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SBI証券が新規上場の株価操作で証券取引等監視委員会が金融庁に勧告へ!

テレビ朝日によると、新しく上場する企業が株式を公開する際株価を釣り上げる株価の操作をしていたとして、証券取引等監視委員会はSBI証券に対して行政処分を行うよう金融庁に勧告しました。

証券取引等監視委員会によると、SBI証券は3つの新規株式上場で最初に付く値を釣り上げる目的と知りながら、遅くとも公開2日前には金融仲介業者を通じて株式の買い注文を出すように香港の現地法人社員らに指示しました。

その後、顧客に勧誘し、公開前に買い注文を受けました。

証券取引等監視委員会はこれらの行為について公正な取引をゆがめ、株価を操作した違法行為にあたると認定し、金融庁に行政処分を勧告しました。

今後、金融庁が業務改善命令などの行政処分を検討します。

SBI証券は勧告を受けて「内容を厳粛に受け止め、改善・再発防止に取り組む」とコメントしています。

こういう証券会社が主幹事をやっていいのだろうか?と疑問に思いますね。

こういう証券会社の行為が株式市場の信頼性を落としますので、厳格な処分をしてほしいと思います。

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東証が親子上場の意義を開示要請!

日本経済新聞によると、東京証券取引所は親子関係や持ち分法適用関係にある上場会社1,000社超に対して、12月中にも、企業統治に関する情報開示の拡充を求めるようです。

企業側は上場子会社を持つ意義や、子会社の独立性確保のための取り組みなどの説明が必要になります。

少数株主の利益を脅かしかねない親子上場などには相応の説明責任を求め、市場全体の魅力向上につなげます。

情報開示の拡充は、上場子会社や上場関連会社を持つ親会社・大株主側と、株式を持たれている子会社・関連会社側の双方が対象となります。

親子上場では、親会社が企業グループとしての利益を優先することで子会社に不利益になるような経営を進めても、子会社の少数株主がその決定を覆すのは難しいなどの問題が指摘されています。

上場各社は取り組み内容を、東証に提出するコーポレート・ガバナンス報告書に記載します。

開示は義務ではないが、東証は上場企業への通知文に「(開示事項が)投資判断上重要であり、投資家との対話の出発点となる」と記載して対応を促します。

親会社・大株主側には、子会社や関連会社を持つことになった経緯や、それらの上場を維持しておくことの合理性などの説明を求める。子会社や関連会社の役員の指名プロセスへの関与方針や、役員の選解任議案での議決権行使の考え方なども示すようにします。

子会社・関連会社側には、親会社や大株主が掲げるグループ経営に関する考え方を代わりに説明するよう求めます。

グループの事業ポートフォリオにおける自社の位置づけを示し、グループ会社間で資金管理をしている場合はその意義の開示を要請します。

少数株主保護のため、自社の意思決定プロセスへの親会社や大株主の関与の有無や内容なども示すようにします。

グループ間取引や完全子会社化といった利益相反懸念のある行為を監督する特別委員会を設置している場合、委員の構成や実際の活動状況などを開示するように求めます。

東証は親子上場に関する開示要請とあわせて、親会社や個人の支配株主を持つ上場会社で独立社外取締役が果たすべき役割をまとめた通知も出します。

独立社外取締役は「少数株主の利益を保護するという重要な責務を負う」と明記し、取締役会や特別委員会での役割などを示します。

独立社外取締役が役割を十分に発揮できるよう、取締役会をはじめ会社側にも体制を整備するよう求めます。

東証が企業に開示拡充を求める背景には、親子上場自体は減っているものの、持ち分法適用関係にある上場企業はむしろ増えていることがあります。

東証によると、親子上場に厳しい目が向けられるようになり、上場子会社は2022年時点で約260社と4年間で18%減少しました。

ところが、発行済み株式の20%以上50%未満を保有する大株主(個人株主を除く)を持つ上場会社は2022年時点で約960社と、4年間で27%増えています。

上場企業間での資本業務提携が増えていることが大きいようです。

2019年にはアスクルの株主総会で社長と独立社外取締役の選任議案に、株式の4割超を握るヤフー(現LINEヤフー)が反対し、否決となりました。

東証は実質的な支配力を持つ株主がいる上場会社における少数株主保護の枠組みなどを議論するため、2020年1月に外部の専門家でつくる研究会を立ち上げました。

研究会は同年9月に中間整理をまとめて以降、中断していましいたが、2023年1月に再開して議論を進めてきました。

研究会では独立社外取締役の実効性を高めるため、選任議案には「マジョリティー・オブ・マイノリティー(MOM)」と呼ぶ手法を採用する案が浮上しました。

MOMでは利害関係のある大株主を除いた少数株主の過半の賛同が必要になります。

こうしたルールの導入には上場制度の見直しが必要になるため、今後東証で論点を整理した後、研究会で改めて議論します。

個人的には、業績の良い子会社を上場させて業績の悪い上場親会社が資金を調達したり、業績の良いグループの稼ぎ頭を上場させることにより上場親会社に帰属する利益が減少したり、上場しても親会社の影響を受けているなど、親子上場には以前から疑問を抱いていますが、これを契機に親子上場を認めない方向で議論が進んでいくといいなぁと思いますね。

海外の投資家が日本市場に投資するのを嫌がる理由の一つに親子上場があるとも聞きますし。

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Jリーグがサッカー全体の成長のためIPO候補として上位10クラブを支援!

ブルームバーグによると、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は競技成績や人気、経営力で優れた上位10クラブ程度を新規株式公開(IPO)の候補として財政・情報面で重点的に支援していくそうです。
上場による資金調達の選択肢拡大などを通じてクラブやリーグ全体の成長につなげる狙いです。

Jリーグ(東京都千代田区)の青影宜典執行役員がブルームバーグの取材で明らかにしました。
資金調達が有力選手の獲得やインフラ整備などクラブの競技力強化に資するうえ、上場による認知度の向上や経営管理体制の整備も期待できます。

また、一部の海外投資家がクラブへの出資に興味を示す中、投資リターンを確保する道筋を上場という形で提供できます。
青影氏は「これまでクラブに出資したいという投資家にとってエグジット(出口)の道は無かったが、上場解禁で将来の戦略が立てられるようになった」と語りました。

欧州ではイギリスのマンチェスター・ユナイテッドがニューヨーク証券取引所に上場するなど、公開クラブは10を数えます。
クラブは上場することで国内外からの資金調達、知名度向上、経営管理体制の強化が可能になります。
調達した資金は選手の獲得、スタジアムの建設などに充てられています。

ことし30周年を迎えたJリーグですが、数年前は新型コロナウイルスのまん延でリーグ戦が長期中断、存続の危機にも直面しました。
その後、入場規制とともに再開したもののスポンサー収入が減少、コロナ禍における成長のための施策の一つとしてクラブの上場解禁を決めました。

上場解禁がJリーグの理事会で決議されたのは2022年2月です。
旗振り役はデロイトトーマツコンサルティングで企業再生を担当した経歴のある青影氏と、当時の専務理事でゴールドマン・サックス証券で債券営業部長を務めた木村正明氏でした。
木村氏はファジアーノ岡山の筆頭株主でもあります。

関係者によれば、現在Jリーグに所属する2チームが上場を検討しているようです。
これについて、Jリーグの仲村健太郎広報担当はコメントを控えるとしています。

青影氏によれば、外国人投資家からのクラブ投資に関する問い合わせは多く、出資を検討している投資家もいるそうです。
一方、上場は「一つの手段、目的はリーグ全体を活性化して成長すること」で、いつまでに何クラブを上場させるというような数値目標は設定しないようです。

Jリーグは青影氏が管轄するクラブライセンス事務局で約60クラブの経営情報を把握、上場に関する必要な情報を共有していきます。
また、昨年リーグ全体で年間114億円あったクラブへの配分金は今後、競技成績や人気などに応じて上位を占めるチームへの傾斜配分を強めることも検討します。

一方、青影氏は上場のためには「難題をクリアしなくてはならない」と指摘、現状では対象となる10クラブ程度の全てが上場に相応しい基準には達しているわけではないとの認識を示しました。
そのうえで、「世界に認められるチームを作ってほしい」と各クラブによる今後の経営努力に期待をかけました。

それほど儲かっているクラブがあるようには思いませんので、IPOはそう簡単ではないとは思いますが、IPOできるようなクラブが日本にもできて、Jリーグの底上げが図られて、活性化すると素晴らしいですね。
日本選手が世界的レベルのクラブでたくさん活躍していますが、Jリーグのクラブに所属している外国人選手が、ワールドカップなどで活躍する姿を観られるようになるのも楽しいでしょうね。

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ファーストリテイリングの柳井氏が同社株約175万株(時価約600億円)を売却!

Bloomberg によると、カジュアルファッションのチェーン店「ユニクロ」などを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、同社株175万500株を市場内で売却したことが、先日、変更報告書で明らかになりました。

開示資料によると、柳井氏は2023年7月18日から31日にかけて市場内で株式を売却し、同氏の保有比率は従来の20.32%から19.23%に低下しました。
8月3日の終値3万4,140円で換算すると、約600億円の価値に相当します。

同社株は年初来で27%の上昇とTOPIX(20%の上昇)を上回るパフォーマンスを示しています。
2023年7月13日に発表したところによると、8月決算における通期営業利益の予想を3,600億円から3,700億円に増額しました。

ちなみに、ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、柳井氏の資産総額は372億ドル(約5兆3,000億円)に達し、国内では1位、アジアでは6位の富豪です。

1%くらいで約600億円とはすごいですね。
上場企業のオーナーは、たくさん株式を持っている方も多いですが、インサイダー情報を持っていますので、株式を売却できるタイミングが非常に限定されますので、株式を売るのも大変ですね。
夢がある話しだと思いますので、こういうニュースを見て、起業をして、大成功される方が増えるといいなぁと思った1件でした。

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国税ショックに揺れるスタートアップの報酬制度!

東洋経済によると、「われわれの想定とは、まったく違う税務上の解釈となりました」と、6月上旬、都内に本社を置くあるスタートアップ企業の経営陣は、社員にそのような説明を行いました。

事の発端は5月29日、あるストックオプション(SO)の税率をめぐって国税庁が示した見解にあります。
SOはあらかじめ決めた価格で自社株を買える権利で、「株式購入権」ともいいます。
そのうち「信託型SO」が焦点となりました。

スタートアップ関係者らを集めて開かれた説明会の場で国税庁の担当者は、「(SOの)権利行使と株式の交付が行われている場合、給与課税の対象となり、源泉所得税の納付が必要」などと指摘しました。
これにより、約800社に及ぶとされる信託型SOの発行企業には突如、追加の税負担が生じることとなりました。
冒頭の会社もその一社です。

株売却時の課税のみと考えられていたSOは通常、役員や社員に直接与えられます。
それに対して信託型では、信託会社などにオプションプール(SOの交付枠)として割り当て、信託契約期間中や契約終了時に、企業が指定する役員や社員などに同一条件のSOを交付します。

発行時に、誰にどれだけ権利を与えるかを決めておく必要がなく、SOの発行後に入社した人も同一条件でSOを得ることができる公平性などを売りにしていました。
従来、この信託型SOは、SOの行使時に給与所得課税は行われず、株式売却時の譲渡益課税のみになるとの見方が広がっていました。

ところが、国税庁が示した見解に沿えば、役職員が信託型SOを行使した時点で、給与所得として最大55%の課税がなされます。
20%の譲渡益課税が生じる前の時点で、キャッシュインなき課税が発生するのです。

SOの行使と株式の売却でキャピタルゲインを得て20%の納税をすでにしていても、過去5年にさかのぼり、給与所得として追徴課税されます。
年収4,000万円を超えていた場合は、最高税率55%が課せられます。

「所属会社の税解釈を信じてお金を使い切っていた場合、納税のために家などの資産を手放さざるをえない人が出てくるのでは」と、スタートアップ関係者からは不安の声が上がっています。

信託型SOを導入していた会社やそれを支援していたコンサルティング会社などは行使時点の課税について、一貫して負担は生じないと見ていました。
しかしながら、国税庁の説明で、それがひっくり返ることとなったのです。

源泉所得税を徴収して納付する立場の企業では、会計上の損失計上が必要になる可能性もあります。

日本公認会計士協会や企業会計基準委員会(ASBJ)の見解次第では、信託型SOを発行し、すでに役職員による行使が行われていた場合、追加の税負担を会計上で処理しなければならなくなります。
上場企業では、人工知能(AI)開発で知られるPKSHA Technologyなどで、その影響が大きいとみられています。

いったいなぜ、このような事態になってしまったのでしょうか?
あるベンチャーキャピタルの幹部は、「信託型SOはもともと課税関係がグレーだった。今回の件を機に抜け道がふさがれたのはよかった」と指摘しています。

一方で、投資先が信託型SOを導入している別のベンチャーキャピタルの幹部は、「多くの会社が慎重に調べて信託型SOを導入している。課税関係はクリアだったと信じており、国による後出しじゃんけんは許せない。『税金が安い』と推奨してきたコンサル会社の罪も大きい」と憤っています。

立場によって見方は分かれますが、国税庁は説明会当日、日本のスタートアップにとって追い風となるSOの環境整備策も公表しています。
それは一定の要件を満たすことで、税制の優遇措置を受けることができる「税制適格SO」の行使時における新たな株価算定ルールです。

従来は明確な算定式がなく保守的な運用が行われていましたが、新ルールによって、20%の譲渡益課税のみで済む税制適格SOが発行しやすくなるでしょう。
信託型SOの特長だった低い行使価格で、税制適格SOを発行できるメリットが生まれます。

自社でも信託型SOを発行していたフォースタートアップスの志水雄一郎社長は、「株価算定ルールが新しくなったのは画期的。既存の信託型SOを新しくして、税制適格SOの仕組みにつくり直すところが多くなるだろう」と予測しています。

SOの環境整備をめぐっては、政治による後押しも進んでいます。
自民党は2023年5月に公表した提言で、株主総会の決議事項であるSOの行使期間や期間に関する承認を取締役会に委任できるよう会社法を改正することなどを求めました。
政府の側も、使い勝手のよいSOの制度設計はスタートアップの人材獲得力向上に欠かせないという意識を持っているようです。

「国税ショック」を機に、日本のスタートアップの活性化に弾みをつけられるでしょうか?

