カテゴリー
事務所通信

事務所通信2025年11月

事務所通信

2025年11月号『取適法(とりてきほう)!』

最近、『とりてきほう』ということばを耳にしたり、目にしたりすることがないでしょうか?

そこで今回は、『取適法(とりてきほう)!』について書きたいと思います。

1.取適法(とりてきほう)とは?

2025年5月23日に公布された「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」(令和7年法律第41号)により、下請代金支払遅延等防止法(下請法)が改正されます。

法律の題名の変更のほか、適用対象、義務、禁止行為等様々な点の変更がされています。

2.法律の題名・用語の変更

下請代金支払遅延等防止法

製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律

下請代金

製造委託等代金

親事業者

委託事業者

下請事業者

中小受託事業者

3.規制の対象となる取引(赤字が追加)

  • 物品の製造委託・修理委託・特定運送委託
  • 情報成果物制作委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に限る)

委託事業者

 

中小受託事業者

資本金3億円超

資本金3億円以下

資本金1千万円超3億円以下

資本金1千万円以下

常時使用する従業員300人超

常時使用する従業員300人以下

  • 情報成果物制作委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管、情報処理を除く)

委託事業者

 

中小受託事業者

資本金5千万円超

資本金5千万円以下

資本金1千万円超5千万円以下

資本金1千万円以下

常時使用する従業員100人超

常時使用する従業員100人以下

4.禁止行為の追加

取適法施行(2026年1月1日)に伴い、同日以降に発注した取適法適用対象取引では、新たに以下の行為が禁止されます。

1

協議に応じない一方的な代金決定の禁止

中小受託事業者からの価格協議の求めに応じずに、一方的に代金を決定することは違反になります。

2

手形払等の禁止

手形による代金の支払いは違反になります(「支払遅延」に該当。)。

電子記録債権やファクタリングを使用する場合にも、支払期日(最長で、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内)までに代金満額相当の現金を得ることが困難なものは違反になります(「支払遅延」に該当。)。

3

振込手数料を負担させることの禁止

中小受託事業者との合意の有無にかかわらず、振込手数料を中小受託事業者に負担させ、製造委託等代金から差し引くことは違反になります(「減額」に該当。)。

5.最後に

常時使用する従業員数を把握するのは容易ではないように思いますが、委託事業者も中小受託事業者も気をつけましょう。

2025年11月25日 國村 年

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください