買収がミツミ電機との経営統合です。
ミツミ電機はスマートフォンメーカー向けのカメラの手ぶれ補正器などの電子部品の販売が落ち込み、2016年3月期の連結最終損益は98億円の赤字(その前の期は38億円の黒字)に転落しました。

ミネベアがミツミ株1株に対してミネベア株0.59株を割り当てて経営統合し、2017年1月、統合会社ミネベアミツミが発足しました。
モーターなど機械部品と電子・通信部品を幅広く持つ世界でも珍しい事業体となりました。
これはミネベアの歴史のなかでも最大級のM&Aとなりました。

貝沼氏は中長期計画で2020年3月期に売上高1兆円、2021年3月期に営業利益1,000億円の目標を掲げました。
2019年3月期の売り上げは9,400億円、営業利益は850億円の見込みです。
目標達成にあと一歩です。

「海外生産の立て直しに力を貸してほしい」
ユーシンは2018年8月、ミネベアミツミに支援を要請しました。
ミネベアミツミにとってユーシンの打診は「渡りに船」でした。
主力のスマホ向けバックライトの需要縮小が予測されていたからです。
ユーシンを買収すれば、売上高1兆円企業となる目標を達成できます。

ユーシンはなぜ、ミネベアミツミに“身売り”を申し入れたのでしょうか?
創業家と完全に訣別することにしたのです。

ユーシンは2017年1月10日、会長兼社長の田邊耕二氏が「一身上の都合」により辞任し、新社長には生え抜きの岡部哉慧専務が昇格しました。

ユーシンの“帝王”と呼ばれた田邊氏は、創業家の2代目として1978年に社長に就任以来、40年近くにわたって最高実力者として君臨してきました。
社長公募や10億円以上の高額報酬など、何かと話題を集める“お騒がせ”経営者でした。

田邊氏の後継者探しは波乱ずくめでした。
2006年、元日産自動車常務で自動車部品会社ナイルス(現ヴァレオジャパン)の社長だった竹辺圭祐氏を社長に招き、自身は最高顧問に退きました。
しかしながら、竹辺氏と生え抜きの役員たちとの対立が深刻化し解任し、田邊氏は2年で社長に復帰しました。

2010年には社長公募という奇策に打って出ました。
元外務省キャリア官僚の八重樫永規氏を選出、社長代行に据えました。
ところが、「商売には向いていない」として、あっさりクビにしました。
2014年にも2度目の社長公募に乗り出しましたが、「いい人材がいない」と書類選考の段階で打ち切りました。
「2回目の公募は社長に執着していないことを見せるためのパフォーマンス。辞める気はさらさらない」と社内外から見透かされる始末だった。

後継者問題と並んで話題となったのが田邊氏の高額報酬です。
ユーシンの2014年11月期の最終損益は4億3,300万円の赤字にもかかわらず同期の田邊氏の役員報酬は14億500万円で、2013年11月期(8億3,400万円)の1.7倍となりました。

会社は赤字、田邊氏は高額役員報酬で、株主から「会社の私物化」と批判を浴びました。
ある個人投資家は2016年夏、田邊会長兼社長ら取締役や元取締役など7人を相手取り、5億7,000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。

田邊氏にトドメを刺したのは業績の悪化でした。
2016年11月期の最終連結損益は96億円の赤字(その前の期は2億円の黒字)に再び転落し、業績予想の下方修正は3度目にわたり、年間配当は1997年の東証1部上場以来、初めてゼロとなったのです。

業績悪化の原因は、2013年にフランス自動車部品大手Valeo(ヴァレオ)社から鍵(キー)やドアハンドル部門を約200億円で買収したことです。
「小が大を呑み込む買収」と話題になりましたが、業績には寄与せず失敗に終わりました。

株主総会で経営責任を追及されることは必至の情勢でした。
そこで、総会を前に「一身上の都合」で退任しました。
次女の田邊世都子氏をトップに据え、院政を敷くというのがもっぱらの見方でしたが、次女も同時に退任しました。

新経営陣は、約40年君臨した帝王の影におびえず改革を推し進めることができるかが大きな課題となりました。
その経営陣が出した答えが、ユーシンをミネベアミツミに“身売り”して、創業家と訣別することでした。

個人的には、後継者を決め、うまく事業承継を進めることも経営者の仕事だと思っていますが、ソフトバンクの孫さんにしても、ユニクロの柳井さんにしても、ユーシンの田邊さんにしても、本人が優秀で、会社が大きくなると、なかなかうまくいきませんね。
その中で、当然選択肢の一つとして出てくるのは、M&Aだと思います。
今後も、上場企業が買収されるケースが出てくるでしょうね。

4億円の赤字でも社長報酬14億円のあの“お騒がせ企業”がついに身売りすることについて、どう思われましたか?


借金を活用して利益を計上するRIZAPに監査法人が「待った!」

 このブログでも何度も取り上げていますが、積極的なM&A(合併・買収)による拡大戦略がつまずいたRIZAPグループ。
2019年3月期の業績下方修正で割安な企業買収で発生する「負ののれん」の問題点に注目が集まりましたが、それ以上に監査業界で疑問視されていた会計処理がありました。
子会社の借金を活用した利益計上です。
担当する監査法人がこうした利益のかさ上げに「待った」をかけていました。

2018年11月14日、RIZAPは2019年3月期に連結最終損益(国際会計基準)が70億円の赤字に転落すると発表しました。
新規のM&Aを凍結することで、前期の営業利益の6割を占めていた「負ののれん」が今期は計上できなくなるのが赤字の主因です。

「問題になっていた利益かさ上げの手法は負ののれんだけじゃない」と、大手監査法人の幹部は明かしているようです。
中でもRIZAPが2015年に買収した女性用衣料品のネット通販を手掛ける上場子会社「夢展望」を巡る会計処理が2018年春、会計士たちの間で話題になっていたようです。

特別利益の発生に関するお知らせ――。
2018年3月30日、夢展望は子会社のトレセンテ(東京・中央)からの4億1,900万円の「債権取り立て益」を2018年3月期の特別利益に計上すると発表しました。

宝飾品販売のトレセンテは業績が低迷しており、2017年4月にカタログ通販大手ニッセンホールディングスから夢展望が1円で買収しました。
トレセンテの純資産(帳簿価格)を大きく下回る1円で買収できたとして、差額の約5億7,000万円を「負ののれん」として2018年3月期の営業利益に計上しました。

この結果、夢展望は2018年3月期末に2017年3月期末は4億3,200万円だった連結債務超過を解消し、東証マザーズの上場維持基準を満たしました。
親会社のRIZAPが得意とする業績不振企業の買収を使って「負ののれん」を計上し、上場廃止の危機を逃れたのです。

しかしながら、話はこれで終わりません。
夢展望は買収にあわせてニッセンHDが抱えていたトレセンテ向け貸付債権も1円で取得し、買収後にトレセンテは金融機関と4億円の借り入れ契約を結んだのです。

トレセンテは借入金を使って夢展望に債務を返済し、夢展望は1円で計上していた貸付債権の帳簿価格との差額を単独決算の特別利益に計上する算段でした。
これが2018年3月30日に公表した「債権取り立て益」の仕組みです。

「夢展望は1円で買った赤字企業に借金させて、単独決算の見栄えも良くしようとしていた」と、RIZAP関係者はその狙いをこう証言しているようです。
この関係者によると、RIZAPのグループ会社でこんな取引が複数あったそうです。