結構、コンサル会社や信託銀行が勧めて、稼いでいたのではないかと思いますが、冷や汗ものでしょうね。
まぁ、明確になったということで良かったというべきかもしれませんが。
税制適格SOの方は良かったですね。

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公正取引委員会がIPOで一方的値決めのみずほ証券を「注意」!

日本経済新聞によると、公正取引委員会はIPOを巡り、みずほ証券を「注意」したようです。
公正取引委員会は、先日、みずほ証券に対して「注意」をしたと発表しました。
新興企業の新規株式公開(IPO)で「公開価格」を設定する際に、主幹事証券会社の優位な立場からの一方的な値決めとみられる行為があり、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)につながる恐れがあると判断しました。

公開価格が低くなったことでスタートアップの資金調達に不利益を与えた可能性があるとして、改善を促します。

公正取引委員会によると、みずほ証券は20206月〜2021年5月に東証に上場した企業21社の主幹事を担当し、このうち2社について企業側の主張を下回る想定発行価格を提示するなどしました。
2社の上場後に最初に売買が成立した「初値」は公開価格の2倍以上になったといい、公正取引委員会は「新規上場会社はより多くの資金を調達できた可能性があった」と問題視しました。

独禁法違反が疑われた場合公正取引委員会は、違反行為の再発防止を求める行政処分の「排除措置命令」のほか、違反の疑いがある行為の取りやめを求める行政指導の「警告」や、違反はないが未然防止を図るため口頭で行う「注意」の対応を取ります。

今回はみずほ証券に明確な違反行為はなく、既に社内マニュアルの改定など改善を図る取り組みを進めていたことから「注意」に当たると判断した。
みずほ証券は、先日、「注意を真摯に受け止め、引き続き、合理的かつ適正な公開価格設定プロセスとなるよう、努めていく」とコメントしました。

IPOの手続きは新規上場企業から手続きを受託した主幹事証券が、上場する株式の大部分を引き受け、市場取引前の公開価格で投資家に販売します。

公開価格の設定に当たっては、市場の需要を適正に判断することが不可欠となります。
このため日本証券業協会の規則などは、類似企業の株価や業績を基に、投資家へのヒアリング結果を加味した上で価格帯を設け、主幹事証券が企業側と協議して決めるよう定めています。

今回、公正取引委員会が価格決定の過程に問題があるとした行為は2件あります。
一つは企業が想定発行価格について、主幹事以外の証券会社から意見を聞く「セカンドオピニオン」です。
客観的な視点から価格の妥当性を検討できるとともに、証券会社間の競争を促す手続きだが、みずほ証券は価格の参考にしていなかったと認定されました。

投資家へのヒアリングの経緯も注意の対象となりました。
みずほ証券は価格決定前に機関投資家などから需要を聞き取った際、自らが想定した価格よりも高い評価を聞いたにもかかわらず、意見を聞き入れなかったようです。

一方で、みずほ証券は最終的に2社側に公開価格の決定根拠を説明したことから独禁法違反とまで認定できないと判断しました。
2件の行為について「一方的に価格を低く設定することにつながり、新規上場会社側に不当な不利益を与える恐れがある」として、同様の行為を繰り返さないよう注意しました。

みずほ証券は2020年以降の3年間に毎年20〜30件前後のIPOで主幹事証券を務めました。
件数ベースでみると、全体の2割超を占め、2021年のシェアはトップ、他の2年も2位でした。

政府は2021年6月に閣議決定した成長戦略実行計画に「IPOの価格設定プロセスの見直し」を明記しました。
日本の公開価格が初値を大幅に下回っているとして、値決めの適正化を図ってきた経緯があります。

公正取引委員会は2021年8月からIPOで上場した国内企業や証券会社に、書面と聞き取りでの調査を開始しました。
2022年1月の報告書で、立場の強い主幹事証券が一方的に適正でない公開価格を設定し新規上場企業に不利益を与えるのは、独禁法が禁じた「優越的地位の乱用」に当たる恐れがあると言及していました。

日本証券業協会も実態把握を進めた上で2022年2月、公開価格について各証券会社が会社側に十分な説明を果たす、といった改善策をまとめました。
2022年6月以降に順次規則を改定して是正を進めています。

▼公開価格
企業の新規上場に当たり、事前に主幹事証券会社が投資家に販売する際の株式の価格。
一般に、まず類似企業の株価や業績などを基に「理論価格」を算出し、続いて相場環境などを考慮して一定割合を差し引いた「想定発行価格」を出します。
機関投資家から妥当な株価水準を聞き取って「仮条件」と呼ばれる価格帯を設け、最終的に主幹事証券が企業側と協議して決定すべきだとされています。

政府の成長戦略会議は2021年、株式公開後に市場で成立する「初値」が公開価格を大幅に上回るとして、新興企業の資金調達の足かせになっていると是正を求めました。

一方、証券業界は日本の新規株式公開(IPO)が欧米に比べて小規模で、個人投資家の買い注文により初値が上昇しやすいと反論しました。

公開価格が過小との批判は当たらないとする声もあります。
公正取引委員会は2022年1月に公表した報告書で「(一方的な価格設定で)新規上場会社に不当に不利益を与える明確な実態は確認されなかった」としました。
しかしながら、優位な立場にある証券会社が企業側に合理的な根拠を説明せずに価格を低く決めた場合は、独占禁止法に抵触する恐れがあるとも指摘しています。

みずほ証券は誰のために仕事をしているんでしょうね。
別の報道などを見ると、公開価格を高くしすぎると株を売りにくくなるため安くしているようなことが書かれてありましたが、それって、結局、投資家に儲けさせて、投資家の取引を増やそうとか継続してもらおうという意図があるのではないかと邪推していまいます。

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東証の暫定組の猶予2026年3月までとなり上場維持へ改革が急務!

日本経済新聞によると、東京証券取引所は、先日、プライム市場などの上場基準に満たなくても暫定的に上場を認める「経過措置」を実質4年で終わらせる案を発表しました。
経過措置は2022年4月の市場再編を起点に3年で終了し、その後1年の改善期間を設けます。
それでも基準を満たせなければ監理・整理銘柄に指定され、上場廃止になります。
プライム市場で基準を満たしていない約270社は上場維持に向けた経営改革が急務となります。

東京証券取引所は2022年4月にプライム、スタンダード、グロースの3つに市場を再編しました。
プライムは大株主や役員などの保有分を除く流通株式ベースで時価総額100億円以上、スタンダードは10億円以上といった基準を新たに設けました。

この際、すでに東証に上場している企業に対し、プライムなどの基準に満たなくても暫定的な経過措置として上場を認めたのです。
経過措置の対象は2022年12月末時点でプライムが269社、スタンダードが200社、グロースが41社あり、各市場の1〜2割を占めています。

東京証券取引所は当初、経過措置は「当分の間」とし、期間をはっきりさせていませんでした。
市場では「上場のダブルスタンダード(二重基準)」との批判がありました。
東京証券取引所は有識者会議での議論を踏まえ、先日、制度改正案をまとめ、「3年プラス1年」という期間を打ち出しました。
早ければ今春にも適用されます。

経過措置の終了時期は決算期によって異なります。
3月期決算の場合は2025年3月まで、9月期決算なら2025年9月までとなります。
それぞれその後1年が改善期間となります。

それまでに基準を満たせなければ監理銘柄・整理銘柄に指定されて上場廃止になります。
監理銘柄と整理銘柄の指定は通常3か月以内ですが、特例として指定期間を6か月としました。
既存株主が保有株を売ることのできる機会を確保するためです。

プライム上場の経過措置企業は、新しい制度が始まってから6か月間は審査なしでスタンダードに移れるようにします。
旧東証1部企業は市場再編に合わせてプライムかスタンダードに移りました。
プライム基準には遠かったが最上位市場にとどまりたいとしてプライムを選んだ企業は一定数あります。
こうした「背伸び組」への救済措置となります。

一方、スタンダードの経過措置企業には救済措置はありません。
グロースはスタートアップなど成長企業を対象にし「市場の性質が異なる」(東京証券取引所関係者)ためです。

経過措置の対象企業は、上場維持基準を満たすために計画を策定し、進捗状況を定期的に公表する必要があります。
計画をいつまでに達成するかは企業に任されています。
プライムの場合、達成までの期間を2〜3年とした企業が97社と全体の4割弱を占める一方、5年以上とした企業も21社ありました。

計画達成までの期間が今回定めた猶予期間(実質4年)を超える企業は、猶予期間が終わっても計画の期間中は監理銘柄にとどめ、上場廃止にしない特例を設けました。
ただし、監理銘柄となることで、投資家の目線は厳しくなります。

基準を満たしていない企業は、収益の改善によって流通時価総額を上げたり、創業オーナーの持ち株を放出して流通株式比率を高めたりする必要があります。
2028年5月に基準を満たすことを目指しているプライム暫定組のファーマライズホールディングスは以前から「計画の前倒しを含めて検討していく」としていました。
2028年3月の達成を目標にするピーバンドットコムは「プライム上場維持を第一に何をすべきか経営陣で検討する」考えのようです。

課題だった経過措置の期限を巡る議論の終わりが見えてきましたが、これだけで投資家の評価が高まるわけではありません。
市場では「プライムの銘柄数が多すぎるのが問題で、少なくとも半分にするなど大きく減らしていくべきだ」(エピック・パートナーズ・インベストメンツの武英松代表取締役)といった声もあるようです。

東京証券取引所は今回、企業に企業価値向上に向けた意識改革を促す方策もまとめました。P
BR(株価純資産倍率)が1倍を割れるなど株価の低い企業に対し、資本コストなどを踏まえて企業価値を高める取り組みや進捗状況を開示するよう要請します。
プライムだけが対象だった英文開示をスタンダードやグロース企業にも求めるようにします。

市場再編の目的は上場企業の新陳代謝を促し、株式市場を再活性化することにありました。
ゴールはいまだ遠く、継続的な制度改正が課題となります。

再編時に、こんな中途半端なことで世界の投資家から評価されるのだろうかと思っていましたが、ようやく改正がなされるようで嬉しいです。
従来のいわゆる『東証一部上場企業』でも、聞いたことのない企業が託さ案あったわけですから、僕も個人的には、プライムは半分以下にすべきだと思っていますし、東京証券取引所の存在感を高めるためにも上場企業としてふさわしくない企業は上場廃止にすべきだと思います。
証券市場は、会社側の肩書きのためのものではありませんので。

東証の暫定組の猶予2026年3月までとなり上場維持へ改革が急務であることについて、どう思われましたか?


IPOの減少予想広がりスタートアップ企業の目線はM&Aに!

2022年04月14日(木)

“上場熱”が高かった2021年から一転して2022年は新規上場数が減少するとの市場予想が広がっているようです。
株安傾向が続く2022年の市場動向やウクライナ情勢への懸念からIPOを目指す企業にとって厳しい環境となっています。
東京商工リサーチの全国「IPO意向企業」動向調査によると、株式上場(IPO)の意向を示す企業は1,857社だった一方で、業績伸び悩みの傾向があると分析し、「世界経済の混乱による投資家心理の冷え込みや株価低迷でIPOは逆風となっている」と指摘しています。

東証1部に上場予定だった住信SBIネット銀行は2022年3月7日に上場延期を公表し、「ウクライナ情勢や最近の市場動向など様々な環境の変化を総合的に勘案」との延期理由を表明しました。
期待していた株価や上場メリットが得られないと判断すれば、今後もIPOを延期する企業が出てくる可能性があります。

2021年には14年ぶりにIPOが100社を超え、136社が上場しました。
ただし、2022年4月の東京証券取引所の市場再編を前に、大企業が上場する子会社を非上場化するトレンドもあり、あえて上場を廃止する企業も数多くありました。

全国「IPO意向企業」動向調査の業種別では情報サービス・制作業が540社と全体の約3割を占め、システム開発やweb関連サービスといったIT関連企業が多く、ベンチャーやスタートアップ企業などで構成されています。
売上高では年商50億円未満が84.3%で、従業員数は50人未満が約6割と中堅・中小企業が主体となっています。
ただし、比較可能な最新決算で、IPO意向企業1,422社を合算すると、売上高が8兆8,062億円と微減となっています。
さらに、1,174社の当期利益は1,602億円の赤字で、うち4割が赤字と伸び悩みを示す結果となりました。
スタートアップ企業などは初期投資を負担するため赤字から事業を始めるケースが多いとされています。
東京商工リサーチはコロナ禍で「利益確保が難しく赤字に転落するIPO意向企業が目立っている」と指摘しています。

スタートアップ企業の支援を打ち出す日本M&Aセンター取締役の渡部恒郎氏は「2022年のIPOは厳しい環境となっている。アメリカの中央銀行にあたるFRBによる金融引き締めがあり、国内市場の株価も落ちているため、IPO意向企業が当初、見込んでいた株価が非常に低くなり、IPO数が鈍ってくる可能性が高い」と話しています。
スタートアップ企業がIPOではなく、アメリカ市場のようによりM&Aを選択する可能性を予想しています。
2021年には後払いサービスのペイディがIPOではなく、M&Aを選び、アメリカ決済大手ペイパル・ホールディングスに3,000億円で買収されました。
今後、IPOを目指す企業がどう対応するか注目されます。

上場しても思ったような株価が付かないと予想されるとなると、上場を延期したり、あきらめたりする企業は当然出てきますよね。
そうなると、M&Aに走ることになるでしょう。
株式市場が活性化しないのは残念ですが、一方で、M&A市場は活性化するでしょうから、しかたないですね。
どちらにしても、企業価値を高める努力をしないといけないということに変わりはないと思いますので、IPOやM&Aをゴールとして見据えるのではなく、スタートとして考えて欲しいですね。

IPOの減少予想広がりスタートアップ企業の目線はM&Aになっていることについて、どう思われましたか?


