事務所通信2020年2月

事務所通信

2020年2月号『トランクルーム節税は節税にならない!』

ここ数年、香川県高松市でも、屋外に設置されたトランクルームを結構目にするようになりました。

土地活用を兼ねた節税策として使われていると思いますが、最近、そうも行かなくなっているようです。

そこで今回は、『トランクルーム節税は節税にならない!』について、書きたいと思います。

 

1.トランクルームとは?

トランクルームやレンタル収納スペースと呼ばれたりしますが、賃貸借契約により、物品を収納保管するための安全なスペースを提供するものです。

それ以外にも、レンタルボックスやレンタルスペースと呼ばれたりもします。

建物の中にある屋内タイプとコンテナを用いた屋外タイプのものがあります。

ここでは、コンテナを用いた屋外タイプのトランクルームに限定して取り上げます。

 

2.従来の考え方

従来は、所得税においては、トランクルーム用のコンテナーは器具及び備品で、6m以上だと耐用年数7年、それ未満のものは3年と一般的に考えられていたようです。

当然、中古のコンテナーの場合、これより耐用年数が短くなります。

また、10基以上であれば、事業的規模と判断し、雑所得ではなく事業所得となり、給与所得などと損益通算することが可能です。

処分も比較的容易であり、耐用年数も短いことから、トランクルーム節税は横行していたようです。

一方、相続税においては、トランクルーム(コンテナ)の賃貸業は不動産の賃貸ではないため、事業用の土地として、小規模宅地等の特例が適用でき、400㎡までは80%の評価減ができます。

 

3.最近の考え方

トランクルーム事業を展開している東証マザーズ上場のエリアリンク株式会社が、2020年2月13日に、特別損失の計上による業績予想の下方修正を公表しました。

このプレスリリースには、『2019年度上期に、当社がコンテナを販売したお客様が、税務当局より、建築基準法に基づく建築確認の申請をしているコンテナについて「器具・備品」ではなく「建物」としての耐用年数を適用すべき旨の更正処分を受ける事態が発生し、また、その後も同様の指摘を受けて修正申告を行う事例が数件発生しております。』と書かれています。

骨格材の肉厚が4ミリを超える金属造・倉庫事業の倉庫用のものだと、耐用年数は26年(定額法の償却率は0.039)ですね。

こうなると、減価償却費が少なくなり、節税どころか、所得が発生してしまいます。

また、相続前3年以内に事業の用に供された宅地については、小規模宅地等の特例の対象から除外するという平成31年度税制改正は横行するトランクルーム節税を防ぐためと言われています。

 

4.最後に

今後どうなるか分かりませんが、リスクを考えず、安易に飛びつくと、税制改正等で節税対策が無意味になる可能性があります。

やるときは慎重にやりましょうね。

2020年2月25日 國村 年

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