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2018年は「人手不足」関連倒産が過去最多の387件発生!

 

 2018年(1-12月)の「人手不足」関連倒産は387件(前年比22.0%増、前年317件)に達したようです。
 2013年に調査を開始以来、これまで最多だった2015年の340件を上回り、最多記録を更新しました。

<2018年の要因別>
 2018年の「人手不足」関連倒産387件の内訳では、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が278件(前年比11.6%増、前年249件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が59件(同68.5%増、同35件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が24件(同33.3%増、同18件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が26件(同73.3%増、同15件)でした。
 事業承継が問題になるなか、「後継者難」型が全体の7割(構成比71.8%)を占めた一方、「求人難」型や「人件費高騰」型の増勢が目立ちました。

<2018年の産業別>
 2018年の産業別では、最多がサービス業他の106件(前年比39.4%増、前年76件)でした。
 次いで、建設業71件(同10.1%減、同79件)、卸売業63件(同61.5%増、同39件)、製造業63件(同50.0%増、同42件)、運輸業28件(同21.7%増、同23件)の順です。
 2018年の地区別では、全国9地区のすべてで倒産が発生し、このうち関東(132→170件)、九州(40→51件)、中部(32→45件)、近畿(33→36件)、東北(21→29件)、我が四国(10→15件)の6地区で前年を上回りました。
 一方、減少は中国(21→20件)と北海道(24→17件)の2地区だけで、同数が北陸(4→4件)でした。

 政府は深刻な人手不足から外国人労働者の受け入れ策として「出入国管理法」を改正しました。
 しかしながら、新制度導入は2019年4月以降で、当面の間は人手不足の早急な解消は難しく、「人手不足」関連倒産は今後も増勢をたどるとみられます。
 時代を如実に反映したような結果になっていますね。
 個人的には、日本の将来のためにも1社でも事業承継のお手伝いをしたいなぁと思います。

 2018年は「人手不足」関連倒産が過去最多の387件発生したことについて、どう思われましたか?


「後継者不在企業」の動向はどうなっているのか?

 

 地域の経済や雇用を支える中小企業ですが、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多いと見られています。
 経済産業省が201710月に公表した試算では、今後10年間で70歳を超える全国の中小企業経営者は約245万人と推計しています。
 経済産業省は、2025年頃までに約650万人の雇用と約22兆円分のGDP(国内総生産)が失われる可能性を指摘しています。
 こうした中、小企業の休廃業が相次げば地域経済の衰退や雇用喪失を招きかねないとして、国や県、地域金融機関などが中心となって事業承継への支援を強化するなど、日本企業の後継者問題は官民ともに喫緊の課題として捉えられています。
 帝国データバンクは、201810月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)及び信用調査報告書ファイル(約180万社収録)をもとに、2016年以降の事業承継の実態について分析可能な約276千社(全国・全業種)を対象に、後継者の決定状況など後継者問題と事業承継動向について調査を行いました。
 なお、同様の調査は201711月以来5回目です。

●後継者不在状況・概要●
<年代別後継者不在率>
 2016年以降(201610月~201810月間)の詳細な実態が判明した約276千社(全国・全業種)の後継者不在状況は、全体の約66.4%に当たる約18万社で後継者が「不在」となりました。
 社長年代別に見た後継者不在率では、最も高いのは「30代未満」の94.1%となり、経営者が高齢になるにつれ、後継者不在率は減少傾向となっています。
 過去3年間の傾向を見ると、2016年に全年代で後継者不在率は悪化していましたが、2017年以降「50代」以上で後継者不在率は改善し、2018年における「60代」~「80代以上」の後継者不在率は調査開始以降最低となりました。
 一方、「30代」と「40代」では、2018年における後継者不在率は調査開始以降最高となるなど、事業承継に対する意識は年代別で傾向に差も見られます。
 現社長における先代経営者との関係別(就任経緯別)に見た後継者不在状況では、全年齢で一貫して「同族承継」で就任した社長の後継者不在率が、「創業者」の後継者不在率を下回りました。
 「同族承継」では、親族間で確立した世代交代制度などが、後継候補の確保に寄与している可能性があります。
 他方、「創業者」では事業承継が未経験の企業も多く、事業を承継させるために「何に取り組めばいいのかがわからない」まま、先延ばししている中小企業も少なくないと見られます。
 一方、「内部昇格」で就任した社長の後継者不在率は、67歳以降全国平均を上回り、68歳以降で「創業者」を上回りました。
 内部昇格や外部招聘などにおいて、若い世代が事業承継を受けた企業では次代の後継者選定に向けた十分な時間が取れているケースが多いと見られます。
 一方、比較的高齢で事業を引き継いだ経営者などでは、後継候補の選定や育成といった事業承継の準備期間が短くなりやすく、後継者候補の選定や事業承継が難航する要因となっています。

