事務所通信2018年5月

事務所通信

2018年5月号『特定収入とは?』

 消費税の納税額は、その課税期間中の課税売上げ等に係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算します。
 しかしながら、国もしくは地方公共団体の特別会計、公共法人、公益法人等または人格のない社団等など(以下「国、地方公共団体、公共・公益法人等」といいます。)の仕入控除税額の計算においては、一般の事業者とは異なり、補助金、会費、寄附金等の対価性のない収入を「特定収入」として、これにより賄われる課税仕入れ等の消費税額を仕入控除税額から控除する調整が必要とされています。
 そこで今回は、『特定収入とは?』について、書きたいと思います。

1.特定収入の範囲
 特定収入とは、資産の譲渡等の対価以外の収入で、例えば、以下のような収入が特定収入に当たります。

(1)

租税

(2)

補助金

(3)

交付金

(4)

寄附金

(5)

出資に係る配当金

(6)

保険金

(7)

損害賠償金

(8)

資産の譲渡等の対価に当たらない負担金、他会計からの繰入金、会費等、喜捨金(お布施、戒名料、玉串料など)


2.
特定収入がある場合の仕入控除税額の調整
 国、地方公共団体、公共・公益法人等が簡易課税制度を適用せず、本則課税により仕入控除税額を計算する場合で、特定収入割合()が5%を超えるときは、一定の方法によって計算した特定収入に係る課税仕入れ等の消費税額を通常の計算方法によって算出した仕入控除税額から一定の方法によって計算した特定収入に係る課税仕入れ等の消費税額を控除した残額をその課税期間の仕入控除税額とする調整が必要です。
 ただし、簡易課税制度を適用している場合または特定収入割合()が5%以下である場合には、この仕入控除税額の調整をする必要はなく、通常の計算方法によって算出した仕入控除税額の全額をその課税期間の仕入控除税額とします。

()特定収入割合=特定収入の合計額÷(課税売上高(税抜き)+免税売上高+非課税売上高+国外売上高+特定収入の合計額)

3.仕入控除税額の調整のイメージ

4.最後に
 イメージ的には何となく分かるかもしれませんが、実際に計算するとなるとかなり手間を要しますので、早めに検討してくださいね。

2018年5月30日 國村 年

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