市場再編直前の2022年1月から3月に「東証上場」を廃止した企業!

M&A Onlineによると、2022年も第1コーナーを終えましたが、1~3月に東証上場を廃止した企業は25社を数えます。
これまでの1部、2部、ジャスダック、マザーズという市場区分を再編する約60年ぶりの歴史的な東証改革のスタートを前に、株式市場から「退場」しました。

道路舗装最大手のNIPPOは2022年3月28日に東証での最後の取引を終え、翌29日付で上場廃止となりました。
1949年以来73年に及ぶ東証1部上場にピリオドを打ったのです。

NIPPOの親会社は石油元売り最大手のENEOSホールディングスです。
2021年秋、アメリカ金融大手ゴールドマン・サックス(GS)と組んで、NIPPOの非公開化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施しました。
親子上場を解消し、株式売却で得られた資金を脱炭素化に向けた成長分野への投資に充てるのがENEOSの狙いでした。

道路舗装をめぐっては公共工事の減少で市場が縮小に向かっています。
NIPPOはGSの主導で海外事業、不動産開発事業を中心に成長戦略を推し進め、将来の再上場を目指すとみられます。

青森銀行、みちのく銀行は4月1日に経営統合で持ち株会社「プロクレアホールディングス」をスタートしました。
持ち株会社が上場するのに伴い、青森、みちのくの両行は3月30日に上場廃止となりました。

スーパー業界ではイオン系のマックスバリュ西日本が同業のフジとの経営統合で2月末に、東証2部への上場が廃止となっています。

上場廃止の理由はさまざまですが、最も多いのが親子上場の解消で、次いで創業家ら経営陣による買収(MBO)、経営統合、投資ファンド・同業他社による友好的な買収、業績悪化で上場基準を満たせなくなった場合などがあります。
経営破綻のケースはまれです。

2022年1~3月期に東証上場廃止の25社の場合はどうでしょうか?
4割以上にあたる11社が親子上場の解消、つまり、親会社による完全子会社化です。

例えば、三井金属鉱業は三井金属エンジニアリング(東証2部)、品川リフラクトリーズはイソライト工業(東証1部)、ナカバヤシは国際チャート(ジャスダック)、凸版印刷はトッパン・フォームズ(東証1部)を完全子会社化しました。

MBOによる非公開化は4社でした。
鴨川グランドホテルは国内投資ファンドの日本産業推進機構(東京都港区)の傘下入りに伴い、3月上旬、ジャスダック上場を廃止しました。
鴨川グランドホテルはファンドの支援を得て、従来の経営陣が主体となった再建を進めます。

東証1部で紳士服・婦人用スーツのオンリーも1月半ば、株式市場から退場しました。
創業者で筆頭株主の中西浩一取締役相談役らの意向によります。
ビジネスウエアのカジュアル化でスーツ需要が減っていたうえ、コロナ禍によるテレワーク導入などで市場がさらに縮小する中、中長期的な観点から経営改革を進めるには非公開化が必要だと判断しました。

不祥事による退場も1社ありました。
マニュアル制作のグレイステクノロジーは架空売り上げの計上など粉飾問題で2月末に東証1部上場の廃止に追い込まれました。

ちなみに、東証は4月4日に大企業向け「プライム」、中堅企業向け「スタンダード」、新興企業向け「グロース」の3市場に再編されました。
1961年に「2部」を開設して以来の約60年ぶりの大改革で、各市場の位置づけを明確にし、国内外からの投資を呼び込むことを狙いとしています。

投資家としては、上場廃止は避けて欲しいですよね。
スクイーズアウトされたり、株式交換でまったく違う業種の株になったりしますから。
ちなみに、僕は以前、四国コカ・コーラボトリングの株を持っていて、株主優待でコカ・コーラなどをもらうのをすごく楽しみにしていましたが、株式交換で日本製紙の株になり、今ではトイレットペーパーなどになってしまいましたから(笑)。
親子上場は疑問を持っていますので解消はいいことだと思いますが、再上場をする企業もありますが、上場する以上、安易に非上場化することなどさけて欲しいと思います。

市場再編直前の2022年1月から3月に「東証上場」を廃止した企業について、どう思われましたか?


投資ファンドがストライプインターナショナルの全株式を取得!

山陽新聞によると、カジュアルアパレル大手のストライプインターナショナル(岡山県岡山市)は、先日、ストライプインターナショナルの全株式を、ティーキャピタルパートナーズ(東京都千代田区、TCAP)の運営する投資ファンドが取得したと明らかにしました。
取得額は非公表です。
本社は引き続き岡山に残すようです。
ストライプインターナショナルを創業した石川康晴氏は、筆頭株主の立場から離れます。

ファンドの傘下に入ることで事業変革のスピードを増し、目標に掲げてきた新規株式公開を目指すのが狙いのようです。
ストライプインターナショナルは、「TCAPの豊富な投資実績に基づく経営ノウハウを生かし、より一層の企業価値向上を図る」としています。

ストライプインターナショナルの株式はこれまで、石川氏が関連会社なども含めて8割を保有していました。
他の株主分を含めた全株式を投資ファンドが買い取り、石川氏はファンドに出資する形で実質的な主要株主として残ります。
ストライプインターナショナルの常勤取締役の立花隆央社長と張替勉専務は現職にとどまり、TCAPから過半数の非常勤取締役を迎える予定です。

ストライプインターナショナルは、2020年3月、社長だった石川氏が退任しました。
新型コロナウイルス禍が逆風となり中国での自社ブランド販売からの撤退や一部ブランドの終了、東京で営業していたホテルの閉鎖といった事業リストラを進めていました。
購買の場が実店舗から電子商取引(EC)へと移り変わる中、全国への多店舗展開で成長してきたストライプインターナショナルはEC販売比率が1割前後にとどまるなど、デジタル化への対応にも課題を抱えていました。

ストライプインターナショナルは1994年、石川氏が岡山県岡山市内にセレクトショップを開いて創業し、翌1995年にクロスカンパニーとして設立されました。
1999年に製造から小売りまで手掛けるSPA業態に転換して、自社ブランド「アースミュージック&エコロジー」のヒットなどで急拡大しました。
アパレル事業はベトナムや台湾でも展開し、店舗数は国内外計1,500店です。
資本金は1億円、2021年1月期のグループ売上高は1,011億円、従業員約3,400人です。

TCAPは1991年に東京海上キャピタルとして設立し、2019年にMBO(マネジメントバイアウト)が行われ現社名となっています。
アパレルのほか幅広い分野に投資しています。

我が香川県高松市にも数年前に出店して、結構バーゲンばっかりやっているなぁと思っていたら閉店していましたが、岡山県では勢いのある会社だと思っていました。
IPOを目指しているのは以前、何かに書いてあったのを見たことがあると記憶していますが、あまりにも大きくなりすぎて、自力では無理と判断したということなんでしょうね。
最近、会社が大きくなりすぎると、創業社長とかサラリーマン社長では限界があり、プロの経営者が必要になるんだなぁと思うことが多々あります。
日本にも、プロの経営者が必要な時代になってきたと思いますし、我が会計業界でも資格を持たないプロの経営者がたくさん出てきているという話も耳にします。

投資ファンドがストライプインターナショナルの全株式を取得したことについて、どう思われましたか?


IPOの活況を背景にどこ吹くコロナの新富裕層が台頭し金融機関が熱視線!

日本経済新聞によると、数十億円以上の金融資産を持つ超富裕層が世界で拡大しているようです。
世界的なカネ余りによる新規株式公開(IPO)の活況などが背景にあり、新型コロナウイルス禍もどこ吹く風で潤っているようです。
若い世代も増え、マネーの流れの景色を変えつつあります。
各国の金融機関や税務当局は新たなお金持ちたちへのアプローチに躍起となっています。

コロナ危機で世界経済が戦後最悪のマイナス成長に陥った2020年ですが、フランスのキャップジェミニの調べによると、金融資産を100万ドル(約1億1,000万円)以上保有する富裕層は前年から6%増えて2,080万人に拡大したようです。
最上位の「ウルトラ・ハイネット・ワース」と呼ばれる金融資産3,000万ドル以上の層も10%増の20万人に達しました。

国別で富裕層が最も多いのはアメリカで、日本が続いています。
日本は先進国の間でも人口規模が大きく、一般に金融資産を比較的多くもつ高齢者の割合が高いことも背景にあるとみられます。

新興富裕層はIPOや会社の売却を機に資産を増やす30~50代が多くなっています。
あるスタートアップの経営者はIPOで資産を一気に数百億円に増やしました。
「多くの金融機関からコンタクトがあった。うち数社と付き合っている。」。
資産の大半は自社株で、一部を現金化して不動産を購入したり新興企業に投資したりしているようです。
「普通の会社員だった」という起業前と日常は様変わりしました。

海外をみても長者番付の上位はテクノロジー企業の創業者が常連となっています。
アメリカのアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス氏、アメリカのテスラのイーロン・マスク氏などが代表格です。

2021年の世界のIPO件数は9月末時点で2020年の通年実績を上回りました。
長引くコロナ禍で金融緩和が続き、あふれるマネーを吸い寄せます。
高インフレの波で金融政策が緩和一辺倒から転換しても構図はすぐには揺らぎそうにありません。

金融ビジネスも変化を迫られています。
みずほフィナンシャルグループは2021年12月末、銀行を中心に証券や信託と連携しながらワンストップで超富裕層に対応する体制を整えました。
想定するのは資産規模30億円以上の世帯で、ウルトラ・ハイネット・ワースに該当します。

既存の資産家に長い付き合いの金融機関を変えてもらうのは難しいため、台頭する新興富裕層は貴重な存在です。
みずほの酒井正之ウェルスマネジメント戦略PT長は「大きなターゲットの一つ」と明言しています。
スタートアップ支援を担当する事業部と連携し、未公開の有望企業の経営陣にはIPOよりも前の早い時期からコンタクトしています。

上場準備で伴走する主幹事証券は有利な立場にあります。
入り口で関係を構築できれば、創業者の保有株を担保にした融資や株の売り出し、不動産購入、相続手続きなど様々なビジネスにつなげられるのです。

メガバンクや証券会社、外資系金融機関が入り乱れ、あの手この手で囲い込みに動いています。
40代の富裕層の一人は「別荘探しから子どもの海外留学の手配まで何でも対応してくれる」と満足げです。

プライベートバンキングで先行する欧米の金融機関は美術品の紹介などにも力を入れています。
30~50代の新興富裕層は教育や現代アートへの投資に興味を持つ人が多いといわれています。
資産運用や相続などへの関心が大きい昔ながらの資産家のイメージは当てはまらないのです。

新たなお金持ちたちには金融機関だけでなく、税務当局も目をつけます。
日本は2021年分の確定申告から、海外中古不動産の減価償却による損金の損益通算をできなくしました。
富裕層の代表的な節税策の一つである海外不動産の購入に歯止めをかけるのが狙いです。
代わりに最近は「京都の町家などの歴史ある国内物件が節税に使われている」と明かす関係者もいるようです。

こうした節税と課税のいたちごっこという以前からの図式にとどまらない流れもコロナ下で出てきているようです。
アメリカ民主党内では、富裕層に照準を絞った「富裕税構想」が浮上しました。
株式などの保有資産について売却していなくても含み益に課税する案です。
かねてコロナ禍で格差が拡大したとの不満がくすぶっていることが背景にあるようです。

もちろん投資を促す観点からは、バランスを欠いた税制は経済の活力をそぎかねません。
日本でも岸田文雄首相が自民党総裁選で金融所得課税の強化を掲げ、波紋を呼びました。
衆院選の論戦では、ほぼ封印することになり、2022年度与党税制改正大綱でも「総合的な検討」や「是正」といった方向を示すにとどまり、事実上は先送りしました。

台頭する新興富裕層との間合いをどう取るかは、コロナ後に向けた政策課題の一つになるでしょう。

また、最近、金融所得課税の強化の動きが出てきていますね。
結構前から『貯蓄から投資へ!』と言っていますけど、金融所得課税の強化はそれに逆行しますよね。
そうなると、海外に移住する富裕層がそれなりに出てくるのではないかと思います。
稼いだ課税後のお金で投資しているわけであり、また、日本は資本主義国家なので、金融所得課税の強化は政策としてどうなのかなぁと疑問に思います。
逆に、こういった方々が、ベンチャー企業にエンジェルとして投資し、新たなビジネスや雇用を生み出し、どんどん新富裕層を増やしていくという政策の方が、夢がありますし、日本のためになるのではないかと考えています。

IPOの活況を背景にどこ吹くコロナの新富裕層が台頭し金融機関が熱視線を注いでいることについて、どう思われましたか?


