事務所通信2014年3月

事務所通信

2014年3月号 『NISAの落とし穴』

 2014年1月からNISAが導入されています。
 新聞等でもたびたび報じられていますので、おそらく、多くの方がご存じかと思います。
 しかしながら、メリットのみ報じられ、デメリットはあまり報じられていないように感じます。
 そこで、今回は、『NISAの落とし穴』について書きたいと思います。

1.NISAとは?
 NISAとは、2014年1月から導入された「少額投資非課税制度」のことであり、毎年100万円を上限とする新規購入分を対象にその配当金や売買益等を最長5年間非課税にする制度です。
 NISAは、イギリスのISA(Individual Savings Account)を参考に導入された制度で、イギリスでは国民の約4割がISAを利用し、広く国民の資産形成・貯蓄の手段として定着しています。
 NISAのNは、NIPPON(日本)のNを意味し、日本で、ISAが広く普及・定着するようにとの願いが込められています。

2.損益通算・損失繰越
 NISAは、利益が出た場合には非課税になりますが、逆に損失が出た場合にはなかったものと見做されます。
 通常、株式の譲渡損などは、その他の株式の譲渡益などと相殺すること(いわゆる損益通算)が可能なのですが、NISAの場合、損益通算はできません。
 また、株式の譲渡損などが生じた場合に損失を3年間繰り越せる制度がありますが、NISAの場合、損失を繰り越せません。

3.特定口座などへの移行価額
 非課税期間5年間が終わると、新たにNISA口座を開設し、そのまま保有し続けることもできます(ただし、口座を新たに開設できるのは平成26年から平成35年の10年間のみ)。
 しかしながら、最終的に売却しない場合には、特定口座や一般口座に移行することになります。
 この場合、移行時の時価が取得価額となるため、元々100万円を入れ、移行時の時価が70万円で、90万円で売却すると、20万円(90万円-70万円)の譲渡益が生じてしまうのです。

4.配当金の受取方法
 NISAの場合、譲渡益のみならず、配当金等についても、原則、非課税となります。
 しかしながら、配当金等の受取方法によっては非課税とはならないこともあります。
 配当金等の受取方法は、①銀行や郵便局などで受け取る(配当金領収証方式)、②指定の銀行口座で受け取る(登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式)、③証券会社の取引口座で受け取る(株式数比例配分方式)3つの方法の中から選択できます。
 この中で非課税となるのは、③のみで、①や②は20.315%の税率で課税されます。

5.最後に
 2014年から株式の譲渡益や配当金の税率が20.315%に上昇したこと、証券会社等が顧客の囲い込みに走っていることもあり、NISAに興味を持たれている方は多いと思います。
 しかしながら、メリットだけではなく、デメリットもありますので、色々と勘案したうえで使ってくださいね。

2014年3月28日 國村 年

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