事務所通信2013年12月

事務所通信

2013年12月号 『借用書の印紙税

 早いもので、今回でNo.30を迎えました。
 最近、猪瀬東京都知事の借用書が話題になっていますが、印紙が貼られていないのが税理士としては気になりました。
 そこで、今回は、『借用書の印紙税』について書きたいと思います。

1.印紙税の概要
 印紙税は、「契約書」「手形」「領収書」など、「印紙税額一覧表」に掲げる文書に対して課される税金です。
 印紙税は、これらの文書を作成した人が、定められた金額の収入印紙を文書に貼り付け、これに消印して納付します。
 例えば、「不動産売買契約書」、「工事請負契約書」、「売上代金の領収書」などは、その文書に記載されている金額に応じて納める印紙税額が異なるので、注意が必要です。

2.印紙を貼らなかったら
 印紙税が課税される文書の作成者が、印紙税を納付しなかったときは、たとえ印紙税が課税されることを知らなかったり、収入印紙を貼り忘れた場合であっても、納付しなかった印紙税の額の3倍(収入印紙を貼っていないことを自主的に申し出たときは 1.1倍)の過怠税が課税されます。
 また、文書に貼り付けた収入印紙に所定の方法で消印をしなかったときは、その消印しなかった収入印紙の金額と同額の過怠税が課税されます。
 なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費に算入されません。

3.印紙を間違って貼ったら
 印紙税を納付する必要がない文書に誤って収入印紙を貼って印紙税を納付したり、印紙税として定められた金額を超えた収入印紙を文書に貼って印紙税を納付した場合には、その文書を過誤納となったそのままの状態で所轄税務署に持参し、一定の手続をとることによって、印紙税の還付を受けることができます。
 なお、収入印紙は国の各種手数料の納付などにも使用されますが、これらの納付のために誤って収入印紙を貼った場合などは、印紙税の還付の対象にはなりません。

4.借用書の印紙税
 借用書は、前述の「印紙税額一覧表」によると、第1号文書『消費貸借に関する契約書』に該当します。
 猪瀬東京都知事の場合、記載された契約金額が、5,000万円なので、印紙税額は2万円となり、印紙を貼っていない場合、6万円の過怠税が必要となります。

5.最後に
 ちなみに、①税務代理、 ②税務書類の作成、③税務相談は税理士の独占業務とされており、税理士でないものが他人の求めに応じてこれらの業務を業として行うことは、有償・無償を問わず法律で禁止されていますが、印紙税登録免許税、自動車重量税、関税などは対象外になっています。
 以前も書きましたが、印紙税は文書に対して課税されるため、一般的に、電子メールやFAXなどの電子データで送付された電子的契約書に対しては課税されないとされており、文書と電子データで印紙税がかかったり、かからなかったりするのです。
 そもそも何に税金がかかっているのかよく分かりませんし、金額を書くかどうか、文書か電子データかなどで税額が異なることに対して違和感を感じます。
 早く廃止して欲しいですね。

2013年12月4日 國村 年

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