公正取引委員会が「IPO割引」の慣行は「独禁法違反の恐れ」との見解を示す!

毎日新聞によると、公正取引委員会は、先日、新規株式公開(IPO)時の価格決定を巡る報告書をまとめ、証券会社が主導する現行の値決めの慣行は独占禁止法違反が発生する恐れがあるとの見解を示しました。
証券会社が価格を低く設定することで、上場する企業の調達資金や創業者らが得られる利益が少なくなることを問題視しています。

新規上場を目指す企業は、証券取引所の承認を経て、「主幹事」となった証券会社が主導する形で上場手続きを進めていきます。
説明会を開くなど投資家の需要をはかりながら、上場前に、証券会社の顧客である一部の投資家に販売する「公開価格」を決定します。
実際に上場されると幅広い投資家の間で取引が始まり、初めて付いた株価が「初値」と呼ばれます。

問題は、国内の新規上場株の初値は、公開価格の平均1.5倍もの高値が付くとされる点です。
初値が公開価格を上回れば、証券会社の顧客である投資家は含み益を得られるため、人気が高く証券会社にとっては個人投資家を呼び込む手段にもなっています。

その半面、初値での値上がりを演出するため、あまりに公開価格が低く設定されれば、企業が上場時に調達できる資金や創業者の得る利益が少なくなり、新興企業の成長にはマイナスになりかねません。

こうした現状に独占禁止法上の問題がないか、公正取引委員会は最近、国内の証券取引所に上場した企業97社と主幹事を務めた証券会社22社を対象に調査を行いました。
その結果、企業からはさまざまな不満が寄せられたようです。

その一つが、公開価格を決定するにあたり、あらかじめ価格を低くしておく「IPO割引」という慣行です。
実際、公正取引委員会の調査に答えた証券会社の63・6%が「2割以上3割未満」の割引を行ったと回答しました。

金融市場には不確実性があることから、証券会社にとっては「当然」の手法ですが、ある企業は「新型コロナウイルス感染症の拡大で(市場が不安定化しているため)、4割(低めの設定が)必要だと説明を受けた」と指摘しています。

その他にも「直接の動きが見えたわけではない」としながらも「公開価格は(証券会社内の)小売り営業の(売りやすいように引き下げろという)圧力が働いた結果の数字だと考えている」「算定根拠の説明を受けられず、交渉についても取り付く島もなかった」と証券会社に対する数々の不満があがったようです。

公正取引委員会幹部は「(主幹事の証券会社が)個人投資家に売りやすいように公開価格を下げる傾向があると言われている」と話しています。
報告書は、主幹事証券会社が企業側に十分な説明なく一方的に価格を低く設定することは、独占禁止法が禁ずる「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあるとの見解を示しました。

また、新規上場企業は主幹事証券会社より弱い立場になりやすく、「幹事社を変更したかった」と回答した企業のうち28・6%は「変更すれば上場予定日が1年ほど延びる」と証券会社から言われるなどして断念していました。
公正取引委員会幹部は「一般的には、上場手続きのプロセスが進むほど証券会社の優越的な地位が高まっていくのではないか」と分析しています。

こうしたアンバランスな状態を緩和するため、公正取引委員会は証券会社に対し、企業が主幹事を変更したい場合に配慮することや、公開価格などについて、企業が他の証券会社から意見を聞くことを阻害しないよう促しました。

これに対し、証券業界では公正取引委員会の指摘に疑問の声が相次ぎました。
人気の高い新規上場株は証券会社の想定を超えて高い初値が付くことがあり、投資家によるマネーゲームが公開価格と初値との隔たりを招いているという認識からです。
ある大手証券幹部は「現状は『プラチナチケット争奪戦』に近い。初値が上がっても、結局、半年後、1年後には公開価格と同じ程度に戻り、下回ることが多い印象がある」と話しています。
とはいえ、証券会社は新規上場株の人気を盛り上げることで、株が売れ残って自社が含み損を抱えるリスクを抑えているという状況もあります。

日本証券業協会は既に、公開価格と初値の隔たりを小さくする方策を検討中です。
公開価格を決めてから上場するまでの期間を短縮して「IPO割引」の幅を縮小したり、初値が付くまでは投資家が株の購入価格を指定しない「成り行き注文」を禁止して初値の急騰を抑制したりすることを想定しているようです。

2021年の国内新規上場企業は136社と2006年以来の高水準でしたが、新規上場時の資金調達額はアメリカの10分の1程度にとどまります。
岸田文雄政権は日本経済にとって急務である新興企業の成長に向け、こうした状況が足かせになっているとして、公正取引委員会の報告書を改善のてこにしたい考えです。

しかしながら、どれほどの効果が期待できるのでしょうか?
ニッセイ基礎研究所の中村洋介主任研究員は「そもそも上場に至る企業をいかに増やすかが肝心だ。公開価格と初値の差はあくまで課題の一つでしかない。起業家をどう増やすかや海外から投資をどう呼び込むか、規制緩和など課題が多く、他の部分でも力を入れないといけない。新規上場のプロセスだけを変えてすべてが良くなるわけではない」と指摘しています。

一方、証券業務コンサルティング業を営む資本市場研究所きずなの渡辺雅之氏は「公開価格を安くして投資家に売るよりも、証券会社には買ってくれる投資家を掘り起こす努力が必要ではないか」と語っています。

個人的には、日本を夢のある国にするには、IPOなどで大金を手にする方をどんどん増やすことが重要だと思っています。
それゆえ、『IPO割引』が当たり前になっているという状況が、今回の公正取引委員会の見解により是正されるといいなぁと思います。
IPO株の購入を申し込んでもなかなか当たりませんし、おそらく一部の人達がIPO株を買ってすぐに売って儲けているのだと思いますので、その辺りも改善されていいのではないでしょうか。

公正取引委員会が「IPO割引」の慣行は「独禁法違反の恐れ」との見解を示したことについて、どう思われましたか?


元コロプラ千葉氏が社外取締役を務める日本企業狙うSPACが上場!

日本のスタートアップを合併の対象とする特別買収目的会社(SPAC)がこのほど、米ナスダック市場に上場しました。
IT(情報技術)やドローン、人工知能(AI)などの企業を狙っています。
コロプラ元副社長の千葉功太郎氏が社外取締役を務めており、千葉氏を通じて有望な日本のスタートアップを探すようです。
米国進出を模索するスタートアップにとっては、短期間で米株式市場に上場する道が開けることになるでしょう。

SPACは「ポノ・キャピタル」です。
1年~1年半以内の合併を目指します。
主な対象はアジア企業で、特に日本企業に注目しています。
米証券取引委員会(SEC)に提出した目論見書では、日本について「世界で3番目の経済大国であるにもかかわらず、SPACの合併市場で存在感が薄い」と指摘しています。
日本企業との合併は「魅力的な時期」としています。

ポノ・キャピタルは起業家のダスティン・シンドウ氏が最高経営責任者(CEO)を務めます。
日本企業の選定のため、千葉氏を社外取に任命したとみられます。
千葉氏はドローン企業に出資するベンチャーキャピタル(VC)「ドローン・ファンド」などで投資を手掛けています。

日本企業を対象とするSPACでは「Evoアクイジション」も2月にナスダック市場へ上場しました。
プロ野球の千葉ロッテマリーンズで監督を務めたボビー・バレンタイン氏を社外取締役に迎えるなど、日本に縁のある複数の人材を採用しています。

日本の株式市場では新規株式公開(IPO)時の公開価格と初値の差が大きく、公正取引委員会が調査に乗り出しました。
日本企業を合併対象とするSPACが増えれば、国内のIPOプロセスに不満を持つスタートアップの受け皿になる可能性もあります。

こういうところが増えて、アメリカに進出するベンチャーが増えるといいですね。
ちなみに、我がクライアントも千葉さんのファンドから出資を受けていますが、すごい方なんですね。

元コロプラ千葉氏が社外取締役を務める日本企業狙うSPACが上場したことについて、どう思われましたか?


2022年から「一部上場企業」はなくなる!

ITmediaによると、「御社は一部上場とのことですが、全部上場になるのはいつですか?」と、古くから親しまれてきたこの種のジョーク、は2022年に“消費期限”を迎えることになるようです。

東京証券取引所は2022年4月4日に、これまでの「東証第一部」「東証第二部」「マザーズ」「ジャスダック」といった市場区分から、「プライム」「スタンダード」「グロース」という新たな市場区分へ移行します。
一見順風満帆にみえていた旧市場区分制度のもとでも、実はさまざまな問題が積み上がっていたことも事実です。

具体的にはまず、東証第二部とJASDAQスタンダードの位置付けが重複していることによるコンセプトのあいまいさが挙げられます。
これは、投資家にとって市場選択の利便性が低下するデメリットがありました。

次に、「入るは難し、残るは易し」という問題もありました。
これは、新規上場基準よりも上場廃止基準の方が大幅に緩いことで、本来であれば上場廃止または市場区分の格下げが必要な企業も、東証第一部上場企業であり続けられてしまう点が問題視されていました。

そこで、新市場区分では、東証第一部に相当する市場を「プライム市場」とし、東証第二部とJASDAQスタンダードに相当する市場を「スタンダード市場」、そしてマザーズ市場とJASDAQグロース市場に相当する市場を「グロース市場」と位置づけ直したのです。

このような市場区分の変更はどのような変化をもたらすのでしょうか?
今回は、「現在、東証第一部に上場している銘柄がスタンダード市場に入ってしまうのか」という点と、「東証第一部に連動している株式指数のTOPIX(東証株価指数)はどうなるのか?」という点に注目しています。

現在東証第一部に上場している会社であっても、プライム市場の上場基準を満たせなかった場合はスタンダード市場の指定となるため、実質的な「格下げ」となります。
上場基準は流動性・ガバナンス・経営成績および財政状態という3つの観点で評価されますが、現在東証第一部にある銘柄が最高位のプライム市場に残るかどうかについて、以下の点を重点チェックしています。

<プライム市場の上場基準概要>
まず確認すべきは株式の「売買代金」です。
プライム市場では、1営業日あたりの平均売買代金が2,000万円以上であることを求められています。
2021年7月21日時点のデータを確認すると、全東証第一部上場企業の2割弱に相当する457銘柄が、売買代金2,000万円位を下回っていることが分かったようです。

その中には、地方銀行株や放送局株、鉄道株など、誰しも一度は聞いたこともある企業も数多く名を連ねています。
東証第一部企業の売買高ランキングの下位をチェックするなどして、事前にスタンダード入りしそうな一部上場企業を見極めておきたいですね。

次に注意すべき点が流通株式比率です。
プライム市場ではガバナンスの観点を重視しています。
投資家との建設的なコミュニケーションが阻害される恐れがあることから、安定株主が3分の2以上の保有を許さず、外部投資家が最低でも35%以上保有すべしという趣旨の流通株式比率を求めています。

この基準は、主に親子上場の子会社にとって大きな課題となっています。
例えば、ゆうちょ銀行は親会社の日本郵政が89%保有していることが痛手となり、2021年7月9日にプライム市場の指定がない旨を東証から直々に言い渡されました。
従来から親子上場解消の動きがありましたが、東証市場再編による実質的な市場区分の格下げをきらった動きもその要因の1つなのかもしれません。

経営成績・財務状態については上場維持基準が「債務超過していないか」という点のみ記載されていることから、依然として「入るは難し、残るは易し」なきらいはあります。
したがって、2022年4月の市場再編以降は、主に売買代金と流通株式比率に気を配ることになるでしょう。

ちなみに、2021年だけでもマネーフォワードやSansanのようにマザーズ市場から東証第一部への指定替えを果たした銘柄が8つほどあります。
2021年に東証第一部に新規上場、ないしは指定替えされた銘柄も、再度の審査を経てスタンダード市場入りすることはあるのでしょうか?

基本的にこれらの銘柄は市場変更と同時にプライム市場に指定されることになります。
なぜなら、2021年に東証第一部に新規上場・市場の指定替えした銘柄は、すでにプライム市場を見据えた基準で審査が実施されているからです。

<TOPIXはどうなるのか?>
問題は、東証第一部上場企業全銘柄の株価を指数化したTOPIXです。
結論からいえば、新市場区分下のTOPIXについて、直ちに影響はない模様です。

日経平均などもそうだが、TOPIXをはじめとした指数で最も重要な点が「指数の連続性」なのです。
銘柄を入れ替えたり、基準が変わったりすることによって利害関係者が不利益を被ることは絶対に避けなければなりません。
その結果、新市場区分においてTOPIX指数は一気に様変わりするというよりも、旧市場区分から移行するインパクトを最小限に止めようと工夫がなされています。

大きな変更点は、今後のTOPIXが市場区分ではなく、流通株式の時価総額を重視するように決まったことです。
これまでは東証第一部上場企業であれば全て指数に組み込まれましたが、今回は流通株式比率などの観点で、収益や流動性の点でプライム市場並みの基準を満たす銘柄であっても、スタンダード入りする大手企業も少なくありません。

東証第一部の遺伝子をプライム市場から引き継ぐといっても、即時でTOPIXをプライム市場指数に適用してしまえば、スタンダード入りしそうな株式の大幅な売りと、プライム入りする株の大幅な買いが一気に流入し、市場は混乱してしまうでしょう。

そこで、東証は市場区分だけでなく、流動性基準の中にもある「流通時価総額100億円超」を重視し、2021年の10月に基準を満たさなかった銘柄について、四半期ごとにウェイトを低減する形で市場区分の変更とTOPIXの影響を軽減します。
これは2025年1月まで段階的に実施されていくことから、短期的な混乱は避けられるでしょう。

また、相当程度見直しが進んでいけば、従来のTOPIXの課題でもあった、衰退していたり、成長していなかったりした企業も自動的に指数に組み込まれ、TOPIX連動商品の投資家が間接的にこれらの銘柄を買ってしまう可能性も低まります。
結果として、中長期的には市場区分の変更はTOPIX自体にはプラスであると捉えることもできるでしょう。

『東証一部上場』と聞くとスゴイと思われる方が多いのかもしれませんが、会社四季報や日経新聞などで見てみると、『何をやっている会社?』、『昔は儲かっていたけど最近はさっぱり』、『この企業が東証一部上場なの?』、『不祥事などを起こしているから市場から出て行ってもらった方が良いのでは?』、『親会社も子会社も上場しているんだ。』などと感じる企業が、思っているより多いのではないかと思います。
それゆえ、今回の見直しは良いことだと思います。
また、親子上場も解消されればいいなぁと考えています。
個人的には、財務面は、債務超過かどうかだけではなく、利益額とか納税額なんかも入れてもいいのではないかと感じます。
そうすると、粉飾のリスクは高まりますが。

2022年から「一部上場企業」はなくなることについて、どう思われましたか?


