BLOG(税制改正)

令和5年度税制改正大綱(速報)

2022年12月16日(金)

本日2022年12月16日に『令和5年度税制改正大綱』が公表されました。
ここ数年、小粒な改正が続きましたが、今回は結構改正があります。
ただし、事前に報道等も多く、報道のとおりで、驚くようなものはありませんが。
(個人的に興味があるのは資産課税ですので)主な改正は、以下のとおりです。

二 資産課税
1 資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築
(1)相続時精算課税制度について、次の見直しを行う。
①相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる当該特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記の控除をした後の残額とする。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

②相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した一定の土地又は建物が当該贈与の日から当該特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合には、当該相続税の課税価格への加算等の基礎となる当該土地又は建物の価額は、当該贈与の時における価額から当該価額のうち当該災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とする。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用する。

③その他所要の措置を講ずる。

(2)相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間等について、次の見直しを行う。
①相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとする。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用する。

②その他所要の整備を行う。

2 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。
①信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満である場合等であっても、その死亡の日における非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額を、当該受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなす。
(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税について適用する。

②受贈者が30歳に達した場合等において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとす る。
(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。

③本措置の対象となる教育資金の範囲に、都道府県知事等から国家戦略特別 区域内に所在する場合の外国の保育士資格を有する者の人員配置基準等のー定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けた認可外保育施設に支払われる保育料等を加える。
(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に支払われる教育資金について適用する。

④その他所要の措置を講ずる。

(2)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、受贈者が50歳に達した場合等において、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとした上、その適用期限を2年延長する。
(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。

今後は相続税対策が変わると思いますが、とりあえず、2023年は贈与が増えるでしょうね。

ちなみに、全文は以下からご覧ください。
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/204848_1.pdf

令和5年度税制改正大綱について、どう思われましたか?


金融所得課税と1億円の壁!

ITmedia ビジネスオンラインによると、日経平均株価は2021年9月24日以降、10月7日まで8営業日連続で下落し、下げ幅は2,700円を超えました。
特に、岸田文雄氏が自民党新総裁に選出されて以降、下げ足が早まったように見受けられます。
岸田氏は、成長と分配の好循環に向けた政策の1つとして、「金融所得課税」の見直しを掲げており、足元の株安はこれを嫌気した反応との声も市場で聞かれます。

金融所得課税とは、株式譲渡益や配当金などの金融所得に課される税金で、現在、税率は一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。

岸田氏は2021年10月4日の記者会見で、改めて金融所得課税の見直しを検討する意向を示しており、今後は年末の2022年度税制改正で、一律20.315%の税率を引き上げる案や、高所得者の負担が重くなるよう累進的に課税する案などについて、議論される見通しです。

なお、金融所得の税率は、前述のとおり一律20.315%に定められています。
そのため、金融所得の割合が相対的に高い高所得者層は、株式譲渡益がいくら大きくなっても、累進的に課税されることはなく、税率は20.315%で変わらないということになります。
このような状況から、現行の金融所得課税は、金持ちを優遇する制度になっているという批判が根強くみられます。

一方、給与所得の税率は、所得が増えるほど累進的に課税され、最高税率は課税所得4,000万円超について設定されている45%です。
このほかに住民税が10%かかります。
そのため、年間所得の増加につれ、給与所得が多く金融所得が少ない場合は所得税の負担率が上昇し、給与所得が少なく金融所得が多い場合は負担率が低下することが起こり得ます。
実際、所得税の負担率は、年間所得が1億円を超えると低下しており、これを「1億円の壁」といいます。

岸田氏は、金融所得課税を見直すことで、1億円の壁を打破し、中低所得者層への配分を増やすことを検討しています。
ただし、金融所得の税率を一律に引き上げた場合、一定程度の税収増は見込まれるものの、増税前の株式売却や株式投資の敬遠につながる恐れもあります。
また、累進課税とした場合、対象を高所得者層に絞ることはできますが、配分の原資となる税収は小さくなるため、具体的な方向性は今後の議論を待つことになります。

なお、岸田氏が改めて金融所得課税を見直す意向を示した10月4日夜の記者会見以降、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)および業種別株価指数の動きですが、10月6日は両指数で上昇銘柄数と下落銘柄数が拮抗し、業種別では原油高や長期金利上昇の影響もうかがえます。
金融所得課税の見直しは、足元の株安要因の1つと思われますが、市場では比較的冷静な物色の動きもみられます。

この後、岸田氏は今度の税制改正には織り込まないと発言したようですが、将来的には改正するんでしょうね。
数年前から盛んに言われており、税制改正大綱も『貯蓄から投資へ』というスタンスですが、これに逆行するのではないかと思いますね。
あとは、実現していない単なる含み益であっても、株価が上昇しているということは消費者のマインドに好影響を与えると思いますので、この辺りもマイナスに働くかもしれませんね。
金持ち優遇と批判されたりしますが、やはり、お金持ちが消費を支えているという面は否定できないのではないかと思っています。
しばらくは、改正しないようなことを発言したりしていますが、個人的には、外国人投資家が減ったり、外国に移住するお金持ちが増えたりするような政策は避けてほしいなぁと思います。

金融所得課税と1億円の壁について、どう思われましたか?


令和3年度税制改正大綱(速報)

本日2020年12月10日に『令和3年度税制改正大綱』が公表されました。
相続税と贈与税の一体化はなされず、個人的には、予想どおり、非常に小粒な改正だと感じます。
(個人的に)主な改正は、以下のとおりです。

一 個人所得課税
4 その他
(3)退職所得課税の適正化
勤続期間5年以下の退職者に対する退職金
(短期退職手当等の収入金額―退職所得控除)が300万円を超える部分については、1/2とする措置を適用しない
(注)令和4年分以後の所得税について適用

二 資産課税
3 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一定の措置を講じた上、その適用期限を2年延長

(2)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一定の措置を講じた上、その適用期限を2年延長

三 法人課税
2 株式対価M&Aを促進するための措置の創設
法人が会社法の株式交付により、その有する株式を譲渡し、株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べる(所得税についても同様)

四 消費課税
3 その他
(6)金又は白金の地金の課税仕入に係る仕入税額控除の要件として保存することとされている消費税法上の本人確認書類のうち、在留カードの写し並びに国内に住所を有しない者の旅券の写し及びその他これらに類する書類をその対象から除外
(注)令和3年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて適用

七 納税環境整備
1 納税関係書類における押印義務の見直し
提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、以下に掲げる税務関係書類を除き、押印しないこととするほか、所要の措置を講ずる。
(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
(注)令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用。なお、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めない。

ちなみに、全文は以下からご覧ください。
令和3年度税制改正大綱

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富裕層への課税を強化し海外住宅投資の節税を認めない方向!

 日本経済新聞によると、政府・与党は海外の不動産への投資を通じた節税をできないようにする方針のようです。
現在は高額な海外物件への投資で出る赤字と国内の所得を合算して税負担を減らせますが、この合算を認めないこととするようです。
海外の不動産への投資は富裕層に多い節税策で、ほかの納税者との間で公平でない仕組みと判断しました。

与党の税制調査会で詳細を詰めたうえで、2020年度の税制改正大綱に所得税法の見直しを盛り込むようです。
2021年分以降の所得税に適用される見通しです。

この節税はアメリカやイギリスなどで高額な中古物件を購入し、家賃収入を上回る減価償却費などの赤字を発生させて日本での所得を圧縮するというものです。
2020年度の税制改正では、海外の中古物件で生じた赤字はなかったものと扱い、日本国内での損益通算には使えないようにするようです。

節税の背景には、日本と欧米で中古住宅の平均寿命や利用可能年数の考え方が違うことがあります。
長い間使える中古物件でも、日本のルールに沿って計算すると使用可能年数が4~9年になります。
本来なら10年以上使える物件の価値を4年程度でゼロにするため、決算上は大きな赤字が発生するのです。

高額な物件を買うほど節税の恩恵が得られるため、富裕層を中心に利用されています。
会計検査院が富裕層の多い東京都の麹町税務署管内などで調べたところ、海外の中古物件で延べ337人が39億8千万円超の赤字を計上していたそうです。

会計検査院が「公平性を高める検討が必要」と指摘し、政府・与党で対応を議論してきました。
この節税策は、不動産会社などがセミナーを開いて勧誘することも多くなっています。
適用できなくなれば、高収入の個人や不動産を取り扱う企業に影響が広がりそうです。

最近、会計検査院が指摘した事項については税制改正が早いと言われたりしていますが、今回もそうですね。
個人的には、当たり前の改正だとは思いますが、海外不動産投資のことが記載されたチラシなどをまぁまぁ目にしますので、そういう企業などは影響が大きいでしょうし、税制改正のリスクの説明をした、していないでもめそうな気はしますね。

富裕層への課税を強化し海外住宅投資の節税を認めない方向であることについて、どう思われましたか?


