所得税

妻の公的年金から特別徴収される介護保険料などの社会保険料控除

<Q>
扶養している私の妻の公的年金から介護保険料が特別徴収されている場合、私の社会保険料に加えて妻の介護保険料についても私が社会保険料控除の適用を受けることができますか?

<A>
介護保険料などの社会保険料が、あなたの妻の公的年金から特別徴収されている場合、その社会保険料を支払ったのは妻になります。

したがって、あなたの妻の社会保険料控除の対象となります。

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2024年3月18日


利子所得の収入金額の収入すべき時期

利子所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 定期預金(貯金及び令第2条第1号《預貯金の範囲》に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、次に掲げる日
その契約により定められた預入期間(以下この項において「契約期間」という。)の満了後に支払を受ける利子で、その契約期間が満了するまでの期間に係るものについてはその満了の日、その契約期間が満了した後の期間に係るものについてはその支払を受けた日
契約期間の満了前に既経過期間に対応して支払い又は元本に繰り入れる旨の特約のある利子については、その特約により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日
契約期間の満了前に解約された預金の利子については、その解約の日
(2) 普通預金又は貯蓄預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれらに類するものを含む。)の利子については、その約定により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日。ただし、その利子計算期間の中途で解約された預金の利子については、その解約の日
(3) 通知預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、その払出しの日
(4) 合同運用信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日
(5) 公社債の利子については、その利子につき支払開始日と定められた日

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2024年3月15日


配当所得の収入金額の収入すべき時期

配当所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 法第24条第1項((配当所得))に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配又は基金利息(以下この項において「剰余金の配当等」という。)については、当該剰余金の配当等について定めたその効力を生ずる日。ただし、その効力を生ずる日を定めていない場合には、当該剰余金の配当等を行う法人の社員総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日。
また、資産の流動化に関する法律第115条第1項《中間配当》の規定による金銭の分配に係る取締役の決定において、特にその決定の効力発生日(同項に規定する一定の日から3か月内に到来する日に限る。)を定めた場合には、当該効力発生日
(2) 法第13条第3項に規定する投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日
(3) 法第25条《配当等とみなす金額》の規定により配当等とみなされる金額については、それぞれ次に掲げる日
法第25条第1項第1号に掲げる合併によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日。ただし、新設合併の場合は、新設合併設立会社の設立登記の日。
なお、これらの日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
法第25条第1項第2号に掲げる分割型分割によるものについては、その契約において定めたその効力を生ずる日。ただし、新設分割の場合は、新設分割設立会社の設立登記の日。
なお、これらの日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
法第25条第1項第3号に掲げる株式分配によるものについては、当該株式分配について定めたその効力を生ずる日。ただし、その効力を生ずる日を定めていない場合には、当該株式分配を行う法人の社員総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日。
法第25条第1項第4号に掲げる資本の払戻しによるものについては、資本の払戻しに係る剰余金の配当又は法第24条第1項に規定する出資等減少分配がその効力を生ずる日
法第25条第1項第4号に掲げる解散による残余財産の分配によるものについては、その分配開始の日。ただし、その分配が数回に分割して行われる場合には、それぞれの分配開始の日
法第25条第1項第5号に掲げる自己の株式又は出資の取得によるものについては、その法人の取得の日
法第25条第1項第6号に掲げる出資の消却、出資の払戻し、社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は株式若しくは出資を法人が取得することなく消滅させることによるものについては、これらの事実があった日
法第25条第1項第7号に掲げる組織変更によるものについては、組織変更計画において定めたその効力を生ずる日。ただし、効力を生ずる日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
(4) いわゆる認定配当とされるもので、その支払をすべき日があらかじめ定められているものについてはその定められた日、その日が定められていないものについては現実にその交付を受けた日(その日が明らかでない場合には、その交付が行われたと認められる事業年度の終了の日)

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2024年3月14日


退職所得の収入金額の収入すべき時期

退職所得の収入金額の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によるものとする。

ただし、次の退職手当等については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 役員に支払われる退職手当等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その役員の退職後その決議があった日。ただし、その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにとどまり、具体的な支給金額を定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日
(2) 退職給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため支払われる新旧退職手当等の差額に相当する退職手当等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(3) 法第31条《退職手当等とみなす一時金》に規定する退職手当等とみなされる一時金については、その一時金の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約により定められた給付事由が生じた日
(4) 引き続き勤務する者に支払われる給与で30-2により退職手当等とされるもののうち、役員であった勤続期間に係るものについては(1)に掲げる日、使用人であった勤続期間に係るものについては次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日
30-2の(1)に掲げる給与 その支給を受けた日
30-2の(2)に掲げる給与 使用人から役員になった日。
ただし、30-2の(2)のかっこ内の給与については、その制定又は改正の日
30-2の(4)に掲げる給与 その定年に達した日
30-2の(5)に掲げる給与 旧定年に達した日
30-2の(6)に掲げる給与 法人の解散の日
(5) 年金に代えて支払われる一時金で30-4及び31-1により退職手当等とされるものについては、当該退職手当等とされるものの給付事由が生じた日

(注)令第77条《退職所得の収入の時期》の規定が適用される退職手当等の課税年分については、(1)から(5)までに掲げる日にかかわらず、同条の規定によることに留意する。

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2024年3月13日


一時所得の総収入金額の収入すべき時期

一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払を受けた日によるものとする。

ただし、その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、当該通知を受けた日により、令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金又は令第184条第4項《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等のようなものについては、その支払を受けるべき事実が生じた日による。

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2024年3月12日


雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期

雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1)法第35条第3項《雑所得》に規定する公的年金等
イ.公的年金等の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約(以下この(1)において「法令等」という。)により定められた支給日

ロ.法令等の改正、改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧公的年金等の差額で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改正、改訂の効力が生じた日

(注)裁定、改定等の遅延、誤びゅう等により既往にさかのぼって支払われる公的年金等については、法令等により定められた当該公的年金等の計算の対象とされた期間に係る各々の支給日によることに留意する。

(2)(1)以外のもの
その収入の態様に応じ、他の所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期の取扱いに準じて判定した日

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2024年3月11日


山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期

山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。

ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可(同条第4項の規定により許可があったものとみなされる協議の成立を含む。以下同じ。)を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同条第1項第6号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。

(注)
1.山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。

2.農地等の譲渡について、農地法第3条又は第5条に規定する許可を受ける前又は届出前に当該農地等の譲渡に関する契約が解除された場合(再売買と認められるものを除く。)には、通則法第23条第2項の規定により、当該契約が解除された日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができることに留意する。

★リンクはこちら⇒ 山林所得又は譲渡所得の収入金額の収入すべき時期

2024年3月8日


事業所得の総収入金額の収入すべき時期

事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 棚卸資産の販売(試用販売及び委託販売を除く。)による収入金額については、その引渡しがあった日
(2) 棚卸資産の試用販売による収入金額については、相手方が購入の意思を表示した日。
ただし、積送又は配置した棚卸資産について、相手方が一定期間内に返送又は拒絶の意思を表示しない限り特約又は慣習によりその販売が確定することとなっている場合には、その期間の満了の日
(3) 棚卸資産の委託販売による収入金額については、受託者がその委託品を販売した日。
ただし、当該委託品についての売上計算書が毎日又は1月を超えない一定期間ごとに送付されている場合において、継続して当該売上計算書が到達した日の属する年分の収入金額としているときは、当該売上計算書の到達の日
(4) 請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。
ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日
(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。
ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日
(6) 資産(金銭を除く。)の貸付けによる賃貸料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)
(7) 金銭の貸付けによる利息又は手形の割引料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)。
ただし、その者が継続して、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日により収入金額に計上している場合には、それぞれ次に掲げる日
イ.利息を天引きして貸し付けたものに係る利息
その契約により定められている貸付元本の返済日
ロ.その他の利息
その貸付けに係る契約の内容に応じ、36-5の(1)に掲げる日
ハ.手形の割引料
その手形の満期日(当該満期日前に当該手形を譲渡した場合には、当該譲渡の日)

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2024年3月7日


不動産所得の総収入金額の収入すべき時期

不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)
(2) 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除く。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)に掲げる日

(注)
1.当該賃貸料相当額の計算の基礎とされた期間が3年以上である場合には、当該賃貸料相当額に係る所得は、臨時所得に該当する(2-37参照)。

2.業務を営む賃借人が賃借料の弁済のため供託した金額は、当該賃借料に係る(1)に掲げる日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。

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2024年3月6日


給与所得の収入金額の収入すべき時期

給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によるものとする。

(1) 契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等(次の(2)に掲げるものを除く。)についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日
(2) 役員に対する賞与のうち、株主総会の決議等によりその算定の基礎となる利益に関する指標の数値が確定し支給金額が定められるものその他利益を基礎として支給金額が定められるものについては、その決議等があった日。ただし、その決議等が支給する金額の総額だけを定めるにとどまり、各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日
(3) 給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(4) いわゆる認定賞与とされる給与等で、その支給日があらかじめ定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについては現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度の終了の日)

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2024年3月5日


ひとり親控除とは

ひとり親控除は、納税者が所得税法上のひとり親に該当するときに受けられる所得控除です。

なお、ひとり親控除は令和2年分の所得税から適用できます。

<ひとり親控除の金額>
控除できる金額は35万円です。

<ひとり親控除の対象となる人の範囲>
ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、以下の三つの要件の全てに当てはまる人です。

  • その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
  • 生計を一にする子(その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない者)がいること。
  • 合計所得金額が500万円以下であること。

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2024年3月4日


青色事業専従者が事業から給与の支給を受けた場合の贈与税の取扱いについて

(青色事業専従者が事業から給与の支給を受けた場合)
1.青色申告書(所得税法第2条((定義))第1項第39号〔現行=第40号〕に規定する申告書をいう。)を提出することにつき税務署長の承認を受けている者(以下「青色申告者」という。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年令15才未満である者を除く。)のうち、もっぱら当該青色申告者の営む事業で不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべきものに従事する者(以下「青色事業専従者」という。)が当該事業から給与の支給を受けた場合において、その支給を受けた金額がその年における当該青色事業専従者の職務の内容等にてらし相当と認められる金額をこえるときは、当該青色事業専従者は当該青色申告者からそのこえる金額に相当する金額を贈与により取得したものとする。

(職務の内容等にてらし相当と認められる金額の判定)
2.「1」において、青色事業専従者が従事する事業から支給を受けた給与の金額が当該青色事業専従者の職務の内容等にてらし相当と認められるかどうかは、その年に現実に支給を受けた給与の金額について、当該事業またはその地域における当該事業と同種、同規模の事業に従事する者で、当該青色事業専従者と同性質の職務に従事し、かつ、能力、職務に従事する程度、経験年数その他の給与を定める要因が近似すると認められるものの受ける給与の金額を基として判定するものとする。

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2024年2月29日


口座振替により支払った後期高齢者医療制度の保険料に係る社会保険料控除

<Q>
生計を一にする妻の後期高齢者医療制度の保険料を私が口座振替により支払いました。

その保険料について、私が社会保険料控除の適用を受けることができますか?

<A>
後期高齢者医療制度の保険料について、平成21年4月以降の保険料については市区町村等へ一定の手続を行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、口座振替により保険料を支払うことが選択できることとされました。

この場合には、口座振替によりその保険料を支払った方(被保険者または被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限ります。)に社会保険料控除が適用されます。

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2024年2月28日


共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合の医療費控除

<Q>
共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合には、その医療費は、誰の医療費控除の対象になりますか?

<A>
医療費控除は、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用することとされており、この場合の配偶者その他の親族の範囲については、所得金額の要件は付されていません。

したがって、所得を有する親族のために支払った医療費であっても、その親族が医療費を支払った者と生計を一にする者であるときは、その医療費を支払った者の医療費控除の対象となります。

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2024年2月27日


妻名義で寄附をした場合の寄附金控除

<Q>
専業主婦である私の妻が、寄附を行い、寄附先から妻名義で寄附金の領収書を受領しました。
妻は、収入がないため私の配偶者控除の対象となっていますが、妻名義で支払った寄附金について、私の確定申告において寄附金控除の適用を受けることができますか?

<A>
寄附金控除は、納税義務者である居住者本人または非居住者本人が各年において、特定寄附金を支出した場合に適用をすることができます。

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2024年2月26日


納税地等の異動により管轄する税務署が変更になった場合の振替納税

振替納税を利用されている方で、納税地等の異動により管轄する税務署が変更になった場合には、変更後の税務署に新たに口座振替依頼書を提出するか、申告所得税または消費税の申告書の振替継続希望欄に「◯」を記載して提出する、あるいは、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出する場合は、振替納税に関する事項欄に表示して変更後の税務署に提出する必要がある。

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2024年2月22日


新NISAのあらまし

国税庁は、「新NISAのあらまし」をホームページに掲載した。

NISAは、18歳以上(非課税口座を開設する年の1月1日現在)の居住者等が金融機関に開設している非課税口座で取得した上場株式等について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が非課税となる制度である。

★リンクはこちら⇒ 新NISAのあらまし

2024年2月5日


確定申告において国外居住親族に係る扶養控除の適用を受ける場合には、法令に規定する書類の添付等をする必要があるとした事例

  • ①平成28年分から令和2年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成29年分の所得税及び復興特別所得税に係る還付金の充当処分
  • 棄却
  • 令和5年3月14日裁決

<ポイント>
本事例は、確定申告において国外に居住する親族について扶養控除の適用を受ける場合には、「国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするもの」の添付等をする必要があるとしたものである。

<要旨>
請求人は、所得税法施行令第262条《確定申告書に関する書類等の提出又は提示》第3項第2号に規定する送金関係書類の添付等は、所得税法第84条《扶養控除》第1項に規定する扶養控除の適用要件ではなく、国外に居住する親族が所得税法所定の扶養親族であることの立証がなされているのであれば扶養控除の適用がある旨主張する。

しかしながら、国外に居住する親族について扶養控除を適用するためには、法令に規定する書類の添付等をする必要があるところ、請求人から提出された書類はこれに該当しない。

また、その記載内容を踏まえても、当該書類は、所得税法施行規則第47条の2《確定所得申告書に添付すべき書類等》第6項に規定する「国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするもの」であるとは言い難い。

したがって、扶養控除の適用はない。

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2023年12月27日


貸金返済債務の遅延損害金支払債務は、弁済期を経過した日以後、日々経過するごとに必要経費に算入すべき金額が確定するとした事例

  • ①平成28年分及び平成29年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成30年分及び令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①一部取消し、②棄却
  • 令和5年3月23日裁決

<ポイント>
本事例は、貸金返還債務が約定に従って弁済されない場合に生じる遅延損害金支払債務は、遅滞が生じた日以後、日々経過するごとに所得税基本通達37-2《必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定》が定める要件の全てを満たすものと解するのが相当であり、約定に従った弁済がなされない日からその元本の弁済がされる日までの日数に応じて、約定に従った弁済がなされない貸金返還債務の金額に約定で定められた遅延損害金利率を乗じて計算した金額が、その年に債務が確定した遅延損害金支払債務の金額となるとした事例である。

<要旨>
請求人は、貸金返還債務の遅延損害金支払債務は、その弁済の時期や金額等の借主と貸主との合意内容によってその確定時期が左右され、分割払の合意がされた場合は、所得税基本通達37-2の2《損害賠償金の必要経費算入の時期》の注書や法人税基本通達2-1-43《損害賠償金等の帰属の時期》の趣旨に基づき、遅延損害金の必要経費算入時期は、支払った日の属する年となることから、未払遅延損害金の分割払の合意に基づき支払った金額は、当該年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額である旨主張する。

しかしながら、貸金返還債務の遅延損害金支払債務は、①その本質が債務不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償債務であるから、債務自体は弁済期を経過した時点で成立するものの、②その元本の弁済がされるまで遅滞が積み重なることで日々給付の金額が増加することから、各日ごとに具体的な給付をすべき原因となる事実が発生しており、③遅延損害金利率と弁済期からの経過日数によりその金額が算出することができるから、遅滞が生じた日以後、日々経過するごとに所得税基本通達37-2《必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定》の要件を全て満たすと解するのが相当である。

したがって、約定に従った弁済がなされない日からその元本の弁済がされる日までの日数に応じて、約定に従った弁済がなされない貸金返還債務の金額に約定で定められた遅延損害金利率を乗じて計算した金額が、その年に債務が確定した遅延損害金支払債務の金額となり、当該年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額となるのであって、過年分に発生した遅延損害金支払債務について、弁済時期等の合意がされても、その確定時期は左右されず、弁済した年分の必要経費に算入することはできない。

★リンクはこちら⇒ 貸金返済債務の遅延損害金支払債務は、弁済期を経過した日以後、日々経過するごとに必要経費に算入すべき金額が確定するとした事例

2023年12月26日


破産財団に属する株式に係る剰余金の配当は、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとした事例

  • 令和2年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和5年2月16日裁決

<ポイント>
本事例は、破産財団に属する株式の配当請求権を行使したことにより支払を受ける剰余金の配当は、その権利の行使により資産の帰属主体である地位や所有権が破産者から移転するとは認められないため、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとしたものである。

<要旨>
請求人は、破産手続において破産管財人が破産財団に属する財産の換価や処分をするための手段は、狭義の売買だけではなく、管理処分権に基づく破産法第78条列挙の処分などがあり、所得税法第9条《非課税所得》第1項第10号の規定(本件非課税規定)は、これらの手段を包括的に表現するために、処分や換価の代表的行為である「譲渡」に着目して「資産の譲渡」との名称を用いているのであるから、破産管財人が、破産財団に属する株式を売買する場合のみならず、剰余金の配当請求権を行使して支払を受ける場合も本件非課税規定の「資産の譲渡」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件非課税規定の趣旨及び文理に照らすと、「資産の譲渡」とは、資産の帰属主体たる地位や所有権を移転させる行為を指すと解されるところ、請求人が配当請求権を行使して剰余金の配当を受けることにより資産の帰属主体たる地位や所有権が請求人から移転したとは認められないから、当該配当は本件非課税規定の「資産の譲渡」には該当しない。

また、請求人は、請求人の破産管財人(本件破産管財人)が国内において破産財団に属する株式の管理処分権の一環として国外の関連会社の取締役に就任し、その株式の剰余金の配当(本件各配当)に関する政策と実務を決定し、その資金管理や支払をしており、本件各配当の原資も国内にあるから、本件破産管財人が所得税法第181条《源泉徴収義務》第1項に規定する「支払をする者」(支払をする者)に該当することから、本件破産管財人が源泉徴収義務を負う旨主張する。

しかしながら、本件各配当は、本件破産管財人が、破産管財人としての地位に基づき行ったものであり、本件各配当の支払における本件破産管財人と請求人の関係は、直接の債権債務関係に立たないことはもとより、これに準ずるような特に密接な関係にあるということもできないから、本件破産管財人は本件各配当の「支払をする者」に該当しない。よって、本件破産管財人は源泉徴収義務を負わない。

★リンクはこちら⇒ 破産財団に属する株式に係る剰余金の配当は、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとした事例

2023年12月25日


一括して売買された土地及び建物の購入の対価は、合理的な基準によりあん分して算定すべきであるとされた事例

  • ①平成28年分及び平成29年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成30年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①棄却、②一部取消し
  • 令和4年11月8日裁決

<ポイント>
本事例は、土地と建物が一括して売買され、その土地及び建物の個別の購入の対価が明らかでない場合、所得税法施行令第126条第1項第1号イにいう「当該資産の購入の代価」は、合理的な基準により算定するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、国外において一括取得した賃貸用の土地及び建物(本件各物件)に係る売買契約書に売買代金総額しか記載がなかった場合、本件各物件における各土地及び各建物の購入の代価は、請求人が取得した不動産鑑定評価書における各鑑定評価額の割合で区分すべきであり、個別的な事情が捨象され、米国e州(現地)の法令等に反する方法で評価された現地の固定資産税評価額の割合で区分すべきではない旨主張する。

しかしながら、本件各物件については、建物の減価償却費の額の算出に当たり、合理的な方法によって本件各物件の土地及び建物の購入の代価を区分する必要があるところ、現地の固定資産税評価額は、同一の公的機関が同一時期に合理的な評価基準によって請求人が本件各物件の所有権を取得した時点の市場価値を評価したものであると推認され、かかる推認を妨げる特段の事情に当たると評価すべき事実があるとは認められない。

したがって、本件各物件に係る建物の購入の対価を算定するに当たっては、現地の固定資産税評価額の割合によって区分して算定すべきである。

また、原処分庁は、本件各物件のうち平成30年に取得した物件の変更後の固定資産税評価額については、請求人が弁護士を通じて自身に有利になるよう査定官に働きかけ、故意に作出させた可能性が排除できないため、変更前の固定資産税評価額を用いるべき旨主張する。

しかしながら、現地では、固定資産の所有者がその固定資産税評価額に同意できない場合、その評価額の見直しを求める不服申立制度があり、一度評価された固定資産税評価額が事後に変更され得ることは予定されているため、査定官の職権により事後に変更されたことをもって故意に作出させたなどということができない。

したがって、平成30年に取得した物件については、変更後の固定資産税評価額を用いるべきである。

★リンクはこちら⇒ 一括して売買された土地及び建物の購入の対価は、合理的な基準によりあん分して算定すべきであるとされた事例

2023年12月8日


太陽光発電に係る取組が事業所得を生ずべき事業には該当しないとされた事例

  • ①平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(平成30年分については、いずれも再調査決定による一部取消し後のもの)
  • ②令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①棄却、②一部取消し
  • 令和4年12月14日裁決

<ポイント>
本事例は、審査請求人が、太陽光発電への取組に係る損失の金額を事業所得の金額の計算上生じたものとして所得税等の確定申告をしたところ、当該取組は、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務とはいえず、事業に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が行った太陽光発電への取組については営利性、有償性及び反復継続性を有し、危険負担を負いつつ太陽光発電設備等の規格・規模の検討と選定を行っているなどの諸般の要素に照らし判断すると、所得税法第27条《事業所得》に規定する事業に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は大規模な太陽光発電設備を取得しておらず、請求人の自宅屋根に設置した太陽光設備から生じる売電収入は減価償却費に満たない小規模なものであるから、同設備に係る業務は営利性及び物的設備に乏しく、加えて人的設備も存在しない。

したがって、請求人の太陽光発電への取組は、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務ということができないから、所得税法第27条に規定する事業に該当しない。

なお、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第1項の規定による過少申告加算税の軽減措置及び同条第2項の規定による過少申告加算税の加重措置は、いずれも財産又は債務に関して生ずる所得で政令で定めるもの(国送法施行令第12条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例の対象となる所得の範囲等》第1項各号及び国送法施行規則第16条《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例の対象となる所得の範囲》各号)に対する所得税等に関し更正があり、過少申告加算税が課される場合などに適用されるものであるところ、本件の各更正処分のうち、上記の財産又は債務に関して生ずる所得で同項で定めるものに対する所得税に関し更正があったといえるのは、請求人の不動産所得の金額の計算における青色申告特別控除額に係る更正がされた部分であり、それ以外の部分については、請求人の本件各年分の所得税等に係る各過少申告加算税の額の算定において、上記各措置は適用されない。

★リンクはこちら⇒ 太陽光発電に係る取組が事業所得を生ずべき事業には該当しないとされた事例

2023年12月7日


税務相談チャットボット(年末調整)

個人の方の国税に関する相談は、チャットボット(ふたば)を気軽にご利用ください。

ご質問したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力いただくとAI(人工知能)が自動回答します。

土日、夜間でもご利用いただけます。

★リンクはこちら⇒ 税務相談チャットボット(年末調整)

2023年12月5日


令和5年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

国税庁は、ホームページに『令和5年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日』を掲載した

[申告所得税及び復興特別所得税]
[令和5年分]
納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
予定納税第1期 令和5年7月31日(月) 令和5年7月31日(月)
予定納税第2期 令和5年11月30日(木) 令和5年11月30日(木)
確定申告 令和6年3月15日(金) 令和6年4月23日(火)
確定申告延納 令和6年5月31日(金) 令和6年5月31日(金)

[消費税及び地方消費税]
・個人事業者
[令和5年分]
納期等の区分  納期限(法定納期限) 振替日
確定申告(原則) 令和6年4月1日(月) 令和6年4月30日(火)

・法人事業
確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内
中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねください。

[法人税]
確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内
中間申告分については、税務署へお尋ねください。

[源泉所得税及び復興特別所得税]
・納期の特例の承認を受けていない場合
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限ります。)
1月から6月までの支払分: 7月10日
7月から12月までの支払分:翌年1月20日

[相続税]
確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

[贈与税]
確定申告分:翌年3月15日

[備考]
上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となります。

★リンクはこちら⇒ 令和5年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

2023年12月4日


令和5年分年末調整のための各種様式

国税庁は、ホームページに『令和5年分年末調整のための各種様式』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和5年分年末調整のための各種様式

2023年11月30日


令和5年分年末調整控除申告書作成用ソフトウェア

「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」は、従業員の方が、年末調整手続で提出する必要がある控除申告書を、質問に回答していくだけで作成することが可能な国税庁が無料で提供するソフトウェアである。

保険料などの控除証明書等のデータを利用することで、控除額を自動で計算することが可能である。

なお、作成した控除申告書は、ソフトウェアの機能を使用して、データで(又は書面で出力して)勤務先に提出することが可能である。

★リンクはこちら⇒ 令和5年分年末調整控除申告書作成用ソフトウェア

2023年11月29日


年末調整がよくわかるページ(令和5年分)

国税庁は、ホームページに『年末調整がよくわかるページ(令和5年分)』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 所年末調整がよくわかるページ(令和5年分)

2023年11月28日


所得税の過少申告加算税等の取扱いに係る一部改正(事務運営指針)

国税庁は、ホームページに「 所得税の過少申告加算税等の取扱いに係る一部改正(事務運営指針)」を掲載した。

標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第 68 条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。

(趣旨)
申告所得税及び復興特別所得税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

★リンクはこちら⇒ 所得税の過少申告加算税等の取扱いに係る一部改正(事務運営指針)

2023年8月29日


上場廃止後の株式買取りに係る譲渡申告漏れへの対応について

国税庁は、ホームページに「 上場廃止後の株式買取りに係る譲渡申告漏れへの対応について」を掲載した。

0023006-036

★リンクはこちら⇒ 上場廃止後の株式買取りに係る譲渡申告漏れへの対応について

2023年8月22日


ストックオプションに対する課税(Q&A)(情報)

令和5年度の税制改正においては、税制適格ストックオプションの要件緩和に関する改正が行われたことを踏まえ、今般、「ストックオプションに対する課税(Q&A)」をリンクのとおり取りまとめたので、今後の参考とすること。

★リンクはこちら⇒ ストックオプションに対する課税(Q&A)(情報)

2023年8月3日


一括して売買された土地及び建物の購入の対価は、合理的な基準によりあん分して算定すべきであるとされた事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和4年9月9日裁決

<ポイント>
本事例は、土地と建物が一括して売買され、当該売買契約において定められた土地及び建物それぞれの価額がその客観的な価値と比較して著しく不合理なものである場合には、所得税法施行令第126条第1項第1号イにいう「当該資産の購入の代価」は、合理的な基準により算定するのが相当であると判断したものである。

<要旨>
請求人は、土地及び建物を一括で3物件(本件3物件)買い受けて貸付けの用に供したところ、各売買契約書に記載された土地及び建物の各価額(本件各内訳価額)は第三者間での相対の商取引において合意された価額であって合理的な価額といえるから、当該各建物に係る所得税法施行令第126条《減価償却資産の取得価額》第1項に規定する「当該資産の購入の代価」は、本件各内訳価額に基づいて算定すべきである旨主張する。

しかしながら、固定資産税評価額は一般的に適切な時価を反映しているといえるところ、本件3物件の各売買代金総額は各固定資産税評価額総額を上回るのに対し、各建物価額はその固定資産税評価額を大きく上回る一方、各土地価額はその固定資産税評価額と同様か又は下回っている。

本件においてそのような評価とすべき事情は見当たらず、本件各内訳価額に係る各建物価額は、各売買代金総額から過剰に価額が配分されたものというべきであり、客観的な価値と比較して著しく不合理なものである。

そして、売主が土地及び建物を一括して譲渡する場合、建物の購入の代価について、売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額の価額比によりそれぞれあん分して算定することは、一般的には合理的な基準による算定であるといえるところ、本件各内訳価額に係る各建物価額についてはいずれも上記の不合理な場合に該当し、また、本件3物件の各固定資産税評価額が適正な時価を反映しているとはいえないような事情もないから、本件3物件に係る各建物の購入の代価は、本件3物件の各売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額比によりそれぞれあん分して算定すべきである。

なお、本件3物件のうち2物件の各建物に係る取得価額に加算すべき仲介手数料の金額等及び本件3物件の各仲介手数料に係る繰延消費税額等について、いずれも計算誤りがあると認められるため、原処分はその一部を取り消すべきである。

★リンクはこちら⇒ 一括して売買された土地及び建物の購入の対価は、合理的な基準によりあん分して算定すべきであるとされた事例

2023年5月26日


所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について

<概要>
平成30年度税制改正において、令和2年分以降の確定申告時に青色申告特別控除(65万円)の適用を受ける場合には、従前からの要件(正規の簿記の原則による記帳、貸借対照表・損益計算書の添付、期限内申告)に加え、「e-Taxによる電子申告を行う」または「電子帳簿を保存する」ことが要件とされた。

令和2年分以降の所得税及び復興特別所得税の準確定申告(死亡の場合)についても、青色申告特別控除(65万円)の適用が受けられるよう、また利便性向上のためe-Taxでの電子申告に対応した。

(注)国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから所得税及び復興特別所得税の準確定申告書の作成はできない。e-Taxソフト等を利用すること。

(準確定申告とは)
年の中途で死亡した人の場合は、相続人(包括受遺者を含む。)が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければならない。

これを準確定申告という。

<開始時期>
令和2年1月6日以降に提出される令和2年分以後の所得税及び復興特別所得税の準確定申告書。
(※令和元年分以前の準確定申告書については、電子申告できない。)

<提出書類等>
準確定申告書をe-Taxで提出する場合には、以下の書類の提出が必要である。

番号 提出書類 提出方法
所得税及び復興特別所得税の準確定申告書 ※1 e-Tax(XML形式)
死亡した者の令和_年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表 ※1 e-Tax(XML形式)
準確定申告の確認書 ※2 e-Tax(PDF形式)
委任状 ※3 e-Tax(PDF形式)

※1
①準確定申告書をe-Taxで提出する場合は、相続人が1名の場合でも必ず②付表をe-Tax(XML形式)で提出する必要がある。
※2
相続人が2名以上いる場合は、各相続人が申告内容等を確認し署名した上で、③確認書のイメージデータ(PDF形式)を作成し、e-Taxで送信する必要がある。
※3
相続人が2名以上いる場合で、相続人代表が、その他の相続人が受け取るべき還付金を代表して受け取る場合には、各相続人が申告内容や還付額等を確認した上で、署名した④委任状を提出する必要がある。
(注)
所得の種類等によっては、上記の書類に加え、その他の書類の提出が必要となる場合がある。

<送信方法等>
e-Taxで送信する際に使用するID(利用者識別番号)や電子証明書については、以下のとおり。

申告者 e-Taxで利用するID(利用者識別番号) 添付する電子証明書
相続人代表 ※1 相続人代表のID(1名分のみ) 相続人代表の電子証明書(1名分のみ)
税理士
(代理送信)
税理士のID
相続人代表のID(1名分のみ)
税理士の電子証明書
相続人代表の電子証明書(省略可) ※2

※1
相続人代表がe-Taxで送信する場合は、申告を行う相続人代表の電子証明書の添付が必要となる(相続人代表以外の電子証明書の添付はできない。)。
※2
税理士による代理送信の場合は、税理士の電子証明書を添付すれば、相続人代表の電子証明書の添付は省略できる。

<留意事項>
・国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから所得税及び復興特別所得税の準確定申告書の作成はできない。e-Taxソフト等を利用し、e-Taxで送信すること。

・準確定申告書の作成に当たって氏名欄については、以下の記載例を参考に入力すること。
【記載例】
(被相続人)国税太郎
または
(被相続人)国税太郎 (相続人)国税花子
全て全角、30文字以内で入力のこと。

★リンクはこちら⇒ 所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について

2023年3月16日


NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)

このFAQは、NFTに関する税務上の一般的な取扱いについて、質疑応答形式で取りまとめたものである。

NFT(Non-Fungible Token)とは、ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一の性質を付与して真贋性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能をもつトークンをいう。

この情報は、令和5年1月1日現在の法令・通達等に基づいて作成されている。

この情報は、一般的な取扱いを回答したものであり、納税者の方々が行う具体的な取引等については、この回答と異なる取扱いとなる場合があることには注意すること。

★リンクはこちら⇒ NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)

2023年1月26日


税務相談チャットボットで所得税(令和4年分)の相談を開始しました

国税庁は、税務相談チャットボット(ふたば)で所得税(令和4年分)の相談を開始した。

<利用可能時間について>
24時間利用できる(メンテナンス時間を除く)。

<相談可能税目について>
・所得税の確定申告に関するご相談(令和4年分)
・インボイス制度に関するご相談
・年末調整に関するご相談(令和4年分)

【参考】今後相談可能となる税目について
・消費税の確定申告に関するご相談(令和4年分)
※令和5年1月30日(月)に相談開始予定である。

★リンクはこちら⇒ 税務相談チャットボットで所得税(令和4年分)の相談を開始しました

2023年1月23日


持分会社の社員の死亡退社に伴う持分払戻請求権の価額相当額のうち、出資した金額を超える部分はみなし配当に該当するとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和4年6月2日裁決

<ポイント>
本事例は、持分会社の社員が死亡退社した場合には、その社員の有していた社員権が死亡と同時に持分払戻請求権に転換し、その転換した時点において、持分払戻請求権の価額のうち元本(出資)を超える部分が、所得税法第25条第1項の規定により剰余金の配当等(みなし配当)として当該死亡社員の所得を構成すると判断したものである。

<要旨>
請求人らは、持分会社の社員(本件被相続人)の死亡退社に伴う持分払戻請求権(本件払戻請求権)について、その払戻額を零円とすることが持分会社の総社員による同意で決定されており、相続人である請求人らに対し金銭その他の資産の交付はされていないから、所得税法第25条《配当等とみなす金額》第1項の規定によって配当等とみなされる金額はない旨主張する。

しかしながら、当該持分会社の定款には会社法第608条《相続及び合併の場合の特則》第1項に規定する持分の承継に関する定めがないことからすれば、本件被相続人は死亡退社により本件払戻請求権を取得したものと認められ、本件被相続人が有していた社員権(出資)が本件払戻請求権に転換した時点、すなわち、相続開始日において本件払戻請求権の価額相当額の経済的価値が本件被相続人にもたらされたといえる。

したがって、当該価額相当額のうち、出資に対応する部分の金額を超える金額は、本件被相続人のみなし配当と認められる。

★リンクはこちら⇒ 持分会社の社員の死亡退社に伴う持分払戻請求権の価額相当額のうち、出資した金額を超える部分はみなし配当に該当するとした事例

2023年1月19日


「令和4年分確定申告特集」を開設しました

国税庁は、「令和4年分確定申告特集」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 「令和4年分確定申告特集」を開設しました

2023年1月18日


令和5年2月19日(日)及び2月26日(日)に確定申告の相談を行う税務署

一部の税務署では、令和5年2月19日(日)及び2月26日(日)に限り、確定申告の相談・申告書の受付を行う。

令和5年2月19日(日)及び2月26日(日)に、確定申告の相談等を行う税務署等についてはリンク先をご覧のこと。

香川県は、高松税務署のみ。

※道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方々からの電話相談に答えている。

★リンクはこちら⇒ 令和5年2月19日(日)及び2月26日(日)に確定申告の相談を行う税務署

2023年1月5日


令和4年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ(高松国税局)

既に85%以上の方が、確定申告会場に来場せずに確定申告している。

自宅から申告できるe-Taxをご利用のこと。

令和4年分確定申告期における確定申告会場は下記リンクのとおり。

令和4年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、令和5年2月16日(木)から3月15日(水)までである。

確定申告会場への入場には整理券が必要である(申告書等の提出のみの場合は不要。)。

確定申告会場は混雑が予想される。

特に、確定申告期限間際は大変な混雑が予想されるので、来場される場合はお早目に。

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、相談及び申告書の受付は行っていないが、一部の税務署(確定申告会場)においては、2月19日(日)及び2月26日(日)に限り、確定申告の相談及び申告の受付を行う。

★リンクはこちら⇒ 令和4年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ(高松国税局)

2022年12月13日


「令和4年分確定申告特集(準備編)」を開設しました

国税庁は、「令和4年分確定申告特集(準備編)」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 「令和4年分確定申告特集(準備編)」を開設しました

2022年12月8日


令和4年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日を掲載しました

<申告所得税及び復興特別所得税>
[令和4年分]

納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
予定納税第1期 令和4年8月1日(月) 令和4年8月1日(月)
予定納税第2期 令和4年11月30日(水) 令和4年11月30日(水)
確定申告 令和5年3月15日(水) 令和5年4月24日(月)
確定申告延納 令和5年5月31日(水) 令和5年5月31日(水)

<消費税及び地方消費税>
・個人事業者
[令和4年分]

納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
確定申告(原則) 令和5年3月31日(金) 令和5年4月27日(木)

・法人事業者
確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内
中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねのこと。

<法人税>
確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内
中間申告分については、税務署へお尋ねのこと。

<源泉所得税及び復興特別所得税>
・納期の特例の承認を受けていない場合
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限る。)
1月から6月までの支払分: 7月10日
7月から12月までの支払分:翌年1月20日

<相続税>
確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

<贈与税>
確定申告分:翌年3月15日

[備考]
上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となる。

★リンクはこちら⇒ 令和4年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日を掲載しました

2022年11月14日


帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A(2022年10月)

令和4年度税制改正により、記帳水準の向上に資する観点から、記帳義務の適正な履⾏を担保し、帳簿の不保存や記載不備を未然に抑⽌するため、過少申告加算税・無申告加算税の加重措置が講じられた。

このQ&Aは、帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関して、その概要や適⽤上の留意点等を取りまとめたものである。

(注)2022年10月25日現在の法令等に基づき作成している。

★リンクはこちら⇒ 帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A(2022年10月)

2022年11月11日


「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)(令和4年10月7日)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)のうち、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

(趣旨)
雑所得の範囲について、明確化を図るものである。

★雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説はこちら⇒ 雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説

★パブリックコメントからの変更点はこちら⇒ パブリックコメントからの変更点

2022年10月27日


請求人がふるさと納税を行ったことにより各地方公共団体から送付を受けた各返礼品に係る経済的利益の価額は、当該各地方公共団体の評価額によるのが相当であるとした事例

  • ①平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ①棄却、②一部取消し
  • ②平成30年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • 令和4年2月7日裁決

<ポイント>
本件は、ふるさと納税に係る経済的利益の額は、地方公共団体が謝礼として供与する経済的利益の額であるから、地方公共団体が謝礼のために支出した金額(返礼品調達価格)をその算定の基礎とすることが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人の受けたふるさと納税の返礼品(本件各返礼品)について原処分庁が算定した経済的利益の価額(原処分庁認定額)は適正な金額ではなく、その収入すべき時期にも誤りが認められる旨、また、仮に一時所得の金額を計算するとしても、その経済的利益の価額は、事業の広告宣伝のための賞金を受けた場合の評価に関する課税実務上の取扱いに基づき原処分庁認定額に60%を乗じた価額とすべき旨主張する。

しかしながら、ふるさと納税をした個人は地方公共団体からの贈与により返礼品を取得すること、ふるさと納税制度における返礼品の提供が当該個人に対する謝礼であることからすれば、本件各返礼品に係る経済的利益の価額は、地方公共団体が謝礼(返礼品の調達・提供)のために支出した金額(返礼品調達価格)をその算定の基礎とすることが相当である。

そして、通常、地方公共団体が返礼品等をその調達時における時価を超えて調達することはないと考えられ、また、本件において、本件各返礼品が不当に高額又は低額で取引されたといった事情は認められない。

これらのことからすると、返礼品調達価格は、地方公共団体が本件各返礼品を調達した時における返礼品の客観的交換価値を示すものと評価できるから、請求人は、本件各返礼品を取得することにより、本件各返礼品につき返礼品調達価格に相当する経済的利益を得たことになる。

したがって、本件各返礼品に係る経済的利益の価額は、本件各返礼品の返礼品調達価格によるのが相当である。

この点、原処分庁認定額については、その価額及び収入すべき時期の認定に一部誤りがあると認められたものの、返礼品調達価格を基にして算定されたものであるから、原処分庁認定額が適正でない点に関する請求人の主張は理由がない。

また、本件各返礼品はそもそも事業の広告宣伝のための賞品ではないから、当該賞品の評価に関する課税実務上の取扱いに基づいて本件各返礼品を評価すべき旨の請求人の主張を採用することはできない。

★リンクはこちら⇒ 請求人がふるさと納税を行ったことにより各地方公共団体から送付を受けた各返礼品に係る経済的利益の価額は、当該各地方公共団体の評価額によるのが相当であるとした事例

2022年10月13日


請求人が支出したデジタルWEBコンテンツの購入代金等の中には、当該コンテンツの販売のあっせん活動に不可欠と認められる部分の支出があり、当該支出は、客観的にみて、請求人の事業所得を生ずべき業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な費用であったといえるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し
  • 令和4年3月4日裁決

<ポイント>
本事例は、デジタルWEBコンテンツの購入代金等のうち、当該コンテンツの販売のあっせん活動に不可欠と認められる部分の支出について、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができると判断した事例である。

<要旨>
請求人は、連鎖販売取引の方法によりデジタルWEBコンテンツの販売のあっせんを事業(本件事業)として営んでおり、請求人が支払ったデジタルWEBコンテンツの購入代金等(本件支出)は、本件事業を行い、本件事業に係る収入を得るためのものであり、事業所得を生ずべき業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な支出であることから所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する必要経費に該当する旨主張する。

しかしながら、デジタルWEBコンテンツの購入は、その交換価値が上昇することにより将来的に利益が得られる投機目的にあったと考えられる。

もっとも、本件事業を行うためには、デジタルWEBコンテンツの販売会社の会員として会員登録をして会員IDを取得する必要があり、会員IDを取得するためには、デジタルWEBコンテンツを購入しなければならなかった。

そして、デジタルWEBコンテンツの購入が連鎖販売取引の特定負担として位置づけられていたことからすると、当該購入にはデジタルWEBコンテンツの販売のあっせん活動に不可欠な会員IDを取得するための条件が含まれていたといえる。そうすると、本件支出のうち、会員IDを取得するためにした支出は、客観的にみて本件事業と直接関係を持ち、かつ、本件事業の遂行上必要な費用であると認められるので、本件支出のうち当該部分は、所得税法第37条第1項に規定する必要経費に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人が支出したデジタルWEBコンテンツの購入代金等の中には、当該コンテンツの販売のあっせん活動に不可欠と認められる部分の支出があり、当該支出は、客観的にみて、請求人の事業所得を生ずべき業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な費用であったといえるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例

2022年10月11日


海苔養殖業を営む請求人が事業の用に供する全自動乾海苔製造装置等は、耐用年数省令別表第二の「食料品製造業用設備(耐用年数10年)」ではなく「水産養殖業用設備(耐用年数5年)」に該当するとした事例

  • ①平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • ②平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分
  • ③平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ①③全部取消し
  • ②一部取消し

<ポイント>
本事例は、耐用年数省令別表第二の機械・装置の業用設備の判定は、請求人の業種ではなく、資産の使用状況等から社会通念に照らし、これが日本標準産業分類によるいずれの業種用として通常使用されているかにより判定すべきとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、海苔養殖業を営む請求人が使用する「全自動乾海苔製造装置」等の設備(本件償却資産)について、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-4-2《いずれの「設備の種類」に該当するかの判定》及び同1-4-3《最終製品に基づく判定》の定めに従い、本件償却資産が製造する最終製品は乾海苔であり、乾海苔は水産食料品に該当することは明らかであるとして、本件償却資産は、日本標準産業分類の中分類「09-食料品製造業」の業種用に通常使用されていると認められるから、減価償却資産の耐用年数に関する省令の別表第二《機械及び装置の耐用年数表》の番号1「食料品製造業用設備」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件償却資産は、請求人が自家取得した原藻を自宅敷地内作業場において、乾燥させて漁業協同組合へ出荷できる乾海苔にするために、海苔養殖業従事者のみに通常使用されていると認めるのが相当である。

そして、海苔養殖業者が漁業協同組合へ出荷する乾海苔は直ちに食用に供されるものではなく、食用に加工し流通させるのは漁業協同組合から乾海苔を購入した流通業者であることからすれば、乾海苔が水産食料品であることが明らかであるとして、本件償却資産が食料品製造業用として通常使用されていると認めることは困難である。

したがって、本件償却資産は、日本標準産業分類の大分類「B-漁業」の中分類「04-水産養殖業」の業種用として通常使用されていると認められるから、別表第二の番号28「水産養殖業用設備」に該当する。

★リンクはこちら⇒ 海苔養殖業を営む請求人が事業の用に供する全自動乾海苔製造装置等は、耐用年数省令別表第二の「食料品製造業用設備(耐用年数10年)」ではなく「水産養殖業用設備(耐用年数5年)」に該当するとした事例

2022年9月21日


医師が健康診断業務に係る役務の提供の対価として関与先の病院等から受領した報酬は、給与所得の収入に当たるとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分、平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却

<ポイント>
本件は、請求人の健康診断業務に係る収入について、関与先の病院等の指揮命令に服し、空間的、時間的拘束を受けて行った業務ないし労務提供の対価であると認められることから、給与所得に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、関与先である法人との間の法律関係について、当該法人から業務を請け負って収入を得る事業所得者であることが判決(本件判決)において確定しており、契約内容や業務内容が当該法人と同様である他の法人等(本件法人等)との間でも請求人は事業所得者であるとして、請求人が本件法人等から得た自己の健康診断業務(本件業務)に係る収入により生じた所得(本件所得)は、所得税法第27条《事業所得》第1項に規定する事業所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件業務に係る報酬は、あらかじめ本件法人等との間で従事時間等に応じて決められた対価が支払われるものであり、また、本件法人等から業務に必要な器具等の貸与等及び交通費等の支給を受けていたことからすれば、請求人は、本件業務から一般的に生じ得る危険を負担することはなかったものと認められる。

また、請求人は、本件法人等から業務内容や従事時間及び従事場所などの指定を受けていたことなどからすれば、本件法人等から本件業務について指揮命令や空間的、時間的拘束を受けていたと認められるから、本件所得は、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与所得に該当する。

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2022年9月15日


請求人が不動産業者との間で締結した不動産売買契約は、「土地及び建物」と「賃貸人の地位」について別個に認識し、それら2つの財産を当該不動産売買契約の目的としたとみるのが相当であり、請求人が受領した売買代金の一部は、「賃貸人の地位」の譲渡の対価として受領した金員であると認められ、貸付けに起因する所得であることから不動産所得に該当するとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 一部取消し

<ポイント>
本事例は、請求人が不動産売買契約に伴い受領した売買代金について、当該不動産売買契約に定められた契約条項の内容や、契約前後の請求人及び売買契約の対象となった不動産の借主の事情を把握し、当該売買に係る契約解釈を的確に行い、請求人が受領した売買代金の一部について「賃貸人の地位」の対価として受領したと判断したものである。

<要旨>
請求人は、賃貸していた不動産の賃借人が送金した金員(本件解約金相当額)は、当該不動産を含む不動産(本件不動産)の売買契約(本件売買契約)に基づく売買代金に含まれており、本件不動産の対価として請求人が譲受人から受領したものであるから譲渡所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件売買契約は、その特約条項によれば、本件不動産の所有権のみならず、本件不動産の賃貸借契約(本件賃貸借契約)に基づく賃貸人たる地位や、本件賃貸借契約の解約申入れに基づき賃借人から支払われる本件解約金相当額を受領する地位も移転させる趣旨のものと認められるところ、①本件解約金相当額の性質は、本件賃貸借契約に基づく中途解約金であること、②本件賃貸借契約が合意解約され、本件解約金相当額が支払われることが本件売買契約の締結より前に確定していたこと、③本件売買契約に付された不動産の価格が解約金とは別に形成されていたこと、及び④本件売買契約における売買代金から本件解約金相当額を除いた金額に相当する価格が、本件不動産の転売価格と均衡することが認められた。

これらの諸事情からすると、本件売買契約は、本件解約金相当額を含む売買代金総額の全てを本件不動産の譲渡対価とする趣旨のものであったとは解し難い。

また、本件売買契約の前に本件賃貸借契約が合意解約され中途解約金が支払われることが確定していた本件では、「賃貸人の地位」の交換価値が、本件不動産そのものの交換価値から独立した「本件解約金相当額を受領する地位」の価値として客観的に把握することができた。これらのことからすれば、請求人と譲受人は、売買された不動産と「賃貸人の地位」について、それぞれ別個の価格を認識し、それら2つの財産を本件売買契約の目的としたとみるのが相当であり、本件解約金相当額は、請求人が「賃貸人の地位」の対価として受領した金額であると認められる。

そして、本件解約金相当額が、本件賃貸借契約が合意解約されることを前提として「残賃貸借期間の賃料の補償」として支払われることが確定したものであり、本件賃貸借契約に基づく賃貸人の地位に包含されるものであることからすると、請求人が受領した本件解約金相当額は、不動産の貸付けに起因して発生した所得であるといえ、不動産所得に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人が不動産業者との間で締結した不動産売買契約は、「土地及び建物」と「賃貸人の地位」について別個に認識し、それら2つの財産を当該不動産売買契約の目的としたとみるのが相当であり、請求人が受領した売買代金の一部は、「賃貸人の地位」の譲渡の対価として受領した金員であると認められ、貸付けに起因する所得であることから不動産所得に該当するとした事例

2022年9月13日


国税庁ホームページでの所得税等の申告書等作成・e-Taxがますます便利に!

令和4年分確定申告(令和5年1月上旬~)からマイナンバーカードやスマートフォンを利用した申告がさらに便利になる!

国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額等を入力するだけで、所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、贈与税の申告書や青色申告決算書・収支内訳書等の作成・e-Taxによる送信(提出)ができる。

また、自動計算されるので計算誤りがない。

以下は、令和4年分確定申告(令和5年1月上旬~)から確定申告書等作成コーナーでサービス開始予定の内容である。

<マイナンバーカードの読み取り回数が1回に!>
令和5年1月からマイナンバーカードを利用して申告される方のマイナンバーカードの読み取り回数が1回になる。

<青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成可能に!>
令和5年1月から青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成可能になる!
また、パソコンの画面もリニューアルする!

<マイナポータル連携による申告書の自動入力対象が拡大!>
マイナポータル連携とは、所得税確定申告手続について、マイナポータル経由で、控除証明書等の必要書類のデータを一括取得し、各種申告書の該当項目へ自動入力する機能である。
令和4年分確定申告からは、新たに医療費通知情報(1年間分)、公的年金等の源泉徴収票及び国民年金保険料控除証明書もマイナポータル連携の対象となる。
詳しくは、マイナポータル連携で確定申告書に自動入力!をご覧のこと。

★リンクはこちら⇒ 国税庁ホームページでの所得税等の申告書等作成・e-Taxがますます便利に!

2022年9月6日


原処分庁が用いた資産負債増減法による事業所得の推計方法において、純資産の増加額の算定に際し基礎とした資産の認定に一部誤りがあるとした事例

  • 平成27年分から平成29年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税は一部取消し
  • その他は棄却
  • 令和3年8月4日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が用いた資産負債増減法による推計において、請求人名義の預金口座への入金額の一部は、子名義の預金口座から引き出された金銭を原資とするものであり、請求人の事業所得を原資とするものではないから、純資産の増加額とは認められないとした事例である。

<要旨>
原処分庁は、原処分庁が請求人の事業所得を算定するに当たって採用した資産負債増減法において、子名義の普通預金口座(本件普通預金口座)から引き出された金銭によって請求人名義の定期預金口座が開設されたとの事実を裏付ける証拠はないことから、減算調整項目(事業外所得)として減算すべき金額はない旨主張する。

しかしながら、本件普通預金口座から合計2,000,000円が引き出された翌日に同額が請求人名義の定期預金口座に入金されたこと、本件普通預金口座に係る通帳等を同居人が管理していること、本件普通預金口座から引き出された2,000,000円が請求人名義の定期預金口座への入金以外に充てられたことをうかがわせる事情がないことなどからすれば、請求人名義の定期預金口座に入金された金銭は本件普通預金口座から引き出された金銭を原資とするものであり、事業所得を原資とするものとはいえない。

★リンクはこちら⇒ 原処分庁が用いた資産負債増減法による事業所得の推計方法において、純資産の増加額の算定に際し基礎とした資産の認定に一部誤りがあるとした事例

2022年4月8日


原処分庁の平均所得率の計算過程において、損失の金額が生じていた類似同業者の所得率はマイナス値で計算すべきとされた事例

  • 平成28年分から平成30年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分、平成28年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税は一部取消し、その他は棄却
  • 令和3年6月23日裁決

<要旨>
請求人は、原処分庁の所得金額の推計の算出について、①原処分庁の算出基準においては、青色申告の承認を受けた者の確定申告が適切になされたものであって、かつ、請求人の確定申告と比較しうる理由の根拠が示されていないこと、②原処分庁が請求人の所得金額の推計に用いた請求人と業種・業態が類似し事業規模が同程度であると判断した同業者(本件類似同業者)の業態が全く不明であり、原処分庁が所得率の高い同業者だけを選んで推計の基礎に用いた可能性も否定できないこと、及び③本件類似同業者の本件各年分の平均所得率は年分によってかなりの開差があることから、推計の合理性があるとはいえない旨主張する。

しかしながら、原処分庁は、本件類似同業者を抽出するにあたり、業種・業態の類似性、個人又は法人の別、事業所の所在地の接近性、資料の正確性並びに事業規模の類似性等に係る基準を設けてこれらの条件に全て該当する者を抽出したのであるから、当該抽出基準は合理性を有するものであり、また、同業者の抽出過程に原処分庁の恣意が介在したとの事実は認められない。

そして、平均所得率の算出に使用した資料は、いずれも帳簿書類等が整っている青色申告者の決算書であり、その信頼性ないし正確性は高く、さらに本件類似同業者の件数も本件類似同業者の個別性を平均化するに足るということができる。

したがって、本件類似同業者と請求人の間には類似性があり、原処分庁の本件類似同業者の抽出基準及び抽出方法は合理性を有するものであると認められる。

ただし、原処分庁の平均所得率の計算過程において、本件類似同業者のうち1名に損失の金額が生じていたにもかかわらず、その者の所得率を0.00%で計算しているが、その者の所得率を0.00%とすべき特殊な事情は認められないことから、当該所得率は損失の金額で算出したマイナス値で計算すべきである。

★リンクはこちら⇒ 原処分庁の平均所得率の計算過程において、損失の金額が生じていた類似同業者の所得率はマイナス値で計算すべきとされた事例

2022年2月17日


推計による所得税等の課税処分について、原処分庁による推計の必要性が認められ、また、推計の合理性があるとした事例

  • ①平成28年分以降の所得税の青色申告の承認取消処分
  • ②平成27年分から平成29年分までの所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • ④平成28年1月1日から平成29年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分
  • ①③④棄却、②一部取消し
  • 令和3年6月23日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁の同業者率による推計方法について、①推計基礎の正確性、②推計方法の最適性及び③推計方法の客観性があり、推計の合理性があるとしたが、類似同業者の一部の減価償却費や必要経費の算定における計算誤りがあったため、更正処分の一部を取り消すのが相当であるとした事例である。

<要旨>
請求人は、請求人の総勘定元帳により、請求人の所得金額を実額で計算することができ、推計の必要性がない旨、また、原処分庁による推計方法は合理性がない旨主張する。

しかしながら、請求人が提出した資料では実額で計算することはできず、本件には推計の必要性があったと認めるのが相当である。

また、推計方法については、原処分庁は、請求人の各年分の総収入金額に類似同業者の平均必要経費率(同業者比率)を用いる方法により請求人の事業所得の金額を算出しているところ、①同業者比率による推計方法については、一般に、業種・業態が類似する同業者にあっては、特段の事情がない限り、経験則上、同程度の同収入金額に対し、同程度の所得が得られると考えられており、請求人の営む事業の場合であっても例外でなく、本件において請求人に特段の事情があるとは認められないこと、②推計の基礎となる総収入金額は正確に把握されていること、③抽出基準に合理性がある上、類似同業者の抽出過程において課税庁の恣意や思惑が介在していないこと、及び④抽出件数も類似同業者の平均値を求める上で合理的であることが認められる。

したがって、原処分庁による推計については、抽出した類似同業者の一部の者の減価償却費や必要経費の算定における計算誤りの部分を除いて、合理性があると判断するのが相当である。

★リンクはこちら⇒ 推計による所得税等の課税処分について、原処分庁による推計の必要性が認められ、また、推計の合理性があるとした事例

2022年2月15日


定年を延長した場合に一部の従業員に対してその延長前の定年に達したときに支払う一時金の所得区分について

<照会>
1.事前照会の趣旨
当社の退職金制度は、退職一時金、確定給付企業年金、確定拠出年金から構成されており、当社の退職給付規則等に定められた方法により計算し、対象者に支給しています(以下、当社から支給される退職一時金を「本件退職一時金」といいます。)。
今般、当社は、安定的に雇用を確保しながら事業を前進させる必要があることに加え、高年齢者安定雇用の確保という社会情勢や労働組合の要望を踏まえ、労働組合との合意により労働協約書等を改定し、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき満60歳に達した月の末日としていた従業員の定年を、満60歳から満65歳までの間で従業員が選択したいずれかの年齢に達した月の末日に延長することとしました(以下、労働協約書等の改定後の従業員が選択した定年年齢を「選択定年年齢」といい、改定後の定年制度を「本件定年制度」といいます。)。
当社は、これまで、定年年齢(60歳)に達した月の翌月末までに本件退職一時金を支給してきましたが、本件定年制度においては、原則として、選択定年年齢に達した月の翌月末までに本件退職一時金を支給することとしました。しかしながら、本件定年制度の制定前に入社した従業員のうち、満60歳に達した月の翌月末までに一時金の支給を希望する従業員(以下「本件希望者」といいます。)に対しては、選択定年年齢にかかわらず、本件退職一時金の代わりに一時金(以下「本件一時金」といいます。)を支給することとしました。
この本件一時金は、引き続き勤務する従業員に対して支給するものであり、本来の退職所得とはいえませんが、所得税基本通達30-2(5)《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの》に定める給与に該当し、退職所得として取り扱って差し支えないか照会いたします。

2.事前照会に係る取引等の事実関係
(1)本件一時金を支給することとした経緯
本件定年制度の導入に当たり、一部の従業員から、「満60歳を迎えたときに本件退職一時金が支給されることを前提にマイホームローンや子の教育ローンの返済を計画する等の生活設計をしており、本件定年制度が導入され、選択定年年齢を61歳から65歳までのいずれかとすると、本件退職一時金の支給が延長され、不都合が生じること」(以下「本件支給事由」といいます。)を理由として、満60歳の時に本件退職一時金の支給を受けたいとの要望を受けました。
当社としては、本件定年制度の導入前後において、本件退職一時金の支給金額が同額であるにもかかわらず、定年延長の結果、その支給時期が延期されるという不利益が従業員に生じる中で、本件支給事由に係る不都合に対して特に配慮する必要があったことから、本件希望者に対して、満60歳の時に本件一時金を支給することとしました。

(2)本件定年制度について
本件定年制度において、本件退職一時金及び本件一時金は、いずれも満60歳に達した月の末日までの期間を基礎として計算され、定年を延長した期間は計算の基礎に含めません。
また、本件希望者は、満59歳に達した月の末日までに選択定年年齢を選択し、当社が指定した期日(満60歳に達した月の末日の2、3週間前)までに本件一時金の支給希望について、本件支給事由を申請書に記載し、当社に提出します。当社は、これを受け、本件希望者に対して本件一時金を支給します。
そして、本件一時金を支給した後、本件希望者に退職を理由とした一時金を支給することはありません。
なお、確定給付企業年金制度について、加入者の資格喪失の時期(60歳に達した日の翌日)及び老齢給付金の支給を請求できる年齢(60歳以上)に変更はなく、また、確定拠出年金制度についても、加入者の範囲(60歳未満)、加入者の資格喪失の時期(60歳に達したとき)及び老齢給付金の支給を請求できる年齢(60歳以上)に変更はありません。

3.事実関係に対して事前照会の求める見解となることの理由
(1)法令等について
所得税法第30条第1項《退職所得》は、退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下「退職手当等」といいます。)に係る所得をいう旨規定しています。
また、所得税基本通達30-2(5)は、引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、①労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合において、②延長前の定年(以下「旧定年」といいます。)に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与であり、③その支払をすることにつき相当の理由があると認められるもので、④その給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは、退職手当等とする旨定めています。

(2)本件一時金の所得区分について
上記1及び2(2)のとおり、当社は、労働組合との合意により労働協約等を改定して旧定年を延長し、本件希望者に対して旧定年である満60歳に達した月の末日までを基礎として本件一時金の計算をすることとしていますので、本件一時金は「旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与」であると考えます(上記(1)1及び2)。
また、当社は、本件一時金を支給した後、本件希望者に退職を理由とした一時金を支給しないことから、本件希望者に対して旧定年時までの勤続期間を加味した一時金が支給されることもありませんので、本件一時金は、いわゆる打切支給の退職手当等であると考えます(上記(1)4)。
そして、本件一時金は、次のイないしニのことからすると、その支払をすることにつき「相当の理由がある」ものと考えます(上記(1)3)。
したがって、本件一時金は、退職手当等に該当し、退職所得として取り扱って差し支えないものと考えます。
イ.本件一時金は、入社時から、旧定年(満60歳)を迎えたときに本件退職一時金が支給されることを前提に生活設計をしてきた本件希望者の事情を踏まえ、旧定年時において精算を行うものであること。
ロ.本件定年制度導入前後において、本件退職一時金の支給金額が同額であるにもかかわらず、その支給時期が延期されるという不利益が従業員に生じる中で、本件支給事由に係る不都合に対して雇用主として特に配慮する必要があること。
ハ.本件一時金は、本件定年制度導入前に入社した従業員のうち希望者(本件希望者)に対して支給されるものであり、その支給時期も旧定年時に限られていること。
ニ.本件定年制度導入前において、旧定年時(満60歳)に支給されていた本件退職一時金は、長期間勤務したことに対する報償及び旧定年時以後の生活保障としての性格を有するものであるところ、本件一時金もその性格を有するものであることに変わりはないと考えられること。

<回答>
回答年月日
令和3年11月11日

回答者
東京国税局審理課長

回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
1.ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
2.この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

★リンクはこちら⇒ 定年を延長した場合に一部の従業員に対してその延長前の定年に達したときに支払う一時金の所得区分について

2022年1月24日


「個人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)

平成12年7月3日付課所4-17ほか3課共同「個人の青色申告の承認の取消しについて」(事務運営指針)の一部を別紙のとおり改正したから、令和4年1月1日以後は、これによられたい。

(注)アンダーラインを付した箇所が、改正した箇所である。

<趣旨>
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の一部改正に伴い、所要の整備を図るものである。

★リンクはこちら⇒ 「個人の青色申告の承認の取消しについて」の一部改正について(事務運営指針)

2022年1月19日


令和3年分所得税の確定申告関係書類

国税庁はホームページに『令和3年分所得税の確定申告関係書類』を掲載した。

★リンクはこちら⇒ 令和3年分所得税の確定申告関係書類

2022年1月14日


令和3年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

<申告所得税及び復興特別所得税>
[令和3年分]

納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
予定納税第1期 令和3年8月2日(月) 令和3年8月2日(月)
予定納税第2期 令和3年11月30日(火) 令和3年11月30日(火)
確定申告 令和4年3月15日(火) 令和4年4月21日(木)
確定申告延納 令和4年5月31日(火) 令和4年5月31日(火)

<消費税及び地方消費税>
・個人事業者
[令和3年分]

納期等の区分 納期限(法定納期限) 振替日
確定申告(原則) 令和4年3月31日(木) 令和4年4月26日(火)

・法人事業者
確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内
中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねください。

<法人税>
確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内
中間申告分については、税務署へお尋ねください。

<源泉所得税及び復興特別所得税>
・納期の特例の承認を受けていない場合
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限る。)
1月から6月までの支払分: 7月10日
7月から12月までの支払分:翌年1月20日

<相続税>
確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

<贈与税>
確定申告分:翌年3月15日

[備考]
上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となる。

★リンクはこちら⇒ 令和3年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

2022年1月12日


令和3年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

既に80%以上の方が、確定申告会場に来場せずに確定申告している。
感染リスクを軽減するため、ご自宅から申告できるe-Taxをご利用ください。
→確定申告書の作成はこちら

令和3年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、令和4年2月16日(水)から3月15日(火)までである。
確定申告会場への入場には整理券が必要である(申告書等の提出のみの場合は不要である。)。
→入場整理券の詳細についてはこちら

なお、本年は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、一部の税務署(確定申告会場)においては、開設期間を拡大している。

確定申告会場は混雑が予想される。
特に、確定申告期限間際は大変な混雑が予想されるので、来場される場合はお早目にお越しください。

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、相談及び申告書の受付は行っていないが、一部の税務署(確定申告会場)においては、2月20日(日)及び2月27日(日)に限り、確定申告の相談及び申告の受付を行う。

★リンクはこちら⇒ 令和3年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

2021年12月27日


最高裁判所令和3年3月11日判決を踏まえた利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当の取扱いについて

1.最高裁判所令和3年3月11日判決について
最高裁判所令和3年3月11日判決(以下「本件判決」という。)において、利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当(以下「混合配当」といいます。)が行われた場合における「株式又は出資に対応する部分の金額」の計算方法の規定について、次のとおり、一定の限度において、違法なものとして無効である旨判示された。

【本件判決の概要】
混合配当は、その全体が法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの。)24条1項3号(注:現行の法人税法24条1項4号)に規定する資本の払戻しに該当するものというべきである。

株式対応部分金額の計算方法について定める法人税法施行令(平成26年政令第138号による改正前のもの。)23条1項3号(注:現行の法人税法施行令23条1項4号)の規定のうち、資本の払戻しがされた場合の直前払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分は、混合配当につき、減少資本剰余金額を超える直前払戻等対応資本金額等が算出される結果となる限度において、法人税法の趣旨に適合するものではなく、同法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである。

2.本件判決を踏まえた今後の取扱い等
(1)本件判決では、上記1のとおり、混合配当に係る株式対応部分金額の計算方法につき、減少資本剰余金額を超える直前払戻等対応資本金額等が算出される結果となる限度において、違法なものとして無効である旨判示されていることから、現行の法人税法施行令23条1項4号及び同様の規定である所得税法施行令61条2項4号について、本件判決に従い、混合配当があった場合に算出される直前払戻等対応資本金額等につき減少資本剰余金額を上限として取り扱う。

(2)上記(1)の取扱いは、過去に遡って適用されるので、上記(1)の取扱いにより直前払戻等対応資本金額等の再計算を行った結果、過去に行った申告内容等に異動が生じた株主等について、納付税額等が過大となる場合には、国税通則法の規定に基づき所轄の税務署に更正の請求を行うことができる。

更正の請求をする場合には、上記の申告内容等の異動事項が分かる書類を併せてご提出ください。

なお、法定申告期限等から5年を経過している法人税又は所得税については、法令上、減額更正を行うことはできないこととされていますので、ご注意ください。

★リンクはこちら⇒ 最高裁判所令和3年3月11日判決を踏まえた利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当の取扱いについて

2021年12月27日


令和3年分確定申告特集(準備編)

国税庁はホームページに『令和3年分確定申告特集(準備編)』を開設した。

★リンクはこちら⇒ 令和3年分確定申告特集(準備編)

2021年12月21日


短期退職手当等Q&A

国税庁は、『短期退職手当等Q&A』を公表した。

所得税法等の一部を改正する法律(令和3年法律第11号)により、役員等以外の者としての勤続年数が5年以下である者に対する退職手当等(短期退職手当等)について、その退職所得金額の計算方法が改正され、令和4年1月1日から施行されることから、短期退職手当等に関する質疑応答事例を取りまとめた。

(注)この資料は、令和3年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成されている。

★リンクはこちら⇒ 短期退職手当等Q&A

2021年11月15日


請求人の事業所得の金額を推計するに当たり、原処分庁が採用した類似同業者の抽出基準及び抽出方法に一応の合理性があるとした事例

  • ①平成26年分、平成28年分、平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成27年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分
  • ③平成26年1月1日から平成26年12月31日まで、平成27年1月1日から平成27年12月31日まで、平成28年1月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
  • ①一部取消し、棄却
  • ②一部取消し
  • ③一部取消し、棄却
  • 令和3年3月4日裁決

<ポイント>
本事例は、推計の基礎数値である収入金額の異動により、審判所の認定額が原処分額を下回ったため、原処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
請求人は、請求人の事業は自動車整備業のみで、自動車販売は附帯的に行っているだけであるから、原処分庁が、自動車整備業及び自動車販売業を営む者を類似同業者の抽出基準としていることには合理性がない旨主張する。

しかしながら、請求人は、自動車整備業だけでなく自動車の販売も行っていると認められる以上、原処分庁が、類似同業者の抽出基準において、自動車整備業及び自動車販売業を営む者を請求人の類似同業者としたことは相当である。

なお、請求人の収入金額の異動により、審判所の認定額が原処分額を下回ったため、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら⇒ 請求人の事業所得の金額を推計するに当たり、原処分庁が採用した類似同業者の抽出基準及び抽出方法に一応の合理性があるとした事例

2021年11月12日


パンフレット「暮らしの税情報」(令和3年度版)

このパンフレットは、令和3年4月1日現在の法令等に基づいて作成されている。

下記リンクの各項目をクリックすると、パンフレットの該当ページがご覧いただける。

パンフレットは、7月中旬頃、各税務署の窓口に設置している。

★リンクはこちら⇒ パンフレット「暮らしの税情報」(令和3年度版)

2021年8月18日


「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達 課個3-9 課法11-22 課審5-2 令和3年6月25日)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)のうち、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

(趣旨)
保険契約等に関する権利の評価の取扱いについて、適正化を図るものである。

★リンクはこちら⇒ 「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達 課個3-9 課法11-22 課審5-2 令和3年6月25日)

2021年7月9日


請求人が経営する診療所の勤務医を診療協力として別病院の診療に従事させたことに伴い当該別病院から支給を受ける協力金は、措置法第10条の5の3第2項第3号(雇用者等給与支給額が増加した場合の所得税額の特別控除)括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当するとした事例

  • 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年7月7日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が雇用する勤務医に対して、(賞与を支給する定めがないにもかかわらず)給与とは別に診療協力回数に応じて支給していた賞与が、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)第10条の5の3《雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除》(本件特別控除)に規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当すると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が経営する診療所に勤務する医師(勤務医)を診療協力として別病院の外来患者の診療に従事させたことに伴い当該別病院から請求人が支払を受ける協力金(本件協力金)について、①当該別病院が委託費として経理処理していること、また、②当該別病院の経理担当者が「勤務医の給与に充てるために(請求人に)支払ったものではない」旨証言していることを理由に、本件特別控除に規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当しないから、請求人は本件特別控除の適用を受けることができない旨主張する。

しかしながら、請求人と勤務医との雇用契約に賞与を支給する定めがないにもかかわらず、請求人が勤務医に対して当該診療協力の回数に応じて賞与を支給していたことは、当該勤務医が診療協力に従事し、本件協力金の支払を受けたために他ならないことから、本件協力金は、勤務医に対する賞与に充てるために当該別病院から支払を受けたものと認められる。

したがって、本件協力金は、租税特別措置法第10条の5の3第2項第3号括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当する。

★リンクはこちら⇒ 請求人が経営する診療所の勤務医を診療協力として別病院の診療に従事させたことに伴い当該別病院から支給を受ける協力金は、措置法第10条の5の3第2項第3号(雇用者等給与支給額が増加した場合の所得税額の特別控除)括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当するとした事例

2021年4月15日


イメージデータで提出可能な添付書類(所得税確定申告等)

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★リンクはこちら⇒ イメージデータで提出可能な添付書類(所得税確定申告等)

2021年3月17日


雑所得の業務に係るもの

雑所得は、令和元年度までは公的年金等とその他とに分けられていたが、令和2年度から新規に『業務に係るもの』が加わった。

総収入金額-必要経費=その他の雑所得

(注)
業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいう。
令和4年以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方は、現金預金取引等関係書類を保存しなければならないこととされている。

★リンクはこちら⇒ No.1500 雑所得

2021年2月26日


固定資産税の前納奨励金

事業用固定資産に係る前納報奨金は、事業所得として申告する。

また、賃貸不動産に係る前納報奨金は、不動産所得として申告する。

その他、業務用以外の固定資産に係る前納報奨金は、一時所得として申告する。

★リンクはこちら⇒ 固定資産税の前納奨励金

2021年2月9日


令和2年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長

今般、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の期間が令和2年分所得税の確定申告期間(令和3年2月16日~3月15日)と重なることを踏まえ、十分な申告期間を確保して確定申告会場の混雑回避の徹底を図る観点から、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限について、全国一律で令和3年4月15日(木)まで延長することとされた。

これに伴い、申告所得税及び個人事業者の消費税の振替納税を利用している方の振替日についても、下記のとおり延長されることとなった。

<申告期限・納付期限>

税 目 当 初 延 長 後
申 告 所 得 税 令和3年3月15日(月) 令和3年4月15日(木)
個人事業者の消費税  令和3年3月31日(水)
贈   与   税 令和3年3月15日(月)

<振替日>

税 目 当 初 延 長 後
申 告 所 得 税 令和3年4月19日(月) 令和3年5月31日(月)
個人事業者の消費税 令和3年4月23日(金) 令和3年5月24日(月)

確定申告会場については、レイアウト・運営方法を昨年とは大幅に見直しており、換気・消毒・距離確保といった感染症対策や時間指定の入場整理券の導入等により三密回避を徹底することで、安心して相談いただける環境整備を進めている。

なお、令和3年3月16日(火)以降は、会場によっては相談スペースの確保に制約が生じることも予想される。会場での申告相談を希望の方は、申告の準備が整い次第、可能な範囲内でお早めの来場をお願いいしたい。

(参考)確定申告会場への来場を検討されている方へ
また、申告や相談に当たっては、ご自宅等からも e-Tax や電話相談・チャットボットを利用できるので、感染症対策の観点からもぜひ利用してください。

★リンクはこちら⇒ 令和2年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長

2021年2月8日


国外財産調書制度に関するお知らせ

国税庁は、「国外財産調書制度(FAQ)を更新した。

★リンクはこちら⇒ 国外財産調書制度に関するお知らせ

2021年1月26日


振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書(個人)のオンライン提出について

令和3年1月から、個人の方の振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書をe-Taxで提出可能となった。

パソコンやスマートフォンからe-Tax(Web版・SP版)にログインし、入力画面に沿って必要事項を入力することにより、振替依頼書等の記入や金融機関届出印の押印なしに、オンラインで振替依頼書等を提出できるようになった。

なお、振替依頼書等のオンライン提出においては、金融機関の外部サイトにより利用者認証を行うので、電子送信時に電子署名及び電子証明書の添付は不要となる。

振替依頼書については、「申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付」をご確認のこと。

ダイレクト納付利用届出書については、「ダイレクト納付の手続」をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書(個人)のオンライン提出について

2021年1月21日


財産債務調書制度に関するお知らせ

国税庁は、「財産債務調書制度(FAQ)を更新した。

★リンクはこちら⇒ 財産債務調書制度に関するお知らせ

2021年1月15日


暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)

暗号資産を売却又は使用することにより生ずる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され所得税の確定申告が必要となる。

詳しくは、下記リンクの情報をご確認のこと。

★リンクはこちら⇒ 暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)

2021年1月14日


入場整理券による申告相談体制への移行のお知らせ

令和2年分確定申告については、確定申告会場の混雑緩和を図るため、確定申告会場への入場には、入場できる時間枠が指定された「入場整理券」が必要となる。

なお、現在実施している事前予約による申告相談は、令和2年12月をもって一時終了し、税務署ごとに順次、入場整理券による申告相談体制に移行していく。

ちなみに、香川県内の各税務署における入場整理券による申告相談体制への移行日は、以下のとおり。

※オンライン事前発行の申込は、令和3年1月12日(火)以降順次開始する。

税務署名 移行日
高松税務署 令和3年1月18日(月)
丸亀税務署 令和3年2月1日(月)
坂出税務署 令和3年2月1日(月)
観音寺税務署 令和3年2月1日(月)
長尾税務署 令和3年2月1日(月)
土庄税務署 令和3年2月1日(月)

★リンクはこちら⇒ 入場整理券による申告相談体制への移行のお知らせ

2021年1月12日


令和2年分確定申告特集

国税庁は、ホームページに「令和2年分確定申告特集」を開設した。

★リンクはこちら⇒ 令和2年分確定申告特集

2021年1月7日


譲渡した土地上に存する2棟の家屋は独立しており、租税特別措置法第35条第1項に規定する特例対象土地は、家屋の建築面積に近似する床面積で按分した居住用家屋の敷地部分に限られるとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和2年6月19日裁決

<ポイント>
本事例は、譲渡した土地上の2棟の家屋が2階部分で接合されていたとしても、それぞれ独立した居住用家屋であり、併せて一構えの一の家屋であるとは認められない。

本件特例の対象となる土地に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋(請求人が所有し居住用に供していた家屋)の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的としたものである。

<要旨>
請求人は、譲渡した土地上に、請求人が所有し居住用に供していた家屋(本件甲家屋)と子が所有する家屋(本件乙家屋)の2棟が存するが、これらの家屋は併せて一構えの一の家屋と認められるから、いずれの家屋の敷地も租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定(本件特例)の適用がある旨主張する。

しかしながら、各家屋は、それぞれ、玄関、台所、風呂及び便所を備え、電気、ガス、水道及び固定電話回線の各設備を有し、その規模、構造、間取り、設備等の状況からすれば、各家屋はそれぞれ独立した居住用家屋であることから、併せて一構えの一の家屋であるとは認められず、本件乙家屋敷地について本件特例を適用することはできない。

そして、本件特例の対象となる土地(本件甲家屋の敷地)に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋における各階の登記上の床面積のうち、建築面積に近似する最も広い床面積を、両家屋の各建築面積として用いるのが合理的であり、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的である。

★リンクはこちら⇒ 譲渡した土地上に存する2棟の家屋は独立しており、租税特別措置法第35条第1項に規定する特例対象土地は、家屋の建築面積に近似する床面積で按分した居住用家屋の敷地部分に限られるとした事例

2021年1月5日


請求人と同人が代表である法人との間で締結された請求人所有の土地の賃貸借契約について、契約書に記載された契約期間後まで契約書記載の賃料収入が維持されていたとは認められないとした事例

  • ①平成25年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分 棄却
  • ②平成25年分から平成29年分の所得税及び復興特別所得税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分 →全部取消し、一部取消し、棄却
  • ③平成25年1月1日から平成29年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分 →全部取消し、一部取消し、棄却
  • 令和2年4月21日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人と同人が代表である法人との間で締結された請求人所有の土地の賃貸借契約について、当該契約に係る契約書に記載された契約期間後まで当該契約書記載の賃料収入が維持されていたとは認められず、請求人主張額の賃料収入があったと認めるのが相当であり、他方でこれを上回る賃料収入があったことを認めるに足る証拠はないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が同人が代表取締役である法人(本件法人)と過去に請求人所有の土地(本件土地)に係る賃貸借契約(本件契約)を締結し、本件契約に係る契約書に記載された契約期間(本件契約期間)後、本件法人が、本件土地を別法人に転貸する旨の契約を締結して賃料収入を得ていたことからすると、請求人と本件法人は本件契約を更新していたと推認することができるとして、請求人は、本件契約期間後も本件契約に定める賃料の金額を本件法人から賃料収入として得ていた旨主張する。

しかしながら、本件契約期間後の期間における契約書等の客観的証拠はなく、本件契約期間後の期間における契約が、賃料も含めて本件契約の条件と同一内容で更新されたものであったと認めることはできない一方、請求人は本件法人から得た本件土地の賃料収入について、その具体的金額等を当審判所に対し証拠として提出していることからすると、少なくとも同金額の賃料収入があったと認めるのが相当であり、他方で、これを上回る賃料収入があったことを認めるに足る証拠はない。

★リンクはこちら ⇒ 請求人と同人が代表である法人との間で締結された請求人所有の土地の賃貸借契約について、契約書に記載された契約期間後まで契約書記載の賃料収入が維持されていたとは認められないとした事例

2020年12月28日


令和2年分所得税の確定申告関係書類

国税庁は、「令和2年分所得税の確定申告関係書類」をホームページに掲載した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分所得税の確定申告関係書類

2020年12月24日


令和2年分確定申告特集(準備編)

国税庁は、「令和2年分確定申告特集(準備編)」を開設した。

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分確定申告特集(準備編)

2020年12月17日


チャットボット(ふたば)に質問する

所得税の確定申告や年末調整に関する疑問は、国税庁のチャットボットの税務職員ふたばにお気軽にご相談のこと。

医療費控除や住宅ローン控除など問い合わせが多いご質問について、入力すると自動回答してくれる。

土日、夜間でも利用できる。

チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、ご質問したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力すると、AI(人工知能)を活用して自動で回答する。

<チャットボットの利用可能期間>
・年末調整に関するご相談
令和2年10月28日(水)から令和2年12月28日(月)まで

・所得税の確定申告に関するご相談
令和3年1月12日(火)から
※24時間利用できる(メンテナンス時間を除く)。

<チャットボットの相談範囲>
チャットボットは、以下の相談に対応している。
“年末調整” に関する相談
主に従業員の方が年末調整の各種申告書を作成する際に問合せが多い以下の事項に対応している。
・年末調整の各種申告書の内容、書き方、添付する書類に関すること
・年末調整で適用される控除に関すること
・令和2年分の税制改正に関すること
・転職をした場合や育児休業を取得した場合など、その方の状況に応じて行う年末調整の手続に関すること など

“所得税の確定申告” に関する相談 
・確定申告の手続に関すること
・給与所得、年金の所得に関すること
・配当所得、株式の譲渡所得に関すること
・医療費控除、住宅ローン控除に関すること
・社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除(ふるさと納税)、雑損控除、寡婦・ひとり親控除、勤労学生控除、障害者控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除に関すること
・e-Taxや確定申告書等作成コーナーの操作に関すること
・令和2年分の税制改正に関すること

★リンクはこちら ⇒ チャットボット(ふたば)に質問する

2020年12月16日


令和2年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

令和2年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、令和3年2月16日(火)から3月15日(月)までである。

なお、本年は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、一部の税務署(確定申告会場)においては、開設期間を拡大している。

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、相談及び申告書の受付は行っていないが、一部の税務署(確定申告会場)においては、2月21日(日)と2月28日(日)に限り、確定申告の相談及び申告の受付を行う。

<香川県内の確定申告会場(土・日曜・祝日等を除く)>

税務署名 確定申告会場 確定申告会場所在地 開設期間
高松 高松シンボルタワー
(ホール棟1階)展示場
高松市サンポート2番1号 2/16~3/15
丸亀 丸亀税務署 丸亀市大手町二丁目1番23号 2/16~3/15
坂出 坂出税務署 坂出市京町二丁目6番27号
坂出合同庁舎
2/16~3/15
観音寺 観音寺税務署 観音寺市坂本町六丁目2番7号 2/16~3/15
長尾 長尾税務署 さぬき市長尾西871番地1 2/16~3/15
土庄 土庄税務署 小豆郡土庄町甲6192番地2 2/16~3/15

<令和3年2月21日(日)及び2月28日(日)に確定申告の相談等を行う高松国税局内の税務署>

都道府県 税務署名等
徳島県 徳島
香川県  高松 
愛媛県 松山
高知県 高知

★リンクはこちら ⇒ 令和2年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ

2020年12月14日


人間ドック等の補助に係る経済的利益について、本件におけるカフェテリアプランは換金性のあるプランとは認められないから、源泉徴収義務はないとした事例

  • 平成28年7月から同年12月まで及び平成29年5月から同年7月までの各月分の各納税告知処分
  • 平成29年1月から同年4月までの各月分の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和2年1月20日裁決

<ポイント>
本事例は、財形貯蓄補助金メニューが含まれていることをもって、換金性のあるカフェテリアプランであることにはならないとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、本件におけるカフェテリアプラン(本件プラン)には財形貯蓄補助金メニューが含まれており、本件プランは換金性のあるプランと認められ、本件プランにおける各経済的利益(本件各経済的利益)の全てが源泉所得税等の課税対象になるから、請求人の被合併法人であるA社には人間ドック等の補助に係る経済的利益について源泉徴収義務がある旨主張する。

しかしながら、本件プランにおいて、①各使用人が本件各経済的利益として受ける額は、各使用人の職務上の地位や報酬額に比例して異なるものではなく、福利厚生費として社会通念上著しく多額であるとは認められず、②当該財形貯蓄補助金メニューは、各使用人のうち一定の期間内に財形貯蓄をした使用人に対してその補助として金銭が支給されるものであり、何ら要件なく各使用人に付与されたポイントを金銭に換えることを内容とするものとは認められず、③当該財形貯蓄補助金メニュー以外の各メニューについても、一定の要件を充足しなければ補助等を受けられないものであり、自由に品物を選択できるとか、何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できることを内容とするものではなく、残ポイントがある場合に当該残ポイントに相当する金銭が支給されるものでもない。

以上のことからすると、本件プランは、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるプランとは認められず、本件各経済的利益については、各使用人が選択した現に受ける補助等の内容に応じて、課税対象となるか判断することになる。

したがって、A社には当該人間ドック等の補助に係る経済的利益について源泉徴収義務はないと認められる。

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2020年11月6日


請求人が相続により取得した上場株式の譲渡所得に係る取得費は、当該株式の被相続人への名義書換日を取得時期とし、その時期の相場(終値)によって算定することも合理的な取得費の推定方法であると判断した事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • 一部取消し
  • 令和元年11月28日裁決

<ポイント>
本件は、請求人が相続により取得した上場株式の譲渡所得の計算上、控除する取得費に算入する金額は、当該株式の被相続人への名義書換日を確認し、当該名義書換日の終値により算定することも合理性を有する取得価額の把握方法であると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が相続により取得した上場株式(本件株式)の取得費について、できる限りの調査を尽くしたものの、有償で取得した上場株式等はごく一部であり、大部分の上場株式等の実際の取得価額は判明しなかった旨主張する。

しかしながら、名義書換日が判明している株式については、当該名義書換日を取得時期とし、その時期の相場(終値)で取得価額を算定することも、明確かつ簡便な推定方法として合理的であると解されるから、本件株式の取得費は概算取得費によらず、総平均法に準ずる方法により算定すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 請求人が相続により取得した上場株式の譲渡所得に係る取得費は、当該株式の被相続人への名義書換日を取得時期とし、その時期の相場(終値)によって算定することも合理的な取得費の推定方法であると判断した事例

2020年6月29日


新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金の所得税の取扱いについて(法令解釈通達)

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

なお、この通達による取扱いについては、個々の具体的事案に妥当する処理を図るよう努められたい。

(趣旨)
新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金について、所得税法施行令第30条((非課税とされる保険金、損害賠償金等))の規定により非課税所得とされる見舞金に該当するものの範囲を明らかにするものである。

(用語の意義)
1.この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1)新型コロナウイルス感染症
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)附則第1条の2第1項((新型コロナウイルス感染症に関する特例))に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。
(2)使用人等
役員(法人税法第2条第15号((定義))に規定する役員をいう。)又は使用人をいう。
(3)緊急事態宣言
新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項((新型インフルエンザ等緊急事態宣言等))に規定する新型インフルエンザ等緊急事態宣言をいう。
(4)給与等
所得税法第28条第1項((給与所得))に規定する給与等をいう。

(非課税とされる見舞金の範囲)
2.新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金のうち次に掲げる要件のいずれも満たすものは、所得税法施行令第30条の規定により非課税所得に該当することに留意する。

(1) その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものであること
(2) その見舞金の支給額が社会通念上相当であること
(3) その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと

(注)緊急事態宣言が解除されてから相当期間を経過して支給の決定がされたものについては、非課税所得とされる見舞金に該当しない場合があることに留意する。

(心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるもの)
3.上記2(1)の「心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるもの」とは、例えば次のような見舞金が含まれることに留意する。

(1) 使用人等又はこれらの親族が新型コロナウイルス感染症に感染したため支払を受けるもの
(2) 緊急事態宣言の下において事業の継続を求められる使用者の使用人等で次のイ及びロに該当する者が支払を受けるもの(当該緊急事態宣言がされた時から解除されるまでの間に業務に従事せざるを得なかったことに基因して支払を受けるものに限る。)
多数の者との接触を余儀なくされる業務など新型コロナウイルス感染症に感染する可能性が高い業務に従事している者
緊急事態宣言がされる前と比較して、相当程度心身に負担がかかっていると認められる者
(注) 事業の継続が求められる使用者に該当するかどうかの判定に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)参照
(3) 使用人等又はこれらの親族が新型コロナウイルス感染症に感染するなどしてその所有する資産を廃棄せざるを得なかった場合に支払を受けるもの

(社会通念上相当の見舞金)
4.上記2(2)の「社会通念上相当」であるかどうかについては、次に掲げる事項を勘案して判断することに留意する。

(1) その見舞金の支給額が、使用人等ごとに新型コロナウイルス感染症に感染する可能性の程度や感染の事実(5において「感染の可能性の程度等」という。)に応じた金額となっており、そのことが使用者の慶弔規程等において明らかにされているかどうか。
(2) その見舞金の支給額が、上記(1)の慶弔規程等や過去の取扱いに照らして相当と認められるものであるかどうか。

(役務の対価たる性質を有していないこと)
5.例えば次のような見舞金は、上記2(3)の「役務の対価たる性質を有していない」ものには該当しないことに留意する。

(1) 本来受けるべき給与等の額を減額した上で、それに相当する額を支給するもの
(2) 感染の可能性の程度等にかかわらず使用人等に一律に支給するもの
(3) 感染の可能性の程度等が同じと認められる使用人等のうち特定の者にのみ支給するもの
(4) 支給額が通常の給与等の額の多寡に応じて決定されるもの

★リンクはこちら ⇒ 新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金の所得税の取扱いについて(法令解釈通達)

2020年6月17日


租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であるとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • 一部取消し
  • 令和元年7月5日裁決