「空箱」会社の上場が米国で急増しているが日本も解禁を検討しており過熱警戒!

最近よく取り上げられていますが、時事通信によると、新興企業などの買収を目的とし、自らは具体的な事業を持たない「空箱」会社の上場がアメリカで急増しているようです。
アメリカの調査会社によると、上場件数は2021年1~3月に296件と、過去最高だった2020年の通年実績を既に上回り、調達額は867億ドル(9兆6,100億円)に達する見通しのようです。

日本でも解禁に向けた検討が進んでいるようですが、投資の過熱や弊害を指摘する声もあるようです。

上場が相次ぐのは、特別買収目的会社(SPAC)です。
設立から約2年以内に有望な未公開企業を探し出して買収し、買収された企業が存続会社となります。
魅力的な企業を買収すれば株価が上がり、投資家は値上がり益を得られる。
収益はSPAC運用者の「目利き力」次第となるため、「白紙小切手会社」とも呼ばれます。

アメリカの調査会社ルネサンス・キャピタルによると、2020年のSPAC上場件数は前年比約4倍の247件、調達額は7倍近くに拡大しました。
アメリカでは、大規模な金融緩和を背景に株式などへの投資が膨らみ、SPACもその「受け皿」となったのです。

元スポーツ選手を大株主に招くなど、著名人の関与もブームを後押ししました。
買収される企業にとっては、面倒な手続きを省き、短期間で上場できる利点があります。
ソフトバンクグループが出資する共用オフィス運営のアメリカのウィーワークは、SPACとの合併を通じて年内に上場すると発表しました。
2020年には新興のアメリカの電気自動車メーカーなどが上場しました。

ただし、人気に陰りも見え始めているようです。
「SPACへの無差別な買いが続いていたが、2月中旬ごろに売りに転じた」(ルネサンス社)といい、1~3月の上場初日の株価は平均で約3%下落しました。

市場では「中期的には持続可能ではない」(アメリカの投資銀行)との声が上がるほか、情報公開が不十分な「裏口上場」だとの批判も根強いようです。

ロイター通信によると、アメリカの証券取引委員会(SEC)は金融機関に対し、SPACの監視態勢や内部統制などの情報提供を要請したようです。
問題を抱える企業の上場に警戒が強まる中、当局が近く本格調査に乗り出すとの見方も広がっているようです。

普通に考えると、実態のない企業が上場するのはどうかと思いますが、投資の対象としてはニーズがあるんでしょうね。
日本ではあまり馴染まないように思いますがどうなんでしょうか?

「空箱」会社の上場が米国で急増しているが日本も解禁を検討しており過熱警戒になっていることについて、どう思われましたか?


4大監査法人のIPO業務回避が顕著で「監査難民」解消が見えず!

日本経済新聞によると、会計監査の業界で「ビッグ4」と呼ばれる大手監査法人が、新規株式公開(IPO)の業務を回避する傾向が顕著になってきました。
2020年1~6月のIPO企業のうち大手が監査をしたのは65%と、過去最低ペースです。
水面下では、スタートアップ企業がIPOに必要なサービスを受けられない「監査難民」問題が広がっているようです。

IPO監査はかつてEY新日本監査法人、監査法人トーマツ、あずさ監査法人、PwCあらた監査法人のビッグ4が、大半を担っていました。
ところが、会計士の人手不足やIPO監査の収益性の低さから、近年は大手のシェアが下がっているのです。

2019年は78%と前の年から9ポイント下がり、大手法人の再編が一巡した2010年以降の最低を更新していました。
2020年はこれをさらに下回る可能性が大きくなってきました。

今のところ大手が手がけなくなった分は準大手が受け皿です。
金融庁によると、IPOに向けた監査の新規契約数では太陽監査法人など準大手5法人がすでに大手を上回っています。
2019年の新規契約は大手が前年比17%減の191件だったのに対し、準大手は同24%増の210件でした。

しかしながら、監査業界では「いずれ準大手だけではカバーしきれなくなる」との見方が多いようです。
監査法人に所属する公認会計士の約8割はビッグ4に集中しており、準大手のマンパワーにはおのずと限界があるからです。

大手がIPO監査を回避するのは、2014~2015年に上場直後の会計不正や業績下方修正が相次いでから、厳格な監査が求められている影響が大きいようです。

不正会計がないか、利益計画が楽観的すぎないかなど「より慎重なリスク分析や検討によって監査の工数が増えた」(EY新日本の善方正義シニアパートナー)とのことで、働き方改革で会計士の労働時間は増やせず、受託余力が乏しくなったのです。

提携先である世界の会計事務所が収益性の低い業務を抑えるよう求めているとの見方もあるようです。
IPO監査は当初見積もりより業務量が膨らんでも「報酬の増額交渉は難しい」(準大手のIPO担当者)とされ、大企業の監査に比べて実入りが少ないのです。

IPOするには、上場企業にふさわしい内部管理体制を整えたうえで、監査証明を受けた2期分の有価証券報告書をそろえる必要があります。
IPOを目指しているにもかかわらず、大手とも準大手とも契約を結べない「監査難民」になると、資金調達が滞り、成長力が陰りかねません。

金融庁は監査難民の問題を重くみて、2019年末にIPO関係者の協議会を設置しました。
2020年3月の報告書では、大手監査法人に組織体制や人員配置のあり方の見直しを求めています。

EY新日本は2020年7月、IPO監査の人材認定制度を始めました。
2021年6月までに約4,100人いる会計士のうち1,000人の認定を目指しています。
トーマツは6月にIPO監査の体制を見直しました。
ノウハウを持つ会計士を各部署に置いて人材の裾野を広げるそうです。

もっとも、IPO監査をめぐっては「ビジネスが旬のうちに早く上場したいという企業は多いですが、内部統制システムが未整備だと契約は難しい」(大手監査法人のIPO担当者)と温度差を指摘する声も多いようです。
スタートアップは監査法人の業務の繁閑に合わせて決算月をずらすなどしているようですが、監査契約のハードルはなお高いようです。

『監査難民』の問題は、数年前と比べると時代が変わったなぁと思うところですね。
数年前までは、クライアント数を増やすためにIPOに大手も注力していたのだと思いますが、会計業界だけではない人手不足、働き方改革、IPO直後の粉飾発覚、IPOまでは赤字でもIPOに回収すれば良いと思っていたのがいつ監査法人を変更されるか分からない時代、日本を代表するような大企業が監査法人を変更するケースが増加など、大手は手間がかかり、報酬があまり取れないIPOを避けるのは分かるような気はしますが、大手の都合で、IPOをしたくてもできない会社が増えるのは、日本にとってマイナスだと思います。
日本公認会計士協会や金融庁で改善策を是非とも考えて欲しいですね。

4大監査法人のIPO業務回避が顕著で「監査難民」解消が見えないことについて、どう思われましたか?


コロナショックがもたらす「上場延期」の深刻度!

新型コロナウイルスの感染拡大による「コロナショック」が東京証券取引所への新規上場にも影響し始めたようです。
株価急落で上場を延期するベンチャー企業が増え、財務改善のためのリストラの動きが強まりそうです。
一方、キャッシュが豊富な企業にはM&Aで業容拡大の好機にもなりそうです。

「歴史的な下落相場の中で新規上場なんて狂気の沙汰ですよ」――。
近く、上場を予定していたベンチャー企業の男性社長は、こう話し上場を来年度以降に見送りました。

日経平均株価は年明けから2月20日ごろまで2万3,000~2万4,000円の水準を維持していましたが、日本での感染者数増加もあり、2月末になり急落しました。
3月11日にはWHOから新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染爆発)が宣言され、収束の見通しは立っていません。
3月16日の終値ベースで1万7,002円となりました。

ベンチャー企業にとって、新規上場はベンチャーキャピタルなど投資家に報いるゴールです。
上昇相場ならまだしも極端な下げ相場の場合、株式公開をしても公募価格割れも予想されるため、やるだけ損をすることになります。

実際、企業向けソフトウェア開発のウイングアーク1stは3月10日に上場申請を取り下げました。
3月12日には、医薬品の研究開発・製造・販売を手がけるペルセウスプロテオミクスが3月24日に予定していた上場を延期すると発表しました。

さらに、日本全国にスポーツジムの「エニタイムフィットネス」を展開するFast Fitness Japanも3月13日に上場の延期を発表するなどコロナショックの影響がすでに出始めています。

もともと、年初までは良好な株式市場の環境が終わることを見越した「赤字の駆け込み上場」が増加するとの観測が強かったようです。

野村証券によると、2019年の新規上場企業による市場からの資金調達総額は3,249億円で、郵政3社やソフトバンクの大型案件により金額が膨れ上がった2015年と2018年を除いても、2014年(1兆472億円)の3分の1以下の低水準にとどまりました。

2019年の新規上場企業数は86社とこの3年間ほぼ横ばいでしたが、赤字での上場企業数は過去10年で最多の19社でした。
とりわけ、2019年はIT企業の赤字上場が前年の2倍と急増したことも特徴だったようです。

赤字上場が増加する背景には、世界的な金融緩和の流れが長く続いたため、ベンチャーキャピタル側が出口戦略として、市場が冷え込む前に持ち株を売り抜けたいとの思惑があります。

公募売り出し額が縮小傾向にあるのは、事業を立ち上げて間もない段階で上場する傾向が増えていたためです。
今回のコロナショックで株価だけでなく消費の減退などにより世界経済全体が冷え込むことが予想されます。
そのため、当面は新規公開(IPO)の動きは収まるでしょう。

コロナショックの影響は株価下落だけにとどまりません。
雇用の不安定化をもたらす要因に急浮上しています。

「リモートワークの実施で社員の成果の差が露骨にわかるようになったので、リストラをしやすくなった」と先のベンチャー社長です。
コロナ対策で多くの企業が在宅でのリモートワークを進めた結果、「ただいるだけの人」「外回りと称してサボる人」がはっきりしたそうです。

この社長は「新規上場が延期できた副産物というわけでもないが、上場のために雇ったスタッフを解雇して人件費を浮かせれば、中長期的にはキャッシュが増える。それを元手に株価が下がった優良企業に対してM&Aをすれば逆に企業価値が上がる」という戦略まで立てていると打ち明けています。

上場延期のベンチャー企業だけでなく、令和になってから加速した早期退職の流れにも拍車がかかりそうです。

東京商工リサーチが3月11日に発表した『2020年1-2月上場企業「早期・希望退職」実施状況』によると、この時期に募集を実施した上場企業は19社と前年同期の9社から倍増しました。
わずか2か月で昨年1年分(36件)の半数に達したそうです。
消費の冷え込みを予想し、小売りや食料品での実施が目立ったのも特徴です。

1月下旬から新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、業績の下方修正を開示した上場企業は87社、また何らかの影響を開示した上場企業は461社に上りました(3月11日時点)。

3月に入り、コロナショックの影響による株価急落や円高進行などで景気後退局面に入るとの観測が強まり、さらに早期退職の動きが進むとみられます。

今回の調査結果で興味深いのが、早期退職を募集した上場企業のうち、直近の決算で最終黒字だった企業が19社中13社と7割を占める点です。
退職金を支払う余力のあるうちに、将来の人件費を圧縮する「黒字リストラ」が昨年から話題となっていますが、その流れが続いたと言えそうです。

近年では、将来的に人工知能(AI)の普及で省人化が進むと予想される中、小売りであればコンビニの無人レジなどへの設備投資を進める動きは避けられず、今年がきっかけとなり、その傾向が進む可能性もあります。

企業の人件費圧縮の方法は、退職金をともなう早期退職だけとは限りません。
昨年は損害保険大手のSOMPOホールディングスの国内損保事業の従業員の削減が話題となりました。
介護事業を展開する関連会社への配置転換も同時に行われたため、「介護部門を『追い出し部屋』に使っている」という批判まで起こりました。

さらには、ほかの企業においても、扱いに困る社員を自主退職に追いやる「事実上の早期退職」が広まる可能性もあります。

不況時には往々にして統合・再編が進みます。
今年は「稼ぐ力」があり、キャッシュなどの「体力」のある企業とそれ以外で差が開く1年になりそうです。

このような状況を見ると、上場延期やリストラは避けられそうにないですね。
この中に出てくる社長は容易に『解雇』できると思っている節がありますが、そのような方が上場企業社長になって大丈夫かなぁとも思います。
あとは、上場時が業績のピークという企業もたくさんありますので、延期して、上場できるのかなぁとも思います。
一方で、リストラで割増の退職金などを手にした方々が、起業して、世の中に新しい製品やサービスを提供して、日本経済を活性化してもらいたいと思います。

コロナショックがもたらす「上場延期」の深刻度について、どう思われましたか?