<地域・都道府県別>
 地域別の後継者不在状況を見ると、9地域中4地域で前年を下回りました。
 このうち、「北海道」が後継者不在率73.5%となり、過去調査同様に全国で最も高かったものの、2017年からは0.5ポイント低下しました。
 また、「中国」(70.4%)は3年連続で後継者不在率が前年から低下しました。
 一方、「東北」(64.8%)や「北陸」(58.2%)など5地域では前年を上回り、なかでも「北陸」は2017年から1.1 ポイント上昇しました。
 また、5地域中「東北」と「近畿」を除く3地域では、いずれも2011年の調査開始以降で後継者不在率が最高となりました。
 都道府県別では、「沖縄県」が全国平均(66.4%)を大幅に上回る83.5%で全国トップとなり、全国で唯一8割台を超えました。
 沖縄県では、ベンチャー企業をはじめとした創業年数が比較的若い企業や、沖縄県の本土復帰に伴い創業した企業なども多く、他地域に比べ事業承継を経験した機会が比較的少ないことも背景にあると考えられます。
 以下、「山口県」(75.0%)、「神奈川県」(73.8%)、「北海道」(73.5%)などが続いています。
 他方、「佐賀県」では全国平均を大幅に下回る43.2%で全国最低となりました。

<業種・企業規模別>
 業種別の後継者不在率では「その他」を除く7業種中4業種で全国平均を上回り、なかでも「建設業」(71.4%)は2017年から0.2ポイント上昇しました。
 後継者不在率が最も高いのは「サービス業」(71.6%)となりましたが、2017年と比較して0.2ポイント低下し、後継者問題への対応の改善が見られました。
 2018年における後継者不在率を従業員数別に見ると、従業員数「5人以下」の企業は全体の75.0%が後継者不在となりました。
 売上高規模別では「5,000万円未満」で81.4%、資本金別では個人事業主を含む「1,000万円未満」で76.9%の企業がそれぞれ後継者不在となっており、中・小規模企業を中心に後継者の選定を終えていない企業が多くなっています。
 一方、中堅~大規模企業になるほど後継者の選定が進んでいる傾向が見られます。

●事業承継動向●
<就任経緯別(事業承継前)>
 約276千社(全国・全業種)のうち、詳細な後継候補が判明している約93千社の後継者候補の属性を見ると、後継候補として全国で最も多いのは「子供」の39.7%となり、次いで「非同族」の33.0%となりました。
 年代別に見ると、60代以降の社長では後継候補として「子供」を選定するケースが多い一方、50代以下の社長では「親族」や「非同族」を後継候補としている企業が多く、50代では約4割が「非同族」を後継候補としていました。
 この結果、全国平均では「非同族」の割合は2017年と比較して1.5ポイント上昇しました。
 承継を受けた社長における先代経営者との関係別(就任経緯別)に、後継者候補の属性をみると、「子供」を後継者候補とする企業が多いのは「創業者」(60.3%)、「同族承継」(48.5%)となり、いずれも「子供」の次は「親族」「配偶者」の順に後継者候補とする企業が多くなっています。
 しかしながら、2017年と比較すると、ほとんどで後継者候補に、従業員など社内外の第三者である「非同族」を挙げる企業の割合が増加しました。
 近年は、同族外への承継に際しても利用可能な「事業承継税制」における対象制限の緩和など、国や自治体による政策的な事業承継の支援のほか、社内外の第三者へ事業譲渡を行う事に対する抵抗感が、従前より軟化しつつあることも影響していると見られます。

<就任経緯別(事業承継後)>
 約276千社(全国・全業種)の代表就任経緯を見ると、全体の40.3%に当たる約11万社の企業が「同族承継」となり、計算上国内企業の約2.5社に1社が同族企業となりました。
 次いで「創業者」(34.7%)、「内部昇格」(14.7%)となり、社外の第三者による事業の継承など「外部招聘」は3.2%にとどまりました。