多国籍企業の税逃れ対策でOECDが複数国平均での課税を検討!

 時事ドットコムニュースによると、経済協力開発機構(OECD)がまとめる多国籍企業による税逃れ防止策が、先日、分かったようです。
租税回避地にグループ会社を置いて利益を移転するケースでは、各国・地域共通の法人税率の最低水準を設定し、租税回避地で実際に払っている法人税を差し引いて課税するようです。
税逃れが複数の国・地域に及ぶ場合には、それらの地域の法人税の平均を元に課税する案などが議論されています。

OECDが先日公表し、新たな国際課税に関して2020年中に策定する最終報告書に盛り込まれる見通しです。
現状では、多国籍企業が租税回避地にあるグループ会社に特許料や使用料の支払いといった名目で利益を移し、法人税の負担を免れるといった例が相次いでいます。
これに対し、租税回避地の低い税率で納められているグループ会社の法人税を、共通の最低水準から差し引いた上で、本社のある国が多国籍企業に課税できるようにします。
例えば、法人税率の最低水準を15%、租税回避地を2%とすると、差し引いた13%の法人税を課税できます。

問題はグループ会社が複数の国・地域にあるケースです。
共通税率の最低水準を15%、グループ会社の所在地をA国(10%)、B国(2%)と仮定し、税率の平均を採用すると、法人税率は6%となり、本社のある国は多国籍企業に対してそれぞれの国で差額分の9%を新たに課税できます。
平均を取ると、税率の高い国の影響で数字が高めに出やすい。国ごとに税率を差し引くケースに比べ、課税対象部分が小さくなるため、低税率国には有利となりますが、高税率国に不利となります。

日本は国ごとに差し引く案を支持していますが、平均案の方が極端に税率の低い国にも受け入れられやすく、有力視されているそうです。
法人税率の最低水準を決めること自体、各国の主権に関わるため容易ではなく、こうした面も含め協議は難航が予想されます。

国ごとに税率などには政策的なものがあるでしょうから、難しいでしょうね。
個人的には、色々と研究して、可能な限り税金の支払いを減らすということは営利企業として当然に経済的合理性があると思っていますが、そういう流れではなく、防ぐということになってきていますね。
いわゆるGAFAの節税が度を越しているということなのでしょうが。

多国籍企業の税逃れ対策でOECDが複数国平均での課税を検討していることについて、どう思われましたか?


平成31年度税制改正大綱(速報)

 当初の予定より2日遅れとなりましたが、本日2018年12月14日に『平成31年度税制改正大綱』が公表されました。
個人的には、新聞等で取り上げられていた『個人事業者の納税猶予制度』が目玉だと思いますが、それ以外は、それほど目立ったものはないなぁという小粒な改正だと感じます。
(個人的に)主な改正は、以下のとおりです。

一 個人所得課税
5その他
(3)個人が保有する資金決済に関する法律に規定する仮想通貨につき、その者の所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となる期末において有する仮想通貨の価額は、移動平均法又は総平均法により算出した取得価額をもって評価した金額とするほか、所要の措置を講ずる。

(10)個人住民税における都道府県又は市区町村(以下「都道府県等」という。)に対する寄附金に係る寄附金税額控除について、次の見直しを行う。
①総務大臣は、次の基準に適合する都道府県等をふるさと納税(特例控除)の対象として指定することとする。
イ 寄附金の募集を適正に実施する都道府県等
ロ イの都道府県等で返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす都道府県等
(イ)返礼品の返礼割合を3割以下とすること
(ロ)返礼品を地場産品とすること
②①の基準は総務大臣が定めることとする。
③指定は、都道府県等の申出により行うこととする。
④総務大臣は、指定をした都道府県等が基準に適合しなくなったと認める場合等には、指定を取り消すことができることとする。
⑤総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは、直ちにその旨を告示しなければならないこととする。
⑥基準の制定や改廃、指定や指定の取消しについては、地方財政審議会の意見を聴かなければならないこととする。
⑦その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年6月1日以後に支出された寄附金について適用する。

