事務所通信2012年7月

事務所通信

2012年7月号 『路線価って?』

 国税庁が、2012年7月2日に平成24年分の路線価を公表しました。4年連続の下落だそうです。
 路線価ということばを聞いたことのある方はたくさんおられると思いますが、そもそも路線価とは何か、路線価はどのような場面で用いるのかということは知らない方もおられるのではないでしょうか。
 そこで、今回は、『路線価って?』について書きたいと思います。

1.路線価とは?
 路線価とは、通常7月に国税庁によって公表されるその年の1月1日における路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額(千円単位で表示)のことです。
 路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。

2.一物多価
 土地に関しては、路線価以外にも以下のような価格(評価額)が存在します。
 『一物多価』と言われるゆえんです。

  • 公示価格
    全国からその地域の地価水準を代表する標準地を選び、毎年1月1日時点の地価を国土交通省が3月に公表するものです。公共事業用地を取得する際の価格算定基準や一般の土地取引価格の指標となります。
  • 基準価格
    都道府県の調査による毎年7月1日時点の地価で、9月に公表されるものです。公示価格と似ています。
  • 固定資産税評価額
    各市町村(東京23区は都税事務所)が原則として3年ごとに評価の見直しを行う、毎年1月1日時点の土地、家屋等(固定資産)の評価額です。固定資産税、都市計画税、登録免許税などの算定基準となります。
  • 実勢価格
    実際に売買で用いられる価格です。

 なお、それぞれの価格(評価額)の関係は、一般的に、以下のようだと言われています。

  • 公示価格は、実勢価格に近い。
  • 路線価は、公示価格の約80%
  • 固定資産税評価額は、公示価格の約70%
  • 公示価格と基準価格は、基準日が異なる。

3.路線価を用いる場面
 路線価を用いる場面としては、以下のようなものがあります。
 まず、相続税額の計算のための土地の評価に用います。
 路線価が定められている地域の場合、以下のように計算します。

路線価 × 土地の形状等に応じた各種補正率 × 土地の面積

 
 次に、生前贈与のための土地の評価に用います。
 計算方法は、相続税額の計算と同じになります。
 
 また、相続税がかからない場合でも、相続人間で遺産分割は必要となりますので、この場合にも用います。
 これも、計算方法は同じです。
 
 あとは、土地を売買する際の参考に用います。
 路線価を0.8で割れば実勢価格に近い数値になりますので、土地を売買する際に、いくらで売ったり買ったりするかの参考になります。

4.最後に
 皆さんは、路線価のことをあまりご存じでなかったのではないでしょうか。
 将来的に、相続税の増税が検討されていますので、路線価を用いて相続税額の試算をされてみてはいかがですか?

2012年7月11日 國村 年

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