 2016年以降に事業承継が判明した企業約35千社の社長について、先代経営者との関係(就任経緯別)を見ると、2018年は「同族承継」で引き継いだ割合が最も高く36.0%となりました。
 しかしながら、2016年(42.4%)と比較すると6.4ポイント低下し、2017年からも2.8ポイント低下しました。
 一方、「同族承継」の次に多い「内部昇格」による事業継承は32.0%となり、2016年(30.8%)から1.2ポイント上昇しました。
 社外の第三者が就任した「外部招聘」は、2018年は8.2%となり、2016年(7.7%)から0.5ポイント上昇しましたが、2017年からは同水準で推移しました。
 この結果、2018年に判明した事業承継は、子供や配偶者、親族間で事業を引き継ぐ「同族承継」より、親族以外の従業員などが事業を承継した「内部昇格」や「その他(買収・出向・分社化等)」などの割合が上昇し、全体の半数超で親族以外出身の社長が事業承継を受けていました。
 こうしたケースでは、幹部人材の登用による50代や60代の社長で多くみられ、豊富な業界経験や経営経験を背景に代表職へ就任した企業が多くなっています。
 このほか、2018年は「創業者」への事業承継が5.3%を占め、2016年から1.4ポイント上昇しました。
 創業者による事業承継は、特に70代や80代など高齢社長による事業承継が多く、一度社長職から代表権のない会長職などに退任したものの、後継候補の育成に伴うものや、経営幹部人材の不足などで、再度代表職へ復帰したケースが見られました。

 今回の調査では、2018年の後継者不在率は全国・全業種で66.4%となり、2017年からほぼ横ばいで推移しました。
 ㈱日本政策金融公庫が行った調査では、中規模企業の9割以上、小規模企業では8割以上の企業が、後継者の育成には最低でも3年以上かかると回答しています。
 後継候補の育成は中長期間に渡ることから、事業承継には後継者の育成を考慮したうえでの計画的な準備が重要であることを指摘しています。
 しかしながら、今回の調査では社長の平均年齢である50代で約7割、社長引退の平均年齢である60代でも約5割の企業で後継者候補が未定となるなど、事業承継時期に差し掛かる年代の後継者不在率は依然高位に留まっています。
 他方、事業承継を行いたくとも後継者候補がいない企業では、転廃業や上場、M&Aなど事業承継のための選択肢が限られやすくなります。
 また、技術力など有用な経営資源を有していても債務負担が重い企業では、後継者や事業売却先、金融機関との調整が難航するケースもあり、承継に向けた心理的ハードルの高さから事業承継を断念してしまう可能性もあると見られます。
 こうしたなか、今年に入って後継者不在のため事業継続の見込みが立たないことで倒産した企業は316件発生し(201810月時点)、2018年通年では2015年以来3年ぶりに増加する可能性が高くなりました。
 代表者の逝去や体調不良で事業継続がままならなかった企業や、後継社長への引継ぎや育成が上手くいかず、経営が立ち行かなくなったことで事業清算を選択する企業が多くなっています。
 近年は「非同族」を後継候補とする企業や、経営経験や現場経験が豊富な「内部昇格」「外部招聘」により事業承継を行った企業の割合は年々上昇傾向にあり、親族だけでなく「社内外の第三者」による親族外承継も含めた事業継承を検討・実施する動きが徐々に広がりつつあります。
 そのため、国や地方自治体では「プッシュ型事業承継支援高度化事業」や「よろず支援拠点」などの公的支援を活用しました、
 中小企業経営者への事業承継に向けた積極的な働きかけのほか、より利便性の高い事業承継の選択肢、制度拡充への取り組みが引き続き求められます。
 また、地域金融機関では地域の事業者情報等を有する強みを生かし、「事業性評価」の活用による中小企業の事業承継フォローなど、債務面以外に着目した多面的なサポートが期待されるでしょう。

 国も『事業承継』に力を入れており、その例がいわゆる『新事業承継税制』だと思いますが、それもあってか、最近は経営者がかなり『事業承継』に興味を持つようになってきていると実感しています。
 ただし、『事業承継』の必要性を認識されていない経営者や『事業承継』の必要性を認識しているもののどうしていいのか分からない経営者も、まだまだたくさんいらっしゃると思いますので、その辺りの顕在化やニーズの把握に少しでも貢献できればいいなぁと思っています。

 2018年全国「後継者不在企業」動向調査について、どう思われましたか?