(11)子どもの貧困に対応するため、次の措置を講ずる。
①児童扶養手当の支給を受けている児童の父又は母のうち、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者(これらの者の前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除く。)を個人住民税の非課税措置の対象に加える。
②個人住民税の申告書、給与所得者の扶養親族申告書及び給与支払報告書等について、上記①の者に該当する旨の記載をし、申告することとする等の所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成 33 年度分以後の個人住民税について適用する。

二 資産課税
1 個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設等
(1)個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設
①概要
認定相続人が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、相続等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を猶予する。

(2)個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度の創設
①認定受贈者(18歳(平成34年3月31日までの贈与については、20歳)以上である者に限る。以下同じ。)が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、贈与により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち、贈与により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の納税を猶予する。
(注)上記(1)及び(2)の改正は、平成31年1月1日以後に相続等又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

(3)特定事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の見直し
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合を除く。)を除外する。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税について適用する。ただし、同日前から事業の用に供されている宅地等については、適用しない。

(2)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、次の措置を講ずる(特例制度についても同様とする。)。
1 贈与税の納税猶予における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
2 一定のやむを得ない事情により認定承継会社等が資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合においても、その該当した日から6月以内にこれらの会社に該当しなくなったときは、納税猶予の取消事由に該当しないものとする。
3 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の適用を受ける場合には贈与税の納税猶予の免除届出の添付書類を不要とする等、手続の簡素化を行う。
(注)上記1の改正は、平成 34 年4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。

(1)相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢を18歳未満(現行:20歳未満)に引き下げる。
(2)次に掲げる制度における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
①相続時精算課税制度
②直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
③相続時精算課税適用者の特例
④非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度(特例制度についても同様とする。)(再掲)
(注)上記(1)及び(2)の改正は、平成34年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(3)民法(相続関係)の改正に伴い、次の措置を講ずる。
①相続税における配偶者居住権等の評価額を次のとおりとする。
イ 配偶者居住権
建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)÷残存耐用年数
×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
ロ 配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」という。)の所有権
建物の時価-配偶者居住権の価額
ハ 配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利
土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
ニ 居住建物の敷地の所有権等
土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額
②物納劣後財産の範囲に居住建物及びその敷地を加える。
③配偶者居住権の設定の登記について、居住建物の価額(固定資産税評価額)に対し1,000分の2の税率により登録免許税を課税する。
④特別寄与料に係る課税について、次のとおりとする。
イ 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合には、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、相続税を課税する。
ロ 上記イの事由が生じたため新たに相続税の申告義務が生じた者は、当該事由が生じたことを知った日から10月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。
ハ 相続人が支払うべき特別寄与料の額は、当該相続人に係る相続税の課税価格から控除する。
ニ 相続税における更正の請求の特則等の対象に上記イの事由を加える。
⑤遺留分制度の見直しに伴う所要の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
⑥その他所要の措置を講ずる。

三 法人課税
6 円滑・適正な納税のための環境整備
(2)法人税における仮想通貨の評価方法等について、次のとおり時価法を導入する等の措置を講ずる。
①法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上する。
②法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上する。
③仮想通貨の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算出方法を移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法を移動平均法による原価法とする。
④法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。
⑤その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する。なお、同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、会計上仮想通貨につき時価評価していない場合には、上記①及び④を適用しないことができる経過措置を講ずる。

四 消費課税
4 その他
(2)金地金等の密輸に対応するための消費税における仕入税額控除制度の見直し
①密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。
②金又は白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の写しの保存を仕入税額控除の要件に加える。
(注)上記①の改正は平成31年4月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、上記②の改正は同年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、それぞれ適用する。

六 納税環境整備
3 eLTAX 障害発生時の申告等に係る期限延長
eLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)に障害が発生した場合の申告等に係る期限について、迅速かつ全国統一的な対応を行うため、次の見直しを行う等の所要の措置を講ずる。
(1)総務大臣は、eLTAX の障害によって多くの納税者が期限までに申告等をすることができないと認めるときは、告示を行うことにより、当該期限を延長することができることとする。
(2)地方税共同機構(eLTAX の運営主体)は、eLTAX の障害が生じたときは、遅滞なく総務大臣に報告しなければならないこととする。

平成31年度税制改正大綱について、どう思われましたか?


日本税理士会連合会による平成31年度税制改正に関する重要建議・要望項目!

