事務所通信2014年12月

事務所通信

2014年12月号 『2014年のIPO』

株式市場が戦後7回目といわれる新規株式公開(IPO)ブームに沸いているようです。
 2014年は77社が上場し、通信バブルの2000~2001年、ヒルズ族を生んだネットバブルの2005~2006年以来の勢いです。
 そこで、今回は、『2014年のIPO』について書きたいと思います。

1.4つのK
 日本経済新聞によると、2014年のIPO市場は、4つのKで表すことができるそうです。
 1つ目のKは『駆け込み』です。
 高層エレベーターのように激しい値動きをする事例が多いからです。
 今月上場した企業で、初値が公開価格の2.4倍となったものの、22日の終値は公開価格の半値となっているものもあります。
 初値が公開価格を大きく上回ったら、さっさと売却して利益確定する投資家が多いようです。
 次から次へと新規銘柄が出てくる時は、投資家の意識も次、その次へと向きがちで、資金の回転はさらに速まるからでしょう。
 2つ目のKは『小粒』です。
 77社の上場時の資金調達額は合計3,900億円と8年ぶりの多さですが、1社当たり平均では50億円と、2013年の69億円より小さくなっています。
 売上高が10億円に満たない企業も2013年の6社から12社に増えました。
 証券会社は、主幹事獲得の競争が激しく、上場を希望する企業を青田買いせざるを得ない状況にあるようです。
 3つ目のKは『高齢』です。
 起業まもない小規模の企業が多い一方で、1944年設立の今村証券、1949年設立でホームセンター運営の綿半ホールディングスなど、大がつくベテラン勢も目立ちます。
 もちろん社歴と業績の良し悪しは関係ありませんが、若い企業に比べて古参企業は経営の安定性は抜群ですが、投資家の成長期待が膨らみにくい面もあります。
 設立から上場まで30年以上かかったのは17社(昨年10社)に増え、全体の平均年齢も2013年の約17歳から2014年は20歳強へと上がりました。
 4つ目のKは『下方修正』です。
 ソニーと東芝、日立製作所の中小型液晶事業を再編して発足したジャパンディスプレイは、上場わずか1か月後の4月下旬に2013年度の業績予想を引き下げ、さらに、10月には2014年度の予想を下方修正しました。
 投資家の失望を買い、時価総額は2,300億円と初値の半分に沈んでいます。

2.2015年のIPOは?
 IPOは2015年も増勢が続きそうで、「100社前後」との見方も出ています。
 社数が増えれば増えるほど玉石混交となり、4Kの傾向は一段と強まります。
 例年、年末の最終取引となる大納会に有名人を招いていた東証は、今年は中高生を呼んで鐘を鳴らしてもらうといいます。
 知名度より将来性、大物よりルーキー、期待に応える新顔は2015年はどれぐらい出てくるのでしょうか?

3.最後に
 株式市場の活性化は、日本経済にとってマインド面ですごく重要だと思います。
 2015年も活性化が続いて欲しいですね。

2014年12月24日 國村 年

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