事業承継で経営者の保証を解除せず4割が二重保証となっている!

 
 産経新聞によると、中小企業が事業を承継する際、銀行が融資のために旧経営者から取得していた個人保証を解除せず、新経営者からも二重に保証を取るケースが4割弱に上っていることが、先日、金融庁の調査で分かったようです。

 経営者の高齢化が進み、後継者不足に悩む中小企業は多くなっています。
 銀行は、融資先の倒産に備える慣行として個人保証を求めてきましたが、負担が大きいことから、事業承継ではなく廃業を選ぶ企業もあります。

 金融庁が、大手銀行や地方銀行など全国548の金融機関を対象に実施した調査によると、201710月から20183月に事業承継があった取引先25,732件のうち、二重の保証取得は36.3%9,349件だったようです。
 旧経営者の保証を解除し、新経営者からも取らなかったのは9.5%2,438件にとどまっています。

 個人保証や担保提供については、事業承継においては、ネックになることがあります。
 特に、最近では、親族以外の第三者に事業承継するケースも増えており、サラリーマンである親族ではない役員や従業員である後継者はそれほどの資力がないケースが必然的に多くなります。
 よって、個人保証や担保提供ができなかったり、嫌がったりすることで、事業承継ができないケースも出てきます。

 そこは、本来は、金融機関は事業性で判断すべきです。
 しかしながら、あまりできていないのが現実です。
 金融機関も当然、融資をするというのがビジネスですから、リスクを避けたいというのは分かりますが、事業性を評価する目をもっと養って、事業承継がうまくいくように協力してほしいですね。
 事業承継は、金融機関にとっても、後継者との関係性を深くする良いチャンスだと思いますので。

 事業承継で経営者の保証を解除せず4割が二重保証となっていることについて、どう思われましたか?


廃業予備軍が127万社の衝撃!

2018年05月15日(火)

 東京商工リサーチによると、後継者難などで毎年3万件の企業が休業や廃業、解散しています。
 技術やノウハウが失われかねない事態にどう対応すべきでしょうか?

 JR大宮駅から北へ約10キロの埼玉県伊奈町の事業所や工場が集まる一角に、円戸(えんど)幸雄さん(82)が1989年に創業した三協技研があります。
 複数の素材を貼り合わせて包装材などに仕上げるラミネート加工が専門です。

 社屋に隣接する工場では、ゆっくりと回る2つのローラーから出た2枚の素材を自動でぴったり接着させる工程が続いていました。
 できたシートは、住宅の鉄骨と外壁の間に入れられ、緩衝材の役目を果たします。

 円戸さんが考案したこの製法は、大幅な自動化で人件費を抑えられるのが特徴で、特許もとっています。
 製品は全て大手住宅メーカーが買い上げます。
 「この製品は営業する必要がないんです」だそうで、需要は増加傾向といいます。

 そんなアイデアと技術力で会社を引っ張ってきた円戸さんですが、悩みがあります。
 自社の将来を任せる後継ぎがいないのです。

 3人いる娘はすでにそれぞれの道を見つけました。
 10年ほど前から、取引先企業に頼んで、優秀な社員を後継候補として何人か送り込んでもらいました。
 しかしながら、どの候補者も定着しませんでした。
 中小企業の社長は、営業から開発、製造まで、細かく把握する必要があります。
 円戸さんは住宅だけでなく、土木、金属、食品、化学繊維など幅広い取引先から細かい悩みを聞き、独自の技術提案をして商機につなげてきました。
 同じことを後継者が務めるのは簡単ではありません。

 会社の売却という道もありますが、密接な取引がしづらくなると心配する取引先からは、独立経営をお願いされるようです。
 「あと3年のうちには跡取りを見つけなければ」と、あらゆるつてをたどって探すつもりだそうです。

 経済産業省によると、この20年で中小企業の経営者の年齢分布は47歳から66歳へ高齢化しています。
 2020年ごろには、数十万人の「団塊の世代」の経営者が引退時期となります。
 「中小企業の競争力の源泉は『社長』自身であることが多く、創業者はなおさらです。
 引き継ぐのは簡単ではない」(大手銀行幹部)ですし、少子化や「家業」意識の薄れもあり、後継ぎのめどが立たない企業は多くなっています。