カーブスHDの初のスピンオフ上場を東証が承認!

東京証券取引所は、先日、フィットネス事業を展開するカーブスホールディングス(カーブスHD、東京都港区)の新規上場を承認したと発表しました。
子会社と本体を資本関係のない独立した会社にする「スピンオフ」という制度が2017年に整備されて以来、国内初の適用例となります。

カーブスHDは、カラオケ店「まねきねこ」などを運営するコシダカホールディングスの子会社ですが、コシダカホールディングスは、2019年10月に、カーブスHDへのスピンオフを発表していました。

カーブスHDは、2020年3月2日付で東証に上場する見通しです。
公募株式は241万5,000株、現時点の想定発行価格は1株720円で、発行価格は2月20日に正式に決まるようです。

親子上場に批判が高まっているなか、資本関係がなくなり、元々の企業の株主に株式が割り当てられますので、独立性は高まりますね。
事業部門や子会社がスピンオフ上場して、そこだけで売買できるとなると、いいかもしれませんね。

カーブスHDの初のスピンオフ上場を東証が承認したことについて、どう思われましたか?


2019年に東証上場を廃止した企業は?

 M&A Onlineによると、2019年に東京証券取引所で上場廃止となった企業は42社を数えるそうです。
前年に比べると19社少なくなっています。
産業界の潮流や栄華盛衰とも密接にかかるのが上場廃止の動向です。
「令和」のスタートを振り返ってみると・・・。

12月30日は2019年の取引を締めくくる東証の大納会でしたが、同日付で上場廃止したのが住宅メーカー大手のミサワホームです。
親会社のトヨタホーム(非上場)による完全子会社化に伴うもので、48年間の上場歴にピリオドを打ちました。

ミサワホームは1967年に設立し、その4年後の1971年に東証2部にスピード上場(翌1972年に東証1部)し、住宅業界の寵児の名をほしいままにしました。
しかしながら、バブル期に手がけたリゾート開発の失敗などで1990年代になると、経営が傾き、創業者の三沢千代治氏は退陣に追い込まれました。
2006年にはトヨタ自動車の傘下に入いりました。

トヨタ自動車とパナソニックは2020年1月に両社の住宅事業を統合することになっており、その統合新会社のもとにミサワホームも組み込まれます。

住宅ではほかに、「ライオンズマンション」で知られる大京がオリックスによる完全子会社化で上場廃止(2019年1月)となりました。

70年の上場歴に分かれを告げたのは出光興産と経営統合した昭和シェル石油です。
昭和シェルは1985年に昭和石油とシェル石油が合併して誕生しましたが、母体である昭和石油は戦後間もない1949年に上場しました。

業種では電子部品商社で上場廃止が目立ちました。
バイテックホールディングスはUKCホールディングス(現レスターホールディングス)との合併、フーマイスターエレクトロニクスはMBO(経営陣による買収)で非公開化、日本ライトンは台湾の親会社による完全子会社化により、それぞれ上場を廃止しました。

カーナビ大手のパイオニアとクラリオンはそろって海外企業の傘下入りに伴い、2019年3月に上場を廃止しました。
同様に、スキンケアなどの化粧品ブランド「ドクターシーラボ」を展開するシーズ・ホールディングスは2019年4月、アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンによる買収で上場廃止になりました。

金融関連では、十八銀行(長崎市)が「ふくおかフィナンシャルグループ」(福岡市)、カブドットコム証券(現auカブコム証券)がKDDIの完全子会社に伴い、上場を廃止しました。

2019年10月にはアメリカ生保大手のアフラックが東証から撤退しました。
1987年に東証に上場しましたが、取引量が乏しく上場の意義が薄れたことが理由です。
この結果、ピーク時の1991年に127社を数えた東証外国銘柄も4社(アメリカ2社、マレーシア、英領ケイマン各1社)まで減り、“風前の灯火”になっています。

時価総額が所定額に届かない状態が一定期間続き、1962年以来の東証2部上場の資格を失ったのは、競輪の場外車券場を主力とする花月園観光です。
東証は2019年11月1日付で同社の上場廃止を決めました。

過去5年間の東証での上場廃止をみると、2014年42社、2015年66社、2016年67社、2017年40社、2018年61社となっています。
一方、上場企業数は現在3,707社で、2014年末より239社増えています。

2020年はすでに4社の上場廃止が決定しています。
そのトップバッターはジーンズなどアメリカ衣料大手の日本法人であるリーバイ・ストラウス ジャパンです。
アメリカ親会社が完全子会社化することにより、2020年1月7日付で1989年以来の上場が廃止となりました。

IPOする企業が増えるのは喜ばしいことだと個人的に思っていますが、一方で、上場廃止になっている企業もあります。
貯蓄から投資へシフトすると、ビジネスに興味を持つ人が増え、景気も良い方向に向かうのではないかと考えていますが、上場すべきところは上場して、すべきではないところは早めに上場廃止になってもらうということも重要でしょうね。

2019年に東証上場を廃止した企業について、どう思われましたか?


日本初クラウドファンディングで上場するマクアケ!

 クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営するマクアケが、2019年12月11日にマザーズ市場に新規上場します。
2013年5月に、サイバーエージェントの100%子会社として設立され、現在8期目の若い会社です。

4期目で赤字を脱出し、5期目で4,300万円、6期目で1億1,200万円の純利益を出しました。
2018年9月期の売上高は、9億5,800万円です。

クラウドファンディングという注目度の高い分野での、日本初上場となりました。

マクアケの想定株価は1,550円です。
公募株数が980,000株、売出株数が1,946,700株です。
市場から吸収する金額は45億3,600万円となります。
売出株分の30億円は既存株主のものとなるので、マクアケが調達する金額は15億円前後と予想できます。

この資金は、主にプロモーション費用が中心になると考えられます。
なぜなら、まだまだ市場規模が小さいためです。

矢野経済研究所によると、2018年のクラウドファンディングの市場規模は2,045億円です。
ちなみに、前年が1,700億円でしたので、20%増の急拡大をしています。
ドローンの市場規模が1,000億円(インプレス総合研究所)ですので、その倍にまで成長していることがわかります。

しかし、これには落とし穴があります。

クラウドファンディングは大きく5つに分類されます。
購入型、寄付型、ファンド型、貸付型、株式型です。
マクアケは購入型に分類され、その市場規模は全体の6%(122億円)ほどなのです。

競合のCAMPFIREが、2019年4月に女優ののんさんを起用したテレビCMを放映しました。
スタートアップ企業がテレビに広告を出すのは異例です。
これは企業の認知度を拡大すると同時に、市場規模拡大を狙ったものと考えられます。

クラウドファンディングの業者は競争が激しくなり、手数料も下げているという話も聞きますが、『Makuake』はきちんと利益を伸ばしているんですね。
乱立しているので、将来的には淘汰され、一部の企業のみが残るのでしょうが、上場することにより信用力を高めるということは、存在価値を高めますね。
上場のメリットを感じず、上場する予定をやめたり、上場企業が非上場化することも少なくなくなってきている中で、上場のメリットを活かす上場なんでしょうね。
今後の成長に期待したいですね。

日本初クラウドファンディングで上場するマクアケについて、どう思われましたか?


東証がfreeeのマザーズへの上場を承認

 東京証券取引所は、先日、クラウド会計ソフトのfreee(フリー、東京都品川区)の上場を承認したと発表しました。

2019年12月17日に東証マザーズに上場するようです。

想定する公開価格で算出すると、時価総額は750億~900億円程度になる見込みで、2019年の新規株式公開(IPO)銘柄ではSansan(約1,300億円)に次ぐ規模です。

上場で最大約120億円を調達し、広告費や技術者の人件費などにあてる計画だそうです。

マネーフォワードに引き続き、freeeも上場ですね。
以前から、かなりの赤字が続いていますし、将来的に黒字化するのでしょうか?
もう広告宣伝費をかけて、利用者を増やすステージではないように思いますので。
そうなると、マネーフォワードも2019年から大幅に利用料金を上げましたし、freeeもどこかのタイミングで利用料金を上げてくるんでしょうね。
それってビジネスとしてどうなのかなぁと思います。
freeeでもマネーフォワードでも弥生でもそれほど変わらないと思いますので、個人的には、最終的には、急に利用料金を上げることはないと思われる弥生が勝つのではないかと考えています。
話はそれますが、T●Cも利用料金か何かを大幅に上げるようで、他に変えることを考えている税理士がいるみたいですね。

東証がfreeeのマザーズへの上場を承認したことについて、どう思われましたか?


上場前の資本金が小型化しIPO戦線に「異変」?

 M&A Onlineによると、IPO(新規株式公開)戦線に「異変」が起きているようです。
2019年、東京証券取引所に新規上場した企業のうち、上場前の資本金が5,000万円以下のところが25%と4社に1社を占めています。
2018年の19%、2017年の15%と比べ、急上昇しています。
これは何を意味しているのでしょうか?

資本金が5,000万円以下の場合、VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けているケースはわずかです。
業種や業歴によって事情が異なるとはいえ、VC資金の活用が必ずしもIPOの“パスポート”となっていない様子がうかがえます。

2019年1月~9月に東証に新規上場した企業は47社(テクニカル上場、TOKYO PRO Market上場や他市場からの上場は除く)です。
M&A Online編集部が各社の上場前の資本金を調べたところ、5,000万円以下が12社でした。
内訳は5,000万円が1社、4,000万台が1社、3,000万円台以下が10社で、過小資本といえる1,000万円クラスは3社含まれています。

上場前の資本金が5,000万円以下の企業はここ数年、比率を高めています。
2015年は新規上場89社中、12社(14%)でしたが、2018年には同89社中、17社(19%)に増えました。

こうした流れが加速し、2019年は1月~9月で全47社中、12社と25%強を占めています。
9月末の第3四半期段階の新規上場数は前年同期の60社より13社少ないですが、最終的に年間の上場企業が例年並みの80~90社と仮定すれば、20社を超える計算です。
10月以降に上場する企業でも直前の資本金が5,000万円以下のところがすでに2社あります。

上場前の資本金1億円以下でみると、傾向はより鮮明です。
2019年は9月末で27社と半数を超え、その比率は57%です。
2018年の46%(41社)、2017年35%(30社)から急伸しています。

では、VCから資金調達の状況はどうでしょうか?
今年上場した企業を対象に、上場目論見書の「株主の状況」をあたったところ、資本金5,000万円以下の企業で、明確にVCの存在が認められたのは2月にマザーズに上場した識学だけです。

資本金が5,000万円以下と小規模である場合、一般にVCなど外部資本を受け入れていないことが考えられますが、これが裏付けられた格好です。

識学はK&Pパートナーズ(東京都千代田区)が組成するファンドから出資を得ていました。
同社は2015年に設立し、4年でスピード上場しました。
ほかの会社では投資事業を兼営する取引先の事業会社から出資を受け入れていたケースが数例見られました。

また、1億円以下までに範囲を広げると、27社中、別に7社ほどがVCを活用していました。
それでも4社に1社にとどまります。

スタートアップと呼ばれる新興企業の間では、VCからの資金調達が一種のファッションといわれるほど過熱しています。
一方、資金の出し手であるVC側もカネ余りを背景に将来のIPOやM&Aという出口を照準を合わせ、ベンチャー投資にアクセルを踏み込んでいます。

ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)がまとめた2019年上期(1~6月)のVCによる国内向け投資額は前年同期比44%増の1,016億円と、6年連続で増加し、半期ベースで初めて1、000億円を突破しました。
1件当たりの投資額は平均1億円を超え、投資先の業種はIT関連が6割近くを占めています。

他方で、直前の資本金が5,000万円以下の企業の上場が増加しているのが実情です。

2019年3月にマザーズに上場した外食企業で、居酒屋「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場」を展開するNATTY SWANKYの上場前の資本金は1,340万円でした。
同社は2001年設立で、業種柄、日銭が入るという強みがあります。
同様に、串カツ居酒屋で知られる串カツ田中ホールディングス(2002年設立)も2016年のマザーズ上場前は資本金2,000万円と、明らかな過小資本の部類でした。

もちろん、業種や業歴の違いは見逃せません。
IT関連であれば、システム開発や人件費で赤字が先行するため、創業初期に多額の資金を必要とする場合が少なくないことから、VCからの資金調達意欲は旺盛です。

2019年1~9月の計12社(上場前の資本金5,000万円以下)のうち、10社は設立から10年以上経っています。
上場を視野に入れ始めたころはすでに安定期のところが多いようです。
資金需要にも銀行借り入れで対応できるため、とりたててVCの資金を必要としない面があります。

一般に、新興ベンチャー企業はVCから資金調達後、5年をめどに「出口」が求められるといわれます。
「短期間で成果を求められれば、自社が描く成長の方向性と食い違いが生じかねない」(Web開発ベンチャーの経営者、都内)と距離を置く向きもあるようです。

VCからの資金調達は企業の成長を導くうえで欠かせないツールであることは言うまでもありません。
ベンチャー投資フィーバーが熱を帯びれば帯びるほど、“過小資本”のままIPOに挑む企業が増えている現実に目を向ける時かもしれないですね。

個人的には、それほど資金を調達しなくても良い企業がIPOしているんだろうなぁと思います。
業種によるとは思いますが、日銭がはいる商売をしている企業のIPOが多くなっているんでしょうね。
仕事上、最近はVCやエンジェルから比較的容易に資金調達ができるようになっているなぁとは思います。
VCから資金調達をしなくて良いところ(ビジネスモデルとしてそういうビジネスを考えているところ)と、ニッチなビジネスで開発費用がかかりVCから多額の資金調達をしないといけないところが、両極端に多くなってきているのかもしれませんね。

上場前の資本金が小型化しIPO戦線に「異変」が起こっていることについて、どう思われましたか?