<ポイント>
本事例は、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額ではなく、相続税の課税価格に算入された本件各土地の貸家建付地としての価額に借地権割合を乗じた金額となると判断したものである。

<要旨>
請求人は、各土地(本件各土地)に借地権を設定したのであるから、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「譲渡をした資産」は、本件各土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額となるのであって、当該金額は、本件各土地の相続税評価額を上回ることとなることから、結局、「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は、本件各土地の相続税評価額の全額となる旨主張する。

しかしながら、当該課税価格とはあくまで本件各土地に係る相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であって、本件の場合、「当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は貸家建付地評価額である。

また、本件においては、各借地権(本件各借地権)が本件各土地の全体に占める割合(本件割合)と本件土地の周辺地域の借地権割合とを併せ考慮すれば、本件各借地権の設定契約により譲渡したものとみなされる本件各借地権の設定に係る対価は、本件各土地の権利の本件割合相当分に当たるものと認められる。

したがって、「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」として本件各借地権が本件各土地の相続税の課税価格のうちに占める価額とは、本件各土地が相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額すなわち貸家建付地評価額に本件割合を乗じた価額となる。

ただし、譲渡費用の一部が計上漏れとなっていることが認められることから、本件更正処分の一部を取り消すことが相当である。

★リンクはこちら ⇒ 租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であるとした事例

2020年5月15日


労務の対価として相当と認められる金額は、請求人が必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額ではなく、類似同業者の青色事業専従者給与額の平均額であるとした事例

  • 平成26年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年9月6日裁決

<ポイント>
請求人が必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額は、請求人の類似同業者に従事する青色事業専従者の給与の金額の平均額と比較すると、労務の対価として相当なものとは認められないため、請求人が必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額のうちの労務の対価として相当と認められる金額に当たる類似同業者の青色事業専従者給与額の平均額を上回る部分は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないと判断したものである。

<要旨>
請求人は、青色事業専従者である配偶者(本件配偶者)に対して支払った給与の金額(本件青色専従者給与額)が、本件配偶者の労務の性質及びその提供の程度からすれば、労務の対価として相当と認められるもの(適正給与相当額)である旨主張する。

しかしながら、本件配偶者の適正給与相当額は、本件配偶者の労務の性質が、請求人の事業に従事する本件配偶者以外の使用人(本件使用人)とは異なる上、本件配偶者の労務の提供の程度が明らかでないことから、本件使用人の給与の金額と比較してその該当性を検討することは相当でなく、また、本件青色事業専従者給与額は、類似同業者の青色事業専従者(本件類似青色事業専従者)の給与の額の平均額と比較すると、適正給与相当額とは認められず、本件の適正給与相当額は本件類似青色事業専従者の給与の額の平均額と認められるから、本件青色専従者給与額のうち本件類似青色事業専従者の給与の額の平均額を上回る部分は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。

なお、一部取消しは、原処分庁が採用した本件類似青色事業専従者の抽出基準の一部が相当でなかったことから、その点を見直した結果である。

★リンクはこちら ⇒ 労務の対価として相当と認められる金額は、請求人が必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額ではなく、類似同業者の青色事業専従者給与額の平均額であるとした事例

2020年5月11日


請求人らが賃貸の用に供していた土地の上に存する当該土地の賃借人所有の建物収去のための請求人らの支出は、客観的にみて、請求人らの不動産所得を生ずべき業務と直接関係し、かつ、業務の遂行上必要なものであったといえるから、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例

  • 平成28年分所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 令和元年9月20日裁決

<ポイント>
本事例は、賃貸の用に供していた土地の上に存する当該土地の賃借人所有の建物収去のための請求人らの支出について、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入できると判断したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人らが賃貸していた土地(本件土地)は、賃貸借契約により請求人らの事業の用に供されていない資産であるから、本件土地の上に存する本件土地賃借人所有の各建物(本件各建物)を収去するため請求人らが支出した費用(本件各建物収去費)は、所得税法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》第1項の家事上の経費に該当し、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入できない旨主張する。

しかしながら、請求人らは、一連の法的手続を執ることにより賃料を支払わない賃借人から本件土地の明渡しを受け、それと並行して新たな賃借人への貸付けに取り掛かり、また、この間、本件土地を賃貸業務以外の用途に転用したことをうかがわせる事情も認められないことからすれば、本件土地の貸付けに係る業務は、賃貸借契約終了後、本件各建物の収去に至るまで継続していたものと認められる。

加えて、請求人らは、本件土地から収益を得る業務を遂行するには、本件各建物を収去する必要があり、その費用について自らが負担することを想定して上記法的手続を遂行し、本件各建物収去費を支出したところ、実際にも、賃借人は無資力であり、当該支出の時点において、請求又は事後的に求償しても、およそ回収が見込めない状況にあったのであり、客観的にみても、本件各建物収去費は、請求人らにおいて、自ら負担するほかなかったものと認められる。

そうすると、本件各建物収去費の支出は、客観的にみて、請求人らの不動産所得を生ずべき業務と直接関係し、かつ、業務の遂行上必要なものであったといえるから、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。

★リンクはこちら ⇒ 請求人らが賃貸の用に供していた土地の上に存する当該土地の賃借人所有の建物収去のための請求人らの支出は、客観的にみて、請求人らの不動産所得を生ずべき業務と直接関係し、かつ、業務の遂行上必要なものであったといえるから、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例

2020年5月8日


外国法人の事業分割に伴う株式の交付が配当所得に該当するとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年8月1日裁決

<ポイント>
本事例は、外国法人の事業分割に伴い日本の居住者に交付された株式について、当該事業分割は法人税法第2条第12号の9に規定する分割型分割によるものに当たらず、所得税法第24条第1項に規定する剰余金の配当に該当するとしたものである。

<要旨>
請求人は、自らが株式を保有していた米国法人が事業分割(本件事業分割)し、2社の独立した法人となったことにより、新たに事業を承継した法人の株式(本件株式)の交付を受けたことについて、当該米国法人の事業分割前の株価と事業分割後の米国法人2社の株価の合計額とがほぼ同等であり、当該分割の前後において、全体としての株式の価値の増減は見られないこと、本件事業分割について、米国の課税上、米国法人2社双方の株主が非課税扱いとされていたことからすれば、本件株式の交付により請求人は所得を得ておらず、我が国の所得税法第24条《配当所得》第1項に規定する剰余金の配当に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件株式は、当該米国法人の株主としての地位を有する者に対し、当該米国法人の利益剰余金を原資として交付されたものと認められる。

また、米国における課税上の取扱いが我が国の課税上の取扱いに影響を及ぼすことはない。

加えて、本件事業分割は、我が国の会社法上の分割に相当する法的効果を具備するとはいえず、法人税法第2条《定義》第12号の9に規定する分割型分割には当たらないというべきであるから、本件株式の交付は所得税法第24条第1項に規定する剰余金の配当に該当する。

★リンクはこちら ⇒ 外国法人の事業分割に伴う株式の交付が配当所得に該当するとした事例

2020年4月27日


個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い

Q
私は、ドラッグストアで商品を購入する際に、同ストアが発行するポイントの付与を受けた。
このポイントは、次回以降の買い物の際に、1ポイント1円に換算して、決済代金の値引きや景品との交換などに使用できるものである。
その後、そのポイントを商品購入の際に使用したが、私が取得又は使用したポイントについて、所得税の確定申告は必要になるか?

A
原則として、確定申告をする必要はない。

<説明>
商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っている。

一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられるので、こうしたポイントの取得または使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしている。

(注)ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられないので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。

<参考>
ポイントの使用に関する課税関係は上記のとおりであるが、ポイントを使用して医薬品購入の決済代金の値引きを受けた場合など、所得控除の対象となる支出にポイントを使用したことが明らかな場合には、①ポイント使用後の支払金額を基に所得控除額を計算する方法、②ポイント使用前の支払金額を基に所得控除額を計算するとともに、ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額として算入する方法のいずれかの方法により、所得金額及び所得控除額を計算すること。

個人事業者の方が企業発行ポイントを取得または使用した場合の取扱いについては、次の資料を確認のこと。
・企業発行ポイントの使用に係る経理処理
・共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例
・事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方

★タックスアンサー No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱いはこちら ⇒ タックスアンサー No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い

★企業発行ポイントの使用に係る経理処理はこちら ⇒ 企業発行ポイントの使用に係る経理処理

★共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例はこちら ⇒ 共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例

★タックスアンサー No.6480 事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方はこちら ⇒ タックスアンサー No.6480 事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方

2020年3月31日


請求人主張の推計方法が認められず、原処分庁が採用した推計方法は、一応の合理性があるとした事例

  • 平成22年分から平成24年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成25年分から平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成22年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税(過少申告加算税は、平成24年1月1日から平成25年12月31日まで及び平成27年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間に係るもの)及び重加算税の各賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 平成31年4月24日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が採用した推計方法について、請求人が自身の主張する推計方法の方が真実の所得金額に近似するとの主張をしたものの認められず、原処分庁の推計方法は、一応の合理性を有するものと認めたものである。

<要旨>
請求人は、昼営業に係る注文伝票1枚当たりの単価(昼営業伝票単価)に注文伝票の購入枚数から客の注文等を記載する以外に使用した注文伝票の枚数(伝票ロス分)を控除した枚数を乗じて売上金額を算出するという原処分庁が採用した推計方法には合理性がない旨主張する。

しかしながら、①昼営業伝票単価を推計の基礎数値に用いることは、請求人の事業専従者が主に昼営業の売上げを計上しないものとして昼営業に係る注文伝票の一部をレジ入力せず破棄していたこと及び昼営業に係る来客者数が夜営業に係る来客者数を上回る請求人の事業の実態を反映するものであること、②昼営業伝票単価及び注文伝票の購入枚数は、いずれも当該事業における正常な業務の遂行のために作成された資料から正確に把握されること、③請求人の客への飲食物の提供方法である店内飲食、持帰り及び弁当販売の3つの形態のいずれについても必ず注文伝票が作成されており、注文伝票の使用枚数と売上金額とは高い相関関係があると認められること等から、原処分庁が採用した推計方法は、一応の合理性を有する。

また、請求人は、原処分庁が採用した推計方法よりも、おしぼりのレンタル本数及び弁当箱の購入個数から客に提供する以外の用途に使用する数量を控除した数量に、客単価を乗じて売上金額を算出するという推計方法の方が真実の所得金額に近似する旨主張する。

しかしながら、①請求人の主張する推計方法は、夜営業に係る来客者数よりも昼営業に係る来客者数の方が多いという請求人の事業の実態を反映するものではなく、②おしぼりのレンタル本数及び弁当箱の購入数量について、客に提供する以外の用途に使用する数量を認定するに足る具体的な証拠はなく見積りにより算出していることに加え、おしぼりの調理使用分について使用方法が変更されていることからすると、数値の正確性・連続性に欠けるおしぼりのレンタル本数及び弁当箱の購入数量を推計の基礎とすることはできないから、請求人の主張する推計方法の方が真実の所得金額に近似するということはできない。

なお、審判所の伝票ロス分の認定等に伴い、原処分の一部を取り消した。

★リンクはこちら ⇒ 請求人主張の推計方法が認められず、原処分庁が採用した推計方法は、一応の合理性があるとした事例

2020年3月18日


サンゴ漁に係る所得が平均課税の対象となる変動所得に当たるとした事例

  • 平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 全部取消し
  • 令和元年5月28日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人の営むサンゴ漁に係る所得は「漁獲から生ずる所得」として変動所得に該当するとしたものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人が営むサンゴ漁について、①宝石サンゴは自ら移動せず水産植物と同様の生態であることや採取された宝石サンゴのほとんどは死滅した枯れ木であることなどから、所得税基本通達2-30《漁獲の意義》に定める「水産動物を捕獲すること」に当たらず、また、②宝石サンゴは他の水産動物とは異なり、天候等の自然現象によって漁獲高が変動しないことを理由に、所得税法第2条《定義》第1項第23号に規定する「漁獲」には該当せず、請求人が営むサンゴ漁に係る所得は変動所得に該当しない旨主張する。

しかしながら、平均課税制度の趣旨や変動所得に係る規定の改正経緯に照らすと、同号に規定する「漁獲」とは、水産物の捕獲又は採取を意味し海草等の水産植物の採取や養殖(水産養殖)はこれに含まれないと解されるところ、宝石サンゴは海中から採れる水産物(生物学上は動物に分類される。)であり、サンゴ漁は水産動物の捕獲又は採取にほかならないから同号に規定する「漁獲」に該当する。

したがって、請求人の営むサンゴ漁に係る所得は、「漁獲から生ずる所得」として変動所得に該当するというべきである。

★リンクはこちら ⇒ サンゴ漁に係る所得が平均課税の対象となる変動所得に当たるとした事例

2020年3月16日


~振替納税をご利用の方へ~口座からの振替日が、申告所得税は5月15日(金)、個人事業者の消費税は5月19日(火)になります

申告所得税及び個人事業者の消費税の振替納税をご利用の方の振替納付日については、申告期限・納付期限が令和2年4月16日(木)に延長されたことに伴い延長することとしていたが、申告所得税は5月15日(金)、個人事業者の消費税は5月19日(火)となった。

1.令和元年分申告所得税及び復興特別所得税

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
確定申告 令和2年4月16日(木) 令和2年5月15日(金)

2.令和元年分消費税及び地方消費税(個人事業者)

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
確定申告 令和2年4月16日(木) 令和2年5月19日(火)

※振替納税を初めて利用される方は、令和2年4月16日(木)までに所轄税務署または口座振替を利用する金融機関へ「預貯金口座振替依頼書」を提出していただく必要がある。
なお、振替納税による口座引落しができなかった場合は、令和2年4月17日(金)から延滞税がかかることになる。

3.令和元年分消費税及び地方消費税(個人事業者)の課税期間の3月特例適用分

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
令和元年10月1日から
令和元年12月31日
令和2年4月16日(木)
令和2年5月19日(火)

4.令和元年分消費税及び地方消費税(個人事業者)の課税期間の1月特例適用分

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
令和元年12月1日から
令和元年12月31日
令和2年4月16日(木) 令和2年5月19日(火)

5.令和2年分消費税及び地方消費税(個人事業者)の課税期間の1月特例適用分

納期等の区分 納期限(延長後) 振替納付日(延長後)
令和2年1月1日から
令和2年1月31日
令和2年4月16日(木) 令和2年5月19日(火)

(参考)
申告所得税の延納をご利用の場合、延納分の納期限及び振替日は令和2年6月1日(月)であり、変更はない。

★リンクはこちら ⇒ ~振替納税をご利用の方へ~口座からの振替日が、申告所得税は5月15日(金)、個人事業者の消費税は5月19日(火)になります

2020年3月13日


漢方薬等の購入費用が医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 令和元年5月22日裁決

<ポイント>
本事例は、4種の漢方薬等がいずれも「治療又は療養に必要な医薬品」に該当せず、その購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、購入した4種の漢方薬等(本件漢方等)は、親族が治療に用いたものとして、いずれも所得税法第73条《医療費控除》第2項及び所得税法施行令第207条《医療費の範囲》第2号に規定する「治療又は療養に必要な医薬品」に該当し、その購入費用は、医療費控除の対象となる医療費に該当する旨主張する。

しかしながら、これらの規定に規定する「医薬品」は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)第2条《定義》第1項に規定する医薬品をいうものと解するのが相当であるところ、本件漢方等のうちの2種の製品については、製薬会社が健康補助食品として製造販売し、その使用目的が食用に限定されたものであること等からすると、同項に規定する「医薬品」に該当しない。

また、その他の2種の製品(本件医薬品)については、薬機法第2条第1項に規定する「医薬品」に該当するものの、虚弱体質や肉体疲労の場合などの滋養強壮を効能効果として、疲労回復や健康維持のために用いられ、医師の処方せんがなくても薬局等で購入可能なものであるところ、請求人提出資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、本件医薬品は、請求人の親族の「治療又は療養に必要な医薬品」でなかったというべきである。

したがって、本件漢方等は、いずれも所得税法第73条第2項及び所得税法施行令第207条第2号に規定する「治療又は療養に必要な医薬品」に該当せず、本件漢方等の購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しない。

★リンクはこちら ⇒ 漢方薬等の購入費用が医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例

2020年3月11日


期限延長の対象となる主な手続について

今般、政府の方針を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限について、令和2年4月16日(木)まで延長することとされた。

これに伴い、申告所得税及び個人の消費税の振替納税を利用されている方の振替日についても、延長することとされている。

期限延長の対象となる主な手続についても、公表した。

申告・納付等の期限を延長する主な手続は次のとおり。

★リンクはこちら ⇒ 期限延長の対象となる主な手続について

2020年3月10日


社債と題する書面の額面金額と発行価額との差益は貸付金利息であると認められ、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定するものとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し
  • 令和元年5月30日裁決

<ポイント>
本事例は、社債と題する書面の額面金額と発行価額との差益が貸付金利息であると認められ、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定するものと解されるから、当該差益のその年に対応するものについては、その年分の雑所得に係る総収入金額に算入すべきであるとしたものである。

<要旨>
請求人は、医療法人から発行を受けた社債と題する書面(本件債券)の額面金額と発行価額との差益(本件差益)について、本件債券の契約によると本件債券の償還日までは本件差益の支払を請求することができないから、本件差益の収入すべき時期は、本件債券の償還日である旨主張する。

しかしながら、本件債券の契約は、請求人と当該医療法人との間における当該償還日を弁済期として、請求人が払い込んだ金員(本件払込金)を貸し付けた契約(本件契約)であり、本件差益は、当該医療法人が本件契約成立時から弁済期までの間、本件払込金を使用することの対価、すなわち利息であると認められる。

そして、貸付金利息は、元本利用の対価であって元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定するものと解される。

そうすると、本件差益のその年の1月1日から12月31日までの期間に対応する部分については、その年分の雑所得に係る総収入金額に算入すべきである。

なお、本件利息の計算に当たって、原処分庁は、一定の年複利率を用いて算出していないため、これにより当該総収入金額に算入すべき金額を計算すべきである。

★リンクはこちら ⇒ 社債と題する書面の額面金額と発行価額との差益は貸付金利息であると認められ、期間の経過により直ちに利息債権が発生し収入の原因となる権利が確定するものとした事例

2020年3月4日


申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長について

現在、全国の税務署においては、納税者の方が円滑かつ正確に申告書を作成していただけるよう、確定申告相談会場を開設し、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告相談に応じている。

今般、政府の方針を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限(※)について、令和2年4月16日(木)まで延長することとした。

これに伴い、申告所得税及び個人の消費税の振替納税をご利用されている方の振替日についても、延長することとしている。

(※)申告期限・納付期限

申告所得税 令和2年2月17日(月)~令和2年3月16日(月)
個人事業者の消費税 令和2年1月6日(月)~令和2年3月 31日(火)
贈与税 令和2年2月3日(月)~令和2年3月16日(月)

なお、マイナンバーカードやお近くの税務署で発行する ID・パスワードがあれば、確定申告会場に出向くことなく、ご自宅等からスマホやパソコンなどでインターネットにより申告(e-Tax)していただくことが可能である。

国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で、必要な事項を入力して、e-Taxで申告いただければ、医療費の領収書や寄附金の受領証などの書類を提出していただく必要がなく、大変便利である。

また、令和元年分の還付申告については、5年間申告することが可能であり、令和6年12月31日まで申告することが可能である。

(還付申告の例)
・ 給与所得者や公的年金受給者で、医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税等)・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)により還付を受けられる方等

詳細については、国税庁ホームページをご覧のこと。

★リンクはこちら ⇒ 申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の延長について

2020年2月28


2020年2月24日(月)及び3月1日(日)に確定申告の相談を行う税務署の一覧

令和元年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、2020年2月17日(月)から3月16日(月)までである。

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は相談及び申告の受付は行っていないが、一部の税務署(確定申告会場)においては、2020年2月24日(月)及び3月1日(日)に限り、日曜日・祝日等でも確定申告の相談及び申告の受付を行っている。

★リンクはこちら ⇒ 2月24日(月)及び3月1日(日)に確定申告の相談を行う税務署の一覧

2020年2月18日


審査請求人が国内に恒久的施設を有しない非居住者期間に国内の金融商品取引業者との間で行った店頭外国為替証拠金取引に係る所得は国内源泉所得に該当するとした事例

  • 平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成31年3月25日裁決

<ポイント>
本事例は、審査請求人の店頭外国為替証拠金取引における未決済取引に係る契約上の地位は、所得税法第161条第1号に規定する資産に該当し、当該取引により請求人に生じた所得は、同号にいう資産の運用、保有により生じた所得として、国内源泉所得に該当するとしたものである。

<要旨>
所得税法第161条《国内源泉所得》第1号(本件規定)にいう「資産」とは、「運用、保有若しくは譲渡」による所得を生じさせ得る財産権をいうものと解され、経済的価値を有する契約上の権利や地位などを広く含む概念と解するのが相当であるところ、非居住者期間中に請求人が行った店頭外国為替証拠金取引(本件FX取引)における未決済取引に係る契約上の地位は、差金決済を行うことにより利益又は損失を生じさせ得る財産権として本件規定にいう資産に該当する。

そして、本件規定にいう資産の運用、保有により生ずる所得とは、資産の譲渡による所得以外の所得で、資産の運用又は保有に該当する行為によって生じた所得を広く含むと解するのが相当であるところ、本件FX取引に係る差金決済等に係る所得は、請求人が上記の契約上の地位に係る権利を行使又は保有することにより生じたものであって、これを他に移転したことにより生じたものではないから、本件規定にいう資産の運用、保有により生ずる所得に該当する。

なお、請求人は、本件FX取引のうち、請求人が居住者であった期間に決済された取引については、租税特別措置法第41条の14《先物取引に係る雑所得等の課税の特例》第1項の規定が適用されるべきである旨主張するが、同項にいう金融商品先物取引等の決済とは、差金の授受によってされる行為をいうところ、上記の取引についての決済が行われたのは請求人が国内に恒久的施設を有しない非居住者となった後であるから、当該取引は同項が規定する要件を満たさない。

また、請求人は、「資産の運用、又は保有」に該当する事実についての原処分庁の理由の差替えは請求人に格別の不利益を与えるものとして許されない旨主張するが、本件各更正処分に係る各通知書に記載された理由と本審査請求における原処分庁の主張は、前提となる事実関係を異にするものではなく、その結論に至るまでの考え方を異にするものにすぎず、行政手続法第14条《不利益処分の理由の開示》に規定する制度を全く無意義ならしめ、又はこれを認めることが納税者の正当な利益を害するような特段の事情があるとはいえないから、原処分庁の主張が理由の差替えに当たるとしてもそれが許されないものとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 審査請求人が国内に恒久的施設を有しない非居住者期間に国内の金融商品取引業者との間で行った店頭外国為替証拠金取引に係る所得は国内源泉所得に該当するとした事例

2020年1月16日


更正請求期限後においては、更正請求書に記載しなかった事由を通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないとした事例

  • 平成23年分の所得税並びに平成23年課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 棄却
  • 平成31年3月28日裁決

<ポイント>
本事例は、更正の請求に対する通知処分の取消しを求める審査請求において、更正の請求期限である5年を経過した後に、更正請求書に記載しなかった事由を違法事由として新たに主張できないとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁の実地調査に基づき期限後申告した平成23年分の売上げのうちの特定のものについて、金額誤りや収入計上時期に誤りがあり同年分の収入金額が過大であるから更正の請求(本件更正の請求)は認められるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が主張する上記金額誤りや収入計上時期に誤りがあるとは認められない。

また、請求人は、本件更正の請求において更正の請求事由としなかった上記特定の売上げ以外の他の収入についても収入金額が過大である旨を本審査請求において主張する。
しかしながら、当該主張は、更正請求時には主張していなかった事由を審査請求において新たに主張するものであるところ、更正の請求が、法定申告期限から5年以内の請求期限を設け、その理由等を記載した更正請求書を課税庁に提出することを求めていることに鑑みれば、租税法律関係の早期安定及び税務行政の能率的な運営等を図る趣旨から、少なくとも更正請求期限を経過した後においては、更正請求書に記載しなかった事由を通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないと解すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 更正請求期限後においては、更正請求書に記載しなかった事由を通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないとした事例

2020年1月14日


令和元年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日等

<申告所得税及び復興特別所得税>
[令和元年分]

納期等の区分 法定納期限 振替日
予定納税第1期 令和元年7月31日(水) 令和元年7月31日(水)
予定納税第2期 令和元年12月2日(月) 令和元年12月2日(月)
確定申告 令和2年3月16日(月) 令和2年4月21日(火)
確定申告延納 令和2年6月1日(月) 令和2年6月1日(月)

<消費税及び地方消費税>
・個人事業者
[令和元年分]
納期等の区分 法定納期限 振替日
確定申告(原則) 令和2年3月31日(火) 令和2年4月23日(木)

・法人事業者
確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内
中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねのこと。

<法人税>
確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内
中間申告分については、税務署へお尋ねのこと。

<源泉所得税及び復興特別所得税>
・納期の特例の承認を受けていない場合
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限る。)
1月から6月までの支払分: 7月10日
7月から12月までの支払分:翌年1月20日

<相続税>
確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

<贈与税>
確定申告分:翌年3月15日

<備考>
上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 令和元年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

2019年12月26日


請求人が証券会社から受領した金員の所得税法上の所得区分は雑所得に該当し、また、請求人が支出した寄附金について税額控除規定と所得控除規定との部分的な選択適用は認められないとした事例

  • 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • 棄却
  • 平成30年10月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が証券会社から受領した金員は役務の対価としての性質を有するから、その所得税法上の所得区分は一時所得ではなく雑所得に該当し、また、請求人が支出した公益社団法人等に対する寄附金については、その一部を税額控除の対象とし、その一部を所得控除の対象とすることはできないとしたものである。

<要旨>
請求人は、証券会社から受領した金員(証券会社が国債の購入者に現金を提供するというキャンペーン(本件キャンペーン)の景品として提供したもの。本件収入)について、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものとして、一時所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件収入は、偶発的に発生したものではなく、請求人が一定期間内に個人向け国債を証券会社から購入し、その後、当該証券会社の口座を一定期間維持するなど、本件キャンペーンが適用される所定の要件が満たされた結果、請求人に交付されたものであるから、役務の対価としての性質を有するものと認められ、所得税法第34条《一時所得》第1項に規定する「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」には該当せず、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないものとして、雑所得に該当する。

また、請求人は、租税特別措置法第41条の18の3《公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除》第1項の規定(本件税額控除規定)は、所得税法第78条《寄附金控除》第1項の規定(本件寄附金控除規定)の適用を受けるものを除いたものをその対象としていることから、請求人が支出した寄附金のうち、本件寄附金控除規定の適用を受ける寄附金は本件税額控除規定に規定する税額控除対象寄附金には当たらない旨主張する。

しかしながら、個人がある年中に支出した本件税額控除規定第1号及び第2号の規定に該当する特定寄附金のうちから任意のものについて本件寄附金控除規定を適用し、その他の寄附金に本件税額控除規定を適用することはできないというべきであるところ、請求人は、その支出した一方の寄附金について本件税額控除規定を適用したものの他方については本件寄附金控除規定を適用し、租税特別措置法第41条の18の3第2項に規定する申告手続が行われていない。

したがって、本件税額控除規定の適用を受けることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が証券会社から受領した金員の所得税法上の所得区分は雑所得に該当し、また、請求人が支出した寄附金について税額控除規定と所得控除規定との部分的な選択適用は認められないとした事例

2019年12月4日


原処分庁による推計計算の過程で、その採用した類似同業者の抽出基準に該当しない者が類似同業者として選定されていたため、更正処分の一部を取り消した事例

  • ①平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②平成25年分ないし平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成24年課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • ④平成25年課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • ⑤平成26年課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分(再調査決定によりいずれもその一部が取り消された後のもの)
  • ⑥平成27年課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • 平成26年分の所得税及び特別復興所得税の更正処分は一部取消し、その他は棄却
  • 平成30年12月13日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が請求人の所得金額を推計計算する過程で採用した類似同業者抽出基準は、業種、業態の類似性、事業規模の近似性等の各点で合理性を有しており、その平均所得率を算定する資料の正確性も担保され、類似同業者抽出件数も同業者の個別性を平均化するに足りるものであるから、原処分庁による推計には一応の合理性があると認められるものの、その選定した類似同業者のうちに上記の類似同業者抽出基準に該当しない者が含まれていたたことから、これを除いたところで所得率の平均値を算定し、当該平均所得率をもって請求人の所得金額を算定するのが相当であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁による税務調査に可能な限り対応しており、また、必要経費に係る集計表及び領収書により必要経費の額を算定することもできるから、本件に推計の必要性はなかった旨、また、原処分庁による推計は、請求人と業態の異なる者を類似同業者とした点で合理性を欠く旨、さらに、調査の際に帳簿の提示を拒否した事実はなく、帳簿を保存していたのであるから、消費税については仕入税額控除の規定が適用されるべきである旨主張する。

しかしながら、本件における調査の経緯からすれば、原処分庁は、請求人の帳簿不提示により、その事業所得の金額を実額で算定することができす、また、請求人の提示した集計表に信用性を認めることはできないから、本件には推計の必要性があったと認めるのが相当である。また、原処分庁がその推計の際に採用した類似同業者抽出基準は、業種、業態の類似性、事業規模の近似性等の各点で合理性を有しており、平均所得率を算定する資料の正確性も担保され、類似同業者抽出件数も同業者の個別性を平均化するに足りるものであるから、原処分庁による推計には一応の合理性があると認められる。

ただし、原処分庁が類似同業者として選定した者のうちに所定の抽出基準に該当しない者が含まれていたため、これを除いた所得率の平均値をもって請求人の所得金額を算定するのが相当である。

さらに、本件における調査の経緯からすると、請求人は適時に提示することが可能なように態勢を整えて帳簿及び請求書等を保存していたものということはできないから、請求人は、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定する仕入税額控除の適用を受けることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁による推計計算の過程で、その採用した類似同業者の抽出基準に該当しない者が類似同業者として選定されていたため、更正処分の一部を取り消した事例

2019年11月29日


不動産所得(駐車場の賃料)の帰属について、使用貸借契約等が有効に成立したとは認められず、その収益は貸主名義にかかわらず、土地の所有者である請求人に帰属するとした事例

  • ①平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • ②平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年10月3日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人と子らとの間の使用貸借契約等が請求人の意思に基づいて成立したものとは認められず、その収益は貸主名義(子らの名義)にかかわらず、土地の所有者である請求人に帰属するとしたものである。

<要旨>
請求人は、請求人が所有し、駐車場(本件各駐車場)として賃貸していた土地(本件各土地)について、請求人とその子らとの間において締結した本件各土地を使用貸借する旨の契約(本件各使用貸借契約)及び本件各土地上のアスファルト舗装等を贈与する旨の契約(本件各贈与契約)により、本件各土地の賃貸人としての地位が請求人からその子らにそれぞれ移転したから、本件各駐車場に係る所得は請求人の子らに帰属する旨主張する。

しかしながら、本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約に係る各契約書(本件各契約書)には、請求人の意思に基づく署名・押印があるものの、①本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約については、本件各土地の所有権を請求人に留保したまま、その使用収益権原のみを相応の対価を発生させることなく請求人の子らに移転する方法として採られたものと認められること、②請求人は、原処分調査において、本件各契約書については一貫して知らない旨申述しており、本件各契約書の作成事実を認識していなかったと認められること、③本件各土地を巡る一連の取引は、請求人の子から相続対策の相談を受けていた税理士法人が企図し、本件各契約書の書式も当該税理士法人が作成したものと認められること等からすると、請求人は、本件各契約書の内容を確認することがなかったため、その内容を全く認識していなかった可能性が高い。

そうすると、本件各契約書に請求人の意思に基づく署名・押印があるとしても、本件各契約書の内容自体が請求人の意思に基づくものとの推定は働かないから、本件各使用貸借契約及び本件各贈与契約が請求人の意思に基づいて成立したものとは認められない。

したがって、本件各駐車場に係る所得は、その貸主名義にかかわらず、いずれも本件各土地の所有者である請求人に帰属するというべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 不動産所得(駐車場の賃料)の帰属について、使用貸借契約等が有効に成立したとは認められず、その収益は貸主名義にかかわらず、土地の所有者である請求人に帰属するとした事例

2019年11月27日


住宅借入金等特別控除制度の適用に関し、その対象とされた住宅の取得は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する特定取得には当たらないとした事例

  • 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年7月5日裁決

<ポイント>
本件は、審査請求人がその居住用家屋の取得の際に支払った仲介手数料は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」には当たらないから、当該家屋の取得は同項に規定する特定取得には該当しないとしたものである。

<要旨>
請求人は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)(措置法)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」には定義規定は置かれておらず、請求人が既存住宅(本件住宅)の取得(本件取得)の際に支払った仲介手数料(本件仲介手数料)は同項に規定する住宅の取得等に係る費用の額に含まれるところ、本件仲介手数料には新消費税率による消費税等の額が含まれているから、本件取得は同項に規定する特定取得に該当する旨主張する。

しかしながら、同項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」とは、居住用家屋の新築又は既存住宅の取得に係る対価の額又は増改築等に係る費用の額をいうと解するべきであるから、請求人の主張は採用できない。

そして、請求人は、本件住宅を消費税等の負担なく取得したのであるから、本件取得は、同項に規定する特定取得には該当せず、このことは、本件仲介手数料に含まれる消費税等の額の合計額が新消費税率により課されるべき消費税等の額に相当する税額であるか否かによって左右されない。

 ★リンクはこちら ⇒ 住宅借入金等特別控除制度の適用に関し、その対象とされた住宅の取得は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する特定取得には当たらないとした事例

2019年7月31日


原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例

  • ①平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分 ⇒一部取消し
  • ②平成25年分の所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税の賦課決定処分 ⇒全部取消し
  • ③平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分 ⇒全部取消し
  • ④平成25年1月1日から平成25年12月31日まで及び平成26年1月1日から平成26年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分 ⇒棄却
  • ⑤平成27年1月1日から平成27年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分 ⇒棄却
  • 平成30年4月19日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が請求人の事業所得の金額等を同業者比率方式に基づき推計により算定したものの、採用した同業者の中に抽出基準に該当しない者が含まれていたことから、原処分庁が採用した同業者の一部を採用せず、所得の金額の一部を取り消したものである。

<要旨>
請求人は、帳簿書類等を提示しなかったのは調査環境を整えようとしなかった原処分庁所属の調査担当職員(本件調査担当職員)に責任があること等から、事業所得の金額の計算上、推計の必要性及び合理性は認められない旨主張する。

しかしながら、本件調査担当職員は、請求人に対し、少なくとも3回にわたって、帳簿書類等の提示又は提示の意思確認をしたものの、請求人はいずれの求めに対しても、調査理由を説明しないことなどを理由に、帳簿書類等を提示しなかったのであり、これらの事実によれば、原処分庁は、やむを得ず、推計の方法により請求人の所得金額を算出したことが認められることから、請求人の事業所得の金額の計算上、推計の必要性があったものと認められる。

また、原処分庁は、請求人の所得金額を同業者比率方式により算定し、採用した同業者(本件同業者)の抽出基準及び抽出方法自体は、一応の合理性を有するものと認められる。

ただし、本件同業者の中に抽出基準に該当しない者が含まれていたことから、これらの者を本件同業者から除外した後の同業者を、推計課税に用いるべき同業者とした結果、所得税等の更正処分が一部取消しとなった。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例

2019年6月27日


推計による所得税等の課税処分について、原処分庁による推計にその必要性が認められるとした事例

  • ①平成25年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • ②平成26年分及び平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ③平成23年1月1日から平成23年12月31日まで、平成26年1月1日から平成26年12月31日まで及び平成27年1月1日から平成27年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年6月8日裁決

<ポイント>
本事例は、原処分庁が推計により請求人の所得金額等を算定して課税したところ、原処分庁による推計にはその必要性が認められるほか、その推計方法、総収入金額の正確性、類似同業者の抽出方法の各点においてその合理性が認められるとしたものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁による推計にその必要性がない旨主張するが、調査経緯に関する事実によれば、原処分庁としては請求人の所得金額を実額により計算することは不可能又は著しく困難というべきであり、請求人の所得を推計により算定する必要性があると認められる。

なお、原処分庁による推計は、その推計方法、総収入金額の正確性、類似同業者の抽出方法の各点においてその合理性が認められる。

また、請求人は、請求人の一部の取引先(本件取引先)との間の取引は出来高払の取引であるから、原処分庁が当該取引を請負であるとしてその取引額(収入金額)を認定したことは誤りである旨主張する。

しかしながら、本件取引先から請求人が請け負った工事(本件請負工事)は、受注した工事現場ごとに契約金額が決められており、毎月分の出来高に応じて支払がされているもののこれは飽くまで内金としての支払にすぎないから、その対価を収入に計上すべき時期は、目的物の全部を完成して相手方に引渡した日又はその約した役務の提供を完了した日となる。

したがって、原処分庁が認定した総収入金額にも誤りはない。

 ★リンクはこちら ⇒ 推計による所得税等の課税処分について、原処分庁による推計にその必要性が認められるとした事例

2019年6月25日


請求人の取締役が請求人から不正に取得した金員は、請求人が当該取締役に支給した給与等には該当しないとした事例

  • 平成21年12月、平成23年11月、平成23年12月、平成24年3月、平成24年8月から平成24年10月まで及び平成24年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び重加算税の各賦課決定処分
  • 平成25年12月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分
  • 平成25年3月から平成25年8月まで、平成25年11月、平成26年1月から平成27年10月まで、平成27年12月、平成28年2月及び平成28年3月の各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに重加算税の各賦課決定処分
  • 全部取消し
  • 平成30年5月7日裁決

<ポイント>
本事例は、代表者以外の役員が横領により法人の金員を不正に取得した場合に、当該役員が法人経営の実権を掌握し法人を実質的に支配していたとは認められないから、当該金員は当該役員に対する給与等には該当しないとして、源泉所得税等の納税告知処分等を取り消したものである。

<要旨>
原処分庁は、請求人の取締役(本件役員)が請求人から不正に取得した金員(本件金員)について、①本件役員は請求人の業務において影響力を有していたと認められること及び②経理業務の重要な部分を任されていたと認められることからすると、その地位に基づいて支給されたのであるから、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与等に該当する旨主張する。

しかしながら、①本件役員は、法律上請求人の業務執行等を決定する地位にあったとは認められず、事実上もそのような地位にあったことを認めるに足りる証拠はないのであって、本件役員が請求人の業務において影響力を有していたとは認められない。
また、②本件役員の職務内容についての申述などからは、本件役員が経理業務の重要な部分を任されていたとは認められない。

したがって、本件役員が、請求人の経営の実権を掌握し、請求人を実質的に支配していたとは認められないから、本件役員がその地位及び権限に基づいて請求人から本件金員を得たものとは認められず、本件金員は、請求人が本件役員に支給した給与等には該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人の取締役が請求人から不正に取得した金員は、請求人が当該取締役に支給した給与等には該当しないとした事例

2019年6月24日


原処分庁が請求人に帰属すると認定した所得のうちの一部について、請求人に帰属するとは認められないとした事例

  • ①平成21年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分 ⇒全部取消し
  • ②平成22年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分 ⇒一部取消し
  • ③平成24年分ないし平成27年分の所得税等の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分 ⇒更正処分は一部取消し及び重加算税の各賦課決定処分は全部取消し、その他は棄却
  • 平成30年5月14日裁決

<ポイント>
本事例は、所得の帰属、重加算税賦課要件の充足性及び更正の期間制限に関する「偽りその他不正の行為」の有無が争点となったものであるが、原処分庁が請求人に帰属すると認定した所得のうちの一部について、名義人に帰属するとの判断がされたため、これに伴い、原処分の一部又は全部を取り消したものである。

<要旨>
請求人は、原処分庁が請求人に帰属すると認定した①請求人が代表権を有する法人から請求人の家族に支給された給与(本件各金員)、②請求人の元妻名義の不動産の賃貸料(本件賃貸料)及び③同妻に支給された個人年金(本件年金)は、いずれもその名義人に帰属する旨主張する。

このうち、本件各金員については、請求人の家族に役務提供等をした事実はなく、また、本件各金員が請求人において開設し、管理していた当該家族名義の預金口座に振り込まれていたことなどからすると、いずれも請求人に帰属すると認められる。

しかし、本件賃貸料については、対象不動産の名義人及び賃貸借契約の貸主名義人はいずれも請求人の元妻であり、当該不動産の取得資金も当該妻の借入れにより賄われていたこと、また、本件年金については、その契約名義人及び受取人がいずれも当該妻であることからすると、これらについては、いずれも請求人の元妻に帰属すると認めるのが相当である。

なお、原処分庁は、請求人が本件賃貸料及び本件年金を元妻の所得であるかのように事実を仮装し、あるいは偽りその他不正の行為により税額の一部を免れたとして、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税を賦課し、同法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項第1号の規定を適用して平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分をしたが、本件賃貸料及び本件年金はいずれも請求人の元妻に帰属する所得と認められるから、この点について、請求人に隠蔽又は仮装の行為はなく、偽りその他不正の行為によって税額の負担を免れた事実もない。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が請求人に帰属すると認定した所得のうちの一部について、請求人に帰属するとは認められないとした事例

2019年6月14日


関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係について

<事前照会の趣旨>

私は、不動産賃貸業を営んでおり、その所得については不動産所得として申告を行っている。
私は、当該事業に係る消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について平成○年から簡易課税制度を選択し、申告及び納税を行っていたが、関与税理士から、オフィスビルを取得する日の属する課税期間の初日の前日までに簡易課税制度選択不適用届出書を提出すればオフィスビルの取得に係る消費税等相当額のうち一定の金額の還付を受けることができる旨の説明がなかったため、当該届出書を提出せず、当該還付を受けることができなかった。
関与税理士に私が被った損害に対する賠償を請求したところ、簡易課税制度を適用しないとした場合の消費税等の還付相当額と実際に納付した消費税等の額との合計額を基に算定した一定の金額(以下「本件金額」という。)を同人から受領することになった。
この場合、本件金額は、所得税法上、非課税所得には該当せず、私の不動産所得の金額の計算上、本件金額を受領することが確定した日の属する年分の不動産所得に係る総収入金額に含めるべきものと解してよろしいか照会する。

<事前照会に係る取引等の事実関係>

本件に係る事実関係は、次のとおり。

(1) 私は、不動産賃貸業を営んでおり、平成○年から平成23年までの課税期間分の消費税等の申告においては簡易課税制度(消費税法第37条)を選択していた。
(2) 平成24年に新たにオフィスビルの取得を予定していたため、その旨を関与税理士に説明し、税の取扱いについて相談していた。
平成23年中に簡易課税制度選択不適用届出書を提出すればオフィスビルの取得に係る消費税等相当額のうち一定の金額の還付を受けることができたにもかかわらず、関与税理士は私に対しその説明を行わなかったことから、私は、平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間分の消費税等の申告において簡易課税制度の適用を受けたまま申告及び納税を行った。
(3) その後、関与税理士に対し民法第709条《不法行為による損害賠償》に基づき私が被った損害に対する賠償を請求したところ、平成30年○月○日に、関与税理士との間で、本件金額を損害賠償として支払う旨の合意書を締結し、関与税理士から同年中に本件金額を受領した。
(4) 私は、消費税等の経理方式として税抜経理方式を適用しており、本件金額相当額については、所得税法施行令第182条の2《資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入》の規定に基づき、平成24年分のほか、平成25年分から平成29年分までの各年分に繰り延べて、その全額を不動産所得の金額の計算上必要経費に算入している。

<事前照会者の求める見解となることの理由>

(1)非課税規定の範囲

不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金は非課税とされているが(所法9①十七、所令30二)、その損害賠償金のうち、その損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、損害賠償金から当該金額を控除した金額に相当する部分が非課税とされる(所令30柱書)。

(2)本件金額の性質

一般に、税理士が作成した確定申告書に誤りがあり修正申告により税金を納めることとなったとしても、本税については本来納めるべき税額を納めたに過ぎないことから損害が生じていることにはならないが、本件では、簡易課税制度を選択するか否かは納税者の選択によるところ、関与税理士の説明不足により簡易課税制度の適用を受けたまま申告及び納税を行った結果、私が支払ったオフィスビルの取得に係る消費税等相当額のうち一定の金額について、原則的な制度(消費税法第30条)を適用すれば還付を受けられたであろう金額につき還付を受けられなくなったため、経済的に損失が生じたといえ、本件金額は、当該損失を補てんするものであることから、所得税法施行令第30条第2号に規定する「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金」に該当すると考えられる。

しかしながら、税込経理方式又は税抜経理方式の別はあるものの、消費税等の額はその性質上、所得税の課税所得金額の計算に含めるものとされており、その事業者が負担した消費税等の額については必要経費に算入されている(本件については、上表(4)のとおり、本件金額相当額は、平成24年分から平成29年分までの不動産所得の金額の計算上その全額が必要経費に算入されている。)ことからすれば、本件金額は、当該必要経費に算入されている金額をその範囲内で補てんするものであり、所得税法上非課税とされる損害賠償金から除かれることになるものと考えられる。

したがって、本件金額は、私の平成30年分の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入することとなる。

<回答>

回答年月日
平成30年12月7日

回答者
東京国税局審理課長

回答内容
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。

(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。

(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら ⇒ 関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係について

2019年4月5日


国内勤務期間のない中国の従業員(非居住者)が、税制適格ストックオプションの権利行使による株式の取得に係る経済的利益について、租税特別措置法第29条の2を適用せず、税制非適格ストックオプションとして取り扱うことの可否について

1.事前照会の趣旨

国内勤務期間のない中国の従業員(非居住者)が、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》第1項に規定する要件を満たす新株予約権(以下「税制適格ストックオプション」という。)を、同条第2項の規定に従って権利行使をする場合において、当該権利行使による株式の取得に係る経済的利益について、同条第1項本文の規定を適用せず、同項本文の規定が適用されない新株予約権(以下「税制非適格ストックオプション」という。)として取り扱って差し支えないか?

