事務所通信
2025年6月号『類似業種平均株価表の業種目の見直し!』
国税庁は2025年6月16日、令和7年分の類似業種比準方式に係る「株価表」等を公表しました(「令和7年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)」、「類似業種比準価額計算上の業種目分類について(情報)」)。
2024年の「日本標準産業分類」の改定に伴い、株価表の業種目が見直されており、これまでの113業種目から115業種目となっています。
そこで今回は、『類似業種平均株価表の業種目の見直し!』について書きたいと思います。
1.類似業種株価等通達の業種目及び標本会社の業種目の分類
類似業種比準方式は、類似業種の株式の株価の平均値に、評価会社と類似業種の1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額、1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額をいいます。)の比準割合を乗じて、取引相場のない株式の価額を評価する方式です。
この業種目は、「日本標準産業分類」に基づいて区分しています。
また、類似業種の株価等の計算の基となる標本会社の業種目についても、「日本標準産業分類」に基づいて区分しています。
2.「日本標準産業分類」の改定等に伴う業種目の見直し
平成25年の改定から10年が経過し、その間の経済・社会の状況に変化が生じたことを踏まえ、「日本標準産業分類」の改定が行われました(令和6年4月施行)。
これに伴い、令和7年分の類似業種株価等通達について、業種目の見直しが行われました。
また、標本会社の業種目の判定を行った結果、標本会社が少数となる業種目については、特定の標本会社の個性が業種目の株価等に強く反映されることとなることから、このような影響を排除するため、業種目の統合を行うとともに、標本会社が多数となる業種目については、業種目の新設が行われました。
3.令和7年分の類似業種比準価額計算上の業種目分類
令和6年の日本標準産業分類の改定等を踏まえ、該当する上場会社が多数になる業種目として、大分類「専門・技術サービス業」の中分類として新たに「技術サービス業」、その小分類として「土木建築サービス業」、「その他の技術サービス業」の3業種目がそれぞれ株価表に新設されました。
一方、該当する上場会社が少数になる株価表の業種目として、株価表の大分類「建設業」の小分類であった「電気通信・信号装置工事業」が廃止され、「その他の設備工事業」に統合されました。
これまでは、日本標準産業分類の「電気通信・信号装置工事業」に該当する場合、株価表における業種目も「電気通信・信号装置工事業」として評価していましたが、日本標準産業分類の「電気通信・信号装置工事業」に該当しても、令和7年分の株価表には同業種目がないため、株価表の業種目としては「その他の設備工事業」に区分して評価することになります。
4.最後に
令和7年分の株価表は、令和7年1月1日以後の非上場株式の相続・贈与に適用されますので、留意しましょう。
2025年6月26日 國村 年