 経営者が60歳以上で後継者が決まっていない中小企業は、日本企業の3分の1にあたる127万社に達します。
 事業が続けられず廃業する企業の半分は黒字とされ、2025年ごろまでに650万人分の雇用と22兆円分の国内総生産(GDP)が失われる可能性があります。

 首都圏近郊の板金会社の社長だった女性(60)は昨春、板金工の兄が約40年前に創業した会社をたたみました。
 精密加工技術が評価され、製品は新幹線の車体にも採用されました。
 2011年に兄が急死し、社長を継ぎました。
 出入金管理や不利な手形取引の見直しを進め、就任3年で無借金経営に転換しました。

 しかしながら、兄の一人息子は後継に一時意欲を見せたが、結局別の道を選びました。
 古株の従業員にも引き継ぎを断られました。
 それゆえ、「私が会社をみとろう」と決めたそうです。

 取引先からは「同じ品質のものが調達できなくなる」と嘆かれたようです。
 廃業すれば、サプライチェーン(部品供給網)の分断にもつながります。
 何とか技術は残せないかと考え、同業者と交渉し、設備やノウハウ、従業員を譲渡することでまとまりました。

 機械設備を売り払って廃業してしまう方が、手続きは簡単で、多くの金額が残る可能性はありました。でも、事業譲渡で技術を引き継ぐことを優先しました。
 女性は言っています、「会社をつくり、経営したのは私たちだけど、培った事業は社会のものですから」と。

 中小企業の事業承継の足かせの一つが、経営者が後継者に引き継ぐ自社株の扱いです。
 政府は今後10年間に限り、後継者が受け取る株式にかかる税金を全額猶予し、承継に伴う税負担を緩和します。
 経営者が後継者に自社株を渡すと、相続税や贈与税の納税義務が後継者に発生します。
 億単位になることもあり、代替わりにちゅうちょする一因になっていました。
 既に、後継者が引き継ぐ株式の3分の2を上限に、80%まで納税を猶予する制度はあります。
 ただし、フル活用しても税額全体の53%までしか猶予されず、中途半端さは否めませんでした。

 そこで政府は、納税猶予の対象株式を「3分の2」から「全株」に、納税猶予の割合を「80%」から「100%」に拡充し、承継時の税負担をゼロにすることにしました。
 新制度を使えるのは今後10年以内に実際に会社を引き継ぐ人のみで、中小企業の事業承継への決断を早める狙いがあります。

 個人的にも、事業承継関連の仕事をしていますし、このような記事を見るたびに、社長の仕事の一つは後継者を決めるこということを、社長就任時から認識しておいてほしいなぁと思います。
 ここ10年で、事業承継税制を用いた事業承継が進むのは間違いないと思いますが、落とし穴もありますので、きちんと専門家を交えたうえで慎重に検討してから実行してほしいと切に思っています。

 廃業予備軍が127万社の衝撃について、どう思われましたか?


上場企業でも後継経営者の育成が進んでいない!

 
 企業統治のあり方を示す「コーポレートガバナンス・コード」(企業統治指針)の適用からまもなく3年になります。

 企業統治指針は、経営者の後継を育成する計画をつくるよう求めていますが、思うように進んでいないようです。
 経済産業省の調査では、「文書の計画はない」と答えた企業はおよそ半数にのぼり、計画が存在するかどうか分からない企業とあわせると約8割に達します。

 20156月に適用が始まった企業統治指針は、企業の取締役会に対し、最高経営責任者(CEOC)などの後継者に関する計画を適切に監督するよう求めています。
 指名委員会をすでに設けたり、設ける予定の企業は約半数にのぼりますが、後継者に求められる資質・能力を文書に落とし込む作業などはなかなか進まず、試行錯誤が続いています。
 経済産業省は、201712月から20181月にかけて東証1部・2部上場の2,569社を対象に計画の進み具合の調査を実施し、941社から回答を得ました。

 これによると、社長やCEOの後継者に関する具体的な計画が存在しない企業は48%に達します。
 計画が存在するかわからない企業は29%で、計画があると答えた11%の企業の比率を大きく上回りました。

 計画があると答えた企業を見ても、「社内外の取締役に内容が共有されている」と答えた企業は半分弱にとどまります。
 指名委員会との計画共有も60%ほどです。
 次期経営者の具体策は、「いまの経営者の頭の中のみにある」という企業が多いようです。
 計画で明文化した中身(複数回答)では「後継者に求める資質・技術・経験などの定義」が、約75%で最多でした。