2.事前照会に係る取引等の事実関係

(1)当社は、グループの業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、当社及び中国子会社の役員又は従業員(以下「割当対象者」といいう。)に対して、税制適格ストックオプションを付与した(以下、当社が割当対象者に付与した税制適格ストックオプションを「本件ストックオプション」という。)。

(2)割当対象者のうち、中国子会社の従業員で、日本国内における勤務期間がなく日本国内に恒久的施設を有していない者(以下「中国従業員」という。)が、中国の居住者期間中に、措置法第29条の2第2項に規定する誓約を行い、所定の事項を記載した書面を提出した上で、本件ストックオプションの権利行使をする予定である。

(3)中国従業員は、内国法人の役員の資格を有していない。

(4)中国従業員は、本件ストックオプションの権利行使時及び権利行使により取得した当社の株式(以下「本件株式」という。)の譲渡時において、日本国内に恒久的施設を有していない中国の居住者であることを本照会の前提とする。

3.事前照会者の求める見解となることの理由

(1)非居住者に係る税制適格ストックオプションの取扱い 非居住者が税制適格ストックオプションの権利行使により株式を取得した場合、その株式の取得に係る経済的利益(権利行使益)については、その権利行使時に課税されず(措法29の21)、その株式を譲渡した時に国内にある資産の譲渡により生ずる所得として課税される(所法1611三、所令2811四ロ、措令19の314)。

(2)日本国内における勤務期間がなく、日本国内に恒久的施設を有していない中国の従業員(非居住者)がストックオプションの権利行使をした場合の権利行使時及び株式譲渡時の課税関係について

イ.税制適格ストックオプションの場合
 上記(1)のとおり、税制適格ストックオプションの権利行使益は、権利行使時に課税されないことから、税制適格ストックオプションの権利行使により取得した株式を譲渡した場合の譲渡益は、一般に、付与時から権利行使時までの権利行使益部分と権利行使後に生じた株式譲渡益部分で構成されることになる。
そして、この権利行使益部分については、日中租税協定第15条第1項の規定が適用され、日本国内における勤務期間がない場合には、日本に課税権がなく日本において課税はされない。
一方、株式譲渡益部分については、日中租税協定第13条第4項の規定が適用されて日本において課税対象となり、恒久的施設を有しない非居住者の株式等の譲渡に係る国内源泉所得として、15%の税率による申告分離課税の対象となる(所法1611三、所令2811四ロ、措法29の24、7、37の121、措令19の314)。
なお、確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになる。

ロ.税制非適格ストックオプションの場合
税制非適格ストックオプションの権利行使により株式を取得した場合、その権利行使益については、上記イと同様、日中租税協定第15条第1項が適用され、日本国内における勤務期間がない場合には、日本において課税されない。
また、税制非適格ストックオプションの権利行使により取得した株式の譲渡に係る所得は、所得税法第161条第1項各号に掲げる国内源泉所得に該当しないため、日本において課税はされない。

(3)中国従業員が本件ストックオプションの権利行使により本件株式を取得した場合において措置法第29条の2第1項本文の規定を適用せず、税制非適格ストックオプションとして取扱うことができるか否かについて

中国従業員が本件株式を譲渡した場合、本件株式に係る譲渡益のうち株式譲渡益部分については、上記(2)イのとおり日本において課税対象となることから、当該譲渡益部分について中国で課税される場合には、日本と中国とで二重課税が生じることとなる。
一方、中国従業員が仮に税制非適格ストックオプションの権利行使により取得した株式を譲渡した場合、その株式に係る譲渡益のうち株式譲渡益部分については、上記(2)ロのとおり日本において課税されないことから、二重課税の問題は生じない。
中国従業員は、中国の居住者期間中に、措置法第29条の2第2項に規定する誓約等を行った上で本件ストックオプションの権利行使をする予定ですが、当該権利行使による経済的利益について措置法第29条の2第1項本文の規定を適用せず、本件ストックオプションを税制非適格ストックオプションとして取り扱うことで、本件株式の譲渡による所得は国内源泉所得に該当しないものとなり、二重課税の問題が解消されるので、このような場合は、本件ストックオプションを税制非適格ストックオプションとして取り扱って差し支えないものと考える。

<回答>

平成30年10月31日 関東信越国税局審理課長

標題のことについては、下記の理由から、貴見のとおり取り扱われるとは限りません。
なお、この回答内容は関東信越国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではないことを申し添えます。

(理由)
租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第29条の2第1項に規定する要件を満たす新株予約権(以下「税制適格ストックオプション」といいます。)の付与を受けた者が、その付与契約に従って権利行使をした場合の課税関係は、同条第1項本文において、株式の取得に係る経済的利益については所得税を課さないと規定されています。そして、この規定が、措置法第29条の2第2項において、当該権利行使の際に同項に規定する要件を満たした場合に限り適用するとされていることから、同条第1項本文の適用関係は、税制適格ストックオプションの権利行使により株式を取得した時に、同条第2項の要件を満たしているか否かによって判断することになります。
したがって、措置法第29条の2第2項の要件を満たした後に、納税者の選択によって、税制適格ストックオプションを同条第1項本文の規定が適用されないもの(税制非適格ストックオプション)として取り扱うことはできません。
なお、日本国内における勤務期間がなく、日本国内に恒久的施設を有していない中華人民共和国の従業員(日本の非居住者)が、税制適格ストックオプションの権利行使により取得した株式を譲渡した場合に発生する株式譲渡益部分については、日本の国内源泉所得として申告分離課税の対象となりますが、当該株式譲渡益部分が中華人民共和国でも課税される場合には、当該株式譲渡益部分について納付される日本の所得税等の額を、一定の範囲で中華人民共和国の租税の額から控除することとされています(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定第23条第1項(a))。

 ★リンクはこちら ⇒ 国内勤務期間のない中国の従業員(非居住者)が、税制適格ストックオプションの権利行使による株式の取得に係る経済的利益について、租税特別措置法第29条の2を適用せず、税制非適格ストックオプションとして取り扱うことの可否について

2019年2月28日


外部金融機関を活用した積立貯蓄制度において支給される貯蓄奨励金の課税関係について

1.事前照会の趣旨
当組合は、当組合の加盟会社等の従業員及び役員(以下「従業員等」という。)を組合員として、当該組合員の相互共済福利を目的として組織された共済組合であり、これまで、当該組合員に対して、金銭消費寄託契約により金銭の寄託を受け、利息を支出する、いわゆる社内預金制度(以下「旧制度」という。)を実施していた。
今般、当組合では、当組合の事務軽減及び組合員へのサービス拡充(ATMの利用可能等)を目的として、金融機関の預金等を活用した積立貯蓄奨励金支給規則(以下「本制度」という。)を制定し、旧制度から移行している。
本制度では、金融機関から支払われる預金等の利息とは別に、当組合から組合員に対し一定の奨励金(以下「本件奨励金」という。)を当該金融機関を通じて支給することを予定している。
当組合から組合員に対し支給される本件奨励金は、所得税法上、雑所得に該当し、当組合は、本件奨励金の支払の際に源泉徴収を要しないと解して差し支えないか、照会する。

2.事前照会に係る取引等の事実関係
(1)本制度の概要
イ.本制度の目的
本制度は、組合員の貯蓄の奨励を図ることにより組合員の福祉の増進を目的としている。
ロ.本制度の対象となる貯蓄
本制度の対象となる貯蓄は、当組合との間で一定の契約を締結した金融機関が取り扱う商品のうち、次のもの(以下「積立貯蓄」という。)に限る。
(イ)指定合同運用金銭信託
(ロ)自由金利型定期預金M型
(ハ)当組合が特に認めた上記(イ)及び(ロ)に準拠する貯蓄商品
ハ.本件奨励金の算出
本件奨励金は、組合員が上記ロの要件を満たす口座を有し、かつ、積立貯蓄を決算日(9月25日及び3月25日)に有している場合で、その決算日を含む会計期間()の平均残高に当組合が定める一定の利率を乗じて計算した金額から金融機関から交付された利息の金額を控除した残額を支給することとする。
()会計期間:3月26日~9月25日、9月26日~3月25日
ニ.本件奨励金の支給
本件奨励金の支給日は、決算日の翌営業日とし、金融機関を通じて、金融機関から支払われる預金等の利息とは区分して、当組合から組合員に対する奨励金という名目により支給される。

(2)当組合の概要
イ.当組合の目的及び事業内容
当組合は、組合員の相互共済福利を目的とする組織であり、その目的を達成するために、慶弔見舞金等の贈与、協同生活及び貯蓄の奨励、消費負担の軽減と生活程度の向上、子女教育に対する援助、文化体育活動に対する援助及び指導、住宅建築に対する助成、災害に対する救済、レクリエーションに対する補助等の事業を行う。なお、当組合は、加盟会社等から完全に独立した団体であり、所得税法第2条《定義》第1項第8号に規定する人格のない社団等に該当する。
ロ.組合員から当組合に対する掛金の支出
組合員は、加入の月から、毎月、会社から支給される賃金総額の1%の金額を当組合に対して掛金として支出する。
ハ.加盟会社等から当組合に対する補給金の支出
加盟会社等は、当組合に対し、加盟会社等に勤務する従業員等に係る上記ロの金額の1.15倍相当額を当組合に対して補給金として支出する。

3.事前照会者の求める見解となることの理由
(1)本件奨励金の所得区分
イ.利子所得について
所得税法第23条《利子所得》第1項では、利子所得とは、公社債及び預貯金の利子等に係る所得をいう旨規定している。
この利子について特段定義規定は設けられていないものの、一般的には利息と同義に解し、元本債権から発生する法定果実を指すものと考える。
本件についてみると、組合員は金融機関に対し元本債権を有するものであり、当組合に対して元本債権を有していないことからすれば、当組合から組合員に対して支給される本件奨励金は、元本債権から発生する法定果実には当たらない。したがって、本件奨励金は利子所得に該当しないものと考える。
ロ.給与所得について
所得税法第28条《給与所得》第1項では、給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう旨規定している。
本件奨励金は、その支給に当たり補給金とは別に加盟会社等に費用負担を求めるものではなく、当組合の運営資金を原資として組合員に支給するものであり、その給付主体は、形式的にも実質的にも当組合となる。当組合と組合員との間に雇用関係及びこれに類する関係はないことから、本件奨励金は給与所得に該当しないものと考える。
ハ.一時所得について
所得税法第34条《一時所得》第1項では、一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう旨規定している。
本件奨励金は、本制度に基づき、当組合から組合員に対し一定の貯蓄を有する場合に継続的に支払われることとされていることからすれば、上記の一時の所得に該当しないものと考える。したがって、本件奨励金は一時所得にも該当しないものと考える。
ニ.雑所得について
所得税法第35条《雑所得》第1項では、雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう旨規定している。
本件奨励金は、上記イからハまでの検討に加え、配当所得、不動産所得、事業所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得に該当しないことは明らかなので、雑所得に該当するものと考える。

(2)源泉徴収の要否
源泉徴収が必要となる支払については、所得税法に限定的に列挙されているところ、本件奨励金は、所得税法に規定されている源泉徴収を要する支払のいずれにも該当しないことから、当組合は本件奨励金の支払の際に、源泉徴収を要しないと考える。

<回答内容>
平成30年10月18日 東京国税局審理課長
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら ⇒ 外部金融機関を活用した積立貯蓄制度において支給される貯蓄奨励金の課税関係について

2019年2月26日


税制適格ストックオプションについて、一定の事由が生じた場合には権利行使期間内の一定の期間に限り権利行使ができる旨の条件を付した場合の税務上の取扱いについて

1.事前照会の趣旨
当社は、当社の役員及び従業員を対象に、租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》第1項各号に掲げる要件(以下「適格要件」という。)を定めた契約(以下「本件付与契約」という。)により新株予約権(以下「本件新株予約権」という。)を付与することを予定している。

措置法第29条の2第1項第1号は、新株予約権等に係る付与契約に、「新株予約権等の行使は、当該新株予約権等に係る付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間に行わなければならないこと」が定められていること(以下「権利行使期間要件」という。)を適格要件の一つとして掲げているが、本件付与契約においては、権利行使期間要件に加え、一定の事由が生じた場合には、権利行使期間内の一定の期間に限り権利行使ができる旨の行使条件(以下「本件権利行使条件」という。)を付す予定である。

本件付与契約において、本件権利行使条件を付した場合であっても、本件新株予約権は税制適格ストックオプションに該当するものと取り扱ってよろしいか照会する。

2.事前照会に係る取引等の事実関係
本件付与契約に係る「新株予約権割当契約書」には、次のとおり定められている。

(1)権利行使期間
本件新株予約権の行使期間は、付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間とする。

(2)本件権利行使条件
当社の発行済株式総数の過半数の株式について、同時又は実質的に同時に特定の第三者に移転する旨の書面による合意が、当該株式の各保有者と当該第三者との間で成立した場合又は成立することが合理的に確実と見込まれる場合として当社が本件新株予約権に係る権利者(以下「本件権利者」という。)に通知を行った場合(以下「過半数超譲渡」という。)、本件権利者は、交付を受けた本件新株予約権の全てにつき、別途当社が合理的に指定する期間(以下「過半数超譲渡時行使期間」という。)(注)において、これを行使することができ、本件権利者が当該過半数超譲渡時行使期間の末日までに本件新株予約権の行使を行わなかったときは、本件権利者は、当該期間の末日より後、本件新株予約権を行使することができない。

(注)過半数超譲渡時行使期間は、上記(1)の権利行使期間内における一定の期間を指定しなければならないこととする。

なお、「新株予約権割当契約書」には、上記の(1)及び(2)のほか、措置法第29条の2第1項に規定する税制適格ストックオプションに該当するための要件が全て定められていることを本照会の前提とする。

3.事前照会者の求める見解となることの理由
本件付与契約においては、本件新株予約権の権利行使期間について「付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間」と定めるとともに、過半数超譲渡があった場合には、本件権利者は過半数超譲渡時行使期間の末日までに限り本件新株予約権の権利行使ができる旨の行使条件を定めている。また、当該過半数超譲渡時行使期間は、本件新株予約権の権利行使期間である「付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間」で指定しなければならないこととしている。

このため、本件付与契約では、その権利行使について権利行使期間要件が定める期間の範囲内で、更に権利行使できる期間が制限される場合もあることになるが、権利行使期間要件は、文理上、「付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までの間」に権利行使しなければならないとしているのみであり、その期間外の期間における権利行使を除外するものに過ぎないものと考えられることから、その権利行使期間要件に定められた期間内であれば、その付与契約において権利行使期間を短く定めたとしても、権利行使期間要件に反することにはならないものと考える。

したがって、本件権利行使条件を本件付与契約に定めたとしても、権利行使期間要件を満たすものと考える。

<回答内容>
平成30年10月18日 東京国税局審理課長

標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

ただし、次のことを申し添えます。
(1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありません。

 ★リンクはこちら ⇒ 税制適格ストックオプションについて、一定の事由が生じた場合には権利行使期間内の一定の期間に限り権利行使ができる旨の条件を付した場合の税務上の取扱いについて

2019年2月20日


平成30年分の確定申告においてご留意いただきたい事項(平成31年1月)

もうすぐ平成30年分の確定申告が始まる。

国税庁は、平成30年分の確定申告において納税者の方にご留意いただきたい事項について下記のとおり資料を作成した。

1.配偶者(特別)控除が変わります
平成30年分の確定申告から、控除の対象となる配偶者の範囲が拡大されるなど配偶者(特別)控除の内容が大きく変わる。

新しい配偶者(特別)控除の概要については、資料1を参照のこと。

2.スマホ✕確定申告 スマート申告始まります
確定申告書等作成コーナーは、スマートフォンでも操作ができる。
特に、サラリーマンの方の還付申告については、スマートフォンに適したデザインの専用画面を提供している。

スマートフォンによる申告等については、資料2を参照のこと。

3.マイナンバーの記載等をお忘れなく
確定申告書には、「マイナンバーの記載」及び「本人確認書類の提出」が必要である。

本人確認書類の詳細などについては、資料3を参照のこと。

4.医療費控除について
医療費控除の申告においては、医療費の領収書の提出は不要である。
代わりに、医療費控除の明細書の提出が必要である。

医療費控除の申告やセルフメディケーション税制の概要については、資料4を参照のこと。

5.忘れていませんか、その所得 申告漏れにご注意を
 ネットオークションやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得、仮想通貨の売却等による所得、競馬等の払戻金による所得については、原則として確定申告が必要である。

これらの所得の申告についての留意事項については、資料5を参照のこと。

6.住宅ローン控除の誤り等にご注意ください
住宅取得等資金の贈与についての贈与税の非課税特例の適用を受けた場合の「住宅ローン控除額の計算の誤り」やふるさと納税のワンストップ特例を申請された方の「ふるさと納税の申告漏れ」などが見受けられる。
このような申告誤りに注意すること。

これらの詳細については、資料6を参照のこと。

7.「確定申告特集ページ」のご案内
国税庁ホームページでは、ご自宅からの申告をサポートするため、「確定申告特集ページ」を設けているので、申告の際に活用のこと。

8.申告相談会場に関するご案内、確定申告の受付期間及び納期限
申告相談会場の開設は、原則、2月18日となっている。

確定申告の受付期間や納期限・振替日などについては、資料8を参照のこと。

9.QRコードを利用したコンビニ納付
所得税等の納付については、QRコードを利用してコンビニで納付することができる。

納付方法等については、資料9を参照のこと。

2019年2月6日


租税特別措置法第25条第1項の規定の適用について、免税対象となる所得金額の計算方法が争われた事例

  • 平成25年分から平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成30年1月22日裁決

<ポイント>
本事例は、租税特別措置法第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項の規定の適用に当たり、売却損が生じた肉用牛を除外して免税対象飼育牛の売却に係る所得の金額を計算することは許されないとしたものである。

<要旨>
請求人は、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項に規定する課税の特例(本件特例)の適用に当たり、免税の対象となる事業所得の金額は、売却損の生じた免税対象飼育牛(売却損牛)を含めずに計算すべきである旨主張する。

しかしながら、同項の規定の文理に照らし、同項に規定する「その売却により生じた事業所得」の金額の計算上、売却損牛に係る収入金額及び必要経費を除外してこれを計算することが許容されていると解する余地はなく、したがって、当該事業所得の金額を計算するに当たっては、個々に売却損が生じたか否かにかかわらず、全ての免税対象飼育牛が対象とされるべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 租税特別措置法第25条第1項の規定の適用について、免税対象となる所得金額の計算方法が争われた事例

2019年1月21日


キャストに支払った金員は給与等に該当するとした事例

  • ①平成26年4月、平成26年10月、平成26年12月、平成27年3月から平成27年5月まで及び平成27年7月の各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに平成26年10月分の重加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ②平成26年4月1日から平成27年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成26年3月、平成26年5月から平成26年9月まで、平成26年11月、平成27年1月、平成27年2月及び平成27年6月の各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに平成26年3月から平成26年9月まで及び平成26年11月から平成27年7月までの各月分の不納付加算税及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成26年10月分の不納付加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ④平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ⑤平成23年4月1日から平成24年3月31日まで、平成24年4月1日から平成25年3月31日まで、平成25年4月1日から平成26年3月31日まで及び平成26年4月1日から平成27年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分 →棄却
  • 平成30年1月11日裁決

<ポイント>
本事例は、給与所得とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいい、とりわけ、給与所得については、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうか、いわゆる労務の提供等の従属性が重視されなければならないとして判断したものである。

<要旨>
請求人は、請求人が営むキャバクラ店において接客業務に従事する女性(キャスト)は請求人から時間的、空間的な拘束を受けておらず、営業で必要な費用(携帯電話代金等)を負担しているから、キャストへの支給額(本件支給額)は所得税法第27条《事業所得》第1項に規定する事業所得に該当する旨主張する。

しかしながら、キャストは接客業務に従事するに当たり、請求人との間で、給与体系、勤務時間及び店舗規則などの勤務条件について合意していたこと、請求人はキャストの勤務時間又は接客時間を管理していたこと、キャストは指名客以外の客に対しても店長の指示により接客していたことが認められるから、キャストは入店から退店までの間は請求人の管理下にあったと認められ、請求人から空間的、時間的な拘束を受け、継続的又は断続的に労務又は役務の提供をしていたとみることができる。

そして、キャストが営業のために必要な費用の一部を負担しているとの請求人の主張を考慮しても、本件支給額は接客時間等を基準に各種手当て及びペナルティの有無を勘案して算出されていること、採用後1、2か月間は一定の時給が保証されていること、キャストは客に対する売掛金を回収する責任を負っていなかったことからすれば、キャストは自己の計算と危険において独立して事業を営んでいたものとみることはできない。

以上によれば、本件支給額は、キャストと請求人との雇用契約に基づき、請求人の指揮命令に服して提供した労務の対価であるから、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与等に該当する。

ただし、本件支給額に係る源泉所得税の額の計算等に誤りが認められるから、納税告知処分及び重加算税の賦課決定処分の一部を取り消すべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ キャストに支払った金員は給与等に該当するとした事例

2019年1月18日


馬券の的中によって得た払戻金に係る所得について、請求人の一連の馬券購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するものとはいえないから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得とは認められず、一時所得に該当するとした事例

  • ①平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分 →棄却
  • ②平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分 →棄却
  • 平成30年3月22日裁決

<要旨>
請求人は、競馬の勝馬投票券(馬券)の的中によって得た払戻金に係る所得(本件競馬所得)は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する旨主張する。

しかしながら、請求人は、馬券を自動的に購入するソフトを使用してインターネットを介して多数回かつ頻繁に馬券を購入していたと認められるものの、請求人による一連の馬券の購入行為は、その損益の状況をみると、確定申告をした各年で大きく変動しているのみならず、そのうちの1年は損失が発生しており、また、請求人は、的中確率が低い反面、一口で高額の払戻金が得られる可能性のある五重勝単勝式勝馬投票法に係る馬券を多数回購入し、その的中による利益が当該損益の額に一定割合を占めるなどしていることからすると、その期間、頻度、購入規模の大きさなどの点を考慮してもなお、客観的にみて多額の利益が恒常的に上がると期待し得る行為であったとは認められない。

加えて、個々の購入馬券の種類やその金額の全てが明らかにされていない以上、請求人が主張する独自の条件設定と計算式に基づき個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をしていたものと認めることはできない。

したがって、請求人による一連の馬券の購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するとまではいえないから、本件競馬所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるとは認められず、また、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないから、一時所得に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 馬券の的中によって得た払戻金に係る所得について、請求人の一連の馬券購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するものとはいえないから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得とは認められず、一時所得に該当するとした事例

2019年1月17日


請求人が支出した自動車関係費等は、不動産貸付業務の遂行上必要であった部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例

  • ①平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ②平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正処分 →一部取消し
  • ④平成24年1月1日から平成26年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税にかかる過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • 平成30年2月1日裁決

<ポイント>
本事例は、請求人が支出した固定資産税、自動車関係費用及び接待交際費を不動産貸付業務の必要経費に算入するためには、当該費用が、客観的にみて、当該業務と直接の関係を持ち、かつ、当該業務の遂行上必要な支出であると認められることが必要であるとしたものである。

<要旨>
請求人は、賃貸している駐車場に係る固定資産税等(本件租税公課)、自動車関係費用(本件自動車関係費用)及び接待交際費(本件接待交際費)について、いずれも不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額に該当する旨主張する。

しかしながら、このうち、本件自動車関係費用は、請求人が取引の記録等に基づき、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにしているとはいえず、使用自動車が客観的にみて、業務に供されていたとも認められない。

また、本件接待交際費は、その具体的な支出先等の合理的な説明や証拠の提出もなく、客観的にみて、業務と直接の関係を持ち、業務の遂行上必要な支出とは認められない。

したがって、本件自動車関係費用及び本件接待交際費は、いずれも不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額に該当せず、他方で、請求人が賃貸している駐車場は家事用ではなく、賃貸専用で使用していると認められることから、本件租税公課は、請求人の業務の遂行上必要なものであり、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が支出した自動車関係費等は、不動産貸付業務の遂行上必要であった部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例

2019年1月16日


株式などをお売りになって確定申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

国税庁は、『株式などをお売りになって確定申告をする場合は、インターネットで申告ができます!』(リーフ)を作成した。

  • STEP1 「確定申告書等作成コーナー」ヘアクセス
  • STEP2 申告書を作成
  • STEP3 申告書を提出

 ★リンクはこちら ⇒ 株式などをお売りになって確定申告をする場合は、インターネットで申告ができます!(リーフ)

2019年1月9日


「国外財産調書の提出制度(FAQ)」の更新(平成30年11月)

国税庁は、「国外財産調書の提出制度(FAQ)」を更新した。

仮想通貨及び家庭用動産の取扱いを追加するなどの改訂を行った。

国外財産調書の提出制度は、近年、国外財産の保有が増加傾向にある中で、国外財産に係る課税の適正化が喫緊の課題となっていることなどを背景として、国外財産を保有する方からその保有する国外財産について申告していただく仕組みとして、平成24年度の税制改正により導入され、平成26年1月から施行されている。

具体的には、その年の12月31日においてその価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を保有する居住者の方(非永住者の方を除く。)は、その年の翌年の3月15日までに当該国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を、所轄税務署長に提出しなければならないこととされている。

 ★リンクはこちら ⇒ 「国外財産調書の提出制度(FAQ)」の更新(平成30年11月)

2018年12月21日


仮想通貨に関係する税務上の取扱について(FAQ)

国税庁は、『仮想通貨に関係する税務上の取扱について(FAQ)』を公表した。

このFAQは、仮想通貨に関する税務上の取扱いについて、税目ごとに寄せられた一般的な質問等を取りまとめたものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 仮想通貨に関係する税務上の取扱について(FAQ)

2018年12月20日


財産債務調書の提出制度(FAQ)」の更新(平成30年11月)

国税庁は、「財産債務調書の提出制度(FAQ)」を更新した。

財産債務調書制度は、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出しなければならない方が、その年の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日において価額の合計額が3億円以上の財産または価額の合計額が1億円以上である国外転出特例対象財産を有する場合に、財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額などを記載した「財産債務調書」を、翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出する制度である。

 ★リンクはこちら ⇒ 「財産債務調書の提出制度(FAQ)」の更新(平成30年11月)

2018年12月18日


平成30年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

<主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日>

[申告所得税及び復興特別所得税]  [平成30年分]

納期等の区分 法定納期限 振替日
予定納税第1期 平成30年7月31日(火) 平成30年7月31日(火)
予定納税第2期 平成30年11月30日(金) 平成30年11月30日(金)
確定申告 平成31年3月15日(金) 平成31年4月22日(月)
確定申告延納 平成31年(2019年)5月31日(金) 平成31年(2019年)5月31日(金)

※平成31年5月以降の元号の表示については、便宜上、平成を使用するとともに西暦を併記している。

[消費税及び地方消費税] ・個人事業者  [平成30年分]

納期等の区分 法定納期限 振替日
確定申告(原則) 平成31年4月1日(月) 平成31年4月24日(水)

・法人事業者 確定申告分:課税期間終了日の翌日から2月以内 中間申告分・課税期間の特例適用のある方については、税務署へお尋ねのこと。

[法人税]  確定申告分:事業年度終了日の翌日から2月以内 中間申告分については、税務署へお尋ねのこと。

[源泉所得税及び復興特別所得税] ・納期の特例の承認を受けていない場合 源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日 ・納期の特例の承認を受けている場合(給与等特定の所得に限る。) 1月から6月までの支払分: 7月10日 7月から12月までの支払分:翌年1月20日

[相続税]  確定申告分:相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内

[贈与税]  確定申告分:翌年3月15日

[備考]  上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年確定申告分(申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税)の振替納付日

2018年12月13日


「仮想通貨関係FAQ」の公表について

国税庁では、仮想通貨取引に関する所得について、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図るため、2018年4月以降、6回にわたり「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を開催してきたところである。

本研究会では、仮想通貨交換業者を所管する金融庁や仮想通貨関連団体の出席・協力も得つつ、各仮想通貨交換業者の実態等を確認した上で、正確な所得計算のための年間取引報告書などを交換業者から顧客へ提供できるようにするなどの申告利便向上策を検討してきた。

本研究会での議論の結果を踏まえ、簡便に所得計算をすることができる様式や方法、相続時における仮想通貨の評価方法などに加え、研究会以外で国税当局に問合せ等のあった事項をまとめた「仮想通貨関係FAQ」を公表することとした。

また、併せて、納税者が年間取引報告書の内容等に基づき入力することにより、申告に必要な所得金額等が自動計算される「仮想通貨の計算書」を国税庁ホームページで公開する。

これらの施策について、各仮想通貨関連団体を通じて各交換業者や利用者へ周知するなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて取り組んでいく。

国税庁は、このように、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図り、周知・広報を行うとともに、様々な機会を捉えて課税上有効な資料収集に努め、申告のなかった方も含め、課税上問題があると認められる場合には、様々な方法で是正を促すなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて積極的に取り組んでいく。

 ★リンクはこちら ⇒ 「仮想通貨関係FAQ」の公表について

2018年12月7日


スマホ × 確定申告 スマート申告始まります!

<平成31年(2019年)1月から、「確定申告書等作成コーナー」が変わる>

1.スマートフォン専用の画面を利用できるようになる

スマートフォン・タブレットに最適化したデザインの画面を利用して、所得税の確定申告書が作成できるようになる。

※申告内容によって、パソコンと同様の画面が表示される場合がある。

2.デザインが変わる

トップページなどについて、シンプルでよりわかりやすいデザインに変更する。

※一部リニューアルされていない画面については今後順次リニューアルする。

3.e-Taxの利用手続がより便利になる

e-Taxの送信方式について、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の選択ができるようになる。

<マイナンバーカード方式>  マイナンバーカードとICカードリーダライタを利用してe-Taxを行う方法である。 利用には、以下のものを用意いただく必要がある。

•マイナンバーカード マイナンバーカードの取得方法については、マイナンバーカード総合サイトをご覧いただくか、住民票のある市区町村にお問い合わせのこと。 •ICカードリーダライタ ICカードリーダライタは、マイナンバーカードの電子証明書を読み込むために必要となるもので、家電販売店などで購入できる。 また、ICカードリーダライタの代わりに、マイナンバーカード対応のスマートフォンも利用できる。

なお、利用には以下のパスワード等が必要である。 •e-Taxをご利用されたことがある方は、利用者識別番号と暗証番号 •マイナンバーカードを取得した際に市区町村の窓口等で設定した以下のパスワード •利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁) •署名用電子証明書のパスワード(英数字6文字以上16文字以下) •(初めてマイナンバーカード方式を利用する場合のみ)券面事項入力補助用のパスワード(数字4桁)

※マイナンバーカード方式はパソコンをお使いの方のみ利用できる。 スマートフォンやタブレット端末をお使いの方でe-Taxを行う場合は、ID・パスワード方式を利用のこと。

<ID・パスワード方式> 「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されたe-Tax用のID・パスワードを利用してe-Taxを行う方法である。 マイナンバーカードとICカードリーダライタは不要である。 「ID・パスワード方式の届出完了通知」の発行は、税務署で職員による本人確認を行った上で発行するため、運転免許証などの本人確認書類をお持ちのうえ、お近くの税務署に行く必要がある。 なお、平成30年1月以降、確定申告会場などで既にID・パスワード方式の届出完了通知を受け取られた方は、平成31年1月から利用できる。

※マイナンバーカード及びICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応である。

※税理士が代理送信する場合は現行と同様の方式となる。

※開発中の画面が含まれているので、実際の画面と異なる場合がある。

 ★リンクはこちら ⇒ スマホ × 確定申告 スマート申告始まります!

2018年12月6日


介護保険制度下での介護サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて(情報)

標題のことについては、今般の介護保険法改正により、今後増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズへの対応のため、「日常的な医学管理が必要な重介護者の受入れ」や「看取り・ターミナル」等の機能と、「生活施設」としての機能を兼ね備えた、新たな介護保険施設(以下「介護医療院」という。)が創設された。

介護医療院は、医療法に定める「病院」または「診療所」ではないものの、医療法以外の規定(健康保険法等を除く。)では、原則として「病院」または「診療所」に含まれることとされており(介護保険法第115条第1項)、また、介護老人保健施設よりも高度な医療を提供する施設とされている(介護保険法第8条第29項)ことから、介護医療院の施設サービス費に係る自己負担額は、介護老人保健施設の施設サービス費に係る自己負担額と同様、医療費控除の対象となる。

なお、厚生労働省が「『介護保険制度下での介護サービスの対価に係る医療費控除の取扱いに係る留意点について』の一部改正について」(平成30年9月28日付老振発0928第2号・老老発0928第3号厚生労働省老健局振興課長・老人保健課長連名通知)によりリンクのとおり通知しているので了知されたい。

 ★リンクはこちら ⇒ 「『介護保険制度下での介護サービスの対価に係る医療費控除の取扱いに係る留意点について』の一部改正について」(平成30年9月28日付老振発0928第2号・老老発0928第3号厚生労働省老健局振興課長・老人保健課長連名通知)

2018年12月5日


配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて

平成29年度税制改正により、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われ、配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額等が改正された。

この改正は、平成30年分以後の所得税について適用される。

ここでは、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しに関する各種情報を掲載している。

年末調整における留意事項を追加し、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の記載のしかたなどの配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しに関するFAQを更新した(2018年10月)。

<制度の概要>
(1)配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正
1.配偶者控除の控除額が改正されたほか、給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととされた。
2.配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされた。

(2)扶養親族等の数の算定方法の変更
 扶養親族等の数の算定に当たり、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされた。 また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされた

(3)給与所得者の扶養控除等申告書等の様式変更等
 「給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められたことから、配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年の年末調整の時までに給与等の支払者に当該申告書を提出しなければならないこととされた。
また、上記(1)及び(2)の改正に伴い、以下の申告書についても記載事項の見直しが行われた。
①給与所得者の扶養控除等申告書
②公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
③従たる給与についての扶養控除等申告書

<年末調整における留意事項>
(1)給与所得者の配偶者控除等申告書等の様式変更
 平成29年分の「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」(兼用様式)については、平成30年分は、「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2種類の様式とされた。
平成30年分の年末調整において、配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けるためには、「平成30年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「源泉控除対象配偶者」欄への記載の有無にかかわらず、「平成30年分給与所得者の配偶者控除等申告書」を給与の支払者に提出する必要がある。

(2)源泉徴収簿の様式変更
 源泉徴収簿の⑮欄の「配偶者特別控除額」が「配偶者(特別)控除額」に改められた。
また、⑯欄の「配偶者控除額、扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」が「扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」に改められた。
これらに伴い、配偶者控除額については、平成29年分の源泉徴収簿においては、⑯欄の「配偶者控除額、扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」に含めて記載することになっていたが、平成30年分の源泉徴収簿においては、⑮欄の「配偶者(特別)控除額」に記載することとされた。

(3)「年末調整のしかた」の各種控除額の合計額の早見表の変更
 上記(2)の変更に伴い、「年末調整のしかた」の最後のページにある早見表については、平成30年分は、配偶者控除額が除かれ、「平成30年分の扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額の早見表」とされた。

配偶者控除額及び配偶者特別控除額は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」で求めることができるようになっている。

 ★リンクはこちら ⇒ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて

2018年11月14日


相続により取得した土地(本件土地)の分離長期譲渡所得の計算上、控除する取得費は、被相続人が本件土地を取得した際の売主が作成した土地台帳に記載された金額であると判断した事例

  • 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正処分
  • 一部取消し
  • 平成29年12月13日裁決

<ポイント>
 本事例は、分離長期譲渡所得の計算上、控除する取得費は、当審判所の調査により把握された、被相続人が土地(本件土地)を取得した際の売主が作成した土地台帳記載の金額によるべきであり、請求人の主張する地価公示価格から推計した金額や、原処分庁が主張する本件土地の譲渡に係る収入金額の100分の5に相当する金額によることはできないとして、原処分の一部を取り消したものである。

<要旨>
 請求人は、本件土地の譲渡に係る分離長期譲渡所得の計算上控除される本件土地の取得費は、地価公示価格から推計した金額によるべきである旨主張し、原処分庁は、本件土地の取得に要した金額の実額は不明であるから、本件土地の譲渡に係る収入金額の100分の5に相当する金額(概算取得費)を本件土地の取得費とすべきであると主張する。

しかしながら、当審判所の調査により把握された、本件土地を被相続人が取得した際の売主が作成した土地台帳(本件土地台帳)の記載内容の信用性は高く、記載内容どおりの事実を認定することができるから、本件土地台帳に記載された金額を本件土地の取得費と認めるのが相当である。

なお、請求人の主張する本件土地の取得費の金額は推計したものに過ぎないことから採用することはできない 。

 ★リンクはこちら ⇒ 相続により取得した土地(本件土地)の分離長期譲渡所得の計算上、控除する取得費は、被相続人が本件土地を取得した際の売主が作成した土地台帳に記載された金額であると判断した事例

2018年7月18日


補聴器の購入費用に係る医療費控除の取扱いについて(情報)

標題のことについて、厚生労働省から照会があり、これに対して以下のとおり回答したので、今後の執務の参考とされたい。

<照会要旨> 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な補聴器の購入費用については、医療費控除の対象となる医療費に該当するとされているところであるが、今般、一般社団法人耳鼻咽喉科学会が定めた「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」(別添参照。注)において、医師等による診療や治療と購入する補聴器の関係を記載する項目が設けられた。 この項目により、購入する補聴器が医師等による診療や治療を受けるために直接必要である旨が記載(証明)されている場合の当該補聴器の購入費用については、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額であれば、医療費控除の対象となると考えるが、貴庁の見解を承りたく照会する。 (注)同学会が認定した補聴器相談医が患者の耳科に関する医学情報や聴覚に関する情報等を記載し、補聴器の新規適合や更新等のために患者に交付するものである。 【別添】補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)について

<回答>
 医師による診療や治療などのために直接必要な補聴器の購入のための費用で、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象となる。 補聴器が診療等のために直接必要か否かについては、診療等を行っている医師の判断に基づく必要があると考えられるので、一般社団法人耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医が、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」により、補聴器が診療等のために直接必要である旨を証明している場合には、当該補聴器の購入費用(一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額に限る。)は、医療費控除の対象になる。

 ★リンクはこちら ⇒ 補聴器の購入費用に係る医療費控除の取扱いについて(情報)(個人課税課情報 第3号 平成30年4月16日 国税庁個人課税課)

2018年7月10日


FX取引に基因して生じた差損益金及びスワップポイントに係る収入の原因となる権利の確定時期は、ロールオーバーの時であるとした事例

  • 平成25年分及び平成26年分の所得税等の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分 →棄却
  • 平成24年分及び平成25年分の所得税等の各更正処分及び無申告加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • 平成25年分及び平成26年分の所得税等の期限後申告に係る無申告加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • 平成29年8月2日裁決

<ポイント>
 本事例は、FX取引に係る約款、契約締結前交付書面の記載によれば、本件における差損益金及びスワップポイントに係る収入の原因となる権利はロールオーバーの時点において確定し、当該時点において所得の実現があったと判断したものである。

<要旨>
 請求人は、外国為替保証金取引において、未決済建玉の乗換えにより決済日を自動的に1営業日繰り延べる取引(本件ロールオーバー)により生じた差損益金及びスワップポイント(本件差損益金等)は、損益の見込額にすぎないから、本件ロールオーバーが行われた時点において本件差損益金等の収入の原因となる権利が確定したとはいえない旨主張する。

しかしながら、請求人の行う外国為替保証金取引では、本件ロールオーバーにより未決済建玉の約定価格が更新され、本件差損益金等が発生してその金額が確定し、発生後、直ちに預託保証金に加算又は減算されるほか、これと同時に本件差損益金等が反映された預託保証金は振替可能額の範囲内で証券総合口座への振替請求が可能となるとされており、これらによれば、本件差損益金等の収入の原因となる権利は、本件ロールオーバーが行われた時点で発生すると同時にこれを法律上行使することができるようになり、権利実現の可能性を客観的に認識することができる状態になったということができる。

したがって、本件差損益金等の収入の原因となる権利は、本件ロールオーバーが行われた時に確定したと認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ FX取引に基因して生じた差損益金及びスワップポイントに係る収入の原因となる権利の確定時期は、ロールオーバーの時であるとした事例

2018年5月29日


歯科矯正治療費に係る事業所得の総収入金額に計上すべき時期について矯正装置装着時とするのが相当とした事例

  • ①平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分 →棄却
  • ②平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分 →棄却
  • ④平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年7月26日裁決

<ポイント>
 本事例は、歯科矯正治療費に係る事業所得の総収入金額に計上すべき時期について、請求人と患者との契約実態などを踏まえた上で矯正装置の装着時とするのが相当であるとしたものである。

<要旨>
 請求人は、歯列矯正治療に係る治療費(矯正診療費)の事業所得に係る総収入金額の計上時期について、矯正装置の装着等の時に患者(本件各患者)に対し、治療費用等を請求する旨が記載された書面(本件書面)を交付しているものの、本件書面は、矯正診療費の総額などを示して患者の便宜を図るために交付するものにすぎず、本件各患者に対して矯正診療費の支払を請求するものではないことから、当該矯正診療費を一括又は分割により支払を受けたそれぞれの日である旨主張する。

しかしながら、歯列矯正治療は、通常数年の治療期間を要すること、請求人の歯列矯正治療に対応する中核的な治療は矯正装置の装着であることに照らすと、請求人と本件各患者との間の契約の実態も踏まえて、収入の原因となる権利の確定時期を決するべきであるところ、請求人は、本件各患者が矯正診療費の金額、予定治療期間及び治療上の注意事項を承諾した後に、本件各患者に対し矯正装置を装着していること、本件各患者の矯正診療費が治療開始後の本件各患者都合により返却されることはないことなどからすれば、請求人は、本件各患者の治療開始時、すなわち、矯正装置の装着時に本件各患者の矯正診療費の全額について請求する権利を有しているものと認められる。

したがって、本件各患者に係る矯正診療費の事業所得の総収入金額に収入すべき時期は、矯正装置の装着時とするのが相当である。 なお、矯正診療費に係る収入すべき時期の認定に一部誤りがあったことから一部取消しとなった。

 ★リンクはこちら ⇒ 歯科矯正治療費に係る事業所得の総収入金額に計上すべき時期について矯正装置装着時とするのが相当とした事例

2018年5月22日


仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合

<問>
 仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返還することができなくなったとして、日本円による補償金の支払を受けた。 この補償金の額は、預けていた仮想通貨の保有数量に対して、返還できなくなった時点での価額等を基に算出した1単位当たりの仮想通貨の価額を乗じた金額となっている。 この補償金は、損害賠償金として非課税所得に該当するか?