こうした利益の計上に「待った」をかけたのは、監査法人でした。

RIZAPは、2008年から監査を担当してきた東邦監査法人から2018年4~6月期決算から準大手の太陽監査法人に変わりました。

東邦監査法人側は「(担当の会計監査人として)適切に指摘した」としています。
準大手の太陽監査法人もRIZAPと監査契約を結ぶに際し、夢展望などを含めグループの不透明な利益計上をやめるよう求めたようです。

夢展望は2018年3月30日の発表から2週間後の2018年4月14日、一転して特別利益の計上を中止すると発表しました。
夢展望が業績不振のトレセンテに資金援助する可能性があるにもかかわらず、子会社からの一過性の返済金を利益に計上するのは不適切な「循環取引」になりかねないと監査法人側は判断したとみられます。

夢展望は日本経済新聞の取材に対し、「利益をかさ上げする意図はなかった」と説明したようです。

カルビー会長からRIZAPに転じた松本晃元代表取締役(現取締役)は2018年6月の就任以降、太陽監査法人側と意見交換を重ねてきたそうです。
業績の下方修正は松本氏がM&A凍結を主導した結果でしたが、監査法人である太陽監査法人側の働きかけも大きかったようです。

もっとも、利益のかさ上げを計画したのは会社自身です。
RIZAPの株価は下方修正発表前から4割超下落し、時価総額は2017年11月に記録した過去最大(7,516億円)の5分の1以下の水準にしぼみました。
夢展望の株価は2018年3月末の3分の1の水準に沈んでいます。

色々と出てきますね。
M&Aを用いた利益計上術という感じですかね。
こういうクライアントがあると、監査法人も大変でしょう。
本業は好調でしょうから、瀬戸社長には本業に専念していただいて、松本取締役の力で子会社を立て直してほしいですね。

借金を活用して利益を計上するRIZAPに監査法人が「待った!」をかけていたことについて、どう思われましたか?


RIZAPが70億円の最終赤字で拡大路線を転換!

 先日、このblogにも書いたRIZAPですが、矢継ぎ早に経営不振の企業を買収し、収益を拡大させてきたRIZAPグループの経営が転換点を迎えているようです。
20193月期の連結最終損益(国際会計基準)は70億円の赤字となる見込みです。
先日、東京都内で記者会見した瀬戸健社長は「株主をはじめ、ステークホルダーの皆様の期待を大きく裏切ることになった。本当に申し訳ない」と頭を下げました。
159億円の黒字との予想から一転して大幅な赤字となり、今後は新規のM&A(合併・買収)の凍結と、不採算部門の撤退も検討するようです。

記者会見には瀬戸社長と、カルビーから6月にRIZAP入りした松本晃代表取締役の2人が出席しました。
瀬戸社長は、「事業の選択と集中を進める。短期的な投資回収や収益改善が難しい事業、当初想定していたグループシナジーが見込めない事業については積極的に縮小、撤退、売却を検討していく」と述べ、M&A(合併・買収)による拡大路線を転換すると明らかにしました。
RIZAPM&Aに特に積極的な新興企業として知られてきましたが、この2年で傘下に収めたのは60社以上あります。
23年かけて黒字化するとしてきたものの、現実には再建が思うようにいかない子会社も多いようです。
今回、不採算事業の整理や固定資産の減損損失などの計上を迫られました結果、営業損益は33億円の赤字(前期は135億円の黒字)と従来予想の230億円の黒字から大幅に下方修正しました。
アパレルや雑貨など異業種を取り込む多角経営に陰りが見えており、今後は主力事業と位置づける完全個室型のトレーニングジムなどに注力するそうです。
49月期は85億円の最終赤字を計上し、経営責任を明確にするために、瀬戸健社長は20184月~20193月までの1年間、役員報酬の全額を自主返上します。
その後も連結営業利益が230億円を超えるまで報酬の返上を続けるとしています。

今回、明確にしたのが拡大路線からの180度の転換です。
事業の選択と集中を進めるために、新規のM&Aを凍結するようです。
短期での収益改善が難しい事業や、当初想定していたようなグループ企業同士の相乗効果が見込めない事業からは撤退や売却を検討するそうです。