 日本税理士会連合会は、2018628日に開催された第1回理事会において「平成31年度税制改正に関する建議書」を決定し、810日に財務省、国税庁、総務省、中小企業庁などに提出しました。

内容は、以下のとおりです。

<最重要建議・要望項目>
●消費税における単一税率及び請求書等保存方式の維持
①単一税率の維持
軽減税率(複数税率)制度は、区分経理等により事業者の事務負担が増加すること、逆進性対策として非効率であること、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となること等の理由により、従来、単一税率制度の維持を強く主張している。低所得者への逆進性対策としては、例えば、あらかじめ国が一定額を入金したプリペイドカードを配付する方法や、一定額の簡素な給付措置などによる消費支出の負担軽減策等を検討すべきである。
②請求書等保存方式の維持
平成3510月に導入予定の区分経理等のための適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)への移行は、事業者及び税務官公署の事務に多大な影響を与えることから、行政手続コスト削減の方向性に逆行することのないように配慮又は見直しをする必要がある。この点については、例えば、請求書等に一定の記載事項を追加することにより、区分経理等は十分可能である。
③消費税のあり方についての抜本的な見直し
事業者の負担と徴税コスト等を考慮し、仕入税額控除方式(インボイス方式を含む。)及び免税点制度等の見直しを含めた消費税のあり方について抜本的に再検討すべきである。特に、免税事業者が適格請求書等を発行できないことに伴い、不当な値下げ要求等により経営状態が圧迫されることのないよう対策を講じなければならない。

●所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフトと基礎的な人的控除のあり方
①所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフト
基礎的な人的控除(基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除及び扶養控除)は、憲法第25条が定める生存権の保障を目的としたものと解されており、健康で文化的な最低限度の生活を維持するために侵害してはならない課税最低限を構成するものである。したがって、このような性質を有する課税最低限は、財政事情を考慮しつつ、生活保護の水準に合わせていくことが望ましい。その際、給与所得控除及び公的年金等控除の水準が過大であることや、こうした所得計算上の控除が適用されない事業所得等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、基礎的な人的控除を中心として課税最低限を確保することが適切である。
②基礎的な人的控除のあり方
最低限度の生活を維持するのに必要な部分は担税力を持たないとする最低生活費不課税の観点から、基礎的な人的控除については、その額を引き上げた上で、所得控除方式を維持すべきである。その際、課税最低限を構成する基礎控除を逓減・消失させることについては、憲法の要請もまえ慎重な検討が必要である。
なお、その他の人的控除項目については、整理合理化を図りつつ、可能な範囲で税額控除化すれば、所得再分配機能が低下していることや高所得者の負担軽減額が大きくなるという問題は相当程度解消することとなる。

●償却資産に係る固定資産税制度の抜本的見直し
償却資産課税について、(一財)資産評価システム研究センターの「償却資産課税のあり方に関する調査研究-申告制度の簡素化・効率化に向けた制度設計について-」(2018年3月)において、現行の賦課期日(11日)はそのままとし、申告期限については、現行制度(131日)と電子申告(eLTAX)に限り法人税の申告期限と一致させる新方式との選択制にするとの方向性が示された。事業者の事務負担軽減、市町村の課税事務効率化及び電子申告率の向上に伴う実務の簡素化・効率化の観点から評価できるものであり、まずは、これを早期に実現すべきである。
また、当面の課題として、下記の項目についても検討する必要がある。
・中小企業の設備投資促進と事務負担軽減のため、免税点を現行150万円から倍額程度まで引き上げる。
・租税特別措置法により費用化が認められる30万円未満の少額資産は、償却資産課税の対象から除外する。

僕も、基本的に同意見です。
消費税の軽減税率制度は導入すべきではないと思っていますし、低所得者の保護が目的であるならば、期限付きの商品券を渡すのが良いと以前からこのブログでも書いています。
日刊紙の軽減税率についても、低所得者の保護が目的であるならば、まずは、所得別の日刊紙購読者数を把握し、開示する必要があると思います。
償却資産税についても、決算期にかかわらず一律に131日までに申告するのではなく、決算期に合わせて、申告時に固定資産台帳を提出する方が、漏れもなく、効率的かつ効果的なのではないかと思います。
月次決算などを行っておらず、年に1回決算時にのみ入力などを行っているところが、漏れなく申告するのは現実的に厳しいと思います。
あとは、印紙税の廃止も織り込んでほしいですね。

日本税理士会連合会による平成31年度税制改正に関する重要建議・要望項目について、どう思われましたか?

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