<答>
 一般的に、損害賠償金として支払われる金銭であっても、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、非課税にならないものとされている。 ご質問の課税関係については、顧客と仮想通貨交換業者の契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになるが、一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれているものと考えられる。 したがって、ご質問の補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となる。 なお、補償金の計算の基礎となった1単位当たりの仮想通貨の価額がもともとの取得単価よりも低額である場合には、雑所得の金額の計算上、損失が生じることになるので、その場合には、その損失を他の雑所得の金額と通算することができる。

 ★リンクはこちら ⇒ 仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合

2018年5月11日


原処分庁が用いた同業者率による推計方法には合理性が認められるとした事例

  • ①平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ②平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • ③平成22年1月1日から平成23年12月31日及び平成25年1月1日から平成26年12月31日の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • 平成29年6月22日裁決

<ポイント>
 本事例は、原処分庁が請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均必要経費率を用いて推計するに当たり、類似同業者を請求人の総収入金額の0.5倍以上2倍以下と設定するなどして、機械的に抽出しており、その抽出方法には合理性があると認められ、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。

<要旨>
 請求人は、原処分庁の推計の方法では、請求人のように多額の経費や設備投資等の特別な支出がある者を対象とする場合には、事業所得の金額が過大に計算されてしまい、真実の事業所得の金額を大きく上回る旨主張する。

しかしながら、請求人が特殊事情として主張する諸事情は、いずれも適切な抽出基準及び抽出方法により選定された類似同業者の平均必要経費率を採用することにより、その平均値に吸収され捨象されるべき事情に当たるというべきであり、当審判所の調査の結果によっても、当審判所が選定した類似同業者の平均必要経費率を請求人に適用することの合理性を否定すべき特段の事情は認められない。

ただし、消費税の計算において、平成26年3月31日以前の課税資産の譲渡等と認定すべきものを、同年4月1日以降の課税資産の譲渡等と認定したことから、消費税率の適用誤りがあり、消費税等の更正処分が一部取消しとなった。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が用いた同業者率による推計方法には合理性が認められるとした事例

2018年3月14日


源泉徴収を選択した特定口座を通じて行った特定口座保管上場株式の譲渡について、選択により約定日の時点で総収入金額に算入することはできないとした事例

  • 平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • 棄却
  • 平成29年5月8日裁決

<ポイント>
 本事例は、法令解釈を基に、源泉徴収選択口座の制度を利用することを選択した者は、同制度において前提とされる計算と異なる日を選択して申告することは予定されていないと解すべきであると判断したものである。

<要旨>
 請求人は、源泉徴収の選択をした特定口座(源泉徴収選択口座)を通じて行われた上場株式の譲渡(本件譲渡)について、本件譲渡に関する契約の効力発生の日(約定日)を本件譲渡に係る譲渡所得の収入すべき時期として申告を行うことは可能であると主張する。

しかしながら、源泉徴収選択口座の制度を利用することを選択した者は、譲渡をした日を基準に金融商品取引業者等が収入金額及び必要経費等の計算を行うことを前提に同制度を選択したものと解されるため、同制度において前提とされる計算と異なる日を選択して申告を行うことは予定されていないと解すべきであり、本件においては、特定口座内において処理される収入金額等の額が受渡日を基準に計算され、その状況により特定口座年間取引報告書も作成され請求人に報告されていること、また、特定口座源泉徴収選択届出書の提出期限が、特定口座内保管上場株式等の譲渡に係る決済日であること、さらに、本件譲渡に係る所得税等の源泉徴収は、受渡日に行われていることから、金融商品取引業者等は、受渡日を基準として所得計算等を行っていたといえ、金融商品取引業者等の行う所得計算等に基づき申告を行うことを選択した後において、約定日を本件譲渡に係る譲渡所得の収入すべき時期として申告することはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 源泉徴収を選択した特定口座を通じて行った特定口座保管上場株式の譲渡について、選択により約定日の時点で総収入金額に算入することはできないとした事例

2018年3月9日


貸与制から給付制への移行に伴い奨学金返済債務が免除された場合等の税務上の取扱い

<事前照会の趣旨>
 公益財団法人である当財団は、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(以下「振り込め詐欺救済法」という。)に基づく犯罪被害者等の支援事業の担い手として選定され、犯罪被害者等の子供に対する奨学金事業(以下「本件奨学金事業」といい、本件奨学金事業に基づく奨学金を「本件奨学金」という。)を平成25年から実施している。 本件奨学金事業は、これまで貸与制で実施されてきたが、平成29年4月1日から、本件奨学金の月額を減額した上で、給付制に移行されることとなった。 また、既に本件奨学金の貸与を受けて、本件奨学金に係る債務を有する奨学生及び卒業生等(以下「既存貸与者」という。)の当該債務については、給付制下における給付額を上限として返済が免除されることとなった(以下、当該債務の返済の免除を「本件債務免除」という。)。

そこで、当財団では、本件奨学金の減額による奨学生の学生生活への影響を考慮し、給付される奨学金の月額がこれまでの貸与額と同額となるように、当財団独自のサポート制度として、貸与額と給付額の差額に相当する金銭を給付制移行後の奨学生に対し毎月給付する予定である(以下、当該給付する金銭を「本件学業支援金」という。)。 また、給付制への移行前後における奨学生間の公平性を考慮し、当財団独自のサポート制度として、既存貸与者が、本件債務免除が行われた後においてもなお本件奨学金に係る債務を有する場合には、当該債務相当額の金銭を既存貸与者に対して給付する予定である(以下、当該給付する金銭を「本件残債分給付金」という。)。

所得税法第9条《非課税所得》第1項第15号は、学資に充てるため給付される金品(以下「学資金」という。)は、給与その他対価の性質を有する一定のものを除き、非課税と規定しているところ、①本件債務免除により生ずる経済的利益(以下「本件債務免除益」という。)、②本件学業支援金及び③本件残債分給付金は、いずれも非課税となる学資金に該当するものと取り扱ってよろしいか照会する。

<回答内容>
 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない。

ただし、次のことを申し添える。 (1)ご照会に係る事実関係が異なる場合又は新たな事実が生じた場合は、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがある。 (2)この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではない。

 ★リンクはこちら ⇒ 貸与制から給付制への移行に伴い奨学金返済債務が免除された場合等の税務上の取扱い

2018年2月28日


定期借地権の設による保証金経済的利益課税係平成29年分の適正な利率について(情報)

標題のことについて、国土交通省から照会があり、これ対して次のとおり回答したので、今後の執務の参考とされたい。

 定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成29年分の適正な利率については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げるとおりとなる。

1.当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合または当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合 両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.02%としても差し支えない。

2.上記1の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき 利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、平成29年中の定期預金の平均年利率(預入期間10年・1千万円以上)によることとし、平成29年分については、0.02%となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 定期借地権の設による保証金経済的利益課税係平成29年分の適正な利率について(情報)

2018年2月28日


競馬の馬券の払戻金に係る課税について(平成30年2月 国税庁)

1.競馬の馬券の払戻金の課税について
 競馬の馬券の払戻金が一時所得と雑所得のいずれに該当するか、外れ馬券の購入費用が必要経費として控除できるか、が争われていた裁判において、以下のように判断した。

最高裁平成29年12月15日判決は、本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する
東京高裁平成28年9月29日判決(最高裁平成29年12月20日上告棄却)は、本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当しない

《参考》最高裁平成29年12月15日判決及び東京高裁平成28年9月29日判決の概要

2.競馬の馬券の払戻金の所得区分等
 競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分される。 具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考える。 なお、上記に該当しない「いわゆる一般の競馬愛好家の方」については、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できないので注意すること。

3.今後の対応
 パブリックコメントを行った上で、所得税基本通達34-1を改正する。 改正後の所得税基本通達については、国税庁のホームページ上で公表する。

4.所得税の還付手続
 上記2の取扱いは、過去に遡って適用されるので、これにより、過去の所得税の申告の内容に異動が生じ、所得税が納めすぎになる場合には、所轄の税務署に更正の請求をすることにより、その納めすぎとなっている所得税の還付を受けることができる。
なお、法定申告期限等から既に5年を経過している所得税については、法令上、減額できないこととされているので注意すること。

 ★リンクはこちら ⇒ 競馬の馬券の払戻金に係る課税について(平成30年2月 国税庁)

2018年2月27日


個人事業者の消費税(初めて課税事業者となる方へ)

国税庁は、インターネット番組「Web-TAX-TV」に確定申告関連番組『個人事業者の消費税(初めて課税事業者となる方へ)』を掲載した。

個人事業者が行う消費税の申告と納付について分かりやすく紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 個人事業者の消費税(初めて課税事業者となる方へ)

2018年2月9日


株式等の譲渡所得等の申告は「確定申告書等作成コーナー」で!

国税庁は、インターネット番組「Web-TAX-TV」に確定申告関連番組『株式等の譲渡所得等の申告は「確定申告書等作成コーナー」で!』を掲載した。

株式等を譲渡した方等が、「確定申告書等作成コーナー」で申告書等を作成する場合の入力手順等について、主な事例を用いて紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 株式等の譲渡所得等の申告は「確定申告書等作成コーナー」で!

2018年2月8日


不動産収入がある方の確定申告

国税庁は、インターネット番組「Web-TAX-TV」に確定申告関連番組『不動産収入がある方の確定申告』を掲載した。

不動産収入のある方が、「確定申告書等作成コーナー」で青色申告決算書や申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 不動産収入がある方の確定申告

2018年2月7日


住宅ローン控除還付申告手続

国税庁は、インターネット番組「Web-TAX-TV」に確定申告関連番組『住宅ローン控除還付申告手続』を掲載した。

住宅ローン控除の適用を受ける方が、「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 住宅ローン控除還付申告手続

2018年2月6日


医療費控除を受ける方

国税庁は、インターネット番組「Web-TAX-TV」に確定申告関連番組『医療費控除を受ける方』を掲載した。

医療費控除を受ける方が、「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、書面で提出する方法について紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 医療費控除を受ける方

2018年2月5日


医療費控除は領収書が提出不要となりました

平成29年分の確定申告から、領収書の提出の代わりに“医療費控除の明細書” の添付が必要となった。

医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要がある。 (税務署から求められたときは、提示又は提出しなければならない。) 医療保険者から交付を受けた医療費通知を添付すると、明細の記入を省略できる。 (医療費通知とは、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」などである。)

(注)平成29年分から平成31年分までの確定申告については、医療費の領収書の添付または提示によることもできる。

 ★リンクはこちら ⇒ 医療費控除は領収書が提出不要となりました

2018年2月2日


平成29年分の確定申告においてご留意いただきたい事項(平成30年1月)

国税庁は、『平成29年分の確定申告においてご留意いただきたい事項(平成30年1月)』をホームページに掲載した。 内容は以下のとおり。

1 医療費控除が変わります
2 医療費控除とセルフメディケーション税制の減税額試算
3 マイナンバーの記載等をお忘れなく
4 忘れていませんか、その所得 申告漏れにご注意を
5 確定申告は、自宅から“インターネット”が便利です
6 申告相談会場に関するご案内、確定申告の受付期間及び納期限等

★リンクはこちら ⇒ 平成29年分の確定申告においてご留意いただきたい事項(平成30年1月)

2018年1月29日


日本年金機構が発行する「平成29年分公的年金等の源泉徴収票」の誤りについて(平成30年1月22日)

日本年金機構が年金受給者の方に対して送付した「平成29年分公的年金等の源泉徴収票」の一部について、記載内容に誤りがあることが判明した旨が発表されている。

<受け取った源泉徴収票の内容に誤りがある場合>
 源泉徴収票の記載内容に誤りがある方に対して、正しい源泉徴収票が1月末を目途に日本年金機構から再送付される予定である。 受け取った源泉徴収票の記載内容を確認いただき、内容に誤りがある場合、正しい源泉徴収票が送付された後に、確定申告書を作成してください。

なお、既に確定申告書を提出済みの方で、源泉徴収票の「控除対象配偶者」欄及び「控除対象扶養親族」欄の氏名に誤りがあり、是正が必要な場合は、税務署から連絡があるとのこと。

<お問い合わせ先>
 日本年金機構「源泉徴収票お問い合わせダイヤル」 0120-051-217 受付時間 平日8:30から17:00

 ★リンクはこちら ⇒ 日本年金機構が発行する「平成29年分公的年金等の源泉徴収票」の誤りについて(平成30年1月22日)

2018年1月25日


平成30年2月18日及び2月25日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

一部の税務署では、平成30年2月18日と2月25日に限り、日曜日も確定申告の相談・申告書の受付を行う。

平成30年2月18日と2月25日の日曜日に、確定申告の相談等を行う税務署等については下記リンクをご覧のこと。

なお、我が香川県(うどん県)は、高松税務署のみである。

道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方々からの電話相談にお答えする。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成30年2月18日及び2月25日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署(既に削除済み)

2018年1月22日


平成29年分の所得税と消費税の納期限(法定納期限)及び振替日

[申告所得税及び復興特別所得税]
納期等の区分 法定納期限 振 替 日
予定納税第1期 平成29年7月31日(月) 平成29年7月31日(月)
予定納税第2期 平成29年11月30日(木) 平成29年11月30日(木)
確定申告 平成30年3月15日(木) 平成30年4月20日(金)
確定申告延納 平成30年5月31日(木) 平成30年5月31日(木)
[消費税及び地方消費税(個人事業主)]
納期等の区分 法定納期限 振 替 日
確定申告(原則) 平成30年4月2日(月) 平成30年4月25日(水)

 ★リンクはこちら ⇒ 主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日

2018年1月18日


旧ゴルフ会員権と新ゴルフ会員権には資産としての同一性があるものとは認められないため、旧ゴルフ会員権の入会時に支払った預託金等は、新ゴルフ会員権の譲渡所得の計算上、取得費として控除することができないとした事例

  • 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成29年1月6日裁決

<ポイント>
 本事例は、ゴルフ場経営会社に係る民事再生手続における再生計画及び営業譲渡契約において、1新運営会社は旧運営会社の債務及び旧会員契約を承継しないこと、1ゴルフ場施設の利用を希望する会員は、新たに会員契約を締結する必要があることが定められていることから、旧ゴルフ会員権の優先的施設利用権と預託金債権はいずれも消滅していると認められ、旧ゴルフ会員権と新ゴルフ会員権とは同一性があるものとは認められないと判断したものである。

<要旨>
 請求人は、譲渡したゴルフ会員権(本件ゴルフ会員権)は、当初取得した旧運営会社のゴルフ会員権(旧ゴルフ会員権)が民事再生手続における再生計画(本件再生計画)に基づき、営業譲渡に際して新運営会社に預託金が減額されて引き継がれたものであり、本件ゴルフ会員権の譲渡所得の計算上、当初取得時に支払った登録料及び入会保証金(預託金等)は、取得費として控除することができる旨主張する。

しかしながら、譲渡所得の金額の計算上控除されるべき取得費は、譲渡資産と同一性が認められる資産の取得に要した金額をいうものと解されるところ、本件再生計画及び営業譲渡契約において、1新運営会社は旧運営会社の債務及び旧会員契約を承継しないこと、2ゴルフ場施設の利用を希望する会員は、新たに会員契約を締結する必要があることが定められていることからすると、旧ゴルフ会員権の優先的施設利用権と預託金債権はいずれも消滅していると認められ、旧ゴルフ会員権と本件ゴルフ会員権には資産としての同一性があるものとは認められない。

したがって、請求人が入会時に支払った預託金等は、所得税法第33条《譲渡所得》第3項に規定する譲渡所得の計算上、取得費として控除することができない。

 ★リンクはこちら ⇒ 旧ゴルフ会員権と新ゴルフ会員権には資産としての同一性があるものとは認められないため、旧ゴルフ会員権の入会時に支払った預託金等は、新ゴルフ会員権の譲渡所得の計算上、取得費として控除することができないとした事例

2017年12月25日


取引先から入金された金員が貸付金の返済であるとする請求人の主張を認めず、事業所得の収入金額に該当するとした事例

  • ①平成20年分から平成24年分までの所得税の各決定処分及び重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • ②平成25年分から平成26年分までの所得税及び復興特別所得税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分 →一部取消し
  • ③平成22年1月1日から平成26年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分 →棄却
  • 平成29年2月6日裁決

<ポイント>
 本事例は、請求人が業者から受領した金員について当該業者の貸付金の返済に該当するものではなく、請求人と当該業者との間で締結した飲料水等の自動販売機設置契約に基づき、手数料として支払われたものと判断したものである。

<要旨>
 請求人は、自動販売機設置業者から入金された金員(本件入金)が請求人の当該業者に対する貸付金の返済であり、当該貸付金の元本部分について所得税法第36条《収入金額》第1項の収入すべき金額ではない旨主張する。

しかしながら、本件入金は、請求人と当該業者との間で締結した契約に基づき、請求人が当該業者に飲料水等の自動販売機を設置させ、飲料水等を販売させることにより、当該業者から販売本数に応じた手数料として請求人に支払われたものであるから、外部からの経済的価値の流入である収入に該当し、その全額が請求人の収入すべき金額となる。 また、請求人と当該業者との間で、当該契約以外に金銭授受を伴う契約が締結された事実は認められないことから、本件入金は、当該業者に対する貸付金の返済であるとは認められない。

 ★リンクはこちら ⇒ 取引先から入金された金員が貸付金の返済であるとする請求人の主張を認めず、事業所得の収入金額に該当するとした事例

2017年12月22日


仮想通貨に関する所得の計算方法等について

国税庁は、『仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)』(個人課税課情報 第4号 平成29年12月1日 国税庁個人課税課)を公表した。

ビットコインをはじめとする仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要となる。

この情報(FAQ)は、確定申告の対象となる仮想通貨の損益やその具体的な計算方法等について、取りまとめたものである。

(注1) この情報は、平成29年12月1日現在の法令・通達等に基づいて作成している。 この情報で使用している事例(取引金額や取引相場を含む)は、架空のものであるが、事例に応じた適正な価額による一般的な取引を前提に記載している。 (注2) 例えば、年末調整済みの給与所得を有する方で、仮想通貨の売却または使用による所得が20万円以下の方についは、その他に所得がない場合、確定申告は不要である。 確定申告が必要となる場合については、 http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/a/01/1_06.htm をご覧のこと。

 ★リンクはこちら ⇒ 仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)(個人課税課情報 第4号 平成29年12月1日 国税庁個人課税課)

2017年12月4日


上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため、上場株式等に係る譲渡損失の金額を翌年に繰り越すことができないとした事例 Edit

  • 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分
  • 棄却
  • 平成28年12月2日裁決

<ポイント> 本事例は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例は、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書(更正の請求に基づく更正を含む。)が時系列的に連続して提出されていることが適用要件の一つとなるとしたものである。

<要旨> 請求人は、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの。)第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第8項(本件第8項)適用の判断に当たっては、平成25年分の所得税及び復興特別所得税(所得税等)に係る更正請求書(本件更正請求書)は平成26年分の所得税等の申告書(本件申告書)よりも先に作成したものであるから、本件更正請求書及び本件申告書の提出日の先後ではなく、作成順序の先後をもって、実質的に判断されるべきである旨主張する。 さらに、本件更正請求書の提出は、平成26年分の所得税等の法定申告期限までに行ったものであるから、当該提出をもって本件申告書について訂正申告書が提出されたものとみなされるのが相当である旨主張する。

しかしながら、本件第8項は「その後において連続して確定申告書を提出している場合」と規定しているのであるから、連続性の有無は、前年分の確定申告書(更正の請求に基づく更正を含む。)と後年分の確定申告書の提出の先後をもって判定すべきことは法文上明らかである。 また、本件更正請求書の提出をもって本件申告書についての訂正申告書の提出があったものとみるべき理由もない。

したがって、平成25年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額は、同条第6項の適用要件を満たさず、やむを得ない事情も認められないから、これを平成26年分以降に繰り越すことはできず、平成25年分の所得税等に係る更正の請求は更正をすべき理由がない。

★リンクはこちら⇒上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため、上場株式等に係る譲渡損失の金額を翌年に繰り越すことができないとした事例

2017年11月15日

非居住者である請求人が行っている国内不動産の貸付けが所得税法上の事業に該当するとはいえないから、当該不動産の賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得には該当せず、源泉徴収の免除の要件を満たさないとした事例 Edit

  • 平成27年7月30日付の非居住者に対する源泉徴収の免除証明書を交付できないことの通知処分
  • 棄却
  • 平成28年12月20日裁決

<ポイント> 本事例は、非居住者に適用される源泉徴収の免除に関する規定(平成26年法律第10号による改正前の所得税法第214条第1項第3号)における「事業」の意義は、所得税法の他の規定における事業と同一の概念に解するのが相当としたものである。

<要旨> 請求人は、所得税法に「事業」についての一般的な定義規定が置かれていないことからすれば、所得税法(平成26年法律第10号による改正前のもの)第214条《源泉徴収を要しない非居住者の国内源泉所得》第1項第3号にいう「事業」とは、家事活動に対する経済活動を意味するものにすぎず、請求人が国内で不動産を貸し付けている以上、当該貸付けにより支払を受ける不動産の賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得に該当する旨主張する。

しかしながら、所得税法は、居住者の所得金額を計算するに当たって、事業から生ずる所得と、事業に至らない所得とを明確に区分して規定しており、これらの規定は非居住者にも準用されているところ、非居住者に適用される源泉徴収の免除に関する規定における「事業」の意義についても、所得税法の他の規定における事業と同一の概念に解するのが相当であって、これと異なる解釈をすべき理由は見当たらないから、所得税法第214条第1項第3号に規定する「事業」の意義については、所得税法における事業の概念をそのまま当てはめることが妥当である。 そして、所得税法における事業の意義については、営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費やした精神的肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴、社会的地位・生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断されるべきものと解するのが相当であるところ、請求人による不動産の貸付けの規模や態様からすれば、社会通念上事業といい得る経済活動とみることは困難である。

したがって、請求人による不動産の貸付けは、所得税法上、事業とはいえないことから、請求人が当該貸付けにより支払を受ける賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得に該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 非居住者である請求人が行っている国内不動産の貸付けが所得税法上の事業に該当するとはいえないから、当該不動産の賃貸料等は、代理人等を通じて行う事業に帰せられる国内源泉所得には該当せず、源泉徴収の免除の要件を満たさないとした事例

2017年11月9日

請求人が不動産所得の必要経費として主張する各支出に係る証拠書類等の提出は十分ではなかったものの、審判所の調査により追加で認容すべき必要経費の額を認めた事例 Edit

  • ①平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分
  • ②平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • ①②一部取消し
  • 平成28年11月1日裁決

<ポイント> 本事例は、請求人が、原処分に係る調査においてそれを裏付ける証拠書類等の提示及び説明を行わず、審査請求においても証拠書類等の提出がほとんどなく、具体的な説明も行わなかったため、審判所において調査・審理を行ったところ、原処分において認定された金額のほかに追加認容すべき必要経費の額を認めたものである。

<要旨> 請求人は、修繕費等及び旅費・交通費等の各支出は、それぞれ不動産所得の金額及び雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべきである旨主張する。

しかしながら、請求人は、不動産所得について、主張を裏付ける証拠書類等の提示及び説明を原処分調査時及び異議調査時にもしておらず、また、当審判所の再三の求めにも応じず、主張を裏付ける証拠書類等をほとんど提出しなかった。このような状況の下、当審判所としては、修繕費等及び旅費・交通費等について各支出の事実の有無、当該各支出が請求人の不動産所得を生ずべき業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものであるか否か、その他必要経費に算入すべき支出の有無について主に原処分関係資料に基づいてその適否を判断するほかないところ、これらの資料等を調査した結果、請求人の主張する各支出は、原処分額算定において誤りがあった一部を除き、必要経費に算入できない。また、雑所得の必要経費についても原処分庁認定額を不相当とする理由はない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が不動産所得の必要経費として主張する各支出に係る証拠書類等の提出は十分ではなかったものの、審判所の調査により追加で認容すべき必要経費の額を認めた事例

2017年10月31日

飲食店事業に係る営業許可等の名義人である請求人に当該事業から生ずる収益は帰属しないとした事例 Edit

  • 平成24年分の所得税の更正の請求並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 平成23年1月1日から平成25年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分
  • 全部取消し
  • 平成28年11月15日裁決

<ポイント> 本事例は、飲食店事業(本件事業)に係る営業許可及び各契約等が請求人自身の名義により行われているものの、本件事業を支配管理し、その収益を享受している者は請求人ではないから、本件事業に係る所得は請求人には帰属しないとしたものである。

<要旨> 原処分庁は、飲食店事業(本件事業)に係る営業許可及び各契約等の名義人が請求人であること、並びに請求人が本件事業に係る開業届出書及び所得税の期限後申告書を原処分庁に提出していることなどを総合すれば、請求人が、本件事業から生ずる収益を享受している旨主張する。

しかしながら、請求人は、ともに本件事業に従事しているGの依頼に応じて当該各契約等を自らの名義に変更したにすぎず、Gは、請求人名義に変更後も本件事業の資金管理を行い、本件事業から生ずる利益を処分し、従業員の雇用及び労務管理を含む本件事業の運営を行っており、加えて、請求人とGとの間で、Gが従業員の立場で当該運営を行う旨の特段の合意があったとは認められないことからすると、本件事業から生ずる収益を享受しているのは、請求人ではなくGであると認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が所有する物件の賃貸借に係る契約において、賃借人が当該物件を住宅として転貸することが契約書その他において明らかであるとした事例

2017年10月20日

原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例 Edit

  • 平成21年分から平成24年分までの所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成23年1月1日から平成23年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分
  • 一部取消し・棄却
  • 平成28年9月8日裁決

<要旨> 請求人は、請求人の自宅に存したノート(本件ノート)は請求人の事業に係る売上金額が記載されたものではないから、原処分庁が本件ノートを基に請求人の事業所得の金額等を推計の方法により算定したことには合理性がない旨主張する。

しかしながら、本件ノートに記載された売掛金の額は、請求書の金額及び預金口座に振り込まれた金額と9割以上が一致していることからすると、本件ノートには、請求人の事業に係る売上金額を記載したものとして一定の信ぴょう性があると認められる。 加えて、原処分庁は、請求人が営む事業と業種、業態、事業内容、規模等が類似すると認められる青色申告者の平均特前所得率(総収入金額に対する青色申告特典控除前の事業所得の金額の割合の平均値)に基づいて、請求人の事業所得の金額を推計の方法により算定しているところ、原処分庁が類似同業者を機械的に抽出すべく設定した選定基準についてみると、選定対象とした事業者は、①請求人が営む店舗の所在地を管轄する税務署及び同税務署と隣接する税務署の管轄内に納税地及び事業所を有する者に限定し、地域差による収益等のかい離を回避していること、②請求人が営む事業の営業形態との同一性に配慮が認められ、売上金額が請求人の売上金額の0.5倍以上2倍以下であり、複数店舗経営及び兼業ではなく、青色事業専従者がいないなど事業規模等の類似性を十分に考慮していること、③年中途の開廃業がない青色申告者で調査中又は不服申立て中でない者に限定することによって、収入金額等を把握する上で障害となる不安定要素を有する者が除外されるとともに、同業者に係る資料及び金額の正確性が担保されていることから、原処分庁による推計の方法自体は相当であると認められる。

ただし、原処分庁が選定した類似同業者の中には、原処分庁が設けた選定基準に該当しない事業者が一部含まれていることから、これらを類似同業者から除外した上で平均特前所得率を算定することが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例

2017年8月29日

請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約の当事者が、当該子会社ではなく請求人であるとはいえないとした事例 Edit

  • ①平成25年4月1日から平成26年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 →棄却
  • ②平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分 →棄却
  • ③平成25年6月から同年12月までの各月分及び平成26年2月から同年8月までの各月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに不納付加算税の各賦課決定処分 →全部取消し
  • 平成28年7月6日裁決

<ポイント> 本事例は、請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約に係る契約書はいわゆる処分証書に該当し、作成の真正に争いがなく他に特段の事情も認められないことからすれば、契約当事者を請求人であるとすることはできないとしたものである。

<要旨> 原処分庁は、請求人の子会社(本件子会社)が複数の外国法人と締結した商材の販売(本件事業)に係る契約(本件契約)について、①請求人と本件子会社との間で締結した本件子会社の名義を借用する契約(本件許諾契約)に基づき、請求人が本件子会社の名義を使用して本件事業を行い、その収益を請求人に帰属させていること及び②請求人と本件子会社との間で締結された業務委託契約(本件業務委託契約)に基づき、本件契約に定められた本件子会社の業務を請求人の従業員が実際に行っていること等を理由として、本件子会社は名目上の契約者にすぎず、請求人が実質的な契約当事者である旨主張する。

しかしながら、本件契約に係る契約書は、いわゆる処分証書に該当し、他に特段の事情がない限り、作成者によって記載どおりの行為がなされたものと認めるべきであるところ、本件子会社は事業を営む実体のある法人であり、その法人格を否認する特段の事情は認められず、本件契約の当事者が本件子会社であることを他の契約当事者が合意した上で本件契約を締結したことが認められ、あえて契約当事者を請求人であるとする特段の事情も認められない。 また、本件許諾契約及び本件業務委託契約は、本件契約とは当事者が異なる別個の契約であり、それぞれの契約の締結には合理的な理由があると認められるから、これらの契約の存在を度外視して、本件契約と本件許諾契約及び本件業務委託契約をいわば不可分一体のものとみて、本件契約の当事者が請求人であるとすることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人の子会社が複数の外国法人と締結した契約の当事者が、当該子会社ではなく請求人であるとはいえないとした事例

2017年8月24日

外貨建借入金の借換えの際に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には課税の対象となる収入として認識しないとした事例 Edit

  • 平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成28年8月8日裁決

<ポイント> 本事例は、借換えの前後における外貨建借入金の内容に実質的な変化が生じていない場合、当該借換えの際に計算される為替差損益は単に評価上のものにすぎず、課税の対象となる収入として認識しないとしたものである。

<要旨> 請求人は、金融機関から外貨建借入金を借り入れ、当初の借入れから最終的な返済までの間に借換えを繰り返しているところ、最終的な返済時だけでなく、各借換え時において計算される為替差損益も課税の対象として認識すべきである旨主張する。

しかしながら、所得税法第36条《収入金額》第1項は、収入の原因たる権利が確定的に発生した場合に、その時点で所得の実現があったものとして課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用したものと解されており、収入という形態において実現した利得のみを課税の対象としているから、外貨建借入金の借換え時に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には、課税の対象となる収入として認識しないこととなる。 本件においては、金融機関と請求人との間で貸付与信枠に係るファシリティー契約が結ばれ、同契約に定められた貸付与信限度額、金利の計算方法及び担保等の条件に基づき、同一支店から、同一の通貨で借換えが行われており、借換えに係る既存の借入金と新たな借入金の内容に実質的な変化が生じたとは認められない。

そうすると、借換え時において、既存の借入金の返済により計算される為替差損益は、単に評価上のものにすぎないから、課税の対象となる収入として認識しないこととなる。

 ★リンクはこちら ⇒ 外貨建借入金の借換えの際に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には課税の対象となる収入として認識しないとした事例

2017年8月21日

請求人が立替払したと認められる金額は、全て総収入金額から除外したとの原処分庁の主張を一部排斥した事例 Edit

  • ①平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②平成24年分の所得税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分
  • ③平成25年分の所得税及び復興特別所得税の再更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • ④平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • ⑤平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の変更決定処分
  • ⑥平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分
  • ①②④一部取消し、③⑥棄却、⑤却下
  • 平成28年9月8日裁決

<要旨> 原処分庁は、所得税の事業所得の総収入金額の算定に当たっては、請求人が取引先の支払を立替払したと主張する金額のうち、立替払したと認められる部分については既に総収入金額から除外しており、その他の部分については立替払したとは認められない旨主張する。

しかしながら、取引先への文書照会に対する回答内容等によれば、請求人が取引先の支払を立替払したとして原処分庁が認めたもののほかに、取引先一社分について立替払した金額があったにもかかわらず、当該金額を当該総収入金額から除外していなかったことが認められる。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が立替払したと認められる金額は、全て総収入金額から除外したとの原処分庁の主張を一部排斥した事例

2017年8月17日

本件における飲食店の経営主体が請求人である旨の原処分庁の主張を排斥した事例 Edit

  • ①平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分
  • ②平成24年分の所得税の更正処分
  • ③平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • ④平成23年1月1日から平成23年12月31日まで及び平成24年1月1日から平成24年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分
  • ⑤平成25年1月1日から平成25年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • ⑥平成23年1月から平成25年12月までの各期間分の源泉徴収に係る所得税等の各納税告知処分等
  • ②④却下、①③⑤⑥全部取消し
  • 平成28年8月10日裁決

<ポイント> 本事例は、事業所得が誰に帰属するかは、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義、事業への出資状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況などを総合し、経営主体としての実体を有する者を社会通念に従って判断すべきとしたものである。

<要旨> 原処分庁は、請求人の父(父)が営むものとして申告された飲食店(本件飲食店)の事業について、①平成23年以降の法律行為の名義は全体として請求人であり、②同人が収支の管理を行い、③同人が従業員の採用や給与の決定・昇給を行っていたと認められることから、平成23年分ないし平成25年分(本件各年分)における本件飲食店の経営主体は父ではなく請求人であり、その事業に係る所得は請求人に帰属する旨主張する。

しかしながら、事業所得の帰属者の判断に当たっては、当該事業の遂行に際して行われる法律行為の名義に着目するのはもとより、当該事業への出資の状況、収支の管理状況、従業員に対する指揮監督状況などを総合し、経営主体としての実体を有するかを社会通念に従って判断すべきである。

本件においては、①本件各年分における本件飲食店の店舗の賃貸借契約は、父名義で行われているほか、その事業の用に供されている物的設備等のほとんどが父の所有するものであり、②請求人は平成23年当時、本件飲食店を経営するだけの資金力を有するに至っておらず、その経営は父の資金力に大きく依存していたところ、③平成23年以降のいくつかの法律行為等に請求人の名義が用いられていることや、請求人が収支の管理を行い、従業員の採用や給与の決定・昇給を行っていたとしても、それは、請求人がいずれ本件飲食店の事業を承継することを前提に本件飲食店に勤務し始めたことから、父から店長としてかなりの裁量を持たされていたにすぎないといえ、④請求人がその生活費等を本件飲食店の事業に係る収益から享受し、父は本件飲食店の事業から収益を享受していなかったとしても、本件各年分における本件飲食店の経営状況は悪く連年損失が生じていたことからすると、父が経営者であって請求人が従業員であるとの状況を前提とすれば整合的であり、これらを総合して考慮すれば、本件飲食店の経営主体は父であったとみるべきであり、その事業に係る所得は父に帰属する。

 ★リンクはこちら ⇒ 本件における飲食店の経営主体が請求人である旨の原処分庁の主張を排斥した事例

2017年8月14日

青色事業専従者給与

生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがある。 これらの給与は原則として必要経費にはならないが、青色申告者の場合、一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例が認められている。

(注)青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。

青色事業専従者給与として認められる要件は、以下のとおり。 (1)青色事業専従者に支払われた給与であること。 青色事業専従者とは、以下の要件のいずれにも該当する人をいう。

青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

(2)「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。 提出期限は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までである。 この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっている。 また、専従者が増える場合や、給与を増額する場合など、届出の内容を変更するためには、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署長に提出していること。 (3)届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。 (4)青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。 なお、過大とされる部分は必要経費とはならない。

 ★リンクはこちら ⇒ No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

2017年6月16日

事業専従者控除

生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがある。 これらの給与は原則として必要経費にはならないが、白色申告者の場合、事業に専ら従事する家族従業員の数、配偶者かその他の親族かの別、所得金額に応じて計算される金額を必要経費とみなす事業専従者控除の特例が認められている。

(注)白色申告者の事業専従者である人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。

事業専従者控除額は、以下のイまたはロの金額のどちらか低い金額である。

事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額

白色事業専従者控除を受けるための要件は、以下のとおり。 (1)白色申告者の営む事業に事業専従者がいること。 事業専従者とは、以下の要件の全てに該当する人をいう。

白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。

(2)確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること。

 ★リンクはこちら ⇒ No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

2017年6月14日

青色申告者の帳簿書類とその保存

青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則であるが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっている。

これらの帳簿及び書類などは、原則として7年間保存することとされているが、書類によっては5年間でよいものもある。

 ★リンクはこちら ⇒ No.2070 青色申告制度

2017年3月16日

青色申告の特典

青色申告の特典のうち主なものについては以下のとおりである。

(1)青色申告特別控除 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することとされている。 また、それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円を控除することとされている。

(2)青色事業専従者給与 青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができる。 なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。

(3)貸倒引当金 事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものである。 ただし、金融業の場合は 3.3%になる(一括評価)。 なお、貸金のうち、貸倒れその他これに類する一定の事由による損失の見込額については、それぞれの事由に応じた限度額までを、貸倒引当金勘定に繰り入れることができるが(個別評価)、その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれる。

(4)純損失の繰越しと繰戻し 事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除する。 また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできる。

 ★リンクはこちら ⇒ No.2070 青色申告制度

2017年3月15日

青色申告の申請手続

(1)原則 新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。

(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合) 業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。

(3)相続により業務を承継した場合 その年の1月16日以後に業務を承継した場合は、業務を承継した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。 しかしながら、青色申告をしていた被相続人の業務を承継した場合は、被相続人の死亡による準確定申告書の提出期限である相続の開始を知った日の翌日から4か月以内(ただし、その期限が青色申告の承認があったとみなされる日後に到来するときは、その日)までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出すること。

なお、上記を表にすると、以下のようになる。

区     分 青色申告承認申請書の提出期限
(1) 原則 青色申告の承認を受けようとする年の3月15日
(2) 新規開業した場合 (その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合) 業務を開始した日から2か月以内
(3) 被相続人が白色申告者の場合 (その年の1月16日以後に業務を承継した場合) 業務を承継した日から2か月以内
(4) 被相続人が青色申告者の場合 (死亡の日がその年の1月1日から8月31日) 死亡の日から4か月以内
(5) 被相続人が青色申告者の場合 (死亡の日がその年の9月1日から10月31日) その年12月31日
(6) 被相続人が青色申告者の場合 (死亡の日がその年の11月1日から12月31日) 翌年2月15日

★リンクはこちら ⇒ No.2070 青色申告制度

2017年3月14日

青色申告制度の概要

我が国の所得税は、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度を採っている。 1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額 や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要がある。

ところで、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度がある。 青色申告をすることができる人は、 不動産所得、事業所得、山林所得のある人である。

 ★リンクはこちら ⇒ No.2070 青色申告制度

2017年3月13日

開発許可を受けたのは受託者であって、不動産信託の受益者としての権利(受益権)の譲受人でないため、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例

  • 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成28年6月3日裁決

<ポイント> 本事例は、信託財産に属する資産が土地等である所得税法第13条第1項に規定する受益者等課税信託の信託受益権が譲渡された場合には、当該信託財産に属する資産である土地等が譲渡されたことになるところ、当該土地等の開発許可を受けたのは受託者であって、当該信託受益権の譲受人でないため、優良住宅他の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないと判断したものである。

<要旨> 請求人らは、信託法第16条《信託財産の範囲》第1項及び所得税法第13条《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》第1項の規定からすると、信託財産に関する受託者の行為は受益者の行為と同一人格の行為であるとみなされることから、当該信託の受託者が都市計画法第29条《開発行為の許可》第1項に基づく開発許可を取得すれば、当該許可を受けた地位は、信託受益権が譲渡された場合の受益者である譲受人も有するというべきであり、当該譲受人は、租税特別措置法第31条の2《優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項第13号(本件特例)の「開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う」法人に該当するなどと主張する。

しかしながら、本件特例は本来課されるべき租税を政策的な見地から特に軽減するものであるから、租税公平主義に照らし、その解釈は条文の文言に即して厳格にされるべきであり、条文の文言を離れてみだりに拡張解釈や類推解釈をすることは許されないことに鑑みれば、本件が対象土地に係る信託受益権(本件受益権)の譲渡であり、本件受益権の譲受人自身が開発許可を取得していない以上は、開発許可を受けた者に対する譲渡との要件を満たさないものとして、本件特例の適用を受けることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 開発許可を受けたのは受託者であって、不動産信託の受益者としての権利(受益権)の譲受人でないため、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例

2017年2月17日

個人で事業を営む請求人が同族会社に支払った不動産賃借料について、地理的条件等の類似する不動産賃借料よりも高額であることから、所得税法第157条を適用した事例

  • 平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 一部取消し
  • 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分 棄却
  • 平成28年5月30日裁決

<ポイント> 本事例は、不動産の賃料が、地理的条件、用途、規模、構造などの状況が類似すれば、特別な事情がない限り、その金額は同程度になることから、所得税法第157条の適用の検討に当たり、地理的条件等の類似性が確保された不動産の平均賃料と請求人が同族会社に支払った賃料を比較することには合理性があるとしたものである。

<要旨> 請求人は、原処分庁が所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認等》第1項の規定の適用に当たって算定した診療所(土地を含む。)の適正賃料について、その算定方法に合理性がないことから、請求人が同族会社に支払った賃料(本件賃料)を必要経費に算入したことは請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となるとは認められない旨主張する。

しかしながら、同項に規定する「所得税の負担を不当に減少させる結果となる」と認められるか否かは、同族会社の具体的行為又は計算が通常の経済人の行為等として経済的合理性を有しているか否かを基準として判断すべきであり、不動産の賃料は、地理的条件、用途、規模、構造などの状況が類似すれば、特別な事情がない限り、その金額は同程度になることから、請求人が本件賃料を支払ったことについて通常の経済人の行為として経済的合理性を有しているか否かを判断する際に、地理的条件等の類似性が確保された不動産の平均賃料と本件賃料を比較することには合理性があると認められる。 そして、原処分における診療所の類似物件の抽出基準は地理的条件等の類似性が確保されており、本件賃料は当該基準に従って抽出した不動産の平均賃料(診療所の適正賃料)よりも高額であることから、請求人が本件賃料を支払ったことは通常の経済人の行為として経済的合理性を有していない。

したがって、請求人が本件賃料を必要経費に算入したことを容認した場合には請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる。

なお、原処分庁による診療所の類似物件の平均賃料の算定に一部誤りがある。

 ★リンクはこちら ⇒ 個人で事業を営む請求人が同族会社に支払った不動産賃借料について、地理的条件等の類似する不動産賃借料よりも高額であることから、所得税法第157条を適用した事例

2017年2月16日

定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成28年分の適正な利率

『定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成28年分の適正な利率』については、国土交通省(土地・建設産業局不動産市場整備課)から関係団体に対し下記のとおり周知が図られている。

定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成28年分の適正な利率については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げるとおりとなる。

  1. 当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合又は当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合 両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.05%としても差し支えない。
  2. 上記1の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき 利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、平成28年中の定期預金の平均年利率(預入期間10年・1千万円以上)によることとし、平成28年分については、0.05%となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成28年分の適正な利率について(個人課税課情報第1号 平成29年2月13日 国税庁個人課税課)

2017年2月15日

請求人が平成25年中に行った外国通貨建預金の払出しにより生じた為替差損益の金額は、同年分の収入すべき金額に該当するとした事例

  • 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分
  • 棄却
  • 平成28年6月2日裁決

<ポイント> 本事例は、本件における為替差損益については、外国通貨を円貨に交換して口座から払い出した時に所得税法第36条《収入金額》第1項にいう収入すべき金額が実現したものとして所得を認識するとしたものである。

<要旨> 請求人は、平成25年分における請求人の外国通貨建預金(本件外貨預金)の払出しにより生じた為替差損益(本件為替差損益)の金額は、請求人名義の本件外貨預金の口座を開設した平成21年から最終払出日の平成25年までの間にわたり継続して行われた取引であるから、この期間を基礎として計算されるべきである旨主張する。

しかしながら、本件為替差損益については、外国通貨を円貨に交換して本件外貨預金の口座から払い出した時に所得税法第36条《収入金額》第1項にいう収入すべき金額が実現したものとして、所得を認識する必要がある。

したがって、請求人の平成25年分の雑所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、請求人が平成25年中に外国通貨を円貨に交換して本件外貨預金の口座から払い出した時に生じた各為替差損益の額の合計額とされるべきである。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が平成25年中に行った外国通貨建預金の払出しにより生じた為替差損益の金額は、同年分の収入すべき金額に該当するとした事例

2017年2月14日

平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等

国税庁は、ホームページに『平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等』を掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等

2017年1月10日

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため適用することはできないとした事例

  • 平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分 (平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をあわせ審理)
  • 平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分
  • 棄却
  • 平成28年3月7日裁決

<ポイント> 本事例は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例の適用について、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書が時系列的に連続して提出されていることが要件であるとしたものである。

<要旨> 請求人は、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第6項に規定する特例(本件特例)の適用に当たり、その手続要件である同条8項に規定する「連続して確定申告書を提出している場合」とは、更正の請求等により、結果として上場株式等に係る譲渡損失の金額に関して譲渡所得等の金額の計算の連続性が確認できればいいから、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書が、本件特例の適用を受ける年分の確定申告書の後に提出されても、本件特例を適用することができる旨主張する。

しかしながら、同条8項は、「上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき・・・確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であって」と規定しているところ、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出と本件特例の適用を受ける年分の確定申告書の提出との先後関係については、同項が「その後において」と規定していることからすれば、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出が先であることは、文理上明らかである。

したがって、請求人は、本件特例を適用することはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため適用することはできないとした事例

2017年1月5日

請求人が譲渡した土地上にある家屋は、請求人が真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められないから、租税特別措置法第35条の適用はないとした事例

平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 棄却 平成28年3月16日裁決

<要旨> 請求人は、譲渡した土地上に存していた家屋(本件家屋)が、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する「居住の用に供している家屋」に該当する旨主張する。

しかしながら、本件家屋におけるガス及び水道の使用実績がなく、電気の使用量は極めて少ないこと、本件家屋の窓ガラスが割れたまま放置され、複数の近隣住民が人の住める建物ではなかったと評していること、また、請求人が住民票上の住所を本件家屋とは別の借家の所在地に置いていたこと、当該借家に係る賃貸借契約及びその更新の際に、請求人が同居人として名を連ねていたことなどからすれば、請求人が本件家屋を真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められない。以上によれば、本件家屋は、請求人の「居住の用に供している家屋」に該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が譲渡した土地上にある家屋は、請求人が真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められないから、租税特別措置法第35条の適用はないとした事例

2016年12月19日

平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書様式

国税庁は、ホームページに『平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書様式』を掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書様式

2016年12月15日

不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位の譲渡による所得について、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当するとした事例

平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 一部取消し 平成28年3月7日裁決

<ポイント> 本事例は、任意組合の財産は、任意組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する任意組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきであるとして、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当すると判断したものである。

<要旨> 請求人は、不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合(本件組合)の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)の譲渡による所得については、その所得の種類及び課税方法(総合課税又は分離課税)が法律上明記されていないこと、本件持分の価額は、単に不動産等の価値ではなく、「組合員としての地位」たる資産の価値であること及び本件組合は匿名組合としての性質を有していることから、総合課税の長期譲渡所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件組合は民法上の任意組合であるところ、民法第668条《組合財産の共有》の規定により、本件組合の財産は、総組合員の共有に属し、本件組合の組合契約の定めなどから、本件組合の各組合員は、本件組合の財産に対し、その出資価額の割合に応じて持分を有する。