この路線変更は、RIZAPの利益に大きく貢献してきた会計処理が今後は使えなくなることも意味します。
この会計処理とは、買収の際に発生する「負ののれん」です。
負ののれんとは、買収額が買収先の純資産を下回った場合に計上するもので、その差額は営業利益に一括計上されます。
経営不振の赤字企業を中心に買収してきたRIZAPでは、この一時的な会計上の利益で営業利益が押し上げられていました。
ちなみに、20183月期の営業利益(135億円)のうち、6割以上を負ののれんが占めています。
しかしながら、今回、矢継ぎ早の買収路線を修正することで、今期見込んでいた「負ののれん」による利益が計上できなくなります。
新規買収による黒字企業の収益貢献も見込めず、M&Aの凍結で総額100億円を超える利益が押し下げられます。

RIZAPは札幌証券取引所アンビシャスに上場している2003年に設立したわずか15年の会社ですが、積極的なM&Aで急拡大してきました。
20133月期に10社だった連結子会社は20183月時点で75社に膨らみました。
この半年でも買収を続けており、201811月時点での連結子会社は85社にものぼります。
今回はフリーペーパー発行のぱどやCD・ゲームソフト販売のワンダーコーポレーションといった子会社が損失計上を迫られました。
RIZAP自身の性急ともいえる拡大路線で、経営のコントロールが難しくなった面は否めません。
「再建は現場の力でやる」(瀬戸社長)という基本方針でやってきましたが、赤字企業を短期間に再生させるには困難が伴ったようです。
子会社のノウハウを共有することで新商品開発を加速したり、顧客を相互に紹介したりするなどして目指してきた「RIZAP経済圏」は曲がり角に来ています。

カルビー再建で知られ20186月に経営陣入りした松本晃氏は、201810月に最高執行責任者(COO)から外れ「構造改革担当」となりました。
松本氏は就任当初から「子会社の出血を止める」と口酸っぱく言ってきました。
これまでは瀬戸社長が主導し、M&Aを通じた拡大路線にまい進してきましたが、松本氏の意向を反映する形で経営を転換するようです。
本業のRIZAPブランドの個人向けジムや英会話は拡大を続け、利益も上げているため、今後はこうした主力の高収益事業に経営資源を集中的に投入するようです。
松本氏は同日の記者会見で、「おもちゃ箱のような会社だが、いくつか壊れているおもちゃがある」と指摘し、「たくさん買った会社の中に不況産業があり、今修繕しないと大きな問題になる」と、瀬戸社長に改革を迫った背景を強調しました。
また、「8月後半ぐらいから瀬戸さんとはずいぶん話した。瀬戸さんは私が言うことに99%同意すると言ってくれている」と指摘し、「私と瀬戸さんが対立したことは一切無い」と強調しました。
RIZAPの株価は上場来高値を付けた201711月から約7割も安い水準にあります。
収益性を重視する経営戦略への転換を市場は評価するのでしょうか?
現実路線に回帰したRIZAPの経営の手綱さばきに注目が集まります。

思いのほか、方向転換が早かったですね。
瀬戸社長も拡大路線の失敗を認識していたため、カルビーの松本さんに頼んだんでしょうね。
再生の実績のないなか、経営不振企業を買収するのは、少し早すぎたんでしょうね。
いわゆる成長に組織が追い付いていない典型例でしょう。
オーナー企業の社長の場合、自分に意見をしてくれる方はあまりいないでしょうから、瀬戸社長は良い人を見つけたのかも知れませんね。
本業が好調なときに気付いたことは素晴らしいことだと思います。
数年間は厳しいかもしれませんが、再建が成功すると、再びM&Aをして、再建していくというビジネスで成長するかもしれませんね。
結果にコミットする企業なので、期待しています。

RIZAP70億円の最終赤字で拡大路線を転換したことについて、どう思われましたか?