 次期経営者を選ぶためのプロセスが決まっているとした企業は約50%で、後継者候補者を評価する基準も決まっているとしたのは約41%どまりでした。
 経済産業省は、「後継者選びを現経営陣の専権事項とする企業が多いことも背景の一つにある」(産業組織課)とみています。

 計画のない企業に理由を聞いたところ、「現経営陣の意向が尊重されるため」という回答が半数を占めたようです。
 現経営者の任期・定年が来るまで時間があることから、具体的な議論に着手していない企業も多いようです。

 金融庁が開いている企業統治指針のフォローアップ検討会でも、取締役会で後継者計画の策定や候補者選びに十分な時間や資源が割かれているかが、主な論点の一つになっています。
 企業統治指針適用から3年がたつなか、企業統治指針が示した理想像と現実の差を埋めていく作業には時間がかかりそうですね。

 優秀な経営者で、世界的なお金持ちでもある、ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さんでも、過去に事業承継に失敗し、現状では後継者が決まっていません。
 今年から国も事業承継に一段と力を入れていますが、こういった優秀な経営者でも(カリスマ性のある経営者ゆえ)後継者育成がうまくできないわけですから、経営者の任務の一つとして事業承継を考え、上場企業のみならず、日本経済にとって大切な中小企業がなくなったり、傾いたりしないように、微力ながらお手伝いがしたいですね。

 上場企業でも後継経営者の育成が進んでいないことについて、どう思われましたか?


廃業予備軍が127万社!

2018年02月16日(金)

 先日の 『週刊ダイヤモンド』の特集は、「廃業or承継 大量廃業時代の最終決断」でした。
 団塊世代の大量引退時期が迫り、大廃業時代の足音が聞こえています。
 廃業するのか、事業承継を検討するのか?
 オーナー経営者が大事に育ててきた会社の“最終決断”をどう下すべきなのでしょうか?

 経済産業省が衝撃的なシナリオを提示しました。
 日本の企業の3社に1社、127万社が2025年に廃業危機を迎えるというものです。
 このまま廃業問題を放置すると、雇用650万人、GDP22兆円が消失してしまうそうです。

 東京商工リサーチによると、廃業する企業の約半数が経常黒字です。
 優良企業が大量に退出してゆく姿は、異様にも映るでしょう。
 事業がジリ貧になっているわけではなく、後を受け継ぐ者がいないため、仕方なく廃業を選ぶ経営者が増えているのです。

 実際に、惜しまれて廃業を決めた中小企業の経営者も少なくありません。

 ご存じの方も多い『岡野工業』が製造する注射針は、赤ちゃんや糖尿病患者のインスリン注射などにも使われる「痛くない注射針」です。
 品質管理に厳しい大手自動車メーカー向けの部品も製造するなど、世界に誇る技術を持つ企業ですが、2人の娘さんは嫁いで別の道に進んだため、後継者がおらず、廃業の道を選んだのです。

技術を残すために、注射針の製造はテルモに移管することに決まっています。

 作り続けて82年、羽衣文具が製造するチョークは「世界一書きやすい」という評判でしたが、需要が低迷したうえ、後継者問題も持ち上がり、会社を畳みました。
 興味深いのがこの先で、羽衣文具の製造技術・ノウハウは海を渡って韓国企業に買収されたのです。
 他社商品で代用が利かないチョーク界の『ロールスロイス』とすら称されたメード・イン・ジャパンの技術で、廃業が決まり、アメリカの数学者らのグループが1トン分を駆け込み購入するほどの人気でした。

 2018年度の税制改正で、事業承継税制が大幅に改正される予定です。
 国が、事業承継を10年間で推し進めたいという意思の表れです。
 一方で、数年前から事業承継が大事と言われていたわけであり、やっと国も本気になったわけですが、このような日本を代表するような技術を持つ企業が廃業するというのは、日本にとって損失であり、残念でなりません。
 僕は独立開業してから6年半くらい経ちますが、独立当初から『事業承継』を看板に掲げています。
 また、2年ほど前から、中小機構で『事業承継コーディネーター』をやっています。
 少しでも、廃業しようとしている会社が廃業をせず、事業承継するようなお手伝いができればいいなぁと思っています。

 廃業予備軍が127万社もあることについて、どう思われましたか?

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