そうすると、本件組合の財産は、本件組合の出資持分及び組合員たる地位である本件持分と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する本件組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきである。 そして、本件持分の譲渡の日における本件組合の財産は、土地建物等並びに補修等積立金に係る現金及び預金であったところ、当該土地建物等に対する請求人の持分は、租税特別措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項の規定から、その譲渡による所得は分離長期譲渡所得に当たり、他方、当該現金及び預金に対する請求人の持分については、精算等されていないから、本件持分の譲渡に係る契約に含まれるものの資産価値の増加益を生ずべき資産ではないので、その譲渡の対価は各種所得の金額の計算上、収入金額等に算入することはできない。

したがって、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち当該現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する当該土地建物等の譲渡に係る所得として、同条第1項に規定する分離課税の長期譲渡所得に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位の譲渡による所得について、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当するとした事例

2016年12月12日

原処分庁が推計の基礎とした売上原価の額に、接待交際費及び家事費などの額が含まれていることから、これらの金額を補正すべきとした事例

①平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び無申告加算税の各賦課決定処分 ②平24.1.1から平24.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分 ①一部取消し・②棄却 平成28年3月10日裁決

<ポイント> 本事例は、推計の基礎数値の正確性を期すためには、同業者比率法による推計の基礎とした売上原価の額が合理的な根拠に基づいて算定される必要があるとしたものである。

<要旨> 売上原価の額を推計の基礎として同業者比率法により事業所得の金額を算定する場合、売上原価の額が合理的な根拠に基づいて算定される必要があるところ、原処分庁は、各年分の売上原価の額を、請求人から提示された領収書等により仕入金額を計算し、売上原価の額を算定している。

当審判所においても、その算定方法自体は相当であると認められるが、原処分庁が算定した各年分の売上原価の額には、接待交際費及び家事費などとともに、業種の異なる店舗の売上原価が含まれていることなどから、これらについて必要な補正等を加えた後の金額を推計の基礎となる売上原価の額とするのが相当である。

 ★リンクはこちら ⇒ 原処分庁が推計の基礎とした売上原価の額に、接待交際費及び家事費などの額が含まれていることから、これらの金額を補正すべきとした事例

2016年12月7日

平成28年分確定申告特集ページ(準備編)

国税庁は、「平成28年分確定申告特集ページ(準備編)」を開設した。

このサイトは、1月上旬にリニューアル予定である。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成28年分確定申告特集ページ(準備編)(既に削除済み)

2016年12月6日

土地の賃貸に当たって行われた造成工事等の費用を不動産所得の必要経費に算入することはできないとの原処分庁の主張を排斥した事例

平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 一部取消し 平成28年3月3日裁決

<ポイント> 本事例は、賃貸用土地の造成等の工事に係る費用が、当該土地の改良費として取得費に算入されるか、当該土地の賃貸業務に係る費用として必要経費に算入されるかについては、当該造成等の工事の具体的な内容に従って判断する必要があるとしたものである。

<要旨> 原処分庁は、請求人の所有する賃貸用土地(本件土地)に関して行われた造成等の工事(本件造成等工事)に係る費用は、その全てが改良費に該当し本件土地の取得費に算入すべきものであるから、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないと主張する。

しかしながら、本件造成等工事の具体的な内容は、外構造成工事(掘削、埋戻し、整地等)、土留め工事(隣接地との境界ブロックの撤去及び積み直し)、乗入側溝改修工事(本件土地に接する県道の歩道部分の切下げ、復旧等)、境界等整備(隣地との境界の明確化等)、土壌汚染調査(土壌内の有毒物質の有無の調査)に区分されるところ、それぞれについて検討すると次のとおりである。 外構造成工事は、本件土地の形質を変更し改良する工事であるから改良費に該当する。 土留め工事、境界等整備及び土壌汚染調査は、いずれも本件土地を改良したり、その価値を増加させるものではないから改良費には該当せず、不動産所得の必要経費に算入される。 乗入側溝改修工事は、請求人の所有する土地に係る工事ではないが、請求人は当該工事により便益を受け、その効果が費用の支出後1年以上に及ぶので、繰延資産に該当し、所定の償却費の額が必要経費に算入される。

 ★リンクはこちら ⇒ 土地の賃貸に当たって行われた造成工事等の費用を不動産所得の必要経費に算入することはできないとの原処分庁の主張を排斥した事例

2016年12月5日

振替納税の領収証書送付取りやめ

現在、国税を口座振替により納付した方には、口座振替の都度、金融機関から領収証書が送付されているが、会計検査院の指摘を踏まえ、国の経費節減の観点から、平成29年1月以降、領収証書の送付に代えて、以下のとおりの対応となる。

なお、平成28年12月までは、これまでどおり金融機関から領収証書が送付される。

  • 所得税消費税をe-Taxにより申告している方は、e-Taxホームページ等の「振替納税結果」メニューから振替納税結果が確認できるようになる。
  • 書面による証明が必要な方には、税務署にて口座振替がなされた旨の証明を行う。 また、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」についても、新様式を平成28年12月以降、税務署に順次備え付けるとともに、国税庁ホームページへ掲載する予定である。

 ★リンクはこちら ⇒ 振替納税の領収証書送付取りやめ

2016年11月14日

前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできないとした事例

平成25年分の純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求の一部に理由がない旨の通知処分 棄却 平成27年12月18日裁決

<要旨> 請求人は、所得税法第140条《純損失の繰戻しによる還付の請求》は、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象となる所得税の額について、純損失が生じた前年分の確定申告書に記載した所得に係るものであることを要件とはしていないことから、前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額も対象となる旨主張する。

しかしながら、純損失が生じた前年分の確定申告について青色申告書の提出が要件とされていることからすると、当該青色申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできない。

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2016年10月11日

請求人が敷金を返還した事実は認められないから、当該敷金相当額は請求人の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきである旨の原処分庁の主張を排斥した事例

①平成22年分~平成24年分の所得税の過少申告加算税の各賦課決定処分 ②平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ③平成23年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 ①②棄却 ③一部取消し 平成27年11月4日裁決

<要旨> 原処分庁は、請求人が賃貸物件の賃借人から受け取った敷金(本件敷金)を返還した事実は認められないこと等から、本件敷金相当額は請求人の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきものである旨主張する。

しかしながら、本件敷金について、賃借人は、賃貸物件の賃料を滞納して請求人からその明渡し等を求められ、①賃貸借契約を合意解除すること、②所定の期限までに物件を明け渡すこと、③明渡し後の残置動産の処分には異議を申し立てないこと等を主な内容とし、他に何らの債権債務がないことを相互に確認する旨のいわゆる清算条項が付された和解に応じ、これにより請求人の賃借人に対する敷金返還債務は存在しないことが確認されているところ、当該和解の内容を考慮すると、本件敷金は、実質的には全て賃借人が負担すべき賃料、賃料相当損害金その他賃借人が負担すべき費用に充てられたものと認めることができ、本件敷金について、請求人に経済的利益はないから、総収入金額に算入すべきとはいえない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が敷金を返還した事実は認められないから、当該敷金相当額は請求人の不動産所得の金額の計算上、総収入金額に算入すべきである旨の原処分庁の主張を排斥した事例

2016年10月7日

法定調書の種類及び提出期限

国税庁は、ホームページに『法定調書の種類及び提出期限』を掲載した。

法定調書の種類及び一般的な提出期限について記載している。

 ★リンクはこちら ⇒ 法定調書の種類及び提出期限

2016年6月17日

請求人が賃貸の用に供していた共同住宅(本件建物)及びその敷地の売却に伴い、本件建物の事務室を賃借していた本件建物の管理会社に対し立退料名目で支払った金員は、本件建物の譲渡に要した費用に該当しないとした事例

平成24年分所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 棄却 平成27年9月30日裁決

<要旨> 請求人は、賃貸の用に供していた共同住宅(本件建物)及びその敷地の売却(本件譲渡)に伴い、本件建物の事務室(本件事務室)を賃借していた本件建物の管理会社(本件賃借人)に対し立退料名目で支払った金員(本件金員)は、本件譲渡に要した費用に該当する旨主張する。

しかしながら、資産の譲渡に当たって支出された費用が所得税法第33条《譲渡所得》第3項に規定する譲渡費用に当たるどうかは、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかによって判断すべきものである。これを本件についてみると、請求人と本件賃借人との間の賃貸借契約は、遅くとも本件譲渡の日までに合意解約されたものと認められるところ、当該合意解約がされるまでの間に、本件建物及びその敷地の買主が本件事務室からの本件賃借人の退去を求めた事実を認めることはできない。そして、請求人と本件賃借人との間で本件賃借人の本件事務室からの退去に伴う本件金員の支払についての合意が成立したとする請求人の主張は主観に基づくものであり、また、当該合意が成立したことを明らかにする書面が作成された事実もうかがわれないから、当該合意の成立を認めることも困難である。 そうすると、本件賃借人の本件事務室からの退去は、客観的に見て本件譲渡の実現に必要であったとは認められないから、本件金員の支払が客観的に見て本件譲渡を実現するために必要な費用の支払いであったと認めることはできない。

したがって、本件金員は、譲渡費用に該当しない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が賃貸の用に供していた共同住宅(本件建物)及びその敷地の売却に伴い、本件建物の事務室を賃借していた本件建物の管理会社に対し立退料名目で支払った金員は、本件建物の譲渡に要した費用に該当しないとした事例

2016年5月25日

請求人が行った株式の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における資産の譲渡による所得には当たらないとした事例

平成22年分の所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分 棄却 平成27年7月28日裁決

<要旨> 請求人は、資産を譲渡した時(本件譲渡時)において、資産を譲渡することとなった原因と密接に関連した請求人を被告とする損害賠償請求訴訟(本件訴訟)が係属中であり、敗訴の可能性が高かったことからすれば、本件譲渡時の現況において、当該資産の譲渡による所得は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第10号に規定する資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の資産の譲渡による所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件訴訟は、本件譲渡時において係属中であり、請求人の本件訴訟に係る債務については、その存否も額も明らかではなく、債務として確定していないから、かかる未確定の債務をもって債務超過の状態が著しいと認めることはできないし、また、課税しても結果的に徴収不能となることが明らかな場合に譲渡所得等を非課税とする上記規定の趣旨に照らしても、これを考慮することはできないというべきであるから、請求人の主張には理由がない。

 ★リンクはこちら ⇒ 請求人が行った株式の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における資産の譲渡による所得には当たらないとした事例

2016年5月25日

義援金に関する税務上の取扱いFAQ

熊本国税局は、平成28年4月の熊本地震により被害を受けられた方を支援するために、熊本県下や大分県下の災害対策本部等に義援金や寄附金(以下「義援金」といいう。)を支払った場合の税務上の取扱いや、募金団体に対して支払う義援金が国等に対する寄附金(特定寄附金)として取り扱われるための確認手続等について、照会の多い事例を取りまとめた。

 ★リンクはこちら ⇒ 義援金に関する税務上の取扱いFAQ

2016年4月20日

定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成27年分の適正な利率

国土交通省(土地・建設産業局不動産市場整備課)から関係団体に対し、下記のとおり周知が図られている。

定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成27年分の適正な利率については、以下に掲げる区分に応じ、それぞれ以下に掲げるとおりとなる。

1.当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合または当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合 両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.3%としても差し支えない。

2.上記1の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき 利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成27年分については、0.3%となる。 (注)平成27年中の10年長期国債の平均利率は、0.38%である。

 ★リンクはこちら ⇒ 定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成27年分の適正な利率について(情報)(個人課税課情報第1号 平成28年2月5日 国税庁 個人課税課)

2016年2月19日

平成27年分確定申告特集

国税庁は、ホームページ「平成27年分確定申告特集」を開設した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成27年分確定申告特集

2016年1月22日

平成28年2月21日及び2月28日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

平成27年分確定申告期間中は、平日(月曜日から金曜日)以外でも、一部の税務署では、2月21日2月28日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行う。

閉庁日対応を行う税務署等については、リンクをご覧のこと。

  • 道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方々からの電話相談に答える。
  • 税務署に行く際は、なるべく公共交通機関を利用すること。
  • なお、税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁している。

香川県だと、高松税務署がこの日は開いている。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成28年2月21日及び2月28日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

2016年1月13日

平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書関係書類の様式

国税庁は、「平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書関係書類の様式」をホームページに掲載した。

 ★確定申告書等はこちら ⇒ 確定申告書等  ★明細書・計算明細書等はこちら ⇒ 明細書・計算明細書等(平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)  ★届出書・申請書等はこちら ⇒ 届出書・申請書等

2016年1月5日

平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き等

国税庁は、「平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告に関する手引き等」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成27年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き等

2015年12月24日

平成27年分確定申告特集(準備編)

国税庁は、ホームページ「平成27年分 確定申告特集(準備編)」を開設した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成27年分確定申告特集(準備編)

2015年12月17日

韓国の法人から支払を受ける役員報酬

<照会要旨> 居住者Aは、内国法人B社の役員であるとともに、B社の子会社である韓国法人C社の役員も兼務している。 本年、Aは、C社の役員として、韓国において3か月間ほど勤務を行い、残りの期間は全て日本において勤務を行ったが、C社からの役員報酬については、韓国においてその全額が課税対象とされている。 この場合、韓国で課税されたC社からの役員報酬については、外国税額控除の計算上、その全額が国外所得総額に含まれるか。

<回答要旨> 韓国においてその全額が課税対象とされた役員報酬については、その全額が国外所得総額に含まれる。

Aは居住者であることから、その受け取る役員報酬については、外国法人から受けるものも含め、給与所得として我が国の課税の対象となる。一方、日韓租税条約第16条において、法人の役員の資格で取得する役員報酬については、その法人の所在地国において課税することができることとされている。 このように、我が国の居住者が、我が国及び韓国の双方において課税を受ける場合については、日韓租税条約上、我が国の法令に基づく外国税額控除の方法により、その国際的な二重課税を排除することとされている(日韓租税条約第23条第2項(a))。 そして、所得税法上、外国税額控除については、その年分の所得税の額に、その年分の所得総額のうちに国外所得総額の占める割合を乗じて計算した金額を限度として、その年分の所得税の額から控除するものとされている(所得税法第95条第1項)。 この国外所得総額とは、所得税法第161条に規定する国内源泉所得以外の所得とされているが(所得税法施行令第222条第3項)、租税条約の規定により条約相手国等において租税を課することができることとされる所得でその条約相手国等において外国所得税が課されるものについては、国内源泉所得以外の所得に該当するものとされている(所得税法施行令第222条第4項第3号)。

Aは、3か月間ほど韓国において勤務を行っているが、残りの期間は日本において勤務を行っているので、AがC社から受ける役員報酬のうち日本における勤務に基因するものは、国内源泉所得に該当する(所得税法第161条第8号イ)。

しかしながら、当該役員報酬は、韓国法人C社の役員の資格で取得するもので、日韓租税条約上、韓国において租税を課することが認められ、韓国において課税対象とされているので、外国税額控除の適用上、当該役員報酬は国内源泉所得以外の所得に該当し、その全額が国外所得総額に含まれることになる。

 ★リンクはこちら ⇒ 韓国の法人から支払を受ける役員報酬

2015年12月9日

父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合

<照会要旨> 父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合は、その子供が当該医療費について医療費控除の適用を受けることができるか。

<回答要旨> 母親と子供が生計を一にしている場合は、医療費を実際に支払った子供の医療費控除の対象となる。

医療費控除は、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用することとされており(所得税法第73条第1項)、その親族が自己の控除対象配偶者や控除対象扶養親族であるかどうかは問わないこととされている。

したがって、母親と子供が生計を一にしているのであれば、子供が支払った母親の医療費は、その子供の医療費控除の対象となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合

2015年12月8日

姉の子供の医療費を支払った場合

<照会要旨> 姉の子供の医療費を支払った場合は、医療費控除の対象になるか。

<回答要旨> 姉の子供と生計を一にしていれば、医療費控除の対象となる。

医療費控除は、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用されることとされている(所得税法第73条第1項)。 この場合の「親族」とは、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいう(民法第725条)。

したがって、姉の子供は自己の親族(3親等の血族)に当たることから、生計を一にするなど他の医療費控除の要件を満たすときは、医療費控除の対象となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 姉の子供の医療費を支払った場合

2015年12月7日

借入金で支払った医療費

<照会要旨> 借入金により医療費を支払った場合は、いつの年分の医療費控除の対象になるのか。

<回答要旨> 借入金で医療費を支払った年分の医療費控除の対象となる。

医療費控除の対象となる医療費の金額は、その年中に実際に支払った金額に限られており、未払となっている医療費は現実に支払われるまでは、医療費控除の対象とはならない(所得税法第73条第1項)。

借入金により医療費を支払った場合であっても、医療費が未払となっているのではなく、医療費の支払は現実に行われているので、その支払の日を含む年分の医療費控除の対象となる。

 ★リンクはこちら ⇒ 借入金で支払った医療費

2015年12月4日

個人の確定申告書を作成される方へ(チラシ)(平成28年1月以降用)

国税庁は、『個人の確定申告書を作成される方へ(チラシ)(平成28年1月以降用)』を作成した。

 ★リンクはこちら ⇒ 個人の確定申告書を作成される方へ(チラシ)(平成28年1月以降用)

2015年12月3日

投資顧問会社に支払う年会費及び成功報酬

<照会要旨> Aは、先物取引に関する意思決定を行うために、投資顧問会社Bと金融商品取引法に規定する投資顧問契約を締結し、投資顧問会社Bに対して年会費を支払い先物取引に限定した助言を受け、その助言を踏まえて先物取引を行っている。 また、当該助言に基づいて行った取引について利益が生じた場合には、その利益に一定の率を乗じた成功報酬を支払っている。 この年会費及び成功報酬は、先物取引に係る雑所得等の計算上必要経費に算入することができるか。 なお、Aが投資顧問会社Bから受ける助言には先物取引以外のものはない。

<回答要旨> 年会費及び成功報酬は、先物取引に係る雑所得等の計算上必要経費に算入することができる。

租税特別措置法第41条の14第1項各号の先物取引に係る雑所得等は申告分離課税の対象とされているところ、雑所得等の金額は、総収入金額から必要経費を控除して算出することとされている。 また、必要経費の額に算入すべき金額については、 ①事業所得等の総収入金額に係る売上原価 ②総収入金額を得るため直接に要した費用の額 ③その年における販売費、一般管理費 ④その他事業所得等を生ずべき業務について生じた費用の額 と規定されている(所得税法第37条第1項)。

照会の年会費及び成功報酬について、年会費は投資顧問会社Bから助言を受けるために支払が不可欠であり、成功報酬は投資顧問会社Bからの助言を受けてAが行った先物取引の利益に一定の率を乗じて算定されるものなので、いずれもAの行う先物取引に係る業務について生じた費用と認められるので、先物取引に係る雑所得の計算上必要経費に算入することができる。

 ★リンクはこちら ⇒ 投資顧問会社に支払う年会費及び成功報酬

2015年12月2日

居住用土地建物及び非居住用土地建物と一体で利用されていた私道を譲渡した場合において、当該私道の面積のうち租税特別措置法第35条に規定する特例の適用がある部分は、居住用土地及び非居住用土地の各面積を基にあん分により求めた面積とすることが相当であるとした事例

平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 一部取消し 平成27年1月23日裁決

<要旨> 請求人は、居住の用に供していた家屋(本件居住用家屋)の敷地(甲土地)のほか、甲土地に隣接する土地上にあった通路(本件通路)のうち4分の1に相当する部分にも、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する特例の適用がある旨主張する。

しかしながら、同項に規定する「居住の用に供している家屋の敷地」であるかどうかは、当該土地等が当該家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判定することが相当である。これを本件についてみると、本件通路は、本件居住用家屋のほか、本件通路に面している6棟の建物(本件各空家)の出入りにも必要な土地であり、現に、その出入りに利用されてきた土地であることから、本件居住用家屋及び本件各空家と一体で利用されていた土地であると認められる。そうすると、本件通路のうち租税特別措置法第35条第1項に規定する居住の用に供している家屋の敷地に該当していた部分は、本件通路を本件居住用家屋と本件各空家に対応する部分であん分した本件居住用家屋に対応する部分とすることが合理的であると認められる。そして、そのあん分に当たっては、本件通路は甲土地及び本件各空家の敷地への出入りに利用されていた土地であるから、甲土地及び本件各空家の敷地面積を基にあん分することが合理的である。したがって、請求人の主張は採用できない。

 ★リンクはこちら ⇒ 居住用土地建物及び非居住用土地建物と一体で利用されていた私道を譲渡した場合において、当該私道の面積のうち租税特別措置法第35条に規定する特例の適用がある部分は、居住用土地及び非居住用土地の各面積を基にあん分により求めた面積とすることが相当であるとした事例

2015年11月11日

従業員名義で経営していた店舗に係る経営上の行為の状況、利益の享受状況及び出資の状況等から当該店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人であると認定した事例

①平成18年分~平成21年分の所得税の各決定処分及び重加算税の各賦課決定処分 ②平成22年分~平成24年分の所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分 ③平20.1.1~平24.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに重加算税の各賦課決定処分 ④平成22年12月~平成24年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分 ⑤平成25年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分 ⑥平成25年2月~平成25年6月の期間分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分並びに不納付加算税の賦課決定処分 ①、③~⑥棄却 ②一部取消し 平成27年3月31日裁決

<要旨> 請求人は、風俗店4店舗(本件各店舗)の経営者はP11であり、本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人ではない旨主張する。

しかしながら、請求人が本件各店舗の法律行為等について自らの名義又は自ら決定した借名を用いて行い、従業員を雇用、監督し、収支を管理し、本件各店舗から生じた利益を享受していたこと、また、本件各店舗に係る開店及び移転の各費用並びに出資に係る資金の負担者が請求人であったことから、本件各店舗の経営者は請求人であったと認められ、本件各店舗の事業に係る所得の帰属先は請求人である。

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2015年11月4日

財産債務調書の提出制度

平成27年度税制改正において、所得税・相続税の申告の適正性を確保する観点から、財産及び債務の明細書を見直し、一定の基準を満たす方に対し、その保有する財産及び債務に係る調書の提出を求める制度が創設された。

<財産債務調書を提出しなければならない方> 所得税等の確定申告書を提出しなければならない方で、その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2千万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産またはその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産(注)を有する方は、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を提出しなければならない。 (注) 「国外転出特例対象財産」とは、所得税法第60条の2第1項に規定する有価証券等並びに同条第2項に規定する未決済信用取引等及び同条第3項に規定する未決済デリバティブ取引に係る権利をいう。

<財産の価額> 財産の「価額」は、その年の12月31日における「時価」または時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされている。 (注) 「時価」とは、その年の12 月31 日における財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、専門家による鑑定評価額、金融商品取引所等の公表する同日の最終価格(同日の最終価格がない場合には、同日前の最終価格のうち同日に最も近い日の価額)などをいう。 「見積価額」とは、その年の12 月31 日における財産の現況に応じ、その財産の取得価額や売買実例価額などを基に、合理的な方法により算定した価額をいう。なお、「見積価額」の具体的な算定方法については、国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)に掲載している法令解釈通達等で確認のこと。

<財産債務調書への記載事項> 財産債務調書には、提出者の氏名・住所(又は居所)に加え、財産の種類、数量、価額、所在並びに債務の金額等を記載することとされている(財産及び債務に関する事項については、「種類別」「用途別」(一般用及び事業用)、「所在別」に記載する必要がある。)。 (注) 「事業用」とは、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業又は業務の用に供することをいい、「一般用」とは、当該事業又は業務以外の用に供することをいいます。

<財産債務調書提出の期限等> 財産債務調書は、その年の翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。 (注) 法施行後の最初の財産債務調書の提出期限は、平成28年3月15日(火)になる。

 ★リンクはこちら ⇒ 財産債務調書の提出制度

2015年8月25日

役職に変動がなくても労働条件等に重大な変動があり、単なる従前の勤務関係の延長とみることはできないとして、退職手当等としての性質を有する給与に該当すると認定した事例

平成24年5月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分 全部取消し 平成26年12月1日裁決

<ポイント> 本事例は、形式的な役職の変動ではなく実質的な勤務実態や支給に至った経緯等を総合勘案し、実質的に退職したのと同視し得る状況にあったと認定し、所得税法第30条の「(退職手当・・・その他の退職により一時に受ける給与及び)これらの性質を有する給与」に該当するとしたものである。

<要旨> 原処分庁は、学校法人である請求人が設置、運営する幼稚園(本件幼稚園)の園長兼請求人の理事長である者(本件園長)に対し退職金として支払われた金員(本件金員)について、本件園長は、引き続き他の職員と同様に出勤し請求人から給与を受領していることから、勤務関係が終了したとは認められないこと、また、本件園長が請求人の理事長としての業務を引き続き行っており、本件園長の勤務時間及び給与等の減少割合からしても、本件園長の勤務関係の性質、内容及び労働条件に重大な変動があったものと認めることはできないことから、本件金員に係る所得は給与所得に該当する旨主張する。

しかしながら、本件園長並びに本件幼稚園の副園長及び事務長の答述その他関係資料等によれば、本件園長の行う職務全体に占める理事長としての職務の割合は、本件幼稚園の園長としての職務に比べてごく僅かであったと認められること、また、実質的な園長としての職務のほとんどを副園長に引き継ぐことにより、その職務内容は量的にも質的にも大幅に軽減され、その実態に即するように基本給の額を減額するなど労働条件も大きく変動したものと認められ、本件園長の勤務関係は、その性質、内容及び労働条件等において重大な変動があって、形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とみることができない特別の事実関係があるというべきであるから、本件金員は、所得税法第30条《退職所得》第1項に規定する退職所得に該当する。

 ★リンクはこちら ⇒ 役職に変動がなくても労働条件等に重大な変動があり、単なる従前の勤務関係の延長とみることはできないとして、退職手当等としての性質を有する給与に該当すると認定した事例

2015年8月18日

財産債務調書の提出制度(FAQ)

国税庁は『財産債務調書の提出制度(FAQ)』を公表した。

 ★リンクはこちら ⇒ 財産債務調書の提出制度(FAQ)

2015年8月7日

請求人がb町区長等に対して支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例

平成22年分の所得税の更正の請求に対する更正処分 一部取消し 平成26年12月4日裁決

<ポイント> 本事例は、請求人の事業所得の必要経費の計上漏れがあったとして提出した更正の請求について、原処分庁が請求人からの必要経費の内容を示す資料の提出を待たずに原処分を行ったことは違法であるとの請求人の主張は排斥しているものの、請求人が審査請求において提出した資料等から、請求人が支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとして、原処分の一部を取り消したものである。

<要旨> 請求人は、事業所得の必要経費となる租税公課の計上漏れなどがあったとして提出した更正の請求について、原処分庁からの当初申告に係る租税公課の内容を確認するための資料等(本件資料等)の提出の求めに対して、請求人が本件資料等を提出する意思を示しているにもかかわらず、原処分庁が、本件資料等の提出を待たずして、その未提出を理由に更正の請求の一部を認めないとする原処分を行ったことは、違法又は不当な処分である旨主張する。

しかしながら、調査担当職員は、約1年間、電話ないし文書により再三にわたり本件資料等の提出を求めたにもかかわらず、請求人からは本件資料等が提出されなかったため、調査を打ち切ったのであり、原処分庁が本件資料等の提出を待たずに原処分を行ったことは、原処分庁の合理的な裁量の範囲を超えておらず、違法又は不当であるとは認められない。 なお、請求人は審査請求においてb町町費等の金員(本件金員)を請求する旨が記載された文書を提出したところ、当審判所が調査審理した結果、当該文書は請求人が所有する農地の所在するb町区長などが発行したものであり、当該文書に示された本件金員は、b町区などにおいて農地等の面積を賦課基準として徴収され、その用途は主に農地等の保全に係るものであると認められるから、本件金員は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるべきである。

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2015年7月30日

請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均水道光熱費率を用いて推計する方法に合理性があるとした事例

①平成21年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分 ②平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分並びに平19.1.1~平20.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分 ①棄却 ②全部取消し 平成26年7月4日裁決

<ポイント> 本事例は、請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均水道光熱費率を用いて推計する方法について、合理性があると認められるものの、推計の基礎とする水道光熱費の額の計算に当たり、原処分庁の認定誤りがあったため、これを是正し、類似同業者を選定し直した上で、改めて平均水道光熱費及び平均所得率を算出し、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。

<要旨> 請求人は、原処分庁が採用した類似同業者の水道光熱費率に基づく推計の方法について、類似同業者間の水道光熱費率に較差があること、また、請求人が経営する民宿(本件民宿)が所在する地区の水道料金は他の地区に比べ割高であるなどの特殊事情があるにもかかわらず、これが考慮されていないことから、原処分庁の推計の方法には合理性がない旨主張する。

しかしながら、類似同業者の水道光熱費率の平均値により推計する場合、その平均値を算出することによって類似同業者間の水道光熱費率に開差があったとしても、各類似同業者の個別性が平均化され、推計の合理性が高められるのであるから、多少の較差があるからといって、原処分庁の推計方法に合理性がないというのは相当ではなく、本件において、これを不合理ならしめる程度の較差は見当たらない。 また、仮に水道料金が他の地区に比べ割高であったとしても、基礎数値である水道光熱費の額に占める水道料金の額の割合は、せいぜい10%程度にすぎないことからすれば、水道光熱費の額を基礎とする推計方法を不合理ならしめる程度に顕著な事情とはいえない。

したがって、原処分庁が採用した推計の方法には、合理性があると認められる。 そして、推計の基礎とする水道光熱費の額の計算に当たり、本件民宿に係る水道光熱費の額から家事費相当額を控除する計算方法は、当審判所においても相当と認められる。 しかしながら、家事費相当額の計算上、請求人世帯の人員について、原処分庁の認定誤りが存するため、これを是正した上で、原処分庁が設定した抽出基準に従って、改めて類似同業者を抽出すると、誤って類似同業者に選定された者及び選定漏れの類似同業者が認められたことから、誤って類似同業者に選定された者を除外し、選定漏れの類似同業者を採用し、改めて平均水道光熱費及び平均所得率を算出して、事業所得の金額を推計することが相当である。

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2015年6月3日

請求人が、同人の母に対して、複数年の間に行った金銭の貸付けに係る利息について、その履行期の到来する平成23年において収入すべき金額は、平成23年分の期間に対応する部分の金額のみであるとした事例

①平成23年分の所得税の更正処分、②平成23年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分 ①一部取消し ②全部取消し 平成26年9月1日裁決

<要旨> 原処分庁は、利息債権については、その履行期が到来すれば、権利が確定し、所得税法第36条《収入金額》第1項に規定する「収入すべき金額」に当たるものと解され、所得税基本通達36-8《事業所得の総収入金額の収入すべき時期》(7)(本件通達)における「その年に対応するもの」とは、同項の規定によりその年に権利が確定したものをいうとの解釈を前提として、請求人が母親に対して貸し付けた金銭の利息(本件利息)については、その履行期にその全額が確定したものであるから、本件通達により、同日が本件利息の全額の収入すべき時期となる旨主張する。

しかしながら、貸付金利息については、元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当であり、また、本件通達は、期間対応計算を採用したものであるから、「その年に対応するもの」との文言については、その年における利息の計算期間の経過に対応するものと解するのが相当であり、本件利息に係る収入金額のうち、各年中の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、それぞれの年の末日であり、貸付期間の終了した平成23年の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、貸付期間の終了した平成23年である。

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2015年6月1日

請求人が代表取締役を務める内国法人が外国法人と締結した業務委託基本契約に基づく業務委託手数料は、請求人の給与には当たらず、当該内国法人に帰属するとした事例

①平成23年分の所得税の更正処分 ②平成23年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分 ①一部取消し、②全部取消し 平成26年9月1日裁決

<要旨> 原処分庁は、利息債権については、その履行期が到来すれば、権利が確定し、所得税法第36条《収入金額》第1項に規定する「収入すべき金額」に当たるものと解され、所得税基本通達36-8《事業所得の総収入金額の収入すべき時期》(7)(本件通達)における「その年に対応するもの」とは、同項の規定によりその年に権利が確定したものをいうとの解釈を前提として、請求人が母親に対して貸し付けた金銭の利息(本件利息)については、その履行期にその全額が確定したものであるから、本件通達により、同日が本件利息の全額の収入すべき時期となる旨主張する。

しかしながら、貸付金利息については、元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当であり、また、本件通達は、期間対応計算を採用したものであるから、「その年に対応するもの」との文言については、その年における利息の計算期間の経過に対応するものと解するのが相当であり、本件利息に係る収入金額のうち、各年中の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、それぞれの年の末日であり、貸付期間の終了した平成23年の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、貸付期間の終了した平成23年である。

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2015年5月27日

請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率を用いて推計する方法には合理性があるとした事例

①平成21年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分 ②平成21年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 ③平21.1.1~平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ④平22.1.1~平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 ①②④棄却 ③一部取消し 平成26年6月18日裁決

<ポイント> 本事例は、原処分庁が請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率等を用いて推計するに当たり、類似同業者を請求人の売上原価の0.5倍以上2倍以下であるなど、機械的に抽出しており、その抽出方法には合理性があると認められるものの、原処分庁が選定した類似同業者のうちに、立地条件等からみて必ずしも請求人と業態が類似するとは認められない者が含まれていることから、この者を類似同業者から除外して、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。

<要旨> 原処分庁は、請求人と事業内容・規模等が類似すると認められる青色申告者(平成21年分7件、平成22年分4件、平成23年分5件)の平均的な売上原価率(総収入金額に対する売上原価の割合)に基づいて、請求人の事業所得の金額及び消費税の課税標準額を推計の方法により算定しており、原処分庁の推計の方法には合理性がある旨主張する。

原処分庁は、請求人が営む店舗の所在地を管轄する税務署管内に事業所を有し、同税務署長に対し青色申告書を提出する者で、請求人と業種、業態及び事業内容が類似し、かつ、売上原価が請求人の売上原価の0.5倍以上2倍以下であるなど事業規模が類似する者を、類似同業者として機械的に抽出しており、このような抽出の方法については合理性があると認められるものの、原処分庁が選定した類似同業者のうち平成21年分の1件については、立地条件等からみて必ずしも請求人と業態が類似するとは認められないから、この者を類似同業者から除外することが相当である。

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2015年4月10日

使用人等に対する食事の支給による経済的利益の供与について、「使用人が購入して支給する食事」として評価するのが相当であるとした事例

平成20年1月~平成22年10月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分 一部取消し 平成26年5月13日裁決

<ポイント> 本事例は、請求人が使用人等に提供した食事については、請求人が給食委託業者に支払った委託料等を加算したところにより評価すべきであるとして請求人の主張を排斥しているものの、原処分庁における経済的利益及び源泉所得税額の算定に一部誤りがあったため、原処分の一部を取り消したものである。

<要旨> 請求人は、請求人が給食業者(本件受託業者)に委託して調理させ従業員等に対して支給した食事は、所得税基本通達36-38《食事の評価》(1)に定める「使用者が調理して支給する食事」として食事の材料費相当額により評価すべきである旨主張する。

しかしながら、当該食事の材料は本件受託業者が調達しており、請求人はこれらの材料の明細及び内容を関知しておらず、その在庫を請求人の帳簿書類にも記載していなかったことに鑑みれば、自己の計算に基づき材料の調達及び管理を行っていたのは本件受託業者であるということができるから、請求人が材料を提供し当該食事の調理のみを委託していたとみることはできない。 また、請求人は従業員等から徴収した食券代金を集計し本件受託業者に支払っていたところ、当該金額は、あらかじめ本件受託業者との間で定めたメニューごとの材料費相当額に基づき計算されてはいたものの、食事の材料費そのものとはいえないから、請求人が材料費を負担していたとみることもできない。 そして、請求人は、従業員等が購入した食券代金を従業員等の給与から差し引いて預り金として経理し、本件受託業者に支払う際には預り金勘定から減額処理をしていたことからすると、請求人は本件受託業者が従業員等から直接受領すべき食事代金を本件受託業者に代わって徴収していたと認められ、請求人が本件受託業者に対して毎月一定額の給食業務委託料及び副食費を支払っていた事実を併せ考慮すると、請求人は、従業員等が本件受託業者から食事を安価で購入できるよう、給食業務委託料等を負担し、食事の購入代金の補助をしていたとみるのが相当である。

したがって、当該食事は所得税基本通達36-38(2)に定める「使用者が購入して支給する食事」と同様に、食券代金、副食費及び給食業務委託料の合計額をもって評価するのが相当である。

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2015年4月8日

請求人が行った賃貸用マンションのシステムキッチン等の取替工事に係る費用は、当該マンションの価値を高め、その耐久性を増すことになると認められるから、修繕費ではなく資本的支出に該当するとした事例

平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分 一部取消し 平成26年4月21日裁決

<ポイント> 本事例は、新たなシステムキッチン及びユニットバスの取替えに要した費用が、賃貸用マンションの通常の維持管理のための費用、すなわち修繕費であるとは認められず、新たにシステムキッチン及びユニットバスを設置し、台所及び浴室を新設したことによって、当該マンションの価値を高め、又はその耐久性を増すことになると認められることから、その全額が資本的支出に該当するとしたものである。

<要旨> 請求人は、築17年を経過した賃貸用マンション(本件建物)の一部の住宅内の台所及び浴室の各設備等を取り壊し、新たなシステムキッチン及びユニットバスに取り替えた工事(本件各工事)について、居住用機能を回復させるために必要な工事であり、本件建物の規模からすれば、同建物の基礎及び柱等の躯体に影響を与えるものでなく、その価値を高めるものでもなく、その目的は現状維持することであるから、本件各工事に係る費用のうち新たなシステムキッチン及びユニットバスの取替えに要した費用(本件各取替費用)については、所得税法施行令第181条《資本的支出》に規定する金額及び所得税基本通達37-10《資本的支出の例示》の定めに例示された金額のいずれにも該当せず、修繕費に該当する旨主張する。

しかしながら、ある支出が修繕費又は資本的支出のいずれに当たるかは、その支出した金額の内容及び支出効果の実質によって判断するのが相当であるから、本件各工事によって本件建物の住宅の居住用機能を回復させる目的があったとしても、本件建物の規模との比較のみによって判断するものではない。 そして、本件各工事は、単に既存の台所設備及び浴室設備の一部を補修・交換したものではなく、本件建物の各住宅内で物理的・機能的に一体不可分の関係にある台所及び浴室について既存の各設備等を全面的に取り壊し、新たにシステムキッチン及びユニットバスを設置し、台所及び浴室を新設したものであり、このことは、本件建物の各住宅を形成していた一部分の取壊し・廃棄と新設が同時に行われたとみるべきものである。 そうすると、本件各取替費用は、修繕費とは認められず、台所及び浴室を新設したことによって本件建物の価値を高め、又はその耐久性を増すことになるものと認められるから、本件建物に対する資本的支出に該当する。

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2015年4月3日

ライブチャットサービス業務を行う請求人が主張する各費用のうち、少なくともパソコン等の購入費及びインターネット接続料金については必要経費に算入するのが相当であるとした事例

平成19年分~平成23年分の所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分 一部取消し 平26年5月22日裁決

<要旨> 請求人は、インターネットのウェブサイト上で、当該サイトの男性会員にウェブカメラで撮影した映像を見せながら会話を行う等のいわゆるライブチャットサービス(本件業務)を行って報酬を得ていたところ、本件業務に使用するパソコン、ウェブカメラ、衣服、水着、ソファー、カーテン等を購入した費用及び美容費は、全て本件業務の遂行上必要なものであるから、必要経費に算入されるべきものである旨主張する。

ところで、請求人がいかなる態様で本件業務を行っていたとしても、少なくともパソコン及びウェブカメラを使用し、インターネットへ接続することは本件業務の遂行上必要不可欠なことと認められるから、請求人が本件業務の用に供したパソコン及びウェブカメラの購入費並びにインターネット接続料金については、減価償却費、消耗品費、備品費又は通信費として必要経費にそれぞれ算入するのが相当である。

しかしながら、上記各費用のうちパソコンの購入費等以外の各費用については、請求人から本件業務をどのように行っていたのかを明らかにする動画や静止画等の客観的な証拠の提出はなく、当審判所の調査の結果によっても、これを確認することはできない。 そうすると、請求人の当該各費用の必要経費該当性については、業務関連性に関する各答述等から合理的に判断していくほかないところ、各答述は、総じて終始場当たり的で一貫せず、不自然かつ不合理な内容や本件業務に無理に関連づけて述べるものと認められるから信用できない上、請求人が提出した当該各費用に関する書類の内容及び本件業務との関連性を記載したメモ書き等からみても、いずれの費用も客観的にみて本件業務と直接の関係を有し、かつ、本件業務の遂行上必要なものとは認められない。

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2015年4月1日

請求人が不動産を実体的に所有するとともに、その利得を支配管理し、自己のために享受していると認められるから、当該不動産の賃貸に基因する所得は請求人に帰属するとした事例

平成21年分の所得税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分並びに平成22年分及び平成23年分の所得税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分 一部取消し 平成26年5月14日裁決

<要旨> 請求人は、各不動産の賃貸に基因する所得は実父に帰属する旨主張する。 しかしながら、請求人は、①各不動産のうち一部を夫と持分2分の1ずつで共有しているほかはその余の不動産を単独で所有し、登記に係る所有名義もその所有の実態に即していること、②各不動産の賃借人は、請求人が所有する口座等に賃借料を振り込む方法で支払っていること、③建物の管理費のほか、不動産に係る固定資産税や管理費などの経費と認められる金額を請求人名義の口座から振替により支払っていること、④請求人の実父は、同人名義で賃貸借契約が締結されている事情を知らず、請求人らから各不動産の賃貸に係る収支又は損益に係る説明を受けていないこと、加えて、⑤結局、請求人の実父は、請求人から各不動産の賃貸に基因する所得の分配を受けたことがなく各不動産の賃貸業に何ら関係していないことが認められる。

以上のことから、請求人が各不動産(ただし、夫と共有のものについては、その2分の1)を実体的に所有するとともに、本件各年分において、現に、実父名義等で賃貸借契約がされたものを含めてその利得を支配管理し、自己のためにそれを享受していると優に認めることができるから、本件各年分の各不動産の賃貸に基因する所得は、請求人に帰属すると認めるのが相当である。

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2015年3月30日

NISA

NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)は、20歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等を対象として、平成26年から平成35年までの間に、年間100万円を上限として非課税口座(注1)で取得した上場株式等の配当等(注2)やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間(非課税期間)非課税となる制度(注3)である。

非課税対象 非課税口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
開設者(対象者) 口座開設の年の1月1日において20歳以上の居住者等
口座開設可能期間 平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間
非課税管理勘定設定数 各年分ごとに1非課税管理勘定のみ設定可(平成27年1月1日以後、一定の手続の下で、各年分ごとに金融商品取引業者等の変更可)
非課税投資額 1非課税管理勘定における投資額(①新規投資額及び②継続適用する上場株式等の移管された日における終値に相当する金額の合計額)は100万円を上限 ※未使用枠は翌年以後繰越不可
非課税期間 最長5年間、途中売却可(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
非課税投資総額 最大500万円(100万円×5年間)

(注1) この非課税措置の適用を受けるためには、事前に金融商品取引業者等に「非課税適用確認書の交付申請書」、「非課税口座開設届出書」、基準日(平成25年1月1日)における住所を証する「住民票の写し」などの書類を提出して、非課税口座を開設し、非課税管理勘定を設定する必要がある。 (注2) 非課税の対象となる上場株式等の配当等は、非課税口座を開設する金融商品取引業者等を経由して交付されるものに限られ、上場株式等の発行者から直接交付されるものは課税扱いとなる。 (注3) 非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされるため、他の上場株式等の配当等や譲渡益との損益通算や繰越控除をすることはできない。

 ★リンクはこちら ⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月19日

上場株式等の配当等を受けた場合の課税関係

平成26年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等(大口株主等(注)が支払を受けるものを除く。以下同じ。)については、その支払の際に20%(所得税15%、住民税5%)の税率による源泉徴収がされる。

平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る配当所得について申告する場合は、総合課税または申告分離課税を選択することができる。 なお、この場合、申告する上場株式等の配当等の全てについて総合課税または申告分離課税のいずれかを選択する必要がある。

また、1回に支払を受ける配当等の額ごとに申告しないこと(申告不要)を選択することもできる(源泉徴収口座内の配当等については、口座ごとに選択)。

(注) 「大口株主等」とは、その株式等の保有割合が発行済株式等の総数等の3%以上である株主等をいう。

 ★リンクはこちら ⇒ 個人の方が上場株式等を保有・売却した場合の金融・証券税制について

2015年3月17日

所得税の確定申告期限内に確定申告書の誤りに気づいた場合

確定申告の期限内(平成26年分の場合、平成27年3月16日月曜日まで)の訂正であれば、訂正した確定申告書を提出し直せば問題ない。

日付の新しい方が『正』として受理される。

 ★リンクはこちら ⇒ 提出した確定申告書の間違いを法定申告期限の前に発見した場合

2015年3月9日

国外財産調書の提出制度(FAQ)の更新

国税庁は、国外財産調書の提出制度(FAQ)を更新した。

 ★リンクはこちら ⇒ 国外財産調書の提出制度(FAQ)の更新

2015年2月24日

インターネット番組「寄附金控除を受ける方(ふるさと納税をされた方)」

国税庁は、インターネット番組「寄附金控除を受ける方(ふるさと納税をされた方)」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ インターネット番組「寄附金控除を受ける方(ふるさと納税をされた方)」(既に削除済み)

2015年2月18日

定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率

定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げるとおりとなる。

  1. 当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合又は当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合 両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.5%としても差し支えない。
  2. 上記1.の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき 利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成26年分については、0.5%となる。

    (注)平成26年中の10年長期国債の平均利率は、0.57%である。

 ★リンクはこちら ⇒ 定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率

2015年2月17日

インターネット番組「災害等にあったときの税の軽減」

国税庁は、インターネット番組「災害等にあったときの税の軽減」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ インターネット番組「災害等にあったときの税の軽減」

2015年2月16日

インターネット番組「上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続」

国税庁は、インターネット番組「上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ インターネット番組「上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続」(既に削除済み)

2015年2月9日

平成26年分の所得税及び復興特別所得税消費税及び地方消費税並びに贈与税の確定申告

平成26年分確定申告の相談・申告書の受付期間は、下表のとおり。

 所得税及び復興特別所得税  平成27年2月16日(月)から平成27年3月16日(月)
 個人事業者の消費税及び地方消費税  平成27年1月5日(月)から平成27年3月31日(火)
 贈与税  平成27年2月2日(月)から平成27年3月16日(月)

(注1)所得税及び復興特別所得税の還付申告は、上記の期間前でも提出することができる。 (注2)平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告期間は、平成27年2月16日(月)から3月16日(月)までである。また、平成26年分の贈与税の申告期間は、平成27年2月1日(日)から3月16日(月)までである。 (注3)平日(月から金)以外でも、一部の税務署では、2月22日と3月1日に限り日曜日も確定申告の相談・申告書の受付を行う。

平成26年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日は、下表のとおり。

 納期限  振替日
 所得税及び復興特別所得税  平成27年3月16日(月)  平成27年4月20日(月)
 個人事業者の消費税及び地方消費税  平成27年3月31日(火)  平成27年4月23日(木)
 贈与税  平成27年3月16日(月)  -

(注1)納期限までに納付がない場合は、延滞税がかかる。 (注2)振替納税をご利用の方は、事前に預貯金残高をご確認のこと。残高不足等で振替ができない場合は、納期限の翌日から納付日まで延滞税がかかるので、注意すること。

2015年2月2日

住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合の書類の添付がないとして住宅借入金等特別控除を適用することができないとした事例

平成23年分及び24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成23年分の所得税に係る還付金の充当処分 棄却 平成26年1月28日裁決

<ポイント> 本事例は、租税特別措置法第41条第17項に規定するとおり、住宅借入金等特別控除は、居住用家屋の取得等を明らかにする書類を確定申告書に添付している場合に限り適用することができるところ、登記事項証明書は添付書類の例示として規定しているものであり、登記事項証明書の添付がないことのみをもって住宅借入金等特別控除の書類添付の要件を満たさないというものではなく、それに代わる書類の提出があれば住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのであるが、請求人の提出した各書類のいずれによっても、当該居住用家屋の取得した日は明らかではないから、住宅借入金等特別控除を適用することはできないと判断したものである。

<要旨> 請求人は、登記された事実を証明することを租税特別措置法施行規則第18条の21《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受ける場合の添付書類等》第9項は求めていないことから、確定申告書に、住民票、売買契約書、司法書士に対する登記申請手続の依頼書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書等を添付していれば、登記事項証明書を添付していなくても、住宅借入金等特別控除を適用すべきである旨主張する。

しかしながら、租税特別措置法第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する居住用家屋の取得の日とは、現実に自己の居住の用に供することが可能となったと認められる日、すなわち、その家屋について、支配が移転したときを指し、例えば、その家屋の所有権を有することを前提として、その家屋の引渡しないし所有権移転登記がされた日はこれに該当すると解するのが相当であるところ、請求人の提出した各書類のいずれによっても、少なくとも、請求人が本件物件を取得した日は明らかではないから、住宅借入金等特別控除を適用することはできない。 また、請求人は、審判所に提出した物件の引渡証及び登記事項証明書のとおり、物件の引渡しを受け、共有持分割合を2分の1とする登記が完了しており、請求人に、住宅借入金等特別控除の適用を受ける権利が実体法上あることは明らかである旨主張する。 しかしながら、住宅借入金等特別控除に係る制度が、その適用を受けるに当たり、確定申告書に適用金額記載と書類添付をすることを手続上の要件として法定したものであるから、確定申告書に書類添付のない場合には、実体法上の適用要件を満たすかどうかにかかわらず、住宅借入金等特別控除の適用は認められない。

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2015年1月29日

居住用家屋の一部を取り壊し、その取壊し部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡に係る譲渡所得について、租税特別措置法第35条を適用することができないとした事例

平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 一部取消し 平成26年2月17日裁決

<要旨> 請求人は、居住の用に供している家屋の一部を取り壊し、その取り壊した部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡について、当該家屋の取壊し後の残存家屋は、改修工事をしなければ機能的にみて居住可能な独立した家屋とはいえず、その物理的形状に照らし、居住の用に供しえなくなったものといえるのであるから、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》の規定を適用できる旨主張する。

しかしながら、当該残存家屋には、人が居住して日常生活を送るのに必要な台所、便所、浴室及び居室の全てを備えており、当該家屋の一部取壊し及び残存家屋の改修工事の各工事期間中も請求人は居住していたのであるから、家屋の一部取壊しによって、当該残存家屋がその物理的形状等に照らし居住の用に供しえなくなったということはできない。したがって、当該譲渡に租税特別措置法第35条の規定を適用することはできない。

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2015年1月26日

診療情報提供書に係る診療情報提供料の自己負担額の医療費控除の取扱い

<事前照会の趣旨> 私は、右手人差し指の切創の診療に際し、当初診療を行ったA市民病院からいわゆる紹介状(以下「本件紹介状」という。)を受け取り、紹介先のB整形外科医院に本件紹介状を交付して引き続き治療を行った。 本件紹介状の作成料として、A市民病院に健康保険が適用される文書料(以下「本件文書料」という。)を支払っている。 本件文書料は、いわゆる診断書などの作成に係る文書料とは異なり、紹介先のB整形外科医院での治療に必要な費用と考えられるので、医療費控除(所法731)の対象となる医療費に該当するものと解して差し支えないか?