武田薬品工業のシャイアー買収の助言費用は1,100億円!

 武田薬品工業によるアイルランドの製薬会社であるシャイアーの買収を巡り、両社が助言費用として銀行や法律事務所に約96,000万ドル(約1,100億円)を支払うことが分かったようです。

武田薬品工業が73,300万ドル、シャイアーが最大22,900万ドルを支払うようです。
今回の買収は総額7兆円弱と日本企業最大の買収案件で、金融機関が得る助言費用も巨額となりました。

シャイアーが投資家向け資料で明らかにしました。
内訳は資金調達を支援した銀行などに6億ドル超、法律事務所に約1億ドル、会計事務所に約2,600万ドルなどとしています。

両社は125日にそれぞれ買収の是非を問う臨時株主総会を開きます。
早ければ201918日に買収が完了するとみられます。

想像もつかないような金額が支払われるんですね。
僕もM&A関連の業務をそれなりにやっていますが、うらやましいかぎりです()
それにしても、資金調達によって金利も手にする銀行などが、色々なアドバイスを行ってるのでしょうが、大部分を取るんですね。
日本企業による日本企業の買収(In-in)でもうまくいかないことも多く、日本企業による海外企業の買収(In-out)はなおさらうまくいかないケースが多いと思いますが、失敗したら誰のための買収だったのかという気はするでしょうね。
創業家も反対しているようですし。

武田薬品工業のシャイアー買収の助言費用は1,100億円だったことについて、どう思われましたか?


RIZAPがM&Aを繰り返して利益を計上?

 Business Journalによると、RIZAP(ライザップ)グループの2018年度第1四半期が営業赤字になったようです。
直前の20183月期は、通年で売上高1,362億円、営業利益135億円と10%もの営業利益を出していましたが、そこから一転しての営業赤字です。

前年度の第1四半期と比較すると、売上高は286億円から521億円と1.8倍に急拡大し、第1四半期連結累計期間としては9期連続で過去最高を更新していますが、営業利益は27億円の黒字から37億円の赤字になっています。

RIZAPの四半期報告書によると、営業利益の悪化は、グループ各社の積極的な新規出店や、テレビCMを中心とした広告宣伝の強化、RIZAP GOLF等のRIZAP関連事業の新規事業等の積極的な先行投資の結果であり、「期初計画通り」とのことです。
そして、「本先行投資の効果もあり、第2四半期連結会計期間以降については、大幅な成長を見込んでおります。」とのことです。

<積極化するM&A
RIZAPといえば、「結果にコミットする」のテレビCMで有名なボディメイク事業の印象が何より強くなっています。
それを積極的に展開しているのは事実ですが、実はRIZAPにはもうひとつの顔があるのです。
それは、投資家としての顔です。
次から次へと積極的なM&Aをしているのです。
2016年度には、書籍・雑誌出版の日本文芸社、婦人服の製造・販売をする三鈴、超富裕層向けヘルスケアを提供するエンパワープレミアム、体型補正用婦人服下着を手掛けるマルコ、カジュアルウェアの専門チェーンであるジーンズメイト、地域密着型無料宅配雑誌を手掛けるぱどと、合計7社の新規買収をしています。
2017年度には、宝飾品小売りのトレセンテ、洋装品等の製造・販売を行う堀田丸正、国内外で電気部品の加工・販売や各種パッキングの製作販売を手掛けるGORIN、スポーツ用品販売のビーアンドディー、エンターテインメント商品や化粧品などの小売りや携帯電話や音楽・映像ソフトのレンタル業などを営むワンダーコーポレーション、リビング新聞を発行するサンケイリビング新聞社と、合計6社の新規買収をしています。
2018年度は「月に1件はM&Aをする」(RIZAPグループ・瀬戸健社長)との方針のようです。