Forbes世界長者番付で日本人ではユニクロの柳井 正氏が首位返り咲き!

 日本の大富豪たちが保有する資産はこの一年、それぞれに異なる変化を見せました。
Forbesの長者番付に名を連ねた日本人50人のうち31人は、日経平均株価が前年比で5%近く上昇していた一方で、前年より資産を減らしていました。

リストに名前が挙がった50人が保有する資産の総額は、前年の1,860億ドル(約20兆6,700億円)より少ない1,780億ドルとなりました。

2018年の番付で1位だったソフトバンクの孫 正義氏は、2019年は2位となりました。
ただし、ソフトバンクの株価は上昇しており、孫氏の保有資産も前年から21億ドル増加し、240億ドルとなっています。

保有資産で孫を上回ったのは、衣料品大手ファーストリテイリングの創業者で、2016年以来のトップとなった柳井 正氏です。
保有資産は249億ドル。前年から56億ドルの増加となり、この一年で最も大幅に資産を増やしました。

孫氏が設立した1,000億ドル規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)は、多額の投資で広く注目を集めています。
SVFには、サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が450億ドルを出資し、そのほかにも、アブダビ首長国のムバダラ開発公社、アップル、クアルコム、オラクルの共同創業者で富豪のラリー・エリソンなども出資しています。

前年と比べて資産を大きく増やしたもう一人は、計測器メーカー、キーエンスの創業者である滝崎武光氏です。
保有資産は10億ドル増えて186億ドルとなり、前回の4位から1ランク順位を上げました。
東証1部上場のキーエンスは、工場の機械やロボットの性能を監視するために使われるセンサーにより、中国で安定的な成長を続けています。

2018年から保有資産を72億ドル減らして約108億ドルとし、最も大幅な減少を記録したのは、酒類大手サントリーの佐治信忠氏とそのご家族です。
減少の理由の一つには、新たに入手した情報により、サントリー株の一部が佐治家ではなく慈善団体が保有するものであると確認されたことがあるようです。
また、世界的なビール販売の低迷も、資産の減少につながっています。

一方、2019年の番付には、4人が初めて名前を並べました。
2018年10月に87歳で死去した父でユニ・チャームの創業者、高原慶一朗氏が保有していた同社株を2人のきょうだいと共に引き継いだ高原豪久氏(2001年から同社の最高経営者)は、保有資産52億ドルでリスト入りしています。

その他、2018年6月に株式を公開したフリーマーケットアプリ運営のメルカリの創業者である山田進太郎氏、東証1部上場の不動産仲介・マンション開発会社オープンハウスの創業者である荒井正昭氏、ビジネスホテル・チェーンを展開するアパグループの創業者、元谷外志雄氏が初めて番付入りしました。

また、今回ランキングから外れた富豪の中で目を引くのは、人材派遣会社を創業、女性として日本で初めて自力でビリオネアになった篠原欣子氏です。
総合人材サービスを展開するパーソルホールディングスの株価は、ここ1年で30%以上下落しています。
ロボット開発を手掛けるサイバーダインの創業者、山海嘉之もまた、自社株が50%値下がりしたことを受けてリストから外れました。

以下は、2019年の日本人の長者番付トップ10の顔ぶれです(敬称略)。
1位 柳井 正(ファーストリテイリング) 249億ドル
2位 孫 正義(ソフトバンク) 240億ドル
3位 滝崎武光(キーエンス) 186億ドル
4位 佐治信忠(サントリーホールディングス) 108億ドル
5位 三木谷浩史(楽天) 60億ドル
6位 重田康光(光通信) 54億ドル
7位 高原豪久(ユニ・チャーム) 52億ドル
8位 森 章(森トラスト) 47億ドル
9位 永守重信(日本電産) 45億ドル
10位 毒島秀行(SANKYO) 44億5,000万ドル

なお、番付作成の方法ですが、ランキングは個人から入手した情報に加え、証券取引所やアナリストら、企業の提出書類その他を基に作成している。番付に入った各氏の保有資産は、2019年3月22日の株価の終値と為替レートに基づき算出しています。
非公開会社の創業者などの場合は、類似した公開会社の財務比率その他との比較から推計しています。
また、各氏の保有財産には家族の資産を含む場合もあります。

想像もつかない世界ですが、結局、上場株式などが中心だと思いますので、簡単に換金できるわけではなく、ある意味では『絵に描いた餅』です。
個人的には、これらの方々がどういう相続税対策をしているのかが気になります。
番付に入っているカリスマ経営者の方が亡くなると、おそらく業績も低迷するところも多いと考えられ、会社は業績の悪化、個人は株式の分散など色々大変だと思いますので、日本を代表するようなこれらの会社には、死亡・相続が原因で日本を代表するような会社でなくなってしまうのは避けて欲しいですね。

Forbes世界長者番付で日本人ではユニクロの柳井 正氏が首位に返り咲いたことについて、どう思われましたか?


フォーブス世界長者番付2018年版

 フォーブス世界長者番付2018年版に載った日本の人物は前年より2人増えて、35人となったようです。

 首位はソフトバンクの孫正義会長兼社長で、全体では39位、資産額は227億ドル(約24,100億円)でした。
前年の34位から落ちましたが、資産額は15億ドル(約1,590億円)増えています。

2位はファーストリテイリングの柳井正会長兼社長で、全体では55位、資産額は195億ドル(約2700億円)でした。

前年世界長者番付に載っていなかったSGホールディングスの栗和田榮一会長、ブリヂストン創業家の石橋寛氏、サイバーエージェントの藤田晋社長の3人が今回入っています。
SGホールディングスは佐川急便グループの持株会社で、栗和田榮一会長の父は佐川急便創業者の佐川清氏です。

日本人のトップ100は以下のとおりです。
1位:孫 正義(ソフトバンク/通信)227億ドル/60
2位:柳井 正(ファーストリテイリング/ユニクロ)195億ドル/69
3位:滝崎 武光(キーエンス/計測機器など)175億ドル/72
4位:森 章(森トラスト/不動産・建設)63億ドル/81
5位:永守 重信(日本電産/精密小型モーター)56億ドル/73
6位:三木谷 浩史(楽天/ネットショップ・ネット銀行など)55億ドル/53
7位:高原 慶一朗(ユニ・チャーム/生活用品)50億ドル/86
8位:似鳥 昭雄(ニトリ/インテリア)44億ドル/74
9位:重田 康光(光通信/携帯電話や光回線の販売)41億ドル/53
10位:伊藤 雅俊(セブン&アイ・ホールディングス/コンビニ・スーパー・レストラン・銀行など)39億ドル/93

上場企業の株式は簡単に売れないのである意味絵に描いた餅になるかもしれませんが、これだけの資産があるのはすごいですね。
配当もたくさんあるでしょうし。
ただし、上記に出ていない方もおられますが、上位に入っている方で、相続税対策が国税庁から指摘を受けたり、遺産相続について訴えられたり、逮捕されたりなど、問題となっている方も何名かおられますね。
たくさん持たれていると、何かと大変なんでしょうね。

フォーブス世界長者番付2018年版について、どう思われましたか?


3月期企業の決算発表時間の前倒しが前期は370社!

 上場企業の決算発表時間の前倒しが進んでいるようです。
 20183月期決算の開示時間を集計したところ、370社が前年より早く開示しました。
 投資家への説明時間を確保しやすくする狙いがあるようです。
 取引時間中の発表なら、投資家は決算の内容を参考にして株の売買ができるようになり、利便性も高まりそうです。
 前年との比較が可能で決算期末から45日以内に開示した3月期企業(2,304社)を対象に集計したものです。
 トヨタ自動車や三菱商事など時価総額が大きく、業績が堅調な企業の開示前倒しが目立ちます。
 一方で、開示時間が遅くなった企業が、287社あったようです。
 5月9日の決算発表でトヨタは開示時間を従来の午後3時から午後125分に早めました。
 証券取引所の取引時間中に発表するのは初めてです。
 競争力強化に向けた中長期の取り組みを豊田章男社長らが説明する時間を十分に確保する狙いがあったようです。
 純利益が2期ぶりに過去最高となった決算は即座に値動きに織り込まれ、この日の株価は前日比4%上昇しました。
 トヨタ広報部は「質疑応答の時間をしっかり確保でき投資家からも好評だった」と話しているようです。
 20184~6月期決算も、83日午後125分に開示しました。
 1年前も取引時間中に発表していた三菱商事や住友商事、豊田通商などは開示時間をさらに早めました。
 子会社の香港市場上場で、香港市場の取引時間外での開示が必要になった日清食品ホールディングスは、午後3時から午後115分にしました。
 欧米では午前中や取引時間中に開示する企業が多いようです。
 日本では3月期企業の約7割が、株式市場の取引が終わる午後3時以降に発表します。
 迅速な開示を求める東証の適時開示規則にそぐわないとの声もあるようです。
 岡三アセットマネジメントの前野達志氏は、「午後3時以降の開示では、海外勢の先物取引が日本市場の現物株の取引より先行する。取引時間中の開示が進めば日本の投資家が迅速に売買できるようになる」と話しています。
 トヨタが前倒しに踏み切ったことで、追随する動きが出てきそうです。
 以前から、個人的には、取引時間外の開示には疑問を持っていました。
 特に、業績が悪い企業は、取引時間外に開示するという風潮があったと思います。
 ようやく、トヨタの取引時間内の開示により、全体的に、取引時間内に開示するといった流れになればいいなぁと思います。
 そうなれば、取引時間外に開示する企業は投資家のことを考えていないということになり、開示に対する対応で、投資家に対する対応が分かるようになり、それが株価にも反映されればよいなぁと思いますね。
 3月期企業の決算発表時間の前倒しが前期は370社だったことについて、どう思われましたか?

大手監査法人が人手不足で新興勢との契約敬遠し「IPO難民」が増加!

 あずさ監査法人が監査業務の新規受注を1年間停止すると表明して半年あまり経ちましたが、大手監査法人が不正会計などリスクが大きい割に実入りの少ない新規株式公開(IPO)企業の監査を敬遠する動きが広がっているようです。
 監査契約を結べない「IPO難民」が増えれば、証券市場の活力低下にもつながりかねません。
 「検討を重ねた結果、契約は難しいと判断しました」と、東京都内のある新興企業の幹部は、担当の公認会計士からこう言い渡されてうなだれたそうです。
 上場前のショートレビュー(短期調査)を手掛けた大手監査法人から数か月間も待たされた揚げ句、契約を断られたのです。
 こんなケースが相次いでいるようです。
これまで監査法人は将来の有望企業の開拓のため、うまみが少なくてもIPO企業の監査に積極的でした。
 潮目が変わったのは、東芝などで相次いだ不正会計です。
 大手に比べて新興企業の経営リスクは高くなります。
 自動運転技術で高い期待を集めながら、東証が上場承認した直後に顧客情報の流出が発覚し上場を延期したZMP(東京都文京区)の記憶が新しいところでしょう。
 さらに、人手不足の影響も大きく、大手監査法人は一様に及び腰になっているようです。
 「ぜひそちらに依頼したい」と、ある中堅法人のもとには大手に断られた新興企業からの案件が次々に舞い込んでいるようです。
 監査法人と契約できず、上場したくてもできないIPO難民の“駆け込み寺”になっているのは準大手・中堅の監査法人です。
 「営業していないのに上場予備軍が大量に流れ込んでくる」(中堅法人のパートナー)そうです。
2017年のIPO監査法人の分布をみると、太陽監査法人や三優監査法人など四大法人以外のシェアが初めて2割を超えました。
 「引き受けた新興企業の監査法人が聞いたこともないところで戸惑った」(国内証券)との声も上がっているようです。
 公認会計士不足に悩むのは大手と同じです。
 ある中堅法人からは「業界全体でみると大手の責任放棄が甚だしい」(パートナー)との恨み節が漏れてきています。
 しかも、「業績的に上場予備軍にはほど遠い企業」(別のパートナー)も少なくないようです。
 業績や内部管理体制の整備など上場までのロードマップを丁寧に説明し、案件の分散化に努めているようです。
 この状況を大手はどうみているのでしょうか?
 あずさ監査法人の鈴木智博IPOサポート室長は、「新興企業の成長性を見極めるのと監査法人としての収益を両立させるのは難しい」と説明しています。
 現在は新規受注のガイドラインを策定中で、「監査作業の工程を見直し法人全体の作業量を3割減らしたい」(酒井弘行理事長)としています。
 堅調な相場環境に支えられ、2018年の国内IPO数は「90100社程度」(野村証券)と、金融危機前の2007年(121社)に次ぐ高水準になる見通しです。
 しかしながら、IPOには3年程度の準備期間が必要で、IPO難民が顕在化するのはこれからです。
 全体のIPO数が大きく減少する可能性もあります。
 資本市場に厚みを持たせるためには活発なIPOが不可欠です。
 「IPOのボトルネックは監査法人」(大手証券幹部)という現状を解消する知恵が必要となるでしょう。
 10年以上前に監査法人を退職した僕としては、時代の流れを感じます。
 結局、しわ寄せが中堅・中小の監査法人に来るだけだと思います。
 当然、監査法人も不祥事が起きると、場合によっては監査法人の解体に追い込まれる可能性もあり、契約に慎重になるのも分かるような気はします。
 そのような中でも、会社の将来性、日本の証券市場の発展のために、監査を引き受けてくれる監査法人が増えてきてほしいものですね。
 会社のステージに応じて、監査法人が変わるという時代が来るかもしれませんね。
 大手監査法人が人手不足で新興勢との契約敬遠し「IPO難民」が増加していることについて、どう思われましたか?