<事前照会に係る事実関係> (1)私は、休日にカッターナイフにより右手人差し指に切創を負ったため、A市民病院の救急外来を受診し、消毒及び縫合等の応急処置を受けた。 (2)A市民病院の救急外来においては応急処置が行われたが、切創の箇所が指の基部であり、今後運動障害が出現する可能性もあったことから、担当の医師と相談の上、その後の治療を自宅近隣のB整形外科医院で受けることとした。 (3)B整形外科医院で受診するに当たって、A市民病院からそれまでの診療状況を示した本件紹介状の交付を受け、その発行に係る手数料としてA市民病院に本件文書料を支払った。 なお、本件文書料は、診療情報提供料(Ⅰ)として健康保険の適用の対象(健康保険法76)とされており、その自己負担額として支払ったものである。 (4)後日、私は、B整形外科医院に本件紹介状を交付して本件に係る切創の治療を引き続き行った。

(注) 診療情報提供料(Ⅰ)とは、「医療機関間の有機的連携の強化及び医療機関から保険薬局又は保健・福祉関係機関への診療情報提供機能の評価を目的として設定されたものであり、両者の患者の診療に関する情報を相互に提供することにより、継続的な医療の確保、適切な医療を受けられる機会の増大、医療・社会資源の有効利用を図ろうとするもの」であり、「保険医療機関が、診療に基づき別の保険医療機関での診療の必要を認め、これに対して、患者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に算定する」ものとされている(平成26年3月5日保発0305第3号「診療報酬の算定方式の一部改正に伴う実施上の留意事項について」)。 なお、診療情報提供料(Ⅰ)は、紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定するものとされている(平成26年厚生労働省告示第57号別表第一)。

<事前照会者の求める見解となることの理由> 医療費控除の対象となる医療費は、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとされている(所法73②)。 そして、その対価については、その病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされている(所令207)。 また、医師等による診療等を受けるために直接必要な通院費や医師等の送迎費などの費用で、通常必要なものは、医療費に含まれるものとして取り扱われている(所得税基本通達73-3)。 そうすると、いわゆる診断書などの作成に係る文書料については、医師が診療又は治療した内容等を記載した文書の発行に係る手数料であり、その発行された文書は、通常、生命保険会社等へ給付金等を請求する際の提出書類等として使用されることから、医師等の診療又は治療の対価に該当せず、医療費控除の対象にならないと考えられる。

しかしながら、本件文書料は、次の理由から、医療費控除の対象となる医療費に該当すると解される。 (1)本件紹介状は、A市民病院が、今後運動障害が出現する可能性もあると判断したため、その後の診療をB整形外科医院で継続して適切に受けることができるよう作成されたものであり、B整形外科医院での診療に当たりB整形外科医院に交付されたものであることからすれば、本件紹介状に係る本件文書料は、B整形外科医院による診療を受けるために直接必要な費用と考えられること。 (2)本件紹介状のような診療情報提供書による医療機関同士の連携は、医療機関間で通常行われる行為であり、本件紹介状はA市民病院が、その診療に基づき、B整形外科医院での診療の必要性を認めて作成されたものであることからすれば、その作成費用(=本件文書料)は、B整形外科医院での診療に当たって通常必要なものと考えられること。 (3)本件文書料は、診療情報提供料(Ⅰ)に該当するものであり、「保険医療機関が、診療に基づき、別の保険医療機関での診療の必要を認めた上で、紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定」されるものであることからすれば、医師等による診療等の対価として、通常必要なものであり、その症状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額と考えられること。

<東京国税局回答> 上記のとおりで差し支えない。

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2015年1月26日

資産負債増減法により事業所得の金額を算定したことには合理性があるとした事例

①平成17年分及び平成18年分の所得税の各決定処分及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成19年分~平成23年分の所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分 ②平20.1.1~平22.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分 ①一部取消し ②棄却 平成26年2月27日裁決

<要旨> 請求人は、原処分庁が請求人の事業所得の金額を算定するに当たって採用した資産負債増減法は、推計の基礎事実が正確に把握されていないことなどから、その推計方法には合理性がない旨主張する。

しかしながら、原処分庁が認定した資産負債増減法における純資産の増加額、加算調整項目及び減算調整項目については、一部の加算調整項目及び減算調整項目の内容に誤りが認められるものの、これらはいずれも是正可能なものであって、その他の内容及び金額はいずれも相当と認められ、一部の誤りを是正した後の純資産の増加額、加算調整項目及び減算調整項目により算出された所得金額は、正確性が担保された計算要素に基づき算出された所得金額ということができるから、原処分庁が採用した推計方法には合理性がある。

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2015年1月19日

他人の滞納税額のために不動産が差押えをされ、当該不動産の売却代金がその滞納税額の支払に充てられたとしても、保証契約を締結し、または抵当権を設定したものではないから、所得税法第64条第2項の適用はないとすることが相当であるとした事例

①平成23年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分 ②平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 ①棄却 ②一部取消し 平成26年2月4日裁決

<ポイント> 本事例は、真の所有者が不動産の名義をあえて他人に移転したことから、その他人の滞納税額のために当該不動産が差押えをされ、当該不動産の売却代金が滞納税額の支払に充てられたとしても、虚偽の権利の外観を自ら作出したことが原因であり、民法第94条《虚偽表示》第2項の類推適用により善意の第三者に対して対抗できなくなった結果にすぎないこと等から、所得税法第64条第2項の適用はないと判断したものである。

<要旨> 請求人は、相続税の延納申請に係る担保として提供した土地(本件各担保土地)について、K国税局長がした差押登記は、請求人の知人が主宰するJ社の租税債権を回収するために、本件各担保土地の所有者である請求人の同意を得ることなく一方的にされたものであり、実質的には、請求人がJ社に支払能力がないと判断して債務保証をしたくないと考えても許されない状態での債務保証と同じであるから、所得税法第64条《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》第2項の規定の趣旨から救済されるべきである旨主張する。

しかしながら、請求人は、本件各担保土地を取得してから譲渡するまでの間、同土地の真の所有者であったが、請求人の亡父等の多額の債務に係る各債権者の請求を逃れるため、請求人が、同土地の登記名義をJ社に変更して、虚偽の外観を作出していた際に、K国税局長が同土地を差し押さえたことが認められるところ、請求人は、当該差押えにより、本件各担保土地の譲渡代金の中から一定の支払がされるといった不利益を免れないが、この不利益の原因は、請求人が同土地につき虚偽の権利の外観を自ら作出したことにあり、当該権利の外観を信頼した善意の第三者に対して、民法第94条《虚偽表示》第2項の類推適用により、当該権利の外観が虚偽であることについて、対抗することができなくなった結果にすぎない。 そして、虚偽の権利の外観を自ら作出した者は、当該権利の外観が虚偽であることを善意の第三者に対抗できないことを十分に予期し得るのであり、かつ、善意の第三者に対抗できないことについて明確な帰責性が認められるのであるから、このような者を、予期に反して求償権を行使することができなくなった場合の保証人と同一の利益状況にあるということはできず、課税上の救済を図る必要性は認められない。 また、債権者との契約により債務の履行を強制されるわけではない点において、保証人や担保権設定者と立場を大きく異にしており、所得税法第64条第2項の規定を適用する前提を欠くというべきである。

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2015年1月15日

平成26年分確定申告特集ページ

平成26年分の所得税および復興特別所得税・贈与税の申告期限及び納期限平成27年3月16日(月)、個人事業者の消費税及び地方消費税の申告期限及び納期限は平成27年3月31日(火)である。

国税庁は、平成26年分確定申告特集ページを開設した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成26年分確定申告特集ページ

2015年1月9日

ロータリークラブの会費等は必要経費に算入できないとした事例

平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年3月6日裁決

<ポイント> 本事例は、司法書士業を営む請求人が支出したロータリークラブの入会金及び会費は、請求人が当該クラブの会員として行った活動を社会通念に照らして客観的にみれば、その活動は、司法書士の業務と直接関係するものということはできず、また、その活動が司法書士としての業務の遂行上必要なものということはできないため、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないとしたものである。

<要旨> 請求人は、所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する「販売費、一般管理費及びその他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、文理解釈する限り、業務と直接の関係を持つものである必要はなく、客観的にみて所得を生ずるのに必要なものであれば足りるとして、加入するロータリークラブ(本件クラブ)の入会金及び年会費(本件各諸会費)は必要経費に算入できる旨主張する。 しかしながら、事業所得の金額の計算上、必要経費が総収入金額から控除されることの趣旨は、投下資本の回収部分に課税が及ぶことを回避することにあると解されるところ、日常生活において事業による所得の獲得活動のみならず、所得の処分としての私的な消費活動も行っている個人の事業主における事業所得の金額の計算に当たっては、事業上の必要経費と所得の処分である家事費とを明確に区分する必要があり、それらを踏まえて所得税法第37条1項、同法45条《家事関連費等の必要経費不算入等》第1項及び所得税法施行令第96条《家事関連費》第1号の各文言に照らせば、所得税法第37条第1項のいう費用とは、単に業務と関連があるというだけではなく、その支出が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であり、その判断は、単に業務を行う者の主観的な動機・判断によるのではなく、当該業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に行われなければならないと解される。 以上のことから、請求人が本件クラブの会員として行った活動を社会通念に照らして客観的にみれば、その活動は、登記又は供託に関する手続について代理することなど司法書士法第3条《業務》第1項各号に規定する業務と直接関係するものということはできず、また、その活動が司法書士としての業務の遂行上必要なものということはできないため、請求人が支出した本件各諸会費は、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。

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2015年1月7日

平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等

国税庁は、「平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等」をホームページに掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告関係書類の様式・手引き等

2014年12月19日

平成26年分確定申告特集ページ(準備編)

国税庁は、「平成26年分確定申告特集ページ(準備編)」を開設した。

なお、このサイトは、1月上旬にリニューアル予定である。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成26年分確定申告特集ページ(準備編)(既に削除済み)

2014年12月8日

母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用

<照会要旨> 妊婦に対して行う母体血を用いた出生前遺伝学的検査(以下「本件検査」という。)の費用は医療費控除の対象になるのか?

<本件検査の概要> 本件検査は、妊婦から採血することにより行われ、母体の血液中に存在する胎児由来のDNA及び母体由来のDNAに含まれる遺伝情報を解析することにより、各染色体に由来するDNA断片の量の差異を求め、それらの比較から胎児の特定の染色体数的異常の診断に結びつけるものである。 また、本件検査を行った結果、染色体の数的異常が発見されたとしても、それが治療につながるものではないとされている。 なお、本件検査を受けるかどうかは妊婦の任意とされている。

<回答要旨> 医療費控除の対象とはならない。 医師または歯科医師による診療等の対価として支払われるものは医療費控除に該当するが、いわゆる人間ドックその他の健康診断のように疾病の治療を伴うものではないものは、医療費控除の対象とはならない。 しかし、健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、治療に先だって行われる診察と同様に考えることができるので、その健康診断のための費用も医療費控除に含まれる(所得税基本通達73-4)。 本件検査は、胎児の染色体の数的異常を調べるものであって、診断の一種であり、また、本件検査を行った結果、染色体の数的異常が発見されたとしても、それが治療につながらないとされていることからすると、本件検査は、妊婦や胎児の治療に先だって行われる診療等と解することはできない。 したがって、本件検査に係る費用は、医療費控除の対象とならない。

2014年11月20日

被買収会社の従業員に付与されたストックオプションを買収会社が買い取る場合の課税関係

【照会要旨】 A社は、インセンティブ報酬として従業員に対して新株予約権(以下「本件ストックオプション」という。)を無償で付与している。 この本件ストックオプションには譲渡制限が付されており、従業員が本件ストックオプションを譲渡する場合、取締役会による承認が必要とされている。 この度、B社がA社を買収し、A社の発行済株式の全てを取得することに伴い、B社は、A社が従業員に対して付与していた本件ストックオプションを買い取ることとした。 具体的には、本件ストックオプションを付与された従業員が、A社の取締役会の承認を受け、その譲渡制限の解除(譲渡承認)後直ちに、B社が時価で本件ストックオプションを買い取ることとなるが、この場合、所得税の課税関係はどのようになるのか?

【回答要旨】 本件ストックオプションについては、譲渡制限が解除された日において、給与所得が生じる。 譲渡についての制限その他特別の条件が付されているストックオプションが付与された場合、付与時点においては何ら経済的利益が実現していないことから、その付与時点において課税関係は生じないが、ストックオプションの権利行使をする場合、取得した株式の価額と権利行使価額との差額が経済的利益として実現することから、その権利行使時に当該経済的利益について課税関係が生じることになる(所得税法施行令第84条)。 一方、照会の場合、従業員は本件ストックオプションの権利行使をしていないが、その譲渡を行うに当たり、A社の取締役会の承認を得て譲渡制限を解除する必要があり、その結果、従業員(本人)の意思による第三者への譲渡が可能となる。この譲渡制限の解除により、それまで未実現と捉えられていた経済的利益が顕在化し、収入すべき金額が実現したものと考えられる(注)。 そして、本件ストックオプションは、インセンティブ報酬として従業員に対して付与されていたことから、A社と従業員の間の雇用契約又はこれに類する関係に基因して付与されたものと考えられるので、顕在化した経済的利益は、A社の取締役会の承認を受け譲渡制限が解除された日(譲渡承認日)における給与所得に該当する(所得税法第28条)。 なお、給与所得として課税される経済的利益の額(譲渡承認日における本件ストックオプションの価額(時価))に相当する額が本件ストックオプションの譲渡に係る譲渡所得等に係る取得費等となるので、本件ストックオプションの譲渡により、譲渡所得等は生じない。

(注) 新株予約権等(株式を無償または有利な価額により取得することができる一定の権利で、当該権利を行使したならば経済的な利益として課税されるものをいう。)をその発行法人に譲渡した場合についても、当該譲渡の対価の額から当該権利の取得価額を控除した金額を、給与所得等の収入金額とみなすこととされている(所得税法第41条の2)。

2014年11月18日

配偶者名義で支払われた義援金について、確定申告書の提出後に発行された当該義援金に係る受領証等からみて寄付金控除の適用が認められるとした事例

<要旨> 原処分庁は、配偶者名義で支払われた義援金は請求人の寄附金控除の対象とならない旨主張する。

しかしながら、当該義援金の振込票には請求人の妻の氏名が記載されているところ、請求人の妻が当該義援金に係る金員は請求人から受け取った旨申し立てていること、請求人の妻は確定申告をしておらず、当該振込票以外に請求人の妻が義援金を支出したことを推認させる事情はないことに加えて、確定申告書の提出後ではあるものの、当該義援金の受付先である日本赤十字社が、当該義援金に係る受領証を請求人に宛てて発行していることなどからすると、当該義援金は請求人が支出したものと認めるのが相当であるから、寄附金控除の適用が認められる。

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2014年5月22日

被相続人の税理士業務は、同人の死亡により所得税法第63条に規定する事業の「廃止」があったとした事例

<要旨> 原処分庁は、被相続人の死亡により、同人の税理士業に係る事業所得の金額の計算上必要経費に算入した未払退職金は、その支払債務が発生、確定しておらず、また、事業税等は、所得税法第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》に規定する事業の「廃止」があったとはいえないから、いずれも必要経費に算入することはできない旨主張し、請求人らは、被相続人の死亡により、未払退職金については、被相続人の税理士事務所の従業者は退職しており、また、事業税等については、被相続人の税理士業は廃業となり同法第63条の規定が適用されることから、いずれも必要経費に算入される旨主張する。

しかしながら、未払退職金については、被相続人の死亡当時、未払退職金発生を根拠付けるような労使慣行が成立していたとはいえず、被相続人の死亡により未払退職金の支払債務が発生、確定していたとはいえないから、必要経費に算入することはできない。また、事業税等については、被相続人の死亡により関与先との間の委任契約が税理士である子に承継されることなく終了していること、被相続人の税理士登録が抹消され、子の税理士名簿に登録された事務所の所在地が被相続人の事務所内であることを表記しないものに変更されたことからすると、子は、被相続人の税理士業務を承継し、被相続人と同一内容の事業を行っていたとは認められず、このような被相続人の死亡後の法律関係及び事実関係を社会通念に照らして判断すれば、被相続人の税理士業は廃業したものと認められ、所得税法第63条の規定が適用されることから、必要経費に算入されることとなる。

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2014年5月21日

譲渡した土地には建物が存するが、建物の使用が主な目的でないこと及び建物が建築されている部分は極めて僅かであること等から、所得税基本通達38-8の2の(1)のハの定めにより使用開始の日を判定することが相当であるとした事例

<要旨> 請求人は、土地を譲渡したことによる分離長期譲渡所得の金額の計算上、当該土地(本件各土地)の上に存する建物(本件各建物)を事業の用等に供したことはないから、所得税基本通達38-8の2《使用開始の日の判定》の(1)のロの定めにより、本件各土地の取得のための借入金(本件借入金)の利子(本件借入金利子)の全額が本件各土地の取得費に該当する旨主張し、他方、原処分庁は、本件各土地には本件各建物が存するものの、本件各土地に占める本件各建物の床面積の割合は僅かであり、所得税基本通達38-8の2の(1)のロ及びハの定めにより判定することに合理性は認められないので、本件各土地の使用開始の日がいつであるかは、資産の種類、性質、形状その他外形的に判断できる利用の結果等客観的な事実に基づき総合的に判断すべきであるところ、本件借入金の借入れの日には既に本件各土地は使用されていたのであるから、本件借入金利子は本件各土地の取得費に該当しない旨主張する。

しかしながら、本件各土地は、放牧、牧草栽培を用途にしている土地であり、本件各建物の使用が主な用途であるとは認められないこと及び本件各土地の地積のうち本件各建物が建築されている部分は極めて僅かであることからすると、本件各土地は、所得税法基本通達38-8の2の(1)のハに定める建物等の施設を要しないものに該当すると認められることから、同ハの定めにより使用開始の日を判定するのが相当である。

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2014年5月14日

請求人が必要経費に算入した開業費の償却費、接待交際費及び旅費交通費の各費用は、業務の遂行上必要なものとは認められず、必要経費に算入することはできないとした事例

<要旨> 請求人は、必要経費に算入した開業費の償却費、接待交際費及び旅費交通費の各費用は、業務の遂行上必要なものであるから、必要経費に算入されるべきである旨主張する。

しかしながら、所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する「販売費、一般管理費及びその他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」は、単に業務と関連があるというだけでなく、客観的にみてその費用が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であるところ、請求人が必要経費であると主張する上記各費用は、業務の遂行上必要なものと認められないから、必要経費に算入することはできない。

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2014年4月22日

海外に所在する外国銀行に信用供与目的で預け入れた金銭から生じた利子は、利子所得に該当するとした事例

<要旨> 請求人は、シンガポール共和国に所在する外国銀行に預け入れた金銭(本件Deposits)は、当該銀行から融資を受けるために締結した契約に基づく信用供与目的による担保預金として資金融通したものであり、本件Depositsから生じた利子は、借入れと担保提供とが一体である預金担保付金銭消費貸借契約に基づく取引から生じたもので、実質的には、貸付金の利子に準ずるものであることから、本件Depositsから生じた利子及び借入金の支払利子の差損益は雑所得に当たり、当該差損益の通算の結果、所得金額は生じていないなどと主張する。 しかしながら、預金とは、銀行その他の金融機関が不特定多数の相手方、すなわち預金者に対して返還を約して預託を受けた金銭であり、銀行その他の金融機関を受寄者として消費寄託された金銭としての性質を有するものをいうと解され、また、預金の経済的な意義としては、銀行その他の金融機関が、預託を受けた金銭を一定期間運用して利益を上げる一方、通常、預金者に対しては、一定の割合の利子を支払うものであると解されるところ、本件Depositsは、当該銀行が不特定多数の相手方(預金者)に対して返還を約して預託を受けた金銭であり、当該銀行を受寄者として消費寄託された金銭としての性質を有するものと認められ、所得税法第2条《定義》第1項第10号にいう「預貯金」に当たり、同法第23条《利子所得》第1項にいう「預貯金」に該当するものということができる。

そして、本件Depositsから生じる利子は、本件Depositsの預託を受けた当該銀行が、一定期間これを運用して利益を上げる一方、これを預金者である請求人に支払う金銭と認められることから、同項にいう「預貯金の利子」に当たり、利子所得に該当する。

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2014年4月14日

確定申告を間違えたとき

法定申告期限後に計算違いなど、申告内容の間違いに気が付いた場合は、以下の方法で訂正する必要がある。

(1)納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合 更正の請求という手続ができる場合がある。 この手続は、更正の請求書を税務署長に提出することにより行う。 更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、減額更正(更正の請求をした人にその内容が通知される。)をして税金を還付することになる。 更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内(注)である。 (注) 平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税については、更正の請求の請求期限は法定申告期限から1年である。 なお、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間について、増額更正ができる期間(3年)内に「更正の申出書」の提出があれば、調査によりその内容を検討して、納めすぎの税金があると認められた場合には、減額の更正を行うこととなる。

(2)納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合 この場合には、修正申告により誤った内容を訂正する。 修正申告をする場合には、以下の点に注意すること。 ●誤りに気がついたらできるだけ早く修正申告すること 税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかる。 この過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額である。 ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になる。 (注) 1.税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかからない。 2.確定申告が期限後申告の場合は無申告加算税がかかる場合がある。 a.新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となるので、その日に納めること b.この場合、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要がある

なお、更正の請求書や修正申告書、税金の納付書は税務署に用意されている。 また、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」の「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」では、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、更正の請求書や修正申告書が作成できる。 作成したデータは、電子申告(e‐Tax)や印刷して税務署に郵送等で提出することができる。

2014年3月26日

賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い

<照会要旨> Aは、賃貸の用に供するためにマンションの1室を購入した。 当該マンションの区分所有者となったAは、その管理規約に従い、管理組合に対し修繕積立金を毎月支払っているが、Aが支払った修繕積立金は不動産所得の計算上、いつの年分の必要経費に算入することができるか。

<回答要旨> 原則として、実際に修繕等が行われその修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になるが、一定の要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えない。 修繕積立金は、マンションの共用部分について行う将来の大規模修繕等の費用の額に充てられるために長期間にわたって計画的に積み立てられるものであり、実際に修繕等が行われていない限りにおいては、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していないことから、原則的には、管理組合への支払期日の属する年分の必要経費には算入されず(所得税基本通達37-2)、実際に修繕等が行われ、その費用の額に充てられた部分の金額について、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費に算入されることになる。 しかしながら、修繕積立金は区分所有者となった時点で、管理組合へ義務的に納付しなければならないものであるとともに、管理規約において、納入した修繕積立金は、管理組合が解散しない限り区分所有者へ返還しないこととしているのが一般的である(マンション標準管理規約)単棟型)(国土交通省)第60条第5項)。 そこで、修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、以下の事実関係の下で行われている場合には、その修繕積立金について、その支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものと考えられる。

  1. 区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
  2. 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
  3. 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
  4. 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること

したがって、Aの支払った修繕積立金については、原則として実際に修繕等が行われ、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になるが、上記1ないし4のいずれの要件も満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えない。

 ★リンクはこちら ⇒ 賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い

2014年3月24日

平成25年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日

平成25年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日は、以下のとおり。

税目 納期限 振替日
所得税及び復興特別所得税 平成26年3月17日(月) 平成26年4月22日(火)
個人事業者の消費税及び地方消費税 平成26年3月31日(月) 平成26年4月24日(木)
贈与税 平成26年3月17日(月)

2014年3月12日

「平成26年度税制改正(案)のポイント」(平成26年2月発行)

財務省は、「平成26年度税制改正(案)のポイント」を発行した。

このパンフレットは、「平成26年度税制改正の大綱」(平成25年12月24日閣議決定)及び現在、国会において審議が行われている「所得税法等の一部を改正する法律案」、「地方法人税法案」(平成26年2月4日閣議決定)の内容を分かりやすくまとめたものである。

 ★リンクはこちら ⇒ 「平成26年度税制改正(案)のポイント」(平成26年2月発行)(既に削除済み)

2014年3月11日

数年間にわたり支払を受ける保険金

【照会要旨】 次のような内容の「こども保険」に加入している。このこども保険においては、契約上、被保険者が一定の年齢に達した場合、教育資金または満期保険金が支払われることとされている。 このこども保険における教育資金及び満期保険金に係る所得区分はどのように取り扱われるか。 [こども保険の概要]

  • 保険契約者及び保険金受取人:本人
  • 被保険者:長男
  • 払込期間:被保険者が2歳から15歳までの期間
  • 教育資金:被保険者が満16歳、17歳、18歳及び19歳到達時にそれぞれ10万円
  • 満期保険金:被保険者が満20歳のときに10万円

【回答要旨】 この教育資金及び満期保険金に係る所得は、いずれも雑所得に該当する。 このこども保険においては、契約に基づき5年間にわたって毎年10万円の教育資金または満期保険金のいずれかが支払われることとされている。 このように、あらかじめ定められた期間に、連年、教育資金または満期保険金という形で定額の給付金の支払が行われていることからすれば、これらの教育資金及び満期保険金については、臨時・偶発的に生ずる所得というよりも継続的に生ずる所得として、いずれも雑所得に該当する。

(注) 教育資金または満期保険金の額から、それぞれに対応する保険料の額を控除した金額が雑所得の金額となる。

2014年3月7日

還付等を受けるための申告書に係る更正の請求についての留意点

「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第114号)」において、国税通則法の改正が行われ、所得税については、平成23年分以後の各年分につき納税者が更正の請求をする場合には、その請求をすることができる期間が5年(改正前:1年)に延長されているところ、還付等を受けるための申告書に係る更正の請求については、下記のとおりとなることに留意すること。 (注) 「還付等を受けるための申告書」とは、所得税法第122条(還付等を受けるための申告)の規定による申告書をいう。

<理由> 国税通則法第70条第1項第1号(国税の更正、決定等の期間制限)において、還付等を受けるための申告書に係る更正については、税務署長は、当該申告書の提出日から5年を経過した日以後においてはすることができないと規定されていることによるもの。

<還付等を受けるための申告書に係る更正の請求についての留意点> 還付等を受けるための申告書に係る更正については、税務署長は、当該申告書の提出日から5年を経過した日以後においてはすることができないこととされていることから(通法701)、納税者の更正の請求については、その更正をすることができなくなる日までにする必要がある。 (注) 国税通則法第70条第1項の規定により税務署長が更正をすることができないこととなる日前6月以内にされた納税者の更正の請求に係る税務署長の更正は、当該更正の請求があった日から6月を経過する日まですることができることとされている(通法703)。

<設例> 納税者が平成23年分の所得税に係る還付等を受けるための申告書を平成24年2月21日に提出した場合には、当該申告書に係る更正については、税務署長は、平成29年2月22日以後においてはすることができない。 したがって、納税者の更正の請求については、平成29年2月21日までにする必要ある。

 ★リンクはこちら ⇒ 還付等を受けるための申告書に係る更正の請求についての留意点(情報)

2014年2月25日

復興特別所得税の記載漏れにご注意を!

平成25年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告について、復興特別所得税の記載漏れによる申告誤りが数多く見受けられるようである。

よって、確定申告書の作成に当たっては、復興特別所得税の記載漏れのないようご注意を!

また、「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動的に計算され、計算誤りのない申告書を作成することができるので、是非ご利用を!

 ★リンクはこちら ⇒ 復興特別所得税の記載漏れにご注意ください(個人の納税者の方へ)

2014年2月21日

寄附金控除を受ける方

国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『寄附金控除を受ける方』を作成し、「ふるさと納税」をした方が、「確定申告書等作成コーナー」で寄附金控除の申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 寄附金控除を受ける方(既に削除済み)

2014年2月18日

平成26年2月23日及び3月2日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁しているが、平成25年分確定申告期間中は、平日(月~金曜日)以外でも、一部の税務署では、2月23日と3月2日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行う。

閉庁日対応を行う税務署等については、香川県の場合、高松税務署である。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成26年2月23日及び3月2日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署について

2014年2月17日

不動産収入がある方の確定申告

国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『不動産収入がある方の確定申告』を作成し、不動産収入のある方が、「確定申告書等作成コーナー」で収支内訳書や申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 不動産収入がある方の確定申告(既に削除済み)

<追加 2018年2月1日公開>

 ★リンクはこちら ⇒ 不動産収入がある方の確定申告

2014年2月14日

年金収入がある方の確定申告

国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『年金収入がある方の確定申告』を作成し、年金収入のある方が、「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。

また、年金所得者の「確定申告不要制度」についても説明している。

 ★リンクはこちら ⇒  年金収入がある方の確定申告(既に削除済み)

2014年2月13日

定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成25年分の適正な利率

国土交通省(土地・建設産業局参事官(土地市場担当))から関係団体に対し下記のとおり周知が図られているので、連絡する。

定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の課税に係る平成25年分の適正な利率については、以下に掲げる区分に応じ、それぞれ以下に掲げるとおりとなる。

  1. 当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合または当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合 両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.7%としても差し支えない。
  2. 上記1の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき 利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成25年分については、0.7%となる。

    (注)平成25年中の10年長期国債の平均利率は、0.72%である。

2014年2月12日

医療費控除を受ける方

国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『医療費控除を受ける方』を作成し、医療費控除を受ける方が、「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、書面で提出する方法を紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 医療費控除を受ける方(既に控除済み)

2014年2月10日

確定申告書等作成コーナーの利用方法

国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『確定申告書等作成コーナーの利用方法』を作成し、個人で事業を行なっている方を例に確定申告書等作成コーナーの利用方法について紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 確定申告書等作成コーナーの利用方法(既に控除済み)

2014年2月6日

e-Tax(電子申告)で申告するための事前準備

国税庁は、インターネット番組(Web-TAX-TV)『e-Tax(電子申告)で申告するための事前準備』を作成し、e-Taxの概要及び確定申告書等作成コーナーからe-Taxで申告を行う際の事前準備について紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ e-Tax(電子申告)で申告するための事前準備(既に削除済み)

2014年2月4日

平成25年法定調書の作成と提出

国税庁はインターネット番組(Web-TAX-TV)を配信しているが、今回、平成25年法定調書の作成と提出について紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成25年法定調書の作成と提出(既に削除済み)

2013年12月10日

平成25年分年末調整のしかた

国税庁はインターネット番組(Web-TAX-TV)を配信しているが、今回、平成25年分の年末調整の手続について紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成25年分年末調整のしかた(既に削除済み)

2013年12月5日

あなたのインターネット取引、確定申告していますか

国税庁はインターネット番組(Web-TAX-TV)を配信しているが、今回、インターネット取引をした場合の確定申告について、ドラマ仕立てで紹介している。

 ★リンクはこちら ⇒ あなたのインターネット取引、確定申告していますか(既に削除済み)

2013年11月12日

上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続

国税庁はインターネット番組(Web-TAX-TV)を配信しているが、今回、上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続について紹介している。 また、NISAの概要についても説明している。

 ★リンクはこちら ⇒ 上場株式等の譲渡所得及び配当所得の申告手続(既に削除済み)

2013年11月6日

平成25年版給与所得者と年末調整(リーフレット)(平成25年10月)

国税庁は、HPに『平成25年版給与所得者と年末調整(リーフレット)(平成25年10月)』を掲載した。

 ★リンクはこちら ⇒ 平成25年版給与所得者と年末調整(リーフレット)(平成25年10月)(既に削除済み)

2013年10月17日

国外財産調書

居住者(所得税法第2条第1項第4号に規定する「非永住者」の方を除く。)の方で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記入したこの国外財産調書に国外財産調書合計表を添付し、翌年の3月15日までに所轄税務署長に提出しなければならないこととされている。

この調書は、国税庁のHPに掲載されている。

 ★リンクはこちら ⇒ 国外財産調書(同合計表)

2013年9月17日

「平成25年分所得税の改正のあらまし」の修正

平成25年5月30日に、財務省より、平成25年度税制改正(「バリアフリー改修に係る投資減税」(租税特別措置法第41条の19の3))に関する発表があった。 これを受け、平成25年4月26日から5月30日までの間、国税庁ホームページに掲載していた「平成25年分所得税の改正のあらまし」の4(1)ロの表(8ページ)については、以下のとおり修正することとなった。

<修正前>

居住年 改修工事限度額 控除率 最大控除限度額
平成25年1月~平成26年3月 150万円 10% 15万円

<修正後>

居住年 改修工事限度額 控除率 最大控除限度額
平成25年1月~平成26年3月 200万円 10% 20万円

なお、国税庁ホームページでは、上記の修正を行った「平成25年分所得税の改正のあらまし」をPDFファイルで提供している。

★リンクはこちら ⇒ 「平成25年分 所得税の改正のあらまし」の修正について

2013年6月12日

期限内に納付しなかった場合は

期限内に納付できなかった場合や、振替口座の残高不足等で振替できなかった場合には、法定納期限の翌日から納付の日まで延滞税がかかる。 この場合、金融機関(日本銀行歳入代理店)または所轄の税務署の納税窓口で本税と延滞税を併せて納付することになる。 なお、納付書は、税務署または所轄の税務署管内の金融機関に用意している。 また、金融機関に納付書がない場合には、所轄の税務署にご連絡を。 ちなみに、平成25年中における延滞税の割合は、次のとおり。

  • 納期限の翌日から2か月を経過する日までは、年4.3%の割合
  • 納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以後については、年14.6%の割合

具体的な延滞税の計算は、上記のの期間ごとに以下の表により計算する。 なお、国税庁ホームページにおいて、簡単に計算することができる。

2013年2月25日

雑所得

雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。

例えば、以下に掲げるようなものに係る所得が該当する。

  • 公的年金等
  • 非営業用貸金の利子
  • 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税

一時所得

一時所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得のいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいう。

例えば、以下に掲げるようなものに係る所得が該当する。

  • 懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金
  • 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
  • 法人から贈与された金品

2013年2月21日

定期借地権の設定による保証金の経済的利益の課税に係る平成24年分の適正な利率

定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預託を受ける保証金(賃借人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益の所得税の課税に係る平成24年分の適正な利率については、以下に掲げる区分に応じ、それぞれ以下に掲げるとおりとなる。

  1. 当該保証金が各種所得の基因となる業務に係る資金として運用されている場合または当該業務の用に供する資産の取得資金に充てられている場合 両建の経理の場合の適正な利率は、平均的な長期借入利率によるべきであるが、0.8%としても差し支えない。
  2. 上記1.の場合以外で、かつ、当該保証金が、預貯金、公社債、指定金銭信託、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のとき 利息に相当する金額を計算する場合の適正な利率は、各年中の10年長期国債の平均利率によることとしており、平成24年分については、0.8%となる。 (注)平成24年中の10年長期国債の平均利率は、0.86%である。

譲渡所得

譲渡所得とは、土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のものをいう。

ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得とならない。

2013年2月19日

山林所得

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいう。

ただし、山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得または雑所得になる。

2013年2月18日

退職所得

退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当や加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得をいう。

2013年2月15日

給与所得

給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいう。

2013年2月13日

事業所得

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得をいう。

ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になる。

2013年2月12日

不動産所得

不動産所得とは、土地や建物などの不動産不動産の上に存する権利、船舶または航空機の貸付け(地上権または永小作権の設定その他、他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。

2013年2月8日

配当所得

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいう。

2013年2月7日

利子所得

利子所得とは、預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいう。

2013年2月6日

所得の種類

所得税法では、その性格によって所得を以下の10種類に区分している。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

2013年2月5日

所得税のしくみ

所得税のしくみは以下のようになっている。

  1. 「収入金額」から「収入から差し引かれる金額」を差し引いて「所得金額」を求める。
  2. 「所得金額」から「所得から差し引かれる金額」を差し引いて「課税される所得金額」を求める。
  3. 「課税される所得金額」に税率を乗じて「所得税額」を求める。
  4. 所得税額」から「税金から差し引かれる金額」を差し引いた金額が「申告納税額」となる。

2013年2月4日

どのような場合に所得税の確定申告が必要か…

所得税の確定申告が必要な人は、たとえば、以下のような人である。

  • 給与収入が 2,000 万円を超える人
  • 給与を1か所から受けていて、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人
  • 給与を2か所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える人
  • 各種の所得金額が所得控除の合計額を超え、その超えた額に対する税額が配当控除額を超える人
  • 公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと残額がある人 ※ 公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、所得税の確定申告は必要ない。ただし、住民税の申告は必要である。

など

2013年1月28日

平成24年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日

平成24年分確定申告に係る納期限及び振替納税の場合の振替日は、以下のとおり。

種類 納期限 振替日
所得税 平成25年3月15日(金) 平成25年4月22日(月)
個人事業者の消費税及び地方消費税 平成25年4月1日(月) 平成25年4月24日(水)
贈与税 平成25年3月15日(金)

2013年1月18日

平成24年分確定申告の相談・申告書の受付期間

平成24年分確定申告の相談・申告書の受付期間は、以下のとおり。

所得税 平成25年2月18日(月)~平成25年3月15日(金)
個人事業者の消費税及び地方消費税 平成25年1月4日(金)~平成25年4月1日(月)
贈与税 平成25年2月1日(金)~平成25年3月15日(金)

2013年1月17日

平成24年分の所得税から適用される主な改正事項

  1. 生命保険料控除が次のとおり改正された。 ①生命保険料控除の対象となる保険料に、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく介護医療保険料(最高4万円の控除額)が追加された。 ②平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料に係る控除額(各最高4万円の控除額)及び平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく旧生命保険料、旧個人年金保険料に係る控除(各最高5万円の控除額)の合計額が最高12万円(改正前:最高10万円)とされた。
  2. 住宅借入金等特別控除について、認定低炭素住宅(住宅の用に供する都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する低炭素建築物に該当する家屋で一定のものをいう。以下同じ。)の新築または建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得をして居住の用に供した場合における特例が追加された。 ※この改正は、都市の低炭素化の促進に関する法律の施行の日以後に認定低炭素住宅を居住の用に供した場合に適用される。
  3. 認定長期優良住宅新築等特別税額控除について、税額控除限度額が最高50万円(改正前:最高100万円)に引き下げられた上、その適用期限が平成25年12月31日まで2年延長された。
  4. 医療費控除の対象範囲に、平成24年4月1日以後に支払った介護福祉士による喀痰(かくたん)吸引等及び認定特定行為業務事業者(一定の研修を受けた介護職員等)による特定行為に係る費用の自己負担分が追加された。
  5. 寄附金控除及び認定NPO法人等寄附金特別控除について、都道府県知事または指定都市の長が行う新たな認定制度による認定を受けたNPO法人または仮認定を受けたNPO法人にその認定または仮認定の有効期間内に支出した寄附金がこれらの特例の対象となることとされた。
  6. 小規模企業共済等掛金控除の対象となる掛金に、確定拠出年金法の企業型年金加入者掛金が追加された。
  7. 「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」及び「特定住居用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」について、その適用期限が平成25年12月31日まで延長された。

2013年1月8日

確定申告時期の税務署の開庁日

税務署は通常、土曜日、日曜日及び祝日等は業務を行っていない。 ただし、一部の税務署では平成24年分の確定申告期間中、2013年2月24日3月3日に限り、日曜日も確定申告の相談・申告書の受付を行う。 四国だと、徳島税務署、高松税務署、松山税務署、高知税務署である。 税務署の閉庁日における確定申告の相談等の実施について

税務署の閉庁日(土・日曜・祝日等)は、通常、税務署では相談や申告書の受付は行っていないが、申告書は、税務署の時間外収受箱へ投函することにより提出できる。 さらに、以下の方法によることもできる。

  1. 郵便または信書便による送付(通信日付印により表示された日が提出日になる。)
  2. e-Tax(電子申告)による申告(事前に利用開始のための手続等が必要である。)