<見せかけの利益を押し上げる「負ののれん」>
これらのM&Aが、グループの売上高急拡大の大きな原動力になっています。
しかしながら、RIZAPグループの業績判断をする上では、気をつけなければならない会計上の仕組みがあるのです。
それは、M&Aに伴って発生するのれんの処理です。
のれんとは、被買収企業の会計上の評価額と、実際の買収額との差額です。
会計上の評価額には会計上認識される限定的な情報しか反映されていないので、通常はそれを上回る価額で買収するのが普通です。
その場合、のれんはプラスとなります。
しかし、RIZAPグループの場合、大半を会計上の評価額を下回る価額で買収しています。
その場合ののれんはマイナスになるので「負ののれん」と呼ばれます。
2016年度は7社中4社、2017年度は6社中実に5社で負ののれんが発生しています。
会計上、正ののれんと負ののれんは扱いが異なります。
正ののれんは資産に計上しますが、負ののれんは収益として損益計算書に計上することになっています。
かつては、負ののれんを負債に計上するというルールの時代もありましたが、会計上の評価額を下回る価額で買収するというのは、いわば「ワケあり商品を安く買う」という特別なケースなので、現在は一気に収益として顕在化させるルールになっているのです。
日本基準においては、負ののれんはその特別な性質から文字通り特別利益に計上することになっています。
ところが、RIZAPグループはIFRS(国際会計基準)を採用しています。
IFRSでは、負ののれんは「その他の収益」として営業利益に含めることになっています。
さらに、IFRSでは正ののれんは償却対象外なので、減損の対象にならない限り費用化されないのです。

RIZAPの業績は本物か?、見せかけの錬金術か?>
かくして、負ののれんの分だけ営業利益が押し上げられることになります。
RIZAPグループの20183月期におけるその額は87億円で、負ののれんを除くと営業利益は48億円となり、売上高営業利益率は10%から3.5%になります。
これをもってRIZAPグループの本当の収益力と見るべきでしょう。
そもそも、なぜ会計上の評価額を下回る価額で買収できているのかというと、被買収企業が業績の悪い「ワケあり商品」だからです。
実際、半数企業が赤字企業なのです。
2018年度第1四半期は、負ののれんという水増し分がなくなったことによって、その赤字が表面に出てきたともいえます。
RIZAPM&A戦略は、おそらく業績不振の企業を安く買ってそれを立て直し、グループ全体の業績に貢献させようというものでしょう。
RIZAPが言う「計画通りの先行投資」が本当にその通りならば、効果が現れるのはこれからです。
また、カルビーの最高経営責任者(CEO)からRIZAPグループの最高執行責任者(COO)に就いた松本晃氏は、「規模を拡大すればいいというわけではない」と言っており、やみくもなM&Aに一定の歯止めもかかりそうです。
RIZAPグループの業績は本物なのか?、見せかけの錬金術なのか?
その答えは「第2四半期連結会計期間以降については、大幅な成長を見込んでおります」という言葉通りになるかどうかでわかるでしょう。

 個人的には、RIZAPを特に責めるべきではないと思います。
同じような企業は他にもあるでしょうし、IFRSにおいても、のれんの取扱の見直しはしばしば話題に上がっています。
ちなみに、上場企業が3,500社ほどある中で、IFRSを採用している企業もしくは採用することを決定している企業は200社にも達していません。
IFRSを採用している企業リストを見てみると、のれんを償却しなくても良いため、M&Aを積極的に行っている企業が多いのは事実だと思います。
M&Aはすぐに結果がでるわけでなく、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション。M&A成立後の統合プロセスのこと)が非常に難しいと言われています。
それゆえ、長期的に視点に立って、M&Aが成功だったか失敗だったかを判断する必要があるように思います。
RIZAPM&Aの結果にコミットできるかどうかウォッチしていきたいと思います。

RIZAPM&Aを繰り返して利益を計上していることについて、どう思われましたか?

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