「グリーンシート」が約20年の歴史に幕!

2018年04月05日(木) 

非上場株を取引するグリーンシート市場が2018年3月末で約20年の歴史に幕を閉じました。
当初は中小・中堅企業の資金調達や株式流通手段として期待されましたが、開示規制や新興企業向け上場市場の整備で、登録企業が激減しました。
日本の資本市場の裾野を広げる取り組みは、道半ばです。

2018年2月下旬、佐賀県有田町に本社を置く深川製磁から約400人の株主に通知が届いたようです。
グリーンシートでの取引停止を知らせる内容です。
1949年に福岡証券取引所に上場しましたが、時価総額基準を満たせず2007年に廃止になりました。
株式流通の代替場所としてグリーンシートに登録しましたが、再上場は果たせませんでした。

グリーンシートは日本証券業協会が運営する市場で、1997年7月に開設されました。
登録銘柄数(年末時点)をみると、2004年末の96銘柄をピークに減少傾向が強まりました。
成長企業を呼び込む狙いもありましたが、東京証券取引所などに上場した企業は過去20年で約15社にとどまっています。

日本証券業協会が市場開設時にお手本としたのは、アメリカの店頭市場(OTC)の一つの「ピンクシート」です。
アメリカのOTC市場は、今でも全体で1万以上の銘柄登録があり、仮想通貨「ビットコイン」関連銘柄が活発に取引されるなど、一定の存在感を示しています。

それでは、日本ではなぜ利用が広がらなかったのでしょうか?

「05年の制度改正で、適時開示義務を入れたことに尽きる」と、野村総合研究所の大崎貞和主席研究員は指摘しています。
信頼性向上を狙った措置でしたが、情報開示負担は取引所上場と変わらなくなりました。
上場基準の緩い新興市場も相次ぎ開設され、グリーンシートを選ぶ理由は乏しくなりました。

魅力的な企業が集まらなければ投資家層も広がりません。
アメリカでは創業間もない企業に資金を出す「エンジェル投資家」が多く存在しますが、日本ではまだ少数派です。
国内の大手証券会社も商いが薄く手数料が稼げないため、個人顧客を誘導することは少なかったようです。

日本証券業協会はグリーンシートに代わる非上場株の発行・流通制度として「株主コミュニティ」を作りましたが、使い勝手に課題が残るようです。
適時開示義務をなくす代わりに、証券会社は不特定多数の個人を勧誘できません。
株式を売買できる「コミュニティ」に入るには、運営する中小証券に口座を作る必要があります。
野村證券など、大手の参入はまだありません。

非上場企業の資金調達ニーズは存在します。
ネットで小口出資を募る仕組み「株式投資型クラウドファンディング」では2017年の調達総額が約5億円に上っています。
DANベンチャーキャピタルの出縄良人社長は、「自己資本比率を改善したい地方企業の関心が高い」と話しています。

全国で380万社超とされる民間事業者のうち、上場会社は一握りにすぎません。
起業家へのマネー供給に加え、今後、中小企業のオーナー社長の引退が相次ぐことに備え、非上場株を容易に換金・流通できる場があった方がよいでしょう。
資本市場の裾野を広げるには、証券界を挙げた取り組みが欠かせないでしょうね。

企業にとって開示などの負担が少なく、一方で、そのようなリスクを承知の上で投資家が気軽に投資できるような市場は、ニーズもあり、個人的には必要なのでないかと思っています。
投資型のクラウドファンディングなどが典型例でしょうね。
日本証券業協会を挙げて、知恵を絞って、信頼性のあるそのような市場ができることを期待したいですね。

「グリーンシート」が約20年の歴史に幕を閉じることについて、どう思われましたか?


上場を避ける企業が増えている!

2018年02月15日(木)

日銀の資金循環統計によれば、家計が保有する非上場株式は急激に増加し、2017年9月末には84兆円に達しています。
当時の東京証券取引所第1部上場株の時価総額が626兆円ですから、その13%に達する規模です。

日本経済新聞によると、非上場株の時価が増加する原因は2つあります。
1つは、景気の回復が非上場の中小企業にまで及んできたという明るい理由です。
もう1つは、非上場企業の間に上場を避ける動きが出ているのではないかという心配な理由です。

上場基準を満たしている企業が上場しない理由は、多様です。
金融緩和で銀行からの資金調達が容易になっているため、あえて上場する必要がないという理由もあるかもしれません。
数年前から言われていますが、気になるのは、上場に伴うコストが高いと考える経営者が増えているのではないかという理由です。

そうなるのは、目に見えない上場コストが増えているからです。
上場コストには2種類のものがあります。
1つは、公認会計士による監査のコストや社外取締役や社外監査役の報酬支払いなどの目に見える直接的なコストです。
第2は、上場企業が満たすべきルールが厳しくなり、よい経営ができなくなるという目に見えないコストです。
投資家保護を考えて導入された規制が企業経営の大きな制約になっているという認識が上場企業だけでなく、日本の非上場企業の経営者の間にも広がっています。

短期投資家の発言力が強いアメリカでは、アメリカ内の証券市場に上場すると経営の制約条件が厳しすぎて良い経営ができなくなる可能性が大きくなるので、ヨーロッパの市場への上場を薦めるベンチャーキャピタルが増えているといわれているようです。

このままだと、日本でも上場を避ける企業や投資家がもっと増えるかもしれません。
それは、上場を避ける企業にとって、リスク資金を得る道が制約されるという意味でマイナスであるだけでなく、マクロ経済の成長にもマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

また、有望な投資先が増えないという意味では、投資家にもマイナスです。
投資家保護も大切ですが、それが上場企業の負担になりすぎないようにする工夫も必要です。
市場管理当局は、角を矯めて牛を殺すという結果にならないように気をつける必要があるでしょう。

会社も、トヨタのような企業から、売上がほとんどないような会社まで様々な会社があるので、一律に扱うのもどうかなぁと思います。
デメリットがメリットを上回り、上場できるのにしない会社が増えていると言われ出して結構経ちますが、個人的には、開示とか内部統制とかの頻度などにつき、いろいろと設けて、それに応じた市場を作って、投資家もリスクを認識したうえで投資すれば良いのではないかと思います。
時代的に人がなかなか採用できないので、採用の面では、今なお、上場企業のメリットはかなりあるのではないかと思います。

上場を避ける企業が増えていることについて、どう思われましたか?


2018年のIPO第1号の予定だった世紀の上場承認取り消し!

2018年01月24日(水)

東京証券取引所は、先日、射出成型の合理化機器を製造販売する世紀(山形県米沢市)について、マザーズ市場への上場承認を取り消したと発表しました。
1月5日に承認したばかりでしたが、世紀からの申し出で取り消すことになりました。

世紀は「上場にそぐわない内部規定があり、確認するため」と説明しています。
計画では2月8日の上場で、2018年の新規上場(IPO)第1号となる見通しでした。
今後、世紀は、内部規定の内容を見直し「改めて上場承認を求めたい」そうです。

「社内規定に照らして確認すべき事項」ということですが、よく分かりません。
だだ、2018年のIPOに水を差す形になったのは間違いないでしょうね。

ネットで調べると、6年前の2012年も、IPO第1号予定のリフォームスタジオが、株式市況の動向等の諸般の事情を総合的に勘案して上場中止になっています。
イオングループの会社ですが、その後もIPOはしていないですね。
上場承認取り消し(TOKYO PRO Marketは除く。)も、2015年は3件、2016年は2件、2017年は2件なので、毎年数件はあるようです。
出だしからつまずいた感じですが、IPO市場は盛り上がって欲しいですね。

2018年のIPO第1号の予定だった世紀の上場承認が取り消されたことについて、どう思われましたか?


名古屋証券取引所がアトリエはるかの上場承認を取り消し!

  名古屋証券取引所は、先日、ヘアメークなどのサロン運営のアトリエはるか(名古屋市)のセントレックス市場への上場承認を取り消したと発表しました。

 アトリエはるかは11月1日に上場が承認され、12月7日に上場する予定でした。

アトリエはるかは、先日、株式の発行・売り出し中止と上場手続きの延期を決めたと発表しました。
アトリエはるかによると、社員から会社への内部通報でコンプライアンス(法令順守)に抵触する疑いのある事例が判明したそうです。
「調査が必要と判断した。調査結果次第で手続きを再開したい」としています。

主幹事の岡三証券は「規定に沿って上場審査は進めている」としています。
名古屋証券取引所は、「上場申請そのものは取り下げられておらず、アトリエはるかの対応を待ちたい」などとしています。

名古屋証券取引所によると、過去には2007年にもいったんセントレックス上場をきめながら取り消した企業があるそうです。

個人的には、名古屋証券取引所は、過去に不祥事などがありあまり印象は良くないですが、今回の件も、印象を悪くしましたね。
そろそろ地方の証券取引所の存在意義を真剣に考える時期に来ているように感じます。

名古屋証券取引所がアトリエはるかの上場承認を取り消したことについて、どう思われましたか?


プロ向け市場の上場審査や助言を手がけるJアドバイザーに宝印刷を認定!

2017年12月06日(水)

  東京証券取引所は、先日、プロ投資家向け市場「東京プロマーケット」の上場審査などを手がける「Jアドバイザー」に宝印刷を認定したと発表しました。
東京プロマーケット市場への上場を目指す企業の適正調査や助言、指導を担います。

Jアドバイザーに認定されるのは、10社目です。
これまでは証券会社やコンサルティング会社が多く、印刷会社の認定は初めてです。

宝印刷は中小企業の上場支援に取り組む考えです。
自ら審査することで上場企業が増えれば、本業の情報開示支援業務の伸びも見込めます。

監査法人勤務時代は、『宝印刷』や『プロネクサス』などには、有価証券報告書のチェックなどで大変お世話になっていましたが、こういうこともする時代になったかと思うと、時代の流れを感じますね。
ぜひ、頑張って欲しいですね。

プロ向け市場の上場審査や助言を手がけるJアドバイザーに宝印刷が認定されたことについて、どう思われましたか?


新規公開企業の業績予想が正確に!

2017年12月01日(金) 

新規株式公開(IPO)した企業の業績見通しが正確になってきています。
今年は上場後に下方修正した企業が、現時点で3%に過ぎません。
昨年は33%が業績が下振れしたのです。
信頼できない業績予想に投資家から批判が高まったため、東京証券取引所が上場審査を厳しくし、幹事の証券会社も慎重に準備するようになりました。
新規公開企業の情報開示が向上すれば、市場に個人マネーを呼び込む一因となりそうです。

あずさ監査法人が2010年以降の動向を調べたところ、昨年までの7年間でIPO企業の4分の1超が、上場時に発表した利益予想を達成できていませんでした。
2017年は、ほとんどの企業が業績予想を引き下げていません。

先日、東証ジャスダックに上場した木材加工のシー・エス・ランバーは11月が決算月です。
決算期末直前に上場した理由について、戸田正専務取締役は「受注状況をぎりぎりまで見極めてから上場する方が、投資家に正確な業績予想を届けられる」と説明しています。

「業績予想を下回らないことは投資家からの信頼につながる」と話すのは9月に東証マザーズに上場した人工知能(AI)開発のパークシャテクノロジーです。
11月9日に発表した決算では、2017年9月期の連結純利益が2億6,800万円でした。
事前の予想を2割近く上回っています。

IPO企業は社歴の短い企業が多く、過去の業績データも少ないのが現状です。
投資家は、会社の事業内容や資本構成などを紹介する目論見書や、上場前に開示する売上高、利益額といった業績の見通しを頼りに株を売買します。

業績予想が不正確だと、一般の投資家に誤った情報を与えることになりますが、予想が外れることは珍しくありませんでした。
2014年には、新規公開した企業の4割で業績予想が下振れしました。
黒字予想から一転して赤字に転落した企業もあります。
上場時には、会社の創業者や出資者が保有していた株を売り出して現金化する場合が多くなります。
上場後に業績予想を下方修正した企業に対しては、投資家から株を高く売るのが目的ではないかとの批判が高まりました。

こうした声を受けて、東証は上場企業の審査を厳しくしました。
大和証券の松下健哉公開引受部長によると、企業の上場作業を手伝う証券会社も「投資家の視線を強く意識するようになった」そうです。

実態が伴っていないのに事業の説明にAIなどの流行語を多用する、来期以降に業績が急減速すると分かっているのに開示しない――。
証券会社に聞き取ったところ、東証の審査では、こういった企業に改善が求められていたようです。

こうした取り組みで業績予想が正確になり、上場準備に時間がかかるようになりました。
かつては、決算期が終了してから9~10カ月後に上場していましたが、現在は1年近くかける企業は珍しくありません。

あずさ監査法人の鈴木智博IPOサポート室長は、「適切な情報開示は市場の信頼性向上につながる」と話しています。
IPO企業の株は、成長への期待から個人投資家の関心が高くなっています。
情報開示の質が向上すれば、個人が株式市場に資金を振り向けやすくなりそうです。

上場時の株価は、予想PERをベースに算出されることも多いため、業績予想の数値は、上場時の株価に大きな影響を与えます。
よって、業績予想が正確でないと、投資家を欺くことになってしまいます。
業績予想は業種によっては難しいとは思いますが、ここは、今後もきちんとして欲しいですね。

新規公開企業の業績予想が正確になっていることについて、どう思われましたか?

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