時間外収受箱への投函または郵便・信書便により申告書を提出する場合で、収受日付印のある確定申告書の控えが必要なときは、複写により作成した(複写式でないものについては、ボールペン等で記載した)申告書の控えのほか返信用封筒(あて名を記入の上、所要額の切手を貼っておく必要がある。)を同封すれば、税務署から収受日付印を押印した申告書の控えが返送される。

(注)申告書の控えへの収受日付印の押印は、収受の事実を確認するものであり、内容を証明するものではない(窓口も同様)。

2013年1月7日

認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例の概要等

1.改正の概要 都市の低炭素化の促進に関する法律の制定に伴い、居住者が、認定低炭素住宅の新築等をして、同法の施行の日(平成24年12月4日)から平成25年12月31日までの間に、その家屋をその者の居住の用に供した場合(その認定低炭素住宅の新築等の日から6か月以内にその者の居住の用に供した場合に限る。)において、その者がその認定低炭素住宅の新築等に係る一定の借入金または債務(以下「住宅借入金等」という。)の金額を有するときは、租税特別措置法第41条第1項の規定による住宅借入金等特別控除との選択により、同条第5項の規定による住宅借入金等特別控除の特例(以下「本特例」という。)を適用することができることとされた。

2.認定低炭素住宅の要件 都市の低炭素化の促進に関する法律第2条第3項に規定する低炭素建築物に該当するものであることにつき財務省令で定めるところ(下記3.参照。)により証明がされたものであることが必要とされている。

3.添付書類 認定低炭素住宅について本特例の適用を初めて受ける年分においては、租税特別措置法第41条第1項の規定による住宅借入金等特別控除の適用を受けるために必要な書類に加え、以下の書類を添付する必要がある。

  1. 認定低炭素住宅の新築等に係る低炭素建築物新築等計画認定通知書(低炭素建築物新築等計画の変更の認定を受けた場合は、低炭素建築物新築等計画変更認定通知書)の写し ※低炭素建築物新築等計画認定通知書については、都市の低炭素化の促進に関する法律施行規則(平成24年国土交通省令第86号)第43条第2項において、低炭素建築物新築等計画変更認定通知書については、同省令第46条において、それぞれ定められている。
  2. 住宅用家屋証明書もしくはその写しまたは認定低炭素住宅建築証明書 ※住宅用家屋証明書については、国土交通省通知で示されている様式例に基づき、各市町村(特別区の区を含む。)において定めることとされている。 ※認定低炭素住宅建築証明書については、平成24年国土交通省告示第1383号において定められている。 なお、認定低炭素住宅について本特例の適用を受ける2年目以後の年分における必要書類は、租税特別措置法第41条第1項の規定による住宅借入金等特別控除の適用を受けるために必要な書類と同じである。

4.適用関係 本特例は、都市の低炭素化の促進に関する法律の施行の日(平成24年12月4日)から施行され、同日以後に認定住宅の新築等をして居住の用に供した場合に適用される。

※低炭素建築物新築等計画の認定は計画段階で受けることとされているため、実質的には、平成24年分の所得税について、認定低炭素住宅に係る本特例の適用例はほぼ想定されないものと考えられる。

2012年12月25日

確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A

確定申告の時期には、全国で2,000万人を超える納税者のが確定申告をされるため、税務署は大変混雑する。また、税務署への電話がなかなかつながらない。

そこで、この時期に問い合わせの多いご質問とそれについての一般的な回答及び誤りの多い事例を掲載しているので、確定申告の際の参考とすること。 ★リンクはこちら ⇒ 確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A

ここで掲載されていない内容は、税に関する身近な質問を集めた「タックスアンサー(よくある税の質問)」を閲覧のこと。 ★リンクはこちら ⇒ タックスアンサー(所得税)

2012年12月18日

平成24年分確定申告特集ページ(準備編)

国税庁が、平成24年分確定申告特集ページ(準備編)を開設した。 ★リンクはこちら ⇒ 平成24年分確定申告特集ページ(準備編)(既に削除済み)

動画(You Tube)などが、掲載されている。 ★リンクはこちら ⇒ 使ってください!確定申告書等作成コーナー(既に削除済み)

2012年12月7日

東京電力㈱から支払を受ける事業所得等の収入金額になる賠償金の所得税法上の取扱い等

支払を受ける賠償金のうち、必要経費を補てんするためのものや営業損害のうち減収分(逸失利益)に対するもの、就労不能損害のうち給与等の減収分に対するものなどは、事業所得等の収入金額になる。 1.以下の損害に対して支払を受ける賠償金(必要経費を補てんするためのものに該当)

  • 営業損害のうち、追加的費用に係るもの
  • 検査費用(物)のうち、業務用資産及び棚卸資産に係るもの

これらの賠償金は、必要経費を補てんするためのものに該当し、事業所得等の収入金額になる。 ただし、これらの賠償金は、事業所得等の収入金額になった上で、追加的費用等を必要経費として収入金額から差し引くことから、実質的に課税は生じないこととなる。

2.以下の損害に対して支払を受ける賠償金

  • 営業損害のうち、減収分(逸失利益)に対して支払を受ける賠償金
  • 財物価値の喪失または減少等のうち、棚卸資産に対するもの

避難指示等により業務に従事することができなかったことやいわゆる風評被害などによる減収分、または出荷制限指示による棚卸資産等の損失などに対して支払を受ける賠償金は、事業所得等の収入金額になる。 これらの賠償金は、事業所得等の収入金額になった上で、減価償却費などの必要経費を控除した残額(所得)が課税の対象になる。

※1 これらの賠償金は、一般的には、賠償金の支払に関する東京電力㈱との合意等が成立した日の年分の事業所得等に係る収入金額として申告し、納税することになるが、従来の請求方式により一定の期間の経過ごとに請求・支払が行われる場合には、継続して、その賠償対象期間に応じそれぞれの年分の事業所得等に係る収入金額とし、これに基づいて申告することとしても、差し支えない。 ※2 包括請求方式により一括で支払を受ける複数年分の営業損害(逸失利益)に対する賠償金については、一定の事実が生じた場合には精算することが予定されているため、その対象期間中の時の経過に応じ、対象期間中の各年分の収入として事業所得等の収入金額に算入する(中小法人が支払を受ける場合の収益計上時期についても同じ。)。

3.就労不能損害のうち、給与等の減収分に対して支払を受ける賠償金 就労不能損害のうち、給与等の減収分(逸失利益)に対して支払を受ける賠償金は、雇用主以外の者から支払を受けるものであることから、一時所得の収入金額になる。 なお、転居費用及び通勤費増加額に対して支払を受ける賠償金は、勤務場所の変更や転職などにより支出した費用の実費弁済として支払を受けるものなので、課税の対象にはならない。

<一時所得の計算方法>

{(収入金額 - 収入を得るために支出した金額)- 特別控除額(50万円(注))} × 1/2

(注) 特別控除額については、収入金額から収入を得るために支出した金額を控除した残額が50万円に満たない場合は、その残額になる。 ※1 この賠償金は、賠償金の支払に関する東京電力㈱との合意等が成立した日の年分の一時所得の収入金額になる。また、年末調整により所得税が精算されるため確定申告が必要でなかった給与所得者の方であっても、確定申告と納税が必要になる場合がある。 ※2 包括請求方式により一括で支払を受ける複数年分の就労不能損害に対する賠償金については、一定の事実が生じた場合には精算することが予定されているため、その対象期間中の時の経過に応じ、対象期間中の各年分の収入として一時所得の収入金額に算入する。

2012年12月6日

東京電力㈱から支払を受ける心身の損害または資産の損害に対する賠償金賠償金の所得税法上の取扱い等

東京電力㈱から、原子力発電所の事故により被害を受けた個人が支払を受ける心身の損害または資産の損害に対する賠償金賠償金の所得税法上の取扱い等について、国税庁に対し事前照会があり、これに対して文書で回答しており、その概要は以下のとおり。

1.非課税になるもの 以下の損害に対して支払を受ける賠償金である。

  • 避難生活等による精神的損害
  • 生命・身体的損害
  • 検査費用(人)
  • 放射線被曝
  • 避難・帰宅費用
  • 一時立入費用
  • 検査費用(物)のうち、家事用資産に係るもの
  • 財物価値の喪失または減少等(※1)

支払を受ける賠償金のうち、心身に加えられた損害に対して支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金や、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害に対して支払を受ける損害賠償金は非課税になる。 なお、心身の損害に基因して勤務または業務に従事することができなかったことによる給与または収益の補償として受けるものを含む。

※1 事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入される業務用資産の損失額は、賠償金の額を控除したものとなる。また、棚卸資産に対する賠償金は、事業所得の収入金額となる。 ※2 非課税となるものについては、確定申告等の手続をする必要はない。また、確定申告をする際にも、申告する所得に含める必要はない。

2012年12月5日

平成23年分民間給与実態統計調査

国税庁が、平成23年分民間給与実態統計調査を公表した。

平成23年分の調査結果からみた主要な点は、以下のとおりである。

  1. 平成23年12月31日現在の給与所得者数は、5,427万人(対前年比0.2%増、12万人の増加)となっている。 また、平成23年中に民間の事業所が支払った給与の総額は195兆7,997億円(同0.7%増、1兆4,274億円の増加)で、源泉徴収された所得税額は8兆780億円(同7.7%減、5,771億円の増加)となっている。 なお、給与総額に占める税額の割合は4.13%となっている。
  2. 1年を通じて勤務した給与所得者については、以下のとおりとなっている。
  • 給与所得者数は、4, 566万人(対前年比0.3%増、14万人の増加)で、その平均給与は409万円(同0.7%減、30千円の減少)となっている。 これを男女別にみると、給与所得者数は男性2,731万人(同0.1%増、2万人の増加)、女性1,835万人(同0.6%増、12万人の増加)で、その平均給与は男性504万円(同0.7%減、36千円の減少)、女性268万円(同0.5%減、14千円の減少)となっている。
  • 給与所得者の給与階級別分布をみると、男性では年間給与額300万円超400万円以下の者が544万人(構成比19.9%)、女性では100万円超200万円以下の者が479万人(同26.1%)と最も多くなっている。
  • 給与所得者のうち、3,853万人が源泉徴収により所得税を納税しており、その割合は84.4%となっている。また、その税額は7兆5,529億円(対前年比4.2%増、3,056億円の増加)となっている。
  • 給与所得者のうち、年末調整を行った者は 4,203万人(対前年比0.9%減、37万人の減少)となっている。このうち、配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた者は1,406万人(同15.0%減、247万人の減少)で、扶養人員のある者1人当たりの平均扶養人員は1.49人となっている。

2012年11月20日

旧減価償却資産の平成24年4月1日以後の資本的支出

平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得した減価償却資産で定率法を採用しているもの(以下「旧減価償却資産」という。)について、平成24年4月1日以後に資本的支出を行った場合、旧減価償却資産については250%定率法により、資本的支出部分については200%定率法によりそれぞれ別に減価償却費の計算を行う。 旧減価償却資産に資本的支出を行った場合には、原則として、その支出金額を取得価額として、その旧減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産(以下「追加償却資産」という。)を新たに取得したものとすることとされている。

平成23年12月の税制改正により、平成24年4月1日以後に取得した減価償却資産の定率法の償却率は、従来の定額法の償却率を2.5倍した償却率(以下、この償却率による償却方法を「250%定率法」という。)から、定額法の償却率を2倍した償却率(以下、この償却率による償却方法を「200%定率法」という。)に引き下げられた。 そのため、平成24年3月31日以前に取得し、250%定率法を採用している旧減価償却資産について平成24年4月1日以後に資本的支出を行った場合には、その資本的支出により新たに取得したものとされる追加償却資産については、200%定率法により償却費の計算を行うこととなる。 なお、この場合、旧減価償却資産と追加償却資産について、それぞれ適用する償却率が異なるので、資本的支出を行った年の翌年1月1日において、旧減価償却資産と追加償却資産の取得価額等を合算する特例(所得税法施行令第127条第4項)の適用はない。

(注1) 平成19年3月31日以前に取得した旧減価償却資産に対して資本的支出を行った場合には、その資本的支出の金額をその旧減価償却資産の取得価額に加算することができる。 したがって、平成24年4月1日以後に行った資本的支出について旧定率法により償却費の計算を行うことができる。 (注2) 平成24年4月1日から同年12月31日までの間に取得した減価償却資産については、その減価償却資産を平成24年3月31日以前に取得したものとみなして、250%定率法により償却費の計算を行うことができる経過措置が設けられている。 平成24年4月1日から同年12月31日までの間に行われた資本的支出について、この経過措置の適用を受ける場合、その資本的支出により新たに取得したものとされる追加償却資産の償却費の計算は、250%定率法により行うこととなる。 また、この場合、旧減価償却資産と追加償却資産に適用する償却率は同一となるので、資本的支出を行った年の翌年1月1日において、それぞれの資産の取得価額等を合算する特例が認められる。

2012年11月16日

平成24年確定申告分(申告所得税消費税及び地方消費税)の振替納付日

平成24年確定申告分(申告所得税消費税及び地方消費税)の納期限(法定納期限)及び振替日は以下のとおり。

  • 申告所得税 法定納期限:平成25年3月15日(金) 振 替 日:平成25年4月22日(月)
  • 消費税及び地方消費税 法定納期限:平成25年4月1日(月) 振 替 日:平成25年4月24日(水)

2012年11月7日

パート収入はいくらまでなら所得税がかからないか…

よく103万円以内になるように働いているという話しを耳にする。 配偶者の収入がパート収入だけの場合、所得税に関して以下の3つのことが問題になる。

1.配偶者本人の所得税の問題 パートにより得る収入は、通常給与所得となる。給与所得の金額は、年収から給与所得控除額を差し引いた残額である。 給与所得控除額は最低65万円だから、パートの収入金額が103万円以下(65万円+所得税の基礎控除額38万円)で、他に所得がなければ所得税はかからない。

2.配偶者控除の問題 配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば、納税者本人は、所得税の配偶者控除を受けることができる。 つまり、配偶者の収入がパート収入だけの場合、その収入が103万円以下であれば給与所得控除額の65万円を差し引くと所得金額は38万円以下となり、配偶者控除が受けられる。

3.配偶者特別控除の問題 所得税の配偶者特別控除が受けられる要件は、以下の2つである。 (1)納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下(給与収入だけの場合には、おおむね年収1,230万円以下)であること (2)配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満であること このことから、(1)の要件に該当する場合には、配偶者のパート収入が103万円超(38万円+給与所得控除額65万円)141万円未満(76万円+給与所得控除額65万円)で、他に所得がなければ、配偶者特別控除を受けることができる。 配偶者特別控除の額は、配偶者の所得金額により異なり、配偶者の所得が増えるにしたがい38万円から段階的に少なくなっていく。

2012年11月1日

配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるのか…

配偶者に所得があっても、配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であれば配偶者控除が受けられる。

1.配偶者の所得が給与所得だけの場合 その年の給与収入が103万円以下であれば、給与所得控除額65万円を差し引くと、合計所得金額が38万円以下となり、配偶者控除が受けられる。

2.配偶者に給与所得以外の所得がある場合 給与所得以外に、不動産所得、一時所得、譲渡所得などがある場合でも年間の合計所得金額が38万円以下であれば、配偶者控除が受けられる。 (注) 以下のものは配偶者控除が受けられるかどうかを判定するときの合計所得金額から除かれる。

  • 上場株式等の配当や少額配当などで確定申告をしないことを選択したもの
  • 特定口座の源泉徴収選択口座内の株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
  • 源泉分離課税とされる預貯金や公社債の利子など
  • 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
  • 源泉分離課税とされる一定の割引債の償還差益
  • 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)

3.その他 配偶者控除とは別に配偶者特別控除がある。配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合で、かつ、配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満の場合に、配偶者の所得金額に応じて認められるものである。

2012年10月29日

歯の治療費は医療費控除の対象となるか…

1.医療費控除の概要 自己や自己と生計を一にする配偶者やその他親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。これを医療費控除という。

2.歯の治療に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断

  • 歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などがあり治療代がかなり高額になることがある。このような場合、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象にならない。現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえるから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になる。
  • 発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になる。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象にならない。
  • 治療のための通院費も医療費控除の対象になる。小さいお子さんの通院に付添が必要なときなどは、付添人の交通費も通院費に含まれる。通院費は、診察券などで通院した日を確認できるようにしておくとともに金額も記録しておく。通院費として認められるのは、交通機関などを利用したときの人的役務の提供の対価だから、自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代等といったものは、医療費控除の対象にならない。

3.歯の治療費を歯科ローンやクレジットにより支払う場合 歯科ローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立替払をして、その立替分を患者が分割で信販会社に返済していくものである。したがって、信販会社が立替払をした金額は、その患者のその立替払をした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になる。なお、歯科ローンを利用した場合には、患者の手もとに歯科医の領収書がないことが考えられるが、この場合には、医療費控除を受けるときの添付書類として、歯科ローンの契約書の写しや信販会社の領収書を用意する。 (注)金利及び手数料相当分は医療費控除の対象にならない。

4.医療費控除を受ける場合の注意事項

  • 治療中に年が変わるときは、それぞれの年に支払った医療費の額が、各年分の医療費控除の対象となる。
  • 健康保険組合などから補てんされる金額がある場合には、その補てんの対象とされる医療費から差し引く必要がある。

2012年10月22日

出産費用は医療費控除の対象となるか…

1.医療費控除の概要 自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。これを医療費控除という。

2.出産に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断

  • 妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院費用は医療費控除の対象になる。 (注)通院費用については領収書のないものが多いが、家計簿などに記録するなどして実際にかかった費用について明確に説明できるようにしておくこと。
  • 出産で入院するときにタクシーを利用した場合、そのタクシー代は医療費控除の対象となる。それは、入院が出産という緊急時のため、通常の交通手段によることが困難だからである。 (注)実家で出産するために実家に帰省する交通費は医療費控除の対象にはならない。
  • 入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用は医療費控除の対象にならない。
  • 入院中は病院で支給される食事を摂ることになる。これは、入院代に含まれるので医療費控除の対象になる。しかし、他から出前を取ったり外食したりしたものは、控除の対象にはならない。

3.医療費を補てんする金額 健康保険組合や共済組合などから出産育児一時金や家族出産育児一時金または、出産費や配偶者出産費などが支給されるので、その金額は医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければならない。

2012年10月19日

平成23年分民間給与実態統計調査結果

国税庁が、平成23年分民間給与実態統計調査結果を公表した。 平成23年分の調査結果からみた主な点は、以下のとおり。

  1. 平成23年12月31日現在の給与所得者数は、5,427万人(対前年比0.2%増、12 万人の増加)となっている。また、平成23年中に民間の事業所が支払った給与の総額は195兆7,997 億円(同0.7%増、1兆4,274 億円の増加)で、源泉徴収された所得税額は8兆780 億円(同7.7%増、5,771 億円の増加)となっている。 なお、給与総額に占める税額の割合は4.13%となっている。
  2. 1年を通じて勤務した給与所得者については、以下のとおり。
  • 給与所得者数は、4, 566 万人(対前年比0.3%増、14 万人の増加)で、その平均給与は409 万円(同0.7%減、30 千円の減少)となっている。 これを男女別にみると、給与所得者数は男性2,731 万人(同0.1%増、2万人の増加)、女性1,835 万人(同0.6%増、12 万人の増加)で、その平均給与は男性504 万円(同0.7%減、36 千円の減少)、女性268 万円(同0.5%減、14 千円の減少)となっている。
  • 給与所得者の給与階級別分布をみると、男性では年間給与額300 万円超400 万円以下の者が544 万人(構成比19.9%)、女性では100 万円超200 万円以下の者が479 万人(同26.1%)と最も多くなっている。
  • 給与所得者のうち、3,853 万人が源泉徴収により所得税を納税しており、その割合は84.4%となっている。また、その税額は7兆5,529 億円(対前年比4.2%増、3,056億円の増加)となっている。
  • 給与所得者のうち、年末調整を行った者は 4,203 万人(対前年比0.9%減、37 万人の減少)となっている。このうち、配偶者控除または扶養控除の適用を受けた者は1,406万人(同15.0%減、247 万人の減少)で、扶養人員のある者1人当たりの平均扶養人員は1.49 人となっている。

2012年9月28日

特定役員退職手当等

特定役員とは、役員等勤続年数が5年以下である人をいう。 ここで、役員等とは、以下に掲げる人をいう。

  1. 法人税法第2条第15号に規定する役員
  2. 国会議員及び地方公共団体の議会の議員
  3. 国家公務員及び地方公務員

この特定役員の退職手当等について、平成25年度から以下の改正が行われる。

  • 改正前の制度(平成24年以前) 退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされていた。
  • 改正後の制度(平成25年以後) 平成24年度の税制改正により、特定役員退職手当等については、この残額の2分の1とする措置が廃止され、特定役員退職手当等の退職所得の金額は、特定役員退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とされた。

2012年9月12日

所得税基本通達の制定について」の一部改正

昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)のうち、以下のリンクの「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。

(趣旨) 任意組合等の組合員の組合事業に係る所得の計算方法について簡便化を図ることを趣旨とする所得税基本通達36・37共-20(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の額の計算等)について、東京高等裁判所の判決(平成23年8月4日付)があったことを受け、本件通達の趣旨が明確になるよう改正をするものである。

★リンクはこちら ⇒ 「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

2012年8月31日

オリンピックの賞金

現在、ロンドンオリンピックが開催されているが、日本人がオリンピックでメダルをとった場合、メダルの色に応じて財団法人日本オリンピック委員会(以下、JOCという。)からオリンピック特別賞としていわゆる報奨金が支払われる(金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円)が、所得税はかからない。 一般的に、賞金などは所得税法上「一時所得」に分類され、課税対象となるが、JOCから贈られる報奨金に関して、以前は、租税特別措置法第41条の8第1項において「オリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会から交付される金品で財務大臣が指定するものについては、所得税を課さない。」ことが明記されていたが、現在では、所得税法第9条第14号に規定されている。 租税特別法の規定は平成6年に設けられが、これは平成4年に開催されたバルセロナオリンピックにおいて金メダルを獲得した当時中学2年生だった岩崎恭子選手に対し支払われたJOCの報奨金が、一時所得に当たるとして課税され、世間の批判を受けたことがきっかけともいわれている。

2012年8月8日

「『個人課税事務提要(様式編)』の制定について」の一部改正

平成12年11月15日付課所6-51ほか9課共同「『個人課税事務提要(様式編)』の制定について」(法令解釈通達)の別冊について、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる様式を「改正後」欄に掲げる様式に改正されたので、これによることになる。

 ★リンクはこちら ⇒ 「『個人課税事務提要(様式編)』の制定について」の一部改正

2012年7月19日

寡婦

寡婦とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、以下のいずれかに当てはまる人である。

  1. 夫と死別し、もしくは離婚した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人または生計を一にする子がいる人である。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られる。
  2. 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人である。この場合は、扶養親族などのは要件はない。

(注) 「合計所得金額」とは、純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいう。

<特定の寡婦> 寡婦に該当する方が以下の要件のすべてを満たすときは、特定の寡婦に該当し、寡婦控除の額を27万円に8万円を加算した35万円とする特例がある。

  1. 夫と死別しまたは離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
  2. 扶養親族である子がいる人
  3. 合計所得金額が500万円以下であること

2012年7月4日

食事代の支給

役員や従業員に支給する食事は、以下の2つの要件とも満たしていれば、給与として課税されない。

  1. 役員や従業員が食事の価額の半分以上を負担していること。
  2. 以下の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。

    ((食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額))

この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税される。

具体例 1か月当たりの食事の価額が5,000円で、役員や従業員の負担している金額が2,000円の場合 この場合には、(1)の条件を満たしていない。 したがって、食事の価額の5,000円と役員や従業員の負担している金額の2,000円との差額の3,000円が、給与として課税される。

なお、ここでいう食事の価額は、以下の金額になる。

  1. 仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額
  2. 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額

また、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税される。 なお、残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっている。

2012年6月27日

平成23年分の所得税の振替納税日

平成23年分の申告所得税の振替納税日は、平成24年4月20日(金曜日)である。

よって、振替口座に残高があることの確認が必要である。

2012年4月13日

確定申告で、納める税金が少な過ぎたり還付される税金が多過ぎたりしたケース

確定申告で、納める税金が少な過ぎたり還付される税金が多過ぎたりしたケースにおいて、誤った内容を訂正するために修正申告をする必要がある。留意点は以下のとおり。

  • 誤りに気がついたらできるだけ早く修正申告する。 税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかる。この過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額である。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になる。 (注1)税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかからない。 (注2)確定申告が期限後申告の場合は無申告加算税がかかる場合がある。
  • 新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となるので、その日に納める必要がある。
  • この場合、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要がある。 この延滞税は、納める税金の額に対して、法定納期限の翌日から修正申告書を提出した日の翌日以後2か月を経過する日までの期間は年「7.3%」で、それ以後は年「14.6%」の割合で計算する。 ただし、年「7.3%」の割合は、平成12年1月1日以後、年単位で適用し、年「7.3%」と「前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率+4%」のいずれか低い割合となる(平成14年1月1日から平成18年12月31日までは4.1%、平成19年1月1日から平成19年12月31日までは4.4%、平成20年1月1日から平成20年12月31日までは4.7%、平成21年1月1日から平成21年12月31日までは4.5%、平成22年1月1日以後は4.3%となっている。)。

2012年4月11日

確定申告で、納める税金が多過ぎたり還付される税金が少な過ぎたりしたケース

確定申告で、納める税金が多過ぎたり還付される税金が少な過ぎたりしたケースにおいて、更正の請求という手続ができる場合がある。 この手続は、誤りの内容を記載した更正の請求書を税務署長に提出することにより行う。 なお、更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内である。ただし、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税については、更正の請求の請求期限は法定申告期限から1年である。

更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等と認めた場合には、減額更正(更正の請求をした人にその内容が通知される。)をして税金を還付することになる。

平成23年分以降用の更正の請求書は以下のとおり。 ★リンクはこちら ⇒ http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h23kosei.pdf

2012年4月10日

地震保険料控除に関する留意点

所得税の確定申告書の手引き』を見ても、地震保険料控除の計算は分かりにくいので注意が必要である。

地震保険料と(旧)長期損害保険料とに分けられるが、両方支払っている場合、BとCに記入するのではなく、AとDに記入する必要がある。 BとCに記入するのは、1つの契約で両方支払っているケースである。

地震保険料控除は50,000円まで認められる。50,000円に満たない場合には、(旧)長期損害保険料が残りの枠内で最高15,000円まで認められる(10,000円以下なら全額、10,000円超なら×1/2+5,000円)。

2012年2月24日

多額の寄附金

昨年の東日本大震災などの際に個人で多額の寄附をされた方も多く、本当に尊敬すべき行為である。

税務的な視点からすれば、所得の40%までという限度額はあるものの、寄附金控除の対象となる。

2012年2月21日

特定の政治献金

特定の政治献金のうち政党や政治資金団体に対するものは、以下のいずれか有利な方の選択が可能である(政党等寄附金特別控除額の計算明細書により確認する。)。

  • 政党等寄附金特別控除
  • 寄附金控除

2012年2月20日

外貨建預貯金を払い出し外貨建MMFに投資した場合の為替差損益

預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合、為替差益を認識する必要がある。

ここで、外貨建取引とは、外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいい、居住者が外貨建取引を行った場合には、当該外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額によりその者の各年分の各種所得の金額を計算するものとされている。

外貨建預金をもって外貨建MMFに投資した場合は、新たな経済的価値(その投資時点における評価額)を持った資産(公社債投資信託の受益権)が外部から流入したことにより、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが所得税法第36条の収入すべき金額として実現したものと考えられるので、当該外貨建MMFの投資金額の円換算額とその投資に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)を所得として認識する必要がある。

2012年2月16日

寄附金控除

寄付金控除とは、納税者が国や地方公共団体・特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合に、所得控除を受けることをいう。 なお、政治活動に関する寄附金・認定NPO法人等に対する寄附金・公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除(政党等寄附金特別控除・認定NPO法人に対する寄附金特別控除・公益社団法人等寄附金特別控除)を選択することができる。

特定寄附金とは、次のいずれかに当てはまるものをいう。 ただし、学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの及び政治資金規正法に違反するものなどは、特定寄附金に該当しない。

  • 国、地方公共団体に対する寄附金
  • 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人または団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの イ 広く一般に募集されること ロ 教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進 に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること
  • 所得税法別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(上記2つに該当するものを除く。) なお、所得税法施行令第217条で定めるものとは、次の法人をいう(以下、「特定公益増進法人」という。)。 イ 独立行政法人 ロ 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの ハ 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興 ・共済事業団及び日本赤十字社 ニ 公益社団法人及び公益財団法人 ホ 民法34条の規定により設立された法人のうち一定のもの及び科学技術 の研究などを行う特定法人 (注)旧民法法人の移行登記日の前日までに寄附した場合に限られる。 ヘ 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置もしくは学校及び 専修学校もしくは各種学校の設置を主たる目的とするものまたは私立 学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校もしくは 各種学校の設置を主たる目的とするもの ト 社会福祉法人 チ 更生保護法人
  • 特定公益信託のうち、その目的が教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する一定のものの信託財産とするために支出した金銭
  • 政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの
  • 認定特定非営利法人(いわゆる認定NPO法人)に対する寄附金のうち、一定のもの
  • 特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額(1千万円を限度とする。)
  • 特定地域雇用等促進法人に対する寄附金のうち、一定のもの(平成25年11月30日までに支出するものに限る。)

寄附金控除額は、次のいずれか低い金額から2千円を控除した金額である。 イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額 ロ その年の総所得金額等の40%相当額 なお、総所得金額等とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいう。

寄附金控除を受けるためには、寄附金控除に関する事項を記載した確定申告書に領収書などを添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要がある。

2012年2月7日

地震保険料控除

地震保険料控除とは、納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができるというものである。

  • 対象となる損害保険契約等 控除の対象となる保険等の契約は、自己もしくは自己と生計を一にする配偶者その他の親族が所有している家屋で常時その居住の用に供するものまたはこれらの者の有する生活用動産を保険や共済の目的とする契約で、かつ、地震、噴火または津波を原因とする火災、損壊等による損害をてん補する保険金等が支払われるものに限られる。
  • 長期損害保険契約等に係る損害保険料 平成18年の税制改正で、平成19年分から損害保険料控除が廃止された。 しかし、経過措置として、以下の要件を満たす一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料については、地震保険料控除の対象とすることができる。 1 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間または共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く) 2 満期返戻金等のあるもので保険期間等が10年以上の契約 3 平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの
  • 地震保険料控除の控除額 その年に支払った保険料の金額に応じて、次により計算した金額が控除額となる。
    区分 年間の支払保険料の合計 控除額
    ①地震保険料 5万円以下 支払金額
    5万円超 5万円
    ②旧長期損害保険料 1万円以下 支払金額
    1万円超2万円以下 支払金額÷2+5千円
    2万円超 1万5千円
    ①②両方がある場合 ①②それぞれで計算した金額の合計額(Max5万円)

    (注) 一つの損害保険契約等または一つの長期損害保険契約等に基づき、①②両方を支払っている場合には、納税者の選択により①または②のいずれか一方の控除を受けることとなる。

  • 適用を受けるための手続 年末調整で控除された場合はその必要はないが、地震保険料控除を受ける場合には、確定申告書に地震保険料控除に関する事項を記載するほか、 支払金額や控除を受けられることを証明する書類を確定申告書に添付するか、または申告の際に提示する必要がある。

2012年2月6日

医療費控除

医療費控除とは、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることをいう。

  • 医療費控除の対象となる医療費の要件
  1. 納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
  2. その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。
  • 医療費控除の対象となる金額 医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)である。 (実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円 (注1) 保険金などで補てんされる金額の例 生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など (注2) 保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引くので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引かない。 (注3) 10万円については、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額
  • 医療費控除の対象となる医療費 その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされている。
  1. 医師または歯科医師による診療または治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれない。)
  2. 治療または療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となるが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費とならない。)
  3. 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設または助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価
  4. あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価(ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれない。)
  5. 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価(この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話に対する対価も含まれるが、所定の料金以外の心付けなどは除かれる。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費にならない。)
  6. 助産師による分べんの介助の対価
  7. 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額
  8. 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの ①医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの(ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれない。) ②医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費用 ③傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代(この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要である。) (注1) 医療費控除を受けるためには、その支払を証明する領収書等を確定申告書に添付するか提示することが必要である(e-Taxで確定申告書を提出する方は、医療費の領収書等について提出または提示に代えて、その記載内容を入力して送信することができる。この場合、税務署長は原則として確定申告期限から3年間、その入力内容の確認のためにこれらの書類の提出または提示を求めることができ、これに応じない場合には、確定申告書の提出に当たってこれらの書類の提出又は提示したことにはならないものとされる。)。 (注2) 医療費の中には、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療等の費用に相当するものや前記①・②の費用に相当するものも含まれる。 (注3) おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降である場合において、介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付する「おむつ使用の確認書」等を「おむつ使用証明書」に代えることができる。
  9. 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
  10. 日本臓器移植ネットワークに支払う臓器移植のあっせんに係る患者負担金
  11. 高齢者の医療の確保に関する法律に規定する特定保健指導(一定の積極的支援によるものに限る。)のうち一定の基準に該当する者が支払う自己負担金
  • 控除を受けるための手続 医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に対して提出する。 医療費の支出を証明する書類、例えば、領収書などについては、確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示する。 また、給与所得のある方は、この他に給与所得の源泉徴収票(原本)も添付する。

2012年2月3日

社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合または給与から控除される場合などに受けられる所得控除である。 控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額である。

社会保険料控除の対象となる社会保険料には、主に以下のようなものがある。

  • 健康保険、国民年金、厚生年金保険及び船員保険の保険料で被保険者として負担するもの
  • 国民健康保険の保険料または国民健康保険税
  • 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
  • 介護保険法の規定による介護保険料
  • 雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
  • 国民年金基金の加入員として負担する掛金
  • 厚生年金基金の加入員として負担する掛金
  • 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、恩給法等の規定による掛金、納付金または納金
  • 労働者災害補償保険の特別加入者の規定により負担する保険料

(注1) 平成17年分以降、国民年金の保険料及び国民年金基金の掛金に係る社会保険料控除の適用については、その保険料または掛金の金額を証する書類を確定申告書若しくは年末調整の際に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に添付するか、これらの申告書を提出する際に提示する必要がある。 (注2) 国民健康保険の保険料または国民健康保険税について社会保険料控除を受けようとする場合には、その適用を受けようとする年分の確定申告書に一定の事項を記載した届出書及び相手国の社会保障制度に係る権限のある機関が発行した証明書(以下、「適用証明書」という。)を添付するとともに、保険料の金額を証する書類を添付または確定申告書の提出の際に提示する必要がある。 なお、確定申告書を提出しない者であってもこの適用を受けようとする場合には、適用を受けようとする年の翌年3月15日までに一定の事項を記載した届出書、適用証明書及び保険料の金額を証する書類を所轄税務署長に提出する必要がある。

2012年2月2日

生命保険料控除

納税者が生命保険料や個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。これを生命保険料控除という。

  • 対象となる生命保険料 保険金などの受取人のすべてを自己か又は自己の配偶者、その他の親族とする生命保険契約等の保険料や掛金。この場合の生命保険契約等からは、生命保険会社等と契約した保険契約のうち保険期間が5年未満で一定のもの及び外国生命保険会社等と国外で締結したものなどは除く。
  • 対象となる個人年金保険料 個人年金保険契約等の保険料や掛金。この個人年金保険契約等とは、生命保険会社等と契約した個人年金保険契約などのうち一定のものをいう。
  • 生命保険料控除額の計算 生命保険料と個人年金保険料についてそれぞれ次の表の計算式に当てはめて計算する。この方法で計算した金額の合計額が生命保険料控除額となる。
    年間の支払保険料の合計 控除額
    2万5千円以下 支払金額
    2万5千円を超え5万円以下 支払金額÷2+1万2,500円
    5万円を超え10万円以下 支払金額÷4+2万5,000円
    10万円超 5万円
  • 適用を受けるための手続 生命保険料控除を受ける場合には、確定申告書の生命保険料控除の欄に記入するほか、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を確定申告書に添付するかまたは確定申告書を提出する際に提示する。 ただし、生命保険契約等で年間保険料が9千円以下のものと年末調整の際に控除を受けたものは、その必要がない。

2012年2月1日

青色事業専従者給与

青色申告の特典の1つとして、生計を一にしている配偶者その他の親族が納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人に給与を支払うことがあるが、これらの給与は原則として必要経費にはならないが、一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例が認められている。 なお、青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれない。

青色事業専従者給与として認められる要件は、次のとおり。 なお、青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいう。

  1. 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
  2. その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
  3. その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
  • 青色事業専従者に支払われた給与であること。
  • 「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。 提出期限は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までである。 この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっている。
  • 届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
  • 青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。 なお、過大とされる部分は必要経費とはならない。

2012年1月31日

青色申告特別控除

青色申告者に対しては種々の特典があり、その一つに所得金額から最高65万円または10万円を控除するという青色申告特別控除がある。

  • 65万円の青色申告特別控除 この65万円控除の要件は、次のようになっている。 (1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。 (2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。 (3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。 (注1) 現金主義によることを選択している人は、65万円の青色申告特別控除を受けることはできない。 (注2) 不動産所得の金額または事業所得の金額の合計額が65万円より少ない場合には、その合計額が限度になる。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいい、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算する。 (注3) 不動産所得の金額、事業所得の金額から順次控除する。
  • 10万円の青色申告特別控除 この控除は、上記1の要件に該当しない青色申告者が受けられる。 (注1) 不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額の合計額が10万円より少ない場合には、その金額が限度になる。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいい、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算する。 (注2) 不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額から順次控除する。

2012年1月30日

所得税の青色申告の承認の申請

その年分以後の各年分の所得税について、青色申告の承認を受けようとする居住者は、その年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新たに業務を開始した場合は、その業務を開始した日から2ヶ月以内)に、申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

よって、1月16日以後に新たに業務を開始した場合を除き、平成24年3月15日まで、つまり、所得税の確定申告の期限までに申請書を提出すれば、平成24年度から青色申告となる。

2012年1月27日

振替納税の振替日

平成23年分については以下のとおりである。

  • 申告所得税 平成24年4月20日(金曜日) (法定納期限 平成24年3月15日(木曜日))
  • 個人事業者の消費税及び地方消費税 平成24年4月25日(水曜日) (法定納期限 平成24年4月2日(月曜日))

2011年1月13日

e-Taxのメリット

所得税消費税などは電子申告できるが、以下のようなメリットがある。

  • 税務署に持って行ったり、郵送する必要がない。 ただし、電子申告できないものもある。
  • 平成23年分の申告で、最高4,000円の税額控除を受けることができる。 本人の電子署名と電子証明書を付して、期限内申告する場合
  • 添付書類の提出または提示を省略できる。 源泉徴収票や医療費の領収書など。ただし、法定申告期限から5年間は 税務署から書類の提出または提示を求められることがある。
  • 還付金を早く受け取れる。 早期処理される(3週間程度)。

2012年1月12日

税務署の閉庁日における確定申告の相談等の実施

平成23年分確定申告期間中は、平日(月~金曜日)以外でも、一部の税務署では、以下の日に限り日曜日も、確定申告の相談・申告書の受付を行っている。

  • 2月19日
  • 2月26日

ちなみに、香川県だと、高松税務署が該当する。

2012年1月11日

e-Tax申告により添付を省略した書面

e-Tax申告により添付を省略した書面については、税務署等から入力内容の確認のために提示又は提出を求められることがある。 国税通則法の一部改正により、国税について増額更正できる期間が、従来の3年間から5年間に延長されたことに伴い、平成23年12月2日以後にe-Taxで申告した際に、添付を省略した書面について税務署等から提示又は提出を求められることがある期間が、従来の3年間から5年間に延長された。

法定申告期限 税務署長等が提示又は提出を求めることができる期間は以下のとおり。

  • 平成23年12月2日より前…原則として3年間
  • 平成23年12月2日以後 …原則として5年間

なお、対象となる第三者作成書類は以下のとおりであるが、赤字の3つについては平成23年分以後の所得税の確定申告から追加された。

  • 給与所得者の特定支出の控除の特例に係る支出の証明書
  • 個人の外国税額控除に係る証明書
  • 雑損控除の証明書
  • 医療費の領収書
  • 社会保険料控除の証明書
  • 小規模企業共済等掛金控除の証明書
  • 生命保険料控除の証明書
  • 地震保険料控除の証明書
  • 寄附金控除の証明書
  • 勤労学生控除の証明書
  • 給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
  • オープン型の証券投資信託の収益の分配の支払通知書、配当等とみなされる金額の支払通知書、上場株式配当等の支払通知書
  • 住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
  • バリアフリー改修特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
  • 省エネ回収特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
  • 特定口座年間取引報告書
  • 政党等寄附金特別控除の証明書
  • 認定NPO法人寄附金特別控除の証明書
  • 公益社団法人等寄附金特別控除の証明書
  • 特定震災指定寄附金特別控除の証明書

2011年12月28日

個人の政治献金

所得税の確定申告で所得控除もしくは税額控除しているケースが多いが、そもそも政治献金には上限が定められている。 政党(支部を含む)は2千万円、政治団体(資金管理団体を含む)は1団体につき150万円、総額1千万円である。

なお、5万円超で収支報告書に氏名等が記載される。

2011年12月14日

事業ではない貸付金の貸倒れ

事業ではない貸付金の貸倒れについては、雑所得の範囲内で通算できる。

前年以前に未収利息を所得認識している場合は、なかったものとして更正の請求を行う必要がある(貸倒れが生じた日から2か月以内。)。

2011年12月13日

平成24年度税制改正大綱

2011年12月10日に、平成24年度税制改正大綱が閣議決定された。

小粒な改正であり、当初の平成23年度税制改正大綱に入っていた相続税・贈与税の改正は今回も見送られている。

  • 平成24年度税制改正大綱はこちら

2011年12月12日

医療費控除の対象

医療費控除の対象となるものは、治療に関するもののみであり、予防に関するものは認められない。

例えば、レーシックやインプラントは認められるが、インフルエンザ予防接種や健康診断の費用は認められない。

ドラッグストア等で買った風邪薬等も認められる。

2011年12月8日

日本ユニセフへの寄附金

所得税法上は寄附金控除の対象となるが、住民税は都道府県や市町村により対象となるところと対象とならないところがあるので、HP等で確認する必要がある。

2011年12月7日

引越しした場合の振替納税

振替納税とは、申告所得税や、個人事業者の消費税の納付が、金融機関の預貯金口座から自動的に引き落としとなるものである。

振替納税を選択していても、引っ越しして所轄税務署が変更になった場合には、再度新所轄税務署に申し込みが必要であることに留意すべきである。

2011年12月1日

雑所得の経費

還付加算金の本税を借入金によって納付している場合には、その借入金のうち還付金に相当する額の支払利子は雑所得の必要経費として控除できる。

ただし、還付のための弁護士費用や税理士費用は経費として認められない。事業に関連しないものに関する弁護士費用なども同様である。

2011年11月30日

四国4県の2010事務年度の所得税の税務調査の調査結果

高松国税局が2011年11月10日に発表した四国4県の2010事務年度(2010年7月~2011年6月)の所得税の税務調査の調査結果の特徴は以下のとおり。

  • 申告漏れ件数は、12,366件(前期比4.6%増)。2年連続の増加。
  • 申告漏れ金額は、339億円強(前期比10.9%減)。2年ぶりの減少。
  • 追徴税額の総額は34億円強(前期比18%減)。
  • 金とプラチナの売却益の申告漏れ件数は34件、申告漏れ金額は3億円弱。
  • ネット取引の申告漏れ件数は80件、申告漏れ金額は8億円強。

2011年11月11日

所得税法上の行為計算否認規定

法人税法上、

①同族会社等の行為計算否認(法人税法132条) ②組織再編成に係る行為計算否認(法人税法132条の2) ③連結法人に係る行為計算否認(法人税法132条の3)

の3つの行為計算否認規定があるが、所得税法にも、

同族会社等の行為計算否認(所得税法157条)

がある。

同族会社の場合、タイムリーな意思決定でき、カリスマ経営者がいると忠誠心が強く、素早い実行などが可能であるが、所有と経営が分離していないので、経営者一族による会社の私物化など、一般の会社では考えられない異常な取引などが行われやすい現状にあり、租税負担の公平性を著しく害する脱税行為や租税回避行為が行われる可能性が高い。

よって、平成18年に規定が創設された。

2011年9月12日

予定納税

その年の5/15現在において確定している前年分の所得金額や税額を基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税の一部をあらかじめ納付する制度をいう。

6/15までに所轄税務署長から書面で通知される。

予定納税基準額の3分の1の金額を、7月(第1期分)と11月(第2期分)に納めることになる。

2011年8月4日

還付加算金

還付加算金とは、国税などについて還付金や過誤納金が生じる時に、その還付金額に一定率を乗じて算出される還付の加算金のことであり、還付金の利息としての性格がある。

所得税法上、還付加算金は雑所得となる。

いわゆる武富士事件で、還付加算金400億円を含め、2,000億円支払われたとの報道があるが、最高税率だと、住民税を含めて50%の税率で課税される。 武富士事件の場合、4%台の金利で運用して、半分税金をもっていかれるということである。

2011年8月1日

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